ラブライブ! 〜変わらない笑顔〜 (PJIMO OO)
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第一話 再会

私、西木野真姫がμ'sに入ってしばらく経った

最初は嫌と言っていた私だがなんだかんだ一生懸命頑張って楽しんでる

作曲も受け持ってるから他の子よりは少し忙しい

学校の授業や行事も最近多くなってきて疲れも多少溜まってきている

だからと言って、手を抜くような事はしないし弱音も吐きたくない

 

でも、どうしようもなくなったり辛い事があると私は海に行く

東京からは少し遠い小さな海水浴場

あまり人に知られてない穴場のスポットである

勿論μ'sのみんなにも教えてない秘密の場所

時にはここに来て曲を考える事もしばしば

今日は日曜日、練習もお休みだから息抜きのために足を運んだ

 

防波堤に備え付けられたコンクリート造りの階段を降りて砂浜を踏みしめる

降りたと同時に強めの海風が吹いた

被っていた麦わら帽子が飛ばないようにしっかりと被る

ワンピースも風に靡き、ふわっと浮き上がるが手で抑える

海風が止み、再び砂浜を歩く

波打ち際を歩いていると貝殻を見つけた

それは淡いピンク色で少し目立つ貝殻

それを手に取り、懐かしく思った

 

「そう言えば…、”あいつ”と会った時の私もこうしてたっけ…」

 

 

 

回想

 

 

 

10年程前、私はパパとママに連れられて初めてこの海水浴場に来ていた

初めての海だった事もあり、とてもはしゃいでいた事は今でも覚えている

私はパパとママに内緒にこの浜辺にある貝殻で作ったネックレスをプレゼントしようとしてた

 

”ここに連れてきてくれたお礼と毎日の感謝を込めて”

 

30分くらい探してそれなりに集めた私は後はその場を後にしようとした時だった

ザバーッと海から何が出てきた

私は突然の事で動く事ができなかった

すると、そこには全身海草だらけに加え、頭にはタコを引っ付けた少年が両手には小さな魚を持ってこう言った

 

「やったァ!魚、手掴みで獲ったどォォ!」

 

少年は両手を大きく空に掲げて声高らかに言った

私は突然に起きた奇異な現象に驚愕して

 

「お、お、お………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お化けぇぇぇぇ!!」

 

「えぇ!?どこ!?お化け何処だ!?」

 

「お化けがしゃべったァァ!?きゅぅ〜」バタッ

 

そのまま私は目を回して気を失ってしまった

しばらくして目を覚ますと、パパとママとさっきの少年がいた

何でもこの少年が目を回した私をここまで連れてきてくれたのだと言う

 

「なんか分かんねぇけど俺が悪りぃみたいだからゴメン!」

 

「そ、そんなに謝らなくてもいいよ!むしろ、パパとママの所に真姫を連れてきてくれて、ありがとね」

 

「お、おう!」

 

お互い笑顔を見せ、この時を境に私たちは仲が良くなってきた

小学校が一緒だったのは二人して驚いた

 

その6年間はあっという間に過ぎた

そして、卒業式が終わると彼に呼ばれて閑散とした6年生の教室に来た

黒板には『卒業おめでとう!』と色鮮やかなチョークで書かれた文字が残され、夕陽が差しこんでいた

 

「なに?早く言ってよ」

 

「ん、まぁ…な。なんとゆうか言いにくいしよ」

 

「まどろこっしいわね!」

 

小学校5年の頃から私はあいつに対して素直になれなかった

思ってることがうまく伝えられず、きつく当たったりとにかく素直になれなかった

それでもあいつはそんな私にあいも変わらず話し掛けてくれることは嬉しかった

 

「実は俺さ、転校する事になったんだよ」

 

「えっ…」

 

そんな素振りを見せなかったから私は只々茫然としてた

あいつの話が全く耳に入らなかった

我に帰ったのは話が終わってからだった

 

「真姫?どうしたんだ?」

 

「ねぇ!」

 

私は自分でもびっくりするくらい大声を出しあいつに突発的に聞く

 

「私の事、どう思ってる?…」

 

「ん?真姫のことを?」

 

自分でもなぜあんなことを聞いたかはわからない

たぶん、なにか繋がりが欲しかったのかも知らない

私は友達が少なく、話したとしても彼と同じように対応してしまうから

だから、目に見えない不確かなモノだけどしっかり繋がっていられるモノが欲しかったのかも

 

「そうだなぁ、真姫は急に素直だったりそうじゃなかったりするし、歌もピアノも上手くて、年上の奴にも強気でいく姿勢もあって、頭も良いから勉強も算数と理科以外は教えてもらいっぱなしだしよ。こんな馬鹿な俺にいつも付き合ってくれる俺の大切な親友だ。だから……」

