キュアトゥインクルの異世界巡り (桂ヒナギク)
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Episode 1

 仕事あがりの天ノ川(あまのがわ) きららは、帰り道を歩いていた。

『……ものよ』

 きららの脳裏に謎の声が響く。

「え?」

『選ばれし者よ』

「誰なの?」

 そのとき、上空にブラックホールのような形をした時空の裂け目が現れ、きららの体が浮き上がった。

「え? ちょっ、何!?」

 きららは時空の裂け目に吸い込まれ、四次元空間に迷い込んだ。

「ディスダークの仕業ね?」

 きららは懐からプリンセスパフュームを取り出した。

「プリキュア! プリンセスエンゲージ!」

 変身ドレスアップキーをパフュームに差し込むきらら。

 体が光に包まれ、服装が黄色いドレスに変わり、きららが頭にヘッドドレスを被せると、髪がオレンジ色に変化した。

「きらめく星のプリンセス! キュアトゥインクル!」

 きららはキュアトゥインクルへの変身が完了した。

「こんなことするのは誰!?」

 四次元空間の先に明かりが見える。

 キュアトゥインクルは明かりへと突っ込み、重力によって下へ落ちた。

ドテッ!──と、地面に叩き付けられる。

「ここは……?」

 見覚えのない街だった。

 日本語が使われてるところ見ると、どうやら日本のようだが……。

 キュアトゥインクルの変身が解ける。

 きららは街の中を散策した。

(一体ここはどこなの?)

 辺りを見ながら歩くきらら。

「すみません」

 きららは道行く人に声をかけた。

「何?」

「ここってどこですか?」

「東京よ」

 首都圏だった。

「駅はどっちですか?」

「この道を真っ直ぐ行けば東京駅よ」

「ありがとうございます」

 きららは教えられた道を歩いていく。

 やがて、東京駅へと辿り着いた。

 券売機の上に設置してある駅名を見るが、元いた場所には戻れそうになかった。いや、元いた場所が存在していないのだ。

「ノーブル学園に行くための駅がないわ。ひょっとして、異世界に迷い込んだ?」

どうしよう?──きららは思った。

「君はこの世界の人間じゃないね?」

「え?」

 きららは背後からの声に振り返った。

 見覚えのない男が立っている。

「僕は海東(かいとう) 大樹(だいき)、君は?」

「天ノ川 きらら。あなた、私が異世界の人間って言ったけど」

「うん。ここは君のいた世界とは違う世界さ。……という、僕もこの世界の人間じゃないんだけどね」

「どうすれば帰れるんですか?」

「君には無理かな」

「どうして?」

「世界を渡り歩く力がないからさ」

「ここは何の世界なの?」

「怪人の存在しない世界さ」

「そんな世界があるんだ? で、海大(かいだい)はどこの世界から来たの?」

「仮面ライダーの世界さ。……海大?」

「仮面ライダーって何?」

「知らなくていいよ」

「あ、そ」

「それじゃ、僕は行くよ」

「待って」

「待たない」

 海東は灰色のオーロラの中に消えた。

 



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Episode 2

 一人残されたきらら。

「どうしろっていうのよ……」

 再び街中を彷徨い歩く。

 暫くして、人気のないところに出た。

 辺りはすっかり暗くなっている。

「ウー!」

 謎の唸り声。

 きららは辺りを見渡す。

「ウー!」

 上からウルフ星人が降ってきた。

 間一髪で躱すきらら。

「怪人なんていなかったんじゃないの?」

 きららは懐からプリンセスパフュームを取り出そうとした。

 すると、銃声と共に星人に弾丸が着弾して怯んだ。

「え?」

 振り返るきらら。そこにはおおとり ゲンの姿があった。

「君! 早く逃げるんだ!」

「冗談」

 パフュームを取り出す。

「プリキュア! プリンセスエンゲージ!」

 キュアトゥインクルに変身するきらら。

「きらめく星のプリンセス! キュアトゥインクル!」

「変身した?」

 キュアトゥインクルはウルフ星人に攻撃を仕掛ける。しかし、巨大化されてしまう。

「逃げろ!」

 ゲンがマックガンで星人を撃つ。

「あんたじゃ勝てないって」

 キュアトゥインクルが星人の顔面まで飛び上がり、そこを蹴り飛ばした。

 吹っ飛ぶ星人。

「シューティングスター!」

 星型のイヤリングが流星型に変化し、袖の部分とビスチェにストライプ柄が入る。

 クリスタルプリンセスロッドの先端にシューティングスターキーをセットし、「キラキラ、流れ星よ! プリキュア・ミーティア・ハミング!」の掛け声で、創り出した大きな黄色い星を上空に射出し、それを無数の流れ星に変えて体勢を立て直した星人に向けて降り注ぐ。

