ISーとあるifの物語ー (包み焼きハンバーグ)
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1.終わりの始まり

このたびは戦コレが出来ない暇な時間に、ほんのちょっとした出来心でかいてしまいました(笑)
これから…特に4月からは自分も社会人になり、多忙な日々故あまり更新が困難になりますが、そこら辺はご了承下さい。
まぁ長々としてはダレますので、どうぞ!


1.終わりの始まり

 

 

 

 

「ーーーーーーこれが、一流の悪党だ」

 

 

目の前に迫ってくる黒い奔流を眺めながら、ふと聞こえたその言葉。

 

 

『一流の悪党』

 

果たして俺の何がいけなかったんだろうか…上位個体(ひとじち)を取り、相手の心境を揺さぶりをかけるなどしたが結局あいつには適わなかった。

能力云々の問題じゃない。はっきりと『格の違い』とやらを見せつけられたら瞬間だった。

 

 

暗部組織『スクール』のリーダーとしての威厳を保つために下っ端をこき使い、結局能力(チカラ)でしか信用を得ることが出来なかった自分と、どこぞの無能力者に倒されてから、まるで今までが嘘のように、あの第三位のクローンの為に文字通り体を張って守り抜いた第一位(あいつ)

考えてみれば、どちらが強いのかは一目瞭然だ。

そういえば昔、まだ幼い頃の俺に独りの研究者(あいつ)が言ってたっけ。

 

 

『護るものがある人間ほど怖いものはない』って。

 

その時は言ってることが理解できなかったが、今になってようやくわかったよ。

ああ、確かにアイツは強ぇ…。悔しいけどな、認めるしかねぇ。そりゃあ俺と違ってアイツは持ってるんだから、『護るべきもの』ってやつを…。

 

ああそうさ、認めたくねぇがその通りだよ。

 

『俺はアイツが羨ましかった』

 

同じこの学園都市の闇を知り、クソみたいなとこで過ごしてきた俺達。

お互いに面識があるわけでもなく、ただ高位能力者ってだけの繋がり。来る日も来る日も実験などの毎日。そんな生活をお互いに過ごし、そして暗部組織という『学園都市の闇』に関わって生きてきた。

 

 

だからこそ羨ましかったのだ。

普通の生活。普通の日常。そんな一般人が当たり前のようなことは俺達にとって当たり前ではない。

部下の手前だから強がってしまったが、ホントは羨ましかった。

そして思ったんだ。『なんでアイツだけ』って。

 

 

俺だって、他の奴らだって、口や態度にはださなくとも表の生活に憧れてる奴はいる。

甘ちゃんだと自分でも思うが、仕方ないのだ。だから俺はむやみやたらに一般人を傷つけない。

そうすることで、なんだか一般人(ふつうのひと)のようだと理性を保てるからだ。

そう思うことで、今まで暗部組織という腐った所でもなんとか一般人に近い自我を保っていた俺。

結局俺は、悪党にもなりきれず、かといってアイツのように普通の生活に戻る訳でもない、いわばどっちつかずの『中途半端』だったってわけだ。

 

なるほど、そうかんがえたら負けるのも当然だよな…。

何だって俺は紛い物…羨ましいとは思っても、どこかで『俺には無理だ』と諦めてしまう。

それが暗部というある意味普通の大人でも体験しないシビアな世界に生まれたからなのか…出来る出来ないの区切りをはっきりつけちまう。

出来ないとわかったらしない、だってそれは『出来ない』とわかってるんだから…

 

だがアイツは違った。

『出来ない』と思っていたことが、アイツは『出来た』のだ。

人の助けとかそんなのは関係ない。『不可能を塗り替えた』といっても過言ではない。

 

 

「ちくしょう…」

 

自然と口からこぼれた言葉。

悔しい。負けるのが…こんなとこで死ぬのが悔しい。まだ俺にはやり残したことが沢山ある。アレイスターだってまだ倒しちゃいないのに、こんなとこで死ねない。

死ねない…のに、なんで…なんでこんなにも清々しいのだろう。

 

 

そう、端から見ればわかるが、今の垣根は『笑っていた』

誰がみてもわかる死までのわずかな時間。苦痛に顔を歪めるのではなく、諦めるような顔でもなく、『笑っていた』のだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ神様よ、…もしいるのなら俺のこの人生のなかでのたった一つの願いを聞いてくれ。

普段はこんな学園都市(まち)に生まれたもんだから、これっぽっちもそんな迷信なんざ信じてはいないが…もしいるのなら………頼む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やり直させてくれ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな……結末じゃなく、誰も…誰もが笑って過ごせる……そんな世界《にちじょう》になるように俺も心入れ替えて頑張るからさ‥頼むよ……。

もう………こんな気持ちは…こんな気持ちはもうこりごりだよ…。

 

 

そして俺はアイツにこの人生(うまれてきて)初めてで、最後になるであろう『言葉』を喋る。

 

 

 

『      』

 

 

 

ああ……空がキレイだ。クソッタレな俺には眩しすぎるほど……な‥

そして俺の意識はそこで唐突に途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     ▲   ▲   ▲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの野郎ォ…………」

 

 

最後のあの俺の全力の攻撃……正直そうそう狙っては出せないだろォがな…

あの野郎…『笑って』やがった…。それも、自分が死ぬと確信した上で…だ。

 

 

普段の俺だったら、『アイツ頭可笑しいンじゃねェの? 』と笑っただろうが、今は不思議とそんな気分にはなれなかった。

そしてアイツが最後に言っていた言葉………

 

 

 

 

 

 

 

 

「『ありがとう』………か……。」

 

 

ふとその時、幼い、まだ俺がガキだった頃の事をふと唐突に思い出す。

 

 

 

 

 

 

あの野郎とは、今日以外にもあったことは一度だけある。

俺がたまたま研究所に行ったとき、丁度アイツもたまたま同じ研究所に来てたのだ。

なんでも学園都市の中でココしかない機械があって、俺達にはそれが必要だとか。

名前は興味ないから覚えてねェが、それでたまたま……ホント偶然のなか俺達は出会った。

多分アイツだって、忘れてると思う。俺だってあんま詳しィことはわかんねェ……だが、初めて俺に喋りかけてきた言葉は今でも覚えてる。

 

 

 

 

 

『お前にはゼッテー負けねぇ』

 

 

呟くと同時に無意識に頬が緩んでしまう。なんだかとても懐かしく感じる。

 

 

その当時俺は、周りの奴から避けられてた。いや、『今でも』打ち止め達(あいつら)以外からは避けられてる。

……まァそんな事は今はどォでもイイ…話を戻すぜ。

 

 

初めはすっげェ悲しかったのは覚えてる。「何で僕だけ…」と泣いたのも一回や二回じゃねェ……。

それも、回数を重ねる事に慣れちまったけどよォ…………。

 

 

取り敢えずそのころの俺には、対等に話しかけてくる奴なんかいなかった。

まァ…当たり前といっちゃァ当たり前なんだがな…髪が真っ白な白髪ってだけで、あの年頃のガキ達には気味悪がられる訳だ…おまけに圧倒的な能力(チカラ

)を持ってりゃァ尚更だ。

 

 

だからこそ、そんなときだったからこそハッキリと印象に残ってる。

アイツーーー垣根(かきね)帝督(ていとく)は、俺の能力のことや、見た目、なにもかも知っておいて、なお話しかけてきやがった。

しかも開口一番に『お前には負けねぇ』との挑発だ。そりゃァ嫌でも覚える。

 

だけど、だけど正直嬉しかった。

 

周りの奴らは皆俺の事を化物としか見てこない。畏れられる事はあっても、挑まれたことなんて初めてだった。

大抵俺は初見で何でもでき、それにこのチカラがあったせいもあり、同年代どころか周りに競える奴などいなかった。

なにをやっても出来ちまう。人はそれを羨むだろうが、俺は違った。

 

 

 

『つまんねェ』

 

 

 

人より早くできると言うことは、それだけ先に進むということだ。

それが少しならいいが、俺はそんなこと無かった。そのつどそのつど離していく実力。

ふと気がつき、後ろを見たときにはそこには誰もいなかったのだ。

 

その位この少年の成長スピードと能力が異常だったのだ。

 

 

 

『天才は孤高』

 

 

というが、正にその通りだ。

だからこそ、そう…だからこそ、自分と同じ天才であり、同じ学園都市の闇を見てきたであろう似たような境遇であるアイツから宣言されたのは、素直に嬉しかった。

アイツの手前、「ハッ、まァ頑張れや」と強がってしまったがそこは照れ隠しとでもいってもイイかもしれない。

今はもう真相なんてわかんねェ…俺がもし、……俺がもしあの無能力者(ヒーロー)に倒されてなかったら、アイツと同じ事をしてたかもしれない。

アイツと俺は同じなんだから……。

 

 

 

アイツがいた方向を眺める。砂埃や煙などが立ち込めており、前はよく見えないが関係ねェ。

 

 

 

 

 

「じゃァな、……帝督(ていとく)」

 

 

 

 

そう言って俺はその場から踵を返す。もう後ろは向かない。

アイツが……帝督(あのバカ)がやれなかったぶんまで俺が背負う。やってやる。

そう思い、俺はその場を後にした。

 

 




原作では報われなかった帝凍庫クン…こんな終わり方もありかなぁ…と勝手に納得しちゃったり(笑)
感想、評価等もらえれば、それがそのまま作者の励みになりますのでwww
何卒お願いしますっ!!


