「『麻帆良学園から来ました烏丸イソラです!』『仲良くしてね!』」 (おーり)
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【被害者は】エロスと誤解が錯綜する第一章【シスターと人妻】 ※原作二巻相当分
「若干のタイトル詐欺に訴訟も辞さない」


そらの出番が暫く無いので箸休め的な意味合いで書いてみた
時系列は原作2巻位


 

 「…………アルジェント先輩……?」

 「え、ひょ、ひょっとして同じ学校の方ですか……?」

 

 

 魔力附加系チラシから超目前に召喚されたっぽいのは、同じ高校につい最近転校してきたと噂のアーシア・アルジェント先輩。

 綺麗な金髪で外国の方と判るが日本語をとてつもなく流暢に話す、やや幼げなその先輩と最初に口を利いて抱いたイメージは、何故か何処か懐かしさを響かせた。

 と、いうか、初邂逅が自室で対面30センチとかって、パーソナルスペースを超過した完全に初対面で突き合せちゃダメな距離だろうが。目測を測ることすら出来ないのかよ、この簡易召喚チラシ。

 

 ロリ系クラスメイトから手渡された、デリバリーでヘルス的なサービスを彷彿とさせる様相のチラシを呆れたように見下ろせば、その上へと()び出され座り込んでいる体勢の彼女とバッチリ目が合う。

 ……つーか、チラシ(コレ)から呼ばれたってことは、この先輩も彼女みたいにこういうバイトへ手を出しているってことか。

 男と同棲している、とかって噂まで聴こえてくるし、天使みたいな見た目して……言っちゃなんだがすげぇビッチだねこの先輩。

 

 

 「あ、わわ、す、すいませんっ、私、今日が初めてのお仕事なものでして、その、」

 

 

 ――駒王の制服という、いつも見慣れたはずの服装を来たあどけない表情の先輩が、何故か今日はとてつもなく魅力的に見得てくる。……何故かも何もねぇよ、完全に理由が判明してるわ。

 普段ならば、赤面し慌てて離れようとする女性の為すがままにさせるところだったのだろうが、本日はガチで日が悪い。

 言葉を言い切る前に、逃さないように肩を掴み、

 

 

 「――こちらこそすいません。抑えられません」

 「、え」

 

 

 相手の了承を得る前に無理矢理に唇を奪いそのまま押し倒して思うがままに――、

 

 

 要するに――この後無茶苦茶セックスした。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 ――躰が熱い、こんなの初めて……!

 

 と、まあボケている余裕も実はない。

 本当に熱い。

 何がと言うとナニがとしか言いようがないレベルでの熱さを抱いた我が肢体は、徹底的に貪るべき対象を求めてその渇望を持て余していると言っても過言じゃない。

 

 考えて見れば、今迄は麻帆良と言う人外を封印すると同時に認識を逸らす結界を維持していた場所に居たお蔭かその所為か、自分の魔力は随時『障壁』へとオートで転用されていた。

 その軛から解放されたということは、自転車操業的に廻転されていた魔力の行き場が一挙に失せたということで。

 行き場が失せて魔力の精製を止めようとしても、生理現象にも似た体内循環というモノは意図して止められるモノでもなく。

 ……要するに、持て余しているのは渇望と言うよりは魔力そのものであったりして。まいったねこりゃ。

 

 麻帆良でも思ったが、魔力と言うのは持て余しても良いところは無い。

 其処は原作の魔法世界来たてのネギ君と同じように、例え貯蓄率(タンク)の上限が常人よりも上であったとしても、過剰飽和(オーバーフロー)と表現も可能な程度に魔法を込められれば過度な熱となってその身を蝕むのである……ッ!

 ……ちょっと色々ルビを振って遊んでみたが、無駄に厨二心を燻らせてみただけだった。読む人いたら鬱陶しくてスマン。

 そして遊んでいてもガチで限界なんだ。

 くそ、一ヶ月大魔法も使わずにいた(というか使う用途が無い)弊害がこんなところで……!

 これが麻帆良ならば、気の置ける女子らとそこそこにアレ()アレ()な交流で以て解消できるというのに……!

 

 自分でも良く分かる割かし屑な思考を頭の隅に放置して、一枚のチラシを眺める。

 それは、同じクラスの今一番好かれている、と自覚できる少し成長不良っぽい少女から手渡されたモノなのだが……。

 『アナタの願い、叶えます』。

 そんな風に謳い文句が載せられて、僅か乍ら検出できる魔力附加(エンチャント)をされた、ちょっとばかりそれっぽい紋様まで敷いてあるチラシ。

 ……ヘルス的なデリバリー系出張サービスの勧誘チラシにしか見えない俺が本格的にどクズなのか……。

 いや、術式は単純に移動系(アポート)っぽいけど、こんな文句が囁かれる時点で『そういうお願い』としか連想されないって。健全な男子高校生の性に対する欲求舐めてんのかコレの作者。

 

 問題はコレを手渡したのが、先ほども言ったが成長不良っぽい少女だということで。

 例えるならばクールタイプ。6号にほど近い雰囲気を抱いた、身体的にも高校生と言うよりは中学生、酷くて小学生にも見え得る美少女、否美幼女。それがこういうバイトをしている、ということを自己申告して来たという。

 うん、もうわかるな。

 ……(トラップ)だ!

 

 思えば今日は、出会った時から気遣う様な目を向けられていた!

 気の巡りが常人と精査比較するとやや違いが見受けられるということは、要するにあの子も小太郎みたいな半妖タイプと観た!

 以上の事から推察するに、探知タイプまたは可能な資質を兼ね備えた人外でFA!

 ……え、もろバレってことか? 使えってことなのか? 呼び出せと?

 

 冷静になって思い返すとそうとしか思えない。

 いや、冷静になれる程熱気は収まっていないし、そもそもこうやって思い悩んでいるから尚更悩んじゃって。

 いっそ街へ飛び出して苦手なガールハントに繰り出せと……?

 いやいや、こんな状態で外出したら完全に“やらかす”自信がある。

 広瀬●美も時たま場違いな事を言うよね。ソレあるー。

 

 そしてこういうときばかり、いつもは過剰なまでにコミュニケーション過多な同居人が部屋の中に居ないのは、間違いなく彼女の持つ危機察知能力の賜物だと言えるのだが如何に。

 いや、居て貰っても普通に困るけどね? 彼女、大家さんのお気に入りっぽいから、下手に手出しとかして傷物にでもしたらかなり人間的にアウトだし。

 

 話を戻そう。

 呼び出せと云われても、ぶっちゃけ小学生ゲフンゲフン中学生みたいな見た目のクラスメイトが、そういうバイトに手を出していたってだけで幻滅モノだしシチュエーション的には悪くないが現実としてはドン引きだ(所々本音がダダ洩れてるが気にするな)。

 序でに言うと、俺はロリコンでは無いので彼女はぶっちゃけ性的対象外であったりする。

 麻帆良でも思ったが、俺って身体の何処かにロリータホイホイでも実装してるのだろうか……?

 無駄に幼女に好かれている気がするのは気の所為ではあるまい。まったく、超最低(SUCK)

 

 何処ぞの薔薇の聖母みたいにヤレヤレと吐き捨ててみても現状は変わらず、熱は熱のまま身体を、特に腹の下を突き上げるように滾らせる。

 駄目だ……ッ! やる気満々なコイツを抱えたまま何処かへ繰り出しても、碌でもない未来しか見えない……ッ!

 何より絶対一回じゃ済まない。今なら抜かず3発をダースで連射出来る自信がある。

 ……さっきも似たようなことを思ったような気がする下ネタで思考を逸らそうとも、現状ピンチなのは変わりはない。

 糞、自家発電で賄うしかないか……。無駄撃ちみたいで好きじゃないんだけどな……。

 

 折角なのでクラスメイトから用意して貰ったシチュで、と己の妄想力を全力で投入してやろう。

 そんな意気込みで、事後には絶対己の舌を噛み千切りたくなるような凌辱シーンを脳内スクリーンへと投影しかけたところで、

 

 

 件の彼女が召喚された、――冒頭へと戻る。

 

 

 ……ホントすんませんアルジェント先輩。でもこういうバイトはホント止めた方が良いですよ?

 ところで、彼女に対して懐かしさを抱いたのって、声がアキラたんに激似だった所為なんだな。

 初めは口調が全然違うから判りづらかったけど、途中の悦ぶ嬌声とか艶の乗った啼き声とかマジでそっくりだったわ。

 アレかな。ホームシックみたいなものか。うん。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 別に初体験ってわけじゃないんだよ。

 高校に上がってからは、まあ彼女らと疎遠っつうか異世界へと来ちゃった所為で交流が持てなくなっちゃったからご無沙汰だったけど、卒業前にかけて都合7人くらいと性的に色々と。要求されたから、っていうだけでも無いけどさ。

 思えばあいつらも性に対して興味の湧く同年代(年頃)であるのだし、特に好意的な相手が他にも何人か引っ提げているようにしか見えないのであれば、焦って功を急ようというのも無理のないことなのだろうし。

 未成年だからどうのこうの、っていうのは、現代の倫理観で今更語ったところでどうしようもない。

 そもそも日本人は歴史的に見てもがっつりロリコンだ。

 寿命の関係で早いうちに結納を済ませよう、とかっていう意図もあるにはあるだろうけど、それを受け入れるようになっていたのだから言い訳するにしても些か無理があるし。

 というか、同年代なんだから俺だけが追求されるのも可笑しくない?

 

 ……いや、まあ、お前転生者だろ。って突っ込まれたら、それでお終いなんだけどね……。

 

 

 「おはようございます烏丸くん」

 

 

 言い訳めいた苦悩に悩まされるというダブルミーニングな葛藤中、声をかけてきたのは件のクラスメイトだった。

 登校時刻だし、顔見知りと出会えば声をかけるのも判るのは分かるが、一晩明けて相対すればどの面提げて来やがった、という心づもりだ。個人的には。

 

 

 「……おはよう塔城。何か、俺に言いたいことがあるんじゃないのか……?」

 

 

 ジト目にも似た感情で背後へと目を遣れば、いつもと変わらぬ無表情系クールな彼女、塔城小猫はむしろ詰め寄ってきていた。え、何事?

 

 

 「それはこちらの台詞です。使わなかったのですか。昨夜は万全の準備で出待ちしていたというのに」

 「朝っぱらから何言ってんのこの娘」

 

 

 やっぱり確信犯だったことはさて置き、転校してきて一ヶ月、無駄に好感度が高めなこの幼女系美少女にぐいぐい来られてまともな学生生活を送れて居ないと思うのは俺の気の所為なのか。

 特に男子が、仲の良い男子生徒が未だに出来ないのは、此処が元女子校だからという背景が関係しているのかもしれない。

 ぶっちゃければ、男女の比率が悪い上に、入学してくる男子の大半が下心を抱えてくる良い意味での男子高校生略してYDKだからだ。

 そりゃ女子も忌避するわ。下心を抱えているのって、要するにそれ(その歳)まで出会いが無かったっていう意思表示でもあるし。総じてそういう奴らは、見た目的にもイケメンと言うには数十歩足りない方々ばかりなのだから。

 俺? ほら、転生者だし。麻帆良でそこそこ幼女にモテてた程度にはイケメンだし。外見レベルは最低限女子に好感をもたれる程度だと自負してるよー。見た目は青髪のバヌケDKをパクったような外見だからね、髪色白いけど。

 多分塔城が距離詰めているのって、同じ白髪(しらが)系だからというのもあると推測。同族意識じゃね?

 ……あー、因幡に会いたい。癒されたい。白髪繋がりで思い出したらノスタルジックな気分にさせられたわ。

 

 

 「とりあえず、今日も待ってますからしっかり呼んでくださいね。結局昨日は待ちぼうけのままでしたし」

 「何? ノルマとかあんの? いや、まああーいう仕事は歩合制だとは思うけど、客を選り好みしたら駄目だろう」

 「よっぽどの酷い客ならばフィルターがカットしますし、個人的にああして紹介しましたから。どちらかというと私のわがままです」

 「結婚詐欺師はみんなそう言う」

 

 

 その果てに何百万もする手術費や払え切れなくなったマンションの家賃を要求してくるようになるんだよな。

 そうして貢がせて男を食い物にするモデル志望()とか、この間ドラマで見たわ。

 

 どちらにしろ、こういう仕事には理解があるが学生が、しかもクラスメイトがやるには少々駄目だろうと、何か別口の主人公ならば言いたそうな思考に毒されているオレガイル。

 混線と言うよりは賢者モードに近いのかもしれない。実際、結婚詐欺師だろうがデリヘル嬢だろうが、俺に直接被害が無ければ気にすることでもない話だし。

 

 そんな風に言い捨てて教室へと向かおうとしたところ、裾を引っ張られる感触に思わず立ち止まる。

 

 

 「結婚とか……、まだ早すぎます……」

 

 

 俯きがちで口を尖らせ、恥じ入るような表情でそんなことを言われてしまった。

 あざと可愛いのは認めるが、コイツめげないな。

 

 

 




~出張版・よくわかりやすかったらいいなキャラクター解説講座~

~烏丸イソラ
 ネギま系二次創作でデビューした色黒系スタンド使い兼言葉遣い兼魔法使い系主人公
 元は黒髪だけど色々あって白くなった。お蔭で最近踏み台系最低オリ主と同列に扱われることが多くて少しだけ辟易中。尚、身体が剣で出来て居たりはしない
 但しこの世界でも『そら』と名乗る。高校一年生
 ちなみにイケメンと言うのは自己申告でしかなく、少なくとも亜子からはそう認識されたことが無い程度の『普通な容姿』


~アーシア・アルジェント
 色々あって死亡の末、悪魔に転生したという人生苦行の連続な薄幸系金髪美少女
 悪魔稼業、というチラシを配って召喚した人の願いを叶える、ぶっちゃけ色んな意味で意味深な仕事を始めさせられたのだが、一発目で当たっちゃダメな客に食われたお人
 編入生で高校二年生。中の人が大河内のアキラたんと一緒だという事実を最近知った


~塔城小猫
 そらのクラスメイト兼デリバリーでヘルス的なサービスを提供するバイトをやっていると思われている中学生みたいなロリ系美少女
 元猫又の現悪魔で、そらの予想はニアピン。悪魔的パワーというよりは動物的本能とそら自身の資質的影響で籠絡された。本気でそらにはロリータホイホイが実装されている予感が危ぶまれる
 身体を許しても構わないけど、出来るならば清く正しいレベルから交際したい程度の好感度。ノット婚前交渉!



グッドルーザー的な物だと思ったか?残念!いつもの烏丸節だよ!
ハイスクールD×Dの世界へ、とかリクエストあったから書いてみた
赤竜亭に非ず
続けるならばタグにはR18と追加されそうな予感がする
尚、数多あるツッコミどころは感想にて受け付けます。あと一応、活動報告もご覧ください


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☆「そらくんのwktk子づくり教室ーぅ」

官能小説に成り切れないのはやっぱり烏丸だからだと思う
烏丸節が滲む滲む
此れも総て烏丸そらって奴の所為なんだよ!


 無理矢理に奪った唇を、絡む唾液を途切れさせないようにゆっくりと離す。

 口中を(まさぐ)った舌先を抜き取れば、今迄に感じたことの無かった快感であったのだろう。

 アルジェント先輩は完全に脱力し、火照った貌のまま、閉じかけた瞼の奥からこちらを無言で覗っている。

 朱に染まったその頬に引き摺られているようにしか思えない色気を帯びたその瞳孔には、嫌悪とはまた違う感情が潜んでいるようにも思えた。

 「……先輩、初めてでした……?」

 「……」

 反応は無い。

 十分弱かけてじっくりと弄った、その余韻に浸ったままの先輩の脳は、こちらが密かに伸ばした手にも気づいていなかったみたいだった。

 口を塞いでいる間、俺の手は彼女の制服のボタンを片手で外し終えていた。

 既に淡い水玉模様のブラが顕わになって、肌蹴た胸元と白い腹が垣間見える彼女。

 最中には僅かに抵抗した様な反応があったはずだが、そのたびに口の中を弄られた刺激で遮られたであろう抵抗感は、最早虫の息と言った処だろうか。

 我ながら、胴を締め付けて胸を強調するこのタイプの制服を、よくもまあ上手いこと脱がせたものだ、と手際の良さに感心する。

 しかも完全に脱がせたのではなく、正面だけを開いたからこそ逆に逃走を連想し難いと言う出足封じ。

 本気で逃げようと思えば可能かもしれないけど、そもそも此処まで湯立たせ蕩けさせた脳でそう判断できるかと言うと、……無理じゃないかなー。

 我ながらガチで犯罪者チックな思考をしてる。けど、男の部屋に無防備でやって来たのは彼女の方だし、『続けて』も問題ないよな?

 「……ん、」

 「は……ぁう……っ」

 小ぶりだけど、しっかりと形の良い胸へと手を伸ばす。

 その際、身体そのものも離したままでは無く、彼女の首筋へと舌を這わせるように。

 人間的に敏感な部位は基本男女ともに差異は無い上に、唇へともう一度来られるよりは、と初対面の男性相手ならば比較的に受け入れられる部位でもある。

 重ねて、甘えるような仕草が母性本能を刺激するって、アキラたんも言ってた。

 年頃男女で互いに試行錯誤を繰り返し、練度を高めていた経験者に隙は無い。

 アキラたんに比べるとボリュームが不足気味だが、女子としての柔らかさの象徴とも言うべきやや小さめの乳房へと、下着の下へと手を滑り込ませる。

 「ぁ、ぁっ、ぁん、ふ、ぅ……っん」

 あくまで優しく、乱暴にやって形を崩さないように慎重に、例えるならば絹ごし豆腐を扱うかのような手際で、互いの『気持ち』を高めてゆく。

 這わせていた舌も、時折啄むように唇へのキスを繰り返し、彼女に抵抗感を抱かせないくらいになるまで、肌の距離感を着かず離れずを維持しながら、空いている手は背中へと回してホックを外す。

 するり、と手品のように脱がしたブラを持ち上げて見せて、アルジェント先輩の意識を身体の交わりから一度だけ外した。

 「ぁ……」

 小さく漏れた声音には最早抵抗のての字も残ってなかった。

 続けて塞がれた唇も、まるでその快感(キモチイイ)を求めようとしているかの如く、

 「んむっ、んっ、んっ、んぅっ」

 脈動するような呼吸からは、とてもではないが逃れようとする意思も覗き得ない。

 一度だけ見せたブラは、もう彼女の傍らへと放り投げてある。

 空いているその手はもう一度潜り込まれた背中から腰へと伸びて、スカートの隙間から小ぶりな尻へと届いていた。

 「ぅンっ!?」

 ぎゅ、と少しだけ強く掴む。

 すぐに離すが、意識を戻すのには意図がある。

 ふやけた頭のままでは、差し詰めされるがままの人形のような反応では、正直俺の充足感を満たせない。

 自家発電をしているんじゃないんだ俺は、抱きたいし、喰いたいから今女体を求めていたんだ。

 ――己に籠った熱を失せさせなくては、意味が無い。

 「……ぁ、あ、あぁ……!」

 自分の立ち位置を理解でもしたのか、それとも彼女にもそれなりに好ましい相手がいたことでも思い出したのか。

 まあ、男と同棲している、っていう噂があるくらいなんだし、やっぱり初対面の相手にただされるがままなのは、普通の倫理的には間違い過ぎることだとは思う。

 「い、いやです、離して、んむぅっ!?」

 そらくん知ってるよ、レ●プは犯罪だって。

 でもなぁ、やっぱりこうやって変なバイトをやっている時点で、この先輩はギルティだと思う。

 一晩限りの間違いだった、ってしっかりと自覚してから帰ってもらいたいものだよねー。

 「ふぅっ、んっ、んむっ、ぃやぁ……っ」

 そういう『言い訳』以前に、とにかく女を求めているのが今の俺だから手加減なんてしない。

 しかし身体を売る以上、この程度のリスクが生じることくらいは覚えておいて欲しいんだぜ。

 「は、ぁっ、ぁぅっ、ぁんっ」

 しかしなぁ、と少しばかり思い悩む。

 強姦的なことってやったことないから、どうしたってこういう相手にも快感を与えるセックスになってしまう。

 初めの内は本当に抱く気で弄んでいたし、貪る様な入口であったけれど、だからこそ普段の抑圧された渇望が身体を動かすというか。

 「ふぅっ、ぅぁっ、はぁっん、はっ、はっ、ぁ……」

 やっぱり間が悪いというか、運が無いというか、若干同情的にもなったからこそのセーブが働いたんだろうかなぁ。

 この先輩からしてみれば完全に交通事故みたいなもんだし、……って、お?

 「……っ、お、お願いですから、優しく、シテ、ください……」

 ……気が付いたら下着(ショーツ)が片手にあり、胸肌蹴+スカート残しの先輩がM字開脚で受け入れ体勢していた。

 んー、アレか、快楽堕ちしたみたいな、そういう結果?

 酷いキングクリムゾンを見た。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 さて改めまして。

 考えながらやっていた所為で、オートで和姦モード移行していた俺がとことん接待プレイに勤しんだ結果、アルジェント先輩は逃げ場が無いと運命を受け入れる結果を待ち臨むらしい。

 いつもならば此処で作者の限界がチラつくのだろうが此れはガッツリR18版、待たせたな野郎どもー此処からが本番だぜー!

 って、なんか電波混じった。リテイクリテイク。

 

 さて改めまして。

 経験の為せる技なのか、はたまたオリ主としての妙なのか、ぐいっと反り立ち迸る情欲を隠そうともしない、活き立った肉棒をアルジェント先輩の秘処へと宛がう。

 既にお互いに全裸であり、場所は自室へ備え付けたシングルベッドの上。

 腰が抜けていたらしいアルジェント先輩を移動させた序でに、大洪水でぐしょぐしょになる前にスカートも脱がせたわけだが。

 待ち臨むというのにその顔にはやはり翳りがあり、火照ってはいるものの『もしかしたら』を期待するようにこちらを覗っている。

 「……っ」

 ――いや、此処までやってお預けするほど、俺はお利口じゃないのよ?

 「っん、ぁあ……っ」

 にゅぷ、と肉を押し遣る感触がじんわりと伝わる。

 ゆっくりと挿入()れているからか、それとも接待プレイで其処までも蕩けた結果か、まだ云う程の痛みを受けていない彼女は初めて味わっているのであろうその感覚に嬌声にも似た声音を漏らしていた。

 破瓜の痛みを伴わない安堵か、はたまた初体験を初対面の男性()を相手にした絶望か。

 その貌から覗える感情は、泣き笑いみたいな決壊寸前の様相を伴っている。わーお、ブギーポップみたーい。って全然違うか。

 「ぁ、ん、ひっ?」

 冗談みたいな脳内劇場をそこそこに、ぐいぐいとゆっくりと奥へ奥へと押し進む感触。

 先輩も同じように味わっているのであろう、内側を触れて伝導する、痺れるような感触をピリピリと感じていると思われる。

 このままプチプチと、ゆっくりやるのも良いのだろうが。

 ――そういうのは想い人へ、もっと早くに注文するべきだったよな。

 「ひぎぅっ!?」

 中腰の姿勢からぐっと進めば、ぶちっと突き破る感覚が簡単に味わえた。

 「ぁ、ぁ、あ……!」

 痛みは伴えども快感も同時に伝わり、見事に泣き笑いの貌が出来あがった模様。

 ハイライトさんがストライキを起こす気配が見受けられたが、その前に唇を唇で塞ぎ、身体を改めて重ねて完全に密着した姿勢へと移行する。

 「んむぅっ!? んっ、んぐ、んぅっ、ぁん、やぁ、んっ」

 身体も唇も、重なったままに上と下の口の中を、いやこの場合は膣内(なか)を、どちらか片方だけに意識を向けられないくらいの頻度で(まさぐ)る。

 時折離し乍ら、首筋を舐ると漏れた呼吸から嬌声が滲んだ。

 

 え、慣れるの早くね? って思うよね。みんな?

 俺も最初はそう思ったけど、多分自分の中の魔力密度が仮契約時みたいに擬似的な魔力伝達を発揮させているっぽい。

 いわゆる『ヤればヤるほど快感を与えられる状態』。

 全身が媚薬みたいな相手に、耐え切れる初心者が居ないっていう――。

 ……まあ、反則も良いとこだけど、こういう世界なんだって割り切ってくれ。

 

 「あっ、あぅっ、んんっ、にゃぁんっ」

 当然、下の方だってただ密着した状態でそうなるわけでは無く、腰を動かして膣内(なか)の弱点を的確に擦る。

 何処かわからないというなら、繰り返してぐりぐりと場所を探るのも悪くないと思う。

 力任せじゃぁ、やっぱりただの自己満足でしかないからな。

 つーか鳴き声可愛いな。

 「あぅっ、ひぁっ、んんぅっ」

 こちらが突然キスをした時以外は、アルジェント先輩は極力瞼を開かないようにしている。

 ぐいぐい、と腰を動かしている間も、俺の胸板で押し潰された乳房の感触を味わっている間も、顔を離している時の彼女は目を瞑ったままに耐えるような貌で啼き声を上げる。

 「ひぅ……っ、…………?」

 動くのを止めると、先輩は瞼を閉じたままに呼吸を整えていた。

 が、『次の』何かしらが一向に来ないことに当然気づくはずで、恐る恐る、といった様子でゆっくりと片目だけ瞼を開く。

 それはこちらの反応が伺えないのか、不思議そうな表情に見えた。

 「あ、あの……?」

 「……気持ちイイですか?」

 「っ!?」

 お、良い反応だ。

 こちらの思惑通り、彼女はきっちりとこの『交流』を悦んでいた自分に気づけたらしい。

 両目を見開き、数瞬前の嬌声を上げていた自分を自覚したのか、見る間に顔も羞恥で赤く染まってゆく。

 「……先輩、可愛いですよ」

 「っ……ゃぁ、見ないでくださぃ……!」

 恥ずかしさに悶え身体を捩らせるアルジェント先輩。

 凝視されていると自覚できる顔を隠そうと必死の様子だ。

 しかし、隠そうにも両手は俺が恋人繋ぎでホールドしているし、2人の顔の距離だってさっきまでキスしていたほどの近さだ。

 再び目を閉じてイヤイヤと首を捻らせようにも、俺の吐息が邪魔をして逸らす程度の離し方しかできやしない。

 「ぁ、んぁ、んっ」

 逃がす気は無く、もう一度キスをして、一緒に腰も上擦らせて、行為を再開。

 「んんっ、」

 突く。

 「んぁっ、」

 引く。

 「ひんっ、」

 捻る。

 「ひゃぁっん」

 捩る。

 舐る舌先を唇から離して、首筋をまた舐めて、耳元へ息を吹きかけて、

 「何処を、シテほしいですか……?」

 囁く。

 「はぁ、はぁ、はぁ……、し、して、ほしくなんか……」

 「我慢しなくてもイイのに」

 「ひんっ!?」

 じわり、じわりと反ったままのイチモツを膣内で摩る。

 一瞬だけ跳ねた彼女の腰が互いの接合部をより深く密着させ、先輩的にも益々逃げ場なんて無い距離になっているのだと自覚もしているのだろう。

 抵抗感を口では未だに吐くのだが、此処まで来ておいてその程度の言葉に何の意味があるの?と俺の目は語る。

 「言ってくれなくちゃ、続けられないですよ?」

 「……っ」

 荒い呼吸のまま、葛藤が彼女の中に渦を巻いているのだろう。

 あー、そういえば初めてシタせっちゃんなんかこんな感じだったなぁ。

 あの時は初めてだ、って言うことでこのかとの擬似百合プレイで3(ピー)だったんだよな。

 そういう緩衝材が無いのだから、本当にこの先輩は不幸なのかもしれない。

 まあ、これから『倖せに』シテあげるのだけど。

 「……だ、さぃ……」

 「なんて?」

 小さく、この距離でも届かないほどの音量で、先輩は恥ずかしそうに、それとも心の片隅に罪悪感が滲むのか、赤い顔を背け乍ら呟いていた。

 「っ……続けて、くだ、さい……!」

 「……どんなふうに?」

 「――っ!」

 俺の返事に、目を見開いてこっちを向いた。

 一生懸命に懇願する、その様子が堪らなくって。思わず嗜虐心がむくりと鎌首を擡げました、俺です。

 「は、激しくシテください!」

 え、いいの?

 

 多分、先輩は男って奴を軽く見てる。

 動かして、体力の限界を迎えれば自分も早くに解放される。そういう打算があったようにも思える。

 「はっ! ぁっ! んぁっ! あんっ! あっ!」

 若しくは、早くに終わって欲しいから、という思惑もあったのだろう。

 まあね。あのままゆっくりじっくりのーんびり、と某月の名前のホテルみたいなコンセプトでヤられていたら、いつ籠絡しても可笑しくないレベルで蕩けていたもんね。

 既に手遅れな気もするけど。

 「ひっ! んぁ! ああっ! あぅっ! やぁっ!」

 さて、激しく、と要求されてしまったので体勢には若干の変更点。

 完全に密着した状態から身体を少し離し、覆い被さる寸前の距離で仰向けの先輩へ腰を打ち付ける。

 手は既に離して、手首を抑えつけるように掴んだまま、先輩の脚は大の字に開いたままに、腰の動きは止むことは無い。

 某特命係長みたいに、ケダモノのようなリズムで膣壁をぐちゃぐちゃに苛める。

 何を隠そう、俺は激しくシテあげることの天才だ!

 「ひっ! ううんっ! あっ! あっ! ……っせーさんっ」

 ……んー?

 「いっせーさんっ、いっせーさん、いっせー、さんっ、うんっ! あっ!」

 ……あー。

 ふと誰かの名前を呼んでいるなぁと思ったが、噂の同棲相手の兵藤先輩か。

 再び、ぎゅっと目を瞑ったアルジェント先輩は、自分をシテいる相手が件の先輩である、と思い込むことにしたらしい。

 すげぇ想われてんじゃん、あの先輩。

 おっぱいおっぱい囀る童貞の先輩であったはずだが、意外と距離の近い方からは高評価を貰っているってことなのか。それともお2人の出会いが劇的であったのか。

 少しだけ見直したけど、アルジェント先輩のはその場凌ぎにしてもちょっと悪手過ぎないかね?

 だってあの先輩とスル時になって、今回の事を思い出しちゃうんだぜ?

 経験のある俺と比較して、御二方の溝を作ることになってしまうのではないかな、とやや懸念が。

 「いっせーさんいっせーさんいっせーさん……!」

 「……先輩、アルジェント先輩」

 「っ!」

 俺の囁きで現実に引き戻されたのか、目を見開いた先輩が顔を近づける俺を凝視する。

 ぎしぎしとベッドの軋む音が響く部屋の中で、俺はにっこりと笑顔を向けて告げた。

 「烏丸イソラです。そらくん、って呼んでください」

 「……っ! っ!? ひぁっ! あっ! あっ! あああっ!」

 はい、少し強めますよー。

 マッサージ感覚で動きを更に強めて、近づけた顔をそのまま耳元へ、両手は離して腰と背中へ。

 抱き着く形に、言うなれば種付けプレスとかいう体勢へと移行した俺は、

 「手足は、抱き着くように絡めた方がもっと気持ちイイですよ?」

 「あっ! ぁっ! あっ! あんっ! んっ! んぅっ!」

 囁けば、鳴き続けるままに従って、抱き着く形になってくれるアルジェント先輩に、本日何度目かのキスをする。

 くちゅくちゅと舐り、唾液の橋が出来るように離す頃には、意識が完全に蕩けた顔でうすボンヤリとこちらを覗う雌が其処に居た。

 「そ、らくんっ、んっ、あんっ」

 「はい、なんですかぁ?」

 「そらくんっ、そらくんぅっ!」

 ――今更ながら、この先輩が別の意味で心配になって来たなぁ……。

 と、頭の片隅では冷静になっている自分がいるのだが、そんなことは当然先輩には伝わらせない心算で身体を捻る。

 「あっ! あっ! あああっ! あああああああああっっっっ!!!!!」

 あ?

 ………………え、今この先輩、絶頂()った……?

 一際大きく叫び、先輩の身体が跳ねる様に攀じられたことで、こちらの動きも思わず静止する。

 抱き着かれた背中に指の痕がきゅぅっと引っ掻かれる感触をこそばゆく思い乍らも、俺の思考はある一点だけに留められていた。

 ――俺、まだイってないんだけど……。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 抱き着いたままの先輩の頬を撫でながらも、もぞもぞと下の方には治まって居ない感覚が燻っている。

 反応が痙攣にも似たようなモノしか返ってこない彼女の貌は、すっかり蕩け切って目の焦点も合っていない。

 繋がったままだというのに、こひゅぅこひゅぅと息も絶え絶えな状態の彼女は、終わったのだと、そう安堵しているようにも思えてくる。

 まあ、今無理にやっても、壊れた人形を弄るのとそう変わりの無い反応しかないであろうし。

 そう判断した俺が暫く撫でていれば、

 「………………?」

 漸く目の焦点が合って来た先輩が、何かを覗う様な疑問符に溢れた顔でこちらを見上げて来ていた。

 「……そ、らくん……?」

 「もう大丈夫ですか?」

 「……あ、はい……。……?」

 ゆったりとした反応だが、意識も回復してきている。

 意外に体力のある先輩だなぁ、と思っていると、まだ何かが疑問なのか不思議そうな表情で、

 「あ、あの、……お、ちん、えっと、その、したの、が……」

 ペニスを明言したくないのか、恥ずかしそうに懸念を口にする先輩に、

 「っ、ひぅっ」

 繋がったままのそれをぐいと突くことで、返事の代わりとした。

 「あ、あの、もう、終わりです、よねっ?」

 ……やれやれ、この先輩は未だに理解できていないらしい。

 そんな彼女に明確に意図を理解すべく、俺は極力優しい声で囁いた。

 「……次は一緒にイきましょうね、先輩?」

 「……っ!? ~~ッ!」

 ようやく理解が追い付いたらしい。

 声にならない声が、彼女の喉から掠れた悲鳴のように迸る。

 ――夜は、まだ始まったばかりだ。

 

 

 




~そらくんの、よく分かると良いな人物紹介~


~アキラたん
 ネギまもどきとも称せる異世界でのおっぱい担当。高身長でモデル体型、甘えさせるエッチをさせてくれる、というよりはそれを本人が好んで選択してくる男を駄目にしそうなタイプのポニテおっぱい
 卒業前にはギリギリで身長が届いたのだが、キスよりも胸に埋めさせるのがシタいらしかったのが少しだけ危機感を覚えさせられた。いわゆるおねショタ趣味なんじゃないかと…


~せっちゃん
 同じくネギまもどきなかつての場所で関係を持った半妖系美少女。さっきからもどきって言ってるのはアレだ、あの世界、多分ネギま以外も大量に混じってる。怖い
 悪い人が周囲に居たわけじゃないのだろうが、とことん弄られるタイプの受動型嗜虐質薄幸系美少女。特にお嬢様と慕っているこのかにからかわれるのが、傍目にはやたらと多く見えた気がする。桜咲家は近衛に従わなくちゃいけない掟でもあったのだろうか…
 関係を持ったのもこのかが原因。曰く、男性経験を一応は持っておくべき等というイミフな理屈で3pにつき合わさせられた。同室の明日菜が帰ってきて4pとなったのもいい思い出。いや、あんまり良くないな


~兵藤先輩
 現在通っている高校・駆王学園にて悪い意味で有名なセクハラの常習犯な先輩。同レベルの変態があと2人いて、大体いつも同じような行動をとっているらしい。女子更衣室を覗いたり、女子も居る教室でエロ談義に花を咲かせたり
 最近彼女が出来たと言う噂が流れたかと思ったのだが、その少し後くらいにオカルト研究部とやらに入部していた。同クラスの塔城も入部しているのだが、美男美女を集める部活なのかと思っていた処へ彼の参戦は普通に疑問符しか生まれない。恐らくは何かしらの脅迫めいた経緯があったのだろうと推測される
 個人的に言わせればまだまだ(わっぱ)。女体を語るのに胸のみ、しかも巨乳のみを注視するなど女を馬鹿にしているとしか思えない。女性は簡易なオナ●ールと違うぞ先輩


~塔城小猫
 クラスメイトのロリ



尚、俺には純魔力が備わっていて微量な媚薬効果と性病予防を促す質があったので必要なかったが、現実じゃそんな特殊体質の人間はそうそういねぇから致す時にはコン●ームの着用をお勧めする
どうしても生でしたいってんなら、相手側と自分側、両方共に病院で検査を受けてからだ。性病はホント怖いぞ。気を付けろ
あと無理矢理は絶対ダメだからな! レイプで始まる恋愛? そんなん恋空だけじゃボケぇ!


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「折角覚えた熊本弁が役立たずな世界線」

書けば書くほどナチュラルに屑になってゆく我らが烏丸…
おかしい。連載当初はもう少し善人にステが振れていた筈なのに


 

 「……あの、桐生さん、ご相談があるのですけど……」

 「お? アーシアが相談なんて珍しいねー。何々? エッチい相談? 万事オッケーだよっ!」

 「あ、はい。当たらずも遠からずと言った感じでしょうか……」

 「マジかよ」

 

 

 声をかけた時は実に愉しそうに嬉々としてご相談に乗ってくださるように覗えたのですが、同意の意で肯定すれば驚きの表情で身を引かれてしまいました。解せません。

 

 初仕事を自意識も擦れ擦れに朝帰りを果たし、やり遂げたと言えなくもない精神で振り切れそうな体力を絞り出しつつ、登校した私が真っ先に話を切り出したのは同じクラスの桐生藍華さんでした。

 『相談』というならば眷属としての主であるリアス部長に話をするべきなのでしょうが、残念ながら私は一晩で汚れきってしまった身の上。つい最近眷属として命を助けていただいたというのに、その純潔を見も知らぬ男性に捧げてしまうような裏切り者であるなどと告白しようものならば、現状お世話となっているイッセーさんのおうちからはこの身を退けなくてはならないでしょう。浅ましい身と思いつつも、この縋る様な幸福を逃したくない私には、この『身内』と呼べるような方々に告白することへ背を向けるしかありませんでした。

 その点で言うなれば桐生さんは、一般の男女の機微にも非常に詳しく、イッセーさんのおうちにお世話になっているという事実を明かしても他の女生徒の方々のように一様に忌避するような目を向けずに、日本における女性のお世話となる男性に対する『身の在り方』を詳しく教えていただいた方でした。今回の問題に対しても、きっと何某かの理解が及んでいるに違いありません。

 

 

 「んー、この前教えたことが役に立ったのかな?」

 「あ、いえ、それはまだ実践してないのですけど……」

 

 

 身を引いたのも一瞬のことで、桐生さんは眼鏡を押し上げ乍ら内緒話のように声を潜めて接近してきます。

 教えていただいた『裸の付き合い』を実践するには、まだちょっと懸念というか不安材料が潜んでいますので後々の予定です。

 

 

 「その、検査、というのはどのようにするものなのでしょうか……?」

 「……? ん? 何の話?」

 「えっと、その……え、えっち、をした後の、あ、赤ちゃん、が出来たかどうかの……」

 

 

 言うが速いか桐生さんは離れていたイッセーさんへと飛び掛かってキックを、ってぱ、ぱんつが見えちゃいますよっ!?

 

 

 『オッラぁ兵藤死ねぇッ!』

 『グッハァッッッ!? なんだ桐生いきなり何しやが、』

 『いたいけで性知識も及ばないアーシアに手出しするとか人間としてクズだッ! 死んで侘びろエロ猿ッ!』

 『は、ハァッ!? 何の話、』

 『『それは真か桐生!? 反論の余地は無い有罪確定だイッセーーーッッッ!!!』』

 『いやせめて俺の意見も聞いてッ!?』

 

 

 あ、あああ……、見る間に松田さんや元浜さんまで加わってカオスな状況に……。

 物理的なパニッシュタイムとやらが始まったのを皮切りに、桐生さんはそこからとっとと抜け出して舞い戻ってきていました。

 

 

 「大丈夫なのアーシア!? ゴメンネ! アタシが余計なことを教えたばかりにあんなエロ猿に乱暴に突っつかれたなんて!」

 「あのとりあえず落ち着いてください。あとお相手は、その……」

 

 

 ……イッセーさんでは無いんですよねぇ。

 

 

 「……場所変えよっか」

 「はい……」

 

 

 私の言いたいことを察してくださったのか、桐生さんは一気に真面目な顔になって手を引きます。

 ホームルームが始まるのはまだもう少し先なので、本題を説明してしまいましょう。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 そらくんに抱かれた後、気が付いたら時計の針は4時頃を指していました。

 何度か覚醒と気絶とを繰り返していたのですが、そらくん曰く『絶頂』と言うモノらしく、快感が一定を超えると意識が暗転することは起こり得る事象であるそうです。空腹を我慢しきれない時以外にもなるものなんですねぇ、と感嘆を吐くと「だな」と簡単に同意されていました。……口にしておいてなんですが、この現代日本で同意を貰えるような経験をしている彼は一体ナニモノなのでしょうか……。

 

 それはともかく。

 挿入(はい)ったまま身体の向きをプロレスみたいにぐねぐねと傾けられたり、座った状態からのコアラみたいな抱っこの姿勢で抱き着いてとんとんと膣壁を刺激されたり、本当に恋人同士ならばシテても可笑しくない濃密な体験を一晩で全行程シタのではないかと思わんばかりのフルコースは、悪魔となって特に夜は強くなっている筈の私の体力を全削ぎするほどの強行軍でした。しかも総てが彼と向き合ったままの姿勢なので、……なんというか、既に嫌いになれない私がいます。い、イッセーさんのことが好きなはずなのに、何故こんな気持ちに……。

 

 

 「ところで、幾らくらい払えばいいんです?」

 

 

 彼の部屋のベッドの上、更に彼の腕を枕にしながら、そんな何でもない風に口を開かれました。

 一瞬、何を言われたのかよく分からずに彼を改めて見直しましたが、言葉が紡がれたその口は目を覚ました私にお目覚めのキスをした口でもありましたので、直ぐに顔が赤くなるのを自覚します。

 それを隠すように、被せて貰っていたシーツに奪い取るように(くる)まりました。

 

 

 「あ、ちょっと」

 

 

 応えない私を追いかけるように、枕にしていたのとは反対側の腕がするりと、抱きしめるような姿勢で伸ばされます。

 軽くですが、それでも逃げ場のない姿勢で抱かれて、隠そうとしていた顔を覗きこまれました。

 

 

 「……今更、恥ずかしいことでもないでしょ」

 「……はずかしいですよぅ……」

 

 

 向き合えば、好きだという気持ちが私の頬を緩ませます。

 初めは無理矢理でも、初めての相手で、しかも決して乱暴では無い、まるでお姫様のような扱いをされてしまいましたので。

 抵抗する、という意識も疾うに消えて、触れてもらえることが(くすぐ)ったくて素敵で(キモチヨクテ)

 気付けばイッセーさんの事も忘れていて、その時は精神的な意味でも逃げ場なんて何処にもなかったようでした。

 

 リテイク、とそらくんが呟いて空気を切り替え、改めて彼は最初に告げた言葉の意味を検めました。

 

 

 「そもそも、アルジェント先輩ってお仕事で此処に来てるんですよね? 俺は幾ら払えばいいんでしょうか?」

 

 

 実に現実的なことを口にされて、冷水を浴びせられた気分になりました。

 ……ああ、そういえばそうでしたね。

 思い起こしてみれば今日が初仕事で、そもそもいきなりこんな体験をすること自体が稀な気もします。というかそうであってほしいです。他の人にも今日みたいな仕事をしなくてはならない、となったら私は本気で考え直します。

 

 

 「ちょ、ちょっと待ってくださいね。えーと、」

 

 

 床に脱ぎ捨てられた制服や下着の中から、リアス部長に手渡されていた端末を探り出します。

 本当ならこちらの『奉仕』の前に対価を此れで計測し、相手側が支払われる限度で『お願い』を聞く手筈となっていた筈なのです。そういう事情をそらくんにも説明して、順序が逆になってしまいましたが、手にした端末をどうにか操作して『アーシア・アルジェントの処女』とこちらが提供した『お願い』を打ち込みました。……改めるとすごく恥ずかしいですけど。

 そうして暫く待ちます。が、

 

 

 「……えーと、あれ?」

 「相場だと4、5万くらいですかね。いろいろオプションが付いたから、10万くらい?」

 「いえ、あの、此れに対価が出る筈なんですけど……」

 

 

 そう言って指さす端末を、彼も後ろから覗きこみます。

 吐息が触れるか触れないか、という距離感が先程までの経験を思い起こさせて、またもや赤面するのを自覚しました。

 

 

 「……なんも出てないんですけど」

 

 

 そう。彼の言う通り、端末には映し出されている筈の対価は掲出されません。

 アレですか、私の処女なんて誰かに貰ってもらう価値も無いとか、そういうことを言いたいんでしょうか、悪魔としての『契約』は。

 そういう想定に逸れてやや暗い気持ちに引き摺られてゆくと、そらくんは思いついたように口を開きます。

 

 

 「とりあえず、小遣い代わりに10万程渡しておきますね。身体のケアにでもお使いください」

 「えぅ、はい……」

 

 

 ああ、なんだか尻すぼみです……。

 それにしても、私は一応年上だというのに、年下の男の子からこんな大金を寄越されるとか、普通に人として駄目な気分にさせられます……。

 悪魔のお仕事、業が深いです……。

 

 

 「思ったんですけど、アレじゃないですかね。アルジェント先輩、結局最後までまぐろだったって言うか、されるがままだったって言うか、自分から『奉仕』をしなかったから対価が計測されてないんじゃ?」

 「……あ」

 「若しくは、避妊も何もしなかったから注がれた精子が対価代わりになっているとか。授かった子宝が掛け替えのない宝です、っていうオチ?」

 

 

 ヤハハハ等と嗤いながら云われますが、若干冗談では済まされないのではそれは。

 そういえば、とキモチ良くて拒否しませんでしたが、そらくんのアタタカイモノがお腹の中にたくさん注がれていたのを今更ながら思い出し、丁度子宮の辺りを撫でる私なのでした。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 シーツに包まっていたお蔭か、お互いの汗とかでべたついたはずの身体はそれ程の後片付けも滞りなく済み。

 色々と濡れたり零れたりしていそうな私の股間も一緒くたに、件のシーツが拭ってくれたので情事の前に脱いだ下着をそのまま穿くことが簡単に出来ました。

 着替えていた時に、そらくんがお尻を撫でたりとちょっとエッチないたずらをしてきましたが、最後の一線をすでに通過している所為なのか、最初に押し倒された時みたいな抵抗感も特に感じず、『年の近い年下の男の子』というのも何気に初めて対処する人でもあったので、少しだけ悪くないかなぁ、などと余裕が出てきた私です。

 その後は、夜明け前でもやっているという近所のお風呂屋さんに連れて行ってもらい、一緒に入ったりした時には着替えの時の余裕も即座に消滅しました。

 日記で書くならば改行してすぐの顛末です。すいません、調子に乗りました。

 

 お風呂屋さんでシャワーを浴びながら、壁に手を付けて後ろから、という体勢でまたも声を上げてしまった私です。

 本当に、今夜は、されるがまま!

 ご近所の迷惑になるのではないか、と戦々恐々としながら、凄く声の響いたお風呂屋さんの後はきっちりとイッセーさんのおうちまで送ってもらい、なんやかんやで無事に朝を迎えました。

 イッセーさんのご両親にはリアス部長が魔法で意識を少しばかり操作していただいていたらしく、夜の間居なかったことにも特に咎められなくて済んでいて助かりました。

 イッセーさんご本人には事情なんて話せませんので、初仕事のことは内緒です、と言えば渋々ながらも納得していただけたみたいでした。

 リアス部長には、そらくんから貰ったお金をとりあえず渡しておこうかな、と思っています。

 

 そして、一抹の懸念が、彼の言っていたアレに繋がります。

 

 

 「とりあえず、近所のドラッグストアにでも行けば検査キットは売ってるから。つーか、やった次の日に妊娠を不安がるくらい激しいプレイとか……」

 「……言わないでください」

 「なかなか出来ることじゃないよねぇ……」

 「本当に突然だったので……。あ、幾らくらい必要なのでしょうか」

 

 

 助かります。

 桐生さんに連れられ、とりあえず下駄箱前まで逃げてきたところで、掻い摘んだ事情を説明した後には有り難くも判りやすい解説を説かれました。

 要するに、そらくんの言っていた子宝とやらが本当に授かっていたら、という懸念です。色々と、後天的にもアウトな身上なのですし。

 悪魔は孕み難い、とはリアス部長には教わっていますが、其れも『あくまで』という前提があるのは間違いないわけですし……。

 ところで、とりあえずと懐にあった大金を提示したところ、桐生さんにはやや引かれ気味に驚かれてしまいます。

 

 

 「うわ、10万とか……。なに、アーシア、昨日はエンコーでもしてたの?」

 「そういう意図は一切無かったんですけど……」

 「……一緒に近藤さんも買っといたほうがいいんじゃない? 相手の都合も考えずに中に出すような奴が相手なら、こっちが予防しておかないと」

 「二度目は無いと信じたいです……」

 「んー……まあ、処女差し出したんだし、それでも安いかもね。でもキチンと支払うってことは、初めてにしては悪くない相手だったんじゃないの?」

 「そ、そうなのでしょうか……」

 

 

 相場が良く分かりません。

 エンコー(援助交際)、と悪魔的読解力で言葉の意味を理解しつつ、前後の台詞の意味合いが矛盾する事実にも慄きつつ、微妙に日本のジョシコウセーの倫理観にもカルチャーギャップを覚える私です。

 

 

 「だってさぁ、世の男どもなんて、普通は女の子の事を慮ったりしないわけよ? 特にアーシアみたいな流されちゃうタイプの娘なんかだと、乱暴にされて足腰も立たなくされちゃうのが初体験よ? 夜の街かどで暗がりに連れ込まれて制服剥ぎ取られて薬キメられちゃって無理矢理されて帰れなくなっちゃうような体験している子だってきっといるのよ? でも、アーシアに昨夜(ゆうべ)シタのって、なんていうか『女子が期待する』初エッチをしてくれるようなお相手だったんでしょ? その出会いには感謝しなきゃ。薄い本じゃなくてレディコミタイプの男子が実在してくれてマジ良かったよね」

 

 

 コワイ! ニホンコワイ!

 仰っている意味の半分くらいは理解が追い付きませんでしたが、自分が九死に一生を得ているのだということはわかりました。

 そういえばチラシ配り時のイッセーさんとか、はぐれ時代のフリード神父とか、昨夜(むしろ今朝と言うのも過言ではないくらいの最近)で言えばおうちまで送ってくださったそらくんとか、考えて観れば日本に来てから夜に1人で出歩いた記憶がありません。

 桐生さんの言ったような裏事情があるというのならば、そうなった経緯にも納得のゆくというものでしょう。

 日本の治安が良い、等という話は幻想だったのでしょうか……。

 

 

 「ぉ? あれって小猫ちゃんじゃない?」

 「はい?」

 

 

 密かに抱いていた幻想を桐生さんにぶち殺されてしまって恐れ戦いていたところへ、その桐生さんの声が届きます。

 まあ此処は下駄箱、要するに他の生徒も入ってくる正面玄関で昇降口ですから、誰が来ても可笑しくは無いのですが。そんな意図で振り返ったところで――、反射的に物陰へと身を潜めました。

 

 

 「あ、アーシアちゃぁん? 何してんのー……?」

 「いえ、ちょっと……」

 

 

 引き気味に一緒に隠れた桐生さんに問われますが、仕方のないことだと思われます。

 だってそらくんと小猫ちゃんが一緒に登校しているんですもの。

 ……思わず隠れても仕方のないことだと思いませんか!?

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「そういえば烏丸くん、課題はやりましたか?」

 「かだ、い……? ……ナニソレアッタッケ?」

 

 

 視界の端に金髪が揺れた気がしたが、そんなことよりも塔城に気になる話を振られた。

 思わず片言で返す俺に、やれやれとでも言いたげな表情(無表情)で嘆息する白髪娘。

 

 

 「……今日指されると思いますよ? 数学の課題は一限目です」

 

 

 さ、昨夜は色々あったからぁ!

 と、言い訳をしようにも流石にR18の詳細をお子様に語るわけにもいかず断念し、ついでにボッチ故の弊害である『友人の不在』というバッドステータスを患っている身として本日の劇終を自覚する。もう駄目だぁ……お仕舞いだぁ……。

 

 

 「仕方ない人ですねぇ。――ところで、此処に割と完璧な数学のノートが一冊ありますが、」

 「我が身を御救いください塔城様! 何でもしまむら!」

 「……は?」

 

 

 絶望に呑まれた俺を救う一条の光に斜め45度の角度でお辞儀したところ、真顔で疑問符を返すロリにより更なる絶望が見舞われる。

 こんなネタすらも通用しないなんて。クソッ、なんて異世界だ此処はっ! 失望しました。ニュージェネのファン辞めて次の総選挙では星か白坂に票を入れます。輿水? 知らない子ですね。

 

 

 「何故此処で服屋の名前を出したのかは判りかねますが、何でもするというのならばいい加減に名前で呼んでください」

 「……え、ピンクの魔砲でビッグバンアタック?」

 「ですから意味が分かりません」

 

 

 名前で呼んで、と言うから。

 お前が避けたら地球は粉々だ、って脅されても避ける身としては、バインドで固定されても回避選択不可避なのですがそれは。

 ちなみにこの世界線で言うならばドラゴン波とか言うらしい。わぉ、まんま過ぎるネーミングセンスに星も軽くぶっ壊されそう。

 ……付いて逝けないんで元の所に還してもらえませんかね?

 

 

 「仕方ない、諦めるか……」

 「烏丸くん烏丸くん烏丸くん、ホラホラ、此処に可愛くてぷりてぃで性格が良くて授業態度も勤勉な美少女がいますよ。ちょっと勇気を踏み出せば素敵なプレゼントを施してくれる美少女ですよ。ぷりーずこーるみーまいねーむ」

 「ごめんね塔城。俺幼女は性的対象外なんだ」

 「断るにしてももう少しマシなセリフ回しがあるでしょうに」

 

 

 後ろ脛を蹴るな小娘。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「……え、なんですか、あれ」

 

 

 目撃した光景に開いた口が塞がらない。

 どうも、リアル市原●子です。

 

 

 「あらいやだ。小猫ちゃんってば、いつの間にあんな彼氏が出来たのかしら」

 

 

 横に本物の家政婦さんがいました。

 というか、ですよね! 音声は届きませんでしたが、雰囲気からしてそうとしか見えませんよね!?

 

 

 「ど、どうすればいいんでしょう……」

 

 

 だって昨夜のお相手が小猫ちゃんの恋人とか、……確実に私が眷属から追い出される流れです!

 転生しても逃亡者人生とか……!

 

 

 「ふ、こういう時、駒王生徒は慌てないものよ。とりあえず男子らを煽る為に写メって裏サイトへ投稿。これが正しい駒王民」

 

 

 どやぁとした顔で言いながら、一頻り蹴って反応が無いことに不満なのかそらくんの腕にくっついていった小猫ちゃんを携帯電話で激写する桐生さんが其処に居ました。

 最近の携帯電話は写真も撮れるんですねぇ。

 ってそういう話じゃなくて! と、とりあえず絶対にばれないようにしないと……!

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 流石に数学の課題と等価交換で本日の呼び出しを希望されるとは思わなかったが、さて果たしてどうしたモノか。

 下宿先のアパートに帰宅し、デリヘルで呼び出してもどうしようもない相手(ツルペタ且つ一次性徴未満な見た目)に希望されてしまった『お願い』の内約に頭を悩ませる。

 子供相手では勃つモノも勃たず、勃たせられても一抹の倫理観が邪魔をする。

 無理矢理は良い結果を導かんよね、お互いにね。……俺は麻帆良でそう学んだ。

 

 

 「あ、じゃあ罰ゲーム的なノリで要求すればいいのか」

 

 

 なんだか発情期でも来てるのか、と問い質したいが問えばそのまま流れで押し倒されそうな幼女に対処するには贅沢な悩みだなぁ、とも思いはするが。

 麻帆良でエカテリーナ相手にしてもやはりあった抵抗と葛藤を、こんな場末の異世界で散らすのも家族に悪い。

 そういう思考の末、塔城に課する『お願い事』は一応は決まった。

 

 

 「すいませーん、小倉さんいますかー?」

 「おぉう、なんだ。学校帰りか、そら」

 

 

 アパート2階の隣室に声をかけると即座に反応があり、中からは角刈りの小父様が人の良さそうな笑顔でご登場。

 

 

 「メイド服あります?」

 「サイズは?」

 「多分、SSで」

 「ちょっと待っとれ。おーい母さん、メイド服何処に仕舞っとったっけー?」

 

 

 持つべきものは得難き隣人。

 数分で覆面の奥様より用意して貰えた小サイズのメイド服(塔城用罰ゲームアイテム)を片手に、礼を言いつつ自室へと戻る。

 ところでそろそろ家賃の催促日となるらしいが、隣人の方々より聞いた話では毎月酒盛りになるらしい。

 そういうところが『奥の方』が異界化している原因の一つなんじゃないかな、と益体も無い思考をしつつ、古めの木目扉を開けると美少女の着替えシーンに突入した。

 

 

 「キャッ! もー、そらのえっちぃ!」

 「メガネが無くてスマンね。あとそういうのはお風呂場でやんなさい」

 「お風呂は共同だし、そら限定じゃなくちゃ意味無いじゃん」

 「……言っとくけど、こう見えて俺も性を持て余す高校生なんだからね……?」

 

 

 青狸の相棒に対するような台詞回しをしてくる同居人の少女に、剥き出しのままのおっぱいを隠そうともしない様を普通に眺めつつ、完全に俺狙い(ロックオン)な言い分につい苦言を呈する。

 大家さんに最初は云われて面喰ったが、悪戯好きとの紹介に肖った彼女を相手取っても多分糠に釘かとは楽に想定できる。

 ふむ、88のFと見た。美乳。

 

 

 「みたいねー。ゆうべはおたのしみでした?」

 「何処から覗いてやがった……?」

 「覗かなくても、匂いが残ってるしぃ」

 

 

 ……そんなに匂うかなぁ?

 シーツは片づけて帰りに新しいのを購入して来たし、消臭剤も働いてる筈なんだけど。

 

 まあそれはともかく。

 

 

 「多分今夜もお楽しみだから、そちらは運動会でも楽しんで来てくれ」

 「連日とか……。そらのけだものっ」

 「なんで嬉しそうに言うのお前……」

 

 

 いや、本当になんで?

 あと『お楽しみ』の内容は多分お前の想定とは違う。

 見て楽しむ系の奴を要求するから。

 序でに言うと、こんな同居人がいることは余り知られたくない。

 

 窓からするりと抜けだして行った彼女を見送り、塔城より先日戴いた件のチラシを床へと置く。

 とりあえず、此処でいいか。

 

 

 「えーと、我は求め訴えたり(エロイムエッサイムアーメン)?」

 

 

 適当な呪文はフィーリングで、出て来い仲魔たちー。

 気分は鳥取出身のゲゲゲなあの方の別口。

 オカリナは手元に無いが、誘ってみれば即座に反応があったのでご了解である。

 

 ――輝き、

 

 ――光が集束し、

 

 ――そして形成、

 

 ――……おおっとぉ?

 

 

 「……あれぇ?」

 「う、うぅ……」

 

 

 ……何故か、制服が肌蹴て、というか溶けて?いる、半脱ぎ状態のアルジェント先輩が息も絶え絶えに床に転がっていた。

 ちょっとムラっときた。

 

 

 




~読者の為のツッコミ講座・初級編(注釈付)~

~時系列
 多分原作2巻初め。でも流れ的には焼き鳥の前に使い魔
 なんでかって? お母様の「孫が出来るわよぉ!」が未だ出てきてないから。あと台詞出ても恐らく貴女の息子の子ではないかと思われry


~ヤハハハ
 空島出身というよりは問題児かと思われ
 むしろ語尾にゲスを付けても違和感が無いくらいに金で解決を推奨するクズ。どうしてこうなったのかなぁ? おかしいなぁ?(コクビカシゲ


~コワイ! ニホンコワイ!
 日本人の変態性癖は108では利かないぞ!


~輿水幸子に対する熱い風評被害
 元の世界じゃ何かしらの関係性があったらしいが、それにしたってそのチョイスは本当にロリコンを疑いたくなる
 森久保とか双葉とか、もっとあるだろう、ほら


~ドラゴン波
 余りにもな異文化に本気で帰りたいそうです(ふーんあっそう、頑張れば?)
 それはそうとお前の中の魔法少女像がどうなっているのか一度しっかり聞いておきたい


~小猫のローキックが執拗に烏丸を襲う!
 でもセックスアピールも忘れない幼女。ぐぅ有能


~家政婦さまが視てる
 目撃者は大体そういうモノ
 『ミタ』ではない


~メイド服をさらりと用意できる隣人
 職業は漫画家。尚嫁さんもいる模様
 漫画の為の資料なんですよ(棒)


~88のF
 ギリギリ高校生レベルの巨乳であり美乳
 デカければいいってもんでもないんだよ(DD原作キャラプロフィール特に小猫を視乍ら)


~奥が異界化してる下宿先
 女神転生とは別物
 ちなみにアパートの名前は『矢荷成荘』



R18だからといって全話でエロシーンてんこ盛りにしなくてもいいんじゃないかと思うんだ
そんな作者の勝手な持論でこれからもちょくちょく日常を挟みます
残念ながら今回のエロシーンはアーシアの回想だけさ!


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「ちっぱいの子ほど揉みたくなる衝動性」

血界戦線のOPとEDが最近脳内で延々流れる
書けと言う啓示やも知れない(錯乱)

あ、前回色々誤字脱字があった部分は修正しました
ご報告感謝 (/・ω・)/


 

 

 「ぅ……っ、ぃ……!」

 必死で声を押し殺して、人が通り過ぎるのを待ちます。

 場所は夜の公園。

 隠れた木陰で、背後にはそらくんが、私の身を隠すように覆い被さってくれていますが、それと同時に昨日味わったばかりの感触が、膣の中へと痺れるように響くのです。

 「は……、は……、ぁ……っ!」

 呼吸も荒くなり、思わず出そうになる声を、自分の手で塞げば、そのタイミングで、ぐっぐっ、と膣中(なか)を彼の硬く反ったソレが突き上げてくるのです。

 連日同じような目に遭っている為なのでしょうか。視界が涙で滲むのを止められません。

 ……本当に、どうしてこうなったのでしょう。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「アーシア、今日は仕事お休みよ」

 「え、でも私まだ一回しか出てませんけど……」

 「え、出てたの?」

 「え」

 「えっ」

 

 

 なにそれこわいです。

 本日の授業も終わり、オカルト研究部の部室へ赴けばリアス部長が冒頭の台詞を仰られますが、私の疑問に返された言葉には疑問符が浮かびます。

 あ、あれだけの目に遭っておきながら、仕事と認識されないのですか……?

 この世の理不尽に思わず死んだ目になりそうになる私を見ることは無く、朱乃お姉さまへと視線を移すリアス部長。

 はぐれ時代の魔女狩りに似た記憶が呼び起こされますねぇ……。

 

 

 「朱乃、アーシアの召喚紙は還って来てる?」

 「いいえ? 果たしたというのなら、アンケートとして還ってくるはずなのですけど……」

 「……でも、アーシアが嘘をいう筈もないし」

 

 

 即座に返される台詞には、眷属としての温かさを感じました。

 寸での処で落ちかけた気持ちが、部長方の温かい信頼で掬い上げられてゆくようです。

 しかし、それでは解決されない、謎が謎を呼ぶそらくんとの『お仕事』。

 あの時の痛みも、続けて味わった苦しみも、そして男の人の素肌の温もりも……。

 無かったこと、と割り切るには酷くリアルで濃厚な記憶として、この身に刻まれているのです。

 もうひとつ言うならばその瞬間の快感も、失われることなくこの子宮の一番奥へと、その残滓は未だに響いています。

 ああ、――主よ、何故私にこのような試練を……っ!」

 

 「……大丈夫ですか?」

 

 

 気づけば祈りを口に出し、鈍痛がこの身を蝕みました。

 お蔭で響いていた残滓は払しょくされた気分ですが、小猫ちゃんにも痛ましげに気遣われてしまい、気持ち的には少しだけ最低です。

 本当に、私は、流されたままとはいえなんという罪を……っ。

 

 

 「だ、大丈夫ですよ、心配かけてすいません」

 「それなら問題は無いのですが……。何かあったら、言ってくださいね? こう見えて、悪魔稼業では先輩です」

 

 

 何処か胸を張っているような、そんな誇らしげで愛おしい貌で小猫ちゃんは言います。

 可愛さもさることながら、私は思わず申し訳ない気持ちにもなり、気づけばぎゅっと抱きしめてしまいました。

 

 

 「わっぷ」

 「っ、大丈夫ですよ。それを言うなら、私だって年齢的にはお姉さんですからね。そんなに弱くもありませんっ」

 

 

 ごめんなさい。ごめんなさい皆さん。

 アーシアは、悪い子です。

 

 

 「ところでアーシア、昨日仕事していた、ってことだけど、どういう依頼だったんだ? 帰ってくるのも遅かったみたいだし……」

 

 

 と、イッセーさんに問われます。

 その質問は皆さんが抱いていた疑問らしく、流れるように私へと視線が集中していました。

 ピンチです。

 正直に暴露してしまえば逃げ道は無く、黙ったままというのも問題かと。

 そしてタイミングの悪いことに、今の質問でフラッシュバックした昨夜(今朝)の記憶が、子宮の奥の方をぐずりと蠢かします。

 まるで――、私とは別の何かがこの奥に居着いているかのような、そんな快感が頬を紅潮とさせてゆきました。

 

 

 「えっ、なんで赤くなってるの!? あ、アーシア!? どういうお仕事をしてきたのっ!?」

 「い、言えませんっ。イッセーさんはえっちですっ」

 「何だそれスゲェ気になるアーシアさんさわりでいいから教えてくださいなんでもしますからっ!!」

 

 

 「なんでも……、ああ、今朝烏丸くんが言っていたのは此れの冗句みたいなモノですか……」と、小猫ちゃんの呟きがぽそりと漏れましたが、今ははぐらかすのが先です。

 ごめんなさいイッセーさん。アーシアは汚れてしまった、悪い子です。

 

 

 「はいはい。遊ぶのはそれくらいにして? 今日はあなたたちに必要な契約を済ませておこうと思ったのよ。私の蝙蝠みたいな、使い魔を、ね。だから小猫、なんでそういう気合の入った格好に着替えてきたのかは聞かないでおいてあげるから、今日は眷属全員で使い魔の森へとピクニックに行きましょう?」

 「……残念です」

 

 

 ……そういえば、今更ですが小猫ちゃんは多分一回帰ってから、すっごく素敵なドレスみたいな格好に着替えてから来ていたのでした。

 胸も心なしか、いつもよりも大きくなって……。

 ……なんでしょう、先程とは別の意味で申し訳なく思えてきます。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「へー、それでスライムに絡まれて、服が溶けたところを俺が間一髪の召喚で助けちゃった、と」

 「み、みたいです……」

 

 

 使い魔の森ねぇ。

 此処とはまた別の異界っぽいな。情報を仕入れる為には、一度お目にかかっておきたいもんだ。

 

 意図していないが、こうして呼び出してしまった以上、件のオカ部も大騒ぎだと思われ。

 実は塔城の連絡先も知らないので、というかそもそも異界で電波が届きはしないかと理屈でもわかるので、連絡は不要かと判断する。

 そして次に、何故普通に召喚しただけの筈なのに、いつもアルジェント先輩ばかりが出てくるのか、を考察した。

 そもそも先輩の話では、召喚チラシは使い切りタイプで、一回召喚したらアンケを自動的に書き記して持ち主の元へと戻ってゆくらしい。

 らしい、というのは、先輩も聞いた話らしいので又聞きな所為だ。

 自動的、とは言うものの、其処には召喚者の願い事とその成果、そして満足度に比例しての自動書記が働く。

 なので、この無駄に高性能な術式の前には捏造は不可。

 甲と乙の相互関係をしっかりと把握し、その上でセーフティの意味合いも含めた万能性召喚陣らしい(実は帰還も含めてだとか)。

 

 ――チラシの性質をスキャンした時に流した俺の魔力で、術式そのものが変質した可能性が微レ存。

 

 

 「……というか、もっと他の服は無かったんですか……?」

 「いや、元々それ塔城に着せるつもりで借りてきた奴ですし。先輩じゃサイズが合わないのはしゃーないっすよ」

 「いえ、サイズそのものはそれ程問題無いのですけど……」

 

 

 何処かもにょもにょと口ごもるアルジェント先輩を尻目に、俺はというと着ている意味すら無くなってしまった襤褸切れとなっている制服の熟れの果てを持ち上げて広げ、見事に修復は不可能だと判断した。

 

 アルジェント先輩は現在、塔城に着せる予定であったメイド服(肩出しミニスカ)で女の子座りをしている。

 ちなみに個人的にはメイド服はロング派だが、子供に着せる予定であったから完全にコスプレ目的の趣味服としての選別しかしていなかったので(実際、小倉さんにもそう提示して選別して貰っていた)、アルジェント先輩は着るモノが無くこの状態だ。

 塔城サイズでぴったりなのを考慮していた所為なのか、はたまた小倉さんが勘違いしていたのか、胸の差分で押し上げられワンピースタイプで製服されているらしき其れは丈が足らず、立ち上がればスカート部分が大事なところを顕わにする。

 前を隠せば後ろが丸見え、後ろを隠せば前が丸見え、という、男子にとっては最高の1作だ。

 加えて、フリルで覆われているものの剥き出しの肩や鎖骨を守る布は皆無に等しく、ウェストも絞ってあるので比較して普段小ぶりな胸でも大きく見える。えっ、これ本当に子供用?

 

 そんな代物を、問題無い、とな……?

 序でに言わせてもらうとこの先輩、溶けた服と一緒に下着まで溶解させられちゃってるから、防御力は下がり切ったギリギリの数値だぞ。ドラ●エで言うならば『エッチな下着』と同レベル。

 いくら一晩身体を許したからと言って、そこまで無防備になれるモノなのか……。

 イマドキ女子ぱねぇ。

 

 

 「こんな服を着せて、小猫ちゃんにナニをさせる気だったんですか……?」

 

 

 あ、そっちっすか。

 微妙に苛むような、ジト目で見上げてくるアルジェント先輩。

 怖くは無く、どちらかというと拗ねているように見えるのは恐らく錯覚なのだろうと判断しておくこととする。

 

 

 「いや、まあ呼べとうるさいので料理でも、と」

 「……それだけですか……?」

 「お恥ずかしながら、俺、家事能力がミジンコレベルなので」

 

 

 えー……、と呆れたような目に心なしか思えてくる。

 べ、別に問題ないしー。料理下手くそでもコンビニで買っちゃえばいいしー。

 

 

 「あの、では、折角なので私がご用意しましょうか……?」

 

 

 UFO見えてもまあ気にしないしー、と続けていた脳内再生はともかく、何故かそんなことを言い出すアルジェント先輩を2度見してしまう。

 え、マジかこの先輩。

 ほぼレ●プ同然の事された相手の部屋で、其処まで無防備にry。

 そんなデジャヴってる葛藤を他所に、帰り際にシーツ等と一緒に買ってきていた数点の材料をスーパーの袋からがさがさと探り、そのまま流しの方へととてとて進む。

 そんな天使か聖母かと思わんばかりの先輩の生尻が、ふわりとしたスカートの下から顔を覗かせていた(詩的表現)。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 今朝も思ったのだが、本当にこの先輩は無防備が過ぎると思う。

 夜道を前を周囲へと目まぐるしく気を遣いながら進みながらも、丈の足りないスカートから覗かせる真っ白なお尻を晒すことには留意せずに邁進する彼女を眺めつつ、ちょっと本気で心配になってくるオレガイル。

 男の部屋にはホイホイくるわ、ラブホに誘われても疑問抱かずに付いてくるわ。

 

 心中だけでも弁解しておくけど、アパートの共同風呂を使わずに場所を変えたのは先輩を慮ってのことだ。

 同性相手の実家(確か、兵藤先輩は独り暮らしではなかった筈)で子宮洗浄させるのも忍びない、と思っての場所替えだったのだが、あの先輩ってばそういう行為を一切せず呑気にシャワーを浴びるだけで済まそうとしていた。

 たっぷり膣内出ししてしまったのは流石に悪いと思っていたのに、ケアに手出しする気配が一切無かったのが俺の情欲の残滓に火を点けた。

 いや、シャワー室がスケルトンであったことを云わずに部屋から見ていたのは悪かったかもしれないけど、自分の身体のことを自分で整調させない女子を放置も出来なかっただけですよ?

 ……掻き出した手段が悪い? 悦んでたから良いじゃん(いいじゃん)。

 

 そして現在。

 どうやら俺に対してはそれ程の悪感情を持っていないようなのではあるが(この時点で色々心配なのはともかく)、外に人気(ひとけ)が無くなるまで時間を稼ぎたかった、というのも手料理を振る舞ってくれた理由であるらしい。

 まあ、そんな恰好では表を歩けないのは重々承知の把握も容易い意気事情ではあるけれども。

 そうならばただ待っているだけでも気にはしなかったのに、手持無沙汰が苦手な先輩と認識すればいいのだろう。

 作って貰えた和食は出来高こそ拙く初心者丸出しであったけれども、食べて何処か懐かしさを思わせる良い出来だったし。良い嫁さんには、なりそうではある。

 情緒面や羞恥心をキチンと現代日本に合わせられれば。

 

 

 「ぁ、ちょっと待ってください」

 「はいはい」

 

 

 と、曲がり角にて停止し、こちらへと静止の手振りをしつつ、そっと角から先を覗き見る。

 仕草が一々可愛いのはさておき、そうすることで尻を突き出す格好になっている点は、……指摘した方がいいのだろうか。

 ……眼福だから云わないが。

 

 そして俺はというと、一応の背後からの壁役である。

 このままコンビニにでも逝って(誤字に非ず)先輩の服を見繕っても良かったのだが、そうなると俺だけでなくて先輩も色々終わる。

 こう、体面的な意味合いで。

 俺はというと、ノーパンメイドを従えてコンビニへ突撃する猛者、となってしまう。

 先日魔法少女の格好をしたト●ロを目撃した覚えもあるから、この世界線の外観様相は考えるだけ無駄、と理解はしているのだが、流石に自分が『そう』思われるのは、ちょっと。

 

 

 「……あっちの公園へ行きましょう。大通りは、さすがにまだ人がいっぱいいます」

 「仰せのままにお姫様」

 

 

 隠れるように、実質隠れながら木々の多く、夜間ならば見通しも悪い公園へと足を運ぶアルジェント先輩。

 中は中で色々と男女の機微に挑戦中の方々がこの時間帯ならば多めにいらっしゃるのではないかな、などという感想を抱きつつも言には従う俺烏丸。

 

 ……案の定、自分の『気配を読む』という対人把握能力の前には居場所を丸裸にされているアベック(古)らが。

 そして、それを観察している暇人もまた、その周囲には芥のように散乱としていた。

 こっちの方が人気が多いじゃねーか……。

 

 

 『アッアッアッアッ!!』

 『オラオラオラオラ!!』

 『アッイクゥッ!』

 『ナカニダスゾッ!』

 

 

 要らん副音声まで届いて来た。

 虫の声に耳を傾けたいと思う、今日この頃。

 対人把握能力とか、必要ないみたいですね。

 

 そして、そんな俺とは裏腹に、アルジェント先輩の様子は結構初心だった。

 

 ……なんか、真っ赤になって俯きがちに進むんですけど。

 こう、木に依り掛かるように、やっぱり隠れながらなんですけどね?

 アンタも昨夜散々やったやん……。

 

 

 「きょ、今日は暑いですねっ」

 「あー、そうですね、熱いですね」

 

 

 ――周囲がな。

 居た堪れなかったのか、雑談へと意識を向けようとする先輩。

 そしてそう口に出す先輩はというと、どちらかというと涼しそうに思えてくる。

 特に下半身とかがな。

 

 

 『――から、――じゃんか』

 『――死んでください。――いやマジで』

 

 

 ……ん?

 なんか今、すげぇ聞き覚えのある声が聴こえたような。

 

 対人把握能力(要らない子っぽい)を働かせるまでも無く声のした方へと視線を移せば、見覚えのある白髪とうちの学校の制服。

 ていうか、塔城と兵藤先輩だった。

 何やら雑談、というか、罵り合い(一方的な)をしながら道を来やるお二方に、いっそこの人預かって貰えばいいか。と、思考しかけた時には、

 

 

 「っ!? こ、こっちにっ」

 「へ? あちょ、」

 

 

 茂みへと手を引かれて、道から外れる俺たち。

 一先ず、他の方々は居ないようだけど、と心配するのも束の間、木々に隠れた先輩は通り過ぎる彼らから怯えるように息を潜めていた。

 いや、なんで?

 と、疑問符を浮かべたままされるがままになる俺を他所に、公園の歩道を近づいてくる彼らの会話が夜道へ響く。

 

 

 「だからっ、アーシアが突然消えたのは『召喚された』からなんだろっ!? だったらその客を探すのが一番手っ取り早いじゃねーかっ!」

 「……だからといって、こんな場所へ連れて来られた私の気持ちをもう少し慮っては如何(どう)ですか? 茂みでハッスルしているアベックらとアーシア先輩と、どういう関連で連想したのかを説明してください」

 「アーシアが言えないエッチなお仕事をしているというのならばそれを寸前で食い止めるのも保護者の役目っ! そしてこの間チラシを配ったのはこの近辺だから、今のアーシアの格好(制服溶けVer.)で興奮したお客さんが連れ出す恐れも在るっ! エッチなお願い事を要求しても対価を支払えない以上、思いつめたお客さんが悪あがきにそれくらいやらせようとする恐れだってあるじゃないかっ! どう!? この俺の完璧な推理っ!」

 「…………その推論が出てくる思考の残念さに反吐が出ます」

 「辛辣っ!?」

 

 

 推論への思考の流れが噂通りだなぁ、とある意味あの先輩に感心を抱く。

 なんというか、『女の子と付き合えたらやりたいことリスト』にでも載せられていそうな要求レベルを推論として予測できる、ってことは、兵藤先輩もそういう考え方を持っている、って自白しているわけだよな。

 うん。エロに見境のない、男子高校生的なある意味健全な思考だわ。

 そう感心していると塔城が、路上にへばり付く糞虫を見下すような目をしながら、続きを促していた。

 

 

 「……そしてその現場を押さえたとして、仕事中だとしたらどうするつもりなんですか?」

 「そりゃあ止めるぜ。アーシアはまだ世間知らずなんだから、そんなエッチなことはさせませんっ、つってな!」

 「ほほぅ」

 「そしてそういうプレイに連れ出されそうなアーシアのエッチな姿もばっちり保存するぜっ」

 「……ほほぅ」

 

 

 塔城の視線が益々鋭くなってゆく。

 多分、後半の台詞は脳内で思い描いていた程度だったのだろう。口から洩れていたけど。

 予想した通りに、随分と自分に正直な人だなぁ。

 

 ……ところで、アルジェント先輩はなんで未だに息を潜めているワケ?

 

 

 『アアンッ! モウダメェッ!』

 

 

 ――と、俺たちの反対側の茂みから、一際大きく嬌声が響く。

 それがこっちにも届くのだから、間の道にいる彼らにも当然届いている。

 兵藤先輩も塔城もそっちへと視線を向けて、ガサガサと揺れる草むらと肉のぶつかるパンパンという音に釘付けとなっていた。お相撲かなぁ?(すっとぼけ)。

 

 

 「……で、なんで合流しないんです? あの2人、アルジェント先輩を探しに来たんじゃ?」

 「……っ、今は、無理ですっ……!」

 

 

 ……格好かなぁ。

 まあ、メイド服だし、ノーパンだし、時間も時間だし。

 色々と勘違いを推奨してしまいそうな傍目になっていることは間違いはない。

 

 ――そして、それに現在付き合っている俺も、そろそろ限界っぽい。

 

 考えて観てくれ。

 目の前で木に寄り添い、中腰の姿勢で草むらに身を屈めながら歩道側の様子を探ろうとしている美少女の、背後に控えて尻を隠す位置に立たざるを得ない俺の立ち位置を。

 そして、現場には他のカップルらが、大胆にも発情真っ盛りな状況が大音量で情欲を注ぎ合っているわけで。

 ……例え理性の化け物がこの場に居たとしても、逆らえないと思うんだ。

 

 

 





・召喚チラシの設定は独自解釈です
 客側がアンケートを書く、となると色々と不正が発覚しそうなので、自動書記任せです


・そらの味覚はショシ●リカレベルです
 味覚だけは。味云々よりは相手の感情を読み取れる舌です
 詳しくはネギマジをご照覧ください


・ラブホ云々
 アーシアがお風呂屋さんと思っていた施設です
 その時間にやってる店があるかよぅ…


・イッセーの推理になった元は森なんとかさんの所為です
 金が降って来た時点で死ぬって、普通に酷いと思う



そして残念!本番はまた次回!


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☆「オーディエンスと50:50あと何だっけ」

長くなったので分けました
同時投稿です
でもってエロシーンです


 

 「っ!?」

 

 

 ぐい、と私のお尻を掴む感触に、思わず出そうになった悲鳴を必死で抑えます。

 手で自らの口を抑え乍ら首だけを曲げて背後を振り返れば、其処にいたのは先ほど茂みへと手を引いたそらくんの姿がありました。

 

 知らぬ人ではなかったので一瞬安堵しかけましたが、すぐにそんな場合では無いことに思い至ります。

 表の公園の歩道には、イッセーさんと小猫ちゃんが、反対側の茂みを窺うようにまだ佇んでいるのです。

 

 

 「そ、そらくん……っ、ふざけるのは、あとにしてください……っ!」

 

 

 小声で叫ぶように、というしたことのない声量で彼を諌めました。

 しかし、彼の手はぐにぐにと私のお尻を弄って……っ、

 

 

 「んっ、ひぅ、あっ……!」

 

 

 ああ……、昨夜も身を任せた手つきで、何処か優しく、それでいて男らしい無骨さも失せてない乱雑さが、私の肌を支配します。

 彼の身体はそのまま私を覆うように近づき、空いた手が服の上から私の慎ましい胸へと伸びる。

 下着も着けていない、剥き出しの鎖骨の下、胸元へかけて、拙い()が紙切れのように剥ぎ取られます。

 前屈みとなっている所為か、普段よりもゆさりと重みを自覚できそうなふたつの膨らみ。その片方を、彼の手の平が愛おしそうに揉みしだく様に、昨夜のようにされるがままとなってしまうのでした。

 

 

 「はっ、ぁぅっ、あん……っ」

 

 

 駄目なのです。

 彼には逆らえない、そう自覚していても、今だけは駄目なのです。

 

 元々、こんな場所へ逃げ込んだのは、イッセーさんとも小猫ちゃんとも鉢合わせしたくないが為です。

 イッセーさんは私の好きな人で、小猫ちゃんはそらくんの恋人です。

 私がこんなそらくんにされるがままになっているところなど、お2人に対する最悪の裏切りでしかないのです。

 

 ですから、例えこの手がとてもキモチ好くても、この快感を失うことを惜しむ感情が燻っていても、この関係はお2人に気づかれることなく、……っ終わらせなくては、ならないのです。

 んやぁ……! 先っぽいじめちゃらめぇ……っ!

 

 

 「……っ、兵藤先輩、いつまで見てるんですか。速くいきますよ」

 「………………はっ! あ、ああ、そうだった。思わず。……って、小猫ちゃんも見入って無かった?」

 「その煩わしい口を殴って塞がれるのと哭かなくなるまで殴られるのと、どっちがお好みですか?」

 「何その選択肢怖っ!?」

 

 

 ……ぁ、ど、どうやらお2人はこの場を後にするようです。

 良かった、いつまでも我慢できることでもありませんし……?

 

 ……あれ? なんで小猫ちゃんは動こうとしないのでしょう……?

 

 

 「おぅい、どうしたの小猫ちゃん。まだ見足りない?」

 「殴られたいのですか。いえ、其れでは無くて、兵藤先輩、アーシア先輩のケータイに連絡は入れましたか?」

 

 

 ッ!?

 そ、そういえば、同居にあたる際にお義母様から携帯電話を渡されて……っ!

 

 

 「あ、そっかそっか、こっちから連絡入れれば早いのか」

 「まったく……。早くに気づいてくださいよ」

 「すんまそん。えーっと、アーシア、と」

 

 

 だ、駄目っ、鳴る前に出ないと……っ!

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「あ、繋がった。アーシア? 大丈夫か?」

 「『ど、どうも、すいません、ご迷惑を……』」

 

 

 ん? なんか音が二重に聴こえるような。

 気のせいかな。

 

 

 「いや、仕事で急に呼び出されたんだろ? むしろあの場から救助が成功したみたいなもんだし、気にすんなって」

 「『は、はい。あの、ふぁっ、ん、い、イッセーさんは、今何処へ?』」

 

 

 な、なんかアーシアの声が艶っぽい……?

 ――はっ、まさかマジでエロエロなお仕事……!?

 

 

 「え、えっと、駒王町に戻って来たところだけど、迎えに行くからさ、どの辺りで仕事してるのか教えてくれないか?」

 

 

 何処のドイツだ、アーシアにエロエロなことを要求している変態紳士はっ!?

 待ってろよアーシア、今助けるぞっ!

 

 

 「『わ、私なら大丈夫ですからっ、幸い、呼び出してくださった方も優しい方ですし、1人でも帰られますっ』」

 「い、いやでも、夜道だし、危ないって」

 

 

 あ、あれー? アーシアにはそれなりにフラグ立ってたはずだよなー?

 此処で断られるって、なくない?

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「ほ、本当に大丈夫ですから」

 

 

 危ないところでした……。

 そらくんがいち早くに携帯電話を取り出していてくれたお蔭で、咄嗟の事にもなんとか対処できました。

 問題は、どうやってイッセーさんに諦めてもらうか、ですけど……っ!

 

 

 「(そ、そらくんっ、お尻、それ以上いじっちゃヤですっ)」

 

 

 そんな意図を視線に込めて、すぐ後ろの彼へと睨みつけました。

 声を歩道にまで届かせないようにしながらなので、余計な言葉を使えません。

 お行儀は悪かったかもしれませんが、彼はそれを了解したらしく、肩を竦めるように身体を私から離します。

 

 

 「『い、いや、大丈夫ってことはないだろ? アーシアだって日本に来てまだ日が浅いし、道順だってキチンと把握しているわけじゃないんだろうし』」

 

 

 歩道の声と電話越しの声が二重に響きます。

 もぅ、なんで今日のイッセーさんは聞き分けが悪いのでしょうか。

 心配してくださっているのは有り難いですけど、度が過ぎると只のお節介でしかないというのに。

 

 

 「大丈夫です。何なら、呼び出してくださった方に送っていただきますし、」

 「『こんな時間になったのだって、ソイツのところから帰って無かったから遅くなったんだろ? 高校生を今まで帰さないとか、信用できる奴じゃねーよ』」

 

 

 ……。

 

 

 「イッセーさん、こんな時間になったのは私がそうお願いしたからです。制服も溶かされたあんな恰好のまますぐに帰ることが出来るはずが無いから、人通りの少なくなった時間帯をお願いしたんです。仮にもお客様に、そういう言い方をするのはどうなんですか?」

 「『え、そ、そうなのか?』」

 「そもそも、私の格好があんなになったのはイッセーさんが早くに助けてくれなかったからですよね? 小猫ちゃんだって一張羅のお洋服を溶かされていたのに、ただ眺めていたのはどなたでしたか?」

 「『うっ、そ、それはぁ~……』」

 

 

 ……なんだか気分が悪いです。

 そらくんは悪いことをしたわけじゃないのに、私がお願いして今こうしているのに、それも知らないで悪く言うイッセーさんにちょっとだけご立腹です。

 ともあれ、此処はそれを弁明するのも可笑しな話ですし。

 

 

 「イッセーさんが言うのなら、私はキチンと1人で帰ります。けれど、恰好がアレですから、もう少し遅くなりますからね」

 「『……はい。ほんとスイマセンでした……』」

 

 

 まったく……、って、え!?

 

 

 「(そ、そらくんっ? まだ通話は終わってな、)――ひぎぃっ!?」

 

 

 ~~~~っ!

 

 

 「……怒られちった」

 「……ざまぁw」

 

 

 あ、危ないところでした……っ!

 歩道の方からはお2人の会話が聴こえますが、私の悲鳴は届いてないようです。

 何を焦っているのかと言えば、そらくんがおっきくなったおちん●んを後ろから突き入れた所為ですっ。

 幸いにも、この場には他にも色んな女の人の声が響いています。

 私の悲鳴は、運よくそれらに潜められた様子でした。

 

 

 「は、ぁ、ぎ……っ!」

 

 

 しかし、いきなりの挿入なので異物感が凄いです。

 痛みこそは、昨夜の最初の方で色々緩和されたみたいなのですが、流石に突然無理矢理に、というのは初体験でした。

 ……あ、此れが桐生さんの言っていた、世の女子が一通り体験するという処女喪失に近いのでしょうか……?

 

 

 「……んー、じゃあ、どうしよ?」

 「帰ります。お疲れ様でした」

 「躊躇無し!? ふぁ、ファミレスでお茶でもしないっ!?」

 「いえ、ファミ●キを買って帰る方が先決です」

 

 

 コンビニに負けた……。と項垂れるイッセーさんは、既に通話も切っているご様子。

 私はというと、ぐりぐりとした探る様な動きに呼吸も荒く、今は身を潜めるだけで精いっぱい。

 膣内の弱点を重点的に責められており、他の事に感ける余裕も残ってませんでした。

 

 

 「はっ、ぁっ、んぁっ、あっ、」

 

 

 声が漏れ、他の方々の嬌声に紛れながらも、艶も消しきれずに夜中へと響いてます。

 確か、教わった話では背後から突く、という行為は実に野性的なSEXであるとか。

 人の皮を剥ぎ取られているのは、私なのでしょうか、それとも。

 

 

 「んぎっ!」

 

 

 時折、中の更に奥へと突き入れられる衝撃で、断末魔みたいな悲鳴も洩れます。

 丁度その時、茂みの向こうのイッセーさんが。

 ……まだ帰っていなかったイッセーさんが、こちらへ注意を向けるご様子に気付きました。

 

 

 「……っ」

 

 

 木を抱えているのとは別の手で、自分の口を急いで塞ぎます。

 ふぅーふぅー、と呼気が漏れるのは、そらくんが未だに腰を動かしているから。

 衝撃は断続的に私を苛み、気づかれないように、と息を潜めることが、何故か自分を酷く惨めに感じていました。

 

 そしてその最中、ごくり、と喉を鳴らす音がやけに大きく響いたのです。

 

 ――イッセーさんでした。

 彼は、こちらに興味を抱いたらしく、ゆっくりと茂みの方へと手を伸ばし、近づいてきます。

 私はそれを遮ることも出来ずに、彼の近づいてくる様から目を離せません。

 

 ――ざり、と土を踏みしめて、あと十歩分。

 

 ――一歩進んで、あと九歩分。

 

 

 「ぅふぅー……っ、ふぅー……っ!」

 

 

 ああ、もう手を伸ばせば茂みを掻き分けられるくらいの距離に届いてます。

 私は見て居られなくなり、咄嗟に顔だけはばれないようにと、視線を伏せてイッセーさんから逃げたくなるのです。

 あんなに、そばに居たかったのに……!

 

 

 「……ぅお、すげ……」

 

 

 っ

 

 

 「………………覗き見ですか変態先輩」

 「っ!? こ、小猫ちゃんっ!? 帰ったんじゃなかったのぉ!?」

 

 

 一瞬の、ことでした。

 

 イッセーさんの感嘆とした呟きが、上から漏れたと思った時、呆れたような小猫ちゃんの声でガサガサと遠ざかる気配。

 ……ば、ばれてませんよね……?

 

 

 「部長からお呼びがかかって、兵藤先輩を召喚したいお客様がいらっしゃるとのことですので、呼びに来ましたが。」

 「い、いや違うんだって! 木がすっげぇ揺れてるから、どういうことになってるのかなぁって純粋な疑問でっ!」

 「こんな場所ならやってることは一つでしょう。敢えてそこへ覗きに向かうとは……。そちらの方、ウチの変態がお邪魔してスイマセン。ホラ、行きますよ変態先輩」

 「弁解くらいさせてっ!? ナチュラルにお名前で罵らないでっ!」

 「変態先輩のお名前は最初から変態変態(兵藤一誠)先輩じゃないですか、何を馬鹿なことを言ってるんですか変態」

 「先輩すら取れたっ!? 仕方ねぇんだって! 覗いて視たら洋モノなんだもんっ! 顔までは見れなかったけどさぁッ!」

 「死ねばいいのにこの変態」

 

 

 ば、バレなかったみたいです……。

 遠ざかってゆくお2人の気配に安堵、する間もなく。

 

 

 「ぁ!? ぁっ! ぁんっ! ふぁっ!?」

 

 

 そらくんの動きが、突き出す衝撃に、より一層激しく揺さぶられます。

 彼の剛穀な其れは膣壁を粘膜が削げるほどに擦り上げられ、子宮の入り口へと何度もキスをします。

 その衝撃が走るたびに、私は獣みたいに嬌声を上げます。

 最中に驚いたのは、突き上げられた勢いのままに、私の腰が浮き上がってしまった所為でした。

 

 

 「あっ! あっ! あっ! んぁあっ!」

 

 

 脚は既に地に付いておらず、私は落とされないように必死で木を両手で抱えて。

 視界はぼやけたように滲んで、時折昼間のように明るく染まります。

 かと思えば何も見えないくらいに暗くなったりと、目まぐるしく変容する様相の前に、私は光の中に置いて行かれているような錯覚に陥っていたのでした。

 その飛んでいるような感覚が、また私を快楽に浸らせる麻薬のように追い縋るのです。

 逃げられるはず等、考えることも出来ません。

 

 

 「んあ゛っ! あ゛あ゛っ! ん゛あ゛あ゛ぁっ!」

 

 

 パンパンパンパン、って私のお尻が彼の肌とぶつかる音が卑猥に響く中、彼の其れの変容も膣内は敏感に捉えます。

 膣中で膨らんでいるのが感じ取れます。

 何度も交わったからこそわかる、男性の本能が、私を孕ませようと準備も万端なカタチへ準えてゆくのです。

 

 

 「出じでぇっ!! な゛がに゛出じでぐだざぃぃっ!!」

 

 

 そして女の本能の求めるままに、絶頂に至りそうな相手を拒む真似なんて出来ません。

 喉が枯れるような声で叫んで、私はそらくんの射精を必死で要求していました。

 

 

 「あ゛ーーーーっ! ん゛あ゛ーーーーっ!!」

 

 

 ~~~~~~っ!!

 

 ――ドクッドクッ、って激しく注ぎ込まれる熱いモノに、雌として蕩けた声が本能で漏れます。

 子宮に直接、解けない熱を帯びたその粘液が伝う感触を、私は悦んで迎え入れました。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「あっあっあっあっ」

 

 

 コアラのように、昨夜もシタ格好になって、そらくんに正面から抱き着きながら腰を動かされます。

 これ、だいしゅきほーるどと言うそうなのですが、すごい密着する姿勢なのもそうですけど、深いところまで届くのですごく好きです。

 ゆっさゆっさ、って身体のぜんぶを預けるのがとても心地いいんです。

 

 

 「んうっ、やぁ、もっとぉ」

 

 

 その合間に挟まれる、口の中を舌が蛇みたいに蠢くキスも、私を離さない理由なのだと思います。

 身体じゅうが敏感にそらくんを求める性器になったみたいに、上も下も開いた穴は彼限定で全部全部任せてしまいます。

 そうしていると、次第にまた膣内で膨らむお肉の熱が、いっしょのタイミングで悦ぼう、って呼びかけてくるんです。

 

 

 「あっあっあっ、いくっいくぅ」

 

 

 どぷ、と子宮に収まり切らない精液が、私のお●んこから溢れ出てました。

 ああ、勿体無い……。

 

 ……あ、そういえば、ドラッグストアに寄るのを忘れてました。

 検査もまだですけど、私はどんな結果を求めているのでしょうか……。

 

 ぼんやりとそんなことを、彼と繋がったままおっぱいを舐められながら、私は自分の期待の天秤がどちらに傾いているのかを思い測るのでした。

 あんっ、噛んじゃヤですぅ……。

 

 

 




~お●んぽには負けないっ(キリッ
 感度良好アーシアちゃん
 どの角度から突き入れられても悦ぶ肉穴はマジで名器
 されるがままのまぐろでもガッツリ雌の貌で受け入れる様はとても敬虔な元シスターとは思えぬ始末
 んほぉぉぉ!そらくんちん●キモチイイのぉぉぉ!


~その時歴史は動いた
 電話越しに色々思っていた各自の心中↓
 イッセー「(珍しく怒られちゃったけど、毅然とした態度ってことはエロ展開じゃねーよな。多分)」
 小猫「(ファ●チキ食べたい)」
 そら「(ヤバい、全然治まんねぇ。反応も良いし、受け入れ態勢バッチリぽいし。…今日も中に出そう)」


~こうですかわかりますん
 ×××とか●●●とか直接表現は出来るだけ避けたいのだけど、中で動いている(性的な意味に非ず)のはキャラクターご本人らだし、彼ら彼女らの認識で表現しないと色々と足りない部分はどうしたって出てくる
 お蔭様で何処か幼稚な出来になった気がする
 決してアーシアに云わせたかったとか、そういう意図の下描いたわけじゃないんだからねっ



感想で父親に似てきたとか云われてこれにはそらも愕然
「に、似てねーしっ!糞親父は始末付けなかったけど、俺はキチンと解決する気充分だっつーの!」
金でか。ベクトル違うけど最低系なのは言うまでも無い
ちなみに作者はゲラ笑った


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「時には十字架が愛に力を与えるとか」

描写が判りづらい、とのご指摘を戴きましたが、この作品(小説とは言わない)は基本的に登場人物らの視点で進ませる予定です
登場人物が自分でも周囲の状況全てを把握できていると思ったら大間違いなので、その点ご留意をお願いします
描写が足りないというのならば妄想で補うのが一番の近道です
一応最低限は描く所存ですけれども、書けば書くほど逆に読み辛くなるのではという思惑もありますので、むしろ私は文章を削る方へと注意を傾けていますし
ぶっちゃけ、ゴミゴミと行数で稼ぐ小説よりは漫画の方が好きです。個人的に
しかし、よく訓練された読者=サン方が妄想力をフルスロットルで回転させれば…、ほーら見えてくるはずだ…、蕩けた表情で木に依り掛かり腰を突き出して喘ぐアーシアたんの前回の姿が…!
あ、日常回です


 

 

 「――あ。塔城、ちょっといいか?」

 

 

 開けて翌朝、しっかりとアルジェント先輩を送り届け、碌に眠ってない若干の睡眠不足であったがために、俺は登校と同時に机にて爆睡を敢行してしまっていた。

 気が付けば4限目で、これから昼飯ということで俄かに騒がしくなった教室内にて目が覚めたのだが、鞄から教科書の類も出していなかったことに今更ながら気づいて持ち物を漁っての冒頭の発言。

 忘れていた事実を、唐突に発見してしまったのである。

 

 

 「なんですか烏丸くん。ボッチである事実に今更ながら気づいてお昼を一緒に食べてくれる彼女が欲しくなったのですか?」

 「アルジェント先輩に渡して欲しいモノが、っておい何その言い草。誰がボッチだよボッチちゃうねん(震え声」

 「声震えてるじゃ――ちょっと待ってくださいなんでアーシア先輩なんですか其処はこんなに近くにいる可愛いクラスメイトでしょう謝罪と賠償を請求しますから今すぐに私になんらかのプレゼントをくださいなんなら交際宣言でも構いません」

 「句点読点入れろよ、声に抑揚つけろよ、息継ぎしろよ。そして関西弁はスルーか。相も変わらず俺のボケを全捨てしやがって」

 

 

 俺だって本当はツッコミキャラなんてやりたくなかったんだ!

 文字媒体にすれば実に読み辛い科白廻しを果たしてくれた塔城へと、俺の心の声が空しく響く。

 きっと、これも聞き届けてくれる人は、いないのだろう(諦観。

 

 

 「ボケキャラを主張しても烏丸くんを支持するツッコミはそうそういないと思いますけど」

 「辞めてよ悲しい現実突きつけるの……」

 「5限目は体育だそうです。組んでもらえる相手は果たしていらっしゃるのでしょうかね」

 「お前鬼か」

 「彼女です」

 

 

 違うよね?

 因幡ー!オレだー!助けに来てくれー!

 死体蹴り宜しく繰り出される塔城のワードラッシュに、親友と呼んで然るべき彼へと届かぬ救援を心の中心で絶叫していた。

 そんな俺の葛藤はどうでもいいらしく、泣き濡れた俺を放逐したままに質問の続きへと移る。

 

 

 「で、アーシア先輩に何を渡して欲しいんです?」

 「うん、ちょっと忘れ物をね……」

 「何故アーシア先輩の忘れ物を烏丸くんが……?」

 「昨日の晩に会った」

 

 

 嘘だけど。

 いや、会ったのは嘘ではないし送り届けもしたけど、正確には、忘れ物をしたのはその更に前日の初邂逅の時点。

 制服を脱いだ拍子に落としたのであろう、簡素なロザリオが部屋の隅に落ちていたのである。

 萌香ちゃんみたいなかぷっちゅガールもうちの下宿先には居ないと確認はとったし、何より俺の部屋に落ちていたのだから下手人もとい落とし主は1人しか思い当たらない。

 

 そんなわけで手に入れた銀細工の拙い十字架型ロザリオを、この2日消費したものの未だ衰えずに廻復する余った魔力を適度に廻し、洗礼と洗練と祝福と聖別とを施(高位高準利便性属性附加)したスーパーアミュレットへとジョグレス進化を遂げさせて、折角なのだからと持ち主へと色を付けて返還しようという心積もりとなった次第。

 べ、別に二晩続けて犯ったことに対する後ろ暗い気持ちがあるわけじゃねーしっ! 先輩が無防備が過ぎるから、悪意を持って接する相手には最大限の防犯設備を、って用意しただけなんだからっ! 勘違いしないでよねっ!

 そんな、元の世界でも程よく奇跡級または宝具扱い出来そうなレベル(になったことに自分でもやや驚き。この世界、ひょっとしてアストラルステージがネギま世界よりも下垂してる?)の一品を鞄から取り出して塔城の手へと渡そうと――、

 

 

 「――ニ゛ャッ!?」

 

 

 ――したところで飛び退かれた。

 盛大に他の生徒の机と椅子とクラスメイト本人らを巻き込んでの後方推進ジェット逃亡に唖然としつつ、――面白そうなのでそのまま追いかけてみた。

 

 

 「う゛に゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」

 「あははー、ほーら、待て待てー」

 「ちょっとぉ!? 烏丸くんすてい! なんかよくわかんないけど小猫ちゃんを煽らないでッ!?」

 

 

 クラスの女子(巻き込まれた娘)が床に伏せつつ絶叫する声を後ろ髪に、廊下への逃亡を果たす塔城をアルカイックスマイルで追い回す。

 決して死体蹴りされた恨みを晴らそうとしたわけでは。

 いつもと違う感覚が新鮮なので、ついつい昼休みをリアル鬼ごっこに費やしたのは偏に若気の至りであると数十分後に猛省。

 ちなみに逃げ回る塔城は何故かネコミミモードで、ああ、だから十字架が苦手なのかな? と妙に納得してしまうオレガイタ。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 放課後、木場に呼ばれていつもの通りにオカ部の部室がある旧校舎へと足を運ぶ。

 アーシアも一緒に来てくれはするけど、今日は朝から若干不機嫌だ。

 アレですか。先日に、知らぬうちにお仕事へと赴いていたアーシアさんの仕事内容を問い詰めたのが一番まずかったですか。

 それとも、今日はこっちが仕事に時間をかけすぎて朝帰ったら既に帰宅していたアーシアさんに、事細かく身の無事を問いかけたのがまずかったですか。

 ちょっとお父さん気分出ちゃったんです……。

 電話口じゃお客の事悪く言っちまったのもマイナス査定に響いているっぽーい……。

 

 

 「……イッセー君、アーシアさんにきちんと謝った方がいいよ?」

 「わかっているけどさぁ……、そもそも話したくない、って雰囲気させてる女子をなだめる経験なんて俺にあるわけねーだろ……」

 

 

 自覚しているけれど、言葉にすると尚更情けない事実確認にブルーな心も泣き濡れる。

 天国のレイナーレッ! お前がもう少し今時女子らしい態度で俺を籠絡すれば、もっと経験豊富な卒業ボーイになれていた筈なのにッ!

 死者に鞭打つ気は微塵も無いけど、愚痴をこぼすくらいはやっても構わないよな?

 ていうか、最近おっぱい成分が不足しがちで、悪女で悪役でも見惚れたおっぱいを想い起すくらいの事は止め処無く迸るわけで。何が?ってナニがだよ、青少年のリビドーだよ。

 アーシアが同居しているお蔭で女子分が足りない、とまでは云わない。そもそも、女の子と一つ屋根の下で、というシチュがあるだけで年頃の男子垂涎なのは間違いない。だが、お蔭で自家発電のタイミングが現状開店休業中というわけだ。

 ……自室でこっそり?

 出来るわけねーだろッ!? 自慢じゃないがうちの壁は薄いッ! 部屋数も少ないから、アーシアの部屋はすぐ隣だッ! 純粋で元修道女のアーシアに、聖母とか呼ばれていた天使クラスの美少女に、男の●●る様子を掠らせるとかお前らは何処の桐生だッ!!

 

 ――なんか今、変な電波が混じったような……。

 

 そうした葛藤の中、気づけば部室前へと辿り着いていた俺たち。

 部屋を開けようとした木場が何故か静止して、普段は崩さないイケメンスマイルを驚愕の表情へと変えていた。どした?

 

 

 「……っ、まさか、此処に来るまで気づかないなんて……っ」

 

 

 ……ん、心の(中学二年生)病か何か、かな?

 思わず言葉に言い表せない顔で佑斗のことを見遣ってしまう。

 声をかけるべきかどうか悩む間もなく、「失礼します」と、部屋の戸を開いた。

 

 ――其処にいたのは、銀髪のスタイルの良い美人なメイドさんであった。

 っていうか新しいおっぱいかッ! 新キャラかッ! よっしゃ来たこれで勝てるッ!

 

 

 「先輩は誰に勝つ気なのよ」

 「そりゃあ決まってんだろ、粒ぞろいの我が部に新投入されてるとなれば新たなハーレム要員なのは間違いないんだし、此処で一気にポイント稼いでランキング入りを目指し誰お前ッ!?」

 

 

 小猫ちゃんの隣で紅茶啜ってる、メイドさんとはまた違う見知らぬ男子に遅まきながらツッコミを入れた。

 ゲスぅい……。等と呟くソイツは、本当に見知らぬ奴だ。

 やや短め乱雑に刈ってある小猫ちゃんとはまた違う印象を受ける白い髪に、焼けたような浅黒い肌はどちらかと言えば褐色と呼べそうな程で、そのままチョリーッスとか云われても違和感が無いくらいにはヤンキーな見た目。

 う、うちの敷居は簡単には跨がせんぞぉっ!と警戒心が表立つのも仕方のないことだと思う。

 つうか、うち(駒王)の制服着ているけど校風に沿わないようなチンピラ具合じゃ我が校の生徒と思うには些かイメージに沿わないっす。むしろ近隣の仏滅高校とかから出張して来た他校生なんじゃね?

 

 

 「あれ、そらくんじゃないですか。どうしたんですか?」

 「ちょ、アーシアさんッ!?」

 

 

 小猫ちゃんの隣に居るだけでも許せないのに、アーシアが顔見知りっぽい様子で簡単に懐へとッ!?

 どういうことっすかアーシアさんっ!? すげぇ納得いきませんっ!

 近づいて行ったアーシアに対処するべくか、ソファから立ち上がって迎える「そらくん」と君付けで呼ばれた彼。

 身長はアーシアより高めで、多分俺よりも頭一つ分上だ。

 ……男は身長(タッパ)とちゃうねん……。

 

 

 「どもアルジェント先輩、忘れ物を届けに参りました」

 「その騒動で昼休みを犠牲にされた被害者です。先輩とのご関係を説明してください」

 「昨日会っただけ、って言っても聞かないんですよ、コイツ」

 「浮気の可能性は出足前に封じる所存です」

 

 

 ……え、なに、小猫ちゃんの彼氏かなんかなの……?

 

 気づけばリアス部長も紅茶を持った手が止まっており、驚愕の表情で2人をガン見していた。

 朱乃さんは部長程驚いた様子じゃないけど、あらあらまあまあと今にも口にしそうなくらいには口に手を当てて目を見開いていたし。

 隣の佑斗はというと、多分部長以上の驚きっぷりである。すげぇ目見開いてるし。

 

 

 「ぼ、僕が部屋に入るまで気づかなかった……!? 一体誰なんだ彼は……ッ!?」

 

 

 ――まだやってたのか、お前。

 

 そんな佑斗はさて置き、一先ずは自己紹介とかからして欲しいなぁ、っていう意図を含めて目線を向けて見る。

 相も変わらずチンピラ具合が表立つ彼は、呆れた顔で小猫ちゃんの頭をぐりぐりと撫でていた。

 や、やっぱ彼氏なのか……!? その気安すぎる態度……っ!?

 

 

 「クラスメイト相手に浮気とか、可笑しなこと言うなーお前」

 「ふにぁ……。……いい加減認めましょうよ、学園裏サイトでは公認ですよ、私たち」

 「……え、マジで?」

 

 

 顔を蕩けさせた小猫ちゃんがそいつの言葉で一瞬で真顔に戻り、その台詞内容に今度はそいつの表情が固まる。

 わ、わからん……、本気でどういうご関係なんだ……!?

 

 

 「小猫ちゃんと恋人、ではなかったのですか……?」

 「違います」「そうです」

 「……どっちですか?」

 

 「と、とりあえず、そっちの奴の言葉を信じるならクラスメイトってことだよな! この会話ヤメヤメ! ほら、部長も楽しそうにわくわくした顔見せないで、もっとやることあるでしょっ!」

 

 

 まだ疑問が残って居そうなアーシアを脇へ寄せて、あえて空気をぶち壊すように2人の間へと入る。

 小猫ちゃん侍らせといてアーシアまで懐へってハーレムかよぉ! 佑斗みたいなイケメンでもない癖にふざけんなよお前ぇ!

 

 

 「――ああ、自己紹介遅れました。塔城とはクラスメイトやってます、烏丸イソラです。そらくん、って呼んでね!」

 「兵藤一誠だ、イッセー『先輩』でいいぜ、烏丸……っ」

 

 「……何対抗心燃やしてるんですか」

 

 

 漢には譲れない時があるんですぅ!

 

 

 「木場佑斗だよ、よろしく烏丸くん」

 「どもども。そらくんで良いって言ってるのに、頑なだよねお宅ら」

 

 「おい今さらっと暴言吐いたぞコイツ! 先輩を敬わない奴は帰れ帰れ! かーえーれ! かーえーれ!」

 

 「得体の知れない相手には警戒心も抱くさ」

 「なるほど、納得」

 

 

 笑顔で握手しつつ、そんな会話を交わす2人。

 ……あれ、俺だけなんか場違いな思惑で踊らされてね?

 

 

 「イッセー、少し黙っていてもらえる?」

 「……はい、部長」

 

 

 気づいた時には笑顔のリアス部長に肩ポンされてた……。

 ……まるで道化だぜっ!

 

 

 「まあ得体の知れない俺は用事を片付けたらすぐに帰りますんで」

 「ごめんなさいね、何時もはこういうことをする子じゃ……なくもないけど、ほら、知らない子がいて警戒心が強いのよ」

 「犬みたいなパイセンっすね」

 

 

 誰が犬だよ噛みつくぞわんわんっ!

 

 

 「イッセー、ハウス」

 

 

 きゃいん……。

 

 

 「さ、て。で、忘れ物なんすけど……ぉ?」

 

 

 と、烏丸が自分の鞄を漁り始めたところで、何かに気づいたように部屋の別方向へと視線を傾ける。

 疑問に思って俺もそちらへと目を向ければ、床には輝く召喚の魔法陣が……っ!?

 

 

 「……フェニックスの紋章」

 

 

 ぽつりと、小猫ちゃんが呟くと同時に、部屋中に焔の嵐が巻き起こるっ!「熱っつ」

 それは烏丸も巻き込んだらしく、火が走るのと同時に、何かがその中心へと手放すように放り投げられる様が目に映った。

 ソレが何なのかは、俺には見測れなかった。

 次の瞬間には、召喚陣の中心には男性が立っていたからだ。

 

 

 「――ふぅ、人間界の空気は薄汚れているな。迎えに来たぞ、愛しのリアぐぁあああああああああ!?」

 

 

 妙に気障な態度で立っていたそいつが何かを喋る、が、最後の締めに至る前に胸を掻き毟って苦しみだしていた!?

 な、なんだ!? アイツに一体何が起こってるんだ!?

 

 

 「が、ぐ、げぇ、あひ――っ」

 

 

 ――ぱーん。

 

 ……と、熟れ過ぎた柘榴のように男の上半身が弾け飛ぶ。

 その残された下半身の上には、鈍く輝く十字架が燦然と……十字架ァ!?

 

 

 「…………落としたんですか、烏丸くん」

 

 

 ――アイツが持ち込んだのかよぉッ!?

 

 驚愕のままに烏丸へと、小猫ちゃんの呟きですべての視線が集中する。

 が、烏丸の視線は未だに吹っ飛んだ男性へと向いていた。

 ……何処か、冷めたような目が。

 

 

 「あ」

 

 

 そんな彼の漏れた声に、部屋中に飛び散っていた男性の肉片が焔へと変わり、下半身へと集まってゆくのを知覚する。

 さ、再生するのか……。

 良かった、この部室で人死にとか出なくて……。

 

 

 「――g、ぐ、が、ぁっ、くそっ、一体何が起こぎゃあああああああああああ!?」

 

 

 ――ぱーん。

 

 ………………………………どうやら再生の際に、十字架を巻き込んだままに果たしていたらしい。

 二度目の破裂がビデオ再生のように眼前で巻き起こり、どうしていいのかもわからない俺たち。

 再生。

 破裂。

 再生。

 破裂、と幾度となく、それはまるで壊れたおもちゃが『のたうつ』かのようにも覗えた。

 その残虐的な破裂と再生の無限ループは、男性が召喚陣から自発的に還ってゆくまで繰り返された。都合、十数回ほど。

 

 

 「い、一体誰がこんな惨たらしいことを……っ」

 

 

 まず間違いなくお前だよっ! お前の仕業だよぉっ!!!

 声を震わせる烏丸にそんなツッコミを入れた時、何故か輝くような目を向けられたのが一番怖かったです……。

 

 ――あ! そういえば烏丸との関係をまだアーシアから聞いてねぇ!

 

 

 





~萌香ちゃん
 ロザリオ、で思い出した某バンパイア娘
 名前の表記ミスが無いかな、と色々検索掛けたところ、公式サイトがバグっているのを発見。俺だけなのかな
 尚、ネタであってご登場はしていませぬ


~アストラルステージ
 烏丸の独自研究の果てに出来上がった造語
 神秘性の再現可能ランクを標記化した概念だが、実際この世界線では神や悪魔が受肉して存在しているので強ち間違った見解でもない
 十字架ロザリオをアーシアが持っていた、というのは作者の勝手な都合の展開
 祈らなければ大丈夫、っていう考え方で所持だけ、捨てきれませんでした、っていう感覚で持たせてました(烏丸の部屋“で”逝く手前までな)


~ネコミミモード
 動画で検索すると割とすぐに見つかる
 新房の銘が入っている頭の可笑しいとしか思えないとあるアニメのOP
 もう十年くらい前になるのに、未だに残っているんだよなぁ…


~おや?イッセーの様子が…
 『お前ら』の存在を感知したり、作品の評価を気にしたりと相も変わらずやりたい放題な俺が通りますよっと
 ネタですので真剣に考えないでくださいw
 そして既に木場に対する友好度が名前呼びに。その分『リアスが夜這いに』の画は通過出来てませんけどね(PCゲ風



エロ文無くてすんませんでしたァッ!!!


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☆「お酒は20歳になっても弱い人は控えろ」

ぶっちゃけ、エロよりも日常書いてるほうが楽しい


 凄いわ此れ。何此れ凄い。

 擬音にするならばふかたぷもにゅずむ、と肉感たっぷりな音のどれかが効果音に選択されるのか。

 ともかく、そんな感じの感触に顔中が包まれた。

 全身の力を抜いても支えてもらえる、というのは女子相手では中々無いもので……あ、2人くらい居たな。

 「あっ、はんっ、んっ、はぁんっ」

 経験上では一応の相手がいた、いわゆる『おっぱいまくら』と呼べるプレイに身を任せて、ぐりぐりずむずむと谷間に挟まって顔の横にてピンと勃つ尖端のぷっくらとしたさくらんぼを両方、指で摘まんで虐める豪華特典。

 その分下の方はおざなりになってしまうけど、むしろ『こういう時』は俺が愉しむのが第一な遊びだ。

 そっちはそっちで埋もれたままにて放置して、今はしっかりと反発力のある乳肉を思う様に味わせてもらうとしよう。

 低反発枕とか水風船とかではこの柔らかさは再現不可だと思われるね。

 掴むことで形を変えるのに、しっかりと元へ戻ろうとする弾力性と、手に吸い付くかのような柔肌のしっとり感は複合されて初めて快感を男へと思わせる『モノ』だ。

 おっぱいマウスパッドとか抱き枕とかじゃ微塵も足りない、男の欲望と生物としての本能は人の手では未だ追い付くことは無い理想の果て(イデア)の更に果てなのだと、改めて思い知らされる。

 え、心理描写とか分析とかマジでどうでもいいって? それより『埋もれた』何かが気になる?

 まあ俺ら2人とも全裸だし、正面から身体を重ね合っているんだし、答えは一つしかないでしょ。

 「あ、あなたぁっ、おっぱいばかり苛めないではぁんっ! し、したのほうもぉっ」

 聞かない。

 ずりずりと顔を埋めたまま、変形可能な乳肉を傾けて、おもちゃみたいにぐいっと伸ばして先っぽを口へと含む。

 無論、こちらも顔向きくらいは傾けるけども、こんな久々に上質な『お肉』を充分にも味わえずに『下だけ』で済ますのも失礼だと思うんだ(キリッ。

 「ひあんっ、ひゃぁっ、ぃやぁんっ、やめぇっ、やめてぇっ、らめぇっ」

 おっきいと不感症だとかいう話があった気もするけど、この人は乳首(ねぶ)るだけで凄い仰け反る。

 これで母乳とか出たらどんなんなってんだろーか、なんて、下世話な妄想が一層俺の情欲に拍車を掛けた。

 「んっんっんっ」

 「――んひぃぃぃっ!? 吸っちゃらめぇぇぇっ!」

 仕方ないんや! 俺母親の愛情受けてないから! せやから今日はこんなん止まらへんのや!

 なんちて。――ぷはぁ。

 「…………あ゛ーーー……っ、……駄目になる……。凄い、溶ける……」

 「はぁ、はぁ、はぁ……、ひ、ひとを此処までしておいて、その言い草はなんですか……」

 口を離して、しかし谷間に埋もれたままに、両腕で抱え込む様に下から抱き上げた両バストで、流行りとはまた違う乳袋を形成。

 その中に納まって眠る。これが一番リラクゼーション効果がすやぁ……。

 「……ん、私はまだ満足してませんよ……? ほら、起きてください、きちんと中に出してくれたら、キレイにしてあげますから……」

 ……うぉぉ、耳まで蕩ける……。

 このまま女体布団に埋もれたまま眠ってしまいたかったのも本音だが、女を食うというのはまた別の男としての本能でもある。

 微睡む身体をそのままに、顔を上げずに腰の『先』だけを中で動かしてみた。浸透剄の応用である(嘘。

 「んひぃんっ!?」

 お、すげぇ反応。

 「えっ、あっ、ちょっ、だめぇっ、そこだめぇっ!」

 言いながらも、彼女は俺を抱くように捕まえて離さない。

 お蔭で頭はがっちりホールドされちゃっているし、脚も搦められちゃって受け入れ態勢バッチリだしで、完全に言葉とは裏腹にっていういわゆる『嫌よ嫌よも好きのうち』っていう状態でおっぱい気持ちイイです。

 

 「あっあっあっあっあっあーっ! あ゛ーーッ! ん゛あ゛あ゛ぁ゛ーーーッッッ!!!」

 

 そんな拘束を弾くようにフィニッシュはしっかりと腰を使っての突貫殺法。

 手は背中へ回して抱き締め返し、種付けプレスも斯くやという勢いで腰を跳ね上げズンッズン動かす。

 子宮の入り口へ叩きつけ(ノックす)る感触と、彼女の悲鳴がリンクして、止め処ない射精感が神経総てに走り抜けるっ!

 「……ぁーー……っ、……はぁーー……っ、……ぁーー……っ」

 勢い良く飛び出た精子が彼女の『赤ちゃんルーム』へどっぷどぷ沈むのを、重なった腹から繋がった膣から己の身から、鎮まってゆく彼女の吐息に掻き消されることなく響くのを感じ取り、弛む体中へと充足感がゆっくり満たされてゆく。

 あぁ~、充実してるんじゃぁ~。等と、犯人(ち●ぽ)は供述しております。

 ……ところでおねショタ言う程の体格の差も無いわけだから、実際は土下座みたいな姿勢なんだけど此れ。結構腰にクるなぁ。

 いや、まったくそれにしても、

 

 

 ――凄いリアルな()だよな。

 

 

 うん、夢だよ夢。

 第一、今の俺の周りに此処まで甘えさせてくれるナイスバディな大人の女性なんていないもん。

 アパートの住人は大体呑んだくれだし、同居人は触れられはするけど悪戯好きな浮遊霊だし、俺の事を「あなた」等と呼ぶ女子は1人もいないし。

 そもそも俺も嫁さんとはこういうことは一切してないから、そういう希望が夢となって先走ったんだろう。きっとそうだ。

 「……ふふ、今日はいつもより気持ち良かったですよ……? まったく、いつの間にあんな攻め方を覚えたのやら……」

 夢の奥さんが蕩けるような声音のままに、愛おしそうに谷間に挟まる俺の頭を撫でる。

 ぅおおお……っ! あんな自分本位なSEXで随分持ち上げるなぁ……!

 男子垂涎過ぎるだろ、むしろサキュバスかなんかに取り憑かれてると云われても納得できる。

 ホント凄い、完全に男をダメにする、この夢。

 こういうタイプの女性に限って、普段はキチッと締めるとこ締めるキャリアウーマンタイプなんだろうなぁ、なんていう妄想まで飛び出しそう。

 むしろこういうリアルブートなんじゃねーの? とかって思いつつ、理想の嫁さんの貌はどうなのかなぁ、とふと気になった。

 手に張り付いて離さないきめ細やかなすべすべのお肌とたぷたぷもっちりな美巨乳の二重奏(コンボ)から、離すことを惜しみつつも顔を上げれば――、

 

 

 「…………………………か、からす、ま、くん……?」

 

 

 ――……PAD長と目が合った。

 あ、いや、PADじゃねーな生乳だな。

 ていうか、編み込みも解いているけどその銀髪はもしや………………グレイフィア、さん……?

 

 ――やべぇ、やっちまった。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「どうぞ、粗茶ですが」

 「あ、はい、どうも……」

 

 

 と、差し出されたのは彼女が持参した紅茶である。

 部室で淹れてもらった一杯は中々に鼻腔を擽るモノであったし、味覚音痴なれども期待は出来る。

 知覚と情動が直結してない所為なのか、舌で感激する覚え等終ぞ無い己であれども、だ。

 まあそれは良いとしても、……なんでこの人が直接俺の部屋へと赴いてくるわけ……?

 

 『惨劇の十字架事件(グランギニヨル・リベリオン)』が引き起こされたあの日の直後、流石に男の身体をぐっちゃぐちゃに引っ掻き回して体液とか染みとかがついたっぽいロザリオをそのまま返還するのは遣る瀬無くも思った俺は、しっかりと洗浄してから改めて先輩へと返すことを約束してオカ部を後とした。

 その際、出てきた男が何だったのか、とかは別に気にならなかったのだが、其処を取っ掛かりとしてこちらの正体を交換条件みたいに尋ねたがるグレモリー先輩とかがいらっしゃったので、改めて「別に?」と小首傾げてあざとらしく返してみれば、ありえないモノを見たかのような目で睥睨されてるオレガイタ。なんすか。

 こちとら興味も無いことに一々目くじら立てる程の暇も無い。

 オカ部はデリヘルやってるけしからん高校生で、出てきた男は客の一種かなんかでしょ。

 そう納得していることを改めて説明されても、ねぇ?

 まあ、悪意を以て近づいたモノへ問答無用で迎撃する十字架名付けて『惨 酷 王(KingAssiah)』の性能は期せずして証明できたことだし、今回の一件で需要と供給の天秤だけじゃ隣り合わせの危険を防げないことだけでも自覚して貰えたのなら幸いだ。

 もしもの時にいつでも誰かに助けてもらえる、なんていう能天気じゃ、『お仕事』やるには意識が低すぎるしな。

 それにしても俺今日は調子良いなw

 厨二マインドフルスロットルじゃねーかw

 名付け能力フル活用し過ぎて手痛いしっぺ返しが今から怖いわwww

 ところで俺、ロザリオに直接攻撃なんて附加したっけ?

 ロザリオから放たれる聖なる光が相手(暴漢)の心を浄化する、っていうのが本来のコンセプトの筈だったのだが。

 おかしいなぁ。

 

 しかし、其処を誰にも言わないという保証が無かったのが彼女らの不安を擽ったのか、はたまた新規の顧客ゲットをちゃぶ台返ししたのが気に食わなかったのか、後日にしっかりと説明をする、と約束されてしまい今に至る。

 其処でもう一度、最初の疑問に戻るのだが。

 

 

 「あーっと、グレイシアさん」

 「グレイフィアです」

 「失礼」

 

 

 かみまみた。

 最初に名前聞いた時に何処のポケモンか、と思ったのが裏目に出たっぽい。

 BW2だとストーリーある程度攻略しないとゲットできねぇんだよなぁ(反省してないっぽい)。

 

 

 「なんで貴女が来たんです? 塔城はあの日から学校休んでますし、オカ部も全体的に休業中みたいだし」

 「お嬢様と眷属の皆様方は一週間後に控えたとある催しの為の下準備に入ってしまったために暇も取れませんので、その代理として(わたくし)が来ました。日が空いてしまったのは、こちらとしても色々と情報が滞ってしまったための落ち度です。申し訳なく思います」

 「あ、いや別に責めるつもりはありませんから」

 

 

 つうか、眷属ってなんぞ?

 オカルト部だからそういう言い方ってこと?

 役になり切るのも大変じゃないっすかね。

 

 そしてこの人、見た目からしてまさかとは思ったがグレモリー先輩ん家のメイドなんか。

 今日は普通の格好というか、OLみたいなスカートスーツで来ているけど。

 すげぇ金持ちだとは噂になっていたが、実際部室にシャワールームを用意しても学園から何も言われない若しくは許可も捥ぎ取れるのだから、噂も的を得ていると見ていいのだろうなぁ。

 ただ問題は、

 

 

 「問題は、よりにもよって今日来なくても良かったんじゃないかな、ということで」

 「ああ……、其処までは私としても何とも……」

 

 

 お互いに、部屋の外の喧騒に気を向ける。

 アパートへと正面から入って来たからこそ彼女も知っていると思われるが、どんちゃんと酒盛り&バカ騒ぎが一歩入ってすぐに響く魔宴の屋敷と化している。

 そしてこの酒盛り、大家さんが趣味で徴収している家賃で酒代が賄われており、その酒代の中には既に払ってしまった俺の家賃まで含まれていたりする。

 ぶっちゃけ、早く参加したい。

 

 つうか大家さん、普段の大らかな態度は何処へ逝ったのと云わんばかりに爆走してきたわけだが、よくよく事情を聴いてみると普段の大家さんでは無く、家賃の取り立てを趣味にしているのは“先代の”大家さんとのこと。

 親子二代で甲冑着てたら見分けつかんわ。

 現在中学生の娘さんも、その内着たりするのだろうか。

 

 

 「まあ、来てしまったものは仕方ないとして、どうしましょうか?」

 「どう、とは?」

 「え、いやだって、」

 

 

 説明と云われても、こちらから問いたいことは特にないので来られても困るというか。

 言葉にしようとして悩む。これ、対面のこの人に言っちゃダメな言葉だわ。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 改めて対面して、正直どういう対処を取ればいいのか、言葉にするならば困惑という感情が近しいのでしょうか。

 彼の存在を初めて知ったときは、あの部室へ小猫が連れてきた時が最初でした。

 対峙して初めて知るその存在に、圧倒されてしまったのは言うまでもありません。

 

 部屋に入るまでは、いえ、対峙してからも一切の知覚情報を知らせないというのに、その魔力量は上級悪魔を軽く凌駕するほど。

 その魔力の一切を、総て己の身の内に封じ込めている、イメージとして見るならば『破裂寸前まで静かに膨れ上がった風船』でしょうか。

 それが目前に来るまでは、誰の目にも気づけないほどの爆弾。

 そんな恐ろしいとしか言い表せない本能的な恐怖を煽る存在が、平然と紅茶を飲んでいるのです。

 恐らくですが、この恐怖をはっきりと知覚できたのはあの部室の中では私のみなのでしょう。

 常道的な部分では佑斗もまた得体の知れなさを感じ取ったようですが、それは氷山の一角に過ぎないと、しっかりと注意を促すべきだったのかもしれないと、今更ながらに震え上がります。

 お嬢様より話を聞いていた新しい兵士(ポーン)の赤龍帝の子なんかは何一つとして知覚出来ていなかった様子でしたし。

 歴代の神滅具(ロンギヌス)所有者の中でも、彼はひょっとしたら最弱且つ最愚なのでは? と純粋に不安を煽らせられました。

 

 そしてそんな存在が、神器に匹敵するほどの聖具を、軽々とひけらかしていたのです。

 下手をすればあの部屋の全員、私を含めて総て塵一つ残さずに消滅させられるであろう程の殺傷力と神秘性を秘めた、かつての“折れる前の聖剣”すらも超えられそうな逸品を、です。

 エクソシストとして教会より秘密裏に派遣されてきた暗殺者なのではないかと、あくまで秘密裏に情報を精査したのは仕方がないことだと思われます。

 

 結果は白。

 何処の勢力が送り込んだものでもなければ、協会に登録されている魔法使いの一角でもない、つまり、完全にフリーの個人である、と結論が出ました。

 だからといって、その危険性が薄れたというわけでは決してないのですが。

 

 

 問題は、その個人を相手にどういう対処をするのが正解なのかということです。

 魔王様に報告するのも考えましたが、お人好しの魔王様の事ですから、あんな得体の知れない存在でも容易く懐へ、下手したら眷属に引き入れようとまで企むやもしれません。

 私としては彼の手綱を完全に掌握できるとは、……とてもではありませんが想像が及びません。

 その果てにはぐれ悪魔にでもなられた暁には、リゼヴィムに匹敵するほどの大敵を自分たちで作ってしまう羽目になるのかもしれないのです。

 よって、報告は慎重に。

 不敬? いいえ、これは魔王様をよく知るが故の決断です。

 王の為に国があるのではなく、民の為にこそ国がある。だからこその判断、これは間違ったことでは御座いません。

 

 では、放置する?

 そうすれば、我々とは別の一派が彼を取り込もうと画策するでしょう。

 堕天使や天使では飽き足らず、他の神話群も関わろうとする可能性だってあります。

 その時に訪れるパワーバランスの崩壊は、間違いなく真っ先に『一番弱い』悪魔社会から潰すのでしょう。

 これも選択から外れますね。

 

 では、ひっそりと処理する?

 一番在り得ません。

 というか、出来るわけがないのです。

 仮に消すとしても、その犠牲として真っ先に義妹が、お嬢様とその眷属が巻き込まれるでしょう。

 彼個人が砂漠を悠々と歩いて居るならば別ですが、まず間違いなく、数が多いこちらの被害が一番大きな殲滅戦となります。

 1人を殺すのに群を動かす、それは道理的とは到底言えません。

 その果てに疲弊しきって、悪魔社会が息絶える等というのであれば、それは最悪の決断となるのでしょう。

 

 要するに、何と於いても距離を置いて、現状一番距離の近しいのであろう小猫に籠絡させる。

 それが不可能であっても、お嬢様の一派またはソーナ様の一派との融和を優先させる。

 これが一番の選択でしょうね。

 存在が強大でも、一応は人間(……人間ですよね?)である彼ならば、友愛の心もきっとあるはず。

 心理的に近しい者のサポートか、最低でもこちらの事情を慮ってもらえる友人関係を構築してもらう。

 長くなりましたが、本日彼の家にまで赴いた理由は此れです。

 

 ――まさかこんな環境下で生活しているとは思っても見ませんでしたが。

 落ち着いて対峙するには、少々騒がしすぎる生活環境ですね。

 しかし彼は平然としているのだからひょっとして、此れが日常なのでしょうか。

 

 

 さて、ではどうしましょうか。

 こちらの社会を改めて紹介する、にしても、先ずは彼の興味の矛先が向かないことには意味の無い応酬です。

 先ほども思い描いた通り、融和と友好を優先させる為には『押し売り』のように主張するのは悪手でもあります。

 信頼関係を結ぶには、まずは対等な立場にある、という前提条件を構築しなくては。

 さもなくば一決すらもままならぬ、不平等条約を準備していると不興を招く羽目になる恐れも生んでしまうのですから。

 

 個人としては、たとえ得体が知れなくとも彼本人への悪印象などは抱いておりません。

 本来ならば先日説明するはずであった『フェニックス家との縁談とそれを賭けたレーティングゲームの開催』をお嬢様とその眷属へ伝達するのみであったはずなのに、其処へと先走って乗り込んできたフェニックス家の3男が悪いのです。

 彼本人が神器級聖具を放ってしまったのは見ていましたが事故ですし、早くに逆召喚を済ませて冥界へと還っていればいいものを、無駄に意地を張って何度も死に返った3男の間が悪いとしか言いようがありません。

 救助? 触れたら自分に被害が及ぶようなモノに関わる気は御座いません。

 何より、3男様は本来あの場に居ない筈の人物ですから、私の公務の対象外でもありましたし。

 まあ、私事だとしても手を出すのは御免蒙りましたけれども。

 

 気に入らない上級貴族の3男坊を偶然の事故で人間界恐怖症一歩手前の心的外傷(トラウマ)を植え付けた話はさて置き、問題そのものはまだ片付いていません。

 お嬢様がゲームに負ければそのまま輿入れする、という不平等なルールを敷かれたフェニックス家との確約は、あの3男坊の思惑次第ではその眷属すらも冥界へと引き連れてゆく可能性まで内包しているのです。

 そうなったとしたら彼との融和と籠絡はソーナ様へそのまま鉢を回すこととなるのでしょうが、その結実を私が見届けられないというのは不安を拭うには二手も三手も足りません。妹の行く末をどう変貌させるかも見通せない話を、そのままソーナ様の姉君であるセラフォルー様へは到底回せないことですし。

 かと言って、お嬢様が学園へ来なくなったというのに私が顔を出すのも極まりの悪い話ですし。

 ……いっそ、彼を今回のレーティングゲームに引き入れて、勝利を目指してもらう、というのも考えかけましたが……。

 当然、それでは私が秘密裏に動いている意味が無くなります。

 

 ああ、面倒臭くなってきましたね……。

 何か全てを吹き飛ばせるような、そんな案でも見つかれば――。

 

 

 ――と、そこまで思考が傾いたその時でした。

 一升瓶を片手に持ったアパートの住人らしき集団が、ご機嫌な笑顔で彼の部屋へと赴いて来たのは――。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 互いに何を話せば良いのか見通せなくなったであろうタイミングで、店子の面々が酒を抱えて宴の河岸(かし)を俺の部屋へと変えたのは、恐らくは同居人の美少女幽霊にでも見張らせていたのであろうか。

 此処の住人は気は良いのだが、酒盛りには素面を許さないという、一種悪癖染みた原則を抱えている。

 俺を含めて住人全員呑めることだし(まあ大家の大矢一家は別としてだが)、近隣住民でも近寄らなければ問題ない、と古くからの慣わしみたいな慣習が周辺には回覧板よろしく行き渡っているので、一応の問題は無い。

 話が詰まったことで場の緊張感でも解きほぐそうとしたのか、まずは一献、と全員へと盃を巡らせたのも問題では無かった。

 グレイフィアさんも場の雰囲気を悪くするのを避けたかったのか、きっちりと其れに参加する流れとなったのも、悪くはないのであろう。

 

 ――問題は、彼女の酒への耐性がこの場で誰よりも弱かったことで。

 

 いちばんぐれいふぃあうたいまぁす、と一升瓶片手にPerf●meをたどたどしく歌い出した時には、既に手遅れだと実感できた。

 流れるように動くのだが、流石にタイトスカートにスーツは窮屈だったらしく、ダンスに合わせて一枚づつ脱いでゆくのはもう何処のストリップなのかと。

 あれーおかしいなー、まだ御猪口に一口程度しか呑んでないよねー?

 男女入り乱れた飲み会であるからこそ、下手な色気を醸すのはご法度とするのが住人らの認識なのか。

 脱衣シンギングが一幕終わったと同時に、住人らは再び河岸を変えようと部屋を脱出していた。

 要するに、置いて行かれたのである。

 俺は場を盛り下げない様にと口笛拭いて拍手喝采までやったのにぃ!?

 酒に弱いのに呑むのを止めない彼女を留められるはずも無く、というか俺の部屋だし逃げ場がないし、廊下へと移った喧騒を肴に差しで飲み交わす男と女。

 酔っぱらった彼女からの本音なのか、俺にもっと塔城とかグレモリー先輩とかと仲良くなって欲しいだの、しかし妹が結婚するのは止められそうにないだの、俺に手を出してもらえるのであればそれが一番簡単だのと、まあちぐはぐながらも先輩と家との確執?みたいなものは理解は出来た。

 その際に薄着且つスカート脱いでシャツも肌蹴たグレイフィアさんにしな垂れかかられてドキドキしたり、沫やゲロイン昇格一歩手前で洗面台への誘導とこれ以上の飲酒の阻止、というオプションまで引っ付いて来たのは余計でしかなかったが。

 

 

 ――其処まで思い出して、何故冒頭の情事へと傾いたのかを思い出せない。

 

 

 俺も呑んでいたけどさ、泥酔とまでは逝ってなかったはずだよね?

 なんで一緒のベッドで身体を重ね合って寝ていたわけ?

 アルジェント先輩ついこの間喰ったじゃん。

 情動は解消されたはずじゃん。

 ありえないよ(マイミーターン)

 

 きっとこれは公明な罠、というところまで連想して――、

 未だ重なったままの彼女が、恥ずかしそうに身を捩るのを眼前に捉える。

 

 

 「あ、あの……、とりあえず、まずは離れません、かぁっ!?」

 

 

 ………………スンマセン、一番ありえなかったの俺ですわ。

 酒ッ、呑まされたのが運の尽き!

 まあ要するに、アルコールで元気になった血の流れがぐんぐんと一部に集まってきているわけで。

 現状の様相、つまりはグレイフィアさんの曝け出された恐らくは90オーバーきっと四捨五入すれば100に届くであろう巨乳と呼ぶのも憚られるレベルのふたつの膨らみと、むっちりすべすべな太腿を己の脚で抱えている絡みついた互いの下半身の感触と、うねる内側にきゅうきゅう締め付けられる震えて脈打つ膣壁の狭さ、極めつけは未だ目元が蕩けている薄化粧で隠し切れない火照った貌。

 それら総てに集束したのが、今の俺の息子の有様。

 きっとこれも世界線の集束が関係しているにちまいない。

 運命石の扉の選択は、目の前のイイ女を喰いたいッと絶叫しておりますわ。

 

 

 「か、からすまくんっ、いまっ、うごいちゃっ、だめぇっ」

 

 

 艶の乗った嬌声が彼女の口腔から漏れるものの、それが悲鳴になってないのなら問題は無いよね。

 そもそも、この人はグレモリー先輩の家のメイドだし、此処で中途半端に逃がしたりしたら先輩経由で塔城にまで情事がもとい事情が届く恐れがあり。

 ……此処は口封じしかない。丁度、下の口は塞いでいることだし、上も序でに塞いでもらおう。

 目指せ快楽堕ちエンドだー! ヒャッハー!

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 次回へ続くと思った?

 残念!キングクリムゾンは俺のスタンドじゃないんだっ(浜辺で男子を誘う女子っぽい口調で)。

 ――と、いうわけで場面転換してのエロシーン突入です。

 心の準備は良いかヤロー共。俺は既にギンギンだ。

 「んひぃんっ!?」

 繋がったままの接合部をぐぃと動かし、角度を変えてしっかりと奥まで行き届くように彼女の体勢を変える。

 具体的に言うならば、片脚を開くようにまっすぐに抱き上げて、彼女を横向きに寝かせると同時に繋がった部分をズンッと押し込む。

 「んぁっ! ぁっ! ぁっ! ぁあっ!」

 魅力的な乳からは手放さなざるを得なくなってしまったが、その分太ももの程よくむっちりとした質感を身体で味わえるのは悪くない。

 特に腹へと当たる内腿の柔こさが、突き上げるたびにぴたぴたと響くのが気持ちいい。

 肌と肌がぶつかり合う熱気に燃えるのは、人としての本能的な部分を刺激する最上級のコミュニケーションではないかと思うんだ。

 「んひぃっ、やぁっ、まっへぇ、とまっへぇっ、らめぇっ」

 声音には艶が乗り始めており、言い分とは裏腹に快感に抗えていないのがはっきりとわかる。

 というかですね、突くたびにきゅうっきゅうに締め付けて来ておいて、止めても何もなくねぇ?

 グレイフィアさんマジ名器。

 絞り具合がきっつきつで、こっちとしても休憩挟まなくちゃ責め続けるのも難しいかねぇ。

 試しに、突くのを一回止めると、息を荒げたままに顔を赤くしたグレイフィアさんが、やや弱々しげにキッと視線を向けてきた。

 「……っ、い、今やめるなら許してあげます。お酒を飲んでいたことで箍が外れた、ということにしておきます。怒らないから、すぐに抜きなさぃひぃんっ!?」

 動かすと、反応良すぎて、草不可避(ハイク風。

 睨んでいるつもりなのかもしれないが、全裸で、しかもSEXしたままで説教とか説得力の欠片も覗えない。

 それでも抵抗しようとするのは、恐らく人妻だからだと思われる。

 さっき、“あなた”とかって口走っていたし、彼女自身も誰かと間違えたとか、そういう食い違いが今回の原因なんじゃないかなと密かに分析する。

 ……このプロポーションで人妻とか、旦那さん勝ち組過ぎるだろ。

 「ゃめっ、やめなさいっ、それいじょうっシテもっ、感じないっんっ、ですからぁっ」

 「……本当にぃ?」

 横に倒れ寝ている彼女へ覆い被さる体勢へと雪崩れ込み、顔を寄せて、囁くように尋ねていた。

 ――休憩とは何だったのか(呆れ。

 必死で身を捩り、彼女の空いている手が逃げ場を探し、ベッドの上のシーツ類を皺くちゃになるまで握り締める。

 言葉では否定の意を唱えている彼女だが、目元の蕩け具合からして感じまくっていることは確実。

 それを俺が把握していることはグレイフィアさんにも伝わっているようで、俺の視線から逃れるようにぎゅっと目を瞑ったのが妙に可愛らしく思えた。

 「ひゃめっ、ゃぁっ、らめぇっ、らめなのぉっ!」

 そもそも、さっきいつもより気持ちいいって口走っていたよね?

 ログを遡れば逃げ場なんてない。

 はっきりわかんだけどね。

 

 「――んぎぃっ! んぁぁっ! いぐぅっ、ぃぐぅっっっ!!」

 

 ほらねー。

 っていうか、やっぱ感度イイよねこの人。

 旦那さん羨ましいわー、こんな若くて美人で名器な奥さん娶れた旦那さんにマジで嫉妬だわー。

 「……ぁ、はっ……はっ……ぁは……」

 都合二度目の絶頂に至った彼女の呼吸が整うのを被さったままで待機して、同時に自身のスタミナの回復にも気を回す。

 もし今サーモグラフィで覗いたなら、丁度丹田の下の当たりに熱が溜まって真っ赤に見えるだろうぜ。

 ――腹上死マッタナシっ!

 「ひゃぁっ!?」

 ていうか無理だ。

 回復とか考えられずに、そのまま第3ラウンド突入したくなるくらい奥さんが可愛すぎる。

 まさにマッタナシ。

 脚を捕まえて再び姿勢を元へと戻す。

 開脚する要領で、ぐりぐりぐりっと繋がったままで彼女の身体を90度回す。

 逃げられると困るので嵌めたままですけど、正直もう逃げる気力も残ってないんじゃないかなと思うのですよ。

 「ぁー……っ、ぁー……っ!」

 回したことで刺激が互いに響くのも当然なのだけど、其れが余韻に浸って力の抜けていたグレイフィアさんの目に、別種の色を移している。

 喩えるなら、好気。

 以前に公園でシタ時、アルジェント先輩の視線に最後の方には宿っていた、もっとして欲しいと訴える情欲を宿したような目。

 より判り易く言うなら、おち●ぽ欲しがって已まない雌の顔つき。

 ……亜子とか、徹頭徹尾こんな顔していたな。そういえば……。

 「は……っ、は……っ、は……ん……」

 ……うわぁ、膣中(なか)がきゅんきゅん締め付けてくるぅ……。

 呼吸を整えているグレイフィアさんが、目の中にハートでも出来てるの?ってくらい輝かせて、期待した目で正面と相対した俺を見上げてる。

 ほんの数秒前まで言葉では嫌がっていたはずなのに、下の口は正直というか、むしろ身体が正直というか。

 正面から向き合ったことで向きを変えたことで、改めて彼女の手はシーツから外されており、皺くちゃになったそれらへと放り投げられるようにして大の字になっていた彼女の両腕は、俺を押し退けるどころか『期待』を抱くように胸を持ち上げる形へと組まれている。こう、肉が横へと垂れないように、喩えるならば皿の上に並んだ特大のプリンみたいに。あんなに張りがあったのに、それでもプルプルと震えているのは、もはや凶器としか言いようがない。並の若奥様じゃ中々出来っこない仕草だよ。さすおにならぬ、さすおくっ!てやつかな。

 ……結局堕ちてんじゃねーかよ。それでいいのかよ奥さぁん。

 「……それで、止めて欲しいんでしたっけ?」

 「……………………ぇ?」

 声に成り切らないが、はっきりと判る困惑を孕んだ音が彼女の口から洩れる。

 締め付けている下の口からは力が抜けて、若干緩くなったようにも感じる。

 其処をゆっくりと腰を引きながら、囁く口調を止めずに問いかけた。

 「充分気持ち良くなったみたいですし、俺は割と満足ですよ? こんな美人の乱れる姿を特等席で眺めさせてもらったんだし、これ以上とか望んだりしたらバチが当たっちゃうかも。つーわけで、今日は此れで仕舞としましょうかね」

 駆け引きは大事だ。

 一発目は酔いも抜けていなかったし(今も完全に醒めているとは言い難いけど)、現実味を帯びなかったのだからまだ言い訳はできる。

 だが、此処でアルジェント先輩のときみたいに率先して堕とそうというものならば、まだ見ぬ旦那さんに申し訳が立たない。

 ナニイッテンダコイツ、みたいな目で見ていることだと思うけど、俺だって此処で本気で嫌がられたら止めますよっ!

 惜しみつつも辞めて見せますよッ!!

 不倫や浮気は犯罪と違うけど、無理矢理犯ったら完全にレイプ(強姦)じゃねーですか。

 無理矢理はダメ、絶対ダメ。胸糞禁止ッ!

 ……え? 兵藤先輩? ……同居していて手を出さない方がヘタレなんじゃねーの?

 「…………す、」

 「……はい?」

 色々と言い訳みたいな回想を瞬間的にしていると、奥さんの言葉を聞きのがしていた。

 もう一回、みたいな意味合いで尋ね返すと、――腰に彼女の脚が絡みつき、引き抜こうという俺の腰を捕まえて離さなくなる。

 ……えーと、要するに、

 「おぅっ」

 「…………ま、まだ、ダメ、です……」

 ………………顔を真っ赤にしつつ、そう宣言する奥様が拠所無く可愛いです。

 そして解いた腕を俺の肩に届かせて、そのままぐいっと抱き寄せたグレイフィアさんに圧し掛かり、――圧し掛かるというか、完全に正常位の受け入れ態勢、いやさ、だいしゅきホールド?

 あー、これ逃げ場がねーわー、仕方ないわー。

 「……んじゃあ、遠慮なく」

 「ぁっ、あっ、あんっ、はぁっ、いいっそこっそこぉっ」

 彼女の潤滑油でぐしょぐしょの膣穴を、(うず)もったままの肉棒でぐいぐい押し上げる。

 押し上げるというか、個人的には出したり入れたりと勢いつけたいのだけど、脚で腰を絡まれていたらやっぱりそう出来ないわけで。

 ほら、冒頭のエロシーンみたいな感じ?

 汁音なんだか肉音なんだか肌音なんだか、むしろギシギシ云うベッドのスプリングも併さっているから複合音?

 それが部屋中に響くのに併さって、悦ぶグレイフィアさんの嬌声が叫ぶ程でなくとも大きく響く。

 まだ表の酒盛りの方が騒がしいからいいけど此れ、外にも漏れていたら羽衣ちゃんの情操教育にも悪いよなぁ。

 近いうちに引っ越しも視野に入れておくべきかもしれない。

 「からすまくぅん、んぅーっ」

 「ぇ……、んー」

 ちゅぷぬちゅぐちゅちゅちゅうちゅちゅうぅ、と逃れられない奥様の舌技が口内へと侵入してくるのでお返しみたいに搦めて蠢く。

 吸い合いにもなっていたけど、多分余計なことに気を向けるな、っていう彼女なりの甘え方なのかもしれん。

 つーかそこまでやったら収まり付かないんですけど。

 いいんですか?

 いいんですよね?

 ……舌を搦めながら上昇するやる気ゲージに促されるように、自身の身を捩って絡まされている彼女の腕を解し取り、正面から恋人繋ぎに絡め直してベッドへと押し付ける。

 「~~っぷぁ、じゃ、ちょっと本気出しますね」

 「ぁっ! んぁっっ!」

 上体をわずかに起こし、押し付け合っていた互いの胸、というかグレイフィアさんの潰れた乳肉の感触を惜しみつつ。

 絡まったままの脚を気にせずに、腰を打ち付ける勢いを増す。

 「ひっあっあぁっんっひゃぁんっ!」

 水音みたいな濁音より、パンパンとした肌がぶつかる音が大きくなり、そのたびに揺さぶられる彼女の身体が振動に合わせて上下する。

 そのリズムに合わせて、アルジェント先輩とは比較にならないレベルの彼女の乳肉が、これでもかと縦横無尽に暴れまわっていた!

 ……うわー、久しぶりに見た、おっぱいダンス。

 でもこれあんまりやり過ぎるとクーパー靭帯千切れて無残になるからなー。

 視覚的には最高なんだけど、垂れさせるのも忍びねぇし。

 ……回復手段あったとはいえ、そこで構わんよとか云えるゆーなのあの漢らしさは一体なんだったのか……。

 「んひぃっ! ひあっ! あーっ! あーっ! あーっ!」

 余計な事へ思考を逸らしている合間に、グレイフィアさんは仰け反るような姿勢へと変わってゆき、大きく口を開けて悲鳴になりかけた嬌声だけが咆哮のように、真っ赤になった貌から解き放たれた。

 そろそろ俺も逝きたいし、スパート懸けますかっ!

 「何処に欲しいっ? 言ってみてくださいよっ!」

 腰を打ち付けながら尋ねるので声音に抑揚と勢いが付くが、そういう間の抜けたリズムにツッコミを入れる余裕は無いらしい。

 「あーっ! あーっ! んん゛ぁっ! ~っ~っ! なかぁっ! なかにっ! ほしいのぉっ!」

 「りょうーかいっ!」

 それでも要求を止める気は無かったのか、身体が今求める快感を必死で声にしようと唸るグレイフィアさんがリズムの合間に言葉へ換えて、それに俺は一際大きく、深く奥へと、突き入れる勢いを留めなかった。

 叩きつけるような勢いになってゆく腰の動きに、容赦の二文字は無残に散りばむ。

 視覚では乳のダイナミックな動きに血気が迸り、触覚ではぐしょぐしょに濡れた内側が吸い付くように締め付けて。

 子宮の入り口に何度もノックが届きとうとう、――俺の中の臨界点を突破した。

 

 「あ、――ぁあ゛っ゛! あ゛ーっ! あ゛っ゛! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっ!!!」

 

 ――ビュルビュルどぷどぷどぷっっ!!

 と、本当につい最近解放したばかりとは思えない量の精液が、自分の腹から迸った感触を味わう。

 ぅおお……っ! と声にならない射精感が背筋をぞくぞくっと駆け上り、特濃の白濁液を恍惚と受け止めるグレイフィアさんを見下ろして、これ以上ないくらいの快感が同時に鬩ぎ湧き、もう、なんか言葉にならない……っ!

 冒頭でも言ったけど、此れホント駄目だ、男をダメにするよグレイフィアさんとのSEXはっ!

 「ぁー……っ、出たぁ……」

 「ぁー…………っ、はっ、はぁ……はぁ……っ」

 まるで男を食うかのような、アルジェント先輩とはまた違う、成熟されたが故の女体の素晴らしさよ……。

 それなのに若妻であるというのは色々と矛盾だが、個人的には熟女趣味は無い筈ですのでむしろそれが良かったです。

 

 さて。

 初めてSEXしたときみたいに貪って堪能して食い散らかして、言葉に出来ないほどの絶頂を果たした俺は、ようやく彼女から自身を抜き取りそのまま彼女の胸へと柔らかく(二重表現)ダイブ。

 実際柔らかくて逃げ場が無くなるおっぱい枕に顔を埋めつつ、この始末をどうつけるかなぁ、と近い未来に頭を悩ませるのであった。

 どっとはらい。

 

 

 




~烏丸くんにツッコみたかったり質問したかったり~

~母親の愛情
 自虐ネタやめーや


~PAD長への熱い風評被害
 いわゆる一つの十六夜咲夜
 PADじゃねーです生乳です、が最初に出たのは、もう何年前になるのだろうか


残酷王(KingAssiah)という危険物
 ネーミングは『惨劇の十字架事件』共々にその場のノリ
 性能そのものは活動位階(アッシャー)の名そのままに充填された光&聖属性の魔力を解き放つ
 人間には無害だが悪魔には完全にoverkillな一品
 ――おかしいなぁ、で済ますな!キッチリ作り直せ!


~亜子とか、ゆーなとか
 その辺もう少し詳しく教えてもらえませんかね



エロシーン渇望しているのは読者だけじゃないんだよッ(逆切れ


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「フフフーン 燃やせー フフフーフン 起こせェッ☆」

前回グレイフィアさんがあんな目に遭ったのは決して作者が暴走したからでは御座いません
それもこれも、全ては原作者の石踏先生が彼女に『酒に弱い』『酔うと意外とお茶目』なる属性を附加した所為です
責任の所在と追及は其処にあります
なので、こんな一端のオリ主に早々に寝取られてしまったのも作者が悪いとか、そのようなことあろうはずがございませんっ
グレイフィアファンの皆様ならば烏丸くんを責めるようなことをする方はいらっしゃらないと、こちらとしても切に願っております
なので、苦言苦情などはゲフン賛美の言葉はすべて石踏先生へと
よくやってくれました石踏先生!
よっ、あんたが大将!
難いね第一級戦犯っ!
ハーイルイシブーミー!
日常回です


 

 

 「………………何事ですかこれは」

 「あれー? 塔城? どした、こんなところで」

 

 

 オカルト研究部員合同合宿という名の修行を終え、レーティングゲーム開始まであと一日という猶予を貰った私・塔城小猫。

 勝てるとは到底思えない彼我の実力差をよく理解できる身としては、怒らせちゃったっぽいフェニックスの3男坊の言い分だと、眷属も併せて愛人として納めてやるとか云われているから、人間界も此れで見納めなのかもしれない。

 そんな思考の末、決意の元に烏丸くんのお家を探して隣町までやってきたのだけど……、

 

 

 「……隕石でも落ちたんですか?」

 

 

 眼前に広がるのは徹底的に“ひしゃげた”、壊滅したアパートの残骸。

 そして、其処の瓦礫拾いを率先している彼の姿だった。

 

 

 「んや、ちょっと地球の自転に置いてかれただけらしい」

 

 

 わけがわからない。

 

 

 「そんなことよりどした、えーと、九日ぶり?」

 

 

 そんなことで済ませていいのだろうか。

 察するに、此処は彼の住居で、今日から寝泊りとかどうするつもりなのだろうか。

 色々言いたかったが、口下手且つ恥ずかしがり屋であると自覚している私は、とりあえず自分の要件を優先することとした。

 何より、私の決意はこんなことで折れて良いわけがないのだから。

 

 

 「はい、久しぶりです。烏丸くん、お願いがあって来たのですけど」

 「……お願い?」

 

 

 何故か随分と顔を顰められる。

 あれ? 私って其処まで嫌われていた?

 

 

 「あ゛ー……。……まあ、仕方ねぇか。叶えられる範囲でな」

 

 

 色々と葛藤がありそうな決断で、何処か仕方なさそうに可不可の境界線を釘差すように張られる。

 負けない。

 

 

 「ありがとうございます。烏丸くん、私の処女を奪ってくれませんか?」

 「落ち着け」

 

 

 頷くでもなく、先ず否定から入る返事とは……。

 いや、一言でも尋ね返しでも聞き間違いでも言質を取れてれば済し崩しに逆レ●プするつもり満載だったのだし、むしろ的確な対応力と褒めそやすべきかもしれない。

 しかし、相も変わらずこちらの出足を封じてくる人だ。

 これが、以心伝心か。

 

 

 「むしろ思いっきり種付けしてください。子供が出来るくらい濃厚に濃密に。一晩かけてじっくりねっとりパンパンと」

 「辞めろ、ア●ネスが来る」

 「児ポ法が怖いと? 大丈夫です。此れは『駒王学園』に通う『高校生』のストーリーではなく『学 園 生』のストーリー。そして此の物語はR-18版、故に私は 十 八 歳 ! 見た目が子供でも中身はキッチリ大人の女性を相手にしているんです! ●ナン君なんです! 挿絵と需要の都合で制作側が欲しがった所謂合法ロリータ! 倫理規定的には 何 も 問 題 は 無 い ん で す !」

 「第2の壁を壊すような発言も控えろォッ! あと俺、普通に恋愛するなら同級生が良いから」

 

 

 ごめんなさい嘘つきました。私ホントは15歳。花の女子高校生。てへぺろ。

 

 

 「いや本当に何があった? 九日前の塔城は冗句は口走ってもそういうことは口にしなかったろ、悩み事があるんならお兄さんに話してみろよ?」

 「……っ! ――ふむ、なるほど。お兄ちゃん、と呼んでほしいのですか」

 「その場合確実に恋愛対象からは外れるけど」

 「……!? 『妹萌』が通用しないとか、烏丸くんは本当に日本人ですか……!?」

 「なんだろう、倫理的には間違ったこと言ってない筈なのに、常識的に俺が間違っているみたいに聴こえるんだけど」

 

 

 いつもは見せない慈愛の表情を浮かべて気遣われたのが嬉しくて、思わず『デレ』を予告してみたらこの有様。

 つくづく私の気持ちを空回りさせる彼の嗜好に、遣る瀬無さが心を逸って逝く。

 私はこんなに好きなのに、なんで此処まで食い違うのかが納得がいかなかった。

 

 しかし、彼の優しさに触れたことに間違いは無いので、言葉が足りないと思いつつも私の想いを漏らさないように伝える。

 部長の話では修行で時間を取れないオカルト部の代わりにグレイフィア様が詳細を語りに向かった、と聞いていたので、さくっと。

 ゲームに負けたら貞操の危機で、勝てる要素がほとんど無いからほとんど消化試合の体。

 それで自分の好意まで無下にされるのは納得がいかないので、意趣返し張りに先走って好きな人の子種を己の中に遺したかった、という部分は委細詳細明確に伝えた。

 すると、こめかみを押さえて難しそうな貌をする烏丸くんが出来上がった。

 やはり少し先走り過ぎたのだろうか。本当は私も、もっとゆっくりと、学生らしい恋愛をしたかったのだけど。

 

 

 「手を貸してほしいってこのことか……? でも、対価も貰っちゃったしなぁ……」

 「そういうわけでお願いします。初めてなので優しくシテください。でも絶対に種は欲しいので奥までください」

 「幼女相手に出来るかバカ。嫁さんにもシタことないんだぞ」

 

 

 男は潜在的にロリコンだから一線越えれば大丈夫だ、とお姉ちゃんが言ってた。

 が、ちょっと待って欲しい。

 え、今『嫁』とか………………ああ、二次嫁とかいう?

 意外と草食系なのか、彼。

 

 

 「とりあえず、だ。なんだ、そのゲームってのはどういうモノなんだ?」

 「最初を熟せば怖くないですよ、近場のホテルでいいですよね?」

 「質問に答えろ」

 

 

 彼の腕を取ったら即座に外されほっぺをむにむにの刑を受けた。

 理不尽な受刑にモノ申す。弁護士は要らないからお腹ふにふにの刑に変更して欲しい。

 

 

 「むぅ……、肉体言語で語り合う基本体力勝負のぶっ殺試合です」

 「……暗黒武術会か何かか?」

 

 

 呆れた顔の烏丸くんhshs。

 むにむにをされるがままではなく反骨精神フル喚起で、彼のお腹に顔を埋めてぐりぐりの刑返しだ。

 あんこくぶじゅつかいが何かは知らないが、多分彼の普段からの判りづらいボケだろうからスルー。

 語感的には大体合っている気がするし。

 

 

 「ちなみに、猶予は何時間ぐらいだ?」

 「一日ですね。正確には20時間くらいは余裕なので、がっつりしっぽりこましてください。れっつ子づくり」

 「しねーよ。つうか、20時間あるならまだ余裕だろ。俺が鍛えてやるから、勝てばいい」

 

 

 ……なんですと?

 

 

 「というか、グレイフィアさんにもお願いされちゃってるからな。対価を先払いされてるし、お前らが学園に居られるように尽力して欲しい、ってよ」

 「……あぁ、なんか変な顔したかと思ったら、そういうことでしたか……」

 

 

 オ・ノーレ、グレイフィア様め。折角済し崩し的に情に訴えて一線を越えるはずだったのに。

 しかし、こちらに気を使ってくださってもらっているのも事実。

 だが……、

 

 

 「というか、あと20時間鍛えられたところでそんな劇的に強くなれるとは思えないのですけど……」

 「いやいや、なんとかなるなる。つーかさせる。これで出来ませんでした、じゃ俺の沽券に関わりそう」

 

 

 そう応え、「アデアット」と片手を掲げる。

 その烏丸くんの手には、一冊の本が開かれていた。

 ……今、魔力使いました? と、思わず敬語が思考に混じる。

 

 

 「……それは?」

 「アーティファクト『ラヴクラフトの書架』より『ルルイエテキスト』起動。術式『スクロール』を選択、投影開始」

 

 

 私の問いには答えず、地面の上に部室で見るような魔法陣を構成してゆく。

 というか、やっぱり只者じゃなかったのは今更だけど、『魔法使い』だとは思ってもみなかった。

 

 

 「と、いうわけで、行って来い。向こうには俺の嫁さんがいるから、詳しい話は彼女に聞け」

 「え、あ、ちょっ――」

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「………………勝てました」

 「そいつは重畳」

 

 

 納得がいかない。

 

 

 「いえ、勝てたことには問題は無いんです。でも、敵味方両方から畏怖の目を向けられて、『跳ね回る金華猫』とかいう二つ名まで付けられる結末はどうなのかと言いたいです」

 「言ってんじゃねーかよ」

 「察してください」

 

 

 愚痴の一つでも言いたくなる、っていう私の意図を。

 

 あの後、烏丸くんの言う処の『術式世界』へと招待された私は、現実の72倍になっているとかいう説明を受けてそのまま修行へと移行した。

 実質、中では大体2ヵ月の時間経過があったのにも拘らず、外へと出れば本当にゲームが始まる前だったことには、予め云われていても驚きを隠せなかった。

 2か月あれば、悪魔が本気で修練を積めば強くなれない方がおかしいのだが、烏丸くんから教わったことと言えば歩法と戦術。

 そもそも『世界』の中での成長は肉体へと直接影響を及ぼせないらしく、判り易く魔力の上限が増える、といった成長は見込めないとは説明は受けていたけど……。

 『だからこそ』の修行内容で、『それでも』ライザー・フェニックス率いるハーレム眷属という名の『烏合の衆』を一網打尽にする程度の修練を積めたことは言うまでもない。

 ただ、

 

 

 「釣り野伏、でしたっけ。烏丸くんはアレを割と知られている兵法だって言ってましたけど、ああも見事に引っかかる上級悪魔の眷属と言う部分を思うと、少々悪魔社会の将来に暗雲が立ち込めますね」

 「悪魔……? いや、まあそれだけじゃねーだろ。一緒に雲耀と跳ね馬の『併せ』も使ってたんだろ? アレは縮地とまで行かなくとも無拍子一歩手前位の間合いの取り方を確かにさせるし。初見で見切れるのは精々達人クラスだよ」

 

 

 瞬動みたいなトンデモ歩法よりかはずっと地に足着いた体裁きが織り成す『技術』にそうそう追い付かれて堪るかよー、とけらけら嗤われるが、それよりも最初の呟きに「まあいいか」みたいな顔をした部分にモノ申したい。

 あれ? グレイフィア様が事情を説明していたとか言っていた筈なのに、何故『悪魔』という単語に疑問符浮かべてるの?

 そしてそれについては特に問い詰めない、という彼の態度が余計に不穏。

 なんだか放置しておいたらめんどくさくなりそうな、そんな誤解が潜んでいるような予感がひしひしと。

 あとしゅんどうってなんですか?

 それからもう一つ。

 

 

 「あと出てきた時には気にしませんでしたけど、アパートが既に復元していたのはどういうことなんですか。いくら烏丸くんが魔法使いでも、1日経たずに住居を復元させるとか人間業とは思えません」

 「アレは俺の仕業じゃねーよ。大家さんお抱えの大工さんの仕業だよ」

 

 

 気になっていたことを問えば、さらりと人間の技だと教えられた。

 出てきた時には半壊の住居は傷一つなく、幻術でも掛けられたのかと疑ったくらいには新築同然のアパートだった。

 曰く、ゴンザレスとかいう御爺さんが1日掛けなかったとか。

 世の中まだまだ、びっくり人間の宝庫である。

 

 

 「それより、その荷物。出てきた時から気になってたんだけど、ひょっとして中にあったのか?」

 「ああ、此れについてもモノ申したいんでした」

 

 

 云われて、私の後ろに放置してある全部が黄金で構成された直方体の(はこ)をぽん、と叩く。

 衝撃で開くような構造になっているらしい其れが開放されると、中には射手座の形をしたこれまた黄金で形成された模型がある。

 

 

 「中の人(師匠)にフェニックスと戦う、と述べたらそれなら此れだろ、と差し出されたこの呪いの武具、お返ししたいのですが」

 「え、なんで?」

 

 

 なんでじゃねーですよ。

 

 

 「何処に行くにしても付いて来ている時点で恐怖感を煽ります。なんで自然と付いてくるんですか。呪いの人形でももう少し控えめに押入れの奥に居座りますよ」

 「気に入られたんじゃね?」

 

 

 なに、その適当さ。

 というか、普通に悪目立ちし過ぎていてこの先の生活に支障を来す。

 何処に行っても黄金の匣が背後にあるとか、どういうバッドステータスだ。

 棺桶を引き摺る剣士じゃあるまいし。

 

 

 「しかし、何処に仕舞ったのか忘れてたが『スクロール』の中からも取り出せたのか。まあ、『倉』に接触できる権限のある嫁さんしか取り出せないとは思うけど、認められたんなら問題はないだろ」

 「結局、なんなんですか、此れ」

 「2年前くらいに適当に造った玩具」

 「………………拳が光を纏って速度が音を越えた気がしましたが……」

 「そういう仕様に造ったからな。まあ原作でも最終的に不死鳥倒すのに一役買っていたんだし、嫁さんの判断も間違ってない」

 

 

 原作って何の話だ。

 そしてその適当に造った玩具で上級悪魔を打倒できる程度の聖属性を『敵のみ』へと発せられるって……。

 ついでに適宜質問に応えているようだけど、この烏丸くん現状から察するに私の質問に上の空だ。

 応え乍ら別の事を考えているような、そんな気配がやや滲む。

 

 

 「とにかく、憑いてくる仕様だけでもなんとかしてください。造ったんなら改造も出来ますよね?」

 「……ん? ああ、はいよ、了解。じゃあちょいと弄りますか」

 

 

 呼ばれて戻って来たのか、気安く応えて匣へと手を掛ける。

 中身じゃないの?

 

 

 「アデアット、『妖蛆の秘密』発動、対象『ゴールデンミミック』、対話機能open」

 「ちょっと待ってください」

 「あ? なによ?」

 

 

 え? ミミック、って言ったよね? この匣、モンスターか何かなの?

 だとしたら付いてくるのは納得の機能だけど、まさか生きていたとは……。

 そしてそれを平然と押し付ける、烏丸くんの非道さに私のジト目が止まらない。

 

 

 「呼ばれるまで部屋でおとなしく待ってる、ってさ」

 「交渉が終了してるじゃないですか……。流石に使い魔契約もしてない魔物と相部屋というのはちょっと……」

 「安心しろ、擬人化しない限りは自室に丁度いい警備員(セキュリティ)が張り付くのと同程度だ」

 

 

 その言い分限定だと後々に要らぬ不安が懸念されるのだけど。

 擬人化、できるの? やだなぁ……。

 せめて女の子でありますように、と可能性を考慮の上で念じて置く。

 まかり間違って脂ぎったおっさんの姿に変身でもされたら、目も当てられない。

 

 一抹の懸念に気を取られていると、それにしても、と烏丸くんは云う。

 

 

 「嫁さんを師匠と呼ぶとは。たった2ヵ月なのに随分と馴染んだもんだ」

 「実際、アレだけ限定されていたのに勝てませんでしたからね……。教えを乞う立場の側ですし、最低限の礼儀は尽くします」

 

 

 と、礼儀を重んじるJKあぴーる。

 ちなみに師匠はルビにマスターと書いて読む。

 最初会ったとき、本物の嫁だったのか、二次嫁じゃなかったのか、と唖然としたのもいい思い出。

 そんな師匠は、露出多めのゴスロリで金髪でロリータで児童ポルノっぽい美少女。

 アレを嫁さんと呼ぶとか、烏丸くんは『本物(ロリコン)』の可能性が微レ存。

 ワンチャン有りっぽい。よっしゃぁ。

 

 

 「あ、忘れるところでした。グレイフィア様が今回のお礼をしたい、と何某かの権限を働かせてくれるそうです。何が良いですか?」

 「グレイフィアさんが?」

 

 

 私の言葉にふぅむ、と唸る。

 ふむ、此れは多分、色々と検算を働かせている顔とみた。

 暗躍を画策とする烏丸くんの横顔がキリッとしてます(キリッ。

 

 

 「ん、じゃあ一つ頼まれてくれるか?」

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 烏丸くんに伝言というか、伝達というか、手紙を預けられて数時間後。

 私は再び彼の住居へと舞い戻っていた。

 

 

 「手を貸してください……!」

 

 

 懲りないフェニックスの3男坊が、よりにもよってリアス部長を拉致しやがったのである。

 確かに、結婚式の準備までしておいて負けているんだから恥かいたのは理解できるけど、アレだけ(私に)撲殺されて於いてよくもまあ奮起したモノだ。

 戦後処理とかいう名目で部長と朱乃さんだけ(・・)が呼び出された時点で、可笑しいと思っておくべきだった。

 部長の使い魔からは朱乃さんを人質にされている、とか伝わったけど、時間を置けば部長の身だって危なくなるのは間違いない。

 いくら相手が嫌いとはいえ、部長とて女子の一端。

 『お●んぽには負けないっ(キリッ』というスタンスであっても、即座に『んほぉぉぉ!』とかされちゃう姿が幻視される。

 それくらい女騎士な部長を一刻も早く救うために、一番頼りになる戦力を確保しに来た次第。

 ちなみにアーシア先輩と変態もとい兵藤先輩を呼びに行ったのは木場先輩だ。

 

 

 「手紙は渡した?」

 

 

 こちらの事情を説明した返事が、まずそれである。

 自体は一刻を争うのだから、自分への褒美とかは後回しにしてもらいたいのです。

 

 

 「グレモリー先輩に、直接渡したのか? って聞いてるんだけど?」

 「……? はい、そう頼まれていましたから、何よりもまず部長へ」

 

 

 部長経由でグレイフィア様へと届かせるつもりだったのかと思ったけど、ひょっとして烏丸くん、別の意図を?

 

 

 「貴族のボンボンが自分に思い通りに行かない場合、っていうのを想像するのは容易かったし、保険を掛けて置いて正解っぽいな」

 「………………何を仕掛けたんですか……?」

 

 

 例の十字架アミュレットや、件の黄金鎧が脳裏に浮かぶ。

 酷く冗談みたいな、惨たらしい何かが潜んでいるような。

 そんな危機感がじんわりと、

 

 

 「――内緒♪」

 

 

 訂正、はっきり確信へと変わった。

 逃げてー、3男坊超逃げてー。

 口が三日月のように弧を描く凄味の覗える笑みを浮かべている彼を見て、私はひっそりと誰かの冥福を祈るのであった。

 

 

 





~作中では触れなかった用語解説または詳細~

~半壊した矢荷成荘
 地球の自転に置いて行かれたとある青年のやっちゃった一発芸
 必ず元の場所へ戻って来れる代わりに、1日ないし1年かかる超レベルの飛び込み
 「一番、日向輝明……、落ち込みます……」


~アデアット
 ネギまに於いてのアーティファクト顕現呪文
 呪文というよりは始動キー
 持ち主に魔力の発動も必要なく、口にするだけで本人の所持している専用アーティファクトを起動状態にさせる


~『ラヴクラフトの書架』
 烏丸のアーティファクト。1冊の本にあの世界に『存在しない筈』の5冊の魔書が同時存在しており、起動によって1冊づつ発動可能なそれぞれ別の性能を秘めた魔本
 『ルルイエテキスト』は召喚・儀式術式に関する情報の引き出しと簡略化を可能とし、『妖蛆の秘密』は魔法生物の詳細や干渉を可能とするだけの情報を秘めている
 アーティファクトはパートナーとの仮契約によって従者へと与えられるネギまに於いての魔法使い強化設定であり、烏丸の場合家族である某吸血幼女との本契約にて得た珠玉の品。今の所、前作である『ネギマジ』ないし『ちう凡』でも言う程活用されていない


~術式『スクロール』
 72倍速の世界、要するに外での1時間が中では3日になる儀式術式
 本来なら魔法具などのアイテムに封入して維持するのだが、烏丸本人が制作より改造に重点を置く性能を備えている為に突貫工事の果てに興した苦肉の策
 外で術式を維持していないといけないので術者本人は中へと入ることはできない仕様。中に居る案内人は術式を内側から支える為の仮想人格であるが、元になった人物が別個に存在する場合もある
 尚、今回は伝聞系にて術者の意図を汲ませた教授役


~黄金で形成された射手座の模型
 分解し身に纏うことで音速を越える拳を放つことが出来る鎧。牙狼ではない
 本人が抱えるスペックを限界ぎりぎりまで引き上げて強化するので所持者本人が強くなれば理論上は何処までも強くなれる、というコンセプト(遊び心)の元に制作された玩具
 某自主製作ダンジョンにて素材集めの果てに造ったはいいが、見せ場が無いので死蔵されていた
 保管してある『倉』は所謂『四次●ポケット』みたいな場所で、マスター登録してある烏丸とその嫁さんならばどちらでも接触が可能。但し、『倉』もまた術式の一つなので外側で維持が必要な手間がある。恐らくは取り出すには一回に一つという制約も働く
 『倉』の中には過去に制作した烏丸の作品群が封印されており、役目を終えて一時的に凍結状態に封印処理された八首の火竜や氷の大晶霊、モ●波スペックの人型スライムや3メートルくらいのカブトムシ鎧の巨人なんかもいたりする余談


~釣り野伏
 「敵だっ! なぁお前敵だろ? 大将首だろ? 首ィ置いてけェッ!!!」で有名な妖怪首置いてけの得意とする兵法の一つ
 個人の能力が“人間以上”である時点で戦法や兵法を必要としないのはまあわかるけど、それにしたってレーティングゲームはチェスを基盤に考えられたはずなのに戦術が拙すぎる気がする。先生、もう少し島津をググってください


~雲耀・跳ね馬
 某剣術漫画より抜粋・参照して再現することに成功した烏丸の血と汗と努力の結実
 本人がネギま世界で有名且つ上級の歩法である『瞬動』をどうしても理解できなかったから、より現実的に可能な範囲で習得に成功したという裏話があるのだが、そういう努力描写は話的にも面白くないのでカットされたという作者の判断にオリ主の悲しみが止まらない
 お蔭で評価では「作者様の趣味が詰まった俺SUGEEE!ですよねwww」とか嗤われたこともしばしば。べっ別に気にしてねーしっ。烏丸の辛い過去()を一通りやったからそれなりのオリ主に届いたとかいうのが大多数にわかって貰えたなら充分だしぃっ



そして何気に一番肝心なことを聞いていない気がする烏丸
次回、リアスのエロシーン!(予告


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☆「不死鳥は再び蘇るとかなんとかいう話」

エロい文の書き方を忘れそうになる今日この頃…


 彼女の髪とよく映える赤の装束に身を固ませ、自身の前に毅然として立つ姿を睥睨する。

 その装束は女性の身を守るには酷く儚い薄手のネグリジェであり、其の様を彼女は恥ずかしそうに顔を背け乍ら、目の前の男へと晒している。

 其れを彼女は着用したことも少ないのか、ワンピース型と呼ぶには丈の短い其れは彼女の腿までしか覆われていない。

 其れで隠せるのは精々彼女の張りのあるのに豊満な乳房と、これからそぼ濡れる筈の未開通の陰部。そして正面からでは身を傾けなければ覗えないが、程よく引き締まっているのに肉付きが良く、思わず揉み解したくなる魅力の溢れるむっちりとした白桃のような臀部くらい。

 悔恨か怒りか、はたまた羞恥の所為か。上気し熱を抱いた張りのある肌は当然晒されたままであり、胸元が開いている仕様のその寝間着からは、豊満乍らも垂れることを知らない膨らみが作る谷間が覗え、頬を落ちる汗が首筋を伝って其処へと流れる様を偶然覗ければ、ゴクリと思わず唾を呑む。

 未だ17だというのに、否、だからこそ在る若さが、家柄故出来上がった気品ある色気と喰い合わさり、相乗効果で依り男の欲を刺激する。

 今から此れを好きに出来る、そう思うだけで俺、ライザー=フェニックスは逸る心を押さえることも出来ず、勢いのままに彼女を床へと押し倒した。

 「ッ、ライザーっ、あなた……っ」

 「っは、抵抗するなよ……っ? ま、出来るわけがないだろうがな……っ」

 言い乍ら、馬乗りになった時に掴んだ手首を放し、乳房へと回せば息を呑むのが良く分かる。

 思えば、婚約者だと言うのに此処まで近づけたのも初めての事だ。

 唯一『輿入れ』と同時に引き連れてきた彼女の従者は既に別室へと監禁してあり、それもまた彼女の身を縛る枷として機能することは百も承知。

 だからこそ彼女は、リアス=グレモリーは嫌気を隠そうとせずとも従う立場にあり、この俺もまた彼女を従えることの出来る立場として此処にいる。

 その嫌気も、すぐに撤回させてやるがな。

 俺は眷属の数からも当然わかるだろうが、女体に関する『経験者』だ。

 女性の身体の何処が弱く、何処が感じて、何処を責めればいいのかも、全てお見通しだ。

 だがまあ、未経験(処女)ならば先に奪っておくべき個所がある。

 人によってはともすればより一層守るであろう、下の口ではなく上の唇。

 男女の関係に憧れを抱いているであろうお嬢様へ、本当の男女の営みの入り口を指し示してやるのも旦那の役目だ。

 「っ、いや……っ!」

 「っがぁ!?」

 ッチ、顔を背けるどころか、咄嗟に肘で顔を押し退けてまで拒否するか。

 拒絶の仕方が、偶に眷属にさせるシチュエーションとは違う、本気の挙動だ。

 流石に少し苛つかせられるな……!

 ……まあいい、事を成してゆけば、そのうち雰囲気に流されて良いように身体を開くだろう。

 数十秒ほど抵抗された直後、呼吸を整えて自身を律する。

 抵抗すれば別室の『女王』がどうなるかわからないぞ、と脅しをかけてから、俺が用意してやったネグリジェを力任せに破り捨てた。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 人間界へと赴いた際に、謎の攻撃によって撃退されたのはさておき、リアスとの婚姻に於いてレーティングゲームで結果を決める、というのは互いの家で決定された暗黙の了解であったはずだった。

 公式上、俺はプロの一角で、対する彼女は初心者に毛の生えた程度の眷属持ち。

 眷属の数も、質も、どう考えても釣り合いも取れない、ゲームとして成立するはずの無い勝負である以上『俺』の勝利は揺るぎが無く、だからこそ此のゲームはリアスに納得させるためだけの消化試合である。と、そういう腹積もりで提案した魔王(義兄)様も今回の婚姻を納得してくださっていると、そう思っていた。

 

 結末は散々。

 まさか予め情報が集まっていた『雷の巫女』でも『無限の剣士』でも『未熟な赤龍帝』でも『伏せ札のはぐれヴァンパイア』でもなく、はぐれ悪魔となった姉を持つだけの猫又からの転生悪魔に、たった一匹の猫に盤上をひっくり返されるとは思ってもみなかった。

 

 戦車(ルーク)の特性を抱きつつ騎士(ナイト)の『速さ』を熟して一騎当千の働きでこちらの戦力計15駒を各個撃破するとか、もうアレ1人でいいじゃないか、と観客の誰かが呟いたとかなんとか。

 そうして最終的に俺と対峙した時には、謎の神器を使ったのか黄金の鎧で身を固めての聖なるオーラの込められた避けられない一撃。

 再生するから負けることは無い、と観客は云うかも知れないが、俺の心が折れるまで繰り返された以上、二度とアレとは対峙したくない。

 

 だが、負けっぱなしで居られるほど貴族というのは、上級悪魔というのは諦めが良くはない。

 あの結末はあーいう反則存在(塔 城 小 猫)という『白い悪魔』が居たからああなっただけであって、王個人の資質を対比させれば間違いなく俺の方へと軍配が上がるはずだ。

 その証明と、婚約解消を撤回させるための策として、俺は今回リアスへの直接の『説得』を買って出た次第。

 説得の最中、互いの意思の疎通が及ぼされて男女の仲になる、という事態だってあり得ることだ。

 その説得を誰にも邪魔されない為に、非公開かつ極秘裏に会談の場を設けたのも仕方のないことなのである。

 ……リアスを会談場へと招待する際、彼女の家から件の猫が出てくるのを見かけて決心が鈍りもしたが、彼奴が充分に離れたのを見計らってリアス並びに『女王』の姫島朱乃を招待することに成功はした。

 

 先に捕えた『女王』の身を隠すのに、言う程の手間もかからなかったのは僥倖だ。

 ゲームで元堕天使であったことを知ったのには警戒したが、何故か使える筈の『光』を使おうとしなかったお蔭で手間もいらない。

 単なる『雷』ならばこの身を焼かれようとも、やり切れるだけの再生力を備えた俺ならば決して無様は晒さないのだ。

 ――そうとも。

 マウント取られて『聖なる一撃』を何度も振り下ろされることに比べたら、随分と楽な『女王』戦なんだ……!

 

 招待した2人のうち、先ず『女王』から別の部屋へと監禁する手筈を整える間に、リアスには会談に相応しい格好へと着替えて貰った。

 フェニックスの火にグレモリーの赤、合わさればこれ以上ないくらいのお似合いの夫婦が出来上がる。

 それを暗喩した輝かしい色彩のネグリジェだ。

 世継ぎを作る際には、是非とも着飾ってもらいたいという意図を含んだプレゼントも送った。

 あとは、俺の手練手管――ではなく、采配と真摯な言葉遣い次第、だ。

 ――このチャンスを、逃すつもりはない。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 唇こそ奪えなかったものの、彼女の顕わになった肢体は極上と言える。

 剥ぎ取ったことにより身を隠す衣は手元に無く、しかし先ほどの抵抗からも察せられるように、彼女本意ではないその様を俺へと曝け出そうという意図は当然無い。

 だが、その自身を『何処へ出しても恥ずかしくない』と育んできた貴族社会ならではの価値観が、この部屋へと最初に足を踏み入れた時に見せた毅然とした態度を、自ら崩させることは無いのだろう。

 押し倒された時に取られた手首をそのままに、抵抗として肘こそ出たのはさて置き、女性の象徴を隠そうともしない仕草が滑稽さを醸し出す。

 しかし、その顔の向きは俺から外され明後日の方向へと向けられており、さも意思は向けまいと云わんばかりの態度が彼女の気品を顕しているようだ。

 ――ん……?

 「ん? なんだこの痣は?」

 とその時、芸術品を鑑賞し愛でるような気分でいたところ、流れるように向けた乳房に妙なモノを見つけた。

 だが、それは取るに足らない痣にしか見えず、虫刺されか何かであろうと意識の外へと流す。

 それを見つけても、彼女の身体は素晴らしいモノである。

 曝け出されている胸は重力に従って横へと崩れるものの、先程掴んだ肉の塊はそう容易く零れることを良しとはしない。

 広がった山は堰き止める囲いも無くては、土砂崩れのようにズレてゆくのが道理。

 だが、リアスは何某かの“囲い”を魔力で維持しているらしい。

 埋もれぬ桃色の先端がぴんと自己を主張しているままに、彼女の鼓動に合わせて玉のような白い果実が重そうに揺れる。

 恐らく、己の乳房に関わる重力を魔力で遮断しているからこその、その『主張』が可能なのだろう。

 ユーベルーナなんかは先端が肉に陥没しているのだが、それはそれで発掘の楽しみがある。

 そうはなっていない『肉玉』を、これから弄ることが出来るわけか。

 淑女としての嗜みか、はたまた女としての意地なのか、より『美を磨こう』というその意識には敬服すら感じた。

 お蔭で、若い未通女を開発する、という楽しみを抱けるわけだからな……!

