ダイス神様のお導き(泣) (名無しのごんべい)
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SANチェックから始まる第一話
急に思い浮かんだので。
「おはようございます!」
そんな声で目が覚めた。
「……もう朝か?」
はて? 自分はいつの間に寝たんだろうか? 確か近所のコンビニに弁当を買いに行ったことは覚えてるんだが……。
「はい! これからあなたの夜明けが始まるんです!」
そんな声に振り向く。
天使がいた……。いや、比喩でも冗談でも何でもなく文字通り天使がいた。
「改めておはようございます! こちらは転生者管理センターです! 今回、貴方は人類死亡カウンターのキリ番目で死亡してしまいましたので転生……あなたの世界のサブカルチャーで言う所謂『神様転生』を行ってもらいます!」
混乱している中で告げられる言葉。転生者管理センター? 人類死亡カウンター? 何を言っているんだ?
「おや、混乱しているようですね。ですがご安心ください! 要約すると『死んだけどもう一回別の世界で人生を楽しめるぜ!』ってことです! ではここからは転生後の設定をします! 転生後の世界は『魔法少女リリカルなのは』! 得点は三つまでで原作キャラと同い年でスタートです! では特典は何にしますか?」
いきなりそんなこと言われてもな……こりゃ夢か? そう言う系の物を見すぎて夢にまで出てくるようになったのか? なら楽しむか。
「じゃぁ……『魔法の才能』と『デバイス無しで魔法を使える才能』。あと、『NTのような直感』の三つで」
「はい! 転生後の再設定はできませんがよろしいですか?」
「はい」
「ではちょっと待ってくださいね?」
そう言って天使はどこからともなく机を呼び出してその上で何か作業を始めた。
コロ……コロコロ。
そんな音が静かになった空間に響く。
「はい、決まりました! 『魔法の才能(82)』! 『デバイス無しで魔法を使える才能(30)』! 『NTのような直感(12)』です!」
「いやまて、その()の中身は何だ?」
あっれー? なんかそんな表記どこかで見たことあるような気がするぞー?
「いやー、最近は『王の財宝』とか『無限の剣製』とか『ベクトル操作』とか『世界』とかチート能力ばっかり見てたんで久しぶりに普通の特典を見ましたね! お礼にこれを差し上げます!」
そう言って天使は俺に手を差し出す。流されるままに受け取ったそれは……。
サイコロだった。
「……え? なにこれ?」
「それは『ダイス神』! とっても素敵なモノなんですよ!」
なんだろうか? 名前にそこはかとなくフラグ臭を感じる。
と思ったら頭の中に声が響いてきた。
『転生者はこの世の物とは思えない存在を目の前にし無意識のうちにその存在に恐怖した。SANチェックどうぞ』
『SAN値(40→43)』
『失敗。1D3の喪失ロールどうぞ』
『(1D3→1)』
『SAN値40-1=39』
はぁ!?