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2.目覚め

一応「 」に会話を、( )に心の声を、『 』に特に伝えたいことを書いてるつもりです(笑)
やることがないから執筆する……あれ?これ結構いいスパイラルじゃね?!と、自分で思ったり思わなかったり(笑)
まぁそのぶん、文が結構雑になってるような気がしないことも……



2. 目覚め

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………ハッ?! 」

 

 

俺は唐突にベッドから体を起こす。

ふと、ベッドの近くに置いてある自分の携帯を取り、時刻を確認する。まだ時刻は4時半と起きるには早い時間。

ハァ…ハァ…と端から見ても明らかに不規則な呼吸だ。今着ているシャツも汗がべったりと張り付き、とても気持ちが悪い。

 

 

しばらくそのままベッドの上で上半身を起こしたままにしていた俺ーーー垣根帝督は、呼吸を整えて二段ベッドから降り、部屋の右手にある洗面台までおぼつかない足取りで向かう。

 

 

蛇口をひねり、出てくる水を手ですくって顔を洗う。

ピシャッという水が顔にかかる音が、聞いていて心地よい。

洗面台の横にある掛かってあるタオル(税込み価格1,200円)を取り、顔を拭く。

 

 

ふと鏡に写った自分の顔を見て、思わず俺はポツリと呟く。

 

 

 

 

 

『あぁ、神様ってホントにいたんだなぁ…』って。

 

 

 

 

 

         

そう呟く垣根の顔は、生前と同じ茶髪にホストのような甘いマスク。ややつり目ぎみだが、それでも充分世間一般的にみて『イケメン』という部類に入るレベル。

そんな彼は、今、あの時の台詞を思い出していた。

 

 

 

『やり直したい』

 

 

その言葉を神が聞き入れてくれたのかは定かではないが、今こうして垣根は生きている。

いや、生きているというのは色々と語弊が生じるので訂正しよう。

どうやら俺こと垣根帝督は、あの世界とは別の世界へと移り変わったと言った方がいいだろう。

これを二次創作作品なんかでは、『転生する』というのだが、垣根は生前暗部組織『スクール』のリーダーとして、学園都市上層部の駒として動いていたのでそんな事は知らない。

 

 

 

 

 

閑話休題。

 

 

 

 

 

とにかく俺こと垣根帝督は文字通り生まれ変わったんだが、ここで嬉しい誤算があった。

まず一つが能力ーーー『未現物質(ダークマター)』がこの世界でも使えると言うこと。

それともう一つ、あっちで覚えた知識などを覚えているという事だ。

 

能力と比べるとこちらは劣って見えるかもしれないが、よく考えてみて欲しい。

何度も言うとおり、この世界は俺が前生きていた世界とは違う異なった世界だ。根拠だってある。

 

その一つがこの世界には、学園都市という街自体が存在しなかった。

すでにあって、消滅したとかそんなんじゃなくて、文字通り最初からなかったのだ。

それを知ったとき、俺は確信した。『これは使える』と。

 

 

 

 

考えてもみて欲しい。学園都市の売りとも呼べるべきものーーーそう、圧倒的とも呼べる科学力だ。

上層部や一部の狂った科学者共が、身よりのない置き去りなどを犠牲に開発した狂気の技術でもあるこの科学力。学園都市の外と中とでは20年もの差がでるとまでよばれた技術。

俺は幸か不幸な事に暗部組織、それもリーダーをしていたせいもあってか、あらかたの技術を見てきた。

そして何も学園都市第2位というのは、決して能力だけの結果等ではない。

オンリーワンの能力なだけあり、他の能力者とは常軌を逸するような高難易度な演算能力や、その場その場に合わせる適応力等が求められるのだ。

原作では何かと簡単に能力を多様しているイメージがどうやら周り(どくしゃ)に根付いていたようだが、あの一瞬の間に常人では考えられないほどの演算が行われているという訳だ。

 

まぁなんだかんだ言っても、学園都市230万人の中の2位は伊達ではないという事だ。

そんなわけでぶっちゃけた話、垣根が本気を出せば今の技術が大きく進歩するのは確実なのだが、如何せんどうやら本人にはそんな事は殆どどうでもいいらしい。

あくまで『お金を稼ぐビジネスの一つ』としか考えてないようだ。

 

 

そんな事よりも、垣根はこの世界に来て興味を持ったモノ(・・)があった。

それは………。

 

 

「ISねぇ…………」

 

 

垣根は偶々付けたTVには、『ISの実用性とそれに伴われる各国の経済状況』と、暗部組織出身の垣根からしたら、「こんなん放送していいのか? 」と思うような内容がニュースで流れていた。

 

どこかのアナウンサー達とゲストできたこれまた知らないお偉いさん達が、なにやら討論を始めていたが、垣根にはそんなの蚊帳の外だった。

 

 

 

 

 

 

『IS』

正式名称は『インフィニット・ストラトス』

 

 

1人の天才が作り出したマルチフォームスーツであり、宇宙開発を目的に作られたそれは、現行していたあらゆる兵器を上回る性能を秘めていた。

インフィニット・ストラトスーーー通称ISの誕生によって、宇宙開発は大きく進むと思われた。

 

 

だが、結果としてはそうはならず、ISはその姿を徐々に変えてゆく。

 

兵器として、ーーー武力としてのIS。それを恐れた国々はISに関する一つの条約を纏めた。

 

それが『アラスカ条約』である。

これにより、IS発明国であった日本はその技術を独占出来なくなり、更にIS操縦者育成機関設立などの条項にサインする事となる。

その結果、ISはスポーツの一分野として定着する事となる。

 

だが、ISのコアは限られていた。

 

世界で唯一、コアを作ることの出来る科学者、『篠ノ之(しののの)束(たばね)』はコアの量産を是としなかった。

 

ISはコアなくしては成立せず、そしてコアは数が限られている。

 

故に、世界にISは限られた数しか存在せず、各国は如何に優秀な機体を作れるかに執着する。

強力なISと多くのIS、それは国家戦力の比として扱われていた。

 

 

そしてもう一つ。

ISの特徴である、女性しか扱えないと言う部分が、男女の社会的関係に影響を及ぼした。

 

ISは国家戦略にも影響を与える代物。

今や、女性は『女性であると言うだけで男性よりも偉い』という風潮になりつつあったのだ。

 

だがそれは、長い人類史から見れば大したことではないかもしれない。

 

なぜなら過去、女性蔑視の時代は多々あったからだ。

 

 

今、それが男性に変わった。それだけのことなのかもしれない。ーーー

 

 

 

 

 

これはつい最近、ふとISと言う物がどんな物なのかを詳しく知る為、自宅のPCで調べた内容だ。

垣根はこれを見てただ一言。『くだらねぇ』と呟いた。

 

 

 

( 大体天才とかいう割には、当初の目的であった『宇宙開発を目的に作られたーーー』とかいってた内容と出来上がったモノがまるで違うのはどう言うことだよ……。)

 

人を小馬鹿にするような喋り方で、垣根はなおも続ける。

 

( しかも……だ。『女性しか使えない』?もうまんま不良品じゃねぇか、IS(これ)…こんなんでよく『天才』とか呼ばれたもんだ……ここの世界のやつらは全くどうにかしてるとしか言いようがねぇ……)

 

 