 脚は内股で、少しでも陰部を見せまいと太ももを擦り合わせており、僅かに覗く赤の恥毛の奥へ期待が高まる。

 其処に、これから指を這わせるのだ。

 だが、いきなり挿入するような無様は晒さない。

 俺は童貞じゃないからな。

 「っ、ぃゃ……!」

 「抵抗するな、と言ったろう? くく、なぁに、すぐに自分から求めるようになるさ」

 「誰が……、ひっ……!」

 ぬぷり、と這わせた指を、見えない穴の入口へと押し込める。

 にち、ぐち、ぬち、と蠢かせて彼女の嬌声を誘えば、自由になっている手を己の口へと宛がい、声を堪えているリアスが滑稽であった。

 「ぁ……! ふ、ぅ……! ぃや……っ!」

 「は、無理をするな。我慢できなくなったらすぐに声を出してもいいんだぞ?」

 と、口では言うものの、……可笑しい。

 何故だ。まだ濡れないとか、愛液の一滴も染み出してこない。

 「おら、こっちはどうだ? 旦那様への謁見を特別に許してやるよ」

 「ひ、ぎぃっ!」

 空いている手で、彼女の乳房を持ち上げて揉みしだく。

 ぐいぐい、ぐにぐに、と玩具みたいに、いつもする(・・・・・)ように弄ぶ。

 リアスは、嫌そうにだが、声を上げて苦しそうに呻く。

 ……だが、決して色気のある反応では無い。

 可笑しい……、いつもなら胸を苛めてやるだけで、イザベラ辺りは喜んで股を開くのに……。

 「っち、力任せだし、下手くそだわ。こんな男に良いようにされても、あなたの眷属は本当に気持ちいいって言うのかしら?」

 っ、コイツ……!

 苦悶の表情のままだが、スタンスを変えないリアスが苦々しげに挑発してくる。

 良いだろう、其処まで抵抗するというのなら、もう勘弁ならない。

 男の怖さって奴を、しっかりと刻み込んでやる。

 「オラ、脚を開けっ! 抵抗したらリアス自慢の女王がどうなるのか、わかってるんだろうなぁ!」

 「っ! こ、の……っ!」

 優しくしてやるのはもう辞めだ。

 強姦? 最後には自分から腰を振るようになるなら、それはそういうプレイの一環だ。

 睨みつける彼女に股を開くことを促して、俺は腰のベルトを抜き取り放り投げ、穿いていたズボンを摺り卸し、自慢の逸物をそそり立たせ、彼女の眼前へと突き出してやるッ!!

 「――…………………………えっ?」

 虚を衝かれたような、妙に間の抜けた声が、彼女の口から洩れていた。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「部長っ! 助けにきまし…………た?」

 「あら、遅かったわね」

 

 

 部屋の入り口から入って来た彼らに、私は極めて平然とした仕草で対処した。

 強がりとか、ライザーに丸め込まれたとか、そういう事態では断じてなくて。

 単に取るに足らなかった、それだけのことでしかなかったのよね。

 

 

 「……えーと、ご、ご無事のようです、ね?」

 「そうね。大体無事だわ」

 

 

 部屋に入って来たのはイッセーと佑斗。

 小猫は、多分朱乃を助けに行ったのかしら。

 私は連れられた時に着ていた服を着直しておこうと思ったけど、部屋の中の何処を探しても見当たらないから諦めて、彼に破り捨てられた普段は着た事も無い服を魔力で編み直し、マントみたいな簡易な形へと変えて羽織るだけの格好だ。

 大事な部分も隠れたりしないが、悪魔には演出も必要不可欠。

 より一層男子の視線を誘うのであろう恰好で居れば、遅れて気付いたイッセーが『おおぅ』と呟いて前屈みになっていた。

 うん。これなら悪くないかもね。

 

 

 「というか、本当に大丈夫なんですか? その格好もそうですけど、大事な一線とか……」

 「そうね。とりあえず、早く帰ってシャワーを浴びたいわ」

 

 

 飽く迄も平然と応える私に、佑斗は一瞬顔を顰めるような表情へと変わったが、本当に何でもなかったのだから心配しなくても大丈夫よ、と笑って見せる。

 まだ納得いってないみたいだけど、なんとか頷く仕草に私は揃っての退出を促した。

 囚われのお姫様を助ける褒助こそ与えられないけど、そんなことよりとにかく、ライザーにべたべたと無遠慮に触られた嫌気を流してしまいたいのよ。

 少なくとも今はその気分でいっぱい。

 

 

 「って、そうだ! あの焼き鳥野郎は何処ですかっ!? あの似非ホストっ、部長に拒否られたくせに今度は誘拐するとか男の風上にも置けやしねぇっ! 俺が引導渡してやるから覚悟しやがれっ!」

 

 

 イッセーが顔を上げて、部屋を見回しながら如何にもな正論で怒気を振りまくけど……。

 うん。納得の意図ではあるけれど、正直“こうなってしまうと”今更怒っても仕方のないことよねぇ、としか言いようがないし。

 当然、フェニックス家本家の方には相応の謝辞を返して貰うつもりではあるけど、それもこれもこちらの用事が片付いたら、という腹積もりなので今は瑣事でしかないし。

 そして、部屋を見回していたイッセーの視点が、ある一点で止まる。

 

 

 「………………えっ、と……」

 

 

 どうすればいいいの、といった声音で、其の一点を指差してこちらへと目を向けられる。

 イッセーの指差した其処には、「ちっちゃくないよ、ちっちゃくないよ……」とブツブツ呟き膝を抱えて部屋の片隅で蹲る、ライザー=フェニックスの情けない姿が、ただあった。

 

 

 「……何がどうしたらああなるんすか」

 「私の所為じゃないわよ、多分」

 

 

 畏怖を抱くような目で2人に見られた。不本意なのだけど?

 

 其れも此れも、全てはライザーの“自身”とやらが粗末であった所為よ。

 人間でいう処の小学生くらいだろうか、そんな私の『甥』であるミリキャスを少し前にお風呂に入れたことがあるけど、ライザーのソレはその時の甥のソレとどっこいどっこいなレベルだったというか……。

 子供ならばカワイイで済むけど、成人男性が“そう”なのは正直どうなのか、と問いたくなるくらいには粗末さで……。

 私とて未経験とはいえ女なのよ?

 眼前に曝け出されたソレがどういう意図で私へ向けられたものかは本能のレベルで理解できるけど、ライザーのソレは危機感の欠片も感じられなかったのよね。

 要するに、思わず口をついて出たの。言葉が。

 

 

 「『うわ、ちっちゃい』って」

 「「うわぁ……」」

 

 

 改めて口にしてみると、戦慄の眼差しで口角をヒクつかせる眷属2人。

 視界の隅でライザーがビクッと跳ねたような気がしたけど、もうどうでもいいわね。

 

 そもそも、よく考えると可笑しな話なのよね。

 貴族社会で生きていて他と比べるような交流はそうそう無いだろうけども、一応は異性の眷属が備わっているあの三男坊。

 それのソレが粗末で矮小で剥けてないままの短剣、というわけはないはず。

 父親か執事かはたまた兄か、彼を諌めたり嗜めたり奮起したりと、成長を促すならば手段も人材も揃えられるはずなのが『貴族』という社会の有り様よね。

 其処で突然にライザーのアレが“圧し折れた”かのように粗末になる、なんて……何らかの外的要因が関わっているとしか思えないわ……。

 と、そこまで考えた時に、思い出したのは部室で見た『あの』ロザリオだった。

 そして、それを製作した、という『彼』に手掛けて貰ったお蔭で、私たちとの修行時以上に洗練された小猫の働き。

 更に思い出させられるのは、ライザーに自宅を襲撃される前に小猫が寄越した『中身の無い』彼から私宛に届いた封筒に、ライザーに指摘された身に覚えのない胸の痣。

 特にこの痣、よく見ると謎の魔力が漂っているように見えてくるから……、もう此処までくると確定としか思えない。

 今回助かったのは、間違いなく『彼』の仕事、ということに……。

 ――確認するためにも、小猫にも話を聞く必要があるわよね。

 そして年頃の男子ということなら、ひ、ひょっとしたら私の魅力で眷属に入ってくれるかも知れないし……。

 ――うん。ちょっと楽しみになって来たわ。

 

 

 「さて、帰るわよ2人とも。朱乃と小猫を拾って、然るべきところへ話を通しておかなくちゃね」

 

 

 思わず笑顔が滲み出ることを自覚しながら、意気揚々と2人へ告げる。

 ――何故か引いたような顔で付き従う男子らに、怪訝な気持ちを抱いたのはそれから数分後の話だった。

 

 

 

 




~Q;リアスのエロシーンと言ったじゃないか
 A;間違ってないだろ(ふんぞり返り
 ちなみに公式で一番尻デカなのがリアスさんだというもっぱらの噂


~着慣れてない赤いネグリジェ
 リアスさんは寝るとき全裸派
 用意した衣服を無理矢理剥ぎ取るのがライザーのジャスティス


~おっぱいを魔力で支える!
 スタイル維持の秘訣と推測。悪魔は魔力で肉体を調節できるって誰かさんも言ってた
 M0最終巻くらいにあった巨乳を軽くする魔法と同系統、というイメージで今回描写しましたが、強ち間違いじゃない気がしてきたと最近の乳アニメを視聴しながら思うのです(泰然


~会談(肉体言語(意味深(笑)
 まさかのライザー視点でドクシャ=サンの期待を大いに裏切ったと推測(嘲笑


~ちっちゃくないよ!
 種島ぽぷらさんの名言


~ユーベルーナさんへの熱い風評被害
 肉体的コンプレックスの描写が原作じゃ足りない気がしたので勝手に附加(酷
 たとえば姫島の朱乃さんとかイメージにぴったりなのに、乳首に差が無いとかサクシャ=サンの描写力がやや足りない、とこの点だけは抗議したい
 下手に曝け出されちゃってるから、本当に其処に性差が無いんだよなぁ


~リアスさんの天秤を傾けました
 大体(D)烏丸の(K)所為(S)
 NTRの本番はきっとこれから



エロ回に見せかけた日常回な気がしてきた
烏丸の仕込んだ何某かの正体はまあ大体みんな判りそうだけど、とりあえず次回ネタばらしと往くつもりで
ちなみに此れで原作2巻は終わりです。お疲れ様でした(誰かへ敬礼しつつ
あ、それとタグを新しく追加しておきますね


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【翻弄される】ギャグと友情が織り交ぜる不可逆なる第二章【少女たち】 ※原作三巻相当分
「ゲェッ!烏m「待ってその反応可笑しい」


今更ながら、真面目な話に移ろうとすると執筆意欲が湧かなくなるらしい
何の話かって言うと他の所のエタりかけた作品群でしてはい…
それが此処でも発動しそうな予感がひしひし
それもこれもイッセーのカッコいいところとか書こうとした所為だとも思われる
オ・ノーレ、イッセー
まあそれはともかく、副題の選別が最近良いの思いつかなくて
大体烏丸が口走ってるんですけど彼が言いそうにない台詞を規定内の文字数で、っていう縛りで最初やっていたのにいつの間にかこんな複合技
サービスシーンがありますが日常回です


 リアス部長の婚約騒動もひと段落した数日後、快晴のグラウンドで毅然と居並ぶオカルト研究部面々が居た。

 本日は駒王学園球技大会! 種目は部活対抗ドッチボール! この日の為に人知れず練習したチームワークを全校生徒へ見せつけるチャンスだぜッ!!

 と、そこまでは良かった。

 

 

 「なんでお前が相手チームに居るんだよ烏丸ァッ!?」

 「むしろなんでそこまで警戒されてるのかがわかんねっす」

 

 

 指差し指摘してやれば平然と返してくる、その飄々とした態度がまたムカつくんじゃあッ!

 ライザーに誘拐されたあの日以来、部長はなんでか小猫ちゃんに烏丸を部室へ連れてくるようにそれとなーくお願いしてるし!

 それに対する小猫ちゃんの返事はいつもNoだからまだ良いモノの、小猫ちゃんだって今現在オカ研では最強ということで一目置かれているけど一応は部長の眷属だ。『主権限』なんつーものまで持ち出して来たりされたら、それこそ部長が烏丸に本気ってことになっちまうじゃねーかよっ!?

 今は学内じゃそんな噂は漂ってないからまだいいけど、同じ部内の俺を差し置いて顔見知り程度の後輩が部長に気に入られるとか認められねぇ!

 だからこそ、部長が楽しみにしていた学内行事で良いとこ見せて俺の株を上げようとしていたって言うのに、なんでお前ピンポイントで邪魔しに来るんだよッ!?

 

 

 「俺はまあ、中学の時サッカー部だったんで、クラスで数が足りない、とかっていう勧誘を受けて一時的に助っ人に」

 「……今日は敵と言うことですか。むぅぅー」

 

 

 むくれてる小猫ちゃんも可愛いっ!

 でもその対象が烏丸だというのがShit(嫉妬)ッ!

 あと部長は……とりあえず、自分の気持ちを確認してから出直した方がいいっす。

 もじもじとしているところは可愛いですけど、どういう対応したいのかを自分でも把握しきれてないって言うのは、普通に出遅れてるんじゃねーっすかね?

 ……認めねぇけどなぁッ!

 

 

 「くくく、愚かな。これで貴様と小猫ちゃんの関係はガタガタよ……。よくもまあ俺たちの策に此処まで見事に嵌ってくれたものだな、烏丸ァ! くはは、はぁーっはっはっはっはっは!!!」

 

 

 ……あとなんかアイツ、自陣のメンバーからも目の敵にされてるっぽいな。

 まあ、クラス内で小猫ちゃんと距離近い、とか言うんだったら普通に嫉妬対象か。

 つかひょっとして友達いねぇの? 烏丸は友達が少ないの?

 

 

 「なっ、キサマ、斎藤っ、裏切ったのかぁ」

 「裏切った? 馬鹿を言えぇ……貴様と仲間になった覚えも無い。裏切ったんじゃねぇ、表切ったんだよぉ!」

 

 

 ある種驚愕の表情(っぽいモノ)を浮かべてノリノリで台詞回しを(但し超棒読みっぽく)した烏丸に、サッカー部1年のエースだと実は地味に女子の間で囁かれている斎藤が自らの策を暴露した。

 俺が言えたことじゃないかもだけど、そうやって自分晒していると女子からの信用も無くすぜー、斎藤くんー。

 というか普通に現状、サッカー部は学校中のヘイトを集めてるんだけどな。

 俺が言うのもなんだけど、オカ研は美男美女の集まりだから。

 それでドッチボールと言うことは、普通にぶつけ合うわけで、ボールを。

 

 ……うちと戦いたくなくって棄権チームが続出した所為で、今普通に決勝戦なんだよなぁ。

 俺、未だに活躍してないんだけど?

 ……あれ? 前回のレーティングゲームも含めて、見せ場が無かったような……。錯覚?

 

 

 「どこぞの縦ロール若本系皇帝みたいな口調で宣言しやがって……! それがお前の正義だと云うなら、俺は敢えて策に乗ろう! 勝負だ、塔城!」

 「意味が分かりません」

 「ぶっちゃけ遊んでくれるチームメイトが居る時点で楽しいから罠の一つや二つ問題ない!」

 「悲しいですね……」

 

 

 びしぃっ! とボールを片手に悠々と宣言する烏丸に、小猫ちゃんの辛辣なツッコミがさく裂するぅ!

 しかし、……くくく、敢えて乗ったのかは、……悲しい、事件だったね……。

 だがそうして敵対してくれるというならばこちらとしても好都合。

 そうして対峙してヘイトを集めてくれるというならば、俺も敢えて策に乗ろう!

 要するに、部長の積み上げかけた好感度を一息に払しょくするいい機会ってことだよね!

 姑息? 姑息結構!

 

 

 「……こ、これは遊びの誘いに乗るということで受けていた恩に報いるべき……? それとも彼に悪い風聞が付かないように隔離して避難させる……? それに悪魔の身体能力的に、まともに戦ったらたとえゲームでも危ないし……」

 

 

 ……なんか葛藤している部長もいるし、速めにその感情を晴らすべきだと男の本能が訴えてますし!

 というかそんな特別扱いしたら完全にリアス部長のお気に入りだ、っていう噂が独り歩きするっす!

 部長第一のお気に入り男子生徒の座は渡さねぇ!

 俺の噂が広がっているのは自クラス周辺と範囲狭いっぽいけど、それだけでも晴らさせるものかよ!

 

 

 「つーわけで、――第一球ッ!」

 

 

 ゲーム開始だ、と一名除いて心意気は伴ったと思われるところへ、烏丸の宣誓がコートへ響く!

 ……え? あれ? そう言えばちょっと待って、試合開始どころか、ボールの先攻権も未だ決定してなくね――、

 

 ――そう思う間もない、刹那。

 烏丸から放たれた豪速球は、見事に俺の仲間の顔面へと突き刺さった。

 

 

 「――っぷあぁ……」

 

 

 ――リアス部長の顔面へと。

 

 

 「「「――り、リアスお姉さまぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!?」」」

 「「――ぶ、部長ぉぉぉぉぉぉぉーーーーーー!!!!!???」」

 

 

 鼻血を噴出し、目を回して仰向けに吹っ飛ばされる部長へ、観客から相手チームから俺と佑斗の口からと、悲鳴に近い絶叫が響き渡る中、投げたフォームの烏丸はその有様を見て一言。

 

 

 「――しまった、顔面セーフか……」

 「何処がセーフだよ!? アウトだよアウト!! あとまだ試合開始の合図は出てないだろ!?」

 「いや、とっくの昔にホイッスルは鳴ってますけど……。あ、小粋なコントで錯覚させていたらすんません」

 「今更だよッ!!!」

 

 

 女子がしちゃいけない吹っ飛ばされ方してんのになんで平然としてるわけコイツ!?

 思わず、部長を助けに駆け寄るのと共にツッコミを入れる。

 確かに、ルール上は顔面セーフ、という言い訳が効くけど、今回問題なのは其処じゃないと思われる。

 

 

 「なるほど、弔い合戦ですね。えい」

 「――えなんでこっちに来げぶぅ!?」

 「「「武蔵小杉ぃ!?」」」

 

 

 どぱん、とボールが出しちゃいけない音を出して、小猫ちゃんの手から放たれた凶器が、烏丸では無く別のチームメイトへと突き刺さる!

 ――また顔面だよ! もう辞めたげてぇ!

 

 た、たった一分もしないうちになんだこの惨状……!?

 ドッチボールってこんな殺伐としたデスゲームだったっけ!?

 

 

 「――極力、顔を狙うのはお互いに辞めようか」

 「ですね」

 

 

 お前ら示し合わせてたのかよぉ!?

 そんなわけないじゃないですか、と互いに否定する烏丸小猫の横では、誰か助けてください――! と先ほど吹っ飛ばされた武蔵小杉くんとやらの遺体を横抱きに叫びそうになっている斎藤くんの姿が見えたけど……。

 叫びたいのはこっちも同じだ!!

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 さて、互いに退場したリアス部長と武蔵小杉くんをフィールドから除外して、仕切り直しである。

 もうデスゲームは辞めようよ……、という意見の元、互いに危ない顔面を狙う攻撃はしないと言質を取ったことで試合再開。

 違う……! 俺が言いたかったのはそういうことじゃない……!

 互いにあのボールが顔じゃなくて別の所へ突き刺さったとしても、充分に殺傷能力があるよね……!?

 

 

 「さーて久方振りのドッチボールだぁ。ホント、黒百合を思い出すぜ」

 

 

 呑気に腕を回しつつ、そう呟く烏丸のメンタルに驚愕を隠し得ない……!

 今お前(ひょっとしたら学校中から)すっごいヘイト集めてるからね? リアス部長の顔面から血の花咲かせておいて、よくもまあそこまでのほほんと試合続行できるよね? 俺だったら今頃女子らに制裁受けて死んでるぞ……。

 

 

 「さて、どうやって戦おう?」

 「そうだなぁ……」

 

 

 そんなことは後で考えるとして、問題はどうやって勝つか、だ。

 佑斗に話を振られて、俺も一応は考えてみる。

 うちの部は少数精鋭主義、と言えば聞こえはいいのだが、実質部員数が足りなくて一人欠員が出たら補充する、という手段は使えない。

 かてて加えて、ドッチボールのルール上、初めから外野に1人配置する必要性があり、本来内野の初期人数は7人以上であるはずなのに現在4人しか居ない。

 外野には当初から朱乃先輩が回っており、攻撃力と回避力でそれぞれ小猫ちゃんに佑斗がいるけど、其処を衝かれないとも限らない。

 一点瓦解すれば、あとは烏合の衆でしかない。

 ……考えてみれば、オールラウンダーの部長を初めに仕留める、というのも確実な手段なんだよなぁ……。

 地味にアイツ、凄くね?

 そこまで考えて、ちらりと相手コートへと目線を向けた。

 

 

 「「「烏丸くーん、頑張れー!」」」

 

 「はーい」

 「……は? え? どういうことですか? なんで烏丸くんに女子の応援が付いてるんですか? しかもあの人たち3年じゃないですか? いつの間に誑かしたんですか捥ぎりますよ?」

 「知らん。グレモリー先輩吹っ飛ばしたから女子受けが良くなったとか、そういう理屈じゃね? 同性からは嫌われる……とまではいかないだろうけど、苦手意識を持たれるくらいは有りそうな先輩にも見えたし。あの人とは俺と似た匂いを感じる……。あと捥ぎるのは勘弁」

 「ボッチじゃないと思いますよ、リアス部長は。……ああ、でも身近な友人は少なそうですね。試合終了と同時に捥ぎりに逝きます」

 「ひぃぃ……!」

 

 

 3年の先輩方(女子(超重要)から応援を受けて、更には敵チームであるはずの小猫ちゃんと仲良く談笑中である。

 それらを見て、俺は決意を固めた。

 

 

 「……佑斗、作戦を考えたぞ」

 「え、ほんとかい? どういう策で行くの?」

 「とりあえず烏丸を辱めよう」

 「なんで!?」

 

 

 羨ましいんじゃボケェ!!!

 あと部長を吹っ飛ばしといて更にレッテルでフルボッコなのがムカつく!

 主を貶されれば牙を剥くのが悪魔の戦い方だ、ってじっちゃん言ってた!

 つーわけでこの仕返しは正当な理由による復讐であり、決して嫉妬からくる策略では無いと此処に断言する!

 それではぁ、本邦初公開ッ! 魔力集中ッ!

 

 

 「逝くぜ烏丸ァ! 受けて見ろ俺の必殺魔球ッ!」

 「おっ、準備出来たっすか。それじゃあお手並み拝見――」

 

 

 レーティングゲームでは披露できなかった、修行にて獲得した必殺の一撃!

 ボールに魔力を込めて、思いっきり振りかぶる!!

 受け止めろ烏丸! これが俺の全力だァ!!

 

 

 「――あっぶね」

 「――えっ」

 

 

 ――が、受け止めようとした体勢で居たはずの烏丸は何を思ったか、咄嗟にボールを躱して見せる。

 ボールは軌道をそのままに、「えっ?」とまさか来る筈は無かったであろうと予測していた朱乃さんの手元へとぽすんと届いていた。

 誰が見ても受け止められそうなスピードと姿勢であったにも拘らず、其れを避けたことに観客も含めて怪訝を隠し得ないのだろう。

 そして、俺はと言うと思惑が外れたことに、内心滝のような汗をだらだらと流していたのである……!

 

 

 ――ビリィッ!!!

 

 

 ……すいません朱乃さん、今のうちに謝っておきます。

 込められた魔力は届いた朱乃さんへと伝達し、暴発するように伝導し、彼女の身に附けていた衣服の一切を破り捨てる。

 名付けて、――装備破砕(ドレスブレイク)

 

 

 「「「「「――――……ぅ、ぅぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!???」」」」」

 

 

 観客・相手チームと、其の様を目撃していた全校男子が歓喜の絶叫を上げた!

 無論俺もだ!

 申し訳ない気持ちよりも眼福過ぎて情動(リビドー)を抑えきれねぇッ!

 

 

 「あ、あら……?」

 

 

 おっとりと破れた衣服を抑えるように、朱乃さんは困惑した顔つきでその身体の大事なところを隠すように立ち尽くす。

 リアス部長よりも実はデカいおっぱいとか、細い腰とか、すらっとした御身脚とか!

 先端とか股の谷間とか本当に大事な部分は隠せてますけど、正直はみ出た部分だけでも男子垂涎っす!

 

 

 「やはりエクサルマティオ……、なんかヤな予感したと思ったけど、ネギ君と同系統のキャラかよあの先輩……!」

 

 

 烏丸が戦慄の表情で何か言ってるのも今は気にならないっ!

 ゴチソウサマですッ! 朱乃さんッ!

 

 

 「………………とりあえずイッセーさん、後で謝りましょうね?」

 「アッハイ」

 

 

 アーシアの冷たい目が一瞬で俺の心を凍てつかせました。

 やだ、この娘いつの間に氷の魔法を覚えたの……?

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「一体何回仕切り直せば気が済むんすか」

 「うるせぇ。そもそもお前が避けなけりゃ問題無かったんだ……」

 「酷い責任転嫁を見た」

 

 

 上半身裸の烏丸が呆れた目で俺を見る。

 そんな恰好のお前に呆れられたくはない。

 

 投げる寸前に“魔球”とか口走ったのが悪かった。

 朱乃さんのサービスシーンを成功させたのが俺だということは周知の事実として伝わっており、『女子を無理やり脱がせるケダモノ男子』というレッテルが後日全校へと広まるのはまた別の話。

 そしてその朱乃さんが着替えるとして退場する際、紳士のように自らの体操服(上)を投げ渡した烏丸の女子株が鰻登りなのも計画と違う。

 くそぉ……! 全裸にして辱めようとしたのに、自ら脱ぐ正当な理由を付けたら今更もう一回ドレスブレイクしても意味がねぇ……!

 

 つーか引き締まってるな、アイツの身体。

 褐色で程よく筋肉がついている、女子が見惚れるのも頷ける肢体だ。

 実際、外周からは「……ゴクリんこ」と息を呑む女子の小声が。

 

 

 「不埒な視線を感じるっす」

 「気にしたら負けだ。ほれ、そっちの番だぜ」

 

 

 転がったボールは既に相手チームへ。

 外野から飛ばして貰おうにも、朱乃さんの代わりに外野へ渡ったアーシアに捕ってもらうのは酷な話かもしれない。

 ……というか、アーシアが外野に自ら行ったのって、俺の近くに居たくないから、とかそういう理由と違うよね? 最近、うちの子との距離感が離れすぎてる気がするんです……。

 

 

 「ふぅむ……、まともに投げても捕られるよなぁ。――よし、斎藤、そのボールちょっと持ってて」

 「え? なんだよ烏丸、何する気?」

 「いーからいーから」

 

 

 また何か策を持っているのか、チームメイトの斎藤くんにボールを掲げさせて、その後ろへ控える烏丸。

 腰を落として、拳を構える。

 

 

 「最初は、グー――」

 

 

 ――ッ!? 魔力が拳に一点集中!?

 ちょっ、やば、

 

 

 「――ジャン! ケン! グー!」

 

 

 ドゴォ! という轟音と共に、ボールを殴りつけた烏丸の拳の衝撃がそのままに、俺たちへと大砲のようにぶちかまされる!

 お前、一体何処でそういう奇抜な発想を覚えてくるわけ……!?

 

 

 「くっ!」

 

 

 ボールが襲い掛かったのは小猫ちゃんだった!

 咄嗟に躱す、ということが出来ないスピードのソレを、彼女は全力の跳び回し蹴りで弾き返す!

 が、それは精々威力を殺した程度で、てんてんと転がったボールは再び向こうの陣地へ。

 そして、

 

 

 「アウト、ですね……」

 

 

 ルールの盲点を突けば、正直足で弾き返してもそのまま地に着けずに相手にぶつければ己のアウトにはならない筈だが、それも為していなければ只の自爆でしかない。

 自分の思惑が外れたことに消沈しつつ、小猫ちゃんは外野へと赴く。

 ひ、一人ずつ確実に削る為に最大戦力から倒した……?

 狙ってやってたのかよ、烏丸……!?

 

 

 「……いや、躱せば良かったんじゃ……?」

 

 

 転がったボールを再び手にした斎藤くんが怪訝な顔で呟くけど、其れはアレだ、漢と漢の勝負みたいな話だよ、きっと。

 

 

 「よし、成功。もう一発逝くぞ」

 「お、おう」

 

 

 そしてもう一回同じ体勢で構える斎藤くん&烏丸。

 ――ってちょっと待て、セオリー通りなら次に狙うのは当然戦力の一つである佑斗……?

 お、俺一人が内野に残されても勝てる見込みねーぞ!?

 

 

 「最、初! から!」

 

 

 タメ無し!? クソッ! 間に合ええええええッッッ!!!

 

 

 「佑斗ォ! 危ねぇ!」

 「ッ! い、イッセー君ッ!?」

 

 

 ぶっ放された豪速球は、俺の読み通り、佑斗を狙って放たれ――、

 

 ――ただ一つ読みと間違っていたのは、その進攻ルートが足元を狙ったモノだったという事実。

 恐らくは、佑斗の直前でカーブがかかるように下へと曲がる球癖だか回転だかにタイミング悪く割り込んだお蔭で、ボールが落ち切る前の位置に射線は放物を描く。

 即ち、

 

 

 「!!!!!!!!???? ォ、ッ――!! ゴ、ォ…………ッ!?」

 

 

 俺の、股間に。

 

 

 「い、イッセーくぅぅぅぅぅん!!!」

 

 

 ……何処か遠くで、佑斗の叫ぶ声が響いている気がする。

 掠れる視界の隅っこに、俺を抱えた親友の目に、光るものが滲んでいるようにも見える。

 はは、馬鹿だな、お前が泣くことなんて何もない……。

 俺は親友を守れた、それだけで充分なんだ、だから、お前は……、

 

 

 「――笑って、ろよ……、しん、ゆう……」

 

 

 俺は、ただ一言。

 そう告げて、意識を手放した――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから十数分後、試合終了後にリアス部長と朱乃さんから正座を強いられる俺と烏丸が居たのはまた別の話である。

 

 

 




~わずか一分でデスゲーム
 最近絶望系とかデスゲームとかが某講●社を筆頭に流行って居られる御様子ですので便乗した次第
 命の軽さを語っておいて同じ口で愛とか正義とかを漫画家に騙らせる、正直●ねばいいと思う(ヤサグレ


~佑斗ヤンデレフラグ未だ建たず
 何故ならばエクスカリバーの写真発見が為されてないから
 ハイライトさんが仕事をしている佑斗くんを倒すのは難儀だぜ…


~「黒百合を思い出すぜ」
 アレ…? お前、ドッチボールに参加してたっけ…?


~本日のサービスシーン(朱乃
 イッセー、とりあえず視点を烏丸と替われ
 お前の説明下手の所為で詳しい描写が語れない(憤慨


~「最、初は! グー!」
 残念ながらハンターが知られてない世界線(DD原作
 全力でネタに走る烏丸に来るツッコミが足りない…
 此処は本格的に元の世界の烏丸眷属ガールズを呼び込むべきか…(ゲス顔



前回エロが少なかったことを此処にお詫びします
だってリアスとか正直誰得んんっ、げっふげっふ!
次はエロを出しますから!
なんでもしますから!


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☆「中身がいっぱい詰まったぁもう1回!」

この作者はエロを書くことに定評があるという風潮
錯覚です


 

 若干黴臭い倉庫の一室、前回の話でお察しの読者予想があるならば十中八九正解を導けるであろう、即ち体育用具室に俺たちは居た。

 其処に何故いるのかは追々話すとして置いといて、今は優先しなければイケナイ人物&シチュが待機中である。

 「はっ、あっ、んっ、そらくんっ、あっ、んぃっ」

 くちゅくちゅと湿った水音と少女の嬌声が、暗く静かな室内に染み入るように響く。

 体操服から着替えぬままに、下から捲れて肌蹴た白いお腹とピンクのブラを晒した状態。

 あすなろ抱きにも似た逃亡も容易い筈の姿勢で、アルジェント先輩は俺にされるがままとなっていた。

 イッサだったかバショーだったかが読んだ句に『蝉の声が岩に染み入る』とあるのだが、ならば学舎に響く生徒の声は校舎へと染み入るのだろう、と連想もされ、その論理で往けばエロシチュが引っ切り無しに在る体育用具室には生徒らの嬌声などが染み入っているのでは、と拙くも思う。

 卑猥な(エロ)音響媒体(レコード)を量産するのが学び舎で果たして問題は無いのだろうか、等と胡乱にも心痛を抱くのは間違っているのだろうか……。

 「ひっ、うっん、あっ、ああぅっ、んぁあああっ」

 そんなことはさて置いて、その体操着姿のアルジェント先輩が潮を吹いた。

 噴き出した清水は下着やブルマに遮られるも押し留められず、プシャァッ!と潮とかじゃない量の濁流をじょぼじょぼと広げる。

 ぅわぁ、すごいよアーシアちゃぁん……。

 クンニというか手マンというか、抱き抱えて胸へ手を回しつつ下も弄っていたら我慢が出来なくなったらしい。

 はひぃ……、と垂れ流しの『アーシアちゃん』が放心した(さま)で、脚をM字にしたまま体重を俺へと預けてくる。

 ん、もー! 勘違いしないでよねっ! こんな姫プレイをいつもするわけじゃないんだからっ! あ、アンタだけなんだからねっ!

 等と、まあとりあえずツンデレっぽく脳内で言い訳してみるが、飛び散った愛液の行方は敷いたマットにしっかりと染み入ってしまっているので、蝉の声ではないが此れ又卑猥なレコードが追加されたぜ、と良い訳にもならない。

 後進が気付いたらその時はその時だ。美少女のラブジュースなんだし、拝辞て受け入れるが良かろう。

 「ぁ……、ご、ごめんなさい、わたし……」

 「いや、まあ、やっちまったのは仕方ないし……。そう匂うモノでもないし、問題ないんじゃね……?」

 見事に世界地図一歩手前の有様だけど、気づいた彼女を気遣って目を逸らす。

 とりあえず、後に折を見て天日干しするくらいの事を愚考しておくべきか。

 それよりなにより続きだ続き。生活臭よりエロ臭漂わせろ、って読み手は注文してんだよ。

 「ひぅっ」

 「んー、止まらないのかなー? 下のお口がヨダレで凄いことになってるぞー?」

 「んぁっ、ぁっ、そら、くんっ、あっ、だめぇ、これ、だめぇ、ぁっ」

 気づかせない腹積もりで、ブルマとかぐっしょぐしょなんだけど膣穴弄りの続きを再開。

 敏感になっちゃってるアルジェント先輩は、俺が指を動かすたびに小刻みに躰を竦めて声を漏らす。

 声漏らすどころか尿ゲフン、は兎も角、ブラ越しに揉んでいるバストの先端もコリコリと主張してきておりますので、ぶっちゃけ止めどころが見つからない。

 一回吹いたんだから、ちょっと落ち着こうよ。

 「どうしたらいいのかなぁ」

 「ぁっ、んっ、と、止まらないのであればっ、んっ、せ、栓をするのがっ、あっ、正解なのではっ、ないですかっ、あんっ」

 途切れ途切れになりながらも、顔を傾けて目線は背後へと回される。

 蕩けた、しかし期待した目でそんなことを提案されたが、その目がしっかりと俺を捉えているので催促であるのも確実。

 特別何か異論があるわけじゃ無いけれど、ある思いを抱きつつも、言葉を続ける。

 「……どうして欲しいのかなぁ?」

 「んくぅっ、おっ、おマ●コにっ、そらくんのっ、をっ、くださいぃっ」

 「ぇー……、もうシテるじゃん、指」

 「チ●ポぉっ! お●ンポがいいのぉっ!」

 ………………兵藤先輩に言えよぉ。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 土下座である。

 漢は黙って土下座が第一。そう長くも無い女子との付き合い方の一つとして、俺はとりあえずそう学んだ。

 とは言っても、この手段は自分が本当に間違った場合とか、相手側へマジで迷惑かけたと思った時とか限定と言う枠組みでしか通用しないモノであり、過剰に気心も知れる仲となっては時に役にも立たない時もある。

 ……少なくとも、記憶の中のエヴァは俺が土下座すると嬉々として踏んで来た。他にシタ相手もいないから参考にもならんけれど。

 は? ご褒美? 幼女に踏まれて悦ぶ変態性は持ち合わせてないなぁ。

 つまり、

 

 

 「退きなさい、塔城」

 「ヤです」

 

 

 土下座を敢行しようとして正座した俺の膝の上に、ちょこんと座り込んだ塔城に興奮する腹積もりは微塵も無い。

 先の宣言通り、試合終了と同時に捥ぎりに来たニャン(むす)の伸ばす手を躱す躱す。躱せっ!(ポケ●ン風)

 

 

 「退きなさい。今、俺一世一代の謝辞をするところなんだから。シリアスシーンなんだから。ほっぺに手を伸ばすんじゃないの」

 「宣言通りに捥ぎります。序でに美味しい思いも逃しません。イチャイチャしましょう」

 「なんでだよ。やらねぇよ。そういうのは恋人とヤレよ」

 「だから今こうしてるんじゃないですか」

 「おっかしいなぁー、コイツとの意思の疎通が一向に噛み合わないんだけどなぁー……!」

 

 

 考えてみれば、今まで噛み合ったことも無かった気もするので今更である。

 

 

 「とりあえず、こんな姿勢ですけどスンマセンでしたグレモリー先輩。顔面無事です?」

 「うん、色々言いたいことはあるけど、倒れた時の見た目ほど残る傷じゃないみたいだし、気にしないでもいいわよ? どうしても気になるって言うのなら、こちらとしても補償を貰うというのも吝かでも無いけれど……」

 「そうですかー。やー、気にしないって言うんなら問題ないですねー」

 「躊躇無しに話を切り上げた!? え、えっと、女の子を傷物にしたんだし、責任……」

 「傷が残らないんなら平気ですよねー。助かるなぁー、苦学生だから賠償金とか払え切れないしー」

 「補償の仕方が生々しい! ぅう、でもお金で応えられても困るのも事実だし……。わ、わかったわよ、もう云わないからそのわざとらしい棒読みは辞めて頂戴……? あと小猫、其処から降りてちょっと話をしましょうか」

 「にゃぁー、ごろごろごろ(棒」

 「おいホント降りろお前わざとらしく猫の鳴き真似しても棒読みじゃ騙されないからな」

 「とりあえず一回落ち着きましょう。誰が喋ってるんだかわからなくなりそうですし」

 

 

 対面で椅子に坐したグレモリー先輩へと気を遣いこちらに責任を要求しないと言質を取るまでチラッチラと目線向けてくるも右から左へ受け流し、妙に剣呑な眼差しで塔城へと目が行きそれを挑発宜しく棒読みで返事したニャン娘にいきり立ちそうになった先輩を宥めるように、最終的に俺が執り成した。

 もうどうなっているのだか。わけがわからないよ。

 

 ちなみに場所は以前にも来たオカルト研究部部室で、俺の横ではにっこにこと超笑顔の姫島先輩の前で兵藤先輩が土下座姿勢のまま滝のような汗を流している。まさに青春真っ盛りである。

 エクサルマティオした兵藤先輩が怒られるのは自明の理であるけれど、ネギ君と同系統キャラであっても年齢的な部分がネックであるのだろうなぁ、とも理解できる。

 此れでリト=サンみたいなラブコメ主人公だったならキャーエッチぃ!の一言で済むのだろうけど、高校生にもなって女子の衣服に意図的に手をかけるのは流石に犯罪行為にしかならないわけで。

 ……着替えの為に校舎へと戻ってゆく後姿からチラチラ覗けた姫島先輩のお尻とかはとっても素敵でしたよっ! って口出ししても減刑は免れないだろうなぁ……。南無。

 

 

 「とにかく、前回の個人的ないざこざを解消してくれたお礼として、私から烏丸くんへ責任を要求する意図はないわ。此れだけはしっかりと周囲にも言い含めておくから、それでお互いにチャラということにしておきましょう?」

 

 

 あっ、兵藤先輩は放置なんですね。わかりましたっ。

 いや、それにしてもちょっと待て。

 

 

 「前回? 俺なんかしましたっけ?」

 

 

 惨酷王での過剰防衛改め惨劇の十字架事件(グランギニヨルリベリオン)はともかくとして、それ以降を何かしらの手配をしたという記憶が特にない。

 塔城に関してはちょっと修行付けさせただけだし、そもそもグレイフィアさんに頼まれていたという経緯があったのでオカ部に何かしらの利益が出たとしてもお礼を受ける謂れも無い。

 はて?

 

 

 「えっと、小猫を強くしてくれたのが貴方だと聞いたのだけど?」

 「はあ。まあ一応そうですけど」

 

 

 小首を傾げているとグレモリー先輩が今更な事実確認。

 それがなんすか、としか言いようがない。

 

 

 「アレで助かったのは事実だし、そういう利を無償で施してくれたのだからやっぱりお礼を言うべきだと思ったのよ。本当に助かったわ、ありがとう、ね?」

 「……はぁ……」

 

 

 にっこりと微笑まれて真摯にお礼を申し上げられてしまったのだが、正直心苦しい。

 い、言えない……! 本当は酔っぱらったグレイフィアさんを美味しく戴いたのを前払いとして、先輩方に手を貸すことを要求されていた、なんていう笑劇の事実。今更言えない……!

 美人は身を削る(カンナ)だとか云う慣用句を思い出し、本当のことだったのだなぁと身を以て知る今日この頃である。

 

 

 「それはそれとして、貴方にはもう一つ借りがあるのよ。寸での処でライザーから助けて貰った、という大きな借りが、ね」

 「ん?」

 

 

 話が終わったと思ったら続投、むしろ此処から始まったという雰囲気で、グレモリー先輩は自らの体操服に手をかける。

 というか、脱いだ。

 ――おま、

 

 

 「ちょっ、先輩何してんすか。いきなり胸晒すとかご褒美塔城邪魔だ目隠しすんなっ」

 「形振り構わないビッチ部長の魔の手から守る為です断固拒否します」

 

 

 眼福を味わう間もなく塔城の手の平(目隠し)がむぎゅうと顔へと押し付けられる。

 邪魔ー、じゃーまー!

 

 

 「小猫、退きなさい?」

 「聞きません」

 「小猫」

 「ノーです」

 「……別に誘惑してるわけじゃ無いから」

 「服を着ろッツッテンダロ」

 

 

 主従とやらの遣り取りがどう考えても関係性に(ヒビ)入ってるようにしか思えない、殺伐とした空気へと変わって逝くのが遮られた視界でも良く分かった。

 口調が乱暴且つ片言になる塔城さんのハイライトも、恐らく既にご臨終なのだろうか。

 

 

 「こーねーこー!」

 「いーやーでーすー!」

 

 

 待って止めて眼球抉れる!?

 塔城さん!? ちょ、いい加減お放しになってくださいませんことイダダダダダ!?

 

 

 「俺を大きな蕪みたいに引き摺るのは辞めて貰おうか!? もう高校生なんだから口で解決しろコブシはNGッ!」

 

 

 いい加減迷惑なので、塔城のおててを目隠しから解雇する。

 にゃぁー!と引っ張られていたのか、勢いつけて中空へと巴投げみたいに放り投げられたのが、明るい視界に映った最初の映像であった。

 

 

 「――ふぅ。それで、此れなんだけど」

 「あっ、何事も無く話進めるんすね」

 

 

 一仕事終えたぜ、みたいに額を拭い、脱いだ体操服で胸の下半分から腹にかけてを隠したグレモリー先輩がずいと近づく。

 ブラはきちんとシテいるらしいが、持ち上げられた御胸が他の女子と比べると特に顕著に大きいので目に毒過ぎる。

 というかブラジャー赤って、高校生がシテイイ色とデザインじゃなくね? 明らかにお水のお姉さま方が客用にと控えるような代物っすよ?

 ――あ、そういやぁ此処ってデリヘル系のバイトを斡旋している部活だったっけ……。納得。

 

 

 「此処の痣、多分だけど貴方の仕業よね? 怒らないから、正直に言ってくれる?」

 「――あっ」

 

 

 と、見せられたグレモリー先輩の、乳房の谷間のお肉の表面。

 やや薄くなっているが、俺が手紙を媒体に間接的に施した呪術刻印の痕がしっかりと目に見えていた。

 ……やっべぇー、この人見える人なのかよ……。

 普通の人には目視するのも難しい秘匿性を秘めている筈なのだが、魔法に通じる奴には見えるのが弱点と言えば弱点であったのは事実。というか、見える奴がこの世界に居るとは思ってもみなかったでござる。

 ちなみに効果は『男避け』。

 本人の意に沿わない男性に無理に手を出された場合、要するに痴漢や強姦魔なんかを排するのに役に立つ『呪詛』だ。

 刻むと発動する度に消耗してゆくモノではあるが、完全に消えるまで効果を持続するので此れが意外と役に立つ。

 発された呪いは刻印を目視したり触れたりした相手の男性へと直接届き、不能・短小・破裂・切除のどれかの効果がランダムに出現する。

 先程も言ったが、呪詛は刻印が消失するまで持続するので、相手の男性の再犯防止にも役立ったりするのだ。

 

 問題は、それを本人確認せずに勝手に刻んだことが若干後ろめたかった。

 見える相手には見えるし、キレイな肌に勝手に痣みたいなの付けたら、怒るのも当然だよね……。

 しかもこの部はデリヘル斡旋してるし、見事に営業妨害なのだろうなぁ……。

 

 

 「ぃゃあ、知らないっすねぇ。何処かでぶつけでもしましたかね?」

 

 

 そこまで連想出来たら、今更自白も苦しいと思われ。

 俺は!全力でしらばっくれることに!した!

 声が裏返ってる? まっさかー。

 

 

 「……ふぅん、そう?」

 「ぁはは……、あの、ちょっと目に毒なんで、そろそろ仕舞ってください。あと隣の兵藤先輩がすげぇ血涙で歯ぁ食い縛ってるんで……」

 

 

 どう見てもお前知ってんだろ?ああん?みたいな目で眺めてくるグレモリー先輩から、恥ずかしい健全な男子高校生を装って目線を逸らしつつ、すぐ隣に這い寄る恐怖を提示。

 未だに土下座姿勢で姫島先輩の笑顔(コワイ!)から逃れようとしている兵藤先輩ではあるが、すぐ隣でピンクな空気醸していれば流石に誰でも気づけるわけで。

 というか、以前に噂が流れた通りに、やっぱりこの人グレモリー先輩と付き合ってるのかなぁ? そのすぐ後くらいにアルジェント先輩と同棲してる、っていう噂も付き合っているって言う噂も流れたのに。

 ……あれ? その状態でデリヘル斡旋する部活に同時に在籍しているって、普通の男女関係としてはあり得無くねぇ?

 自分の女を他所の男へ流す屑なのか、はたまた彼氏のみで満足できずに男を漁るビッチなのか……。

 どっちにしても健全とは言い難いなぁ。でも学園理事の血縁だから好き勝手出来てんだろうなぁ。

 ……あんまり深く関わりたくなくなってきた。この件が終わったら出来るだけ接点を控えよう。

 

 

 「そうね。じゃあ、烏丸くん、少し頼まれてくれるかしら?」

 「はい?」

 「球技大会の後片付けを、私たちが本来は生徒会に頼まれているのだけど。正直、今日は仕事にならなさそうなのよね、一部を除いて」

 

 

 ……何故そんな話を?

 まあ、件の一部とやらをチラ見すれば納得の理由ではあるけど。

 

 

 「キミが何も云う気が無い、っていうのなら其処を配慮するわ。さっきの責任の取り方を此れでチャラにする、ってことでちょっとした『お使い』を請け負ってくれるかしら?」

 

 

 悪戯っぽい小悪魔的な微笑で、傷物に付いての『責任の話』を再び持ち出してくるグレモリー先輩。

 その話は終わったはずでは、という理屈が女子には通用することは無いって、そらくん知ってるよ! 知ってたよ……。

 少なくとも納得はしてないんだろうなぁ、とは思うけど、一先ず此処から逃れられるならば件の『お使い』を請け負うのも吝かでは無きにしも非ず。

 というか、兵藤先輩へとにじり寄る姫島先輩の手には随分とアングラ臭漂う革製のアイテムが所持されていて此れからの展開をぶっちゃけ想定したくない。

 此処から逃れられる上にアブノーマルな世界の隙間を垣間見たくも無い俺としては、グレモリー先輩からの責任追及をも払拭できる壱投弐取のご提案にわっかりましたぁ!と元気良く応えて部室より飛び出した。

 部室を後にし暫くした後ろの方で、アッーーー!とかいう声が聴こえてきたのは……、幻聴だよ。うん……。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 と、いうわけで、体育倉庫へとやってまいりました烏丸です。

 それ程の間を置かずに合流したアルジェント先輩と雑談しつつ、グラウンドへ放置してあったボール入りの籠他数点を押し込めるだけの簡単なお仕事です。

 俺のペナルティだってのに手伝ってくれるアルジェント先輩マジ天使ぃ。

 ちなみに、塔城は復活した後にグレモリー先輩と取っ組み合いのキャットファイトに発展したり、それを宥める木場先輩と別の思惑で楽しそう(意味深)な姫島先輩と兵藤先輩はスルーのままに、彼女は俺に独断で手を貸してくれるという話であった。

 何やってんだオカ部。あ、いや、詳しくは聞きたくないから話さなくてもいいや……。

 

 

 「やー、助かりましたアルジェント先輩。俺一人だと多少手間取ったと思いますし」

 「いいんですよ、これくらい。私も、ちょっと用事がありましたし」

 

 

 既に日は傾き、用具室に差し込む明かりは室内を橙に染める。

 それが、ガラガラという音と共に細まって往き、色を伴わない光源が枠付きの窓から差し込むのみに絞られる。

 ……え、扉閉めました?

 

 

 「ちょ、アルジェント先輩ぃっ?」

 「――アーシア、です」

 

 

 一瞬、何をされたのかと慌てて振り返れば、後ろ手に戸を閉めるアルジェント先輩の俯く姿が目に入った。

 てっきり、外から閉めて閉じ込めるつもりだったのかとばかり思っていたが……。

 というか、そうされても可笑しくないことをこの先輩にはしていたんだよねぇー……。

 ……謝るべきかな?

 

 

 「え、と、すいませんでした。謝って済むことじゃないとは思いますけど、一応言葉としての感情は伴っているということを考慮していただければ――」

 「――なんで、」

 「え?」

 「なんで、そんなにそっけないんですか?」

 

 

 ………………ん?

 

 

 「えーと、……先輩?」

 「名前で呼んでくれないのはなんでですか? 召喚も、あれから全然お呼びがかからないし。待ってたんですよ? ずっと」

 「えぇ……? いや、いやいやいや、何言ってんですかせんぱ、」

 「『アーシア』ですっ」

 

 

 困惑を隠せない俺を他所に、アルジェント先輩が俺に詰め寄る。

 普段なら押し留めるくらいの気概も保てたのだが、暗さと彼女の押しの強さ、そして足元のマットにバランスを取られて、そのまま座り込むようにマットへと腰を落とす。

 当然、勢いのついた先輩もまた、俺の胸へと抱き着くようにして共に倒れ込む。

 むぎゅう、と倒れたままになるのも気にはしなかったが、言いたいことはまだあるらしい先輩は、即座に起き上がって顔を上げた。

 

 

 「そらくんは、責任を取るべきですっ」

 「またっすか……?」

 

 

 本日で何度その単語を耳にしたのか。

 というか、彼女が口にする場合だと別の意味に捉われる。

 ……え、まさか……?

 

 

 「まずは、これからは名前で呼んでください。私も“そらくん”ってきちんと呼びます」

 「あ、はい」

 

 

 お、おう。

 普通に年齢的に健全な要求から始まった。

 良かったよ……、お腹の中に居る子を認知しろ、とかいう色んな意味でドアウトな話題にならなくて。

 まあ――、最初に襲われた時の火事場のなんとやらを発揮した結果、自身の『繁殖』ステを弄ることで低値まで振り切ったからそういう懸念は実は無いんだけど。

 種類で分けると把握している分は、今言ったのに加えて『催淫』『回数』『総量』『命数』の計5つ。

 『催淫』は名の通りに、相手側へ与える快感の誘発性質。

 『回数』は発射数、『総量』は一回で出る精液のアレで、『命数』は精子そのものの寿命。

 『繁殖』は云わずと知れた命中率みたいな意味合いのアレだ。

 それらを自身に空廻る『魔力』余剰分で補って、俺自身にとっての『最悪』な展開には至らないように確率を下げたわけである。

 要するに、頑張って『種無し』に限りなく近い『性』能へと自分を近づけたので、子供はそうそうできませんよ。という話だ。

 好きに弄れるならとっくにやっているが、此れ、全部低値まで振り切れれば性欲も抑えられるかと思えばそうでは無い。

 少なくともどれか一点すらも0には出来ず、どれかを下げれば別のステが上昇するシーソーゲーム。

 限りなく安全圏へと逃れるために『命数』と『繁殖』を低値まで設定することが必要であるから、必然的に他の3つが絶倫を天元突破するレベルで振り切ってしまっているのである。

 

 ……ひょっとして、その『催淫』が先輩の脳みそ蕩けさせちゃったか?

 可能性としては有りそうな話だ。

 いくら最終的に和姦っぽい雰囲気だったとしても、レ●プ同然の相手に此処まで自分から近づいてくるとかぶっちゃけありえない。

 ご都合主義? おいおい、勘弁してくれよ。エロ漫画と現実を混同するなっつーの。

 あ、そういや俺二次元に転生してたっけか。それならあり得る、のか?

 

 

 「赤ちゃんはまだいませんけど、そらくんがきちんと付き合ってくれるんだったら、え、えっちなことも覚えます。お姉さんですから、わたしっ」

 

 

 ――アカン。

 呑気に回想と分析してる場合じゃなかった。

 この人、脳みそ軽いのに一途なタイプだ。

 そういう『気持ち』はキチンと元々好きだった方へと送るべきですよー、例えば兵藤先輩とかー。

 

 

 「えーと……、兵藤先輩はいいんすか? ほら、確か同棲してましたよね?」

 「……イッセーさんは、ないです」

 「えぇ……」

 

 

 俯きがちになるが、はっきりと言葉で拒絶の意が出た。

 最初に名前を口に出していたとは思えないほどに、随分と気持ちが冷め切ってしまっておる。

 一つ屋根の下にいるはずなのに、何故そんなに心が離れてしまっているのか。

 むしろナニカしたのか、兵藤先輩よ。

 

 

 「イッセーさんは、わたしを助けてくれた方です。だから、この身を捧げることで恩返しをしたかったんです」

 

 

 なんか意味深な自分語りが始まった。

 というか、そう思うのだったらそのまま突き進むべきじゃね? You、告っチャイナYO。

 

 

 「でも、イッセーさんは部長さんのことが好きなんです」

 「あー……、それは、まあ……」

 

 

 一時期に噂にもなってたしなぁ、アルジェント先輩の来る前、だよね?

 

 

 「あと、おっぱいは大きい人が良いみたいですし」

 「あー」

 

 

 むしろ其れが第一の理由だよね?

 

 

 「でも、そらくんは貧相なわたしの身体とかでも、気にしてませんよね?」

 「まあ、そうですけどね?」

 

 

 自分から云うのは、どうかとも思うのです。

 あと、俺は普通に普通の女の子なら好きですよ、という常識的な範囲で抓めます。

 亜子とゆーなが並んだ時とか、このかとせっちゃんが並んだ時とかも、同じように興奮しましたし。胸の大きさとか気にしません。

 でもエヴァでは性欲湧かなかったんだよなぁ。

 やっぱロリコンじゃないから、そういうセーフティが倫理面に掛かっているのかね?

 

 

 「それなら――、」

 

 

 思考がブレブレに反って逝こうとする(人、それを現実逃避と言う)己の思惑を他所に、アルジェント先輩は自らの体操服を下から捲り上げる。

 白い肌にすべすべとしたお腹が覗えたかと思えば、そのままピンク色のブラジャーが付いたままの胸の上まで、大胆に上げて晒す。

 鉄格子の窓から差し込む微かな光源でも、この距離ならば見えないという言い訳も通用しないくらいの至近距離で、アルジェント先輩は恥ずかしそうに己を曝け出していた。

 

 

 「――わたしをこんなふうにした責任は、取ってくれますよね……?」

 

 

 ………………ていうか、生乳晒すんじゃないんだ。

 まあ、男子としては女子に追いかけられるとか垂涎の夢でもあるし、そもそも俺は来るものは拒まぬ主義でもあるし。

 そんな言い訳を口にはせずに、俺は彼女の身体を自分へと引き寄せ、抱き抱えるような口づけから始める。

 

 

 「ぁ、んぅ、む、ふぅ、んぁぁ……」

 

 

 少しの間、舌を中へと這わせるだけで、火照った貌と蕩けた目元がこちらを向く。

 唾液が拙い糸のように唇を繋げるのを惜しむような、見上げてくる彼女へと、呆れたような声で応えた。

 

 

 「……これで良いかよ、『アーシア』」

 「ぁ……! はいっ……!」

 

 

 途端に嬉しそうな声を上げて、俺の胸元へと再び飛び込んでくる彼女。

 あははーこの先輩、ほんとちょろーい――どうしてこうなった。

 

 

 「あ、あの、それで、ですね……?」

 

 

 やったことは無かったことには出来ないし、大嘘憑き(オールフィクション)が欲しかったなぁ!!!と心中で絶叫するも束の間、もじもじとした様子で、アルジェント先輩は胸の中で疼く。

 はいはい、なんですか?

 

 

 「きょ、きょう、これから、シますよ、ね……?」

 

 

 ――まあ、据え膳は戴く主義です。

 期待するように縋った眼を向ける彼女へ、応えることも吝かでは無かった。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 日も沈んだ薄暗い校庭を歩く。

 学外の常夜灯や、校庭の幾つかへと設置されている運動部用のライトなんかがあるから、実はそれほどの暗さも無い。

 そんな不安が煽られるよりは安心感の方が比率的に上の場所で、私がやっていることはといえば人探しだ。

 

 

 ――つい先ほど部室を後にした、烏丸くんとアーシアちゃんの2人、の。

 

 

 というか、そもそもリアスは彼に私たちの仕事を替わって貰おう、という思惑で『お使い』を頼んだわけでは無い。

 少し部室がごたごたと騒がしくもあることに仕事が遅れることを懸念し、その手伝いを生徒会へと打診する伝言を届けて欲しい、という意図があったようだ。

 誰の所為だと言う気はないが、部員が手分けて動くことが困難なのも理由の一つ。

 体面的に諸手を上げて『仕出かしてしまった』烏丸くんを無罪放免とするわけにもいかない、リアスなりの責任解消の思惑だったのだろうが、……烏丸くんを送り出して一時間後に、彼女はようやく生徒会の誰もが部室へ来ないことに気づいた。

 

 

 『ところで……、遅いわね、烏丸くんたち。伝言を伝えてそのまま帰っちゃったのかしら?』

 『……部長、伝言とかアナタ烏丸くんに言ってないですよ?』

 

 

 キャットファイトの末に敗北し、頬をむにむにとさすりつつ小猫がそう告げたことで、私もようやく彼女の意図を汲み取ることが出来た。

 まあ、イッセー君()遊んでいた私が汲み取ったところで、どう転ぶモノでもなかったけれど。

 

 現状にようやく気付いたリアスが動ける面子を動員し、ようやくグラウンドへと赴いた時には後の祭り。

 片づけは終了しており、誰の姿も無かったことで第二捜索を各自命じられる羽目となった。

 

 リアスと小猫は生徒会室へ行き、烏丸くんが来ていないかを尋ねに。

 しかし、時間的に既に生徒会も解散していそうな気がするのは私だけなのだろうか。

 佑斗君はいつの間にか部室からいなくなっていたアーシアちゃんを重点的に捜索し、私は可能性の一つを考慮して体育用具室へ。

 イッセー君は反省の為に、部室で『吊るした』まま放置だ。

 そもそも、あの子は烏丸くんには妙に突っかかっている様に見える。

 まあ、リアスが気にかけている自分以外の男子、なんていう存在が出てくれば妬み嫉みも抱くのだろうけど、それにしたって後輩へと抱く感情としては、やはりやや湿っぽいと思われる。

 アレでもう少しドライな部分があれば、私も少しは懸想を抱いてもいいかなぁ、なんていう感情は、今はまだ向けられそうにも無い。

 それに、『私』には恋愛へ踏み出すには色々とハードルがまだ患っている部分も多いわけだし……。

 

 

 話を戻すが。

 体育用具室に可能性があると思ったのは、まあ一種の下世話な連想からくる冗談のような一手でしかなかった。

 リアスの読む少女漫画(恋愛参考書)の一端曰く、学園で人気(ひとけ)の無い場所では男女の逢瀬が在るものである。

 日も暮れて、悪魔の活動する時刻へとなった影響も多少はあるのだろうか。

 私たちの中のバイオリズムの波長は、活動的になるとどうも『そーゆうこと』を連想するくらいには淫靡になる風潮があるようにも思えてくる。

 下世話な言い方だと、夜になるとエッチになる、とか。

 ……淫魔じゃないんだから。自重したいモノだ……。

 そうして(肉体的には一見して判りづらいだろうけど)控えめに振る舞っているつもりの私だが、そういう連想が為されてしまったことには矢張り自分でも笑い飛ばしてしまいたくもなる。

 しかし、まあ確認のため、ということで選択肢の一つとして自分で挙げたのだから見て回ってみようと、閉じられた扉に手を掛けたその時。

 

 

 ――用具室が、魔法的に閉鎖されていることに気づいた。

 

 

 というか、この魔力波長はアーシアちゃんのモノでは?

 10日程だが修行を付けた私が間違える筈も無く、では、何故彼女はこんな場所を開けられない様に閉鎖したのか。

 しかも、内側から閉じられているということは、中に居るということも容易に連想できる。

 音声的にも空間的にも閉じられている為に中の様子を覗えないし、彼女にある思惑を解除した時に台無しにする可能性を思うと、下手に弄ることも押し留められる。

 私もリアスも妹みたいに想う彼女の『なんらか』をダメにするのも憚られた為に、一先ず私は扉から離れて、用具室の周りをぐるりと巡ることとした。

 

 空間を閉じる、要するに結界系の魔法の初歩みたいなモノだが、それは密室であれば『完全に』作用するモノだ。

 人の手も目も届きづらいが、用具室の反対側には窓も付いている。

 学校の敷地とは少し離れた場所にある常夜灯の明かりが届く程度の、人が一人通るくらいしか出来ない隙間だけの空く、生垣が外からの通行人の目を届かなくさせる死角を生み出したか細い『通路』。

 其処へと入り込むと、開いている結界の隙、要するに用具室の窓のその下へと、私は近づいて息を潜めた。

 人より大きな胸が現在の進行の邪魔になるのだが、突き出た己の部位で生垣を揺らすことを懸念した私は、用具室の壁へと押し付けるようにして横這いに進む。

 潰れてみっともなく形が変わるけど、人目が無いのだからそんなことを気にする意味も無い。

 とにかく、窓の下へと赴き、結界の空いている隙間のみに集中して干渉し、音声を拾うことを目的とした。

 

 

 『ふぁあんっ! そらくんっ! そこっ! そこぉっ!!』

 

 

 ――うぇっ!? ちょ、こ、コレはマズイッ!?

 駄目っ! 結界張り直しっ! 生垣の外側へ防音結界ぃッ!!

 

 アーシアちゃんの結界を一部解除した直後に甘い艶の乗った声で響く、とてつもなく変態的な言い方をするところの所謂エロい声音が窓から漏れたことに驚きつつ、慌てて用具室の外側を結界で重ね掛けすることで外へ音が漏れることを遮る。

 一瞬の判断だったのだが、それがなんとか成功したことに安堵しつつも、しかし自分の居る所へは未だ響く声に心が泡立つ。

 と、いうか、まず間違いなくアーシアちゃんの声なのだけど、どうなっているのか……!

 

 

 『あっあっあっ! いくっ、いくぅっ! いっちゃうぅぅっ!』

 

 

 ま、マッサージとか、そういうオチ、じゃないかしら……?

 などと、淡い期待を込めつつ、爪先立ちになって格子付きの窓を、顔を出さない程度に覗き見てみる。

 

 

 『ふむぅぅっ、んむぅっ、っぷん、ちゅっ、んぁっ、はぁんっ、んぁっ、そらくぅんっ、いいのぉっ、もっとぉ、もっとうごいてぇっ』

 

 

 …………………………用具室の床に敷かれたマットの上に座り込んだ『彼』に圧し掛かるようにぎゅぅぅと抱き着いて、口付けたり離したりしてゆさゆさ上下に動かされるアーシアちゃんの姿が。

 此れ、完全にアウトだ。

 

 こっちの淡い期待とか、安心させる気持ちとか、完全にぶった切る勢いで、見事に『男女のアレ』をヤってしまっているお2人にもうなんて声をかけて良いのかも思いもつかない。

 見るからにアーシアちゃんは無理にやらされているようには見えないし、そもそも用具室に結界まで張って邪魔されないように仕組んだのは彼女で間違いないだろうし、考えてみれば彼女が部室からいつの間にか消えていた時に彼と一緒に行動していることを覗われたくないからこそ黙って消えたようにも思えてくる。

 ……というか、あの2人はいつからこういう関係を続けていたのだろう?

 まさか此れが最初、と思えるほどアーシアちゃんが初心な反応には見えないし、そもそも相手の男子も……白い髪の後姿から烏丸くんかというのはほぼ断定的だけど、アレで初体験だとすると凄い才能を秘めているようにも窺い知れる。

 挿入()れただけで嬌声を上げられるほど、女の子は単純では無い。

 にも拘らず、アーシアちゃんのあの反応は、もう其処に至るまでに色々と『通過した』ラストスパートに差し掛かっていると見て間違いなかった。

 用具室の中にアーシアちゃんのみではなく、烏丸くんと居たという今更過ぎる確認事項には目を瞑るとしても、その事実を私たちにも秘密にしていたというのは何故なのだろうか。

 そういう微かな疑問も、抱くことは抱くのだがそれよりも、

 

 

 『あっあっあっあーっ! ぁあーっ!』

 

 

 顔を真っ赤にして我慢しきれずに叫ぶ様子に、目が釘づけになる。

 親友のリアスの淡い想いとか、仲間の小猫ちゃんに対することへのアレコレだとか、アーシアちゃんが懸想していた筈だと思っていたイッセー君に対するナンチャラだとか、言いたいこと注意したいことが色々とあるはずなのに、2人の絡みつく姿を阻むことが出来そうもない。

 というか、見ていてこちらも気持ちが昂ぶってきているのを自覚できる。

 潰れた胸が微かに壁と擦れているのが、嬌声に誘発されて知らず己の呼吸も荒くなるのを感じていた。

 あぁ……、アーシアちゃん、あんなに気持ち良さそうに輿がって……!

 

 はっ、と気づき、覗くのを止める。

 顔を引っ込めて、生垣へと身を隠す。

 ――その数瞬後に、生垣の外側を自転車がギコギコと音を立てて通過していった。

 

 あ、危なかった。

 覗いたままだと確実に見つかっていた……。

 

 

 『やぁあっ! らめっ! そこぉっ! らめなのぉっ!』

 

 

 ……あぁ、まだ響く。

 座るに座り込めない場所だけど、そんなことより押し付けた乳房が擦れることが止められそうにもない。

 そして、むしろ見えない方が自分もまた興が乗るらしい。

 はっ、はっ、と息が荒くなりながら、胸の先端を服越しにずりずりと擦ることが気持ちイイ。

 何をしているんだろうと、己の何処か冷静な部分が警鐘を鳴らすけど、そんなことよりも自慰を優先しているのは、先も思った種族的な資質なのだろう。

 夜は、止められそうもないのだ。

 

 

 『いくぅっ! いくのぉ! あっ! あっ! あっ! あーっ! やぁあああっ! いっちゃぅぅぅうううっっっ!!!!』

 

 「――んんっ!!」

 

 

 ――ビクン、とアーシアちゃんの一際大きな声と一緒のタイミングで、触っても居なかった股の閉じた膣口からじわりと染み出すのを実感する。

 気づけば、胸を擦りつける為に壁へと寄りかかり、お尻を若干突き出すような、見る人が見れば酷くイヤらしい姿勢になっていることを自覚した。

 

 ……とりあえず、夜ならばすぐに見咎められることはないだろうから、着替えるのは後回しにして。

 今は、行為が済んだはずのお2人へと声をかけるべきだろう。

 急いで入り口側へと戻り、結界を解除しつつ今来ました、と装ってアーシアちゃんを発見――、

 

 

 『――ひぃんっ!? そ、そらくんっ、いまっ、イったばかりっ! ひゃぁっ! うごいちゃらめぇっ!?』

 

 

 ――え゛、まだ続くの……?

 

 

 

 




~ステータス調整
 本日のご都合主義。というかネギま世界で最初に襲われた時に発揮した火事場のなんとやら。序でにマジカルぅな状態になったことの今更過ぎる言い訳
 自分から切り離される其れが魔力転用結果の絶倫化なわけだが、せめてもの抵抗としてこの年齢での子づくりだけは押し留める所存の烏丸氏。いわゆる精子にメガ●テかけた状態。但し一回で出る量と発射数が凄いし、遺伝子破棄の呪紋刻んでも最後の抵抗とばかりに彼奴等は暴れ回るので、こう、子宮の中でぐちゃぐちゃ蠢いてらめぇぇ!な展開が今後とも予想されるのだが、そこまで烏丸把握してないっぽいよ?
 これは即堕ち確定ですわ
 あと妊娠確率は限りなく低いけど決して0じゃない。何処で何時当たるのかなぁ?(ゲス顔


~アブノーマルな世界が垣間見えた
 亀甲で縛られ目隠しされて溶けた蝋を幾つか垂らされた半裸イッセーくんが部室に吊るされたままでしたが、最初に部室へ戻って来てドン引きした木場君によって助けて貰えました
 取り返しのつかない花が咲いたかどうだかはシュレディンガーのなんとやら。確認しないうちは確定の状態では無いのです


~アーシア中心の筈が…
 ネタとか説明とか日常に匹敵するレベルでの会話数を挟んだお蔭で量だけ膨大になってエロが足りない気がする
 肝心な部分に朱乃さんが挟まっているし
 あ、最後のところに【朱乃side】とか入れなくても誰が語っているか判ったよね? 実は思考は淑女な朱乃さんとかどうかと思ってやってみたんだけど、どうだった?



え?リアスと小猫の関係が色々アウト?
女子高生なら此れくらいの掛け合いやらない?
本気じゃないですよー、2人ともー(メソラシ


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「愛と正義すら友達になってくれない件」

最近エロパートが少ないかなぁ
代わりにギャグパートを増やせば問題無いよね!(白目
言いつつ、ギャグの少ない今回です


 

 「何故呼んだし」

 

 

 球技大会も無事に終了し、後片付け序でにアーシアを美味しく戴いて翌々日。

 昨日は別段溜まっているわけでは無かったけど、彼女だけ気持ち良くなるというのも納得がいかず、とりあえず俺が一発出すまで攻めに攻めたら痙攣して失神寸前まで逝きまくった彼女が出来上がっており、どうしようかというところで姫島先輩が用具室へと現れてくれたので事なきを得た。

 というか、覗いてたよね?

 後ろから視線感じたし、覗いて自分で慰めていたよね?

 隠しきれてませんよ。用具室の匂いに混じりもしない牝の匂いを、がっつりと股間から漂わせてんじゃねーかよ。着替えてから来たら良かったんじゃね?

 そんなこったさておき、絶頂し過ぎて意識のはっきりとしないアーシアを預けるには最良の相手が現れてくれたことには素直に感謝し、いい加減に帰宅に付こうとしたところで後日、改めて話を聞きたいと直に頼まれてしまった次第だ。

 

 が、今日の用事はそんな七面倒臭いモノでは無く、純然たる遊びの範疇。

 優勝チームであるサッカー部面子の率いるクラスの打ち上げに御呼ばれしたよ! ニェーイ!

 やったぜ、これで俺もリア充の仲間入り!

 ……そう思っていた時期もありました。

 

 

 「カラオケかぁ……!」(絶望)

 

 

 実に困ったよ。

 隣ではサクサクサクサクサクサクサクサクと頼んだポテトを齧歯類宜しく頬張る塔城を脇目に、選曲用モバイルを弄りつつ困惑の表情を浮かべずにはいられない。

 そんな俺へと怪訝な顔をするのは、反対側に座る別の女子である。

 こちらは塔城のような小学生体型ではなく、そこそこの胸囲とスレンダーボディの持ち主。元の世界やオカ研の美少女らと比べれば見劣りするが、それでも目元のはっきりとした顔立ちの美少女でもある。

 というか、女の子はみんな可愛いよね。

 二次元の世界だからね。モブでも美少女に成れる法則。

 

 

 「あれ? 烏丸くんってカラオケ嫌だった?」

 「嫌じゃねーよ、否じゃねーけどさ……、色々とジェネレーションなギャップがね……?」

 「……同年代だよね?」

 

 

 最初の自己紹介でバスケ部だと名乗った彼女へ、若干の親近感に近い感情を抱きつつも、理解されないであろう実情を語れそうにも無い。

 

 ――知ってる曲が、微塵も無い……ッ!

 

 ニュージェネが無いのは知ってたけど、ボカロ系、東方系、特に拘りは無いがアニソンは少なくとも全滅。

 更に知ってるアーティストも全滅。水木の兄貴ぃ!を筆頭にBump何某に水樹とか西川とかおいおい影山もいねーじゃねぇかよ。そうなると必然応援していたNITTLE GRASPERもBAD LUCKも00Zも名前すらも無く、イッサすら無いってことは乾巧もジャスティファイズ出来てねーってことじゃねーかよふざけんな。ちなみに小林じゃ無い方な。

 サブカル弾幕うっすいよー! 何やってんのォ!

 

 実際問題、此処に来てかつて辿っていたサブカルチャーの範囲の狭さに愕然とした。

 俺だってオタクと言うほどでは無いけど、少しくらいは更新を追いかけている趣味の一つや二つはある。

 その総てが紛い(パチ)モノに成り代わっている世界だぜ?

 ネギ君とか大柴とかがやって来ていたとしたら、一ヶ月持たずに発狂するんじゃなかろうか。

 

 麻帆良があの世界で世間の文化を十数年分引き上げていたとしたら、この世界はそこから十数年分引き下がっているのが現状だ。

 この世界に来て手持ちのスマホがうんともすんとも云わなくなったからな。最低でもケータイ程度は普及しているっぽいけど、俺が自分のを所持するには新しく契約し直さなきゃならないし、加えて身寄りも無いから実質不可能。

 酷い情報弱者を此処に創り出してるよー。

 術式は出来ても機械系は云う程出来ないんだよね。

 ちなみに、術式ショートカットは代替品であるアーティファクトで問題は無いが……、やっぱ慣れてないと手間だよね。

 

 まあそんな難しい話はどうだっていいんだ。

 現状の問題は他にもある。

 

 ……俺、斎藤くんらに呼ばれたはずだよね?

 なんで彼ら男子は別グループで、俺だけ女子グループに混ぜられてんの?

 さも居て当然な顔で付いて来た塔城小猫が隣に座ったのを皮切りに、反対側へは先ほどの女子、正面には別の女子3人、椅子の背凭れには被り付くようにギャル系の子が俺の手元を覗き見る。

 何の包囲網だよ。塔城除いてみんな若干目が怖いんだけど。

 アレか? グレモリー先輩で血華を咲かせたのが不満でお礼参りみたいな思考回路か?

 人気者だよねぇ、あの先輩。中身はやや残念そうだけど。

 大部屋頼んだん誰よ? 離れてないでこっち来いよー。若干嫉妬みたいな目を向けてないでサー。

 いや、俺が行けばいいんだよね。

 そこまで考えて隣の塔城を見遣れば、メニューを見て一部を凝視していた。テーブルの上の皿は空である。ポテトは犠牲になったのだ……犠牲の犠牲にな……。

 

 

 「塔城、注文か? よし、お兄さんが奢ってやろう。季節のタルトとかどうだ」

 「え、烏丸くんが優しい……っ、デレましたね!?」

 「ただの親切だよ。つーわけでちょっと退いてくれ、今連絡を――」

 

 「あ、ソレで注文も出来るよ?」

 

 「――……そうなん?」

 

 

 目の前の女子の一人が俺の手元のモバイルを指差して笑う。

 剣道部と名乗った短いポニーテールの快活な娘だ。

 髪の色こそピンクでは無いが、軽く佐々木を彷彿とさせる印象を覚えた。

 俺はそれに曖昧に哂って、件の彼女にそのまま操作の手ほどきを受けつつ絶望していた。

 電話で注文取るために居場所の移動作戦、――失敗である。

 

 それにしても……危なかったぜ、此れでピンクだったらこの世界のヒロイン確定じゃねぇか。

 二次元の世界で生きてる以上は主人公らに関わると碌な事が無い、と言う程度は学んでいる。

 ひょっとしたら彼女に懸想をする主人公格が、この場にやって来ていたかもしれないのだ。

 そんな修羅場、御免蒙る。

 そんなわけで、俺はモブに徹するぞォー!塔城ォーー!! と、決意新たに彼女の右隣の前髪ぱっつんにモバイルを受け流す。

 選曲しないで何時までも抱えていても迷惑だろうしな、歌いたい娘、挙手!

 

 

 「烏丸くん、選ばなくて良かったの?」

 「……あー、まあ、俺は後でいいよ」

 「えーっ? じゃあさぁ、アタシとデュエットしない?」

 

 

 佐々木もどきの左に居るメガネの娘が怪訝な顔で訊くことへ曖昧に笑い、その隙をついて後ろのギャル系がほいとマイクを差し出した。

 だから曲知らねぇって言ってんだろうがダラズ。

 恐ろしい……、そうやって俺を公衆の面前で辱めるつもりだろう……! 小学女子のイジメみたいに!

 (あの少女漫画再現アニメの目のデカさはホラーだと思いましたまる)

 

 

 「いや、ごめんなー。俺その曲知らないわー。ガオ●イガーなら歌えるんだけど」

 「むしろそっちを知らないわー。ていうか聞いたことも無くね? 烏丸くんってやっぱオモシロイねぇー」

 

 

 面白くねぇよ寄りかかってくんなよ雌の匂い漂わせんな興奮しちゃうだろ。

 ケラケラ笑うギャル子に依り掛かられて、その拍子にふわっと肩口に彼女の乳の重みが。

 ……ふむ、これ、見た目以上にあるな。着やせするタイプ?

 

 

 「か、烏丸くん、飲み物お代わりしない? ドリンクバーいっしょに行こうよっ」

 

 

 モバイルを渡した黒髪ぱっつぁんが、何故か慌てたように席を立つ。

 ところで今更だが、振替で休日なので全員私服で来ているわけだが、ぱっつぁんはどうも大人しめな外見の割に服装は露出が多い。

 立ったその時に、ホットパンツから覗く太腿が白くて眩しかったという話。

 つまりぱっつん娘改めぱっつぁんはhotなガールでパンツァーだったという……スマン、自分でも何言ってるのかわからんくなってきたわ。

 あと行動するときは俺独りがいいなぁー、一緒じゃ席替えも難しいよね?

 

 

 「ゃ、まだ残ってるし、」

 「ああ、錬金してみよっか! 目指せ味のマエストロ!」

 「店の迷惑になることは辞めようぜ?」

 

 

 隣のバスケっ娘が、何故か乗り気で俺のグラスを確保する。

 これだから高校生は。素人が手を出せば大概が目も当てられない悲劇で終わる、という現実を未だに自覚できておらぬ。

 ――って待て待て、自分のでやれ。

 そのまま往く2人を止めるべく、俺も仕方なしに立ち上がった。

 ……ドリンクバーには、勝てなかったょ……。

 

 

 「あ、烏丸くん、私はコーラでお願いします」

 「塔城は動く気ねーのな?」

 

 

 コイツ……! 一回優しくしてやれば付け上がりやがって……!

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 炭酸と苦みのエクシード融合! 隠し味は酸味と午後Tea、って俺のコップが酷い錬金術の実験台になって逝くのを止めることは不可能に終わる。持って逝かれた……!

 処分する勇気が無かった俺は、そっとそのコップを机の中心へと置くことしかできなかった。え? 飲み干さなきゃ帰れない? お残しは許しまへん、って最近のカラボは忍術学園でもリスペクトしてんの?

 そんなわけで、烏丸くんのちょっといいとこ見てみたい!というコールの後にイッキを戴いた烏丸です。そらくんって呼べよ。あと誰だ、シロップをめっさ投入した奴。糖尿病になるだろうが、俺は死んだ魚の目をした侍と違うぞ。

 

 そのイッキのノリのままにいっそネタで、それいけ!な菓子パン顔面の正義のヒーローソングを選曲すればバラードだったという罠。

 アソパソマソって誰だよ。と思ったけど聞き覚えもある。

 ……ははーん、さてはこの世界ラブコメだな? 難聴系主人公が九州辺りに居るんだな?

 やはり九州は鬼門。前の世界でもそうだった。無理やり連れて行かれて得たモノが文化祭に招致されたバンドのみで、泊まり掛けと言うトラップの果てに捕食されたのだから溜まったモノじゃねぇ。明日菜のド阿保ぅめ……!

 

 とまあ、過去を振り返ったりトラップに嵌ったりこの世界の真実を垣間見たりと、様々にカオスな3時間を過ごした。

 楽しかったのは愉しかったからまあ構わないけど、きっと過去を振り返った経緯のアレは走馬灯の類じゃねーのかな。

 二次会? いや、ちょっと無理っす。

 

 ――雌の匂いで欲求掻き立てられて、もう少し連れ立ったらどいつかを喰ってしまいそうで。

 

 喰種か俺は。

 初めて塔城が天使に見えた。アレだけ情欲を刺激しないまな板が隣に居たお蔭で、子供には見せられないという理性で抑えつけた本能に従うケダモノを解放せずに済んだ。ありがとよ!

 いや、普通に同じクラスの女子とか喰っちゃったらダメでしょ。

 今後気まずいわー。絶対碌でもない噂を流されるわー。

 生理現象としての雄の解放は仕方ないと割り切っているけど、俺は根本的に違う世界の住人だから、その内帰るというのは確定的に明らかなわけで。

 精々一夜限りのお相手で済ませたい、というのが男女関係を続けてゆく上での思惑でもあります。

 要するにアーシア先輩は現状お呼びでないです。

 付き合うフリして、その内別の男を宛がう策でも練ろうかな……。アレだけ美少女なら選り取り見取りだろうに、なんで最初が兵藤先輩に逝っちゃってたのかねぇ。あの人の趣味と真逆、とまでは云わないけど、相性と時期が悪かったよねぇ。

 

 話が逸れたけど。

 そんなわけでちょっとムラムラしてる俺は、クラスメイトらと別れて日も落ち掛けた街中を散策中。

 喰っちゃっても問題ない子はいねがー。

 ちなみに塔城は別口で用事があると言って解散の流れであった。

 あれ? アイツも歌ってなくね?

 

 

 『お恵みをー、この憐れな隣人に皆様方のご配慮をー』

 『恵まれない者らに愛の手をー』

 

 

 益体も無い思考で街を散策していれば、丁度好さげな襤褸マントの美少女二人を発見した。

 募金、みたいなことを発言しているけど、手にある箱にあるのは無駄に凝った十字架のみで、何処への寄付だとかそういうことには触れていない。

 観るからに怪しいし、そもそもホントに募金活動か? なんか見た感じ、個人的思惑の果てに成り下がった現状を打破しようとしている考え無しに見えてくる。そもそも未成年だし。

 

 

 『くそっ、誰も止まらないとはどういうことだ! 日本人は宗教に優しくないと聞いたが、そもそも人へ無償の愛を施そうという精神性すらないんじゃないのか!?』

 『駄目よゼノヴィア! いくらホントの事でもそうやって当たり散らしても無駄にお腹が減るだけよ!』

 『そもそもお前があんな絵を買うから資金が足りなくなったんだろうがっ!? 人を諌める前に己の行動を鑑みろっ! 大体なんだこの絵は誰が描かれているというんだ!』

 『え、えーと、多分、ペテロ様……?』

 

 

 ……なんか、本当に自分の為だけの活動に見えてきたな。

 まあ、変に取り繕って神への愛とやらを訴える宗教家よりはマシか。

 そう判断し、人に警戒されないような笑顔を貼り付けて御二方へと近づいてゆく。

 

 

 「お姉さん方、お腹空いてるの?」

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 そもそも、俺は聖書を布教するような一団を個人的には好ましく思って無い。

 話を聞くのを断れば他人へ人非人みたいな扱いで目を向けてくるわ、聞いてやれば聞くことが当然みたいな態度で延々と時間を取るわ、挙句の果てには自らの宗教が隣人への愛を謳う癖に他の宗教を認めない教義の矛盾っぷりだ。

 一神教、っつー考え方そのものが日本人の観念とは別物なんだろうけど、それ以前に唯一のモノとやらを崇めてそれ以外を排するっていう優越感に浸るのは己だけで充分、みたいな思惑も見え隠れするのは結局支持するのが人であるが故の弊害と言うか限界と言うか。

 話が逸れるのでグチグチと云う気はないが、要するにそういう己らに都合のいい常識を正義という薄皮で包んで他人に擦り寄る神経が気に食わないのだ。

 

 ――だが、それが彼女らに目を掛けたという理由であるわけでは無い。

 単純に、見た目が良い。

 喰っても遜色の無さそうな外見と若さを持って、実に釣り易そうな状況に陥っているので釣り針を垂らしてみた。

 本当にそれだけの理由。

 食いついた大魚は――、

 

 

 「……で、ファミレスで1人頭5人前、都合10人前の食事を平らげた以上、まさか言葉一つで済ませようとか言う恥知らずなわけないよな?」

 

 

 うん。

 相手の見た目が高校生くらいでこっちが高校一年生だからひょっとしたらと隠れた年功序列を意識しつつ初めは砕けながらも敬語もどきを使おうとしていたけど、餓鬼かと見紛うばかりの喰いっぷりを見た時点で口調は既に平坦です。

 食事の合間に聞けば、どうも布教みたいな?ことをしに日本まで来たのは良いけど、片方の茶髪の子が碌でもない絵画にうつつを抜かして活動資金を袖にしたらしい。

 結果として、差し出せるモノが無いので後日改めて、等と言い出したので俺は口にしたわけだ。

 それを易々と信用するほどお人好しじゃねぇ。

 

 

 「なっ、食費はキミが払うと言ったではないかっ!?」

 「いや、そっちに支払い能力が無いのは初見で分かっていたから其れは良いけどさ、御飯だけ喰ってハイさよなら、とか言い出しそうな雰囲気だったから聞いてみただけ。別になんか俺の得られるモノを支払うって言うんなら問題は無いけど?」

 

 

 奢るとは言ったけど、聖職者の辞書には遠慮という言葉が載ってないのかしらね?

 青髪の子が憤慨止む無し!と言葉を荒げるが、俺は『今』確実に返してほしいナァ。

 出来れば身体で。

 マントみたいな恰好だけど、その下にチラチラ見えるのがなんかボンテージっぽい衣装なんだよね。今時の聖職者ってどういう服装で布教するんだよ、ってちょっと立川市の誰かさん(片割れ)が不憫に思ったけど、それ以上に俺の現状(クラスの女子に煽られてムラムラ中)だと更に興を乗せられる材料でしかにぃ。

 

 

 「は、払わないとは言ってないじゃない。……お礼は、後ほどなんとか」

 「それを信用させられる保証は? 身代としてなんか預かるか? その場合本当に返して欲しいってお前らが思う様な物品じゃなきゃ証明にならんぞ?」

 

 

 質屋みたいなことやってるけど、俺は金を要求してるわけじゃ無いからまだセーフ。

 茶髪でツインテール?ツーサイドアップ?な髪型の子は、自分で出した条件に胸を押さえる。

 本当に一文も持ってないらしい。

 まあ、端金を寄越されても足りない分を喰った以上、それで解放するほど俺も甘くは無いけど。

 

 

 「……已むを得ん、此れでどうにかできないか……?」

 「ぜ、ゼノヴィアっ!? アナタそれっ!?」

 

 

 と、青髪ボブの子が差し出すのは、椅子の脇に立て掛けてあった彼女らの所持品。

 随分と大きい布で包まれた何かだが、……ひょっとして剣、とかじゃないよな? ファンタジーな小説とかの冒険者が持っていそうな所持の仕方してるけど、まさかこのご時世に。

 

 

 「破壊のエクスカリバー、というこの世に二つとない品だ。必ず払うので、それまで預かっていてくれ」

 「ちょ、ちょっと!? それを差し出したら任務が……ッ!」

 「なに、私には代わりになるモノもある。当然、だからと言って返さなくても構わないという品というわけでもない。証明になるはずだ」

 

 

 布をずらして覗かせる、鈍い反射光。

 本当に剣だった。

 銃刀法、仕事しろ。

 

 というか、彼女騙るに落ちてるよね?

 彼女、自分で代わりになるモノがある、って口にしちゃってんじゃねーかよ。

 あとさ、エクスカリバーって、お前……、此れで? 馬鹿にしてるの?

 

 

 「要るかこんなナマクラ」

 

――パキィ!

 

 「「――ちょっ!?」」

 

 

 俺がこの間片手間に造った惨酷王よりも魔力含有量が少ねぇ。

 破壊の、とか銘打ってるくせに、こんなんじゃアーウェルンクスシリーズの障壁すら壊せねぇんじゃねぇの?

 そう判断して、屑、と看做した名前負け過ぎる剣を(裏拳)一つでスコンと真ん中から叩き折る。

 可哀想に……、騙されてるのよあなた達……(憐憫)。

 

 

 「えっ、あっ、ちょっ、う゛ぇぇぇえ゛え゛え゛え゛!?」

 「――いや、いやいやいやいや……、え、え? 何これ、ギャグ……?」

 

 

 本気で信じていたらしい彼女らは状況を呑み込めずに、思考回路も恐らくはショート寸前。

 どんだけ純情だよ、電話した方がいいんじゃね?(クーリングオフ的な意味で)

 

 

 「どっかの路地裏ででも購入したんか? ほんと糞みたいな出来だなぁ……。こんなんじゃ何十本あっても選定剣には到底及ばねぇぞ、つぅか、そもそも概念附加が薄すぎるし、素材も拙いし、刃も荒い。え、鈍器?」

 

 

 魔術は専門外だけど、構造と骨子と冶金術くらいの嗜みはある。

 そらくん知ってるよ、本気でエクスカリバー造ろうとしたら常温超伝導するくらいの錬金を成功させなくちゃ切れ味も悪いって。

 これじゃあ元の世界の魔女さんが造った量産型魔剣の一振りにも及ばねぇなぁ……。

 

 

 「で、支払い能力が無いんなら、ちょっと付き合ってくれる? なぁに、軽く労働してくれれば文句は言わないから」

 

 

 そんなわけで本題を切り出した俺に、呆然とした彼女らは渋々とホテルまで連れ立ってくれた。

 入るときにその建物の外装と雰囲気で察し若干ごねたけど、宿泊施設も兼ねていることを教えると嬉々として入館。

 数日振りに風呂に入れるとか、……お前らどんだけ金が無いんだよ。

 

 

 




~朱乃&アーシア
 放置プレイは鉄板


~ポテトは犠牲になったのだ…
 サクサクし過ぎぃ!


~NITTLE GRASPER
 天才ボーカリスト『佐久間竜一』率いる伝説的ロックバンド
 最近復活したとかいうことで聞きかじった名であったことに気にかかり烏丸もファンになる


~BAD LUCK
 こいつらホントにミュージシャンか、ってくらいにバラエティ枠の2人組
 3人に増えたかと思ったらボーカルがニューヨークに飛んだりパンダロボ引き連れて空港襲撃したり新曲はハミングだったりと無茶苦茶やってる人たち
 ボーカルの『新堂愁一』は佐久間竜一に激似との噂でry


~00Z
 宮崎県某高校の文化祭へと連れられて行った先で出会った『鹿賀シカオ』率いる3ピースロックバンド
 日帰りに間に合わず、ご宿泊の果てに捕食される


~ジャスティファイズ!
 いーまひとりひとりのry


~「ハーレムか! キャバクラか!!!」
 女子を誘ったのに「烏丸くんも来るんだよね?」という威圧に押されて呼ばざるを得なかったけど、そんな女子ら(クラスのキレイどころ)をこぞって持っていかれた感の男子一同、心の叫び
 烏丸くんは基本的に女子に受ける程度の空気を醸し出すのがデフォです
 どうやったらそうなるのかは、んー、最低限清潔感を保って肉体を健康的に維持して対話を上手く時に未熟も混ぜつつ熟せれば出来ないかな、と愚考します
 それこそ練磨となるには百戦を熟すべき。あの子羞恥心とかそういうの、割と捨ててるから


~小猫たん超天使
 天使「げせぬ」


~アソパソマソ
 そういえば『はがない』完結したそうですね。おめでとうございますね
 出来栄えの非難っぷりにうわぁ、とエピログ読みつつ無いわぁとも思ったけど、考えて見たらこの作者今までの作品でも最後の人間関係こんな感じだった、って理解
 じ、次回作こそは騙されねぇぞ…!


~袖にする(意訳
 意味合いと使用例間違っていますけど、お金ってキホン大事よ?


~思考回路はショート寸前
 教えられたことをどれだけ素直に鵜呑みにしているのか、という意味合いでの純情
 3分の1とかそういう深読みはお呼びでないです


~労働(意味深
 本番は次回!



なんか出来たので早めに更新
お待たせ!次はお待ちかねのゼノヴィア&イリナだよ!


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☆「今こそ愛という名の信仰心を試すとき」

【朗報】お気に入り登録数がとうとう2000を突破した模様
やったぜ…(ガッツポ


 

 「っ、ぃっ、ぎぃっ!?」

 ぞぶり、と自身の身体を裂かれるような鈍い痛みを感じると共に、腹の下から異物を押し込められているような衝撃を受ける。

 そうなるとは自覚していたが、破瓜の痛みを味わうよりより以上に、己の口から真っ先に漏れたのは悲鳴であった。

 「ぎゃ、あっあっあっんぎぃぃっ!? ひっ、ゃだぁ、やめ、ぇっ!?」

 刺されたような苦しみが、彼自身が腰を動かせることで、身体を揺らされた私の呼吸が乱れる。

 逃げようとも、右太腿を彼の脚でがっしりと固定され、2人の接合部は密着したまま離れなかった。

 その上で伸ばされた左脚は彼自身の腕が捕まえて、空いている腕が私の腰を捕まえて彼自身へと抱き寄せられる。

 寄せられたニヤニヤと愉悦に歪むその貌から伸ばされた舌が、鎖骨と首筋をぞるりと舐めればより一層の嫌悪がこの身に走っていた。

 「くっ、このっ! んぐぁっ! あひぃっ!?」

 ――蠢く。

 子宮の入り口で、膣の中で、彼の『自身』に別の生き物のような暴虐を果たされた。

 跳ねるような脈動の硬いソレを押し返すことは最早私には不可能で、16年守って来た純潔はあっさりと彼の手へと奪われていたことを、今になって苦しみが心中へと襲い来る。

 ――惨めだった。

 「がっ! あっ! あっ! んぁっ! あぅっ! とめっ、とめてぇっ、うごくのっ、とまってぇっ!」

 暴れられるソレに、人間としての、生き物としての雌の本能に従って『反応』を示してしまっている私自身が。

 そして、いとも容易く掃き捨てられてしまった『聖職者である』という『過去』に、未だに縋ろうと心の何処かで叛意を抱えようとしている『計算』が。

 ――事此処に至っては、最早何も抗えないということを騎士として自覚してしまった筈なのに。

 「やぁぁっ! らめぇっ! らめらめらめんぁぁああああっ!!!」

 勢いで動かされた腰が、生物として何を意味するのかを知らないほど、女として疎くは無い。

 放射される感触を子宮の奥へと響かせられるそれと、ほぼ同時に果せられた絶頂に、私は、ゼノヴィア・クアルタは女としても実に情けの無い悲鳴を上げて仰け反った。

 「……ぁっ、ぁ、ぅあ゛っ……」

 腰から手を離されてベッドへと自然に仰向けに沈み、半開きになった口から酸欠した時みたいに息が漏れることを自覚する。

 そして、それを己で止められないことも。

 子宮の中に弾けている、彼の精液の熱さで、自身の躰が未だ跳ねるように反応を示すのを抑えられていないのだ。

 これは恐らく、鍛えたはずの聖騎士としての己の意志でどうにかなるモノでもなく、生物としての反射的なモノ。

 捨て去っていた筈の女を、雌を、半ば無理やりに起こされて身体を開かれたようなモノだ。

 すぐに順応なんて、出来る筈が無かった。

 「ぁ……、ん、んぁ゛っ!?」

 ぐじゅ、と解放されたはずの『私』へと彼の『未だ硬いモノ』が奥へ押し付けられる。

 余韻にすら浸ることなく、もう身体を休めたかった私は、覚醒されたその身に更に断続的に打ち付けられる衝撃で再び声を上げた。

 今度は悲鳴では無く、それはもう、

 「ひゃぅっ、んぁっ、まっへぇっ、まら、いっらまっかりっ、なのぉっ」

 ――嬌声。

 身体が、意思が、反射だけで雌としての反応で、彼へ拒否することを出来なくなってしまっている。

 閉じることを忘れた口から出ている其の音が、言葉にすらなってないことに気づくことも出来ない。

 そんな反応だけを身体が自然と応えている状態で、がくがくと仰向けで揺すられていた私は、視界の端に其れが映っているのをようやく認識した。

 ――それは、イリナが呑気にシャワーを浴びている姿――。

 ガラス戸で仕切られた部屋の向こうで、こっちに気づいてない様子で身体を洗っている。

 「気づいたか? アレ、マジックミラーみたいだな」

 胸に手を添えられて、掴まれてぐにぐにと片方の乳房を潰しながら、彼に面白そうに囁かれた。

 私は叩きつけられる腰に甘く蕩ける声を上げることでしか応えることは出来なかったが、イリナの其れが私と同じ目に遭うための『下準備』にしか見えなかったのは仕方のないことなのだろう……。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「ぜ、ゼノヴィ、ア……?」

 

 

 まさに戦々恐々としたご様子で、ツーサイドアップに括っていた髪を下ろしたままの湯上り美少女がお風呂シーンを終えて戻って来ていた。

 女騎士みたいな青髪ボブの娘は、その間俺に蹂躙しつくされていたわけで、其の様を、結果を目の当たりにした上での戦慄の表情なのだろう。

 こちらの青髪美少女は、ベッドの上で息も絶え絶えに、股からは白い液をごぼりごぼりと時折噴き出すくらいの痙攣で、序でに全裸であったのだから。

 

 

 「…………イリナか……」

 

 

 小休止中の俺を挟むことも無く、湯上りで部屋に備え付けのバスタオルを巻いた彼女を認識し、長めの沈黙ののちに何処か掠れたような声で小さく呟くゼノなんとかちゃん。

 ふむふむ、そっちはイリナちゃんね。りょーかい。

 

 

 「あ、アナタ、その、それ……」

 「お風呂空いたし、ゼノちゃんも頂いてきたら? 身体洗っておいた方が良いだろ?」

 「…………ああ、そうさせてもらう……」

 

 

 視線だけが何かを言いたげにこっちを向いた気がしたが、それを検める気もなさそうなので放置。

 よろりと足取り覚束ない様子でだがなんとか立ち上がり、ふらふらとイリナちゃんの方へと歩み寄るゼノちゃん。

 それを心配そうな眼差しで、しかしどういう経緯があったのかは空気で理解できたのだろうイリナちゃんは、声をかけるのを躊躇っているようだった。

 そんな様を見て、ゼノちゃんは空虚に微笑(わら)う。

 

 

 「……イリナ、心配するな。私が此れだけ受けたのだから、あの男ももうそれ程激しくはないさ……」

 「ぜ、ゼノヴィア、それって……」

 

 

 イリナちゃんの疑問に直接答えることはせず、そのまま幽鬼のように丸見えであったバスルームへ足を運ぶ。

 前にアーシアの時にも使わせてもらったけど、此処って結構サービス良いよな。

 それはさておき、交替のお時間です。

 

 呆然と見送るイリナちゃんの腕を掴み、それ程広くない部屋の中央にあるベッドへと放り投げるように引きずり込む。

 何が起きているのかを今一つ理解していない様子の彼女は、抵抗する暇も無く為すがままにその身体を柔らかな其処へと沈めた。

 

 

 「――キャッ!?」

 「改めて思うけど、2人とも身体つき良いよなー。聖職者なのは間違いないんだろ? それでこんな男を誘惑するような身体つきって、教義に反したりしないの?」

 「な、何を言って、ひぃっ!? 触らないでっ! ぁんっ!」

 

 

 倒れた拍子に広がったバスタオルを回収することも出来ず、あられもない姿を晒してしまうイリナちゃん。

 そんな彼女の年相応に豊満な乳房に健康的な桃色の先端を観察し、そして健康的なしっとり湿った湯上り肌へ手を伸ばす。

 さきほどアレだけ喰った筈のモノは何処へ行ったのかミステリーな、細い腹へ手を回して撫でるように弄んだ。

 

 

 「まあまあ、ゼノちゃんは受けたぜ? 此処の宿泊費は俺持ちだし、一宿一飯の恩をこうして支払うだけで良いんだ。今後ともこういう付き合いを続けよう、みたいな誘惑じゃないんだから、破格の値段なんだと割り切らなくちゃ」

 「お、女の子の身体をそんなに安く差し出せるわけないでしょ……!?」

 「そうか? むしろ充分高価で扱っていると思うけど。あ、それと、キミもやっぱ処女だよな?」

 

 

 んぐ、と言い淀む。

 まあ、此れで処女でなかったら問題でしかないのかもしれないけど、日本じゃ神職代表の巫女さんだって元々は身体を差し出してお布施を回収していたっていう歴史がある。

 欧米でシスターが似たようなことをしていても特に不思議とは思わない。

 そもそもが人間は何処で生きていても人間なのだ、生物としての本能をそうそう易々と切り離せたら、とっくの昔にもっとマシな進化を促しているだろう。

 話が逸れた。

 

 

 「誰か好きな奴でもいる? 操を捧げるって誓った相手とか」

 「、い、ない、けど……」

 

 

 ふむ?

 この反応は、思い当たる人物がいるけど其処まで深く想っていない、くらいのレベルか?

 それなら問題ねーな。

 

 

 「居ないんなら早いうちに此れくらいの『経験』しておいて損はないだろ。『そういう御相手』っていう認識だから俺もアンタらを相手に一晩付き合ってくれる、っていう条件でこちらの支払いをチャラにするって提示してんだしー。……そもそも、若いうちだけだぞ? こうやって処女を高価に扱ってもらえるのなんて」

 「……」

 

 

 何か言いたげだが、納得もしたのか、恥ずかしそうに顔を背けるイリナちゃん。

 うむ、お2人とも、喰われるくらいなら死んだ方がマシーとか生死を問う様な短絡思考でもなく、散々奢ってもらったけど食い逃げしようぜ!みたいな逃亡も選択肢には入れていないようで、良い子過ぎてお兄さん一安心だよ。

 それじゃあ、始めますかねぇ……(ゲス顔。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 首筋から胸元へ、撫でるように舌を這わせ、流した水気(みずけ)を掻いて肌を浣う。

 仰向けに倒れたままから自発的にサービスする気は恐らくなさそうなので、そのままの姿勢での攻勢だった。

 片手は彼女の秘部を、穴の周りを弄び、指先で比較的『開けても平気な』浅い処を、薄く生えそろった陰毛の奥をくちゅくちゅと蠢かせる。

 若いから薄いのか、はたまた手入れをしているのか、それとも元から薄毛なのか。

 ああでも、確か外国人は生えっぱなしではなくて処理をするとか、むしろ無毛に傾けるとかって聞いた覚え有るな。

 ということは、アーシアがパ●パンだったのもそれなりに理由があったのか。

 ゼノちゃんも剃ってたみたいだったし。

 それはさておき意識を戻す。

 もう片方の手はたぽたぷと意外に重量がある乳房を水風船で遊ぶかのように弄び、時折コリコリと先端を摘まんで、力を入れないようにくにくにと潰す。

 唯一不満があるとすれば、普通に姿勢が遣りづらい。

 せめて後ろ手から回すか抱くかするような姿勢になってくれれば、もうちょっと楽に手を掛けれたのだけどなぁ。

 「あっ、んっ、んひっ、ぃぁっ」

 いきなり挿入()れるわけではない、執拗なその前戯に、イリナちゃんは戸惑いつつも抵抗することは無い。

 生物として反射するように反応するのはゼノちゃんと同じだが、彼女を同じに扱うにはタイプが違うのだとすぐに理解できた。

 というか、ゼノちゃんの方が一般的には珍しい方かも知れない。

 例えるならば『女騎士タイプ』。正義の魔法使いタイプ、と銘打っても意味合い同じやも知れぬ。

 悪党に屈するくらいなら自決か死を選ぶ、っていうステレオでテンプレな誇りの高いタイプだ。

 高音さんとかと話が通じるんじゃなかろうか。はたまた同族嫌悪で恥ずか(キュン)死するかも。

 ああいうタイプが「くっころせ!」とか云うのはなんか様式美みたいに扱う処もありそうだが、ゼノちゃんの場合は微塵も云わせることなく貫通式は終了した。

 覚悟の決まってない女騎士とか正義の味方()とかの宣言を一々待つような、そういう方向性の遊び心は持ち合わせてないのだ。愉しむときは相手にも気持ち良くなってもらうのが俺は第一だし、そもそも今日の初弾はストレス発散。

 逃げ場を用意される前に、スピード勝負で脚を奪ってから次弾を装填。

 結果として、良い生贄になってくれたゼノちゃんには感謝。

 直前で『前例』が出来上がったお蔭で、イリナちゃんの受け入れる最初のハードルはぐんと下がってくれたから。

 次は彼女と同じように気持ち良さを教えてあげよう、とちらりと見たマジックミラーの向こうにて座り込んでシャワーを浴び、恐らく股から掻き出しているであろう俯いている彼女へ好意を向けつつ、目線をイリナちゃんの貌へと上げた。

 「ふっ、んっ、ぁっ、くっ、ふくっ」

 自らの両手で目元を隠し、必死で現実を見ないようにしながらも身体が反応するのを止められない様子だ。

 息も殺したいのだろうが、膣内(なか)で指先を動かすたびに反応して漏れる其れは止まることは無い。

 いや、本当に殺したいのは俺の事かもな。ははは(笑)。

 「ふぁっ、ぁァ゛ッ!?」

 中指一本だけで動かしていた指先に、准えるように薬指と人差し指を追いつかせた。

 要するに3本入れたわけだが、入ると思ってやってみたら(彼女にとっての)予想外に押し広げてしまったようだ。

 狭くて窮屈に締め付けてくるその穴の中を掻き乱して、更に蠢かせる。

 出し入れでは無く、

 「アッ、ァアッ、やめて、やめっ、ぁぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!」

 曲げて突き立てて閉じて開いて蠢かせれば、緊張した肉壺を解すように均す。

 「あ゛っ、あっ、あっ、ぁ……!」

 ぐぱぁ……、と歪な二等辺三角形を作る様な小さな『隙間』をゆっくり広げれば、最終的には閉じたがっていた目元から手も離れ、焦点の合わない目が何処と無しに中空を見上げる。

 実際目で見て確認したわけじゃ無いが、指先から感じる感覚的にも拡張できたのが本当に『隙間』だ。

 ……今更だけど、『こういう相手』ばかりとヤってばかりいる気がする俺は外道なのではないだろうか……。

 まあ、逆に今更的に辞めないけど。

 息も絶え絶えに両腕を広げて、放心している彼女の膣口に、俺は休んだお蔭で復活した自身の先端をこっそりと宛がった。

 それにしても自分で言うのもなんだけど、復活速いなぁ……。

 「――ふぎっ!?」

 ずむ、と挿入()れた其れが、膜のようなモノを一息にブツッと突き破る感触を覚える。

 イリナちゃんもまたそれを自覚できたのか、意識を失いかけていたっぽいのに呻き声を上げて覚醒した。

 彼女が正常に事態を理解しきる前に、ぐにずぐむにゅずむ、と膣中を奥まで押し進める。

 「な――はひぃっ!?」

 歯を食いしばる様な顔で、子宮口にキス(意味深)したと同時に仰け反って声を上げられた。

 何か言いかけた気もするけど、多分現状確認の為の言葉でしかないだろうから問題は無い。

 「あ゛っ、おっ、んおっ、んひっ、ひぁっ、ぁはっ!」

 子宮口へ突き入れる寸前のキスを何度も、腰を打ち付けることで繰り返す。

 雌としての本能でも起こしてしまったのか、辛そうだったのは最初だけで、次第に悦ぶような声まで上げるようになった。

 叩きつけるスピードをもっと早くし、勢いもついて肌のぶつかる音が激しく部屋へ響く。

 「あ゛っ! あ゛っ! ん゛あ゛っ! あ゛っ! がっ! ん゛ぁっ! ぎぃっ!?」

 手が空いてるのだからこっちに反撃でもすれば良さそうなモノなのだが、そういう意図を抱えていないのかはたまた思いつきもしていないのか、随分と律儀だなぁとは思う。

 そんな彼女は悲鳴に似た声を上げつつ、両手を放り出すように大の字に広げたままに、顔を強張らせたように目を見開き歯を食いしばってされるがままに揺さぶられる。

 対して俺は空いた片手で腰へ添えて揺らす補助、もう片方は乳房を掴まえて感触を楽しみ、視覚的には突くたびに跳ねるもう片方のおっぱいの上下運動を愉しんでいた。

 おおう、跳ねる跳ねる。

 バインバインだぜっ!

 「っと、そろそろ出すぞっ、膣中(なか)にイクからなっ」

 手と下の触感的に割といい感じで締め付けてもくれるイリナちゃんへご褒美タイム。

 あとついでに目も愉しませてくれたから、これはチップ代わりね。

 「ひっ、ぎっ、あっ、やぁあああああああああっ!?」

 どぷぅ、と普通の量ならば噴き出して注がれている筈の一発が、どぴゅどぴゅどぷどぽどぽどぽびゅるびゅるびゅるるっっ!!!とまあスゲェオノマトペで効果音表した方が正確じゃねぇの?っていうくらい噴射して彼女の子宮へと直出しされた。

 熱さが直接内臓へ伝わっているだろうから、そのタイミングで絶叫を上げるのも納得の一発である。

 腰を完全密着させて、ぉっぅぉ~っ、て声にならない気持ち良さを上げている俺の余韻に白目になりかけつつも、伝わる射精の脈動にあへっあへぇっと身体を痙攣させるイリナちゃんがちょっと可愛かった。

 「――んぁっ!?」

 ――ので、思わず腰を更に動かした。

 ぐじゅりっ、と出した精液が押し込まれたのか掻き混ぜられたのかわからない感触が伝わった気がしたが、インターバル無視で続投。

 VSイリナちゃん、第2ラウンドの始まりです。

 「~~ぁっ、まっ、」

 はーい、それじゃあ続きと逝きましょうかねぇー(アルカイックスマイル。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「………………………………ぇ?」

 「おー、ゼノちゃん来た。やっと来た。早くしろよー、夜はまだこれからだぞー?」

 「ぁっ、ぁっ、ぁっ、ぁんっ」

 

 

 目の前で行われている光景に声にならない声しか出ない。

 というか、認識がすぐに出来なかった。

 

 なんとか腹に注がれた精液を出せる分だけ掻き出し終えて、身体の疲れを落とすようにゆっくりと熱いシャワーで流し、ついでに汚された感触も落としたかった私は時間をかけるように湯浴みを終えて部屋へと戻った。

 最中に、そういえば浴室のこの大きな鏡には私の姿が全部映っているのだろうな、ということを思い出したので、あまり長く居てもバレるだろうとは理解も出来たから、渋々戻らざるを得なかったというのも本音だが。

 だが、その時間も精々取れて1時間が限度だろう、とは思っていた。

 自分で言うのもなんだが、私は元々早湯なタイプだ。

 風呂に時間をかけるということを元よりやり方を知らないのだから、ずっとシャワーだけ浴び続けているわけにもいかなかった。

 そうして、体感時間で1時間ほどしか稼げなかったとも理解している。

 ――その1時間で、イリナが完全に陥落している様にしか見えないのだから、私が間抜け面を晒すのも仕方のないことだとは思わないか……?

 

 件のイリナは完全に悦んだ声を上げている。

 座った姿勢の彼に抱き着くように密着し、首に手を回して脚まで腰へと絡めて、彼が掴まえているのは彼女の尻だ。

 そこを持ち上げるようにイリナの身体を動かして、自分の上で跳ねさせて遊んでいる。

 その勢いは解けた彼女の長い髪が、跳ねるたびに放射状に広がって乱れる程だ。

 その姿も扱いも、まともに女性へと施される行いで無いのは明白なのだが、それでも何処か淫靡なそれには、思わず目を奪われた。

 それを、白く剥いたような半目で蕩けたように悦んで、甘んじて受け入れているのだから、本当に我が目を疑っても仕方がないと思う。

 

 間の抜けたところがあったり、幼馴染が悪魔になっていても気安く話しかけたりと、色々とアレなところのある娘だがああ見えてイリナも敬虔なシスターの一端だ。

 それが、ああして肉欲の快楽に意図も容易く溺れる? それもわずか1時間で?

 ……それとも、私の目論見が明確では無かったのだろうか。

 少なくとも、一般的な性知識として知っている限り、男性というのは日に何度も射精できるものでは無い、と聞いていた筈なのだが……。

 

 

 「んひぁっ! ~~っ、っ、んっ、あひぇぇ……」

 「おい、早く来ないとイリナちゃん人語忘れるぞ。2人ともきちんと相手してやるから、ベッドへ戻れよ」

 

 

 ――っ!?

 ……気持ち良さそうに顔を蕩けさせて、恍惚の声を漏らす彼女が本当にシスターであったのかと問い質したくなってきたが。

 それ以上に、彼の言い分に、今、腹の奥が蠢いたような感触を覚えた……。

 こう、なんか、ジュン、って……濡れた、漏れた?

 もしくは、こう、妊娠した、みたいな?

 まあ、アレだけ出されたのだし、むしろ納得も出来るが……。

 

 

 「んほぉぉ……、もっとぉ、もっとしてぇ……」

 「あ、これ駄目だ。ほんと駄目だ。さっきまでの面影微塵もねぇ。此れ完全に堕ちた雌豚の貌だ。見て見ろよゼノちゃーん、面白いよ?」

 「……仮にも私の相棒にトンだ言い草だな」

 「雌豚なだけに?」

 「ぶひぃ~」

 

 

 ――ぉい。お前本当にそれでいいのか。

 冗談めかして挑発しているのだか、本気で冗談を口にしているのか、彼の思惑は理解できないが、少なくとも共に任務の為に日本まで赴いたかつての相棒は既に死んだのだと諦めの念とか思い出とかが心中に去来する。

 しかし、豚みたいな啼き声で喘いだ彼女を救う、という目的もあるのも事実。

 

 

 「――ふっ、良いだろう。その挑発、受けてやるっ!」

 「お、おぅ。なんかやる気になったみたいで良かったけどさ」

 「んぁっ、んぁっ、んひぁっ」

 

 

 ……取りあえず。

 其処を退けイリナっ、私が相手だっ!

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「……やっぱ見つからねぇかなぁ」

 「なぁ、今更なんだけど結構穴だらけじゃないのか? その作戦」

 

 

 昨日、球技大会も無事(……無事?)終えてホッとしたのも束の間、この町へ新たな火種が舞い込んできた。

 それは【聖剣】。

 7本に分割された俺でも知っている有名な聖剣【エクスカリバー】のうち4本が、とある一団の手に渡った上でこの町の何処かに潜伏している、という情報である。

 その情報を持ってきたと同時に、聖剣回収を目的とした2人のシスター、紫藤イリナとゼノヴィアというエロいレオタードもどきな戦闘服を着た2人を探す。

 それが今日の目的であった。

 

 

 「おい、なんかキリッとした貌で回想し(モノローグ入れ)ているっぽいけど、言葉の端と顔つきは完全に下卑たおっさんのソレだぞ。なんか、今から援交するために獲物狙っています、って制服のJKを品定めするようなソレ。どうせアレだろ? 美少女シスターの上に身体の線がぴっちりと出る服装にハァハァ(*´Д`)してたんだろ? エロゲなら最高のシチュで最高の素材だもんな。わかるけど真面目な雰囲気で連れ出された俺の事も覚えておいてくれよ」

 「うるっせぇよ匙! 文句ばっか言ってねぇで探せ!」

 「いいから落ち着けよ、マジで。ほんと今のお前警察呼ばれても可笑しくねぇ目つきだから」

 

 

 この失礼なことを宣う男子は匙なんとか。

 球技大会前に顔合わせをした、生徒会所属の兵士(ポーン)だ。

 そして生徒会唯一の男子でもある。

 美少女ハーレムかよ、爆発しろ!

 

 

 「町の何処かで聖剣とやらを探している最中なんだろうさ、そういうのは基本的に隠密行動だろ? 駅前で探して見つかるような手段を取っているっていう保証も無いんなら、やっぱ探し方を変えようぜ、小猫ちゃんたちみたいにさ」

 「……匙、お前、聖剣の気配とか、追えるの?」

 「そりゃあアレだろ? 聖なるオーラを追っかければいいんだろ?」

 

 

 簡単だろ、みたいに応える匙。

 ……俺、そういうのわかりませんっ!

 しかし、同輩のコイツが出来て俺が出来ないとか、不覚にもほどがある……!

 なんか、いい言い訳は……あ、

 

 

 「待て待て、それじゃあイリナとかじゃなくてもっと持ってる敵方を先に発見しちまうじゃねぇか。俺たちには基本毒なオーラなんだし、いきなりボス戦とかじゃまず無理だろ。仲間集めから始めねぇと」

 「……あ、そっか、それもそうだな。わり、それでシスターから見つける目的だったのか。俺、てっきりエロいっていう恰好をまたしみじみ視姦したいから先に探してるのだとばっか思ってたわ。マジで考えてるんだなぁ」

 「は、はは、当たり前じゃねぇかよ……」

 

 

 ば、バレてねぇよな……?

 ……模擬戦じゃこてんぱんにされたし、あわよくば今度こそ脱がせようと思っていたけど、やっぱそれはもっと後に持ち越しだなぁ……。今回はマジで真面目な話みたいだし。

 

 聖剣計画。

 それは佑斗が幼いころに~(省略)~というわけである。

 その果てに成功例として生み出されたらしいあの2人の高慢ちきな鼻を折るために、佑斗はハイライトさんを解雇して~(省略)~しかし、勝てなかった。

 そのついでに、堕ちた聖女なんていう不名誉な誹りを受けたアーシアまで侮辱され、憤慨許せなかった俺も模擬戦に及んだがあっけなく捕縛。

 聖剣ズリィよ……、形が変わって縛りつけるとか、しかも聖なるオーラまでくっついて来て痺れさせるとか……。

 だが、朱乃さんに新しい扉を開いてもらった俺に死角は無い!

 その程度の痛み、快感に変えてくれたわ!

 話が逸れたが、日の目も見せられなかった装備破壊(ドレスブレイク)を次の模擬戦では確実に食らわせてくれる……!

 佑斗の復讐を晴らすために、俺たちは『戦力』として認められる必要があるのだから、そのためには戦って実力を示すのが一番だもんな!(ゲス顔。

 幼馴染だろうが関係ねぇ、全裸にひん剥いて成長したおっぱいを堪能……じゃなかった、俺の前に屈服させてやるぜ!

 

 

 「お、おい兵藤走れ! さっきの女子高生らがマジで通報してやがった!」

 「にゃにぃ!?」

 

 

 そんな! 待ってよおまわりさん! ちょっと脳内で3(ピィィィ!!)のひと枠にぶっこんだだけじゃないっすかっ!?

 そんな言い訳むなしく、俺たちは夜の駅前を全力疾走するのであった。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「ぜ、ぜの、ヴィ、ア、生き、てる……?」

 「な、んと、か……?」

 

 

 返事は返って来たけど、何故か疑問符を抱えての応え。

 自分でも、無事をキチンと認識できていないのだろう。

 何が無事なのか。

 何をもってして、無事と定義すればいいのか。

 少なくとも今は、この先一般社会へと復帰できるかどうか、という点を注視して応えて欲しい。

 

 窓から射すのは朝日の光。

 部屋には既に彼の姿は無く、床へ脱ぎ散らかしてある服のところには彼が置いていったお金が何枚かあるのを、私たちは後になって確認した。

 しかし、この時の私たちはまだ彼が部屋に居て、多分シャワーでも浴びていて、出てきたら何度目かわからない享楽の宴が再開されるのだろうと、そう思っていた。

 

 その最中に2人だけで会話が出来た、ということ自体が可笑しい話に今なら思えてくるが。

 それが笑い話で済まないくらいに絶倫であった彼ならば、まだ来るんじゃないか、と心持ち身構えてしまったのは仕方が無かったかと思われる。

 

 止まらなかった。

 理性こそ働いていなかったが、快感を追い求める本能で脳のリソースは完全に占められていたわけだが、それでも意識はキチンと残っていた。

 四つん這いになって後ろから交互にあそこへアレが出し入れされたり、2人一緒に彼へと胸を押し付け乍ら股間を両手で(それぞれ)苛められたり、重ね合わさって彼をサンドイッチの具みたいにして一番下の私が身体へ2人分の体重を掛けられたまま子宮も下から押し潰されたり、それが逆になったり、私たち自身が重ね合わさってその股間の隙間に彼の其れが上下交互に出し入れされたり、2人一緒に彼のアレを舐めて綺麗にしたり。

 思い出すと、一晩で遣り尽せることを遣り切ったみたいな、そういう濃密な宴だった。

 

 始める前、彼は今夜だけで済ませると言っていた。

 ――冗談じゃない。

 今夜だけで終わるほど、私たちは聞き分けも良くない。

 

 

 「ゼノヴィ、ア……、任務、絶対、生き延び、よう……。わ、たし、もっと、シたい……し」

 「……そう、だな、異論は、ない……が、」

 

 「「まず、は……休ませてほしい、な(ね)……」」

 

 

 苦しくも同じ意見になった私たちは、今度こそ意識を落とした。

 間際、そういえば彼の名前を聞いていなかった、という思考にも苛まれながら。

 

 

 




~くっころs
 「云わせねぇよ?」


~木場君の過去
 原作を読んでね!


~堕ちた聖女と誹謗中傷の誹りを受けたアーシアちゃん
 実はそれに加えて処女も失ってます、とは口が裂けても言えそうにも無いアーシアちゃん
 内心すっごい焦っているので、ゼノヴィアにこの場で切って捨てるか、とか云われるよりも思考は明後日の方向へ行っていてあんまり話を聞いてないご様子
 朱乃さんは知っているけどそれをこの場で言うのもなんだかなぁ、と空気読み中
 ちなみに本気で斬り掛かっていたら惨酷王の自動防御でゼノヴィアが真横に歪に3分割されていたという恐れもあり
 そんなことよりそらとえっちしたい(真顔
 尚、今回の木場の復讐にはノータッチ。こっそりとそらの部屋へと赴いたけどご本人不在なのですごすご帰ったらしい


~時既に時間切れ
 イッセー は あたらしい トビラ を ひらいた !
 めのまえ が まっくら に なった !



ホントはラストに3(ピィィィ!!)のシーンもがっつり描写しようかと思ったけど、残念ながら事切れました
前書きでテンション低い?
何を馬鹿な。ガッツポーズ取ってるじゃないですか
アレです、感想が凄い数で嬉しいんですよ(白目


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「巡る想いが体中にショッギョムッジョ」

インガオホー!


 

 「そういえば、アーシアちゃんはいつからその、烏丸くんと、お付き合いを?」

 「……えっ!?」

 「えっ?」

 「お、お付き合い……してるのでしょうか……?」

 「え」

 「こ、婚約なら既に出来ている筈ですけれど……っ」

 「――えっ!?」

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「hum……、鼻腔を擽る官能的な匂いが、またなんとも言えない快感を覚えさせるね……。マスター、この豆、高かったんじゃないのかい?」

 「いえいえ、自家製の豆でございますれば、値段など問題無いのですよ」

 「素晴らしい……! これだけの味を手軽に味わえる喫茶店など、他にないだろうねぇ……!」

 「ありがとうございます」

 

 

 ちなみに、その1杯に熾されるコーヒー豆には微量ながらの依存性が備わっており、呑み続けると次第に日に何杯も要求するようになる禁断症状が出てくるらしい。

 おお、怖い怖い。

 

 それ麻薬っつーんだよ、というツッコミはさて置き。

 なんだかグルメ漫画みたいな導入の寸前に、なにやら背筋を擽る微妙な気配を感じた気がする。

 気の所為であって欲しいけど、俺の場合こういう予感は無駄に命中率が良いからなぁ……!

 その分何処かで比率が下がっているのだというシーソーゲームが成立している筈だ、と希望的観測の元に不安は頭の隅へと押し留めて置いた。

 

 

 「からーすまくーん、3番テーブルにおまたせでございますですー」

 「はいりょうかーい――お待たせしました、亀ゼリーでございます」

 

 

 初老で老紳士なマスターとこれから常連カッコ意味深カッコトジになるやも知れぬお客様の談笑を尻目に、バイトリーダーである褐色コーヒー肌に碧い瞳のお嬢さんの指示でウェイターを勤しむ俺。

 労働とは、斯くも尊きモノである。

 

 本日現在は不審者系欠食児童型シスター2人組をホテルで美味しく戴いてから、三日くらい経っての夜半過ぎ。

 こう見えてしっかりと正規雇用に辿り着くことを目安に、とある喫茶店でのバイトに精を出す勤労学生をやっております烏丸です。

 実は色々と己の戸籍とかがなかったりするので、普通のバイトが出来ないという現状。

 そこを深く追求せずに雇ってくれるマスターマジ最高。

 今、いい韻踏んだ。

 序でに支払われるバイト代にも色を付けてくれるから、辞められない、止まらない。

 ――多分、内訳は口封、じゃなくて、口止め料の意味合いも含まれているのかも知れないけど……。

 

 基本倹約精神で日々を送っているけれど、散財するときは本当に素寒貧になる江戸っ子気質も兼ね備えているのは、普通に此処が己の居るべき世界線では無い、という前提が精神的なブレーキを踏ませていないのだろうなと推測中。

 先日も女子に10万弱使ったわけだから、マスターに支払いの良い仕事を斡旋してもらうためにも此処三日ほど顔を出しているのだ。

 ……でもアーシアに使った分と比較すれば安く済んだ方じゃないかな?

 

 

 「烏丸くん、配達を頼まれてくれるかね?」

 「はいはい、了解しましたよー」

 

 

 ほい来た。

 表沙汰に出来ない『お屋敷』なんかへの豆の配達である。

 中身は本当にコーヒー豆なのだけど、マスターが趣味で栽培しているオリジナルブレンドであるから、表通りに面しているこの喫茶店へは表立って入店出来ない方への出張サービスみたいな仕事だ。

 これがまたあぶく銭、おっとこれ以上は禁則事項。

 

 

 「からーすまくんー、今日はもう直帰でございますかー?」

 「あー、そうかも知れんすねぇ。お嬢はもう少しお仕事?」

 

 

 褐色コーヒー娘に問われて、行って帰った場合の時間を検算すると閉店過ぎとなることを把握する。

 こちらも問うてみれば、お嬢はマスターへと視線を移していた。

 

 

 「――ふむ、ライラくん、もう上がってもかまわないよ?」

 「おー、ではからーすまくんー、おくりおおかーみをおねがいございますですよー」

 「人聞き悪ぃ!? 送るだけですよー!?」

 

 

 マスターが気の利かせたことを口にすれば、時間も時間なので女子を1人歩かせることも配慮に要れる俺の意図も当然お嬢は含めておられる。

 が、イントネーションのアレさ加減からやはり外様のお嬢であった彼女の言葉は色々と店内へと残るお客様へぎょっとした反応を見せてしまうわけであり、慌てた俺が聴こえるように声を張れば、彼女の見た目からファンになっているのであろうロリコン紳士らからの殺気の籠った視線が若干ながらに緩和された。

 

 さて。

 同年代と聴いていたが150程度かつツルペッタンの彼女へ情欲を沸かすほど憂いているわけもなく、なにより同じ褐色肌を僅か以上でも危機に晒す趣味も無い。

 実は少し遠回りとなるのだが、豆を送り届けた後に彼女もしっかりと送り届けることを予定に要れて、俺は喫茶店『KOYAMA』を後とした。

 

 ――その数十分後、因果に報いられる羽目になるとは思いもしなかった。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 聖剣を持ち逃げしたとされる狂科学者、ともっぱらの噂な『バルパー・ガリレイ』とやらを捜索してはや三日。

 当初合流する予定で、且つ味方であると認めさせる予定であった2人の聖剣使いイリナ&ゼノヴィアとは既に話は済んでおり、碌な進展も無いままに日数は過ぎて行った。

 合流当初は、またひと悶着あるのだろうなぁ、と警戒していた俺たちであったが、件の2人はどうにもその辺対立することに関してはやる気は無く、戦力を確保できるというならば、と易々と味方へ引き入れて貰うことに成功してしまったのである。

 ……クソッ! 脱がし損ねたッ!

 

 ま、まあ其処は冗談として置いて(メソラシ)。

 どういう心境の変化があったのかは詳しく聞いていないが、どうにも命を懸けてまで2人だけで事態を解決へと導けることは不可能だと想定したらしい。

 というのも、ゼノヴィアの持っていた破壊の聖剣(エクスカリバー・ディストラクション)が真っ二つに折れていたのを、荷物になるからと佑斗に預けてしまったのである。

 ……え? 今探索中のお相手って、エクスカリバーをぽっきり圧し折れる人なの……?

 

 俺のうちにこの危険物の熟れの果てを置いておくわけにもいかないから独り暮らし中の佑斗に預けるのは良い判断だと言わざるを得ないが、それにつけても戦力は俺たちだけでは不足している予感がぷんぷん漂う。

 やっぱり部長とか朱乃さんにも話を通しておくべきかなぁ……(葛藤)。

 

 

 「ま、今更遅いみたいだけどな……っ!」

 

 

 現実逃避にも似た回想を切り捨てて、対峙したその男と向き合い拳を構える。

 ブーステッドギアを発動させて、倍化の準備を始めれば、それを見越している様にそいつは陽気に片手を上げた。

 

 

 「ちょりーっす! 悪魔くんおっ元気ぃ? フリードさまが遊びに来てやったぜぇいっ♪」

 

 

 そいつの上げていないもう片方の手には、既に抜身の剣が握られている。

 この距離ならば遠くても判る。

 エクスカリバーと似た気配をなんとか察知することが出来た俺にも理解できる、碌でもない図式に思わず歯を食いしばってしまった。

 

 

 「聖剣……! エクスカリバーをお前が持っているってことは……!」

 「お察しの通りっ、バルパーの爺さんとは仲良しちゃんな俺様がー、新しい力を手に入れて駒王町へー、キター!ってなわけですよんっ」

 

 

 俺が悪魔になった経緯に出会った堕天使の一団に所属しており、アーシアを生贄にすることに何の躊躇いも見せなかった糞神父、フリード・セルゼンと名乗る少年がニヤニヤと淀んだ笑顔で宣言した。

 性根こそアレな狂人だけど、その実力は目を見張るものがある。

 そんな奴が再びこの町へ来た事に、最悪の予想が当たっていたことに俺は身震いする。

 

 

 「フリード・セルゼン……! 教会のブラックリストにも載っている殺人鬼だと!? 貴様、残りの聖剣は何処だ!」

 

 

 ゼノヴィアが声を張る。

 って、そういえばお前武器は!?

 手ぶらで戦える相手じゃねぇことくらい判っているよね!?

 

 

 「はぁ? 此処にしっかり4本ともあるし。つーかぁ、おたくらも聖剣使いっしょ? なんなら俺様が残りの2本を貰っちゃおうかぁ? ついでに最後の一本も見つけて俺が唯一最強の聖剣使いになればぁ、教会もおいそれと俺様の『救済活動』に口出しできねぇっしょー」

 

 

 そう云うフリードだが、どう見ても手に携えている一本しか見当たらない……?

 そこで先に理解が及んだのは、小猫ちゃんだった。

 

 

 「っ、まさか呼べば来るとか、そういう類の代物ですか……!?」

 「ぉ、ぉう、ナニソレかっけぇ仕組みだな。違うって、此処にあるって言ってんだろ?」

 

 

 違うらしい。

 え、ひょっとして小猫ちゃんの黄金鎧って呼べば来るの? マジで?

 

 予想が外れたことに「くっ」と悔しがる小猫ちゃんを尻目に、フリードは携えている剣をゆらりと翳す。

 刀身がブレて、穂先が陽炎みたいに波打ち曲がり、中ほどが透明になり、付け根には変化が無い。

 なんだ、あの奇妙な剣は……!?

 

 

 「統合、したってこと……!?」

 

 

 イリナが驚愕の表情でそれを口にしたとき、――フリードの姿が掻き消えた!?

 

 

 「――ざっつらぁぁいと♪」

 

 

 ガギィン!! と金属同士がぶつかる激しい音が背後から響く!

 慌てて振り返れば、いつの間にか背後へと回っていたフリードと佑斗が、剣を打ち合って鍔迫り合っていた!

 

 

 「おっほ、天閃(ラピッドリィ)のスピードに追い付くとか、やるにゃーイケメンくん♪」

 「キミが最初に答えを言っていたんだろ、なら、予め何処に斬りつけるかを予想していれば抑えるのも容易いよ」

 

 

 そ、そういえばフリードは最初から手元に全部のエクスカリバーがあるって口にしていたっけ。

 ということは、予め盗まれた剣のそれぞれの特性を予測しておけば対応も可能ってことか!

 イリナの持ってるのは鞭みたいに自由自在にもなれる剣だし、ゼノヴィアのは破壊特化だ(もう壊れてるけど)。

 エクスカリバーそれぞれが別個の能力を示していても、可笑しくないって証明でもあるしな!

 

 

 「そう、予測していれば簡単なんです」

 「ぃ、ぐふぅっ!?」

 

 

 鍔迫り合いの最中へと、潜り込んだ小猫ちゃんが拳を振りかぶって殴り抜いたぁ!?

 腹パンされたフリードが対応できずにバウンドして吹っ飛ばされるのが、残像のように目に焼き付いたぜ……!

 つーかそれ、小猫ちゃんも予測していたってこと!?

 さっきの察して悔しがったのはなんだったの!? フェイクだったのか畜生!

 

 

 「――ちなみに、逃がすつもりはねぇ」

 

 

 そして匙がいつの間にか神器を出現させて、フリードを捕縛していた!

 役立たず、俺だけ!!!

 

 

 「黒い龍脈(アブソープション・ライン)、捕えた相手から力を吸い取るコイツから逃れる術は、そうそうねぇ。やっちまえ、木場ぁ!」

 「はぁあああああああああっ! 魔剣創造(ソード・バース)ッ!」

 

 

 トカゲみたいな黒い手甲から舌みたいに伸びた其れがフリードへと絡まり、身動きを空中で取れなくして置いて繰り出されるのは佑斗の魔剣による連続した剣戟!

 何十本かの剣を同時に創り出し、その総てをフリードへと突き刺した!

 よ、容赦ねぇ……!

 悲鳴を上げさせることもなく、フリードを撃破しちまった……!

 

 だが、これで……。

 

 

 「とりあえず、これで聖剣を奪い返せた、よな?」

 「うん。あとはバルパーの居場所を聞き出すだけだね」

 「……え、これ死んでねぇの?」

 「かろうじて生きているんじゃないかな」

 

 

 …………………………ぉ、おぅ。

 ハイライトさん帰って来てぇ!

 佑斗くんの『優しさ』と一緒に、速く帰って来てぇ!

 間に合わなくなっても知らんぞぉーーーっ!?

 

 

 

 

 

 「――き、貴様らは先ほどから、なにをやっているんだ……?」

 

 

 

 

 

 「「「「「――え?」」」」」

 

 

 困惑する俺たちに、何故かゼノヴィアは震えた声で言葉を紡いでいた。

 何をって、コイツこそ何を言って――、

 

 

 「――くきっ、いつから此れが俺様だと錯覚していた……?」

 

 

 ――その言葉と共に、『串刺し』になっていた筈のフリードが掻き消える。

 また超スピードによる移動か!? と目を見開いたが、次の瞬間には、

 

 

 「――カフッ」

 

 

 ――匙の腹に、刃が一本突き刺さっていた。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 にゃー、夢幻(ナイトメア)で残像剣ブッパしといてよかったっちょー。

 ふむふむにゃーるほど、俺様がそうやって踏み込んだら、そうやって切り返すつもりで居たってわけねん。

 青髪の娘には何故か効かなかったっぽいけど、やっぱ予習復習は大事って話でござんすね?

 

 俺様がやったことは今言った通り、夢幻のエクスカリバーで限定的だけど夢を見せて、相手の罠を見破るという転ばぬ先のなんとやら。

 多勢に無勢なんだから大目に見てちょーよ?

 そんでもってぇ、一番厄介そうな以前には見慣れぬ少年くんをログアウトのお時間でっす!

 で、も、ざーんねん。

 ハラキリふじやまーはまた今度だにゃーん。

 青髪の娘動き素早いよー、防がれちった。浅い浅い(テヘペロ。

 会心の一撃が出なかったから、しばらく痛くて苦しいけど、頑張って死んでね名も知らぬ少年!

 

 

 「ぁっ、ぐぁぁああああああっ!?」

 「匙ぃッ!?」

 

 

 おひょぅっ!?

 イッセーくぅん、前よりは強くなってる?

 そのまま腹剣ぐりぐりしようとしたら殴り掛かって来たから思わず避けちった。

 ま、刺したのは魔剣少年の出したやつのうちの一本だし、逃げてせーいかーい。

 でもにゃー、確かアレって色んな性能があるって前言ってなかったっけ?

 

 

 「あっ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!???」

 「匙くんっ、魔力で抑えてっ! それは焔魔剣だからっ、悪魔なら防御も出来るっ!」

 「フリードぉ! てめぇぇぇ!!!」

 「っ兵藤先輩! 今は匙先輩を抑えるのを手伝ってください!」

 

 

 にははっ。

 わーお阿鼻叫喚☆

 ま、この隙に逃走してー、追っかけてくるであろう聖剣持ち美少女らを返り討ちでー、とりあえず5本目と6本目を戴く算段っ!

 

 

 「そーれじゃあ、俺様はこの辺でバイナラ――、」

 

 

 

 「――随分と近所迷惑だな」

 

 

 

 ――ッッッッッッッッ!!!!!!???

 

 

 「夜中に高校生が出歩くのはまあテンション上がるんだろうけど、とりあえず騒ぐな。珍走族じゃあるまいに、ごしゃごしゃと煩わしい」

 

 

 な………………んだ、コイツ……ッ!?

 

 距離はやや遠め、俺様の後方、逃げようとした方向の開いた一角から、馬鹿みたいな魔力の塊が、染み出すようにぬるりと顔を出した。

 問題は何より、其れだけの存在がその場に現れるまで、俺様ですら何一つ感知できなかった(・・・・・・・・・・・)という事実。

 浅黒い肌の、白い髪をした男が、不機嫌な顔で闇夜から顔を覗かせている。

 ただそれだけなのに、俺様が思わず一歩後ずさった……!?

 

 

 「……? 塔城に、兵藤先輩……、と木場先ぱ、」

 

 

 息を呑む様子が覗える。

 俺様の背後の現状を認識して、思考の隙間が出来ている。

 逃げるなら今のうちの筈なのに、俺様の本能は未だに俺様を動かそうとしない……っ!

 

 

 「――おい。アレを遣ったのは、お前か」

 

 

 状況を見て、一番怪しいと見たのか、俺様へと完全に意識が向いた。

 今からあっちへ向かって蹴散らしてゆくことも可能かもしれないが、聖剣使い2人に被害を考えなければ戦力になり得る悪魔3人、分が悪いったらありゃしねぇ。

 ってことは、多少無理でもたった一人で目の前を塞ぐ、コイツを何とかするのが最善手ってことでやんすね?

 んじゃーぁ、いっちょ頑張ってみますかぁ……!

 

 

 「――は、誰だか知らねぇけど、悪魔くんのお仲間ならば容赦はしにゃ、「動いてはいけない」」

 

 

 ――ッ!?

 

 ……あ? いや、待て、今の声、誰だ(・・)……?

 目の前の男はまだ口を開いていない、そもそも、ただ近づいてきている最中で、妙に世界がゆっくりと動く。

 というか、俺の次の動きを完全に把握した上での、今の声音の様子から察するに……『忠告』に、聴こえた……?

 ただ、剣を振り上げて夢幻でもってまた幻影を見せようとした。

 俺様には相性の良くない夢幻(ナイトメア)祝福(ブレッシング)はモーションを一々振らないと出来ないから、それを遣るための第一段階を振る寸前の一声。

 ……振り上げたら終わり、っていう、そういうこと?

 そんなら、透明(トランスペアレンシー)で――「姿を消してはいけない」

 

 ッ、またかよッ!?

 

 あーあー、今度は分かったよ!

 消えるのに若干のタイムラグがあることを言ってんだろ!?

 其処の隙を突かれて、何をされるかわかったモノじゃねぇ、ってことだよな!?

 だったら超スピードの天閃(ラピッドリィ)で「素早くも動けない」

 

 な ん で だ よ !!?

