ラブライブ〜9人の女神と1人の少年〜 (舞亜)
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別れ後、出会い
色々と変なところがあるかとは思いますが、寛大な心で見逃してください。
男主人公お話を作らさせていただいたので、そこはご了承下さい。
始めるにあたり、入学から書いたので最初の方は9人出てきません。
サクサクと2年までは進ませたいとは思っていますが、これからの展開次第ですかね。
想像力がものをいいます。
それでは、これからの物語にしばらくお付き合い下さい。
春ー。桜舞うこの季節。
別れと出会いの季節だなんてよくいわれている。
僕ー瀬奈悠(せなゆう)も御多分に洩れずこの春1つの別れを経験し、これから新しい出会いが待っている。
音ノ木坂学院。そう書いてある表札を指でなぞる。
指の動きに合わせるように風が吹き、僕の頬を撫でていく。
舞う桜の花弁はまるでこの時を祝福してくれているかのようなのは気のせいだろうか。
ーー国立音ノ木坂学院ーー
有名というわけではないけれども、古くからある伝統の学院。
元々は女子校だったのだけれど、今年からは共学化され、男子にも受験資格が与えらることとなった。
突然の共学化に多少気にかかるものもあったけど、この学院が母さんの母校だというのも後押しして、せっかくならばと受験した結果、見事合格。晴れて音ノ木坂の学院となった。
問題があるとすれば、他にも男子いるがどうかんなだけど。
去年までは女子校なんだから、必然的に上がる女子率。僕だって男だから、女の子が多いのは嬉しいけど、比率が偏りすぎると肩身が狭い思いするだけなんだよね。さすがに僕1人なんてことは…ないはず。
そんな一抹の不安と、少しばかりの期待を持っていたりする。
この門を越えたら、新しい日々が始まるんだ…よし、行くぞ!
そして、小さくも大きい一歩をいざ踏みだ「海未ちゃん、ことりちゃん、早く早く!遅刻しちゃうよ!」
なんだ!?女の子の声…だよね?
声のした後ろを振り返る。
少し後ろから3人の女の子達がこちらに向かって走ってきている姿が見えた。
「穂乃果!あなたが寝坊なんてするからこうなったのでしょう!」
「はぁ…はぁ…ふ、2人とも待ってよ〜…」
音ノ木坂の制服。タイの色を見る限り、僕と同じ新入生みたいだ。
「ごめんってば〜。昨日はなかなか寝れなくて」
「どうせ、今日が楽しみで寝れなかったとかそんなオチでしょう。小学生じゃないんですからしっかりしてください!」
「ま、まあまあ海未ちゃん。ほら、逆に穂乃果ちゃんらしいよ?」
「また、ことりはそうやって甘やかすんですから…」
3人の声が大きいからなのか、そんな会話が僕の耳にもはっきり聞こえた。
ふむ、言い争ってる様にも見えるけど、仲が良いからこそ、みたいな雰囲気か滲み出てる。
ああいう関係は素直に羨ましいと思う。自分にもそんな友人がいたらよかったんだけど、同じ学校から音ノ木坂受けた人いないし。でも、きっとこれからできるはず!…たぶんおそらくmaybe。
「ほら!海未ちゃん、ことりちゃん、間にあった…っあ」
「え?」
目の前で少女の1人が転びそうになる。
危ない!?
僕は咄嗟に少女の前に移動し、転ばないようにしっかりと身体を受け止めていた。
「あー、その…大丈夫?」
「ふえ?」
そこで初めて僕に気付いた女の子は、自分の状態を確認して「うわぁ!ご、ごめんなさい!」と、慌てて離れていった。
空っぽになった腕が少し寂しく感じるのは気のせいだろう。
「穂乃果大丈夫でしたか!」「ほのかちゃ〜ん」
後ろにいた2人が、ほのか(仮)?さんのことを心配して急いでやってくる。
「気を付けなくては駄目じゃないですか!」
「ごめんね海未ちゃん」
「別に無事ならいいんです。それよりも、そこの方危ない所を助けていただきありがとうございます」
「え!海未ちゃんが先に言っちゃうの!?」
「あなたがちゃんと言わないからでしょう!」
「2人とも落ち着きなよ〜。彼も困っちゃうよ」
なるほどなるほど。
先ほどのやり取りと合わせて、なんか3人の立場がわかってしまった。
それにしても、見てるとこっちまで楽しくなってしまう独特の雰囲気がある。
「ふふふっ」
「「「?」」」
「あぁ、ごめんごめん。君達を見てたら可笑しくて、つい」
「(ちょ、ちょっと海未ちゃん。私たち笑われてるよ)」
「(あなたのせいですよ!)」
「(それが原因だと思うなー…)」
またやってる。ホントに仲が良いんだな。
いいことなんだけど、これじゃあ話が進まないかも。こっちからいかないとダメかな。
「あの、助けたことは気にしないで。たまたま近くにいてできたことだから」
「いえ、それでも咄嗟に動ける人は少ないはずです」
「いやいや、ホント偶然だから。気にしないで。寧ろ、年頃の娘さんに勝手に触れてしまったことを謝りたいくらい」
や、ホントにね。男の立場の低さったらないよね。訴えられたらどんな状況だろうと負けますよ。ほぼ確です。
「ううん。私は全然……えーと、そう!嫌じゃなかったよ!」
「「……」」
わぁお。誤解のありそうな発言をありがとうございます。他の2人は絶句だけどね。
「…はは、それならよかったよ。ええと、このタイミングでいうのもなんだけど、初めまして。音ノ木坂学院の1年になる瀬奈悠(せなゆう)です。宜しく」
そう言って改めて彼女たちを眺め、前方に手を差し出した。