 怯む星人。

 キュアトゥインクルはドレスアップキーとパフュームを取り出す。

「エクスチェンジ! モードエレガント!」

 キーをパフュームに差し込んだ。

 ボトムスが、真中が左右に分かれているレイヤードを用いたベルラインのドレスに変化する。

「キラキラ、星よ! プリキュア・トゥインクル・ハミング!」

 掛け声と共に両手で描いた大きな黄色い星を星人に向かって投げ、大きな星に包み込んで星人を粉砕する。

「ごきげんよう」

 キュアトゥインクルは変身を解いた。

「君は一体……?」

 ゲンの方を振り返るきらら。

「プリキュアだよ」

「プリキュア?」

「あなたは?」

「僕はウルトラマンレオ。地球ではおおとり ゲンと名乗ってる」

「私、天ノ川 きらら。さっきの姿はキュアトゥインクル。海大によると、私は異世界から来たらしいんだけど……」

「海大?」

「海東 大樹って人」

「ああ、彼か」

「知ってるの?」

「一度会ったことがあるよ」

「そうなんだ。それで、どうすれば元に世界に帰れるの?」

「僕も異世界から来たんだけど、どうやっても元の世界に戻れないんだ」

「じゃあ閉じ込められたってこと?」

「でも、ここへ来るとき、選ばれし者よって声が聞こえたから、なんかやらなくてはならないことがあるんじゃないかな?」

「それなら私も聞いた」

「じゃ、一緒にやることを考えよう」

「そうね」

 きららとゲンは握手をした。

 



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Episode 3

 都内の旅館。

 ゲンときららは部屋を取っていた。

「おおとりさん、ウルトラマンって何なの?」

「宇宙の平和を守る宇宙警備隊員なんだ。僕は主に地球で活動してる」

「敵はさっきの巨大な化け物?」

「うん」

「あんな巨大なのと普通の人間がどうやって?」

「ウルトラマンは巨大化出来るんだ。昔、僕らの先祖はディファレーターという放射能を浴びて進化したんだ」

やつらも──と、続けるゲン。「ディファレーターによって力を得た。悪いことに使おうとしてるけどね」

「そうなんだ」

「プリキュアって何?」

「悪の組織と戦う伝説の戦士」

「ふーん」

「さてと。お風呂入ってこよう」

 きららはお風呂の準備をすると、部屋を出て大浴場へ向かった。

 

 

 お風呂から上がり、部屋に戻ってくるきらら。

「おかえり」

「ただいま」

 そのとき、地震が起こった。

「何!?」

 旅館の外で地中から怪獣が出現する。

「怪獣!?」

 窓の外を見る二人。

「行こう!」

 二人は表に出た。

 怪獣が二人に気付いて襲いかかろうとする。

「プリキュア! プリンセスエンゲージ!」

 きららはキュアトゥインクルに変身した。

「きらめく星のプリンセス! キュアトゥインクル!」

 怪獣の攻撃を躱すキュアトゥインクルとゲン。

「レオ──ッ!」

 ゲンは叫び、ウルトラマンレオに変身、巨大化した。

「わーお」

 レオはキュアトゥインクルに光線を浴びせた。

「え?」

 巨大化するキュアトゥインクル。

「何したの? 私の体大きくなってんじゃん」

「その方が戦いやすいでしょ」

「ありがとう」

 二人は構える。

 怪獣がキュアトゥインクルに火球を吐いた。

 火球を躱すキュアトゥインクル。

「シューティングスター!」

 クリスタルプリンセスロッドの先端にシューティングスターキーをセットし、「キラキラ、流れ星よ! プリキュア・ミーティア・ハミング!」の掛け声で、創り出した大きな黄色い星を上空に射出し、それを無数の流れ星に変えて体勢を立て直した怪獣に向けて降り注ぐ。

 怪獣が怯む。

「ダー!」

 レオは飛び上がり、レオキックを怪獣に浴びせるが、外してしまう。

 キュアトゥインクルはドレスアップキーとパフュームを取り出す。

「エクスチェンジ! モードエレガント!」

 キーをパフュームに差し込んだ。

「キラキラ、星よ! プリキュア・トゥインクル・ハミング!」

 掛け声と共に両手で描いた大きな黄色い星を怪獣に向かって投げ、大きな星に包み込んで敵を粉砕する。

「ごきげんよう」

 キュアトゥインクルは等身大に戻り、変身を解いた。

 レオもゲンの姿に戻った。

 