 

 ~~~~っ、アレか……、こっちの一投足も見逃すはずがねぇ、っていう相手と対峙しているから、そういう『忠告』か……。

 此処まで来たら俺様でも理解できるよ……。

 さっきからの声は、俺様自身の『本能』の声だ。

 知覚領域が全力で生き残る道を模索して、走馬灯に似た体験を負わせているっていうことだ。

 聖剣とは言っても、所詮は付け焼刃。

 この『程度』じゃ、生き残り得ないって俺様の本能が、一番理解しているから押し留めていやがるんだな……。

 

 ……っくそ、なんでこんな極東でこんな規格外が平然と出歩いてるんだよ!?

 コカビエルの旦那の方がまだ可愛げがある……!

 推定魔力だけなら下手な魔王も凌駕してんぞ!?

 

 ふぅ……。

 おーけーおーけー、そんなら別の道だ。

 こう見えて聖剣が無い時からも生きてきた人喰い神父様だ、技術だけで生き残る道を探してやらぁ!

 

 いったん距離を取「引いてはいけない」

 銃「打てない」

 ~~っ、足腰のばねで跳「跳べば狙撃される」

 ……カウンター「待ち構えては対応が遅れる」

 …………足払「しゃがめば相手の膝が出る」

 どれもこれも無理ってどんだけだ!? どうすればいい!? 「どうすればいい」

 

 動くことも出来ないし、下手にモーション取ればその瞬間に攻撃が飛んでも可笑しくない……!

 かといって動かなければ死……。……?

 警告が無い……?

 

 あ。

 

 

 「――おーけい、りょうかい、わかったよわかった。俺様の取れる手段は此れだけってことだよな」

 

 

 それに気づいた時、ようやく世界は普通のスピードに追い付いて来ていた。

 漢フリード一世一代の大勝負! 解くと見ろやそこな悪魔どもッ!!

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「――……な、マジか……!?」

 

 

 フリードの取ったその行動に、誰もが目を見開いた。

 烏丸がひょっこりと顔を出したのにも驚いたが、それと対峙したフリードの取った選択が、誰にも予測のつかない行動だったからだ。

 それは、

 

 

 「降参。もう悪いこともしないし逃げないから、命だけは許してくだしあ」

 

 

 聖剣を捨てるように放り投げ、土下座になって頭を差し出した。

 烏丸へ向けて。

 ………………え、あの外道神父が、この選択肢って……!?

 マジか、何者だよ烏丸。

 

 そうして土下座られたご本人はというと、俺たちの様子からフリードが危険人物だと最初に目にした時に理解はしていたらしく、珍しく怒っているような真面目な表情で近づいて来ていただけだったのに。

 そんなそいつは、今は困惑している様に頬をポリポリと指で掻いている。

 まあ、話は通してないから、理解が及ばないのも当然だろうけどな。

 

 

 「……あー、とりあえず先輩方、そこのお方はご無事っすか?」

 「お、おう、なんとか」

 

 

 匙を指して問う烏丸は、ひとまず、と土下座神父の方は意識的に除けて置く腹積もりらしい。

 応急処置がなんとか済んだ匙はというと、うーんもうたべられないよう等との妄言を呟きつつ意識不明の重体であるのだが此れ意外と余裕あるんじゃねーの?

 いつでも斬首体勢のフリードを横に置いたまま、どう移動したモノか等と困惑していそうな烏丸へと、小猫ちゃんがとてとてと近づいてゆく。

 いつでも彼女は平常運転だなぁ(白目)。

 

 

 「なんでまた此処にいたんですか?」

 「バイト帰り。物騒な騒ぎの声が聴こえたから、ちょっと見学に来たんだけど……」

 

 

 随分と呑気な思惑で動かれて居られる御様子です事……ッ!

 ま、まあでも、そのお蔭で助かったのも事実だし、深くは追及しないでおこうかな(メソラシ)。

 え? 他人の事言える立場じゃねぇだろって?

 はいはい、その話はヤメヤメ。

 ……ところで、そのバイトってどんなダークなサイドのお話ですか……?

 

 

 「ひとまず助かったのでお礼は云わせてもらいますけど、好奇心は猫を殺すとも言いますよ。興味本位で動くのは感心しませんね」

 「……つまり、塔城が死ぬ?」

 「なんですかその理不尽。あとバイトって、人に言えないような闇の住人相手のハンター系とかですか?」

 「それこそなんでそういう発想になるんだよ。オリ主じゃあるまいし」

 

 

 オリシュってなんぞや。

 そして小猫ちゃんも俺と似たような感想を持っていたらしい。

 現在時刻は午前2時、普通のバイトならば帰宅には遅いし、深夜枠なら帰宅には早い、そういう中途半端な時間帯なのである。

 

 それにしてもこの現状、一体どこからどう手を付ければ良いモノやら……。

 と、そこで唸りそうになっていた俺へと、横からちょいちょいと指先で突っつく感触が。

 

 

 「ね、ねえイッセー君、あの彼って、キミたちの仲間なの?」

 

 

 と、イリナが気になる様子で問いかけて来ていた。

 見れば、ゼノヴィアの方も烏丸に声を掛けようかどうか、悩んでいるようにも見える。

 ……それは何処か、恋慕を抱いているのにも似たような風体が覗えるので、根本的な『気になり方』とはまた違った意味合いが内情を揺るがす事態になって居そうな気配が覗かせられる。

 糞ッ! 烏丸ばかりが何故モテるッ!?

 ギリィ、と食い縛る俺を脇目に、乾いたように微笑う佑斗が応えてくれた。

 

 

 「仲間、とまではいかないけど、顔見知りだよ。彼に頼めば、フリードと聖剣を引き渡してくれるんじゃないかな」

 「へ、へー、そうなんだー」

 

 

 何処か上擦った様子で、イリナはそう応えを受け止めて、そわそわちらちらと烏丸を気にかけている。

 ……あーあ! 世界なんて滅びればいいのになー!

 

 

 「イッセーくん、とりあえず、彼に近づこう。話はそれからでも遅くないよ」

 「……だな。じゃあ、ちょっと匙を見ててくれるか。フリードをどうにかできないか、詳細を詰めちまおうぜ」

 

 「その話、私たちも混ぜてくれるかしら?」

 

 

 と、聴こえちゃいけない声が響いたことに、俺も佑斗も身体が思わず強張った。

 ゾ、と背筋に氷を差し込まれたかのような、そんな錯覚を感じたのである。

 その声の主は背後に居り、俺たちは其処へと、ゆっっっっくりと振り返った……。

 

 

 「「ゲェッ!? 部長ッ!」」

 「こんばんは、イッセー、佑斗。こんな時間に何をしていたのか、きっちり話してもらうわよ……?」

 

 

 ジャーンジャーンジャーン、と銅鑼の音が響く幻聴もどうでもいいくらいに良い笑顔の我らがオカルト研究部のリアス・グレモリー部長が、すぐ傍に陣取っていた。

 ――まさにホラーの如く!

 あ、あと序でに支取会長も傍にいた。

 此れ距離的にも逃げらんねぇわ(吐血)。

 

 

 「い、いやいや、先ずは話を決めちゃうのが先なので烏丸に話を聞くのが一番優先ッ」

 

 

 具体的に言うと烏丸くん助けてッ!?

 しかし、部長氏はそれをも見込んでいたらしく、静かに指を指す。

 そこへ振り返ると、烏丸の前には小猫ちゃんの他に、既に朱乃さんとアーシアの姿があった……。

 

 

 「ごめんなさいねイッセーくん、今日は烏丸くんにどうしても聞いておかなくちゃならないことが出来たから、リアスとのOHANASHIはそちらで済ませてくれるかしら?」

 「えっ?」

 「そらくん、ちょっとだけですから、時間をもらえますよね?」

 「え」

 「……なんだかよく分かりませんが、本能が付いて往けと咆哮までしているので私もいっしょに話を聞かせて貰っても良いですか?」

 「「どうぞどうぞ」」

 「俺の意見は!?」

 

 

 何故だかお2人から恐るべきオーラがじんわり澱む。

 お、俺はこういう感知能力は才能無い筈なのに、それでも感じるオーラだと……!?

 とりあえず、烏丸もなんだか逃げられない様相であることは覗えてしまい、引き摺られてゆく彼を見送ることしか出来なかったよ……。

 何の話だったのだろう……、小猫ちゃんまで付いて行っちゃったし……。

 あと朱乃さんの『お話』のイントネーション、すげぇ怖気が走ったのですがそれは。

 

 

 「……なあイリナ、アレは私たちも付いて往くべきだったのではないか?」

 「う、うーん……、確かにそういう空気にも見えたけど……」

 

 

 と、何故か聖剣使い2人組まで行こうとする始末。

 おいおい待て待てちょっと落ち着け! お前らは先に任務だろ!?

 土下座姿勢のまま置いてかれたフリードくんをどうにかするのが先決だよッ!

 っと、そうだそいつが居た!

 

 

 「ぶ、部長っ、とりあえずフリードをどうにかしましょう! それが今は一番大事!」

 

 

 頼む! 此れでなんとか命だけは……!

 どうして其処までして回避に徹してるのかというと教会の動向に悪魔が絡んではいけないって前にも云われていたにも拘らず、俺や佑斗が独断で聖剣組に協力を申し出たからっていう理由があるからなので、詳しくはググってね!

 咄嗟の危機回避選択肢に妙な電波まで混じるぜ! なんでもいいから助けて!

 

 

 「……そうね、それじゃあとりあえず、殴ってから考えましょうか」

 

 

 引き摺られてゆく烏丸を見てやや呆然としていたが、俺たちとフリードとを見比べて、そんな妙に脳筋なセリフを口にする我らが部長。

 か、勝った!? 第三部、完ッ!?

 

 ――あ、あれ? なんでこっちに近づいてくるんですか? 先に何とかするべきはフリードですよね? ははは、やだなぁ、そんな、手首のスナップを生かした素振りをする必要なんてないじゃないですかっ!? 魔力を手の平に集中するとか、全然必要ないことですよね!? 待って、止めて、お、お尻だけはッ!

 …………………………アッーーーーーーーーーー!?

 

 

 




~アーシアちゃんマジカトリック
 経験する男性は唯一夫のみ、且つ、付き合おうという話を貰わなかったので現状が不明
 しかしやはり『お相手』をしているのが烏丸なのでこれはもう婚約と同義じゃないかな(白目。と=で判断
 …ほんと、アーシアは一途で可愛いナァ!


~別の意味でブラックなバイト
 目指せ、グルメ漫画(こやま感
 コーヒー肌のお嬢は元ネタとは別枠からの友情出演。だからそうさらっと出すのは辞めようぜ、といい加減色々言われるにも拘らず出すこの作者の性根を本当に問い質したいところ
 アイドルでも無ければヒロインでもないのだから問題ないじゃないか(白目
 アレだよ、ネギ恥で言う処の典如ちゃんみたいなキャラなんだよきっと(メソラシ
 しかしprprと書いても出演は増えませんので悪しからず


~シリアスかと思ったらそんなことなかった
 うちの作品群はいつでも平常運転です(真顔


~錯綜するオリ主の夜間バイト
 ひっそり隠れてHERO業に勤しむのがテンプレらしい



どいつもこいつも因果が報いた14話
烏丸くんもそろそろ色々覚悟するべき(憤慨
次回の為に、ちょっちアンケ取ります
詳しくは活動報告にて


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【番☆外☆編】「4人playと思ったけどそんなことなかった」

※D×Dに非ず(一回目)


 「……ぁっ、く、ふぁ……!? んぁ……っ!」

 「ん、ちゅ、む……ふむ、ちゅ、どーやろー? そらくん、気持ち良くなってきたかなぁ?」

 

 

 このかが乳首を攻めながらそんなことを問うが、応えられる状態でないことは火を見るよりも明らかだろうに。

 お嬢様ってば超オニチク。

 別に乳首と掛けたわけでは無い。流せ。

 

 

 「応えられんとしばらくこのままやで」

 「……っ!?」

 「そらくんprpr」

 「~~~~~っ!?」

 

 

 お嬢様ってばマジオニチク(確信。

 後ろ手に縛られてシャツの胸襟肌蹴させられてピタリと密着した状態で首筋に手を添えらるのはまあいいけどその指先が蠢いて擽るのと連動して舌先で胸元弄るとかとても初体験とは思えないテクニックを見せてくれちまいやがって誘ってるってレベルじゃねぇぞそれよりも傍で顔真っ赤にしてフリーズしてるせっちゃんを見てやれよお前わぁぁぁああああ!?

 思考だけは冷静(きっと冷静。恐らく冷静)に働けられるモノの、言葉に出来ないくらいの感触に敏感な我が肢体がモノを云うのも億劫になるも仕方がないレベル。

 目を見開き開いた口も塞がらない(別の意味でな)己は見るも無惨なだらけた表情筋を曝け出してしまっているのであろう。せっちゃんが生唾呑み込んで俺らの遣り取りを黙して凝視しているのも、きっと彼女のエロ琴線に触れたからとかそういう話では無くて、アヘ顔寸前の俺に呆れているとか、そういう理由であるのであろう。というか、そうであってほしい。せっちゃんはキレイなままで居て。……くそっ、いっそ殺せっ!

 

 

 「むふぅ、クンカクンカ」

 「ハァー、ハァー……っ! こっ、このかさぁん……っ? もうっ、満っ足、したよな……っ?」

 

 

 舐めてしゃぶっていた肌から顔を離し、今度は後ろ髪に顔を埋めて匂いを嗅ぎだした京都のお嬢様に、息も絶え絶えに問いかける。

 そんな俺へとふむ、と呼吸を置き、正面に座り直して、一言――、

 

 

 「全然!」

 

 

 畜生! 無駄に惚れ惚れするくらいの良い笑顔で断言しやがって!

 

 

 「何なの? 俺、今日は新年の挨拶に来ただけなのよ? 入室早々せっちゃんに不意打ちで気絶させられたと思ったらこんな羞恥プレイの役処? 男のアヘ顔とか誰得だから即刻やめてくれやがりください」

 

 

 最後は懇願になっていたけど、マジで頼むわ。

 最早先日大柴君が何処かの祭典で購入し部屋に俺が戻ったにも拘らず置き場が無くて広げられていたエロ同人誌みたいに辱められるのも時間の問題。

 俺的ファンクラブが消失しないうちに、速く。

 尚、件の同人誌関連を片付けるまでご飯抜き、と宣言して自部屋からの逃亡を果たした先がこの様なのだから、もう笑うに笑えない。

 

 俺の懇願が届いたはずのこのかはというと、俺の膝の上に乗り掛かり姿勢を正す。

 ――対面である。

 

 

 「でもなぁ、そらくんも卒業後とか、麻帆良に()らん選択もあるんやろ?」

 「……あー、まあ、エヴァの呪いも解けるし、進学を麻帆良に狭める意味も無いからなぁ」

 

 

 え、この姿勢で真面目な話?

 膝に乗っかるこのかのお尻の感触とか、体重とか、匂いとかが普通に此処まで近いと色々収まりが悪くなるんですけど?

 微妙に目線を逸らしつつ、志望校、というか行き先を未だ誰にも告げてないので自然と後ろめたい気持ちにジクジク心中を苛まれる気分である。

 

 

 「せやったら、やっぱりなんかの繋がりは作っといてええんちゃうかなぁ、って思うとるんよ。ウチもな?」

 「いや、別に音信不通になるとかそういう予定は無いですし……」

 「あれぇ? なんやぁ、此処までなっても気づかないわけないやろぉ? そらくん、そんな鈍い子ちゃうよなぁ?」

 「……っえ、えー? なんのことかなぁ、そらくんわっかんないなぁー」

 

 

 真面目な話かと思いきや話が変わっていなかった!?

 先ほどとは別の意味で視線を合わせられなくなる俺。

 そんな俺に、このかは、着ていた(・・・・)着物の帯をしゅるりと解き、ニコニコ笑顔のままで俺の顔を両手で掴み、このかへと向き直らせ、ずいと近づくと体重をかけ直した。

 

 

 「ウチが言うとんのはもっと直接的な“つながり”や。具体的に言うと、セックスしよか、そらくん?」

 「………………っ!」

 

 

 引き攣った顔しか出来なかった。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 俺、魔法世界から帰ってからこっち負け続きじゃね?

 なんなの? 此れで捕縛されたの4度目よ?

 ……あ、いや5回目だ。

 うち一回は引き分けで済んだから、まだ大丈夫……じゃ、ねぇよ……(落胆。

 幸い、校内へは噂とかの類は広まってないみたいだから問題ないとしても、こんな己を果たして堂々と向き直れるかと云うと断言できないわけで。

 要するに己の裁量の問題なのだけど、やっぱ不純撒き散らしているとしか言いようがねぇ。

 エヴァに顔向けできない、っていうかバレタラ縊ラレル……ッ(gkbr感。

 あとは俺の事をお兄ちゃんなどと慕ってくる下級生らにも顔向けできない。ごめんな、お兄ちゃん穢れちゃったよ……(泣。

 

 

 「断る!」

 

 

 と、そんなわけで断然この言葉は出てくる。

 しかし、

 

 

 「――まあ、断ってもヤることはもう決まっとるんやけどな」

 「おおおおぉぉいいぃぃ!?」

 

 

 そんな言葉を発していたこのかは、既に俺のズボンから苦しそうにしている我が息子を後ろ手でぼろんと解放し握々(にぎにぎ)と弄り始めていた。

 感触と匂いで半勃ちだった其れはこのかの手に直に触れられて、しかも力任せとかじゃない優しい手つきが触感の琴線を刺激する、と同時に理性の壁をもガリガリ削る。

 何この娘コワイ! とても初めてとは思えないくらいに手馴れていて超コワイ!

 

 

 「ほら、せっちゃんも()な。優しく()るんやで?」

 「っ、は、ハィっ! で、ではしつれいしまひゅ……!」

 

 

 待て待て待て待て待て待て!!!

 

 

 「そういえば今更ながらなんでせっちゃんまで同室でこんな有様になっているのを放置で更に参戦!? おい護衛! 仕事はどうしたぁ!!?」

 「そうは言うてもなぁ。このセッティング、そもそもせっちゃんの為に用意したんやで? “つながり”持って欲しいんもどっちかといえばせっちゃん優先で取っといて欲しいからなー」

 「汚い! 流石『近衛』汚い! それもどうせこのかからのお願いっつう名目で下された命令なんだろうに! お嬢様の無茶振りに一々応える健気な半デコ娘が可愛そうだとは思わんのか!?」

 「言い方悪いなぁー。ちゃんとせっちゃんにも許可とっとるえ?」

 「だったら声裏返ったり語尾噛んだりしねぇよ! 男慣れしてない美少女に何させるつもりだお前は!?」

 「姫始めと貫通式やな」

 「解答が具体的!?」

 

 

 もうヤだよこのお嬢様。

 幸いなのは明日菜がいないことか。

 同室なのに居てないのは何処か不安が蔓延りもするが、なんとか拘束を逃れればこの2人に後れを取ることも無い筈。

 墓守り人の何某で英雄共と遣り合ったのに比べれば、この程度乗り越えられない筈もねぇ!

 今こそ湧き上がれ! 凡人力フルパワーッッ!!!

 

 

 「大体、そらくんは初でもないんやし、そんなん拒否ることもないんやないの?」

 

 

 ぷしゅぅぅ……、と自身のオーラが抜ける様を幻視した。

 今このかに口走られた言葉に、虚を突かれたように彼女の顔を覗く。

 ニコニコしていたのも束の間の事、今は何処かむくれたように目線を合わせないお嬢様が其処に居た。

 

 

 「………………明日菜か」

 「ま、な。あとはゆーなからのLineでクラス内に情況は広まっとるし」

 

 

 戦犯を言い当てれば、ある程度は予想通りの名義も友釣れる。

 アレだろ? ゆーなが明日菜と張り合ってるんだろ? 柿崎からメールが来たよ、大草原付きの爆笑メールでな。あとちうたんからも『死ね』って来たよ。なんでちうたんって俺にやたらと辛辣なの? 今回のに関してはわからんでもないけど。

 い、いや、まだ半分だ。絶望するにはまだ遅くない筈、

 

 

 「――で、察するにあと2人くらいクラス内に()るんやないの? 距離感から察するに、アキラとアコかな」

 

 

 お前エスパー?

 

 

 「……当たりか」

 

 

 気づけばこちらを見据えて、俺の表情から読み取ったらしい。

 女子ってそういうのホント目ざといよねぇ……。

 

 

 「……教師陣にはせめて云わないでください」

 「云わへんよぉ、ウチらだって“そういう”んに興味ある年ごろなんやし、クラスメイト売る様な性根でもあらへんし」

 「でしたらついでに此の拘束も解いてください」

 「其れは後でなぁ」

 

 

 ニコニコ笑顔に戻って応えるこのかさん……。

 ……後で? って、

 

 

 「――ぅひっ!?」

 

 

 ちょ、なんか股間のところを濡れたモノが全体を!?

 待って、この感触まさか……、

 

 

 「よいしょ」

 

 

 と、思う間もなく、このかが俺に抱き着いてくる。

 肌蹴たお互いの胸元がくっつくくらいに密着しており、ぷにぃと彼女の小ぶりながらも形のある発展途上のぷちぱいの感触が同時に加わった。

 乳房というよりは、先端が肌の上で潰れるような様だ。

 上と下とで刺激のある感触に苛まれて身悶えが止まらないんすけど!?

 

 

 「こーすれば、見えるかなぁ?」

 

 

 ぐい、と俺にそのまま抱き着いて、首筋へと顔を伸ばし、肩へ顎を乗せる姿勢。

 そんな彼女の肩越しに、俺の股間に吸い付いて、というか咥え込んでいるせっちゃんの姿が見えた。

 ……お前何してくれてんの!?

 

 

 「んぐ、じゅぽっじゅぽっ」

 「ちょ!? せっちゃんやめっ!?」

 「ふふふー、そらくんとヤると決めてからしっかりと教え込んだんやでぇ? 美少女にご奉仕されるとか、まんざらでもないやろ、そらくんも?」

 

 

 完全にご奉仕要員です、と宣言するこのかが不敵な笑みを浮かべていた。

 見えないけど。

 殴りたい、そのどや顔……!

 見えないけど。

 

 

 「んむ、……ちゅぽっ。……お嬢様、準備が出来ました」

 「そか。ほなそらくん、いただきまーす」

 

 

 気づけば反り立つ我が息子の様から万全だと思ったのだろう、せっちゃんが口を離し、このかは身体を離しだが腕は俺の首へと絡ませ直して、反り立つ其処へと着物を捲り上げながら跨ってゆく。

 わぁ、着物を着るときは下に穿かないって都市伝説と違ったんだぁ……じゃなくて!

 

 

 「おいちょっと待てこのか、そのままとかお前もうちょっと慣らしてから、」

 「ん、ひぐ、っ、ぁ、んぎぃ……っ!?」

 

 

 う、わぁ……! ほんとにそのまま挿入れやがったよこの娘……!

 せっちゃんのご奉仕とは比べ物にならないくらいに窮屈な、あまり湿っているとは言えない肉襞を押し広げる感覚。

 いきなり体重をかけたのか、入り込むその異物感に連なる痛みを想定しきれていなかったのか、目を見開いたこのかは流石に笑顔にはなれなかった。

 視点を虚空へと定めたままに、食い縛ったような口はなんとか空気を取り入れたいのか、陸上でもがく魚のように意味も無く開閉を繰り返し、だが、何も目論み通りにはいっていない筈である。

 

 さて、此処で一回抜いて、とか選択するようなら、その後がまた最初以上に忌避感を抱きそうではあるが。

 果たしてどうするつもりなのか……。

 ……って、なんか中が湿って来た? じんわりと熱を帯びたような伝導が……ああ、破瓜か。

 

 ……俺、この半年で一体何人の処女をかっ食らってるんだろう……。

 思わず、自嘲するような乾いた笑みが浮かぶ。

 但し目元が笑っているとは到底思えないのだが。

 

 

 「~~~っ、は、ぁぁ……! ん、ぅん、ん。こ、れで、初めて、デキタ、な……?」

 「……うん、まあそうだけど」

 

 

 苦しげに、だがなんとか言葉を絞り出すこのか。

 おかしいなぁ、このかはもうちょっと利口なはずだったんだけどなぁ。

 興味があるから、とかそんな軽い理由で好きでもない男とこんなことをする意味もないだろし、そもそも『繋がり云々』だって肉体関係に直接なる意味合いだってこのかには薄いはずなのだが……?

 せっちゃんを優先してほしいと言いながら、何故か先に自らを差し出すその順番に、どうにも作為的な意味合いを覗わざるを得ない。

 そんな風に彼女の有様に疑問符を抱いていると再び俺に抱き着いて、しな垂れかかって腰を浮かせるように膝立ちのまま、自身を上下へとゆさゆさ動かし始めるこのか。

 そのテンポは随分と緩慢だが、彼女と俺との結合部である『其処』へは確実な差異が滲んでいた。

 

 

 「んっ、ほ、ほな、うごく、な? これ、でっ、きもち、ええ、かなぁ……? ぁっ」

 

 

 滲み滴っているであろう血にもお構いなく、部屋に微かに響くだけの膣穴が喰い付く肉の滑る音に依り、その程度の動作だとも判る。

 だが、ぬぷ、ぬぽっ、と連続して響くそれは断絶することもなく、このかの身体が上下するタイミングで淫靡に響くことからも、それが俺の自身にも連動している動作であるというのも良く判る。

 緩慢な動きは次第にその間隔も短くなって行き、俺に抱き着いたこのかの呼吸が荒くなってゆくことを、何もできずに耳に届かせることしかできなかった。

 せめて後ろ手の拘束だけでも外して貰えれば、拙いながらもどうにかサポートは出来たのだが。

 其処を外してくれないのは、やはりこのかなりに色々と判断している部分でもあったのだろう。

 そんなことを頭の隅で何処か冷静に読み取りながら、彼女の荒い呼気に連想する彼女の表情を容易く連想する。

 

 

 「ぁっ、んっ、はっ、はっ、あっ、あっ、あっ、んっ、ひぁっ」

 

 

 抱き着いている所為ではっきりとは覗えないが、次第に狭まる間隔からもこのかが快感を覚え始めているのは確実だ。

 自慰をしている時と同じような調子でリズムに乗り出しているというならば、自然と目を瞑って顔も紅潮としている可能性が高かった。

 

 

 「んっ、はっ、せっちゃぁん……、っん、あんっ」

 「はぃ、お嬢様……、此処にいます」

 

 

 そのこのかの様相に連動しているせっちゃんがすぐそばにいるからね。

 これで判らなかったら嘘だわ。

 

 呼ばれてこのかへとしな垂れかかるせっちゃんは、同じように着物を着崩して肌蹴させ、それでも限界ぎりぎりの局部だけは晒さないような有様のままにこのかへと顔を寄せる。

 このかを挟んで俺の反対側へ並ぶせっちゃんに、俺に抱き着いていたこのかは首を向けてせっちゃんと相対した。

 紅潮とした2人は、そのまま優しくも卑猥に唇を重ね、ちゅぱちゅぱと粘つく水音を響かせながらも、腰の動きは止まることは無い。

 

 

 「んっ、んっんっんっんっんぁっ」

 「はっ、ぁっ、んっ、おじょうひゃまぁ、んっあっ」

 

 

 このかの反応は腰の動きに連動し、間隔が狭まっているからこそのこの反応だと判るのだが、せっちゃんの方は唇を重ねているだけなのでそこに追い付くことは無い。

 しかし、俺の横でそういうレズプレイを実践されていると、どうにも置いてかれてる感が否めないというか……。

 

 

 「ぁ……はぅぅっ!」

 

 

 びくん、とこのかの身体が震え、抱き着く力が強まった。

 強張ったその手が、俺の背に回されていたその先の細い指が、引っ掻くように肌へと喰い込む。

 ……どうやら絶頂()ったらしいが、俺は未だに半()ちだったりする。

 レズプレイは好みとちゃうねん。

 興奮しきるにはもうちょい欲しいなぁ。

 

 

 「っぁー……、……っ、ふぅー……はぁー……、こ、これアカンわ、もう、むり……」

 「ふぁ……ん、お嬢様、だいじょうぶですか?」

 

 

 このかの横で自慰の真似事みたいな好意で己を慰めていたせっちゃんが、遅ればせながらお嬢様の身を案じる。

 ……老婆心ながら思わせていただくが、せっちゃん今のうちに逃げておくべきなんじゃね? だってさ、このかのさっきの発言からすると、次は、

 

 

 「ん、今退くからな」

 「いえ、そんな御体に障ります。直ぐに動くことなくとも……」

 「だーいじょうぶや、って……ん、っ」

 「お、お嬢様……」

 「ぁ、はぁ、ふー……――ほな、次はせっちゃんの番やな?」

 「……あ」

 

 

 ですよね。

 さっきも言った通りならそういうことですよね。

 

 俺の逸物から跨ることを放棄し、しな垂れかかったままだがせっちゃんの方へとしっかりと顔を向けたこのかは、恐らくはにんまりとした笑みで以て彼女へ俺を促していることであろう。

 それより全体的に此れを辞めるのが第一だと思われまーす。

 この中途半端な大きさを維持するのって、すっごい大変なんですけどー。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「ほな、此処で見ていてあげるから、せっちゃんもしっかりな」

 「………………ハイ、オジョウサマ……」

 

 

 後ろから実に嬉しそうに朗らかなこのかの声が聴こえる上体で、正面にはせっちゃんが全裸となって俺の膝の上へと跨ろうとしていた。

 ハイライトこそ仕事しているものの、その声音に覇気は無い。

 お嬢様のご命令に然り従いますよ、と全身で以て応えて居る所存であるのだ。

 例えそれが好ましくも無い男とのSEXであろうとも、命令とあれば応えなくてはならないのが彼女なりの矜持であるのだろう。

 阿呆である。

 

 断言し、為すがままとなっている俺はというと。

 衣服は総て剥ぎ取られ、肌蹴た背中にこのかのぷちぱいが密着している状況。

 要するに女体サンド寸前という、男の夢が今ここに!

 ……後ろ手の拘束さえなければね。

 はよ外せ。

 

 

 「せっちゃんさぁ、そんなに嫌ならきちんとこのかへ云えば?」

 「……私の為だから、の言葉で押し切られたんだ。今更できません、とか、先に処女を喪ったお嬢様に申し訳が立たないだろう……」

 

 

 その点はこのかの自己責任と思われるのだが。

 というか、お前ら百合百合してたのに貫通式未だだったんだな。今更気付いたけど。

 

 

 「というか、その辺の細かい理屈とかは無いのか。流石に『お前の為』の一言で全部を片付けて貰えるほど世の中は優しくないだろ」

 「……」

 

 

 そう応える俺に、無言のジト目。

 なんすか。

 

 

 「流石は明日菜さんの為に魔法界を殲滅した男の言は格が違うな。それを貴方が言うのか」

 「人の黒歴史穿(ほじく)って楽しいか?」

 

 

 それで済ます気は無かったから黙っていたのに、なんでちうたんは其処を暴露させちまうのかねえ。

 しかも全員の目の前で。

 

 

 「これも愛だ。貴方と同じ、な」

 「ねぇホント止めて? 何気ない言葉のナイフが俺のライフをぐりぐり抉ってるからマジでやめて?」

 「そんなことより、その、なにか無いのか、せめて……」

 

 

 俺の黒歴史が『そんなこと』扱いである。悔しい!

 それはそうと。

 そう言葉を紡ぐせっちゃんは、今更ながらもじもじと顔を赤らめさせて身を捩る。

 ふむ、

 

 

 「……」

 「……」

 

 

 胸は、他と比べて言う程目立た無いのだが、中学生ならば年相応。

 ふっくらと手のひらに収まるサイズで、垂れを微塵も覗わせない微かなふくらみに、桜色の先端が淡い円を滲ませた局部もしっかりと晒されて、恥じらいとか無いのこの娘?と思わず問いたくもなる。

 だが、其れが良い。

 このかの時には確認できなかったが、下の毛は無くつるりとした恥丘が顕わでもあり、小さな割れ目に俺の自身の先端が添えられている。

 今にも沈んで往きそうなその様へ、俺は頷くと一言告げた。

 

 

 「キレイだな」

 「あ、りがとうございます……」

 

 

 もっと飾った言葉でも出てくるとでも思っていたのか、一瞬呼吸が止まったようにつっかえたが、せっちゃんは絞り出すような返答で目線を合わせてくれた。

 やる気になっている、とか自棄になっているとか、彼女なりのそういう態度云々は除けておくとしても、男として女子の肢体を堂々と眺められるのは冥利に尽きるのも事実である。

 

 

 「で、では、いきます、ね?」

 「おー、ゆっくりでいいからな。何処かの阿呆は人の忠告も聞きやしなかったけどな」

 

 

 後ろからむぅーと怒ったような声が聴こえるが無視。

 ぐいぐいと背中で形のある柔っこいぷっくらした突起物系の何かが潰れているけどそれも無視である。

 

 

 「ん、ぁっ、は、ぁ、ふっ、んんんんっ」

 

 

 ゆっくりでいいって言ったのにこの娘てば。

 

 

 「はい、り、まし、たぁ……っ!」

 

 

 はっ、はっ、はっ、と息も絶え絶えに手は俺の腰を掴み、赤らめた顔のままに半目のせっちゃんが自己申告。

 上目遣いまでされて、意外にもエロい。

 

 

 「うっ、動きます、ね?」

 

 

 いえ、そんな、無理しなくとも宜しいのですけど。

 と押し留めることも出来ず、ゆっくりと、だが、せっちゃんが腰を上下へと稼働させる。

 抜き取る仕草で彼女の割れ目から滴る血は、挿入()れ直すことで潤滑油代わりとなって彼女の恥丘の周囲へと滲む。

 後ろから見れば小ぶりな尻が俺に圧し掛かり、一生懸命に上下しているのであろう。

 なにそれ、超見たい。

 

 そうして数分くらい動かれた後。

 そろそろテンポが安定して来たな、と思った矢先、不意にこんな声が後ろから聴こえてきた。

 

 

 「――ほな、それじゃあここからはお楽しみタイムやな」

 

 

 本日の戦犯の楽し気な宣言である。

 何をする気だ……!? と戦々恐々とする暇も無い束の間、手首を封じていた何かの拘束が緩んで消えた。

 

 

 「此処まで来たらそらくんやて辞めたりせんやろ? フリータイムに突入やでー」

 

 

 ――ほほぅ、有り難い。

 

 

 「っ、えっ?」

 

 

 がしぃ、と自由になった手を、せっちゃんの背と尻へと回す。

 しかしそれにしても、確実に狙っていたのが間違いないくらいのタイミングでの解放。

 このか……!恐ろしい娘……!

 

 

 「――っは!? きゅうぅぅぅうううっ!?」

 

 

 奇声を上げて驚愕しているのは、尻と背に手を回されて抱きしめられたから……だけでは無いのだろう。

 そのついでに俺自身へと圧し付けて、セツナの膣穴の深いところまで一息に届けてやったわけだから、今迄浅い部分で自慰とも変わらぬ軽めの刺激だけで()がっていた其れでは耐え切れないのも自明の理。

 例えるならば、肩叩きで満足していた肩凝り初心者に、お灸と足つぼマッサージとタイ式整体とのフルコースへと連れ出すようなモノ。死ぬしかない(確信。

 

 

 「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、ぁあっ!?」

 

 

 犬みたいに荒い呼吸になったせっちゃんを抱き締めつつ、がっちり嵌った膣穴の中のそいつへと押し留めていた血流を意識して送る。

 要するに、テンパりせっちゃんが可愛いので我慢しきれませんという、実に判り易い論理の旋律。

 ぐんっ、と大きくなった肉棒の刺激が、彼女の中へとびりびり響くのがよく伝わっている筈である。

 

 

 「……今更だけど、せっちゃん肉付き悪いよなぁ。まあ、付いてるところは付いてるから問題は無いか」

 「ぁっ、んひぃっ、まっ、どこさわ、はひっぃっ!?」

 

 

 ぐにぐにと、何度も言うが小ぶりなお尻を揉み解せば、敏感肌のご様子なセツナさんがビクンビクン悶えた。

 女子って皮膚が柔らかい分、触られるだけで気持ちイイってアキラたんとかも言ってたのだけど、せっちゃんの場合は男慣れしていないのも相俟って凄い敏感。

 普段の修行で生傷作っている、とかいう設定すら凌駕する反応の良さに、せっちゃんの中で自身が跳ね捲ります。

 

 

 「~~~~~~~っっっ!!!!」

 「さぁて、弱い部分は何処かなぁー」

 「まっ、おねっ、やめっ」

 「……此処も弱いのか?」

 「ぁ、~~~~~~っっっ!?」

 

 

 背中の、多分翼の付け根とか生えてくるところ、と思われる個所、肩甲骨の上あたり?をもぞもぞと弄る。

 原因はそれだけでは無いだろうけど、声にならない声を上げ、腕の中で身を悶え攀じり顔を真っ赤にして口を大きく開けっぱなしのセツナさんは最高にエロいと思います。

 亜子といいせっちゃんといい、貧乳っ娘は背中が弱いっていう風潮なの?

 あると思います!

 

 

 「じゃ、適度に弄ったところで……」

 「……っ、……っ、……っ、……?」

 

 

 呼吸だけしか出来なくなったせっちゃんを抱き直して、ぐいと姿勢を正すホールド。

 意識が薄れかけているみたいな、反応の弱々しくなっちゃっている彼女を、再び上下運動へと再起させよう。

 お仕事だよー。

 

 

 「ほっ」

 「ひっ!? んぁっ! ふにゃぁっ!? ひあぁっ!? んぁっ! んぁっ! んあぁっ!?」

 

 

 さっきまでとは違う大きくなったソレで動かしている所為なのか、反応が全然違って止まりませんね。

 ぐぶっ、ずぶっ、ぐじゅっ、ぐにゅるぷっ、って、下からも響くのがすっごい生々しい音してるもの。

 

 上下運動の衝撃で俺を直視できなくなっているのか、目元は視点が定まってないご様子で口は開いたまま。

 腕とかが否定の姿勢を取ろうとするも、衝撃に流されて俺を掴むのもままならない。

 揺するたびにちっぱいがふよんふよんて、縦横無尽に跳ねるのも好評価だよね!

 

 

 「ああー、これ良いわー、せっちゃん、もうちょっとがんばってなー?」

 「ひゃぅっ! むっ、むりぃっ! これむりぃっ! やぁっ、やだぁっ! とめてとめてとめっ! んひぁぁっ! んにゃぁぁっ!?」

 「いっくぞー」

 「やぁぁぁあああああああああああああああああっっっっ!!!!!!!!?????」

 

 

 ―――――っと、脳みそが真っ白になるくらいに、凄い、出た。

 

 そりゃあなあー、このかの時出してないんだから、出せるときには出しちゃうのが生物としては自然だよなぁ(他人事。

 せっちゃんの膣中にどぷどぷ注がれて、出されている感触に反応しているのか、それが続く間はずっと痙攣するように身体が跳ねているセツナが其処に居た。

 目も見開いて、虚空を見上げて、口は半開きのままに言葉も無い。

 いっしょに絶頂もしていたようで、気持ち良くなってもらえたのなら言うことは無いのだ。

 

 ……ところで、さっきから誰か静かじゃないか?

 

 

 「ぁ。このかー、交替」

 「――ぇっ!?」

 

 

 気づいたので後ろを振り返り、せっちゃんをそのままにベッドの上へと寝かせると、やや距離を取っていたお嬢様が視界に入った。

 んん? 引かれた? それとも逃亡寸前?

 

 

 「何驚いてんだ、次はお前の番だよ」

 「ぇ、い、いやいや、ウチはさっきキモチヨクしてもらったし、そらくんも連続で疲れたやろ? ほなら今日はこの辺で、」

 「いやいや、寝た子を起こした所為か今凄いヤル気になっちゃってんだよね。しっかり相手して貰わないと、収まりがつかないわ」

 

 

 じり、じり、と窓辺へと近づくこのかへ近づく俺。

 逃げ道なんて寮内への内ドアだけなので、本気で逃げようとしたら窓から飛び出して3階の高さを飛ぶしかない。

 が、せっちゃんという足代わりを封じられた今となっては、このかに逃亡の手段など既にない。

 

 

 「つーわけで、第2ラウンドよろしくねー!」

 

 

 息を呑む攻防戦空しく、俺は早々に攻勢へと打って出る!

 詰んでいることを自覚したらしきお嬢様が絶望の貌を見せる前に、全裸俺はルパンダイブを決行した――!

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「たっだいまー、っておわ、凄いわねー。あ、そら、あけおめ」

 「お、おう、あけおめ」

 

 

 やだ、超気まずい。

 あの後、逃げようとした戦犯このかにも極太のアレで足腰立たなくなるくらい後ろからズコバコしてやったり、目を覚ましたセツナを上に重ねてレズプレイの隙間にこのかの穴を苛める遊びとか、逆に重ねてこのかの乳を揉み解しながらせっちゃんを組み敷かせての擬似レズ貫通式もどきとか、下の口だけじゃなく上の口中も舌で交互に蹂躙して蕩けさせたところで盛りの憑いた雌猫が2匹出来上がったので横に並べて四つん這いになれよぉ!とかさせて交互にとか。

 まあ色々やっていたわけだが、そのもう数回目のフィニッシュで4つのぷちぱいで微分ぱふぱふも愉しんだ其処へ白濁ぶっかけとかやった仕上げ段階で帰って来たのが明日菜であるわけで。

 考えて見ればこの部屋は元来明日菜とこのかの部屋で、そこへ昼間から彼女が居なかったというのは、普通に疑ってかかるべき事項であるはずなのだ。

 居ないのをいいことに、というつもりは微塵も無かったが、全裸でルームメイト+αと3pな情事に勤しんでいる幼馴染(しかも肉体関係済み)という図式は、いかにもな修羅場の様相でしかない。

 は、図ったなぁこのかぁぁぁぁ!?

 

 

 「え、えーと、これはだな、」

 

 「あーあ、もうこんなに汚しちゃって。ほらこのか、せつなさんも、お風呂湧いてるから洗って来たら? 今なら人は少ないと思うし」

 「んぁー……、今何時なん……?」

 「ま、まだ、昼の2時です、お嬢様……」

 「んー……ほんならいっかい休もかな……、せっちゃん、あらいっこしよか……?」

 「そうですね……、これ、ちょっとじゃ落ちなさそうなくらい濃厚ですし……」

 

 

 あれよあれよという間に、よろよろと足取りの悪い2人に棚からバスローブを出して着せて外へと送り出す明日菜。

 いやいや、もっとなんかしら気に掛けることがあるんじゃねぇの?

 ていうか手際良いな。

 なんか、凄い計画が陰で働いている気がしているんだけど……!?

 

 そうして送り出した明日菜はというと、さて、と気を入れたかのように呟き、俺へと向き直った。

 

 

 「そら、まだ元気よね?」

 「お、おう、一応な?」

 「じゃ、2人が帰るまで私専用ということでっ」

 「いや待て、その前に説明――」

 

 

 と、静止も止む無く、魔法世界の元お姫様はルパンダイブを敢行して来た――!?

 待て! 説明! 説明プリーズぅぅぅ!!!

 

 

 

 ――姫御子には、勝てなかったょ……!

 

 




作中で語り切れなかった設定解説

~実は正月初日の時期
 実家に帰ろうにも新婚を邪魔する気の無かったこのかさんらは麻帆良に留まりました
 しかし、晦日に学園長がもたらした話題が、このような形になるとは、思いもしなかったのです…(そらが


~手ごろなところでキープくんを作ろうというこのかの策略
 このかと同じように孫扱いして貰っているセツナに見合い話を持ち掛けた学園長への牽制の為に、お付き合いしている男性として人身御供(そら)を連れてきたこのかさん
 そらを麻帆良に留めておく計画…と見せかけて、
 世間的に百合百合してるのは流石に認められないだろう、と自覚もしているので自身の仮面婚約者的な立場にそらを据える計画でもある
 重婚が認められない?
 籍を入れなきゃいいんだよ!(暴論


~そしてそれらを裏から扱う明日菜の謀略
 魔法界から帰って来て本格的にそらゲットへ乗り出した姫御子さんはとりあえず既成事実を作ることから始めたご様子
 それとついでにハーレムで囲うことによる包囲網まで計画のうちみたいですね(ニッコリ
 クラスを煽って男女関係を誘発する幼馴染とか、まったくもってけしからん。いいぞ、もっとやれ


~そして烏丸との距離感がどうにも安定しないせっちゃん
 仕様です



と、いうわけで麻帆良話、番外編でした
一部の方はご存知の通り、アンケの結果です
結果発表は活動報告にて
次回はキチンとハイDをやりますからぁ!


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「功夫が足りないんじゃないか?(挑発」

修羅場感の薄い16話


 

 「――で、改めて云わせてもらうのだけど、烏丸くんはアーシアちゃんとキチンと付き合う気があるのかしら? 私たちはこんな(なり)であるけれど、アーシアちゃんは元は清廉なシスターだから。気持ちを踏みにじるということは、人として最低な行為であることくらいは、自覚できるわよね……?」

 「うす、スンマセン。正直、遊び半分で弄りました。もう手を出しませんのでご勘弁ください」

 

 

 というか、女子ってそう言えば貞操観念のキチンとした子もいるんだよね。

 麻帆良ではあんなんばかり(女子校のノリでパンチラとかも気にしない~みたいな)だったし、すっかり意識から抜け落ちてましたわ。

 そんな反省を抱え五体投地の勢いで謝罪すれば、後ろのアーシアさんがガァンとショックを受けたような顔をされていた。

 でもさー、俺から言わせてもらえば普通に重いよー。

 高々二日ほど身体の付き合いがあった程度で、いきなり嫁面は無いわ。

 奥さんは既に間に合ってますし。あ、愛人みたいなのもな。そっちは不本意だけど。

 

 

 「……あなた人間のクズですか」

 「おぅ、塔城からそんな目向けられるのは初めてだな。だが撤回はしない。俺は、アーシア先輩と付き合うつもりも結婚する気もない!(ドンッ!」

 「……無駄に男らしいのがまた腹立ちますね。あとなんですか、最後の効果音……?」

 

 

 やっぱりネタが通用しないんだよなぁ、この世界線。

 

 アーシア先輩と姫島先輩ついでに塔城にも連れられて、以前にも来た旧校舎のオカ研部室。

 学外からの連行途中なんかメタ的に言う処の一話分余分な話が挟まった気がしないでもないが、そんなことはさて置いて彼女らに『悪魔』だと自己紹介を戴き、背から蝙蝠か烏みたいな三者三様の羽を生やした御三方に取り囲まれての事情聴取を受けてしまった俺である。

 ――直に生えている、というよりは魔力的な性質を帯びた『波長』を成形する発信機に近いか。

 一息に種族間での身体的特徴、とも言えなくも無いけど、それだと物理法則とか進化論とかを無視した形成になるから、やはり生物的な役割よりはもっと根本的なところで『世界の構成』自体に余計な手が足されている気がする。

 簡単に言うと、神秘存在が受肉してるんだな、この世界。

 ……通りで無駄に魔力が溜まる筈だよ。

 概念武装そのものが資質的なオーバースペックで形成されるから、俺に備わっている魔力精製回路だと廻転稼働が過剰過ぎて収まりつかないって言う。

 今すっごいメタ的な妄想したけど、もしも奈須き●この型月世界とこの世界とがクロスオーバーしたら確実にバランス悪いことになるだろうなぁ。どっちかが冗談みたいに強すぎて、片方の視点から「お前TUEEEEE!」っていう二次創作が生まれる気がする。どっちがどうなっても可笑しくない、みたいな。まあ妄想だけどさ。

 

 

 「……今全然関係ないこと考えていませんでした?」

 「ん。いや、そうでもないけど」

 

 

 先ほど塔城の背中の羽も少し弄らせてもらったけど、感覚は一応繋がっているらしい。

 神経が通っているというよりは、出し入れできる、ってことからせっちゃんみたいなタイプかな。

 羽そのものが魔力を放射する形質を構成するから、剥き身の魂の一部、って解釈した方が近い感じ。

 ということは、強ち全然趣旨の違う世界線とは言い切れない、ってことか。

 あっちの世界でも神族魔族が降臨することは偶にある事象だし、完全受肉している所為で悪魔(種族)そのものに神秘性という概念不足が発生しているっぽいけど、その分を魔力で補ってる、とか?

 でも内包魔力が此れ、多分高音さんとかの一般魔法生徒と同程度だな。

 やっぱりバランス悪そう。

 武装解除をくしゃみで発動するネギ君ほどじゃないけど、羽を生やしたことで魔力解放状態になっているのに外に漏れている余波が契約執行時の強化にも足りてないし。

 体内に在るのか、と思って軽く探ってみても、この人らに力が巡っているという感覚は見出せない。

 うーむ、……ひょっとして、俺ですらランク的に上位君臨できちゃうレベルなのか?

 いっちゃう? イージス艦二隻分いっちゃう?

 

 

 「やっぱり見当違いなこと考えてますよね?」

 「いや、そんなことねーけど?」

 

 

 いい加減に塔城からの言及が鋭くなって気がするので視点を戻すが。

 要するに、姫島先輩が心配していたのは、妹分であるアーシア先輩がろくでなしの後輩に騙されているんじゃないか、という点だろう。

 そもそも、最初の時点でこちらが『そういうお仕事』を斡旋する方々だ、と勘違いした所為であんな関係になった2人である。撤回するのも俺としては気にしない。

 いよいよ性欲がヤバくなったら、またこの間みたいに夜の街中で釣れそうな女性を一晩限りのお相手として漁るだけであるし。

 年頃を狙うのは俺自身の年齢的にも定石となるのだが、大学生辺りへ絞った方が良い気がしてくる今日この頃。

 

 

 「……あなたね、女の子の初めてを奪っておいて直ぐに捨てるって、どういう料簡をしてますの? 責任を取る、と言うまでは帰す気はありませんわよ?」

 「えー? 勘弁してくださいよー。前の所じゃ女子の方が貞操観念アレだったんで、こっちも勘違いしたんですよ。というか、最近の女子ってその辺は緩いと思うんですけど」

 「アーシアちゃんをそこらの雌猫と同じ目で見ないで欲しいですわね」

 「姫島先輩の猫っ可愛がりが半端ない件について……。でも、最初に俺の部屋に乗り込んできたのもアーシア先輩ですけど。チラシで」

 「そこについては小猫ちゃんに後でしっかりと話を聞きますわ」

 

 

 「!?」って姫島先輩へと首を勢いよく向ける塔城は兎も角として、誰かに似ている声音で語る姫島先輩が普通にしつこい。

 似通っている大元の所為なのかな、俺を頷かせるにはカリスマが足りない。

 素直に聞くことを生理的に受け付けられない俺へと、先輩は話を続けた。

 

 

 「あなたが普通の男子であるなら、正直こちらとしても催眠とかで言うことを聞かせる手段に出るのですけど、」

 「せんぱーい、今俺より碌でもないこと言ってますよー」

 「自覚あったんですね……」

 

 

 塔城、うるさい。

 

 

 「ですけど、あなたにはどうにも『そう言うモノ』がかかりにくい体質みたいですし。こうして正攻法で認知させようかと」

 「個人間の付き合いに口出しするのってどうかと思うっす」

 「……グレイフィア様から、あなたとの付き合いをそれなりに確立しておくように、と通達もありましたの。要するに、仲良くやりなさい、と。……あなた本当に何者ですの?」

 「知らねーっす」

 

 

 流石に、グレイフィアさんまでは自分も喰われたことを告げてないご様子。

 しかし、姫島先輩が此処までしつこい背景にそんなモノがあるとなると、あっちはあっちでまためんどくさい何かが背後にありそうな気がするなぁ。

 それは今は一端さておき、堂々巡りで話は進まず。

 さて、どうしたモノか。

 

 

 「――あ?」

 「……なんでしょうね?」

 

 

 ふいに、全員が外へと意識を向けた。

 音、ではなく、何か騒動の気配みたいなモノを感じ取った所為である。

 その辺は確かに、人間とは別の種、と言えるだけの感知能力は有しているようだ。

 

 

 「……? 少し見てきますわ。小猫ちゃん、一緒に行きますわよ」

 「え。いえ、この場にお2人を残す方が問題なのでは、」

 「2人だけでしか話し合えないことだって、世の中にはありますわ」

 「先ほどまで色々口出ししていた人の台詞とは思えな、」

 

 

 全て言い切る前に連れていかれる塔城。

 部室には、見事に俺とアーシア先輩だけが残された。

 ……俯いた様子でいる彼女と、2人きりで顔を突き合わす。

 俺は言いたいこと言ったし特に気にしないが、アーシア先輩なりには言いたいこともあるんじゃなかろうかとは思う。

 なので、言わせる気でもある。

 許してとは言わない。好きに言えばいいさ、それで気も晴らせるなら安いもんだよ。

 

 

 「…………私じゃ、ダメ、ですか……?」

 「まあ、うん」

 

 

 心を鬼にして頷く。

 

 

 「身体には、不満は無いって……」

 「あー、言ったね」

 

 

 でも、この人マグロって感じで、こう、俺ばかりが接待プレイしてるから、そこだけは不満かも。

 

 

 「……小猫ちゃんから聞きましたけど、奥さんが他にいらっしゃるって……。同居していた方ですか……?」

 「ん? 会ったの?」

 

 

 同居云々の彼女……、魅衣のこと、だよな。

 いつの間に会ってたんだ。

 まあ違いますけどもね。

 

 

 「や、やっぱりおっぱいが……!」

 「それは違うよ!」

 

 

 そこを重点的にしていたら、俺は今頃ゆーなかアキラたんと結婚しておるわ。

 思わずネタ的に口走ってしまう。ダンガンな論破って感じで。

 

 

 「じゃあ捨てないでください! なんでもしますから! そらくんが望むことを、なんでも応えますから捨てないでください!」

 

 

 ――うわっ、重っ。

 泣いて縋られるが、やっぱり重い。

 多分だけど、女性の意識する『なんでも』の範疇って言う程広くないよね。

 この人、元シスターとか言っていたし、元々の社会意識の狭さが痕を負って比例しているって感じ。

 困ったなぁ。これじゃあ兵藤先輩と縒りを戻せ、って言って聞くようにも見えないし。

 

 ……つか、いよいよ外もうるさくなってきた。

 なんなの? 何騒いでるの?

 

 

 「あー。ひとまず、俺外見て来るから、その話はまた後にしない?」

 「~~っ、でもっ、」

 「じゃあ言い換えるから。アーシア、ハウス」

 「っ、わ、わんわんっ」

 

 

 縋っていた涙目だったアーシアさんは、犬の降伏ポーズみたいに手を胸の前へ揃えてしゃがみ込む。

 ポーズはM字で、命令されたことが嬉しかったのか、泣き笑いみたいなエヘ顔になっていた。

 良し。そのまま待機な。

 

 あー、めんどくせ。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「……で、此れ何の騒ぎ?」

 

 

 聖剣使いの因子を自らに埋め込んで、コカビエルの手によって再び奪い取られた4本統合エクスカリバー、更に『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』と模造剣として精製された『支配の聖剣(エクスカリバー・ルーラー)』に『破壊の聖剣(エクスカリバー・ディストラクション)』の総てを完全合成と銘打たれた『究極合体(アルティメット・ミクシム)エクスカリバー神改(ゴッドコンバート)』等という名で振り回されていた剣を圧し折り、制御しきれない狂乱の様相で振り回していたバルパー何某というお爺さんの下半身を狙い某年末の笑ってはいけない番組宜しくタイキックで足蹴にしつつ、烏丸くんは全員を睥睨する。

 アーシア先輩はどうした。

 

 

 「いま、エクスカリバー……、え、え!?」

 「嘘だろ、なんだ、よ、それ……」

 

 

 聖剣が容易く折られたことに狼狽える佑斗先輩と回避行動で息絶え絶えな兵藤先輩、あとリアス部長とさっきまで彼に懐疑的だった朱乃さんが初めて目にした彼の実力に慄いているけど、私からしたら大体彼なら出来そうなことなのである意味納得である。

 あまり深く考えても意味も無く変なところに置き去りにされるので、程ほどで納得しておかないと疲れるかと。

 

 

 「で、塔城、なに、このはっちゃけていた爺さん」

 「おぅっ!? おぅっ!? はへぇっ!? ひぎぃっ!?」

 

 

 タイキック止めなさい。

 

 

 「何故執拗にローを狙いますか……。なんか、今回の騒動の主犯といいますか……」

 「騒動? なんかあったのか?」

 「えーと、聖剣が奪われたとか、それを新しく造ったとか……」

 「……ん? なんか最近街中で似たようなモノを見た気が……」

 

 

 蹴りを辞められて、ビクンビクンのたうつバルパー何某さんを放置し、ぐるりと周囲へと視線を巡らせる。

 いつものオカ研メンバーに、先程土下座したフリードが傍に……仲間にでもなったのだろうか?

 あ、教会派遣のお2人まで()る。仕事しろください。

 

 

 「………………なんか、何処かで見たような……!?」

 「何に慄いてるんですか、あなた」

 

 

 アレか。全身タイツというかレオタードみたいな痴女スタイルの女子高生が目についたのか。

 アーシア先輩とはきっちり男女の関係になっていたご様子だが、この人はそこそこの貞操観念も持っているので目に余る変態を目の当たりにして処理が追い付いていないのかもしれない。

 

 貞操観念云々は、今迄散々アピールしてる私を相手に一切手を出してこなかったことからの推測だ。

 自分で言うのもなんだが、私は正直女子としては完全に未熟な身体つきをしている。

 言いたくないがペド野郎垂涎の肢体で、此れに本気で懸想する男性ならば社会的にも確実に死んだ方が良いロリコン野郎だと自負も出来る。

 しかし、烏丸くんは違う。

 奥さんと紹介されたマスターとは肉体的な関係を持たず、私にも手を出さないのだから、そういう趣向でないのは絶対的だ。

 かといって他の女子に現を抜かしているのは問題だろうが、彼なりの理屈だとそういうわけではなく、欲望の解消としか操を預けない心情を開かぬ徹底ぶりには別の意味で擽られてしまった。

 ちなみに私こう見えて悪魔だから、男性の性欲云々に関しては結構リベラル。

 ロリータ女子に幻想抱いてる童貞どもー、残念でしたー☆キャハッ。

 ……気になる程度だったから、これまで色々とちょっかいを掛けていたのだが、身体は“こう”でも私だって年頃でもある。

 アーシア先輩ばかりは、やはりずるい。

 朱乃さんは受け入れられないかもしれないが、アーシア先輩との話し合いに決着が付いたら私ももっとアピールしようかと思った。

 本気で我慢しきれなくなったら、夜這おう。

 

 そんな決意を隠しつつ簡単な説明で片を付けると、烏丸くんは厭な顔をしてお爺さんを見下ろしていた。

 

 

 「……つまり、この爺さん噂に名高い聖剣の刀鍛冶か。なんか()だな」

 

 

 また碌でもないネタでボケている気がする。

 

 

 「馬鹿な……! なんだ、貴様は……!?」

 

 

 あ、コカビエルも一緒に驚いてた。

 どうもあの聖書にも載ってる古株の堕天使だが、この件で黒幕的な立場だったらしい。

 私と朱乃さんが来た時には、聖書の神が既に死んでいるとかいうことをバルパー何某に説明して、そのバランスのどうのこうの、と言いつつエクスカリバーの統合を促していたように思えた。

 自分たちの信じる主上が既に存在しなかったことに絶望した教会組お2人が呆然自失となるのも仕方ないかもしれないけど、それで手にしていた聖剣を二つとも奪取されるというのは見過ごせない。やはり此処は仕事しろ、と叱咤すべきであったか。

 まあそれも総て折られたのだけど。

 烏丸くん、ぐう有能。

 

 

 「魔王でもない只の人間が、こんなところで障害になり得る、だと……!? くそ、フリードが寝返るのも無理のない話か……! だが俺も今更後には引けん! 戦争の引き金を引くためにも、貴様らには贄となってもらうぞ……!」

 

 「……塔城、あのオッサン、なんかひとり物騒なこと口走ってる気がするんだけど」

 「今の烏丸くんほどじゃありませんよ」

 「どういう意味だ」

 

 

 いやホントに。

 驚異的な堕天使とかいうので朱乃さんが顔を強張らせていましたけど、本気出した烏丸くんに死角はないのでは。

 

 

 「私たちは先ほどのバルパー何某さんでも勝てないくらいの実力ですから、烏丸くんに任せます」

 「全投げとか、投げ槍にもほどがあるわぁ……」

 「いえ、普通に敵わないので、ホントに何とかしてくださいお願いします。……アーシア先輩に関することで少々私個人的な友誼を謀るのも吝かではありません」

 

 

 傍に兵藤先輩もいらっしゃいますので最後の一言は小声である。

 なんだかんだでアーシア先輩へ最初に手を付けようとしてたエロ坊主ですし、未だに同居している方々ですし、アーシア先輩に他の男がいるとかいう事実を未だ受け入れきれないキャパなのではないかと思われる私なりの心遣いです。小猫ちゃんてばなんて出来た後輩なんでしょう!

 そんな打算で付け加えた言葉に、しかたねーなといった顔つきで烏丸くんはコカビエルと向き直る。

 焚き付けておいてなんだけど、本当に単騎で渡り合うつもりなのか。

 

 

 「あー……、大体アーウェルンクス(4号か5号)と同レベルか……? 魔力が他より高密度で性質までは分析しきれないから、とりあえずごり押しで往くか。さて、『ショートカット』『帝 釈 廻 天』」

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 ――数分後、其処には只の肉塊にされたコカビエルの姿が……!!

 

 いや、いやいやいやいやいや、待って待って、ちょっと待って!?

 か、烏丸TUEEEEEEEE!?

 三つ又の槍みたいなのを出現させたと思ったらそれを投擲、投げつけられたコカビエルが回避するも何故かその槍に引き寄せられる(・・・・・・・)ように動いて翼の一つがごっそりと抉り取られた。

 自分が動いたことにも驚いたようだったコカビエルへ説明なんて全くせずに、烏丸は同じ槍を数百単位で出現させ、その総てを連続して包囲するように逃げ場が無いように投げつけた。

 投げつけられるごとに自壊する槍。

 その自壊に伴って肉体を抉られるコカビエル。

 あとはもう一方的だった。

 

 こんなに惨たらしい戦い初めて見た、いや、戦いなんてものじゃない。

 これはもう私刑(リンチ)だ。

 1人袋叩きとか、実現できる奴存在したんだな……。

 

 

 「――で、此れで良いか?」

 「ーー……ッ! ……っ、~~っ、……っ」

 

 

 かひゅぅかひゅぅぅぅ、と音も漏らせないレベルでのか細い呼吸で弱り切っているコカビエルを踏みつけて、烏丸は誰にともなく確認を取る。

 つか、アレで生きているとか、流石は聖書の堕天使。

 ……いっそ殺してやれよ……!

 

 

 「……はは、コカビエルを引き取りに来ただけなのに、これはまた凄い奴に巡り逢えたものだ……!」

 

 

 今度は何だ!?

 声のした中空を、全員が一斉に見上げると其処には――

 

 

 




以下略



~以下どうでもいいレベルの用語解説~

~ドンッ!
 海賊王に、俺はなるっ!
 島津かな?(乱視

~悪魔の羽
 出し入れできる時点で哺乳類というよりは昆虫とかになりますが宜しいのか?
 ネギまでも思ったのでそこから検めて、実態に限りなく近い『魂の解放』という分析
 実際にどうなのかを原作でも追及されたことが無いのは、どうなのか

~アルティメットミクシムエクスカリバーゴッドコンバート
 何気にデュランダルまで統合されてる超エクスカリバー!
 お疲れさまでした

~本日の1ひぎぃ
 爺が喘ぐR18とか、何処の層に需要があるのか…!?

~キャハッ☆
 ウーサmいやいや、ちょっとはっちゃけただけですよこのロリってば
 …ところで、最近ロリコンとロリが殺し合う漫画が発売されていた気がしたのだがry

~聖剣の刀鍛冶
 で。この爺さん、原作で死ぬ必要性本当にあったの?

~帝釈廻天
 烏丸のオリジナル技、重力魔法を圧縮具現した其れを実はスタンドで形質を補填し整えている。投擲すれば制御を離れた超重力子へと性質が移行し、極小規模のブラックホールを自製しつつ自壊する。一種のブロークンファンタズム
 麻帆良という結界だらけの封印地から烏丸自身が解き放たれた今、障壁へと自動で廻すシステムが発動していない以上、持て余した魔力を過剰に使い回した数百単位略式召喚で連続発射が可能
 相手は最早死ぬしかない

~1人袋叩き
 出典は東京クレイジーパラダイスより
 残像の見えるくらいのスピードでかごめかごめをしつつ中心地の相手へ殴る蹴るの暴行を加える絶技
 今回のは例え的な意味合いで使用された文だが、この烏丸なら出来ても可笑しくない…!



やる気がなくなったわけじゃないです
大体原作通りなので、問題無いですよね?(白目


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【常勝無敗で】幼女と謀略が犇めく縦横無尽な第三章【済むわけない】 ※原作四巻相当分
☆「もうストーリーとかどうでも良くね?」


新章突入する17話


 むにぃ、と形はあるのだがそれ程の重量は無いふたつのおにくを、彼女は無理矢理に持ち上げて挟む。

 潰すように抑えつけた其れが小さな谷間から顔を覗かせるのが興味深いのか、蛇みたいに舌をちろちろと出して寄せた唇で味わされ、『アイスキャンディを舐めるようだ』と例えるにしても余りにも淫靡な扱いに、俺もまた収まりが効かなくなってしまっていた。

 上目遣いとなる視線に沿うように、流麗な黒髪を優しく撫でつける。

 ヘッドドレスを弄らぬような手探りだが、感情の読み取れない目線が若干喜色で濁ったような、そんな気がした。

 「ん、む。ソラ、気持ちイイ?」

 「っお、おう、それ、良い……」

 「ん。我、もっと頑張る」

 「っ、いや、それくらいで、良いって」

 云うと、彼女は直ぐに「ん」と手を離す。

 ふくらみは義務教育適齢期の少女のそれと同程度しかないので、抑えが無ければ直ぐに零れて、挟むほどの肉感も維持することはできない。

 ぽろりと、充てるならばそんな擬音で。

 行為を済ませて身を離した彼女のベッドへと座り込むその仕草は何処か儚く、肌を隠す意匠を備えてないゴッシクロリータを模した衣装しか身に纏わせていない裸体に、ほよんと柔らかそうなふくらみが揺れることに目が止まる。

 変態的な胸当てで部分のみ隠されたソレから浮き出るように、小さな先端がつんと上向きなまま擦る前よりもぷっくらと自己主張していた。

 「ソラ、早くせっくすしよう」

 「お、おう」

 が、直球な言いように、こちらが挙動を危ぶまされてしまう。

 幼い雰囲気、というよりはどうにも社会性が足りていないような、反射にも似た未熟で未発達な応対能力。男女の機微を言う程熟知している俺でもないが、普段から抑揚のない彼女は果たして今からスルことと今シタこととをキチンと理解しているのだろうか。と、要らん心配が頭を過ぎる。

 こちらは完全にやる気になっているというのに、これ下手したら塔城を相手にするよりも犯罪的なんじゃないかしら? と今更過ぎる懸念で二の足を踏まわされていた。

 「……ていうかオーフィス、きちんとわかってる? 要するに子づくりなわけで、男女の性的な意味での肉体交流が此れからすることだけど、やり方というか心積もりというか、把握できてる?」

 思わず問うのも仕方がないかと思われ。

 「……どうすればいい?」

 こてん、と小首を傾げられた。

 うぅむ、以前がどのような(なり)だったのかは知らないが、現状そういう身体になっているのだから性教育くらいは備えておいてほしい。そう思いつつ唸り、衣装を指差す。

 「とりあえず、その服は取っ払っちまおう。隠す意図も無い衣服なんざ着ている意味も無いし、初心者が着衣プレイとかニッチにもほどがあるし」

 ほんと誰だよ、こんな変則(変態)ゴスロリのデザイン考えた奴は。エヴァが視たら絶句どころじゃ済まねーぞ。

 

 互いに衣服を取っ払い、剥き身の姿で絡み合う。

 ベッドの上で、改めて撫ぜる彼女の肌は、年頃相応と思わせる柔らかさと滑らかさを指先へと伝わせる。

 唇は互いを求め合い、脚は太腿を擦り合わせ、伸ばされた彼女の腕は背中へと這うが、俺の手は彼女の背中と尻へと蠢いている。

 開かれたままの眼は無感情にこちらを見上げたままなのだが、身体は少女の(てい)を喪っているわけでは無いらしく、全体的に肉付きの薄い身体を弄られる度に、目の奥に感情の残滓のような濁りが疼くように覗える。

 そう覗えるのは、やはり過去の経験に依るものか。

 6号とかサブローとかでクール系キャラとの経験が積まれているからこそ、塔城を教室で相手取ってもおチャラけられるというモノであった。

 「……ん?」

 ちくり、と背中へ這わせられる手が小さく抓るような仕草で、こちらの意識を誘う。

 唇を離し、オーフィスの目元へと視線を向けた。

 「……今、我以外の女のことを考えた」

 ……そう言う処だけはしっかりと女子を遣りおってからに。

 「スマン」

 「ん。許す」

 応えられ、再び唇を繋ぐ。

 今度は彼女から、首筋へと腕を回し、抱き着く仕草で俺を求めてきた。

 相変わらず目は開いたままだが、唇だけでこっちを搦めようとする要求は如何ともし難く。

 其処を抉じ開けて舌を這わせ、口中を(まさぐ)れば目はさらに大きく見開かれていた。

 ようやく、感情らしきものがはっきりと瞳に映る。

 肌蹴た胸元で(こす)る互いの肌と肌、未熟ながらも依然と在るふくらみは柔らかく、乱雑に潰されるそれを快く感じているのだろう。塞がれた唇から時折漏れる呼気が、その証拠に荒げて揺れる。

 背と、尻と、脚と胸と、唇と舌の上、そして太腿と股の隙間を、全身を隈なく(いじく)られて、――滔々と離された時には、目元は愉悦で濁り切っていた。

 蕩けた眼が、上気した頬と舐られ半に開いたままの唇が、声も出せずにこちらを見上げる。

 「……じゃ、そろそろいくぞ?」

 「……ん」

 擦り合っていた股の逸物を、外(かわ)をなぞっていただけの反り立つ其れを、生理的な反応で好く濡れそぼった彼女の割れ目へと宛がうと、肉体に沿う本能的な意思なのか、オーフィスは自ら其処へ指先を沿わせていた。

 くぱぁ……、と小さな秘所が開け広げられる。

 俺は其処へ、遠慮することなく自身のソレを圧し入れる。

 「……ん、っ、ぁ……」

 「~~っ、ぅ、わぁ……」

 今まで味わったことのないような狭さで、しかし押し返されるというわけでもなく、吸い込み挟み込み徐々に侵入を受け入れられてゆくことが、快感となって背筋(神経)を走る。

 小ささゆえにすんなりと、では無いが、彼女は拒否も抵抗も一切ない為すがままに、捻じ込まれる俺を奥まで届かせた。

 「……く、ぁっ」

 「……っふ、……ん」

 だが、それは半分ほどしか(うず)まっておらず、それなのに先端はそれ以上進めないことが感覚で伝わる。

 彼女の小ささを、よく思い知らせる事実であるのは間違いない。

 「……い、たい、か?」

 「ん。でも、だいじょうぶ」

 俺は狭さで呼吸すらヤバイ。

 何此れ、名器とかそんなレベルじゃない。

 全部が収められるようになったらどれだけの快感が待っているのか、と想像しかけてごくりと喉が鳴る。

 「だいじょうぶだから、奥まで来ていい」

 「……!?」

 「動いてほしい。ソラ」

 ……おいちょっと待て、じゃあひょっとしてこの一番奥かと思わせて留めているの、膜か?

 どんだけだ無限の龍神……。

 「突き破って、かまわない」

 他の世界線最強の概念そのものの規格外さに戦慄を覚えていると、それを蹂躙して欲しいとの要求が放たれる。

 この世界来てから色々と振り回されている気もしたが、彼女には群を抜いてアレな気がするなぁ……。

 

 ぐ、っと力を入れて、腰を沈める。

 ミリ単位でじわじわと進撃する、例えるならば俺のバルムンク。

 龍へと押すのだから竜殺し、って安易な連想をしてしまったが、受け止める幼い秘所は時折震える程度で、その衝撃のほどを微塵も顕わにはしない。

 というか、彼女自身痛みも味わってないのではなかろうか。ってくらいに変化が無い。

 ゆっくりと破瓜として侵攻してゆくことを、ほぼ無言で姿勢を変えることなく受け入れる。

 今までに無いパターンではある。

 ……実は初めてと違うとか、そんなオチが待っているのだろうか。

 「……っぐ、っ」

 「……ん、んっ、ぁ……、ん」

 じゅぶっ、と根元まで入り、今度こそ奥まで届いたことを実感する。

 改めて見直すと、オーフィスの膣口からは少量の血液が滲み出ていた。

 「……あ、本当に初めてだったんだな」

 「ん。ソラ、失礼」

 「スマン。なんか全然痛がらないから……」

 無感情気味に窘められてしまった。

 そんな彼女の未熟に膨らんだ乳房を撫でながら、小さく勃った乳頭を摘まんで優しく弄る。

 ほぼ無意識であるが、こういう時奉仕気味に仕草が働くのはデフォルトに備わっているわけでは無い。

 どうせなら気持ち良くなって欲しいとは思うからこうしているが、痛みを感覚で味合わないのならばやる意義も無くなっている気がしてくるな……。

 「痛いのは我、気にしない」

 「そうか」

 「でも、気持ちイイことは知らない。だから、しっかりと教えて欲しい」

 そうかー。

 試しに、挿入した状態で穂先を起こす。

 「んっ」

 ……お?

 「あ、ん、んっ」

 ……おお。

 どうやら不感症というわけではないらしい。

 何故か感動に似た感想を抱きつつ、蠢かせる度に小さく声を上げたオーフィスへ、跨るように覆い被さった。

 「何か感じたらどんな風でも良い、好きに声を上げて見ろよ。あと、力抜いたほうが良いぞ、脚ももう少し開いてみるか」

 「……ん。わかった」

 云われたとおりに、脚を抱き枕カバープリントのように内股で伸ばしていたオーフィスは、跨る俺の股へと届かない程度に脚を開き、弱い蟹股かO脚を思わせる隙間を開けてだらしなく身体を弛緩させる。

 そんな彼女とは対照的に、俺は穂先へ血を滾らせ、より硬く熱くと伸ばした其れへとぐっと力を込めた。

 「ん、ソラの、熱い……」

 「判るか」

 応えると、狭さを押し広げるようにゆっくりと動き出す。

 膣内をマグマみたいに滾ったソレが、情欲を迸らせることを目指して前後に運動を始める。

 ……人の雄は本能で動物的に理解しているこの動きを、幻想の存在として概念的な成り立ちを備えているドラゴンは果たして理解できるのだろうか。

 そういう懸念も、あるにはあった。

 「ん、あ、んぅ、は、あ、ぁん」

 動かすたびに、雌という毛色を微塵も匂わせない嬌声を上げるのだ。

 幼い肢体を備えているが故の未熟さなのか、はたまたそういう(てい)が兼ね備えられたが故の『無限』たり得る概念体なのか。

 とりあえず、もう少し激情を迸らせてもらうのを目指して運動を続けよう。と、思った。

 「あ、ん、ん、んぁ、は、っ、っふ、んぃ、っひぅ」

 腰先を捻る様な動きをシタ時、微妙に違う反応が出た。

 改めて彼女へと視線を向けると、見開いていた筈の目はいつの間にか閉じられており、半開きとなった口から呼吸の抜けるように吐息が漏れている。

 当然、動くことは止めていない。

 部屋中へ、肌と肌がぶつかり合う、水音のような濁音と一緒に、彼女の嬌声も準じて響く。

 「あっ、あっ、あっ、あっ」

 「……オーフィス」

 「んっ、あっ、あっ、ソ、ラっ、あっ、んむっ」

 可愛さ、を最初に目にした時のように、彼女へと愛おしく声をかけ、唇を再び塞ぐ。

 彼女からの腕は俺の背中へと再び這わせられて、俺は彼女の腰へ添えていたものを頭へと回し、抱くように自らへ引き寄せた。

 「んっ、んっ、んぅっ、むぅっ、ソラぁ、ソラぁっ」

 「ああ、気持ち、良いか? オー、フィスっ」

 「んっ、はっ、いいっ、イイっ、これ、がっ、気持ち、イイ、って、こと、んっ、わか、ったぁっ、あんっ」

 貪る様な口付けの隙間に、名を呼ばれ、名を呼んで、目を再び開いた彼女の、喜色で濁った蕩けた瞳に自分を映されて。

 男女の交わりを、生殖という幻想には必要のない行為を、此処で初めて理解できた彼女へ、腰を沈めることを止める気はない。

 突かれて届く、彼女の性感帯とその付近を執拗に攻めれば、そのたびに雌の貌へと成って往く。

 幼かった無垢で無感情な何かはもう居ない。

 快楽と愉悦とを覚え始めた少女が、跳ねる身体を雄に抑えつけられている姿だけが此処にはあった。

 「ソラっ、ソラぁっ、なにか、きてるっ、なにかっ、きちゃうぅっ」

 「ああ、我慢すんなっ、俺も、もうっ」

 「なにっ、なにこれっ、わからないっ、わからないぃっ」

 「だいじょうぶ、だからっ、おれも、いっしょにイクからっ」

 「あっあっあっあっふぁっ、ああぁっ、いくっ? いっしょ? いくっ?」

 「ああっ、いくぞっ、オーフィスっ」

 「あっあっあっ、あっあっ、んぁっ、ふぁっ、ああああああああっ」

 ――――――っ。

 狭い膣内へ俺の熱気と精液が、溢れるくらいに注がれて逝った。

 

 「さい、ご、の……、な、に……?」

 「ぁあ゛ー……、ああいう、やつなんだよ。セックス、っていうのは……。要するに、共同作業だ」

 「きょうどう、さぎょう……?」

 「いっしょに、って意味」

 俺の下に抱かれたまま、オーフィスは自分に起こったことを理解できていなかったのか、質問を重ねる。

 気怠いがために明確では無く答えたが、それでも満足したのか、何処かその言葉を噛み締めるように何度か頷くオーフィス。

 俺はというと、余韻に浸るくらいの気は配れるが、此れまでに相手した女子らと比べるとどうにもタイプが違い過ぎる所為なのか、今日は初めて一回きりで満足となってしまっている。

 求められれば応えたいとは思うが、果たして本日は未だ続ける気なのだろうか、彼女は。

 「いっしょ、いっしょ……。うん。うん」

 きゅ、と未だ繋がったままの接合部を外そうとはせずに、俺の背へ回したままの手に力が込もる。

 胸元へ抱き着いてくるだけの彼女の柔らかい肢体を、第二ラウンドへ向かおうという気配が無いことにやや安堵を覚えつつ、俺は優しく抱き締め直したのだった。

 

 




~そらはロリコンじゃないって言ってたじゃないですかやだー!
 オーフィスたんは無限だからセーフ(錯乱
 というか、日本人ロリコンなのがデフォなんだし今更云うんじゃないですよ恥ずかしい(錯乱


~…説明とか要る?
 何気に突貫作業の今回
 色々細かいところを妄想してはいるけど、全ては他のも書いてる所為
 問題ねーよな!次行くぞ!



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「ちょっと見逃したらまた負けてたよ!?」

前回唐突にオーフィスとのエロ回を挟んでしまったことにたくさんの方にお叱りの声をいただきました
評価0☆を踏まれたり、直接意見が届いたり、110通報をされるところだったりと散々な感想の嵐に心のニヤニヤも止まりません
しかしやっちまったことは無かったことには出来ません
俺、オールフィクション持ってませんし(違う、そういうことじゃない)

だが、此処から持ち直すのが書くモノとしての務めだと俺は思うんだ
というか通常営業だし、初めからこの予定だったしー(棒読み
では、いざ18話目
前回のオチははい、こちら→タイトル


 

 

 「くー……、くー……、うーん、むにゃむにゃ……」

 「……………………………………………………え?」

 

 

 ……ど う い う こ と だ 。

 

 朝、目が覚めたらベッドの上で、全裸のオーフィスが隣で寝ていた。

 そして俺もまた全裸で、いっしょにシーツに包まって抱き合っていたのだ。

 此の様で『KENZENな睡眠でした』とは、口が裂けても間違っても言えない事態。

 どう視点をひっくり返しても誰が見たとしても、間違いなく事後です本当にありがとうございました。

 これは思考が完全に停止しても仕方のない状況。

 ……ていうか、昨夜の記憶が鮮明にあるし。

 

 

 「いや、いやいやいやいや……。俺、ロリコンじゃねーのに、アレは可笑しくね……?」

 

 

 むにゃぁ、と寝言(ガチ)なんだか演技(タヌキ)なんだか判別しづらい声を上げつつ俺の腰へ抱き着いてくるオーフィスの感触に小さくてもやはり女子は女子なのかと女の子特有の柔らかさと魅力にドギマギしつつ酩酊しかけるも、それでも己の理性が仕事を放棄したくなるほど泥酔した記憶も無い。

 昨夜はこの下宿場でも宴会は無かったはずだし、呑んだ記憶も無いし。

 更に遡って思い返すも、寝床に入る前に彼女が部屋へ訪ねて来た記憶しか……、

 

 

 「――おいこらオーフィス、お前俺に何をした」

 「……むぅ、もう回帰した。やはり完全にはいかない」

 

 

 確信を持ち、腰に引っ付いている彼女の頭を掴まえるが、そんな仕草(アイアンクロー)も障害にならないらしい。

 頭頂部を鷲掴みされているにも拘らず、平然とした面持ちでどう見ても中学生以下の全裸幼女はこちらを見上げた。

 

 

 「ソラに近しい者と錯覚させるように、認識の改変を施した。でも一晩しか持たなかった。我、もっとセックス知りたかったのに、あの悪魔女と比べても回数が少ない。残念」

 「無限の龍神はなんでもありか……!?」

 「此処で暮らすうちに小手先の技も覚えた。我、万能」

 

 

 何処か誇らしげに、というかVサインを作りつつ自身の成果を語るオーフィス。

 確実に余計な成長です。矢荷成荘は本当に魔窟だなぁ……!

 

 というか障壁さん!俺のATフィールドさん!こういう時こそしっかり仕事しろよ!?

 アレか。昨夜は帝釈廻天連続具現をブッパしたから魔力使い切ったってことか。

 障壁が働かなくなるタイミングで其処を、しかも寝込みを襲いに来るとか、好奇心旺盛だなぁオーフィスたんは……ッ!

 

 

 「……というか、悪魔女って誰のことだ」

 「銀髪の、お酒に弱かったアレ」

 「ああ、グレイフィアさんね……」

 

 

 其処も覗いていたのかよ。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「そういえば、昨夜着ていたあの変則ゴスロリ、何処から持って来たんだ」

 「仕事先から貰った。似合ってた?」

 「お前就職してたの!?」

 

 

 俺はズボンだけを穿きオーフィスはシーツに包まったまま、階下へ赴き洗面所へと足を運ぶ。

 その傍ら、気になったことを問えば予想外の答えが出てきたことの方が衝撃的であった。

 俺はバイトしか出来ない苦学生やってるのに……。

 

 

 「なんか、祀り上げられた」

 「きょ、教祖……?」

 

 

 コイツの仕事内容が凄い気になるんだけど……。

 

 そんな気になる彼女は無限の龍神オーフィスたん。

 見た目は女子中学生(JC)だが、それは肉体だけの話。

 ドラゴンとしての性能に加え、無駄に高スペックに概念的な『無限』まで内包しているので、一端(いっぱし)受肉系神秘(金星系悪魔)とかとは完全に一線を画す傑物である。

 軽くスキャンさせてもらったことがあるが、憑依体が死んでも次の肉体を得ることが可能な精神体、明確には物理世界の法則としてあり得ない0(虚数)で構成された別位相に近い場所へ意識の本体を補填することが可能な根源生命であり、例えるならば型月的な『英霊』とか、ウチで言う処の『造物主』、またはぬら孫の『羽衣狐』とかと同レベルの存在性を備えたモノだ。

 だから、その身体は完全に彼女のモノであると同時に、この世に女子として生を受けた人としてのモノでもある。

 但し、概念的な不滅性と長期的な老化遅延を兼ね備えた、という割といろんな人が羨みそうな不老不死系スペックという付加価値も併せ持つが。

 

 あ、此れだと教祖に祀り上げられても可笑しくねぇな。

 むしろ納得だわ。

 

 

 「其れより似合ってた?」

 「似合わないから()めなさい」

 「ん、ではソラに見繕ってもらうことにする」

 

 

 女の子なんだから腹を冷やすような恰好はお兄さん認めないなぁ。

 そんなことを思いつつやんわり止めれば、明後日な答えが返される。

 苦学生だと言っておるだろうが。見るけどよ。

 

 

 「お前の歯ブラシどれだっけ」

 「ピンクの」

 「3本くらいあるんだけど……」

 「そこの赤い線が2本入ってるやつだよ」

 「ああ、此れか」

 

 

 と、洗面台上の鏡台から目当てのモノを探し当てて、オーフィスへ渡し。

 途中に挟まったオーフィスとは違う声の主が、鏡に映っていることに気づいて振り向く。

 内跳ねボブカットのスレンダーなタンクトップ少女が、ふわっとした調子で其処に居た。

 

 

 「羽衣ちゃんか。おはよ」

 「おはよー烏丸さん。オーフィスちゃんもおはよー」

 「ん、おはよー」

 

 

 後ろ手から伸ばされるそれは開けたままの鏡台から自分の目当てを俺の肩に若干の体重を乗せて爪先立ちでひょいと取り出し、並んで歯を磨く体制へと連なる。

 大家さんちの一人娘は確か中学生だったはずだが、自部屋の居候宜しく此処の若い女子らは、どうにも距離感に危機意識を感じていないご様子で不安にさせられてしまう。

 

 

 「あっ、忘れてた」

 「ぁん?」

 「昨夜はお楽しみでしたねっ」

 

 

 ……やっぱ昨今の女子貞操観念可笑しくね? 昨夜はアーシア先輩に詰め寄られたけど、この娘たちを見てると彼女の方が稀有な例だって思うのも無理ないと思うわぁ。あと姫島先輩。

 

 

 「つーか、聴こえてた?」

 「聞こえはしなかったけど、2人が朝一緒にいるしそうなのかなー、って。前にも魅衣ちゃんから話聞いたことあるし、あと匂いが一緒だよ?」

 「このシーツ、ソラの」

 

 

 誇らしげにナニを語っているのオーフィスさんや。

 つうか、女子は其処まで鼻が利くのか……。

 つまり、今の俺は乳臭い低学年婦女子のニホイを纏わりつかせている変態、と……。

 

 

 「……羽衣ちゃん、内風呂使わせてくれない? 後生だから」

 「特例認めちゃうと他の人に示しがつかないからねー。っていうか烏丸さんに使われるのちょっとヤダ」

 

 

 嫌いか。俺の事何気に嫌いかイマドキJC。

 ……この時間でやってる風呂屋って……、俺、ラブホしか知らねーや……。

 あ、此れ嫌われても文句言えねぇ。

 

 

 「……仕方ない、早めに行って学校のを借りよう」

 「烏丸さんの通っている高校って駒王だったっけ。そう言えば、前は女子校だったんだよね」

 「今その情報出す必要ある?」

 

 

 (元)女子校で使用されているシャワールームで身体を流す、って言葉にするとホント酷い置換だよ。

 羽衣ちゃんに関わると、どんどん俺が変態みたいな扱いに変わって逝くような気がする風潮ェ……。

 錯覚だと思いたい。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「それではぁ! よろしくお願いしまぁす!!」

 「す、すっごい気合入ってるわね……」

 

 

 朝一番で部室にて、リアス部長に礼をすればやや引かれた様子で対面した俺がいた。

 気合も入るのも無理も無いというモノで、そうなった経緯は部長に約束を果たしてもらう為の早起きだ。

 兵藤一誠16歳! 久方振りにご対面させていただきますッッッ!!!

 

 それというのも、昨夜の事件に事は起因する。

 フリードをなんとか捕縛した俺たちの前に現れた、バルパーとかいうマッドな爺さんとコカビエルという強者の一角。

 フリードが再び寝返ることは無かったから良いモノの、アイツらはフリードが使っていた統合された聖剣を再び奪い返し、全ての仕上げを俺たちの学園で執り行うと宣戦布告して去って行ったのだ。

 聖剣の奪取とバルパーの捕縛の為に、聖剣使い組と一時的に手を汲んだ俺たち。

 朱乃さんや小猫ちゃん、そしてアーシアとは連絡は付かなかったので、万全とは言い難いメンバーで学園へと乗り込んだ。

 其処で対峙したのは『地獄の番犬』と名高い『ケルベロス』。

 巨大で暴虐的なそいつを何とか討伐した俺たちに知らされる、『神の不在』という真実。

 その隙を突き、イリナとゼノヴィアは使っていた聖剣を奪い取られ、其れも総てバルパーの実験へと姿を変えてしまった。

 聖剣使いの人口因子、とかいうモノを取り込んだバルパーは3メートル近くにまで筋肉が膨れ上がり、ケルベロスよりもずっと恐ろしい雰囲気を纏っていた。

 

 此処で大事なのは、その強大な敵と対峙する際、俺が部長に約束を取り付けたことであるッ!

 

 

 『部長、此処を乗り切れたら、俺にもう一度……、――部長のおっぱいを拝ませてくれませんか……ッ!?』

 

 

 ――モチベーションって、大事だよな!

 

 部長も緊張していたらしく、俺の言葉に破顔して了承してくれた。

 つまり、あの事態を乗り越えたのは全て、部長の“生 乳”を再び戴くためにバイタリティがフル喚起した結果だったのだよッッッ!!!

 

 ……いや、実際はそんな俺の隠された真の力が解放されたことなんて微塵も無くて、途中合流した烏丸に全部持っていかれたんですけどね……?

 

 でも、約束は約束だ!

 勝てたら、じゃなくて、乗り切れたら、と言っておいて正解だったぜっ!

 

 そんなわけで俺は今極上の笑顔で、上着をするすると恥じらいつつ脱ぎ捨てる部長のおっぱい様をガン見出来ているのである。

 恥ずかしがるとか超珍しいっすね、普段部室備え付けのシャワールームで男子なんて意にも介さず身を清めているお方が。

 ――だがそれがイイッ!

 

 

 「あ、あんまり凝視するのはどうかと思うわよ?」

 「いえ! 初邂逅のあの日以来の久方振りのおっぱいですから! 見逃す方が無礼に当たりますッ!」

 「そ、そう言うモノなのかしら……?」

 

 

 そう言うモノなんですッ!(断言)

 

 そんな会話のされる中、部長はシャツも脱ぎ、髪色に良く映えた赤いレースのブラに包まれた、極上の双丘を露わにする。

 大きさは申し分なく、かつて拝ませてもらったあの日より何一つ劣ることのない、実に形の宜しい美しい二つ島が頭角を抜きん出て来ているのである。

 その様はまさに、元旦に輝く初日の出のように神々しい。

 これはやはり、全貌を拝みたいものですなぁ……。

 

 

 「……これも脱がなきゃ、ダメかしら……?」

 「駄目っす!!!!」

 

 

 自身のブラを摘まんで問う部長へ、全力で応える!

 それを脱がないなんて有りえない!!!

 

 

 「い、イッセー、鼻息が荒いわよ?」

 「仕方ないんですっ! 部長のおっぱいは興奮するのが世界の真理ですからっ!」

 

 

 むふぅ! と言い聞かせるためにも断言する!

 お宝は拝見してこそお宝です! それがわからないなんてこれだから女子はっ!

 

 そうする俺の熱意が伝わったのか、部長は静かにため息をつくと、後ろ手に動き出す。

 そうして待つこと、ほんの数十秒だが、その待機時間はまるで何時間も経っているかのような、そんな錯覚を覚えたのである。

 

 ――ぷるんっ、と支えが無くなったことにより、重力に沿って弛むはずのそれは、むしろ解放されたことに歓びを感じるように小さく跳ねてその存在を堂々と晒す。

 大きく、まあるく、美しい、部長のおっぱいが、――ご降臨なされた……ッ!!!

 

 

 「――ぅ、おおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッ!!!!」

 

 「………………えぇー……」

 

 

 部長はそんな俺に困惑しているようであったが、その時の俺はそんなことは微塵も気にならなかった。

 

 

 「ありがとうございますっ! ありがとうございますっ! ありがとうございまぁすっ!!」

 

 

 麗しき女体へ感謝の三礼ッ!

 グラビアアイドルみたいなスタイルに一般的女子とは一線を画す特大おっぱい! 白くてまあるくて先端のぽっちはほんのりピンク色なイヤラシっぱいが、下手なAV女優をも凌駕する魅力と色気を全力でアピールしているぜっ!

 

 

 「ぶ、ぶちょうっ、さ、触ってもいいですかっ? いいですよねっ?」

 「え゛っ、み、見るだけって……」

 「これを見せられてそれだけなんて健全な男子には生殺しもいいところっす! 部長はそんな酷い真似をするご主人様だったんですかッ!?」

 「う゛……、そ、そんなつもりはないけど……、でも……、」

 

 

 此処で躊躇うなっ! 畳み掛けるんだ全力を出せ俺ぇっ!!!

 

 

 「お願いしますッ! ほんのひと触りひと揉みで問題無いんですッ! 息子が病気なんですッ! 触るだけでも完治に導けるのがおっぱいの魅力なんですッ!」

 「あなた高校生でしょ……」

 「比喩表現ですッッッ!!!」

 

 

 震える声で言い訳する部長。

 俺は俺の全力を見せつけるためにも、必死で頭を下げた。

 無論、その視点は部長のおっぱいへと釘付けのままにだが。

 

 

 「……わ、わかったわよ、優しく、しなさいね……?」

 「ッ! ありがとうございまぁすっ!」

 「ひゃんっ!? ちょっ、待っ!?」

 

 

 恥ずかしそうに顔を背けるリアス部長の快諾の声と同時に、俺は部長のおっぱいへと全力ダイブ!

 覆い被さるようにして、ふっかふかなふたつのふくらみへと両手を伸ばして鷲掴みにさせてもらった!

 

 

 「ちょっ、んっ、痛っ」

 「うほぉぉおおお! すげぇっ! なんだこの揉み応え堪んねぇっ!」

 「おちっ、落ち着いてイッセーっ、んっ、やぁっ!」

 

 

 もみもみもみもみと連続握撃っ!

 もう離さねぇっ! この爆乳は俺のモノだぁッ!!

 あそーれ、もみもみもみもみもーみもみっ、とくりゃぁ!

 

 

 「――――……あー、通報した方が、いいっすか?」

 

 

 もみも………………………………え?

 

 

 「へぶぅっ!?」

 「って、かっ、烏丸くんっ!? なんでそこに、っていうかなんで全裸っ!? ちょ、ち、違うのっこれはっ!」

 「あ、いえ、お2人のご関係とか特に口出しする気は無いんですけど、兵藤先輩の顔つきがなんかもう完全に強姦魔のそれと同じだったんで、つい声を。お邪魔ならスンマセン。あとシャワー借りてました」

 

 

 あ、ありのまま今起こったことを話すぜっ。

 慌てた部長に顔面パンチで押し退けられてソファから転げ落とされたと思ったら、部室備え付けのシャワールームから全裸で登場した烏丸に、おっぱい両腕で隠して必死で言い訳をする部長が其処に居たんだ。

 烏丸は烏丸でマイペースなままに、のんびりとシャワールーム外横にあるタオルで身体を拭いている。

 

 

 「ていうか誰が強姦魔だコラっ! 合意の上だわぁっ!」

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「イテテ……、くそ、良い処だったのに邪魔しやがって……」

 「先輩、男の子だし『忍法つばめ返しっ!びっしぃー!』って叫びながら谷間にダイブすることにも理解はありますけど、流石に無理矢理は駄目っすよ」

 「そんな真似しとらんわッ!? ていうか無理矢理でもないわッ! 合意の上だわッ!」

 

 

 大事なことなんで2回目言いました、ってことですねわかります。

 部室から退室する途中、こちらのボケに対して漫画みたいに腫れた頬をさすりつつツッコミで返す兵藤先輩。

 大方、懸想としているグレモリー先輩の生乳の感触に我を忘れたとか、そんな理由なのだろう。

 その感触でも思い出しているのか、でれぇっと蕩けたヌケサク先生みたいな目で笑みを浮かべているのが実にキモイ。

 

 

 「その顔で言っても説得力ないです」

 「うっ、うるせぇっ」

 「駄目っすよ、女の子の肌は敏感でデリケートなんですから。扱うときは爪を切って、豆腐を扱うみたいに優しく愛撫しないと」

 「と、豆腐か……。つか、烏丸ってひょっとして経験あるの……?」

 「まあ、そこそこ」

 

 

 ちなみにグレモリー先輩はというと、兵藤先輩の最後の台詞に右ストレートを繰り出しつつ「違うのぉー!」と叫びながら俺たちより先に部室を脱兎の如く逃げ出していた。

 またもや顔面パンチであった。

 其処で授業も始まるというので戻ることにしたのだが、タイミングが合ってしまい同時に出た俺たちだ。

 関係ないけど、必死で胸を隠そうとしていた先輩の腕の中で変形するほどの質量を伴った乳、というのは中々拝見し得ない光景で、正直眼福でもあった。

 乳だけならばゆーなやアキラたんにも勝てるレベル。

 グレイフィアさんも凄かったけど、同年代であそこまでって言うのは……この世界の女子、成長著しすぎねぇ? 真倉翔の漫画かよ。

 

 そして何故か、再びいやらしい笑みをにやにやと浮かべる兵藤先輩。

 こっちは妄想著しい男子ですね。

 

 

 「……なんでまた緩んでるんすか。そんなツラだとまた通報されますよ」

 「またってなんだ!? 何度も通報受けるようなことをやったつもりはねえよ!?」

 「本当に?」

 「ほん、とうに……」

 

 

 ――え? されて、ないよね……?

 ……勢いで応えたが、日頃の行いから絶対とは言い切れず言葉が尻すぼみ目線が伏せられたとか……。

 そんなオチであるのを期待する。

 ガチで通報経験済みな先輩とかだったら、目も当てられない。

 

 

 「そだ、お前には一応聞いておきたいことがあったんだ」

 「なんすか?」

 

 

 会話を切り替える腹積もりなのだろうか。

 しかし、そんな意図は特に見出せない儘に、話を切り出す兵藤先輩。

 経験人数は二桁ですが?

 

 

 「イリナとゼノヴィアだよ。帰るときお前のことを聞きたそうにしていたんだけど、知り合いだったりするのか?」

 「……帰った?」

 

 

 違う話だった。

 そらくんてば、勘違い☆。

 

 そんな先輩が切り出したのは、昨夜俺が帰った後の話。

 白龍皇を名乗る白い鎧の何者かが半死半生のコカビエルを引き取って行ったのだという。

 聖剣使い組とか呼ばれている女子(要するにゼノちゃんにイリナちゃん、だったらしい。驚愕)はというとバルパーの爺とフリード何某を教会本部へ移送する必要が出て来ていたとか。

 まあ、本部とか銘打っているんだから国内じゃなくて外国だよな。

 バチカンとかかな? 懐かしいなぁ。前の世界でも『キルシエ』とかいう異形対策秘密結社に超りんが絡まれていたっけ。……あれ? いたっけ……? なんだろう、微妙に記憶に齟齬が……?

 

 俺の記憶の齟齬はさておき、兵藤先輩の話は続く。

 その時に俺がやったジンキとかいうモノの話を聞きたいから、と近いうちに魔王がやってくるらしい。

 ジンキってナニ? 寝取られ凌辱アリアリのロボット漫画?

 更に、聖剣使い組から教会へも話が逝くのを覚悟しておくように、と有難迷惑な忠告まで貰ってしまう。

 

 

 「統合されたアルティメットミクシムエクスカリバーゴッドコンバートを折ったんだから、それくらいの報告が行くのはある意味当然なんじゃねーの?」

 「ナニソノ香ばしい厨二ネーム、心がwkwkする」

 

 

 アルティメットミクシムエクスカリバーゴッドコンバート、ね。

 そら、覚えた。

 

 

 「で、だ。俺が聞きたいっつうか、お願いしたいことがあるんだよ」

 「? はあ、なんすか?」

 

 

 向き直ると、兵藤先輩は改めて頭を下げて、声を張った。

 

 

 「頼む烏丸っ、俺を強くしてくれっ!」

 「いやっす」

 

 

 とりあえず、即答しておいた。

 





~解決編
 前回の大暴投に関しては、一言「説明っ!」ってツッコミを入れるだけで割と充分でした
 右往左往したドクシャ=サンたちは実に見モノだったぜぇ…(ゲス顔

~無限の龍神オーフィスたん
 現在、矢荷成荘に下宿中。そらとは別の部屋にて独り暮らし中
 過ごしているうちに下宿人らに意識矯正が無意識レベルで施され、ぶっちゃけ精神性は原作よりも成長している
 小手先の技を覚えたオーフィスたんに死角は無い
 完全に蛇足だけど、途中の解説はおーりの自己解釈。けど、割と合っている気がするよ
 そうでなきゃ爺の姿からわざわざ幼女になる意味も無いよね?

~変則ゴスロリ
 参考はアニメ画
 アレは酷いと思った(小並感

~ぬら孫
 麻帆良在住の本物のぬらりひょんの孫は鏡花水月なんかよりももっと凶悪なモノを振るって烏丸とかせっちゃんとかを圧倒する
 権力とか

~アルティメットミクシムエクスカリバーゴッドコンバート
 ツッコまれたから再度注釈入れるけど、よく読むと叙述トリック的にデュランダルも取り込まれているスーパーな聖剣
 折られたけど

~本日のサービスカット
 褐色肌でシャワールームから現れる、良く引き締まった男子
 …ゴクリっ

~忍法つばめ返しっ
 元ネタは死にたくなるしょうもない日々が死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々って言う漫画
 福別府さんが可愛いと思う

~ヌケサク先生
 カシューナッツをひっくり返したような、半円が上にくる感じの目
 ついでにとんちんかんとか、覚えてない?

~キルシエ
 確かにその世界線に存在していたけど、明確に言うと烏丸が死ぬはずだった世界線での記憶なので変則系リーディングシュタイナー
 あんまり思い出そうとすると死が近づく

~ジンキ
 そりゃあね、槍状の武器でめっさ強い堕天使ぬっころしました!とか報告されたら疑われるよね
 で、アレってまだ連載してるの?(興味無し



と、いうわけで気づけばまた負けていた烏丸くんの話(冒頭部分)でした
前回丸々ひっかけだった、と云われても納得する奴は居ないだろうなぁー
でも俺、自分が愉しむために書いてるから…っ(苦悩
しかし烏丸は幼女には負けっぱなしな気がする
これは小猫に負ける日も近いかな

でも前回の中身に関して需要とか描写とかの出来栄えについて一切感想の声が届かないんだよなぁ
これは、俺がロリでエロを書くには未熟過ぎたということか
仕方ない。小猫は諦めるか…


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「エロいモノは常時あっても判断に困る」

偶には本番無しでも構わないよね…?(絶命感


 

 「なあ、兵藤先輩に鍛えて欲しい、とか頼まれたんだけど、お前なんか言った?」

 「……詳しくは教えてませんけど」

 

 

 昼休み。

 同じ保健委員として連れ立って歩く私に、烏丸くんは思い出したように言葉を投げた。

 静寂を望む小猫ちゃんはいつものキリッとした表情を崩さずに、彼の言わんとするところを暗に把握するのである(キリッ。

 

 

 「……以前に私が活躍したのも皆さんとの修行の一日後の急速な成長ですし、烏丸くんの世話になったことは隠しようもないままに知れ渡っていますし、コカビエルを単騎で討伐したことからも実力を認められたからお願いされたのでは?」

 「奥さんのことは」

 「一切暴露していません」

 

 

 するはずがないでしょう。

 

 

 「ふーん。てことは、純粋に強くなりたいとか、そんな理由かね。まあ聞く気はないけどな」

 「私に言われても困ります」

 「同じ部活だろ? 言っといてくれよ」

 「困りましたね」

 

 

 ノーと言える小猫ちゃん。それが私。

 同じ部活でなければ変態先輩へ橋渡しする義理も無いので、一々私の魅力溢れるバスツ(bust)へと視線を向けるような男とは要件も無しに同席するのも中々嫌なのです。

 それもこれも私(の胸)が魅力的過ぎる所為ですね。

 つらいわー、魅力あふれるマスコットキャラって男の目線集め過ぎてつらいわー。

 ……自分で言ってて情けなくなってきた。くそぅ。

 

 

 「というか、前にも言ったけどお前らなんでそんな実力勝負(物理)思考なわけ? 貴族社会って聞いた覚えがあるんだが、悪魔って」

 「え……。……なんででしょう?」

 「おい?」

 

 

 確かに云われてみれば、人間社会に准ずれば貴族階級というのは要するに支配と政治の社会。

 支配に実力が要るのは確かだけど、政治というのは臣民の生活を安定させて保証し行く末を補う、という側面がある。

 領地経営を武力で以ての暴動鎮圧のみで治められるほど脳筋社会でも無いくらいには、臣民の識字率や学習能力は中世とはまた違う。

 そもそも、貴族社会である必要性とは?

 格差があっても才がある者が上へと登れる、ということは下剋上上等一揆上等とも取れる有り様だろうし。

 ……私が今より小さな頃は、こんな思考に至ることも恐ろしい格差社会であったはず。

 これが改定されている現状は、果たして本当に正しいのか。

 ……なんだか思考そのものに薄ら寒いモノを挟まれたような寒気が。

 そう思うのは、私自身が魔王の妹様より庇護を戴いている所為だろうか?

 

 

 「まあ詳しいところはどうでもいいや。俺、関係ないし」

 「其処で放り投げないでください」

 

 

 私のこの寒気を解消してくれなきゃホント困る!

 

 そんな私たちがのほほんと校内を歩いているのは、偏に保健委員としての要件確認の為である。

 昼休みに呼び出しがあった、ということを私が伝え忘れていたのが原因(という建前で)。

 そんな烏丸くんは、自分が保健委員であった、という事実に驚愕していた。計画通り(ニヤリ。

 

 

 「というか、ホント俺いつの間に委員に含まれてた? 最近なんかキンクリが多すぎて場面飛び飛びで付いていけてねぇよ。ディアブロェ……」

 「わけのわからないことを云わないでください」

 「軽口すら通じない……くそぅ……」

 

 

 歯噛みする烏丸くん。可愛いなぁ。

 そんなこんなで、保健室。

 

 

 「すいませーん、烏丸と塔城です遅れましたー」

 

 「遅れてはいないわよ。いらっしゃい、烏丸くん」

 

 

 ――そう出迎えてくれたのは、我らが主リアス・グレモリー。

 珍しく唖然とする烏丸くんを部屋の中へと押し入れて、私は入口の鍵を閉めた。

 1名様ご案なーい、にぇーい!

 

 

 「……謀ったな塔城……!?」

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「まず、昨日はありがとう。貴方が居てくれたおかげで私たちへの被害も特になく、大まかな事態を恙無く治めることが出来たわ。そこだけはお礼を言わせてほしいの」

 

 

 グレモリー先輩と顔を合わすと、毎回こんな話ばかりだなあ。

 思考を明後日へと逸らしつつ、彼女がそれだけで俺を呼びつける筈がない、と確信している。

 彼女らしかまだ知らないが、悪魔というモノは割と無駄に高潔で、そして欲望に忠実だ。

 

 

 「そこで、貴方には一度キッチリお礼を、というか、望みを叶えてあげるわ。何でも言ってみて。私のこの身体を欲しがっても、欲しい儘に従えることも許せるわよ?」

 

 

 真っ先に己を差し出す辺り、価値と言うモノを把握している様に聴こえる。

 だがそれは彼女らの社会で形成された価値観に基づく基準であって、俺の中ではそうそう高価というわけでもない。

 そこを履き違えているから、こんな無駄に滑稽な場面が出来上がるわけだが、それより何より、気になることがあって塔城へと視線を向けた。

 ――言ってないんすか?

 

 

 「……もぅ、女の子が自分から好きにしていいって言ってるんだから、そこで他の女の子を見るなんて真似しないで」

 

 

 拗ねたように言葉を続け、しな垂れかかる彼女の体重に甘い吐息が鼻腔を擽る。

 今更だが、今の体勢はベッドの上で隣同士に座り肩口へと顎を乗せるように寄ってくるグレモリー先輩、という構図。

 彼女の仕草も相俟って、なんだか『そういうお店』で酒を召している気分である。

 塔城は本日待機令でも下されたのか、部屋の入り口ですまし顔だ。

 ……アーシアのことは部長であり主であるこの人に、未だ通達せず、ってこと? それ、不敬に当たらんかね?

 

 

 「とは云われましても。俺、先輩に要求なんて別にないですけど」

 「なんでもいいのよ? それこそ、今朝イッセーがしていたみたいにちょっと乱暴に、っていう要求でも聞いてあげるくらいの度量、当然あるのだし」

 

 

 そこで他の男の名前を出す時点でキャバクラ系playは失敗だと思われるが。

 って、そういう趣旨とは違うのか。

 悪魔って口走ってるからなぁ、性に関してはやはり奔放な気配が微塵も隠れねぇ。

 というか、俺との距離を縮めて自分らに有利な立場へ追い込もう、っていう懸念が裏側にありそうで。

 彼女本人はそれを微塵も抱いてないけど、彼女で最大でもない組織の総意ってやつが確実に潜んでいるのだろうし。

 

 

 「――無いっすね」

 「むぅ……」

 

 

 だからこそ拒否する俺に、剥れた顔で不満を露わにするグレモリー先輩。

 くそ、ちょっと可愛いじゃねぇか。

 

 

 「だったら、――わ、私の眷属にならない?」

 「おいちょっと待てこら糞アマ」

 

 

 思わず口汚い言葉が飛び出すのも仕方のないことだと思うんだ。

 当然そんな俺の豹変に怯えた、というか引いた態度で顔を青褪めさせている。

 これご褒美云々以前に説教入れるべきじゃねぇの?

 

 

 「――突然失礼。しかし、先輩? 其処で部下に、というのは些か乱暴な浅慮だと思われますが、何故その思考に至ったのか、問い質しても構わないか構わないよな」

 

 

 質問では無く、断定。

 コクコクと頷く彼女に、一つ一つ確認を。

 

 

 「え、と。お兄様に、現魔王のサーゼクス・ルシファーに今回のことは通達済みなのよ。その上で、貴方という強者がフリーで居るのは、他の貴族が手を出す口実になるから、保護をした方が良いって……」

 「……悪魔社会、ってそこまで世界へ影響ある代物なんですか? 又聞きですけど、弱点が多いのによくもまあ繁栄できてますね」

 

 

 光に弱い、って聞いた時には惨酷王をアーシアへ渡したことは間違いだったんじゃないか?って一瞬頭を過ぎったもの。

 自滅の可能性がある護身具とか、冗談じゃなーいわよぅー、って感じで。

 

 

 「それだけ人の欲望が強い、ということね。悪魔って、見た目が良いのも大勢いるから、それだけで擁護する人種だっていくらでも出てくるわ」

 「三竦み以外の陣営からしたら『黒いアレ』的な立場の癖して……」

 「ちょっと烏丸くん辛辣過ぎない?」

 

 

 思わず本音が漏れた。

 しかし実際弱点だらけなのだし、神秘が受肉してるこの世界線じゃ間違いなく立場上最弱の陣営が悪魔だ。

 種族的な問題、とでも云うべきか。

 長く生きている筈なのに、判り易すぎる弱点が克服できてない時点で良くここまで繁栄で来たなぁ、と。

 聖書だと創造主の手から零れ堕天したのが大本らしいのだが、それだけで此処まで弱体化するとかまず無いはず。

 ……これ、多分『件の書物』は充てにならん世界だな。

 そもそも堕ちた天使である堕天使と同一と見ていいはずなのに敵対しているしな。

 根本的に何か碌でもない部分がズレてる。そんな気がする。

 

 

 「ともかく、そんな強力な実力者の癖して何の庇護も受けてないなんて、無防備にもほどがあると思うのよ私も。だからおねーさんがご褒美として飼ってあげようかなぁ、って」

 「人権問題についてちょっと話し合いましょうか。とりあえず拳で」

 「ゴメンナサイ」

 

 

 飼育発言飛び出した時点で「とりあえず殴ろう」の体勢に、しかしそこは茶目っ気であったらしい。

 むぎゅぅ、と振り翳そうとした腕を挟み込む乳の圧迫感が既にあった。

 ……謝罪は言葉だけか!気持ちイイから許すけど。

 つうか、制服の上からわかるって凄いな。

 此れは兵藤先輩も強姦魔になるのも納得の魅力――、

 

 

 「許してにゃん♪」

 「オラァ!」

 「ひゃぅんっ!?」

 

 

 一言で台無しだよ!

 イラッとしたから空いてる手で片乳を鷲掴んで挟まった腕を脱出!

 ……うわ、吸い付き凄い。

 

 

 「んっ、か、らすま、くん、あっ、ふっ、すご、ぉいっ、ふぁんっ、やぁんっ」

 

 

 掌に収まった服越しでも主張する乳肉の弾力が、自然と揉むことを要求するようにたぷんと震えている。

 柔らかさは何気に今迄でも最上級で、片方だけなのにしっかりとした重量を期待させる。

 そして、揉むごとに響く敏感な声音。

 まるで処女みたいな嬌声を上げる先輩に、気づけば雄としての本能を刺激されている自分が居た。

 

 流石悪魔というべきか。

 男を魅了する術はしっかり備えているのだろう。

 滾るわぁ……!

 

 

 「――……こほん」

 

 

 小さな咳払いが聴こえたが、気にせずに揉む。

 グレモリー先輩と言えば以前に仕掛けた呪紋が気にかかるが、根本的に俺は呪いの類を無効化できる障壁をオートで発動可能なわけだし、そもそもがこの先輩の許可を事前に得て触れているのだから心配は無用。

 脱出した手も添え直し、両手で両乳へと手を掛ける。

 過重表現な気もするが、伝わる感触は期待以上であった。

 

 

 「ひぅっ!? んっ、ひゃぁっ、はっ、ぁはぁんっ! なにこれぇ、すごぃいっ」

 「んー、ごほんっごほんげっほん!」

 「……なんだよ塔城」

 

 

 物言いたげな咳払いがすぐ背後に控えて来たので、ついそちらへと視線を向ける。

 手は止めない。

 

 

 「あっあっあっ」

 「止めなさい。イチャつかせるために呼んだわけじゃないんですよ」

 「お前のご主人様が許可したんだからいいんじゃねぇの?」

 

 

 無言で睨まれた。

 というか、この目は『アーシア先輩の事暴露すっぞオラ』って脅迫してる目だ。

 俺としては別段何時バラされようとも気にはしないが、彼女の立場的に無駄に荒波立てられるのも問題なのだろう。

 だからこそ、姫島先輩も塔城も、彼女のことを他へと漏らしたりはしないのかもしれないし。

 となると、やはり俺個人の理屈でバラすのも得策とは言えない。

 

 

 「はぁ、はぁ、はぁ……!」

 

 

 呼吸も荒く、俺から解放されたグレモリー先輩がぐったりと身体を預けるのを尻目に、塔城は背中へと。

 ぺたん、と擬音が聴こえるくらい、俺に引っ付いている彼女が其処に居たが、

 

 

 「……」

 「……」

 

 

 悲しいことに、女子にくっつかれているというのに魅力が微塵も湧かない。

 ふくらみは、なかった。

 

 

 「なんか言ってください……」

 「……お前ホントに同年代?」

 「ぶち殺しますよ」

 

 

 怒られた。

 理不尽だと思います。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「し、失礼、取り乱したわね……」

 「ホントだよ」

 「暴走したあなたが云う事では……」

 

 

 塔城、うっさい。

 

 

 「それで、どうかしら? 眷属になる気はない? 悪魔になれば寿命だって延びるし、欲しいモノを欲しい儘に出来るわよ」

 「なりませんよ。寿命云々は元より興味もないし、そもそもわざわざ自分から弱点増やそう、なんて酔狂は持ち合わせてません。大体、ホントに欲しい儘に出来るんだったら今頃本気で悪魔社会が天下取ってます」

 

 

 でも実際は、人間の望みを叶えるために寄生しつつある下請け業が盛んな異種族。

 はい、ロンパ。

 

 

 「そもそも部長、烏丸くんを転生可能な悪魔の駒なんて、余ってるんですか?」

 「小猫はどっちの味方よ……」

 

 

 人間を悪魔へと転生させる、要するに眷属化させる手続きに必要なのが『悪魔の駒(イービル・ピース)』と呼ばれるマジックアイテムらしく詳しくはググレカス。

 多分アレだ。人為変態(モザイクオーガン)に必要な薬とかと同種なんだろう、きっと。

 どちらにしろ、おとといきやがれ!

 

 

 「むぅー、それじゃあ、せめてお願いしたいことがあるのだけど……」

 「先輩、当初の目的と立場が逆です」

 

 

 むくれて言い募る、俺との接点を喪失しないようにと必死にも見える。

 しかしてその実態は、男女の関係にリーチが掛かったのを寸止めされたことで不完全燃焼な情欲の捌け口としてのストレス発散……違うか? 違うか。……違うかな?

 

 

 「烏丸くんの強さに憧れたみたいで、うちの子たちを鍛えて欲しいのよ。小猫を一日でライザーにも勝てるようにしたのだし、余裕を持てばもっと強くできるんじゃないかしら? 当然、相応の報酬は支払うけど」

 「だからお願いする立場じゃねーでしょうよ。お断りします」

 

 

 そもそも、鍛えるとしたらウチの『倉』を開放する必要性出てくるでしょうよ。

 そしたらウチの奥さんとも邂逅させることになるやも知れんし。

 ……強姦魔先輩を遭わせるとか、ガチで御免蒙る。

 

 というか、話がループしてないか、今回?

 とりあえず、おとといきやがれ!(二度目。

 




最初は同級生のギャル系な子とのエロシーンを書こうとしていた
リアスが結界張り忘れて、保健室でのやり取りを覗き見されて、それを黙らせるために烏丸が下の口を塞ぐって言う感じで
ギャル系の娘にもそれなりに彼氏が居て、結果的にNTRっていう結末目指して
後は微妙に記憶消去とか人格矯正とか施す仕上げで烏丸の弩クズっぷりを前面に押し出す感じで
彼氏のキャラとギャル娘の名前を考えるのが面倒で辞めたけど
というか、同級生という名の所謂モブを寝取っても誰得って感じだよね

ストーリーが原作とはやや違う方向へ進路変更してるから補填しようとすると説明に色々入れなくちゃならなくなる
つまり今回のもそういう皺寄せの顛末
というか、リアスさんが描き難い
見た目高級キャバ嬢みたいで原作一巻ではさも経験ありますみたいな仕草の癖して、二巻目でヒロイン気取った処女ビッチ未満な乙女回路後付けって結局お前なんなんだよ
需要があるらしいので登場してるけど、個人的にはイッセーとくっつけてフェードアウトさせたいくらいにはどうでもいい
特にエロシーンとか…難しいなぁ…


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「そのとき、歯車が廻り出していた…!」

前回の更新で何故か俺がリアスさんのことを嫌いだという風潮が出回ることに小首傾げ
書きづらい、とは言った
苦手とも言った
しかし嫌いとは書いてないのに何故そうなったのか
どうでもいいだけであって俺個人は決して嫌いでは無いのに
敢えて言わせてもらえば、そうだなぁ、幾ら振り回しても個人的には結構平静でいられるからそこだけは好ましいよね(笑顔
…別に体型的にコンプレックスがあって此処で発散しているとか、そういう意図はナイデスカラマジデ
単純に、某匿名掲示板なんかでよく観られる「寂しかったから浮気した」ってツイート晒されてる女子()共みたいな恋愛脳が理解も共感もできないから、其処を彷彿とさせるキャラに苦手意識が浮かんでるんじゃないかなぁって自己分析
ほら、感想返信で何人かには応えたけど、おーり個人は真面目で純粋無垢で清廉潔白で純情一途で清純派な常識人だから
そんなんがなんでタグにNTRとか入れて書いてるの、ってツッコミはいるかもだけど、二次創作オリ主系でやる以上は原作キャラを『お相手』から立ち退かせて居座る以上どうしたってそういうことだよね?って前にも言ったな此れ
このスレッドって要するに、そういう処を読む側も書く側も踏まえた上で愉しむための場所だし
心苦しいけど、エロネタ書いていて赤面しちゃって身悶えちゃうけど、書くからには本腰入れなきゃね…(遠い目
ツルペタチビが何言ってんだなどとは決して突っ込んではダメ

何が言いたいかというと、ちょっと真面目な20話がついに来ましたよ、ということです


 

 あ、さて。

 炉に焚べたるはかつて見せて貰ったヒヒイロカネの標本を基に、おっかなびっくり何とか練造した劣化ヒヒイロカネ云十何貫。

 先日『倉』から発掘することに成功した分はこれで使い切ってしまうのだが、死蔵させていても遣い道の無い合成金属だ。試金石として、刀剣二差しくらいなら充分に役を果たしてくれる。

 精錬は完全にとは往かず、目玉であるはずの常温超伝導も再現出来なかった。精々微低温伝導くらいが関の山で、エネルギーの伝達効率は最良であっても極上とはいかない。此れでは魔法媒体としては過充分であっても、魔剣聖剣の類として造ると下地としてどうしたって伝説上からは見劣りしてしまう。かてて加えて、件の伝承刀剣類に見られる概念附加を如何無く発揮可能とは到底届かず、術式内包というエンチャント系を受け入れ易くするくらいの性質変化しか附加しきれなかった。これ以上だと存在周波数の関係上、人に換算すれば良く見繕って8世代程度で自壊するのも見通せられる。本物ならば都合30世紀に渡って存在し続けられるくらいの代物になるはずなのだが。

 ……今出来る己の上限が此れなのだという戒めにもなる。人は足ることを知らぬし、求め出したらキリがない、今在る手札で最上を。

 

 

 「ゴヴァノン・フラウ・マカ・ナイサ・フォマルハウト」

 

 

 ボヒュウッ、と用意したカンテラから火が吹き出し炉の中へ。

 こちらも、標本を見せて貰った際の某魔女さんの『眩桃館』とかいうお宅から譲り受けた神火を灯せる代物なのだが、同じモノを造ろうとしても上手くはいかない。術式付与で合成しきれない。魔法使いじゃ手も足も出ねぇのも納得の仕様だった。

 火星へ赴く以前に伝手で渡されたマジックアイテムとかを軽く超越する概念魔具を選別に貰ったこともあったが、魔女ってのはどうしてドイツもコイツも規格外な技術水準を見せつけてくれるのか。魔術とか錬金とかで説明つかねぇ、もっと得体の知れない法則に則ったオーバースケールの何かだ。ホントはあっちが転生者だって云われても納得のレベル。まあ年の功という隔たりがある以上は、どうしたって突破しきれないモノなのだろう。越えられない壁が分厚いわぁ。

 

 同じ屋根の下に鍛冶場が在る、というのも変な気分だが、借対として純米吟醸一本差し出したわけだし。

 槌を振るう以上、腕前を出し惜しむのも失礼に値する。

 少々邪道も良いところだが、好きに打たせて貰おう。と、貸して下さった筋骨隆々の爺様へと感謝の礼。

 元は飛騨の山奥で一刀彫を嗜んでいた名人だったらしいのだが、木材のみで勝負する師匠と袂を分かち巡り巡ってこの土地へ、と色々と紆余曲折在ったらしき偉人に過去在りきな呑兵衛の爺様。

 そういう異文録は一度コースアウトすると中々戻って来れないので、この辺りでカットである。

 どちらにしろ貸家の一室に鍛冶場こさえている時点で変態であるし。

 類が友をなんとやら。同じ屋根の下に何人の修羅が眠っているのやら。

 

 神火に晒された金属塊が、見る間に融解して逝くのを直視で観察する。本音を言えばサングラスでも掛けたいけれど、尸魂界の鍛冶師曰く火の温度が視れねぇじゃねぇかYOとのことなので肖ってみる。チョー眩しいYO。

 しかして溶け出し鋳型へと流れる『それ』を見直し、確かに視界を遮るものは邪魔になると納得する。

 今から此れに術式の付与も同時の行いながら、刀剣として然るべき形へと練磨するのだ。

 特に刀なんかは形式そのものが日本人の偏執性をしっかりと顕にしている。ファンタジー系では鍛冶のスペシャリストであるドワーフをして『打てない』と謂わしめたその複合性と練磨の果て。果たして俺の腕で何処まで再現を可能と成し得るのか。

 『呪紋』を解放しコードを編み、打ち込む意気込みで槌を振り上げる。

 集中し、先ずは、一刀――、

 

 

 「願う、ことは、一つ――!」

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 キングクリムゾン! 結果だ、この世には結果だけが(ry。

 兵藤先輩の強姦未遂事件より既に2週間が経過した。

 その間に起こったことと言えば、オカルト部の面々が無駄に人を勧誘しようとしていたこと、あとはゼノちゃんイリナちゃんの両名が駒王へと転校してきたことだろうか。

 お2人ともに、あの知能指数で上級生だったことに驚愕を隠せない俺である。

 

 行きずりの関係であったことは公表していないご様子なお2人。

 日本へ再来日したのは一週間前で、理由を問えばなんとも七面倒臭いモノをつらつらと語ってくれた。

 曰く、『主の不在』とやらを認識した彼女らを教会側は正式なシスターとして取り扱うわけにいかないらしく、エクスカリバー(?)の回収と不良神父2名の捕縛を評価に入れるとしてもこのまま教会の膝元では扱いにも困るのだとか。

 ならば、と『さらに上』とやらが下した主命は『外交官』であるという。

 どうもこの町では以前から色々と見逃しようも無い事件ばかりが勃発しているらしく、教会側としても悪魔領でもない人の社会の一部を放置していたことには見過ごせない事態だとか。遅いわ。

 更に言えば、今後この町で教会側にも関連のあるイベントが執り行われるので、それの先駆けとして現地入植を済ませておいてほしい。というのが彼女らの『上』からの言い分である。

 キナ臭くは無いが、面倒臭いことこの上ない事態が進行しているのは確か。

 しかし、その外交をこんな脳筋らに任せてしまって本当に大丈夫なのかこの世界の宗教は。

 

 そんな2人だが、オカ部とはまた別口で俺を誘惑してくる。

 ……いや、肉体的な意味では無くて、宗教的な意味で。

 がっかりだよ。思春期(もう思春期過ぎた気もするけど)男子の妄想を励起せずに宗教色が濃厚だよ。

 一週間ばかりお断りの言葉だけで突き放してきたのに、一向にハニトラを敢行しようとしないというのはどういうことだ。やる気あんのかお前ら!

 

 

 『カラスマ、今ウチの傘下に下ればキミはかなり上位の、ひょっとすれば司祭、いや司教……ともすれば大司教の地位に就くことも可能かもしれない。それだけキミの成した実績は大きい。私たちと共に本山へと赴いてくれないか?』

 『烏丸くんがいれば例え主が不在でも人々の平穏を守ることは不可能じゃないわ! 私たちと一緒にカトリックへ転向しましょう!』

 

 

 此れがこの一週間で行われた勧誘の実態(の一部)である。

 興味ねぇぇぇ! 可能じゃねぇよ! 位階を決めるのは上の人たちのコンクラーベで要するに投票だよ! 無名の素人がいきなり現れて大司教とか素人ラノベでも有りえねぇよ!

 (やさ)にまでは押しかけて来ていないし、人目もあってかハニトラ的な誘惑をしてこないのは、まあ学内の噂と注目の温床にはならなかったから見過ごすとしよう。

 だからといって宗教にただ勧誘されるって、なんか釈然としねぇんだけど!?

 

 ……まあ、俺の場合一度リミッターが外れたらいつ終わるか不明瞭、っていう前例があったからな。

 向こうとしても、一応はシスターで在る以上はアーシアみたいにいつでもおkみたいな誘惑は禁則事項に値するのかもしれないし。

 エロシスターはアーシアだけか。彼女が例外か。

 ……かといってがっつかれてもなぁ。

 

 そしてそんな彼女らは何故かどうにも仲が良くない。

 2人が勧誘しているところへ、時折アーシアが弁当持ってやってきたりするのだが、そういう時は必ず口数が減る。

 腫れ物に触るみたいに、こちらからもちょっと距離を置くのだ。

 アーシアは笑顔で、何処か勝ち誇ったような様子で俺へと接近してくるのだが、それに対しての2人はやや渋い顔で距離を取るだけである。

 お蔭で教室内はこの一週間妙に空気が悪い。

 はい、俺の所為ですね。

 ……反省してるから男子の皆様、露骨に舌打ちとかヤメテ? 泣くよ?

 逆に女子が近づいてくるのは何故なんだ……、カラオケで一緒になった前髪ぱっつんとかギャル系おっぱいとかポニテバスケ部とか。ゴシップとか大好きか、人の男女関係に起因するんじゃないかと穿った見方で傍で聞き耳立てるのが大好きなのか。畜生、ネタとか絶対提供しねぇからな。ところでポニテじゃなくて良く見るとサイドテールっぽいな。サイテ? 語呂悪いな、ポニテのままでいっか。

 

 無論、そんな諸々の女子交流の悪さとかを采配出来るスペックは俺にはない。

 麻帆良? あそこはノー天気な女子ばかりでイジメとかガチな対立とかは完全に無縁だったよ。

 認識阻害の効能だったのかもねぇ、外の社会に出たら逆に気疲れするだろうねぇ。

 話が逸れたが、そんな采配が可能そうな人材を探して、行き付いたのが木場先輩だった。

 

 

 「と、いうわけで、此れをお納めください」

 「う、うそ……っ?」

 「……なんだ、これは……?」

 

 

 差し出したのは、打ち据えた二振りの刀剣。

 アーシアに以前渡した『惨酷王』と同じように、聖職者と云う事で聖別と祝福とをちょちょいとなと施しもした試供品だ。

 木場先輩曰く、『聖剣を折っちゃったんだし、代わりの何かをお詫びに差し出せばどうかな? そこを基点として、というかキミが起点となってみんなを牽引できるようになれば仲良くできるんじゃないかな。頑張ってね!』との有り難いアドバイス。

 さっすがイケメン、兵藤先輩とは踏んだ場数が違うね!

 というか、あの先輩はどうにもアーシアとのことを察しているような気配がする。

 人前じゃ一応「アーシア先輩」と呼ぶのだが、俺が唯一下の名で呼んでいることで距離感を理解させてしまったような。

 尤も、それを応援されてしまったのだが。

 アンタ兵藤先輩の親友と違うんですかい。親友と同棲してる女子とのことを他の男へ応援している節が見受けられるのは、果たしてなんなのか……。

 

 話を戻そう。

 

 

 「前に折っちまったじゃねーですか、そちらのエクスカリバー」

 

 

 個人的には(駄剣)(ゴミ)に換えた程度の認識だが。

 

 

 「此れはその代わり、ということで、個人的に用意したんすよ。とりあえず二振り。刀と剣です」

 

 

 尤も、本領で打ったとしても技術的にはまだまだ未熟、素材と術式を備えてなんとか形を保った『偽剣』としか呼べない試供品レベルの代物である。

 仕方ねーですよ、武器とかを1から造ったの初めてだからね。やっぱ既に在る道具や素材を弄るのとは違うわぁ。

 

 

 「銘は『偽剣(ぎけん)袖白雪(そでのしらゆき)』と『偽剣(ぎけん)天埜叢雲(あまのむらくも)』。お2人へ譲りますんで、どっちでもお好きにお使いください」

 

 

 あれ、なんか反応ねぇな。

 ――あ、唖然としてる……。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「こっ、こんな立派な聖剣渡して何を要求する気っ!? 身体!? 身体なの!? 私たちのことを忘れられなくてジャパニーズ袖の下ってこと!? で、でもこんな天使様の光臨をも凌駕するようなオーラを秘めたモノと釣り合うモノなんて本当に身体だけで足りるの……!? や、やはり当初の予定通りに私たちが揃って性奴隷になるしか……!?」

 「おおおおおお落ち落ちつ落ち着けイイイイイイリリリナ、そ、そんなことしても彼の負担にしかからないとじじぇんにきめていたではにゃいか。私たちちがひきわたせるものなどないと前もってわかかっていたことなのだしし、求められれば差し差し出すのはとと当然のことだだ。や、やはりこここは、この剣をほ、ほほんぶへと渡してて、しっかりと、彼についての再考をだななな……!」

 

 「……あれ。要らんのでしたら仕舞うけど、」

 

 「「要りますッ!!!」」

 

 

 カラスマに屋上へと呼び出されたと思ったら、なんか本当に現実かと正気を疑う様なとんでもないレベルの聖剣が飛び出してきたぁ!?

 しかも二振り!? こんなモノ前にしたらエクスカリバーなんて確かにゴミだ!

 佇むだけで、朝日がステンドグラスから差し込むような『教会の最も美しい姿』が幻視されるほどの聖なるオーラを発揮している……っ!

 ……それなのに、決して攻撃的では無い、ただ其処へあるがままに在る、……なんという静謐さ。

 拝むだけで天へと昇れそうな強大さと神秘を併せ持つのに、柄を握るだけで波立った心が凪いで往く……。

 ……恐ろしい。

 此れは、只『魔』を滅するためだけの剣では居られない……。

 在れば、人の有り様すらも変貌させてしまうだろう。

 そう、――まるで神へ至らせr

 

 

 「ゼノヴィアストーーーーーーーップ!!!」

 

 「――はっ!?」

 

 

 待て! 今私は何を考えてた!?

 

 

 「落ち着いてゼノヴィア! こ、この剣はやばい! 持つと心が呑まれるわよ!?」

 「あ、ああ、確かに恐ろしい……! これだけの性質であるというのも頷けるが、振るうだけの資格も必要と云う事だな……! イリナは平気……イリナ?」

 

 「――光が見える……!」

 

 「戻ってこいイリナ!!!」

 

 

 クソッ!? 剣の性能が強大過ぎてエクスカリバー使いであるはずの私たちのキャパを軽く凌駕してる!

 というか、此れは聖剣とかそういうレベルじゃないだろ!

 最早『神代の剣』と見ても良い、所謂『神剣』という奴だ!

 人の手には余りあり過ぎるッ!

 

 

 「あー、そんなに力まんほうが良いんじゃないっすかね。所詮剣なんだし、力抜いて気楽に振るってください」

 

 「そんな風に考えられるか!!! これを握って出来る筈がないだろ!!!」

 「くぅ……! 鎮まって、私の新しい相棒……! 今はまだ、斬るときじゃないの……!」

 

 「……あれ、俺『村正』とか打ったんだっけ……?」

 

 

 妙に気になることを呟くと、しょうがないにゃぁ、と呟いて渡した剣をひょいひょいと回収するカラスマ……って、おい。

 

 

 「要するに、オーラをもう少し抑えられればええんですね? 今ちょちょいと遣りますんで、しばしお待ちを」

 

 「え、あ、はい」

 「あ、ああ……」

 

 

 本を開いて、呪文のようなモノを口ずさみつつ、剣へとそれぞれ何らかの術式を施してゆくカラスマ。

 見る間に聖剣より齎されるオーラは減少してゆき……いや、アレは、封印……?

 オーラを外へ逃がさないように、封印式の重ね掛けか……!?

 

 

 「そいえばゼノちゃんは、っと失礼。ゼノ先輩は確か、デュランダルとかいうモノを扱っていたとか? 木場先輩からの又聞きなんすけどね」

 

 「え、あ、ああ。まあ、奪われた上に、キミに折られたがな……」

 

 「え、ナニソレ知らねぇ」

 

 

 まあ、エクスカリバーの中に『破壊の』と間違われて統合されてしまったし、自覚されないのも当然のことだとは思うが。

 それにしたって折るなよ、とは思う。

 

 ところで、呼び方や口調が以前と違うのは、年功序列の精神なのだろうか。

 日本人は面倒臭いな。個人的にはもっとフランクでもイイのだが。

 

 

 「話し戻しますけど、アレって決闘者の剣とかいう代物だとか。呪い持ってんのに聖剣とか、世の中は分からねぇもんですなぁ。対決者を勝たせる代わりに絶対に命を奪わなくちゃならないとか、使いにくいことこの上なかったんじゃないっすか?」

 

 「……待て、それは本当か?」

 

 「え、知らんの?」

 

 

 聖剣二振りとカラスマから距離を置きつつも、気になる話を世間話みたいに切り出された。

 

 確かに、破壊のエクスカリバーが折られた代わりに、対コカビエルにとデュランダルを使った。

 だが、所詮は未熟な腕前。

 それを判っていたからこそ、前任者は私に引き渡す際に封印状態でデュランダルを継がせたのだろう。

 実際、じゃじゃ馬で云う事を聞かない、一度振るえば破壊のエクスカリバーなんて物ともしない攻撃力を――、

 

 ……いや、待て。

 云われてみれば、意思を持った剣なんて、確かに呪いみたいなモノではないか……?

 そう考えると、確かにカラスマの云う事も一理ある……。

 ……そんな扱えきれない代物、折られて正解であったか?

 

 

 「――はい完成。偽剣・天埜叢雲ver2。丈夫で長持ち、攻撃力抜群。付与術式は切る時のみに発現するんで、発破くらいしか成りませんが」

 

 

 ぽん、と再び私の手へと戻る、アマノムラクモとかいう過剰な剣。

 先ほどよりもしっくりと手に馴染み、軽く振るってみれば判る程よい重量がその剣が持つ技量を決して遮っていないことをも実感できる。

 その上で、私の振るえる限りの腕前に見合った威力を、最大限発揮できると振るうだけで理解できる……!

 ……やはり、彼は侮れない。是非とも、こちらの陣営に欲しい人材だ……!

 

 

 「そしてこちらが偽剣・袖白雪。切り口から熱を奪い、対象を凍結させるっす。間違って自分を切らない様に」

 「あ、うん」

 

 

 イリナも、刀の方を渡される。

 私たち2人共、外交官という名目で日本へ再び派遣されたが、その実体の良い左遷ではないかと疑っている。

 現に、悪魔の領内へと赴かせられるのに武器の一つも所持を許されていなかった。

 こちらのグレモリーらは既に見知った顔だし、教会の陣営に進んで茶々を入れないような甘ちゃんでもある。

 武器を持たないからと言って見逃されていた私たちだが、だからこそカラスマという彼女らでさえ抑えきれない特化戦力を籠絡するのに他の者では当て嵌まらないのだろう。

 教会の本営はカラスマを軽視しすぎている。

 エクスカリバーを折ってコカビエルを単騎で撃破し、更に謎の槍のような神器を扱う、等と伝えれば荒唐無稽と鼻で笑われるのがオチなのは判っていたが。

 

 実際に命じられたわけではないが、自由にさせていていい人材では無いことは確か。

 そしてそれを手に入れられるためには、この身体すらもいつでも差し出せる。

 そんな意気込みだって視野に在るのだ。

 他の者に任せるなどと、あってはならない。

 ……別に、あの快感を味わう為とかいうシスターにあるまじき思惑で動いているわけでは無い。いや、シスターは既に辞めさせられたが……。アレ? だったらイイのか……?

 

 

 「さて。プレゼントする代わりに、ちょいとお願い事が」

 

 

 ――! やはり来たか……!

 いや、だがなんでも構わん。

 このような稀代の名剣を施されたのならば、元騎士として応えぬわけにはいかない!

 さぁ、なんでも命じて見ろ!

 イリナだって既にお預け喰らった雌犬みたいな目で待機しているぞ!

 

 

 「アーシアと、仲良くできません?」

 

 

 ――……なんだと?

 

 

 「何があったか知らんけど、そこまで牙を剥くような関係で居られると普通に迷惑っす。郷に入っては郷に従ってくださいよ、此処は日本です」

 「……むぅ、しかしなぁ……」

 

 

 唸る。悩む。そして受け入れられない、と言い淀む。

 イリナも似たような心境なのだろう。私みたいに苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

 

 アーシア・アルジェント。

 堕ちた聖女。悪魔をも回復させる『奇跡』の持ち主で、現在は悪魔となってグレモリーの眷属。

 此処が悪魔の陣営で、グレモリーの領内であるから居るのは理解できるが、やはり気に食わないモノは気に食わない。

 しかし、カラスマは彼女のことを気にかけているし、彼女自身も何故かカラスマへと良く近づく。

 ……気づかれないようにこの剣で切り捨ててしまうか……?

 

 

 「聞き入られないというなら今渡したその剣、両方とも折ります」

 「仕方ないな! 仲良きことは美しきともいうしな!」

 「そうね! 平和が一番、ラブアンドピース!」

 

 

 彼なら出来そうな気がする!

 アレだけのオーラを一分も漏らさずに封印式を定着させた術師だ、エクスカリバー(笑)の二の舞になるのも簡単に予想がつく!

 

 話が着いたと互いに認め合った処で、こちらからも切り出す。

 

 

 「ところで、本当に教会陣営へと参入してくれまいか? 今なら私たちを好きにしても構わないぞ? まあ、所詮は一度味わい尽くされた中古の身だからな、云う程捧げられたモノでもないが……」

 「――あ? ひょっとしてハニトラで来なかった理由ってそれ?」

 

 

 自分で言うのもなんだが、教義の関係上『未通女』こそが『良きモノ』であるという教えが一般的だ。

 散らされた私やイリナでは、俗に云う中古品と表現されても仕方のないわけだから、捧げたとしても袖にされるだろうとは思っていたから身を引いていたわけだが……。

 ――眉を顰めた様子で虚を突かれたような声を出したカラスマは、調子もそのままに言葉を続けた。

 

 

 「若いし肉付きも良いし締まりが早々悪くなるようにも感じなかったから、一晩シタ程度で気にすることでもないと思うけどなぁ」

 「その言い草はどうなんだ……って、え?」

 

 

 ――今、なんと?

 

 

 「ちょ、ちょっと烏丸くん? 私たちもう初物じゃないけど、それでもいいの?」

 「散らした相手に言う言葉でもないと思うんですが……」

 

 

 イリナの問いにも、肯定し受け入れるかのような発言で、少なくとも否定的な意味合いは含まれてない様に思える。

 ……そうか、良かったのか……。

 

 

 「ふ、ふふふ……」

 

 

 思わず笑みも漏れる。

 それはイリナも同じようで、嬉しそうに微笑みつつ股をもじもじと擦り合わせている。

 そうか、相棒も我慢の限界(・・・・・)だったか。

 怪訝な顔なのはカラスマのみであった。

 

 

 「カラスマ、剣の礼がしたいのだが、今夜は空いてるか?」

 「あっ、私も私もっ! おねーさんが教えてあ・げ・るっ♪」

 「おい、イリナは云う程経験があるわけでもないだろ。私と同じような戦歴の癖して、横からしゃしゃり出てくるな」

 「2人っきりなんて危ないわ! 何時もの通り、ツーマンセルで事に臨みましょ相棒っ!」

 

 

 まったく、仕方のない相棒だ。

 

 

 「……いや、別に今は云う程ヤりたくもないっす」

 「バカなッ!?」「そんなぁ!?」

 

 

 ひ、ひとをその気にさせといてぇ!?

 頼む! セックスさせてくれカラスマ! 何でもする! 何でもするからぁっ!!

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「ところで、なんでそんなアーシアと仲悪かったんですか」

 「いや、一応教義的な食い違いは初めにはあったんだが、今では……なんか、勝ち誇った顔でキミと絡んでいるじゃないか? それが如何にも自分が先を行ってます、みたいな感じだったのがまたイラッとさせられてな……」

 「ああ、まあ、お2人と似たような立場っすよ」

 「そ、それは……足腰立たなくなるんじゃないの……? ああ、彼女、中毒になってたのね……納得だわ」

 「なるほどな……。しかし、敬虔なシスターを3人も堕とすとか……どれだけ業が深いんだキミは……」

 「誰が修道女フェチっすか」

 「「言ってない」」

 

 

 




~ちょっと蛇足な解説講釈・武器編~

~袖白雪(そでのしらゆき)
 出典はBLEACH。我らがヒロインルキアさんの扱う斬魄刀で氷雪系
 こちらの偽剣は名前だけを借りたモノで、最初に『刀を打とう』と烏丸が目指したのが綺麗で鋭い刀身。しかし、それだけじゃ飽き足らず余計なギミック(術式)まで付けたので無駄に洗練された代物へ
 切断の際、対象の固有振動数を簒奪し自らの稼働へと転化するという自転車操業チェンソーみたいな術式が含まれており、その結果振動即ち熱を奪って相手を凍らせるという不十分が成立する。此れは重ね掛けした封印の所為。本来ならば本当に切れぬモノ無しな刀として出来上がるはずだった
 術式名は第四波動とかじゃね?


~天埜叢雲(あまのむらくも)
 出典は日本書紀や古事記だが、元ネタとして参照としたのはYAIBAの草薙剣または龍神剣。しかしてその実態はRAVEのテンコマンドメンツ
 とりあえず丈夫に無骨に頑丈に、とごてごてと何処までギミック付けられるかな、みたいな実験で生まれた本来ならば10の性能を持つ幅広グレートソード
 飛翔・発破・雷速・招嵐・威圧・変身・遠当て・斬鉄・鎧通し・現象支配などの10の暴虐の限りを尽くせる豪華絢爛な一品なのだが、封印式で色々セーブしたので発破という斬った対象を爆破させる発現のみに。しかしそれはDQで言う処の『ギガスラッシュ』と同程度の威力なので、それでも充分に恐ろしい剣
 本来ならばこれ一本でネギ君要らず。バクハツシサン!



久しぶりに烏丸が本気を出しました
あと烏丸くんは『気分が高揚』するとアニソン口遊むのは以前からの仕様です


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☆「決めたわ、お前ら今日から俺の性処理係りな」

此れまでのタイトルを修正して濃厚エロ描写がある回の頭に印をつけて見ました
尚番外編は基本的にエロ回なのでどうしようかと迷いましたが、一応
20の大台を更新したので、そろそろ烏丸が覚悟を決めたご様子です



 

 

 「ところで悪魔くん、知ってるか? このマンションは中々に高級志向のようでなぁ、最上階には宿泊客プライベート専用の屋内プールまで用意してある。どうだ? ひと泳ぎしていかないか?」

 「夜中にオッサンとプライベートプールとか何の拷問っすか!? 絶対御免です!」

 「残念だなぁ、お前さんの実力を測っておきたかったんだが」

 

 

 ここのところ呼ばれ続けているオッサンに今夜も御呼ばれしたイッセーですっ!

 常連さんがご指名入るのは嬉しい話だけど、せめて美人なお姉さんとかが良かったぜ! 支払いは良いけど、このオッサンの用事ってショボいのばっかなんだもんよ!

 

 ――そんなショボいオッサン略してショボサンが、実は堕天使の総督だとわかるのは大体あと数分後の話。

 先日は聖剣使いであった2人も眷属入りまで果たしたし、なんでこうも耳に馴染まない事態ばかりが集まってくるのやら。

 相変わらず、俺の周りは騒動だらけだな!

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 奥行きは8メートル弱、幅は3メートル届かない程度の適度な大きさのプールが目の前に在る。

 四角い水箱でしかないのだが、それが『在る』場所が場所なので言う程の拙さを感じさせない高級感が垣間見える。

 上は斜に張られたガラス張りの夜空で、横に目を向ければ若干遠くに駒王町の夜景が覗えた。

 柵こそあれど、屋外へ出れば一望できるくらいに距離が開けた、ベランダと云うにも憚られる屋上庭園。

 その中心に位置するこの部屋は温室プールになっており、本格的な『水泳』では無く『水遊び』を愉しむための水箱だ。またはサロンとでも呼ぶべきか。

 何処か適当に場所が取れる遊び場、と希望したところ、バイト先の常連さんからご紹介されたのがこのホテル最上階のプライベートプールであったりする。

 何者だ常連さん。名前はサクライ某と云うらしいが、孫娘がアイドルとして有名な財閥にそんな名が連ねてあった気がする。気の所為か。偶然か。

 

 そんな水場へ今夜誘ったのは、とりあえずアーシア。

 

 

 「あ、あのっ、どう、ですか……?」

 「――ん、似合ってんね」

 「ぇ、えへへ……」

 

 

 屋内を睥睨としていると場違い感でも覚えているのかややおっかなびっくりな仕草で、しかし確りとレンタルのライトグリーンにラメの入ったビキニを着て参上仕った、内股でもじもじとはにかむ金髪少女。可愛い。

 グレモリー先輩や姫島先輩を筆頭に先日転校してきたゼノちゃんイリナちゃんとも比べれば胸部のボリュームはやや心許無いのだが、年相応の女子高生や塔城なんかと比較するならば充分以上に膨らんだ其処へ詰まって居るモノは恐らく夢と希望だろう。今現在布の下からわずかばかりに食み出ているし、かつて手の平へ収めれば微かに溢れる乳肉がその存在感を興していたのだから、間違いはない。比較対象が絶望的? そりゃスマン。

 

 数度ばかり全裸姿を見せている相手なので羞恥はそれ程覚えて無さそうにも見えるが、マイクロなそれを着て参戦するという現状には別の期待感が見え隠れしている。

 先ほどから垣間見せていられる『恥じらい』が特に。水泳が苦手だとのいう話を伺ったので指導入れてやろう、という『名目』で呼んだのだが、どう見ても『別の授業』を求めているんじゃないかって顔つきだ。

 そもそも最初の名目があるのだから、学校指定のスクール水着でも用意してくれば宜しいモノを。

 ……まあ、この格好はこの格好で眼福なので否定する気はないが。

 しかし格好に場所柄も相俟ると、どうにもジュニアアイドルのイメージビデオを此れから撮影します、とでも言い換えられそうな現状だ。

 特に彼女は小柄だから、脱いで寄せた時のボリュームを思い返すと完全にロリ豊乳というニッチな趣向へストライク……ああいや、今は言う程隙間でもないのか。

 

 

 「じゃ、先ずはストレッチから」

 「はいっ」

 

 

 余計な思考だが強ち間違っても居ない推移とは一端おさらばの腹積もりで声を掛ければ、喜色張った声音で返事が返る。

 だから期待する目をやめい。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 嬉し恥ずかし密着授業をKENZENに終えて、水箱に入っての手を引くバタ足作業。

 姿勢を制御するために腹や胸へと手を廻しつつ、その度に嬉しそうに身を捩らせる彼女へ、しかし俺はそれ以上(・・・・)へ進もうとはしない。

 今はまだ、飽く迄も水泳の授業ですから(素っ惚け。

 

 

 「そういえば、2人とは最近どう? 眷属入りしたんだよな?」

 「ぁ、はい。色々とお互いに、んっ、難儀なところもあるのですが、ぁっ、元々同じクラスですし、っ、みなさんと、仲良くしています、よっ?」

 「それはオカ研でも?」

 「はい。ぁっ、あの、そらくん、んっ、もう、そろそろ……ぁんっ」

 

 

 ぱしゃぱしゃと水音と一緒に互いの声が響く中、アーシアはこちらに身を預けつつ、潤んだ目で俺を見上げる。

 まあ、そろそろいいだろうとは俺も思ってた。

 

 

 「んじゃ、下脱いじゃうか」

 「ぇうっ、あの、」

 「ほらほら、上も、早く」

 「あ、……ん、はい」

 

 

 水の中で彼女のセパレートな水着の下部分、そこの布の下へと手を潜り込ませ、尻肉を撫でながら徐々に摺り下げる。

 抵抗もせず恥ずかしげにだが、着けていた上部分を支えている後ろ紐へと手を廻すアーシア。

 少しもしないうちに彼女の着ていた水着は剥ぎ取られ、波間の無い水箱でぷかぷかと揺蕩う。

 此れがガチのイメージビデオならば憤慨モノであろうか。詳しくは無いが。

 

 透き通った水面越しに覗えるアーシアの裸身は身を覆うモノは何一つ付けておらず、そんな実はやはり恥ずかしいのかより一層俺へと近づいて抱き着くように身を寄せる。

 晒された素肌は温水など何の抵抗も見せず、ぴたりと吸い付くように俺の胸板と密着する。

 相性の良いことを判っている彼女は、気づいて我が儘に呟いた。

 

 

 「そらくん、そらくんも、シタ、脱いでください。ね? いいですよね? 今日はそういうつもりなんですよね?」

 「まあ、慌てない慌てない。スル前に、ちょっと話があるんだけど」

 

 

 何しろ前の会合ではお前要らね、って言ったのはこっちだ。

 なのにアーシアは、どうしたって離れようとしないし、昼休みなんかには弁当持って突貫までしてくる始末。

 そういうのは兵藤先輩相手にやってあげればいいだろうに、いくつか覗った処、兵藤先輩は先輩でグレモリー先輩狙いだろうとアーシアの中では決定されてしまっているらしい。

 一つ屋根の下での自身を預かってくれている家族の下なので口にしづらいとは口遊んでいた覚えもあるにはあるが、直接聞かれない限りはギリギリまで回避を続けそうだという若干腹黒い面がうっすらとも覗える。

 まあ女衒宜しく俺が彼女を見受けする気は無いのだから、そんな状態で放逐されてそれを何とかしてくれるほどの度量の広さを及ぼせる誰かに巡り会えるまではそれもまた選択だろう。

 それを浅ましいと思えども、しかし、俺もまた経験則上見限れるわけもない。むしろ共感すら覚えるし。

 

 だが、それとこれとは別だ。

 

 俺はこの先この世界から抜け出すためにこそ今を消費している。

 その上でこの世界上での出会いなんぞは足枷にしかならないし、帰る時に連れてゆける保証もない。

 ならば、と行きずりの関係で終わらせる気ではあったのだ。

 帰らない、という選択は無い。

 遺してきたモノは幾つもあるし、死別したのでもないそれを見限れるほど、俺の『執着』は軽い気はない。

 なれば、仕方がないよね。

 

 

 「アーシア。俺はお前を愛する気はないよ」

 「……っ」

 

 

 先ずは、言っておかねばならないこと。

 次いで、その上での事。

 

 

 「それでも、身体だけの関係でもいいって言うなら幾らでもシテあげr」

 「お願いしますっ!!」

 「お、おう」

 

 

 喰い気味に詰め寄られた。

 ま、まあ、気持ちは絶対ではないし、何度かするうちに手放せなくなる気持ちを抱くようになるかもしれないし。

 帰る気は絶対のつもりだけどな、やはり残してきたものがどうしたって不安要素煽るし。

 

 

 「本当にいいのか? 俺がしたいときにしたいだけする関係になるけど」

 「だぃっ、だいじょうぶ、です……っ! 桐生さんが言ってました! 女の子へ優しくエッチしてくれる男の子はめったにいないから、手放すのは無しだって!」

 

 

 誰だ、キリュウさん。

 ある意味余計なアシストを決めてくれた何処かのどいつへと若干の胡乱さを覚えつつ、

 

 

 「んじゃあ、とりあえずは今日もいっかいめ」

 「は、ひぎゅぅぃんっ!?」

 

 

 じゅぷぅ、と回想の合間に準備していたイチモツが彼女の股間を貫いた。

 じゅぶぶぶぐじゅにゅぶ、とほとんど一番奥までゆっっっくりと突き刺さったその感触に、か、は、は、はぁっ……! とアーシアは呼気を漏らす。

 俺へと掴み掛ったような体勢のまま、白目を剥きそうになるくらいに舌が飛び出るくらいに目と口とをかっ開いて、痛みとも快感とも覚えれないであろうその衝撃にされるがままに、こつん、と一番奥までようやく届いてやっと口を閉じ、んっんぅ、と声音を絞る。

 俺は彼女が水中へと落ちないように抱き締めて、その体重を支える姿勢でアーシアの頭を後ろから撫でつつ、彼女の唇へと舌を這わせた。

 

 

 「んちゅ、はむ……ん」

 「んむ、みゅ、ふみゅう、んぁ……」

 「ぷ、は……、はーい、お疲れさま」

 「ふひゅぃ……、はひぃ……」

 

 

 文句ひとつ言わず、というか、蕩けた目つきでされるがままのアーシアへと、もう一つのサプライズだ。

 

 

 「ちなみにアーシア、お前のその役処ってお前だけのモノじゃないから」

 「はー……はー……はー……………………………………はい……?」

 

 

 「沈黙長いな。まあ、そんな状態なら無理もないか」

 「アーシア、次私たちの番だから、すぐに逝っちゃってくれてもいいからね?」

 

 

 「……………………は?」

 

 

 つい先日、転生悪魔へとシフトした聖剣使いの2人組。

 白いマイクロビキニを着けたゼノヴィアと、レモンイエローなビキニのイリナがプールサイドに並んで居た。

 ゼノヴィアの乳房は以前にも弄ったが、大きさも柔さも過充分で魅力的に丸く白いふかふかのもっちりとした乳肉。それでいて張りもあるのは、彼女自身が脳筋であることに由来するのであろうか。全体的には筋肉質なのに、胸や尻や太腿ばかりは柔らかくもち肌且つ重量感抜群とか、女子としての魅力の潜在的期待値は実はトップレベル。小さな布地でほとんど先端と局部だけを隠している水着は、彼女の肢体を素晴らしく魅力的に推し出していた。修道女をしていたというのは、実に何気に勿体無かったのだろう。特別着飾らなくとも素材の味だけで勝負できる。そういう自信の表れもあるのかもしれない。

 イリナの格好は元修道女と云えば過激かもしれないが、年相応と見れば少し大胆でもそのままレジャーへと繰り出せそうなくらいには健康的だ。髪の色ともマッチして、彼女自身の持つ溌溂さを惜し気もなく演出している。日系と覗えるイリナはゼノヴィアと比べると肌は比較的黄色(おうしょく)依りなので、揃った元修道女2人と比べればその残滓は実に希薄だ。事実、何度か苛めた素肌の張りはやや筋肉質であると思しきゼノヴィアよりもほんの少し粗く、乳の膨らみも一歩足りない凡才気質。しかし、それは先も言った通りに『年相応の女子高生』として見れば、美少女としては基準を突破できる魅力なのだ。前の世界で例えるならば大いに揃っていた48人アイドルグループの一角、とでも呼べるのではなかろうか。是非ともそのまま偶像として参戦して貰いたいくらいの期待度を彷彿とさせる。

 それらの格好もまたレンタルなのだろうが、品揃えが如何にもな映像作品に使われてそうチョイスで不安になる。このプライベートプールってどういう意図で借りられる場所なんだよ。教えてサクライ=サン!

 

 そんな俺の葛藤など当然知る由もなく、2人を見て固まったアーシアは再び俺へと視線を向けた。

 

 

 「ど、どういうことでしょう……?」

 「いや、あの2人とも前に関係持ったんだよね。で、お前と同じような要求が出たからさ」

 「で、でも、お2人はリアス部長の眷属に……」

 

 

 そこは、まあ誰だとしても問題じゃなかったんだけど。

 

 

 「それ、俺からの要求。ホラ、悪魔って子供が出来難いんだって話でしょ?」

 

 

 性欲解消の為にするのだから、子供とか不要ですし。

 信仰がどうのこうの、って話も出たには出たけど、上手く擂れば何とかできるんじゃないかな。力技で。

 

 ……可笑しい、真面(まとも)なことを呟いたはずなのに次元の果てからの視線が若干鋭くなった。

 最近糞親父に似て来たね、って頓に云われるんだよねぇ。心外だわぁ。

 

 

 「そ、そういえばそうでしたね……。あ、あはは……」

 「ん? 作りたかったの? やめとけやめとけ。学生のうちから妊娠するとか先行き不安しかねえよ」

 

 

 だったらきちんと避妊しろとな? 術式避妊(子種メガ●テ)してるじゃないか(白目。

 というか、アーシアの目が微妙に泳いでいる辺りを見ると、どうにも俺との関係を継続させるための布石としてその辺の事情を伏せていた感が。微妙に強かだよね、彼女。

 ……危険日とかは特に要注意だろうから、アーシアから強引に要求された時には断るべきかね?

 

 

 「と、というか、転校してきてから妙にそらくんに近いって思ってたらそういうことだったんですねっ? 私だけで充分ですっ! お2人はお呼びじゃありませんっ!」

 「おいこらアーシア、そうすると私たちがわざわざ悪魔にまで転生した意味は無くなるじゃないか」

 「せっかく表向きはグレモリー先輩の戦力を増やす、っていう名目を叶えたのに、それはないんじゃないの?」

 「知りませんっ。そらくんは、そらくんだけは私が……っ」

 

 

 む。妙に独占欲が強いな、……兵藤先輩がアレだからハーレムに否定的とか、そういうことかな?

 まあ、決めるのは彼女じゃない。

 

 

 「ぁっ!? はっ、んっ、はひぃんっ!? そ、そらくっ、いきなりっ、はげしっ、んぁっ!?」

 「悪いんだけどさー、俺元々は結構絶倫っぽいんだよね。まあそこはアーシアも実感済みだとは思うんだけど」

 「あっ、んひっ、はっ、はぁんっ」

 「そういうわけで、何人かで役処分割してくれればキチンと相手してあげられるし。其処を了承してくれないことには、やっぱりアーシアとは相容れないなぁ」

 「はっ、んっ、んっ、いっ、いやですぅっ、そらくんはっ、そらくんはわたしのぉっ!」

 

 

 強情め。

 

 

 「……じゃあ、耐え切れたら、ってことで」

 「んぃぃっ!?」

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 肌と肌の打ち付け合う、パンパンとした濁った音が反響しています。

 朦朧とした意識を起こしたのは、其れと合わせて耳に響く女性の嬌声でした。

 「あっ! んぁっ! そっ、そこぉっ! しゅごいのぉっ!」

 「おいおい、キャラが崩れてるぞ。普段の精悍さはどうした」

 「んほぉぉっ! らめぇっ! お●んちんでいっじゃぅううう!!」

 ――気づけば、隣で絶叫しているゼノヴィアさんが目に入りました。

 それを後ろから覆い被さり、ケダモノみたいに腰を打ち付けるのはそらくん。その手はゼノヴィアさんのお胸を鷲掴みにして、四つん這いになっている彼女を決して逃がさないと体中で表しているようです。

 「ほら、何処に欲しい? 言ってみろよ」

 「中ぁっ! 子宮の中にたくさん注いでぇっ! 赤ちゃんほしいのぉっ!」

 「そう直ぐにはできねぇっての」

 「っ、んひゅぅぅっ! ギダァァァァっ!」

 ごぷっ、と2人が繋がったところから濁った水音が溢れました。

 ……そういえば、ゼノヴィアさんはリアス部長の眷属入りを果たした時に、修道女であったままでは叶えられない夢、女性としてのあるがままの姿を叶えたい、と口にしていた筈です。

 子供を作り、家族を作り、旦那様を支えるという、ごく平凡でも女性としては憧れる『普通の夢』を叶えたい、と。

 リアス部長曰く、悪魔とは己の欲望のままに生きる者だとか。

 夢もまた欲望の一端、それを目標として妨げを振り払うのは、悪魔として正しい姿である、と。

 その時「まずは子づくりだな」と呟いたゼノヴィアさんへと向けるイッセーさんの目がイヤらしかったのは兎も角として、女性としては実に憧れる夢だと思ったのも確かです。

 ――白目を剥いて舌を出すくらい口を大きく開いた、だらしのないくらいに己の欲望に忠実に従ったケダモノみたいなアレが、本当に女子としての夢への第一歩と看做して宜しいのでしょうか……?

 「あひぃぃ……、はひぃぃ……!」

 「あーあ、もう飛んじまったのか。――あ。アーシア気づいた?」

 「は、はい……。あの、そらくん、わたし、一体……」

 と疑問を口にして、思い出しました。

 「っ、そ、そらくんっ、浮気はっ、ゃぁぅ……っ」

 自分がなんで気を失っていたのか、そして今の光景への抗議をと立ち上がろうとしたところで、そのまま崩れ落ちます。

 自分の体を支えられず、脚にも腰にも力が入らず、へなへなと這いつくばる自分に困惑しか浮かびませんでした。

 「な、んで……?」

 「いや、そりゃあアーシアが果ててからまだ30分も経ってないし、腰とかがくがくじゃんか。力入らないのは当然だって」

 そう云われて、思い出すのは直前までシテいた悦楽の記憶。

 繋がったまま水際より持ち運ばれて、プールサイドで大きく脚を広げさせられて、子宮へ届くくらいにガンガン押し付けられた容赦のない衝撃と快感。

 それでも求められることが嬉しくて、もっともっとと彼を抱きしめて、身体を放さないように脚と腕とを彼へと絡めて、腰がぶつかるたびに、子宮と脳の奥に火花が飛ぶくらいに熱く痛く弾けた感触。

 全身を走った嬉しい悲鳴に、自分が何を叫んでいるのかもわからなくなったその果ては、真っ白く塗りつぶされたのが最後の情景です。

 感覚がほとんど無くなってますけど、自分の股から熱い何かが溢れて零れてるような滑った粘度が覗えて、思わず動かない手を添えようとぷるぷると腕を廻しました。

 「~~んっ、ぁぅ、……っ」

 「ああ、処理したいの? 手伝ってやろうか?」

 へたり込んだゼノヴィアさんをその場へ置いて、腰を離したそらくんは彼女を跨いでこちらへ来ます。

 処理、とは一体……? と疑問を思う前に、彼の身体に抱かれて、廻した腕をそらくんは添えるように支えました。

 「ひぅっ、んにゃぁっ」

 「アーシアってほんとスキモノになっちゃったよなぁ。起きてすぐオナニーって、エロいなぁ」

 くすくすと哂いながら、彼はおっぱいもくにくにと弄りつつ、添えた私の腕を股間で擦りました。

 ぐちゅぐちゅとした粘り気のある濁音が全身へ響かせられているのがわかり、尚更恥ずかしくなるのに、それよりも彼に触られていることの方が嬉しくて、別の意味で身が捩ります。

 「ぁっ、ぁぅっ、そら、くんっ、う、うわきはぁぁっ」

 「まだ言うか。というか、そんな様でよく言えるね」

 それでも、と苦言を呈しても、確かに自分の有様では説得力は無いのです。

 彼を取られることは、普通に嫌です。

 しかし、彼が先だって一方的に告げた条件はクリアできず、私一人の躰では彼を満足させるには到底足りないことも確かみたいです。

 それでも。

 「それ、でもぉ、わたしだけぉぉ、みてほしいのぉ……~~っ、ひぅっ」

 「アーシア……重いわ」

 「酷いっ!?」

 直接に返された言葉に、思わず悲しい衝撃が身を苛みました。

 うぅ……、そらくんは酷い人です……。

 そう云う癖に、私の身体を弄るのを止めないのだから、決して魅力が無いというわけでは無いはずですのに、なんで私だけ、と操を改めてくれませんか……!

 そりゃあ私も悪魔になった身ですから、修道女であった頃の常識が通用しないのは分かりますけど、そらくんは人間じゃないですか……。

 ……人間ですよね? 今夜間なのに、なんで(悪魔)を体力的に圧倒出来てるんです……?

 「うわぁ……、ゼノヴィア凄いことになってる……」

 疑問符が浮かんだところへ、イリナさんの声が届きます。

 振り返ると、………………何故か犬耳を備えたイリナさんが、そこに。

 「そらくん、こういうのって好き? わんわんっ」

 腕を、ワンちゃんみたいに服従のポーズで揃えて、おっぱいを挟んだイリナさん。

 実に変態的に誘惑してきますが……、――ふっ、甘いですね。

 そらくんはイッセーさんみたいな変態さんでは無いのです! 例え私一人では満足できないと口にしようとも、私以上のボリュームがありそうなおっぱいを見せつけようともっ、安易な変態プレイで流されるようなら今私は苦労してませんっ!

 「……うん。嫌いじゃない」

 「やぁんっ♪」

 ――イリナさんの乳房へと伸ばされた手は、嬉しそうに声を上げる彼女に容易に受け入れられました。

 そらくんっ!?

 えっ、あの、わたしまだ身体に力が入らないんですけど、放置っ!?

 「どうして欲しい? ゼノちゃんみたいにバックでやる? それともアーシアのみたいな種付けプレス?」

 「あっ、んっ、まずはぁ、キスして?」

 「犬だろ? ぺろぺろ舐めるのはお前じゃない?」

 「んひゅふ、じゃあ、しちゃおっかな♪」

 私の見ている目の前で、イリナさんはそらくんの唇をぺろぺろと舐ります……!

 ……やだ、やです、けど……、ずるい……!

 「そら、くん……!」

 「アーシア、暫く見てろ」

 「んちゅっ、んむぅ、ねぇー、余所見しちゃやだぁ」

 こ、この泥棒猫……! いや、雌犬ですけど! 調子乗ってますよね……!?

 ……良いでしょう、その喧嘩、買いますよ。

 身体が動くようになったら、絶対そらくんを奪い取るんですからぁ……っ!

 

 




プール清掃なんて無かった

あとスタイルの参考にソシャゲイラストを採用しています
カード画像集、で検索すると割とすぐ出てくるので皆さんもご覧アレ

それとお前ら仲良くしろよ


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☆「イリナちゃんがprpr」

総数33票無効票2票。内実はエロを期待する変tゲフンゲフン紳士の皆様方が19票と最多でした
今更ながら、俺の取るアンケはハーメルンでは異様な集客率を見せている気がする…怖っ

そんなことぁさておき、連続エロ回となりました
頑張れ、俺(白目


 

 事実上、今夜抱く女子がこれで3人目と相成るのだが。此処の処、鍛冶はシタものの特別魔力を消費したという程働いてはおらず、消化する機会を図っていたのも事実ではある。

 要するに、まだまだ元気なそらくんはイリナちゃんとのわんわんプレイも望む処だ! と言いたいわけで。

 「わんわんっ」

 期待した目でイリナは見下ろす。

 プールサイドで犬耳少女とか、いつかの俺ならば忌避していたであろう愛玩動物を冒涜するかのようなこの所業。

 ――しかし、人とは成長する生き物である。

 レモンイエローのビキニは小さ目なサイズが仕様であるらしく、視覚情報だけではっきり大きいとわかる2つの膨らみを零さないようにと下からも食み出さないように支えている。

 それをイリナは、むぎゅっとお犬様服従のポーズみたいに両腕を備えた。

 結果、挟み込まれた乳房は元より結構大きいので、牧場で出来立てのモッツアレラチーズみたいに柔らかくぽよんと変形し、布から上下の乳肉が食み出る始末。

 付け耳の可愛らしさとか割と最早どうでもよく、零れ落ちそうなその色気に思わず手を伸ばした俺はきっと敗北者の(てい)なのであろう。

 俺実は犬派とか、この瞬間には気にしないことに決めた!

 「ゃぁん♪」

 語尾にかっこはぁとかっことじ、と副音声が聴こえそうな嬌声。

 男の誘い方を、この数日でどうやって把握して来たのやら。

 

 イリナの着ている水着はゼノヴィアの着ていた三角ビキニと同タイプのモノだが、彼女自身の筋肉の張りはゼノヴィアのようなスポーティな雰囲気を醸すに些か届かない。

 実際に触って揉むことで把握できるのだが、ゼノヴィアと比べるとサイズは同じなのに感触はイリナの方が若干柔らかめだったりする。

 多分、肉付きそのものはイリナの方が多めなのだろう。

 だというのにサイズをゼノヴィアと同じそのままで選んでしまったのが敗因か、乳の稼働率はこの場の3人の中でもかなりぷるんぷるんと躍動感が溢れていて、水辺で動こうとするならば今にも零れ落ちそうなくらいだ。

 誰だ、前回そのままレジャーへ行けそう等と宣ったのは。……俺だ!

 むしろグラドルじゃねぇか、歌手グループにこんなん混じってたら周囲と反りが合わずに即脱退してAVに転向してるわ!

 

 正面から食み出る乳肉に手を伸ばし、指先が沈み込む感触を楽しみつつ、もちもちと布がずれるのもお構いなしに揉みしだく。

 「んっ、はっ、あん、んぅん、ひぁんっ」

 触れる度の感度は良好で、飛び出したピンク色の先端を指で刻むように弾けば、その都度小さな悲鳴がイリナの口から息をするように漏れた。

 丸く大きな、先程も言ったような出来立てのモッツアレラチーズみたいな柔らかさを、とても一介の女子高生が得ているとは思えないプロポーション(サイズに自慢の在るおっぱい)を堪能しつつ、肌蹴た谷間へと(うず)まりたい欲求を自制……出来なかったぁ!

 「はぁんっ♪ そらくんっ、だいたぁんっ♪」

 ぱふぅ、と柔らかい乳房のクッションが埋もれた顔を優しく包み込むのは、やはり『母性(きょにゅう)』があってこそ為せる業。

 (うず)もっても指先は静止せず、彼女の成長著しい柔らかイリナっぱいを思う様に味わうのであった。

 

 しかし、それにしたとしてもこの世界の女子のプロポーションは一種異様では無かろうかと思うのだが。

 一部成長率の可笑しい例外が居たとしても、育っている者は育っているモノで未成年とはとても思えないくっそエロい人妻系の色気を醸し出しても居たりするし姫島先輩とか。

 オカ研の例外中の例外である見た目(だけ)は極上のグレモリー先輩とかを引き合いに出すのは反則だと思われるが、それでも負けていない色気でこの世界の女子らは僕ら(男子)を誘惑してやがる。

 ボクらはおっぱいに振り回され過ぎている、と口にしたのは果たして誰だったか。

 其れが過言だと若かった俺は想定していたが、現実は常に非情で、男子は勝てる見込みのない戦いを強いられていると断言出来るほどに決して過言ではなかったのだ。

 「んふっ、そらくんてば、赤ちゃんみたいね」

 座っていた俺を上から覗きこむ形で誘惑して来た犬耳イリナは、俺が自分の胸に夢中なことに実に満足しているらしく、慈愛に満ちた目で俺の頭を優しく撫でる。

 なんと情けない……。

 これでは実に敗北者の体ではないか、3人目でもまだまだオッケーと意気込んで女体へ飛び込んだ冒頭の俺は何処へ行ったのか。

 これでは放置中のアーシアなんかにも、呆れた目で見下げられること請負である。

 しかし、この時の俺はおっぱいに夢中になっていたので、アーシアは泣きそうな顔でこちらを覗っていただけであったことなど一切知る由も無かった。

 というか、気を引きたければご奉仕でもすればよかろうモノを。

 そんなんだからマグロなどと揶揄されるのである。

 まったく、情けない。

 

 閑話休題。

 

 話を戻すが、俺は特別女性の乳のみに執着するタイプでは無い。

 だが、時折誘惑してくるその果実に抗う術など、男子である俺には一切無いのだ。

 おっぱいとは無上の勝利者であり、巨乳とはその中のチャンピオン(最上の君臨者)であると幕張でも言っていた。

 男子である限り勝つことが出来ないのは、元よりアキラたんに捕食された時より知っていた事実では無かったのか。

 俺は何故、今になってもそれを自覚できなかった……っ!

 この世界でも、先立って知っていたグレイフィアさんの母性的爆乳とか保健室でのグレモリー先輩のアレとかに抗えなかった時点で、詰んでいた兆候など垣間見えていたではないか……!

 圧倒的……! 圧倒的敗北……っ!

 勝つ見込みは最早ない……! (おっぱい)に包まれた視界が悔し涙で歪む……っ!

 

 ――いや、待て……?

 まだだ、まだ光明はある……っ!

 

 今、俺はおっぱいを何と言った。

 母性と、そして、……愛と呼んだ……!

 その事実を思い返し、――ついに、悟る。

 

 愛とは、勝たなくても構わないモノでは無かったのか……!?

 

 不知火半袖なる大喰(グラトニー)幼女が、7億弱の悪平等(ノットイコール)の頂点として君臨する人外・安心院なじみへ告げた、勝ち負けで語れない心の天秤を正しく釣り合わせる一言だ。

 『正しい』とは『善』ではない。

 『正義』とか『悪』とかの後天的な概念ではない、ただ『間違っていない』という、誤りを改めるという為だけに在る定規としての『言葉』だ。

 それは『個人の話』を型に嵌めるための言葉では当然無く、周囲の測るモノすらも間違わせるわけにはいかない為にこそ存在する定義だ。

 故に、其処を本当に判断するべきなのは、個人の有り様では無く結果を想定して其処へと至らせる、道筋(プロセス)

 その言葉から今回把握すべきことは、勝利こそが目的では無い――。

 ――勝ち負けで語れるほど、男女の機微とは単純ではない……!

 

 その事実を悟った俺は――、

 

 「ひゃぅんっ!?」

 

 ――紫藤イリナの柔らかおっぱいへ、がぷりと噛みついた。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 どうも、絶賛放置中のアーシア=アルジェントです。

 用意された、なんて云うんでしょうねコレ、プールサイドに置かれていた椅子みたいな、いや椅子にしては随分とゆったりと寝そべることの出来るチェアー?と云うべきコレに寝そべっております。全裸です。

 先ほどまでは起き掛けで、そらくんにお、おまたをくちゅくちゅと弄られておりましたが、イリナさんが登場してからは本気で放逐され、イリナさんのおっぱいへとダイブインしたそらくんを涙目でご照覧しております健気な私です。

 やっぱりおっぱいですか。

 男の人はおっきなおっぱいに夢中ですか。

 ……私も最近は大きくなって来たみたいなんですけどね、ブラが少しだけきつくなった気がします。なんででしょうね? 食生活が改善されたお蔭でしょうかね? 日本食って美味しいですよね。教会に居た頃は本当に粗食でしたから。

 しかし、そう考えるとゼノヴィアさんやイリナさんの成長っぷりはちょっと納得がいかないのですが。

 教会の祖食生活であんなスタイルを維持できるとか、神様が喧嘩を売っているとしか思えない現実です(日本的表現)。

 あっ、神様はいらっしゃらないんでしたね。

 ……じゃあ運命ですか。ちっぱいというFate的な無常が働いていますか。

 そんなところばかり仕事してないで、もう少し私の生き方をどうにかすべきだったのではなかろうかと苦言を呈します。

 例えば教会前へと悪魔さんを放置するとか、そういう取って謀った様な差し回りには色々と言いたいことは止まりませんよ?

 ふふふ、最近小猫ちゃんとお話しするようになって、少しだけ日本文化を知ってきた気がします!

 

 おっと、ちっぱい同盟を結束するかどうかという話が流れた小猫ちゃんとのタッグマッチは今は別の話でした。

 今は勢い余ってイリナさんを押し倒したそらくんを中継しようかというお話でしたね。

 初めは母性の塊、まあリアス部長や朱乃さんと比べればまだまだ未熟ですが、年頃として見れば充分に大きなイリナさんのソレへと飛び込んだそらくんでしたが、途中、イリナさんが悲鳴に似た声を上げました。

 それを皮切りとし、制止を呼びかけるイリナさんを無視するように、夢中になって肉を貪るそらくん。

 野獣です。

 兵藤家へと預かってもらっている身で拝見させていただいた『てれび』で見た覚えがあるのですが、サバンナのライオンさんが生肉を屠る時だってもう少し優雅だった気がします。

 こ、此れがおっぱいによって目覚めた、そらくんの雄……ごくり。

 制止しようとするイリナさんは言葉を紡ぐことは直ぐに亡くなり、乳房を思う様に嬲られ舐られ齧られ吸われる、衝動の赴くままのその蹂躙に一つの音しか漏らせなくなっていました。

 すなわち、悲鳴。

 あっ、あっ、あーっあーあーあああああああっああっあああーっあああああーーーーーっ! と、まあこれまたトンデモナイそらくんが言う処のイキっぱなし蹂躙劇。

 悲鳴はプール中へ大きく響き、そしてその中に在る艶めいた喜色も隠し切れず、イリナさんは悦楽の泉へ1人溺れて逝く始末。

 いえ、最後に、と言った方が適切であったのかもしれませんが。

 私もゼノヴィアさんも、結果として似たような顛末でご臨終シテおりましたからね……。

 

 おっぱいを苛められるだけで、あんなに盛大に感じられるモノなのでしょうか。

 顔を埋めて齧りついて、揉んで引っ張って変形させて、啜って舐られて上下へ左右へ激しく可動することを止められるモノは何処にもなく、イリナさんの御胸はおもちゃのように嬲られるがままです。

 犬耳は、最早滑稽です。

 肉食動物、という捕食者をイメージしたかったのかも知れませんが、いくら受動型に見受けられようとも私たちを真っ先に開発したのはそらくんご本人です。

 受けでは無く攻めこそが、彼の真骨頂……!

 ……ところで、攻めの反対は守りだった筈なのですが、クラスの皆さんと話していると何故かこれらの単語が組み合わせて飛び交います。

 特にイッセーさんと木場さんとの話題になると、何故か多めに。

 ……日本語って、まだまだ難しいですね。

 

 そらくんを抱きかかえていたはずの腕はひとまとめに吊るすように抑えつけられ、組み伏せられ悲鳴が聴こえなくなったかと思いきや、イリナさんの唇を塞ぐそらくん自身のディープなキッス。

 プールとはまた違う水音がぐちゅぐちゅと響いて、逃れることも出来ないイリナさんは今度は口中を蹂躙されるという羨まコホンけしからんご褒美ンンッ……とにかく、そらくんは遣り過ぎだと思います。

 これ前戯ですよ?

 既に腰砕けなのは明白ですよね?

 イリナさんを殺す気ですか?

 やはり此処は最初の奥さんである誰かさんへと食指を向けるべきだと思うのですがー。

 そらくーん、私は手暇ですよー?

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 おっぱいを堪能した後は流石に高揚した気分の赴くままに、イリナの唇と口の中を舌で俺色に染め直すお仕事。

 うむ、愛とは勝ち負けでは無いが、セックスはやはり前戯が重要と偉人も言った。

 ……言ったよね?

 蕩け切って意識不覚のイリナを見下ろし、誰の言葉かと適当な思考を巡らせる。

 それはさておいても、絶叫と快感で熱気を放ち、薄ぼんやりと紅潮した眼差しでこちらを見上げるイリナは、自分から起きることも出来ないほどに身体に力が入っていなかった。

 思いがけなくイニシアチブを奪取し直したらしい。

 今ならば、犬耳に相応しいプレイを強要することも可能ではないか、と俺は己の肉棒をぼろんと顔先へ突き出してみた。

 「ほら、舐めろよ」

 犬だろ?

 と雌犬へフランクフルトを丁寧に舌拵えさせてみる。

 動作はぎこちないが、先ずは舌先をチロチロと出して、ゆっくりと舐め回す仕草が続く。

 その匂いは意識を起こす気付けにもなったのか、段々と目に熱が戻ってくるのが見張るごとにはっきりとしていた。

 その動作の隙間へと、ずいと肉棒を差し込んでみる。

 「……ん、む、くぷっ、んちゅ、んぶっ、じゅぷっ」

 拙いが、小さな口ではサイズが合わないのか、亀頭の先端だけを啜るイリナ。

 ナニを口にしているのかを認識できているのかは微妙だが、そろそろ自覚も出来るころだとは思う。

 「じゅむっ、んぶっ、ぷぇっ、ぇっ、ぇほぉ、ぉぇっ、ゃぁ、んゃぁっ」

 咥えるのを嫌がり、吐き出したイリナはまだ起きていない頭で子供みたいに愚図ついた。

 我慢汁とか、まあそういう先走りのアレが出たせいではある。

 精液は苦いし喉に粘つくしで良いとこないよ、とパイズリの後に宣ったのはゆーなだったか。

 彼女の弁を参考とするなら、確かに良いところの無い前戯だろう。

 むぅ、『ご奉仕』にはまだまだ遠いなぁ。

 「ぉえっ、ぇほっ、……ん、あれ……?」

 起きたらしい。

 じゃあ、とりあえず本番と往こうか。

 そういう意気込みで圧し掛かろうとしたところで、腰を掴む誰かの手。

 「そ、そらくん、私が、続きしましょうか……?」

 アーシアが後ろから、腰、というか肉棒へと手を伸ばして掴まえていた。

 やだ、この娘アグレッシブ……!

 「んむっ、ちゅっ、ほむっ」

 いつの間に傍へとにじり寄っていたのか気づかなかったが、マグロ返上の意識向上でもあるのか勧んでフランクフルトをじゅっぽじゅっぽと咥えだすアーシア。

 今回はもうイリナの独壇場かと思っていたが、顎が外れそうになるのもお構いなしに“おっき”を助長させる仕草は流石修道女連盟では先輩なだけはある。

 この子ってば、いつのまにこんなに成長して……と、丁寧な口遣いに目頭も熱くなる。

 遅ればせながら、それに気づいたのはイリナだった。

 「……? っ、ちょ、ちょっとアーシア? 今は私のターンなんだけどっ?」

 「んぼっ、じゅぽっ、じゅぽっ、っじゅっぽっ」

 「やめ、やめなさいっ、ていうか聞けっ!」

 肩を掴まれたアーシアが引き剥がされそうになるも、いやいやと咥えたまま頭を小さく振る。

 んぁっ!? その仕草、イイねっ!

 「~~っ、あーもうっ! じゃあ競争っ、それならいいでしょっ?」

 「んぶ、……じゅぽじゅぽっ」

 一瞬考える素振りを見せたが、即座に口遣いを続行させる。

 確かに、イリナの提案は良く分からないモノであった。

 「ふふん、見てなさい、アーシアが知らんぷりしてても、私の手を出せるところなんていくらでも余ってるんだから」

 何処か誇らしげに言うと、イリナは伸びている肉棒の横っ面を舌先で(まさぐ)り出した。

 最初と同じようにチロチロと、アーシアの顔が近づくのもお構いなしに、犬っ娘的舐め行為で根元近くを舐り出したのである!

 ぅっぉぉお……! 美少女2人でフェラって、男子垂涎の夢じゃね!?

 「んひゅ、むちゅっ、どぉう? きもちぃい?」

 「ぁあ……、気持ちイイ……。イイのもあるけど、見た目的にすげぇ……!」

 興奮して来た。あ。

 「じゅふっ、――むぶぅっ!?」

 咥えているところへ思わず発射したそれを、流石に不意打ち過ぎたらしく受け止め切れなかったアーシア。

 亀頭の先端くらいしか咥えられていなかった小さなお口からは、白く濁った粘液が収まり切らずに噴き出して彼女の口周りを手酷く汚していた。

 いやー、スンマセン。

 「うっわ……、あ、アーシアっ、タオル、使う……?」

 「……っ(コクコク)」

 言葉を漏らせないくらいに衝撃を受けたにもかかわらず、彼女は噴き出した以上のそれを零そうという行儀の悪い真似をしようとはしない。

 しかし、そのお蔭で無言のままにイリナの気遣いに頷くくらいしか反応が無かったのだから、むしろ反発心が無くていいんじゃなかろうかね。

 

 で、だ。

 自らを整えたアーシアと、状況をなんとか把握したイリナとが、改めて俺へと向き直るのだが。

 「……っ」

 「……!」

 互いに、そそり立った俺の股間を直視して、どちらからともなく生唾を呑むような嚥下がごくりと覗えた。

 その意味は、推して知るべし。

 「……い、イリナさん、お先にどうぞ」

 「ぇぅっ!? あ、アーシアが先でいいんじゃないかなっ! ほら、私愛人枠だしっ!」

 「それを言ったら私もそうです……、いえそうではなくて、ここはやはり経験の少ないイリナさんが存分に味わうべきかと」

 「先輩を立てるよー、年功序列っ☆」

 何故かお互いに譲り合うという、謎の席次転身が発生していた。

 つい先程まで自分が自分が、と喰い気味に売り込んでいたハングリー精神は一体何処へやったのか。

 あとイリナさん、あんた自分のキャラ見失いすぎじゃね? 星を付けるなよ、何処の姉ヶ崎だよ。

 「同い年ですし、ほら、私はさっき最初に充分愛して貰いましたし。主は仰られました、隣人へ己の得られるモノを差し出すことこそが、真の敬愛の精神足り得ると。この身になっても私は敬虔なクリスチャンであることを辞めた覚えはありませんし、それに、」

 「男の人に股開いてる時点で敬虔も何もないと思う」

 「~~っ、イリナさんだって人のこと言えないでしょう!? というかあなたのターンとか言ってたじゃないですか! そらくんも待ってますよッ、あなたこそ股を開くべきですっ! 右の女が犯されれば左の女も差し出せ、と主も仰られてますっ!」

 「云わないよっ!? あと誰が左の女!? 確かに先に犯されたゼノヴィアは相棒だけど、あんな馬並みの極太ち●ぽとか何回突き出されても直ぐに受け入れられないしっ! というかそそり立ち過ぎだよ!? アーシアが頑張るから凄くなっちゃったんじゃないのぉっ!?」

 どっちでもいいから、股を開け。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「つーか、聖剣使いが2人して悪魔に転生したって聞いたが、マジなのか?」

 

 

 レーシングゲームで鎬を削っていた俺へと、アザゼルさんなる堕天使の提督はそんなことを呟いた。

 世間話でもするかのように、こちらの事情を気安く問うてくる。

 やや警戒しつつ、なぜそんなことを聞くのかを不審に思いながら、俺はゲームを操る手を止めなかった。

 

 

 「……なんでそんなこと聞くっすか?」

 「世間話だよ。てゆうか、有名だぞ? 教会側が貴重な戦力として売り出そうとしていた使い手を、揃って悪魔へ転身させたとかいう情けない話だしな」

 

 

 けらけら嗤いつつ、おっさんは適度に弄りゴールイン。

 くそっ、また負けたっ。

 というか、なんでか知らんが敵組織のおっさんと教えられても、俺が態度を敵対させようという気にならないのが不思議だ。

 むしろどうすればいいのかがわからない、と言った方が良いのか。

 

 

 「悪魔側へ行くくらいならウチへ来ればいいのになあ。堕天、って言えば聖女側はそれっぽいじゃねーかよな? 例の、アーシア=アルジェントとかな」

 

 

 っ、こ、このオッサンそれが狙いか!?

 そういえば、アーシアを確保していたレイナーレはそもそもアザゼルに認めてもらいたい、とかって理屈であんなことをしてたんじゃなかったか!?

 前言撤回、充分警戒に値する相手だ……っ!

 

 

 「俺のアーシアも幼馴染も同僚も、堕天使なんかには絶対渡さねぇぞ! 堕天使だけじゃねぇ! ウチの女子は主様も含めて俺のハーレム候補だっ! 他のどんな奴がしゃしゃり出てこようが、絶対に簡単に差し出させるかよぉっ!」

 

 

 啖呵を切って睨みつけるっ!

 思わぬところで意思表明してしまったが、目前に在る美少女ハーレムを見す見す逃すとかいうへまは遣らかしたりしないぜっ!

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「ゃ、ま、ぁ、っぃにゃぁぁああああっ!?」

 ずぶり、とイリナの膣穴に極太の自身が沈み込む。

 処女以外を喰う経験は少ないから他所との差異は判別できないが、最初にアレだけ穿ったにも拘わらず、イリナの膣口は実に狭かった。

 ゼノヴィアを今日抱いた時にも思ったことでもあるけど、狭くて一回じゃ奥まで直ぐに届かない。

 血こそ出ていないモノの、何度も押し込んで広げて往かないと全部沈めるにはかなり手間取るのだ。

 一気に奥まで、と往けるほど浅い膣でもない。

 その点アーシアは浅過ぎて、全部呑み込ませようとすれば子宮も貫通しそうなくらいの掘削工事だ。

 俺のドリルは何処までも突き進むぜ!

 「~~っ、まっ、まって、そらくんぅ、おねがっ、まだっ、いっ、ひぅぅうううううっ!?」

 ひょっとしたらこの世界の女子特有の現象かもしれんね。

 創造神が処女厨の可能性が微レ存。

 あとは巨乳好き。

 まあ男子は基本巨乳好きだから、メインヒロインに据えられれば段々とでっかくなる自然現象が起こっても可笑しくない。

 そんな益体も無い話を妄想しつつ、腰を動かす。

 奥へ奥へと、捩じ込むぜっ。

 「ぁ~っ、~っかはっ、は~っ、む、りぃ……っ」

 イリナ曰く馬並みとのことである極太のコイツは、やはり簡単には据えられないらしい。

 というか、こつんと奥まで届いているのに未だ全部入りきらない。

 未成年である所為なのか、はたまた修道女は浅めという謎法則でも働いているのか。

 「無理じゃねーよ、まだまだイクぞっ」

 「ひっぎぃっ!? いひゃっ、あにゃぁっ!?」

 わんわんプレイは何処へ行ったのか、雌犬であったはずのイリナは襲われることを由としない雌猫みたいに悲鳴を上げる。

 が、俺を押し返すまでの抵抗は見せず、自由であるはずの腕なんかは大の字に放り出されたままだ。

 体勢はというと、腰を掴まえての正常位。

 寝そべり直したイリナへ、宗教的に正しい形での男女の上下関係が脈動を伴って、要するに暴虐的なち●ぽへ形を変えて襲い掛かる。

 動かすたびに揺れる乳房へ、何度やっても目を奪われるのは最早仕様である。

 しかし、そこまで嫌がられると少し寂しいなぁ。

 「なんだよ、嫌なのか? 辞めるか?」

 ぴたり、と突いていた腰を止め、どうしたいのか彼女自身へ問いかける。

 だが俺は知っている。

 最初の晩に、散々苛めたのに要求だけは辞めなかったイリナの欲求を。

 だからこそ、逡巡するような仕草で俺と目を合わせないようにという否定の意も、ただのポージングであることも。

 熱気に浮かされた眼差しで、嵌ったままの腰が組み合わさっている姿を覗いつつ、イリナは赤い顔のままふいと視線を逸らす。

 「や……やめない、でぇ……」

 要するに、マゾなのだ、この元修道女は。

 そしてそんな自分が恥ずかしく、直視できないからこそ悲鳴を上げて、しかし逃げることが出来ない。

 ……そんな心内を思うと、更に興奮する。

 「よし、じゃあ……オ、ラぁっ!」

 「ふぎぃぃぃっ!?」

 ずぷり、と全部が収まった。

 根元までしっかりと呑み込むことに成功したお利口さんなま●こは、ぎゅうぎゅうと俺の肉棒を食い千切るかのように締め付けてくる肉厚さで。

 沈み込んだ先っぽは子宮口の奥へと捩じ込まれたことは明白に、イリナの呼吸は本日何度目かの死にそうな喘ぎへと替わっていた。

 実に、ソソラレル。

 「あ゛、か、はっ、あ゛~っ、んあ゛ぁ~っ」

 「どうだ? 此れが欲しかったんだろ? 気持ちイイんだろ? ほら、言ってみろよ?」

 「んひぃ~、ぎもぢいいぃ~、おぢんぽぉ~、いいの゛ぉ~」

 はっきりとしていないだろうに、浮かされた意識のままに応えを促されるイリナに苦笑しつつ、俺は腰をねじ回し始める。

 「しっかり答えたな。じゃあご褒美だ、悦べよバカ女っ」

 「あ゛ひぃぃぃっ!?」

 夜の宴は、まだ始まったばかりだ。

 

 




こうですかね、わかりません(白目


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「元女子校の同級生の幼女の水泳授業の相方に俺がゲッツされた件について」

アンケ集計した時にはこっちを先に書き終えてたんだよ…
お蔭で連続投稿だ。最新話で漁っても混乱はしないだろうけど、直ぐ前はエロ回だから前話との温度差がアレ
ちょっと時間置いて読んだ方が良いかも知れんね
副題なっげぇよ!って机叩き折る23話


 

 

 「……もう一度言ってもらえるかしら、リアス?」

 「だから、プールの清掃を今年はオカ研(うち)が替わってあげましょうか? って……、何か問題でもあったのかしら?」

 

 

 何を言い出すのだろうこの能天気赤髪姫は、みたいな目で見られていることに気づかずに、我らが主は小首を傾げる。

 『何か問題が』? お願いする立場にある私から見ても、問題しか生まれそうにない発言だと思う。

 

 

 「……それで、こちらに何を要求する気?」

 「そ、そんな警戒しなくてもいいわよ。ただちょっと、清掃した後にプールを一足早く使わせてもらえたら、って、」

 「――は?」

 

 

 本気で阿呆な発言にソーナ会長から【威圧】が染み出てた。

 覇気に晒されてビクッ、と身を竦めるのは同じ部屋に居た匙先輩や隣のクラスの仁村さん。

 無論、ウチの主であるリアス部長もその剣幕には驚いたらしい。

