RAVE 黒の戦士 (シャインロード)
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プロローグ

首を長くして待っていた方々、遅くなりました!

考えていた設定を少し修正して最新話と共に新たに投稿しました。
勝手な作者でごめんなさい。



王国歴0015年

 

 

 

突如、大国レアグローブが世界征服に乗り出した。

あらゆる協定や条約を受け付けず、武力による支配を目論んだ。

だが、レアグローブの野望を阻止すべく、同大陸北部の小国シンフォニア王国が立ち上がり全世界を巻き込む戦争に発展する。

『王国戦争』と呼ばれる戦争の始まりである。

戦力は拮抗していたが、1年後の王国歴0016年9月9日。

唐突に戦争は終結した。

世界の10分の1を破壊した爆発によって。

後に『大破壊(オーバードライブ)』と呼ばれるこの爆発は、大陸全土の全ての国々を吹き飛ばした。

勝者も敗者もない終戦だった。

 

 

 

そして、50年の月日が流れた―――――――

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

―――0066年

 

 

世界の中心から南東の方へ進むと小さな島がある。

この島にはある高名な予言者が住んでおり、“未来を司る島”とも呼ばれている。

 

予言者の名はサガ・ペントラゴン。

 

 

サガ「よ~く来なすったの~旅の方」

ソニア「紅茶をどうぞ」

青年「・・・・」

 

 

青年の目の前にいる枯れた花(?)である。

何故かこの島の住民は壁に花のような顔と手が付いた姿をしている。

 

サガは正面の壁に、サガに仕えるメイドのソニアは左の壁にくっついている。

青年はテーブルを挟んでサガの正面に座った。

 

出された紅茶を一口飲んだ後、サガが「さて・・」と切り出した。

 

 

サガ「今日来たのは予言かな?」

青年「ああ。俺は・・」

サガ「何も語らずともよい。ワシが未来を見てやろう。ただし、ワシのポリシーは良い事も悪い事も全て伝える。それでも良ければだがね」

 

 

ある目的の為、サガの予言を頼りにこの島を訪れた青年は黙って頷いた。

 

 

サガ「では・・・・ふん!!」

青年「ーーーーーーーっ!?」

 

 

サガが深呼吸した後、全身(?)に力を込めて見た目が劇画風になる。

枯れた花からの急激な変化に驚愕し、青年は声にならない叫びを上げ、頭の中が真っ白になった。

やがてサガは、劇画風から元の枯れた姿に戻っていった。

 

 

サガ「ふむ・・ここより北の地へ向かうといい、そこで大きな出会いが待っている・・」

青年「北?漠然としすぎて何処か分からないな・・他には何かないのか・・?」

サガ「・・・・」

青年「・・・・」

サガ「・・・・」

青年「・・・・おい?」

サガ「・・・・zzz」

ソニア「サガ様はお休みになられましたわ」

青年「ええぇぇぇぇぇーーーーーーーー!!?」

 

 

サガの予言の続きを待っていた青年だったが、まさかの展開に思わず叫んだ。

 

 

青年「おい予言は!?まさかあれで終わりか!?」

ソニア「しー。サガ様の睡眠を妨げますと、予言の力は無くなってしまうのです」

青年「何ソレ面倒くさ」

 

 

予言を聞きに来ただけなのに驚き、叫び、げんなりとなる。

・・なんだこれ、と思う青年であった。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

その後、サガが眠ったため屋敷を後にした青年は船に戻り、予言通り北へ向かうことにした。

 

まず、行き先を決めるべく、世界地図を広げた。

サガは北の地と言っていた。

北にある陸地はシンフォニア大陸、ルカ大陸、エンカ列島の3つ。

1番近いのはシンフォニア大陸だが、大陸全土をとりかこむ大嵐“デスストーム”があり、行く事ができない。

距離的にエンカ列島は後にした方がよさそうだ。

残ったのはルカ大陸だ。

目的地はルカに決まった。

 

次はルートだ。

海路で直接行けなくもないが、それでは食料が持たない。

船に積んだ量を考えると、ソング大陸までなら行けそうだ。

 

 

青年「そう言えばソング大陸とルカ大陸の間には列車が走っていたな。なら陸路を行った方がいいか」

 

 

これでルートも決まった。

大よその進路を定めた青年は地図を畳み、船を出した。

 

 

目指すはソング大陸――――。

 

 

 



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第1話  始まり

首を長くして待っていた方々、遅くなりました!

