IS〜IS学園の食堂のお姉さん〜「凍結」 (れんにゅう)
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ご注文はうさぎですか?
ご注文は可愛い子ですか?
少しこちらが遅い更新になりそうですがよろしくお願いします!
見渡すとそこは海外と思ってしまう家々が並んでいる。街自体も日本より海外と思えてしまう。
今、私は休みをもらって旅行に来ています。ここは、日本ですがヨーロッパなどによく似ているんです。道を見てみるとお店も海外にあるお店によく似ています。
そして、ここには数回ですが来た事があります。仕事や観光など理由はさまざまですが、ここはとてものんびりするにはもってこいの所なんです。たまには、こういう所に来てリフレッシュするのもいいものですね。日本にいるのに外国にいる気分になれて新鮮です。
それに、さっき黒いうさぎを見ました。野良うさぎでしょうか?こういう所でうさぎを見るとは思いませんでしたが可愛いうさぎを見れていい気分です。
さて、そろそろ歩いてばかりで疲れてきましたからどこかで休みましょうか。ちょうど知っているお店がすぐ近くなのでそこで一休みしていきましょう。
こうして、私は少し歩いて【RABBIT-HOUSE】という喫茶店の前に着きました。ここは、私が高校時代やIS学園と遠月学園に就職したばかりの頃に来ていたお店です。
たまたま、ここのマスターがお爺ちゃんと知り合いだったらしく、いろいろと話をしたりした思い出があります。マスターは元気でしょうか。いきなり連絡もなしに来て驚くかもしれませんね。
そして私は、ドアに手を掛け何年ぶりのお店に入りました。
「いらっしゃいませー!」
「いらっしゃいませ!」
「いらっしゃいませ」
そこには、中学生と高校生くらいの女の子が3人制服を着て立っていました。
..........あれ?もしかして入るお店を間違ってしまったのでしょうか。
私はもう一度開きっぱなしのドアから体を出し看板を再度見直しました。そこには【RABBIT-HOUSE】と前に見たときと同じ看板ですね。
どういうことでしょう。前来たときはこんなに可愛い女の子さんたちはいなかったはずです。私が来てなかった数年で何かあったのでしょうか。
「あ、あの...お客さん...?」
コホン...悩んでいたらにここの人に迷惑をかけてしまいました。とにかく入ってしまったのですからここは入りましょう。事情は後々聞いていけば大丈夫ですし。
カランコロンと鈴の音がなり、私はお店の中に入りカウンターに座りました。
「どうぞ、こちらがメニューになります」
紫髪の女の子がメニューを渡してくれました。メニューはあまり変わってないですね、そこはホッとしました。
まずは基本のコーヒーですね。
「コーヒーですねかしこまりました、チノ!コーヒー1杯よろしく頼む!」
「わかりました」
紫髪の女の子がカウンター近くにいる水色や銀色の髪をした小さい女の子がいて、頭の上には丸いうさぎが乗っかっていました。
チノ...そうですかあの子が...
久しぶりのお店を見渡しているとやっぱりなのかうさぎのティッピーに目が行ってしまいますね。
ふふ、このお店も変わっていませんがあのうさぎさんティッピーも変わっていませんね。あの丸いフォルムは見慣れていますし。
ティッピーも私に気づいたのか、チノちゃんと言う女の子の頭から飛び降りて私のほうに近づいてきました。
私はティッピーを優しくなでて久しぶりですとあいさつしました。
「お客さんティッピーを知っているんですか?」
私の目線が気になったのか茶色の髪をした女の子が話しかけてきて、その質問が気になったのか他の2人も話に入ってきました。
「コーヒーですどうぞ。それにしても珍しいですねティッピーが私の頭から降りてお客さんのところに行くなんて」
「そうだな、ティッピーもすごく嬉しそうな感じだもんな」
そうなのでしょうか?昔からこんな感じだと思いますけど。それにしてもマスターはどうしたのでしょう。前なら元気にあいさつをしてくれたのですが。
私は、ここに前来たことがあると話して、マスターはどうしているかを聞いてみました。
「祖父のお知り合いさんでしたか...すみません祖父は去年...」
銀髪の女の子の声がだんだんと小さくなっていき、顔は寂しく泣きそうでした。
その雰囲気で私はもうマスターはここにはいないとすぐにわかりました。せめて、もう一回会いたかったですね...マスター...
私は無意識なのか銀髪の女の子の頭を撫でていた。悲しいそうな顔をしている子供を見るとやはりこうしないとと無意識に思っているのですね。
大丈夫、マスターは案外身近なところで見守ってくれていますよ。私は銀髪の女の子に優しく微笑みました。
「そうですよね、ありがとうございます...」
銀髪の女の子は顔が赤くなりながらお盆で顔を隠した。こうゆう仕草もかわいいですね。
「(今の感触...昔どこかで...)」
「チノちゃんが照れてる!可愛いー!」
「まぁ、私もこんなことされたら同じことになるかもな」
そういうものなのでしょうか。それにしても、ティッピーを見ていますとマスターを思い出すのはなぜなんでしょう。よくマスターと一緒にいたからですかね。
コーヒーのおかわりを貰い、一口飲むとマスターのあのコーヒーの味を思い出します。さすがお孫さんですね。
「そ、そんな...私なんてまだ祖父のコーヒーの味なんてまだ出せませんよ」
そんなことはありませんよ。この香りや深みはまさしくマスターのあのコーヒーに似ています。
ここで飲むコーヒーは格別ですね。疲れがとれたり心が落ち着いたりして良いものです。
「チノちゃんー!焼いていたパンが出来たよー!」
茶色い髪をした女の子が奥から籠を持ってきました。その中には、焼きたてのパンが入っていて香ばしい匂いがお店の中に漂っています。
「よかったらどうぞ」
銀髪の女の子が私にパンを渡してくれました。いいのですかと聞くと、「こんなにいっぱい食べられませんので」とパンが入った籠を見ていました。お店に出すものではないようですね。
私はお礼を言い、渡されたパンを食べました。食べた感想はもちろんとても美味しかったです。パンを口に入れた瞬間、口の中に広がるパンの甘みや噛むと程よく反発するやわらかさが癖になってしまいます。
「わくわく...どきどき!」
茶色の髪をした女の子が私の顔をずっと見てきますね。私は茶色の髪をした女のこの方を向き、美味しいですと微笑みました。すると女の子は笑顔になって喜んでくれました。
「ねーチノちゃん、このパンに何か加えたいんだど何か良いアイディアないかな?」
「アイディアですか?私はあまりパンに詳しくはないのでわかりません」
「リゼちゃんは何か思いつくー?」
「私もパンについては詳しくないからな...」
何か困っている雰囲気がしてきましたね、このパンに何かを加えたいですか...そうですね...
私はメモ帳に思いあたるレシピや食べ物を書きはじめ紙を取り外し茶色の髪の女の子に渡しました。
「え?あ、これって...!わぁ!すごい!アイディアがいっぱい書いてあるよ!チノちゃんリゼちゃん!」
「すごいですね、数十秒でここまで書けるなんて...」
これでも料理学校を卒業していますから、料理のレパートリーはたくさんあるんですよ。
「料理学校出身なんですか、私とココアは高校生でチノは中学生なんですよ」
高校生と中学生でこのお店をしているとは...すごいですね。私も幼い頃お店の手伝いをしていましたが子供たちだけでやるのも癒されて良いですね。
「ここには観光できたんですか?ここは可愛いものでいっぱいですよ!例えばこのティッピーやチノちゃん!」
茶色の髪の女の子が銀髪の女の子に抱きついて幸せそうな顔をして紫髪の女の子がやれやれといった表情をしていました。
「いつもああなんです...」
元気があっていいですね、元気なところは楯無さんに少し似ていますね。
「暑苦しいので離れてください...」
仲の良い姉妹に見えますね。やはり楯無さん姉妹を思い浮かべてしまうのはなぜなのでしょうか。
「ほらチノちゃん!お客さんも姉妹って思ってるよ!わかる人にはわかるんだよ!」
「わからなくていいですよ...」
ほんとに楯無さん姉妹に似ていますね...っと長いこと休憩してしまいましたね。そろそろ宿を見つけないと...
お勘定をしようとした時、お店のドアが開き見知った人が見えました。
「おや、これは懐かしいね数年ぶりかな桜花くん」
そこには、前に来たときにマスターの隣で手伝いをしていたたかひろさんがいました。
「お父さんお帰りなさい」
「おかえりなさいです!こちらのお客さんとはお知り合いなんですか?」
興味があるのかたかひろさんに詳細を聞く茶色髪の女の子、たかひろさんが少し考えていますね。
「その様子だとチノから何も聞いていないのかい?桜花くんとは親父がこの店のマスターをしていた時からの知り合いでね」
「そうだったんですか!でもチノちゃんから何も聞かされなかったね」
「わ、私だって初対面なんですから仕方ないじゃないですか..!」
「初対面...?チノ....」
たかひろさんが何かを言おうとした時、私はカウンターの机にお金を置いて席を立ちました。あまり長いはしないほうがいいと思ったのです。
「まさか桜花君言ってないのかい?まぁ君がそれで良いなら構わないが...そうだ前みたいにまた家に泊まって行くかい?」
その言葉に私は歩みを止めてたかひろさんの方を向きました。
今、このタイミングで言いますか...
「前みたいに...?お父さんそれって...」
「ああ、桜花君は何回か家に泊まったことがあってな。チノは覚えてないみたいだが...また君の料理が食べたくなったよ。今回はどのくらいここにいるのかな?」
ふぅ...仕方ありません。ここは素直に従っておきましょう...ここにいるのは6日間だったはずですね。
「そうかい!久しぶりに桜花君の料理が食べられるのか!」
あれ?今、マスターの声が聞こえた気が...気のせい...でしょうか?
「チノもココアちゃんもそれで大丈夫かい?」
「私は構いませんよ!パンのお礼もありますし!」
「私も構いません部屋は余っていますから」
さて、泊まるならあいさつしないとだめですね。
私は3人の方を向き、お辞儀をした。
「私は桜花 雲雀と申します。6日間ですがどうかよろしくお願いいたします」
「あ、え!?こ、こちらこそここで下宿させてもらっています保登 心愛です!」
「私は香風 智乃です。よろしくお願いします」
「わ、私はここでバイトをしています天々座 理世です!よろしくお願いします!」
これが私と彼女たちとの出会いで楽しい旅行の始まりでした。
どうでしたか?この小説で初めての1人称ですね。さぁ皆さんもあ*〜心がぴょんぴょんするんじゃ^〜
頑張って書いていきたいと思います!!
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プロローグ
食堂のお姉さん
ジュゥゥゥゥゥ...........
トントントン............
カチャカチャ............
ドンガラガッチャーン.....
.............チーン....
......................
◇
IS学園
そこは、アラスカ条約に基づいて日本に設置された、IS操縦者育成用の特殊国立高等学校。ISに関連する人材はほぼこの学園で育成される。また、学園の土地はあらゆる国家機関に属さず、いかなる国家や組織であろうと学園の関係者に対して一切の干渉が許されないという国際規約があり、それゆえに他国のISとの比較や新技術の試験にも適しており、そういう面では重宝されている。w●kiより
◇
「さて、みなさん、今日も学生さんに、美味しい食事を提供しましょう。」
そこには、1人の若い女性が大勢の女性の前に立っていた。
「私たちの喜びは、学生さんが美味しく食べ、元気に授業を受けてくれることです。そのためなら、朝が早くても頑張れると、私は思っています。」
大勢の女性の前に出ている、若い女性が手の平を天井に上げた。
「さぁ、今日も私たちの仕事の始まりです!!疲れがあっても私たちは、立上がなければなりません!!そこに、お腹が減っている学生さんがいる限り!!行きましょう奥様方!!お腹を減らしている学生さんの胃袋を満たしに!!」
その立ち姿は、凛々しく、そして、堂々としていた。
そう、彼女はこの女性たちのリーダー即ち料理長。
『ウォォォォォォォォ!!今日もやってやるわよぉぉぉ!!』
ここは、IS学園食堂
今日も、食堂のお姉さんと奥様方の戦い(調理)が始まろうとしていた......
◇
「A定食お待たせしました。そちらの方の醤油ラーメンもできてますよ。」
朝7時、それは食堂が騒がしくなる最初の時間。
お腹が減って朝食を食べに来た学生が来る時間。
「はい、トンカツ定食ですね。お待たせしました。」
「雲雀ちゃん。B定食できたよ!」
「田中さんありがとうございます。そしたら親子丼をお願いします。」
「あいよ!任せとき!」
この時間の食堂は、戦場と言っても過言ではない。何百人という生徒の朝食を作っているのだ。
「渡辺さん。焼き魚定食の方はどうですか?」
「そろそろ、できあがるよ!」
「わかりました。終わりましたらA定食お願いします。」
「任せんしゃい!」
「みなさん。後少しです。ラストスパート頑張りましょう!」
もう一度言おう…朝、昼、夕の時間の食堂は、戦場なのだ。
◇
「ふぅ…朝は何とか終わりましたねみなさん。」
「いや〜雲雀ちゃんが居てくれるから仕事が楽だね〜!ありがと雲雀ちゃん!」
「いえ、私はその場で出来ることを最大限にやっただけですから。」
「来週からは、新入生も来るしより一層忙しくなりそうね」
朝食と言う戦いが終わり、食堂の職員はテーブルに座り、お喋りをしていた。
「そうですね。それに新入生もこの食堂を気に入ってもらえるといいですね」
「きっと気に入るわよ~ここには雲雀ちゃんが居るんだもの」
「そうなら嬉しいですね。」
食堂は、奥様方の笑声とお姉さんの声で賑わっていた。
その時、食堂のテレビで流れていたニュースにある記事が現れた。
『初の男性操縦者!!名前は、織斑 一夏!!』
そのニュースを見て、雲雀は、にこりと笑みを出した。
はい、どうでしたか?まだ最初なのでどうもこうもないだろって思うかもしれませんが…
食堂と言う、また新しいジャンルを用意しました!
楽しんでくれたら嬉しいです!
感想など待っています
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夜中の食堂
問題児の方もちゃんと書いていますから大丈夫です!
IS学園食堂
「今日も、お疲れ様でしたね」
身体を伸ばし、やりきった顔をしている雲雀。
「さて、来週から新入生も来ますし、そろそろ新メニューも考えた方が良いかもしれませんね」
夜の食堂に1人テーブルに座って考え事をしている雲雀
「やっぱり、学生さんはいいですね。とても美味しそうな顔で食べてくれますし、作っているこちらも嬉しくなりますね」
新メニューなどのことを考えている雲雀、その時後ろの方から誰かの気配を感じた。
「雲雀さん見ーっけ!」
そして、雲雀の目の前がいきなり暗くなり、聞き覚えのある声が聞こえた。
「またあなたですか?この時間は消灯時間をとっくに過ぎていると思うのですが?楯無さん?」
「私と雲雀さんの仲じゃないですか♪そ・れ・に2人の時は刀奈と呼んでって言ったじゃないですか?」
「2人の時でも呼びませんよ...それにそこに、怖い先生もいますし」
呆れた顔ををしている雲雀。食堂の入り口付近で顔が不機嫌な織斑 千冬が立っていた。
「誰が怖いだ。誰が...それと更識、生徒会長が規則を破って何をしている?んぅ?」
「い、いつのまに...い、いえ..愛しの雲雀さんに...「何?」...いえ...何でもありません...」
これ以上はヤバイと感じたのか楯無は雲雀から離れ、大人しく自分の部屋に帰っていった。
そして、食堂には千冬と雲雀だけになった。
「雲雀、あんまり厄介事を起こさないでくれ」
「酷いですね千冬。私は何もしていませんよ」
千冬は、ため息を出し、手で頭を掻いていた。雲雀は、自分が飲んでいたコップに水を入れ千冬に渡した。
「あら、お疲れですか?よかったら何か作りますよ?今ならメニューに無いものでも構いませんが?」
千冬はコップを受け取り、水を飲み干し、少し考えていた。
「いや、遠慮しておく。生活リズムを崩すわけにはいかないからな」
「ふふ、そうですか。弟さんのこととかで忙しそうですもんね」
「まったく、あの愚弟には、いろいろと苦労させられる」
「素直じゃないですね。弟さんが近くに来てくれて嬉しいと思っているのでしょう?」
その言葉に、千冬の眉がピクリと動いた。
雲雀は笑顔で千冬の顔を見ている。
「何のことだか」
「しらばっくれちゃって、小中学校の頃。あなたにどんだけ弟さんの話を聞かされたと思っているんですか」
雲雀は、昔を思い出しながら的確に返した。
「........雲雀、私はからかわれるのが嫌いだ。」
「知っていますよ。でも否定はしないのですね。まぁ、私も初めて会うから楽しみなんですけどね」
頬に手を当て、嬉しそうな顔をしている。その顔を見て千冬は、起こる気にもならなくなった
「......私はもう寝る..お前も早く寝ろよ。朝は教師より大変だからな」
「まだ、これくらい大丈夫ですよ。高校の時に比べれば...でも今日は疲れたし寝ることにします」
そう言い、雲雀はキッチンに行き、コップを洗い場で洗っていた。
「そう言えば、お前は母校の料理学校の教師もしていたよな?」
千冬が気になったのか雲雀に質問した。
「まぁ、緊急の時の呼び出しくらいなものですけど。主に、生徒と生徒の料理勝負の審査員やちょっとしたその学校の料理大会の審査員とかですね。あ、普通に授業を教えるのもありますけどね」
「変わった高校だな。料理勝負か、一夏ならどのくらい通用するのか気になってきたな」
「弟君がどのくらいかは知りませんが、あの学園だと生き残るのは大変ですよ」
「お前がそれ程言うくらいの学校か、さぞかし大変なんだろうな」
千冬は、クスリと笑った。その顔を見て雲雀は、手を2回叩いた。
「はいはい、私の過去話はここまでです。食堂閉めますから他の話なら外で話しましょう」
ポケットから鍵を取り出した雲雀。時計は11時30分を過ぎていた。
「いや、長居しすぎたな。私はここまでにしよう。久しぶりに親友の昔話を聞けていい気分だからな」
「もう...千冬ったら...弟さんに会ったら、千冬の小中の頃の様子でも話しちゃいましょうか」
「お、おい...それやめてくれ...」
「ふふっ、冗談ですよ。」
千冬は少し頬が赤くなり、顔を下に向けた。
「私も親友のそんな顔が見れて、良い気分ですね」
「まったく、お前には昔からやったらやり返されるな」
「千冬もまだまだってことなのですね」
2人は、食堂を出て、雲雀が食堂の鍵を閉めた。そのまま、2人は別方向を向いた。
「まったく...まぁいい...おやすみだ雲雀」
「ええ、おやすみなさい千冬」
2人は、それぞれ自分の部屋に向かって歩き出した。
その後、雲雀の部屋の2つ目のベッドに更識が寝ていた。いつものことだと雲雀は、苦笑いをして自分のベッドに入った。
まだ、原作には行かないのかな?え?千冬さんが優しい?それには、一応理由がしっかりとあります!あと料理学校は、もうあそこしかないでしょう!!
後もう一話書いてから、原作にいきたいと思います!
感想評価などよろしくお願いします!
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その味の虜に
楽しんで読んでくれたら嬉しいですね!