 しかし、驚いているだけ、って感じで、今回の本題には理解が及んでいないご様子。

 お願いした立場ですけど、うちのあるじがなんかスイマセン。

 

 

 「リアス、生徒会の運営費用がどうなっているか知ってるかしら?」

 「え? えーと、学園から出ているのよね? ウチの代理だけど、理事長に立てた人間が表の立場で、」

 「知ってはいるみたいね。詳しくは今は良いけど、それがきちんと動いていると云う事を自覚しているのなら話は速いわ。

  ――その上で、貴女は今なんて言ったのかしら?」

 

 

 うわ、ソーナ会長剣幕凄い。

 今度こそヤバい話題に触れたと自覚できたのか、困惑を隠せないリアス部長。

 しかしやはり雰囲気だけでしか把握できておらず、言い返すことも無い部長へと、しばらく見ていた会長は溜め息を吐く。

 

 

 「……いいかしら? お金と言うものは使わなければいい、というわけじゃ無いの。使わない分はしっかり廻さないと運用にはならなくて、『貯めておく』という選択は采配される『資金』にはあってはならない事態だわ。そもそも、配分としてどの程度必要とされているのか、は先立って会議で決定する問題だからね。此処までは良いかしら?」

 「えーと、う、うん」

 

 

 要するに、国家予算を各自配分するようなモノと同じなのだろう。

 年内に使い切らなければ多量には必要ないと上は判断して、次年度からは削られるのが基本骨子、とか先日何故か烏丸くんが説明してた。

 数学の授業なのに、何故か。

 まあうちの学校の先生方の授業内容がアレなのは既知の事実だし、何もまちがってはいない(白目。

 

 

 「生徒会も、潤沢とは言えない予算をやりくりして、『次』が足りないと言い出さないように生徒活動に充てることで運用しているわ。其処に不備があっては、生徒の自治活動という『やり方』が『次』に通り難くなるの。立てている代表が私たちの事情を知っていたとしても、その周囲が全てというわけでは無いし、悪魔が正体を晒すことは決して正しくは無いから」

 「それは、わかっているけれど」

 「ええ、其れが分かっているのなら、――何故目立つようなことを繰り返すの、貴女は……!」

 

 

 語気が、強まった。

 やだ、コワイ!

 

 

 「き、貴族は領民の手本となるべく、相応に優雅な生活を披露する必要が、」

 「此処は日本で貴女は学生! いい加減に特別扱いを享受するだけの生活態度を改めないと、生徒会としてもオカルト研究部を擁護できるわけがないでしょう!?」

 「よ、擁護?」

 

 

 気づいてなかったのだろうか、この人……。

 

 

 「部長、私が説明することでもないのですが、こちらがいち部活動派閥である以上『生徒会』は『私たち生徒を纏める組織』という枠組みです。名目上は正規扱いにもならない、活動内容が不明瞭な『オカルト研究』という部活動名を掲げている以上、贔屓目で扱われていることは既に他の生徒にも知られていることですし、これ以上の特別扱いを要求したら……まあ、いち部活動をわざわざ槍玉に挙げるような暇人が早々居るわけはないかもしれませんが、人目を憚るような目を向けられるのは確実でしょうね」

 「……小猫の言ってることがよくわからないわ」

 「そんなんだから学園裏サイトで色々言われるんですよアナタ」

 「色々言われてるの!?」

 

 

 主に、【脳筋】とか【恋愛脳】とか【男子のオ●便器】とか。

 まあ此れはどうでもいいことだから放置でもイイだろう。主に少ない男子の視線を集める為に妬んだ一部同学年女子(お姉さま方)からの心無いカキコだろうし。其処に何らかの影響力なんてものは見当たりそうにもないし。

 同じように裏サイトを巡回し把握していた朱乃さんが、リアス部長を宥めつつ言葉を選んでいた。

 

 

 「とりあえず、支取会長が言いたいことはこう云う事だと思いますわ。6月とはいえ中々に暑い日が続くとはいえ、まだプール開きも決定されてない状況で先走って一部の生徒が勝手に学校施設を使用しようとしている、という利己性へ訴えかけられそうな他の生徒からの懸念。ということかと」

 「ええ、と……?」

 「……要するに、私たちだけが一足早くにプールを愉しむというのは、羨ましがられて意識的に反感を買うのでは? と言いたいのでしょう?」

 

 

 最後の言葉は会長へ向けたモノだ。

 というか、本当に部長の理解力が及ばないのがどうにかして欲しい。

 朱乃さんもせっかく色々オブラートに包んで言い方を選んでいたのに無駄足である。

 おう、お前高3やろ?

 

 

 「そ、そう云う事なのね。それなら、私たち(悪魔)の魔術で意識を操作すれば、」

 「見る者だけが全てでは無いのに、其処だけにしか及べない認識操作で何をどう動かそうというの貴女は。というか、その認識阻害に頼るやり方はいい加減に止めなさい。重ね掛けして効果がどこで薄れるかわかったモノでもないわよ」

 「」

 

 

 会長の攻撃! クリティカルな言葉が部長の胸を抉る!

 いっそもう少し物理的に抉れたらいいのに。

 

 

 「それと、清掃後を使用したいと言ったけれど、プールの水は一朝一夕に貯まるはずがないでしょ」

 「そ、それは魔術で大量の水を……」

 「さっきも言ったけれど、というか先に言おうとしたことなのだけど、其処に出る筈の公共料金(水道代)が消えると云う事が何処にどういう影響を与えるモノなのかを把握できないのなら、迂闊な発言は今後控えるように。帳簿改竄を彷彿とさせるような裏技で水道代を削れて意識的には良好でも、結果としては消費するはずだった費用は何処に廻ったのかという懸念が恒久的に記録されることを貴女はまだ理解できていないの? 余計な仕事が増えるのは確実に私たちや学校運営に携わる方々なのよ? 胃腸へのダイレクトアタックはもう沢山……!」

 

 

 あれ、その言い方だと既に何らかのストレスが会長の身に被さっているような気配なのですが。

 言い負かされて背中が煤けている部長に代わり、私が気になったので問うてみることに。

 

 

 「何かあったのですか?」

 「先日のコカビエル襲撃に連なる件で、聖書関連の三種族会談がこの駒王学園を舞台にすることに決定されたのです。……4名いらっしゃる魔王様方の代表として2名、サーゼクス=ルシファー並びにセラフォルー=レヴィアタンのお二方がいらっしゃることに……」

 「……ああ」

 

 

 確か、会長の姉がセラフォルー様だったはず。

 噂の『魔王少女』が来るのか。

 ……それは胃痛も痛くなる(表現重複。

 

 

 「え、お兄様も?」

 「むしろ、サーゼクス様が先立って代表としていらっしゃるはずでした。セラフォルー様は、その、無理矢理自分から組み込んできたというか……」

 「ご、ご愁傷さまです」

 

 

 部長の疑問に応える以上に、会長のストレスが姉妹愛でマッハ。

 うちにも似たような姉が居たので、ちょっと共感を覚える今日この頃。

 

 

 「……朱乃、ソーナと小猫が私を無視する……」

 「サーゼクス様からは一応連絡は入っていますわよ? あと、何故か私のところに天界のミカエルさまからも連絡が。……(バラキエル)関連かしら」

 「そ、そう。この分だと、堕天使からも何らかのアクションが在るのかもしれないわね」

 

 

 一瞬でハイライトさんがお亡くなりになった朱乃さんを気遣う気だったのか、廻って来た話題にそれっぽい予測で乗っかる部長。

 そんな堕天使は総督が動いていた、と帰宅した兵藤先輩より教えられたのは、わりと直ぐ後のことだった。

 

 そんな話があった、昨夜の話。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「――そんなわけで、先走らせてもらいますけど数日後に控えたプール授業では烏丸くんの相方は私がゲットです。泳ぎ方を教えてくださいお兄ちゃん」

 「待て待て、体育の授業だよな? 男女合同なの?」

 「男子が少ないのでいっそ混ぜよう、という先生方からの提案だそうです。あとスルーは酷いと思います」

 

 

 普段他人のボケをスルーしてる身で何を言うのか。

 俺はそう呼ばれて悦ぶ人種とは違うと、以前にもツイートしたはずなのだが。

 そして先生方、というよりはなんか別方面からの横槍が入った気配がぷんぷん匂う。

 これまでは男女合同なんて微塵も無かったのに、水泳の授業になって何故今更。

 まるで、自分の想う様に行かなかった懸念を解消するために、力の使い方を斜め上へ修正した誰かさんが教師の意識改竄を促したかのような、そんな教育方針の急速旋回具合だ。

 ……まさかな。

 

 

 「此処だけの話、リアス部長が先生方へサイミン=ジツでオハナシしたそうですけど」

 「やめて裏話聞かせないで」

 

 

 想定した事態がガチだった。

 犯罪くせぇ、というか、あの人はむしろ体格的にも催眠掛けられる方じゃねぇのか(エ●ゲ風味。

 

 

 「まあまあ、いいじゃないですか男女合同。男子は歓んでますし女子も、一部は沈んでますが反面喜色も混じってますよ。主に健康的な肉体美が無料鑑賞できると云う事でふひひ」

 「オッサン発言やめぇー。というか、ターゲットが絞られてる気がするのは、……懸念で済みそうにねぇな。あと沈んだ一部女子ってのが無駄に気がかりなんだけど」

 

 

 こう、嫌な予感が腐臭を伴ってて、

 

 

 「おや、気づきましたか。まあ烏丸くんは基本攻めだそうですから、大丈夫ですよ」

 「ナニが!?」

 

 

 塔城の友人関係を一度改善した方が良いのではないかと、ちょっと思う。

 むしろこの学園の女子の有り様をどうにかできやしないモノかとも。

 

 さてそんな話はさて置き、いい加減に気になっていることを問うてみたいと思うのだが。

 

 

 「――で、朝から俺の隣の席に置いてあるこの段ボールは何なんだ」

 

 

 ご丁寧に椅子の上へと鎮座(ましま)しておるダンボ。

 閉じた蓋の上から覗き込めば微妙に震えるし、なんかナマモノが入っている気配はするのだが、変に静かなので問いかけるタイミングがつかめやしねぇわけであった。

 ちなみに今は昼休みだったりする。

 

 

 「ああ、やっと突っ込みましたか。このまま放課後まで放置プレイなのかと」

 「ツッコミ待ちを呼ぶには難易度高ぇよ……、つーか開けるぞ? 時間的にもクラスメイトらも待ちぼうけ喰らってんだし、いい加減にお披露目する頃合いだろうよ。今日は先輩方も来ないみたいだし」

 

 

 というか、学校来てんだろうか。

 腰が砕けている可能性が微レ存。

 

 

 「そうですね、時間的にも丁度昼ですし、エサやりにもタイミングは間違ってませんし」

 「ナニ? 犬猫? 仔犬系の何か? むしろ犬なら大歓迎」

 「えっ」

 

 

 おう、俺が犬派なのがそんなに異論有るのか。

 そういやこの世界って『らぶらぶアニマル』も無かったんだよな。ようやく始まった竹村あんじゅの犬コーナーエッセイも読めないという絶望。

 何が何でも元の世界へ戻らなくてはならないと、心に決めた一件でもある。

 

 そんな心意気のままに、段ボールの蓋をぱっかーんと開く。

 閉める。

 ……?

 もう一度、開く。

 目が合った。

 

 

 「誰だコイツ」

 「ギャスパー=ヴラディ、同級生です。ギャーくん、と呼んであげてください」

 

 

 中に納まっていたのは、肩口まであるストレートな金の髪にアメジスト(紫水晶)の瞳を持つ少女……間違えた男か。

 しかし、幾ら小柄でもダンボに納まるとかってどういう物理法則が働いたらそんなんなるのか。

 エスパーか。エスパー伊●か。

 

 

 『うっぉおおおっ!? 美少女! 美少女が増えたぁっ!』

 『やったぜ勝ち組じゃねぇかこのクラスっ!』

 『クラスメイトが増えたよ! やったね斎藤くん!』

 

 

 外周にて様子を覗っていた男子らがドッと沸く。

 いや、少年だから。気づけよお前ら。

 ……まあ、箱の中に納まっている服装見た感じ、女子制服着用してるから勘違いしても無理ねぇか。

 俺? 骨格見れば判るでしょ。

 そして密かにフラグが立ってる斎藤くんに、敬礼。

 

 

 「で、なんでこんなんなってんだコイツ」

 「極度の人見知りで対人恐怖症も相俟ってコミュ障も併発してます。トレーニングという名目で昼の学校へと連れ出したのですが、結局自分から動こうとしなかったのでイマコレです」

 

 

 これでホワイトカラーにレッドアイならば子兎認定も容易かったのですがねぇ、と他所の話を持ってきて続けた塔城。そういうことじゃなかろう。

 というか、引き籠りの連れ出しをしたご本人の言うセリフとは違う気が。

 ふぅむ、しかし微妙な既視感。

 引き籠り、コミュ障、対人恐怖症、見た目美少女……なるほど、森久保か。

 

 いや、そうじゃなくて、必要なのは経緯だろ。

 

 

 「転校生、とは違うのか」

 「引き籠りです」

 「こ、小猫ちゃん酷い……」

 

 

 小刻みに震える美少女(見た目)が涙目で呟く。

 その小さな抗議に目線を向ければ、更に小さな悲鳴と共にダンボへと潜り込んでゆく小動物系同級生(2人目。

 目が合っているうちに、にっこりと微笑って警戒心を解くお手伝い。「ヒィッ!?」

 

 

 「……塔城、なんだか更に怯えられたんだけど」

 

 

 より強い悲鳴と共にダンボへと収納された小動物系同級生2号の姿が其処に。

 解せぬ。

 

 

 「烏丸くんは正直見た目がかなりチャラいですから。自分とは違う人種で忌避感が先立ったのかも知れませんね。差し詰め、街中のナンパ野郎に怯える清楚系少女の如く」

 「塔城の言い分がことさら酷い件について」

 

 

 誰がシブヤ系か(言ってない。

 

 

 「おうおう、どけどけぃ烏丸っ。美少女怯えさせるとか口ほどにもねぇやつめっ」

 「ギャスパーちゃんだよね、初めましてっ、紅のスーパーガイ・橋爪ですっ」

 「同じく外神田ですっ、よろしくぅ!」

 「新宮坂だ、ふん、よろしくな」

 

 

 色々とキャラ付けを終えたらしいクラスの男子が、歓楽街の客引きみたいに顔出しを開始した。

 クソうぜぇホスト臭がぷんぷんするぜ……。他人の失敗を見計らってモブが湧く湧く。

 ――吹き狂え、元素の、彼方まで……っ!(舌打ち。

 

 

 「ひぃ、いっ、いやぁああああ!?」

 

 

 少女みたいな悲鳴を上げて、ヴラディなる小僧は詰め寄る男子らから逃げ惑う。

 が、普通に考えて、段ボールとか完全に逃げ場がない。

 しかし、其処にて何故か、俺の障壁が発動した(・・・・・・・・・)

 

 

 「――あ? おい塔城、あの小僧まだ他になに、か……塔城?」

 

 

 気づけば、――クラス中の『なにもかも』が静止した世界。

 教室内で動いているのは俺とヴラディのみで、時計の秒針すらもその動きを()めていることをも把握して怪訝に思う。

 何がどう働いてこうなった(・・・・・・・・・・・・)

 

 

 「っ、ひっ、いぅっ、な、なんであなたは動いてるんですかぁっ……!?」

 

 

 怯えた顔のまま、ヴラディはこちらへと問いかける。

 なるほど、お前か。

 

 

 「無差別な存在凍結……? ていうか、時間干渉だよな……。マジか、マジか……!」

 

 

 無差別ってことは制御が未熟、ネギ君みたいな感覚に近い魔法制御。広範囲ってことは認識上の絶対線が及ぶ範囲内と云う事だから、要するに視界に納まった射線上が術式の対象内ってことか。

 そして超りんのカシオペアで再現が近しい性能ってことは、原作を準拠すれば並行世界移動への希望が見えて来た……!?

 

 

 「おいちょっとヴラディ、少しでいいから解剖させろ!」

 「いっ、いやぁあああああああ!? 唐突に命の危機が差し迫ってきましたぁあああああ!?」

 

 

 ほんのちょっとだ、先っぽ、(眼球の)先っぽだけでいいからっ!

 

 

 





~前半部分
 原作準拠です
 プール回のアレコレはリアスさんが先走った所為だと推測。置いてきぼりになるのも無理のない仕様
 真面目に考察すると屋外プールで掃除後に直ぐ泳ぐことは不可能で、保健所とかにも申請が必要とかって聞いた記憶が。大腸菌がどうのこうのでひと夏の使用が中止になった小学校もあったそうです。南無


~竹村あんじゅ
 犬神使い・武村恭一朗のPN
 東中野在住40過ぎの髭面ヒッピーなオッサン。顔は怖いが内面は優しい動物好き。使っている香水はシャネルのエゴイスト。血液型はB型
 フリーライターを務めており『らぶらぶアニマル』では専門のコーナーを用意されるくらいには読み手が居たりする。烏丸がD×Dへ来る前には犬コーナーを取得した、とご本人からのメールで知ったらしい


~なるほど、ぼののか
 違います。


~ギャスパー=ヴラディ
 聖剣使いを2人取得したことで上の方からお達しが下り、色々と騒動の尽きない駒王にて封印指定であった彼を解放することが出来たとかいう話をキングクリムゾン!結果だ、結果だけが世には残る…!
 納得いかなかったら世界補正とか、そんな理由でもいいや(やっつけ
 さらっと登場した吸血小僧に理不尽な烏丸の魔の手が迫る…!(え?こういう意味と違う?マジで?)


~今更というわけでもない烏丸の見た目おさらい
 色黒→日焼け肌
 +
 白髪→染めてる?
 +
 成長上必要だった修練の結果→細マッチョ
 =陸サーファー。周囲からはこんな認識


~吹き狂え、元素の、彼方まで…っ!
 ――万雷撃ち轟く雷神の嵐(ミョルニル)ッッッ!!!
 …そんなことより妹神様の2巻はよ



はい連続投稿終了。エロと比べると文字数少なめになっちゃったなぁ
次回は皆様ご存知授業参観。ん?今思えばギャスパーフライングしてね?
お楽しみに


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「お前を信じる、俺を信じろッ!」

副題も原作読み返しすらも曖昧で適当な24話です


 

 

 「――心に思うがままの姿を、その造型へと当て嵌めてください。芸術で繋がるコミュニケーション――そんな英語があっても良いと、私は思う。レッツトライ!」

 「「「レッツトライじゃねぇよっ!!」」」

 

 

 俺もそんな『英語』、知る範囲でだが聞いたことも無いな。

 眼前に粘土の塊を『英語の授業』に用意された時は何事かと思ったが、赤龍帝のを筆頭に何人かの生徒らがツッコミを入れている以上はこの学園特有の『一般教養』の類なのだろう。

 経営はグレモリーが裏で采配を下しているという噂もあるくらいだから、此れだから悪魔という奴は、と呆れた感想しか湧いてこなくもなる。

 

 駒王学園へと通うようになって早くも3週間が経過したが、当初の目的だった槍の神器遣いとは未だに顔を合わせていない。

 というか、詳細を探ってみたところどうやら下級生らしく、編入する学年を間違えたらしい。

 悪魔の跋扈する学園内だから情報を仕入れられないのは仕方のないことだと思われるかもしれないが、此処を占有しているのは他でもないグレモリーだ。

 自身の支配権に堕天使が乗り込んでいても下手に接触しようとしなかった実績を持ち、結果として後手に回りアーシア=アルジェントの命の損失と直接殲滅で堕天使下位組織20数名を葬り去ったあの(・・)グレモリーだ。

 『魔王の妹』という手札を筆頭に悪魔社会内ですらも様々に伝手があるのだから、それらを駆使して早い内に堕天使総督などを筆頭に各方面へと報告してやんわりと遠ざけることも可能だったはずなのに、みすみす被害を広げた『実績』を持っている脳筋娘だ。

 ついでに言うと、堕天使が領内で神器所持者を狩っているのに見逃すほどの情報のザルっぷりだ。

 結果として赤龍帝を死なせてしまった被害も、悪魔に転生させたからと言って見逃せるような記録(ログ)では無い。

 そんなグレモリー領内で情報を見逃す?

 ありえない。

 要するに、件の彼は悪魔側へはほとんど認知されていない、非常に秘匿能力が(恐らくは本人のが)高い人物だということだ。

 外周から覗って、余計に下手に接触するわけにはいかないと判断するに至る。

 

 ――が、それとこれとは別問題だと思うんだ。

 

 分厚い瓶底眼鏡で隠れた目線を、ちらりと教室内で無駄に目立っている赤龍帝のへと向ける。

 一心不乱に女体の立像を作っていた。

 お前さっきはツッコミ入れてたじゃないか、順応性高いな。

 というか、お前が育てるべきスキルはそういう方面じゃなくて戦闘方面だろうが、まだ目覚める予兆も無い赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)が草葉の陰で泣いてるぞ。

 アルビオンが言う処の俺のライバル、とやらの有り様に知らぬうちに嘆息が漏れた。

 

 最初にコカビエルを単独で撃破した様を見た時は心が震えた。

 が、それと同時にアレは決して敵対してはいけないモノだ、と理解も出来たのだ。

 だからこそ、コカビエルを回収するときも素顔を晒さず、赤龍帝のが覚醒していないことも相俟って用事を片付ける方面のみで事態の収拾を図った。

 その帰り道に『禍の団(カオス・ブリゲート)』という芳ばしいネーミングの一団にスカウトされたりもしたが、旧魔王と分類される真魔王等と自称する一派まで加わっている以上は適当なところで潜入して見切りをつけるべきだと思う。

 というかアザゼルに報告したときに、潜入捜査を促すような演技で適当に乗り切れ、とも指示されていたりする。

 恐らくだが、堕天使の中にいるコカビエルみたいな戦争賛成派のような奴らの受け皿になっている可能性も考慮して、内憂外患を捌く時間稼ぎも兼ねているのだろう。

 話が逸れたが、俺自身強者と戦闘し強さを重ねたいという願望があるにはあるのだが、その目標の途上としてこの俺ヴァーリ=ルシファーの祖父に当るリゼヴィム=リヴァン=ルシファーを討伐する、というモノがある。

 それを可能とするために旧魔王派閥、要するに前魔王の子孫の1人(リゼヴィムら)が名前的に組み込まれていることが確実な集団に属するとか、寝言は寝て云えとしか言いようがないのだ。

 いくら自己の研鑚が目標とはいえ、いや、だからこそ其処に余計な『澱』を組み込んでショートカットを果たそうとするほど短絡的になる気は無い。

 それに最初にも理解したことに繋がるが、件の槍の神器遣いは正直、俺の想う『強さ』とは全くの別ベクトルの存在のような気がしてならない。

 例えるならばアレは殲滅兵器のような、利己的で計算的で相手の感情を一切配慮しないタイプの『強さ』だ。

 何かと敵対する以上はその心内もまた必要な分野かもしれないが、彼の場合は恐らく『戦いに赴く』という『前提』が無い。

 『相手の目的』を阻止する方向へ計を積むタイプであり、だからこそ実力が全ての『この世界』においては、四つに組むことすらも遠い存在。

 武術家のように練磨と研鑚で鍛え上げる精神性を一切排除した、ただただ敵が目の前に来たから切り崩した、と云わんばかりの作業(・・)

 あの時目にした『コカビエルの排除』からもその志向は覗えたので、俺の推測は間違っていない筈だ。

 同時に、祖父リゼヴィムと似たようなタイプだとも思ってしまった。

 その点を自覚してからアザゼルへと直通したのが、結果的には最良であったのだろう。

 自身を冷静に見つめ直すことが可能な隙間を得られたお蔭で、どう考えてもテロリストにしか思えない集団に後ろ盾も無く合流しようとか思わなくて済んで良かった。

 敵がいないことは目標上嘆かわしいが、『途上の目的』すら達成出来ように無い横道に逸れることは迂回路にしても進む意義が無い。

 件の一団は『集団の目標』が何処かに定まっているのかすらも怪しいので、それならば俺に追従できる『個人』を牽引しても問題では無いはずだ。

 精々引っ掻き回して時間を稼ぐとしよう。

 

 そんなこと(未来)はさておいて、駒王に通うようになった経緯だが。

 ――どうにも、アザゼル(養父)に嵌められた感がしないでもない。

 

 初めは、件の槍の神器遣いを見張る名目でアザゼルに打診された編入であった。

 編入というよりは潜入に近いし、事実悪魔側から俺への接触は一切無い。

 魔力の隠し方をしっかりと出来ることの確認も兼ねてと云われていなければ、学園の外での接触まで図っていたかもしれないし、結果としては問題は無かった。

 だが、それならばやはり最低限度の情報収集はあって然る筈だし、何より赤龍帝のと同じクラスに編入された、という部分が一番納得がいかない。

 ……やはり、これはアザゼルが俺に集団生活とか社会性とか倫理なんかを学べとの、遠回しなメッセージなのではないかと思う。なぜならば――、

 

 

 『――おっと、すいません。いやぁうちの娘が可愛くて、この通り最新式のビデオまで買っちゃいましたよ!』

 『ほほぅ奇遇ですなぁ、うちも同じ理由でコレです。部下たちからも、晴れ姿を見せろとうるさいもんで』

 

 

 ……教室の後ろの方で、他の生徒の親御さん(というか、赤龍帝のの父親に見える。娘というのは、アーシア=アルジェントの事か?)とハンディカム片手に談笑しているアザゼルの姿があるからだ。

 まるで『親バカ』の如く、ひとが粘土目前にどうにも出来ない様を見るのがそんなに愉しいか。

 というか、仕事はどうした堕天使総督……っ!?

 

 

 『――月に牙を穿ち天を衝け! ギガ・ドリルぅ!!!』

 

 

 ――葛藤した次の瞬間、そんな絶叫と共に爆音が校舎階下の方から響いた。

 おい待て、何の騒ぎだ……?

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「えー、諸君らにとって非常に残念なお話があります」

 

 

 一学年英語担当の安田先生が、授業開始に開口一番に切り出したのが始まりだ。

 

 

 「一学期分、終わっちゃったんだよね、英語……」

 

 

 非常に言いづらそうな感じで、目線逸らしつつ呻く安田先生。

 確か、今日の授業参観は英語が……、え? どうする気?

 

 

 「スマン! 俺の授業の進め方が超上手いからこんなことになっちまった!」

 「先生、それは上手いと言えるんですか?」

 「きょ、今日の英語は仮眠とします!」

 「「「ダメ教師だ!?」」」

 

 

 授業参観だよ?

 自習にするのもアレだとは思うけど、仮眠て。

 

 

 「よし! みんな大好き安田先生への質問コーナーにしよう! 特に女子! どしどしご応募しやがりください!」

 

 

 オナシャス!としょうもないことを続ける安田(先生)。

 もう駄目だこの先生。

 あと私春日部先生の方が好き。

 

 

 「先生休日何してんの?」

 「安田先生どうして教師になろうとしたの?」

 「安田はどうして女子高生とか好きなの?」

 「せんせーせんせー」

 

 「男子は黙ってろ!!! 二次性徴終わりきってない可愛らしい声音で囀るんじゃねぇよ!?」

 

 

 男子onlyで質問コーナーは和気藹々と進む。

 クラス単位でどうしようもない気がしてきた。

 あと、どう考えても二次性徴終えてるっぽい烏丸くんが「うそ、俺変声期終わってるからそれなりに声渋いと思ってたんだけど……」って微妙な顔してたけどどうでもいいよね。

 渋いってよりはハスキーだよ、烏丸くんは。

 

 

 「先生恋人とか作らないの~?」

 「おっ、樋笠いいぞ、その調子だ。10ポイントとかあげちゃおっかな」

 

 

 ギャル系の樋笠さんが質問を投げる。

 お蔭で安田(先生)は調子に乗ったが、ピンポイントで男子らへ何某かの刺殺効果が走った気がする。

 

 

 「俺はほら教師だからさ、お前ら(生徒)が恋人みたいなもんだからさ……」

 

 「安田ゴメン! 俺恋人いるんだ!」

 「俺も好きな人が!」

 「俺も!」

 「俺は嫁さんが」

 

 「男子に言ってんじゃねぇんだよ!? あと烏丸、嫁ってナニ詳しく」

 

 

 珍しく殊勝な声音で応えた安田(先生)に先程みたいに男子らの声が唱和する、中に、烏丸くんのが交じってた。

 それ、この場で暴露しちゃっていいの? まあ安田(先生)が今は主役だし問題無いのかな。

 

 

 「先生どうしてクビになんないの?」

 「直球は辞めて!? 傷つくっ!」

 

 

 案の定、烏丸くんでは無く安田(先生)へとポニテの斧裂さんが。

 というか、彼女の場合はカラオケでの前科があるから聞きたくない答えを回避させた恐れが。

 なんで烏丸くんて無駄に女子に人気なんだろう。特に美少女に。

 

 

 「そいえば塔城、質問あんだけど」

 

 

 クラスの熱気に押され気味だった控えめ系美少女へと、烏丸くんが潜めるように声をかけてくる。

 ていうか私だった。

 

 

 「なんですか?」

 「なんでグレイフィアさんが後ろでハンディカム回してんの?」

 

 

 ああ……。

 

 

 「私、保護者が居ないので、代わりに出張っていただいてるのがグレイフィア様なんです。今日はなんとかギャーくんも一緒に授業を受けているので、ああして記録を撮りたいのだと」

 「なんか、こんな状況になってて申し訳ねぇな……」

 「まあ、しかたないんじゃないですかね。というか、烏丸くんの場合は……」

 

 

 彼こそ、保護者の類はどうなのだろうか。

 天涯孤独と本日初めに聞いていたので、来てる筈はないと自負していたようだったが……。

 

 

 「ご覧の通り、同居人が後ろで手を振ってる」

 

 

 魅衣さんが烏丸くんの言う通りに手を振っていた。

 女子高生にしか見えない人と同居してる時点でギルティである。

 私の懸念を返せ。

 

 

 「つーか、そのグレイフィアさんの隣にいる黒髪美女は親戚とかじゃないのか? こっち見て手ぇ振ってんぞ」

 「………………何故?」

 

 

 何故バレマシタカ……?

 

 

 「何故も何も、妖気流れてるってことは妖怪で、つーかお前と波長同じだからむしろ姉妹か? 美人さんだな」

 

 

 後ろ目に確認しつつ、烏丸くんは何でもないことのように応える。

 グレイフィア様の隣に居る黒歌姉さまは、呑気な顔でこちらへ手を振っていた。

 アンタ今でも逃亡犯のままの筈ですよね? いつリタイアしたの? 申告で昼日中から出歩けるくらい制度緩かったっけ?

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 にゃっふふふ、やっぱり来てよかったわぁ。

 クラス行事に積極的に参戦できないしろてばカワイイ! 手を挙げないしろ可愛いよチョーカワイイよ!

 ヴァーリを仲間に引き込んで良かったなぁー、お蔭で今日こうして授業参観があるって事も知ることが出来たしっ。

 

 

 「それにしてもなんか不安な先生だなぁ、この学校だいじょうぶなのかにゃ……?」

 「生徒人気は高そうなので問題は無いかと思いますよ? それに校長は人格者です、本当にダメな教師なんかは採用されていない筈です」

 

 

 独り言ちたら隣の銀髪でタイトスカートなお姉さんに教えてもらった。

 ていうか、この人ルキフグスのひとだよね?

 なんで単独でこっち来てんだろ、魔王の妹様は3年って聞いてたはずなんだけど。

 

 

 「わざわざ教えていただいてありがとうございますにゃん。お姉さんもご家族がこちらに?」

 「明確には部下という立場かも知れませんが、義妹は家族として大事にしているご様子でしたので。こうして様子を覗いに来た次第です。貴女も?」

 「はいにゃ。ちょっと疎遠になっちゃってる妹の様子を覗える、良い機会と聞いて来ましたにゃ」

 「それはそれは」

 

 

 のほほんと嘘偽りなく情報が交わされる。

 まあいっかにゃ、特にしろをどうこうしようという気配は見られないし、慌てて連れ出さなくとも済みそうで安心したにゃ。

 というか、しろてば隣の男子と仲がいいのかにゃ? 表情には出ないけど、好意を持っているのがバレバレだにゃ。

 

 

 『――月に牙を穿ち天を衝け! ギガ・ドリルぅ!!!』

 

 

 ドォォォン!ってなんか隣のクラスから聴こえた。

 ていうか美猴の声だった。

 なにしてんのにゃアイツ!?

 

 

 





~ヴァーリさんさらっとご登場
 そして安定のリアスさんディスり
 実際、助かったからいいじゃない、と口にする以前にそもそも命の比重からこの世界は学ぶべきだと思う
 創造神の勝手な都合で何人殺してんだ


~Q:これはパクリですか?
 A:いいえこれはステマです
 ホリミヤオマケ最新刊発売記念。安田は何処に行っても安定してるってことでいいじゃないの
 パクリとか言うな。オマージュだよオマージュぅ!そもそも二次創作だし何やってもだいじょうぶだよねェ!


~逃 亡 中
 銀髪さんは黒猫さんに気づいてそう
 でも一応一般人がそこらに居るから、配慮した結果にこうなったって思ってください


~美猴さんサイドストーリー
 牛若丸・桃太郎・金太郎・一寸法師・鞍馬天狗の5人のおとぎ話の英雄らが生まれ変わった少年少女らを引き連れて、現代へ蘇った牛魔王と対峙する美猴さんの冒険が今始まる!
 悪い奴らはバターンキューだ!



グレイフィアさんお久しぶりっす!
次回はやっぱりアレでいくんすか?
楽しみにしてますねっ!(ゲス顔


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☆「人妻抱くとか後ろめたいわー超背徳感あるわー」

ドクシャの皆様の期待を引っ提げ、やってきました25話


 

 じゅぶっ、と濡れそぼった女性器が反り返るほど勃起した男性器を押し返すことも無く受け入れる。

 抵抗も無くすんなりと挿入(はい)ってゆき、尚且つきゅうきゅうと締め付ける肉の脈動に正しく悦ぶ己の肉棒は、締めるごとにいきり立つかのような反響を返す。

 そういう『返事』を受け入れて、更に脈動が返す肉壺の蠢く様は共に享楽を貪り合う獣欲の咬合の如し。

 そんな『会話』はまた、互いに負けまいと鬩ぎ合う勝負のようでもあった。

 「……っ、~~っ」

 それなのに、彼女、グレイフィアさんはやや苦し気に、如何にも意に沿わないかのように声を漏らすことを押し留める。

 事実、自らの口を手で塞ぎ、苦しそうな呼吸を繰り返し、圧し掛かる俺の身体から逃れることへも意識を割けない状態で彼女は、隣で寝入るサーゼクスさん(・・・・・・・・・・・・)に気づかれないように声を殺していた。

 男女の性差を分つ互いの特徴は組み合わさるのが自然な姿である、と彼の世界で最も売れている書籍でも宣っていたが、倫理をも推す彼の書籍は更に『人の妻を寝取るなかれ』等とも言っていた筈だ。

 件の書を拠り所とし、その上で翻意を唆すのが悪魔という者らの本分であるのだから、俺がこうして魔王の奥方を抱いているという現状は悪徳を促す彼らの存在意義(レゾンデートル)を後押ししているはずなのに、何故に彼女は隠れて突き合うのであろうかとちょっと問い質したい。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 なんだか横道の方で、文字通りサイドストーリーが展開していたっぽい授業参観は、校舎内の様々なところで騒動が巻き起こっていたらしい。

 コスプレ少女が写真撮影会を開催していたのは序の口で、隣のクラスでは参戦した父兄らしき方が人外バトルを繰り広げたとか風の噂で耳にした。

 実質自習扱いであった我がクラスはまだマシだったご様子で、2年の何処かでは英語の授業なはずなのに工作が実施されていたとか。

 ……小学校じゃねぇよなぁ、駒王って。

 塔城は塔城で、参観に来ていたと思しき黒髪のお姉さん?を追いかけて校舎内を駆け回ったらしいが、結局放課後にはしょんぼりしたご様子で隣席へと戻って来ていた。

 ご家族が見つからないって、どうなんだそれは。

 俺は俺で、矢荷成荘(ウチ)の住人らが参戦してカオスになる可能性をやや懸念していたが、実際に顔を見せたのは同居人程度で無事に終了。

 むしろ羽衣ちゃんの授業参観とダブルブッキングしていたご様子で、他の皆さま方はそちらへと遊びに行っていたらしい。まあその辺はドンマイとしか言いようが無かった。

 

 そんな事情を肴に二次会が催されていた酒宴の席へと、のこのこ現れたのが魔王様ご夫妻であった。

 

 

 「突然お邪魔してしまって申し訳ないね、私は魔界の現魔王、サーゼクス=ルシファーという。リアスの兄だ」

 「はあ……、あ、烏丸です」

 

 

 本当に唐突にやって来られて思わず生返事が出た。

 遅ればせながら、軽い自己紹介で相槌を打つみたいに言を返す。

 事実、初対面で何をどうしたらいいのか、サーゼクスさんの隣に居るグレイフィアさんに聞くわけにもいかないんだろうか……と自己判断を駄目だろうなぁと下す。

 というか、魔王と名乗るからには矢張り立場的には国家元首みたいなモノなのだろうし、そんな人が場末の下宿へと参戦したらどんな事態が起こるのか想像したくない、ってやや脳裡が悲鳴を上げているのだが果たして。

 

 

 「とはいえ、キミは悪魔(こちら)の事態には直接関与しているわけでもないし、私のことは名前呼びでも構わないよ。リアスと良いお付き合いをしてくれる、というのならば是非とも『お義兄さん』と呼んでいただきたいのも事実だが」

 「え、妹さんの付き合いに口出ししないんすか?」

 

 

 此処で『主人公』的なキャラクターならば難聴系で推し通すのが割合的には高いのだろうが、サーゼクスさんの無駄に好感度高い言い分に素直に疑問を口にする。

 この場合の『お付き合い』というのは、当然男女関係に端を発する意味合いだ。

 兄妹(兄弟)と言えば腹違いの無駄に似通った兄がいる程度で、特別な感傷も感情も抱いたことのない俺が言うのもなんだが、妹の付き合う相手には幾つか難を思うのが兄という立場の人間なのではなかろうか、と無駄に気を配ってしまった。

 見た目は美少女であるし、小さい頃も可愛かったであろうあのグレモリー先輩ならば実兄がシスコンになっていても可笑しくないんじゃないかな、って。

 

 

 「釣り合う家格で相手を探すにしても、とある一件以来無理に話を通した父が家庭内での発言力を若干落としているらしくてね。そもそも、恋愛結婚をしてしまった私とて、リアスに口出しできる立場でもないし」

 「そんな赤裸々な事情を俺に語られましても……」

 

 

 やはり貴族的なご実家であらせられるか、と今更ながら実感させられたのだが、尚更俺に言うべき話では無かろうに。

 ところでとある一件て何の話? 俺に関係してるはず無いよねぇ(すっ呆け。

 

 

 「旦那様」

 

 

 玄関先で話していることに焦れでも生じたか、グレイフィアさんが口数少なめに声をかける。

 というか、先程から思っていたが悪魔のルビ読みと言い『世界の裏側的事情』を明かさないように、ご夫妻そろって言葉を濁している節があった。

 種族として格上であるはずの『魔王』を、体面を気遣ってか旦那と呼ぶタイトスカートの出来る秘書風グレイフィアさんが無意味にエロい。

 秘書で若妻プレイとか、無駄にムネアツ。

 

 

 「おっと、そうだった。今日ここに来たのは、三日後に開かれる会議に、キミにも参加してもらいたかったからだ」

 

 

 用件を思い出したのか、手の平にて拳をポンと叩いて単刀直入に魔王は語る。

 手の平ポンは表現が古典的かと思いきや、どうも此れで軽い認識阻害結界が発動されているっぽい。

 とはいっても、俺に直接効果が出る類のモノでは無く、自らの言葉が他の者には届き難くなるタイプのモノだ。

 使い方としては実に緻密。

 それはともかく、会議、とな?

 

 

 「リアスや朱乃の報告で耳にしてはいるモノの、キミは私たちの世界に直接は本来かかわりのない人間だ。しかし、コカビエルを単騎で撃破し、新しき聖剣を打ち、その使い手を我々の陣営へと引き入れてくれた。キミは単体で三竦みのバランスを充分に崩すことが可能な人物だ。そのようなキミを放置して、こちらで話を通すというのは余りにも不義理だと思ってね。他の陣営に声をかけられるより先に、私が一足早くに声をかけに来た次第だ。何より、キミの通う学園で行われるモノだ。知らないうちに終わっていた、では流石に不本意だろう?」

 

 

 魔王様なりにはこちらをキチンと重視してくれているみたいで、少しだけ感慨深い自分がいる。

 こういう為政者って、個人の思惑なんかは割と二の次にして勝手に事態を進めるイメージがあるからかな。ホント少しだけ感激したわ。

 

 言ってる内容としては中々に未熟だけど。

 

 個人の感情を優先していては駄目だろうよ。

 集団を率いるリーダー的な立場で合ってるんだよね、魔王って。

 どの程度の被害が出るのかを与り知れぬ地雷みたいな人材を、引き入れるわけでもなくただ立場だけを用意して、権利を履行させる約束も取り付けずに各国代表と話が出来る立ち位置に連れ出すって駄目じゃねぇか?

 ああ、なんかグレイフィアさんが俺を紹介していないっぽい理由が朧気ながらにわかった気がする……。

 やっぱり、先にグレイフィアさんに声をかけなくていて正解だったわ。

 そもそも先立ってグレイフィアさんが俺のことを紹介していたんなら、この魔王様も妹さんの関わった件で功績の一つとして挙げている筈だろうし。――おっと、俺には関係ない話だったね。失敬失敬。

 

 ……というか、今更だが、お二方のご関係は御夫婦でFA?

 男女連れ合ってこんな時間にやって来たからご夫妻って自然に呼んでたけど、秘書的立場にある上で秘密裏の会合に連れ添って来ている時点でプライベートな時間帯って見た方が確実だよね?

 さっきも恋愛結婚云々言っていたし、というか義妹がどうのこうのって前にグレイフィアさんも言っていたし。

 グレモリー先輩にもう1人か2人兄が居ない限りは、この人が旦那さんで確定だろうなぁ。ていうか距離感からして絶対か。

 

 

 「それで、どうかな。参加してくれるかな?」

 

 

 いいともー、って思わず口にしそうになった。

 このネタってこの世界線通じるの?

 それは兎も角、

 

 

 「いや、ちょっとお断りします」

 

 

 と、ご意見を却下する。

 

 

 「え……何故?」

 「話を持ってきてくれたことには感謝しますけど、だからこそ俺が交じっても大して意味が無いというか。三竦み?の世界にはこれからも直接拘わりになる気は無いので、是非とも中立且つ不干渉で推し留めておいてくれたらば、と」

 

 

 ぶっちゃけ、そんな立場になってんの? とサーゼクスさんの言にはモノ申したい部分もあった。

 が、そんな彼らの事情など俺が知ったことか。

 俺は帰るために時間を割く所存であるので、そちらのルールで縛られている暇などないんですー。

 

 

 「いや、それならキミが直接言うべきでは……」

 「ひっそりと暮らしていたいんで、顔見せを直にやるというのは控えたいですなー」

 

 

 あの学園で暮らしていて、今更ひっそりも無いだろうって?

 建前ですよ建前ェ。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 そんなこんなでお断られて、サーゼクスさんご夫妻はそのまま帰宅となるはずであった。

 が、長々と玄関先で話していたのがやはり目についたのか、気づけば宴席へと連れ込まれているご夫妻の姿が!

 程よくほろ酔いであった住人らには、一度参戦していたグレイフィアさんの事情には無頓着であったらしく、俺との関係性を追求されなくて済んで良かったとだけ言える。

 旦那の前でどの程度まで知れ渡っているかわからん性事情を暴露されたのかわかったもんじゃないのが、彼女の立場からした矢荷成荘なのであろう。何という地雷物件。え? 言葉の意味合い違う? そうかなぁ。

 

 そうして騒宴に巻き込まれ、

 酒に潰れて泥酔したサーゼクスさんらを帰宅させるわけにもいかず、

 俺の部屋に布団を敷いてご宿泊と相成った。

 結果として追い出された同居人は、そのまま墓場で三次会であろう。運動会とも言う。

 

 ――その晩にて、ようやく今回の本題が始まるわけである。

 

 

 「……アンタ何してんすか、グレイフィアさん……」

 「申し訳ありません、烏丸くん。今日はこのような形になってしまって……」

 

 

 並べられた布団の片割れから抜け出して、俺の上へと跨った彼女が小声で謝る。

 何を謝罪してるのかは置いとくとしても、就寝の為にか衣服を取っ払い、全裸である彼女の肉感あふれる肢体が俺の肌へ直に触れて覆い被さっていることは謝る事では無いはず。

 というか、ご褒美過ぎて勿体無い。

 え? 食べちゃっていいの?

 

 

 「どうぞ、お好きにしてください」

 「……え、マジで?」

 

 

 ぴとり、と胸板へ、豊満な乳房が柔らかい重みを感じさせてくれる。

 囁くような小声のまま、彼女の吐息が耳元で振れた。

 

 

 「その代わりと言っては何ですが……」

 「……あー、なんとなくわかった」

 「話が早くて、何よりです」

 

 

 にこり、とサーゼクスさんの横では終始鉄面美であった彼女が、此処に来て微笑みを向ける。

 反則クセェ……、そんなモノまで持ち出されたら、男子()が逃れられるはずが無いでしょうに……。

 策士! 悪魔! グレイフィア!

 

 今回重視しているのは、悪魔としての体面の問題だ。

 更に付け加えるならば、サーゼクスさんの魔王としての立場的なモノとも。

 三竦み世界的には過剰評価にしか思えないが、駒王に通っている筈の俺という個人を、その開催地で牽引することも出来ないようでは面子が丸つぶれだとか、そういう話だろう。

 更に言うなら、その後で俺が別の陣営で参加表明しないとも限らない状況で、『魔王』が話をすんなり引いた、という話題が万が一外へ漏れたらそれだけで立場が無いのである。

 国と国との交渉が喧嘩や駆け引きで成立するのと同じように、ハッタリとか面子とかが意味を為さなくなってはどのレベルの不利益条約を下されるのかもわかったモノでもない。

 グレイフィアさんは其処を恐れたわけである。

 

 結果として、俺をこうして身体で誘惑し、悪魔陣営に連れ出されての参加を表明すると約束させるに至る。

 が、まあ少し待って欲しい。

 

 

 「というか、旦那の横でよくもまあそんな場外プロレスで交渉できますね……」

 「ああ……。大丈夫です、サーゼクス様は泥酔すると一晩起きませんから。それでも不安だと仰るのなら、睡眠の魔術で保障しておきましょうか」

 

 

 旦那の指示と違うのかよ。

 

 

 「他に手段は無いんすかね……」

 「貴方には、この方が効果的でしょう?」

 

 

 再び囁き、胸板で潰れた乳肉の先端がはっきりとわかるくらいに押し付けられた。

 ……正直、堪りません。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 互いの上下を入れ替えて、冒頭にて成ったような挿入になったところで回想終了。

 相変わらず抱えた腰と尻の肉付きが雌の匂いをぷんぷんさせる、ムチムチな手触りもキュウキュウとした締まりも尚宜しい恵まれた肢体。

 好きに弄って良いと許可は既に貰っているので、こうして生物として実に遣り易い体勢、所謂ヨツンバイニナレヨォ!っていう姿勢になって貰ったのであるが。

 挿入の具合が良すぎたのか、グレイフィアさんは一突き目で背をビクンと仰け反らせた。

 そのまま嬌声も上げるのかと、思った処で自ら口を塞ぐ抵抗にもならない隠避術である。

 直に見得たわけではないが、顔を赤くしつつ悲鳴を漏らさないようにと必死で手の平で口元を塞ぐ様は、なんというか本当にそそる。

 ぐっと、力を籠める感じで、挿入れたまま押し付けるように前後させれば、その毎に声にならない悲鳴が、塞がれた彼女の口から洩れるのだ。

 「っ! んっ! ふっ! ぅっ! ~~っ! ~~っ! っっ! ぁっ! んぶぅっ!」

 当然ながら、そのたびに部屋へ響くパンパンと肌を打つ水気の混じった濁音。

 それが隣で寝入る泥酔した旦那を起こすのではないかと、そう危惧しているであろう彼女の締まりは更に良くなっていた。

 それが、果たせて行為を速くに終わらせようという気持ちからくるのか、はたまた気持ちイイが故に反応を示してしまっているのかは、……まあどちらでも構いやしない。

 「ああっ、いいぞ、すごくいい締まりだっ、ずっと味わってたいな……っ!」

 「ぅっ! ぁっ! こっ、こえをっ、出さないでっ……! 旦那様にっ、聴こえてしまいます……っ!」

 自分から誘っておいて言える立場でもないであろうに、グレイフィア(・・・・・・)は責めるような口ぶりで口から手を放し俺を嗜める。

 しかし、そんな彼女を今支配しているのは、他でもない俺だ。

 彼女の口答え(・・・)に、俺は覆い被さる形へ密着し、揺れている乳房へと手を廻して掴み上げた。

 「グレイフィアさん、おっぱい何カップ?」

 「んっ、あっ、いま、はっ、そんなことぉっ」

 「いいから、答えてよ」

 片手では掴まえきれない、零れる大きさの肉に埋もれるような掴み方で先っぽを潰し、その間も腰を打ち付けることを止めない。

 余っているもう片方の乳房はそのたび重そうに前後に揺れるので、付け根なんかは実に痛そうに見えた。

 「ぇっ、えいち、かっぷで、すぅっ……!」

 えいち。Hか。

 英語で顕わすと改めてデカい、って思うよな。

 「旦那におっきくしてもらったの?」

 「そんっ、そんな、ことはっ」

 「元からってことはないだろ? 答えてよ」

 腰を止めて、囁くように尋ねる。

 少なくとも、人妻で巨乳は予め大きいというのは幻想なのでは、というのが持論だ。

 子供を産むと大きくなった、とか聞いた記憶もあるが、それは母乳を出すに当って肥大化するのが正鵠だったりするし。

 実際、最近新たに加入したイリナやゼノヴィアなんかは、相応に大きな乳房を持ってはいても無理に体型を崩すほどでは無い。聞けば2人共Fカップらしいが、見た目だけならばそれでも充分に大きいのだ。

 グラビアなんかではJKLと、グレイフィアさんよりも2カップ以上跳ねあがった数値が出回っているのだが、それでも彼女よりも大きいのかと問われると、……視覚的にはグレイフィアさんが上?

 実際に触れているからそう思うのかもしれないが、【育まれた(土壌)】って素直に感想を浮かばせる抱き心地が数値以上の視覚的快感を教えてくれているのかもしれない。

 ……何の話だったっけ?

 「か、らすま、くん……っ、こたぇ、こたえ、ますからぁ、むね、とめ、てぇ……っ」

 気づけばグレイフィアさんの両乳を苛めてしまっていた。

 支えるように抱え上げて、下乳を掴むように揉みしだき、指先で乳首を捏ねるように弾いていた。

 自らの口を手で塞ぐことも忘れて、グレイフィアさんは四つん這いの姿勢のままに嬌声を囀る。

 止め処なく溢れる声音で、呼吸困難になるのではないかと思わせるほどの、休みない断続的な艶の乗った悲鳴が部屋にも溢れた。

 ……今更だが、防音結界を敷いて置いて正解だったな。

 胸だけで此処まで砕けるとか……。

 悪魔ってなんか乳が凄いのばかりだから、若干の偽パイ疑惑があったのだけど、此処まで感じるとなると少なくともグレイフィアさんはシリコンでは無いのだろう。

 その答えも、しっかりと訊けた。

 「そ、その……、息子を産んでから、おおきくなりました……」

 ――息子さん、おったのですね……。

 「はひぃんっ!?」

 一児の母、と改めて知ることで興奮度が増した。

 胸で感じ切っていたグレイフィアさんへ、刺さったままの肉棒が硬度を増す。

 乳房から手を放し、腰を改めて掴まえて――、

 ――子宮口へ押し込むように、ピストンを再開するっ!

 「ゃっ! ぁっ! らめぇっ! いったばかりっ! むりっ、これむりだからぁっ!?」

 キャラ崩壊してるんじゃないかと苦情が来そうなくらい蕩けた声で嬌声を上げて、しかし身動きが出来ないくらいに腰が砕けてしまっていた彼女に逃れる術は最早ない。

 声だけで止めてと懇願する彼女へ、腰つきで応えを示して勢いはドンドン増す。

 断続する拒絶の言葉も、スパートが掛かりだした局面に於いては言葉にも出来ず、再び悲鳴と息遣いを交互に漏らすことしか出来なくなって逝く彼女は、既に快楽の虜となる以外に意思を保つ術は無かった。

 「ああーやばいっ! もういくっ! いくぞグレイフィアっ! どこに出す? 何処に出してほしい言ってみろっ!」

 「あ゛っあ゛っあ゛っあ゛ーっ! んぁ゛ーっ! にゃがぁぁっ! にゃがにぃっ! ほじいのぉぉっ!!」

 まだ一発目(・・・・・)だというのに、濁音で聞き取り辛い答えで絶叫する彼女に――、

 「いくぞぉぉぉっ!」

 「ん゛に゛ゃああああぁぁっ!!!」

 ――要望通りに、子宮の中へと勢い良くぶちまけてやった。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 さて。

 未だ興奮冷めやらぬ、繋がったままに放然とした彼女に覆い被さったまま、静かになった室内に唯一響く時計の針の音に耳を傾ける。

 思うのは、自ら身を差し出したというのに抵抗が僅かにあった事実。

 アレか。姿勢で膣奥まで届いたのが予想外過ぎて、自分の思惑と違う快感に身を預けるのが怖くなったとか、そういう可愛い話……だったらイイなぁ。まあ十中八九それっぽいが。

 一発目を出してる最中は、あ゛ーっあ゛っあ゛ー……っ、とくぐもった声で感じるままの悲鳴が漏れていたわけだし、しっかりと奥で逝ったはずである。

 ……ところで、元修道女組ら3名をセフレにした事情は、果たして彼女へ連絡往ってたりするのだろうか?

 

 

 「グレイフィアさん、まだ終わってないっすよ」

 「っ、んっ、ふっ、ぁひぃ……っ」

 

 

 艶の落ち切っていない悲鳴を漏らしながら、再び掴まえた乳房に反応を返してくれる。

 囁くように耳元へ口を寄せれば、ぞくりと背筋が震えたのが密着した肌で判る。

 一度抜いて、されるがままの彼女をごろり、仰向けへと寝直させた。

 

 

 「じゃ、次は正常位で、」

 「か、からすま、くん……」

 「はい、なんすか?」

 

 

 熱に浮かれたまま、解されて抑えるモノの無い肢体を眺めつつ、何か言いたいことがあるらしき視線で見上げる彼女へ、目を合わせて言葉を返した。

 

 

 「こ、こんな様で申し訳ないのですが、是非ともご協力していただきたい、提案があるのです……」

 「……? 真面目な話、っすかね?」

 「……ん、ある意味、真面目な、しかし、アナタにも得があるモノ、かと……」

 

 

 はて。

 よくわからぬが、とりあえず寝物語の合間に聞くこととした。

 さぁて、第2ラウンド――開始っ!

 

 




~H
 捏造。二次元のおっぱいは数値以上に巨乳に見える法則が働いているので、大きさをどの程度かと想像すると色々混乱するよね
 新妹魔王のアレがGとか聞きかじったから、見た目似てるリアスさんも同じくらいって想像して、グレイフィアさんはやっぱりそれ以上ってことで。でもトップとアンダーの差によっては90オーバーいかなくてもこの辺になる人もいるので数値的にはリアスさんを上に置いておこう。要するにリアスさんの胴が厚i
 ちなみに【一番大きい】と定評がある朱乃さんはIで妄想中


エロシーンが段々短くなる風潮
というか最後が尻すぼみなのは、じ、次回へのつなぎってことで…(メソラシ


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☆「これを読めば万事オッケー! 貴女も今日から【あの人】の愛人!」

此れは酷い


 

 

 「――というわけで、聖剣を扱える者を人工的に、と彼らが望んだ理由を理解してほしいとは言いませんが、今後は決してキミのような者を生み出さないように戒める所存でもあります。

  木場佑斗君、キミには幾ら謝っても言葉が足りないと思われるでしょうが、どうか彼女らのことを忌避するようにだけはならないでいただきたい。これが、私からの『お願い』です」

 

 

 と、お忍びでいらっしゃったミカエル様が、祐斗君へと頭を下げました。

 此の方がわざわざ会談前に、時間を空けてまで非公式な場を設けさせた理由が、私たちの陣営へと下った聖剣使いの2人をどうか仲間として認めて欲しい、と云うモノ。

 バルパーの確保で明るみになった教会の汚点(聖剣計画)とやらの謝罪かと思われましたが、内容が内容なだけに初め鼻白む様相を被っていた祐斗君も意識を向けざるを得なくなっているようですわね。

 会談が決定付けられた現状では、いきり立って対立を意図するわけにもいかなかったのでしょうけど、かと言ってこうした対応をされてしまえば、いつまでも無下にも出来ませんでしょうし。

 ……狙ってやっているのだとしたらとんだタヌキですわ、この大天使長。

 

 

 「……頭を上げてください。僕らの仲間に関しては、貴方に云われるまでも無い僕たちの事情で片づけるべき問題です。『親』役にウチの子と仲良くして、と云われて易々と請け負うべき話ではありませんが、僕はリアス部長の騎士だ。同列となった仲間に、いつまでも蟠りを抱くほど子供でいるつもりもありませんよ」

 

 

 貴方、つい先日こちら(私たち)の事情を無視し先走って聖剣確保に乗り出していたではありませんの。

 復讐に踊らされていた子供が、よくもまあ言えたモノですわね。

 ……まあ、越えるべき一線を乗り越えて一つ大人になった、と希望的に読ませておきますけれど。

 まったく、リアスがキチンと手綱を握る『王』であるのならば、『女王』の私がこうして『家族(部下)』の意志を看做す必要も無いというのに……。

 呑気に話を聞いて相槌を打つだけでは無くて、もう少し空気を理解しようとする心備えくらいは抱いて欲しいで――

 

 

 「あの、ミカエルさん、不仕付けで申し訳ないんすけど、アーシアとかも含めて、悪魔に転生したとしても元シスターですし、お祈りでダメージを受けるような形だけはどうにか解消できませんか?」

 「……申し訳ありませんが、其処はシステムの都合上難しいかと……。私としても、彼女らには不都合の無い生活を送っていただきたいのですが、下手にシステムを弄れば信徒への影響が出かねませんので……」

 「そ、そっすか。いや、無理云ってスンマセン……」

 

 

 ――ちょ、ホラァァァァ!?

 イッセー君まで口挟んじゃってるじゃないですの! 止めなさい(あるじ)でしょ貴女は!?

 ミカエル様としても、横に居た目的と違う人物に突然話を振られて一瞬「誰だっけ」みたいな目をしてましたわよ!?

 そこを億尾にも出そうとしない表情の直しは流石ですけど、それを引け目として覚えられたら二日後の会談にもどのような不備が出ることか……!

 

 色々と神経を削られる非公式な会合は、その後特に何らかの展開を見せずに終了し。

 祐斗君はミカエル様より【お詫びと友好のしるし】として竜殺しの聖剣・アスカロンを授かる、という結果に。

 ……もし何かあれば此れでイッセー君を斬れ、という暗喩でないことを祈るばかりですわね。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「リアス、イッセー君にはきっちりと注意しておいてくださいね」

 「え? 何を?」

 「先ほどのことです。目上の方の話がまだ終わっていないのに自分の要求を先走って突きつけるとか。失礼にもほどがありますわ」

 

 

 貴族とかの人種の違いなんかではなく、社会に准ずる一員として備えておくべき心遣い、いわゆる『目上の者を尊重する』という思考が備わってないのが原因なのでしょうね……。

 中学生までならばギリギリ許せますけれど、高校生にもなって殊勝を知らない人生は如何なものかと。

 やはり同い年の男子では、私の期待に沿える子はいないのかしら……。

 

 

 「ミカエル様だって、特に気にしていなかったように見えたけど……」

 「それは相手があくまでも大人であったからです。第一、此れが悪魔社会に出ての行動であれば礼儀の成っていない半端者、として嗤われることになりますわよ? ……まあ、悪魔社会の場合なら嗤うだけで終わりそうですけれど」

 

 

 元来が秩序を重んじることのない生物性、所謂【chaos(混沌)】に准ずるのが悪魔という種族特性ですからね。

 ぶっちゃければ、人間社会の真似事をしているようにしか見えないのが救いかしら。

 ……あ、これ救いどころか、衰退へ向けて崖を転がってますわね。駄目じゃないですの。

 

 

 「というか、学園を出れば普通に貴族社会に戻るのでしょう? イッセー君を眷属として連れてゆくのなら、最低限のマナーや常識を備えさせておいても邪魔にはならないかと思われますけど」

 「……そうね。私の眷属が嗤われる、というのは確かに屈辱だわ」

 

 

 ふむ。この辺りのプライドは備えているようで安心ですわね。

 というか、暗に仄めかせたその辺の話すら通用しないのであれば、貴族としても終わってるところでしたわよ。

 

 

 「では、その後は任せましたわ」

 「って、朱乃は来ないの? 会談前にギャスパーの調整をしなくてはならないし、もう時間も足りないのだけど……」

 「私はまだこの後、お客様が待っておりますの」

 

 

 そうして学園へと戻って往くリアス・祐斗君・イッセー君を見送って、自室へと戻ります。

 非公式会合の場として指名されたのが私の家(神社)というのは、宗教観の差異を突っ込まれそうな気もしますけど、此処は既に社格も返還されている廃社ですからむしろ隠れ蓑には丁度良いと思われたのでしょうね。

 だから――、

 

 

 「お待たせしましたわね――烏丸くん」

 「……あー、いえ、俺は気にしてませんけどね……」

 

 

 ――彼が隠れて居たとしても、神社という立地の都合上、魔力波長が漏れていても気に掛けられることは無い。

 実際、(歩く魔力タンク)という特異存在が本殿と数十メートルも離れていない此処(私の寝室)に居たというのに、今日いらっしゃった彼らの誰にも気づかれないという結果になりましたし。

 ミカエル様も、本来目的としていたのは彼であった可能性が高いのでしょうけど。

 其処は会談前に会わせるわけにもいかない、とグレイフィア様に仰せつかっておりましたので、こうして鉢合わせしないように少々細工を施した次第ですわ。

 ……ところで、なんで彼は居心地悪そうな表情を?

 

 

 「女子の寝室に通されるとかは初めてじゃないですが……、姫島先輩はそれで良かったんですか?」

 

 

 初めてではないのね。

 それなら、こちらの要件も通せそうですわね。

 ……個人的には不本意ですけど。

 

 

 「お気になさらず。それと、2人きりなのですから朱乃と呼んでいただければ、と」

 「えー……、先輩は【あの話】マジで受けるつもりなんすか?」

 

 

 科を作り、こちらが用意した座布団の上に胡坐を掻いている彼の横へと座りましたが、彼は乗り気ではない様子。

 しかし、こちらとしては彼の意思は受け付けません。

 

 

 「グレイフィア様からの勅令ですからね。子供を作れ、との」

 「豪く直球で来ましたなぁ……」

 

 

 若干引き攣ったような貌で、烏丸くんは空を仰ぎます。

 それは、彼が請け負った【嘆願】を思い出しているかのようでした。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 まだ二晩目だというのに、幾つ身体を重ねたかも数えきれない。

 今夜は獣の雄のようにこちらを従わせる激しい【交尾】で情事は口火を切り、背後から力強く責められ子宮へと押し付けられる滴る肉と血潮の熱に、雌の本能は容易く屈服させられた。

 私の旦那様のみへと誓った筈の貞淑に準じた女性としての尊厳など紙のように棄却されたが、元より神へは反逆した身、原初の血を想い起させた彼へ抗えないのならばと、私はせめてもの抗いとして彼を利用することを決めていた。

 これは、初めの夜には決めていたことだ。

 「か、烏丸くん……、その、ままで、よいので、きいて、いただけます、か……?」

 あっ、あっ、あんっ、と彼に圧し掛かられて体重を掛けられ、子宮も大きく口を開け嬌声が交じるままに、彼が正面から抱き着いている横顔へと言葉を紡いだ。

 それは、旦那様へと送る睦言よりも甘く、自分でも信じられないほどに蕩けた声音を漏らしていた。

 「ん、なんだ?」

 「実は、以前に貴方に抱かれた際、私の中へと注がれた子種を、個人的に調べたのです」

 ずん、と奥へと突き刺さった脈動がぴたりと止まる。

 私のことばに、思う処があったのだろう。しかし、

 「と、とめないでください、そのまま、もっと……」

 「……ああ。で、なんかわかったのか?」

 私は思わず懇願をしていた。

 その要求に、腰の動きは再開され、奥を刺激する快感が喉から洩れる声に嬉色を混ぜる。

 自然と出る雌としての喜びに、この感触をもっと欲しいと望むそれは、最早理性で抑えきれるモノ(本能)ではない。

 抱き着く彼の身体を抱き返し、曝け出されている太腿が彼の腰を放さないようにと絡みつき、背中へ廻す手が彼へ私の【あかし】を刻みたがり皮膚を引っ掻く。

 初めて好きな人と結ばれた時のような、そんな衝動が込み上げてくる少女のように、私は彼の【支配】を全身で受け止めていた。

 「……続きは?」

 身体でしか応えない私に、激しかった腰つきが静かに緩やかに穏やかになってゆく。

 応えなければまた止められてしまう、そう感じた私は、途絶えそうになる呼吸に合わせて、ゆっくりと説明をした。

 「わかったことは、アレほど出されては流石に妊娠するのでは、という懸念が、消えたことでした」

 「うん、まあそういう風にやったし」

 「それ、です」

 詰めるような私のことばに、彼は抱き着いた私の顔を正面から見る。

 呼吸も荒く、頬も上気し赤く染まっているであろう、化粧も落としてある【女の貌】をまじまじと見られることは、流石に恥ずかしかった。

 「貴方が施していたのは、術式ですね? しかも、遺伝子へと働きかけるモノ」

 「……あれ? ひょっとして珍しいの?」

 「というか、初めて見ました」

 私の答えに、きょとんとした表情で目を見開く烏丸くん。

 その仕草が微妙に可愛くて、思わず子宮がきゅんと窄んでしまう。

 「どれも【自死】を施された精子とか、確保するのがとても大変でしたが、そこは私の中に既に大量に出されていたので問題は有りませんでした。本題は、それをなんとか逆に利用できないか、という点です」

 その科白に、彼が身を捩った。

 「利用?」

 「んっ、い、言い方が悪いかもしれませんが、大事な事なんです。なにせ、悪魔は子供が生まれにくいので、少子化を阻止する方向へと役立てたくて……っ、ひぅっ」

 順序立てて話すはずのことが、早々に漏れてしまい、完全にイニシアチブは彼に掌握されていることを気づかれてしまった。

 初めから交渉は負けていたわけだが、それでも続けなくてはならない。

 これは、悪魔の社会上、どうしたって外すことの出来ない命題を解消する、最大の契機なのだから。

 「つまり、俺の施したのと逆に働く術式を、他の悪魔へと施せ、と?」

 「め、命令する気は有りませんし、むしろこれは、お願いです。あっ、んっ、それにっ、気が進まなければ、貴方がっ、直接っ、あっ」

 「ああ、直に沢山の女を抱かせてくれるとか、そう交渉したいのか」

 割と何もかもが見透かされていてどうしようもなく、更にスローペースであった腰つきは再び激しくなり、想定していたことを考えることも難しくなってゆく。

 むしろ、こんなタイミングで要求すべきことでは無かったのだろうが、旦那(サーゼクス)様が正面から姿を晒した以上、彼らが今後顔を合わせるようになれば尚更振れる話には成り得ない。

 今夜を逃すと、いつ旦那様の目を盗んで“私だけ”が会え得るようになるかが見当がつかない為に、こうして勇み足で逸ってしまったわけだ。

 「断るよ。俺にだって女性を選り好みする権利くらいある。……あるよね?」

 最後の小声はこの距離なのに良く聞こえなかったが、彼の言い分ももっともだ。

 だから、こっちにはもっと良いモノを献上する準備もある。

 「あっ、朱乃をっ、差し上げますぅっ」

 「………………は?」

 「あっあっあっあっあああぁぁぁっ!!」

 私の返答に虚を突かれたような顔を再び見せた烏丸くんであったが、激しかったそれを我慢しきれず、私は先走って絶頂を迎えてしまっていた。

 目を剥いて、しかしそれでも身体を離さないように抱き着いたまま、大きく口を開いて絶叫が漏れる。

 遮音結界を張っておいて良かった。

 この宿泊上でこんな情事が他人へ聴こえてしまえば、流石に隠蔽も難しいであろうから。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 昨日の今日で連続してヤる、という気には流石になれないのですが……。

 いや、体力(精力)的には問題は無いのだけどもさ。

 

 昨夜のグレイフィアさんとの【秘密のお話】を思い出しつつ、その後にも色々責めたなぁ、とぼんやり思う。

 でっかいおっぱいが自分の胸肌とに潰れて擦れる感触や、片脚を上げさせて太腿を持ち上げ、突くたびにダンサブルな爆乳の素晴らしさとかに目を奪われていたとか。

 ついでに聞くところによると姫島先輩のソレはグレイフィアさんよりカップ数が上だとか。

 胸囲そのものは視覚的にグレイフィアさんの方が上に思えるのだけど、大きさというか、成長度合いは17・8という年齢なれば過剰なくらいに著しい、という情報まで寝物語で語られてしまった。

 教え込まれたら、漢としてはやはり味わってみたい。

 そう思わせるように意図された、グレイフィアさんの目的にはしっかりと沿った推薦状(交渉)であったさ。

 

 だからといってYESと請け負えるかというと、そういう気には一朝一夕になるほど猿でもないのです。

 夜も明けて、話を通しておくと言い渡されて、昨夜の情事など億尾にも出さないグレイフィアさんをサーゼクスさんの前で止めるわけにもいかず。

 結局、本人へと直に断りを入れようとやってきたらこの状況である。

 年頃の女子の寝室へ真っ先に通されるって、もう完全に誘われてんじゃねぇか……。

 あ、アキラたんの時は別な?(今更感。

 

 

 「リアスは大学へ進学するつもりですけど、私としましては其処まで学びたいモノもありませんし。卒業前には身重になっていたとしても、それほど気になることでもありませんし」

 「気にしましょうよ。そもそも俺に子供を作る気がないって部分だけでも」

 「アーシアちゃんとがっつり子作りしてる烏丸くんに言われたくありませんわ」

 

 

 ああ、そういえばこの人はしっかり覗いていたっけ……。

 ――いや、だからこそ止めて置けって!

 

 

 「貴方にその気が無くとも、アーシアちゃんは完全に受け入れるつもりで行為に准じていますし、貴方へ好意も向けていますわ。そこを見逃しているのだから、このくらいの要求を呑んでくれてもよろしいのではなくて?」

 「グレモリー先輩はいいんすか……?」

 「グレイフィア様としても、リアスを差し出すわけにいかないから私を推したのでしょうしね」

 

 

 いや、そこでなくて、あのひと、何気に俺へと好意向けてなくね?っていう疑問がね?

 勘違いであればいいなぁ、ってレベルだけど。

 

 

 「それに、元々悪魔は子供が出来難い性質ですから。別に今日出来るまで帰さない、というわけでもありませんし」

 

 

 微笑みつつ、巫女服の姫島先輩は胸襟をそれっぽく開く。

 曝け出された谷間は、確かに男性へと生唾を呑み込ませるくらいの魅力を醸し出していた。

 

 ――ところで今更だけど、なんでこの先輩【博麗霊夢】のコスプレしてるの?

 

 

 




朱乃さんかと思った?
残念、まだグレイフィアさんのターンだったよ!
ほんとエロいなぁ、この人妻メイドは(他人事


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「宗教は遡るほどにマテリアル面での支援が信仰の主軸であるという話」

27話でっす☆


 

 

 神社よりの帰り道、悪魔の俺らが天使の総長に寂びれているとはいえ神様の社へ呼び出されたという事実はともかく、気になっていることを俺はぽつりと呟いていた。

 

 

 「そういえば、朱乃さんってなんで今日あんな格好してたんです?」

 「ああ、あれ普段着よ」

 「普段着!?」

 

 

 え、あのなんか巫女服っぽいけどなんか違う、むしろ少女趣味的なフリル付きが普段着!?

 あ、朱乃さん、意外と可愛い趣味してるっすね……。

 

 

 「なんでも、普通の巫女服だと胸が立派過ぎて先端が主張するとか。透けるそうよ?」

 「ぶふぁっ!?」

 

 

 思わずその様を妄想して鼻を押さえる。

 マジか! 和服って下着を付けないっていうのはマジな話だったのか!?

 推定メートル越えの立派なお山ならばさもありなん、と理解はできるが、出来れば実物を是非ともご拝見したかった……!

 

 

 「くっ、何故本来の巫女服では無いんすか!? 神社に居たんだし、コスプレするなら本格的にやってくれよ……!」

 

 

 絶望に、苛まれる……!

 ……いや、あの格好でも有りっちゃ有りだな。肩が開けているノースリーブで脇が丸見えだし、その隙間から横乳が、……ぐっへっへっ。

 

 

 「まあ、それ以外にも理由があるらしいのだけど」

 「ああ、前に話したことですね」

 

 

 と、脳内フォルダに納まった朱乃さん艶姿を脱がせる妄想中に、祐斗の声が挟まれる。

 なんだ? なんか事情でも知ってるのか?

 

 

 「日本の神道で巫女というのは、元々『拝観』の一部として支持者に差し出される役割を持っていたのが始まりらしいからね。要するに、巫女が処女であることを歓ばれるのは『そういう仕事』へ駆り出されるに至っては価値があるから、というか」

 

 

 なん、だと……!?

 

 

 「その話を調べ終えてから朱乃ってば普通の巫女服は着るのヤダ、って言いだしちゃってたのよね。まあ、元々本職として従事するにはご実家の事情があるから受けてられない、というのもあるのでしょうけど」

 

 

 奥にモノの挟まったようにリアス部長と佑斗は語り合う、が、俺としては聞き逃せられない話が今出たよ?

 

 

 「スンマセン! 忘れ物したんでちょっと朱乃さんのところまで戻ってきます!」

 

 

 ホルスタイン巫女のご奉仕プレイが俺を待ってる!!

 

 ……なんてことは微塵も無く、普通に部長に首根っこ引っ掴まれて学校までドナられる俺なのであった。

 まあ、ギャスパーの神器をしっかりと扱えるようになるのも大事だしな。

 早くマスターさせて、駒王女子の時間停止だ!

 こう聞くとアダルト系のDVDみたいでワクワクするよなっ!

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 博麗コスプレ巫女風脇巫女服を肌蹴させて露わになった、そこいらの女子高生と比べるとむしろ悲劇しか生み出さないのではないかと懸念が浮かぶふくらみを後ろから両手に抱える。

 ふくらみ、と控えめな言い方では到底届きやしない、まさに爆乳と呼ぶべき“それ”の存在感は【圧巻】の一言に尽きる。

 支えなくては零れてしまいそうな重さを主張するはずなのに、しっかりとした張りと手に吸い付いて離さない魅惑を併せ持つ柔肌にてぱんぱんに詰め込まれた肉は、解放されれば男子一人程度など一瞬で呑み込めるのであろう【欲望】という名の奔流を封じ込められているかのようでもある。

 それらを暴れさせないように、思わず大事そうに傷つけないように痛めつけないように愛撫する。

 その『ひと揉み』のたびに漏れる呼気が、朱乃さんの感受性を如実に顕わとしているので、そこがまた恥ずかしそうに感じられているようでもあった。

 

 

 「そういえば、これどれくらいあるんです?」

 

 

 熱くなって汗ばんで来たもちもちのおっぱいを、たぷたぷと弄びつつ会話も交える。

 はひぃ、とエロく返事をする人妻メイドから子作りを推奨されていたはずの巫女風先輩は、急かされたはずの使命を全うするタイミングを先送りにされていることに気づいているのかいないのか。

 個人的な興味のピロートークへ傾ける矛先へと、しっかりと嵌ってくれていた。

 

 

 「ひゃ、ひゃくにせんちの、Iカップ、です、わ……」

 

 

 でかい(確信。

 メーター越えかよ……。

 企画モノのAVなら居そうな女子高生だけど、実在するとなると途端に年齢詐称の可能性が蔓延ってきた気がする。

 そんな彼女の、stgも穿いてない生足が朱色のスカート(袴もどき)からすらりと伸びる。

 誘い方と言い下準備と言い、貴様とんでもねぇ痴女(メスブタ)だな……!

 

 

 「な、なにか、んっ、しつれいなこと、かんがえてません……?」

 

 

 妥当だと思う。

 

 ところで何故こんな格好なのかと問うたところ、普通の巫女服だと胸がご立派過ぎて先端が浮き彫りになるという返答が。

 ――着ろよ、肌襦袢。知らんの……?

 

 どうにも悪魔は、和服は下着を着ない、というモノ(知識)を筆頭に、間違った外国人感覚で生きているのかも知れない。

 昨夜の酒宴でも、サーゼクスさんなんかも酒の席にスゲェ馴染んでいたし。

 魔王がへべれけになってていいのか。

 挙句の果てには其処を上手い事奥さんに利用されてるし。

 九尾の仙狐に上手いこと唆されて傾国に手を貸したどっかの元名君(漫画版)を思い出したよ。

 あれもなぁ、愛人が炮烙(ほうらく)とか蠆盆(たいぼん)とか庭先に造らせてんだから、せめて何かしら諌めて置けよとは思うのだけどなぁ。ちょっと妲己さん、とかさ。

 

 

 「か、らすま、くっんぅ、せめってぇ、もっとぉ、ばに、そう、はなし、をぉっ」

 「とは言われましても」

 

 

 やる気が起きないんだよなぁ。

 そもそもが、俺の術式を充てにしての悪魔の、種としての繁栄を促そうって言う他力本願だし。

 ていうか、それほど珍しい魔法かねぇ?

 俺が遺伝子に術式刻む、っていう手法を得たのも漫画知識が元だよ?

 元は人間を吸血鬼へ、またはその逆へと変貌させるための【遺伝子弄り】の初歩ですし。

 

 とはいっても、エカテリーナに罹られた術式構成とは別物だから、ずっと前に捨てていた過程技術。

 まさか日進月歩な技術革新を志す俺が過去の遺物に手を出すことになるとは、なんて学者みたいに芳ばしいことをいつか思ったけど、それが真新しい技術として見られるこの世界線の水準ってほんとどうなってるの?

 魔法使いが居ないわけじゃないだろうに、科学的見地で魔法を解明することくらい思いついていても可笑しくないんだけどなぁ。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「そうだ、イッセーくん。このアスカロンは、キミに預けておきたいんだけど構わないかな?」

 「っへ?」

 

 

 悪魔でも所持することが可能と調整されたアスカロンを、【次元の鞘】と呼べる封印から解除し彼の前へと出現させた。

 場所は校庭だが、リアス部長がギャスパーくんと小猫ちゃんを連れに行った時を見計らい、2人きりとなったタイミングで内心を明かす。

 此れは、僕よりも彼が持っていた方が適任だと思ったから。

 

 

 「い、いやいや、俺剣とか扱えねぇし」

 「僕よりもキミの方が相応しいよ。それに、既に【白い龍】とやらも活動を始めている。対抗策の一つは持っていても、間違いじゃない」

 「えー……、でも、どうやって持っておくんだよ? 異次元ポケットみたいな封印術?なんて、それこそ俺扱えねぇぞ?」

 「【赤龍の籠手(ブーステッドギア)】があるじゃないか。それに同期させれば、一体化も可能じゃないのかな?」

 

 

 渋々と神器(セイクリッドギア)を発動させるイッセーくんに、半ば無理矢理にアスカロンを差し出す。

 なお苦い顔をするイッセーくんに、僕は言葉を重ねた。

 

 

 「イッセーくん、僕はキミには感謝してるんだ。復讐に捉われていた僕を、普通の友人として日常へと引き戻してくれた。そんなキミだから、僕はキミを守るための【剣】になりたい。守るために誰かの力を預かるんじゃない、キミを守るために【僕の力】を真摯に示したいんだ。それに、僕には僕の戦い方(魔剣創造)があるからね」

 「……祐斗」

 

 

 何より伝承通りなら、アスカロンには『全ての裏切りと暴力から回避する』という祝福が備わっている。

 イッセーくんに関しては、烏丸くんの伝手で眷属になったゼノヴィアやイリナに若干の懸念があるのだし、この程度でも備えておくのも間違いでは無いと個人的に思うのだ。

 

 

 「はぁ、わかったよ。この剣、預からせてもらうぜ」

 「うん。まあもっとも、使わないに越したことはないけどね」

 

 

 溜め息を一つ吐くと、イッセーくんはアスカロンを籠手で掴む。

 暫く集中しながら同期することを試みているのだろう彼を眺めていると、不意に言葉を続けてくれた。

 

 

 「でもな祐斗、一つ間違ってるぜ」

 「えっ?」

 「俺はお前のことを只の友達、って思ってねぇ。お前は、俺にとっては一番の親友だよ」

 「イッセーくん……!」

 

 

 ああ、この選択はやっぱり間違いじゃない。

 噛み締める嬉しさを胸に、僕はやはり彼にこそ誓いを立てよう、と決意を新たにするのだった。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「ところで朱乃さん、知ってます? 聖ゲオルギウスの竜殺しは、後付けの可能性があるそうですよ」

 「んっ、いま、するはなし、ですの……っ?」

 「アスカロンそのものの由来は17世紀の小説が元で、それの更に元となった伝説では剣そのものが明記されていないとか。更に、実在したゲオルギウス没後の5~7世紀のオリジナルな伝説では、竜殺しそのものが存在してないとか」

 

 

 名前だけが先行して後付け設定がさも本物のように扱われたという極端な例である。

 この分だと、伝承上剣に掛けられている筈の祝福とやらも怪しいなぁ。

 

 なんでこんな話をしたかというと、離れではあるけどあちらでの様子を覗えたからに他ならない。

 剣を造る、という工程を挟んでいなかった件の聖剣(笑)の大本、と呼んで然るべき作り手(集団の)代表が来ていると小耳に挟んだので、どういう人物なのかをちょっと確認したかったから覗いていたのだ。

 見た目は荘厳なオーラ発してるけど、どうにも胡散臭さが眉を顰めさせる天使長とやらが日本の神社に顔を覗かせていた。

 サーゼクスさんでも思ったけど、神秘存在として概念主柱が在るべき方々が受肉してるって何なの?

 身体が人の形をしてる以上、上限はあるのだけど。

 魔力込めていてもそれを十全に扱えないのだから、人としてのレベルを超えていても『向こう』の【本物】を知ってるこっちからするとあんまり怖くない。

 いつか探偵事務所で出会った烏枢沙摩明王が小手先であしらえる様な、そんな人らがトップなのですか。と口にしたいのだが如何に。

 

 そんなことを、朱乃さんの乳房揉みながらつらつらと考えていた。

 乳の付け根からたぷたぷと苛めると、そのたびに嬌声を上げていて満更でもないご様子。

 しかし……、据え膳食わぬは男の恥、とも云うのだし、一先ず手を出してみたモノの。

 女性として人妻と見紛わぬばかりの色気を醸す朱乃さん(女子高生)を好きに出来るというのは確かに魅力的だが、実際の人妻でメイドという異色キャラを昨夜に楽しませてもらった身としては所詮紛い物である。

 読み手側だって、弐週連続でそういう話ばかりを読んでいたら萎えるよね?

 なんか今電波混じったな。カットカット。

 

 ともあれ、ピロートークで場を繋ぐのもそろそろ限界。

 何か期待してるようだが、お応えするのを構わないほど見境ないわけでも、無いのよ?

 

 

 「あー、じゃあ、ちょっと疑問があるので、お返事プリーズ」

 「……っ、ーーっ」

 

 

 息も絶え絶え、絶頂も幾らか果たしていそうな朱乃さんを弄るのを一端止めて、ふと思い出したことを尋ねる良い機会かな、と身体から力が抜けた彼女を後ろから支える。

 その姿勢のまま、割と純粋な疑問をぶつけてみた。

 

 

 「朱乃さんって、ひょっとして堕天使とかと混じってます?」

 「っ、なぜ、それを……!?」

 「いや、今現在、羽根出てますし」

 

 

 力なく出しっぱになってる羽根は、烏みたいな黒い翼と蝙蝠みたいなモノとが別個に生えている。

 このサイズなのだし、まさかの鳥人間とか言われるよりは可能性ありそうなところを攻めてみた次第だ。

 予想は的中なのか、しかし何か思う処でもあるのか、朱乃さんは息を呑むような貌でこちらを見上げていた。

 

 

 「……っ、お察しの通り、私は堕天使との相の子で……、」

 「あ、詳しいところは別に気にしないんで、語らなくとも問題無いっす」

 「あれぇ?」

 

 

 種族に偏見も持ってない俺としては本気でどうでもいい話なのでさらりとスルーを推奨したが、彼女的には何か覚悟でも覚えていたのだろうか、拍子抜けしたかのような頓狂な声を上げられる。

 問題はそんなところでは無く、少しばかり腹に据えかねる懸念のような疑問である。

 

 

 「問題は、……前の何処かのボンボンとのぶっ殺試合で堕天使としての力を初めから使う、って明言しておけば、塔城が俺の処に来ることも無かったんじゃないっすかね? って思う処なんすけど」

 「………………」

 

 

 気まずげに目線を逸らされる。

 おい、こっちを見ろ。

 

 又聞きでしかないけど、堕天使の力って悪魔に有効なんでしょ?

 確実に勝てるカードを持っているのに、なんでそれを使おうって言う戦略が練られなかったのかな?

 自分らの先行きがかかっている場面で爪を隠すのは、どう考えても能ある鷹じゃねぇよ?

 

 

 「で。返答や如何に?」

 「……私だって、自分を受け入れられないことぐらいありますわよ……」

 

 

 拗ねたように、歯噛みするように何処か嘆いた様子の朱乃さん。

 しかし、先程まで子作りを推奨していた女が口にすることでは無いだろうに。

 アレだな、彼女は子供染みているというよりは、未熟な上に自暴自棄な部分が微妙に隠れている感じがする。

 破滅願望というか、自分の身体を微に至るまで自愛としない、そういう自棄になろうとする前提が備わっている感じ。

 幼少期の成長過程に何某かの問題でもあるのかねぇ?

 

 

 「朱乃さん、俺が言えることでもないかもしれんけど、そんな自分を(なげう)つような真似をする女性を抱くほど俺は飢えてないんすよ。子供作りたいんだったら、先ずは自分を好きにならなくちゃ」

 「……烏丸くん、貴方は……」

 

 

 と、余計なお世話だろうに云ってしまったことを撤回する間もなく、見上げられたことでこちらも気づく。

 なんか、察せられた?

 こうしている分には優秀な人なんだよなぁ、岡目八目というか。

 

 力の抜けたような肢体を支える腕の中で、彼女の身体がより弛緩したようにこちらへ預けられるのがわかる。

 此処で初めて、朱乃さんはふっとはにかむような笑みをこちらへ向けた。

 

 

 「……小猫ちゃんやアーシアちゃんが気にかけているのも、判る気がしますわ。貴方にも、拭えない過去というモノがあるのですわね」

 

 

 あるにはあるが、わざわざ口にすることでもないので明言する気はない。

 というか、むしろ黒歴史だよアレは、と現状弩屑の男子高校生が気まずげに遠くを見遣ります。

 弩屑が何を抱えていたとしても、ナニを挽回できるものでもないと言いますか。

 

 

 「烏丸くんのお眼鏡には叶わないのかしら?」

 「つーか、これじゃあ負け犬の傷の舐め合いでしょう」

 「あら、そういうケダモノみたいな好意も、アリだと思いますわよ?」

 

 

 行為と好意を掛けているのだろうか。

 昨夜散々メイドを嬲った身としては、余り巧くないと思われる。

 

 

 「それに、本当に貴方にその気が無いのなら、もう手放してもいいのではなくて?」

 

 

 たぷ、と自ら乳房を持ち上げて、誘惑するような口調でこちらの唇へと声を添わせられた。

 桃色の先端がさっきよりもつんと上を向いており、自らを愛撫して欲しいと懇願してるような目は、何処か幼い少女のようにも思えてくる。

 彼女にも幾許かの柵が合った筈なのだが、本日は気にかける余裕も最早無いご様子だ。

 

 先ほどまでの作業みたいに(まさぐ)る愛撫と何が変わったわけでも無いが、ちょっとその気になっている彼女をもう少し上向きにその気にさせようと意識を傾ける。

 自分をどうにでもして良いと暗に訴える少女が、ほんの僅かでも自分を好きになれますように、と余計なサービス精神を発揮しながら、俺は少女の柔肌へと優しく指を這わせるのであった。

 

 





~巫女服(和服)
 漫画などを筆頭に企画やシチュへ挙げられるとどうしたって脱いで直ぐに肌が出る、という異常が出回っておりますが、作中でも触れた通り実のところキチンと下着代わりの肌襦袢(はだじゅばん)なるモノを下に着ています
 ブラみたいに支えるわけでは無いですが、元より和服は立体的では無く平面の布を併せるのが仕様なので、しかしそれでも下に着ないという破廉恥な真似は普通にやらかしたりしません。そういうのがお好みならばそういうお店へどうぞ
 あと冒頭で暴露った巫女の本来の役割はガチで割と此れくらい下衆な話です。いわゆる“くぱぁ…”です。現代ではそういう風習が残っている地域こそ希少となっている筈ですが、歩き巫女なんて言うモノもあるからなぁ…


~ドナられる
 らんらんるー!ではなく仔牛を乗せてく悲しい目のアレ
 ネズミと共演するアヒルでもない


~解放されれば肉が汝らを呑み込むであろう…
 聖書グラップラー・オリバの項目より、抜粋
 圧縮された力を抑え込むには、相応の代償が必要であるとまあ色々な人が仰ってたそうな(白目


~遺伝子弄り
 烏丸のやってたことがどう見ても血の眷属(ブラッドブリード)な罠
 南南西でも目指しているのか。やはり世界中を驚かせる夜にさせるのか


~推定Iカップ…って書いたけど、あれぇ?
 色々資料漁ってみると93でJとかってお人もおってなんやようわからんくなって来たわ
 そうなると99のリアスさんはLとかMとかになっちゃうのだけど、某漫画ではまた別のキャラが143でOとかなってたから余計に混乱
 …まあ、漫画と現実は別物だものね
 セントレアさんは103でIとかいってたから、問題無いってことにしておこうか(メソラシ


~ちょっと妲己さん
 最近姜子牙以外が美少女のフジリュー演義が元になった感じのラノベが出版されていたよね…(小声


~朱乃さんに対する考察
 初めから堕天使としての過去に折り合い付けてれば焼き鳥戦もヌルゲーだった可能性が微粒子レベルで存在…?
 愛人願望、というのも若干の破滅型に近しい志向の表れではないかと。悪魔だから享楽に耽る、というならば既に学園内でも仕事先でも色々と遣っていても可笑しくないって言うのに、実のところはアダルトなのは衣装のみでマッサージ…
 安定してるように見せかけてどいつもこいつも不安定さが際立つよね、グレモリー眷属って
 尚、人に言える程烏丸も自分のこと大事にしてるというわけでも無い



作中でも烏丸が電波読みましたが、連続してエロ話onlyでもダレますよね?
そんなわけで朱乃さんは一先ずお預け
残念だったなぁ!(鬼の首を取ったかのように


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「わかんない!ぜんぜんわかんないよぉ!(裏声」

はい、28話です


 

 

 「え、ナニコレ、イジメ?」

 

 

 会議とやらが翌日へと差し迫ったらしい、明けた次の日の放課後のことである。

 校庭の隅っこでオカ研の先輩方の手に依り、バレーボールやバスケットボールを独りズンドコ投げつけられているヴラディの姿がそこにあった。

 どうみても現行犯です、先生にユッテヤロー。

 あ、でも昨今では教師も見て見ぬ振りするか。

 ……でも俺が見ぬ振りするのもメンドクセェナァ。

 

 

 「ちげぇよ、特訓だ!」

 「特訓? あ、あー」

 

 

 無駄に熱い兵藤先輩の言に納得。

 アレか。

 

 

 「あの眼球の奴か。目的だけを止めるとか、そういう細かい調整が目標?」

 「う、うん、そうです」

 

 

 ヴラディが若干距離を感じる。

 もう解剖とかしようとしないから、あんまり退かないでくれ下さい。

 

 

 「その言い方はなんなんだ……、ま、まあそうだよ。そだ、烏丸も持ってるんだよな。コツとか教えて貰えねぇか?」

 「……何を?」

 「え、何って、神器(セイクリッド・ギア)について、とか?」

 

 

 せいくりっどぎあ、って、何……あ、いやいや、待て待て、なんか聞いた覚えがある様な……?

 

 

 「なんだっけ、何か何処かで誰かが話していたような記憶の隅に引っかかる……。何処かで小耳に挟んだような……!」

 

 

 苦悩懊悩困惑し、もやもやが晴れない。

 誰かー、もやっとボール持ってきてー! キバオウサンでも可。

 

 小耳……、と絶句する先輩方が何か事情でも知って居そうなので、ちょっと話を摩り合わせることに。

 互いの情報を取り交わすというのは、実はかなり有意義なことだそうです。

 議論とは、共同作業の一環である!

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「へー、ほー、なるほどー、死んだ主神が遺した人間のみに宿る異能力を発現する特殊道具ね。取ったら死ぬ? マジで?」

 「むしろなんでお前が知らないんだよ……」

 

 

 そこはほら、俺って並行世界出身の異世界人だし。

 涼宮ハ●ヒとかが居たら引っ張りダコなんだろうけどなぁ。

 

 それにしても危うかった。

 取ったら死ぬようなモノを無防備に晒すなよ、解剖諦めなかったらヴラディ死んでたじゃねーか。

 

 

 「で、ヴラディの目が、なんていったっけ?」

 「停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)、です」

 「兵藤先輩のが、」

 「赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)だぜっ」

 「木場先輩のが、」

 「魔剣創造(ソード・バース)、だね」

 「……で、アーシア先輩のが」

 「聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)です」

 

 

 順繰りに本人たちが、ヴラディは大人しめに、兵藤先輩は誇らしげに、木場先輩は悠然と、アーシアはいないので塔城が代わりに答える。

 一通りの説明をしてもらったわけだが、色々とツッコミどころが。

 うん、なんていうか、さ……すっげぇ芳ばしいよね。

 直接英訳したわけではなさそうなルビの振り方と言い、性能が名前を聞いただけでは予測でき無さそうな範囲を孕んでいそうな命名と言い、……何考えてるの聖書の神とやら、って言いたい。

 むしろ件の聖書の神がこの世界の主軸の創造神、ってことになるのかな。

 『向こう』じゃ唯一無二の神は偉大なり教って東方で派生した我が国の改造派生された個人教義と比べると古参で三大教義の一角で(シンジャ)数も大規模な古株なんだけど、神話って言うカテゴリで依り分けると人類史的には新参も良い処のペーペーのはずなのだけど。

 神道だって実は紀元前から続いているモノをベースにしているそうだから、西暦で物事を図ると定規が合わないって言う。

 

 他にも色々と疑問はある。

 ヴラディのフォービトゥンなんちゃらの命名に入っているバロル神はケルトの魔神のはずだけど、まああっちは聖書勢力からの討伐や侵略が背景にある被迫害神話でもあるし、聖書の神が『元になった何某かを道具の形で封印した』という筋は通る。ただ、バロルって破壊神だったはずなんだけどな。なんで性能が時止めになるんだろうな。時間に関係するならクロノスじゃね?

 逸話にはクロウクルワッハという、元の世界じゃなんか【もにもに】してたスライム状ドラゴンくんを扱っていた、とかいうモノもあるんだし、魔術神と云いたいのならそっち(伝承生物操作)の性能を備えるべきだったのでは……。

 ……でも、根源的にアレは鍛冶の神としての特徴故に単眼とされているはずだったのだけど。ドラゴンを扱っていたとかいう逸話だって【王としての優越性(神と看做されるに足る為の伝承互換)】を盛り込まれただけであって、実際に使役した描写が無かったとか……。まあそれで云ったらそもそもバロル神の活躍描写そのものが大本の神話に無ゲフンゲフン。

 

 木場先輩の魔剣創造とやらにも、言いたい。

 そもそも、魔剣の定義ってこの世界可笑しくね?

 向こうじゃ魔剣と言えば単に『魔力が盛られた剣』なのではなくて、『世界という法則に対して敵対する必然性を備えた剣』なのが常識だったのだけど。若しくは、【魔】と定められるほどに振るうことに代償が必要とされる剣。

 例えに出すならグラムまたはバルムンクなんかはその代表だ。ドラゴンって言う【古い世界法則】の主軸であり【人の上位種】に対応して討伐する武器だし、持ち主に対して物言わぬ代償も要求しているし。

 まあそれらは基本神話の例だから遠いとしても、一番近いと言えば明日菜のハマノツルギか? 俺個人は見たことないけど。【魔法という法則】に対応する以上、アレも魔剣の一種になる。実際『姫御子』としての能力の延長線上だったしなぁ。

 というか、この世界って剣に込められたオーラの質とやらで判断してるよね? 斬られたら怪我で、時には命を奪うモノは等しく武器だろ? 振るう奴が主軸なのであって所詮剣は剣だよ?

 

 で、兵藤先輩のが……ルビの方を意訳すると、『倍化の(ブーステッド)歯車(ギア)』になるんだろうけど、此れは多分、車とかで言う処の『ギアを上げる』とかいう慣用句から持ってきた命名だろう。段階変化形の強化道具、ってことになるのかな。

 ……そういう言葉の慣用句引用が何故『聖書の神』から出てきているのか。

 これ、絶対名付けたのは最近だろ。

 あと説明に附け加えたロンギヌスって、ナニ。

 聖者殺し、ならわかるけど、説明上になんでか『神滅具』って言われたんだけど。

 アレは槍を備えた処刑人の名前であって、武器そのものを指す言葉では無かったはずなんだが……。

 以上のツッコミどころを言った処――、

 

 

 「で、でも、烏丸だって持ってんだろ? 黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)

 「もってねぇよ」

 

 

 押し黙った木場先輩はさておき、口答えして来た兵藤先輩に敬語も忘れて思わずツッコミを入れ直した。

 もう一度言うけど持ってねぇよ。

 

 

 「あれ? アザゼルのおっさんは烏丸は恐らくそれの使い手だろう、って言ってたけど……」

 「誰だそれ。……いや、ていうか、槍とか使った覚えないです」

 

 

 言葉繋がりで【聖槍】?って思ったから答えた。

 清掃でも精巣でも政争でも正装でも星霜でも凄愴でもないよな、多分。

 

 

 「烏丸くん、コカビエルを圧倒したアレは……」

 「アレはどっちかというと鉾だし、……三叉鉾ってわかる?」

 

 

 塔城の言ってるのは【帝釈廻天】のことだろう。きっと。

 ポセイドンのアレが根源だけど、ギリシャ神話が廃れた結果行き付いた果てが悪魔の所持武器代表になったアレだ。

 ――そうじゃん、悪魔の代表武器って言ったらアレじゃん!

 こいつらの中にそれの使い手見た事ねぇぞ!?

 ……まあ、淫蕩の印とかって意味合いの所謂シンボルマークだから、持ってなくても基本は構わないけどさ。悪魔のナニが三本あって女性を満足させる誘惑の印、っていう暗喩が隠れてるんだってよ。キングギ●ラみたいだな。

 

 

 「じゃあ、烏丸の神器って神滅具じゃなかったのか。それであの威力って、やっぱすげぇ鍛えてるんじゃん」

 

 

 兵藤先輩がなんか明後日の方向に納得してた。

 個人的に鍛えてはいますけど、そもそも俺のアレは神器とやらでは無いです。

 この世界由来のモノだから異世界人の俺に当て嵌まる法則ではないだろうし、敵の(ころ)し方を知略で検算することはそも戦うことになった以上の【前提】だ。

 【打ち合い】に【ならないこと】を図るのが実は必要な【戦いの基本】であるし、実際に武力衝突で事を収めようというのは七割がた負けている証拠であるし、『鍛えるということ(即ち)勝つための前提』ではなく自己の研鑚(生きるための成長)を手前ぇの理屈で納得されるのって何気にすげぇ腹立ちますのでもうお前黙れ。

 

 ……落ち着け、クールになるんだ烏丸そら。

 此処で云って通じたとしても己の胎を晒すだけのみっともない醜聞でしかないし、態々晒してやる義理も無い。

 判るように教えることは優しい証拠だって誰かが言っていた。

 優しくしてやる義理も無い相手に、そんな甘い顔をすることもないだろ。

 

 

 「まあとにかく、云わんとすることはわかりました。それでヴラディのバロなんとかを十全に扱えるだけの修行中である、と」

 「うん、微妙に正解じゃないし、実は色々うろ覚えだよね烏丸くん」

 

 

 気を立て直したらしき木場先輩に窘められてしまう。

 そらショック。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 ボールを投げつけてそれを注目する、と同時に性能が発動するような集中を行えるショートカット。

 要するに、感覚を一足飛びにイメージへ繋げて一律発動するための反復練習なのだろう。ペパーミントの魔術師がやったみたいな、そんな修行だ。ヴラディがモノを掴むためには米のアイスクリームを差し入れするのが適切かもしれない。

 そんな練習風景をぼんやり眺めつつ、なんでこの人らこんな遠回りなことしてるんだろう、と疑問が浮かぶ。

 

 

 「塔城、神器って反復練習で制御できるものなの?」

 「自己と一体となっているモノですから、やはりそうなのではないですか?」

 

 

 神器を備えていない塔城がいったん脇に退いて、ヴラディの修練に当っているのは兵藤先輩と木場先輩の2人組である。

 朱乃先輩とグレモリー先輩は明日のことで席を外し、元修道女3人組は先日のミカエルさんに呼ばれていて不在。

 此処の処擦れ違いが多分に重なるが、遭っていたとしても結果碌でもないだろうから気には掛けないこととする。

 

 話を戻すが。

 塔城は俺の疑問に応えてくれそうな気配は見せるものの、やはり自分が備えていないモノの話なので明確な答えは出ない。

 しかし、扱っているモノに意思が宿るとかいう話もふわっと伺ったわけだが、そもそもは道具である前提は違えていない筈。

 扱うならば先ずは――、

 

 

 「取扱説明書を読めば良いと思うのは、俺だけなのかな……」

 

 

 そんな疑問が口をついて出たところで、修練に当っていたお2人の動きがピタリと止まった。

 

 

 「「……え?」」

 

 

 息の合った先輩方が揃ってこちらへ顔を向ける。

 ヴラディは元々引き籠りであった所為なのか、ぜひゅーぜひゅーと息も絶え絶えにへばっておるご様子。骨格こそ男子だが見た目は美少女。無駄にエロい有様は下手をすればむしろ塔城より上位に当たるのではなかろうか。

 

 

 「怒りますよ。それより烏丸くん、取説とかあるんですか?」

 「さあ? 1かい測ってみないとわからんけど。ていうか、制御だけならもっと遣り易い方法もあるし、そもそも俺が介入するのもお門違いだよな」

 

 

 さらりと心を読んだ塔城はさて置き、彼らとの距離感を思い出す。

 そうだよ、俺このあとバイトあるじゃん。

 やや時間を無駄にしたような気分になりつつ、お疲れさまっしたー、と腰を上げた。

 

 

 「ちょ、ちょっとまってくれ烏丸っ! 制御できるってマジでか!?」

 「ぅお、なんすか先輩、俺この後バイトがあるんすけど」

 「そっちより今はギャスパーを優先してくれ! アイツこのままじゃ引き籠りのままなんだよっ!!」

 

 

 腰を上げたところで引っ掴まれた腕を振りほどきつつ、逃げないからとアッピール。

 しかし、先輩の言い分は何気に後輩想いの真っ当なモノに当る。

 てっきりこの先輩のことだから、時間停止した女生徒に何やかんやをヤル目的でヴラディの修行を付けているのかと思ってた。

 立派な目的があるようで密かに感心しつつ、むしろ思いつかなかったのかと言いたい俺なりの制御法をサムズアップと共に教えることとした。

 

 

 「目隠しして生活できるようにすれば万事解決」

 「出来るかっ!?」

 

 

 即座に否定された、げせぬ。

 無理じゃねーよ、視覚情報遮断した美少女が高機動戦闘咬ました例だってあるんだし、可能可能。

 まあアレは漫画知識だけど。

 

 

 「烏丸くん、流石にそれは……」

 「なんでっすか? 目視で発動するなら見なければいいじゃないっすか」

 「何トワネットだいそれは」

 

 

 ミセスマリーは良い事言ったよね。

 結果は、悲しい、事件だったけどね……。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 そんな俺の提案に難を覚える御二方とは裏腹に、部内ではそれなりに役立ちそうだと解釈された目隠しアフター。

 後日の三竦み陣営トップ会談では目隠しをしたヴラディがグレモリー先輩に手を引かれて連れられて、其の様はまるで電波少年のよう。

 そっちこそ問題では無かったものの、悪魔陣営の政治的背景の問題点が浮き彫りとなる会談が巻き起こるのであった。

 そんな中で、襲撃して来た真魔王を名乗る男女3名に対峙した堕天使総督と名高いアザゼルさんの名言がこちら。

 

 

 「これは黄金龍君・ファーブニルを封じた、いわゆる人工神器って奴だ。差し詰め、『堕天龍の閃光槍(ダウン・フォール・ドラゴン・スピア)』と言った処か」

 

 

 ……神器とかに命名したの、アンタだろ。

 いい年して黒歴史大量製造してるおっさんとか、なんかもう目も当てられないよ……!

 

 

 





~唯一無二の神は偉大なり教
 大元となる歴史は確かに古いのだろうけど、明確に現行の教義へとシフト完了したのがホント最近なので現状作中で云ったような認識の所謂『聖書勢力』
 宗教の教義は時代背景でころころ変わるから、それを語ったところで時代の深さとかは今生きてる人間には正直関係ない事じゃね?という意見もある
 飽く迄烏丸の中での認識ですので、実際どうなのかはそれぞれ調べてから語るように


~クロウクルワッハ(なんか【もにもに】してる)
 烏丸の中では見知られている某探偵事務所所長机の引き出しの中の使い魔
 其処と付き合いのある教会に出入りしている大柄ドレッドヘアがバロルの欠片とかいう情報を小耳に挟んだから自ら調べた結果、作中での無駄な解析力が発揮された
 バロル神が破壊神であるというのは伝承通りだが、鍛冶の神が前身であるというのは烏丸の中での推測


~魔剣
 注意:伝承上はグラムもバルムンクもノートゥングも同じモノ
 ちなみに作中での例えは『明確に魔剣と呼べるモノが存在しなかったネギま世界』だからこそ介入させることが出来ていた個人解釈。あ、妖刀は別としてね
 神または世界と同等となる上位法則に対抗するための人の手による代償有りきの敵性こそが『魔剣』の本質であると作者は提示します。ちなみに神を降した上で約定を交わす『契約剣』が【神剣】または【聖剣】と呼ばれるに足ると付け加えますが、ゲーム的に見るなら『とりあえず斬れればいい』が前提になりますので攻撃力が主流になるのも仕方がないのかと。本来なら時代背景背負った伝承剣が未だに現存していても耐久値はとっくに尽きてますよねぇ…


~ケルト神話
 カラドボルグとかクラウソラスとかフラガラッハとか、最近よく聞く『なんかすごい武器』の元ネタが大体此処
 紀元前30世紀から続いていたとかいう古参も古参の神話だけど、聖書勢力に侵略された過程も備わってるので『ノア以降の物語である』という前提が備え付けられていて時代が合わないという矛盾も含む
 唯無二教はほんとあちこちに手を伸ばしてるからこういう矛盾がごろっと出て来てほんと困る。前話で語ったアスカロンだって唯無二教の伝承ではあるけど物語の本場は中東というアッラーの真っ只中。イイのかコレ


~目隠しして戦う高機動美少女
 戦争抑止…三原則…3つの平和…うっ、頭が…!?



幕間回でした
あけましておめでとうございます


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☆「いやぁ、激動の一日でしたね!」

29話でっす
ようやく“彼女”のターン!


 

 

 銀糸の髪が暗がりに揺れる。

 窓から差し込む月明かりに晒される其れが幻想的な淫靡さを孕むのは、彼女の格好そのものに起因するのであろう。

 胸部の起伏に乏しく、平坦と言っても過言では無いくらい『ふくらみ』が覗えない姿は女児としか言いようが無く、決して色気を醸すはずがないのに、女性としての貌を表立たせてこちらを見下ろす。

 腰の上へと圧し掛かり、こちらへと伸ばされる手は、愛おし気に俺の頬を撫ぜた。

 「……烏丸くん、もう、いいですよね……?」

 待つことなんて初めから思っても居ない癖に、衣服の全てを自ら剥ぎ取った生まれたままの姿の彼女は、同じように遮るものを除けられた俺の胸元へと寄り添いながら、荒い吐息で唇を這わせる。

 舐められた首筋にぞくりと走ったのは、悪寒に近いほどの衝撃だった。

 「ん……っ」

 反り立つことも未だないそれを、彼女は未だ未貫通であったと思しき秘所へと宛がい、ひと息に貫く。

 その証拠に、暗がりから覗える結合部からは、鮮やかな流血が滲むように染み出ていた。

 しかし彼女は感じている筈の苦痛を微塵も覗わせることも無く、肉を割く感触もほんのわずかに、水気を孕んだ粘膜が潤滑油のように滑らせて最奥へと直ぐに届く。

 浅く小さな彼女の膣は、もし俺がその意気であったならば決して挿入(はい)るはずがないくらいに狭窄で、どう考えても男性のそれを受け入れるようには出来ていない。

 そんな未熟極まりない子供が、こうして男性を受け入れることに、一体何の覚悟をしていたのか。

 しかし、そんな俺の懸念を他所に、彼女は実に幸せそうに嗤っていた。

 「ん、はぁ……っ、はいり、ましたぁ……ぁっ」

 暗がりの所為だろうか。

 目に光は覗えること無く、うっすらと微笑むままに、自身の腰を上下へと動かす。

 捩ることも出来ず、されるがままに耐えるしかないこの身だが、堪えたままではいられない本能を蜂起させる獣の雌みたいな荒い息遣いは絶えず正面から襲い来る。

 抱き着いている肢体は幼いながらも、しっかりと女性らしさを兼ねたしなやかさと滑らかさを自身の身へ触れる肌が伝導し、及ぶ感触は次第に雄としての本能を覚醒させていた。

 「から、すま、くん……っ、きもち、いい、です、か……っ?」

 止まらない上下運動は既に男への奉仕ではなく、彼女が満足するための自慰にも似た独り善がりでしかないのに。

 この身が相応に興奮するのは仕方のないことだとでも言いたいのか、俺の本能は僅かに鎌首を擡げる。

 身を起こす蛇のように、膣中で動くそれに小さな悲鳴を上げた彼女は、それでも嬉しそうに自身の胎の下を覗っていた。

 「っん、ぁ……、ふふっ、感じてるん、ですね……、んっ、嬉しい……っ、ぁっ」

 目を閉じ、ぐちゅぐちゅと水音が部屋中へと響くそれを止めようとせず、断続的に喉から洩れる嬌声を隠すこともなくに、彼女は自身の腰を自身のペースで上下させる。

 小さく細やかに動く其れは、彼女の普段のそれを想起させるペースでの『運動』で。

 自己満足を追求したかのような『咬合(セックス)』は幼い身が痛みで制止しようと云う素振りも微塵も見せず、むしろもっと欲しいと仕草は語る。

 首筋へ抱き着き、肌蹴た胸に素肌を寄せて、絹糸が触るかのようだった擽ったさを伴う『子供の肌』は、汗ばみ熱を帯びたことで刺激され、敏感になった小さな突起がふたつ、自己を主張する。

 触れ合うたびに悦ぶような声を漏らし、触れて擦る淫靡な仕草が自らを子供では無いと全身で主張していた。

 其れは差し詰め獣のマーキングのような、実に積極的な求愛行為であった。

 「あっあっあっ、からす、ま、くぅん、いいのぉっ、もっと、ほしいのぉっ」

 もう判っているだろうが、俺の上で腰を振っているのは塔城である。

 ついでに言わせてもらうと此処は俺の部屋で、俺は身動きが出来ないように両手をバンザイの形で麻紐で縛られていたりする。

 魔力云々(とか)で束縛されれば障壁で無効化したり、力技で解くことも出来るのだが、何気に筋力は普通の人間程度しかない俺で、みんな忘れているかもしれないけど実は魔力強化も拙い俺の弱点はこういう物理拘束だったりする。

 要するに、小猫ちゃん大勝利ぃ!の瞬間である。

 ――何がどうしてこうなった……!

 気分が乗って来て腰の上下運動も激しくなってきた塔城を眺めつつ、俺はちょっと現実逃避を始めるのであった。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 駒王学園で開かれた会談は、基本的に衆目に晒されることは無い極秘裏の会合かつ会議であった。

 神の不在という前提を把握しつつ、実は種としての目標が違えることが無いはずなのに【潰し合い】を歴史的に繰り返してきた『実はとっくの昔に共存共栄出来ていても可笑しくねーんじゃねーのコイツら?』という、これまでに『自分たちだけ』の生存と繁栄だけを求めて来た三つの種族(天使・悪魔・堕天使)が、ようやく共同作業を始めようと一歩を踏み出した議論の場こそがそれであった。

 当然、事前に勢力それぞれでの外交官は顔を合わせておくべきであるだろうし、話を詰め合わせておいて然るべき事前会議があっていても可笑しくは無い。

 ――無いのだが、始まった『それ』では、どうにもそんな空気が微塵も感じなかった。

 あれ? 俺とかグレモリー眷属とかの『政治的な外様』が場に居るのに、専門の詰め合わせを堂々と取り交わしているよこいつら?

 思わず顔馴染みのグレイフィアさんに目を向けて、斜になったような表情で色んなものを諦めた顔をされたのは記憶に新しい。……あっ(察し。

 

 グレモリー眷属の大多数はそんな政治的な話は専門外であるらしく、俺の向けている視線の意味に怪訝そうな顔をしていたが(ついでに兵藤先輩は微塵もこっちの視線に気づいていなかった。むしろ場の空気に呑まれていて別な意味で緊張していたフシもある)、外様中の外様である俺という全く関係するはずの無い人物に政治的な詳細を聴かれているのに一切の配慮が届いていないのは……ホント大丈夫なんだろうか、この『聖書陣営』。

 情報を悪用する気は別にないけど、聞いた限りじゃ同盟上の穴(俺が人知れずに暗躍できる隙)が多分に在る。

 ……使っていいの? 暗躍するよ? 個人的な研究もするし、必要とあらば【聖書同盟】滅ぼす程度の案件も画策できるよ?

 そして、この会議を開くこの段階では、未だに同盟を締結できていなかったという衝撃の事態。

 ――呑気か!

 何もかもが着手が遅ぇ! もっと早めに足並み揃えなくちゃ、他の勢力に削り取られても可笑しくねぇぞ!?

 

 前以てこの世界の神秘事情をようやく最近把握できた俺からしてみても、【常時神秘受肉が前提】という碌でもない世界法則が働いているこの世界線。

 当然、受肉に伴う概念水準の低下というリスクは在れど、だからこそそれぞれの生死が至極当然のように法則に組み込まれることとなる。

 生死が関わるということは、種としての繁栄と衰退も当然盛り込まれるわけで、だからこそ悪魔にもまた【出生率の低下】なんていう社会背景が彼らを襲っていたわけである。

 ……それらの問題点(リスク)は、他にも存在して然るべき神秘存在にも適応される。

 聖書の勢力だけが実体化して、それ以外に適応されないのならば外敵こそいないこの『三竦み』はとっくに人間を喰い尽くしてこの地上の覇者になっていても可笑しくないからだ。天使勢力だけでその総てが賄えるとは、到底想定しきれない。

 そんな他の神秘勢力、つまり『聖書以外の神話存在が別個に存在している』という前提が彼らの中にはあって然るべきなのである。

 そんな勢力が、明らかに身内だけで蠱毒みたいに食い合っている奴らを放っておくか?

 否。

 最低でも、疲弊した頃を見計らって一挙に大挙されるか、中枢からの目が届かない外周からじわじわと嬲り殺しにされるか、そんな策を既に図られていても可笑しくない。

 ………………あれ、聖書勢力(こいつら)、詰んでね?

 

 そんな結論に達しそうになっていた会議中盤、同盟を組んで足並みを揃えるべき、と堕天使総督が遅ればせながら言い出していた時点に、襲撃があった。

 情報漏れてんじゃねーか。

 それとも会議の場に情報遅漏(リーク)役が潜んでいたか?

 

 襲撃して来たのは悪魔陣営の【旧魔王】と呼ばれた三名の男女。

 なんでか堕天使総督が筆頭になり対処をし、自らの汚点を晒したはずの魔王2人は静観。

 大天使長もまた静観を決め込んでいるが、あっちはあっちでどうにもタヌキ臭い。

 事態の背景を覗っている節もあるし、堕天使総督の動きを注視してる?

 どうにも天使側が一番『自分らのみ』の利点を、漁夫の如くに掻っ攫いそうな奸計を働かせている節がある。

 三竦みの足並みが揃わなかった一番の原因って、天使陣営なんじゃね? 潔癖そうだしなぁ……。

 

 事態の収拾は意外と早くに片付いた。

 3対1という異例の事態はさておき、堕天使総督の実力はそれなりにあったらしく、何処かで見たようなオーラを孕んだ【蛇】を呑み込んだ三名の男女がパワーアップしたようなものの、戦闘経験そのものには比例しないのは当然の理屈。

 翻弄する堕天使総督の高機動戦闘は某ライダーの【クロックアップ】を彷彿とし、しっかりと戦線の拮抗を維持していた。

 決め手になったのは、グレモリー眷属のゼノヴィアとイリナ。序でに兵藤先輩。

 先輩の持つ『赤龍帝の籠手』とやらは【能力の倍化】と【倍加するエネルギーの譲渡】という性能を持つらしい。

 時間を負う毎に二倍となるのを繰り返すらしい性能はともかく、それを他人へ譲渡できるって理屈的に可笑しくねぇか、と一瞬思ったモノの、どうにも神器という奴は『斯く在るべし』と存在を定められた概念的な部分が核として性能を保持する傾向にあるらしい。

 ……神秘が受肉した所為で下がった概念水準の補填がそれらで為されているのか? 確かに下がるだけ下がっていては同時に過去に起こっていた筈のパラダイムシフトが破棄される傾向になるだけだから、そこを解消するナニカはあって然るべきだとは思っていたが……、ひょっとして神器に世界法則の主流が働いてる? 因果が其処を中心に流転してるの? 世界線の突破の為には神器総てを破棄する必要性が出て来た。メンドクサイ。ナニこの嫌な懸念。

 話を戻すが、要するに倍加した2人の持つ聖剣がそもそも悪魔には致命的な弱点として働く武器なので、それで斬りつけられたら一撃だったと。

 そこでどうして魔王2人は働かなかったのかを聞いてみたが、グレイフィアさん曰く『何事もクイーン(盤を覆す戦力)は容易く動かざるが定石で、そもそも駒王学園の筆頭主力はグレモリーなので領域不可侵を慮った結果』だとか。

 後は対外的な政治的配慮か? 冥界最大戦力(魔王)の明確な実力を披露して三竦みに対処を図らせるわけには行かなかった、と。

 うーん、こっちもタヌキ。まあ、この腹芸は魔王本人よりはグレイフィアさんの指示っぽいが。

 軍事的思考なら正解かもしれんけど、そもそも自分らの尻拭いを別種族の筆頭に任せるってどうなんだろう。

 この場合はどれが正解なのかねぇ。

 

 さて一撃の下に斬り伏せられた【旧魔王】らは、これで終わりかと全員が安堵した瞬間、碌でもない爆弾を放り投げて来た。

 堕天使陣営に同行していた、終始白銀の鎧を着こんで素顔を晒さなかった【白龍皇】とかいう奴に助けを求めたのである。

 なんでも、旧ルシファーの血を引く人間とのハーフで、強者との戦いを求めるが故に寝返った、とか。

 ……なんだろう、その割には旧魔王3名へ手を貸す素振りが全くなかったのだが。

 しかし、件の鎧の言い分は確かに手を貸しているという本人からの言質で、堕天使総督がアチャーといった顔つきで顔を覆っている以外は他の会頭も鎧のを睨みつけている。

 確かに件の鎧が裏切ったならば会談の場所が特定されたのも納得だが、其処は魔王側から洩れていたとしても可笑しくは無いと睨めるし、どうにも堕天使総督の対応が所々に大仰に見えた。

 こう、オーバーな演技で本筋を隠そうとしてる、感じがひしひしと。

 

 既に死んだ【旧魔王派】を取り込んだテログループ【禍の団(カオス・ブリゲート)】を名乗る彼らの最終目的は不明だが、どうやら聖書同盟どころか他の神話群を相手取っても勝てると踏んだ何某かを『神輿』に担ぎ今回の同盟へと異議を唱えに来ていたらしい。

 そうでなければ、そもそも冥界側の旧体制として隅に追い遣られていたらしき彼ら(旧魔王派)が実力勝負で乗り込んでくる、という自殺行為を図るはずもない。

 実際、この世界全体の思想とは思いたくはないが、聖書陣営の彼らは脳k……実力勝負な部分が多分に在る。

 確かに世相を動かすに実力、明確には実績や実行力と言った部分の意味での実力は必要不可欠だが、最終的に必要とされるはずの【武力】または【軍事力】で初めから事を成そうと云う辺りは確かにテロリストと呼べよう。

 だが、それらを最終的に決定付けるのは『平時を迎えた世代』にどれだけの安定と安全を大多数へ与えられるか、という為政者ならではの実力である。

 要するに、歴史の勝者を決定づけるのは全て後世の手に委ねられ、それは戦争で勝利したからと言って一口に得られる報酬とはイコールでは結びつくことは無い。ということに他ならない。

 まあ、結局彼ら(旧魔王派)のテロは失敗に終わり、彼らがどういう治世を熟そうとしていたのかは結局日の目を見ることも無かったわけだが。

 

 しかしこうして考えると、堕天使陣営踏んだり蹴ったりだな。

 総督が働いて、身内に裏切り者が出て、それを他の勢力にも知られたから自分らが優位に立っていた『神器に関する研究成果』も公開せざるを得なくなっている。

 結局ヴァーリと言った件の鎧は孫悟空の後継者と名乗る青年に連れられて駒王より脱出を図り、聖書陣営はテロに対抗するという名目で正式な同盟を結ぶことが達成できたわけだが、どうにも引っかかる。

 堕天使総督、働きすぎじゃね?

 

 引っかかった疑問は会議終了後、件の総督本人によってグレイフィアさんも連れ立って事情を教えて貰えた。

 事前に【禍の団】の情報を掴んでおり、そのトップも知っていた。そしてそれに対抗するためはもちろん、そもそも積んでいる聖書陣営の首をなんとか繋ぐためには同盟を結ぶ必要性があり、其のためには天使悪魔『どちらから』も信頼が薄い堕天使陣営はどちらにも敵視されるわけにもいかず、蝙蝠でありながらも両陣営の間を取り持つ役割を持つ必要があった。

 そして、ヴァーリさんはテロ組織の活動を密かに連絡し尚且つ活動を内側より阻害する為のスパイとして潜り込む必要があり、旧ルシファーという特殊な血筋を持つが故にその役割は非常に適切で敵の目を集め易くするためにも大々的にデビューする必要があったのだ。と脱出を図ったヴァーリさんご本人を交えて情報開示をしてもらえたわけである。

 なんていうか、お疲れさまとしか言いようがない。

 とんでもない苦労人じゃないのか、この総督。

 それを俺に伝えた理由が『先々どう動くかわからない人物だが、あの場で静観と状況の把握に努めていた姿勢から味方に取り込むべきと判断した』と直に教えられたわけだけど、まあ下手に討伐されるわけには行かないもんね。テロリストは見敵必殺!となる前で良かったよ。

 グレイフィアさんも暗躍向きな立場でそういう資質を備えているから巻き込まれた口だろう、と思いきや、塔城の姉が其処に関わっているから便宜を図って欲しいというお願いが挟まっていた。悪魔陣営は悪魔陣営で色々と問題点を抱えているらしい。

 ちなみに、ヴァーリさんは女性であった。

 胸こそ薄いが、腰つきは確かに女性であった。

 なるほど、ホントに撃ち落とされたら総督(義親父さん)も目も当てられないわけだ。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 現実逃避の間に、塔城はすっかり蕩け切っており、にゃんにゃんと人の胸板に抱き着いてすりすりして居る。

 日は流れてあの会談から早数日、終業式も終わってこれから夏休みに突入!の深夜へ突貫された結果が此れである。

 鍛えた成果なのだろうか、彼女の侵入に気づくことなく寝こけていた俺に、跨っていた塔城はまさにニンジャみたいに「ドーモ、カラスマ=サン」とアイサツしてきたわけである。アイエエエエ!

 

 

 「……まあ、満足したら帰るよな」

 

 

 ネタに走るくらいには諦めた。

 俺自身は感じていたモノの、全開へと達せぬように我慢を重ねているので、貫通してしまったことはさておき子供相手にこれ以上身を晒す気にはなれないのである。

 何より、エカテリーナにガチで申し訳が立たない。

 ……俺が好き好んで正妻の彼女を抱いていないとお思いで? 子供の身体を痛めつける趣味が無いから大事にしてんだ。察しろコラ。

 

 

 「……そら?」

 

 

 ――と、其処で気づけば部屋の入り口にはオーフィスの姿が……。

 えっ、なんで?

 

 

 「……にゃ?」

 

 

 塔城も気づいたらしく、顔を上げて部屋の入り口を凝視する。

 入室していた変則ゴスロリのオーフィスと目を合わせて、

 

 

 「………………」

 「………………」

 

 

 ――なんだこの沈黙、俺は悪くない筈なのに変な寒気がする。

 浮気相手と正妻が顔を合わせたような、そんな碌でもない空気が2人の間に走っているような錯覚すら覚える。

 ……どっちもどっちでもないけどな!

 

 さて、無言で見つめ合うこと、数十秒ほど。

 音も無く近づいたオーフィスの差し出す手に、塔城もまた手を挙げた。

 すわ交戦開始か、と成り行きを見守っていた俺の目の前で2人は――、

 

 

 「……オーフィス。無限の龍神」

 「……小猫です。仙術が使えます」

 

 

 ――がっしりと、握手を交わした。

 

 

 ……………………こいつら、同盟を組みやがった……っ!

 

 

 「……なるほど。夜這い?」

 「はい。しかし、私が先にイってしまったので烏丸くんはまだ満足できてないはずです」

 「む、それは仕方ない。そらは元々ロリは門外」

 「ええ、それも知っていますけど、とりあえず跨ったら何とかなるかと思ってました。……この結果は予想外です」

 

 

 「お前ら俺の腰の上で談合すんな……!」

 

 

 もうやだこのロリ共。

 状況を正しく把握するオーフィスに、淡々と自分の成果を解説する塔城。

 というか、塔城はいつの間に仙術とか覚えた。

 アレか、ちょっと聞きかじった【姉】とやらが何らかの伏線だったのか。

 叙述トリックにもならないそんな雑な情報開示で、ドクシャに通用すると思うなよ……!?

 

 

 「では、此れを」

 

 

 と、オーフィスが穫出したるは、ぴちぴちと蠢く黒いひも状のナニカで。

 それを銜え、こちらへと顔を寄せるオーフィスの唇は、そのまま俺の唇をズギュウウウウウンと、ちょ、ま、舌をぐいぐい押し込んでっ!?

 

 

 ―――ゴクリ。

 

 

 「――ぷは。これで良し」

 「……! なに、を、呑ませた……!?」

 

 

 口移しで件の黒くてぴちぴちとした何かが押し込まれ、蠢きつつ喉の奥へと流れ込んで往く感触が胃の腑へ走る。

 それには答えず、オーフィスは俺の拘束を早々に解いていた。

 ……え、このタイミングで? 早くね?

 

 

 「解放して大丈夫なのですか?」

 「ん。大丈夫。後押し出来たから」

 「後押し……?」

 

 

 2人の会話が腰の上で交わされるのを呆然と聞くが、しかし解放されたならば好都合。

 なんとか振り切って逃げきれ、れ、ば……。

 …………あ、ダメだ此れ。

 

 

 「――塔城」

 「え、からすm」

 

 

 解放された手を彼女へ伸ばし、無防備なそれを引き寄せて唇へと繋がる。

 無理矢理だが、先程までは彼女は決して自分からしようとしなかった其れを、男からのリードという形で奪って見せる。

 

 

 「っん、む、んんぅ、んむぅーーーっ!?」

 

 

 要するに、恋人のようなキス。

 唇を奪い、口中へと舌を這わせて、蹂躙するように弄って快楽へと追い縋る。

 抱き寄せた後の手は彼女の背中と腰へと回し、片手に収まる小ぶりな尻へと届かせる。

 彼女の中で女性らしい躰というならば唯一であろう、その柔らかい桃のような瑞々しくも他人より薄い肉付きのソレを、俺は優しく弄んでいた。

 

 

 「……ちょっとした指向へのベクトル変更。向くのが難しい情欲への意図も、体内からなら容易い」

 

 

 くちゅくちゅと部屋に響く水音に混じって、オーフィスの声音が愛おし気に耳に馴染む。

 彼女も離れないというなら、小猫(・・)の次に可愛がってやってもいい。

 ひと先ず今は、この幼い肢体を、――思う様に貪りたかった。

 

 

 「~~~~っぷぁ、か、らひゅま、くぅん……!」

 「そら、って呼べよ、小猫」

 「~~っ、ふぁ、ひぃ……っ」

 

 

 耳元へ囁く。

 目元は完全に蕩けた彼女をくるりと抱き締めて、ベッドの上で俺の下へと転がせた。

 無防備に晒された肢体には肉付きなどほとんど無く、胸元は薄く、手足は細く、割れ目には毛も生えていない。

 同い年と云うならば最も相応であろう先に味わせて貰った小尻の柔らかさはともかく、這わせた指に推し負けるくらいに華奢な太腿も、女性というには到底足りない。

 しかし、今はその総てが愛おしかった。

 

 

 「キレイだぞ、小猫……」

 「そ、ら、くん……っ」

 

 

 初めてまじまじと鑑賞させてもらったその未熟で幼い身体を褒めれば、小猫は恥ずかしそうに身を捩る。

 ――ああ、もう我慢が利きそうにない。

 

 

 「ひぅっ!?」

 

 

 小さく可愛らしい乳首へと吸い付き、くびれもない腰を愛撫する。

 自分よりもずっと熱い体温を、舌先と全身で直に味わい、そのたびに小猫の嬌声が部屋中へ響いた。

 口は彼女の全部を舐め回すまで到底止まろうとせず、先程彼女自身の好意(行為)で開いた膣穴も、彼女が身を捩って逃げようとすることも押し遣って、脚を大きく広げさせて全力でケアした。

 それが満足した時には、小猫はベッドの上で痙攣するように息も絶え絶えで、しかし気を失っていなくてホッとした。

 なんせ、本番はこれからだ。

 

 

 「ぁ……ぅ、ぁ……っ」

 「小猫……、俺、お前の中で果てたいんだ……。いいよな……?」

 「ぅ……?」

 

 

 さっきよりもずっと緩くなっている筈の膣穴を、破けないギリギリまで指先で広げて、俺の全開になった自身を宛がう。

 見た感じでは穴よりもずっと太いのだが、先程も呑み込んでくれたのだから大丈夫だろう。

 というか、これでお預けとか絶対我慢が出来る筈がない。

 

 

 「いくぞ……っ」

 「ぁ……? っひ、ぅぎゅぃっ!?」

 

 

 ――未熟で小さな膣穴へと、ひと息に押し入った。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「あ゛ーっ! あ゛っ! あ゛ぁ゛ーーーっ!?」

 「っくぁっ、いいぞっ、最高だ小猫っ! もっと! もっとシタいっ!」

 

 「にゃぁっ! にゃぁー! りゃめぇっ! そこりゃめぇっ!」

 「はっ! はっ! はっ! 止まらなっ、とまっ、らないっ!」

 

 「んあーっ! いくっ! いきゅぅっ!」

 「俺もぉっ! いっしょにいくぅ!」

 

 「もっひょぉ……! もっひょひょうりゃいぃ、そりゃくぅんぅ……っ!」

 「あ゛ー……! 搾り、取られる……っ!」

 

 

 「……そら、我もシタい」

 

 

 「そらくんのせいしぃ、もっとぉ、ちょうらぁい……♪」

 

 

 




原作準拠で政治的背景とか神秘的論理とか推論を下地に推考してみたけど、
――全部小猫さんが持ってった

とりま、これで三章終了です


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【逝かれたメンバーを】天高く躍進する百鬼夜行な第四章【紹介するぜ!】 ※時系列上原作五巻相当
「ぼくのなつやすみ」


長く続いたこの物語もついに30話
想えば遠くに来たモノです(気が早い


 

 

 夏季休暇はリアス部長の実家へとお邪魔する運びとなった。

 元々眷属はその予定ではあったけど、それに来学期から着任するアザゼル先生がついてくるおまけつきだ。

 それというのも、先の会談で発覚したテロ組織・【禍の団(カオス・ブリゲード)】の脅威に備えるため。

 旧魔王派のトップ3は撃退し亡くなったモノの、兵藤先輩のライバルという位置に付くであろう元堕天使陣営の【白龍皇】は件の組織へ寝返ったし、孫悟空の後継者とかいうモノも出てくれば、……どうにも聖書勢力以上の何かが備わっていても可笑しくないように思われる。

 それに対処するために、一先ずはアザゼル先生の神器(セイクリッドギア)に関する知識を基にして、兵藤先輩の強化と修行に伴い悪魔陣営全体の力量を底上げしよう、という誘致であるとか。

 現に、私の実姉であるスーパー猫又の黒歌姉さまも、今は其処に所属しているという話だった。

 実際、悪魔陣営からは指名手配されているわけだから、逃亡犯が身を隠すには絶好の大組織なのかもしれない。

 そのことを聞いたのは、【気】の使い方の初歩をレクチャーして貰った会談後の、つい最近のことだ。

 その情報をどうしたものかと思い悩むが、おいそれと部長や他の眷属へ明かせる話題では無い。

 今回の旅行で機会を見て、グレイフィア様に相談してみるつもりでもあった。

 

 と、悪魔陣営全体が未曽有の危機に備える実情はさて置き、私が懸念していたのはもっと別の事であったりもする。

 発情期である。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「……あれ? そういえば烏丸はどうした?」

 

 

 冥界へ通じる電車の中で、ふと気づいたらしいオカルト研究部顧問かつ引率のアザゼル先生が、至極当然のことを尋ねる感覚で言葉を漏らしていた。

 私も気になってはいたのだが、『あの夜』以降そらくんは連絡にも出てくれない。

 小猫さみしい。

 

 

 「先生、烏丸は元々オカ研部員じゃないです」

 「そうだったのか? じゃあ生徒会?」

 「え、どうなんだろ。部長、知ってますか?」

 「生徒会に所属している、という話はソーナからも聞いてないけど……」

 

 

 すごい今更な気もする話が電車の中を飛び交う。

 元シスター三人娘も夏休み前に会うことは叶わなかったとか漏れているのだけど、会ってどうする気だったのでしょうね。わたし、気になります。

 

 

 「烏丸くんは夏休み中は旅行に出る、と言ってましたわね。元々冥界の事情には携わっていないのですし、彼なら例え何処かでテロ組織やそれに準ずる危機に遭遇したとしてもなんとか対処できる、と……」

 

 

 ――何故か朱乃さんが彼の事情を知っており、彼女へ電車中の視線が集束する。

 そんな中、疑問の声を上げたのはアーシア先輩だった。

 そういえば、彼女もなんでそらくんに近しいのか詳しい理由を知らなかった気がする。

 なんで? ねえなんで?

 

 

 「あの、なんで朱乃お姉さまがそらくんの事情を……?」

 「……えー、ほら、前回の会談ではサーゼクス様に連れられての参加でしたでしょう? 私たちのような貴族配下の悪魔とは別の領域の繋がりが出来上がっておりまして」

 

 

 なんか微妙に遠回しに説明が始まったのですけど。

 

 

 「ああ、他の上級悪魔とかの連中に無理に絡ませない配慮か。指示したのはルキフグスか?」

 「ええ。脅威である彼と魔王様が交渉を交わせたからといって、彼本人を降せたと勘違いした別の貴族が彼への配慮も無く無理に話を通そうとしないとは限りませんもの。『彼との友誼は飽く迄魔王様ご本人とのモノ』という意味合いを設けるために、悪魔陣営と彼との交渉役は限定するというのがグレイフィア様からのお達しなのですわ」

 「なるほど、それで【女王】同士で話を通せている、っていう寸法か」

 

 

 「いえ、それじゃあまだ説明は終わってませんよ?」

 

 

 何気に鋭い目のアーシア先輩が朱乃さんを睥睨。

 誰もが理解した気になっていた其処へ、アーシア先輩はニッコリ笑い、更なる爆弾を投下した。

 

 

 「どうして【今回の旅行】という【私事】について、朱乃さんはそらくんへ『話を通()て』いたのですか?」

 「それはもちろん、リアスが誘いたいと漏らしていたから声をかけたというだけですわ」

 「えっ、私!?」

 

 

 微妙に薄ら寒くなる笑顔で質疑を応答する2人とは打って変わって、突然原因として槍玉に挙げられたリアス部長は目に見えて狼狽えた。

 無論、アーシア先輩が訊きたいのは其処では無くて、連絡手段の方なのだろうけど。

 

 

 「リアス()配下(女王)として、主が求めることへ配慮するのは当然の証。未だに話を振る取っ掛かりも見出せないリアスに代わって、やきもきしながら『さ、誘ってみようかしら、でも断られたら……』とか呟いていたリアスの矜持を鑑みて私が泥を被った。今回のはただそれだけのことですわ」

 「きっ、聞いていたの朱乃!? というかそれって独断専行、」

 「いいえ、貴女を悲しませたくないという、ひと些事ばかりの【友情】です」

 「いや、でも」

 「【友情】ですわ」

 

 

 殊更【友情】を前面に押し出して、自分の行為を正当化しようとしてる朱乃さんが其処に居た。

 傍から見てたらバレバレなのだけど、朱乃さんは朱乃さんでそらくんへの何某かをリアス部長だけには隠し通そうとしているような気が無きにしも非ず。

 ちなみに、連絡先云々に関しては単純に最近彼がグレイフィアさんから貰ったと宣っていたスマホが理由だったりする。

 彼、どうやら戸籍が無くてケータイの類も得られなかったらしいのだが、それを報酬に前回の会談では悪魔側の主賓として出席したとか。

 朱乃さんもその連絡先を教えて貰っていて、アーシア先輩他は未だだった、ということなのだろう、結局。

 ……私は着信拒否にされてるみたいだけど。

 それにしても、会談の報酬がケータイって、彼にしては色々と契約の天秤が傾きっぱなしな気もするなぁ……。

 

 

 「……あー、なんだ、ドラゴンってのは力とか金とか、時には女とかも多く引き寄せるって聞いたが、イッセーの場合は微妙に違うんだな」

 「云わんでください。ていうか、まだ負けじゃないっす……!」

 

 

 電車の隅でアザゼル先生が兵藤先輩を慰めていた。

 いや、もう確定かと。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 85件の不在着信がスマホに入っていたけど、もう見ないで破棄する方向で。

 幼女コワイ。怖いよ幼女。いや、落語的な意味では無くてガチで。

 

 事の終わりになんであーいうことをしたのかと、塔城に訊いてみたところ、猫又という動物系妖怪ならではの事情が背景にあると自ら語られた。

 要するに発情期である。

 

 そもそも動物には時期的な発情期があり、それは年齢や個体の成熟度合いによって変動するが、生物である以上は逃れられない宿命のようなモノだ。

 猫の場合、最低でも年に2回。

 そこが悪魔に転生した元妖怪でも変動は無かったらしく、姉自身によって近々来るんじゃね?と教えられていたらしい。

 

 発情期が訪れることで起こる懸念とは、身体の疼きに由来する体調の不良化。

 我慢すればいいとお思いの方がいらっしゃるかもしれんが、実際動物は其れが出来ないから厄介なのだ。年中発情期の人間と比べるんじゃねーよそもそもの前提が間違ってんだよ。

 抑えつけても隔離しても、抗えなくて子作りをするのが発情期。

 ちなみに犬猫の場合は雌のみに訪れるそうで、雌から発せられるフェロモンに誘導された雄が本能に導かれるままに雌の身体を慰める役処を果たせられる。なんか今回の事情に近いな。なんとも忌々しい。

 

 とにかく、その懸念を早々と解消するために塔城が起こしたのが、とりあえず男性に性的に慰めて貰ってバイオリズムを整える、とかいうぶっ飛んだ手段である。

 きがくるっとるとしかいいようがない。

 

 そもそも「見た目完全に小学生の癖して発情期来るとか、時期測定が間違ってんだろ」と言えば「姉の事情で自分を抑制していましたが『仙術を習った経緯で【気】を取り扱う以上はその心象的な抑制も利かなくなる』って教わりました」とか応えてくる。

 まあ、猫の妖怪で姉妹って時点で、普通に身体的な差が出てるのが一番あり得ねぇって思っていたけどさ。

 猫って基本、一匹の雌が雄を何匹も同時に囲って本能的に逆ハーを形成し、多様な子孫を残そうとするわけで。

 姉妹、となればそれは、ほぼ同時に生まれた順番的な意味合いしか持たず、明確に言うなら双子から五つ子くらいの割合で生まれるのだよね。

 それ以降の順序で生まれていっても、基本的に親の遺伝子が同列になることは無いから同じ胎から生まれたというだけで姉妹(きょうだい)扱いをする考え方は普通に有り得ないんだわ。

 つまり、参観に来ていた『あの姉』と塔城は【双子】ということになる。

 ……なるほど、成長不良で塔城はこの有様か。と憐憫の視線を向けたのは言うまでもない。

 

 それにしても、幼女を孕ませることがそもそも間違いである、っていう倫理観と母体と生まれる子に携わるであろうリスクに関する事前知識があったから、前後不覚にされた俺でも【精子自滅(メガ●テ)】を仕込んでいたから良いようなモノの、本当に妊娠していたらどうしていたのか。そう問うたところ、

 

 

 「……もちろん産む気でしたけど? そらくんなら何とかできましたよね? 産む方向で」

 

 

 ――と、おっそろしいことを平然と言い放ってきたのでイマコレ(着信拒否)である。

 塔城がノリノリになって来たころにはなんとか正気へ回復出来ていたが、放置気味であった為に精力が有り余っている無限の龍神やたっぷりねっとりと相手していたにも拘らず発情期が来ていると自覚しつつあった猫又は全然余裕であり、自己嫌悪に浸る間もなく幼女2号を交えての第5か6回戦目に突入したわけだが……。

 ……今の俺に取れる子供に子供を産ます手段何ぞ、帝王切開か太らすかして骨盤開くかしか思いつかんわ。そもそも子供が子作りするという時点で性機能的にも可笑しいんだよ。見た目人間に近づいてるからって常時発情も可能な機能備えてないでキチンと身体を整えてから出直して来やがれ。具体的に言うなら最低でも金色のヤミちゃんくらい尻と太腿むっちりさせてから。

 

 なんか最後本気で最低なこと口走った気もするが、そんな俺はこの夏ルーマニア。

 ヴラディのご実家が吸血鬼の坩堝だとかいう喜徳情報を覗ったので、ちょっとした調査と避暑に訪れたのである。

 なんか冥界とやらにも誘われていたけど、夏休みにまであの人らと一緒にいる道理もないし。

 俺の本分はそもそも研究ですし、世界線突破研究も行き詰ってるから、ちょっとしたリフレッシュも兼ねての吸血鬼研究に暇を飽かすぜ! 所謂一つの自由研究って感じ。

 

 ……え? パスポート? 密入国ですが、何か?

 

 

 




~スーパー猫又
 実は猫Showだったんだよ!なんだってー!!←原作
 でもShowの字が一発変換で出てこないしそもそも件の猫又の上位互換っぽい妖怪のデータが一般には出揃ってないので出始めた当時の読者にとっては正直置いてけ堀な設定暴露。もうこれで良いんじゃねーの?という感覚で小猫に代弁させました


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「さくさくいこう、さくさく」

連続投稿の31話


 

 「……ふむ。なんだろうな、こいつら」

 

 

 ルーマニアの某所にある隠避国家とも称せる秘匿都市、その一角に認識阻害を伴ってふらりと紛れ込み、丁度いい隠れ家を得てはや3日。

 何故ばれたのか、俺は襲撃に遭っていた。

 

 

 「しかし、コレ吸血鬼か? なーんか別物って言うか、別種というか。むしろ吸血生物?」

 

 

 襲撃と云うが、むしろ暗殺に近いくらい。

 『吸血鬼は家の中へ家人の了承を得ずに侵入できない』という弱点というか逸話があり、ぶっちゃけるとこの世界の吸血鬼は能力的にも多様だが同時に数ある逸話からのそういう弱点も同時に引き継いでしまっているらしいのだ。

 流れる水を渡れない、にんにくを嫌う、山査子の杭で心臓を衝かれればそもそも誰でも死にそうなものだが、やはりこの世界の吸血鬼は『そう』されなければ復活とかも可能なのだろうか。

 あれ? でもヴラディは悪魔に転生したんだよな?

 そこで死んだらそれまでっぽいのだし、むしろ弱くなってるんじゃないのかそれって?

 

 

 「っと、そっちは今はどうでもいいか。さぁて、ナニガデルカナ?」

 

 

 話を戻すが、そういう『弱点』があるにも拘らず、こうして室内へと侵入を果たして撃退されている以上、街中を闊歩する見た目は完全に人にしか見えないデイウォーカー共とは明らかな別種。

 子供程度の体格で、実際子供なのかもしれない。皮膚は全体的に鱗に覆われて、頭髪こそあるものの貌付きは犬と人を組み合わせたような鼻と口先が突き出された異形。手は鉤爪のように伸びて捻れて指先が鋭く尖り、後ろは中途半端に毛むくじゃらな猫みたいに歩くときは踵が地に付かない造型の脚が、破れた衣服より覗けていた。

 未知の土地で見たことない吸血生物の秘密に迫る。か、――オラワクワクして来たぞっ!

 

 逸る心を落ち着かせ、思考(指向)を手元へ戻し、襲撃者の頭部を掴む。

 術式展開、検索開始。

 彼か彼女か知らないが、少なくとも表を出歩く吸血種らと比べても人の形を保っていない『此れら』より詳細を知るべく、記憶の閲覧を勝手にさせてもらうこととした。

 だってどう考えても敵対して来たし、生物的に見ても改造したような形跡が残ってるし、こう、某【テイメイの錬金術師】が人を原料にして造った合成獣(キメラ)っぽい感じで拙くも言葉も介したわけであるし。

 ……勘の良いガキは嫌いだよ。ってことなのかね?

 

 そして記憶を閲覧すること、数分ほど。

 チュパカブラモドキの脳裡より引き出した記憶は、少々俺の食指を動かせるモノでもあった。

 

 

 「……【幽世の聖杯(セフィロト・グラール)】?」

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 自称【聖杯研究】の第一人者、マリウス=ツェペシュは困惑していた。

 数日前より街中に突如現れた謎の魔力の持ち主、それを探るために送り出した強化した元ハーフヴァンパイアの実験体らが一向に帰還しなかった為だ。

 元のヴァンパイアとしての性能を衰えさせることも無く、『他人の家に入り込めない』という隠密行動には何気に向かない自分たちの弱点を克服させた実験体だ。

 見て呉れこそ変異したが、そもそもが【実験体】。

 貴族らが持て余していた【家畜】との相の子であり、【聖杯】の持ち主であるヴァレリー=ツェペシュの話し相手に、という名目で彼女に触れさせた程度の存在価値も無い子供たちだ。

 失っても痛手こそないが、情報が出ない事実は如何ともし難かった。

 

 元より【神器】についての研究を預けられた身として、腹違いの妹に特殊な『其れ』が宿ったことは実に喜ばしかった。

 マリウス自身も『ツェペシュ』という名を冠することから判る通り、吸血鬼の種の中では特殊な立場、明確には王族に連なる者である。だが、それよりも彼自身が気に懸けているのは、【神器(セイクリッド・ギア)】という【家畜()】の血が混じることでハーフに宿ることが多々見られる特殊な異能。その研究の一つに尽きた。

 ヴァレリーを誘導することによって、種族的に決して認められない同じ境遇の子供たちが強くなることを望んでいることを教え込み、彼女が気付かぬうちに強化・改造するように仕向ける。

 それを繰り返すことで、ようやく最近になって生物としての成功例が生まれ始めたのだ。

 隠密として繰り出した実験体たちはその先駆けだが、今後の実験ではより上位に、出来れば姿も美しいヴァンパイアの容姿を損なうことなく強化する方向へ傾ける。

 そのためにも、こんなところで【失敗】を弾くわけにもいかない。

 特に、【聖杯】の研究には既に助言まで貰っているのだ。

 そこで『私事に実験体を使い潰してしまった』などと口にすれば、自分の立場に取って代わられる恐れも覗えた。

 

 そもそも、件の謎の魔力の持ち主こそがイレギュラーでもある。

 場所こそわかっているのに、詳細を知ろうとすると何故か場所が不鮮明になってしまうという、どうにもこちらの認識を阻害しているような妙な術が仕込まれているのだ。

 魔法使いらの術式の疑いがあるのだが、そもそも吸血鬼の領地へああして乗り込んで、特に何もせずに居座っている時点でこちらと交渉をしようというわけでは無いことは明確。魔法使いは基本的に研究者である以前に商売人であり、自ら身動きの取れない場所へと乗り込むような短慮もそうそう起こすはずはない人種の筈だ。

 しかし、現在王城へ預かりの身となっている【神器】についての助言もしている【客】の話では、『在野の魔法使いの術式にしては隠避性に特化しすぎており、それこそ別の【神器遣い】の可能性も高い』とのこと。

 で、あれば、慎重になっても警戒しすぎということにはならない。

 貴族の周辺を固められる正規兵に任せることも考慮したが、そもそも正常な認識で捉えられる相手では無い。

 結果として、実験の結果で種としての弱点を克服し、尚且つ異形としての知覚領域まで兼ね備えることに成功した【使い捨ての駒】を送り出す羽目に陥ったのである。

 ……その報告は未だ、だが。

 

 

 「……いや、焦ったところで取れる策も無い、此処は一先ず、ヴァレリーに新たな実験体を造らせて……?」

 

 

 気づけば、部屋の外が妙に騒がしい。

 騒然とまではいかないが、小走りに駆けるような煩わしさを感じる。

 気に掛かっていたところに、「失礼します」とノックの音が響いた。

 

 

 「……こちらにも、いらっしゃいませんか?」

 「なんですか、騒々しい」

 「いえ、その……」

 

 

 マリウスの了承を得て入室して来たのは、王城仕えのメイドである。

 入室し第一の声が歯切れも悪く、眉根を寄せたまま先を促せば、マリウスにとって予想もしてない言葉が飛び出してきたのであった。

 

 

 「……その、ヴァレリーさまの姿が、衛兵の知らぬうちにお部屋に見られなく。王城内のどこにも、気づけば姿が……」

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 【幽世の聖杯(セフィロト・グラール)】。

 手元に在るこのアザゼル先生からの預かりもの(神器関連の資料)によれば、生物の根幹、命とか魂とか言うモノに干渉することを可能とする神器であるとか。

 ざっくり説明すれば、遺伝子工学の超過発展形を伴った特殊アイテム、とその使い手であろう。

 現代人の概念上、本来ならば別種に扱われて然るべき【魂】と【命】が同列になっている部分を見過ごしてはアカンと異論有るかもしれないが、そもそも俺たちの生きるこの位階が物質に依り構成されている以上、【命】と同等に【魂】もまた物質として扱われて然るべきであり、俺の知る限りではそれらを同等に扱うことに異論は無い。

 というか、元より仏教伝来の考え方では魂もまた流転するマテリアルな現象の一端として扱われていた筈なのだが、どうにも復活の日とやらを信奉する宗教観が交じったお蔭か所為か、魂が個別に存在する人の芯であるとかいう信条が主流になっている気がする。

 物質由来の考え方の方が、時折世間で見られる輪廻転生の観測面からも、理屈として説明できるので説得力もまたあるのだが。

 

 話が逸れたが、生物の遺伝子を弄れる、という俺がネギま世界で齧った技術の発展型らしい。

 それを、その使い手を、ちょっと城まで行って捕まえて来た。

 

 ――おう、なんだか画面の向こうから白い目で見られてるような気がする。ちゃうねん。

 なんか軟禁状態だったしさー、チュパカブラモドキの記憶から見た感じでは本人は善意だったしさー、あんな異形にされて善意とかマジかと思ったけどその後ろに誰か(裏方)がいそうな気配もあったしさー。

 あと、使い方が色々と拙いから、正確に明確に十全に万全に、俺がもっと便利に扱うべきかな、と思って。

 別に、使い手がちょっと儚い系の深窓の令嬢だったから、とかそんなところに理由は無いよ?

 摘まみ食いとか、そういう意図はさらさら無いよ?

 ホントダヨ、そらくんウソツカナイ。

 

 

 「……まぁ。此処が貴方のおうちですのね」

 

 

 初めて城の外へ連れ出して貰えたらしく、年上なはずなのに妙に幼げなお嬢様ヴァレリー=ツェペシュさんは、目をきらっきらと輝かせながら庶民の一軒家を物珍しそうに見まわしていた。

 いや、本当に理由は別にあるんだ。

 実は初めは使い手がどんな奴かな、と城へと忍び込んだ際、こちらも見つからないように認識阻害をかけていたのだけど。

 

 

 『……あの、貴方はどちらさまなのでしょう……?』

 

 

 ――と、俺のかけた認識阻害を意図も容易く見破って小首を傾げて見せたわけである。このブロンドヘアのお嬢様は。

 俺のアレはネギま世界でもちうたんくらいのレベル相手でも結構過剰に通用するように、某青狸の『石ころ帽子(秘密道具)』を超過するレベルでの概念附加だ。

 当然、悪用されないように術式の公開なんてしてないし、そもそも術式の大元が俺独自の技術由来だから模倣も難しい。

 それを『見通す』……只者じゃない、とそう思うよな?

 だが俺の予測では、実態はもっと違うものなんじゃないか?と思うわけだ。

 

 

 「さて、ヴァレリーさん。ちょっといいか?」

 「? はい、なんでしょう、ソラさん?」

 

 

 (やさ)へ戻って自身の認識阻害を破棄し、この場所に掛けて置いた元来の結界内にて自身を解放。

 改めて、認識阻害の大元になる【スタンド】を自身の横へと出現させる。

 

 

 「俺の横に、何が見える?」

 

 

 気分は某ハンター世界の念使いだよ。

 

 概念に干渉できるスタンド、【インストール・ドット】。

 此れの進化型で言葉遣い(スタイル)を確立させた自分の身の内に潜ませる【ダイバー】でずっとやっていたわけだが、可能性がある以上は見せないわけにもいかない。

 それというのも、此処に連れてくる間、ヴァレリーさんは俺に見えない何かと会話をしていた。

 この世界が神秘受肉型の異世界であるから可能性から破棄していたのだが、其れが幽霊とかの類であった場合、この人――【スタンド遣い】としての素養を備えているんじゃね?

 

 

 

 「……え? 何かあるのですか?」

 

 

 

 ――違った。

 やだ、めがっさ恥ずい……!

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「まだ見つからないのですか……!」

 

 

 ヴァレリーの行方が分からなくなって早2日。

 仮にも王族に連なる者の行方が不明とか、絶対的に在ってはならないことであるが、それ以前に自らの研究が頓挫している現状にマリウスは苛立ち、捜索の結果報告に参入した兵士へ憤りをぶつけていた。

 

 

 「申し訳ございませんマリウス殿下、こちらも必死で捜索しているのですが……」

 「本気で捜索しているのですか。彼女は、ヴァレリーは我々ヴァンパイアの未来の為にも、非常に重要な存在なのです。その損失は、貴方たちのような者とは比較にならないほどなのですよ? もしも、そこいらのハーフヴァンパイアと同列に扱っているような意識なのであれば、即刻その認識を改めるべきです」

 「い、いえ、我々は決してそのような……!」

 

 

 マリウスは王族とはいえ、その継承権は5位と下から数えた方が早い程度だ。

 しかし、彼もまた王族に連なるゆえに、貴族としての気位を備えていると自負もしている。

 それが一般兵に対するこの態度に如実に現れているのだが、発揮する場面は間違いなく此処では無く、彼の意識がやはり貴族としても王族としても相応しくないことを、彼自身が物語っていた。

 憤慨をぶつけられても、一般兵には口答えする権利も備わっておらず、ただただ平伏するのみ。

 そんなどう見ても時間の無駄であろう状況へ、タイミングよく口を挟むモノが居た。

 

 

 「おーおー、荒れてるねぇマリウスさん。聖杯のお姫様が居なくなってご機嫌斜めかニャ?」

 「っ、……何の御用でしょうか、お客様?」

 

 

 くすんだ銀の髪を持つ40代くらいの男性が、けらけらと嗤いながら入室していた。

 彼は妙に豪奢なローブを纏い、その有り様は一国の王のようでもある。

 そしてその傍らには、彼とはまた違う白銀の髪色を持った20代くらいの男性の姿と、金と黒の入り混じった髪を持つオッドアイの男性が控えるように両脇を固めていた。

 くすんだ銀の男は、云う。

 

 

 「いやね? あまりにも狼狽えっぷりが酷いからさぁ、ちょっと手伝ってやろうかなーって思ったんだよねぇ」

 「手伝う? 捜索をですか? 申し訳ありませんが、お客様の手を煩わせるほどの問題では……」

 「いやいや、俺たちも共同研究の出資者としてね? お姫様がこのまま行方知れずのままってのは、見過ごせないんだわ」

 

 

 マリウスよりもずっと余裕のある態度で、彼は応える。

 そんな不敵な様子に、マリウスもまた目の前の男の器を、自覚無く己と比較し、知らず奥歯を噛み締める。

 その様を目撃した兵士にとっては、実に居心地の悪い空間であった。

 

 

 「っ……、しかし、どうやって捜すというのです? 城内からは彼女の痕跡も何も不明のままです、既に2日も経っているというのに、今更貴方たちが出張ったところで何をできるのやら……」

 「ご心配無用っ♪ ユーグリットくぅん、よろしくぅ!」

 「ええ、既に居場所は判明していますよ」

 

 

 傍らにいた白銀の髪の男性に声を投げ、受けた彼もまた平然と情報を明かす。

 そして、その開示された情報は、マリウスや兵士の彼にとって驚愕の内容であった。

 

 

 「は、判明している!? 何処です、何処にヴァレリーは!?」

 「マリウス殿下もご存知の筈では? 件の『屋敷』ですよ」

 

 

 その『答え』に再度驚愕を露わにしつつも、やはりか、とマリウスは苦虫を噛むような表情へと替わる。

 そもそもが、怪しいモノが堂々とあるのであれば、其処と事件とが繋がることは至極当然であった為だ。

 だが、

 

 

 「……しかし、その根拠はあるのですか? 『あそこ』は調査も行き届かない、完全に未開の土地ですよ?」

 

 

 僅か4日ほど以前に存在を感知して以来、調査不明と云う事で【未開】認定されている件の屋敷、要するに『烏丸の屋敷』を知るからこそ、彼の興奮も直ぐに収まる。

 事実、どうしようもない其処が怪しい、と云われたところで、説得力は依り不鮮明になったと言っても過言では無い。

 何より、怪しい場所と突如起こった事件とを結びつけたとして、其処に話を持って来た彼らの意図が絡んでいないとは限らないのである。

 そんな信用に値しない『共同研究者ら』を見据えていると、白銀の彼は嘆息し懐より『とある道具』を取り出していた。

 

 

 「――では、此れで如何です?」

 「……!? そ、それは……――【聖杯】!?」

 

 

 取り出したのは、ヴァレリーが持っている筈の小さなカップ。

 金に輝く聖遺物(レリック)、【幽世の聖杯(セフィロト・グラール)】そのものであった。

 

 

 「そ、それをどうやって……!」

 

 

 マリウスにとっては、ヴァレリー本人よりもずっと欲したモノだ。

 それをいずれ彼女自身から抜き取って、自らの思うままに扱いたいと、兼ねてより願っていた。

 その願いの結実が、目の前にある。

 

 

 「彼女の持つ【聖杯】はどうやら亜種のようでして、こうして分割した片割れを所持することが可能になっていました」

 「それ、を、それを寄越しなさい! この私のモノだ! 早く!!」

 「ええ、お渡ししますよ?」

 「――な、に?」

 

 

 思わず、口調も崩れて怒鳴っていたところに、白銀の彼、ユーグリットと呼ばれていた彼は、平然と応える。

 思考が寸断されるように途切れて、相手が何を考えているのかを予測できなくなったところで、ユーグリットは更に言葉を重ねた。

 

 

 「しかし、此れではまだ未完成と言いますか、【聖杯】の持つ真価を発揮するには出力不足が否めません。やはり、完全に扱うには彼女自身の中に眠るモノも総て揃えないとダメなようですね」

 「……そ、そうなのですか……」

 「そして、此れが元来彼女のモノである以上、分割された大元の聖杯の場所も、共鳴を促すことで判明します」

 

 

 力なく応えるマリウスに重ねたユーグリットの言葉は、ようやく総てが繋がった。

 つまり、

 

 

 「つまり、例え認識を阻害されていたとしても、共鳴現象を辿って行けば追い込める、とそういうわけです。【未開】とされた件の屋敷であろうとね?」

 

 

 話が繋がると同時に、自分たちの街に勝手に居座る不届きモノへの制裁も兼ねることが出来る。

 ユーグリットの弁は、要するにそういうことであった。

 その事実を理解した時、マリウスは己の口の端が、愉悦に歪むのを自覚できてはいなかったのである。

 

 

 




~認識阻害結界術式『炉端の小石(ザイン・サメフ・タヴ・マルクト)
 別名『王国結界』。膨大な魔力で構成し知覚する者らの意識を惑わせ知的存在の侵入を拒む。拒むのはきちんとした意識を備える人型やそれに準ずる存在のみであるが、神とか悪魔とかも拒むことが可能な辺り本気で逃げることを目的として構成された術式の由来になんだか烏丸の哀愁が漂う
 大元はスタンドの概念附加が主流なので、移動用にと自らに掛けることも可能。但し、その場合自発的行動のほとんどが不可能になる移動のみの発現。此れを使っても出来ることと云ったら覗きくらいだよ残念


~テイメイの錬金術師
 ニーナとアレックス、どこ行った……?でお馴染みのメガネ
 人語を介するキメラを造ったとかなんとかで名を上げてあの様だよ!
 初期のアニメでは死なずに最後まで出張ってたよね。フサガラヌーキズグチヲー


~フライングスタート例のお三方
 原作ではイッセーが原因で活動を開始した、とか言い訳してましたが、『研究』という奴は一朝一夕で出来ることではありません。つまり、「お前らそっちの理由はどうでも良くて、研究そのものは元からやってたんじゃねーの? 活動に理屈付けて主人公の所為だって難癖つけることだけが目的でさぁ、ホントは端っから動く気満々だったんでしょ? どんだけかまってちゃんだよ。ほんと迷惑なテロリスト思考ですこと(嘆息」と言いたい。要するに原作準拠です
 ところで原作の【乳神】ってパイオ・ツゥなんじゃねーの?っておっぱい好き触手幼女の登場フラグを建築してみる



ユーグリットとやらの口調がイマイチ掴めずマリウスさんと被る被る
この作品は、原作では早々に退場した方々にもスポットを当てるべく、早期の登場と活躍を主題に置いて製作されております(嘘


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「殺しのライセンスを持ってる美少年キラーが似たようなことをしてた」

大体今後の展開も予想就くかと思われるけど書いてみた32話
地の文に烏丸視点では無い神の目的な三人称が入り混じります。ご注意を


 

 ――次の瞬間には彼、リゼヴィム・リヴァン・ルシファーは肉塊へと変貌していた。

 要するに、完全無欠に絶命していたことが、誰の目にも明らかになっていたのである。

 

 その行動を誰もが把握できていなかったわけでは無い。

 むしろ烏丸が(この場の者の中では、ベッドの上で女性としての性的な悦楽の行使を悉く尽くされ全裸で放心しているヴァレリーを除いて、誰もがこの時点では彼の名を把握していなかったが)初動として鉾のようなモノを突き出して突貫して来た行動は、生物としてのポテンシャルが人間よりも上位に位置すると自負する吸血鬼や悪魔やドラゴンなんかの認識にはしっかりと把握されていた。

 しかしそれでも、彼の起こした初動を認識させない攻撃――所謂【無拍子】とは、認識の外枠を捉えさせない技術の一端であり、結果として見えていても回避の選択を取る時間が無かったこともまた事実だった。

 だが、それでもその場の者たちに油断が無かった、というのは過言に当る。

 何故ならば、マリウスは【彼】のことを悪魔側の魔王に比例する者として認識していたし、件の彼・リゼヴィムには【神器(セイクリッドギア)無効化(キャンセラー)】というJoker(切り札)が伏せられていたことをそれ以外の者が知っていたためである。

 

 聖書の神が創造し人間種へと連綿と続くように設計されたはずなのに、神殺しとかいう超越機まで出現する始末の神器(セイクリッドギア)

 それを無効化する特性が『()神の子』であるルシファーのその子に受け継がれている事実は、血統が聖書の伝承通りならばアダムの最初の(つがい)である【リリス】からの遺伝と想定できる。

 何故ならば、神器に関する異能の発現は人間種のみに見出せる特徴であり、神の使いとその裏切り者である天使や悪魔や堕天使なんかには異能の発現は事例が無かった為だ。

 その特性の発現が、リリスが神を裏切った所為かはたまた神に見捨てられた所為かは、根源的な理屈は想像するしかないが、リゼヴィムはその特性が危険視されたが故に、冥界に置いてはサーゼクス・グレモリーやアジュカ・アスタロトと並ぶ3人の【超越者】の一角として名を残していた。

 

 ――原作と比べて実にフライングな情報で恐縮だが。

 

 時に、彼らが超越者として名を馳せた前提に、それぞれの特性に居並ぶ者が居なかった、という実に単純な理由がある。

 これはシンプルが故に覆すことが困難で、だからこそ冥界は『強さこそが第一』として社会を形成されてきた。

 此処には相応の弊害もまたあるのだがそこは今は置いておくとして(社会構造と共通理念が単純な【群れ】は強靭であるが、行動指針の矛先の変更が困難である、という弊害。要するにワンマン経営なんかはトップが頓挫すると一挙に崩れる)、強靭さを超越者としての前提に置く冥界では、種族資質の極致(サーゼクス)術式構成の多様性(アジュカ)神に対抗し得る武装類型特性(リゼヴィム)という3つの柱こそが覆せるものでは無い、と認識して定めた。

 しかしそれは、【それ以上】を発見し得なかったために決定付けられた【前提】であり、此処とは異なる世界より齎された法則に依る技術に置いては、一切の対抗策足り得なかったのである。

 

 当然、それは烏丸の行使した【無拍子】とはまた別の――――というか、ぶっちゃけ烏丸の使った【鉾】って『帝釈廻天』だから重力魔法の具現化術式であって神器じゃねーよ。神器キャンセラーで対抗できるか間抜けめ。ということである。

 

 

 「………………どういう、ことですか……」

 

 

 ――話を戻そう。

 眼前で起こった一方的で単純明快、そして一瞬で片が付いた虐殺劇に呆けていたのか銀髪の男性――ユーグリット・ルキフグスが呟く。

 彼もまた悪魔であり、リゼヴィムの『強さ』を誰よりも既知とする彼の部下である。

 そして旧魔王派閥のそれぞれの筆頭が喪失されてより、【禍の団】に置いては悪魔社会を初めとした数多ある神話群へと敵対する【(世界)の敵】の筆頭を掲げるべきはやはり【ルシファー(暁の子)】こそが相応しいと認めており、(ユーグリット)自身の実力があっても尚、リゼヴィムこそが【禍の団(カオスブリゲード)】の首魁と旗印に成り代わるべきだと認めていたのだ。

 それが、あっさりと死んだことが、やはり認められないのだろう。

 

 

 「何故、何故…………! っ、貴方から、姉さんの匂いがする……っ!?」

 

 

 ――あ、これ違うわ。なんか酷く低俗な理由で憤慨してるっぽいわ。推論並べた作者()の騙りに掛けた時間を返せ。この三人称視点もうやめていい?(呆れ)

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 さて。

 ヴァレリーの見ているモノがてっきりスタンド系列、要するにこの世界じゃすっかり見なくなっていた幽霊とか、そっちの部類のモノかと思っていたのだが推論はハズレ。

 神秘が完全に受肉してるから推測はついていたが、この世界に置いてのそういうオカルト関連は見事に空振りに終わる傾向にあるらしい。

 要するに、命というモノは基本死んだらそれまでで、死後の世界というモノが用意されているように見えて限定された人種専用の第二の人生が施される場合とそれ以外がある、という実に巫山蹴た仕様ということだろう。

 というか兵藤先輩やアーシアなんかの話を聞くに死んだ後で悪魔に転生させてもらったらしいのだが、当時のIFとして転生不可で終わっていたらその後の自我は一体どこへ消えていたのであろうかと、少し思うわけだ。

 神話関連ならば死後の世界もきっちり用意されているのだが、きちんと働いているのなら『悪魔とかのその後』というモノも用意されていて然るべきだろうと思うわけで。

 駒王に攻め込んで来た旧魔王派のお三方とか、きっちりぶっ殺してたよねぇ。

 その後、があるのならあそこまで煽った状態で死後再会したりするとこう、凄い、気まずくない?

 偉人とか社長さんとか、そういう人らが死んだ後々に評価されて、本当に一握りの『特別な人』のみが、実体を伴った第二の人生を用意されている。と見た方が理屈としてはしっくりくる。

 多分、其処には前世において抱えていた葛藤や思想なんかの心内は評価の対象では無く、むしろ『何が出来るか』の実力主義。そう捉えると、社長や政治家や思想家なんかよりは、剣士とか術師とか殺し屋とかが選別されそうだ。これむしろ北欧系じゃね? アイツらベオウルフ蒐集してるんじゃね? 悪魔側は目的としてレーティングなんちゃらっていう娯楽が主流の目標として収集してるっぽいけど、それに対抗して天使側だって実力者を転生させる準備始めているのもあり得るよね? 酷い選民思想だよなぁ。神々の黄昏(ラグナロク)オンライン(全神話領域)で始まっても可笑しくないレベル。

 

 長々と語ったが、そうするとヴァレリーの見ているものってなんじゃらほい? となるのだ。

 ――ぶっちゃけ、アレは単なる幻影だと俺は思う。

 現実を明確に認識できなくなっているのか、認識しすぎてしたくなくなっているのか。

 人って言うのは、基本的に見たいモノしか見ようとしない生き物だ。

 現実を直視しきれなくなるほど壊れたのか、それとも聖杯を使用することで得られた情報量の多さに本能的なズレを無意識に選択しているのかは不明だが、そんなことでは先々困るだろうに。

 何せ、神器という奴は本人から取り出すと死ぬと来てる。

 ならばわざわざ本人から取り出そうとせずに、きっちり本人に使わせるのが一番良い選択であろう。

 その辺の細かい理屈は俺には明確に出来る程サンプル得ているわけでも無いので推論しか述べられないが、推論で人を殺せるのもまた理屈屋(科学者)としての側面だ。

 そんな危ない橋を、人の命を天秤に掛けて渡るほど俺は人でなしでもない。

 なので、ヴァレリーには神器を正しく扱う為の論理の刷新を施す一環として、早々に現実を直視してもらうこととした。

 

 ――要するに、セックスだな。

 

 ……いや、真面目な話ですよ?

 

 人が浮世から離れる一番の原因は、生きているという実感を喪失することではないかと俺は思う。

 三大欲求という根本的な生物的本能は、自律化という集団生活が成立する過程において婉曲化するように進化の結果として促された。

 それを生の実感と捉えるわけではないが、肌で触れて愛でるという行為を幼少期に得られていない人間は、成長してからも人の愛し方を知ることが出来ないとも云われている。

 触れる、ということは人の生活に置いて大切なことであり、何より『見えないモノのいる世界』に傾倒しかけているヴァレリーを回帰させるには、此れは本当に必要な行為なのだ。

 要するに人助けだ。

 いやー大変だなー。

 俺ってばホント働き者だなー。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 ヴァレリーintheベッドの上へルパンダイブを噛ましてその翌日、我が家へ侵入者が入って来たのを見過ごすほど、俺の脳は茹だってはいなかった。

 というか、聖杯持ってる。なんで?

 

 想定するに、所持してる聖杯は恐らくだがヴァレリーから取り出した一部のようなモノで、それの共鳴を利用してこの場所を特定したっぽい。

 そもそもこの場所には特製の認識阻害結界が敷かれており、人の知覚では到達することが出来ない。

 だからこそ、聖杯の力で人としての認識力を外されて、生物的進化というよりは退化したっぽい魔改造ハーフらは到達できたわけだが。

 拠点の穴を突破するティンダロスの猟犬みたいな存在に換えられて、それを幸福とするかどうかは判別しづらい処だが、それを促したヴァレリーの兄が件の侵入者らに同行してる。

 記憶を覗いて把握できた事柄だけど、吸血鬼らってこの改造行為を、自信を持って国政と云えるのかねぇ。

 国民を犠牲にして、何を得るつもりなのか。

 国ってのは基本的に人の群れだから、群れの都合に沿わない方針を立てても支援されなくちゃ破綻も容易いのだけど。

 

 というか、覗える限り一番大物っぽい40くらいのくすんだ銀髪のおっさん。

 目を見て判るわ、アレは屑だ。

 人を踏みにじることに何の抵抗も持たない、殺しておかなくちゃいけないレベルの屑だ。

 つーか、うちの父に雰囲気が激似過ぎて普通にムカつく。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 神話伝承の類型的に、邪龍として分類される一角・クロウクルワッハは、その総てを睥睨していた。

 傍観していた、と言っても過言でないくらいに、彼らの行動の一挙手一投足を見、捨てていたのである。

 故に、油断していたリゼヴィムが目前で一撃の下に葬られたことも、其処へ突貫を掛けた烏丸がどういう意図で行動しているのかも、更にはその烏丸の移動によって漂った微かな体臭の中に見知った姉の匂いを感知してその理由も想定し激昂する変態もといユーグリットの選択も、全てを把握できていた。

 

 

 「……姉さん?」

 

 

 ユーグリットの台詞に誰の事かと首を傾げ、ベッドの上で放心しているヴァレリーへと視線を向ける烏丸。

 ヴァレリーの髪は砂色のブロンドで、ユーグリットは銀髪だ。

 見るからに血縁関係に足り得ない容姿だが、『匂い』という単語から他の選択肢など思いつくはずも無かった。

 

 

 「違う!!」

 

 

 当然、ユーグリットは否定する。

 力強い否定だった。

 当然である。

 

 

 「姉の名はグレイフィア、私はユーグリット・ルキフグスと云う、彼女の弟だ! 貴方から姉さんの残り香が漂っているのは、どういうことだ……!? 姉とはどのような関係だ!?」

 

 

 若干、彼も微妙に動揺しているらしい。

 口調が乱れないように心掛けているようだが、詰問したい内容があっても知りたくない事実をどうしても想定してしまい、言動は事実確認を明確に示唆しきれていない。

 対して、烏丸は「弟さん? やべ」とたった今一人殺したにも拘わらず、実に軽い様子でバツの悪そうな顔をしていた。

 

 

 「……ユーグリット」

 「なんですかクロウ、今は貴方に構っている時間は――」

 「俺は、この件からは手を引かせてもらう」

 

 

 事態が混迷を極めたところで、状況を見極めたクロウクルワッハの言がユーグリットへと向く。

 その一言は、混乱する彼の思考を停止させるに、充分すぎる一言だった。

 

 そもそも、【邪龍】と分類されてはいるが、クロウクルワッハは自らを『そう』だと定義しているわけではない。

 神話的に多くの被害を出す、若しくは言葉や理屈が通用しない、という特徴を持ってして、彼のような龍は【邪龍】と推定される。

 しかし、それで云えば聖書陣営の大戦ど真ん中で喧嘩を始めた二天龍なんかも邪龍扱いされて然るべきだろうし、時間軸上丁度今頃、冥界でイッセーを追い回しているタンニーンなんかは悪魔に転生したわけだから本質的に邪龍だろう。

 そしてそういう【邪龍】というカテゴリを形成するに至ったクロウクルワッハ自身も、伝承上ケルト神話が聖書の侵略に脅かされた結果衰退していったが、彼自身が件の聖書陣営と対峙したわけではない。

 何せ、彼が実際に戦ったとされるのはバロル神の召喚に相俟った事例のみであり、バロルそのものも孫のルーに討伐されているので、聖書陣営の侵略とは時期が完全に異なる彼らが対峙した筈も無いのである。

 

 そのクロウクルワッハが今回【禍の団】に協力した理由は、偏に強者との戦いと邂逅、此れに尽きた。

 

 

 「思うに、アレは俺にとって何の意義も見出せない。戦う意味が、余りにも見えなさすぎる」

 

 

 リゼヴィムを一撃の下に葬り去った少年に対して、クロウクルワッハの評価は実に低かった。

 彼はあの一撃で、烏丸の本質を一分ではあるが、ほぼ完全に把握していたのだ。

 

 

 「――っな、待ちなさい! 貴方の望みは強者との戦闘でしょう……っ!? 彼はリゼヴィム様を斃した男ですよ!? 貴方ほどのドラゴンが、怖気づいたわけでもないでしょうに……!」

 「言った筈だ、意義が無い。アレは、闘争を旨とする者の目では無い。むしろ、リゼヴィム寄りだ」

 

 

 さらりと、烏丸自身が屑と認定したリゼヴィムと、烏丸は同等の扱いを受けて居た。

 烏丸にとっては甚だ不本意且つ実に心外な評価だが、無理も無かった。

 

 格闘家が己の身体を鍛えることを日々の是とするのと同じように、烏丸イソラという人物にとっては理解しえない事象を明確にしようという姿勢(スタイル)は呼吸することであり、また社会の裏側へ暗躍を図るという行為は先の安寧を得るためにも必要な選択である。

 前者の根源こそ不明だが、後者に至っては二次元の世界(魔法先生ネギま)に転生を果たしたことで、自分だけでは無く依り周囲の顔見知り達が【物語の修正力(作者の思惑)】に晒されることを由としなかったために、必要に駆られて得た選択である。

 死ぬまで貫けば偽善も善に挿げ替えられることと同じように、それが脱げなくなった現実的思考の苗床になった経緯となる。

 状況を見極め、結果を想定し、前提を捉えて盤上を砕く。

 尤も、烏丸の場合は幾つか見通しが甘いこともあるので、全体的に見れば被害は小さいが幾つもの【負け】を享受していることが多い。

 その上やたらと頑強な精神的距離感を人間関係に構築する癖して、一度受け入れれば大抵の不利益も飲み乾せる度量が無駄にあるので、珍妙にアンバランスな人物像になるのだが。

 この辺り、幼少期をエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルに師事したにも拘らず、構成と事象を改竄する魔改造気質に成長した点においては、どうにも碌なオリ主らしくはない。

 まあ凡百に埋もれるよりかは個性が憑いているので由としよう(諦め)。

 

 話を戻すが、そういう烏丸がリゼヴィムを討伐した行為を、クロウクルワッハは明白に見据えていた。

 格闘家が自己の鍛錬の結果として豪傑な勝利を捥ぎ取ったわけではなく、必要なのでその選択をしたのだと、羽虫を潰すこともまた命を奪うことだということすらも認識することも無いように、単純な行為の動作の結果として片を付けた。

 そのことから理解に及んだのが、強いか弱いかという関係性を競合しようという認識も覗えさせないという、クロウクルワッハが捉えた烏丸の本質の一部(人物像)である。

 彼は『強者を斃した』ということに、勝利の余韻も敗北する者へ掛ける憂慮も強者を攻略した達成感も弱者を貶めた愉悦も、何も感情の起伏を揺らすことは無い。

 勝ち負けも優劣も、彼にとってはまるで価値の無い結果でしかなかった。

 ――故に、クロウクルワッハにとってもまた、戦うべき価値すら見出せない相手として認識されていた。

 強者との戦いや自身の強さに対する探究、そして種族としての行く末を見届ける、という彼の本懐にとっては、烏丸は敵対すれば百害あって一利もない。味方にしたとしても現時点ではメリットが見当たらず、更に籠絡する方向性もまた不明瞭すぎる相手でしかない。

 

 それらの事実を正確に見据えていたクロウクルワッハがユーグリットに断りを入れ、去って往こうとするその背後では。

 グレイフィアさんの弟ってことは悪魔のお偉いさん?殺したあの屑もそっち寄りってこと?殺しちゃまずかったかなぁ。吸血鬼との何らかの交流の一環として此処に来ていたのかなぁ。でもあっちの男が口にした言い回しだと、どうにも正規の仕事に思えないのだけど。とりあえず、もう1人も報告されないように殺ってから考えるか。

 と思考を加速度的に検算し、帝釈廻天をユーグリットに向けて構え直した烏丸の姿が其処に遭ったのだが。

 

 ――どちらにせよ、油断が明白になっていた悪魔らにとっては、実に悲劇な結果が待っていたのだと云わざるを得ない。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「――ぶはぁっ!」

 

 

 暗い、墓所のような雰囲気すら覗える、巨大なフラスコ(実験用水槽)が音を立てて割れ、中から培養液で濡れた銀髪の男性が這い出てくる。

 意識が戻り、初めての呼吸をし、盛大に酸素を取り込みつつ吐く息は荒い。

 身体を揺らし咳き込む彼に、フラスコの傍らに控えていた銀髪の少女が甲斐甲斐しくタオルを持ってきた。

 ――何処か、グレイフィア・ルキフグスに近しい外見に思えなくも、無い。

 

 

 「っ、くそ、くそぉっ! あ、あのガキ、私を殺しやがった(・・・・・・・・)!! それも、羽虫を叩くようにあっさりと……っ! こんな屈辱は初めてだ! 畜生ッ!!!」

 「あーひゃひゃひゃひゃっ! なんだよユーグリットくんもやられちまったのかよ!? おいおい、過激な奴が出て来たにゃー!」

 

 

 激昂する銀髪の男性、【ユーグリット・ルキフグスの複製素体(スワンプマン)】に耳障りな哄笑で声をかけたのは銀の髪を持つ【少年】。

 彼もまた、ユーグリットと同じ方法でこの場に存在し(助かっ)ていた。

 

 

 「~~~~っ、……ああ、リゼヴィム様。申し訳ございません、貴方の複製素体でも神器の力を無効化しますので、私のように成長促進までは促せませんでした……」

 「いーぜいーぜ、死んだ後があるだけでも儲けモノだしぃ? むしろ若返っちゃっておっちゃん久々にハッスルしたくなってきたわ♪ 魔力も足りねーから身体の成長も儘ならねーけど、むしろ弱いって感覚が久しぶりで新鮮だわなwww」

 

 

 それにしたって人の技術も馬鹿に出来ねーなー、と少年の身となったリゼヴィムは続けて嗤う。

 生命を0から生み出す能力こそないが、【幽世の聖杯】には烏丸が前述したとおり遺伝子を弄ることを可能とする能力が備わっている。

 云わば、人の科学で言う処の遺伝子工学。

 そしてそちらの、人側のテクノロジーを下地に模倣することに依り、聖杯をデメリットを無く使用できるようになっていたのが、ユーグリットの弾き出した聖杯研究の成果であった。

 

 ――そう、烏丸によって明白に明確に容赦も無く完全無欠に轢き潰された彼らが助かっているのも、聖杯の力を利用した『自身の複製』という技術に至ったお蔭である。

 

 自らのスペアを用意することも候補にはあったが、【(アートマン)】には同一性質という概念がそもそも宿ってない為に、『魂をも複製する』という行為自体が聖杯では不可能だったための断念。

 此れは未だ技術的にも解明されていない事柄だが、彼らが魂と認識する其れは意識と同等になっており、意識の移動もまた人の技術では理論程度しか追い付いていない。

 死後『どうなるのか』は検証が足りず未知数のままであったが、期せずして『複製素体(クローン)への意識の回帰』という実験結果が齎された。

 悪魔としての生物としての高ポテンシャルに伴った魂の波長と呼ぶべき代物が自らの幽体の移動、所謂【幽体離脱】を可能とすることが元より『意識の移動による復活』を予測付けていたわけだが、予め魔術コーティングで自身の召喚陣を秘密基地に敷いておいたこともまた功を奏したらしかった。

 が、それとこれとは別問題であり、ユーグリットは自らを容赦なく殺した烏丸に対しての憤慨を抑えられそうにも無い。

 

 

 「くそ、それにしても忌々しい……! 姉さんの身体を抱いたのかあのガキ、……只では殺さん、姉さんの具合がどうだったのかをしっかり聞いてからゆっくりと嬲り殺しにしてやる……!」

 「ユーグリットくんはホントおねーさん大好きっ子でちゅねー♪」

 「当然です。このような紛い物では、全然満たされませんからね」

 

 

 云いつつ、傍らにいた少女の腰を掴み、衣服を引き裂く。

 中学生くらいだろうか、為すがままな少女は未熟だが形のある乳房を晒し、未だ床から立ち上がらない胡坐を掻いたままのユーグリットの頭を抱え込み、機械人形がするかのように無表情のままに抱き締めていた。

 

 

 「……匂いが足りない。もっと肉を食べなさい、あのガキの漂わせた姉さんの残り香の方がずっと強かった。雌の匂いをさせなくては、いずれ廃棄にしますよ」

 「了解しました、ユーグリット様」

 「それと、私のことはいつものように呼び捨てにしなさい。少しでも姉さんのようにするのです」

 「了解しましたユーグリット」

 「――ああ、くそ、まだ全然だ……。やはり古いモノではクローニングの元にも成り得ないか……」

 

 

 彼女は、聖杯の力でユーグリットの私物である【グレイフィアの髪(4・5世紀ほど以前の盗品)】から復元に成功した実験体であった。

 名前はまだない。

 元々は現在の【禍の団】の頭目である無限の龍神ウロボロス・オーフィス、彼女の力を割いて別の素体へ押し込めて従えさせられないか、と始めた研究の成果だ。

 しかし、髪は腐敗しないとはいえ、ユーグリットが散々『使った』結果ほとんど原形を留めておらず、足りない遺伝子は自身のモノを組み合わせて作ったユーグリットとグレイフィアの遺伝子の相の子と呼べるモノになる。

 が、自身の童貞を実の姉に捧げ受け入れられることを目標としているユーグリットにとっては完全に未熟な模造品であり、出来上がってからコレが控えている基地内では毎晩のように自慰を奉仕させるも満たされることはない。

 オリジナルの肉体年齢と合わせて同系(タイプ)・熟女型・幼女型・JK型・赤ん坊型・老女型・男性型と各種取り揃えて見るもどれも失敗作であり、そもそも完全な自我が芽生えた試しがない。

 最低限メイドとして動ける同系・幼女・JK、そして眼前の少女型を除いて、大多数が既に廃棄済みであったが……やはり惜しむらくは、件の聖杯をマリウスへ返却したことが悔やまれる。

 しかし、元々【神滅具】とは他の神器を組み合わせたような性能を持つ13の極点だ。

 同じような力を持つ、謂わば廉価版分離型聖杯と呼んで然るべき神器は確実に何処かに存在するので、この解明した技術を使う機会だって必ずあるはずだった。

 

 

 「ま、おねーちゃんの偽物にくんかくんかする程度で治めとけよ? あの小僧がどんなんなのかは推測を重ねるしかねーけど、クロウクルワッハの奴があの場に居たんなら今頃(かた)も着いてるぜ」

 「……ああ、クロウなら()けましたよ。彼とは敵対する意義が無いそうです」

 「――は? マジか?」

 

 

 彼女の浅い谷間に顔を埋めてぐりぐりとすることで、幾分か冷静になれたユーグリットの情報にリゼヴィムは唖然とする。

 あの戦闘狂が戦わない、という選択をする件の小僧――烏丸に、更に警戒を重ねる評価を降しそうになる。

 ――寸前で、

 

 

 「なんでも、彼はどちらかと云えばリゼヴィム様寄りの人間だそうですよ。彼の弁では」

 「………………なんだってそんな奴がサーゼクスくんの嫁さん抱いてんだ? あ、いや、そう考えるとむしろ有りえるのか」

 

 

 少女の胸をぺろぺろしつつ続けて出された情報で、素のテンションに落ち着いたリゼヴィムが呆れた声を出していた。

 直ぐに納得もしたが、改めて考えると烏丸のやってることはホント酷かった。

 

 

 「……となると、傍観の方が面白くね? 嫁さん寝取られた魔王様が面白おかしく復讐代行してくれね?」

 「どうでしょうね、彼には他の女性の匂いもしましたし。……まあ、最低限仕込みを済ませて置くべきでしょうね」

 

 

 返却の前に先立って準備していた己らの複製素体に、聖杯のもう一つの性能である『魂に干渉する力』で製造――幽界が存在するという前提が現実ならば――復活(サルベージ)した、戦力となるべき【邪龍の魂】が一つ、此処に在る。

 今の【禍の団】の目標は全神話領域だ。

 全てから悪と定められた者たちや、その神話に馴染めない食み出し者たちを蒐集し、グレードレッドを斃すという目的を偽として挙げつつ、オーフィスの力を横から翳め取り自らの陣営の強化を施さんとするモノばかりのならず者集団。

 はっきり言えば、まとまりなどあってないようなモノばかり。

 故に、自陣営の戦力を纏めることは間違ってはいない。

 ユーグリットは、涎塗れにした少女の胸から顔を上げ、キリリと引き締まった顔で言った。

 

 

 「……英雄派に渡りをつけて見ましょう。神器所有者の中に、ひょっとすれば使えるモノがいるかもしれませんしね」

 

 

 平時とは飽く迄一時のモノであり、次に来るべき闘争へ備える準備期間であることを、忘れてはならないのである。

 

 

 




一部捏造が交じっていますがほぼ原作準拠です
ユーグリットさんはホントシスコンだなぁ(白目


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「よくわかる戦術講座。そら先生にむわぁーかせてぇっ☆(鶏冠感」

R18版なのにエロが少ないよとお叱りを受けましたが、あれ?この章ではエロ成分少な目って言ってませんでしたっけ?
そんなふざけたことを宣う33話です


 

 「……なんでお前が居るんだ?」

 「あ、ども匙先輩。いや、なんでですかね。俺にも良くわからないです」

 

 

 夏休み、グレモリー眷属が冥界へと向かったその一方で、我らがシトリー眷属も同じように会長のご実家にお邪魔していた。

 それもこれも、俺たちのような若手悪魔を貴族のお偉いさんに紹介する目的があったためだ。

 しかし件のお披露目を先日済ませたところで、俺たちはその実力を示すために、グレモリー眷属とのレーティングゲームに興じることとなってしまっていた。

 そんなわけで、今日より勝つためのミーティングを詰めつつ修行を積もうとしていた矢先。

 ――何故か、シトリー家の貴族らしからぬこぢんまりとしたリビングに待機していたのが、今年より無駄に名を馳せつつある後輩・烏丸イソラ、その男子であった。

 

 

 「あっ! か、烏丸くんっ!? ヤバい、先輩方急いで避難を! 女子は全員体育館へっ!!」

 「落ち着け仁村! シトリー家に体育館はねぇよっ!? てか、なんでそんな過剰反応してんだ」

 「だって烏丸くんって年上の女子をいつも侍らせてて見境なしに手を出して妊娠させるって言う噂がありますっ」

 「酷い風評被害を見た」

 

 

 って、噂かよ。そういえば仁村って塔城さんとは隣のクラスだったか。

 なんでそんな兵藤みたいな悪評が蔓延ってんだ、あの後輩。

 と、こちらの会話に間隙も空かさずツッコみつつ、斜になって顔を引き攣らせる烏丸。

 なんだか背中が煤けていた。

 

 

