なんちゃってバイオハザード (かたなあさはまな)
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なんちゃってバイオハザード

「ちっ、やっかいだな」

俺はそう言いながら咄嗟に回り込んだどっかの家の敷地の中から、壁伝いに道路をにらんだ。

そこには「あーあー」やら「うーうー」等と言いながら徘徊するゾンビどもがいた。

 

 

 

 

 

その日俺は、会社をさぼった。

 

 

 

朝、家を出て電車に乗り、毎朝乗り換えている駅でなんとなく反対方向で線の違う電車に乗った。

その電車は人が少なく・・・いや、間違いなくその電車に俺一人だろうと言うほど人がいなかった。

 

その電車に乗りながら、俺は誰も乗ってないことをいいことにポッケから煙草を取り出しふかし始めた。

 

 

「あ~会社、やめるか」

 

 

電車内で煙草を吸い終わったころそう決断し、出社時間になったことをスマフォで確認しつつ、スマフォの電源を切りそのまま眠りについた。

 

 

 

 

 

 

およそ10時間は眠っただろうか。

車内から見る外は日が陰りつつあり、明らかに見たこともないような景色だった。

そのまま偶々ついた無人駅で降り、適当に探した安っぽい宿に入る。

宿の店員には怪訝な目で見られたが素知らぬ顔をし、ロビーで付いていたテレビのニュースが何か騒いでいたが見る気にもなれず、ネクタイとベルトをはずしたスーツのまま、酒をしこたま飲み布団にもぐりこみ寝た。

 

 

それを次の日、後悔するとも知らずに。

 

 

俺は酒で酔いつぶれると長時間起きない体質で「あ”~ぎぼぢばる”い”」そう言いながら昨日に引き続き、日が陰り始めた窓の外を見ながらコップを片手に蛇口のコックを捻った。

 

朝と昼の食事はいらないとあらかじめ店員には言っておいたので問題ないが夜は食べるため下に降りる。

 

 

 

だが、誰もいなかった。

 

 

 

偶々席を外していると言うレベルではなく、大声を出して呼んでも誰も来ないため完全に無人だった。

舌打ちをしつつロビーのソファに座り込み、リモコンを握りテレビをつけた。

 

『バイオハザードです!!ゾンビが町中にあふれ完全に都市機能が失われており・・・』

 

映画?3流丸出しだな!

そう思いながら無言でチャンネルを変えるが

『政府が緊急会見を開きました。それによると昨日の飛行機墜落事故も一昨日から発生している謎の感染病に関連していると・・・』

『ご覧になられているように町中に一昨日から急にはやり始めた・・・』

『一昨日の飛行機事故の・・・』

『ゾンビが・・・』

『うわー!!』

 

 

 

最後に変えた番組で人が襲われている場面を見て凍り付く。

カメラを落としたのか横になってはいたが、それでも明らかにテレビで映せないレベルのグロ映像が流れていた。

 

その後せめて朝起きていたならと思いながら、テレビやスマフォで最低限の情報収集と、冷蔵庫から勝手に取り出した食料で腹ごしらえをし、鍵が閉まっているドアを開け外に出る。

過疎化の町なのか村なのかわからないが夕方なのに人の喧騒が一切なく、せめてこの地域ではどういう対策なのか程度の情報を集めようと思ったが、チャイムを鳴らそうがドアを叩こうが一切の応答がなく、冒頭の状況になる。

 

壁に隠れながらゾンビがどっかに行くのを待つ。

この町だか村だかは壊滅したのだろう。

宿屋の店員がおらず各家にも人が居ない所を見ると、どこかに一か所に固まったところを一気に全滅したのだろうとあたりをつける。

ここら辺の地理が一切わからないために公民館などを確認することは出来ないし、下手に人が集まる所に行くと逆に危ない可能性がある為更に確認は出来ないが。

近隣の家に侵入し無人と使えるものを確かめ、今いる家からリモコンで少し遠い家のテレビの音量をMAXまで上げていく。

少なくともこれで近隣の人は完全にいないことと、目下に居るゾンビ共の量からここら一帯が完全に生きている存在が居ないことを確認する。

テレビを切り隣の家から拝借した地図と双眼鏡を使い、小学校を見るが残念ながらゾンビが見えたことから行くだけ無駄だということがわかる。

我ながら図太い神経だと思いながら、音量を操作する前にバリケードと食料と退路を用意したこの家で一夜を過ごすことにした。

 

