救国戦士 織斑一夏 (狂笑)
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プロローグ

取りあえず投稿してみた。


ISの登場により、世界が変わった。

各国は自国の国力を守るためと称し、女性優遇の法整備を行った。

日本も例外ではない。

 

勿論、一筋縄ではいかなかった。

反対派は女性優遇関連法案は憲法の定める平等権の一つ、両性の本質的平等に反する、または人権侵害だとして各地の裁判所に一斉提訴。これを最高裁まで持込み、また憲法学者を呼んでの会議も行なわれた。その結果は――

 

違憲

 

これによって内閣は総辞職、また衆議院も解散された。

だがしかし、結果は賛成派の女権連合が過半数を占めた。

それは何故か。

女権連合を支援しているのは主にIS登場後に設立された新興の女権団だ。その新興女権団が一斉に武装し、各地の投票所を襲撃。男性に投票させないという暴挙に出たのだ。

 

反対派は弁護士を中心に選挙無効を求めて裁判所に提訴するも、政府は新興女権団の武装組織を中心に女性軍を組織し、これを弾圧した。

 

この政府は女権政府と言われるようになった。

 

こうして政府は武力を背景に憲法改悪、国会閉鎖を行い、女性優遇法を推し進めた。

 

結果、ほとんどの男性と一部の女性は冷遇された。

一部の女性とは、女性間での陰湿なイジメのターゲットにされた人や、グループ内部で権力争いに敗れた側についていた構成員や父子家庭の子供などだ。

 

だが、男性を省いた社会は徐々に回らなくなっていった。

それでも政府は何も変わらなかった。

それどころか、弾圧を更に強め、天皇制にまで口出しするようになった。

 

これに猛反発をおこした民衆は1877年の西南戦争以来となる内戦を起こした。

 

九州では福岡で反対派や地元ヤクザなど5万人が日本を再興する九州男児の会会長の鬼木正夫に率いられ蜂起。これに呼応して鹿児島西郷会の森山日理などが蜂起。九州全土で28万人が参加する九州大反乱が発生。

 

北海道では町村孝義、横路朋政が中心となり35万人が蜂起。

ほかにも四国や群馬、山口などで相次いだ。

 

しかし、北海道以外はすべて鎮圧された。

 

ついに人々は逃げ始めた。

中国やキューバといった、一党独裁という政治体制を築いているため、女性優遇をする必要のない国へと。

 

日本ではついに一人の男が立ち上がった。

その名は久河士武(まさたけ)。国内では数少なくなった男性実業家の一人だ。

彼は秘密裏に、多くの被害者と科学者に声をかけた。

 

政府と女権団を倒そう

ISを本来の使い方に戻そう。

 

この言葉により、多くの人々が彼の立ち上げた団体に参加した。

その名は――

 

日本救国会

 

この会が設立されてから二年後、一人の科学者が己の罪を償うために入会した。

篠ノ之束

彼女の協力により、とあるナノマシンが完成した。

そのナノマシンを体に注入した人間はISと闘っても勝つことが可能になった。

故に、このナノマシンは国を救う手助けになるとされ、救国ナノと名付けられた。そしてこのナノマシンを注入した日本救国会の戦闘員を国を救う戦士として、救国戦士と呼ぶようになった。

 

そしてある時、世界最強のブリュンヒルデ、織斑千冬の弟、織斑一夏が入会した。

彼はこの世界を憎んでいた。

だからなのだろうか、彼は戦闘員に志願し、救国戦士となった。

彼は多くの女権団奇襲作戦に参加し、功績をあげ、下級幹部である上級戦闘員となった。

そして彼はショッピング中――

 

ISを動かしてしまった。

 

これにより、IS学園に入学することになってしまった。

織斑一夏は、どうなってしまうのか。

 




次回、一夏視点でIS学園入学からスタート予定


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第一話

すいません、遅れました。


「全員揃っていますねー。それじゃあSHRはじめますよー」

 

……今、俺はIS学園に生徒としている。

何故こうなった……

 

元々俺は県立の通信制高校に進学し、救国活動(という名の女権団襲撃活動)に従事するつもりだった。

だが受験後、買い物ついでに、エラそうに踏ん反り返っているだけの無能を消そうと思って大型ショッピングセンターに寄ったのが運の尽きだった。

ボーっと三階の吹き抜け近くを歩いていたら何者かにブン投げられ、吹き抜けにそのまま墜落。なぜか一階にISが展示してあって激突。

気付いたら……IS纏ってた。

俺自身何言っているのかよくわからねえ。

あと休み時間に刺さる女子からの視線が痛かった。

内訳は興味五割憎悪四割性欲一割(俺の感覚調べ)

今月に行われる東北地方東部女権団幹部会襲撃に参加したかったなー。

 

とりま、回想と無駄な思考は横に置いといて、と。

今何やってんだ?

教室で行われていることをよく聞き、またよく観察してみる。

ふむ、相川清香とか畦元光音とか聞こえてくるし、席を立っている娘もいる。

如何やら自己紹介のようだ。

自己紹介。大抵コイツで第一印象は決まる。

俺は女尊男碑思考の人間は好きじゃない。むしろ嫌いだ。ソイツ等を近づけないために先手を打つべきか、それとも穏便に事を済ますべきか……。

ってヤベ、次俺じゃん。ままよ、わんざくれ!ってなんで江戸弁?