 「え、隣のクラスではそんな噂になってんの……? アレはアーシア先輩やイリナ先輩やゼノヴィア先輩が勝手に勧誘しに来てるから起こってる対立であって、女子を妊娠させたことは流石にないっす……」

 「安心しろ、噂に振り回されてるのは多分仁村だけだ。まあお前が変な立ち位置に居ることは否定しないが」

 

 

 確か、今言った3人に聖剣とか聖十字とかを備えさせた製作者がコイツらしいんだよな。

 そうなれば未だに天使側からのオファーがあると噂もある元修道女トリプル娘を通じて、あの日会談に臨んだ天界側から間接的に未だ人間であるはずの烏丸を勧誘に来ていても可笑しくない。

 会談の後で天界側からの譲歩の証として、件のグレモリー眷属の元修道女らは聖句や教会からの種族的な抵抗感を緩和させてもらった、とかっていう話だったし。

 流石に強い光が悪魔の弱点であることは変化しないらしいが、自分たちの陣地に踏み込むことを許可される悪魔、っていうのも充分スゲェと思うんだ。

 

 

 「……ひょっとして会長から何か頼まれたのか? 次のレーティングゲームで勝機になるような何か、とか」

 

 

 思わず口をついて出た思いつきだが、案外コイツが呼ばれた理由としては有り得そうな気もしてくる。

 何故かコイツなら次元の狭間を突破して冥界へ来ることなんて単独でも出来そうな感触が微妙に漂うけど、流石に勝手に乗り込んで来られるほどシトリー家のセキュリティは甘くない。

 ……無いよな?

 

 話を戻すが、さっきも言ったが聖剣なんかを製作したのがそもそもコイツだ。

 レーティングゲームの相手に聖剣使いが2人も居る時点で悪魔としては無理ゲーなのに、前回の【グレモリー眷属vsフェニックス3男眷属】で見たゲームバランス崩壊させる塔城さんが先陣切って突貫してくる恐怖仕様がまだ控えてる。

 【駒王学園校舎】っていう入り組んだフィールドで縦横無尽に動いたあのトリッキーな高機動戦術美少女が居る限り、俺たちシトリー眷属には勝てる見込みが今のところ微塵も無いのである。

 そんなわけで、せめてもの勝率上昇になれば、と淡い期待を込めて烏丸を見遣る。

 

 

 「……次のレーティングゲーム?」

 「って、何も聞いてないのかよ。お前ホント何しに来たんだ」

 「いや、無理やり連れてこられたので何とも……」

 

 

 あ、やっぱり自分の足で来たのとは違うのか。

 小首を傾げる烏丸に、わずかとはいえ期待していたので脱力せざるを得ない。

 仕草が無駄に可愛いのがなぁ……、コイツたっぱもあって雄臭いのに、そう言う処が無駄に後輩らしいんだよなぁ……。

 つか、コイツをこの場に連れて来られるのって、会長以外だとひょっとしたら……。

 

 

 「ひょっとして、お前を連れて来たのってセラフォルー様か……?」

 「誰それ」

 

 

 またしても、間を置かずに答えが出る……っておい。

 

 

 「この前の会談にお前も出てたよな!? なんでわからねえんだよ!?」

 「というか、俺としてはどう見ても異世界な此処に生徒会の先輩方がいらっしゃる時点で普通に困惑してるんですが……はっ、まさかひょっとして、皆さんも悪魔関連の……っ!?」

 「なんでそこまで情報遅いんだお前は!?」

 

 

 戦慄の表情で口元を押さえる、実に今更な反応を見せる烏丸に呆れを通り越して驚愕する。

 ちょっとー!? グレモリー先輩若しくは兵藤ー!? コイツにもうちょっと事情の説明とかしてあげてー!!

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「マジかよ、生徒会長まで悪魔かよ。もう終わったな駒王学園。失望しました支取先輩のファン辞めて風紀委員長の雲仙ちゃんを応援します」

 「あっちの鉄球少女も風紀のナニを守ってるのかって感じだけどな。あと其処まで終わってねーよ駒王学園」

 

 

 一通りの説明を終えると、烏丸のそんな科白で感想が吐かれる。

 科白とは裏腹に其処まで辟易した様子は無いが、小声で「……またネタが潰された。(もう嫌だこの異世界)」って後半良く聴こえなかった何かを呟いていた。

 それと、常に鉄球で手枷足枷嵌めてる系ロリの雲仙ちゃんを応援してるって、普段も塔城さんと仲良いみたいだし、お前ロリコンなんじゃねぇのか。あ、こんなことツッコんだら塔城さんに怒られるな。自重するか。

 

 

 「というか、なんだ、烏丸って悪魔関連苦手だったのか?」

 「そんなことはないですが……よく考えてください、日本には日本の神話に連なる陣営が潜んでいるのに、異種族で経営母体を抑えられてる学園かっこしかも普通の人間の子供かっこ我が国の将来を担うであろう若者たちかっことじも通っているかっことじで果たして普通の人間をキチンと導けるものでしょうか。種族が違うと根本的な価値観も変化しません?」

 「……なんか真面目に考えてたんだな。スマン」

 「何に関する謝罪ですかねぇ……!?」

 

 

 かっこかっことじが多くて一瞬ゲシュタルト崩壊しそうになったが、意外にももっともな理由を挙げられて謝るしかない俺である。

 謝ったら謝ったで青筋立てた烏丸が居たが。

 決して、コイツふざけ半分な理由挙げて煙に巻きそうだな、とか思ったわけでは決してない。

 

 

 「確かに種族は違いますが、其処と折り合いを付けようという働きも動き出しています。融和という意思はあるはずなので、せめて侵略とは捉われないようにそちらからも譲歩していただきたいものですね」

 「いや、別に俺は一般人代表ってわけじゃないですから、意見の一つとして覚えて貰えれば……。あ、ども副会長」

 「そうだな、お前は一般人じゃないよな。むしろ逸般人だよな。あ、真羅先輩おかえりなさい」

 

 

 烏丸の科白に言っておかねばならないことを付け加えつつ、会話に参戦した真羅先輩にアイサツ。

 別に悪気はないし、その後に部屋へと入って来た会長にも早速問い質さねばな!

 

 

 「会長! コイツ俺ら生徒会のこと信用ならねぇって言ってました!」

 「話は聞いていたのでそういうことを言うのは辞めなさいサジ。彼だって無理やり連れてこられたのですから」

 「むしろ匙先輩なんで俺をいきなりdisりましたか」

 

 

 スマン、会長に近づく男子は幾らけん制しても湧いてくるものだから、つい反射的に。

 

 

 「改めまして、こうして話すのは初めてですね。駒王学園生徒会長の支取蒼那改めソーナ・シトリーです。椿姫の言った通り、普通の学生相手にも不平がないように心がけていますので、今はそれで勘弁してもらえますか?」

 「――ああ、さっきの。失望しました、ってのは冗句の一種なんでお気になさらず。様式美って奴です。ともあれ、烏丸です。『そらくんって呼んでね!』」

 

 

 ……ん、なんだろうな。最後の科白で、妙に偽悪的に嗤った気がしたんだが。

 気の所為かな。一瞬スゲェ怖気が。

 

 

 「噂に名折れぬ魔力ですね……。本日は姉が突然連れて来てすみません。私も先ほど本人から聞かせられて驚いてます」

 「あー。まあ、元々用事もあったので、後で外出さえできれば問題は無いですよ。グレモリーさんちって此処から近いんですか?」

 「リアスに用事がありましたか」

 

 

 さんち、って。

 烏丸の言い方だと、途端に冥界が日本の田舎臭くなるのだが……。

 

 

 「まあそんなとこです」

 「わかりました、後で使いを出しましょう。あと失礼ですが、――どういう様式美ですか」

 

 

 うん。俺も思った。

 

 

 「俺のいた学校では通じてましたが?」

 「突飛な様式美もあったモノですね……」

 

 

 中学校(ローカルルール)かな。

 コイツ、別に転校生、ってわけじゃなかったもんな。

 そんな一見すれば、とりあえずけん制の必要は無そうな挨拶を無難に終える2人へ、会長の後ろで珍しく大人しかったお方が読んでた空気を放り投げて出張っていた。

 

 

 「はいはーい! さっきも挨拶したけど改めて! 魔王少女のセラフォルー・レヴィアタンだよぉ☆ 『レヴィアたん♪』って呼んでね!」

 

 

 ――うん、云いたいことはわかるがこっち見んな。

 視線をきっちりこっちへ向けて、云いたいことがある、と空気を読んでいるっぽい烏丸が無言で逸れて、なんとか直ぐに向き直せられる。

 

 

 「……会談の時にもいましたね、そう言えば。えーと、魔王ってひょっとして役職なんですか?」

 「えー? なんだと思ってたのぉ?」

 「いや、実力勝負な部分がある社会なので、てっきり旗印なのかと」

 

 

 ん?

 なんか齟齬があるな、なんだろ?

 

 

 「サーゼクスさんとはどういうご関係で?」

 「んん? ……あー、あーあー! なるほど! 烏丸くんて【魔王】が4人いるってこと知らないんだね!」

 

 

 ……あ、そういうことか。

 

 

 「烏丸、今の冥界では、サーゼクス・ルシファー様、セラフォルー・レヴィアタン様、アジュカ・ベルゼブブ様、ファルビウム・アスモデウス様と4人のトップが君臨してるんだ。お前が言うのは、アレだろ? ゲーム的なラスボスが何人もいるのかとか、そういう意味での問いだろ?」

 「いや、ボス系は何人いても構いはしませんが、まあ納得しました。4大魔王で支配地を分割してるんですね」

 「違う、そうじゃない」

 

 

 どうやったらキチンと説明できるのかなぁ……!?

 

 

 「まあそっちの話はおいおいしていくとして。まずはゴメンねー、いきなり拉致っちゃって☆」

 「謝罪の意図が全く感じ取れませんが、理由をとりあえず話して欲しいです」

 

 

 一言多いけど、割と寛容だよなお前。

 こんな魔王がトップクラスでゴメン、ゴメンよ烏丸……!

 

 

 「そらくんにソーナちゃんたちを強くして欲しくて呼んだんだ! リアスちゃんのところの小猫ちゃん、あの娘を鍛えたのもキミなんでしょっ?」

 

 

 ってお前なのかよ!?

 グレモリー眷属強化の背景は、何もかもお前の仕業かよ!?

 もうこれから何かあったら『大体烏丸の所為』って覚えるぞコンニャロウ……!

 

 

 「それを俺がするメリットは?」

 「私がなんでも願いを叶えてあげちゃうぞ☆」

 

 

 魔王相手に一手に交渉噛ませる烏丸もスゲェけど、それを即呑み込むセラフォルー様もスゲェ……。

 なんか、後輩が倍速で俺ら妹様の眷属より上位に立ちそうで怖いのだが……。

 なんでも……、って言葉を噛み締めつつ、思案していた烏丸がこちらをちらりと見た。

 

 

 「――じゃあ、こういうのはどうですかね? ~~~~……」

 「ほ? ふん、ふんふん……。ん! おっけー!」

 「じゃあ、交渉成立ってことで」

 

 

 と、がっつり握手を交わす烏丸にセラフォルー様……、ってええええええええ!? ちょ、待って!?

 なんか俺らの行く末を勝手に決められた!?

 

 

 「か、烏丸ぁ!? お前ナニ承諾してんの!? あとお前セラフォルー様に何をお願いしたァ!?」

 

 

 眷属一同が思うであろう疑問を、真っ先に問えば、ニッコリ笑顔でサムズアップをする烏丸が。

 ――答えになってねぇ!?

 

 

 「じゃ、とりあえず俺レーティングゲームのルールを知らないんで、そこから話詰めていきましょうか」

 

 

 ほ、ホントに大丈夫なのか……!?

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「――え、ギャスパー? あの子が此処にいるのですか?」

 「「「「「……。――ッ!?」」」」」

 

 

 一通りのルールと相手のメンバーを聞いて、名前が挙がったところで口を挟んできたヴァレリーに全員の視線が向き、一瞬の間の後で2度見した全員が漏れなく驚愕の表情を露わにした。

 そんなことより、レーティングゲームって男女差無しでやるのかよ。

 ブッ殺死合とかって聞いていたから暗黒武術会かと思いきや、ガチ系の裏武闘殺陣なの? ニンジャも出るのかな。ハチリュウを準備しておくか?

 

 

 「あ、ダメだ。ルールにフィールド破壊が反則になる場合があるって書いてある」

 「お前が今何を想定しかけたのかは怖いから聞かないでおくけどその前にちょっとこっちにも注目してくれるかなぁ!? 誰!? この人誰ぇ!? 今の今まで居なかったよなァ!?」

 

 

 ハハハ、そんなわけないジャマイカ。今までしっかりと俺の傍にいましたよ? 認識阻害かけて黙っていただけですわ。

 

 

 「というかヴァレリー、ヴラディと知り合いか何かなのか?」

 「ええ、幼い頃に。あの子が国を離れてからずっと会ってませんし、そらさま、あの……」

 「ん。じゃあ機会を見て会いに行くか」

 

 

 世間は狭いね。

 何かを懇願するかのような上目遣いの砂色ブロンドの美女に意図を汲んだ返事を返せば、途端に表情が明るくなる。

 うむ。やはり美人は笑った顔が一番だよね。美人の笑顔を曇らせるは紳士にあるまじきこと、と()のタキシードなロリコン様も言っていたような気がするし。

 

 

 「そっちだけで完結してないで説明してくれよ! 説明責任を果たせよぉ!」

 「匙先輩うるさい」

 「俺が悪いの!?」

 

 

 突然ひとの姿が見えるようになる、なんて世間じゃざらに在る事でしょうが。

 枯草の匂いがする神隠しの魔王様とか、俺のいたところにもそんな例の1つや2つや10や100。

 こんなんで怯えてたらウチの世界出歩けねぇよ? トガノヨミコとかに出会う確率だってサドンデス(突然死)レベルだし。

 そんな思いで色々思索を巡らせていたら、ソーナ会長から挙手。

 

 

 「しかし烏丸くん、一先ず紹介してもらえませんとこちらも困ります。あとは客室の用意とか」

 「あ、ベッドは一つで構いませんよ?」

 「え、それは……」

 

 

 ヴァレリーの続けた台詞で顔が赤くなる会長。

 ……ひょっとして悪魔とかって言ってもみんながみんな痴女ってわけじゃないのか?

 グレモリー先輩がアレだから、てっきり。

 これは益々俺の提示したお願いが欲しくなったな! よし、頑張るか!

 

 ともあれ、紹介が必要とのことなので簡単に。

 ヴァンパイアハーフを使って聖杯実験に勤しんでいた貴族(笑)らは、ヴァレリーの聖杯によって進化を果たした。

 元々自分らを強化したい、とかいう目的があったらしいので、俺の理論を挟んでの結果は上々と云えるだろう。

 彼らは、世間の煩わしい雑事にもう思惑を傾ける必要も亡く、モノを喰う必要も無く、全てのヴァンパイアの為になる最も栄誉ある生物としての上位へと変換された。

 彼らは寄り添い大樹となり、日々人の血に等しい性質を持つ実を生らせることであらゆるヴァンパイアからの感謝と称賛と栄誉を一身に受ける存在に為れたのである。

 クロザクロは言っていた、『一番上と下は同じ』と。

 至言であるね。

 

 実に世の為人の為となってくれた実験の礎として、彼らのことは大々的にツェペシュの国中へと宣伝させてもらった。

 聖杯の扱い方をヴァレリーにキチンと把握させるための、とっても『人の為になる』実験だ。称賛はあって然るべき。

 というか、根本的な科学理論という外付け知識があれば、遺伝子を弄る為に必要な部分だけの情報を取り込む、という知識の選別が可能なんだよな。

 魂のどうこう、とかって話が全体に及ぶ必要も無い。

 人間の脳はそういう取捨選択が出来ないわけじゃないのだから、読むべき部分を切り貼りできて当然だったんだよ。

 お蔭様で、聖杯もコントロールが容易くなったのでこれからもっと実験可能。

 明日はもーっと楽しくなるよねっ(ロコ●ゃん風。

 

 それより怖いのはヴァレリーだ。

 あの日、うちに侵入して来たグレイフィアさんの弟その他をぬっころしたついでに、一緒にいたヴァレリーの兄に関する処分は彼女に一任したわけだが。

 自分のことを便利な道具扱いした上で、同じようなハーフらを実験動物扱いしていたそいつを、ヴァレリーはとりあえず殺した。

 変貌した元彼女の友人らは改造のし過ぎで脳すらも原型を喪っており、2度と元に戻せないことが理由の一つ。

 元に戻すには聖杯の力を制限掛けずに起動し魂の深淵まで覗きこむ必要があるが、そんな真似をさせて折角正気に戻したのに元の木阿弥ではこちらとしてもやる瀬が無いし。

 そして最も大事なもう一つの理由が、そもそも本来の形を把握することが難しい事であることに加え、彼ら彼女らが復活を本当に望んでいるのかというと『わからない』からだ。

 命を扱うという事象は云わばエゴであり、それを呑める人物でない限りはエゴを押し付けさせるわけにもいかない。

 しかしそんなヴァレリーでも許せないことは当然あるので、いくら肉親であろうとも其処は譲れなかった。

 結果として、マリウス(王族)の命で以て犠牲となったハーフらの無辜の魂を慰撫しよう。

 そんな企画である。

 その後で口にした台詞が、はいこちら。

 

 『……どうしましょうそらさま。わたし、全然気が晴れません』

 

 復讐、という程どろりとしたモノでは無い、からりと『仕返し』をやりたいという欲求だろう。

 聖杯をしっかりと扱えるようにサポートして、こちらから命の扱い方をレクチャーしながらのマリウス殺害に及んだわけだが、折角なのでコツを掴むまで何度でも、とマリウスさんには何度か生き返って貰い命を弄る実験の礎に。

 腹を割かれて電流を脚から流されるカエルみたいな扱いで、初めの方では恨み言とか助けてくれたらなんでも支払うとか色々と口にしていた気がするが、最終的には自ら死を懇願するようになった彼は、今でもツェペシュの城にいるのです。

 最終的に手脚斬り落とした芋虫みたいな姿で眼球を焼き潰し、顎を外して咀嚼も出来ない形に固定。自殺も出来ず意志だけはあって、更に気狂いにも成れない程度に脳みそのストレス許容量も拡大してあるから、ヴァレリーみたいに正気からの脱却(現実逃避)も不可能。もう生きることも辛かろうに。

 まあどうしようもないけど。

 『それ』の取り扱いはヴァレリーの友達の中での生き残りヴァンパイアハーフに頼んであるから、ヴァレリーが見聞を広げ終えて帰省するまでは処分を留めておいてくれるはずである。

 ちなみに、これらのことを決定付けたのは大体ヴァレリーの意思。

 俺? やり方をレクチャーした程度ですわよ。

 

 

 「ツェペシュ、ということは、ヴァレリーさんは吸血鬼ですか。王族の名であったはずですが、何故烏丸くんと」

 「まあ色々ありまして」

 

 

 便利な言葉だよね。『色々』。

 さてそれはともかく、こっちとしても方針は決まったので、自己紹介をしていたヴァレリーを呼び戻す。

 

 

 「ヴァレリー、ちょっと潜って来てくれる?」

 

 

 【倉】に続く術式を開き、俺は入れないのでこの中でも適してる筈の彼女へメモを手渡す。

 ヴァレリーちゃんはじめてのおつかい、のお時間です。

 どーれみふぁーそーらーしー(ry。

 

 

 「中にいる奥さんに頼めば出してくれるはずだから」

 「はい、わかりました」

 

 

 折角だし、死蔵してるアイテム類を大盤振る舞い。

 元々【スクロール】は精神修養の意味合いが強かったが、向こうに在るはずの【倉】に直に繋がる上に、【術式】の持つ実体化性能に基づいて幾つか持ってくることも可能らしいから。

 俺は入れないのだけどね! 外で術式の維持に努めなくちゃならないからね!

 

 

 「なんかホントツッコミどころ多いんだけど……!? お前会長の実家で何遣らかす気だ!? そして奥さんってナニ!?」

 「いや、考えて見たら真っ当に自分を鍛えた塔城をなんとかしなくちゃ勝機が無いから、手っ取り早いアイテムでも備えさせようかなと。匙先輩を秘密結社張りに改造人間に仕立てようかというのも、経過実験見てる暇も無さそうですし?」

 「さらりと俺を犠牲にしようとしてた!? というかその計画を取り止めにした理由が酷すぎる!」

 

 「ただいま戻りましたー」

 

 「速っ!?」

 

 

 【倉】の中は72倍速だからねぇ。

 いくつかのアイテムを持って戻ってきたヴァレリーに確認を取り、それぞれに不具合が無いかをチェック。

 俺がグレモリー眷属にあげた聖剣とか十字架とかがヤバいというのなら、同じレベルのアイテム類を放出してやればいいじゃないの。

 とは言っても、結局のところそれを『使えて』も『使いこなせるか』という話とは別なので、その辺りは個人の裁量任せになるのだけど。

 しかし、今回のは実戦というわけでは無く飽く迄ゲームだ。

 先にチェックを掛けた方が勝てる。

 チェスのルール上最強はQueenだがKingを取られた方が負けるんだから、何が強いとか弱いとかより、結局のところ『何を犠牲にするのか』というのが勝負の分かれ目なんだよねぇ。

 

 

 「……なぁ、いい加減に教えてくれ。お前だけが策を練っていても、それに俺たちが従うっていうわけじゃ無いんだ。方針も指してくれない奴の話を聞くほど、社会ってのは気安くは無いんだぞ……?」

 

 

 何か根負けしたかのように、匙先輩が含めるようにそう言葉を紡ぐ。

 ふむ? 俺としてはこの先輩方を従わせたいわけじゃ無くて、単に報酬を得られるように取り計らってるだけなんだが。

 だがまあ、先輩の言も間違ってないので、

 

 

 「しゃーねーですな。匙先輩、俺がセラフォルーさんから貰う予定の報酬を貴方だけに教えましょう」

 「は……? いや、それはお前の取り分なんだろ? 俺が教えられたからと言って、どうなるわけでも……」

 「まあまあ、いーからいーから」

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「――ぅおおおおおおおおおおおおおおっ!! 【禁手化(バランス・ブレイク)】ッッッ!!!」

 『Prison Dragon Balance Breaker!!!!!!!!』

 「「「「「「「「ナニぃっ!?」」」」」」」」

 

 

 匙先輩って目つきもうちょっとキリッとしたら、まんま人吉デビル会長だよね。

 髪型とか被りまくってるものね。

 俺、最初この学園に通い始めた時、某西尾漫画のif世界に迷い込んだのかと思ったくらいだもの。

 

 そんなデビル匙生徒会庶務先輩は実に男らしい雄叫びを上げ、この数週間で至った神器の超強化・【禁手化】へと変貌した。

 それもこれも、滞在初日に差し上げた『己の限界を覗ける眼鏡』が功を奏したのなら云う事は無しだ。

 

 

 「時間はねぇ。が、これなら速攻で決められる……! 此れが俺の【禁手(バランス・ブレイカー)】・『黒曜邪焔の(ブラックヒートヘイズ)龍鎧(ドラゴンメイル)』! 邪焔の力を舐めるなよ……っ!」

 

 

 あれ、やっぱりコレ暗黒武術会なのかな。

 別に三つ目が通ったわけではないが、思いがけない錯覚に二・三度目を瞬かせる。

 

 

 「くっ、匙が禁手化だと……っ!? 俺が一週間山ん中走り回っても至れなかったのに、お前どんだけ厳しい修業したんだ……!!」

 

 

 対峙していた兵藤先輩が、驚愕の声を上げた一同の中で出した第一声がそれであった。

 驚愕の意図も有りそうだが、夏休み冒頭を山籠もりで消費って、アンタ酷い青春の無駄遣いしてないか。

 というか計算が合わない気がするのだが……、気の所為かな。

 

 

 「大丈夫っ! こっちには烏丸くんの造った聖剣があるものっ! いくわよ、袖白雪っ!」

 「そうだな、天埜叢雲っ、力を示せっ!」

 

 

 と、躍りかかるは聖剣使いの2人。

 しかし、何気に責任が俺に乗ってきそうだからそういう名乗りは辞めない?

 あと技名とか剣銘叫んで強くなれるのはジャンプだけです。

 俺の剣にオサレは搭載されてません。

 

 

 「――邪王焔呪縛」

 「「っ!!?」」

 

 

 【黒い龍脈】状態だった時とは違う、陽炎のような不可視に近い性質の『ゆらぎ』が匙先輩の身体から伸びていた。

 範囲も測りづらいところが勝機に繋がったのだろう。

 自らを拘束してくるそれの実態を掴まえきれず、見る間に2人は拘束されていった。

 此処で身体をむちむちと主張するような拘束の仕方をしない辺り、匙先輩はホント紳士だと思う。

 『何故其処でもっとエロくしないっ! あの坊主はホントわかっちょらん!』『ちょっと黙ってくださいオーディン様』

 ……なんか、観客席側から聴こえたが気の所為だろう。

 

 

 「……! な……!」

 「なに、これ……! 力が、抜けてく……!?」

 

 「禁手化したことで不可視になったことに加えて、龍脈(ライン)の力は健在だ。体力や魔力を吸い取って俺の力の倍化に役立てる。――兵藤、ぼやっと見てないでかかって来いよ。同じドラゴン系神器使い同士、勝負をしようぜ」

 

 「……ぐぅぅっ!」

 

 

 兵藤先輩が自身の力を高めていることにも気づいていたのだろう。

 しかし匙先輩かっけぇ。

 やはり、此れは修行前に教えた『俺の報酬の中身』が功を奏したのかな?

 

 

 「俺はこの戦いに勝って――――なんとしても、会長の【大阪弁魚嫌いキャラ】付けをした【ネコミミ系アイドルデビュー】する姿を目に焼き付けるんだ……ッ!」

 「え、なんだそれ俺も見てぇ!」

 

 「「「「「「は!? なんですかそれ!?」」」」」」

 

 

 ――あ、其処でバラすなよ。

 初耳の会長以下眷属の皆様も、声を揃えて驚いていた。

 此れが他のメンバーのモチベーション低下に繋がらないと良いんだけど。

 ホント、匙先輩は詰めが甘いなぁ。

 

 

 




~今明かされる衝撃の真実…!
 烏丸は人の話を聞いているようで聞いてません。デフォです


~風紀委員長雲仙ちゃん
 ゴスロリ風に制服改造した駒王学園風紀委員長。手枷足枷に鉄球付きのロリっ子を見かけたら道を開けろ、という風潮
 尚、3年


~4大魔王で支配地の分割
 マジカルトラァァァァンンス!(ドンドコドコドコドンドコドコドコドンドコドコドコソイヤッソイヤッ!!ドンドコドコドコドンドコドコドコドンドコドコドコハッハッ!!


~ハチリュウ
 【ネギま】に居た頃に烏丸が造った火精霊封入型ホムンクルス。名の通り八首の竜の姿を象った炎の巨体であり、召喚すると辺り一面をマグマの海に沈めて自らのフィールドを形成。フィールドから放出される熱を吸収変換することで永久機関に近しい魔力運用を可能としており、かつて此れだけでアーウェルンクスシリーズ2~6を圧倒したとかなんとか
 現在は烏丸の所持する倉庫内にて凍結封印中(パソコンのデータ的な意味合いで)


~タキシードなロリコン様
 今で云うならば、ぷりてぃできゅあきゅあな彼女らに大学生の彼氏気取りがお助けキャラに来る、というどう見てもおっきなお友達が乱入した日朝です。ウス=異本かな(疲れ目
 最近クリスタルとかいう何らかがやってるらしいが、正直どうなの?(本気で見ていないので完全に未把握


~明日はもーっと楽しくなるよねっ
 おっ、そうだな(適当


~黒曜邪焔の龍鎧(ブラックヒートヘイズ・ドラゴンメイル)
 捏造。【自分の限界を覗ける眼鏡】で身体が壊れる寸前まで自らを鍛えた結果得ることが出来た、匙元士郎の【黒い龍脈】の禁手化。中に眠るとされる【黒邪の龍王(プリズン・ドラゴン)】『ヴリトラ』の分割された意志とやらを目覚めさせることも無く、飽く迄も黒い龍脈単体でのバランスブレイク
 その姿は『鎧』と呼ぶには実は歪で、コモドオオトカゲを頭から被ったようなブロンズセイントの雑魚(モブ)が着ていたような、どちらかと云えば仮面ライダーに出てくる怪人風な姿。アーマーゾーンっ。防御面が期待でき無さそうに見えるが、実は原作の赤龍帝鎧も防御より攻撃依りなので比べると生物的なフォルムをしてる分、こっちの方が衝撃吸収性には優れている


~大阪弁で魚嫌いのキャラ付けをしたネコミミ系アイドルデビュー
 中の人が同じだとか言う話を何処かで聞いた。ロックだね!(←違う。そっちじゃない



エロネタを挟む間が無いので次回に持ち越します
次こそは…!


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☆「男女の仲って奴は肉体関係のみに留まらせてはいけないのではないかと(ry」

時間軸が前回最後と多少前後します。中身も然り
エロ分増量になってたらいいな。34話です


 

 

 汗で湿った身体は程よく火照り、たった今まで酷使していたということを彷彿とさせる。

 その肢体の程よい肉付きは男の情欲を獣のように誘い、掴まえた腰は手の平から伝わる熱が自身の脈動と連なるように震えていた。

 そうして繋がった結合部を、腹の奥へと届かせるように突き上げる。

 「ひぁぁん……っ!」

 膣内は決して離さないと懇願するように窄まって、己の形が分かるくらいにピタリと食らい付いていた。

 真正面から抱き合ったイリナは上半身を仰け反らせるも、その脚は甲虫がするかのように俺の腰へと絡みつき、背中へ届かせようと廻した腕は其処まで届かずに肩を掴まえている。

 抱き抱えられた彼女は突き上げられるたびに豊満な乳房を上下へ揺らして、たぷったぷっと震えている乳肉と一緒に可愛い声を漏らしていた。

 「あっ、ぁぅっ、んぁっ、らめぇっ、しょ、こぉっ、しょこっ、らめぇっ」

 俺の貌を直視出来ないくらい恥ずかしいのか目を開こうとせず、快楽の嬌声を上げ続ける彼女は場所柄、叫びたい衝動を押し殺す。

 身体の線を隠そうともしない黒いレオタードみたいな『其れ』が、今では胸部なんかの恥部をも隠していないというのに、それを懸念するよりも今は別の『こと』の方が気にかかっているらしい。

 場所はグレモリー邸の、倉庫の一室。

 無理も無いが、そう思うのならば先ずは俺へとモーションを掛けるのを止めるべきであったのでは、と老婆心ながらに思うのである。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 一週間後へ迫ったと小耳に挟んだ暗黒武闘会改め裏武闘殺陣(レーティングゲーム)

 要するに俺が送った初見封殺コンボ(ラカンにも通じるアーティファクト2連)や、受けるダメージを半減する結界系アイテムや、装備すると膂力が倍になる牛の角(グレートホーン)、笛を吹くと何処からともなく現れて駆け抜けて逝く犬耳ナースの群れを呼び出せる犬笛など、ネタ半分で提供したアイテムのお披露目も一週間後となるわけである。

 基本的にどれもネタ、要するに遊び半分で制作し扱いに困っていた代物ばかりなので大放出させてもらったが、其れに准える修行編が始まろうにもシトリー眷属と呼べる彼女らからの警戒心は微妙に解けなくて、居心地悪い俺は先に要件を済ませようとシトリー領から出奔と相成らさせていただいたのであった。

 

 いや、匙先輩を某ローマの第一位宜しく『これよりMO手術(モザイクオーガンオペレーション)を開始する!』って聖杯の力借りて魔改造するのも吝かでも無かったのだが、流石に今の立ち位置が把握しきれてないヴァレリーを公に晒すのもどうかと思ったので自重させてもらったのだけど。

 というか、会長の家にある体育館みたいなところで体操着姿の役員さんらとか、見てるだけって普通にムラムラくる。

 生脚だよ? ブルマだよ?

 うちの学校指定の体操着しか持ってないの? と、男子(匙先輩)が混じっているのに気負う様子が無い彼女らが、普通に心配になってくる。

 ハーレムだなぁ、やったね匙先輩!

 

 襲い来る衝動に託けてヴァレリーといちゃいちゃしようかとも思ったけど、……普通にヴァレリーって良い娘なんだよなぁ……。

 手を出すのが憚られるレベルで、モノを知らないのが凄い心配になってくる……。

 それに、彼女がこうして国の外へ出ていられる理由に、『見聞を広げるため』という半ば無理矢理吸血鬼らから毟り取った前提が敷かれてくるわけだから、呑気に連れ回しているだけじゃ其処をクリアできないってことで、祖国に残されてる他のハーフヴァンパイアらの行く末が暗礁に乗り上げる。

 帰る場所がある奴は其処へ収まるべきなんだ。

 って、岩崎月光だって言っていた。

 

 

 「そんなわけで、色々と話を通すためにもやって参りました」

 「……どういうわけですの……?」

 

 

 呆れた顔つきで姫島先輩が、なんとかツッコミを絞り出していた。

 見聞云々より前に、俺の立ち位置を確保すべきだよね。っていう意図である。

 

 

 「グレイフィアさんご在宅?」

 「真っ先にそちらへ向かわれるのが色々とアレなのですが、とりあえず本日は魔王様も帰宅する予定は無さそうですわね。当然、御付きとなっているグレイフィア様も」

 「ありゃ、残念」

 

 

 通しておくべき話もあったのだけど。

 弟さんのこととかさ。

 

 

 「しゃーない、出直しますか。お邪魔しまs――」

 「まあまあお待ちを。なんならリアスにも顔を見せて行っては如何? きっと喜びますわ」

 「……えー? あの人痴女臭いから苦手なんだけど……」

 「言い方……っ」

 

 

 思わず本音が出たら窘められてしまった。

 そうですね。それを言ったら姫島先輩も似たようなモノですものね。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「ひくぅっ!?」

 擦りむいたと言っていた太腿の後ろを脚で撫ぞってしまったが、今の悲鳴はそれとは別の衝撃から来た声であろう。

 初めは敏感だと応じていたが、推し留める気はない。

 それに、最奥に開けた子宮の入り口が叩かれたことで、ゼノヴィアの貌も歓喜に蕩けていた。

 「~~ぁっ、あ、あぁ~~……っ」

 自身を押し入れた膣穴は初物でもないのにぎゅちぎゅちと締め付けて、その快感を離したくない、と身体が応える。

 此処に来てからずっと身体を鍛えていた、と言っていたことが原因に当るのか。

 彼女の肢体は余計な贅肉など一切無く、二の腕や腹筋なども摘まむことも出来ないくらいに引き締まっていた。

 だというのに、乳房も太腿もそこらの女子高生よりずっと豊満にあるという、男子高校生が味わうには実に贅沢な身体。

 それを後ろから覆い被さり、四つん這いに屈んだことでぶら下がった乳房を両の手で抱えながら、俺は彼女の腰へと自身を幾度となく潜り込ませていた。

 「――ぁっ、あっ! んぅっ! んひぅっ!」

 そうした反応が返ること数十分、ぐりぐりと俺が良く知るゼノヴィアの膣の中の【弱い処】を執拗に攻めてやれば、吐き出す嬌声も随分と濁ってくる。

 「お゛っお゛っ! お゛ぉっ! お゛ぅ゛っ!?」

 叩きつけることで断続して響く嬌声は、人のモノというよりはずっと動物的だ。

 その雌豚のような声音を頭の片隅の何処か冷静な部分で聴くと共に、ゼノヴィアの具合の良さに堪えるのも難しいと雄の欲望が必死で叫ぶ。

 「ほらっ、出すぞっ、何処に欲しいっ!?」

 「あ゛っあ゛っ、な゛がぁ゛っ、な゛がに゛だじでぇっ!!」

 懇願する彼女の、初めのキツい締め付けも窄まった、緩く弛んだ下の口へ。

 容赦のない俺の灼熱の濁流が、びゅるびゅるっと絞り出される衝撃で、ゼノヴィアはより一層その身体を仰け反らせるのであった。

 「あ゛あ゛あ゛ーーーっ!! ふぁ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーっっ!!!」

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「ヴァ、ヴァレリー……っ!? なんで……っ!?」

 「まあ、ギャスパー。大きくな……可愛くなったわね?」

 「なんで言い直したのっ!?」

 

 

 さもありなん。

 小柄且つ駒王の女子制服に身を包んでいる男の娘(ヴラディ)では、【成長した高校生男子】と言い表すには些か違和感が過ぎた。

 そんなヴラディだが、目隠ししているのにどうやってヴァレリーの存在に気づけたのだろうか。

 謎は尽きない。

 

 

 「烏丸くんの提案からずっとギャスパーはあの通りの生活を勧めているのだけど、意外と馴染むみたいね」

 「マジか。才能あるんだなぁヴラディめ」

 

 

 凡才の身なればこそ、嫉妬するのも吝かでも無し。

 確かに俺が提示した肉体改造だけど、感覚というか五感を把握するのに、俺だって此処まで短期じゃ無理だったぞ。

 ああまったく、妬ましい……。

 

 

 「……嫉妬してるの? 貴方でもそういうときがあるのね……」

 「そりゃあ俺だって普通で一介の男子高校生ですからねぇ」

 「……普通?」

 

 

 そこで疑問符を浮かべないでほしいのだが。

 再会を涙ぐむヴラディを何処か微笑まし気に眺めつつ、グレモリー先輩は俺の肩へと身体を寄せる。

 

 

 「大丈夫よ。あの娘にどんな想いを抱いていたって、私は貴方のことを支えてあげるから……」

 

 

 ……ん?

 

 

 「あの、なんか勘違いしてません?」

 「え?」

 

 

 というか、なんでこの人がそんな科白を口に出来るのか。

 何? 正妻面?

 俺の奥さんはエカテリーナであってアンタじゃねぇよ。

 ていうか、そもそもに【嫉妬】の部分で違えている感。

 ヴァレリーに近しい男子が居るのなら、俺は早々にお役御免できるから寧ろバッチコイなのだけど?

 あ、聖杯実験の際にはちゃんと集まってね。

 

 

 「それでヴァレリー、どうして此処に?」

 「ええ、そらさまに祖国での騒動を事前に防いでいただいて、そのお礼も兼ねて仕えることにしたの。世間知らずな私が出来ることと云ったら、これくらいしかないから……」

 「そ、そうなんだ……?」

 

 

 ……可笑しい、俺がヴァレリーの面倒を見るのが決定事項になってる。

 其処でもっと自己アピールしろヴラディ! お前の幼馴染を手元に引き寄せろっ!

 

 

 「……烏丸くん、あなたルーマニアで何をしてきたの?」

 

 

 ヴァレリーの科白から何らかの裏事情でも読み取ったのか、はたまた彼女とヴラディが幼馴染な為に彼の出身地を把握しているが故にその結論に至ったのか、グレモリー先輩は呆れたような貌でこっちを見ていた。

 人助けですけどぉ? 心外だよ。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「ふむっ……ん、ぐっ、ちゅぶっ、じゅぽっじゅぽっ」

 卑猥な音を出しながら、エプロン姿のアーシアが俺の股間の逸物を銜えて頭を動かす。

 舌先を窄めて、歯を立てることも無く、喉の奥へと届かせるくらいに勢いつけて吸引するその様は、まさに『ご奉仕』と呼ぶに相応しい。

 教え込んで日も浅いというのに、予習復習がしっかりとされているのか、はたまた性奴隷として優秀なのか……。

 此れだと性奴隷として、というよりは肉便器として、と言い直す方が適切な気もしてくるが。

 ところでその格好久しぶりだね。無駄に似合うよね。エロくて。

 「上手くなったなアーシア、気持ちいいぞ」

 「ふ、ゅみゅっ、んむぅ、ぢゅるぢゅるっ」

 頭を撫でてやると、嬉しそうに吸い付きも激しく応える。

 逸物には此処に来るまでにまぐわったイリナやゼノヴィアの性器の味も混じっていると思われるが、其処に不満も露わにしないとはどういう心境の変化なのか。

 まあ、従順になるというのなら異は唱えやしない。

 「良くきれいにしてくれ、この次は塔城を相手にするからな」

 「……っ、ふ、むぐぅ……」

 おや、勢いが止んだ。

 げせぬ。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「そうだ。烏丸くん、みんなにも顔を見せて行ってね? 特に小猫とか、ずっと沈んでいるし」

 

 

 と、グレモリー先輩が面倒見のいいお姉さんみたいな科白を口にした。

 驚きで見直す。え、偽物?

 

 

 「なんでそんな目を向けてるのか心外なのだけど……。眷属は家族同然なのだし、モチベーションを上げようって言うのは当然のことよ。というか、あなた連絡手段を持っているのに小猫のこと着信拒否してるでしょ」

 「ええまあ」

 「悪びれもしない……!? と、とにかく、それでやる気が出ないみたいな小猫とか、仲がいい元聖女組とか、早い内に話を合わせておくのは当然だと思うのよ。あなたたちに何があったのかまでは聞くのも野暮だと思うから聞かないけれど、心配に思う家族をどうにかできる人になんとかして欲しい、と思うのは駄目なことかしら?」

 「……まあ、ダメでは無いですよね」

 

 

 元より、人には向き不向き、というものがある。

 そこを弁えることが出来ないモノが多いために、世の中は分不相応なキャラが蔓延っているのだと俺は思う。

 だが、前々から付き合いのあるグレモリー先輩の立ち位置と、今回の彼女の距離感とがどうにも掴めにくい。

 なんだ? 何を狙っている?

 穿ちすぎかなぁ……。

 

 

 「そんなわけで、朱乃、烏丸くんを案内してもらえるかしら? 私はギャスパーとヴァレリーさんを相手しているから」

 「了解しましたわ」

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「ん、つまり、リアスは、はぁんっ、烏丸くんの立場を慮った上で、身を引いている、という状況になっているのかと、ぁんっ」

 「身を引く、と云われても、そもそもモーションかけてたっけ?」

 「あ、あれほどわかりやすかったのに……ひぅっ」

 

 

 困った時の姫島(グレモリー翻訳機)先輩。

 以前に要求されていた子作りに通じる男女の妙を交えながらの、豪邸廊下の物陰にての尋問である。

 豊満な乳房や意外にも細身の尻なんかをマッサージしつつ、グレリンガルな解釈をご相伴してみるととっても今更な事実を教えて貰っていた。

 

 

 「でも悪魔って言うくらいなんだから、異性に粉を掛けるくらい通常運行なんでは? 元シスターのアーシアだって、今じゃすっかりセックスの虜だし」

 「それは烏丸くんだからはぅっ、んっ、わ、わたしだってぇっ、処女なんですからぁっ、ぁあっ」

 

 

 うん、其れは知ってる。

 ていうか、そうなるとやっぱりあの先輩も処女なのか。

 通りで、男子の心の機微の取り方とかも、下手くそなわけだ。

 

 

 「というか、なんで今更身を引くとかって話に。煩わしいモノが無くなって問題は無いけど」

 「か、烏丸くんは、なぜそうやって人を遠ざけようとするのですの? 一般的な男性なら、リアスのような美人に懸想を寄せられることは受け入れられこそすれ、忌避するものでも……ひぃんっ!?」

 「――聞かれたことにだけ応えてくれます?」

 

 

 愛着を沸かせないようにだよ、言わせんなこんな偽悪表現。

 気づかれるのも癪だが、苛気も湧いてしまったので先端を捻る。

 摘まんだ乳首がぷくっと敏感に膨れるような反発を覚えたのだが、この人マゾっ気もあったのだね。

 

 

 「お、おそらくですが、先日の新世代同士での顔合わせが発端かと……、んっ、他の同世代らが貴族らしい志を備えているのに、自分は此れで良いのか、と思い至ったのでは……、ぁんっ」

 「はあ、自分でそう思うようになったのなら立派だとは思うけど……」

 「一部には到底立派とは言えない者も居て、それが反面教師として自覚を促したのかも知れませんわね……んぅぅっ」

 

 

 その眷属らがこうして男と姦淫に耽る、とかって何の冗談だ。

 というか、本当に自覚できたのならさっきも相応に律するものなんじゃないか?

 わからん……、興味を向ける気は特にないが、見なければ見ないで変な方向に本人の意図が可笑しなベクトルで傾く気がっていう一抹の懸念があるし……。

 

 

 「ま、一応は理解できたし、これ以上気に懸けても仕方ない、か。出来る限りはモチベーション上げるのも吝かでもないし、顔見世くらいはしておきますよ」

 「……ぇ?」

 

 

 と、彼女の身体から手を離せば、力が抜けたのか姫島先輩はその場にくたりと腰を落とす。

 肌蹴た衣服を直そうともせず、立ち去る俺を呆然と見送っていた。

 

 

 「…………え?」

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「で、元気じゃねーか」

 「わーいそらくんだぁ、はすはす」

 

 

 何人かのグレモリー眷属女子らと顔を合わせて、ぶっちゃけ後回しにしていた塔城にも顔を出しに来たところ、キャラ崩壊待ったナシの塔城にクンカクンカされてる俺である。

 今迄のも話の流れ上成った経緯でしかないが、俺の役割が慰安婦みたいで笑えない。

 倉庫とか庭先とか炊事場とかで、それぞれが要求するままにさせて来たのだが、この流れのままに塔城を相手取るほどトチ狂ってはいない。

 一晩思う様に交わったからと言って、彼女の肢体が未熟なのは間違いが無いのだ。

 だから股間に手を伸ばすそれを、寸での処でインターセプトする。

 

 

 「今更だけど、お前ら男性経験がろくに無いんだよな? それなのに一回身体赦したらもう直結って、倫理観可笑しくないか」

 

 

 種族が悪魔だからと言って、彼女らがその概念を受諾していないのは最早明白で、お蔭で『悪魔なのに理知と気品を尊ぶ』という矛盾した性質を全体的に社会性の一環として備えているようにも覗える。

 しかし、そんな処女臭ぇ彼女らなのに、たった一晩で箍を外れたというのも事実。

 もう少し自分を大事にしろよ。

 ドクシャ側はぐだぐだうるっせぇんだよとっとと喰っちまえよ!って憤るかもしれないけど、やっぱほら、俺って塔城みたいな小学生体型に素面で欲情出来る程業は深くねぇんすよ。

 

 

 「……アーシア先輩とちゅっちゅしてたのでしょう? 此処で相手がもう一人増えても構わなくないですか?」

 「してねぇよ」

 

 

 してねぇよ。

 大事なことなので二回言った。

 アーシアはご奉仕したがっていたからさせただけで、【今日は】セックスはお預けのままだし。

 

 

 「……むぅ、確かに雄の匂いがしません。……なんというバニラビーンズ臭」

 「やっぱ嗅覚スゲェなお前」

 

 

 さすがはどーぶつ。

 ……計画通り。

 

 

 「今日は元より陣中見舞だ。性的な意味合い無く抱くくらいならしてやるから、それで勘弁しろよ」

 「――は、それは要するに恋人みたいな扱いと云う事ですか……!? た、確かに心躍りますが……そらくん、あなた本物ですか?」

 「失礼にも程があるだろ」

 

 

 この娘俺のことどう思ってんだろう(思春期感。

 

 

 「まあ、着拒してたお詫びだとでも思っとけ」

 「ああ、それなら納得ですね」

 

 

 云うが速いか、塔城はそのまま俺の胸板に身体を預け、匂いを嗅ぐように擦り寄ってくる。

 されるがままに、俺はそんな彼女の髪を、さらさらと手櫛で解くように優しく撫でることで応えていた。

 ……くくく、其処もアーシアのご奉仕で掃除済みよ。

 イリナやゼノヴィアの匂いなど微塵も残っていない、察せられることも無い。

 ――苦節15年、遂にロリに勝てる日がやって来たというわけだ……!

 

 

 「――とでもいうと思いましたか?」

 「え」

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 下半身を強制的に露出させられ身動きの取れなくなった俺の上に、部屋着から一転、下着姿となった塔城が跨っている。

 部屋は灯りを落とし薄暗くなっているので覗え難いが、彼女もまた下半身が心許無い程度にまで露出しており、身を隠す衣裳は肩から掛けていると言っても過言では無い程度のネグリジェのような下着――それもブラですらない仕様のヤツのみだ。

 検めて云うが俺の上へと、そんな姿で跨った塔城は、嬉しそうに身を声音を震わせていた。

 「ふにゃぁ……! そらくんのおち●ぽぉ、おっきぃぃ……っ!」

 あの日一晩かけて形も馴染んだはずの膣は、【若さ】という回復力がその狭窄さを回帰させたらしい。

 ぎっちぎちに締め付けてくる塔城の猯穴(まみあな)は、それでも押し返そうとせずに俺の逸物をずぶずぶと沈ませる。

 ぎちぎちチャンピオンがこんなところに居ようとは。猫なのに(タヌキ)とはこれ如何に。

 そんな塔城に対して、俺が云う事は一つである。

 「仙術ゥ……ッ!」

 ――糞がァ! 男子1人捕える為だけに部屋に罠張るとか正気じゃねぇぞォ!

 いや、元々は自部屋に侵入して来た外敵から身を守るための捕縛結界(セ●ム)なのかもしれんけど、それをお前俺に使うって何なの? 塔城小猫は烏丸くんのことをどうしたいわけ?

 ……ヤってること見れば一目瞭然ですけどねぇ……!

 「落ち着くんだ塔城! お前みたいな幼い(てい)でやって良い事じゃない! 身体は大事にしろ!」

 「もう何回もやっちゃったじゃぁないですかぁ。んっ、それにぃ、そらくんとは同い年ですよぉ? にゃぁっ」

 身体を上下に揺さぶりながら、甘い声音が鼓膜を震わせる。

 浮かべるその微笑みも実に蠱惑的で、背筋を快感のような衝撃が走ることを自覚できていた。

 細い太腿は力なんて微塵も感じないほど華奢なのに、女子としての魅力を醸す程度には肉付きも良く、それが自分の上に跨っているという時点で股間が熱くなることを推し留めることも難しい。

 上下に揺すれば体重も共に掛かるわけだが、それもまた同級生とは思えないくらいに軽く、俺に圧し掛けられる衝撃のたびに思うのは、その都度微かに触れる小ぶりな尻の柔らかさだ。

 ――それがまた、エカテリーナ程度の自重を想起させ、俺の罪悪感がキリキリ痛む。ホントマジでゴメン。

 「んぁっ、そらくんだってぇっ、すごいっ、げんきじゃないですかぁっ、ぁんっ」

 騎乗位となっていた塔城はいつの間にか胸板へと上体も圧し掛けて、それでも腰を蠢かせるのを止めない。

 俺の股間を封じて已まない塔城の膣は、まるで別の生き物が捕食しているかのように、目の前の幼い少女とは断然結びつきそうにない感触で活辣と蠢かせているのだ。

 女子コエー。

 「むしろお前が元気ならもっと別の奴狙えよ……。兵藤先輩とか、俺が居なければ適当だったんじゃねぇの?」

 最早彼女がこうして動くのは、猫的性質として仕方のないことだ、と諦めた。

 それならば、せめて俺に限定しなくてもいいのでは、と塔城だけでは無く他の娘にも思うわけだが。

 例えばもっと別の世界線とかなら、あの先輩がホントにハーレム形成するようなモノだって、何百何千というパターンの中に数十例程度はあったのではなかろうか、と。

 「あの先輩はないですね。童貞臭いですし、女性の胸ばかりが優先っぽいので」

 「俺だってロリコンじゃねぇよ。というか、一瞬で素に戻るのやめてくれない?」

 「にゃぁん、そらくんのお●んぽはいつまでもおっきいからしゅきぃ♪」

 スタミナ切れが中々無いから持続力には自信があるのですぞ、ではなく。

 蕩けた貌から一瞬で素に戻っていた塔城は、次の瞬間には再び蠱惑的な蕩けた貌付きとなって俺の唇を舌先で舐めていた。

 女子コエー……、人間不信になりそうですわ……。

 

 「――――そらくん、に、小猫ちゃん……?」

 

 ふと、部屋の入り口から声が響く。

 というかアーシアの声だった。

 灯りが差し込んだのも一瞬で、すぐに戸は閉じられたのだろう。

 が、セオリーなら、部屋の入り口で俺たちの情事を除いてしまい呆然自失――となる世界線もあったのではなかろうか。

 その行動の迅速さに、やや疑問符が浮かんだ。

 「にゃぁ、アーシアせんぱい、ごめんなさぁい、ガマンできませんでしたぁ」

 煽る様な物言いィ!

 俺の口を、それこそ動物のように舐め回していた塔城は、アーシアが入室したことに気づいて、部屋の入口の方へと顔を向けて応えていた。

 つーか、独占欲の塊であるアーシアに、仲間内とはいえそんなこと良く言えるねこの娘。

 ――と、思っていたのだが。

 

 「……もぅ。ずるいです小猫ちゃんてば。……順番ですよ?」

 「はーい、にゃぁ♪」

 

 ………………あれ? いつの間にか話がついてる?

 俺、またスタンド攻撃(キングクリムゾン)喰らってたの……?

 女子が怖いと心底思った。

 そんな夏の日の一幕であった。

 

 

 

 「そらくん、勝手に終わらせちゃダメですよぅ」

 「いや、もう〆に入りたい」

 こんな話はもう辞めようよぉ! ハイサイ! ヤメヤメ!

 

 




其れではみなさん御唱和ください。
『このクズ野郎!!!』


ってなるはずだったのだけど結局小猫ちゃん大勝利ィ!だった
やっぱりロリには勝てなかったよ…
烏丸って前世か何かでロリに因縁つけられるような何かでもやらかしたの?


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☆「……そろそろ俺も転生特典系の特殊能力欲しいなぁ。必殺技として役立てられそうなやつ……」

前回の更新で『猯穴』という単語について誰からもツッコミを受けられなかったので補足しておきますが、この言葉自体には特別な隠喩表現などは含まれておらず、単純に雌の狸のことを猯(まみ)と呼ぶ『牝狸の巣』という意味しか含まれていなかったことを説明しておきます
でもまあ桑田も歌っているのだしいいんじゃね?的な暗喩表現です
他でドヤ顔しても恥を斯くだけなので、その辺口遊むときは開き直って使いましょう

描いていたらいつの間にかエロになってた35話。あの人の登場です!


 

 

 「これ、何本に見える?」

 「さ、ん……ぼん……」

 「ちょっと前まで何をしてた?」

 「悪魔、たちと、戦って……やられて……」

 「自分の名前は云えるか?」

 「……ミッ、テルト……」

 「おーけい、上出来だ。是非ともそのまま生きてくれ」

 

 

 記憶に乱れはないし、自我もはっきりとしてる。

 生体反応的には経過を看ないと定着してるかもあやふやだが、魂そのものが人外であるから強度自体は上々の筈だ。

 その辺りは『経験的に』周知している。

 

 とある教会の地下にて用意した、デカいフラスコのような容器から解放された濡れ(そぼ)った肢体の金髪少女。

 癖っ気の髪は背中くらいまであり、それが肌に張り付き風呂上がりのような艶めかしさの発露を――微塵も覗えさせないのは女性として肉体的に未熟な所為、だけではないのだろう。

 あまりにも呆然自失とし過ぎていて、彼女からは『羞恥を自覚する』という【意識】が未だに回帰させられていないようにも覗える。

 そんな彼女にいくつかの質問を重ね、サルベージ前に読み取った【天網(記憶骨子)】との齟齬が無いことを確認しつつも、意識面での補填が未だに拙いのは、前例的にもやっぱり『こういう仕様』としか言いようがないのかねぇー。

 そこに【生前の自覚】を促すとなると、やっぱ肉体言語(意味深)に頼るしかないのかなー。

 

 何はともあれ、此れで【死者の復活】も難なくクリア。

 堕天使少女ミッテルトたん、復ッ活!

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 支取会長とグレモリー先輩の勝負の行方? 描写しなくても良いよね?

 会長のアイドルプロデュースはお姉さんのセラフォルーさんがノリノリであったし、匙先輩の魂の咆哮を聞き届けたのかサーゼクスさんまでノリ気になってた。

 政治的には色々と問題ありきな人に見えたけど、民衆の為に惜し気なく心血を注ぐ辺りは『良い魔王』なのだろう。

 腹芸を覚えていない感じではあるけど、人間的には好感が持てるのだし、其処が支持率にも繋がるのかもしれない。

 そんな魔王様までやる気になっていて所謂『魔王からは逃げられない!』という奴で、会長が脱する隙など一ミリも残されていないのは明白だ。

 

 そして会長のメルヘンデビュー☆を心待ちにしつつ、俺とヴァレリーは先立って駒王町へと戻って来ていた。

 いや、グレイフィアさんに弟さんのことを報告した時、変な反応が出た所為でもあるのだけど。

 

 なんでも、グレイフィアさんのご実家のルキフグス家は既に断絶しているらしく、弟さんの生死すらも不明のままであったとか。

 そこへ飛び込んで来た俺からの報告と、【ルキフグス】が代々【魔王に仕える一族】であるとかいう自負から生じる、共にいた【男の正体】を疑問視するグレイフィアさんの洞察。

 それを俺が撃破した、とさらりと告げると呆気に取られた顔をしていたが、ともあれ、男の正体については予測もつきやすいらしい。

 旧魔王ルシファーの血統、そして、聖書に記された【暁の明星】の息子とされる、悪魔の歴史から見ても警戒に値する男、名を『リゼヴィム』。

 多分だけど、死んでないよな、その屑。

 

 いやさ、ヴァレリーから聖杯抜き取っていて、それを使って俺の居場所まで辿り着いた奴らだよ?

 それ以前に聖杯を抜き取っていたのなら、相応に色々使い回しているって見ても過言じゃないよね?

 例えば、自分のコピー、とか?

 

 となると予測に予測を重ねて、警戒に値する防衛力を構築しても不足に当らずも遠からず。

 矢荷成荘の中だけでは不充分な実験場の確保をグレイフィアさんにも申請し、ヴァレリーの真価を如何なく発揮できそうな場所を目当てにして冒頭に至る。

 要塞兼実験場を、死者(聖杯で好き勝手出来るモルモット)らがなんか埋没してそうな『町外れの教会』を目安に、設備も揃えたわけである。

 グレイフィアさんに最初に確認とった記録によれば、なんか此処って春先にグレモリー眷属らとか兵藤先輩とかが堕天使一部と一戦交えた場所らしいぜ?

 

 死体の一部が残ってればもっと楽だったのだが、検索するに塵一つとて痕跡が無い廃教会。

 しょうがないにゃあ、と聖杯を最大展開させることにより土地の記録(Immortal Record)を蜂起させ、この場で喪失したと思われる【意識】の喚起を一斉に引き起こす。

 聖杯を通じて出張る情報量の多さに関しては、ヴァレリーが俺とアストラルコードで繋がっている為フィルターを掛けることが可能だし、肉体の再生に関しては予め【倉】から発掘しておいた『ホムンクルス製造』に使用した幾つかの容器から流用できる。

 ……なんだろう、こっちの世界に来てもやってることが幼少期と変わらないんだけど。

 

 ややノスタルジックな気分になりつつ、【死者の舞踊(Dance Macabre)】染みて来た教会地下で死者共の選別作業に移る。

 とは言うものの『蘇らせた奴ならなんでも受け付けるよ!』というわけではない個人的な理屈に依る理由なのだが。

 いや、ヴァレリーひとり程度なら問題は無いんだけどね、吸血鬼らからそこそこの支援も貰ってるし。

 でも数知れずに蘇生させまくって、その全部を面倒見れるほど生活に余裕は無いんだよね。

 かといって保健所に持っていくわけにもいかないし。

 復活させた二十数名のうち、大多数は人間だったりするし。

 つかグレモリー先輩ら殺し過ぎwww 大量殺人の証拠が出揃っちゃったよぉ、ふぇぇwww

 

 巫山蹴るのはこのくらいにして、実際生前が只の人間だったのが大多数なので、完全な意識の喪失が為されている所為で『ある程度』まで肉体を復活させても意識の回帰が追い付かなかった奴らはそのまま廃棄逝きだし、意識反応が出ても記憶を読み取って執着や怨念が強い奴らでは、手数(配下)()えるには心許が無さすぎる。

 獅子身中の虫を飼う趣味なんて無いし。

 そんな中から、上手い事使えそうだったのがミッテルトたんのみであった。

 廃棄逝き以外? 人外だし、なんかの材料に使えるかなぁ、って具体例探してたんだけど、結局脳潰して教会に敷いた結界に繋がる魔力(エネルギー)源として流用しておいた。

 俺が居ない時に侵入されるのも嫌だから、王国結界……は解析されている恐れもあるから普通に聖域系の、悪魔とかに有効な奴を常時発動型にしといたわけで。

 イリナとかの話だと俺の拙い聖別でも『こうかはばつぐんだ!』らしいし、同じレベルの侵入阻止施せとけば問題無いよね。

 建物が元々持ってる聖属性を復刻させただけの処置だから天界側にも気取られないし、許可なく入って来た奴は問答無用で身動き取れなくなる程度に捕縛するだけだし、ちょっとばかしステンドグラスがご立派に輝いてるけど許容範囲内だよね。

 よし、此処を【かくされし きんだんの せいいき】と名付けよう。

 ここには昔、少女の像があったんだって……。

 

 

 「つーわけで、今からミッテルトたんをぺろぺろするから、ヴァレリーはしばらく時間潰して来ておいてくれ」

 「いっそ清々しいですね……!?」

 

 

 意識蘇生の手順はヴァレリーだって通った道なので、隠す理由も無くに堂々と告げて置く。

 つらいわー、今から大変な仕事しなくちゃいけなくて気が重いわー。

 でも幼j少女をボケ老人みたいにしておくのも問題だしー、張り切ってマッサージ(意味深)しなくっちゃー。

 そういう心積もりで説明したのに、ヴァレリーは何故かジト目で見る。解せぬ。

 

 

 「……そらさん、言っておきますけど『ああいう行為』が男女のアレコレ、っていう知識くらいは私にもありますからね?」

 「なん、だと……?」

 

 

 てっきり世間知らずで、蝶よ花よと箱入りに育てられた生娘かと思っていたのに……!?

 あ、いや、生娘だったのは間違いなかったけど。

 

 

 「性知識くらい人並みに備えています。驚き過ぎですよ」

 

 

 考えて見ればヴァレリーって大学生くらいの見た目に見えるし、マリウスとかいうメガネに精神使い潰される前は常人並みの感性は備えていた筈だから、そんな下地があっても可笑しくは無いのか。

 ……まあ、この先別に彼女を騙くらかして引き留めるほどの意義も特に無いし、彼女が自分から離れるというのならそれはそれで問題無、

 

 

 「あの、それで、ですね、よろしければ……見学していても、構いませんか……?」

 

 

 ――なん、だと……!?

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 肉付きも薄く、未成熟な彼女の肢体を、そらさんは無遠慮に撫ぜる。

 胸を、その先端をこりこりと摘まむ仕草は焦れったくて、その間隙にお腹や太腿なんかへと手を這わせる行為を交互に重ねて逝く様は、私にシタように随分と手慣れたようにも見えた。

 呆然としていたミッテルトさんは、時折吐息のような声を漏らすだけであったが、次第にそのリズムはペースを上げてゆく。

 「ん……っ、はぁ、……だめ、ぇ……、そこ、はぁ……んぃぃ……!」

 決して反応が薄いわけではなく、受け答えも相応に出来る。

 自意識が完全に回帰していない仕様、とそらさんが把握したとおりに、聖杯を通じた私にもそれくらいは見通せるのだ。

 云わば、低血圧の子が起き掛けで朦朧としているような、そんな状態。

 「ぁ、ぅんっ、や、ひぅっ、んぁっ、らめぇ……っ!」

 そんな状態であったミッテルトさんは、そらさんの愛撫で反応も次第にペースを上げて逝き、遂には弾むような声音で悦楽の嬌声を上げた。

 そらさんの手は何時の間にか彼女の太腿の内側へも伸びており、敏感な部分を撫でられたことで身体も跳ねるような反応をする。

 擽ったいだけでは済みそうにない、『その先』を受け入れる気が万全にしか見えない恍惚に蕩けた表情で、まだ回帰しているとは全然言えないミッテルトさんは、呆然と天井を見上げていた。

 ――そして、そんな様子の全貌を余すところなくRecする私。

 「……面白いか?」

 「はい、とっても♪」

 記録で記念で将来の参考です♪

 

 ヴァンパイアの王族として囚われの身であった私に、そらさんは決して表立っては云えないような行為をした。

 しかし、そのことで私は自己を取り戻し、そのままでは失われる恐れすらもあったヴァンパイア社会全体の将来を繋ぎ止めてくれたのも事実だ。

 『行為』の内容が、観方によっては雄の欲望に塗れた代物であったとしても、『その先』に控えた采配で救済を示していただいたことは間違いようがない。

 ……それに実際不快では無かったし、気持ち良かったし、ヴァンパイア社会の中では引き取り手すらも不明瞭であった私のハジメテを、不本意では無い形で卒業できたことは、王族としては駄目なのだろうが女性としては不満も無い。

 ならば、そらさんよりも『年上である』私が彼に応えてあげるべきことは、上手に彼の相手を務めることではなかろうか。

 それこそが彼へと捧げるべき私からの対償と備えることであると、私ヴァレリー・ツェペシュは貴族としての礼儀を持って愚考するのです。

 ……まあ、うだうだ考えるより感じることが大事なのも事実。

 要するにそらさんの手練手管で腰砕けにさせられるよりも、きちんと応えられる女性として嗜みを持ちたい。

 それだけが理由で理屈で前提ですね。

 

 茹で上がった貌で天井を見上げ、上向きとなったことで喉の通りも良くなりなんとか気道を確保できたのは、きっと生物としての本能的な仕草に依るものなのでしょう。

 絶え絶えな吐息で口呼吸を、ロングブレスで重ねるミッテルトさんへ、そらさんは追撃の手を止めませんでした。

 「敏感だなぁ……、久しぶりの肉体で反応が張り過ぎてるのかね。――うむ、此処も大洪水」

 実は衣服も纏っておらず、髪も解かれたままの、ゆるふわうぇーぶな金髪をした彼女。

 そんなミッテルトさんを背中から抱えているそらさんが、今迄触れていなかった股間をくぱぁ……と撫ぞります。

 無毛の秘所が肉襞を曝け出し、ピンク色の綺麗で小さな穴からはとろとろの粘膜が溢れ出てて、受け入れる準備も万端のようでした。

 尚、この場所はステンドグラスからの光も眩しい教会本堂。

 一種神々しいような、神秘的な光景が目に焼き付きますね。

 「上手く起きてくれると、助かるんだけどなぁ……」

 仕方ないよね、と言いながら、そらさんは彼女の身体を自分に向けさせて、反り立った逸物を細い太腿の合間へと侵入させてゆきます。

 対面座位、という奴ですね。

 私は気づいた時には後ろから犯されてました。その後はキチンと正面からでしたが。

 

 じゅぷ、じゅぷ、とゆっくりと身体が沈み込む水音が、静寂に包まれた聖堂内へと響きます。

 うっすらとした意識のままのミッテルトさんは、それでもまだ起きる様子を見せません。

 そらさんの身体が進むその都度、声が漏れるような反応を見せてはいるのですが。

 というか、何故ひと息に進ませないのか。

 「きっつ……! 小柄だとは見てわかるけど、此処まで狭いか……!?」

 あー……。

 まあ、肉体は基本一新させた状態で形成されてる筈ですから、やはり幼い躰での復活ではそーなりますよね。

 でも此処で止めるのは無しです。

 頑張れ! 頑張れ烏丸イソラ!

 「よ、し、とどい、たぁ……っ」

 「――ひっ、ぐぅ……っ!?」

 やったぁ! ミッテルトさんの処女、貫通です!

 無駄な達成感に感動する私を他所に、膣穴の膜が裂かれた痛みで回路がようやく繋がったのか。

 小さな悲鳴を上げたミッテルトさんが、目を瞬かせながらそらさんを見上げていました。

 「な、に、ぇ……っ? だれぇ……っ!?」

 「あー、やっと起きたか。おはようミッテルト。寝覚めはどう?」

 さて、これで私たちが閲覧した通りなら、彼女の反応も予想通りの筈ですが。

 上手く行ってると良いですねぇ。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「は……、はぁ!?」

 お、上々な反応。

 俺を人間と見て侮ったのか、狭い秘所をぶち抜いた状態だというのに、威嚇するように見上げてくる金髪少女。

 意識蘇生に関しては、混じり物無しに再生できていると見ていいかもね。

 「ちょ、ちょっとぉ? なんなのぉ、アンタは……!? 人間の癖に、このミッテルト様で童貞卒業とか、ふざけたことシテくれちゃってぇ……っ!」

 童貞ちゃうわ。

 しかし、彼女は記憶の部分で俺を知らないのだし、先ず貶めるような科白でアドバンテージを得ようというのも納得の仕様。

 威嚇というか、煽ってるというか。

 「まあまあ、気持ち良くしてやるから。難しいことは後でな」

 「はぁ!? ぜんっぜん気持ち良くないんだけどぉ!? むしろキモイんで早いとこ抜いてくれないっ!?」

 うっわー、口悪ぃ。

 まあそれを見越しての再生だから、其処は良いけどね。

 「え? 気持ちイイだろ? 狭いけど、こんなに濡らしてるくせに」

 「はっ、どーせ寝てる間にローションとか塗りたくったんじゃんぎぃっ!?」

 ぐりぃ、と抉るように挿し込めば、苛立っていた表情が悦楽に歪む。

 此れを『細くする』なんてことはできやしないが、狭い膣中(なか)を拡げようとするギリギリの大きさに膨張を保ち、濡れた穴の全方向の肉襞を擦る『痒い処にまで届く』仕様だ。

 種族的なアドバンテージを持っていると疑いもしなかったと思われる、上位にいると自負していた筈の余裕の笑みは一瞬で崩落し、ミッテルトは歯を食い縛ったような悲鳴を上げた。

 「こっ……の……っ! いきなり動く、とか……っ! アン、タ、女の、子の、扱いっ、知らないっのぉ……っ!? んっあっひぅっ!?」

 が、抗議の声は然程も続かず、すぐに腰の動きに合わせて嬌声を上げる。

 ようく(ほぐ)したお蔭で蕩けるくらいに緩まったが、未だ狭い膣から伝わる快感に身体はしっかりと反応しているらしい。

 痛みで歪んでいた、と自分でも思っていた筈の彼女の顔つきは――、

 「ぁっ、んぃっ、ひんっ、んあぁっ」

 「おいおい、気持ち良くないんじゃなかったのか? お前の貌、すげぇ悦んでるようにしか見えないぞ……?」

 ――雌としての喜びを覚えた艶めかしい歓喜の貌、所謂、アヘ顔という奴へと変わり果てていた。

 「……っ!? んぃっ、んむぅぅっ!」

 上げていた嬌声を抑えるように、彼女自身の手が自分で己の口を塞ぐ。

 それを遮るように、俺はより深く、心なしかペース早めに腰を動かす。

 見開いた眼は信じられないようなモノを見るように愕然とし、自分でもその快楽に溺れることを受け入れられていないようにも覗えた。

 「こんなに感じるのが不思議か? まあ、記憶からしてみれば未経験ってわけでもないんだろ? すぐに熟れるのだって、無理も無いと思うけどなぁ」

 「――っ! ――ぁっ! ――ぅっ!」

 段々と形に余裕が出て来た膣内の壁に沿うように、俺の自身も余すところを失くそうと膨張を示す。

 逃げ場なんてない快楽の奔流に、ミッテルトは悦に染まることに必死で抵抗していた。

 見下していた筈の人間に犯されるだけならばまだしも、更に『こういう面』で下へと廻ることが我慢ならないのだろう。

 それでこそ俺が選別した女性であるし、遣り甲斐があるというモノだ。

 ――そして、最終確認に至るべくスパートをかけた。

 「――ぁっ、あーっ! んぁっ、あああぁぁっ!」

 我慢も利かなくなった彼女は、手で自信を抑えることも出来ないくらいの快感に呑まれ、絶頂に至ることを絶叫で曝け出す。

 ――と同時に、彼女の背に隠れていた翼が、大きくその全貌を明らかとした。

 

 ――純白に輝く、神秘的な両翼が。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「――は? なにこれ……なんでぇ!?」

 

 

 語彙が酷く低迷なミッテルトたんが驚愕の表情を露わにする。

 まあ、堕天使が天使へランクアップしたことを自分で体験すれば、相応に驚愕するのも仕方がない……のか?

 ちなみにそう驚くに至ったのは、彼女を満足させて自分もそこそこ中に出してヴァレリーのハンディカムの中身も充実した数時間後のこと。

 これが、聖杯の力だ……!(キリッ。

 

 

 「無駄にドヤ顔決めてないで説明しなさいよぉ!? なんでアタシが天使にていうかエッチしたのに堕ちてないってどういうことなのぉ!?」

 「仕様だ」

 「果たしてよぉ! 説明責任を果たしてよぉ!?」

 

 

 いや、だって、弱点が多いらしい悪魔側に沿えるよりは弱点らしい弱点が訊くに少ない天使の方がお得でしょ?

 悪魔と堕天使の違いとかって、ぶっちゃけ良く知らんのだけど、今のところ警戒すべきが旧魔王っていう立場なんだから、弱点少な目に控えさせるのは常識じゃねぇかな。

 あと簡単に落ちないのはアレだ、そういう精神仕様のミッテルトを選んだ俺の功績?

 ある意味彼女自身の勲等なのだし、むしろ誇って良いんじゃないかね?

 

 

 「上手く行きましたね。種族変更」

 「だなぁ。聖杯って万能だな」

 「其処は発想力だと思いますけど……」

 

 

 ヴァレリーとからからと笑い合う。

 因みに、ミッテルトを復活させたという過程に至っては、エッチの後で実例交えて説明済みである。

 選別漏れの『行く末』を曝け出しておけば、そうそう反抗しようとはしない筈だよね?

 尚、逃げ出したとしても逃げる『先』が無いことも自覚できていると思うので、その辺は気に懸けてない。

 

 

 「ていうかなんでアタシなのよ……! レイナーレさまやカワラーナはあんな扱いだし……! ま、まあ、エッチは気持ち良かったけど……、か、簡単に落ちたりしないんだからね……!」

 

 

 色々と葛藤が激しいようだが、まあその調子で頑張ってくれ。

 敵方に捕まったとしても、ミッテルトならば媚を売ってまで命乞いしよう、とはしない筈だ。

 そういう矜持を持ってる奴だと閲覧できたから、俺は彼女を選別したのだし。

 

 そう、彼女を復活させた理由には、しっかりと俺の目的に沿うキャラを選別したという前提も備えられる。

 第一に、気位の高さ。

 堕天使で人間種を見下している、という前提こそ在れど、全体的に選民思想が蔓延った世界線なのだし種族として脆弱な人間が下になるのはある意味当然だ。

 見下される側からすれば堪ったものではないが、そういう上下関係を基より構築するのが社会生物としての常。

 一万年以上進化を続けてもそこ(動物)から脱却できない己らを呪え。

 問題は其処では無く、彼女が見るからに上位に位置する相手と対峙したとしても、自己のスタンスを崩そうとしないキャラであるという、勝ち気な部分を評価する。

 相手の実力を見通せないのでは、という疑問も浮かびそうだが、これから矯正して逝けばなんとかなるのではないかな。

 ともあれ、【土地の記録】から喚起したグレモリー先輩との対決シーンを閲覧し、俺は彼女を候補に入れた。

 

 第二に、執着心の低さ。

 【記録】から察するに、堕天使の作戦に参加していた彼女であるが、その活動の様相からして『目標』を持っているように見えなかった。

 作戦行動をするうえで、なんとしても任務をこなさなければいけない、という気概は評価されて然るべきモノではあるが、あまり目標を狭めれば視野狭窄に陥るリスクを伴う。

 俺が欲しいのは云われたことを何としてでも熟す、という【部下】では無く、適度に目的を果たして余裕を持って動ける、フットワークの軽さを兼ね備えた【手駒(人材)】だ。

 そいつ自身に野望や目的があっても良い。

 土壇場での裏切りを想定しないわけではないが、そうならないように囲い込む、というのも手の使い処だろう。

 前の方でも言ったが、獅子身中の虫は飼う気こそない。

 が【獣そのもの】を飼い慣らせずして策など練れるか、と付け加えておく。

 それに作戦という奴は、あまり根詰めても上手く廻らないのが世の常だ。

 予測の付き難いフラットな余裕を持たせないと、予想外の事態が起こった場合に寸詰まりになるものである。

 ……それでも予想から外れる事態には、中々余裕を持って対処できているとは云い難いが……。

 そして別の堕天使のように恨みの念に苛まれているわけでは無い、という部分もまた【執着】の項目に当たる。

 高すぎる矜持も無い執着心も薄いミッテルトは、選別して復活させるには実に最適な人材であったと言える。

 

 そして第三に、幼児体型。

 此れこそが俺が決定打にした最大の理由であり、今回拠点を造る理屈を兼ねた目的のひとつだ。

 どうにも、俺の中には『幼い外見の女性』には控え目な対処を取ろう、という意識が潜在的に刷り込まれている様に思える。

 嫌悪では無いが、穢したり傷つけたりしよう、という行為を為すには抵抗感や罪悪感がどうしたって湧くのだ。

 それを何とか払拭し、最低限、相手が女性として身を差し出すというのなら、キチンと女性として相手をできるようになっておきたい。

 そうして――塔城やオーフィスへリベンジを果たす……!

 

 旧魔王? そんなことより今はロリが怖い。

 今後アドバンテージを取られないためにも、ミッテルトたんで経験を積み、快楽堕ちさせてやる……!

 そんな決意を新たに、グレイフィアさんへ建前として用意していた拠点確保も並行して行うべく、俺は次の手を想起するのであった。

 

 





~原作展開はスルー
 平常運転。前回さらっと流されていたけど、シトリー眷属へ大量放出した玩具の数々が普通にそこらの神器に匹敵できそうな件について
 小猫もラカン封じのコンボを適応されては逃げ場がない
 バッファローなグレートホーンで100万パワー!すらもスルーされたけど、匙くんがやる気になっていたのも事実なので今後出番があるかどうかは不明
 そんなことより会長のアイドルデビューにはぴはぴしようぜ!にょわっしょーい!
 魔王様はホント働き者だなぁ(棒


~ミッテルトたん、復ッ活!
 赤竜亭がエタったのでこちらで転がす所存。キャラが掴み切れてないので、ギャル系で決めてみた
 レイナーレさん? 教会地下で奉仕活動(意味深)ですけど、何か?


~ヴァレリー視点
 挿絵が19巻にもあると聞いて拝見したけど、やっぱり胸の大きさがはっきりとわからなかった件
 そんなことよりレイヴェルちゃんのむちむちビキニの方に目が行った。後ろの方にスリングショットのリアスさんが居るけど、レイヴェルさんのむちむちビキニの方が凄かった。ゼノヴィアの生徒会長? ゴメン、何のはなし?
 あと口調がいまいち掴めないので八重ちゃんを参考。七瀬家不動の四女。嫁に欲しいです(切実


~防衛拠点を構築
 気づけば対小猫用に色々やってた
 魔王以上ってことは大魔王クラスか。まあオーフィスさんが世界最強らしいから間違ってないよね



夏休みはまだこれからだ!
というわけで、冥界から帰ってきちゃったけど休み明けるまでは5巻分から脱却しません
まだこれからも出すキャラは居るのでお楽しみに

ディオなんとかくんの寿命が延びただけ、とも云える…


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「深淵を覗くとき、深淵もまたお前を見ている」

8巻収録の番外編を参考にしました
36話です


 

 

 「せ、先輩! コートの傍に目がギラついた野獣が居ます!?」

 「こら兵藤! こっち見てんじゃないわよ!」

 「いやぁ! 視線で穢されるぅ!」

 「うるせぇ! 部活なのにテニスウェア着てる癖して見られたくないとかって意味わかんねぇよ! 良いだろ別に見たって! 減るもんじゃ無しに!」

 

 

 いや、減ると思いますよ。

 主に先輩に対する評価とか、信頼とか、尊厳とか、扱いの差とか。

 

 悲鳴を上げて身を守る仕草をしつつ罵る女子テニス部員に対してそんなツッコミを入れてた兵藤先輩に、きっと届かないであろう心中からのツッコミを冷静に入れる。

 というか、いつの間に帰ってたんだこの人ら。

 時は未だ夏休み、用事があって学園へと赴いていた俺の目に映ったのは、冥界より駒王町へ戻って来ていたらしいグレモリー先輩と兵藤先輩が2人だけでテニス部へと足を運ぶ姿であった。

 テニス部は夏季休暇でも練習がある、という理屈で納得はできるが、オカルト研究部ってそもそも正式な部活として扱われて然るべきなのかも疑問なのに、彼らがテニス部へ赴く理由が思い当たらない。

 そんな胡乱気な視線で傍観していたら、最初に悲鳴を上げた一年生がこっちに気づいて声を上げていた。

 

 

 「あっ、烏丸くん助けてくださいっ! 兵藤先輩に犯されちゃうぅっ!」

 「ちょっとそこの後輩ちゃぁん!? 謂れのない風評被害を撒き散らすの止めてくれるぅ!?」

 

 

 誰かと思ったら同じクラスの岡崎さんだった。

 つかテニス部だったんだな、あの前髪ぱっつん。

 ウェアから覗く太腿が適度に肉付も良いのに、やたら白くて魅力的である。

 

 ところで兵藤先輩に対する風評は強ち間違いでもないと思うのは俺だけだろうか。

 岡崎さんにツッコミを入れつつも、先輩のその視線はきっちりと彼女のスカート部分へと収まっていた。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「何してんすか、てか帰って来てたんすね」

 「おお烏丸、頼む! お前の説得で俺を擁護してくれ! 謂れのない評価で俺の居場所がテニス部にねぇ!」

 「割と自業自得だと思いますけど……」

 

 

 なんで一年生は誰も彼も俺に辛辣なの!?

 小猫ちゃんといい、烏丸といい、もっと先輩を立てても良くね!?

 俺の幼いころの夏の思い出を語った後くらいから、ギャスパーでさえも俺のことを微妙に冷ややかに扱うしさぁ!?

 

 

 「烏丸くんも帰っていたのね。私たちは、ちょっと個人的な用でテニス部にお邪魔しているところよ」

 「個人的? 夏休みに?」

 「ん、まあ私の夏の宿題、と言った処かしらね。本当は休み前に提出するはずだったのだけど、コカビエルとか駒王協定とかでごたごたして延期しちゃってて」

 

 

 自分の不備だけど其処を茶目っ気たっぷりに、しかし堂々としているリアス部長が可愛いから俺のことなんて問題無いよねっ♪

 部長カワイイ! カーワーイーイーっ!

 

 

 「やっぱりソーナに負けた時に、アイドルデビューを心待ちにしているわ、って煽るのが不味かったかしら」

 「確実にそれですね」

 「お蔭で提出期限も絞られちゃったわ」

 

 

 うん、その煽りがある意味原因で、眷属らに若干呆れられちゃった我らがご主人様は単独で伝手を辿ってきている。という経緯だ。

 俺はいざという時の為の護衛! 兼、擬似デートのお相手候補です!

 ……妄想っぽい? 自覚してるから色々予防線張ってるんじゃんかよォッ!

 

 

 「で、課題って何なんです?」

 「人間界に置ける魔物や妖怪の生態調査、ってところかしら。レポートに早めに纏めないといけないから、眷属のみんなにもちょっと無理言って別々に行動して貰っているのだけど」

 「……なんか、最終日に夏休みの宿題を親兄弟に手伝ってもらう子供、みたいな扱いっすね、グレモリー先輩……」

 「……」

 

 

 憐憫の目が烏丸から向けられ、リアス部長は無言で目を逸らしていた。

 其処が良いんじゃんか! 子供っぽい部長の可愛さはそこがいいんじゃんか!

 アダルティな外見とミスマッチな子供っぽい中身! お前はそういうギャップ萌えを理解できてねぇ!

 

 

 「まあ、兵藤先輩と二人っきり、っていう理屈は分かりましたけど。つか、なんでテニス部? 購買とかじゃないんですか?」

 「此処の部長は代々続く魔物使いの家系なのよ。購買は良く分からないけど……」

 

 

 と烏丸が、遠巻きに状況を理解できてないテニス部員らに代わり要件を聞き届けていると、ザカパッザカパッと校庭の土踏む蹄の音が。

 駒王学園で馬? と音の方へと顔を向ければ、栗毛を縦ロールに巻いたテニス部部長の安倍清芽先輩が――世紀末覇者の風格漂う巨躯の馬に首なし騎士が跨って、それに伴う形で騎乗しつつ高笑いしながら現れた!? なんっじゃそりゃあ!?

 

 

 「オホホホ! 御機嫌ようグレモリーさん! テニス部へようこそ! 歓迎しますわ!」

 「御機嫌よう清芽さん。校内に魔物を連れ込むのは違反行為よ?」

 「こちらは我がテニス部マスコットのノーヘッド本田君とその騎馬ですわ! 先日頸椎ヘルニアで首が入院したデュラハンのスミス君を我が家で引き取る際、せっかくなのでバイトとして雇ったんですの! マスコットなら問題在りませんわよね?」

 

 

 無いわけねぇでしょ!?

 

 

 「マスコットなら問題ないかしら……」

 

 

 無いわけねぇです!?

 丸め込まれないでくださいリアス部長ォ!?

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「つーわけで、俺の代わりにテニスに興じててください」

 「……なんで俺が」

 「……バラシマスヨ?」

 

 

 小声で囁かれる脅しにチックショウ、とウェアを着つつラケットを振るう。

 体験入部の筈なのに。桐生に連れられなかったらこんなことにはならなかったのに……!

 

 

 「それにしても、ラギちゃんがキミと知り合いだとは思わなかったわ」

 「むしろ俺のことを何処で知ったんです? えーと、桐生?先輩は」

 「改めて、桐生藍華でっす☆ アーシアちゃんと同じクラスだよヨロシクぅ!」

 「ああ……、アーシア先輩からでも聞いたんですね……」

 「いんや、前に小猫ちゃんと居たところを見たの。付き合ってんだよね?」

 「いいえ?」

 「え?」

 「え?」

 

 

 背後では烏丸と桐生がのほほんとそんな会話をしている一方で、俺は何故かオカ研のテニス勝負の一役を担うことに。

 向こうからしてみたらむしろ敵対してる立場だが?

 しかし、リアスグレモリーも兵藤一誠も、俺のことに気づいた様子は無かった。

 

 

 「しかし、スメラギも意外と良い身体してたんだな……。胸は惜しいが。もうちょっと、こう、ボリュームが欲しい」

 「そういうことを口にするのは止しなさい、イッセー。余計なお世話だと思うわよ?」

 「う、うっす、スンマセン」

 

 

 本当に余計過ぎる……むしろ気づけよ。

 俺は『(スメラギ)白流(ハル)』という判り易い(安直な)名前で堂々と未だ駒王に通っているというのに、悪魔陣営が俺のことに気づいた様子は本気で無い。

 今は堕天使に所属する身であるが、こんなに緩いからこそ抜ける奴も多いのだ、と本気で苦言を呈したくなってくる。

 

 そして俺の相手はラミア。

 ……オイコラ。

 

 

 「よろしくお願いします」

 「隠れろよ魔物(モンスター)娘……!?」

 

 

 よくよく見れば、部長と名乗った安倍先輩の背後に控えているのは、ハーピーにデュラハンに雪男に幼女と完全にモンスターで構成されてる軍団だ。

 一般テニス部員も居るのに、なんて堂々としてる……!

 

 

 「むしろ烏丸、お前が相手しても問題無かったんじゃないのか!? テニスもう関係ないだろコレ!?」

 

 「いやぁ、スポーツはどうも苦手で」

 「……あれ? でも中学じゃサッカー部だったって……」

 「万年補欠。俺が遣るとロックマ●サッカーみたいになるからね」

 「どういうことですか……」

 

 

 コートから怒鳴れば、彼の背後にいた前髪を眉上で切り揃えた少女とそんな会話をする烏丸。

 戦闘面は人外だと思っていたのだが、意外と身体能力面は凡才らしい。

 いや、スポーツのみで培われる何某かが苦手なのか……?

 

 

 「とりあえずスメラギ! 頼むぜ一勝!」

 「なんで貴女がやることになったのかはよくわからないけどお願いね!」

 

 

 ……とりあえず、グレモリー眷属はなんか不幸になれ。

 ちょっと小さなことでもいいから、箪笥の角に小指ぶつけるとか、ビデオ予約失敗するとか。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 都合よくヴァーリちゃんがやって来てくれて助かった。

 先輩方がなんでかテニス勝負をする羽目になったけど、頭数の足りなさで急遽俺も混じる羽目に成り掛けたしな。

 間接的に無関係ではいないヴァーリちゃんという眼鏡っ子(仮)に役目を押し遣り、俺は本来の用事へと出かけることに。

 勝負メンバーに何故か雪女と称してイエティが交じっていたけど……可笑しいな、購買に居るリッカちゃんは雪女系では無かったの?

 

 さて当初の目的。

 以前に来たテロリストの蘇生である。

 

 そもそも、『記憶を検索する』にしたって記憶という奴は脳内に伝達を繰り返される電気信号である、という前提がある。

 魔本(アーティファクト)を使った擬似サイコメトリーで読み取れるのは精々が行動の記録(record)程度の代物で、事前にそいつらが何を思っていて何を目的としていて何を考えていたか、という詳細な部分を読み解くには死の事前行動から予測するか、脳を初めに再生させなくてはならないのだ。

 【再生】に能っても、【聖杯】には『既に在るモノ』しか弄ることが出来ないという性質しか兼ねておらず、神器自体がこの世界における概念具である以上、その役目を逸脱させるには不備が出る。

 そして前にも言った通り、『人間を再生させる場合』塵のようになってしまった状態からの再生は怨念や執念が絡まない限りは不可能レベルであり、そういう奴を選別して復活させたところで個人的用事に役立つとは云い難い。

 何かを『創造する』神器があれば、話は速いのかもしれないけどねぇ。

 

 で、そんな目的を添えているそもそもの理由は、これまたやはり防衛の為である。

 一般的に、防衛と訊いて先に思い浮かべる手段とは何であろうか?

 堅牢な砦を造るか、自身の実力を底上げして戦いに備える?

 俺としては、何が襲ってくるかもわからないのに、そんな全方向へ警戒するような暇な真似はする気はない。

 答えは『探して狩る』に決まってるだろう。

 夏の間に片を付ける。

 こんなことに掛ける時間は俺には無いんだよ。

 

 とりあえず、リゼヴィムとやらがサーゼクスさんとはまた別の【ルシファー】であるというのならば、アイツも【旧魔王】即ち【禍の団】に所属する一派の可能性が高い。

 お誂え向きに、そんな奴らが三竦み同盟の会合時に乗り込んで来ていたし、復活させればいい情報を零してくれるかもしれない。

 やっぱり尋問するなら女性が良いよね。

 名前は……覚えてないけど、其れっぽい魂の残滓を保管し持って帰れれば、陣地である【教会】で【ふっかつのぎしき】だ。

 その後は、……ファラリスと洋ナシとアイアンメイデンでも準備しようかな。

 

 それにしたって、安倍先輩はもう少し控えられなかったのだろうか……。

 三年は女子だけで紛れられるからといっても、あんな自己主張激しい「魔物使いです!」と全身で露わにしてる人そうそういねぇぞ。

 いや、逆に紛れたくないからああやって自己主張してるのか?

 というか、よくよく聞くと魔物使いなのにイエティ以外は借りて来た娘、って時点で世界観可笑しいな。

 何? 魔物使いってそこらに在中してるのがデフォルトなの? それともこの世界って『モン娘』だったの?

 

 

 「――ウボァアアアアアッ!?」

 

 

 用事を済ませてそんな風に呑気にコートへ戻って来てみれば、――ひょうどうくんふっとんだ!

 俺が居ないのにロック●ンサッカーになるとは。

 いやはや、まいったねこりゃ。

 

 

 「生きてます?」

 「……」

 

 

 返事が無い。

 (シカバネ)のようだ。

 

 

 「てっきり普通にテニスするのかと思ってたんですが……」

 「わ、私もそのつもりでしたわよ? でもあの子は手加減が出来なくて……」

 

 

 と、安倍先輩の弁。

 コートを覗けばシングルでの勝負だったらしく、兵藤先輩と対峙していたのは――ボケェーっとした顔つきのふわふわプラチナブロンドの幼女……?

 

 

 「こずえちゃーん! がんばれー!」

 「お願いこずえちゃん! そのまま兵藤を亡き者にして!」

 「かっとばせー! こ・ず・え!」

 

 「ふわぁ~……」

 

 

 テニス部女子一同からの熱いエールに、あくびのような応えで返すゆるふわ幼女。

 兵藤先輩への不憫な扱いに、思わず目頭も熱くなるね……。

 

 

 「で、ヴァーリちゃんはどしたの。そんなところで蹲って」

 「……ヴァーリちゃん云うな……」

 

 

 会談の一件以来、どうしてもこの人には真っ当な相手をしづらい。

 コートの外側で困惑する安倍先輩の脇の方で、落ち込んだように体育座りしているヴァーリちゃんに疑問符を投げかける。

 

 

 「なんだあの幼女は……、何処へ打ち込んでも返してくるし、打つ球の一球一球が重すぎる……! こっそり【半減】を使ったのに打ち返しきれないなんて、普通じゃない……!」

 「……アレ? ヴァーリちゃんはラミア娘と戦ってませんでした?」

 「勝ち抜き戦だそうだ……」

 

 

 ああ、グレモリーチーム人少ないもんね。

 納得していると、コートの端で起き上がる兵藤先輩の、熱い魂の絶叫が響いていた。

 

 

 「ぐ、っがぁ……っ! くそぉ、負けねぇぞぉ……!! 俺が負けたら、リアス部長が出るしかねぇ……! あんな規格外の相手なんざ、俺のあるじ様にさせて堪るかよォ……ッ!」

 

 

 なんと立派な志。

 それを普段拾分の壱程度でも零せておければ、もっと学内での評価は上がっていたかもしれないのに(憐憫。

 

 

 「……っ! イッセー……!」

 

 

 おや? グレモリー先輩の様子が……?

 惚れた? アレで惚れちゃった? トゥンクしちゃった?

 頬を赤らめつつ兵藤先輩へと熱い眼差しを向けるグレモリー先輩の、脳が心配になってくるレベルである。

 そんなグレモリー先輩はさて置き、兵藤先輩が仰け反るように立ち上がり、

 

 

 「負け、て、られねぇ……! かかって来いヤァァァァ!!!」

 

 

 と、吠えた。

 が、相手側からの反応は微妙に薄い。

 というか……、

 

 

 「………………ふわぁ~……」

 

 

 随分と長寛で消閑的な、間延びした空気を途切れさせる様子は無い。

 というか、あの子も安倍先輩関連ってことはやっぱり魔物娘系?

 なんていう種族なのかねぇ。

 つーか……。

 

 

 「なんか、俺のこと見てね……?」

 「ああ、見てるな……」

 

 

 じー、っと彼女の視線はこっちに定まったままである。

 何? ロリータホイホイが発動してるの?

 あの子、塔城より幼い感じに見えるのだけど。

 流石にああいう子を取り扱うのは無理ですよ?

 

 

 「……みつけた…………ふわぁ」

 

 

 からん、とラケットをその場へ抛り、とてとてとこちらへ近づいてくる幼女。

 おいヴァーリちゃん、構えるな。

 戦闘態勢になるのは先ず意味合い違うと思うよ?

 

 

 「きよめ~、かえる~……」

 「へ?」

 

 

 どうやら安倍先輩への用事であったらしく、それだけ告げると忽然と姿を消していた。

 残されたのは突然の帰宅宣言に呆気に取られた安倍先輩、そして吠えて漢を見せたのにコートに取り残された兵藤先輩。

 自由だな、おい。

 

 

 「………………えっと、試合放棄で兵藤選手の勝ちです」

 

 

 審判役をやってた岡崎さんが声を上げたが、それ以外は何とも言えない空気で締まりも悪かった。

 つうか、あの子が帰る直前、呟いた言葉が意味深すぎてフラグっぽい。

 それを回収するのが俺ではありませんように……!

 

 尚、この後の試合は雪女(自称)のクリスティとか言うイエティと兵藤先輩がテニヌをしていたが、結果はオールカットです。

 

 





~岡崎さん
 以前カラオケにもいたモブ女子です。でも美少女です
 尚、ギャル系が樋笠さん。ポニテ剣道部が斧裂さん。おさらいね


~ヴァーリちゃん
 この世界線では俺っ娘です
 大体Bくらいの凡乳で妄想中


~今明かされる驚愕の事実!
 運動神経云々では無くチームプレイが出来ない、という致命的な欠点
 この辺り烏丸の弱点に繋がるのだが、其処を読み解くと攻略にも繋がる可能性も…?


~購買のリッカちゃん
 雪女では無く冬将軍らしい。此れで授業参観での伏線回収になってると良いなぁ
 つじつま合わせスイッチを連打しすぎて一巡した世界とのクロスが垣間見える


~ふわぁ~…
 原作者さんは某邪神系は含まれてない、と明言しているようですが、神話チャンポンならば混じらない方がむしろ不自然です。そんなわけでブッコミ入れた邪神系幼女。大丈夫、文豪ストレイドッグスにも結局よくわからなかった奴だっていたから。この程度のクロスは昨今の作品だとむしろ通常運転だよ!
 今回の伏線を回収する前にちう凡の方をある程度進めたいなぁ…



最近知った驚愕の事実。原作者ランキングではギリシャ系最強がハーデスかテュポーンだというらしい
それともゼウスやアテナやクロノスやヘラクレス(真)は作者の中ではギリシャ系に入ってないのだろうか。ネメアの獅子もヘラクレス(偽)の神器に使われなかったし…
まあ曹操(笑)がロンギヌススマッシャーとか使ってる時点でお察しかもしれない
そして十指にルーが混じってる
キリスト教の侵略にケルト系は全滅したとかって原作で見た記憶があるのに、ちゃっかり生き残ってる光の主神。お前が戦ってれば聖書に脅かされずにバロールとクロウクルワッハと協力して神話維持も可能だったんじゃねぇの?って其処に居る意味を予測しておく。その内、原作にご登場!とか言い出した時の為にフライングツッコミ。シヴァ編やりたいお、とかって宣ってるからね、あのひと
あと帝釈天を十指に入れるのは構わないがブラフマーとヴィシュヌが入ってるのが納得いかない。ヴィシュヌはともかく梵天だよ? マイナー神だよ? 雷の神であるインドラを超越する創造と維持の神って具体的にどう強いの?
そこはカーリーを入れるべきじゃないかなぁ…あの奥さん、シヴァが地面に寝転んでようやく死と破壊を振りまくのを止めたってくらい暴虐な地母神だからね。むしろ鬼子母神レベル
そんなわけでその内カーリーさんを召喚します(予告)


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「女性の絶頂時の感度をそのまま男性に与えるとショック死する位なんだってさ」

みんなー37話だよー(ゲス貌


 

 

 「ごめんくださーい」

 「はーい、って……」

 

 

 冥界から駒王町へ戻ってきて数日後、リアス部長のレポート作成も無事に済み、何時もの日常へと慣れた頃。

 夜中は悪魔としてのお仕事を再開したものの、未だ夏休みは明けないので昼日中が手の空いていることを実感しつつ、そんな状態為ればこそ気付いたとある事実に個人的な時間を割こうと、照り付ける日差しに苦戦しつつ街中へと出かける私。

 その狙いを察して阻止しようと、憑いて来たゼノヴィアさんイリナさんコンビと共に、私たち3人はとある廃教会へと赴いていました。

 ホントは以前にも覗った下宿先へ先に顔を出したのですが、夏の間は一度戻って来て以降姿を見せていないそうです。

 改めて、糸の切れた凧みたいな人だなぁ、とシミジミ思います。

 

 此処まで語ればもう判ることでしょうが、覗った先はそらくんの下で、狙っているのは無論男女のアレです。

 それにしても、彼のような人が教会を根城にするとは……。

 

 

 「なんだ、アーシアじゃん」

 「……ミッテルト、さん……?」

 

 

 何処かで見た場所だなー、と思っていたらまさかの懐かしの方が顔を覗かせました。

 朱乃さん経由で聴いた情報では、此処はそらくんの別宅になっている、と覗っていたのですが……。

 

 

 「まさか、ミッテルトさんもそらくんと……!? は、破廉恥ですっ、このような場所でっ!」

 「ヴェッ!? な、っちょ、ナニ想像してんのアンタ!? そんな娘だったっけ!?」

 

 

 だってそらくん幼い子でも大丈夫ですし修道女ふぇちですしミッテルトさんだって恰好はフリフリのゴシックなロリータファッションですけどこの場なら妙にマッチしてますもん!

 これは絶対食べられてますね……っ!

 

 

 「うわぁ、ちょっと見ない間に酷い思考回路が出来上がってる……。どうしたのさ、何がアンタをそんなにしたわけ……?」

 

 

 がくがく揺すって問い詰めれば何処か唖然とした表情で、ミッテルトさんが胡乱気な視線を私へ向けます。

 釈然としません。元は堕天使である貴女方の方が、ずっと明け透けだったでは無いですか。

 

 

 「釈然としないのはこっちだっつーの……。つーか、他に云う事あんじゃないのかな……」

 「……?」

 「……あー、ま、いいか。アーシアの言ってることも、強ち間違ってるわけじゃ無いしね」

 

 

 やっぱり食べられて……!

 

 

 「い、一応言っとくけど、まだ数回寝た程度で『そういう相手だ』って勘違いしないでよね。アイツとは、別にそんなんじゃねーし。ていうか、好き好んで相手したくないし」

 「ナニ当たり前のことを言ってるんだ彼女は?」

 「そうよね。それだけで射止められるのならもっと話は早く済んでるし」

 

 

 と、ミッテルトさんの弁にゼノヴィアさんとイリナさんの声が重なりました。

 彼女がツンデレしてるうちがチャンスですね、急いでそらくんの元へ向かいましょう。

 

 

 「……え、なに、アンタらまさか、」

 「そんなことよりミッテルトさん、そらくんは御在宅ですか? 朱乃さんからこちらにいらっしゃると覗ったのですが」

 「いや、そんなことよりこっちの質問に、」

 

 

 むしろ貴女の話の方が『そんなこと』ですので、そういう意図を込めて笑顔を向けます。

 笑顔とは、元来攻撃的な代物なのだと、最近本で読みました。

 

 

 「そらさんなら、お出かけしてますよ?」

 

 

 と、会話に混じって来たのは、確かヴァレリーさん。

 ギャスパー君の幼馴染の方でしたっけ。

 ガラガラと鉄製の牛を台車に乗せて、奥から運んできているところでした。

 

 

 「お、おいヴァレリーさん……? それまさか、」

 「お出かけですか?」

 「はい、今日は戻らないと仰ってました」

 

 

 何処か怯んだ様相のゼノヴィアさんを押し退けて、聞くべきことを尋ねる方針です。

 何故だかミッテルトさんまで引き攣った顔をしていますが、あまり気にしてもしょうがない事でしょうから敢えて突っ込むような真似はしません。

 

 

 「何処に行くのか、とかは……」

 「覗っていませんねぇ。何かご相談でもありましたか?」

 

 

 むぅ、と思わず悩みます。

 このまま街へと繰り出して彼を探すのも手ですが、行き当たりばったりで見つけられるほど楽とは思えません。

 変装も兼ねて本日はキャップ帽・タンクトップ・薄手のパーカー・ホットパンツとボーイッシュな様相ですが、そらくんの気分を寄せるためにしている折角の生脚を他の男性へ見せたいなどという趣味は有りませんし……。

 ……そういえば、ヴァレリーさんって吸血鬼の貴族だと伺いましたっけ。

 

 

 「あの、出来ればご相談に乗って貰いたいのですが、宜しいでしょうか?」

 「まあ、私にですか?」

 

 

 頷けば、吸血鬼に神父の真似事が出来るかしら、と談話室を開けようという立ち回りを始めるヴァレリーさん。

 妙にノリノリでした。そこまでしていただかなくとも良いのですが……。

 

 牡牛の置物をミッテルトさんへと預け私と対峙するヴァレリーさんとはまた別に、無駄な懐かしさを匂わせる教会内を「大聖堂のようだ」と呑気に見学を始めるゼノヴィアさんらを放っておいてお話の始まりです。

 ミカエルさんの計らいで私たち3人は『せいなるちから』への忌避感を大幅に削減して貰っていますから呑気になれますが、そらくんの用意する【聖別】とかは【聖書勢力】から受ける力とは別次元な気がします。

 いえ、気分は悪くは無いのですが、こう、圧倒されると言いますか。

 

 

 「それでアーシアさん、私に相談事とは一体何ですか?」

 

 

 思考が逸れる私を他所に、何処かのほほんとした空気を纏ったままヴァレリーさんが尋ねて来ます。

 私は、この夏冥界で得てしまった『余計な悩み』を解決すべく、貴族としての意見を彼女へ問いかけるのでした。

 

 

 「あの、以前に私が助けた貴族のお坊ちゃんが、お礼にと求婚して来たのですが、後腐れの無いお断りの仕方ってご存知ないですか?」

 

 

 え? リアス部長に尋ねればいいのではって?

 ……そらくんのことが芋づる式にバレるのは避けたいです。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 矢荷成荘に引っ越しの連絡でも入れるべきだろうか。

 夏の間に片を付ける心積もりであったが、本日齎される情報によっては拠点移動も考慮する必要が出てくるのでは、と悪魔の情報収集能力に関する信頼感はやや希薄である。

 それというのも、先日折角復活させたカテレアとかいう旧魔王派の女悪魔を程よく尋問した結果、碌な情報を持っていないと云う事を()()()確認できたお蔭である。

 彼女の『上』が情報の大事さを理解していたのか、はたまた彼女自身が『情報』を重視していないのか、どっちかの理由が前提に在ったのだろうが、とにかく彼女は役に立たなかった。

 中の針先が全部丸いツンデレなアイアンメイデンとか、低温でじっくり蒸すファラリスの牡牛とか、胎の中でくぱぁする洋ナシなクスコとかを色々試し、そのたびに駄目になる肉体を移り変えての新しい複製体で幾度と尋問したのに、得られたのは複製限界に依る劣化促進の可能性の発露に、『どれだけ遣れば壊れないか』という【尋問】の限界把握という無駄知識だけである。

 「もう●さないでください」と裸土下座で懇願するようになるまで苛め尽してしまっても出てくる情報が拙すぎて、ホントコイツ役に立たねぇ、と屠殺場へ繰り出される豚を見るような目を向けてしまった。

 此れで今日の出てくる情報の程度が低いと、ホント悪魔という種族そのものに見切りをつける必要性も出てくるから、グレイフィアさんはマジで頑張ってほしい。

 ちなみにカテレアは、情報も素体としての技能も低スペックであったのだが、だからこその【強化用素体】として選抜(エントリー)

 この弱いが忠誠心だけはMaxに成り上がった魔王女子(笑)を、改造と調整で『俺が』何処まで成長させることが出来るのか、という実験の為の強化用素体である。

 折角復活させたのだし、無駄にはしない。

 

 まあ役立たずから家畜へ無駄ランクアップを果たした喪女はさておき、本日街中へ繰り出したのはグレイフィアさんとの待ち合わせの為だ。

 情報の遣り取りなど誰に見られるかわかったモノでは無く、特に偏執性が高そうな弟さんが見張るならば冥界側が濃厚では?とグレイフィアさんが一計を案じ、このような運びとなった。

 それで人間界の、人が行き交う雑踏の中での秘密の会合、と相成ったわけだが。

 

 

 「……目的が透けて見えるようだ」

 

 

 指定された場所が、数メートル先へ行けば何度かお世話になってるラブホが覗える歓楽街の入り口付近。

 そこらの地主は駒王町でよく見られる魔王名義のモノでは無く、櫻井グループという以前にも見た記憶のある他名義のだという念の入り様からも、サーゼクスさんにバレナイヨウニ、という意図が有り有りと見えるのだ。

 まあ、名義なんてのは直ぐに判るモノではないが、ホラ、前に修道女ガールズと4pしたプール付きホテルが中心地にあるのよ。

 魔王の息のかかった場所でない時点で、魔王にも秘密の会合を画策した時点で、グレイフィアさんェ……、ってなるよね。

 

 

 「あれかなー、朱乃さんと子作りを未だにしてないのがバレたのかなー」

 

 

 彼女は彼女で、無駄に俺に対して好意的になってる部分もあるし、一回でも抱くとずるずると依存してきそうで手を出し難い部分がね。

 ……おい誰だ今俺のこと屑って言った奴。石橋を叩いて渡らない選択、ってのも男女の機微にはあって然るべきでしょうが。

 

 ていうか、旧ルシファーとかいうカテゴリなんだし、ヴァーリちゃんに尋ねれば一発だったのではないかな。

 と、今更過ぎる情報源を思い出していたその時、

 

 

 「――ぇあ? 烏丸……?」

 

 

 ん? と名を呼ぶ声に振り返れば、其処には「やべ」と小声で目を逸らす兵藤先輩の姿が。

 ……足の向きからして、行き先が同じ可能性が大。

 お相手がいるのか、この人? アーシアかな? と、一緒に同行していると思しき、同じように目を逸らした金髪の美少女へと注視する。

 ……アーシアじゃなかった。ていうか、何処かで見たような人を連れてるな。そこはかとなく既視感が……?

 

 

 「デートっすか、兵藤先輩」

 「他人の振りしてんのに声かけんなよ……!」

 

 

 そこは最初に気づいたそちらの責かと。

 まあ改めて声をかけ直した俺も悪いっすけどね。

 

 

 「いやぁ、珍しいモノを見たからつい。ナンパ、とは違いそうですな」

 「ま、まあな。つかよく見抜けるな」

 「いや、先輩がナンパで女子捕まえる姿が想像つかなくて連想できました」

 「酷くね!?」

 

 

 初見で見抜けたのも先輩の日頃の行いのお蔭である。

 この人を筆頭に学園で噂の御三方は、美少女に対するがっつき方が凄くて雰囲気だけでオーラが違うんだよねぇ。

 童貞臭に重ねて非モテ臭が濃厚、って感じで。

 街へナンパに繰り出しても、容易く連敗するのが見て取れそうというか。

 失礼でしたね。スンマセン。

 

 ともあれお相手の女性は清楚という言葉が良く似合う美少女で、まるで男子の理想をそのまま具現化した様な出で立ちの人。

 肩口まで伸ばした金髪に白いワンピースに白い鐔広帽を装備しており、その雰囲気は避暑地へ赴いた良い処のお嬢様のよう。

 しかし、やはり【違和感】が己の観察力に付き纏う。

 初めて会った筈の清楚な雰囲気漂う美少女だというのに、既視感が澱のように自身の思考にこびり付き、彼女に対して若干の不仕付けな視線を向けざるを得なくなってしまう。

 というのも、いつもおっぱい!おっぱい!とグレモリー先輩という特級(爆乳)に常に目を執着を向け屍鬼のように這い寄っておられる割には、連れておられる彼女の胸部装甲はグレードが高くは無い。低くも無いのだが。

 良くて精々がアーシアを一回り膨らませたくらいで、出ることは出ているのだが良くてEかFといったところか。

 ……俺に大小貴賤を問う趣味は無いのだが、喰い出の良い相手なんかが周囲にいると特に意味も無く比較してしまうなぁ……。

 だが、改めて疑問も湧くことは確かなのだ。

 ガラケーで数字キーの4か5を軽くプッシュ(連打)させるグレモリー先輩を差し置いて、休日にこの人が他の美少女と『こんな処』をうろついている。

 当然、その目的は……。

 

 

 「じゃ、じゃあ俺たちそろそろ行くからな!」

 「あ、はい。邪魔してすみませんでした」

 

 

 と、美少女と連れ立って、『ホテル街の方へ』とそそくさと消えてゆく兵藤先輩。

 俺の推察はビンゴだったらしく、その行動の目的はガチでアレだったらしい。

 うーむ、ますます違和感が深まってゆく。

 【謎】とまで言うほどでもないが、何処で出会ったのかと疑問視するよりも、先輩の行動の方にこそ不可解さの比重は際立つ。

 

 

 「お待たせしました、烏丸さん」

 

 

 しかし、違和感を解消することは不可能に終わる。

 兵藤先輩らが去っていった方向へと視線を向け小首を傾げていた俺へ、背後から声を掛けられた為だ。

 待ち合わせであるから元より【それ】を放って場を移動することなど出来はしなかったのだが、後ろ髪を引かれることを意識して振り払いつつ、声に対応すべくその方向へと身体を向けた。

 ……それにしてはかかる声が己の既知のモノとは随分と異なっている。

 アレ? グレイフィアさんと違う?

 と、この振り返る一瞬で思考を巡らせつつも、其処に居たのは、

 

 

 「グレイフィアの代わりに来ました。ヴェネラナ、といいます」

 

 

 栗色の髪をした、にこにこと微笑むほんわかしたお姉さんであった。

 その美女度合いにうっすら漂うフェロモンなんかはグレイフィアさんとはまた違ったベクトルで天元突破していらっしゃるが、普通に初対面のお相手でありこんな処で出会っていて良いのかという、……先程とはまた別種の疑問符が脳裡を占める。

 つか、……『代わり』? え、どういうこと?

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「さ、さっきはびっくりしたね」

 「だな。まさかあそこで烏丸に遭うとは……」

 

 

 連れ立った美少女と忌憚のない会話を交わす。

 こういうデート染みた真似は生涯これで通算3度目だが、たった3度なのにハプニングしか起こって無くて俺の命運に一抹の懸念を感じざるを得ない。

 だがこれでまだマシな方で、1度目は命を失ったし2度目はアーシアを連れていかれた。

 知り合いに会う、程度のハプニングであるならまだラブコメっぽいしどんと来いだった。

 

 

 「烏丸くん、部長とかに言っちゃうかな……」

 「いや、アイツもこんなところに居たってことを吹聴するような趣味なんてないだろ。待ち合わせっぽかったし、多分平気じゃね? ………………ハッ!? その相手が部長だったら付け入る隙もねぇってことになるのか……!? せ、せめて小猫ちゃん辺りで、いやそれも許せねぇ……! ど、どうすれば……!?」

 「……落ち着いてよイッセーくん」

 

 

 会話の途中で嫌な想像に突き動かされ、道端で懊悩する俺を彼女――祐斗は腕に抱き着いて気を寄せた。

 ぐい、と引っ張ると同時に、ふにっとした柔らかな感触が露出した二の腕から感じる。

 ……リアス部長よりも小ぶりであるはずなのに見た目以上に柔らかくて、突き放せずに思わず身体がギシリと硬直した。

 ああ、やっぱりおっぱいは2つあるのだから、バストというより複数形でバスツと呼ぶのが正解なんだな……。

 

 

 「烏丸くんのことで悩んでも仕方ないと思うよ? 今日は折角とれたお休みなんだし、他人のことは他人のこと、僕たちの時間を大事にしようよ」

 

 

 にこ、っと微笑む姿は完全に美少女で、アザゼル先生の性転換銃で性別だけを変えた元男子高校生とはとても思えない。

 というか、俺の好みにどストライク過ぎる……!

 これからスることを脇に置いて、コイツと今までの関係を果たして続けられるか俺……!?

 

 そもそも、始まりは俺の夏休みの思い出が余りにも酷いと思ったことだ。

 冥界ではドラゴンに1週間追い回されて、その先のレーティングゲームではどうしようもない敗北を喫し、冥界より帰ってからは幼女と雪ゴリラにテニスでボコボコ(物理的)にされた。

 同級生の中でも早い奴は童貞も捨てているというのに、女子が普通の男子高校生よりも多量に周囲に居て俺の夏の思い出これで良いのか!? いいや、良いわけがない!(反語)

 しかし、そんな女子たちに思い出を造らせてください、等と土下座しようものならそのままボコボコにされるのがオチだという、童貞でも容易く想定可能な未来予測。

 そんな俺に祐斗が提示してくれた案は、明後日の方向へ随分ぶっ飛んだ話であった。

 

 『普通の女の子にお願いできないのなら、僕が女の子の代わりになって相手しようか?』

 

 正確には、いつか俺が普通に女子と付き合えるようになった時の為に、自ら練習台として様々な『やり方』を学ぶのはどうか? という提案だ。

 初めは渋っていた俺だが、祐斗がこの姿で自宅へと現れたら躊躇はいつの間にか消えていた。

 ……まあ、今になってまた躊躇いが起き上がってきているわけだが。

 烏丸と遭遇する、という想定外のトラブルが自分を冷静にさせたのかもしれない。

 

 

 「……今更だけど、よくあんな提案が出来たなお前……」

 「まあ、何事も経験だよね。それにさっきも言ったけど、今日は部活もお休みだって部長からも言質は貰っているし、夜もじっくり時間を取れるから丁度いいかなって……」

 「よ、夜も……」

 

 

 ごくり、と喉が鳴る。

 回想時には想像もつかなかった、美少女のやる気な発言に生唾も呑み込まざるを得ないっす……!

 そんな俺の反応に祐斗は、何故か虚を突かれたような顔をしていたが、自分で発したその言葉の意味にようやく気付いたのか慌てたように、

 

 

 「――あ、ち、違う! そんなやる気な発言とかじゃなくって、初めては痛いって言うから身体を休めるような時間を取れるよねっていう意味で!」

 

 

 訂正を掛けたが、それよりも俺はもっと別の言葉に気が向いた。

 

 

 「え、あ、初めて、なんすか」

 「あ、当たり前だよ!? こんなことイッセーくんが相手じゃなきゃシようなんて想像もしてないし!」

 「お、おう……」

 

 

 真っ赤になって言い募るその可愛らしさに加え、俺専用発言とも取れる美少女の宣言に、さっきまでとはまた違った意味合いの動悸が著しい……!

 やべぇ、興奮して来た……!

 お、落ち着け、素数を数えろ、祐斗は男子祐斗は男子祐斗は男子……!

 

 ――しかし、そんな俺の興奮を想定するよりも、祐斗もまた自分の発言の意味を理解したらしく、恥ずかし気に口元をもにょらせ紅顔し俯きながらも更に身体を密着させて、ぼそりと呟いた。

 

 

 「~~~~っ! ………………や、やさしくしてね……?」

 

 

 ――そうだよ、元男とかそんなことは関係ないよね。

 それに密着するおっぱいも気持ちいいし、祐斗自身、練習だって言ってたじゃないか。

 

 いつの間にか到着していたラブホテルの入り口に侵入しつつ、俺は【彼女】を抱き寄せて未だ固まったような声音で応えていた。

 

 

 「よ、よろしくおねがいします……」

 

 

 





~アーシア&ミッテルトの齟齬
 原作で堕天使らがアーシア救出後どうなったのか、をアーシア本人には教えられてないんじゃねぇの?という疑問
 わざわざ云う事では無い、とか誰も彼もが云いそう。というか、自分が助かる為にどれだけの命が失われたのか、を本当に知っていたらアーシア原作であんな笑えてないよね、って言う話
 そんなわけで、ミッテルトの行く末をこのアーシアは知りませんでした、という前提が此処に在ります
 あとアーシアさんの烏丸への評価が酷い。序でに今日の格好が無駄にエロい。例えるならば全盛期の隣人部部長みたいな恰好。髪は纏めて帽子の中です。魔法って凄いね!


~カテレアさんの扱い
 賊軍に下った敗者に人権なんてないです。元々そんなモノ弁えない社会性みたいなので割と今更ですが
 玩具の数々を知らない方の為にキーワードを羅列しました!検索検索ゥ!


~ヴェネラナさんご登場
 ようやく出せてご満悦。某ドクシャ様にまだかまだかと急かされてましたが出したよ!待たせたな!
 無論『そーいうこと』です


~木場君がアップを始めていました
 元々男子なので『男子理想の女子』を自然体で作れる素敵美少女の完成です
 ちなみに現状はお互いに親友レベルの親愛度ですが、それが男女間になると動物的本能で恋愛感情に転換するのがお約束みたいなのが一般的な感性だそうです
 イッセーは何処まで抗えるのか、見モノですね!



アンケ取ります
活動報告へちょいとお越しを


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☆「亜麻色の長い髪を風が優しく包む…ドライヤーかな?」

ややフライング気味ですが今止めないと活動報告が凄いことにry

か、勘違いしないでよねっ!アンタたちの為に38話を描いたわけじゃ無いんだからっ!


 

 

――1日前、冥界某研究所にて――

 

 

 昨日、我が弟であるユーグリット・ルキフグスの生存とリゼヴィム・リヴァン・ルシファーとの共謀暗躍が烏丸くんからの報告として挙がった情報を元手に、彼本人から『事態を解決に導くために自分が動くので出来る限りの情報を欲しい』と依頼されて早数日。

 リゼヴィムという脅威に値する存在への彼の警戒と嗅覚が鋭いのは実にありがたいことですし、旧魔王派が揃ってテロリストに与していたという事実を鑑みるに、彼らもまた暗躍していれば何かしらの危機の種と成り得るのは予想に容易いことです。

 それらを片付けると明言し、其れがまた出来そうだという実力を兼ねた烏丸くんの要求に応えることも吝かではありませんが、……実際、こちらが取れる手段もまた拙いのはどうにかできないものか、と溜め息も洩れます。

 

 ……さて、どうしましょうか。

 烏丸くんに調査を頼まれたというのに、実際上がって来た情報の拙さに自分たちの陣営の行動力に呆れ返ってしまいます。

 とは言っても、烏丸くんが要求して来た情報は『旧ルシファーにルキフグス』という、冥界にとっても触れるに憚られることであるのも事実。

 正式な調査機関に依頼するには私事に近しいですし、それを交わすためのこちらからの取引材料も『アレ』である以上はサーゼクスにも公に出来ませんから、この情報捜索にも伸ばせる手は足りないのが現状です。

 そんな状態で集まった情報は、先程も言った通り随分と拙い代物。

 私個人の過去に連なるモノも羅列しておきましたが、それが『今に』役に立つのかと問われると手不足感は否めません。

 ……一応は彼個人が『縁を持った』と認識しておられるので彼が自ら前線へと赴いて戴いているようですが、事を明かしてしまえば冥界の事情に巻き込んだ形ですから、彼へ引き渡せる報酬と一切釣り合いがとれていませんね……。

 この上で私がまた身を差し出す、と言った処で、果たして納得してくださるでしょうか……。

 

 

 「――あら、ここに居たのね。グレイフィアさん、ちょっといいかしら?」

 「っ? お、奥様? 何故このような場所へ、といいますか、どうやっていらっしゃったのですか……?」

 

 

 この部屋へと突然顔を出した彼女、ヴェネラナ・グレモリー様の姿に思わず身構えてしまいました。

 尚この場所は、表向きは冥界の病院ですが実際は彼の齎した【術式】を解析するために、個人的に用意した研究所に連なります。

 元は貴族のお嬢様であるグレモリー家の奥様が、いくらフットワークの軽い方だとしても易々と入って来られる場所ではないのですが……。

 

 

 「方法は色々とありますけど、そこはやっぱり『どうして?』と尋ねるべきでしょうね。ミリキャスちゃんから、グレイフィアさんは此処のところ休暇を取ると必ず此処へ足を運ぶと聞いていたものだから」

 「……? それは、理由になっていないのでは……?」

 「あら、理由にはなるわよ。だって此処は【産婦人科】でしょう?」

 

 

 ――あ。

 

 思わぬ盲点に目が点になるのを自覚します。

 確かに、自らの恥部を晒すことを前提としているので研究スタッフは女性オンリーで賄わせていますが、それ以上に此処の研究目的は冥界の出生率を上げることです。

 術式解析・改良の協力者として、不妊の女性悪魔を雇用していたのが致命的でしたか……。

 

 

 「やっぱり、サーゼクスとの2人目が出来たって云う事なのかしら? ミリキャスちゃんがお兄ちゃんになるのね?」

 「いえ、奥様。そういう話ではありません」

 

 

 下手に期待を持たせるのも後々大変ですし、今のうちに誤解は解いておかないと。

 

 烏丸くんのことを伏せつつ、大まかな事情を説明すること数分後。

 少々気落ちした様子の奥様に、若干心苦しくなりつつも、なんとか誤解を解くことには成功しました。

 

 

 「――そう……、研究目的だったのね」

 「ええ。個人的に出資している案件ですので、冥界の未来こそ案じていますがサーゼクスにはまだ報告していないのです。成果が出ないことには協力を申し出るのも心苦しいですし、元より男性には理解を求め辛いモノですから」

 「そうね……、確かに『産むこと』を経験できない男性には、理解し辛いでしょうね」

 「彼が動こうとすれば、間違いなく『私情を挟む事だ』などと他の上級悪魔の方々に詰められて、必要のない摩擦を生みかねませんし」

 「ああ……」

 

 

 納得されたのか、奥様は困ったような表情で溜め息を吐きました。

 

 

 「ごめんなさいね、グレイフィアさん。あの子が力不足なばかりに、貴女に此処まで働かせて……」

 「いえ、好きでやっていることですので」

 「いいえ。最近こちらへ来ることが多い、とミリキャスちゃんからも聞いているのよ? さっきも悩んでいたでしょう? 他にも請け負っている仕事があるのではないの?」

 

 

 ……どうやら部屋へ入られる前にも様子を覗われていたようです。まだまだ、私も修行が足りませんね。

 

 

 「いえ、こちらは私事に近いことですので……」

 「どちらにしても働き過ぎじゃないの。まったくもう、グレイフィアさん、少しは休むことも覚えないと駄目よ?」

 

 

 と、奥様は仰られますが、この『私事』を蔑ろにしては冥界の未来が危ういのです。

 しかしそれを口にすることも難しいので、私は曖昧に頷いて黙すことに。

 それで大概を察していただけたのか、奥様は嘆息と共に手近な椅子へと腰かけました。

 ……ああ、納得はしておられないのですね。

 

 

 「それで、どのような仕事があるのかしら? 貴女が暗躍の真似事をするくらいなのだから、サーゼクスにも伝えられない事情があるのでしょうけど……」

 「奥様、世には奥様と云えども踏み込むには容易くない領域というモノが在られますので……」

 「あら、私に為せない事があると、そう言いたいのかしら?」

 

 

 自分が片付ける気満々の奥様に、何と言っても無駄だと悟ります。

 確かに、グレモリー家では名実共に未だに最強の座に君臨する奥様なれば、魑魅魍魎の跋扈する悪魔社会の裏側すらも解決へ導けるでしょうが……、今回の事はそもそもが烏丸くんに絡む案件ですし。

 ……下手な魑魅魍魎に関わらせるよりもずっと危うい気がするのは、私だけでしょうか……?

 

 

 「申し訳ありませんが奥様、この件だけは他に預けるわけには参りません。どうかお控えください」

 

 

 脳裡に過ぎった一抹の懸念はさておき、実際彼と関わる以上【男女の事】は避けては通れない話です。

 それを自らの姑へと寄越すなどという恥知らずな真似までは、流石に私とて出来る筈がありません。

 ――そう思い頭を下げて口を噤んだというのに、

 

 

 「――ねえグレイフィアさん、私が何も知らないまま【その話】を指していると、本当に貴女はそう思っているの?」

 

 

 聴いたことも無い蠱惑的な声音が耳朶へと響き、思わず顔を上げると其処には、

 

 

 「烏丸くん、っていうのね。私が替わってあげるから、貴女はゆっくりとお休みなさい?」

 

 

 獣の雌が獲物を狙っているような、そんな貌を覗かせたヴェネラナ奥様が、いつの間にかくすねられていた私の端末を弄びながら優しい声をかけてきていました。

 ……これが果たしてどのような結果を生むのかは、もう私にはどうしようもない事なのでしょう。

 というか奥様? 本当に真面目な話も含められているのですが、奥様の目的は明らかに違いますよね?

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 雲上に乗るかのように肌触りが柔らかなキングサイズのベッドには、真新しいシーツが皺1つ縒らせないほどにピッシリと敷かれていた。

 それだけでホテルの品格を充分に語っていた、乱すのも烏滸がましく思わせる降り積もった新雪の原のような其処へと、自然な動作で寝転んだのはヴェネラナ・グレモリーだ。

 そんな彼女の恰好は、着ていたキャミソールを胸の下へと摺り下ろされて、スカートも無造作に捲り上がっている。

 リアス・グレモリーの母として相応しいくらいの大きさを誇る乳房は、摺り下ろされた衣服の肩口から覗くように顕わとなっており、立ち姿ならば服の上で主張する位置でぷるりと零れるそれは、重力に従って微かに潰れるように小柄な彼女の身体から両側へ食み出す形で雪崩れていた。

 それでもまだその柔らかさは失おうとせず、例えるならば焼き立てのメレンゲオムレツのようにふわりとした存在感を、彼女の荒い呼吸と共に震えることで主張する。

 その度にビクンビクンと小刻みに揺れるのは、艶やかな桃色を未だ喪わないぷっくらとした先端の乳首からも良く見て取れた。

 薄手の、黒レースの下着は太腿の辺りへと摺り落ちていて、その先に在るスカートで隠されるべき恥部は愛液を零している。

 薄っすらと生い茂る陰毛に覆われた其処は【盛り】のついた雌の匂いを諸共に溢れさせていて、貞淑であったはずの貴族の妻は男性自身を身体で要求するケダモノへと既に転身を終えている。

 頬は紅潮し目元は蕩み、小さく呼吸を刻む唇は蜜を帯びたように甘い言葉で少年を誘った。

 「烏丸、くん……、きて、くれる……?」

 誘われた少年……と呼ぶには些か薹に立っている彼、烏丸イソラは、そんな彼女の様子が見慣れたものであるかのように今迄の描写を大して視界にも留めず、しかしその間に準備も済ませていたのか、自らの衣服を取っ払っての立ち姿でヴェネラナへと向かい合った。

 白い髪に褐色の肌、『鍛えた』というよりは良く引き締まっている、無駄な贅肉など何処にも無い細身の躰。

 黒曜のような肢体は腰も細く縊れも覗えて、見る者が見れば何気に垂涎でもある。

 ヴェネラナはその一瞥で、一瞬だけごくりと喉を慣らした。

 それに気づかない様子の烏丸の、逸物もまた程よく反り立つ。

 そこまで把握して、形容された雰囲気を壊さないように、生娘でもない彼女は慌てないようにガッつかないように、自然な動作で自らの秘所を己の指先で小さめに拡げた。

 先ほどまで、まるで強姦に遭った女性のような姿でベッドに寝転んでいたというのに、淑女とはとても思えない心内情況であった。

 

 睦言を交わそうとはせずに覆い被さって来た彼を、興奮を隠せない貌でヴェネラナは受け入れる。

 己で拡げていた膣穴は子を2人も生み落としたのだが、それでも狭く小さく見えるのは悪魔としての種族故か、はたまた産んだことが十何年も以前の話故か。

 ともあれ、見た目通りに狭かった其処へと侵入してくる烏丸のソレに、何よりも敏感に悦んだのは先ずヴェネラナであった。

 「ん、ぁ、っはああぁん……っ」

 叫ぶ程では無いが、膣壁を摺り摺りと愛液を絡ませつつ挿入(はい)ってくる硬く脈打つ異物は、久方振りの快感を彼女へ伝えた。

 まるで処女の頃に味わった『ハジメテ』のような快感が、ヴェネラナの膣から子宮へそして背筋へ脳へと電流のように走る。

 自身の肉襞を押し広げる感触に疼いていた子宮は応えるように震えたことも自覚し、閉経に至ったのではないかとまで匂わせ始めていた己の不安をも完全に払拭していた。

 

 同時に、烏丸もまた、その膣の狭さに顔を顰めた。

 ぎゅぎゅうっと攻めつけるように絞る穴が奥へ奥へと咥え込み、挿入()れただけで出してしまいそうになったことを推し留めた所為だ。

 中程まで挿入ってゆく頃には、くぅ、と苦悶の声が知れず喉から洩れる。

 当然、互いの吐息が届くほどに近かったヴェネラナにも、それは届いた。

 自分で気持ち良くなってもらっていると気づいた快感と雌の悦びがその一瞬で迸り、ヴェネラナを更に若かった頃へと思い出させる。

 脚を緩く拡げ、腕を彼へと伸ばし、ヴェネラナは優しく微笑んだ。

 「烏丸くん、イイのよ、好きにシても……」

 「……っ」

 ――マッチポンプである。

 頬を優しく撫でられたことで、神経を逆撫でされたような快感を背筋へと走らせた烏丸は、初めて性体験をする子供みたいに己の欲望をヴェネラナへと吐き出してしまっていた。

 

 さて、此処で思い出してほしい。

 

 烏丸には『自害せよ精子共』と、どこぞの外道な神父のように命じられる術式が備わっている。

 それは避妊にも繋がり、同じように便利な魔法の云々で性病をも封じられるために、烏丸自身は避妊具というモノを必要としていない。

 元より、苦学生であった彼はそちらを購入しておくという思考そのものが備わっておらず、むしろこっちの術式を使えば安く片付けられるという事実に寄り添って、チ●コにマジカルな伏線を孕ませて毎回事へと及ぶ。

 それは、卵子への着床率を大幅に引き下げる代わりに、伝わる者へ多量に快感を味合わせる性質の悪い【麻薬】のような効果を副作用として備えていた。

 ――デフォルトで。

 

 「――っぁ、ぁぁぁあああああああああああああああああああッッッ!!!!??」

 

 中程から迸った白濁液は普通とはその性質が全く違う代物で、激しい熱と快楽を伴って鉄砲水のようにビュクビュクとヴェネラナの膣内を疾駆する。

 それはまるで劇薬に浸されたかのような衝撃を彼女へと与え、受け止めるつもりだった淑女は初めて絶頂を味わったような快感に悲鳴を上げて仰け反った。

 そして烏丸もまた初めてでは無く、中途半端な位置で自分が良くなることを元来良しとしないのは本能的なモノなのか、ヴェネラナを抱くように、彼女の最初の要求に応えるように身体を密着させていた。

 そのお蔭でヴェネラナの反動は依り深く、逃げ場も無く、伸ばした腕で抱き返す余裕も無く、密着したことで更に深く抉るような挿入に放射のコンボは繋がり――欲望の吐露の途中からは、子宮へ直接その快感は迸ることになる。

 

 「ーーーーーッ! ーーーーーーッッ!! ーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!?」

 

 声にもならない悲鳴。

 最早悦びとか言ってられないくらいの衝撃に、ヴェネラナの身体は烏丸の下で跳ねるようにのた打ち回る。

 それを抑えるように抱き締め続ける烏丸にもまた余裕は無く、彼女の必死の叫びは音にもなっていないので、暫く伸ばした腕がもがく様に宙へと痙攣をしていたのだが、――それも次第に収まっていた。

 当然、収まっていたのは烏丸の射精も同時であり、烏丸が呼吸を落ち着かせる頃には――、

 

 ……焼けるような快感に子宮も脳も犯され捲くって、廃人一歩手前で白目を剥いたヴェネラナが、其処に居た。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 あっ、あっ、これ凄いっ、ずっとご無沙汰だった『あの人』のよりずっとおっきいっ。

 かたくて、ふとくて、子宮の入り口までぐりぐりしてるっ。

 だめっ、タマゴ降りてきちゃうっ、こどもつくりたいって、おなかがさけんじゃってるぅっ。

 

 リアスの眷属の小猫ちゃんと同じくらい、って聞いていたのに、グレイフィアさんに代わって会いに来た子は凄い【イイ子】だった。

 私の見た目はリアスより若く見えている筈なのに、大人の女性をエスコートするような態度を初見で選択した配慮も良いけれど、何より良かったのは身体の相性。

 若い子、というだけで初めから食べる気でグレイフィアさんにも話を持ちかけたのに、繋がって十数分でもう手放したくなくなってしまっていた。

 これはグレイフィアさんが私へ廻したがらないのも頷ける。

 

 私の身体は魔力で見た目を調節していると思われがちだけど、実はそこまで便利な身体を得ているわけではない。

 歳を負った悪魔は見た目を弄れる、と多くの人は誤解しているけれど、それならばずっと若々しい外見を選ぶ上級悪魔がもっとたくさんいて当たり前。

 今の悪魔社会の上役らは、大概が老人の見た目を擁していて不満しかなかった。

 威厳がどうのと口にする前に、社会の発展を促すのはいつだって若い力であることを把握しているのだろうから、自らが率先して若くなり働けばずっとより良くなるはずなのに。

 正確には、本人の心の持ちように応じて魔力が変質し、肉体の若々しさを保とうとする性質を備えているらしい。

 私程度ならこの年代を維持できているけれど、もっと深く生きた悪魔なんかは精神が若くとも老けて見える方もいるので、それなりに老化する肉体であることは間違いが無いのだろうけれど。

 

 私はよくリアスの姉か妹かと間違われる。

 そうなるのもこの情欲を持て余している所為でもある。

 何せ、あの人は私がリアスを産んでからすっかり老けてしまった。

 私がいくら誘っても、娘が出来た時点でその先を求めなくなってしまった。

 息子が魔王になったことも相俟っているのかもしれないけど、その割には貴族社会にリアスを放り込もうと下手な親心を勝手に配慮している始末。

 それだから碌でもない見合い相手を見つけてしまう。

 あの時は本当に呆れた。

 娘の生き様を男親が定めようとしても上手く行くはずがないのは、私と結婚した時点で充分理解できたと思っていたのに。

 そう言い切れるくらいに、私もまた他人より『お転婆』と揶揄されたモノである。

 そんな若さもまた失うことはなく、むしろ結婚してからも肉体年齢相応に男性を求めているのに、あの人は貴族としての立場を重視してばかりで……。

 私の事を本当に理解しているのか、まったくもって怪しいモノだった。

 

 グレイフィアさんは彼との逢瀬を恥じている様子だけど、悪魔とは本来己の欲望に忠実なモノだ。

 情欲に身を任せてこうして抱かれることをずっと欲している筈なのに、それを敢えて遠ざけようなどとまだまだ未熟。

 その上で彼を利用し悪魔社会に生かすのだ、と理由を用意して繋がりを保とうとしている。

 この子を落としたいというのなら、先ずは自らが堕ちなくては。

 この姑の手管をよく見ておくと云いわ、グレイフィアさん♪

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 身長は明らかに俺よりも低く、下手をすればグレモリー先輩より年下に見える美少女。

 無意識に先輩を比較してしまったが、髪色こそ違えど見た目が似ている所為でもあった。

 だが、その態度というか雰囲気は、俺たちのような高校生よりもずっと大人びたモノで。

 だからこそ大学生くらいかなぁ、と連想してしまった俺は、とりあえず『おねーさん』とエスコートする形で連れ立った。

 

 ヴェネラナと名乗った彼女を連れて、グレイフィアさんの名義で予約してあった妙にお高いホテルの一室は貸し切り。

 汗を流す時間すら惜しいのか風呂にも目を向けず、入室早々に俺を誘うヴェネラナさんのキャミソールを後ろから抱くような形で取り外せば、着ている形でも良く分かっていた豊満な乳房が大きく顕わとなって主張した。

 衣服を剥ぎ取ったその手を取られ、誘われるままに顕わとなった柔肌を包ませるように触れさせる。

 その手つきは完全に雄を誘うケダモノで、だがそれにもまた抵抗感も抱いてない俺は、触れさせられた乳房を抱くように揉みしだいた。

 

 それからはまあ、互いに初めてでもないことが良く覗えたので、流れるように下着を摺り下ろしたり、入り口を指で宥めたりと愛撫を繰り返し、ベッドの上へ。

 だが余りにも良い名器のお蔭で、少々恥ずかしい姿を晒してしまった。

 尤も、それはお互いにだが。

 

 失神したヴェネラナを介抱してしばらくすれば復活したが、何処か呆然とした様子で俺を見上げていたのが普通に可愛かった。

 その介抱の合間にも思っていたのだが、彼女は要するに元々男好きなのだろう。

 実に悪魔らしいその素質を紛糾する気は俺には無く、だからこそグレイフィアさんの代わりに来た、というのも頷ける。

 そんな彼女はオチていたにも関わらず、起きて直ぐに俺の息子へと手を伸ばしてきた。

 行動は完全に痴女なのだが、仕草がそれでも淑女然としたものを喪わせない雰囲気であり、高級なソープ嬢を彷彿とさせたのが結構そそられる。

 いや、行ったことないから知らないけど。

 

 そんなスキモノ彼女の感度が高いのは嬉しいし、純粋に男好きであるからヤればヤるほど悦んで応えてくれる。

 全身が柔らかくて抱き心地が良くて、更に云わずとも要求したい体位でも自分から幾らでも傅いてくれるのだから不満なんてない。

 そんなヴェネラナが上になり、反った俺の【自身】を決して不快にさせない位置でギシギシと、大きな乳房を揺すって跳ねている頃になって、嬌声と共にこんな声を漏らしていた。

 

 

 「あっ、あっ、これ凄いっ、ずっとご無沙汰だった『あの人』のよりずっとおっきいっ!

  かたくて、ふとくて、子宮の入り口までぐりぐりしてるっ!

  だめっ、タマゴ降りてきちゃうっ、こどもつくりたいって、おなかがさけんじゃってるぅっ!」

 

 

 ……ふむ、ちょっと推察してみようか。

 【ご無沙汰】【あの人】と云うキーワードから、既に『お相手』がいる状態で長らくセックスレス。

 というか、そうすると普通に考えれば、ヴェネラナってひょっとして人妻?

 そっかー、人妻かー。

 

 てことは、グレモリー先輩に似ているってことは、あの人のお母さんってことか。

 グレイフィアさんからしたら姑だろうし、その繋がりでやって来たと。納得したわ。

 

 ま た 人 妻 か よ 。

 安心して発散できるセ●レを得られたと思ったらまた地雷って、何なの? 悪魔ってこんな奴しかいないの?

 グレイフィアさんと比べるとヴェネラナさんの男好きっぷりのお蔭で罪悪感は随分薄いけど、事後にてやっちまった感はそうそう亡くなりはしない。

 つーか、俺わざと選出してるわけじゃないっすからね?

 お相手が多種多様だと嬉しいのは男の本能だからね?

 己から寝取りに推進するほど自棄な人生選ぶって、普通に破滅主義じゃねーかフザケンナ。

 

 彼女の嬌声に及び腰になってしまったことを態度で察したのか、弾ませていた腰つきを控え目に、ヴェネラナさんは穏やかな声音で身を捩る。

 目線を合わせて、渇望するような口調で俺の手を取っていた。

 

 

 「……んっ、烏丸くん? もっとシテ……?」

 

 

 圧し掛かりぶるんぶるんと躍動していた自分の胸を抑えさせるようにマッサージ(意味深)を交わしつつ、なんだか自分に嵌って居そうな雰囲気を醸す彼女(人妻)を見上げ乍ら、内心でめっさ引き攣るオレガイタ。

 これ、やっぱ俺が悪いのかなァ(自問)……?

 

 

 





※此れまでにも何度かありましたが一部地の文が交じる表現があり、まるで小説家を自負しているみたいな差し出がましい真似をしてしまったことをお詫びします。以下、言い訳です

・書き終わって早々なんですが、前哨戦で文章構成が打ち止めになった感が否めませんね
 でも二次創作としての領分を越えることがあっては原作に申し訳が無いので仕方ないですよね

・原作の【年を得た悪魔】の設定を自分に納得のゆく形で解析し改造しました。むしろ調整と言っても過言では無いくらいです
 ヴェネラナさんの性格や設定なんかは残念ながら手元に登場巻の原作が無いのでWiki頼りですが、このスレッドでは官能小説の真似事を手掛けている以上妥当な調整であったのではないかなぁ、とドヤ顔
 なんだか何処かのオセアニアの大淫婦な魔王様に似通ってしまった感じですけど、リアスさんの上位互換なんだから此れくらいは、ねぇ?


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「地上高く投げられたは良いけど拾いに行くのが面倒な賽」

39話だけど、みんな気を付けろ!
キンクリで説明回だ!


 

 

 「今日からお世話になりますっ」

 「いや、こちらこそ」

 

 

 ややテンション高めで修道服を着たアーシアが、にっこり笑って頭を下げた。

 対する俺は若干の懸念を覚えつつも、彼女がこの教会に来てくれることに不満は無い。

 その理由は何より、うちのメンバー(我が家)には家事が満足に出来る人材が不充分であった為である。

 

 

 「助かりますアーシアさん、キッチンを用意したはいいモノの、私では使い方がわからなくて」

←ヴァレリー:備考、王族

 

 「ご飯なんてコンビニで買っちゃえばいいじゃん」

←ミッテルト:備考、元根無し草

 

 「そんな庶民派な魔王聞いたこともないわね」

←カテレア:備考、一応貴族筋

 

 「貴女本人は魔王ではないでしょ」

←ディオドラ:備考、元お坊ちゃん

 

 

 と、俺も含めて無駄に膨れ上がった人材の処理をしているうちに、気が付けば教会在住メンバーの中には家事にあからさまな不備を抱えた者しか残らなかった。

 基本的に身の回りの世話は御付きの者にさせていた吸血鬼や元悪魔の貴族筋はともかく、根無し草であったらしいミッテルトならばサバイバルくらいには期待していたのだが、金さえあれば生きていける現代日本では0円生活に勤しむより手軽なconveniencestoreさえ見つかれば空腹を覚える必要も無かったようだ。

 そしてディオドラの眷属らは現在、教会に所属するはずの元聖女という立場から足を洗って、場末の明朗会計なお店へと出向して貰っている。

 時間こそ空けばこちらへ戻ることも可能だろうが、歓楽街は夜間業務なので昼夜逆転の生活はお互いに不備が合わさり、基本的に彼女らの生活拠点は歓楽街(其処)から外れることは無い。

 そして活動資金面の一部を担って貰っている以上、更に家事という労働へと甘えてしまっては雇用主側の観点としてはガチで申し訳が立たねぇ。

 そんなわけで急遽人材募集に託けようとした矢先に、アーシアの兵藤家よりの出奔が目についたのであった。

 しっかし、その理由がまた酷い。

 

 

 「兵藤先輩に寝込みを襲われるとは……、むしろ今までなんで無かったのか」

 「残念そうに言ってやるなよ。……アーシアに言ったらマジで怒るからな」

 

 

 ヴァレリーに連れられてキッチンへと向かう彼女の後姿を見て呟いていたところを、ミッテルトに窘められる。

 何処かのダークネスなピンク髪妹姫みたいな口調且つジト目で似た内容を繰り返したのも、きっとアーシアの事を慮っての事なのだろう。

 以前堕天使だった頃、此処の教会でアーシアから神器を抜き取る算段をしていた罪悪感がそうさせるのだろうか。

 ミッテルトたんマジツンデレ。

 大事なことなんですね、判ります。

 

 

 「いや、赤龍帝の成りそこない君に穢されるようなことにならなくて、僕としては結構有り難いけどね」

 「……そういえばアナタ、彼女に以前助けてもらったとかいう話だったわね」

 「というか、マッチポンプの一端なんだけどね」

 

 

 へら、と嗤ってディオドラが云う。

 そういえばコイツを拾った時に記憶も閲覧したが、アーシアが教会を追放される切欠になったんだったか。

 でも神器って確か聖書の神が大元を造ったとかって聞き齧った覚えがあるんだけど、その効能上で悪魔も治療しているのに異端として追放する教会も考えが足りないよなぁ。

 まあ今更どうでもいいけど、アーシア色んな奴に狙われ過ぎィ……ッ。

 あれだな、薄幸の美少女って奴だな。

 今となっては、アーシア個人も特に気にした様子も無さそうだったけれど。

 

 

 「今はご主人様の(モノ)なのだから、摘まみ食いとか考えたら駄目よ」

 「ご安心を、もうそういう気にもならないよ。それに、こんな(ナリ)だしね」

 

 

 と自身の小振りな胸をふにと持ち上げて、ディオドラは自嘲するように云う。

 変化する前から容姿に大幅な変化こそ見られはしないが、今の彼は性別が完全に逆転していた。

 金髪で悪魔の特徴携えた中学生くらいの成長度だし、ディオドラ・アスタロト改めアスタ・ロッテたんとでも呼ぶべきだろうか(電撃感。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 私に還りなさいと云わんばかりの母性をあからさまとしたヴェネラナビッチさんの腹上ダンス教室から三日ほど。

 この三日間妙にことが起こったのだが、その筆頭はやはりディオドラを捕縛したことだろうか。

 というのも、そうなった経緯は割と相手側の過失に当る。

 記憶を閲覧して判った経緯なのだが、どうにもディオドラはアーシアを自身の眷属として引き入れる為に、冥界にグレモリー眷属の滞在時から声をかけていたらしい。

 その理由は自身の趣味の延長線上で、聖女から悪魔に転向した美少女を味わいたい、と中々に悪辣。

 引き入れる表向きの理屈としては嫁に迎え入れたいと口にしていたらしいが、内心では性奴隷以上の価値を見出していなかったらしい。

 ――スマン、それ俺が先に味わったわ。

 

 そのこと自体は察知していなかったようだが、兵藤家へ調査を向けたところアーシアがウチの教会へ来ていたところを遠隔的に把握し、更に教会に居るヴァレリーやミッテルト、他にも同道していたイリナやゼノヴィアという美少女が集まる場に興味を覚え、アーシアのついでに他の修道女らも鹵獲できやしないかと画策し、眷属を引き連れて侵入して来たのである。

 ……いや、まあ修道女の恰好はヴァレリーのは趣味だし、ミッテルトは基本ゴスロリだからそれっぽく見えるだけだしで勘違い甚だしいし、イリナにゼノヴィアは……良く知らんが、結局どれも『勘違い』が先行していた、っていう解釈で合ってるのかな。

 

 まあ、どれも終わった話だったし、俺が本格的に状況に着手したのは彼の捕縛後の話だ。

 朝帰りで教会へ顔出ししたら知らん美少年&修道女らが床に突っ伏している、って普通にびっくりしたわ。

 教会の結界に阻まれて失神したらしいから「悪魔なんだー」とは連想も容易かったけれど、俺を狙っていそうなリゼヴィム関連では無くてアーシア狙いの方面から此処に繋がるとは。

 捕虜の尋問のつもりで記憶の閲覧したはいいけど、関係なさ過ぎてガチで小首を捻ったね。

 

 でもまあ、表層意識や直前記憶読んだだけでも聖女フェチの外道なのは間違いなかったし、このまま解放すればグレモリー眷属へのちょっかいが俺まで飛び火しそうだったから、ことが起こる前に事態を解決して逝くスタイル。

 彼の眷属の中に在った『彼に無理矢理手籠めにされてボロボロになっていた記憶』のみを取り出して、彼の中へとドボン。

 悪魔になった元聖女っていう、彼の趣味の延長線上に当る娘達だったから色々配慮したわけだけど。

 しかし、教会認定【聖女】を易々と鹵獲して逝くディオドラの変態性癖の執着力が凄いのは兎も角、世界各地から集めたとはいえ『彼』の年齢上で蒐集し切れるとか可笑しくないか?

 これは教会側との癒着すらも疑わせるレベルですねぇ……。

 教会側も一枚岩では無いという暗喩か。ユダが品切れにならない時点で人の業の深さが芳ばしいわ。

 実際、悪魔歴は誰もがピンキリで転向して数十年~数百年も経っているらしいから、既に悪魔として(というか彼の玩具として)生きる諦観みたいなモノが見え隠れていたが、折角マシな身体を持ってるんだし、以前に見た改造されて戻れなくもなってしまった半吸血鬼の子達みたいに早々に死に逝く必要もあるまいて。

 いやぁ、【聖杯】って、ホント便利ですよね。

 無いものは作れない、のがやや難点だが。

 

 あとは眷属女子らも悪魔から(肉体的にちょっと強靭な)人間へと改造して、記憶を切って繋げて洗脳ゲフン自意識を確立させる方面で頭の中を洗い直して、助けた『()()』資金面で自ら幇助させるように促して駒王町内へと解放。

 そんな彼女らを虐げた記憶を『体験』し続けるディオドラ君がこれ以上『悪さ』を出来ないように、悪魔から悪魔の特徴を維持しただけの人間モドキへと転向させて性別も変える。

 これはよく思う持論から連想したじっk仕置きなのだが、性的犯罪の容疑者に対する求刑は自分のやったことを本気で改めさせるくらいの刑罰が必要じゃないかなって。

 今度は自分が追いかけられる立場になったら、彼らはどういう心理になれるのだろうね?と、そういう意図である。

 やったねディオドラちゃん! 家族を増やせるよ!

 まあ彼の場合、そういう性的犯罪とはまた違う趣向みたいだけど。

 

 悪魔としての肉体を放棄させたのは、そもそもこの教会が結界に覆われている所為でもある。

 アーシアを筆頭とする元修道女かしまし三人娘らはミカエルさんから許可を貰っているので平気そうだったが、他の悪魔が聖別施設に対峙する場合、視界に収めただけでも忌避感や弱い精神ダメージを受ける傾向にあるのだという。

 我が家はその点についてはそんな仕様は一切無く、外から見ただけでは何にも影響を与えないような配慮を施してある。

 だからこそ、脚を踏み込めば予想外にダメージが来るというトラップ仕様なのだが、お蔭でディオドラが捕まったという背景もあるから実験的には成功だ。

 もし此処にリゼヴィム並びに協力している悪魔らが踏み込んできた場合、一網打尽に出来る、という結果を顕せたわけだし。

 ……悪魔以外の協力者とかって居たりしないよな?

 旧魔王はリゼヴィムを除いて全滅だが、かと言って他の神話陣営から疎まれていると思しき聖書派閥出身のテロリストが、そうそう援助を受けられるとは………………いや、逆に聖書派閥が疎まれているから『敵の敵は味方』理論が動くのか?

 人間を悪魔化したり、神器使いとやらを割と力づくで自陣に引き入れたり、聞けばはぐれ悪魔とかいうモノまで制御しきれてないのが今の冥界の現状らしいし。

 テロリストが生まれるべく生まれた、って歴史の流れが傾いている気がしないでもない。

 

 話を戻そう。

 

 結果的にまともな悪魔が残らなかった我が家であるが、実際に悪魔であることのメリットが何気に少ない。

 寿命が延びるとか肉体が頑丈になるとか云われた気もするが、同じようなスペックの異種族である天使や堕天使らは悪魔の最大の弱点である【光】に耐性以前の適性があることを考えると……悪魔のこの低スペックよ。

 かと言ってミッテルトたんみたいに天使化するとしても、アレにはアレで俺の知らない弱点が何処かに潜んでいる可能性も捨てきれない。

 先走って換えたミッテルトだって、ミカエルさん辺りを参考にオーラの属性を傾けた調整でしかないし、元堕天使だったからこそ変化を促せたっていう下地があるから換えられたわけだし。

 そう考えて、カテレアを複製させた時点でパッと見には判別し辛い人間モドキに転向させて、ディオドラもまた似た種族へと変えたのだが。

 

 ……今更だけど、人とも悪魔とも呼べなくなったコイツら(ふたり)を何と呼べばいいかな……。

 羽も尻尾も出し入れできなくなったけど、人との相違点というよりは悪魔であった頃の名残でしかない。

 身体が人間より頑丈で、弱点に当っていた【聖なる力】を純粋にエネルギーとして対処できる程度の耐性を維持させたお蔭で、なんかもう神話存在だったとかいう概念背景をダストボックスへポイした現状だ。

 例えるならば他星系の異人種みたいな……もうデビ●ーク星人でいいか(適当。

 

 ともあれ、諸々の事情から元眷属である彼女らも改造は済み、彼女らを悪魔と化した【悪魔の駒(イービル・ピース)】が変化した身体から排斥されたので、丁度ひとセット分余ってしまった。

 ……あれ? Kingが無いな。ディオドラからも検出されなかったし。……チェスの駒を基にしたっていう触れ込みはデマだったのかな……?

 代わりに彼だけは何処かで見たような【蛇】を持っていたわけだが、……どうしようこの無駄アイテム一式。

 悪魔化や天使化は【聖杯】で弄れるから、余った此れらは割と相応に要らない子であるし。

 ……頃合いを見て堕天使陣営へ匿名で寄付しておこう。

 以前の駒王襲撃の際にもアザゼル先生が割と働いていたし、前身は研究者らしい所為か『面白アイテムがあればそれでいい人』みたいなイメージがどうしたって抜けない人だし、働きに対するそれなりの報酬としてなら理由にもなるだろうし。

 中古ショップに持って行こうにも、対戦できないチェスなんぞ銭にも変わらんし。

 

 【蛇】も瓶詰にして【駒】諸共袋詰めにして、教会の適当なところに放置する方針を決めた頃に、TSさせたディオドラちゃんがレイプ目で起床していた。

 悪魔の少年に無理矢理犯されて屈辱を味わう、という記憶を、記憶の持ち主らの主観と共に夢として体験し終えた結果がそれである。

 男性の精神で男性に犯されるとかって、もう悪夢でしかないよね……(震え声。

 

 生きる気力も尽き果てた感じで、虚ろになった彼女が自身の立ち位置と遣ったことへの反省、そして己の現状を全部把握できるようになるまで、随分と時間がかかってしまった。

 同じ実験生bもとい元悪魔仲間としてカテレアをリハビリ要員に沿え、三日経った今でも時折その記憶に悩まされてフラッシュバックに苛まれていると報告があるが、それ以上悪くならないというなら問題は無い。

 放逐しても問題無い程度まで生存基盤を維持できる姿勢を確立させたら、頃合いを見て野に帰そう。

 尚、カテレアの先の先もそんな感じである。

 なんだか野生の雀を拾ったような既視感を覚えるが、ぶっちゃけ先々はこの世界からも逃亡する予定なので先見を見出しているだけ有り難いと思って欲しいなぁ。

 え? アーシアとか?

 ……ホント、どうしようかねぇ……?

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 ……アーシアが、家から出て行ってしまいました……。

 

 いや、夜這い掛けた俺が悪いよ?

 悪いけどさ、もーう少し俺に対して好意を持ってくれていたのだと、思っていたんだけどね……。

 俺の勘違いだったみたいだぜっ☆

 独り善がりだった俺って奴ぁ、本当に滑稽だったなぁ!

 ぬぁーはっはっはっはっは! くははははははは! あっひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!

 ………………いや、ガチで反省はしてます。マジです。

 

 女体化祐斗と一線を越えたことは、俺に自信みたいなモノを植え付けてくれた。

 しかし、やはり関係を持った相手は男で、童貞こそ捨てることは出来たモノの、その後を欲するとなると役割をそのまま当て嵌めるわけには行かないのだ。

 佑斗には男性としての生活もあるし、それにいくら可愛くたってアイツが男であった頃のことを、お互いに忘れられるはずもない。

 ……いや、一晩下に組み敷いて、精力の尽き果てるまで正面から抱き合った記憶があるのも事実だから、説得力に欠けるかもしれませんが……。

 ……柔らかかったし、気持ち良かったなぁ、アイツの身体……。

 悪魔の精力って無尽蔵だよね……。

 

 と、とにかく、女性の身体の良さと『やり方』って奴を実践訓練で学習出来た俺は、今度こそ本気で彼女を作ろうと、一番近いアーシアから試すことにしたんだ。

 家族を彼女へ、とかってのも駄目な話かもしれないけど、そもそもアーシアとこの先もっと深い関係になりたいっていう想いだってある。

 学んだやり方でアーシアへ迫る意気込みで、寝惚けた状態なら意識も曖昧なはずで、俺に対して普段覗える壁みたいなモノも緩んでいるんじゃないかって言う腹積もりで。

 ……マジで普段はつんけんしてる感じなんです。

 ま、まあ俺にしてみればアーシアの貴重なツンデレはご褒美ですけどね!

 

 ……結果?

 聞くまでも無いだろ?

 ――失敗に終わったさぁ……!

 

 最近少しづつ大きくなってきたアーシアのおっぱいにパジャマの上から手を伸ばし、柔らかさを堪能しつつズボンを脱がし、つるつるのお股に感激していざ参ろうとしたところで、覚醒アーシアに悲鳴と一緒に蹴っ飛ばされたさ!

 悪魔の防御力がいくら凄くても、防げない部分だってあるんだ……っ!

 自分の腰をトントンしてる間に、悲鳴を聞きつけて起きた両親に目撃されてぶん殴られました!

 自分たちの娘みたいに思ってる子を襲う奴が居たら、息子でも容赦しないのは当然みたいです!

 

 その後の家族会議で、そもそも俺には彼女がいるんじゃないかという話が上がり(どうやら家へ顔出しした女体化祐斗のことを言っているらしい)、彼女が居るのに我慢を利かせられなかった発情期息子、というレッテルも容易く貼られた。

 間違ってないけど大いに間違ってる! 彼女じゃねぇ! けど言えねぇ!

 くそ、俺にも部長みたいな催眠術を使えれば……!

 

 そんな俺とアーシアをこの先一つ屋根の下に同居させるのも危うく感じた両親に、すわ勘当かと家を追い出される寸前であった俺へと、アーシアが自ら距離を置こうと『とりあえず夏休みの間だけ』と去っていったわけです!

 無論、それをホイホイと承諾するほど、ウチの両親のアーシア大好きっぷりは低くは非ず、アーシアが帰ってくるまで我が家の土を踏ませはせん!と俺も一緒に追い出されました!

 説得しろとの事らしいですが、アーシアからはつーんと袖にされてるので難易度がルナティックですね!

 

 

 「……それで私のところにきたわけね……」

 「う、うっす、スイマセン部長……」

 

 

 責め立てられ問い質されて、一部始終を説明し終え、深いため息を吐く部長に申し訳ない気持ちでいっぱいのイッセーです……。

 いや、流石に祐斗とのこととかアーシアを襲ったとかって部分は言ってないぜ? 男同士の事を女子に云う事程愚かなことは無い、って俺でもわかるからな?

 アーシアに関しては、俺の配慮が足りなくて怒らせてしまった、って感じで。

 

 

 「アーシアが烏丸くんに気持ちを向けているのは知っていたけど、イッセーとの仲が進展していなかったのも原因だったのかしら……。そこを今更、しかも無理矢理に手出ししちゃったのだから、悪魔であっても受け入れるには難しいと思うわ」

 「れ、冷静に分析しないでください。あと、今更でなかったら問題無かったんですかね……?」

 「いや、そこまでは私でも良く分からないけど……」

 

 

 ですよね。

 部長だって人の恋路を語れるほど、経験豊富ってわけじゃないっすもんね。

 

 

 「……なんで微妙に上から目線なのよ」

 「えっ。あ、いえいえ! お気になさらず!」

 

 

 あっぶねぇ! く、口に出てないよな!?

 一足お先に大人になった俺からの個人的な意見でしかないっすけど、流石に不敬すぎるし!

 何かを察したらしいリアス部長にジト目を向けられつつ、気にしない方針なのか再度の溜め息。

 ――ふむ、そんなことより腕組みで強調されるおっぱいも素晴らしいですな……。

 

 

 「……ああ、何時ものイッセーね。――さて、朱乃からの報告だけど、アーシアは烏丸くんの家にお邪魔になっているらしいわ」

 「な、なにぃ!? くっそぉあの間男! 弱ってるアーシアの心に付け込んでポイント稼ぐつもりか!?」

 「貴方が言えたことじゃないでしょ……」

 

 

 部長が何か呟いたけど、今はそれも気にならない!

 アーシアはなぁ、教会から追放されたり、堕天使に命を狙われたり、貴族悪魔から求婚されたりと苦労の連続なんだぞぉ!

 そんなアーシアを、………………傷つけたのは俺です! ホントマジスンマセンでしたァッ!!!

 

 

 「ほら、とりあえず落ち着きなさいイッセー。烏丸くんの家には今はヴァレリーさんだって居るのだし、イッセーが思う様な事にはならないわよ」

 「う、うう……、じゃ、じゃあ信じて送り出したアーシアがアヘ顔ダブルピースでRECされる、みたいな展開は無いっすよね……?」

 「貴方どういう推理でそれを導き出したのよ」

 

 

 部長からの目線が冷たくなった。

 可笑しい、俺は至極真面にアーシアのことを心配してるのに。

 

 

 「というか、貴方今日は躁鬱の気が激しすぎるわよ……? アーシアの説得は私も手伝ってあげるし、ご両親にも一緒に説明してあげるから、今日はもうお休みなさい?」

 「ま、マジですか? 部長に頼っちゃってもいいんすか……?」

 「あら、貴方の(あるじ)様は、可愛い眷属の苦悩も分かち合おうとしない心の狭い女だとでも云うつもり?」

 

 

 そう言って、部長はドヤ顔で微笑んだ。

 ……う、うおーーーっ!! 部長ぅぅぅ!! イッショーついていきますぅぅぅッ!!!

 

 

 「とりあえず、今日は私の家に泊めてあげるわ。ベッドは……ひとつしかないけど、構わないわよね?」

 

 

 ……っ!?

 つ、つまり、そういうことですか!?

 いいんすね!? ホイホイ乗っかっちまっても良いんすね!?

 男イッセー、今日こそは頑張りますっ!!

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「……ようこそ、お会いしたかったですよ、【英雄派】の皆さん」

 「……ふん。白々しいな、ルキフグスのはぐれが」

 

 

 とあるホテルレストランの一角にて、私たち――所謂【旧魔王派】と呼べる生き残りの面子代表として、この私ユーグリットはとある一団と会合を果たしていました。

 彼らは一様に自身に満ち溢れた顔つきをしていますが、全員が人間。

 一見すれば自信過剰で貧弱な向こう見ずばかりですが、実際そうであったとしても実力を備えているのも事実です。

 そんな彼らは、名を【英雄派】。

 【禍の団(カオス・ブリゲード)】にて現在、最も戦力を蓄えている一団でした。

 

 

 「手厳しいですね。私たちはとある神器使いを紹介してもらいたいだけなのですが」

 「ああ、【生死覆す万象の杖(ロッド・オブ・アスクレピオス)】に【托卵促す怪物の滴(エキドナ・ドロップ)】だったか? ……確かに使い手はこちらに居るが」

 

 

 そう、彼らに要求するのはそれだけです。

 ようやく見つけた【聖杯】に通じる神器ですからね、下手に使い潰される前に回収しておかなくては。

 しかし、彼らはこちらの意図を想像しきれないらしく、韓服のような青年が困惑したように尋ねてきました。

 

 

 「なんでまたこんな神器を欲しがる? 名前こそ大仰だが、【杖】は実際に死者を蘇らせるような効能も備わってない治癒能力程度だし、【(しずく)】は正直言って【魔獣創造】の下位互換だ。お前たちにメリットがあるとは、到底思えない」

 「さて。其処までは教える意味など無いと思われますが?」

 「是非とも聞いておきたいのだがな。何せお前たち【旧魔王派】は、そろって俺たちの傘下に下るとかいう話だそうじゃないか。部下となるのなら、それを纏められなくては上司として示しがつかない」

 

 

 【英雄派】頭目、確か『曹操』と云いましたか。

 こちらが彼に示した条件は、旧魔王に手を貸した派閥内の悪魔らを戦力として引き渡すこと。

 もう一つはこちらが掴んだ『情報』です。

 しかし、それで飽き足らず己の分を弁えずに、更に欲するモノを追いかけるその姿勢……。

 いやぁ、やはり人間は下手な悪魔よりも業が深い。

 

 

 「ご安心を、ちょっとした研究ですよ。成果が出ればキチンと開示します」

 「フン。……まあ、お仲間をこっちに引き渡している以上、お前らだけが逃れる術なんてないだろうがな……」

 

 

 仲間? はて、彼らは自分たちに都合のいい蜜を吸いたいが為に引っ付いて来た寄生虫のようなモノですからねぇ。

 戦力として使える『今の』【旧魔王派】は、精々が【駒】に為れば上等の類ですよ。

 【旧魔王派】に取次いでいたアスタロト家の次期当主が消息を絶ったお蔭で、彼らの目論見であったレーティングゲームに託けての襲撃計画は水泡に帰していますし。

 彼らも別の手を用意しなくては、この先【旧魔王派】の生き残りがどれほど残れるかも不明瞭でしょうからねぇ。

 元よりスポンサーの宛ても数少ないこの世界で、最大派閥の聖書陣営から更に裏切った彼らを、好き好んで自陣に引き入れようなどという酔狂なモノは居る筈もありません。

 まったく、テロリストというのは潰しの利かない職種です。

 

 

 「そして、こちらが我々が掴んだ『情報』です。苦労しましたが、是非有効に活用してください」

 

 

 そうして、彼らの前に事前に伝えて置いた、ターゲットの写真の数々を広げる。

 白い髪に、浅黒い肌、――駒王学園の制服が妙に似合わない男子学生、烏丸イソラの姿が其処にはあった。

 ………………全部カメラ目線でピースまでしていますが……。

 

 

 「此れが例の彼………………おい、此れ本当に隠し撮りなのか? 全部目が合ってるぞ?」

 「そのようですよ? 現在の住居は添付の資料に載っている通りです」

 

 

 ――完全に罠でしょうけどね。

 

 彼本人には私が直接手を下したいところですが、【私】のストックが備えられない今、簡単に姿を現しては初見のリゼヴィム様のような目に遭わせられるのは明白です。

 悪魔に迎合するわけでなく『個の立場を維持し続けている人間』として、【英雄派】も目を付けているようですし。

 彼らが何処まで出来るのか、お手並み拝見と逝きましょうかねぇ。

 

 

 

 




週刊誌からスクエアに移籍したとか、
魂のヴェネラナとか、
原作主人公のクズ化マッタナシだとか、
キングクリムゾンで出番が…!とか、
オリジナル神器の芳ばしさがやや不足してる感とか、
コレ主人公格が三人居ねぇ?とか、

まあ色々詰め込んでストーリーをぎゅっとコンパクトに

それもこれも、此処がRのスレッドだからもっとエロシーンに力入れたくてストーリー方面をさっさと片付けたかった所為
あとディオドラたんはノーパンだと思う(偏見


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「先ずはボコろう。話はそれからだ」

英雄派が大活躍する40話!


 

 

 只今時刻は深夜の四時。

 明け方頃という奇襲を仕掛けるには丁度良い、昼日中を生きる者にとっては【起き掛け】と云える時間帯だ。

 駒王町の一角にある某教会を雑木林より遠目に眺め、【英雄派】を名乗る数名の男女が日も照らさぬ闇の中に静かに犇めいていた。

 

 

 「――では、ゲオルクが【霧】で教会を支配し次第、ヘラクレスとジャンヌは中に居る者たちを人質に取れ。俺たちはその間、ゲオルクの警護を中心として臨機応変に対応する」

 「オーケーだ、曹操。だがなあ、俺としては件の烏丸とかいう奴と直に勝負してみたかったぜ」

 「ヘラクレス、何回も言うが、今回のこれは戦闘が目的なんじゃない。飽く迄も『話し合い』だ」

 

 

 『曹操』と呼ばれた漢服の青年は、不敵な笑みを浮かべつつ筋骨隆々の大男を諌める。

 諌められた大男、ヘラクレスと呼ばれた彼もまた、曹操の言い分を何処か軽く捉えた態度だ。

 その彼らに共通している意識は【余裕】そして【慢心】。

 『自分たちは特別な生まれを背景に持ち、特別な力を持っていて、この世界を変えるに足る目的を達成する為に集っている』。

 そうした意識が根底にあるのが、【英雄派】と名乗る神話系テロリスト・【禍の団(カオス・ブリゲード)】の一派である。

 

 彼らは主要メンバーが皆、神話に名を遺す【英雄】の直系の子孫または生まれ変わりであると自負しており、それぞれが人の血に発現する【神器(セイクリッド・ギア)】を所持しており、それ故に【驕り】も止むことは無い。

 この場に集ったのは、リーダーである曹操を初めとした、その主要メンバーである。

 その目的とは、『烏丸イソラの確保』。

 人の身でありながら悪魔に手を貸す一方で、その交流は決して共依存というわけでは無いリベラルな様相。

 ならば、他に【禍の団】に手を貸している【魔術師】のように、自分たちの陣営へと引き入れることも可能なのではないか。

 そうトチ狂った思考を発症してしまったことが、今回の発端であった。

 

 

 「再三云うが、彼は人間で、あの教会には他にも少女たちが居て、同居のような形で寝食を共にしている。そんな彼女らは要するに彼にとってのアキレス腱足り得るだろう、というのが俺たちの意見だ。そういう【弱点】を先に抑えてしまえば、ルキフグスの奴に提示された情報にあった『容赦がない』という部分を抑制できる。そうした上で話し合いに持ってゆくのが今回のベストな形、というわけだ。もっとも、ゲオルクの【霧】の前にはどんな頑強な守りでさえ意味を為さないからな。そのことを彼が知れれば、俺たちを意識せざるを得なくなるはずさ」

 

 

 作戦の要となる『ゲオルク・ファウスト』なる少年は魔術師だが、そうである以前に神器所持者である前提が備わっている。

 彼は神器の中でも特に強力な【神滅具(ロンギヌス)】と分類されるソレをその身に収めていた。

 名を【絶霧(ディメンション・ロスト)】と呼ぶ空間系最高峰の神器はあらゆる結界を透過し、望む場所へ自在に空間を繋げることが出来るという。

 故に奇襲にはもってこいであり、だからこそ彼らは慢心が抜けることが無かったのである。

 

 

 「無論、こちらがイニシアチブを確保するまでは多少の戦闘も有りえるだろうが……、なに、俺たちは英雄になるんだ。この程度の【交渉】を乗り切れないカリスマが、足りないわけがないさ」

 

 

 本来、Charismaという言葉には『神から賜った超状的な力』という意味合いしか含まれておらず、彼が口にした其れはしかし『人が人を惹きつけるのに必要な脚光性』とでも変換されているのかもしれない。

 しかし、だ。

 人が人を動かすためには確かに人目を惹きつけるモノは必要であるが、それを成功させるため第一に必要な部分とは『対象が要求を呑むくらい愚鈍』なことであり、第二が『従属に足る対価を示せるかどうか』である。

 決して違えていけない優先順位は【自身】より【相手】だ。

 自信に満ち溢れて失敗を想像もしていない彼らが、果たして件のカリスマとやらを魅せられるのか、という点についてはあらゆる条件の二の次でしかない。

 この時点で、心内より彼らを照らす光明は、錯覚としか言いようがないのは明白である。

 

 

 「しかし、知れば知るほどライトノベルの主人公みたいな奴だな、彼は」

 「なんだ? 曹操はそういうモノも読むのか?」

 「【表】の同級生から勧められていてね。ジークも読むと良い。ファンタジー系は特に、神器のイメージ修行には役に立つんだ」

 

 

 ジークと呼ばれた白髪の青年の揶揄するような言葉に、曹操は冗句のように応える。

 作戦前に軽口で緊張を解きほぐす意図があるのかもしれないが、彼らの態度はどう弁えても緊張なんて見当たらない。

 【人間】を相手に『どういう権利を行使するべきかも不明瞭』な女性を人質に取って云う事を聞かせよう、という倫理的に見てもアウトサイダーな作戦を、その冗句はまるで日常の一幕のように取り扱っている象徴のようだった。

 

 

 「よし、では行くぞ。ゲオルク、【霧】を頼む」

 

 

 作戦に加担する全員がリーダーの冗句に一頻り笑った後、曹操は学生服にローブ姿の少年へと指示を出す。

 云われるが速いか、ゲオルク・ファウストは集中し、辺りへ朝靄とはまた違う【霧】が不自然に発生し始める。

 雑木林と教会とを覆うように満たされたその霧の中で、漸く彼が口を開いた。

 

 

 「――良し、教会内の空間を繋げたよ。曹操、準備は…………………………」

 

 

 しかし、その続きが語られることは無く、沈黙だけが霧の中に響く。

 不審に思った曹操は眉を顰め、背後にいる彼へと振り返りそれを見た。

 

 

 「――? ゲオルク? どうし――……は?」

 

 

 ゲオルク・ファウストの胸から生えている、何か結晶のような光源を掴まえる()()の腕を。

 

 

 「――かふ」

 

 

 呼吸を漏らすような断末魔だった。

 一息だけ最期に漏れたそれだけで少年の瞳孔は開き切り、彼の身体からずるりと生えてくる其れを、全員が息を呑んで括目していた。

 

 

 「なるほど、お前らが襲撃犯か」

 

 

 浅黒い肌、白い髪、(ねめ)つけるような鋭い視線の主は、少年の身体を蛹から羽化する蝉のように抜き出て着地する。

 抜け殻のように力なく、ゲオルクは土の上へと放逐されていた。

 そして。

 

 

 「――っ! 全員警戒を、」

 

 

――ゴキャメキグリュブヂィ

 

 

 咄嗟に叫んだその瞬間、曹操には油断は無かった。

 唐突に現れたターゲットを囲むために、己の神器であり神滅具・【黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)】を掴み構えたほどだ。

 だが、――掴んだその腕は鈍く響く音と共に、肩口からごっそりと抉り取られていた。

 響いた音は、骨と肉が千切り削がれた衝撃音だ。

 

 不思議と痛みは感じず、疑問に思うその瞬間は、無駄にスローに感じた。

 そして本当の痛みは、彼の視界に正面から最後に収まった、烏丸イソラの膝から齎されたのである。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 開幕シャイニングウィザードで槍持った人を沈めて頭を踏みつけ、完全に気絶してることを確認しつつ周囲を睨む。

 とりあえず帝釈廻天で槍毎抉り取ったが、なんか丈夫だなこの人、よく死んでないよ。

 というか、この世界って大抵の人らが丈夫な気がする。

 漫画みたいだね!

 

 

 「そ、曹操!? テメェ! 其処を退きやがれッッッ!!」

 

 

 半裸で筋肉の大男が吠える。

 どことなーく第五次運命夜の狂戦士を連想してしまったが、なんでだろうか。

 というか、開幕で帝釈廻天を使えたのは兎も角、現在抜き取った神器の核を片手に持ってる状態だから両手が塞がっててヤバくね?

 もう片方はショートカットの為に【魔本】を開いた状態だし。

 あれだね、ダンチョーみたいな【盗賊の掟】発動中的状態。

 魔法の発動体である本が無いと戦闘態勢に移れない、っていう弱点が。

 グリードアイランドのようにバインダーを空中に維持できれば良かったのにぃ。

 

 

 「っ、待てヘラクレス! 不用意に動くな!」

 

 

 お、白髪仲間? 元気ー? 俺は頗る寝不足なんだが。

 というか、室内に霧が立ち込めるとかいう状況なら誰だって不審に気づくわ。

 変な魔力波長も感知出来たし、だから霧に逆探知掛けて状況の大元を掌握出来たのだけど。

 

 大男を諌める白髪の言葉に、なるほど警戒は正しかった、と納得の俺。

 無論、対処は済んでいる。

 ショートカットで帝釈廻天をとりあえず333本、切りのいい数字で大男という判り易い標的の周囲にいつでも顕現可能状態。

 あとは舌先三寸、『言い顕す』だけで良い。

 

 

 「『ざっくばらんに逝きましょう』」

 

 

 キーワードは何でも良いんだけど、ね。

 此処で『僕は悪くない』とか言っても説得力ないしぃ。

 まあ白髪の云う事にはヘラクレスとか呼ばれてたみたいだし、此れくらいやれば死ぬでしょ。

 十二の試練先輩お疲れさまっしたー!

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 嘲る様な台詞が烏丸の口から洩れたと同時に、巨漢の周辺に両端が歪な三叉鉾が多数出現した。

 それはヘラクレスを覆い見えなくするほどの武器の群れで、神器を発揮する間もなく彼をヤマアラシのように変える。

 此処で重要なのは飽く迄『ように』であって、本物のヤマアラシみたいにその『針の山』が『山の主』を守るために存在するわけでは無いという点だ。

 逆刀山剣樹みたいになった巨漢はその姿が幻であったかのように挽き擂り潰され、断末魔も上げることも無くこの世から姿を消した。

 元より、烏丸の使った【帝釈廻天】とは重力魔法の具現化術なので物理効果はどうしようもないほどに凶悪だが、数を発揮した時点でそんな副次作用なんて当然意味も無い。

 何も此処までしなくても、と其れを知るモノに取って実にオーバーキルな様相は、唯一正気で正面より目撃したジークフリートの眼前に妙にゆっくりと把握されていた。

 ある意味、走馬灯にも似た瞬間であったのかもしれない。

 

 

 「――……な……」

 

 

 仲間が呆気なく、何一つ行動を起こす前に(ちり)にされたことを唯一認識し、それでもジークフリートは絶句するしかない。

 未だ踏みつけられたままの曹操は生きてはいるようだが、片腕をも捥ぎ取られてしまっていては復帰も当然できやしない。

 と、其処でもう一人生き残りが居たことも思い出した彼は、咄嗟に件の少女へと視線を向けていた。

 

 

 「――っひ、い、いやぁぁぁぁああああああああ!!!!!?????」

 

 

 そんな少女は、仲間のその姿を目撃して悲鳴を上げ、――取るモノも取らずに恐慌に駆られて走り出していた。

 次は己が遣られるという恐怖に駆られた少女は、みっともなく泣きながら転ぶように必死の遁走を図る。

 その様は余りにも憐れで、仮にも英雄の末裔であると豪語していた姿は最早どこにもない。

 そんな様相に何かを思ったのか、はたまた何も思う処も無かったのか。

 烏丸は逃げ去るジャンヌ・ダルクと言った筈の少女の名を知ることも無く、彼女の逃走を見送っていた。

 

 

 「……あー、ちなみに此処に来てるのはお前らだけ?」

 「……まあ、な」

 

 

 なんとなく、気まずい空気を互いに感じ取った2人の口調は重い。

 先に口火を切った烏丸の方は、実はその時に漂った僅かな臭気から口取りが重かったわけだが、その点については少女の最後の名誉となるだろうから口にすることを憚っていた。

 

 

 「じゃあ敵前逃亡を俺が咎めるわけにもいかないな。で、お前ら何の用? つーか誰?」

 

 

 あっけらかんと、こんな状況を作り出してから口にすることじゃないだろうとジークは思ったが、そもそも襲撃を画策していたのはこちらであるので突っ込まれるわけには行かなかった。

 英雄と呼ばれることは望まれても、だからこそこんな場所で死ぬことを良しとするほど覚悟は決まってはいない。

 所詮其処が彼らの限界であるのだが、命を捨てるよりかはずっとマシな選択であることは間違いようが無かった。

 どちらにしろ、彼の命運は風前の灯火なのだが。

 

 

 「わ、我々は【禍の団(カオス・ブリゲード)】の【英雄派】、だ。リーダーは、その、其処の彼だ」

 

 

 未だ踏みつけられたままの曹操を指して、とりあえず自分の灯火を確保する。

 曹操は依り危険に晒されている状況だが、五体満足な自分こそ欠けることは許されない、と内心が自己肯定を促していた。

 

 

 「烏丸イソラ、今日はキミに協力を申し出に来た」

 「こんな朝っぱらからぁ?」

 

 

 其処を突っ込まれることは流石に嫌だが、せめて会話を成立させないと【先】どころか【今】も危うい。

 ジークはその点を間引いて、見目の良い【状況】から説得に掛かる。

 

 

 「わ、我々の目的は聖書陣営の悪魔らの横暴を許さないことに在る! 奴らが世界に何を犯しているのかを知れば、同じ人間として許せることでは無いはずだ! 我々の仲間となって、悪魔らの驚異より人の生活を守ろうじゃないか、烏丸、さん!」

 

 

 呼び捨てにするよりは、と悪魔以上の驚異に晒されているとしか思えないジークはプレッシャーの中、ほぼ無意識に近い心情のまま烏丸の呼び方に敬称を付けていた。

 割ともう負けている感じがしないでもない。

 

 

 「……ふーん」

 

 

 そしてとりあえず件の集団の目的を耳にした烏丸は、色々と予測を重ねる。

 今は特に云う事も無いので生返事だが、内心では色々とシミュレーションを重ねても居た。

 

 結論としては、どうでもよかった。

 

 悪魔の脅威に対抗することを目的として『英雄』を自ら名乗っている部分とか。

 因果関係は見出せそうだけど其処に横槍を入れるのも割と大きなお世話っぽい処とか。

 悪魔だけに対抗するつもりならテログループに混じる意味ってなんだろう、とか。

 『英雄』という割には此処にいた奴ら全員小物っぽいなぁ、と思った処とか。

 

 そんな色々をひっくるめて、どうでもよかった。

 

 しかし、件の【禍の団】に所属していると云う事は、当然横の繋がりも在る事を予測する。

 そして、自分の情報もまた其処から窺い知れたから、こうやって『三顧の礼』の如く会いに来たのだろう。

 そう連想し、寝起きを襲撃されたと実感して少々虫の居所も宜しくない烏丸は、生返事より一転、

 

 

 「手を貸すのはお断りだけど、命は助けてやろうか?」

 

 

 猛禽のような笑みを浮かべて、白髪の青年を見据えていた。

 既にイニシアチブは握っているのだ、という部分までも自覚していた彼に、死角はとっくに割と無い。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 曇天が日差しを遮り、午後からは雨が降ると予報では告げていた正午過ぎ。

 パァン!と、乾いた音が室内に響いた。

 肌を打ったその音源は紛うことなく兵藤一誠の頬で、その証拠に彼は呆気に取られたような貌で僅かに赤く腫れている。

 振るったのはリアス・グレモリーで、彼女は平手を振り抜いた姿勢のそのままにイッセーを睨みつけていた。

 

 手首のスナップが利いた小気味の良い鞭打(ビンタ)であったが、それを打った張本人の心中は窓から見える空模様のように決して晴れやかとは云い難い。

 軽度とはいえ害したのは彼女の方であるのに自分がずっと傷ついたような感情で、頬を叩いた少年を涙を堪えるような貌のままに睨みつけて震えている。

 むしろ、これは『これ以上の何か』を起こさないように必死で堪えている、というのが正解かもしれなかった。

 

 時間にすればほんの数秒だが、互いにとっては永遠にも思えそうな苦々しい時間を堪えきれなくなったのは少女の方が先であった。

 

 

 「……っ、頭を、冷やしてくるわ……」

 

 

 踵を返し上着を羽織り、ほぼ着の身着のまま外へと逃げるように進んでゆくリアス。

 それを止めようと手を伸ばすも、かける言葉も見つけられないイッセーが呆然としたまま見送る。

 その気配だけでも届いたのか、戸を開けて出でて閉める直前に、振り返ることなく言葉だけを残した。

 

 

 「……私が帰る前に、出て行ってちょうだい」

 

 

 バタン、と静かに閉められたはずの扉の音は、イッセーの耳には酷く冷たく重く響いていた。

 伸ばしたはずの手は、彼の気力が尽きるかのようにへたりと床へ落とされる。

 完全に見捨てられたことを把握した少年は、四つん這いになったような姿勢で愕然となった。

 

 

 「あらあら、フラれちゃいましたね」

 

 

 一部始終を見終えた共に室内に居た少女が、揶揄するようにふたりの様相を嘲る科白を吐いた。

 その顔は冷静沈着で実際の処は決してそういう感情で吐かれた言葉では無かったのだが、イッセーにとっては許せる言葉では無かった。

 気力を失った筈の少年が、火を点けたかのように顔を上げて彼女、――真羅椿姫へと掴みかかる。

 

 

 「っアンタがっ! アンタのせいでぇっ!!」

 「は。止めてくれませんか、私の所為にするなんて」

 

 

 しかしそれをひらりと躱し、少年の怒号を鼻で嗤う。

 その顔は終始静かで、イッセーをただ見据えたまま。

 芥を見るような視線のままに、椿姫はリアスにも見せた一枚の写真を再び手に取った。

 

 

 「私はただ、兵藤君が何故か女性化した木場君とホテルへ入っていたところを彼女へ尋ねただけです。生徒の性事情に乱れがあるとなれば、生徒会としても見過ごすわけには行きませんからね」

 

 

 最後の理由は如何にもとってつけたようなそれらしいものであったが、その行為は明らかにイッセーを貶める為に充てたことは有り有りと覗えていた。

 

 写真にはイッセーと女性となった木場の『まさにその瞬間』が捉えられており、よほどの()()()()でない限りはどんな者にでも『その先』が把握できる場面であることは明白だ。

 椿姫は、たまたまその写真を手に入れてしまったので事態の真相を把握するために来た、と言って先ほどこの部屋へと乗り込んで来たのである。

 写真の人物の片割れは女性であることが明瞭であるものの、見目からして完全に木場かまたは親戚かとしか思えぬ姿であるのだし、生徒会の面々は木場に親類縁者が居ないことを既に把握していたりもする。

 生徒会全員がこの写真の存在を知っているかどうかまではイッセーには判別できないが、それ以上に隠すべきは自分の主人であるのだと云う事に、この事態になるまでまったく予測しきれていなかったのだ。

 

 そして、そのことを知ったリアスはイッセーを赦すわけには行かなかった。

 何故ならば、ほんの半日前の深夜に、彼女がイッセーへと身体を赦していた為だ。

 

 『そういう関係』になっていればこそ、イッセーとしてもリアスの怒りのほどは判る。

 判るが故に、自分たち眷属の裏切りをどう言い繕えば良いのかが判別が利かなかった。

 その結果、夜露を凌がせて貰った一宿一飯の恩すら返上することも出来ず、彼は再び放逐されることとなった。

 リアスが戻ってくるのが何時になるのかも知ることも出来ず、イッセーはただ力なく、椿姫の宣告にぐうの音も吐けずに項垂れるのであった。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 【杖】を持つ少年・クレオと【滴】を持つ少女・ネフレアは、【3番】と命じられた銀髪の少女に連れられて悪魔領の一角、首都ルシファードとかいう場所へと赴いていた。

 英雄派と名乗り(たか)る人の群れに、ちょっと教義が過剰な宗教施設より移籍したクレオにとっては悪魔に囲まれることはぞっとしない話であるのだが、『身の安全だけは銀髪の少女が守る』と彼女の親かと思しき男性に教えられたので、やや怯えつつも話に従っている。

 件の宗教施設在籍時代から顔見知りであったジークという青年が既に集団の顔利きとなっている事情も、彼の居心地を辛うじて肯定する前提であるかもしれない。

 しかし、元より自分は孤児の身だからこそ死ぬような事態になったら逃げるしかない、とは覚悟しているモノの、【集団】というモノにあまり良い思い出がないクレオ。

 囲われるのも追い立てられるのも共に御免である彼は、怯えの中にもげんなりとした感情を抱えていた。

 それは最早、すっかりお馴染みとなった但し彼独自の、精神状態のデフォルトでもあった。

 

 それに対してネフレアは、悪魔というモノに対して絶妙に高い興味を持っていた。

 元々国家規模の財政破綻によって都市ごと職を失った両親らに連れられていた彼女は、生まれつきある【変な力】を使うことに抵抗を持っていなかった。

 終始『何か』に追い立てられる生活に晒され続けた幼心は、頑強に洗練され彼女の価値観に容赦をしない(ノークォーター)という概念を植え付けるに至った。

 それゆえに彼女は『生きる為には他者を害してでも自分を保たなければならない状況はいくらでもある』という感情をフラットに芯に備えており、そんな場面に遭遇する度に此の【力】は上手く働いてくれた。

 そんな【力】を色々試した結果として、故郷である一つの街が()()()人の住める地域にならなくなってしまったが、そういう【結果】が出た頃には彼女は【生きる目的】を見出していたので、彼女はそれ(人生経験)に従ってこの『世界の裏側』へ足を踏み入れたわけである。

 因みに、彼女の持つ神器【托卵促す怪物の滴(エキドナ・ドロップ)】は『触れたモノを好きな生物へと変貌させる』性質を持つ物質を精製する神器である。

 この力は果たして悪魔にも効くのだろうか。

 興味を抱いた翡翠色の眼差しを、周囲を行き交う民衆へ無邪気に向ける。

 彼女の先行きへの指針は、その一点へとフルスロットルを噛ましていた。

 

 

 「やぁやぁ、おふたりさん。遠いところをわざわざご苦労さま」

 

 

 そんな中、んちゃ!とテンション高めの少年が、明確には『三人』の前へと姿を現した。

 云うまでも無いが、銀髪の少女とはユーグリットとグレイフィアの遺伝子を混ぜて造った失敗作のうちの一体である。

 自我が薄く、生物としても不完全なメイド服を着た中学生くらいの少女は、活動限界期間は精々が一年だと試算も出ている。

 ユーグリットの研究施設に納まっている残りの3体も含めて、限界を越えれば【自死】するのが決定付けられた使い捨てメイドである。

 そんなことも把握している少年は、名をリゼヴィムといった。

 

 

 「ユーグリット君から聞いてないかもしんないけど、此処でキミらの持ってる神器の【拡張】を施すから。もっと明確に力を発現できるように、っていう俺たちからのプレゼントだぜ」

 

 

 名乗った少年の正体を把握できないままに、ふたりは導かれるままにルシファードの路地裏へと縫うように進む。

 現在の冥界に置いて、【禍の団】の存在は詳細まで表沙汰とはなっていない。

 確かに聖書陣営の同盟締結の場へ乱入してきたことは事実として明かされているが、そのメンバーが【旧魔王】であったことなど明白にされるわけには行かない冥界最大のスキャンダルだ。

 現魔王派にとっては「古い」と政治の場より除け者とされていても、かつて冥界を興した旧家の血筋。

 また民にとっては自分たちの同胞であることに変わりは無く、それらが牙を剥いたなどという事実を現魔王としても公開するわけにもいかないのである。

 だからこそ、旧魔王筆頭である【リゼヴィム】に協力する表側の『悪魔』なら未だに存在する。

 それがよほどの問題行動でない限り、リゼヴィムは冥界の何処へでも隠遁可能な立場であるのだ。

 

 

 「此処は特にそっちの娘、ネフレアちゃんだっけ? キミの神器の拡張に手助けできるはずっしょ」

 

 

 口調が曖昧なままだが、その内容は如何にも危うい。

 確かに神器を自らの望むままに変貌させられるというのなら、この先において何より役立つことになるだろう。

 だが、そのような技術を悪魔が所持しているということは、【英雄派】として活動している自分たちにとっては如何にもマイナスな要因足り得るのではないか?

 

 

 「な、なあ、それ俺たちが知っちゃって良い話だったのか? 神器の成長とか、一応俺たちは悪魔にとっては敵なんだろ?」

 

 

