はちまんとめがねと大衆についての考察 (とくめいせってい)
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長い瞑想と共に彼の死に向かってカウントダウンが始まる。
・・・なめていました。中3の夏休みを・・・
部活も早々に終わったため、暇で暇で・・・
思い立って今回の文章を書きました。暇のある方は見ていってください。批判、ダメだしも、僕の心が折れない程度にどしどしお願いします。
もし俺の目が腐ってなければ・・・
そう思ったことがないというと嘘になる。虚偽や欺瞞といった類を嫌う俺にしてみればリア充共専用であり、奴らによってしか作動しない、使う人によって効果が変わる兵器である嘘など(なんで俺の言う嘘はほうべんにならず、雪ノ下さんなどその他大勢の批判の的になるんだろう・・・?)、耳にするだけで悪寒が走り、核物質並みの汚染物質という認識である。そのような自己満足と自己愛精神のが具現化されたようなものをつかうなどはもっての他であり、つまり俺の言っていることの多くは少なくとも俺の中の事実であり、真実である。今言っていることも、多分に漏れず俺の中の真実である。っていうか俺、誰に言ってるの?
―続けよう。目というのは人が最も頼りにする感覚器官の一つである。古くからこれは不変の事実であり、人はそれを容認し、時として推奨する。諺にも「百聞は一見にしかず」といいったがあり、ラノベで言うところの「私、自分の見たものしか信用しないから。」というセリフは、そのキャラの頑固さが表れる一言だ。さらに、目の重要性はこれだけにとどまらない。その要因にその場所があるだろう。多くの人が、初対面で会って見るのが顔である。それを重要視するかどうかは個人差があるが、顔というのはその人のまさしく「顔」でありその人の第一印象を大きく左右する。
俺の目が腐っているというのは周知の事実であり、俺も認めている。またこの目のせいで俺の第一印象が大きく損なわれているというのも事実であり、それが俺が俺たる所以の一つともいえる。恰好よく言ったが、つま りはこの目のせいで俺に友達がいないといいたいわけで客観的に見ればそれは責任の押しつけであり、もしこ んなことを考えているのが雪ノ下にばれようものなら「今まで散々バカにしてたけど、あなたの目もあなたの被害者の一人だったのね・・」とかなんとか言われるのは必至であり・・・うわー面倒くさー・・・ばれるわ けにはいかない。なぜこんなことを考えているかというと、俺の唯一無二の妹であり、「世界の妹」と言われている(俺に)天下の妹小町ちゃんに眼鏡を買いに行こうと誘われたからだ。小町は、かわいい上に知略・謀略・策略の天才という1プラス3拍子そろえた自慢の妹である。さらにコミュニケーションの達人であり、どん なタイプでもさらっと対応してしまう。どうしてあんなに素晴らしい対応ができるんでしょうかねー。身近な人で訓練でもしてるんですかねぇ?マジそいつ表彰されるべき。
「ねぇお兄ちゃん何ニヤニヤしてるの?小町的にポイント低いよー。あっ妹にしゃべりかけられて嬉しすぎてつ い、とかならそこまで低くないけどー」
「んなわけねぇだろ。でも何でいきなり眼鏡なんだ?」
「いやーお兄ちゃん視力落ちたでしょ?しかも眼鏡かければ目もどうにかなりそうじゃん?」
「どうにかってなんだよ。お前は婚活失敗した独身アラサ―女の親の心境か?もしかしてそれってラーメン好きの教師だったりするのか?」
「お兄ちゃんサイテーだ・・・」
「眼鏡かー。あーでも眼鏡かけて行ってクラスの女子たちに「え、誰あれヒキタニ?イメチェンのつもりかなぁ~」「うわ~きもっ」とか言われるかもなー嫌だなー。中学時代、授業中女子が髪切ったの気づいて周りにい 言っただけでクラス爆笑の渦にしちゃって授業成り立たなくなって先生に呼び出されたりしたもんだ。ってかあいつなんで気づいたの?俺のこと好きだったの?」
