やはり俺がプロデューサーになるのはまちがっている。 (小木終英)
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これからが俺たちの始まり
やはり俺のアイドルプロデュースは前途多難である。


誤字脱字等あるかもしれませんが御容赦下さい。
ただの落書きみたいなもんですので生暖かい目で見守っていただけると幸いです。


言霊。

 

言葉には不思議な力があって、実際に口に出した言葉が現実になるというなんとも迷信めいた言い伝えである。

 

そもそもそんなものがあるのならば、厨二病は総じて能力者になるし、ツンデレ娘のフラグは立たないし、リア充はとっくに爆発してる。

 

小学校に入学する前にともだちひゃくにんできるかな♪と歌っていた無邪気な比企谷少年にも100人の友達ができているはずなのだ。

 

しかし、古来からの言い伝えというものはなかなか馬鹿にできないものがある。例えば男女七歳にして席を同じうせずとか。

七歳で席を違えていたならば、勘違いで告白して黒歴史を作ることもなかったのだ。くそっ!教育基本法め!

 

...つーか俺のモテなさが言い伝えの根拠とかなにそれ悲しすぎる...

 

まぁそれはともかくとして、同じ言い伝えである言霊も一概には嘘とは言い切れないのかもしれない。

実際、今の俺は言霊の存在を信じかけている。

 

なぜなら、高校時代絶対に働かないと言っていた俺が50社連続で就職試験に落ちているからである。しかもほとんど書類審査で。

そのうえ奇跡的に書類審査を通過しても面接試験で落とされてしまう。

 

いや、これは主に俺の目が腐ってるせいですね。言霊関係ねぇ...

 

しかも働かないところだけ叶えて養ってくれる人は見つけてくれないとか言霊さん鬼畜過ぎィ!

 

うちの両親は俺が大学卒業したら追い出す気マンマンなので、このまま職が見つからなかったら最悪ホームレスである。

 

こいつはヤバイ、といつもより目を腐らせながら歩いていると、某松崎さんのように真っ黒なオッサンから声をかけられた。

 

 

高木「ほう!なんといい面構えだ!ティンときた!君のような人材を求めていたんだ!」

 

 

なんだこのオッサン、俺を見ていい面構えなんて言うやつは海老名さんしか見たことがない。(誘い受け的な意味で)

まさか、こいつソッチ系の人か!

こんなときは無視するに限る。

 

 

高木「ああっ!ちょっと君、待ちたまえ!」

 

八幡「何なんですかあなた、俺にソッチ系の趣味ないので無理ですごめんなさい」

 

 

思わず一色のように断ってしまった。

似てねえけどな。

 

 

高木「そんなこと言わずにまずは話を聞きたまえよ」

八幡「はぁ」

 

 

話を聞いてみたところ、そのオッサンはソッチ系の人ではなく、売れないアイドル事務所の社長さんらしい。

 

なんでも、アイドルのプロデューサーを探していたらしいのだが、俺を見て何かを感じたらしく、こうしてスカウトにきたのだとか。

 

俺を見てピンときちゃうとかアイドル事務所の社長として大丈夫なのかよ...

 

八幡「俺、アイドルとかあんまり詳しくないんですけど大丈夫なんですか?」

 

正直なんでもいいから職を見つけたかった俺としては願ったり叶ったりなんだが、俺は芸能界に関しては完全な素人だ。テレビもアニメと特撮とニュースくらいしか見ていない。

担当するアイドルに迷惑をかける訳にはいかんしな。

 

高木「その点は心配ない。こう見えても私は長年アイドル業界に携わってきたんだ。アイドルの専門知識なら私だけでも充分だよ。

私が今求めているのは、私には見つけられないようなものを見抜く『本物』の眼を持った人材なんだ。

その点、君はいい眼をしている。物事の本質を見抜く眼だ。

と言っても私の勘だがね」

 

勘なのかよ。今めちゃめちゃいいこと言ってたのに。

 

それにしても『本物』か...

今になってその言葉を聞くことになるとはな。

 

高木「まあ、心配するな。私の勘はよく当たるからね。私のティンと来た人なら間違いない。それで、どうする?」

 

八幡「分かりました。その話、お受けします」

 

こうして、俺のプロデューサーへの道が幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高木「それじゃあ、早速明日から来てくれたまえ。これがアイドルの資料と事務所の地図だ」

 

八幡「え、マジすか」

 

高木「もちろんマジさ。君には期待しているよ。ハッハッハ」

 

い、行きやがった...

