ゆっくり虐待日記 (かまぼこあき)
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ゆっくりと遊ぼう
第一話、うんっめいのであいなのじぇ


暇だから書いてみただけです。

2016/02/12
文章を大幅改稿




―学校の帰り道―

 

 

「はぁ~、疲れた」

 

 俺の名前は石田。授業が終わり、いつも通りに下校している最中だ。

 

「久しぶりに公園に向かうか……」

 

 5時間目と6時間目が体育だったため、運動音痴な俺は周りから悪口を言われて疲れて

と共にストレスも溜まっている状態なので、そのストレスを発散するために公園に向か

うことにした。

 

「着いた」

 

 公園に着いた。ここは俺がいつも利用する公園だ。此処でストレス発散をするのだ。

 何をするのかというと、ゆっくり虐待だ。ゆっくりとは、数十年前に突然現れた生物

?で、どういう原理で生きているのかも解明されてない。何故、生物?なのかと言うと

、ゆっくりは饅頭だからである。見た目は、饅頭に目と口と髪があって、日本語を話す

。簡単に言うと、喋る生首だ。そして、体の中には、血の変わりに、餡子ぎっしり詰ま

っているのだ。しかも、種類によって、入っている物も違う。血の変わりに餡子が入っ

ている。こんな饅頭を生物と言っていいのだろうか。ちなみに、俺は一切生物とは思っ

ていない。

 

「兎に角、ゆっくりを見つけるか……」

 

 探せば普通に見つかるのだが、もっと簡単な方法がある。それはあの台詞を言うのだ

。その台詞を、言うためにまわりに人がいないか確認する。聞かれると変人と思われる

からだ。辺りには人がいない。それじゃあ、さっそくお決まりの台詞を言ってみよう。

 

「スーハァーゆっくりしていってね」

 

 少しの静寂。

 

「ゆっくりしていってね」

 

「ゆっくりしていってね」

 

「ゆっくりしていってね」

 

 他にも声がいっぱいあったが、場所が特定できたのは、三ヶ所だけだった。ゆっくり

がいると思われる一番近い草むらに移動する。

 

 草むらの前まで来た。ゆっくりの声が聞こえる。

 

「おちびちゃん、にんげんさんの”ゆっくりしていってね”にはんっのうしち

 ゃダメだって、あれだけいったでしょ」

 

「ゆあーん、どうちて、はんっのうしちゃダメなのじぇ」

 

「それは、にんげんさんにみつかるからでしょおおお」

 

 声から察するに、れいむと赤まりさだろう。れいむが赤まりさに注意をしているらし

い。

 

 ゆっくりしていってね。

 この台詞は非常に便利だ。言うだけで、ゆっくりの場所を特定できる。ただし、赤ゆ

っくりだけだ。ほとんどの成体ゆっくりには、この台詞の意図を知っているため、反応

しない。

 だが、赤ゆっくりは別だ。この台詞の意図を知らない。親ゆっくりに何度も注意され

ているのだがすぐ忘れるのだ。経験上、覚え始めるのは子ゆっくりぐらいからだ。

 

 さて、このゆっくりを虐待しよう。

 

「やぁ、れいむ元気かい?」

 

「ゆゆ、にんげんさん。れいむは元気だよ」

 

「ゆっ、くそにんげん。さっさとこのまりちゃちゃまにあまあまをけんじょっうするの

じぇ」

 

「おっおちびちゃんなにいってるのおおお!」

 

 れいむが慌てる。赤まりさが生意気なこと言ったため、慌てているのだろう。ゆっく

りにとって、人間を愚弄すると言う事は死に等しいのだ。

 

 話を聞いた感じれいむが普通の野良ゆっくりで赤まりさがゲスゆっくりということが

伺えれる。れいむは人間の恐ろしさを知っているのだろう。表情やしぐさを見ていれば

、簡単にわかることだ。赤まりさの態度に酷く怯えている。

 それはともかく、赤まりさが五月蝿いため近くにあった石を右手で掴み、腕を素早く

上にあげて、赤まりさの頭上目掛けて振り下ろす。

 

 

 

 

 

 

 グチャッ

 

 

 

 

 潰れた音がする。

 れいむは何が潰れたか理解するのに時間が掛かったらしく、潰れてから数十秒ぐらい

で声を荒げる。

 

「ど、どうしておちびちゃんがしんでるのおおおおおおおおお」

 

 どうやら、れいむには赤まりさが何故死んだか理解できないらしい。所詮は、餡子脳

。れいむ視点から見ると突然おちびちゃんが死んだように見えるのだろうか。

 俺が殺したのに、れいむは気づいていない。きっと、腕を振り下ろすのが速かったの

だろう。

 

「おちびちゃんしんじゃダメだよ。いま、おかあさんがたすけてあげるからね。ペーロ

ペーロ」

 

 れいむが、赤まりさの死体を舐めている。そんなことしたって生き返る筈が無い。

 

「にんげんさん、なんでもするからおちびちゃんをたすけてね。」

 

「(何でもねぇ~……んっ、待てよ)」

 

 このれいむは普通の野良ゆっくりとは違うようだ。赤まりさを殺した事でその事が判

明した。突然、自分の子供が目の前で死ぬと普通はすぐ近くにいる人物を疑って決めつ

けるのだが、このれいむは疑わなかったのだ。

 このれいむを此処で殺すのは惜しい。そして俺はある手段を思いついた。

 

 家に持って帰ってじっくり虐待するという方法を

 

「おいれいむ。本当になんでもするんだな」

 

 俺は素早く携帯電話を取り出して、録画を開始する。ゆっくりは餡子脳なので、自分

が言ったことをすぐ忘れる。だから、こうゆう大事な話は録音しておくのが吉なのだ。

 昔、録音しなかった所為で酷い言いがかりをつけられた事があったので、できるだけ

録画する事にしている。

 

「ゆゆ、なんでもするよ。そのかわり、おちびちゃんをいきかえらせてね」

 

 誇らしい表情で言ってくる。殴りたい。だけど、我慢するのだ。後でじっくり楽しめ

る。

 

「ああ」

 

「嘘つゆぐぉッ!!」

 

 我慢できなくなり、れいむを蹴ってしまった。殺ってしまったかもしれない。安否を

確認しようと、れいむに近づく。

 

「ゆ……ゆ……」

 

 白目になって、餡子が口から出ているボロボロれいむの姿があった。ピクピクしている

。でも生きているようだ。ただ、意識が無いようだ。これが人間なら重症で病院送りだ

ろうが、ゆっくりはこのぐらい軽症と同じだ。だって、甘い物を頭にかけたり飲ませれ

ばば、勝手に直るからだ。急いで、鞄の中を漁って甘い物があるか探す。

 

「持ってくるの忘れたぁ」

 

 鞄の中には何も無かった。次はポケットを漁る。

 

「飴が一つか……」

 

 取り敢えず、れいむの口の中に突っ込む。これだけで数十分後には回復するだろう。

さて、後は連れて帰るだけか。

 

「おっと忘れてた」

 

 鞄の中からビニール袋を取り出し、そこにれいむと赤まりさの帽子を入れる。赤まり

さの死体は、近くにゆっくり回収BOXがあるので、そこに捨てておく。

 

「さてと、帰るか」

 

 公園から出て、自宅に向かう。いつもなら、後数匹は殺すのだが今回はれいむがいる

ので早めに帰ることにした。

 

 




「れいむのおうたをきいてね。

  ゆっくりのひ~♪

            まったりのひ~♪

                       れいm「オラァ」ゆげっ」


「どこが歌なんだ。ただの雑音にしか、聞こえんな」


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第二話、れいm「うるせぇ」ゆぐぉ

あまり虐待要素がないような気がする。

2016/02/12
一部文章を改稿


―学校の帰り道―

 

 

「今日も疲れたな~」

 

 みんな学校は楽しいとか言っているけど、何処が楽しいのだろう。学校に行っても疲

れるだけだ、と俺は思う。

 

 いつもならストレスを発散するために公園に行くのだが、今日は行かない。今日は、

昨日捕まえたあのれいむで遊ぼうと思う。

 

「あんよを焼いて、歩けなくして、それから……んっ?」

 

 ふと、前を見ると物貰いゆっくりがいた。

 

「おねがいしまず~。なにかたべものをくだざい~」

 

 道端に、こういうゆっくりはたくさんいる。物貰いゆっくりと言って、落ちこぼれや

番がいない野良ゆっくりがほとんどだ。特に珍しい光景でもないのだ。

 見た感じ、れいむ種だ。でも、片目が無い。痛いだろう。辛いだろう。楽にしてやろ

う。

 

「お~い、れいむ。」

 

 そう言いながら、れいむに向かって走りだす。

 

「にんげんざん、でいぶになにがくだざい~」

 

 何か言っているが無視。そして、サッカーボールを蹴るようにれいむを蹴る。

 

「にんgゆぐぉ」

 

 れいむは綺麗な放射線を描いて、少し離れた電柱にぶつかった。近づいて見てみると

、無残に電柱にこびりついて死んでいた。

 俺はそれを見て、鞄からビニール袋を取り出しれいむの死体を入れる。昨日も同じ作

業をしているが、これは決まり事なのだ。ゆっくりを殺したら、必ず死体をゴミ箱やゆ

っくり回収BOXに入れなければならない。これを守らないと、町が汚くなる。守らなか

った場合、軽犯罪ということになる。

 ちなみにゆっくり回収BOXというのは、主に公園や駅などに置いてある。ゆっくり専用

のゴミ箱だ。生きたままの状態ですてても良い。

 

「確かこの辺に、ゆっくり回収BOXは無かったはずだ。仕方ない自宅で捨てるか」

 

 俺はそう言い、駆け足で帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―自宅―

 

 

「ただいま~って言っても、誰もいないけどな」

 

 俺は一人暮らしをしている。飼いゆっくりがいるのだが、何故かこの時間帯はいつも

いないのだ。何をしているかは一切不明。俺の両親は、詳しくは知らないが海外にいる

らしい。一応、毎月仕送りがあるため生活はできている。

 鞄を玄関に投げ捨てて、さっき殺したゆっくりを捨てる。

 

「さて、れいむー生きてるかー」

 

 襖を開けると、そこにはまな板の上に乗せられて釘を打たれているれいむの姿があっ

た。

 

「ゆ、にんげんさん!はやくこのチクチクさんとってね!いたいよ!」

 

 れいむには釘が三本刺さってあった。だが、俺はそれに動じない。学校に行く前にれ

いむが五月蝿かったため釘を打ったのだ。オレンジジュースをかけておいたため軽症で

済んでいる。

 

「ん?もっとやってほしい?しょうがないなぁ~」

 

 机の上に置いてあった釘と鉄鎚を手に取り、れいむに打とうとする。

 

「や、やめてね。ゆっくりできないよぉ~」

 

 れいむは何か勘違いをしているようだ。はっきりと言ってやろう。

 

「れいむ、おまえ何でもするんだろ。だから俺の玩具になればいい…」

 

「ゆ……」

 

 れいむの言葉が止まる。俺はそんな事気にせず、鉄鎚でれいむの体に釘を一本打つ。

 

「ゆぎゃあああああああああ」

 

 れいむが叫びを上げる。とても苦しそうな表情をしている。それを見ていると、ゾク

ゾクして気分が高揚する。とても気分が良い。

 

「ゆはぁ…ゆぜぇ……」

 

「さて、れいむもう一本いこうか…」

 

 釘の先をれいむに刺し、鉄鎚で打つ準備をする。

 

「やめてね!にんげんさん!チクチクさんは、ゆっくりできないいいい!!」

 

「あっそ。」

 

 そう言いながら、鉄鎚を振り下ろす。

 

「ゆぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

 

 何度聞いても、ゾクゾクする。気分も高まってくるが、まだ足りない。絶頂には程遠

い。もう一本打とうと、鉄鎚を構える。すると、飼っているゆっくりが飛んでくる。

 

「おにいさん、ただいま」

 

 このレミリアは俺が飼っている。名前のとおり、種類はレミリア種だ。大まかにいう

と捕食種だ。通常種のゆっくりを捕食して暮らしている。名前は色々事情があってレミ

リアということになっている。普通のレミリアとは違い、頭が良く、気品があるゆっく

りだ。そして金バッジだ。

 バッジというのは、ゆっくりだけに設けられる制度のことだ。バッジ制度といい、バ

ッジを付けているだけで、飼っていることを証明できるのだ。バッジにはチップが埋め

込まれており、特殊な機械で読み込むと住所が特定できる。だから、例え飼っているゆ

っくりが迷子になっても、バッジさえ付けていれば人間に保護されて、自動的に飼い主

の元に戻ってくる仕組みだ。あとバッジ制度には、もう一つの役割がある。それは、価

値観だ。バッジにも種類があって、銅バッジ、銀バッジ、金バッジだ。

 銅バッジは、ただ飼っていることを証明するだけだ。ペットショップとかでも普通に

売られている。大体、五百円ぐらいだ。

 銀バッジは、礼儀のあるゆっくりに与えられるバッジだ。ペットショップでも、銀バ

ッジゆっくりは売られているが、銀バッジ自体は売られていない。銀バッジを取るには

、試験を受けなければならない。試験と言っても簡単だ。小学生でも簡単に出来る問題

だろう。

 そして金バッジは、三つのバッジの中でも一番良いバッジだ。金バッジを持っている

ゆっくりは、常識もあるし飼い主の言いつけも守る。これは、銀バッジと同様に試験で

取るしかない。金バッジゆっくりは、ペットショップでも売られているが少数だ。値段

は、最低でも一万円以上する。

 

「おにいさん、大丈夫?」

 

「ああ、すまん。ちょっと考え事を……」

 

 心配そうにこちらを見てくる。とても良い子だ。俺の教育は間違っていなかったよう

だ。

 

「なんで、レミリアがここにいるのおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 れいむが驚いた表情で叫んでいる。レミリアが此処にいることに、驚いているのだろ

う。通常種にとって、捕食種は天敵だからだ。

 

「おにいさんがゆっくりを拾ってくるなんて珍しい事もある物ね……」

 

 レミリアが呆れた顔で言う。

 

「まあ、これが俺の趣味だし……なっ!」

 

 レミリアの質問に答えながら、鉄鎚を振り下ろす。れいむが叫ぶ姿はいつ見てもゾクゾクする。

 

「あっそうそう、レミリア。プリン買ってきたから後で一緒に食べような」

 

 学校の帰り道にコンビニで買ったプリンだ。しかもプッチン出来る奴だ。それじゃ無

いとレミリアが食べられないのだ。

 

「おにいさん、ありがとー」

 

「おう!」

 

「ゆっ、れいむにもちょうd「うるせぇ」ゆぐぉ!」

 

 さすがゆっくり、俺のゆっくりした雰囲気をぶち壊しやがった。五月蝿かったため、

殴っておいた。れいむはその所為で気絶する。死んではいないだろう。俺が飽きるまで

死なせないつもりだ。

 

「さーて、ゲームでもするか」

 

 

 




じかいは、いつになるかわからないのじぇ。
でも、らいっげつにはとうっこうするらしいのじぇ。


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第三話、れいむとおわかれなのじぇ

R18タグのほうがいいのかな?

個人的にただ饅頭で遊んでいる小説なので念のためR15にしていますが。

少し不安。


―自宅―

 

 

 目が覚めた。ふと、時計を見ると短い針が十二をさしていた。もう、昼のようだ。こ

んなことなら夜中の二時までゲームをするんじゃなかったと後悔する。

 横を見ると、レミリアが寝ている。少年はゆっくりと立ち上がり、洗面所に向かった

。顔を洗い、タオルで顔を拭く。そして、少年は何かを食べようと台所に向かう。台所

に入ると、ある物が眼中に入る。そしてその物に話しかける。

 

「おはよう、れいむ」

 

 そこには、釘が刺さったれいむがいた。そのれいむは、円を書くように釘を打たれて

おり、固定されているようだっいた。

 

「ゆ、にんげんさん。れいむにあまあまをちょうだいね。おなかぺこぺこだよ」

 

 拘束されているにも関わらず、れいむはまったく気にしていなかった。昨日は憶えて

いたのでおそらくは忘れているのだろう。

 昨日、俺がオレンジジュースをかけたから傷が治って、痛みを感じないのだろう。よ

く見るとれいむと釘は同化している。おそらくは釘を抜くと、抜いた穴から餡子が吹き

出るだろう。俺はそれに気づくとれいむの前に座り込む。

 

「れいむ、ジャンプしてみろよ。できたら、あまあまをあげるぜ」

 

 それを聞いたれいむは、挑発してくる。

 

「ゆ、そんなことできるに決まっているでしょ。まさかにんげんさんはできないの?ゆ

ぷぷぷ、やっぱりにんげんさんはくずでのろまだね。」

 

「なんだ、もう忘れたのか。」

 

 俺は呆れた。れいむは何もかも忘れていた。人間の怖さや、自分の置かれている状況

までそして子供のことも。しかも、ゲスになっている。オレンジジュースで舌が肥えた

のと同時に脳みそまで甘くなってしまったらしい。

 

「(もう手遅れだな……最後くらいちゃんと遊んでやるか)」

 

 俺がそう考えているとき、れいむは必死になって跳ぼうと頑張っていた。

 

「ゆ、ゆゆゆ……!ど、どうちてあんよさんが動かないのおおおおおお!」

 

 自分のあんよに釘が打たれていることに気づかないれいむ。拘束されているのと自分

の腹の所為で視界があまり確保出来ていないようだ。

 

「よしれいむ、俺が助けてやろう」

 

 何時まで経っても埒が明かないため、俺が手助けすることにする。れいむから見て、

後ろに刺さっている釘を掴む。

 

「ゆ、なにしtゆぎゃああああああ!!」

 

 れいむが話しているにも関わらず釘を容赦なく抜く。思った通り釘を抜いた穴からは

餡子が出てきたが、勢いが甘くあまり満足出来る光景では無かった。でも、少しだけ興

奮した。

 

「喜べ!れいむ!後、釘は七本刺さっているぞ!」

 

 後、釘は七本刺さっていた。これなら満足できるかもしれない。希望に満ちた俺は狂

ったような笑顔をしながら、釘を掴む。れいむからみてちょうど正面だ。

 

「ゆ、やめtゆぎゃあああああああああああああ!!!」

 

 さっきと同じようにれいむが話しているときに釘を抜く。

 

「あっ、そうだ。良い事を思いついた」

 

 そう言って、俺は立ってある物を取りに行く。

 

「これだよ!」

 

 戻ってきた俺はれいむにある物を見せる。れいむにはこれが何か分かる訳が無いが絶

望に染まった表情をしていた。おそらくれいむは俺がいなくなった事に安心していたの

にすぐ戻ってきた事に絶望したのだろう。

 

「ここに置くか……」

 

 れいむの目の前に置いて電源を入れる。俺が持ってきたのはホットプレートだ。いつ

も、ゆっくりのあんよを焼くときに使っている。その証拠に、所々傷があったり、色が

剥げていた。

 俺はれいむを掴み持ち上げようとするが、釘が刺さっていたことを思い出す。

 

「一気に全部抜いてしまうか……」

 

 俺はれいむを引っ張る。力を入れるたびにれいむが、ゆぎぎぎと言っている。どうせ

なら、断末魔を聞いてみたいと言うことで、思いっきり引っ張る。

 

「ゆぎゃああああああああああああああああ」

 

 れいむが断末魔を叫ぶ。その瞬間、ビリビリと何かが破ける音がした。

 

「ふうやっとか……」

 

 れいむの体からは餡子が吹き出ていた。そうさっきの破ける音はれいむの皮膚が破け

た音だ。れいむと一緒に釘も取れると思っていたが、まさかのれいむだけだったとは予

想外だ。まあ、俺にとっては良い意味の予想外だが。

 

「よいしょっと」

 

 俺はれいむを持ち上げてホットプレートの上まで移動させる。

 

「ゆ、あんよがあたたかいよ!」

 

「そうかそうか……ならもっと熱くしてやろう……!」

 

 俺はれいむを熱々のホットプレートの上に落とす。

 

「ゆぎゃあああああああ!!あついいいいいいいいいいいいいいい!!!」

 

「にんげんざーん、たずげてえええええええ」

 

「わかった」

 

 俺としても早く死んでほしくないのでオレンジジュースを取って、れいむの頭の上か

らオレンジジュースをかける。

 