「それはないと思うよー。ってかお兄ちゃんトラウマ多すぎない?う~ん・・ところでお兄ちゃんなんで急に視 力落ちたの?」
「あぁ多分パソコンのしすぎだな」
「ふーん」
(でも眼鏡のお兄ちゃんも一度見てみたいんだよねー。うーん・・ちょっと脅してみるか)
「パソコンで何見てるの?」
「そ、それはほらいろいろだよいろいろ・・まああれだな、しゅしゅっ宿題とかだようんそうだ宿題だ。はは は」
(お兄ちゃんキョドってるなー)
「でもやりすぎには注意だよ。心配だなー・・履歴見せて!」
「ええっ?いやほらそれはなぁ・・あっそうだブルーライト買いに行こうぜ」
「なにそれ?ところで履歴は?」
「ほ、ほらあれだよぱっパソコンの視力の悪くなるげっ原因のブルーライトを遮断するめっ眼鏡っ!」
(まぁそろそろいいか)
「ふーん。じゃあいこっか」
「お、おう。すっすぐ行こう。迷わず行こう。絶対行こう。あっ、べっ、べつに見られたくなかったわけじゃないんだからねっ!」
「お兄ちゃんきもいよ・・・」
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「あーもうおにいちゃん!」
「どうした小町。牛の物まねか?するなら耳つけてしっぽつけてやらんとリアリティーがでんぞ。もっとリアルにしたかったら千葉県酪農の里でのミルクやり体験おすすめだぞ!あ、でも小町が獣耳つけたらペットが増えるな。まぁ、妹属性がついてる分小町のほうが上だし安心しろよ!あーでもペットはやっぱうさぎかな。なんつったって戸塚が推してるんだもんな。戸塚のバニーガールみてーなー!ん?この場合やっぱバニーボーイっていうのかな?あーそーいえば天使って性別ないんだっっけ?あーやっぱ戸塚最強だな。ラスボスの天使とかたたかう気失せるだろ。もう寝返って一番槍の武功あげちゃうまである。」
「はぁ・・ごみいちゃん最強発動だね・・・それよりさっきから文句ばっかりいって1つも試着してないじゃん!」
「だってほら「えー、ヒキタニがつけたのー?えー・・・」ってなって気まずいわ視線痛いわで飛び降りにするか首つるか真剣に考えちゃうだろ…」
「大丈夫だって。さすがにこの店で鉢合わせするほど千葉は狭くないでしょ。それに、もし鉢合わせしちゃったら、小町の視線でその人射殺すから。あ、今の小町的にポイント高い!」
「まぁ全国28位だし家がある時点で俺にとってはすべてだし、っていうか射殺すってなにこの子怖い。那須与一みたく扇の日の丸射抜いちゃうの?後ろに立たれるのが嫌いだったり利き手で握手しなかったりするの?殺しちゃったらかわいそうだし防衛権行使したことにならないしやめてあげて?ポイント高いっていうより報酬高そうだわ。」
「まあとにかくほらかけてみて。ほらほら」
「ってこれ女物じゃねーか。」
「まあいいからいいからほれほれ」
「ああわかったよ。ほらどうだ?」
「はっ!・・ふぐっ・・」
「おい自分でかけさせといてそれはないだろ。おまえ材木座かよ。剣豪将軍死すの巻?なにそれショッカー一体倒したくらいのレベルしか盛り上がんないし全然悲しくないだろ。むしろ戸塚との将来のために早めに。死んでほしいまである。」
「…お兄ちゃん?・・・」
「なんで疑問形?さすがにシスコンマスターの名を欲しいままにしている俺にとって、妹からの存在否定はハードルが高すぎるぞ。」
(なにこれ・・・フツーにイケメンじゃん。あー忘れてたけどお兄ちゃん、基本スペック結構高いんだよね・・)
小町・・何か考え込んでるようだけど、そろそろおれまずいよ?だってほら、俺の苦手な種族がこっちに侵攻してきてるし…入ってきたときからおれめっちゃにらまれてたしやべえよ。マジ俺眼鏡かけてから店員さんから顔隠すのでせいいっぱいだわ。
「小町。これそろそろはずしていいか?店員さん来たし・・うわぁやべっ・・」
俺が女物をつけているとみて変態と思ったのか、店員さんがちかよってくる・・・まじでおのののかさんの気持ちわかったわ。すみませーん!店内に、岡村さんはいらっしゃいませんか―!ナイナイの岡村さーん!!
