やはり俺の高校生活は気付かれないまま終わりを告げる。 (to110)
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序章 彼は自分の持っていたものの大きさを改めて思い知る。

初投稿です。文才はないと思います。もし文章で気分を害されるのであれば先に謝ります。ごめんなさい。
タグのキャラ達は今後出す予定がある人達です。それ以外にもだすはあります。
勝手がわからず1時間くらい同じところをさまよって,保存できてなくていちからやり直して,という初めてまんさいでおおくりします。
長編シリーズ第一弾,では,どうぞ。


 

高校生活は留年しなければ3年間で終わる。まぁ,これを世のリア充(笑)どもは終わってしまう,と嘆き悲しむのだろう。そして「また会おうね」とかいって結局そのままであったり,Lineやメールなどのやりとりでだんだん疎遠になっていくのだ。なぜぼっちなのに分かるかって?これは友達の友達のはなしだg……え?いらない?言わなくていいの?まぁ,別に構いやしませんが。

 

 

 

中学校とはまた違った3年間で,卒業だろう。中学校は義務教育の終わりを告げ,小・中を共に,はたまた中学の3年間を共に,それとももっと短い時間か,過ごしてきた人たちと違う電車に乗ることを悲しく思うものだ(これは俺の人間観察という最強の特技を持った俺の結論)。そして,高校は子どもの終わりを告げ,社会に出る不安などをお互いに慰め合い,励まし合い,鼓舞する一種の儀式だ(未経験だからなんとも言えんが,おそらくこうだと思う)。

 

 

 

まぁ,そんなこと,今の俺には関係ない。成績優秀(文系)で,自意識が高い。特になにも感じず,ただただ機械的にこなしてきた俺。いや,訂正すべきところがあるな。なにも感じていないわけではない。うるさいなーであったり,邪魔だなーであったり,そのアニメの会話混ざりたいなーであったり,俺の悪口そこまで言わなくてもいいと思うのになーであったり。まぁ,流石ぼっち。盗み聞きが手馴れてる。聞こえるだけで聴きたいわけではない。

 

 

 

しかし,高校では深く関わった,そんな人たちがいたのだ。暴力教師に頻繁に呼び出されては腹を殴られノックアウトしてたり,文体がめちゃくちゃなライトノベル作家志望兼中二病兼自称八幡の友達であったり,美少女にしか見えずテニスして毎朝あいさつを交わした天使であったり,それから,(たしか)処女で見た目ビッチなアホの子であったり,暴言・失言は吐くが虚言を吐かない見た目(ひと部分を除く)と中身が完璧で自らを曲げず優しい美少女であったり。なかなか楽しかったと思う。いや,楽しかったのだ。今までに感じたことがないくらい,いい日々だった。

 

 

そして今日だ。いつもよりも1時間以上遅く家を出て向かう総武高校。ため息をつき,空を見る。天気は,晴れ。俺の心を晴らしてほしいとむちゃくちゃな願いを込めて,空から目線を下ろし,前に進む。なぜこうなったかは予想ができる。しかし,なぜこのタイミングなのか,理解ができない。

 

 

「ここに名前を,ここに印を,明日までに」

 

 

「……………はい」

 

 

昨日の会話を少し思い出しつつ,俺は最後になる校門を越えていたーーーーー




どうでしたか?楽しんでいただけましたか?今後とも書いていく予定なので,気が向いたら,是非とも読んでください。お願いします。
八幡の語りだけで申し訳ありません。まだストーリーが固まってないもので。次はキャラを登場させられたらいいなと思っています。
お読みいただきありがとうございました。


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第1章 彼は来た道を振り返りつつ足を止めることはなかった。

僕の初作品ということで,文章に面白さを見出せないそこの,あなた。すみません,これが限界です。文才がないだけです。それでも,少しずつでも盛り上げていけたらいいなと思っています。
長編シリーズ第二弾。では,どうぞ。


スリッパに履き替えて靴をしまう。こんなものは一年以上も同じことをしているのだから,ごくごく簡単な無意識で行う動作だ。こんなくだらない動作でさえ,今はくだらないとは思えなくなっている。

 

 

「はぁ」

 

 

ため息と覚悟を決める動作を同時に行い,先に進む。目的地は,校長室だ。かばんから昨日渡された紙を取り出してドアの前に立つ。自分でもわかる。手が震えている。いや,それだけではない。体じゅうが震えているのだ。それでも,震える自分を,押し殺し,ドアをノックする。

 

 

コンコン

 

 

「------どうぞ」

 

 

ドアを開け,ここからの動作は単調なものだ。

 

 

「失礼します。昨日いただいたプリントを提出しにきました」

 

 

「ここまで持ってきて」

 

 

その言葉に従い,紙を校長の前の前の机に置く。校長は紙をしばらく見つめた(書くべきところが書いてあるかの確認だろう)後,こちらを見た。

 

 

「では,明日より比企谷八幡を本校,総武高校より退学とする。今日は本校の生徒として扱うから自由に見て回るといい。お大事に」

 

 

「-------失礼します」

 

 

そう言い,校長室を出た。ここで改めて自分の行動がわかった。-----俺は-----退学届けを出したのか----

 

 

声に出すつもりはなかったが,おそらくは呟くくらいの声量はあったと思う。そして,校長に言われたとおり,自由に歩き回るとしよう。教室は,授業中か。なら,あそこに行こう。

 

 

長い長い階段を昇り,着いたところは屋上だ。ドアを開け,手すりを見る。相模が触っていたところだ。ここで葉山を利用して相模を体育館に移動させた。そこで,俺は相模に言葉を浴びせ,泣かせ,そしてこの退学につながった。だが,後悔はない。俺のとったその行動を,理解してくれる人達がいたのだ。正直,嬉しがった。屋上をあとにして,次の場所に向かおうとした時にチャイムが鳴った。おそらく放課の合図だろう。生徒との接触は避けたいから次のチャイムまでここにいるとしよう。

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

チャイムが鳴り響き,俺は立ち上がり屋上を出た。次に行くのは,ずっとお世話になったベストプレイスだ。今は昼休みの時間じゃないから少し風の角度が違う。できれば昼休みの時間にここに来たかったが,仕方ないだろう。ここで天使と出会ったなー。いやー,天使だった。あそこのテニスコートで試合をしたな。中二病が俺のキャッチャーフライに名前とかつけてたな。さぁ,最後は-----

 

 

とある教室の前に立ち,あることを思い出す。鍵,いるよな。しかし,ドアは開いていた。

 

 

「なんで開いてんだ」

 

 

中に人はいない。少し進むと長机に紙があった。




1100文字にはしたくなかったので,ここで切ります。なんか,思ってた以上にもじ数が多かったです。
いい加減,他のキャラ出さないとあきてきますかね。次回は頑張ります。
こんな駄文,最後までお読みいただきありがとうございました。


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第2章 彼女は彼女が知らないうちに時間が進んでいるのを気づきはしない。

書いていくと楽しくなっていくものなんですね。指と頭がじゃんじゃん動いていきます。ただ,題名がいいのが出てこないし,文章がとんでもないし,読者を惹きつけるほどの腕がない,などなど,様々な問題点が出てきました。
長編シリーズ第三弾,では,どうぞ。


君を守れなくてすまなかった。

ご家族に説明すらできない私を許してほしいとは言わない,でも謝りたい。すまない。

家庭で過ごしにくくなってしまいましたか。

勝手なことを言うが,君ならうまくやっていけそうな気がします。

でも,もし逃げたくなったなら私のところへ来なさい。

責任を持って保護します。

相談にも,いつでも乗ります。

話は変わるが,君がこれを読んでいるということは,やはり,ここが思い出の場所ということでしょうか。

君がいなくなって,この場所はすっかり変わってしまいました。由比ヶ浜があれ以来ここに来なくなり,雪ノ下の一人に戻ってしまいました。メールや電話のやりとりはしているそうですが,ここにいたくないということでしょうか。雪ノ下もノックのことを言わなくなったりなど,彼女らは変わりました。君の存在はやはり大きかったということでしょう。

ただ,この文章は君を不安にさせたいわけではなく,ただ単に君はいなくてもいいような人間ではないということを伝えたいだけです。

平塚静

- - - - - - - - - - - - - - -

 

 

「やっぱりいい先生だよ,あなた」

 

 

心の底から思ったことだ。少し椅子に腰をかける。毎日放課後にここで本を読んでいて,反対側には雪ノ下が本を読み,由比ヶ浜がその横で携帯をいじっていてーーーー

 

 

ーーーーーここに長くいたらいけないな。早く出ないと。涙が出てきそうだ。早く,早く。

 

 

そう思いながら,ドアを勢いよく開けたらそこにはもう見てはいけない,そう思った人がいた。

 

 

「比企谷君,なぜここに」

 

 

この問いに答えてはいけない。解を彼女に伝えてはいけない。だから,考える間もなく俺は走っていた。否,ーーーーー逃げていた。

 

 

---------------

 

 

「比企谷君!」

 

 

そう叫んだときには彼はもう見えなくなっていた。なぜ,彼がここに。なぜ,今更ここに。疑問はたくさんあるけれど,あとで平塚先生に聞けばわかるかしら。彼が出てきたってことは鍵が開いてるってことよね。職員室に鍵はあったのに。まぁいいわ。早く入って由比ヶ......依頼者を待ちましょう。

 

 

え?なにかしら,この紙。彼が置いてったのかしら。いいえ,今更彼がそんなことするわけがないわ。じゃあ,誰のかしら?気は引けるけれど,見てみましょう。

 

 

ーーーーーーーこれは⁉︎

 

 

気づいたときには職員室の前に,私はいた。平塚先生に聞かないと。早く聞かないと。この紙の意味を。

 

トントン

 

 

「失礼します。雪ノ下雪乃です。平塚先生はいらっしゃいますか」




今回はここまでです。続きが気になりますか?気になりませんって?知ってますよ。
今回もこんな駄文に付き合ってくれてありがとうございました。
初めて具体的に名前を出してみました。
今まで八幡の独り語りで進めてきて,違う人を出してみると,いまいち言葉がわからないものですね。
ゆきのん可愛くできてましたか?