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Episode 4

 きららとゲンは街に出ていた。

「ね、おおとりさん。水族館行きたい」

「いいよ。連れってってあげる」

「マジ? やったー」

 笑みを浮かべるきらら。

 二人は水族館へ足を運んだ。

 それをつけるもう一人のきらら。

「ん?」

 気配に気付いたのか、後ろを振り返るきららだが、誰もいない。

「どうしたの?」

「誰かに尾行されてる」

 振り返るゲン。

「誰だ!?」

 それに応えて、もう一人のきららが出て来る。

「きららちゃんが……二人?」

「あんた、何なの?」

「おおとりさん、そいつ偽物だよ」

「え?」

「本物だって」

「じゃあその証拠を見せて」

 きららはパフュームを取り出そうとするが。

「あれ?」

「探し物はこれ?」

 もう一人のきららがパフュームを取り出した。

「どうしてあんたが?」

 もう一人のきららはニヤリと笑ってアラクネアワーム・ルボアに姿を変えた。

 目にも留まらぬ速度で接近するルボアだが、レオに変身したゲンによって攻撃を受け止められた。

「どけよ!」

「返してもらうよ」

 レオはパフュームを奪還し、きららに渡した。

 きららは懐からドレスアップキーを取り出す。

「プリキュア! プリンセスエンゲージ!」

 光に包まれ、キュアトゥインクルに変身するきらら。

「きらめく星のプリンセス! キュアトゥインクル!」

 ルボアがクロックアップする。

「消えた?」

「いや、高速で動いてるだけだよ」

そこだ!──と、レオが蹴ると、ルボアの腹部に当たって怯んだ。

「エクスチェンジ! モードエレガント!」

 キーをパフュームに差し込んだ。

「キラキラ、星よ! プリキュア・トゥインクル・ハミング!」

 掛け声と共に両手で描いた大きな黄色い星をルボアに向かって投げ、大きな星に包み込んで敵を粉砕する。

「ごきげんよう」

 二人の変身が解ける。

「今の怪物は?」

「仮面ライダーカブトの世界のワームとかいうやつじゃないか?」

「そう。まあいいや。デートの続き、しましょ?」

「デートだったの?」

「え? 違うの?」

 まあいいけど、と付け加えるきらら。

 

 

 水族館を出るきららとゲン。

 外はすっかり暗くなっていた。

 グー、お腹が鳴り、きららは頬を赤らめた。

「なんか食べて帰ろうか」

「うん」

 きららとゲンはレストランへ寄って晩御飯を食べることにした。

「好きなもの食べていいからね」

「うん」

 きららはメニューを見る。

「どれも美味しそう」

 きららは何を食べようか迷ってる。

「うん?」

 きららはメニューの下の方にマーブルドーナツを見付けた。

「この世界にもあるんだ」

「何が?」

「マーブルドーナツ」

「ドーナツ好きなの?」

「うん。マーブルドーナツは美味しくてね。毎日食べたい」

「そっか。じゃあ、食後に食べていいよ」

「ほんとに? やったー」

 きららは笑みを浮かべた。

 



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Episode 5

 街を散歩しているきらら。

 辺りには人っ子一人いない。

(なんで誰もいないの?)

「なんかあったのかな」

 暫く歩くと、空に巨大な円盤が浮いてるのが見えた。

「UFO?」

 円盤から地上へ光が差している。

 その光の中を、地上の人間たちが昇っていく。

「あれは!」

 きららは円盤に駆け寄る。

(これってまずいよね)

 きららが光に突っ込んだ刹那、その体が浮き上がり、円盤へと吸い込まれていく。

 円盤に潜入したきららは辺りを見渡す。

「どうやら余計なものが混じったみたいだな」

 きららがその声に振り向くと、その先にはクール星人の姿があった。

「あんた何者?」

「私はクール星人。人間採取をしている。標本を作るために。お前はただの人間ではないようだが?」

「ただの人間じゃないよ」

 きららはパフュームを取り出す。

「プリキュア! プリンセスエンゲージ!」

 きららがパフュームにドレスアップキーを差し込むと、光に包まれてキュアトゥインクルに変身した。

「煌めく星のプリンセス! キュアトゥインクル!……人間を標本にするなんて私が許さない! お覚悟は、よろしくて?」

「ほう。知っているぞ。最近、世間を賑わせているプリキュアとかいう生意気なガキだな」

「シューティングスター!」

 キュアトゥインクルはクリスタルプリンセスロッドにキーを差し込んだ。

「キラキラ、流星よ! プリキュア・ミーティア・ハミング!」

 創り出した大きな黄色い星を空中に射出し、それを無数の流れ星に変えて星人に向けて降り注ぐ。

 クール星人は爆裂霧散する。

「え? 弱」

 キュアトゥインクルは攫われた人たちを救出した。

 人々はキュアトゥインクルに礼を言った。

 キュアトゥインクルは、「どういたしまして」と言い残してその場を離れ、人気のない場所で変身を解く。

 そこへ現れるゲン。

「星人の反応があったけど……?」

「それならもう倒したよ」

「そうか」

 歩き出すきらら。ゲンもそれに続く。

「それより、すごいことがわかったよ」

「すごいこと?」

「僕たちをこの世界に呼んだ人物について。彼は僕らにこの世界を救ってほしがってる」

「それ誰なの?」

「名前は聞いてない……いや、聞けなかった」

「それで? どうすればいいの?」

「この世界を脅かそうとする者を倒してほしいと」

「そいつの名は?」

「ジャッコフロスト……そう言ってたよ」

「で、どこにいるの? そんなやつちゃちゃっとやっつけて元の世界に帰らなきゃ」

「それが、世界を渡り歩いてるみたいで、わからないんだ」

「そうなんだ。じゃあ、この世界を救って、手掛かりを探しましょ」

 