 

次の日朝からスマフォをいじる。

ネットは残念ながらつながらなかった。

混戦だろうがよく持ったほうだろう。

少なくともこれで完全に日本はマヒしたと見ていいだろう。

電気と水は通っているししばらくは問題ないが、食料が持つかどうかわからないのが心細い。

今日はゾンビ達を観察する。

まあ、観察と言っても物を投げたり包丁投げたり等で反応を見るだけだが。

結果はまあ、音と動く物につられたり痛覚がなく動きが遅い等のゾンビの定番が分かったぐらいだが。

その後、隣の家の窓を盛大に割りつつ侵入するなどの方法で移動を開始する。

音でゾンビが寄って来るが、前を横切るより遥かにましだ。

成果は昨日の時点でわかってはいたが、年寄りが多い地域なのが確認できた事とバットの回収、多少移動できた事くらいだ。

まあ、ゲームじゃあるまいし都合よく武器が落ちている訳ないわな、等と思いながら紐で輪っかを作る。

そのまま2階の窓から物を放り音を立て、ゾンビをおびき寄せたあと作った輪っかで4回目にゾンビを転がすことに成功する。

食い物を適当にあさりながらゾンビを見る。

まあ、定番だが紐を外す知能すら無いようだ。

そのまま窓から包丁を投げ、突き刺し重いものをぶち当てゾンビの頑丈さを確かめる。

この家にあった包丁を全て使ったが、問題はなさそうなのを確認する。

よくゲームでナイフで切りかかったりしているが、痛覚の無い相手に対しては多少の切り傷等無意味だし、素人の俺が槍などを作ったところで一撃で致命傷を与え無力化できなければこれまた無意味だ。

相手に傷をつけた瞬間にそのままやられるだろう。

そんなことを考えながら何件か回った結果、退路があった家でバリケードを作り、2階に布団を敷き寝る。

 

 

朝、のそりと起き上がる。

 

玄関のバリケードの確認等、侵入してくる所が無い事を確認し服を脱いで裸となり、台所を盛大に水浸にしながら湯を浴びて体と頭を洗う。

直ぐに住人は帰ってこないだろうし、逃げ場の無い風呂場にこもる何てバカなことはしない。

さっぱりし、何件か前の家の箪笥から頂戴した服に着替え昨日のゾンビを見るために移動をする。

どうやら完全に死んでいるようだった。

出血が少しな所を見ると血はすぐ乾くようだ。

「定番だな」

何度目かの感想を口にしつつ昨日、予想よりも早くに見つけた探し物があった家に移動する。

探し物とは車だ。

車自体は簡単に見つかるのだが、探していた車は普通車とは違う。

車高が高く、山道でも走れそうなオフロードのひたすら頑丈そうなでかい車だ。

まあ、物好きな年寄りが居て助かった。

普通車じゃあすぐに囲まれて動けなくなり、ゾンビを避けて通ろうにも障害物で動けなくなり、挙句の果てに盛大にぶつかった瞬間動けなくなり、車高が低いために窓を簡単に割られて終わる可能性が高すぎて乗るわけにはいかないからな。

もう少しド田舎なら問題は・・・人(だった物)を引き倒し、乗り越える可能性がある以上、次点で大型トラックでもない限り無理か。

車のキーと、詰め込むものを準備し、何件か離れた家で古いテープ式ラジカセのカセットにテレビとコードをつなげ最初は音が出ないよう録音し、衝撃で作動不良にならないようガムテープで固定し、電池を入れ再生し道路に紐で下す。