IS学園食堂
千冬と夜話してから6日後の朝7時
「雲雀さーん!秋刀魚の塩焼き定食ください」
「雲雀さーん!私は、朝から元気定食くださーい」
「わかりました。少し待っていてください」
今日も食堂は、大勢の生徒で賑わっていた。厨房もいつものように戦場になっていて、熱気がとてもすごかった。
「お先に、A定食お待たせしました。あと、豚の生姜焼き定食そろそろできますよ」
「うわぁ!今日も美味しそうですね!」
「早く食べようよ!席取っておくからね!」
生徒で賑わい始めた
雲雀が次の食券を取りに行こうと受け付けに来た時だった。
「すいませーん。雲雀さんスペシャルをお願いします♪」
そこには、6日前消灯時間を無視し、雲雀に会いに来た現生徒会長・更識 楯無がいた。
「あら、珍しいですね楯無さんが食堂に来るなんて。あと、スペシャルについてはあまり大きな声で言わないでくださいよ...」
雲雀スペシャル。
それは、メニューに載っていない料理を雲雀がその場で考えて作る料理のこと。これを知っている者は、学園には、楯無を入れて、少人数しかいない。
「大方、生徒はもう食べ終わって帰ってますし、今は生徒は並んでませんから大丈夫ですよ♪」
「そう言う問題では....まぁ、いいです..それで、スペシャルでいいですか?」
「はい!あ、要望としては、私が驚く料理でお願いします♪」
楯無は扇子を広げ、そこには"驚き"と書いてあった。
「驚きですか...わかりました。とある知り合いが作っていたものでも作ってみましょうか」
何かを思いついたのか、雲雀は黙々と料理の準備をし始めた。
その様子を、厨房にいる奥様方と楯無そして、いつの間にかいる千冬が見ていた。
「って織斑先生いつの間にいたんですか!?」
「なに、あいつの考える料理がどんなものか気になってな」
「そ、そうなんですか...すごい耳ですね...でも確かに雲雀さんの考える料理は毎回すごいものですから」
「あいつの頭には私たちのは計り知れないほどの料理のデータがあるからな」
「そこがまた良いんですけどね♪」
2人の会話を全く聞いていない雲雀は調理の最終段階まで来ていた。
それから、数分後
「できました。見よう見まねで作ってみましたが、案外できるものなのですね」
お盆に料理を置き、楯無の前に出した。
『....!?』
その料理を見た楯無、千冬、奥様方は驚いた
「あ、あの...雲雀さん...これってもしかして...?」
「豚骨ラーメンだな...しかも結構濃厚に見える」
「ひ、雲雀ちゃん...朝からこれは...」
そう、出されたのは、とても濃厚そうに見える豚骨スープ。とてもじゃないが、朝からこんなに重いのは女の子にとってはキツイ。
「まぁまぁ、たしかにそう見えますけど、食べてみてください。あ、千冬とみんなさんの分もありますよ」
そう言い、ラーメンをテーブルに置く雲雀。作ってもらったから食べないわけにはいかないとこの場に居る者が思い、仕方なく座った。
「うっ...間近で見ると、より一層濃厚に見える...」
「楯無、いいから食べるぞ。今日は授業が無いにしろ、ここに長居をするとみなさんの片付けの邪魔になるからな」
「わ、わかってますよ...あれ...?でも濃厚そうなスープだけど...意外とくどくなくて、まろやかな匂いですね。
それじゃあ..いただきます..」
雲雀以外の人が、意外と大丈夫?と思いながら、ラーメンを一口食べた。
『ッ!?!?』
本日2回目の驚き。
あの千冬でさえ、驚いた顔をしていた。雲雀はその反応を待っていたかと言う笑顔でみんなを見ていた。
「食べ…られる…!?この麺、柚子が練り込んである…!
こんなにこってりしてるのに、自然と箸が進んでいく!?」
「と言うよりむしろ...」
『止められないッ!!』
上から、楯無、千冬、奥様方の順だ。
みんなの箸は止まらず、ラーメンを美味しく食べていた。
「このスープすごいコクですね!いくらでも飲めそうな気がします!」
「スープもすごいが...この肉みたいなものは何だ?」
千冬が麺の上に置いてあるチャーシューみたいなものを指した。
「それは、テンペって言って、インドネシア発祥の大豆を原料とした発酵食品です。食感がお肉に似ているんです」
「ズズ...これは精進出汁かしら雲雀ちゃん?」
「さすが渡辺さん。それは昆布とシイタケを合わせた出汁です。スープは豆乳と焦がし味噌を合わせたものを使っています」
「...え?あれ?...それってまさか...」
楯無が何かに気づいた。千冬もそして、奥様方もこの料理の秘密に気がついた。
「肉と魚を一切使用していない...のにこれほどのコクを出しているとはな...」
そう、このラーメンには肉も魚も使用していない。ラーメンなどのスープのダシは主に鶏肉や豚肉や魚などを使うのが一般的だ。それを使わずにラーメンを作ってしまった。
「ふふ、知り合いに世界を旅していた人がいまして、その人が作った料理がこのラーメンです」
この時、この場にいる雲雀以外の者は、雲雀の友人、そして雲雀自身に驚いていた。
「さ、さすがです雲雀さん...これには驚かない訳がありません...」
「改めて、お前がどんな奴か確認できたな。それに、お前の母校じゃ、こんな料理ばかり出ているのだろう?」
「そうですね。あそこは驚きの宝庫みたいなものですからね。驚いてばかりじゃなくて、その技術なども吸収しないといけないところですから」
思い出に浸っている雲雀を見ている楯無は、何か複雑な表情をしていた。
「雲雀さんは...やっぱりその学校の方が楽しいですか...?ここは、その学校みたいなことはありませんし...」
珍しく落ち込んでいる楯無に、雲雀は近づいてそっと頭を撫でた。
「そんなことありませんよ。ここには、楯無さんや千冬、奥様方がいて、そして美味しく食べてくれる生徒さんがいる...あちらにはない楽しさがあって、私は好きですよ」
ニコリと楯無に笑みを見せた。その言葉に、楯無はとても嬉しく、そして、撫でられることに慣れていないせいか、顔がどんどん紅くなっていった。
IS学園の朝はこうして始まり?生徒が元気よく授業を受けられるように食堂にいる雲雀や奥様方は頑張っている。
そして、迎えるは入学式
新しい新入生たちがこのIS学園にやってくる。そして、また雲雀と奥様方の戦いが始まろうとしていた.....
はい!いかがでしたか?あの漫画から頂いた料理でしたがいい話にできてよかったです!
感想評価などよろしくお願いします!!
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第1巻
新入生ようこそ
え?家にパソコンないのにどうやって?ですか?それはPS4からログインして書いてます!とてもやりにくいです!!
ペースは遅くなりますが頑張りたいと思います!
IS学園食堂
今日は、新1年生の入学式。
今日の昼から、食堂には新入生がやって来る。
食堂では、朝食の戦いが終わり、奥様方との会議が行われていた。
「では、みなさん。新入生はまだここに来たばかりでまだ不馴れなところがあったりします。ここ、食堂は生徒の心の癒し、そして安心できるところです。私たちが心からおもてなしをして学園生活を楽しくさせてあげましょう」
「大丈夫よ雲雀ちゃん~」
「ええそうね~私たちもここでは生徒たちのお母さん的なポジションだもの、優しくするわよわ〜」
「そうそう、みんな可愛くていい子たちよね~」
奥さまたちが、これぞガールズ...主婦トークを始めた。
「もしもの時は雲雀ちゃんがいるし、私たちは安心できるわ~」
「雲雀ちゃんが居てくれるからこそよね~」
「み、みなさん...あまり期待されても....」
「年齢も近いんだし、いつも通りにしていれば大丈夫よ~」
なぜか奥様方に、フォローされる雲雀。
そんなこんなで、会議は終わり、食材の下ごしらえなどの準備に取りかかった。
「まぁ、なんとかなりますよね...それに、なぜか今年はいろんな意味で大変そうな年になるような気がしますね...」
さらりと、悪い予感を的中させてしまうことにまだ、雲雀は知らない。
◇
入学式が終わり、時間は12時を過ぎたお昼
食堂には、新入生がぞろぞろとやって来ている。
今日は、新入生のために少し時間を貰い、1年生全員を集めてもらった。
IS学園の食堂は、生徒が学年関係なく交流ができるようにと、大きめに作られている。自習室としても利用ができ、とても人気が高い場所。
「新入生の皆さんこんにちは。この食堂の調理及び管理を任されている桜花 雲雀と申します。今日は、新入生のみなさんの貴重なお昼の時間を貰って、この食堂について話したいと思います」
新入生は、各自テーブルに座っており雲雀の方を向いている。
雲雀は、マイクを口元に持っていき、食堂について話始めた。
「食堂は、みなさん生徒がご飯食べに来るところです。それ以外にも、自習をしたり、先輩や友達とおしゃべりするところでもあり、基本は消灯時間10分前までは開いております。その他にも、何かイベントをしたいなどの要望があれば貸したりもしていますので、そうですね....クラスでの親睦会などに使ってもらって大丈夫ですよ」
その他にも、食堂でのルール説明、食堂の奥様方の紹介などをした。
「...コホン..長いこと話してしまいましたね。新入生の皆さん。今日からよろしくお願いします。何か分からないことがありましたら気軽に聞いてくださいね。それでは、私からは以上になります」
話が終わり、マイクを学年主任の先生に渡し、生徒たちはお昼休みの時間を迎えた。
◇
次の日の朝
珍しく雲雀は、受け付けの方ではなく、厨房の奥の方で調理をしていた。
新入生が加わり、注文数は増加し、雲雀はいつも以上に調理速度を上げているため奥の方で調理をしているのだ。
「雲雀ちゃーん。焼き魚定食と唐揚げ定食お願いしていいかしら?」
「はい、いいですよ。この注文数に慣れるまでは、受け付けには行けませんから、どんどんオーダお願いします」
話しているうちにも、雲雀は料理をどんどん完成させていく。
「あらあら、雲雀ちゃんがそんなに頑張っているのに、私たちが楽するわけにはいかないわね~みんな頑張るよ~!」
『任せんしゃーい!』
奥様方も負けじとペースが速くなっていき、連携もアイコンタクトで通じるほどになっていた。
その光景を見ていた生徒は、すごい..などの声を出していて呆然としていた。
しかし、雲雀は逆に奥様方を心配していた。
「み、みなさん...あまり無茶はしないでくださいね...?」
今日もまた、食堂は戦場の場になった。
朝の戦いが終わり、雲雀と奥様方は休憩中。
世間話や自分の息子などの話になったりして、いつもの主婦トークが始まっていた。
その時、主婦よ渡辺さんが何かを思いだし話し出した。
「そういえば、あの...男のIS操縦者を朝見たけど、優しい男の子って感じだったわよね」
「確かに、家事とか得意そうな感じだったわね」
奥様方が一夏の印象を話始めたが、雲雀は調理に集中していて見るのを忘れてしまっていた。
「その子は、織斑先生の弟さんで、家事全般が得意と話していましたよ」
前に千冬から聞いたことを思いだし、奥様方に話した雲雀。
「あらそうなの?家の馬鹿息子より全然いいわね」
「家の娘の婿に来てくれないかしら?」
さすが主婦、テレビで聞いたことありそうなことを言っていた。
「最近、そう言う男の子はいませんからね...やっぱり料理できる男の子はいいですよね」
「あら?雲雀ちゃんもしかして狙ってるの?」
1人の奥様が雲雀の言った言葉に反応した。
「そう言う訳ではありませんがそう言う子って何となくいいかなぁとは思いますね」
そう言った雲雀だったが、言った後にすごい寒気を背中に感じた。
"雲雀さーん?......ふふふ♪"
何処からかそんな声が聞こえたような気がしたと雲雀は思ったが気のせいだと思い奥様方の会話に戻った。
「でも、男の子1人ですから、一夏くんを巡ってここの女の子たちがいろいろとアピールなどしちゃいますよね」
「女は時より鬼と化すからね...今年は荒れるわよ」
そんなこんなで主婦トークは賑わい時は過ぎていった。
ちなみに、雲雀は昼も夕方も厨房の奥にいて一夏を見ることはなかった。
夕ご飯の戦いが終わって時間は少し経っていた。
生徒は自室に帰り食堂はあまり生徒はいなかった。
雲雀は、食材の発注などの残りの仕事をしていた。
「ふぅ、今日はこれくらいにしておきましょう...消灯時間までのんびりしていましょうか」
湯飲みにお茶をいれ、テーブルで一息している雲雀。
「ふはぁ...お茶はいいですね...今日の疲れが癒されます」
「なら私がもっと、癒してあげます♪」
突然何かに抱きつかれた雲雀。声の人物はすぐわかりため息をついた。
「またですか楯無さん...いい加減子供じゃないんですから抱きついたりしないでください」
「いいじゃないですか♪こうすると落ち着くんですよ。それに今日、突然何かこう...ムッ!って言う感じが込み上げてきて..癒しを..」
「貴方が落ち着いてどうするんですか...あと最後の方、何言っているのかわかりませんですが...まぁ、わかりました..もう慣れてしまいましたし」
楯無は、いつもより甘えて来ている気がすると雲雀は思ったが、特に思い付く節がなく気のせいと思って、いつもの感じで楯無の頭を撫でた。
「えへへ♪雲雀さんは撫でるの好きですよね?よく私にしていますし」
「好きとか考えたことはありませんが...楯無さんを見てると何故かしてしまうんですよね」
「え!?それって...!」
不意の言葉に楯無は驚いたが、
「.....あっ!」
雲雀は何かわかった気がしたのか楯無の方を向いた。
「これが、奥様方が言っていた母性本能ですか...!ずっとみなさんが言っていたことが分かりませんでしたが、ようやくわかった気がします!」
目がキラキラと光っている雲雀。その反応に楯無は思いっきりずっ転けた。
「あら?どうしました楯無さん?」
「い、いえ...なんでもありません....」
そうだった...この人こういう人だったと楯無は思っていた。
「?...そうですか。そう言えばら新しい学年になって楯無さんも成長した感じがしますね」
「そうですか?自分ではあまりわからないですね。あっ!そうそう、新しいと言えば、新入生でクラス代表を巡って1週間後にIS勝負が行われるらしいですよ。その戦い合う相手がイギリスの代表候補生とあの織斑先生の弟さんの一夏くんらしいです」
「あらあら、勝負だなんて若い子達は元気で活気ですね...昔は、ジャンケンで決まるくらいでしたからね」
「雲雀さん...それ年寄りっぽく聞こえますよ...?それに、他のクラスはジャンケンで決まっていますし、1組のあのクラスだけですよ」
「千冬も大変ですね...生徒をまとめたりしますし、私はあまり教師に向いていなさそうですね」
「そんなことありませんよ!私は雲雀さんから保険の実技を教えて貰いたいです!」
「保険の実技ですか?....人工呼吸とか私は経験ないですから教えられませんよ?」
「え..!いや...そっちじゃ...でも人工呼吸か.....♪...って経験あったらそれはそれでダメですよ!」
身体をくねくねさせる楯無だが、ふっとその事に気がついて声を上げた。
「え?でも、経験してないと教えられませんし...ん~....」
雲雀の頭に?のマークが現れる。楯無は"この人...これが素なのか!?"と思った。
「まぁ、よくわかりませんが、教師は難しいから遠慮しておきますね。って、そろそろ食堂閉める時間ですから楯無さんは自分の部屋に戻らないと」
「もう、そんな時間ですか...このままいてもいいけど、織斑先生に見つかったら次はやばいからさすがに戻らないと...」
小さくボソボソと言っていて雲雀には聞こえていない。
「仕方ないですね...今日は戻ることにします。おやすみなさいです雲雀さん♪」
笑顔を見せながら手を降り食堂から出ていく楯無。
その時、楯無の言った言葉にふと思った。
「ん?....今日はって...それはダメな気がしますが...はぁ、仕方ない子ですね...」
まったく...と思いながら、食堂の鍵を閉め、自室に帰る雲雀だった。
やっと原作入れましたね。この調子でどんどん書いていこうと思います!
感想評価などよろしくお願いします!
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クラス対抗戦、でも食堂には関係ない
でもなんとか書けました!
IS学園食堂
楯無と話した次の日のお昼
「おばちゃーん!塩ラーメンください!」
「あ、私は野菜炒めをお願いします!」
「あいよ~!雲雀ちゃんお願いしていいかしら?」
「大丈夫ですよ。この注文数にも慣れてきましたから」
そう言いながら、雲雀の周りには1個2個と料理が出来上がっていく。
その異常な速さに生徒たちには雲雀が何人にも見えていた。
「よっ!さすがだね~!"厨房の千手観音"って言う名前も伊達じゃない!」
「え?おばちゃんそれって何ですか?」
渡辺さんが言ったことに新入生が聞いた。
「ん?あ~...新入生は知らなくて当たり前よね。雲雀ちゃんの調理は、とても速く一気に何人前もの料理をこなしちゃうのよ。
「すごいですね...プロってます!」
「その姿がまさに千手観音の様って、織斑先生が仰ってね。そこから広まっちゃったのよ」
雲雀曰く、女性の発想ではない。女性に付ける名前でもない。などと思われている名前だ。
「確かに、私たちが見ても速いと思いますね。普通の人じゃできませんよね」
「そうね。確か、どこかの有名な料理学校から来たって言っていたけど...雲雀ちゃんが来てから、随分と楽にもなったしここも賑やかになったのよね」
「私たち生徒にも織斑先生と並ぶくらい人気って言われていますし。あの優しさがいいんですよね」
渡辺さんが生徒と話していると、雲雀が食券を持って近づいてきた。
「渡辺さん、これとこれをお願いします」
「あいよ、ほら、あんたたちも冷めないうちに速く食べちゃいなさい」
「あ、はい!」
生徒たちは慌ててテーブルに向かいだした。
こうして、お昼タイムは何事もなく終わった。
◇
1週間後の朝
今日もいつもと変わらない食堂だが、生徒たちは、イギリスの代表候補生と織斑一夏の勝負の話題で持ちきりだった。
「1組の試合見たいけど、私のクラスは教室で授業なんだよね...」
「私は移動教室...あー..見たいよね」
アリーナで試合が行われるが、時間が限られているため、授業の中で行う。
そんなことを、まったく気にしていない雲雀は、食材の整理などをしていた。
「何だか騒がしいですね。あ、そう言えば今日は、IS勝負と楯無さんが言っていましたね怪我なく無事に終わればいいのですが...」
試合の心配をしている雲雀だが、調理のスピードはさらに上がる。
「相変わらず、すごいですね雲雀さんとてもじゃないですけど真似できません...」
「コツなどを掴めば意外と簡単ですよ?はい、A定食お待たせしました」
「こ、今度教えてもらってもいいですか...?」
「ええ、構いませんよ」
雲雀は、ニコリと笑顔で答えた。その笑顔を見た生徒たちは、すごくいい笑顔で倒れた、
朝食の時間が終わり、雲雀は暇になり学内のモニターで、今始まろうとしているISの試合を見ていた。
「一夏くんの相手は、セシリア・オルコットさん。遠距離タイプのISですか...私の予想では、一夏くんは銃などの経験は千冬に聞いたところないですから、そうなると必然的に近接特化のISを渡すと思いますね」
モニターを見ながらこれからどうなるかを考察している。
「おや、珍しいですね。あなたが試合を見ているなんて」
その時、後ろの方から声が聞こえた。
「活気の良い若者を見たくなりまして、轡木さんはどうしたんですか?」
そこにはIS学園の用務員の轡木 十蔵が歩いて食堂に入ってきた。
「いえ、少し小腹が空いてしまいまして。久しぶりに桜花さんの料理でも食べてみたいと思いまして」
「あら、嬉しいことを言ってくれますね。わかりました、轡木さんのお願いですから断る理由がありません」
「いきなりでどうもすみません。聞いたところ、雲雀スペシャルはお題を言っても良いと聞いたのですが?」
厨房で食材を出し、準備をしているところに、轡木さんが聞いてきた。
雲雀は楯無が話したのかなと思いながらも答えた。
「ええ、一応そうですね。高校の時にそう言うのはたくさんあって慣れてしまいましたから」
「そうですか、ならこの後少し出かけるので軽めなものをお願いします。あとは...ご飯もので卵が好きなので卵料理でお願いします」
「それはそれは...難易度がお高いことで...でもわかりました。少々お待ちを」
何かを思いついたのか厨房の奥のほうに行ってしまった。轡木さんは、テーブルに座りモニターを見始めた。
数十分後
「できました。どうぞ轡木さん」
「ほうほう...これは...」
テーブルに置かれたその料理を見て、轡木さんは一つの料理を思いついた。
「これは見た感じですと、卵かけごはんですか?」
「ええ、少し工夫をした卵かけごはんです」
そこには、ごはんに卵をかけた普通の料理があった。
しかし、匂いを嗅いだ時にある匂いがした。
「この匂いは...ニンニクですか?でも卵は生ですし...」
「そうです。これには、ニンニク・ネギ・ごま油・焦がし醤油をフライパンで炒めた後、卵をフライパンの上で走らせるようにして、この調味料の風味を卵に閉じ込めました」
「さすがですね...私がしたら卵が半熟になってしまいますよ...では、いただかせて貰います」
箸を持ち、卵かけごはんを食べ始めた。
「...!!この濃厚なニンニクと焦げたネギの匂いにこのとろみもたまりませんね...!そして、噛む度に焦がし醤油とご飯が絡み合って極上です..!」
これまでの卵かけごはんとは、比べ物にならないくらいな美味しさに轡木さんは、箸を止めることができなかった。
「お粗末さまです。さて、試合の様子は....「試合終了!勝者セシリア・オルコット!」...あら?」
モニターを見たときには、空中で刀をあと少しのところで振れなかった一夏と何か納得がいかないような顔のセシリアが映っていた。
「あ、あらあら...まぁ仕方ありませんね。轡木さんそろそろ生徒が来ますから、速く食べてくださいね?」
「そうですね、食べるのが惜しいですが仕方がありません」
卵かけごはんを携帯で撮っていた轡木さんが、少し残念そうに、しかし食べたら美味しそうにと忙しくしていた。
こうして、雲雀の休み時間は終わり、お昼・夕方と時間は過ぎていった。
◇
「ふぅ、今日も頑張りましたね」
食堂で雲雀は、1人休憩していた。
備品の修理の申請などを書いて疲れた様子を得いていた。
「ここも、ここでいろいろと疲れるんだな」
「あら千冬。どうしたんですかこんな時間に珍しいですね」
食堂の入り口から、千冬が入ってきた。姿はジャージ姿で運動をしていたように見える。
「なに、少々暇でな寝るにしても早い時間だからな」
スポーツドリンクを飲みながらテーブルに座った。
「そう言えば、今日のISの試合内容はわからなかったけど、セシリア・オルコットさんが勝ったらしいですね」
「ん?ああ...あれはあの馬鹿が自分の武器の特性を理解していなかったから負けただけだ」
「最近まで普通の男子中学生だったんですから、それが当たり前ですよ」
湯飲みのお茶を飲みながら、一夏について話した。
「お前が一夏をカバーするとはな。少し妬ける」
「何言っているんですか...あなたも一夏くんにだけ特別に厳しくしているでしょう。照れ隠しにしては、少々厳しいですよ」
さらっと、とんでもないことを言う雲雀。
その時、空になったペットボトルがクシャクシャに潰れた。
「そうやって物に当たるのは良いですが、学校の備品などに当たらないでくださいね?」
「....っく」
「それで、1組のクラス代表はセシリアさんに決まったんですか?」
「いや、あいつは辞退してクラス代表は織斑になった」
「ここには誰もいませんから、名前で呼んでもいいんですよ」
ズズっと湯呑みを飲み、周りを確認する。
「...わかった、わかった...たくっ、お前といるといろいろ調子が狂う」
「ふふ、こんな姿を生徒が見たらどう思うか、少し気になりますね」
「おいおい、変なことを言うな」
頭に手を置き、疲れた顔をする千冬。その顔を楽しく見ている雲雀。
「ふっ、お前と話をしたら疲れがとれた。この気分のまま寝るのも良いものだ」
「そうですか?それならよかったです。私も今日は快眠がとれそうですね」
「そ、そうか...それならよかった...」
「....?」
「い、いやなんでもない。長いも悪いし私はもう行く」
千冬は立ち上がり、食堂を出て行った。
「なんだったのでしょう?」
最後の千冬の行動に疑問を持ちながら、雲雀は食堂に鍵を閉め、今日の仕事を終えた。
千手観音像か阿修羅で悩みましたが、いろいろあり千手観音像になりました。
次は、やっと一夏と接触すると思います。
誤字など見つけましたらお知らせお願いします!
