通常戦力これくしょん―通これ― (戦艦トマト)
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序章に替えて―深海棲艦と艦娘、そして……―

最早n番煎じか分からない艦これ二次創作ですが、通常戦力でも深海棲艦と戦えるんだ!とか、艦娘だけに戦わせられるかよ!とか、そう言ったお話が好きな方は良かったら暇潰しまでにどうぞ。



 

西暦2010年代の終盤、突如として全世界に対して侵攻を始めた未知の艦艇群……深海棲艦。

1920~1950年代の軍艦に見える、由来、規模、本拠、動機、全てが不明なこの艦艇群は、人種、国家、組織、武装の有無、敵対の意思、あらゆる種別を問わず全ての生命体を殺戮し始めた。

世界各国はこの事態に直ちに対処した。

最初の奇襲から立ち直った各国軍の反撃が始まったのだ。

当初は誰もが勝利を確信していた。

古臭い艦艇とは隔絶した性能の兵器群が、それを約束していた筈だった。

しかし、すぐに全世界は絶望することとなる。

深海棲艦に対して行われた攻撃のほとんどが効果を示さなかったのだ。

百発百中の対艦ミサイルも、絶大な威力の長魚雷も……核兵器すら深海棲艦には効果を示さなかった。

辛うじて効果を発揮した砲爆撃等無誘導兵器による攻撃も、戦艦や大型航空母艦を有し、膨大な物量で押し寄せる深海棲艦には蟷螂の斧でしかなかった。

更に2020年代になると、フラグシップクラスと分類される最大で身長50mに達する人型の深海棲艦が現れた。

これら人型深海棲艦が艦船型から進化したモノであるのは、最初に確認された個体が戦闘中に変異したモノだったこともありすぐに判明した。

現在人型に変異するのが確認されているのは戦艦や重巡洋艦、空母等の大型艦艇のみだが、近い将来それ以下の艦艇も変異すると予測されている。

問題は、これらフラグシップクラス深海棲艦は同種の艦船型を大きく陵駕する性能を手に入れていたことだ。

凄まじい火力、常識はずれの機動力、速度こそ大きく変わらないものの攻撃が効かないのをいいことに接近し格闘戦まで挑んで来るこれらの人型深海棲艦に対して人類は為す術が無かった。

何より、この形態になると人類唯一の牙である無誘導兵器すら一切の効果を発揮しなくなってしまう。

バリアのようなものに阻まれあらゆる兵器が命中しなくなるのだ。

唯一幸いな事は、何故かこの人型深海棲艦は陸地に上陸しないことだろう。

勿論、その後の戦況を考えれば何の救いにもならないのだが……。

フラグシップクラスまで現れた深海棲艦の圧倒的な戦闘力を前に人類は制海権の大部分を喪失。

2023年になる頃には車輌型や要塞型の深海棲艦までもが現れ、オーストラリアやアフリカ大陸、中国大陸やロシア、南米大陸の大半が制圧され欧州すらも戦場を陸上に移しつつあった。

戦いは最早、如何に人類を延命させるかという絶望的なものに変わっていた。

しかし、2025年。

日本でとある兵器が開発されたことにより戦況は一変する。

始まりは、2024年に深海棲艦によって滅ぼされた異世界から妖精と呼ばれる人々がこの世界に逃れてきたことによる。

彼らとの協力の元、オカルト要素すら含んだ新兵器開発が進められた。

そして、それは確かに実を結んだ。

艦艇を建造する材料……すなわち鋼材、木材、錫、ゴム等々を依代に、かつて海で散った艦艇を少女として召喚する超常兵器、[艦娘]である。

普段は普通の少女だが、いざ艤装を背負い海へと繰り出せば人型深海棲艦と同じく身長50mに達する巨人となり人型深海棲艦と同等かそれ以上の力を発揮する戦乙女へと変身するのだ。

こうして、通常の深海棲艦どころかフラグシップクラスとも戦える力を手に入れた人類は妖精や艦娘と共に反攻を開始した。

こうして、2025年の半ばにはある程度の制海権を取り戻し戦況を圧倒的不利から膠着状態にまで押し戻すことに成功するのだった。

 

 

 

 

 

艦娘が実用化される以前から、着弾する弾頭自体に高性能な誘導装置(半導体を始めとする各種電子装置等)を用いてさえいなければ現代技術を使った兵器でも深海棲艦に打撃を与えられることは判明していた。

即ち、ミサイル等の現代兵器でも、着弾時に電子機器を脱落させてただのロケットとなっていれば効果を発揮したのだ。

元々、無誘導兵器ならば深海棲艦に対してもある程度効果を発揮することは分かっていた。

それに加えミサイル兵器を大々的に復活させられれば、通常兵器、通常戦力でも深海棲艦と互角に渡り合えるかも知れない。

ほんの僅かにでも戦力不足を解消したい日本は藁にも縋る思いで研究を開始した。

これらを元に健造、改装された通常艦艇、それらによって再編された艦隊はフラグシップ相手にはともかく、艦船型深海棲艦と戦うなら十分な性能を発揮出来た。

特に海上護衛や哨戒に艦娘を割く必用が無くなったのは非常に大きな成果だろう。

同時に、正面作戦においても艦娘を支援、補助する分にも十分な戦力となった。

つまり、強力なレーダー、ソナーを備え無誘導式の対空/対潜装備で武装した艦で決戦海域まで艦娘部隊を護衛する……という戦法が想定されたのだ。

そんな中で第5艦隊は編成された。

戦艦や正規空母、イージス巡洋艦等の主力級艦艇を揃えた艦隊で、決戦時においても艦娘との連携を企図した艦隊だ。

とは言え想定された戦術からすれば傍流であることは変わらない。

はっきり言って、自衛隊上層部からはあまり期待された部隊ではなかった。

配備される艦の多くは深海棲艦出現以前の艦を改修した旧式艦、人員も艦娘開発以前に間に合わせで導入された数合わせ将兵達。

その光景をして心無い者に海軍の吹溜りとまで称した。

ともかく2026年初頭、第5艦隊は産声を上げた。

それは、数多の将兵、艦艇、艦娘達にとって更なる激戦の幕開けでもあった。



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通常戦力―装備―

21式406mm50口径砲

 

対深海棲艦用に新規開発された大口径砲。

各種技術の進歩により往年のそれとは隔絶した性能を有する。

発射速度は分速7発。

対空砲弾は準備されておらず、対艦/対地専用。

 

 

 

 

 

22式203mm60口径砲

 

対深海棲艦用に新規開発された両用砲。

発射速度は分速30発、実用発射速度は22発にもなる。

この発射速度と、レーダー・リンクやレーザー測距による高精度によって深海棲艦の巡洋艦以下の艦艇を蜂の巣にすることが期待されている。

 

 

 

 

 

20式155mm50口径砲

 

対深海棲艦用に新規開発された両用砲。

ミサイルが無力となった現代戦において対艦、対空火力を担う……予定だったが、203mm砲や25式127mm砲が相次いで完成したため完全に出番を失ってしまった。

発射速度は分速47発、実用なら40発と決して性能が悪い訳ではない。

 

 

 

 

 

25式127mm48口径速射砲

 

対深海棲艦用に新規開発された両用速射砲。

発射速度は脅威の分速67発。

実用でも60発となる。

駆逐艦の主砲や複数連装砲塔による弾幕形成、敵中小艦艇への打撃、大型艦への牽制と、多目的な使い方をされる。

 

 

 

 

 

40mm連装ガトリングCIWS「アイアン・ガーダー」

 

対空ミサイルが無力となった対深海棲艦戦争において、速射砲と既存のCIWSの射程の隙間を埋める中威力対空火器の開発は海軍にとって急務であった。

そこで白羽の矢が立ったのがコールチクCIWSだ。

これを元に新型CIWSとして改設計されたのが[アイアン・ガーダー]である。

ガトリング砲2基をマウントした姿は非常に凶悪。

威力、精度、追随性共に申し分無く、主力対空火器として用いられている。

有効射程4000m、発射速度は1銃身につき毎分4000発。

 

 

 

 

 

20mmガトリングCIWS「ファランクス」block3

 

これまでの改良に加え艦内に弾薬庫を設置し、[近接防空で弾幕を展開する対空砲]に改造されたファランクス。

他にも、新型のレーザー、イメージ照準装置が追加されている。

艦の最終防御兵器であり、これを突破されれば後は手動管制の機銃のみである。

有効射程1400m、発射速度は毎分4200発。

 

 

 

 

 

15式300mm12連装対潜ロケットランチャー

 

RBU-6000を元に設計された対潜ロケット発射機。

短魚雷で撃沈しきれない敵潜に対抗すべく開発された。

 

射程200m~5100m。

 

 

 

 

 

22式半誘導対艦弾 スピア

 

ハープーンを元に対深海棲艦用に開発された新型対艦ミサイル。

俗に突入弾とも。

600km/hで巡航し目標手前で弾体が崩壊、内蔵された500kgロケット弾が発射される仕組みとなっている。

弾頭には、装甲貫徹用の徹甲榴弾、弾片を撒き散らす散弾の2種がある。

これにより深海棲艦にもダメージが与えられるが、既存の対艦誘導弾と比べれば内臓ロケットという構造上必然的に威力、命中精度は大きく低下している。

特に射程と貫通力が不足しており重装甲の戦艦や重巡洋艦相手では分が悪く、当然フラグシップクラス相手には決定打たり得ない。

回避運動も出来ないので巡航時に敵機や対空砲火による迎撃で撃墜される危険性も高い。

また、母艦や母機からの誘導を受けずに自己判断で目標に突入する場合、反射波の大きな目標……即ち戦艦や重巡、フラグシップクラス等に逸れる可能性が高く、効果が見込めない場合も多い。

慣性飛行後高高度からなら直接、低空からならホップアップしてから距離500mで無誘導化、降下角80度、1040km/hで目標に急降下するモードと、低空をシースキミングし距離400mから無誘導化、700km/hの速度で舷側に突入するモード、どちらかで地上目標に突入するモードの選択が可能。

ハープーンキャニスターに搭載可能な為、旧式艦でも運用可能。

 

最大射程38000m

 

 

 

 

 

21式ロケット補助型飛翔魚雷 スクイード

 

スピア同様対深海棲艦用の新型ミサイル。

520/hで巡航、目標手前1200mまで接近するとエアブレーキ及びパラシュートを展開し減速、速度が450km/hに達し次第弾体が崩壊し無誘導魚雷が投下される仕組み。

磁気信管を採用しているので艦底爆発さえ出来れば大型艦に致命傷を与えられる可能性もある。

が、魚雷という兵器の性格上直進しない場合もあり、速度の関係で巡航時のみでなく投下直前に撃墜される可能性が非常に高くなっている。

巡航ミサイル程のサイズがあるため、相応の装備の艦しか搭載出来ない。

 

