ゲート 元セーラー服の男、斯く地で戦えり (オンドゥルッフ)
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プロローグ「異世界」

 どうも、もう一つの作品とpixivに投稿している作品がスランプ気味で、アニメを見てしまって書き始めてしまいました。酒を飲みながら書いたものなので余り深く考えず見ていただくと幸いです。

 それではどうぞ


 ~高○県四○○市にある民家~

 

 「ただいま~~」

 

 「あ、あんた帰ってきていいの!?」

 

 久しぶりに実家に帰ると還暦を過ぎた両親と一足先に帰ってきていたケチな姉は驚いた顔で玄関に出てくる。

 

 「仕事は無いのか?それに空港からここへはどうやって来た?」

 

 「ああ、それについては私にゃあ関係ないし、あさってには横須賀に戻らなければいかん。それとここまではタクシーで来た。後すまん土産は買えんかったよ。」

 

 と靴を脱ぎ、リビングに移動をして荷物を降ろした。テレビには国会の様子が流れていた。議題はあの『門』の話だ。

 

 『門』、数週間に銀座のど真ん中に突如現れ中から出てきたのはワイバーン、オークの化け物に中世のような鎧を着た軍勢だった。

 

 その軍勢は銀座の市民を襲い約6万の人が死んだ。出てきた軍勢は警察と自衛隊…陸自の合同部隊によって多くが“逮捕”数日後日本政府により自衛隊派遣が決まった。

 

 が、あくまでそれは陸上自衛隊のみの話、ゲートは陸地にあり大きさもそんなにないため海自や空自は派遣はなく、今までよりちょっとだけ仕事が多くなっただけである。因みに私は海自だが、シーレーン防衛やら海賊対処やらは船の性能上できない。今でもたまに見つかる世界大戦時や戦後直後の米軍と旧日本軍の機雷(ようは海の中にある爆弾)を処理し、予算削減のため縮小されていく掃海部隊の人間だ。

 

 しかも一週間前に私のいた最後の木造掃海艇は廃船、掃海マーク(普通の会社で言うと営業課と総務課みたいなもの)の人間は今ある船には十分すぎるほど人がいて成績もよくなく若い(顔はすごく老けてるが)私は肩を叩かれ今は丘の上で陸自にあげる64式小銃等の整備とそれを届けたり、まもる君海士verみたいなものの中の人をやる毎日だった。(中の人をやった時に調子に乗ったら動画に乗るほど受けは良かった)

 

 今回こうして帰れたのは職場の先輩と当直を先輩の有利になるよう交代させられてたのを班長に気にされ

 

 「一度…実家に…カエレ!そして自衛隊グッズ、モッテケ!」

 

 と北○棲○風(40代の班長は横鎮提督)に言われたため帰ることになった。

 

 「でも、よかったんじゃない?その『門』から離れれるから危険もないし、」

 

 「そうよ。お父さん。今のご時世、自衛隊にいるより民間の方が責められないし…」

 

 と姉とオカンは言うが親父は顔をしかめて

 

 「今我が大日本帝国は脅威にさらされている。そこで自衛隊は月月火水木金金の考えで任務を遂行しなくてはならない!…とお父さんは思うんだけどな~というかなんで海軍にいったのかな~」

 

 と戦争映画に出てくる鬼軍曹的なセリフを言ったあと顔を元に戻し私に尋ねるが

 

 「諦めてくれとしか言えないね…というかうちの陸軍にいた先祖だって訓練中に戦車から落ちて本国に帰ったり、寝過ごして乗るべきだった飛行機に乗り遅れたり、飲みの予約が入っているから会議をぶった切って無理やり終了させたりとあまり褒められた内容じゃないじゃん。それに私が決めたのもそうだけど制服のデザインと乗員手当が出るから海自に入れって言ったのはお父さんじゃないか!」

 

 と反論すると親父は

 

 「だってだって~3年4年くらいしたら軍曹になるかな~って思ってたのに6年経ってもセーラーなんだもん!?もうそろそろで20代も後半だよ?」

 

 と言い返した。

 

 「そういえば最初あんたがセーラーで帰ってきたのを迎えに行ったとき、近くにいた女子高生が引いてたわね。」

 

 「しかもあんたの冬服上はあんたの隣の女子高とデザインがほとんど同じで笑っちゃったわね。」

 

 とオカンと姉は言ってたがそれについては無視しておく。というか外国だと幹部にならないと制服が変わらなく40歳でもセーラー服着なきゃいけない国もあるんだからそれよりマシだと思う!

 

 と少しの間言いあうが、お互いため息をつき

 

 「まあ、こうして無事に帰ってこれたんだから、その無事を祝して…」

 

 と親父がいうとオカンは「はいはい」といいながらテーブルにロックグラスを3個置き、姉は冷蔵庫に向かい。そして親父は背後から瓶を取り出した。

 

 「まずは飲むか?」

 

 「飲もう」

 

 「飲もう」

 

 そういうことになった。因みに最初はこの前親父が職場の取引相手からもらった「竹鶴」である。

 

 ~2時間後~

 

 「お前、お父さんに似て酒を飲むね~」

 

 「おかげで宴会に参加すると周りからひかれるがな…」

 

 「二人とも飲みすぎでしょ?これで何本飲んだの?」

 

 「確か…」

 

 「「ウイスキー1本、焼酎2本、日本酒10合くらいかな?」でしょ?」

 

 「とりあえず、これでおしまいにしましょう」

 

 「「ちぇ~~~」」

 

 と親子揃って口を3の形にして酒は没収され酔い覚ましにお茶を飲んでると

 

 ブ~~!ブ~~~~!

 

 「お父さん、携帯鳴ってるぞ」

 

 「そういうお前こそ」

 

 お互い自分のガラケーを取り相手を見る。私は職場からかかってきていて、すぐ出た。

 

 「はい、もしもし遠坂です。」

 

 『あ、もしもし~分隊長の後藤だけど~実家どう?楽しんでる~?』

 

 「え、まあついさっきまで酒飲んでました。」

 

 『え?今午後二時だよ?』

 

 「こっちじゃあ朝7時からでも飲む人は飲んでますから~でもどうしました許可申請に不備が?それともベッドのシーツのしわが多かったり、ロッカーに鍵がかかってないとか?」

 

 と酔った頭で考えるが

 

 『そっちで流れているのかわからないけど、テレビのニュース確かめてみてくれない?後ネットも見てくれない?後お父さんもいるかな?いたらかわってくれない?』

 

 「あ、はい…」

 

 と送話部を抑えて母親にテレビを、そして姉にはネットのニュースを開いてもらうと

 

 『銀座の英雄は二人いた!?』

 

 『もう一人の英雄は海上自衛官!?』

 

 と言った内容でテレビの画面には私の顔写真が映っていた。

 

 「孝仁(たかひと)、孝仁!伊丹君がお前に電話だとよ。」

 

 と親父がスマホを私に見せるとそこには親戚の兄さん、伊丹耀司の名前があった。

 

 「そ、そう…こっちもお父さんに電話」

 

 とお互いの電話を交換し耳に当てる。

 

 「耀ちゃん、これは一体…」

 

 『あ、そっちでもテレビでたんだいや~悪いばれちった☆退職間近のお前を巻き込むわけにはいかなかったんだが、あの交差点付近に警官いただろ?』

 

 「え、ええ…まさかあの人が?」

 

 『そう、大方不公平だ―お前にも何かないのはおかしいだとかそんなんだろ?すまないなせっかくあの後ダッシュで逃げたのにな』

 

 とあの時を思い出してしまう。いくら守るためとはいえ自分の手で人の命を殺めたあの時を

 

 「しかし、それが一体まさか明日表彰式があるとか?」

 

 『いや、そうじゃないんだが…お前、今船には乗ってないんだよな?』

 

 「ああ、今頃解体されているんじゃないでしょうか?鋼材の代わりに木材が出そうだけど」

 

 と半笑いで言うとようちゃんはとんでもないことを言った。

 

 『なら、俺と異世界行かないか?』

 

 と言われ親父の方を見ると

 

 「孝仁、お前アニメが好きだけど異世界に興味ってあるか?」

 

 その時だろうかもし本当に神様がいたらキン肉バスターをかけたくなったのは、そしてその2日後から横須賀に戻った私は昇任やら配置換えやら下宿整理やらで本当の月月火水木金金になったのは…チキショーメ!!

 

 ~1週間後横須賀の駐屯基地~

 

 「ここか…はあ、気が重い…」

 

 門前で新しい制服に身を包み荷物両手に肩を落とし、門をくぐった。貰ったメモを頼りに迷いながらも進むと

 

 「お、よう元気なさそうじゃないか!」

 

 「知合いですか?伊丹2尉」

 

 ランニング中の伊丹の兄さんと部下らしき人と出会った。私は伊丹の兄さんを見て

 

 「まあ、昨日まで書類に追われて当直だったのでね。眠いしこんな中で青虫一人が入るのは肩身が狭くなるなと思っただけですよ。」

 

 「青虫って?」

 

 「ああ、俺達の先輩が海自の奴らをそういってたらしい。ほら海自の作業服って青いじゃん?そこからだとさ」

 

 「ちなみにそれに対抗して海自のほうは陸自の人の事を緑虫と言ってたらしいですね。あ、私は海自の遠坂3等海曹です。」

 

 「まあ、しょうがないな。しかしお前も災難だよな~~えっと掃海だっけ?もうそろそろ昔の物なんてないだろうからっていう理由で勝手に縮小され、使っていた銃を磨いてそれを渡し、折角の休暇に衝撃発言だし、お前の親父さんは現防衛大臣とプライベートでは仲が良いしな~」

 

 「まあ、兄さん、いや伊丹2尉達には借りがありますからね。」

 

 「あはは、ってお前は大方人事課に行こうとして迷ったんだろ?案内するよ。」

 

 「すいません」

 

 私達は人事課へ行き、手続きを済ませ伊丹2尉の部下になり、ついでにオタクということもばれランニングの時に一緒にいた倉田さん(しかも夏の即売会いたらしい)、敢えて言わせてもらおう私は専門は特撮だ!!そしてようちゃん、体力をつけるためとはいっても最近少しは減ったけど私の体系ジャ○おじさんか安西先生なのに前の課程並の訓練はやめて!新しい何かが開きそうで怖いから!!

 

 

 ~食堂~

 

 特地出発前最後の日、私と耀ちゃんと倉田さんは訓練を終え、最後の食事を取っていた

 

 「で、明日0900からお前は俺達と一緒に特地に行くことになった。」

 

 「向こうに行って即戦闘も…」

 

 「ああ、あるかもな。ゆりかもめに乗り遅れてどうしてこうなったんだか…」

 

 「それは同意っすね…」

 

 「私なんか実家からなぜか先祖が使ってた軍刀1振りと小太刀が数本、それに前の職場から陸自から借りるわけにもいかないから余ってたミニミと軽機関銃を送りつけられましたよ。いつ使えっちゅうねん!小太刀は友好の証に送ればいいのかな?しかもミニミなんて当たらないだろう?」

 

 「上司の人は何考えているんでしょうかね~」

 

 「下っ端の私にはわからないよ。今回だって横須賀行く前に万歳三唱されながら送られたし…あれは昔の陸軍のやり方なのに…」

 

 「「「ハア・・・・」」」

 

 そこまで話すと私達はため息をつくが、私は残ってたコンソメスープを飲み干し

 

 「ま、ここで野郎3人がグチグチしてても仕方ない。とりあえず目標として生きてもう一度日本の土を、コ○ケ会場の床を踏むことだね。」

 

 「そうだな。よっしそれじゃあ風呂行くか!」

 

 「うっす!お供するっす!」

 

 「おっと待ってください二人とも!」

 

 私達は傍から見ればしょうもないかもしれない決意を固め食器を片付けのに立ち上がった。

 

 

 ――――そして異界の地での最初の仕事が、本当の戦闘だった。

 




 ※主人公は酒豪です。


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主人公の設定(適当)

適当に考えた主人公の設定です。


2016/2/6(土)…イメージCV、所持品の追加


 名前:遠坂 孝仁 (読み:とおさか たかひと) 性別:男 階級:3等海曹

 

 年齢:25 誕生日:2月14日(そのせいかバースデーケーキは全てチョコケーキ)

 

 所属(伊丹の隊に着く前2つを含む):第51掃海隊→海上自衛隊横須賀基地補充部→陸上自衛隊第3偵察隊特殊隊員

 

 趣味:料理(凝ったものではなく、安い食材でおいしく作れる物を目指している)、特撮(オタク)、アニメ(主な原因は伊丹)、居合道(前の職場でとりあえず始めた。現在1級)、弓道(高校の部活、初段)、日曜大工(鉄○D○SHの影響、)

 

 体形:電話がかかるまでは腹が出ていて顎まで肉がついているスラムダンクの安西先生みたいな体だが、部隊に戻ってからは「そんなだらしない体では報道陣の前に海自隊員として見せることはできない」と言われライザップのインストラクターが怒るほどの過酷なトレーニング、そして伊丹の元でのハード(こっちは多少体のことは考えてくれた)な訓練で制服の上からでは俺物語の剛田猛男のような感じになった。

 

 イケメンではない。イケメンではない!(重要な事なので二回言いました)

 

 顔もぶっちゃけると大半が剛田猛男。角刈りたらこ唇の四角い顎、目だけガンダムのブライトさん並の細目で若干たれ目で、年齢の割にかなり老けて見えるのが悩み。

 

 基本ノリがいい。例:伊丹「なんか宝石で魔法放ってよ。」孝仁「うるせえ、令呪で自害させっぞ!」伊丹「俺は声的に青タイツじゃないのだが…」

 

 

 伊丹との関係:遠坂の父親の妹と伊丹の父親の兄が夫婦で、あの事件の後しばらく遠坂家で一緒に過ごしていた。この時伊丹のアニメ好きが孝仁に感染した。

 

 設定:性格は“スイッチが入らない限り”穏やかで優しい。自衛隊に入った経緯は伊丹が自衛隊に入った後親が借金を背負い返済はしたものの孝仁を大学に行かせるお金がないので制服のデザインと船に乗れば基本給に乗組員手当があるため海自に入隊、その時の前防衛大臣(孝仁の父親の飲み友)と伊丹に推薦してもらったため二人には頭が上がらない。入隊したものの一度船で事件を起こし、その事件は調べると被害者もかなりの問題を起こしていて何とかもみ消したが、昇任は絶対ないと思って伊丹と一緒に即売会に行ったら門の事件に巻き込まれ伊丹ほどではないが避難誘導や取り残された人を助けていたが、落ち着いたら

 

 「ウチは事件に巻き込まれたらとりあえず逃げろと言われてるんでクールに去るぜ!」

 

 と言って逃げたが交番の警官に姿を目撃されていて写真も撮られていたためバレてしまい、しかも退職間近だったのを海上自衛隊代表(ぶっちゃけると広報用)として急遽伊丹達の部隊に組み込まれた。そしてそれとともに戦争映画が好きな親父から刀、前の部隊の分隊長たちから「いやね。陸自さんからの借りものばかりだと僕達のメンツもたたないからね」という理由でミニミと軽機関銃が送り付けられた。因みに機関銃を見たとき

 

 「私はコマンドーやンボーみたいに腰だめで撃っても当たんないよ…」

 

 と崩れ落ちて呟いていた。(その後栗林にケツを蹴られてた。)

 

 追記、上記の激しい訓練などでマゾへの扉が開きかかっていて、過去には同人活動している姉に同人誌のネタにされた。

 

 装備(ドラクエ風)

 

   防具:海自仕様の迷彩服(陸自の迷彩服の緑を青に変えたもの迷彩効果は一切ない!)

 

   兜:掃海隊の部隊帽(予備多数あり)

 

   メイン武器:64式小銃(陸自貸与)

 

   サブ1:ミニミ(前部隊からなんか送り付けられた。)

 

   サブ2:刀(実家から送り付けられ絵になるからと許可された)

 

  その他:部隊帽(現地民と仲良くなったらあげる予定)、62式機関銃(前部隊から以下略)、トッポ(好きだから)、ミンティアメガハード(眠気覚まし)、小太刀(実家から、略)、セーラー服(女子高生が着ている方ではありません。とりあえず持ってきた。)、9mm拳銃(陸自の貸与品)、ベレッタM9(マルイのガスガン)

 

 イメージCV:成田 剣 か 玄田哲章

 

 

 蛇足:分隊長のイメージはパトレイバーの後藤隊長、班長は釣りバカのハマちゃん(アニメ版)姉の名前は凛ではない。そして腐女子




セーラー服は伊丹に着せるか主人公が着るいやがらせ用です。そしてここでも書きます。セーラー服は女子高生が着る方ではありません!元祖の方です‼


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第1話「特地」

 ※注意!

 この作品は陸自の隊員の中に色々不遇な海自隊員を無理やり詰め込んだ作品で、参考にしている原作はアニメ版、コミックス版をもとにしているため書籍版しか読んでない方はいろいろ違う部分があると思いますがどうか海のような穏やかな心で見てください。



 ~アルヌスの丘自衛隊特地駐屯地~

 

 ザッザッザッ

 

 「銀座と合わせて12万か…ちょっとした地方都市丸々の人口が失われたのか」

 

 「ええ…私たちが言うのもなんですが、酷い有様ですね。」

 

 様々な鎧をつけた大量の死体が焼けた大地を伊丹と遠坂は銃を持ちながら歩いている。死体の多くは昨晩まで駐屯地を襲撃していた軍隊の物で二人は生存者がいないか見回っていたのだ。

 

 「送られた62(62式機関銃)が早速使う時が来るとは思わなかった。」

 

 「ああ、しかしどんな国か知らないが末期症状じゃねーの?」

 

 と歩いていると遠坂はあることに気づいた。

 

 「伊丹2尉、今気づきましたが、ここにある死体たちの鎧には、写真資料にあった古い死体の鎧のほぼ全てにあったマークがないですね。ほらここの部分」

 

 と近くにあった死体の鎧を指さし、同じ部分の写真を取り出し見せる。

 

 「お、本当だな。それといつも通りでいいよ。お前に敬語で話されると鳥肌が立つ。」

 

 「そうですか。それともしこの通りで、最初の敵がこの世界一番の規模を誇る王国で、今回の敵が王国に謀反を企てる軍隊たちとかだったら…私達はその王国の反乱分子の掃除に使われたかもしれないな。」

 

 「…そうかもな。でも、やらなきゃやられるんだ。仕方ないだろ。」

 

 「そうだね…でも仲良くしていきたいですね。」

 

 「そうだな…おっし戻ろうか。」

 

 と二人は駐屯地に戻っていった。

 

 ~駐屯地科員食堂~

 

 「そういえば遠坂君、この世界にケモ耳少女とかいると思うっスかね?」

 

 食堂で私が食事を取っていると反対側で座っていた倉田さんがそう話してきた。私は少し考え

 

 「いないとは…言い切れないかもしれませんね。」

 

 「固いッスね~俺が先任とはいえ同じ3曹同士気楽に話して構わないッス!」

 

 「ありがとうございます。もし、ケモ耳娘がいるような世界だったらいいですがゼロの○い魔だったり指輪○語みたいな世界だったらエルフはいてもケモ耳娘はいないと思うぞ。」

 

 「あ~やっぱりそう思うっスか~でもいたらいいッスよね~因みに遠坂君は好きッスか?」

 

 「モン○みたいな下半身蛇のラミアとかケンタウロスがいれば異世界感があっていいな。それか天○無用G○Pみたいな顔が完全に猫とか犬っぽいのとか」

 

 「うわ~変わってますね。」

 

 「何か耳だけというのは…物足りないかなって…」

 

 「もしかして重度のケモナー?」

 

 「そういうわけじゃないけれど…」

 

 「お、ケモナー談義か?」

 

 と私たちが話しているところに少し疲れた顔のようちゃんが鉄板を持ってきた。

 

 「お疲れ様です。どうでしたか?」

 

 「ああ、明日からこの世界の調査をするらしくて俺もその隊を指揮することになった。名簿をみると倉田と遠坂は俺と一緒になった。」

 

 とようちゃんの話で了解はしたもののふと思った疑問があったので尋ねてみることにした。

 

 「わかりましたが、何故私まで?はっきり言って足手まといだとは思うけど…」

 

 「お前は俺達以外では知合いいないから肩身狭いだろうってさ。後は上からの指示だよ。」

 