なんつー自由な社長だ。

やはり俺のアイドルプロデュースは前途多難なものになりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




めちゃめちゃ短くなっちゃいました。もっと長く書けるように頑張ります。
アイドルは第3話から登場する予定です。


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やはり俺の初出勤は普通じゃない。

第2話です。どうぞ。


翌日、就活の為に大学の単位をほぼ全て取り終わっている俺は、特に学校に行くこともないので、約束通り今日から出勤することになった。

 

 

八幡「はぁ。働きたくねえなぁ」

 

小町「なに言ってるのお兄ちゃん!

お兄ちゃんを雇ってくれる会社なんてもう二度とないかもしれないんだよ!

これでサボって会社クビになったりしたら絶交だからね!」

 

こいつは妹の小町。世界一可愛いスイートマイエンジェルだ。

いや、これはさすがにキモいな。

 

八幡「いや、分かっちゃいるんだが、いざ働くとなるとどうしても憂鬱になっちまうんだよ。

しかも相手は若い女の子だろ?俺としては一番関わりたくない人種なんだが」

 

実際、担当アイドルに「なにアイツキモッ!」とか言われた日にはショック過ぎて会社やめるまである。

俺のメンタル豆腐過ぎるだろ...

 

小町「はぁ...そんなこと言ってるからいつまでも彼女が出来ないんだよ。チャンスはいっぱいあったのに」

 

八幡「いや、俺にチャンスなんてなかっただろ」

 

むしろ人生すべてがピンチまである。

ピンチの後にはチャンスがやってくるなんて真っ赤な嘘だからね?本当にやってくるのはさらなるピンチだけである。

いや待てよ?ピンチはチャンスなんて言葉もあるくらいだから、実際俺の人生はチャンスだらけなのかもしれない。

そうか、俺が神だったのか...

いやないか、ないな。

 

小町「またお兄ちゃんが変なこと考えてる。目が腐ってるよ?」

 

八幡「うっせぇ、目は元からだ。それに、俺には彼女なんて必要ない。なぜなら小町がいるからな」

 

小町「お兄ちゃんは相変わらずシスコンだなぁ。ま、そんなお兄ちゃんも好きだけどね!あ、今の小町的にポイント高い!」

 

八幡「小町...大学生にもなってそれはなかなか痛いと思うぞ」

 

小町「な...!お兄ちゃんに言われたくないから!さっさと仕事いきなさい!」

 

小町に追い出されるようにして家を出た俺は、電車に乗って事務所のある東京へと向かった。さらば愛しの千葉よ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駅から歩くこと15分、地図で示された765プロ事務所までやってきたわけだが、

 

八幡「ここ本当に事務所かよ...」

 

目の前にあるのは、キラキラした芸能人のイメージとはかけ離れた古ぼけた2階建てのビルである。しかも一階は定食屋。

窓ガラスにガムテープで765と書いてあるからここであってるはずなんだが、

 

??「あのー、どうかしましたか?」

八幡「ウヒィっ」

 

しまった、急に後ろから声をかけられたせいで変な声が出てしまった。

 

声の方を見ると、全身緑の服を着たOLのような格好の女性がドン引きしながら立っていた。

やめて!俺をそんな目でみないで!

 

このままだと通報されかねないので、とりあえず事情を説明する。

 

八幡「えっと、俺、今日から765プロで働くことになった比企谷というものですけど、765プロの事務所ってここであってますか?」

 

音無「あぁ!あなたが新しく来るプロデューサーさんでしたか!私は事務員の音無小鳥です。今日からよろしくお願いしますね」

 

どうやら社長が事前に話を通しておいてくれたらしい。

 

八幡「こちらこそ、まだなんも分からない新人ですが、よろしくお願いします」

 

挨拶を終えて中に入った後、音無さんから今後の仕事についての説明を受けた。

 

音無さんによると、俺はもう一人いるプロデューサーと一緒に所属アイドル12人全員のプロデュースを受け持つことになるらしい。

 

アイドルについては昨日社長からもらった資料である程度は確認しているが、パッと見ただけでもかなりの曲者揃いみたいだ。

 

音無「アイドルたちが来るまではもう少しあるので、もう少しゆっくりしていただいて結構ですよ」

 

それならお言葉に甘えて一息つくか、と思っていると、不意にドアが開いた。

 

ガチャ

 

高木「やあ音無くん。比企谷くんももう来ていたか」

 

ってあんたかよ。アイドルが来たかと思ってちょっと緊張しちゃったじゃねぇかよ。

 

音無「あ、社長。おはようございます」

 

高木「うむ、おはよう。比企谷くんもおはよう」

 

八幡「どうも」

 

音無「社長、今日は早いんですね。何か大事な用でもあるんですか?」

 

高木「いやなに、アイドルたちにちょっとしたサプライズでもしようかと思ってね」

 

サプライズ?なんだか嫌な予感しかしないんだが...