「え!? ちょい待ちこれホントにいらない!」
「では、転生後の設定を終わります。良い来世を!」
「まってぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
そうして、俺の危険と魔法とダイスにまみれた新たな人生が始まった。
現在のSAN値 39。
他のステータス 変動なし。
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キャラシートと注意事項
魔法の才能と魔法暗算のステータスの数値を修正。
陸奥 転我 (9)
転生者
STR(筋力) 11
CON(頑健) 12
POW(精神) 9
DEX(敏捷) 10
APP(外見) 10
SIZ(体格) 10
INT(知力) 13
EDU(教育) 12(転生者のため前世補正)
アイデア 65
幸運 40
知識 60
正気度 40
最大正気度 99
耐久力 16
マジック 9
ダメージボーナス -4(物理のみ)
リンカーコア 897(魔力ランク17段階D100。この場合AAA)
特典技能
魔法の才能 82(魔法の成功率)
魔法暗算 30(デバイス無しの魔法成功率)
NT 12
運転(自動車) 5%
応急手当 5%
回避 50%
隠れる 40%
機械修理 10%
忍び歩き 40%
運転(二輪車) 5%
信用 1%
電気修理 1%
図書館 5%
他の言語(英語) 10%(転生者のため前世補正)
母国語 60%
歴史 40%(転生者のため前世補正)
注意事項
*シナリオは決めていません。なぜならダイス神様のお力でどうなるかわからないからです。
*ダイスの振り直しはありません。すべて一発勝負です。
*SAN値がありますがクトゥルフは出ません。
簡単な魔力ランク表。
0~99 =F
100~199 =E
200~299 =D
300~399 =C
400~499 =B
500~599 =A
600~699 =AA
700~799 =AAA-
800~899 =AAA
900~999 =AAA+
1000~1999=S-
2000~2999=S
3000~3999=S+
4000~4999=SS-
5000~5999=SS
6000~6999=SS+
7000~ =SSS
*あくまでこのSS独自の設定です。
プロフィール
転生者。謎に包まれた転生者管理センターによって転生を果たした。彼がこの後どう原作に関わっていくのかはダイス神様のお導きしだいである。
TRPGは某動画サイトでリプレイ動画を見たくらいで実際にやった経験は無し。だけどだいたいのルールは把握している。
なのははアニメ全て視聴済み。劇場版も見ており、一番好きなのはForce。自他ともに認めるユーなの派であり、今のところ原作キャラとイチャイチャしたいと言った思いは無し。本人にとっては(ユーノ君となのはちゃんのイチャイチャを間近で見れたらなー)程度である。魔法の才能を特典に選んだのも魔法があればなのはとユーノと自然にいっしょにいれるから。
ダイス神様を渡されるのは完全に予想外であり、ダイス神様に特典の性能を決められたのも予想外である。これからこの子がどうなっていくのかはダイス神様しか知らない。
ダイス表記
技能 技能値 ダイスの目
SAN値( 40 → 43 )
この場合は失敗であり喪失ロールを振る。
技能 技能値 ダイスの目
SAN値( 40 → 33 )
この場合は成功であり喪失は無し。またはダイス神様に決められた固定値喪失。
これから恐怖のダイスロールが始まるのだ! 恐れ慄け!
こちらを参考にさせて頂きました。
学生キャラクターメイク
http://www.eonet.ne.jp/~shingoro/TRPG/CoC/make_young.txt
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ダイス神様と一緒の第二話
やぁ! 転生者の陸奥転我(むつてんが)です!
長かった……やっと9歳まで来れた! これまでの俺の苦労の連続をダイジェストでどうぞ!
「オギャァ! オギャァ!」
原作キャラと同い年って赤ん坊からかよ! って言うか夢じゃねえのか!? 俺マジで死んだのか!?
『転生者は自分が冗談でも何でもなく既に死亡していることに気付き、にも拘らずこうして再び誕生したことに例えようのない恐怖を感じた。SANチェックどうぞ』
おい待てや!
『SAN値(39→94)』
『失敗。1D6の喪失ロールどうぞ』
でけぇな! じゃなくてやめろ!
『(1D6→6)』
『SAN値39-6=33』
『一度に5ポイント以上喪失のためアイデアロールどうぞ』
『アイデア(65→57)』
ぎゃぁぁぁぁぁ!?
『成功。狂気の内容をロールします』
『(1D10→4)』
『早口でぶつぶつ言う意味不明の会話あるいは多弁症になります。ロールプレイどうぞ』
できるかぁ!? こちとら赤ん坊じゃぁ!!
「転我ー、ごはんですよー!」
ご飯……つまり授乳ですよね。前世だったら興奮できたんだろうけど今の俺ではただただ羞恥心がガガガガガ。
「はーい、よしよし」
あ~……抱き上げられると安心するんだよなぁ~。これが母親か……。
『転生者は母のぬくもりで精神が安定した。1D10で正気度回復ロールどうぞ』
え? マジで!? ダイス神様やっさしー!
『(1D10→6)』
『SAN値(33+6=39)』
おっしゃーーーー!!