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クラス代表就任パーティー
更新はまだ、不定期ですが頑張っていきたいと思います!
IS学園食堂 お昼
1組のクラス代表を巡っての勝負から1日が経過し、またいつもの日常に戻っていた。
「雲雀さーん、A定食でご飯を十六穀米にしてくださーい」
「あ、私もそれにしてください!」
「はいわかりました。十六穀米ですね」
食堂では、最近ご飯を十六穀米にするのが流行っているらしい。健康を気にしているのか、そこは乙女の秘密。
「昨日は、試合などで騒がれていましたが、終わってみれば、案外直ぐに収まるものなのですね」
1日過ぎて、あの試合の結果を話している生徒はいるが、あまりそこまで騒ぎにはなっていなかった。それより、一夏にどう近づこうかと考えている人の方が断然多い。
それを、遠くから見ている雲雀は、なにか面白そうだなと見物していた。
「青春ですね...こう違う目線から見ているのも、いいものですね」
お茶を飲みながら、年より臭いことをいっている雲雀。
その時、雲雀の携帯が振動した。
雲雀は、今だと珍しいガラケーを使っている。
「あら?メールなんて珍しいですね。えっと...えりなさん?」
メール欄には"薙切 えりな"と書かれていた。
何かの連絡と思い、ボタンを押しメールの内容を確認すると...
「件名:お久しぶりです。
本文
お姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよお姉ちゃん寂しいよ...ハヤクアイタイナ...?お姉ちゃんお姉n...」
パタンッ.....
携帯を閉じ、手をおでこに付け、ゆっくりと目を閉じた。
雲雀は深いため息を出した。
今起きたことをできるならなかったことにしたいと雲雀は思ったが、それは無理だと直ぐに諦めてしまう。
そして、現実逃避をしている雲雀に再び携帯が振動した。
正直、開きたくないが次のメールはちゃんとしていると思い、決心して携帯を開いた。
「件名:すみません。
本文:先程は、変なメールを送ってしまってすみません。鶫(つぐみ)さんに携帯を取られてしまい取り返した時には、もう送られてしまっていまして...
本題なのですが、近々、1年生の初めの行事として、宿泊研修が行われます。もし時間と都合がよろしければ、審査の先生として参加してもらえないでしょうか?お返事は時間があるときで大丈夫です。
私も緋沙子も雲雀さんに会いたいと思っています」
そこには、さっきとは明らかに違う文章が書かれていた。とても礼儀よく、見る限り清楚な人と思ってしまう。
「えりなさん...妹が失礼しました...そのお詫びに宿泊研修は参加できますっとこれでいいですかね」
文章を打ち終わり、送信ボタンを押した。
大変な目に合わせてしまったことに、申し訳ないと心から謝っていた。
「え~...雲雀さんどっか行っちゃうんですか~?」
後ろから馴染み深い声が聞こえ、振り替えるとそこには、生徒会長の楯無が立っていた。
「詳細はまだ、不明ですが6日間ぐらいはあちらに行ってしまうと思います」
その言葉に、楯無は驚きそして、寂しそうな顔をした。
「6日間もですか!?ほぼ1週間って...ここでもそんなにはありませんよ...」
「まぁ、あそこが少し特殊なだけですから。それで、楯無さんはどうかしたんですか?」
「いえ、ただ暇だったので雲雀さんに会いに来ました♪それに、雲雀さんに妹さんがいるって情報も入手できました♪」
笑顔で雲雀を見ている楯無。開いている扇子には"妹!!"と書かれていた。
「隠していたつもりはなかったんですが...まぁ、苦労を掛けさせられる妹ですよ」
「そうですか?妹さんはどこの学校に行っているんですか?」
「今は、高校1年生ですね。学校は、私の母校の学校ですよ」
「そういえば、雲雀さんの母校ってどこですか?調べてみたんですが全然わからなくて」
楯無は、なにか悔しそうな顔をしているが、雲雀にはその理由はわからなかった。
「あれ?言っていませんでしたっけ?私の通っていた高校は...「すいませーん!」...あっはい!少し待っていてください」
「...むぅ」
楯無は頬を膨らませ、不機嫌になっていた。
厨房に戻り、生徒3人の食券を確認した。
「えーと...アイスクリームパフェですね。少々お待ちください」
雲雀は、冷蔵庫から材料を出し、パフェを作り始めた。
「あの~...雲雀さん~...?少しお願いがあるんですが...」
パフェを頼んだ生徒の1人が聞いてきた。
雲雀はパフェを作り終え、生徒の前に起き話を聞いた、
「はい、なんでしょうか?」
「その、今日の夜にここで...織斑くんのクラス代表就任パーティーをやりたいんですけど...大丈夫ですか?」
「一夏くんの...?確か...今日は、何も用事がありませんから大丈夫ですよ」
「ほ、本当ですか!?やったね静香!!本音!!」
「うんうん!今日は楽しもう!」
「お菓子いっぱい持ってくるね〜!」
3人は、とても嬉しそうにはしゃいでいた。
そこで、雲雀はあることを考えた。
「少しいいですか?そのパーティーに私も参加していいですか?」
「え?雲雀さんがですか?もちろんいいですよ!!」
「はい!断る理由なんてありませんよ!むしろ参加してください!」
「わ〜♪ひーりんさんの料理楽しみだね〜♪」
「そこまで言われてしまいますと...パーティーの料理は任せてください。美味しい料理をたくさん作っておきますから」
「それは楽しみです!みんなも喜ぶと思います!」
「楽しみに待たせてもらいます!」
そう言い3人は、パフェを持ちテーブルの方に歩いていった。
「あそこまで喜んでくれると作りがいが出てくるものです」
雲雀は、にこりと笑顔になり、パーティーで何を作るかを考えていた。
「さてと...いつまでそんな顔をしているんですか」
雲雀は、頬をまだ膨らませて不機嫌にしている楯無に話した。
「だって~...せっかく楽しく話していたのに..」
「仕事なのですから......あ。そうですね」
このままだと、ずっとこの調子だと思い、雲雀はあることを考えた。
「そうですね。なら、今度の宿泊研修の時、楯無さんも一緒に行けるように掛け合ってみます」
その言葉に、ピクッっと反応した楯無。
「6日間ずっとは無理ですが...2日くらいなら、なんとかなると思いますが...どうですか?」
ピク...ピクッ....
「あ、楯無さんは授業がありますから...難しいですよね...仕方ありま...」
「行きます!!行かせて貰います!!」
何かが切れたのか、大声を出して誘いを受ける楯無。
「え?でも授業が...」
「そんなもの生徒会長権限でなんとかなります!!それに、他校との交流も大事です!」
「は、はぁ...わかりました。一応、聞いてはみますけど...」
「よろしくお願いします♪」
急に笑顔に戻り、そのまま食堂を出てってしまった楯無。雲雀はその場で立ち尽くしていた。
◇
「それでは、織斑くんのクラス代表を祝して!かんぱーい!!」
夕食の時間が終わり、1年1組の生徒以外は、ほとんど帰っていた。
ここでは、一夏のクラス代表就任のパーティーが行われていた。
「はいみなさん。料理はまだまだありますから、遠慮しないで食べてくださいね」
テーブルの上には、さまざまな料理が出ている。匂いを嗅いだら、さらにお腹が減ってしまう。
『雲雀さんありがとうございます!』
「あ、いたいた、話題の一年一組メンバーはここに居たんだねー」
そう言いながら一夏クラス代表就任パーティーに入ってくる1人の女子生徒が居た。
「君が織斑一夏君ですね、私は新聞部副部長、二年生の黛薫子です!!あっ、これ名刺ね」
「はぁ、どうも」
「あら、黛さんこんなところでどうしたんですか?」
雲雀は、料理をどんどん追加していく。こういったパーティーはあまり行われないため、はしゃいでいるのかもしれない。
「あ、雲雀さん!いえ、男のIS操縦者をインタビューしたくて来ちゃいました」
「そうですか?まぁ、ほどほどにしてくださいね?」
「わかってますよー!」
そう言い、黛は、一夏の方に歩いて行った。
「さて、まだまだ料理を出しますよ」
そのまま、厨房に向かった雲雀だった。
数十分が経ち、パーティーも中盤に入っていた。
話は、一夏の話からなぜか雲雀の話になっていた。
「本当に雲雀さんの料理は美味しいですね!」
一夏が、食べていた料理の感想を言っていた。ようやく一夏の姿を見れたと心で思っていた雲雀。
「あら、ありがとうございます。君が千冬の弟さんの一夏くん?」
雲雀の言葉に、一夏やクラスのみんなが反応した。
「あれ?雲雀さんは千冬姉...織斑先生の知り合いなんですか?」
「ふふ、いつもの呼び方で大丈夫ですよ?そうですね、幼稚園から中学校まで一緒でしたね」
「そうだったんですか?でも俺、雲雀さんに会ったことないですよ?」
不思議そうな顔をする一夏。
それもそうだ。一夏にとって千冬の知り合いは、篠ノ乃 束シカイナイ。
「あの時は、家が定食屋なので、手伝いをさせられていまして。中々遊ぶ機会がなかったのです」
「そうだったんですか!あれ?小学校も中学校も一緒だったんですよね?高校は何処だったんですか?」
「あ!その話私も知りたいですね!!あまりこの学園では知られていない雲雀さんの過去を知れるチャンスですから!」
いきなり横から現れた黛が手に手帳を持って準備していた。
「高校ですか?なぜかよく聞かれますが...そこまで驚くところでもないですよ?確か...」
ゴクリ...と生徒たちは雲雀の次の言葉を待っている。その場に緊張が走った。
「えっと...あそこは..遠月茶寮料理學園って名前でしたね。長いので遠月学園って呼んでいますけど」
はい!新たなキャラが出ました!妹です!!そして、ちゃっかりえりなの携番を持っている雲雀さん!!これはこれは...
次は、あれが行われるかもしれません!!
それではまた!
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料理勝負ですか?
みなさん本当にありがとうございます!!
本編書き終わりましたのでどうぞ!
IS学園食堂
「遠月学園?」
「私は聞いたことないけど...?」
「私も、ってことはあまり有名な所じゃないのかな?」
生徒たちには、聞いたことない学校名だった。
それもそうだ。遠月学園は料理学校。調理に興味があったり、どこかの有名な料理のお店の子供じゃないと知らないだろう。
だが、1人だけその名前を聞いて驚いた生徒がいた。
「遠月学園!?雲雀さん!それ本当ですか!?」
そう。織斑 一夏だ。
「え?織斑くんどうしたのそんなに驚いて?」
「遠月学園のこと何か知ってるの?」
周りのクラスメイトが驚いている一夏に遠月学園のことを聞いていた。
「え!?みんな知らないのか!?遠月学園は卒業到達率10%以下の超絶エリート校なんだよ!!その年の卒業者は片手で足りるほどって言われてて、俺もいきたいと思っていたけど、学費とかで諦めたんだよな...」
............
『10%以下!?』
すごく慌てている一夏の言葉に、その場の生徒は数秒固まった。
「な、なにそれ...そんなすごいところなんだ...!」
「待って!ってことは雲雀さんはその片手で足りるほどの人数の1人ってことだよね!?」
「やっぱり雲雀さんはすごいわ!!これは、スクープだわ!!」
黛は、手帳にものすごい勢いで何かを書いていた。
「その言葉も懐かしいですね。あの時は楽しかったですよ」
雲雀が、思い出に浸っていると、一夏が手を上げた。
「雲雀さんってなんでIS学園の食堂の仕事をしているんですか?遠月学園を卒業したのなら、他の所からもスカウトなどきたと思うんですけど」
一夏の質問に雲雀は笑顔で答えた。
「私は元々、実家の定食屋を継ごうとしていたので、そう言う話は全部断っていたんです。でも、お爺ちゃんがまだまだ現役じゃって言って継がせてもらえなくて」
雲雀の話を聞いている一夏たちは静かに聞いていた。
「その時に、私の家の定食屋に食べに来ていた遠月の総帥...まぁ、学園長や理事長みたいなものですね。あと、ここの用務員の轡木さんが、継がせないのなら遠月学園とIS学園に来てくれって話になりまして...勝手に手続きなどお爺ちゃんがしてしまって...やってしまったものは仕方なかったので、諦めて今に至ります。お爺ちゃんの交友関係は驚きましたね」
その話に一夏たちは、ただ呆然とするしかなかった。
このご時世、就職は中々難しい。それが、こんな変な勢いで決まってしまったことに驚いていた。
「このIS学園は、すぐ働けましたけど。遠月学園の方は、少し問題がありまして、ちょっとした試験をやって、合格して働いているのです」
黛は、手帳に目に求まらぬ速さで記事を書いていき、一夏たちは雲雀のすごい過去にただ驚くしかなかった。
「なんか、雲雀さんって何気にすごい人生送ってるんですね」
「そんなことないですよ。一夏くんのお姉さんの千冬に比べれば大したことはないと思いますよ」
雲雀は、頬に手を置き微笑んでいた。
雲雀のことを聞いて、一夏が、なにかを思い付き手を上げた。
そして、次の一夏の言葉に雲雀は驚いた。
「雲雀さん...急で悪いんですが...俺と料理勝負してもらってくれませんか?」
雲雀は、微笑んだまま一夏を見た。その目には好奇心と言った子供だからこそ持つ気持ちがあった。
「ふふ、どうしたんですか急に?」
「いえ、俺の友達にも1人遠月学園に受験して合格した人がいるんですけど...遠月では、生徒同士の料理勝負があるんですよね?」
「ええ、確かに生徒と生徒の揉め事を解決するために制定されたものがありますが、それがどうかしましたか?」
一夏の考えていることはすぐわかった雲雀だが、ここは逢えて聞いてみた。
一夏の突然の言葉にクラスのみんなが驚いていた。
「その友達がすげー楽しそうに話していたので、俺もそうゆうのやってみたいと思っていたんです」
雲雀の頭にある生徒が思い浮かんだ。今年、遠月に編入した生徒は1人しかいない。しかもその生徒は、知り合いの息子だった。
「それで、今思い付いたんです。雲雀さんはその遠月の卒業生です。ならそのルールも知っているんじゃないかって...!」
「面白いことを考えるのですね。それで私に勝ったらどうするんですか?」
「それは俺が勝ったら...雲雀さんから料理を教わりたいんです!雲雀は、俺のまだ知らない料理をたくさん知っています!それを俺は知りたいんです!!」
その言葉に、雲雀は驚きそして、感激した。その純粋な好奇心に...
「まさか、ここでそんな言葉を聞けるなんて思っていませんでした。
ええ、いいでしょう。その勝負受けさせてもらいます」
雲雀の言葉に、一夏は喜んだ。クラスのみんなはなにかすごいことが始まるんじゃないかと思い、騒いでいた。黛はさっき以上に手が速くなり、記事を書いていた。
「ですが、いいんですか?一夏くんが負けても料理は教えてあげますよ?ならもっと上のお願いをした方がいいですよ?」
雲雀の疑問に一夏は笑顔で答えた。
「いいんですよ。その方が面白いですから!」
ただ純粋に面白いからやりたい。雲雀にとってはそれだけで充分だった。
「一夏くんは面白い子ですね。そうですね、なら私も勝った時のお願いを考えましょうか」
雲雀が、なにかを考え始めた。数秒してなにかいいのが浮かんだのか、ポンッと手を叩いた。
「そうです。なら私は一夏くんに勝ったら、携帯の番号でも教えてもらいましょう」
雲雀の言ったことに一夏は...
「え!?そのくらいなら今すぐにでも教えてあげますよ?」
「一夏くん、君がさっき言ったのと同じで私も、この方が面白いから決めたんです。賭けるものはお互いが見合ったものが決まりですから。それともデートの方がよかったですか?」
「「な!?」」
最後の言葉に、この場の2名が反応し、そしてこの学園の備品が2個壊れた瞬間だった。
「なに言ってるんですか雲雀さん!それじゃあ、見合ってませんよ!?それなら携帯番号で大丈夫です!」
慌て出した一夏。
それを見た雲雀は、にこりと笑った。
「決まりのようですね。あとは、判定する人が少なくとも3人欲しいですね...」
「なら、箒とセシリア!お願いしていいか?」
いきなりお願いをされた2人は驚いた。
「な!?なぜ私がそのようなことをしなければならない!!」
「あら?私はいいですわよ?いきなりのことで驚きましたが、一夏さんの手料理が食べれるのでしたらそれくらい引き受けますわ」
箒は、セシリアの言葉に戸惑っていた。
「仕方ありません。箒さんがやらないのでしたら、他の人を...」
「やる!!やると言っている!!やればいいのだろう!!!」
「おう!サンキュウー箒!!」
「さて、あと1人は...」
「私がやろう」
雲雀が誰にしようか悩んでいると、食堂の入り口付近から、声が聞こえた
「あら、千冬珍しいですね、自分からこう言うのに参加するなんて」
「なに、お前が作る料理なら参加するしかないだろう」
「ふふ、嬉しいこと言ってくれますね」
何気ない会話。だが、生徒にとっては新鮮だった。
こうして、判定人は決まった。
「あとは、お題と日時ですね。お題は、千冬に決めてもらうとしまして...日時は...」
「クラス対抗戦まであと2週間後。なら、ちょうど1週間後のこの時間にしたらどうだ」
「そうですね、ならそうしましょうか。いいですか一夏くん?」
「はい!俺はいつでも大丈夫ですよ!」
「なら次はお題を決めてください千冬」
日時が決まり、次は、作る料理を決める。
「そうだな...まぁ、カレーでいいんじゃないか?」
「カレーですか?わかりました。一夏くん、食材や材料などが必要でしたら言ってくださいね。すぐ準備しますから」
「わかりました!さて、まずは料理を決めないと...」
この感じも懐かしいと心で思っていた雲雀。遠月で教師をしていた時は、教師に挑んでくる生徒はあまりいなかった。
「それじゃは...始めましょうか...私と一夏くんの......