ラジカセにつられてゾンビがよそに行っているのを確認し、音を立てないよう車に荷物を移動し出発する。

エンジンをかける前に備え付けられていたカーナビで位置を確認し、でかい道路に向かう。

でかい道路は放置された車でふふさがれてる可能性も大きいが、狭い道路よりもスピードが出せる可能性も大きい。

今でも十分振り切っているし、避けてはいるが安全性は高ければ高いほどいい。

近場のそこそこだがでかい道路出る。

後は人が少ない地方へひたすら走るだけだと思いながら走っていたが、中学校の前を走るとき前のほうに手を振る中学生と思わしき男女4人組が手を振っていた。

ゾンビではなさそうだが、助ける義理も義務も無いし無視しようかとひたすら思ったが完全に前方に立っていやがるし、中央分離帯のせいで反対車線にもいけないせいで止まる羽目になる。

車の横に来たところを突っ走ってやろうかとも思ったが止まった事だし、嫌々だがの背手やることにする。

「ありがとうございます!!」

そう言いながら、乗り込む奴らを見ると涙と鼻水でぐしゃぐしゃな顔と少し汚れた制服で、奴らが来たであろう道からはゾンビが向かってきていた。

「とっと閉めろ!出すぞ!!」

そう言いながらアクセルを踏み込みその場を離れる。

しばらく無言で4人の鳴き声をBGMに走り、見晴らしのいい場所に来たので車を止める。

「おい、降りろ」

「えっ、でも」

「いいから、降りろや!」

怒鳴りつけて怯えるガキどもを降ろす。

流石にここまで来て「はい、さよなら~」と言うほどひどい性格はしては・・・いない。たぶん

エンジンを止めキーを抜き、前日のうちに見つけた折り畳みナイフを隠し持ち、バットを握り閉め車から降りる。

因みに運転席以外のドアは開かない。

「さて、事情を最初から話せ」

タバコに火をつけながら、のんびりと4人組の話を聞く。

まあ、これまた定番なことに学校に立てこもった所1人が感染。

そのままあっと言う間に拡大し逃げてきたと。

予想道理にもほどがあった。

「で?お前らは噛まれたとかないわけ?」

「はい、感染してません」

一人が代表して言い他の3人もうなずく。

ゾンビからの感染方法はこれまた定番なことに噛まれるか引っかかれるかだ。

そして、当然それらの傷は服の上からではわからない。

つまりは、

「それを俺はどうやって信用すればいいんだ?」

「え?」

そんなことを言われるとは思ってなかったのだろう。

ポカン

そんな言葉が似合う顔をこちらに向けていた。

「だからどうやってそれをお前たちを見ず知らずの俺が信用するんだって聞いてるんだよ?」

「そ、それは」

まあ、そんな方法は一つしかない。

「動くなよ」

バットを軽く4人に向け言う。

鍵を開けドアを開くと置いていかれるとでも思ったのだろう、「あっ!」等と言い向かって来ようとするが、

「動くなっていってるだろう!!」

怒鳴って止める。

「だ、だけど!」

「っち」

思わず舌打ちが出る。

「言う事を聞かないやつは置いていくぞ!」

「っ!」

そう言ってようやく止まる。

「連れてってやるが、俺の言う事を聞け。わかったな!」

そう言って助手席のドアを開ける。

そもそも助手席からどう車を動かすのか。

よほどテンパっていたのだろう、そして体温計を取り出す。

感染の初期状態で熱が出る、まずはそれからだ。

「体温計だ測れ」

そう言いながら一番端の奴に投げる。

いそいそと順番に熱を測っていく4人。

5分ほど経ち全員が平熱だと確認する。