速度520km/h

最大射程32000m

雷速38kt

魚雷航走距離2000m

 

 

 

 

 

22式対地爆撃弾 グレートアクス

 

巡航ミサイル。

散弾式で目標上空で炸裂する。

一応徹甲弾頭を選択すればバンカーバスターの真似事が出来るが、深海棲艦に対しては直撃させると効果が無いため地下施設や装甲目標の破壊はほぼ不可能。

 

最大射程4000000m

 

 

 

 

 

SD1400X対艦対地誘導爆弾 ルールシュタール/クラマーX-7

 

通称フリッツX7。

フリッツXことルールシュタール/クラマー誘導弾にバンパイア暗視装置を応用した原始的な撃ちっ放し赤外線誘導装置を組み込んだもの。

飛行能力は無いが誘導爆弾として運用可能であり、かつ大型艦や重装甲/地下施設に打撃を与えうる兵器として開発された。

艦娘開発まで人類の延命に一役買った兵器である。

 

 

 

 

 

無誘導徹甲爆弾

 

航空機用の無誘導投下型爆弾。

深海棲艦に対して有効打を与える為に徹甲能力を強化され、かつあらゆる誘導装置を用いていない。

対小型艦用の250㎏、中小型艦用の800㎏、大型艦用の1t、2tが用意されている。

 

 

 

 

 

対潜誘導弾 ボムアスロック

 

アスロックの対深海棲艦バージョン。

当初はアスロックも短魚雷で運用されていたのだが、直接命中させても効果が無い以上往年の爆雷の如く敵潜下方で魚雷を自爆させ、爆圧で攻撃せざるを得なかった。

それすら今一効果薄。

わざわざ高価な短魚雷を使うくらいならそもそも対潜爆弾を投下した方が安くてしかも効果的と言う訳で、短魚雷ではなく多数の小型対潜爆弾を届けるミサイルとなった。

 

最大射程18000m

 

 

 

 

 

22式長魚雷

 

艦艇や航空機から投下される533mm長魚雷。

アナログ計算機によるジャイロを搭載しており電子機器は使用していない。

故にホーミング能力は皆無である。

酸素魚雷と比べ射程で劣るが直進性能や速度、破壊力で勝る。

スクイードの弾頭はこれを小型化した480mm長魚雷である24式長魚雷が用いられている。

 

雷速55kt

航走距離20000m

 

 

 

 

 

17式短魚雷

 

艦艇や航空機から投下される324mm短魚雷。

従来式のハイテク魚雷であり、直撃した場合深海棲艦に対しては一切効果が無い。

基本的には水中爆発による艦底攻撃に使用される。

弾片や爆風、水中衝撃波であっても、ハイテク兵器からの加害では深海棲艦への被害は極小規模である。

それでも、潜水艦のような装甲の薄い目標には一定の効果を発揮することが出来た。

いくら現代艦艇の対潜能力が超越的とは言え、待伏せや偶発的状況下での敵潜接近は有り得ないことではない。

即応性や対処能力を鑑みて、多少高く付いても海自は短魚雷の装備を決定したのである。

 

雷速50kt

航走距離7000m




こんなんある訳無いやろう!と突っ込みつつお読み下さい


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通常戦力―艦艇―

ひなぎく型航空母艦

 

全長 319m

全幅 81m

速力 32kt

 

武装

127mm48口径連装速射砲

2基

 

40mm連装CIWS

8基

 

20mmCIWS

12基

 

300mm12連装対潜ロケットランチャー

2基

 

324mm3連装魚雷発射管

2基

 

リニアカタパルト

4基

 

艦載機

82機(予備機12機)

 

 

対深海棲艦戦闘における中核戦力として建造された大型空母。

アドミラル・クズネツォフ級とニミッツ級を元に設計されており、特に艦橋はロシア風の大型のものになっている。

深海棲艦に対してミサイルによる攻撃は効果が無く、それは艦載機に関しても同じであった。

ジェット戦闘機による迎撃も、雲霞の如く押し寄せる深海艦載機の完全迎撃は不可能であった。

結果、現代艦であっても速射砲の射程内で戦わざるを得ない事態が多発した。

それは空母であっても変わることはなく、本型も強力な個艦防空能力と防御能力が求められた。

ロシア風の過剰な程の対空火器はそれ故である。

幅広の飛行甲板に更に対空火器用の広大なスポンソンが備えられているが、艦体がそもそも巨大なので安定性は非常に高い。

ミサイル戦能力は、当初はVLSを搭載する計画だったが深海棲艦に対してミサイルによる攻撃が一切効果を示さなかった為全く装備していない。

艦載機は最大で94機搭載可能。

拡張する余裕もあり、定数ならば常時全機艦内格納可能。

艦首にリニアカタパルトを4基備え、強力な航空機運用能力を有する。

機関はガスタービンが搭載されている。

非常に強力な空母であるが、艦娘の開発により主力としての役目を完成する前に喪失した。

元は6隻建造予定だったが、1番艦は建造中に破壊され、3番艦は建造中止、4番艦以降は計画中止。

1、3番艦の艤装を共食いして2番艦「なでしこ」のみが完成した。

 

 

 

 

 

のと型軽航空母艦

 

全長 248m

全幅 38m

速力 34kt

 

武装

40mm連装CIWS

2基

 

20mmCIWS

4基

 

リニアカタパルト

2基

 

艦載機

24機(予備機3機)

 

 

旧いずも型航空護衛艦を航空母艦として再設計した艦型。

固定翼機はSTOVLもしくはVTOL機しか発着出来ないが、航空機用のジャンプ台ではなくリニアカタパルトを備える本格的空母である。

原型艦とは違いRAMは装備されず、艦橋の前後に40mm連装CIWSを備え、スポンソンを拡大し艦首、艦尾左右にファランクスCIWSを装備。

艦娘部隊に随伴する艦隊の旗艦として運用する為急ピッチで艤装中。

 

 

 

 

 

改モンタナ級戦艦

 

全長 280m

全幅 36m

速力 32kt

 

武装

406mm50口径3連装砲

3基

 

127mm48口径連装速射砲

6基

 

40mm連装CIWS

4基

 

20mmCIWS

2基

 

半誘導対艦弾4連装キャニスター

4基

 

4連装箱型装甲ランチャー

8基

 

 

対深海棲艦戦闘における中核戦力として建造された戦艦。

米国のモンタナ級を元に艦上構造物をアイオワと同一化した。

近代化改装もほぼ同じものが施されたが、電子装備は比較的新型に、両用砲は新型の速射砲に、CIWSは連装のものに換装されている。

また、両用砲の撤去により不要になった射撃指揮装置は多目的射撃管制装レーダーと換装。

艦橋上部と艦尾側のレーダーの前には台座を設置しファランクスCIWSを装備、火力の強化を図っている。

装甲箱型ランチャーも再装填可能なものに換装され、対潜対艦火力も大きく強化。

機関もガスタービンが備えられ機動性が大きく向上。

対深海棲艦対応艦として強力な艦となっている。

空母と同じく艦娘の開発により主力としての役目を喪失した。

元は4隻建造予定だったが、1番艦「いずも」のみが完成。

 

 

 

 

 

ふじ型重巡洋艦

 

全長 215m

全幅 23m

速力 37kt

 

武装

203mm60口径3連装砲

3基

 

127mm48口径連装速射砲

4基

 

40mm連装CIWS

4基

 

20mmCIWS

2基

 

VLS

32セル

 

300mm12連装対潜ロケットランチャー

2基

 

324mm3連装魚雷発射管

2基

 

艦載機(回転翼機)

3機

 

 

砲撃戦主体の大型巡洋艦。

VLSは後艦橋に組み込まれるように装備された32セルのみでミサイル戦能力付与は最低限となっている。

これは対深海棲艦新型艦艇の多くに共通する設計でもある。

基本的にはその主砲をもってして艦娘への中小艦艇接近を阻止することが主任務となるが、各種火器による防空任務も可能。

 

 

 

 

 

くらま型防空巡洋艦

 

全長 215m

全幅 23m

速力 35kt

 

武装

127mm48口径連装速射砲

10基

 

40mm連装CIWS

4基

 

20mmCIWS

4基

 

VLS

32セル

 

300mm12連装対潜ロケットランチャー

2基

 

533mm4連装魚雷発射管

2基

 

 

あやせ型の派生でアトランタ級の如く速射砲を搭載した防空艦。

従来のミサイル主体の防空艦は対深海艦載機戦闘においてほとんど役に立たなくなってしまった。

これはイージス艦であっても変わることはなく、往年の秋月型やダイドー級、アトランタ級に類する防空艦の設計が必要であった。

あやせ型の大規模な艦体に目を付けた海軍は、それに多数の速射砲を搭載する方向で改設計を行う。

また、艦上構造物の簡略化を行い、生産性の向上も行われている。

こうして23式127mm速射砲の圧倒的な連射性能により片舷だけでも1分間に960発という膨大な砲弾を送り込むことが出来る強力な防空艦として生まれ変わったのが本級である。

対空任務のみならず対中小艦艇に対する迎撃能力も卓抜しており、接近戦に際しては長魚雷による打撃も視野に入れた海自期待の新鋭打撃艦である。

 

 

 

 

 

よしの型軽巡洋艦

 

全長 190m

全幅 18m

速力 36kt

 

武装

155mm50口径連装速射砲

4基

 

40mm連装CIWS

2基

 

20mmCIWS

4基

 

VLS

16セル

32セル

 

4連装箱型装甲ランチャー

4基

 

300mm12連装対潜ロケットランチャー

2基

 

533mm4連装魚雷発射管

2基

 

艦載機(回転翼機)

1機

 

 

細長い艦体の艦首側に主砲が2基背負い式で搭載し、そこから甲板より1段高くなって32セルのVLSと40mm連装CIWSが備えらている。

のっぺりした箱型の艦橋の左右にはファランクスCIWS。

艦橋と繋がった第1煙突を過ぎると台座に装甲ランチャーが備えられ、次いで第2煙突へと繋がる。

ヘリ格納庫と一体化したこれまた武骨な箱型の後艦橋に組み込まれて16セルVLS。

左右にはファランクス、甲板に魚雷発射管。

後艦橋上部に連装CIWS、艦尾甲板にヘリ甲板が備えられ、一段甲板を下げて主砲、対潜ロケットへと続く。

元々はくらま型の地位に着く筈だったが、わざわざ155mm砲でなくとも127mmで問題無くなってしまった為宙ぶらりんになってしまった艦級でもある。

 

 

 

 

 

改タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦

 

全長 172.4m

全幅 16.7m

速力 30kt

 

武装

127mm54口径単装速射砲

2基

 

20mmCIWS

2基

 

VLS

61セル×2

 