「ゆっやめてね!」

 

 れいむが何か言っているが無視して、オレンジジュースを入れていく。数秒経つと、

2Lのオレンジジュースが無くなってしまい、ホットプレートには溢れるほど満たされて

いた。

 俺はオレンジジュースが無くなった事に一瞬顔をしかめるが、れいむを見てすぐに幸

せな顔をする。

 

「おねがいじまず。たずげてくだざいー」

 

 オレンジジュースが沸騰して、れいむが溶け始めている。れいむはお得意の餡子脳で

それを察したのか助けを求めてくる。

 俺は気にも留めず、ひたすら無視をする。そんな俺の態度に苛立ったのか、れいむは

顔を真っ赤にして逆上してくる。

 

「ど、どうじでれいむがごんなめにあうのおおおおお!!」

 

「それはだな、れいむ。おまえがおちびちゃんを生き返らせるためには何でもすると言

ったからだよ」

 

 俺は餡子脳にもわかるように説明した。説明したと言ってもおちびちゃんは生き返ら

ないので、嘘の説明ということになる。

 れいむは俺が親切で丁寧に説明してあげたというのに呆れたことを言ってくる。

 

「なんでもずるなんていってないよお!!はやくれいむをだずげどおお!!」

 

「はぁ~これだから餡子脳は…」

 

 俺はポケットに入ってある携帯電話を取り出して、れいむにこの前念のために撮った

動画を見せる。その動画の中にはれいむがおちびちゃんのためなら何でもすると言って

いた。それを見たれいむは認めたのかだんまりしてしまった。俺はようやく認めたかと

思っているとれいむは更に呆れた事を口にする。

 

「もうおちびちゃんなんでどうでもいいよ!!だかられいむをだずげでね!」

 

 その直後れいむの体は完全に溶け始めゆ……ゆ……と言いながら絶命していった。

 おちびちゃんを助けるために覚悟を決めて人間についてきたのに、いざ利用するとこ

のザマだ。このゆっくりは他のゆっくりとは違いプライドの欠片さえ感じられない。虐

待されたぐらいで目標であるおちびちゃんを投げ捨ててしまうとは、所詮ゆっくりの母

性はそのくらいだと言う事だろう。

 

「ほんとに、ゆっくりは自分勝手だな…」

 

 俺は片付けるためホットプレートの電源を切り、コンセントを抜く。空のオレンジジ

ュースも捨てる。床にも餡子が散らばっているため、雑巾で床を拭く。黙々と床を拭い

ているとレミリアが飛んでくる。

 

「おにいさん、何ですかこれ。」

 

 レミリアがれいむを見て、俺に尋ねる。

 

「あのれいむだ。食べても良いぞ。」

 

 俺は雑巾で床を拭きながら、冗談で笑いながらそう言う。

 

「いや、食べれないでしょ。」

 

「…まあな」

 

 今度はまりさでもいじめよう。




いがいにはやくこうっしんできたのじぇ。

じかいはいっしゅうかんごぐらいなのじぇ。(たぶん)


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第四話、ことのはじっまりなのじぇ

昔、書いた小説をリメイクしているので今回は少なめです。

これからも更新が遅くなるかも...


※2018/09/13
改稿


 ―自宅―

 

 昼、レミリアは死にそうな程お腹が空いていた。にも関わらず、飼い主である石田は

そんなレミリアの状態に気付かずに平然とゲームをしている。

 

「おにーさん、ごはんまだぁ~」

 

 石田のペットでもあるレミリアが石田の周りを飛びながら、憂鬱な顔をしそう言った。

 それに対して、ゲームの邪魔をされた石田は苛立ちながらも、人差し指を机の方に向けこう言う。

 

「そこにプリンがあるだろ。勝手に食っとけ」

 

 そう言うと石田はゲームを再開する。いつもならこの時間帯は学校なのだが、今はGW期間。学校の事を気にせずにゲームに集中出来た。

 

「あ、死んだ……」

 

 ゲームの中の自分が死に石田は溜息を吐いた。それ同時に倦怠感を覚え、ある感情が芽生えた。

 

「あーゆっくりと遊びたい」

 

 ここ最近、石田は今やっているゲームに殆どの時間を費やしていたのでゆっくりと遊んでいなかった。

 ゆっくりと遊ぶか、ゲームをするか、石田はそれらを天秤にかける。

 

「よし、ゆっくりと遊ぼう!」

 

 結果、ゆっくりと遊ぶ事になった。ゲームは夜にするという結論に至ったのだ。

 思い立った石田は早速、遊びの道具を用意しようと立ち上がり箪笥を探る。しかし、それを邪魔するかのように電話が鳴った。

 行動を邪魔された石田はそれに不機嫌そうな顔をする。出ないという手もあるがもしかしたら大事な事かもしれない。そうだったら大変なため、石田は仕方なく電話に出た。

 

「はい、もしもし。あっおじいちゃん、何どうかしたの?」

 

「うー?」

 

 電話に出て、相手が祖父だという事がわかった石田は顔色を変えて応答する。

 祖父と言う単語に反応したレミリアは会話の内容が気になり、プリンを食べるのをやめて石田の声に耳を傾けた。

 

「うん……うん……」

 

 石田は相槌を打つ。それにレミリアは再びプリンを食べ始める。祖父からの電話自体は一ヶ月に二回程掛かってくるので、またいつものだろうとレミリアは思ったのだ。

 

「ダニィッ!」

 

「ごほっ!ごほっ!」

 

 急に石田がどこぞの王子みたいに大声を上げ、それにびっくりしたレミリアは口に含んでいたプリンを吐きだしそうになり噎せた。

 

「わかった!」

 

 そう言うと石田は受話器を戻す。

 

「おにいさんどうしたの?」

 

 何とか咳が治まったレミリアは呼吸を整えて、石田にそう聞いた。 

 すると石田はレミリアの質問に笑顔でこう答えた。

 

「今から、おじいちゃんの家に泊まりに行くことになった。」

 

 屈託ない満面の笑みでそう言う石田。傍から見るとただ純粋に祖父の家に遊びに行くのが楽しみで仕方ない少年のように見える。しかし、石田は本心は違った。

 石田は祖父に会えるから喜んでいるのではなく、ゆっくりと遊べるから喜んでいるのだ。

 祖父の家は田舎にあり、祖父が所有している山がある。

 その山を祖父はほぼ放置しているが故、ゆっくり達にとってはその山は絶好の住みかとしていた。

 それに加え、その山に住むゆっくりは人間のことをよく知らないので、いつもと違う反応を見せてくれるのがまた新鮮だ。

 思えば思うほど楽しみで石田は自然と笑みを零しながら、準備を進める。

 

「え~とハエたたきと財布と錐と……ああ、そうそうライターだ」

 

 子供みたいに持っていくもの選ぶ石田を見て、レミリアは微笑んだ。

 

「レミリアもついてくるよな?」

 

「当たり前でしょ」

 

 聞いてくる石田にレミリアは当然と言った風に返事した。

 レミリアにとって、石田は飼い主でもあり、大切な家族でもある。心はずっと前から石田について行くと決まっているのだ。

 

「そういえば、もう昼か。」

 

 石田の腹の虫が鳴る。

 祖父に何処か食事処に連れて行ってもらおうかと石田は考えるが、生憎祖父が迎えに来るまでまだ一時間はある。それまで我慢してもいいが、やはり何か口にしたい石田はポケットから固形状の物を取り出した。

 

「これでも食うか……」

 

 固形状の物。それはカ○リーメイトフルーツ味だった。

 石田は袋から二本ある内の一つを掴むと齧る。

 

「やっぱり美味いな……」

 

 石田は口いっぱいにカ○リーメイトを頬張る。

 カ○リーメイトは種類が豊富で身近に売られており、尚且つ大きさも掌サイズで便利だ。そして何よりもこの美味しさで身体に必要な栄養素がたくさん入っているのが凄い所である。唯一の欠点は喉が渇くという事だろう。

 

「うん?」

 

 ふと石田はレミリアに視線が行った。

 レミリアはプリンを美味しそうに食べている。何気に周りに食べかすを零していないので石田は感心した。普通のゆっくりならプリンにがっつき、カ○リーメイトまで奪いに来るだろう。

 石田は再びカ○リーメイトに視線を戻す。そしてこう思った。

 レミリアにもこの美味しさを体感して欲しい、と……

 

 そう思った石田はゆっくりと机の上にいるレミリアに近づく。レミリアは食べることに集中しているのか、そのことに気づかない。

 石田はチャンスと思い、レミリアの前まで急接近した。そしてレミリアが気づく前にカ○リーメイトを手に持つとレミリアの口の中に突っ込み、石田はこう言い放つ。

 

「カ○リーメイトフルーツ味を食え!」

 

 レミリアは急に口の中に固いものが入ってきたため、我に返りやっと石田の事に気がつくがもう遅い。完全にカ○リーメイトはレミリアの口の中に入っていた。

 

「お、おに……い……」

 

 石田の意図が掴めないレミリアは直接聞こうとするが、口の中のカ○リーメイトが邪魔をして上手く話せない。

 仕方が無いので、レミリアはカ○リーメイトを飲み込む事を優先する。

 

「こ、これ……」

 

「お? どうだ?」

 

 カ○リーメイトを飲み込んだレミリアは俯いた。果たして美味しかったのか、不味かったのか、期待で石田は胸を躍らせた。

 

「お……おいしい!!」

 

 レミリアが顔を上げると同時に言ったその声は、木霊するかのように部屋全体に響いた。それはレミリアがカ○リーメイトフルーツ味が大好物になる瞬間だった。

 




かんっそう、ぼしゅうちゅうなのじぇ。

ひはんでもおーけーなのじぇ。


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第五話前編、ゆっくりにあまあまをあげたのじぇ

遅くなりました。

すいません。

名前でも変えてみようかな・・・

※2018/09/15
 改稿
 2000文字くらい増えました。


 ―山の中―

 

 

 あれから石田は無事、祖父が所有している山まで来ていた。

 辺りは緑が生い茂り、都会と比べると空気がより美味しい。小川が流れる音や蝉の鳴

き声が五月蠅く、如何にも山の中といった感じだ。

 

「お腹空いたなぁ~」

 

 石田は転がっている石を蹴って、そう言った。

 あの後石田は祖父に何か奢ってもらう予定だったのだが、無慈悲にも晩飯まで我慢し

ろと言われた。石田とレミリアが山の中にいる理由はその晩飯までの時間潰しなのだ。

 

「おにいさん、何するの?」

 

「うーん、そうだな。……取り敢えず当初の予定通りゆっくりと遊ぼうかな」

 

 レミリアの質問に石田は笑顔でそう返した。

 ゆっくりと遊んでいれば日頃の鬱憤を解消でき、空腹感も忘れる。正に一石二鳥と石

田は考えたのだ。

 

「さーてゆっくりは何処かな?」

 

 石田がゆっくりを探し出した、その時だった。

 

 

 

ゆーーー!みんなおさのところにきてね!―――

 

 

 

 ゆっくりの声だ。

 石田は思わず、ニヤリと笑みを浮かべる。石田の脳内にはもう既に空腹感はなく、ど

うやって遊ぶかでいっぱいだった。

 

「レミリア行くぞ!」

 

 石田は興味津津でゆっくりの声が聞こえた方向へ走っていく。その足の速さは無意識

に通常の走りの三倍の速度を保っていた。

 

「おにいさん、まってーー!」

 

 勿論そんな速さにレミリアが追いつく事は出来ず、ただ後ろから制止の声を石田に浴

びせながらついて行くしかなかった。

 

 

―――――――――

 

 

 石田はゆっくりの声が聞こえた所に辿り着いていた。木陰に身を潜め、顔を覗かせゆ

っくり達の様子を窺う。

 ゆっくりの数は大体三十匹。それも一つの村でどうやら、集まって何かしているよう

だ。

 

「おにいさーん、やっと追いついた……」

 

 追いついたレミリアは石田の肩に乗ると息を整える。

 

「静かにしろよ? 絶対だぞ?」

 

 石田は肩に乗るレミリアに念入りにそう言った。

 レミリア種はゆっくりでも他種のゆっくりを食べる。つまりは捕食者。もしレミリア

が姿を見せるとゆっくり達は本能に従い逃げる可能性があるのだ。

 

「みんなきいてね!」

 

 小さい切り株の上に乗った長れいむがそう叫ぶ。すると他のゆっくりは勿論、石田やレ

ミリアも長れいむに注目する。

 

「おさはこれからえんせいっにいくよ!そこにはたくさんのあまあまや、とってもおお

きなおうちがあるっていわれてるよ!」

 

 長れいむはこれから町に遠征に行くらしい。それを聞いたゆっくり達は盛り上がる。

 それとは反対に石田はそんなゆっくり達を呆れた目で見ていた。

 町に野生のゆっくりが行くとほぼ、いや絶対死ぬのだ。それも大半は街に着く前に食

べられるか、事故で死ぬ。逆に街に辿り着いたものは人間に殺されるのがオチだ。

 しかし何故人間に殺されるのだろう? 普通の人はそう疑問を抱くだろう。この答え

は案外簡単だ。

 野生のゆっくりは人間にあまり会ったこと無く、仮に会っていても田舎なので年寄り

だ。だから本当の人間の強さも知らないし賢さも知らない。

 そういうゆっくりは、大抵人間に会うと罵倒する。

 ゆっくりはゆっくり出来ていない生物を見下す傾向があり、何を言いたいのかという

とゆっくりは母ゆっくりに人間はゆっくりできてない可哀想な生き物と教えられている

のだ。だから、人間を倒し人間によって駆除される。

 これが、遠征に行こうとする野生ゆっくりの末路だ。

 

「れいむもいきたいよ!はやくつれていってね!すぐでいいよ!」

 

 子れいむがそう言うと釣られて他の子ゆっくりも同じようなことを言い、終いにはほ

とんどのゆっくりが同じような事を口走っていた。

 その状況に焦ったのか、長であるれいむが続きを話す。

 

「けどそのばしょは、くそにんげんたちがひとりじめししているからたたかってとりも

どさないといけないよ!そうするとおちびちゃんたちがきけんだからここでおちびちゃ

んをおいていかないといけないよ!」

 

「ならこのまりささまをつれていくのぜ!にんげんなんていちころなのぜ!」

 

 長れいむの話を聞いて、子ゆっくり達は納得したのか黙り込んだ。しかし、親ゆっく

りたちは戦いと聞いてヒートアップしていた。

 石田はその見るに堪えない会議に絶望への布石を落とそうとポケットからビニール袋

を取り出した。

 

「おにいさん、何をするんですか?」

 

「まあ、見とけ。レミリアはそこで待っててくれ……」

 

 石田はレミリアにそう言い残すとゆっくり達の所に走って行く。

 

「おい、糞饅頭。その必要は無いぞ」

 

「ゆ、くそにんげん。あまあまをひとりじめしないでね。びょうっどうっでいいよ!」

 

 石田に気付いた長れいむは石田をくそにんげん呼ばわりした挙句、食べ物を平等と訴

えた。それによってゆっくり達は石田に注目する。

 

「ゆ?くしょにんげんだよ!」

 

「ほんとうなのじぇ!あまあまをおいていくのじぇ!」

 

 子れいむと子まりさがそう言い。 

 

「くそにんげん!まりささまのすぴあのえじきになりたくなかったらさっさとあまあま

をよこすのぜ!」

 

 尖った木の棒を持った親まりさがそう言った。

 ゆっくり達に侮辱された石田はもはや怒りを通り過ぎて呆れ、疑問に思う。

 

 ゆっくり達は自分と人間の力の差をどうして理解できないのだろう?

 

 まだ会ったばかりであまり深く話していないため、知力の差に気付かないのは仕方な

い。しかし、単純の力の差をわからないのは可笑しい。ゆっくりと人間。体格差は一目

了然だ。人間の方が圧倒的だろう。

 

 それが分からないのはやはり餡子脳だからだろうか? 

 いや、考えるだけ無駄か……

 

 そう結論付けた石田は息を吸うと一拍置いてから話し始めた。

 

「……そうだ。平等にするためにここに来た」

 

 そう言うと石田はさっき手にしたビニール袋から飴を取り出し、ゆっくり達の前に撒

き散らす。

 すると一匹のアリスが戸惑う事無く一つのアメを舐めた。

 

「ゆ、あまあまよ!なんてとかいはなあじなのかしら。」

 

 アリスはそう言うとその飴を口の中に入れ、味わい始める。そんなアリスのゆっくり

とした表情を目撃したゆっくり達は飴に駆け寄った。

 

「それをよこすんだぜ!」

 

「これはれいむのだよ!」

 

 少ない飴を求めて、ゆっくり同士の喧嘩が始まってしまう。石田が態とゆっくり全員

に飴を行き届かないように仕組んでいるのが原因だ。

 

「えぇい!それはまりさのなんだぜ!」

 

「ゆごぇっ!」

 

 喧嘩は次第にヒートアップし、一匹のまりさが子れいむを踏み潰し飴を奪った。それ

が切っ掛けで他のゆっくりも攻撃し始める。

 このゆっくり達はさっきまで共存して生きてきた。時には辛い事もあっただろうが、

皆で乗り越えてきた筈だ。それなのに今は飴を求めて殺し合っている。知り合いだろう

が、友達だろうが、家族だろうが、飴を持っていれば容赦はしない。所詮は飴数個で潰

れでしまう村の絆だったという事だろう。

 石田はその光景を笑いながら見ていた。

 

 

―――――――――

 

 

 数分が経つとゆっくりの数が僅か十匹に減っていた。それも残っているのは全て成体

ゆっくりだ。子ゆっくりはやはり大人のゆっくりには到底及ばず、全員無残に死んでし

まっていた。

 

「ゆふぅ~おいしいのぜ。おい、くそにんげんもっとまりささまにあまあまをよこすの

ぜ!」

 

「くそにんげん!あまあまをだすんだね!すぐでいいよ!」

 

 あの尖った木の棒を持ったまりさと長れいむが石田に向かってそう言う。あまあまで

ある飴はもう少ししか残っていない。一体平等とは何だったのか、長れいむに問い質し

たいが、その気持ちを抑え石田はゆっくり達を無視する。

 

「むしするんじゃないのぜ! くらえっまりさすぴあ!」

 

 石田の態度に苛立ったのか、まりさは木の棒を構えると突進する。

 

「ゆ?」

 

「なにやってるのぉ!さっさとくそにんげんからあまあまをうばってね!」

 

 突然、時間が止まったかのように制止するまりさに長れいむは急かす。しかし、まり

さは再び突進する事無く、苦痛の表情を浮かべる。

 

「ゆ、ゆゆゆゆゆゆがあああああああああああ!」

 

 穴という穴から汁を吹き出し、口から餡子を吐くまりさ。それでも暫く悶えると口か

ら大量の餡子を吐き、まりさは死んでしまった。

 それを見ていたゆっくり達は唖然とする。

 

「なんでまりさがしんでるのぉー!」

 

 一番最初に我に返ったのは長れいむのようでそう叫んだ。

 死んだまりさは村一番の狩りの達人だったので、長れいむは余計に現実を信じられな

いのだろう。他のゆっくりも然りで未だに放心状態のゆっくりもいる。

 しかし、それは飽くまで地獄への序章に過ぎない。その証拠に他のゆっくりも苦しみ

始めていた。

 

「ゆゆゆ?」

 

「ゆがががががが! いたいいいいいい!」

 

「ゆ、ゆがあああああああああああ!」

 

 ゆっくり達はまりさと同じように断末魔を上げ、穴という穴から汁を吹き出して、餡

子を吐いて死んでいく。それは止まる事無く次々と死んでいき、その光景は長れいむに

とって正に地獄絵図だった。

 

「ゆごぉ……」

 

 そして遂に最後のゆっくりが倒れた。

 これで残るゆっくりは長れいむだけだ。

 

「ど、どうしてみんな死んでるのぉー!」

 

 ゴミのように散らばっているゆっくりの死骸を見回し、未だに状況が理解出来ない長

れいむはそう叫んだ。

 

「くそにんげん! いったいなにをじたんだぁ!」

 

 仲間が殺された怒りからか、長れいむは憤怒の表情を浮かべ、その怒りの矛先は石田

に向いた。

 

「簡単なことだ。おまえらゴミ饅頭が食ったアメには唐辛子が入っていたんだよ」

 

 石田の言う通り、ゆっくり達にあげた飴の中には唐辛子の粉末が少し入っており、飴

の部分が消化されると、中から唐辛子の粉末が出てくると言う仕組みだ。

 因みにこれは石田のお手製。

 店などでこういった飴は一応売られているのだが、生憎そういった店の数は少なく、

もし売られていてもその飴はゆっくりに効き目があり過ぎたりする。

 石田としてはゆっくりが死ぬ所をゆっくり見て楽しみたいので、自分で作っているの

だ。ゆっくり死んでいってね!