「次は女は後を向いて男二人前にきて裸になれ」

「え?」

「噛まれた跡がないか見なきゃわかんねぇだろうが!」

そう言ってびくつく二人が服を脱いでいく。

ゆっくり二人を見て噛まれた跡が無い事を見る。

「服を着て次は女だ」

「えっでも」

「置いてくぞ?」

口答えしようとした二人を脅す。

殆ど涙目になる二人。

「下着まででいい。男2人後ろ向いて目閉じて耳塞いでろ」

そう言って涙目の女二人を確認していく。

まあ、ガキとは言え反応しそうになったが、今後厄介になりそうなので堪える。

気のせいか若干男よりも長めに確認し、スカートのままだと何かあった時に困るのでズボンを渡す。

「3つしかねぇのに」

お荷物より完全に負担としか言えない4人を見ていらつきと共に言葉が出る。

周りを見渡し、まだ問題が無い事を確認しつつタバコに火をつける。

「さて、一応聞くがお前らはどうするつもりなんだ?」

「え?」

何度目かわからないがまた不安そうな顔をする4人。

「俺には俺の考えがあるように、お前らはお前らで後々何か言い出されても困る。今のうちに言っとけ」

「えっと・・・」

「ここは見晴らしがいいし見る限りゾンビ共もいない、3時間やるから考えろ。なきゃ無いで今後何があろうと絶対に俺に従ってもらうぞ」

タバコを踏み消しつつトランクを開けて、菓子パンや消費期限が近いものを出していく。

「食え。当たり前だがいくら見晴らしがいいからって完全に安全じゃないんだ、ある程度は警戒しろ」

「はっはい」

適当に俺が食うものを選び、車のドア鍵を閉め屋根に上り4人も車に入れない。

何故なら完全に信用してないし、やろうと思えば車何て最低限の知識で動かせる。

車の中には俺が今もっているバットとナイフ以外にも武器はある、4人で抵抗されると厄介だからだ。

1時間は経っただろう「家に・・・」とか「お母さん・・・」とか色々話が聞こえる。

まあ、腹も膨れて落ち着き余裕が出てきたんだろう。

この状態で車を運転していて、こいつらの考えを否定し抵抗されでもしたら厄介だったな。

何て事を考えながらタバコを吸おうとしたとき、女が近づいてくる。

「何だ?」

「あの、トイレ」

「バカか?」

何も考えてないことがわかり、思わず即答する。

「トイレなんぞあるわけないだろう、第一あったとしても個室に入って外にゾンビが来たらどうするつもりだ」

今までだって俺自身、安全が不完全な場合窓からだったりビニール袋にしたりしていたのだから。

「俺から見えるところで、見晴らしがいいところでしろ。死にたいんだったら守らなくていいが」

そう言いながら屋根から降り、車の中からトイレットペーパーを出し渡す。

「うう」

「他の奴らもだ。どこかに行くときでも極力1人にならないように、周りの確認のしやすさを優先して動け」

それから、更に1時間ほど経ち4人から話しかけられる。

「決まったか?」

「はい」

「よし話せ」

そして4人順番に話していく。

「無理だな」

「そっそんな」

「無理に決まってるだろう、親とか確認何てしばらく無理だ。生きているかどうかどころか死体を確認すら困難だ諦めろ。人が多い所に行くのはつまりゾンビも多いんだ死にに行くようなもんだ、それに・・・」

一つ一つこいつらの希望を丁寧につぶしていく。

「そっそうだ、警察のところに行けば」

「無理」

「銃とか」

「素人は使えないし、使えたとしても腹や足とかじゃ意味がない、痛みを感じないんだからな。確実にゾンビの頭か心臓を打ち抜けなきゃただ音で集めるだけだ。出来るのかお前は」

