F/GO 短編集 (ニーガタの英霊)
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カルデアが本気を出したようです

ブレダ「赤王ちゃまは置いて来た、この戦いにはついてこれそうになかったからな。ところで俺は何時F/GOに参加できるんだ」
庄司「―――誰?」ステーキ食いつつ
ブレダ「」


―――永続狂気帝国セプテム―――

 

 連合首都において一人の男が追い詰められていた。彼の名はレフ・ライノール・フラウロス。彼は半狂乱になりつつも打開策を必死に模索していた。

 

「あり得ない、あり得ないあり得ないあり得ない・・・・・・この私が、そんな低俗なサーヴァントに―――!」

 

「もう終わりです、レフ・ライノール。貴方の負けです」

 

 大盾を持った華奢な少女、マシュ・キリエライトは人類の大逆者にそう告げる。

 その後ろには赤い髪をサイドテールにまとめた少女が、じっとその姿を見つめていた。

 

「認めん、認めないぞ。はは、はははははは。ならば壊そう! すべてを破壊しよう!」

 

 レフはそう告げると、聖杯から新たにサーヴァントを召喚する。

 

「ふはははははは、これが最強の英雄、破壊の体現者、城門の破壊者と呼ばれた大英雄だ!!」

 

 輝く聖杯、湧き上がるとてつもない魔力の波動にレフは酔いしれる。

 そして召喚された破壊の英雄が姿を現す。

 

「―――私は破か・・・・・・ちょっとまって、タイム」

 

「さぁ行け! 最強の英雄よ!」

 

「なに言ってんのお前? ねぇ、なにこれ。どうして私を呼んだの? 馬鹿なの、死ぬの?」

 

 召喚された英雄、フン族の大王、アルテラは召喚されたその瞬間、牙を折られた。そして、同時に教えてほしかった、これを私にどうにかしろと? 頭に蛆でも湧いてるんじゃないかと、己が召喚者を問い詰める。

 

「ふん、ロムルス、アウグストゥス、トラヤヌスのローマの英雄がやられようと、私には彼女がいるのだ」

 

「待って、なにそのローマ三大チートな面子、そんな奴らが勝てなかった戦場を私にどうにかできるとでも?」

 

 ローマの健国王、神祖ロムルス。西欧の初代皇帝、神君アウグストゥスことオクタウィアヌス。ローマの最大範図を成し遂げた五賢帝の一角トラヤヌス帝、そんな奴が敗れた相手に私がどうにかできると本当に思ってるのかこいつは。

 

「同僚のバアルやアスモダイがやられようと私には彼女がいる。チンギス=ハンや始皇帝嬴政とは格が違うのだよ!」

 

「うん、違うね。少なくとも私より格上だよその二人!?」

 

 あと、同僚って何? ヤハウェと戦った英雄神と元智天使の悪魔が同僚って何? こいつらそいつら倒せんの? ・・・・・・倒せそうだね、明らかに格上だよ、奴さんたち。

 

「私は信じているのだ! きっと彼女なら貴様らを倒せるとなぁ!」

 

「おい、召喚者、信頼が重いぞ。もっと機械的なムーブしようとしていたが、これは駄目だ。突っ込ませてもらう」

 

「突っ込む・・・・・・///」

 

 途端に顔を赤くするレフ、駄目だこいつ、はやくなんとかしないととアルテラが思っていたその瞬間、またもや状況が推移する。

 

「間にあったか、大丈夫か、マスター」

 

「・・・・・・ねぇ、ちょっと。さらに悪化してるんですけど」

 

 さらに二体ほどやばい英霊が増えたこの状況に対し、微塵も焦りを感じさせない召喚者に対しアルテラはあきらめの極地だ。もう駄目だぁ、おしまいだぁ、降伏したい。

 

「・・・・・・まさか、黄帝と蚩尤の二人を打ち破るとは・・・・・・、だが、私にはまだ彼女がいる」

 

「・・・・・・すいません、私匈奴系の移民がルーツなんですけど、何その幻のタッグ、凄く見てみたかった」

 

 異民族の王にして漢民族の怪物蚩尤に中国の道祖神である黄帝のチートタッグに勝利? 嘘だと言ってよ、ブレダ兄さん・・・・・・。え、せやけどそれはただの現実や? 夢やあらへんの?