 

「だから…?」

 

彼の言葉が途切れて沈黙が流れる

1分にも満たない時間が私にはその何倍にも感じた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから俺は、真姫のことが大っ好きだ!」

 

「えっ…………ゔぇぇぇ!!?///」

 

「だって可愛いからな」

 

「あぅ、あぅ、あぅ///」

 

きっと私は顔がタコのように真っ赤になっていた

恥ずかしさもあるし、嬉しさもあったかも

 

「あと、これやるよ」

 

「これ、キーホルダー?」

 

それは小さな貝殻を加工して作られたキーホルダーだった

 

「ほら!俺と真姫、お揃いだぜ!」

 

彼も同じモノを持って見せた

 

「俺はこれから別の中学行くけど、またぜってーこの町に戻って来るから!」

 

 

 

回想終了

 

 

 

「もう、3年も経ったんだ…。あいつがいなくなってから。」

 

中学の時の思い出は余り覚えてない

友達もいなかったし、将来は医師になり、家を継がなきゃいけなかったから勉強漬けの毎日

最初の一年は酷かったと思う

あいつがいなくなってから初めて感じた寂しさと孤独感

でもそれにも慣れてきてしまい、小学校の時より他人に対してもっと素直になれなかった

強がっていたのかも

自分を大きく見せようと見栄を張っていたのだろう

 

「さて、もう帰ろうかしら」

 

そう思い、海に背を向け歩こうとした時ザバーッと波の音が聞こえた

けど、私は振り返らずに足を進める

 

「なぁ」

 

男性の声がするけど私は足を進める

スクールアイドルを始めてから私にも少なからずファンがいるのは知ってるしむしろ個人的には嬉しい

けど最近はタチの悪い人だっている

 

「なぁってばぁ!」

 

「うるっさいわねぇ!サインだったらお…こと……わ…り」

 

キツめに言って追い返そう

そう考え振り返り、言葉を発しようとするが私の口は尻萎みして弱々しくなった

 

そこにいたのは海草お化けなんかじゃなく、真っ黒な髪をオールバックにしてこちらを見つめる茶色い瞳、背は私より頭ひとつ大きく、その肌は程よく日に焼けている

私の顔を見ると太陽のように、あの時と同じように笑って私の名前を呼ぶ

 

「久しぶりだなぁ!真姫!俺だよ、隼人だよ!」

 

これが私の幼馴染み 一之条 隼人(いちのじょう はやと)との再会

 

 



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第1.5話 再開 隼人編

 

初めまして、俺は一之条隼人だ!

突然だけど、信じてはもらえねぇかもだけど実は俺、転生者なんだ

 

神のじいちゃんから生前の記憶はさっぱり頭ん中から消されちまった

なんでもその記憶があるとこの世界に悪影響を及ぼすらしい

で、じいちゃんの部下がその記憶があるまま死者を転生させちまって、そこでナイスタイミングで死んだ俺に白羽の矢が立ったらしい

まぁ、俺は難しいことがワカンねぇから俺以外の転生者がいたら捕まえりゃいい話かな?

 

転生する奴はある程度特典とゆうものを貰える

因みに俺はONE PIECEの覇気三種をもらった

あとこれは全員に当てはまることで普通の人より少し身体が頑丈になるようにされてる

 

それで俺は一之条家に生まれて、6歳の時に真姫に会った

俺自身、あの笑顔を見た瞬間なんとゆうかビビッ!とくるものがあった

一目惚れだったと思う

こんなに可愛い娘がいるんだって

綺麗な赤い髪、アメジスト色の円らな瞳、俺と違い雪のような真っ白な肌

最初の出会いは良くなかったけど、俺は真姫に会えてよかった

 

仲良くなるにつれて真姫の良いとこも見つけた

ピアノと歌が他のみんなよりスゲェ上手いこと、頭も良くて小学校のテストはいつも満点だったから算数と理科以外はぜーんぶ教えてもらってた

時々自作の歌を作って、歌ってくれたこともあったけ

 

なにより…あの時見た笑顔が頭から離れない

自分勝手かも知れないけど絶対にあの笑顔を守る

真姫には笑っていてほしい

あの笑顔を思い出すだけで胸はドキドキする

だから何があって絶対に守ってみせる

 

閑話休題

 

3年ぶりに帰ってきた

親父と母さんは仕事の都合でまだこっちには引っ越してこれないからまぁ1ヶ月弱は一人暮らしという事になる

 