「それは」

4人は完全に沈黙した。

「黙って俺についてくるなら車の運転は教えてやるから、ほとぼりが冷めたら勝手に行くんだな」

「ほとぼりって」

「ゲームじゃないんだ。1ヵ月だか2ヵ月すりゃ収まる」

「えっと」

そこから根拠を説明しだす。

人間は1週間も飲まず食わずでは生きられない、動いてればなおさらだしどんなに効率的に消費エネルギーを抑えても結局1ヵ月が限度。

ゾンビに蛇口捻って水を飲み、袋を開けて物を食う頭はない。

目の前にパンやら生肉やら放って試したしな。

更に動くものを襲う癖に何故か共食いはしない。

音に反応しているんだろう、ラジカセに寄って来ていたので確実だろう

少なくともネズミ算式以上の速さで増えた後、一気に減るはずだ。

話している最中、俺の煙草をみて「匂いとか」と言ってきたが「ゾンビは犬じゃない。匂いなんぞわかりゃしない」匂いを感じ向きを探ると言う思考すら出来るかわからないだろうしな。

因みにゾンビの対処法で一番いいのは目つぶしだ。

目さえつぶせばどこにいるかわからないからこっちに向かってこないし、夜と同じようなものだからおとなしくなるだろう。

残念ながら、夜の様子を見ただけで実験はしていないが。

なんてことを話しながら今後のことも話し出す。

このまま出来れば原発の被ばく範囲外の人の少ない所まで行き、2ヵ月立てこもる。

 

 

以上。

 

 

原発や発電システムが止まれば電気が止まるからわかるし、ほかの国にまで広がっているだろうから救助も絶望的。

ゾンビはほぼ死体だし、死んだあと完全放置だからやばい病気が発生するのは間違いないだろう。

近づかないに越したことはない。

そんなことを話しながら車で移動していく。

途中コンビニがあったので食べ物その他を補充する。

「あの、お金」

「少なくとも今は糞の役にも立たんな」

そんなことを言いながら車に詰めていく。

捜索でゾンビはいなかったし監視カメラの装置を見つけ破壊し、万札も4人に見つからないようこっそり回収する。

ほとぼりが冷めた後に必要になったらあればうれしい。

まあ、5・6百万あればいいだろう。それ以上は邪魔になる。

 

出来れば大型ダンプとか欲しいなと思いながら車で先を急ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺(達)の旅はこれからだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『完』

 

 

 

 

 

いや、マジで。

 




よく、ゲームや映画を見ながら言いたくなったこと言い切ったぞー!!


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なんちゃってバイオハザード2

書きたいことが増えたので2話目です。


「あっ子犬」

1週間前に拾った4人の中坊の一人が、奇跡的な確率で生き残ったであろう子犬を車中から見つける。

停止・放置された車をよけ速度を落とし運転していた車を止め、車から降り子犬へと歩いていく。

「くーんくーん」

鼻を鳴らし近づいてくる子犬に対し俺と同じく車から降り、近づいていくバカ丸出し共。

「おい、触るな」

「えっ?」

「「えっ?」じゃねえよ、その犬っころが感染していたらどうするつもりだ」

そんなこともわからないのかと頭を抱えたくなる。

「でっでも、ゾンビ達みたいじゃないですし」

こいつらこれでも、俺が出たバカ高校よりも偏差値が遥かに高い高校に入学していようとしていたのだから嗤いたくなる。

「お前、潜伏期間って言葉聞いた事ないのか?」

「あっ」

「それと、お前等俺の言う事に従う条件で付いてきたんだろうが。ふざけてるとぶん殴るぞ」

そう言いながら出るときに持ってきたゴム手袋をして子犬の首根っこを掴み上げ、そのままゴミ袋に入れる。

「なっ何を」

「黙って車に戻れ」

そう言い車のバックドアを開け、何も入ってない手ごろな鞄を取り出し子犬を中に詰め車中に放り込み、運転席に戻る。

そのままゆっくりと車を再発進させる。

「まず、どんな病原菌・ウイルスにも潜伏期間、用は発症するまで時間がかかるんだ。インフルエンザが体に入り感染して3分で発症し咳がでましたなんてあり得ないんだ。そこは良いな?」