 脳内のブレダは真顔で手を横に振る様子がアルテラには見えた。

 

「・・・・・・じ、自己紹介をしよう、私はアルテラ。セイバーだ」

 

「なにをしているアルテラ! 速く奴らを殺せ!」

 

 お願い、黙って。君はあれか? よく映画とかにいる面白黒人枠でも狙っているのかい? せめて空気を読んでほしかった。

 

「・・・・・・ぐだ子」

 

「マシュ・キリエライトです」

 

 うん、ゴメン。君らはどうでもいいんだ。用があるのはそこの五体のサーヴァントだから。

 

「我が名はムハンマド・ムンタザル、セイバーだ」

「俺はサオシュヤント、クルサースパ。ランサーのサーヴァントだ」

「僕はカルキ! 見ての通り、ライダーだよ!」

「オルガマリー・アニムスフィア、サーヴァントとしてはアラヤよ、クラスはアサシンね」

「拙僧は弥勒菩薩だ、キャスターだが、魔術師ではないな」

 

「「「「「ただの通りすがりの救世主だ(よ)」」」」」

 

「ただの救世主が五人といてたまるか! おい召喚者! お前何をした!!」

 

「ぐっ、離せ。何をする! 私はただ人類を滅ぼそうと・・・・・・!」

 

「だからか! だからなんだな! だから救世主が敵なのか、ふざけるな、ふざけるな! バカヤロー!!」

 

 アルテラはさ、どんな大人になりたいの?

 

 いきなり出てこないで、ブレダ兄さん。夢は叶えたからさ、ちゃんと兄さんの跡を継いで大王になったから。

 どんな大人かと言ったら、この場を切り抜けられる大人になりたかったよ、切実にね! 畜生!

 

「こうなったら自棄だ! やってやるよ、『軍神の剣(フォトン・レイ)』!」

 

 それはまさしく天罰の象徴、神の鞭と呼ばれた彼女の持つ軍神マルスの剣。三色の刀身から出る極光により、その一撃は地上おける「あらゆる存在」を破壊し得る。そして、その一撃はまさしく、対城クラスの一撃である。

 ―――だが、上には上がいる。

 

「『再臨する礼賛の聖剣(ズルフィカール・アル=マフディ)』」

 

 まるでギャグのように、極光の一撃は真っ二つに引き裂かれる。そう、文字通り真っ二つだ、聖剣の中では最高峰に位置するイスラム圏私至上の聖剣は伊達ではない。

 聖剣自体に切断の概念があるのだろう、そして効果範囲は対城クラス。

 

「知ってた」

 

 そらそうなるよ、だって奴さん天使より下された唯一神の聖剣持ってるんだもん。汚い、流石世界三大宗教、汚い。

 命とは投げ捨てるもの? ごめん兄さん、救世主が相手なんだ。私はケンシロウじゃなくてジャギだったみたい。

 

「くっ、相手はあのフン族の大王か、油断するなよ!」

 

「少しは慢心してくれませんかねぇ・・・・・・」

 

「宝具を解放する、みんな離れて・・・・・・!」

 

 あ、これ死んだ。何せ宝具を解放するのはあのライダー。しかもいつの間にか馬頭の鎧を着こみ、ばっちりとこちらを見据えている。

 

「召喚者・・・・・・」

 

「なんだね」

 

 心底不思議そうな顔で、こちらを見る緑色の紳士、やはり緑は畜生ですぞ? そうだね兄さん、初めて気が合ったよ。

 

「お前盾な」

 

「え?」

 

「『星辰よ、我らは煌めく流れ星(クリタ・ユガ)』」

 

 それは、末法の世を切り裂く夜明けの一撃、旧世界を滅ぼし、新世界へと至る救世の一撃。その最大範囲は世界そのものを包み込む。対界の一撃。

 

(・・・・・・あぁ、あったかいなぁ)

 