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第3章 彼女は自分の無力さを思い知る。

やばい。前書きに書くネタですらもう尽きてしまった。どうしよう。^o^
アニメももう折り返し地点あたり。これからどうなるのか。原作を読んでないので,楽みでなりません。
グダグダお送りする長編シリーズ第四弾,では,どうぞ。


「なんだね,雪ノ下」

 

 

「これはどういうことですか。説明してください」

 

 

私はさっきの紙を突き出す。先生が顔色を変えた,とまでは言わないけれど,とまどっているように見えた。

 

 

「なぜそれを?」

 

 

「比企谷君とすれ違いました。おそらくは彼の忘れ物でしょう。答えてください。これはどういうことですか」

 

 

「....はぁ。どうしても聞くのか?」

 

 

「はい」

 

 

「あいつは,比企谷は,退学した」

 

 

「えっ?」

 

 

退学の意味を理解はすぐにできたけれど,頭が,体が,それに反応できない。持っていた紙は私の手から落ち,風に乗って職員室中を駆け回った。理由は?原因は?おそらく私にもそれに関わってる気がする。いえ,関わってるはず。だから,私はそれを聞かなければいけない。

 

 

「なぜですか」

 

 

「ここではなんだ,話にくい。部室に行こう」

 

 

部室に行き,私は改めて問う。

 

 

「改めて聞きます。なぜ比企谷君は退学したのですか」

 

 

「誰にも言わないことが条件だ。これが呑めるのならば言うとしよう」

 

 

「勿論です」

 

 

「はぁ,退学の理由はーーーーーー」

 

 

ためが長い。どうしてこんなにためを作るのかわからない。そして,先生が次に口を開いた。

 

 

「ーーーーーーー理由は,相模の一件だ。どうやらPTAや教師陣が校長先生のところに押しかけたそうでな。校長もその迫力に気圧されたのか,もともとその情報を持っていたのかは知らないが,すぐに行動に移したようだ。そして昨日呼び出しがあり,今日,退学届けを出しにきたということだ。そして,学校の思い出深いところを見て回っていた,というところだろう。そこで,君とすれ違った」

 

 

彼が本当の悪役になることで,相模さんを助けた一件が,彼を,彼の道を曲げた。そして,そうなった原因は私にある。私が勝手なことをやって相模さんの居場所を奪い,捜索を比企谷君に任せてしまった。彼だって傷つかないはずないのに,それでも一人の人を救った彼を,そんな彼の評判を落としたままにしておいた私が,原因。

 

 

「いっておくが,やけは起こすなよ」

 

 

「なぜ...ですか」

 

 

「比企谷のためだ。あいつは君に,君たちに影響が出ないやり方をとったんだ。あいつが校長先生との会話中に一切君の名前も,この部のことも言わなかったのだ。だから,君は,行動してはいけない。

もっといえば,比企谷が君を脅した,なんて理解をされかねないし,奉仕部や君たちが罰を受けかねない」

 

 

ーーーーーーー声が出ない。これで幾つかの疑問はなくなった。なぜ先生がわざわざ言うな,なんて前置きをしたのか。由比ヶ浜さんには絶対に聞かれてはいけないから。なぜ比企谷君があの日を境に部室に来ていないのに,今更来たのか。それはここが大切な場所だったから。なら,なら私はーーーーーーーー

 

 

「先生,お願いがあります」




毎度のことながら,こんな駄文にお付き合いいただきまして,ありがとうございます。
さて,今回はゆきのんと平塚先生の会話を中心に書きました。事件が見えてきましたね。惹きが弱いって?これ以上どうしようもないので,どうにかして読んでください。
次回をお楽しみに。ガハマさんをそろそろ出したいところです。


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第4章 彼女は彼ら彼女らのために再び動き出す。

やばい。このペースでまともに書いていったら,とんでもない話数になってしまう。さて,どないしよう。
駄文長編シリーズ第第五弾,では,どうぞ。


今日,平塚先生に呼び出されたから,部室に行くけど,ほんとはもう,行きなくないな。あの日から一度も来てないのに,足が反射的に進む。反射くらい意味わかるし!でも,ドアを開けれない。.....でも,行かなきゃ。きっと,なにかあるから。ーーーーーでも,なんの用事なんだろ。

 

 

ドアを開けるとゆきのんがいた。いつもの位置に,いつもの,位置にーーーーー

 

 

「由比ヶ浜さん,早急に話さなければならないことがあるわ。こっちに来て座ってちょうだい」

 

 

「う...うん」

 

 

私はいつもの,いつもの位置に座って,ゆきのんの話を聞く準備をした。やっぱり,あのことかな...ヒッキーとなにかあったのかな,やっぱり。

 

 

「さっき,比企谷君と会ったわ」

 

 

やっぱり,そうなんだ。ヒッキーはーーーーー

 

 

「勘違いしないでちょうだいね。彼とは会話はなかったわ。でも,そのときにこれを拾ったわ」

 

 

ゆきのんの白くて細い手に握られた紙が私の前に出された。え.....なに,これ。どういうーーーーー

 

 

「私も気になって平塚先生に問いたわ。そしたら,彼が,比企谷君が,退学するようなの。そこで,由比ヶ浜さんに..,由比ヶ浜さん!由比ヶ浜さん!由比ヶ浜さん!」

 

 

最後の方にゆきのんが呼んでたみたいだけど,返事ができなかった。

 

 

「ーーーーーーん」

 

 

「由比ヶ浜さん大丈夫?」

 

 

「どうしたの?」

 

 

「あなた,急に倒れて。ここは保健室,頭とか,大丈夫?」

 

 

倒れ.....ヒッキーが退学するって聞いたからかな。でも,でもそれって,私の,私のーーーー

 

 

「比企谷君の退学の原因はあなたではないわ。原因は私が彼をーーーーー」

 

 

「ーーーーーーさがみん,のときの,だよね?」

 

 

「えっ⁉︎.....,嘘はつけなさそうね。そ,そうよ。文化祭の一件が原因よ。そこで,あなたにお願いがあるわ。比企谷君を連れ戻ーーーーーー」

 

 

「ヒッキーは,ヒッキーはあの日逃げたんだよ‼︎連れ戻したって,つらい,だけ.,.だよ..,.....」

 

 

「わかったわ。ごめんなさいね。用件はそれだけだったのよ。でもーーーーーーー」

 

 

「でも,ゆきのんのお願いなら聞かないとね‼︎私はなにをしたらいいの?」

 

 

本当は,やりたくない。つらいから。でも,多分,ゆきのんもつらいと思う。だから私も逃げたらいけない。ヒッキーが逃げたままなのもダメだし。

 

 

「由比ヶ浜さん........

やってほしいことはまず,彼と深く関わった人,材木座君,戸塚君,葉山君を説得して味方につけてほしいの。でも,比企谷君のためにと言ってほしいの。退学の話はしないでほしいの。できそうかしら?」

 

 

わざと,ありがとうってゆきのんは言わなかったんだよね。多分,私の気持ちがわかってるからーーーーーーー

 

 

「うん,わかった‼︎やってみる‼︎」

 

 

「よろしくね」

 

 

この時間だと中二は帰っちゃたかな。彩ちゃんからかな,まず。ヒッキーと一緒にいること多かったし。




ゆいゆいを(無理やり)登場させて,物語の展開を見せました。ゆいゆいとゆきのんの心理をご想像してお読みください。今後とも,よろしくお願いします。


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第5章 彼の道は前も後ろも抜け道もないことに彼ら彼女らは気づきはしない。

なんなんだ。この題名は.....
絶望すら思わせるネーミングセンスだ。
駄文100%で書かれる長編シリーズ第六弾,では,どうぞ。


俺は昨日お別れをした総武高校にまた来ている。昨日は明確な理由だったが,今日は意味がわからない。平塚先生に呼び出され,伝え忘れがあったようだ。なら,なぜ呼び出す?自分で来いよ。てか,電話でいいだろ。まぁ,おそらくはーーーーーーーー

 

 

ガラガラ

 

 

奉仕部部室のドアを開け,そこにいたのは美少女二人。彼女らはいつもの場所にいた。ただ,いつも通りじゃないのは,彼女らがキャッキャウフフな会話をしてないことと,俺への挨拶がこないことだ。その代わりに,こちらに注目している。最初に口を開くのは,やはり彼女だ。この呼び出しの主犯であろう,彼女。

 

 

「久しぶりね,比企谷君。待っていたわ」

 

 

この状況じゃなかったら嬉しさのあまり死にそうな台詞を聞き,いつもの場所に座る。

 

 

「何の用だ?」

 

 

「あら,なぜ部員を呼び出すのに用がいるの?」

 

 

「部員じゃないだろ俺は。退部届はちゃんと出した」

 

 

「認めた記憶なんてないわよ」

 

 

「否定された記憶もないぞ」

 

 

「ーーーーーーーまぁいいわ。ではお望み通り,用件に移りましょう」

 

 

「あのね,ヒッキー。いろいろと聞きたいことあるの」

 

 

「古文か?現代文か?学年3位よりも一位の雪ノ下に聞いた方が確実ーーーーー」

 

 

「ふざけないでヒッキー‼︎どうしてそうやって逃げるの?あの日も今回も。」

 

 

「今回ってなんだ?」

 

 

「自分からは言わないつもりなのね,あなたは」

 

 

雪ノ下はいつも以上に眼が怖いし,由比ヶ浜はなぜか真剣な眼をしてるし。本当になんなんだ?まさか,平塚先生が口をわったか。

 

 

「なんで頼ってくれないの?退学のこと。いつもいつも勝手に一人でやっちゃって。ヒッキーは独りじゃないのに‼︎」

 

 

「ーーーーーー頼りようがないだろ。俺とお前らが関わったらダメなんだ。平塚先生から聞いてるだろ?」

 

 

ーーーーーーーー沈黙が降り注ぐ。彼女らもわかっているのだ。自分たちじゃどうしようもないことを。今回に至っては俺が悪。完全な悪だ。俺のやったことを理解できるやつらは少数で,且つ他に居場所を持っている。由比ヶ浜は上位スクールカースト,戸塚はテニス部だし女子からの人気もある,平塚先生は教師だから生徒に対して平等でなければならないし,雪ノ下でさえ由比ヶ浜という友達ができて独りでなくなった。いくら俺と関係を持っていても,俺との繋がりはその程度なのだ。悲しくはない。これが俺だ。ぼっちを極めた俺の道だ。

 

 

「これ以上,用がないようならもう帰るぞ。じゃあな。」

 

 

これでいいのだ。俺は彼女らに対してあの言葉を発してはいけないのだ。だから,これで終わりだ。

 