324mm3連装魚雷発射管

2基

 

艦載機(回転翼機)

2機

 

 

米国のタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の設計を購入し再設計したのが本級である。

誘導兵器が全く効果を示さなかった為、少数で建造は終了。

長らく海上移動レーダーとしてしか運用されてこなかったが、第5艦隊編成の折に各所に対深海棲艦装備を施され現役復帰。

ハープーンキャニスターは、VLSに山ほど対艦ミサイルを積むのにわざわざ要らないということで撤去されている。

 

 

 

 

 

改はたかぜ型ミサイル巡洋艦

 

全長 175.3m

全幅 16.4m

速力 30kt

 

武装

127mm54口径単装速射砲

2基

 

20mmCIWS

4基

 

半誘導対艦弾4連装キャニスター

2基

 

単装ミサイル発射機

2基

 

アスロック8連装発射機

1基

 

300mm12連装対潜ロケットランチャー

2基

 

324mm3連装魚雷発射管

2基

 

艦載機(回転翼機)

2機

 

 

はたかぜ型の対深海棲艦対応装備艦。

と言っても基本装備は変わらず、タイコンデロガ級等と大して変わらない扱いである。

大きな改装点としては、艦全体が延長され後艦橋にはヘリ格納庫が増設された。

それに伴いヘリ甲板は格納庫直後へ、その後方に発展型ターター、後部主砲はそれらの後ろまで移設。

CIWSも増設され、近接防空能力も強化。

艦の大型化により艦種を巡洋艦に変更された。

 

 

 

 

 

改スラヴァ級ミサイル巡洋艦

 

全長 186m

全幅 20.8m

速力 32kt

 

武装

127mm48口径連装速射砲

1基

 

40mm連装CIWS

2基

 

20mmCIWS

4基

 

VLS

61セル

 

半誘導対艦弾4連装キャニスター

8基

 

単装ミサイル発射機

2基

 

300mm12連装対潜ロケットランチャー

2基

 

324mm3連装魚雷発射管

2基

 

艦載機(回転翼機)

1機

 

 

半誘導対艦弾の開発開始によりミサイルによる人型深海棲艦撃破の可能性が示唆された。

このことから特に対艦誘導弾飽和攻撃力を有するスラヴァ級に白羽の矢が立った。

ライセンスを購入し再設計、建造されたが艦娘が主力とされ役目を喪失した。

タイコンデロガ級等と同じく海上移動レーダーとなっていた。

 

 

 

 

 

ゆきづき型防空駆逐艦

 

全長 150m

全幅 18m

速力 37kt

 

武装

127mm48口径連装速射砲

4基

 

40mm連装CIWS

4基

 

20mmCIWS

2基

 

VLS

32セル

 

300mm12連装対潜ロケットランチャー

2基

 

324mm3連装魚雷発射管

2基

 

 

新たに設計された防空駆逐艦。

連装速射砲を前後に背負い式で2基ずつ搭載。

32セルVLSが艦中央に装備されている。

速力も艦娘に随伴出来るようかなり高速に設定されている。

新規艦艇としては相当数が量産される予定であり、今後艦娘護衛艦隊の主力となる艦である。

 

 

 

 

 

ふゆしま型駆逐艦

 

全長 151m

全幅 17.4m

速力 38kt

 

武装

127mm48口径連装速射砲

2基

 

40mm連装CIWS

2基

 

20mmCIWS

2基

 

VLS

32セル

 

半誘導対艦弾4連装キャニスター

2基

 

300mm12連装対潜ロケットランチャー

2基

 

324mm3連装魚雷発射管

2基

 

 

たかなみ型護衛艦を元に設計された汎用駆逐艦。

比較的高価であるゆきづき型とのハイローミックスを目的に建造された。

ヘリ設備を全廃し、代わりに後艦橋がこんごう型に近似した形状になっている。

すでに多数の艦が就役し、対潜、防空哨戒任務に就いている。

 

 

 

 

 

改あさひ型駆逐艦

 

全長 151m

全幅 18.3m

速力 30kt

 

武装

127mm54口径単装速射砲

1基

 

20mmCIWS

2基

 

VLS

32セル

 

半誘導対艦弾4連装キャニスター

2基

 

300mm12連装対潜ロケットランチャー

2基

 

324mm3連装魚雷発射管

2基

 

艦載機(回転翼機)

1機

 

 

あさひ型護衛艦の対深海棲艦モデル。

とは言え対潜ロケットを増設した程度の改装であり「生き残っていた艦を再利用した」感は否めない。

やはり海上移動レーダーとしてばかり運用されていた。

 

 

 

 

 

改ウダロイ級駆逐艦

 

全長 163.5m

全幅 19.3m

速力 35kt

 

武装

127mm48口径単装速射砲

2基

 

20mmCIWS

4基

 

半誘導対艦弾4連装キャニスター

2基

 

VLS

16セル×2

 

300mm12連装対潜ロケットランチャー

2基

 

533mm4連装魚雷発射管

2基

 

艦載機(回転翼機)

2機

 

 

日本海軍が近接防空能力の強化として目を付けたのはロシア艦だった。

ライセンス艦として再設計を行い少数ながら艦隊に配備。

よしの型に随伴し敵艦隊に長魚雷を放つ往年の水雷戦隊を思わせる戦術が想定されていたが、艦娘の開発を受けその機会を逸した。

 

 

 

 

 

改ソブレメンヌイ級駆逐艦

 

全長 156.4m

全幅 17.1m

速力 35kt

 

武装

127mm48口径連装速射砲

2基

 

20mmCIWS

4基

 

半誘導対艦弾4連装キャニスター

2基

 

単装ミサイル発射機

2基

 

300mm12連装対潜ロケットランチャー

2基

 

324mm3連装魚雷発射管

2基

 

艦載機(回転翼機)

1機

 

 

ウダロイと同様の経緯でライセンスを購入した艦。

ミサイルランチャーは発展型ターターに、対艦ミサイルは半誘導対艦弾に換装されている。

機関もガスタービンに変更され、高速、高機動化。

これも少数ながら艦隊に配備されている。

 

 

 

 

 

はざくら型駆逐艦

 

全長 142m

全幅 14.5m

速力 30kt

 

武装

127mm48口径単装速射砲

1基

 

20mmCIWS

2基

 

単装ミサイル発射機

1基

 

300mm12連装対潜ロケットランチャー

2基

 

324mm3連装魚雷発射管

2基

 

 

艦載機(回転翼機)

1機

 

 

O・H・ペリー級を参考に建造された安価な駆逐艦。

艦体は大型化しており艦首に127mm速射砲、艦上構造物上に発展型ターターを装備。

CIWSも左右に1基ずつ装備し近接防空能力が大幅に強化されている。

かつての海防艦の如く船団護衛に大量配備されている。

 

 

 

 

 

みいけ型補給艦

 

全長 242m

全幅 29.5m

速力 25kt

 

武装

20mmCIWS

1基

 

艦載機(回転翼機)

1機

 

 

ましゅう型の後継艦。

総合戦闘支援艦でありひなぎく型空母を中核とする機動部隊に随伴することを目的としていた。

12隻調達の予定だったが、空母の調達数減少を受け3隻で建造が終了した。

 

 

 

 

 

改みいけ型艦娘母艦

 

全長 244m

全幅 29.5m

速力 25kt

 

武装

20mmCIWS

4基

 

艦載機(回転翼機)

2機

 

 

建造中及び一部のみいけ型を艦娘母艦に改造した艦。

艦橋を艦前部に移動させ、艦尾側には艦娘38人を運用可能な格納庫とスロープを装備。

外洋でも艦娘が等身大で移動可能となり作戦行動範囲を劇的に向上させた。

 

 

 

 

 

くなしり型艦娘母艦

 

全長 178m

全幅 25.8m

速力 28kt

 

武装

76mm64口径単装速射砲

1基

 

20mmCIWS

2基

 

艦載機(回転翼機)

2機

 

 

おおすみ型輸送艦を元に設計された艦娘母艦。

最大で60人の艦娘を運用可能であり、現在急ピッチで建造中である。



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通常戦力―航空兵器―

Su-33J シー・フランカー

 

ロシアのSu‐33を元に設計された、対深海棲艦単座艦上戦闘機。

機体を再設計し偏向ノズルを装備したこともありSu‐35Sを超える全領域、速度帯での圧倒的な機動力を発揮可能。

一応原型機と同じように12箇所のハードポイントを備えているが対空ミサイルを装備するのは希で、専ら20mmガトリング砲のガンポッドかロケットポッド、半誘導対艦弾、爆弾を翼下に搭載して任務に当たる。

非公式ながらジャパンフランカーと呼ばれることもある。

固定武装は20mmガトリング砲1門。

速度と上昇下降能力を生かして一撃離脱を基本戦法とするが、時速400km~700kmでの巴戦も可能。

他にも爆弾等8t、魚雷等2発を搭載可能。

 

最高速度2673km/h

航続距離1600km

 

 

 

 

F-15SJ アサルト・イーグル

 

F‐15にカナード翼、偏向ノズルを装備し機体も再設計された対深海棲艦単座制空戦闘機。

ステルス機よりもとにかく機動性のある戦闘機を欲した空自がF‐15S/MTDを元に開発した機体で、本土防空の主力でもある。

固定武装は20mmガトリング砲1門。

E型には劣るが対地能力も有しており、爆弾やロケットを搭載しての対地任務も可能。

 

最高速度2651km/h

航続距離2000km

 

 

 

 

F/A-2 ストライク・バイパー

 

F-2の改設計機。

機体が更に大型化し、新型ノズルを備えた複座艦上支援戦闘機。

陸上型はF-2Cと呼称される。

主任務は対艦攻撃で、もっぱら遠距離から半誘導対艦弾による飽和攻撃を行う。

爆弾7t、魚雷等4発を搭載可能。

固定武装は20mmガトリング砲1門。

 

最高速度2448km/h

航続距離1600km

 

 

 

 

 

RF-4EJ改二 ファントム・アイ

 

フラグシップクラスの深海棲艦はレーダー反射波が大きく探知し易いと同時に、反射波の形状だけでは艦種特定が困難と言う特徴があった。

そこで早期警戒機のみでなく目視と映像で深海棲艦を捕捉し、尚且つ生存出来る高速偵察機の必要性が発生した。

そこで、RF-4EJ改を改設計再生産したのが本機である。

特に電装系の改造は最早新設計と言っても過言ではなく、「外見以外は別の機体」とまで称される。

最大航続距離は2000kmに達し、速度を生かして触接任務にも用いられている。

 

最高速度2383km/h

航続距離2000km

 

 

 

 

 

E-2F スーパーホークアイ

 

旧式化したE‐2ホークアイの再生産強化型。

索敵能力及びエンジンの強化が行われている。

 

