前々から考えていたあまり見かけないリライトのクロスオーバーです。好きなキャラなのにどの二次創作でも見なかったので自分で書いてみました。
稚拙ですが読んでいただけると幸いです。
それでは。
ーー世界が崩れ始めていた。
ミナタさん!はやく!
ーー鍵による世界への『救済』。それは既にこの世の全てを包み込もうとしていた。
ーーこのままでは巻き込まれてしまう。早く避難を!
「......ーー。今までありがとう。もう、いいわ」
何を言っているのですか!?まだ間に合います。はやく!
「いいえ。もういいのよ。ーー。私達は間に合わなかった。なら、その責任は取るべきなの」
そんなっ......!ミナタさん......!?
「......あなたはあの日からいつも私を守ってくれたわよね。泣いてばかりで何も出来なかった私を」
ーー何を言って。
「あなたの側は温かくて、心地よくて。あなたの淹れてくれたお茶の味を私は死んでも忘れない」
ミナタ...さん。
「......能力の使いすぎで、身体を半分魔物に変えてまで。普通なら逃げ出したいと思う状況であっても私の為に戦って......私の側に居続けてくれた」
......それが私の、唯一の生きる意味だったからです。あなたが居てくれたから、私は。
「......。ねえ、ーー。私はね?本当はあなたと一緒に、......あなたの側に居られればそれでよかったんだよ?」
ーーーー。
「鍵とか救済とか、そういうこと無しに。ただただ、あなたの側に居られれば......それだけで幸せだったんだ」
......ミナタさん。
「なんでこんなことになってしまったんだろうね。私達はこの世界で、静かに暮らして居たかっただけなのに」
ーー世界が光に満ちていた。周囲はもう白に包まれている。
「......そろそろ時間みたいね。ねえ、ーー。最期に聴いて欲しいことがあるのだけど、聞いてくれる?」
ーーなんですか......?
「私ね。あなたのことをーーーーーー
愛して、いました。この世界の、誰よりも
ーーーー世界が終焉を迎え、また創世される。
ーーーー何事もなかったかのように、また。
ーーーーそして繰り返される。
ーーーー幾たびも。幾たびも。
ーーーーだが私だけは。
ーーーーこの永遠の孤独の中で。私だけは。
ーーーー忘れない。絶対に。
ーーーーそして、また。
ーーーーいつの日かまた、繰り返されようとするならば。
ーーーーその時は。
ーーーー書き換えてみせる。
ーーーーその、運命を。
● ● ●
その日はオカルト研究部のみんなでまだ使い魔のいない兵藤一誠とアーシア・アルジェントの為に冥界に来ていた。
兵藤一誠は服だけを溶かすというスライムを使い魔にしようとしたが、部長であるリアス・グレモリーらによって全て消滅されてしまって号泣していた。
一方のアーシア・アルジェントは懐かれた蒼雷龍を使い魔にする事に成功し、喜んでいた。
一誠の分の使い魔は見つからなかったが、十分な収穫が得られたので一行は帰ろうとしていた。
その時。
「......え?」
ふと何かを感じてアーシアは立ち止まった。
「......ん?どうしたんだ。アーシア」
「い、イッセーさん。えっと、その......」
「どうかしたの?イッセー?」
立ち止まっていた二人をみてリアスが近寄った。
「いえ、部長。アーシアがなんか急に立ち止まったから気になって」
「何かあったの?アーシア」
口ごもっているアーシアに問い掛ける。
「いえ、あの、その。何かあちらの方から、なんとなくなんですけど。......懐かしい、感じがして」
「懐かしい?」
リアスは怪訝な顔をした。当然である。何故ならまだ悪魔になってから日の浅いアーシアが冥界に来た回数はそう多くなく、ましてやこの森に来たのは初めてであるはずだからだ。
「あっちに何かあるの?ザトゥージ」
リアスはこの辺りの地理に詳しい使い魔マスターであるザトゥージに問い掛けた。
「ん?いや。あっちには特に何も......。あっ。そういえば」
「何かあるんですか?」
何か思い出したようなザトゥージに一誠が尋ねる。
「いやね?確かそっちには遥か昔からあるといわれてる巨大な桜の樹らしきものがあるんだよ」
「らしきもの?桜ではないの?」
と聞くとザトゥージは困った顔をして
「わからないんだ。誰も花が咲いているところをみたことがなくてね」
「咲いているところをみたことがない?」
「ああ。そして特徴が人間界で見た桜の樹に似ているからね。だからこの辺りであの樹を知っている奴らはこう呼んでるよ
ーー咲かずの桜ってね」
● ● ●
一行はザトゥージの案内でその樹の場所に向かっていた。アーシアが気にしていたということもあるが、話を聞いたリアスが興味を持った為。そして既にノルマを達成しもう帰るだけという状態だったからである。
「しっかしな。アーシア」