 

「待ちなさい!私が,私たちが,なんの策もなしに呼ぶわけないでしょう。これを見なさい」

 

 

「これ,集めたんだよ。だからさ,ヒッキー,私たちを頼ってよ」

 

 

出された紙には,俺と関わった人の名前が綴られていた。




いかがでしたか?3人で会話回すのしんどいです。雪乃,結衣,八幡の台詞しっかり分かれていましたか?
もう六話ですか。早いですね。
今回もご一読していただきありがとうございます。
次回もお読みいただければ嬉しい限りです。


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第6章 彼の道は気づかぬうちに大きくそれていた。

少し短く感じるという,貴重なご意見をいただきましたので,少し長くしてみようと思います。皆様もご意見等ございましたら,よろしくお願いします。
今日も今日とて送られる長編シリーズ第7弾,では,どうぞ。


紙には,戸塚と材木座と葉山と由比ヶ浜と雪ノ下の名前が。

 

 

「比企谷君が困ってるって言ったら有無を言わずに書いてくれたわ。これでも,まだ逃げられると思っているの?」

 

 

はぁ......よくやるな。彼女らは行動したのだ。逃げた俺を戻すために。これで逃げれる訳もないか。

………………すまん材木座。本気で忘れてた。気軽に忘れられるあたり,やはり奴はぼっちということか。いい奴なんだなお前,知らなかった。

 

 

「学校側としても私と葉山君の名前があることで,十分な力になると思うのだけれど。どうかしら,比企谷君?」

 

 

「お前らからは逃げ切れるわけがないことがよくわかった。もう逃げるのは,やめだ。だが,まずそれを片づける。だから,それが終わってからでいいか?あの日のことは」

 

 

「ええ,勿論。まずは目の前の問題から片づけましょう」

「いいよ,ヒッキー‼︎」

 

 

二人ともすごい笑顔だ。胸が痛む。だが,今はそれを置いておく。まずは目の前の問いから解を導き出す。そのためにはーーーーーーー

 

 

「雪ノ下!由比ヶ浜!」

 

 

ためを作る。ずっと出せなかった,出さなかった言葉を。今まで俺を苦しめてきた言葉を。裏切りのない彼女らに,この言葉を言う。ーーーーーーーー

 

 

「俺を助けてくれ。お前たちを,頼らせてくれ」

 

 

すると彼女らはさらなる笑みを浮かべて,

 

 

「仕方ないわね。助けてあげる」

「しょーがないなー,ヒッキーは弱いもんね‼︎」

 

 

ーーーーーーで,このあと何をすればいいかが全く思いつかない。

 

 

「んで,何すんの?」

「それで,何をすればいいかしら?」

「次は何しよーか?」

 

 

ーーーーーえっ⁉︎お前ら決めてたんじゃないの?

 

 

「ええと,ひとまずこの紙を校長先生に突き出せだいいのかしら?」

 

 

「それ以外ないか」

 

 

「うん.....そうだね」

 

 

早速出鼻をくじかれている。どうしてこうなった。まぁ,目的は決まった。次は行動に移すとしよう。

 

 

「俺が行ったって,反感を買うだけだ。お前ら二人で行ってくれ。それで,この紙をベストのタイミングで出せ。その後は,まぁ,わかるか。会話での主導権は雪ノ下が握ってくれ。由比ヶ浜だと,流石に心配があるし,学年一位のお前がやった方が効果的だ」

 

 

「なら私一人でいいんじゃないの?」

 

 

「由比ヶ浜はバカでアホの子だが,空気の読み取りはお前より遥かにうまい。そういうことだ」

 

 

「なるほど,そういうことね」

 

 

「......ねぇ,なんで私がバカとかアホの子とか言われてるの?ゆきのんもそれで納得しちゃってるし。なんか,納得いかない‼︎」

 

 

「よし,それでは健闘を祈る」

 

 

「由比ヶ浜さん,その話はこの件が終わったら問いただせばいいわ」

 

 

「うん,そうたね。ヒッキー,覚悟しててよ‼︎」

 

えー,うそー。雪ノ下の奴,さりげなく無罪を勝ち取っていきやがった。全部俺に押し付けやがった。まぁ,あの奉仕部の日常が戻ってくると思えば楽しーーーーーーーーーー果たして,戻ってくるのだろうか。いや,戻れるのだろうか。彼女らと奉仕部で過ごしていた日常に,本当に戻れるのだろうか。ーーーーーーーーーーダメだ。今は違うことを考えないようにしよう。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

コンコン

 

 

「どうぞ」

 

 

「失礼します。雪ノ下雪乃です。」

 

 

「失礼します。由比ヶ浜結衣です」

 

 

「お話があります。ます,比企谷君の退学理由を明確に教えてください」

 

 

校長先生の顔つきが少し変わった。どうして知っているのか,といった顔ね。苦い顔をして校長先生は口を開いた。

 

 

「.....言えない」

 

 

「言えないってどういうことですか」

 

 

「言えないものは言えない」

 

 

校長先生の眼が私をじっくり見たあと,ちらりと由比ヶ浜さんの方に動いてすぐに戻した。まさか....!

 

 

「由比ヶ浜さん,出直しましょう」

 

 

「え⁉︎でも,まだ紙をーーーーーー」

 

 

「失礼します」

 

 

「待ってよゆきのん‼︎」

 

 

ドアを開けて外に出る。おそらくこの一件,私が原因。いえ,やはり,というべきかしら。

 

 

「由比ヶ浜さん,先に戻って比企谷君と少し待機していてもらえるかしら?」

 

 

「えっと......あ,うん。わかったよ‼︎」

 

 

由比ヶ浜さんが去ったあと,私は踵を返し,再びあそこへ向かう。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ふふっ。ゆきのんもトイレ行くんだな〜。ひとまずヒッキーのところに戻ろ〜。

 

 

「やっはろー‼︎ヒッキー‼︎」

 

 

「んで,どうだった?てか,雪ノ下は?」

 

 

「あいさつくらい返してよ.......ゆきのんは多分トイレに行ったよ。玄関の近くで先に行っててって言ってUターンしていったから。それからーーーー」

 

 

「おい!お前はバカか!」

 

 

「な,なんでそうなやってーーーーー」

 

 

校長室と玄関の間にトイレはないだろ!取り敢えず何があったか教えろ!」

 

 

「ええと,まず部屋に入ってーーーーー

ーーーーーーーってことがあったの」

 

 

「他には何かなかったか?校長の仕草とか」

 

 

「う〜ん〜。あ,そういえばゆきのんのことじ〜っと見てた気がするな〜。まぁでも,ゆきのん美人だし,頭いいし,それは仕方なーーーーー」

 

 

「何でそれで気づかないんだよ!」

 

 

ヒッキーは走っていった。......訳がわからないよ。でも,なんでだろう。ーーーーーって追いかけた方がいいよね。

 

 

「待ってよ。ヒッキー‼︎」

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

どこで間違えた?どこでこの問いを取り違えてた?今まで解は間違っても問いを間違えることがなかったから考えなかった。ーーーーーーーーーーちくしょう,そもそも相模の一件は別にいじめでもなければなにか証拠があったわけでもない。そんなことで学年国語三位を辞めさせるわけもない。もっと,違うところだったんだ。違うところでーーーーーーーーー

 

 

走っていると雪ノ下を見つけた。だが,彼女はーーーーーーーー眼を赤くして,ただ一直線に,歩いていたーーーーーーーー

 

 

「おい!雪ノ下!」




はぁ,はぁ,いつもの倍の量は疲れる。きついでもいかがでしたでしょうか?このくらいの方が読んでて楽しいでしょうか?もともと楽しくないから関係ないって?知ってますよ。あれ,視界がぼやけて....
っと話をそらさないとネタがないんですよね。エンドもある程度固まってきました。バッドエンドかハッピーエンドか。どっちてもいけそうな感じに物語は進んでいます。どうしよっかな〜。次回もお楽しみに。


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第7章 彼ら彼女らの過ごした時間はあまりにも大きかった。

題名のネタがない。これが,最近の悩みです。
前書きと後ろ書きのネタがない。これが,最近の悩みです。
因数分解すら一時期でも理解できてなかったことが情けない。これが,最近の悩みです。
悩みの先の長編シリーズ第八弾,では,どうぞ。


私は由比ヶ浜さんと別れたあと,校長室に向かった,一直線に。そして,先ほどと同じ動作で入室する。

 

 

「それで,先ほどの件ですが」

 

 

「君一人か?雪ノ下さん」

 

 

「はい」

 

 

「理由だったな。お母さんから聞いてないのか?本当に」

 

 

「母が原因なんですか」

 

 

「聞いてないようだな.......実行したのはそうだが,原因は違う。だがーーーーーーー」

 

 

「早く教えてください!」

 

 

自分でもわかった。語尾が強くなったことが。そして,原因がーーーーーーーー

 

 

「原因は,君だ。雪ノ下さん」

 

 

そこまではわかってた。でも,それ以上を知らない。なんで私が原因なのか。

 

 

「なぜ私が原因なのですか」

 

 

「直接話しなさい。繋がっている」

 

 

そう言い,受話機を私に渡した。

 

 

「もしもし」

 

 

『雪乃,言いたい放題言ってるわね』

 

 

「お母さん.....」

 

 

雪ノ下家で最大の,言い方は悪いけれど,権力者。

 

 

「なぜこんなことをしたの?」

 

 

『あなたのためと,雪ノ下家のためよ。あんな男といたって利益がないわ』

 

 

あの男というのは,まず間違いなく比企谷君。でも,どうして私の知っているの?監視されてた?いいえ,あの人はそんなことしない。じゃあなぜ?でも,今はそれ以上に重要なことがある。

 

 

「それと,由比ヶ浜さん?だったっけ?彼女もあなたの邪魔なのよね?理由をこじつけて退学もさせられるけど?」

 

 

「ーーーーーーーーーーー」

 

 

言葉が出ない。声が出せない。ここまで感情がはっきりすることがあるのね。それでいて,頭は冷静。

無言で受話機を置いた。もう私には,なす術がない。母が相手,これだけでもう勝てない。彼を,比企谷君を,助けるどころか,由比ヶ浜さんすらあと一歩で巻き込んでしまうところだった。

 

 

私は無言で退室した。

 

 

私が原因で,彼が。しかも,相模さんの一件とはわけが違う。あれは,まだ彼が能動的に動いた結果。だから,彼も納得して退学届を出した。でも,これに関しては彼に非はない。ーーーーーーーー視界がぼやけるのがわかる。多分,私は泣いている。でも,もう彼には会えない。だってーーーーーーーー

 

 

「おい!雪ノ下!」

 

 

ーーーダメーーーダメーーー今,会ったら,今,話しかけられたら,私はーーーーー

早く逃げないと。私は踵を返し走り出そうとする。

 

 

「待て,雪ノ下!どうした!」

 

 

彼の声が聞こえる。彼が大きな声を出すところは見たことないし,ましてやその声を聞いたこともない。とても聞きやすくて,とおる声。でも,聞いてられない。早く逃げないといけないのだから。

 

 

「待てっつってんだろ!雪ノ下!」

 

 

彼の声が近づいてくる。これ以上,近づかせてはいけない。早く諦めて!