 「しかし装備は貸してもらえるのか?流石に海自のカポックに灰色の鉄ヘルはマジレンジャーの中に一人だけ仮面ライダーウィザードが混じっているみたいで嫌だぞ?」

 

 「そこらへんは防弾チョッキは立検(立ち入り検査)達の奴で靴は江田島のを、他は陸自から貸すよ。お前のサイズならちょうど余ってたからな。明日朝には来るらしい」

 

 「何か嬉しくないですね・・・」

 

 「ああ、そうだついでに小太刀は今のまま武器庫に保管するけど軍刀はもっていく予定だってさ」

 

 「ああ、こっちは帯刀している人でもいるんですかね?」

 

 「そうだな。この前の敵さんもエラそうな服を着てた人は持ってたし、いいんじゃないかな?」

 

 「でもそうなると遠坂3曹より伊丹隊長が持ってた方がいいんじゃないですか?一応指揮官ですし」

 

 「俺は剣を装備するのはゲームの中で十分、それに遠坂は居合を習っている。少しはましだろう。」

 

 「居合は実践ではあまり役に立たないような気がしますが…まあ、了解しました。」

 

 「あ、そうそう、遠坂今日の筋トレは軽めにしとけよ。」

 

 「了解しました。それじゃあお先に失礼します。」

 

 と食器を片付け、宿所に向かった。

 

 

 ~翌日1300 第3偵察隊 軽装甲車車内~

 

 『『メイコン!メイコン!ヘイヘイ!!』』

 

 「何よこれ…」

 

 前の車両から来る変な歌声に顔をしかめると

 

 「なんか、同じオタクとしてすいません…」

 

 と私の向かいに座っていた遠坂3曹は謝ってきた。そういえば親戚らしい。アニメ好きなのも伊丹隊長からの感染らしいし

 

 「いいわよ。所属的には私達側だし、むしろあんたの方こそ大丈夫?」

 

 「ええ、乗り物には慣れてますしこの程度荒れたバシー海峡とかインド洋に比べたらまだましですよ。」

 

 と言っていたが

 

 「いや、そっちじゃなくてさっきの村の事よ。」

 

 「あ、ああ…あまり気にしてないですよ…ええ、孝仁は大丈夫です。」

 

 と言いながらあからさまに落ち込んでいた。

 

 ~数時間前~

 

 「いいな、俺達は隊の中で一番優しそう黒川があいさつした後まず俺達3人が優しい顔で出ていくんだぞ。その後に栗林達が出る」

 

 「了解ッス!」

 

 「了解!」

 

 「なんで私が二番手…遠坂3曹より後なのよ。」

 

 「栗林、お前は目が怖いからな。」

 

 「何ですって!?」

 

 「ま、まあまあ落ち着いてください栗林陸曹。私も不安ですが決めたからには仕方ありませんよ。」

 

 と村の門の前の茂みの中で手取りの確認をすると門の前にいた黒川が合図をしたので隊長たちが立ち上がり、遠坂3曹が立ち上がると

 

 『ウ、ウワアアアアアア!』

 

 『トロルだあああああ!?』

 

 「あ、あれ?」

 

 遠坂3曹村を魔物と勘違いした人は逃げていしまい、その後隊長達の説明と遠坂3曹が刀を持ってたことにより遠坂3曹はヒトであることは納得してもらえたが、少しの間車の中で落ち込んで小さくなっていた。もう大丈夫かと思って言ったがまだひきづっていたようだ。

 

 「あれ?でも確か遠坂海曹は護衛艦乗りじゃねえけど海外行ったことあるんだ。」

 

 と同じ車両に乗っていた笹川がそう切り出してきた。

 

 「ええ、入って2年と3年目に中東の国際訓練で補給艦代わりの掃海母艦と掃海艦という船で行きます。と言っても大半は海の上で、外国を回る理由は広報だけどね。艦上パーティの片づけがもう大変なんですよ。海曹士、幹部まとめて酔っぱらってますから」

 

 「へ~、なんか楽しそうだな。」

 

 「掃海部隊の特徴の一つはアットホームな環境ですから。」

 

 と話していると

 

 『森の前で夜営することを提案します。』

 

『賛成』

 

通信が聞こえてきて、遠坂3曹は

 

 「夜営ですか…経験ないので準備とか教えて頂けると…」

 

「ああ、そっちは夜営とかは無いのね。」

 

「タグボートとかじゃない限り寝床と食堂も一緒に移動してますから…飯も一応作れますし…」

 

「今回はレーションだと思うから作る必要はないわ…でもあなた1分隊(※船で言うところの射撃や運用員のこと主に甲板上の作業する人たちのことを差す)よね?」

 

 「掃海艦艇は調理員が休日絶対いるわけではないのでその時は船にいる海曹士が飯を作る事があるので一応ブタの生姜焼きとかお浸しとかオムライスみたいな比較的簡単な料理は一通り作れます。」

 

 「そ、そう色々やるのね。」

 

 「同じものを作っても文句言われるだけなので…ん?」

 

 と話していると遠坂3曹は窓の外を見たとき顔をしかめた。

 

 「どうしたの?」

 

 「向こうから煙が…何かが燃えているのか?」

 と視線を向けると空を覆いつきそうなほどの黒煙が上がっていた。私達は驚いていると台地があったので一度様子見の為、そこに止めるとコダ村の村長が言っていた森は赤く燃えていた。

 

 ~森の手前の台地~

 

 私達は車が止まると同時に降りると森は夜の闇よりも赤く燃えていて明るく照らしていた。私は桑原曹長ことおやっさんがメガネ(双眼鏡)をのぞき込んでいたので私もそれに倣い自分のメガネで燃えている森を見た。

 

 「燃えてますね~」

 

 「盛大に燃えているね~大自然の驚異?」

 

 と倉田さんと耀ちゃんは茫然としているが、

 

 「いえ、それよりも怪獣映画ですよ。」

 

 とおやっさんが言うと私の後ろでガチャガチャと音が聞こえた。その時大きな2本の木の間から何かが見えたので

 

 「私から見て左15度、30(約3キロメートル)に何か視認って…」

 

 と報告しているとその何かがはっきりと見えた。それは50m以上はありそうな竜だった。

 

 「あれま」

 

 「首一本のキングギドラか?」

 

 「リオレウスって…手があるっすね。」

 

 と伊丹隊長は驚き、おやっさんは某宇宙超怪獣の名前を倉田さんは有名ゲームの看板モンスターの名前を挙げた。

 

 「伊丹隊長どうしますか?」

 

 と栗林さんが伊丹隊長に言ってきたが

 

 「どうしますか隊長、あいつが倉田さんの言ってるほうなら閃光玉か肥し玉、おやっさんの言う通りならメーサータンクか轟天号あたりでも持ってこないと勝てませんよ?」

 

 と私はメガネを降ろして尋ねたがドラゴンは咆哮を上げた。私達は身構えてたが、翼をはためかせ、飛び去って行った。

 

 「なあ、あのドラゴンってさ、ただ何もない森を焼き討ちする習性があると思うか?」

 

 と尋ねてきたので

 

 「ドラゴンの習性に興味がごありなら、隊長自身があのドラゴンの後を追われては?」

 

 「あれほどの森を焼き払うだけということはかなりのカロリーを消費するから普通ならやりませんよ…そこに奴の“餌”となる何かがあるとするなら別ですが…」

 

 「やっぱり遠坂もそう思うのね…いやさっきコダ村の村長さんからあの森の中にエルフの集落があるってさ…」

 

 その言葉に私達は目を合わせ、

 

 「ヤッベエ!?」

 

 「こんなところでちんたらしている暇はありませんよ!」

 

 「おやっさん、野営は後回しでいいかな?」

 

 「了解です。全員乗車!」

 

 「「「「了解!!」」」」

 

 と車に急いで乗り込んだ。そして車に乗り込む際私は隊長達と同じ高起動車に乗り込み

 

 「隊長!もしかしたらスコールが来るかもしれないから雨具の準備もしておいた方がよいと思います!」

 

 「なんで分かる!?」

 

 「森の上空やや西寄りの空から積乱雲みたいな雲とその下の視界が極端に悪いからそう判断したまでです!」

 

 「見たことあるのか!?」

 

 「インド洋で何回かぶつかりました!」

 

 「了解っとお前もちゃんと座れよ!」

 

 「了解しました。」

 

 私達は車を飛ばし、激しい雨が降りながらも燃え盛っている森へ向かった。

 

 ~翌日~

 

 私達は焼き焦げた村の門らしきところまで。

 

 「それじゃあ、ここからは車ではなく分隊を組んでいくすまないが何名かはここで待機してくれないか?それとこっちの指揮はおやっさん頼めますか?それと黒川もこっちでいいか?」

 

 「了解しました。」

 

 と話していて私も手を上げ

 

 「なら私もこっちに残ります。練度の低い私がいても邪魔になるからな。」

 

 「…わりい、遠坂」

 

 「いいえ、その代わり可能な限り準備しておきます。黒川2曹準備するものがあれば手伝います。」

 

 「え、あ、ありがとう。それでは隊長」

 

 「ああ、行ってくる…皆行くぞ。」

 

 と伊丹隊長達が陣形を組みながら焼けた村の中へ進んでいった。そして私は居残り組と一緒に生存者がいたときのために応急手当等の準備をしていた。

 

 「なあ、遠坂」

 

 「はい、なんでしょうか桑原曹長?」

 

 「いや、作業しながらでいいよ。それと俺の事はおやっさんでいいよ。」

 

 「了解しました。」

 

 と桑原曹長に声をかけられとりあえず手を動かしながら返事をすると

 

 「お前さんまだ20代だよな?なんで轟天号知っているんだ?確かお前さんが生まれる前の作品だけど…」

 

 「ああ、それは伊丹隊長がアニメとオタクなら私は特撮オタクみたいなものでして東宝、大映、円谷、東映の怪獣映画やヒーローものが大好きでして、駐屯地にも特撮作品のDVDとか持ってきているので、娯楽室にありませんでした?」

 

 「確かにあったがあれはお前さんだったのか?」

 

 「ええ、それに轟天号だけなら2003年のゴジラ映画に出てましたよ。その作品も持ってきてますよ。」

 

 「へえ、暇があったら見てみるか。」

 

 と準備を完了して周囲警戒をしていると

 

 「おやっさ~~~ん!!」

 

 と倉田さんが慌てた様子でこっちに来て

 

 「どうした倉田?そんなに慌てて」

 

 おやっさんが倉田さんを落ち着かせると

 

 「井戸の中に生存者を発見したッス!黒川2曹は直ちにこちらに来てくださいッス!」

 

 と言った。私達はその報告に内心安堵しながらも

 

 「もし昨日の晩から井戸の中にいたとしたら低体温症になっている危険性があるわ。」

 

 「ああ、車をバックの状態で井戸に近づけて後ろからロープを垂らし、引き上げるぞ!」

 

 「了解しました。車は…私が運転します。(ウチみたいに人力じゃないんだ。)」

 

 私は車に乗り込み誘導されながら井戸に近づき、おやっさん達がロープを垂らし車の後ろに固定させ、おやっさんの合図と共に車をゆっくりと前進させた。

 

 数メートル前進させると停止の合図が車を止めたが、後ろが少し静かになりおかしく感じると

 

 「人命救助急げ!」

 

 「「「「了解!」」」」

 

 と伊丹隊長の声と共にみんなの足音が聞こえる。

 

 「運転ありがとう変わるッス。」

 

 「いえ、しかし少し間が空いてましたがどうしたんですか?」

 

 と尋ねると

 

 「生存者を見ればわかるっす。」

 

 と言い運転を交代して隊長の手助けに行くと

 

 「人ではなくエルフだが…」

 

 と伊丹隊長の背中にいたのは金髪ロングのエルフで昨日の晩と続きここが異世界だと実感させられた。



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第2話「対炎龍戦:前編」

この話で炎龍との闘いまでいく予定がゴスロリ姿の神官が出てくる前までしか書けてねぇ……すいません。

後作者はコメントで面白そうなネタは気紛れで拾っていくタイプです。


 ~コダ村門前~

 

 焼けた集落のたった一人の生き残りを乗せて一度コダ村まで戻ってきた隊長達は村長に写真で撮った龍と生存者のエルフの子を見せに村の中へ行き、何名かはドラゴンが来るかわからないので村の外で周囲警戒をしていると

 

 「エヘヘ、エルフって本当に居るんっすね~」

 

 「どうしたんですかそんな気持ち悪い顔をして、ただでさえ一人だけ他と違う(防弾チョッキの色、帯刀)トロルもどきと一緒にいるんですから…」

 

 ペアを組んでた倉田さんが気持ち悪い声と共に

 

 「すまないッス。しかしこれでケモ耳娘がいることに希望が持てたっす!!」

 

 「で、もしケモ耳娘がいて彼女とかになったらどうするんですか?」

 

 「そりゃあいろんなコスプレさせたいっすね~メイドとか~セーラー服とか~…ああ、でもメイドさんはいるかもしれないッスけどセーラー服は日本で買わないとダメッスね。しょんぼりッス。」

 

 と肩を落としている倉田さんに

 

 「セーラー服なら私持っているよ。私物の奴だけど」

 

 「ええ!?!?遠坂さんその背格好で女装っすか!?」

 

 と私の言葉に顔を青くしながら数歩後ずさるという想像通りの反応をしてくれて私は自分を指さしながら

 

 「私、ついこないだまで海士、つまり元祖の方のセーラー服を着ていて、こっちにも広報用として私物のセーラーが夏冬合わせて2セット持ってきているんですよね。」

 

 「あ~なるほどってサイズが合わないッスよ~~」

 

 「それは仲良くなった町で頼んで・・・なんか村が騒がしくなってきましたね。」

 

 村の中を覗くと隊長が

 

 「お~~い、この村捨てて避難するってさ~手伝うぞー」

 

 「「りょ、了解!」」

 

 私と倉田さんは銃を背負い村の中へと入っていった。

 

~コダ村~

 

 「賢い子よ。お前には愚かに見えるだろう。」

 

 「一刻も早く逃げないといけないのに持てるだけの物を持っていきたいのは当然のこと」

 

 私はカトー師匠とそう話していると渋滞になってしまい馬車は一向に動かず、師匠は近くにいた知り合いの農家の男性に

 

 「どうしたのじゃ?」

 

 「ああ、カトー先生、レレイも今回は大変なことになって、この先荷の積みすぎで車軸の折れた馬車が道を塞いでいるんだ。」

 

 「全くちゃんと考えずに積むから全く…」

 

 と話していると馬車の後方から聞きなれない言葉が聞こえてくる

 

 『避難の支援も仕事の内だろ!』

 

 『伊丹隊長は村長から救援要請を引き出してください!』

 

 『了解、おやっさん』

 

 そこには緑と茶色の斑模様の服を着た人達が仲間同士で話し合い動いていた。

 

 『馬がパニックを起こしているかもしれないのでそこも気を付けた方がいいですね。』

 

 『そういえばそうだな。馬にも気を配りながら行え』

 

 『『『『了解!!』』』』

 

 大きな声を上げた後、私達の横を通り過ぎていく、その軍隊の中には女性もいて一人他の人と装備が違う大きな人がいたが剣を持っていることから指揮官と思われる。

 

 私は気になり、先ほどの軍隊の後を追っていった。

 

 『君、危ないから――』

 

 一人の男性が私の前に出てくるが、その横を通り過ぎ負傷者の様子を見る。と息の荒い小さい女の子の様子を見る。

 

 「(この子が一番危険…)」

 

 と目の前に髪の長い女性と先ほどの剣を持った男が座り、私を少し下がらせた後様子を見る

 

 『この子は脳震盪を起こしている可能性があるわ。肋骨にひびが入っている可能性も』

 

 『一応外傷、脊椎の損傷はないようです。車の方には一応毛布を3枚ほど重ねて敷いて置いたので運びましょう。』

 

 と少女を見ながらの会話しているその顔は真剣そのものでこの二人は医術者かと思われたその時、

 

 倒れていた馬がいつの間にか立ち上がっていて興奮しているのか前足を上げて私達に降り下ろそうとしていた。

 

 ダンダダン!

 

 と3つの大きな音がなると馬は斜め後ろに倒れた。耳鳴りがするなか私は

 

 「(助けてくれた?)」

 

 と考えながら回りを見ると少し離れたところで男性が黒い杖のような物を持っていたが、最後の一回は私の近くでなったのを思いだし隣を見ると男が手に黒い物体を持ってそれを先程馬がいた方に向けその先端からは煙が立っていた。

 

 『あ、危なかった…』

 

 『遠坂君、いきなり発砲しないでよ……』

 

 『す、すいません。っとごめんね大丈夫かい?』

 

 と黒い物体をしまい、前にいた女性に謝りながらも私の方を見て手を顔の前まであげて何か言ってたがもしかするとあれは緑の人達の謝る動作かもしれない。

 

 その後女の子を他の緑の人達が持ってきた担架のようなものに乗せて馬車みたいなものに乗せた。

 

~コダ村から離れた道~

 

「嵌まった馬車の救助終わりました。」

 

「お疲れ様。どうだった?」

 

「結構な距離をほとんど休み無しで行きましたから馬も息が荒いですね。人に関しては軽い脱水症状の人がいましたが、魔術師の人に水を、作ってもらいとりあえずは大丈夫です。」

 

「ふう、そりゃ良かった。また持ち主の目の前で馬車を焼くのはコリゴリだ。」

 

 私は移動している車に乗り込みながら伊丹隊長に報告すると伊丹隊長はそう呟きながら鉄ヘルをかぶり直す。運転をしている倉田さんは

 

「でも、なんで遠坂君はペンチと針金とビニールテープを持っているんッスか?」

 

 と尋ねてきた。私は

 

 「掃海は小さなものは自分で応急処置できなきゃ駄目ですから。伊達に日本で最初に国外派遣されてる部隊じゃありませんから、それとこれはビニールテープじゃなく掃海テープ(通常のビニールテープより幅広で粘着力の強いテープ)といいます。一応軽い出血ならテープで止血しますよ?」

 

 「いや、お前前に見せてもらったがワイヤーのバリ(ワイヤーの繊維がちぎれて刺みたいになったもの)で手のひら数cm切ったのを軽くとは言えねぇだろ。しかも垂れてたじゃねえか!?」

 

 と伊丹隊長は言ったが怪我を詳しく言ったせいか後ろの方(黒川2曹)の視線が首筋に刺さるような気がする。しょうがないじゃん作業中だったし、「痛みは気合いで耐えろ」「服を身体に合わせるんじゃない、身体を服に合わせろ」の海自だから仕方ないでしょ!?

 

 『トロルのおじさん、お帰り』

 

 『ジャック、私、トロル、違う、人』

 

 と話しかけてきた男の子に片言の返事をした。

 

 「お前、俺よりも子供達と馴染んでない?言葉も喋れるし」

 

 「その場のノリですよ。ノリ、それと言葉は子供達に絵とか使いながら教えて貰いましたよ。」

 

 「「やめろ、ジョッカー!ぶっ飛ばすぞー‼」」

 

 「ノリダーはやめてください。ウルトラハリケーンをかましますよ?」

 

 「それは実際にできるから止めてくれ!」

 

 「できるんッスか!?」

 

とふざけながらも車の天窓から周囲見張りをしていると地平線の向こうで黒い固まりが見え、メガネを取りだし覗きこむと黒い固まりはカラスの群れで

 

「隊長、前方にカラスの大群あり」

 

「こちらも視認した。向こうに動物の死体でもあるかもしれん。分かったら教えてくれ」

 

「うぅ、了解しました。」

 

と再度覗きながらせめて動物の死体であることを祈りながら見ていると、最初に金属が見え、それが斧であることが分かり下に下ろしていくと見えた物に思わずメガネから顔を外し、目頭を揉みもう一度メガネを覗いたが見たものは変わらず

 

「えっと、伊丹隊長」

 

「あれはなんだ?」

 

どうやら固まっている間に下も見えたようだ。

 

「Very bigな斧を持ったゴスロリ少女の様です。」

 

「ご、ゴスロリ少女ッスか!?」

 

倉田さんが興奮した様子で車を止めてメガネを覗きこむがゴスロリ少女はこちらに近づいてきているようだ。

 

「銀座事件の時にこっちに来た子かもしれんな。」

 

『おじさん、おじさん』

 

クイクイ

 

「ん?」

 

と私達は話していると車が止まった事に不安を感じたのか私のズボンを誰かが引っ張り、視線を下に向けると仲良くなった女の子フォアが私を見ていたが私は抱き上げ車の上に座らせてメガネを渡しながらゴスロリ少女の方へ指を向けた。

 

フォアはメガネでその方向を見ると嬉しそうな顔で降ろしてと言い、下で何か言うと次にフォアのお母さん(妊婦)天窓に顔を出してメガネを覗くと喜んでいた。

 

『あの、子、何?』

 

と私が片言で尋ねるとフォアのお母さんは彼女に手を向けてから祈るようなポーズをして、それを繰り返していたので私は頷き身体をかがめ、下の二人に尋ねて、話を聞いた後、顔を前に戻し

 

「彼女は私達でいう尼僧のようです。」

 

「尼ってことは…神官!?」

 

二人は驚いて前のゴスロリ神官を見ている時に私は

 

「あの格好が男女同じじゃないことを祈りたいですね。」

 

と言ったら前の二人にスナップの効いた裏拳で殴られた。倉田さんもレンジャー目指せそうね。

 



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第2話「対炎龍戦:後編」

 やや急ぎ足で飛ばした感が半端ねえ…しかし漫画版だとRPGで飛ばされた炎龍の腕は地面に落ちる描写があるのにアニメ版だと何故ないのだろうか・・・規制かな?