 

「織斑一夏だ。たった一人の男子だがあまり気にしないでくれ。あと俺は女尊男碑主義者が嫌いだ。下らないことで一々突っかかってくるようなことがあれば容赦はせん。取りあえず一年間よろしく。以上」

 

ふっ、どうよこの自己紹介。これで自発的に俺に関わろうとする人はゼロのハズだ。

学園内ではぼっち街道を突き進んでやる。

 

……そう思っていた時期がありました。

 

「「「「「キャー――――――」」」」」

 

ぐおー、耳が、耳がー。な、なんだこれは、新型の、音響爆弾かー。

しかも恐怖の悲鳴じゃなくて、黄色い声、だとー。

 

「か、カッコイイ」

 

「こ、これは、男じゃなくて漢!」

 

「躾けて、私を」

 

「私を、私をセフレにして」

 

「あなたのものにして!」

 

ヤバいのばっかり聞こえてくるぞオイ。

なんか皆感性狂ってない?俺絞りとられる運命なの?何が、とは言わないけど。

 

「なんだ、この騒ぎは」

 

ふと、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

おそるおそる振り向くと、黒のスーツにタイトスカート、すらりとした長身、よく鍛えられているが決して過肉厚でないボディライン。組んだ腕。オオカミを思わせる鋭い釣り目。

住居不定、職業不詳の我が姉、織斑千冬である。

こんなところで教師なんてやっていたのかよ。てっきり日本代表やドイツ軍IS教官時代の給料使って酒飲みながらほっつき歩いているとばかり思っていた。

いつか問題起こすと思ってテレビから

 

『昨日未明、元IS日本代表の織斑千冬さんが逮捕されました』

って流れるのを待っていたのにな~。つまらん。

 

ガッコッ

 

鈍い音が響く。如何やら俺のこの考えに気付いたらしい千冬姉が出席簿で攻撃してきたので拳で迎撃したのだ。

ったく、出席簿で攻撃とか、どこの落・乱の土井先生だよ。

 

で、結果として……

 

出席簿がヘコんだ。

 

千冬姉が「おかしいな、ISの装甲用金属を使っているんだが……」とか呟いているけど関係ない。

むしろ破壊できなかったことのほうがショックだ。

 

「さて、気を取り直して自己紹介するとしよう。

諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私たち教師の教えることはよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。何か分からない物や出来ない物があったら職員室まで持って来い。これから一年間、よろしく」

 

おお、あの暴君だった千冬姉がしっかり教師やっているよ。意外。

それに教師なら家にあまり帰ってこなくても納得できる。結構ブラックな職場だし。

まあ何?お手並み拝見てところかな。面白そうだし。

 

 

 

あと千冬姉の自己紹介の後、女子の黄色い声による音響爆弾が炸裂し、俺に愚痴を零したのはまた別に話。

 




次は8月中に投稿します。


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第二話

無機質ながら、軽快なメロディーが一時限目の終わりを告げる。

一時限目のIS基礎理論授業、入学前に渡された参考書を読み込んでおかなければ頭が爆発するところだった。なんで専門用語を専門用語で説明するのかな。意識高い系みたいだったよ。

 

力尽きたように机に伏せる。

(精神的に)疲れたのも確かだが、それだけではない。

現在、この教室付近の廊下には他クラスの女子や二、三年の先輩達が詰めかけている。

容姿のレベルの高い女子もちらほら見かける。だが、視線を合わすと頬を赤くしてふいっと顔を逸らされてしまう。

今感じる視線は殆どが好奇心から来るもので悪意が見られないため、俺も話しかけてみたいのだが、相手の選択をミスするとその子が女子社会からハブられかねないし、何より話題がない。だから、伏せるしか方法がないのだ。

 

「お、織斑君、大丈夫?」

 

ふと、顔をあげる。話しかけてきてくれたのは隣の女子のようだ。

紫色に近い黒髪の、ショートカットが似合う可愛い子だ。

 

「ああ、ありがとう。こんなに視線を向けられるのに慣れてなくてな」

 

「そ、そう……」

 

笑顔で返答すると隣の女子は頬をリンゴのようにして黒板の方を向いてしまった。

これが昔から天然ジゴロと言われる所以なのだろうか。

 

「……ちょっといいか」

 

後ろから突然話しかけられた。

 

「なんだい?」

 

そう言って後ろを向く。

そこにいたのは――

 

「……箒?」

 

「そうだ、私だ」

 

――六年ぶりの再会になる幼なじみだった。

 

篠ノ之箒。俺が昔通っていた剣術道場の子。髪型は今も昔も変わらずポニーテール。肩下まである黒い髪を結ったリボンが白色なのは、神主の娘だからだろうか。

あの頃と比べれば色々と育ったな。どこがとは言わないが。

 

「廊下でいいか?」

 

「別に構わないぞ」

 

俺もこの状況から抜け出せるのはありがたい。

 

「早くしろ」

 

「お、おう」

 

スタスタと廊下に行ってしまう箒。

アイツは待つという考えがないのか。

 

 

 

廊下に出たのはいいが、俺等から4メートルほど離れた包囲網が形成されていた。

意味ねえな、これ。

しかも廊下に移動させた箒からは切り出さないとか、何、新手のイジメ?

仕方ない。俺から切り出すか。

 

「そういや、去年、女子中学生全国剣道大会で優勝したってな。おめでとう」

 

「な、なんでそんなこと知ってるんだ」

 

「そりゃ、新聞に掲載されていたし、ネットの掲示板でも注目の美人剣士って評判になっていたからな」

 

「び、美人……」

 

箒は顔を真っ赤にしてフリーズしてしまった。何故か湯気が出ているようにも見える。

 

無機質ながら、軽快なメロディーが再び流れる。

二時限目の開始を告げるチャイムのようだ。

これが流れた瞬間箒は物凄い勢いで戻っていってしまった。

だから待つという行為を覚えようぜ。今時犬だっって覚えるのに。

ゆっくり戻るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

この後、授業に遅れて千冬姉に出席簿で叩かれたのは言うまでもない。

この際、出席簿がへし折れたのだが。

 

 



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