「さぁ、たーんとお食べ?」
ッと、そうだそうだ飯だった。
『技能判定』
は?
『乳吸い(80→1)』
『クリティカル。転我はうまく授乳を終え満腹になった。満腹になったことで心に余裕ができた。1D3でSAN値回復ロールどうぞ』
『(1D3→3)』
『SAN値(39+3=42)』
……え? こんなことまで判定すんの? って言うか乳吸い技能ってなんだよ!
『乳児の時だけ使用可能な技能。初期値80』
なんだそれ!? いや、まぁSAN値回復したからいいけどよ……。なんか納得いかねぇ……。
『技能判定』
『二足歩行(30→90)』
『失敗。転我はうまく立てずに転倒した』
いてぇ! っていうかあぶねぇ! もう少しでファンブルじゃねえか!
「ああ、転我大丈夫か!?」
「やっぱりまだ立つのは早いんじゃないかしら?」
「かもなぁ」
あと1ヶ月くらい待ってください。
まさかまた幼稚園に通うことになる何て……。まぁ童心に帰るのもいいか。
『転我はすでに卒業したはずの幼稚園にまた通うことになったことに関して名状しがたい恐怖を感じた』
感じてねぇ!
『SANチェックどうぞ』
『SAN値(42→61)』
『失敗。1D3の喪失ロールどうぞ』
『(1D3→2)』
『SAN値(42-2=40)』
初期値に戻ったじゃねーか! どういう事だよ!
……ここまで、ながかったなぁ……。
現在のSAN値 40
他のステータス 変動なし。
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初接触と第三話
テンプレ? テンプレなのか?
幼稚園の時、友達にキャッチボールを誘われたことがある。
「おれ、しょうらいはやきゅうせんしゅになるぜ!」
「おう、頑張れよ」
『技能ロール』
『投擲ロール。ゆっくり投げているため30の補正』
『投擲(25+30→25)』
なんてキャッチボールするたびに技能ロールしなきゃならんのだ……。いい加減慣れてきたこととはいえ、いつ失敗するかヒヤヒヤする。
「おまえはなにかないのか!」
「何も考えてないなぁ」
『投擲(25+30→14)』
って言うかいつの間にか夕暮れ時か……そろそろ帰らないとな。
「次で最後にしようぜー」
「おう、こい! ぜんりょくでな!」
そう言って野球選手を夢見る園田君は腰を落として捕手の構えをとる。
そこまでされては俺も応えねばなるまい。
「おっしゃ! 行くぜ!」
『投擲ロール。全力投球のため補正無し』
あ。
『投擲(25→72)』
『失敗。幸運ロールどうぞ』
『幸運(40→32)』
『成功』
俺が投げたボールはあらぬ方向に飛んでいった。
ふぅ、よかった。幸運ロールに失敗してたらどうなっていたか……どっかの窓に突っ込んでたかもな。
「どこなげてんだよー!」
「ごめん! 取ってくる!」
そう言って俺はボールが飛んでいった方に走る。そこは公園の端のブランコ。一人の少女の前に二人の少年が陣取っており、ボールは少年たちの間を転がって少女の足にこつんと当たってから止まった。
「ごめん! 怪我してないか!?」
そう言いながら駆けよると、少年たちがこちらを振り向く。
……ないわー。これ絶対転生者だわー。だって片方銀髪オッドアイの超絶イケメンでもう片方がこれまた整った顔立ちの赤髪イケメンさん。そして俯いて顔がわかりにくいがあの揺れるツインテールはなのはちゃんだろう。
つまり、俺はテンプレに関わってしまったと言う事である。
「あ? なんだてめーは?」
踏み台臭のする銀髪オッドアイが俺を睨む。赤髪も口には出さないけど何か言いたげだった。
「いや、ごめんな。キャッチボールしてたら投げそこなっちまって……」
「ふん。なんだモブか」
「おい、なんで君はそんな風に他人を見下すんだ。良くないなぁ、そういうのは」
「知るかよ! 俺が何しようが俺の勝手だ! 指図すんなよモブ!」
おーおー、オリ主と踏み台が言い争いをはじめちまった。
どうしようかと悩んでいる中でふと一言も話していない少女を見ると、目が合った。
するとおそらくなのはちゃんと思われる少女は足元にあったボールを拾って汚れを払うと俺に差し出してくる。
「はい、どうぞ」
「ありがとう。当たったりしてないか?」
「ううん、ころがってきたし止まりかけだったから大丈夫なの」
少女からボールを受け取るついでに世間話。これが二次創作でよくある漁夫の利である。
「あの二人は友達?」
今だに言い争いを繰り広げる二人を見ながら聞く。すると少女は困惑気な表情になる。
「ううん、ちがう。1人であそんでたらいきなりきたの。そしたらそのままケンカしはじめちゃって……」
なんとテンプレ。大方寂しくしているなのはちゃんと幼いころからフラグを立てようと思ってたんだろう。だが、俺がいる限りそうはいかん。ユーなの以外は認めない!