 後今回ちょいちょい特撮ネタ入れてます。作品名は全部…簡単だからわかりますね。


 ~軽装甲機動車 車内~

 

 「ゴスロリ少女が乗ったおかげでこっちに移動になりました。」

 

 「いきなり言ってるの?」

 

 と私が言うと栗林さんがそう睨んできた。

 

 「まあ、あれ以上あっちに人が乗るのは無理でしたしなら動ける私がこっちに来た方がいいでしょう。」

 

 「まあ、そうだけど…まさかこっちじゃああんな恰好の神官がいるとはね…」

 

 「流石異世界ですね…おやっさん見張り変わりますよ。」

 

 「いいよ。もう少し休んでからにしたら交代してくれ。」

 

 と立ち上がろうとする私を手で制するが、前の職場での下っ端根性が発動していて曹長クラスの人だけ働かせるわけにはいかないこれが船の上なら弁慶の泣き所に鉄板入りの安全靴で蹴られるからだ。

 

 「いえ、暇だと寝てしまいそうなので一緒で構いませんか?」

 

 「そうか?まあいいが…」

 

 私はおやっさんと一緒に車の上から周囲を見渡す。後ろには多くの難民の人達が移動しているのが見え、その顔は見える限り疲労の顔でいっぱいだった。

 

 私はその光景に早く安全を確保してあげたいが、今の私にできるのは一刻も早く炎龍の危機を和らげてあげることしかないと思い、メガネを覗く

 

 「ほんと、何もないわね~このままいいようないっそ盗賊でも出てくれたらこれで追い払えるのである。」

 

 「不謹慎ですよ。最後尾を襲われたらコダ村の人達がただではすみませんよ。」

 

 栗林さんの言葉に古田さんが注意しているのを聞きながら遠くを見ると青っぽい銀座に現れた竜が見えた。

 

 「栗林さん、どうやら相手が来ましたよ。」

 

 「マジで‼盗賊?ゴブリン!?」

 

 「いえ、銀座に現れた小さい竜です。」

 

 とメガネを外して報告すると下から少し気合いを入れた感じの声が聞こえると視界の端で大きな影が見えたのでその方向に向きながらメガネを覗くと

 

 見覚えのある赤く大きな龍が青っぽい竜を食べた瞬間が見えた。しかも赤い龍の口の端からは炎が漏れていた。その光景に私は先頭の車両に振り返りながら

 

 「炎龍が来た!総員対空戦闘用意‼」

 

 と叫びながら64の安全装置を解除した。

 

 ~高機動車 車内~

 

 「炎龍が来た!総員対空戦闘用意!!」

 

 突然後ろからの叫びに俺も後ろを見て赤い龍が迫っているところを確認した。

 

 「くそっこんな開けた場所で!戸津、LAV(軽装甲機動車)に積んでいるミニミを取ってくるんだ!」

 

 と指示しようとしたとき黒川が

 

 「ミニミならここにあります!」

 

 「なんで!?俺達のはあっちに積んだはずじゃあ…あ」

 

 と黒川が持っていたミニミをよく見ると錨のマークと「いなづま」と書かれていた。

 

 「遠坂のか…遠坂借りるぞ!!」

 

 とLAVに叫ぶと

 

 「壊さないでくださいよ~!!」

 

 と叫び返し乗り込んだ戸津にミニミを構えさせ俺は戦闘配置につかせ、倉田に飛ばすよう伝え隣の女の子に荷台に下がるよう言ったが、こっちの言葉では話してないからわからないという感じで首を傾げるだけだった。

 

 俺はため息をつき

 

 「全軍ドラゴンの気を村人からそらすんだ。攻撃開始!!」

 

 『サイバトロン戦士アタァアアアアック!!アイテッ!?』

 

 通信から栗林かおやっさんに殴られたような声を出した遠坂の声と共に炎龍に攻撃を開始した。

 

 ~軽装甲機動車~

 

 「怪獣と戦うのは自衛隊の伝統だけどなにもこんなところで戦うとはなぁ!」

 

 ドタタタタタ!!

 

 「映画だと新兵器到着までの足止めや最初の方のチョイ出しの海自よりはマシでしょう!」

 

 タァン!タァン!タタァン!

 

 「そうだけど、って遠坂あんたなんで短発で撃っているのよ!!それははあんたたち(海自)の方がよく使っているでしょう!」

 

 「しまったいつもの癖で!それと海自は陸自と違って弾薬節約のため一年に1回基本20発くらいしか撃ってないんですよ!20ミリなら一年に2回200発程度撃っているけど!」

 

 「とりあえず撃て撃てぇ!」

 

 浴びせるように炎龍にぶつけるがまるで効いてない。

 

 「くそぉ、20ミリかウルトラガンでもスパーク8でもあったら欲しい!!」

 

 「ないものねだりしてもしょうがないだろ同意はするけど!」

 

 「とりあえずは村人達から離せたことをよかったと思いなさい!!」

 

 と効いている様子がない炎龍に銃を放ち続けると炎龍は突然上体を反らした目を凝らすと口からは赤く光るものが見えた。

 

 「『ブレスくるぞ!よけろ!!』」

 

 と伊丹隊長と同時に叫ぶと車は大きく炎龍の左側に回り込むようにギリギリでかわしていく。

 

 「頭あっちぃ!?」

 

 「命があるだけましだろ!!」

 

 少し熱くなった鉄ヘルに我慢しながら炎龍を狙いなおす。その時前にいた伊丹隊長がこっちを向き

 

 「全員“目”を狙え!!」

 

 と叫んだ。そして全員顔の付近に射撃を集中し始めた。私も続こうとするが、64の弾が切れた。

 

 「って弾が切れた。予備のマガジンは!?」

 

 「余裕ないわよ!」

 

 「代わりにこれ使ってください!」

 

 と勝本さんが使っていたキャリバーを指さし私は64を下に置き、キャリバーの前まで付き狙いを炎龍の顔に定めて撃ち始める。撃ち始めて少しすると

 

 バキャオ!!

 

 今までと違う音がすると同時に炎龍は身を悶え始めた。

 

 「なんか様子が変だぞ!?」

 

 「口を覆っているように見えるが・・・?」

 

 と攻撃を止めるとメガネを見ていた栗林さんは

 

 「あ~歯の神経にでも当たったみたいね。前歯の歯茎付近に穴が開いている奴があるわね。」

 

 「ああ、それは痛い。自衛隊病院で麻酔なしで神経まで削られたからよくわかってしまうよ。」

 

 「ヤブ医者じゃねーか!?まあ、いい動きが止まった勝本!」

 

 伊丹隊長の指示と同時に私の隣にRPGみたいなものを担いだ勝本さんが狙いを定めようとする。

 

 「おっと、後方の安全確認っと」

 

 「「「「「遅い(よ)!!」」」」」

 

 と後ろの確認をして、皆から罵声が飛ぶ。

 

 「いいから、撃てぇぇぇぇ!!」

 

 隣でキャリバーを撃ちながら叫んだ。勝本さんは慌てて構えなおすと

 

 ガタン!

 

 「ウグゥ!?」

 

 バシュウ!

 

 車体が大きく揺れた瞬間RPGみたいなのは炎龍めがけて飛んで行った。

 

 「あっ…」

 

 「ガク引きかよ!?」

 

 「当たらないかもしれないから次発装填用意を!」

 

 「いや、これ使い捨て…」

 

 「なら新しい奴をチャッチャと準備!!」

 

 「ハイィ!?!?」

 

 と勝本さんに怒鳴りながら弾頭が飛んで行った先を見る。弾頭は大きく炎龍から外れようとしていると黒いものが飛んで行った。前を見ると車の屋根にあのゴスロリ少女が乗っていて持っていた斧はなかった。つまり

 

 「あれをゲッターのように投げたのか!?いや、ハルバードだから真ゲッターか?」

 

 と自分が無理やり納得すると斧は炎龍の足元に刺さると地面が盛り上がり炎龍は体勢を崩した。そしてバランスを崩した炎龍の腕の根元に弾頭が飛んでいき激しい爆発とともに腕は千切れた。

 

 千切れた腕が地面に落ちると炎龍は痛みで咆哮を上げてから私達を睨むと飛んで去っていった。

 

 車は全部停車し、辺りには静寂で満たされる。

 

 「終わった…ようだな…。」

 

 「そ、そのようですね…。」

 

 おやっさんの言葉に私は鉄ヘルを脱いで炎龍の腕を見つめた。

 

 ~数時間後~

 

 私達はあの後炎龍によって殺された被害者の墓と葬儀を行い、撤収の準備を終えた。

 

 炎龍の襲撃から生き残った者の大半は近くの身内のもとかどこかの町へいくことになったが、残りの親や身内を失った子供や老人は自分たちの身で精一杯の村の方では保護してもらえず、日本であれば孤児院とかがあるかもしれないがこっちにはそういうのはないかもしれないので自衛隊が保護することになった。

 

 私は片付け終えた後伊丹隊長の元へ足を向けようとすると

 

 『『ねえ、おじさん』』

 

 後ろから声が聞こえ振り向くとフォアとジャックが手をつないで私を見ていた。この子たちは幸いにも両親が無事で、近くのイタリカという町に身内がいるためそこへ向かうそうだ。

 

 『おじさん、違う、でも、元気で』

 

 と片言で伝えるとジャックは涙目で

 

 『おじさん、ありがとう…』

 

 『また会えるよね?』

 

 と言ってくるが、涙声でしゃべっているせいかよくわからなかったが、私は二人に近づき

 

 「大丈夫!」

 

 と笑顔で右手にサムズアップを見せた後二人の頭を優しく撫でた。遠くで二人を呼ぶ声が聞こえ、二人はそっちに行こうとしたとき

 

 『ジャック、フォア、待って!』

 

 と二人を止め急いで車に向かい私のバックを取り出し、中を探りお目当ての物を出す。二人に近づき

 

 「これは君たちへのプレゼントだよ。」

 

 とフォアに船のマークのタイピンを服につけジャックにはレンジャーのバッジ(お土産用の)を胸元につけて最後に二人には掃海部隊の帽子をかぶせた。二人はそれを見て暗い顔から明るい顔に変えて

 

 『『お兄さん、ありがとう!!』』

 

 と手を振りながら親たちの元へ向かった。

 

 「全く、ようやくお兄さんって言いやがって…」

 

 「良かったな。お・に・い・さ・ん?」

 

 「伊丹隊長後でヘッドシザースね。」

 

 「やめろよ!」

 

 私達は村の人達を見送り、

 

 「それでどうしますか伊丹2尉?」

 

 「流石にここで彼女らを捨てていくわけにはいかないですよね…。」

 

 と私と黒川2曹の話に伊丹隊長は残った生存者たちを見ると

 

 「ま、いっか。大丈夫任せて!」

 

 と笑顔でピースサインを送った。私は耀ちゃんらしいと思い

 

 「では戻りますか?」

 

 と尋ねると耀ちゃんは

 

 「全員乗車!これよりアルヌスに帰還する!!」

 

 と号令をかけ、私達は乗車し駐屯地への帰途についた。




 ※主人公が最後辺りに帽子とかを送った子供たちの名前は私の好きなお酒からとってます。後掃海部隊の後方に行けば小さいお子さんなら部隊帽は貰えるかもしれません。


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第2.5話「一人の海上自衛官の日常」

 どうも、生存確認&投稿です。今回少しばかり実際にあったかどうかわからない噂話も入れているのでそこら辺はあまり深く考えないでください。

 しかし後1か月半くらいで2015年も終わり…おそらく今年のクリスマスイブとクリスマスはデートとか合コンとかの人の代わりに職場で過ごすんだろうな…早すぎるかもしれないけどサンタさん、彼女を下さい!三次元の!!


 自衛官は朝6時に起きると思っている人がいるが決してそうではない。実はその前に起きることの方が多い。

 

 ~0530 隊舎~

 

 「ふぁ~~~、朝か…倉田さんそろそろ準備してください。」

 

 「うう、おはよッス」

 

 「さて、昨日のバスタオルを片して毛布も畳んで…」

 

 「そこまでやるんっすね…」

 

 「ああ、こうしないと違うマーク(※)の教官とかに文句を言われてしまうからな。それと台風も怖いし」

 

 ※マーク…一般でいう整備員とか会計員みたいなもの、自衛隊には所属を示すメインマークと「他にもこれができるよ」と示すサブマークがある。(確かそうだったはず…)

 

 「そんじゃトイレ行ってくるっス」

 

 「そういえば陸は総員起こし5分前のマイクは入らないんですね。」

 

 ※海自は会議やら課業等を放送で入れるとき「~~始め5分前」と入れることが多い

 

 「総員?ああ、起床ラッパの事っすね。というより何故海は5分前に入れるんですかね?」

 

 「…5分前精神?ってもう10分前だ。」

 

 「やっべ急いで行ってくるっス!」

 

 と陸と海の違いを感じながらも総員起こしの準備をして再度布団に潜る。

 