「はい?なんですか?イッセーさん」
しばらくして先ほどからどこか上の空だったアーシアに一誠は尋ねる。
「いやさ。アーシアもこの場所に来るのは初めてなんだろ?なんで懐かしいなんていったんだ?」
「それは......」
一誠とアーシアが悪魔になったのはほぼ同時期。ただの人間であれば冥界では動くだけでも難しく、ましてや彼女は教会の元聖女。冥界との直接的な関わりはほとんど無い筈だった。
「私も、よくわからないんです」
「よくわからない?」
アーシアはどこかもどかしさを感じているように答える。
「はい。確かに私もこの場所には来たことはないはずなんです。でも、感じたんです。......言葉ではよく言えないんですけど。少し胸が苦しくて、でもどこか安心するような。それでいていつかどこかでいつも感じていたような、そんな何かを」
「へえ......」
一誠は自分でいうリアスの胸の中みたいなものかな?と納得しかけているところで目的の場所に着いた。
「うわあ......!」
「大きいです......!」
そこは大きな広場のようになっていた。その場所だけ周囲に木がなく『それ』はその中心でただ一つだけそびえ立っていた。
思わずといった感じで声を出した木場優斗と搭城子猫にザトゥージが少し自慢気に声を掛ける。
「凄いだろ?こいつ」
「ええ......。これは凄いわ!」
「あらあら。本当に大きいですわね」
部長であるリアスと副部長である姫島朱乃がどこか感動したかようにそれに応える。
「だろ?こいつはな、あの戦争よりもずっと前から、それこそ今の現魔王が生まれる前からあるって言われてんだぜ。そして今でも成長し続けてるんだ」
「まだ大きくなっているっていうの!?」
現在でも全長60mを超えている。それが何百年も枯れずに今もなお成長していることにリアスは驚愕した。
「すっげーな。それ......。なあ、アーシア」
それを聞いていた一誠が隣にいるアーシアに尋ねる。
「......アーシア?」
返事がなかったので隣に顔を向けてみると、彼女は目を大きく見開いてその樹を見ていた。
「どうかしたのか?アーシア」
もう一度一誠は尋ねる。
「私は......知っている?この樹を......。でもどこで?」
自問自答するかのようにアーシアは呟く。
「行かなくちゃ...。あそこに」
「おい。アーシア。どうしたんだ。アーシア!」
何かに取り憑かれているような覚束ない足取りでアーシアは中心にそびえ立つ『それ』に近づいていく。
「どうかしたの?イッセー!?」
「部長!なんかアーシアの様子がおかしいんです!」
それを聞いたリアスは樹に向かっているアーシアに叫ぶ。
「アーシア!止まりなさい!アーシア!」
● ● ●
アーシア!止まりなさい!アーシア!
部長さんの声が聞こえる。でも今はそれどころではなかった。
(行かなくちゃ。あそこに)
ーー何故?
(待っている)
ーー何が?
(会わないと、『あの人』に)
ーーそれは誰?
(わかりません。でも、だからこそ)
会いたい。知りたい。そして感じたい。
(あなたは誰?)
● ● ●
リアスが呼びかけても止まらなかったアーシアを追いかけようと一誠が踏み出した、その瞬間。
「うわ!?」
樹が眩く輝き、全員が思わず目を瞑った。そして目を開いた時には、
世界が変わっていた。そして、其処には
「なっ!」
「これは...!?」
今まで咲かずの桜と呼ばれ、誰も咲いているところを見たことがないと言われていたその樹には、満開の桜の花が咲き誇っていた。そして、その前に
ーーーー一人の和装をした黒髪の男がいた。
美形といっていいだろう顔立ちに、長身とすらっとした体格を合わせ持ったその和風の男は、何かを待っているかのように眼を閉じて“そこ”にいた。
月光を背に花びらの舞う巨大な桜の樹の下で瞳を閉じたまま佇んでいる男のいるその光景は、儚げで侵しがたい何かを持っており、それはまるで完成された一つの絵画のようでもあった。
そんなどこか神秘的で幻想的な光景を前に、アーシアを除いたリアス達オカルト研究部のメンバーは声も出せずにただただ見惚れていた。
「......あなたのお名前を教えてください」
そしてその時が止まったような世界の中でただ一人。アーシアだけが動き、男に問い掛ける。
ーーそれはまるで、どこかの御伽噺の一幕のようで
「......名乗る程の者ではありませんが」
男は目をゆっくりと開きながら、低くそれでいてよく通る声でそれに応える。
「私の名は、
咲夜、と申します。
咲夜さんカッコいいですよね?
吉野くんもそうですが、咲夜さんの散り際のシーンが個人的にかなり好きです。リライトの男性陣は皆カッコいい。
リライト。アニメ化しないかなあ。
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追記
rewriteアニメ化キター!