食戟を.....」
雲雀の後ろには、〝食戟〝と書かれた掛け軸があった。
雲雀は、1人ニコリと微笑み、IS学園初の食戟が1週間後に開催する。
◇
パーティーが終わり、消灯時間が過ぎた時間。食堂で1人食器などの片付けをしている雲雀。
「ふふ、やっぱりここは楽しいところです。1週間後が待ち遠しいですね」
どんどん、食器やらコップを片付けていく。
「はぁ、少しは生徒に手伝わせたらどうだ?」
鼻歌を歌いながら食器を洗っていた雲雀。
入り口には、ジャージ姿の千冬がいた。
「なに言っているんですか。一生に一度の学園生活ですよ?こんなことで、楽しいパーティーを速めに終わらせるわけにはいきませんよ」
「お前って奴は...まぁ、そういう奴だったなお前は...」
「それにしても、驚きましたね。一夏くんがあんなこと言い出すなんてビックリしましたよ」
パーティーでの、いきなりの料理勝負。千冬もそれは驚いていた。
「そうだな。あいつがあんなこと言い出すとは...少し見ないうちに変わりおって...」
「あら、寂しいんですか?千冬にもそんな一面があるとは...」
「寂しくはない、成長していくのは嬉しいことだ」
壁に寄りかかり、空を見ている千冬。雲雀も生徒の成長していくのはとても嬉しいと思っている。
「そうですね...子供の成長は私たちでは計れませんから」
2人の大人が、夜の月光を浴びながら語る。
「さて、私も手伝おう。人手は多い方がいいだろう」
「もう、優しくですよ?千冬はすぐ物を壊しますから」
「安心しろ、私も成長している」
「ならいいのですが...」
こうして、今日という日は終わっていく。
どうでしたか?食戟ですよ!!
ここで、質問なんですが前話で楯無と雲雀さんが宿泊研修に参加するって話になりましたが、そこで!!宿泊研修の回を本編でやるか番外編でやるかをみなさんに聞きたいと思います!!
番外編だと、本編を進めてから書こうと思います!(3巻終わってから)
感想評価よろしくお願いします!!
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さて、準備です
そして、こう...改めて見てみると、展開が遅いような気がしますね。
でも!気ままに頑張っていきたいと思います!
IS学園食堂
パーティーor一夏との料理勝負(食戟)から次の日。
雲雀は、朝食を生徒に作りながら1週間後の領地勝負の料理を考えていた。
「そうですね...変わったカレーも面白そうですね...でも激辛もそれはそれで...ブツブツ」
久しぶりの食戟で、舞い上がっている雲雀だが、美味しいものより、面白いものをなぜか考えていた。
「ん~...悩みますね...あっとみなさんが驚く品を...」
「ひーりんさん?ひーりんさ~ん!」
料理のことに夢中になっていた雲雀に声がかかった。この独特な名前を呼ぶ生徒に心当たりがある雲雀。
「あ、はい。どうしましたか本音さん?」
「ひーりんさんがぼーっとしてたから気になって~なにか考え事~?」
そこには、1年1組の布仏 本音がいた。
こののんびりとした性格から、みんなからはのほほんさんなどと呼ばれている。
「ええ、1週間後の一夏くんとの料理勝負に出す品を考えているのですが。中々思い付かなくて」
「ひーりんさんの料理ならどんなのが出てきても美味しいと思うよ~?少なくとも私は喜ぶ~♪」
「あら、ありがとうございます本音さん」
雲雀は、いつものようにとのほほんさんの頭を優しく撫でる。この無自覚な母性本能が人気の1つだ。
「えへへ~♪ひーりんさんのなでなで気持ちい~♪」
「そうですか?それならよかったです。...あ」
のほほんさんの頭を撫でている雲雀が、なにかを思い付いた。
「本音さん。もしよかったら、料理の試食をしてもらえないでしょうか?」
「ほえ?いいの~?」
その言葉と表情に何人がノックダウンするのかわからないほどの可愛さを放っていた。
「もちろんですよ。本音さんとならすごい料理ができると思います」
「なら手伝う~♪」
受け付けにある厨房と生徒の間にある腰くらいの台をのほほんさんは上半身だけ飛び越え、雲雀の腰に抱きついた。
「もう、本音さんったら...」
「ひーりんさん好き~♪」
腰に抱きつき顔を雲雀のお腹に擦り付けるのほほんさん。他の人から見ると、子供がお母さんに甘えているように見える。
「はいはい、そろそろ授業が始まりますよ。織斑先生に怒られてしまいますから早く教室に向かわないとダメですよ?」
「は~い♪怒られるのは嫌だから行ってくるよひーりんさん~♪」
「ええ、いってらっしゃいです本音さん」
そうして、のほほんさんは食堂から出ていった。
「さて、本音さんがまた来るまでに、料理を絞り混まないといけませんね」
生徒が授業でい居なくなり、食堂で1人作る料理を頭で思い浮かべている雲雀だった。
そして、夕方になり、生徒たちは、夕ご飯を食べ自室に帰っている時間だった。
雲雀は1人テーブルで料理を考えている。ある程度の料理の形が出来上がり、あとはどんな工夫をすることぐらいだった。
「やはり、普通では味気がないですし...ならあれにでもしてみましょう」
頭によい案が思い浮かんだのかさっそく作業に取りかかろうとした時。
「雲雀さーん♪」
雲雀の背中に突然誰かが抱きついてきた。声などから雲雀はだいたいの予想はできていた。
「またですか楯無さん?前もこんなことがあったような気がするのですが」
「え~?気のせいですよ~?それよりも聞きましたよ!一夏くんと料理勝負するらしいですね?なんで私を判定人にしてくれなかったんですか!私生徒会長ですよ!生徒の長ですよ!!」
「少しは考えたのですが...周りは1年生ですし、そこに楯無さんが来ても仕方ないですし...」
「うぐぐ...そうですけど!そうですけど!!私だけ除者じゃないですかー!」
楯無が雲雀の方を掴み激しく揺らしていた。
「そ~ん~な~こ~と~ない~ですよ~」
「ありますよ!本音ちゃんに味見役を頼んじゃうし、私に頼んでくれればよかったのに~!!」
駄々をこね始め、雲雀は言いたいことが言えずカオスになっていた。
「楯~無~さん~には~他~に~して~もらい~たいこと~が~あり~まして~」
「...え?してもらいたいことですか?」
ぴたりと動きが止まったが雲雀の頭がくらくらと動いていた。
「え~とですね~.......]
「あ、あれ?雲雀さん?雲雀さ~ん?」
急に黙り込んだ雲雀。楯無は気になって顔を覗き込んだ瞬間。
「うぅ~...」
「ひゃっ!?雲雀さん!?」
顔色が急に悪くなり、楯無に寄りかかる形で倒れた。
その後、楯無が千冬を呼び雲雀をなぜか保健室ではなく、雲雀の部屋に連れて行った。
「あ..れ...?ここ..は..」
雲雀が目覚めて、回りを見渡した。自分の部屋と確認してベッドから出ようとした時だった。
ベッドの中に何か違和感を感じ、ゆっくりと毛布を取ると、そこには雲雀の腰に抱きついて寝ている楯無がいた。
「あらあら...どうして楯無さんが...」
機能のことを思い出しつつ、昨日の詳細が鮮明になっていき、楯無が心配して傍に居てくれたと考えた。
「それにしても、とてもいい寝顔ですね。幸せな夢でも見ているのですかね」
「んぅ~...」
「起こすのも悪いですし、このまま寝かせてあげましょう」
腰に抱きついた手を、ゆっくりと外し静かに部屋から出た。
そのまま外に出た雲雀は、ベンチに座りまだ少しくらい空を見上げた。
「ふぅ...風か気持ちいですね...こうのんびりするのも悪くはないですね」
いつも生徒たちの食事を作っていてゆっくりとしている時間がなかった。
消灯時間が過ぎても雲雀は就寝するのが早い。この前みたいにパーティーなので食器の片付けをしない限りは遅くまで起きてはいない。
「ん~...!のんびりできましたし、そろそろ戻りましょうか。食材の下ごしらえもしないといけませんしね」
雲雀はベンチから立ち上がった時、ふと満月を見た。
「.......!」
何かを思いついたのか、雲雀は満月に向かって笑顔を見せた。
風に髪が揺られているその姿は、とても凛々しく美しく、雲雀はそのままゆっくり歩き、食堂に向かった。
そして、時間は流れ一夏との料理勝負の1日前
「できました。どうですか本音さん?」
雲雀の料理がのほほんさんの前に出された。
のほほんさんは出された料理を見て驚いた。
「ひーりんさんこれって~?」
「ふふ、面白いと思いまして。これはですね...」
雲雀はのほほんさんに近づいて、耳元でこの料理のことを話した。
「ってことです。どうですか?」
「なんだか~面白みがあって~いいと思うよ~♪私の子供心が~喜んでる~!」
「ならよかったです。明日はこの料理で行きましょうか」
「ひーりんさん~協力した私を褒めて褒めて~♪」
のほほんさんが、自分の頭を雲雀に近づけ甘えてくる。
着ているものがとても可愛く黄色い動物のようなパジャマだった。
「わかりました。本音さんのおかげで助かりました」
「えへへ~♪」
雲雀はのほほんさんの頭を優しく撫でた。のほほんさんはニコリと笑顔になり、とても幸せそうな顔をしていた。
「それでは、時間も時間ですしそろそろ終わりにしましょうか」
「え~?まだひーりんさんとお話したい~」
「ですが...まだ消灯時間ではないですが、もう用事は終わってしまいましたし...」
「お話したい~し~た~い~!」
のほほんさんが雲雀の腰に抱きつき離れようとしなかった。
「困りましたね...でしたら、先に私の部屋に行ってもらえますか?ここを閉めたら私もすぐ行きますから」
「え~?でもそれじゃあ~織斑先生に怒られちゃうよ~?」
「そこは私が何とかしますから大丈夫ですよ」
「ならわかったよ~先に行ってるね~♪」
のほほんさんは雲雀から鍵を受け取り食堂を出て行った。
「さて、千冬に連絡しないといけませんね」
ポケットから携帯を取り出し、千冬の番号に電話した。
連絡が終わり、なんとか説得でき自分の部屋の前に来た雲雀。
「ちょっと遅くなってしまいましたね。本音さんはどうしているのでしょうか」
ドアを開け、奥に進むと、雲雀のベッドで気持ちよく寝ているのほほんさんがいた。
枕を抱きしめ、赤ちゃん見たいに小さく寝ていた。
「あらあら...ちょっと遅かったみたいですね」
気持ちよく寝ているのほほんさんの傍に行き、優しく頬と髪を撫でた。
「んぅ~....♪」
「本当に気持ちよさそうですね。本音さんごめんなさい遅れてしまって...」
少し乱れた毛布を直し、雲雀はのほほんさんが起きないように静かにシャワーを浴び、浴衣に着替え隣のベッドに入った。
「それじゃあ、おやすみなさい本音さん」
のほほんさんには聞こえていない。それでも構わない雲雀。
そして、雲雀もだんだんと眠気が出てきていた。
こうして、今日も雲雀の日常が終わった。
ふぅ...なんとか書けました!カレーのレシピどうしようかと悩み中です!実際、全然考えないで書いていまして...んぅ~...
なにかいいレシピがありましたらメッセージでお願いします!
それはさておき、みなさんは子供は元気な子と大人しい子どっちが好きですか?ただの質問ですから!ええ!普通の疑問に思ったことを聞いただけですからね!!
評価感想お待ちしています!!気軽な気持ちで大丈夫ですよ~!
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いざっ食戟
そして、気づいたらお気に入りが600を超えていたのにびっくりしました!!
みなさん本当にありがとうございます!!
IS学園食堂
今日は、雲雀と一夏の料理対決の日
料理勝負は夕方の時間に行われる。朝のうちに一夏は雲雀に材料を伝えており、準備は万全だった。
みんなは『あれ?材料教えちゃだめじゃない?』と思っているが、雲雀は材料は聞いてもそこまで深くは考えてはいなかった。
「料理勝負は夕方ですし、まだ時間がありますね。何をしましょうか」
テーブルに座り、何をしようかと考えている雲雀。その時、雲雀の携帯が震えた。
「あら?メールですかね?え~と...あ、電話ですね。えりなさんからとは珍しいですね」
電話には【着信:えりなさん】と表示されていた。
「もしもしえりなさん?」
電話を出た雲雀。用件は何か気になっていた。
『あ、雲雀さん!お忙しい中すみません。今、大丈夫ですか?』
「はい、大丈夫ですよ。ふふ、こうしてえりなさんが電話をしてくるのは久しぶりですね」
『そうですね...最近はいつもの仕事に加え十傑の仕事もありますから...中々休む時間がありません』
「あらあら...少しは休んでくださいね?えりなさんには妹の件でもお世話になっていますから」
雲雀の妹。鶫はえりなと大の仲良し。小学生の頃に知り合い、中学生と高校生では同じ遠月に通っている。
『い、いえ!鶫さんと一緒にいると楽しいですから私は大丈夫ですよ!こないだも一緒に寝てくれましたし...私の方がお世話になってもらっていますよ』
「そんなことないですよ。いろいろと迷惑をかける妹ですがこれからもよろしくお願いします」
『こ、こちらこそです!私も一緒に居たいと思っていますから。っとそろそろ本題に入りましょう』
ちょっとしらプライベートの話が終わり、ここからは真面目な話になる。
『今回の宿泊研修の日程は、5泊6日のスケジュールになります。初日は、980名の生徒を20のグループに分割します。説明終了後は各自指定された場所へ移動して課題をする予定です。そこで講師による評価が一定のラインを下回った生徒は失格で退学になります』
長々とえりなが雲雀に宿泊研修の詳細を述べていく。
雲雀は、聞き終えた後、いつも通りと思うような顔で...
「相変わらず厳しいですね。もっと気楽に行こうとは思わないのですかね」
雲雀は、心で"宿泊研修で退学はないですよ"と思っていた。雲雀も学生時代に経験したことだが、本人曰く"お爺ちゃんの方が厳しいですね"とのことだ。
その後、教師になりこの研修に失格する生徒の人数を確認し、厳しいと感じたようだ。
『そんなことないです。このくらい乗り越えられなければ遠月に居る資格なんてありません』
「もうえりなさんったら...まぁ詳細はわかりました。それで、私は何をすればいいんですか?」
『そのことで少しお話があります。今回の宿泊研修には、遠月の卒業生がゲスト講師に来る予定です。その時に、卒業生と一緒に来てください。ですが、雲雀さんは遠月では立場が立場なので、ゲスト講師ではなく生徒のヘルプに周る役割になると思います』
「卒業生ですか...久しぶりにみなさんに会えるのですね、それは楽しみです。研修での役割も把握しました。あ、そうでしたえりなさんちょっとお願いがあるのですが」
『はい、なんでしょうか?』
雲雀は、楯無の件についてえりなに聞いてみた。
「今回の研修にどうしても行きたいと言うちょっと我が儘な生徒会長さんがこちらに1人居まして...参加させても大丈夫でしょうか?」
『そちらの学校...IS学園の生徒ですか?たぶんですが大丈夫かと思いますよ。学校同士の交流と報告すれば通ると思いますし、それにいざとなれば雲雀さんから報告すればすぐ通ると思いますよ』
「そうなんですが、一応十傑に確認しておきたかったので...手数を掛けますがよろしくお願いします」
『わかりました。一応私から報告はしておきます。それでは、長話では、雲雀さんのお仕事の邪魔になってしまいますし、そろそろ切りますね』
「そんなこと気にしなくても大丈夫ですよ。こちらの仕事は食事を作るだけですから。それじゃあ授業頑張ってくださいね」
『はい、宿泊研修でお会いしましょう雲雀さん...『えりちゃん何してるのー!とうー!』...ひゃっ!?鶫さん!?...んぅ!あっ!ひゃん..!ま、待って..そこは..!』
ブチッ....ツーツー...
「えりなさん...ごめんなさい...」
雲雀はその場で頭を下げ、犠牲になったえりなに謝った。
それから時間は経ち、時刻は夕方になっていた。
食堂では、生徒たちが集まりこれから始まる料理勝負を楽しみに待っていた。
「雲雀さん。やっとこの日が来ましたね!」
「そうですね一夏くん。私もとても楽しみでしたよ」
2人は、お互いを見てその場は闘いと言う名のオーラが漂っていた。
「それでは、これより雲雀と織斑の料理勝負を始める。制限時間は1時間。お題のカレー料理を作れ。始めッ!」
最後の方は適当なのかなんなのかは置いといて。千冬の言葉で、雲雀と一夏の料理勝負が始まった。
ここで、料理中の様子があると思いましたか?すみません...作者の残念な頭のせいでそこまでの知識と文章力がないので、カットさせていただきます...
頑張れば少しはマシなのが書けると思うのですが...時間が掛かりすぎるのですみません....今でも結構時間掛かってしまっていますので...
1時間後
先に出来上がったのは....
「よしっ!出来た!!」
一夏だった。この場に居たものは、雲雀が先に出来上がると思っていたらしく驚いていた。その中で千冬は、わざと一夏に先を譲ったことに気がついていた。
そして、食堂にはカレーのスパイシーな香りが漂っている。
「お待たせ!俺のカレーはこれだ!」
一夏が3人の前にカレーを出した。そのカレーは、いつもの茶色などの色ではなく白い色をしていた。
「白いな」
「白いですわね」
「白いカレーだな」
上から、千冬、セシリア、箒といった順だ。
「そう!これは、俺と鈴で考えた名づけて"まろやかカレー”なんだよ」
「確かにホワイトカレーという料理はある。通常のカレーと違って、ターメリックなどの色の着いたスパイスをを減らしてクリームシチューに似ていると言われている。」
「さすが千冬ね...織斑先生!このカレーはスパイスの風味とかは変わらないけど、クリームなどをベースにしているからまろやかになってて美味しいんだ!」
目を輝かせながら料理の詳細を説明していく一夏。一通り説明し終わり3人は食べ始める。
「むっ..これは鶏肉か」
「この鶏肉のもちっっとした食感がたまりませんわ~♪」
「だが、少し歯ごたえが足らないな...」
千冬が何か物足りないと言う顔をしていた。それを見た一夏が何かを取り出した。
「そんな時は、このピーナッツやお湯で少し温めたレンコンなどを入れると食感を楽しめるよ」
皿に少し砕けたピーナッツにレンコンと言った野菜などがあった。
そして、また一夏がテーブルに何かを置いた。
「あとは、スパイスが足らなかったようにコショウとか七味を入れてもまた味が深まっていいぜ!」
そこにコショウ、七味などの辛さを足す調味料が置かれていた。
「うむ、確かにこれはうまいぞ...!」
「このまろやかさが癖になりますわ...!」
「味や食感も変えられるのはいいところだな」
3人の好評価に周りが騒がしくなった。一夏の勝ちと思うも者も少なからずいた。
その時...
「できました」
厨房の方からそんな声が聞こえた。厨房から出てきた雲雀。その手には皿の上に紙に包まれたものがあった。
「お待たせしました。どうぞ」
3人のテーブルに紙に包まれた料理が置かれた。雲雀以外紙に包まれているためどんな料理かわからず、わくわくしている。
「さぁ、召し上がってください。あ、一夏くんの分もありますからどうぞ」
そう言い、雲雀は一夏にも同じものを渡した。
「え!?いいんですか!?そしたら俺も今準備しますよ!」
「ふふ、あとでゆっくりと食べさせてもらいますから大丈夫ですよ。ほら、どうぞどうぞ」
雲雀は笑顔で返した。4人は包んでいる紙を取るとそこには丸いパンがあった。
「これはパンだな」
「パンですわね」
「うむ、パンだ」
「普通のパンだよな」
順番はもうわかっているから省くとして、4人の手には丸い普通のパンが現れた。
「これは...そうですね..."カレーじゃ!パン"でいいですかね」
「なんだ、その変な名前は...」
「いいから食べてみてください」
『それじゃあ、いただきます』
4人はカレーパンを食べた。一口だけだが、雲雀にとってそれは充分だった。
『....!!』
4人は一口食べた後、カレーパンの中身を見た。そこには野菜などの具が少し小さく切ってあり、そしてカレーの汁が食べたところから溢れるように出てくる。
「これは...野菜などの具にカレーの旨みが吸収されており、口の中で優しく広がっている」
「そして、このカレーの汁がパンの生地に吸収されずに残っていてそれがまた美味しいですわ!」
「普通ならパサパサになっているのだが....すごいな」
「すごいのはカレーだけじゃない!この生地も外はパリッと焼けていて中は程よく弾力がある...!これは、今までに食べたどのパンより美味しい!!でもなんで生地に汁が....あ...!生地のところにバターを塗ったことで吸収を遅らせたのか!」
3人が感想を言っていると一夏がこの仕組みについて気付いた。
「一夏くんの言う通りです。バターを塗って、生地にカレーの汁を吸収されるのを遅らせています。そしてあともう一つは...」
雲雀が何かを言おうとした時、4人は真ん中にある隠れていたものに気づいた。
「この食感は...モッツァレラチーズか...」
「もちっとしていまして、カレーとマッチしていますわ!」
中にはモッツァレラチーズが入っており、そしてそのモッツァレラチーズのさらに中に...