 

 

強く右手が引っ張られる。ーーーーー追いつかれてしまったのね。比企谷君はいつも逃げるのに,ほんとうに,諦めが悪い。

 

 

「何があったか話してもらうぞ。いいな」

 

 

でも,これを話したら,話しちゃったら比企谷君も由比ヶ浜さんもーーーーーーー

 

 

「他人は逃さないのにお前は逃げるのか!」

 

 

強く引っ張られてた手をさらに引っ張り180度,比企谷君の方を,向かせた。彼の顔は近くにあるのによく見えない。ーーーーー今は話せない。

 

 

「今は落ち着きたいの。一人にさせてちょうだい。」

 

 

「じゃあ,話せるくらいになるまで落ち着いてこい。ただ,お前がその時間に傷を負わないということが,条件だ。」

 

 

「.....わかったわ」

 

 

そう言うと,彼は手を離した。そして,

 

 

「二人で待ってる。必ず来いよ」

 

 

「ええ」

 

 

比企谷君は戻っていった。彼は行動が相変わらず,早い。そして,私を理解してくれてる。あそこで何も言わなかったら私を離すことになる。きっと,私はあの場所,私の大切な場所に戻れなくなるような,ことをしたと思う。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

ヒッキーが,ゆきのんが何か話すけど,その準備がいるって言って部室に一緒に帰ってきてから,30分はたったのかな。ゆきのん,何するんだろう。というか,何をしてきたんだろう。気になるけど,多分そのことを話すのに覚悟みたいなのがいるんだよね。だから,電話もメールもしない。ただ,待つの。

 

 

「ねぇヒッキー」

 

 

「ん?なんだ」

 

 

「なんで,ーーーーーーー」

 

 

少し心を落ち着かせる。私も,多分ゆきのんも,ヒッキーに聞かなきゃいけないことが,聞きたいことがある。

 

 

「なんで私の,ううん,私たちからの告白から逃げたの?」

 

 

そう,ヒッキーはあの日,私たちからの告白から,逃げたんだ。その理由は,知らなきゃいけないことだし,知りたいこと。だから,この答えが聞きたい。




なんか,急にハイペースになった気もしますが,引き伸ばすためのネタがなくなったんでしょうかね。自分のネタは,引出しどころか,棚すらないので,本格的にやばくなってきました。まぁ,完結はさせる予定ですがね。
さて,今回もお読みいただきありがとうございます。毎度毎度ほんと,ありがとうございます。なかなか楽しい切り方ではないでしょうか。なんか,予想できるような展開という文句は受け付けていません。ですから,見逃してください。笑
次話も読んでいただけると嬉しいです。ついでにコメントもお願いします。


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第8章 彼は道らしき道をようやく見つける

久々の長篇シリーズ投稿です。いやー、久々ですね。
テストは散々でしたが、まぁこれからしばらくはしっかりあげていこうと思います。
長篇シリーズ第9話、では、どうぞ。


「なんで私の,ううん,私たちからの告白から逃げたの?」

 

 

このタイミングで聞かれるのか。さぁどうする。ここで聞き流すのは難しいことではない。俺は眼を瞑って考えてごとをしてる時だったから寝ているということで無視もできる。が,まぁ愚策だろう。というか,そんな逃げ方はしたくない。だから解を伝えなければならない。だがーーーーーそれはーーーーー

 

 

「あいつが来たら話す。で,いいか?」

 

 

「…………………わかった」

 

 

できる限り簡潔に伝えたい。だからあの日のことを思い出してみよう。まずはそこからだ。

 

 

………………………………………………

 

 

ガラガラ

 

雪ノ下だ。眼の赤みはとれていないが,顔の赤みはとれている。眼の赤みを除けばいつもの雪ノ下,というわけではなかった。手も足もほんの僅かだが震えが残っている。まぁ,あんな大泣きした後だ。寧ろ大して時間がたっていないから,ここまで戻せるだけでもすごいことだろう。

 

 

「待たせたわね」

 

 

「ゆきのん大丈夫なの?」

 

 

「ええ,大丈夫。ありがとう」

 

 

少し笑みを浮かべた表情で雪ノ下が言った。だが…………

 

 

「落ち着いたようだからとっとと話せ」

 

 

ふぅと雪ノ下は息を吹く。そして,口を開こうとする。開こうとするだけだ。開けていない。

 

 

「ゆきのん。とりあえず座って。先にヒッキーから話したらいいしさ。その間に落ち着ーーーーーー」

 

 

「それは無理だ。今この状況での最優先事項は雪ノ下の話だ。俺の話じゃない」

 

 

「ええ,そのとおりよ。でも…………でも……………」

 

 

もう少し待ってと言いたいのか,聞かせたくないのか。まぁそんなところだろう。

 

 

「待つと言ったのはこっちだ。いくらでも待っててやる」

 

 

「そうだよゆきのん」

 

 

「そう………では,甘えさせていただくわ」

 

 

そう言い終わると雪ノ下は眼を瞑った。そして,それから10分ほどたっただろうか。雪ノ下が口を開く。

 

 

「まず,比企谷君の退学理由は,私と接触したから。私の母が校長先生を脅すか何かして。というところかしらね。あくまで予想なのだけれどね」フゥー

 

 

言い切ったのだろう、一息ついた。だいぶ調子が戻ってきたな。雪ノ下らしい態度だ。だが、それだけの説明で納得するやつなんていないだろう。

 

 

「ゆきのんと接触しただけでそんなことになっちゃうんだ。でも、それはゆきのんのお母さんがいけないよ‼︎」

 

 

……………こいつを忘れてた。アホの子代表・由比ヶ浜結衣。あの説明が全てじゃないだろ、どう考えても。

 

 

「単刀直入に聞くが、お前、家で何かしたか?」

 

 

「⁉︎」ピクッ

 

 

当たりか………

 

 

「姉さんから聞いたの?」

 

 

「いいや。ただ単に予想しただけだ」

 

 

「……………ええ、そうよ。母に…………逆らったわ……………」

 

 

これは思ってた以上にややこしくなりそうだ。まさか雪ノ下さんの言ってたことが起こるとは……………

 

 

ーーーーー一週間前ーーーーー

 

 

「ひゃっはろー比企谷くん♪」

 

 

「…………どうも」

 

 

「比企谷君、なんで今ここにいるの」ギロッ

 

 

「な、なんでって。どういう意味でしょうか」

 

 

意味なんてわかっていた。だが、それを事実だと認めてはいけない。だから、俺は眼の前の相手に話の主導権を握らせてはいけない。

 

 

「まぁ、そうやってしてるならそれでいいけどね」

 

 

「なんのことですか…………」アキレ

 

 

「バイバイ、比企谷君」

 

 

「さようなら雪ノ下さん」

 

 

そう言って俺は踵を返す。だが、それは少しの時間、止められることになる。

 

 

「あ!そうだった、比企谷君!雪乃ちゃんと深く関わったんだから、無傷の撤退なんてできないよ」

 

 

聞こえなかった。そう自分に言い聞かせる。だが、無傷ってなんのことだ?俺は十分に『自分で言うのもなんだが)傷を負ってる。雪ノ下さんがそれに気づかないわけないだろうし。まぁいいや。今日はたくさん泣こう。今までの時間を水に流すためにも…………………

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

無傷では撤退できない、か…………

まさか物理的意味だとは思わなかった。これが代償というところか。彼女たちを自分勝手な考えで傷つけたのだ。このくらいあっても仕方ない。今、そう思う。が、これを受け入れるわけにはいかない。だから、これを聞く。

 

 

「逆らった理由は?」

 

 

「最近の、私の生き方に文句を言われたの。人と共に、なんて母は私に望んでいないもの。それに反論したわ」

 

 

「なるほどな〜」

 

 

雪ノ下。お前はまだ気づいていない。お前は母に逆らってもいないし反論もしていない。おそらく、した気になっているだけだ。…………………まてよ。もしかしたら、いけるかもしれない。俺が退学しなくて済む道に……………

 

 

「雪ノ下。携帯を貸してくれ」

 

 

「あら。私の携帯でなにをする気かしら。汚らわしい」

「ヒッキー、それは流石にきもいよ…………」

 

 

なんであの重たかった空気の中でこんな俺を口撃することができるんだのよ。

 

 

「雪ノ下さんに連絡したい」

 

 

「姉さんに?」

 

 

俺が退学しないために、だ」

 

 

「え⁉︎」

「ほえ⁉︎」




やばいな〜。伏線を中途半端に張ったから、とんでもないことになっとる。
まぁ、仕方ないですよね。うん、仕方ない。ですよね?
とまぁ、計画性のなさと毎回毎回アドリブでくんでいたツケが回ってきました。
でも、しっかり最期までやりますよ。
これからも長篇シリーズ(と時たまあげる短編)をよろしくお願いします。


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第9章 風は四方より吹いているのが現実である。

夏が近づいてきていることを最近よく感じます。やはり、一番は暑さでしょう。四月に長い期間雨が降ったと思えば、まだ五月なのにこの暑さ。異常です。
上に書いてあることは作者の日記とでも思ってください。本編とは一切の関係性もございません。この物語学校祭の後だから秋とかだしね。
携帯の調子が悪い状態でお届けする長篇シリーズ、では、どうぞ。


「もうこの時点でカードは全て出ている。あとは、その使い方だ」

 

 

「それが姉さん、なの?」

 

 

「ああそうだ」

 

 

「でも陽乃さん、難しいとかそういうレベルじゃないよね。どうするの?」

 

 