「なら、このまま帰っちまえばいいんじゃないか?」
「え? でも……」
そんななのはちゃんの視線は再び二人の方へ。おそらく喧嘩している二人を放っておけないと言ったところだろうか? そうだとしたら優しい子である。
「あの二人なら俺が仲直りさせるよ。それに時間も遅くなっちゃうしお母さんとかが心配するんじゃないか?」
そう、この時期のなのはちゃんを考えれば少し意地悪な言い方をする。
確かこの時期のなのはちゃんは家のことで手いっぱいな家族に心配を掛けたくないと言う理由で必死にいい子になろうとしていたはずだ。そんなこの子にこういえば……。
「それはだめ! ……でも、ほんとうにいいの?」
「ああ。任せろ! こう見えて、俺は仲直りの達人だ!」
ビシッとポーズを決めながら言う。気分は武装錬金! 転生特典核鉄でもよかった……だめだ、ファンブルが怖い。
「ふふっ、なにそれ!」
そう、なのはちゃんは笑みをこぼす。そしてお礼を言いながら帰っていった。
さて、あとこの2人だが……。
「おいモブ! なのははどうした!?」
ん? 気付いたか。さて、どうしようかね。
『選択』
は?
『説得。言いくるめ。キック』
おい、最後待て。
『1D3でロール。1なら説得、2なら言いくるめ、3ならキック』
まて! ダイスロールはそんなことの為にあるんじゃない! 待ってくれ! マジ待ってお願いせめて二択に……。
『(1D3→1)』
セェェェェェェェフ! セェェェェェェェェェェェェェェェフ!!!
『説得ロール。初期値15』
まだピンチは続くと言うのか!! 畜生!!
『説得(15→33)』
ですよねー。知ってたよ。ごめんねなのはちゃん、仲直りの達人にはなれなかったよ。
「おい、何とか言ったらどうなんだよモブ!」
胸倉掴まれた。勘弁してくれ……。
「あの子ならもう帰ったよ……」
「あんだと!? てめぇ!!」
「おいやめないか。君はそんな子供にまで手を出す気か?」
あなた達も子供なんですがそれは……いや、頑張ってくれオリ主君! 君の行動に俺が無傷で帰れるかどうかがかかっている!
「うるせぇな、俺に指図すんなって言ってんのがわかんねぇのかモブ……」
そんな銀髪オッドアイの両手にはあら不思議、いつの間にか夫婦剣が! 『無限の剣製』かよ。『王の財宝』じゃねえのかよ。
「それを持ち出すとは……よくないなぁ……」
そんなオリ主君の手にはいつの間にか携帯電話。そして腰にはベルト。……なるほど、カイザになった奴は心まで草加っていくんだ! オリ主君のようにな!
『転我はいきなり目の前で幼稚園児が殺気をむき出しにして殺し合いを始める光景に恐怖を感じた。SANチェックどうぞ』
だー! ふざけんなよおらー!