「このとろみは...卵!?」
「はい、モッツァレアの中には卵の黄身が入っています。それでさらに濃くがでたりマイルドになったりします」
「す、すごいですね雲雀さん...俺がやったら黄身が破れてできませんよ...」
一夏は1人雲雀の料理のすごさに驚いていた。
「そんなことないですよ。それに、カレーに使われているスパイスにはいろいろな効果があります。そうですね...代表なものを言えば、ターメリックは肌や肝臓に良いです。他にはチリ...まぁトウガラシですね。それは食欲を増してくれたり、新陳代謝を高めて体の脂肪分を燃焼させる効果があります。あとは、アニスやオールスパイスなどは消化を促進させたり消化器官の不調などを予防してくれたりもするんですよ」
雲雀の説明に4人や観客の生徒は興味を示していた。
「それで、今回は生姜も少々入れてみたので、体の心から温まると思いますよ」
その場に居る者は雲雀の優しさに感動していた。"食べる人のことを思う"みんなはそんなことを考えながら雲雀を見ていた。
そして、勝敗が決まる時がきた。
「では、今回の料理勝負の結果を決める。美味しかった方にこの旗を置け」
千冬の説明が終わり、右に一夏左に雲雀が立っっている。一夏は目をつぶっているがどこか諦めている様子で雲雀はいつもと変わらずニコニコしていた。
「ふぅ、では一斉に置くぞ。」
そう言い、一斉に旗が置かれた。
一夏が目をゆっくりと開けるとそこには....
3つの旗が左側に置かれていた。
「満場一致で勝者桜花 雲雀に決定した」
こうして、IS初の食戟は雲雀の勝利で終わった。
「いや~...負けたけど、なぜか悔しくないな」
「うむ、どちらの料理もとても美味しかったぞ一夏!」
「ありがとな箒、でも雲雀さんの料理は本当に美味しかったな!」
「ええ、さすが名門の遠月という所を卒業したと言えますわね」
料理勝負が終わり、食堂で片付けをしている一同。
「あ、雲雀さんに料理勝負してくれたお礼してこないと...ちょっと行ってくる!」
そのまま、一夏は厨房にいる雲雀の元に向かった。
「雲雀さーん!」
「あら、一夏くんどうしました?」
厨房で食器などを洗っていた雲雀。
「いえ、今日こうして料理勝負をしてくれたお礼を言っていなかったので...」
「もう、そのくらいいいですよ。私も久しぶりに楽しめましたから」
「そ、そんな悪いですよ。でも今日のでなんか勉強できた気がします!」
一夏が手を握り目を輝かせていた。そんな一夏を見て雲雀は食器を洗っている手を止めた。
「ふふ、ならもっと勉強しないとだめですね。もしよろしければ一夏くんが空いている時間で料理のこと教えてあげられますけど?」
「え!?でも俺勝負で負けましたし...」
驚いている一夏に雲雀は溜め息をした。
「私は最初に言いましたよね?勝負に負けても教えてあげますよと、それに私は人の成長を間近で見るのが好きなんです。自分が教えたことでその子がどうゆう風に成長して行くのか、それだけでわくわくします。そ・れ・に、私に教えてもらうのは嫌ですか?」
「ぐはっ!?お、お願いします雲雀さん...」
顔が赤くなった一夏が手を前に出し雲雀と握手をした。
その時、ふと一夏は感じた。
「それじゃあ、引き続きお片付けよろしくお願いします一夏くん」
「.....あ、はい!」
雲雀はそのまま食器を取りにテーブルの方に歩いていった。
1人立ち尽くして一夏。
何かを思い出すかのように頭を捻っていると。
「ん~....あ!そうか!!あの手の暖かさ....」
昔、マンガにも載ったり友人から聞いたりしていた記憶を思い出した。
通常、体の末端である手の温度は体温よりも低くなるが、血行が盛んならば手の温度と体温の差は小さくなる。
そのような手をフランスではこう呼ぶ。
"太陽の手"と!
「まさか...雲雀さんは...」
「おい一夏!ぼーっとしていないで手伝え!!」
一夏が考えていると箒が怒ったように大声を上げた。
「うぇい!?す、すまん箒今行く!」
さて、このことが真実なのか嘘なのかは....誰にもわからない....
今回は少し長くなってしまいましたね!
次回は、もう少し速く更新できると思います!
次はクラス代表戦ですかね!!
感想・評価お待ちしています~!
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クラス対抗戦ですよ
ちょうど良いところで終わらせたら少し短くなってしまいましたね...(汗)
それにしても展開が少し速い気がするのは気のせいでしょうか?もう少し会話や間の展開を書いてゆっくりにした方が読みやすいですかね?
一夏との料理勝負が終わってから1週間が経った。料理勝負の影響か、2人の料理を食べたいと申し出る人が多く、クラス対抗戦までの1週間と言う期間限定で食堂で出すことになったと言うこともあった。
それから、夕方などの時間に雲雀は一夏に料理を教えたりすることもあり、それを見ていた生徒たちが2人が付き合っている疑惑を思ったのではなく、雲雀さんから料理を教わりたいと言う思考に辿り着き、その要望が職員室まで行ったと言うちょっとした事件みたいなものがあった。
職員が話し合った結果。月に1度、家庭科の授業の時間を使い雲雀が生徒たちに料理を教えることになった。
そして、今日は生徒や教師が待ちに待ったクラス対抗戦。1試合目は1組の織斑 一夏と2組の凰 鈴音になった、
IS学園食堂
「雲雀さーん!」
「どうしましたか楯無さん。生徒会長なんですから食堂ではなくアリーナに居た方がいいと思いますけど」
現在、食堂では雲雀と奥様方と楯無がいた。雲雀と奥様方は昼と夕方の支度をしていて、楯無はただ遊びに来ていた。
「大丈夫ですよ、まだ始まりませんから。それに1試合目は一夏くんと2組の凰 鈴音ちゃんですから私は関係ないですし」
「凰 鈴音さんですか...確か一夏くんが料理勝負の時に言っていた気が...」
「鈴ちゃんは一夏くんのセカンド幼馴染らしいですよ。ちなみにファースト幼馴染は箒ちゃんらしいです」
楯無は受け付け近くで、下ごしらえをしている雲雀の顔を笑顔で見ていた。
「そう言うことだったんですか。幼馴染同士で戦うってことですね」
「もうすぐ始まりますし、一緒に見に行きましょうよ!」
「いえ、私には仕事がありますからそれは難しいですよ。それに、ISの勝負などはあまり興味ありませんから」
「雲雀さんらしいですね~そこが好きなんですけどね♪」
野菜などを包丁で切ったり食器を洗ったりと多忙だ。クラス対抗戦をのんびりと見ている時間はあまりない。
「あら、いいわよ雲雀ちゃん見に行っても?」
奥の厨房に居た奥様方の1人田中さんが出てきた。
「そう言う訳にはいきませんよ田中さん。ここを任せれている身なんですから」
「雲雀ちゃんは堅いのよ。みんなも同じ気持ちよ~」
「そうよ、見に行って良いわよ雲雀ちゃん」
「ここは任せなさい雲雀ちゃん!」
「で、ですが..みなさん....」
準備をしていた奥様方が集まってきた。雲雀はぐいぐいと押してくる奥様方の押しに負け気味だった。
「それに、雲雀ちゃんにはいつも苦労させちゃってるし、こう言う時ぐらいゆっくりしてきなさい」
「田中さん...はぁ...わかりました。今回はゆっくりさせてもらいます」
「そうそう、若い者は遠慮なんてしないでどんどん甘えなさい!」
雲雀が何か諦めたように肩を落とし、奥様方は良い笑顔で笑っていた。
「それじゃあ行きましょう雲雀さん!」
「はぁ...わかりました。ですがその前に、少しやりたいことがあるので座っててください」
そう言い、雲雀は厨房に入り、2つのお弁当箱を準備し始めた。
「雲雀ちゃんお弁当は必要じゃないと思うけど」
「いえ、これは自分用じゃないので...」
そう言っている雲雀の顔は何かを思い出している顔だった。
「雲雀さーん!まだですか?」
楯無が目を輝かせながら雲雀の腕に抱き付いた。
「仕方ありません。少し着替えと準備をしてきますから待っていてください」
「は~い♪」
雲雀は食堂を出て自分の部屋へ向かった。
IS学園アリーナ
「結構混んでいますね。まぁ、わかっていたことですが...」
「まぁまぁ、どこか空いていますから探しましょう」
雲雀の腕に抱きつきながら席を探している楯無を見ている雲雀。
そんな楯無を見ていたらふと雲雀は思った。
「そう言えば、楯無さんは千冬の所に行かなくて良いんですか?」
「え?今日は行っても何もしませんしよ?どうしたんですか雲雀さん」
「.....あ、そうですね。私としたことが...仕事の疲れでしょうか」
少し考える素振りを見せた雲雀。そして、すぐに何もないようなそぶりを見せた。
「も~なら私が癒してあげますよ♪」
「さて、そこの席が2つ空いてますから座りましょう」
さらに抱きつく楯無の頭を撫でつつ席に座る雲雀と楯無。
「ふぅ、楯無さんはどっちが勝つと思いますか?」
「そうですね。ISは経験がものを言いいますので、今回の試合は鈴ちゃんかと思いますね。雲雀さんはどう思いますか?」
「私はどっちも勝ってほしいとは思いますけど...そうはいかないと思いますし...まぁ、まだわかりませんね」
「雲雀さんは優しいですね。なら、私も頑張っちゃいますよ!」
雲雀の言葉に闘志が燃え出した楯無。
こうして話しているうちに1試合目の始まるブザーが鳴った。
「あ、始まりましたね」
「接近戦はいい戦いですね。一夏くんは放課後も練習してると聞きましたが結果が出ているみたいですね」
お互いの剣が交じり合っている。キンッと言う鈍い音がアリーナに響く。
「ですがやはり押されているのは一夏くんのほうですね」
「ですね。やっぱりまだ鈴ちゃんの方が経験豊富ですし仕方ありませよ」
2人は戦っている様子を見てこのままだと一夏が負けると推測した。
その時、一夏が鈴から離れるのを見た。
「あら、一旦離れて立て直す作戦ですか...でも」
「はい、それをさせるほど代表候補生は甘くないですよ」
楯無が言った瞬間、一夏が何かに当たり地面に思いっきり激突した。
「あれは...衝撃砲ですか...最近の武器はすごいですね」
「そうですね。前の戦争をしていた人たちが見たら腰を抜かして驚きますよね」
「少し前まではこんなことは夢物語でしたからね。楯無さんの世代は良い世代ですね」
そんなことを改めて思う雲雀だった。
「あら、一夏くんが動き出すようですね」
雲雀は回避をしている一夏を見ていた。そして、一夏は決心したのか鈴の方に向かいだした。
「雲雀さん一夏くんは切り札みたいのを使いそうですね」
「そうですね。そうしないと一夏くんに勝ち目はあまりありませんから....ッ!」
そして、一夏が鈴の懐に入った時にそれは起こった。
ドゥーン...!!チュピーン...!!バァーン!!
天井に展開している防御シールドが何かに貫かれたのだ。
会場にいる人は何が起こったのかわからない中、雲雀は煙が舞い上がっている所を見ていた。
「やはり来ましたか...あなたなら何か仕掛けてくるとは思っていましたよ」
「雲雀さん...?」
小さく呟いた雲雀の言葉の意味に楯無はまだ気づいてはいなかった。
さて、次回はもう少し長くしたいと思います!!
そして、ようやく雲雀さんの規格外な所が書ける場面ですよ!!わくわくしてきました!!
次回もできる限りはやく更新したいと思います!!
感想・評価よろしくお願いします~!
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お仕置きですよ
こう、夢中になるときは寝るのを忘れちゃうんですよね~
IS学園アリーナ
クラス対抗戦1試合目の一夏対鈴の試合中に起こった異常事態。天井の防御シールドを破り何かがアリーナに侵入した。
アリーナにいる全生徒と役員は今起こった事に思考が止まっていた。
その中で唯一雲雀だけはこの後何をするべきかを理解して楯無に素早く伝えていた。
「楯無さん至急ここにいる生徒さんたちを安全なところに避難させてください」
「え?雲雀さんどうしたんですか?っていない...!」
耳元で囁かれた雲雀の言葉に一瞬戸惑いながら雲雀の方を向くとそこは雲雀はいなかった。
次の瞬間、アリーナの中心からビーム砲が観客の防御シールドに放たれた。幸いシールドは破られてなく、怪我人も出ていなかったがそれをきっかけに周りの生徒たちが騒ぎ出し始めた。
生徒たちが急いでアリーナから出ようとした時、アリーナの出口の扉が閉まりロックが掛かった。
「(まさか、雲雀さんはこうなるとわかって私に急いで避難させてって言ったのね...!ロックが掛かったあの扉は対IS用で作られているから壊すにしても時間が掛かるし、第一こんなに生徒が密集してるところでISを展開しての作業は生徒たちに危険が及ぶわ...どうすればいいの...ッ!)」
楯無がこれからの行動が思い浮かばず焦っている。学園のセキュリティは世界でもトップに入るほどのもの。いくら生まれが生まれでもそんなものを軽々とは解除はできない。
楯無が生徒を避難させる方法を一生懸命考えていると、自分のポケットに何かが入っている感触が伝わった。
不思議に思いながらポケットに手を入れると。
「これは...カード...?」
ポケットの中にはポイントカードなどと同じ大きさのカードが入っていた。
「(何かしらこのカードは...こんなカード私は持っていないわ...そうなると...)」
カードに見覚えがない楯無。当然だが制服に着替えた時には入ってはいない。アリーナに着いた時もカードが入っている感触はなかった。これらのことを考えると必然的にこの異常事態が起こった時に誰かがポケットに入れたと考える。そして、その時に楯無の近くにいたのは雲雀しかいない。
「(雲雀さんがこれを私に渡して何をさせようとしているの....?)」
カードを見るが何も書いておらず何に使用するのかがまったくわからない。
考えている間にも周りの生徒は泣いたり慌てたりしている。
「(速くこの状況をどうにかしないと...!考えるのよ私...雲雀さんが私に頼んだことは...ッ!!)」
楯無は雲雀が言った言葉を思い出した。"生徒を至急避難させてください"楯無の役割は生徒を急いで避難させること。もし、危険が及ぶ以外に急いで避難させる理由があったのならと楯無は考えだした。
「まさか、雲雀さんはこうなることも考えていたの...!?」
そうなるとこのカードは...と、ある考えに至った。
急いで扉のある所に向かい、扉の横にある生徒・教員を認証するセンサーの所にカードをかざした。
「もし、私の考えていることが当たってたら...このカードは...」
扉の近くにいた生徒たちが不安などの顔をして、楯無の方を見ていた。
そして、かざしたカードをセンサーが感知してスキャンすると...
【解除プログラム】と表示され扉のロックを解除する音が聞こえた。
「やっぱり...!!...みんなゆっくり落ち着いて避難して...!」
楯無は自分が考えたことが当たり喜ぶが、生徒を避難させることを思い出し、生徒たちに避難するよう呼びかけた。
そして、扉の近くで生徒を誘導させていると楯無はある疑問に至った。
「(このカードが雲雀さんのなら...雲雀さんはここに来る前からこれが起こると予想していたってこと...!?)」
そんなことを思いながら避難をさせていく楯無だった。
◇
その頃雲雀はアリーナの廊下を歩いていた。周りは暗く人は誰もいなくて雲雀の足音だけが響いていた。
「さてと...生徒たちは楯無さんが避難させているでしょうから、後は一夏くんたちの方ですね」
雲雀は歩きながら携帯を取り出した。どこかに電話を掛け、アリーナの運動場に向かいだした。
『織斑だ。どうした雲雀、こちらは今手が離せないんだが』
「それはすみませんでした。今から少々、おいたをし過ぎた子にお仕置きをしようと思いまして大丈夫ですか?」
その言葉に千冬からの返信に少し間が空き、1回咳を込み千冬は喋りだした。
『お前が何を考えているかわからんがこっちとしては別に構わんが....
....ISを付けてないからと言って....あまりやりすぎるなよ?』
千冬の言葉に雲雀はクスっと笑った。
「大丈夫ですよ...私だって加減はぐらいできますよ。それにただのお仕置き程度ですから、そこまで大きなことはしませんよ」
「ならいいが...念のため私の刀を持って行け」
「いいんですか?あれはあまり人に貸したくないと言っていましたが...」
「お前は特別だ、それに刀もお前に使われるなら嬉しいだろう」
「わかりました。有難く使わせてもらいます」
そう言い終わると電話を切り、ポケットからシュシュを取り出し後ろ髪を束ねた。
「あんな玩具を送り込むなんて、本当に束は子供なんですから...」
そのまま雲雀は、暗い廊下を歩いていった。
◇
アリーナ運動場では、謎のISが現れ、試合中の一夏と鈴が襲撃を受けていた。
「.....鈴まだ行けるよな?」
「...あんた誰に言ってるの?これでも私は代表候補生よ」
2人はやる気はあるが息が上がっており、ISのシールドエネルギーも残り僅かだった。
「でも正直...非難が終わるまでの足止めだったけど...避難が終わる前に私たちのシールドエネルギーが尽きそうね」
「おいおい...思っていたけど言うなよ...でもあれが無人機と思うともう少し行けそうだな」
一夏は手に持っている雪片弐型を敵ISに構えた。
鈴もそう考えており、手に持っていた双天牙月を構えた。
2人が構えた瞬間、敵ISは素早く手に付いているビーム砲を撃ち出した。
「んもう!なんなのよこいつ!!こんなに撃たれると近づけやしないわよ!!」
「た、確かに...これは少しキツイな」
今は避けることしかできない2人。しかし、避けてばかりではそのうちシールドエネルギーも尽きてしまう。
そして、一つのビームが一夏の顔の真横を通った時、避けた勢いを殺せず地面に着地をした一夏はバランスを崩してしまった。
「一夏ッ!?」
「しまっ...!?」
気づいた時にはもう手遅れだった。敵ISは片方の手で溜めていたビーム砲を一夏に向けて放っていた。
通常のビームよりさらに大きいビームが一夏に勢いよく迫った。
これを避けるのは無理だと感じた一夏は腕を前に出しガードの体制に入り目を瞑った。
そして、ビーム砲は一夏に.....
...は当たらなかった。
「あ...れ?」
いつまでも衝撃や痛みが来ないと感じ、ゆっくりと目を開けるとそこには...
「大丈夫ですか一夏くん...?それに鈴さんも」
そこには、日本刀を持った雲雀が立っていた。
「ひ、雲雀さん...!?ってなんでここに!?」
「あ、あなたは食堂の...!?ここは危険よ!早く安全な所に戻って!!」
2人は雲雀と理解した後、何でここにいるのかや危ないなどそして、生身の人がここにいると言うことに驚いた。
「大丈夫ですよ。それに生徒さんだけにこんな危険なことをさせる訳にも行きません。2人のISのエネルギーはもう無いに等しいですからここで休んでいてください」
「そ、そんなことできませんよ!!雲雀さんIS着てないじゃないですか!」
「あんなものただの錘にしかなりませんから...逆に着ると邪魔にしかなりません」
一夏と鈴は雲雀が何を言っているのか理解できていなかった。ISはパワードスーツで人間が着ると生身では到底できないことができる。それを邪魔と言っている雲雀は何者なのかと2人は思った。
「じゃ、邪魔って...雲雀さn...『織斑その辺にしておけ、お前たちは端で待機だ』...千冬姉!?」
「では、安全な所で休んでいてくださいね」
一夏が千冬の言葉に驚いていると雲雀は敵のISの方に向かって歩き出した。
「ちょっ千冬姉どうゆうことだよ!!雲雀さんはISを着てないぞ!!」
『織斑先生と呼べ、後敬語をつけろ...それに大丈夫だあいつならISは要らないだろう。逆にお前たちが行っても足手まといだ』
残り少ないエネルギーでは自由に動くことはできない。それは当然足手まといになる。
「な、何言っているんですか...!?それでも...生身で....織斑先生じゃないんですから無茶です!!」
『よし織斑...そんなに指導がして欲しいのなら放課後私が特別に指導をしてやろう...待っていろよ?』
「うぇい...!?」
「一夏..あんたって奴は...」
一夏が絶望な顔をしていると、千冬が話し始めた。
『それにあいつはな...世間が私を怪物と呼び、束を天災と呼んでいるのなら...逆に私や束にとってあいつは
怪物であり天災でもあり...それ以上の正真正銘の規格外でそして、大切な親友だ』
その言葉に一夏は雲雀の方を向くと...