「私は高坂穂乃果。同じ1年だよ。仲良くしようね」
最初に笑顔で返事をくれたのは、先ほど助けた少女だった。
茶色の髪を肩のあたりまで伸ばし、片方の髪をサイドで結う、いわゆるワンサイドアップ(詳しくはわからないけど)にしていて、とても笑顔が似合っている。
手を握り返してブンブンと上下に振られる。
「私は南ことりだよ。よろしくね〜」
続いたのは、ベージュの長い髪をこれまたサイドで結っている女の子。たれ目のおかげか、やんわりとした雰囲気を感じる。
そっと手を握り、ふわっとした握手。
大発見。握手一つで割と性格ってでるんだね。
これは最後がどんな感じか楽しみ。
「…園田海未です。よろしくお願いします」
最後は、黒髪ロングの女の子。一つ一つの所作が綺麗で黒髪なのも相まってか、これぞ大和撫子って言いたくなるような子。
そっと手をにぎ…手を……にぎらないだと…。
あれ?まさか歓迎されてない?この宙に浮いた手の行き場は…。
「ごめんね、瀬奈くん。海未ちゃんは男の人が苦手だから…」
「え、あ、そういうこと?ほっ…よかった。いきなり嫌われてるのかと思った。苦手なら仕方がないよね」
「……すみません。心の準備に少々時間がかかりました」
そういって、おずおずと手を差し出し、優しく握手をしてくれた。
その顔はほんのり朱色に染まり、恥ずかしがっているのが一目でわかる。
「海未ちゃんったら恥ずかしがっちゃって可愛い〜」
「ホントだね〜」
「し、仕方がないじゃないですか!」
ああ、園田さんは意外にいじられ属性だったりするんだ。
ここは乗るしかない。ビックウェーブに!
「園田さんみたいな可愛い子と握手できるなんて僕は光栄だったってことだね」
「か、かわっ///あなたまでそんなことをいうんですかっ!?」
さらに顔を赤くして狼狽する園田さん。
うわ…予想以上に可愛い反応。これは色々な意味でやばいかもだね。
「海未ちゃんよかったね。男の子から見ても可愛いんだってよ」
「さすがうみちゃん」
え?まだ追い込むの?
流石にそろそろ可哀想なんだけど。
ここは自分のことは棚に上げて、そう棚に上げて助け舟をだすしか。
「でも、二人もそれぞれ違った可愛いさがあっていいと思うよ」
「「〜///」」
「そそそんなことないよ。ねぇ、ことりちゃん」
「う、うんうん。そうだよ。全然だよ」
ふぅ〜。これで僕のワンサドゲーム。
まあ、別にお世辞でもなんでなくホントに美少女といって差し支えないレベルなんだけどね。
「そ、そんなことより早く行きましょう。入学初日に遅刻なんて嫌ですからね」
園田さんのその言葉に2人は「そ、そうだね」と慌てて返し、揃って学院に向かって歩きだした。
「ほら!瀬奈くんもいこうよ!」
高坂さんの元気のいい声に誘われるかのように僕も歩き出す。
彼女たちとの出会いが今後の学院生活を楽しいものにしてくれるとそんな予感を抱き、彼女たちも僕と同じ気持ちならいいなとそんな風に考えてしまった。
駄文で失礼しました。
書いてて、おかしいかな?
なんて思いつつもそのまま勢いだけで進めてしまいました。
おそらく編集の嵐です。
今後どうしようか悩みつつ、次も頑張りたいと思います。
暖かい目で見守っていただけたら幸いです。
小ネタを入れてるのが吉と出るか、凶と出るか。
ああ、才能のなさが恐ろしいです。
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おもい…だした!
音ノ木坂学院に入学してから、早2ヶ月が経っていた。
そろそろ、新入生の皆も学院での生活に慣れてきている頃だろう。
「よーっす、はよー」
「あ、うん。おはよう」
朝、教室について数人の男子と挨拶をし、自分の席へと座る。
さきほどの挨拶を見ればわかると思うけど、当初いるかどうか心配していた男子の生徒がどうにかいてくれたので(それでも一クラスに3〜5人程度だが)安心した。
いるとはいっても、圧倒的に女子の方が多いのは変わらず、男子としてはなかなかに気を使う毎日だ。
時間的にもうクラスの大体の人が集まっている。
この2ヶ月である程度のグループ分けが済んでいて、女子は数人のグループがいくつか、男子は男子少数のグループ1つが出来上がっていた。
かくいう、僕も男子のグループに入るのが普通なはずなんだけども。
「おっはよう!瀬奈くん」「おはようございます」「おはよぉ」
「おはよう3人とも」
僕の場合は最初に知り合ったこの3人によくしてもらっており、自分でいうのもなんだけど、結構仲が良いと思う。そのため、高坂さん、園田さん、南さんと僕を含めた4人のグループに落ち着いていた。
その弊害というわけではないんだけど、いまいち他の男子との距離が縮められないのが如何ともしがたい。
「くそっ!瀬奈のやつ…毎朝毎朝。笑顔の眩しい我らの高坂さんと挨拶しやがって!」
「いや、それよりもクールビューティーな園田さんから挨拶してもらえるとかずるい!」
「何を言う!ほんわかガール南さんとの挨拶の方がずるいだろ!」
「そ、そうだ!あの女ども!僕の瀬奈くんと!」
「「「お…おぉ……そ、そうか…」」」
他の男子達のそんなやり取り。
冗談半分ではあるんだろうけど、やっかみを受けるのが最近の習慣だったりする。
確かに女子と先に仲良くなっていた僕を見たらそうなるだろう。逆の立場だったら僕も同じこと言うと思う。
ってか、最後の人はいつも何かおかしいからね!?