 ~0600 起床~

 

 ~~~♪~~~~~♪!!

 

 「!!」

 

 「着替え早っ!?そこまで急がなくていいのに!?」

 

 「教育隊では1分くらいで下に行くのが当たり前でしょう!」

 

 「ここは教育隊じゃないですよ!?」

 

「陸上の生活が教育隊と(※)1術校しかないからそう思ってしまうんだ!お先!」

 

 ※1術校…広島県の江田島にある第1術科学校の略、赤レンガの建物がある。

 

 「あ、遠坂君!?」

 

 この後、廊下を走っていた遠阪は栗林に蹴りを食らいました。

 

 ~体操~

 

 「っ、っと、陸自の体操って難しいですね!それとよく跳ねる!」

 

 「海自は結構簡単ですね。でも激しくは動かないですね。」

 

 「海の上でピョンピョン跳ねたら危ないからね~」

 

 「体操終わり~~」

 

 「遠坂は腕立て50回やってから飯な~」

 

 「ウェ!?…了解しました。」

 

 「うんじゃ俺は先行くわ。」

 

 「何いっているんですか。隊長もですよ。」

 

 「え~それなら「栗に負けたら飯抜き確定で」ヤッベぇ!?てかおやっさんヒデェ!?」

 

 「それじゃ私も…」

 

 「ふ、二人とも早すぎます!?私は二人とも程体は鍛えて……ウェェェェ!!」

 

 ※遠坂はギリギリ先に終わり、伊丹隊長は間に合わず朝飯抜きとなった。

 

 

 ~0800 課業始め~

 

 「さて、皆は話し合っているみたいだけど、海自は私だけだからな…暇だ…」

 

 伊丹隊長達の会議を見ながらそう呟き、視線を駐屯地の外へ向ける。兵士の遺体は粗方埋葬したが一体で兵士3~4名分もある翼竜の死体はまだ放置のままで、最近はマシになったが、その前までは匂いが酷かった。

 

 翼竜の死体を見ているとふと思った。

 

 「(ゲームとかで竜の鱗とかを鎧兜にしたりできるけどこっちはどうなんだろ?結構固いから使えそうだけど、レレイちゃんにロゥリィさん、テュカちゃん辺りに聞いてみるか…。)」

 

 そんなことを思いながら翼竜の死体を見ていると

 

 『タカヒト、少し良いかしらぁ?』

 

 特地の言葉で話しかけられ振り向くとロゥリィさん達が集まってきていた。私は本来陸自のみで構成される筈の部隊に無理矢理ねじ込んだ海自の隊員で駐屯地の近くに水辺がないので、あまり特地での仕事がなく最初は書類業務と荷物運搬のみで、彼女達が来てからは日本語を教えながらこっちの言葉を教えてもらっていた。

 

 しかしレレイちゃんは簡単な会話ならできるようになったののに対し、私はまだ片言のままだが…これも年のせいなのか!?

 

 私は伊丹隊長達の方を見るが、まだ話しているのを確認してからロゥリィさん達に向き直りオッケーサインを作ると

 

 『実は翼竜の事なんだけど…』

 

 ~0900 午前の作業~

 

 「…という訳なのですが、どうでしょうか?」

 

 「あ~良いんじゃないの?」

 

 「へ~売れるんッスね。」

 

 「確認しましたが問題ないそうです。」

 

 「レレイちゃん、こっちはOk! No,problem!だ進之介!(ベル◯さん風に)…だってさ。」

 

 『『………』』

 

 「(しんのすけってだれ?)」

 

 「「(声まねうめーな~~)」」

 

 最後で私が滑ってしまったがロゥリィさん達の話の内容は、今は自衛隊が保護してるがどうやら彼女達は私達で言うところの『家賃後払いで住まわせて貰っている』と思っているらしく家賃を払うため、それにこちらの物を買うためにはお金が必要で、こちらでは竜の鱗は大変貴重なものらしく売ればそこそこ良い値段で売れるらしい。

 

 そして私に、話しかけたのはその鱗を少しでも良いから譲ってほしいとのことだが、はっきり言って私達はお金は国民からの血税でお給料貰ってるし、何より自衛隊は副業禁止!海自も昔船に来た記念に限定ライターとか帽子とかを船員に売るより安く(要は赤字になるよう)売ってたけど、それも自衛隊の存在事態が気に入らない人が「自衛隊員が汚い手法で国民からの金を巻き上げている」とか言って禁止になったくらい世間の目は自衛隊に厳しい。

 

 なので翼竜の死体は射撃訓練の的くらいにしか使ってないし、そうやってしか使えないから鱗でもなんでも持ってけ泥棒!(悪ノリ)な 気分である。因みにそれを言った後のロゥリィさんの

 

 『身体を売らなくて済んだわね。』

 

 と言っていたが、ここ(駐屯地)じゃあ、それをやったほうが大問題になることを注意しておいた…性的な意味では特地には絶対避妊のゴムの近藤さんとか無いし、それ関連の病気もあるかもしれないからやってもキャバクラもどきが精一杯だろうな。それも敷地内だったら許可は降りないだろうけどね。

 

 その話が終えて、私も試し切り用の鱗を数枚頂戴するために鱗剥ぎの方に参加したが肉が腐って崩れ始めていたからか割と剥ぎとりやすく調子に乗って剥いでたらレレイちゃんたちに怒られてしまった。たまに様子を見に来た伊丹隊長達に鱗を見せ

 

 「翼竜の鱗を手に入れた」

 

 と某狩ゲーのシステムメッセージみたいなことを呟いたら近くにいた隊員達と一緒に笑いをこらえていた。

 

 ~1200 昼食~

 

 「あ~さっぱりした。しかし…腹が減った。」

 

 鱗の剥ぎ取り作業を終え匂いが染みついた体をさっぱりとさせ食堂に向かう。

 

 「お、遠坂じゃん」

 

 栗林さんが駆け寄ってくるのが見え、少し足を止め一緒に食堂へ向かう。焦ることはない私はただお腹が減っているだけだ。

 

 「どうだったの鱗は?」

 

 「ええ、少々剥ぎ取りすぎて、テュカさん達に洗う身にもなってくれと怒られましたよ。まあ私も洗いましたが、」

 

 「へえ~あ、そうだ黒川2曹も合流するけど急いではいないし構わないよね?」

 

 「ええ、私の腹が猛烈に減っていることいがいは何もありませんし午後も別科まではこっちの言葉と文化の勉強くらいですからね…全くなんでこの間までセーラー服を着てた私じゃないほかの海自隊員を呼べばいいのに、どうして呼ばなかったのやら…」

 

 「まあ、そこは選ばれた隊員と思って頑張りなさいよ。それとあんた…その服目立ちすぎるわ。見つけやすかったけどね。」

 

 「まあ、新品の私物の作業服(鮮やかな青)ですからね。緑の中では目立ちますよ。」

 

 と話しながら食堂へと向かっていった。(因みに服の事については黒川2曹にも同じこと言われた。

 

 後食堂で倉田さんから海自は船ごとに決まったカレーがあるのかと聞かれたが、

 

 「毎週昼飯が毎回おんなじカレーをずっと出されたら嫌でしょう?」

 

 と言ったら納得してもらえた。それにルーが同じだからどこも大して味は変わらないよ。

 

 ~1330 午後の課業~

 

 「また、シャワー浴びなきゃ…」

 

 「ドンマイ遠坂、今回は俺たちも一緒だ。」

 

 伊丹隊長達と目の前の血なまぐさい匂いを放つ物…炎龍の腕を見る。この腕は前の戦闘の際に落としたもので私が

 

 「そういえば前の戦闘の件、書類だけだと野党のお偉いさん達納得しないはずだから炎龍の体の一部を見せた方がいいんじゃないでしょうか?腕とかせめて指の一本はいるでしょう鱗も資料でアメちゃんにも出した方がいいかもしれませんよ。ひょっとしたら開発中の携帯レールガンが光学兵器の一つでも貰えるかもしれませんよ?」

 

 と数日前に娯楽室で冗談で言ったのだが、柳田2尉が国会には提出しなくてはいけないと進言し、ヘリ部隊によって基地近くに持ってきたらしい、そしてその腕を保存しやすいよう切り分け、大きさ比較のための写真を撮るため私達にお声がかかったのだ。

 

 そして今回この作業に参加するのは私と伊丹隊長の他には女性自衛官2名と古田陸曹(調理の為)、それとおやっさん(書類が急に来たため)を除いた全員が参加し、ロゥリィさんとレレイちゃんも参加することになったがまあ、やることは炎龍の手首を切ったり炎龍の腕や手の前に立ち、写真に取られたり鱗を試しに刀とかで斬るのを動画で撮るだけだったが…

 

 ザクッ、コツン

 

 『嘘…』

 

 『あら~?私は切れなかったのに?』

 

 「なあ、倉田、確か翼竜のは12,7mmの徹甲弾でようやく貫通するんだろ?」

 

 「そのはずっす…」

 

 周りがざわつく中私は視線を自分の握っている刀と真っ二つに切れた炎龍の鱗を見て

 

 「切れたぁ!?!?」

 

 思わず鏡の中で戦う龍の騎士っぽく叫んでしまった。そして先にやったロゥリィさんが切れなくて私がやった時に切れた理由はただのロゥリィさんの斧が鱗を斬るには刃が厚く、鱗が切れるより先に地面に埋まったからのようだ。

 

 その後は捨てる予定の部分の鱗をレレイさん達と半分こ(最初は2割程度の予定が向こうがそんなにいらないと言われ押し付けられ、貰った。)

 

 ~1630 別科~

 

 「せい!ハァ!」

 

 「うぉ!?いて!」

 

 「うおりゃあああ!!」

 

 「アヒンッ!?」

 

 別科の時間に私はなぜか栗林さんの組手の相手になっていた。起き上がりながら私は

 

 「な、何故海自の私が栗林さんの組手の相手に…?」

 

 腰に手を当てている栗林さんに話しかけるが

 

 「ここは異世界!銃だけじゃダメかもしれないし、あんたを鍛えるのは隊長にも言われたのよ。ほら構えなさい!!」

 

 「ひ、ひい~~~~~!?!?」

 

 私はこの後栗林さんの組手を私の心がボロボロになるまで行い、他の隊員たちに何故か褒められながら風呂場へ向かった

 

 ~1800 風呂~

 

 「あ~~打ち身に沁みる~~今日で二回目か…指がふやけてしまいそうだ。」

 

 「そういうことは気にするなよ禿げるぞ。」

 

 「私達いつもヘルメットか帽子かぶってますからね。そういえば伊丹隊長」

 

 「何だ?」

 

 今日できた風呂に入りながら私は伊丹隊長の隣に入り話していた。

 

 「今日テュカちゃんはぎ取った鱗はどうするのでしょうか?」

 

 「ああ、レレイによると“イタリカ”という町にレレイのお師匠さんの友人がいるらしい。そこで売るらしいが、馬の引き取り先も探すらしい。」

 

 「ん?イタリカ?聞いた事があるような…まあ、いいや。そういえば私はどうなりますか?まさか留守番?」

 

 「いや、もちろんお前も連れていく。お前の顔と刀はこっちの人達には偉そうに見えるからな。それに一人だけ服の色が違うから目立つし、ひょっとしたら俺の代わりに代表役として前に出てもらうかもしれないぞ?」

 

 伊丹隊長の意地悪そうな顔にうげーという顔をしながら顔を天井に向け

 

 「あ~~もう酒でも飲まねえとやってられんわ…そういやこっちの酒ってどんなんだろう?それにもし駐留する町があってほかの海自隊員、特に若いのが来たら酒場とかバーとか“ア~ン”な場所とかのマップも作らなきゃいけねえからどないしよう。」

 

 「…性病があるかもしれないからダメだろう。」

 

 「なので私としてはヒト以外の種族の女の子と楽しく酒飲んだら7割満足ですよ。」

 

 「7割かよ!?」

 

 「やっぱり彼女ができたら嬉しい。童貞ではないから魔法使いにはならないけどやっぱり彼女は欲しい。このままじゃあ船でホモ疑惑が出続けるだけだよ…」

 

 「結構大変だな。」

 

 「出港して電波の入らないところに出たら暇になってしまうからな~~」

 

 「「あ~~なるほど」」

 

 少しのぼせかけた私達はいそいそ風呂を出た…あ~日本酒をクイっと飲みたい。

 

 ~2130 自室~

 

 「よいしょっと」

 

 「うわ、それ全部鱗ッスか?」

 

 「ええ、しかもこの前戦ったヤツ(炎龍)のですよ。しかもこれでもまだほかにもあるんですよ。これはイタリカに行く時に持っていくやつですよ。」

 

 私はロッカーの横に鱗の入った衣嚢(服とか防止とか入れる袋)を置く。量が多すぎてロッカーには入りきらずしかもレレイちゃんたちに預けている分もあるから全部換金できたら良いけど翼竜の鱗でこっちでは大金持ちくらいになれるののに更に貴重な炎龍の鱗だと金が用意できない可能性と言われた。というかそこまでいくともはや商売になるかもしれないから駄目だな。イタリカでティッシュ配りみたいに鱗配ろうかな…

 

 私は胸はポケットから鱗を取りだし

 

 「倉田さん、何かの記念に数枚いる?」

 

 「い、いただくッス…」

 

 衣嚢袋から10枚くらい鱗を出して手渡す。倉田さんは貰ったそれを一枚だけ残して他をロッカーに入れて残った一枚を重さを確かめてみたり指でたたいてみたりして

 

 「結構軽いッスね。」

 

 「それでモース硬度はダイヤモンド並らしいですよ。」

 

 「へ~~あ、そうだゲームだとこういうのを防具にするけど遠坂君もやってみたらどうっすか?」

 

 「あ~~代金代わりになるものもあるし、時間があればいいですねぇ~でも作るとしたら…盾?」

 

 「大量にあるからフル装備で作ればいいっすよ!目指せリアルレウスシリーズ!!」

 

 「置き場所がないから却下。でも使えたらいいですね~~」

 

 この後他の部屋の陸曹の人たちまで来て消灯ギリギリまでどの防具を作るか盛り上がり、盾の他の防具の候補は胸当て、籠手、脛あて、それと兜となった…骨一本どうしよう…ランスか大剣でも作れそうだよ…。



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第3話「イタリカへ」

 どうも2015年ギリギリでの投稿となりましたが、コミックを読んで思いましたが、今の装備のままだと火力不足な気がしてならないので、何か自衛隊が使っている以外の装備(対多数の人用にAA-12とか炎龍戦に対物ライフルやスティンガーとか)を持ち込みたいのですがどうでしょうか?

 それと今のところ参考人招致には主人公を参加させないつもりで伊丹達とは別行動も考えているつもりです。なにかアドバイスやリクエストがある方はぜひコメントしていってください。


 長くなりましたが第3話をどうぞ!


 ~0800 駐屯地正面入り口~

 

 「分隊横隊!」

 

 ザッ!

 

 「分隊方陣!」

 

 ザッ!

 

 伊丹の目の前で銃を構えた隊員たちが

 

 「なんとか遠坂も他の奴らについていけるようになったか…よし1列横隊の形に集合!」

 

 伊丹の号令で方陣から横隊に並び替える。

 

 「隊長、準備完了いたしました。」

 

 「よし、それじゃあ、弾込め、安全装置確認!」

 

 伊丹隊長の号令で3偵の皆と私は小銃や機関銃のマガジンに弾を詰めていく…ミニミの200発用を昨日のうちにやっといて良かった…

 

 弾を装填し終えて並びなおすと伊丹隊長は

 

 「そういや、海自だと「合戦用意」とか言うらしいけど、そこのところ、どうなの?」

 

 「はい、掃海部隊の人間に言われても…まぁ、炎龍の時みたいに空の敵には対空戦闘、艦みたいな水上の敵には対水上戦闘用意、おまけに機雷相手には使う掃海具によって号令をいれます。アニメだとどうだかわかりませんが、」

 

 私の答えに伊丹隊長はへ~と頷くと黙っている皆を見て

 

 「それじゃあ、俺達の荷物を積んだあと、こっちの人達のキャンプによって荷物とレレイ達と合流、その後イタリカの町に向かう。遠坂はお前の分の鱗と小刀にミニミを載せるから陸自のバイクで移動な。」

 

 「了解」

 

 「それとイタリカでこっちの人達が挑発したり、ケモ耳娘がいても問題は起こしたりするなよ?特に栗林と倉田」

 

 「隊長では無いのでしません。」

 

 「気をつけるッス!」

 

 隊長のおふざけ的な言葉に栗林さんは伊丹隊長に目を合わせず、倉田さんは気を付けをして返事した。

 

 「他に質問は…無かったら乗車かかれ!」

 

 伊丹隊長の号令に3偵の皆は弾薬等を持って車に乗車した。私も鱗等を車に乗せ刀を古田3曹に預け、小銃を背負いバイクに乗る。

 

 「遠坂、仮面ライダー好きだからといって飛ばしすぎるなよ?」

 

 バイクのチェックをしているとき伊丹隊長が近づきそう笑って話しかけてきたが

 

 「隊長、最初に言っておくが私はオートバジンやバトルホッパーみたいな細いバイクではなく、トライゴウラムやマシンディケイダーみたいなゴツいバイクの方が好きなんです。」

 

 「あらそう、それと隊列は余り気にするなよ?」

 

 「隊列を守るのは自衛官としてのルールではないのか?」

 

 「…お前、声だけは似てるな。それと隊列に関してはレレイ達が酔うかもしれないからだからだ。」

 

 「わかった。」(cv:チェ〇ス)

 

 「だから声マネやめろ。それじゃ行くぞ~」

 

 私達は出発し、キャンプ地でレレイちゃん達と換金する鱗を乗せる。ロゥリィさんがバイクを見て何なのか聞いてきたので「鉄の馬みたいなもの」と言ったらテュカちゃんが乗りたがっていたのでヘルメットを被せてバイクに乗せた。伊丹隊長達の乗った車が出た後

 

 ~道中~

 

 『結構早いのね。それに馬みたいにペースが落ちたりしない。』

 

 『ほんとはもっと早くできる、しかし皆から離れる、ダメだから』

 

 バイクにのった私達は隊列の最前列に出て走っている。テュカさんの言葉に私は足りない頭をフル回転させながら言葉を思い出す

 

 『でも、走りながら、…会話する、……凄い』

 

 『風の精霊を使えばどうということはないわ。』

 

 『私達、使えない、だから凄い』

 

と片方気楽、もう片方いっぱいいっぱいの状態で話していると

 

 〔おい、遠坂進行方向に煙が出ている。車の後ろに下がれ〕

 

 隊長からの通信に私は煙に気付き速度を落とし車の後方に移動する。

 

 「また、戦の匂いがプンプンする…はあ、掃海部隊員の私がなんで護衛艦乗りや立検たちより戦闘回数が多いの…トホホ」

 

 泣き言を言いながらついていくと大きな城壁が見え、止まると門の方から声が聞こえる。

 

 話の内容からすると私達は何者かというよくある質問みたいだが、私は隊長の車の近くまで行くと

 

 「隊長如何なさいますか?」

 

 「どうしよっか~~」

 

 「近づいたら熱した油や熱湯かけられるのは嫌ですよ。」

 

 「バイクに乗ってる私からすると糞尿かけられるのも嫌ですがね…」

 

 話していると

 

 『タカヒト、これ持ってて』

 

 と私にヘルメットを渡し、バイクから降りると門の方へ歩き出し、それに続くように車からロウリィさん、レレイちゃんが降りて門へと向かう。

 

 「遠坂下がれ、女の子だけを行かせるのは…」

 

 「男が廃る!ですかね私も行きましょう。」

 

 私は下がり隊長が降りた後、バイクのスタンドを立て車から刀とMINIMIを受け取ると門へ向かう。この時ミニミに弾を装填しておくのを忘れない。

 

 門の前まで来るとテュカさん達を下げて

 

 「俺が開けてもし敵対されるようなことがあったら頼むぞ」

 

 「了解」

 

 私は門のそばまで来て隊長が門に手を伸ばし銃を構えようとしたとき

 

 『よく来てくれた!!』

 

 ガン!!

 

 「アヒィン!?」

 

 門が勢いよく開き、近くにいた伊丹さんは顔をぶつけ倒れた。

 

 「よ、耀ちゅぁああああんん!?!?」

 

 私は安全装置をかけ大声をあげながらたおれた耀ちゃんに駆け寄る。その時

 

 『う、うわあああ!?』

 

 ガスッ!?

 

 横から来たブローが私の顎に綺麗に入り

 

 「い、いい拳じゃないか…」

 

 と呟きながら意識を失った。

 

 ~門内~

 

 「あんた扉の向こうに誰かいるのか確認せず開けてなおかつ介抱しようとした人を殴るって何考えているの!?」

 

 「す、すまない、てっきりオーガかと…」

 

 「オーガの肌は私達とは違う、それに剣を持たせないはず」

 

 「う、うん…」

 

 周りの騒ぎに俺は目を覚ますと

 

 「あら?お目覚めかしら?」

 

 ロウリィの顔がドアップで目の前にあり、起き上がり周りを見渡すと鎧を着た身分の高そうな女騎士にテュカとレレイが睨み付けるように話していた。俺は周りを見ると門の直ぐ近くに遠坂がうつ伏せで倒れていた。

 

 俺は近より仰向けに変えると

 

 「マルイさ~ん、何故64式の電動ガンを作らないんですか~。」

 

 遠坂はそう呟いた。俺は起こそうと体を揺らすが、起きない。実はロウリィ達も遠坂を門の中に入れるとき顔をしたにしたまま引き摺りながら入ったらしいが起きなかったらしい。

 

 俺は遠坂の耳元まで顔を寄せて

 

 「舷門交代の時間だぞ~~」

 

 「イタミ、そんな小声じゃ起きないわよ。」

 

 ボソリと囁く俺にテュカは言うが

 

 「すいません直ぐ着替えます!!…ってあれ?」

 

 飛び起きた遠坂は周りを見て首を傾げていた。俺は遠坂をテュカに任せ俺は無線で倉田達にどうなっていたのか、遠坂も無事であること、そして指示を飛ばした後

 

 「で、誰が今どうなっているか状況を説明してくれないか?」

 

 俺はそう尋ねると砦の中の人達やレレイ達は一人の女性に視線を向けた。女性は周りを見た後自分を指さし

 

 「わ…妾?」

 

 そう呟き周りは綺麗に揃って頷いた。

 

 ~イタリカ領武器防具屋~

 

 「これ…何か使えそうですか?」

 

 「ええ…しかしいいのか?」

 

 私は個人的な用事のため隊長達と別れ栗林陸曹と古田陸曹と一緒に城下町の迷うことなく武器屋に向かった。

 

 何故迷わなかったかというと屋敷へと向かう際コダ村からの避難民の人々と出会い、帽子を上げたジャックとフォアと出会い、武器屋の場所を聞いてみたらジャックの親戚が武器屋で今はそこに住んでいるとのことで案内してもらい依頼したところだというわけです。

 

 「すげーこれあの時の鱗なんだろ!?」

 

 「そうだよジャック。鱗いくらかあげようか?」

 

 「お兄さん私には?」

 

 「フォアちゃんは鱗そのままあげるのわな~まず加工できるかだね。」

 

 両隣にいるジャックとフォアと話しながら店主の反応を待つが私を殴っちゃった女騎士、実は帝国のピニャ・コ・ラーダ皇女殿下とのことだが彼女に殴られてから私の特地語技能がTRPGで表すと30くらい上がった気がする。

 

 耀ちゃんも似た感じになってたから、顎に衝撃を与えたら言葉が上手くなるのかもしれない…横須賀の米軍所属のオタク仲間に殴ってもらったら英語上手くなるかな?

 

 とまあそのことは置いといて言葉を流暢にしゃべれるようになって前よりも言いたいこととかをわかるようになったのでうまく伝えれるようになったので、炎龍の鱗で防具を作れるかどうか、ミスリル等の金属があるかどうかの検証をするためジャック、フォアの二人に案内してもらった訳である。

 

 そして上に戻るわけだが店主は困った顔で

 

 「炎龍の鱗なんて今まで取り扱ったことがありませんし、そもそも龍の鱗を防具に使うなんて滅多にありませんから…」

 

 「難しいですか」

 

 店主の言葉に落ち込んでいると

 

 「何、言ってやがる!!シエントス!」

 

 店の多くの方から低い背丈だが、腕は私の太もも以上で全部筋肉でできた濃い髭のドワーフっぽい男性が出てきた。男性は私の目の前まで来ると

 

 「お前さんが炎龍の鱗を持ってきた奴か…なんか情けなさそうなやつだな。それに変な格好だ」

 

 「おい、パトロン失礼だぞ!すいません!」

 

 「いえ、大丈夫です。」

 

 じろじろと私を見る。そして刀が目に入ると

 

 「ふむ、その腰のやつは剣か?それにしては細いし変な形の剣だな。少し貸してくれ」

 

 「ええ、どうぞ。それとこれは刀という私の故郷独自の物だ。」

 

 と刀を渡すと鞘から抜いて刀を見る。

 

 「ほう、鍛造か…しかし脆そうだな。これで斬れるのか?」

 

 「確かにこれは鍔迫り合いとしたりするには不向きですね。しかし刀の特徴は折れず、曲がらず、よく斬れるですから…腕がある人なら皮鎧か薄い鉄板なら切れるはずです」

 

 「ほう、ならお前さんも切れるはずだろ。ちょっと待ってろ」

 

 刀を返し、一度奥に戻り胴鎧を持って出てきた。私の前に置くと

 

 「試しにこれを切ってみろ。半分ぐらい切れたらお前さんの望み通りの品を作ってやるよ。」

 

 少し離れて腕組みをした。私は意を決して銃を預け刀を抜き、鎧の前に立つ

 

 「(鎧は見た感じ5mmも無い、円運動と角度を気を付ければ半分くらいいけるはず)」

 

 大きく息を吐き、刀を振り上げながら息を吸い込む。刀が一番上までいき、息を止めると

 

 「シッ!」

 

 勢いよく円の軌道を描きながら鎧に斬り込み、刀全体で引くように素早く斬る。

 

 ガツッ!

 

 力を入れすぎたのか刀の切っ先が床に刺さり私は慌てて抜き、鎧を見ると右肩から左わき腹へと一つの線ができていた。

 

 「あ、斬れた。」

 

 私はそう呟きドワーフの人を見るとポカンとしていた。周りを見ると全員似たような感じで見ていた。(ジャックだけは目を輝かせていたが)

 

 「あの~とりあえず全部切れました。」

 

 「お、おおう。じゃ、じゃあ詳しい話と材料を見せてくれ…」

 

 と驚いた顔のまま私を工房まで案内してくれた。そして鱗を見せると

 

 「確かにこれは困るな…」

 

 と言っていたので「できないのでしょうか?」と尋ねると

 

 「馬鹿野郎!こんなに材料があったら何を作ればいいのか悩むだけだよ!で、お前さんは何が作りたい?」

 

 親方さんは聞いてきたので私は歩いてきた街の様子を思い出し

 

 「そういえばここの盾の数は足りますか?」

 

 「盾か?…確かにまだ何枚か鉄板をつけてないやつがあるが・・・」

 

 親方はそう言いながら視線を向けた先には木の枠しかできてない盾が何枚もあった。

 

 「でしたらこれで盾を作って町の防御に使ってください。」

 

 「なるほど炎龍の鱗なら並べるだけでできるし、頑丈だ…だが、売れると思っているのか?とてもじゃないが高すぎて買い手がつかないぞ?」

 

 親方はわかってないような顔でそういうが

 

 「いえ、無料でお願いします。」

 

 「何ぃ!?何考えているんだ!?お前は馬鹿なのか!?」

 

 「今回はこの鱗は満足のいく防御力があるのか、一番最適な防具は何なのか?加工はできるのか?ということを知りたいことであり、金は要らない。それに鱗はまだ自分たちの拠点にあるのでこれくらいは構いません。」

 

 「これくらいって…これだけでも一生遊んで暮らしていけるほどあるんだぞ!?なぜそう投げ捨てれる!?お前さん達が軍人をやめても構わないくらいだ。」

 

 親方は顔を近づけながらそう怒鳴ったが、

 

 「親方さん、私の組織は復職は禁止です。それに、私達は軍隊ではなく自衛隊、守るべき民がいれば全力で守るのが仕事です。そのためならこの体こき使ってもらってもかまわないし、無料で提供もします。」

 

 「く、狂ってやがる…」

 

 「まあ、こっちの人達からしてみれば“守るための武力”なんて存在自体がおかしいでしょう。でもそれが私達なんです。そして私は誇りをもってやってますから」

 

 と背筋を伸ばし胸を張って答えると親方さんは数歩下がると大きくため息をつき

 

 「なら、わかった。まずはこの町を守るために盾を作り、皆に提供してやるが…お前さんにはもう一度鱗を持ってきてもらいたいんだ…死ぬなよ?」

 

 「ええ、わかりましたよ。親方さん」

 

 「親方はやめてくれ、パトロンって呼んでくれ!」

 

 「わかりましたパトロンさん。いい盾を作ってくださいね!」

 

 「ああ、お前さんが悔しがるような盾を作ってやる!そうしなきゃドワーフとして故郷に顔向けできねえよ!」

 

 私達は握手をして私達は店を去った。因みに料金は炎龍の鱗で支払った。

 

 隊長に合流した後武器屋での話をしたら隊長に怒られた…ただ要望に応えたら斬れちゃっただけなのに…解せぬ。




 そういえばGATEにドワーフっていたのでしょうか?もし違っていたら私のオリ設定ということでお願いします!

 結局、今年も彼女ができなかったな…(2次元、3次元両方の意味で)


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第4話「たった一人の防衛戦:前編」

はいどうも、ブレスクにはまったオンドゥルッフです。今回はイタリカ防衛戦の前編となります。

 今回、台詞の中に渡る世間は鬼ばかり並に長いものがありますので目が疲れるかもしれませんので疲れたら休憩を取りながらお読みください。

 それと自衛官にはふさわしくないかも知れない台詞がありますが、そこはどうか気にしないでください。もし本当に実践だったらこうなるかもしれないと思って書きました。



 私達は防具の注文を終え、店から出て隊長達と合流してから怒られたのち作戦会議となったが、

 

 「南門を私達だけでとか…敵の数は100とか200ですか?」

 

 「いや、聞いた話じゃあ600だ。しかも敵はアルヌスで戦ったやつの残党だ。」

 

 隊長の話に肩を落とし後ろを見る。南門のすぐ内側に柵があり、

 

 「突破されること前提の門で600人相手に私達13人…ミニガンとか20mm機関砲でも欲しいよ…」

 

 「無い物ねだりしても仕方ないだろ。俺達がやらなきゃならないんだから。」

 

 伊丹隊長はそう言いながら栗林さんから貰った暗視装置を取り付けようとして私は門の外を眼鏡で見張っていた。

 

 「ねえ、イタミ、トオサカ」

 

 「ん~?」

 

 「どうしましたロウリィさん」

 

 私達に突然話しかけるロウリィさんに私は振り向いた。

 

 「どうして敵であるはずの帝国の姫様を守るのぉ~?」

 

 「町の人を守るためさ」

 

 「本当に言っているの?」

 

 「そういうことになっているはずだが?」

 

 「というよりそうですね。鉄やすり持ってません?」

 

 「ダムダムかワッドカッターにするつもりかもしれんがやめろ。あれでちゃんと打てるのは映画だからな?実際やったら銃が暴発して指が全部なくなるぞ。」

 

 「怖っ!?…了解しました。では私は下から62式とミニミ持ってきますね。」

 

 私はそう言いながら降りて車に向かおうとすると

 

 「トオサカ、話がある。」

 

 レレイちゃんに止められ、私は足を止めた。

 

 「どうしたんだい?」

 

 「何故ジエイタイは敵国のはずのピニャ・コ・ラーダの要請を受ける?しかもこんな捨て駒同然の扱いで?それにジエイタイの戦力なら帝国なんてすぐ侵略できるはずなぜこのようなことをする理解不能」

 

 レレイちゃんの質問に私は少し考えて体をレレイちゃんの方へ向けて

 

 「レレイちゃん、自衛隊ができる前、日本は70年ほど前戦争をしたんだ。相手は数も装備も上の大国と、最初は何とかなったが最後の方になると圧倒的戦力差を叩き付けられながらも日本は必ず勝てると…」

 

 「門の向こうにはニホンより大きな国が…」

 

 「まあ、その最後の方じゃあレレイちゃんと同じくらいの男が無理やり軍に徴集されたり、女の子も弾丸を作ったりした。そして相手の攻撃で多くの人が死んで負けた。そして学んだんだ。戦争なんかしてもいい事なんて何もない。もし勝てたとしても悲しい気持ちしかない。でも守る力がなければ蹂躙させられ搾取されるだけだ。」

 

 「だからニホンは…」

 

 「ああ、戦争は仕掛けない、護るための戦力の自衛隊ができたわけ…まあ、これは私の憶測なんだけどね。それに話を分かってもらえるならウチ(自衛隊)と戦をするより仲良くしてもらった方がいいとわかってもらいたいからね~~」

 

 「なるほど、参考になった。ありがとう」

 

 「どういたしまして…それと上の神官さんは勘違いしそうだけど話を分かった貰うって脅迫の類ではないからね!もしそういう解釈が日本まで知られたら野党の方々に批判されてしまうよ。そう、上のハイテンション神官に伝えてくれない?」

 

 と上で「恐怖!」とか「あの姫様に見せつけるのね!」とはしゃいでいる合法ゴスロリに見えないよう指を指しながら言うと、レレイちゃんは首を横に振り

 

 「エムロイの神官にそれは無理。私だって死にたくない。」

 

 「そうか~~~しゃあないね。しかしロウリィさん、あの子?に銃を持たせたらトリガーハッピーになりそう。」

 

 私はレレイちゃんと別れ車から銃を取り出すと町民の人が一人来て

 

 「トオサカさん、盾が10個できたそうですがどこに持っていけばよろしいでしょうか?」

 

 そう言ってきたので、

 

 「そうですね。(北門は切り立った崖が多いから除外南門は私達がいるから要らない、残ったのは東門と西門だけど…)東門に6個、西に4個で、追加でできたら東門を多めにお願いします。」

 

 と伝えた。すると町民は

 

 「南門はいらないのですか?いくらあなた方が強いとはいえ…」

 

 恐る恐る尋ねてきた。私は

 

 「これは私の推測なんだけど、敵は一度南門の構造を知っているみたいだし、数も少ないから広い南門は来ないはずなんですよ。そして襲ってくるなら集中力が切れかける日の出近くか日の出とともに来るかもしれない。それと、西はもしかして陽動で来るかもしれないからかな?」

 

 「なるほど…」

 

 「そういうわけで東門を多めでお願いします。それと城壁には石でも瓦礫でも油でも糞尿でもいらないものならなんでもいいから用意して、なるべく白兵戦はしないように伝えてください。」

 

 「へ~戦の事よく知っているんですね~。」

 

 「いやいや、これは書物にあった戦法を使っているだけですよ。盾とかなら矢よりも石とかの方が効果的の筈ですし、矢にも糞をつければ即席の毒矢にでもできますからね。」

 

 でも騎士の人達はやりたがらないだろうな~と思い、無理のない範囲で用意しておくよう伝えるよういうと村人さんは

 

 「分かりました!それでは失礼します。」

 

 「気を付けてね~それと梯子は外すだけで壊す必要はないことも伝えてください!」

 

 町民を送って私は銃の射全点検をして用意して時間が過ぎ腕につけているGショックを見ると日が変わり、襲撃の可能性が高くなることに気合を入れ直していると

 

 「失礼、トオサカ殿はこちらにおられますかな?」

 

 ハゲ頭の体格のいい騎士の人が門まで来ていた。私に用があるみたいだが心当たりが…うん、ある。取り敢えず知らないフリをして

 

 「私が遠坂です。いかがなさいましたか?」

 

 「私はピニャ殿下の部下のグレイともうします。ピニャ殿下があなたの知恵を借りたいそうなので来てください。」

 

 グレイさんの言葉に私は隊長の方を向いたが、逝ってこいとばかりの笑顔とサムズアップをしてきた。普段だったら地獄な兄貴みたいに「今、俺の事を笑ったな?」と言って殴りかかるけど、てかしてた。

 

 今はそんなことしている暇は無いので私のミニミと62式を持ち、古田陸曹から無線機を渡され、64式を肩にかけてからグレイさんの後についていきピニャ殿下のいる陣まで向かうと

 

 「来たかトウサカ殿、貴公に来てもらったのは他でもない。盾の件と瓦礫等の件だ。」

 

 「あぁ、やっぱり…勝手な事をしてしまいましたか?」

 

 と恐る恐る尋ねると

 

 「いや、とんでもない。確かに民兵に兵士相手に剣や槍で戦えと言うのは酷だ。しかも龍の鱗で作った盾を無料で配ってくれた。これは普通では考えられないことだ。一体何が狙いなのだ?」

 

 ピニャ殿下はそう睨みながら私に尋ねた。私は最初意味がわからなかったので

 

 「狙い?そうですね…出来れば防具を注文する際少しまけてもらえたらな~、でも本来はレレイちゃん達の自活の為に必要な鱗の換金目的ですから手数料を控え目で換金してくれるといいですが、実際になったら私達が脅したと思われて、上から怒られてしまいますがね。」

 

 そう言うとピニャ殿下はポカンとした後難しい顔になり、

 

 「(ジエイタイというやつらは欲がないのか?いや、このイタリカ程度では足りないというのか?最大限の利益を獲得するまで手を出すなとは、なんという考えなんだ!?)」

 

 なんか凄く考えているがあまり私達に良くなさそうなので

 

 「あの~ピニャ殿下、特に用事がなければ元の配置に戻らせてほしいのですが…」

 

 「あぁ、すまない…だが戻る前に一度東門に行ってくれないか?」

 

 「ウェッ!?」

 

 「トオサカ殿、すみませんが実際に東門へ行ってもらい、色々と教えていただきたいのです。」

 

 「え、ええっと…隊長に許可をいただかないと…」

 

 「今から南門に行ってからでは遅い!イタミ殿達には後で妾が言っておくから!さぁ妾は馬を用意してもらってから行くため、先に行ってくれ!」

 

 とピニャ殿下は私達を置いて出ていかれた。そのはしゃぎように私は心の中でのみピニャ姫様に変える事にした。ふと時計をみると0200を指してげんなりしていると、

 

 「すいませんな。殿下は昔からああいう人でして…」

 

 グレイさんは自分の頭を撫でながら言った。きっと昔からピニャ姫様の下にいて心労で禿げたんだろう…飲む毛生え薬でも手に入ったらあげようかな?と相手に失礼かもしれない事を考えてながら東門へ歩いていると

 

 『遠坂、遠坂、此方古田、応答しろ。』

 

 私のところから声が聞こえ、無線機を貰った事を思いだし、声が大きくなりつつあることに慌てながら

 

 「ディ、This is 遠坂、オーバー!」

 

 『やっとでたか…なぜ英語?』

 

 「ついトランシーバーみたいな無線の応答の最初は英語という癖が中々取れなくて…後、まだ南門には帰れそうに無いです。」

 

 『な、何故!?』

 

 古田陸曹に東門の私のやった小細工のことをピニャ姫様に説明しろと言われ、しかもこっちの了承なしで勝手に行く事を伝えると、ため息をつかれ

 

 『隊長からいつ敵襲があるかわからないから早めに終わらせて帰ってこい、だそうだ。』

 

 「了解、では無線を一度切りますね。」

 

 『あぁ、きをつけてな。』

 

 私はそう言いながら無線を切ると地面に置いたミニミをもう一度持ちグレイさんと東門へ向かった。

 

 東門の近くの建物の屋上にいこうとしたとき

 

 「東門に敵襲だ!」

 

 当たってほしくない報告と東門からあがる喧騒が聞こえてきた。

 