 

高木「まあまあ、準備するから君はこっちに入っていたまえ」

 

八幡「はぁ」

 

なんだかよく分からんがとりあえず俺は社長室に押し込められた。

 

高木「準備が整ったら合図するから、それまでそこで待機していたまえ。

なーに心配することはない。君の自己紹介も兼ねてアイドルたちにちょっとしたドッキリをしかけるだけさ。」

 

なに考えてんだあの社長。

俺は普通に紹介してもらうだけでいいんだが。

 

基本的に面白い自己紹介をしようとすると必ずと言っていいほど失敗する。

ソースは中学生時代の俺。

 

クラス替えのとき、面白いやつだとアピールしようと思って自己紹介で一発芸をしたところ、だだすべりして、それから誰も話しかけてこなかった。

 

それどころかいつの間にか俺のギャグが学年中に広まり、廊下を通るたびに遠巻きにクスクス笑われるハメになった。

なんで遠巻きなんだよ!どうせなら話しかけてこいよ!

 

プロデューサーとしてここに勤める以上、アイドルになめられないよう威厳を保たなければならない。

やはりこれは阻止せねば!

 

八幡「あ、あの、俺やっぱり...」

 

高木「静かに!誰か来たぞ!」

 

俺の意志は無視ですか、そうですか。

はぁ、やっぱり辞めてえなぁ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




またまためっちゃ短くなっちゃいました。ま、まだ物語始まってねえし!(震え声)
次話からアイドルが登場します。


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やはり俺に自己紹介は向いていない。

第3話です。どうぞ。


私の名前は天海春香!

こう見えても私、アイドルなんです!

と言っても小さな事務所の無名な新人アイドルなんですけどね。えへへ。

 

ここが私が所属する765プロ!

まだまだみんな無名だけど、いつかトップアイドルになって事務所を大きくすることが夢なんです。

 

ガチャ

 

春香「おはようございまーす!」

 

千早「あら春香、遅かったのね」

 

春香「ちょっと電車に乗り遅れちゃって。みんなは?」

 

千早「もう奥に集まってるわよ。なんでも社長から話があるんだとか」

 

春香「話?なんだろう?新しいお仕事とかかな?」

 

千早「それはまだ分からないわ。歌の仕事ならいいのだけど」

 

春香「とりあえず私たちも行こっか」

 

千早「そうね」

 

ガヤガヤ

 

高木「おほん。みんな揃ったみたいだね。それではカーテンを閉めて電気を消してくれたまえ」

 

シャッ

パチパチ

 

律子「こんなに暗くして一体何を始めるんですか?」

 

高木「いやー実は、この事務所には奇妙な噂があってね」

 

真「噂、ですか?」

 

高木「ああ、なんでもこうして部屋を暗くすると、社長室に幽霊が出るという噂なんだよ」

 

響「ゆ、幽霊⁉︎」

 

雪歩「おばけこわいですぅー!」

 

社長「恥ずかしい話、私はこういった類のものが大の苦手でね。誰かに確かめてきてもらいたいんだが」

 

真「む、無理無理!無理ですよ!ボク、こういう怖い話とか苦手なんですから!」

 

やよい「わたしもおばけはにがてですー」

 

伊織「あんたたちバカじゃないの?幽霊なんているわけないじゃない」

 

亜美「そんなにゆーならいおりんが1人でいきなよー」

 

真美「そーだそーだ!」

 

伊織「な、なんでそうなるのよ!」

 

あずさ「うふふ。1人じゃ怖いなら、みんなで行けばいいんじゃないかしら?」

 

貴音「それはまこと良き考えです」

 

律子「そ、そうね。みんなで行きましょうか。ほら美希も起きなさい!」

 

美希「あれ?いつの間にかもう真っ暗なの。夜だからミキはもう寝るの」

 

律子「いいから早く来なさい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響「ほ、本当にいくのか?自分、なんだか怖くなってきたぞ...」