まぁ、最初に女の子と仲良くなった僕はといえば、逆に男子のグループに憧れるんだけど。
男同士ならではの連携感とかいいよねー。そのうちどこかでチャンスがあるでしょ。
「あ、そういえば瀬奈くん昨日先生に朝の間に1限目の授業の準備頼まれてなかった?」
高坂さんのその言葉に忘れていた記憶が蘇る。
「っ!?おもい…だした!」
重いものがあるから手伝えっていわれてたんだ。すっかり忘れてました。
確かに女の子に重いものとか運ばせるのはちょっとね。
最近は自分がやらねばと、使命感すら帯びてきた気がする。や、確実に気のせいだけど。
「それじゃあ、ちょっといってくる」
「「「いってらっしゃい」」」
3人の声に見送られ、教室を後にした。
ーーーー
結論から言おう。荷物が想像以上に重かった。
確かにこれは女の子じゃ無理だよね。男の僕でも疲れるんだから。
あまりの重労働ぶりに思わず聞いちゃったね。
「よくよく考えたらなぜ僕なんですか?他にも男子はいるんですから、次は違う方をお願いしますよ」の言葉に返された先生の「あ、なんか君が1番頼みやすそうだったから〜」の一言には声がでなかった。
次は絶対やってやんないんだからねっ!
とりあえず、早く教室に帰って残りの時間をゆっくりしよう。
そう思い、少し急いだのが悪かったのだろう。
廊下の角を曲がった瞬間、「ドン!」という音と共に、何かにぶつかった感触が伝わり「きゃっ」という女の子の声が聞こえてきた。
やばい。ぶつかった!
慌ててぶつかった相手に近寄り声をかける。怪我してなければいいんだけど…。
「す、すみません!大丈夫でしたか」
そう言って、倒れている彼女に手を差しのばし、助け起こす。
「えぇ…なんともないわ」
「ホントにすみませんでした。僕の不注意で」
「こちらも不注意だと思うから、気にしないで。それより…そろそろ手、いいかしら?」
「あ、はい」
どうやら怪我はないみたいで一安心。
彼女にいわれ、掴んでいた手を離すと共に、思った以上に距離が近かったため、一歩離れる。
そこで初めて相手の姿をはっきりと確認することができた。
タイの色は2年、上級生か。
金髪碧眼の少女で、十中八九ハーフか何かだとは思うけど、日本人離れした整った顔立ちに、メリハリのあるスタイル。ぱっと見欠点のない完成された容姿。
モデルをやってます、とか言われても驚かない自信がある。
確か金髪碧眼って、劣性遺伝とかなんとかで、出にくいって聞いたことあるけど綺麗に出てるなー。
「なんやなんや。一年の子はえりちに見惚れてるのかな?」
目の前の少女の後ろから、別の少女の声が聞こえてきた。
前の少女に気を取られていたせいで気づかなかったけど、すぐ後ろにもう1人いたみたいだ。
少しボリュームのある紫がかった髪をおさげ(あれ?今はツインテールっていうの?)にしていて、はんなりとした雰囲気を持っている。とても柔らかな印象を受ける女の子。特に目にとまるのは…その……発育の良い胸ですかね。いや、僕が女性の胸に興味あるとかではなくね?ホントにただ単にそこが1番目につくってだけだからね?
正直毒ですよ!…良い意味で。
というか、このお2人どこかでみたような?
「もお、希。何をいってるの」
「エリチは可愛いから仕方ないやんな?」
「…あぁ、そうですね。正直、2人とも凄い美少女で眼福です」
「「……///」」
考えごとをしながらだったため、軽く生返事になっていたような気がする。
えーと、どこだっけ?確かあれは…そう、入学式でみたような……あっ、おもい…だした!
「壇上で挨拶してらした会長さんと副会長さんじゃないですか!って、なんか微妙な雰囲気になってません?」
なんかお2人の顔が赤いような。
あれ?おかしいこと言ったり…しました?全く何言ったか覚えてないんですけど…。
「こほん、別になんでもないわ。それより私たちのことに今頃気付いたの?」
あ、なんか持ち直した。
この2人を最初に見たのは入学式の挨拶のとき。
それ以降は見ることもなかったので、すっかり頭から抜け落ちていた。
1度見たら忘れないような人達なんだけどな。遠目からだったし仕方ないか。
「ウチら1年のほうはあんましいかへんからね」
「そうね。自分達の教室と、生徒会室の行き来くらいね」
それもそうか。よっぽどの用がない限り他学年の場所なんていかないのが普通か。
なんか他所の学年って怖いですしね。最早異空間だよ。
そんな低いエンカウント率の中ぶつかってしまうとか。ついてるのか、ついてないのかよくわからない。
「なら、入学式の日にも名乗ったはずだけど改めて、2年で生徒会長を務めてる絢瀬絵里よ」
「同じく2年の東條希や。副会長やってるよ」
「1年の瀬奈悠です。よろしくお願いします先輩」
「なんかええな、先輩って呼ばれるん。凄い新鮮」
「確かに。学年が上がったんだって実感するわね」
あー、それわかります。僕も中学の時、2年になって初めてせんぱ…あれ?呼ばれたことあったかな。そもそも後輩に知り合いとかいなかったような?