 声を潜めるように、クレオは問う。

 聖書陣営が同盟を組み、三竦みであった者たちが協力し合ってゆく指針が出来ていたとしても、此処に来たふたりは人間で、しかも所属している団体は基本的に冥界にとっては敵対組織だ。

 英雄派とかいう話以前にばれたりしたら決して無事では済ませられないと云う事を、彼だけが必死で気に懸けていた。

 

 

 「ああ~、だいじょぶだいじょぶー。其処の研究所は神器や最近の冥界の技術にはなんら関わりも無いからよー」

 「……は?」

 

 

 アジュカ・ベルゼブブの手によって【悪魔の駒(イービル・ピース)】が開発されるより以前、悪魔の元には眷属を強化する手段が酷く限られていた。

 基本的には種族的に上位に位置する怪物や能力の高い術師などを契約によって従属させる方式であったのだが、それは悪魔の軍備を維持することには繋がっても悪魔を増やすことには直結し得ない。

 更にはそんな眷属ばかりを得られるわけでも無い、実力が足りない者も当然存在したわけである。

 そんな者たちの為、とばかりは言えないが、眷属を【改造】するという『手段』が当時の悪魔たちの種族繁栄の為の選択だった。

 その手段の名を、【グレイテスト・オリオン】。

 神器より以前にあった、今は廃れた悪魔らの持っていた改造手段。

 人の魂をエネルギーとして使うが為に『魂の蒐集』が盛んに行われ、悪魔が悪魔として最も恐れられた時代の代名詞でもあった技術の一端である。

 

 

 「此処はそんな廃れた技術を未だに研究しているところでな、巷に未だ逃げ惑う『はぐれ悪魔』って呼ばれる怪物どもの生みの親でもある。悪魔の駒を与えられない程度の奴らが眷属として自分の下僕を集めたい時には、まだ贔屓にされてるらしいぜ?」

 「……マジか。つーか、此処をぶっ壊せば英雄派の名を上げられるチャンスじゃないのか……?」

 

 

 粗方の事情を説明された後、クレオがぽつりと漏らしていた。

 実際、かつてクレオたちのいた組織にも教会からの通達が届いていた討伐依頼などの協力要請の対象は、理性を失くし無差別に人を襲うという『異形の悪魔』らだ。

 エクソシスト側としてはそれらを【悪魔】と断ずるのに異論などなかったであろうが、人の形をしている悪魔が居る一方で明らかに異形であるそれらを本当に同等と扱って良いものかという葛藤だって、クレオの中にもあったのだ。

 事実、自分たちを此処まで護衛してくれた銀髪の少女も【悪魔】だ。

 例えば【禍の団】から外れて再び以前のような仕事に就いたとしても、その討伐対象として【彼女】を討てと命じられたとして、それを実行に移せるはずがないとクレオは良く把握できていた。

 そんな葛藤を知ってか知らずか、リゼヴィムは下品に嗤う。

 

 

 「いひゃひゃ! むーりだって! 此処は天下のルシファードだぜ? 如何に問題のある研究だからと言って、役に立っているのも事実だ。現魔王だって首都を荒らされてたら出張ってくるっての! それに、こんな施設は一つで済むはずがねーしな!」

 

 

 どうやらクレオの予想以上に、悪魔繁栄の弊害は根が深そうであった。

 それはさておき、説明の合間にネフレアは、既に職員らに連れられ実験レポートなんかを閲覧させてもらいに行っている。

 研究結果は害悪そのものだが、【改造】という点に置いては彼女に役に立つことは間違いが無い。

 それと比べると、自分の【杖】は果たしてどうやって強くしてやればよいのだろうか、と途方に暮れるクレオである。

 手持ち無沙汰な現状に、以前の仕事を連想したことで久方振りに思い出したフリードくんは果たして元気にしているだろうか、と益体も無いことが脳裡へと過ぎっていた。

 そんな折、

 

 

 「――リゼヴィム様、ユーグリット様が死にました」

 「――……マジで?」

 

 

 唐突に。

 控えていた少女が口を開いたかと思えば、そんな言葉を漏らす。

 それを疑うまでも無く、事実を事実として捉えたリゼヴィムに肯定するべくか、少女が報告を続けた。

 

 

 「はい。私の同位体である5号・7号・18号が同時に消滅した模様です。自己保全権利を行使すべく侵食阻止の為アストラルラインをカットしましたが、齎された情報は研究所諸共の消滅が最後でした。サーゼクス・ルシファーの【滅殺の魔弾(ルイン・ザ・エクスティンクト)】に近しい性質でしたが、威力・範囲共に規格外に思えます。少なくとも、ユーグリット様の知覚領域の遥か外側から、狙撃に似た形で勧告無く放たれたかと」

 「……あの甘ちゃんのサーゼクス坊やが、仮にも小姑に当るユーグリットにそこまで容赦が無いかね……?」

 「尚、放射された波動は魂をも侵食する属性が付与されていた模様で、」

 「ああ、わかってるわかってる。念のために()()復活するような事態になった場合、ユーグリットからの連携が取れる符丁も決めてあったんだ。それが未だにこっちに無いってことは、本格的に死んだってことだわな。……あっぶねぇな、こいつらが別行動の時で良かったぜ……」

 

 

 リゼヴィムの科白に不穏な背景を感じつつ、クレオには口を挟む間も無い。

 言葉の端はクレオやネフレアの生存を危ぶんでいるようにも聴こえるが、その内心ではまた別の理由が前提に在るようで未だに警戒を薄めさせないでいた。

 

 

 「よし、クレオ君。ネフレアちゃんを早く呼びに行ってくれ、急いで逃げるぞ」

 「に、逃げる? 何から?」

 「話は後だ。こうなってはもう起死回生の手はキミにしかない。キミの持つ【生死覆す万象の杖(ロッド・オブ・アスクレピオス)】が邪龍復活のカギだ」

 

 

 そう言って不敵に嗤う。

 何やら不穏な単語が最後に混じっていた気がするが、彼らの功績は英雄派の為になると曹操からも既に云い含まれているクレオには、その行く末を留めるだけの権利は無い。

 そこはかとない不安を抱えながらも、呑み込もうとする虚のような目を持つその少年から逃れる手段など、彼には想定することすら叶うことは無かったのだった。

 

 

 





~ゲオルク&ヘラクレス「げせぬ」
 烏丸がなんでこんなに強いのかと問われたらやっぱり世界補正ですよね
 この世界が全体的に脳筋じゃなかったら、もっとやり様もあったはずなのにねぇ(憐憫


~イッセーの濡れ場キンクリ
 木場&椿姫「計画通り(ニヤリ」
 (おふたりが共謀したわけでは)ないです


~ユーグリット&その他「ぬわあーーーーーー!?」
 二度と復活できないように執拗なまでにやられてしまったという結果。犯人は一体誰なんだ(棒
 詳細は次回



無駄に小説っぽい出来上がりになった気がするけど、烏丸は相変わらず軽いです
あとリアスさんに備え付けの呪いも一応は残ってます。でもあの子尻が軽いからなぁ…(誹謗


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☆「美少女を悲しませるなって幼馴染が言ってた」

41話ですよ41話!(CV:福●奈恵

…更新した気になってすっかり忘れてました。某アニメが終わったからって主人公の声真似でおどけている場合じゃねぇやハハッ
お詫びというわけではありませんが一部ファンの待ち望んだあの人のエッチシーンです!
ようやくです!
どっちにしろ月内に更新できたから問題無いってことにしておいてください。つーか許してニャン☆(CV:諏訪部順●


 

 さて襲撃者から情報を得て、少なくとも俺を狙っていると思わしき奴を【無月(モドキ)】で塵にした日の雨天の午後。

 無月とは名ばかりの、毒属性魔法の凝縮侵食系広範囲拡散型放射……要するに【腐食の月】みたいな……アレだ、ドクシャが知るところでは前の世界線でエヴァ姉相手に最初の方の模擬戦で使って躱されたなんちゃって魔法だ。

 え? 説明がメタい? 何をいまさら。

 相手が少なくともユーグリットとかいうグレイフィアさん(悪魔政府)からも逃亡をし続ける男なのだし、確かに殺したはずの相手がジークらに情報を与えた人物と特徴が合致したのだから、また復活される恐れだってある。

 そうされない為には、魂にも影響を与える攻撃で滅ぼすのが確実だ。

 帝釈廻天も充分【死体蹴り】に匹敵するけど、この世界の奴らってかなり頑丈だからね。

 ネギま世界みたいに、『大気に魔力』ならぬ『大気にプロテイン』が現実であっても納得できるレベル。

 ありったけの夢を詰め込んで探しに逝こうぜ、ひとつなぎの秘宝を!と倒置法で勧誘されるのも遠くない未来だと推測する。

 前の処の魔女さんから預かったこともある【概念具(アイテム)】をホイホイ使えれば楽だったのだけど、こっちの世界にはこっちの世界なりの法則があるしそもそも手元に件の概念具も既に無いし、俺なりに法則の穴を突く方式(いつもの方法)で試行錯誤した結果でもある。

 ……情報提供者(ジークその他)はどうしたかって?

 無論、ちゃんと帰したさ。肉体は遺っていた少年くんだけはきっちり蘇らせてな。

 襲撃してきた代償として、バーサーカーみたいな奴の復活の見送りと結界系神器の核を戴いたけどな。

 

 本題に戻るが。

 物質世界に存在が反映されている以上、万象合切色即是空、隅から隅に至るまで物質であることに間違いはない。

 ならば魂だって物質の一部だということは、以前にも何処かで語った気がする。

 つまり微生物レベル以上での酵素系分解を発揮し得れば、物質である以上の数十g程度と認識されている情報質量ですらも破壊し得るのではないかな、と推論付けた。

 此れが概念と云う認識範囲の膨張で全体像を把握しきれない情報質量だったりした場合、概念干渉の値に律するのでマジで破壊不可に繋がるのだけど、相手が肉を持った人間大の何某かならやって殺れないことは無い。

 道具レベルの【附加】ならともかくな、主体が何処に逝きつくかも不明瞭な【破壊】までは俺の力量じゃまだ無理っぽいし。

 斬月と、ひとつになることだ……! と、黒崎さんごっこをやって教えてもらった研究所を発破し、後顧の憂いをようやく亡くしたと意気揚々と駒王へ舞い戻ったその帰り道でのことである。

 

 ――雨に打たれてとぼとぼと歩く、なんだかドラマのワンシーンを再現しているように意気消沈とした赤髪の美少女が視界に入った。

 ……つか、グレモリー先輩じゃね?

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 ……温めのシャワーを頭から浴びながら、私は雨で冷えたこの身体をよく洗う。

 暑中の雨は適度に自分の頭を醒ましたけれど、自分の行動で心頭に発した怒りの程は未だ燻ったままだった。

 そう、私は怒っているのだ。

 それは、昨夜私が身体を赦したイッセーが、事前に祐斗と関係を持っていた――という部分に、では無い。

 『私自身が』易々と処女を捧げたという、その事実に憤りを感じ得ないのだ。

 

 そもそも、私は悪魔だ。

 悪魔は貞操観念が人間よりも低いのかと思われがちだが、昨今は人間社会と付き合ううちに程よい貞淑さを維持するような社会通念を備え始めているはずだ。

 そういった考え方の例に漏れず、私だって年頃の女の子並みには自らのハジメテをもっと喜ばしいシチュエーションで喪失したい、程度の感性は持っているのだ。

 しかし、先程も言ったが私は悪魔だ。

 それも貴族位に位置する、将来悪魔社会を牽引する立場に納まるべき女だ。

 悪魔の社会とは、文化を保持し、種の繁栄を支持し、従えるべき者たちを発展させることに主題を置かなくてはならない。

 そういう事実を、私は先日行われた若手悪魔たちの会合にてようやく理解できたのだ。

 

 ――そんな立場の女が、人間の男(烏丸くん)へ好意を持っている等という事実は、あってはならないことだ。

 

 冥界に彼が顔を出した時には動揺したけれど、そもそも彼が私に靡かない時点で、そこいらの男子高校生と同じような感性を持っていない時点で、私に勝ち目はない。

 成就しても不毛な恋。

 そんなものが明確に成立する前に、私はこの気持ちに区切りを付けなくてはならないと、自らを律することに決めていた。

 その矢先に、テニスの勝負にて見せられたイッセーの男らしい覚悟。

 そして、拠るべきところを喪って途方に暮れている母性本能を擽る彼の懇願に、私は簡単に騙されて――。

 

 ……ただ痛く、イッセーが自らの欲望の捌け口としていただけの性行を、初めてなのだから、と受け入れてしまった。

 その事実が、何よりも私の心を憤らせていた。

 

 

 「――グレモリー先輩、着替え買ってきましたよ」

 

 

 ガラス越しに、烏丸くんの声がくぐもって届いたことにハッと気づく。

 街中で偶然会ってしまい若干の気まずさを覚えたモノの、私の様子を見て「そのままでは如何かと」と手近なところへ連れ込まれてしまったのが経緯でもある。

 此処がどういう目的に使われている場所なのか、も理解できるけれど、彼が今寝床としている教会へ悪魔を連れ込むことを考慮されたのかもしれない。

 ……それとも本来の目的なのかしら……。

 まあ、それでもいいと何処かで思っている私が居るのだけれど。

 ……けれど、彼が気遣うその表情には、イッセーみたいにそういう下卑た思惑など覗えないようにも見受けられていた。

 

 

 「え、ええ、ありがとう。ごめんなさいね、こんなことにつきあわせて……」

 「いえ、まあ、通りがかりの縁みたいな奴ですよ」

 

 

 掛ける言葉を濁すような物言いに、烏丸くんなりの優しさを感じてしまう。

 偶然会った時の様相も私は『あんな』だったことだし、何かあったのでは、と心配されているのかもしれない。

 まったく、こんなタイミングで会うなんて、これじゃあ諦める筈だったモノも諦めきれなくなってし、ま、う……。

 

 ………………あら? これってひょっとして、チャンスというやつでは……?

 

 バスルームから離れてゆく彼を、私は思いついてしまった計略に身を任せるべく、キレイに流した身体にバスタオルを添えて、よろけるような足取りで追っていた。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「――烏丸くん……、少し、いいかしら……?」

 

 

 と、湯で上気したグレモリー先輩が、濡れた身体に構うことなくバスルームからふらついて出てくる。

 手にしたバスタオルはほとんど身体を隠しておらず、豊満な乳房やくびれた腰、陶器のように滑らかな素肌の太腿なんかを惜しげも無く露わにしている。

 しかし、その表情はいつもの自信ありげな様相とは打って変わって儚げで、普段見え隠れしている安っぽい娼婦のような雰囲気では無く、まるで男性に乱暴されたばかりの年相応の少女を目の当たりにしている気持ちにさせられる。

 彼女がそんな様子では、流石に俺も生唾を呑み込むわけにもいかず、倒れそうな足取りを支えるべくふらついたその身体を抱き止めるように受け止めた。

 弾みで掴まえたその肩は、今にも折れそうな程にか細い。

 

 

 「ご、ごめんなさい、まだ、身体に力が入らなくて……」

 「……どうしたっていうんです? 先輩らしくないっすね……」

 「……私らしい私って、なにかしら……」

 

 

 嫌な予感が拭えないので、俺も発言が普段の軽口を控えさせられてしまうのだが、そんな俺の言葉尻を取って、グレモリー先輩は問うように、というよりは自問するように顔を伏せていた。

 そんな様子に問うべき言葉も見つけられず、抱き止めたままの姿勢で固まる。

 

 

 「………………」

 「………………」

 

 

 そうしたままの、長い沈黙の後に、先輩がぽつりとようやく言葉を重ねた。

 

 

 「私、ね……イッセーと、寝たの……」

 「……あー、はい。それは、えーと……」

 

 

 なんだろうか、おふたりはそれなりに近い関係であったのだし、祝福すべき言葉を投げかけるべきなのだろうけど、雰囲気はなんか180度違う気がする。

 というか、あれ? 兵藤先輩って、確かこの間ホテル街へ女連れで……。

 

 

 「けど、イッセーはハジメテなんかじゃなくて、他にも、いて……」

 「…………あー……」

 

 

 ……おい、バレてんじゃねえっすよ兵藤先輩。

 そんな俺の呆れたような嘆息に、察せられてしまったのかグレモリー先輩が俺の胸の中から顔を上げる。

 

 

 「……知ってたの……?」

 「いえ、ちょっと見かけただけですけど……」

 「そう……」

 

 

 再び顔を伏せる先輩。

 逃げ場がねぇ、どうしよう。

 

 

 「私は、眷属としても可愛がっているイッセーだから……、あの子がどうしてもって懇願するから……、痛いのも我慢して、処女まで捧げたのに……。……ねえ、烏丸くん……」

 

 

 再び顔を上げるグレモリー先輩。

 その顔は微笑みを浮かべているが、目に光が一切無かった。

 

 

 「こうして眷属の為に身体を削るのが、私らしい私みたい……。なんか、おかしいわよね……?」

 

 

 ハイライトさん、仕事して。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「……んっ、ぃ、っは、ぁ……っ」

 彼女の身で濡れた服は取っ払い、お互いに隠すものも無い生まれたままの姿を晒し合った状態で。

 グレモリー先輩の身体を後ろから抱き、胸の下を通す指先が先輩の秘所をくちゅくちゅと弄る。

 もう片方の腕は抱くように、彼女の豊満な乳房を抱えウエストをぐるりと廻している。

 此処に至るまでには乳首や膣口などの判り易い性感帯などは避け手足・背中・太腿・脇の下・尻と順序良く、女性特有の敏感な薄絹のような柔肌を、時間をかけて触れるか触れないかの境界線を行き交うように全身を愛撫していた。

 乳首も先端を率先して触れるのでは無く、その周辺の乳房を全体的に優しくスローペースで、今も下乳の辺りを抱えるような具合で、時折摘まむ程度の手つきが一番いい。

 そして今弄っているGスポットと呼ばれる場所は、膣口に入れて直ぐ上の指を曲げて届くくらいの位置にあたる。

 徹底的に最奥まで届かせない愛撫だが、グレモリー先輩は先程より小刻みに何度も身を捩らせている。

 擽ったいのか程好いのか、吐息に似たか細い嬌声を漏らす彼女のその秘所は、彼女自身の粘膜でとろりと湿っていた。

 「か、らすま、くん、も、もう、わたしぃ……」

 弄る事十数分と言った処だが、準備は万端のようだ。

 首を傾げるような姿勢でこちらへ懇願する先輩に、俺は微笑んで頷いた。

 

 

 どうしてこんなことになっているかというと、眷属に手酷く裏切られて今にも自殺しそうな雰囲気の先輩を放っておけるわけも無い、という一点に集約する。

 よくよく聞けば、兵藤先輩はグレモリー先輩に対して、彼女の言うように自分が気持ち良くなるためだけのセックスを強要したのだとか。

 とはいえ彼女には未だ痴漢撃退の呪いがあるから、本来ならそんな行為に恭順するはずもない。

 先輩自身が受け入れてしまったという部分も問題なのだが、其処でこんなことが男女の機微というならもうしたくない、などと言い出したのが普通に惜しまれるのだ。

 

 云うまでも無いが、グレモリー先輩は美人で美少女だ。

 スタイルも良いし、世の男どもはこの身体を抱くためならいくらでも積み込むだろうし、幾らでも身を削るだろう。

 俺は元よりそんな【高級食材】を欲するほど身の程知らずなわけでも無いし、手ごろに戴ける美少女(アーシア等)を知ってるからそこまでの対価を支払う気など毛頭ない。

 だが、それとこれとは、別だ。

 こんな美少女が若い身空で干物女の第一歩へとジョブチェンジしようというのを、見す見す見逃しては勿体無い。

 セックスとは気持ちいいモノである、ということを教え込まなくては、この人の将来的にも非常に心苦しい。

 というか、仕掛けた痴漢撃退の術式がやたらと頑強に根強く残っているから、このまま見過ごすとホントガチで子孫が残る可能性がねぇ!

 しかも貴族籍だよね?

 巡り巡って俺の所為、ってことになったら目も当てられねぇわ。

 いろんな意味でな!

 

 今回、必要なことは『性行為を教え込む』という点だ。

 ヴェネラナさんみたいに若いツバメを囲えとまでは云わないが(偏見)、グレイフィアさん並には雌としての欲求を備えさせないとそもそも悪魔としてどうかと思うし。

 そんなわけで本日の課題としては、スローセックスで取り込ませていただく。

 絶頂は少なめを目指して、身体に負担を強いない方向で。

 コレも総て、彼女がセックスを敬遠しないようにするための志向誘導である。

 それには先輩が自立的に行為へ臨むことが必要不可欠であり、そのためにも現状鳴りを潜め欠けている彼女本来の積極性を是非とも発揮し直して貰いたいわけで。

 というか、女子()の雑誌ってそういう方向性で制作されている節が覗えるのだけど? こう、「セックスは愉しい!」みたいなコンセプト。

 いや、最初見た時は「正気かコイツら」って思ったけどさ、実際本来の先輩の志向とも実に相応しいくらいのコンセプトなんじゃないかなーって。

 ほら、悪魔って自分が上になるのを好みそうじゃない?(偏見。

 

 

 「ん、準備は良いみたいっすね」

 緩く、くぱぁ、と広げられる膣穴を指先の感触で解し終えて、ベッドの上へと寝転ぶ先輩の正面へ回り込む。

 今更だが、この場はいつも使わせてもらっているラブホの一室だ。

 先輩悪魔だし、教会に連れて帰るわけにもいかないし。

 「じゃ、覆うように上になって」

 「……う、ぅん……」

 やや意識が朦朧としている気配すら覗える先輩が、幼児みたいに頷いてこちらへ向き直る。

 股座を弄られた弊害か、昨夜受けた破瓜の痛みの弊害か、グレモリー先輩はふらつきながら膝立ちとなって、ベッドの上へ仰向けになる俺の上へと跨る。

 秘所と肉棒がぴたりと寄り添い、いつでも挿入できる姿勢になっていた。

 「ん……っ、は、い、ったぁ……っ!?」

 ぎゅちぃ、とやや肉を押し退けたような感触が肉棒越しに伝わった。

 腰を落とした先輩は呼吸も荒く、仰け反る様な姿勢になってふるふると自らを震わせている。

 そのたびに、ぴんと上を衝く乳首の先が、大きな乳房ごとぷるんとはずんだ。

 「ああ、ちょっと大きかったっすかね。ほら、そんな離れてないで」

 「……っ、……っ、ふっ……、ぉ……っ、ぁ……っ!」

 上体を起こし、背を反っていた先輩を正面から抱くような姿勢へと。

 いわゆる対面座位。

 女子が一番『気持ちイイ』と思える姿勢なんだってサ(小並感。

 

 落とし挿入れ込んだ勢いは反動が凄すぎたのか、目を見開いて呼吸も危なげな先輩を、引き寄せ抱き締め背を撫でる。

 子宮にまで届いたような感触を味わっているだろう彼女の視線は何かを映しているかも定かでは無く、瞳孔の開いたようなその様は痛みのフラッシュバックが思考を蝕んでいる様相すらも覗えさせていた。

 「大丈夫ですよー。ちょっと違和感があるってだけですよー。痛くしませんからねー」

 子供をあやす様に、抱き締めて背中を撫でて、暗示させるように言葉を紡いで気持ちを落ち着かせる。

 過呼吸気味だった様は、ゆっくりと治まって行った。

 

 「……落ち着きました?」

 「~~っ、~っ、ぅ、うん、も、う……へいき、よ……っ?」

 やせ我慢にしか見えないが、微笑むその様は花が綻ぶように儚げにも映る。

 ううむ、やっぱり美少女なんだなぁ。

 「じゃ、ゆっくりと動きますからね」

 「ぇ……っ! んぁっ、ぁあっ……! な、なに、これぇ……っ!?」

 そりゃあ破瓜も済ませていたら後はちょっと押し退けるだけで済む。

 というか、俺のってやっぱ兵藤先輩より大きかったのだろうか。

 まあそんな胡乱な情報は兎も角、膣中(ナカ)で少し自身を反らせるだけで、先輩は小刻みに痙攣していった。

 繋がったままの膣中を反動が出ないように蠢かせるそのたびに、腕の中に身を寄せた先輩が、ぴくりぴくりと身を捩らせる。

 Gスポットと呼べる部分に擦れるときなんかは、声にならない嬌声が掠れたように喉から洩れるが、彼女が一番好きなのは子宮口をトントンと叩く方らしい。

 こうしてるとやっぱヴェネラナさんと親子なんだな、ってくらいそっち方面の嗜好は似ていた。

 

 身を捩るたびに、胸板へ擦りつけられた乳房が潰れる。

 ぷくっと小粒な先端は自己主張が激しく、顔を埋めて噛みつきたくなる誘惑が幾度となく俺を襲った。

 だから、というわけではないが。

 本日はいつものセックスとは趣向を変えようかと思ってみた。

 それはイタズラ心が芽生えたのかもしれない。

 それ以外にも探究心があったのも否定しきれない。

 俺は今日は、ノーメガンテで往こうかと思う。

 

 正面から抱いているので男の夢(おっぱい)には手が届かないのだが、スローセックスとはそういう欲望を曝け出すガン突きとは違う。

 「あっ、ぁっ、ふぁっ、んぅっ、ぁっ、ふあっ?」

 ギシッギシッとベッドのスプリングが遅いテンポで軋む音に合わせるように、目は蕩けて口も半開き、断続して胎に響いているであろう絶頂の小波に漏れていた嬌声は、それまで触れなかった頭部を撫でられたことで疑問符へと替わった。

 「あっ、ふっ、あっ、んっ、ふああっ!」

 が、その瞬間には優しい刺激が快感へと昇華される。

 絶頂が飽和している、とでもいうべきか、弄られ続けたグレモリー先輩の全身は、今だけ何処を触れても性感帯になっているかのように反応する。

 まさに絶頂の確変。

 此処まで来たら、自分が気持ち良くなるための手順も身についている頃だろう。

 そしてそうなった以上、俺の身体の持つ特性上どうしたって不要になってくるものがある。

 察しの良いドクシャの方々ならばもうお分かりだろう、そう、【催淫】のステである。

 

 ではおさらい。

 俺は時間さえあれば魔力を際限なく自分の中で精製できる体質を備えており、その飽和に託けてステータス調整を無理矢理に行うことで精子の着床とかを未然に防ぐことが出来る。

 但し、イメージ上で弄られるステはシーソーみたいな原理がどうしたって働き、一方を下げればもう一方が上昇する、という副作用が発生する。

 これまでは無精子症に近しいレベルで避妊効果を促していたが、その反動として女性へ快感を促す【催淫】効果が極限まで上昇している、という現状だ。

 

 今のグレモリー先輩の状態でそういう媚薬みたいな精子を受け入れれば、本気で俺から離れられなくなってしまうだろう。

 今日は彼女に『セックスを教える』という目的があるのだから、俺だけに引っ付くような娼婦を作る気は更々ない。

 つうか、聞き齧った悪魔の寿命的な問題上、上限に差異が出る人間の男に傾倒する貴族籍って色々とアウトだ。

 そんなわけで【催淫】ステを限界まで下げて、【回数】も装填数という名の屹立現象(勃●)に繋がるし、【総量】もあまり多過ぎると膣に浸み込むことで動物的なマーキング効果を促す恐れもあるから、これらにも制限を掛ける。

 ……『ぶっかけ』にすればいいんじゃないか、という意見に対する答えが此れだ。

 【匂い】って奴は根本的に動物の本能に良く働きかける代物で、(そそ)ごうとしても実は無意識レベルで影響を促すものなのだ。

 動物的マーキングと言ったのも科学由来が根拠に備わっているから控えるべきであって、それ以上に男性からの其れは征服欲の充足と同時に女性に備わっている被支配欲求をも促してしまう。

 要するに、身体に判り易く証を示すことで、女性が男性に対して離れる気を喪失させる効果が覗えてしまう。

 ……まあ、普通はそこまではっきりと効果が出るのではなくプラシボレベルでの影響力だから、結局のところ俺がそうする気が無い、って程度の理由になるのだけれど。

 結果として【命数】と【繁殖】のステが振り切ってしまうのだが、此れで妊娠しても兵藤先輩というサクリファイスが既に場に出現しているから責任逃れも容易いだろうげっへっへ。

 

 「かっ、からすまっ、くぅんっ、もうっ、もうだめぇっ、がまんできないぃっ」

 コアラみたいに抱き着いたグレモリー先輩が、イキ狂ったように蕩けた貌で懇願する。

 フィニッシュを決めて欲しいと、そう願っているのだ。

 それがどういうモノなのかは本能が教えてくれているのだろう。

 断続する嬌声に混じりながら、息も絶え絶えにしがみつく腕の力も強くなり、爪を立てるように俺の肌に跡を残す。

 セックスとは共同作業であり、お互いの身体へ何らかの証を刻み込むことである。

 「あっ! あっ、あっ、あっ、んぁあああああああっっっ!!!」

 はーい、それじゃあおくすりだしますよー。

 今日覚えたことはしっかりと後で役立ててくださいねー。

 なんつって。

 

 

 




(駄目だ。笑うな俺)


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【番☆外☆編】「アスファルトの街抜け出してキミとアバンチュールなんちゃって」

前回評価にて私にやる気が無くなっているのでは等という意見が蔓延る
おいおい、其れは誤解だ
自分の中に在るストーリーをなぞることが優先されてリアスさんに対するエロシーンの配慮が行き届かなかったに過ぎない
やっぱり見た目はさて置き人格的に難ありの彼女を立てるやり方は自分には合わなかったらしいね
いや、忙しさに急かされたリアルの所為でもあるのだけどさ
そんなわけで気分転換
最近出番が無い小猫をメインに据えて夏休みらしい話をやってみよう

尚、今回の話は番外編なのでストーリー上若干の矛盾が出ます
例えば時系列とか住んでるところとかry


 

 

 武蔵小杉くん吹っ飛んだ!

 おいおいまたかよ、という意見が飛び交う中、ビーチバレーに興じていた私も手を止める。

 

 

 「手加減しなよ~烏丸くーん」

 「いや、したよ? したはずなんだけどなぁ……」

 

 

 からからと笑いつつ顔面が雪崩れた武蔵小杉くん本人はどうでもいい様子で、ギャル系の樋笠さんがそらくんを軽く諌める。

 吹っ飛ばした元凶である褐色白髪の細マッチョな彼は、手加減という概念を置き忘れたかのように己の手をじっと見ていた。じゅるり。

 

 現在私たちは夏休みを利用し、クラスメイトと共に海水浴に赴いている。

 男子はクラス内でのサッカー部員の面子にそらくんを加えた総勢6名。

 女子は以前にカラオケに誘われたクラス内でのいわゆる『キレイ処』を私含めて6人。

 場所は駒王町からやや離れた公共海水浴場、所謂『砂の黒い』砂浜だ。

 

 本日はクラスメイトとの交流を盾にグレモリー眷属とは別行動。

 アーシア先輩やリアス部長の割り込みを恐れることなく、日帰りだけどじっくりとそらくんを狙わせて戴く。

 ……え、ギャーくん? ホラ、真夏の太陽が照り付ける太平洋とか吸血鬼にとっては害でしかないですし……(メソラシ。

 

 

 「ま、武蔵小杉はいーや。ジャンプの時、胸ガン見してたしね」

 「……そいや揺れてたな。というか、遊びで跳躍するなよ……」

 「目指せ砂浜の妖精!」

 

 

 目の横ピースで樋笠さんは云う。

 こんな極東の雑然とした海岸で褒め称えられることがそれほどまでに誇らしいか。

 そんな彼女の格好は魅せつけることを目的として憚らぬ、フリルの付いたピンクの水玉ビキニで見る者からすれば何処か下着っぽい。

 揺れたと自称したサイズもリアス部長のIというカップ数には及ばないがFという……私やアーシア先輩と比べると充分に【女子】としての戦闘力は高レベルである。

 ぷるんとはずんだそれを着地後に直しているところを、目を奪われた武蔵小杉くんがそらくんのパスで撃沈したというのが先ほどのダイジェストだ。

 寡聞に自業自得が芳ばしい。

 

 ちなみに私の格好は、上がアンバーレッド(茶の混じった濃いめの赤)のビキニはさて置き、下はホットパンツ履きのパーカー羽織りで、女子としての可愛さよりはややスポーティな装いとなってしまった感がある。

 元よりクラスメイトに見られることを考慮している所為か思い切った格好は選べなかったが、よくよく考えればそらくんも同行するのだしボーイッシュなタイプは避けるべきだったかもしれない。

 ちなみに、上着と下を脱いだら脱いだで若干過剰の場違い感を彷彿とさせる。

 上下赤のビキニとなるだけだが、それはそれで何処のジュニドルかと疑わせるような【いかがわしさ】を個人的に思ってしまった下穿きである。

 まさか胸が無いことでそんな弊害が生まれるとは……。

 幼女趣味に需要がある時代が生んだ、思い掛けない悪辣的解釈ではないかと密かに思う。

 ………………だから別に胸肉が無いことで苦に思って居たりはしない。そもそもそういう方面に需要があるからこそ、私もそらくんと肉体関係を結べたという実績があるのだし。

 

 

 「男子って中々度し難いですよね」

 「烏丸くん、はずむ(樋笠)のを見てたのはキミ意外だし、存分にやっちゃっていいと思うよー」

 

 

 冷めた視線を送るテニス部の岡崎さんに、追随するように気楽な声を投げかけるはバスケ部の寺神戸さん。

 基本健全な男子相応の反応を持っているクラスメイトの中で、例外的に平然と落ち着いた対応を取れることが彼の無駄なモテの秘訣なのかもしれない。

 いや、そらくんの場合は女子にそういう視線を向けないのではなくて、普段見慣れているからTPOを弁えるだけの自制力ではないかと思うけど。

 そういう背景が在る事を知らぬ寺神戸さん(Cカップ)は、勘違いのままに靡くような目を向けている。

 

 

 「ともあれ、ボールが割れてないんならまだ平気な範疇だよな。いくぞオマエラ、首級(クビ)の貯蔵は充分か……!」

 「顔面狙い宣言!?」

 「ストップだ烏丸! ビーチバレーはそういうゲームと違う……!」

 

 

 しかし現状のそらくんは遊ぶ気満々のご様子。

 体育祭の悪夢を彷彿とさせる暗笑を浮かべ、指をワキワキと蠢かせつつルパンダイブを敢行する。

 そらくんの戦いはこれからだ……――ッ!

 

 ……ところで今の科白はなんらかのパロディなのだろうか?

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「そらくん、随分楽しんでましたね……」

 「まーな。こんなに遊んだのはどれくらいぶりだろう……」

 「……そんな遠い目をするくらい暇の無い人生だったのですか?」

 

 

 確か彼も私と同じ15だったはずなのだけど。

 

 

 「去年は八代や瀬戸や種子島と、海を眺める機会に恵まれても遊ぶ程では無かったし……。適度な人ごみに紛れる日常なんてのが随分と遠い受験生やってたからなぁ……」

 「麻帆良中学、でしたっけ? どれだけ生徒に優しくないのですか」

 

 

 聞き覚えの無い学校だが、日本は広いのだし何処かにはあるのだろうくらいの感想で聞き流していた。

 だが、彼の転校前の学校のブラック仕様は本当に義務教育の範疇なのだろうか、とやや不安を掻き立てられる。

 

 

 「さて、それで俺だけを呼んだ理由は?」

 「おや、いわなくちゃわかりませんか?」

 

 

 現在私たちは海の家にいるクラスのみんなと離れ、人気のない岩場へと連れ立ってきている。

 もうこれだけで判るだろうに、そらくんは敢えて惚けるような口調で私を見下ろしていた。

 

 

 「……今日ぐらい我慢できなかったのか?」

 「むしろ今日だからこそ抑えきれないんですけどー……」

 

 

 上目遣いで瞳を潤ませて、彼の胸へとしな垂れかかる。

 胸部装甲は紙のように薄いが、逆説的に『だからこそ』ある微かなふくらみの触れるか触れないかという感触を、際どく行き来する誘惑はクラスメイトらでは生み出しきれないであろう。

 ぶっちゃけ、私の勝てる要素なんてのは自らの身体に幼さが残るが故の【背徳感】ではないかと計算しているのだが、どうか。

 

 

 「……仕方ねーなー」

 「……フィーッシュ」

 

 

 釣れましたよ姉さま!

 草葉の陰でお見守り下さい!

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 上下赤のビキニ、という人目を気に懸けざるを得ない恰好は、相応のスタイルを自負できる女性が着て初めて意味を為す際物だ。

 それを、胸の起伏に乏しく、線も細く四肢も頼りない、幼いとしか言いようのない『子供』が着ている現状は、目の当たりにしてはならないのではと見る者に思わせる程度の背徳感を醸し出す。

 それは奇しくも小猫が思い至った『ジュニアアイドルの撮影』なんかに通じそうな『いかがわしさ』を、目の当たりにした烏丸にも思い浮かばせた。

 だが、そう見えて既に幾度か身体を重ねた間柄でもある。

 コイツは同い年コイツは同い年……、と自分に言い聞かせながら、烏丸は全く豊満とは云い難い、小振りで未成熟なふくらみへと両の手を添えた。

 「アッ、ン……」

 一丁前に色気付いた声音を漏らす小猫に、思いがけず優しい手つきをしていたことを自覚する烏丸。

 このまま水着を剥ぎ取ることも考慮しかけたが、それで下手をして流されてしまっては帰ることも出来ない。

 此処は海辺なのだ、剥いだ水着を放置するというシチュエーションが脳裏に浮かばないわけがない。

 岩場の陰となっている小さな砂浜で、小柄な彼女を後ろから抱いた姿勢のまま、烏丸は無理のない方向を脳内でシミュレートしていた。

 「あっ、そ、らくんっ、んっ、ふぁっ、あっ」

 もにゅもにゅ、と微かな柔らかさが返ってくる、中々乳房とは云い難い平らな柔肌を水着の隙間から弄ぶ。

 猫の化生である小猫は既に蕩け切っており、普段は隠している筈の耳としっぽというあざとい特徴を晒したまま、快感のリズムに声音を弾ませていた。

 ちなみに以前この描写を見事に抜け落としていたのだが、もう今更なので敢えて触れないでほしいと切に願う。

 「んっ、にゃっ、あっ、にゃぁんっんっんむぅっ」

 男の身体にすっぽりと収まっている小柄な少女が小さな胸を弄られながらも、寄せられた顔へ唇を添えて流されるように合わせる。

 ぴちゃぴちゃと海辺とはまた意趣の違う水音を響かせながら、首を捻る様な姿勢なのに小猫は、幸せそうに口中を(まさぐ)る舌先を貪っていた。

 そして、それに合わせて小猫自身の手が、自然と自分の股間へと伸びている。

 欲するようにすべく自然と役から空いた両の手を、発情した雌が蠢く醜悪な姿だ。

 その様は肢体こそ幼くとも、彼女に抱かせていた子供のようなイメージを払拭させる。

 自分で慰めて準備を興す本能に基づいたケダモノの情欲は、火照るその身の熱すらも手放すまいと律する抑制心をも拗らせる。

 そうして【さかり】の付いた雌猫が、疼く身体を自ら雄へ差し出すべく動く。

 そんな『熟成』されて逝く少女の浅ましさが、酷く『あからさま』となっていった。

 

 見上げる小猫の目が、喜色に塗れた好き者の其れへと換わっている。

 瞳孔にハート型の好色が浮かんだような幻想を見下ろした烏丸は、それでも彼女をいじましくも愛おし気に覗っていた。

 「んっ、そらくん……、じゅんび、できましたよ……?」

 前へと備えた小猫の股間の手が水着をずらし、慰撫で濡れそぼつ膣口をくぱぁと広げる。

 そこまではこの姿勢では見えないのだが、口を離した時に微笑みつつ見上げられれば烏丸の逸物もいきり立たざるを得なくなる。

 おう、と簡素に応えて、彼女の身体をひょいと持ち上げた。

 それは見た目通り、実に軽い。

 「あんっ」

 身動ぎひとつで軽々と向きは変わり、互いを抱き合う形へとアクロバティックな体勢変動を促す。

 添えられていた手は弾むような仕草で手放されて、烏丸の首筋へと回す様に添えられた。

 「あふっ、んぅっ、だいしゅきぃ」

 そして襲うように小猫が吸い付いてくる。

 回避する気はなかったが、正面から向き直されたことが何かの琴線を刺激したらしく、小猫からのキスが、舌先が再び烏丸の口中へと侵入していた。

 肉欲とも情欲とも取れる雄の唇を責め求める小猫は、時折目を閉じ舌先の感触を味わうような仕草を魅せつつ、幾度と烏丸の唇へと食らいつきその本能を惜しげも無く晒していた。

 この猫娘、攻め役として優秀過ぎである。

 「んっぷ、ちゅ、んむぅっ、しゅきぃ、だいしゅきぃ」

 しかもそれは狙ってやっているようには思えぬほど激しい求愛で、此処まで求められれば烏丸としても相手がいくら幼い容姿で己の趣味に中々沿わないとしても、さすがに応えないわけにもいかなかった。

 抱き抱える手を背中から下へと伸ばし、小猫の尻へと這わせる。

 「んひゅぅっ……?」

 一瞬、触れられたことで身を捩らせた小猫だったが、それを受け入れる気も()()()あるようで、ほんの少し声音に怪訝が交じった程度で、その後には喜色しか続かない。

 変わらず唇を離さない小猫の尻肉を、空いた両の手で烏丸はくにくにと優しく撫でるように弄んだ。

 「んっ、んっ、んぁっ、ぁっふっ、ひゃぅっ、んぅっ」

 時折離れる唇から、歓ぶような悦楽の声が悲鳴みたいに漏れていた。

 小猫の小振りな尻には贅肉なんてものはほとんどついておらず、つるんと辷る様な柔肌が水着から零れることもなく収まっている。

 その水着の隙間へと指先を這わせ、烏丸は女児の敏感な部分を手慰むように弄んでいるわけだが、そう聞くと途端に犯罪臭が漂い始める。今更かもしれない。

 「んぁっ、ぁっ、ぉっ、んぉっ、っほ、ぁひぃ……っ」

 無遠慮に(まさぐ)る指先は、少女の開け拡げるには憚られる大事な部分を余すことなく虐げて、先程彼女自身の手で拡げられた割れ目を求肥のように容易く分け入っていた。

 その頃には小猫も自ら唇を求める浅ましさも鳴りを潜めるが、焦点の合わない目は空を見上げ烏丸へ抱き着く腕にも力が籠る。

 声にならない嬌声は壊れた玩具みたいに断続的に喉から洩れて、それでも離れない密着した肢体のささやかな柔らかさが、水着越しに烏丸の胸板へぴたぴたと伝わっていた。

 が、その辺りの感触には烏丸自身、いまいちな感想しか抱けないのは仕様が無い。

 求められるのはそういった残念な感触では無く、現状指が分け入っている肉襞の窮屈な膣穴だった。

 「……っは、ぁ、ぁ゛ひぃ゛っ……んぁぁ゛っ、あ゛っ、あ゛ー……っ」

 弄られることが限界に達したのか、小猫がひときわ大きく啼いて腰を浮かす。

 その様子に蠢かせていた指を引き抜くと、へたり、とそのまま腹の上へと力なく依り掛かる少女が出来上がっていた。

 首に腕を回す抱き着いた姿勢のまま、時折びくりびくりと痙攣のようにその身を捩らせる。

 もう一度膣穴へと指を這わせると漏らしたようにぐしゅぐしゅと濡れており、膣口は膣口でひくひくと小さな割れ目を開かせたような形のまま海水とはまた違う潮を溢れさせていた。

 そんな小猫の腰を掴まえて、ぐっと自身の躰から一度離れさせる。

 「……?」

 脱力したままの小猫は意外にも抵抗をせず、されるがまま持ち上げられて――反り立った肉棒へずぶり、と腰を落とされた。

 「――ぁ、っひゅぃ……!?」

 本来一突きでは届かない筈の子宮口まで、ひと息に押し込められて喉から衝撃で空気が漏れる。

 声音とは違う悲鳴が、やはり小さな体には不似合いな体験をさせているのだ、と全力で訴えていた。

 しかし、小猫自身はそうは思わない。

 「っふ、ぎぃ……っ」

 今の行動は烏丸が、『自分から求めた』結果なのだ。

 身体が悲鳴を上げようとも、強張る喉を無理矢理にでも歪ませてでも、烏丸へ力の入らない腕を伸ばして笑うように顔を作る。

 そんな献身を魅せようとした矢先に、その腰は再び持ち上げられていた。

 「ぇあ……? ぁ、んぎぃぃっ!?」

 そうしてまた突き刺さる異物感が、小猫の膣を押し広げる。

 ガチガチに反り立った肉棒が、子宮に届けと云わんばかりに膣穴を押し入って再び侵入していた。

 下胎にその形がはっきりと浮き出ているのでは、と思わせんばかりの衝撃と大きさに、小猫は烏丸へと伸ばしかけていた手を自然と自分の腹へと添えようとする。

 が、再び腰が浮く。

 此処まで来るともう判る、烏丸のやろうとしてることは即ち、

 「っは、や、に゛ゃ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛!?」

 抵抗できないまま、再び奥まで肉棒が突き刺さった。

 完全に理解できていた。

 故に、小猫は遂に堪え切れず悲鳴を上げていた。

 「あ゛っ! に゛ゃぁ゛っ! ん゛ぁっ! に゛ゃう゛ぅぅうっ!」

 奥まで挿入て、入り口まで抜いて、もう一度奥まで。

 そうした衝撃の連続した行為は、セックスというには余りにも乱暴で。

 此れまでとは違う、自分を『労わる』様な愛撫とは一切方向性の替わった、玩具を苛めるような自慰にも似た性行。

 男性が、自分だけが気持ち良くなるために動く、酷く独善とした此れは、もうセックスとは呼べなかった。

 だが、

 「あ゛っ! ん゛ひっ! ぉ゛っ! ん゛ぉおっ!」

 既にケダモノであった小猫は、再び善がり狂う。

 悲鳴でしかなかった声は『出し入れ』される次第に喜色が塗れ、痛ましかったはずの胎は好きな雄の『やりたいこと』を自然と肯定するだけの受け皿として、快感で捩れた脳が感覚を造り替える。

 怯えが交じり始めたはずの目は再び熱で蕩けて、烏丸を愛おし気に見詰める発情した少女のそれへと直ぐに戻っていた。

 いや、これまで以上に『求められている』と誤変換を興した脳からして、其れまで以上にその視線には熱意が籠っていたかもしれない。

 悲鳴を上げていた筈の少女の声音に、悦楽の嬌声が交じり始めたことに気づき、烏丸はその少女の目を見返してしまった。

 「んぉ……っ! だ、ひてぇ……! せいしぃっ、わたしにぃっ、ちょうらいぃぃっ!」

 気づいた時には、もう一度烏丸の首筋へと腕を廻していた。

 ついに抱き着くことに成功した小猫は、されるがまま腰を上下に弄ばれる姿勢のまま、縺れた舌で『その先』を懇願する。

 今その衝撃を受ければ『どうなるか』なんて考えぬままに――。

 「っん、ひっ、あっあっあっあっ、んぉっ、んぉぉーー! んほぉぉおおおおおおっっっ!!!」

 もう限界だったのか、それとも要求に応えたのか。

 噴出する火山のように膨らんだと錯覚させた肉棒の先端から、それこそマグマのようにドロドロの熱い精液が小猫の子宮へと叩きつけられた。

 その総てを受け止めるには小猫の膣では全くキャパが足りず、その勢いのまま突き刺さった肉棒の横から食み出るように噴出してくる。

 当然、その衝撃は今までの比では無い。

 だが、善がり狂った小猫はその衝撃の全てを『快感』として受け入れて――、

 

 「………………っぁ、は……、あへぇ……っ」

 ――力なくだらり、と四肢の全てが投げ出されたように放心した小猫が、抱き着くことも出来ずに烏丸の首筋から離される。

 腰を掴まえられたままの少女の肢体は、白目を剥いたまま口元もだらしなく半開きで、繋がっていた腰からは白濁に染め上げられた粘液がごぼりごぼりと吹き出し自然に落とされるのみ。

 ずれた水着からピンク色の乳首の先端や、陰毛も生えていない股が外気に晒されているが、それを直すような余裕も彼女には残されていない。

 そうなった彼女を見下ろして、烏丸はやや満足げな表情で……。

 「――よし、二回戦行くか」

 「………………………………ふぇっ……!?」

 抱き寄せて、再び弄び始めるのであった。

 

 「――あっ! まってだめ、いまむりぃぃぃっ!?」

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 んほぉぉぉ、たねちゅけしゅごいのぉぉぉ……!

 といった感じで乱れに乱された計5回の中出し祭り。

 そらくんが案外キチクだと云う事がわかってしまった野外の後は、すっかり夕日の海辺です。

 日が沈みかけている情景はノスタルジーを彷彿とさせるくらいロマンチックだけど、正直腰が痛くて立てないのでそれどころじゃありません。

 思わず脳内口調が普段遣いになるくらい、今の私色々不機嫌です。

 

 

 「……殺す気ですか、そらくん」

 「はっはっは、下剋上成功ってところだな」

 「悪びれもしない……!? オンナノコの身体は脆弱なんですからね……!」

 「そのゼイジャクとやらで俺を押し倒してきたのは何時の話だったかな」

 

 

 え、何の話ですか? 小猫ちゃんわかんない。

 

 

 「まあこうしておんぶくらいはしてやるから、それで水に流せ。海だけに!」

 「全然巧くないですよ。というか、こうして貰えなかったら帰る事すら難しいのでホント反省してくれませんかね」

 「水着が流されないように配慮までした俺になんという上から目線」

 「その点は有り難いですが……あ」

 

 

 と、此処で重大な事実を思い出してしまった。

 そらくんの意外と逞しい背中に密着していることよりも、今の今まで忘れていたとある事実に気づいてしまった。

 そんな私の様子に怪訝を抱いたのか、そらくんが振り返る様な素振りで覗ってくる。

 

 

 「どした?」

 「……そらくん、私、大変なことを思い出してしまったのですが……」

 「え、なに、此処に来てシリアス?」

 

 

 

 「私、水泳の練習に付き合ってもらっていません……!」

 

 

 

 約束までしたのに、海に入ることなく海水浴が終わってしまった……!

 そんな重要事項を夕日の沈む海を見乍ら口にしたとき、そらくんもまた絶句したような感情が、その態度に顕わとなっていた。

 そんな気がする。

 

 その後は、また来ればいいじゃん、などという取りとめの無い会話で口約束を取り付けたり、クラスメイトらが先に帰っていたり、夏休み明けの学園でどのような噂が蔓延るのかをワクワクしたりと、実に多彩に終わった海水浴。

 宿泊には至りませんでしたが、そらくんとはまた随分と距離が縮んだような気がします。

 これでこの先出番が少なくても安心ですよね!

 

 

 




これでいいのか…?
未だによくわかりません

ラブコメを描くときはちょっとエッチな描写を忘れないように、という注意を何処かで受けたような気がする…
でもコレ、ラブコメどころかエロコメだから大丈夫なのかねぇ…

尚、途中ある樋笠さんの下の名前は『かしまし』から採用しました(風評被害)


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「後顧の憂いも無いはずなのに、この寒気はナニ…?」

番外編含めて43話目
ストーリーを進めなくちゃ…!(使命感


 

 

 「キャッ!?」

 

 

 ぴらり、とスカートの丈が短いメイド服の裾を捲られて、太腿からお尻に当たる部分を撫ぞられたことを実感します。

 咄嗟の事で驚いてしまいましたが、しかしその感触は決して不快では無く、女性として見て貰えているという部分を知らせてくれるには充分過ぎる触れ合いでした。

 悲鳴に似た声を上げつつも、その手を出した人が誰なのかを知る私は、自分でもわかるちょっと困ったような笑顔で応えます。

 

 

 「も~ぅ、お掃除中ですよぅ、そらくん?」

 「はは、悪い。見ててちょっとシタくなっちゃったからさ」

 「んっ、あんっ」

 

 

 彼のお尻を揉みしだく手つきに身を捩らせ、箒を手にしたままですが甘い声が自分の喉から洩れました。

 そのまま自然な仕草で手は胸に廻り、私の小振りなおっぱいを隠している鎖骨下からお腹の上までの白い薄手の部分を、ぐいっと引っ張って露わにしてしまいます。

 そんな彼に私は依り掛かり、されるがままに顔を後ろへと傾けました。

 

 

 「そらくん、いつも言ってるじゃないですかぁ。先ずはキスから、って」

 「ん、そうだったよな。じゃあアーシア……」

 

 

 応えてくれる彼に、目を閉じたまま自然な仕草で接吻を――……、

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「――っていう夢を見たんです」

 「それを私たちに告げられましても……」

 「アーシア、アンタどんな趣味してんのよ……」

 

 

 昨夜の淫夢を皆さんに語ったところ、ヴァレリーさんは困り顔で、ミッテルトさんはやや引き攣ったような表情で何とも言えない評価を下してくれました。

 残るテレアさんとロッテちゃんも似たような顔ですが、問題は其処では無いのです。

 

 

 「趣味がどうこうでは無く、此処からが重要なんです。そらくんはなんで私にエッチなことをしてくれないんでしょう」

 「知 る か ぁ !」

 

 

 ミッテルトさん、ちょっとトーン落としてください。いきなり叫ばれるとびっくりします。

 

 

 「えーと……、アーシア、ちゃん? 元とはいえキミ、シスターじゃなかったっけ? なんかすっごい爛れてるのはボクの気の所為?」

 「爛れてるとは何ですか、私は純粋にそらくんとイチャイチャしたいだけですっ」

 「爛れてるよ充分……!」

 

 

 ロッテちゃんが絞り出すような声で頭を抱えてしまいます。

 ところで、彼女何処かで見たような容姿なんですよね。

 でも見覚えがあるはずなのに見慣れない、というか……。

 ツインテールが似合わないと思ってしまうのも、理由のひとつなのでしょうか。普通に可愛い娘なのですけど。

 

 

 「そら様もその辺りは配慮しているのではないの? アーシア、貴女元々此処に来た理由が理由でしょう?」

 「それを慰めて貰うという名目で体験の上書をですね……」

 「やだ、この娘凄い姑息……!」

 

 

 色黒メガネのお姉さんテレアさんに姑息認定されてしまいました。

 恋する乙女は何時だって勝負時なんです!

 此処に来ることを堂々と表立てたときに、勝負下着だってキチンと用意したんです。

 男の人が脱がしやすいフロントが紐のぱんつだって持ってます!

 

 

 「覚悟だって完了してるのに、そらくんは朝帰りばっかりで全然エッチしてくれませんし……。お蔭でフラストレーションが溜まってあんな淫夢を……」

 「淫夢云うな」

 

 

 もうちょっとオブラートに包め、とミッテルトさんに窘められます。

 それでもエッチしたいんですけど。

 そらくんと蒸し暑い畳敷きの部屋でラブラブエッチしたいんですけど。

 あーあ、ここが彼の住んでるアパートだったらなぁー……。

 

 

 「……あの、アーシアちゃん、それそらさんに直接頼めばいいんじゃないんですか?」

 「え、やだヴァレリーさんはしたないですよ。男の人にそんなお願いできません……!」

 「アタシらはいいのかオイ」

 

 

 如何にしてそらくんに手を出させるのか、それが重要です。

 正面から攻めても中々に難攻不落、そんなイメージが彼にはあるんですよねぇ……。

 

 そうして本日もまた朝帰りのそらくんを出迎えて、1日が始まります。

 今日は昨日とは打って変わって晴れるみたいですね。

 さぁて、どうやって彼をその気にさせましょうかねぇー……。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「マジかぁ……? まだ足りないってのかぁ……」

 

 

 頭を抱えて銀髪の少年が項垂れる。

 此処まで付き合ってくれたドクシャにはお察しの通り、リゼヴィム並びにクレオとネフレア一味が、ヴォ●デモートの弱点を探すポッ●ーズ(複数形)宜しくひとまとまりとなって山中にてキャンプに興じていた。

 少年少女計4名の目前には、焚き火に炙られる『異形の怪物』の四肢を捥ぎ捌かれて早贄のようにされた姿が。

 大体銀髪少女のグレイフィアモドキちゃん改めエレクトラちゃん(クレオ命名)が10分かけずに屠殺してくれたわけだが、変異を齎したネフレアの【托卵促す怪物の滴(エキドナ・ドロップ)】で『こうなった』大元がそこら(野棲)の蛙だったという事実の方がずっと思い悩ませる理由である。

 人間並みに肥大した腕とか指とかが垣間見える膜張ったその『肉』は、果たして食しても大丈夫な代物と呼んで宜しいのであろうか、と。

 そして、リゼヴィムが懊悩しているのは、そのような凡俗な事態とはまた別件の理由である。

 

 

 「まさか神器だけで足りねぇとはなぁ……」

 

 

 これまで彼らの行動指針を執り図っていたユーグリットが死んだことにより、『目的』への解析技術は大幅に遅延することはリゼヴィムにも予測は出来ていた。

 その上で、これまで纏めていた理論を基に『ひとまず』の試行を試みたところ、致命的な点が見つかってしまったのだ。

 

 

 「リゼヴィム、他に伝手とかないのか? ユーグリットさんの他の研究所とか、」

 「いやぁ、死んだ奴の研究所程危険な場所はねぇぜ? それを俺たちが『どう扱っていいのか』を理解できそうにない以上は、放置が適当さね。あとユーグリットくんを殺した奴が調べに来てないとも限らねぇ」

 「……ああ、確かに鉢合わせるのは嫌だな」

 

 

 程よく焼けた手足を噛み千切るネフレアを尻目に、色んな意味で辟易とした感情を隠せそうにも無いクレオが一緒になって項垂れる。

 元々、自分たちの目的は『邪龍という戦力を備えさせて英雄派並びに【禍の団(カオス・ブリゲード)】の戦力補充』とリゼヴィムからは耳にしているクレオ。

 テロリスト一派の行く末がどうなろうとあまり知ったこっちゃない彼であるが、自分の行く末だけでもなんとか確保したい将来設計であるので、出来ることなら『自分の戦力強化』に繋げたいという野心も備えていたりする。

 だが、それを為そうとする前に、思いがけずに待ったがかかった。

 

 元々、リゼヴィムとユーグリットの目的は【聖杯】を使って戦力の強化を図り、近い将来に冥界現政権の盤上を引っ繰り返そうという野心でもって形成していたものである。

 それも只の戦力では無い、『戦略的にも覆すことが不可能なレベル』の圧倒的な実力差を伴った戦力だ。

 悪魔が悪魔らしく生きられない為、という理由を建前としてはいるが、結局のところは誰も彼もがサーゼクスを筆頭とした現魔王の率いる政権に見限られたことが面白くないのだ。

 だから、先立って味方とするべき『冥界の住民(民意)』を一切気に懸けない、テロリスト(禍の団)へと旧魔王派は転じてしまっていたのであろう。

 その【我が侭】筆頭であるリゼヴィムもまた、己の我を通すためのステータスとして判り易い【龍】、それも誰もが従えることが出来なかった【邪龍】というカテゴリの怪物を戦力として備える。そういう予定を立てていたわけである。

 

 しかし、

 

 

 「【ドラゴン・ゲート】じゃあ契約した相手しか呼べそうにないし、貰っていたアジ・ダハーカ本体には下手な接触も難しい。【アヴェスタ】の連中も他の神話群同様、自分たちの『行く末』って奴を最後まで予定してやがるからにゃぁ」

 「【龍】ってやつらはやっぱりそこらの怪物とランクが違うんだなぁ。ネフレアが『改造』の神器を持っていても、俺が『身体を補える』性能を示しても、『因子』って奴? それが足りないみたいだ」

 

 

 先立って同盟を組めたと思っていた筈の【最強の邪龍】【クロウクルワッハ】には既に見限られてしまっていた。

 その彼の伝手で得られていた、【封印されし三つ首の邪龍】の『因子』はユーグリットが所持していたので、最早この世には無いのだろう。【本体】を探そうにも、『そうするだけの戦力』が足りない現状では明らかに不可能である。

 さてその上で、彼らが『戦力』として邪龍を造ろうとした際、其の為の材料が明らかに足りないことに行き着いてしまった。

 要するに、『魂がこの場に無い』のだ。

 

 

 「【オリオン(冥界)】の研究結果でも無理かぁ」

 「むしろそっちが裏付けになっちまった。技術の大元がどうなっていたかは知らないけど、好き勝手に弄る以前の『素体』がどうしたって必要な実験らしかったし。……かといって、楽に接触できるドラゴンとか知らねぇよ……」

 

 

 技術には原点がある。

 冥界で且つてあった『眷属改造の技術』である【グレイテストオリオン】もまたその例に漏れず、発想なり発見なり発明なり、他人から要求を得るだけに相応しい『技術の上限』があったはずなのだ。

 しかし、其処にまで至ることが出来ず、妥協を重ねて使い易い再現し易い方向へと、研究の指標水準が低下してゆくこともまた珍しくない。

 

 ちなみに、彼らが言っている『龍の因子』として実は【龍の手(トゥワイス・クリティカル)】という十把一絡げレベルの低性能神器の所持者が【禍の団(カオス・ブリゲード)】内の『英雄派』内に居たりするのだが、その点に関しては見事にスルーされているご様子。

 実際のところ、彼らは数が多くある時点で他のドラゴン種とはまた別種の因子を備えており、ドラゴニュートとリザードマンくらいの差異があるのでは、と筆者は見るのだがどうか。

 

 

 「よっし、そんならなんか神話勢が緩い日本でさがそうぜ! 八首の龍とかっているらしいじゃん?」

 「お言葉ですが、八岐大蛇は龍では無く蛇です。どちらかと云えば九頭竜が宜しいかと。まああちらはあちらで祀られておりますが」

 「あ、じゃあ駄目だ。流石に祀られてるモノを引っ張り出すには目立ちすぎる」

 

 

 空気を換える意味合いで声を張ったリゼヴィムだったが、エレクトラに駄目出しを喰らい、更に付け加えられたトリビアがクレオに待ったをかけていた。

 実のところ、原作ではその『悪目立ちする行為』を英雄派が率先して執り(未来予知)、更に日本神話勢が一切反応を見せなかった体たらくという『実績』も既にあるのだが(悪魔の仕事)、その辺りの事情を知らないクレオ君にとってはその選択は常識としては実に一般的なモノの観方でもあった。

 お蔭様で、この世界線上に置いてのバタフライエフェクトが起こったことは作者との秘密だぞ、みんな!

 

 

 「討伐されて封印もされてないくらい放置された過去がある、となるとやっぱり『邪龍』が筆頭になるのよなー。中国の邪龍は沢山いるぞー、キョウコウとかー、ソウリュウとかー。ちなみにインドのヴリトラって奴はアジダハーカと同体だ!」

 「あれ? そうなの?」

 「ちなみに中華系も今は帝釈天が見張ってるってもっぱらの噂だぜ。仕事しすぎだよインドラちんー、柴又ならわかんだけどな!」

 「(……あれ? タイシャクテンって、確か『英雄派(うち)』のスポンサーじゃなかったっけ?)」

 

 

 とリゼヴィムの講釈の中で、流石に悪魔側へと漏らすわけには行かない情報を持っていたクレオが心の中で疑問符を掲げる。

 仏法に帰依した帝釈天がインドではインドラという雷神であった事実は良く知られており、其れゆえかは知らないがこの世界では中華系の色んな分野に手を伸ばしているらしい。

 しかし闘将神仏である彼が十指に入る実力者として数えられることは認められるとしても、出身と起源が似通って古いがその実績には不安しかない梵天が入ることは何故なのか。いやインド神話上最高神らしいから含まれても問題はなさそうだが、それ持ってくるくらいなら立川在住のお兄さん☆らを導入した方がずっとマシでは無いのだろうか。等と、老婆心ながら余計なお世話を働かせて戴く。

 ちなみに帝釈天は確かに原作でもこちらでも英雄派を裏から支持しているが、其れも此れも全て聖書の陣営が目障りである弊害なので仕方がない。表立って言えないのも嫌がらせ改め策のひとつなのだろう。きっと。

 

 

 「……うっし、北欧行こう! 実はルーラヴァーダもちょいと睨み利かせてるけど、オーディンのジッサマもこえーけど、討伐されたけど放置されてる上に封印してる奴も今のところ見当たらないドラゴンに心当たりがある!」

 「なんで最初にその二柱の名前挙げた……! 不安しか湧かないわ、ホントに大丈夫か……!?」

 「あそこにはロキっつう奴もいるからな、神話群の隙は幾らでもある」

 

 

 ついでにフェンリルでも都合つけて貰おうぜー、と呑気なことを話しつつ、程よく焼けた怪物の手足を齧る。

 地球へ赴く前のサ●ヤ人宜しく、野趣溢れる肉の味付けには塩気が少々足りなかった。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 さて、一方こちらはリゼヴィムらの会話内にも出て来た、十把一絡げの大して希少価値も無い神器を備えた人物の棲み処である。

 そんな十把一絡げ以下略のジークフリートくんは、なんとか生き延びたはいいが大幅な戦力低下に頭を抱えて唸っていた。

 

 

 「……結局、生き逃れたのは3人だけか……」

 「……なんで生き逃れられたのだろうねぇ、僕らは……」

 

 

 遠い目で、死んだはずのゲオルク・ファウストが空を見上げる。

 【絶霧(ディメンション・ロスト)】の神器を奪われ死したのであるが、命までは要らん、と【聖杯】で蘇生させられたのが真相である。命を采配したはずなのに、理由が随分と軽いのは気の所為では無い。流石烏丸。さすから!

 

 

 「腕はどうだ、曹操?」

 「……問題は無い、みたいだ」

 

 

 同じく、肩口からごっそりと槍と腕を諸共に抉り取られた漢服の青年が、割と平然とした様子で応えていた。

 しかし、問題はその『平然としていられる事実』であり、被害が甚大なはずなのに後遺症も無いくらいの蘇生を施されて、更に奪われても可笑しくなかった【黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)】も奪われることなく放置されたという事実。

 一番被害を蒙っていても可笑しくなかったはずのリーダーが一番無傷である点が、今回の襲撃の『最大の致命点』を露わとしているのは間違いが無かった。

 まあ、結局烏丸を襲撃した事実がそもそもの致命傷っぽいが。

 

 

 「整理するぞ。ジャンヌは逃走、俺たちに会いに来ない点から見ても、もう【禍の団(カオス・ブリゲード)】は抜けたと思った方が良かろう。抜けられて痛手を蒙ったのは確かだが、報復に動かすだけの戦力も余裕も無い。とりあえず、次に会った時には敵と見做すだけで良いと思う」

 「異議なし。まあ、彼女だってこういう世界で生きてる以上は甘えもないだろうしね。それでももう一度仲間に、とか口にしてきた時には容赦する必要はないと思うよ」

 

 

 シビアだが重要なことを摩り合わせるゲオルクとジーク。

 曹操は異論を備えている節も見受けられるが、現状の発言権は『一回瀕死に成った』以上彼には無い。

 それというのも、彼の『甘い見通し』の所為で『そういう事態』があったのだから、彼は決定権を備えられない【現状お飾りの頭目】という立場に甘んじるしかないのだろう。

 負け犬の遠吠え、とはよく慣用句に顕わとなるが実際の処、負けた時には次に勝つまで鳴くことも許可されないのが世の常である。

 

 

 「ヘラクレスは死亡。流石にアイツが自分から意図して殺した奴までは復活は許されていなかった。……蘇生の可能性がある時点で異常だな。悪魔転生でもないのに……」

 「遺品とかは無いの?」

 「……肉片も残さずに微塵にされたんだぞ……?」

 「ごめん……」

 

 

 青い顔でその時の状況を思い返すジークに、同じように俯くゲオルク。

 それにしたってなんであそこまでやる必要が、とはジークの内心であった。

 

 

 「と、いうわけで。現状禁手に至っている使い手を戦力として見れば、……俺と曹操くらいしか居ない。レオナルドも近いのだが、まだかかるだろうし……ヤバいな、このままじゃ旧魔王派に発言権を持っていかれるぞ」

 

 

 自分たちの身を守るためとはいえ、旧魔王派の主力であったユーグリットの居場所を烏丸へ伝えてしまった事実は実に痛い。

 旧魔王に連れられてテロリストに与した多数の悪魔であるが、彼らは旧魔王という冥界を手中にするだけの正当性があったことに惹かれて戦力として加担していた。

 しかし、旧魔王が軒並み鴨撃ちとされて、唯一のリゼヴィムは行方が知れず、生き残りを率いていたユーグリットも死亡。

 それでも現魔王派閥に戻ろうとすれば冥界で居場所が無いのは確定だろうし、このままテロリストとして敢行するほか逝き手は無い。……『勝ち目』とすらも言えないのが、実に憐れだ。

 

 そんな彼らであるが、英雄派と連携を取った点は首の皮で繋がっていることとほぼ同意でしか無かった。

 だが、其処で起こった英雄派の裏切りとも呼べる『ユーグリットの死』。

 加えて、『戦力の低下』は彼らへの抑止力足り得ない事実にも繋がる。

 いや、先に挙げられたレオナルドの神器である【魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)】を使えば、名の通り戦力足る『魔獣』を数多く輩出できるだろう。

 しかしそれが直接戦力になるからと言って、本当に思う通りに動くとは限らない。

 何より、使い手であるレオナルド本人はまだ子供であり、戦力の運用を明確に采配出来るかと云えば無理としか思えず、そんな彼を旧魔王派の者たちが一端の将と同等と見るかどうかなどは一目瞭然であった。戦争は(指示できる人の)数だよ兄貴! まあ質も大事なのだが。

 【禍の団(カオス・ブリゲード)】全体の主力が減っている現状では、数に合わせて戦略を立てるだけの実力が無いことと一緒である。

 表立って討伐すべき対象を『聖書陣営』としているお蔭で、まだ他神話勢よりスポンサーが在るので生き延びられているのだが、このままではその陰ながらの援助すらも打ち切られる予感がひしひしとしていた。

 

 

 「……いっそヘクセン・ナハトにも援助を申し出ようか……?」

 「え、嫌だぞ俺は」

 「選り好みしていられる立場か、曹操」

 

 

 ゲオルクの言に、真っ先に否定の意を示す曹操であったが、ジークのにべもない言葉で一蹴される。

 説明しよう! 【魔女の夜(ヘクセン・ナハト)】とは!?

 Wikiでググっても碌な情報が出てこない、はぐれ魔法使いの集団のことである!

 ゲオルクも元は別の魔術師集団に属していたが、こうしてはぐれた立場に居る以上は彼らと同等。故に、数を揃えようと云うのならば依り相応の集団を選別しなくては話も持って逝けないという事情なのだろう。

 

 

 「絶対嫌だ……。あの紫BBAを頼るとか、絶対に弱みを握られる……! 俺の事を見る目が異常なんだぞ、食肉植物に捕まった羽虫を見る目と同じように恍惚とした貌で眺めてくる……!」

 「き、気に入られてるんだよきっと」

 「声震えてるじゃないか……!」

 

 

 そんな【魔女の夜】の現首領であるヴァルブルガに碌なイメージを持っていない曹操が、声を震わせ必死で拒否する。

 しかし現実は非情であり、彼らにこれ以外に生き延びる道が今のところ提示されていないのは事実でもある。

 

 

 「曹操、諦めろ」

 「嫌だぁー……っ!」

 

 

 都市伝説扱いされた首領魔女……、一体ナニモノなのだ……!

 ――尚、烏丸は【魔女】という言葉にトラウマに近い忌避感を抱いているので、名乗った時点で今迄のどの『やられ役』よりもずっと手酷い最期を迎えること間違いなしである。具体的に言うならば『容赦も手加減もせず』に『正面から堂々』と『動かなくなる』まで『死ななくなる』まで『延々』と『殺し続け』られる。逃げてー、ヴァルブルガさん今すぐ逃げてぇー!

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 少々覚束無い足取りで、リアス・グレモリーは一晩明けてようやく自分の部屋へと戻ってくることが出来た。

 いや、戻る事だけは簡単に出来たのだが、戻りたくなかった、と云う方が明確かもしれない。

 途中で買った真新しい服を自然な動作で脱ぎ去り、そう言えば下着を着ることを忘れていた、と服の直ぐ下が素肌であった事実に改めて思い至る。

 だが、誰も残っていない自室で全裸となり、服と一緒に購入した除臭剤(ファブ●ーズ)を一頻りベッドの上へと吹きかけると、エアコンを最大にして件のベッドへと座り込み、ようやく人心地付くことが出来た。

 そうして、――余韻に浸る。

 

 

 「~~っ、ふ、ふふっ、んふふっ」

 

 

 身を抱いて貰った感触を、彼の腕が撫ぜた肌の火照りを、雄の胸板に締め付けられた自身の膨らみに移った残り香を。

 記憶に刻まれたそれらを思い起こすたびに、自然と頬が緩む。

 自分が、ずっと求めていた相手に愛して貰ったという事実に、何もかもの柵が全てどうでもよくなってしまったような、そんな多幸感が彼女の脳を支配する。

 要するに、恋が実って浮かれていたわけである。この女は。

 

 

 「はぁんっ、ああ~、もうっ、大好きっ!」

 

 

 そして、リアスにはそれ以上に悦ぶべき、確信があった。

 イッセーがその若い衝動に任せて押し付けるように腰を振ったのに対して、烏丸の場合は浸み込むように一体となった感触を味わえた。

 痛みに対する、それ以上の快感。

 更に、イッセーの時には胎に届いていなかった絶頂が、烏丸の時には子宮の奥にまで届き脳髄をも痺れさせたという実感。

 ひょっとすれば、妊娠したかもしれない。

 それも、イッセーの痕跡を掻き消すようなあの衝撃が在ればこその確信だった。

 

 だが、ドロドロに自身を掻き毟る雌の歓びとは別に、逆に理性的な女としてのリアスが脳の奥で警鐘を鳴らす。

 このままで良いのか、と。

 自分の事情を片付けない限り、彼の証をそのまま残すことなど絶対に出来ない、と。

 

 暫くベッドの上でゴロゴロと余韻に浸っていたリアスであったが、徐に起き上がるとケータイを手に取った。

 短縮ダイヤルで、一番信頼できる『彼女』へ。

 

 

 「――あ、もしもし朱乃? イッセーは? ……、そう、祐斗に預けたのね。丁度いいわ、相談に乗ってくれるかしら?」

 

 

 胎を撫でながら、リアスは聖母も斯くやとも取れる母性溢れる笑みを浮かべる。

 だがそれは同時に女として何かを決意した、または、目標を狙い撃つかのような狩猟人種特有の鋭意な哄笑。

 リアス・グレモリーの躍進は、今から始まる――。

 

 

 





~八岐大蛇
 明確には龍では無く蛇。しかしファンタジーでは大体ドラゴン属性で、神話的形而上の分類でも蛇と竜は同等とされる場合が多いので実はその辺りの違いに問題は無かったりする。漫画でも八()とかって出てくるしね!
 原作では何かと居場所が無い日本神話勢なのに何故かこいつだけ引っ張り出された未来がある。しかし、この世界線では首の一つ多い九頭竜さんが諦められたので登場も見送り。なあに、平気平気、ちょっと誰かさんの出番も消えてヒロイン押しの一巻分が表に出ないだけだから!


~紫BBA
 都市伝説にその名があるが、京都には『なすび婆』という同等の外見を持つ妖怪が伝承に在るという
 現在では大阪なんかに髪の毛が紫のおばちゃんがいたりするが、ヴァルブルガさんは髪の色不明。とりあえず装いが紫一色なので曹操からはこんな認識。面識が原作でもあったかどうかは不明で色々捏造


~魔女
 烏丸からすれば元居た処(ネギま世界)での極大災厄としか認定されていない方々。本物と敵対したら執るべき手段を執る覚悟があるだけなのだが、本人としては決して敵対したくないので大体お蔵入りの筈の直戦闘
 先ず、『不意打ちが利かず』『殺しても死なない』のが『大前提』。彼女らは基本的に『自らのルールの中』で存在しており、『場』を整えられたら勝ち目なんて微塵も無い。言葉を交わすのも論外、意識を向けるのも論外、そもそも戦うことが間違い。それでも『魔女』を受け入れられないのが烏丸の『本領』なので、結局『敵対した場合』は『最大戦力』で迎え撃つ必要がある
 誰が勝てんだそんなもん関わってくるなよチクショウ、が烏丸の魔女らに対する第一認識なので、普段から容赦が無い烏丸が依り問答無用になる一因。魔女必ず殺すマシーンになるのも仕方がない。ヴァルブルガさんの死亡フラグがすっごい惨酷な形で聳え立ってるぅ…!



描き方に色々と不安が残るぅー…
ところどころ文章破綻してねぇかなぁ。更新のテンポって一回踏み外すとずるずる引き摺るよね…


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☆「よーしお兄さんがんばっちゃうぞぉ」

44話目。日常を進めるにしてもエロが合間に挟まっていることが前提だから、やっぱりエロを描かなくちゃ話が進まないんだよね。仕方ないなぁ
…仕方ないという割に内容が…という部分はお察しください

※辻斬り誤字修正感謝。コメント無いのでこの場で多謝をば


 

 

 「――くん、そらくん、起きてくださーい……」

 

 

 微睡みの中、身体を揺するささやかな振動と幼子のような声音が己を苛む。

 それは決して不快に感じるものでは無く、しかしそれでも、納まっている眠りの誘惑に浸ったままでいたいという欲望が、どうしたって俺の意識を水底へと引き摺り込むのだ。

 睡魔とはよく言ったモノで、中々起動を良しとさせない欲求は確かに、魔性のモノに類似性が高い。

 端的に言うなら、朝方眠くて仕方がないのは誰しも同じ。はいロンパ。

 

 

 「アーシア、そんなんじゃ起きないでしょ。見てな」

 

 

 ……ミッテルトの声?

 

 

 「起きなくっちゃ、イタズラしちゃう、ぞっ」

 「っこ!?」

 

 

 脇ぃ!?

 嬉々としたミッテルトの呼びかけと共に、脇腹をぎゅるりと抉り込むようなレバーブロー。

 イタズラってレベルじゃねぇ、コイツ確実に殺す気だ……!

 

 

 「ま、こんなんでも簡単にやれないんだけどねぇ」

 「ダメージゼロでも痛くないわけじゃねえんだぞ……!?」

 

 

 魔力強化が出来ない代わりか、俺は素で人より若干肉体補強が高い。

 修行の成果とも呼べるけど、筋肉の密度が女子程度の攻撃だと内臓まで衝撃を伝えないという無駄性能。それでも鞭打なら普通に痛いし、そもそも死なない人間ってわけでもないから最低限配慮くらいは欲しいでござる。

 五感を意図的にカットできるとはいえ、無効にまで引き上げるのは危機意識の観点から『やりたくない』って意識の方が強いし……。

 と、文句を抱えたまま顔を上げて見れば、バニーガール姿のふたりが目に飛び込んだ。

 

 ――バニーである。

 

 

 「……え、なに此処、天国?」

 「ゲ、なんか烏丸の反応が好印象過ぎてキモイ」

 「やったあ!」

 

 

 もう一度言うが、顰めた貌のミッテルトに、俺の反応に歓びの声を上げ小さく飛び跳ねたアーシアもバニーである。

 ミッテルトはウサ耳やレオタードなんかの基本色は黄色で、白い燕尾服に蝶ネクタイを付け網タイツにハイヒールも穿いた結構本格仕様の格好だ。

 胸部装甲の薄さや手足の特に太腿の細さがバニーガール特有のむっちりとした魅力を感じさせないが、それはそれで若さを推し出す活発さが彼女特有の魅力を惜しげも無く披露しているように見えてくる。うん、改めて俺ロリもイケるな。

 対してアーシアはピンク系でウサ耳とレオタードオンリー。

 タイツと靴も履かず素足を晒したまま燕尾服も着ておらず、胸元肩口二の腕鎖骨に生脚晒して無防備さが凄い。

 それでいて胸元はぴっちりとしたバニースーツの効果なのか、胸が押し上げられていてボリューミー。

 見た目ならばミッテルトよりもずっと『ある』。というか、最初に会った時よりもちょっと育ってる感じがしなくも無い。やだ、著しい娘……ッ。

 そんなアーシアが、ぴょこんと俺のベッドの上へと跳び乗ってきていた。

 

 

 「えへへ、それじゃあそらくん、朝のご奉仕しますね?」

 「待て。毎朝させてるみたいなニュアンスで、」

 「っう、わぁ……、おっきぃ……」

 

 

 止める間もなく、俺の股間に顔を埋めてくる富んだ痴女が此処に居た。

 舌先で裏筋を舐め沿って、亀頭へ口付けして鈴口を窄んだ口で咥えるアーシアさん。

 ふえぇ、テクニックが上達してるよぉ……。

 

 

 「うわ……どんだけ期待してんのよ、アンタ……」

 「違うし、これは単なる生理現象だし」

 

 

 朝勃ちでおっきくなった俺の息子を愛おしそうにハムハムするアーシアはともかく、ミッテルトは引く仕草で見下している。

 だけど、その目がガッツリ視線を動かさないのは何でなのかなぁ?

 つうか説明して? 朝から何のサービスだ。

 

 

 「ミッテルトさんミッテルトさん、イッセーさんのより太くて長いですよ」

 「それアタシに云われても困るんだけど……つかどうやるの?」

 「こうして裏側からですね……、歯を立てないように、舌を伸ばして……」

 「ほほぅ……」

 

 

 可笑しい、文脈の前後が繋がってない。

 ほほぅじゃねーよ、参戦するのかよミッテルトさん。

 正統派ロリバニーさんと明け透けエロバニーさんが揃って俺の股間に顔を埋め始める。

 アーシアが兵藤先輩のをいつ見たのかは察したが、男の子を比べるとか止めてあげてください。

 あとバニーは視覚で愉しみたいなぁ。いいよねウサギさん、お兄さん大好きぃぃぃ!

 

 

 「あ、もう始めちゃってました?」

 「……緑も良いなぁ」

 「あ、ありがとうございます……」

 

 

 はにかむような声音で恥ずかしがるような仕草で、俺の第一声に身を捩らせるヴァレリーが部屋へと入って来た。

 こちらも正統派だが、ミッテルトとの違いはそこそこに肉があるところ。

 日本の食事がお気に召したのか、食生活がアーシアの手によって改善されたのか、程よく肉付きが良くなってきたヴァレリーの胸と太腿がバニーさんらしさを適度に加速させる。

 彼女も細い方だが、彼女の場合は幽閉紛いの日常が成長不全を引き起こしていた感がどうしたって否めない。

 中世なんかの出来の悪いタイプの王族なんかは、見栄を張るのに体調なんて二の次だ、とかいうのは平然とあったらしいし、貴族文化を外聞重視で誂えている異種族系社会集団なんかがいるのも事実だし、吸血鬼の文化もその辺り微妙に信用がならないんだよなぁ。

 まあ、其処から抜けたから今更か。

 今はとりあえず、ヴァレリーのバニーを目の保養にしておこう。

 

 

 「で、なんでまたそんな恰好?」

 

 

 第一声で思いっきり内心が漏れたのはさておき、尽きない疑問にとりあえず応えて欲しい。

 ヴァレリーの砂色ブロンドヘアに緑のウサ耳は似合ってなくも無いが、とりあえず彼女の少々跳ねるような癖っ気の髪ではネコミミの方が映えそうなのは気の所為だろうか、という部分も一先ずスルーだ。

 実はあまり大きくない年上のお姉さん、という微妙にニッチな彼女は、アーシアと比べてワンカップ程度しか上では無い胸の前で手を併せつつ、覗う様な目線をこちらへと向けていた。

 

 

 「えーと、ですね、そらさんはここのところ、ずっと朝帰りでは無いですか」

 「まあ、うん。色々とやる事があってね……」

 

 

 あれ、おかしいな。

 別段悪いことをしてきたわけではないのだけど、なんか心苦しいぞ。

 見上げる視線のヴァレリーから、微妙に目線だけが横滑る。不思議。

 

 

 「はい。それでお疲れのそらさんを労おうとこの通り、元聖女の皆様の働いているお仕事先からサイズの合う衣裳を流してもらいました。コンパニオン、というのですよね?」

 「うん、コンパニオンは性的なことをしてくれる出張サービスと違うけどな」

 「あ。あの方たちのお仕事先はキチンと健全なお仕事らしいので、廻して戴いたこの衣裳も清潔なモノですからご安心してくださいね」

 

 

 と、笑顔で妙に気の利いた科白を口にするヴァレリー。

 うん。お前、其処の処もきっちり把握してるね?

 『疲れを労う』が『=性的サービス』で決定されてるね?

 使い古しで廻されてきたのかどうかは知らんが、どこぞの脂ぎったおっさんの体液で薄汚れた衣裳では無いというのなら問題は無いけどさぁ。

 ……公衆便所、って響きでいきり立つほど薄汚れてるわけじゃ無いしね、俺も。

 

 

 「ロッテとテレアは?」

 「辞退して貰いました。丁度良い割合でご奉仕すべきかと」

 「割合」

 「そらさんって、とりあえず私たち(女性)を気持ち良くさせよう、って心持ちでセックスしますよね? 疲れず気分よく、と考えたら、一先ず1:3で持て成して丁度なのでは、と思いまして」

 

 

 アーシア(グレモリー眷属)の手前晒せない本名を(もじ)ったデビルーク星人(仮)の居場所を問えば、にっこにこと先程から変わらぬ笑顔で応えるヴァレリー。

 ……無駄に俺の事把握されてる。

 裏打ちの無い笑顔に何やら空恐ろしい気配を垣間見た気がするわ……。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 ふっふっふっ!と鼻息荒く、少年が少女に跨って止め処なく腰を打ち付ける。

 突き上げる度にたぷんたぷんと揺れる、少女の胸元の程好いふくらみが少年の腰つきを依り強く奮起させ、付け根から千切れるんじゃないかと思わせんばかりへと、乳房の躍動は激しくなってゆく。

 やや乱暴にも見えるその行為を受ける少女は一切の衣服を剥ぎ取られたまま、苦悶に似た顔つきで少年の強引なそれを受け入れていた。

 あっあっあっ、とリズムに襲われるままに声を上げているが、その目は堪えるように閉じたままで、時折身を(よじ)る様な声を上げてもいる。

 その様は、少年を飽きさせないように自身に縛りつけている、雌蟷螂のような連想を傍目に感じさせても居る。

 「くぉっ、いくっ、またいくぞっ、祐斗ぉっ!」

 「んぁっ、きてっ、いいよぉっ、イッセーくぅんっ!」

 ネタばらしが早いが、このふたりはグレモリー眷属のホモカップルである。

 佑斗が美少女へと女体化して無駄に育った巨乳をイッセーへ晒している、その点を除けば真相が随分と酷いのだが、傍目にはトランス(T)セックス(S)をこよなく愛する変態志向の方々の為にもご用意されたちょいとしたお楽しみ描写なのだが、裏方の詳細はこの辺で割愛とする。

 佑斗の腰を掴まえて、子宮に届けと云わんばかりに膣内出しを噛ます兵藤イッセー。

 相手が本来男性である、という事実は、彼の中には既に無いのかもしれない。

 あと避妊とか。

 

 セミロングの金髪巨乳美少女に変貌した祐斗が、ベッドのスプリングが軋むのもお構いなしに自分へ圧し掛かる親友を優しく抱き返す。

 此れでもう何度目かも判らないセックスだが、祐斗の思惑通りに順調に自身から離れられなくなっているようだ、とイッセーに見えない内心でほくそ笑んでいた。

 自分の部屋へと転がり込んで来た彼が、リアスの元からも追い出された経緯は兎に角聞いたが、其処で「それなら、部長が離れられないようなテクニックを身に附けたらいいんじゃないかな」と【練習台】を申し出たことはチェックメイトにも似た感覚であった。

 実際の処、イッセーのセックスは完全に独り善がりで、自分が気持ち良くなったらこの通り直ぐに動かなくなる。

 其処を指摘することも無く、祐斗は乱暴で強引な種付けを平気で受け入れていた。

 元より悪魔は着床率が悪い。

 其処でもしも自分が懐妊したとしても、それはそれでイッセーが絶対に離れられなくなることに繋がるのだから、とされるがままの祐斗である。

 そこで、もう復活したのかガバッとイッセーが起き上がった。

 「祐斗、ちょっと考えたんだけど、こういうのってどうかな」

 「え、なにを、」

 『Boost!』

 「そしてぇ!」

 『Transfer!』

 佑斗が止める間もなく、赤龍帝の籠手を顕現させたイッセーが倍化を行使し、その力を自身の股間へと譲渡した。

 近年稀に見る最低の神器使用、実例であった。

 「おおぅ、どうだ祐斗、俺のムスコは……」

 「……すっごく、おっきいです……」

 今出したばかりだというのに、ギンギンに勃起しているイッセーのイッセー。

 それもこれも、祐斗の美少女スタイルが魅力的過ぎる所為かもしれない。

 若しくは、ドラゴンとしての絶倫的な資質がイッセーにも備わり始めたのか。

 こんなところで修行の成果が表れるとは、其の修行に付き合った流石のタンニーン(龍王)も咽び啼く。

 長さ太さは【倍化】の【譲渡】で見事に普段の弐倍になり、目測で縦に14cm横に6cm程。

 ぶら下がっている玉袋はパンパンに膨らんでおり、先走る汁は今にも暴発しそうだと自己主張する。

 比較対象が祐斗には自分以外居ないので、硬く反り勃ったソレが意識的に誇張して認識されてしまっていた。

 「こ、コレで突いたらどうなっちゃうのかな、どうなっちゃうのかな!?」

 「い、イッセーくん、とりあえず落ち着いて、逃げないから、ね」

 逃げる気はないが、これまでで充分に拡がっていた祐斗の膣内を更に無理に押し退けようとする行為だ。

 今までも快感というよりは痛みの方がずっと割合が多かったのに、更に痛くなる予感しかせずに及び腰にならざるを得ない祐斗。

 要求され胸で挟むこともシテいたこともあり、見た目だけならば普段の倍になっているソレを男子の感性が残っているままで受け止められるとはとても覗えない。

 しかし鼻息荒く、初めてマスターベーションを覚えたニホンザルのように、イッセーの頭にはもうセックスしか残ってない。

 

 結局この後も無茶苦茶セックスした――。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「――というわけで、イッセーに責任を取らせようかと思って」

 「……リアス、あなたって人は……」

 

 

 能天気、というよりはとてつもなく低俗な策を弄したリアス・グレモリーに、(ワタクシ)姫島朱乃は頭痛が酷くなるのを実感していました。

 兵藤くんにも問題はありますけど、この子の言っていることの重大さがどれほどのモノか、この娘自身理解しきれてないのではないかしら、と不安になります。

 

 ――リアス曰く、兵藤君をグレモリー家の入り婿、つまり自分の旦那に据えよう、と。

 

 この子が好き好んだ相手と寄り添えるのならば、私としても異論なく祝福できます。

 けれど、兵藤君をそうして無理矢理自分の家格に組み込もうというその策の、本当の目的が……。

 

 

 「……『その子』が自分の子では無い、と後になって知った時の彼に、何と云うつもりですの……?」

 「あら、イッセーには祐斗がいるのだし、大丈夫じゃないかしら?」

 

 

 リアスの胎を指して進言する忠告を、さらりと流す彼女。

 ああ、この子は自分を裏切った兵藤君を赦す気はなく、『自分の幸せ』を例え性別に不備が在ろうと推し進める佑斗君も切り捨てることも無く、強欲に纏めてしまおうとしている。

 そのために必要な『モノ』と、なるべくして得た『モノ』が同一であった為に、彼女が此処まで堕ちてしまったことが実に見るに堪えなかった。

 

 その話になったそもそもの始まりは、リアスが妊娠したかもしれない、などと戯言をほざいたことでした。

 しかも、烏丸くんとの子を。

 どういう経緯でそうなったのかも一応聞いたが、それにしたって自覚するまで早すぎるのでは、とも思います。

 想像妊娠だと疑っても許されるレベルの妄言ですが、彼女は出来たことを確信していましたわ。

 知っての通り、悪魔は着床率が随分と低く、子供が出来るのは喜ばしいことです。

 しかし、それを為したのが【魔王の妹】で【貴族の娘】、しかも相手が【人間】であるという事実は、流石に見過ごすことが出来ない前提でもありました。

 

 根本的に、神や悪魔なんかは人間の事を見下しています。

 流石に天使は表立って『そういう目』を露わにしたりはしませんが、良い目を向けていない事もまた事実。

 そんな状況下で、人間との相の子を好意的な立場で育成できるかと問えば、不可能と呼ぶ方がしっくりと来ます。

 ……そういえば、現白龍皇もまた人間と悪魔のハーフだと耳にした記憶が……。

 彼を見るに(あの鎧では中身の性別など不明ですが、おそらくは『彼』でしょう)テロリストにまで与したご様子ですし、やはり正体を知られてどんな未来が待っているのか、想像に難くありませんわね。

 

 話を戻しますが、そんな冥界での悪魔の貴族たちの意識状況では、リアスが人間と結婚するということは生物的なレベルで有りえない事象だと認識されるでしょう。

 その点を例えば烏丸くんへと抗議した結果、滅びるのが冥界の方っぽい懸念はさて置きまして、どの側面からも認知されない事実なのは確実ですわ。

 そんな状況で、着床率が頗る悪い悪魔のそれも貴族の娘に懐妊の兆しが顕れる、という事実は父親がどうであれ社会としては喜ばしい事。

 その事実を逆手にとって、リアスはその【子】を堕胎させようという意見を予め排除するためにも、子の父親は『一応は悪魔』である自分の眷属の兵藤君だ、と正式に『家』へと知らせを出そうとしていたのでした。

 ……改めて鑑みると本当に碌でもない案ですわね。

 

 

 「イッセーには寝込みを襲われて、この『子』には罪なんてないから産んで育てる。そういうシナリオで宜しくね?」

 「………………決定事項、ですの?」

 「だって、そうでもしないとこの子を守れやしないわ。それに、イッセーにはきっちり行為に及んだという実績もあるのだし、あの子をこの先繋いでおくには此れが一番じゃないかしら?」

 

 

 そういえば忘れそうになっていましたけれど、兵藤君は【赤龍帝】というドラゴンの封じられている存在でしたわよね。

 ドラゴンの因果が数々の事件を引き寄せている感がありますけれど、先の事件の数々が彼を強く育てることはほとんどありませんでした。

 一朝一夕に強くなることがどのような人物にも難しいことだとはいえ、今年悪魔に転生したばかりの彼がこの先強くなれないまま、と見るには流石に無理がありますし。

 そんな彼を悪魔として確保できたことは、社会としては僥倖な事実となった筈。

 長い目で成長を待つこともまた、兵藤君をグレモリーに繋ぐ意味合いに含まれているのかもしれません。

 

 しかし、此処で問題が一つ。

 

 

 「生まれてくる子にも依りますけれど、成長すればいくらなんでも見た目で判ってしまう可能性がありますわよ……?」

 「そうなったときの為に朱乃にも声をかけたんじゃないの。最低でも、イッセーが父親だ、っていう証言だけでも問題無いわ。大事なのは第三者に当る立場の声が在る事だから」

 「勉強しなさいとは言ったけれど、こんな計画を立証するためにしろと云ったつもりはありませんわよ……!」

 

 

 本当の問題は、無論そこでは無く。

 ――子供を作れとグレイフィア様から命じられているのが、他でもない私だという事実です……!

 此処でリアスが懐妊したことがグレイフィア様に発覚すれば、私は何をしていたのか、と責め立てられること間違いないですわ……!

 

 

 「リアス、とりあえず、その通達はもう少し時間を置いてから報告しましょう。余りにも早すぎると、流石に本当に着床しているのかどうかが疑わしいですわ」

 「そうかしら。私は今なんだかすっぱいものが食べたいのだけど」

 「気が早いにも程がありますわよ」

 

 

 これは、なんとしても私が妊娠しないとイケませんわね……!

 いい加減、烏丸くんにも本気になって貰わないと……!

 というか、私普通に男子からの人気も高いはずですのに、どうして彼は振り向かないのですか!?

 そっちの趣味ですか!? ロリでコンのお人ですか!?

 リアスを抱いた以上は、ホント今度こそ抱いて貰いますわよ……っ!?

 

 

 




蛇足ですが、手首の半分で太さ、中指を曲げて指先から着いた処までが長さだそうです


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☆「考えて見れば遠慮なんてする必要なかった」

連続エロ回の45話目
大丈夫、前回シーンが少なかったから!
逆にエロくないから大丈夫じゃねえんじゃねえのかという意見もあるけどry



 

 

 「なんか呼ばれたので、いっかい帰ることになりました」

 

 

 朝食の席で、アーシアが言い出したそんな言葉に一同の時間がやや止まる。

 そうか。

 騒動が無いことは嫌では無いが、静かならば静かで微妙に疑わしい矢荷成荘。様子見も兼ねて、俺も一回帰宅した方が良いかもしれん。

 

 

 「……え、大丈夫なの、アーシアちゃん?」

 「まあ、ひとまずは。お父様やお母様にお願いされてしまいましたし、戻らざるを得ないのが本当の処なのですが」

 

 

 ロッテの疑問に苦笑染みた微笑みで返すアーシア。

 実際の処、兵藤先輩にどうこうされた辛さから逃げた、というより、この娘『犯人の親御さん』と同居することに当っての居辛さから逃れて来た、っていうのが真相だからなぁ。

 内情把握何ぞ容易い。そうでなけりゃバニーに扮してご奉仕とかせんだろうよ。

 

 バニー三昧の休日から明けて二日目の事。

 グレモリー側でも話が着いたのか、直接教会に足を運ぶわけにもいかなかったであろうご本人らの姿は無くも、使い魔かと思われる蝙蝠が運んできた手紙で招集令を降されたようである。

 わざわざ夏の日中に蝙蝠飛ばさずとも、単純に電報でも打てば良いのではと思うのは俺だけだろうか。

 

 

 「イッセーさんのご両親にはリアス部長が魔術で話をつけたそうです、でイッセーさんですが、……なにか、こう、暫くはエッチなことを考えられないような被害?を受けているらしく、大丈夫だとか」

 「ナニがあったのよ」

 「わかりません。部長からの手紙にも、『股間を抑えて死にそうな顔になっている』としか。お医者様に見せるそうなので、本当に未知の事態が起こったみたいです」

 

 

 後から知ったが、未熟な状態で【倍加】とかの神器使用を変なところに行使したらしく、その反動で強化した箇所が激痛と収縮と熱とかを伴ってのたうち回っていたらしい。

 一体何処に使用したんですかねぇ……。

 

 要領を得ないアーシアの返答に同じく小首を捻っているミッテルトだが、こんな平然とした様子のロリ系ギャルが一昨日にはバニーで添い寝までしていたのだから、世の中何が起こるかわかったモノでは無いことは確かである。

 尚、ごわごわして寝難かったらしく、夜中の内に寝惚けて脱ぎ散らかされたバニースーツは計3着。

 全裸少女3名に重ねられて眠ることは我が家の簡易ベッドには荷が重すぎたのか、昨日拉げてご臨終となり遊ばれた。500キロまで大丈夫とかって話だったのに、アウトレットはホント信用ならない(偏見。

 

 

 「とりあえず、ご両親に顔を出してあちらの懸念を解消してこようかと。流石にイッセーさんを勘当させたままというのも、ちょっと心苦しいですし」

 「常識的に考えりゃそうされても仕方ない事やらかしたんだし、ほっときゃいいのよアーシアは」

 「いえ、ご家族が一緒に暮らせないのは、やっぱり寂しいですよ」

 

 

 ミッテルトの言葉にそう返すアーシア。

 こうしていると普通にイイ子なのに、なんで夜はああなんだろうか。

 

 

 「なので、そらくんともこれからも一緒に暮らしたいので、ちゃんとお話してきます。やっぱり家族は一緒が一番ですよね」

 「え、それ俺にも適用されるの?」

 

 

 思わず口にしていたら、ミッテルトに屑を見るような目で見下された。俺の内心も察せられているらしい。

 他の奴は半笑いだが、呆れていると言っても過言では無いかもしれない。

 

 

 「烏丸、アンタもうほんと責任とんなさいよ」

 「金は払ったけど」

 「そうじゃなくて。つーか、ここまでアーシアに好かれててナニが嫌だっての? アタシが云うのもなんだけど、こんなイイ子そうそう居ないわよ?」

 「嫌とかそういう問題じゃなくて、俺根本的にしばらくしたら元の所に帰るしなぁ……」

 「その時はついていきますから大丈夫ですよ」

 

 

 えー……、と口を挟んでくる科白に覇気のない声が思わず漏れる。

 拒否られてもぐいぐい来るアーシアにさらりと亭主関白宣言に似た何かを明言されてしまうのだが、やはり辟易とした気分は晴れそうにもない。

 駒王町以外の土地程度の認識かもしれんが、ぶっちゃけ異世界までついてこれるのかこの娘?という点もさることながら、地元に嫁さんがいる俺にとっては危ういことこの上ない未来予測に本気ダッシュを取らざるを得なくなりそう。

 ……マジでついてこられたら俺の死しか覗えない。特に嫁さんからの目で俺のこころがしぬ。まああの人はそうなるのも仕方ないとは思うけれどさぁ。

 逆に愛人状態の皆様に知られたら包囲網が完成する。今でも充分過剰なのに、これ以上取り囲まれればどんな絶倫でも枯れるんじゃないかと。もう2・3人削れても良いんじゃないかなぁ。

 ……つーかあれ? アーシアに俺、嫁さんいること言ってなかったっけ……?

 

 

 「とりあえず、アーシア。兵藤先輩が疲労だか病気だかで弱ってるって話なんだから、更に気を削るような事を告げるのは止めてやれよ。襲うくらい好かれてるんだし、そんな弱ってるところで衝撃の告白されたら、それこそ今後そこの家族にお世話になれなくなるだろ」

 「アーシアが兵藤家に寄生してるみたいな言い方止めなさいよアンタ」

 

 

 ん? いや、其処のご家族がアーシアの事を実の娘みたいに可愛がってるって聞いたから、嫁入りまでは面倒見せて貰うのが孝行になるんじゃないかな、って思ったんだけど。

 云い方悪かったかな。家族の問題に関してはどうにも予測が正しく立たん。真っ当な付き合いとは無縁だったからなぁ。

 ところで、アーシアの元のご両親って今どこで何してんだろうな。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 結局、割と重要そうな問題は先送りとなり、久方振りの帰宅で悲しみが止まらない。

 帰ってみたら人気が在らず、主要メンバーが大家さんのご実家に揃って旅行に出た後だと、居残りの長老に話を伺った。盆休みか何かだろうか。

 抱いていた懸念は不発に終わって晴れやかになっても良いはずなのに、いざ立てた予測が外れるとチョイと寂しい気持ちになる。

 ノスタルジックな感傷を抱きつつも、その脚で新しいベッドでも見つけようかと出直そうとしたところで、姫島先輩に出くわした。

 

 その脚で現在ラブホである。

 どうしてそうなった。

 

 

 「似合うかしら……?」

 「似合わないことは無いと思いますけど……」

 

 

 果たしてお似合いですよ、と言って良いものか。

 現在、姫島先輩の恰好は、青いラメのビニール生地でセパレートな上下のミニスカート。スカートから覗く太腿は白く眩しく、小さ目のネクタイを大きく開いた胸襟で寄せられている谷間で挟み、申し訳程度に頭の上には帽子を乗せている。

 所謂、ミニスカポリス、と言って過言では無い恰好であった。

 

 

 「罪状、烏丸くんはアーシアちゃんと付き合っているにも拘らず、リアスにも手を出したことにより【二股】が適用されることになります。逮捕しちゃいますわよ?」

 「罪状適当過ぎぃ……」

 

 

 本当はそれどころじゃないのだけど。軽く見積もっても8股くらいになるんですけど。

 そうか、この人の中ではまだその辺りなのか。

 ……塔城については把握してないのか?

 

 指で拳銃を作り、撃つような仕草をウィンクして見せる姫島先輩。

 意外とノリノリな先輩に、職業貴賤の観点とかちょいと浮かびかけた白ける話題を振ることは無く、それでも聞かなくちゃいけない事を問わなくてはならない。

 

 

 「で、今日は何なんすか? こんなところまで連れ込んで」

 

 

 さてはエロイことをする気ね! 少女漫画みたいに!

 髪の毛に芋けんぴついてるざます、とかやられて一日で本能寺が立っちゃうのかしら。

 

 

 「ですから言った通り、逮捕しちゃいますわ。リアスにも手を出されているのですし、私もいい加減に待ってるだけではいられなくなってきましたの」

 

 

 そう言ってミニスカを捲り上げる先輩。

 着替えのシーンを覗いていないので今知ったのだが、つるり、とした彼女のパイ●ンがやや間抜けに覗えてしまった。

 ……いや、本気なのは判ったけど、なんでそこで無毛なのを自信満々に晒せるわけですか……?

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 冥界産の毛根から死滅させるなどと云う謳い文句の除毛液を使用したらしく、剃ると顕わとなりそうなぶつぶつの鳥肌も覗わせない滑らかな素股が俺の肉棒の上へと跨っている。

 毛の無いことを忌避する人が日本人には割と多いらしいが、衛生面の観点からも個人的に悪い事とは思ってはいない。が、そこを好ましいと思う日本人は、特に幼女嗜好の気を疑われるらしい。甚だ遺憾である。

 さておき。そんな仕様へ変貌を遂げた彼女が、こちらからはチラチラとしか覗えないようにスカートを穿いたままとはいえ、痴女を彷彿とさせるような恰好で腰を上下するのである。

 これは何かありましたねぇ……。

 

 先輩の名誉の為に言っておくが、この人は恰好がアレだったり上司がアレだったり性癖に種族的トラウマを匂わせてアレな形に歪ませていたりと色々アレだが、基本的なところでは男女間の倫理をそれなりに備えたお人である。

 だからこそ、其処へ一歩踏み出すことで起こるであろう事実予測に破滅願望的な被虐趣味が垣間見えてしまい、グレモリー眷属に必須で常備されているのかと疑わしくもある【残念さ】が浮き彫りになるのだ。

 悪い人では無いんだよ、悪い人では。でもそれさえなけりゃとっくの昔に普通にそこらの男子と付き合って、清い交際を作っていても可笑しくないと思うのに。実に残念な方々だ。

 そんな彼女がこうして俺を誘う様な恰好、実際本番が始まるカウントダウンも振り切った状況、に踏み切っているのには、やはり理由があるのだとは思う。

 あれかね、グレイフィアさん辺りに急かされてるのかね。

 俺の子を、というより、『悪魔を孕ませられる術式』を確保するために彼女に下された命令なのだろうが、実際の処グレイフィアさんが其処まであからさまに俺の事を話しているとは思えない。

 その辺りの事情を語るとすれば、芋づる式に情事にまで明かす必要も出てくるだろうし、冥界のトップの恥部になりそうな事情を『いち眷属悪魔』にまで語っているようなポカを、あの人が遣らかすとは思えないのだ。

 

 ……まあ、実際其処まで細かく考える必要は正直俺にはあんまり無いんだけど。

 上着は脱ぎ捨てられ、姫島先輩の豊満な乳房を隠すモノは一切無く、申し訳程度に首に掛けた短めのネクタイが両側に聳える山のようなそれに挟まれてその身を隠すのみである。役処が実質逆だ。

 グレイフィアさん、ヴェネラナさん、グレモリー先輩と『大盛りの方々』のをこれまで拝見させてもらったが、【若さ】と比例すると姫島先輩の『それ』は断トツ足り得る。

 大きさがメーター越えであることもさることながら、形の良さと張り、柔らかさに美麗さと、同じく若いグレモリー先輩のモノにも引けを取らない。

 彼女が腰を上下させるたびに、僅かな振動だというのにたぷったぷっと、皿に盛り立てのプリンのように小さく弾むのである。

 そう動くことが恥ずかしいのか、はたまた激しく動かれることが自重による痛みを伴ってしまうのか、むしろ前者的な理由を匂わせるような表情で、動くたびに身じろいで苦悶を漏らす。

 こんな状況で『お預け』、と自粛できるほど枯れてるつもりはねえっす。

 「……っ、ぁ」

 自負するわけではないが、馬にも後れぬ逸物は長さだけでも7寸強。

 無理に貫けば胎を潰して子宮口までをもこじ開け得る。それも想像に難くなかったのだろう、反り上がっている俺の息子を凝視して、素股から一歩を踏み出せそうにない姫島先輩が其処に……、……あ、これ違うな。期待した目で凝視してるわ。――この変態(ドM)め……っ。

 清楚とは何の話だったのか。

 そんなことを思いもしたが、抑えつけていても鎌首を擡げる大蛇の如く、悪徳と淫蕩の象徴とも替えられる馬並みの極太を、白魚のような指先が恐々と撫でつける仕草は、やはり何処か経験の無さを覗わせる。

 一応彼女が云うには彼女も初物なので、そうして清いモノを穢しているような行動を熾させることに新雪を踏み荒らすような踏破に似た性的興奮も連想してしまうのだが、やはり此処に至るまでに『摘まんだ』事実が尾を引いているのだろう。

 ぶっちゃけ、姫島先輩をこれから犯すという事実には、罪悪感なんて微塵も無かった。

 今でこそあれだが、アーシアと初めて事を起こそうって時には、一応の申し訳なさだって持ってたのよ本当よ?

 「で、どうしたいんです? 俺は抵抗しないから、好きにやって良いですよ」

 「……くっ」

 『殺せ!』とか『72言ってんだ』とか、明後日の方へ思考が逸れるのは俺だけなのだろう。

 口では俺に強いられている風を装っていますけど、肉棒へ添えられた手は離すことは無いご様子。

 自ら腰を浮かせて秘所に宛がい、鈴口とをぴたりと密着させていた。

 「し、仕方ないですわよね、これは上から命じられたことですもの、リアスにもアーシアちゃんにも、決して裏切る行為ではないのですわ」

 「そうですねー。仕方ないですねー」

 「……余裕ぶってるのも今のうちですわよ」

 はいはい、そういうのいいっすから。

 ジト目を向けているつもりかもしれないが、俺と見合ったその目線はこれからの破瓜を待ち望んでいることがよく覗えるくらい口元を特ににまにまとさせて、嗤うことを抑えつけているようにしか見えなかった。

 「ん、く……っ、ふ……っ」

 そうして腰を落とし、ゆっくりと肉襞を分け入って往く。

 予め準備は既に終えていたのか、秘所は粘つく滴で濡れていた。

 それでも、今迄無理に開かれることの無かった膣穴は、剛穀なケダモノに易々と初めての挿入を赦すことをしない。

 それは彼女の性癖とはまた違う、命としての本能なのだろう。痛みを自ら受け入れようとする馬鹿は、思考を備えた生き物にしか成り得ない。

 息遣いも荒くなり、それ以上進ませればもう戻れない、と身体が悲鳴を上げていることを動悸が全力で知らせている。

 しかし、

 「ーーっ、ふっ、……ふっ、ん……ぁはっ♪」

 膜に触れたところで、姫島朱乃は喜色に満ちた貌を晒し、

 「~~~~~~~っっっ!!!」

 ――そのままひと息に腰を落として、ブチブチブチィ! と伝導する肉を割く衝撃に、白目を剥かんばかりの顔つきで悦んだ。

 その実況をするならば、それまで震えていただけの双丘が勢いと同時にフリーフォールを果たし、ぶるぅんという擬音が覗えそうな激しさで歪に弾み、腰を落とした後もたゆったゆっと跳ねていた。ほとんど無重力おっぱい。――悪魔ってすっげぇな!

 「~~~っ、~~~っ、ぁ……っふぅ……っ」

 痛みが快感に変わる被虐趣味の真骨頂なのか、アヘ顔になるにもう僅か、と云わんばかりの目の剥き具合。

 悲鳴を上げないように、ではなく、快感の声を早々に上げないようにという、ある種の抵抗にも思われ。

 ……もう隠す必要も無いんじゃないかなぁ……。

 「……動いてあげましょうか?」

 「ーーっ、い、いいえ、大丈夫ですわ、烏丸くんの手は、煩わせませんもの」

 先輩のやりたいようにさせていたわけだが、正直この人何をどこまで進めたいのかがちょっと良く分からない。

 俺を下に置きたいのか、それとも本能に身を任せて苛めて欲しいのか。

 年上としてのリードでも見せつけたいのかと初めは思ったが、単に妊娠したいだけなら先輩自身が何かする必要ってあんまりないんだよなぁ。

 ……ひょっとして、自分でもやりたいことが整理ついてないんじゃないのか……?

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「……これは、もう絶望的かもしれませんねぇ」

 「そ、そんな……っ!?」

 

 

 四つん這い且つ尻を突き出した形で、冥界から来た医者に局部と肛門を晒すイッセー。

 玉袋と竿が萎びた芋茎か干し柿かのように縮んでいるそれを暫く触診した後に、スカーフェイスの彼はしみじみと云った。

 同席した祐斗はその答えに絶句するも、今も尚痛みと熱とで苦しんでいるイッセーには受け応える気力が無い。

 現に、触診の為に医療用手袋着用のそれで揉まれるたびに、ひぎぃんほぉなどという気色の悪い悲鳴を上げていただけで、男性にされている事実に抗議の1つも上げることが出来なかった。

 

 

 「なんとか、なんとか助けて貰えないのですか!? イッセーくんのイッセーくんを、もう一度元気に……っ!」

 「へ、へへ、絶望的か……っ」

 「! イッセーくん! 気が付いたの!?」

 「傍で騒がれてちゃ、おちおち寝ても居られねぇぜ……っ」

 

 

 四つん這いの姿勢のままで、声音にだけは力の籠った少年がケツを振る。

 起き上がろうとしているのかもしれないが、正直居た堪れなかった。

 

 

 「センセイ、本当に無理なのか……っ、おれの息子は、もう立てないのか……っ!?」

 「ああ、勘違いしないでください。熱が引けばこの異常な収縮も治まるかと。何らかの術式の反動なのでしょうが、それが収まれば勃起だってすぐに」

 「そ、それじゃあナニが……っ」

 「ただ、一般にも知れていることなのですが、睾丸は正常な精子を作る過程の冷却の為に体外にある内臓です。それが此処まで熱を帯びているとなると、この先子種を作ることが出来るかどうか……」

 

 

 そんな……、と絶望的な答えに声に力も入らない祐斗。

 そこまで同性に想われるとは、良い友人を持った少年だ、とスカーフェイスの医者は内心で良いモノを見たような目で彼らを眺めた。

 それは、羨望にも似た眼差しであったかもしれない。

 

 

 「なんだ、だったら平気じゃねえか……」

 「っ、イッセーくん!? この先子供を作れないって云われてるんだよ!? 何が平気だっていうんだ!?」

 「立つことが出来るなら、負けじゃねぇ……っ!」

 

 

 ぐいーんっ、と膝立ちだった少年が両の脚を真っ直ぐに立ち上がった。

 顔はベッドへ埋めたままなので姿勢的には前屈だ。芋茎みたいな竿がへにょんと揺れる。

 

 

 「熱い魂(性欲)が消えたって言われたわけじゃねえ……っ! 俺の心に燃える情熱が、デカい浪漫(おっぱい)を求める意思があるのなら、俺は何度だって()ち上がれるんだ……っ! それは、決して無意味な戦い(勃起)じゃねぇんだよぉ……っ!!」

 「イッセーくん……っ」

 

 

 なんて熱い心を持った少年なのだろう。

 医者は彼に充てられたのか、忘れかけていた熱いモノへの何かを、この胸にもう一度滾らせられたような錯覚を覚える。

 そんな彼を救ってやれなくて、何が医者だというのか。

 

 

 「……、一つだけ、完全回復への手段があるかもしれません」

 「っ! そ、それはなんですか!? 教えてください、センセイッ!」

 

 

 医者の言葉に掴みかからんばかりに詰め寄るのは付き添っていた少年の方で、患者の彼は医者の言葉をじっと待つ。

 ただの眷属悪魔に教えるには酷く伝手の少ない手段であるから、医者は初め手段として検討していなかった。

 だが、こうして落ち着いているのならば、例え教えても下手に動くようなことにはならない筈だ。

 そう判断し、一つ一つ、必要な手順を指折り伝えようとする。

 

 

 「まず、キャッシュで30,000,000(三千万)。紹介料と購入料として、これが確実に必要になってくる。それをキミに払えるか?」

 「っ」

 「……払います」

 

 

 佑斗は息を呑んだが、イッセーは静かに応えた。

 誰よりも回復を望んでいるのは、間違いなく本人だということを、此処に来てようやく彼はハッキリと口にしたのだ。

 医療行為には、此れが本当に必要なことなのだと、患者自身が先ず望む事こそが必須となる。

 そして、本当に回復することを望むために明確な代償を払えるのか、という事実確認。

 それで終わるわけでは無い、全ては此処からなのだ。

 医者が医者として働くためにも、患者の望みを強く明確に指標として据えなくては、何もかもが始まらない。

 

 

 「どうやってでも払います、何年かかっても払います、だから、俺に、立ち上がる為の力をくれ……っ!」

 「……その言葉が聞きたかった」

 

 

 医者は手を差し伸べる。

 先に口にした『強がり』だけじゃない、本当に『未来』を望んだ声に応えなくて、医者としていられるわけがない。

 その手を掴――めないイッセーは、とりあえず自身のオイナリサンを差し出して握手に応えた。

 此処に、契約は成立した。

 

 

 「では行こうか。――フェニックス家へ」

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「ひっ、はっ、あっ、んぁっ、ぁひぃっ、んひぃぃっ!」

 跨ってばるんばるんと揺れていた乳房は簡易な下克上に伴って、既に俺の下で上下に揺すられている。

 上になっていた筈の姫島先輩を組み敷いて、腰に絡みついて離さない脚の間に自身を押し入り、俺が動くたびに彼女は悦楽の声を幾度と上げる。

 その貌は苦悶とはまた違う快楽に歪み、その手は犬みたいな降伏を顕わとするかのように彼女の顔の横に諸手共に軽く握った形で甲が地を向いていた。

 その身体が揺すれるたびに、メーター越えのJカップという自己申告魔乳が、搗き立ての餅みたいにたわわに震える。

 それすらも気持ちイイのだと云わんばかりに、姫島朱乃は一切の拒絶の行動を取ろうとしなかった。

 「はっ、ぁっ、ああっ、からすまっ、くぅんんっ、もっとぉ、もっとはげしくぅっ!」

 しっかりと目を合わせて笑いながら紅潮として嬉しそうに、もっともっとと欲しがるそれは、とても初体験とは思えないほどに淫蕩に耽っている。

 しかしてそれは、もっと痛くして欲しいのか、はたまた今の此れが気持ちイイからシテ欲しいのか。

 それを判別する指標は残念ながら無い。

 それでも俺が動くことを止めないのは、偏に彼女の身体が魅力的なことに他ならなかった。

 「んひぃっ、んぉっ、あぁーっあっあっあっ!」

 卑猥な声を上げ乍ら、俺の動きに連動して無防備に晒された乳房がたぷんたぷんと激しく揺れる。

 その動きは激しくて、正直かなり痛いのではと覗えるのだが、それでも彼女は恍惚とした笑みを浮かべることを止めやしない。

 やはり痛みを快感へ変換する何某かの回路でも脳内に形成しているのだろうか。本音を言ってしまえば変態だろうが、美女と云うのは例え変質的な性癖でも大抵の男性に受け入れられるのだから得なモノである。

 こんなに変態だというのに、女性としての肉体の魅力は留まることを知らない。

 膣は初物らしくきゅうきゅうに締め付けて、でこぼこの内襞が反り立った亀頭と擦り合い、神経を擽る様な快感を直に教えてくれる。

 掴む腰は程よく締まり、視覚ですっきりと見せながらも、すべすべの肌と肉付きの良さが相俟った太腿が、擦りつける腰付きを更に誘惑する。

 そして何度も云うようであるが、爆乳を越える魔乳と呼ぶレベルのたわわな乳房だ。

 張りと柔らかさの両立に加え、豊満な乳肉に埋もれないピンと勃った桃色の乳首が、好きにして欲しいとプルプル震えながら主張する。

 別に巨乳フェチというわけでも無いのだが、思わずしゃぶりつきたくなるそれは悪魔らしく蠱惑的な母性の誘惑だ。実際何度か味見させてもらった。

 「はひぃぃっ、もっとすってぇ、みるくでるまでぇ、ちゅぱちゅぱしてぇぇ」

 幾度目かの授乳に、姫島先輩が歓びの声を上げる。

 つまり、そういうことが出来るようになるまで、今回は止めないで欲しいという要求なのだ。

 嬉しそうに身体を捩りながら、両の手は一切の行動を取ろうとしない。

 未だに顔の横へ、諸手を上げる招き猫のような姿勢のまま、姫島朱乃はその身を全て晒していた。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 結局私は、私自身の事が一番判っていなかったのでしょうね。

 頭の片隅では悦んではいけないと理解している筈の烏丸くんとの情事を、この身体は嬉々として受け入れてしまっている。

 彼の熱い肉棒が私の中を擦りつけるたびに、私の身体は抗えようのない快感に仰け反ってケダモノのような声を上げる。

 その瞬間には理性なんてものは微塵も喪失してしまっているのに、それでも快楽の波に呑まれてはいけないと警鐘を鳴らす残滓が私の全てを掻き乱すのです。

 親友を裏切っている心苦しさに、後輩の想い人を誘惑していたことに対する罪過の意識、そしてそのふたりを平然と騙している彼の裏事情を把握してしまっていながらも、口出しできない事実が、まるで自分の身体そのものに綱引きの綱が雁字搦めになっているかのように、自らの方向性を曖昧とさせます。

 そうして、自身の決定権すらをも掻き乱されている中で、雌として逞しい雄に抱かれていることに対する生物としての本能(悦び)に更に引き裂かれ、遂には自分のやるべきことすらもわからなくなって。

 ――それが本当の私を起こすことに繋がるとは、思ってもみませんでした。

 「んひぃぃっ! もっとぉ、もっとせいしちょうらぁいぃっ!」

 それは血に依るモノなのか、はたまた幼い頃に翻弄された自らの運命に端を発する心情(トラウマ)に附けられた疵の所為なのか、お腹の中を無理矢理に割き入って来られる異物感が、処女膜を貫通する痛みを伴ったことを初めとするこの行為すらも、私は歓びに替えて受け入れてしまっていました。

 先に要求していたとはいえ、彼が勝手に吐き出す熱い精液を子宮に注がれているこの現状すらも、背筋を走る快感が私の貌をどろどろに溶かし、だらしない欲望に泥酔してこのまま溺れてしまいそうになっている。

 初めの時には、世の男性の大多数が求めて已まないであろうこの身体を以てすれば、烏丸くんなんて下級生の男の子は、直ぐに虜に出来ると、そう思っていたのに。

 今では私の方が、彼の差し出してくる【雄】に夢中になってしまっている。

 グレイフィア様に云われて始めた、悪魔社会との架け橋の為の人身御供でしたけど。

 その結果に彼の子を孕む、それも悪くないと思い始めている私が既に居ます。

 無論、着床し難い悪魔としての種族の特性上、この一回で全てが終わる筈もないので、これからも彼とは何度も身体を重ねることになるのでしょう。

 その未来を思い描いて、私の身体はより激しく悲鳴を上げる。

 それが歓びの声であることは、最早疑いようもない事実になりますわね。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 そうして何度目かの射精も終わる。

 子宮へ叩きつけるように、絶対に孕ませるつもりで出し切ったそれは、上手く行っていれば着床も始まっている頃だろう。

 無論、こんな状態で媚薬効果を引き下げておかなければ、今のアーシア以上の淫乱中毒雌豚になる可能性があったので、結果として命中率がシーソー理論で爆上がりである。

 孕まセックスヨロコンデー!な、某居酒屋をも凌駕する受け入れ態勢にはドン引きだが、いい加減身の回りを整理してとっとと次の話に移りたいので、もうこの人はこれで良いんじゃないかって気にもなってくるし。

 幾度目かの絶叫と一緒に絶頂を迎えた姫島先輩は、白目を剥いた状態でアヘ顔晒して轟沈している。

 こんな様を見せつけられれば百年の恋も冷めるレベルだろうが、まあ俺この人の事なんとも思ってないし。

 とりあえず、やっと黙らせることが出来たので、しばらくは平穏な生活に戻れるかもしれない。

 夏休みもそろそろ中頃、いい加減研究の方にも目を向けないと、時間がもったいないよなぁ。

 

 

 





~バニーどこ行った
 「出来たぞシンイチ、姫島朱乃のエロシーンじゃ!」
 「博士、ヴァレリーは?」
 「くれぐれも悪用するでないぞ」
 「おいヴァレリーはどうした」


~逮捕しちゃうぞ☆
 巫女コスが不評だったので別コスで攻めに来た朱乃さん
 ついでに烏丸ロリコン疑惑を踏まえて下の毛をカット


~スカーフェイス医者
 あの世界観なら居るんじゃないかと思って
 アーイビッリーィマァイラァァーイ


~女子に追い立てられて色々精神的に緩くなってきてる烏丸くん
 みんな逃げろ!妊娠させられるぞ!



尚、今回いちばん書いてて笑えたのはイッセーの下り
お目汚し失礼


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「別に忘れていたわけじゃ無いんだ。ホントなんだ」

ぶっちゃけ覚えているヒト何人いるかな、って感じの46話
※デレマスではありません


 

 

 「――それじゃあイックにゃあーっ! 前川ソーニャで『ネッチュウShowにはキをつけて☆』! 特に前列のお客様方っ、掛け声の上げ過ぎにはご注意にゃん♪」

 

 「「「「「「「ソーニャちゃぁああああああああああんんん!!!!」」」」」」」

 

 

 ノリノリのリズムで曲が始まり、ステージにてネコを模した付け耳と尻尾でデコった美少女が輝く笑顔で手拍子を始める。

 彼女の呼び掛けの通り、前列にて陣取った蛍光ピンクの半被で揃えた男性集団が特に目立つ。

 美少女の注意喚起にテンションMaxなファン一同が、野太い声を全力で張り上げていた。

 

 そんな一部熱狂的なファンがいることにも笑顔を崩さず、観る者に応えようとするまさに輝くような笑顔のままに、手を振り脚を振りポーズを決めて歌い始める。

 街頭ライブのステージを見上げられる仮設会場では人の行き来が滞り、行き交おうとしていた群衆もその美少女の頑張りに足を止める。

 これを機に彼女のファンになることが、ほぼ必然と予想される。

 そんな人々の見上げる其れはまさに『輝く星(アイドル)を見上げる』ような、キラキラとした憧れを向ける者たちにも元気が湧き上がってくるような眼差しであった。

 

 斯く云う俺も、そんな彼女の華やかな姿を見上げる群衆のひとりにしかなれていない。

 その華やかで懸命なステージに充てられたかのように、呆然と彼女を見上げることしか出来やしなかったのである。

 

 ていうか、支取会長だよね。

 

 

 「『恋に浮かれた彼の視線、』『キミが好きだよって』~」

 

 「「「「「「「アイラヴユー!!!」」」」」」」

 

 

 おお、前列の方々もすげぇ揃えて声張ってる。

 紛うことなきアイドル稼業。

 さっき普通に会長と目が合ったのだけど、それでも笑顔崩さずにステージ続けているんだから最早プロだよ。

 

 

 「……ソーナ会長? なぜ、あんなことに……?」

 

 

 同行していた姫島先輩が呆然とした様子で、変わり果てた会長の艶姿を見上げていた。

 個人的にはエッチして終了、で良かったと思ったのだが、ラブホを出た時刻は日もカンカンと射す夏の午後。

 日光に弱い悪魔の特性上、体力を使い切ってやや弱っている今の状態では帰宅も儘ならない、と注文を受けて逆同伴と相成ったわけだが、その果てに余った時間で街中デートにシャレ込まれた事実が如何ともし難い。

 確信犯ポイ姫島先輩であったが、予想外の事態に遭遇しては流石に自分を支えきれないようである。

 

 そんな彼女を腕に抱き着かせつつ、以前の話を思い出す。

 そういえば、俺が注文したんだったか、支取会長のネコミミ関西弁アイドルデビュー。

 今の彼女を見るに、関西弁の部分はどうなってるか窺い知れないが、妹をプロデュースするという魔王様の目的はしっかりと確定した模様。

 その所業はまさに有言実行。

 すげーや魔王様、プロ根性をしっかりと備えさせて最早人格矯正レベルにまで匹敵してそうなキャラ改変促してのアイドルデビューやで。

 セラフォルーさんマジぱねぇっす。

 

 

 「右端ぃっ! 声出てねぇぞぉ!」

 「うっす、スイマセン団長っ」

 「もっと腕をふれぇ! 全力で会長、じゃなくてソーニャちゃんを応援するんだぁっ!!」

 「「「「「「イエッサー、団長!!」」」」」」

 

 

 あ、匙先輩だ。

 間奏の合間に団員と思われる者らに叱責を飛ばす姿を見つける。

 科白から察するに、応援団を設立したかと思われる。

 いや、ファンクラブと変換していいのかね?

 今更だが半被には、『前川ソーニャを応援する団』としっかり名称が縫い付けてあるけど。

 

 尚、ステージ上の会長は普段使いの眼鏡をかけておらず裸眼。

 逆に匙先輩は俺のあげたアイテムで眼鏡族になっており、お互いにささやかなイメージチェンジで身元バレを避けている様子でもある。

 その理屈は分かるのだが、会長の今の芸名の『前川』って何処からやって来たんだよ(驚愕。

 微妙な疑問が解かれる日は、果たして来るのだろうかと不安になってしまう俺がいた。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 「よぉー、邪魔してるぜ烏丸」

 「邪魔してんならお帰り下さいませー」

 「なんだよ連れねぇなあ」

 

 

 嘘嘘冗談、別に無下にする理由も無いっすよ。

 こちらに割と本気でどう扱おうとも思ってない旨があることを理解したのか、帰宅した教会にて待ち構えていたアザゼルさんは少々口元を引き攣らせたような貌で苦笑していた。

 というか、ホントになんで居るのアザゼルさん。呼んでませんけど?

 

 

 「いや、まあ俺にも大した目的も無かったんだがよ、ここにきてチョイと趣旨が替わったわ。……お前色々遣るんならせめて説明の一つくらい言っとけよ!?」

 「え、何怒ってんですか。俺何かしました?」

 「何かっつーか何もしてねぇって思ってる方が可笑しくねぇかな……!?」

 

 

 急に怒ったように絶叫する堕天使のおっさんに困惑しか湧かない。

 もう夕方に差し掛かってる時刻なのに元気だなぁ。

 ああ、この人も闇属性っぽいから悪魔みたいに夜の方が元気なのかしら。光属性と思しき天使から派生した堕天使って闇と光の両属性を備えていそうでサイキョーに見えるよね。どうでもいいけど。

 

 

 「先ずアイツ! ミッテルト! ウチの一員がなんで天使化してお前のところに居るんだよ!? 問い質したらお前の仕業だって簡単に自白し(ゲロッ)たが、その技術は天界からも明かされてねぇ秘中の秘だぞ!」

 

 

 指さす先には未成熟JK系金髪天使が「おかえりー」と手を振っていた。

 丁度いいや、このベッド部屋に運んでおいてくれ。と術式で収納していたキングサイズを手渡す。

 

 

 「次にアイツ! カテレア・レヴィアタンだよな!? なんで生きてんだなんでお前のところに居るんだなんでメイド服を満更でもない様子で着こなしてんだ答えろコラァッ!!」

 

 

 うわちょおもっ、と後ろから手を貸した褐色眼鏡メイドに添えられて、部屋まで往く姿を見送った。

 見覚えの無い恰好をしていたが、アレも多分夜の蝶なお姉さま方の仕送りの品であろう。

 ヴァレリーの仕入れモノが意外にも豊富なラインナップで、今からちょっと楽しみでもある。

 

 

 「最後にアイツ、女体化してるけど、明らかにアスタロト家の次期当主だよな……!? お前とどういう関係なのか、詳しく教えてもらいたいんだが……!?」

 

 

 絶叫したアザゼルさんが息を切らした様子で絞り出すような声をしていた。

 ロッテの姿は見えなかったけど、悪魔の貴族と癒着紛いの疑惑が覗えていち種族の頭としては不安が先立っているのかもしれない。

 堕天使のまとめ役とかやりたくねー、って前に云ってた気がしたのだが、それでもこうして先を見越して不安解消に努めようとしている様からも社畜精神を最早晴らせない気配すら疑える。

 思わず憐みの目を向けて、井形を作りコブシを振り上げているおっさんに説明を始める俺なのであった。

 

 ――少年説明中。

 説明終了――。

 

 

 「………………なるほど、夏休みの初期に吸血鬼領で『禍の団(カオス・ブリゲード)』の奴らの暗躍を知ってそれを殲滅し情報収集の為にカテレアを復活させディオドラ・アスタロトが奴らの一員であることを知って諸共に寝返らせた上でユーグリット・ルキフグスにリゼヴィムを討伐し今に至る、と……」

 

 

 掻い摘んだ説明を終えると、確認の為に口に出したおっさんが頭を抱える。

 もっと明確に云うと、それに女性を7・8人くらい絡ませてようやく俺の夏休みである。

 我ながら爛れた夏を送ってる。

 そんなおっさんと俺に、お茶が入りましたよー、と天然入ったヴァレリーがひょっこりとご登場。

 いっしょに持ってきてくれた茶を呑むに、そういえばアーシアの姿が無いのだから此れを淹れたのもヴァレリーなのだろう。

 王族とは思えないくらい給仕に違和感が無くなってきたのは、果たして良い傾向と見て宜しいのだろうか。

 

 

 「お前どんだけ濃い夏休み過ごしてんだよ……!? リゼヴィムって、リゼヴィム・リヴァン・ルシファーだろ? ヴァーリの爺さんだろ? ラスボスレベルのアイツがテロリストに与してたってのもアレだけど、既に討伐してるって、ヴァーリが聞いたらなんて云うか……!」

 

 

 妙に大仰なフルネームのキャラだが、向こうが戦闘意志を示す前に斃せたんだからもうそれで良くない?

 もっとも、二度目に無月モドキブッパしに行ったときには確認してないから、ひょっとしたら件のリゼヴィムとやらはまだ生きてる可能性もあるけど。

 俺が遣らかしていた天使化とかいう天界側が独占したがってるっぽい技術の疑似が出来てしまったように、人の手に出来ることなんてのは多岐に渡る。

 特にその辺りを攻略する鍵として【神器】なんてモノが蔓延ってる世界線。その一角として今こちらの【手元】にあるヴァレリーだが、【聖杯】に類似した性能の『何か』が見つからないとも限らない話だ。

 技術や能力の独占なんてのは意外にも端から絶対的な決め事なんかでは無く、自分が出来ることは他人にも出来る、と考えておいた方が実はすんなり対応も出来るものであったりする。

 その辺りも教えておいた方がいいかも知れん。

 そもそも、そう考えたからこそユーグリットの生存を予め疑えていたわけであるのだし。

 

 

 「で、そこのお嬢さんが吸血鬼のお姫様ってか。【聖杯】の使い手がハーフヴァンパイアとはなぁ、まあ【バロールの目】も出てるのだし有りえない事とは思わんけどよ」

 「使い方についてはお借りした資料にあったので参考になりましたよ。お礼に土産でも包みますんで、後で持ってってください」

 「……お前の【土産】とか、なんか嫌な予感しかしないんだが」

 

 

 失礼な人である。

 『チェスの駒』に『瓶詰の蛇』が何が嫌なモノかと。

 

 

 「つーか【聖杯】に関するリスクも無しに扱えるって、それだけでメチャクチャチートじゃねーか。なんなのお前? そのまま世界征服とか目指してるわけ?」

 「そんなこったないですが」

 

 

 技術を扱える程度で世界が征服出来たら、【完全なる世界(コズモ・エンテレケイア)】だってもう少しマシに動けていただろうに。

 技術は技術、上限もキャパも可能と不可能の差配だってある。

 『何でもできる』ことが『何でも叶う』ことのイコールでは結びつかないのが現実って奴だよぅ。

 ふぇぇ、この総督はもうちょっとマシに見えたけど、やっぱり『この世界のひと(脳筋)』の筋っぽいよぉ。

 

 脳内でそんなことを思ってるとは恐らく露知らず、堕天使総督は溜め息を吐くと口調を変えた。

 

 

 「ま、後になって問題になりそうな事態を解決して貰えたんなら、これ以上俺からは云う事はねぇな。表立って発表すれば冥界側にスゲェダメージ逝きそうだが、その分だとサーゼクスにも教えてないんだろ?」

 「云う必要あります?」

 「……俺が云う事でもないかもしれんけど、お前ドライだなぁ」

 

 

 アザゼルさんにとっては、俺は冥界の魔王様預かりとでも思われてるんだろうか。

 別段世話になったかと云えばグレイフィアさんにスマホと教会の維持権貰った程度だし、その釣り合いだってそこそこに取れてるつもりではある。

 過剰に引き出しを作って下手な借りで身動きが取れなくなるよりは、悠々生活するためにも無駄な荷を背負うつもりはないのです。

 それにグレイフィアさんには個人的にもお世話になったことだし(意味深)、流石にこれ以上貰うのも悪いかなーって(のワの。

 

 

 「あちらの社会の話に外様が関わっても良い事ないっすよ。向こうは割と好きに踏み込んで来ている様子ですけどね」

 「うん、俺個人としては言い訳にしかならんだろうけどゴメン。これ以上云わんわ」

 

 

 今日の昼の事とか、と思い出してたらアザゼルさん的には色々後ろ暗い部分があるのか、人間社会に手出し踏み出し掻き回してる異種族代表の一角として普通に謝られる。

 悪い人では無いんだろうけどなぁ。

 

 支取会長のアイドル活動略してアイカツはまだ可愛い方であるけど、悪魔らは基本的に召喚と契約によって人間の願いを叶えるという名目で既に『こちらの社会』を侵食していたりする。

 堕天使もどっかで何かしてるのかもしれんけど、今のところ俺個人には被害は無いので知ったことでは無い。

 しかし、既に荒らされてる猟場に口出しする気はないけれど、踏み込まれたくないから踏み込む気はないだけであって、それは決して反撃を想定してないわけでは無い。

 雌伏の時って大事よね。

 

 なんか怖い思考になりかけてるので一端カット。

 別に無理してヘイト値上げるつもりもないので、こういった話題は避けた方が賢明でもある。

 実際、サーゼクスさんが悪魔社会をどう導いていこうとしているのかなんて知ったことでもないし、それを何とかするための前提がそもそも社会基盤に在りそうにないから今みたいな事態になっているのだろうし。

 世の中なんでこうなった、なんてことをよく口にする人は居るのだろうけど、そう口にする奴ってのは基本的に酸いも甘いも味わった回顧しつつある大人の皆さま。そう口にしている前提として社会を組み敷いて来た筈のご本人がいらっしゃるならば、『そうなった社会』を作ったのはそもそも口にしているご本人自身でもあろうに。

 社会を汲むのは間違いなく生きる人らの意図と意志。

 『自分たちが生き易い社会』を目指すためならば先ずは『自分』の身を削ぐことが必須であり、何らかの犠牲を孕むことを覚悟できない者では作ることが出来ないのでは、と逆説的に論じて見る。

 まあ、相応の鋳型が備えられてないのに真似モノの社会を維持しようとしている時点で、そこらで生きる方々に覚悟とやらが見当たらないのは御愛嬌なのかもしれないけど。

 ……ぶっちゃけ、長命種の社会な癖して短命種(人間)の真似事をしてる時点で、色々創造性が足りてないんだよなぁ。どうしてああなってしまったのかしら冥界。

 って、カット出来てねぇ。思考を換えよう。

 

 

 「そういえば、今日はなんでまた来たんで? 胡乱な話をするためでもないでしょうし」

 「胡乱て。……まあ、烏丸自身には正直あまり関わりの無い話だけどな」

 

 

 正直、テロに狙われる社会について論じているほど、不毛で不相応で不仕付けな話題もない。

 頑張れ大人たち。

 

 そういえば、此処は教会なのにアザゼルさんは平気そうでもある。

 そうか、堕天使って一応天使に分類するから、此処の結界に落とされることも無いわけか。

 考えて見たら前に襲撃して来た一団も、一時的に置いていた時にも平気そうであったし、『人間』にも結界は利き難いと。

 ……いかんな、セキュリティが微妙に甘い。

 一応、拠点というか研究所で工房でもある場所なのだし、もう少しセコムを強化すべきか。

 

 

 「お前にはまだ伝えてなかったことだがな、二学期から俺も駒王の教師になることになったんだ。アザゼル先生って呼んでも良いぞ」

 「……教員免許持ってたんすか?」

 「聞くのが真っ先にそれかよ」

 

 

 いや、前の処では教員資格が怪しい子供が先生やってたものだし。

 何気に1年見ていない彼を脳裡に浮かべつつ、駒王という悪魔の領分で教鞭をとる羽目になった堕天使の総督に視線を向ける。

 

 

 「しかしなんでまた。……ヴァーリさんの様子見ですか?」

 「それもあるが違う。堕天使と冥界との融和の為だよ。技術交換も良いがそれより必要なのは人材を充てることだ。悪魔の方だってセラフォルーが外交官やってるらしいからなぁ。人間の社会にだってあるだろ、そういうの」

 「ああ、なるほど」

 「教え甲斐のねぇ奴だな……」

 

 

 セラフォルーさんがアイドルプロデューサーだけでなく外交官までやっていたというのは驚きだが、むしろそれをやっていたからこそこっちの社会で支取会長のアイドルデビューが成功した可能性が微粒子レベルで存在。

 というか、さらりと理解してしまったことを惜しまれるとは此れ如何に。

 普通に納得の貌を晒すと、胡乱気な目を向けられてしまった。げせぬ。

 

 要は、棲み分けをしていたそこらの国が、それぞれのルールを摩り合わせる為の下準備とでもいうべきか。

 3竦みという殺し合い前提の狭量国家間でいきなり仲良くしましょうぜ、とやることほど無謀なことは無い。

 異なる社会観の者らを違えるのは言葉の壁なんかでは無く、根本的には感情である。

 そんな異なる3つの社会が協立してゆくためには足並みを揃えることは必須であり、その『最初の摩り合わせ』として『簡単に危機に陥れ難い人材』をそれぞれの社会に引き合わせているのだろう。

 危機を前提として踏まえることこそ問題ではあるが、元々が喉元に刃先突き付け合わせていた間柄なのだし、現状が人質交換の体にしかなってなくても今はそれでも構っていられない。

 踏んではいけない一線を見極める為にも境界線の定義(ボーダーライン)はしっかりと把握しておかなくてはならないが、『三竦み陣営』にとっての『敵』が明確に頭角を露わにし出している以上、分化交流だけに時間を掛けている暇もない筈であろうし。

 そのために先ず『教師』という体制なのは、多分本当に教えるべき立場の者に教養を積ませる必要性がある為なのだろう。

 特に、兵藤先輩とか。

 あのひと最近悪魔になったばかりな上に、ついこの間まで呑気な高校生であったことだし、一番社会進出が遅れて居そうな感がどうしたって否めない。

 

 

 「といっても、2年なんでしょう? 1年の俺には関係ないような」

 「お前が高1ってことが疑わしいのはさておき、オカルト研究部の顧問にも当る。後々齟齬が無いようにな、ちょいと報告に来たのが今日の目的だ。目的だった、んだけどなぁ……」

 

 

 余計な情報を抱いてしまって胃が痛いようでもある。

 なんかすみません。

 でも疑わしいとはなんだ失礼な。

 

 

 「もう少しで休みも終わるが、ヴァーリの話だと何があったのやらあっちの組織は未だに足並みが揃ってないらしいからな。このままなら二学期早々に火花を散らされるような事態にはならんはずだ。というか、なって欲しくない。だからお前も、あんまり騒動の種を積むんじゃねーぞ烏丸」

 「心外なんすけど」

 「妥当だよ」

 

 

 心外なんすけど?

 問題起こすとしたら俺よりは兵藤先輩とかの方が有り得そうなんだけどなぁ、さっきも思った通りに。

 はっちゃけキャラの多量な2年勢の中でも、特に有名な時点でお察しな先輩だし。

 

 というか、俺はオカ研に所属しているわけではないのに目を点けられるってなんだ。

 帰還の為の研究しかやってねーぞ、マジで。

 後のは精々お遊び程度ですわ。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 そんな会話があったのが既に1週間前。

 夏休みも遂に終わり、新学期として今から全校集会(苦行)が始まるわけだが、学生にとっての苦行というよりは苦労性の校長先生にとっての苦行と変換した方が良いかもしれぬ。

 教頭がドSで、時折校長にヒデェ無茶振りをするんだよな。

 

 まあそれはさておき、全校集会前に軽いホームルームのスタート。

 休みも明けて久方振りに顔を合わせた俺たちの前には、見知らぬ女子が4人ほど並んでいた。

 転校生と云う奴である。

 

 

 「麻帆良学園から来ました、神楽坂明日菜です。そらの愛人です」

 「麻帆良学園から来ました、大河内アキラです。烏丸くんの愛人2号です」

 「麻帆良学園から来た、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。そらの嫁だ」

 

 

 ――烏丸イソラは逃げ出した!

 

 お前らがいるのはとりあえず問題は無いけど開口一番の自己紹介で何つーもん口にしてんだオマエラ!?

 残るひとりの金髪クロワッサンなお嬢様系転校生がスゲェ陰薄くなってんじゃんかよ!

 ヤメタゲテヨォ! キャパなんてとっくに臨界振り切ってんだからねぇ!?

 

 

 





~前川ァ!
 トラトラトゥラァ!我作者!伏線の回収に成功せり!
 (多分誰も覚えてない)


~アザゼルさんマジ苦労人
 嫌な予感がして釘を刺しに来たのに時すでに遅し
 これからもーっと楽しくなるよっ(誰が


~ネギまヒロインがログインしました?
 不評ならば削除しますが



アンケ、取る?(今更
詳細は活動報告にて


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【内政チートという名の】理想と現実が交錯する謝肉祭的な第五章【蹂躙劇】 ※時系列上原作六巻相当
「知ってた」


新章突入!クロスオーバー感溢れる序章的47話です!
え。今更?って思った人、挙手



 

 

 まあ、大体わかっていたことではある。

 

 

「ほぉ、この学校の部室棟にはシャワー室まで備え付けられてるのか。見た目は旧校舎なのに、随分と金のかかった設備だな」

「ていうか、麻帆良(うち)の高等部でもこんな怪しい部活が活動を認められてたりしないのに、部室を貰えている現状が有りえなさすぎるわね。催眠術でも使ってるのかしら此処の部長さん」

「烏丸くん、縄きつくない?」

 

 

 駒王学園二学期の始業式が始まり、みんなが体育館に鮨詰めとなっているであろう現在、俺は麻帆良三人娘に捕えられてオカ研部室にて尋問を受けていた。

 アキラたん、そう聞くくらいなら簀巻き解いて。

 なんでもエヴァ曰く、

 

 

「さて、部屋も確保できたことだし、随分と雌の匂いを纏わりつかせているそらの言い分でも聴くとしようか」

 

 

 ――と。

 ……あれぇ、エヴァさん今人間じゃなかったっけ……? 嗅覚が鋭すぎて軍用犬の疑いすら匂わすレベルぅ。

 

 

「まあどうせ新しいハーレムでしょ? 何人入ったの? もう子供も出来ちゃった?」

「せめて週一でローテできるくらいには留めて欲しいなあ、無理かもしれないけど」

「お前ら寛容すぎるだろう」

 

 

 ホントだよ。

 そしてそう先走って予測立てられると俺が逆さ吊りされてる意味が本気で判らなくなる。

 ところでこの姿勢に覚えがあり過ぎるのだけど、デジャブ?

 あとアキラたん、そのローテーションだと流石に俺でも枯れるから。

 

 

「で、何人に手を出したんだ?」

 

 

 明日菜&アキラたんの寛容さはさておき、微笑んでいるのに目が笑ってないエヴァ様の視線から目を逸らしつつ(罪悪感)、答えなくちゃいけない空気のままに脳内で数えてみる。

 えーと、アーシアゼノヴィアイリナ塔城ヴァレリーミッテルトグレモリー姫島……、

 

 

「し、7、8人、かな?」

「嘘つけ、二桁往ってるだろ」

 

 

 馬鹿な! 何故バレた!?

 

 

「別に、お前が普通に男である以上、女を抱くなとは云う気はないさ。だが、此れだけは約束してもらう」

「はい」

「抱け。私も」

「…………………………はぃ」

「返事が小さい!」

「はいぃ!」

 

 

 麻帆良に居た頃から拒否っていたけど、流石にこと此処に及んでいてはエカテリーナも見過ごせはしなかった模様。

 思考からも外していたグレイフィアさんヴェネラナさんオーフィスなんかまで明確に看破され、彼女の嗅覚にガチの戦慄を覚えざるを得ない。

 結局力技で約束させられてしまったので、近いうちにエヴァとのベッドシーンである。

 やったねそらくん! これで幼女は4人目だよ!(白目。

 

 ほんとに彼女の未熟な身体を慮って避けていたにも拘らず、色んな因果は絡み纏って性的な意味での身動きが取れないくらい雁字搦めである。

 畜生、だから逃げたのに。

 まあ『魔王様からは逃げられない』っていうのは常識だから仕方ないけど、【闇の福音】とかいう厨二ネームがあるからなエヴァ様も。イコールで魔王と同体と見ても間違いはない(過言。

 

 修業時代の名残というよりは完全に実力としてこの有様な俺はさておき、ふと視線をずらせば部室の入り口に塔城とヴラディの姿があった。

 

 

「あ、始業式もう終わったんか。どした、目を丸くして」

「――そのまま訊くんですか……!?」

 

 

 あれ、何故か驚愕されてる。げせぬ。

 

 

「今更だけど部室借りてるぞ、人が来なさそうなところが思いつかなくてさ」

「思い返せば、烏丸くんって結構部室を私物化してるよね……」

「いやちょっとツッコミ入れましょうよ……っ! なんで烏丸くんもギャーくんも平然と続けるのですか……!」

 

 

 妙に猛ってる塔城はさておき、こうして断りだけでも入れて置けば後々問題にはならないだろう。

 そんな姑息思考がお気に召さなかったのか、物語(コメディー)定石(セオリー)は新しい風を吹かせてくれる。

 

 

「「「「「……何事!?」」」」」

 

 

 入り口にはグレモリー先輩を初めとした、オカ研の面子が揃い踏みであった。

 ちっ、逃げ遅れたか。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

「まず、知らない子もいることだし自己紹介から始めましょうか」

「れ、レイヴェル・フェニックスと申します。お恥ずかしながら、ライザー・フェニックスの『僧侶(ヴィショップ)』を務めていましたわ」

 

 

 グレモリー先輩の先駆けに、最初に応えたのは金髪クロワッサンのお嬢様であった。

 おお、麻帆良三人娘のインパクトで薄れていたが、ウチのクラスに入って来た転校生ではなかろうか。

 なに? また悪魔関連なの? いい加減にしてよ。

 

 

「で、誰?」

「え、さあ」

「すまん、私も判らない」

 

 

 そう口々にするのは俺・イリナちゃん・ゼノヴィアちゃんの三名。

 教えてくれ、ライザーって誰。

 

 

「イリナさんとゼノヴィアさんはさておき、なんで烏丸くんは覚えてないのですか……。以前にこの部屋で貴方が十字架でのた打ち回らせたホスト崩れです」

「小猫様の紹介に悪意しか伺えられませんわ……!?」

「そんな奴いたっけ」

「そしてこちらは微塵も覚えてない……!」

 

 

 わりとガチで思い出せない。

 そんなことより、のた打ち回るの語源は蒐場(ぬたば)という獣の泥浴場の事で、泥に塗れて転げまわることから来ているらしいね。関係ないですかそうですか。

 

 

「まあライザーはどうでもいいわ。彼女は留学という形で冥界から出て来たのだけど、あなたたちに注意してほしいことは特にないわ。強いて挙げるなら、仲良くしてあげてね特に一年の子たち」

「え、注意して云われにゃ仲良くできん様な子なの?」

「ホラ、小猫ちゃんは基本的に狩猟する側だから……」

「心外なんですけど?」

 

 

 グレモリー先輩の紹介の仕方の方が微妙に手酷い感じが芳ばしいが、槍玉に挙げられた俺たちは聴こえる程度の声音で囁き合う。

 その脇で、リアルタイムで『おめーの席ねーから』と新人イジメ喰らってるクロワッサンが頭を下げた。

 

 

「リアス様の紹介の仕方の方が微妙に手酷いのですが、どうか緩めに受け入れていただければと……。此処を逃すと渋々実家へ戻らなくてはならなくなりますの」

 

 

 微妙にメンタル強い娘だなぁ、と思いつつ、何故実家に戻りたくないのかが窺い知れぬ。

 そんな俺の疑問には、横に来たアーシアが答えてくれた。

 

 

「なんでも、今フェニックス家にはイッセーさんが出向してるみたいです。治療の為、だとか……」

「ああ、居ないと思ったら」

 

 

 その付き添いだろうか、木場先輩の姿も無い。

 新学期に間に合わなかったご様子だが、出来ることなら兵藤先輩には特に紹介したくない身内がサプライズで押し掛けて来られたモノだし、結果としてはオーライとしておこう。

 そして遠回しに先輩に近づかれたく無さそうな感情が垣間見えているクロワッサンの思惑に、やや滂沱が止まらない。

 兵藤先輩、アンタこの子に何したんすか」

 

 

「口に出てますよそらくん」

「え、マジで?」

「此処一週間ほど、屋敷の娘たちへのモーションが酷くて酷くて……。留学の件が無ければ今頃あの男のモノを銜えさせられていても可笑しくありませんでしたわ」

「……うん、この話止めようか!」

「そ、そうですね!」

 

 

 アーシアに注意されたと思ったらクロワッサンの答えが中々笑えそうになかった。

 現状、この場の女子連中と色々やらかしている身としては本気で笑い飛ばせそうにない。

 

 

「で、そちらの子たちなのだけど……」

 

 

 そしてここにきて、同席しているエヴァたち麻帆良三人娘に視線が向く。

 差し出された紅茶を優雅に呑む様は紅魔館の運命的な緋色を彷彿とさせるが、残念ながらPAD長の姿は今はない。

 

 

「ああ、私たちの事は気にするな。そらも見つかったし、少ししたら帰るさ」

「そういうわけにもいかんだろ……」

 

 

 いつの間にか参加していたアザゼル先生が、悩まし気に抱えていた頭を上げてエヴァ様の言にツッコミを入れる。

 グレモリー先輩方の後くらいにクロワッサンを引き連れて此処へ来たのだが、その寸前では俺が降ろされる云々のドタバタ中でコメディみたいな空気であった。

 なので、この世界の面子と彼女たちとの間には、隔絶した認識の差異があるのは間違いが無い。

 隠す気こそ大して無いが、其処に気付いてもらわない事にはこちらから提示した情報だけで信じて貰うことも出来無いことは容易に予測付くので、やはりわざわざ身バレを促す必要も無かったりする。

 さぁて、なんて語ればいいのやら。

 

 

「お前らは烏丸で慣れてるかもしれんがな、其処のふたりはハッキリ言って異常な存在だぞ。内包している魔力の質が明らかに可笑しいわ」

 

 

 と、アザゼル先生が指すのはエヴァに明日菜。

 気づくの早いな。

 まあ、向こうの世界でも普通にトップシークレットレベルのキャラだし、法則性がやや異なる世界に混じっても悪目立ちするものなのかもしれんし。

 

 

「? どういうことなの?」

「まず、烏丸でも普通に異常なんだがな、人間の身のままで俺たちを凌駕するまでの魔力を内包しているっていうのは『魔法使い』連中の文化からしても有りえないことだ。それと同格かそれ以上の魔力、なんてモノを抱えている時点で、そこの奴が常識的な存在じゃないことは明らかだ」

 

 

 グレモリー先輩の問いに、エヴァを指しながら答えるアザゼル先生。

 はちみつ授業の始まりである。

 

 

「はっきりと計測できればいいんだが、うちのスカウターで出て来た結果は【計測不能】だ。魔王や天使長の居場所を捉える為に設計されたってのに、それ以上ってマジで何モンだよ」

「なんかワクワクする単語が飛び出てきましたね」

 

 

 スカウターとな?

 これは『馬鹿な、スカウターの故障じゃないのか?』という御決りのあのセリフを使う機会が、俺にも巡って来たと云う事か。

 

 

「此処には悪魔の魔力を把握しきれねぇ奴もいるからな、必要は発明の母って奴だ」

「それよりアザゼルの言った理由の方が気にかかるわ。同盟を結んでおきながらなんでそんなモノを作る必要があるのよ」

「部長、今は抑えて」

 

 

 後で教えますから、と年下(塔城)に宥められる年上(グレモリー先輩)の図が其処にあった。

 実際、この人こう見えて堕天使のトップなんだし、同盟を組んだとしてもいや、だからこそ隣国へ対して警戒を抱くのは間違いじゃ無いはずだが。

 裏切り、っていうのは約定があって初めて意味を為す概念だからね。国民(部下)の主義と矜持と尊厳とを押し通し、生命と財産と将来とを保障するのが国主(トップ)の仕事なんだから、其の為には時に切り捨てるべき部分を見極めることは間違ってない。

 特にそういう『他所の国』ってのは同盟を組んだとしても『最大の敵国』という警戒に値する部分に変動は無いのだし、得られるべき情報を追求してゆくのは必要な開発にも繋がるし。

 

 

「もっとも、此れでも烏丸のは把握しきれねぇがな。魔力の高さとかじゃなくて、普通に上限下限の変動が激しい上に隠蔽性も高いから、今のところ全然解析が追い付かねぇ。お前本当に人間か?」

「失礼な」

 

 

 内心見直していたのだが、先生からの俺への評価は辛辣である。

 どうしてそうなったのか。

 

 

「そしてそっちの鈴付きツインテールは更に異常だ。魔力測定結果が出ているが、マイナス値を表すってどういうことだよ」

「「……は?」」

 

 

 姫島先輩とグレモリー先輩の呆気にとられた声が重なった。

 魔力に関することには彼女らおふたりが寡言でもあるのか、おふたり以外は特に反応した様子はない。

 しかし、マイナス値を指し示すのが明日菜ねぇ。もしかしてあれかな、黄昏の姫御子っていう設定(アビリティ)がブイブイ鳴らしてた影響かも。

 並行世界という名の異世界へ渡ったことにより、期せずして有力な計測結果を得られそうである。

 

 

「性質として見るならサーゼクスの【滅びの魔力】に近いかもしれんが、人間がそんなもん抱えていたら制御しきれずに自壊する。……おい烏丸、正直に答えろ。コイツらは、いや、お前らは一体『何処』から来た?」

 

 

 おや、気づいたのかな?

 

 

「な、なにを言い出すの、アザゼル?」

「考えてみりゃそれ以外にはねぇ。この世界は見る者によっちゃ突然変わってゆくようにも見えてるのかもしれんけどな、烏丸みたいに突出した【異常】がこうして表沙汰になるには、前段階ってやつがどうしたって存在する。特に『魔法使い』連中の文化上、コイツみたいな【異常】がこれまで誰の目にも触れてなかったってのもあり得ねえ話なんだ。それこそ、『突然降って湧いた』のでもない限りはな。もしも『隠れ里』のようなところでひっそり研究を続けていたとしても、この地上に俺たちみたいな【人外】が跋扈している以上、本当に隠れきることなんて絶対にねぇ」

 

 

 あんまり人のこと異常異常連呼するのはヤメテ欲しいなぁ。

 あと、アキラたんのことも思い出して挙げてください……。

 

 

「で、でも、神器とかでは? これまで見つからなかった神器が、こうして新しく見つかった、とか……!」

 

 

 全員が俺たちに注目している中、アーシアがフォローするように口を挟んできた。

 魔女裁判のようだったし、似たような経験を持つ彼女だからこそ見てられなかったのかもしれない。

 俺としては、先生の意見も聞いておきたいから静聴して続きを促していたところなのだけど。

 

 

「確かに、その可能性もあり得るだろうけどな」

「そ、それならそらくんのことを尋問するような真似は、」

「だが、どれだけ万能で不可能がないように見えても、神器は飽くまで【聖書の神】が創り出した前提がある。それはこの世界の法則を覆しているように見えても、飽くまでも『神器そのものの領分』を超える結果までは示したりはしない。そこを覆せば自己矛盾に陥るからな、いくら持ち主が望んだとしても、自滅するような結果を齎せるかよ」

「え、ええと……?」

「あー、例えばだな、アーシアの神器は回復用だが、反転して相手を害する結果を導き出すことも不可能じゃないんだ。だが、『もともと歩けない人間』を『歩けるように改竄する』ような『回復の仕方』までは導き出せない。そうしたらもはや別の神器になる。ここまではいいか?」

「あ、はい、なんとか……」

「烏丸はその前提を割と軽く覆している、現状『あり得ない結果』を輩出し続けている第一人者だ。悪魔を人へ堕天使を天使へ、本来不可逆なはずの【転生】を、烏丸はこの夏にさらりとやらかしていやがった。お前のレポートを読んだがな、元々の性質を完全に書き換える人体改竄って、悪魔ですら【駒】を使わないと出来ないような真似を、相応の神器を介したとしても、一介の魔法使いが出来るはずねぇだろ」

 

 

 最後の科白は俺へと向けられていた。

 アザゼル先生の睨むようなそれと同時に向けられる、色んな箇所からの怪訝な視線。

 あれ、可笑しいな、麻帆良三人娘からも似た視線が来てる。

 

 

「そんなことぁないと思いますが」

「教会側の人工聖剣使いの話でも思い出したか? アレは因子の摘出っていう要因(ファクター)があって初めて出せた結果だし、お前みたいに種族の枠を易々とはみ出るような真似までやった奴は今のところ見たことねぇ。加えてこの間はスルーしたが、お前他人の神器を外側から使えたろ」

 

 

 人口政権使いってなんぞや。

 というかなに? 何かおかしいことでも?

 

 

「何がおかしいのかわかってねぇってツラしてるがな……神器は飽くまでも個人のモノであって共有することは出来ねぇんだよ! 誰かの神器を自分が使おうとするなら、それは奪う以外に方法はねぇ! 取り出さずに他人に使用法を伝えるだけならまだしも、遠隔して自分の思う形に使ってやった結果じゃねぇかあのレポート!」

 

 

 遂に怒り心頭に達したのか、怒鳴るような口調でアザゼル先生が猛りだす。

 うーん、俺からしてみれば、ホムンクルスらとユニゾンするみたいな感覚でシンクロ発動を促せたのだが。

 ジョグレス進化がテイマー2人必要、みたいな感じでやったのがそんなに不味かったのか。

 

 

「そして何よりも、此れまでの聖別でも例を見ない、下手な聖域を凌駕するレベルでの属性付与だ。あんな真似をする奴が他にも居たらとっくの昔に教会側が悪魔も堕天使も刈り尽して、聖書陣営の成立なんて今頃話題にも挙がってねぇよ……」

「ああ……、そういえばそんな真似もできていたな……」

「忘れてたわね……」

 

 

 ゼノヴィアちゃんとイリナちゃんが遠い目で呟いていた。

 此処に至ってはアザゼル先生も疲れた顔で。何やら認めたくない現実と葛藤しているようにも感じる。

 戦わなきゃ、現実と。

 

 

「以上のことから踏まえても、コイツらが普通に神器使いだって説には異論がある。つーわけで烏丸、吐け、色々と。隠してることとかあるんじゃねえのか?」

 

 

 先にも思ったが、別段隠している意図など微塵もない。

 だがそもそも、俺の答えで満足してくれるかどうか。

 

 そんな一瞬の逡巡の隙を突いて、先ほどから黙っていたエヴァが口を開いた。

 

 

「別段隠す必要もあるまい。私たちは異世界の住人だよ」

 

 

 尊大な態度を崩さぬままに、【闇の福音(ダーク・エヴァンジェル)】が言い放つ。

 そちらに全員の視線が向くが、彼女は意にも介さずにこちらへと目を向けた。

 

 

「で、そら。帰る準備はもうできてるんだろうな。半年も遊んでいたんだ、もういいだろう」

「ん、時間の経過一緒なの? 超リンに来てもらえていれば……」

「下手な時間矛盾など止めて置け。大体、タイムパラドクスがそもそも無いと明言したのはお前と長谷川だろうに」

 

 

 カシオペアでこっちに来る前の時間軸へ……、と画策してみた内心をあっさりと暴露される。

 まあそうだけどね。

 休学扱いなのが少々痛いなぁ、単位とか。

 

 

「いや、いやいやいやいやまてまてまて!」

「なんだ、騒がしいな」

 

 

 ちょっとまってちょっとまっておじょうさーん、とアザゼル先生が……、いや、これそんなチャラい雰囲気じゃねーわ。

 

 

「い、異世界? マジで言ってんのか?」

「先ほどから悪魔だの天使だの口にしてるのだし、そのくらいは受け入れろ。言っておくがな、そらみたいなのがこっちでの平常と思うなよ」

「そのフォローはおかしくね?」

 

 

 エカテリーナのフォローの方向性の有様に、ちょっと泣けてくる。

 異常じゃねーよ。俺が異常なんじゃなくて、俺以上のバケモノが闊歩してるあの世界が異常なんだよ。

 

 

「た、確かに、もう全く違う文化系列から混じってきたと思えば納得の理由だが、そんなあっさりと話して大丈夫なのか……? もっとこう、なにかあるんじゃないのか……!?」

「お前らの葛藤なんぞ知るか。もういいだろう、いくぞそら」

「ういーす」

 

 

 さて、そろそろ構築していた理論でも明かす時が来たのか。

 世界境界線突破を目指して、大して重くもない腰を浮かす。

 

 

「「「「「「ちょ、ちょっと待って!」」」」」」

 

 

 ――とそこへ俺の腕を足を服の裾をと、この部屋の女子全員ががっしと捕まえる。

 あ、全員じゃねーな。金髪クロワッサンと麻帆良組がやや遠い。

 

 

「帰るって、そんな急に、」

「いくらなんでも唐突な、」

「もう少し此処にいても、」

「聞きたいことも山ほどありますし、」

「……わたしも行っていいですか?」

「連れてってください!」

 

 

 引き留める声がグレモリー先輩に姫島先輩、躊躇いがちなのがイリナちゃんとゼノヴィアちゃん、同行を求めるのが塔城にアーシア。

 六者六様と云うよりは三者三様、しかしまあ、俺の意見は変わりない。

 

 

「でもまあ、嫁さんの意見だし聞かないわけにいかねーからね」

 

 

 へらりと笑って、さらば駒王。さよならだけが人生さ!

 

 

――ギュ

 

 

「行かないで、ください……!」

 

 

 ……ヴラディ?

 裾を改めて捕まえられ、涙目のようになって見上げてくる男の娘に思わず狼狽える。

 なんだコイツ、この中で一番ヒロインやってるじゃねぇか。俺いつの間にコイツの好感度上げてたん?

 くっ、だが、俺には行かなくてはならない理由がある……!

 

 

「スマン、いくら俺でも、いつ滅びるかわからん世界には定住したくはないんだ」

 

 

「――おいちょっと待てホント待てぇぇぇ!!!!!」

 

 

 アザゼル先生まで引き留めにかかってきた。

 やめてよー、別れがつらくなるじゃないのよー。

 

 

 

 





~エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル
 エヴァ様エヴァりんエヴァにゃんキティエカテリーナ、と烏丸の呼び方がやたらと変化する元ロリBBA吸血鬼。お互いに認める嫁
 魔法世界編最終話にて世界改変レベルでの変動を促した結果、徐々にだが人間へ戻ることが可能に
 技能とかはそのままだが、こっちの世界への移動に伴ってなのか移動するためなのか魔力まで充満した状態で参戦したちょっと成長中の合法ロリータ
 UQ?知らない話ですね


~神楽坂明日菜&大河内アキラ
 自称烏丸さんちの愛人1号2号
 彼女らの口ぶりからまだいそうな気配。エヴァ様よく認めたね
 追加に関しては寛容。ただし自分も相手しろ、と烏丸の精力の増進は彼女らの影響もある可能性が微レ存


~ジョグレス進化
 覚えてる人、挙手



以上、いろんなことのおさらい
そんなわけで次回へ続く
アザゼル先生の胃は果たして大丈夫なのか…!


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☆「もうわかってんだろ?キンクリだよキンクリ」

ほんとお待たせして申し訳ない
ホントは説明を充てるつもりだった48話
延々と難解な話が続く話を描きかけて、「……此処で語ってもしょうがねーだろーが!」と気づいて書き直し

…の最中にPCがフリーズしたり、書いていた場面が丁度オールフィクション(なかったことに)されたり
不貞腐れて別の作品描き始めたりと横道に逸れ捲って7月です
出来栄えが不安ですが何とか書きました

ひゃっはー!エヴァにゃんとのラブラブえっちだー!(壊



 

 月並みな感想だが、彼女の白い肌が晒されるさまを前にするとやはりその美麗さには息を呑む。

 しかし、胸の膨らみには乏しく、腰の括れも然程も目立たず。

 女性として見るにはあまりにも未熟だが、その人形のような容姿にも相俟って少女然とした嫁さんの魅力は幼さという点に目を瞑れば実に垂涎といえよう。

 もしくは、己にロリっ子と(まさぐ)り合うことに耐性がついたのかもしれない。

 ウロボロスドラゴン=サンとか元堕天使幼女=サンとかに感謝の念を送る。ネコミミモード?知らない子ですね。

「……ずいぶん慣れた手つきで服を脱がす」

「先に食われてから何人抱いたと思ってんだ」

 ジト目で見上げてくる彼女に、何も誇らしくない経験を適度に零す。

 前々から思っていたが、俺は嘘を吐く人間の気持ちがいまいちわからん。

 隠すほど大層なモノを抱えた人間がこの地上に果たしてどれだけいるのかと、意図して必死に隠すことの滑稽さを思えば自分もそうなりたいとは思えないためでもある。

 悪意を向けられればそう働くことも吝かではないのだが、別段害意も含みもない相手に己を鎖すことの狭窄さは随分と生き辛そうにしか思えなかった。

「少しは悪びれろよ貴様」

「まあ、練習量が多かったとでも思ってくれ」

「あれ、コイツ何気に私より悪党じゃないか?」

 今更気づいたのか、闇の福音(ダーク・エヴァンジェル)様は着ていたゴスロリ系のキャミソールを脱がせられると、それでも俺の胸元へと後ろ背に収まる。

 ベッドの上へと腰かけた俺のもとへと、人間椅子のように扱うことが彼女のお気に入りであった。

「……ん、そら、あたってるぞ」

「キティがやわこいのが悪い」

 下着越しに軽く伸し掛かる彼女の柔尻が、わざとそうしているかのように、俺の逸物を腰つきでくにくにと反らせている。

 振り返るように見上げてくる彼女の視線には既に苛むような色は伺えず、しかし良く見知った姉としての師匠としての俺をイジメる気が満々の挑発的な好色を帯びている。

 ……まあ、ここでされるがままにならないのが経験故のなんとやら。

「ぅひっ!?」

 エカテリーナの平らな胸へと、お返しとばかりに指先を添える。

 色気の無い悲鳴を上げた彼女の桃色の先端を、くにくにとイジメ返してあげることとした。

「や、ちょっ、そら……っ、……ん、……っぁ、……っふぅ、……んっ」

 抗議の声も上がりかけたが、されるがままに声を漏らす。

 期待しているのは丸わかりで、揉むか触れるかの境界線をギリギリで行き交う状態を繰り返せば、次第に先端が固く主張し始めてくるのがわかる。

 それにしても、これで本当に成長しているのだろうか。

 自己申告では、この会っていなかった半年の間に少々背も伸びたと聞いていたのだが。

 どう考えても二桁届いているかどうか不明な立ち位置の肉体年齢で、こんな女児を抱くことはやはり罪悪感のほうが勝ってきそうで今更色々殊更不安に陥りそうである。

 まあ、辞めないが。

「そ、らぁ……っ、あ、まり、ちくび、ばっかり、いじるなぁ……っ」

「ん、じゃあちょっと顔、こっち向けて」

「ぇあ、んむ……っ」

 首を傾けるように蕩けた声を上げていたエヴァの唇に、噛みつくように顔を寄せる。

 舌先を口中へ這い回らせて、上あごから咽喉の奥まで舐り尽す。

 彼女が吸血鬼になった経緯は知らんが、600年生きてりゃ男女関係が何処かで発生していてもおかしくはない。

 ナギ=サンにも一時期アレな感情を持っていた彼女であるし、すでに初物を散らしていたとしても俺に何かを言う権利は無いことも確かだ。

 だけど、現状外観が幼女であるわけだし、慣らすことが間違いであるわけはないと思うんだよね。

 つーわけで、とろっとろに蕩けるまで愛撫し尽す。

 安心しろエカテリーナ、俺は人間筋肉弛緩剤の達人だ!(イミフ。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 この世界の終焉の理由と理屈と原因を推測と計測で出た答えを語った後に、とりあえずエカテリーナを初めとする御三方は一旦この世界に留まることとなった。

 その上での彼女たちの住居問題だが、俺の部屋に来るにしては明らかに居住人数がオーバーしているので行き場がなく、駒王からも近いマンションを数部屋借りることで話が収まっていた。

 いや、なんか色々飛んだけど、ほんとにこんな感じで話がついていた。

 グレモリー先輩の実家の名義で用意されてるらしい件のマンションは、先輩に続いてイリナちゃんやゼノヴィアちゃんも部屋を借りているらしく、いっそのこと俺も一緒に来ないかとまで誘われた。

 ちょっと前までなら出張サービスを学生に勧める怪しい部活なイメージであったから、『それ用』の蛸部屋疑惑が浮かんでいただろうけれど、その疑惑も晴れた今中々に信頼できる立場に収まってくれて一安心。

 さすがに同級生をそういう仕事に送らせるような心根までは備えていない。

 そして非常に心苦しいが、引っ越しの件は謹んでお断りさせていただいた。

 実際、矢荷成荘はデフォで備わっている次元の狭間を研究・検証できる丁度いい物件なので、あそこから引っ越す案は今のところは無いのである。

 

 世界が終わる理由は、大きく挙げて二つほどの自壊原因が隠れている。

 ひとつは観測者側の矛盾点の追及による存在否定、もうひとつは世界の支柱不在による自己崩壊だ。

 というか、実質原因はひとつのようにも思えてくる。

 概念存在がはっちゃけ過ぎてるのだ、この世界は。

 

 ネギま世界でも人々の共通認識なんかに由来する鬼号・神変・仏身・怪魔、あれらは世界に滞在する魔力を利用することで実体化していたわけだが、それらの『本体』は飽くまでも世界そのものの外廓や人の認識由来の根源の最奥なんかにしか実存を許されていない。

 元魔法使いの与り知らぬ埒外の事態では、ご本人様(まつろわぬ神)とやらが己の歴史に納得いかずにはっちゃけてた事態もあったらしいが、その辺りは魔女さんが調整を入れたらしいから置いておくとして。

 そうやって認識外の世界から【支柱】としての役割を備えるのが、概念存在として実存を許される彼らの存在意義だ。

 彼らの受肉は飽くまで一時的なモノに過ぎず、その領分を超えてしまうと間違いなく一つの文化と世界の崩壊を意味する。

 何故ならば、世界を維持するために必要なのは第一がそこに住まう人々の世界に対する【認識】であり、その【認識】を支えるための基盤となるのが【概念】という名の根源認識に由来するためだ。

 そしてそれらが喪失し世界が崩壊することは、魔力という実在エネルギーそのものの喪失と比べると二の次さんの次でしかなく、ネギま世界においての『魔法世界の崩壊』なんてのは結局何の危機でも何でもなかったことを意味するわけである。

 それらは世界が維持されるためにというよりは、其処に生きる者たちが平穏を得るためという前提にしかなっておらず、ぶっちゃけ人が滅んでも『その次』が絶対的にあり得ないわけでもないのだから杞憂でしかなかったり例えば『火の鳥』みたいな進化の果てとか。

 閑話休題(話を戻そう)

 それでも何処かで支柱としての役割を備えるモノが居るのなら問題は無いのだが、第一に歴史の礎としてそうなって然るべき者らの生死が自由になっている以上、はっきり言ってこの世界の先はもう……。

 

 ところで『世界維持』っていう単語が出たところで、アザゼル先生が何やら天界に思い当たるモノがあるとか言い出していた。

 人々の信仰を集積することによって何かを維持しているらしいが、それがこの話につながるかどうかは興味深いが今のところはどうでもいい。

 だって俺にはそこはどうすることもできないのだもの。

 天界がなんらかの最終装置としての権利を独占していたとしても、それは飽くまで『この世界の話』であって俺が介入するべき問題ではなさそうだし。

 

 ちなみに、同じく概念存在として分類されるはずの精霊妖魔の類だが、ネギま世界では人の身に近くなりすぎているらしく、柱としての役割を備えられることもなく実存が見逃されていると見た。

 言うまでもなく、せっちゃんや小太郎やエヴァなんかのことである。

 あとは魔族かな。あいつらもなんか魔法世界に似たところに本拠地構えてるから、こっちで召喚される色々とごっちゃにされてる節があるんだよね。何気にこっち寄りの癖して。

 しかも各々が召喚に応じてカッコつけたり雰囲気出したりと遊びすぎてるから、余計にそれっぽく見える。

 あいつら種族全体的に邪気眼系中二病だよ。間違いない。

 

 さて、話を戻そう。

 そうして挙げた世界崩壊の理由と理屈と原因と解明方法を答えてみたところ、アザゼル先生は普通に頭を抱えた。

 まあそうだよねぇ。

 第一に犠牲として封印すべきなのがドラゴンだから、兵藤先輩やヴァーリさんの中から引っこ抜いて次元の狭間に押し込めるのが一番手っ取り早いし。あとは、他にもいるっていうドラゴン系神器持ちとか? まさか本物のドラゴンまで生きてるってわけないだろうし。

 基本的に、歴史から見てもドラゴンは討伐されることが人の領域を確保する最初の手段であった。

 この解決策はそれを準えているだけだが、割とこれが本当に必要なことでもある。

 というか、存在そのものがリソース食いすぎなんだよ神話の怪物って。

 世界の維持のためには尊い犠牲になってもらわにゃ困る。

 例えるならば、くだんの神話それぞれで英雄が怪物退治に乗り出すことで文明の進歩と人類圏の確保が為されるわけで、神話の怪物としての代表格に当たるドラゴンなんかは真っ先に討伐されなくては現社会の維持は夢のまた夢だ。どっかにいねーかな、現代に蘇った英雄の血を引くやつとか。

 だけども、さっきも言ったようにこの解明方法ではNGを食らう。

 わかってはいたけどね。いいけどさ、率先してやりたいことでもないし。

 

 というか、俺たちが元の世界へ帰るためには、次元の狭間に地続きで航路を確保せにゃならん。

 俺がこの世界へ来た経緯をエヴァたちに聞いたのだけど、彼女らも又聞きだから色々曖昧だが、どうにも元の世界というよりは新しく用意した魔法世界でのごたごたで航路上での事故が原因らしい。

 この世界でいう処の次元の狭間に相当する箇所で、落盤みたいな事故に遭い俺が遭難。

 地続きで多重連結世界間を接続している【航路】だけど、その実は多次元宇宙からの浸食影響をもろに受ける存在法則の異常な箇所だ。ダンジョンとしての体が在れども、長く籠っていると己の存在にすら揺らぎが出るとまで謂われる地域。そんなところで遭難したとしたら、確実に死んだほうがマシな目に合う。

 というか、其処から此処にいるってことは、俺普通に一回存在が分解されて別宇宙に飛ばされてるってことになる。

 そのうえでこの世界にこうして存在してるってことは、此処が概念存在の受肉世界ってことを考慮すると、……自力で今の形に直ってる? あれ、俺人間だよね? あ、転生者か。転生神の力ってスゲー!(思考放棄。

 

 話を戻そう(切実。

 

 行方不明となった俺だが、彼女らの持つ仮契約(パクティオー)カードで生存だけは分かっていたらしい。

 というか、まだ持ってたのかよ、返せよ特に明日菜。

 そこで居場所を探すべく、『こずえ』とかいう人物に【魔女】経由で依頼をして、先日ようやく存在している次元を突き止められて此処に来たとか。

 まあ麻帆良祭で世界樹の魔力を無断使用したとはいえ、別世界のシュテルンを召喚したお人だから今更不思議もないが、手段よりは人脈の方に疑問が浮かぶ。

 というか、あの人自身は別に俺が何処でどうしてようが感知してないわけね。逆に安心したわ。

 

 さて、改めて、俺たちがもう一度『安全に』世界を渡るためには、やはり航路の確定は必須の問題だ。

 そのためにも、次元の狭間の奥底に壁のように居座っている、たぶんこの世界における【支柱】の役割を担っていそうな神話時代レベルの怪物に、風穴を開けなくちゃならなくなる。

 開けること自体は出来なくはない。

 こちとら異世界で経験積んだ魔法使いだ、力量差が目に見えて隔絶しているところの最強程度、ちょっとばかし歯を食いしばれよ、とでも云うようにブレイクできる。

 でもそうすると、この世界の崩壊は加速度的に進行する。

 

 帰らないという選択肢はない。

 向こうじゃこんな俺のことを心配してくれてる奴らもいるし、何よりこっちに来ちまった三人をきちんと帰さなくちゃいけない。

 それに、【世界の支柱】の問題が片付いても、また別の消滅理由が解決したわけではない。

 世界俯瞰観測者らによる、一方的な認識破棄。

 いわゆる、『読者アンケート』というやつだが。

 ……まあ、こっちは気にするだけ無駄だろう。死ぬときは死ぬ話でしかないし。

 どちらにしろ、問題を孕んでいる異世界の地で消え行くよりは、勝手知ったるマイホームで心穏やかに逝きたいという我儘なのだし。

 

 回想はこんなもんでいいだろうか。

 そろそろエヴァも食べごろになってきているはずである。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 回想晴らして、此処はとあるマンションの一室。

 手淫でくっちゃくちゃに蕩けた淫蕩吸血鬼(元)が、ベッドの上で顔を赤らめ呼吸も荒く、その手足を力なく投げ出して意識も朦朧としていた。

 

 グレモリー先輩も此処に自室を備えているというのだが、そうなると実質彼女らを監視目的で一か所にまとめたことにもなる。

 または、俺に対する人質とか。

 でもまあ、悪いことに自ら進んで使うような心持を備えた人たちではあるまい。

 色々とやらかしていて俺が碌な心証を彼女らに抱いていないとお思いのようだが、実際彼女たちのことは結構良い方向に評価してはいるのだ。

 そこで共通している彼女たちへの評価が、良い子たちばかりであるということ。

 ネギまの世界でもそんな子ばかりで、だからこそ逆レイプ食らっても文句も言いづらかったわけだが、事実、ここいらの世界で共通項でも備わっているのか、彼女たちの企みの果てに陥れられることはあっても、その結果で俺が本格的に破滅する懸念なんて微塵もないのだ。

 ネギま世界なら俺は基本被害者としての立場だから分けるとしても、この世界じゃやったことは強姦が大半だ。

 だというのに、彼女たちは俺のことを『そうしたところ』へ突き出すこともなく、ほぼ許すような態度でその関係を続けようとすり寄って来さえする。

 ……これを良い子と云わず何と云えばいいのか。

 そんな子たちが麻帆良娘らに何かをしようとすることは、確実に俺への被害や叛意に通じることを理解しているだろうから手も出さないはず、とちょっとした信頼を抱いていたりもするわけだ。

 

 ……まあ、実際下手な手を出したら俺がどうするか、を詳細まで把握できなさそうだからな。

 アザゼル先生をはじめとした合同の監視体制作ってるようだし、ほんと安心して放置していられる。

 事実、下手に手を出したとしても人質として扱える可能性以前に返り討ちに遭う方に思考が傾いていそうだし、現状を正しく認識できる人たちが背景にいるというだけでも結構安心なのだ。

 

 そんなわけで、エヴァにはひとまず帰ってから(事を片付けてから)にしよう、と連絡に来たところで、こうしてとっ捕まった俺だ。

 学校も始まったばかりだというのに、明日もあるといいうのに、半年のブランクは我慢が利かなかったらしい。

 ソラニウムという謎の栄養素を補給したいと云っていたのだが、その謎栄養素は明日菜やこのかやゆーなが口にしていた覚えがある。

 というか、なんでこの3人だけが俺を連れ戻しにやってきたのだろう。

 普通に疑問が湧いたので、後で聞くことに決めていた。

 ……今は普通に思考が働かなそうだしねぇ。

 

 

「で、もう色々と敏感になっちゃって結構ギリギリなご様子だけど、どうするの? 続ける?」

 

 

 よろりと起き上がってくるエヴァの頬へと手を伸ばしつつ、猫みたいにすり寄ってされるがままに肌を晒す彼女に提案一つ。

 ベッドの上をにじり寄るように俺の腰元へと手を出してくる彼女は、なんとか気を取り戻そうと雰囲気を甦らせたいらしい。

 

 

「ふ、ふふ……、半年見ない間に、ずいぶんとキチク度が上昇しおって……。……私は又聞きでしかないが、お前の父親とやらに似てきたんじゃないか?」

「ぐふ……っ!」

 

 

 ――酷い風評被害を受けた――……。

 烏丸は心にクリティカルダメージを食らった。

 に、似てねーし、俺、妻と子供を実験動物に回そうとするようなキチクに似てるはずねーし……!

 

 

「まあそこは冗談だ。しかし、リアスたちの話を聞くところに、随分と色々と手を出していたようだな」

「あー、まあ、場の雰囲気に流されたのもあったけどね。あとは向こうの魅力の度合い」

「乳か」

 

 

 身も蓋も無いけど、うん。

 女性としては実に食べごろなモノばかりが出揃っているからね、この世界。

 ギャルゲーかエロゲーが前身なんじゃねーの?

 

 

「というか、全員の話を聞いたの?」

「うむ。自分以外に手を出されていたことをようやく知ったリアスが随分と愕然としていた。色々と葛藤もしていたが」

 

 

 まあ、俺の子種を孕んでいそうなのって、たぶんグレモリー先輩が第一候補だしねぇ。次点が姫島先輩。

 バイオリズムの関係上、一回自分のステを改定するとしばらくは元に戻らなかったり。

 アーシアみたいに性欲に魔魅らせないようにという配慮のはずだったのだが、彼女たち自身の避妊法に懸けるしかないという事後承諾になってしまった。でもまあ、悪魔らにだってそういう手段くらいあるはずだし、俺が懸念することでもないか。

 あ、いや。確か姫島先輩は元々孕みたがっていたから、余計に問題は無いのか?

 実際、こっちの世界に俺の子を遺すということは『縁を繋げる』ことにも精通するはずだろうし、航路とはまた別種の世界間接続の余剰を構築することにもなる。

 ……わざわざ俺が言わなくても、アザゼル先生辺りが既に解析していそうだなぁ。こっちの説明で色々と思いついた風な人だったし。

 

 

「……あれらと比べると、実際貧相なのは自覚しているが」

「いやいや、比べるには色々と段階が違う。第一成長途中にあるキティが、そう自分を卑下することもないでしょ」

 

 

 肉付きなんて無いようにしか見えないのに、女性の肌は随分と柔らかい。

 それは子供の体格のエヴァでも変化はなく、落ち込みかけた彼女を抱き寄せるとふわりと腕の中に納まった彼女の柔肌が、低反発の感触と汗なんかの体液で湿った香しさが鼻腔を擽った。

 手放したくない、と本能が犇めいているのが自覚できる。

 だから、そのまま口にする。

 

 

「この世界で抱いたどの女よりも、エカテリーナの方がずっと魅力的だ。あいつらを捨ててでもお前に逢いたいって、ずっと思っていたから帰る手段を探っていたんだから」

「……。う、うれしいが、虜にした女を簡単に捨てると宣言する辺りは、やはり父親似なんじゃないのか?」

 

 

 せやから。

 やーめーてーよー……。

 

 

「エヴァさん、照れ隠しに俺のマインドにダイレクトアタック掛けるのやめてくれない……?」

「う、うるさいっ」

 

 

 項垂れる俺からは伺えないのだが、彼女が俺を批難しつつも照れていることは確実であった。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

「ぅ、わ……、でかい、な……」

 ギンギンにそそり立った我が逸物を眼前に、エカテリーナはごくりと喉を鳴らした。

 特に騙す気もないというのに、俺が彼女にその気を持っているという証拠を見せてみろと言われた結果がこれである。

 ゴスロリチックなキャミソールも取っ払って、黒いレースの下一枚いわゆる【ぱんついっちょう】になった彼女が、何らかの雰囲気を作ろうとしていることが伺えた。

 女子ってそういうところあるわよな。

「んむ……」

「うぉ……っ!」

 異論もないのだが、彼女が何やらあわよくば手を加えようかという腹積もりをしていたのは結構明白で、その前提が崩落したにも拘らず、エカテリーナは俺の逸物へその柔らかい唇を添えてきていた。

 亀頭を舐るその快感に、思わず背筋を衝撃が駆け抜ける。

「キ、ティさん? そんな、いきなり……っ、き、汚いと思わないのか……っ?」

「っむ、はむ……っ、お前が女子にどういう幻想を抱いてるのかは追及しないが、こういうことをしたがる女だっているんだ、……っちゅ、それに、お前だって私の此処、舐めたい、って思ったりするだろ……?」

 自分の下着に指先を突っ込んで、自ら手淫を熟しつつ誘うような目で見上げてくるキティは、舌先で先端を舐めながら挑発するように言った。

 思いますけども、先ほどまで俺と噛み合っていたその唇で男のモノを銜えている様を見下ろすというのは、こう精神的に色々とクルものがある。

 ぞくぞくとした支配欲に似た何かが喉の奥から込み上げてくる錯覚を自制しつつ、俺は俺で彼女にもっと別のことをさせたいと思っていた。

「ん……っ、エヴァ、下、もう脱いじゃえよ……っ」

「っぷぁ、んん? 我慢できなくなったのか? 私のテクも捨てたもんじゃないだろ」

「そこで誇らしげなのは男子的にはどーかと……」

 俺は苦笑気味にエヴァはドヤ顔で、忌憚の無い会話を交わしつつも、彼女の手つきはずりずりと最後の一枚も剥いで取り去る。

 しかし彼女は奉仕を取り止めようという気はなさそうで、下半身をもつるりと露出させながらも唇は俺の亀頭から離れようとしない。

 だが一瞬の隙を突き、湿った咽喉が艶めかしく男性自身を興奮させるシチュを鋼の精神で押し留め、股間前で蹲っている彼女の脇を両手で掴み、引っ手繰るように持ち上げる。

 幼くも主張する女性らしさと呼べる柔らかさが手のひらへ伝わることを覚えつつ、抱き上げた彼女はされるがままにベッドに座る俺の膝上へとフォークリフトに乗るかのように座り込んだ。

 要するに【だいしゅきほーるど】へとシフトアップを果たしたわけだ。

「そろそろ、こういうことがしたくならない?」

「あ……っ」

 無毛の陰部を正面から隠すように、幼い(はら)に沿うような形で勃起した逸物が充てられている。

 挿入(いれ)るためには、少し彼女に腰を浮かしてもらうことになる。

 抱き合った姿勢のままで、持ち上げたときは躊躇ったような顔をした彼女であったが、俺を正面に見据えると照れたように顎を引き、自らの顔をこちらへと寄せてきていた。

「ぁむっ」

 ――そのまま、俺の首筋へと噛みついた。

「………………キティさん?」

「ぁむ……、こ、このみゃま、ひてひゅれ」

 ネギま世界に蔓延った造物主の影響を取っ払った効果で、同じく吸血鬼へと転化する術式の影響をも循環排斥された彼女は吸血鬼から人へと戻った。そんな裏設定がある。

 てっきりその後遺症としての甘噛みなのかとも思いかけたが、なんのことはない、単純に照れ隠しで正面から俺を見ることができないだけのようだった。

 ずり、と音が鳴るわけじゃないが、腰を浮かせた彼女の胎の前に沿わせられた男性自身が、滑るように膣穴の入口へと急接近しているところであった。

 正常位では潰してしまうかも、と思ったからこその姿勢選択であったが、彼女的には功を奏している模様である。

「んじゃ、いくぞー」

「む、ん……っ、ふみゅぅ……っ!」

 ずぷ、じゅぷ、にゅぶっ、と狭い肉襞を押し退けて、侵入を果たすことの快感。

 窮屈な膣穴を半ば強引に力ずくで開拓する肉棒は、明らかに年齢不相応な巨躯にて侵攻を続けているのだと、その感触が明白に教えてくれていた。

「ん……っ、ふ……っ、ぅむぅ……っ、ふ、ぅみぃ……っ」

 しかしその気持ち良さは今までの初物との比にもならない。

 ぴたりと鎖されていた細小の膣穴は、程よく高い子供の体温をそのままに、ぬるま湯で洗うかのような快感を教えてくれるのだ。

 また柔らかい肉襞が、他を知らないと物語っていたような膣穴が、自分の形を覚えてくれるようにその形へと成ってゆくさまをありありと示す。

 無論、彼女がほぐし切っていたと自負していたはずの膣穴は、エヴァ自身の潤滑液で充分に開いていた。

 だがそれでも、

「っあ、あー、あっ、んあっ、あーっ、あーーーっ」

 肉体の未熟さは成熟した精神では中々に補正も難しく、性交するにはまったくもって未発達な状態でしているのだ、と全身で叫んでいた。

 それを押し退けてでもやらねばならないと、要求していたのは他でもない彼女自身だ。

 要求していたし、欲しがっていた。

 噛みつくことで自制を促していたであろう何らかの箍は外れ、エカテリーナは膣中を往く異物感に陶酔したような喘ぎ声を漏らす。

 気づいた時には逸物の根元に届かぬところで、こつん、と最奥へと先端が届いていた。

「これいじょうは、っむり、だな……っ」

「~~~っ、~~はっ、ぁ~~……っ」

 鎖され窄んだ子宮口が脈動を刻みながらも、そこはまだ準備ができていない、と訴えているのがわかった。

 侵入が留まったことで感覚が静止をかけたのか、呼吸を整えるように抱き着いたエヴァが身を震わせる。

 しばらくはこのままかな、と経験則が俺の中で囁く。

 しかしそれとは裏腹に、彼女は俺の耳元に、擽るような声音で囁いてきた。

「う、ごいて、いい、ぞ……っ?」

 ぞく、と神経が逆撫でられるような感覚。

 改めて見直した彼女の貌はいつしか、淫靡に嗤う雌のそれへと変貌を果たしていたのであった。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 二桁に届くかどうかもわからない年頃の少女に、大人と呼んでも差し支えの無い体格の褐色肌の少年が圧し掛かっている。

 少女の肌は陶磁のように滑らかで、解きほぐされた金の長い髪は女神も羨むほどの艶やかさを見せる。