家具や生活用品、俺の荷物はすでに新しい家に黒○ヤ○トさんに運んでもらっている

荷解きを終えて、すっかりやる事がなくなった俺はあの秘密の海に行くために準備を始めた

 

俺は小学校に入る以前から水泳をしていた

水泳は全身の筋肉を鍛えるのに良いかなぁ、という程度でしてた

が、そこのコーチが俺に善い意味で目をつけて徹底的に教えられて、中学2、3年の時に全国大会で二連続一位を勝ち取り、一時期はそのことをマスコミがめちゃくちゃ取り上げた

 

昔のこと思い出してたら電車が来た

電車を乗り継いでざっと30分

それまでウォークマンに入ってる音楽を聴く

曲名はNo brand grils

音ノ木坂学院のスクールアイドルμ'sの曲だ

俺の友達のアイドル好きな奴を通じて録音やら難しいことをやってもらった

μ'sの歌声は元気が出るから水泳の試合の前なんかによく聞いてた

 

街でμ'sの中に真姫がいるのを見た時はビックリした

歌も前より上手くなってたし、それに加えダンスも踊って、俺には真姫がスクールアイドルというよりは本物のアイドルに見えた

 

そうこうしてると海水浴場に着いた

閑散としていて車の交通量も少ない

砂浜にはこじんまりとした海の家があるが今は営業していない

適当な場所で水着に着替えて、準備体操も忘れずやって

 

「海に、ピョーーーン!!」

 

砂浜を駆けて、ジャンプ

そのまま海面に着水

まだ海開きする時期ではないが水温はちょうど良い感じ

 

「よし!あっちのブイまでドルフィンキックで行くぞ〜!」

 

俺はそのまま潜水し、両脚をイルカが泳ぐ時と同じように真似て水中を泳ぐ

 

 

 

 

 

「ぶはぁーーー!!苦ぴぃーー!!」

 

ブイに着いた時は脚が海面につかないほどの場所まできていた

ふと、泳いできた砂浜をみると誰かいた

ハッキリとはしないが女の人っぽい

別に気にせず泳ぐことを続けてもよかったのだがなんだか磁石のSとNが引き合うかのように俺は急いで砂浜に戻った

 

ザバーッと海面から上がり、女の人を追いかけると心臓が早鐘を打つ

 

後ろ姿だけで分かった

 

忘れるはずが無かった

 

俺の一番好きな娘で俺の親友

 

「なぁ」

 

声がどもらないように呼び止める

彼女は聞こえてないのか、それとも無視してるのかのどっちかだろうが振り返らず歩みを止めない

 

「なぁってばぁ!」

 

今度は少し大きい声で呼び止める

これは流石に聞こえただろ

 

「うるっさいわねぇ!サインだったらお…こと……わ…り」

 

おっ!

やっとこっち向いたな

今は可愛いより、キレイなほうかな?

長かった赤い髪は肩くらいまでに切って、キョトンとしたアメジスト色の綺麗な瞳、白いワンピースを着て、麦わら帽子をかぶった俺の大切で大好きな女の子

 

「久しぶりだなぁ!真姫!俺だよ、隼人だよ!」

 

これが俺の幼馴染み 西木野 真姫との3年ぶりの再開である

 

 

 

 

 

 



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第二話 転入

 

 

朝、新しい日の始まりであり、動物たちも活動を始める時間

鳥がさえずり、天然の目覚まし時計となり、夢心地の人を覚醒させる

 

「zzz…」

 

この青年もまだ夢心地

 

「隼人、起きなさいよ」

 

すると彼を呼ぶ声がする

少し高い女性の声

重たい瞼をこすり、体を起こす

 

「起きないと遅刻するわよ」

 

「ん〜…」

 

ぼんやりとした視界で焦点はうまく合わない

目を声のするほうに向けると赤い髪が見えた

彼は本人かさえも確認せず

 

「真〜姫〜…」ギュ

 

「えっ!ちょっ、きゃあ!」

 

隼人は前のめりで声のするほうへ腕を伸ばし抱きつく

声の主は隼人の体重と勢いに負けて尻餅をつく

 

「イタタ…、なにすんのよ〜」

 

「zzz…真姫…♪」

 

「はぁ…、全くもう…///」

 

呆れたような声だったが不思議と嬉しそうな声でもあった

真姫は自然と隼人の頭に手が伸びてしばらく撫でていた

 

 

 

 

 

 

「真姫、なんで起こしてくれなかったんだよ〜!」

 

「何度も起こしても隼人が起きないからよ!」

 

「それでも始業の10分前とかほっとくのも程があるぞ!?なにしてたんだよ?!」

 