お読みいただきありがとうございます。
よろしければご感想をお願いします。


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Episode 6

 東京の遥か上空。

 円盤の中から何者かが地球を見下ろしていた。

 地上では、きららが公園でマーブルドーナツを美味しそうに食べていた。

「おやつって言ったら、やっぱりマーブルドーナツだよ」

「アー! アー!」

 カラスがきららに接近する。

「うわ!」

 接近してきたカラスにドーナツを奪われる。

「ちょっと、それ私の!」

「アホー!」

 何かバカにされたような気がするきららは、小石を拾ってカラスに投げ付けた。

 小石はカラスにクリーンヒットしてそのカラスは落下した。

「あーあ。これじゃもう食べられないじゃん」

 ドーナツは砂まみれになっていた。

「それ、あんたにあげるよ」

 きららはそう言い残して公園を出る。

「きゃああああ! ちょっとどいて欲しいかなー!」

 その叫び声と共に自転車に乗った女の子がこちらへ接近してくる。

 きららがひらりと躱すと、自転車の女の子は電柱へ激突した。

「いてて……」

「大丈夫?」

「大丈夫大丈夫」

 立ち上がる女の子。

「私、天ノ川 きらら。あんたは?」

西沢(にしざわ) (あゆむ)だよ。見たところ、キミは中学生かな?」

「そうだよ」

「ダメじゃないですか──」

 その声と共に水色短髪で童顔の男の子がやってくる。

「──自転車はちゃんと整備しないと」

「ハヤテくん!?」

 驚く西沢。

「お嬢さん、お怪我はありませんか?」

「うん」

「それはよかった。僕は綾崎(あやさき) ハヤテ。キミは天ノ川さんでいいんですか?」

「そうだけど……」

「それにしてもここって一体……?」

「もしかして、あんたも異世界の人?」

「やっぱりここって異世界なんですか?」

「たぶんね」

「僕は西沢さんが灰色のオーロラに吸い込まれるところを見て追いかけてきたんですけど……」

「そういえばそんなのに突っ込んだかな」

「あんたたちカップルなの?」

「ただのお友達ですよ」

「ふーん。じゃ、私は失礼するね。ごきげんよう」

 きららが二人の下を離れ……ようとしたところで、怪人が姿を現した。

 その怪人はアラクネアワーム・フラバスだった。

「ルボアは失敗したらしいけど、私はどうかな」

 きららはパフュームを取り出した。

 すると、フラバスが爆裂霧散した。

 爆炎の中には、カブトムシのような姿をした異形が立っていた。

 仮面ライダーカブト・ライダーフォームは、きららたちの方を見ると、そのまま姿を消した。

「今のは……?」

「あれが噂のマスクドライダーシステムですか」

「マスクドライダーシステム?」

「仮面ライダーのことですよ」

「その仮面ライダーって何?」

「簡単に言えば、怪人を倒す正義の味方です」

「ふーん」

 その様子を東京上空で見ている何者か。

「仮面ライダーまで現れたか。私の計画の邪魔をするのは一体誰だ?」

 



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Episode 7

戦闘はありません。


 人気のない道路。

 きららが一人歩いていると、目の前に(くれない) (わたる)が現れた。

 立ち止まるきらら。

「新たな世界への旅立ちの時です」

「この世界は?」

「この世界には、ウルトラマンがいるので大丈夫でしょう。次なる世界にも、ヒーローがいるのですが……」

 そこで夢は終わり、きららはベッドから起き上がった。

「おはよう、きららちゃん」

 と、ゲン。

「変な夢見た」

「変な夢?」

「私が次の世界とやらに行く」

「それは変な夢だね。でも──」

ありえるかも──と、ゲンは言う。「元々僕らは違う世界の住人なんだし」

「そうだね」

 きららはベッドから降りた。

 洗面所で顔を洗う。

「次の世界にもヒーローがいるって言ってたけど……」

「誰が?」

「夢に出てきたお兄さん」

「そう」

 と、その時、辺りが真っ暗になる。

「え?」

 きららの体が浮き上がり、時空の裂け目へと放り込まれた。

 裂け目を抜けると、そこは渋谷廃墟だった。

「今度はどこなの?」

 きららの周囲をゼクトルーパーが囲む。

「貴様、どうやって入った?」

「知らないよ」

「何?」

「私、気が付いたらここにいたから」

「何を言ってる? 来い」

 連行されるきらら。

 やってきたのは、ZECTの施設だった。

「あなた、なんであそこにいたの?」

 そう質問するのは、(みさき) 佑月(ゆづき)だった。

「何これ? 取り調べ?」

「質問に答えなさい。何をしてたの?」

「これから朝食なんだよね。カツ丼出して。取り調べと言ったらカツ丼でしょ?」

「ふざけてんの?」

「あー、わかる?」

ツッ!──舌打ちする岬。

「んで、あそこはなんなの? 私はなんで連れてこられたの?」

「訊いてるのはこっちよ!」

「私さ、異世界から来たばかりで行くあてないんだよね。どうしよう」

「異世界?」

「うん」

 岬は携帯を取り出してどこかへかけた。

「もしもし、天道くん。なんか異世界から来たって子を連行したから、ちょっと来てくれない? 場所はこの前、あなたを取り調べたところ」

 その電話の後、暫くして天道(てんどう) 総司(そうじ)がやってくる。

「異世界から来たってのはお前か」

「そうだけど。あんたは?」

「おばあちゃんが言っていた……。天の道を往き、総て──」

「あ、私、天ノ川 きらら」

「──総司……って、聞けよ」

「ごめん。天丼さんでいいんでしょ?」

「テディじゃないぞ」

「冗談。天道 総司さんでしょ?」

「聞いてたのか」

「それで? ここは何の世界なの?」

「俺の世界だ。世界は俺を中心に回っている」

(なに? この人……)