考えていた設定を少し修正して最新話と共に新たに投稿しました。
勝手な作者でごめんなさい。



海を渡り、ソング大陸に上陸した青年は今、ソング大陸最大の都エクスペリメントにいた。

 

最初、ルカ行きの列車のあるブルースシティに行き物資を調達しようとしていたが、薬がエクスペリメントにしかないと聞き、急遽この街を訪れたのだ。

薬屋で目的の薬は買ったが、今からブルースシティに行くとなると着くのは夜中になってしまう。

なので今日はこの街のホテルに泊まり明日朝一で発とうと思い立ち、観光することにした。

とりあえず、薬屋の店員に聞いた博物館へ向かった。

 

 

青年「うわぁ・・すげぇ人混みだな」

 

 

博物館を訪れた青年はあまりの人の多さに思わず呟いた。

少し前まで閉館寸前だったが、最近再び賑わい始めたと聞いてはいたが、ここまで混んでいるとは思ってもいなかった。

予想外の人混みに戸惑いながらも館内に入り、チケット売り場で入場券を購入するため中央の受付に近づくと前方の変な髪形の職員と額に銀の丸ピアスを付けた客の会話が聞こえてきた。

 

 

ピアスの男「オヤジ 何でこんなに活気づいてやがる。ちょっと前まで全然客いなかっただろ」

職員「エッヘッヘ・・よく御存じで・・・・本当にもう奇跡っすわ。今のこの世界はすさんでいます。何処へ行ってもDC(デーモンカード)のやつらがいるし帝国もアテにならん」

 

 

DC(デーモンカード)とは闇の世界の最大勢力を誇る巨大組織だ。

世界各地に支部を持ち、各地で帝国と小競り合いを起こしている。

 

帝国とは世界の警察のようなものだ。

DCと同規模の勢力がある。

 

 

職員「そんな時代に救世主が現れたという噂が大陸中で広まってるんですよ」

ピアスの男「救世主だ?」

職員「そう、DB(ダークブリング)を倒すべく立ちあがった男 二代目レイヴ使い(マスター)が現れたって噂がね‼」

 

 

闇の力を持つ魔石『DB(ダークブリング)』。

一つ一つが特殊な能力を持ち、使用者に超常の力を与えるが、心が弱いとその魔力で悪にとりつかれてしまうといわれている。

 

そのDBに対抗できる唯一の力、それが光の聖石『レイヴ』。

すべての魔法の上にある究極の魔法「魔導精霊力(エーテリオン)」を使えたただ一人の人物「リーシャ・バレンタイン」が自身の命と引き換えに生み出したとされている。

リーシャの死後、レイヴは5つに分かれ各々独立した聖石になったと言われている。

そのレイヴを使える者こそレイヴ使い(マスター)

DB破壊の使命を背負う者だが・・・・

いつの間にか人々の期待も背負っていたらしい。

 

職員はまだ何か言っているようだが、前の客は連れらしき男女二人と共にその場を離れた。

青年はそれを見て受付に近づく。

 

 

職員「――――まさに二代目レイヴ使い(マスター)様々・・・・おっと!・・王国戦争博物館へようこそ。まずは受付(こちら)で入場券の購入を願いします」

青年「大人一枚」

職員「一枚ですね?どうぞ」

 

 

金を払い、券を受け取って最初の展示室へ向かった。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

青年「ふぅ・・食った食った」

 

 

青年は博物館内を見て回った後、近くの酒場に入り遅めの夕食を済ませた。

店を出ると人通りはなく、ほとんどの店が営業を終了していた。

 

 

青年「さて、ホテルに戻るか・・・・「どこにあんだ駅前広場は‼」ん?」

 

 

声のした方へ目をやると男が走っていた。

酷く焦っているようにも見えた。

よく見るとその男の容姿に見覚えがある。

 

 

青年「(あいつは・・確か博物館で受付の職員と話していた・・)」

 

 

ついでに何か鼻に角(?)の生えた小動物とプルプルした青い物体(?)がいた。

だが何故か、博物館で男と一緒にいた男女はいなかった。

青年は尋常ではない様子の男に近付き、声を掛けていた。

 

 

青年「駅前広場に行きたいのか?」

ピアスの男「あ?」

 

 

男は突然現れた青年に対し、訝しげな顔をした。

 

 

青年「こっちだ。付いて来い」

ピアスの男「アンタは・・?」

青年「急いでるんだろ?この辺は少し入り組んでるんだ。俺が連れてってやる」

ピアスの男「ホントか!?案内頼むぜ‼」

青年「こっちだ」

 

 

いきなり現れた見ず知らずの男の言葉を鵜呑みにするとは思わなかったが、男は余程切羽詰まっていたのだろう。

すぐに青年の申し出を受けた。

青年は男達を連れて現在地から駅前広場までの最短ルートを駆け出した。

 

 



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第2話  邂逅

首を長くして待っていた方々、遅くなりました!