…呼ばれたらそんな気持ちになるよね、うん。
それにしても、生徒会、生徒会か…そうだ。
「あのー、よろしければぶつかったお詫び、というわけでもないんですけど、生徒会の方で何かお手伝いしましょうか?」
「別にいらないわよ。こちらにも非はあったわけだし、それに部外者にはできない仕事ばかりよ」
「そうですか…」
生徒会の仕事を部外者にやらせるのは確かに問題ですよね。見たらダメな書類とかもあるでしょうし。
しかし、何もしないというのもなんか気が収まらないのもまた事実。
「手伝ってもらえばいいやん」
「ちょ…希。あなたね」
「男の子が男みせたいいうてるんやから。それに、カードがウチにそう告げるんや」
ここでまさか相方さんから助け船がでるととは思わなかった。
僕なんかより全然男前な発言や。やめてうっかりときめいちゃう。
ところで、カードって何です?カードの声が聞こえる方なんですか?イメージしちゃうんですか?
「占いはウチの得意分野なんよ!」
不思議そうにしていた僕に東條先輩は自信満々に答えてくれた。
あぁ、カードってタロットかそういうのか。得意分野というからにはよく当たるのかな?
「まぁ、希がそこまでいうなら…」
東條先輩の信頼度が高いっ!?
ん?…東條先輩の信頼度が高い?占いの信頼度が高い?どっちだろ?まぁ、結果はあまり変わらないけど!
「さずかに書類制作とは無理やけど、荷物運んだり、整理とかは大丈夫でしょ」
「そうね。それなら確かに…。とりあえず今は仕事もないから、必要になったら呼ぶわ。それでいい?」
「ええ、大丈夫です。いつでも呼んでください」
「ほな、近いうちによろしくね」
「もうすぐHRも始まるから瀬奈君も早く戻りなさい」
え?もうそんな時間。ゆっくりする予定だったのに…。案外話こんでたんだな。
2人と別れ、教室に帰ろうとするーー。
「あ、ちなみに瀬奈くん女難の相でとるよ」
「!?」
すぐに後ろを振り返るが、もう誰もいなかった…。
ちょ、最後の最後に脅かしてくとか。東條先輩絶対Sだな。しかも、内容が女難の相っていうのが生々しくて嫌なんだけど。
それにしても、絢瀬先輩と東條先輩か…。
良い人だっていうのは少し話しただけでもわかった。話してて楽しかったですしね。
もっと仲良くなれれば、更に楽しくなるかも。
そんなことを思いながら自分の教室へと歩いていく。
こうしてまた学園での1日が始まっていくのだったーー。
ふむ。
長く考えた末なのにこのクオリティー。泣けますね。
これが舞亜クオリティーです。
大丈夫!わかる人にはわかるはず!な意気込みでやってます。
さてさて、今回は3年生組(ここの場合は2年生)の2人がご登場しました。
いかんせん、これであってる?のまま進めたので、どうかな〜的な感じがプンプンしてますが、ここまできたら気にしない方向でお願いします!
次あたりでもう1人もご登場!?したらいいな…。
それでは皆様次回をお楽しみに!
最後に気づく、段落のあけかたがわからない…という事実。
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見知らぬ、部室
ある日の放課後。
今日は生徒会のお二方に頼まれ、必要な荷物を運ぶ簡単なお仕事をしていた。
その仕事も今しがた終わりを迎え、いざ帰らんとするところなわけで。
前に会ったあの日から、ちょこちょことお手伝いをしたりしてるんだけど、そのおかげか最近では2人と仲良くなった気がする。
「今日もわざわざありがとう。悠がいてくれて最近凄く助かってるわ」
「これくらいならいつでも、ですよ」
「もうウチとしては、悠くんは生徒会の一員といっても過言じゃないと思ってるよ」
や、それは過言です!
何こっそり人員確保しようとしてるんですかやめてください。
「それじゃあ、また何かあったら呼んでください」
「ええ、ホントにありがとう。またね」
「ばいばーい」
別れの挨拶を終え、生徒会を後にする。
それにしてもいつの間にか2人とも僕のこと名前で呼ぶの定着してますね…。女の子から名前で呼ばれるなんて恥ずかしいけど、そのうち嫌でも慣れるはず、っていうか慣れるしかないんだよね。
最初は「代わりにウチのことは『のんたん』って呼んでいいんよ?」と言われて対応に困った記憶がある。
ちなみに、「絵理ちは絵理ちだよ」などと本人の意思関係なく言ってたっけ。
それこそ恥かしいから呼ばないけどね!
普通に希先輩と絵里先輩にしましたよ。それでも若干の気恥ずかしさはあるけど。
「女の子は仲良くなったら名前呼び!そっちの方が嬉しいもんだよ」みたいなことをいってたけど(真偽は不明)、確かにそっちの方が友達感はでる…のか?