 

律子「しょうがないでしょ?社長が気になって仕事できないっていうんだから」

 

亜美「あれー?ひびきんビビってる?」

 

真美「やーいひびきんのビビりー!」

 

響「なっ!自分ビビりじゃないぞ!オバケなんて全然怖くないんだからな!」

 

伊織「じ、じゃあ、開けるわよ」

 

ガチャ、キキィーッ

 

ヌッ

 

全員「キャーーー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伊織「信じらんないっ!本物のオバケかと思っちゃったじゃない!」

 

八幡「いや、俺は普通に立ってただけなんだが...」

 

伊織「そんなゾンビみたいな目してたら幽霊と見間違えるに決まってるでしょ!」

 

決まってるのかよ。

いやまあ昔お化け屋敷に行ったとき、本物のオバケが出たって騒動になったことならあるけどな。

 

春香「伊織ちゃんそんなこと言っちゃダメだよ!

そりゃ目はちょっと個性的かもしれないけど...」

 

それ全然フォローになってないからな?

むしろその優しさが辛い...

 

大体、なんで俺が怒られなきゃならんのだ。俺は悪くない!社会が悪いんだ!いやこの場合は社長か。

俺は悪の元凶である社長を睨みつけた。

 

高木「まあまあ、これでみんなとも打ち解けられただろう?」

 

八幡「むしろ嫌われた感じしかしないんですが。しかも1人気絶してるし」

 

雪歩「おとこのひとの...おばけ...」

 

大丈夫かよ...

ていうか人の顔見て気絶するとか失礼すぎませんかね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高木「おほん。では改めて紹介しよう。わが765プロの新しいプロデューサー、比企谷八幡くんだ」

 

八幡「まぁなんだ、その、よろしく頼む」

 

高木「彼には律子くんと一緒にアイドル全員のプロデュースをしてもらう予定だ」

 

律子「ようやく楽になりますねー」

 

お、この人が俺の先輩か。かなり迷惑かけることになるだろうし、一応挨拶しとくか。

 

八幡「あなたが秋月さんですか。まだまだなんも分からない新人ですが、よろしくお願いします」

 

律子「こちらこそよろしくお願いします。あと、私の方が年下みたいですし、敬語じゃなくて結構ですよ?」

 

八幡「そうか?ならそういうことでよろしく頼む」

 

良かったー!年下の上司とか社畜の象徴みたいなもんだからな。基本的にプライドは持たない主義の俺だが流石に年下の女の子に日常的にペコペコするのはなかなかくるものがある。

 

律子「その分仕事はきっちりやってもらいますからねー」ニコッ

 

八幡「ひゃ、ひゃいっ!」

 

おいなんだよその笑顔怖すぎるだろうが。

やっぱり辞めてえ...

 

伊織「だいたい、こんな腐った目でいかにもダメそうなやつにプロデューサーが務まるのかしら」

 

目は今関係ねぇだろうが。

ていうかこいつら俺を舐めすぎだろ。

ここはちょっと言っておかなければならない。

 

八幡「...俺はな、自分で言うのも何だがそこそこ優秀なんだぞ?そこそこ名のある私立大の学生だし、顔だっていい方だ!

友達と彼女がいないことを除けば基本高スペックなんだよ!」

 

響「...何だか凄く悲しいことを誇らしげに言われた気がするぞ...」

 

春香「え、えーっと...」

 

おい、マジ引きすんなよお前ら。

やっぱりある程度の関係性がないと自虐ネタってドン引きされるんですね。

 

やよい「だいじょうぶですよ!わたしがプロデューサーのおともだちになってあげます!」

 

なにこの子天使なの?高槻やよい、だったか。よし、やよい=天使で覚えておこう。

 

社長「まぁ今日は特に仕事もないし、ゆっくりしてくれたまえ」

 

八幡「はぁ」

 

本来ならここで帰るところだが勤務時間を考えると帰れないのが仕事の辛いところだな。やっぱり働いたら負けだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




文字数の壁を越えられない...
次からいよいよ本編なので頑張ります。


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やはり彼女たちの準備はまちがっている。
やはり社長のセンスはまちがっている。


第4話です。どうぞ。


ようやく自己紹介は終わったが、これ思ってたよりかなりしんどいな...