こうまで垣根は言うが、彼は学園都市の人間ーーーそれも序列第二位だ。

垣根自身認めたくない部分も多々あるが、学園都市の科学者達は皆、計画通り完璧なモノを作り上げていた。それは工業製品などから極めつけは人ーーー能力等、様々な分野で功績を残していた。

確かにこのISとやらも、個人が作ったものだというのには垣根自身凄いと思う。しかし、それだけだ。『天才』というのは些か納得し難い。

 

 

 

……まぁとにかく話を戻そう。

 

何故、こんなISなぞに詳しく調べたかというと、興味というのも勿論間違ってはいないがちゃんと明確な理由があるのだ。

まぁ簡単に言ったら『複習』。この一言に尽きる。

 

さっき、『女性しか使えない』といっておきながらなんだよお前と思うかもしれないが、それは俺だって同じだ。誰があんな好き好んであんな死亡フラグバリ3の危険極まりない兵器に自分から関わるかっての。

 

 

 

早い話が軽く現実逃避に浸ってたって訳だ。せっかくのもう一度の人生。平和でほのぼのと過ごす予定だったのに……一体どこで狂ってしまったのか。ホントに謎だ。

 

 

 

そして机の上には、無造作に放り出されたタ○ンページのような分厚い紙の束。

表紙には黒の文字ででかでかと、『IS学園に入るに当たっての…』だとの文字がみえる。

ぶっちゃけISの専門知識の参考書のようなものだ、多分………………うん。

無造作に置いてあるのは、垣根がベッドに座りながらパラパラと読み、飽きたので投げ捨てたという至極下らない理由だったりする。

 

 

 

 

 

そしてーーーーーー

 

「つかこれ……ダサくね?もっとないのかよ…」

 

そういう垣根の手には、白を基準とした黒と赤のラインが入ったブレザータイプの学生服上下。

ここまで言ったら粗方は想像がつくだろう。IS学園の男性用(・・・)の制服だ。

 

 

元々ISは女性にしか動かせないわけだから、当然制服は女性用しかない。これは今回俺ともう一人の為に特別(・・)に政府が用意したものだ。

 

 

( 全く…いきなりだからって適当じゃね? てかセンス悪ぃなぁ…コレ…。)

 

とダメ出しを零す垣根。全く何様のつもりなんだろうか。

 

 

後日、制服はカスタム自由ときいて歓喜した少年がいたのは余談である。

 

 

 

「はぁ……取り敢えずシャワー浴びるか……」

 

 

汗も止まり、冷えてしまった体を鞭打ちバスルームまで向かう。

その時に洗面台の上に置いてあるタオルを一枚取り、洗濯機の上の蓋に置く。

足元に転がってる籠に今着ていた服をぶち込み、バスルームのドアを開け中に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さーて、今日も一日頑張りますかね!』

 

 

そういいつつ垣根は、バスルームのドアを閉め中に入っていった。

 




感想・評価は作者の励みになります(笑)
明日も出来たら投稿したいとおもい、少し書いてます!
宜しくッ!


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3.「主役は遅れて登zy「なんかあるのか? 垣根? 」…………サーセン」

はじめに一言言っておきます。す い ま せ ん で し た !!
自分的には結構ぐだったイメージが出来てしまいました(笑)
上手く纏めれるようになりたいぜ………


3.「主役は遅れて登zy「なんかあるのか?垣根? 」……サーセン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『遅刻』

 

 

決まっている時刻に遅れることを指す。

よくギャルゲなんかではフラグの定番と言っても過言ではない。

かの有名な故人もこういったものだ。

 

 

 

 

 

『遅刻あるところに、フラグがあるのだよ』と。

 

 

 

 

一瞬作者の頭の中に、髪が緑でよくおは朝のラッキーアイテムを持ち歩く全距離(オールコート)対応シューターが浮かんだのは気のせいだと思う。うん、気のせいだ。気のせいということにしておこう!

 

 

…とまぁ軽い現実逃避はおいといて、そろそろ冷静になろう。うん。

とまぁ自己完結で締めてしまったが、改めて辺りを見渡す。

 

 

俺こと垣根帝督は、シーンとした廊下を歩いていた。

時刻は現在10:20……あ、もちろんAMのほうな。

ちなみに今日は火曜日……平日である。

何回も言うが、時刻は10:20……あ、今21分になった。……っと、話を戻そう。

 

 

平日の午前10時21分、学生……それも高校生ならば殆どの学校が授業中のこの時間。

そんな時間にも関わらず、この少年は今頃……それも授業中にこうして廊下を歩いているのだから不思議な話だ。

 

 

 

「ったく……入学式から遅刻とかツイてねぇなぁ……」

 

廊下を歩きながら、この物語の主人公こと垣根帝督はそう零した。

とは言っても、遅刻の理由もそんなたいそれたものでもない。

ただの『寝過ごした』……この一言に尽きる。

別に登校中に事故にあったとか、道に迷って困っている老人を助けてたとか、そんなベタな展開等ではなく、ただ単純に寝過ごしたのだ。

 

 

「ったく……俺も随分鈍っちまったもんだぜ‥…」

 

 

聞く人からすればただの痛い人にしか聞こえないのだが、幸いにも辺りに人影はない。

そうして考えているうちにもどうやら教室についたようだ。

俺は受付のお姉さんに貰った紙を見て、改めて確かめる。

 

 

『1ーA』確かにココだ。

なにやら授業中なのに騒がしいが、学校とはこういうものなのだろうと勝手に納得した垣根はドアの一歩手前で深呼吸をし、気持ちを落ち着かせる。

 

 

「………ふぅ…。……よしっ!! 」

 

 

意を決しドアを開けようとすると、勝手にドアが開く。チッ、何だよ自動ドアかよと思いつつ教室の中へ入ると……………

 

 

 

「決闘ですわっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………あ、すいません教室間違えました。失礼しまし……?! 」

 

失礼しましたといいつつ教室からでようとした刹那、上から殺気を感じとっさにバク転をしてそれを躱す。

教室からは「おおー?! 」と声が挙がるが、そんな事知ったこっちゃない。

暗部で培ってきた勘で殺気を感じとるチカラ、まさかこの世界ーーそれも教室に入った瞬間に使うとは思ってもみなかったが。

 

 

「チッ……」

 

 

そういいつつ今さっき殺気バリバリで攻撃を仕掛けてきたであろう目の前の女性に目を向ける。

……ってか今さらっと流しそうだったけど「チッ……」って舌打ちしたよな?! 

眼前の女性がホントに教師であることに早くも疑問を持ちつつも冷静に状況を理解しようと試みる。

 

するとその目の前の女性は、右手にだらんと持っていた主席簿を肩の上に載せ、こちらに問い掛けた。

 

 

「おい遅刻者、教室に入ってきて早々退室とは……お前教師をナメているのか…? 」

 

 

額に青筋をびきびきたてながらこちらを見据えている黒いカジュアルスーツに黒髪ロングヘアーの女性ーー織斑(おりむら)千冬(ちふゆ)はそう訪ねた。

 

 

……イヤ、どうでもいいけど取り敢えず殺気抑えろよ。後ろの奴ら全員顔真っ青にしてビビりまくってんぞ…?

 

とまぁそんな事いったらいったで面倒な事になるだろう。

そう思いながら俺は、こういう場合につかうであろうありきたりな言葉を吐いておく。

 

 

「いえ、なんか面倒事に巻き込まれそうってかもう『こりゃあダメだ…』と思ったので」

 

 

 

訂正しよう。全くありきたりではなかった。

さっきから殺気全開だったのが、「……ホゥ? 」とかいって更に上げやがりましたよこのおかたは…。

 

 

 

そんな事を考えていると、「はぁ……」というため息の後、あっちもこれ以上は無駄だと判断したのだろう。当たり障りのない質問をしてくる。

 

 

「ところ…で、お前は入学式早々何で遅刻したんだ……? 」

 

 

その場にいた全員がうなずいたような気がした。

まぁそれもそうである。普通は入学式早々……それもこんなドがつくほどのエリート校で遅刻なぞしない。なんかきっと理由があったのだろう、誰も口には出さないがそう思っていた。

垣根は普段の顔から一変、真剣…それも悩むような動作をした後、意を決したかのように顔を上げた。

 

教室には先程の自己紹介の時以来の緊張感が漂っており、誰かが鳴らした喉をならす音が聞こえた。

そして垣根は、一般的に言うであろうキリッとした表情で答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すいません、向かい風だったので遅刻しました! 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょおまwwwwwwwwwwww」

 

 

 

 

「向かい風ってwww」

 

 

 

なんかウケた。

アレ? 場を和ます為に適当な言い訳をしたんだがまさかウケるとは……まぁいいか、結果オーライってことで。

 

 

 

そう思い、取り敢えず今の状況を理解しようと周りを見る。

 

改めて見ると、すっげえカオスだこれ。

さっきの「向かい風だったので遅刻しました!(キリッ」のせいで、それまで教室を充満していたであろうピリピリとしたムードが一転ほのぼのとしてしまった。

なんかもう1人の男のほうなんか、未だ腹抱えてヒーヒー言ってる。そんな面白かったか?