 ~~~~

 

 「…以上が遠坂海曹の報告です。」

 

 「あの姫様、遠坂も元々敵なの忘れたのかしら?」

 

 「それには同意、しかし遠坂もちゃんと断ればいいと思う」

 

 「やっぱりあの姫様にはイタミ達の恐怖を身をもって知って貰った方がいいわよ~~。」

 

 古田の報告にテュカ達は言っていたが、まぁ遠坂もNOと言えない日本人だなと感じた。

 

 「しかし、大丈夫なのですか?一人でいかせましたが…」

 

 「大丈夫だと思いたいね。まぁあの姫さんの考え通りならこっちに来るはずだからね~それに日の出の頃には増援も来るからね。東門に来ないことを切に願うよ。」

 

 おやっさんの言葉に俺はそう返すと

 

 「やはりそれは遠坂海曹は身内だからですか?自衛官として身内贔屓はいかがなものかと思います。」

 

 と栗林は冷たい目で俺を睨んでくる。俺は

 

 「まぁ確かに良くないが、遠坂の一家には色々とお世話になったし色んなことで助けられたから、もし長男のアイツに何かあったら、俺は一生日本に帰れなくなっちゃう。しかもアイツは他の海自隊員がいないなかでたった一人でやってるから辛いだらうからな…」

 

 「そうなんッスか。でもやりにくいのに納得ッス。」

 

 「私も狭間陸将から気を使ってやってくれと言われました。誰も栗林のように強くないんだ。」

 

 「すいませんでした…。」

 

 おやっさんからの意外な援護に栗林は謝ったが俺は手で制し

 

 「謝んなくていいよ。実際そう取られてしまう行動を何回かとってしまったから、むしろ指摘してくれてありがとな。」

 

 「い、いえ…」

 

 「さて日出まで後少しだ。気を引き締めよ…」

 

 俺は皆を見渡しながら声をかけようとすると

 

 「隊長!あれを!?」

 

 「嘘…まさか…!?」

 

 突然黒川が驚いた顔である方向を指差した。俺達はその方向を急いでみると、激しく燃える炎らしき光と煙が“東門”から上がっていた。

 

 「どうして!?なんでぇこっちじゃないのぉ!?」

 

 「チッ、古田は遠坂と連絡!遠坂には敵の数、状況報告を最優先で行わせ、戦闘行動は控えるよう伝えろ‼他の奴はこっちに敵がきて確認!それと誰か姫様から救援要請を貰ってきてくれ!」

 

 「「「「了解!」」」」

 

 俺は指示を出し、皆は即応してそれぞれ行動していく、俺はテュカとレレイにここで待機しておくよう言うと、ロゥリイの様子がおかしい事に気づいた。

 

 近づこうとするとレレイに止められた。レレイの説明を三行に纏めると

 

 死んだ人の魂はロウリィの体を通して昇天する

 

 その通る際にロウリィの体に快感を与える

 

 びゃあああ、我慢できないいいい!

 

 との事らしくロウリィは身をよじらせ、ハルバードを振り回して城壁やら土嚢を八つ当たりすかのように壊す。あのハルバードに当たったらと思うと背筋が冷えた何かが通った感覚がした。

 

 「あぁ、いやぁ!アァン!」

 

 「え、エロいッスね…」

 

 「たったら終わりたったら終わり……」

 

 ロウリィの喘ぎ声に男たちが耐えていると

 

 「おい、待て!俺達が行くまで待機していろ!」

 

 古田が無線に向かって叫んでいる。その様子に俺はあることを思い出した。

 

 「遠坂は東門に向かっていた…まさか」

 

 「一人で行動するな!やめろ遠坂‼…遠坂!?くそっ!?」

 

 「古田どうした!」

 

 無線から顔を放した古田に俺は声をかけると

 

 「隊長…遠坂からの報告で、東門に敵のほほすべてが攻めてきて、城壁にいた指揮官は戦死、門は突破され今は別の人が指揮をとり混乱をおさめているようです。」

 

 「分かった…遠坂は?」

 

 遠坂の事を尋ねると古田は目を閉じて顔を下に向け

 

 「…現地住民達のお願いで隊長達が来るまで一人時間稼ぎを…最後に謝罪したのち、無線を切られました…」

 