 




レオに関してはまた後ほど


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Episode 8

 天道の家にやってくるきらら。

「お兄ちゃんお帰り!」

 妹の樹花(じゅか)が出てくる。

「その子は?」

「天ノ川 きららだよ」

「妹の樹花でーす」

「あそー」

「ま、とりあえず上がってくれ」

 靴を脱ぐと、きららは天道と共にリビングへ入った。

「朝食、まだだろ。作ってやる」

「ほんと? ありがとう」

 キッチンへ入っていく天道。

「天道さん、テレビつけていい?」

「ああ」

 きららはテーブルの上にあったリモコンを手に取りテレビをつけた。

 テレビではニュースをやっていて、連続殺人事件の報道をしていた。

「物騒な世界だね」

「犯人はワームだ」

「ワーム? この世界の敵?」

「そういうことだな。よし!」

できた!──と、天道がきららの下に料理を運んでくる。

「美味しそう!」

 きららは天道の手料理を堪能した。

「ごちそうさま。美味しかったよ」

「当然だ。俺の料理は世界で一番美味しい」

「いや、マーブルドーナツが一番だよ」

「マーブルドーナツ……だと?」

「うん。あの美味に勝る料理はないね」

「ドーナツはお菓子だろ」

「お菓子でも料理じゃん」

「それはそうだが……」

 その時、天道の下にカブトゼクターが現れた。

「ワームか」

 天道は家を出る。

「待って!」

 後を追うきらら。

「サポートしてあげる」

 天道の跨るバイクの後部に座るきらら。

 バイクはゼクターに導かれるように走り出し、目的地へと着く。

 そこでは、男性が複数のワームに襲われていた。

「プリキュア! プリンセスエンゲージ!」

 きららはキュアトゥインクルに変身する。

「きらめく星のプリンセス! キュアトゥインクル!」

 ワームたちがこちらに気付いて接近してくる。

「はっ!」

 迫り来るワームをぶっ飛ばすキュアトゥインクル。

 一方で、天道がゼクターをベルトにセットしてカブトに変身した。

「ふっ!」

 迫り来るワームをカブトクナイガン・アックスモードで粉砕していく。

 キュアトゥインクルがシューティングスターでミーティアハミングを放ち、ワームを蹴散らす。

 と、そこへアラクネアワーム・ニグリティアが現れる。

 ニグリティアはクロックアップでキュアトゥインクルの懐に接近する。

 キュアトゥインクルは攻撃を飛び退いて(かわ)した。

「お前、クロックアップが見えるのか?」

 マスクドフォームからキャストオフしたカブトが訊ねる。

「クロックアップ?」

「普通の人間には見えないんだがな」

「プリキュアになると動体視力が上がるんだと思う」

 接近してくるニグリティアにカウンター攻撃を浴びせるキュアトゥインクル。

 カブトはサイドバックルを叩いた。

{CLOCK UP}

 クロックアップしたカブトがニグリティアを圧倒する。

 そして、キュアトゥインクルのトゥインクルハミングとカブトのライダーキック。二人の必殺技がニグリティアに炸裂し、爆裂霧散した。

{CLOCK OVER}

 と、クロックオーバーするカブト。

 ゼクターが外れ、カブトの変身が解けて天道に戻る。

「強いんだな」

「そんなことないよ」

 そうやりとりをする二人を、遠くから眺めている一匹の(さなぎ)ワーム・サリス。

 その横に、雪だるまの姿をした謎の生命体が立っている。

 