「えっ…、そ、それは」

 

真姫と隼人は猛ダッシュで音ノ木坂学院へ登校していた

理由は真姫が時間も忘れて隼人の頭を撫でていたことにある

 

「ヤベェ!ほんとに間に合わねぇ!こうなったら」

 

「こうなったら?」

 

「よっと…!」

 

「ゔぇぇ!?ちょっと!降ろしてよ!///」

 

隼人は真姫を所謂お姫様抱っこで再びダッシュする

 

「よし、ギリ間に合いそう!」

 

「よし、じゃないから!早く降ろして!」

 

「で、教務室何処だ真姫?」

 

「話を聞きなさいよ!」

 

真姫は隼人と別れて自分の教室に急いだ

なんとか間に合い、授業に支障が出なかったことにホッとした

 

「真姫ちゃん、おはよう」

 

「凛、花陽。おはよう」

 

「今日は遅かったけど、寝坊でもしたの?」

 

「ま、まぁね…」

 

「かよちん、ちがうにゃ。きっと男の子がらみのことにゃ」

 

「えっ!そうなの真姫ちゃん?」

 

「えっ…えっと〜///」

 

(えっ…図星かにゃ?でたらめだったのに)

 

「そ、そんな事いいから。早く授業の準備しなさいよ。先生来るわよ」

 

「あっ、本当にゃ!」

 

「じゃあまた後でね、真姫ちゃん」

 

二人は自分の席に戻り先生が来るのを待った

 

 

 

 

 

 

その頃隼人は

 

「う〜ん?何処だここ?真姫を降ろしたらすぐ走ってたし、場所聞くの忘れたな」

 

教務室に行くのに迷っていた

隼人は何度も通った場所をグルグルしていた

 

「君、どしたの?あんま見た事ないから転入生かな?」

 

「ん?」

 

後ろから声をかけられ振り向くと自分より少し高い男子生徒に声をかけられた

隼人よりガタイが良く、しっかりしている

 

「いやぁ、教務室に行きたいんですけど、この学校に来る初めてだから」

 

「やっぱ転入生かぁ、教務室はこの廊下をまっすぐ行って右に曲がるとすぐだよ」

 

「本当か!先輩ありがとう!」

 

「どういたしまして〜、あと廊下走るなよぉ」

 

隼人はなんとなくのんびりしてる先輩に感謝すると走って急ぐ

 

「根古屋くん!貴方遅刻よ!早く教室に行きなさい!」

 

「はぁ〜い、ただいま〜」

 

その先輩も先生に急かされ教室に行く

 

 

 

 

 

 

あの後隼人は担任に怒られ、一年生の教室に連れて行かれた

 

「じゃあ私が呼んだら中に入ってきてね」

 

「わかりました」

 

先生が教室に入り、しばらくする

 

「はいってきて」

 

「はい!」

 

ガラガラッとドアを開けて、教壇の上に上がる

パッと見ると男子生徒もいて、少し安心した隼人

元女子高だった事もあり、不安でもあった

 

「初めまして、一之条 隼人です!趣味は水泳と釣りだ!三年間よろしく!」

 

「みんな仲良くするのよ。じゃあ一之条の席は……西木野の横ね。西木野、一之条のこと頼むわね」

 

「は、はい」

 

「じゃ、授業始めるわよ。教科書はP42ね」

 

そして授業が終わってみんなから質問攻めになっている隼人

 

「ねぇねぇ一之条くんは部活動するの?」

 

「う〜ん、まだ決めてないかな。ゆっくり決めるよ」

 

「なら是非、私たちの陸上部へ!」

「いやいや、俺たちの野球部に!」

「あえて、私たちの吹奏楽部へ!」

「何を言うか!我が柔道部に!」

 

各部活から熱烈な勧誘を受ける隼人

 

「えっ…え〜と。お、俺…用事思い出した〜!」

 

「一之条くんが逃げたわ!追うわよ!」

 

「「「おぉ!!」」」

 

対処に困った隼人は脱兎のごとく駆け出し校内に逃げる

それを逃すまいと大勢で隼人を追いかける勧誘組

それ以降も休み時間は何処からともなく勧誘組が現れ、鬼ごっこの繰り返し

 

放課後

 

「はぁ…めっちゃ疲れた」

 

「大変だったわね…」

 

やけにやつれた隼人は真姫と一緒に廊下を歩いていた

 

「なぁ、真姫。なんか良い部活ないかなぁ?他の部活入ったら俺大変なことになりそうなんだけど?」

 

「隼人は一度、大変な目にあった方が良いかもね」

 

