仮面ライダーカブト♀ (桂ヒナギク)
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1.メスカブト

 渋谷に巨大な隕石が落下する。七年前のことだ。

 巨大隕石は渋谷一帯を壊滅させてしまう。

 その頃から、緑色の異形、ワームが出現するようになった。

 ワームは人を殺し、擬態能力でその人物に姿を変え、人間社会に浸透していった。

 隕石が落下した渋谷は、今も復興されることはなく、それどころか立ち入りも禁止されていた。

 月島(つきしま) 聡美(さとみ)天道(てんどう) 総司(そうじ)と遊園地デートからの帰り道を歩いていた。

「きしゃああああ!」

 サナギ体ワーム、サリスが現れる。

「聡美、逃げろ」

 無言で駆け去っていく聡美。

 総司は飛来したカブトゼクターを掴み、ベルトにセットした。

「変身」

{HENSHIN}

 総司はオスカブトのマスクドフォームに姿を変えた。

 ワームは仲間を呼び集め、カブトを取り囲む。

 一体のワームが脱皮をしてアラクネアワーム・ルボアに変態した。

 サリスたちとルボアがカブトを襲う。

 カブトは応戦するが、多勢に無勢、やられる一方だった。

 そこに、もう一体のマスクドフォームのカブトが現れた。

 そのカブトは、見分けはつかないが、メスである。

「お前は?」

 疑問符を浮かべるオスカブト。

 メスカブトはカブトクナイガンでサリスをアバランチブレイクで粉砕していく。

「きしゃああああ!」

 ルボアが超高速移動─クロックアップ─をした。

 吹っ飛ばされるメスカブト。

 メスカブトはカーブミラーをクナイガンで破壊し、サーチライトを照射し、無数の鏡の破片に反射させてクロックアップ中のルボアの姿を浮かび上がらせると、立ち上がって迫り来るルボアの腹部にクナイガンの刃を突き刺した。

 爆裂霧散するルボア。

「誰だか知らないが助かった」

 オスカブトはそう言うが、メスカブトは無言で去っていく。

 ゼクターが外れ、変身が解ける総司。

 一方、人気(ひとけ)のない場所にやってきたメスカブトはゼクターを外した。

 変身が解け、聡美の姿が露わになる。

 ゼクターを放す聡美。

 総司の下へ戻る聡美。

「総司」

「戻ってきたのか」

「心配だったからね」

「行くか」

 総司と聡美は歩き出す。

「さっきのやつの擬態……じゃないよね?」

「ああ」

「それならいいんだけど」

じゃあね──と、交差点で総司と別れる聡美。

 家に着き、中へと入る聡美。

「ただいま」

「お帰り、お姉ちゃん」

 小学生の弟の慶太(けいた)が玄関にやってくる。

「お姉ちゃん、お腹空いたよ」

「そう。じゃあ何か作るわね」

 聡美はそう言って台所へ直行して晩御飯の支度をし始めた。

 



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