最高速度720km/h

航続距離3500km

 

 

 

 

 

SH-60K シーホーク

 

SH‐60K哨戒ヘリの再生産型。

基本性能は変わらないが、量産によりコストが大幅に低下した。

対潜作戦の為に対潜爆弾の搭載量が強化されている。

 

最高速度260km/h

航続距離800km



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深海棲艦―通常艦船型―

空母種

 

ヲ級航空母艦A型

 

空母種の中では最大級の通常艦艇型深海棲艦。

全長280m程で、搭載機数70から80機。

蒸気タービンと思しき機関を搭載し、32ktの最大速力を発揮可能。

非アングルドデッキで背の高いアイランドブリッジを右舷に備える、第二次大戦型の空母としてはオーソドックスな艦影。

航空艤装は、カタパルトは現時点では装備されておらず、六角形の舷側エレベーターが右舷に4基、左舷に2基確認されている。

煙突は、改装以前の空母〈加賀〉のように艦尾まで延長された細長いモノを両舷に装備。

武装は45口径12.7cm連装高角砲10基、38mm4連装機銃10基、20mm単装機銃多数が平均的。

装甲空母ではないため飛行甲板への攻撃は非常に有効。

また、ダメコン能力もあまり高くなく、被弾後弾薬や燃料に誘爆する艦が後を絶たない。

 

 

 

 

 

ヲ級航空母艦B型

 

艦首側スポンソンを縮小して高角砲を減らした代わりに15.2cm連装砲を備えたヲ級。

空母だからと言って迂闊に接近すると手痛い反撃を受ける。

代わりに格納庫が圧迫され、搭載機は60機を僅かに越える程度。

また、砲を積んだ故に艦首に重心が寄っている為航行能力が低下、速力も31ktまで低下している。

 

 

 

 

 

ヌ級航空母艦

 

護衛空母、軽空母に当たる通常艦艇型深海棲艦。

全長180m程で、搭載機数40から50機。

蒸気タービンと思しき機関を搭載し、32ktの最大速力を発揮可能。

ヲ級と同じく、第二次大戦型の空母としてはオーソドックスな艦影。

航空艤装は、カタパルトは現時点では装備されておらず、六角形のエレベーターが艦中央と艦尾側甲板に1基ずつ確認されている。

煙突は艦橋後方に細長い直立式のモノを2本備える。

武装は45口径12.7cm単装高角砲4基、38mm4連装機銃6基、20mm単装機銃多数が平均的な武装となっている。

小型ながら攻撃型空母であり、主力機動部隊に編成されることが主で船団護衛や通商破壊に投入されることはほとんど無い。

 

 

 

 

 

 

戦艦種

 

レ級航空戦艦

 

現在確認されている通常艦艇型深海棲艦では最大級で、全長490m、全幅81mの超巨大艦である。

全体としては、戦艦の左右に空母が接続されたような姿となっている。

艦上構造物はアイオワ級に酷似しているが全体的に巨大化、複雑化しており煙突も極太。

武装は主砲に45口径40.6cm3連装砲を装備。

艦首側に高雄型や妙高型のような山型配置で3基、艦上構造物を挟んで艦尾側に同じく山型で3基、計6基を装備。

副砲には50口径15.2cm3連装砲を煙突左右に3基ずつ、計6基装備。

艦尾はスロープ状になっており、小型潜水艇を投入する軌条を2基備える。

飛行甲板側の艦尾は潜水艇格納庫となっているようで、6から8隻の潜水艇を搭載している模様。

艦載機数は片舷60から80機で、主に戦闘爆撃機を搭載。

舷側エレベーターを片舷6基、両舷合わせて12基備える。

対空火器として45口径12.7cm連装高角砲8基、38mm4連装機銃20基、20mm単装機銃32基を中央部に装備。

スポンソンには両舷で高角砲12基、38mm4連装機銃16基、20mm単装機銃20基を装備している。

1隻で戦艦と空母2隻分ずつの戦闘力を有する超兵器である。

ただ、弱点が無い訳ではない。

巨体故に速力は最大でも20ktしか出ず、機動力も劣悪。

8軸のスクリューと4枚の舵という膨大な数の推進装置は僚艦や護衛のソナーを使用不能にする騒音の元にもなる。

また防御も完璧とは言えず、バイタルパートこそ対41cm砲対応装甲が備えられているが、飛行甲板や潜水艇格納庫はほぼ非装甲。

致命的なのは潜水艇用魚雷格納庫も非装甲であること。

煙突にも特別な防御装甲が備えられている訳ではないので、被弾した場合機関への被害が考えられる。

超兵器ではあるが、撃沈不可能なバケモノではない。

 

 

 

 

 

タ級戦艦

 

戦艦級通常艦艇型深海棲艦で細長い艦体を3つ束ねたトリマランハル艦。

全長はメインハルが230m程、左右のサブハルが200m程。

全幅は約40m。

主砲に45口径40.6cm3連装砲を搭載。

メインハル艦首側に1基、サブハル中央に背中合わせで2基ずつ、総計で5基。

副砲として艦橋と後部指揮所間の段差に50口径15.2cm3連装砲を装備。

片舷に2基、計4基。

対空火器は45口径12.7cm連装高角砲8基、38mm4連装機銃8基、20mm単装機銃32基。

装甲は対41cm砲対応をバイタルパート全体に備え、しかもトリマランハル故に高い耐久性を有する。

蒸気タービンと思しき機関を搭載し、28ktの最大速力を発揮可能。

機関を分散配置しているらしく、メインハルに2軸、サブハルに1軸ずつスクリューを装備。

煙路は集合させているようで、煙突は格納庫と一体化した後部指揮所にマック方式で装備された極太1本のみ。

後部甲板は飛行甲板となっており、水偵を30機以上搭載。

カタパルトも後部に2基、両舷に2基備えられている。

指揮通信能力にも優れており、一種の情報収集艦だと考えられている。

外見こそ奇抜だが、非常にバランス良く仕上がった高速戦艦である。

 

 

 

 

 

ル級戦艦A型

 

戦艦級通常艦艇型深海棲艦。

レ級、タ級と違って極普通の戦艦。

全長は210m程。

全幅はかなり太く36mに達する。

蒸気タービンと思しき機関を搭載し、23ktの最大速力を発揮可能。

煙突は2本の細いものを前後に配し、屈曲させて中央で1つに束ねるという形状。

主砲は45口径40.6cm連装砲で艦首、艦尾側共に背負い式で2基ずつ、計4基装備。

副砲に50口径15.2cm砲をケースメイト式で16基装備。

対空火器は45口径12.7cm単装高角砲6基、38mm4連装機銃4基、20mm単装機銃20基装備。

艦尾にカタパルトを1基備え、水偵1機を搭載。

防御装甲は、対36cm砲対応と少々薄い。

これは、重量を抑え速度を確保するための苦肉の策のようだ。

 

 

 

 

 

ル級戦艦B1型

 

ル級の改良発展型。

バルジの大型化と装甲の強化により、41cm砲に対応した防御力を得る。

艦上構造物も近代化し、機銃も増設。

高角砲は連装4基に改め、対空火力は大幅に増強された。

副砲はケースメイト式のモノは全て撤去され、三連装の砲塔式が舷側に2基ずつ計4基に改められた。

これらの改装により排水量は増大したが、機関出力を強化した為速力は23ktを維持。

非常に強力な戦艦へと進化した。

 

 

 

 

 

ル級戦艦B2型

 

ル級のさらなる発展型。

全長を240mにまで延長し、艦上構造物を余裕のある設計に変更。

対空火器の配置も効率化。

副砲も両舷に1基ずつ増設され、総計6基となった。

全長を大幅に延長したこと、艦容積の増大で更に機関を大出力化したことにより速力は28ktまで上昇。

現在ル級と言えばこの艦級を指す。

深海棲艦屈指と名高い名艦となった。

 

 

 

 

 

 

巡洋艦種

 

ネ級重巡洋艦

深海棲艦の新型巡洋艦。

タ級よりも特徴的なトリマランハル艦。

全長は、センターハル190m程、サブハル100m程。

主砲は50口径20.3cm3連装砲を艦首側に2基、サブハル中央に1基ずつ、艦尾側に1基の計5基。

新型の50口径13.3cm連装高角砲を艦橋前後の一段高い位置に1基ずつと、艦上構造物脇に2基ずつ、計6基搭載。

機銃は38mm4連装9基、20mm単装機銃多数。

魚雷はサブハルの主砲前後に53.3cm4連装の発射管が1基ずつ。

航空艤装は、センターハル艦尾にカタパルトが2基。

装甲に関しては、対20cm砲対応装甲を存分に施されており、かなりタフな艦となっている。

速力は重装甲ながらトリマラン形状なこともあり36ktと高速。

 

 

 

 

 

リ級重巡洋艦A型

 

重巡洋艦級通常艦艇型深海棲艦。

全長200m、全幅19mのスマートな艦体に50口径20.3cm3連装砲を艦上構造物を挟んで前後に2基ずつ背負い式で搭載。

角張った艦橋と後部指揮所の左右に単装高角砲を2基ずつ、両舷で計8基搭載。

機銃は、38mm4連装6基、20mm単装多数。

53.3cm4連装魚雷発射管も、片舷に1基ずつ、両舷で2基装備。

速力も36ktと高速で水偵の運用も可能という、非常に強力な巡洋艦である。

水雷戦隊に随伴して火力を提供する等、攻撃力と速力を生かした戦法を好む。

ただ、装甲は薄めでいざ撃ち合うと意外と脆弱である。

深海棲艦が過去に沈んだ艦の怨念である証拠だとも言われる艦級でもある。

実際、軍縮条約に縛られない筈の深海棲艦がわざわざ条約型巡洋艦で戦う理由は不明。

 

 

 

 

 

リ級重巡洋艦B型

 

防御力を強化したリ級巡洋艦。

装甲は対20cm砲対応装甲に強化され、誘爆の危険のある魚雷も撤去した。

高角砲も連装4基に換装し、4連装機銃を2基増設している。

重量が増したため速力は33ktまで低下しており、高速を生かした突撃よりも戦艦等に随伴する準主力艦となっている。

 

 

 

 

 

 

 

ツ級軽巡洋艦A型

 

近年出現した新型の軽巡洋艦級深海棲艦。

全長180m全幅18mとサイズは飛び抜けて大型な訳ではなく、速力も34ktとこれまた特筆して速い訳ではない。

代わりに、新型の50口径13.3cm連装高角砲を艦首側に3基、艦尾側に2基、計5基10門搭載した強力な防空巡洋艦となっている。

38mm4連装機銃5基、同連装機銃4基、20mm単装機銃多数を備え、近接防空能力も十分にある。

ただ、これに加えて巨大な艦上構造物や53.3cm4連装魚雷発射管を2基装備しており、トップヘビー気味。

 