あの水瀬伊織は初対面なのになんであんなに罵倒してくんだよ。マジなにノ下さんだっつーの。

 

ていうかそれ以前にこれ以上女子と会話したら俺の寿命がストレスでマッハだな。ここは大人しく資料でも見とくか。

 

ガサガサ

ペラッペラッ

 

音無「なにしてるんですか?」

 

八幡「ひえっ!」

 

ってなんだ音無さんか。この人俺の隙を突くの上手すぎだろ。

 

八幡「いえ、ちょっと資料の確認でもしようかと思いまして」

 

音無「あぁ、社長の作ったアイドルたちの資料ですか。でも、そんなの見なくてもアイドルたちと直接お話しすればいいじゃないですか」

 

八幡「いや、これ以上女子と会話するのは俺にはハードル高いんで。」

 

音無「もう、そんなことじゃアイドルのプロデューサーなんて務まりませんよ?それに私とは話せてるじゃないですか」

 

八幡「いや、音無さんは女子って年齢じゃな...」

 

音無「どうかしましたか?」ニコッ

 

八幡「い、いえ」

 

こわいこわい!目が笑ってないよ!この事務所笑顔が怖い人多すぎるだろ!

やっぱりアイドルの武器は笑顔ってやつか。まぁプロデューサーと事務員だけどな。

音無「そんなことより、どうです?うちのアイドルたち。みんないい子たちばかりでしょ?」

 

八幡「まぁみんな思ってたよりまともでホッとしましたよ。資料の写真だけじゃどこの変人集団だよって感じでしたから。あの人写真選ぶセンスなさすぎだろ...」

 

 

音無「え?どんな写真ですか?」

 

俺は音無さんにもらっていた資料を見せた。

つーか見れば見るほど変な写真だな。おサルの2人組に半目開きの幼女、極めつけにはデコフラッシュだ。最後のはアイドルとしてアウトだろ...

 

音無「あー、これみんなの宣材写真ですね」

 

八幡「せんざい?なんすかそれ?」

 

音無「宣材写真っていうのはですね、アイドルの売り込みなんかに使われる写真のことです。それを見てその子を採用するかどうかを決めるんですよ」

 

八幡「え、これ使ってるんですか?」

 

音無「えーと、はい...写真選びは社長に一任してまして...」

 

おいマジかよあの社長。アイドル業界のプロじゃなかったの?芸人事務所でも採用しないくらい滑ってんじゃねえか。

 

八幡「これ、撮り直すことって出来ますかね?」

 

音無「律子さんに相談してみないことには、なんとも...」

 

律子「私がどうかしましたか?」

 

八幡「おお、秋月。ちょうどいいところにきた。実はかくかくしかじかでな。」

 

律子「宣材写真の撮り直し、ですか?」

 

八幡「ああ、出来そうか?」

 

律子「正直厳しいですね。実は最近新しい衣装を新調したばかりで、お金があんまりないんですよ。」

 

音無「やっぱりそうですよねぇ...」

 

律子「まぁこれがベストとは言えませんけど、このままでも出来ないことはないですし、あとはみんなの頑張りでなんとか...」

 

八幡「甘いな、甘すぎる。マックスコーヒーよりも甘いぞ秋月!」

 

律子「な、なんですか急に」

 

八幡「お前に一つ質問だ。就職活動をする上で1番大切なものはなんだと思う?」

 

律子「就職活動ですか?うーん、やっぱり学歴とかですかね。」

 

八幡「違うな。就職活動において1番大切なことは『見た目の印象』だ。」

 

律子「見た目の印象、ですか?」

 

八幡「そうだ。面接試験なんかでも見るのは態度よりも見た目と言われてるくらいだしな。なにより、高学歴なのにこの目のせいで50社連続で入社試験に落ちたこの俺が言うんだから間違いない。」

 

律子「うーん、実感がこもってるだけに説得力がありますね」

 

八幡「それを踏まえたうえで聞くが、お前はこの写真を見て、こいつらをアイドルとして採用したいと思うか?」

 

律子「それは、思わないかもしれませんけど。」

 

八幡「だろ?」

 

律子「そうは言っても、お金が...」

 

音無「律子さん、これも長い目で見れば先行投資ですよ」

 

八幡「まぁ上手くいけば仕事が増えるわけだしな。撮影代くらいは補填できるだろ」

 

律子「うーーーーーん、よし!じゃあいっちょやりましょうか!」

 

音・八「「よし!」」

 

律子「じゃあ業者さんには私が連絡するので、プロデューサーはみんなに言ってきてください」

 

八幡「え」

 

音無「プロデューサーさん、頑張ってください!」

 

だから女子との会話は苦手なんだけど。

なにこれ、いやがらせ?やっぱやる気出すんじゃなかった...