 

「ゆ……?」

 

 石田から真相を聞いた長れいむは怒りが一気に冷め、血の気が引いた。

 

「と、とうがらしさん?」

 

 長れいむは親から唐辛子は毒だと教えられていた。何故なら赤い唐辛子をあまあまと

勘違いして食べ、命を落とすゆっくりが多いからだ。

 そのお陰で唐辛子が原因でまりさ達は死んだのだろうと長れいむは理解すると同時に

信じたくない事実まで理解してしまった。

 そう、長れいむも飴を食べてしまっていたのだ。

 

「ゆげぇ……」

 

 長れいむは飴を必死に吐こうとする。吐かなければ死んでしまうので妥当な行動だろ

う。

 しかしその長れいむの必死の行動を見て、石田は嘲笑う。毒入りの飴を賭けて仲間同

士殺し合った挙句、自分だけ生き残ろうとするその姿が実に滑稽なのだ。

 

「ゆげぇえええええええ!」

 

 漸く唐辛子が効いてきたようで長れいむは餡子を口から吐き出した。そして、次第に

弱っていき力尽きてしまった。

 

「いやー楽しかった!」

 

 ゆっくりの死骸を見渡すと石田は満足そうにそう言った。

 

「おにいさん! 向こうにもゆっくりの村があったよー!」

 

「やったぜ!」

 

 探す手間が省けたので石田は喜び、レミリアの頭を撫でた。

 

「今度はもっと暴力的にいこう。レミリア案内お願い!」

 

「りょうかい!」

 

 石田は無意識で長れいむの死骸を踏みつけると飛んでいくレミリアの後を追った。 

 

 




もしかしたらごじがあるかもしれないのじぇ。

つぎはいっしゅうかんっごくらいなのじぇ。


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第五話中編、みょんがとうっじょうっするのじぇ

三年経ってのやっと新しい話です。

リハビリ程度に書いたので虐待要素は低めです。

昔は2000文字くらいでいっぱいいっぱいだったけど今回久しぶりに書いてみると同じ感覚で7000文字いって、成長したんだなと実感しました。


 

 石田がレミリアに着いて行く事、数分。小川近くの茂みにひっそりとゆっくりの村はあった。

 

「どれどれ?」

 

 石田とレミリアは近くの木陰に隠れ、ゆっくり達の様子を窺う。

 そこには幸せそうに暮らしているゆっくり達の姿があり、石田はわなわなと身を震わせる。

 

「ゆぴー……ゆふー……」

 

 落ち葉をベッドにして眠る子まりさ。

 

「このおはなしゃんきれぇい!」

 

 アサガオを見て、興奮する子れいむ。

 先程の村よりは規模が小さいが、とても平和そうだ。

 

「まりさたちはこれからかりにでかけるよ!」

 

「おちびちゃんたちはゆっくりしててね!」

 

 どうやら大人のゆっくり達はこれから狩りへ出かけるようだ。

 

「長がいないな……」

 

 ゆっくりと遊びたいという気持ちを抑えながら石田はゆっくり達を観察するが、長らしいゆっくりは見当たらない。

 それもその筈、この村はまだ出来たばかりで長がいない村なのだ。

 

「はぁ……」

 

 それを察した石田は溜息を吐く。

 石田にとって長ゆっくりとは他のゆっくりと比べて、弄り甲斐があり、新鮮な気持ちになれる糞饅頭なのだ。その糞饅頭がいないとなると石田のモチベーションが下がるのは必然だった。

 

「それじゃあいくのぜ!」

 

 落ち込んでいる石田とは反対に、大人のゆっくり達は元気に狩りへ出かけた。

 

「おにいさん! おにいさん!」

 

「どうした?」

 

 石田が大人ゆっくりを恨めしそうに見ているとレミリアが突如騒ぎ出す。

 

「あれ!」

 

 レミリアは落ちている木の棒を銜えるとある所を指した。当然、石田の視線はそちらへ向かう。

 

「ちーんぽ!」

 

「久しぶりに見たな……」

 

 石田が見たのはまりさでもれいむでもなく、木の棒を振っているみょんだった。

 みょん種は別に希少種ではないが、まりさやれいむと比べると数が少ない種類のゆっくりで、その所為か石田がみょん種を見かけたのは久しぶりだ。

 

「まあ長の代わりにはなるか……」

 

 みょん種は他のまりさ種やれいむ種とは違う特性を持っている。一つは中身が白あんだということ。二つ目は常に木の棒を持ち、他のゆっくりと比べて戦闘に長けているということ。三つ目は何故か喋るときに下ネタで会話するということだ。他のゆっくりと比べると異質だろう。

 特に三つ目は石田でも理解不能で反応に困る程だ。

 

「おにいさんどうするの?」

 

「今回は普通にやる。レミリアも着いてきていいぞ……」

 

 石田は小声でレミリアの疑問にそう答えるとみょんに近づいていく。レミリアは石田に言われた通り、その後を追う。

 

「みょん? にんげんさん?」

 

 石田達の存在に気付いたみょんは木の枝を振るのをやめると警戒する。普通のゆっくりなら人間をくそ呼ばわりして嘗めてかかる所だが、みょんはそういった素振りを一向に見せない。

 そんなみょんの姿を見た石田は口を開く。

 

「おまえ元飼いゆっくりだろ? それも金バッジ……」

 

 みょんは他のゆっくりと比べると比較的綺麗で、人間を見下すような態度をしない。綺麗なのは飼われていた時の名残で、人間を見下さないのに警戒しているのは人間の怖さを知っているからだ。それとそんなに下ネタを言わない。

 これだけで元金バッジという事は明白だった。

 

「ど、どうして……」

 

 言われたみょんは動揺する。石田が言った事は当たっていたのだ。

 

「気が変わった……」

 

「おにいさん?」

 

 石田の呟きを聞き逃さなかったレミリアは不思議に思い石田の肩の上に乗った。

 

「レ、レミリアみょん! おちびちゃんたち逃げるみょん!」 

 

 石田の肩に乗ったレミリアを見つけたみょんは必死に子ゆっくり達に伝わるように叫んだ。

 

「れいむはゆっくりひなんするよ!」

 

「にげるのじぇ!」

 

 それを聞いた子ゆっくり達はゴキブリのように巣へ逃げ込んだ。それを目の当たりにした石田はどうして自分から逃げ場のない所に逃げ込むのか不思議でならなかった。

 

「巣じゃなくて遠くへ逃げるみょん!」

 

 みょんも石田と同じ事を思っており、再び訴えかけるが子ゆっくり達が巣から出てくる気配はない。それに……

 

「ゆぴー……ゆぴー……」

 

 赤子ゆっくり。通称、赤ゆ達はみょんの言う事を聞かずに落ち葉のベッドで呑気に寝ていた。

 

「みょん……」

 

「ははは! 同情するぜ!」

 

 そんな状況にみょんは落ち込み、石田は腹を抱えて笑っていた。

 

「みょんはどうして此処に?」

 

 落ち込んでいるみょんにレミリアは聞いた。同じ金バッジゆっくりとして、どうしてみょんが此処にいるのか気になったのだ。

 

「みょんはご主人に捨てられたみょん……」

 

 昔の事を思い出したみょんは更に落ち込んだ。

 

「どうしたんだ? 番でも出来たのか?」

 

「違うみょん! 理由は分からないけど……でもいつか絶対迎えに来るって言われたみ

ょん!」

 

 笑いながらちょっかいを掛けてくる石田に、みょんは必死にそう答えた。

 

「はは……本当に迎えに来るのか?」

 

 石田は急に笑うのをやめると、冷めた眼差しでみょんにそう聞く。

 突然石田の雰囲気が変わった事にびっくりするが、みょんの答えは決まっていた。

 

「迎えに来るみょん! 絶対!」

 

 みょんはさっきまでの落ち込みが嘘のように思える、希望に満ち溢れた表情でそう答えた。

 

「おにいさん……みょんは見逃してあげようよ……」

 

 みょんの固い意志を目の当たりにしたレミリアは恐る恐る石田にそう訴えた。

 同じ金バッジでみょんの飼い主を思う気持ち。もし自分がみょんの立場ならと考える

と居ても立ってもいられなくなったのだ。

 

「うーん……まあレミリアが言うなら……」

 

「本当? おにいさんありがとう!」

 

 渋々了承した石田にレミリアは笑顔で空中に飛び回る。

 実は石田もみょんの飼い主の事を考えており、考えれば考える程みょんと遊ぶ気にはならなくなっていた。

 しかし、それだと結局この村は長もみょんもいない平均未満の村になってしまう。当然、そんな村では石田の気は収まらない。そこで石田はみょんを見逃す代わりに交換条件を思いつく。

 

「見逃す代わりにみょんがこの村のゆっくりと遊べよ」

 

 石田はみょんに圧のある言い方をする。勿論、断ればみょんの命はない。俗に言う脅しと言う奴だ。

 

「そんなことできないみょん……」

 

 言われたみょんは俯きながら、そう呟く。

 石田の言う遊びとは即ち虐める事であり、みょんはそれを分かっている。いくら自分の命が掛かってるとはいえ、同胞を虐めるのは気が引けるのだ。

 そんなみょんの様子に石田は更に追い討ちを掛ける。

 

「出来ないじゃない。やるんだよ? 分かった?」

 

 みょんの頭をぎっしりと掴み、しっかりと目を見定めて石田は語りかける。

 

「わかったみょん……」

 

 乗り気ではないが、やらなければ自分の命がない。そうなると一生ご主人に会えないと思うといつの間にか、みょんはそう口走っていた。

 

「じゃあまずはあいつらからやってこい……」

 

 石田はそう言って、赤ゆ達が寝ている所を指差した。

 みょんは木の枝を再び銜えるとそこへじりじり近づいていく。今から同胞の子を殺すという残酷で不本意な思いが、みょんの足取りを重くしていた。

 

「ゆぴー……」

 

 気持ちよく寝ている赤ゆ達。数は三匹。まりさ種が一でれいむ種が二だ。

 純粋で屈託ない寝顔だが、それを見てもみょんの決心は一切揺らがなかった。

 

「ごめんみょん……」

 

 みょんは鋭利な木の枝を赤まりさの顔目掛けて突き刺した。

 木の枝は赤まりさの身体、それも中心を貫通したため、赤まりさは痛みを感じる前に即死した。これはせめてものみょんの慈悲だ。

 そしてみょんはまるで壊れかけの機械のような動作で同じように赤れいむ二匹にも止めを刺した。

 

「後は子供達みょん……」

 

 そう言うと顔色を悪くしてみょんは子ゆっくり達が逃げ込んだ巣へ近づいていく。

 

「何で遊んでるのに楽しそうにしてないんだ?」

 

 そんなみょんの様子を見兼ねた石田は声を掛ける。

 遊びと言えば、時間を忘れる程楽しくて自然と笑顔になっていく物だろう。なのにみょんは正反対に病弱になっていく。石田はそれが理解出来なかった。

 

「ゆっくり同士とはいえ、こいつらに恨みがあるだろ?」

 

「それは……」

 

 みょんは胸を張って無いとは言えなかった。何故なら実際に村のゆっくり達に陰口を言われたり、子ゆっくりに罵倒されたり、赤ゆにパシリにさせられたりしたのだ。思い返せば身体の内側からマグマのように怒りが込み上げてくるのをみょんは感じた。

 

「なら、その怒りをぶつければいい……」

 

「でも……」

 

「人間の手の指は合計で何本ある?」

 

 踏ん切りがつかないみょんに石田がそう聞く。

 みょんは突然話が変わったので訝しく思うが、取り敢えず答えようと口を開いた。

 

「五本と五本で合計十本みょん……」

 

「いいか? 殆どのゆっくり達は十本では無く、たくさんと答える。そんな馬鹿で下劣なゆっくり達を同胞と思わない事だ……」

 

 馬鹿で下劣なゆっくり。その石田の言い方にみょんは共感する。

 みょんはこれまでこの村の一員として暮らしてきたが、意思疎通出来ない時が多々あった。例えばみょんはゆっくり達に効率的な狩りの仕方を教えたり、人間達の事を教えたりしたが理解出来ず、それ所かゆっくり出来てないと言われたのだ。

 

「……わかったみょん!」

 

 みょんの顔色は決心がついたようで良いように変わっていた。石田の言う通り、同胞とは思わない事にしたのだ。

 

「おちびちゃん達出てくるみょん!」

 

 決心がついたみょんは巣の中まで聞こえるように叫ぶ。別に巣に乗り込むのもいいのだが、それだと石田が観覧出来ないとみょんは思ったのだ。

 

「レミリアはいったのかじぇ?」

 

 子まりさを筆頭に子ゆっくりが四匹巣から這い出てくる。

 それを見たレミリアはみょんの邪魔にならないように、木陰に隠れた。

 

「ゆ? くしょにんげんだじぇ!」

 

「あまあまをだしてねぇ! すぐでいいよ!」

 

 石田の存在に気がついた子ゆっくり達は騒ぎ出す。子ゆっくり達の頭の中は既にレミリアがいたという事実は消え、石田の事が上書きされていた。俗に言う餡子脳。

 

「やめるみょん!」

 

「なにするのじぇ! おぼうしさんかえすのじぇ!」

 

 石田の事をくそにんげんと呼び、あまあまをせびる子ゆっくり達の姿に焦ったみょんは咄嗟に子まりさの帽子を取った。すると近くにいた子れいむが突然子まりさに体当たりをする。

 

「こんなところにゆっくりできてないゆっくりがいるよ!」

 

「ほんとうなのじぇ! やっちまうのじぇ!」

 

 他の三匹の子ゆっくり達は容赦なく子まりさに攻撃する。その猛攻は凄まじく同じゆっくり、それも仲間にする行為なのか疑う程だ。

 

「や、やめるのじぇ! い、いたいいいいい!」

 

 子まりさは仲間であった筈のゆっくりに伸し掛かられ、木の枝で眼玉を刺され、終いには食べられていた。その最中も子まりさは必死でやめてと訴えるが結局聞き入れてもらえなかったのだ。

 もう子まりさはぼろぼろで皮膚が所々破れた見るからに汚い饅頭になっていた。

 

「ど、どうして……」

 

 幾ら帽子がないからといって、どうして躊躇いもなく仲間を殺せるのか。みょんには

理解出来ず、絶句していた。

 

「どうしてってゆっくりは馬鹿だからお飾りがないと認識できないんだぞ。それを知っていてやったんじゃないのか……」

 

 絶句するみょんに石田がそう説明する。

 するとそれを聞いたみょんはゆっくりの知能の低さに驚きながらもこう思う。

 この習性を利用すれば自分が手を出さなくても大丈夫なのでは?

 

「みょん!」

 

 みょんは一匹の子れいむからリボンを剥ぎ取った。 

 

「れ、れいむのおりぼんさんかえしてね!」

 

「嫌みょん!」

 

 リボンを取られた子れいむはみょんから取り返そうとするが力の差があり過ぎて、叶う事はなかった。

 そして取り返せないと悟った子れいむは泣きだしてしまう。

 

「ゆんやああああ!」

 

「皆! ここにゆっくり出来てないゆっくりがいるよ!」

 

 そんな子れいむに追い討ちを掛けるかのようにみょんが言った。

 

「ゆっくりできてないやつはしんじゃえなのじぇ!」

 

「さっさとしんでにぇ!」

 

 馬鹿な子ゆっくり達は仲間の子れいむだとは知らず、暴行を加え始める。勿論、子れいむは抵抗するが、二体一だ。

 

「いたいよ! やめてね! ゆんやあああああ!」

 

 敵う筈も無く、子れいむはさっきの子まりさと同じように断末魔を上げて死んで逝った。

 子れいむの死亡を確認したみょんはまた別の子れいむのリボンを取り、ついでに子まりさの帽子も奪い取る。

 

「かえすのじぇ! ゆ?」

 

「かえしてね! ゆ?」

 

 ふと子れいむと子まりさは互いに目が合う。するとどうなるだろうか?

 

「ゆっくりできてないゆっくりがいるのじぇ!」

 

「それはこっちのせりふでしょおおお!」

 

 二匹はすっかりみょんの事は忘れ、戦い始めてしまう。

 

「しね!」

 

 子れいむはそう言うと同時に助走をつけて、子まりさに体当たりした。

 不意を突かれた子まりさはそれを諸に喰らってしまうが、身体が衝撃で吹っ飛ばないように踏ん張り、子れいむの頬を食いちぎった。

 

「いたいいいいいいい!」

 

 頬を食いちぎられた子れいむは痛みから声を上げて、辺りに転げ回る。

 先程とは違い、今度は一体一なため長引きそうとみょんは思っていたが案外早く決着がつきそうで安心した。

 やがて決着がつき、最後に地に立っていたのは子まりさだった。

 

「ゆっくりできないやつがちょうしにのるんじゃないのじぇ!」

 

 子まりさは子れいむだった物にそう言い放つと唾を吐いた。

 それを横目にみょんはこっそりと最初に死んだ子まりさに帽子を返す。

 

「ゆゆ……」

 

 それに気付いた子まりさはどんどん顔色が悪くなっていく。まるで信じられない何かを見たような表情だ。

 みょんはそれに構わず、淡々とまた二匹の子れいむにりぼんを返した。

 

「ど、どうしてみんなしんでるんだじぇ! ゆげぇ……」

 

 我に返った子まりさは周りに群がる仲間の死体に驚きを隠す事は出来ず、あまりの惨さに餡子を吐いてしまう。

 この惨状は他でも無く子まりさ自身が作り上げたのだが、当然餡子脳では理解出来る筈もなく、子まりさの頭の中は疑問でいっぱいだった。

 

「……これもすべてみょんのせいなのじぇ!」

 

 子まりさは取り敢えず一番近くにいたみょんに八つ当たりする。

 そもそも子ゆっくり達が同士討ちするように仕向けたのはみょんなので、みょんを非難する事は別に可笑しくないだろう。尤も子まりさは一切その事に気づいていない。

 

「うるさいみょん!」

 

 子まりさに八つ当たりされたみょんは苛立ちから子まりさが命と同じくくらい大事にしている帽子を八つ裂きにした。

 

「まりしゃのおぼうしさんが! ぺーろぺーろ……」

 

 子まりさはぼろぼろになり地面に落ちた帽子を舐める。

 ゆっくりは怪我に関わらず、物は舐めれば直ると思っているがそんな訳はなく、その事実を知らない子まりさは必死で帽子を舐める。

 

「ぺーろぺー……」

 

 子まりさは急に舐めるのを止める。何故ならみょんが意図的に帽子を踏んだのだ。

 

「ゆ、ゆっくりしないでしにぇ!」

 

 自分にとってとても大事な帽子が引き裂かれ踏まれた。その行為に怒りを覚えた子まりさは地面に落ちていた小さな木の枝を銜えるとみょんに飛びかかった。

 その爪楊枝のように小さく尖った木の枝は吸い込まれるようにみょんの身体の中心に向かう。しかし、みょんはそれを見切っていた。

 

「甘いみょん!」

 

 みょんは子まりさの渾身の一撃を軽々と躱す。

 躱された事によりこのままでは子まりさはそのまま地面へ直撃してしまう。そんな予想外な事態に子まりさは身体を捻り受け身を取ろうとする。

 

「ゆげぇ!」

 

 しかし普段みょんのように鍛練していない子まりさは咄嗟にそんな動きが出来る筈も無く、木の枝が地面に突っ掛かり自分に突き刺さってしまった。

 

「ま、まだしにたくにゃいのじぇ……」

 

 木の枝が貫通した子まりさの身体。誰がどう見ても、助からないだろう。

 子まりさ自身も確実に迫ってくる死期に恐怖を抱いていた。

 そんな虫の息の子まりさに刺さった木の枝をみょんは無言で抜くと傷口から餡子が漏れ出す。

 子まりさはみょんのその行為に助けてくれるのでは? という淡い期待を抱く。しかし、子まりさがそう思った束の間みょんは木の枝を振り上げ

 

「さっさと死ぬみょん!」

 

 そう言い放ち、口を器用に使って咥えた木の枝を子まりさに突き刺した。

 

「もっと……ゆっくちしたかった……」

 

 それが決め手となり、子まりさは絶命してしまった。

 

「みょん……」

 

 全てやり終えたみょんは余韻に浸る。みょんの心の中にはもう罪悪感等は無く、あったのは高揚感だった。

 

「どうだった?」

 

 石田は満足気にみょんに尋ねる。

 

「人間さんがゆっくりを虐める気持ちが分かったみょん……」

 

 同胞を虐めたみょんは今までとは考えられないほど清々しく、まるで心についていた錘が無くなったかのように心が軽くなっていた。

 

「ほう……」

 

 先程とは大違いの雰囲気で答えたみょんの感想に石田は興味深そうに頷き、体を反転させた。

 

「約束は約束だから生かしといてやるよ。じゃあな……」

 

「ありがとうみょん!」

 

 去っていく石田の後ろ姿にみょんは感謝する。

 元は脅迫され、無理矢理させられた事なので礼を言うのは筋違いだろう。しかしそれでみょんは大事な事に気づかされた。普通のゆっくりは馬鹿で下劣だという事。お飾りが無いと認識出来ない事。そして何よりもゆっくりを虐めるのはとても楽しいとい事。それらはみょんにとって有益で、これからの人生を左右する程の大事な事なのだ。

 

「どうだった?」

 

 森の中を歩く石田の肩にレミリアが止まる。

 

「うーん。三十点かな? 俺ならあの子まりさにゆっくりの死骸をあまあまといって食わせた後、罪を擦り付けるな。親ゆっくり達が無実の子まりさに制裁している所を想像すると興奮するよ……」

 

 レミリアの質問に笑みを浮かべながら石田はそう答え、また獲物を探しに森の中に消えていった。

 

 

 

 




さいごはわりとてきっとうっだったりするけどきにしちゃだめなのじぇ!