「お客様。そちらは女性の方の眼・・・あっ、申し訳ありません。可愛い彼女さんですね。ごゆっくりどうぞ」
おいおいベイベーそれはないぜ・・おれが彼氏だと?甘く見られたもんだ。小町がな・・・
「まぁ、気にすんな。見る目がなかっただけだろ。」
小町はうつむいていたが、その耳から、顔が真っ赤になっていることがわかる。
「おい・・・大丈夫か?帰るか?」
「う、うん・・・」
小町を怒らせやがって・・・
適当に一つ見繕って買い、俺は小町を連れて外に出た。
「お兄ちゃん。眼鏡外して・・・」
小町の怒りは相当なものなのだろう。俺にそう小声で命じ、そそくさと先に出ていく。
もうこの店におれが再び来ることはないだろう…
眼鏡をはずしながら俺はそう決心し、店員さんの威勢のいい「またのお越しをお待ちしています!」という声を背に、颯爽と店を出た。
・・いつも嫌そうな顔で言われるのになんで今日は妙ににこやかなんだろう?まあその程度じゃ許さんけどな。
こうして俺の眼鏡デビューの一日は幕を閉じた。
最後まで読まれた方、、ありがとうございました。
あとがきだけ見てる方、、っているんでしょうか?
【駄文】
1 つまらない文章。へたくそな文章。
2 自分の文章を謙遜していう言葉
ということなので、2になれるよう、なんとかしたいです。
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彼らの日常が、気づかれることなく終わりを告げようとしている。
家に帰ると小町は機嫌を直したのか、いつも通りになっていた。
「お兄ちゃん。その眼鏡家専用でしょ?」
「あー、うん。今のところはな。学校で長時間パソコン使う機会ないし、持っていく必要ないな。」
「うん。じゃあ、ルールを決めよう!」
「ルール?千葉県民の使う醤油はキッコーマンじゃなきゃダメとかそういう感じの?」
「ここで千葉愛出さなくていいから。あーでもたしかに私、小3のとき初めてキッコーマン以外の醤油見て驚いたなー、じゃなくて、ルールだよルール眼鏡のルール。」
「なんで小町が俺の眼鏡のルールつくるんだよ。ていうか眼鏡一つにルールが要るか?」
「まあいいから。はい小町に続けて復唱してね! はいひとぉーつ眼鏡は家でしかかけない!」
「一つ、眼鏡は家でしかかけない。」
「其のにぃー、眼鏡をかけた状態で撮った写真はとらない!もしとっても誰かに送らない!特に女子とか!」
「其のにー、女子に眼鏡でとった写真を送らなーい。」
「だいさぁ~ん、眼鏡の時は小町にしゃべりかけない!」
「だいさ~ん、眼鏡のときは小っってちょっとひどくない?なに?雪ノ下さんリスペクトしてるの?毒舌系女子あこがれてるの?っていうか数え方揃えろよ。だいたい、そんなに気持ち悪いならかけなくても別にいいし」
「い、いやーそれはもったいないっていうか小町的にポイント低いっていうか・・・」
「もったいないって・・どんだけSなんだよ。多部未華子さん顔負けのドSっぷりだな。なに?刑事になるの?鞭持ち歩くの?」
「あ、あーそ、それで、ど、どんな眼鏡買ったの?」
「ん?どんなって言われてもまぁ普通の眼鏡じゃないか?」
昨日適当に選んだ緑の眼鏡をケースから出す。
「ほーぅ。じ、じゃあ試しにかけてみたら?」
「うん。でもいいのか?見て」
「ま、まあそれは我慢するっていうか耐えるっていうか・・」
「そうか。じゃあ・・」
そういって買った眼鏡をかける。
すると小町が昨日のように顔を真っ赤にする。顔ってほんとに赤くなるもんだな。ん?じゃあ昨日も、俺のせいで顔赤かったの?てっきり店員さんに怒ったかと・・じゃあ悪いの俺じゃん。ごめんな店員さん。それにしても小町やっぱりへんだな。
「どうだ?」
「う、うん。その似合ってるしなんかイケ・・ゴニョゴニョ・・」
もっとはっきり喋れよ。おまえは道を聞かれた時のお前か?左に曲がるっていったのに「えっ・・・?しだいにさがる・・?」って言われた俺か?しかも夢の中でだぞ?現実では外歩くだけでキョドっちゃうからさけられたり、親切なお兄さんに「道わかりますか?」っていわれたり、青い制服の警棒もったお兄さんに「家、わかりますか?」って言われるまである。いや別に徘徊してるわけじゃねーよ。
まぁそろそろ外すかと思い
「外していいか?」
と俺は聞いたが、小町は反応しない。もう一度言うと、
「あ、うん。ちょっとまって。写真とらせて。」
といった。それ、小町の眼鏡条例其の二に違反してない?まあかわいい妹のお願いだからきいてあげるけどさ。あ、今の八幡的にポイント高い。まぁかわいいのは事実だしな。昨日の顔真っ赤にした時の小町とか・・・不覚ながらそそられるものがあって、思わず脳内メモリーに保存して間違えて消さないようにロックかけて誰にも見られないようにパスワードまでかけてしまった。やっぱり俺の理想のお嫁さんランキングの双璧のうちの一つなだけあるな。戸塚もいいけど、やっぱ小町かわいいなーー」
ふと小町を見ると、先ほどよりさらに赤くなっている。
「どうした?カープ女子か?顔でチームカラー表す新手のやつか?でもロッテ以外みとめんぞ?」
「お兄ちゃん。聞こえてたよ・・・」
小町が赤い顔のままそう言った。
「なにがだ?」
「ほら、小町がかわいいとかお嫁さんランキングとか・・・」
「え、えっ?あ、い、いやそれはだな・・・」
国語成績上位者の俺でもとっさに言葉が出せず、小町はパタパタとスリッパの音をたてながら自分の部屋に逃げていく。ああ、かわいいなぁ・・さすが俺の妹。
最後に小町は叫んだ。
「お兄ちゃんの妹だからかわいいわけじゃないもん!!」
・・・また口に出てたのか・・・ってか俺どんな声量で言ったらあそこまできこえるんだ?