ふむ、それがホントなら今度高坂さん達も名前で呼んでみようかな。
とりあえず今日は早く帰るとしますか。買い物も頼まれてたことだし。
えーと、確かメモを生徒手帳に…ん?……あれ、生徒手帳がない?……落ち着くんだ。こういうときは冷静に考えよう。
朝学院にきたときにあったのは確認したから、その後に落としたとして、だとしたら学院のどこかにあるはずだよね。
まずは職員室で落し物がなかったか聞いて、なかったら今日行った場所をしらみつぶしに探すしかないか。
「ねえ、ちょっと」
買い物もメモは別段また聞き直せばいいけど、アレが挟んであるんだよなー。誰かに拾われる前に見つけないと、アレはさすがに見られたら恥かしい。
「ねえってば!」
「はい?」
一際大きな声に呼び掛けられた。
「何度も呼んでるのに無視しないでくれる」
そこには、黒髪をツインテールにした女の子が立っていた。
2年のタイをしているので、年上のはずなんだけど、なんとなく年下に見える。
背が低くて、白い肌が特徴的。美少女ではあるんだけど、全体的に美人というより、可愛さが目立っていた。
何回も呼んだみたいなことをいってるけど、全く気付かなかった…。
「これ、あなたのでしょう?」
彼女がそういって見せてきたのは。
僕の生徒手帳!?すでに誰かに拾われた後だったか!中を見られてなきゃいいけど…と思ったけど、中身ないと落とし主が僕であることなんてわからないよね…。明らかに僕の落としものだと分かった上で話しかけてきている様子をみるに、希望はない。
ここは早々に受け取って、離脱を試みるのがベストか。
「…探してたんですよ。ありがうございます!」
そういって手を伸ばし、生徒手帳を受け取ろうとする…スッと交わされる。受け取ろうと…交わされる。
えっ!?なぜに!
「ちょっと話したいことがあるんだけど、返して欲しかったらついてきなさい」
なんなのこの人!見た目可愛いくせにやってることが悪魔です!!まさかの脅迫ですよ!
しかし、生徒手帳は取り戻さなければいけない。ここは大人しくついていくしかないみたいだ…。
「わ、わかりました…」
「こっちよ」
そういって彼女は僕を先導するように歩き出した。
果たして僕はどこに連れていかれるのだろうか。無事に帰れるといいな…。
ーー僕はとある部室の前に立っていた。
その扉には『アイドル研究部』と書かれた小さなテープが貼ってある。
アイドル研究部ですか…。
先ほど連れてこられ、先輩は中に入っていったけど、僕も入らなきゃダメ?
えー、ホントに行かなきゃダメ?正直なんか怖いんですけど。見知らぬ土地にきた的な。既にアウェイ感が半端ない。
でも人質(生徒手帳)がいるし、行かないわけには。
今選択肢があったら…。
1.おとなしく従い中に入る。
2.文句をいいながらも中に入る。
3.嬉々として中に入る。
あれ?自分の脳内ですら帰る選択肢がない!?何この強制イベント!諦めの境地なの!?
すぅー、はぁー、深呼吸を1回。
決意を固めて、いざ尋常に!
勢いよくドアを開け、部室の中へと入っていく。
その部室の中にはアイドルのポスターや、DVDなどの沢山のグッズ。
凄い数のアイドルグッズだな…。
「早くこっちにきて座りなさいよ」
しぶしぶと、言われた通りに椅子に座る。
早く取り戻してさっさと帰ろう。
「あのー、それでお話というのは?」
「コレの中身のことよ」
僕の生徒手帳を出してそう言った。
「中身というと買い物メモ…ですかね?」
「そっちじゃないわよ!写真の方よ!」
やっぱりそっちしかないですよねー!
そう、僕の生徒手帳にはとある写真が入っているのだ。
だが、彼女がその写真について聞きたいことというのには皆目見当がつかない。
「この写真どこで手に入れたの?」
「はぁ…?どこで、といわれても、家にあったとしか」
「家にあった?こんな貴重な写真が?」
「貴重?まぁ、貴重といえば貴重ですけど、別段家に割とありますよ」
「な、なんですって!?家にこの写真以外にも沢山ある…あなたさては相当なオタクね」
「唐突なオタク認定!?」
「だってこんな…あの、『星せらら』の写真を、しかも明らかにプライベートなものを持ってるなんて普通じゃないわ!」
星せらら?はて、一体?…あぁ!そうだその名前!母さんの現役時代の名前だ!
「もしかして、母さんのこと知ってるんですか?」
「は?母さん?星せららが…あなたの?」
「はい。本名は瀬奈せららですけど」
「…あなた名前は?」
「瀬奈悠ですけど」
「ホントに?」
「や、嘘をいってどうするんですか」
いやー、母さんが『アイドル』だった時の名前だからすっかり忘れてた。
正直、今の世代の方で知ってる人がいるとは思わなかった。
「ふ、ふふふ。ツいてる、私ツいてるわ!ここであの『煌めく一等星』や、『シャイニングスターせららたん』の異名を持つ、星せららの縁者に出会えるなんて」
うわ、よくよく聞いたら恥ずかしいキャッチフレーズ…ってか、最後のなに!?人の母親を萌えキャラみたいにいわないで!
「というか、よく知ってますね。まるっきり世代じゃないと思うんですけど」
「ふっ…私こう見えてもアイドルオタクでね。色々な世代のアイドルを知っているのよ!まぁ、その中でも星せららは別格ね。アイドル好きで知らない人はまずいないわよ」
そんな有名なの!?そこまでは知らなかった…。
でもそうか、母さんのファンなのか…なんか身近にそういう人がいると…なんか嬉しいや。
「私もせららを見てアイドルを目指したといっても過言ではないわ」
なに、過言って流行ってるの?みんな使いすぎじゃない?
「っていうか、先輩アイドルなんですか?」
「そうよ。今をときめく『スクールアイドル』ってやつね」
『スクールアイドル』ですか。
高校の学生だけで組むアイドルでしたっけ?確か近くの『UTX学院』が輩出した『A-RISE』の人気があって流行り出したんですよね。
1回だけA-RISEの映像を見たことがあるけど、確かにあれは人気でるかもね。歌もダンスもレベル高かったし。まぁ、俄か意見だけど。
「お一人でやってるんですか?」
「…ええ、今は一人よ」
苦虫を噛み潰したような顔でいわれた!?
あれ?いきなり地雷踏んだっぽい?