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目的地に向かう間、皆無言だったが青年は気になることがあった。

 

 

青年「・・・・聞いていいか?」

ピアスの男「・・?」

青年「そのプルプルした奴は何者だ?」

青い物体「私ですか!?」

 

 

然程重要でもない事だった。

突然の質問にも拘わらず、訊かれた本人(?)は自己紹介をした。

一応走りながら。

 

 

青い物体「私はグリフォン加藤といいます。グリフと呼んでください。こちらはプルー様です。」

小動物「プーン!」

ピアスの男「俺はムジカだ。盗賊団 銀の律動(シルバリズム)の頭やってる」

青年「(盗賊団・・?)あと、広場に急いでいた理由を聞いてもいいか?」

 

 

ムジカは短く急いでいた理由を話した。

 

曰く、

博物館で別れたエリーという少女を探しているとムジカの子分の一人が駅前広場で男と抱き合っているのを見たというのだ。

その男の特徴を聞いた途端、ハルという少年が駆け出したらしい。

残されたムジカ達も駅前広場を探していたところ、占い師の老婆に会い、ハルがエリーに刃を突き立てる光景が水晶に映し出されたのを見て焦った。

急いで駅前広場に向かうが、道が入り組んだ場所に出てしまい焦燥感に駆られ苛立ってしまう。

 

青年はそこに偶然居合わせたようだ。

 

 

ムジカ「二人共無事でいてくれよ・・・・!!」

プルー「プーン・・・・!!」

青年「・・・・」

 

 

暫く走ると駅前広場が見えてきた。

しかし、そこに居たのは青い長髪の男と、緑のウェーブの髪の女だけだった。

男女の前には大きな黒い球体がある。

二人以外には誰もおらず、ムジカ達の探しているハルとエリーらしき人影も見えない。

 

 

ムジカ「青いロン毛に右頬に紋章のある色男・・・・エリーが会っていた男ってのはアイツだな」

グリフ「女の方は何者なんでしょう・・?」

青年「・・あの二人が何者であれ、あまりいい感じはしないな」

 

 

気取られないように近づき、影から様子を窺う。

 

 

女「ねぇジーク・・もう戦いは終わった?」

男=ジーク「レイナ 何しにきた」

 

 

(レイナ)(ジーク)の背後に近付き、そして・・・・

 

 

ジーク「・・・・!?」

レイナ「裏切り者を生かしておくほど甘くないのよ。ウチの組織はね」

 

 

ジークの体をレイナの持つナイフが貫いた。

周囲に鮮血が飛び散る。

次の瞬間、青年とムジカは駆け出していた。

 

 

ムジカ「内輪もめはそれくらいにしておけ」

レイナ「誰!?」

青年「アンタ大丈夫か!?」

ジーク「っ・・・・」

 

 

ムジカはレイナの両手を後ろで縛り、拘束する。

青年はジークの元に駆け寄り、刺し傷を診た。

 

 

青年「(致命傷は避けている。これなら持っている薬でなんとか・・・・)」

ムジカ「おいハルとエリーはどうした?」

レイナ「フン・・二人なら暗黒の楽園(アルテアリス)・・・・あの黒い渦の中よ」

ジーク「・・・・!!」

 

 

レイナのその言葉にジークが過剰に反応した。

 

 

ジーク「なんだと!!女もあの中に入ったのか!!?」

青年「(何を慌てているんだ・・・・?)落ち着け!傷口に障るぞ」

レイナ「丁度良かったじゃない。邪魔な二人をまとめて始末できて」

ジーク「あの二人を近付けてはならない!!魔導精霊力(エーテリオン)を覚醒させるための鍵こそが恐らくレイヴ!」

 

 