 

 

 

 

ツ級軽巡洋艦B型

 

ツ級の改装型で、魚雷と艦中央の航空艤装を撤去し高角砲を2基増設されている。

艦橋も小型、簡略化されており、若干ではあるが安定性が向上している。

 

 

 

 

 

チ級重雷装巡洋艦

 

〈北上〉、〈大井〉によく似た魚雷が主兵装の巡洋艦。

全長は160m程。

舷側に4連装魚雷発射管5基ずつ、艦尾側に同じく3基、計13基もの発射管を備える。

凄まじい火力を持つと同時に凄まじい誘爆率を誇る艦でもある。

また、5500t級程度の艦体にところ狭しと発射管を搭載したため、砲火力や対空火器は極小規模となっている。

主砲は12.7cm連装高角砲1基を艦首側甲板に、機銃は38mm装機銃1基、20mm単装機銃7基。

速力は36ktを発揮可能だが、細身の艦体が災いし安定性は高くない。

 

 

 

 

 

ト級軽巡洋艦

 

軽巡洋艦級深海棲艦。

軽巡洋艦とは言うものの、排水量だけならば重巡に匹敵する規模を誇る。

外見は近代化古鷹型、青葉型に近似している。

全長は180m程。

兵装は、50口径15.2cm3連装砲を艦首側に2基背負い式で、艦尾側に1基装備。

高角砲は新型の50口径13.3cm連装高角砲を4基。

機銃は38mm装4連装機銃2基、20mm単装機銃8基装備。

魚雷は53.3cm 4連装発射管を2基搭載。

水偵は1機搭載可。

速力は35ktで、水雷戦隊の嚮導によく用いられる。

 

 

 

 

 

ヘ級軽巡洋艦

 

軽巡洋艦級深海棲艦。

拡大した夕張型といった艦級。

全長は150m程。

50口径14cm連装砲を艦首側、艦尾側共に背負い式で2基ずつ搭載。

対空火器として40口径12.7cm単装高角砲2基、38mm装4連装機銃2基、20mm単装機銃8基装備。

魚雷は53.3cm 4連装発射管を2基搭載。

水偵は1機搭載可。

速力は37ktと高速。

だが、細身の艦体に武装を山盛りして高速力を得た結果安定性は悪く装甲も薄い。

水雷戦隊の嚮導艦としてホ級との交換が進んでいる。

 

 

 

 

 

ホ級軽巡洋艦

 

最初期から出現している軽巡洋艦級深海棲艦。

5500t級等の嚮導巡洋艦に匹敵する艦級である。

外観はオマハ級に近似。

全長170m程。

50口径14cm連装砲を艦首側、艦尾側共に1基ずつ搭載。

対空火器として40口径12.7cm単装高角砲4基、38mm装連装機銃4基、20mm単装機銃4基装備。

魚雷は53.3cm 4連装発射管を4基搭載。

水偵は1機搭載可。

速力は34kt。

既に性能面で限界らしく主力艦隊からは姿を消しつつあるが、船団護衛や通商破壊、哨戒等では現役。

 

 

 

 

 

 

駆逐艦種

 

ニ級駆逐艦

 

深海棲艦の新型駆逐艦。

全長130m程。

45口径12.7cm単装両用砲を艦首側、艦尾側共に背負い式で2基ずつ、また艦橋後方や後部指揮所前方にも1基ずつ、計6基搭載。

38mm連装機銃3基、20mm単装機銃11基装備。

魚雷は53.3cm4連装発射管を2基。

兵装の配置等外観からフレッチャー級との類似性を指摘される。

速力も35ktと重武装駆逐艦としては十分な速度を持つ。

ただ、ソナー、爆雷等の対潜兵装はおざなりで非常に攻撃的な駆逐艦となっている。

 

 

 

 

 

ハ級駆逐艦

 

深海棲艦の大型駆逐艦。

全長140m程。

45口径12.7cm連装両用砲を艦首側、艦尾側共に背負い式で2基ずつ装備。

38mm連装機銃3基、20mm単装機銃15基装備。

魚雷は53.3cm4連装発射管を1基のみの搭載となっている。

兵装配置や外観から秋月型との類似性を指摘される。

事実、防空艦らしく空母や戦艦に張り付いていることが多い。

速力は32ktと駆逐艦としてはかなり劣速で、艦隊戦では戦艦や巡洋艦の直掩艦となることが多い。

 

 

 

 

 

ロ級駆逐艦

 

吹雪型をはじめとする日本型艦隊型駆逐艦に近似した艦級。

全長110m程。

40口径12.7cm連装砲を艦首側に1基、艦尾側共に背負い式で2基装備。

38mm連装機銃2基、20mm単装機銃8基装備。

魚雷は53.3cm4連装発射管を2基搭載。

速力は36ktで、高速ではないものの駆逐艦としては十分な速度を有する。

ニ級とのハイローミックスのローを担当している模様。

 

 

 

 

 

イ級駆逐艦A型

 

米国の平甲板型駆逐艦に近似した深海棲艦。

全長100m程。

古臭い4本煙突の艦である。

40口径12.7cm単装砲を艦首に1基、舷側に1基ずつ、計3基装備。

38mm連装機銃1基、20mm単装機銃6基装備。

53.3cm連装発射管を2基搭載。

速力34kt。

すでに性能面で限界らしくホ級軽巡同様主力艦隊からは姿を消しつつある。

 

 

 

 

 

イ級駆逐艦B型

 

イ級駆逐艦の改装型。

敢えて言うならば、高速護衛駆逐艦型。

主砲は全て撤去され、艦首側甲板に40口径12.7cm単装高角砲1基を装備している。

魚雷も撤去され、38mm連装機銃が2基増設されている。

代わりに艦尾に搭載されていた連装機銃は撤去され、爆雷投射機が装備されている。

ソナーも高性能なものを搭載しているらしく、船団護衛や哨戒、艦隊の対潜哨戒艦として配備されている。

 

 

 

 

 

 

潜水艦種

 

カ級潜水艦

 

呂号クラスの通常動力型深海棲艦潜水艦。

全長80m程。

533mm魚雷発射管を艦首に6門艦尾に4門備え、通商破壊を主に行うのが確認されている。

他に7.6cm単装砲を1基、20mm単装機銃2基を備える。

大戦期型潜水艦としては静粛性も高いものの現代センサー類には即座に探知される為活動そのものは鈍い。

速力は水上18kt、水中8kt。

 

 

 

 

 

ヨ級潜水艦

 

カ級をより大型化し高速性能を高めた型。

全長90m程。

兵装は艦尾側に7.6cm単装砲を増設しているのが確認されている。

速力は水上20kt、水中10kt。

 

 

 

 

 

ソ級潜水艦

 

潜水能力を飛躍的に強化された潜水艦。

全長90m程。

水中速力向上の為か火砲類は一切装備されず流線型に近い形状となっている。

未確認ではあるが、砲は格納式とする情報もある。

前級と比べ静粛性が更に向上しているが、現代兵器の前にはやはり即座に発見されてしまう為活動そのものは鈍い。

また、その高性能故に生産性が悪いのか数も非常に少ない。

速力は水上22kt、水中17kt。

 

 

 

 

 

 

輸送艦種

 

ワ級輸送艦A型

 

リバティ船に近似する輸送艦。

全長140m程。

主に武器弾薬や陸戦兵器をハワイやチューク諸島等の拠点から各前線に輸送する任務に従事しているのが確認されている。

武装は、40口径12.7cm単装砲を2基装備。

速力は12kt程。

 

 

 

 

 

ワ級輸送艦B型

 

強襲揚陸艦型のワ級。

全長145m程。

艦尾がハッチになっており、小型艇の運用が可能。



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深海棲艦―航空兵器―

戦闘機種

 

DF-1

 

深海棲艦の艦上戦闘機。

鳥のくちばしとも獣の爪とも例えられる異様な形状をしている。

形状こそジェット機を彷彿とさせるが、噴射推進器は存在せずレシプロエンジンに似た機関音を発しながらレシプロ航空機と同様の性能を発揮する。

戦争最初期から存在する。

航続距離は1600km前後とされる。

 

A型

最初に確認されたDF-1のタイプ。

両翼に20mm機銃2門、機首に7mm機銃2門を搭載。

最高速力は520km/時程。

機動性が非常に高く空母艦娘の零戦21型に匹敵、もしくは上回る程。

その代わり零戦よりも防御力は低く、被弾即爆発という程に脆い。

 

B型

装甲が強化された型。

武装に変化は無く、速力は450km/時にまで低下している。

結果的により被害が増えた為、現在主力部隊からは下げられ主に後方基地の防空等に運用されている模様。

 

C型

出力が強化され装甲は維持されたまま機首機銃が13mm機銃に換装、機体下部にも20mm機銃が増設され最高速度が580km/時にまで強化されている。

深海艦上機の主力らしく、現在一部の精鋭部隊以外のほぼ全ての空母に配備されているのが確認されている。

 

 

 

 

 

DF-2

 

深海棲艦次期艦上戦闘機。

形状は醜悪に膨れ球体になった鳥類のよう。

DF-1よりも基本性能が上昇しており、艦娘艦載機に匹敵する。

とは言え生産数は極少数で人型深海棲艦か精鋭部隊にのみ配備されているのが確認されている。

航続距離は1600km前後とされる。

 

A型

20mm機銃4門、13mm機銃2門を備え最高速度600km/時を発揮可能。

防御力はDF-1のA型とB型の間程。

格闘戦よりも一撃離脱を意識した機体となっており艦娘艦載機との相性は良くない。

逆に低空での格闘戦においては艦娘艦載機の方が圧倒的に有利となる。

 

B型

20mm機銃が5門に増え装甲が強化された型。

速度は維持されており、極めて強力な一撃離脱型戦闘機となっている。

 

 

 

 

DF-3

 

DF-2と同時期に確認された機体。

形状もよく似ているが、DF-2は白くこちらは黒い。

夜戦が可能になっており、また装甲がより強化されている。

航続距離は700km程になっている。

 

A型

現在確認されているDF-3唯一の型。

20mm機銃4門、13mm機銃2門を備え最高速度600km/時を発揮可能。

防御力はDF-1Cを上回る。

現時点では完全に艦娘艦載機を上回っており、最大限警戒すべき相手である。

 

 

 

 

爆撃機種

 

DB-1

 

深海棲艦の艦上爆撃機。

DF-1と同じく異様な形状ながらレシプロ航空機と同様の性能を発揮する。

戦争最初期から存在する。

航続距離は1400km前後とされる。

 