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お兄ちゃんどうしちゃったんだろ・・・イケメンになるし、全部口に出しちゃってるし・・・シスコンとか、あのお兄ちゃんだから許されてただけであって、今のお兄ちゃんに言われると、その、、
自分でも顔が火照っているのがわかる。
どうしよう・・・
ベットに顔をうずめ、小町は自分のこれからの生活に危機感を覚えながらも、襲いくる睡魔に身を委ねて深く夢の中へと入っていった・・・
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小町ちゃんどうしちゃったんだろ・・・顔真っ赤にするし、なんか俺みたいになってるし・・・キョドりとか、この俺だから許されてただけであって、かわいい小町ちゃんがキョドると、その、、
自分でも顔から血の気が引いていくのがわかる。
どうしよう・・・
パソコンに電源を入れ、自分の小町に対する影響に危機感を覚えながらも、パソコンの起動音だけが響く部屋の心地よさに身を委ね、今日も深く学園恋愛ゲームの世界にハマっていった・・・
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今あせってるので、略させて頂きます!
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三位一体を体験し、突然の来訪者は刺客へと姿を変える。
―ふと我に返った。寝ていたのかゲームに没頭していたのか頭がボーっとしている。
隣を見ると、明らかにきわどい恰好をした、大学生活充実してますよーっていう感じの人が満面の笑みをうかべている。ぜってービッチだろって感じの女がいる。
俺の頭は、すぐさまフル回転しだした。
なんでこの部屋に、家族以外の者が・・・っていうか誰?このビッチ感、ガハマさんすら目じゃないぜ…
「あーっビッチとか女の人に使っちゃいけないんだよー!いぃーけないんだーいけないんだぁー」子供特有の節回しで歌いながら俺を指さしてくる。見た目大学生なのにね。まじでアラサ―行き遅れ教師かよ・・
「誰ですか何しに来たんですかどうやって入ったんですかその服装なんですかっていうかほんと誰ですかなんで心読めるんですかチートですか」
一色顔負けの早口でまくしたてたおれは、何とかして自分を落ち着かせようと心の中で徒然草の暗唱に入った。
「何言ってるのご主人様ぁー。昨日は散々かわいがってくれたのにぃー!」
「はぁ!?なんのことだよ!?俺がかわいがるのは小町とカマクラと戸塚だけだ!」
努力のかいなく、あっさりと俺の戦法は打ち破られた。
「私わぁ、ご主人様の眼鏡ですよぉー。」
「俺はこんなビッチを買った覚えはない!!っていうか人身売買に興味はない!!!」
「えー?私これでも妖精なんですけど~。ご主人様のことならなんだってわかっちゃうんですよ~?」
「何言ってんだよ・・大体なんで俺の眼鏡がくそビッチなんだよ。」
「信じないんですかぁ~。あ、ちなみに怖いものとかありますぅ~?」
「はぁ?ねーよ。ってか何でも分かるんだろ?嘘だったのか?」
「舐めてますねぇ~じゃあ・・」
彼女の表情が急に引き締まった。ほのかな月明りが彼女の造形美を控えめに、しかしたしかに浮かび上がらせている。彼女は少し息を吐き、そしては形の良い唇で息を吸った。
「本物が欲「わかった!認める!すまん!すまん!」」
彼女の言っていることは本当だ。認めよう。
「すまなかった。名前を聞こう。」
「名前ですか~?特にないですぅ~なんなら彩加でも良「許さん。二度と姿を見せるな」」