 あ、ブレダ兄さんが手を振ってる。そんな優しい幻に包まれながら、アルテラは塵となって消えていった。 

 




ムハンマド・ムンタザル イスラム教における救世主、現在は隠遁中
クルサースパ ゾロアスター教における救世主、中東版ヘラクレス、世紀末になると蘇ってダハカ竜を倒す。転生者(英雄)
カルキ インドの最終兵器、ヴィシュヌの化身、その最後であり、新世界を作る救世の王。神様転生(ガチ)
弥勒菩薩 仏教における救世主、世界救った後に神になるらしい
アラヤ 型月世界における人類の滅びを止めるためのストッパー、今回ばかりは本気を出しすぎた模様

 オルガマリー、カルデアスに飲み込まれた後、知識の海を漂い、その最中、アラヤと契約。アサシンとしてぐだ子に召喚される。エミヤの上司であるデミ・サーヴァントであり、人類の滅びの起点の察知、そしてそれに対し天敵となって戦う。カルデアスの内部で根源に接続、マスター適正がなかったのもデミ・サーヴァントになるための布石、というより世界からの干渉。
 何気にこれからの展開としてはあり得そうである、というか俺が望んでいる。

ブレダ兄さん、アルテラの兄。GOには出演出来なかったらしい。


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カルデアが本気を出したようです ステータス

ブレダ「なぁ、庄司。ステーキを食い始めたのは何時だっけ」
庄司「F/GOが始まった後だね」ステーキ食いつつ
ブレダ「羽振りが良くなったのは?」
庄司「F/GOが始まった後だね・・・・・・」ステーキ食いつつ
ブレダ「もう一つ質問いいかな、ユーザーが課金した金はどこ行った」
社員「!?」
庄司「君のような勘のいい英雄は嫌いだよ」ステーキ食いつつ


 

【CLASS】セイバー

【マスター】ぐだ子

【真名】ムハンマド・ムンタザル

【性別】男性

【身長・体重】158cm・47kg

【属性】秩序・善

【ステータス】筋力B 耐久B 敏捷B 魔力A+ 幸運A 宝具EX

 

 

【クラス別スキル】

対魔力:A+

 A+以下の魔術は全てキャンセル。

 事実上、魔術ではセイバーに傷をつけられない。

 

 

【固有スキル】

救世主:EX

 一つの宗教観において「救世主」と呼ばれたことを示す。

 世界を救う存在。属性が悪の英霊に対し、常に全ステータスに+補正がかかる。

 人類が滅びゆく現状、救世主であるセイバーの信仰は最大となっている。

 

 

無冠の武芸:-

 驚き戸惑う衆愚から浴びせられる不信と嘲笑。

 初見の相手からは全パラメータとスキルのランクが実際のものより一段階低く見える。

 真名が明らかになると、この効果は消滅。

 

 

啓示:A

 目標の達成に関する事象全てに最適な展開を“感じ取る”能力。

 預言者ではない只人にして、この精度は破格といえる。

 

 

洗礼詠唱(回教):A+

 イスラム教における“神の教え”を基盤とする魔術。

 その特性上、霊的・魔的なモノに対しては絶大な威力を持つ。

 

【宝具】

『再臨する礼賛の聖剣(ズルフィカール・アル=マフディ)』

ランク:A++ 種別:対城宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000人

 回教至上の剣。救世主が振るう力の大源。破魔の武器。

 大天使から預言者、大英雄、歴代のイマームを経てセイバーの元へ至った宝具。

 「切断」の概念を持つ。

 

【解説】

12イマームが最後の直系の血筋。ムハンマド・ムンタザル。母親はビザンツ帝国の息女であり、その美貌をもって生まれてきた。

現在は裏カイバにて隠遁中であるが、世界の危機に際し登場、偽預言者などを打倒し、世界を救う救世主。

 

 

 

 

【CLASS】ランサー

【マスター】

【真名】クルサースパ

【性別】男性

【身長・体重】200cm・88kg

【属性】中立・善

【ステータス】筋力A 耐久A 敏捷A 魔力A 幸運A 宝具EX

 

 