 古田はそう言いきり、皆が静かになった少し後に東門から機関銃の射撃の音が聞こえてきた。

 

 ~~~~

 

 「斥候が南門に来たからこっちにはこないと思ったのに…」

 

 「トオサカ殿の予想が当たりましたな。」

 

 「こっちとしては当たって欲しくなかったけどね…」

 

 「南門の仲間達にはその箱(無線機のこと)でつたえないのですか?」

 

 「伝える前に敵の数と状況を伝えないといけません。まず敵が見える位置かあなたの部下に会わないといけません。」

 

 東門へ通じる路地で私とグレイさんは話し合うと門の方から正規兵らしき一人の男が走ってきて、私達の前に止まると、

 

 「東門に、敵襲!数はほぼすべてが来ています。それと指揮の騎士ノーマは戦死しました!」

 

 「な、なんとノーマが……」

 

 兵士の報告にグレイさんは悲しそうな顔をしていたが、私は兵士

 

 「では今、東門で指揮を執っているのは誰ですか?」

 

 「…え?い、今ですか…騎士ノーマの他にいるわけないでしょう!」

 

 兵士の叫びに私は舌打ちしそうになったが、今まで理不尽なパワハラで鍛えられた忍耐力で心の中のみにした。そしてグレイさんの方へ顔を向け、

 

 「グレイさんは急いで東門へ行き指揮を執ってください。指揮官がいなければイタリカの民は混乱するばかりです。敵が余程の馬鹿じゃなければそこを必ずつくはずです。」

 

 「了解した…トオサカ殿は?」

 

 「隊長達に報告、増援を、要請した後向かいます…」

 

 「わかりました……なるべく早くでお願いします。」

 

 グレイさんは頭を軽く下げた後、兵士と東門に向かった。早く来るよう頼まれたが、私は隊長達が来るまで待機するつもりだ。

 

 私は昭和ライダーのように全身を改造されてない。したのは目のレーシックだけだ。

 

 平成ライダーや戦隊ヒーローのような特殊なスーツによる特別な力や、1分間に5000発でて弾切れの心配がない武器もない。ランボーやコマンドーのように機関銃を片手で走りながら撃つなんてこともできない。

 

 ただのこの世界にない武器を持っているだけでこの間まで平和ボケした人間だ。たかが一人で戦況を変えれるわけがない。そんなのグルカ兵でもできない。

 

 「すいませんね…。」

 

 私はボソリと呟いた後、無線機に手を伸ばそうとした時、

 

 「おじさん、“緑の人”の仲間なんでしょ!?」

 

 私の後ろから声をかけられ振り向くとそこには12歳くらいの少年がいた。成人前の子供や老人は確か街の中央付近まで避難させているはずなのにと思っていると少年は近づき、私の服の橋を掴むと、

 

 「お願いだよ。父さん達を助けて‼おじさんは炎龍を退けた“緑の人”の仲間なんでしょう?“鉄の逸物”で倒してよ!」

 

 少年はそう泣きながら私に叫ぶ、鉄の逸物とは恐らく腕を吹き飛ばしたRPGの事とだろうが私は持ってない。その事を言おうとすると

 

 「もう3日以上戦い続けているんだ。姫様は3日後には騎士団が来るなんて言ってるけど、待てないんだ。一番上の兄ちゃんは昨日殺された。二番目の兄ちゃんと父さんは東門にいるんだ。このままだと皆殺されて家がなくなっちゃうんだ!」

 

 少年は私に言わせる間もなくそう叫ぶ。はたから見れば少年の家族のために数百の敵と戦えという理不尽なことかもしれない。でも私は馬鹿だから、目の前で子供に泣かれながら頼まれたら、

 

 「断れないな…」

 

 日本語でそう呟くと、少年から少し離れ機関銃を置いて目線を合わせるようしゃがみ、少年の肩に手を置き、

 

 「私は異世界の兵士だ。神様じゃないから無敵じゃないし、君の願いを全ては叶えられない。」

 

 「そ、そんな…「でも!」え?」

 

 「最大限の努力はするから君は中央の方へ避難しなさい。」

 

 私は少年の肩から手を離し、機関銃を手に取り東門へ向いて歩く。門が見えるとそこには

 

 赤く燃える城門、気味の悪い笑い声を上げる盗賊、引きづられる町娘の死体、バラバラにされたのか頭しかない中年の男性の死体

 

 日本ではあり得なかった光景に私の頭は理解できなかったのか恐怖や嘔吐感を感じず、ただ死体にまでいたぶり、挑発の道具に使う敵に対する怒りのみだった。

 

 私は62を立てかけ、無線機に手を伸ばす。

 

 「南門、南門、こちら遠坂」

 

 『遠坂、こちら南門の古田!』

 

 「報告、東門に敵の全兵力が集中、城壁の指揮官戦死、城門は突破された。現在後任の指揮官が指揮を執っている。」

 

 私は古田陸曹に淡々と報告する。

 

 『な、なんだって!?遠坂わかっていると思うが…』

 

 「私は市民の要請により、隊長達が来るまでの間、敵の戦力を削ります。」

 

 『なっ!?何を言って』

 

 「これより戦闘に入るため無線を終わります。」

 

 『一人で行動するな!やめろ遠坂‼』

 

 「ごめんなさい…以上通信終わり!」

 

 私は無理矢理通信を終わらせると暗視装置と無線を外し近くにいた兵士に渡すとミニミの弾を込め、民衆の中を進んでいく。民は私を見ると道を開けてくれて進みやすくなった。

 

 「へっ、これお前の女だったのか?」

 

 「生きてる間に犯したかったな!」

 

 「首だけ返してやるよ!」

 

 前から盗賊の声が聞こえてきて、柵の外に出そうな青年がいたが、私は柵の前まで来ると62式を置きミニミのグリップを握り柵に銃を乗せ、狙いを軽く定めた後、引き金を引いた。

 

 ダタタタァン!

 

 ミニミから出た5.56mm弾は先頭にいた盗賊の頭に当たり、叫ぶ間もなく倒れた。私はミニミのグリップを握ったまま62式を柵の外側に置き、街の人に柵の外側に出ないよう言った後に出た。

 

 「き、貴様不意討ちとは卑怯だぞ!名を名乗れ!」

 

 盗賊は銃声にビビりながらも剣や槍の切っ先を向けながらそう叫ぶが私は

 

 「アルヌスから来た。ただの通りすがりの元水兵だ。」

 

 自分でも心の中で驚くほど素っ気なく答えるとミニミの銃身近くにあるハンドルを掴み、銃口を向ける。真ん中にいた盗賊達は下がり始めると右の端にいた盗賊が近づこうとしのでそっちに銃口を向け、引き金を少しずつ引きながら右から左へと銃口を変えながら撃ち続ける。

 

 一回で弾の3/1ほど使うと弾に当たった盗賊は死んでるかあまりの激痛にのたうち回る。私はそれを見て怯むかと思ったが、

 

 「気にするな!進み続けろ!」

 

 城壁にいた首領らしき盗賊の号令に突っ込んできた。

 

 「街の人は死にたくなければ私の前に絶対出ないでください!」

 

 私はそう叫んだ後、一人だけの防衛戦を再開した。




 今回書いて思ったのが、G3ユニットとかプロテクトギアが欲しくなるほど無茶がある回になった気がします。

 遠坂「できればG3-Xが欲しい!ってか普通死ねる!」


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第4話「たった一人の防衛線:後編」

 はいどうも、今回で対盗賊編は終わります。今回銃の意外な使い方が乗っていますが余り気にしないでください。職場の先輩が言ってたことなのは間違いありませんが(オイ

 しかし、温泉旅館編と追加装備どうしよう…何か使ってほしい銃がありましたらコメントなどでリクエストしていただけたら大変ありがたいです。

 それではどうぞ…


 「で、殿下敵襲!東門に敵襲‼」

 

 「何!?南門では無いだと!?」

 

  トオサカ殿に岩や瓦礫等の事を説明してもらおうと馬を用意してもらい東門へ向かっていると、慌てた兵がそう叫びながら近づいてきて膝をつきながら報告してきて私はそれに驚く。

 

 「殿下、落ち着いてください!それで敵の数は?」

 

 妾の隣にいたフォルマル家のメイド長のカイネが妾を落ち着かせ、兵に詳しい状況を聞こうとしたとき、今度はイタリカの民兵が私に近寄ると

 

 「ほ、報告します!騎士ノーマ、盗賊に討ち取られました!」

 

 「なっ、ノーマが!?たかが100や200くらいの相手にか!?」

 

 「いえ、敵は全戦力を東門へ投入しています。指揮する人がいない今、門が開かないようしていますが、それも時間の問題かと…」

 

 妾は敵の行動のあり得なさに固まってしまったが、カイネは妾を諭し妾はカイネを屋敷に戻し報告をしてきた兵達と一緒に東門へ向かった。

 

 そこには盗賊による蹂躙が行われていた。目の前で家族や恋人を殺されたイタリカの民は

 

 「『緑の人』はどうしたんだ!?」

 

 「なぜ『緑の人』がいないんだ!?」

 

 そう叫びながら『緑の人』を探していたが、今東門にいるわけがない。なぜなら妾が捨て駒として南門に配置したからだ。

 

 妾の浅はかな考えで民やノーマに申し訳ない気持ちでうつむいていると、突然雷のような音が響き騒がしかった東門が静かになった。

 

 妾は顔をあげると、ゆっくりと柵を越えて盗賊達にたった一人で向かい合うトオサカ殿の姿が見えた。盗賊達は一人の兵に笑いながら柵へ近づくと、トオサカ殿は持っていた物を足を肩幅に広げ腰を落とし、変わった構えをすると体を左に捻ると

 

 ダダダダダダダダ!!

 

 持っていた物から火が吹き最前列にいた盗賊が倒れる。

 

 「街の人達は死にたくなければ私より前に絶対出ないでください!」

 

 そう叫んだ後、再び火をふかしながら盗賊達を殺したり動けなくしていくその姿に盗賊達は少しずつ歩みを止めていく。私はその姿に

 

 「トオサカ殿は戦神かエムロイの使いなのか…」

 

 妾はそう呟きたった一人で食い止めているトオサカ殿をみていた…

 

 

 「(やっと敵の動きが止まった…)」

 

 私は残弾が少なくなったミニミを構えたまま動きが止まった盗賊達を睨む。たった一人に何十人の仲間が目の前で殺されたり、手足がちぎれかけたりしている光景に恐怖を感じているようだ。

 

 「このまま隊長達が来るまで耐えれるかな…」

 

 私はそう呟くと門の外の地平線が少しずつ明るくなってくるのが見えると

 

 「何をグズグスしている!我等は死を恐れない!そうだろう!奴は魔導師かもしれないが、やがて魔法が放てなくなる。」

 

 門の上にいる盗賊の首領らしき人物が下に向かってそう叫ぶ、それに少しずつ下の盗賊達が士気が上がるのを感じる。このままでは不味いと感じ、構えを腰だめから立射に変え、銃床を肩にしっかりと当て、門の上に向けて構える。

 

 「ふん!そこからここまでバリスタくらいでは無ければ、届くまい!」

 

 首領は両脇にいる部下と笑いあう。私は首領を狙うが、疲れなのか腕が震える。そのまま引き金を引くと首領の左にいた盗賊が倒れて城壁から落ちた。首領の笑い声が止まるが狙いを修正して狙って射つと今度は右にいた盗賊が倒れた。

 

 「やはり外国産の機関銃で昔の日本兵や耀ちゃんの仕事仲間みたいに狙撃できないか…」

 

 私はそう呟き狙いを修正して再度引き金をひくと

 

 カチンッ

 

 「(弾切れ!?こんなタイミングで!?)」

 

 私は舌打ちをしてミニミを降ろし柵に近づきミニミを柵の中に入れて、62式を引っ張り出そうとしていると

 

 「今だ!奴に“アイツ”をぶつけろ!」

 

 首領の叫び声に62式を持って後ろを振り向くとガンダムハンマーみたいな武器を持った北斗4兄弟のハブられることの多い3男みたいな大男が叫びながらこっちに走ってきた。

 

 私は弾を装填してしっかりと構えると大男に向けて撃つ。ミニミより威力の高い7.62mm弾が大男の体に当たり、ヘルメットみたいな兜を貫通し、血を吹き出しながら前に倒れる。

 

 しかしその背後には身軽そうな盗賊が二人いて私に飛びかかる。私は二人に銃口を向けて撃とうとするが、ガチンという嫌な音がして弾はでなかった。

 

 私は直ぐに横に飛び盗賊の短剣を避ける。私はコッキングハンドルを動かすが戻らなかった。

 

 「くそ、動け!この言うこと機関銃が!?」

 

 私は手にした62式に罵声をかけると

 

 「隙ありぃ!」

 

 盗賊はそう叫びながら私に襲いかかる。そのとき私の頭の中で掃海艇に乗っていたときの先輩の言葉が思い出された。

 

 《知ってるか遠坂?弾が出なくなった銃でも使い道はあるんだぞ。》

 

 《え、何に使えるのですか?》

 

 私は銃身を両手でしっかりと掴み、盗賊を睨む。

 

 《弾が出なくなっても銃は鉄で出来ている部分が多く、そこそこ重い、つまり……》

 

 横並びで来る盗賊に上半身を大きく捻って振りかぶる。

 

 《立派な鈍器になるんだ!》

 

 「オラァ!」

 

 「ガッ!?ギャアア!」

 

 「し、しまった!?」

 

 盗賊の頭部に62の銃床をぶつける。身軽な盗賊は横に飛ばされ、もう一人の持っていた短剣が飛ばされた盗賊に刺さる。そして二人とも柵にぶつかる。そして柵の内側にいた街の人達に槍や剣を突き刺され息絶える。

 

 私はそれを見ていると南の方から信号弾が上がっているのを見ると、62式を捨てて背負っていた64式に銃剣を取り付け、進撃を再開した盗賊を見る。

 

 いくらミニミで倒したとしても東門から溢れるように入ってくる。マガジン一つ分撃ち込むが、倒れる少しいるだけでしかも屍を踏み越え、押し寄せようとしていた。その光景に私はマガジンを替えながら一度街の人達の方をみて

 

 「皆さんは渡された盾で防ぎながら盗賊一人に最低でも二人で戦って下さい。」

 

 「わ、わかりました」

 

 「あなたも味方を待った方が…」

 

 そう伝えると街の人達が何か突撃の構えをとり、

 

 「アリャイヤァアアアアア‼」

 

 叫びながら敵に飛び込んだ。射撃をして敵の団体に道を作ちて進んでいき、盾に剣が刺さるとすかさず引き金を引き反動で盾に穴を開けて剣を抜く。

 

 体制を立て直すと、私を貫こうとした槍を腕を皮を薄く切られるもギリギリでかわしながら撃ちつづける。

 

 盗賊は何人か体に穴を開けて倒れるが、私から距離をとり少しずつ近づく、銃は遊底が開いていて弾が無いことがわかるが、マガジンチェンジをしている暇は無いので刀を抜く。

 

 「小銃に刀って…戦国自衛隊みたいだな…」

 

 そう日本語で呟くと一人の剣を持った盗賊が切りかかる私は身体を半身にしてかわしながら首筋めがけて刀を撫でるように斬る。斬られた盗賊は首から血が吹き出させながら数歩歩いて倒れる。盗賊達は再び離れるが

 

 「奴を倒した奴にはあの剣をくれてやる!あれは名剣、売ればかなりの額になるはずだ!」

 

 おそらく首領の言葉に活気づき、気色の悪い笑みを浮かべながら武器を構えてジリジリと近づいてくる。私は刀を地面に刺し、着ているベストに着けている手榴弾に手を伸ばす。

 

 「(皆に怒られそうだけど…道連れで何人か連れていくか……)」

 

 そう思いながら手榴弾のピンを引き抜こうとすると背後に殺気みたいな急に感じ、急いで振り向こうとすると

 

 ガンッ!

 

 「ダディバナッ!?」

 

 私は顔に黒い金属製ぶつけた。数歩後ずさると、ぶつけたのは見覚えのあるハルバードだった。

 

 「トオサカ~独り占めはよくないわよ~私も混ざらせてもらうわよ~」

 

 ロウリィさんは私にそう笑いかけた。私は少し安堵しながら

 

 「こっちとしてはお裾分けしたいくらいですよ…むしろあなたが軍人さんでしたら残り八割くらい押し付けたいほど…」

 

 「あら、つまらないわね。それじゃイタミ達が来るからあなたは下がりなさい。」

 

 「何を言う。まだ戦えるよ。」

 

 私はマガジンを替えてそういうとロウリィさんは前を向いて走っていきハルバードで盗賊達を凪ぎ払う。私は地面に刺した刀を抜く前に手榴弾を一つピンを抜き敵に投げつける。手榴弾が破裂したあと、慌てる敵に7.62mm弾を撃ちこむ。

 

 敵を減らしていると途中柵の方から勇ましい叫び声と共に栗林陸曹が現れこっちに突撃してくる。新たに表れた敵に盗賊達は戸惑い隊列が乱れ、女性二人の無双が始まる。

 

 「あっ壊れた。遠坂、64頂戴!」

 

 「マガジン替えたばかりの64式です!そして私は一旦下がる!」

 

 栗林陸曹に64を渡し、9mmと刀で下がっていると柵から矢と弾丸が私に切りかかろうとした敵に襲いかかり、柵までさがると

 

 「遠坂!なんて馬鹿な事をしていたんだ!」

 

 「そうだぞ!命令を無視して一人で戦いやがって」

 

 「す、すいません…」

 

 女性二人の援護をしていた古田陸曹と伊丹隊長に怒られ私は拳銃を構えながら謝ると、

 

 「しかし、生きてて良かった。」

 

 「怪我は、ってお前腕から血が出てるぞ!」

 

 私を心配する言葉をかけてくれた。私は傷口を掃海テープで巻いてとりあず血が垂れないようにすると城壁から二人を狙おうとする敵を見つけて

 

 「隊長!城壁から栗林陸曹達を狙っているものがいるので、鎮圧してきます!」

 

 「あ、遠坂!?」

 

 私は近くにあった炎龍の盾を持って二人の邪魔をさせないため城壁へ向かった。

 

 

 「一佐、間もなくイタリカです。基地からの通信で現在第3偵察隊が交戦中とのことです。」

 

 「了解!お前ら、迅速に敵勢力を鎮圧、もしくは無効化して街の人達の安全を確保しろ!3偵の奴等だけに良い格好はさせるわけにはいかない!わかったな!」

 

 「「「「了解‼」」」」

 

 俺の言葉にヘリの中にいた隊員達はやる気溢れた顔で叫ぶ。俺は頷き前を見ると映画のセットみたいな石の壁が見える。俺は無線機をとり

 

 「ワルキューレリーダーより各機へ、散開して状況開始‼」

 

 『『『『『了解!』』』』』

 

 俺の指示で各機が散開し、盗賊に対し攻撃を開始する。東門の中では3偵が連れてきた馬鹿デカイ斧を持っているゴスロリ神官と、3偵の背が低い方の女性自衛官が暴れていた。

 

 「東門の中は後回しだ。先に外の奴等を黙らせるぞ。」

 

 俺はパイロットに伝えると城壁の対空兵器の無効化に向かっていた奴から通信がくる

 

 『こちらハウンド2、門の北側の城壁に対空兵器らしきもの確認、今侍が敵から奪取、無効化しました。』

 

 俺達はその通信に訳が分からなく、パイロットにその方向へ行くと、城壁で刀と拳銃を使いながら盗賊を倒す、青迷彩の姿が見えた。

 

 「本当に刀も使って戦ってやがる…おい、暴れん坊将軍のテーマはあるか?」

 

 「ありません!」

 

 「そりゃそうか…あ、弾切れか?よし、援護してやるか…城壁で戦っているお侍さんの援護するぞ!」

 

 相手の剣を刀で弾いている侍を援護していると、

 

 『ワルキューレリーダー、こちらハウンド2、外の敵の無力化完了、これより門内の敵掃討に移る。オーバー』

 

 俺は無線を聞きながら外側を見ると、外の敵の掃討に向かわせた一機が門内に向かっているのが見えた。

 

 俺は無線機を手に取り

 

 「ハウンド2、ワルキューレリーダー、了解した。広場と門の上にいる仲間には注意しろ。オーバー」

 

 『ハウンド2、了解、1分後に警告して10秒後に攻撃を開始する。アウト』

 

 俺は隊員に門の上で戦っているやつに伝達するよう命令し、パイロットに離れるよう伝えていると侍を援護していた隊員の一人が

 

 「侍、移動開始しました…建物の蔭から敵が一人出てきました!あぁ、侍の刀が折れました!」

 

 「何ぃ!?」

 

 隊員の言葉に俺は門の方を見ると半分ほどの長さに折れた刀をもった侍とロングソードを持った敵が鍔迫り合いをしているのが見えた。しかも侍は疲れているのか押され始めている。

 

 ~~~~

 

 「どうやらここまでのようだな!」

 

 「クッ……」

 

 門の上で戦っていて残存戦力がいないと思い、拳銃をしまい隊長達の元へ戻ろうとしていると、見張り小屋らしき場所から一人の男が出てきて手に持っていたロングソードを振るう。

 

 私は咄嗟に刀で防ごうとすると今までの戦闘で脆くなったのか刃こぼれが酷いところにあたったのか刀は半分ほどの長さに折られ驚いたが、次の攻撃を刃こぼれのしてないところで受け止めると男はそう叫んできた。

 

 男は声からして首領のようで

 

 「今までコソコソと隠れていたのか…よく首領を務めれたものだ。」

 

 「うるさい!よくも我らの神聖な戦を汚して、剣を持たず遠くから魔法で攻撃してしかしない貴様らよりましだ。」

 

 首領はそう叫びながら力を込める。私はその言葉に頭に昇りそうになる。

 

 「神聖だと…弱い街の人達を襲い、家族や恋人の目の前でバラバラにし、嘲笑う貴方達の自己満足な行為の何処が戦なんだ…」

 

 「我らにとってはそうなのだ!それがなんだあの鉄の天馬は!なんだあの魔法は!なんだこの蹂躙は!こんなのは我らの望む戦とはいえない!言えるのはこうして貴様と剣で交わって闘っている今だけだ!」

 

 首領は涙を浮かべ更に力を込める。その様子に私はこの人は私達の、別の時代、異世界の戦を受け入れられないだけということがわかり

 

 「確かにこの世界の人間には受け入れられないかもしれないが…」

 

 私はそこまで言うと力を少し抜き、刀の反りに合わせて受け流す。半分しかないから胸のところを剣が掠り服が切れて、胸に痛みがはしるが、首領の体勢が崩れたので後ろには下がりながら刀を投げる。

 

 「なっ、剣を捨てるなど諦め…」

 

 首領は刀を剣で弾き飛ばし言いかける間に私は拳銃を抜いて2発撃つ。

 

 9mm弾は腹部と左肩に当たり、首領痛みと裏切られたかのように後ろに下がりながら驚く。私は拳銃を両手で構えながら

 

 「これらは“門の外”の武器だ。“私達の世界”では剣なんて時代遅れの骨董品で戦になんか使われない。そしてこれが私達の戦だ!」

 

 私はそう言ってから再度撃つが首領は勘なのか咄嗟に体をしゃがませ、頭に弾は当たらず使い物にならない左腕を盾にして弾を受ける。

 

 「グッ…そんなの…認められるかぁああああ‼」

 

 首領は叫びながら右手の剣を突くように構え走ってくるが、

 

 ドオォン!