 

そんなくだらない事を俺が考えていると、もう1人の先生(?)が話しかけてきた。

 

 

「それでは垣根君でしたよね? こちらの方にきてもらっていいですか? 」

 

 

「あ、はい」

 

 

 

 

そういって教卓の近くに行き、黒板を背に向け皆の方向をみる。うぉ………改めてみるとホント女子しかいねぇんだな…男は俺と後はこの前のコイツ(・・・)だけか……。

 

 

そんな事を考えていると、さっきの黒髪のこわーい先生がギロリどいう擬音が相応しいであろうくらいの睨みをこちらに利かせてくる。

 

………あぁ、遅れてきたから自己紹介しろって訳ね。うん、納得。

そんなわけで取り敢えず、作った顔で爽やかに挨拶をする。

 

 

「初めまして、垣根帝督です。まだわかんねぇことが多々あるから、これから迷惑をかけるかもしれねぇが宜しく頼むな」

 

 

シン………としたのも束の間、次の瞬間…

 

 

「「「「「「キャーーーーー!!」」」」」」

 

 

 

「織斑君に続き世界で二番目の男性IS操縦者!! 」

 

 

 

 

 

 

 

 

こっちの世界にきてまで二番とは……とことん俺ってやつは一番にはなれねぇ星の下に生まれちまったらしいな…。

 

 

 

 

「織斑君と違ってこっちはワイルド系のイケメン!」

 

 

「彼にならあたし……ぽっ」

 

 

 

 

 

………………こっちは予想外だが。

 

 

 

垣根が自己紹介の際に人当たりの良さそうな作った顔で挨拶をしたのも、勿論これからの人間関係を円滑に進めていくために都合が良さそうだったからやっただけであって、彼本来の素などては当然ない。

ましてや垣根は暗部組織出身の身。

女のエージェントからの色気仕掛け(ハニートラップ)を受けたことはあっても、同年代の女子からこうストレートに「格好いい」とか「イケメン」とか言われたことがなかったせいもあり、多少ビックリしたのがホントのとこだ。

まぁ垣根自身が知らないだけで、暗部組織時代でもたまに訪れるコンビニなどでは女店員等から「あの人なんか格好よくない?! 」とか言われたりしていたのだが、ちょうど垣根は立ち読みしている雑誌に夢中だったため聞こえていないという事もあったのだ。

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

「お前の席はそこの男子(バカ)の後ろだ。すぐ席に着け」

 

 

 

 

「へいへい。………よっと」

 

 

そういって織斑センセーの指示に従います席に座ると、早速前の席の男子が話しかけてきた。

 

 

「さっきの遅刻の時はひやひやしたけどジョーク面白かったぜ!俺の名前は織斑一夏、一夏って呼んでくれ!」

 

 

「だってお前一番ツボ入ってたもんな。俺はさっきも挨拶したが垣根帝督、垣根でも帝督でも好きな方で呼んでくれ」

 

 

「だってあんだけ溜めてしかもなんかシリアスな空気から一変「向かい風だったので遅刻しました!(キリッ」だぜ?マジで笑いすぎて死ぬかと思ったわ」

 

 

中々人当たりが良さそうな奴だな、………まぁ辛気臭いやつよりは百倍マシだがな。

そう思い、俺も当たり障りない会話を交わす。

 

 

「さっきのやつはいざ遅刻したって時に使え。ほとんどの確率で有耶無耶になって怒られずに席につけるぜ」

 

 

 

「マジで?! でもあの千冬姉が結局許したってことは本当に効き目があるのかも…………今度やってみるわ! 」

 

 

 

「でもお前……流石に同じ事を二回言ってもダメかもしれないからなんかアレンジ加えろよ? 」

 

 

 

 

「ハッ…?!そうか…危うく地雷踏むとこだったぜ。ちゃんとアレンジしないとな! ありがとう

帝督! 」

 

 

 

 

( もうとっくに踏み抜いてるけどなお前 )

 

 

 

 

「いいってことよ、俺とお前の仲じゃねぇか……気をつけろよ? 」

 

 

 

 

「おう。……っし!! これで遅刻したときでも……」 ブツブツ

 

 

 

 

( なにこいつチョロい。……っていうか馬鹿? )

 

 

垣根がさっき助かったのは、その前の垣根の身体能力の高さを千冬が垣間見て長引きそうだと判断したからであって、決してさっきのふざけたジョークのおかげなどではない。

 

( まぁ入学(はいって)早々こんな面白いやつに会うってことはラッキーだけどな。勘だがこいといたら退屈しなさそうだ )

 

 

……っと。そんなことを考えていると時刻はもう12時。チャイムらしきものもちょうど鳴り、出席番号の一番若い人の号令で席を立ち礼を済ます。

 

 

「はぁ……これぞ青春ってやつだな」

 

思わずそんか言葉が自然と口から零れる。

暗部組織時代には望んでも手には入らなかった時間(モノ)が今、あの時頼んだからかそうじゃないのかはわからないがこうして手には入っている。

 

 

 

『友達と馬鹿やって、好きなやつとの甘酸っぱい恋を体験する』

 

 

恥ずかしいから誰にも言えなかった、暗部組織時代からの夢が今こうして叶っているのだ。

幸いにもここは俺とこの一夏(バカ)以外は全員女子……となると、俺でも必ずチャンスの一回や二回は有るはずだ。

 

 

「…………やってやるぜ」

 

 

せっかく掴みかけた幸せだ。このまま掴み取ってやる!

そう決意し垣根は席を立った。時刻はちょうど昼ーー飯の時間だ。そうと決まれば早速……

 

 

 

 

「おい一夏(バカ)、飯食い行くぞ」

 

 

「おう、構わねぇぜ……ってちょっとまて今お前俺の事バカって言わなかったか?」

 

 

 

ちっ、アホの癖にちゃっかし気付きやがったか。まぁこいつのことだから………

 

 

 

 

「言ってねぇって。そんな事より早く行かねぇと座る席無くなっちまうぞ? 」

 

 

 

 

「おい帝督遅ぇぞ、早く行くぞ! 」

 

 

 

って早?! 今一緒に席を立ち上がったはずなのにもうドア出てやがる…。

バカの異常なスピードに戦慄を覚えながらも、軽い足取りで食堂に向かう。

 

 

「お前早すぎだろ?! ちょ待てって! 」

 

 

そういいつつアイツのとこまでいく。

 

 

 

 

 

 

 

垣根帝督、結構学生ライフを満喫していたのであった。

 




感想や評価などは作者の執筆意欲に関わるので皆……あんま辛口コメは止めてね……?www


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4.宣戦布告

すいません文が思った以上にぐだってしまいました…(泣)
安西先生……文を纏める力が欲しいです………


まぁその分次回のバトル展開は真面目に頑張りますのでお許しを!


4.宣戦布告

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても帝督って何が武術とかやってんのか? 」

 

 

 

「なんだ、藪から棒に」

 

 

 

「いや……よく考えてみたらさ、お前教室に入ってくるとき千冬姉の出席簿《こうげき》バク転で躱してたじゃん? 」

 

そう言って今日の昼飯の日替わりランチ~焼き魚editionを食べている一夏。

ちなみに俺はカツカレーで、デザートにプリンも頼んだ。

そんなどうでも良いことは置いといて………俺こと垣根帝督は必死に考えていた。

 

 

 

( ヤベッ、そういゃああの殺気あてられて咄嗟にしちまったやつか……普通の一般人だったらあんな事しないし、不自然だったか?