『SAN値(40→98)』
『失敗。SANチェックの為ファンブルは無し。1D6の喪失ロールどうぞ』
『(1D6→1)』
『(40-1=39)』
これが振出しに戻るってやつですね、わかります。誰かこのダイス神様叩き壊してください。
「おーい! てんがー? ボールまだかー?」
「悪い、今行く!」
おっと、園田君が呼んでいる。じゃあねお二人さん! 俺は逃げる!
『逃走判定。DEX×5でロールどうぞ』
おい、バカやめろ。叩き壊してなんて言ったの謝るから!
『逃走(10×5→13)』
『成功』
うおおおおおお!! もうこんな生活嫌だぁぁぁぁぁ!!
って言っても小学生に上がった今もダイス神は俺と共に有った。
現在のSAN値 39
他のステータス 変動なし。
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なのはちゃんと銀髪君と一緒の第四話
何か書こうと思ったけど忘れた。
小学生に上がってすぐの事。
この光景、ロリコンやショタコンが見たら発狂するんだろうか? 周りを見たらすべて小学生とかあの人種にとっては発狂物なんだろうか? とかどうでもいいことを考えているのにも理由がある。
暇なのだ。
小学生の問題など今更ノートを取らなくても余裕でできる。20歳舐めんな。使わなくたってある程度は覚えてるんだよ。
「じゃあ、陸奥くん。この問題わかるかなー?」
担任の女教師が猫撫で声で聴いてくる。ハッ! 10+15とか余裕過ぎてあくびが出るぜ!
『技能ロール』
……What?
『知識ロール。小学生1年生相当の問題の為+30』
『知識(60+30→61)』
『成功』
……あ、あぶねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?? 補正無かったら失敗してたじゃねーか! この程度の問題もわからないバカになってたじゃねーか! って言うか問題をいちいち聞かれるたびに知識ロールすんの!? やめてください死んでしまいます!
「陸奥くーん?」
「あ、はい! 25です!」
「正解です! では、この問題の……」
そして授業はパニックになっている俺を置いて進む。流石に授業くらいはダイスのこと忘れたかった……。
そんな授業が終わって昼休み。お弁当の時間でございます。
『技能ロール』
は? なにを?
『幸運ロール』
『幸運(40→92)』
『失敗。転我はお弁当を家に忘れてきた』
はぁ!? ちょい待ち俺ちゃんと入れて……まじだ。ない……俺の弁当……ない……。
「てんがー。どうしたー?」
「弁当忘れた……」
「あらら……がんばれー」
畜生。園田君は薄情だ。
「えー……と、あのー……」
「ん?」
俺がショックで打ちひしがれていると、話しかけてきた子がいた。
顔を上げてその子を見ると、そこにいたのはなのはちゃんだった。あれ? 同じクラスだっけ?
「その、仲直りの達人さん……だよね?」
仲直りの達人? ああ、そう言えばそんなこと言ったな。
『技能ロール』
ダイス神よ、あなたは何がしたいんですか?
『記憶ロール。INT×5でロール』
『記憶(13×5→73)』
Oh……。
『失敗。転我は目の前の少女を覚えていなかった』
いやいや覚えてないって、現に俺はこの子と会った時のことをしっかりと……あれ? えーっと?
「……ごめん、誰だっけ? どこかで会った……とは思うんだけど」
あっれー? さっきまで覚えてたんだけど……マジで誰だ?
「あ、うん。そうだよね。一回だけしかあったことないし、ちゃんと自己紹介してないもんね」
そう言うと女の子はコホンと一つ咳ばらいをした。
「わたし、高町なのは。覚えてないと思うけど、小さいころあなたに助けてもらったことがあるの。だから、お礼が言いたくて……ありがとう」
「んー? わからんけど、どういたしまして」
すごいなこの子……もとい、なのはちゃん。この年で不自然なくらい礼儀正しい……。前世でもこんな小学生見たことねぇ。
って言うかなのはって主人公じゃねえか! いくら生で見たのは初めてとはいえ、わからないとはなぁ……まぁ無印を見たのはもう何年も前のことだし転生してから見てないから仕方ない……のか?