「ごめんなさいごめんなさい」
そこに先ほどまでの艶めかしい蠱惑的な姿はない。
「じゃあ、眼鏡でいいな。」
「えぇー。まあいいですけどねぇー。命令には逆らわないのが従順なメイドですからねぇー。ところではちまんー」
「なんだ?っていうかご主人様やめたのか?まあ別にいいけど。」
「小町ちゃんと喋ってるとき、思ったことが、おもわず声にでちゃってたでしょ。」
「おいまさかあれ、お前の仕業だったのか?」
「だってぇ~、小町ちゃんめっちゃてれてたしぃ~?面白そうだったから~?」
「・・・それで何が言いたい?まさか自慢したいだけじゃないだろう?」
―こいつの見た目はまるでバカだ。人か妖精かのちがいはあるが、由比ヶ浜のようなものだろう。しかし中身は違う。こいつは分厚い皮をかぶっている。純粋に見せかけ、無垢を演じ、それでいて腹の中には途方もない大きさの毒を抱えている。
そうした者が人か否かに関わりなく存在するのだろう。つまりこいつは妖精界の陽乃さんといったところだ。
そしてそういうやつは、意味のない行動などしない。
すべての行動に意味があり、常に計算し尽くされているはずだ。
「お前が俺に対して何でもできるのは理解した。それで、お前は俺に何を求めている?」
「話が早いですね~。まぁとにかく、このまま、黙って生活してくだされば結構です。」
「そうか。でもさっきみたいなのはごめんだぞ。」
「あー・・・それは無理ですね。いたずらをしない暮らしなんかありえないし~ぃ・・あ、じゃあそのかわり、なんでも好きな時に願いを一つだけ叶えてあげますよ❤」
「はぁ・・じゃあくれぐれも小町に迷惑をかけるなよ」
「はいはーい」
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チュンチュン
「夢、だったのか?」
俺はさながらドラマの主人公のようなセリフをはきながら朝チュンという完璧な起床を迎えたが、気分はすこぶる悪かった。
「お兄ちゃ~ん起きないとベッドシーンのさつえ・・あれ?起きてたの?」
やっぱりこの子怖い。今ほとんど言ってたよ?そんな写真親に見られたら俺出家させられて天涯孤独になるよ?
俺は朝食を食べ、学校に向かった。
普段通り戸塚を眺めながら一日を過ごし、放課後、奉仕部へと向かった。
「うーっす」
俺が挨拶をしながら入ると、二人はケータイで何かを見ていた。
「おい、何見てんだ?」
そういって近づき、携帯を覗き込もうとすると、二人は俺に今気づいたようで、あわてながらけいたいをしまった。
「あら比企谷くん。気づかなかったわ。ごめんなさい。現実から目をそらすのはよくないわよね。」
「なに?俺は信じがたい現実なわけ?悲劇のヒロインのセリフ使って人の存在の否定しないでくれる?」
「あ、ヒ、ヒッキー・・き、来てたんだ・・」
「おう、きてたぞ。まあ俺のステルス性はリア充に対して効果抜群だからな。もう出欠確認で俺の名前呼ばれるたび「比企谷・・・?」「え・・?」ってざわざわするレベル。ところで何見てたんだ?」
「比企谷君の妹の「な、なんでもないよー!」」
「小町についてか?ちょっと見せろ。」
俺は由比ヶ浜から携帯を奪い取り、さっき二人が見ていたであろう写真を見た。
「こ、これは?」
それは、昨日眼鏡を買いに行ったときの写真だった。俺の発言を戸惑いと取ったのか、由比ヶ浜が説明をする。
「昨日川崎さんから送られてきたんだけど・・この人って、小町ちゃんの彼氏さんかな・・・」
あそこでもバイトしてたのか・・・おそるべし川、川、川島さん?でも、由比ヶ浜は俺だってことに気付いてないようだ。・・・なんでだろう?