会話から推測すると、ハルという少年がレイヴの使い手「レイヴ使い(マスター)」だろう。

そのハルは今エリーと共に黒い球体の中。

球体の正体は分からないが、兎に角二人を救出しなければならない。

ジークの応急手当を終え、球体に近付こうとすると・・・・

 

 

ナハト「ぐっ・・・・!?」

ムジカ「な・・なんだこれは!!」

ジーク「暗黒の楽園(アルテアリス)が破られた!!」

 

 

突然球体が割れ、凄まじい衝撃波が周囲に広がる。

それと同時に割れた球体から銀髪の少年が飛ばされてきた。

 

 

ムジカ「ハル!大丈夫か!!」

少年=ハル「俺は大丈夫!エリーが・・レイヴが光った途端エリーが!!」

 

 

球体のあった場所を見ると、栗毛の少女が宙に浮かび上がっている。

彼女がエリーらしい。

エリーから衝撃波が発せられているようだが、エリーは気を失っているようだ。

 

 

青年「何がどうなっている!?」

ジーク「魔導精霊力(エーテリオン)が覚醒した。50年前、世界の10分の1を破壊した大破壊(オーバードライブ)とは比べ物にならない程の絶望が世界を覆う。もう誰にも時の暴走は止められない」

 

 

エリーを中心に大地が震え、亀裂が奔る。

 

 

レイナ「何なのよ!この女!!ムカつくわね!!」

ムジカ「な・・いつの間に・・・・」

 

 

ムジカ達の方を見ると、何故かレイナがムジカの拘束から逃れていた。

 

 

レイナ「殺してやるわ!!」

ムジカ「エリーに近付くんじゃねぇよ!」

 

 

レイナはエリーを殺そうと駆け寄る。

ムジカもそれを阻止すべく、後を追う。

だが、エリーから発せられる衝撃波が強くなり、二人共吹き飛ばされてしまう。

青年も耐えるので精いっぱいだ。

 

 

レイナ「きゃっ」

ムジカ「すげぇ衝撃波だ」

レイナ「ちょっとジーク!何なのコレ!近付けないじゃない!!なんとかしなさいよ!!」

ジーク「・・この圧倒的な魔力の前では俺の力など無に等しい・・・・この場にいる者よ・・よく聞くがいい。世界が終わる最後の時だ」

 

 

ジークはハルの方へ振り返り語り掛ける。

 

 

ジーク「さあ、どうする レイヴ使い(マスター)。これこそお前にとって究極の選択と言えるだろう。世界を取るか、一人の命を取るか。どっちを取る」

 

 

ジークの問いにハルは答えない。

 

迷いのない顔で一歩ずつゆっくりと前に進み、

 

 

 

 剣を構えた。

 

 

 

ジーク「・・ははははははは」

ムジカ「何が可笑しい!?」

ジーク「それでいい、迷うなハル!女を殺せば世界を救える可能性がある。世界を平和に導く者としては当然の選択!」

ムジカ「そ、そんな・・まさか・・・・」

 

 

ムジカ達の脳裏に占い師の老婆の言う『最悪の未来(ハルがエリーに剣を突き立てる光景)』がよぎる。

 

 

ジーク「しかし、これでお前の信念は崩れ落ちる。平和に犠牲はつきものなのだ。そのために女を殺せ」

ムジカ「こんな事あり得ねぇだろ!!ハル!!」

青年「本当にやる気なのか・・!?」

 

 

ハルは魔力が暴走しているエリーの元へ辿り着き、剣を頭上高く掲げる。

 

 

ジーク「最後に一つ言っておこう。その女を殺しても魔導精霊力(エーテリオン)は止まらない くあかもしれない。いや、寧ろ止まらない可能性の方が大きいだろう。それでもお前はその女を殺さなければならない」

ムジカ「ハル!!聞くな!!コイツの言う事を聞くんじゃねぇ!!」

 

 

そしてハルの剣は

 

 

ムジカ「やめろォ!!」

 

 

勢いよく振り下ろされ、

 

 

ハル「エリー・・・・レイヴを信じろ!!」

 

 

広場は閃光と爆風に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光が消え、周囲に発せられていた魔力が消える。

 

ハルはエリーを貫いている剣を引き抜いた。

辺りが静まり返り、最初に声を出したのは、

 

 

エリー「・・・・あれ?あたし・・・・どうしたの?」

 

 

()()()だった。

 

 

ジーク「な・・・・どういう事だ!!」

ムジカ「た・・確かに刺したハズだ」

青年「ああ、俺もこの目で見た」

 