A型

最初に確認されたDB-1のタイプ。

外見はほぼDF-1と同一だが、機体下部に大型のハードポイントがあること、翼がハードポイント設置の為に拡大している等見分けることは可能。

両翼に7mm機銃2門、上部後方に旋回式で1門を搭載。

最大で500㎏まで爆弾を搭載可能。

最高速力は440km/時程。

やはり機動性は非常に高いが防御力は低く、被弾即爆発という程に脆い。

 

B型

装甲と搭載量が強化されており最大で800㎏まで爆弾を搭載可能となっている。

代わりに速度が低下し400km/時程度になっている。

DF-1のように被害が拡大した訳ではないが、上位互換のDB-1Cが登場した為前線からは姿を消しつつある。

 

C型

他の性能を維持しつつ防弾性が強化されており生存性が大きく向上した。

現状の深海棲艦艦上爆撃機の主力となっている。

 

 

 

 

 

DB-2

 

深海棲艦の艦上爆撃機。

DF-2と同じく異様な形状の航空機。

こちらも生産数は極少数で人型深海棲艦か精鋭部隊にのみ配備されているのが確認されている。

航続距離は1500km前後とされる。

 

A型

最初に確認されたDB-2のタイプ。

外見はほぼDF-2と同一。

13mm機銃を前方に2門、後方に旋回式で1門搭載。

最大で800㎏まで爆弾を搭載可能。

最高速力は470km/時程。

装甲はDB-1Cより厚く手強い機体である。

 

B型

搭載量が強化されており最大で1000㎏まで爆弾を搭載可能となっている。

航続距離が1700km前後まで強化されているらしく、偵察にも多用されているのが確認されている。

 

 

 

 

 

DB-3

 

DF-3と同じく黒い異形の航空機。

航続距離は1200km程。

 

A型

性能はDB-2Aとほぼ同等だが夜戦が可能となっている。

詳細は不明だが強力な機上レーダーを備えていると思しき反応を確認している。

 

 

 

 

 

DB-4

 

深海棲艦の陸上爆撃機。

丸っこい機体を平たく引き伸ばし、左右の翼にレシプロエンジンを搭載した双発機。

主に飛行場に配備され各種爆撃任務に投入される。

機体上部に銃塔式で13mm連装機銃1基、同じく単装機銃を機体左右に1門ずつ搭載。

最大で1200㎏まで爆弾を搭載可能。

航続距離は2200km程、最高速力は460km/時程。

機動性は双発機にしても低く防弾性も貧弱だがとにかく多数が投入されている。

 

 

 

 

 

DB-5

 

深海棲艦の陸上爆撃機。

DB-4を大型化したような4発機。

主に飛行場に配備され戦略爆撃任務に投入される。

機体上部に銃塔式で13mm連装機銃1基、同じく単装機銃を機体左右に1門ずつ搭載。

機体前後に半旋回式で20mm連装機銃を1基ずつ装備。

最大で4300㎏まで爆弾を搭載可能。

航続距離は8300km程、最高速力は520km/時程。

開戦初期は誘導弾が効かないのをいいことに世界各地の都市や軍事施設を半特攻で爆撃した為、特に恐怖と憎悪を向けられる機体である。

 

 

 

 

 

攻撃機種

 

DA-1

 

深海棲艦の艦上爆撃機。

DF-1と同じく異様な形状ながらレシプロ航空機と同様の性能を発揮する。

戦争最初期から存在する。

航続距離は1200km前後とされる。

 

A型

最初に確認されたDA-1のタイプ。

外見はほぼDF-1と同一だが、機体そのものが拡大し翼も大型化している為見分けるのは容易。

上部後方に旋回式で7mm機銃1門を搭載。

最大で800㎏まで爆弾もしくは魚雷を搭載可能。

最高速力は400km/時程。

やはり防御力は低く、被弾即爆発という程に脆い。

 

B型

装甲が強化されており生存性が向上している。

エンジンも強化されているようで速度は430km/時程に上昇。

DB-1Bと同じく上位互換のDA-1Cが登場した為前線からは姿を消しつつある。

 

C型

最高速度が450km/時まで強化され、搭載量も1000㎏まで拡大した。

機銃も13mmに換装されており、かなり強力な攻撃機となっている。

現状の深海棲艦艦上攻撃機の主力。

 

 

 

 

 

DA-2

 

深海棲艦の艦上攻撃機。

DF-2と同じく異様な形状の航空機。

こちらも生産数は極少数で人型深海棲艦か精鋭部隊にのみ配備されているのが確認されている。

航続距離は1500km前後とされる。

 

A型

最初に確認されたDB-2のタイプ。

外見はほぼDF-2と同一。

13mm機銃を前方に2門、後方に旋回式で1門搭載。

最大で1000㎏まで爆弾もしくは魚雷を搭載可能。

最高速力は470km/時程。

装甲はDA-1Cと同程度である。

 

B型

装甲が特に強化されており生存性が大きく向上している。

また機首側の機銃が20mmに換装されているらしく、対空砲に対する制圧射撃が強力になっている。

 

 

 

 

 

DA-3

 

DF-3と同じく黒い異形の航空機。

航続距離は1000km程。

 

A型

性能はDA-2Aとほぼ同等だが夜戦が可能となっている。

また、搭載量を1600㎏以上まで拡大したらしく、未確認ながら魚雷を2発投下してきたとの報告も存在する。

 

 

 

 

 

DFP-1

 

DB-2によく似たフロート付き水上戦闘攻撃機。

翼に13mm機銃2門、後方に旋回式で1門搭載。

爆弾または魚雷を800㎏まで搭載可能。

航続距離は1800km程、最高速力は420km/時程。

偵察機としてよく用いられるが、積極的に艦隊攻撃も行うのが確認されている。

ただ、DF-1系列並に装甲が薄く損耗率も非常に大きい。

現状後継機及び発展型は確認されていない。

 

 

 

 

 

DFB-1

 

DF-1系列を大型化して翼にレシプロエンジンを搭載した4発飛行艇。

長距離偵察が主任務らしく珍しく非好戦的な深海棲艦航空機。

機体各所に20mm機銃6門、13mm機銃4門を備える。

爆弾または魚雷を2200㎏まで搭載可能。

航続距離は6200km程、最高速力は460km/時程。

強力な機上レーダー及び磁気探知機を備えるらしく、対潜哨戒にも用いられているのが確認されている。



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小笠原諸島沖迎撃戦初戦

2027年4月20日 小笠原諸島沖

その光景は現代の海戦を知る者にとって、非常に奇妙な光景だった。

それは、弓道着にも似た服装のツーテールの少女が生身のまま海上を進んでいることでは無い。

あまつさえ、彼女の身長が50mに達しかねないのも然して異変ではない。

彼女が空母艦娘の「瑞鶴」だと言えば、誰もが納得する。

問題は、彼女の周囲だ。

「瑞鶴」の左右を進む駆逐艦娘「潮」、「曙」は護衛であるから問題ない。

問題は更にその周囲に展開する通常の艦艇の存在だ。

そもそも対深海棲艦戦闘の正面作戦に通常艦艇が参加することは常識から外れた光景である。

更にその上で空母や戦艦すら含む大規模艦隊。

それだけ見れば、これまで散々敗北してきた各国海軍の二の舞い三の舞でしかない。

だと言うのに彼ら彼女らはそこに居た。

第5艦隊……それがこの部隊の名前だ。

現時点では日本海上自衛隊唯一の主力級通常艦艇部隊であり、同時に唯一の通常型空母機動部隊である。

中核となるのは、超大型型航空母艦「なでしこ」。

「瑞鶴」の後方2000にぴったりくっ付いて続いている。

これに次ぐ大型艦は戦艦「いずも」。

こちらは「曙」の後方2000に位置している。

「曙」を挟んで前方にははざくら型駆逐艦の「しまゆき」。

「潮」側には前方はおなじく「こなゆき」、後ろには艦隊唯一の本格対深海装備艦のよしの型巡洋艦「よしの」が続く。

「瑞鶴」の前方には改ウダロイ級駆逐艦の「すずらん」、更にその前方に改あさひ型駆逐艦の「くにつかぜ」が進む。

艦列の最後尾、「なでしこ」の後方には改はたかぜ型の「しきかぜ」。

計8隻が現在艦隊を構成する全艦艇となる。

それらの旗艦である「いずも」の巨大な艦橋の下に備えられた長官室。

第5艦隊司令長官の私室兼執務室であるそこに2つの人影があった。

 

「これは……ねぇ……」

 

「これでは体のいい囮です」

 

「いやぁ、囮としても期待されてないっぽいぞ?」

 

1つは何とも冴えないモブ顔の男……第5艦隊司令長官である擬古 栞海将補。

彼は2020年頃に採用されたイメージ〇ァイト的な徴用即席士官養成プログラムで教育を受けた「間に合わせ士官」の1人だ。

2023年から艦娘が前線に出るまで通常艦艇で深海棲艦と戦い続けた数少ない生き残りである。

艦娘が実戦投入されると用無しとばかりに閑職にまわされていたのだが、今回通常艦艇による艦隊が再編されると引っ張り出された。

勿論、「間に合わせ」に。

もう1人は中学生程度の年頃に見える姫カットの美少女……栞の副官である妖精の木島 アリカ一尉。

彼女、元々は艦娘部隊への所属を希望していたのだが、艤装への憑依が出来ないとして不採用とされていた。

それでもと通常戦力の妖精士官枠に入った努力の人である。

逆に言えば、そんな新人が副官になるほどに第5艦隊は人材不足だった。

ちなみに2人とも現在の表情は冴えないモノとなっている。

その表情のまま、栞は書類を持ち上げてヒラヒラと振る。

そこには要約すると、艦娘「瑞鶴」を護衛しつつ第1機動艦隊に随行、必要によっては支援せよ、といった旨の文章が小難しい言葉遣いで記されていた。

第1機動艦隊とは、空母「赤城」、「加賀」、戦艦「金剛」を中核に重巡3、軽巡2、駆逐艦24が付き従う機動部隊である。

勿論、全艦が艦娘であり対深海棲艦戦闘における主戦力である。

本来なら空母「蒼龍」「飛龍」、戦艦「榛名」他重巡3、軽巡2、駆逐艦4も所属しているのだが、本海戦には不参加である。

と言うのも、フィリピン近海に侵攻しつつある深海艦隊は戦艦2、フラグシップ空母1、大型空母1、小型空母1、重巡2、軽巡3、駆逐艦20以上と中規模艦隊クラスだったこともあり、艤装点検中の「飛龍」と「榛名」、「飛龍」と同戦隊の「蒼龍」まで無理に参加させる必要は無いと司令部は判断した。

代わりに戦力の穴埋めとして第5艦隊を参加させ、艦娘の為の肉壁として使おうという作戦な訳だ。

空母艦娘としては生存性の高い「瑞鶴」を参加させ、最低限囮としての体裁を保つという念の入りよう。

要するに作戦書には「「瑞鶴」の盾となることくらいしか期待していない」と書かれているのだ。

 