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「あー、突然で悪いんだが、宣材写真の撮り直しをすることになった」

 

真美「洗剤?兄ちゃん洗濯するの?」

 

八幡「ばか違えよ。宣材っていうのはな、アイドルの売り込みに使う写真のことだよ。」

 

真美「へぇー!」

 

響「あ!プロデューサーさっきピヨ子に教わったことそのまましゃべってる!自分ちゃんと見てたんだからな!」

 

八幡「おっふ...」

 

見られてたのかよ!恥ずかし!俺恥ずかし!

 

亜美「うわー、兄ちゃんかっこわるーい」

 

もうやめて!八幡のライフはゼロよ!

双海姉妹と我那覇響め、絶対に許さないノートに追加しておこう。

 

真「そんなことより、撮り直しってどういうことですか?」

 

貴音「前のではいけなかったのでしょうか?」

 

八幡「いや、いけないってわけではないんだが、ちょっと奇をてらいすぎだな。正直言ってアイドルの宣材とは思えない」

 

伊織「なによ!社長が個性的にアピールしていこうって言ったからじゃないの!」

 

やよい「その写真、社長にすっごく褒めてもらいましたー!」

 

やっぱりあの人が元凶かよ...

 

八幡「とにかく撮り直すから、どんな服で撮るか決めておいてくれ」

 

全員「はーい!」

 

ドンナノガイイカナ-?

ガヤガヤ

 

ふぅ、ようやく終わった。

とりあえずあとはあいつらに任せとけばいいだろ。

なんかステーキとか不穏な言葉が聞こえた気がするけど、たぶん気のせいだ。

 

律子「3日後に予約取れましたよ!」

 

八幡「おう、お疲れ。意外と早く取れたな」

 

律子「はい、ちょうどカメラマンさんが空いてたみたいで」

 

八幡「そうか。俺的にはもうちょっと遅くても良かったんだが」

 

律子「え、どうしてですか?」

 

八幡「だって、宣材写真が出来るまでは働かなくていいだろ?前の宣材で売り込んでも逆効果だしな」

 

律子「はぁ、まったくこの人は...宣材写真が出来てなくても働いてもらいますよ。写真じゃなくて本人を連れて行けばいいことですし」

 

なん...だと...

俺の完璧な計画が...

まあ常識的に考えて休めるわけはないんだけどな。

 

律子「とりあえず今日は初日ですから、明日から行きましょうか。」

 

八幡「分かった」

 

売り込みってことはお偉いさん方に頭下げて回る仕事か。

はぁ、明日からが憂鬱だ...

 

 

 

 




今回はアニメの内容に入ろうと思ったのですが次回やりたいことがあったので一回切りました。
次回オリジナルを挟んでその次から本編に入っていきます。


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やはり俺の初仕事はまちがっている。

第5話です。どうぞ。


翌日、重い足を引きずって事務所へと向かった。

出勤2日目でこれとか相当やばいな。やっぱり俺は社会に出ない方がいいと思います。

 

八幡「うーす」

 

律子「あ、おはようございますプロデューサー。準備が出来次第、営業に出発しますね」

 

朝一から仕事かよ...3年以上もの間不摂生な生活しかしてこなかった大学生にはきついな。

 

八幡「ああ分かった。それで、連れて行くアイドルってのは誰なんだ?」

 

律子「奥に美希が寝てるので、起こして車まで連れていってください。私ももうすぐこの書類が終わるので、片づけたら行きますね」

 

だからなんでそんなにアイドルの相手を任せるんだよ。これもうパワハラとして訴えてもいいよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奥の部屋に入ると、本当に星井美希が眠りこけていた。

こいつ無防備すぎるだろ。色々とヤバいところが見えそうなんだけど。まあ俺は紳士だから見てないけどな。

ほ、ホントだよ?ハチマンウソツカナイ

 

八幡「おい、星井。起きろ、仕事に行くぞ」

 

美希「うーん、うるさいなぁ。誰なの?そこの人」

 

会って2日目で存在を忘れられました。

じ、自己紹介のときに寝てたからだよね!俺の影が薄いわけじゃないよね!