「お前は人の話を聞いてないんだな」

 

 

「そんなことないよ‼︎ちょう聞いてるよ‼︎」プンスカ

 

 

由比ヶ浜もいつもどおりに戻ったな。一先ず安心、か。

さて

 

 

「カードは全て出ていると言っただろ。最強のカードを得るために今あるカードの大半を使うがな」

 

 

「…………まぁ、そういうことなら貸しましょう」ハイ

 

 

「すまんな」パカッ

 

 

雪ノ下さんを今から相手にするのか……………

かなり、切羽詰まってるな………………

これは賭けだ。勝率はよくて二割といったところ……………

 

 

プルル プルル

 

 

『もしもし?雪乃ちゃんから電話なんて何かあったの?」

 

 

「もしもし。雪ノ下さん、比企谷です」

 

 

『なんだ〜比企谷君か〜』

 

 

このときの声はほんとに寂しそうだった。だが、そんなことを気にしてる暇はない。

 

 

「明日会えますか?」

 

 

『おおっと⁉︎デートの誘いか?誘いなのか?』ルンルン

 

 

「はい」

 

 

『それでいつどこがいいの?』

 

 

急に声が落ち着いた、そんな、いわゆる真剣な声になった。雪ノ下さんの言ったデートというのはおそらく一対一で話すのか、というものだろう。

 

 

「そちらに合わせますよ」

 

 

『こういうときは男の人が決めるんだよ?』

 

 

「俺は暇ですので。雪ノ下さんは忙しいでしょう?」

 

 

『ん〜、じゃあ駅前のスーパーのフードコートに11時』

 

 

「わかりました。それじゃあ」

 

 

『あ!そうだそうだ。比企谷君♪」

 

 

無視したい。あのときのように。だが、同じ轍は踏まないためにそれはできない。

 

 

「なんですか?」

 

 

『せいぜい頑張って、ね」

 

 

「………………はい」

 

 

こちらの目論見はわかっていると考えてよさそうだな。だが、そんなことよりも、ただ雪ノ下陽乃の声に、その重さに、腰を抜かしていた。動くことすらしばらくはできていない。呼吸はどうだ、全くできていない。時計の針が、全く進まない。こんな状況になることなんてあるんだな。

 

 

「雪ノ下、ありがとう」

 

 

「お疲れ様」

「お疲れ‼︎」

 

 

「さてと。んじゃ、今日はもう帰るか。また明日な」

 

 

「ヒッキー、まだ話してないよ?」

 

 

そうだ。今日中にやらなければならないことがまだあった。

 

 

「なんのことなの?」

 

 

「あの日の、こと」

 

 

「……………それは聞かなければいけないわね」

 

 

まずい、考えてなかった。いや考えてはいた。それがさっきの会話でどこかに飛んでいったのだ。だからどうするーーーーー

 

 

「比企谷君」

 

 

「は、はい」ピクッ

 

 

「無理して話す必要はないわ。今は姉さんのことに集中しなさい」

 

 

「いや…………でも………………

悪い。そうさせてもらう」

 

 

「ちょっとヒッキー‼︎約束がーーーーーー」

 

 

「由比ヶ浜さん。彼は今から姉さんを相手にするの。万全な態勢で挑まないと勝てっこないわ」

 

 

「…………………わかった

ヒッキー、後でちゃんと、話してね」

 

 

「ああ、すまん」

 

 

はあ、まさか俺が約束を破る日がくるとはな。

まぁ、今は彼女らに甘えさせてもらおう。

 

 

「じゃ,また明日」

 

 

「何故そんなに私たちに明日のことを言いたくないのかしら?」

 

 

「どういう意味だ」

 

 

「比企谷君の性格からの推論、というところかしら」

 

 

「ふぇ?どういうこと?」クビカシゲ

 

 

「雪ノ下、推論は根拠がないとたたないぞ」

 

 

「根拠、ね」ギロッ

 

 

「ん⁉︎」ピクッ

 

 

なんなんだよ、あの顔。思わず眼を逸らしたじゃねーか。

だが、彼女の顔はおそらく……………

いや、あくまで俺の予想だ。相手を理解するなんて傲慢なのだ。

 

 

「……………まぁいいわ。明日、証明してあげるわ」

 

 

「ふぇー………………」ポカーン

 

 

由比ヶ浜がアホで助かった。彼女が気づけばこの場所を…………………潰しかねない………………

 

 

「じゃあな」ガラッ

 

 

勝負は明日だ。カードを得られるかどうかでこれからが変わるどころか、打つ手がなくなる。

 

 

しかし、さっきの彼女の顔は俺には………………………悲しむような、そんな表情だった。




俺ガイル 二期、すごく大きな展開でしたね。すごい感動してました。「本物」をめぐる物語。今後が楽しみです。
因みに、半角たちはいい味出てましたか?なくす予定は今のところはないです。
お読みいただき、ありがとうございます。今後もお楽しみに。ではでは〜


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第10章 彼女の選択は大きな波紋をたてるには十分だった。

第10章を迎えられたのも、たくさんの読者様のおかげです。ありがとうございます。このシリーズがいつ終わるかはわかりません(かなりの問題)が、今後もよろしくお願いします。
先を読ませない(正確に言えば読ませられるほどの技量がない)長篇シリーズ、では、どうぞ。


場所は駅前のスーパー、時刻は10時半。約束の時間までは30分ある。が、まぁ問題はそこじゃない。どうしてこうなったーーーーーーー

 

 

「比企谷君、姉さんは強いわ。心してかかることね」

 

 

右に雪ノ下がいる。由比ヶ浜は学校だ。当然だ。だって今日平日だもん。

 

 

「今日学校に行かなくていいのか?」

 

 

「単位は問題ないわ」

 

 

「んで、そろそろ種を話せ」

 

 

「昨日、あなたが帰ってから姉さんに電話をかけたわ。そうしたらこの時間にここと教えてくれたわ」

 

 

「由比ヶ浜はどうしたんだ?」

 

 

「彼女の成績、あなた知らないの?」ヤレヤレ

 

 

「ああ、なるほどな」

 

 

すまん由比ヶ浜。あっさり理由がわかってしまった。

 

 

とそんなどうでもいい会話をしていると、

 

 

「ひゃっはろー!雪乃ちゃん、比企谷君」

 

 

カードの登場だ。

 

 

「雪ノ下さんが話すから二人きりでの会話じゃなくなってしまったんですが…………………」

 

 

「まぁまぁ、ていうか挨拶くらいしてよ〜」

 

 

「比企谷君、私は席を外した方がいいかしら?」

 

 

「いや、気にするな」

 

 

「ならそうさせてもらうわ」

 

 

「雪ノ下さん」

 

 

「なんだい?」

 

 

「協力してください」

 

 

「ん〜、嫌だ」ニコッ

 

 

「うっ…………全部お見通しですか」

 

 

「全部かは知らないけどね。お母さんには逆らいたくないもん。雪乃ちゃんと違って、ね」

 

 

どうやら全部知られているようだ。この人の情報網はどうなってんだよ…………………

 

 

「ふぅー………………」

 

 

いい加減、覚悟を決めるか。

覚悟、か…………………

 

 

「なら、協力してくれる条件はなんですか?」

 

 

「ん〜、そうだな〜………………」

 

 

ためが長い。まぁこの場合は長く感じるだけだろうが。

 

 

「うん、そうだね。比企谷君と雪乃ちゃんが結婚すること、かな」

 

 

どうしてそうなるんだ。なんだ?俺にはそのくらいしか価値がないということか?雪ノ下さんはこちらを完全に把握しているがこっちは雪ノ下さんの意図すらわかっていない。そもそもが間違いだった。この人と勝負すること自体が。勝負にすらならない可能性を考えてなかった。勝負すればの可能性を計算したが勝負できる可能性を考慮してないから二割が出ただけだ。今この場で、それを計算した場合………………5%もないじゃないか………………

なんなんだよこの人は。そして、この条件をのむわけにもいかない。彼女たちには俺が出した解を教えなければならない。だが、今の目的はなんだ。なら、この条件をのむしかない、な………………

 

 

「雪ノ下さん。その条件でお」

 

 

願いします。と言おうとしたが、雪ノ下がそれを妨げる。

 

 

「比企谷君、喉が渇いたわ。何か買ってきてほしいのだけれど」

 

 

何か考えでもあるのか?まぁ、俺より雪ノ下の方がこの場合は適任だろう。

 

 

「ああ、わかった。雪ノ下さんは?」

 

 

「じゃあお願いしよっかな〜」ニコッ

 

 

俺は席を外し、雪ノ下に任せた。

 

 

飲み物を持って席に戻ると話し合いは終わってたようだ。結果はどうなった。

 

 

「比企谷君〜、さっきの条件は撤回。君には無条件で協力してあげる。お母さんに比企谷君の退学のこと話しといてあげる。」

 

 

「ありがとうございます」ペコッ

 

 

「じゃあね〜比企谷君、……雪乃ちゃん」

 

 

なんだ?あの人らしからぬ、寂しそうな声は……………

 

 

「比企谷君、用事も済んだことだしもう帰るのかしら」

 

 

「まぁ、特にすることもないしな」

 

 

「なら、私の家に来ないかしら?」

 

 

「………………へ?」

 

 

「勉強を教えてあげるのよ。勘違いしないでちょうだい。由比ヶ浜さんにも悪いもの。でも、その理由でなら彼女も許してくれると思うから。だから、ダメ?かしら……」

 

「…………ああ、わかった」

 

 

「由比ヶ浜さんにはちゃんとメールしておくから、心配しないで」パカッ

 

 

彼女は携帯を開いてメールをする。まぁ、俺からじゃよく見えんが。まぁでも聞きたいこともあるし。

それにしても彼女はなにをこんなに……………………………………焦っているんだ………………………




今回もお読みいただきありがとうございます。
というより、すごい自然に前回から陽乃さんだしてますけど、陽乃さんになってますか?あの人、よくわからないです。
この作品、私好みに作っているんですが、皆さんは好きですか?私好みに作っているため、皆さんがこの展開がいい、と思ってもそうならない可能性が大きいです(特に最終章近辺は)。
これからもお読みください。お願いします。


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第11章 彼は無力で無自覚なことに気づく術を持たない。

世の中は不公平に不公平が作られています。
不平等に不平等が作られています。
そして、人はそのことをつい忘れてしまいます。
そのことが、大事なことだとしても…………
長篇シリーズ第12話、では、どうぞ。