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Episode 9

 小料理屋、ビストロ・ラ・サル。

 きららは天道と共にご飯を食べていた。

「なるほど。ジャッコフロストを倒すのが目的なのか」

「と言っても、ジャッコフロストがどんな人物か判ってないんだよね」

「ならディエンドを捜せ。やつなら何か知ってるかもしれない」

「ディエンド……?」

数多(あまた)の世界を渡る仮面ライダーだ」

名は海東 大樹──天道はそう付け加えた。

「その人なら会ったことある。どうすれば会えるの?」

「そこまではわからない」

 扉が開き、海東が入ってくる。

「ようやく見付けた、天ノ川 きらら」

「海大」

「君の世界からディスダークの幹部がやってきた。協力してほしい」

「ディスダークが!?」

「ディスダーク?」

「悪の組織だよ」

 天道は立ち上がった。

「ディスダークは(つかさ)をゼツボーグにした。来てくれ」

 三人は店を出ると、ゼツボーグの下へやってきた。

「プリキュア! プリンセスエンゲージ!」

 きららはキュアトゥインクルに変身した。

「きらめく星のプリンセス! キュアトゥインクル! 冷たい檻に閉ざされた夢、返していただきますわ。お覚悟は、よろしくて?」

「ゼツボーグ!」

 キュアトゥインクルは迫り来るゼツボーグの攻撃を躱しつつ檻に閉ざされた門矢 士(かどや つかさ)を見た。

 そこへカブトが参戦。クロックアップでゼツボーグを翻弄する。

 キュアトゥインクルはグロッキーになったゼツボーグにトゥインクルハミングを放った。

「ドリーミングー……」

 キュアトゥインクルは士を閉じ込めている檻の鍵をキーで開錠した。

 自由になった士が目を覚ます。

「俺は一体……?」

「伝説の戦士プリキュアが助けてくれたんだ。感謝しろよ」

 キュアトゥインクルは変身を解いてきららに。

「ねえ、海大」

「何だい?」

「ジャッコフロストって知ってる?」

「ジャッコフロストと言えば俺たちが追ってるやつだ」

 と、士。

「そうなんだ。どういうやつなの」

「ん……雪だるま?」

「……は?」

「実は俺にもわからないんだ。ただ、倒さなきゃならない存在さ」

「放っておけばあらゆる世界が侵略されてしまうからね」

「あ、そうそう。忘れてたけど、私、天ノ川 きらら。あなたは?」

「門矢 士だ」

「門矢さんも異世界の人間なの?」

「ああ」

「どうやって異世界へ移動するの?」

「光写真館だ」

「ひかりしゃしんかん?」

「ああ。これから次の世界へジャッコフロストを追う。ついてこい」

 きららは士と共に光写真館へ向かう。

「士くん、お帰り」

その子は?──と、光 夏美(ひかり なつみ)

「プリキュアだ。すぐに次の世界へ移動するぞ」

 士が部屋の背景ロールを下ろした。

 



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Episode 10

 きららが写真館を出ると、景色が先ほどのものと変わっていた。

「ここは……?」

 自分が出てきた建物は、元は空き地のようだった。

 そこへ大きな体をした男の子と、キツネのような顔をしたキザったらしい髪型の男の子がやってきた。

「あれ? スネ夫、家が建ってる」

「昨日まで空き地だったよね、ジャイアン?」

 二人がきららに気付く。

「お姉さん」

「何?」

「ここ、お姉さんの家ですか?」

 スネ夫が訊ねた。

「違うよ」

「おい、ガキども」

 士が出てくる。

「人の家の前で何してる?」

「お兄さんこそ。ここ空き地だったはずだよ」

 士は写真館を見る。

「どうやら空き地に出てきてしまったみたいだな」

 ジャイアンと呼ばれる男の子、剛田(ごうだ) (たけし)骨川(ほねかわ) スネ()は疑問符を浮かべた。

「それにしても、ここは一体何の世界?」

 と言うきららに士は答える。

「恐らく、二十二世紀から来たロボットのいる世界だろうな」

 と、そこへメガネをかけた黄色い服の男の子が血相を変えてやってきた。

「ジャイアン、スネ夫!」

「おう、どうしたのび太?」

「大変なんだ。ドラえもんが!」

「ドラえもんがどうしたんだ?」

「変なやつが現れて、部屋にいたドラえもんが檻に閉じ込められて、絶望とかいうのが現れたんだ!」

 その証拠に、

「ゼツボーグ!」

 ゼツボーグが近くで暴れていた。

 きららはゼツボーグの下へ駆け出した。

「プリキュア、プリンセスエンゲージ!」

 きららはプリンセスパフュームにドレスアップキーを差し込み、キュアトゥインクルに変身した。

「加勢するぞ」

 と、士がやってくる。

「変身!」

 士はディケイドライバーのバックルにディケイドカードを差し込む。

{KAMEN RIDE}

 次にサイドハンドルを閉じる。

{DECADE}

 九つのクレストが現れ、鮮やかな黒とマゼンタの戦士、仮面ライダーディケイドに変身する士。

 二人の戦士はゼツボーグを攻撃する。

「ゼツボーグ──ッ!」

 トゥインクルは反撃に遭い、吹っ飛ばされた。

「きゃあ!」

「きらら!」

 ディケイドはゼツボーグの攻撃をライドブッカーの剣先で受け止める。

「一気に終わらせるぜ」

 ディケイドはライドブッカーからファイナルアタックライドのカードを取り出し、サイドハンドルを展開したバックルに差し込む。

{FINAL ATTACK RIDE──D D D DECADE}

 高くジャンプし、出現したカード状のホログラムを突き抜け、ディメンションキックをゼツボーグに浴びせる。

 必殺技を繰り出したディケイドはゼツボーグを貫通するが……。

「破壊できない!?」

「ゼツボーグ!」

 ゼツボーグがディケイドを襲うが、隙をついたトゥインクルがトゥインクルハミングをその敵に放つ。

「ドリーミング……」

 ゼツボーグが消え去る。

「ええい、覚えていろ!」

 ディスダークの幹部は逃げていった。

 ディケイドはサイドハンドルを展開して変身を解いて士に戻った。

 トゥインクルはのび太の部屋へ行き、ドラえもんを閉じ込めている檻の鍵穴にキーを挿して回した。

 檻から解放されるドラえもん。

「それじゃ」

 トゥインクルはのび太の部屋の窓から外へ出て士の下へ戻って変身を解いた。

 