つぎはみっかごかよっかごなのじぇ!




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第五話後編、やせいゆっくりのまつろなのじぇ


間に合いました。

今回の話は虐待要素ないです。



 

 水の流れる音が聞こえ、少しジメッとしている森の中。真夏のように熱い感じではなく、どちらかというと涼しいその場所にとあるゆっくりが二匹息を潜めていた。

 

「まりさ……」

 

 れいむがとなりにいるまりさにアイコンタクトを送る。

 それに気づいたまりさは頷くと、体勢を整え

 

「まりさはゆっくり捕まえるよ!」

 

 そう叫び、目の前の草の先に止まっていたバッタに飛びかかった。

 しかし、バッタも態々捕まえると宣言した奴に捕まるほど馬鹿ではない。自慢の脚力でまりさを躱して、雑草の奥へ消えてしまった。

 

「ゆぐぇ!」

 

 一方、躱されたまりさは勢いよく地面に衝突する。その様子を見ていた番であるれいむは急いでまりさに駆け寄る。

 

「まりさ! だいじょうぶ? ぺーろぺーろ……」

 

「すばしっこいバッタさんなのぜ!」

 

 まりさは痛む顔をれいむに舐めてもらいながら、悔しそうにそう言った。

 

「ゆ?まりさ!あっちにもバッタさんがいるよ!」

 

 ふと別の所にもバッタがいる事に気がついたれいむは焦った表情でまりさにそう伝える。

 

「ゆ!こんどこそつかまえるのぜ!」

 

 まりさは再びバッタを捕まえようするが、それを察したバッタは跳ねて森の奥へと逃げていった。

 

「まつのぜ!」

 

「まってよ!まりさー!」

 

 バッタを追いかけるまりさにそのまりさを追いかけるれいむ。森の中では割と在り来たりな光景を見ている者がいた。

 

 

 

 

 

 突然バッタが大きく跳ねた。その着地先は小川のど真ん中にある平らな岩の上。

 

「ゆぐぐ……」

 

 当然まりさも跳ねてそこに行ける訳がなく、小川の前で立ち止まってしまった。

 小川と言ってもそれは人間にとっての話で、ゆっくりにとっては深い川に違いないのだ。

 

「まりさー! ぜぇぜぇ……バッタさんはどうしたの?」

 

 遅れてれいむがその場所に到着し、まりさに状況を尋ねる。しかし、まりさは息切れしているれいむに見向きもせず、ただ岩の上に乗ったバッタを睨みつけていた。

 

「……まりさ、あきらめたほうがいいよ」

 

 まりさの視線を追い、バッタの存在に気づいたれいむはまりさにそう語りかける。

 

 その時だった。

 

「こんな所で何をしてるみょん?」

 

 先程まりさ達の姿を見かけて、跡をつけていたみょんが姿を現した。

 

「ゆ?なんでばかなみょんがここにいるの?」

 

「おちびちゃんたちはどうしたのぜ!しょくばほうきはせいっさいっだよ!」

 

 みょんの存在に気づいたまりさ達は驚きつつもいつものようにみょんに食って掛かった。

 

「そんなことよりバッタさんはいいのかみょん?」

 

「はぁあ?あそこへはいけないでしょぉー!これだからぐずは……」

 

 論点をすり替えようとするみょんの発言に腹が立ったれいむはおさげを手のように使い、バッタの所を指して不機嫌そうにそう言う。

 この小川は大体大人の人間の膝辺りまでの水深だ。不服だが確かにれいむの言う通り、普通のゆっくりでは到底行くことは出来ないだろう。

 

 そう普通のゆっくりでは……だ。

 

 元金バッジであるみょんは違った。

 何が違うか。それは身体的なものではない。いくらみょんでもこの小川を超える事は不可能だ。なら何が違うか。それは頭の良さ、即ち知力の違いだ。元金バッジであるみょんは普通のゆっくりと比べて頭が良く、それこそ天と地ほどの差だ。そんな聡明であるみょんは近くにあった大きな木の枝を咥え、その先っぽを器用にバッタがいる岩に乗せた。そこへ行く道がないのなら作ればいいのだ。

 

「なにしてるんだぜ?」

 

 みょんの行動を理解出来ないまりさは訝しそうに首を傾げ

 

「ぐずのこうどうはりかいできないよ!」

 

 れいむは野次を飛ばした。

 

 しかし、それでもみょんは手を休めない。一本一本大きな木の枝を着実に岩へと架けていき、やがてそれはゆっくりが通れる程の橋へとなった。

 そこでやっとみょんが何をしていたのか、まりさ達は理解した。

 

「これで通れるみょん!」

 

 やっと完成した橋にみょんは嬉しく思い、まりさ達の方に向いた。

 この嬉しさは別にまりさ達の役に立てたから等という仕様もない事ではない。これから起こりうる惨劇を嬉しく思ったのだ。

 

「ふん!だからってしょくばほうきはゆるさないのぜ!」

 

「さっさとむらへかえってね!」

 

 一方でみょんの本当の目的を知らないまりさ達は信じられないといった表情をしていたが、すぐにいつも通りに戻ると橋を渡った。

 

「まりさ、バッタさんがいるよ……」

 

「わかってるのぜ。バッタさんをつかまえるよ。そろーりそろーり……」

 

 まりさはれいむにそう返事をするとバッタへと近づいていく。それもまたご丁寧に宣言をした。先程の失敗を活かしていない所か、そもそもなぜ失敗したかも考えていないのだ。

 

「あ、まつのぜ!」

 

 がばがばなまりさのスニーキングに気づかない筈もなく、身の危険を感じたバッタは対岸へ大きく飛んだ。

 

「ゆぐぅ……」

 

 まりさは対岸にいるバッタを悔しそうに睨みつける。

 

「こんどこそもうむりだよ……」

 

「あきらめるのぜ……」

 

 また橋を作るという手や小川を迂回して対岸に行くという手もあるが、ゆっくりがそんな手を思いつく筈もなく、まりさ達は大人しく諦める事にした。

 

「ゆ?」

 

 突如何かが崩れるような音がして、まりさとれいむは硬直する。それは背後から聞こえており、まりさとれいむは恐る恐る振り返った。

 

「ふぅ……」

 

 そこには自分で作った橋を崩し、一息ついたみょんの姿があった。

 それを目の当たりにしたまりさ達は激しく動揺し、絶句する。

 

「な、なにしてるのおおお!」

 

 先に我に返ったのはれいむだった。れいむはまるで信じられない何かを見るようにみょんを怒鳴る。

 それもその筈橋を崩されたと言うことは、即ち退路を断たれた事を意味している。このままではまりさ達は岩の上から離れられないのだ。

 

「さっさとあたらしいはしをつくるのぜ!」

 

「はやくしてね!ぐずはきらいだよ!」

 

 その状況に焦ったまりさ達はみょんに命令するが、みょんはそれを頑として聞き入れなかった。

 何故ならまりさ達の態度がなっていないからだ。今まりさ達の命はみょんが握っていると言っても過言ではない。それなのに何故かまりさ達はまるで自分達の方が偉いと言っているかのように上から目線だ。みょんはそれが気に入らなかった。

 

「土下座するみょん!」

 

 気がついたらみょんは苛立ち、ついそう口走っていた。

 言われたまりさ達は一瞬固まるが、すぐにその意味を理解すると笑い出す。

 

「なにいってるのぜ!さっさとはしをつくるのぜ!」

 

「はやくしてね!」

 

 みょんの要求を受け入れない所か、まりさ達は更にヒートアップする。

 

「じゃあみょんは帰るみょん……」

 

 まりさ達が土下座を受け入れないとわかったみょんはこれ以上ここにいても無駄だと判断し、立ち去ろうとする。

 するとどうだろうか。まりさ達の顔色は一気に悪くなった。

 

「ま、まってね!かえるならはしをつくってからにしてね!」

 

「そうなのぜ!」

 

 まりさ達の言い方はさっきと比べると優しくなったが、まだ立場がわからないようだ。

 

「土下座するみょん!」

 

「ゆ、ゆぐぐ……」

 

 そこでやっとまりさ達は自分が下だという事を理解し、その悔しさから歯軋りする。

 

「はやくするみょん!」

 

 みょんの迫力に急かされ、まりさ達はすぐ地面に頭をつける。

 

「おねがいします! れいむたちをたすけてください!」

 

「たのむのぜ!」

 

 さっきまでの態度が嘘のように下手に出るまりさ達。頭を何度も地面に擦りつけ、必死さが伝わってくる。

 その無様な姿を確認したみょんはその場から立ち去ろうと方向転換する。

 

「どこにいくのぜ!」

 

 みょんの後姿をしっかり見定めてまりさは聞く。勿論、土下座しながらだ。

 

「帰るみょん……」

 

「れいむたちはどげざしたよ! だからたすけてね!」

 

 れいむはみょんを引き留めるのに、頭どころか体も地面に擦りつける。その姿はもはや土下座には見えず、蛞蝓のようになっていた。 

 

「誰も土下座したら助けるなんて言ってないみょん! そこで野垂れ死ぬみょん!」

 

 みょんはそう言い放つと森の中に消えていった。

 残されたまりさ達は土下座したまま茫然とし、裏切られたと気づくのに数分掛かってしまう。

 

「くそみょんめ! つぎあったらせいっさいっしてやるのぜ!」

 

 まりさは怒りが込み上げてくるが、その怒りの矛先を向ける物がなく、その結果言葉が荒くなる。

 

「まりさ……どうするの?」

 

「うるさいのぜ!」

 

 れいむは不安そうな表情でまりさに聞くが、当然まりさに答えられる筈もなく、出てきた言葉は行き場のない怒りからの暴言だった。

 それからまりさとれいむは互いに黙り込んだ。辺りを漂う険悪な空気に、聞こえるのは小川の流れる音だけ。

 

「ゆ? まり……」

 

 俯くまりさの事を見つめていたれいむはある事を思いつき、その事をまりさに伝えようとするが途中で言葉が途切れてしまう。何故ならそれを実行すれば、この岩の上から脱出できるが先着一名なのだ。

 

「どうかしたのかぜ?」

 

「な、なんでもないよ……」

 

 れいむは笑ってはぐらかす。

 そんなれいむをまりさは訝しそうに見つめていた。

 

「ふんっ!」

 

 まりさは気分転換しようとれいむに背を向けて、流れる川を眺める。

 れいむが思いついたのはまりさの帽子を船のように使い脱出するという小学生が考えそうな方法なのだが、先程も述べた通り先着一名。まりさの帽子に大人のゆっくりが乗る事は難しいだろう。仮に乗れたとしても重量オーバーで沈むのがオチだ。

 

 れいむは小さい餡子脳をフル回転させ考える。選択種は三つ。自分が生き残るか、まりさを生かすか、それとも誰かが助けに来てくれるのを待つかだ。

 

「ゆぅ……」

 

 れいむはため息を吐く。助けを待つのは論外だろう。何故なら日が暮れると捕食種が活発になり、生き残る確率がぐんと下がるからだ。

 それとまりさを助けるのも論外だ。れいむには自己犠牲して他のゆっくりを助けれる程の勇気がなかった。例えそのゆっくりが家族や友達であってもだ。

 という事は残る選択種は一つ。単純に自分が助かればいいのだ。

 そう決断した瞬間、れいむの中の優しさや悲しさといった穏やかな感情は消え去り、芽生えたのはまりさを殺すという明確な殺意。その感情がれいむを支配した。

 

「ゆっくりしないで死んでね! すぐでいいよ!」

 

 れいむはそう叫びながらまりさを川へ落そうと体当たりを繰り出す。

 

「な、なにするのぜ!」

 

 突然の味方の裏切りに対応出来る訳がなく、まりさは体当たりを諸に喰らってしまった。

 岩の上から吹き飛ぶまりさの身体。れいむは勝ったと確信するが、いつまで経っても水飛沫が聞こえない。

 不思議に思ったれいむは確認しようと岩の上から水面を見下ろした。

 

「しぶといよ! さっさとしんでね!」

 

 そこには岩の出っ張りに必死になって噛みつくまりさの姿があった。

 

「あ、これはれいむがもらうよ!」

 

 れいむは岩に噛みつくことに精一杯なまりさが何も出来ない事に気づき、まりさの帽子を取り上げて、本人の目の前で見せつけるかのように被った。

 

「ゆ! ゆぐぐ!」

 

 まりさは涙目で「かえすのぜ!」と訴えるとれいむは急に微笑みだす。そのれいむの殺意が籠った笑顔にまりさは恐怖を覚えた。

 

「じゃあさっさと死んでね!」

 

 れいむはまりさの口を踏んづけた。まりさはそれにただ耐える。激痛だが、口を離すと川の中に落下だ。

 

「ふん! ふん!」

 

 耐えるまりさに嫌気が差したれいむは一心不乱に何度も何度もまりさの口を踏みつける。すると直ぐにまりさの口はぼろぼろになり歯もなくなって見るに堪えない顔になり果てた。

 

「さっさとしね!」

 

 最後のれいむの渾身の一撃でまりさの口は完全に潰れ、まりさは川の中に落下した。

 

「れ、れいむー!……さ……ぃ……」

 

 まりさは川の中でれいむに向かって憎しみを叫ぶが、流れが速く声は掠れて聞こえ、終いにはまりさは溺れながら流されて見えなくなった。

 

「さて、れいむはゆっくりだっしゅつするよ!」

 

 まりさの死亡を確認したれいむは岩を下り、ぎりぎりまで水面に近づく。

 

「よいしょ……」

 

 そして被っていた帽子を浮かべ、飛び乗った。帽子の船は特に浸水もなく、れいむが大きな動きをしない限りは沈まないだろう。

 

「これでだっしゅつだよ!」

 

 れいむはこれなら脱出出来ると確信する。しかし、それは束の間の自信だった。

 

「ゆ……?」

 

 船が思い通りに動かないのでれいむは固まる。

 普通ならば木の枝か何かをオールに見立てて使い流れをコントロールするのだが、それがない帽子の船はただ川の流れに身を任せるだけだった。

 

「そっちじゃないよ!」

 

 れいむは必死に物である帽子に言い聞かせるが、当然応えてくれる筈もなく、どんどん流されていく。

 

「れ、でいぶぅぅー!」

 

「ま、まりさ!」

 

 突如水面下からまりさが飛び出してくる。その姿は一言でいうならゾンビのようで、皮は所々切れ、目玉も片方無くなっていた。

 

「ご、ごろしてやるぅ!」

 

 まりさは最後の力を振り絞り、口だった部位を使い帽子に噛みついた。

 

「や、やめてね!」

 

 帽子の船はまりさによって揺らされ、浸水してきていた。まりさを何とかしないといけないが、動けばもっと浸水するだろう。そのためれいむはただ静止の言葉をまりさに投げかける事しか出来なかった。

 

「ゆ?」

 

 背後から何かが水面から飛び出す音が聞こえ、れいむは振り向いた。そこには大きな魚がいた。鯉という魚なのだが、普通よりも大きい。それも大きな口を限界まで開いている。

 

「たす……」

 

「や……」

 

 れいむとまりさはその鯉を見て食べられると思った頃には既に食べられていた。

 鯉は水飛沫を上げ、水中に戻ると帽子を吐き、満足したのか何処かへ消えていった。

 

「やっぱりバカみょん……」

 

 地上でその様子をこっそり見ていたみょんがそう呟いた。

 

 

 





じかいはみていなのじぇ!