「どうして?とは聞かない方がいいんですかね?」
あえて地雷原を渡る勇気!
「別に。周りがついてこれなくなっただけよ。私は一人でもちゃんとアイドルをやれるわ」
そういった彼女の顔は少し寂しそうに映った。
「ところでものは相談なんだけど」
「は、はい!なんでしょう?」
いきなりの話題転換に多少驚きながら答える。
もうこの話題はなしってことね。
「その…せ、せららに…サインとかもらえないかしら?」
あー、まぁファンだとしたらそうなりますよねー。気持ちはわかりますけど。ただ…。
「ここで出会ったのも何かの縁ですし、いいですよって、言いたいのは山々なんですけど…無理なんですよね」
「ど、どうして?」
「……えーと、母さんは…今年、僕がこの学院に入る前に亡くなりました」
「……そうだったの。悪いこと聞いたわね」
「いえいえ、もう何ヶ月も経ちますから」
そういえば、この話したのこの先輩が初めてな気がするな。まぁ、別段聞かれなきゃ自分から言うような話でもないしね。
でもサインか…サイン…たしか。
「あ、確か家にあったような気がするので、差し上げますよ」
「いやいや、悪いわよ。それは…ほら形見になるんでしょう?」
「や、家にただ置いてあるより、好きな人にあげた方が母も喜ぶと思いますし」
「でも…」
「ならこうしましょう。差し上げる代わりに、僕のお願いを2つばかり聞いていただくというのはどうでしょう?」
「交換条件というわけね。それで、お願いっていうのは何?…はっ!?まさか体が目当てじゃないでしょうね」
体を腕で隠しなが半目で睨まれる。
いやいやいや、そもそもそんな貧相な体型で何を…ん?でもこの先輩の場合はそれだから良いのか?これでなまじナイスバディとかだったら違和感バリバリだよね?ってことは、これで正解なわけか。
や、目当てじゃないけどね!?そんなこと言った日には学院での僕の人生詰んじゃうからね!詰まなくても言わないけど!
「そんな勘違いは置いておいて、1つは、これからも母さんのファンでいてくださいって事ですね。やっぱりこっちとしても嬉しいので」
「そんなものいわれなくてもやめないわよ。もう1つは?」
「僕と友達になりませんか?」
「へ?……ふ、ふふふ。何それ、そんなのがお願いなの?おかしなやつね…ふふふ」
あれ?何かおかしなこと言った?至極真っ当なお願いだと思ったんだけど。
せっかく可愛い子と知り合えたならお友達になりたいのは普通だよね?だよね?
「はー、笑った。私はにこ…矢澤にこよ。特別ににこって呼んでいいわ。よろしく」
そういって、握手を求め手を伸ばしてくる。
この人ちょいちょい上から目線だなー。実際年上なんだけど。まぁ、それもなんか愛嬌があって可愛い感じがして憎めないんだよね。
「瀬奈悠です。こちらは好きなように呼んでください。よろしくです」
そうして握手を交わす。
「ところで悠。あなた私の部活に入らない?」
「え、入らないですけど」
「入らないの!?今流れ的に入る場面じゃないの!」
「いやー、部活とかはちょっと今の所は」
「ふん!べ、別にいいけどね!」
「部活には入らないですけど、ちょこちょこ遊びにきてもいいですか?色々と話は聞いてみたいんですよね」
「しょ、しょうがないわね〜。きたいならきてもいいわよ」
「あれですよね。にこ先輩若干めんどくさいですね」
ついつい、笑いながらそう言ってしまう。
「めんどくさい!?」
「でもなんかそこが可愛いっていうか、そんな感じです」
「〜〜っ///う、うるさいわよ!早くそれ持っていきなさいよ!」
顔を赤く染め、照れているのか、怒っているのかわからない様子でいいながら生徒手帳を投げてくる。
ってか、生徒手帳を投げないで!大事にしてあげて!
「ひとまずコレ、拾ってもらってありがとうこざいます。今日はとりあえず帰らせてもらいますね」
「はいはい、さようなら」
ぶっきらぼうに返事をするにこ先輩に苦笑しつつ、部室を後にする。
にこ先輩か…。また面白そうな人と仲良くなれたな。
なんかまだまだこれから学院生活が楽しくなる予感!そんな考えをしながら帰宅する。
この後、買い物のことをすっかり忘れて帰宅し、怒られたのはまた別の話。
というわけで、遅ればせながら3話投稿させていただきました。
今回は我らがアイドル、にこにーのご登場でしたが、自分の文章力でにこにー感を出せているのか甚だ疑問です。
残すは1年sだけですが、楽しみにしている方(いるのか?)には申し訳ないですけど、もう暫くは出てこれない可能性が…。
できるだけ早く出せるように努力は致します。
それでは皆様、次回をお楽しみにしていただけたら幸いです。
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開催!音ノ木坂学院体育祭 〜午前の部〜
『さあ!前年度よりも今年は盛り上がっております!これは男子の加入がいい方向に傾いた結果だろうか!このままの勢いで次の競技にいってみたいと思います』
入学してからあっという間の10月。
そんなとある日。今日は空は雲ひとつない晴天。絶好の体育祭日和…というか、正に真っ最中。
もうすぐ午前中の競技が終わっちゃうよ?なタイミングだったり。
『午前最後の競技は「二人三脚」だー!!出場選手の方は速やかに集合場所に集GOしてください!』
スピーカーからはそんな司会の声が聞こえてくる。
朝からあのテンションだけど疲れないのかな?