プルル

 

 

あっ。ゆきのんからメールだ。陽乃さん、協力してくれたかな?で、どれどれ内容は〜

 

 

『雪ノ下です。姉さんは無事協力してくれることとなりました。それで、これから比企谷君に勉強を教えるために家に招きたいのですが、いいですか?』

 

 

ゆきのん、なんで毎回メールだとこんなに敬語使うんだろ。まぁゆきのんらしいけどね。

 

 

『いいよ^_^

ヒッキーにしっかり勉強教えてあげてね(=´∀`)人(´∀`=)

あと私にもそのうち教えて………(・ω・)ノ』

 

 

っと。でも、なんで勉強するだけなのにわざわざメールしたんだろ。やっぱり公平じゃないって思ったのかな。でも、何か違和感?みたいなのがある気がする…………

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「どうぞ上がって」

 

 

「お、おじゃまします」

 

 

「そこに座っておいて。飲み物持ってくるわ」

 

 

「あ、ああ。頼む」

 

 

彼、落ち着きがない。なぜかしら。まぁだいたいの予想ならつくけれども。

 

 

「はい」コトッ

 

 

「ありがとう」

 

 

「それで、やる教科は数学と理科、どちらがいいかしら?」

 

 

「国語やりたいんだけど」

 

 

「国語なんて教えてあげられることないじゃない。あなた学年三位でしょ?」

 

 

「ちっ………」

 

 

本当に理系科目やりたくないのね。

 

 

「なら数学やりましょう」

 

 

「げっ」ウワッ

 

 

「まずはここからやりましょう」

 

 

……………………

 

 

「いえ、だからこの公式でここに入るでしょ?」

 

 

「ああなるほどな」

 

 

彼はやればできる。やればできるだけあって今までどれほどやってなかったかがわかる。

…………………彼ともっと一緒にいたい。できることならこのままずっと。でもそれはできない。

 

 

「んじゃ、きりもいいし、そろそろ帰るわ」

 

 

「えっ⁉︎いえ、ご飯、作るから食べていって」

 

 

「いや、でも、それは……………」

 

 

「由比ヶ浜さんには許可を貰ったわ。今度、由比ヶ浜さんが料理作るから食べてあげてね」

 

 

「はぁ…………わかった。お言葉に甘えさせてもらう」

 

 

……………………………

 

 

そんなに難しいものは作らなかったけれとわ、彼はすごく喜んでくれた。

 

 

「うめぇ!やっぱ雪ノ下の料理最高!」

 

 

「そ、そんなことは……………

ありがとう……………………」カオマッカ

 

 

「ところで雪ノ下」

 

 

「なにかしら」

 

 

「雪ノ下さんとの交渉内容を教えろ」

 

 

「母に逆らったことを謝ることを条件として出したわ」

 

 

「そうか。すまないな、俺の退学回避のために」

 

 

「別に構わないわ。それに……………」

 

 

「ん?」

 

 

「あなたのためだもの」

 

 

「そ、そうか………………」プイッ

 

 

彼は気づいてないと思うけれど、彼の顔真っ赤になっていて少しその…………面白い………………わ………………

 

 

プルルル

 

 

私の携帯が鳴り響く。彼は手で出てどうぞ、という合図をしてくれたので、私は出ることにする。

 

 

「もしもし」

 

 

『ひゃっはろー雪乃ちゃん!』

 

 

「それで、比企谷君のことは?」

 

 

『大丈夫だよ。比企谷君は退学しなくて済むって』

 

 

「そう………」ホッ

 

 

『雪乃ちゃん、ほんとにお母さんに謝るの?』

 

 

「ええ、条件なのだから」

 

 

『そう。それじゃあね雪乃ちゃん。それから、ごめんね』

 

 

「気にすることはないわ。おやすみなさい」

 

 

これでこの件はおしまい。彼に報告するとしましょう。

 

 

「比企谷君、退学は取りやめになったそうよ。よかったわね」

 

 

「そうか…………ホッ

ありがとう」

 

 

「気にすることはないわ。私は私のやりたいことをしただけなのだから」

 

 

「んじゃそろそろ帰るわ。また明日な」

 

 

「ええ、また」

 

 

行かないで………………

もっと私の近くにいて…………………

 

 

「今日はありがとな、いろいろと」

 

 

もっと話したい………………

彼の顔を見ていたい…………………

 

 

「じゃ」ガチャ

 

 

でも……………

それは叶わないこと……………………

 

 

「ひっく………

ひっく…………………」ポロポロ

 

 

私は泣いていた。うずくまって泣いていた。

 

 

「比企谷君、好きよ。愛してる…………………」

 

 

できることなら彼の返事を聞きたかった。彼が由比ヶ浜か私、どちらをとるのか。

でも、もうそれすら叶わない。

 

 

もう彼とはーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーー会えないものーーーーーーーー




最初の由比ヶ浜のメール、私絵文字滅多に使わないので、できているかわかりません。何がやりたいかはフィーリングでお願いします。
物語もついに終わりに近づいてきて、盛り上がりを見せています。
雪ノ下の出した条件とは一体なんなのか。そして、涙のわけとは………………
次にご期待ください。
それから、お読みいただきありがとうございます。


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第12章 人知れず、犠牲は作り続けられる。

犠牲をイケニエと読むかギセイと読むかで、性格出ますよね。って気はしません。性格は関係ない気がします。
どこで最終章にしようかなー?
積ん読がただただ増えていく筆者がおくる長篇シリーズ第13話、では、どうぞ。


視界が暗い。なかなか眼が開かない。朝はしんどい。てか、めんどい。

まぁ、グダグダ言ったって眼を覚まさなければならないのだから、先延ばしにする必要はない。早急に済ませよう。

 

 

時計の針を見ると、8時を回っていた。

なぜこうも落ち着いているかと言うと、今日は土曜日なのだ。休日はだらけるにつきる。

 

 

とりあえず、ゲームだ。ゲームをしよう。

 

 

ピーンポーン

 

 

っと誰かが来た。誰か?由比ヶ浜?雪ノ下?どっちにしろ礼はちゃんと言わなきゃいけないし。そそくさとドアを開ける。そこには俺が一番に礼を言わなければいけないような、そんな相手が息を切らしていた。

 

 

「どうしたんですか、雪ノ下さん」

 

 

「比企谷君!雪乃ちゃんが、雪乃ちゃんが!」

 

 

雪ノ下?

 

 

「雪ノ下がどうしたんですか?」

 

 

「こ…これが…雪乃ちゃんの…部屋に…」ハァハァ

 

 

俺はそれを受け取った。

『ごめんなさい

私の勝手な行動を許してください

姉さん。最期まで素直に話せなくてごめんなさい

由比ヶ浜さん。私にとってはたった一人だけれど最高の、友達です。結衣、って呼んでみたいって最近はよく考えてました。

比企谷君。好きだわ。できれば返事を聞きたかったわね。例え、振られたとしても。それから、ありがとう。

奉仕部3人で過ごした毎日は私にとって、とても大事な、思い出です。ありがとう。

お元気で

雪ノ下雪乃 』

 

 

最期にいくにつれて円形のしみが多くなっている。

 

 

「雪ノ下さん、雪ノ下は今どこに」

 

 

「わ…わからないわ…

少なくとも…部屋や実家…にはいなかったわ…」

 

 

「探してきます」

 

 

「比企谷君!雪乃ちゃんを…もう…一人に…させないで…あげて…お願い…」ポロポロ

 

 

「一人にする気も、させる気もありません。あいつは一人じゃありませんし」

 

 

「比企谷君、よろしくね」

 

 

この顔と声を、俺は前にも聞いた。文化祭のときに、雪ノ下から…………

なら俺のとる行動は

 

 

スッ

 

 

あのときと同じ動作をした。あてなんてない。片っ端から行くしかない。やはり最初に行くのはーーーーーーー

ーーーーーーーー学校だーーーーーーーー

 

 

奉仕部の部室は

 

 

ガラッ

 

 

ちっ。いない。思いたくはないが、やはり屋上か。

 

 

ドンッ

 

 

ハァハァ…ハァハァ…

屋上の奥には、手すりを触っている、美少女がいたーーーーーーーー

 

 

「見つけたぞ、雪ノ下ぁ」ハァハァ

 

 

「ひ…比企谷…君…」

 

 

「悪い、少し休ませてくれ。とりあえず、こっちに来い。話がある」

 

 

「…………ここに来た、ということは紙を見つけたのかしら?不法侵入は犯罪よ?早く自首してきなさい。自首は刑が軽くなるのよ?」

 

 

「……………お前は相変わらずだな。安心しろ、見つけたのは雪ノ下さんだ」

 

 

「なんにせよ不法侵入なのだけれど」

 

 

相模のときとは訳が違う。この場で、目の前の彼女を救わなければならない。今回は、この一連の出来事の原因は、俺なのだから………………




きりがいいので切ります。
なかなかいい感じの盛り上がりです。私好みです。というか、SS書いてて、キャラを自分の思い通りに動かせるってすごく楽しいことというのに気づきました。なんかすごい言い方悪いですけどね。
今回もお読みいただきましてありがとうございます。
なんと!このダラダラ続いた長篇シリーズ、次回、感動の最終章!※感動するかは知りません。
次回をお楽しみに〜ではでは〜。


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最終章 彼ら彼女らはそれぞれの解を見つけ出す。

やってまいりました最終章。って言っても前書きを書いてる時点では終わるかわかってませんからね(主に私が)。
最後の彼ら彼女らの行動にご注目を。
ついに幕が降りる長篇シリーズ最終話、では、どうぞ。


「雪ノ下、ひとまず話そう」

 

 

「話すことなんてないわ」

 

 

彼女は顔を伏せている。顔を見られたくないのだろう。だが、それは無駄なことだ。俺は今、疲れて座っているのだ。顔が赤く眼が赤く、今にも泣き出しそうな、そんな顔を俺は見ている。

 

 

「俺はある。だから話をする」

 

 

「ずいぶんと傲慢なのね」

 

 

「俺はいつだって傲慢さ」

 

 

「なら、何を聞きたいのかしら?」

 

 

「そう結論を焦るな。ただ、話をするだけだ。まぁ、その中に聞きたいことは含まれてはいるが」

 

 

「では何?世間話でもするのかしら」

 

 

「まぁそんなところだ」

 

 