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石田の過去(十一話以降未改稿)
第六話、友達と鉢合わせになった。



遅くなって、本当に申し訳ない。

モンハン4gやガンダムオンラインをしていると時間がすぐに経ってしまって困る。

他にも、やりたいことがあるのに…

※2018/10/17 改稿済み


学校の帰り道―

 

 

 祖父の家から自宅に帰ってきて、約一ヶ月。

 石田はいつものように学校に行って、つまらない授業を受けて帰る途中だった。

 

「はぁ……」

 

 石田は疲れから溜息を吐く。実は宿題をいつもやっていないため、今日も怒られたのだ。本末転倒という奴だが、石田は納得出来ずにいた。

 

「あれ、石田。おまえ居残りじゃなかったか?」

 

「げ、志水か……」

 

 憂鬱な石田は志水と鉢合わせてしまい、気まずさから嫌な顔をしてしまう。

 昔はよく遊んだりしたが中学生になってからはめっきり会わなくなっていたのに、急にこんな所で会ったため何を話せばいいか分からない程、石田は混乱していた。

 こんな事なら、少し遠回りになるが真っ直ぐ行って右に曲がったら良かったと石田は後悔する。

 

「聞いてる?」

 

「ああ、そうだよ……」

 

 実は石田は「学校に残って宿題しろ」と先生に言われていたが無視して平然と帰っていたのだ。

 

「ならどうして下校しているんだ?」

 

 志水は今、石田が一番聞かれたくないことを的確に聞く。

 

「……ど、どうでもいいだろ」

 

 聞かれた石田は明らかに顔色を悪くして、志水を放置して帰ろうとする。

 しかし、そんな簡単に逃す筈もなく志水は止めるように石田の肩を掴んだ。

 

「やめろ、HA☆NA☆SE。」

 

 石田はどこぞの王様のように手を払い除ける。

 

「ふーん……」

 

「な、なんだよ……」

 

 志水は石田の様子を伺うように見つめる。先程の大袈裟な動作に焦った表情。そこからある事実を志水は導き出す。

 

「おまえサボったのか……」

 

 志水は目を細めてそう言った。

 

「ほ、ほらあれだ……な、習い事があって……」

 

 見事に当てられた石田は言い訳しようと咄嗟に思いついた嘘をしどろもどろで言う。

 

「習い事なんかしてないだろ。 第一、それが本当だとしても習い事よりも学校を優先

しろ!」

 

 正論を言われ、石田はぐうの音も出ない。

 

「そうだよ! サボったよ! どうせ今日サボった分も明日やらされるんだからいいだ

ろ!」

 

 石田は開き直り、志水にそう怒鳴りつける。逆ギレという奴だ。

 急に変わった石田の態度に志水は一瞬驚くが、すぐに平然を取り戻すと口を開く。

 

「……でも明日もサボるんだろ?」

 

「そうだよ!」

 

 石田と志水はさっきまでの気まずい雰囲気が嘘のように笑い合う。二人とも距離感を思い出してきたのだ。

 

「ははは……そういえば石田ってまだゆっくりをいじめているのか?」

 

 志水はふと石田がゆっくりを虐待していた事を思い出し、これを機に恐る恐る石田に尋ねた。

 

「もし、やっていたらどうするんだ?」

 

 笑顔だった石田の表情は無表情になり、志水はあまりの石田の変わりように冷や汗をかく。

 

「そりゃあ、止める……とは言わないが程々にしろよ? あんなの教育に悪いからな」

 

 ゆっくり虐待は世間にあまり良く思われていない。なので本当は止めた方がいい。しかし、志水には石田を止める事が出来なかった。ゆっくりの鬱陶しいさに、石田の過去の事を思うととてもやめろとは言えなかったのだ。

 

「まあちゃんと見つからないようにしてるから安心しろよ……」

 

「そうか……」

 

 石田はいつもゆっくりと遊ぶとなるとまず人目を気にしているため、一度も注意を受けた事がないし、そういう事をしていると知っているのは志水と身内だけ。だから石田には見つからないという絶対的な自信があった。

 

「それじゃあ、もう帰る……」

 

 石田は志水の横を通り、帰る方向へ歩を進める。

 

「おう! また遊ぼうな!」

 

 志水は軽く手を振りながら、前方を歩く石田にそう言った。

 

「えーっとコンビニはこっちだっけ?」

 

 志水と別れた石田はうろ覚えでコンビニを探す。レミリアにカロリーメイトを買ってきてと頼まれているのだ。

 

「ああ、あった!」

 

 住宅街から出て、道路の向こう側にコンビニがあり、石田は無事にカロリーメイトを買うと早足で家へと帰った。

 

 

 

  ―自宅―

 

 

「ただいま~」

 

 石田は玄関で靴を脱ぐとリビングへと向かう。

 

「おにいさん、おかえりなさい。」

 

 その道中、いつものようにレミリアが飛んできて石田の肩に止まる。

 石田はカロリーメイトを開封し、二本ある内の一本を取り出すとレミリアに渡した。

 

「わー!おにいさんありがとう!」

 

 レミリアはカロリーメイトを口で咥えると喜びから石田の周りを飛び回る。

 石田はその光景に微笑みながら残ったもう一本のカロリーメイトを一口で食べた。

 

「もう一袋あるけどまた今度な……」

 

 残ったカロリーメイトを石田は机の上に置いた。ちゃんと棚に直してもいいのだが、どうせ明日の朝に食べるだろうと石田は思ったのだ。

 

「はぁぁー……」

 

 机の上で咥えたカロリーメイトを頬張るレミリアを横目に石田は大きなため息を吐く。

 

「おにいさんどうしたの?」

 

 石田の様子が可笑しい事に気が付いたレミリアはカロリーメイトを飲み込むとそう聞いた。

 

「……実は今日、最近会ってなかった友達に会ったんだよ」

 

「良かったんじゃないの?」

 

「そうなんだけど……」

 

 石田は机に頬杖をついて、窓の外へと視線を移動させる。

 志水は石田の事を心配していた。それは親友としてなのだが、石田にはそれが分からない。

 小学生の頃、石田と志水は意見の対立で喧嘩をした。それがきっかけで会わなくなったのだが、今日久しぶりに会い、志水は昔のように石田に接した。石田としては志水とは絶交しているつもりだったのだが、あんなに普通に話しかけられると自分が馬鹿らしく感じた。

 

「今度、遊んでみるか……」

 

 昔の仲を取り戻せるならいい事だ。また遊びに誘ってみようと石田は思った。

 因みに遊びの内容は勿論ゆっくりだ。それは石田の中で一番ゆっくりでき楽しい遊びだから、是非とも志水にも経験してほしいという思いからきている。

 

「そういえば、いつからだっけな……」

 

 石田はふと昔の事を思い出す。





次は、石田の過去の話です。

一週間後か二週間後までには投稿すると思う…



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第七話、過去前編

ガーベラテトラ強すぎて、俺の戦歴が酷いことになってしまった。

ゲロビ強すぎ。



※2018/10/18 改稿
 どうでもいいけど三年前の俺は前書きにガンオンの事を書いてたのか。
 なつかしいなぁ
 なお、今はシナンジュにネガってます。


 あれは俺がまだ幼くて一人暮らしをしていない時。志水やレミリアとも出会っていない頃の話だ。

 

「たまには外へ遊びに行ったらどうだ?」

 

 祖父はよく俺にそう言ってきた。善意からの発言なんだろうが、友達がいない俺にとっては余計なお世話だった。

 別に友達が出来ない訳ではない。最初の頃はよく話しかけられたりした。しかし当時の俺は友達を都合のいい奴だとか傷を舐め合ったりする仲等、兎に角良いイメージを持っていなかったため、話しかけられると冷たくあしらったりしていた。その所為で友達が出来なかったのだ。

 そんな友達のいない俺は必然的に家に籠りきりで、一人でテレビゲームをする毎日だった。

 他愛無い毎日を過ごしていたのだが、ある日の些細な事で俺の人生はすっかり変わってしまった。

 

「う、うぅ……」

 

 学校の下校中、俺は偶然瀕死しているレミリアを見つけた。今思えば全身に細かな傷があり、犯された形跡もあった。恐らくそこらのありす種にやられてたのだろう。

 レミリアの体は小さくまだ子供で、面倒ごとは嫌いなので俺は無視しようと思った。けれど何故か無性にレミリアの事が気になり、連れて帰って治療する事にしたのだ。

 雨の中悲しくて泣きながらレミリアを抱えて、家へと急いで帰ったのを今でも覚えている。

 そして家に帰った俺を待っていたのは苦悩だった。

 

「どうすればいいんだろう……」

 

 当時の俺はゆっくりの知識は皆無に等しく、興味も全く無かった。なのでいざ治療を始めようとしても何をしたらいいかわからないのだ。

 取り敢えず水を飲ましたり体を拭いたりしたが、特に効果がない。そこで俺は偶然今朝祖父に貰ったチョコをレミリアに与えてみた。するとレミリアの傷はみるみる内に治癒していった。そんなゆっくりの特性を初めて見た当時の俺は物凄く驚いた。

 

「にんげんさん……あ、ありがとう……」

 

 レミリアはチョコを食べ終わるとすぐに寝てしまった。余程疲れていたのだろう。

 時間は掛かったがレミリアは助かった。それが分かった瞬間、気が抜けた俺はその場で倒れて寝た。

 その後は確か畑仕事から帰って来た祖父にレミリアと寝ている所を発見されてこっぴどく叱られた。因みに祖父はレミリアを連れて帰って来たからではなく、俺が地面に倒れて寝ていたから起こったらしい。何でも心臓に悪いだとか。

 その後は普通に晩御飯を食べ、祖父にレミリアを飼いたいと頼んで了承を貰い部屋に戻った。

 

「おにいさんが助けてくれたの?」

 

 部屋に戻るといつの間にか目を覚ましていたレミリアは俺にそう聞いた。

 

「そうだけど……」

 

「助けてくれてありがとう……」

 

 レミリアは微笑んでそう言った。

 感謝されたら普通は嬉しいだろうが、俺は戦慄していた。何故ならレミリアの片目が無くなっていたのだ。

 片目がないとなると生き辛いだろう。そう考えると俺は悲しくなったが、その感情を殺した。レミリアに悟られると余計に悲しくなると思ったからだ。

 

「……もし良かったら、レミリア。俺と一緒に暮らさないか?」

 

 緊張から声が震える。今まで友達といった仲間を必要としていなかったのに、何故か俺はレミリアを飼う、いや家族になろうとしていた。元々はそんなつもりはなく、治ったら元の場所に帰そうと考えていたのにだが、本当に可笑しい。当時の心境は覚えていないが、やはり一人は辛かったのだろう。

 

「…………」

 

 レミリアは俯く。もしかして余計なお世話だったのだろうか。無理、嫌、等の嫌な返事ばかりが脳裏に過った。

 

「不束者ですが、よろしくお願いします……」

 

 レミリアが満面の笑みでそう言うと同時に俺はその場でガッツポーズをした。

 

「じゃあ名前を決めよう!」

 

 これから一緒に暮らすとなればやはり名前が必要だろう。いつまでもレミリアと呼んでいたら他のレミリアとごっちゃになってしまう。

 人生で初めて名前をつける。これからも名前をつける事なんて早々無いだろう。そう思うと緊張で良い名前が思い浮かばない。

 

「うーん、何がいいんだろ……」

 

 俺は必死に考えた。それこそ頭をフル回転させる程だ。

 当時の俺がここまで物事に集中するのはとても珍しかった。

 

「おにいさんがつける名前なら、何でもいいわ……」

 

 数分間考え込んでる俺にレミリアが助言してくる。

 レミリアの態度といい、口調に謙虚さ。今思えば本当に野良ゆっくりかと疑うほど美しくて賢明だった。

 

「うーん……」

 

 かまぼこやえのきといったレミリアとは遠く懸け離れた名前ばかり思いつくため、真逆の単純な名前を考える。

 

「そうだ、レミィってのはどうだ?」

 

 数分考えた末の会心の名前だった。

 

「良い名前ね。気に入ったわ!」

 

 どうやら気に入ってもらえたようで、喜んだレミィは部屋の中を飛び回った。

 

「これから、宜しくな!」

 

 俺は飛び回るレミィに声を掛けた。

 するとレミィは俺の肩の上に止まってこう言った。

 

「こちらこそ、宜しくね!」

 

 その時のレミィの顔は少し赤くなっていて、とても可愛かった。

 

 

 

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

「ねぇ、おにいさん? ちゃんと聞いてるの?」

 

 過去を思い出していた石田はレミリアの声で我に返る。

 

「ん?ああ、スマン。聞いてなかった……」

 

「もー……」

 

 レミリアは頬を膨らまして、明らかに不機嫌になる。

 

「ご、ごめん……」

 

「ふーんだ……」

 

 頬を膨らました状態のレミリアを見た石田は罪悪感を感じ、謝るが悉く無視される。そこで石田は机の上に置いておいた最終兵器をレミリアに渡した。

 

「ほら、カロリーメイトだ……」

 

「やったー! おにいさん大好き!」

 

 レミリアは一瞬で機嫌が良くなり、笑顔で石田にそう言った。傍から見ればレミリアはただの単純な奴だが、石田は大好きと言われその余韻に浸っていたので、そうは思えなかった。

 




前編、中編、後編に分ける予定です。



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第八話、ゆっくり虐待教室

最近、ゆっくりを虐待しているシーンが無いと思ったので急遽書きました。

今回は、文字数が5000文字だった。

なんと、いつもの2倍。


※2018/10/20 改稿済み

 改稿したら文字数が9287文字だった。
 なんといつもの四倍。

 たぶん誤字あります。




「はぁ~暇だなぁ~」

 

 とある日。今日は学校が休みなので、石田は朝から何もやることが無かった。

 レミリア遊ぼうにもいないし、野良ゆっくりと遊ぼうにも外に出るのが面倒くさい。八方塞がりな石田は取り敢えず机の上に置いてあったパソコンを起動した。

 パソコンを起動したら、石田は手始めにニヤニヤ動画という動画投稿サイトを開き、ゆっくり関連の動画を探し始める。

 その時、ふと右上のマイページという欄に石田の視線がいった。

 

「あ、そうだ。ニヤニヤ動画で生放送の予約していたんだ……」

 

 石田は昨日、生放送の予約をしていた事を思い出した。それも朝の十時からだ。

 

「ん? 十時?」

 

 石田はパソコンについている時計機能を確認する。そこには九時五十五分と書かれており、それを見た瞬間石田の動作はフリーズしてしまう。

 

「後五分しかない!」

 

 今から急いで行動しないと間に合わない。そう思った石田は冷蔵庫から冷凍ゆっくりを出し、解凍するためにトースターに入れて温める。本当は野良ゆっくりがいいのだが、今から捕まえに行く程の時間が残っていない。

 冷凍ゆっくりを解凍している間に、石田は生放送に使う包丁とホットプレート等のいろいろな道具を取り出すと机の上に並べていく。

 

「ゆ? なんだかあったかいよ!」

 

 不意にトースターの中からゆっくりの声が聞こえてくる。解凍出来た合図だ。

 石田はトースターの電源を切ると中に入ってたゆっくりを取り出して、逃げないように虫篭の中に閉じ込めた。

 

「れいむをここからだしてね!」

 

 虫篭に入れられたゆっくり達は抗議始めるが石田はそれを無視して、カメラの準備を進める。

 ゆっくりの数は全部で二匹。子れいむと子まりさのいつものセットだ。

 

「さて、これで準備完了だな。あとは……」

 

 石田はいつも生放送で使用しているれいむの覆面を被る。実は石田は以前にも何回か生放送した事があるのだ。因みに今まで石田がやった生放送はそこそこ反響があり、それ故ファンが多くでき、今回の放送は予約数が百を達していた。

 ゆっくり虐待の生放送なんて石田を含めて数人しかいないので、皆は面白がって見に来るのだ。

 そして緊張する間もなく、生放送は始まった。

 

「ゆっくりと遊ぼう!!」

 

 石田はカメラの前でそう言うとポーズを決め、ちらっと横目でちゃんと映っているかパソコンの画面を確認する。

 どうやら映っているようで、コメントが流れていた。それを見た石田は嬉しくなる。

 

「此処にゆっくりがいまーす!」

 

 石田は視聴者に見えるように机の上にゆっくりが入った虫篭を乗せた。

 ゆっくり達は今から苦痛を与えられるというのにまだ石田に抗議している。

 

「何か言ってますね!」

 

 視聴者に聞こえるように石田は虫篭をカメラの前まで移動させる。

 

「くそにんげん! さっさとあまあまをよこすのじぇ!」

 

「れいむをここからだしてね! すぐでいいよ!」

 

 子ゆっくり達はカメラで撮られているのに気づかず抗議を続ける。コメントも石田と同じ感想でうざい、煩い等のそれ関連の発言ばっかりだ。

 

「因みにこれは冷凍ゆっくりという商品のゆっくりです!」

 

 冷凍ゆっくりというのは主にゆっくりショップで売っている捕食種用の餌だ。解凍方法は色々だが、石田は視聴者にトースターホットプレートといった一気に温められる物をお勧めする。

 そして石田は説明を終えて次のステップへ行こうとした時、あるコメントに視線がいった。

 

「え? 電子レンジ?」

 

 そのコメントの内容は「電子レンジを使えばいいんじゃないの?」という素朴な質問でそれに似た質問が多々あった。そこで石田は実演する事にし、カメラを持つと電子レンジまで移動する。

 

「じゃあ試して見ます!」

 

 石田は冷蔵庫から冷凍ゆっくりをもう一匹出すと電子レンジに放り込みスイッチを入れる。

 すると十秒後、ゆっくりがピクピクと動き出した。その様子を石田はカメラでよく見えるように注意して撮る。

 

「なんだかからだがゆぐぉぉ!」

 

 ゆっくりは寝惚けて喋りだした。その瞬間、破裂した。電子レンジの中に餡子が勢いよく四方八方に飛び散る。

 

「このようになるので電子レンジはお勧めしないです」

 

 電子レンジの電源を切ると石田は中の様子をカメラで映してそう言った。

 

「じゃあ本題に移ります!」

 

 取り敢えず汚れた電子レンジを放置して石田はカメラを元の位置に戻し、次のステップを踏んだ。

 

「まず最初に初心者でも簡単にゆっくりと遊べる方法を教えます!」

 

 そういって石田は学校で使う裁縫箱の中から針山を取り出して、待ち針を一本手に取ると視聴者にも見えるようにカメラの前に近づける。

 

「鋭く尖った物ならなんでもいいですが、私は待ち針を愛用しています」

 

 そう言いながら石田は虫篭の中から子れいむを取り出して、木製の俎板の上に置いた。

 

「ゆ、ここどこ……ゆ、くそにんげん……」

 

 急に景色が変わった事により子れいむは戸惑う。

 石田はカメラがちゃんと子れいむを映しているか確認をしてから、待ち針を子れいむに近づけていく。

 

「さぁ皆さん子れいむにご注目!」

 

「や、やめちぇね。ぷすぷすさんはゆっくちできないよぉ。」

 

 子れいむは必死に這いずって逃げようとするが、そのスピードは蛞蝓より少し早い程度。石田は逃げる子れいむのお尻を待ち針で少し突く。

 

「ぴゃああッゆんやあああ!」

 

「どうです? 面白いでしょう?」

 

 石田は本当に少し突いただけだ。皮を貫通もしていない。にも関わらず子れいむは泣きじゃくり、お漏らしをしていた。

 

「見ての通りゆっくりは極度の痛がり屋です。だから少し突いただけでも、おそろしー

しーを出します!」

 

 石田はノリノリで説明する。因みにいつもとテンションや口調が全く違うがもし身内や知り合いが見てもバレないようにする対策だ。

 

「ん?」

 

 石田がコメントを見ると「おそろしーしーって何?」というコメントがいくつかあった。そこで石田は説明する。

 

「おそろしーしーっていうのはね、怯えながらお漏らしすることだよ!」

 

 そう説明すると石田は再びコメントを横目で見る。反応を見る限り、理解してくれたようだった。

 ふと石田の視線は「おい、子れいむが逃げるぞ」というコメントにいった。

 そして石田の視線は子れいむにいく。子れいむは尻をもるんもるんと振りながら逃げていた。その子れいむの姿に石田はまるで喧嘩を売られているかのように感じ、再び待ち針を抓む。

 

「ゆっくちにげるよ!」

 

「逃がすと思ったの? 馬鹿なの?」

 

 石田は子れいむの尻に待ち針をぶっ刺した。待ち針は子れいむの皮を突き破り、俎板まで届いた。

 

「ぴゃあああああッ! いちゃいいいいッ!」

 

 子れいむは痛みから暴れながら泣き叫びおそろしーしーをするが待ち針は抜けない。俎板まで刺さった所為で子れいむの身体は固定されているのだ。

 

「え~と注意する所は絶対にゆっくりの中心を刺したら駄目です。中心には中枢餡と言

われる人間でいう脳があるので、刺してしまうと即死です!」

 

 石田は視聴者にそう忠告しながら、針山から次々と待ち針を取って子れいむに刺していく。

 すると数十秒後には子れいむは針山のようになっていた。

 

「ほら、どうした子れいむもう終わりか?」

 

「い、いちゃい……」

 

 石田は子れいむを煽る。しかし子れいむはさっきのように叫ばない。痛覚がなくなってきているのだ。

 もう虫の息だが、石田は子れいむに構わずまだまだ針を刺していく。

 その最中コメントには「最低」や「生放送主タヒね」等といった興味本意で見に来た人の石田を侮辱するコメントが少なからずあった。

 

「うーん……タイトル通りゆっくりで遊んでいるだけなんだけどなー」

 

 石田は手を止めて、弁解するがコメントは途絶えない。しかしいつまでも気にしていては他の視聴者に失礼だと思った石田はそういったコメントを無視する事にした。

 

「あ……」

 

 作業に移ろうと子れいむに視線を戻した瞬間、石田は唖然とした。子れいむはいつの間にか喋らなくなり瀕死になっていたのだ。

 まだ死なせる訳にはいかないため、石田はハリセンボンのようになっている子れいむに突き刺さった針を抜いて、元の場所である剣山刺していく。

 

「最後に……っと」

 

 石田は仕上げに身体中穴だらけの子れいむにオレンジジュースをかけた。俎板から零れないぐらいの少量だ。

 すると子れいむの傷は急速に塞がっていく。

 

「ゆう? ……ゆゆ!」

 

 子れいむは何が起こったのか分からないのかおどおどしているため、石田は親切心から再び待ち針で軽くお尻を突く。 

 

「ゆっぴゃあああ! や、やめてね!」

 

 どうやら思い出したようで子れいむはまたお漏らししながら逃げようとする。このまま放っておくと逃げられるため、石田は子れいむの額に待ち針を突き刺した。

 待ち針は額から後頭部を貫通し俎板に刺さり、子れいむはまた固定された。

 

「あ、ちなみにオレンジジュースじゃなくても甘いものなら回復するよ!」

 

 さっきやったことの補足を視聴者に教えて、石田は次の段階に入る。

 