凄い嬉しいです。早く動くあの人達がみたい...!
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孤高の狼
rewriteアニメ化が決まって衝動的に書きました。
…視界が滲む。自分の中の命がどんどん失われていくのを感じる。
何故こんなことになったのかとも思う。結局あいつとの決着を付けることはできなかったし、この決戦でも大した役に立つこともなかった。
自分には特別な能力があると口にはだしていても、本当は自分がただの凡人だということは分かっていた。たがらこそ影ながら努力もした。でも俺の周りの奴らはそれでも追いつけない特別な「何か」を持っていて。…それが羨ましいと感じたことも、確かに、あった。
では今までの自分の生き方を後悔しているのか?と考えると、それは絶対にない、と言える。
こんな俺でもついてきてくれたバカ共は確かにいたし、兄弟《ライバル》だといっていたあいつも俺がいてくれて良かったと言ってくれた。多分もう一度人生をやり直せると言われたとしても、俺は同じように生きていくだろう。
…未練はある。たが後悔はなかった。他人に誇れるような人生であったかは分からないが、俺なりに精一杯生きて、戦った。
あいつの行く末を、あいつの戦いを最後まで見届けることが出来ないのは口惜しい。けれど同時に俺がライバルに掲げたあいつならば大丈夫だ、という安心感はあった。
この場所に来れるのはあいつとのそれなりに強い縁が必要だと聞いた。現にここに喚ばれた奴らはあいつの部活仲間と俺だ。縁はあったがそれがあまり深くなかったせいで呼びたかった奴を喚べなかったとも言っていた。つまりただ言葉を交わしたり、付き合いがあるだけでは駄目だということだ。だが俺は今、此処にいる。だとしたらそれは…そういうこと、なのだろう。
ははっと小さく笑いがこみ上げてくる。
今更だがあれだけ馴れ合いはしない近づくなと言っているのに、しつこくこちらに絡んでくるあいつとのあの関係性をなんだかんだ気に入っていたんだな、俺は。全く…認めたくはねえが、な。
脳裏に走馬灯のように現世の頃の記憶が蘇ってくる。
--------ある時は、自分でふっかけておきながら決闘に来ず一晩待ちぼうけさせられたこともあった。
--------ある時は、不思議空間に放り込まれ共に脱出方法を探したこともあった。
--------ある時は、部活動に巻き込まれ無理やり意味のわからんことをやらされたこともあった。
--------ある時は、ふざけたことを抜かしやがったやつをぶん殴って喧嘩をしたこともあった。
--------ある時は、死にかけていたあいつを背負って惚れた女と共に病院に連れて行ったこともあった。
いろいろあった。本当に、いろいろと。
ああ…ちくしょう。悔しいなあ。
周りにはもう異形の奴らがそこまできていた。あと少しで俺は奴らによってこの場所から消されるだろう。
...なら。そうであるならば。
もう力の入らない右の拳を、異形に向ける。
恐怖なんてしない。不敵に笑い、アウトローらしく。
親指を、下に向けた。
それを理解したのかどうかは分からなかったが、異形は叫び声を上げながらこちらにむかって来た。
…へへへ。ざまあみろってんだ。
そして霞んだ視界の中、何体もの異形が自分にその牙を振り下ろそうしていた。
それでも、最期まで、俺らしく。強気に笑う。
…先に逝くぜ。
--------じゃあな、兄弟。
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--。----ん。
…ん?な‥んだ?誰かが呼んでる…?
--くん。----せーくん。--------っせーくん。
「イッセーくん!」
「うわぁ!」
思いっきり体を揺すられて目を覚ます。
「な、なんだ?」
周りを見渡すとそこは見覚えのない部屋でサッカーボールやら漫画などがそこらに散らかっており、そして
見知らぬ小学生くらいの短髪栗毛の女子が頬膨らませていた。
「なんだ?じゃないよもー!今日は一緒に遊ぼうって約束したじゃない!」
「...は?何を言って。そもそもテメェは誰だよ」
「誰って‥。ヒドいよ!イッセーくん!友達の名前を忘れるなんて!」
うわーん!と急に泣き出してそいつは部屋を飛び出していく。
「…なんなんだ?」
その行動に対して思わず呟く。
そして状況を確認するために思考を切り替え周囲の観察を始め、机の上に置いてあった鏡をチラ見してそして--------固まった。
「…は?」
その鏡の中には。そこに映っていたのは
--------小学生くらいの見覚えのある顔だった。
というか俺《吉野晴彦》だった。
…へ?どゆこと?
吉野くんも格好いいんだよなあ。シリアスな時の頼れる感がハンパないんですよね。
rewriteアニメ化本当よかった。
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