「あれ・・・?ヒッキー意外とあんまり怒らないんだね。ヒッキーがめちゃくちゃ怒ると思って隠したんだけど・・・」
「ま、まぁ、こ、小町が選んだヤツだからな・・し、信じるぜ・・・」
とりあえずばらさないほうがいいだろう。小町が女子に写真見せるなっていってたし・・・
「背格好はあなたによく似ているのだけれど、どこかの誰かさんのような人生をあきらめた顔ではないからね・・・」
そうか・・眼鏡をかけたら別人のような顔になるのか・・・これは、眼鏡してこなくて正解だったな。もしかけてきてたら、俺の忍者のの血が最大限に発揮されて不審者扱いされるとこだったぜ・・・
そのあとは特に変わりもなく、部活を終えた。帰り間際由比ヶ浜が、何やらもじもじしながら話しかけてきた。
「・・・ねぇヒッキー・・・明日、家に遊びに行っていい?」
「はぁ?無理に決まってんだろ。俺の絶対国防圏に侵攻してくるとかマジで鬼なの?連合軍なの?」
「私も行こうかしら。あなたの家のかまくらさんにも会いたいし。」
「なんでおれが許可した前提なんだよ。無理だ無理」
なんやかんやで俺は一日を乗り切った。
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今日は土曜日だ。一日中ごろごろしてすごせる日だ。
「ピーンポーン」
インターフォンが鳴った。たまたま玄関のそばにいた俺は、適当に返事しながらドアを開けた。しかし開けた先にいた二人組を見て、俺は硬直した。
そこにいたのは、雪ノ下と由比ヶ浜。
はぁ、なんできたんだよと言いかけると、由比ヶ浜が、興奮気味に話しかけてきた。
「あ!あなたって、小町ちゃんの彼氏さんですよね!!」
いくら俺が小町を好きでもさすがにそれは無理だと思ったが、その直後、俺は自分の失態に気づいた。
・・・眼鏡、かけたままだ・・・
俺は、家ではずっと慣れるために一日中眼鏡をかけていた。そしてようやく慣れてきたのだが、俺はそのせいで眼鏡をはずすのを忘れていたのだった。さらに追い打ちをかけるように、小町がこちらに歩きながら声をかけてきた。
「おにいちゃーん誰か来たのー?」
やばい。とっさにそう判断した俺は、小町に駆け寄り、小声で話した。
「小町。眼鏡かけたまま雪ノ下と由比ヶ浜に会った。俺が彼氏ってことになってるから合わせてくれ。」
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「彼氏ってことになってるから合わせてくれ」
本気で動揺したのはいつ以来だろうか。人を見る目もそれなりにあるし、大変な事態になる前に巧妙に避けてきた。だから、こんなに動揺するのは久しぶりだと思う。よくわからないが、彼女のふりをしないといけないらしい。私が考えているうちにも、ことが進んでいく。
「小町ちゃーん。この人が、小町ちゃんの彼氏さん?」
「は、はいー。この人がこ、小町の彼氏ですー」
「よく比企谷くんが許したわね」
「あー、ひ、比企谷先輩と僕がし、知り合いだったので、それで許してもらいましたっ!」
焦るお兄ちゃんもなかなかいいと思う私おかしいでしょうか?小町ポイント爆発するよ?
「ところで、ヒッキーいる?」
「比企谷先輩はその・・・そろそろ来ると思うので、リビングで待っててください!」
「えーっ?お兄ちゃん帰ってくるまで結構かかるよー?」
お兄ちゃんが、何を言い出すんだとでも言いたげな顔でこちらをみる。
「そこでぇー、みんなでクッキーを作りましょう!」
「はぁ!?」
突拍子のない提案に、三者三様の叫びが上がる。
「だ、だって私料理下手だし・・・」
「大丈夫ですってぇ~。お兄ちゃんあれで案外優しいところあるし、食べてくれますよ~。しかもけなげに頑張る由比ヶ浜さんって多分お兄ちゃん的にポイント高いですよ~」
「そ、そうかな・・・あ、別にヒッキーに気に入られたいとかいうわけじゃないけど・・ゆきのんどう?」