バックミラーで頷く4人を確認して話を進める。

「それと鳥インフルエンザは即人間には感染はしても発症はしない。簡単に言えばインフルエンザの方の型が人間の型と違うからまとわり付くことはあっても害を与えられないんだ」

「えっとそれって」

「この1週間鳥を散々観察したが少なくとも鳥はゾンビ化していない。最低でもカラスは人間・ゾンビの死肉を食っているだろうから人間をゾンビ化させる菌だかウイルスだかは鳥には害はない。感染の可能性があるからだからと言って安全だとも言えないけどな」

返事が無いのでバックミラーで4人を見ると「それがどうしたんだろう」と戸惑っている顔が見える。

「お前等わかってないのか?鳥がゾンビ化して人間に攻撃しだしたら人間なんて碌に対応できずに全滅なんだぞ?」

「ええっ?」

「上から降って来るものなんて常に見上げてないと察知すら出来ないし、素人が投げる石より早く突っ込んでくるんだから集団で来られたら特殊ガラスでもない限り窓何て1分も持たないんだぞ?わかってるのか?」

これでもこいつら、俺よりも頭がいいのかと思うと余りの使え無さに泣けてくる。

「この後あの犬っころを7日ほど捕まえておいて様子を見る、動物何て例え小型のチワワでも基本人間よりも身体能力が上だからな、ゾンビになっていた場合どれほど動けるのやら。それに人間以外の動物が感染するのかしないのか知っていなければ対応すら出来ない。まあ、今まで動物に襲い掛かられてないから大丈夫だと思うが、ネズミがゾンビ化何てなったら菌・ウイルス・動物が碌に生きられない北極にでも行かないと逃げられない。もし仮に、どこにでも居る大量のネズミがゾンビになっていたらもうすでに俺たちは死んでいるだろうがな」

等と付け加え、後部座席の4人を青ざめさせる。

まあ、ネズミみたいな小型の動物等省エネルギーで常に食べ続ける動物がゾンビになったら1日と持たずエネルギー・栄養切れでばたばたと動かなくなるから問題ないだろうけど。

 

そのまま大きく放置車両の少ない道路を基本的に通り安全が確認できる場所で4人に車の運転を指導し、5人ばらけて拝借した車にそれぞれ眠る。

1塊になり全滅するのを防ぐのと1人でもパニックになり足を引っ張られないための処置である。

最初は嫌がったが無理やり言う事を聞かせ、トイレに行きたくなったらそのまま車中でさせる。

進入路を防げて、脱出路の確保できる家で寝るのが一番なんだが。

コンビニなど食料確保がしにくいと言うデメリットがあるが、やはり放置車両・犠牲になった人=ゾンビが少ないと言うメリットがあるため過疎化・田舎・地方と言われる場所や山中等を極力スピードを余り出さずに通る。

安全もあるがスピードを出すとガソリンの消費が高くなる。

ガソリンスタンドを見かけるたびに保存用タンクを見つけちょくちょくもらっているが節約するに越したことはない。

途中でゾンビを見かけるが無視しながらかなり遠回りをしながら北上していく。

 

出発前にグーグルマップにて検索したが原子力発電所が同時に崩壊した場合意外と逃げ場がない。なので遺体・ゾンビが腐敗し疫病の感染率が低いと言う理由で北上している度合いが高い。

なお子犬は問題は無かったがゾンビに襲われた時ゾンビになるのか確かめた為結局死んだ。

今、ゾンビになる謎ウイルスだか菌でわかっているのは空気感染しないと言うだけだ。

根拠は単純に俺たちが生きていて感染していないと言う事。

ゾンビ確認初日から近くに居たり風下に立ったからだ。

因みに後ろの4人は中学でゾンビに囲まれていて、空気感染するのだったらとっくに発症していただろう。

 