「あっ今からやるのも初心者でも簡単にできるからね!」

 

 視聴者にそう伝えて、石田は子れいむに刺さっている待ち針を抜いた。

 

「ま、はなしてね!」

 

 石田は左手で子れいむを掴むと右手でポケットからペットボトルの蓋を取り出す。そしてそれを机の上に置き、テープで固定しその上に掴んでいた子れいむを乗せて適当に輪ゴムで固定する。

 これで準備は整った。石田は机の上に置いてあった長い木製の定規を持つ。

 

「準備完了。今から子れいむの尻を叩くよ!」

 

「い、いたいのはやだよぅ! や、やめちぇね!」

 

 子れいむは額に空いた穴から餡子を垂らし、必死に逃げようとする。しかしそれは石田から見れば子れいむはただ尻を振っていて、叩いてくださいと言っているようなものだ。石田はそれに応えようと定規を構える。

 

「よし、いくぞ子れいむ!」

 

「やっやめちぇー!」

 

 子れいむはおそろしーしーをしながら尻を振る。その所為で辺りに尿がばら撒かれ、それは石田にも掛かってしまった。

 ゆっくりの尿の成分は砂糖水だ。しかしいくら砂糖水だといっても排泄行為で出る尿という事には変わりない。石田は苛立ちを覚え、それを子れいむぶつける事にする。

 

「や、やめっ!」

 

「だが断る!!」

 

 石田は子れいむの尻を思いっきり定規で叩いてストレスを発散した。

 

「ゆっぴゃあぁぁッ!」

 

 子れいむは強烈な痛みから泣き叫ぶが、石田はそれに構うことなく何度も何度も尻を力強く叩く。

 

「いちゃいいいいいいい!」

 

 子れいむの尻は赤くなり、細かい傷口から餡子が垂れだしていた。

 石田はリズム良く子れいむの尻を叩きながら、パソコンに流れているコメントを確認する。石田の視線は一件のコメントに注目した。

 それは「本気でやって」というコメントだった。石田は視聴者の要望に応えるため、定規を今までで一番強く振るった。

 

「ゆゆ?」

 

 子れいむは困惑した。急に自分の尻から強い衝撃が走ったと思えば、まるで饅頭が千切れたような鈍い音がしたのだ。子れいむはまさかと思い上体を少し起こして自分の下半身を見た。

 

「れ、れいむのおしりしゃんが! ゆぐぅ! ゆぎぎぎぎ!」

 

 子れいむは自分の下半身が無いことに気が付くと苦しみ始めた。損傷は下半身だけでなく、中枢餡まで達してしまったのだ。

 人間でいえば脳みそが抉られている状態の子れいむは物凄い形相で苦しみ、とても話せる状態では無かった。

 

「は! しまった! つい本気で叩いてしまった!」

 

 子れいむの下半身がない姿を見た石田は態とらしくそう言った。

 その石田の反応にコメントは「おいおい」や「嘘乙」等のツッコみを入れるコメントがあり、石田は嬉しく思う。

 

「おいれいむ~! まだ視聴者は見てるんだぞ~!」

 

「ゆぎっ!」

 

 石田は笑いながら子れいむの中枢餡剥き出し部分を定規で軽く叩く。すると子れいむは返事のように声を漏らした。

 

「さて……このままこの子れいむと遊ぶか、こっちにいる子まりさと遊ぶがどっちが良

いと思う?」

 

 石田は虫篭に入った最後の一匹である子まりさをカメラの前に置いて、視聴者に質問する。

 

「や、やめちぇね! まりちゃはいたいのはいやなのじぇ!」

 

 子れいむがやられる様子を見ていた子まりさは怯えて虫篭の端っこで蹲るが、その行為に苛立った視聴者達は「その子まりさで遊ぼう」等のコメントで満場一致した。

 

「なるほど……子まりさで遊びたいんだね!」

 

「ゆ? いやなのじぇ!」

 

 石田は虫篭から子まりさを出そうとするが、子まりさは虫篭の角を咥えて離さない。

 

「しょうがないな~」

 

 無理やり虫篭から子まりさを剥がしてもいいのだが、それでは面白くないと思った石田は瀕死のれいむを虫篭の中に入れた。

 

「ゆっぴゃあ! れいむ! しっかりするのじぇ!」

 

 子まりさは急いで子れいむに駆け寄ると「ぺーろぺーろ」と舐め始める。

 石田は子まりさが集中している合間に子れいむのお飾りを取った。

 

「何やってんだまりさ。それはれいむじゃないよ?」

 

「ゆ?」

 

 石田の発言に子まりさは硬直する。目の前にはお飾りがない子れいむ。それが子まり

さにはあまあまに見えた。

 

「あまあまなのじぇ!」

 

 子まりさは子れいむの食べ始める。子れいむはまだ死んではいないので、とんだ生き地獄だ。

 

「もっちょ……ゆっくち……し……たかった……」

 

 子れいむは子まりさに食べられながら息を引き取った。

 そろそろ頃合いだろうと思った石田は子れいむの死骸にさっき取ったお飾りを付けた。その瞬間、再び子まりさは硬直する。食べていた美味しい物が急に仲間に変わったのだ。いくら馬鹿なゆっくりでも困惑し、自分が何を食べていたのか理解する。

 

「ゆげぇ……」

 

「吐いちゃダメでしょ! 折角のあまあまなんだから!」

 

 子まりさはショックから餡子を吐き出すが、石田は吐き出した餡子を子まりさの口の中に突っ込む。

 

「これは知らない人が割と多いですが、実はほとんどのゆっくりはお飾りで仲間の事を認識しています。つまりお飾りが無いと仲間だと認識せずに普通は迫害対象になるんですが、今回は子れいむは言葉を発しないという事もあり、子まりさはあまあまと勘違いしたという訳です!」

 

 状況を飲み込めない視聴者に石田はそう説明し、子まりさを虫篭から出した。

 

「ゆっくち!」

 

 子まりさはそう言って俎板の上に着地した。

 普通の人からすれば一見可愛く見えるだろうが、ゆっくりは糞だと分かっている石田にとってはただの煽りにしか見えなかった。

 

「取り敢えずこの子まりさと遊ぶんだけど……どんなのがいい? 殴殺刺殺撲殺斬殺焼殺圧殺絞殺惨殺……なんでもいいよ!」

 

 石田が視聴者にそう聞くとコメントが一気に増える。

 

「まりちゃはゆっくりにげるよ!」

 

 子まりさはそう宣言すると逃げようとするが、そのスピードはさっきの子れいむより遅いので、石田は気にせずコメントに注目する。

 

「え? 呪殺? 流石にそれは無理だよ!」

 

 中には呪殺してというコメントがあり、予想外のコメントに石田は呪いのやり方がわからないのと罰が当たりそうで怖いからと視聴者に説明してやらなかった。

 人呪わば穴二つという意味を知っているだろうか。簡潔に言えば、人を呪うと自分もその報いを受けるということわざだ。たかが一匹の子ゆっくりを殺すために呪って、自分も死ぬという可笑しな事が出来る人はこの世にいないだろう。

 

「ふむふむ……焼殺か……」

 

 コメントが一番多かったのは焼殺だった。

 石田は圧殺と予想していたため、少しテンションが下がってしまう。

 

「焼殺だったら俺のオススメは二つあって、一つ目は足焼き。二つ目は焼き饅頭どっちがいい?」

 

 視聴者に聞いた結果、焼き饅頭が多かった。

 焼き饅頭は名前の通り焼くだけなのだが、ただ焼くだけではつまらないだろう。そう思った石田は棚からある物を取り出した。

 

「もう一匹子れいむを追加しますね。はい、生きゆっくり~!」

 

 ドラ〇もんの声真似をしながら、石田は袋に密封されたゆっくりをカメラの前に近づけた。

 

「これは生きゆっくりと言って、簡単に言えば冷凍ゆっくりの高級版です。見ていてく

ださいね! ご注目!」

 

 石田はカメラの前で袋の封を鋏で切った。

 中に入っていた子れいむは俎板の上に着地する。それと同時に「ゆっくちうまりぇちゃよ!」と言ってポーズを決めた。

 

「ゆっくりはラムネで眠るというのはご存知ですか? この袋の中にはそのラムネが一緒に入っていて、封を開けて中のゆっくりを出せば目覚めるという寸法なんです!」

 

 石田は一生懸命視聴者にどこぞの通販の人のように説明する。

 コメントには「知らなかった」や「常識だろ」等があった。

 

「おとーしゃん! おかーしゃん! どこにいりゅの? きゃわいいれいむがうまれちゃというのになにぇしてるの!」

 

 子れいむは自分が生まれたというのに近くに両親がいないことに怒りを覚え、頬を膨らませる。

 

「それじゃあ、準備するからちょっと待ってね!」

 

 そんな子れいむの様子を見た石田はそう言った。その言葉は子まりさと視聴者にも向けられている。

 

「これと……あとこれ……」

 

 石田は黙々と準備を進める。水の入った500mlのペットボトルにさっきから使っているガラスで出来た虫篭。火をつけるようにマッチをポケットに入れ、そして灯油を取り出して、使用する道具を机の上に並べた。

 ついでに石田は水の入ったバケツを近くに置いておく。火を使うので、もしかしたら何かに引火するかもしれない。その時のために消化用だ。

 

「準備完了! それじゃあ、始めるよー!」

 

 石田はそう言いながらカメラの前でポースを決めると子れいむと子まりさを捕まえ、カメラの前に置いてあった虫篭の中に乱雑に入れた。

 

「なにしゅるのじぇ!」

 

「ゆ、おしょらとんでるみちゃい!」

 

 馬鹿みたいな子ゆっくりの発言にコメントは「草」や「w」が多く、それらがパソコンの画面にいっぱいに流れる。

 

「次はここに水を流します!」

 

 石田は用意したペットボトルを持ち、少しずつ虫篭の中に水を入れていく。

 

「ゆ?」

 

「おみずさんなのじぇ!」

 

 子れいむと子まりさはどうしたらいいのかわからず、オドオドし始める。

 その時にも水はどんどん入れられ、数十秒後にはもう体の半分は水に浸かっていた。

 

「おーい、子まりさ! 帽子の上に乗ったらいいんじゃないのか?」

 

 石田は子まりさに助言する。すると子まりさはその事を忘れていたのか、ハッとした表情をし、自分の帽子に乗り始めた。

 

「ゆ、まりちゃだけじゅるいよ!れいみゅものちぇてね!」

 

「ゆ、むりなのじぇ。きょきょはまりちゃのゆっくちぷれいちゅなのじぇ!」

 

 子まりさは子れいむのお願い事を無慈悲に断った。帽子にゆっくりが二人乗れる程のスペースは到底無いのだ。

 

「のちぇてね!」

 

 水はもう既に頭の部分まで来ていて、子れいむは溺れかけた。このままでは自分の身が危ない。そう察した子れいむは無理やりまりさの帽子に乗ろうとする。

 

「やめるのじぇ!」

 

 しかし子まりさはまるで虫を払うかのように子れいむを叩き落した。

 

「ゆ、ゆごごごおおおぉ……」

 

 子れいむは完全に溺れ、水中の中で自分を殺した子まりさを恨めしそうに睨みつけるが、当の子まりさは呑気に安息の息を吐いていた。

 その光景を目にした石田は計画通りに進み、仮面の下でニヤリと笑った。

 

「これぐらいかな?」

 

 石田は虫篭から水が溢れ出る少し前に入れるのをやめ、ペットボトルを適当な邪魔にならない所に置いた。

 

「ぷーか、ぷーか……」

 

 子まりさは子れいむの事を忘れ、水の上を満喫していた。

 もうその帽子の上からは出られないのだが、子まりさは馬鹿なので気づかない。

 

「まりちゃちゃまはむてきなんだじぇ!」

 

 何を思ったのか子まりさは急にそう宣言した。

 それに対し石田は「そうか、そうか……」と興味なさげに相槌を打って、灯油の入った紙コップを持った。

 

「ゆ、なにしゅるのじぇ!くしょどりぇい!」

 

 石田は灯油をほんの少し子まりさの頭上に垂らし、空になった紙コップをゴミ箱へ投げ捨てた。

 

「あ、因みにこれは灯油です!」

 

 石田は子まりさに奴隷呼ばわりされるも無視して、視聴者の疑問に答えた。石田にとってゆっくりに罵倒されるのは日常茶飯事なので慣れているのだ。

 

「じゃあな子まりさ。ゆっくり逝ってね!」

 

 石田はそっとポケットから一本のマッチを取り出すと擦って火をつける。

 そして、子まりさの頭上に落とした。

 

「ゆぎゃああああ!!あついいいいいいッ!!」

 

 灯油が染み込んだ子まりさの頭に火が引火し、関係のない髪まで燃え始める。

 

「あ、分かってると思うけど水に飛び込んだら死ぬよ?」

 

 石田は帽子から飛び出ようとする子まりさにそう忠告する。

 別に子まりさは火を水で消化するために飛び込もうとした訳ではない。そもそも普通のゆっくりは火という物を知らないのだ。つまりは子まりさはただ単に痛みから転げまわろうとしただけだった。

 

「あれ、まりさは無敵なんじゃないの?」

 

 石田は子まりさを煽るが既に子まりさは皮まで火が点いており、喋られる状況では無かった。

 

「あ……あ……」

 

 暫くすると火が消え、子まりさの姿が露わになった。

 

「これが焼き饅頭です!」

 

 石田は虫篭から子まりさを取り出すとカメラの前に置いてそう言った。

 子まりさの髪は全て灰になり、皮はほとんど黒焦げで、微かに目の位置と口の位置がわかる程度だ。石田の言う通り焼き饅頭という表現が絶妙に合っていた。

 

「まあまだ生きてますが、すぐ死ぬのでこのまま放置しておきますね!」

 

 子まりさはまだひくひくと動いて生きているが、後数十分もしたら絶命するだろうと踏んだ石田は子まりさをそのままそこに放置する事にした。

 

「じゃあこれで終了! 以上! 皆解散!」

 

 そろそろ生放送終了時間が迫っているので石田がそう言うとコメントには「乙」や「お疲れ」などといったコメントがいっぱいあり、石田は嬉しく思う。

 

「また見てくれよ!」

 

 石田が言い終わって丁度放送が終了する。

 

「ふぅ……終わったか……」

 

 緊張が途切れた事により、石田はその場に倒れ込み、余韻に浸る。石田の心の中にはやり切ったという清々しい感情や疲れたという倦怠感が渦巻いていた。

 

「片づけるか……」

 

 早く休憩したい石田は無言で後片付けを始めた。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

 片付けは約三十分で終わり、石田は昼ご飯を食べていた。

 因みに生きていた子まりさは石田がそのままゴミ箱に捨てた。

 

「はぁ~朝からの生放送は辛いなぁ~」

 

 石田は独り言を呟きながら、カップラーメンを啜っていると窓が突然叩かれる。

 

「おにいさん開けてー!」

 

 外から叫んで頼むレミリアに石田は可愛く思い一瞬心を奪われるが、すぐに我に返ると窓を開けた。

 

「レミリア、朝からどこいってたんだ?」

 

「おにいさん今日生放送だったでしょ? だから散歩してたの」

 

「ああ、そうか……」

 

 以前の生放送の時もレミリアは散歩に行っていた。その事を石田は思い出し、納得する。

 

「一人で出歩くのは許可してるが気を付けてくれよ?」

 

 石田は心配そうにレミリアにそう言った。いくらレミリアが金バッジで聡明だったとしても、単純な力では人間に敵わない。

 

「あ、レミリアのご飯は机の上に置いておいたぞ」

 

 石田にそう言われたレミリアはわくわくしながら飛んで机の上に着地した。

 

「わープリンさんだ。おにいさんありがとう!」

 

「ぶふ……」

 

 あまりのレミリアの愛らしさに石田は噎せた。

 

 




いつか、ゆっくり虐待の漫画も書きたい。


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第九話、訪問

だいぶ遅くなってしまった。

反省はしていない。

読み返しをしていないので誤字が絶対あると思います。

気にしたら負け。

※2018/11/22 改稿
 大分と遅くなりました。申し訳ない。




 

 ―自宅―

 

 

 石田が部屋でテレビゲームをしているとチャイムが鳴り響く。

 

「ちょ、レミリア出てきてくれ……」

 

 丁度ゲームの中でボス戦をしていた石田はその場を離れる訳には行かない。なので気が引けるが石田はレミリアに頼む。

 

「仕方ないな~」

 

「ありがとうな!」

 

 レミリアは正直嫌だったが滅多にない石田の頼み事だったので、聞き入れてしまう。

 

「誰ですか~!」

 

 レミリアは玄関までふらふら飛びながら、ドア越しに相手が誰なのか尋ねた。

 

「あー志水だけど……その声はレミリアか?」

 

「志水?」

 

 玄関にある棚の上に着地したレミリアは何処か聞き覚えのある名前である志水を復唱する。それに名前だけではなく、声も聞き覚えがあり、より一層レミリアは記憶を掘り返した。

 

「もしかして覚えてないのか?」

 

「うーん聞き覚えはあるんだけど……」

 

 志水とレミリアはドアを挟んで会話をする。

 レミリアは思い出せそうなのに思い出せない。その初めての奇妙な感覚に頭が痛くなり始めていた。

 

「ああ、そうか……多分レミリアが生まれたての頃に何回か会っただけだから忘れてる

んだと思うよ」

 

「そう……」

 

 腑に落ちないが頭が痛いのでレミリアは志水の言い分に納得する。

 

「で、石田に会いたいんだけど……いる?」

 

「いるけど……」

 

 レミリアは考える。志水を入れるのに石田の許可を取るか、取らないか。いや、恐らく石田は志水が来たと知れば面倒くさいとかいって許可はくれないだろう。そうなれば態々家まで来てくれている志水には申し訳なくなる。レミリアはそう思った。

 

「うーん……」

 

 志水は本当に石田の友達なのだろうか? というかそもそも目的は何だろう。志水自体悪い感じはしなく、それよりなんだか善人の感じがするが念のためにレミリアは抱い疑問を直接志水にぶつけてみる事にする。

 

「おにいさんに何の用事?」

 

「あーこの前帰り道で石田に久しぶりに会ってな。また話したくなったんだ……」

 

 ドア越しのレミリアがわかる程、志水は恥ずかしいそうに言った。

 志水の目的を聞いて、レミリアはこの前石田が「昔の友達に会った」と言っていた事を思い出した。それならば確かに辻褄が合う。

 レミリアは器用に口でドアの鍵を開けた。

 

「開けたわよ」

 

「お、ありがとう!」

 

 ドアが開かれ、レミリアは志水の顔をじっくりと見た。

 やはり奇妙な感覚がレミリアの頭を痛くする。

 

「おにいさんなら、部屋でゲームしてるよ」

 

「悪いな……」

 

 頭を痛くしたレミリアはそう言うと、きょろきょろしていた志水は申し訳なさそうにして家へ上がり、部屋へと向かった。

 レミリアは石田に見つかると志水を入れた事を理由に何かされそうなので、出来るだけ気配を消して志水の後を追った。

 

「ボス撃破! やったぜ!」

 

「先生から聞いてたが、本当に一人暮らしをしてるんだな……」

 

 やっとボスを倒し喜ぶ石田の背後で、本当に一人暮らししている石田に志水は関心してそう言った。

 石田は突然の事に硬直し、恐る恐る後ろ振り返った。

 

「な、なんで志水がいるの!?」

 

「いやレミリアに入れてもらったんだよ……」

 

 石田はあまりの驚きに勢い余って転がり正座し、石田のオーバーなリアクションに志水は呆れた。

 

「ふふふ……」

 

 まるで志水が石田を説教しているような光景を隠れてみていたレミリアは微笑んだ。

 

「何しに来たんだ?」

 

 格好をつけ真剣な表情で言う石田。なお、正座は未だにしている。

 

「いや久しぶりに遊びにきただけだけど……正座やめたら?」

 

「お、そうだな……」

 

 志水に言われ、大人しく石田は正座から胡坐をかいた。実は石田は慣れない正座に足がつりそうになっていたのだ。

 

「ゆっくりと遊ぶか?」

 

 石田は以前に志水とやろうと思っていた事を口に出す。

 

「俺にゆっくり虐待の趣味はないぞ」

 

「そうか……」

 