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Episode 11

 写真館の背景ロールが下りる。

 背景ロールには、桃色髪の女の子と赤、青、緑の三つの卵が描かれていた。

 写真館の外に出るきららと士。

 士の第一声は、「しゅごキャラの世界か」だった。

 きららの服装が、聖夜学園の制服に変わる。

「聖夜学園の制服だな」

「知ってるの?」

「頭に情報が入ってくるんだ」

「へえ、便利な頭だね。で、その聖夜学園に行けばいいのね」

 きららは聖夜学園に向かう。

 生徒手帳によると、きららは小学五年生ということになっていた。

 聖夜学園に着く。

「えっと……」

 きららはどこへ行けばいいのかわからなかった。

 そこへ桃色髪の女の子、日奈森(ひなもり) あむが登校してくる。

 そのあむの横には、ラン、ミキ、スウというしゅごキャラの姿があった。

「あ、あの……」

 声をかけるきらら。

「え?」

 目が合う二人。

 二人は互いにただならぬ何かを感じた。

「あんたは? 見かけない顔だけど。私、日奈森 あむ」

「天ノ川 きらら」

「ふーん。で、私に何の用?」

「別に用って訳じゃないんだけど、どこがどこかわからないから教えてもらおうと思って」

「あんたもしかして転校生?」

「……うん」

「そう。じゃ一緒に行こ?」

 きららはあむに付いていく。

 初等部の校舎に入る二人。

「あ……」

 きららは下駄箱で靴を履き替えようとしたが、上履きを持っていない事に気付いた。

 あむが無言で来客用のスリッパを持ってくる。

 きららは生徒手帳を見た。

「星組か」

「私と同じじゃん」

 二人は五年星組の教室へと向かう。

「そう言えば、さっきから気になってるんだけど、その小さいの何?」

「あんたこの三人見えてるの?」

「え?」

「この子たちはしゅごキャラって言って、私の心の玉子から生まれたの」

「心の玉子?」

「うん。でもどうして見えるの? しゅごキャラは普通の人には見えないのに」

「私は普通じゃないからね」

「え? それって……」

「私、プリキュアだから」

「プリキュア?」

 きららはプリンセスパフュームを取り出した。

「このパフュームで変身して悪いやつと戦ってるの。ジャッコフロストってのを倒さなきゃいけないんだ」

 きららはパフュームをしまう。

 話をしているうちに、二人は教室に着いた。

「私の席は……と」

「私の横が空いてるね」

 きららはあむの隣の席に腰掛けた。

 クラスメイトはみな、きららを誰だろう、と見ていた。

 チャイムが鳴り、教師が入ってくる。

 教師はきららを見ると、手招きをした。

 前へ出ていくきらら。

「転校生を紹介するよ。天ノ川 きららさん」

「……よろしく」

 きららはそう言って席に戻っていった。

 




しゅごキャラの世界に凸してみましたが、皆さんどうでした?


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Episode 12

 きららはあむにロイヤルガーデンへ招かれた。

 メンバーはあむにきららがプリキュアである事を聞かされて疑問符を浮かべている。

「プリキュアって何?」

 そう訊ねるのは金髪でキングスチェアの辺里 唯世(ほとり ただせ)だ。

 きららは唯世にプリキュアが悪者と戦う伝説の戦士である事、異世界から来た事を話した。

「──という訳で、私は今、ジャッコフロストなる者を倒すべく世界を旅しているの」

「あれ? そう言えば、ややとペペは?」

 と、あむが一人足りない事に気付く。

「そう言えば遅いな」

 と、ジャックスチェアの相馬 空海(そうま くうかい)