 そんな少女の白い脚は少年の腰に絡みつくように伸びており、少年の腕が彼女を離すまいとベッドへと押し付けつつも、その背中と後頭部を支えるように抱えてその腰を前後する。

 だが少年は、明らかに未成熟な彼女の膣を、決して乱暴には抉ろうとはしていなかった。

 その証拠に、少女は彼の名を艶めかしい声音で何度も呼び、返事を返すように少年の腰が沈むも、ふたりの結合部に覗ける褐色の肌は明らかに根元までの侵入を果たしていない。

 しかし天井から伺えられればそれは、まさに【種付けプレス】などとも呼べる体勢で性交を果たす、実にケダモノ然としたセックスであった。

「そ、らぁっ……! もっとっ、もっとおくまでぇっ!」

「が、まんしろよっ、キティ……っ! これ以上押したらっ、裂けちゃうだろ……っ!」

「んぁっ、ぁっ、はひぃっ! あぅっ、あっ、ふみゅぅっ!」

 少女の嬌声は返事にはなっていない。

 そして、彼女の腕は少年の背にまで届いていなかった。

 体格に差があるために、少年の身体を抱こうとすると動いてもらえないことに気づいてしまったためだ。

 それをしたがっている素振りも見せつつも、少女の手は胸の前で手持無沙汰に留まっており、肉付きの無い胸元の、しかし桃色の先端が喪失されない魅力を醸すようにその手によって見え隠れしている。

 時折ちらりと覘くそれがピンと主張している時点で年相応とは言い難い反応であろうが、これはこれで幼女趣味の紳士が大歓喜するシチュでもあった。

 少年は残念ながらそのマイノリティには属していなかったが。

「んぃ……っ! ひゃぁぅ……っ!」

 だが、そうしてちらちらと見え隠れする様は、彼の性的興奮を酷く刺激したらしい。

 気づけばちゅぱちゅぱとその平らな胸を、桃の先端を吸うように少年が噛みついていた。

「そっ、そらぁっ、だめぇっ、まだ出ないぃ……っ」

 出れば良いのか。

 少女の悲鳴は決して嫌そうなものではなく、むしろだからこそいいのだと肯定するようで、少年を酷く甘やかすような発言にも聞き取れた。

 流石は一時期とはいえ、姉として彼と付き合ってきていた元エターナル幼女であった。

「ん、ぷは、おいしいよおねえちゃん……っ」

「はぅ……っ」

 体を屈めてまで食らいついたちゅぱちゅぱに続く、今まで呼んだことの無い『おねえちゃん』という呼び方。

 少女は見事にノックアウトし、それまで淫靡であった雰囲気が一転していた。

 手持無沙汰だった手のひらで、自分の顔を隠すように覆う。

 欲しがっていた声音は鳴りを潜めて、代わりに少年の腰を動かす粘膜を掻き混ぜる水音が部屋中に響く。

 感情を擽るような快感が彼女の中を駆け巡り、その為かは知らないが少女の喘ぎ声は更に激しく部屋中へと響いていった。

 鎖されていたはずの未熟な胎の蓋はその快感で開ききっており、子供を孕む準備ができていると主張するように、彼女の感度を急浮上させる。

 それはそうした経験に疎い彼女にとっては驚きでもあったが、雌の本能はその咄嗟の状況でもしっかりと起き上がり、彼女の口調を普段とは全く違うモノへと造り替えるのであった。

「っふぁっ!? ふぁぁぁぁっ! らめぇっ、くるっ、きちゃううぅぅっ! いくのぉっ、わたし、いっちゃうぅぅっ!」

「ああ、いいぞっ、いけっ、いっしょにいけっ!」

「ぁっぁっあっ! んんっ、んっ! あっ、ああああああああああっっっ!!!」

 膣中に欲しがっていた彼女に応えるべく、少年もまたタイミングを合わせて、彼女が叫ぶ瞬間に絶頂を果たす。

 熱い精液が、噴出するマグマのように彼女の膣内へと注がれた。

 開いた蓋のその先へと、盛りの付いたケダモノがそうしているように、奥へ奥へと止め処なく注がれてゆく。

 幼い体を孕ませるとか、彼女と抱き合う以前までは決して届かせようとしなかったはずの決定打を、彼女の身体へと刻み付けるように少年は、全力の欲望を少女の膣中(なか)へと吐き出していた。

「あっ、あっ、あ……っ」

 その瞬間だけは少女も手を伸ばし、少年の背中へと抱くように廻す。

 それは完全に本能に身を任せた仕草で、自然に沿わせられる『愛』とやらが補う側面でもあるのだろう。

 『ひとの摂理』から外れて600余年、少女はようやく『ひと』に戻れた。

 『その先』が『幸せ』であるかどうかは、結局のところはふたり次第なのであった。

 

 
















んあああああああもうなんかんあああああああああ


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「世界が滅亡する理由を懇切丁寧に説明したら長いから3行でと却下された。何を言ってるのかと思いきや他の面子もそんな感じだった。疎外感とかイジメとかじゃねーもっとうすら寒い狂気的なモノを感じたぜ」


ネギま二次から派生した二次なのにネギまキャラを出すとダメだとか意味わかんね
タイトルにも麻帆良学園って入れてるのに何故ダメ扱いなのか。此処に読みに来るくらいなんだから許容されてるのかとノリノリで書いたら感想が意外にも少なくってびっくりだ

ていうか私、事前に書いていいよね?って訊いたよね?
活動報告でアンケやって許可取ったのに。集計結果で民主主義に則ってマイノリティが駆逐されたはずなのに
所詮この世は弱肉強食…って志々雄様も言ってたじゃないのよ
解せないけど49話です



 

 

「ロリコン……」「愛人……」「ていうか3股どころじゃないよね……」「俺の知ってる限り候補が7人いるぞ……」

 

 

 ドーモ、朝から針の(むしろ)(たむろ)させられている烏丸です。

 わかってはいたけど、クラスでの俺の評価が低空飛行にもほどがある。むしろ撃墜?

 始業式早々キティの爆弾発言で席捲した噂はかなりの方向へと被弾して逝ったらしく、翌日に当たる今朝から連れ立って登校したところを見せつけてしまったのが致命傷なのか風評回復は不可能のご様子。

 クラス中からの視線で評判を集め捲ってるぜ、ヒューゥ!

 

 

「……やべーな、俺このままじゃ二学期はボッチ確実じゃねーのか?」

 

 

 ハッと気づいた驚愕の事実に、体育の時間とかがかなり憂鬱である。

 こんな風評被害で、二人組作ってー、とか言われたら取り残される感が大。

 烏丸イソラの憂鬱。冒頭やり直さなくちゃダメ? サンタクロースとか語って美少女のクラスメイトに日常を引っ掻き回されて『ヤレヤレだぜ』ってやらなくちゃダメ?

 ……ああ、割と普段からそうだったわ。俺もスタンド使いだしね。帽子とか学ランとか借りに行かなくちゃ。

 

 

「お前は麻帆良のころからそんな感じだったじゃないか。……というか、本当にこっちで友人作れてるか? ちゃんとやれてるか?」

「違うからね? 俺麻帆良なら友達いたからね? 因幡とか因幡とか、あと因幡とか」

白兎(シロウサ)だけじゃないか。元ルームメイトはどうした」

 

 

 隣の席に居着いたキティに親戚のおばちゃん張りに心配されるが心配ご無用。

 下手な風評さえなければ、生活だって結構楽しくやってるのです。

 そう答えたら、ハハハ云いおるわこやつ、と鼻で笑い飛ばされる。俺の怒りが有頂天。

 え? 大柴くん? いつか俺のことをスタンドで半殺しにしたオタクな友人なんて覚えがないなぁ。

 

 

「やっぱり元のところでもそんな感じだったのですか……。まあ予想はついてました」

「違うもん!ほんとに友達いたんだもん!嘘じゃないもん……!」

「所沢の幼女張りに喚くな。その否定の仕方だとお前の友人イマジナリーフレンドになるけど良いのか」

 

 

 とっとこ所沢の森の精霊()(ハム助に非ず)。

 ええやん。麻帆良だって所沢にあったんだし。

 そーいえば森の精霊で思い出したが、いつかのオコジョは果たして何処へ消えたんだろう。

 

 反対隣の白髪幼女こと塔城にツッコミを受けて反論すれば、ネタがわかっているキティたんが即座にツッコミを入れてくれた。

 いいよねぇ、こういうネタが通用する生活。

 ログハウスで一緒にジ●リ鑑賞したのを思い出すわぁ。

 

 

「というか、けっこう平然としてますよね。事実無根と言い難い噂が学園中を蔓延っていますがいいんですか?」

「否定しない辺りさすが噂の助長役だよなー」

「そんな……、照れます」

「仲良いわねアンタら……」

 

 

 俺の頭頂点ぐりぐりにイヤンイヤンと身を捻る塔城の遣り取りを見てか、俺の前席に着いた明日菜が呆れた声を上げた。

 なお後ろの席には再会からもお馴染みに物静かなアキラたん。背後を取られてる。というか包囲網が完成してる。

 二学期となって席替えをしたところ、くじではなく好きな人と組んでー、が早々に働いたために席順がこんな感じになっていた。

 これは新手のスタンド攻撃にちまいない。

 決して、以前の席順が思い出せなくて辻褄合わせの理由を持ってきたとか、そんなわけはないはずだ。

 

 

「まあ色々あるけど、ずっとこのままってわけじゃない。そのうちなんとかなるし、むしろ利用できる」

「利用ですか?」

「ほら、キティも明日菜もアキラたんも、美少女じゃん?」

「わたしは?」

「え、なに聞こえない」

 

 

 塔城(幼女)が説明に口を挟むが無視。

 間違った内容が蔓延っている気もするが昨夜は彼女相手にハッスルしてしまったのでロリコンと言われても言い訳の仕様もねぇ。

 だがこの噂が蔓延っているお陰で、学園内の男子または女好きの女子からのモーションは無いと見て間違いはない。

 俺の所有(モノ)という認識がある状況で口出しするような空気の読めない奴はさすがにいないだろうし、それでも手を出してくるというならよっぽどのモノ好きか俺の敵だ。

 わかりやすい敵役は、この無駄にスパゲティな人間関係になった俺の生活上のストレス解消に実にちょうどいいのである。

 加えて、俺にこの状況からモーション掛けようっていう奴もモノ好きか敵かで楽な判定ができるからなー。

 その『敵探し』の部分を伏せて語ると、

 

 

「……あたしらモノ好き扱いっすかー」

「うーん……、確かに反論の仕様もないですけど……」

 

 

 塔城の前で明日菜の隣の樋笠さんとキティの後ろでアキラたんの隣の岡崎さんが揃って乾いた笑みを浮かべていた。

 そいえばいたね。友達甲斐のある女子友が。

 俺にこんな噂が出ているにも関わらず離れたりしない距離感がスバラしい。ァタシたちズッ友ダョ……!

 

 なお、ギャスパーは塔城の後ろの席でアイマスク中である。

 ほんとにそれで見えてんのか。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 師匠(マスター)と烏丸くんが今朝一緒の部屋から出てきたことからも、サクヤハオタノシミデシタネ状態ですべてを察し、少々歩きづらそうに烏丸くんの腕にしがみ付くような師匠を眺めつつ登校した私たち。

 グレモリー家謹製のマンションは防音設備も完璧で、リアルタイムに乱入することは叶わなかったがお腹に残る異物感からか足元が覚束ない師匠を見るに、やはり1on1は流石に堪えたのでは、と心配になってしまう反面その顔から伺える幸福感は実に共感しやすいものであった。わかります。

 ところで、今更ながら私の師匠は彼女本人ではないのだが思わずマスターと呼んでしまう。

 変な顔を一瞬されるも、大体烏丸くんの所為と理解したのかすぐに納得の表情をしてくださったエヴァンジェリンさんである。

 この以心伝心っぷりよ。

 

 さて、昨日は世界崩壊の理屈について訥々と説明されたわけだけど、正直どうにもならないのでは、というのが私の感想だ。

 話を伺うに、この世界が生まれたこと自体に問題があるようにしか思えない。

 烏丸くんたちの出身が異世界であるからこそ、異世界という此処とは違う世界(モノ)の実存が確認されたからこそ、彼の話には信憑性が高まっている。

 アザゼル先生が反論をせずに納得したというのが第一だが、私も含めて彼の話の詳細を理解できたのは先生だけなのではなかろうか。概念存在、とやらに当たる私たちの実存そのものを否定された気がしないでもないが、事態解消のために私たちを直に討伐するような手段を彼が選択しようとしていないことからも、危機感よりは困惑の方が比重は大きい。

 いまいち危機感を連想できないのは、偏に烏丸くんにやる気がないことが原因ではないかとも思われるのだけど。

 

 かといって本当に世界を救うのだとすると、たぶん真っ先に狙われるのは兵藤先輩だ。

 『概念存在』を『神話存在』と置き換えて説明し直され、それに匹敵する神器持ちが一番役に立つ。と世界救済というよりは家計の遣り繰りにも似たニュアンスでモノを語られた気がするが、それで排除されるのではさすがの変態先輩でも納得してくれはしないだろう。

 それもこれも【世界の支柱】が己の役目を全うしようとしないからだろうが、とやる気がなさそうに語られましても、その話の信憑性そのものは彼と同郷の方々であっても小首を捻るモノであったことだし。

 なお、彼の世界では【12の人王】とやらが【支柱】の役割を担っているらしい。

 それも彼女たちの中では初耳であった。語れば語るほど信憑性が薄まってゆく。それでいいのか烏丸イソラ。

 

 誰も彼もが初耳すぎて、加えてご本人にもやる気がなさ過ぎて、行動の指針がいまいち掴めなくなっていた状況の中、師匠は云う。

 『こいつはこんなんでも、向こうの世界で格別に当たる【魔女】に携わる者でもある。私たちにとっては初耳でも世界の在り様を把握する者たちの中では真実で常識であるのだろう。そんな理解力があるくせに言葉も説得力も足りないコイツだが、ついでに言うと決断力と行動力が無駄にあるんだ。やろうとしたことはやり遂げるし、その下準備も欠かさない。……結果として魔法使いっていう一つの種族の文化と文明が向こうの世界ではキレイに刈り取られた。お前たちも要望があるなら言っておけよ。果たそうとする目標のためなら大体の犠牲を孕んでも事を為す莫迦の所業は、傍目から見ていて爽快でも本人たちにとっては災害そのものだからな』

 『どんな世界から来たんだよお前ら怖ぇよ』

 アザゼル先生の言葉がみんなの心情を端的に物語っていた。

 続けられたフォローでは、流石に烏丸くんも愛着の湧いた相手にはそれなりに手心も加える、と教えてもらえたが、何より本人が竹を割ったようにからりとした性格であるために、面倒くさいことは適当に済ませようという気が隠されもしていなかった。

 交渉の末に、最低限でも人命を犠牲に入れない方法で世界の自壊を防ぐ方法を要求したわけだが……。

 

 

「……尊厳も順守してもらうんでしたかね」

「えー。これ以上手間をかけるってんなら関わんねーよ、俺は」

 

 

 伝授された方法の下準備を終えて、部内のそこかしこから烏丸くんへジト目が向く。

 リアス部長やヴァーリさんの目も厳しかったが、割と師匠の視線の方が中々鋭かった。

 それでも納得してもらうしかない、とアザゼル先生の説得も相俟ってこの事態へと成ったのだが、素直にそれぞれの神話の主神を次元の狭間へ幽閉した方がずっと手早かったのでは、と少々思ったりもする。噂だけど、ギリシャはどこもかしこもアレな人たちばかりだし、北欧のお爺ちゃんなんかも結構なスケベ根性が根強かったらしいし。あー、でもインドは難しいのかしら。さいきょーらしいし。

 

 

「くそ……、こんな屈辱、久しぶりに味わったぞ……!」

「スマン、ヴァーリ、耐えてくれ。これは流石に秘匿するから」

当然至極(あったりまえ)だろ……!」

 

 

 実は駒王に通っていたらしいヴァーリさん(女性だった。驚きだった)に低姿勢で謝りとおすアザゼル先生。

 私たちだけにバラされたが、禍の団(カオス・ブリゲート)のスパイ役を担っていたらしい。

 そしてそれを見抜けなかったリアス部長。……悪魔の矜持とはいったい……。

 

 

「で、これ何か名前でもつけるんですの?」

「意外とノリノリだったわね、朱乃……」

「リアス、この程度を犠牲と呼ぶくらいなら初めから諦めた方がマシよ?」

 

 

 一仕事終えて何故か艶々としている朱乃さんに、呆れた声を上げるリアス部長。

 朱乃さんはこの夏で何か成長したような気がする。何かあったのだろうか。

 

 

「そうだな、シンデレラガールズとでも呼んでおくか」

「おい」

偶像(アイドル)崇拝(マスター)に繋がるわけだし、ちょうど良いだろ」

「……ご本家が聞いたら怒るぞ……」

「聞かないことだからへーき」

 

 

 師匠が何故か烏丸くんに怖い目を向けていたけど、ネーミングに何か問題でもあるのだろうか。

 聞くべきか聞かざるべきか迷い悩む中、世界救済の下準備は着々と進んでいった。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 おっす俺イッセー! 俺と契約してセフレになってよ! ただし美少女限定な!

 

 治療ついでにハーレム王を目指す者としてフェニックス家にお世話になってきたんだけど、アレだな、ライザーのやつは意外に気が合ったな。

 考えてみりゃ俺の先を行ってる先輩でもあったんだし、泊りがけついでに色々と話も聞いてきたんだ。

 女の子の口説き方とかは参考にならなかったけど、体験談なんかは為になったぜ。

 いつか部長やアーシアで試したいプレイとかな!

 

 

「あれ、イッセー久しぶりだな」

「随分長めに休んでたみたいだけど、体の調子は良いのか?」

「おお、松田! 元浜! おう! 色々あったけど万全だぜっ!」

 

 

 脳内彼女らから下着を剥ぎ取ったり舐めたりと妄想を膨らませているところへ、懐かしの級友たちの姿が。

 俺だけ夏休みが一週間超過しちまったけど、部長は学校側へ上手く説明してくれていたみたいだ。

 そーいえば、泊まり初めのころは同居していたレイヴェルだけど実は高1だったらしい。

 俺より先にフェニックス家を出発し、駒王へ行くと転校してきたらしい。

 ふっ、もてる男はつらいぜ。

 可愛い後輩がまたできるのはどんと来いだけど、そんなに俺と付き合いたいのかい小鳥ちゃん?

 フェニックス家で顔を合わせていた時もずっと笑顔で、たまに偶然を装って着替えや入浴にブッキングしちまった年下系金髪美少女だ。その時だって笑顔で対応された。

 アレは俺に惚れてるな。間違いないぜっ!

 さすがにレイヴェルの部屋までは侵入しなかった(つーかできなかった)けど、元より実家で初体験とかムードのかけらも無いことをするような野暮さは持ち合わせてないからな。学内で会う時が楽しみだなー!

 

 

「つーか、なんでアーシアちゃんと一緒に来なかったんだ? 今日も別々っぽいし」

「そうだぞイッセー! お陰で話しかける機会がなかっただろうが! 美少女との朝の会話を亡くさせるとは友達甲斐の無い奴め!」

「俺の需要そこだけかよっ!? 俺抜きで話しかけられずにいたヘタレの癖して偉そうにしてんじゃねー!」

「ヘタレじゃない! お前っていう理由がないと『あれ、このひとなんでこっちにきたんだろう、キモイ……』とか思われたりするかもしれないだろうが!」

「アーシアはそんな子じゃねーよ!? つーかヘタレそのものだろーが!」

 

 

 元浜の絶叫に俺の叫びが相俟って教室内へとこだまする。

 幸いにも、この会話はまだ教室内に姿が見えないアーシアに聞かれることは無さそうだ。

 ついでに言うと、アーシア共々元修道女組が揃って居なかったし。

 つーか、俺だってアーシアと久しぶりにいっしょに登校したかったよ! けど、用事があるらしいから早めに出ちまったんだよ! また無理に引き留めて空気悪くなりたくなかったんだもん仕方ないじゃねーかァァァ!!

 

 

「おめーら落ち着けよ。それと元浜、今日は会話がなくてラッキーかもしれないぜ?」

 

 

 松田の目がにやりと歪む。

 ロリコンである元浜にはロリ系とも言えそうなアーシアと朝の会話ができないことが悔やまれているらしいが、松田にとってはまたどうにかなるだろう、という推測で目先の『良いモノ』を得ようとする傾向にある。

 さすがは元写真部。被写体を探すことに掛けては右に出る者はいない、と意味深に豪語するだけの胆力を備えているだけのことはある。

 

 

「そ、その顔をするときは、新しい【お宝】を発見した時のモノ……! まさか、マツダ=サン!」

「括目しろイッセー、此れこそが至高の一品だ……ッ!」

 

 

 その言葉と共に差し出されたスマホ、そしてそこに映る動画は………………――、

 

 

 

 

 

 

 

 ――軽快なサウンドが流れ出し、リズムに合わせて少女がくるりとターンする。

 振り返ったその少女は何処かで見たような目に鮮やかな真紅の髪で、髪色に合わせたのか赤い水着を、いや、見栄えを計算しているのか、その赤は髪色と比べてももっと薄い。

 例えるならばローズレッドと呼べそうな色合いのビキニを纏った少女は、よりはっきりと主張される大きな乳房を惜し気も無く見せつける。

 ブラで隠されているというのに乳房の下半分がはみ出そうなそのボリュームを、両腕で挟むような形で主張している。

 

 似たリズムが続けて流れ、赤い少女の両脇に居た黒髪の少女と銀髪の少女が同じようにターン。ともに髪色に合わせたビキニを纏っている。

 赤い髪の彼女と同じようなポーズで自らを曝け出し、加えて言うならば黒髪の子は赤い子よりもよりボリューミーなそれがたぷんと弾んでいた。

 

 同じ姿勢から続くリズムで、揃って横に反復するように飛び跳ねる少女たち。

 三人揃ったその動きは見る者の視線を釘付けとし、男子のリビドーを否応なく高めていた。

 此処で、前奏が終わる。

 

『~~~~♪』

 

 赤髪の子が歌いだし、身体を揺するように踊りはじめる。

 手足を歌に曲に合わせてそこまで広くない範囲で動かすそれは、かつてあった【パラパラ】にも似たダンスだ。ただし、その動きは比べるとそれなりに緩慢で、何より動かす手足が最初から主張している胸を隠そうともしないのでより視覚的に悦ばしかった。

 

『~~~~♪』

 

 黒髪の子が歌いだす。

 沿うように、銀髪の子も歌声を披露していた。

 彼女たちの番になり曲のリズムはよりゆったりとしたものになっていたがその間も、彼女たちはセクシーな挙動で自らの魅力をアピールしている。

 なお、銀髪の子は無いわけではないが、赤い子と黒髪の子に比べると少々胸のボリュームは足りなかった。

 だが、そのスレンダーっぷりとは裏腹に随所から滲み出る女性らしさは決して失われることはなく、乳だけではない女子の良さを思い出させてくれる良い逸材である。

 

『『『ーーーっ♪ ーーっ♪』』』

 

 しかし三人が合わせた歌声と共に彼女たちが両手を動かし、自身の乳房をよりはっきりと主張し最後に下からたっぷりと持ち上げる。

 その姿でさらに釘付けとなった。

 

 そしてハートを狙い撃つような仕草とウインク。

 曲はサビへと移ってゆく。

 

『『『~~~っ♪ ~~~っ♪』』』

 

 両腕で乳房を挟み、片手を上げてイェイと跳ねる。

 それだけでも視覚の暴力なのに、ゆっくりとスキップするダンスに続けて、前屈みとなって開いた手のひらを横に振れば、一緒になってたわんだ乳房もふりふりと揺れる。

 揺れたそれを隠すでもなく、少女たちは自ら見て欲しいように指さし、たぷたぷと小刻みに持ち上げる仕草。

 指でハートを形作り、前屈みから直した姿勢でなおも押し上げるように胸元へと寄せる。

 おおきな彼女たちのそれがはみ出るように、よりはっきりと形を変えていた。

 

 それでひと段落、また同じように両腕で乳房を寄せて、片手を上げてイェイと跳ねる。

 揺らした乳房を寄せ直すような視聴者の目線を腕だけで抱き寄せる仕草の後、囁くような格好で前屈みとなって曲は終わる。

 そのときの口元には、喜色に満ちた感情ではっきりとこう示していた。

 

『――スケベ♪』

 

 

 

 

 

 

 

「――はっ……!」

 

 

 一曲分しっかりと魅入ってしまい、終わった後にようやく我に返る。

 な、なんか自分が遠いところに辿り着いていたような、自分とは違う『誰か』が後ろの方から状況を報告していたような、変な感覚を味わってた……!

 それくらい衝撃的で、これ以上ない『お宝』じゃねーか……っ!

 

 

「ま、松田ァ! これ、これ何処で手に入れたんだっ!? もしこれっきりってんなら売ってくれっ! 言い値を払うっ!!」

「ははっ、やっぱイッセーなら食いつくよなぁ。安心しろよ、手に入れる方法ならちゃんと教えてやっから。まあその前に、とりあえず鼻血を拭け」

 

 

 云われて、どばどばと己の鼻からリビドーが溢れていることに気づいた。

 だが、悪い気はしない。

 だってひっさしぶりだろ、此処まで腹にクるモノはよぉ……ッ!

 

 

「とりあえず、これは公式の動画だ。とあるサイトに登録して、彼女たちのグループリンクに進めば誰でも保存できる。ただ視聴期間が限られてるらしいからな、サイトの登録料はそれほど高くないが、月額で支払う必要がある。まあアップデートはこまめにやるらしいから動画を落としたらそれで終了、ってわけでもないし。より素晴らしい動画を順次更新していってくれる出来栄えだし、高い買い物とは思わないがな」

 

 

 云われたサイトを自分のスマホで探し出し、其処に映し出されるメンバーを、先ほどの少女たちのプロフィールを目を皿のようにして読み進める。

 ふむふむ、赤い髪の子は『アリス』ちゃん、銀髪は『ヴィオラ』ちゃん、黒髪の子は『早苗』ちゃんか。やっぱどこかで見たような覚えがある子たちだなー、親近感湧くわー。……っておおっ! スリーサイズ載ってるじゃん!? アリスちゃんも数字的にすげぇけど早苗ちゃんが100センチオーバー!? やっぱなー! でかいと思ってたんだ!

 

 

「でもやっぱり俺はアリスちゃんだな! センターだし、一番目立ってるし。なによりエロカワイイし巨乳だし!」

「いやいや、早苗ちゃんの方が良いに決まってんだろー? ヤマトナデシコ、って感じだし、一番でっかいのが彼女だぜ?」

「お前らちっぱいの魅力がわかってないな! 恥ずかしそうに踊るヴィオラちゃんが一番に決まってるだろうが!」

「は? ちっぱいっつーか、あれは板だろ」

「あ? 今なんつった?」

 

 

 一瞬でメンチを切り合う松田と元浜。

 おいおい、朝から喧嘩はやめろよ、みんな違ってみんないいじゃないか!

 そう止めようとしたところで、

 

 

「――おい」

 

 

「「「――え? がぶっ(ふぎぃっ)(ひでぶぅ)!?」」」

 

 

 背後から三人同時に殴り飛ばされた!?

 下手人は皇白流。いつの間にか背後に来ていたクラスの眼鏡女子が、無言で顔面パンチを繰り出してきていた。

 つーか朝とはいえ悪魔の身体能力に匹敵するコブシの威力って……!

 

 

「朝から低能な会話はヤメロ、殴られたいのか」

 

「もう殴ってるからァ! いいじゃねーかよ! モテない俺達にはこれくらいの娯楽があったってェ!」

「だいいちスメラギ! お前には直接関係ないんだからいいじゃないか!」

「そーだそーだ! ヴィオラちゃんに匹敵しない眼鏡ちっぱいは黙ってろ!」

 

「――よしコロス」

 

 

 ヒィッ!? 元浜の言葉でハイライトがオフに!?

 今まで味わったことの無いくらいの威圧感が俺たち三人に襲い掛かる……!

 やめてー! 悪いのは元浜よー!

 

 コカビエル以上の命の危機をとばっちりで受けたその日は、一日中回復できなかった。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

「で、この微妙にいかがわしい動画が、いったい何の役に立つの?」

 

 

 アザゼル先生という専門家の反対がなかったために押し切ることが出来たが、如何にも矢面に立たされていたグレモリー先輩が非常に苛立った声を上げている。

 局部は最低限守り切ったし、撮影の最中に水着が外れた動画は別枠で置いてある。ついでに全力の認識阻害が施されているので顔見知りにも気づくことが出来ない完全防備仕様だというのに、彼女を筆頭に女性陣には不評らしかった。

 かつての世界から提供された動画の撮影と専用サイトの作成を終了し、改めて全員に向き直る。

 

 

「嫌がるのもわからなくはないけど、これが一番手っ取り早いんすよ」

「この明らかなセクハラ動画が?」

 

 

 先輩はまだ納得がいかないご様子。

 まあキティの話じゃ俺言葉が足りてないらしいからな、かといって滔々と説明しても理解してもらえないのはどうかと思うのだけど。なんで話が通じないのがままあるのかしら。そらくんマジご不満。

 というか、グレモリー先輩の心情にはまた別の何かが混じってる気がする。ひょっとして子作り問題? グレイフィアさんあたりから説得してもらおうか……ああいや、こういうのは感情の話だからなぁ。誰かに説得されてすぐに納得できるんなら、この人ももうちょっと要領よく生きてるはずだろうし。

 大きなお世話ですね、そうですね。

 

 

「世界の支柱として必要なのは強さじゃなく不滅性、だから概念存在がそれには一番相応しくて、それらが次々受肉してる現状は危ういとしか言いようがない。これくらいは理解できましたよね?」

「そうなの?」

 

 

 理解してください。

 眉唾にしか聞こえない所為で信用得てない感じがするけど、その辺り含めて大体が先輩自身の気の捉え様に携わってくる話なのでスルーを心掛け話を続ける。

 

 

「まかり間違って討伐されるような奴じゃそもそも意味がないし、『世界』というものが『認識』の副産物である以上、人々の思念の流動に呑まれるような希薄さじゃ話にならない。必要なのは『御旗』で、実存じゃないんです」

 

 

 12の人王は概念存在の柱としての役割を補助するような役割だから、あっちの世界での『支柱』は明確には彼らとは言い難いのだけどね。

 なんであんなめんどくさい造りになってんだろ、誰がああしたんだろうな、あの世界。

 

 

「さてそんな御旗として、これまでにも人類がやってきた方法を踏襲したのが今回のこちら。いわゆる【偶像崇拝】です。適度なエロスで男子のリビドーを鷲掴みにし、そのあふれ出る思念(性欲)からもたらされる魔力がよりよく使い回せられるようなシステムを今回は構築。人外の皆さんは詳細をそもそもはっきりと捉えて居なさそうですがね、魔力ってのは造るモノです。人以外に備わってるだけの力の根源とかそういうモノではないんです」

 

 

 使い回した魔力を直に支柱、というか次元の狭間そのものへ働かせるのが今回の目的。

 世界が茫漠かつ漠然としてるのだから、その外殻を補強するわけだ。

 そうすることで【航路】もより確固として維持されて、無茶に次元に穴を開けても即崩壊するようなことには繋がらない。

 

 先輩たちという【偶像】が存在し、それを支援する人々がいる限り、このシステムは半永久的に動き続ける。

 一億人が10円づつ支払えば戦車が買えるように、ただの絵画であるはずのモナ・リザが人々の意識によってフォークロア()を得たりしたように、人の思念は莫迦にできない。

 人の数が動けば相応に世界も変動できる。

 やべーな俺、今回も働き過ぎじゃね?

 

 

「魔力が必要ならそれこそ私たちにそれを補填するように頼めば……、」

「ノルマみたいに大多数の神族魔族にやらせるよりも、人が自分からやろうとすることの方が成功率はいいんすよ。人をやる気にさせることが大事だってことです」

 

 

 それに先輩が云うその方法だと、初めはやる気になっていたとしても絶対に後々回転率は悪くなる。

 停止せずとも、人の意図で動かした場合は間違いなく鈍重になる。

 そんな不安定さで支柱の代わりを務めさせられますかい。

 

 

「……話は分かったが、それに俺が関わる理由はなんなんだ?」

 

 

 と、横で聞いていた同じく納得のいってない顔をしたヴァーリさんが口を出す。

 彼女にも同じように水着を着てもらい踊ってもらったけど、その胸部装甲から明らかな差が目に見えて不憫であった。

 実際、彼女は撮影中もずっとやりたく無さそうだったしなぁ。

 

 

「……数合わせの色合わせですかね? 他の面子は別の纏まりで推すつもりなので、少しだけ都合が悪かったというか」

「ほぉ」

「あ、新しいメンバーの都合がついたらいつでも代わってもらっても構いませんよ?」

 

 

 こちらもやる気の問題だというならば嫌々やってもらわなくても構わない。

 グレイフィアさん辺りに頼もう。

 銀髪だし、ヴァーリさんと違って胸でかいし、この面子ならばより稼げる!

 

 

「よしわかった。――死ねェゲス野郎ォ!」

「ぐへぇーっ!?」

 

 

 なんで殴られたの俺ェ!?

 

 





~二学期開始!
 烏丸フルスロットル
 今更だがこの話そのものが何かの続きなんですか?と尋ねられたのでダイジェスト気味に続編感をアピール
 ジョータローはキョンだった…?


~ユニット名『胸の谷間に埋まらせ隊』
 大元になった動画輸入はアキラたんの仕業。何の目的だったのですかねぇ…


~ヴァーリちゃん怒りの鉄拳
 単純な暴力はナニモノの才能にも勝る…!
 その理屈は分かるが、少年漫画が基本的にそればかりなのはこの国の将来を担う子供たちの精神性を養うのにいろいろと問題があるのではないかと
 まあ反目の理屈つけて用意したオリ主がゲス野郎だと説得力が足りませんけども



前よりは早めに出来たので投稿
…と思ったけど以前のペースでしかなかった


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「これからのことを考えるためにもいっかい今までのことを振り返るべきだと思う」


アニメで云う処の総集編みたいな雰囲気で。50話ていう切りのいい数字だし

そう思って書いてたら別にそんなことなかった



 

 

「4姉妹かいぎー♪」

「姉妹じゃねーでしょーが」

「まあフインキということで」

 

 

 何処かの中華系ビブリオホリック(書籍中毒)三姉妹みたいなことを口走り、そんなヴァレリーにツッコミを入れるのはミッテルト。

 それをまあまあと執り成すのはディオドラ・アスタロト改めアスタ・ロッテ。元々『聖女』と類別される敬虔な少女らを肉体的にも精神的にも貶めたり堕としたりすることを趣味としていた鬼畜少年だが、烏丸の手によってTSさせられて責め落とした少女らの記憶を追体験した所為か今ではすっかり角が取れた中学生くらいの体格を持つ中世的な美少女である。心が折れた、とも云う。

 なお、4と銘打った割にこの場(教会)には彼女らの3人しか姿は無かった。

 

 

「夏休みが終わってしまってそら様もご多忙のご様子ですし、以前に提案されていた通り自己判断でこの先を乗り切りましょー」

「考えてみたら、夏休みの宿題みたいなノリで大体の暗躍を叩き折られたんだよね僕ら……」

 

 

 ヴァレリーの科白に想起するように、ロッテは妙に具体的な解釈でげんなりと云い得ていた。

 元々禍の団(カオス・ブリゲード)に通じていたことも相俟って、実害が伴った実に身に積まされる言い分である。

 そんな彼女はさておき、はい、とミッテルトが顔の横へあまりやる気の感じられなさそうに小さく手を挙げる。

 

 

「それは知ってるけど、具体的にどうすんの?」

「れっつ、平和への架け橋♪」

「……可笑しいな、何も影の無い科白のはずなのに、そら様に云われたみたいにうっすらと怖い内容を孕んでる風にしか聴こえない」

 

 

 ヴァレリーの科白に追憶が連鎖でもしたのか、ロッテは呟きつつ背筋にうすら寒いモノが走るのを実感していた。

 

 そもそも、烏丸にとって『この世界』で起こることなどは完全に二の次であった。

 彼の目的は己のいた世界へ帰ることが主題であり、それ以外に手を出している理由は暇つぶしか趣味か、どちらにしろ場当たり的なモノでしかない。

 しかしそこは彼個人の生き方からくる事前準備を須らく行う本領発揮が全力稼働し、彼よりも場当たり感の強い事前準備の足りない者たちが『積み重ねの足りなさ』が前提となって失敗や敗北へとつながっている。

 前提条件が釣り合えば勝てない敵ではないのが『烏丸イソラ』というキチガイである。

 これまで常勝無敗に見えていたのは、単純に敵方の努力不足でしかなかった。

 

 そんな『世界』に対して、その想像を如何無く発揮した烏丸は基本的に容赦をしない。

 確かに二の次でしかないが、だからこそ其処で抗おうとする者たちを積極的に排したりはしようとせず、むしろ『其処で生きているのだから』とご本人らにこそ責任を贖ってもらうべきだと手間を拡げるのが烏丸である。

 その世界に遺されるヴァレリーを筆頭とした『彼に通じた者たち』の為に何某かを、と彼は『指標』として色々手をかけていた。

 具体的に言うならば――、実行力や覚悟の足りない国家やテロリストの次の行動を必要なモノたちへと掌握させる準備、であった。

 

 

「それではミッテルトさんは天界へ。絶霧があるからシステムとやらの掌握もできますよね?」

「おーけー、なんで自分でこの神器使わないのかと思ってたけど、まあアイツは無くても問題ないのか」

 

 

 某英雄派から命を奪うことなく拝借した空間系最高とされる神器・絶霧(ディメンション・ロスト)を改造したロザリオを首から引っ提げて、復活の際に天使化も施された元堕天使少女のミッテルトが納得の貌でヴァレリーの指示に従う。

 現状あまり戦力を前面に押し出していない天界であるが、だからこそ戦力と地力の未把握は『その先』を想起するに結構危うい。

 呑気に同盟を組んだ某魔王は想像もしてないのかもしれないが、そうやって『仲間内と見做し掛けた隣国』こそが自国にとっては『最大の敵』だ。背中を刺される覚悟もなしに多種族と易々と手を組めるのならば、これまで小競り合いを続けていた長い年月は重なっているはずもない。

 そして、ヴァレリーにとって悪魔の陣営とは、幼馴染が現在世話になっている気心の知れた隣人である。

 そんな方々が易々と滅亡してゆくことを見過ごすほど、ヴァレリーは薄情な娘ではなかった。

 

 

「ロッテさんは連絡係を。テレアさんの様子は如何ですか?」

 

 

 続けざまに、この場にいない残る一人の名を呼べば、己の蟀谷を揉みつつロッテが唸るように応える。

 

 

「んー、順調かなぁ。なーんか、色々と画策してるっぽい」

「ではそれを下地に次の手を考えましょう。他神話の動きも見られればよろしいのですけど……」

「あ、なんか冥府……ギリシャのハーデス辺りが英雄派のスポンサーみたいだよ?」

「え、そうなのですか?」

「うん。英雄派に寝返った悪魔派閥を使って冥界を攻め落とすみたいな計画を練ってたみたい」

「なるほど……」

 

 

 彼女たちでは本来知り得ぬことが明ら様となっている。

 その事実になんら疑問も挟まず、ヴァレリーは告げた。

 

 

「それでは、そら様に最後にお願いすることは決まりましたね」

「うーん、僕が云うのもなんだけど、彼に頼り過ぎな気が……」

「直に戦っていただこうというわけでもないですし、平気ですよきっと」

 

 

 この瞬間、禍の団(カオス・ブリゲード)の顛末は決定されたも同然であった。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 一方、元禍の団(カオス・ブリゲード)旧魔王派のカテレア・レヴィアタン改めテレアは、復活後もそのままの容姿なことも相俟って容易く組織への侵入を成功させていた。

 

 

「おかえりなさいませカテレア様! ご帰還を心よりお待ちしておりました!」

「ええ。帰って早々、頭の痛い事態になっているようだけれどね」

 

 

 冥界からすれば旧魔王などと揶揄され、新たに擁立された4大魔王に敵うのは血筋だけ、と陰で云われている者たちの一角である女性である。

 だが逆に言えば、血筋は確かに正当な魔王のそれなのだ。

 それだけを芯に添え、果てには悪魔としての格の高潔さを今の冥界にも通じるように、貴族らしさを追求していた彼女の容姿は、その血統ゆえかかなり良い。

 焦げ茶色の髪に褐色の肌、そして蒼い瞳に豊満な乳房などが主張する姿は何処か(エジプト)系の淫靡さを見る者へと思い描かせる。

 だが、髪型は小奇麗に纏めてあるし、インテリ系を思い起こさせる眼鏡は彼女自身のイメージを秘書か何かへと通じさせてしまう。

 それは【王】としてのカリスマ性には到底及ばず、また自ら女性としての魅力を閉じ込めている風に見えなくもなかった。

 

 そんな彼女であったが、烏丸の手による転生を果たした際、外見(ファッション)は随分と変更された。

 纏めてあった髪はその長さのままに解け、時折肌に張り付くように揺れて肢体を覆う。

 かけていた眼鏡は既に無く、垂れ目気味であった瞳に直接見通されれば得も言えぬ艶やかさで誘われているかのような錯覚を覚える。

 組織より発って行った前と比べると、まるで傾国の美女のような妖艶さが彼女には備わっており、部下たちは感じなかったはずのカリスマ性に身震いし、改めて彼女に仕えることを至上の喜びへと転じさせていた。

 最も、それは一度完全なる敗北を味わった上で、さらにその後復活させられるも、大して意味の無い拷問の数々に心が折れた弊害でもあるので、彼女自身にとっては有り難い話では決してないのであるが。

 

 

「私たちが発った後の顛末は把握したわ。それにしたって、リゼヴィム様は何も言わなかったの?」

 

 

 烏丸の手により悪魔以上の何かに造り替えられている彼女たち(ロッテとテレア)に、さらに空間系神器を改造し複製し内蔵させることで発現に成功した『通信能力』により、ふたりの連携と連絡は誰に知られることも無く距離も関係なしに密に繋がっている。

 同時に、烏丸という『なんか神話存在でも話が通じそうにない規格外』の被害に遭ったもの同士、という連帯感が相乗効果を発揮していそうでもあるが、その話は今はおいておく。

 その諸々はさておき、これまでに聞いた旧魔王派の表看板3名が離脱(ログアウト)したその後をリアルタイムでロッテへと教えていた彼女は、現状世界にとって冥界にとって、一番の害となりそうな集団の梶行きを問いかける。

 話に応える部下たちも、まさか現魔王政権のセラフォルーなどに一番に反抗していた彼女が別角度からの新参陣営に寝返っているとは微塵も思わず、乞われるがまま全てを話していた。

 

 

「不明です。が、どうにも英雄派子飼いの神器使いを連れて国外へと向かった模様でして……。ユーグリット様が死亡したことも相俟って、戦力を確保しているという言い訳も通用しませんでした。我ら悪魔派の大多数は旗印が無いままですので、このままでは『傾き』ます……」

「そう。不便ね」

 

 

 旧魔王改め真魔王と旗印を掲げていたリゼヴィムを初めとする四人の血族、シャルバ・ベルゼブブ、クルゼレイ・アスモデウス、そしてカテレア・レヴィアタン。彼らに率いられた悪魔だけの派閥は根本的に数が足りない。

 そもそもが新体制の冥界に馴染めない者たちや、冥界にとって不必要な混乱を招くために排他されていた者たち、または『今の魔王』の下では自分が旨い蜜を吸えない者たちが中心となっており、基本的に自分本位であるがために主にリゼヴィムに連れられた者たちを除いて旧魔王に忠義を誓う者たちは驚くほどに少ない。

 それは、駒王協定を結ぶ場へ襲撃した際に彼らが引き連れてきたのが『悪魔』よりも『魔法使い』らが多勢であったことにもよくわかる話だろう。当時烏丸の主観では【語り】が足りなかったが、協定の場への襲撃は『その外側から』もしっかりとあった。根本的にある種族としての膂力()を対人経験技術と聖剣と【倍化】で乗り切られた3名の魔王はさておき、それ以外の外的要因を排除したのがアザゼルだったのはもはや笑い話に近い結末であるのだが。

 外側の概要を把握しきれなかった烏丸の話はさておき、元より【魔王の威光】よりも【主観と気分】が行動の指針であった悪魔陣営らは、上手い話にすぐ飛び乗る傾向が強い。それをなんとか纏めていたのが、実力者でありカリスマでもあるリゼヴィムそしてユーグリットなどの旧魔王派の生き残りだ。

 これ以上の抑制が効かないと成れば、僅かであれど『多勢』に成り得る悪魔らは最大多数の生き残りでもある【英雄派】に上手く使い潰される未来しかないのであろう。

 

 なお、テレアが不便と云ったのはリゼヴィムが生き残って消息不明な事実に関してである。

 烏丸の『なんでもやれそう感』があれば見つけて狩ることも容易いかもしれないが、さすがに経験の深い実力者に本気で潜伏されると探すことは容易ではない。

 そしてリゼヴィムは今の魔王たちにとっても実力者相応であり、討伐しても残党が烏合の衆になり得るかが賭けである事実に関しては、テレアにとっても懸念と云わざるを得なかった。

 息を吐くとそれに、と彼女は付け加える。

 

 

「英雄派は魔女の夜(ヘクセンナハト)にも当たりをつけているみたいだし、以前に大多数を使い潰しにしてしまった私たちからすれば、逆に下に置かれる先しか見えないでしょうね」

 

 

 烏丸には完全に未知の話であるのだが、この世界の魔法において使用とされる『魔力』は【悪魔の力】が根源でしかなかったりする。己の魔力を呼び水に実存しない精霊を顕現させる【ネギま世界】とは、そこが相違点となっていた。

 自ら悪魔や人外へと転じた魔法使いを除いて、『魔力』を行使するのは悪魔のみだ。

 似た力を行使することで神族などに誂えられている者たちも確かにいるのだが、それよりは化生に当たる者の力を借りて術に転じる者を『魔法使い』と呼ぶ。

 彼らは基本的に悪魔との契約で力を借りて術を行使するのだが、それもやはり知識の研鑽無くしては成功しえない。

 先に述べた魔法使いの大量喪失は旧魔王派にとって確実に痛手であり、残った悪魔らは魔力貯蔵庫(タンク)として使い回されることが予測されていた。

 

 

「そしてもう一つ、未確定の情報があります」

「何かしら」

「神器に関してです」

 

 

 報告者の言葉に怪訝を覚える。

 悪魔陣営にとって神器は未だ不明な領域が多分に在り、そもそもが人が中心となって得られる力でもある。

 自分たちに扱えない力の情報を寄越されても、喜ぶのは神器研究者か烏丸くらいだ。

 

 

「冥府のハーデスから齎された情報のようでして、英雄派の幾人かが禁手化に至ろうと画策しています。齎された情報は禁手化への近道、かと」

「――ふぅん」

 

 

 なんでも無さそうに答えるが、今のテレアにはそれを精査する余裕はない。

 とりあえずその情報だけをロッテへ送り、自分たちの今後のために指示だけを置くことにした。

 

 

「ひとまず、私はもう一度『潜る』わ。あとは好きにしなさい」

「……は!? よ、よろしいのですか!?」

「云ったところで、今更通じやしないわ」

 

 

 報告者が慌てたように引き留めにかかるが、テレアは取り継ごうとはしない。

 完全に折れた今では、自分に最も足りないものが人を引く魅力であることをよく理解しているのだ。

 イメチェンした今の姿が男性にとってかなり魅力的に見えていることを自覚していない彼女だが、それでも人心掌握には至れないと経験していたがために、『今回は』失敗せずに済みそうである。

 

 

「戦力も勝機も確かに惜しいけれど、今動くことの方が愚策よ。正しく甘露を得るためには、ハーデスと対立する方がずっとマシ」

「……っ、それは、敵対するということではありませんか……!?」

「そう聞こえなかったの? この組織にいつまでも執着する気はないのよ」

 

 

 実質、冥府が英雄派の背後に控えている以上、スポンサー且つ禍の団(カオス・ブリゲード)の舵取りを決定づけている者が浮き彫りになっている。

 それぞれの派閥でやろうとしていることがちぐはぐでバラバラなテロリストであるが、旗印は現状大多数がお飾りでしかない以上、多勢を決めるのは『目的』を添えてしまった『誰か』へと転ずる。

 出来るならば二重スパイでも、と動かされていたがハーデスの目的が分かった以上恭順していては悪手になる。

 その事実に気が付き、テレアの矛先はようやく決定した。

 

 

「旧魔王派の大多数がいつまで『動いてくれるか』わからない。英雄派にステップアップのチャンスを溢して、魔法使い(兵器)の数を確保して、さらには【蛇】だって余ってるはずだわ。冥界が『穴』を見せれば、一息に始まるわよ」

「何が、ですか……?」

 

 

 予測はつきそうなものだが、明確な『それ』を知らない報告者は予測の裏切りを期待した。

 しかし、それとは裏腹に、ひどく冷徹な声でテレアは告げる。

 

 

「――戦争よ」

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 一方そのころ裏で割と冥界の先が危うい現状で、我らが主人公はというと。

 

 

「よし、じゃあイリナちゃんは黄色系の衣装で進めるか。膨張色で普通は避けるんだけど、キミの場合細いから充分グラマラスに見える。脱がせる楽しみを客層に楽しんでもらおう」

「あっあっあっ、んっ、ひゃぁんっ」

 

 

 ちょっと真面目な顔つきで、黄色系のビキニで着飾ったイリナを後ろから突き上げつつ、次のお披露目に関して色々と『話し合い』に興じていた。

 ツインテールのオレンジヘアが壁に手を付き腰を突き上げて、パンパンと突かれるたびにまさに特大オレンジのような二つの果実が豪勢に揺れる。

 その姿は素晴らしいのだがお前もうちょっとシリアス持続させろよ、と天の声にツッコミを入れられそうな場面転換であった。

 

 

 




安定の烏丸
6巻書いてるはずなのに何故か12巻くらいの話になってきている不思議


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☆「しばらく物語から離れていたサブキャラが再登場すると、なんかワクワクするよね」

51話ですけどー


 

 

 何故か知らんがこう、ティンときた、ってやつだろうか?

 夏が終わる前にイリナちゃんに『夏の●嬢さん』を歌わせておきたかった。

 なんでだろうか。ひとまず彼女には闇に呑まれよ!って言っといたから大丈夫(すっ呆け。

 

 さてそんな衣装合わせを終えて夜半の話である。

 今俺の目の前には、ちょっとした異常事態が鎮座していたりする。

 

 

「……塔城、ナニコレ」

「ヨロシクオネガイシマスカラスマクン、ホントマジデ……」

 

 

 あっれー、なんか小猫ちゃんのSAN値が減ってんだけどなんでー?

 どう見ても異常事態なのはこっちだろうに。

 と、視線を向けた先にいるのは、

 

 

「――っはぁぁぅっ、小猫様ぁっ♪ まだですかぁっ、はやくっ、はやくワタクシめに御褒美をぉっ♪」

 

 

 全裸で亀甲縛りで目隠しで耳も塞がれて、発情しつつ艶っぽく身悶えるフェニックス家のご令嬢のお姿であった。

 おかしい、彼女は常識人だと思っていたのに(白目。

 

 

「……何がどうしてこうなったんだ」

「ナンデショウネモウワタシニモワカリマセン……」

 

 

 いい加減戻ってこい塔城。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 正直、SMなんかを筆頭とした変態的で倒錯的なplay(行為)には、自分の初体験が逆レであったことも相俟ってなのか少々忌避的な感情が働いていると云っても過言ではないかもしれない。

 しかし、目の前で無防備に肌を晒して、そしてそれが元来美少女でスタイルも悪くない同年代であるという現状を目の当たりにしてしまうと、……こう、ぐっとくるものがあるよね。

 

 さてこんな夜中に緊縛中のレイヴェルを引っ提げて現れた小猫の目的はというと、彼女を『どのような方法でもいいから』真っ当な道へ戻してほしい、という常識を疑うようなもの。

 彼女は俺の前科を大体把握しているはずであり、女性に対しては基本優しく気を使うつもりではあるが貞操に関しては頓着しない俺に、よりにもよってその依頼は正気なのかと問いたくなってしまう。

 というのもそもそも、塔城の依頼に相成った事態そのものが頭の痛い話であったのだとか。

 曰く、初めから小猫(自分)狙いでグレモリーに関係を持ってきた節が。

 曰く、どうにも最初に対峙したレーティングゲームの対ライザー戦で無双して以来ネジの飛んだ視線を向けられる。

 曰く、というかレズ娘に夜這い掛けられそうになったから正気の道へ引き戻してやってほしい。

 やだー、モテモテ(死語)じゃない小猫ちゃんてばー。

 …………うん、一部俺の責任もある、のかな……?

 

 非常に認めたくないが、小猫を強化した一件が此処まで後を引くことになろうとは、あの時の自分は思いもしなんだら。

 ていうか、レズに目覚めた小娘を男性相手に引き戻せと云われてもねー。

 夏休み最後の方にフェニックス家に突貫噛ました兵藤先輩の所業も理由に当たるんじゃねーのかなー、と思ったりもするのだけど。目の前にある事実こそが優先事項ですか。そうですか。

 

 ひとまずは、自分のやり方でしかモノは片付けられないわけで。

 小猫にも許可はもらっているのだが、ぶっちゃけ新しいクラスメイトにそんな真似して俺の今後の学校生活どうなっちまうのよ、と言いたくもある。

 

 

「ぐだぐだ言ってないで、とっとと突っ込んでアヘアヘ云わせてくださいよ」

「案もなしに云い方も酷いなお前。仮にも女子がそれはどうなのよ」

「こちとら同性に夜這い掛けられた身ですので。烏丸くんならその場合ブチ切れますよね?」

 

 

 何が国だよク●ニしろオラァ! と云わんがばかリの小猫さんがフェニックス家ご令嬢のレイプをお望みである。改めて考えなおすとマジで酷い。

 でも小猫の言い分もわかるだけに、反論する材料がどうしたって足りなくなる。

 ……女子と男子はまた別なんじゃないかなー、と言いたくもあるけど、流石に女子になったことも無いのでこの言い分では否定にも届かないか……。

 

 

「つっても、ただ弄るだけで堕ちるほど女子ってのも簡単じゃねーでしょ。You、おとなしく百合っちゃいなYo」

「面倒くさくなっているだけですよね? アーシア先輩を寝取った烏丸くんが云っても説得力無いですよ」

 

 

 あれは、ほら、兵藤先輩がそもそもアーシアに対してぞんざい過ぎたのが原因じゃね?

 美少女と同居しておきながらグレモリー先輩に夢中だったのなら、気が離れても文句言えないと思う。

 うん、『俺は悪くない』。

 

 

「とにかく、とっとと抱いちゃってください。とりあえずえっちぃ描写があれば読者だって納得するんですから」

「そーゆー第四の壁壊すようなこと云うなよ」

「世界崩壊を謳っていた人に云われても」

 

 

 などとメタい遣り取りを交わす間も、視界の端では亀甲に女性を晒した美少女がイヤンイヤンと身を捩っている。

 なんてシュールな部屋なのか。

 

 

「――でわ、それをどうにかする理由があればいい」

 

 

 え――。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 レイヴェルは目の前で曝け出されるその光景に、冷水を浴びせられたかのように青褪めて往く己を自覚していた。

 心地の良い熱病に浮かされていたかのようであったかつての自負は微塵も残っておらず、今ではただこの場から離れなくてはならない、と自身の中に培われた貴人としての理性に急かされている。

 しかし、それと同時に本能が、其処から目を離したくはない、と暗い欲求と同時に理性を抑えつけるのだ。

 そうした二律背反が彼女の挙動を抑制させているのだが、どちらにしろ荒縄で拘束されたその身が自由になることなど今夜は決してないのであろう、ということにまではその思考が及びはしなかった。

「あっあっあーっ、いくっ、いくぅっ!」

 ギシギシとベッドのスプリングが激しく悲鳴を上げているが、それ以上に恍惚とした声を上げている少女がレイヴェルの目にははっきりと映っている。

 長い黒髪で、手足も腰も細く短く、肉付きなんかは一切伺えない、まるで子供のようにスレンダーな少女だ。

 しかし唯一その身に纏っているガーターベルトに似た黒いレースのコルセットのみという装飾で、後ろから伺えば少女と相手の結合部がはっきりと覗けるくらい顕わとなっている下着も付けていない淫靡さが、彼女の今交わしている動きと相俟ってどうしても子供とは思えない、いや思いたくはなかった。

 体格を見てしまえばどうしても一桁代の少女にも拘わらず、だが。

「見えていますか、レイヴェル?」

「……っ、小猫、さま……!」

 自由になった耳目に、己が憧れた少女の声音が背後から響く。

 レイヴェルは首だけを動かして、自分よりもずっと幼い見た目の彼女の姿をようやく認識した。

 

 彼女が小猫に憧れた経緯は言うまでもなく、愚兄の引き起こした婚約騒動が引き金である。

 貴族の親同士が勝手に決めた約定を破棄するために、愚兄に宛てがわれたリアス・グレモリーは悪魔たちの間で人気と注目度の高いレーティングゲームという、チェスに準えた戦力で勝敗を決する優雅なのか粗雑なのか一律では判別の付かない遊戯(ゲーム)で自分たちの行く末へと立ち向かった。

 気づけば娯楽の類が衰退し切った悪魔社会の間では根強い人気があるゲームだが、実際のところは武力拮抗で勝負が決まるので、人間が知る『貴族の遊戯』とはどうにも認識し難いルールが誂えられている。

 リアスが宛てがわれたレイヴェㇽの愚兄であるライザー・フェニックスは、そのゲームで上位に当たる実力者として名を馳せており、当初よりこの勝負はリアスにはどうしたって勝率の見えない、分の悪い話どころか彼女の自己を顧みない実に『貴族らしい話』で全ては終わるはずであったのだ。

 それを覆したのが彼女、【飛び跳ねる金華猫】こと塔城小猫であった。

 

 黄金に輝き聖なる力を発揮しつつも、悪魔である自らを焼くことがない凄まじい鎧を纏って闘うその姿は勇ましく優雅で、愚兄の駒として参戦しておりながらも、当初は少々野蛮だとさえ認識していたレーティングゲームで初めて、レイヴェルは戦う少女に『憧れ』を抱いた。

 抱き続けた憧れが、愚兄の情けない姿を見ることに反比例して膨張をし続け、ほんのわずかな期間で憧憬は慕情に転化した。

 一番傍で見る男性の情けない姿に辟易し、小猫の勇姿を思い浮かべるごとに女性優位に傾いていったことが最大の理由かもしれない。

 

 そしてそれを加速させたのは、他でもない兵藤一誠だった。

 悪魔社会でも類を見ない闇医者の画期的な治療法をフェニックス家が休心され、患者として客として、彼を実家が受け入れたのが運の尽き。

 客であるということで初めのうちは見過ごせていたセクハラ染みた彼曰く『癒しを求める男子の本能』とやらも、数が積もれば害でしかない。

 貞操の危機を感じたレイヴェルは、それよりも己の恋慕をどうか届けたい、と恋に準じた何処かのグレモリーのように単身人間界へ、小猫の元へとやってきたのである。

 

 そこで新たに見たものは、小猫がどうしたって恋い焦がれているとしか思えない、やや不審な男子。

 更に焦燥に駆られたレイヴェルは、ついに夜這いという愚行に手を出し、――反撃されて今に至る。

 彼女が憧れた白い美少女は拘束されたレイヴェルの背後から、胸も下もつるりと晒した品の無い目を疑う淫靡な恰好で姿を現していた。

「っな、なんて恰好でいられますの……っ!?」

 自分の姿も棚に上げて、レイヴェルは恫喝する。

 貴族の子女として、明らかに人前には見せられそうにない姿をした彼女を、憧れているからこそ見過ごすことは出来なかった。

「これ、けっこう便利なんですよ。シたくなったらすぐに跨がれますし、全裸で誘うよりもずっと食いついてくれます」

 小猫の言う通り、それは全裸ではない。

 紐を編み込むような形状で絹と思しき白いコルセットは彼女の腰回りのみを拘束し、ガーターで吊るしたハイソックスに二の腕から指の先までを覆うハンドソックスも白。色合いのみなら彼女の外見と沿わせようという意図が伺え、実に可憐だ。

 だが、身に着けているのは、それだけ。

 あとは首輪を模したような白いチョーカーが申し訳程度に首元を飾っているが、つんと立った桃色の乳首や白い肌が艶やかなスレンダーの(ハラ)、陰毛が微塵も伺えないつるりとした局部もまた、女性として隠すべき大事なところは悉くが顕わとなっている、実に淫靡な肢体が其処に晒されていた。

 そんな子供の体型で遣れば一層犯罪臭が止め処ない恰好を晒しながらも、小猫は悠然と微笑んでいた。

「お、お願いです小猫さま、そんな、自分を安く売るような真似は止めてください。私が出来ることなら、なんでもいたしますから……!」

「おや、レイヴェルは元々夜這いまでして私と交わりたかったのでは? もう一度、前を見てくださいよ。貴女が欲しがっていた行為のお手本のような光景が、見事にあそこにありますよ」

 その言葉に、視線だけがもう一度前を向く。

 褐色肌が伺える男性が抱く黒髪の少女は、彼の腰の上に跨って獣のように嬌声を上げている。

 愚兄が自分の眷属らと『このようなこと』を繰り返していた事実は既に知っている。

 だが、それをアリアリと目の前で見せつけられるようなことなど、いち貴族の令嬢としてはあってはならない話であるし、兄妹としてもその程度の倫理を超える様な真似をするほど救いようのない兄でもなかった。

 だからレイヴェルにとってこの光景は知識として知る以上の姿であり、未知を知ろうという本能が恐らくは自らを衝き動かしていることを知りながらも、それを眼前に据えたままでは居てはならない、という恐怖から頭を振るった。

「あ、あのようなことを求めたなど、そんなことを私は欲してはいません! 私が求めているのはもっと純粋な、」

「まあどちらにしろ、私は貴女とそうなるつもりはないのですけどね」

 言い募るレイヴェルを切り捨て、小猫は彼女から離れる。

 見捨てられたことを呆然と見送り、しかし尚も縋ろうと彼女の感情は『何か』を探して脳を働かせる。

 しかし、それが見つかることは決してなかった。

 

「貴女の『次』は私ですから。いつでも好きに自分を解き放ってくれても良いんですよ?」

 

 見捨てた、にしては優雅に微笑む小猫の言葉に、レイヴェルの脳は計算を辞めていた。

 意味が分からず、彼女の離れて往く様を呆然と見送り、

 

――知らぬうちに自身に伸びていた、男性の武骨な手が身体を弄ることを許してしまっていた。

 

「――ッ!? な、あ、ひっ、いやぁっ!?」

 

 レイヴェルのか細い悲鳴が室内へ響く。

 気づけば、黒髪の少女を抱いていた彼はその行為をいつしか終えており、次の標的として自分を選んでいたらしい。

 そのことに慌てた頭で気づきながらも、拘束されている現状を改めて思い知り、逃げ場がないことを自覚する。

 必死で身を捩るが、男の手はレイヴェルの小振りな乳房を愛撫しながら、荒縄の隙間に顕わになっている肌の幾ばくかを指先が蠢いて往く。

 毛虫の這うような嫌悪を咄嗟に覚え、レイヴェルは尚も悲鳴を上げ続けた。

「いやぁっ! 小猫さまぁ! 小猫さま助けてぇっ! 男はいやっ、男に初めてを奪われるなんて絶対にいやぁっ!」

 無論、助けの手は来ない。

 褐色の男の愛撫は続いて往く……。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

「おっおっおっんほぉぉっ! ちんぽぉっ、ちんぽきもちいいぃっ!!」

 

 

 はい、どろっどろに蕩けた焼き鳥娘の一丁上がりー。

 レズ属性とはなんだったのか、30分くらいで完堕ちしたレイヴェルは烏丸くんの下に組み伏せられ、貴族()にあるまじき悲鳴を上げて悦んでいます。

 なんというハッピーエンド。

 あれが演技ならスゴイですけど、彼女の拘束ってもう解けちゃってて、子宮口以外は自由にできるんですよねぇ。

 脚も烏丸くんの腰に絡みついちゃってますし、もう自ら妊娠したがってます。

 彼の肉棒は何某かの媚薬成分でも誘発してるのでしょうか……?

 

 

「――ん、小猫、そろそろ我の出番」

「いえ、次は私だって云ったじゃないですか。オーフィスはその次です」

「? レイヴェル、まだ?」

「ですね。まあ初めてですし、こんなもんでは」

 

 

 いやー、ほんとオーフィスのサイミンジツって便利ですよね。

 もう私たち、正気を亡くした烏丸くんを美味しく頂き隊を名乗っても良いのではないでしょうか。

 となると、やはり麻帆良組の彼女たちも取り込むべきですかね。

 まあ暗躍はさておき、今夜はとにかくセックスセックス♪

 

 

「んあぁぁぁっ! あひぃーーーーっっっ!!!」

 

 

 

 




イリナちゃんかと思った?
原作読めば順当な扱いなはず
あとレイヴェルのエロシーンが微妙に飛んだのは…

ーーつまりはすべてイッセーってやつのせいだったんだよ!
イッセー死すべし慈悲は無い


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☆「友人が教室の窓の外を見上げながら「馬鹿な、まだ早すぎる…!」と口遊んだので、俺はとりあえず動画に撮って拡散することに決めた夏のある日」

遂にあのひとが登場する52話!


 

 

「ぁ……っ?」

 ずぶり、とレイヴェルの膣口に沈み込んだその異物は、しかし彼女に然程の衝撃を齎すものではなかった。

 ()()()()に体中の到る箇所を、大凡性感帯と呼ぶに差し障りの無い程度にまで混ぜ解され蕩け切った彼女にとっては、処女膜の貫通など今更痛みを訴えるほどもなかったのであろう。

 レイヴェルは茹ったように回らない脳みそのお陰で、自らが忌み嫌っていた男性という生き物に処女(ハジメテ)を今強引に奪われたという事実に、未だ判別が至ってはいないのであった。

「……? っ、ぁ、……んっ? っぅ……っ」

 ふっふっふ、と肢体を貪ることに夢中な男性の荒い息遣いと湿った音が、熱気の籠った室内で静かに反響する。

 荒縄で亀甲縛りに晒されていたはずの彼女だが、若いその身体にはうっすらと赤い痣が残るだけで、それもふたりの間で交わされる熱の影響か、次第に白い肌へと還元されてゆく。

 熱を生むほど彼女を揺さぶる腰つきは激しく、年相応と呼んで然るべき小振りだが形のある乳房が、男性の衝動に合わせて踊るように跳ねていた。

 だが今のレイヴェルにはそれも正気へ戻すほどの衝撃ではない様子で、男が腰を打ち付けるその行為に彼女はほとんど抵抗を顕わにしようとはせず、まるで白痴に苛まれたかのようなその表情はしかし少女の魅力をまた違う角度から教えてくれているようでもある。

 普段は両側へ渦のように巻かれている金糸の髪も、少女の意識に準えられてか力無く解けている。

 それは、その男性に身を任せることを彼女が完全に了承し切っているような、そんな証明のようにも思えていた。

「……っ、っほ、ぁっ、……あっ、ひ、んぅ……っ」

 しかし麻痺していたその感覚も次第に彼女本来の値へと戻りつつあり、レイヴェルは段々と恍惚の声を喉が自然に奏でるようになってゆく。

 これは彼女が『再生』の特性を司る【フェニックス】であることも要因の一つであるが、それまでに彼女の身体を開発していた男性が、彼女の性感帯を程よく知りつつあることも理由に当たる。

 男性の逸物はレイヴェルの膣内を隙間無く穿り回し、彼女が正気に戻るであろうレベルに匹敵する感度を想起させる性技で以て、尚も彼女の身体を開発しつつあった。

「は、ぁ、あっ、んっ、はぁんっ、んっあっ、あ……?」

 そして正気に戻りつつあった彼女が、今己を慰めている存在が何者なのかを把握し直したのか、喘ぎ声になっていた声音に疑問が混じる。

 その瞬間、男性はレイヴェルの膣奥を力強く押し上げていた。

「――っは、ぁっ、ぎぃ……っ!」

 それまで以上の衝撃が、しかし彼女には快感として脳髄にまで伝播する。

 思わず漏れた悲鳴とは裏腹に、その瞬間自身に伸し掛かる男性の身体をしがみ付くように抱きしめ返していたのがその証拠であった。

「あっあっあっあっ、んあっんっんっ、ああんっ、あんっ、そこぉっ、もっと、もっとぉっ!」

 快楽をより感じたいのか目を閉じたままのレイヴェルは、誰に慰められているのかを既知としないまま、自分を組み伏せる男性に甘えた声を上げ続ける。

 自分の奥深くを隙間無く擦り上げるこのキモチイイモノが何であるかをうっすらと頭の何処かでは理解しつつあるのだが、既に一度蕩けてしまった脳では、理性のある貴人へとこの状態から回帰することは不可能である。

 求めれば求めただけ際限なく充足感を与えてくれる誰かに溶けるように堕とされてゆく少女は、悲鳴に似た嬌声を何度も上げながら歓喜の悦楽を貪ってゆく。

 それは鎖乍ら、耽る夜へと微睡むように溶けて往く様にも伺えていた――。

 

 

 

 ――っていう記憶が、俺の中にあるんだ。

 

 ……やべぇよ、何がやべぇって俺の高校生活が基本的にやべぇ。

 こんなんなっても俺個人が別段気にしていないことが問題なのかもしれないけれども、逆に周囲の外堀をズンドコ埋められているような気がしないでもない。

 そしてその事実が後々に色んな意味での自縄自縛を醸し出しそうでインガオホー。

 ………………女性関係だらしなさすぎじゃねーかな烏丸くん?

 

 おーけい、ひとまずレイヴェルさんが嫌そうじゃないってことは朗報だ。

 最終的に済し崩しに即堕ち2こまみたいな話になった気がしないでもないけれど、嫌じゃない、という言質さえ取れて居たら問題は無い。

 オカ研内の女子が悉く摘み食われてる気もするけれど、元より男子にリビドーを刺激しそうなスタイルの子ばかりなのも前提にあるから倫理面はともかく個人的な後ろ暗さも特には無い。

 というか、一線超えたら人間大体のところはそのまま突き進むんだよね。

 元は敬虔な修道女の3人だって、実は処女で耳年魔だったお姉さま方だって、こっちの世界で云う処のネギ君が自然発生させていたセクハラ空間だって、大元を辿れば原理は一緒。

 大事なのは適応力。

 特に女子は根本的に図太い改め芯が強い娘ばかりだから、ケアさえ間違えなきゃたぶん平気。

 ……というか、あれこれ言いつつ一番気にしてんのはたぶん俺だな、これ。

 これ以上女子食ってどうしようというのだか。

 

 そんな反省を顧みつつ、本日の俺は休日を頂いて個人行動中。

 ヴァレリーらが頑張ったお陰で何気に嵩張った情報を紐解きつつ、知り合いのいないカフェテラスで優雅に読書に明け暮れていた。

 なんか冥界で戦争始まりそうとかカテレアあたりから連絡来たけど、敵方の大元がハデスってマジ?

 あのひと確かに聖闘●星矢だとラスボスやってたけれど、基本神話を紐解けばギリシャでは一番『まとも』な神ではなかったのかしら。

 それとも、そのまともな神様さえ怒るような真似を此れまでの聖書陣営が遣らかしていたのかね。

 ていうか、冥府と冥界の違いって何。

 ……ひょっとしてこれが原因か? 元々ハデスさんの管轄だったところに陣取った悪魔らの図太さが逆鱗に触れた? 推測でしかないけど、そもそも『悪魔の世界』であるなら『魔界』とでも名乗っておけばよかろうもんだものなあ。ハデスの怒りが有頂天になるのも、それなら納得だわ。

 

 さてさて、ふぅん、カオスなんちゃらの悪魔派閥を人間爆弾に換えて冥界へ神風アタックやらせる気か。

 其処を突いて英雄派閥の神聖系で撹乱しつつ、……あ? 魔法使い派閥? マジで?

 

 

魔女の夜(ヘクセンナハト)、ねぇ……。随分ときな臭い名前を持ってきたじゃないか……」

 

 

 ちょっと見過ごせない名前だなぁ。

 この世界でどうなのかは知らないけど、俺の知る限りじゃ魔女は非敵対(さわらず)の代名詞だ。

 例えば、俺がまかり間違って敵対してしまったとしたら、話を聞かず、逃げの選択をせず、戦う意図を持たず、正面から堂々と、影すら見えなくなるまでに絨毯爆撃を繰り返す必要()()ない。

 話すことなかれ戦うことなかれ逃げることなかれ絶望することなかれ希望を抱くことなかれ、ありとあらゆるネガティブとアクティブに反射してくる【鏡】こそが魔女の本質だ。

 油断も緊張も抱かない、平坦で機械的にフラットな精神を抱えていないと、ようやく対峙することすらできない。

 心積もり、という対人性能を持っている時点で、大体の魔法使いや英雄を凌駕するから機械で対峙するしか道は無く、ついでに言うとそれが本当に通用するかどうかも疑わしい。

 やだなぁ、この時点でもう関わりたくない。

 でもヴァレリーには既に手を貸してほしいって打診されてるし。打診されてるって言い方も変だけど。

 

 まあ、局面に陥ったら何かしらやってみるか。

 本格的にやばい相手が出てくる状況になったらそれこそ負け確実だけど、負けるのは慣れてるし『そうなる』一歩前くらいには状況も読めるのが本領だし、よっぽどの事態にならない限りは問題は無い。

 というか、何より相手側が計画を煮詰めてくれているみたいだから、こっちは逆にフレキシブルな立ち位置も平気で取れるっていうのが本音だけどね。

 あんまり根詰めると破綻するのが計画ってなものよ、気楽に逝こうケセラセラ。

 

 

「――っ、はなして、ください……!」

 

 

 お?

 

 自分の中で先行きへの葛藤を終えたところで、周囲が、というか店の外が騒然としている。

 何やら女性に男性が絡んで、拒否られているご様子が、って……。

 

 お、おう、マジか、あんな人おるんか、現実に。

 

 そう俺が狼狽するのも無理はない。

 俺の目に移ってきたその人とは、例えるならば団地妻へ引っ越し蕎麦と称してキモチヨクナルオクスリがふんだんに使われたそいつをご馳走し(ヤク)ギメセックスでとことん陥落させそうなタイプのボブとかサムとか呼ばれていそうな黒人のスキンヘッドなデブマッチョであった。

 偏見が過ぎるだろうか。

 でもアレを見た瞬間、俺の中には件の彼と対峙している銀髪美女のアヘ顔ダブルピースが脳裏に浮かんだ。

 うん、今日も正常にとち狂ってるわな、俺!

 

 ……ほんと、マジで休み取ろう。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

「ご、ご迷惑をおかけしました……」

 

 

 と、俺の目の前でひたすらに謝り倒しているのは、先ほどボブ(仮)さんに絡まれていた銀髪のお姉さん。

 俺の中に浮かんでいたイメージはどうやら杞憂だったらしく、話してみると彼は迷子になっていたお姉さんに親切心を顕わにしたところ誤解を受けたのが事の次第であったそーな。

 まあ威圧感あるひとだったのは仕方ないとしても、このおねーさんも男性に対する免疫がなかったようなのも原因ではないのではと。

 

 ふむ、しかし改めてみると美人だな。

 化粧っ気が無いにもかかわらず、その素材は飾り立てることも必要がないくらいに美麗である。

 彼女はそれを自ら把握しているというようには見えず、単純に着飾る経験が乏しいのでは、と伺える。

 いうなれば、スーパーモデルの原石足り得る田舎娘。

 うむ、云い得て妙だね。

 

 

「そ、それであのぅ、駒王学園とはどのように行けばよいのでしょう?」

 

 

 ……なんだよまた悪魔関連かよ。

 まあこんな美女が人間だと云う方がずっと疑わしいけどさぁ。

 

 『助けた』ほどではないが、手を貸した礼を提示しようという申告に差し出がましくも追加の貸付。

 ぶっちゃけこのひと人を見る目がねーな。

 こんな極東の地方都市で危機感抱けという方が無理があろうが、外国人装うのならば心の片隅に苦手意識持っている男性相手に『少し会話が出来た程度』で更に弱みを見せるモノではないよ。

 これから罠に嵌める俺が思うことではないかも知れないけれどさ。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

「……あ、あのぅ、こ、この水着は流石に小さすぎなのでは……?」

 

 

 ――十数分後、行きつけのラウンジバー系屋内プールにて白いマイクロビキニに身を包んだ銀髪美女の姿が!

 フハハハハハハハ! やべー、ちょろい、ちょろ過ぎるよこのおねーさん!

 あまりにも眼福な光景に内心笑いが止まりませんわ。

 

 道中で聞いた話を纏めると、おねーさんの名はロスヴァイセさんという戦乙女(ヴァルキリー)のひとり。

 冥界というか、ようやく纏まった聖書陣営の後ろ盾となるべく動き出したオーディンの付き人として駒王町まで足を運んだそうな。

 オーディンという爺様の今回の来日目的は、魔王の妹として美人と名高いリアス先輩と顔を合わせること。

 以前のレーティングゲームも覗いたらしいが、そのときには特に顔を合わすことなく、冥界で多少の話だけで帰っていたのだとか。

 そして爺様曰く、『どうせ悪魔に手を貸すならば若くて可愛い子の方がずっとやる気が出るわい』という身も蓋も無い助平根性全開の理由で、ロスヴァイセさんの同行を振り切り単身駒王学園へと乗り込んでいったらしい。

 それでいいのか北欧の主神。

 ハデスでも思ったけど、この世界の神秘存在って悉くがなんかアレだなぁ。残念というか、第一想定以上に下劣というか。美しき魔闘家鈴木理論が通用しないレベルで俗物ばかりな気がする。

 まあ多神教の神族が色々アレなのは今に始まったことではないし、その程度ならたぶん想定内だろうきっと(震え声。

 

 さてそんな爺様に置いて行かれたロスヴァイセさんが、何故に単機でセクハラ水着着て俺と顔つき合わせているかというと。

 まあ口八丁手八丁、具体的に言うならば田舎から上京して来た純朴系JCを読者モデルと称して連れ込むキャッチみたいな真似で、今この有様である。

 戦乙女に就職(?)しているというにも拘らず、19歳という未成年で売り込むには最良の年頃。

 何より、美人であること以上に目を引くのは、抜群のスタイルを誇れるほどの二ツ山だ。

 マイクロビキニからはみ出すボリュームの、透き通るような肌色の魅惑的な乳肉は、ヴァーリさんを押し退けて新たな【胸の谷間に埋まらせ隊】の新メンバーに加えてもいい。

 というか、それ目的でこうして勧誘したわけだし。

 

 よーしお仕事開始!

 宣材写真撮る感覚でロスヴァイセさんの具合も確かめよー。

 あと最近俺がロリばかり跨ってきたから食指の針をまだマシな方向へ傾けたい(小声。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 助けていただいた、と云うにはやや大袈裟ですが、勝手もわからぬ異国の街中で手を貸していただいた方が聖書陣営に携わりのある魔法使いの一人であった事実は、おそらく偶然ではないのでしょう。

 なんだかんだであの耄碌(ジジイ)もといオーディン様は森羅万象を見通す魔眼を所持し居ていますし、ひょっとすれば私と彼とに縁を繋ぐためにわざと私を振り切ったのでは、とも推測できます。

 ……出会いの無い女職場(ヴァルキリー)に年頃の男性を与えるとか大きなお世話としか言いようがありませんが、なんだかんだで現状某テロリストと最前線で対峙できるという実力者であるという事実を含む諸々の贔屓目を差し引いたとしても、この烏丸という少年は優良物件と伺えました。

 

 出会いの希薄さという私の人生的男性経験における不足さを補われ、こちらが委縮してしまうことを何でもないように払われて、気づけば壁も無い気安い会話が出来るように。

 私の言いたいことを理解してくれて、私が抱えている不満を受け止めてくれる年に見合わぬ度量の広さ。

 そして、今の仕事が辛いのならばと、新しい道へと誘致する希少とも呼べるほどの手広さ。

 決して今の戦乙女という立場に見切りをつけたというわけでもないが、オーディンの御付きとヴァルキリーの中でも優秀な人材が選ばれる立場が、耄碌爺のお目付け役にしかなっていない現状からすれば、実に誘われ甲斐のあり過ぎる誘惑にもなっています。

 結局私は、とりあえず話だけならば、と彼の誘いに乗り――、

 

 ――ちょっと今、後悔し掛けています。

 

「ん、あっ、くぅぅぅっっっ!?」

 同年代の子たちが恋人を作り、私たちがそういう経験をしていても可笑しくない年頃である事実は理解していました。

 しかし、今日初めて会った男性と水着姿で、しかもこんな広い場所で後ろから、というややアブノーマルな経験で『初めて』を失うことになろうとは、ヴァルキリーになった当初には思いもしなかった現実です。

 わずかにずらされた水着の隙間に彼の脈打つペニスが入り込み、一度も男性を受け入れたことの無い秘所の肉襞を隙間なく押し入ります。

 小さすぎるブラも力強い彼の衝動で既にずれて、恥ずかしいくらいに大きな乳房がこぼれて顕わになっていますが、それを直す余裕も私にはありませんでした。

「あっ! あーっ! んぁーっ!」

 初めては痛い、と聞いていたのですが、此処に至るまで彼の愛撫が私の緊張を解してくれていたお陰でしょう。

 膣の中を子宮を潰さんがばかりに力強く押し付けられているペニスの衝撃は胎の中を満遍なく迸り、それまでのマッサージで痛みよりも快楽をずっと感じるように改竄された私の身体にとっては、すべてが愛おしく思わせる衝動です。

 喉から勝手に吐き出される悲鳴に似た嬌声が、自身をもっと激しく求めてくれることを自覚し、尚も声を荒げていました。

 

 さて、後悔している、と云いましたが、これは間違っていません。

 何故ならば彼に提示された新たな仕事とは『アイドル』と呼べるもの。

 そして私が聞きかじった日本におけるアイドルの第一条件は『恋愛御法度』というモノだからです。

 つまり、こうして彼と子作りに励んでしまっている現状からすれば、今からアイドルへ転向することほど無謀な事実はない、という結果を導き出せます。

 ……そげな結果ばなっちょるんなら、戦乙女もやめれんとっと……?

 

 と、とりあえず、どげんしょっか。

 寿退社目指そうにも、烏丸くんばまだ学生いうちょっとし……。

 あーも、なしてこんなイイ男とフツーに恋愛できんかなー!

 それもこれも爺のせいだわ。

 あんの眇目爺、見つけたらとりあえずぶん殴っちゃる!

「にゃうっ!? かっ、からすまくんっ、そこば、なめんとってぇっ、あっ、あーーーっ!」

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 田舎娘と思っていたが、謎方言が飛び出したことでその地方が何処なのかが本気で行方不明になった件について。

 体位を換えつついんぐりもんぐり、今では豊満な彼女の胸に正面から埋まってたぷたぷと弄びつつまた中へ。

 知り合う女子らの受け入れ態勢が抜群な割合を俺が懸念する一方で熱い体液は彼女の中へと迸り、よりいやらしく蕩けた声を上げるロスヴァイセちゃんが嬉しそうに俺のことを抱きしめ返していた。

 

 

「っは、はー、んもぉ、からすまくん、ぜんぜんとまらんねぇ。おとこのひとって、みんなこげにでよっと?」

「っぷぁ、んー、いや、違うかな。比較したことは無いけど、俺はまあ、燃料があるからね」

 

 

 呼吸を抑えられるほどのもちもち柔っぱいに埋もれる前に顔を上げ、愛おし気な謎方言を解釈する俺。

 熊本弁に比べればわかりやすい言語である。

 

 

「ねんりょう?」

「うん、まあ、スケベ心?」

 

 

 ほんとは体質的に転換できるエネルギー源を抱えているわけだが、男子としてそう云っておく。

 実際、ロスヴァイセちゃんみたいな美人でエロいお姉さんと出来る時点で、このやる気が鰻登りになるのは生理的にも仕方のないことだと思いますまる。

 なお女性もまた自分がそういった男子の感性を刺激することを告白されるという事実は、いわゆる相手の自尊心を大いに盛り立てる結果へと導き出されるわけで、まあ要するに褒められて嬉しくなるのはどんな人でも一緒ということだ。

 そして、そういうことを云われたと、自分を魅力的だと云われたことを自覚したのか、ロスヴァイセちゃんはより嬉しそうに俺の身体を抱きしめる。

 

 

「~~~っ、っん、うん、しょやったらからすまくん、も~っとお姉さんに甘えてもええかんね?」

「ほほう、ではお言葉に甘えて。おねえちゃ~んっ」

「ああんっ、また元気になったぁっ♪」

 

 

 バカップルみたいにプールサイドでいちゃいちゃと重なり合う俺たち。

 より詳しく言うと、むしろもっと元気にその気になっているロスヴァイセちゃんは、お次は俺の上へと跨ってお馬さんプレイをご所望のようである。

 うん、戦乙女だものね。

 次に会う時には鎧姿でするのも良いかも知れない。

 

 

 





~レイヴェルさんの描写が足りない、おら描けよぉ!と要求されたので
 焼き鳥娘のぷりぷりなぼんじりを叩きつつ未成熟キンカンを有精卵にするプレイをもっと詳しく、というメッセージが云々
 そういう素敵な感性をお持ちならば貴方が書いてよねっ。勘違いしないでよねっ、レイヴェルっぱいは登場当初はまだまだちっぱいだったんだからっ
 やたら大きくなってきたのはソシャゲの影響なので、今は未だ小振りと表記させて頂いてます。ご理解ください


~冥府と冥界の違いって何
 原作で誰も突っ込まなかった気がするのだが
 ハデスさんがやたらと敵対していた理由をちょっと推理してみたけど、また別のモノもあったのかしら


~ヴァルブルガ=サンの死亡フラグが留まるところを知らない…!
 すべてはあの世界ではっちゃけ続けた魔女らの所為
 そしてそこをよく知る烏丸の経験則
 またはそういう世界が出来上がった所為とも謂える
 くそっ、いったい誰が諸悪の根源なんだ…!


~ボブとかサムとか
 同人誌になるともう大体展開が似通うんだよね、おくさん


~ヴァーリさんとの交替メンバーご登場
 方言女子がイイとよく聞くので描いてみた
 ロスヴァイセちゃんの口調というか方言というかはまあ色々ねつ造
 とりあえず今回はエロ成分多めで
 何ィ?描写が少ないィ?そもそも素人にそんなプロ並みの手際を求められましても


紆余曲折ありましたがとりあえず書きたいことから片付けて往きます
これからもよろしくおねがいします


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「ァア゛ン!? 誰だテメェ!? 人間の屑に知り合いはいねーぞ!?」

☆つけてるけど最近エロシーンが少ないと評判ですがとりあえず53話目
真骨頂を目指すぜ…!



 

 

「本音を言うと、戦争なんてやりたくも無いんだけどねぇ」

 

 

 ゲオルク・ファウストがそう独り言ちた瞬間、それまで書類仕事に忙殺されていたジークフリートの手元がぴたりと止まった。

 彼らの組織活動は基本的に素人が想像するレベルの【日曜朝テレビ番組の正義の味方と敵対する悪の組織】と大差ない運営方針であり、部下という名目の同盟者であるはぐれ悪魔や神器使いに仕事という名のテロリズムを要請するときは直に命じての直轄運営だ。

 それなのに役所でもないのに書類仕事に忙殺されている現状は、ぶっちゃけ彼ら個々人の思考の確立方であり、理論立てて部下に命じるために一度『作戦と目的と追求する結果』を立て直すためのカンペ作りでしかなかったりする。

 それまではまるで大学のサークル活動にでも興じるかのように立案も方針も中途半端で、武勇と狂奔の鼓舞だけを先走らせる『煽るだけ』の指示しかしていなかった彼らだが、一度明確に『どうしようもない負け』を覚えた後はようやく己らの在り方を見直し始めたらしい。

 何がいけなかったのか、何をすればよかったのか、を見直すためにも、今の思考確立方を話し合って『やってみている』最中である。

 もう遅い可能性もあるが。

 

 そんなジークは自分たちが現在、冥府側に指示(支持)されていることも理解できているし、既にゲオルクの言い分も理解できているので言葉にせず、再び書類仕事へと思考を戻す。

 だが、同じように書類を見直していた手を止めた曹操は、少々呆然としながら年若い少年魔法士へと言葉を投げた。

 

 

「ちょ、ちょっとまてゲオルク、それは今更すぎないか」

 

 

 疑問というより詰問のような口調なのは、今回の為に彼自身もそれなりに手間と犠牲を支払った後だった所為でもある。

 今回の『冥界への戦争』を始めるための頭数を揃えるためとして、彼が率先して動かざるを得なくなった経緯があるのだが、その際の【魔女の夜】という魔法使い集団の頭目であるヴァルブルガという装飾過多な年齢不詳ゴスロリ魔女に生贄ゲフン、まあ色々と色付きの接待で持て成した過去があるのだ詳しくは割愛(早口。

 

 

「だってさぁ、根本的に僕たちには戦力が足りてないんだよ。はぐれ悪魔を突貫させるのみならず、僕ら英雄派まで捨て石にされることが決定されているのに、どうやってやる気を出せというのかな」

 

 

 旧魔王派と一応は銘打っていても、それらを採り仕切る頭が現状居ない今では、冥界側からすれば単純に敵で害悪で、例え彼らの租が家を持っていたとしてもその繋がりを断つ(勘当する)くらいには見捨てられた者たちである。

 ゲオルクを初めとして、一応は主流となっている英雄派の中では、彼らをはぐれと呼ぶことに今では躊躇もしなくなっていた。

 そんな彼らが【禍の団(カオス・ブリゲード)】の纏まりから()いつはぐれるかも分からないからこそこうして突貫要員(神風アタック)へ采配されているわけだが、その前にリゼヴィムだけでも戻って来れたらその指図を受けることなく反旗を翻す……こともないかもしれない。

 なんやかんやでもリゼヴィムもまた基本は快楽主義なので、使い潰される悪魔らを憐れむことも無いかもしれないことが懸念されていた。

 まあ、今更誰かにどうこうできるというのなら、こんな事態にこそなっていないが。

 

 

「そ、んなことはないだろう。俺たちには弱点らしい弱点がないが、逆に冥界側の弱点ははっきりとしている。其処を突くための【紫炎祭主による磔台(インシネレート・アンセム)】を引き入れることに成功したのだから、あとは蹂躙するだけだ」

 

「……曹操さぁ、自分でも完勝できないどころか、負ける可能性の方が高いって自覚してるでしょ? 言葉に覇気がないよ?」

 

「……」

 

 

 そしてその過剰かもしれない妄想に似た予測は、建てた時点で8割当たる。

 それを誰もが思い描けるからこそ、それは既に妄想どころではない確固たる未来として待ち構えられているのである。

 明確な負けを味わったからこそ、彼らに植え付けられた推測は覆すことが不可避足り得ているのであった。

 

 ゲオルクに言い切られて黙してしまった曹操には、云われるとおりに思い描ける先行きが明るいモノではないことを完全に理解している。

 それでも彼らが進まねばならないのは、一度上げてしまった御旗を卸すことがもう出来ないからであり、逃げることもまた出来ない為である。

 『全体としての負け』が未だないからこそ【禍の団(カオス・ブリゲード)】はまだ形を保っており、集団であるために膨張した『蜂起する気概』をその方向以外に逸らせないために、解散させるためには相応の理由が要る。

 無責任に集団そのものを放棄する選択もあるが、それに属していた過去は解消するにも手間がかかる。

 その手間の合間に放棄したはずの集団が行動を興せば、自身へ舞い込む火の粉は避けられそうにもない。

 なお、『そのために集合した団体』へ明確に『別の方向性を示唆』するためには、集団そのものを確固として纏める人材や方針とそれを取り巻く環境の『全て』が揃わねば換えられそうにもない。

 間違っても、例えば街そのものが『明らかに』社会的に排他されるべき人種と癒着しているかのような社会性を備えた公共設計は表沙汰に出来るモノではなく、それを取り巻く環境は根本的にその社会の内枠で生活する人々のためにこそあるべきものなので、安寧と安心を『大多数』の為に考慮しない公共設計が成り立って()()()世界とは優しいモノなどでは決してない狂気的な代物である。

 歴史を紐解けば確かにそういう世界がかつてあったことも事実であるが、未だ進歩の途中である社会構築が周到されていない人類発展途上にそれを興すことは人民の安寧を配慮するべき方向性としては明らかに間違った傾き方であると云わざるを得ない。

 要するに、どこぞのONDR(小野寺)さんのハイライトが真っ当に仕事をしなくなるような過程と決着を起こしておいてどのへんがハッピーエンド足り得るのかよう!と云いたいわけで。

 ――話が逸れた。

 

 曹操の言う通り、冥界側、要するに悪魔には明確な弱点がある。

 其処を追求したかのような神器の【紫炎祭主による磔台(インシネレート・アンセム)】は確かに強力だが、そこを摺り抜けるやり方が決してないと言い切れるものでもないのだ。

 そもそもテロの本質とは、少なくとも『英雄』になろうと彼らが抱いた心中に残響のように燻る闘争と競争に拠る自己発言の場などではなく、無差別かつ広範囲に渡って引き起こされる恐慌と不安の過剰飽和による集団生活の崩壊促進である。

 【紫炎祭主による磔台(インシネレート・アンセム)】のスペックが上々であったとしても、それを扱うのはそもそも個人でしかないし、その性能も本来は集団へ向けて執り行える質とは言い難い。

 これが例えば彼らの仲間であったヘラクレスの神器【巨人の悪戯(バリアント・デトネイション)】が禁手になっていた『全身からミサイル状の突起物を生やして撃ち出す能力』即ち『ミサイルを過剰に生成し得る能力』を備えた【超人による悪意の波動(デトネイション・マイティ・コメット)】であれば実に明確に役立てられていたのであろうが、なんとも間の悪い人材であろうことか。

 

 

「大体、弱点がないんじゃなくて、そこまで突出するような経験を備えていない、って程度だよ僕らは。だからこうして仲間をふたりも失って、戦略的主要神器のひとつも奪われて、のうのうと生かされて使い潰される。力が無い奴は結局この世界じゃ自由に振る舞うこともできやしないのに、首を突っ込んだのが間違いだったよねぇ」

 

「……そうしなくては生きていけなかった世界だ、今更いうべきことじゃない」

 

「そうかなあ。少なくとも、ジークは元々教会側のエリートなんだから、おとなしくそっちの言うことを粛々と聞いておけば今こうしている必要もなかったんじゃないの?」

 

 

 ゲオルクが語る通り、ジークは元々教会で育てられ鍛えられた。

 孤児院出身の彼は教会以外に拠る処も無く、神秘が完全受肉しているこの世の中で物理的な悪魔祓い(エクソシスト)を敢行するべく戦士として育成を果たされた。

 元々神器を持っていたことも相俟ってなのか、教会の者にしては珍しい意志ある魔剣を所持するに至ったのが彼である。

 その点は、フリードと出身を同じくする教育機関の出であることも理由かもしれない。

 まともな育成機関が今のところ見当たらない、教会の闇は深い。

 

 

「それでもやってしまったことは覆せないだろう。それに俺はエリートというよりはサンプル、あっちだとしても使い潰されていたのがオチだ」

 

「そうかなぁ」

 

「……ゲオルク、何が云いたい?」

 

 

 口を挟んできたジークに何とも言い難い顔で、ゲオルクはそのまま言葉を続けた。

 

 

「ジャンヌの今の所属が分かった。――天界だ」

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

「――ミカエルは甘い」

 

 

 熾天使の一角に、『神の炎』『楽園の管理人』『地獄(ケルベロス)を見張るもの』と数々の二つ名を馳せる者が居た。

 彼の名はウリエル、天界を取り仕切る4柱の【熾天使(セラフィム)】のひとりでありながら、原作ではほとんどその設定が練られていない男である。

 

 

「確かに、天使の数が増えない現状で、『天使化』の手段が得られたことは喜ぶべきことだ。だが、そのために悪魔や堕天使と仲良くする必要など、一切無い」

 

「おっしゃる通りです、ウリエルさま」

 

 

 彼に追随するのはテオドロ・レグレンツィ、未だ幼い身でありながら、司教枢機卿という教皇に次ぐ最高位の位階を得ている黒髪の少年である。

 烏丸が以前ツッコミを入れた部分が如何なくスルーされている、トンデモ設定のSD(小学生男子)でもあった。

 

 

「ゆえに、我らはこうして戦力を拡げる。聖書派閥などと呼ばれるからには、それを信奉しない者は須らく異端である。異端者は排除せよ、汝らはそう教えを受けて、これまで育ってきたはずだ。――そうだな?」

 

「「「はい、ウリエル様」」」

 

「――それでいいのだ」

 

 

 テオドロと声を合わせたのは、フリード・セルゼン、そしてジャンヌ。

 少年のすぐ後ろ両脇を守りながら控えるように傅き、一度教会から離反した身でありながらその場にいるのは、すべてウリエルの独断による采配だ。

 だが、根本的に天界は戦力が足りていない。

 それを埋めるべく、元堕天使派の殺人狂神父や、どうにも後ろ暗いところが伺える教会から出奔したはずの神器使いだとしても、その罪を雪ぐならば、とミカエルは許可を下した。

 おそらくは此れもまた天界トップである彼の策の一角であろうが、そこを見通せないウリエルもまた経験が不足している。

 これは、先頭を往くものとそれに続くものとの、些細ではあるが大きな差となるのだが、それを指摘できるものはこの場にはいなかった。

 

 

「一週間後、冥界で悪魔どもの遊戯の一つであるレーティングゲームの観戦が我らにも認められた。『御使い(ブレイヴ・セイント)』の構成の参考に、と現ルシファーより直々に通達が届いたわけだが、汝らにはそれに参加してもらう」

 

 

 現在のレーティングゲームは、冥界の次代を担うとされる6家がトーナメントを組んでいる。

 グレモリー対シトリーはシトリーが勝ち抜き、アガレス対バアルではバアルが勝ち抜いた。

 残っていたのはアスタロト対グラシャラボラスだが、アスタロトの次期当主は謎の失踪を遂げ、グラシャラボラスの次期当主候補はそれ以前の会合でバアル家次期当主に心を折られゲーム放棄。

 よって、次の勝負はシトリー対バアルとなる。

 

 

「あのーぅ、お言葉ですがウリエル様? 俺様達は悪魔とかぶっ殺したがってるやつら筆頭ですぜ? そんな危険人物たちを冥界側が受け入れますかねぇ?」

 

「どうなろうとも構わぬし、汝らにただ黙していろ、とも命じはしない。好きに動いていいのだ」

 

 

 どうしようもない命の危機、をはっきりと知ったフリードが口をはさんだ理由は、当然その大元が冥界に関わっているのではと懸念したことが理由に当たる。

 しかし、それをウリエルは意にも介せず、どのようにしてもいいと断じてしまった。

 それを聞いて手元の聖剣を握り直したのはテオドロである。

 同じくどうしようもない命の危機を知っていたジャンヌも想像がついたのか、思いっきり顔が引き攣っていた。

 

 

「汝らのような明らかな『悪魔の敵』を送ることは、天界が胸襟を開いた何よりの証明にもなる。というのがミカエルの言い分だ。しかし、汝らまでそれに追従する意義など持たなくて良い。飽く迄も奴らに反抗の意志を見出させないように、奴らの隙を突くように、適度に中を引っ掻き回してやるが良い」

 

「はい、ウリエルさま」

 

 

 にたぁ、とひとり少年だけが嗤っていた。

 自分が良いように悪魔たちを翻弄する様子でも思い描いているのかもしれないが、何かしらの言いようのない悪寒が他の二人にはしっかりときていた。

 それを思うと、ちょっと笑っていられなかった。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 各陣営が色々と冥界での騒動を画策していた丁度そのころ、駒王町では――、

 

 

「頼む烏丸っ! いっかいだけだっ! いっかいだけでいいから、その子とえっちさせてくださいっ!!」

 

 

 とてつもなく考えなしな発言で街中で土下座も辞さない勢いのイッセーが、大河内アキラを指名して懇願していた。

 そしてそれに対して烏丸は、――意地汚く餌へ群がる畜生を見下す目で己の先輩を見下ろしていた(過重表現。

 マジで死ぬ5秒前かも知れない。

 

 





~ニチアサっこ大好き!
 内ゲバと抗争が惡の華☆
 ヴァーリチーム?勘定に入れられてないみたいっすね。まあ自分たちで好きに動かせる奴だけを纏めているわけだし妥当です


~ONDRさんの扱いぃぃぃ!
 もうマジカルパティシエしか救いがないじゃない!
 原作がアレでホントに良かったのかしら…(引きこもりの息子を心配する母のように


~4大熾天使さんいらっしゃーい
 原作じゃガブリエルさま以外ほとんど出番なしに終了していったみたいで
 扱いが不憫なので連れてきた。トップにありがちな反悪魔&堕天使が主義のひと。なおラファエルさまはボクっ子設定。眼鏡クイッとさせて、ボクの計算では勝率80%です、とか言っちゃうひと(妄想


~おや?イッセーの様子が…
 おめでとう!イッセーは着々とクズ度が上がってるぞ!
 どうしてこうなったのかっていうと、まあ原作であった成長具合が行き届いていなかったというか、活躍する場面がなかった所為というか
 でもよくよく読み直すとコイツが前線で大活躍している時点で構成可笑しいと思うの(真顔


~意地汚く餌へ群がる畜生
 お前がハムになるんだよォ!(憐みの目
 若しくは汚物(直球



真骨頂というかなんというか…
とりあえずあれですね、書きたいことと書くべきことが混ざるとやっぱり書きたいことが出張ってくるからカオスになるんですよね(←地の文


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☆「えーと、媚薬に荒縄、ピンクローターにアイマスク、ビデオカメラとマイクロビキニ、よし、準備オッケー!」

前回の引きで期待してる方も多いと思われますが…
54話です

それにしても感想欄のイッセーへのヘイトがマジスゴイわぁ…(他人事


 

 

 おっす、俺イッセー!

 神器(セイクリッド・ギア)で己の限界を突破することに挑戦した代償も、【フェニックスの涙】というポーションみたいな薬で取り戻すことに成功した俺たち!

 駒王町に戻って最初に目にしたのは、爆乳をぶるんぶるん弾ませて踊る新しいアイドルたちだった!

 クラスメイトの貧乳に【検閲削除】な目に遭わされるも、熱意とやる気で復活を果たした俺は迸る情熱を奮起させるため、俺の復活にまで付き合ってくれた祐斗との友情を確かめるべく夜の街へと繰り出すのであった!

 

 ――つーか、俺が再起してからなんだかオカ研の他のみんなが集まり悪いというか……。

 本音を言うとリアスとまた合体したいなー、なんて思ってたのに。まだ怒ってんのかなー。

 朱乃さんのお乳様やゼノヴィア&イリナの教会コンビの無防備おっぱい、アーシア&小猫ちゃんの成長途上っぱいにレイヴェルも新規追加してるはずだから目の保養したかったのだけど……。

 アーシアとは未だに顔合わせも禄に済ませられず、次の集合日を聞こうにも今まで俺に付きっ切りだった祐斗も未だ折合わせがつけられないって言うし……。

 はぁ~、アーシア成分が足りないなぁ~。

 

 そんなことを思いながら夜の駒王町を連れ立ってゆく俺と少女化祐斗だったんだが、モデルみたいな美女を連れた烏丸とまたもや偶然鉢合わせちまった!

 ポニーテールの長身美人で、バストサイズは恐らくゼノヴィアと同じかそれ以上!

 バレー選手みたいに健康的なエロさを主張するおっぱいは素晴らしい、目を見張るものがあるぜ……!

 クソッ、こんな美人と付き合ってたのかよ烏丸ァ! いいなぁ! 俺もこーゆうモデル美女を組み伏せてぇっ!

 一抹の羨ましさを抱きつつ、流石に鉢合わせも二度目なのでお互いに気づかなかったふりをして離れようとしたところ、くだんの美女の声がかすかに耳に届いていた。

 ……ッ! アーシアと同じ声、だと……!?

 

 ほぼ衝動的に頼み込み、祐斗と交換することで彼女の方からOKをもらえた。

 だってアーシアと同じ声だぞっ!? そのうえでモデル体型の巨乳美女とか、男子ならば誰でも頼みたいレベル!

 俺のビッグマグナムであの声であんあん鳴かせられるかと思うと、今から勃起が止まらんぜ!

 

 そうしてホテルへと足を運ぶ中、路地を曲がったところでミニスカポリスへと変貌を果たした彼女にはもう辛抱堪らん!

 どうしていきなりコスプレしてるのかとか細かいことは良いんだよ! 滲み出る色気には応えなくっちゃ男が廃る!

 そんな彼女へと俺は、勢いよく背後から飛び掛かるのであった。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 背後から抱き着きに来た先輩を肘で迎撃、良いモノが鳩尾へと入った模様なのでそのまま静脈注射で意識を刈り取る。

 ほんとはゆーなから借りてきたアーティファクトで拘束してからゆっくりと段階踏むつもりだったけど、身の危険を感じてしまったのだし正当防衛だから仕方がない。

 入れる【お薬】は烏丸くんの工房から拝借してきたチートな調合品である。

 なんでも、入れると本人にとって都合のいい夢を見させて、前後の記憶をあやふやにして後遺症も残さないのだとか。

 いわゆる『悪夢(ユメ)は見れたかよ?』という代物だ。

 それにしても、アーティファクトを発動するたびにコスプレする仕様は如何なものか。まあ烏丸くんの好みなら悪くは無いけど。

 

 この先輩が私をご指名したとき、烏丸くんは割と有無を言わさずにその頭蓋を潰そうとしていた。

 それはそれで独占欲発揮されたみたいで嬉しいけれども、学校の先輩ならばその選択は悪手になる。

 烏丸くんは只でさえ居辛い性質(タチ)で社会をうろついているわけだから、私が前へ出ることによってそれを緩和されるというならば自らを惜しむ気は無い。

 無論ただ犠牲になる気はないから、こうして今回みたいに初めから合法ドラッグで鎮圧する気だったわけだけど。

 そもそも烏丸くんの【味】を知ってしまった今では、それ以外に流される恐れなんて杞憂過ぎる気もするし。

 ただ今回は、この先輩が自ら墓穴を掘ってくれたから、それに私が乗ることにしたに過ぎない。

 今回の記憶を失う以上、この人がまた同じ轍を踏んでちょっかいを掛けてくる『次回』がないように、この人に付き添っていた『彼女』に釘差しをするチャンスを自ら差し出してくれたわけだから。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 曲名は『生殺し』というアップテンポなアイドルソングで、ダンサー兼歌手は元修道女トリオでアーシア・ゼノヴィア・イリナの3人。

 全員漏れなくビキニ姿で上から覗いて三角の形に定位置から然程外れないように並び立ち、特に乳房を主張して揺すらせるように踊ってもらった。

 両脇のゼノヴィアとイリナは巨乳の部類なので言うまでもないが、アーシアもまた成長途上とはいっても充分に形が整った膨らみを主張しているので問題は無い。

 実に柔らかそうな3人分の白い肌が選り取り見取りな映像を撮り終えて、音源を元の世界より用意してくれたアキラたんに労いの意味を込め、給金代わりとして彼女の要求に応えようとしたら兵藤先輩に鉢合わせた俺である。

 しかもアキラをご指名でスワッピングしようぜ、などと提案してきたので、土下座ったその頭を踏み砕こうかと心の闇が吹き出しそうになった。

 

 ――それを念話で留めたのは他でもないアキラたんなのだが。

 兵藤先輩を鎮圧できる手段としてゆーなからアーティファクトを借りてきたという話も聞き、渋る俺へはことが終了次第随時連絡するから、とこちらに『やってほしいこと』を詰め直して先輩と連れ立って行った。

 残されたのは俺と、夏休み中にも見かけた先輩の彼女と思しき清楚系金髪の育ちの良さそうな女子。

 勝手に交換されたわけだが、それであなたはいいのか本当に、と倒置法で問うてしまう。

 え? 彼が元気ならそれでいい? ああ、なんか先輩夏休みの終わりにかけては超過で入院扱いだったとかって話でしたね。でもこれからされることを考えたら元気とは言い難いのでは。

 そんなことを思っていたら鎮圧終了の連絡が来る。

 それにしたってアキラたんの、この世界に来る前の準備が周到すぎる。

 見も知らぬ世界に来るのだから色々用意するのは当然ですか。そうですか。

 

 では俺も俺で後始末に取り掛かろう。

 兵藤先輩がこれから再び死亡フラグを踏まないために、先輩の彼女へじっくりと『お話』をしなくては。

 とは言っても釘挿し程度の話である。

 別にアキラが自ら同行すると口にしたときにちょっと、ほんのちょっとだけイラッとしたからその澱を吐き出そうとか、そんな意図は大して無い。

 とりあえず、先立って行く予定だったホテルまでついてきてもらえる?

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 部屋に響くは悦びに塗れた嬌声。

 細身だが筋肉質な男性の身体に覆い被されて、くしゃくしゃに乱れたベッドの上でされるがままに両脚を広げたあられもない姿で嬉しそうな悲鳴を上げ続けて居るのはアーシアちゃんのようだった。

 その両脇には、身体に力が入らないかのように縺れて横たわるゼノヴィアとイリナさんの姿が。

 むしろベッドがくしゃくしゃに乱れているのは、そうして4人で交わって掻き乱した結果なのだと、自然と腑に落ちる。

「あっ!あっ!あっ!そらくんぅぅっ!またなかにぃっ!なかにくださぁいっっ!」

 ひときわ大きな嬌声がアーシアちゃんの口から迸り、その内容のあまりにもの淫靡さに絶句した。

 イッセー君が未だご執心である彼女は、完全に烏丸くんの虜となってしまっているらしい。

「ぉっお゛っふぉっほぉぉ゛ぉ゛ぉ゛~~~……っっ♪」

 ……相手の男性がより深く腰を落としたことを脚と両腕で絡め抱き締めるように受け入れるその姿は、完全に肉欲に堕ちた牝のそれだ。

 獣のような声を上げて彼の全てを受け止めて声音で分かるほどに嬉しそうなその様相には、普段見られる敬虔なシスター然とした態度はひとかけらも残ってはいない。

 アーシアちゃんが彼に心を向けていたのは知っていたけど、此処まで本当に悪魔みたいに悦楽の泉に沈み込んでいるとは、まったくもって一切想像がつかなかった。

 

 それらの全てが僕が、木場祐斗が意識を取り戻したときに目の当たりにした、最初の光景である。

 

 烏丸くんの連れた彼女を連れて行く代わりに僕を差し出した点について、イッセー君は結果的に烏丸くんを騙すことになるとは微塵も思っていなかったのだろうか。

 もしかすればわかっていてそうなるように仕組んだのかもしれないが、僕に対する指示は特に無かったのだからその可能性は薄い。

 そう、僕にはいざとなったらアザゼル先生に施された性転換銃で元の性別に戻ればいい、という逃げ道が残されているのだから。

 しかし、恐らくその逃げ道はもう途絶えていることだろう。

 性転換銃に時間制限は無く、一度撃たれたらもう一度撃たれないと元には戻れない。また転換にはインターバルが携わり、変身後は最低でも半日時間を置かないと安全に元の性別に戻れるかが不明瞭であるのだとか。

 今日は元々イッセー君を慰める目的で放課後に変身を施したから、最低でも明日の朝までは元に戻れない計算になる。

 それに、例え元に戻れたり正体をばらせたりしたとしても、結果として烏丸くんを騙すことを暴露するわけだから、明日のイッセー君の命は風前の灯火となるだろう。

 

 ……さて、絶対に正体をばらせないことが判明したところで、僕がどうしてこうなっているのかを思い起こしてみることにする。

 元より烏丸くんもまた目的があったのか、イッセー君と行ったときよりも色々と豪華なホテルへと連れ込まれた。

 彼女の代わりに僕が相手をすることになるのかな、と一応は男性経験を備えている僕は諦観の面持ちで逆らわずに追従する。

 

 ――しかし其処で僕に待っていたのは、少々予測とは違う展開であった。

 

 まずお風呂へ連れ込まれた。

 イッセー君とのデートの為に用意した服はすべて脱がされて、彼自身の手で全身をたっぷりの泡で優しく洗われた。

 僕が自分で洗うと断りを入れようとしても、有無を言わさずに彼の手は全身を蠢いていた。

 その手つきがまた卑猥に巧妙で、イッセー君とシタときには感じたことの無い衝撃のような感覚で腰が砕けた。

 彼が言うには絶頂したらしいけど、イッセー君とのエッチの時にはこんな感覚は一切なかった。

 痛くて苦しくて、でも彼が気持ちよさそうだからとされるがままになって。

 初めて女の子みたいな声が漏れるように出て、乳首やお尻や膣穴なんてほとんど触られていなかったのに、すべてキレイにされる頃には自分で立つこともままならなくなってしまっていた。

 

 お風呂場から抱き上げられて連れ出され、そうしてついに烏丸くんにされてしまうのかと思っていたのだが、部屋に待っていたのはイッセー君命名の教会トリオであるアーシアちゃんイリナさんゼノヴィアの3人だった。

 しかも、全員が乳首と性器だけを隠……そうとして隠れていない、紐みたいないわゆるマイクロビキニと呼ばれる、とてつもなくインモラルな恰好で待機していた。

 普段と打って変わって非常識な姿で現れた彼女たちに混乱する僕を他所に、烏丸くんたちは僕を拘束。

 両手小指を繋がせる指錠で後ろ手に椅子に座らせて、ピンクの楕円に丸く小さな機械を両乳首とクリトリスに触れるか触れないかの位置に固定するようにテープで貼りつけて、耳栓とアイマスクを『簡単に』取り付けられた。

 此処で彼ら的に重要なのは、恐らくこの視覚と聴覚を遮断する『気がない』程度の拘束だ。

 これらは僕が頭を振るえば簡単にズレて落ちる被せ方であり、それら大体の設置を終えて放置。

 振動する機械はお風呂で敏感になった僕には充分すぎる凶器であり、このアイマスクと耳栓が外れ落ちるまで僕は再びずっと女の子みたいな悲鳴を断続的に上げていた。

 我慢は利かず、耐えることもできず、男であったときには容易かったかもしれない小さく断続的な衝撃の結果はご覧のとおり。

 

 どれほどの時間耐えられたのか知らないが、クリアになった視界の先では烏丸くんが彼女たちに圧し掛かり、その身体をケダモノのように貪っているところであった。

 

 ――そして僕も、この身体の火照りを、自分の手だけで落ち着かせられるとは到底思えない。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 ――……部屋の照明の関係だろうか、少々画質の荒い薄暗い映像には、何も身に着けていない金髪の少女が恥ずかしそうに椅子に座っていた。

 髪の長さは背中ほどまでで、細身なのに乳房は豊満で、顔つきは清楚さが前面に押し出ているにも関わらずそこに混在する色気は隠すことも出来ない。

 そんな彼女が気恥ずかしそうに身を捩るのは、後ろから彼女の顕わになっている乳房をゆっくりと揉みしだく誰かがいる所為だ。

 その薄暗い所為で詳細を伺えない『誰か』は、彼女の耳元で何かを囁いていた。

「……っ、い、イッセー君? 僕、今から彼とえっちなことしちゃう、から、……み、見てて、ね」

 微笑む彼女だったが、揉まれていた胸を形が変わるように捻られる。

「んぃ゛っ!? ぇぅ……、せ、科白が違う、って、む、むりだよ、そんなこといえない……っ、う、うん、わかった、もう反抗しないから……っ」

 良い子だ、というくぐもった声が聞こえ、『誰か』が彼女へと顔を寄せた。

 が、それを彼女は咄嗟に押し退ける。

「や、やだっ!それだけはだめっ! こ、こっち、こっちならすきにしていいからっ!」

 『誰か』は彼女へ口づけをしようとしたらしいが、彼女なりに拘りがあるのだろう。

 清楚であったはずの彼女の雰囲気は損なわれていないのに、彼女は自らの股を下品にも指さしていた。

 

 ――画面は変わる。

「……ぇっ、なに、それ……、イッセー君のと、全然違う……?」

 ベッドの上へと押し倒されたのか、仰向けになって自分の下腹部の辺りを凝視する彼女。

 脚を抱えられるように開かされて、手は自身の顔の横へ。

 白いふたつのふくらみには桃色の先端が主張するだけで、果実のように瑞々しいそれは重力に逆らわずに自重で潰れて、彼女の胸から零れるようにもっちりと佇んでいる。

 だがそんな自分の全てを撮られているにも関わらず、彼女の意識は画面に向かない。

 あり得ない事態を目の当たりにして、どうすればいいのか混乱しているようであった。

「ぇ、や、ま、まって、むりむり、そんなのはいらな、ぃ、ぎぅ……っ!?」

 一瞬、白目を剥くように彼女の顔が仰け反り、拒絶するかのように自らの胎へと伸ばされた腕はもがく様に宙を押し、逃れようと身を捩る全ては無為に押し流される。

「……っ、っは、か……っ、ひぎぃ……っ!?」

 自ら差し出していた膣穴を貫かれた衝撃は、彼女をまるで処女であったかのように匂わせた。

 画面に映る彼女の貌は、呼吸もままならないように大口を開けて舌を伸ばし、涙目になって音にならない悲鳴を必死で上げているようでもある。

 関係ないわけではないが、その身体を襲う衝撃の影響で、彼女の豊満な乳房は幾度となくプルンプルンと擬音がつくくらいにたわんではずんだ。

 

 ――場面は変わる。

「あ゛っ!あ゛っ!あ゛ーっ!あ゛っあ゛っあ゛っ!」

 彼女は声を上げている。

 身体を揺すられて、乳房を震わされて、膣穴を辱められて。

 白く剥いた眼で、舌を出して、その腕はいつの間にか彼女を貶めている『誰か』へと伸ばされて、『誰か』の首筋へと抱き着いている。

「いい゛っ! い゛い゛よ゛ぉ゛! お゛ぢんぼぉ! も゛っどお゛ま゛ん゛ごぐぢゃぐぢゃじでぇ゛っ!」

 濁音に塗れた下品な嬌声が、涙と涎と鼻水でどろどろになった彼女の貌が、ゴム鞠のように跳ねる乳房が、胎の形がわかるくらいにごつごつと押し上げられてはっきりと変わってゆく様が、画面の全てを埋め尽くす。

 これが悲鳴であったならば、これを見ている『誰か(イッセー君)』に救いはあったのかもしれないが、彼女のそれは明らかに全て悦びを顕わにする嬌声であった。

 

 ――場面が変わる――。

「……、ぇ、なにぃ……? ん、うん、わかったぁ……」

 彼女の消沈したような声が聞こえた。

 かと思ったらすぐに彼女の姿が現れ、そこには股から白い粘液を惜し気も無く零している放心した彼女が椅子に座り、大股を開いた下品な笑顔で両手を顔の横へと持ってきていた。

「いっせーくんみてるぅ~? ぼくすっごいおっきなおちんぽでぇ、おもいっきりたねつけされちゃったぁ~。いっせーくんのよりずーっとずーーーーっとおっきかったのぉ、きもちよかったよぉ~?」

 顔の横に持ち上げた両手をブイサインの形にして笑う。

 その眼には色がなく、どこを見ているのかも定かではないほど濁っていた。

 そんな彼女は、『誰か』に再び囁かれたことに気づいて、その顔に更に喜色を滲ませる。

「えへへぇ、これからもーっとシテくれるんだってぇ~、いっせーくんよりもげんきだよねぇ~…………………………たすk」

 ――一瞬その顔が正気に戻ったように悲壮に歪んだが――、

 

 ――画面が変わる――。

「おちんぽさいこうですっ! おちんぽさいこうですっ! もっともっと! せいしくださいっ!」

 スクワットのような姿勢で身体を上下する彼女が、ローアングルから映し出された。

 乳房を幾度となく揺すり、笑顔の彼女は『誰か』に自ら跨り、屹立した肉棒を自分の膣穴で銜え込む。

 その太腿には『正』の文字がはっきりと3つほど描かれており、4つめは3画目で――、

 

 ――画面は……。

「はい……はい……ごしゅじんさまのこだねではらみます……はい……いっせーくんの子として……はい……」

 何も身に着けていない彼女が土下座の姿勢で、『誰か』に向けてくぐもった声で返事を、

 

 ――映像は、未だ誰の目にも映っていない。

 

 

 

 




木場君のエッチシーンなんて需要無いって話だし遣りたい放題やった
やったね木場君!家族が増えるよ!(ゲス顔

次回、番外編(予告)


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番☆外☆編「涙の数だけ、とはよく聞くけれど、強くなれなくてもいいから優しくしてほしいです」

やべぇ、前の更新から気づけば二週間…!
お待たせして申し訳ない
なんだか切実なタイトルですが過去回(ネギマジ篇)です


 

 

「おっ前大将だろ!? 大将首だろ!? なあそうだろう!? 首だ首首! 首ぃ、置いてけぇッッッ!!!」

「うるせぇ白血球野郎! ヘモグロビン舐めんな! いっそ骨髄ごと抜いてやろうかァァァッ!!?」

 

 

 時は中秋、麻帆良の学生が血気逸る大体育祭の季節。

 我らが白組騎馬武者筆頭織村一夏ことワンサマー級長は、何処ぞの妖怪を思い起こさせる宣言で以て先人切って突貫して逝く。その様まさに鬼島津(グイシーマンズ)。あんなにはっちゃける子ではなかったと思うのだけれど、やはり先日せっちゃんに告白して見事玉砕したのが原因なのか。ダメだよぉ、あの子レズだから(直球。

 対する紅組は我らがエース、赤莫迦改め愛の深い男椿史郎。何故にあんな返しになったのかと云えば、先の先輩のクラスでの狂奔が理由とのこと。『何故紅白で分けるのか』『白黒つけるのならば黒組でも良いのでは』という議論から『血液に関係が?』と話は弾み、モチベーションを上げるために『健康気にせず白血球殺せ!』という結論が出たのだと経緯を耳にする。そんな血液が体内流れて居たら()だなぁ。

 どっちもどっちでどうしてそうなったのかと問いたい気分だが、楽しそうだしまあいいか、と放置。

 やはり麻帆良は魔窟であるようだ。

 そんな遣り取りを見渡して、俺こと烏丸ソラはのんびり平淡にしみじみ呟いた。

 

 

「……なにやら随分と久しぶりな気がする。夏休みが無駄に長く感じた所為かなぁ、魔法界滅ぼしてもう一カ月経ってるんだけど」

 

 

 地球側のごたごたというよりは、地球に残った元魔法使いの後始末もあらかた終えて、本来ならば真っ先に矢面に晒されても可笑しくない麻帆良学園は比較的軒並み平和な方でもある。

 世界に六人しかいない魔術師とやらを管理する【オズ】、純粋科学の最高峰である頭脳集団(シンクタンク)【アトランダム】、悪徳の都【ロアナプラ】に地上を統べていても可笑しくなかった財閥系列会社組織【HCLI】と表側の名立たる者たちも然ることながら、十二の人王の爪の先である【キルシエ】【黒服の都市伝説】【イスカリオテのユダ】などの裏組織ですら、麻帆良には手出しをしなかった。

 これは恐らく生徒を慮った、というよりも、元々『魔法使いそのもの』が世界からのはみ出し者であったためなのだろう。

 騒いでいたのはマスコミや直に痛手やら謀略などの嘴を挟んでいた政府関係者程度で、そこらへんも世間での生徒への配慮という点を突っ込まれるようになると冷水を浴びせられたかのように大人しくなっていた。

 特に政府側は『後始末』の幾つかに【魔女】が携わっていることを知るや否や手を引いていった者が多かったように思えてくるのだが、そこはきっと身の程を知ったという理屈で片付けられる。

 

 そんな中俺はというと、生まれの時点から魔法使いに色々と人生狂わされていた身としては思う処があるべきなのであろうが、ぶっちゃけこうまで何も出来なくなった、というか元より何か役に立っていたのか、と言われんがばかリの扱いになっていては、今更自分の愚痴をぶつけても大人げないのではと思い始めてくる。

 ちうたんはどうなのかは知らないが、俺は盛大な気分転換と研究結果のお披露目を存分にやらかした身なので、後顧の憂いなどは別段抱いていない。

 魔法使いだけを優遇するような思想で生きていた者らを除けば、それ以前より真摯な姿勢で生きていた方々は相応に、むしろ肩の荷が下りたと云わんばかりに晴れやかに伺えたのは俺の目の錯覚であったのだろうか。

 元魔法使いも悲喜交々。

 神の実在を知ってる我が身としては、生き辛くなった方々はそんな思想捨てて仏身にでも帰依すれば良かろうモノなのに、と忠告するべきかと思いかけてしまう。しないけどね。

 

 

「さて、お次は借り物競走か。準備しなきゃ」

 

 

 ――そういえば、原作では此処でネギ君が全校生徒に追いかけられたのであったっけ。

 でも今の彼はイギリスへ帰っちゃったし、そこまで大事になって目立つような先生も高畑先生くらいだけど、今もあの人は出張中だ。

 全校巻き込んだ大掛かりな競走になると例年通りならば騒がれそうであるけど、今年はそういった目玉もいないはずだから細やかにポイント稼いで――、

 

 

『――さぁーあ始まりました麻帆良学園全校規模の大目玉、借り・物・競・走ッ! 司会は私朝倉和美、』

『それと、喧嘩番長・豪徳寺薫でお送りするぜ』

『そしてぇ、本日の賞金首はこの人だぁッ!』(立体映像に写真付きテロップ、ドン☆)

 

 

 ――……は?

 

 

『烏丸そらッッ!! お前だお前! 麻帆良学園の負完全! 所沢の這い寄る混沌! そして麻帆良武道祭ベスト4に入りつつも、自ら辞退した『勝ちを手にしない勝利者』! しかしそれは本当に彼の真価なのか!? という意見が、本日この方より齎されましたぁッ!』

『それをはっきりとさせるために、推薦させてもらった。あの日、俺はお前に負けたが、お前ならきっと優勝できると信じていた。それをあっさりと手放したことに何かしらの理由を、俺が欲しいんだ! お前が負けていないという姿を、俺たちに見せてくれ!』

『はい! そんな一方的によくわからん理屈で選出された烏丸くんですが、彼の身体もしくは身に着けているモノを確保できた方にはきっちりポイントプレゼントッ! もーちーろーんー、本人を拘束できた方はMVP扱いということで金一封もついてくる! 食券長者になりたい方は、今すぐ彼をげっちゅぅー!』

 

 

「あーさーくーらーぁぁぁぁ!!?」

 

 

 あと豪徳寺先輩、何してくれてんですか!?

 

 一転して狙われる立場になった俺、全力の鬼ごっこが開始された瞬間であった。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 襲い来る生徒を躱し、投げ返し、宙を舞い、復興した街並みの屋根の上を跳ねるように駆け抜ける。

 パルクール部がしつこいが流石に壁を走り駆け上がるほどではないので、三角蹴りの要領で何とかマンXみたいに未来感を醸しつつステージクリア。

 実情はちょっと校舎の壁を駆け上がっただけだが。むしろ1up発見したら確保しておきたい。

 

 

「残機も増えるし無茶も出来る。自分を採る、ってよくわからんけど」

 

 

 ゲーム特有の謎理論は追及するだけ白けるものだよね、と初めからその精神を備えて置けばネギ君にも色々と苦労を買わせずに済んだのではなかろうか、などといったIFを思う。

 思うが、今はとにかく両親と故郷をようやく取り戻せたごく普通の天才少年だ。

 魔法の才能という喪失することになった対価はさておき、培った経験はきっと齢10弱の彼の将来を保証してくれることだろう。

 苦労は買ってでもしろとはよく言うのだし、彼の今がめでたしめでたし(HAPPYEND)で済んでいるならば云うことはないのではなかろうか。

 と、自己補填が終わったところで周囲を見渡す。

 

 ……やべぇ、気づけば全方向から取り囲まれてる。

 走ってるうちに追い込まれていたらしい。

 以前と比べて麻帆良の私有地は半減しており、学都として復興が追いついた街並みを除けば世界樹付近は結構更地のままだ。逃げるならば街並みの中、という判断は向こうにもわかりやすかったと思われる。

 うーむ、大ピンチ?

 

 

「ま、仕方がないか。かかってこい野郎ども、返り討ちにしてやらぁ!」

「じゃあ遠慮なく」

 

 

 ――え。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 後ろから気配も無く現れたアキラたんに羽交い絞めにされたと思ったら引き擦り込まれ、気が付けば見覚えのある部屋。……女子寮?

 ああ、アキラたんのアーティファクトやね。そーいえば返してもらってなかった。

 

 

「えーと、助けてもらった、と思っていいの?」

「そうだね。気にしなくていいよ、お代は今から貰うから」

 

 

 と、アデアットを止めバニーから体操服へと戻りつつ、俺を捕まえたまま囁くアキラたん。

 ……あの、背中にやわっこいモノが当たってるのですが……(照れ。

 

 

「あててるんだよ」

 

 

 心を読まれた。

 今更だけど麻帆良の女子サトリ率多すぎぃ、それとも俺がサトラレなのだろうか。

 

 とにかく、相変わらずパーソナルスペースを容赦なく詰めてくるなあ、と思う。

 さすがは物語上のメインヒロインを飾る一角、男子にとっては実に理想的な方々のままのようだ。

 いや、こうして目の当たりにしている以上、未だに漫画の中なんだぜ、などと嘯く気はないのですけどね。

 やっぱり大元の世界構成自体に(作者)の見えざる手が携わっているのかもなぁ、と疑いを抱いてしまいますわ。

 

 魔法界滅ぼすくらいまではっちゃけて、それまでの経緯でネギま以外の何かがこの世界そのものに大きく関わっていることは分かったけれど、それでもこの世界で生き抜く上で全部を全部割り切ったというわけじゃない。

 贅沢を云っているように聞こえるかもしれないけど、俺に物語上のメインヒロイン集団に惚れられたいとかハーレムを作りたいとか、そういう欲求は別段ない。

 男子としては美少女らと関係を持てて嬉しくないとは言わないが、実際のところは色々と他から寄って集って策を積まれた感が(くど)い。

 此処まで積み上げた信頼、……と呼ぶには些かアレな関係性は、果たして本当に俺自身の手で築き上げたものであったのだろうか、みたいな思春期染みた懸念がしこりの様に後ろ髪を引くのだ。

 

 実際どれもこれも俺としては差し迫った何某かに対処できる己の手の届く範囲なんかを改めて思い知るためにやった行動の結果だ、それがたまたま色々なことを片付ける結果を引き出せたというだけで、全部が全部自分だけの思惑通りに行ったなどとは思いあがってはいない。

 世の中は大抵人の思惑通りには動きやしない、縦しんば上手くいったと誰かがほくそ笑んだとしても、それもまた他の誰かが振り翳す手で覆される可能性を持つ砂上の楼閣だ。

 だからこそ、彼女らがこうして距離を詰めてくることは、俺が好かれている結果に結び付いているのか、と疑惑が蔓延る。

 

 ……まあ疑問には思っても役得は甘んじて受けますけど。

 でもこうして甘受する程度が関の山だよ、女性として『見ること』にはやはり心情的な一線があるし。

 それでも男子だからアキラに抱きしめられて、全身を密着されていて、思春期であるからこそ気恥ずかしさともやもやとした欲求が鎌首を擡げる。

 良い身体してるけど未成年、と踏み込む気がないからこそ己に必死で言い聞かせる俺がいた。

 落ち着けぇー、お前の出番は無いぞー……!

 

 

「………………じゅるり」

「――!?」

 

 

 ちょっと!? この子いま舌なめずりしたんだけど!?

 今そこにある危機を感じ取ったときには、もう遅かった。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 身長(タッパ)はアキラも結構あるが、烏丸と比べればそれほどの差異は無い。

 むしろほんのわずかに烏丸の方が長身なのだが、同年代での精神的な成熟さが其処には表れているとでもいうのか、アキラにとっては結構容易く烏丸のことを羽交い絞めに出来ていた。

 その抱き方は後ろから胸へと手を回す完全密着型で、中学生としては充分豊満な乳房がつぶれるように烏丸の背中を圧迫していた。

 体操着越しではあるが、たわわな二ツ山のふくらみの先端が烏丸イソラの理性を削る。

 押し付けられたそれは、まだ義務教育を修了していない年代の若々しすぎる身体を持つ男子の性を、翻弄するには充分すぎる凶器となっていた。

 

 そういった事情無しに、アキラの膂力は密やかに麻帆良でも上位に位置する。

 一度原作でもクラスの女子を何の補助もなしにポンポン投げていたこともあったが、そんな隠れ設定を烏丸相手には如何なく発揮するのがアキラの本領である。

 そして、今回こそそれは留まるべき事で合ったのかもしれない。

 アキラは烏丸に『雄』を感じていた。

 普段のノリで拘束してみたはいいモノの、学園都市中を跳び回ったことで程よく掻いた汗の匂いが、彼の首筋や体操服からむわりと漂う。

 それがフェロモンである、と云わんばかりの、女性を本能的に雌足らしめる潤滑剤。

 しっとりと汗ばんだ肌は上気した体温が相俟って、男性にはどニッチ且つマイノリティ的な(理解し難い)魅力とさせていた。

 

 そんな烏丸に対して元々興味以上の感情を抱いているアキラは、今何気に色んな意味で狙われている烏丸との程よいバランスが取られている関係を『崩すかどうか』を内心で天秤にかける。

 クラス内でも無駄に株があり、全員とは言わないが色々とキレイ処にモーションを掛けられているのが烏丸の現状であり、彼自身はあまり進める気がないという点も、他と比べてリードしている元エターナルロリータさえどうにかできれば別の子たちも抑えることも無くなるだろう。

 しかしそうなると、そのバランスを崩すということは今の関係から良くも悪くも進まなくてはならない。

 それが前進か後退か、どうなるのかは彼の心情で大体決まってしまう。

 此処で普段大人しめを地で往く女子中学生としては留まることを選択すべきであったのだろうが、彼女にも備わっていた理性を押し退けたのは、他でもない彼自身のこの状態であった。

 

 ――要するに、男子としてのエロさに理性が負けたアキラは、その欲望のままに彼の身体を貪った。

 前々から密やかに濁されていたものの、直に顕わとすると本当に酷い真相である。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

「だいじょうぶだよ、天井のシミを数えているうちに終わるって聞くし」

 『……一瞬のうちに態勢を組み替えられて、正面から俺を押し倒してハァハァと息が荒いアキラが、そんなことを口にしていた。男女逆じゃない此れ……!?』と混乱する烏丸を他所に、たどたどしい手つきで少年の身体へ抱き着き、その香しさを堪能する女子中学生。

 文章にしてみても色々とアウトな絵面であった。

「ちょ、落ち着けアキラ、そういうのは俺早いと思うな……ッ!」

 云いつつ無理やりに剥がさないのは、まず間違いなく彼女の力が強い所為もあるが、そもそも烏丸自身も身体能力の面では強靭ではないことも理由に当たる。

 常人と比較すれば充分に凌駕できるはずだが、麻帆良に集うスペシャリストたちに比べると最後の一線で一歩及ばない。

 そんな達人と上級者の境くらいに居る少年が、実はスペシャリスト揃いの麻帆良女子3-Aに対抗できるかどうかと云えば土台無理な話であったことが、何気に誰もが気づいていない純然たる事実であった。

「暴れんな……暴れんなよぉ~……」

「口調変わってる……!? だ、誰かー! 助けてー! 此処に痴女がいますー!」

 恥も外聞も今は苦渋、と呑みこんだ烏丸の判断は迅速だった。

 が、体操服の下から手を入れて、背中を舐めるように撫でまわすアキラは静かに答える。

「そんなに騒いでも、今は体育祭の真っ最中だよ? ……女子寮に人がいるはずないじゃない」

「さ、最初からそのつもりで……!?」

「ううん、違うけど。でも我慢したくないんだ、ごめんね、ほんとごめんねー」

 完全に棒読みで、謝罪の気持ちなど一切込めずに烏丸の身体を逃さないアキラ。

 どちらにしろ、これでクラスの女子には違えようのないカンフルが行き渡ることになるだろう。

 しかし、今はそんなことよりもエッチしかねぇ、と下手な野獣より欲望に忠実となったアキラは、仮契約時以上に濃厚な口づけで烏丸の唇を奪っていた。

「んむっ、ちゅ、ちゅぱ、ちゅっ」

 舌を押し込め、口中を弄り、相手の粘液を貪るように圧し掛かるアキラ。

 彼女は決してその道のプロなどではないのだが、留まることを止めた年頃の少女の舌使いは貞淑さを一時捨てていた。

 舌で未だ女体を知らぬ烏丸の神経を奪う一方、その下ではずるずると少女の手つきが少年の薄布を剥ぎ取ってゆく。

 ちゅぽん、と唇を離したときには力の抜けたように放心した烏丸が床に仰向けとなっており、煽られて反り返った彼の逸物が雄々しく顕わとなっていた。

「……んむ、ふぅ……、準備は良いみたい、だね」

 目撃するのは初であるが、それに生娘の様に恥ずかしがっても割と今更でしかない。

 そんな心内のままアキラは、自分もまた着ていた体操服を脱ぎ払った。

 ズボンはちょっとだけ惜しむ素振りを見せつつ摺り降ろし、汗とまあ女性ならではのちょっとした粘液でしっとりとほぞ濡れた薄布の下着が顕わになる。

 上は捲るように晒し、年頃としては充分以上に豊満な86センチのDカップがブラからも零れて外気へ触れる。

 ほんの少しだけ火照った彼女の様相には羞恥を慮っているようにも伺えるのだが、実際のところは今から始めることに興奮して意識が高揚としているケダモノのような実情であった。

「じゃ、挿入()れるね……」

 自らの下着のクロッチ部分をずらし、膣口の辺りへと烏丸の反り立った逸物を充てる。

 自分の身体に入ってゆく異物感に背筋を震わせながら、短い声を刻むように漏らしつつゆっくりと腰を落とし、少年を銜えた暁にはその逞しさにぶるりと改めて全身が震えた。

「ぁ……っは、ぁ……、すごぃ、おっきぃぃ……、っ……!」

「ア、キラぁ……ッ」

 苛む様な声を上げる少年だが、少女にとってはその仕草すらも愛おしかった。

 腰を抑えつけるように跨って、彼を見下ろしながらうっすらと微笑む。

「いい、よ……、わたしが、んっ、ぜんぶ、してあげる、からね……ぁっ」

 宣言し、小さく腰を浮かす。

 すぐに落し、自分たちの結合部が水音のようなモノを響かせることを自覚した。

 互いの粘膜が擦れて、それが快感に直結しているのだと本能が語る。

 刻むように、断続的に上下させることで、少女は少年に必死に縋っていた。

「あっ、あっ、あっ、からっすま、くんっ、きもちっ、いいっ? あっ、あっ、あっ」

 アキラの身体は烏丸を覆ったように被さったままだが、後ろから見られればその尻は盛った犬の様に上下している。

 それに連動して、圧し掛かったアキラの胸元にあるふくらみが水風船のように柔らかくたわみ跳ねていたが、それを目の当たりにできるのはひとりしかいない。

 男女の肌と肌が濃密に鬩ぎ合う姿は誰に憚ることも出来そうにもなく、されるがままになってしまった烏丸もまたチクショウと口の中で小さく呟きつつも、その眼はアキラの胸元へと吸い込まれていた。

 こんな事態になっても、雄の本能は仕事を忘れることは無いらしい。

「んっ、あっ、……? あ、」

 そしてその視線に気づき、アキラは悠然とより顕わに体操服を捲り上げ、

「……吸う?」

 自らの豊かな乳房を持ち上げて、桜色の先端を烏丸へと突きつけた。

 

 

 ――これは、魔法世界という巨大な組織を壊滅に追いやった少年が、それでも勝つことが出来なかった少女たちとの奮闘を描いた、とても小さな敗北の記録である――。

 

 

 ……ぷるりと瑞々しい青い果実は、甘酸っぱい汗の味がしたという。

 

 




そんなわけで、アキラ回と見せかけた烏丸の初体験
ここから色々と黒星稼いで外道系へ落ち逝きます
ちょっとばかし未だ世に擦れていなかった純朴少年がどうしてこうなったんだよ、という意見が多かったので経緯のかけらを書いてみました
まだ、序章です(鬼

次回は普通にハイD
下種系オリ主が舞い戻りますのでギャップにご注意

え、云うほど違いが判らなかった?そんな馬鹿なry


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「やべぇ、今回俺出る必要がねぇ」

56話。日常回です


 

 

「イッセー、第二弾を、見たか……?」

 

 

 元浜が机に肘をつき両手を重ね口元を隠したポーズで、何処か厳かな様子で静かに問う。

 その脇では松田が後ろ手に組み直立不動、何やら一過言必要そうな組み合わせを体現しているのだけど、それがなんなのかは俺にはよくわからなかった。

 それよりも、理解していることが一つある。

 

 

「ああ、見たぜ。――今回も最高でした……ッ!」

 

「だよな! 前のグループとは全く違う組み合わせだけど、新メンバー全員美少女って普通にやばいよな!」

「もー、比率が飽和しすぎていてあそこのプロダクションへの期待値が上がりっぱなしなんですけどー!?」

 

 

 途端にポーズを取り止め、話題へ取り掛かる俺たち男の子。

 下手なカッコつけなんて意味がねぇ、やっぱ男は中身だぜ!

 

 俺たちの話題の中心は他でもない、美少女たちの華麗なダンスで世の男子の股間を鷲掴みにした某アイドルサイト【S(エス)i(アイ)(ナイン)G(ジー)G(ジー)】で新たに配信された第二弾の動画のことだ。

 第一弾の『胸の谷間に埋まらせ隊』が気づけば爆乳美少女ばかりになっていて、最初期に居た不遇枠の娘を応援していた一部の男子例えば元浜とかがその入れ替わりには憤慨したものだが、某ペタン娘と入れ替わりで参入した北欧系銀髪美少女の【ロジーナ】ちゃんで大多数のちっぱい好きも陥落したという噂だ。

 元を正せば名称からして爆乳を揃える予定だったのだろうから、むしろ彼女が参戦したことは大正義としか言いようがない!

 実際、彼女が混じって赤・黒・銀の爆乳トリオが踊る様は興奮のし過ぎでまた入院するかと思うほどだったからな!

 

 そんなサイトの第二弾――。

 グループ名は『ビキニ(ハート)シスターズ』曲名は『生殺し』、と第一弾よりも軽快且つ更にアップテンポな曲調で……まあ見た方が早いか。

 こんな感じだった。↓

 

 

 先立ってデビューした爆乳トリオと同じように、今回も3人で組まれたユニットで、並び方は前と同じようにひとりを前面に推し出して後ろ両脇を固める、というスタイル。

 両脇の子は、片方が活発そうな金髪ツインテールの娘【リィナ】ちゃん、もう片方がメッシュの入った青髪ショートカットの【ヴィオーナ】ちゃん。

 こちらは髪の色と同じビキニを身に着けて、身体を動かすたびにぽよんぽよんと暴れるいわゆる“巨乳”の類に分類されるだろう。

 

 そして中央に位置する、いわゆるセンターの役割を充てられたのは、金髪のロングストレートヘアが正統派美少女と云っても過言ではない魅力を振りまいた【アリシア】ちゃん。

 彼女は両脇を固めるふたりと比べると、明らかに肉付きは足りなかった。

 しかし、それは決して第一弾初期のあの娘のような物足りなさを彷彿とさせるような意味合いは無く、これから成長すると充分に窺わせるほどの豊満さ。

 そんな彼女が他のふたりに負けないくらい女子の象徴すなわちおっぱいをたゆんたゆんとたわませていたわけだが、これは見るにワンサイズ小さめのビキニを着けているのだと判断できる。

 そうすることで胸の形がよりくっきりと強調され、脇ふたりと比べるとボリューム不足が否めない彼女でも、センターとして見る側に満足を届けてくれたのだ。

 水色の生地に細かいフリルがあしらわれた、まるで下着のような装いも目を引く要因となる。

 

 そんな彼女たちだが、第一弾が全力で男子のリビドーに真っ向勝負を賭けているのに対して、比較すると少々大人しめの組み合わせだと云わざるを得ない。

 恰好や振り付けこそ、確かに大元(事務所)側が売りとするタイプだ、がしかし、纏まって見ると所作にもやや清楚系が混じっており、彼女たちの『頑張り』を目撃する男子たちにはセンターの可憐さも相俟って、それを見ることに色々と罪悪感のようなモノが湧いた。

 特にリィナちゃんの方は第二弾が出る少し前に『お試し動画』として、本物のアイドルみたいに黄色いふりふりの衣装を着て『夏のお嬢さん』という曲を歌っている。

 しかし――思えば、きっとあれが前哨だったのだろう。

 カワイイ系で狙ったはずのアイドルがまるでAVに出た、と云わんばかりの雰囲気――。

 これは、男子たちの罪悪感をより逆撫でて、一種のカリギュラ効果のような性的興奮を覚えさせていた。

 

 さて、そのダンスの全貌だが。

 まずある程度の前奏の直後、センターのアリシアちゃんが大きく手を振り上げて「おっぱーい♪」と叫び――(以下略。

 

 

 ――おわかりいただけたであろうか……。

 清楚なはずの少女が見せた、ある意味下品なタイプのダンサブル――。

 歌詞の中身もまた……、三角ビキニが流されたり、鯨が潮を噴くという暗喩に、貝殻じゃはみ出しちゃうといった誘惑、そして見えそうで見えない生殺し……。

 まさに曲名に恥じない、い~い動画でした……ッ!

 

 

「……アリシアちゃんマジやべぇな、あんな清楚系なのにメチャクチャエロいお仕事を頑張る……って……」

「ああ、天使だな……。リィナちゃんもエロ可愛かったけど……」

「同意だ。……ヴィオーナちゃんも負けてないけどな」

 

 

 動画を思い起こし、噛み締め乍ら感慨に耽る。

 ひょっとしたら年下だったんじゃないか、と思わせるくらい幼い容姿と魅力を醸し出していた彼女に、デビューしたての豊乳系ジュニアアイドルを発見したかのような感動が蘇る……! うっ………………ふぅ。

 ふふふ、おにーさん恥ずかしながら、ちょっと先走ってしまったよ。

 ともあれ、これからも応援せざるを得ないな!

 両脇の娘たちだって例外じゃない、エロいのは正義!

 

 

「時にイッセー、気づいたか? このサイトの名前、Si9GGってやつ」

「ああ、なんかの頭文字見てーだけど、なんだろうな?」

「最後のGGはわからんけど、半分はなんとなくわかる」

「マジか?」

「……セクシー(S)アイドル(i)9人、とかじゃないのか……?」

 

 

 ――マジか……ッ!?

 今まで見たいな娘が、まだ3人隠してある、ってことか……ッ!?

 

 これは、ますます目が離せない!

 これからも応援せざるを得ないなァ!

 

 

「――おい其処の変態三人、もういいか? 体育祭の役員決め、早めに済ませたいんだけど?」

 

「「「うっすスメラギさん、今から行くのでコブシだけはご勘弁」」」

 

 

 何はともあれ、2週間後に控えた体育祭。

 スメラギ様が殺気立つ前に、気持ちを切り替えていかないとな!

 さあ、油断せずに行こう――。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 ――ふむ、体育祭とな。

 

 

「……あれ? 前回やらなかったっけ……?」

「何言ってるんですか、夏休み前にやったのは球技大会ですよ?」

「いや、そっちじゃなくて、……あれぇ?」

 

 

 ロングホームルームで出された議題を前にして、ちょっと小首を捻る。

 なんだろうか、少し前にトラウマに近い何らかが通過していったような、そんな感覚。

 

 

「とはいえ、私たちが決めるのはどの競技に誰を出すか、だけだそうです。体育祭の実行委員は二年勢から選ぶとか……」

「あ? そうなのか?」

 

 

 そうなると、本日お休みのレイヴェルにも悪い話じゃないか。

 先日のアヘ顔ダブルピースが尾を引いているのか、彼女は一向に登校――すなわち、俺の前に姿を現そうとしていない。

 気まずいのも理解はできるが、転校早々お休みが重なるって留学生としてはちょっとどうなのかと。

 なんでや! レイヴェルさん嫌そうじゃなかったやんけ!

 それとこれとは話が別ですね、そうですね。

 

 

「それじゃあ決めちゃうヨー、まずは今回の目玉だとか評判の『三人四脚』! これは男子だけだからネー」

 

 

 と、進行役を務めるアインツェ・クルシニコフさん(ロシア国籍)が、やや片言系の語感で弁を振るう。

 どこかで見たかと思いきや、以前にカラオケで同席した眼鏡の子であった。

 キャラが違う。

 夏休みの間に何があったし。

 

 それはさておき、彼女の言い分にちょい疑問が浮かぶ。

 

 

「三人四脚、って言葉の通りなら3人要るよな? なに? 男子だけで組まされるの?」

 

 

 なにその地獄遊戯。

 俺と同じ疑問にぶち当たったのか、他の男子からもさわさわと疑惑の声が湧く。

 

 

「ハーイ静粛にー、心配しなくてモ、お相手は3年のお姉さま方ネー。上手く筆降ろししてもらえや男子ドモー」

 

 

 言い方。

 

 色々と不安になるアインツェさんの進行に思わず口を挟み、詳細を聞いたところ元は2年のとあるクラスから提案された競技らしい。

 組み合わせは当日の籤でランダムに、3年のおねー様方との交流を()った様子だが、途中で生徒会や先生方の細工が施され、申請当初の大義名分通りもはや顔なじみの2年ではなく割と新参の1年に狙いを定められたとか。

 ……どうにも誰かさん(変態先輩)の顔が脳裏に浮かぶ。

 特に3年にはグレモリー&姫島先輩という二大巨艦が居並んでいるし、某発案者が狙い撃ちにしていた可能性が。

 まあ、現状は失敗の様子だが。

 

 そして途端に上がる男子どもの挙手の嵐。

 吹き荒れてるナァー。

 

 

「烏丸くんは立候補しないの? 揺れる特大おっぱいに合法的に挟まれるチャンスだよ?」

「俺のことなんだと思ってるの?」

 

 

 樋笠さんが身を乗り出して問うてくる。

 男子のリビドーとしては正常な反応であろうが、ぶっちゃけわざわざその様子を衆人環視の元見られるとかどんな羞恥プレイやねんとしか。

 かといって、此処で挙手をしないのは同性愛疑惑を齎しそうであるが。

 

 

「烏丸くんはそんな心配はないですけど……」

「それはそれで不安になる」

 

 

 心を読んだ岡崎さんに、普段の様子を暗に言われてるようで心にクる。

 まあどうせ当たりはしない。

 挙手多すぎて流石にこの場での選抜じゃんけん大会になってるし。

 見てろ、俺が負けるときは一瞬だぞ……!?

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

「――は、悪魔どもも脳が浮かれちまってんのかねぇ?」

 

 

 手元にある一通の便箋を弄びつつ、精悍な顔立ちの男性が悪辣さを隠そうともせず口遊む。

 男の名は帝釈天、世界最強十指の上位に数えられており、仏教世界を牽引するモノ()である。

 

 実のところ、仏教世界のみでモノを語れば、彼は筆頭というわけではない。

 仏教世界は内在する神仏の数が膨大且つ位階が上がるほどにその掌握性が高騰してゆくのだが、それ故に解脱し涅槃へと辿り着いた神仏は物理的な下位世界への強制力を喪失することになる。

 宇宙が膨張し中心地から果てまでの距離が広大になることと同義になるというべきか、解脱即ち物欲を切り離し悟りを開いた開祖などは、その神性や超越性が遥かな高みに在りながらも物理法則の世界への介入を認識から外すことに至るのである。

 結果として、高位から見ればパシリのような帝釈天が下段という名のまとめ役に残った、という状況だ。

 実績を鑑みれば仏教世界を支える人民からの信任も厚く、ヴリトラ退治の立役者としてインド神話出身という前身も相俟って実力も相当と見做されているのだが、仏教世界のみで見ると中堅の立場から脱却できないまま長年存在し続けた、云わば永年地方課長といった立場の男である。柴又にも帝釈天があるしね。

 

 そんな彼だが、その日は久しぶりに笑えた。

 否、嗤えた。

 彼へと厚顔無恥な招待を送り付けた、悪魔らの所業のお陰である。

 

 

「レーティングゲームの見学会、ね。アレか、自分たちの陣営が纏まったから外からも見に来い、っていう余裕か? ――莫迦が。本気でそう思ってんなら救いようのねぇ大馬鹿だ」

 

 

 彼は知っている。

 駒王協定と自称する聖書陣営の足並みの取れなさを。

 その陣営の外側にある明確な敵意を。

 三竦みが執り行われている土地の根本的な支配者を。

 そして、様々なモノから零れ堕ちた吹き溜まりを、陰から操ろうという者の悪辣さを。

 己もそうであるからこその、分かり易過ぎる岡目八目――。

 

 

禍の団(カオスブリゲード)をただのテロリストとしか認識していねぇ。全神話に喧嘩売っていると明言している奴らが、今も未だ生き残っている理由を考えたことがあるのかねぇ。――俺みたいな後ろ盾がいるからに決まってるじゃん」

 

 

 ハーデスが突貫命令を下したことを知りつつ、彼もまた【手駒(英雄)】らの生死までは気にも留めない。

 帝釈天にとっては、英雄の残滓も吹き溜まり以上の価値は無かった。

 

 

「当然、天界も一枚岩じゃねぇからなぁ、更に北欧はロキが居る。――ま、掻き回すなら今だよな」

 

 

 今回集められた『招待』の中に、様々な悪意が一緒くたにされている事実を果たして冥界は把握しているのだろうか。

 恐らくは、初手で自分たちの恥部である旧魔王を排除できたことで浮かれているのであろうが、それでも甘いと云わざるを得ない。

 裏事情の全てを知る彼にとっては、冥界は盛大な地雷を踏み続けて居るようにしか思えなかった。

 

 そして、その彼ですら気づけていない地雷が在ることを、彼は未だ知らない――。

 

 

 

 ▽ ▽ ▽

 

 

 

 前回までのあらすじ!

 邪竜を求めて三千里、北欧目指して旅に出たリゼヴィム一行。

 封印されし邪竜に心当たりがある、と到達したその土地(デンマーク)で待ち構えていたものとは――!?

 みんなも邪竜ゲットじゃぞい!

 

 

「うっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ! やっべー! マジで死ぬかと思った! ただの封印地の癖して足を踏み入れる隙間もない毒の沼地って正気じゃねーわ! こりゃあベオウルフも相打つわけだ!」

「嬉しいのかリゼヴィム? すっごい笑ってるけど?」

 

 

 一歩踏み込んだ瞬間に靴の裏が音を立てて焼けるという謎の現象を前にして、慌てて飛び退くクレオとは対照的にメチャクチャ高笑いして少年をドン引きさせるコ●ン系。

 元はさん付けもしていた少年であったが、此れまでの旅路で思う処があったのか既に呼び捨てで扱われている見た目は子供の中身おっさんであった。

 

 そんな彼らが捜しに来た邪竜というのが、名をグレンデルとリゼヴィムは云うのだが。

 

 

「……ていうか、ベオウルフって竜退治してたの? 私詳しくないんだけど」

「してるぞ。リゼヴィムの云う通り、相討ちだけどな」

 

 

 たった今足元が危機なクレオ少年を力技で引っ張り上げた、意外なパワーキャラのネフレアが小首を傾げる。

 それに答えられる面子が居るとは断言できなかったが、助けたばかりのクレオが地味に説明を始めていた。

 直接の戦闘力が足りないので別方面を補おうといろいろ勉強中であるらしい。

 

 

「てか、ベオウルフってどんな英雄だっけ。うちに居た?」

 

 

 そしてネフレアの続く更なる疑問。

 身も蓋も無いが、英雄として名立たる確かな面子(自称)が揃って居る『英雄派』において、名を上げていない者は結局埋没するしかないのである。

 当のベオウルフの子孫である本人は埋没どころか、サーゼクスの眷属に『兵士』として契約しているわけだが。

 

 

「えーと、フルンティングってわかるか? アレの使い手だったんだけど……」

「……ジークフリートが持ってなかったっけ」

「そりゃディルヴィングだ。あっちは来歴不明なモノだから割愛するぞ」

 

 

 ジークは原作上5本の魔剣を所持している。

 グラム、バルムンク、ノートゥング、ディルヴィング、ダインスレイブと名前ばかりは豪華な顔ぶれなのだが、前3本は来歴が完全に同じものであり単に別の呼び名であるだけの偽物の可能性がやたらと高く、ダインスレイブなんかは『所持者に勝利を齎さない』という呪いが付いて纏う曰く憑きだ。

 原作で小物の噛ませキャラであった要因は、完全に所持していた剣にあるのでは、と筆者は思う。

 なお、ディルヴィングと呼ばれる剣に関しては、北欧の魔剣【ティルフィング】とブリテンの秘宝【ディルンウィン】という二つの来歴があってどちらのことを指しているのか本気で不明な点が多い。

 破壊力ならば後者なのだが、それならば魔剣ではなく聖剣扱いになるのでジークが所持するには些か的外れにもなるので前者が適当だが、さて――。

 

 そんな話はさておき、クレオきゅんのはちみつ授業は続く。

 

 

「ベオウルフが振るった剣でも特に有名なのがそれだ。剣身は毒の枝を煮立たせて焼きを入れ、戦場の血糊で鍛えたっていう製造由来(いわく)を持つ割に、所持者を戦いにおいていかなる災難からも守る、という守護が憑く。正確には貸し与えられたもので、グレンデルっていう怪物を退治する際にデンマークの重臣から信頼の証として与えられたらしい」

「それが竜を退治した、ってわけね」

「いや、グレンデルの母親と対峙した段階で全く敵わず、其処からは別の剣を使って戦っている」

 

 

 じゃあ今の説明何だったんだよ、とネフレアは思った。

 

 

「ベオウルフの最後はさっきも言ったように邪竜との相討ちだ。その際使っていた剣もグレンデルの母親を斃した【巨人の剣】ではなく、ネイリングという愛剣だ。グレンデルとの戦いから既に50年経っての竜退治だそうだから、寄る年波ってのも相討ちの理由になりそうだけどな」

「巨人の剣とやらを体力不足で使えなかった、ってことね」

「いや、巨人の剣はグレンデルの母親の体液で融解したらしい」

 

 

 つくづく予想を裏切る仕様だ。

 それを英雄譚と呼ぶには、色々とカッコ悪い部分が多い気がする。

 まあ叙事詩が恰好憑かないことなんて結構あるし、その点に関しては英雄派一同も目を瞑っている体が無くもなさそうではある。

 

 

「さて。今回呼び出すつもりだったのは、その最後にベオウルフと相討ちになった邪竜だと思うのだけど……」

 

 

 歯切れの悪くクレオが言い淀む。

 疑問符を掲げたネフレアには答えず、少年はリゼヴィムへと向き直った。

 

 

「……なあ、俺が調べた限りじゃ、その邪竜に名前なんて無いぞ? 流石に強いのは分かるけど、名前も知らない奴を呼び出せってのはちょっと難しいんだけど……」

 

 

 【生死覆す万象の杖(ロッド・オブ・アスクレピオス)】は医療の神の名を冠する割に、その本質は『医療』とはまた別ベクトルに偏った『再生』を促す。

 アスクレピオスとは古代ギリシャの医者の名で、死者すら蘇らせる名医であることから後に【医療の神】の座へと収められた。

 しかし、概念存在が受肉している世界で在れど、死者復活の逸話まで残されているモノを同じく『復活』を最後の審判として原典に掲げる聖書の神が許すはずがない。

 ゆえに、アスクレピオスを初めとした数々の【復活神話】を備えた神々は、自らの神話の正当性を目論んだ聖書の神によって、密やかに神器へと封印された背景が存在する。

 当然、あまりにもそれぞれの神話に影響が出そうな【(存在)】などは見逃されているのだが、そもそも72柱を初めとした悪魔らも原典(プロトコル)を紐解けば別の神話の主神の場合もある。

 しかし、そういうモノたちはむしろ己の原典には素知らぬ振りで、大概が現状しか見えていないようにしか思えない事実が存在した。

 その事実から、この世界の概念存在は受肉しているがゆえに不滅ではなく、竜種のような根本的に生命力に溢れた存在以外は、『封印』の段階でその意識も廃絶の憂き目に遭っているのではないか、と推測される。

 この【生死覆す万象の杖(ロッド・オブ・アスクレピオス)】は、恐らくはそういう類のモノだ。

 そもそも、技術が求められる【医療】を、下地無しに扱えるとかどんな発展性だ、としか言いようがない。オペオペの実だろうか。

 

 さて、その【杖】に備わっている能力は、多少なりの成長が見られるために現状2つ。

 ひとつは本人の自己治癒能力の活性化。

 ひとつは『再生』の逸話に則った『死者』の召喚。

 原作のアーシアの様に『反転』という効果も備えているので、実際は4つに当たるのかもしれないが。

 どちらにしろ、肉体の完全復活は伴っていないのだが、そこはネフレアの【托卵促す怪物の滴(エキドナ・ドロップ)】が存在する。

 聖杯成れば全て一手で収束できたのだが、無いモノを強請っても仕様がないのが現実である。

 

 

「ああ、知ってる。だがまあ、なんとかなるさぁ。名前がないなら付けちゃえばいいじゃない」

「なんだそのアントワネット理論……」

 

 

 胡乱な目を向けるクレオだったが、リゼヴィムの出した案は至極『まとも』であった。

 ――それは、『逸話』の収束。

 

 神話の時代ならば、怪物退治というモノは幾つあっても不自然ではなかった。

 ゆえに、英雄譚は戦場の数がやたらと多い。

 だが、それが近代へと向かえば向かうほど、人民を脅かす存在の出現は控えめになってゆく。

 それもそのはずで、過去より土地それぞれに根付いていた者たちを討伐すれば、その血統が遺されていない限り『次の怪物』が出てくることは実に稀であるからだ。

 怪物と云えど生き物にカテゴライズされるこの世界では、異世界からの侵略者というコズミックホラーが背景にでも無い限りは、無限に戦い続ける話が成立するはずがない。

 

 そこでリゼヴィムは、後年になって出現した『邪竜』を『怪物の子孫』として統合させた。

 【邪竜・グレンデル】の誕生した瞬間である。

 

 

「――ま、封印解けなくちゃまず復活できないんだけどね!」

「ダメじゃねえか」

 

 

 結局今回は無駄足に終わってしまう。

 なんとも締まらない話であった。

 

 

 





~第二弾
 生殺し、で動画検索。すると略した部分が其処に!(ダイマ
 (別に私にそういう人たちと何かしらの癒着があるとかそういう話は)ないです


~Si9GG
 セックスアイドル9人のグレモリーガールズ、の略。烏丸命名
 身も蓋も無い名称は相変わらず


~イッセー平常運転
 後遺症は無いようです
 記憶も無いようです
 死亡フラグだけが積まれたようです


~帝釈天(仏教世界)の解釈
 この作品のオリジナルですが外様でも納得のいきそうな仕様にしました
 だって紐解くとキリがねえんだもん。なにあのインフレ神話(震え
 あと彼の口調と恰好とその他もろもろに関しては手元に原作がないので適当です


~みんなも邪竜ゲットじゃぞい!
 何気に自転車でも歩数稼げます
 10キロ走るだけで卵の孵化もあっという間に!
 実際10キロ歩くとなると半日消化する計算になるんですけど、その点を大元はどうお考えなのでしょうかねぇ…


~原作ジークフリートの小物振り
 これまで多分間違っていたかと思うのですけどジークフリー()だったんですね。修正?しません
 ウィキペディアに魔剣の内訳が載ってたのですけど、一本だけなんか由来不明なんですけど
 なんなんでしょうね、あれ
 あとダインスレイブとか自分から使うって時点でアレだと思いました(小並


~神器とか神話の解釈
 たぶんそういうことでしょ?聖書神話って、そういう人たちだものね
 大元がどう思っていたかとかは考慮しません。会社興してやることやった結果が出たんだから社長に言い訳されても仕様がない、みたいな話ですよ。そもそも死んでるって設定だしね、聖書の神
 ちなみに杖に関する能力の説明も挟んだけど、アーシアの治療も原理がわからないおーりです
 波動?はどうなの?聖母の微笑って治癒の波動を送る奴なの?治癒の波動って何。自己治癒能力の活性化とはまた別に見えたので能力に差異を持たせ出来上がったオリ神器
 烏丸とはまた別の主人公として頑張らせたいクレオきゅんです
 誰か!イラストはよ!(渇望


~グレンデル誕生秘話
 帝釈天でも思ったかと思いますが、このお話は原作をレ●プはしても、無駄にアンチヘイトを稼ぐ気はない程度には良心を備えた作品です
 よって、作中の不明な点や疑問部分、明らかに此れ可笑しいだろふざけてんのかお前、という点につきましてはおーり最大限の補填能力で以て解釈を備える所存です
 すべては愛。らぶいずおーるおばなっしん(なんか違う
 本気で嫌いならアニメも見ないよ。最近あったアレとか、お兄様なアレとか、まあアレとか。何と言い切る気も無いですけど(メソラシ
 ともあれ、おーり最大の愛で以て邪竜グレンデルの出発点を予想
 つまり、イシブミ=サンはリゼヴィムだったんだよ!な、なんだっ(AA略



よっす、お元気でした?
なんだかごたごたが現実に続きそうなので次回がいつになるかわからねぇです
な、なるべく最低月2は目指すからご勘弁…!


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☆「     」

お待たせしました
遅れた理由は前回の活動報告をご覧ください

57話です。…感想ください(真顔


 

 会場を見下ろせるように、と用意されたものの、客を招待するにはやや手狭な部屋。

 明かりは会場側に開けた一面のガラス壁からしか差し込まず、部屋の中に用意されているのは貴賓席ではなく豪奢な造りのダブルベッドだった。

 そのベッドの上に、色黒で白髪頭の少年・烏丸イソラが肢体を隠そうともせず、ふたりの女性を向き合わせるようにして傅かせていた。

 

 片方は銀髪で普段の仕事着であるメイドのヘッドドレスを乗せたそのまま、しかし身体を隠す肝心のメイド服は胸の辺りを大きく開かれて、豊満な両の乳房を惜し気も無く晒し出している。

 名をグレイフィア・ルキフグス。

 魔王の奥方でありメイドであり一児の母である彼女は、自らの意志で少年の前にその熟れた肢体を晒していた。

 もう片方は亜麻色の髪をした大人しめの美女で、こちらはグレイフィアとは打って変わって何も身に着けていない。

 豊満な乳房は細い身体には不釣り合いなほどもっちりとしており、それでも自重に負けず垂れすぎないゆさっとした存在感を顕わとしている。

 先に述べたように細い身体で、ウェストは括れて無駄な贅肉など微塵も見られていないのに、尻や腰つきには肉感に溢れていて自然と男の見る目を性的に誘う。

 そして曝け出された白い肌にはシミひとつなく張りがあり、十代だと云っても通用しそうな若さを醸し出していた。

 これでこの場の誰よりも年を負った大悪魔なのだから恐るべき話だ。

 彼女の名をヴェネラナ・グレモリー。

 グレイフィアの旦那であるサーゼクス・ルシファーの実の母であり、さらに高校生の娘をもうひとり持つ二児の母。

 そして冥界の上級貴族の奥方でもある、爵位こそないが貴族社会に充分影響を及ぼせる立場の女傑でもあった。

 

 一目だととても人間のモノとは思えないそそり立つ逸物を前に、グレイフィアはなるべく意識しないように努めていたのだが、唾をごくりと呑み込む音を喉が自然と鳴らしていた。

 そのことに遅れて自覚しながらも、決して下品にはならないよう淑女の様に控えめな手つきで、そそり立つ亀頭へシルクのように滑らかな指先を沿わせ、自らの豊満な乳房を()()に押し付ける。

 その彼女の対面では姑に当たるヴェネラナがグレイフィアと同じように、豊満な乳房で一本の逸物を抑えつけるような仕草を見せていた。

 特大の果実のような重量感、それなのにマシュマロのような柔らかさを兼ねてふたり分、合わせて四つになった白玉が、ひとつの肉竿の鋳型の様に変形する。

 それを受けた少年の口からは、感触を愉しむような喘ぎ声が絞り出すように漏れていた。

 一方で、たわみ形を変える乳房を自らの意図で目の当たりにし、グレイフィアはいっそう息が荒くなってゆく。

 互いを向き合った形でひとりの男性に奉仕をするなどと、彼女の結婚当初では考えられない行為であったが、すでにこうして事に及んでいるので今更な話だ。

 

「(それに奥さまはあの通り、これからのことに随分と期待したご様子ですし……)」

 

 義母娘(おやこ)で奉仕する少年への一線など、とうの昔に越えている。

 社交においても他に中々類を見ない豊満さを備えた自分たちの乳房で、挟んで擦る肉棒に幾度と服従させられたかつてを思い起こし、グレイフィアは再び喉を鳴らした。

 今夜はこれからまた彼に抱かれるのだということを期待している自分を、最早今更貞淑であろうなどと思い返したりはしない【魔王の嫁】が此処に居た。

 

 

 

 ▽  ▽  ▽

 

 

 

 ほんとうに酷い話だった。

 

 初めは、そう、リアスと朱乃が子を宿した、という報告を受けたことだった。

 朱乃は元々そう命じていたからなるべくしてなったと納得できたが、次代のグレモリーを担うべきリアスが妊娠するとはどういう経緯なのか、と片方に命じておきながら我ながら酷く言い掛かりに近いことを口にしているとは思っていた。

 しかし、いざそうなったと宣うリアスを前にすると、その子供を無事に産むためにも色々と計画を立てていると聞かされると、なってしまったものは仕方がない、と納得するほかは無かったのだ。

 

 問題は、元々実験に近いサンプルの回収とほぼ同義の酷い認識で取り扱おうとしていた朱乃に対する申し訳の無さが少しばかり心に残り、それならば、といつの間にか話を聞いていたヴェネラナ奥さまと一緒に、烏丸くんを相手に私たちが『子を求める』という立場を目標として彼を呼ぶ羽目になってしまったのである。

 

 そうなると、その丁度良いタイミングは、近日に迫ったレーティングゲームしかない。

 例え魔王と懇意にさせてもらっている者であろうと、実情は人間の少年である彼を冥界へそうそう呼べるわけではない。

 しかし、サーゼクスが方々へ観戦招待を送り出したおかげで、それに紛らせるように彼の招待もまたその中へと組み込ませること自体は問題なく行えたのだ。

 

 問題が浮き彫りになったのはその後だった。

 

 

 

 ▽  ▽  ▽

 

 

 

 我慢の利かなかった方はヴェネラナだ。

 自分たちの眼前で脈打つそれに視線は釘付けとなっており、グレイフィアが気づいた時には彼女が先に烏丸を押し倒し、そそり立つ肉棒を自らの秘所へと宛がっていた。

 グレイフィアは一度彼を発散させて、それからでも遅くはないと考えていたのだが、彼女よりも年を食い独身時代が遠いヴェネラナにとってはその『一番搾り』こそが、熟れた身体が最も欲しているモノ(精液)なのだろう。

 未だ肉体年齢には成熟とは言い難いヴェネラナだが、だからこそ『そういう方面』には同年代の悪魔らよりもずっと貪欲だ。

 若い頃にお転婆だったという噂が未だ残り、実際証拠こそ残っていないが『そういう方向で』でも『お転婆』だった彼女の、使い込まれた割にはずっと狭く小さな秘所が少年のそそり立つ肉棒を、鶏卵を呑む蛇のように形を変えて吞みこんだ。

 

「~~っ、ぁ……っ、っふ、ぅぅぅ~~……っ」

 

 貪欲であったヴェネラナの顔が、破瓜を捧げる処女(おとめ)の様に苦痛を浮かべる。

 しかしそれも一瞬のことで、すぐに喜色へ変わった彼女は添えていた手をそのまま彼の脚へと降ろし、ゆっくりと根元まで腰を沈み込ませた。

 耐えたような身代の震えは、弓の様に反った身体が乳房を小刻みに揺すったことで顕わとなる。

 だが、その一瞬の『休憩』も彼女には用意されていなかった。

 

「っ!? っあ、はぁっ! ぃひぃんっ!?」

 

 ぐっ、と子宮口へ押し付けられる感触があったかと思いきや、そのまま捻じるように入れられて押し広げられる衝撃が彼女を襲った。

 気づけば太腿は少年の手が抑えつけており、一層逃げ場のないことを悟る。

 

「~~っ! あ、あっ! あっ! んぁっ! あひっ、ひぅぃぃっ!?」

 

 覚悟はしていたが、最初からクライマックスだと云わんばかりに、突き上げられる衝撃はそのまま脳髄にまで届くほどに強烈に響いていた。

 少年の腰がロデオの様に暴れて、ガクンガクンとヴェネラナの身体が支えを失った振り子のように跳ねまわる。

 しかし堕ちたくないのではなく、少年の腰の上から落ちたくないと、そのしがみつく手だけはしっかりと彼の脚を掴んだままなので、むしろ跳ね回るのは彼女の乳房だ。

 ばるんばるんと風船が弾むように、桃色の先端が白い果実が捥げそうなくらいに暴れまわる。

 ヴェネラナの顔つきもまた悦んでいるのか苦しんでいるのか、判別がつかないくらいにぐしゃぐしゃに歪み白目まで剥き始め、壊れそうになると彼女が自覚し始めるその寸前、まるで狙ったかのように少年の腰つきはぴたりと収まっていた。

 

「~~っ、~~っ、……っ、っは、はぁぁぁ~~……っ」

 

 息をすることを思い出したように、長く深く吐き出した呼気と共に、しがみ付いていたことで顕わとなっていた緊張が解けて、弛緩した身体がその手を離す。

 それを支えるように、彼女の腰を捕まえたのは少年の両の手であった。

 

「……ぇ? ぁ、ふぁ、ひぁっ!?」

 

 一度、押し込まれたはずの感触が抜けたと感じた彼女に、続けて来るより深い衝撃。

 彼女の腰を捕まえた少年は、より一層彼女を好き放題できる捕まえ方をしていたのである。

 まるで玩具のように、特大の肉人形を弄ぶように、一度持ち上がったヴェネラナの身体を、寸舜で再度落し込む。

 その上下運動は、彼女の膣内に隙間をわずかにだが空けて、同じように隙間を埋める作用を繰り返させた。

 

「あっ! あっ! あっ! あっ! はひぃっ! あひぃっ! んあっんぁぁっ!」

 

 形の変わる胎が浮き彫りになるほどの衝撃に、一層大きく彼女の身体は少年の上で激しく弾む。

 それは最初にヴェネラナが目論んだ自ら欲した肉欲の解放とは全く違う過程なのだが、しかしその激しさは彼女の欲望をむしろ大きく満たし始める。

 蕩けていた目線は天井を仰ぎ、しかしその見つめる先は定まらないホワイトアウトした虚空の先。

 肉欲で塗れた脳髄は喉から漏れる悲鳴に共鳴し、どんどん歪に壊れて往く。

 それを嬉しがる感情は歯止めをかけず、ヴェネラナは少年の子を身体が欲しているのだということを、此処に来てようやく自覚していたのだった。

 

 

 

 ▽  ▽  ▽

 

 

 

 結果として、冥界はテロリストによる攻撃を受けた。

 旧魔王派へと寝返っていた、全体で見ればわずかだが見過ごすことが出来ない数の、現体制に叛意を抱えた者たちが特攻を仕掛け、英雄派と名乗る聖なる武器を備えた神器使いたちがレーティングゲームの会場へと攻め入ってきたのだ。

 『穴』を作ったのは招待した冥府の役人、即ち死神の幾人かで、彼らが聖書陣営に敵意を抱いていることは必要以上に明らかとなった。

 その不備を煽る天界側の少年枢機卿が勝手に命令を下して引き連れてきた聖剣使いを投下しようとしたが、より酷いことになったのはその後だ。

 静観を決め込んでいた中華系神話代表も、いざとなれば手を貸すと言質だけはもらっていた北欧の主神も、その登場に全員が息を呑んだ。

 ――烏丸くんが、【カーリー】を召喚したのだ。

 

 

 

 ▽  ▽  ▽

 

 

 

 抜き取ると溢れるほどに膣内(ナカ)に出された性の証、水飴か何かのようにどろりとした粘液を改めて目の当たりにして、グレイフィアは今まで行われていたケダモノの祭典をようやく現実だったのだと理解した。

 事がひととおり済んだヴェネラナはぐったりとしてベッドの上へ仰向けになっており、弛緩し切った身体に力が入らないのか意識も曖昧なまま放逐されている。

 悲鳴のようだった喘ぎ声すら、今では漏れることも無く静かになっており、汗ばんだ肌は身体が情事を思い起こすかのように時折跳ねるように震わせている。

 明からさまに強姦(レイプ)に匹敵するほど乱暴な扱いを受けたというのに、そんなヴェネラナの顔つきは酷く嬉しそうに蕩け切っていた。

 そして自分も『そうなるのだ』と、グレイフィアは呆然とした頭のまま、自身へ掴みかかってくる少年を受け入れてしまっていた。

 

 貪るようなキスをされた。

 口中を舌が蹂躙し、旦那にもされたことのないお互いの粘膜を交わらせる接吻で、舌の裏や喉の奥まで弄られた。

 それだけで元より曖昧だった思考は茹だるように裏返り、押し倒された身体は衣服を着ていることすら億劫に思えてくる。

 雌であることを思い起こされた火照った身体はしかしそのままに、脱衣で中断することすら惜しむように少年の背中を抱きしめ返した。

 片手は乳房と先端を器用に触り、もう片方は濡れ始めた膣穴を優しく愛撫する。

 元よりその気だったので、下着は既に穿いていない。

 スカートの下より曝け出されたそれを指先で確認した少年は、嬉しそうに彼女の『答え』を受け入れた。

 

 身体を離すことが惜しまれた。

 だから密着したそのままに、衣服が皺だらけになることも構わずに交わりは始まった。

 乳房は互いの身体で歪に拉げ、胸板で擦れる先端が一層グレイフィアの情欲を掻き立てていた。

 それが元から少年のモノであったかのように、彼自身の鋳型になったグレイフィアの膣穴は悦びの声を上げながらきゅうきゅうと締め付ける。

 しかしそれとは裏腹に、大きく拡がった膣内(アナ)は子宮口までぱっくりと口を開け、少年の乱暴な精子をいつでも受け入れられるように欲しがり続けて居る。

 その自覚をしながらも、グレイフィアの心には未だサーゼクスがいた。

 それが逆に欲望を燃え上がらせていた。

 もしもすべての準備が行き渡らず、この場に誰かが押し入って来でもしたら全てが終わりだ。

 その在り得そうな事実を予想しただけで、彼女の身体は氷柱を差し込まれたかのように震え上がる。

 そしてその身体を、今温めているのが他でもない少年なのだ。

 部屋中へと響き渡る粘膜の交わる粘ついた水音と、肉穴を穿られる泥に沈められたかのような感触。

 嬌声となって漏れる自分の声が、声にも悲鳴にもならずに嬉しそうに男の衝動を求め続ける。

 その全てが、グレイフィアをただの雌だと証明していた。

 

 

 

 ▽  ▽  ▽

 

 

 

 『黒き者』『血を貪る者』『破壊の女神』。

 一説によればインド神話勢最強の主神【シヴァ】の奥方という噂まである隠れた最強十指に通じる女傑を、「きてー、なんか強いのきてー」という詠唱とも思えそうにない科白で呼び出したことで、彼に対する『どうにかなりそう』感はもはや微塵もいいところでした。

 彼曰く、「ほんとは戦争遣らかそうって奴らに自分から白兵戦とかわざわざ答えてやる意味なんてないけど、テロリストでなくとも人間てのは要するに自分が納得したい生き物なんだよな。だから、ぐうの音も言わせない実力差ってやつをきちんと露にすることって大事なんだと思う」とのこと。

 例えば冥界を襲うのなら、ミサイルか何かのような遠距離から攻撃できる機会があって、それに聖なる力を載せて予告も無しに一度に数百発も放たれていたら国防という点では完全に負けていたそうです。

 サーゼクスは確かに無慈悲且つ最強の性能を誇りますが、「個人の才能では数の力には到底及ばない、出来る範囲なんて限られている」とも。

 ……それをひっくり返す手札を、サラリと出す辺り烏丸くんは相変わらず業腹ですが。

 

 世界最強の十指である、ウロボロスドラゴンを筆頭とした超越者すらも超えた規格外。

 その一角でも更に上位に数えられるインド神話の主神であるシヴァの奥方とされるカーリーは、一説によればシヴァより強いとされます。

 なんでも神話によれば、悪鬼を討伐するのに夢中で、旦那を踏みつけてからようやく我を取り戻した、とか。

 十指最強を下におけるとか、どんな鬼嫁ですか。

 実際、数で推してきたカオスブリゲードは、突出しすぎた『個の力』で一掃されました。

 その手引きをした死神諸共……。

 何故この場に彼女がいたのか、と静観していた面々に問い詰められましたが、インド神話からも招待していた、で押し切りました。

 ええ、烏丸くんが召喚したなどと言っても信じないでしょうから。

 

 

 

 ▽  ▽  ▽

 

 

 

 銀髪のメイドが四つん這いになり、獣のように後ろから責められている。

 スカートを捲り上げられた彼女の白く熟れた尻肉は突かれるたびに瑞々しく震えて、下着は穿いていないがガーターが残ることで一層の淫靡さを顕わとしている。

 両手で腰を掴まれて、パンパンと部屋中へ響くくらいの肌を打つ打音を響かせて、少年の肉棒は彼女の膣穴を執拗に擦り立てた。

 これを知る読者なら見知っているであろうが、グレイフィアと云えばもうすっかりお馴染み、背後(バック)からの鬼突きである。

 それまでの経緯(プレイ)で力も入らないのか、四つん這いというよりは肘立ちが出来ずに尻を突き上げる姿勢にしかなっておらず、ベッドに顔を埋めた彼女からはくぐもった嬌声くらいしか聴こえやしなかった。

 

 確認していないが、先ほどまでの正常位で完全に孕まされたとしか思えないほどの大量の精液を注がれているというのに、少年のそれはより押し込もうというくらいの激しい突き。

 子宮がパンパンに膨らむくらい胎へと満たされたことを感覚で知れたなら、グレイフィアは今頃これまでと同じように幾度となく失神を繰り返していたことだろう。

 だが今回のこれは感度という点においては酷く稚拙で、その代わりに『命中率』はかなり抑えが利かなくなっていたりする。

 しかし、それまでの開発ですっかり少年専用に身体が馴染んでしまっていたグレイフィアにとっては、それも今更感じないわけがないほどの快楽を与えるモノ。

 今もなお胎に形が浮き彫りになるほどの抜き差しを繰り返されている銀髪メイドは、思考も禄に働かないほどの享楽を、まるで底なし沼に蕩けてしまっているかのほどまでに感じていた。

 ――と、そんな折である。

 

「ふっふっふっ、っん? なんか鳴ってね?」

 

 先に気づいたのは少年で、云われてようやく、部屋に連絡用のベルが着信を告げていることに遅れて気づく。

 しかし、それを先に取ったのは、

 

「――はぁいもしもしぃ? あら、サーゼクス。どうしたの?」

 

 冥界の最高権力者を呼び捨てに出来る者などそうはいない。

 魔王の母であるヴェネラナが、音声オンリーのそれを手にして連絡を受けていた。

 

『何故あなたがそこにいるんですか……? グレイフィアはいますか。今のことで話しておくべきことがあるはずなので』

 

 窓の外では剣を振るったカーリーの一撃で、逃げ惑う禍の団(カオス・ブリゲード)の一角が上下に両断されていた。

 その余波で反対側の貴賓席が両断され、小学生くらいの男の子が痛い痛いと泣き叫ぶ声が声高に響く。

 何故こんな場所に子供が、と少年も疑問に思うも、観客としていたのなら相応に何かしらの立場とかがあるのだろうから無視しても平気か、とグレイフィアの身体を堪能する方へと意識を戻す。

 音が無線の向こうに届かない程度の配慮を持ちつつ、膣内を舐るように擦っていた。

 

「~~っ!? っ、っ~~っ!!」

 

 グレイフィアもまた、自分の嬌声が届きでもしたら全てが終わることを思い出し、蛸みたいな顔になって感じながらも必死で顔をベッドへ埋める。

 アヘ顔ならぬ、んほぉ顔という奴だった。

 

「サーゼクス、あなた魔王でしょ? 奥さんに聞かないと事を済ませられないわけでもないんでしょ?」

『それはそうですが、呼んだ覚えのないインド神話の方が何故この場に居るのか、くらいは相談した方がいいと思うのですよ……。一応、貴賓の一角という風には帝釈天様やオーディン様には伝えておりますが……』

「それならそれでいいのではないの? グレイフィアさんは今少々都合が悪そうなのだけど……」

『? そういえば、彼女は今なにを? 確か『彼』を他の神話から隠すために動いていると聞いたはずですが、それほどまでに手が離せないものですか?』

 

 息子の振る舞い方に苦言に似た言い方になってしまうヴェネラナに、疑問の声を重ねるサーゼクス。

 彼女もまた嘘を吐くことのリスクを自覚しているのだろう。

 流石に家族である相手には、言い難いことを重ねることの不自然さが際立つであろうと漠然と思っている彼女は、サーゼクス相手には誤魔化しは通用しないのだろうと嘘を吐くことを極力避けようとしていた。

 そんな絶体絶命とも云えるタイミングで、グレイフィアは受話器を鮮やかに手に取った。

 

「――はい、私です」

『ああ、グレイフィア。すまないね、急に呼び出したりして』

「いえ、こちらもようやくひと段落ついたところです」

 

 嘘である。

 会話を聞いて対応しなければどちらにしろ終わることを把握し対応したものの、彼女の膣穴には少年の肉棒が未だに挟まったままだ。

 体位はいつの間にか正常位に組み換え直し、そんな様子を見下ろす少年の顔にはそれでも平然を装うグレイフィアへ何某かの愉悦に似た感情が浮かんでいた。

 

「それで、何が聞きたいのですか?」

『とりあえずは、あの『彼女』だね。やっぱり『彼』の伝手なのかい?』

「はい、その点につきましては確認も取れています。そちらで無理のないように対応するのが無難かと」

 

 会話の合間にグレイフィアの唇が舐られる。

 片手は乳房を揉みしだき、もう片方で太腿を大きく開脚させられて胎を執拗に突き上げられ続ける。

 そのまま堕ちて逝こうとする感情を、彼女は必至で抑えつけていた。

 

『やはりそれが無難か……。それと、『彼』はどうしてる? 本当は私が相手をしたかったのだけど、そんな暇もなくてね』

「~~っぁ、……大丈夫です。奥さまもご一緒に対応していただいていますので、こちらに不備はありません。私たちの対応で充分に満足いただけているご様子ですし、魔王様は熟すべき仕事を優先してください」

 

 真実は、それと気づかれないように采配を施したグレイフィアの思惑通りでしかない。

 絶妙なタイミングで受け答えへと解放されている彼女は、何事もなかったようにサーゼクスの言葉に応える。

 応えた後は直ぐに、自分から口元を彼の傍へと傾けていた。

 

『……グレイフィア、いつもすまないね』

「っん、なんですか? 突然」

『いや、キミには今日だけじゃなく、色々な役目を割り振ってしまっていると思ってね。冥界が各神話に交流を持っても大丈夫だと大々的に見せるには、今日のレーティングゲームさえ乗り切ればきっと道は開けるはずだ。その後は少しばかり休みを取って、温泉にでも行かないか? 久しぶりに、ミリキャスも預かってもらってふたりきりでね』

 

 彼なりに、ずっと仕事詰めであったことがそれなりのストレスだったのだろう。

 そして、本来ならば魔王の妻などという立場はもっと気楽で、自分の眷属や冥界の政治などに口出しさせずに子供や家族のことにだけ腐心させたい、そんな希望をサーゼクスは抱いていたに違いない。

 それは妻を持つ男性ならば誰でも思い描くことで、そうすることが女性の気持ちを満たせることだと、ささやかな願望を抱いて内助の功を押し付ける。

 それもまた間違いではないのであろうが、女性とは人とは、いつの世ももっと満たされたいと果ての無い欲望に明け暮れる生き物である。

 現に、サーゼクスが男子の願望を晒している通話の向こうでは、グレイフィアは少年の執拗な子宮口への責めにだらしなく恍惚に塗れた表情を晒していた。

 

「そ、そうでひゅ()ね、わたしも、い()たいでしゅ()……」

『……グレイフィア? 呂律が回っていないようだけど、大丈夫かい? やっぱり仕事を頑張り過ぎなんじゃないかな……』

 

 絶頂へ逝きそうで逝けないタイミングでの寸止めに、図らずも本音が漏れていた。

 逸る感情をなんとか抑え、改めて声に張りを出させる。

 

「……すみません、あなたとの休暇に気持ちが先走ってしまったみたいで……。そうですね、今回の全てを乗り切れたら、一度ゆっくりとしましょう。それくらいの余暇は持てるはずですから」

『そっそうかい? よし、それじゃあ私もまた頑張るよ。ちょうど、天界側の貴賓席でも何かあったみたいだしね』

「ご武運を」

 

 そうして通信は途切れて、それを確認したグレイフィアは通信機を即座に床下へと放り出していた。

 

「……お待たせして申し訳ございません。どうぞ、存分に孕ませてください」

 

 蕩ける様な恍惚とした微笑を浮かべて、自らの両脚を膣穴を改めて拡げて見せる仕草で少年を待つ。

 尤も、それはほとんどポーズだけで、彼女の秘所には既に彼の逸物が深々と嵌り込んでいたのだが。

 

「その後はまた(わたくし)にお相手してくれる? ふたりのエッチを見てたらまた濡れてきちゃったの」

 

 グレイフィアに覆い被さる少年に、ヴェネラナが圧し掛かるようにして耳元で囁く。

 彼の肌にヴェネラナの柔肌がぴたりと貼りつき、図らずも女体でサンドイッチを作るような構図になったことを自然と悟る。

 窓の外では未だ暴虐が繰り広げられていることとは対照的に、この部屋には酷く緩慢で幸福な空間が作られつつあるのであった。

 

 

 

 ▽  ▽  ▽

 

 

 

 冥府側の被害はレーティングゲームの会場と、本日開催されるはずだったバアル対シトリーの試合のみ。

 余波で多少の怪我を負った天界の使者がいた様子ですが、フェニックスの涙を施すことでことは済みました。

 これが色々と交渉事に長けていそうな海千山千の猛者であれば言質だけでこちらの領分を侵してきそうな話ですが、その場に居合わせたのがそれほどでもない子供であったことも幸いしたのでしょう。

 彼は泣き叫ぶだけ泣いた後、すっかり恐ろしくなったのか大した要求もせずに天界へと帰って行きました。

 御付きの方々が烏丸くんを見て若干引いていたようにも思えましたが、烏丸くんの方はまったく身に覚えがないらしいので恐らく問題はありません。

 

 彼の存在を他の神話に極力隠すようにしようという意見を述べたのは確かに私ですが、その実はお察しの通り彼に関する女性関係を誰にも悟らせないようにするためです。

 そのために一緒に呼んだリアスらとは席も離しましたが、少し目を離した隙にまさかテロリストへ立ち向かってゆくとは思いもしませんでした。

 それは差乍ら中学生が授業中に妄想するかの如く、自身を強靭な何かと錯覚していたのか、リアスの兵士(ポーン)である兵藤君が真っ先に突撃を噛まして女神の余波で吹っ飛ばされていました。

 命に別状は無さそうですが、何故あんな猪突猛進を誰も止められなかったのかが不可解です。

 そうしてそれの回収にと全壊した会場へ赴いた際、『それ』は現れたのです――。

 

 

 

 




次回へ続く






まあアレです
なんか書いてたらこんな風になったので、いっそのこと読者様が感情移入しやすいようにと烏丸くんの気配を極力地の文から抜いときました
書き方と使用感と整合性と、まあ色々とこれで通用するかどうかが気にはなります
なので、えー…よろしくお願いしまぁぁぁす!(サマーウォーズ感


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「俺悪くないよね?って訊いたら大体のひとに「主犯です」って言われる。解せない」

おさらい的な58話
遅れましてー


 

 

 我がことながら、けっこうこの世界に馴染んできたと思うのだが。

 今回も先輩方が使っている召喚魔法、それを利用して『場』に使える概念存在を呼び出すっていう、いわゆるソシャゲガチャみたいなランダム性能を付け加えたのだけど。

 ……俺は幼女に呪われてるのか?

 ランダムだから高火力且つ高配率の神域采配さえ備えればどんな奴でも充分かと思っていたのに、出てきた神は浅黒い肌で腕四本の小学校高学年くらいの少女系。

 幼女と言うまででもないけど、此処まで召喚関連で年下系ばかりが出現率高いと俺に何かしらの問題が憑いていることを懸念してしまう。

 あ、アーシアは違ったか、忘れそうになるけどあの娘年上だったわ。

 

 俺が今回のことに対処した理由としては、まあ基本的に俺個人が冥界とは根本的に足並みをそろえていないから、というモノが第一に挙げられる。

 ギャスパー関連でヴァレリーに冥界に被害が出ないように、と頼まれたことも手を貸した理由の一つだが、直接出張ることの冥界に関わる他神話との連携の拙さを素人なりに考慮してみると、やはり俺が直に顔出しすることには俺の周囲への影響が懸念され過ぎるわけだから。

 そんなわけで間接的に、理不尽なちゃぶ台返しが出来るキャラを呼び出し、冥界への責任追及を回避するためにも彼らには『明白な被害者』でいてもらい、冥界が貴賓として招致した他勢力への目眩ましも兼ねて、召喚した破壊神系少女には敵勢力と一緒に施設をある程度ひっくり返していただいた。

 なあに、それで働いた代償としては美人妻をふたり分堪能させてもらったのだから、対価としてはむしろ貰い過ぎな帰来まである。

 何やら色々と画策をしていたっぽい仏教とか天界とか、あと今回手引きをした冥府とかの冥界の粗捜しをしていそうな諸々の嫌厭勢力らが口出ししそうな雰囲気だったが、それもこれも今回の手筈で大体が黙らざるを得なくなったんじゃないかな、と思われるね。

 ……まあ、少々見通しは良くなり過ぎたかもしれないけどねー……。

 

 

「見通しというか、風通しが頗る良くなりましたね。物理的に」

 

「何か細々と忠告をしてきたと思ったら、しっかりと『向こう(禍の団)』にも手を伸ばしていたのね、烏丸くんは……」

 

 

 観客として招致されていた塔城やグレモリー先輩が、更地というか荒野となった元会場を睥睨しつつ遠い目で云う。

 他にも一緒に来ていた面子はいるのだが、木場先輩は何故か病室送りになった兵藤先輩の付き添いで不在で、それ以外の女子やアザゼル先生なんかは世界の終わりみたいな光景で呆然自失中だ。

 いや、あんな適当な召喚でインド系破壊神を呼べるとは、流石の俺でも予想外。