「そんな事言わないで紹介してくれよ〜」

 

今にも泣きそうな声と目で真姫を見つめる隼人

 

「も、もう!そんな顔で見ないでよ!しょうがないわね…」

 

「本当か!?サンキュー真姫!」ニカー

 

「ッ?!……別に…あんまりにもかわいそうだから///」プイ

 

隼人は相当嬉しかったのか満面の笑みでお礼を言う

頬を赤らめそっぽを向いて自分の髪をクルクル回す

 

(なんで照れるんだ?素直じゃ無いのは知ってるけど…。う〜む、女の子は難しい)

 

(久しぶりに隼人の笑う顔見たら咄嗟にそっぽ向いちゃった…。変に思われて無いわよね?多分自覚無いわね、この天然ジゴロ…。そ、そんな事より)

 

「取り敢えず私たちの部活見てみる?」

 

「ん?真姫ってなんか部活入ってんのか?」

 

「アイドル研究部よ」

 

 

 

 

 

 

真姫に連れてこられてとある部室の前に来た

ドアには『アイドル研究部』とだけ紙に書かれてテープで止められただけのあまりパッとしない感じ

 

「ここよ」

 

(そういや真姫、スクールアイドルしてたよな。今日色んな事あり過ぎて頭からすっ飛んでた…)

 

「何してるの?入るわよ」

 

「お、おう」

 

ガチャとドアノブを捻り中に入ると部屋はアイドルグッズで埋め尽くされており、主にスクールアイドルのCDが多い

 

「西木野、入部希望者か?」

 

「新先輩、いえ見学ですよ」

 

「そうか…。サポート役がもう一人欲しかったが」

 

一番奥の席で小説を読んでいる銀髪ショートで薄緑色の瞳をした先輩が真姫と話していた

 

「まぁゆっくりして行ってくれ。もう少ししたら他の部員も来る」

 

「は、はい!」

 

「ハハッ、そんなにかしこまらなくてもいいさ。そう言えば自己紹介してなかったな。俺は進藤 新(しんどう あらた)二年生だ。よろしく」

 

「そっか、じゃあ…。俺は一之条 隼人だ。新先輩よろしく!」

 

「あぁよろしく」

 

自己紹介も終わった事で談笑していると誰かが部室に入ってきた

 

「あれ…真姫ちゃん、新くんと……誰かなぁ?」

 

「どうしましたの穂乃果?」

 

「どうしたの?」

 

茶髪をサイドテールで結んだ人と青い髪をロングヘアーにしてる人にベェージュの髪を変わった留め方をしてる人が部室にきた

 

「穂乃果、海未、ことり。こいつは一之条 隼人。西木野の幼馴染みだ。隼人、右から高坂 穂乃果、園田海未、南 ことりだ。三人とも9人組のユニットμ'sとして活動してる。μ'sを作ったのもこの三人なんだ」

 

「本当っすか?!先輩凄いっす!」

 

「え?そ、そうかなぁ〜///凄いかなぁ///えへへ」

 

「穂乃果ちゃん頑張ったもんね」

 

「そうね、μ'sは穂乃果から生まれたと言っておかしく無いわね」

 

「それに真姫も仲間に入れてもらって嬉しいです!真姫は歌も上手いし、この前見たらダンスも出来るようになってたし、俺すっげぇ嬉しかったっす!」

 

「そっかぁ!じゃあ隼人くんもアイドル研究部に入ろうよ!」

 

突然穂乃果から入部の誘いが来た

 

「おいおい、穂乃果。隼人は見学だって「やります!!」え?」

 

「俺が真姫や皆さんの手助けになるなら喜んで!!一之条 隼人、アイドル研究部入ります!!」

 

「本当!?新くん!サポート役の子これで揃ったよね?」

 

「あ、あぁ…。隼人は本当にいいのか?」

 

「新先輩、隼人は一度決めたら絶対曲げないから言うだけ無駄よ」

 

真姫が新の質問を代わりに答える

 

「そ、そうか。なら隼人、今日は練習はないから動くのは明日からでいいぞ」

 

「はいっす!」

 

最終下校が近づき、部活で残っていた生徒が続々と帰っていく

 

「隼人、ちょっと残ってくれないか?」

 

「?いいっすよ?真姫、昇降口で待っててくれないか?」

 

「いいけど…、早くしてよ」

 

「OKOK」

 

真姫が部室を出てシン、と静寂が訪れる

聞こえるのは下校中の生徒の会話と鴉の鳴き声

 

「なんか用ですか?」

 

「あぁ、隼人。お前、転生者だろ?」

 



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