笑顔で只ならぬオーラを放って歩いている様に見えて感じた。あの世界1位の千冬や天災と呼ばれた束より上の規格外と言われていることに聞いたときは信じられなかった。
「さぁ...おいたをし過ぎた子にお仕置きをしないといけませんよね」
ふふふと笑顔で敵ISに歩いて行く雲雀にその敵のISが雲雀を確認すると。
『最重要危険人物と一致を確認。これより撤退モードに移行』
そう言うと、天井の最初に壊した防御シールドの穴に向かって飛び出した。
「あら、ここまでしておいて、そう簡単に逃がしはしませんよ?」
そう言い終わると、雲雀は素早く敵ISに近づき手に持っていた日本刀で手足を切断し、顔を手で掴み端の壁に吹っ飛ばした。
その間僅か0.5秒
それを見ていた千冬以外の者には、何が起きたのかわからなかった。気づいた時には敵ISの手足がなくなりダルマ状態で壁にぐったりと倒れていた。
「まったく、変な機能を入れているものですね。さて、ISはコアが無ければ動かないんですよね」
ISに近づき胴体を切っていく雲雀。それを感知したのかISは...
『撤退不可能...撤退不可能...これより自爆モードに...「うるさいですね」ブチッ!....いこぉ....ちーん...』
「あ、これですね。ふぅ...なんとか取り出せました」
もう、コアを取り出しても意味があまり無いのだがなんとかコアは回収できた。そのまま帰るかと思ったが、雲雀はISをじっと見ている。
「う~ん...この顔の大きさなら....」
無人機の頭の部分を見て、今からが本来の目的みたいなムードでその頭部を首元から切断して中身を取り出すとそこに布の袋を入れ落ちないように蓋をした。
「それでは、いってらっしゃいです」
その頭部を天井の穴から空に向かって投げた。その速度は亜音速を超えていたかもしれない。
そうしてやり切った顔をしていると雲雀の携帯に着信が来た。
「あら、千冬どうしました?」
『雲雀...あんまりやりすぎるなと言ったんだが...それに正体不明のISの頭部を投げないでくれ...』
「大丈夫ですよ?元在った所に返しただけですから」
『それでもだ...今後は気を付けてくれ』
「わかりました。それでは戻りますね」
本当にわかっているのか怪しいと千冬は思いながら通話は終わり、そのまま雲雀は一夏や鈴と一緒に千冬がいるところに向かった。
◇
「いや~さっすがひーちゃん!あんな私の玩具でもあんなに簡単に倒しちゃうなんて私のひーちゃんなだけあるね!」
何処だかわからない場所にある篠ノ乃 束のラボそこでは先ほどの戦闘で破壊された無人機からデータを読み取っていた。
「うー...久しぶりにひーちゃんの顔を見たらひーちゃんの手料理が食べたくなってきたよ~...」
パソコンを弄りながら何か言っている。最後のデータを読み取っているとパソコンから接近する物体がありと表示された。
「んー?なにかな?どっかのISの部隊かな?....これはISにしては小さすぎだし...って速過ぎ!?」
気づいた時にはもう50mを切っていた。撃ち落とせる距離を過ぎもう当たるしかない所まで迫ってきていた。
「うひゃぁ!?」
そして、その物体はラボの壁を突き破り束の顔の真横の壁に当たり少し埋まった状態で止まった。
「こ、これは...あの玩具の頭...ひーちゃんなんてことを...」
束は仕方なく頭部を引き抜くと、中で何かが動く感じがした。
「うん?何か入ってる...ってこれは...!!」
頭部を開けて布の袋の中身を確認すると、そこにはお弁当が2つあった。
「ひ、ひーちゃん...私とくーちゃんのために...!くーちゃん!!今すぐご飯にしよー!なうだよ!!え?データを整理しないといけない?そんなの後々ー!ひーちゃんの料理の前ではどんなものも全て後回しだよー!!」
束の目には大粒の涙が出ており、お弁当を持つと急いでそのくーちゃんという子の所に向かい、美味しい美味しいご飯タイムに入った。
さて、ようやく1巻が終わりましたね。
長いのか短いのかわかりませんが一段落ってところですね。
次回は宿泊研修か食堂で過ごす系の2つで悩み中ですが原作には入らないつもりですね
それでは!感想・評価お待ちしています~!
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遠月偏宿泊研修
宿泊研修ですね
IS学園食堂
「い、急いでください雲雀さん!」
「大丈夫ですよ、事情を言えばわかってもらえますから」
「それでもですよ!」
「まぁ、事故が起こってしまったんですから仕方ありませんよ」
「あー!いいから急ぎますよー!雲雀さんに遅刻なんてさせませんからね!」
2人...雲雀と楯無は目的の場所に到着した。楯無が雲雀の手を引っ張り目的地のホテル内を走り、宿泊研修のオリエンテーションが行われている広場に向かっていた。
「そこを曲がって真っ直ぐ行けば広場に着きますよ」
「なんで私が連れて行っているんですか!?普通逆ですよね!?」
そう言いながら、広場であろう所の大きい扉の前に着いた。なんとか着き、安心したが実際遅刻していることに気づきまたもや安心できなくなっていた。
「これ入って大丈夫ですか...?」
「大丈夫だと思いますよ。今は確か今回の宿泊研修のゲスト講師を紹介している時間ですから」
「なら、早く入りましょう!」
そして、扉に手を付けた時に楯無は気づいた。
自分は卒業生でもなんでもない部外者。そんな人がここに入っていいのだろうかと。
だが、もう手遅れで扉は開いてしまった。
「し、失礼します......した...?」
何故か疑問系になってしまった楯無。
中にいた大人数の人が楯無と雲雀の方を向き始めた。
中に入り終わり、どうしようかと考えている楯無だったが、異様にもこの場はとても静か過ぎていた。
周りを見るとひそひそと2人の方を向いて喋る生徒らしき制服を着た者たち。
壇上の上に立っている大人たちもこちらをじっと見つめていた。
「あ、あれ...?これってもしかして.............まずい?」
何故、こんなことになっているのはIS学園を出発したすぐのことである。
◇
「準備できましたか楯無さん?」
「はい、昨日の内に荷物はちゃんと確認しましたので大丈夫ですよ!」
2人の足元には、キャリーバックやら大きめのバックが置いてある。これから雲雀のもう一つの仕事場の遠月学園の行事の宿泊研修に向かうところだった。
「楯無さん...荷物が多いようですが..あちらに泊まるのは2日くらいですよね?」
「え?何を言っているんですか雲雀さん?そんなの最初から最後まで私は雲雀さんと一緒にいますよ」
楯無の言葉に雲雀は"何を言っているのかなこの子"みたいな顔をした。
「...え?それは初日から最終日の6日間参加するつもりですか...?」
「もちのろんですよ!当たり前じゃないですか!!」
腕を腰に置きそして胸を張る楯無。そんな楯無にあることを思いついた雲雀。
「ですが、さすがに6日間学校を休むのはまずいのでは...?」
「ふふふ!大丈夫ですよこれでも私は優等生ですから!」
「それってあれですね。妹の本で読んだ"優等生(笑)"ですよね」
「違いますよ!?どんな本ですかそれ!?」
優等生(笑)を否定する楯無は雲雀の妹がどんな本を読んでいるのかすごく気になった。
「違うんですか?まぁ、そんなことは置いておいて休んでも大丈夫なら安心しました。許可が無くて6日間も学校を休むと千冬に怒られてしまいますから」
そんなこと!?っと楯無が落ち込んでいる中、許可が出されていることに安心していた。
「それならそろそろ出ましょうか。奥様方にも6日間の休みは伝えたら食堂は任せてほしいと言われて安心できますしね」
「そうですね...早めに行って損は無いですからねー...」
2人はIS学園を出て近くのモノレール乗り場まで歩いた。そこから乗換えなどを使い遠月の宿泊研修場の遠月リゾートに行く。
「この時間なら生徒さんたちより早めに着けそうですね」
「こう言う時って、何かしらトラブルが起きたりしますよね」
「何を言っているんですか楯無さんったら」
楯無が変なことを言っているのをあまり気にしないようにモノレールに乗る雲雀。その後を追って楯無もモノレールに乗る。
「事故なんてそうそう起こりませんよ。それにここはまだIS学園の敷地内ですし...」
「雲雀さん...その言葉は...」
何かを察したのか楯無が額に汗を垂らす。
その時、モノレールがIS学園と本土を行き来する中間の場所で止まった。
「あはは...嫌な予感がこうも....」
「あらあら...まさか本当に起こってしまうなんて」
雲雀は落ち着いている。このモノレールには雲雀と楯無の2人のみだった。
止まった所が悪く真下は海でどう考えても移動手段がない。
『システム障害が発生しております。もう少々お待ちください』
「システム障害ですか...それなら仕方ないですね」
「で、でも...このタイミングは...おかしいですよ」
落ち着いている雲雀の隣で楯無はこのトラブルについて考えていた。
「まぁまぁ、深く考えてもここから動けないことには変わりませんからゆっくりしてましょう」
「ひ、雲雀さん...確かに時間はまだありますけど...はぁ...わかりました大人しくしています」
いざとなれば楯無がISを起動させて移動やレールの上を歩いていくことも可能だと楯無は考えていた。
だが1時間経過してもモノレールは動かなかった。楯無は本当にISを起動させようと考えているところだったが、隣で雲雀がすやすやと寝ている姿を見た途端まだこの顔を見たいと大人しくなった。
「ふぅ...なんとかモノレールが動いて降りられましたね」
寝起きなのか少し目をしょぼしょぼさせながら背中を伸ばす雲雀に楯無は慌てていた。
「そんなに落ち着いている場合ではないですよ!もうこれ完全に間に合いませんよ!?どうするんですか!?」
「まぁまぁ、落ち着いてください。こういうことも考えていたのでモノレールの中で学園には連絡しておきましたから大丈夫ですよ。それに学園から車を出してもらえることになりましたからそろそろ来ると思いますよ」
携帯を閉じ雲雀は、道路の方を向くとそこに黒い車が停まっていた。そこからスーツを着た女性が現れ近づいてきた。
「桜花様ですね。お荷物を車にお入れします。さぁこちらにどうぞ」
「ありがとうございます。楯無さん早く車に乗りますよ」
「...え?あ、はい!」
車に入る雲雀のところに荷物を持って向かう楯無。荷物を女性に預け楯無も車に乗り込む。
「桜花様、今から出発ですと着く頃には宿泊研修のオリエンテーションが始まっております。遅れてしまいますが大丈夫でしょうか」
「はい、車で運んでくれるだけでこちらは嬉しいですから大丈夫ですよ」
「了解しました」
2人のやり取りに楯無は雲雀が本当に違う学校の先生をしていることを感じた。
こうして、遅刻はしたが無事遠月リゾートに着いたのだった。
◇
時間は少し進み
遠月リゾートのホテル「遠月離宮」大宴会場
「これより、合宿の概要を説明する」
【友情とふれあいの宿泊研修】
日程は5泊6日
連日料理に関する課題が出される。課題の内容は毎年異なる
初日は980名を20目のグループに分割
説明終了後、各自指定された場所へ移動する。講師による評価が一定のラインを下回った生徒は失格
待機している学園息のバスに乗せられ強制送還
退学となる
「そして、審査に関してだがゲスト講師を招いている」
「ゲスト?」
「多忙の中、今日のために集まってくれた
遠月学園の卒業生だ」
その言葉にその場は騒ぎ出した。
遠月学園で卒業するまでたどり着く者を数えるには片手を使えば足りるほど。
そして、今から来るのはその到達率一桁を勝ち抜いた天才たち。
先生の言葉の後、大宴会場の扉が開き卒業生が入ってきた。
その後、1人が退学となる問題が起こったがまぁ、それは放っておいて大丈夫だ。
壇上の上には.....
フランス料理店
「SHINO`S」シェフ
四宮 小次郎
イタリア料理店
「リストランテ エフ」
水原 冬美
鮨店
「銀座ひのわ」
関守 平
オーベルジュ
「テゾーロ」
ドナート梧桐田
日本料理店
「霧のや」
乾 日向子
遠月リゾート
総料理長 兼 取締役会役員
堂島 銀
全員世界に名を轟かせる有名な人たちだ。
生徒たちの目の前には日本を牽引するスター・シェフが揃い踏みしている。
代表として、ここの総料理長の堂島 銀がマイクを持ち挨拶を始めた。
「ようこそ、我が遠月リゾートへ。今日集まった卒業生たちは全員が自分の城(みせ)を持つオーナー・シェフだ。
合宿の6日間君らの事を自分の店の従業員と同様に扱ってもらう。意味はわかるか?俺たちが満足する仕事ができないヤツは
退学(クビ)ってことだ。講師の裁量で一発退場もありうることは見ての通り。
君らの武運を祈っている!
それでは移動開s...」
堂島が合宿の始まりの開始合図である言葉を言おうとした時、横にある扉が開いた。思わず言葉が止まってしまった。
そこから、水色の髪をした少女ともう1人の女性の方を見た生徒たちと卒業生たちには見知った人物だった。
「お、おいあれって...」
「ああ...確かあの人は....」
「桜花 雲雀さん...だ...!」
桜花 雲雀...学年在籍時代、あの堂島 銀の記録の卒業試験歴代最高得点を軽くあざ笑うかの如く越し、最高得点で合格を出した。その後、遠月初となる特別不定期採用の総帥推薦枠を勝ち取り今の1・2・3学年主任になった。
IS学園食堂責任管理者 兼 遠月学園高等部1・2・3学年主任
「食事処 おうかぁ~」手伝い
桜花 雲雀
「あ、あれ...?これってもしかして.............まずい?」
どうでしたか?雲雀さんの過去が少しわかってきましたね!
そして、ルビを使いたいんですか文字の上にどうしたら小さくできるのかわからないんですよね...
なんとか解決して活用していきたいですね。
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宿泊研修part2
本当にありがとうございます!!
遠月リゾート
「あ、あれ...?これってもしかして.............まずい?」
「そんなことありませんよ、時間はギリギリセーフでしたから」
扉の前で立ち止まっている2人。楯無は自分がここに居て良いのかと考えていた、雲雀はそんな楯無を見ると前に出て堂島からマイクを受け取った。
「ギリギリと言ったところだな。連絡はあったがもう少し遅くなると思っていたぞ」
「すいません、先のことは誰にもわかりませんから、もっと遅くなったりするかもしれなかったと思いますよ」
「うむそうだな、それより早く挨拶を終えて課題に入るとしよう」
「そうですね、こほん...少し遅れてしまってすみません。初めまして、みなさんとはここで顔を合わせるのが初めてですね。私は1.2.3学年の主任を任されています桜花 雲雀と申します。
今回の合宿はみなさんが高等部に入っての初めての行事になります。この合宿で思う存分自分の技術を磨いてください。
そして、今回は他校との交流として特別ゲストを呼んでいます。IS学園から更識 楯無さんが来てくれました」
いきなりの紹介に驚いた楯無だった。そんなことを気にせず雲雀は話を進める。
「彼女には、他校の交流として来ましたが、ここにいる卒業生のみなさんとは違い講師ではなくみなさんの課題を見る見学者として参加します。せっかくですので自分で作った料理を食べてもらって感想を聞くのもいいでしょう。一般の人の意見も大切ですからね」
雲雀は楯無の役割を話し始め、楯無は雲雀からのアイコンタクトで自己紹介をするとわかり内容を考え、雲雀からマイクを受け取った。
「どうも初めまして、今日は他校の交流として来ました更識 楯無です。料理に関してはほとんど普通の人と変わりませんが、ここの料理学校で行われている授業...今は課題ですね、それにとても興味があります。5日間ですがよろしくお願いします」
さっきまでの慌てようが嘘のように感じるほど堂々としていた。そして、雲雀以外がある一点を見つめていた。
それは楯無の髪である。"あの髪は地毛なのかな"とこの場の雲雀以外が思っていた。
「ちなみにこの髪は地毛ですよ」
"心読まれた!?"と一斉に思った後、"え!?地毛なの"と驚いた。よく言われますと楯無が答えマイクを雲雀に戻した。
こうして、話が終わり生徒たちは各自の課題の場所に向かった。
「楯無さんは私と一緒に行動しますか?」
「そうですね、見学といっても1人では気まずいですか....「雲雀ちゃーん!」...ら?」
2人でこれからのことを話しているとどこからか雲雀を呼ぶ声が聞こえた。雲雀はそのまま後ろに下がると、1秒前までいた所を女性が通過し飛んでいって壁に激突した。
「うぅ...避けられた...酷いですよ雲雀ちゃん...!」
「...お久しぶりです日向子さん、少し危険と感じたので思わず避けてしまいました」
すみませんと言ってにこりと微笑む雲雀。その顔を見た日向子は立ち上がり雲雀の手を握りだした。
「その笑顔で私はなんでもできそうな気がします..!!さぁ、愛を確かめ...へぶっ!?」
急に現れた女性のペースに追いつけていない楯無は固まっていることしかできなかった。そして、女性の後ろの方から次は男性が女性の頭の上で手をチョップの形にしていた。
「おい日向子、雲雀が困ってんだろ離れろ」
「いーやーでーすー!四宮先輩に雲雀ちゃんは渡しませんよ!」
男性の額に怒りのマークが出現し、女性の頭を掴むとそこからギシギシと音が鳴った。
「ぐふっ!?ぎ、ギブです!すみませんです!たから離してくださいー!」
「たく、本当にうるせぇ奴だな」
「まぁまぁ、その辺で許してください四宮さん」
「....たくっしょうがねぇな、っと..雲雀の方は元気みたいだな」
男性が女性の頭か手を離し雲雀に挨拶をしてきた。
「四宮さんも元気そうでよかったです。それにしても...みなさん全員が集まるのは珍しいですね」
「そうか?まぁ、気まぐれみたいなもんさ」
「うわーなにかっこつけてるんですか~...ぶふー!」
「.......?」バキボキ
この2人は相変わらず仲が良いと雲雀は思っていた。そんな2人を無視し、女性と1人と男性2人が雲雀の元へ歩いてきた。
「やぁ雲雀、あの2人は放っておいていいから」
「そうだな、あれがいつもの恒例の挨拶みたいなものだからな」
「ははっ、あれを見ないと落ち着かないね」
「ふふ、そうですね。それとお久しぶりです水原さん、関守さん、ドナートさん」
この3人に日向子、四宮そして堂島の合わせて6人は雲雀にとって遠月の先輩に当たる。6人から見ても雲雀は可愛い後輩と親しんでいる。
「みなさんがお店を休んで来てくださるなんて生徒さんも喜びますよ。それにみなさん疲れがあると思いますので、今日はゆっくりしてくださいね」
笑顔で微笑む雲雀を見た5人はピクリと一時停止した。時より下を向いたり上を向いたりしている。そして、4人が動かないのを見計って水原が動いた。
「雲雀も1・2・3学年の主任は疲れると思う。もし、辞める時があったらその時は、いつでも私の店に...「「「「ちょっと待った...!!」」」」」....ちっ..なに..」
4人が息ぴったりに水原を止めに入る。雲雀は頭に?マークを浮かべながら待っていた。
「水原テメェ...なに抜け駆けしようとしてんだ..?」
「なんのことかわからない」
「水原先輩何言っているんですか!!雲雀ちゃんは私の店に来ることになっているんです!!」
「それは、乾の残念な頭が起こした幻覚」
「残念な頭!?」
「あ、あのみなさん...」
5人が騒ぎ出し始め、収集がつかなくなってきた。どうしようかと悩んでいる雲雀み楯無が何かを伝えに来た。
「雲雀さん、楽しく話しているところ悪いんですが...周りに人がいないんですけど大丈夫ですか?」
「......そうでした...大変ですみなさん。みなさんはゲスト講師ですから、生徒たちの課題を任されているみなさんも移動しないとだめですよね?」
雲雀の言葉に、騒いでいた5人がまたもピタリと止まり、自分たちの時計を見て慌てて自分たちの乗るバスに向かった。
「ふぅ...みなさん久しぶりに会って気が高ぶる気持ちはわかりますが....仕方ないですね」
「あはは...」
楯無は心の中で"100%雲雀さんが関わっているんです"と思った。
「それより、私たちは何をするんですか?」
「それがですね...生徒さんと講師を乗せたバスがもう行ってしまったと思いますので、今日はここでゆっくりしていてください」
「わ、わかりました。雲雀さんは何をするんですか?」
2人は大宴会場を出て、廊下を歩きながらこれからのことを話していた。
「私の今回の仕事は生徒さんのサポートなので、課題の手伝いかと思ったのですが、話によると課題で生徒の手伝い、助言はしないでと言われてしまいまして...なので主に生徒さんの健康管理などですね」
「ってことは...ほとんどここから出ないということですか?」
「まぁそうなりますね。ですがバスでの移動は午前の課題だけですから、午後の課題は主にここで行いますその時に見学しましょう」
ホテルのロビーに着くとそこには、総料理長である堂島 銀がいた。ロビーで数人のコック服の人と話していた。
「あら、堂島さん、こんなところで会うなんて珍しいですね」
「むっ、その声は...雲雀は課題を見に行かなかったのか」
「正確には行けなかったの方が正しいですね、乗り遅れてしまいまして...」
「そうかそうか。なに研修はまだ始まったばかりだ、ゆっくりしていればいいさ」
「そうさせてもらいます。午後は任せといてください」
2人の会話を横でじっと聞いていた楯無の方を向いた堂島。
「君がIS学園の生徒か、どうだ、遠月は君の学校と違うと感じたか?」
「そ、そうですね...話では卒業が難しいと聞いていましたので..それだけでも全然違いましたが、雰囲気も私が知っている宿泊研修とはだいぶ違いますね」
「ははは、まぁそう感じるのは仕方ないな、遠月に生徒が楽できる行事など無いからな」
「堂島シェフ...ちょっとよろしいでしょうか」
「むっ...そうか、すまない用事ができてしまった。どうか午後の課題までゆっくりしていてくれ」
そう言うと、従業員の人と歩いて奥の方へ行ってしまった。
「ゆっくりと言われても...何もすることがないのよね...」
肩を落とす楯無の横で雲雀がある提案を思いついた。
「でしたら、少し手伝ってもらえませんか?午後の課題の準備などが多少ですがまだ終わってないと思うので。それが終わりましたら少し速いですが温泉にでも入りましょうか」
「お・ん・せ・ん...!?雲雀さんと一緒にですか!!わかりました。手伝います!!」
「温泉が好きなのですね。ここの温泉は気持ちいいですよ、それでは行きましょうか」
肩を落としていた時とは明らかにテンションが違う。時々ステップや鼻歌を歌い出したりしていた。
あまり話が進んでいないような気がするんですがすみません...え?温泉の話はどうしたかですか?大丈夫です次回あると思います!なかったらそのまた次回になると思います。
書いてて、1人称視点も書いた方がいいのか迷うときがあるんですよね。そして1人称視点を書いている時に、やっぱり3人称視点の方がいいかも?と思ってしまうんですよね。
まぁ、何はともあれ!これからも頑張っていきたいと思います!!