「ただの時間の浪費よ。無意味だわ」

 

 

「俺はお前と、お前たちと、過ごした時間を無駄だと思ったことはないけどな」

 

 

「あなた…らしく…ない…わね…」

 

 

「感情を騙す必要なんてないさ。笑いたければ笑えばいいし、叫びたいのなら叫べばいいし、泣きたいのなら泣けばいい」

 

 

「…………そう。前言を撤回するわ」

 

 

「ん?」

 

 

「あなたらしいわ、やっぱり。その雰囲気は、あなたのものよ、間違いなく」

 

 

「そりゃどうも。んで、とりあえずこっちに来い」

 

 

「いや、よ」ニコッ

 

 

そんな顔で返されても……………

 

 

「はぁ………んじゃそのままでいいや。雪ノ下さんとの話で出てきた、お前ののんだ条件ってなんだったんだ?」

 

 

「そうね。私が母に逆らったこと、覚えてるいかしら?」

 

 

「ああ、覚えてる」

 

 

「結婚相手を母に勝手に決められて、それに逆らったのよ。好きな人がいるから、と。そしたら比企谷君の退学、よ。姉さんからの条件は母への謝罪。そして、この場合の謝罪はすなわち、婚約を認めることになるわ」

 

 

そこで話を切った。口が渇いたか、落ち着きたいか。まぁなんにせよ、

 

 

「これでも飲め」ホイッ

 

 

決まっている。水を投げた。

 

 

「あら、この中にはなにが入っているのかしら」

 

 

「水だ。毒も睡眠薬も入っちゃいない」

 

 

「そう。ならいただくわ」ゴクゴク

 

 

雪ノ下が飲む、ゆっくりと、ゆっくりと。そして

 

 

「ありがとう、美味しいわね」ニコッ

 

 

「そうか…………」

 

 

なんでそんな風に笑っているんだ……………

さっきの泣きそうな顔はどこにいったんだよ……………

 

 

「なんでお前はそんなに笑ってんだよ」

 

 

「あら、楽しいのに笑ってはいけないかしら?」

 

 

「お前が今からやろうとしていることは決して笑えない」

 

 

「ならば、眼を瞑ってなさい」キュッ

 

 

「おい!まて!」

 

 

なんでそうなる。

どうしてそうなる。

 

 

「比企谷君、由比ヶ浜さんに伝えてほしいことがあったわ。伝えておいてくれるかしら」

 

 

「そんなもん自分で伝えろ!」

 

 

俺はこんなに足が遅かったか?

なんで彼女との距離がこんなにあるんだ。

 

 

「……………結衣っ。楽しかったわ。ありがとう」ニコッ

 

 

「おい!雪ノ下!」

 

 

手が届かない。伸ばしても伸ばしても。

 

 

そして彼女は視界から消えた。

 

 

「……………さよなら」

 

 

そんな声が最後に聞こえた。

 

 

俺は救えないのか。

彼女を救えないのか。

なぜ救えなかったんだ。

 

 

後悔は後だ。俺にはやるべきことがある。

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

「……………結衣っ。楽しかったわ。ありがとう」ニコッ

 

 

「おい!雪ノ下!」

 

 

彼が走ってきてる。でも、彼は運動不足ね。全然こちらに近づいてないもの。私が今までで最高の笑顔を見せたのに彼は気にしてくれないのね。ちょっと、ほんのちょっとだけ、悔しいわね。

そして、彼に聞こえるかどうかの声で言う。

 

 

「……………さよなら」

 

 

彼が視界から消えていくわ。比企谷君……………由比ヶ浜さんとお幸せに………………

 

 

私は眼を瞑り地上を迎える。

楽しかったわ。人といることがこんなに楽しく感じられる日がくるだなんて、思ってなかったもの。

 

 

………………んっ…………………

 

 

ここはどこかしら。死後の世界ってあるものなのね。そんなもの信じてなかったけれど。

 

 

……………………下!

………………………ノ下!

 

 

この声、懐かしいわね。今も耳で聞こえる。彼の声は耳に残るものなのね。どうやら、死んでも彼は私を離す気はないらしいわね。

 

 

「雪ノ下!」

 

 

「えっ⁉︎」

 

 

名前を呼ばれて眼を開く。意識して開けたわけではない。それから、眼の前には白い背景と、比企谷君と由比ヶ浜さんが………………

 

 

「やっと眼が覚めたか」

 

 

「ヒッキーが無茶するからだよ」

 

 

「どう………して………………」

 

 

わけがわからなかった。なぜ彼らがここにいるのかしら。

 

 

「ふっ、今回の種を教えてやろう」フッフッフッ

 

 

「ヒッキー、きもいよ」ニコッ

 

 

「えー、そんなにきもくないだろ」

 

 

「あなたの気持ち悪さは一級品よ」

 

 

「なんでこんな状況でお前がそのセリフを吐けるかが謎だ………」

 

 

「ほらほらヒッキー、説明してあげなよ」

 

 

「俺が学校に行く前に由比ヶ浜に連絡して、マットを置くように言った」

 

 

「人集めるのとかチョー大変だったんだからね〜」

 

 

そういうこと、ね。つまり比企谷君の策略にまんまとはめられたわけね。

 

 

「ということだ。まぁ、俺が止めるのが最高のかたちだったんだがな。…………っと雪ノ下も眼が覚めたし、雪ノ下さんに報告してくる」

 

 

「ヒッキー」

 

 

「ん?」

 

 

「ありがとね」

 

 

「なんのことだか…………」ポリポリ

 

 

ガチャ

 

 

彼は外に出ていった。

 

 

「由比ヶ浜さん、その……………」

 

 

「………いやーゆきのんが貧血で落ちちゃうなんて驚いたよ〜」

 

 

「……………えっ?貧血?」

 

 

「そうそう。やっぱり記憶ないんだね」

 

 

「いえ、私は……………」

 

 

「貧血だよ!」

 

 

「」ビクッ

 

 

彼女らしからぬ、そんな大声で放った言葉の意味がわからない。貧血という単語ではなく、叫んだ意味が。

 

 

「ゆきのんが……………自分から……………落ちる……………なんて……………そんなの……………私……………私は……………」ポロポロ

 

 

私はこんなに、こんなに大切な人を傷つけていたのね。

 

 

「ごめんなさい。ごめんなさい。由比ヶ浜さん」ギュッ

 

 

「ゆきのん……………ゆきのんがいなくなったら……………私は……………いやだよ……………」ポロポロ

 

 

「ええ、いなくならないわ。私は」

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

俺は外でそんな会話を聞いていた。すると、

 

 

「比企谷君〜、報告はどうしたんだ?」ニコッ

 

 

「盗聴でもしてたんですか……………」

 

 

「いやだな〜。妹とは深〜い絆で繋がってるんだよ?だ・か・ら、わかるの♪」

 

 

「まぁ、なんにせよ。そちらが来てくれるのは計算内ですので、計画どおりですよ」

 

 

「あはは〜。比企谷君の計画に引っかかっちゃったか〜。悔しいな〜」

 

 

「んで、なんで近づいてきてんですか?」

 

 

「私、比企谷君に惚れちゃった」

 

 

「……………は?」

 

 

「おいおい〜。美人からの告白をそんなふうに返したらいけないぞ〜」

 

 

「いや………なぜ?」

 

 

「比企谷君かっこいいも〜ん」

 

 

「いや、でも…俺は…」

 

 

「雪乃ちゃんかガハマちゃんのどちらか、でしょ?」

 

 

「⁉︎……………ええ、そうです」

 

 

「あ〜あ。私の初めての告白が振られちゃったな〜。比企谷君、頑張ってね」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

だが、ここで終われない。絶対にしなければいけないことが、残っている。

 

 

「雪ノ下さん」

 

 

「ん〜、なにかね?未来ある若者よ」

 

 

「なんすかその言い方。大して歳変わらんでしょ」

 

 

「だって私は振られて傷物になっちゃったんだもん」

 

 

「……………流していいですよね?」

 

 

「……………うん、いいよ」

 

 

本当に悲しそうな顔をしている。そんな、そんな彼女を見ているのはあまり悪い気はしなかった。

 

 

「雪ノ下がこんなことしたんですから、結婚の件は……………」

 

 

「ああ〜、それは大丈夫。お母さんが諦めてくれたわ。それから……………」

 

 

ためてるな。よっぽどのことがあったのか?

 

 

「すごく喜んでた。私に逆らうだなんて………みたいなこと言いながら、すごい楽しそうだった。だから、心配しなくていいよ。比企谷君は比企谷君の気持ちに従ってね」

 

 

「ええ、そうさせていただきます。ありがとうございます」

 

 

「じゃ、中の話も終わったみたいだし、私はそろそろ行くね。ばいば〜い」

 

 

「さようなら」

 

 

ガチャ

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

ガチャ

 

 

ヒッキーが入ってきた。ありがとう、二人で話せるタイミングを作ってくれて。

 

 

「んで雪ノ下、体調は大丈夫か?」

 

 

「あなたの腐った眼を見て悪くなったわ」ニコッ

 

 

「ヒッキー、早く眼を瞑って。ゆきのんが体調崩しちゃうよっ」ニコッ

 

 

「俺にそんな力はねーよ」フッ

 

 

これだ。この三人でこうやって楽しくやりたかったんだ。やっぱり三人が楽しい。この空間は一人でも欠けたらいけないんだ。

 

 

「ヒッキー‼︎」

 

 

「なんだ?」

 

 

「まだやらなきゃいけないことが残ってるよっ」

 

 

「え?なんかあったか?」

 

 

ふふっ。ヒッキーはわかりやすい。ほんとはわかってるくせにね。ヒッキーは言い出しにくいから私たちのどっちかに言ってもらおうとしてる。

 

 

「私はヒッキーのことが好きです。だから、私と付き合ってください‼︎」

 

 

「由比ヶ浜さん、抜け駆けはずるいわよ。

比企谷君、あなたのことを誰よりも好きです。私と付き合ってください」

 

 

そして間を置かずに

 

 

「ヒッキー‼︎」

「比企谷君!」

 

 

「なんだ?」

 

 

「返事は月曜日に部室で聞かせてね」

「返事は仕方ないから月曜日でいいわよ」

 

 

「……………ああ、しっかり考えておく」

 

 

「言っとくけど、どっちか片方を選んでも私たちの関係が変わるなんてないんだからねっ」

 

 

「ええ、その通りよ。だから比企谷君は自分の気持ちに、素直にね」

 

 

「俺に素直なんて形容は合わないな」

 

 

「そうかしら?」

 

 

「ヒッキーはいつでも素直だよ。それから、すごくかっこ悪い」

 

 

「なんで?俺チョーかっこいいだろ」

 

 

「へへっ、そうかな?」

 

 

「そうかしら?」

 

 

「……………んじゃ、俺はそろそろ。」

 

 

「ああ待ってヒッキー‼︎」

 

 

「雪ノ下はお前に言いたいことあるみたいだし、俺がいたら恥ずかしくて言えないからな」

 

 

「そうなの?」

 

 

「え、ええ」

 

 

「んじゃ」

 

 

「ばいばいヒッキー」

 

 

「さようなら比企谷君」

 

 

ガチャ

 

 

「ゆきのん〜。言いたいことって何〜?」

 

 

「あの、その…あれよ…」

 

 

ゆきのんかわいい。おどおどしててかわいい。

 

 

「ゆ…ゆ…」

 

 

ゆ?お湯でも飲みたいのかな?