 

 ヘリからの流れ弾らしきミサイルが首領の直ぐ後ろに当たり起こった砂煙に思わず腕で防ぐ。

 

 そして砂煙が収まり腕をのけて周りを見るとロウリィさんのハルバードの先端に突き刺さった首領が見え、次の瞬間には地面に叩きつけられていた。

 

 「戦なんて時代や武器とともにいくらでも変わるんだよ。地獄を楽しんできな。」

 

 私はそう呟きながら熱く感じる胸を抑えながらヘリの警告を聞き、小走りで安全圏まで走った。




~おまけ~

 『3,2,1…』

 ブウウウウウウン!!

 「ひ、ひいぃぃ!?めちゃくちゃ撃ってる!?ヒッ、跳弾がかすった!?って叫びすぎて傷が痛い!?」

 ※良い子は銃の射程範囲からはちゃんと逃げましょう。悪い子も死ぬ気で逃げましょう。


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番外編「もし遠坂がNEXTだったら……」

 この話を思いたったのはマレーシアのショッピングモールで変な色(金のラメ入り)のウルトラマンのソフビを見かけたときに

 「そういえば、GATEの小説、特撮混ぜてみてえな・・・」

 と思わず呟いて書き始めたものです。(実際呟きました。)因みにタイトルでわかると思いますが、とりあえず自衛隊と関連のあるキャラを主人公の能力として無理やりつけているだけなのであまり深く突っ込まないでいただけるとありがたいです。

 しかし、陸自と空自は特撮のヒーローがいるのに海自はゴジラと戦って足止めくらいしかしてない気がする・・・もう海自はネタキャラ化するしかないのか!?


 「炎龍だ!対空戦闘用意!!」

 

 遠坂の叫び声に俺達は後ろを向くと炎龍がこちらに向かって飛んできていた。

さえく

 「くそ、怪獣と戦うのは自衛隊のお家芸だが、まさか本当にやるとはな!」

 

 「キャリバーも効かない!?こんなことならナイトレイダーから銃でも借りてくるんだったな!」

 

 64式を炎龍に向かって射つおやっさんたちを尻目に私は下で何か組み立てている遠坂の方を見て

 

 「何やってんのよ!あんたも早く応戦しなさい!」

 

 「…もう、ちょっと待ってください!えっと最後にこれを…できた!栗林さんこれを使ってください!」

 

 と私に黒と青の二色で構成されたゴツい銃を渡してきた。遠坂はもう一つ同じ物を持って炎龍に向けて構えると

 

 「これでも食らえトカゲ野郎!」

 

 大声で叫びながら引き金を引くとキャリバーの12.7ミリ弾より大きな弾丸が炎龍に当たり、炎龍は苦しそうにもがき始め、おやっさんは遠坂と私の持っている銃を見て

 

 「それはナイトレイダーのディケイドランチャーじゃねえか!?なんでここにある!?」

 

 「ディバイドランチャーです!まさか対翼竜用で弧門教官から借りたやつがこんなとこで役に立つとは…もう2丁ほど隊長達の車にありますよ!」

 

 遠坂はそう叫びながら引き金を引き続け、炎龍の気をコダ村の人達から私達に気を反らしていた。私も借りた銃を構え引き金を引く

 

 「反動が大きい!?」

 

 「そりゃ対怪獣用ですから!ね!」

 

 「こっちもできた!食らえ!」

 

 「しかし、少々効きすぎじゃないッスかね?」

 

 「日本にでた怪獣は航空機のミサイルクラスじゃないとまともなダメージが入らなかったからな…」

 

 隊長達の車からも私達と同じ砲撃が炎龍に向かって飛んでいく。倍に増えた痛い攻撃に炎龍は苦しんでいく。

 

 行けると感じていると炎龍は突如頭を私達からコダ村の人達の方へ向けた。

 

 「ってアイツ俺達を倒すより先に食べるつもりか!?」

 

 古田の言葉に私は気を引こうと打ち続けるが炎龍は私達の方を向くと頭を空へ向けた。

 

 「ブレスくるぞ!避けろ!」

 

 隊長の指示で私達が乗った車は大きくカーブして炎龍のブレスを避けた。そして銃撃が炎龍はコダ村の人達の方へ歩みを進める。

 

 「!?、行かせるかよ!」

 

 「って古田急に大きく動かす「あひぃん!?」って遠坂が落ちた!?」

 

 古田が急ごうと車を急カーブさせたとき、車から身を乗り出していた遠坂はバランスを崩し車から落ちた。

 

 「遠坂!?」

 

 「私のことは構わず炎龍を!」

 

 「すまない!あとで必ず拾うからな!」

 

 車から落ちた遠坂はそう炎龍を指差しながら叫び、私達は炎龍に銃口を向けて射つ。炎龍はまた私達に顔を向けるとまたブレスを吐いた。

 

 私達は再び避けるとおやっさんは

 

 「勝元!パンツァーファウストだ!」

 

 「了解!」

 

 おやっさんの言葉に勝元は対戦車弾を炎龍に向けて構えると

 

 「駄目だ!奴の足元に人がいる!」

 

 炎龍の足元を見ると足を挫いたのか蹲っている母親らしき女性とそのそばから離れようとしない男の子がいた。私達は足元の人達に当たらないよう64式だけで銃撃を再開するが7.62mm弾だけでは炎龍の気を反らすことはできず、炎龍は首を足元の親子に口を開けながら伸ばしていく

 

 「間に合わないの!?」

 

 「クソォ!」

 

 私達は口々に言ったその時車の側を赤い光が通り過ぎていき、

 

 「シェアァ!」

 

 どこかで聞き覚えのある声がしたあと激しい衝突音を響かせながら炎龍は宙に浮いた。

 

 

 ~~~~

 

 緑の人達達が炎龍の気を引いている間に逃げようとしていたが、私は足を挫き倒れた。急いで立ち上がろうとするが、今までの疲れが出たのか腕が震え力が入らず足も青くなっていた。

 

 「お母さん!」

 

 息子は私に駆け寄ってくる。私の腕を引っ張り立たせようとする。

 

 「お母さんの事は気にしなくていいから早くお逃げ!」

 

 「嫌だ!」

 

 「言うことを聞きなさい!」

 

 「絶対嫌だ!」

 

 私の言うことを無視して息子は肩に手を回し引っ張っていこうとする。しかし逃げて疲れた子供の力で大人を動かすことは出来なかった。

 

 「グオオォ…」

 

 うなり声が聞こえ、その方向を見ると炎龍が私達の方へ頭を向けていた。緑の人達は杖を放つが私達がいるせいか最初より数が少なく、炎龍は気にせず私達に向かって口を開く、

 

 「お母さん!」

 

 私は抱きついてきた息子をしっかりと抱きしめ目を瞑り、助けてくれる神がいないこの世界を憎しみとせめて息子と一緒にあの世に行けるを祈っていると

 

 (諦めるな!)

 

 頭の中で男性の声が聞こえ、

 

 「シェアァ!」

 

 ドォン!

 

 大きな声と物と物がぶつかる音、遠ざかる炎龍の叫び、激しく揺れる地面、それらを感じこない痛みに恐る恐る目を開けると銀色の柱が見え、上に視線を向けていくと

 

 黒と銀の肌に鋭い突起のついた腕、乳白色の瞳、胸に赤い光を放つ宝石を持った巨人が先程炎龍がいたところに立っていた。

 

 「な、何なの…」

 

 私達は呆然としていると巨人は私達の方へ視線を向けた。炎龍と同じくらいの大きさのはずなのにその顔はとても優しく見え、何か気づいたのか驚いた感じをした後、片膝をなるべくゆっくりと下ろし

 

 「ムンッ!…ハァァ」

 

 手のひらを自分の胸の前にかざし、優しく私達に赤い光を放った。私達はその光を浴びると痛みはひき、疲れきって重く感じる体は空に飛び上がれそうなほど軽く感じるようになった。

 

 「お母さん!」

 

 息子を見ると目の下の隈は無くなり、元気そうになった。私は巨人の方を見て

 

 「も、もしかして助けてくれたのかい?」

 

 と立ち上がりながら尋ねるとゆっくりと頷き、

 

 「ならお願いだよ巨人さん!炎龍をこらしめてくれよ!」

 

 息子はそう叫ぶと巨人は立ち上がり数歩下がると頷いた後、自分に任せろと言わんばかりに胸を力強く叩いて答えてくれた。その姿は神々しく感じた。

 

 そして巨人は立ち上がる炎龍に視線を向け走っていった。

 

 その後緑の人達に助けられあの巨人は何か尋ねたら

 

 「彼は、ウルトラマン、私達の味方、」

 

 と教えてくれた。そして同じ鉄の馬車に乗っていたエムロイの神官は

 

 「ノア…じゃないわよね?彼が出てきたら私要らなくなっちゃうし、それでも炎龍を投げ飛ばせるなんて…でもノアなら片手で塵も残さない筈だわ。」

 

 と呟いていた。その名前は確か私が今の息子と同じくらいの年の時の長老が話してくれた伝説に出てくる巨人の名前だったはず…本当にいるとは思わなかったわ。

 

 ~~~~

 

 「(また、勢いで変身してしまったが、間に合ってよかった…)」

 

 炎龍と対峙しながら私はそう思った。私自身まだこの力に慣れてないから昔に出現したNEXTという姿にしか変身できないが、

 

 「ガァアア!」

 

 炎龍が腕を振ってくるがガードしてカウンターでジャブを頭に叩き込む。

 

 「(おっと、余計な事を考えている暇はない。倒すか何とかしないと…)」

 

 私は頭の中を切り換えて、炎龍にラッシュをかける。飛び回し蹴りを食らわせ炎龍が数歩下がると炎龍はブレスを吐こうとする。私は避けようとする。

 

 「ウルトラマン!合わせろ!」

 

 背後を見ると隊長達の車が見え、隊長はパンツァーファウストを持っているのが私はやりたいことを察して大きなバリアを張り、炎龍のブレスを受けとめる。

 

 車が大きく右に進行方向を変えるのを見て力を込めてバリアを押し、炎龍の方へブレスを受けとめながら顔面にぶち当たり炎龍が顔を抑えているのを見て私は左側に走り、両腕に力を込める。腕は光り、まず左腕の光弾を放つ。光弾が当たったとき

 

 「アリャア!?」

 

 隊長の気の抜けた叫びを聞き、車の方を見るとパンツァーファウストの弾頭がフラフラとした軌道を描いていた。

 

 「ガク引きッスか!?」

 

 「ダァッ!?(カッコ悪!?)」

 

 「ウルトラマンにも呆れられてますよ。」

 

 「う、すまん頼む!」

 

 倉田さんの言葉に私も突っ込んでしまった。炎龍は飛び去ろうとしたが

 

 「(逃がすか!?)ショオォ、ラアッ‼」

 

 右腕に力を込めて空を切るように振り光を刃にして飛ばし、炎龍の尻尾をぶったぎる。突然尻尾を切られバランスを崩した炎龍の左腕にパンツァーファウストの弾頭が当たり、轟音と共に腕が地面に落ちる。

 

 バランスを整えた炎龍は私達を一睨みしたあと飛び去っていた。私はチラリと下を見てみるが隊長は首を小さく横に振ってたので追撃等をせず空を見た。

 

 「逃げたようッスね……」

 

 「あぁ…さておやっさん達の所に戻るか。」

 

 伊丹隊長はそう言い車を発進させようとするが、

 

 「あ、隊長その前にウルトラマンと写真撮っていいッスか?」

 

 「え?」

 

 「あ、私もいいですか?」

 

 「黒ちゃんまで!?」

 

 「デェアッ!?」

 

 この後写真を撮られ、皆と別れミクロ化して急いでコダ村の人達の元へ向かった。

 

 合流したとき隊長の演技がわざとすぎて怪しまれたけど、犠牲者を埋葬して基地に戻り、一人寂しくディバイトランチャーの整備をしているとロウリィちゃんがいつの間にか覚えた日本語で話しかけてきた。

 

 「ねぇトオサカ、あなた…あの時の巨人なんでしょ?」

 

 「…何故そう思うのかな?」

 

 「1つは巨人が出たときあなたの姿が全く見えず、巨人が去った後あなたが出てきたから、もう1つはあなたが何処にいたか栗林達に追及されたときイタミがやたら庇っていたからかしら?」

 

 「それなら言ったはずだけど、私はあの時穴に落ちて気絶してたと言ったはずだよ?それにいくら隊長の説明が変だったとしても決めつけないでほしいな。」

 

 「勿論私がそう思ったのはそこじゃないわ。炎龍と戦う際巨人とイタミの息がピッタリだったからね。」

 

 「それは隊長が日本にいたときウルトラマンと共に戦う事の多かった組織で何回か一緒に戦った事があるからだよ。」

 

 「いいえ、あのイタミが鉄の逸物の攻撃を失敗しそうになったとき、巨人がすかさずフォローに入った。あれは何回かでは出来ないわ。あなたはイタミとは家族なのよね?」

 

 「確かに伊丹隊長と私は母方の親戚で何年か一緒にいたけど関係なくないか?」

 

 ロウリィさんの問いに私はそう返すと

 

 「後イタミがばらしてくれてたわ。」

 

 「すまん、遠坂!」

 

 「ってばらしたんかい!?」

 

 ロウリィさんのカミングアウトと隊長の謝罪のコンボに私は思わず整備に使っていたウエスを地面に叩きつけた。

 

 「いや~すまんすまん」

 

 「試しに脅したら怯えず真剣な目で知らないと言いきられたらその通りと言ってるものよ?」

 

 「耀ちゃん、私耀ちゃんに対する怒りで変身しちゃいそうだよ…」

 

 「わわ、落ち着け‼なっ?顔が大魔人みたいになっているぞ!?」

 

 「ん゛ん゛ん゛ん゛‼」

 

 「変身したら倉庫が壊れる!?」

 

 「アハハ、貴方達って面白いわね!」

 

 「笑ってないで止めてくれ~~~!?!?」




 因みに今回の遠坂の姿はTHE NEXTのアンファンスで2回目の炎龍戦の時にジュネッスと変わり、空中戦を繰り広げます(笑)

 しかしウルトラマンだとアニメとかを見ても炎龍とジャイアントオーガしか戦う相手がいないな・・・しかもジャイアントオーガには瞬殺だろうな…

 


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閑話「戦闘後の一幕」

今回はタイトルの通り戦闘後の小話です。まぁただ主人公もただの人なので実戦経験が少ないのにこんな目にあったらこうなるだろうと思い書きました。

 なので余り深く考えずに見てください。(これを書いたときオマーンにいたから話をほとんど忘れかけていましたww)


 ~イタリカ、東門近く~

 

 「アイタタタ……」

 

 「はい、これで終わり。応急処置だから駐屯地に戻ったら縫合するね。」

 

 「ありがとうございます。」

 

 第三偵察隊全員が集まるなか、黒川が自衛隊唯一の怪我人、遠坂の治療を終えると遠坂は戦闘服を着直していると。

 

 「さて、隊長には俺から報告する。」

 

 「じゃあ、俺達は後片付けの方に行くッス。」

 

 「私達は他の怪我人の治療にあたるわ。」

 

 見守っていた三偵の隊員達は各々割り振られた仕事につき、遠坂も立ち上がり

 

 「さて、では私も何かした方が…あ、倉田さん何か手伝いましょうか?」

 

 「「「「怪我人は手伝うな!」」」」

 

 「もしここで傷口開いたら麻酔なしで縫うからね?」

 

 「りょ、了解しました…」

 

 とんでもないことを言った遠坂に三偵の隊員達のツッコミと黒川の脅し(?)に遠坂はすごすごと小さくなった。

 