 

八幡「俺はここの事務所の新しいプロデューサーだ。早く起きろ。仕事に行くぞ」

 

美希「ミキに命令しないでほしいな。それにミキ、ミキのことを星井なんて呼ぶ人とはお仕事したくないの」

 

なんだこいつ、可愛くねえ...

 

八幡「じゃあ、星井さん仕事に行きましょう。これでいいか?」

 

美希「ちがうの!ミキはミキなの!」

 

いや、女子の名前呼び捨てとか難易度高過ぎだろ。

 

八幡「いいから早く来い。俺が秋月からドヤされるだろうが。」

 

美希「や!」

 

強情な奴め...

 

八幡「星井!」

 

美希「や!」

 

八幡「星井さん!」

 

美希「や!」

 

八幡「ホッシー!」

 

美希「や!」

 

八幡「ミキミキ!」

 

美希「や!」

 

だめか...

このままやってても埒があかんな。

遅れたら本当に俺がドヤされる。

 

八幡「はぁ...分かったよ。行くぞ、『美希』」

 

美希「はいなの!プロデューサー!」

 

なんだその笑顔、可愛いじゃねぇか...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうにか美希を車に連れていき、あとは秋月が来るのを待つだけだ。

 

美希「ねぇプロデューサー、なんでプロデューサーの目ってそんなに腐ってるの?」

 

八幡「腐ってるとか言うなよ。普通に傷つくだろうが。あと目は生まれつきだ」

 

美希「ふーん。プロデューサーって目以外はかっこいいのに、なんだかもったいないの。あ、そうだ!ミキ、いいこと考えたの!」

 

いいこと?なんかこいつ碌なこと考えなさそうなんだが大丈夫か?

 

美希「はいプロデューサー。これ、かけてみて?」

 

そう言って美希はカバンから大きめの黒ぶちメガネを取り出した。

 

八幡「俺の目は腐ってはいるが視力はいいほうなんだが」

 

美希「違うの。これは伊達メガネだよ?これでプロデューサーの腐った目を隠せば、きっとイケメンさんになるって思うな」

 

八幡「お前、なんで変装道具なんて持ってんだよ。まだ必要ねえだろ」

 

美希「ミキはすぐにトップアイドルになるからカンケーないの。それに、伊達メガネはコーディネートとしても使えるんだよ?」

 

八幡「そうですか。でも今から営業に行くのに、イケメンになる必要ないだろ。」

 

美希「お仕事には見た目が大事なんでしょ?プロデューサーがそう言ってたって律子が言ってたの」

 

ぐっ、痛いところを突きやがって。

つーかこいつ俺のこと覚えてんじゃねぇか。

 

美希「じゃあ早速かけてみて?」

 

八幡「はぁ、分かったよ。でも似合ってなくても笑うなよ?」

 

美希「分かったの!」

 

美希に無理やり押しきられるかたちで眼鏡をかけてみた。

うん、我ながらいい男だな。

 

八幡「どうだ?」

 

美希「ミキの言った通りなの!プロデューサーはずっとこのままいればいいって思うな!」

 

思いのほか高評価だな。あれ?これ伊達メガネかけてれば入社試験通ったんじゃね?

まあ別にやりたいことがあったわけでもないし、どこでも一緒か。

 

八幡「それじゃとりあえず営業の間はかけとくか。俺の目のせいでお前らの仕事が決まらないんじゃ話にならんからな」

 

美希「それがいいの!」

 

それにしても秋月遅いな...

書類の処理に手間取ってるのか?

 

律子「すいませーん!遅くなりまし...誰ですか?」

 

八幡「ナチュラルに知らない人扱いすんな。お前は俺のクラスメイトかよ」

 

普通に校内を歩いてただけなのに、いつの間にか俺が不審者に祭り上げられてたからな?山本の野郎マジで許さん。

 

律子「えっ?もしかしてプロデューサーですか?」

 

八幡「本当に気づいてなかったのかよ...