 石田はあっさりと撃沈し、俯いて負のオーラを纏い始める。

 その明らかな石田の落ち込みように、志水は仕方がないのでゆっくり虐待の話題を振る事にする。

 

「そういえばさ。この前ゆっくり虐待の生放送みたんだけど……」

 

「……!」

 

 石田は志水の発言にドキッとし、まさかバレたのかとヒヤヒヤする。

 

「おい? 大丈夫か?」

 

「だだだ、大丈夫だ。ももも、問題ない」

 

 志水は物凄くしどろもどろになっている石田の心配をする。志水としてはゆっくり虐待の話題を振れば、石田は元気を出すと思っていた。しかし、現実はその反対で石田は明らかに顔色を悪くして汗を垂らしている。

 そこで志水は思い出した。石田は隠し事や嘘がバレそうになると物凄くしどろもどろになり明らかに顔色を悪くする癖があるのだ。

 

「そういえば……」

 

 志水はそう呟いて、視線を台所へと移す。

 

「似ている……」

 

「ななな、なんの事かな?」

 

 石田は必死に分からないフリをするが、バレバレだった。

 志水が言った似ているとは、生放送の時に生主が使っていた部屋と石田の台所が酷似しているのだ。  

 

「まあそんな訳ないか……」

 

 これ以上真相に迫ると石田が倒れそうなので、志水は生放送の事を一旦忘れた。

 

「そうだよ!」

 

 志水が追及を諦めると石田の顔色は次第に良くなっていく。

 その石田の様子を見て、面白いと感じた志水は何か仕掛けようする。

 

「この引き出しに虐待道具が入っていたりして……」

 

「ちょ、やめ……」

 

 石田と志水は互いに固まる。何故なら、志水が引き出しから取り出したのは石田が生放送で使っていたれいむの覆面だった。

 

「こ、これ……」

 

 志水は石田にれいむの覆面を渡そうとする。まさか本当に出てくると思わなかったのだ。

 しかし、出てきてしまったとなれば話は聞かないといけない。志水は何としてでもあの生放送をしていたのは石田なのか、確かめたくなっていた。

 

「あの生放送……」

 

「くそ!」

 

「え?」

 

 急に石田が喋ったと思えばれいむの覆面を取り被った。志水は石田の意図が理解できず、困惑する。

 

「いいか? 君は何も見ていない!」

 

「は……」

 

 突如石田は立ち上がり、志水を指さして力強くそう言った。当然、言われた志水は絶句する。

 

「見ていない! いいな!」

 

「は、はい!」

 

 れいむの覆面を被った石田の迫力につい志水は答えてしまった。

 

「なら、今日は帰れ!」

 

「わ、わかった……」

 

 押し負けた志水は石田に玄関まで案内され、仕方がないので大人しく帰った。

 

「帰ったか……」

 

 志水が帰った事を確認した石田は部屋へ戻ると胡坐をかき、物思いにふけった。

 

「そういえば、あの時……」

 

 石田はレミリアから連想し、過去を思いだす。

 

 




キャラ設定でも投稿しようかな



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第十話、過去中編

※2018/11/22 改稿

 第九話と第十話は以前は同じ話でしたが、分けて改稿しました。


 

 レミィと石田が一緒に暮らし始めて一年という年月が過ぎた。人によって一年を早く感じたり遅く感じる人がいるが、少なくとも石田はとても長い夢を見ているように感じる程、充実した日々を送っていた。

 そんな日々を過ごせたのもレミィが居たからだ。レミィが居たお陰で石田の世界はがらりと変わり、友達も少ないけど何人か出来た。レミィは石田の全てだった。

 石田はそんな幸せな日常がずっと続くものだと思っていた。いや錯覚していたのだ。

 現実は甘くはなかった。

 

 ある日、石田とレミィ、そして志水は少し遠くの山まで遊びに来ていた。いつもなら近くの山や公園で遊ぶが、今日は気まぐれで来ていたのだ。

 

「なあ本当にこっちで合ってるのか?」

 

 志水は不安そうに前方を歩く石田に聞く。慣れない土地の所為か、石田達は迷子になっていた。

 

「行くときにパンくずを落してたからこっちであってる筈……」

 

「いやヘンゼルとグレーテルかよ……」

 

 屈んで落ちてるパンくずを確認する石田に、志水は呆れた表情でそう言った。

 

「こっちだ……」

 

 石田に言われてレミィと志水はその後を追う。今はまだ明るいが、いつ暗くなっても可笑しくはない。それを分かっている石田達の足取りは自然と速くなる。

 

「おにいさん?」

 

 急に立ち止まった石田に志水とレミィは不思議に思い互いに顔を合わせる。

 

「どうしたの?」

 

 レミィは固まる石田の肩に止まって、志水は石田の横に立って前方の道を見た。

 そこにはゆっくり、れいむとまりさが這ってきていた。それもご丁寧にパンくずを食べながらだ。

 そこでレミィと志水はなんで石田が固まっているのかを理解した。

 

「うんめ! これまじうんめ!」

 

 れいむとまりさは石田達に気づかずにパンくずを食べる。まるでパンくずが線路でゆっくりが汽車のようだ。

 

「お前ら何してるんだよ!」

 

 見ていた志水がれいむとまりさを怒鳴りつけた。

 れいむとまりさはパンくずを食べるのを止め、声が聞こえた頭上を見上げる。 

 

「ゆゆ、どうしてにんげんさんがいるのおおおおおおお!?」

 

 志水はあまりゆっくりに詳しくはなかったが、物凄い形相で驚いているこの赤いリボンをつけたゆっくりをれいむ。黒い帽子を被ったゆっくりをまりさと推測した。

 

「なあ、れいむ。どっちに行けば、町に出られるんだ?」

 

「そんなことしらないよっ! このぐずども! あmゆげぇっ」

 

 れいむが話している途中にレミィは光の如く空中から飛来し、れいむの身体を木の枝で貫いた。

 レミィは普段こんな事は絶対にしないが、自分のご主人様である石田が落したパンくずをほとんど食べた挙句、ぐず呼ばわりしたれいむの事が許せなかったのである。

 

「れ、れいむー!」

 

 まりさはれいむの死骸を必死に舐め始める。れいむは見事に真ん中、中枢餡を貫かれおり即死だった。

 

「流石に殺すことはないだろ……」

 

「あっ、ごめんなさい。つい……」

 

「まあいいけど……」

 

 志水はレミィの事を簡単に許した。実は志水もれいむとまりさに少し殺意を抱いていたのだ。

 

「レミリア……」

 

「あ、おにいさん。ごめんなさい……」

 

 いつの間にか隣にいた石田にレミィは謝る。さっきのようにではなく、何処かびくびくしているレミィに志水は訝しく思う。

 レミィは以前に今と同じような状況に陥り、ゆっくりを殺してしまった事があった。その時に石田に怒られたのにも関わらずまたやってしまったため、怒られるとびくびくしているのだ。

 

「別にいいよ……」

 

「え?」

 

 予想外な石田の言葉にレミィは声を漏らす。

 石田はレミィの横を通り過ぎると突然素手で地面に穴を掘っていく。

 

「何してるんだ?」

 

 レミィは石田の行動を理解出来ず、何をしているか聞こうとしたが先に志水が口を開いた。

 

「ゆっくりだってな……一生懸命生きている生物なんだよ。だから無闇に殺したりしたらいけないんだよ……」

 

 悲しそうな表情で石田はそう言うと俯いて、ひたすらに穴を掘る。爪の間に土が詰まり痛いのを我慢してでも石田は掘り続ける。

 穴が掘れたられいむを埋める。それが石田の思う償いだった。

 

「よ、よくも……」

 

 急に喋りだしたまりさ。志水とレミィの視線はそちらに注目する。

 まりさの表情は俯いてわからないが、志水はなんだか嫌な予感がしていた。

 

「よくもれいむを! ゆるさないのぜ!」

 

 ついに怒りを露わにしたまりさは近くにあった太い木の棒を咥えると穴を掘っている石田に飛び掛かった。

 しかし石田はそれに気づかない。志水は咄嗟に身体を動かし、石田の前で仁王立ちをする。石田を庇おうとしているのだ。

 

「しんでゆぐほぉ!」

 

 木の枝が志水に接触する寸前、突然まりさは違う方向へと吹っ飛んで木にぶつかって気絶した。

 

「レミィ……すまん……」

 

 志水は助かったとレミィに礼を言う。

 まりさが吹っ飛んだのはレミィが体当たりを繰り出したからだった。

 

「死んだんじゃないだろうな?」

 

「そ、そこまではやってないけれど……」

 

 志水はさっきまりさが咥えていた木の枝でまりさを突いて生死を確認する。まりさは意識こそ無いが、ぴくぴくしており死んでいない事が分かって、レミィは安息の息を吐いた。

 

「よし出来た!」

 

 志水とレミィがそんな事をしているとは知らず、大人のゆっくりが余裕で入る位の穴を掘り終えた石田はれいむの死骸を持つ。

 

「殺しちゃってごめんな……」

 

 石田はれいむを穴に入れると埋め、手を合わせて黙祷する。その石田の様子に志水とレミィは若干引いていた。

 

「それする必要ある?」

 

 志水は聞くが、黙祷している石田は喋らない。志水はどうしても虫以下の存在であるゆっくりを供養する意味が分からなかった。

 

「さてと、どっちに行こうか?」

 

「えぇ……」

 

 石田は立ち上がると手足についた砂を払ってそう言った。それに志水はさっきまでの自分の質問はどうなったのかと困惑の声を漏らした。

 

「はぁ……こうなったら適当に進むしかないだろ」

 

 志水は溜息を吐くと平然とそう答えた。

 石田は少し考える素振りを見せると言われた通り適当に歩き始めた。 

 

「おにいさんそっちから来たんだよ!」

 

 パンくずがある方向へと歩いていく石田にレミィは訴える。 

 

「あっマジで?」

 

「しっかりしてくれよ……」

 

 全く気付いていなかった石田の天然に志水は頭を抱えた。

 

「あのゆっくり達はこっちから来たからこっちに行こう!」

 

 志水はそう言って、れいむ達が来ていた方向の道を指さした。 

 そして石田とレミィと志水は再び森の中を彷徨うのであった。

 




次は、過去後編かな……



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第十一話、過去後編



 手抜き、そしていつもどおりの駄文。




 

 石田とレミィはいつの間にか大量のゆっくりに囲まれていた。

 

「えっなにこれ……」

 

「おにいさん、落ち着いてね。」

 

 石田は焦っていたが、レミィは少し青ざめていた。

 

「おちび!れいむを殺したのはこいつらなのぜ?」

 

「そうなのぜ!」

 

 まだ少し幼いまりさが、父と思われるまりさに元気よく声を上げる。

 

「「ドス、ドス、ドス、ドス。」」

 

 まりさがドスと言うと、まわりのゆっくりたちもドスと言う。

 石田はそれに対して怪訝な顔をして、レミィはより一層顔が悪くなる。

 石田はレミィを心配していると前方からでかいゆっくり来る。

 

「れいむを殺したのはおまえたちなのかぜ!!」

 

 そう怒鳴るでかいゆっくり。

 体長は大体7m~8mだろう。

 石田は怖くて腰が抜けて声も出なかった。

 レミィは吹っ切れたような表情をしていて石田に声を掛ける。

 

「おにいさん、ここはまかせて逃げて……」

 

「え……でも……」

 

「いいからはやく!!」

 

 そう言われても石田は逃げなくて、悲しい表情をしているレミィの横顔をじっと見つ

めていた。

 その視線に気づいたレミィは語り始める。

 

「実は……私のお母さんはこいつに殺されたの……」

 

「えっ!?」

 

 石田は驚きの声を上げて、呆然としているとドスが喋りだす。

 

「そうか……おまえはあのときのレミリアの子供なのぜ!!」

 

 ドスもレミィのお母さんを殺したことを認めた。

 最初に会ったとき、レミィが瀕死になっていたのは母親が殺されて生き方が分からな

くて、瀕死になったと石田は推測すると不思議と怒りが込み上げてくる。

 

「うおおぉぉぉッ!!!」

 

 石田は不思議と体が勝手に動いていた。

 近くにあった鋭く尖った木の棒を持って、ドスに向かって走り出す。

 ドスはそれを躱す俊敏な行動ができるわけでも無いので、あんよに刺さってしまう。

 

「いたいいいいいいいいいいッ!!よくもやったなぁぁぁッ!!」

 

 ドスが悲痛の叫びを上げるとまわりのゆっくりたちがビクビクし始める。

 ドスは暴れて石田を弾き飛ばし、口を開けてきのこを食べる。

 すると、口に光が集中する。

 

「ドススパァァァアァクッ!!!!!」

 

「え?」

 

 石田は行き成りのことに反応できず、死を覚悟することも出来なかった。

 

「おにいさん!あぶない!!」

 

 レミィは立ち上がった石田を跳ね飛ばす。

 跳ね飛ばしたことによって、石田はドススパークの射程外に行き、レミィはぎりぎり

射程に入ってしまった。

 やがて光は消える。

 石田はドススパークが通った後を見ると驚愕した。

 なんと、草木が焦げて一本も生えてなかったのだ。

 少し呆然としているとレミィのことを思い出し探す。

 

「お……にいさん……」

 

「レミィ!!」

 

 石田はレミィに駆け寄る。

 レミィの姿を確認した石田は泣いてしまう。

 

「どうして……」

 

 レミィは体の右上、およそ四分の一が消滅していたのだ。

 

「早く……逃げて……」

 

 レミィはそう石田に言い、飛んで石田を庇うように前へ出る。

 

「まだ生きていたのかぜ!おまえら殺っちまうのぜッ!!」

 

 ビクビクしていたゆっくりが急に強気になって飛んでいるレミィを石を投げて落と

そうとする。

 石田はどうすることも出来ずに逃げた。

 出来るだけ振り返らずに走ったがつい振り返ってしまう。

 

「おにいさん、―――――。」

 

 最後だけ聞こえなかったが石田は何て言ったかわかった。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

 無我夢中で逃げていると気がついたら家の前まできていた。

 中に入ると爺にレミィは?と聞かれるが死んだと石田は伝える。

 石田は家に入ると一直線に自分の部屋に行く。

 そして、床に仰向けに転がって腕を顔を隠すようにして静かに泣いていた。

 

「うーうー」

 

 レミィの声が聞こえる。

 石田は幻聴と思って無視するが、いつまで経っても消えない。

 石田は声の主を確認しようと立ち上がる。

 どうやら、レミィが寝床にしていた押入れから聞こえるようだった。

 石田は押入れを開ける。

 そこには、まだ幼いレミリアがいた。 

 綺麗なのでレミィが飼っていた可能性があった。

 普通なら追い出すが、当然追い出す気にはならなくて飼うことにした。

 

「よろしくな……」

 

「よろしくなんだど~」

 

 石田はわざと名前をつけなかった。

 名前をつけるのは、あのドスゆっくりを倒してからと密かに決めたからだ。

 

 






出てきてるドスは通常のドスよりもゲスで強化されています



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第十二話、レミリアのお願い

ガンダムの映画を見てきたよ。

あの鎧の中身はマッシュかな?

目をキャスバルに刺されていたし……



 ―自宅―

 

 

「夢か……」

 

 石田は思い出が夢にそのまま出てきて萎える。

 

「おにいさん、起きたの~」

 

「うん?ああ……」

 

 レミリアがふらふら飛んでくる。

 それを石田は受け止める。

 

「そういえば、レミリアはいつも勝手に何処に行っているんだ?」

 

 石田はふと思いついたことを口に出す。

 

「え、えーと……それは……」

 

「あ、言わなくていいよ。」

 

 予想以上に慌てているレミリアを見て石田は遠慮する。

 そして静寂する。

 

「おにいさん、お願いがあるんですが……」

 

「ん?何?」

 

 お願い事なんて珍しいと思い石田は少し驚く。

 

「実は、話し相手になるゆっくりがほしいのです。」

 

 予想以上のお願い事に石田はまた驚く。

 話し相手になるゆっくり=飼いゆっくりということだろう。

 

「(いつかは来ると思っていたが……その時になると迷うな……)」

 

 石田はもし話し相手になるゆっくりを飼って、そのゆっくりとレミリアがすっきり(性行為)をしてしまうことを恐れていた。

 いくらレミリアが金バッジでとても賢くても所詮はゆっくりだ。

 すっきり(性行為)する可能性は0%では無い。

 

「(駄目だ……飼い主が自分のゆっくりを信じなくてどうする!)」

 

 石田はよく考えて、決断を下す。

 

「まあ、いいよ。」

 

 その言葉を聴いてレミリアは喜んで飛び回る。

 石田は自分の愚かさを感じていた。

 

「ただし、条件がある……」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

 俺は、第二ゆっくり公園にいた。

 いつもなら第一ゆっくり公園に行くのだが、最近一斉駆除が行われたため行かなかった。

 ペットショップで飼ってもいいのだが不良品が物凄く多いのと野良や野生の方が育てがいがあるので捕獲することにした。

 何故、俺が今公園にいるのかというと、さっきレミリアに出した条件が原因だ。

 俺が出した条件は相手は俺が決めるということだ。

 

「さてと……」

 

 俺はなるべく人目がつかなくて、ゆっくりがいっぱい居そうな所を探し始める。

 それなりに広い公園なので探すのが疲れる。

 

「この辺でいいや……」

 

 ゆっくりたちは木の後ろや雑草に身を隠していた。

 人間から見たらバレバレだが……

 出てくる気は無さそうなので久しぶりにあれをやることにする。

 俺は大きく息を吸い込んで吐いた。

 

「飼いゆっくりになりたいゆっくりはここに集まってね!すぐでいいよ!」

 

「「ゆゆ、かいゆっくりになれるの!?」

 

 俺の言ったことに野良ゆっくりたちは興味津々だ。

 野良ゆっくりたちにとって飼いゆっくりは夢みたいなことだからだ。

 野良ゆっくりは飼いゆっくりになれば、毎日美味しいご飯を食べれて、おくるみを着て、ふかふかのベッドで寝て、人間を奴隷に出来ると思っているのだ。

 飼いゆっくりを簡単に言うと、お前の衣食住だけ保証してやるからご主人様が求めた時は愛玩動物らしくゆっくりできるように振舞え、と言う事だ。

 

「30ゆ……かな。」

 

 約30匹が集まった。

 種類は、れいむ種、まりさ種、アリス種だ。

 駄目だ。

 レミリアは捕食種なので、同じ捕食種じゃないといけないのだ。

 この時点で俺はこいつらを飼う気は無いので、ついでにストレスを発散することにした。

 俺はこのゆっくりたちを馬鹿だなぁ~と思いながらも話を進める。

 

「かくれんぼをしよう!最後まで見つからなかったやつが飼いゆっくりになれるんだ。」

 

「まりちゃさまがかいゆっくりけっていなのぜ!!」

 

「れいむがぜったいにかつよ!」

 

「ゆへへ、まりささまのちからにひれふすのぜ。」

 

「かくれんぼなんてとかいはね。」

 

 みんなはやる気満々らしいので早速かくれんぼを始める。

 俺は目を閉じて声を上げて、十秒数える。

 そして数え終える。

 目を開けるとゆっくりたちが隠れていた。

 隠れていると言っても、ゆっくり同士の会話が聞こえてくるので場所はわかるが……

 俺は持ってきた鞄からアメやチョコを出して地面に散蒔く。

 するとそれにゆっくりたちが即座に反応する。

 

「あまあまなのじぇ。」

 

「あまあまだよ。これはぜんぶれいむのものだよ。」

 

 ゆっくりたちが隠れている場所から飛び出して、お菓子の所へ駆け寄る。

 お菓子の数が少ない(10個)ということに気づくと喧嘩へ発展する。

 

「これはまりささまのものなんだぜ!」

 

「これはれいむのだよ!」

 

 ゆっくりたちが言い争う。

 最初は暴言だったがどんどんエスカレートしていき、最終的には何でもありの殺し合いになっていた。

 

「しぬのぜ!」

 

 まりさが勢いよく飛び跳ねる。

 

「ゆごはぁ!」

 

 どうやらさっきのまりさはれいむを踏んづけたようだ。

 

「まりささまのかちなんだぜぇ!!」

 

 そう言ってまりさはチョコが置いてある所へと向かう。

 その隙に死んだと思われたれいむは立ち上がりまりさへと忍び寄る。

 