「別に今日はかまくらさんに会いに来ただけであって、それ以外のことをする気はないわ。大体あの男にクッキーをわたす義理なんて私には、微塵も、スズメの涙、猫の額ほどもないわ。」
お兄ちゃん改め、小町の彼氏の頭がくらっと揺れる。ああお兄ちゃん、「こうかはばつぐんだ!」だね・・
それでも世界の妹・小町ちゃんはねばります。
「えー?お兄ちゃん、結構頑張ってると思うんだけどな~。あ、雪ノ下さんも料理苦手なんですか?」
雪ノ下山の料理の腕が、何色パティシエールだよっ!?ってほど凄いのはお兄ちゃんは聞いてたけど、雪ノ下さんプライド高そうだからな~。
「そこまで言うならやってあげましょう。」
あー、すごい効果でしたね~。お兄ちゃん頭抱えてるし・・・
「由比ヶ浜さん。すぐ調理に取り掛かるわよ。最高のクッキーを作るわ。」
おー。やるからには全力でするんですね。さすがです。
「隠し味には青酸カリをおすすめするわ。」
「セイサンカリ?それこの家にあるの?ね~え、小町ちゃーん凄惨かりあるー?」
・・・あー、やるからには全力でヤるんですね。さすがです・・・っていうか由比ヶ浜さん間違え方が怖いです。
こうして、夢の惨噴(さんふん)クッキングは幕を開けた。
投げ出さず、最後まで読んでくださった方々、まことにありがとうございました。
次の話が最終話になると思われます。
ここまで読み進めてきてくださった方々の中でお時間のある方是非最後まで付き合ってくださいませ。どの話よりも長くなることを保証いたします。(おもしろさを保証するまでにはいたっておりません・・・)
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事態は急変し、主人公は魔王共々走り出す。
ドアを開けて、今年初めて夏の到来を痛感した。
猛暑日というにふさわしい、破壊的な熱気が襲い掛かる。はるか一億五千万キロの彼方からの凶暴な日差しが、牙をむいてくる。重い足取りが日頃の運動不足を顕著に示していた。
「こーまちぃーあーついぃー」
「お兄ちゃん・・まだ家を出て5分だよ!そうだ。戸塚さんを想って!戸塚さんはこの暑い中、毎日のように練習してるんだよ!!」
「・・・そうか・・今度戸塚に謝らなければな。・・戸塚より弱くて何が「戸塚を守る」だ!!」
戸塚やっぱすごい。優しさの中に秘める真の強さ。・・・戸塚ってもう天使じゃなくて神じゃね?マジでキリストの再来なの?
俺が一神教戸塚を厚く敬っていると、小町がさも面倒くさそうに話を続ける。
「お兄ちゃんさすがに本気でひくよ。本気でそっちに足踏み入れる気?」
とりとめのない会話をしながら、焼けるアスファルトの上をのそのそと歩く。さして暑さに定評があるわけではないこの千葉も、夏も真っ盛りのこの時期は30度を超える。お菓子作りの材料を買いにいくだけなのだが、ここまで暑いともはやりっぱな肉体労働である。頭に響く蝉の音なんぞは、合唱などという生ぬるいものではない。
毎年この時期になると、蝉にリア充を重ねてしまう。
―常にうるさいだけであるのにそれは永遠に美化され続け、懐かしい思い出となる。結果それは否定されることがなく、ただ短い季節を鳴きとおす―
こう思いながら日頃の鬱憤を晴らしていく。なんせ一週間の命だ。暫く耐え忍べばいい。なんなら俺はクマムシとなろう。仮死状態でもいい。50年100年と生きていこう。
そんなことを思いながら歩いていると、スーパーにたどり着いた。
おお、聖地だ。
人ごみの苦手な俺も、さすがにこの暑さの中ではこう思ってしまう。てっとり早く済まして、さっさと帰るか。小町も同じ考えなのか、いつものように寄り道をすることもなく、目的の場所へ足を進めていく。
「あっ、ひきがやくんだー!」
俺も小町に倣い、足を進めていく。
「ひっきがーやくーん」
疲れてるのかな・・・帰ったら寝よう。
「ひっきがーやはっちまんくーん」
「お兄ちゃん。さっきからお兄ちゃん呼ばれてるんじゃない?」
「いや。多分空耳だろう。今日は暑いからな。」
そう。聞き間違いだろう。聞き間違いですよね。絶対そうだ!!