出来れば、どこかで赤の他人を捕まえて人体実験をしたいものだ。

こいつらに不信感を持たれて俺に攻撃でもされたら面倒だから言えないが。

出来ればこいつらから言い出してほしいものだ。

よく「新薬だからって人体実験何て反対だ!」等とバカ丸出しの寝言を言っている奴がいるが、基本医療の進歩は人体実験無しではありえない。

火傷を例に出すとどれくらいの温度で火傷をするか・火傷した後の応急法・治療法は結局どれほど動物で調べようと最終的に人で試さないと解らないと言う事をわかっていない奴が多い。

又、今飲んでいる薬も100%安全と言う保障が全くないとから飲んでいる奴らは薬で治療をしていると共に、人体実験の被験者でもあると言う事を解ってない。

カ・ハエ等で感染する病気があるため虫よけスプレーなどの製品を集めて使ってはいるが、出来れば何らかの方法で確認したい。

殺しても全く心が痛まないレベルの見た目から中身まで犯罪者の様な奴がいてくれたら助かるのだが。

まあ、仮にいたとしても関わりたくないな。

 

夜、寝床である今乗っている車以外に4台確保したあと飯を食べる。

この4台と言うのが意外と曲者で中々見つからない。

車自体は当然すぐ見つかるが鍵が無い・危険度が高く鍵があっても動かせない等があるが、だからと言って最低でも3つには分けたい為時間がかかる。

まあ、効率がいいかと聞かれたら首をかしげるしかないが運転の練習にもなるし足を引っ張られるよりかはましではある。

「所でお前等、互いに恋人同士とかじゃないよな?」

「えっいや、そんなことはないですよ」

1人が戸惑い半分照れ半分で他の3人を見ながら答える。

「別にSEXとかやってもいいが避妊は絶対忘れるなよ」

「なっ何言ってるんですか」

「いやいや重要なことだからな」

綱渡り効果、用は死亡する可能性のある危険な状況になると互いに異性を好きになると言われている。

これ自体は特に問題は無い。

だが、妊娠などされると女性は動けなくなる為今の状況的に非常に厄介である。

走れなくなる・吐き気・イライラする等人にもよるだろうが下手をすると致命的事態に陥る。

映画などでよく、壁一枚挟んだ隣は危険地帯で無防備な状態でヤっているがあんなのは馬鹿のすることだし結局フィクションだからだ。

長期間安全で食料を確保できる施設があるなら問題ないが、そんなものは今の状況では絶対にあるはずが無く、生まれたばかりの赤ん坊や子供はすぐに泣きわめく。

ゾンビにとって正しく格好の餌さとしか表現できない。

はっきり言って妊娠した女など完全な足手まといで、仮にお前等2人女のうちどちらかが妊娠した場合、4人そろって見捨て置いていくと懇切丁寧に説明する。

「明日辺りコンビニに寄れたら妊娠検査薬を使え。まあ、見捨てるとは言ったが結局のところ妊娠したと言っても今すぐ足手まといになるわけじゃないし、結果が判明して即さようならと言う訳じゃないから安心しろ。因みに、4人全員と言った理由は一人を見捨てていくと言った場合お前らが反対するだろうからだ。」

その後エロ本の確保やムラムラした時の対処法を、明日嫌がろうと強制的に教える事を伝える。

突如発情されても困るし。

その後、前から4人に頼んでおいたスマフォなどによる有力な情報の調査の結果を聞く、何処かの引きこもりのSOSやら「安全地帯ありますよー」等と言った寝言の報告を聞きながら何故行かないかを丁寧に伝える。

助けに行くと言う事は人が増える。

警戒する人数が増える・食料などの物資探索が容易になる・移動する際の荷物の所持数を増やせる・大勢で囲めばゾンビを安全に倒せる等ざっと考えればメリットが多いいと思えるが、実際は見つかる危険度が増す・食料などの物資の減る量が増える・一人感染するとパニックが起きやすく大勢が全滅・危険思想の持った人物の流入等結局めっりとはデメリットによって打ち消されるどころかマイナスになる可能性が高い。