「ってそうだ。名乗られたからには名乗り返さないとな。俺は陸奥転我。何を隠そう、俺は弁当を忘れる達人だ!」
「あ……ふふっ。うん! よろしくてんが君!」
よしよし、つかみはOK! 今度からこの武装錬金式自己紹介は初対面の時にやっておくことにしよう。
「お弁当忘れたの? 私のあげようか?」
「いいのか? いやー助かったよ。腹ペコのまま次の授業受けるのは辛いから」
いやーほんと優しい子だ。こういう子が癒しって言うんだろうね。
『転我はなのはと接して心を癒された。成功1、失敗0のSAN値回復ロールどうぞ』
『SAN値(39→24)』
『成功。1の回復』
『SAN値(39+1=40)』
マジで!? やった! なのはちゃん天使か!
『続いて幸運ロール』
はい?
『幸運(40→61)』
『失敗』
……いったいなにが?
「おーい! なのはー! 飯食おうぜー!」
そんな声とともにガラリと教室の扉が開く。
そこにいたのは……銀髪、イケメン、オッドアイのテンプレ3拍子が揃った少年。どう見てもテンプレ踏み台です。本当にありがとうございます。
「あん? なんだモブ? どけよ」
そう言いながら銀髪オッドアイは俺を睨む。睨み返してやろうか?
「は? なんで? ここ俺の席なんだけど」
「知るかよ。いいからどけ、ただのモブが出しゃばってんじゃねぇ」
テンプレ過ぎて怒る気にもならん。というかこいつ恥ずかしくないのか? 俺ならこの状態で羞恥心で死ねるね。もしくはSANチェックはいる。
『技能ロール』
またですか? 今度は何だ? 説得か言いくるめか……出来れば高い説得でお願いします。
『心理学ロール』
なんで!? あ、俺が「恥ずかしくないのか?」なんて思ったからか!? 今振る意味なくね!?
『心理学(初期値5→??)』
『非公開。転我は目の前の少年はカルシウムが足りないんじゃないかと思った』
カンケーねぇ! なんで俺が銀髪オッドアイのカルシウムの心配をしなきゃならんのだ!
「おい、聞いてんのかモブ!」
ああもううるせえな! めんどくせー!
「ハイハイ……高町……でいいか? 弁当ありがとな。気持ちだけ受け取っとくわ」
「あ……うん。なんか、ごめんね?」
「いやいや、俺の方こそごめんな。いこーぜ園田君」
「え? おれかんけいない……」
すまないなのはちゃん。ここで助けたりしてフラグが立ったりしたらユーなのが見れないんだ! けどむかつくことはむかつくから銀髪オッドアイ君には少し悪戯させてもらおう。
なのはちゃんに夢中になっている銀髪オッドアイに見えないよう、園田君の机を借りてノートのページを破ってちょちょいと一筆。
そして気付かれないように書いた紙を持って銀髪オッドアイの後ろに。
『技能ロール』
知ってた。どんと来い!
『忍び歩きロール(話に夢中のため補正+20)』
『忍び歩き(40+20→32)』
『成功』
これで良し。流石俺。
教室を出る時に振り返るとなのはちゃんと目が合ったので一度手を振ってから教室を出た。
にしても、なんでなのはちゃんは俺を知ってたんだ? 昔会ったとか言ってたけど……。
『技能ロール』
『記憶ロール。INT×5でロール』
おお、これは助かる。つまり勘違いじゃないってことか?
『記憶ロール(13×5→84)』
『失敗。転我は昨日の晩御飯が何か思い出せず歯がゆい気分になった』
失敗かってなんでや! 晩御飯関係ないやろ!
その日、背中に「俺がさいきょうの小学生、銀髪だ! もう一度やるか!?」と書かれた張り紙を張り付けたまま残りの半日を過ごした銀髪オッドアイのイケメン小学生が居たそうな。
現在のSAN値 40
他のステータス 変動なし。
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