やっぱ目立つことはするもんじゃねぇな、うん。………でもまぁ取り敢えずこのバカのことだから、違う話にでもすり替えれば忘れてくれるだろ。いや、むしろ忘れてくれ! )

 

苦肉の策だが、果たして通用しちまうのか………?

取り敢えず実行してみた。

 

 

「おう。………って、千冬姉? まさかお前あの先生と姉弟なのか? 」

 

取り敢えず一応肯定はしておき、すかさず話をすり替えに入る。

 

「……? そうだけど……なんか変か? 」

 

 

一瞬きょとん、とした顔をした後、箸で魚を取り口に運ぶ

 

 

 

「いや……ただ、あんま似てねぇなぁーっと思って…………ね」

 

 

そう言って、昼飯のカレーを口に入れる。

さっきとは全く関係ない話なのだが、この目の前の一夏(バカ)は気づいてないかもしれないがさっきから後ろやら前やらの席に座ってるやつがチラチラとこっちを見たり、聞き耳をたてている。

 

さっきも言ったが、入学式早々遅刻かましてそれだけでも充分目立つのにこれ以上面倒事は増やしたくない。

それがないにしても、只でさえ『世界で二人しか確認されていないISを使える男』って時点で充分目立っているというのにこの上更にとかなると本当勘弁して欲しい。俺は至って普通でありたいんだ(・・・・・・・・・)…………。

 

 

 

女が三人寄れば姦しいと言うし、とにかく面倒になりそうだからこちらとしてはさっさと解散して欲しいんだが、馬鹿正直に『ごめん、目立ちたくないからみんな騒がないで』とか言った暁には最悪高校生活の三年間ハブられることになるだろう、きっと。

だからといって現状ではこの状態をどうにかできる手札がない。さて、どうしたものか……

そう俺が考えていると、「ちょっとよろしくて? 」と言う呼び声が聞こえる。俺か?

 

取り敢えず適当に返事を返す。流石に無視したらそれはそれでまた面倒くさい事になりかねんからな………。

 

 

「よくないですわよ! 一昨日出直してこいでざます! 」

 

 

訂正。帝督(こいつ)は自分から爆弾(めんどくさいこと)放り込みやがった。

目の前の少女も、額に青筋をたて口元がひくひくと震えてる。

 

 

「………あなた私のことを馬鹿にしていますの? 」

 

 

「いやいや馬鹿になんてとんでもない………って」

 

 

 

 

「………? って? 」

 

 

そう言って頭を傾げる少女。それに向かって垣根は問う。

 

 

 

「君……………

 

 

 

 

 

 

………誰? 」 

 

 

そう俺が言うと、何だか周りで俺らのことを観察(?)していた奴らが数人ずっこけた。

そして、面倒くさいモノを見るような顔を今きた少女に向けると、踵を返しそそくさとその場を後にした。

あいつらいきなりどうしたんだ、一体? と俺が思っていると……

 

 

「あなた私を侮辱していらっしゃるの?! ねぇ、そうなんでしょ?! 」

 

 

 

 

「?! 」 キーン

 

 

 

………ったく、耳元でギャーギャー騒ぐなようっとおしい。なんだこいつは? ……ハッ?! こいつがまさかあの某国の人間兵器だとでもいうのか……?! これは厄介だぜ……。

 

 

「帝督、馬鹿な事考えてないでさっさとコイツ止めてくれ」

 

 

 

 

 

?!

 

 

 

 

 

……………こいつに馬鹿と言われる日がくるとはな……俺も随分墜ちちまったもんだな………だがな、

 

 

「お前馬鹿っていったやつが馬鹿なんだぜ! 知ってたか? このバカ野郎がっ!? 」

 

そう言って俺はこのバカを指差す。ふっ……俺を論破しようなんざ百年はぇーぜ。  

 

 

 

 

「………

 

 

 

 

 

今の話だったらお前今バカって言ったからお前もバカじゃね? 」

 

 

そう言って勝ち誇った顔をしてふんぞり返る一夏(バカ)

やべぇすっげえ殴り倒したい。

 

 

 

「ハッ、俺がバカだと? 言うに事欠いて俺をバカ呼ばわりした罪は重いぞ一夏ぁ…

 

 

 

 

 

……今なら食堂のプリンで許してやる」

 

 

 

 

「さっきからなんなんですの、あなた達は?! 私を無視して!! 」

 

 

 

「「なんだ、まだいたのかお前」」

 

 

 

「ムキーーーーー!!」

 

 

 

そう言って地団駄を踏みながら顔を真っ赤にするこの少女。容姿などはこの際置いといて、端から見てるとかなりシュールだ。

一夏も「うわ、なにこいつ……」みたいな目で見ている。哀れ名前も知らぬ誰か(笑)

 

 

「で、君名前なんて言うの? 」

 

 

このまま放置していても後々面倒くさい事になりかねないので取り敢えず俺は声を掛けた。

一緒にいた一夏は、我関せずを貫いておりさっきから全くの無表情。ったく、使えない奴だな……

 

 

少女はやっと構って貰えたのが嬉しいのか、一瞬顔をパアァッと輝かせたがすぐにまた睨めつけるような視線を向けてきた。

 

 

「………日本の男性と言う物は皆これなんですの? 全く……品格を疑いますわ」

 

 

 

「……………あー、はいはい。もしかして君……喧嘩売りに来たの? だったら待ってて、ちょこのプリン食べ終わったら相手してあげるから」

 

 

そう棒読みで喋り、プリンの皿を取ろうとする。ああ、この至福の一時を邪魔されてたまるものか?! そんな面倒くさいことよりこっちはプリン食いてぇんだよ!! ………………ったく

 

 

 

 

 

バァンッ!!

…………………ったく、いちいち机叩くなようっとおしい。これがマジ女の子じゃなかったら殺してるレベルだそ? 割とマジで。

 

そんな事を思いながらも、いざプリンを食べようと机の上を見ると………

 

 

 

「ベチャッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………………………………………………ハ?

え? 今何が起こったの? え、え、え?

そう言ってもう一回床を見る。そこには…………

 

 

 

「俺のプリンがぁぁぁぁぁ?! 」

 

 

俺のプリン(しふくのひととき)が無惨な形で床に落ちていた。まだこの小娘はなんだかギャーギャー言ってるが、そんなの関係ねぇ。

 

 

「お、おい帝督……「…………ハハッ」?! 」 ゾクッ

 

 

 

一夏は一瞬驚いたような顔をしたが今の俺にはそんなの関係ない、関係ねぇぇんだよぉぉぉぉ!!

 

 

「ハハハハハハハハハ!! ………いいぜ、お前が今、そんなに俺と戦いたいって言うならば……」

 

 

 

 

「人の話聞いてますの? アナタ? 」

 

なんだかあっちが怒ってるようだがそんなのはどうでもいい。

むしろ俺からしたら意味分からん言いがかりで至福の一時を邪魔された疫病神としか認識していないがな、お前なんざ。

そんなに死にたいのならお望み通り殺してやるよ。ただし楽には死なさないがな。

そして俺はあいつに向かって宣戦布告する。

 

 

「やろうぜ、殺し合い(しあい)ってやつをなぁ?!」

 

 

 

 

 

 

 

なんだか少年マンガ的で熱い(?)展開になってきたが、理由が理由なだけにいまいち締まらない帝督ンなのでした(笑)

 




評価・評価・評価が欲しいよぉ~(笑)
感想は思った以上にみんな優しいのでダメージを受けていない自分だったりします。
みんな、これからも頑張るんで応援よろしくです!


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5.Tempesta di silenzio ~沈黙の嵐~ 

どうも、ちょっと間が空きましたがここで投稿しようとおもいます!
まずはじめに今回は次の千冬とマヤの解説を聞かないと多分あまり戦闘のイメージが湧かないと思います、ハイ。
作者の力不足により戦闘シーンがあまりな出来になってますが、これが作者の限界です。
生暖かい目で見守ってあげてやってください。
それでは、どぞ!!