「ま、言われたことやってれば文句言われないでしょーよ。気楽に行こう、気楽に……ね」

 

「…………はぁ」

 

へらへら笑いの栞を見て、アリカは思わず溜息を吐くのを止められなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

現在第5艦隊は上空に常に早期警戒機を飛ばしており、低く厚めの雲が立ち込める空を電子の目で見張っている。

艦隊からは見えないが更に外周では哨戒ヘリによる対潜哨戒も行われている。

この強力な哨戒、警戒網が第5艦隊最大の武器とも言えるだろう。

深海側潜水艦の静粛性では遥か彼方から探知され、動かずとも磁気探知で発見される為陣形内部に潜り込むどころか接近すら難しい。

航空機も同様で、対空レーダーの探知範囲は艦娘のそれを遥かに凌ぐ。

早期警戒機と組み合わせれば最早艦娘では逆立ちしても叶わないほどの処理能力を有する。

艦娘運用以前からこと対空対潜戦闘に関して人類は深海棲艦に負けていない。

そんな鉄壁の防衛網のただ中に居ながら瑞鶴の表情には不満と不安が薄く張り付いていた。

 

『瑞鶴さん、やっぱり加賀さん達が気になりますか?』

 

「!」

 

艦娘間のみで通信可能な通称「念話」。

その潮の声が聞こえて来る。

 

「別に加賀さんだけじゃなくて第1機動艦隊のことが気になってたの」

 

溜息一つ吐いてクスクス笑う潮に返す。

 

「まぁ、後で加賀さんから嫌味か戦果自慢の一つはされるかもってのは考えてたけどさ」

 

『今回は仕方ないですよ、海軍モドキとの付き合いもありますもん』

 

「海軍モドキ……ね」

 

曙の明け透けな言葉をおうむ返しに独り言つ。

言葉にせずとも瑞鶴も同意する意見だ。

少なくない艦娘は人類艦で構成された艦隊を「海軍モドキ」と馬鹿にする。

と言うのも、人類の運用する艦艇は海上護衛作戦や哨戒にしか従事していない。

対深海主力艦隊との戦闘は艦娘部隊のみが戦果を挙げていると言っていい。

どうしても帝国海軍出身である艦娘は大なり小なり輜重輸送を軽視する傾向がある。

実際、この場にいる瑞鶴も「人類艦は役に立たない」とまでは言わずとも、わざわざ高価な大型艦を揃えて前線に送り込む必要はないのではないか……と考えてしまう。

勿論、第5艦隊の「お守り」をさせられているというやっかみも込みでの意見であることは瑞鶴自身が自覚しているが。

 

「と言うか二人とも、作戦中の私語は禁止でしょうが」

 

『はい!』『すみません!』

 

「全く、もう」

 

反省の色薄く、含み笑いすら混じる二人の返事に苦笑を返す瑞鶴。

そう言う瑞鶴も、決して本気で注意する気が無いのは明白だった。

 

 

 

戦艦「いずも」CIC

 

「敵潜、反応遠ざかります」

 

数分前から艦隊にコンタクトしていた深海側の潜水艦が情報を送り終えたらしく、退避行動に移るのがソナー画面上に見えた。

通常艦艇の対潜能力を過小評価せず距離を取り続けていたところを見ると通商護衛隊と矛を交えたことのある艦なのかも知れない。

勿論、確認の術は無いが。

 

「これで我々の位置は敵に筒抜け……」

 

「高度な情報戦と言って欲しいな」

 

小さく呟いたアリカに栞が返す。

聞かれていたか、とばつの悪い顔をするアリカ。

しかし、周囲は皆苦笑するだけで咎める空気は無い。

 

「なに、安心しなさいな。こと対空に関してなら人類艦も捨てたもんじゃないさ」

 

肩を竦めながら気楽に言う栞。

操舵士はウンウンと頷き、火器管制士が任せろと笑う。

少なくともCIC内に「囮になる」という悲壮な空気は無かった。

 

「よし、ここから忙しくなるぞ!各艦に対空警戒を厳にするよう通達してくれ」

 

「了解!」

 

栞の言葉に通信士が答え、俄かに艦隊が騒がしくなる。

艦娘にも発見された旨を伝えれば、先程まで笑顔すら見せていた彼女達の表情が険しくなるのがモニタに映る。

中央に陣取る瑞鶴が背中に背負っていた弓を取り出し念入りに点検を始める姿は流石堂に入ったものがあった。

さて、空母艦娘の航空機発艦方法は大きく分けて2つある。

1つは弓矢による発艦。

弓から放った矢が艦載機になるタイプである。

もう1つは陰陽式もしくは式神式と呼ばれるもので、飛行機型の紙で出来た依代を航空機に変化させるものだ。

弓矢型は言うまでも無く弓を放つ能力が必要であるし、式神式も発艦時は相当な集中力が必要な方式であり「どちらかが劇的に楽」というものは無い。

敢えて言うならば艦娘の適性による……と言ったところだ。

矢筒に収められた「零式艦戦52型に変化する矢」を弓に番える瑞鶴の表情はどこか悲壮感すら漂っていた。

次々と放たれた矢が上空で発光し爆発するかのようにレシプロ戦闘機へと変化する。

何度見ても摩訶不思議な光景である。

対して現代空母は電気の力で機体を打ち出す。

リニアカタパルトによる出力調整で大重量機だろうと軽量機だろうと適正速度で射出することが出来る。

そして海上自衛隊の空母艦載機はロシアからライセンスを獲得し独自の改装を施したSu-33J。

西側ではフランカーで知られるSu-27戦闘機の艦上機型で、カナード翼が特徴的な機体である。

格闘戦を意識した機体としてはかなり大柄で優美な姿をしている。

通常ならば翼下のハードポイントにはAAMが搭載されるのだが、深海棲艦に対して電子機器搭載兵器は効果が無い為現在は20mmガトリング砲のガンポッドが2基吊るされている。

「なでしこ」甲板に並ぶ機は12機と寂しく、他には交代の為のE-2F早期警戒機1機とSH-60K2機が居るだけだ。

本来予備機まで含めれば90機を超える航空機を搭載可能なスーパーキャリアである「なでしこ」だが、度重なる航空隊の引き抜き、搭載中止により現在の所属機は戦闘機32機、偵察機4機、早期警戒機3機、哨戒ヘリ8機とかなり寂しいことになっている。

更に必要ならば第1機動艦隊の要請に基づき支援機も派遣しなければならないのだから直掩が侘しいことになるのは必然だった。

とは言え、支援要請が出されることはほぼ無いであろうしそれを心配している場合でも無くなった。

早期警戒機が敵機を捉えたのだ。

 

『IFFに反応の無い飛行体の編隊を捕捉。方位0-8-7、速度300毎時。艦隊との距離480000。高度4000に24、3800に22、2000に13を確認』

 

管制官の恐ろしく感情の無い淡々とした物言い。

それを聞いた艦隊は、一気に騒がしくなる。

Su-33Jの編隊は先行する零戦隊を悠々と追い越し、敵編隊へと向かって行く。

これは巡航速度が時速300km程の零戦とマッハ1……時速1224kmのSu-33との差であるため仕方が無い。

当然最初に接触するのはSu-33Jの部隊だ。

接触地点は艦隊より約120kmの地点。

12機の直掩機が大回りで敵編隊後方へと回り込み後下方から急上昇しながら1撃を加えたのが初撃となった。

大出力ジェットエンジンのなせる強引な攻撃方だ。

深海機は上方への警戒を主としていたのだろう。

猛禽の嘴、もしくは猛獣の爪を思わせる不気味な姿の航空機は無防備な腹を撃たれることとなった。

Su-33Jの編隊が高度3000から次々と急上昇し翼下のガンポッドから20mmガトリング砲を放つ。

真っ先に狙われたのは高度4000にいる24機の護衛機、DF-1C。

プロペラを持たないのにレシプロ機相当の性能を発揮する謎の航空機で、その装甲も当時のジュラルミン装甲が基準となる。

2発も当たれば致命的と言える20mm弾が毎秒100発という文字通り雨のように掃射されれば耐えられる道理など無く、その黒い機体が一瞬で引き裂かれ粉砕される。

一瞬で9機が粉砕され、敵編隊は算を乱して散開。

勇敢な機体はSu-33Jを追撃しようと機首を上げるがエレメントごとに分かれ個々に逃げ回る深海機を時速800kmの一撃離脱で仕留めていくSu-33Jに急降下でもしなければ時速600kmも出ないDF-1Cが追いつけるはずも無い。

シャチに襲われる小魚の群れと化した深海攻撃隊に更なる脅威が襲い掛かる。

20機の零戦隊が一糸乱れぬ編隊飛行で上空から逆落としに突っ込んで来たのだ。

20mm、7.7mm機銃が降り注ぎ、少数機もしくは単機で飛ぶ敵機を次々と撃墜していく。

更に「瑞鶴」所属の零戦63型で構成される爆戦隊12機が突入し、高度3800で前進を続ける艦爆隊に襲い掛かる。

最早これを阻止する手段を深海機は有していなかった。

鈍重な艦爆で戦闘機の追撃を躱せるわけも無く、1機また1機と銃弾を食らい墜落していく。

そして最後に艦隊直掩である4機のSu-33Jが戦闘機迎撃から分かれた4機のSu-33Jと共に高度2000の攻撃機隊への迎撃を開始する。

最早一切援護の無い攻撃機では突破は不可能であり、文字通り鴨撃ちとなって攻撃機隊は壊滅した。

爆弾や魚雷を投棄した残り少ないDB-1CやDA-1Cはちりぢりに逃げ出し、結果艦隊上空に達した敵機は皆無。

瑞鶴隊の初戦は文字通り完勝で終わったのだ。

 

『うそ……』

 

瑞鶴の間の抜けた声がヘッドセット越しに聞こえて来る。

曙と潮もどこか惚けたように東の空を眺めている。

無味乾燥なまでに正確で無慈悲な迎撃。

これまで人類戦力と艦娘は全く別の戦場でしか戦ってこなかった。

海上戦力再建まで主戦力となっていた陸上航空隊も高空での敵機迎撃や少数偵察艦隊への攻撃ばかり、対して艦娘は艦隊決戦ばかり。

本格的な共同戦線は文字通り今回が初めてだ。

かつてのマリアナで惨敗を喫した米軍の迎撃網を倍加したような代物を目の当たりにしたのだ、そうもなろう。

「いずも」CICも静けさに包まれている。

しかし、それは艦娘達とは違う理由によるモノだ。

 

「少な過ぎる……」

 

「え?」

 

栞の重い声にアリカが振り返る。

 

「敵機が少ないんだよ。通常型のヲ級でも80機、フラグシップクラスなら100は積んでるはずの航空機が」

 