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宿泊研修part3
そして、すみません!!お風呂の場面を書けませんでした....!!
次回は書けると思いますから待っていてください!!
遠月リゾート
1日目の午後
午前の課題をクリアした生徒が戻ってくる時刻が近づいてきた。この後の予定は、本日のメニューである"牛肉ステーキ御膳"を50食分作ることである。この課題では、60分の制限がついておりその中で50食分を作らなければその時点で退学となる。
そのことを楯無に伝えたら、"それだけで退学!?"と驚いていた。
生徒の大半は、課題が終わり帰ってきたらご飯などを食べ休めると思っており、ここで1回目の心が折れるところでもあるのだ。
「と言う感じになっています。何か質問はありますか楯無さん?」
「え~と、その課題中に私は何をしていればいいですか?さすがにただ見ているだけでは何かつまらないので...」
2人は先に食堂に来ていて、生徒たちを待っている間にこれからのことを話している。
「そうですね...生徒さんの作った料理を食べているかそれとも何食か実際に作ってみますか?レシピは紙などに書いておきますので」
その言葉に楯無は、食べているよりかは作ってみたいという好奇心が勝っていた。このような体験はあまり味わえないし、料理を上手になりたいと楯無自体前々から思っていたので好都合だった。
「ならぜひ作ってみたいですね。わからなかったら雲雀さんに聞くようにすれば問題ないので」
「わかりました、なら参加できるように話を着けて起きますね。そろそろ生徒さんも来る頃ですし準備しましょうか」
「雲雀さん...少しいいですか?」
雲雀が厨房に向かおうとした時、楯無はこの宿泊研修に来て学園のことを知りずっと気になっていたことがあった。
「はい?何でしょう」
「雲雀さんは...生徒が退学になって..どう思っているんですか..?もし、目の前で生徒が退学になってらどうするんですか...?」
そう、楯無が思っていたことは、この学園では無能はすぐに退学になる。先生側として雲雀はどう思っているのかをずっと気になっていた。
「.....そうですね、私は教師側ではありますが...実際、この学園の少数精鋭教育にはあまり共感はしません。どんな人にも可能性というものがあります、それが開花するのは人それぞれ...ですが、その芽が目の前で散っていくのはと見るのはとてもじゃありませんが耐えられない位です」
「なら...ッ!!」
楯無が何かを言おうとしたのを防ぐかのように雲雀が続けて喋り出した。
「しかし、私はあくまで一教師です。とてもじゃありませんが、私がその教育を変えることはできません...」
雲雀の言葉に楯無は黙ってしまった。遠月はその少数精鋭教育で名が通っている。それを変えるのはとても雲雀にはできなかった。
悔しがる楯無の頭に手を置き、軽く撫でると雲雀はニコリと微笑んだ。
「だからこそ、できる限り生徒さんを残したいと頑張っているんです。私にできることは少ないですがそれでも何かしようと最大限力を出しています」
「ひ、雲雀さん....」
下を向き少しほほを赤くする楯無を可愛いと思う雲雀だった。
そんなこんなで、生徒たちが帰ってきて後、課題を発表され心が折れはじめていた。
『ワァァァァァァァ』
今、厨房は戦場になっていた。午後の課題として言い渡された50食分を60分で作らなければならない、課題が開始された直後から厨房は生徒たちの必死の調理が始まっていた。
「こ、これは....」
楯無もこの課題に参加することになり、数は5食分程度でいいが周りの雰囲気に呑まれていた。
「(な、なんて熱気...!こんな状態で落ち着いて料理なんてできないわよ...!)
楯無は手に持っているレシピを見ながらゆっくり落ち着いて調理をしている。雲雀は受け付け付近で生徒の様子を伺っていた。
そして、課題が始まってから少し経った頃に、2人目のクリア者が現れた。楯無もそろそろ5食目が終わるところで後は雲雀に確認をもらうだけだった。
「雲雀さーん、5食目ができまして見てもらいたいんですが」
「速いですね楯無さん。え~と、はい大丈夫ですね。どうでしたか体験してみて?」
確認が終わり、料理をお客さんのところに運んだ。そして、体験してどうだったかを聞く雲雀。
「まぁ、大変ですね...やっと5食目が終わった頃にここの生徒さんが50食分を終わらせたのには驚きましたよ」
「確かにそうですね、優秀な生徒さんがまだまだいますからね。それではゆっくり休んでいてください....あ、そうでした。楯無さんはお腹の方は大丈夫ですか?」
エプロンを着始める雲雀に、楯無は自分のお腹を触り確認した。
「もちろんすごく減っていますよ...いろりろ大変でしたから」
「わかりました。なら楯無さんが作った料理と同じですが、私が作ろうと思いますが大丈夫ですか?」
「雲雀さんが作る料理ならなんでも美味しいですから大丈夫ですよ!」
「ふふ、嬉しいことを言ってくれますね。それでは少し待っていてください」
雲雀は、生徒とは少し離れた所で調理に入ろうとした時、ふとお客さんの所を見た。
「(生徒さんの作る料理は50食...関守さんの話では、まだお客さんは来る予定でしたよね...このままでは料理が足りないですね)」
生徒の人数を把握している雲雀は、料理がこれでは後々足らないの確信した。ちょうど楯無の夕ご飯を作ろうとしていた雲雀はついでにお客さんの分も作ろうと考えた。
「さて、まずは楯無さんの分からですね。お客さんの分は足らなければまた後で作れば大丈夫ですね」
淡々と料理をし始めた雲雀、その動きは生徒と違い明らかに倍以上の速さでだった。
数分で料理はでき、楯無は驚いていたが雲雀さんだから当たり前かと納得した楯無であった。
「ん~♪やっぱり、雲雀さんの料理は美味しいですね♪」
「そうですか?ならよかったです。楯無さんはこのまま、ここでゆっくりしていてください。この課題が終わり次第、楯無さんのところに来ますので」
「わかりました~♪」
楯無と別れた雲雀は、受け付けの近くに行き、マイクを持って話し始めた。
「え~と、調理をしながら聞いてください。この課題が終わった人は、一旦私の所に来てください。そこで希望者には私が夕食を作りたいと思います。あくまで希望者で強制ではないので安心してください。それではみなさん頑張ってください」
その言葉にここにいる生徒そして、どこかの卒業生5人の動きが止まった。
「(桜花先生(雲雀、雲雀ちゃん、雲雀さん)の料理....!?)」
『ウオォォォォォォ!!』
次の瞬間、生徒たちのスピードは倍以上になった。そう、それだけならいいのだが.....
「おい、お前ら........ちゃっちゃと終わらせるぞ....」
「わかっています」
「わかってる」
「わかっている」
「わかっているさ」
何故か、やる気になっている卒業生5人組みだった。
「....なんで卒業生のみなさんが作ろうとしているんですか」
ここでしっかりとツッコミを入れる雲雀だった。
「だってー!私たちも雲雀ちゃんの料理食べたいんですよー!!」
「みなさんのは、生徒さんが終わってから作りますからそれまで仕事を頑張ってください」
「本当ですか!?私頑張りますよー!」
何処かに走って行ってしまった乾に苦笑いをする雲雀。こうしてなんとか生徒たちは無事課題をクリアした後、雲雀の料理を食べ、泣く者などが現れた。
卒業生5人組もちゃんと雲雀の料理を食べれたらしい。
課題は終わり生徒たちは各自、自室に戻り休んだり大浴場に行って今日の疲れをとっている。
雲雀たちは、食堂でお茶を飲みながらゆっくりと過ごしていた。
「いや~雲雀さん久しぶりです!」
「はい、元気そうでよかったです悠姫さん。みなさんも1日目生き残ると思っていましたよ」
「当たり前ですよ!私たちは泣く子も黙る極星寮なんですから!!」
テーブルに座っている雲雀の近くに楯無を除いて男女が8人座っていた。
「こうしてみなさんに会うのは高等部に進学してからは初めてですね」
「そうですね、雲雀さん中々顔を出しに来てくれないんですから...」
「すみません涼子さん、こちらも新入生が入学してきたので忙しくなりまして」
「い、いえいえ!忙しいのなら仕方ないですよ!」
楯無は雲雀が話している生徒が気になっていた。しばらく生徒話した雲雀は楯無の視線に気づいたのか咳をした。
「こほん...朝、紹介をしましたがこちらの方はIS学園の生徒の楯無さんです。まだ2年生ですが一応生徒会長もしているんですよ」
「一応って何ですか...まぁいいです。更識楯無よ気軽に楯無と呼んでくれると嬉しいわ♪」
7人は"綺麗"と心で思っていた。そう、この場で今の状況をあまり理解していないのは楯無ともう1人遠月学園の編入生である幸平 創真である。
「それで、雲雀さんとこの人たちはどうゆう関係なんですか?」
やっと聞きたかったことに入れたと楯無・創真は思った。
「みなさんとは、遠月学園にお仕事でいる時にお世話になっている極星寮という寮で入寮している生徒さんたちです。そして、あなたが編入生の幸平 創真くんですね?」
「あ、はい。俺がそうっす」
「編入ですか...懐かしいですね。私も学生の頃、遠月には編入として来ましたよ」
「あれ、そうなんっすか?いや~自分1人だと気まずかったからホッとしましたよ~」
にこやかに笑うその笑顔はどこかあの人に似ていた。
「ふふ、やっぱりあの人とあの人の息子さんなんですね」
「ん?なんか言ったすか桜花さん?」
「いえ、なんでもありません。あと、雲雀で大丈夫ですよ。こっちの方が呼び慣れていますから。ちなみにみなさんはもうお風呂には入りましたか?」
「俺は入ったけど...みんなは?」
「私たちはまだですね、もう少したら入ろうと思います」
女子軍がまだ入っていないと言うと、雲雀は微笑んだ。
「ならちょうどいいです、一緒に入りましょう悠姫さん涼子さんに恵さん。楯無さんも入りますか?」
「私は構いませんよ?さっきの調理で汗を掻いたのでさっぱりしたいので」
笑顔の楯無が持っている扇子には"お風呂!"と書いてあった。
「私も大丈夫でーす!むしろ入りたいです!!」
「私も大丈夫ですよ雲雀さん」
「わ、私も...入りたいです...!」
「では、あまりここで時間を使ってはゆっくりする時間が無くなってしまうので行きましょうか」
雲雀の言葉に続くかのように女子4人は食堂を出て行った。
ちなみに、その後ろに2人のどこかの卒業生が付いて行ったのに雲雀以外気づいてはいなかった。
女子が大浴場に向かって、取り残された男子陣はのんびりしていた。
「なぁ丸井、あの雲雀さんって人ってそんなにすげー人なのか?今日の課題をしていて、やけに雲雀さんの話が出ていたんだが」
「そうか、幸平くんは知らないのか...雲雀さんは学生の頃、1・2・3年生の全生徒から推薦で十傑の第一席になったと一色先輩が言っていたよ。その時に、雲雀さんはこう呼ばれていたらしい"
「それ、学生に付ける名前じゃなくね...!?って第一席なのか雲雀さんって!てかもうすごすぎて訳がわかんなくなってきたぞ!?」
驚いている創真を無視し、丸井は話し始める。
「そして、その雲雀さんには当時仲の良い女子生徒がいたらしいんだ。その女子生徒は第二席だったらしく、雲雀さんとは相棒みたいな感じだったらしい。確か、雲雀さんとその女子生徒は極星寮に入っていて同じ部屋で暮らしていたとふみ緒さんが言っていたよ。どんな時でも一緒にいて、当時は有名で"おしどり夫婦"とまで言われていたってね」
「はぁー...すげーな雲雀さんって...今度料理でも教わりてーな」
雲雀の学生時代を聞いた創真は雲雀のすごさに驚いていたが、丸井もそして一色にもまだ知らないことがあった。
そんな全勝していたと言われる雲雀にも、記録には残っていないが..たった1回...負けたことがあった...そしてその相手こそ、雲雀といつも一緒いると有名で、当時極星寮では同じ部屋で暮らしており、みんなにおしどり夫婦とまで言われていた第二席の女子生徒だった。
ここまで来ましたが...悩んでいます...四宮さんを原作通りに怖い頃のままにするか、それとも優しい四宮さんにするかで悩みまくっています....
これまで書いた四宮さんだとすげー優しそうに見えてしまって...どしよ..?となっている状態なんです...どうか意見をくださいー!
感想・評価やこれをこうしてほしいことなどの意見をお待ちしています!
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宿泊研修part4
一応、大まかな話の流れは頭に浮かんでいますのであとはそれを再現できるかどうかなんですよね...
あと、今ごちうさ2期が始まり1話を見た後、"あれ?ここに雲雀さんいれたらどうなるんだろ"と思い浮かび1話を何とか書いたのですが...投稿する前に本編を切りの良いところまで終わらせないといけないんですよね。ごちうさが終わってしまう前に投稿できれば良いのですが...
設定としては、IS学園と遠月学園から休みを貰って旅行であの街に行くっていう話ですね
頑張って書いていきますのでよろしくお願いします!!
遠月リゾート
「あふぅ~...」
「ちょっと悠姫..変な声が出ているわよ」
「まぁ、仕方ありません、今日は大変でしたから」
「あはは...そうですね...」
銭湯で今日の疲れを取る一同。特に吉野と田所の2人は湯船に倒れるほど疲れきっていた。
「初日であの量って...最後まで持つか自信がなくなっていく~...」
「確かにあとこれが4日もあると考えると...」
女子3人のテンションが下がりだしていた。楯無も今日見学していてこの研修の厳しさを知った。
この場の空気が重くなってき始めたとき。
「大丈夫ですよ、みなさんはあの極星寮にいるんです。みなさんの実力は私がよく知っていますし、ふみよさんも無事みなさんが帰ってくることを心配せず待っていますよ」
「雲雀さん...!」
「そうですよね、がんばりましょう悠姫、恵..!」
「うん!!みんなで無事に極星寮に帰ろう!」
「ふふ、これなら大丈夫そうですね」
重い空気から一変熱い熱気に変わった。その時、お風呂場のドアが開き誰かがお風呂場に入ってきた。
「くんくん、やっぱりこの匂いはお姉ちゃんだ!えりちゃん!はやくはやくお姉ちゃんがいるよ~!」
「ちょっと待ってください!服の匂いならわかりますけど...その場の匂いってなんですか!?」
「え、えりな様、つぐみ様!!そんなに急いでは転んでしまいます!!」
「あら、この声は...」
雲雀は声がするほうを向くとそこから学生が3人現れた。浴場は湯気が濃くあまり見通せないが声で少しは状況を理解できていた。
「どうやら、騒がしい子が来たようですね雲雀さん」
「そのようですね...ゆっくり湯船に浸かりたかったんですけどね」
「この声!そこかー!お姉ぇぇぇぇぇちゃぁぁぁぁぁぁんーーーー!!」
「さて、みなさん速めに私から離れといてくださいね...」
その言葉の意味がすぐ理解できたのか、それともこの先の展開がわかっていたのか3人はとっさに雲雀から離れた。
その瞬間....
ドボッォォォォォォンー!!
と湯船に水の柱が出来た。湯船に浸かっていた3人に思いっきり湯船のお湯がかかった。楯無は予想していたのか当たらないところに非難していた。
「お姉ちゃん!!お姉ちゃん!!会いたかったよ~!」
「はいはい、わかりましたから離れてください鶫...」
「いーやー!久しぶりのお姉ちゃんだもん!!もっとくっつく!!」
「これ以上は苦しいので離れてください...それに熱いです...」
「ぶー!しょうがないな~...」
「そして、もう少し静かにしてください。ここは騒がしくするところではありませんから、わかりましたか鶫?」
「はーい、わかったよお姉ちゃん~」
やっと治まったと心で思う雲雀だが、この時他のこの場にいた生徒(6人)は"さん付けじゃなくていいな~"と心で同じことを考えていた。
その後、後から来た2人もお風呂に入り定番の女子トークが始まろうとしていた。
「ふ~ん、その子が雲雀さんの妹さんなんですね~」
「あなたは確か...IS学園の人ですよね!変わった髪色だと思っていたんですよ~」
「あら、覚えてくれていて嬉しいわ♪ちなみにちゃんと日本人よ」
話し合っている2人はいつの間にか仲良くなっており、それに釣られて極星寮の3人も楯無に質問などをして盛り上がっていた。
だが、ここに1人友人に無理やり連れてこられ、その友人は楯無のほうに行かれおろおろ状態のえりながいた。
「(ど、どうしましょう...鶫さんはあっちに行ってしまったし..私も...でもあそこに入れる気がしないし...)」
普段あまり生徒と交流をしないえりなにとって唯一傍にいたのが鶫と秘書k...緋紗子しかいなかったのだ。
そんな状態のえりなに話かけてきたのは...
「えりなさん、大丈夫ですか?」
雲雀だった。
「え..あ、はい!大丈夫です雲雀さん」
「そうでしたか、ならよかったです。えりなさんも元気そうで安心しました」
「い、いえ...そんなことは...ぶくぶく」
「これからも鶫をよろしくお願いしますね」
雲雀は微笑みながらえりなの方を向く。えりなは顔が紅くなりながらも答えた。
「こ、こちらこそです...」
「お姉ちゃん!えりちゃんとなに話てるのー!」
「最近のあなたの様子とかですかね。あなたはもう少し落ち着きを覚えてください」
「えー?これでもけっこう落ち着いてると思うんだけどなー?」
その言葉にここにいる全員が『どこが...』と思っていた。そんなことお構い無にまたいっそう騒がしくする鶫に雲雀は呆れていた。
「鶫さんお風呂ではもう少しお静かにお願いします。今日の疲れをとるためにお風呂に入っているのですから」
「はーいー、ゆっくり静かにはいりますよー...ぶくぶく....」
ようやく静かになったのか全員が肩の力を抜くのだが1人だけ中々抜けない人物がいた。
「うぅ...私この研修で生き残れるか心配だよ...」
「恵大丈夫よ、恵の努力は私たちがよく知っているわ。みんなで極星寮に戻ってふみよさんに元気な姿を見せましょ」
「京子ちゃん...そうだね...!私がんばるよ!!」
「あちらのほうは大丈夫みたいですね」
田所のことを心配していた雲雀は微笑みお湯を肩をかけていた。
「さっぱりしましたね雲雀さん!これからどうしますか?」
お風呂から上がった生徒たちは各部屋に戻り明日の準備をしている。雲雀たちはというと部屋でゆっくりとしていた。
「私は明日のことで忙しいですから楯無さんはゆっくりしていて大丈夫ですよ」
「えー...それじゃあつまんないですよー」
「ですが、ここにはあまり楽しめるものはないですよ?トランプなどは生徒が借りてなくなっていると思いますし」
机にある書類に目を通していく雲雀は眼鏡をかけていた。楯無はベッドで枕を抱きしめながらごろごろと転がっている。
「何かお話お願いしますー!そうだ!雲雀さんってこの学校にいたときのこと話してください!雲雀さんの過去って前から気になっていたので」
「昔のことですか?そこまでおもしろい話でもないのですが...」
「ただ私が聞きたいだけですから大丈夫ですよ!」
枕を強く抱きしめ目を輝かせている楯無。その様子を見て少しくらい話そうと思った雲雀だった。
「そうですね...ほとんど毎日料理を作ってばかりでしたね。そこまで厳しいとは思っていませんでしたね充実して学校生活をしていた記憶しかないですね」
「え...あれが厳しくない?」
「今思えば楽しい日々でしたね...文化祭も盛り上がりましたね」
「文化祭あるんですか?」
「それは学校ですからありますよ。まぁ、IS学園のとは少し違いますが...」
「あ、なんとなく察しがつきます」
苦笑いをしている楯無はこの時気づかなかった。
「....さんは元気でしょうか..」
一瞬だけ雲雀が夜空に光る満月を見ながら何かを呟いていたことを...