 

 

「…ゆ…結衣!」

 

 

「えっ?」

 

 

「……………だ、だめかしら?」

 

 

「嬉しいよゆきのん〜」ギュッ

 

 

ゆきのんが名前で、名前で呼んでくれた‼︎やったー‼︎

 

 

「やっぱり恥ずかしいわね」

 

 

「うん、最初はね。でも少しずつ慣れていこっ」

 

 

「そうするわ」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ちゃんと言えるんだな。雪ノ下も成長したということか。なら、俺も決断しよう。どちらを選ぶか真剣に。あの日は戸惑っていた。どちらかを選べば壊れると。ならどちらも取らず、俺そのものがいなければ、と。そんな大回りで遠回りな道を辿ってようやく今だ。この一連の件は決して無駄じゃない。雪ノ下は人のことを考えられるようになり、由比ヶ浜は時間を大切にするようになり、俺は、美少女二人に告白されてそれを心から喜び、そして、それに対して胸を張れる。あの日とは違う。どうしていいかわからなかったあの日とは。まずは小町にでも自慢するか。

こんな環境で過ごせて、俺はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーーーー幸せものだ




お読みいただきありがとうございます。いや〜、なかなかいい話だと思います。てか、4000字オーバーってなんだよ。無理に押し込みすぎだろ。2000字前後に抑えられなかった。
結局、無難でかついい終わりにしました。いやー、いろいろと結論考えてたけど、これが一番しっくりきたんですよね。というか、八幡はこの終わり方が似合ってるかなっと。笑
今までお読みいただきありがとうございました。
次回シリーズをお楽しみに!ではでは!
ちゃんちゃん。


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過去を振り返り、未来に向かう主人公。

………壮絶。


壮絶って文字が浮かびました。ちなみに特に意味なんてありません。
一ヶ月以上音沙汰梨、じゃなくて音沙汰なし。学校で遠足に行きまして、りんごと梨を食べ放題してきたわけでして、いやーおいしかった。りんごは秋映が一番でした。
というのはさておき、ほんとになにもせずに一ヶ月過ぎてました。じゃあこれから投稿再開?いいえ。私生活が追いついていないのでまだしばらく投稿できません。月一ペースでこれからいこうと思います。なんじゃそれ。
まぁそんなだらだらでも読んでいただけるならとても嬉しいです。

んで、このシリーズって完結したって記憶してたんですけど、一話からなんとなく読み始めたら過去についてなんにも触れてないなーとわかりまして、書きます。ちなみにこの話では終わりませんでした。


「ねえヒッキー」

 

 

「ん、なんだ?………あ、やっぱいい。言うな」

 

 

「なんで⁉︎」

 

 

「いやだってお前、また面倒なこと言う気だろ?」

 

 

「またってなんだし⁉︎面倒なことなんて言ったことないでしょ⁉︎」

 

 

「そうだな。お前の中だとそうなんだよな」

 

 

できる限り優しい声で言ってあげた。とても穏やかで、ゆったりとした声で。いわゆる挑発的な言い方ね。

 

すると、由比ヶ浜は下に目を逸らした。

 

 

「そう、なんだ。ヒッキー、今まで我慢して私のお願い聞いてくれてたんだ………」

 

 

ははは、と乾いた声を発する彼女。

やばい、しくった。

 

 

「あ、いやそういうことじゃなくてだな。あのな、ただからかっただけだ。お前がそうなるとは思わなかった。悪かったよ」

 

 

心からの謝辞である。

 

 

「………じゃあお願い、聞いてくれる?」

 

 

お願い?そういえばさっき言ってたな。面どーーーーーまぁいいか。

 

 

「聞いてやるよ」

 

 

「土曜日お出かけしたいな。ヒッキーと2人で」

 

 

「ん、まぁそのくらいなら」

 

 

おい待て俺。そのくらい?そのくらいって言ったか?何がそのくらいなんだ?

 

 

「やった。じゃあどこ行くかだけど〜」

 

 

ここは意地でも由比ヶ浜のペースを止めてみせる。やってやるです。

 

 

「本屋なんてどうだ?なかなか快適に過ごせるし、いろいろとあって楽しいぞ」

 

 

「どこ行くかは後でメール送るねっ」

 

 

………聞く耳持たず。いや、こいつの場合聞く耳持たずということばを知らない可能性があるからだめだな。

深いため息を心の奥でついた。

 

 

「………わかったよ。待ってる」

 

 

すると彼女は満ちた笑顔で返事を返す。

 

 

「うん‼︎」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

一つ寝返りを打つ。これから始まったんだもんな。あんな純粋な笑顔に裏を読まなかった。読めなかった。だから。

小町がご飯を用意している間、自分の部屋のベッドの上で古い話を掘り出していた。まぁ大して古くもないんだけどさ。

 

 

「お兄ちゃーん。ご飯できたよー」

 

 

下から小町の伸びた声が耳に届く。いやー、やっぱりこの声を聞けると落ち着ける。

 

 

「はいよー」

 

 

さぁ飯だ飯。またあとで考えるとしよう。

さて、降りるとするか。

 

 

「さぁお兄ちゃん、召し上がれー!」

 

 

「いただきます」

 

 

「うん!いただきまーす!」

 

 

ふむふむ。やはり小町の料理はうまい。料理がうまいのと味がいいという意味でうまい。こんなことを考える俺もうまい。………なに言ってんの?

 

 

「それでお兄ちゃん、なにがあったの?」

 

 

「………は?」

 

 

いや、確かになにかあったし、それを小町に言おうともしてたけど、なんでそれをお前が知ってんの?

 

 

「いや〜、なにかあったのかな〜って思ってさ。お兄ちゃん、こないだからずっと眼が死んでたからさ。それで、今日はいつもの腐り具合に戻ってたからなにかあったのかな〜って」

 

 

「死んでると腐ってるって意味違うの?」

 

 

「なんとなくの感覚だよっ」

 

 

キラッ、と小町の目元に星が光った。ついに小町は光を操るようになったのか。お兄ちゃん、そんなふうに成長した妹を持てても嬉しくないよ。

 

 

「ふーん」

 

 

「それで?なにがあったの?ねえねえねえ」

 

 

「わかった。わかったから引っ込め」

 

 

小町が前のめりになってこっちに突っ込んできていたので追い返す。

 

 

「あぁ、まぁ、話すよ」

 

 

「おおおー」

 

 

その反応かなりむかつく。目をキラキラさせて、ほんとに光を操ってんじゃないの?まじで光が出てきたんだけど。錯覚?俺の錯覚なの?ちなみに錯角はいりません。あの辺ならギリギリ理解できて証明とかできてたんだけどなー。

 

 

「それでそれで!なんなの!」

 

 

「告られた」

 

 

「……………」

 

 

「……………」

 

 

……………

 

 

「……………」

 

 

「……………」

 

 

……………

 

 

「……………」

 

 

「……………」

 

 

……………

 

 

「………へ⁉︎」

 

 

えって言え、せめてえって。微妙にハ行の色があったぞ。まぁ、へって書いてえって読めるからここでは関係ないんだけどさ。

 

 

「だ、だれにだれに!雪乃さん?結衣さん?それとも他の人?」

 

 

なんなんだこの食いつきは。いやわかるよ?だめだめな兄が突然告られたとか聞いたらさ。でもちょっと、ねえ?

 

 

「その、ええと、どっちともに」

 

 

「」

 

 

「こ、小町ー!!!!!」

 

 

へんじがない。ただのしかばねのようだ。

じゃない。いやでもほんとに返事がないんだけど。というか、息してるかすら怪しいくらいに目に光がない。まさか俺のせいで小町がこんなことに。

………まぁ普通に息してんだけどさ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

その夜、由比ヶ浜からメールで細かい時間や場所が来た。10時に駅前。少し遠くに行くそうだ。

そんなわけで現在10時5分。駅前に俺はいる。俺がいる。俺だけがいる。由比ヶ浜は?駅前ってここだと思ったんだけど、まさか違う駅だったのか?いや、そんなわけないな。駅前=ここ、が千葉市内では一般的だ。一般的じゃない俺がなぜ知ってるかって?小町がいるからな、そんなことを知るのは難しくない。

 

 

「ひ、ヒッキー」

 

 

前から胸を揺らして、じゃなくて息を切らしてやってくる彼女。

 

 

「お、遅れちゃって、ご、ごめんね………」

 

 

申し訳なさそうに謝る彼女、由比ヶ浜結衣。語尾もだんだん小さくなっていった。

 

 

「はやく行くぞ」

 

 

「う、うん………」

 

 

はぁ………。

 

 

「遅れた分ちゃんと楽しませてくれよ」

 

 

「う、うん‼︎楽しませてあげるね‼︎」

 

 

彼女もいつもの元気が戻った。というか、こいつって本当にうるさいんだな。元気がない彼女を見ているのは辛いが、うるさい彼女といるのもなかなかに辛い。

………まぁ嫌いではないんだが。




いかがでしたか?楽しんでいただけましたか?
このシリーズは私が初めて書いたものですから、なんとか完結させたいなーと、随分前に思っていました。今読み返してみると、文がとんでもなくぶっ飛んでますね。ところどころ意味のわからないことありますし(それは今もやがな)。まぁそれなりに成長できたのかなーと思っています。これからもよろしくお願いします!


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