 

普通なら死んでもおかしくない状況だったハズだ。

だが、エリーの体には剣を刺した痕がない。

疑問に思っているとハルがその種を明かした。

 

 

ハル「そうか・・この剣を見るのは初めてか・・封印の剣(ルーン・セイブ)は斬れないものを斬る剣なんだ。だから逆に斬れるもの・・・・例えば人や物体は斬れないんだ、ホラ」

 

 

ハルは剣を自らの腕に当て振り下ろすが、腕は斬れずにそのままだ。

 

 

ジーク「俺が知りたいのはそこじゃない‼魔導精霊力(エーテリオン)はどうした!!?なぜ消えた!!?」

ハル「封印した、この剣でな」

青年「そういうことか・・・・」

ジーク「封印だと・・?そんなことが・・」

ハル「確かに賭けだったよ・・・・でもこの剣・・封印の剣(ルーン・セイブ)に賭けた」

ジーク「そ・・そんな答えがあったとは・・・・これがレイヴ使い(マスター)の力か・・」

 

 

ジークの言葉にハルは笑みを浮かべて答えた。

 

 

ハル「いや信じる力だ。それこそが俺達の全てなんだ」

ジーク「・・・・俺の負けか」

 

 

そう言ってジークは倒れ伏した。

 

これで終わりかと思われたが・・・・

 

 

レイナ「さてと・・裏切り者のジークの代わりに私が少し遊んであげようかしら、レイヴ使い(マスター)くん」

 

 

ここでレイナが前に出てきた。

 

 

ハル「なんだよおまえ。DC(デーモンカード)か」

ムジカ「チッ・・厄介な・・!」

 

 

ハルは剣を構え直す。

青年やムジカも臨戦態勢を取った。

 

その時、辺りが暗さを増した。

 

 

青年「暗くなった・・?」

ハル「アイツの技か」

ムジカ「いや・・違う・・」

 

 

ムジカは上を見て言った。

全員が上を見ると巨大な何かが飛んでいた。

その正体は・・・・

 

 

ハル「ドラゴン!!」

青年「だけじゃない・・・・人も乗ってる」

 

 

大剣を携えた金髪の男が黒いドラゴンの上に乗っている。

そしてドラゴンはレイナの近くにゆっくりと降り立った。

 

 

レイナ「ジェガン!!何しに来たの!?邪魔する気!?」

 

 

ジェガンはレイナに対し、言葉も掛けずドラゴンに乗るよう促す。

 

 

レイナ「嫌よ!これからが面白いところなんだから」

ジェガン「キングの命令を無視するのか」

 

 

ジェガンの行動に逆らうレイナだったが、ジェガンの一言で態度を一変させた。

その言葉に強気だったレイナは初めて怯えを見せた。

 

 

レイナ「・・・・わかったわ、帰るわよ」

 

 

軽く舌打ちをし、レイナはドラゴンに乗った。

そして、ドラゴンは翼を広げて飛び立つ。

 

 

レイナ「また会いましょハルくん。それまでにはもう少し強くなっといてね」

 

 

そんな言葉を残し、レイナとジェガンは去っていった。

 

 

ハル「行っちまった。くそ、逃げやがって」

ジーク「いや・・・・寧ろ助かったというべきだろうな」

 

 

横からの声に振り向くとジークが起き上がっていた。

 

 

ジーク「あの女とドラゴンの男・・あいつらはDC(デーモンカード)最強の六人 六祈将軍(オラシオンセイス)

ハル「六祈将軍(オラシオンセイス)?」

ジーク「お前はその内の一人シュダを倒したらしいが残りの五人はあまく見るな・・五人とも俺と同格かそれ以上の強さ・・」

青年「(既に一人倒していたのか)」

ジーク「さらにそいつらを束ねている者こそDC(デーモンカード)最強の男・・・・キング!今のお前では絶対に勝てない。混沌の国ルカ大陸へ向かい、闘争のレイヴを手に入れろ。」

 

 

ジークからの情報を聞き、ハルは驚きを隠せなかった。

 

 

ハル「レイヴ・・・・!!お前、レイヴある場所知ってるのか!?」

ムジカ「ハル・・何でもかんでも信じるんじゃねぇ」

ハル「けど・・・・」

ジーク「DC(デーモンカード)の者なら皆知ってる。ルカ大陸のどこかにレイヴがあるとな。信じるかどうかは勝手にするがいい」

 