 その時、どこかで悲鳴が聞こえた。

「今のはややの!」

 メンバーたちは駆け出す。

 きららも後を追った。

「やや!」

「何があった!?」

「ペペちゃんが!」

 ややが檻に閉じ込められた自分のしゅごキャラを指差す。

 近くにはゼツボーグの姿。

「ゼツボーグ!」と、きらら。

「あむちゃん!」

 赤いしゅごキャラのランが言う。

「私の心、アンロック!」

 あむが光に包まれて変身した。

「キャラなり、アミュレットハート!」

 続いてきららも変身する。

「プリキュア、プリンセスエンゲージ!」

 光に包まれ、変身が完了する。

「煌めく星のプリンセス、キュアトゥインクル」

 ゼツボーグが光線を放つ。

 二人は光線をかわしつつゼツボーグに接近する。

「は!」

「たあ!」

 二人の攻撃がゼツボーグに炸裂。

「ネガティブハートに、ロックオン!」

 アミュレットハートがハンプティ・ロックの前で両手でハートを作る。

「オープンハート!」

 と、必殺技を放つが、しかし。

「浄化できない!?」

「私に任せて!」

 キュアトゥインクルがトゥインクルハミングを放った。

「ごきげんよう」

「ドリーミング……」

 ゼツボーグが消える。

 キュアトゥインクルは檻の鍵を開けた。

 ペペが檻から解放された。

 キュアトゥインクルとアミュレットハートは変身を解除した。

 その時、何処からともなくバツたまが飛んでくる。

 あむは再びアミュレットハートに変身。

「ネガティブハートにロックオン! オープンハート!」

 必殺技で玉子を浄化した。

 変身を解く。

「ねえねえ、あなた誰?」

 ややがきららに気付く。

「天ノ川 きらら」

「私のクラスに転校してきたの」

「よろしくね、やや」

「さっき変身してたよね? しゅごキャラがいないのにどうして?」

「プリキュアの事?」

「プリキュア?」

 きららはややにプリキュアについて解説した。

「へえ。じゃあ、異世界人なんだ?」

「そう言う事になるね。他にも知り合いが来てるんだけど……」

「どんな人?」

「門矢 士……仮面ライダーディケイドに変身する人だよ」

「仮面ライダーディケイド……?」

「悪者と戦う戦士だよ」

「へえ、そうなんだ」

「ねえ、天ノ川さん」と、あむ。

「何?」

「異世界へはどうやって?」

「光写真館」

「光写真館?」

「背景ロールを下ろすと異世界に移動するの」

「そんな簡単に?」

「後は灰色のオーロラを潜るとか」

「そうなんだ」

「それじゃ、そろそろ行くね」

 きららの発言に、唯世が訊ねる。

「もう次の世界へ行ってしまうのかい?」

「うん。ゼツボーグも消えたし、私がここに居る理由もないと思うんだ」

「日奈森さん」

「うん?」

「彼女に付いていってあげてくれる? もしかすると、今後、君の力が必要になるときが来るかもしれないから」

「わかった」

 きららとあむはロイヤルガーデンのメンバーに見送られながら、光写真館へと向かった。

「きらら、そいつも連れてくのか?」

「戦力になるからね」

「わかった」

 士は背景ロールを下ろした。

 



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Episode 13

 写真館を出るきららとあむ。

「ここは……?」

 辺りを見渡すが、見覚えのない景色だった。というか、辺り一面荒野である。

「きらら、ここって何の世界なの?」

「私に訊かないで」

 写真館からラン、ミキ、スゥが出てくる。

「あむちゃん、門矢さんがドラゴンボールの世界じゃないかって言ってたです」

 そういうのは緑のしゅごキャラのスゥだった。

「ドラゴンボール?」

「七つ集めればどんな願いでも叶えてくれる不思議な球がある世界だって言ってたよ」

 そういうのは青いしゅごキャラのミキだ。

「とりあえず、町を探してみよう?」

 きららは歩き出した。

「あ、待ってよ」

 追い掛けるあむ。

 だが、行けども行けども荒野は続く。

 それにしても──。

「暑いね」

 汗だくのきららが言った。

「そうだね」

 あむも同意する。

 やがて荒野を抜け、草原地帯へと入った。

「町がないじゃない!」

「そうだね」

 あむは後ろを振り返る。

 写真館はもう見えない。

「結構歩いたんじゃない?」

「そうだね。……休憩しようか」

 きららが日陰に移動して座り込んだ。

 その時、空を人が飛んで行った。

「と、飛んでる!?」

 驚き戸惑うきらら。

「え?」

 あむは空を見るが、時既に遅し、何もなかった。

「きらら、あんた何を見たの?」

「人」

「人が飛ぶ訳……え?」

 あむの上空を数人の人影が飛んで行った。

「マジですか」

「言った通りでしょ?」

「うん」

「彼らに訊けば何をすればいいかわかるかもね。そうとわかれば追うよ」

「でもどうやって?」

「あむが運ぶに決まってるじゃん」

 ニカッと笑みを浮かべるきらら。

「だからどうやって?」

「アミュレットハートに変身して私を」

「はあ……」

 溜め息を吐くあむ。

 あむは仕方なしに変身した。

「私の心、アンロック!」

 あむは光に包まれ、アミュレットハートに姿を変える。

「キャラなり、アミュレットハート!」

 アミュレットハートがきららを(かか)えて人影が飛んでいった方へ向かう。

 そして辿り着いたのは、岩場だった。

 岩場で金髪の男、孫 悟空(そん ごくう)が巨大な敵と戦っていた。

「君たちは?」

 悟空の息子である悟飯(ごはん)が二人に気付く。

「日奈森 あむ」

「天ノ川 きららだよ」

「こんなところで、何を?」

「空飛ぶ人影を追ってきたの」

「そうだったんだ。ここは危ないから、離れてるんだよ」

「冗談」

 きららは悟空が戦っている敵を見た。

「ゼツボーグだね、あれ」

「ゼツボーグ?」

 きららはプリンセスパフュームを取り出した。

「プリキュア、プリンセスエンゲージ!」

 光に包まれ、キュアトゥインクルに変身するきらら。

「変わった?」

「きらめく星のプリンセス、キュアトゥインクル!」

 ゼツボーグに向かって飛びかかるキュアトゥインクル。

「冷たい檻に閉ざされた夢、返していただきますわ。お覚悟は、よろしくて?」

「何だおめえ?」

 悟空が問う。

「ゼツボーグはプリキュアじゃないと倒せないよ」

「こいつ、ゼツボーグっちゅうんか?」

「うん」

 キュアトゥインクルが必殺技を出してゼツボーグを浄化した。

「檻は……と」

 キュアトゥインクルは檻を探す。

「檻ならあそこだ」

 悟空が檻を指差した。

 そこにはベジータが幽閉されていた。

 キュアトゥインクルはベジータを閉じ込めている檻の鍵を開けた。

 



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