「……」

 

「作戦機だけでも6割は出せるんだから、本気で「瑞鶴」を叩くつもりなら150機くらいは出して来てもおかしかない。つまり……」

 

『アイツらは陽動だってこと!?』

 

「そう言うことだ」

 

横から入って来た瑞鶴の言葉を肯定する栞。

そして、それを証明する報告が早期警戒機からもたらされる。

 

『IFFに反応の無い飛行体の編隊を捕捉。方位0-7-9、速度300毎時。高度4000に108、2000に58を確認。更に別の編隊、方位0-8-1、速度300毎時、高度4000に22、3800に32、2000に28。両編隊共真っ直ぐ第1機動艦隊へと向かう』

 

「マズいな……」

 

栞が思わず零した言葉は現状を端的に示していた。



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小笠原諸島沖迎撃戦防空戦

意外と言うべきか、当然と言うべきか、深海棲艦にも「意志」があるのは人類側にとっても周知の事実である。

それは戦場において「癖」や「性格」、「行動の傾向」として表れる。

例えば不利な状況にあっても勇猛に前進する者もいれば有利であっても情報が揃わなければ撤退するような慎重な者もいる。

そんな個性を発揮する深海棲艦だが、軍隊にも似た組織系統である以上情報共有や共通認識も勿論存在する。

例えば、「人類航空母艦は最優先警戒目標であり最優先攻撃目標である」等だ。

言うまでもないことではあるが、第二次大戦型の兵器によって構成される艦娘や深海棲艦からすれば現代のジェット航空機は完全に超兵器だ。

深海棲艦の立場から見れば、人型艦ならば攻撃そのものは無意味であっても艦載機は撃墜されてしまう厄介な存在であり、数の上で主力である艦船型ならば撃墜、阻止はほぼ不可能でありながら一撃必殺の攻撃を行って来る最大限の脅威となる。

とは言え無尽蔵と言ってもいい戦力を有する深海側からすれば、かつてのMe262に対する連合国軍の対策と同じく「離着陸時に攻撃する」、「策源地そのものを叩く」戦術で対応出来た。

が、だ。

航空母艦となればそうは行かない。

自ら動き、常時護衛艦という強力な高射陣地に守られた空母の周辺にのこのこ近寄るのは文字通り自殺行為でしかない。

対策は実質後者のみに絞られる。

当然、「大戦力による」という前提はあるが。

そこで深海艦隊が採った戦術は既に出撃した攻撃隊に攻撃目標の変更を下令するというものだった。

即ち、本隊からの166機と別動体からの82機、本来艦娘部隊を撃滅するべく放った全ての攻撃隊を第5艦隊に差し向けたのだ。

 

 

 

 

 

この動きを探知した第5艦隊は北西に変針しつつ増速、直ちに直掩機の収容と補給を行い温存していた機も加えて再出撃を行った。

完全に総力戦の構えだ。

 

「今回は来るぞ、俺達の上に敵機が……」

 

蒼空へと消えていくフランカーをモニタ越しに見遣る栞。

その言葉を聞いてアリカは生唾を飲み込んだ。

残念ながら深海機に高性能な対空ミサイルは全く用をなさない。

勿論、近接信管による攻撃を行えばある程度はダメージを与えられるが、平均して中SAMを3発は使わなければ単発機も落とせないのでは余りに非効率的だ。

結果として、例えイージス艦であろうと速射砲やCIWSで戦わざるを得なくなる。

その為に第5艦隊は編制された……のだが、現状艦の数は足りず本格的な砲撃型艦艇も「いずも」と「よしの」のみ。

迎撃をすり抜けた敵機は速射砲とCIWSを少数装備しているだけの現代艦で阻止するしかない。

ただ、圧倒的不利かというとそうでもない。

早期警戒機のレーダーによって敵機の動きは丸裸であり、再出撃した直掩機は艦隊遥か手前で迎撃が可能だ。

32機のフランカーと40機の零戦52型、24機の零戦63型……事実上「なでしこ」と「瑞鶴」に搭載された全ての戦闘機が166機の編隊に向かっている。

当然、82機の編隊は何の妨害も受けず艦隊に到達することになった。

 

『………』

 

敵機が来るであろう東北東の空を睨む瑞鶴達の表情は第一次迎撃戦時の比ではない程に深刻だ。

その周囲の艦達が空に向ける速射砲やCIWS。

瑞鶴達艦娘から見れば余りにも数が少なく頼りなさげに見えた。

その中でも数少ない例外である「いずも」は真っ先に敵機と対峙するであろう艦隊右翼から移動していない。

数少ない砲撃型艦として艦隊の盾となる構えだ。

そして、とうとう対空戦闘用意が通達される。

 

「敵機更に接近、視認距離まで至近!」

 

「全艦武器使用自由。ランダム回避運動、撃ち方始め。「瑞鶴」と「なでしこ」には絶対に攻撃させるな!」

 

「全艦武器使用自由!撃ちぃ方始め!」

 

「ランダム回避運動開始!各艦衝突に注意せよ!」

 

警報が鳴り響き、未だ視界の外である敵機を対空砲が狙う。

潮が不安げに陣形反対側の「いずも」とその前方を進む曙に視線を送る。

曙は半信半疑と言った様子で空を睨む。

 

『……来た……っ!』

 

瑞鶴の小さくも鋭い呟き。

ほぼ同時に空に数多の黒点が滲んだ。

艦娘部隊ならここで戦艦による3式弾の砲撃が行われるのだが、「いずも」にはそういった装備は無い。

瑞鶴達の不安は更に深まった。

 

「艦爆と思しき編隊は散開を始めました。2方向から突入してくるつもりのようですね」

 

「戦闘機らしき編隊、降下を開始。艦攻らしき編隊も高度60につきます」

 

「あ!ヤロー、雲の上から……!優先目標艦爆!」

 

12機と20機に分かれながら雲上を進む艦爆。

雲の切れ間から空母を攻撃する腹積もりなのだろう。

それを見た栞の命令に合わせ各艦の速射砲が急角度で仰角を取る。

そして、その時を迎えた。

 

「右舷各速射砲、全門自由射撃!始めぇ!」

 

火器管制官の声に続いて、CICにも太鼓を連打しているような腹の底に響く砲声が僅かだが聞こえて来た。

「いずも」に備えられた片舷3基、6門の速射砲が射撃を開始したのだ。

 

「「くにつかぜ」、「すずらん」、「しまゆき」砲撃開始!」

 

更にモニタの向こうに僚艦が砲撃する姿が映る。

端から見れば雲に向かって闇雲に砲弾を放っているようにも見えただろう。

案の定曙と潮は絶望した表情でそれを眺めている。

唯一瑞鶴だけは先程とは違う表情を浮かべていた。

結果はすぐに現れた。

次々と部品を撒き散らしながら黒煙を吐いて墜落していくDB-1C。

当然マグレなどではない。

レーダーによってつぶさに捕捉、追尾し、高精度の速射砲で次々と近接信管を撃ち込んでいるのだ。

本来なら対艦ミサイルを叩き落とす為の速射砲だ、レシプロ機相手ならばオーバーキルと言っていい。

視界が通らない雲の上でどれだけ回避しようとその鼻面に砲弾が送り込まれ次々と撃ち落とされる……深海艦爆隊は壊乱状態に陥った。

編隊は完全に崩壊。

ある機は攻撃を続行しようと突入を続け、ある機は爆弾を投棄し退避に移る。

寧ろこれだけの混乱に陥りながら一切の空中衝突が起こらなかったのは深海機の練度の高さを示しただろう。

瞬く間に艦隊2時方向から突入を図った20機は壊滅し残った7機が這う這うの体で退避していく。

残る12機はその間に艦隊へと接近、まさに降下せんと機体を捻った。

……捻ろうとした。

それを40mmの砲弾が毎秒120発以上の数で貫いた。

「いずも」と「なでしこ」に備え付けられたCIWS「アイアン・ガーダー」が猛烈な勢いで40mmガトリングガンを撃ち続ける。

1発でも命中すれば致命的な40mm機銃弾を十数発浴びて無事な機体などある訳もなく、DB-1Cは次々と爆散。

この時、すでに最後尾の「しきかぜ」を含む右翼各艦の速射砲が低空を進む艦攻へと射撃を開始していた。

恐ろしく精確に艦攻の鼻面で砲弾が炸裂し、黒煙で海上が埋め尽くされる。

断片の嵐に自ら突入する格好となり、次々とズタズタにされ黒煙を吹いて海面へ墜落するDA-1C。

それを見て呆気にとられていた「曙」が慌てて射撃を開始する。

周囲の艦と比べれば射撃速度も精度も段違いに低調だが、それでも砲煙が増えればそれだけ命中率が上がるのだから全くの無駄ではない。

事実、敵機は次々と炎に包まれ海面へと墜落していくのだから。

先頭集団が瞬く間に壊滅したのを見て後衛の編隊は波間に突っ込む危険を無視して速度を上げる。

それでも海上が凪いでいるからだろう、脱落機はなく急速に接近してきた。

その多くは真っ直ぐ「なでしこ」に向かうが、その進路にはやはり「いずも」が立ちふさがる。

それまで上空を狙っていた右舷のCIWSが即座に照準を変更し僅かに俯角を取ると再び猛烈な射撃を開始した。

海面に無数の水柱が立ち上がり、その散布界の中心に捉えられた機体は40mm弾の洗礼を諸に受け爆発四散してしまう。

それでも艦爆隊が攻撃を引き受けてくれていた分は接近出来たが、そこからが彼らの地獄だった。

「いずも」を飛び越えようとした集団は「アイアン・ガーダー」に加えてCIWS「ファランクス」の20mmガトリングガンによる射撃も浴びせられる羽目になったのだ。

40mm弾よりはマシと言ってもその破壊力と連射力は航空機を破壊するのに十分な威力である。

黒煙を吐きながら次々と海面へと突っ込んでいく敵機。

ここに至り残存する攻撃機は「なでしこ」への攻撃を諦め「いずも」へと目標を変更した。

僅かに進路を変更すると、最早編隊も統制も何もない各機が魚雷を投下すべく速度を落とした。

しかし、それを見逃す程CIWSは甘くない。

最後に残った5機も瞬く間に撃墜され、艦攻は文字通り全滅した。

投下された5本の内「いずも」へと向かった魚雷は2本。

他は明後日の方向へ進んでいる。

その2本も「いずも」の戦艦とは思えない素早い機動に全く命中することが出来なかった。

ほとんど揺れず、また巡洋艦を思わせる急機動を見せ付けながら陣形に復帰する。

 

(一体どこが海軍モドキだって言うのよ……!)

 

思わず怒鳴りつけたくなる衝動を飲み込み、すまし顔で航行する「いずも」を睨み付ける瑞鶴だった。



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