 麻帆良組? 護衛役であるウチの教会女子らと一緒に駒王町で待機中です。

 

 

「いちおう言っときますけど、テロってのは社会状況に対する民衆の不満でもありますからね。熾させない、っていう選択肢は却下します」

 

 

 ガス抜きも兼ねてるから、被害さえ考慮しなけりゃ自己破産じゃなくて自己発散程度ならテロの一つや二つやってもらっても気にしない。

 それで痛い目見るのは大体自分なのだし。

 子供は風の子。元気が一番!

 

 

「いや、その理屈はおかしい」

 

 

 正気に還ったアザゼル先生がこちらの言い分にツッコミを入れた。

 ふむ?

 

 

「とはいいましても、人間感情の生き物なのは明白ですし、己の感情の発露を妨げるモノを退かせようというのもまた感情ですし、理性や理知といった言葉を使ったとしても、結局は個人の好き嫌いが根本にありますし、誰彼構わず殴りたいと宣うモノを抑え込んだとしても、他の何処かで発散することまで抑えられるわけでもないですし」

 

「かといってテロリスト擁護は違うだろ……」

 

「もちろん、殴りかかる奴が殴られないわけじゃないですからねえ、擁護してるわけじゃないっすよ。そんな安穏とした考えで以て自分がやりたがる以上はやり返されることは当然でしょうし、その程度の想像力も養えていないのなら自爆で死なせた方が楽なのでは?」

 

「それで被害に充てられる奴らにはいい迷惑だろうが……」

 

「人間いつかは死にます。大体嘆いてるのは生き遺された遺族なんかですから、死んだ本人がどう思ってるのかを知れない以上、言葉を繋がせられるのは俺たち生きてる奴の仕事です」

 

 

 そしてそういう『言葉』は大概禄でもないのだから、あとは野となれ山となれ。

 もうそれでいいじゃない。

 やられてむかついたからやり返す、でさ。

 

 

「あと先生には口出しされたくはないんすけど」

 

「あー、まあスマンって。俺だって堕天使の一部とはいえ背負ってるもんでよ。こんな冥界の外側が敵だらけな状況で、仲間として立つってことの危うさを、他の奴らにまで背負わせるわけにはいかなかったんだよ」

 

「仕事してるんならイイですけどね、文句ってわけじゃないですし。実務担当は大変ですよね」

 

「俺も担がれるだけの神輿になりたかったよ……。なりたくてなれたとしても、性に合わないんだろうけどな」

 

 

 【働く魔王】系の堕天使総督が乾いた笑いでぬかしおる。

 

 そしてそんな俺たちの会話でいち早く気付いたのか、朱乃さんが詰め寄ってきた。

 

 

「ちょ、ちょっとまってください、堕天使は今回の一件、起こることを予測してたのですか?」

 

 

 その言葉で、他の子たちも先生へと目を向ける。

 驚きを抱いたものばかりで、それだけこの人がそれなりにオカ研では顧問としての支持を得ていたのだろうということが予測されてなんだかほっこりとする俺。

 まあ、一応はカリスマ提督らしいから納得の人心掌握だけど。

 

 

「というか、スメラギ先輩が白龍皇って奴らしいっすけど。知らなかったんすか?」

 

「「「「「「「は!?」」」」」」」

「ちょ、おま、ばらすなよ!?」

 

 

 スメラギ()ハル(白流)というあからさまな当て字からして怪しいとも思わなかったのだろうか。

 顔見知りであるグレモリー眷属女子一同が、異口同音に驚愕の声を上げた。

 あ、同じクラスの兵藤先輩だけ除け者だ。誰か後で教えておいてください。

 

 

「というか、秘密にしてたんすか」

 

「スパイなんだから当たり前だろーが」

 

「今回のことで手綱を冥府サイドから握られている面子は軒並み捕縛済み(デッド&アライブ(生死問わずに))ですし、残っているのは誘導可能そうな零細勢力ですし、そもそも横の連携が取れてい無さそうな組織でしたし、というか改めて見たら派閥多すぎだなカオブリ……今のうちに暴露しておいた方がダメージは少ないんじゃないっすか?」

 

「……考えてみりゃそうなるか?」

 

 

 何故か発揮されたカテレアの無駄カリスマが生き残った悪魔らへ行き届いているらしい。

 この分なら、行方不明中だと噂のリゼヴィムとやらが戻ってくる前に組織そのものを切り崩すのも時間の問題かと思われる。

 あ、そういえば。

 

 

「塔城、お前のおねーさんに関わる冥界側の指名手配は取り下げられたらしいぞ。グレイフィアさんが言ってた」

 

「え、あ、そうですか」

 

「なんかあっさりしてんな……」

 

「……今そういえば指名手配されていたなー、と思い出したところです……最近ちょくちょく顔見せに来ていましたし」

 

 

 ……ああ、そういえば仙術キャットにはお世話になったな、忌々しい。

 無駄な敗北の記憶を噛み締めつつ、やや呆れ顔のグレモリー先輩が口を出す。

 

 

「グレイフィアがそんな簡単に取り下げるとは思えないのだけど……」

 

「まあ、俺のバイト代みたいなものっすね。そっちの提督(ていとくぅー↑)も把握してることですし、残すはおねーさんを付け狙っていたっていう冥界側で口うるさい被害者側の遺族ですけど、そっちも問題の証拠が出張ってきたらしいのであとは首を落とすだけだとか」

 

「ああ、それはグレイフィアらしいわね」

 

 

 ナニソレ逆に怖い。

 一方で、お前は何のバイトをしてたのだ、という視線が波打つようにジト目で勘のよろしいアーシア辺りから向けられている。

 冥界の将来を担う種付けですけど何か?(白目。

 

 

「ところで、兵藤先輩はいったい何故被害者に」

 

 

 いい加減気になっていたので質問してみる。

 他の女子らがいっこうに語ろうとしないのでアザゼル先生へ聞いてみた。

 教えてー↓提督ゥー↑。

 

 

「お前の疑問の投げかけ方に何故だかイラッとさせられるな。呼び方とか」

 

 

 空耳です。

 

 

「まあいいや。イッセーはなぁ、うん、ほら、これまで大した活躍も出来てないだろ?」

 

「活躍って、なんかライトノベルみたいな意味合いで言葉選びますね」

 

「メタなことを言うのはよせ。それでだな、将来的に上級悪魔になってハーレムを作る、っていうのがアイツの夢なんだそうだわ」

 

「はぁ」

 

 

 思わずそらくん生返事。

 ハーレムねぇ。

 男の夢かも知れんけど、実際出来上がると、逃げ場なんてねぇけどな。

 

 

「悪魔として伸し上がるには、今のパッとしない評価じゃなんともならない。そんなわけで、今回の敵を何人か倒そうとして手柄を求めた結果、カーリーの余波で吹っ飛ばされた。ちょっとした脳震盪で済んだのは、神器で倍加を施していたお陰だろうな」

 

「はぁ。なんか申し訳ないことしたっすかね」

 

「そこは人の話を聞く暇もなく突貫してったアイツの自業自得だから気にすんな。流石にカーリー召喚はどうかと思ったけどよ」

 

 

 ボクの隣に暗黒破壊神がいます、ってか。

 あんなにヒャッハーするとは思いもよらなんだ。

 

 

「後の被害は?」

 

「一応味方として天界側に瓦礫で生き埋めになった子供が一人。まあ、子供と云っても割かし偉い奴だから気にすんな。自己責任を取って然るべき立場の奴、って意味だから」

 

「じゃあ安心ですね」

 

 

 後で顔出しはしておこう。

 確かミカエルさんとかには俺の存在バレてるし。

 他の神話は知らんけど。

 

 

「敵側は、悪魔が反現政府派と軍属主義、旧魔王派が見当たらないが、そっちは数も足りてないんだろ。特攻し掛けて来て大体が人間爆弾みたいに炸裂済みだ。その後で英雄派、それもカーリーの剣舞でほぼ塵だ。何人か虫の息だった奴を捕縛してたから、後で回復させて尋問にでも掛けるんじゃねぇかな。で、魔法使いや魔女とかも軒並みミンチだが、……ああ、そういやお前は異世界出身だから感傷も無いか」

 

 

 あれ、なんか気に掛けられた素振りがあった気がするけどちょいと失礼な理由で呆れ直られた気がする。

 アザゼル先生の中の俺に対する配慮という奴が上昇下降を繰り返し過ぎてシーソーゲームより敏速。

 

 

「ってちょい待って下さい。魔女がミンチ?」

 

「おう。そりゃあ破壊神相手ならそうなるよ。魔女っつったって魔法を使える女ってだけだもん、人間じゃひとたまりもねぇ」

 

 

 お、おう、そうか、普通はそうなのか。

 俺の世界ではアレだったから、てっきりこっちでも中々アレな奴らかと。

 色々と手段は考えていたのだけど、用意した初手だけで済んでホッとしていいやら残念でならないのやら。

 ……とりあえず、出番の無かった補填術式の幾つかは解消しとこう。

 

 

「……なんだろうな、いま世界が救われたかのような気分になった」

 

「どういう錯覚ですか」

 

「うん、錯覚だろうけどな、錯覚……だよな?」

 

 

 何か歯切れの悪いアザゼル先生に思わずジト目を向けてしまう。

 何を言ってるんだこのひとは。

 

 

「ともあれ、今回の一件で明確に糸を引いていた冥府側への補償は免れないだろうしな、組織そのものの切り崩しも時間の問題だ。トップまであと一息ってところだろうから、やり方はさておき結果は上々だ。よくやった烏丸」

 

 

 と、賞賛をもらうものの、え? あそこのトップってリゼヴィムなんたらじゃなかったの?

 ルシファーとか言ってたからてっきりアイツが牽引してるのかと思っていたのだけど、考えてみれば本当に組織引っ張れるやつがあんな簡単に死ぬわけはないだろうし。

 今生きてるのもスペアみたいだし、第二第三のリゼヴィムが出張ってくるよりももっと上っぽい何かが裏に居ると推測も出来るのかもしれない。

 しかし、改めて思う。

 

 

「アレだけ纏まりのない集団を組織として引き連れてる奴っているんですか?」

 

 

 少々気になったので、多分俺の知らない情報も持っていそうな先生に質問をしてみることにした。

 実際、あいつらの連携の拙さが今回の敗因かと思われるし。派閥多いよーカオブリー。

 教えてくださいWikiゼル先生!

 

 

「そこまでは流石のお前でも知り得なかったみたいだな。まあ、俺もヴァーリの伝手でようやく把握できたところだ。トップはいる、それも、この世界じゃ比肩し得る者が居ないくらいの【最強種】がな」

 

 

 おお、なんか範馬の血筋とかそういう感じの科白廻しにwkwkしてくる……!

 それは――、と問いかけたところで、中空より威圧のようなモノを感じ、中二のように空を見上げた。

 

 

「……あれは」

 

「は、戦場の空気に誘き寄せられて出張ってきたか。次元の狭間を泳ぐ龍――【真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)・グレートレッド】!!」

 

 

 何度か見たことある次元の狭間を泳いでいたでかいトカゲ!

 別段何かを邪魔することも無くて見逃してたけど、え、あれ何か関係してるの?

 矢荷成荘の奥地を探索するとたまに見かける程度の原生生物かと思っていたのだが……。

 

 

「――グレートレッド、久しい」

 

 

 見上げるばかりであった面々が、その声に全員振り返る。

 オーフィスが居た。

 以前に『それはどうかと』とツッコミを入れた痴女っぽい隠す布地の少ないゴスロリではなく、普段着であるピンクのジャージで何やら意味深に佇んでいる。

 お前、コンビニに行くみたいな恰好で何してんの?

 

 

「……っ! ヴァーリから聞いてもしやと思っていたが、やっぱりお前が関わっていやがったな――ていうか、なんだその恰好はやる気ないな!?」

 

 

 そのままの空気で一緒に振り返ったアザゼル先生でもツッコミを入れざるを得なかった。

 そんな先生には答えることなく、オーフィス(ジャージ幼女)は片手を上げる。

 

 

「小猫おひさー」

 

「おひさですおーちゃん。来てましたか」

 

「うん。見学」

 

 

「ゆッッッッッる!?」

 

 

 もうちょっと空気読めよシリアスな場面だろォ!?と先生は、幼女ふたりに続けて叫んでいた。

 多分、シリアスなのアザゼル先生だけだと思いますけど……。

 幼女ふたりの遣り取りに入れてた力が変な方向へ突き抜けていったのだろう、先生のツッコミは正直いまいちだと思う。

 で、オーフィスがなんかしたんすかね?

 

 

 

  ▽  ▽  ▽

 

 

 

「なッッッんで此処でインドが出てくる……ッ!? 悪魔(こいつら)にアレらを牽引するだけの交渉力はねえだろ!?」

 

 

 冥界の施設がどう滅ぼされようと個人としては問題はないが、そのために出張ってきた勢力がアレではおちおち黙ってもいられない。

 東方大陸間神話でも1・2を争うほどの破壊の女神の暴虐の限りで、恐らくは当初予定していたテロリズムよりもずっと酷い惨状となったゲーム会場を前にして、帝釈天はしかし己の目を未だに信じ切れずにいた。

 

 周囲に人気は無い。

 わざわざ人のいない場所を探して、そうしての絶叫。

 そうして、叫ばずにはいられないほどに、彼は焦燥に駆られていた。

 

 

「しかもなんで生き残ってる……! 英雄を目指していたんだろう、死ねよ! 潔く戦場で死ねればそれで本望なのが英雄だろう!? お前らが捕まえられたら、俺にまで捜索の手が及ぶだろうが!」

 

 

 幾人かの捕虜(生き残り)が連行された、との報告も、貴賓であった彼の元には届けられた。

 それはサーゼクスの少なくない被害を齎された彼らに対して隠すところはない、という自分たちの健全さのアピールでしかないのだが、裏で繋がっていた冥府に帝釈天にとっては間違いのない『致命傷』。

 しかも英雄派の何人かには悪魔に明確なダメージを与える聖なる武器を所持している者も含まれている以上、初めより殺傷を目的とした性能を自由にしていた事実はアザゼルのような『潜入目的』を理由として霞ませる。

 

 事が露見したとしても、相手が冥界程度なら舌先三寸・矛先二尺で事実を反らし脅しをかけて済んでいたことだろう。

 しかし、十指の上位を占める実力者が三柱も居座るヒンドゥの神々が、『もしも』その矛先をこちらへ向けてきたとしたらそれはまた別だ。

 帝釈天は元はインドラと呼ばれる雷神で、出身はそちらにこそあるが今は中華系神話を束ねる実力者。

 口を出される謂われはないが、それでも全神話に喧嘩を売ったテロリストの片棒を担いでいたとなっては、みすみす見逃してくれる保証は何処にも無かった。

 

 

「……っ! くそ、くそぉ! ちくしょうっ! 負けてんじゃねえよ! 死ねよ! みんな死んじまえッ!!」

 

 

 己で己を鼓舞する言葉すら見つからず、椅子を蹴飛ばし悪態を晒す。

 完全に詰んでいることを自覚した帝釈天(実力者)が、それでもどうにもならない事実に直面した瞬間でもあった。

 

 

「死なねえぞ、俺はまだ死ねねえしやられねぇ、なんとしても逃げきってやる……っ!」

 

 

 幸いにも、帝釈天の居住として日本にも居場所(神社)はある。

 もしもインドが攻めてきたとしても、かつての己がそうであったように基本大雑把な範囲攻撃を主とする彼らには明確な暗殺のような真似は出来はしまい。

 そう判断しての、遮蔽物が大量にある日本に紛れて隠れようという、実力者の割に小物臭い選択を彼は図る。

 

 尤も、本当のところはインド神話なんて彼らの事情に一切頓着していない、帝釈天の深読みで選択()られた喜劇でしかなかったのであるが(笑。

 

 

 

 





~ガチャ
 ☆9SR大当たりですね


~気づけば【提督】になっている堕天使先生。はっやーい!
 地獄先生「総督だよ」(アンジ●ッシュ感)


~顔見せ(意味深
 天界勢「アイエエエエエ!カラスマ!カラスマナンデ!?」


~逃げ場がない
 流石烏丸、実感籠ってるゥー!


~世界が救われた
 対魔女用として咄嗟に顕現できる【帝釈廻天とりあえず1000基】、目眩ましに用意した1億ガロンの大水量を召喚する術式【大陸呑む大瀑布(ノア)】、まだ足りないので可視光線で焼き払う天頂偏光を集束する指向性超熱集約【天頂煌めく光の奔流(サテライト・レイ)】、とどめ用に大陸全土を自己崩壊に追い込む平面型電子レンジ【尊厳足る大地の鳴動(ホド・クウェイク)】、もしもの時の為に自殺用メガンテ系術式【超尺玉大火輪烏丸くんスペシャル】(尚、被害は周囲半径一万キロに及ぶ核熱と呪怨の嵐となります)
 …準備ヨスギィ!


~ジャージ
 おーたん「グレートレッド見れる言うから出てきた」
 ぐれたん「俺は庭先から見上げる流星群か何かっすか」


~今回のオチ
 帝釈天様の特に意味のない逃亡生活が今始まる…!



おかしい、続きのはずなのに内容が無い


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☆「ドッキドキな駒王学園体育祭!が開催するってよ(白目」

59話です。大してえっちくはないですがまとめ的なお話です


 

 

 ――全校男子の目に、夢のような光景が広がっていた。

 

 たぱんたぱんと激しく上下に揺れるのは、純白の体操着に包まれた規格外の双丘。

 走るほどに暴れるリアスと朱乃の今にも爆発しそうな膨らみは、他にも走者がいる『競走中である』という事実を一切無視し、生唾呑み込む男子の視線をひときわ釘付けにして競技は進む。

 ついでに言うと走るふたりの体操着は汗で貼りつき、その下の彼女たちの髪色に備わったような高校生とは思い難いアダルトな下着がうっすらと透けて見え、会場の興奮度は鰻登りになる一方でもあった。

 実のところ、悪魔の膂力や体力はかなりのモノなので、体育祭で駆けたからと言って疲れるような代謝を備えてはいない。

 それでもふたりがしっとりと汗ばんでいる理由には、その間に挟まれている男子が原因でもあった。

 

 

「ほら、もっとくっつかないと走れないでしょ? もっと腰に手を回して?」

 

 

 リアスが溶けるような声音で、少年に寄りかかり甘えるように微笑む。

 拍子で押し付けられた胸部は、走行中ということも相俟って揺れながら彼の胸に擦れてたわんでいた。

 体操服越しに届く柔らかな感触もまた暴力的だが、同じように体操服を身に纏うことで無防備となった晒された肌が無造作に触れ合う太腿も充分に危険だ。

 リアスと朱乃の生脚が、露出した太腿が、ハーフパンツ姿の少年の脚へ今にも絡まんばかりに密着していた。

 尚、この学園の女子用体操着は【ブルマ】がデフォルトになっている。

 一時期廃止されたのだが、理事長の娘に当たるとある教師が強権を発動させて復活させたという話なのだからなんとも業の深い所業であろうか。

 

 と、そこで反対側の脚が突然に制止する。

 咄嗟のことでバランスを崩し、並んでいた三人は繋がれた足首を連動されて、そのままに縺れこんだ。

 

 

「きゃっ、あーん、ころんじゃいましたわぁ。烏丸くん、怪我はありません?」

 

 

 少年の、ああもうめんどくせ、烏丸の上へと豊満な乳房を押し付けるように圧し掛かった朱乃が、それすらも愉しむ声音で問いかける。棒読みで。

 そして、その問いに答えることは彼にはできなかった。

 

 

「痛た……、朱乃、気をつけなくちゃダメじゃないの。烏丸くん、平気?」

 

 

 ()()()に縺れ込んだリアスの天然エアバッグの谷間に、少年の顔はすっぽりと収まっていたために。

 まさに、ラヴコメ……っ!

 計略さえ上手くいけば俺があの場所に挟まっていたのにぃぃぃ!と、その光景を目の当たりにした本家ラヴコメ主人公(笑)が血涙を流していたが、知ったことではない。

 某リトさんみたいなラッキースケベ(故意っぽい)に晒されて、男子の嫉妬心もまたボルテージを上げつつある三人四脚であった。

 

 

 

  ▽  ▽  ▽

 

 

 

「まったく、もうちょっと上手いやり方もあったでしょうに。お陰で俺たち最下位ですよ」

「あっあっあっ、ごっ、ごめんなさいっそらくんっ、でもっ、あなたとっつながっていられるのがっ、たのしくってぇっ」

「それならこっちのほうが愉しいでしょ? ほら、あんまり声出したら見つかっちゃいますよっ?」

「ああんっ! それならもっとやさしくしてぇっ!」

 

 

 競技の後、転んだ先輩を送るという理由で以て保健室まで来たわけだけど、別に誰が怪我したというわけでもないので問題はない。

 最近養護教諭として配属されたロスヴァイセ先生は俺たちの事情なんて把握しているし、グレモリー先輩の本音を知らない兵藤先輩は騎馬戦に向かっているとのこと。

 そんなわけで、転んで土だらけになった俺たちは姫島先輩の丸洗い魔法で濡れネズミになった結果、服を乾かす間、水気で冷えた身体を温めるために先ほど以上に密着し重ね合わせていた。

 

 何やら思い出深いとも言い難い保健室のベッドの上で、曝け出されたリアスの膣穴を執拗に責める。

 正常位で揺すられる豊満な乳房は、突き上げられるたびに暴れまわる。

 よく見ているとその質量に伴って円を描くように乳首の位置は周回しており、仰向けになっているために自重で拡がるプリンのような形に潰れそうであった柔肉は男子の欲求をもっともっとと駆り立てていた。

 

 

「そらくぅん、わたくしも、もっとほしいですわぁ……」

 

 

 熱に浮かされた声で、姫島先輩もまた一切の衣服を身に纏わずにしな垂れかかる。

 グレモリー先輩よりも大きなその乳房は、垂れそうにも見えているというのに魅力が損なわれることはない。

 男と交わったことでよりその魅力が熟されたというべきか、その魅せ方を己でも知るように、豊満なそれを先端も隠さないようにと片腕で囲むように持ち上げて見せつけていた。

 

 

「んっんっ、朱乃っ、またおおきくっ、なったんじゃないのっ?」

「まあ、そうかしら? ひょっとしたらデキちゃったせいかもしれませんわね?」

「わたしもっ、そうなのっ、かもっ、さいきんぶらがきつくってぇ、あっんっ」

 

 

 嬉しそうな声を上げながら、まるで世間話でもするかのようにその話題を上げるお二方。

 確率的には在り得るのだが、だからといって俺にどうしろと言われない時点でそれをどうにかする権利は俺には無い。

 男女の事情は両方の意見を備えるべきだと思うわけだからね。

 先日もグレイフィアさんに何か言われるかもと向かったのだが、その結果がアレなのはどうしてなのかとしか言いようがない。

 求められたので応えましたが、今更ながら俺が遺す爪痕が結構深い気がするのです。

 

 

「あー、じゃあ止めますか? 安定していない時期にこんな身体を酷使するのは、」

「だめぇっやめないでぇっ! わたしのあかちゃんのおへやにもっともっとおちんぽちょうだぁいっ!」

 

 

 と、身体を離れさせようと捩った瞬間に抱き着いて、腰もまた脚でもって放さないようにと絡み付く。

 エロ漫画みたいな科白を宣うなあ、なんだこの先輩えっろい。

 

 

「ええそうですわ。あと少ししたら、あなたも帰ってしまわれるのでしょう? それまで少しでもいいからあなたの熱を覚えておきたいの。お願い、そらくん」

 

 

 先ほどのように俺を挟み込み、背中に姫島先輩、下にグレモリー先輩と柔らかなサンドイッチに包まれる。

 そのまま背中側では胸で洗うように擦り付け始めるので、姫島先輩のこりこりっとした先端の感触がまたダイレクトに肌を伝う。

 仕事しようよ大和撫子……、あ、してる結果がこれなのか。

 

 

 

  ▽  ▽  ▽

 

 

 

「くそぉ……っ! 赤組に勝てねぇ……っ!」

 

 

 強面スカーフェイスの伊達先生率いる、これまたごつい外見の面子が揃い踏みな赤組だが、その上巨人と見紛うほどの留学生ジャン安藤の強靭さは騎馬戦で最も猛威を振るう。

 あれ一騎で、というかアイツひとりで他の参加者が蹴散らされてるんですけどォ!?

 この競技選択ミスじゃねーのか!? 反則だろアレ!?

 

 

「勝ツ……ッ! コレデ勝ッテ、僕ヲ認メナカッタ春日部センセイニ僕ヲクラスカラ追い出シタコト後悔サセルンダ……ッ!」

 

 

 原動力あの先生かい!

 ほんとろくな事しねぇあのマイペース先生!

 負けてられるか! これで負けたらチーム全員に冬休みの宿題五割り増し、全校舎内のワックス掛け、地元ボランティアへの強制参加などなどの【いばらのムチ】が待っているんだからな!

 優勝賞品の体育祭の跡片付け免除と冬休みの宿題三割減と比べてほんと割に合わないけど、あの教頭なら言ったことは何を以てしても確実に実行する……ッ!

 こ、此処は神器を使ってでも勝つべき場面だ!

 

 

「松田! 元浜! 逃げても追いつかれて蹴散らされる! 正面から行くぞ! 全力で押し出せェッ!!」

「正気かイッセー!? 怪我じゃスマネェぞ!?」

「行ける! 俺を信じろォ!」

 

 

 何の因果か俺たち三人が土台になり、正面の俺が後ろふたりの親友へと檄を飛ばす。

 上に乗っている奴はクラスでも小柄な男子でとりあえずモブ、これが美少女ならやる気も起きるのに、戦場の雰囲気に呑まれ今では怯えているばかりで俺たちへの指示も飛ばせない。

 しかしそれらが功を奏し、タダの神輿であるコイツならいくらでも無茶できるってなものよ……!

 

 

「いや、此処は無茶でも行くべきだ。そしてもし怪我をしても、保健室のロスヴァイセちゃんに優しく看護してもらえるのなら惜しくはない……!」

「っ! なるほどそういうことか! 冴えてるなイッセー!」

 

 

 そういう事じゃないんだけど!?

 あーでもそれもいいかもなぁ、あのグレイフィアさんみたいな銀髪爆乳とかに近づけるのならやる気だって漲ってくるぜ……!

 こっそりと顕現させた赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)でカウントスタートし、突撃する。

 俺たちの戦いは、これからだー……ッ!

 

 

 

  ▽  ▽  ▽

 

 

 

『――あら、イッセー? 騎馬戦は終わったの? え? ええ、ごめんなさいね、私たち見れなかったの。丁度立て込んでて』

 

 

 激闘を終えて、未だ姿が見当たらない部長に電話してみたところ難なく繋がった。

 マジか、俺の活躍見られなかったのか……。

 まさかの勝利を手にしたために、保健室へ向かうことは許可されなかった。

 先生方のロスヴァイセちゃんへのガードが固すぎる。というか、俺たちの評価が悪すぎる気がするんですけどまだ改善されませんかね?

 

 

「立て込んでたって、けっこう時間経ってますよ? ていうか、朱乃さんも其処に居ます? 後ろの方でエロい声聴こえるんすけど……」

『ああ、聴こえちゃってる? ちょっとマッサージをしてもらってるの。ほら、さっきも転んでたの見てたでしょ? 次の競技には間に合わせるから大丈夫よ』

 

 

 そういう問題とは違うと思いますが……。

 電話の後ろの方からは『あっ』『んぅっ』『いやぁん』と朱乃さんのエロい声が鮮明に聴こえてくる。

 やべぇ、変な妄想が先走って俺の体操服がテントをおっ建てちまうぜ。

 ま、まあ部長がいっしょに居てそんなに平然としていられるわけはないし、それも杞憂だろうけどな。

 

 

「え、えーっと、お昼とかどうします? 良ければ一緒に、」

「イッセー! ロスヴァイセちゃんがチアリーダーやるってよ!」

「マジか!?」

 

 

 応援合戦に教師陣も加わっての急きょ参加か!? ……教頭ならやるな! やるなぁあのドS様!

 

 

『それじゃあまたねイッセー、お昼は好きな人と楽しみなさい?』

「って、あ! 部長っ? もしもし? もしもーし!?」

 

 

 くっ、断られた……。

 つーか、このままだと俺、結局いつもの男子三人での食事になるんですけど……。

 花が無い。むさいなぁ……。

 

 この間の冥界への襲撃も良いとこ見せられなかったし、気が付いたら大体のことに決着がついていて禍の団(カオス・ブリゲード)の脅威が去った、と言われても実感がわかない。

 こういうのって、少年漫画ならもっと俺みたいな特殊な運命に呑み込まれた奴が主役張れるんじゃねーの? そんで解決するのも主人公が、みたいなさ。

 悪魔に転生して、何か人生が上手く転がっていくみたいな錯覚してたけど、やっぱり現実は甘くないってことなのかなぁ……。

 まあ、童貞は卒業できたし、それだけは上手くいってるんだろうけど。

 

 とりあえず、チアリーダーの応援合戦にはうちの教会トリオだけじゃなく、隣のクラスの杵月・黒木・佐貫さん、強面クラスの紅一点・赤名さんなどと麗し処がわんさか出る。

 それだけじゃなく、上級生からは当然部長と朱乃さんが、下級生からは小猫ちゃんにレイヴェルまで出るらしい。

 小猫ちゃんのちっぱいは相変わらずだけど、今朝ちらりと見つけた体操着姿のレイヴェルは少し見ない間におっぱいが成長していて、それとも着やせするタイプだったのだろうか、丸く形が見て取れるほどに体操着を押し上げていた。

 脅威(胸囲)の成長が著しい1年生女子の中でも、結構な上位に食い込んでいると見たね!

 そんな美少女たちがチアを務める体育祭なんてそこらでも中々ないだろうからな! たっぷりと目の保養に勤しませてもらおうかなー!

 まったく、駒王学園は最高だぜ!

 

 

 

  ▽  ▽  ▽

 

 

 

「ん、ちゅっ、ぁっ、んむぅっ……」

 

 

 暗い室内にぴちゃぴちゃと、獣が水を啜るような、男女がお互いの口元を舐り合う音が響く。

 音の主は良く知る少女で、抱き上げられた彼女は金糸のような髪を撫でつける少年に応えるように、尻を突き出す姿勢で跨って自らの欲望を満たしていた。

 そんな男女の生々しい情事を、少々離れた場所で組み伏せられた少年は、絶望に苛まれた貌で見上げていた。

 

 

「やめろぉ……! やめてくれよアーシアぁ……! なんで、なんでそんなことをしてるんだよぉ……!」

 

 

 半日前までは意気揚々としていた高校生・兵藤一誠、原作主人公のイッセーそのひとである。

 

 体育祭も終了し、結果発表となったのが一時間前。

 赤・青・黄組の点数は同数で、白黒つけるための沙汰を下す羽目となったのは審判の代表としてなのか沼井校長。

 危機を察知した校長は地震の前触れを捉える鼠のように逃亡を果たし、見つけたチームが優勝と宣言した教頭先生の下知によって捜索は県外にまで及ぶ羽目となった。

 

 そんな学校が実質空となった最中、イッセーはアーシアに呼び出されてひとり体育倉庫へ。

 現在は色々と感情的に不安定な間柄となっているとはいえ、同居している美少女に人気の無い場所へと呼び出されるという状況から鑑みても、年頃の男子として性欲(リビドー)が先走り意気揚々としていたイッセーを待っていたのは、入った途端に何者かに押さえつけられての拘束。

 数時間前まで目の保養にしていたチアリーダーの恰好をしたままの美少女は、高揚としていた少年がいつか妄想した男女の情事を、よりにもよって自分とではなく別の男と行為に及ぶことを見せつけていた。

 

 

「んぷぁ、ごめんなさいイッセーさん。イッセーさんには、この街に来た時とか、私が堕天使に命を奪われたときとかに助けてもらいましたし、本当に感謝しているんです。それは、返しようもない恩ですから、イッセーさんは私にとって、とても掛け替えのないひとなんです」

「あ、アーシア……! じゃあ、すぐに離れて、」

「――でも、私やっぱりそらくんのことが好きなんです」

 

 

 花が綻ぶような、しかし熱に浮かされた淫靡な貌で、アーシアは振り返ることなく烏丸イソラを正面に捉えたまま言葉にする。

 告白したアーシアのその手は烏丸の股間に添えられていて、何よりもそれを欲しているのだ、ということをイッセーへと伝える。

 男女のことなども知らないと思っていた、穢れを知らないと錯覚していた彼女の行為に、イッセーは思わず抵抗しようとする力が抜けそうになることを自覚する。

 それくらい目を見開いて、愕然とした貌を晒していた。

 

 力は抜けても疑問は消えない。

 気力の無い声は張り上げられることもなく、イッセーは己の心の内を吐き出し始める。

 

 

「お、おれのうちへきたときに、おれのことを好きになってくれたんだ、って思ってたのに……」

「間違ってはいませんね。でも、イッセーさんはリアス部長の方が好きでしょう?」

 

 

 身勝手だと自分でも分かる物言いが出たが、それを凌駕する言い分で切り返される。

 それは比べられることではない。

 しかし、それはイッセーがそもそも多くの女性へと目を向けてしまう浮気性な雄の(サガ)を明け透けに晒しているための言動の結果であり、さらには悪魔という種族が『そういうモノ』を造ることを良しと増長させる因果からの帰結である。

 元が聖職者であるアーシアにとって男女はひとつい(1対)であって然るべきモノなので、イッセーの言動はやはり目に余っていたのだろうが。

 今となってはそれも過ぎ去った話なので、アーシアがイッセーへと靡かない理由にはならないが。

 それでも自らが好意を示していなかったという証明になっていることを突きつけられて、イッセーはなおさらに言葉を失った。

 

 喪失した語彙の果てで、尚も絞り出されるのは本音しかない。

 短いスカートを後ろ手に弄られ下着をずらされている姿を正面に据えて、目を逸らせずに少年は言葉を探す。

 

 

「あ、アーシアのことだって好きだ、なのに、なんで、こんな、」

「だって、そらくんは気持ち良くシテくれますから」

 

 

 撫で付けていた白魚のような指の隙間から、いきり立つ逸物が顔を覗かせる。

 烏丸の自身は、明らかにイッセーのモノよりも御立派であった。

 

 それを、アーシアは自らの秘所へと宛がう。

 その姿を改めて目の当たりにして、イッセーから失われていた気力は瞬間的に沸騰した。

 

 

「っ、や、やめっ――」

 

「っぁ、はぁっん……っ!」

 

 

 制止を促す少年の声にも躊躇せず、腰を落としたアーシアの肉壺が粘つく音を上げて男性自身を呑みこんで逝く姿を眼前に晒される。

 嬉しそうな嬌声を上げた少女は彼にとって見たことも無い姿で、本当に同じ人物なのかと疑いを抱いていた。

 いや、それは頭の片隅で浮かぶ小さな可能性の話であって、それすらも目前の光景が否定を囁く。

 

 

「お、お前が、お前がアーシアを変えたんだろぉ! 催眠術か何かを使って、そんな風にしたんだ! そうでなけりゃ、アーシアがそんなことをするはずがないんだぁ!」

 

 

 だからこそ猶更認めたくないイッセーは、慣れたように身体を重ねて獣が舐るような口づけで奉仕するアーシアではなく、それを甘んじて受けている烏丸へと矛先を変えるのであった。

 

 

 

  ▽  ▽  ▽

 

 

 

 催眠術ねぇ、……使えたらもっと楽に色々出来たんだろうけどなぁ。

 

 こんな状況になってしまっているが、あくまでも主導は俺ではなくアーシアだ。

 姫島先輩が先ほど言ったように、俺がそろそろ帰るのでその前に兵藤先輩にきっちりと釘を刺しておきたかったらしい。

 なお帰らないという選択肢はない。

 正直帰りたくない理由もあったりするが、帰りたい理由もまたあるのでやらなくちゃダメだ。

 『向こう』と時系列が同じらしいからね、せっかく進学したのに半年サボって留年、とか目も当てられないし。

 気分は夏休みの宿題が最終日に残っていたことを発見した小学生。

 やりたくないけど、やらなくちゃ始まらないよね、という話だ。

 後は、こっちのサブカルやっぱり薄いし。

 濃厚な本家へ早いとこ舞い戻りたい。ぶっちゃけカラオケ行きたい。

 

 それにしても、実際別箇にお相手がいるはずの先輩の寝取られ感がスゴイなぁ。

 この人にはアキラに対して色目使われたことで少々苛立ちも覚えちゃいるが、別にそこまで気に掛けるつもりもなかったのだけど。

 何度も言うようだけど、結局のところ俺は近いうちに元の世界へ帰る身だし、実際に迷惑被ったアキラが報復はきっちりと果たしたのだから俺が口出しするのも何か女々しいと思っていたし。

 しかし結果的に報復したみたいな、ざまぁ感がわずかに燻るのは、やっぱり申し訳なさよりも思う処が少しはある所為なのかもしれないが。

 というか、このひとはこのひとできちんとお相手がいるのに、なんで其処までしてアーシアを自分に向けさせたいのかね。

 アレか、ハーレムが夢だとかいう話の所為か?

 

 

「イッセー君、あんまり騒がないでくれるかな。烏丸くんだって、キミに悪いことをしようっていうわけでもないんだし」

 

 

 と、其処でようやく兵藤先輩を拘束していた木場先輩が口を開いた。

 どういう体勢(スタイル)で固定しているのかは把握できんが、ふたりの現状は兵藤先輩を床へ押し留めるように這い蹲らせての背中からの密着だ。

 男にやられたら正直後ろの穴を懸念するような真似なのだが、そうではないことを俺は知っており、背に伝わる感触で兵藤先輩も気づいた様子である。

 

 

「っ祐斗!? おま、いや、この感触は……、っ!? なんで女のままなんだ!?」

 

 

 木場先輩は現在男装しているが、その中身は女性のまま。

 TSした際に何故か伸びた髪はばっさりと切り、胸は『さらし』で抑えつけたのだとか。

 体操着が男子用のままだが、むしろ普段から男である木場先輩がブルマを用意できていたらファンが発狂するわ。

 男装美少女としてこの先やっていくのかしら。

 

 

「ちょっと身体が元に戻れない事情を抱えちゃってね。でもこの先女として生きてゆく覚悟はできているから大丈夫だよ」

「なんだそれ……、っていうか、なんでお前が俺を止めるんだよっ! むしろ止めるのは烏丸だろっ! アーシアがあんなことになってるのにっ!」

「アーシアちゃんは嫌がっていないけど?」

 

 

 くだんの彼女は初めの意向は何処へやら、俺の正面に跨って、チア服を捲ってはだけさせた胸元をノーブラで揺らしながら抱き着き腰を上下させている。

 其処には獣みたいな情欲しか伺えず、己の胎を穿る快感に酔い痴れながら発情した雌犬の如くぺろぺろと、俺の唇へと舐めるようなキスを繰り返す。

 もう兵藤先輩のことなんて微塵も気に掛けてないのは丸わかりであった。

 

 

「そ、そんなことはないっ! あいつだ! 烏丸が催眠術か何かでアーシアを唆したんだっ! そうでなけりゃ、アーシアみたいな子があんな、あんなことするはずがないんだぁっ!」

 

 

 目の前でやってるのに、同じようなことを繰り返して必死で認めようとしないご様子。

 うーむ、女性だって『そういうこと』を欲するくらいの性欲が備わっているのだから、俺としては意外でも何でもないのだけど。

 そういえばアーシアって元々修道女だったらしいし、その辺のイメージが先輩の中には抜け切れていないのかねぇ。

 

 そんな感じでまぐわいつつ、兵藤先輩の言い分にどう説得したモノかなと他人ごとみたいに思考を馳せていたところ、木場先輩がため息をひとつ。

 

 

「アーシアちゃんは、烏丸くんと会ったときからずっとあんな感じだよ。気づいていなかったのはイッセー君だけさ」

 

「………………は、はぁ……?」

 

 

 兵藤先輩にはきっちりと爆弾発言に聴こえただろう。

 俺がオカ研に顔出しをしたのは半年くらい前だから、その間ずっと己に隠れて付き合っていたことになるのだから。

 まあ、別に先輩に許可を求める配慮(つもり)なんて無いから、このひとが口出ししても言い掛かりにしかならないのだけども。

 

 

「それをキミにもわかる形で教えたい、って言いだしたのは他でもないアーシアちゃんだよ。こうしてぐうの音も出せない証拠を見せてもらったのだから、いい加減アーシアちゃんのことは諦めようよ」

 

「な、に言って、ゆうとは、俺のこと、応援する、って……」

 

「うん、前はそう言ってたけどさ、そうも言ってられないことになっちゃったからね。お互いが納得できる形にしようってことだよ」

 

 

 返事が遅れて、思考も恐らくは覚束ないのであろう。

 そんな先輩に、優しく諭すように、しかし非常な現実を突きつける木場先輩。

 なにを、と彼女の言いたいことがわからずに尚も問い詰める先輩に、木場先輩はうっすらと微笑を向けた。

 

 

「僕ね、赤ちゃん出来ちゃったみたい」

 

 

 ひゅ、と組み伏せられた先輩が息を呑むさまが、こっちにも伝わった。

 

 まーねぇ、俺も先輩に勧められたから堪能させてもらったのだけど、それを勧められるってことは先輩が『その前に』お手付きをしていた、ということにもなるわけだし。

 出来たのがどちらの子かは知らないが、出来ちゃったのだから【番い】を確保したいと欲するのは正しい理由だろう。

 その勧めた事実を、先輩が覚えているかどうかはさておいて。

 

 

「安心して、これからもイッセー君の相手は務められるし、キミの性欲を満たす為にいくらでもしてほしいことをしてあげる。その代わり、他の女の子に手を出すのは認めないけどね」

 

 

 やったね先輩、美少女の嫁さんが出来たよ!

 しかもどんなことでも聞いてくれるっていうなら、旦那冥利に尽きるってものだね!

 ようこそ墓場(こちら)へ。

 

 

「話は終わったか? では、そろそろ私も混ざっていいかな」

「アーシアばっかりずるいわよ、私たちだって出番がほしいのにっ」

「いい機会ですから、変態先輩にも女子の良さは胸ばかりではないことも知っておいてもらいましょうか。無論見学だけですが」

「お姉さま、羞恥心というものを何処へ……?」

 

「は、は? っはぁぁぁ!?」

 

 

 と、先輩が驚くのも無理はないかと。

 ぞろぞろと何処からか出てきたのは、チア服を着こなして健康的な色気を振りまくゼノヴィア・イリナ・塔城・レイヴェルの美少女4人。

 何処かメタいことを口にするイリナや堂々と上を脱ぎ去って巨乳をはずませるコスチュームプレイはそうじゃねえよと言いたくなるゼノヴィアはさておき、見られて燃えるような変態欲求を言葉の端からちらつかせる塔城へお姉さま呼びをするレイヴェルは久しぶりに顔を見たと思ったら何故かこの状況に乗り気である。

 そこそこ無理に食っちゃった身だから嫌われていると思っていたのだが、そういうわけでもなさそうだ。

 やっぱり女子って結構図太いよね。

 

 

「そ、それは俺のハーレムだぞぉ!? お前が、やっぱりお前が全部悪いんだろぉおおお!?」

 

 

 驚く先輩へと配慮も見せず、俺という標的へと群がり始める美少女たち。

 その光景に、萎えかけた気力を振り絞ったのか、今一度声を張る兵藤先輩。

 そんな彼に、ちょっと言いたいことはひとつだけである。

 

 

「先輩、女の子はモノじゃねぇっすよ」

 

「――っふ、ふざっけんなぁぁぁああああああああ!!?」

 

 

 うん、説得力はないっすね。

 ごめんねー。

 

 




なんか超長くなった
次回、明日投稿


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「次回、【放課後のラグナロク】。みんな絶対見てくれよな!」

今章エピローグ的な60話


 

「イッセーくん、それじゃあ僕は部活に行くね?」

「あんまり危ないことはするなよ? あ、グレモリー先輩にもよろしく言っといてくれ」

 

 

 先日彼女の懐妊を知り、何しろ初めてのことなので差配を知らないイッセーは、男装の美少女である木場祐奈の行動を思わず咎める。

 対外的には己の彼女だと表沙汰に出来難い彼女の名も『祐斗』と普段は呼ぶことで関係は暈されたままだが、その気遣いや『祐斗』の人間関係に対応が過剰になる時が見舞われることも多々あった。

 お陰で学内では微妙に距離の近いふたりの関係も邪推され、『木場×兵藤』または『兵藤×木場』という腐海的計算式が蔓延っているので、当人としては否定も肯定もし難くなんだかなぁと諦めているのが現状だ。

 そんなイッセーの心配をよそに、祐奈は平気そうに笑いながらも、そうして心配してもらえることを嬉しく思っていた。

 例え、その身に身籠った子が彼の子ではない可能性の方が圧倒的であろうとも。

 

 笑顔の裏で泥に塗れたような感情を抱いていた彼女に気づくことなく、イッセーは教室へと戻る。

 帰宅部である彼は本日はひとりで帰ろうとしており、己の荷物を取りに一度戻るためだ。

 本当はそのまま行くはずだったのだが、親友の松田と元浜が何かの用事なのか己の荷物を人質に見立てて捕えており、それを引き取りに向かう手筈であった。

 

 

「戻ったかイッセー。見ろ! 例のサイト、新曲と新メンバーを発表したぞ!」

「うむ、ついにロリっ子が来たな! 心なしか両脇の子もロリっぽい、最高だな!」

「いやいや、こっちの子はけっこう胸も大きいぜ? イッセー好みじゃねえのかな、それともこっちのボーイッシュな方がタイプか?」

 

 

 差し出すスマホに映るのは、アイドル衣装の【ミッテルト】を中心に【レイヴェル】並びに【祐奈】で構成されたユニット。

 映し出された彼女たちの正体はこれまで同様認識阻害がめっさ仕事をしており、それがたった今会っていた相手だとしても誰にも気づかれることはなかった。

 何気にメンバーから外されている節が見られるギャスパー(男子)はさておいて、そんな垂涎の映像を突き出されてもイッセーは慌てずに否定する。

 

 

「わり、俺、そういうのやめたんだ」

 

「「っは、はぁぁああああああ!?」」

 

 

 驚き過ぎだが、そうなるのも無理はなかった。

 どういうことだ、お前偽物か、と問い詰められるエロの申し子とまで呼ばれた原作主人公。

 そんな彼は教室内に未だ残っている、修道女トリオと呼ばれる三人組へと何の気なしに目を向ける。

 元シスターとは思えないスタイル抜群の美女・ゼノヴィア。

 幼馴染だが、気づけば疎遠になっていた金髪の美少女・イリナ。

 年下に見間違えられがちな小柄な少女・ロッテ。

 何故か胸が締め付けられる違和感を姦しいその光景に覚えつつ、尚も言われ続けるイッセーは曖昧に笑って教室を後にする。

 何かから逃げるように、――追憶の残滓を思い出さないように。

 

 

 

  ▽  ▽  ▽

 

 

 

「……まったく、アーシアにも困ったものね」

「仕方ありませんわ。あの子はどうしたって彼を忘れられないのでしょうし」

 

 

 リアスの手元には【僧侶(ビショップ)】と【戦車(ルーク)】の駒と、指輪型の神器【聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)】がひとつ。

 どちらもアーシアから【聖杯】によって取り出されて、一時的に彼女に預けられているモノだ。

 本来ならばそれで死んでしまう筈の仕様は某規格外の異世界人の謎技術によって無視(スルー)され、彼曰く別世界で存在するための概念主幹を補うとのことで、むしろそれらは邪魔になるのだとか。

 この世界ではそれなりに貴重で重要な品々だというのに、烏丸にとっては最後まで『この世界』の価値観は通用しなかったらしい。

 

 そんな見たことも無い世界へと足取り軽く旅立ってしまった妹分らを思い返して、仕方ないなぁと溜息を吐く。

 そう、旅立ったのはアーシアだけではなく、いつの間にか麻帆良娘らを懐柔できていたのか小猫もまた同行し異世界旅行へと乗り出してしまっていた。

 眷属がふたりも自分の与り知らぬ場所へ赴いてしまったために、役どころを埋めるために烏丸の眷属をヴァレリーの案で採用したのは良い提案であったが、それと立ち代るように問題がひとつ。

 小猫はさておき、微妙にこの世界に影響を齎した烏丸の存在を、少なくとも表向きの世界では隠ぺいするために認識阻害を掛けた結果、とある少年にもその影響は効果を及ぼしていた。

 

 

「お待たせしました。部長、イッセー君はやっぱりアーシアちゃんのことをきちんと認識できていませんね」

「そう。まあそうでしょうね、イッセーにとっては本当に重要な記憶でしょうから」

 

 

 己の心を守るかの如く、イッセーは防衛本能なのか、駒王町に掛けられた認識阻害に連れられて、烏丸のことと一緒にアーシアや悪魔に関する事柄を明白に認識でき難くなっていた。

 記憶の封印は悪魔として生きたわずかな期間を霞ませて、彼の中では妄想に似た何かから抜け出せたように以前よりもずっと平穏な凪いだ心持で日々を送らせていた。

 一種の燃え尽き症候群にも似たそれは、イッセーをただの悪魔以下のほぼ人間と同程度にまで貶めており、しかしそもそもが戦う意味をこの先得られるのかと云えばそういうわけでもないと予測も出来るので、彼の現状は放置されているわけである。

 どちらにしろ悪魔の生は長い。

 この程度の袋小路なら、迷走したとしても解消を即座に促さないのも悪魔社会としての在り方の一つである。

 それは弊害と、呼ぶほどのモノでもなかった。

 

 

「というか、そらくんだって二度と来ないと云ったわけでもないのだし、アーシアも慌てて追いかけなくても良いモノだと思うけれど……」

「立場の問題もあるでしょうね。リアスや私はさておき、アーシアちゃんや小猫はまだ悪魔としては未熟もいいところでしたし、行きたい所へ向かう気持ちを抑えられるものではありませんわ」

 

 

 『責任の自覚』がまだそれほど備えられているわけでもない『成り立て』の少女たちに、元来自由に欲を満たそうとすることを主義とさせる悪魔が口出しできる道理もない。

 イッセーの話は終わり、と言わんばかりにふたりは話題を変えていた。

 わかってはいたが、そこまであからさまにされると笑うしかない祐斗である。

 

 

「イッセー君は、結局そのまま放置なのですか?」

「ええ、そうね。記憶が戻ればグレモリーで囲うけど、戻らないのであっても祐斗が監視して頂戴。私とのことを妄想で片付けるほどアーシアのことが、悪魔としての生が衝撃だったのなら無理に手を出すつもりもないわ」

「祐斗くんには手間を掛けさせるようですけれど、よろしくお願いしますわね?」

 

 

 改めて話だけでも詰めておく必要はあるので、方針の確認のためにも祐斗は問う。

 結局のところ悪魔社会のことへ触れようとしないままならば、記憶を思い出したとしても、もしも思い出せないフリをしているだけだとしても、イッセーの扱いは『それ以上』になることはない。

 その理由は何よりも、グレモリーの姫に手を出したという過去に由来するので、眷属である祐斗も口出しは出来ないしする気も無い。

 そんなことをして自分の剣の師匠も含まれている魔王の眷属に、無駄な波風を立たせようなどというつもりもないのだから。

 

 

「幸いにも、実家の方はグレイフィアとお母様の懐妊という好事が確認されたお陰で、私の子の『父親が誰か』なんていう問題には目を瞑ってもらえているわ。お母様とグレイフィアが『こちら』へと回ってくれたこともあるのでしょうけどね」

「というか、祐斗くんはそれで平気ですの? 兵藤君は、お世辞にも女性の扱いに長けているとは言い難いかと思われるのですけど」

 

 

 朱乃の問いは、恐らくは最後通牒だ。

 実際は立場が上からの命令に近い行動方針であるのだが、それで祐斗が断りを入れれば仲間内での情けは深いグレモリーである、代わりの誰かを其処へ宛がってくれるだろう。

 しかし、祐斗はそれにNoと答える。

 

 

「いいえ、彼は僕にとっての大事な親友です。どのような処分であれ、僕が最後まで相手をしますよ」

 

 

 男子としての人生から女性へと転じ、望まない相手の子供を出産することが決定されていたとしても、祐斗はイッセーから離れることを良しとはしなかった。

 ただわずかに望むのならば、この胎の子の実情を彼本人には知られることは決してありませんように、と少しばかりの希望を抱いて、木場祐斗は暗く微笑む。

 トクン、と自分のモノではない心音が、其処から響く幻を聴きながら――。

 

 

 

  ▽  ▽  ▽

 

 

 

「えっと、兵藤一誠くんですよね。好きです! 私と付き合ってください!」

 

 

 校門を出て、突然に現れた美少女にイッセーは狼狽を隠せなかった。

 自分の噂は知っているし、祐奈という美少女と隠れて付き合っているとはいえ己の容姿が人並みであることも把握している。

 そのうえで、自分に堂々と告白してくる()()()美少女への対応ではなく、その光景に既視感(デジャヴュ)を感じている自分にだ。

 

 言葉の勢いのままに頭を下げた彼女は、そんな狼狽える自分に対して返事を求めている。

 だが、その前に自分が先走ったことを自覚したのか、慌てたように顔を上げた。

 

 

「っあ、ああっ! じ、自己紹介が未だでしたね! わ、わたし『天野夕麻』っていいます! で、出来ればすぐにお返事をして欲しいのですけれど……!」

 

 

 狼狽えた様子は見るからに可愛くて、祐奈という彼女が居なければ即OKを応えていたくらいだ。

 しかし、イッセーはその名を途切れるように口にして、その容姿を改めて認識して――、

 

 

「――ぁ、あ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!????」

 

 

 ――盛大に、名状し難い頭痛に襲われてのた打ち回った。

 

 

「――あらぁ? こんなに反応してくれるなんて、思いもしなかったわぁ。よっぽど酷い目を見たみたいね、イッセーくん?」

 

 

 その彼を見据えて一転、貌を歪めて嘲るように見下ろす『天野夕麻』。

 そうして今一歩近づこうとした彼女を遮るように、白い翼の少女が割り込んでいた。

 

 

「アンタ、誰だ」

 

 

 顔見知りの筈の少女・ミッテルトが、黒髪の少女へと詰問する。

 手には神器【絶霧(ディメンション・ロスト)】を変則使用することで顕現させた霧状の槍。

 最終的に結界創造を得意とするこの神滅具は、要するに空間系の上位神器である。

 そのことについて把握した烏丸は霧の状態を使用者の望む形に固定して、触れることで対象を次元的に寸断・乖離することを可能とする方法を編み出し、近接・遠距離・中距離と自由に対応可能な武器として使えるようにミッテルトの手にそのまま預けたままであった。

 

 そんな一見重要そうに見えてそうでもないこと(閑話休題)はさておいて。

 監視対象足り得るイッセーは、祐奈が見ていない間もその居場所が知覚されないわけではない。

 それ以前に、彼に身体を赦している祐奈も纏めて監視できるように、空間系神器を使えるミッテルトがその立場に選抜されていたことは言うまでもない。

 接触が遅れたが、明らかに見過ごせない状況に武器を構えて割り込むことは、非常時判断としては充分に合格レベルの対応である。

 

 

「天野夕麻でーっす☆ って、名乗ったわよね私。あんたこそ誰ぇ? 私、イッセーくんにご用事があるのだけれどぉ?」

 

「ふざっけんな! アンタがなんでその身体と名前を使ってるのかは知らないけどね、その本人はとある教会の地下でカワラーナといっしょに今も結界維持のための燃料として使い潰されている最中だっちゅーのッ! 明らかな敵が、のこのこと駒王学園まで出向いてきたんだ。どうなるかはわかってんでしょうねッ!?」

 

 

 さらっとかつての仲間の現状が暴露されたが、それをどうにか出来る手段はミッテルトには無い。

 確かに、空間系上級神器さらに亜種仕様可能な代物というキチガイ装備を手軽に抛られた時には『下剋上』という言葉が浮かびかけたが、それに対処を知らない相手が其処まで気楽にしていられるわけがない。

 それに自分自身を烏丸以外の陣営に匿ってくれそうな身寄りなど思いも付かず、逃げたとしても逃げ切れるものでもないことは確か。

 ヴァレリーに頼めば、半分潰れて自我も怪しくなっている魔力タンクの堕天使も健常体に治してくれるかもしれないが、そうなったときに言い出しそうなことを予測できてしまえばおいそれと治すことに責任なんて持てやしないのだ。

 烏丸がいつ舞い戻るのかも把握できない以上、ミッテルトはある意味平和に生きていられるレイナーレやカワラーナの墓守としてこの地に留まる所存であった。

 

 

「はぁん、何回やっても完全復活が出来ないってのはそういうこと。同一人物の複製は聖書の神でもご法度、てなわけね。なるほどなるほど」

 

「……その言い分、【聖杯】、いや似た性能の神器でも使ったわけ? 烏丸の予測当たってんじゃん……」

 

 

 【聖杯】は死んだモノを復活させられる、という正直『原典』を漁ってもどうしてそうなるのかが理解できない性能を秘めた神器だが、それでも大前提としての生命が、いや意思が存在するための法則(ルール)は覆せない。

 これが『GANTZ』のように生命尺度の低劣な世界ならば、物質としてのルールのみに則って同一存在の重複という完全なる複製(コピー)を引き起こせるのだが、概念存在の受肉が出来るような低位相の世界でも、そのような【地獄】の法則は通用しない。

 烏丸が生まれ落ち、魔女が跋扈し、多層の概念が折り重なったどこぞの【異常世界】は現状無理矢理に位相を引き上げられているお陰で下位からの干渉を遮断できるわけだが、それより下位に当たる『この世界』でも最低限度の概念主柱という壁役、要するに世界の柱たる神が跋扈しておるために地獄相当の法則は通用せず、同じ個体であっても意識が両立するようなバグ(異常)は通用しない結果になっていた。

 そんなことが可能なのは、ゲームのようにステータスなどが自身に表示される本物の下位世界程度である。

 

 まあ要するに、この『レイナーレ』は躰が同じでも中身が違う、ということなのだろう。

 では、何者なのか。

 

 

「いやぁー、こっちは『イッセーくん』の情報だけなら手に入るわけで、命をやり取りしたとはいえ一度は篭絡できたらしいじゃないの、この子は。それで使わせてもらったのだけど、やっぱりただの堕天使は脆弱よねぇ。ま、それでもなんとかなるかと思うけど」

 

「いったい誰なのよ、アンタは……!?」

 

 

 神器を充てれば一撃で葬れる。

 しかし、それをやるにはまだ早い。

 復活してからこちら慎重を旨とするようになったミッテルトは、充分に情報を拾ってからでも倒すのは遅くない、とそう思っていた。

 

 しかし、その気配が穂先を惑わせる。

 

 なにか、そう、烏丸に似た何かの気配が、彼女からひしひしと伝わってくるのだ。

 それが、殺しても死なない可能性まで秘めているとなっては、討ちようにも討てやしなかった。

 

 それを知るのか、『レイナーレ』は嗤う。

 片目を歪めて吊り上げて、上弦の月のように弧を描く口元が嘲る声を張ってのけた。

 

 

「お初にお目にかかりまぁす、邪龍【ゴルィニシチェ】と言いますワ。以後、お見知りおきを♪」

 

 

 それが【卑劣龍】と呼ばれる『悪』との、戦いの幕開けであったことを知る者は未だいない。

 

 

 





そんなわけで次回より第6章に移ります
何やら展開がどろどろと面白くなってきたぞ…!?(ハードル上げ

レイナーレさんたちの顛末はミッテルト復活の際にさらっと触れてましたが、今回改めて『どうなっているのか』を説明させてもらいました
いや、忘れていたわけじゃないっすよ?(メソラシ

あとゴルィさんはオリキャラですが、登場の下地はどっかの誰かさんが下手人です
誰なんだろうなー、次回が気になるなぁー

烏丸はあっさりと帰りましたが、彼に関する諸々のエロシーンも時折挟みます
ので、恐らくはネギま勢がこれからはもっと出て来るかも
まあでも、リアスさんなんかのエロシーンは前回書いたし大丈夫ですよね?
ではまた次回







あ、直メで展開希望とかを送っても平気ですので、こんなのが見たいとかこのキャラで書いてとかご要望あったらどーぞお送りください
ストーリーはある程度進めたことだし、恐らくは番外になるでしょうけど希望あれば書けるはず
…まあ俺みたいな文章能力低劣な奴にキャラ崩壊描いてほしくねーよ!という人の方が多そうですけどねー(自棄笑い


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【原作時系列?】超絶ルナティックストーリーモード!オリ主不在の第六章!【奴などとうに用済みよ…】
「通算61話目でキリもいいけどたぶん読者が求めるものとは違うんだよなぁ…」


私は――、還ってきた……ッ!


 

「――ッ」

 

 ガバァッと上体を起こし、自らを抑えつけるように覆っていたシーツを跳ね除けた。

 まるで水底へ引き摺り込まれ溺死し掛けたかのように、その彼は起き抜けなのに動悸が激しい。

 目を大きく見開き、自分の中の『ナニか』を反芻している様は、性質の悪い霊媒のような何かに脅かされている精神疾患の患者を彷彿とさせていた。

 しかしその様を把握しながらも、先ずはと声をかける彼女からすれば、ひとまず無事に起きたことを安堵とするらしい。

 

「……良かった、起きたんだね、イッセーくん」

「………………祐奈?」

 

 斜陽も過ぎ去った日暮れの保健室で、傍らで待っていた金髪の少女。

 それだけを絵にすれば酷く美しいものなのだろうが、事態を穿てばそうした感情だけで片付けて良いものでもない。

 知る人ぞ知る話だが、木場祐奈と改名を果たした彼女は、この兵藤一誠の監視役なのだから。

 

「ミッテルトさんから連絡を受けた時は驚いたよ。何があったのか、教えてくれるかな?」

 

 【ナニ】と遭遇したかは聞き及んでいる。

 事実、それへの対抗策を練る為に、ミッテルトを初めとした烏丸陣営と呼ばれる少女たちは足早に拠点へと集まっていった。

 しかし、イッセーには幸か不幸か、負い目がある。

 彼にとっては実に非情な現実と遭遇したがために彼が陥った、記憶の改竄という『負い目』。

 それを知る祐奈には、探るような質問の仕方で事態を測る必要があった。

 彼に掛かった状態が、どのような切っ掛けで綻び始めるのかが見極められないがために。

 

「――――……」

 

 祐奈を見る、イッセーの目は酷く暗い。

 それは彼女を見ているようで見ていない、自分の中の何かを組み立てなおして、問うべきことを測る目だと、経験則から彼女もまた把握できていた。

 

 そうして数分後、漏らすような声で、イッセーは問いかける。

 

「…………なぁ、アーシアは、何処にいるんだ……?」

 

 その言葉は、平穏の終わりを意味していた。

 

 

 

  ▽   ▽   ▽

 

 

 

 起き抜けの俺の質問に表情を強張らせ、詳しい話とやらをするためにある場所へと導こうとする祐奈。

 その間ずっと質問を繰り返しても、『詳しい話』をするべき相手が先にいる、と言うばかりで聞く耳を持とうとしない。

 駆け込むように其処へと連れられた俺は、挨拶よりも憑いて回る疑問が先走る。

 

「部長っ! アーシアはっ、アーシアはいったい何処にっ!?」

「落ち着きなさいイッセー、アーシアは無事よ。少なくとも、あの子自身が望んだ居場所にいることを咎める謂れは私たちには無いわ」

「そうは言いますが部長!? 最後に見た光景が体育用具室でのハーレムエッチじゃ落ち着けないのですが!?」

 

 弄ばれる小ぶりなピンクの先端に、入り混じってゆく同世代&後輩おっぱい!

 常軌を逸した光景から、たとえずっと時間が過ぎ去っていようとも、俺のハーレムを侵略していった後輩(烏丸)には目にもの見せてやらねば気が済まぬわぁッ!

 

「だから、それもあの子の選択ということよ。フラれたのだからもう諦めたら?」

「男にはそれですませない時があるんすよぉぉ……ッ!」

 

 男の子の負けん気ってやつを、女は一切わかってくれねぇッ!

 

「それはさておきイッセー君、先ずは口にするべき言葉があるのではなくて?」

 

 はっ、とあらあらうふふ的なオーラを発揮する朱乃さん(より正確には同時に目に映った冬用制服越しにも主張される爆乳のオーラ)に気付き、冷水を浴びせられたかのように落ち着いた俺は改めて現実を鑑みる。

 

 適乳ではあるが金髪美少女の祐奈はセフレに残っており、ナイスバディかつナイスおっぱいの部長とは既に身体を交えた仲。

 さらによりド迫力おっぱいの持ち主である大和撫子朱乃さんが今もこの場にいるということは、さては恐らく手出しされていない証拠では?

 そこらのグラビアアイドルも裸足で逃げ出す美女が現状3人も居残っている状況で、確かに美少女ではあったけれどちょっとばかりハーレム要員が減ったとしても、これでも充分に世間様からすればエロス密度は飽和していると言っても過言ではない。

 

 ――確かに、落ち着いて考えれば勝ち組のままだったわ、俺。

 ついでに言えば、どんな風に寝取られたところで烏丸は人間だし、アーシアを初めとした美少女たちはみんな悪魔なんかの亜人系だ。

 根本的に寿命の問題がある以上、あいつがくたばった後なら何の邪魔者も入らないしな(暗笑)。

 

「部長っ、朱乃さんっ、ご心配かけて申し訳ございませんっ! 男イッセー! ただいま帰還いたしましたおっぱいっ!」

「貴方それが通常運転で問題ないの……?」

 

 オカ研を代表する二大おっぱいに敬意を払ったはずなのだが、何故か呆れたような声を掛けられてしまった。解せぬ。

 

 さておき、久しぶりに踏み入ったオカ研の部室は、俺が知るよりもずっと閑散とした場所となっていた。

 アーシアが気付けばこの町からも姿を消していたのは今になって気付いた事実だが、小猫ちゃんの姿は何処に?

 というか、教会組のゼノヴィアとイリナはなんでいないんだよ。

 あいつらも一応はグレモリー眷属で合ってるよね?

 と、その二人と言えば、

 

「それで、アーシアたちはどういうことになってるんです? 俺のクラスにいたロッテとかいう子も関係してるんですよね?」

 

 連想して思い出した見知らぬロリッ子のことも問いかける。

 入れ替わるようにあの場所に組み込まれた美少女なのだから、あれが関係ないと言われたら余計に恐ろしい事態だ。

 先ほどのことでもないが、レイナーレの時のように催眠術を使われてるとしたら……。

 

「記憶のほうは戻っているみたいね。それじゃあ改めて、今の状況を教えるわ」

 

 せっかくカオスブリゲードの問題も片付いたっていうのに、もっと恐ろしい危機が町へ迫っているのだとしたら、と想像を働かせていた俺に、部長は向き直る。

 真面目な雰囲気に思わず息を飲むが、どんな問題だって乗り越えて見せるぜ。

 だって俺には、ハーレム王になるっていう夢があるんだからなッ!

 

 

 

  ▽   ▽   ▽

 

 

 

 ………………えー、教えられた情報が多すぎてちょっと混乱してるイッセーです……。

 整理しなおして箇条書きにしてみると、以下こんな感じだった。

 

 ・烏丸は用事があると駒王から去っていった

 ・アーシアと小猫ちゃんもそれについていった

 ・詳しい事情を方々へ語るわけにもいかないので、ひとまずホームステイ中という体

 ・更に詳細を語れない人間の社会相手にはお馴染み悪魔式催眠術が

 ・ロッテという少女はアーシアの抜けた穴を取り繕うため急きょ入ってもらった烏丸の眷属に当たるらしい

 ・あと『烏丸の眷属』という者たちは何人か駒王町で待機してるのだとか。先ほどレイナーレとの間に割って入った女の子もそれにあたる

 

 ……居なくなってからも影響及ぼすのか。なんつーか、迷惑な奴だなぁ。

 というか、奴の手付きが町内にいるのか。

 ……そのうち保護しなくちゃな(意味深)。

 

 ゼノヴィアとイリナは烏丸の眷属とは違うが、今日は天使側へと話を持ち掛けているらしい。

 なんでも、復活したレイナーレ(?)に関して何か重大な事情が絡んでいるらしく、聖書陣営総出で当たらなくてはならなさそうな問題だと部長は判断したそうだ。

 そして何よりも俺を困惑させたのは烏丸に関する話などではなく、俺自身に纏わる今後の事情。

 

「――というわけで、イッセーは今後上級魔族になることが第一条件だから。頑張ってね」

 

 男子を魅了する微笑みと弾んだ語尾で部長に言われ、茫然と問い返すことしか考えが及ばない俺。

 ぶっちゃけ烏丸(他人)のことに構ってる余裕なんてなかったらしい。

 

「……えーと、初めからそのつもりでしたけど、期限とかが加わるんで……?」

「期限はないけどお兄様とかの機嫌が悪くなるわね。何せ、貴方は可愛い妹を孕ませた憎い間男になるわけだから」

 

 妙にご機嫌に仰られますけどお兄様って要するに魔王様ですよね!?

 俺のお舅さんが魔王様、とかいう一文が浮かびますけど微塵も誇れるところがねぇ! むしろ文字列から殺気が滲み出ている様が伺えるよぉ!

 

 さておき、部長が妊娠した。

 父親は身体を許したのが俺であると俺自身も自覚しているので確定であり、その辺の事情もサーゼクス様やご実家の方へと筒抜けのようだった。

 子供が出来難いという種族特性を顧みると充分すぎるほど喜ばしいことであるのだが、その相手が俺のような悪魔としての実績もない若造である事実は誰の目から見ても負い目というか、不満の対象に当たる。

 同時に部長のご実家でヴェネラナさんやグレイフィアさんの妊娠が発覚していなかったら、その別口の慶事がフォローに当たっていなかったら真っ先に俺の命がなかったのだと教えられた。

 今更ですけど、悪魔社会って命の取り扱いけっこう軽いっすよね!?

 

 ちなみに、アーシアの喪失で抜け殻になっていた俺が復帰できなかったら、その事実は俺自身に伏せられたままで、折を見て接触が図られるはずだったのだとか。

 悪魔の自覚もなかった状態で記憶を弄られる点の恐ろしさを考慮されたらしいけど、肉体的には寿命の問題上長い目で把握し切れるからどの点を鑑みても俺の現状は恩情に守られているのだろう。

 それはわかったけど、……俺、祐奈とも関係持ってるのだけど、それはいいんスか?

 

「祐斗は戸籍上は男性だから問題はないわね。どちらにしろ、貴方がうち(グレモリー)に婿入りしたら部下に当たるわけだし」

 

 配下の愛人美少女との淫靡な関係、ってやつすか。

 うん、悪くないな!

 

 しかしなんというか、部長や魔王様には色々と見透かされているらしい。

 やっぱ悪魔ってすげぇんだな。

 

 そして、上級悪魔という『将来(みち)』は長いけれど、逆に言えば達成すれば部長を正式に俺の嫁に充てられるという事実。

 降って沸いたこのチャンス、モノにしないバカはいない!

 いや、それはともあれ、あんまり待たせるのも悪いだろうしな。

 部長にフォロー含めてご機嫌取りでもしておこうか。

 

 そう考えて、俺は部長の横に座り直し、彼女の肩を抱いて某焼き鳥みたいにキリっとした顔を作ってみた。

 

「――リアス」

「どんと、たっちみー」

 

 笑顔のまま拒否られた。

 え、ええ~……?

 

「……いやおかしくないっすか!? 俺、一応は将来の旦那っすよね!?」

 

 ソファを転げ落とされて、抗議の声を上げる。

 そんな俺に触れてくるのは、部長ではなくて祐奈であった。

 

「その辺りはグレモリーに関わる男性陣一同からのご通達なんだよね。イッセーくんが正しく上級悪魔として認められるまでは、肉体的な接触の一切を禁じる、って」

「そんなぁ!?」

 

 予想以上にグレモリー家がお怒りですね!

 ……大事な娘を傷物にしたのだから当然ですね!

 

 そしてそんな俺に跨ってくる祐奈。

 こ、このシチュデジャヴすぎる!?

 やめろー! 何をするだぁー!?

 

「そんなわけで、イッセーには行動を制御する呪縛が課せられるわ。そのチョーカーは『そういうこと』よ」

 

 あれよあれよという間に首へ回される革製のベルト。

 穴へと通すためにくぱぁぁぁぁと開かれる姿は、実に淫靡であった。

 んぁぁぁ! 苦しい! やめてぇぇ!

 

「というか、それはほぼ矯正用と言った方が正しいわね。相手の了承を得ずに女の子にエッチなことをしようとした際は、きゅ、と締まってきつくなるから気をつけなさいね?」

「逆に言えば、ムードさえ作れば何とかできるってことだからね。そのあたりのお勉強だと思えば何とかなるはずだよ」

 

 紐を結ぶようなジェスチャーでほほ笑む部長に、俺の首筋を蹂躙し終えていい仕事したぜと笑顔の祐奈。

 俺何かしましたか!? そこまで信用得てないんすか!?

 

「そしてこれが貴方が休んでいた分の仕事(召喚)よ。復帰そうそう悪いけれど、イッセーにしか熟せないような仕事なのよ、お願いできるわよね?」

 

 俺が泣く間も与えられず、代わりに差し出されたのは見覚えのある住所のメモ。

 ……森沢さん家やミルたんのおうちだと記憶しております。

 俺は変態専門ってことかい!?

 チクショー! やってやんよぉ!

 変態召喚師の希望に応えて、上級悪魔になってやんよぉ!

 

 

 

  ▽   ▽   ▽

 

 

 

 ぅおおおおおぉぉぉ……、とドップラー効果が途切れるまで叫び、自転車で依頼者宅へと向かったイッセーを見送り、3人は顔を見合わせる。

 

「……これでいいのですよね?」

「ええ、イッセーには全部話す必要はないわ。あの子じゃ何もできないでしょうし」

 

 本人が別の事柄に気を取られすぎて気付いていなかったが、イッセーが聞くべきことはもっと他にあった。

 意図して開示すべき情報に制限はかけたが、其処を気付けられなかった時点で彼は平凡な高校生からは逸脱し切れてはいない。

 そんな彼を巻き込むことは本意ではないし、何より役に立たない以上は口出しを忌避するためにも蚊帳の外へ置くことは当然の措置と言えた。

 

「戦力的にも見込みがないことはわかっていたけど、飼い殺しにするのも以前から決まっていたことだわ。お兄様の眷属が目を光らせていたのも事実だけどね」

「何より烏丸くんが異世界の存在であることも一部以外には知られない方がよろしいでしょうし、素直に兵藤君に教えて煽る必要もありませんわ。世の中には知らなくてよいこと、というものもあるということで」

 

 リアスの言葉を引き継いだ朱乃の言葉が二人の冷徹さを際立たせる。

 顔つきは笑顔のままだが、イッセーの扱いに関しては記憶のない状態と比べても一切の修正が施されていなかった。

 眷属に甘いとされていたはずのグレモリーは何処へ行ったのだろうか。

 

「朱乃さん……何か、怒ってません?」

「兵藤君の視線が胸から一切離れなかったことが不快だっただけですわ。きちんと躾けなさいね、祐斗」

「躾け……、りょ、了解です」

 

 笑顔のままだが、その細められた目の奥は一切笑っていないように伺えた。

 自分が怒られたわけではないのだが、思わずわずかに震えた声で返せば、話は終わりだとばかりに控えていた資料を取り出す朱乃。

 さて、とリアスが口にすれば、空気はぴしりと切り替わっていた。

 

「先ほどの邪竜ですけど、確かに伝説上に存在する名ですわ。酷くマイナーでゼノヴィアの所持していた怪物辞典にも載っていなかったほどですけれど」

 

 レイナーレの皮を被って現れ、名乗った【邪竜】という存在は見過ごすことはできない。

 邪竜『ゴルィニシチェ』、出典はロシアの物語集『ブィリーナ』より語られる。

 奇襲、不意打ち、勝負に負ければ命乞いをし、その約束を反故にすることも躊躇わない、【卑劣竜】の二つ名で呼ばれるほどの悪竜。

 物語ではそれだけやっても英雄には勝てなかったとあるが、元来強靭なはずのドラゴンがそこまで恥も外聞もない行動を起こせる知恵を働かせることが恐ろしいのだ。

 元来強靭な肉体を備えているドラゴンは、そんな小手先の技を使わなくとも神代の時代からの強者であることは事実なのだから。

 

 本当に議題として挙げるべき事情を再確認した3人。

 そんな相手であるからこそ、例え烏丸の眷属としてどうやってか蘇っていようとも脆弱なままの堕天使だと(彼女らは)思い込んでいるミッテルトが相手では、逃げられることも止むを得なかったのだろう、と勘違いもしていた。

 実際は聖杯に似た何かで復活させられていると思われる以上討伐しても復活する可能性があったために、『槍状の絶霧(ディメンション・ロスト)』という攻撃性結界神器という手札を晒すことに躊躇いが生まれたためでもある。

 攻撃するだけが戦いではない、という些事のような戦略眼すら、以前のレーティングゲームの敗北でも未だに学べていないようである。

 

「しかし、どうやって奴はレイナーレの姿をもって現れたのでしょう。イッセーくんを挑発することが目的だとしても、そうそう姿を自在にできるものなのでしょうかね、ドラゴンというものは」

「その辺りは、ひょっとすれば伝承が伝えているのかもしれませんわね」

 

 物語では英雄に命乞いをしたのち、舌の根乾かぬうちにその出身地から姫を攫い討伐されたとあるが、仮にもドラゴンがそうそう討ち取られるほどか弱いはずはない。

 そう思っている朱乃は、件の攫われた姫と姿を取り換える術か何かを使ったのでは、と推測していた。

 そうして生き延びて、今日まで封印されているのだと思い込ませたのだ、と。

 

「その推測は今は置いておくとして、問題は今後のことね。下手をすればコカビエルの時以上の被害がこの町に出るかもしれない。そのためにも、戦力の確保は第一条件だわ」

「ですわね。烏丸くんの眷属にはミッテルトさんが通達に行ってるでしょうし、私は冥界、グレイフィア様へ。祐斗は、」

「はい。皇さんにも声をかけておきます」

「私はソーナにも声をかけておくわ。アイドル活動も大変でしょうけど、流石にこんな状況を見過ごすほど附抜けているはずはないでしょ」

 

 聖杯の事情を知らない(アザゼルを除いた)聖書陣営からすれば、名を名乗って逃げ去ったとはいえ『伝承上討ち取られ封印されているはず』の【邪竜】の一角が姿を現した事実は、前回の『奇襲』で未だ姿を現していないとされる『禍の団(カオスブリゲード)』が存在している可能性を示唆させてもいる。

 

 その警戒心が、『蚊帳の外』を意識から外させた。

 

 ゴルィニシチェが何を思ってイッセーに接触したのかを、誰もが気にかけなかったのだ。

 その意識のズレは、後に致命的な運命を彼らへ齎すモノだと、それを知るのは未だ徒に差配するルシファーのみである。

 

 

 





~革製ベルトがくぱぁぁぁ…
 一巻買いました(何の話か
 詳細書くとしたら、あれだ、マックノウチ!マックノウチ!
 あれも天使と悪魔だし、うん、それほど離れた話題じゃないな


恥ずかしながら戻って参りました
お待たせしました再開です
言い訳その他の類は活動報告でつらつらやります
お暇でしたら覗いてください


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「何でも知ってるわけじゃないけれど、あの先輩が信用ならないことだけは把握できてる」

62話目
烏丸が居なくなったのでネタが書きづらいことに気付いてしまいました…
色々不安だらけの今章ですが、お付き合いいただければ幸いです



 

「あ、イッセー先輩だ」

 

 ギャスパーくんのその呟きに、彼の見ている方角へと視線を傾けます。

 すると禿頭と傷だらけの顔に強面が特徴的な伊達先生に引き摺られる、呼吸困難に陥ってると思しき土気色の顔色をした兵藤先輩とその他2名ほどの男子、そしてそれに付き添う胴着姿の女子数名が視界に映りました。

 他の男子の方はさておき、兵藤先輩の様相は明らかに救急車両の呼び出しが必要な案件に思えてきますが、それに付き添う名も知らぬ女子生徒らも伊達先生も気にかけた様子はございません。

 不審に思っていると、同じく様子を伺っていた岡崎さんが説明をしてくれました。

 

「レイヴェルさんはアレを見るのは初めてでしたっけ。覗きの現行犯ですよ」

「ああ、あれが噂に聞く……」

「なるほど、通常運転ってことね。よーしギャスパー、トス行くわよー」

「こともなげに言いますがそれって普通に警事案件なのでは!?」

 

 二学期とはいえまだ高校一年生であるクラスメイトが何のこともないように口にするのは聊か鍛えられ過ぎなのではないですの!?

 驚愕する(わたくし)を他所に、一緒に話を聞いていたミッテルトさんはボールを上へ。

 私たちと同じくブルマ姿のギャスパーくんは岡崎さんの言葉に納得しつつも、はわわとたどたどしくミッテルトさんに付き合います。

 男子である彼が男女別と思しき体育の授業で私たちと同列になることがやや不思議にも感じられそうですが、彼がその(なり)のまま男子たちに交じる方が不要な劣情を煽るのだそうで、他女子からの嫌厭の声もなしにこれが日常でした。

 って、そんなことは今は問題ではなくて。

 

「休み明けは大人しかったみたいだけど、元々あの先輩たちって『そういう人たち』なのは周知だからねー。学校側だって好き好んで恥を外聞に晒したくはないだろうし、被害者との示談で事を済ませるつもりなんじゃないの?」

「きーちゃん詳しいね。そういう経験が?」

「それはどういう経験なのかな……」

「満員電車で痴漢冤罪を掛ける経験?」

「人聞き悪いんだけど?」

 

 さらりと高校生らしくない説明を被せる斧崎さんですが、ミッテルトさんの軽口で岡崎さんからの視線が微妙に引かれているのはどうしようもないのかと。

 この辺は烏丸さんの居た影響なのでしょうか。

 窘めている本人は言うほど気にした様子はありませんが。

 

「そいえば噂じゃ木場先輩と良い仲だって聞くけど、そこんとこどうなの?」

 

 と、斧崎さんがこれまた聞きづらい問いをこちらに振ります。

 一応は同じ部活動に所属している私たちに、恐らくは軽い意味での真相究明っぽいですが……。

 ……い、言えませんわ……!

 女性化した木場先輩を孕ませてこっそり付き合っている、だなんて真実を、まかり間違っても仄めかすことが出来るはずありません……!

 いえ、わざわざ教える必要性がないのは事実ですけれど、こう咄嗟に話を振られると普段の現実を把握している身としては何とも言い難い妙絶な間が空いてしまうのが不測過ぎて……!

 

「ああ、あいつらホモだから問題ないよ」

「いや、そこは問題しかないんじゃないですか……?」

 

 その逡巡の間に、ミッテルトさんのどうということのないセリフが挟まれます。

 というか、それはフォローになっていませんわ!?

 幸いにもミッテルトさんは軽口と冗句を実しやかに口にするキャラ、という認識が強いので本気にする方は居られませんが、さらに追及されるようになったらどういたしますの!?

 

 

 

  ▽   ▽   ▽

 

 

 

 さて、俺が復活してから早くも1週間が過ぎた。

 ――首輪はまだ取れない。

 

 ……いや、これおかしくね!?

 部長の言葉じゃ軽く締まる程度だって話だけど、西遊記のアレみたいにギリギリ締め付けてくるよ!?

 酷い時にはクラス以外、廊下で女子に声を掛けたら締まって、吊るして、弾くような衝撃の後に脱力し、どさりと落とされた。

 声かけの瞬間に嫌そうな顔した女生徒の対応にも問題ありだろうがぁ!?

 汚物ってか!? 俺は存在が汚物ってか!?

 時代劇の仕事人に処理されたかのような俺を、心配してくれる女子はいなかったよ……っ!

 

 それならば、と部室で召喚依頼を待つ間、祐奈を相手に『女の子の扱い方』を実践付きで教わる俺。

 同じく屯する後輩2人にやや引かれた顔で伺われていたけど、命の危機に比べたらなんてことはないね!

 な、泣いてなんかいないんだからねっ!

 なお、未だ合格点は出ない模様。

 お陰で随分とご無沙汰ですよ、ははっ。

 ご無沙汰と言えば……、

 

「レイヴェルは烏丸についていかなかったんだな」

「……あの兵藤先輩、あまりこちらへ卑猥な視線を向けないでいただけますか……?」

「喋っただけですけど!?」

 

 レイヴェルの距離の取り方が物理的にも遠い。

 同じく召喚待ちの後輩フェニックスは窓際に学校備品の簡易な椅子でギャスパーと談笑中であったのだが、ふと気づいた俺の問いに返ってきた言葉は普通に辛らつだった。

 その距離は部室内で実に2メートルほど離れているのだが、グレモリー眷属への移籍出向中という彼女も下級悪魔としての仕事を割り振られている以上はこの場にいないといけない。

 ……あの、この拘束具やっぱり外しません? 誰も幸せになれないよコレ。

 

「喋っただけでそれだと昼日中に街中を歩けませんよ、イッセー先輩……」

「そうだね。今後はもうちょっと性欲を抑えるのが課題だね」

 

 レイヴェルの言葉にあっさりと同意を示すギャスパー&祐奈。

 マジで? そこまでわかりやすいか、俺?

 

 いや、実際以前の体育倉庫でレイヴェルのセックスシーンだけでなくて、小猫ちゃんと比べるまでもなく豊かになった後輩おっぱいを目の当たりにしちゃってるわけですからね? こう、現実にAV女優と顔を合わせたみたいな感激というか感動というか……」

「感動している人は男女問わずに其処まで表情筋緩まないよ。あと声に出てるから」

 

 気付けば、こちらをジト目で呆れ見る祐奈に、自分の身体を隠すように斜に構えるレイヴェル。

 ギャスパーは大して変化はないが、室内の空気が四面楚歌なのはよぅくわかった。

 とりあえず、後輩でも女の色気が凄いレイヴェルと一発やってみたくなりました!

 

 ……っ、はっ、かひゅっ、首がまた、締まって……っ!

 

 

 

  ▽   ▽   ▽

 

 

 

「どーもぉー、お呼びにいただき参上しましたグレモリーでぇーっす……ってぇ、ありゃ?」

「おー、悪魔くん。いらっしゃい、待ってたよー」

 

 さて、久しぶりに【変態】ではない新規のお客さんからのご召喚!

 此処で新たなカテゴライズへと開拓すべく、ちょっとばかり気合を入れて転位したわけだが、そこで迎えてくれた召喚主様を見て少しばかりの意表を突かれた。

 いや、転位が出来なかったわけじゃないんだけどな?

 俺が毎回自転車で参上するのは常連さん方から「なんか似合わない」と言われるご意見に沿った選択なのであって、何も俺自身が毎回自転車で玄関からインターホン鳴らして馳せ参じたいわけじゃないんだ。実際、アザゼル先生に呼び出されたときとかはしっかりと転位で召喚されていたわけだし。

 そのときにもあったことなのだが、召喚士さんの側に相応の実力があれば、下級悪魔でも個人指名を受けて召喚される場合が結構ある。

 しかもその場合は相手側の術がこちらの足りない魔力を補ってくれるので、俺みたいな呼び出されることが不得意な悪魔でも問題がないとか。

 いや、森沢さんが悪いわけじゃないよ、ただ初めて悪魔として召喚されるなら悪魔っ娘に傾倒した童貞のアニオタじゃなくて、悪魔召喚に実践的に慣れたちょっとでもお色気成分が可能性ありそうな魔女っ娘の方が良かったなって話だよ。うん。

 はっ……! 否応なしに実力のある召喚士に呼び出されて拒否できずに身体を許してしまう悪魔っ娘……! ――今夜の『おかず』が決定したな。

 ……だって、マジで最近ご無沙汰だしさぁ……(イジケ。

 

 話が逸れたが、俺が意表を突かれたのはそういう『おかず』に気付いたから……とかいう理由ではなくて。

 

「まあ楽にしてくれよ。召喚の対価だってきちんと払うからさ」

「いや、お前……えぇ~……」

 

 呼び出した奴が、年端もいかない子供(少年)であったという事実についてだ。

 現実に居るんだな、そういう幼年召喚士みたいなドラマ的な存在って……。

 

 そーいえば、先日のレーティングゲームで天界側から呼び出されたゲストにもけっこう若い子供が混じっていた気もするし……。

 い、意外と珍しくもないのか? こっちの社会(世界)じゃ……?

 

「改めて自己紹介させてもらうかね。リゼヴィムってんだ、よろしくなぁ悪魔くん」

 

 促されるままに、何処かのホテルの一室へと召喚された俺は、高級そうなソファに座り偉そうな態度の子供召喚士と向き合う。

 なんかデジャブを感じると思ったら、状況的にアザゼル先生に呼び出された時と似通いすぎてて納得する。

 あれ、でもちょっと待て、そうなるとこの子供も人外の可能性が……?」

「お、もう気付いたのか? そーだよん、こー見えてキミより年上だぜ」

 

 うっ!? 心を読まれた!?

 態度からもそんな気はしていたが、実際やられると納得するなぁ……!

 

「ふぅ……。で? 俺になんか用でもあるのか?」

「お? 案外取り乱したりしねぇのか。ひと昔前のミステリー追跡漫画みたいに大袈裟に驚いてくれたっていいんだぜ?」

「いや、こーいう呼び出しはもう二度目だし、あんまり大げさに反応しても見る側を喜ばせるだけじゃねーか」

「なーんだよ、そこがいいんじゃねーか。つまんねーやつだなー」

「そうそう楽しませてられるか、俺は道化じゃねーんだよ。大体、こっちの心を読むような真似を軽くできるやつを相手に、アレコレ考えたって無駄じゃねーか」

「……いや、最期ら辺キミ自分で口走って……ああまあいいか別に」

 

 何か小声で呟かれた気がするが、開き直っていた俺にその言葉は届いていなかった。

 そちらを訝しげに見直したときには、小学校低学年にしか見えないそいつは既に気を取り直すようにその表情を愉悦に歪めていたところだった。

 

「さて、今日キミを呼び出したのはお願いしたいことがあるからなんだが、その前にちょっとした『おしゃべり』をしよう。なぁ悪魔くん、先日までキミたちのところにいた烏丸イソラってやつが今何処にいるのか、知りたくはないか?」

「――知ってるのか、お前……?」

 

 俺が散々な苦汁を舐めさせられた原因であるあの屑野郎を、この子供がなぜ知ってるのかは今は問題にしない。

 思わず身を乗り出すようにそれに食いつくことを自覚するけど、何よりも欲しがっていたことならば『そうなる』のは当然だ。

 

 部長たちからも、それとなく教えられていない事情があることは、何となくだが把握していた。

 自分の眷属が出向するのだから、居場所が知れないなんてことは絶対にないだろうし、何より俺が烏丸にこういう感情を向けることは誰の目にも明らかだったからこそ、詳しく教えてもらえないであろうことも納得できた。

 だが、其処を避けて知れる情報源が新たに出てくれば、――どうにかして奴を不意打ちできる……!

 

「教えてくれ、アーシアたちは何処にいるんだ?」

「おーおー、食いつくねぇー」

 

 何処となく誰かに似ているような気がしないでもない、リゼヴィムの歪んだ笑みが怪しくても、アーシアを助け出すためならどんな敵だろうと倒して見せる……!

 その覚悟で聞いた話は、俺の想像を超えた異常な話だった。

 

「――異世界? マジかよ……」

「――とまぁ、烏丸って奴の居場所は判明したが、聞いて分かる通り簡単に行ける場所じゃねぇ。そこでだ、悪魔くんにお願いしたいのは此処からなんだ」

 

 詳しい話は語らなかったが、烏丸に俺みたいに何かしらの因縁があったと説明するリゼヴィムは、反撃のために異世界への扉を開きたいと言い切った。

 そして、そのために必要な『何か』の一端として、【赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)】の使い手である俺への願い。

 

「俺たちと手を組まねぇか? 一緒に異世界へ行って、烏丸の奴をブッ飛ばそうぜ」

 

 その勧誘に、俺は――、

 





よく異世界転移という言葉を目にしますが、よくよく考えたら転位が正しいんじゃないかって思いました
辞書を見るとそんな漢字
なお、今回一部読者が予想した展開ですスンマセン


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☆「その手に掴んだものは、決して手放したくない……!」

更新した気になってすっかり忘れてました

63話だよお待たせー



 

 

「――……断る」

「ほぅ?」

 

 

 イッセーはそう間も置かずに、リゼヴィムの要求を断った。

 異世界へ進出しようという彼の企みはともかく、イッセーに何をさせたいのかも詳しく説明する暇もなくの拒絶だ。

 烏丸に対して色々と鬱憤が積もっているだろうに、その辺りの自尊心を擽るような勧誘を敢行したにも拘らず、だ。

 交渉としては決裂もいいところなのだが、しかしリゼヴィムは拒絶されたことに、思わず面白そうに眉目を歪めていた。

 

 

「何故か聞いてもいいか? 悪魔くんは、烏丸イソラを許せないと思ってたんだがなぁ」

 

 

 そういった返答にいきり立つのは、精々が現悪魔社会で『立場』を笠に着ている貴族程度のモノだ。

 悪魔としての実力として重視される、年月を重ねて貯め込まれる魔力総量を喪失し、手引きの組織戦力をほとんど使い捨てられ人員不足としか言いようのない少数人員を引き連れる羽目となったリゼヴィムには、『子供の不理解』程度で癇癪を返すほどの『余裕』はない。

 自分の要求が通って当然、と思考が凝り固まっている貴族のようには狎れやしない、と内心皮肉たっぷりに彼は尋ね返していた。

 

 その内実は無意識の領分。

 領分の幾つかには、また別種の愉しみを味わおうとする少年心があることを、リゼヴィムは自覚していない。

 正直現状から何からで苦汁を舐めつつあるリゼヴィムなのだが、引き籠っていた時代と比較するとずっと充実したハードル挑戦の連続で、困難な立場を味わうほどに愉悦が零れるような、軽い被虐症状が誘発されているようになっていた。

 が、改めて言うがそこに自覚症状は無い。

 それもこれも烏丸ってやつの所為なんだ!

 

 

「いや、正直異世界とか行きたくはないんだけど? 確かに烏丸の奴は許せないけど、異世界に喧嘩を売るって要するに戦争するってことじゃねーか。戦争するとエッチなことが出来ねぇ! だから断らせてもらうぜ!」

 

 

 と、リゼヴィムの微進化はさておいて、イッセーはきっぱりと誘惑を跳ね除ける。

 その辺の事情を把握できているのは、以前の駒王会談でアザゼルの例え話が耳に残っていたためと思われる。

 理由としては実に情けないが、それでも正解を引き当てるあたりは主人公と呼んで然るべきかもしれない。

 よっ、寝取られ主人公っ!

 

 

「アーシアちゃんを連れていかれたのにかにゃ?」

「なんだかんだ言ってもアーシアは悪魔だろ。ずっと人間である烏丸と一緒に生きていられるわけはない。帰ってきたときに迎え入れてやれば、すぐにバカなことをしていたって気付いてくれるさ」

 

 

 事情の摺り合わせに伴って、イッセーはアーシアが人間に戻ったことを把握していない。

 イッセーには伏せられている情報がどの程度までなのかをリゼヴィムも知らなかったから教えていなかったが、自らが優良種族へ存在進化(ランクアップ)しているという事実に胡坐を掻いている『子供』では、返答が日和見になるのも無理はなかった。

 改めて、交渉は失敗した。

 

 

「そーかい、そりゃあしかたねーなぁ」

 

 

 が、リゼヴィムは大して残念にも思わずに言葉を返す。

 交渉は失敗したが、そこに彼は重要性を備えてはいなかった。

 

 

「悪ぃな、烏丸征伐は見逃せねぇが、手を貸すだけの義理もない。ていうか、そんなことに時間割いてたら俺が出世できねぇし」

「いやいや、こちらこそ悪かったなぁ。考えてみりゃあ悪魔くんの上司に断り入れずに勧誘するのもヒデェ話さ。聞かなかったことにしといてくれ」

「おう。上手くいくことを祈ってるぜ!」

 

 

 もう一度言うが、情報を正しく与えられず、何より覚悟もない子供を、これ以上勧誘する余裕はリゼヴィムにはない。

 失敗しても胎も痛まない交渉なのだから、流れたとしても不備とは思っていなかった。

 

 朗らかに談笑する少年たち。

 しかしその隙間を、蛇のように悪意が潜んでいるとはイッセーのほうは思いも依らない。

 ひとしきり笑い合った後、その悪意は滑るように彼へと押し出された。

 

 

「――さておき、今回の報酬だ。ぜひ受け取ってくれ」

「ハァイ、イッセーくん♪」

 

 

 何処か厳かに、リゼヴィムの声がそう聴こえたイッセーは、彼の背後にするりと現れた少女に目を見開いた。

 

 

「っれ、レイナーレッ!?」

 

 

 ある種トラウマに似た思い出を抱いている少女、ご丁寧に駒王学園の制服に身を包んだ人間としての名を天野夕麻といった黒髪の少女が、朗らかに手を振っていた。

 

 

「お、お前っ、なんでっ!?」

「落ち着けよ悪魔くん。報酬だって言ったろ?」

 

 

 その突然すぎる再会に、思わずソファから立ち上がってしまうイッセー。

 落ち着いている目の前の少年に諭されるように呼びかけられても、その動揺は抑えられそうにもない。

 

 

「報酬って何のことだよ!? ていうか、レイナーレは死んだはず……!」

「アレェ? 先日に挨拶に行かなかったか?」

「ぇ、あ……!」

 

 

 と、そこで思い出す。

 一週間前に、自身がこの世界のことを思い出す切っ掛けとなった出来事を。

 そして彼女の生死に関していても抜けていたのだと、状況が錯綜に陥っていると解かりつつも、自分の言動の間抜けっぷりに赤面してしまう。

 それをからからと笑い飛ばすリゼヴィム。

 まるで朗らかな家族の団欒のような穏やかな光景が、そこにはあった。

 

 

「お間抜けだなぁ、悪魔くんは」

「うっ、うるせぇっ! いきなり目の前に現れたら誰だって驚くだろうっ!?」

「あらら、驚かせちゃったみたいねぇ」

 

 

 改めて、生前のレイナーレには感じられなかった何処か高慢な態度を伺えず、妙にほんわかとした雰囲気を感じ取ったイッセーは、まじまじとレイナーレの姿をした彼女を見る。

 

 

「えーと、確か中身が違うんだったよな。何て呼べばいいんだ?」

「どうとでもいいさ。なんなら、天野なんとかって呼んでやればいい」

 

 

 ならば夕麻と呼ぼう、と心に決めるイッセー。

 トラウマ混じりとはいえ初デートを楽しんだ女子だ、危険度が感じられず、さらに何処か好感触のようなモノを匂わせて来れば、そこまで警戒することもないだろう。

 

 

「……で、報酬ってどういうことだ?」

「簡単な話だ。此処まで来てくれた悪魔くんに、こいつを一晩貸し与えてあげよう、ってだけのな」

「……なん、だと……!?」

 

 

 別の意味で警戒が先走る。

 同時にバッと勢いよく顔を上げ、その視線は夕麻の身体へと釘付けとなった。

 今度は別の意味で彼女の身体を視姦する。

 イッセーのイッセー自身の方も先走っていた。

 

 

「勧誘は断られたが、召喚されることそのものは悪魔くんのお仕事だからな。今夜時間を取らせちまったそれ相応の対価を貰えないんじゃ、キミだって納得いかないだろ? かといって、こちらの要求を満たしてくれたわけじゃないんだから、宝石とかをポンと出せるような吊り合いは取れてない。だから、――こうして形が残らないで、キミに満足してもらえるような『お土産』を送りたいんだよ、悪魔くん」

 

 

 どちらが悪魔かわかったものではない言い分であるが、それに気づくイッセーではない。

 彼は今、夕麻の身体を品定めするのに夢中である。

 リゼヴィムの言葉にうわの空で、イッセーはどうにかして返事をしようとする。

 即座に状況に甘んじようとしないのは、リアスや木場に少しばかり後ろめたいためでもあったが。

 

 

「い、いやぁ、でも、そんな、悪いってぇ」

「いやいや、こっちもさっきは無茶なことを要求しちゃったからそのお詫びも込めてな? ああ、心配しなくても病気とかもない()(さら)な新品だから安心していいぜ? 今だけ悪魔くんだけにご奉仕しちゃう女の子だから、好きなよーに扱っても構わないからな」

「す、好きなように……!」

 

 

 リアスや朱乃ほどのボリュームはないが、例えるならばゼノヴィアくらいにメリハリの利いた魅力的なバスト。

 堕天使の姿になったときには思わず目を引かれた、露出された肌にはシミひとつなく、肉付きの良い太ももや臀部などは実に抱き心地が良さそうだと連想される。

 ごくり、と生唾を飲み込む。

 後ろめたさは一瞬にして灰燼と化した。

 

 そういえば、最期にシタのはいつのことだったか。

 夏休み中に木場を相手に初モノを体験してからは、リアスと一度だけ、そして顔も覚えていないが誰か良い身体の女子を抓んだような記憶がある。

 実感だけが残っていて誰なのかが思い出せないので、ひょっとしたらグラビアアイドルか何かと明晰夢ででも味わったのかもしれないがそれはさておき。

 考えてみれば木場とすらも、今では性欲を擽られるように掻き立てられるだけで、性行為がそれ以降に成立した記憶がない。

 

 そこまで思考が循環した頃には、長いことお預けを食らっている猛獣の如く、イッセーは目の前のごちそうに今にも齧り付かんばかりの鼻息で目を見開いていた。

 

 

「というか、ぜひ召し上がってくれると助かるんだけどなー。こっちはちょいとばかり表沙汰に出来ない計画の一端を語っちまったし、口止め料ってことで貰ってくれると安心できるんだけどなぁー」

「し、仕方ねーなぁー! 悪魔だし、対価を貰うのは悪いことじゃないもんなぁー!」

「そうそう、悪魔くんもわかってるじゃないか」

 

 

 あ、覗く趣味はないから俺は退散させてもらうけれどな? と言い残し、リゼヴィムが部屋から立ち去ったその瞬間。

 イッセーはル●ンダイブで夕麻へと躍りかかる。

 早脱ぎコンマ1.5秒。

 世界新であった。

 

 

 

  ▽   ▽   ▽

 

 

 

 やる気になったイッセーが躍りかかるその前に、夕麻は自然とソファの上へと陣取るように移動していた。

 飛びかかってきたイッセーに、押し倒されるがままに抱き着かれる少女の中身は邪竜であるのだが、行為自体に異存はないらしく本当にされるがままである。

 胸を強調するまともな教育機関としてはあり得無さ過ぎる制服に手を伸ばされて、抱き留められた少年は夕麻の心情など気にも留めずに豊満な乳房を貪った。

 衣服の上から皺になるのも構わず指先は這い回り、乳の谷間に(うず)められた顔は鼻息も荒く、バフバフグリグリと押し付けながらその隙間から匂いを嗅ぎ感触を味わう。

 押し広げられるように開いたシャツの隙間から覗く肌とフリルのついた下着を見つけると、シャツの上からもふくよかさを捉えられた双丘を鷲掴み、より乱暴に顔面を(うず)め続けた。

 そんなイッセーにしかし、嫌厭しても可笑しくないはずの少女は笑いかけ、その頭を優しく撫でつける。

「こぉら、慌てないの。そんなにがっつかなくたって、私は逃げないわよ?」

 慈母のような微笑みは、少年がこの数年味わったことのないものであった。

 実はリアスとか朱乃とか祐斗とか、初期から数えてもイッセーにそこまでの優しさをはっきりと示したことはない。

 祐斗は女性として未成熟過ぎるために、その感情を愛と呼ぶには独り善がりが果てしなく、リアスや朱乃の場合は最初の頃は、下級生相手というよりはペットを相手にするような感情しか抱いたことはない。

 もう少し良い形で関係が発展していたのならば、女子高生としての精神性に伴ってそれなりの立場と愛情を得られていたのかもしれないが、今の彼女たちは先走った身体の関係で爛れた性欲に(かま)ける畜生と大差のない雌であるので、見込みはもはや微塵も無かった。

「……っ、ぅ、ぅおおおおっ、夕麻ちゃぁぁぁん……!」

「んっ、ぁあんっ」

 そして、味わったことのない感情を向けられたその衝撃は稲妻のようにイッセーの脳裏を掠め走り、イッセーもまた女子を慈しむという感情を思い出させてくれた夕麻に縋りつくように泣きついた。

 そしてそのまま手付きは変わらずに乳房を揉みしだく。

 泣きついても行為に変動はなかった。

「……ねぇ? おっぱいが好きなのはわかったけれど、どうせなら直接触ったらどうかしら? 制服や下着越しなんかより、ずっとそっちの方が気持ちいいわよ?」

 

 夕麻の言葉に一端のクールタイムを設けられ、彼女が制服を脱ぐことをそわそわしつつも座して待つイッセー。

 夏服なのでケープはないが、腰回りを覆う謎の装飾を除けば、駒王の制服は身体の線を視覚効果で細く見せる縦縞柄のシャツに、膝上15センチはあろうかという下着をギリギリの領域で隠す裾の短いスカートのみ。

 女子だけ無駄にハイクオリティな駒王学園制服を脱ぎ捨てて、夕麻は薄い桃色の下着と紺の靴下しか身に着けていない。

 衣服で隠れていた腰から太腿にかけての下半身は女性らしいふくよかさを見せながらも、陰部を隠す薄布の上には無駄な肉がほとんど付いていない、よく引き締まった腹を外気へと晒した。

 その状態で後ろ手にホックを外そうとしたが途中で止めて、凝視するイッセーへと声をかけた。

「全部脱いじゃっていいの? イッセーくんの好きなところで止められるのだけど」

「っ! じゃ、じゃあっ、ソックスだけ残して、パンツから下ろす形でっ!」

「ふふ、ほんとおっぱいが好きなのねぇ」

 止めていた手をショーツへと回し、程よい肉付きの太ももに擦るように指先を滑らせる。

 引き締まった腹とは裏腹に柔くふっくらとした下腹部と薄布越しにも透けていた薄く生え揃った陰毛が覗き見せるが、イッセーからすればメインディッシュはその次だ。

 再び後ろ手にホックを外した夕麻のもったいぶった仕草に、猛牛のような鼻息で前のめりになるイッセー。

 目を限界まで見開き、カップからプルンとこぼれるふくらみを、桃色の先端まで余すところなく視界へ納めていた。

「はい、どうぞ♪」

「い、いっただっきまぁぁぁっす!!!」

 とうとう露わになった双丘へ、再度飛びかかって行くイッセー。

 掴みかかり、むしゃぶりつき、張りのある柔肌と豊満な乳房の感触を、リアスにしたように味わい尽くす。

 イッセー少年の乱暴な手つきは、夕麻の時折挙げる歓声に駆り立てられながらも、豊潤な果実を蹂躙するように夢中に貪っていった。

 

 そうして10分ほど堪能したころ、未だ顔を埋め続けるイッセーへ、甘い嬌声を上げ続けていた夕麻は尚も優しく声をかけていた。

「イッセーくぅん……、そっちのほうも、もう我慢が利かないんじゃなぁい?」

 夕麻の指先が、イッセーの股間に触れるか触れないかの距離で指し示す。

 全裸であったイッセーは改めて、己のガチガチに反り勃ったイチモツを認識する。

「好きにしていいんだからねぇ……?」

 夕麻の指先はイッセーの股間から、自分の股間へと滑っていた。

 薄い陰毛に隠れていた、柔く滑らかな膣口の割れ目を広げる仕草が目に映る。

 甘い声音に誘惑されたイッセーであったが、しかし、と逡巡した。

「な、なぁ、それじゃあ夕麻ちゃんが挿入(いれ)てくれよ。俺のちんこを握ってさ」

 掴んだままの乳房から手を放したくなかったイッセーは、そんな提案をしていた。

 リアスも祐斗も、腰を落としたのは自分の行動で、処女であった2人を自分がリードする形で初体験を済ませた。

 そう自負しているイッセーであったが、一番好きなのはおっぱいだ、本音を漏らすなら男女の決着をつけるその瞬間までもずっと放したくない。

 そんな独り善がりから漏れ出た提案であったが、それすらも夕麻は微笑んで受け入れていた。

 

「ぁぁあんっ、はいったぁぁ……っ!」

 細い指に握られた瞬間に爆発しそうであったが、それを乗り越えたイッセーをぎゅうぎゅうに包み込んだのは夕麻の肉穴であった。

 思いの外狭く、膣壁で感じる襞のざらざらとした感触が、今にもイッセーの息子を暴発させそうになる。

 気持ちいいのに苦しい、相反する感触に身動きが取れなくなるイッセーへ、夕麻は抱き着くように腕を彼の背へと回して囁いた。

「ねぇ、いいこと教えてあげる。この身体、再生してから『こういうこと』をしたのは、あなたが初めてなの……♪」

「っっっ! ゆっ、夕麻ちゃぁぁぁぁんっっっ!!!」

 その囁きでイッセーの箍は完全に外れた。

 堕天使であった夕麻はイッセーの知らない男に身体を預けたかもしれない過去がある、とイッセーの中では雌豚(ビッチ)扱いであった。

 だが精神面はさておき、現状の夕麻は間違いようがない初物で、自分がその最初として好きにできるのだ。

 中身がどれほどビッチ(雌豚)であろうが、身体はスタイルが最上の美少女だ。

 そう認識したイッセーは、自分の腰へと脚を絡めてくる夕麻へ向かって、激しく前後へと運動を始めていた。

「あっ、ああんっ、はげしいっ、いいわよぉイッセーくぅんっ、もっともっとしてぇっ」

 ガッツンガッツンとソファが壊れるくらいに腰を押し付けて、夕麻の股間から滲んだ血液が水鉄砲みたいに押し出される。

 しかし夕麻は痛みなどを返さず、嬌声と愉悦の悲鳴でイッセーを急き立てる。

 なおも掴まれたままの乳房は握り締められるように形を変えて、股間をぶつけることで口元も噛みしめたイッセーの歯形が乳首を傷つける。

 夢中で夕麻を貪るイッセーは、その傷跡に一切気が付かず、彼女の身体を見る見るうちに傷だらけにしていった。

「あっあっ、おっおっ、ゆっ、夕麻ちゃぁんっ、おれっ、もうでるぅっ!」

「いいわよぉっ、すきにしてぇっ、たぁくさんっ、私の中に出してぇっ!」

 そんな無茶な交尾は当然長くは続かず、早くも限界を迎えたイッセーは、自身の叫びとともに精液を絞り出すように吐き出した。

「~~~ぉっ、ぉ、ぉぉお~~っっ……!」

 背を仰け反らせたイッセーは、声にならない海驢みたいな鳴き声を上げながら、股間同士を張り付けることに無上の悦びを感じていた。

 夕麻の膣穴に、白く濁った粘液がマグマみたいに流れ落ちる。

 その熱を子宮で受け止めながら、ぷつりと意識が落ちたイッセーを、夕麻は抱き留めて微笑んだ。

 

 その顔は、――何処かの新世界の神のように酷く歪んでいた。

 

 

 

  ▽   ▽   ▽

 

 

 

 その後、数十分後に目を覚ましたイッセーが夕麻の乳の柔らかさから離れられなくなりしばらく重なり合っていたところを、夕麻自身の謎魔法で次弾装填(意味深)させられるイッセー。

 そんな遣り取りを数セット繰り返したところで、ようやく賢者モードに移行することが出来たイッセーが帰宅する頃には、長い夜は明けようとしていた。

 身支度を整えて満足して帰ってゆくイッセーを笑顔で見送り、夕麻はホテルの部屋に備え付けてあるバスローブを羽織って身体を休める。

 肉体は脆弱な女性であるが、その中身は封印を解かれた邪竜だ。

 イッセーが自覚しないままに痣と歯形だらけになった身体は、竜の備え付けている回復力の働きによって自然と治っていった。

 

 

「首尾はどうよ?」

「上々、ってところかしら」

 

 

 ジュクジュクと傷口が塞がり、元の白い肌に戻ってゆく様を眺めていたところへ、退室していたリゼヴィムが意味深な言葉とともに帰ってきた。

 脇にはクレオがついている。

 夕麻の、バスローブを羽織った『だけ』の前を一切隠そうとしていない姿に赤面し、思わず目を逸らす思春期の眼鏡少年が其処にいた。

 

 

「途中ばれないように竜と混ぜる術式を加えたから、遺伝子にはキッチリと補填されてるはずよぉ? クレオきゅん、恥ずかしがってないでしっかり働きましょうねぇ?」

「わ、わかってるよ。エレクトラを助けるためにも、やるべきことはきちんとやるさ」

 

 

 以前にも語ったが、彼がエレクトラと呼ぶ銀髪の少女はグレイフィアの劣化遺伝子とユーグリットの遺伝子とを混ぜ合わせて製造された合成悪魔(クローン)だ。

 今はもう亡きユーグリットの生命倫理を冒涜する独善に基づいて製造された数多く()()少女たちの最後の生き残りであり、その寿命は酷く短い。

 それはユークリッドの備えていた思惑、というよりも、元より【聖杯】を使用する際に参考にされた人の世のクローニング技術の限界のようなものだ。

 これもまた以前に語ったが、元々使用された素材が摩耗し切ったモノであり、それを培養しても細胞分裂数が早期より上限を振り切っていた。

 【聖杯】はあくまで生命の改竄や改造に対しての性質を発揮する神器であるので、生命を一から創ることには性能を割り振られてはいない。

 其処まで出来たら『聖書の神』のような【原初神格】相当に値するし、例えそれの息吹が誂えられた道具であろうと、いや、道具であるからこそ『その領分』へは踏み込めない。

 一見万能に見えても出来ないことも当然あるのだ。

 そして、クレオの持つ【生死覆す万象の杖(ロッド・オブ・アスクレピオス)】は拙い治療能力に魂の召喚を性質に持つ。

 元より魂そのものが粗雑かつ矮小なエレクトラを、最低でも健常な人生を送らせる程度までですらも、彼の神器では尽力すらも及べない領域の話であった。

 

 そんなクレオが助けたいと、偏に願った彼に出来ることは、何を何でも利用して、エレクトラの延命措置を施してもらう伝手を探ることだ。

 そのためならば、彼は悪魔(ルシファー)に手を貸すことも、【赤龍帝】を騙すことも厭む気はなかった。

 なお、読者が思い浮かべたこの世界特有かつ最大の延命装置に当たる【悪魔の駒(イービル・ピース)】や、ネフレアの持つ神器【托卵促す怪物の雫(エキドナ・ドロップ)】も、エレクトラのような特殊人種に対しては効果の程が不明瞭に過ぎるので見送られている。

 ひょっとすれば『人造魂魄』というカテゴリに属するクローン多人数で共有されていたと思しき魂を所持しているエレクトラが、それらの装置や神器の抱えている使い手でも思いも依らない副作用が効果を発揮しないとは限らない話。

 それにそもそも、英雄派に所属していたクレオらが悪魔を増やすことを良しとしない建前もあるが、エレクトラにはむしろ普通の女の子としての人生を送ってほしい、と願っていることもまたクレオの本心であった。

 

 旅の最中に肉体の機能障害が発覚し、突然倒れて以降療養に回された少女を思い浮かべ、クレオは決意を再び固める。

 顔を上げた少年は、覚悟を決めた目つきで呟いた。

 

 

「任せろ。赤龍だろうがなんだろうが、素体さえ用意すればこっちを『本物』に変えてやる」

 

 





いろんな方が予想立てましたが、この世界線のリゼヴィムさんは原作よりややマイルドになりました。会談の最中にパスタ持って踊るおっさんなんていなかったんや
原作で見せたラスボス系にあるまじき小物臭がしないぞ!貴様誰だ!

そして名前が出ませんでしたがゴルィニシチェさんのエロシーン
女の人は口先だけなら何とでも言えますし言います
――気をつけなはれや!


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☆「何を書けばいいかわからないとき、とりあえずエロいのを書いておけば問題は無いってじっちゃが言ってた」

間に個人的に余計なものが挟まった気がして何話目なのかが判別できない
とりあえず番外編です



 

 銀糸の髪に透き通る肌、胸部の豊満なふたつの果実。

 これだけの特徴だと肌の張りから柔らかさまで、穴の具合から身体の相性までと通算四日程度しか付き合っていないのに味わい尽してしまった、紅魔館PAD長に似たあのおひととカテゴリが被る被る。

 しかし経産婦である咲夜さん改めグレイフィアさんと比べて、絶対的に彼女の方には経験が足りない。

 そうでなければ、こんな非常識な男子に惚れるなどということは無いはずですので。

 

「ココか? ココがイイのか? アァン?」

「んほぉぉっ! しょうでしゅぅぅぅっっ! しょこがいいんでしゅぅぅっっっ!」

 

 呂律の回ってない銀髪戦乙女ロスヴァイセを、少々乱暴に組み伏せる。

 彼女は甲冑をつけているが、手甲脚甲程度の守るべき場所も守れていない丸出しで四つん這いの恰好だ。

 結果として、晒し出されてぶら下がった乳房は責められるたびに前後に揺れて、突き出した尻は穴をヒクつかせながら膣口を穿られる快感に震えている。

 部屋の薄暗い明りで夜景が見渡せる大窓にはアヘ顔で悦ぶそんなロスヴァイセの痴態が映し出されており、それを自覚してなのか猶更窄まる子宮口は俺の肉棒を汲々と締め付けていた。

 ところでぶら下がっている乳房だが、その大きさの割には『垂れる』という形態推移が為されておらず、そのものの自重を忘れたかのようにぷるぷると震えている。

 やっぱり重力魔法とかかかってない? 神秘人種の身体ってスゲー。

 

 ロスヴァイセがこうして人目を忍んで俺に会いに来た経緯は、まあ色々と理由がある。

 初めのうちは北欧神話の使い宜しく、エインフェリアルという戦争に駆り出されるための神々の英雄として勧誘しに来たわけだが、確かアレって死んだ魂を導くのではなかったかな?

 元々なる気もないが、それとは別にロスヴァイセは個人的に俺を囲おうという意図が垣間見れた。

 ……いや、英雄に相応しいかどうかを確認するためには精力を測るのが第一、って明らかにエッチする口実にしか思えないから……。

 

 その後も、ちょくちょくと理由をつけては逢瀬を繰り返す戦乙女。

 流石に養護教諭として就任した手前、学校で人目を憚り乳繰り合うようなリスクを負う真似はしなかったが(シたがっていた気配はあったが)、最初に突き合ったラブホ近辺に集合する形での呼び出しが懇願するように幾度もあった。

 例えば、アザゼル先生からの愚痴でも聞いていたのか、俺が帰還のために次元の狭間を通過する際に、世界断層を遮る壁みたいに封印の要となっていた巨大生物に関するレポートを用意できる、というのが今回の題目だ。

 英雄として勧誘を掛けられることよりは幾分かマシだが、件のレポートを提出する代わりに好みのシチュでシテ欲しい、と。

 ……まあつまり、今回の此れは俺の趣味とは違う。

 

 なんでも、現在戦乙女コミュの間で『くっ殺女戦士プレイ』なるモノが流行中であるらしい。

 色々と屈強なエインフェリアルなんかに無理やり責められて、最終的には子宮が屈してしまうような過程を愉しむのだとか。

 尤も、元ヴァルキリーの大隊長に当たる現ブリュンヒルデなんかは、実際に屈強なエインフェリアルである現ジークフリードを従僕させて豚みたいに鳴かせるのが好みのプレイだとかいう話なので、それはそれで業が深いよね……(遠い目。

 ……アレ? ジークフリードって何処かに居なかったっけ……?

 

 色々終わってんな北欧神話、とか思ったり、微妙に記憶の端に引っ掛かりそうなキーワードに既視感を覚えたりしたが、それはそれ。

 さて此処でちょいと回想を挟むが。

 

『……くっ、私はそう簡単に陥落したりはしませんよ……っ、異端に晒されようと戦乙女の潔意までは犯せません! 無駄なことは止めるのですね!』

『くっくっく……、その気の強さを何処まで持たせられるかな……?』

 

 熊本弁に近い言い回しで、打ち合わせしていた通りの言葉遊びを彼女と交わす。

 場所はいつものラブホの一室で、彼女は一見すれば豪華な甲冑を身に纏っている。

 その甲冑を俺は片手で破り取り、ベッドの上へと投げ出されるのはあられもない姿を晒し出したロスヴァイセだ。

 なお豪華で頑丈そうなのは見た目だけで、打ち合わせの段階で百均で揃えた疑似だと暴露されていた。

 金属製に見せかけた衣服、それも紙に近い代物なので簡単に破り取ることが出来たわけだが、……最近の百均はこんなパーティグッズまで売ってるのか、と素直に驚愕したのは隠すまでもない。……どういう用途に使われるのだろうネ……?

 

 その後も、口先だけでは抵抗しているようなロスヴァイセの身体を撫で回し、わずかに埋没していた乳首が今にも授乳させたいとビンビンに勃起し出した状態を目視で計り、濡れそぼった膣穴へ反った逸物をやや乱暴に挿入させた。

 其処は最早慣れたもので、俺の形を覚え込まされたロスヴァイセの秘所は食らいつくすっぽんのように、みちみちきゅうきゅうと肉襞を窄めてんほおおぉぉと嬌声を上げる。

 交尾の瞬間に、演戯のえの字も吹っ飛んでいた。

 

「お前はなんだったのかなぁ? ほら、言ってみろよ。お前自身の口から答えてみろ」

「んひぃぃっ! わ、わたしはぁっ! ごくぶとおちんぽにしぇいふくさえたにくべんきでしゅぅっ! ごしゅじんしゃまのこだねでぇっ! じゅしぇいしゅることがよろこびのぉっ! しぇっくしゅだいしゅきへんたいおまんこむしゅめでしゅぅぅぅっ!」

「よく言えました。――ご褒美だ」

「あ、………………へぁ……?」

 

 回想も終えて、四つん這いで宣言したロスヴァイセの秘所から、ずるりとそれを引き抜き尻を撫でる。

 少々乱暴に扱ったそれは掴んだ指の形に赤くなっていたが、もちもちとした柔肌は手のひらに吸い付くような誘惑を忘れることはなく、思わず撫で続けていたい気にさせるくらいの美尻に太腿が大きく口を開けている様は素晴らしい以外の感想が沸いてこない。

 しかし、俺は知っている。

 

「あ、あの……、烏丸くん……?」

 

 行為を途中で止められたロスヴァイセが、困惑したように疑問の声を上げる。

 こちらを伺う彼女を、俺はそのまま仰向けへと転がせた。

 わずかな声音でベッドの上へとされるがままに寝転ぶ彼女が、不安げな顔で跨ったこちらを見上げる。重力に反抗していた乳房も、自重に任せたままに身体の両側へと広がっていた。

 

 俺が行為を止めたことを、恐らく彼女は自分が何か気に障ることをしたのではと考えているであろう。

 だが、違う。

 俺は知っているのだ。

 彼女は、本当はそういう趣味をしていない、ということを。

 

「あ、んむ……っ」

 

 仰向けになったロスヴァイセへ、覆い被さってキスをする。

 舌先は口中を侵食し、歯の裏を舐り、舌の粘液を虐げて、頬の内側を蹂躙する。

 乱暴だが柔らかく絡みつくそれを、ロスヴァイセは俺の首筋へと抱き着くことで受け入れていた。

 恋人にされるようなキスをしてもらって、悦んでいる証の行為だ。

 たっぷり十分ほどかけてから唇を離したころには、先ほどまでの白目を剥いたアヘ顔から一転、熱に浮かされた蕩けた雌の表情(カオ)でこちらを見上げる『少女』が其処に居た。

 

こっち(正常位)の方が好きだろ?」

「ぁ……っ、はい……」

 

 嬉しそうに、俺が優しく乳房を愛撫することを、上気した頬で受け入れる。

 年上であるにも関わらず、男性関係が少なかったらしい彼女は、こういう優しいプレイの方が戦乙女らのトレンドよりもずっと好みだった。

 

 向き合い抱き合った形で覆い被さられたロスヴァイセは、俺の逸物を再び受け入れる。

 伸ばした腕は背へと回され、開いた脚は俺の太腿と絡み合い、腰を緩慢に前後するだけで柔らかな嬌声が部屋へと響く。

 胸板でつぶれる乳房は先端が擦れて上下し、掴まえる細い腰とサラサラな手触りの銀糸が手のひらで左右共に揺れて波打つ。

 全身で彼女の感触を味わせることが彼女にとっては最上の悦びであり、そうして隙間なく重なり合っているからこそ、彼女の身体の最奥が何を望んでいるのかが実に容易く把握できていた。

 

「あっあっあっあっ、からす、まくぅんっ、もっとぉ、もっときてぇ……っ」

「ああわかってるさ、欲しいんだろ?」

「そうなのぉっ、あなたのぉっ、こだねがほしいのぉっ」

 

 蕩けた声音が耳朶を打つ。

 お互いに最高潮に達した快感が、囁き合うことで更に昂ることを通じ合う。

 野獣のように組み伏せられていた時では味わえない零距離での睦言に、ロスヴァイセの子宮が大きく間口を広げていることを良く把握できていた。

 ――其処を目掛けて、接触した鈴口からドロドロの粘液を放射する。

 当然、彼女の高揚が絶頂に達するその瞬間を狙っての発射であった。

 

「~~~~~~っっ!」

 

 何度目かも覚えていないであろう熱く勢いのあるそれを受け止めて、彼女はひときわ大きく背を仰け反らせる。

 幾度となく味わっても決して熟れるとは言い切れない快感に、声にならない悲鳴を食い縛った口から絞り出すように叫び続けた。

 呼吸することも困難なくらい身体を撥ね続けて、痙攣に似た反動で力が抜けてゆくことを腕の中で把握する。

 くたり、と萎れた花のように、ロスヴァイセは俺に抱き留められたまま、静かに眠り続けていた。

 

 

 

  ▽   ▽   ▽

 

 

 

「……またやってしまいました」

「おはよう」

 

 翌朝。

 目を覚ましたロスヴァイセが、腕の中で顔を覆う。

 つけていた甲冑もどきは彼女が寝ている間に総て外してあるので、彼女の今は俺と同じく全裸のままだ。

 ベッドの中で『朝起きた』ことが許せないのだろう、自己嫌悪に苛まれる彼女は彼女で、年上ではあることながらもそれなりに可愛かった。

 

「お、起こしてくれたっていいじゃないですか、私だって、一晩中シタい願望もあるんですよ?」

「いやぁ、あんまり安らかに眠るモノだから、ついね」

 

 少々強気な発言で苦言する彼女だが、それが強がりであるのは割と透けて見える。

 その願望が実現したことは一度もない。現実は非情なのだ。

 これが他の娘ならば、先の一回の後で回復可能かどうかが伺えてもう一回戦もう十戦とやり続けられるのだが、ロスヴァイセの場合は教師という神経を使う仕事に就いた弊害か、いつも一回済ませると死んだように眠ってしまう。

 よっぽど疲れてるんだろうなぁ、と乳を揉んでも濃厚なキスをしても試しにもう一発寝てる間に交わっても、身体は反応しているのだが意識が浮上することは一切なかったので、起こすのはもう諦めた俺である。

 やっぱり女の子を玩具みたいに、ってのはちょいと気が咎めるネ。

 まあ、起きたら起きたで再開できるわけですが。

 

「シ足りないのなら今からすればいいだろ、いつもみたいに」

「そういうことじゃなくってですね? んむゅ」

 

 このひとは口を開けば愚痴と泣き言ばかり漏らすイメージが強く、ぶっちゃけ養護教諭を執行できているのかが保健室を普段使いしない俺からすれば不安に思えてくる。

 実際、こういう風に遊ぶとき以外は雰囲気づくりなど微塵も利かず、呑みに付き合えばロックグラス片手にクダを巻くのが常道であることだし。

 

 むくれる銀髪娘(年上)を朝チュンで黙らせる。

 本日はそのままお休みのご予定なので、シーツの中に未だ沈む乳房、腰、背中へと腕を伸ばし、起き抜けの彼女のしなやかさを手のひらで味わう。

 一口目を不本意に受け止めたロスヴァイセだったが、肌を撫ぜる手付きにかすぐに易々と受け止めて、俺を抱きしめ返していた。

 重なる唇と交わる粘膜は延々と水音を滴らせ、微睡みから抜けきらない身体も重ね合い、彼女の肌が即座に元気になる俺の逸物を擦り上げて――。

 

 ――唇を離し、改めて彼女を見つめる。

 横になったままのロスヴァイセは蕩けた顔でこちらを見つめ返し、その頬に撫でていた手を滑らせれば懐いた猫のように嬉しそうに笑みを返す。

 白い鎖骨から覗ける形の崩れない乳房もまた露わとなっており、俺の劣情は夜半よりずっと眠っていないのだということを再確認させてくれた。

 

 

 

  ▽   ▽   ▽

 

 

 

 自然と繋がり合ったふたりに言葉は要らず、朝日が差し込む部屋にベッドの軋む音がわたしの嬌声と一緒になってリズムを奏でる。

 腰と太腿を抱えられて、乳房が自然と上下へ跳ねる。

 されるがままに、淫らな姿を晒すわたしに彼は口づけを。

 それは、わたしだけの英雄が一時の奉仕を捧げる姿に見えてしまい、思わず応えたくなるのは女性として当然の反応になるのも致し方なかった。

 

「んっ、ちゅ、んぷぅっ、っぁはっ、もっとぉ、もっとください、ゆうしゃさまぁっ」

 

 自分でも驚くほどの淫靡な鳴き声が、喉から断続的に絞り出る。

 そそり立つ逸物も汲々と膣の中を圧迫し、小鳥が啄むような唇だけを触れ合うキスだけではなく舌の付け根まで絡め合う蛇の交尾のような口づけを交わし、最初のころに見せていた処女の反応はもう見せたくはなかった。

 今のわたしが応えるのは、雄の誘いに本能を晒す、発情した雌の獣のような喘ぎ声だ。

 嬉しそうに雌の本能に導かれるままに行為を教え込まされた戦乙女は、すっかりそうすることが当然であるかのように身体を揺すり続けた。

 

「あっあっあっあーっあぁーっ、いくっ、わたしまたいっちゃうぅーっ!」

 

 やや大袈裟にも声を上げるが、彼に組み敷かれたベッドの上では応えられることなど言葉以外にはない。

 お(なか)の奥では子宮を潰されている感触が続くが、被虐趣味も持っていないはずなのに彼にされていると感じる、それだけで自身の目元が蕩けていることを自覚する。

 逸物の先にコツコツと当たる子宮口の感触からも、赤ちゃんのお部屋が降りて来ていることは明白で。

 程よく熟れた、少女を通り越したこの身体が、子供を作りたいと待ち望んでいることを改めて教えてくれていた。

 

「あっあっあっ、いいのぉっ、もっとぉ、もっとほしいのぉっ」

 

 情けないことに、彼と出会うまで男性経験というモノは全くと言っていいほど無かった。

 身体が出来上がっていても、それを十全に生かせるだけの経験が無いが為に、わたしは自分が知る限りの言葉を探す。

 先輩ヴァルキリーらの行為を参考にしたり、呼び方を変えたり、言葉ではなく行為で快楽を教えてくれる彼に応えられる経験(答え)の手持ちは非常に少ない。

 学園でそれなりの注目を集めていると自負できているこの大きな胸や、自惚れかもしれないが小奇麗に整った顔つき、女性としては恥ずかしいが戦士としては誇れる肉付きの良い脚。

 せめてこの身体だけでも差し出して、彼のすべてを受け止めようとされるがままに蹂躙される。

 それを浅ましくも悦ばしく感じてしまうわたしへ、彼はまた奉仕を繰り返してくれる。

 この時だけは、わたしだけの英雄として。

 

「あっあっあっあっああっんぁっあぁぁーーーっっ!!」

 

 悦楽の絶叫で喘ぐわたしを組み敷いて、微睡みの中で何度となく射精を繰り返される。

 本日もまた、遅れたブランチを迎えることになりそうだった。

 

 

 




ロスヴァイセさんまだ?みたいな意見があった気がしたのでちょっと書いてみた
時系列?世界線?こまけぇことぁイインダヨ
あと原作ジークフリードさんは折角設定盛ったのだからヴァルキリーも絡めてあげたらよかったんじゃないかなーって(ry


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『ぶっちゃけると、まともな神なんて微塵もいない』

え、前回の投稿が3月? 3、月…だと…!?

リアルが忙しすぎて執筆の暇すらないってどうよ
週刊や日刊で投稿できる人たちって、どうやって書いてるんでしょうね…

久しぶりの本編です



 

「あれ? ロスヴァイセちゃ、じゃなかった先生、どうしたんすか?」

「……兵藤君こそ何言ってるんですか?」

 

 

 何故か保健医のロスヴァイセちゃんがオカ研の部室に居たのでその疑問が口から出たのだが、当の本人からさも居て当然みたいな返答が返ってきた。

 ……はっ! これは、彼女も俺のハーレム候補ってことか!? 学校では明かせない女教師との秘密の関係……イイネ。

 

 

「おいグレモリー妹、ひょっとして教えてないんじゃないか?」

「そうだった、かしら……? イッセー、ロスヴァイセさんは北欧の遣いよ。そしてそちらが主神にあたるオーディン様」

 

 

 アザゼル先生の言葉で思い出したように教えられる驚愕の事実。

 あ、いえ、まあ大体知ってましたけどね。冥界関係かなーってとは、思ってましたよ、ええ。

 ……少しくらい夢見たって良いじゃないっすか。

 

 ついでに見たことある気がする爺さんも紹介されたが、なんとなく俺と同類(スケベ)っぽい爺さんなんて興味もないのでどうでもいいっす。

 

 

「こうして話すのは初めてかのう、赤龍の小僧よ」

「どもっす。えーっと、というか、何故に今になって紹介されたんすか?」

 

 

 ロスヴァイセちゃんの赴任はとっくの昔だ。

 初めからオカ研に関わるのであれば、眷属としてもっと前から教えられていてもおかしくなかったのでは。

 ……信用問題? かもねー……(諦め。

 

 

「うむ。その辺りは少々こちら側の事情によるモノでな、どうにも、うちのロキがお前さんらを狙っておるようなのじゃよ」

「「「なぜに……?」」」

 

 

 接点のない誰かさんを間接的に紹介されている気がするのだが、誰もがその理由に思い至らないので同時に口を突いて出た。

 

 

「何故も何も、お前さんらは駒王協定の組まれた場にも連れ出された『魔王の系譜』じゃろうて。何処の神域でも、それに納得できんものはそれなりに居るモノよ」

 

 

 あ、テロ? テロ系? ひょっとして駒王って対処専門にって思われてたりしましたか?

 いやいや、確かにその場にはいたけども、実績そのものはそんなにないっすよー。

 コカビエルのときも、旧魔王襲撃の時も、英雄派との騒乱も、流されるままに事態が終わってましたからねー……。

 ……マジで、頑張ろう……。

 

 

「いや、それにしたって今更じゃないのか? どうせなら冥界襲撃のときに合わせて来れば片付いただろうに。なに、そいつハブられてるの?」

「ロキは禍の団(カオス・ブリゲード)とは別枠じゃよ。情報が取れんかったのかもしれんし、実際あの時は使者として組み込むことも難儀じゃったしのう」

 

 

 片付いた、というのはあの【巨神召喚】のことを指しているのでしょうか。

 それ、いっしょに討伐されてれば、みたいな意味にしか聴こえないっすよアザゼル先生。

 余波で吹っ飛ばされた俺には耳に痛いっす……!

 

 

「……何かしたのか?」

 

 

 地味に精神ダメージ食らっている俺をさておき、ふぇっふぇっふぇと笑っている好々爺な雰囲気の爺さんは、何かを察したらしいアザゼル先生に睨まれてその空気を崩さないままに言い放った。

 

 

「ちょーっと遊びが過ぎる小僧なのでの、奴の有り金で買い物を少々な。身動きできんくらいに押さえておけば、動ける頃には事態は収束済みってな寸法じゃよ」

 

 

 と、何気にちょっと酷いことをしている気がしないでもない爺さまに応えは返さず、アザゼル先生はロスヴァイセちゃんへと目を向ける。

 考えてみれば、北欧とやらから赴任してきてからこっちに掛かりきりになっていると思しきロスヴァイセちゃんが、今更になってこの爺さまのお付きみたいな立場に戻されたのも納得のいかない話だ。

 しかし説明を求められていることを察した彼女は、何か諦めたような溜息をひとつだけ吐いただけで応える。そんなお人好しなところも男子生徒から人気を誇る理由のひとつだったりする。

 

 

「オーディン様が何かしたかは知りませんが、ロキ様は北欧神話でも有数の悪神です。あの方の狙いは他神話との関わりを鎖すところにあると思われますから、どちらにしろ遅かれ早かれ、介入は避けられなかったかと思われますね」

「チッ、狙いが今一つはっきりしねーな。今ある情報だけじゃ本当に何処まで狙ってくるのかが見えねぇし、目標も絞れねぇんじゃ誘い込むのも難しいか」

「はい。なので、皆さんにはオーディン様の護衛を依頼したいのです」

 

 

 と、アザゼル先生とロスヴァイセちゃんの会話は、実に意外なオカ研への依頼として締めくくられたのであった。

 

 

 

  ▽   ▽   ▽

 

 

 

 主神爺様の秋葉原観光なんかに付き合うため東京にまで行った。

 メイド喫茶に行きたいと駄々を捏ねられたので護衛として付き合ったんだけど、正直男心に色々とクるモノがあったな。

 いや、美少女ばっかりってわけじゃないんだよ。ぶっちゃければ駒王の方が可愛い子は多いさ。

 というか、地元にもメイド喫茶はあるよ。まああっちで一番人気の子は水色髪で中学生くらいの眼帯ロリだから、俺の好みとは違うのだけど。

 そうじゃなくて、パフォーマンスの問題だな。

 俺は残念ながら地元ではガチの迷惑客として認識されてしまっているらしく、根本的に歓迎されないという悲しみ。幾ら支払えばおさわりオッケーですか!? という言葉だって冗句に決まってるじゃねーか。店長にアックスボンバーで叩き出された客なんて俺以外いねーぞたぶん。

 そんな中、初めて目にするだけで首輪が締まらなかった悦びは、俺に女子と触れ合える楽しさを再認識させてくれたわけだ。

 秋葉原サイッコォォォォォ!!!

 

 そんなテンションで付き合っていたら、意気投合した爺様にミョルニルとかいうハンマーを貰った。

 

 

「爺さん、これ、めっさ重くて持ち上がらない」

「なんじゃ、ええ若いもんが情けない。それはの、メギンギョルドという力帯を装備すれば簡単に持ち上げられるのじゃよ。トールに頼めば貸してくれるぞい」

「いや、そっちのほうが無茶振りじゃね?」

 

 

 熱気をひと通り堪能し、賢者モードに似た冷めた感情でマイルドにジッチャンにツッコミを入れる。

 誰だよトオルさん。個人名出されても知らねぇ人だよ。

 

 

「オーディン様、それこそ色々な方面に影響与えそうな神器をぽろっと貸し与えたりしないでください。イッセーくんは今普通に悪目立ちしてるんですから」

 

 

 護衛に付き合い一緒に遠出していた祐奈がジッチャンを諫めていた。

 駒王から離れているけど残念ながら男装したままである。

 護衛デートの雰囲気も味わえない悲しみが、ちょっぴり空しかった。

 

 

「ダイジョーブじゃろー、北欧もそれなりに目を掛けておる、という証左にもなろーし、なんならこっちに鞍替えするのもアリじゃぞ? ヴァルキリーはかわええ子もいっぱいおるでのぉ」

「ダメだよイッセーくん、キミはグレモリーの所有物(モノ)なんだからね」

 

 

 尚も勧誘する爺様に対して、腕を組むように引いて阻止する祐奈。俺に直接言う辺り、信用がねぇなあ、とも思う。

 反面、女子からのそういう諫め方には心を擽られて嬉しいモノもあるのだが、現在の祐奈の見た目は普段の『木場祐斗』のモノ。

 世間での男子らに対しての優越感などは抱けるはずもなく、微かに女子特有のイイニホイが香る以外はサラシで封じ込められた胸部の感触も味わえずに柔らかさが圧倒的に足りない。

 この構図で悦びの声を上げるモノもそこかしこに見受けられる事態が尚、残念さを際立たせている。どうぞ、腐海の森へお還りください。

 ……わーい、俺ってばモッテモテだぁー(現実逃避。

 

 

「爺さん、どうせ勧誘されるんならロスヴァイセちゃんにシて欲しかったんだけど……」

「ム? その様子じゃとロスヴァイセには勧誘されなんだか。ということは、儂からも口出しできんのぅ。なんせ、ヴァルキリーのエインヘリヤル勧誘は総て本人らの意図で行われる、戦乙女としての権能に携わる儀式じゃ。いくら主神でも口出しできんモノもあるのじゃよ」

「見込みねーってことか!? 嘘だと言ってよロスヴァイセちゃん!?」

「あ、この服かわいいですねー」

 

 

 こっちの遣り取りに一切ノータッチのヴァルキリーが、チラシ配り中のメイドさんへと意識を向けていた。

 護衛と言うことでオーディン付きに一時的に復帰させられたとか言っていたが、行動を共にする以上の配慮をする気はないらしい。ガッデム!

 

 

「見つけたぞクソ爺!」

 

 

 と、街中へ響く声。

 俺たちだけではなく、散見するその他大勢(モブ)の人々も声のする方を見上げると、ソ●マップと描かれた看板のあるビルの上にて、どう見ても一般人とは思えない、むしろ先ほどの喫茶店などでならば違和感のないぶっちゃけコスプレ染みた格好でいきり立つ姿が。

 そして視線は確実にこちらを捕えており、気焔立ち上るかの如く怒れるその男性は、見下ろす俺たちを、というかジッチャンを指さして声を上げていた。

 え!? 白昼堂々襲撃しかけてくるの!?

 一般人を巻き込みかねない事態にすわどうすると狼狽える俺たちであったが、それに反して街の人々の反応はやや好奇に彩られている。

 何かのイベントとでも捉えているのだろうか。随分と訓練された街である。

 

 

「おーおー、ロキの坊やではないか。そんなに怒ってどうしたんじゃ?」

「どうした、だと……!? よくもぬけぬけと言えたものだな!」

 

 

 煽るように問いかける爺さんに、ああもう他人の振り出来ねぇ……、と諦め顔の俺たち。

 しかし、……んん? テロを企んでこの場へ来たにしては、随分と狙いが露骨じゃないか?

 実際に煽られて憤慨已む無しなロキと呼ばれた男は、ビシィ!と爺さんを指さして啖呵を切った。

 

 

「俺の財宝をすべて換金してくだらんソーシャルゲームの課金に充てたこと、忘れたとは言わせんぞ! あまりの事態にニヴルヘイムから抜け出してきたわ! 今ここでラグナロクを引き起こしてやろうかクソ爺め!」

 

 

 後半の言葉の意味はよくわからんかったが爺さんが原因じゃねーか!!

 それは怒るわ! 俺でも怒るわ! せめてエロビデオでも買ってやれば良かったのに……!

 

 

「そう喚くでないわい。お前さんのお陰でナル●アちゃんを引けたしのぅ、悪いことでもなかろうて」

「テメェゼッタイコロス……!」

 

 

 ナ●メアって誰だ。そしてロキさんが殺意の波動に呑まれて人語を介せなくなっている。この場の誰もが彼に対しては同情的だ。この爺さん守りたくねぇー……。

 

 

『こちらミッテルト、ロキを確認。でも話の内容も確認。ぶっちゃけ関わりたくねーっす、どうぞ』

「うん、僕も同じ意見だよ、どうぞ」

 

 

 呆れた祐奈も無線向こう外周警護要員のミッテルトと共に、この仕事を放棄したくて堪らなくなっていた。

 アザゼル先生が建てた当初の予定じゃ、囮として街を散策する俺たちに引っ掛かってロキが登場したらミッテルトに狙撃させる、というモノだったのだが、改めて関わりたくない空気にされるとは思ってもみなかった。

 というか、あのゴスロリ狙撃とかできるのかスゲェな。

 

 

『この分だと狙いは完全にオーディン様のようね。となると、猶更私たちが出張る必要性もなくなってくるのだけど……』

『そうですわね……。人目に付くことも避けたいですし、いっそここらの土地神の方にでもお任せしましょうか』

『ちょっとー、無茶振りでもないけど面倒事を持ってこないでほしいなー。働きたくないよー』

 

 

 無線越しに、部長と朱乃さんの会話と知らん女子の声が一緒に聞こえる。

 どちら様っすか。

 

 

『というか他神(ひと)様の領域に何を持ち込んでるのさー、これだから悪魔とは関わりたくないんだよー』

『申し訳ねぇ、この埋め合わせは後に必ずつけるから、手を貸しちゃくれねぇか? せめて認識阻害結界だけでも張ってくれたら助かる』

『もう張れてるよー、この街で起こった事象に関してはー、みんな特に気にすることもないよー』

 

 

 知らぬ声の主恐らく少女とアザゼル先生の会話が流れる。

 ああ、なんか訓練されてるなと思ったら裏事情があったのか。

 ……ひょっとしてこの声の主ってめっちゃ有能?

 

 

『それよりもー、キミたちに言いたいのはそっちのとは別だけどー?』

『なに?』

 

『……っ、アザゼル様ッ! レイナーレを確認したっす!』

 

 

 ――は?

 

 

「はぁい、皆さま。お元気ぃ?」

 

 

 息を呑むミッテルトの声に、重なるように聴こえた知っている声。

 声のするのはロキの居場所とはまた別で、俺たちのすぐ後ろから囁くように聴こえていた。

 振り返るその瞬間、爬虫類を思わせる腕に変化していた『彼女』の腕が、逆薙ぎに祐奈の胸元を引き裂く姿が目に映る。

 

 

「レ、イナーレ……ッ!?」

「ゴルィニシチェって呼んでね?」

 

 

 いつか見た堕天使コスと同じ格好だが、竜の鱗を連想させる質感の赤で彩られたその姿は、以前の印象を一新させる。

 そして背には堕天使の黒翼ではなく、これまた赤い、蝙蝠を思わせる羽根で彼女はその姿を現していた。

 

 そして霞む、某悪神の復讐劇。

 秋葉原で俺たちは、更なる事態へと呑みこまれてゆくことになる――。

 

 

 




~巨神召喚
 イデ●ンではない

~申し訳程度の原作準拠!
 ロキ様激おこの理由をこちらではホント酷く捏造
 ナ●メアさんが人気だって聞きかじった覚えがあるので爺さんのご趣味に合わせましたが作者は原作を知りませんしやってません。でも聞いた記憶だとこんな排出率だってケーネが言ってた

~秋葉原の土地神
 蜘蛛の神様『WWW(スリーダブリュー)
 名前の意味は『ワールドワイドウェブ』。情報を司りアキバのみではなく全世界に手を伸ばせる、現代に置いては意外にも一二を争うくらい手強い神
 但し出不精で基本全裸。地域住人より奉納されたメイド服なんかを着ることもあるらしい。見た目は若干栄養不足の干物女子

~駒王町のメイド喫茶
 ドジッ娘メイドサービスで熱湯をぶっかけられる喫茶店。追加サービスで治療してもらえるけど包帯で視界を塞がれる喫茶店
 店長はメイドではなく執事長として設定されており筋肉でムッキムキ且つ白髭のナイスミドル。多分CVは千葉さん



お待たせしちまったのがマジで申し訳ねぇ
言い訳させてもらえるならちょいと活動報告まで足を延ばしてくれませんか?
以下、リクエストされたので書いたおまけ↓(読まなくても大丈夫です)










 改めて見ても中学生とは思えねぇ。いや、もう高校生に上がるのだから問題は無いのか?
 場所はあやか(雪広)の伝手で用意された某ホテルのスイートルーム。
 政財界なんやかんやのVIPなどが御用達にしているらしく、こういう情事に学生が使うには色々と場違い感が半端ない。
 しかし個人情報に関する守秘義務はしっかりしている場所なので、中にいる限りはお客様の情報を漏らす恐れなんて微塵も抱えさせねーぜ、という豪気なスタンド(姿勢)を構えたホテルだ。一歩でも出たら知らぬ存ぜぬなんですね、外では常時スタんばってるパパラッチなんかが出待ちしてるんですねわかります。


「そこんところどうなんだ、朝倉(本家パパラッチ)
「なんか変なルビ振るわれてるみたいだけど、同級生の艶姿を目の当たりにしてその感想ってどうなの?」
「グラビアアイドルみたいな奴らがそろい踏みで同級生とかって冗句にしても常軌を逸し過ぎだろ……」


 手脚長っ、腰細っ、胸でかっ。
 そんな15歳が4人も眼前に構えているのは、混乱を通り越して諦めの念が浮かぶしかない。
 キングサイズベッドの上でにじり寄るように居並ぶのは、水色レースの高級ランジェリーを惜しげもなく晒すあやか(雪広)、黒い薄手のシルクで豊満な母性が際立つちづ(千鶴)さん、出るところもあるのに快活さを失わないスポーティな雰囲気が何処かの運動部よりも運動部らしいフロントホック朝倉に、そんな3-Aでも怪物級と称される三大巨艦らに轟沈させられ兼ねない庶民派美少女アスナ。
 でも普段のツインテではなく、下ろした髪が無駄に大人っぽさを醸すので意外にも負けてないと幼馴染みながらに思うのですが如何に。あ、下着はピンクです。清純派(メインヒロイン)っぽくて悪くないね!

 色々とキングクリムゾンどころかD4C食らったんじゃないかと思わせられる人選と展開の状況なのは本気で此処が異世界だからだとぶっちゃける。
 アレだ、茅場なんとかというゲーム開発者が作ったVRの世界にヨンドコロノナイメンバーで放り込まれた結果色々なイベントに遭遇してこうなった。
 説明上では時間圧縮とかいうモノを施されているらしいので割と余裕はあるが、基本的に外に出ること(ログアウト)が出来ず、しかし外側には超リンと長谷川さんとキティに茶々丸が居たりするし、麻帆良の科学力と原作でも見せたネットサーフィンの総合無茶でも駆使すれば引きずり出されることもあるはず。
 え? この時点で状況説明に色々矛盾が生じてる?
 ほら、VRとは言ってもRPGだとは言ってないし。
 今はそんな先行きの心配ではなく、覚えのないフラグを建てた結果を享受することをどうにか乗り越えるべきではと。

 俺も今一つ思考が茹だっているのでよくはわからんが、こうなった理由はゲーム上のイベントで、乗り越えるための壁はなんか無駄に分厚くバカ高いのだということだけは把握できる。
 微熱交じりの温い吐息が、覆い被さるように俺の腹を擽る。
 事実、気付けば既に身動きが取れない姿勢でホールドしていたあやかとちづさんが、目の中にハートを浮かばせたヤバい目つきで囁いていた。そのモーション自動的に選択されるの? スゲーな。


「あなたをしっかりと虜にしてみせますわ」
「覚悟していてね、烏丸くん。おねーさんたちにぜーんぶ任せて♪」


 蠱惑的な微笑みを浮かべる3-Aでも大人っぽい、悪く言えば老けている熟女系JC二人組は意識が明確ではないのは明らかだが、その空気に充てられているであろうアスナは敢えての羞恥シャットアウト状態だろうから助けにならない。
 確信犯且つ便乗犯且つ撮影係として自ら参戦した朝倉もまた言わずもがな。こちらを凝視しながら不可視のステータスメニューを駆使しつつ、この状況をスクリーンショットで確保(チェキ)☆しているのであろうガッデム。

 改めて、俺の上に圧し掛かるふたりは煽情的な下着を既に外し、年に似つかわしくない豊満な乳房を惜しげもなく晒すと、吊り下げられた水風船のような双丘をこれまた既に顕わになっている俺の逸物へと両側から宛がう。
 ――ちょっと待てこの世界VRだろ。俺一応未成年だよ? 疑似体験の世界だとしても、いやだからこそ年齢で引っ掛かる制限が何処かにあっても可笑しくないだろ。
 仕事しろよ! 俺が今スゲェ仕事してんだからお前も仕事しろよ! 何なら状況を明確に管理者側へ送るから色々と制止掛けろよ!?
 柔肌の感触とぬるま湯のような体温が敏感なところを刺激して今にも溢れてしまいそうな衝動を抑えるので手一杯! ッ、ユニバァァァァァス!


「きゃっ!」
「ぁんっ」


 ――ぅわぁ……。
 同級生の女子に白くてねばねばとした己の証を顔面より刻み込み、やっちまったことへの罪悪感が半端ない……。
 そしてそれを朝倉の手により証拠として残されている。もう死にたい……。


「はい、どいてどいて。次はわたしと朝倉の番ね」
「えっ!? いや、私は別に、」
「――毒を食らわば皿まで、だよ?」
「アスナさん目怖っ!?」



ハイ此処までね。本番?ねぇよ


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「あの日上がったお前の断末魔以上の絶望を僕はまだ知らない」

最近ようやくヒャダインのカカカタ☆片思いをそらで歌えるようになりました(報告



 

 先ほどまで発情期の獣のように跨っていたアーシアは、熱に浮かれた淫靡な表情(カオ)でその男と口づけを交わしていた。

 仕草のひとつひとつに喜色は混じり、それが彼女自身が望んだものであると嫌でも認めざるを得なくなる光景……。

 運動で汗ばみ湿った小振りな尻には金糸の髪が艶やかに絡みつき、女性としては未だ熟すには及ばないささやかな乳房のふくらみと細い腰が、それを見上げるイッセーの逸物を無駄に膨らませていた。

 絶望に浸されても、金髪の美少女シスターが背徳行為に自ら及ぶ、という光景へ勃起(エレクチオン)は止まらない。

 彼を抑えつけている女体化した祐斗の、背中へ押し付けられている胸の感触もまた原因であろうか。

 はたまた、アーシアが口づけを止めないその下で、イリナとゼノヴィアという見知った美少女眷属仲間が男性へ向かって胸で挟んで擦っている光景が想像力を喚起させたのか。

 見上げるしかできないイッセーからは、今から本番やるぜー、と体操服を脱ぎ去った少女たちの突き出された桃尻しか伺えない。

 リアスには及ばずともそこそこ巨乳なクラスメイトのダブルパイズリフェラだとぅ!? と男子として実に羨ましい光景を目の当たりにさせられて、悔しさで口元を噛みしめるしか彼にはできなかったのである。

 

 

 ――そんな光景を、公衆に曝け出された祐奈のおっぱいを目の当たりにしたイッセーは何故か思い出していた。

 控えめに言って最低である。

 

 

「祐奈ぁぁーーーっ! ナイスおっぱい!」

「死ねばいいのに!」

 

 

 彼女とは思えないキリ返しが放たれたが仕方がない。

 何故そうなったのかと言えば、邪竜ゴルィニシチェの逆袈裟懸けの一撃が、祐奈の胸を男性相応に抑えつけていたサラシを無残にも引き裂いた所為だ。

 学生服も諸共に、かろうじて薄皮一枚で回避に成功していた祐奈であったが、その代償は大きかった。

 

 他人に見せることを良しとしていない、そんな性癖持ち合わせていない祐奈からすれば、これはかなり屈辱的な光景である。

 余談だが、後ろの方では某爺様主神を筆頭に、男装美少女の閃乱系ドレスブレイクでプチ祭り状態であったのはどうでもいい話だろう。

 死ねばいいのに。

 

 

「……っ、こっの……っ! いきなりご挨拶だねレイナーレ……! このタイミングで不意打ちするとは思わなかったよ……!」

「ゴルィニシチェだっつてんでしょぉ? むしろあんな目立つ奴が出張ってる今強襲しかけないとかないわよぉ」

 

 

 かろうじて無事であったブレザーを羽織るようにして胸を隠そうとするが、妊娠に伴って最近大きくなり始めた元男子には不釣り合いな胸部は、それでは容易に隠せそうにない。

 押し上げられて強調されたかのように谷間が出来る美少女のリアル谷間に、そこいらの男性は全員が「おおぅ…」と息を呑んで前かがみになった(イッセー含む。

 

 話の矛先を向けられたロキは、しかし狼狽えていた。

 一方的に見せ場を奪っておきながら、此処でこっちに振るの? と狼狽えていた。

 じ、自分どうすればいいっすかね? と少しばかり事態を俯瞰するべきかを思案しているようで、その実いきなり仕事場へ放り出された経験ゼロのアルバイターのように狼狽えた悪神は、同じように手持無沙汰になっている某戦乙女とはたと顔を見合わせる。

 

 

「……そちらもですか?」

「ええ、まあ、はい……」

 

 

 そんな、なんだか和んだ一角はさておき。

 

 赤い鎧、むしろビキニアーマーと呼ぶべき恰好で、ゴルィニシチェは其処に居た。

 手甲脚甲は蜥蜴を思わせる鱗で覆われ、その形状はそのまま武器として扱えそうな鋭利さを見せており、背の翼は完全に悪魔でもなければ堕天使でもない。

 先に明かしたビキニアーマーのビキニ部分はまた鱗のような形状で上下の局部を保護しており、此処が秋葉原でなければコスプレ以前に露出過多で捕まりそうな恰好だ。

 こんなことを言うのもなんだが、秋葉原で襲撃があって本当に良かった、と現場をモニターしていたヴァレリーは安堵する。

 

 

『なんか誰かがホッとしている気配が伺えるんだけどー? アキバでも往来でのコスプレはタブーだからねー?』

『えっ、そうだったんですか?』

ウチ(アキバ)をなんだと思ってたのかな』

 

 

 『WWW(スリーダブリュー)』のやや沈んだ声が、通信機越しに全員に届いていた。えっ、秋葉原ってコスプレしなきゃ入街できないって話じゃなかったんですか!?(偏見。

 変に穏やかな一幕はともかく、現場を土地神と共にモニターしているヴァレリーはふと気づいたことを祐奈へ告げる。

 

 

『木場さん、彼女の腕に見覚えのあるような宝玉があるのですけど、ひょっとして……』

「………………えっ?」

 

 

 祐奈もまた気付いた。

 いや、どちらかといえば思い至りたくなかった事実の欠片に気付いた。

 思考が止まったその隙に、ゴルィニシチェは高らかに叫ぶ。

 

 

「さぁ、お披露目の時間よ! 赤龍帝(ドライグ)ッ!」

『――ああ、ゴルィニシチェ。邪竜に使われるのは癪だが、手も足も出ない以上文句などは無いさ』

「『『はあぁぁっ!?』』」

 

 

 声を上げたのはイッセー、アザゼル、ミッテルトの三人。

 リアス、朱乃、祐奈は言葉もなく、モニターを見ていたヴァレリーと同じく引き籠っていたギャスパー、付き添いのレイヴェルは俯瞰する側だ。

 事態の面白さを予想して何処かの爺主神は目を光らせているが、今はどうでもいい。

 

 

『おいこらイッセー! いつ盗られた! お前の神器だろうが!?』

「とっ、盗られてないっす! なんで!? どうしてレイナーレがそれを!?」

「……イッセーくん? 本当に心当たりはないの?」

 

 

 祐奈の視線が、やや浮気者の旦那を責めているような、そんな目つきに伺えて来るから不思議である。

 そうは言われても無知な少年は、何故そうなっているのかの因果が全く把握できていないでいた。

 

 

「こ、心当たりっつったって、何がどうなってるのか……!」

『……っ例えば、身体の一部を、髪でも血でも爪でも、そういうモノから肉体を修復させる神器だってある。本当に無いのか? オリジナルの赤龍帝を宿したお前なら、其処から複製を造ることも可能かもしれん』

 

 

 幾分か落ち着きを取り戻したアザゼルは、どこぞの聖杯を思い出しつつ自身の情報をかみ砕くように掻い摘む。

 そこに答えを示したのは他でもない、ゴルィニシチェの腕に顕れた赤龍帝(ドライグ)自身であった。

 

 

『オリジナル? なるほど、貴様らはこの俺(赤龍帝)が代替え可能なモノと思っているらしいな。そんなわけがあるか、天龍の魂をもう一つ、などという真似は例えかつての唯一神であろうと出来るはずがない。俺こそが赤龍帝ア・ドライグ・ゴッホ、違うというのならそこの()宿主よ、神器を顕して見せよ』

 

 

 ゴルィニシチェへ向いていた視線が、イッセーへと再び集まる。

 彼女は嗤うだけで、それ以上をしようとしない。

 戦うことが目的なのではなく、恐らくはこうして見せつけること自体が目的だったのだろう。

 そうして仲間たちに、そして秋葉原の衆人に監視される中、イッセーは篭手を顕現させる。

 しかし、その様は――、

 

 

「――ッ、ぶ、ブーステッド、ギアが……!?」

 

 

 片腕に顕現したのは赤ではなく、よりどす黒く灰掛かった紅殻(ベンガラ)

 全体が罅割れて、何よりひときわ目立っていた宝玉は見る間に崩れてゆく。

 慌ててそれを抑えようと手を添えるが、既に手遅れだった宝玉の崩壊は止めることはできず、抑えた手のひらからガラス細工のように輝く砂がザラザラと零れていった。

 

 

『見てのとおりだ、元宿主よ。俺の力を碌に引き出せないような貴様に付き合うよりも、俺は邪竜とはいえ俺を過分に取扱ってくれる実力者の手に収まろう。この方が、ずっと暴れられる――!』

 

 

 ――結果として、少年の価値と命運は此処に尽きた。

 今更な話かもしれない。

 

 

 

   ▽    ▽    ▽

 

 

 

 ――それからのことを話そう。

 

 意外なことに、強襲はそれで終了した。

 レイナーレの姿をしたゴルィニシチェの『ねえどんな気持ち?頼りにしていた神器を奪われて価値のない弱小転生悪魔に成り下がっていまどんな気持ち?ねえねえ答えてよぉ?』という無駄にねちっこい質問があったことはさておき、彼女並びにドライグはそれ以上の追撃を仕掛けてはこなかった。

 無論、事態はそれで収束するはずはない。

 『どのようにして』ドライグ(神滅具)を犠牲無くイッセーから引き離したのかは依然として明らかにされておらず、少なくとも謎の一団の手にかつて脅威となっていた二天龍の一角が移籍したことは間違いがない。

 報告を受けた聖書陣営はカオスブリゲードとは恐らくはまた別の集団の脅威に備えて足並みを揃えるべきなのだろうが、みすみす赤龍帝を奪われた悪魔の株はそれまでに好き勝手やっていたことも相俟って『それなりに』失墜しており、その生きる証人であるイッセーへ向けられる悪魔貴族らからのヘイトは留まるところを知らない。

 こんな状況でリアスの婿として発表することなど出来るわけもなく、出生率の悪い悪魔にとっては目出度かったはずの彼女の懐妊にケチが付けられる寸でのところで、リアスはその『本当の父親』を大々的に発表した。

 その人物が人間であったとはいえ、現魔王サーゼクスとは懇意にしており天使や堕天使からも一目置かれる存在であった事実からも、リアスを守るためにも時機を見て脅威に晒されている人間界から引き離されることが決定される。

 駒王町の管理は実質執り行っていたシトリーに引き継がれ、リアスの眷属らは一時的に彼女の下に就くことも決まりつつあった。

 

 今は姿が見えない、だからこそ恐ろしい人物との繋がりが発覚したことで首の皮一枚で繋ぎ止められていた悪魔の名誉は、ギリギリのところで聖書陣営の足並みを揃えることに成功する。

 とはいえ、堕天使はともかく天使側は過去を顧みても一枚岩ではないことは明らかであるし、悪魔の中にも不満を持たない者が居ないとも限らない。

 そんなモノたちの代表と言える立場にすっぽりと収まってしまったイッセーだが、だからこそ大々的に処罰を言い渡されることは免れた。

 貯まり捲ったヘイトから首を撥ねろ、地獄の最下層で氷漬けにしろ、との声も上がったのだが、今更不満を貯める者を暴力で排除したところで、秩序が乱れるだけで『足並みを揃える』為には不必要過ぎる手段でしかない。

 よって、ドライグ(神滅具)を簒奪されたことに関しては『兵士の駒の全封印』と『監視並びに悪魔社会との50年に及ぶ接触不可』という処罰が言い渡され、『居場所を把握されているはぐれ悪魔』と呼べるような状態のまま人間界でそのままの生活を余儀なくされた。

 あとは『魔王の妹』に対して手を出したという心情的な点での罰則がグレモリー領より上申されたが、魔王自身がそれを苦汁を呑んで却下。

 妹想いで有名な彼のお方がその判断ならば、とグレモリー領のリアスファンクラブの面々も涙を呑んで納得せざるを得なかった。

 但しまかり間違ってグレモリー領に来たら覚悟しとけよ兵藤一誠、と暗い決意を胸に秘めながら。

 

 話を戻すと、謎の一団に関しては『どうしようもない』のが聖書陣営の総意だ。

 アドバイザーとして烏丸陣営の少女らにも意見を伺ったところ、【聖杯】と呼ばれる神器に似た何かを所持している可能性を示唆される。

 しかし、確信を持っている所持者(ヴァレリー)被験者(ミッテルト)の意見に同意できる者などアザゼルのような研究者以外にはおらず、既に死者であるはずのレイナーレを中身は違うが復活させた実績だけを頼りに、仮の名前として『神秘を悪用する者』として【クリフォト(逆さ生命の樹)】と名付けられた。

 そして件のクリフォトだが、ドライグのお披露目以降は何も反応は無い。

 その静けさが嵐の前を思い起こさせるのは、奇しくも烏丸イソラに直接関わった彼の配下とアザゼル、そしてグレイフィアだけだったのは悲しい現実であった。

 

 

 

   ▽    ▽    ▽

 

 

 

 赤い髪の少女が、陽の当たる部屋の簡素なベッドの上に寝そべっている。

 衣服は身に纏っておらず、豊満な乳房と細い腰つき、秘所、太腿、彼女の総てが隠されることなく曝け出されていた。

 清潔そうなシーツだけが敷かれ、それが横たわる彼女を豪華な食事として盛り立てる皿のように連想させて、観る者の喰らいつきたい衝動を刺激する。

 光のコントラストに充てられた素肌は透き通るように真白く蠱惑的で、悪魔と呼ばれるよりは天使のようだと伺わせるような整った顔つきの美女は、しかし何処かにあどけなさを残している絶妙なバランスを保って美少女と呼ばれている。

 

 それを獣のように、跨って蹂躙する陰が掠れた画面の向こうで映り替わる。

 

 少女は嬌声を上げて、覆い被さる彼の背へと手を伸ばし、その脚は彼の腰を離さないようにと絡みつく。

 啼き続ける彼女の唇を塞ぐ彼の姿が写り込み、首筋へと手を伸ばして抱きしめる少女の表情は蕩けるように熱に浮かれていた。

 その間も、男の腰は少女の身体を下から押し上げるように上下に揺すれて、少女の抵抗は一切ない。

 長い長い、ふたりの、蛇が絡み合うような上下運動は時間にして20分以上も続き――途中で一度吐き出してしまったイッセーは、己の逸物から手を放して場面を止めた。

 

 

「………………ふぅ。くそ、烏丸め……、リアスとこんなことしてたのかよ……」

 

 

 吐き出した白い粘液で手を汚しながら、その愚痴は留まらない。

 冥界への謹慎を言い渡されたイッセーであったが、学校まで休ませられているわけではない。

 しかし今更オカ研に戻る気にもなれず、実際個人的な活動休止も言い渡されていたので、姫島朱乃から渡された極秘DVDの鑑賞をする日々を送っていた。

 

 そのラインナップは『リアスグレモリー、秘密の保健室』『巨乳巫女・朱乃の処女喪失』『淫靡な雌になるボクっ娘~金髪少女調教日誌~』、の3本。

 リアスは清純派女優のように光の射す窓際で胸を寄せて微笑み、朱乃は巫女服からでもよくわかるように乳房を抱えて押し上げて、最期の金髪少女には目の辺りに黒い線が引かれていたために誰なのか判明しないが、М字開脚でダブルピースを晒している写真がそれぞれのパッケージジャケットに充てられていた。最後のボクっ娘とやらが誰かはわからない。わからないったらわからない。

 事情が事情なので謹慎は仕方がなく、お互いに不幸にしかならないので会うことも憚られたイッセーへの最後の慰み物として朱乃は以上のDVDをプレゼントした。

 主演男優は全部烏丸だが、朱乃と烏丸の趣味と采配で撮影されたそれにヤラセは一切なく、ノリノリで撮影された表紙もそのまま商品に使えそうな出来栄えだ。

 そしてそれらのプレゼントは、暇を持て余した少年にとっては垂涎の品と言えた。

 

 

「……少し休んだら続きを見るか。夜はまだ長いしな」

 

 

 悪魔の仕事をしなくなり、体力だけが有り余ったイッセーは朱乃に感謝していた。

 烏丸に寝取られていたことは悔しいし許し難いが、最近のリアスの様子から顧みてもその妊娠の大本が自分である、とは連想し難かったことも事実なのだ。

 あまりにもそっけなく、ボディタッチすら拒まれる状態で父親になれ、などと言われても納得いくはずがない。

 その時は押し切られたが、事の真相がモノのついでで露見してからは、思いの外イッセーの中にあったはずのリアスに対する恋心が悲鳴を上げることもなかった。

 学園でも女子に対するセクハラを止めることのない純朴だったはずの少年は、気付けば淡い感情を喪失してしまっていた。

 

 理由は童貞を失ったことに大きく起因するのだろう。

 青少年特有の女性と関われないリビドーは、体験を通じてその想像力を育むことを喪失させる。

 成長と呼べば聞こえはいいが、実際は汚れて、大事なモノを失ったに過ぎない。

 それなのに其処にまで考えが至らない少年は、喪失した空白を埋めるための衝動すら喪失してしまったがゆえに、かつて備えていたはずの熱意を思い起こすことも無く、此処から只、無為に堕ちてゆくしかないのである。

 其処は烏丸とは関係のない、少なくとも直接的には非の無い、イッセー本人の責に依る事態であることは間違いがなかった。

 

 熱意を喪失した少年はしかし、思春(発情)期特有のスケベ心だけは失うことは無かった。

 悲劇と言うより喜劇である。

 

 

「ハイハイ、スキップスキップ。しかしなげーなー、もっと身体(リアス)見せろよカメラ」

 

 

 リモコンを弄り、片手は股間に添えたまま。

 汚れちまったイッセーは、今夜もひたすらにリアス(抜きどころ)を追う。

 四つん這いで豊満な乳房をぶら下げた体勢に変わった少女を見つけて、ニヤニヤと笑みを浮かべつつ再生をクリックした。

 ティッシュはまだまだ手放せそうにない。

 

 

 

   ▽    ▽    ▽

 

 

 

「……DVDは届けてくれましたか?」

「ええ。けれど、祐斗くんも彼に抱かれていたとは思いませんでしたわ」

「事故みたいなものですよ。件のモノは記念にと押し付けられたモノです。……出来栄えだけは無駄に良作なんですけどね」

 

 

 自分が主演を務めていたDVD(作品)を思い出し、木場祐斗は顔を赤らめる。

 烏丸はそれを使って祐斗の身体をさらに弄ぶことも選択できたのだろうが、元々アレはそういう風に『ひとりに感ける』ことを選ばないクズだ。

 作品を作ったのも、イッセーの知り合いである彼女(祐斗)自身に教えるかどうかの選択を任せてしまった意図だろう。

 

 

「でも、良かったんですの? 兵藤君にばれてしまうのでは?」

「作品内では全部モザイクみたいな目線が入っているので、最低限特定されることは無いです。気付いてくれた方が、ずっとマシですけど」

 

 

 力なく微笑う。

 祐斗の中にあったイッセーへの情動は、此処までの積み重ねでそろそろ振り切れそうであった。

 

 悪魔社会から村八分扱いにされたイッセーの子を身籠っている、などと言うことを無論(おおやけ)に出来るわけではない。

 しかし悪魔は元々懐妊が困難な種族で、だからこそ妊婦や子供は大事にされる。

 それが転生悪魔だったとしても、医者へ通されることは悪魔社会では当然のこととして周知されていた。

 そして、祐斗もまたグレモリー領の医者によって、体調を慮られている妊婦のひとりである。

 当然その父親は尋ねられるのだが、人間の技術に加えて悪魔の技術も相俟って、敢えて偽装を施そうというわけでもない限り、事実は容易く解析が出されるのだ。

 今更になって隠したり偽ったりするほどの価値をイッセーに見出すことができなくなってしまった祐斗は、事態のままに流されることを選択してしまっていた。

 

 

「なんてーか、スマンな。遊びのつもりだったのだが、此処まで大事になっちまうとは思わなかった」

「アザゼル先生の責任……も、まあ、七分くらいはありそうですけど、全部を負ってもらうほどじゃないですよ。それに、生まれてくる子に責任はありませんから」

 

 

 愛おしそうに己の腹を撫でながら、祐斗は微笑む。

 今更「堕胎()ろせば?」とは言い難い顔つきであった。雌の貌とも言う。

 

 

「それと、やっぱり修学旅行は行けそうにありませんか」

「まあなあ。イッセーの奴を悪魔と関わらせることが出来なくなったわけだから、お前らが留守番だ。アイツのご両親に言い訳するより、そっちの方が容易いからな」

「まあ、僕はこんな身体になってますから、男子と一緒の部屋になるわけにもいきませんしね」

 

 

 もし実現して居たらまたひとつ下手な需要が生まれていたことだろう。

 クラスの見知らぬその他大勢(モブ男子)に秘密がばれて妊婦女子高生の大乱交大会……などというウス=異本展開なんて無い。だからリクエストしないでね。お願い。

 

 

「あーあ、京都旅行いきたかったなぁー」

「仕方ないだろう。政治的な配慮が必要になっている今、余計な火種を造らないのも仕事のうちさ」

「ぜ、ゼノヴィアさんが頭の良さそうなことを言ってます……!?」

「おいギャスパー、その発言の意図はなんだ?」

 

 

 イリナ、ゼノヴィア、ギャスパーの残りのグレモリー眷属が和気あいあいと会話をして、はたと気付いたのかロッテが手を挙げた。

 

 

「……あれ? ボクは?」

「お前さんはどっちでも構わんぞ。できれば旅先でイッセーがバカをやらないように見張っていてほしいが」

「ええー、そんな気疲れしそうな旅行やだなー……」

「じゃあ行かなくてもいいだろ」

「義務が生じなければ後顧の憂いもなく行けるんだけど?」

「行きたいんだったら働け」

「ボクのご主人様はそらくんなのにー」

 

 

 そんなこんなで、次回からは修学旅行編。

 もうダレてきたから辞めたい気配が漲っている作者であったのだが。

 





いや、もう大体みんなわかりきっているような話を書くのがしんどくってね


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『少年に宿る新たなチカラ! 妖狐の母娘と乳の神!』

BGMにゴーストスイーパー的な


最近は『マシュマロ』『ぷらちな』『アイヲウタエ』なんかを今更覚えてました
ので遅れました


 なんやかんやあったが修学旅行の始まりである。

 誰が何と言おうと修学旅行だ。原作時系列的に早すぎない? とか、参加キャラの削減が激しすぎて旅行に魅力が無いよね、とか。色々言及されること必至だが修学旅行は始まってしまった。

 イッセー本人に身に覚えが無かろうと、冥界の貴族しかも大盟主とも呼ぶべき魔王の系譜に砂をかけ名誉やら面子やらを汚し、イッセー本人には実力的な面での実績も価値も最底辺へと失墜したが、それでも腐っても原作主人公。

 この世界の物語は彼を中心に回り、それを識るモノたちからすれば、それこそが此処を突破するための、それこそ『付け入る隙となる』のである。

 

 思いの外真面目な話が展開して開くブラウザを間違えたのでは。そう思った方のために敢えて言わせていただくが、間違ってもいないし、今になって彼を此処まで引き摺り下ろした言い訳をしているわけではない。断じて。

 その証拠に、ややゲンドウんなポーズで彼の動向を未だ探り続ける一団もまたいるのだから。

 

 

「始まったようだねぇん」

「せやな」

 

 

 机に肘を付いて重ねた手で口元を隠しかけたグラサンを輝かせるという、妙に胡乱な姿勢を維持するリゼヴィムにクレオ少年はおざなりに返す。

 戯言に付き合う気は全くない、という清々しいまでのスルーだった。

 

 

「酷いぜクレオきゅぅん。せっかく事態も漸くの段階へ来たんだ、遊び心を忘れちゃ人生損だ☆ゼ?」

「その人生をサラッと狂わせられた奴を生み出しておいて、よくもまあそんな口が利けるよ」

「にゃっはっはっは、同罪同罪☆ クレオきゅんが言えた義理じゃねーぜぃ!」

 

 

 確かにその通りなので、リゼヴィムの言い分には嘆息せざるを得ないクレオ少年。

 何しろ、彼がイッセーに対してやってのけたことは、赤龍帝を引き剥がしてゴルィニシチェに移植するという結果を出してしまったのだから。

 イッセー自身の遺伝子という媒体があったこともまた原因に当たるのだが、クレオからすれば完全に利用するためだけにイッセーの立場を脅かしたことを自覚しているので、会ったことも無い転生悪魔の少年に少しばかり負い目が残っているようである。

 なお、事情を同じく知っているクレオ少年の仲間少女ネフレアは、イッセーのことに対しては単純に自業自得であると認識していた。女子の視点にイッセーを立てる気は一切無かった。

 

 

「で、元赤龍帝が京都入りしたのは確認したけど、それがどう繋がるんだ? 京都って何がいたっけ」

「京都は妖怪の都だよん。日本の各地にいる妖怪たちの総本部みたいなもんでな、戦力としちゃ足りないこと甚だしいが個人の能力に関しては目を瞑るには惜しすぎる。もしも上手いこと『群れ』として纏まっていたなら、悪魔らだって無視しちゃいなかっただろうな」

「……? ちょっとまて、悪魔って日本の許可なく蔓延ってたのか、ひょっとして」

「そうだぜー。だがまあ、元々日本にゃ悪魔とタイマン張れる神秘存在もいなかったからにゃー。居座り放題だったぜ☆」

「日本神話とやらは何してたんだよ……」

「無理無理、あいつら基本的に引き籠りだもんよ」

 

 

 リゼヴィムの言い分に補足すると、日本神話の神々は根本的に『日本』の先祖に当たる。

 なので現在では生きていないのは当然で、そもそも日本の神々は他神教とは違い『何か恩恵を授けてください』と崇めるものではなく『どうか何もしないでください』と宥め賺されるモノたちだ。

 だからこそ、それぞれの神の齎すとされている『恩恵(ご利益)』は彼らの『得られなかった結果』へと補填されるモノであり、信者らの成功のために邪魔をしないように身動きを取られぬよう括られる。

 ゆえに彼らは『柱』と数えられ、それぞれの神域へと()じられるのが常となっていた。

 禁足地とは立ち入りを禁じられた地ではなく、出ることを許可されない土地になるわけである。

 

 なお、この点に関しては烏丸もまた勘違いをしていた。

 彼の世界では神秘存在はごった煮のように出歩いているために、東方の神の誰それが欠けていたところで基本的に何の問題もないのである。

 そして基本的に神の代わりに当たる存在が、また別に彼の居る世界を支えている。

 だからこその無問題が前提にあるからこそ、烏丸はこの世界にも『日本神話勢』と呼べるモノたちが受肉している、と勘違いしていた。

 

 

「悪魔が日本に移住始めたのは、大体250年くらい前からだけどナ。この国がオランダとかと金の遣り取りを始めた辺りから、此処は住み易すぎるってなことに気付いて、全体での大移動が始まったのヨ。だから冥界もこの国の『裏』にある」

「まあ、次元の狭間とか異界とかってなモノは亜空間に属するから、其処に土地が無けりゃそもそも住むことも無理か。天使の住処だって空の上にあるわけでもないしな」

「そゆこと☆」

 

 

 もう少し補填すると、天界の存在する異界に相当する場所は『聖典』の本拠地に値するバチカンの場所と位相を重ねて存在している。

 西暦が数え始められたのが2000ちょっと前なんだから、一万年と二千年前から生きてるっぽいことを宣う悪魔様方ならそれくらい前から日本に居たんじゃね? と聡明なドクシャなら推測するのだろうが、それならば300年以前の人材ももっと転生されていて然るべきだろうし、下手すればリアルドリ●ターズを実現できていたかも知れなかった。そうではなかった。読み解くと悪魔の人間社会への関わり方が、どうにも腑に落ちない点が目立ってしまうのである。

 あと改めて考える(プロトコルを紐解く)と悪魔の前身は神族に連なるので、せせこまっしい冥界に引き籠ってないで信者連れて新宗教立ち上げた方がガッツリ生き延びられるのではとか、まあなんやかんやも思ってみたり。

 

 話を戻す。

 

 

「まあそんなわけで、裏日本に居る妖怪らにとっちゃ俺らは目の上のタンコブ、不当に住処を圧迫している不法移民なわけヨ。猫魈の姉妹とか拉致ったりした奴もいたしナ」

「その時点でブチ切れるだろ普通」

「だから、帰属意識が低いんだってバさ。仲間意識そのものは高いんだろうけど、本来妖怪らは個人主義で、自分以外のモノには興味が無い。『仲間』と認めるモノだって、俺らみたいな悪魔よりもずっと限定されている。もっとも、そんな妖怪らを悪魔は眷属よりも使い魔として認識してるから、抗議挙げられてもナシの飛礫ってなもんだろうけどな」

 

 

 妖怪を眷属に据えるなんて一部のモノ好きだけだぜー、と例え話を用意して、リゼヴィムは講義を続けた。

 希薄なナショナリズム、民族意識を説明し、しかし、と更に続ける。

 

 

「現代はむしろそんな奴らじゃ生きていけないからにゃー。京都は僅かに生き延びた妖怪らの集まって隠れ住む追い立てられた楽園サ。そんなところに、今現在立場の危うい悪魔少年がのこのこと事情も知らずに訪れる。――ひと悶着ありそうだと思わないかにゃ?」

「そこまで狙ってたのかこのクズ野郎……!」

 

 

 ドン引きだった。

 クレオ少年は引き攣った顔で、ニヤニヤ嗤うリゼヴィムを罵倒した。

 

 

「そこまでは考えてねーよー? でも、直接狙うとしたら俺じゃなくって別口だろうにゃー」

 

 

 

  ▽   ▽   ▽

 

 

 

「(どうしたもんかにゃコレ……)」

 

 

 現在黒猫の姿で隠密行動中の塔城小猫の姉・黒歌は、想定していなかった事態に現実逃避したかった。

 元特A級の賞金首に当たるはぐれ悪魔であったが、今はその手配も取り消され白龍皇ヴァーリの仲間、つまりは堕天使陣営の一員として認識されている黒髪猫耳付きの和服美女。

 幼児体系を突き進む小猫の姉とは思えぬほどにその身体つきは妖艶かつグラマラスに育っており、そんな美味しいキャラでありながら終始烏丸の毒牙に掛からなかった稀有な(女性)だ。

 

 そんな彼女は、本日はヴァーリの修学旅行にこっそりとついて来ていた。

 別に妖怪の総本山であるとかいう胡乱な話を鵜呑みにしたわけではなく、単純に観光目的での散策だ。

 こっそりと仙術を教えていた妹が気付けば恋人を作りさらりと異世界へ旅立ってしまったために、体形の一部が妹に似通っている某白龍皇を妹に見立てて構っているとかそういった事情は一切ない。

 単に暇だったので暇を潰したかった、それだけの話だった。

 

 そんな折に、悪魔内での評価が頗る悪くなっていたイッセーが、妖怪に連れ去られるのを目撃してしまってさあ大変。

 妖怪の術なので追跡は楽だったのだが、其処で黒歌は碌でもない妖怪の事情を知ってしまったのである。

 

 

「おねがいなのじゃあぁ、かあさまを、かあさまをかえしてたもれぇぇ~……」

 

 

 巫女服を着た【のじゃロリ子狐】という、最近のジュブナイルではよく見かける青少年の描く妖狐のイメージそのものな幼女に縋られて、困惑するイッセーが其処に居た。

 

 

「そ、そういわれても、俺も何が何だか……」

「おんしら悪魔が八坂様を連れて行ったんじゃろうがぁ! 九重さまがろりじゃからと言っていつまでも甘い顔しとる思ったら大間違いじゃぞクソガキャぁ!」

「ひぃー!? 知らねーものは知らねーんですけどぉぉぉー!?」

 

 

 赤鬼に脅されて即涙目になる少年。

 幼女は即座に仲間内の妖怪に宥められ、イッセーから離される。ずんぐりむっくりとしたタイヤ●ンみたいな妖怪だ。恐らくベイマ●クスとは無関係であろうが。

 ちなみに黒歌は現在魔力を隠し妖力を表に出しているので、そこらの猫又の一種と思われてスルーされているらしい。

 しかし、赤鬼の言った言葉に黒歌ははて?と疑問を抱く。

 

 

「(あのボウヤに悪魔は関われない、って魔王様が決めていたはずにゃ。イコール京都に近寄ることが盟約に反すると思うのにゃのに、なんでこんな事件が起こってるにゃ?)」

 

 

 聞くに、ヤサカという者は妖怪らの重要な立場の存在なのだろう。

 それがイッセーの京都入り以前に悪魔に連れていかれたとあるのならば、もっと以前に抗議が寄越されても可笑しくないはずなのだ。

 ならば件の事件はごく最近に起こった事情で、それが修学旅行と同じタイミングで動き出すのは、偶然とは思えない。

 

 

「(どうにも不穏だにゃー……。とりあえず、アザゼルに連絡入れるにゃ)」

 

 

 引率として一緒に京都入りしていたアザゼル先生へ、スマホを取り出しタップする黒猫。

 何処から出したか? 懐だ。

 

 肉球で器用に『拉致現場なう』とLineを送る黒歌とは裏腹に、イッセーは亀甲縛りで逆さ吊りにされていた。

 音速の尋問移行であった。

 

 

「吐けェー! 八坂様の居場所を吐くんじゃ悪魔めェー!」

「アッーーー! やめ、アッーーーーーー!!」

 

 

 異端審問に勤しむ妖怪という奇跡の和洋折衷を垣間見て、黒歌はパシャリと鞭打たれるイッセーを撮影する。

 白うねりと一反木綿に鞭で打たれるという、そこらの京都旅行では味わえないサービスに吊るされるイッセーの瞼は涙でいっぱいであったという。

 それが歓喜によるモノでないのは言うまでもない。

 

 

 

  ▽   ▽   ▽

 

 

 

 この物語を、33分持たせて見せる……!

 

 別にそんな意気込みは特にないが、いつかテニヌ勝負をした雪女(ゴリラ)が口入れしたお陰でイッセーの尋問は恙無く終了し、疑いこそ持たれているモノの犯人とは特定されなかったために釈放されたり。

 犯人であった悪魔は密かに冥界から出てきていたグレモリーのファンであったことが判明し、イッセーに罪を着せ処刑を推進するために悪魔の仕業として解かり易い証拠を残していたのだよなんだってー!なドタバタが一幕起こったり。

 誘拐されていたはずのナイスバディ人妻妖狐・八坂は、いつの間にやら抜け出して修学旅行中であったイッセーの隣のクラスの一級フラグ建築士とちゃっかり出会い、メガネ美少女ドジッコ剣士&天井下がり系隠密忍者美少女の爆乳コンビとの修羅場を物語の陰で展開して居たり。

 

 そんななんやかんやを経て現在。

 連れ去られたはずの八坂も居ないのに、件の彼女の写真(ぶろまいど)を一目見て是非とも恩を売りたいと、悪魔の集団と激突することとなった我らが主人公兵藤一誠。

 駒の力も神器も無い少年の下へ、とうとう彼女が降り立った。

 

 

『――モフフフフ、奴の足跡を辿ってみれば、素晴らしい気配の世界にたどり着いたネ……。特にそこの小僧、中々相性の良さそうなモノを持っている。暫くお世話にならせてもらうネ』

「……ッ、な、おまえ、いったい……!?」

『我こそは乳神、名をパイオ・ツゥ。良さげな意識の器、隠れ家にはモッテコイネ……!』

 

 

 崩壊した魔法世界からの逃亡犯、乳神改めパイオ・ツゥ女史の参上である。

 実際、この世界は某ソシャゲでもドレスブレイクな絵柄が蔓延るほど魅力的なヒロインが多数いるので、ネギまと比べてもどっこいなレベルで彼女向けなのだろう。

 精神体で現れた彼女は不敵な笑みを浮かべつつ、かなり相性の良さそうな少年を隠れ蓑にすることに決めたらしい。

 

 驚愕するイッセーとは裏腹に、透けた身体の褐色少女は罅割れて機能しなくなっていた【赤龍帝の篭手】に染み込むように重なってゆく。

 魔法世界という幻想の中でしか存在を許されていない彼女たちは、この世界においても『器』が無ければ活動できないのである。

 

 

『力が欲しいのダロウ少年? 私を持ってゆくネ、素晴らしい力を授けてヤロウ……!』

「ぅおおおおお!? せ、神器(セイクリッドギア)が……!?」

 

 

 全体を覆っていた罅は見る見るうちに修復し、何処か龍を模していた篭手は滑らかさを顕せ始め、まるでシルクの手袋のような姿へと変貌する。

 くすんだ赤であった灰がかっていた色合いも輝きを取り戻し、以前よりもずっと薄い色の赤――桃色へと色彩を変える。

 手の甲に付いていた宝玉は既に無いが、代わりに円を重ねた魔法陣が顕現し、それはまさに女性の乳房を彷彿とさせる紋様を顕していた――!

 

 

「最低だアイツ!」

「卑猥すぎる! なんであんな奴が元グレモリー眷属なんだ!?」

「とっとと処刑されろクソガキーーッ!」

 

 

 悪魔たちのブーイングが酷かった。

 

 

「うるせぇ! 俺だってこんなん好きで付けてないわーーッ!?」

『モフフ、それは酷いな少年。素晴らしい力を授けたというのに』

 

 

 紋章から声が響く。

 先ほどの少女の声だが、紋章の中心が輝く姿が乳首が光っているようにしか見えなくイッセー自身ドン引きしていた。

 

 

『使い方は既に教えてある。さぁ、論ずるより産むが易しネ!』

「ああくそ、やってやらぁ! 【アルティメットストーカー】!」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

 瞬時に、イッセーの姿が消える。

 

 悪魔数人で囲んでいたはずなのに、抜ける隙間など何処にも無いというのに逃げたのだ。

 人間よりも優れた動体視力を持つ悪魔たちには捉えることが出来なかった異変は、彼らの中に居た女性悪魔にすぐに訪れる――!

 

 

「――ひゃぁん!?」

「……! Gカップ、か。良いモノを持ってるじゃねぇか……!」

 

 

 ぐぇっへっへっへとどす黒い嘲笑で、女性悪魔の背後を瞬時に捉えたイッセーは、流れるような仕草で彼女の乳房を揉みしだく。

 女性が混じっていることは間違いではない。グレモリーは女性悪魔にも人気なので、ファンとしてとても許せない奴を断罪するために今回の事態へと参戦した次第であった。

 

 

『我が乳神の権能、【アルティメットストーカー(神秘を追い求めるモノ)】。どのような足場でもどのような難所でも、女性のおっぱいを揉むためならば瞬時に移動できるネ。少年、キミなら上手く使いこなせると信じていたヨ……!』

「ああ、素晴らしいチカラ、使わせてもらうぜ!」

「ちょっ、いやぁ、やめて……!」

 

「「「「やっぱり最低だアイツ!!!」」」」

 

 

 ブチ転がすぞクソガキャァアアアア! と殺到する男性悪魔諸君。

 なお、男性には特に効かない権能らしい。

 

 女性悪魔に泣かれつつも揉みしだくことを止めなかったイッセーは、殺到した男性悪魔らにフルボッコにされたとさ。

 




書こうとしてもパソの調子がすこぶる悪く落ちる日々
元より趣味だが、趣味を片付けられないとかぶっちゃけ生きてる意味無いじゃない!
はたまた俺に生きるなとでも言いたいのだろうかと世界にモノ申したい毎日です

お久しぶりですおーりです。ひと段落書き溜めてから更新しようとしていたらひと段落が遠い遠い
更新を待っている方々が今もいらっしゃるのかは存じませんが、前回からほぼ二か月跨ぐとは思いもしませんでした
…え? 夏休みだったんだろって? 何言ってんですか休んだ記憶なんて無いですよ(真顔

なお、問題の『ひとだんらく』については活動報告にてぶっちゃけます

そして烏丸Rも烏丸が居なくなって久しいので、内容もまたブレブレです
書いた中身と描こうとしていたモノを把握し辛くなってきたので矛盾点が酷いのです
いっそ烏丸シリーズそのものをこのままぽーいと投げ捨てたい気分
あと久しぶりの更新がこんな中身で期待外れかと思われますのでおまけを書きます
お暇ならば下の方までスクロールヨロ










 触感としては搗き立てのモチのように柔らかく、熱と言うよりは温盛(ぬくもり)を豊満なふくらみが伝えてくれる。
 熟れ切った果実のような甘い幻想を漂わせ、両の乳房で挟んで擦る姿はしかし、快感よりは支配欲を満たせようという衝動を少年に教えていた。
 少年が無意識に伸ばした手が、艶やかな黒髪を撫でつける。
 豊潤な柔肉で挟むその持ち主は、その手に甘えるような蠱惑的な微笑みを浮かべ、谷間から突き出る逸物に舌を伸ばして這わせ始める。
 同時にざらり、と肉食動物の持つそれのように粗い舌触りを備えた感触が、少年の亀頭に未知の快感を芽生えさせていた。

「にゃぁん、おねえさんのおっぱい気持ちいいかにゃ、しょうねん?」
「むしろ舌の方が……、いやなんでもない」

 女性の黒髪には確かに猫の耳が生えているが、そんなところまで動物的に再現せずとも、と頭の何処かが警鐘に似た何かを鳴らす。
 しかし、それよりは気持ちいいのが先だ! とアラームを叩き付けるのが男子の本能。
 舐めつける彼女の行為に異を唱えることはせず、彼はされるがままに背筋を震わせていた。

 今更だが女性の名は黒歌。
 本編では逃げ切った感がある猫系の妖怪だが、この世界線はおまけだからいいじゃない。と作者の勝手な思考でエロシーンを追加された美女である。
 妹の想い人だとか、相手してるの烏丸であってるの? とか、思ったよりもずっと猫、だとかたぶん描写を増やせば色々書けるのだろうが、色んな都合でまるっとカットさせていただく。
 文字数? いや、パソコンの調子が。
 こまけえこたぁいいんだよ!

「さぁて、ほどよくおっきくなってきたわけだし、そろそろいただきますさせてもらうにゃぁ。あたしもがまんできないんにゃよね」

 身を乗り出すように少年に跨り、自らの脚で彼の太腿を挟み込む。
 勢いのままに行動しているお陰で、先ほどまで逸物を挟んでいた乳房は少年の顔を埋めるように圧し掛かっている。
 幸いにも粘液のようなべたつきは感じない、彼女の汗で緩やかに湿り気を帯びた爆乳がぼよんっと、男子の夢を際限なく満たせてくれていた。
 それに対して少年が思ったことは、妹とは似ても似つかねぇ感触だ、という実に失礼な感想だった。

「んにゃあぁぁぁぁ、はい……っ、たぁぁ~~……っ」

 ソシャゲなどではギリギリを映すので伺え知れないが、髪色と同じ彼女の艶やかな陰毛に逸物が侵入してゆく。
 膣穴を押し広げ、襞肉を擦り、こつり、と先端が胎の奥に届くことを実感する。
 それを快感と覚えてしまっていた黒歌はしかし、自身に響いた感触に痺れたように悦びの声を上げた後は身動きが取れず、少年に抱き着いたまま呼吸を動悸を落ち着かせる時間が必要だった。

「ふぅ……、ふぅ……、ん……、んぁ……、~~~っ……、ふぁっ!?」

 ビクン、と跳ねるように腰が浮く。
 嬌声は自分のペースで始めようとした寸前をフライングさせられた衝動で思わず漏れた物で、普段使いの猫らしい口調を忘れた普通の女性らしいモノだ。
 かけるべき言葉は、どうした黒歌口調が変だぞ、と聞くべきかも知れないが、作者は敢えてただ一言言わせて貰う。
 可愛くね?

「ふみゃっ、ぁ、ちょ、まっ、んあぁっ!」

 思わぬ反撃が功を奏しているのか、それともそれまでの行為が後を引いているのか、黒歌は顔を赤く染めつつ少年に抱き着いたまま、ロデオのように腰が跳ねる。
 その衝撃で全身が揺れて、覆い被さったままの乳房もまた水風船のようにぱんぱんと跳ねて暴れた。
 黒歌は抱き着く腕を放すことは無く、少年の顔には夢のような感触が延々と繰り返された。
 しかし黒歌にそっちを気にする余裕はなく、今彼女が感じているのは、子宮の入り口を裂く気ではないかと思わせんばかりの衝撃(快楽)だ。
 痛みより快感が自らの胎を突き上げて、埋めて窄めることで捕えているはずの肉壺が、逆に逃げ場のない獣欲(ケダモノ)を檻の中で暴れさせているような錯覚。
 それを早く終わらせたいと願うのではなく、もっとずっと続けていたいと、自分の欲求が押し上げられていくこともまた感じている。

「んにゃあぁぁぁぁっ! おっきぃぃっ! お●んぽきもちいぃよぉぉっ!」

 堪え切れなくなった黄色い声音が、堰を切ったように淫語をぶちまけていた。
 それを自覚しながらも、ついに自らも腰を跳ねるリズムに合わせて踊り出す。
 ダンサブルに跳ねる縊れた腰は、いつの間にか少年の手が玩具にするかのように捕まえられていた。





おまけなのでコレくらいです
活動報告も忘れずにネ!


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