「ゆっへっへっへ……いただきますなのぜ!!」

 

 チョコの目の前まで辿り着き、大きく口を開いて食べようとするまりさ。

 その瞬間、まりさの頬は無くなった。

 

「ゆがあああ!!いたいいいいいいいいいいいい!!」

 

 まりさが地面を転がり回る。

 まりさの頬を噛み千切ったのはれいむだった。

 れいむはまりさの間抜けの姿を見ると笑って絶命した。

 

「くそれいむめ!!」

 

「とかいはなあじね!」

 

 まりさはまたチョコの方へ向くと、アリスが食べていた。

 他のお菓子の方も見るが、すでに他のゆっくりが勝ち残って食べていた。

 

「ゆゆががががががああああああ。」

 

 まりさはそうとうなショックだったのか絶命してしまう。

 他のゆっくりはまりさが死んだことを気にせずにお菓子を食べていた。

 さすがゆっくり……お菓子如きで殺しあうとは愚かしいな。

 

「ゆ、ゆがああなにごれどくはいっちぇる!!」

 

「ゆがあががが」

 

 一匹のゆっくりが騒ぎだすと他のゆっくりも騒ぎだす。

 どうやら効いてきたようだ……

 俺は元から一匹も生かすつもりは無いので、わざと唐辛子を混ぜたお菓子を与えたのだ。

 

「「もっとゆっくり……した……かった」」

 

 譫言で願望を言って死んでいった。

 俺はいつものようにゆっくりの死体を袋に詰めて、ゆっくり回収BOXに捨てておいた。

 

「駄目だな……捕食種が集まっている所に行くか!」

 

 俺はある山へ向かった。

 




一週間以内には……



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第十三話、フラン



またせたな(スネーク風)





 

 

 俺は捕食種が集まる山へ向かっている矢先、とある子ゆっくりを見つけてしまう。

 

「………」

 

 その子ゆっくりはフラン種で瀕死だった。

 俺はレミィとの出会いと似ていることに気づき、これも何かの縁だと思い連れて帰る

ことにした。

 家に向かって歩を進める途中、自動販売機でオレンジジュースを買ってフランに飲ま

せてやる。

 飲み終わるとフランはすぐに寝てしまった。

 俺は出来るだけ日陰を通りながら帰った。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

「ただいま~」

 

 家についたときにはもう日が暮れていた。

 俺はいろいろと大変だったためくたくただった。

 

「おにいさん!どうだった?」

 

 レミリアが目を輝かせながら聞いてくる。

 俺はフランを見せる。

 

「ほら、こいつだ。」

 

 フランを見たレミリアは怪我をしているのを見て、心配そうにする。

 俺は命に別状はないと伝えると安心した表情を浮かべる。

 まあ、しばらくは安静にしなければならないが……

 

「名前はどうするの?」

 

 考えていなかった。

 今考えて名前をつけるか、レミリアと一緒であのドスを倒してから名前をつけるかど

っちにするか迷う。

 

「あ~また今度決めよう……だから今はフランって呼ぼう。」

 

 俺は後者のほうを取った。

 俺はこいつらのためにもあのドス絶対に倒さないといけない。

 あのドスさえいなければ……レミィは……

 

「明日まで起きないと思うから飯食ってさっさと寝よう。」

 

 俺は感情を表に出さずにいた。

 表に出してしまうとあの出来事を知らないレミリアが戸惑ってしまうからだ。

 

「わかったわ、おにいさん。」

 

 俺はふつうにカップ麺、レミリアはプリンを食べてからすぐ寝た。

 いつもならゲームの時間なのだが疲れていて、ゲームをする気力がなかった。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

「やっべ~遅刻だ!」

 

 俺は目覚まし時計をセットし忘れて寝坊していた。

 現在は8時15分だ。

 

「いつも遅刻しているのに何で焦ってるの?」

 

 レミリアの的確な発言が俺の心臓に刺さる。

 確かに俺はほとんど遅刻している。

 そんな俺に堪忍袋の緒が切れた先生は、次遅刻したら宿題を十倍にすると言ってくる

のだ。

 だから、俺は押入れに閉まってあった目覚まし時計を取り出して、使うことにしたの

だが目覚まし時計というものに慣れていなかったため、セットし忘れるという大変馬鹿

なことをしてしまったのだ。

 

「兎に角急がないと!」

 

 俺は急いで制服に着替えて、鞄を持って家を出る準備をする。

 

「それじゃあ行くからフランのことよろしくな!」

 

 俺は家を出ようとしたときにフランのことを思い出しレミリアに世話を頼む。

 

「任せといてね!」

 

 その言葉を聴いて俺は家を飛び出る。

 少しレミリアが心配だ。

 フランは見た感じ子供なので暴れないといいが……

 もし、普通のゆっくりより馬鹿だったら即行であの世行きにしてやろう。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

「さて、おにいさんも学校に行ったしフランちゃんの様子でも見ようかな?」

 

 私は飛んで障害物を上手く躱しながらフランがいるところに向かう。

 部屋に入るとフランがベッドにいるのが見えてくる。

 どうやらまだ寝ているようだ。

 

「お掃除でもしよう!」

 

 いつもならこういう暇な時間は大抵散歩でもしにいくのだが、フランを一人にさせて

はいけないため掃除でもすることにする。

 手も足も無い私は、散らかっている物を器用に口で銜えてあるべき所に戻していく。

 戻し終わったら今度は、掃除機を使って床を掃除する。

 取っ手の部分を器用に銜え、部屋の隅から隅まで綺麗にしていく。

 そもそもこういうことは、私の飼い主であるおにいさんがするべきなのだがまったく

しないのである。

 だから私が進んで週に2~3回やっているのである。

 本当は毎日しておにいさんにもっと褒められたいのだが、私はゆっくりのためそこま

で体が持たないのだ。

 

「やっと終わった……」

 

 ゆっくりが出来る範囲で掃除を済ました私は休憩する。

 何時間か経ってふとフランのことを思い出し、ベッドの方向に視線をやる。

 そこにはフランの姿は無く、私は慌ててフランを探す。

 フランはすぐに見つかった。

 

「うーまずい……」

 

 私は声を掛けようとしたが、フランがしていた動作を見て固まる。

 フランはおにいさんの大事なゲームのカセットを噛んでいたのである。

 

「フラン!やめなさい!」

 

 私はフランからカセットを無理矢理取り返す。

 ディスクの部分に傷が出来てしまっているため、もう再起は不可能だろう。

 

「何故、こんなことをしたの?」

 

「お腹が空いていて……」

 

 それほど酷い理由では無いため私は許すことにする。

 きっとおにいさんも許してくれるだろう。

 

「プリンでも食べる?」

 

「うん!」

 

 私は冷蔵庫に入っているプリンを一つ持ってくる。

 プリンの蓋はゆっくりでは開けることがほぼ不可能なので、予めおにいさんが蓋を開

けて、皿に盛っていてくれている。

 私は感謝しながらフランの前にプリンが乗った皿を置く。

 

「うー美味しい!」

 

 フランは満足気にプリンを食べていく。

 あっという間に食べ終わってしまう。

 

「美味しかったわ!」

 

「礼はおにいs「レミィ!!」」

 

 急におにいさんが叫びながら家に帰ってくる。

 おかしい……まだ、授業中の筈だ。

 

「おにいさん、学校は?それとレミィって誰?」

 

「今日は午前中で終わりだった。レミィなんて言ってないぞ。」

 

 何故か、その表情は暗かった。

 大方、遅刻したのが許してもらえず宿題を十倍にされたんだろう。

 

「貴方は私を助けてくれた人?」

 

「フラン、起きたのか……そうだよ。俺だよ。」

 

「ありがとう……」

 

 フランは少し頬を赤く染めながら礼を言う。

 

「どういたしまして。それとレミリア、掃除してくれてあ…りが…と……う……」

 

 おにいさんは私たちの後ろにある何かを見て唖然としているようだった。

 私とフランが後ろに振り向くとフランが壊したゲームのカセットがあった。

 

「俺のMGS2がぁああああああああああ!!」

 

 その後おにいさんは私たちを許してくれて、フランを飼う事になった。

 

 






今度こそ一週間以内に……




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番外編、志水の災難

第六話の最後で石田と志水が別れたよね。
 
その後の志水の話です。



 

 石田と別れた後。

 志水は道をゆっくりと歩いていた。

 

「おい、くしょにんげん。まりちゃさまにあまっあまをけんっじょうするのじぇ。」

 

 ゆっくりの声が聞こえた。

 下を見ると、子まりさがいた。

 無視をしていたら、子まりさを踏んづけていただろうと思うとゾッっとする。

 何故なら、靴を買い換えたばかりなのだ。

 買い換えたばかりの靴を餡子だらけにするのは誰だって嫌だろう。

 

「おい、聞いてるのか。くしょにんげん。」

 

 志水は無視するのが、妥当。

 そう思い、ゆっくりを踏まないように歩く。

 が、無視しても子まりさはゆちっゆちとついてくる。

 流石にしつこいので、子まりさと会話しようと話しかける。

 

「なぁ、まりさ。いいかげんにしてくれ。」

 

「あまあまをよこすのじぇ。くしょにんげん。」

 

 子まりさは聞く耳を持っていなかった。

 やりたくは無いが仕方が無い。

 志水は渋々、鞄からビニール袋を取り出す。

 子まりさを掴み、持ち上げる。

 

「まりちゃはつばちゃをてにいりぇたのじぇ。」

 

 よく分からないことを言っているが、無視してビニール袋に突っ込む。

 

「まりちゃをここからだすのじぇ。」

 

 袋の中で暴れている。

 けつがもるんもるんとなっている。

 

「ゆ、ゆぎいいいいいいいい」

 

 志水は袋の上からゆっくりを握りつぶす。

 数秒後には、袋の中には子まりさの死体があった。

 

「はぁ~、今日で四回目だよ。」

 

 志水はそう言いながら、袋を鞄の中に入れた。

 その鞄の中には四つのビニール袋が入っていた。

 

「え~と、ゆっくり回収BOXは……あったあった。」

 

 公園近くのゆっくり回収BOXにゆっくりの死骸が入った袋を投げ入れる。

 志水は入ったことを確認し、その場を後にした。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「ふぅ~ただいま~」

 

 靴を脱ぎ、鞄を玄関に置きリビングへ向かう。

 志水はやっとゆっくりできると思っていたが待っていたのは悲劇だった。

 部屋中は荒らされていて、テーブルの上に置いていたみかんが食いつくされていた。

 そして、クッションの上にはゆっくりが眠っていた。

 志水は、すぐさまゆっくりが荒らしたということを理解して、行動にでる。

 ゆっくりは四ゆいて、成体まりさと成体れいむと子まりさと子れいむのようだ。

 まさに、テンプレ家族だ。

 志水は瓶をどこからか持ってきて子れいむと子まりさを入れる。

 

「ゆっにゃに」

 

「ゆゆ、くしょにんげんがいるよ。」

 

 瓶に入れられて、底にぶつかった衝撃で子ゆっくりが起きる。

 

「ゆ、まりさ。くそにんげんがいるよ!はやくせいっさいしてね!」

 

「おい、くそにんげん!ころされたくなかったら、はやくあまあま持って来い!」

 

 子ゆっくりに続いて、親ゆっくりも起きてくる。

 

「あのなぁ~ここは俺の家なの。部外者はゆっくりでていってね。」

 

 そう言ってもゆっくりたちは志水を罵倒する。

 志水は溜め息を吐き、親まりさを蹴り飛ばす。

 

「十秒だけ待ってやる。早く逃げろよ。逃げなかったら……」

 

 志水はゆっくりを脅すがゆっくりは聞く耳を持たない。

 

「くそにんげん!あまあまをもってきたら、さっきのぶれいはゆるしてやらないこともないのぜ!」

 

 さっき蹴り飛ばした親まりさが何かを言っているが志水は無視をする。

 あと、五秒。

 我慢だ。

 

「おとうしゃん!さっさとこのくしょにんげんをせいっさいしてね!しゅぐでいいよ!」

 

 瓶の中に入った子まりさがそう言うが、もう十秒経った。

 志水は瓶の蓋を閉め、瓶を上下に揺らす。

 

「ゆ、ゆげぇぇぇ。」

 

「お、おちびいいいいい!!」

 

 親れいむは瓶の中を見て、餡子を吐く。

 親まりさは悲しみを叫んでいた。

 

「お前らが悪いんだからな。」

 

 立ち上がり、親ゆっくりにそう言って、中身を確認しやずに瓶をゴミ箱に捨てる。

 確認しなかったのは、どうせ死んでいると思ったからだ。

 仮に、生きていたとしても数時間の命だろう。

 

「よ、よくもおちびをおおおおおおおおおおお!!」

 

 まりさが怒り狂いながら突進してくる。

 

「おちびをかえぜえええええええ!!」

 

 まりさは頑張って何回も何回も突進を繰り返すが、志水は痛くも痒くもなかった。

 サッカーボールサイズの饅頭が突進してきても、誰も痛くは無いだろう。

 来るのは少しの衝撃だけだ。

 

「よっと。」

 

 志水は埒が明かないと思ったのか、まりさを蹴り飛ばす。

 さっきから唖然としている親れいむにはゆっくりキラーをかけておいた。

 

「ゆ、ゆがあああああああああ。」

 

 親れいむは、泡を吹き死んでいく。

 ゆっくりキラーは五百円で売られていて、ゆっくりを駆除するための道具だ。

 ほとんどの人が持っているだろう。

 

「れいむ、れいむうううううううう!!」

 

 親れいむの死に気づいたのか親まりさが親れいむを泣きながら舐めている。

 いくら、舐めても親れいむは生き返るわけが無い。

 

「どぼじてごんなことずるのおおおおおおおおおお!!ばりざたち何にもわるいことじてないのにいいいい!!」

 

 親まりさの態度が急変して、泣きながら土下座をしてくる。

 志水はそれを見て、少し引いてしまう。

 

「そりゃあ、お前たちゆっくりが俺の家に勝手に入ってきて、荒らしたからだろ!」

 

「ごごはばりざのお家だああああああああ!!」

 

 親まりさの姿は酷いものだった。

 帽子や顔はぐちゃぐちゃで歯が所々抜けていて、体中から餡子が出ていた。

 このまま逃がしてもきっと助からないだろう。

 

「もう、いい。まりさ……終わりにしようか……」

 

 

 志水は右手で拳を作り高く振り上げる―――――――

 

 

 そのときの親まりさの顔はまさに絶望だった―――――――

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 後日、一斉駆除が行われた。

 場所は主に志水の家の周辺の路地や公園だった。

 

 




最後に、書いてある一斉駆除。

何故、そうなったかわかるかな?

ゆ虐大好きって人はわかるかもしれない。

―――――――――――――――――――――――――――――――

次回は、遅くなりそう……

モンハンの小説も書き始めちゃったからね……



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番外編、夢の中で1



本編の方はもう少し待ってね。




 

 

「は?ここ何処?」

 

 周りを見回す。

 いろんな機材があって、まるで研究所みたいだ。

 

「さあ、ここにあるユックリボール一つだけ選んで、持っていきなさい。」

 

 俺の目の前には何故か、白衣を着た志水がいた。

 机の上には、三つのユックリボール?が置かれていた。

 ユックリボールは、球体で半分が白でもう半分が少し紫ぽい黒で、ゆという白い文字が書いてあ

った。

 なんだ?俺は夢でもみているのか?

 

「石田!先に選んでいいぜ!」

 

 横から声が聞こえたので振り向くとクラスメイトの辻林ことばやしがいた。

 さっきまではいなかったのに……

 

「ほら、早く選べ!」

 

 志水が苛立っているので、ここは大人しく選ぶことにする。

 俺は一つ一つ確認していく。

 

 

 

 でいぶ(れいむ種) Lv5

 

 ゲス化したれいむ。

 主にまりさを番に子供を生むが、ほとんどがでいぶ身勝手で全滅してしまう。

 ほとんど外に出ない為、ナスビ状に肥え太っている。

 中身は餡子。

 

 技 いばる

 

   たいあたり

 

   なきごえ

 

   ゆっくり

 

 

 

 まりさ(まりさ種) Lv5

 

 ごく普通のまりさ。

 主にれいむを番にし、父役を演じる。

 れいむと違い運動能力に優れ、狩りが得意。

 中身は餡子。

 

 技 のしかかり

 

   たいあたり

 

   ぷーすぷーす

 

   ゆっくり

 

   

 

 れいぱー(アリス種) Lv5

 

 ゆっくりを見つけると襲い掛かり、たとえ子ゆっくりでも問答無用でれいぽうする。

 れいぽうされたゆっくりはいっぱい妊娠し、体が耐え切れなくなり死んでしまう。

 中身はカスタードクリーム。

 

 技 たいあたり

 

   れいぽう

 

   すっきり

 

   なきごえ

 

 

 

「(まともな奴がいねぇ~)」

 

「気に入ったのが無かったら、君が飼っているレミリアでも連れて行ったらどうじゃ。」

 

 俺がこの場をどう切り抜けようか考えていると、志水が助け舟を出してくれた。

 というか、レミリアはいったい何処にいるんだ。

 

「おにいさん、こっちだよ。」

 

 なんかしらんが、気がついたら腰にユックリボールがついていた。

 何故、ユックリボールに入っているんだ?

 

「よし、決まったな。ばやし、次はおまえの番だ。」

 

「俺は、これにするぜ。」

 

 ばやしはまりさが入ったユックリボールを手にする。

 

「さて、これから旅に出るおまえたちにいい物を授けよう。」

 

 何故かは分からないが、俺は旅に出ることになっているらしい。

 志水が俺とばやしに携帯電話ぽい何かを渡す。

 

「なぁ~にこれぇ!!」

 

 ばやしは相変わらず、五月蝿いし発音がおかしい。

 

「それはユックリ図鑑だ。使い方は知らん。」

 

「使い方ぐらい覚えろよ。」

 

 志水の発言に俺がつっこむ。

 

「ほら、さっさと旅に行け!早くしないとカップラーメンが伸びてしまうだろ!!」

 

 志水がさっきから苛立っている理由に呆れて、俺はこの研究所?から出ようと出口へ向かうとば

やしがいらないことを言ってくる。

 

「おい、石田!さっかくだから俺と勝負しろ!」

 

▼ばやしが勝負をしかけてきた。

 

▼ばやしはまりさをくりだした。

 

「まりさのあいてはだれなのぜ!」

 

 俺は勝負をしたくはなかったが、レミリアの強さを確認したかったため受け入れる。

 

「誰だ!!俺のカップラーメンを勝手に食った奴は!!」

 

 志水が叫んでいるが気にせずレミリアをくりだす。

 レミリアの顔を見ると、口元に麺がついていた。

 志水のラーメンを食べたのはレミリアだと確信した俺はこっそりとレミリアの口元を拭く。

 

「それじゃあ、行くぜ!まりさ、たいあたりだ!」

 

「レミリア、今からおまえの能力を確認するから適当にあしらっといて。」

 

「わかったよ、おにいさん。」

 

 レミリアはまりさの攻撃を軽々と躱していく。

 

「(さて、今のうちに確認だ。)」

 

 

 

 ???(レミリア種) Lv20

 

 羽を持ち、飛行できるのが特徴。

 捕食種であり、多くの通常種に恐れられている。

 捕食対象に噛み付いては相手の中身(餡子やカスタード)を吸い上げる。

 

 技 吸血

 

   高速移動

 

   捕食

 

 

 

 明らかに他のゆっくりと違い、まともだった。

 さっそく俺はレミリアに命令する。

 

「レミリア!吸血だ!」

 

▼レミリアの吸血攻撃!

 

 レミリアは疲れきっているまりさに噛み付き餡子を吸い上げる。

 

「ゆごおおおおおお!」

 

▼こうかはばつぐんだ

 

 断末魔を上げた数秒後、一気にまりさは中身がなくなり、皮だけになってしまった。

 

「ま、まりさあああああああ!!」

 

 ばやしがそう叫びながらまりさに近づくがもうすでにまりさは力尽きていた。

 

「流石レミリアだ。」

 

 俺はばやしを無視して、レミリアを褒めながら頭を撫でていた。

 

 

                                  

 

 

                                   続く?

 

 






ゆ虐成分が少ない……



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