5.Tempesta di silenzio ~沈黙の嵐~

 

 

 

 

 

 

「ああもぅ!! なんで当たらないんですの?! 」

 

 

そう言うのは金髪の縦ロールが目立つ少女ーーーセシリアは酷く焦っていたのだ。

さっきから()は、私の攻撃に当たっていない。依然まだエネルギーは有り余っている筈だ。

それに比べ私のほうは、開始直後の先制攻撃を当てて油断したせいもあってか彼の特殊兵装の攻撃を2、3発いいのを貰ってしまった。全く我ながら情けないものですわ。

 

 

それにしても……………

セシリアは考えていた。さっきから攻撃が当たらなくなったのは単純にあの機体性能(・・・・)に操縦士ーーー詰まるところ垣根が慣れたせいもあるだろう。

だが先程からセシリアは、別の印象を受けていた。

 

 

( 先程から私の考えが読まれている?! )

 

 

先程なんてブルーティアーズの12連撃をなんなく、それも最小限の紙一重の所で躱されたのだ。

彼はISが使えるとわかったのは確か今年に入ってから。その経歴だけ見たなら普通彼がどう考えても勝てる訳がない、そう普通ならば(・・・)

 

 

だが彼はどうみても普通のーーーー詰まるところ素人の動きのそれではない。

実際、教室に入ってきたときからあの(・・)動きは目を見張るものがあった。自分があの同じ立場にたったとして果たして同じ事が出来るだろうか?

いや、予め分かっていたのならともかくとして、不意打ちではとてもじゃないが出来ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここでわかってると思うが軽く説明しよう。皆さん光の速さはご存知だろうか? 1秒で地球を7周半すると言うのは有名な話だ。

さてここでなんでこの話をしたかもうわかると思うが、今垣根が避けているのはEN弾ーー簡単に言ったらレーザーである。

実際問題、今垣根はレーザーーーつまり光を避けているのだ。それも故意的に(・・・・)紙一重(・・・)にだ。これがどの位凄いことかわかるだろう。

 

 

この素人どころか上級者でも出来ないかどうかわからない最早神業的な事を連続してやっている

垣根がこんな行動をが出来ているのは、機体が機動力に優れているのもあるがある事が行われてるからだ。

 

 

 

 

垣根は一度死を経験した事があってかは分からないが、脳が人より特殊である。

主な例で言えば、脳のリミッターを自分でon/offとスイッチのように弄れて人より反射的行動が早く行える。まぁ後者のほうは、垣根が前生きてきた世界の事もあってか経験と勘もあって更に強化されている。この前の教室の時なんかがいい例だ。

普通だったら脳のリミッターなぞ外した暁には、体がついていかず内側から壊れることになる事になってしまうがこの男には未元物質があった。

予め体を慎重に改造したおかげもあってか、負担は最初とは比べ物にならないほど軽くなった。

 

 

だがしかし、軽くなっただけであって負担が無いわけではない。

使いすぎたら頭だって痛くなるし、カロリーの消費も激しいのでお腹も凄く空く。

だから垣根は極力普段の生活では面倒くさいので使うことは殆どと言っていいほどない。大抵は応用の利く未元物質で事足りるからだ。

 

 

そんな訳で脳のリミッターを外し、ISのハイパーセンサーを駆使して今の状況が成り立っているのだ。どちらか一つでも欠けたのなら、絶対成り立つモノではない。

 

 

 

 

( ジリ貧ですわね…………ここからどうしましょうか…… )

 

 

現実こっちの攻撃はそれこそ零距離に近い所でもないと彼方には当たらないのだ。それは連射の利くブルーティアーズやスターライトmk-Ⅲでも然り。

奥の手(・・・)も無いことはないが、今使うものでもない。

するとなると残るのは最後の兵装……インターセプターーーー詰まるところ片手剣なのだが、こちらは論外。銃が当たらないのに剣が当たるとは考えにくい。

 

 

対して彼方は出していないだけかわからないが、どうやら射撃武器はないようだ。

さっきから特殊兵装である小型タガーを投げてはくるが、こちらはてんでダメなようだ。さっきから見当違いなとこに飛んで行っている。

となると注意するのは……………

 

 

( あの槍だけですかね…… )

 

 

開始早々私の攻撃を受けてとっさに出したあの槍。あの槍にも何か仕掛け等があるに違いない。

何もない槍が2、3回掠っただけで650あるエネルギーの半分《・・・》も持って行く訳がないのだ。

 

 

 

( とは言っても彼方の方が機動力もあり、攻撃力もある。銃を紙一重で躱す事の出来る反射神経を持っているから闇雲に撃っては一瞬でやられてしまいますしどうしたら……… )

 

 

考えていた所で此方が不利な事には変わりない。なら、不利なら不利なりに精々持てる手札で足掻くしかないのだ。幸いこちらには彼方にはない今まで積み重ねてきた経験《じかん》がある。そこを上手く使わない手はない。

 

 

( そうですわ。なんで弱気になっているのか……しっかりしなさいセシリア・オルコット《じふん》。私はこんな所で負けている訳にはいかない……死んでしまったお母様のように強く生きるとあの時誓ったではありませんか……『何があろうとも余裕を持って勝つ』と。 )

 

 

 

今は祖国の墓の下で眠ってらっしゃるお母様。気品があり、そして何より強かったお母様。

 

オルコット家を継いだ今、こんな所で挫ける訳にはいかない………負ける訳にはいかないのだ!!

そんなセシリアの気持ちに答えたのは定かではないが、手に持っていたスターライトmk-Ⅲが青く輝いたような気がした。

 

 

 

改めてあちらの方向を見る。

あちらもどうやら痺れを切らしたのだろう。先程まで間を取っていた距離を気づかないであろう位ずつ詰めてきている。

そろそろだろう……そう思いこちらもさり気なくブルーティアーズの角度を来そうな方向に向ける。

 

 

その瞬時、あちらが思った通り動き出した。すぐに対応出来るように構えていて正解だったようだ。

 

 

( 進路は予測していた所から2mほどズレましたけど……まだ立て直せます……ここ!! )

 

 

普段だったら成功しなかったビットと射撃武器での同時攻撃。確かな確証はなかったが、今なら(・・・)いける気がするーーーセシリアはそう思い、スターライトmk-Ⅲの引き金を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

    ▲   ▲   ▲

 

 

 

 

 

 

( さて、粗方は計算通りだ……『種』もまいたし、さてここからどうしようかな………… )

 

       

そう心の中で呟いた垣根の顔は、バイザーで顔が半分隠れているので分かり辛いかもしれないが『笑って』いた。

エネルギー残量で見たのなら確かに優勢なのだろうが、垣根は今日初めてISで実際に戦闘をするのに対してあっちーーーオルコットの方は代表候補生なのだ。

素人目から見てもこちらが圧倒的に不利なのは見て取れるだろう。実際のところ、今アリーナの観客席で見ている殆どの人がこの勝負、オルコットが勝者になると思っているだろう。

 

だがこの垣根は負ける気なんかサラサラない。今も目がギラギラとしており、セシリアの行動を一秒たりとも見逃さないように細心の注意を払っている。

 

それにしてもと、垣根は思った。

 

 

「まさかこうも上手くいくとはな、ちょっとばかし油断しすぎなんじゃないか? 」

 

 

そういう垣根の目線の先には、オルコットのブルーティアーズのある一騎に注がれていた。

端から見るぶんには何も変わらないが、ちゃんとよく目を凝らしてよく見ると一カ所だけ銀色に光っている所がある。

 

 

垣根がしたことは口で言うのは簡単だが、実際にそれをやるとなると普通だったら到底無理と諦めるようなことだ。

面倒くさい言い方をせずに率直に述べよう。

垣根は未元物質を用いて『ある特定の物質にだけ凄い力で引力を発生させる物質』を生成し、今見ているオルコットのブルーティアーズに設置したのだ。

 

タイミングは、オルコットの初撃を掠ってから俺の攻撃に移るまでのほんの一瞬。オルコットがブルーティアーズを展開すると同時に生成しすれ違い様にとっさに設置したのだ。

それもバレないようにギリギリ避けて焦ったような振りをして、だ。この時点で垣根の粗方のシナリオではもう決着は着いていた。

 

後はこの槍ーー罪の槍(ギルティーソーン)の内部にさっき作った未元物質と同じの『ある特定の物質にだけ凄い力で引力をさせる物質』を生成して………よし、後は…………

 

こう準備している間にも相手にはそれとなく緊張している空気を装わせ、所々素人丸出しな行動をとる。

まぁぶっちゃけた所、さっきからあいつの射撃を紙一重で避けていたせいもあってか思った以上に俺のことを警戒してくれてるみたいだけど…………

 

 

( それすらも『計算通り』なんだがな……セシリア・オルコット。詰む(チェックメイト)のも時間の問題だぜ…… )