なんなの?お前アンパンマンなの?」

 

実際バイキンマンのあの変装を見破れないとかアンパンマン純粋すぎるだろ。

 

律子「なに意味不明なこと言ってるんですか。それより、そのメガネどうしたんですか?」

 

八幡「ああ、これか?なんかこいつがこれで目を隠せって言ってきてな」

 

美希「こいつじゃないの!ミキなの!」

 

八幡「はいはい、美希な美希」

 

律子「随分仲良くなったんですね」

 

八幡「いや、別に仲良くはねぇよ。むしろ誰とも仲良くないまである。」

 

律子「またそんなこと言って...まぁいいです!早く営業に行きましょう!」

 

八幡「へいへい、頼りにしてるぜ『先輩』」

 

律子「なっ!/// 何ふざけてるんですか!早く行きますよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチャ

 

律子「ただいま帰りましたー!」

 

八幡「疲れた...」

 

律子「メガネはもう外したんですね」

 

八幡「こう見えても視力はいいからな。伊達でもかけてると目が結構疲れるんだよ」

 

まぁ今日は目より精神が疲れたけたどな。

 

春香「あ、プロデューサーさんお疲れ様で...大丈夫ですか?」

 

八幡「これが大丈夫なように見えるか?」

 

春香「あ、あはは...」

 

律子「やっぱりいきなり美希の営業はちょっとハードすぎましたかね...」

 

いや、ちょっとどころじゃねぇだろ。

ベリーハードすぎてアイテム2号が必要なレベル。

 

響「美希がまたなんかしたのか?」

 

八幡「あいつ、テレビ局のお偉いさんにヅラとか言いやがってな...あれ完全に怒ってただろ」

 

律子「こめかみピクピクしてましたもんね...」

 

音無「それは大変でしたね...美希ちゃんは?」

 

八幡「あいつは『ミキ、もう眠いの...』とか言ってたんで直帰させましたよ」

 

音無「プ、プロデューサーさん、それ

美希ちゃんの真似ですか?」

 

律子「微妙に似てるのがむしろ違和感バリバリですね」

 

バ-ン

 

美希「ただいまなのー!」

 

音無「あら?美希ちゃんおかえりなさい。今日は直帰じゃなかったの?」

 

美希「今日はごほうびに冷蔵庫にイチゴババロア入れてたんだけど、そのことをすっかり忘れてたの!」

 

八幡「美希、お前そのためにわざわざ来たのかよ...」

 

俺わざわざお前の家まで送って行ったんだけど?こいつマジで気まぐれすぎませんかね...

 

春香「美希イチゴババロア好きだもんね...って『美希』⁉︎」

 

真美「あ、兄ちゃんミキミキのこと呼び捨てにしてる〜!」

 

亜美「ひーきだ!ひーきだ!」

 

八幡「バ、バカちげーよ!あいつが名前で呼ばないと仕事しないっていうから仕方なくだな...」

 

真「じゃあボクたちも名前で呼んでくれるまで仕事しません!」

 

やよい「わたしも名前で呼んでほしいかも〜」

 

八幡「なっ!お前らなぁ!」

 

律子「いいじゃないですか。名前で呼んであげれば」

 

八幡「秋月まで...」

 

律子「秋月じゃなくて律子、ですよ?」

 

こいつら...

 

八幡「だが断る!

この比企谷八幡が最も好きなことのひとつは自分で強いと思ってるやつに『NO』と断ってやることだ!」

 

ふぅ、ついついフルで言っちゃったぜ...

ここぞというときこそ空気を読まないのが俺だからな!

 

やよい「だめ...ですか...?」ウルウル

 

八幡「ぅぐ...わかった!わかったから俺をそんな目でみるな『やよい』!」

 

やよい「わぁー!なんだかうれしいですー!」

 

響「ズルいぞー!自分も自分も!」

 

真「プロデューサー!ボクもお願いします!」

 

八幡「お前らも呼び方変えるからまた今度でいいだろ...俺はもう帰る」

 

真「あ、ちょっとプロデューサー⁉︎」

 

ぼっちはやることが終われば迅速に帰るのが鉄則だ。早く帰って録画してたシンデレラガールズでも見よう。

 

音無「プ、プロデューサーさん!」

 

八幡「あ、音無さんお疲れ様です。」

 

ガチャ

 

音無「ピヨ...」

 

 

 




たいへん遅くなりましたm(_ _)mドゲザ
勉強とかで色々忙しくて...
これからも亀更新だと思いますが見てくださるとうれしいです。
今回は八幡に名前の呼び方を変えさせたかったのでこの話を書きました。
最初から呼び捨てでもよかったんですが、八幡のキャラ的にいきなり女子をファーストネームで呼び捨ては違うかなと思いまして。
あとは作者は美希pなので美希との絡みが書きたかったんです!
ちなみにアイドルたちは恋愛感情があったわけではなく、ただなついているだけです。まだ。
次回からついに本編です。いつになるかわかりませんがよろしくお願いします。


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