仮に1人増えたとしよう。

それが車の運転ができない人だとしよう。

現状今乗っている車は余裕が出来るように乗っている。

この余裕は絶対に必要で、何らかのアクシデントつまりはゾンビに襲われた時など手の届く範囲に簡易的な槍を置き、狭い車内で振り回すために必要なのだ。

つまり人が1人増えただけでその余裕は無くなり、ゾンビに襲われたら全滅を意味する。

では、車を増やせばいいと言うかもしれないが、だれが運転するのかと言う問題が発生する。

俺は当然今乗っている車を運転しているし、他の者も運転は出来ない。

これで手詰まりになる。

では、人を2人増やし運転できるものを確保したとする。

今乗っていると同じ車を用意したとする。

車の性能は問題ない。

じゃあ、どうやって進むのか。

横に並ぶのは道の関係上出来ないことが多い、縦2列になり進むとすると前の車が襲われたとき当然襲う準備が出来ていない状況なのでそれをやり過ごせるが、後ろの車は集まった状況のゾンビに襲われる。

そこからどう助けるか、答えは自力突破してもらうほかない。

ゾンビに囲まれて、襲われた時点でもうすでに詰んでいるのだから。

車間距離を十分にとったとしても、ゾンビの群れを避けるため遠回り・細い路地に入ると言う危険を冒さなければならない

故に人は今後増やさないし、助けにもいかない。

ついでに再度言うが、今の状況下で安全地帯などない。

恐らく労働力や欲望のはけ口が欲しいのだろうと思う。

ゾンビには効かないが銃は人に絶大的に効果があるし、ただ持っている者が複数いると言うだけで脅威であることから、信用・信頼できない人物には近づかない方がいいと伝える。

因みに、信用できない云々の時に全員が俺の事を見てきたが俺自身お前たちを信用はしていないし、お前らも信用する必要はないと伝える。

「こちらはお前らを、お前らは俺を利用しているし片方が危機に陥ればもう片方も危機に陥る可能性が今は高いんだ。それを考えればある程度の信用は出来るはずだ」

少し誘導しつつ心にも無い事を伝え、こちらに対する警戒心を薄めておく。

この2週間の経験で言うと、人間は不思議なもので自分から特に前科の無いもの、物騒な発言の無いものを警戒しろと言われても警戒は出来ないようだ。

心の中ではお前らは物資探索中の囮で、ある程度の利便性がある限りは見捨てない等と思っておく。

「まあ、どうしても行きたいならお前等だけで行け。俺は止めないし協力もしてやろう」

場所を聞く限り住宅街などが多く、人がたくさんいた地域はゾンビが多く、ゾンビが倒れた後の始末をしてない・数が多くて出来ない以上疫病に感染する危険度が増し死にに行くようなもだと告げると4人全員が黙る。

 

たまたまいい条件に合ったバスを見つけた為車を隣に駐車し全員でバスの中に乗り込みドアを閉め窓の施錠を確認し床で横になり眠る。

普段車の中でゾンビに襲われないよう外から中の様子を確認できない・窓を破られたらブザー鳴る等の工夫しながら寝ているため、窓が高く外から確認しにくいこう言ったバス等の車は意外と役に立つ。

移動には糞の役にも立たないし、一応ブザーはなるようにしているが。

明日はどう行動するかを考えながら、数日ぶりに床に横になりながら眠る。

 

 

俺たちの旅はこれからも続く。

 

    

 

 

 

 

    【完】

 

 

だといいな。




続いてしまった。
結末を一切考えてないし、荒廃?した世界でサバイバル知識等を一切持たない現代人が生きられるかと言われれば、ぶっちゃけ無理としか言いようがないと考えているので最後どうなるかを考えると餓死・ゾンビ化等のバットエンド以外あり得ないと思います。
後、ムラムラした時の対処法(笑)悩みました。
18禁設定じゃないのにストレートに言うわけにはいかないし、ねぇ。


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