はかなくも俺の願望は打ち砕かれた。
「ひきがやくんゲットー!」
先ほどから俺を呼んでいた女性、雪ノ下陽乃さんが俺に抱き着こうとしてくる。軽くあしらおうとしたが、そこは合気道のたしなみもあるハイスペック超人。俺は難なくつかまってしまった。
「もーう。ひきがやくんったらつれないんだからー。」
「人違いだと思います。」
「またまたー。そんな変装でこの雪ノ下陽乃の眼がごまかせると思ってんのー?このー!うりうりうり~」
「はぁ・・・。でも、よくわかりましたね。眼鏡かけてたのに。」
「そりゃーねぇ、将来私の義弟になる人のことだもん。これくらいわかるよー」
「なりません。だいたいこんなところで何してるんですか?」
「今日は雪乃ちゃんがいなくて暇だったから暇つぶししてたとこ。そうだ!ひきがやくん。お姉ちゃんとデートしない?で・え・と。」
「残念ながら、忙しいので。」
「えー?めずらしいなー。ひきがや君が忙しいなんて~」
「お宅の妹さんが家に押しかけてきて、クッキー作り出したんです。それで、その材料買いに来たんです。なあこま・・
小町の姿はもうすでにそこにはなかった。そしてちょうどメール。
『デートしてきていいよ!小町的にはほかの人をおススメするけど、お兄ちゃんが選んだ人なら・・・あっ!今の小町的にポイント高い!』
八幡ポイントは底をつきました。
「ほーう。雪乃ちゃんもなかなかやるねぇ。押しかけ妻かぁー。よし!私も比企谷家に行こう!レッツゴー!」
こうなったらもうどうにもならない。俺は諦めて買い物を済ませ、スーパーを後にした。
「ねえねえところでひきがや君。あの妹さんはどこへ行ったの~?もしかして私のことニ・ガ・テ?
いや苦手なのは俺です・・・ってかさっきから小町におくってる邪魔すんなよオーラもうやめろよ。
「こーまちー。かえるぞー。」
「お兄ちゃんに呼ばれて来るのは自慢の妹小町で~す!」
「あらー。小町ちゃん?おひさしぶりぃ~」
「は、はいぃー。こっ、小町です・・・」
さしもの小町も陽乃さんには、かなわないらしい。
「じゃあ、ひきがや君の家に向けてレッツゴー!」
「はいはい・・・」
陽乃さんがいると、同じ距離のはずなのに、行きよりはるかに辛く感じる。周りの視線が痛い。いや、俺リア充じゃねーから。マジにらむのやめて?原因は腕を巻きつけてくる陽乃さんなんだけど・・・っていうか小町もやめろ。対抗心燃やしてどうする。よってたかって俺を殺しに(社会的に)来るのはやめてほしい。
家に入るとなんだかとても荒らされていた。由比ヶ浜。いくらなんでもやばすぎだろ・・・
「あら、ずいぶん汚れてるね~。彼女を家に呼ぶんだから、もうちょっときれいにしないとね~」
「彼女って誰ですか。大体、うち、いつもはもっときれいです。なんてったって小町が掃除してくれてますからね!!」
「あれ?でもほら、すごい荒らされようだよ?」
「そうですね。さすがの由比ヶ浜も、ここまでするとは思えませんしね。」
家の中は、ひどい有様だ。椅子は倒され、机は、所定の位置から大きくずれている。そこらじゅうが荒らされており、まさしく嵐が通り過ぎたようだ。陽乃さんが、部屋の隅に落ちていた携帯端末を拾い上げた。
「あら、これ、雪乃ちゃんのじゃない。ん?」
陽乃さんは、そういって電源をいれ、パスワードを打ち込み、画面のロックを外した。
―なんでパスワード知ってるんでしょうね~。怖いですね~
ふと、陽乃さんの手が止まった。数秒画面を見てから、小町にスマホを押し付けて、いきなり走りだし、家を飛び出していった。。
「陽乃さん、どうしたのかな~?」
そゥ言ってボーっと、陽乃さんが走り去っていった方を見ている小町から、スマホを奪い取る。陽乃さんを動揺させる何かがきっとあるはずだ。そう思いながら見たその画面の中には、想像を超える、信じられないようなことが書いてあった。
ゆうかいわたしねらいゆいさんもいっしょ2、30
すべてひらがなで書いてある。変換する時間すら惜しかったのだろう。由比ヶ浜と打つ時間がなかったのか「ゆい」と訳されている。それでもすべてを完璧に打ち、そして「さん」を忘れないのは、あいつらしいな。途中から、どうでもいいことを考えていた。それくらい、すぐには受け入れられなかった。一緒に画面を覗き込んでいた小町も座りこみ、ぼんやりとしている。数秒後に動き出せた陽乃さんは、やはり、すごい人間なのだろう。やっと事実を理解した俺は、小町に声をかけながらやはり、陽乃さん同様、走り出していた。
「小町!警察に連絡!それから家を出ろ!友達んちでも行け!」
いまほど、運動不足を痛感し、後悔したことはないだろう。俺は絡まる思考を整理しながら、全速力で走った。
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