「瀬奈くん。私達の出番ですよ」
「あ、園田さん…今行きます」
「今日までせっかく練習したんですから頑張りましょう」
あぁ…アレね。練習っていうか特訓的な感じのやつだった気がするけど。
最初は園田さんが近すぎてドキドキしてたりしたんだけど、途中からはそんなことを考えてる暇もなかった…園田さんのスパルタぶりに…思い出すと泣きそうになる。
「できるだけ上位にはくいこみたいですね」
「や、ホントにね。あの時間を無駄にしたらメンタルやられちゃうから」
「海未ちゃんとの特訓きつそうだったもんね?」
あ、もう周りからも特訓って認識なんだ。
「きつかった?いやいや…ソンナコトナイヨー」
「瀬奈くんが遠い目を!?」
「穂乃果。人のことよりそちらは大丈夫なんですか?」
「ん?だいじょぶだよ!ね、ことりちゃん」
「うん!穂乃果ちゃんと私ならだいじょーぶかも?」
「なぜに疑問符!?」
なぜだろう…些かの不安を拭い去れない
まあ、それは自分達にも言えることだけど。
「とりあえず、皆で頑張りますか」
「「「おーっ!」」」
『さてさて、選手が集まったところで今更だとは思いますが、ルールの説明をさせていただきます。2人1組を作っていただき、お互いの片足を紐で結び、足を3本にしてもらいます。その状態でゴールへ向かって走るのがこの競技…と、お集まりの皆様は理解している思います。しかし、今回はそれだけでは面白くないという方々の声に耳を傾けた結果。追加ルールをご用意することになりました!』
「えー!」「なんだそれ!」「ふざけるなー!」
各所から不満の声が上がる。
や、それはそうでしょうね。ここにきてのルール追加とかどうなってるんですか。
『ノンノン。皆様これは既に学院長にも許可をいただいていることなので、皆様の不満はウォータースライダーの勢いで流させてもらいます!』
その瞬間、僕と園田さん、そして高坂さんは南さんの方を見てしまう
「あ、あはは…うちのお母さんがごめんねぇ」
「いやいや、南さんのせいじゃないんだけどね。こっちこそゴメン。つい見ちゃって…」
「ううん。気持ちはわかるから…」
『気になる追加ルールですが、とても簡単です。コースの途中に白い封筒が置いてあるのがおわかりになるでしょうか?』
ん?封筒かどうかはわからないけど、何か山積みなってるのは見えるけど…えっ?あれ封筒なの?置き方雑すぎるでしょ。
『あそこに見える封筒の中にはお題が入ってまして、ペアの2人でそのお題をこなしてゴールを目指してもらう、という形になっています。例えば、なんですけど「手をつないで」といったお題が入っていたら、手を繋ぎながらゴールを目指していただくというような感じです。まあ、方組むところを手を繋ぐという形にしただけなのでハードルは極めて低いですけど』
むむ、これは実にやばい展開ではなかろうか。
どんなものがくるのかわからないけど、僕達みたいな異性の組み合わせだとキツイものが多くなるんじゃなかろうか。
場合によってはリタイアも考えなくちゃいけないかも。
「二人三脚…なんて恐ろしい競技なのですか…」
驚愕に震える園田さん。
「いや、ここのが特別なだけだけ思いますけど…」
『ち・な・みに、お題をクリアできないとその場で失格だぞっ☆それでは、第1レースの準備が整いましたので、さっそく始めさせていただきます』
「ひどすぎー!」「さいあくー!」などと、クレームの声が上がる。
お題以前に競技のハードルが高すぎるでしょ!!
「on your mark」
あれ?今まで気づかなかったけど掛け声が意外に本格的だった!?
「get set go!」
「パン!」というピストルの音と共に一斉に走り出す。
みんな結構速いな…。相当練習してきてるのかな。
まあ、お題なんてものがあるから正直速さ云々は二の次かもしれないけど。
『早くも1組のペアがお題まで辿り着いたー!一体どんなお題を引くことになるのか!!』
「ちょっとー!『お姫様抱っこ』って普通に無理でしょ!」
うわー…あれはひどいな。事実上のリタイアじゃないですか…。
「『2人でスキップしながら』って、行けそうで難しくない!?」
『皆さん手こずっているようですね。おーっと、周りが手こずっている中で悠々と進んでいくペアがあるぞー!あれは…絢瀬絵理さん、東條希さんの生徒会ペアだー!!』
先輩達出てたのか。
それにしても凄いサクサク走ってるけど
2人のお題はなんだろう?
『ここで情報が入りました。ななな、なんと生徒会ペアの引いたお題は「そのまま」とのことです。…え?コレずるくない!?え、あ…こういうのを引く運の要素も大事?だそうです』
なにそれ!?そんなのもあるんた…。
あの山積みの中からそれを選ぶなんてどんな確率。
「カードがウチに教えてくれたんよねー」
「こういうのは希に任せておけるから安心ね」
このスピリチュアルっ娘め!!
『そのまま1着でゴーール!圧倒的な運命力を見せつけられたー!』
運じゃ希先輩には勝てる気しないんだけど。
とりあえず、自分の時には無難なものを引くよう祈ろう…希先輩に。
着々と進むレース。
その間に『両手繋いで』とか『おんぶ』だったり、意外にいけそうなものから無理難題、様々なお題を見せつけられた。
ちなみに高坂さん、南さんペアは『歌いながら』なんてお題を引いて、凄い楽しそうに走ってたっけ。
アレはアレで恥ずかしいとは思うけど難易度的にはイージーなんだろうな。
「とうとう出番が回ってきてしまった…」
「もうお題次第としかいえないですね」
激しく同意!