 

そう言ってジークは踵を返す。

 

 

ハル「お前・・・・」

ジーク「勘違いするな」

ハル「・・また、今度エリーを虐めに来たらその時は許さねえ、必ず倒してやる」

ジーク「フン・・・・」

 

 

その言葉を最後にジークは立ち去って行った。

時計塔から流れる鐘の音を聞きながら。

 

 

プルー「プーン!!」

グリフ「エリーさ〜ん!」

エリー「プルー!グリフ!」

 

 

離れた所にいたプルーとグリフが駆け寄ってきた。

エリーの胸目掛けて飛び込んだ二人(?)を優しく抱きしめる。

 

 

グリフ「エリーさんがご無事でよかったです~!」

エリー「心配かけてごめんね。ムジカも・・・・」

 

 

顔をプルーとグリフからムジカの方に向け、そして更に視線を隣に移す。

青年と視線が合い、ハルとエリーは首を傾げた。

 

 

ハル・エリー「「・・・・誰?」」

ムジカ「そういや俺も、こっちは名乗ったが、アンタの名前は聞いてなかったな」

 

 

そう言えばそうだったな、と思いながら青年は自己紹介をすることにした。

 

 

青年「そうだったな。俺はナハト。ナハト・レスタニク。しがない旅人さ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第3話  笑顔

首を長くして待っていた方々、遅くなりました!

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衝撃的な邂逅の翌晩、ナハトはハル達やムジカ率いる盗賊団“銀の律動”の団員達と共に、エクスペリメントの無人となったアイリッシュビーチにやってきた。

ムジカはしゃがんで何かをしている。

 

 

ムジカ「いくぜ~・・・!」

 

 

ライターの火を砂浜に置いた打ち上げ花火の導火線につけ花火を打ち上げた。

色とりどりの光の花が夜空に咲き乱れる。

キレイに咲く花火に全員が歓喜する。

 

 

グリフ「たまやー!」

プルー「プーン!」

ムジカ「よーしお前ら、好きなヤツ選べよー」

エリー「じゃー、あたしこれにする!」

 

 

エリーや団員達はムジカが持ってきた袋から花火を受け取りはしゃぎ回る。

エリーは花火を両手に持って踊り、数人が何処からか楽器を取り出して即興の伴奏を弾く。

それを見て他の団員達も踊り始め、ビーチは大いに盛り上がる。

その光景をナハト・ハル・ムジカの3人は少し離れた所にある大岩に腰掛けて眺めていた。

 

 

ナハト「とりあえず、元気そうだな」

ハル「ナハトのくれた薬のお陰だ。ありがとうな」

ナハト「あれくらい安いもんさ・・」

 

 

ハル達に渡したのは他の物より値段が高い薬だったため、新たに買い直した。

その結果、ナハトの懐が寂しくなったのは心の内に仕舞っておく事にした。

そんなナハトの様子に気付くことなく、ムジカが口を開く。

 

 

ムジカ「ナハトはこれからどうするんだ?」

ナハト「それなんだが、これからルカに行くんだろ?俺も同行していいか?」

ハル「え?」

ナハト「ああ、元々ルカに行く予定だったからな。この街には物資の調達に寄ったんだ」

ハル「俺たちDCと戦うことになるかもしれないし、危ないんじゃ・・?」

ナハト「そこは大丈夫。戦う術は持ってるからさ」

 

 

同行しているときにDCに襲われた時の心配をするハルだが、ナハトは心配するなと言わんばかりにドンと胸を叩いてアピールする。

ハルは暫く口元に手を当てて考え、右手を差し出した。

 

 

ハル「わかったよ、一緒に行こう!」

ナハト「交渉成立だな。よろしく」

 

 

ナハトはその手を取り、握手を交わす。

 

 

エリー「3人共ー!!何してんのー!!一緒に踊ろーよー!!」

ハル「よっしゃ!ガラージュに伝わるダンスを見せてやる!!」

ムジカ「お!ダンスバトルでもするか?」

ハル「望むところだ!」

ナハト「俺も混ぜろー!」

エリー「よ~い・・・・ファイト!」

 

 

3人の微妙なダンスバトルが始まり、その脇でプルーとグリフが踊り、エリーはそれを見て笑っている。

銀の律動の団員達は花火を持って狂喜乱舞。

こうして花火とダンスバトルのバカ騒ぎは夜通し続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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