violence・STAR―私は危険な星― (紅 奈々)
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第1楽章 夢渡り
標的1「sinfonia」




「1話だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!」
byスクアーロ


その日は、良く晴れていてとても空気の澄んでいる朝だった。

教室では、教師が教科書を見ながら、生徒に謎の呪文を唱えている。

眠気を誘う教師の言葉に一部の生徒は欠伸をしたり、眠たそうに授業を聞いている。

そんな長閑(のどか)な午前の授業中のこと。

 

 

「8:30、ジャァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアストォォォォォォォォォォオオオ!!」

 

 

朝の長閑な空気をぶち壊すように、一人の生徒が叫びながらスライディングで教室に滑り込んできた。

ピンクに赤が掛かった髪は肩に付くか付かないかの長さ、目は真紅で大きい。

一人は必ず振り向くであろう風貌の少女は、その外見とは裏腹にそこがグラウンドであれば砂塵が舞い散ったであろうスピードで滑り込んだ。

初めて見る人間ならば、仰天していたであろうが、こんな光景は日常茶飯事である為、クラスメイト達は「またか・・・・・・」と呆れる者、笑いを堪える者、それよりも授業に集中する者、と反応が分かれていた。

スライディングして教室に滑り込んできた少女に近付くと、教師は少女の頭を出席簿で小突く。

 

 

「はい、遅刻」

 

 

「異議あり!!」

 

 

教師の言葉に少女はコンマくらいの速さで手を挙げた。

そして、次の言葉にスルーを決め込んでいた生徒の数人が吹き出して、数人が耳を疑い、数人が少女を信じられないモノを見る目で見るのであった。

 

 

「8時30までは遅刻にならない筈だっ!!」

 

 

 

少女は生徒手帳を突きつけながら、言った。

少女の言葉に「今、9時35分ですが―――――――――っ!?」と、クラスの誰もが思ったが、形式上は授業中の為、生徒は口を閉ざす。

一応、授業中と言う事は忘れていない。

呆れた様に、教師は言う。

 

 

「あー・・・・・、お前、アナログ読める?

もう9時35分だ、アホ!!」

 

 

教師の言葉に信じられない、と言う様な表情を浮かべて少女はケータイを取り出すと、ディスプレイを確認して、教師に突きつける。

少女の言葉に今度は全員が信じられないモノを見るような目で少女を見るのだった。

 

 

「嘘吐け!!

8時36分じゃないか!!」

 

 

8時36分・・・・・・だとぉ!?

ダメだ、少女のボケを越すことは出来ない・・・・・・。

誰もが思った。

「コイツはホンモノだ」と。

入学して1年と数ヶ月、彼女のことがまだよく解らない。

生徒は頭を抱えたくなった。

こんなクラスで大丈夫か、と。

 

 

「そのケータイ、壊れてるよなぁ!?」

 

 

「失敬な!

このケータイは買ってまだ、2日目だ!!」

 

 

「なら、何で正確な時間を表示しない!?」

 

 

教師と少女の漫才が教室を満たす。

生徒は最早、自習気分で少女と教師の漫才について話し合っていた。

毎回、良くやるよな―とか。

そう、教師と少女の漫才は今に始まったことではないのだ。

教師の問いに帰ってきた少女の回答に全員が教師と同じ事を思うのだった。

 

 

「お前が禿げ上がっているからだ!!」

 

 

ズビシィっ!!と効果音が付きそうな勢いで少女は教師の頭を指指して言う。

少女の指指した先には、電気の光を反射して光る、それはそれは立派な教師の可哀相すぎる頭があった。

 

 

「俺の頭、関係無ぇぇ」

 

 

キーンコーンカーンコーン、と教師の絶叫を遮るように、授業終了のチャイムが鳴り、生徒達はせっせと机に広げていた教科書だの資料集だのノートだのファイルだのを仕舞っていく。

毎回、教師はこんな扱いである。






読み
「シンフォニア」


意味
「序曲(伊)」


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1-2



そう言えば、俺夢PROJECTの第1弾って、この作品だったんだよね―。
懐かしいわぁ←


「男子男子ー」

 

 

あの後、ねちっこく説教された少女は懲りた様子も反省した様子も無く、机に座って爆笑している男子に声を掛けた。

基本的には誰とでも仲の良い少女だが、この男子とは幼馴染みの為かとても仲が良い。

少女に呼ばれた男子は、少女に目を向けた。

 