『これで最後のレースとなります。できることなら最後らしく素晴らしい展開を期待したいですね』
ハードルあげるの大好きですねっ!?
『おや?最後のペアには、初である男女のペアがあるみたいです。いやーこれは期待が高まりますねー』
もうこの人嫌だ…。
「on your mark get set go!」
ピストルの音を聞いて走り出す。
1、2、1、2とリズムを合わせて走る。
よし!とっく…練習の成果は出てる。これならいいペースでいける。問題はここから…。
『なんと1年生の混合ペアがトップでお題まで辿り着きましたー!さて、ここからが勝負の本番です。運を見せつけられるのか!?』
「瀬奈くん。あなたが引いてください」
「…いいの?」
「はい。瀬奈くんが引いたものなら受け入れられる思います」
それはそれで何気にプレッシャー半端ないけどね。
お願いします!どうか無難なものを!希様ー!
勢いよく封筒の山に手を入れ、手に掴んだ1枚を引き抜く。
ゆっくりと封を開け中身を確認する。
〜お題〜
『ゴール後に精一杯抱きしめる』
こういうパターンもあるのっ!?
難易度がルナティックすぎる!?
「……」「……」
『トップで着いたはずのペアが動かず他のペアに抜かれていくー。一体どんなお題を引いてしまったのでしょうか!…きましたきました情報がきましたー。えーと「ゴール後に精一杯抱きしめる」だそうです!なるほど、こういうのもあったんですね。女子同士ならば、なんら問題のない簡単なお題なはずなのに異性になったとたんに上がる難易度ー!!しかし、これは胸が高まります!ゴクリンコ!』
いやいや、これは厳しくないですか ?
僕も大分恥ずかしいけど、園田さんとか超絶無理なやつじゃない。
「園田さん…これは諦めた方が」
「…いえ、やります!」
え?やるの!?なんで!?もはやただの羞恥プレイだよ!?
「普通に恥ずかしくない?」
「恥ずかしいに決まってます!でも…瀬奈くんとせっかくペアになった競技ですし、最後まで走りたいんです!」
「園田さん…」
「そ、それに瀬奈くんとなら…いやじゃ……」
ちょっと最後の方は聞き取れなかったけど、そうか…そこまでの決意を持ってるなら僕もやるしか…。
「とりあえずゴールまで急ごう!まだ全然追いつけるし、後のことはゴールした後で!」
「そ、そうですね」
急いでゴールを目指して足を進める。
どうにか遅れていた分を取り戻し、先頭に追いつく。
そのまま勢いを殺すことなく、トップへ踊り出し、ゴールテープを切った。
『ゴーール!1年生混合ペアがトップのゴールです!だがしかし!まだ本当の意味でのゴールではありません!むしろ、ここからが始まりです』
「せ、瀬奈くん一思いにやってください!」
覚悟がすでにきまってる!?
目をぎゅっと瞑り、身構える園田さん。
あれ?なんかこんな状況なのに普通に可愛いとか思っちゃったよ?
「「「はーやく!はーやく」」」
ちょっと周りは無責任に煽らないで!?こっちもいっぱいいっぱいなんだから!
「すぅー、はぁー。少し我慢してね」
そして、力強くも優しく抱きしめる。
「んっ…///」
この状況で艶かしい声出さないで欲しいんですど!?色々とやばいですから!
…あんなに走ったのに良い匂いするな…とか、考えてないからね!
『これでやっとゴールだー!他の参加者が空気になってしまうほどのインパクト!ごちそうさまでした!正直ちょっと羨ましいぞ!!私も抱きしめてー!』
「あ、私もー!」「じゃあ、私も!」などと周りから次々と声があがっていく。
なんでこの学院こんなにノリいいの!
嫌いじゃないけどねっ!
ひとしきり堪能…ゲフンゲフンッ…お題をこなし、園田さんから体を離す。
「ごめんね園田さん。大丈夫だった?」
「ぜぜぜ全然大丈夫ですよ!そういう競技でしたからね。仕方ないです」
少し慌てながら、頬を紅く染めている。
多分僕も紅いと思うけど…。
まあでも、正直役得でした!と言わざるを得ないぞっ☆
あ、なんか口調が移った。
『冗談はさておきまして、今の競技で午前の種目が終了しました。この後、1時間のお昼休憩を挟んだあと午後の種目に入ります。それでは皆さん午後に向けてしっかり食べるんだぞっ☆ただし食べ過ぎには注意してください!なお、お昼には炊き出しもやってますので、生徒はもちろん。一般客の方も是非お召し上がりになってください。以上、放送部の桜まみでお送りしました!また午後にお会いしましょう』
やっと終わった…なんか凄く長く感じた。
午後も同じような感じだったら持たないよー。
「瀬奈くーん、海未ちゃーん、1位おめでとー!凄かったね!!」
「ありがと高坂さん。どうにかってかんじだったけどね」
「私も瀬奈くんと走りたかったなー」
え?あの状況をみてそんなこといえるなんて凄いね。
僕はもうあんな公開処刑は嫌だけどね。
「とりあえず、午後に向けて腹ごしらえとしますか」
「あ、ことりちゃんが向こうで準備して待ってるよ!」
「そうなんだ。僕はちょっと購買よってからいくから、2人とも先に行ってて」
「はーい」「わかりました」
さてさて、それでは今日の食料を買いに行きますかね。
またまた駄文で失礼します!
今回も怒涛の完全オリジナルです。
やはり学校といえばコレしかない!ということで書いて見たかったんです!
しかもまさかの2部構成!?
皆様には申し訳ないですが、もう少しお付き合いえただければと思います。
それではまた次回に会いたいぞっ☆
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