「さて、そろそろ寝ましょうか。明日もはやいですし、寝不足で倒れたりしたら大変ですよ」
「た、倒れるくらい大変なんですか...ここの学生は大変ですね」
「これでもまだ始まったばかりですよ。大変なのはこれから後にもっとありますよ」
「あはは...」
「それではおやすみなさい雲雀さん!」
「はい、おやすみなさい楯無さん」
電気を消し2人はベッドに入り就寝した。
数十分後
「ふふ!雲雀さんは寝たかな?失礼しまーす...!」
.....何故か起きていた楯無が雲雀が寝ているベッドへと侵入してぬくもりや匂いその他もろもろ堪能して寝不足になったのは言うまでもない。
次の日
「頑張ったみたいだが...田所 恵クビだ」
「....え」
遠月学園宿泊研修2日目
この日も生徒たちは生き残れるかどうか己の持つ技術知識を全力で搾り出しこの合宿を乗り越えるために戦っている。
急いで書いたので話の展開が少しはやい気がするんですよね...
次回は、なるべく早く更新して内容もちょうどよくしていきたいと思います!
次の話は恵ちゃんがどう生き残ろうと頑張るのか!と言う話ですね!
良かったら感想評価よろしくお願いします!
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宿泊研修part5
はやく福音の所までいきたいですね~(白目)
遠月リゾート
「ん...朝ですか..」
「ひみゃり...しゃん...」
「......」
朝起きたら隣のベッドで寝ているはずの楯無が自分のベッドに寝ていることに疑問を持つ雲雀だったが過去なんか以下同じ経験をしており、仕方ないと思っていた。
「まだ、こんな時間ですか。少し外の空気でも吸ってきましょうか」
楯無が起きないようにそっとベッドから降り、服を着替えて部屋から出た。
外は霧が少しかかり肌寒い風が吹いている。雲雀は外で体操をしたり少しランニングをしてリフレッシュしていた。
「ふぅここは空気がおいしいです。気持ちがすっきりしますね」
雲雀はランニングを終え、ベンチに座り休憩していた。気分もすっきりして心地よく仕事を行える気分だった。
「さて、そろそろ部屋に戻りましょうか...」
「まぁ、もう少しくらいゆっくりしていたらどうだ?」
「堂島さん...ですか、おはようございます」
部屋に戻ろうとした雲雀を止めたのは、ここの総料理長である堂島だった。スーツをビシッと着こなしてなんともいえない威圧を放っていることは本人は知らない。
「ああ、おはよう。それにしても君もずいぶんと早い起床なのだな」
「たまたま起きてしまったんですよ。堂島さんもお早いですね」
「私は仕事でいつもこの時間には起きていないとだめなのでな。それにこの時期はいろいろ忙しくて大変だ」
堂島もベンチに座り込み、雲雀に缶コーヒーを渡した。
「それに、今年の新入生は玉の世代らしいじゃないか、そっちもいろいろ大変だろう...君はもう一つの学校でも働いているのだからな」
「いえ、私はそこまで...十傑のみなさんが頑張ってくれていますので、私は安心して自分の仕事をこなせていますよ」
「ならいい、お前が倒れたら心配する者が多いからな。せいぜい体を大事にしろ」
「そうですね、倒れないよう頑張ってみます」
「そうか、むっもうこんな時間かすまないが私はこれから仕事なので先に行かせてもらおう」
ベンチから立ち上がり、そのまま本館のほうに歩いていく堂島。雲雀も楯無を起こして朝食にしようと部屋へと戻った。
朝食を食べ終わり、生徒たちは次の課題の場所へと移動し始める。
「雲雀さん、これからどうしますか?」
「今日は、各課題場所へ向かい生徒さんたちの様子を見に行きます。楯無さんも来ますか?」
「そうですね、ここにいても暇ですから~」
部屋に戻り、出かける準備をする2人。雲雀たちは生徒と一緒ではなく別の車で移動し、各課題場所へ行く。
「さて、そろそろ行きましょう。課題場所は数十個と多いですから、遅いと日が暮れて間に合わなくなってしまいます」
「よしっ、準備OKですー!さぁ行きましょう!」
雲雀と楯無が出発して2時間がたった。課題場所はあと1箇所だった。
「うぅ~...あと1箇所...つ、疲れた....」
「あと少しですから頑張ってください。ほらもう着きますから」
最後の1箇所に着き、車を降りる雲雀と楯無。何事もなければいいと雲雀は心で思っていた。
「ここは四宮さんが任されている所ですね。早速見に行きましょう」
「あ、待ってください雲雀さーん!」
建物の中に入った雲雀たちは、試験が行われている場所に向かって歩いていた。試験場所に向かっている最中にないている生徒や喜んでいる生徒が多くいた。
「さて、そろそろつきますね。この時間ですと試験は終わっていそうですね」
「これで今日も終わりですね...移動だけなのにこの疲労感...」
「まぁ、この仕事は慣れが大事ですからね」
「どんな仕事ですか...ん?なにか奥が騒がしいみたいですけど...」
「......そうみたいですねちょっと急ぎましょう」
「は、はい」
「お、おい...あの転入生四宮シェフに食戟申し込んだぞ!?」
「なんかやばくね?」
奥の試験場の厨房では、生徒たちがざわざわと騒いでいた。
雲雀は詳細を聞くために生徒たちに詳しく聞いた。
「すみません、ここで何があったのでしょうか?」
「ひ、雲雀先生!!そ、それがですね...転入生が四宮シェフに食戟を挑んだんですよ!」
「そうなんです!田所 恵が退学だと決まった時に転入生がなにか割って入って...」
「そうですか...ありがとうございます。みなさんは先にバスに戻っていてください」
雲雀は生徒を先にバスに戻し、3人がいる部屋へと向かった。
「美味しいじゃないですか田所恵さんが作った品...!これなら合格にしてあげてもいいでしょう~?四宮先輩の頑固者~!頭でっかち!ナルシスト~!」
「黙ってろヒナコ」
「ごっ...ごめんなさいー」
四宮が日向子の頭をつかみ上げていた。その光景に雲雀たちは何が起こっているのかわからずにいる。
「む、雲雀か...」
「堂島さんこれは一体...?」
「それはだな...」
堂島からこれまでの経緯を聞き、田所恵と幸平創真が四宮と非公式の食戟をすることになったらしい。
いくらなんでもそれは無謀すぎると雲雀は思った。雲雀は2人の料理への技術・思いを間近で見て感じていた。だからこそここで退学にはしたくなかった。今はまだつぼみの段階かもしれないが将来花に開花し立派な料理人になると雲雀は思っていた。
「それで、退学は取り消さないのだな四宮」
「ええ、確かに工夫はしたのは評価に値しますが、それだけで生き残れるほど料理人は甘くは無い。いかに状況を理解し行動できるかが問題ですよ。俺はそうゆう努力を人一倍頑張っていた奴を間近で見てきた」
四宮が雲雀のほうを一瞬見るが当の本人は頭に"?"のマークを浮かべていた。
「だが、日向子はそうは思っていないらしい。これでは埒が明かないと食戟になったのだが」
「それは、私の立場的にも認められません。そして、2人は料理のスキルに私は評価に値します。ここで散らせるわけには行きません」
「なんだ雲雀生徒を信じていないのか?」
「そうではありません、まだあの子達にはまだ早すぎるのです」
「だが、これでは両方とも納得はいかないだろう」
状況は悪化していた。このままでは時間が時間で田所は退学になるだろう。その時、1人外野で見ていた楯無が入ってきた。
「え~と...話的に田所ちゃんが認められれば良いんですよね・なら勝負じゃなくてもう一回田所ちゃんの料理を評価すればいいんじゃないでしょうか?」
「つまり、食戟ではなく田所さんの作った料理を食べて退学かどうか見定めるのですね?」
「まぁそうですね」
「どうですか堂島さん?」
「....まぁ、よかろう。審査員はどうするつもりだ?」
「そうですね...あまり大事にはしたくないですねそうなると教師のみなさんには知られてはいけませんから...卒業生ではどうでしょう」
「ふむ...まぁそれが妥当か...」
「ではそうゆうことで...」
話が決まり、今日の午後の課題が終わった後に田所恵が料理を1品作り、卒業生がそれを食べ合格か不合格を決めることになり、田所恵が不合格(退学)になった場合それに協力した幸平も退学することになった。
話がまとまりこの場に幸平、田所、雲雀の3人が残っていた。楯無は空気を呼んだのか先に外に出ている。
「創真くん...私なんて謝ったらいいか...」
「...別に俺が勝手にやったことだし謝る事ねーけど」
「それに...何で勝負を挑んだか?って決まってんじゃん」
「え....?」
「田所がこんなところで落ちていいやつじゃないからだ」
「創真くん...」
幸平はそのまま歩いていった。幸平が行った後、田所の後ろから雲雀が歩いてきた。
「幸平くんかっこいいですね...ですが彼の言っていることに私も同意ですね。田所さんの良いところは私や極星寮のみなさんが知っていますから」
「で、でも...」
「それに田所さんは料理で一番大事なものを持っていますから」
「え...?」
そう言い雲雀は手の平にある桜餅を田所に渡した。
「それは私が作った和菓子です。それにはちょっとした魔法を入れてるんですよ」
「ま、魔法...ですか?」
「ええ、食べた人がほんのちょっぴり笑顔になれる魔法です」
「食べた人が...あっ....」
雲雀の言葉に何か気がついたのか田所が雲雀の方を向き笑顔になった。
「雲雀さん...!私...今何ができるのかわかった気がします!」
「ふふ、そうですか。気張る必要なんて無いのですよ普段通りの田所さんでいいんです」
「はい!雲雀さんありがとうございました!!自分なりに頑張ってきたいと思います!」
「私も審査の時はいますので応援していますよ」
「い、いえ...雲雀さんは悠姫ちゃんたちと一緒に待っていてください...!」
田所の言葉に驚いた雲雀。
「ここからは...自分で頑張っていきたいと思います...雲雀さんがいたら...私は雲雀さんに甘えてしまうと思うんです...」
「田所さん...わかりました...それが田所さんの決めたことなら私が口を出すわけにはいきませんね」
「ありがとうございます...雲雀さん...私は自分の力で...悠姫ちゃんたちの所に戻ってきます..!」
「ええ、私も戻ってくることを信じていますよ」
覚悟を決めた田所は幸平の所に向かっていった。1人残った雲雀は田所の背中を見ながら呟いた。
「そうです...あなたが持っているのは...食べてくれる人への思いですよ田所さん...それがあなたの料理の良いところです」
雲雀も楯無が待っている外へと向かい歩き出した。
はい、次回で田所ちゃん編は終わりですね。思ったより遠月編が長い...
はやくISの本編に戻れるよう頑張ります!!
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宿泊研修part6
とにかく、ここまで書ければあとはスムーズに書けるので次は速く更新できると思います。
静かな厨房...ここは遠月離宮の地下1階厨房。ここでなら邪魔は入らないと堂島は思ってここを今回のステージに選んだ。
「これから、田所恵の再試験を始める。田所くん準備はいいかね」
「はい...!」
田所の瞳には強い意思があるのを感じた堂島。何があったかは大体想像ついていた。
「それでは、調理開始!!」
田所が試験をしてる同時刻、雲雀はというと...
「雲雀さん恵は大丈夫なの!?退学って聞いてそしたら幸平が...」
「落ち着いて悠姫...!雲雀さんならちゃんと説明してくれるはずだから」
雲雀はあの後、極星寮のみんなを部屋に集めていた。みんなは田所や幸平のことについて雲雀に聞こうとしていた。
このままだと収集が付かないと思った雲雀はひとまずみんなを落ち着かせた。
「まず、一言...田所さんの退学は一旦保留になっています。保留なのでこれからの田所さんの結果次第では合格にもなりますが不合格...退学もあります」
「結果次第...?それってどういうことですか?」
「それはですね...」
そこからはこれまでの経緯を話した雲雀。その場にいる者は今、田所が受けている試験のことを聞き、さらに心配になっていた。
「恵大丈夫かな...」
「大丈夫よ幸平くんも付いているし、それに恵はいろいろとすごいこと経験してるから...」
「まぁ、僕達以上にあの2人はいろいろと体験しているから心配はないとは思うけどね」
「今は、無事合格することを願うしかねえな」
今は何もできないとわかり、この場にいる極星寮のメンバーは2人の合格を願っていた。
この場はお通夜みたいな雰囲気になりつつあるが、1人だけ違う者がいた。
「大丈夫ですよ」
そう、雲雀だった。1人微笑みながら生徒のほうを向いていた。その顔は、不安といったものが一切なく"あと少しで戻ってくる"といいたそうな顔だった。
一方、楯無は雲雀の顔を見て大丈夫と思っているが少し不安であった。そして、忘れられていた鶫は"たーちゃんなら大丈夫大丈夫♪"と言い部屋に戻っていた。この姉妹はよく似ているとみんなは感じていた。
田所の試験が始まってから1時間が経過した。そろそろ田所の試験結果が出ているころだ。みんなの緊張はさらに増し、その場は沈黙が続いていた。
「そろそろだね...」
「そうね...もう終わってこっちに向かってるわよ...」
この場にいる雲雀以外の者はただただ田所と幸平の無事を祈っていた。沈黙が続いている時、ふと雲雀が立ち上がり台所の方へ歩き出した。
「雲雀さんどうしました?」
「いえ、お茶を淹れようと思いまして。少し待っていてください」
「さすが雲雀さん...この状況でも落ち着いている...」
雲雀以外の全員が雲雀の落ち着き具合に驚いていた。本人はいつも通りのようにお茶の準備をしていた。
雲雀がお茶を淹れ終わり持ってくるとお茶碗の数がここにいる数より2個多かった。
全員が2個多いことに気が付くと雲雀が口を開いた。
「みなさんが心配しなくても大丈夫です」
喋りだす雲雀...扉の向こうから聞こえる足音...
「田所さんの作る料理はみなさんがよくわかってるじゃないですか」
徐々に足音が大きくなる...
「田所さんはすごい人です。だからこそ...」
ガチャリとこの部屋の扉が開く...
「笑顔で帰りを待ちましょう。そして...」
扉の方を振り向く雲雀...開いた扉の向こうには...
「おかえりなさい田所さん...お待ちしていましたよ」
目元が赤くなりながらも笑顔の田所がいた...
「ただいま帰りました...!」
「あれ?俺は...?」
無事田所は四宮の試験を合格した。あの後、心配していた悠姫たちは小さい宴みたいなことをしたとのこと。
それから田所は順調に次々の試験を無事合格していった。田所を見た雲雀はその成長ぶりに少し驚きを感じていた。
あの日の田所が帰ってきた後、少し時間が経つと雲雀は部屋から退出しある人の下へと向かっていた。
「どうでしたか、田所さんの腕は...」
「...うむ、少しだが君と同じ感じがしたな」
「ふふ、そうでしたか」
夜遅く、遠月リゾートの外
ベンチに座る2人
「田所君は君と同じく、食べる人への思いが篭っている一品だった。さすが、君が気に入っている生徒だ」
「立場上そうゆうのはしてませんが...田所さんには少し期待していることは確かです。ですがそれはこの学園の全生徒にも言えます」
「はは、君らしいではないか」
「それで、あなたの思惑は良い方へ行ったようですね」
涼しい風が吹く中、雲雀は堂島に言った。近くの川の音がいい音を出している。
「ふふ、そう思うか?」
「ええ、それに関しては私にできることはありませんでしたから上手くいったのならそれで構いません」
「君らしいな...だが、生き延びたからってまだ合宿の他の課題で落とされるかも知れんぞ?」
「大丈夫ですよ。あの極星寮にいるんですから」
「はは、そうだな」
かつていた場所だからこそわかることだった。昔の思い出に浸る2人に月光が当たる。
「そろそろ部屋に戻ろう。まだまだ合宿は始まったばかりだからな。倒れられたら困ってしまう」
「そうですね。それに、もうすぐ恒例のあの課題が始まりますから」
その言葉にお互い苦笑いをした。経験者同士苦労を知っているためそうせざるおえなかった。
「あの課題か、今回はどんな風に生徒たちを悩ませるんだろうな」
「これも必要なことですからね...今回は確か卵...あら?」
雲雀が会話を中断しポッケに入っている携帯を取り出した。
そこには『千冬』と書かれていた。電話相手は織斑千冬からだった。雲雀は堂島に"すいません"と言い電話を出た。
「もしもし千冬?どうしたのかしら?」
『ああ、すまない仕事中だったか?それとも寝ていたか?』
「いえ、ちょっと外で知り合いと話をしていただけですから」
雲雀の言葉に少し安心した千冬。一咳してから今回の本題に入った。
『それでだな、そっちで仕事している所悪いんだが...こっちに戻って来れることはできるか』
「戻るですか?学食の方は私がいなくても回せるとは思いますが...」
『いや、学食は関係ない。今回は明後日行われる学年別トーナメントの手伝いだ。養護教諭(保健室)の先生が都合によりいなくてな...確か雲雀は『養護教諭免許状』を所得していただろう?』
「ええ、持っていますよ?ですが、他の先生方も持っているかと」
"ちゃら~ちゃららら~"
ここで、説明しよう。養護教諭免許状とは所謂「保健室の先生」の正式名称は「養護教諭」のこと。
養護教諭も「教諭」だから、国語や数学などの教科指導を行なう先生と同じく養護教諭の「免許状」を有していなければならない。(コピペ)
"ちゃらららら~ん"
『それがいなくてな...急な話ですまないと思っている...』
「そうですか。少し待っていてください」
雲雀は今の話を堂島に話した。堂島も話の内容を理解し"それなら致し方あるまい"と許可を得た。
「コホン...わかりました。こちらも許可が出ましたので行けそうです」
『そうか、感謝する...』
「気にしないでください。その学年別トーナメントは明後日です...ね....」
『ん?雲雀?』
言葉を言っているときに気づく雲雀。今回の合宿は6日間で行われる。昨日から始まり今日の分は終わった。つまりあと4日間行われる。学年別トーナメントは明後日の2日後に開催され明日戻らなければ間に合わない。
じゃあ、今この合宿に参加しているIS学園の生徒会長さんは何を考えているのだろうか。
「いえ、明日には戻りますから待っててください...1人連れて帰りますから...」
『ッ!?....よ、よろしく頼む...そうかあいつはそっちにいるのだったな...』
電話越しから伝わる只ならぬ気配に千冬はとある生徒会長のこれから起こることを予想した。
『(まぁ、自業自得だな。良い薬になるだろう)』
「それでは、私は戻る準備をしますから切りますね」
『ああわかった、それじゃあおやすみ』
「ええ、おやすみなさい」
電話を切り、先程の話に戻ろうとする雲雀。それを中断するかのように堂島が話し始めた。
「うむ、では荷物を片付けておくといい。こっちには戻っては来ないだろう?」
「いいのですか?間に合うようでしたら戻ってくる予定ですが...」
「怪我人が出てしまったら戻っては来れないだろう。ISとやらは危険なものと聞いてるからな」
「...わかりました。ならそうさせてもらいます」
これ以上言っても話が進まないと感じた雲雀。
「安心しろ。話は私から上の方にしておく」
「色々とありがとうございます。それでは」
お辞儀をし自分の部屋に戻っていく雲雀。そして、その夜にとある生徒会長はこっぴどく起こられたそうだ。
一応次で遠月編はラストですね。まぁ、次は主に雲雀さんがいなくなってからの話になると思いますが...
あとあの話題の変なお父さんも出ると思います。
では、速く更新できるようがんばります!!
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