 

 

人間ひとつのモノに極限ーーーここで言う所それ以外をする余裕がないくらい集中すると、必然的に周りが見えなくなってしまいがちだ。戦局を()で見ることも大事だが、ここ一番の所ではいかに戦局を()で捉えられるかが鍵を握る。

セシリア・オルコットは垣根と出会ってからまだ間もない事もあってか、この男の事をよく理解していなかった。認識としては精々知能が乏しく少し運動神経がいいくらいにしか捉えていないだろう。

確かに今の運動神経がいいというのは当てはまるが、垣根は知識が無いわけでも頭が悪い訳でもない。この前貰ったISについての資料と教科書自体はもう完璧に記憶し、幸いにも部屋の住民が2年生だった為その内容も他より早く理解する事が出来た。

 

 

だからこの男ーー垣根帝督に限って無駄な行動をする筈がない。

オルコット(アイツ)は気づいているのだろうか。何故俺が()より先にあの小型タガーを投げていて、それを外したように見せていた(・・・・・・・・・・・)のかを……

 

 

( さて、そろそろ締め(フィナーレ)といこうかな……… )

 

 

まぁ精々足掻くだけ足掻いてみせろよセシリア・オルコット。どちらにしろお前の運命(みち)はもう決まってんだからよ。

そう心の中で呟き、俺はその場を飛び出した。




果たして同じ部屋の2年生は果たして誰なんでしょうね(ニヤリ

感想・評価は作者のやる気に大きく比例してます(笑)
9が3つも入ってたので思わずガンコレを投げ出して頑張りました!
入れてくれた人、ホントありがとう!これからも期待を裏切らないよう頑張ります!


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6.決着 ~嵐の予兆~

はい、今回は期間が空いてしまいました!すいません。
なにしろリアルが多忙な為、色々執筆時間がないもので……(笑)
後、改めてこの作品を評価して下さった皆さん、見ていてくれている人達、ホントありがとうございます!
これからも作者は精一杯頑張っていきますので、どうかこの小説を宜しくお願いします!
それでは、どぞ!!


6.決着  ~嵐の予兆~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『 最も大きな危険は勝利の瞬間にある  ナポレオン  』

 

 

 

 

『 運命をはねつけ、死を嘲り、野望のみいただき、知恵も恩恵も恐怖も忘れてしまう。 お前達も知っているように、慢心は人間の最大の敵だ  シェークスピア』

 

 

 

『 人生においては最も耐え難いことは、世の経験をつんだ多くの人々の言によると、 悪天候が続くことではなく、雲ひとつない日が続くことである  カール・ヒルティ 』

 

 

 

 

 

 

 

『油断』

 

たかをくくって気を許し、注意を怠ること。

油断大敵という言葉があるとおり、油断は失敗のもとであるから大敵である。

誰だって気の緩みなんて事はあるし、それが当たり前といってもいい。一度も油断しない人間などいないのだ。

だからこの言葉は、ならその『油断』をいかに最小限で済ますかが求められてくる。

『勝って兜の緒を締めよ』ということわざもある通り、いかに慢心しないかが勝利の鍵を握るのだ。

 

何事にも『絶対』など存在しない。

人が知らないだけで、まだ知らない『なにか』があるかもしれないのだ。

 

 

だから俺は一瞬たりとも油断なんざしねぇ。いや、出来る筈がねぇんだ。

だって俺はあいつと約束したんだ、こんなとこで破るわけにゃいかん。それがあいつの出した『条件』なんだからーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セシリア自身も決してその気はなかっただろうが、油断している部分はやはりあった。

警戒は勿論している。しかし、心の何処かではやはり『まだISを操縦して間もない男』という印象であったことも間違いではなかった。

 

 

垣根の突撃は、結果としてはセシリアにダメージを与えるには至らなかった。

事実あの機体の機動力には凄まじいものがあるとセシリア自身も認識していたし、その為の対処としてここを通ってくるだろう進路を予想し、広範囲にブルーティアーズを展開した。

勿論スナイパーライフルのスターライトmkーⅢも忘れてはなく、ビットとの同時射撃で迎え撃った。

そう、『迎え撃った』のだ。

 

 

 

 

だが結果はセシリアが予想していたように上手くはいかなかった。

垣根に接近を許し、こうして今も突き、横薙ぎと上手く間合いを取って攻撃してくる。

狙いも肘、腹、太股など絶対防御が発動するであろう場所を的確に狙ってくるから一瞬たりとも気が抜けない。

 

だが、やられっぱなしという訳でもなくセシリアも反撃をしていた。

広範囲に展開したブルーティアーズを上手く使って死角から容赦ない射撃を行い、それを補うように進路を予想しスターライトmkーⅢを撃つ。

 

右肩、左脇腹、右足、正面、後頭部、左肘、右足、左脇腹……

ビット、ビット、ライフル、ビット、ライフル、同時射撃、ビット、同時射撃……

 

と、こんな具合にフェイクなどを織り交ぜながら射撃を行うセシリアに対して垣根は

………

 

 

 

「ふっ! ほっ! っ! せい! 」

 

 

まるでこのような攻撃なんて事ないと言っているかのように、軽やかにーーそして余裕ありげにこちらの射撃を躱す。

そんな垣根に苛立ちを隠せないセシリアは、自分では気づかない程に冷静さを欠いていた。

 

 

元々貴族とのこともあってか、人一倍プライドが高い彼女は馬鹿にされるという事に過敏に反応する。それ故だろうか、垣根ばかりを見ていてセシリアは周りの様子に微塵も注意を向けていなかった。

そして、自分に迫り来るモノ(・・)にも気がつかない程に…………

 

 

 

 

「ッ!!!!! 」

 

 

 

自分の真横から鈍い痛みを感じたかと思うと、セシリアは右方向に吹き飛んだ。

え……? という気持ちも束の間、次の瞬間……

 

 

 

「か……はっ………」

 

 

今度は自分の真上ーーー後頭部に凄い衝撃を感じ、思わず飛行する余裕すらないほどに苦しむ。

泣き叫ぶとかそんな生易しいモノではない。人間ホントに痛いと感じてる時には、あまりの痛みに声すら出せない時がある。今の彼女はまさにそれだ。

意識もままならなく、凄いスピードで地面に落下していく。

 

 

 

ドンッ!!!!! と凄い音がアリーナに響き、辺りに砂煙を巻き起こす。

観客の生徒達もなにやら驚いたような顔をしている。さっきまで俺が負けると思っていたのが蓋を開けてみたらこの状況(コレ)だからなぁ………まぁそりゃ驚くか。

でもセシリア・オルコット、俺の攻撃はまだ終わっちゃいないんだぜ?

 

 

 

 

「さて、フィナーレといきますか!! 」

 

 

俺は最後の締めの為に準備(・・)を済ませ、煙の中に飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      ▲   ▲   ▲

 

 

 

 

 

 

 

 

『一体なにがどうなってるのですの? 』

 

 

 

今正に現在進行系で考えているセシリアは、そんな事を思いながらスクッと立ち上がる。

さっきあれほどまで感じた痛みも、今はすっかり収まっていてまるでさっきまでが嘘のようになんともない。

 

 

 

( 取りあえずなんとかこの砂煙の中からでないと話になりませんわねー…… )

 

 

さっきの攻撃には驚いたが、ここでボーッとしていたらあちらの的だ。さっさと体制を整えて………?!