 

「何だよ?」

 

 

「ジャンプ見せろ」

 

 

返答した男子がジャンプを持ち歩いていることを知っているのか、少女は人差し指を立てて、手前に揺らす。

 

 

「うっせぇ、お前に読ませるジャンプは・・・・・・」

 

 

「あ゛ぁ?」

 

 

「さーっせんしたっ!!」

 

 

ジャンプを読ませると喧しいので、男子は少女の言葉を突っぱねようとした。

するとそれも虚しく、遮られるばかりか少女に睨まれた。

睨まれたので男子はジャンプを少女に捧げる。

すると、少女は嬉しそうににっこりと笑い、ジャンプを受け取った。

 

 

「オレのフ――――――ラ――――――――ン――――――――――――――!!」

 

 

ジャンプを受け取った少女は超高速でページを捲ると、「魂の叫びだぁ!!」とでも言う様に叫ぶ。

毎回のことなので、もう誰も相手にしなくなった。

すると、先程の教師と違う教師が教室に入ってきて、少女の手にしたジャンプを横から取り上げた。

 

 

「お――ま――え―――・・・・・・。」

 

 

いきなりジャンプを取り上げられて、少女はそれを取り返そうと後ろを振り向いて、固まった。

教師が般若のような表情で立っていたからだ。

そして、次の瞬間、爆発した。

 

 

「学校に雑誌を持ってくるんじゃないっ!!」

 

 

「違うぜ、先っ生!!」

 

 

教師の怒りの矛先を変えようと、少女は首を振って否定した。

そして、少女はジャンプの持ち主の男子を指指した。

 

 

「持ってきたのは、この男子生徒C君です!!」

 

 

「お前ら、廊下立ってろ!!」

 

 

少女の抗議も虚しく、教師によって少女と男子生徒Cは仲良く廊下に立たされた。

 

 

 

「キーっ!!むっかつく!!

オレ、悪くねぇのに!!」

 

 

「お前の所為でバレたんだろ!?」

 

 

何故かキレる少女に男子生徒Cは呆れて返す。

あーあ、最悪だ。

まだ、銀魂読んでなかったのに。

男子Cはため息を吐く。

 

 

「この、つるっパゲ!!

おめぇがハゲ隠してんのは知ってんだぞ!

こンの後頭部河童!!ゴリラ野郎!!

ゴリ河童!!

ゴリラか河童かどっちかにしろー!!」

 

 

 

男子Cの言葉なんか気にも留めず、少女は教師の悪口を叫ぶ。

言いたい放題の少女に腹が立ったのか、教室の窓を開けて、教師が顔をだした。

 

 

「テスト、-100点にするぞ」

 

 

「さーっせんした!!」

 

 

教師が睨んで言えば、少女は大人しく降伏した。

この先公は、やると言ったらやる。

それで一年の時に-100点にされて、大事したことがあったのだ。

あの時の屈辱は今も忘れてねぇからな。

 

 

「あの時の屈辱って・・・・・・お前があの時に彼奴のハゲを露わにしたからじゃねぇかよ」

 

 

「何で心に思ったことが解った!?

お前はフェストゥムなのか!?

きゃーっ、ちかーん!!」

 

 

「ちげぇよ、口に出てんだよ、考えが!!」

 

 

 

そんな茶番をしていると、その様子を見て、他の生徒は笑いを堪えている。

やっべぇ、オレのクラスの生徒だ、絶対に後で冷やかしてくるぞ・・・・・・と、内心、少女は恨めしそうに横目で教室内を見た。

 






俺夢PROJECTとは!!

作者Aが手掛ける、家庭教師ヒットマンREBORN!の夢小説の総称である。
由来は、REBORNの夢小説を初めて書いた時に使っていた名前が「俺夢ZUN」だった為、その「俺夢」を取り、「俺夢PROJECT」なのだ。

他にも、別のサイトなどでは進撃の巨人の夢小説やオリジナル作品も取り扱っており、進撃の巨人の夢小説は「ARIKAPROJECT」、神話系小説は「D.C.シリーズ」、転生系小説は「Promessa及びAbissalePROJECT」と名付けられており、こういう風に総称を分けていないと、色んな作品がゴッチャ混ぜになるのである。


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