 

 ~~~~

 

 「青騎士様、ありがとうございます!」

 

 「あなた様のおかげで娘が助かりました。」

 

 「盗賊を退治してもらい感激しました。青騎士様の唄を是非作らせてください!」

 

 「おっ、鬼平じゃねぇか。あんまり単独行動するんじゃねえぞ。」

 

 「手伝いってか、鬼平は怪我しているんだから休んでな。」

 

 「わりぃな、鬼平にやらせる訳にはいかないからな。」

 

 あれから瓦礫撤去、捕虜の移動、町の人の遺体運び色んな事に手伝おうと試みたが、全部拒否された。

 

 そして街を歩いていても街の人達からは感謝と「青騎士(戦闘服が青メインだから?)」と言われ、増援の隊員達からは「鬼平」と言われた。その都度訂正をしていったが治りそうな傾向は無かった。

 

 「私は騎士よりは武士、いや見た目だけなら浪人?それに鬼平も火付盗賊改方じゃないし…」

 

 私はため息をつきながら腰に手を当てるがこっち(特地)にきてからいつも感じていた感触が無いことに気づき視線を向けると日本刀の鞘が寂しく揺れていた。

 

 「そうか、あの時投げたから…時間があるから探すか……」

 

 私は足を東門の方へ向けて歩き、門まで着くと激しく壊れた門と瓦礫撤去と薬莢回収をしている隊員達と丁重に遺族の元へ運ばれていく街の人の遺体と乱雑に積み重ねられている盗賊の死体が目にはいった。

 

 盗賊の死体を見てあの死体のいくつかは自分が作ったことに私は自分の手を見るが、震えてなく、恐怖や嘔吐感も感じなかった。

 

 「結局、私もこの人達と同じ狂った殺人鬼か……」

 

 私は思ったことを呟くと、

 

 「それは違うわ~~」

 

 そうだれかが否定した。

 

 「その間延びした言い方…ロウリィさんか。何故ここに…」

 

 「正解よ~それと私達の用事はまだ始まりそうに無いからよ。」

 

 私が振り向くと門の上にロウリィさんは立っていてハルバードを持ってない方の手に何かを持ちながら門から飛び降りた。

 

 「本物の殺人鬼は自分の事をそんな寂しそうに言わないわよ。」

 

 「しかし、あの盗賊達を見て私は自分のしたことによる恐怖を感じない。」

 

 「一々そんなのを感じてたら、亜神でも気が狂っちゃうわ…トオサカ、とりあえず座りましょう。」

 

 私とロウリィさんは門の側に落ちてた大きな瓦礫に腰かけると

 

 「トオサカ、貴方は多くの戦士をエムロイの元に送ったわ。それはニホンならどうか知らないけど、この世界では悪いことではないわ~。それエムロイの元へ送った事をちゃんと受け止めているのなら問題ないわ~」

 

 ロウリィさんは足をプラプラさせながら言う。

 

 「戦だからとはいえ、今の日本には自衛隊が嫌いな人達や同じ人間なら話せば分かると思っている人達がいます。その人達にとって私がやったことは許されない事でしょう。」

 

 私は肘を膝の上に乗せ手を顔の前で組みながら言うと、ロウリィさんはふ~んと言ったあと

 

 「ニホンってめんどくさいわね~。でもあなたが戦ったことで助かった命がある事があるのはわかっているのよね?」

 

 「ええ、それはもちろんしかしそんな私が奪った命があることもしっかりと受け止めないといけない。そう思っています。」

 

 「そう・・・でもそれを受け止めるのは後でもいいわ~」

 

 ロウリィさんは立ち上がると私の前に立ち、斧とは違う手で持っていた物を私に差し出した。

 

 それは元の半分の長さになり刃はボロボロ、所々欠けた鍔、柄糸は切れてプラプラと宙を揺れていた私が投げ捨てた刀だった。私はそれを受け取ると

 

 「最初ここに来たときイタミや町の人達が揃ってこれを探していたわ~。今のあなたはこの街の英雄なんだから落ち込まず胸を張りなさい~。」

 

 ロウリィさんはそう言いながら私の背中を少し強めに叩く。衝撃で傷口が痛むが、私は耐えて立ち上がり刀を受け取り鞘に戻した。

 

 「ありがとうございます。ロウリィさん…さて何かするか。」

 

 と私は何か作業をしようとしたところに

 

 「あ、遠坂こんなところにいた。」

 

 「あら、イタミじゃないどうしたの?仕事はいいのかしら~」

 

 「え、サボり?そんなことするから宴会でサボローの恰好をさせられるんですよ。」

 

 伊丹隊長が来てロウリィさんと一緒に少しふざけるが

 

 「違うよ。ちょっと遠坂借りるぞ。ちょっとこっちに」

 

 「了解しました。ロウリィさん、これで失礼します。」

 

 「行ってらっしゃい~~青騎士さん♪」

 

 「せめて青武士!?でもそれなら色的に鎧武でもいけるか!?」

 

 「鎧がオレンジじゃないから無理だね。てか早く来てくれ」

 

 隊長に連れていかれながらも私はその場を後にしたが…

 

 「あの隊長、どこに行くのですか?」

 

 「いいから、いいから。」

 

 「この方向、屋敷の方に行きますが?」

 

 「いいから、いいから。」

 

 「た、隊「いいから、いいから。」ほんと何処に?」

 

 それから何度も話しかけるが同じ事しか言わず、私はフォルマル家の屋敷に連行された。




 ~フォルマル家屋敷前~

 「嫌だ~~‼」(←入り口近くの柱にしがみついている)

 「子供みたいな事をするな遠坂!」

 「嫌だ~~‼なんで私が~~!!」

 「向こうのご指名なんだから仕方ないだろ!」

 「傷口が広がろうとも嫌だ~!」

 ※この後10分くらい遠坂は柱にしがみついたままだった。


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第5話「交渉して帰ってると拉致られたでござる」

 長くなってしまった…中東辺りから書き始め日本に帰ってから手直ししたのに6000文字…とりあえず、読んでいるうちに目が疲れてきた方は無理せず休んでください。


「…なんで私ここにいるんだろ……」

 

 けがの治療をした後手伝うことはないかブラブラしていた私は伊丹隊長に連れていかれ、大きな部屋に入るとある位置に立たされた。

 

 そして私の右隣には健軍一佐に伊丹隊長、左に栗林陸曹に立たれ、前にはピニャ殿下にミュイ様に騎士の皆様がいる中、私は額から汗を流しながら小声で呟いた。

 

 「しょうがないだろ。向こうがお前を指命してきたんだから…」

 

 「なら端っこで良いじゃないですか。私は海自の3曹で、序列も栗林陸曹より下なんですよ。」

 

 「逃げないように決まってるでしょ。諦めなさい。」

 

 「ちくしょう、今の状況スリランカの宝石店で買わされた時みたいだ…」(実際作者も出張した時やられました。)

 

 私は恨み言を呟いていると健軍一佐がハミルトンさんが持ってる書類に調印したところだった。

 

 ハミルトンさんがピニャ殿下の隣まで下がるとピニャ殿下は

 

 「では、次にトオサカ殿の褒美についての話だが…トオサカ殿は何を臨む?」

 

 とぶっ飛んだ話を始めようとしたので

 

 「私はそういうものを貰うわけにはいきません!」

 

 ときっぱりと断った。するとグレイさんが

 

 「トオサカ殿は民でも戦える策を練り、一人で被害を食い止めるため時間稼ぎというには多くの敵を倒し、。帝国なら移民でも爵位か領地を与えるくらいなのです。」

 

 「し、しかし私達は仕事をやっただけです。それに私達は戦で褒美を貰うのは良くない事なのです。」

 

 「遠坂、今回の場合は盗賊を倒したことより民を守った事に関する褒美だったら問題無いんじゃないのか?」

 

 「寧ろ貰わなきゃ失礼じゃないの?」

 

 「問題ないだろ。文句を言うやつは俺達の隊にはいないし、他のやつらにも言わさないさ。」

 

 周りの思わぬ後押しに私は貰わないことを諦め

 

 「わかりましたいただきましょう。しかし何を貰えば……」

 

 「普通に金は?」

 

 「姫様すいません、先程両替商から余分に渡せる分が無くなった何と…」

 

 「じゃあ爵位は日本でもあるでしょう?」

 

 「いえ、今の日本には爵位はありません。我々も普段の身分は平民と変わりませんから。」

 

 「なら武器とか鎧は?鱗余っているみたいだし」

 

 「それ、隊長がもってみたいけど管理するのがめんどくさいだけでは?」

 

 「あ、バレた?」

 

 「それに防具は街の工房に頼んだばかりです。」

 

 「そうだ!奴隷ならどうだ?帝国では女の奴隷なら褒美になることもある。」

 

 「「「奴隷は日本では犯罪になるので断ります。」」」

 

 「そ、そうか…(´・ω・`)」

 

 「ひ、姫様しっかり!?」

 

 私達が褒美の内容に話しているとミュイ殿下が

 

 「そ、そう言えば我が家の倉庫にミスリルがあったはずです。」

 

 「正確にはミスリルのインゴットですが…」

 

 ミュイ殿下とメイド長の発言に私と隊長は互いの顔を見た後、

 

 「「ミスリルのインゴット!?それだ‼」」

 

 「ひゃう!?」

 

 顔を揃えて叫び、ミュイ様を驚かせてしまった。その後日本の研究機関提出用に10本、実家と姉の土産に1本ずつ、そして私用に18本、合計30本渡された。

 

 最初20本貰うつもりがインゴットは先代フォルマル家の当主が酔った勢いで買ったもので正直いらないものだそうで、少しでも減らしたいらしい。なので私は18本の内の4本を防具用に工房に渡した。その時試作品として炎龍の鱗の籠手みたいなもの(肘から手首と手の甲を)

 

 そして残りのインゴットを積み込みアルヌス駐屯地に帰還するべくイタリカの街を出て、車内で休んでいると運転席に座っていた倉田さんが

 

 「こっちにはミスリルが本当にあるなんてますますファンタジーッスね!」

 

 「あぁ、しかもインゴットも一本が10kg近くあるみたいだからかなりの量があるな。しかしいっそのこと鎧でも作っちゃえば?ドラ○エみたいなの」

 

 「今ミスリルだけなので作るとしたら鎧○の極アー○ズですよ。」

 

 「炎龍の鱗もあるから……レウ○シリーズ?夢が広がるッスね!」

 

 「(となると赤と銀で……ULTRAMAN!?いや私は日本刀だからセブンか?でも私好きなウルトラマンはダイナなんだよな…待てよ確か翼竜の鱗が確か青っぽい紫だから行けるか?)」

 

 私が脱線していく妄想をしていると車が急に止まり、私は運転席の方を見ると前方から砂煙が見えていた。そして

 

 「ティアラです!」

 

 「ふ~ん、ティアラね…ってティアラ!?」

 

 「金髪です!」

 

 「金髪!?」

 

 「縦ロールです!」

 

 「縦ロール!?」

 

 「目標、金髪縦ロール1、男装の麗人1、後方に美人多数!」

 

 砂煙の中に何かが見えているのかわからないが前の二人は興奮しているみたいだ。私も眼鏡を出そうとするが、持ってなく諦めると

 

 「薔薇だな!!」

 

 「薔薇です!!」

 

 「何を言ってるんだこの人達は!?そしてどんな薔薇が見えてるの?ビオランテか!?」

 

 「金髪縦ロールなビオランテなんて見たくねえよ!!」

 

 砂煙の方を眼鏡で覗いたまま叫んでいる変人二人に私は思わずそう叫んでしまった。私は砂煙の方へ黒川陸曹から借りた眼鏡を覗き混むと、仮面ライダー剣やボーグ星人みたいな鎧を着た女騎士達が馬に跨がりこっちに向かってきていた。

 

 「先頭にいるのは黄薔薇様かな?」

 

 「その隣の男装の麗人は白薔薇様ッスかね?」

 

 「そしてピニャ殿下が赤と…白薔薇は変身に失敗すると灰になるベルトとか変形するバイクとか作る会社の社長とかしてないかな?」

 

 私が呟いたことに前方から視線を感じ、滑ったかもと思い眼鏡を外すと隊長達は私の方を見て互いに頷くと

 

 「「クッ、殺せ!」」

 

 「おい、こら薄い本ネタやめーい!私の姉が作る冬の同人誌のネタにするぞ!」

 

 「「止めてください!死んでしまいます!(社会的に)」」

 

 私達が騒いでいると先頭車両からの無線が入り、私達はそれを聞くために黙った。

 

 『隊長、間もなく接触するので警戒態勢に移行します。』

 

 「いや待て、相手を刺激するな。同盟に反する事になる。」

 

 桑原曹長の通信に隊長はそう返した。栗林さんとロウリィさんの不満そうな声が聞こえるが無視して氣志團、いや騎士団が止まるのを待つ。

 

 騎士団が止まると、先頭の黄薔薇が馬から降りて、古田さんに近づき何か話していると黄薔薇が怒鳴り、他の騎士達が馬上槍を構える。

 

 「古田のやつ何を言ったんだ?ちょっと行ってくるわ!」

 

 「ちょっと待って下さい!あの人達はまだ同盟を結んだことを知らないはずです!」

 

 隊長は頭を掻きながら車を降りようとしたので私はそれを引き止める。同盟を知らないなら彼女達にとって私達は訳のわからない服装で訳のわからない物に乗っている敵のはず、警戒するのは当然のことだ。

 

 そんな中に耀ちゃんが「ホウセイ、マイフレンド」な感じで行っても逆効果な気がする。日本以外の軍の兵だって銃を向けるはず!

 

 私はどうすれば良いのかと考えようと顎に手を当てようとした時、自分の手に籠手がついているのを見て思いついた。

 

 「隊長、私に一ついい考えがある。」(※CV玄田哲章)

 

 「「却下」」

 

 「なんで!?」

 

 「なんでというか、声的に…」

 

 「人事以外だと上手くいかない感じがする……」

 

 「酷い!?」(※CV初代コン○イ)

 

 「なんか崖から転がり落ちそうだし…な?」

 

 「ええい、もういい、先行する!」(※CV顔面破壊大帝)

 

 「「あぁ!?」」

 

 散々な言われように私は車を降りて、騎士達のいる方へ歩いていった。

 

~~~~

 

 横須賀、海上自衛隊横須賀基地業務隊 人事課

 

 ズズズ……

 

 「はぁ~、やっぱり基地内は平和だね~」

 

 隊舎のデスクでお茶を飲む男性、後藤喜一(ごとうきいち)2尉はそう呟いるとドカドカと足音を立てて、険しい顔の男性隊員が後藤の前まで来ると

 

 「後藤課長!もう我慢なりません!銃の使用許可と弾薬庫の鍵を下さい!」

 

 いきなり物騒な事を言う隊員に後藤は溜め息をついて

 

 「あのね~大田君、イチイチ気にしたら駄目で、これ以上同じことを言ったら外出止めだって昨日言ったばかりでしょ?」

 

 と気が抜けたような話し方で注意するが大田と呼ばれた隊員は

 

 「しかし、我慢ならんのです!何故国民を守る為に侵略者と戦ったのに国民から責められなくてはならないんですか!?」

 

 大田はそう叫びながら窓の外を指差した。指の先、門の外では「自衛隊は不要」、「暴力組織はいらない」等と書かれた横断幕を持ちながら「殺人鬼を追放しろ!」「自衛隊は出ていけ!」と叫んでいる人達がいた。よく見るとニュースに出ていた遠坂の顔に赤い×印をつけた看板を持っている人もいた。

 

 「平日なのにご苦労な事だね。若い子もいるけど学校や仕事は大丈夫なのかな?って、また便乗して別のデモ隊もいるよ。学費を下げるのはうちじゃないんだけどね~~。」

 

 後藤はそう窓の外をオペラグラスで見ているが大田は顔を赤くしながら、

 

 「課長!そんな呑気な事を言ってる場合じゃありません!あのデモ隊を取っ捕まえるべきです!」

 「自衛官は基本職務中の凶器を振り回す現行犯で周りに警官がいない時しか逮捕権はないし、むしろ自衛隊が捕まえたらそれこそ世間から批判を食らいかねないぞ。」

 

 「おや、篠原君いつの間に」

 

 「課長が窓の外を見ているときです。それと遠坂の参考人招致の話は無くなりました。」

 

 「あらまぁ…やっぱり顔?」

 

 「はい、海幕から余り多く行かせるのもなんなので、代わりに記者団との取材をさせるそうです。」

 

 「あぁ、炎龍の件ね。分かった遠坂君には僕から伝えるね。」

 

 後藤達が話していると電話が鳴り、後藤達より入り口側の隊員が電話を取り少し話すと

 

 「課長、特地の柳田2尉から遠坂の事で電話が来ています。」

 

 「ありゃ何かしたのかな?分かったこっちに繋いでちょ~だい。」

 

 後藤はそう伝えた後自分のデスクにある電話を取った。

 

 「あ、もしもし後藤です。」

 

 『特地の柳田です。お久しぶりです』

 

 「久し振り~で遠坂のことだけど、どうしたの?うちの遠坂が何か特地の住民に嫌われるような問題でも?」

 

 後藤は尋ねるかのように聞いてみるが、柳田は

 

 『いえ、最初は怖がられたりしましたが今は子供達と一緒に第一体操をやったり、老人達の手伝いをしたりとよい関係を築いてます。』

 

 「も~アイツ仕事しろって……無いのね。」

 

 『えぇ、余りにも仕事が無いので給料泥棒になっていると嘆いてました…っと話が脱線しましたね。』

 

 柳田は声を真面目な調子に戻してからイタリカでの事を話した。

 

 『…ということがありました。』

 

 「え~~帝国のお姫様のお願いで戦うのはしょうがないけど、刀で戦うって鬼平じゃないんだから。」

 

 『まぁ、そうですが、ただ……』

 

 「ただ?」

 

 『同盟を結んだ帰りに同盟の事を知らない帝国の騎士団に……その、伊丹と一緒に拉致されました。』

 

 「あら~~~それはそれは……」

 

 『現在残りの第三偵察隊の隊員達が追っていますが、イタリカの街に入ったので殺される事は無いそうです。』

 

 「そうですか、20ミリ機関砲かハープーンでも用意しましょうか?たしかハープーンなら今「ゆうぎり」か「いかづち」が年検(※年次検査の略)なので1本か2本貰えるはずですよ?」

 

 『…いえ、結構です。それに遠坂と伊丹を処刑するのは今のあの姫様にはイタリカの民と自衛隊を敵に回す自殺行為の何物でもありませんから、まぁこれで多少はこちらが話しやすくなった』

 

 柳田の声にきっと悪い顔をしてるだろうと後藤は思いながらも

 

 「愛されてるね~~流石まもる君2号、分かりました。では変化が起きたらすぐ知らせてくださいね。」

 

 『分かりました。情報が入り次第直ぐに知らせます。もしかしたらもあるので多少は覚悟してください。』

 

 「分かりましたよ。それじゃ無事であることを祈ってますよ。」

 

 電話を切ると目の前にいた二人が目を開き

 

 「課長、一体向こうで何が起きたのですか!?」

 

 「ハープーンやらどうするつもりなのですか!?」

 

 と顔面を近づけながら言い、後藤は苦笑いをしながら

 

 「いやね、遠坂君、向こうで100人以上の盗賊相手に一人でコマンドーみたいな事をして、感謝された後女性の騎士団に拉致されちゃた♪」

 

 「「「「本当に何があったのですか!?!?」」」」

 

 後藤の言葉に大田、篠原だけでなくその場にいた隊員達全員がそう叫んだ。

 

 ~~~~

 

 「この馬鹿者がぁ!」

 

 妾は立ち上がり持っていた盃を、先ほどイタリカについたばかりのボーゼスに投げつけた。

 

 盃はボーゼスの額に当たり血が出て、隣にいたパナシュがハンカチでボーゼスの額の血を抑えて

 

 「何をするのです!?私達は盗賊征伐には間に合いませんでしたが、アルヌスの丘にいる敵を捕らえて来たのですよ!」

 

 「その捕らえてきたのが大問題なのだ!アルヌスから来たジエイタイは盗賊からイタリカの街を守ったのだぞ!?」

 

 妾は頭を抱えながら椅子に座り直し入り口側を見ると

 

 「イタミ殿、イタミ殿!?」

 

 「トオサカ殿!しっかりしてくだされ!」

 

 「うぅ…耀ちゃんが可愛い女性なのに私はハゲのおっさん…」

 

 「気にしてるので余り言わないでください…」

 

 「うぅ…ガクッ」

 

 「イタミ殿!?イタミ殿ぉ!?」

 

 「ハ、ハミさん、もう少しボリューム下げて」

 

 青アザやミミズ腫れでボロボロになったイタミ殿とトオサカ殿が壁に背や肩を預けて座っていた。トオサカ殿に至っては傷口が開いたのか青い筈の服の前側が黒く滲み始めていた。

 

 「し、しかし私達は協定など知らされていません!」

 

 「知らないではすまされないぞ!捕虜にも手荒に扱うなと言ってくる者達だぞ…同盟を結んだその日に協定を破り、町の為に命を賭けた者達を乱暴…はぁ帝国だったら戦争の口実になるぞ……ん?」

 

 妾は口にしてふと思った事があり、カイネにイタミ殿達の手当てをさせるよう伝え、ボーゼス達に顔を向け、

 

 「そういえばお前達よく街に入れたな。」

 

 妾がそう言うとボーゼス達はハッとした顔をして妾に向き直ると

 

 「そうです姫様!ここの街の者達私達が来たのに門をすぐ開けず、あの者達を置いて立ち去れと行ってきたのです!」

 

 「幸いグレイ殿の指示で私達は入れましたが、これは帝国に対する立派な反逆です!厳正なる処罰が必要です!」

 

 と二人は言うが妾はその行動を取った民の気持ちも分からなくは無いし、処罰をしようもののならジエイタイが黙っていないだろうから妾は

 

 「今のイタリカにこれ以上処罰を加えるのは少々大人げない、それにイタリカの民にとってトオサカ殿は防具や盗賊に対する策を無償で施し、多くの民の命を救った命の恩人だ。今回は不問としてやれ。」

 

 「し、しかし……」

 

 「もし向こうがその気なら妾とミュイ殿は生きてはおらん!」

 

 「う……」

 

 妾がそう答えると二人は黙り、妾は二人を下がらせ、ため息をつき

 

 「さて、どうすべきか……」

 

 「トオサカ殿が手負いでしたから騎士団は無事でしたが…もし無傷でしたら何人かは死んでいたでしょうな。」

 

 妾の呟きにいつまにか来ていたグレイはそう言ってきた 。

 

 「いつ間に来ていたのだな。そしてグレイ、二人の容態は?」

 

 「イタミ殿は打ち身と戦闘とここまで走らされたの後の疲労で意識を失っただけですが、トオサカ殿は血を出しすぎたせいでしょうか…」

 

 グレイが言うのを止めた為、妾は立ち上がり、

 

 「ま、まさか死んでしまっただとかいわないであろうな!?そうなったらジエイタイとの戦争は免れず帝国は滅亡は確実だぞ!」

 

 妾は血の気が引くのを感じながら叫ぶとグレイは手で制し、

 

 「いえ生きていますがかなり空腹の様でした。」

 

 「は?く、空腹?」

 

 「はい、包帯を変える際に部屋の外まで聞こえる腹の虫を鳴かせていました。」

 

 グレイの言葉に妾は安心するのを見た後

 

 「さて、姫様今回の件は幸い死者は出ておりません。ここは素直に謝られては如何ですか?」

 

 「なっ!?頭を下げるだと!?」

 

 「では戦われますか?ジエイタイとロウリィとトオサカ殿と?私はトオサカ殿だけでも嫌ですよ。」

 

 グレイの言葉に妾は黙ってしまう。とりあえず今はどうやって戦争を回避するべくイタミ殿達を説得するかを考えることにした。

 

 どこからか「私はワンマンアーミーじゃないのに~‼ブシドーかもしれないけど!」というトオサカ殿のよくわからない叫びが聞こえたが無視することにした。




 バラの下りはアニメを見て入れたいと思って入れましたwwww


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