 

 

 

 

 

 

 

そこでセシリアは気付く。砂煙で辺りがぼやけて見えない。だが、普通ならすぐに晴れるはずの砂煙が今もなんで(・・・)舞っているのかをーーー

 

 

普通に考えてみたら可笑しいのだ。確かにあの正体不明の攻撃のせいで飛行すらままならなかったのは事実だし、受け身も落ちた瞬間に体が覚えていたレベルでしかやってないので、受けた衝撃は決して軽くはなかった。

だが、それだけだ。ISに乗っている以上、絶対防御がある限り搭乗者の身の安全はほほ100%保証されるので問題点はそこじゃあない。

 

 

 

何故今現在も砂煙(コレ)が止まないか………だ。

普通に墜ちてきた衝撃で砂煙がたつのはわかるが、あくまで少しの間だけだ。そんな長くは普通(・・)では有り得ない、そう有り得る訳がないのだ。

 

 

そしてセシリアはここでようやく気付く。この砂煙が普通では無い(・・・・・・)事に………

 

 

 

 

「嘘……ですわよね……………………………………………ハイパーセンサーどころか五感全て(・・・・)に影響するISなんて…………」

 

 

原理はどうなってるかは理解できないが、この男のISには特殊空間力場を作れる兵装があるのだろう。普通の人なら「嘘だろ? 」と疑ってしまうだろうが、無理もない。

第一この機体の生産国は、確かイギリスと同じイグニッション・プランにも出てきたテンペスト型の最新機な筈だ。セシリア自身代表候補生という立場もあってか合同演習などで機体を見たことがあるが、あんな機能なぞ付いていなかった。

 

 

 

「よぉ…貴婦人(マドモゼアル)、調子はどうだい? 」

 

 

「最悪ですわね……頭から砂埃は被るし、もうホント早く部屋に戻ってシャワーでも浴びたい気分ですの」

 

 

そんな軽口を言いながらも、セシリアは気をぬかずに辺りを見回していた。

依然垣根の姿は見えず、声も響くような声でどこにいるのかも特定出来ない。まぁどっちにせよこの特殊空間のせいで実際見えていても誤認させられているだろう。

 

 

 

( 兎に角、現状はこの特殊空間から抜け出す事が先決ですわね……… )

 

 

そう考え、セシリアが今からどうしようかと考えていると………

 

 

「えっ…………………?!」

 

さっきまでここら一帯を覆っていた砂埃らしい何かが消え、正面には先程と変わらない姿の垣根が姿を現した。

 

 

「一体どういうつもりですの? 敵に情けを掛けるなんて随分余裕なんですのね……?」

 

そう言うセシリアの顔は、普段の彼女からは想像も出来ないほど酷く歪んでいた。

 

 

 

今セシリアはどうしようもない気持ちが沸き上がってきた。頭が熱くなり、目の前の垣根を見ると無性にイライラする。

そんなに私を馬鹿にして楽しいか、この男は。この私、セシリア・オルコットを馬鹿にしてそんなに楽しいのかこの男は………………!!

 

 

「いや、別に情けなんざ掛けるつもりは露ほどもねぇよ。ただ、もう必要無くなったわけだ…」

 

 

そう言って持っていた槍を展開する。フン、そんな離れた所からなにをやるかは知りませんけどそんな所からじゃ当たりませんわ!!

 

 

仮にも代表候補生。おおよその距離50m以上も離れたこの距離だったら、あんな化物じみた反射神経を持っていない私でも十分避けれる。後はその体制を崩した所に一斉射撃で終わりですわ!

 

 

怒りで普段の冷静さを欠いていたセシリアは故に気付かない。至近距離で戦闘を行うのに適している槍をなぜ、距離を取ったか。

 

 

そして気が付かない。槍とは決して接近でしか(・・・・・)使えないわけではない事を……

 

 

 

「あ、そうとお前ーー」

 

 

 

 

「あ? なんですの? 」

 

最早お嬢様にあるまじき言葉遣いをしているセシリアを、垣根はまるで「床に消しゴムが落ちてるよ」というような軽いノリで、声をかけた。

 

 

「お前ーーーそっから1cmでも動いたら…………………………死ぬぜ? 」

 

 

一瞬背筋にいきなり冷水をかけられたような、なんともいえない悪寒を感じる。

わからない。別に目の前にいる垣根は睨んでいるわけでも、ましてや威嚇しているわけでもなんでもない。

わからない、それなのに、なんで………こんなに怖い(・・)のだろう……

 

 

 

セシリアは知らなかった。今まで代表候補生であるが為、戦闘訓練などは幼少から数えられないくらいやったが本物の殺気(・・)というものを受けた事がなかったのだ。

 

一流の殺し屋は殺気だけで人を気絶まで追い込むというがまさしくその通りだろう。現にセシリアは垣根が言葉を発した直後から一言も喋ってはいない。

 

 

 

「ま、取り敢えずハイパーセンサーを赤外線モードに切り替えて自分の今いる周りをよく見てみろや。ハイパーセンサーは360゜見渡せるから動かなくても大丈夫だろ? 」

 

 

赤外線モードとは、サーモグラフティなんかみたいに温度を感知してそれを写す夜間戦闘の時を想定されて搭載された、第3世代の主流の一つともいえる機能だ。

言われた通り、ハイパーセンサーを切り替え赤外線モードであたりを見渡す。

 

すると……………

 

 

 

「なん…………ですのこれは…………?」

 

 

 

セシリアの目に写ったのは………自分の周りを覆うおびただしい数の高熱源体のレーザーーーそれも360゜文字通り少しでも動けば当たるであろう角度でぎっしりと敷き詰められている。

 

 

「なにって…………ただの設置式特殊ENダガーだけど? 」

 

 

そう言って、上げた左手にはあの(・・)タガーが握られていた。

そして、セシリアにはそのダガーに見覚えがあった。

 

 

「それは………ッ?! まさか、あの時のは!! 」

 

 

 

「おー、ようやく気付いたか。まぁ気が付かれてたらそれはそれで凄ぇけどよ」

 

 

 

そう言ってカラカラと笑う垣根。そして、今更ながら……ホントに今更ながらに垣根が初回に何故

槍ではなくダガーを、それも自分とは検討違いな所に投げていたかがわかった。

 

 

「貴方…………ワザとでしたのね……あのダガーの投擲は……」

 

 

 

「当たり前だろ? なんでお前狙ってあんな検討違いな方向に投げなきゃいけねぇんだよ」

 

 

俺はノーコンじゃねぇんだよ、と付け加えるが今のセシリアにはそんな事頭に入っていなかった。

 

 

やられた、とセシリアは思っていた。

ISに乗って間もないという事もあって、操作に慣れていないのであろうと勝手に納得していた自分が馬鹿だったのだ。

しかも私を狙っているであろうように見せかけて、検討違いな方に投げるのもしてやられた。

あからさまに違う所に投げていたら誰だって怪しむ。それをさせないようにわざわざそのギリギリのところで投げられていたので、気にもとめていなかった。

 

 

そしてセシリアはそれを知ったと同時に、垣根に驚愕した。

 

( なんですの? それじゃあこのお方は私の攻撃を紙一重で避ける一方こうして投げた場所に誘導しながら戦っていたというのですか? ISに乗って間もない男が? )

 

 

 

有り得ない。有り得る訳がない。

自分がISに乗って間もない頃、こうして同じ動きが出来ただろうか? いや、こうして今現在でも厳しい物がある。

それをこの男は、初心者というのも逆手にとり、こうしてここまで戦況を持ってきたのだ。これを驚かずに何を驚くのか。

 

 

 

『垣根 帝督』

 

 

 

改めてこの男の規格外さをセシリアが垣間見た瞬間だった。

そして、無自覚だがセシリアが『男』という認識を改めた瞬間でもあった。

 

 

 

 

「さて、んじゃあそろそろフィナーレといくかね……」

 

 

そう言って、手に持っていたダガーとランスを消し、新たた兵装をだした。それは………

 

 

「じゃあな、セシリア・オルコット。まぁ取り敢えず…………眠っとけや! 」

 

 

セシリアは知る訳ないが、その槍ーーー罪の槍(ギルティソーン)は垣根が戦いの時に未元物質を生成してそのまま量子変換で今の今まで直していたモノだ。

 

 

垣根は振りかぶり、セシリアに向かって槍を放たれる。

後は多分皆の想像通りだ。セシリアは辛うじて腰に付いているミサイルで迎撃を計ろうとしたが、それよりも早く槍は物凄いスピードでセシリアのビットへと向かい、そして………

 

 

 

「もう一度ここで絶望しやがれ、セシリア・オルコット! 」

 

 

最後にセシリアが覚えているのは、目の前で起きたミサイルの至近距離爆発、ENレーザーの爆発

、そしてーーー垣根(あのひと)の心配そうな顔だった。

 

 

 

( ホント………変なとこで不器用なんですのね )

 

 

そんな事を思いながら、セシリアは落下していった。




評価、感想が作者の執筆意欲の源です!
実際問題平均評価を見てなかば発狂しかけたッス!いや、わりとガチで。
あ、後中々話が纏まらなくてすいません……次で一応セシリア対決パートは終わりの予定です!
それが終わってからは、一応まだ考えてるところですが楯無かラウラの個人ルートを書いていこうと思っています!
では、また次の投稿で会いましょう!


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