【クラス別スキル】

対魔力:EX

 千の魔術を操る悪龍に対する防御。

 事実上、魔術・魔法ではランサーに傷をつけられない。

 

 

【固有スキル】

救世主:EX

 一つの宗教観において「救世主」と呼ばれたことを示す。

 世界を救う存在。属性が悪の英霊に対し、常に全ステータスに+補正がかかる。

 人類が滅びゆく現状、救世主であるランサーの信仰は最大となっている。

 

 

祈願:A

 神や精霊、あるいは動植物などへの嘆願という原始宗教系の魔術体系。

 祈祷者の願いに霊的存在が答えることで、様々な奇跡を行使する。

 

 

勇猛:A+

 威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。

 また、格闘ダメージを向上させる効果もある。

 

 

魔力放出(光):A+

 武器、ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、 瞬間的に放出する事によって能力を向上させる。

 ランサーのそれは光り輝くオーラとなって使用者の意志に則り自由に操作が可能。

 

【宝具】

『悪打ち倒す、救世の英雄(アフラ・マズダ)』

 ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人

 あらゆる悪を倒し、世界を救う怪物退治の英雄クルサースパのその肉体。

 あらゆる魔術を防ぎ、あらゆる痛みを厭わず、多くを救うために生を費やしたその生き方。

 悪と戦うクルサースパはいかなる攻撃、いかなる魔術を無効化し、優先的に自身に幸運を招く。

 

【解説】

中東のヘラクレスとでも言われる大英雄にして、世界の滅びに際して復活し、ダハカ竜を打ち倒す大英雄。来たるべき日に復活するというが、これはいわゆる転生なのではないかとニーガタは思っている。神代の人物なのに真人間かつ未来人という訳の分からない存在、ノッブの宝具が産廃と化す原因の人。

つまりハーメルンや小説家になろうは神話の二番煎じなのだよ!!←な、なんだってー!?

これは新しいネタになりそうだ、なんて思っている。

 

 

 

 

【CLASS】ライダー

【マスター】

【真名】カルキ

【性別】男性

【身長・体重】188cm・71kg

【属性】秩序・善

【ステータス】筋力A 耐久A 敏捷A 魔力A 幸運A 宝具EX

 

 

【クラス別スキル】

対魔力:A+

 A+以下の魔術は全てキャンセル。

 事実上、魔術ではライダーに傷をつけられない。

 

 

騎乗:A+

 騎乗の才能。獣であるのならば幻獣・神獣のものまで乗りこなせる。

 ただし、竜種は該当しない。

 

【固有スキル】

救世主:EX

 一つの宗教観において「救世主」と呼ばれたことを示す。

 世界を救う存在。属性が悪の英霊に対し、常に全ステータスに+補正がかかる。

 人類が滅びゆく現状、救世主であるライダーの信仰は最大となっている。

 

 

魔力放出(光):A+

 武器、ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、 瞬間的に放出する事によって能力を向上させる。

 ライダーはこれを一定の方向に射出することを得意としている。

 

 

神性:A+

 維持神ヴィシュヌ最後の化身(アヴァターラ)。

 最高神クリシュナや純人間ラーマなどの特殊な化身体とは違い、あくまでカルキは英雄であるため

 その神霊適正は“最大”に留まる

 

 

無我:B(A+)

 本来なら自我・精神を持たないため、あらゆる精神干渉を無条件で無効化するが、

 英雄として召喚されたため人間らしい情緒をもつ。

 

【宝具】

『星辰よ、我らは煌めく流れ星(クリタ・ユガ)』

ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000人

 末世を統べる「カリ・ユガ」を滅する創世の光。

 

『駿馬よ、新星を駆けよ(デーヴァダッタ)』

 カルキが所持する白馬であり、時にはカルキを守る馬頭の鎧へと変化する。

 

 

【解説】

ライダーさん、実は聖杯大戦形式なら出場していた可能性がある人でもある。

インドの救世主でヴィシュヌの化身、その最後。すなわちExtraの覚者と同素体でもあるというチートっぷり。destructionにて活躍中、GOで内定の決まったラーマさんとも同素体であるといえばわかってもらえるだろう。ハーメルンでいえば神様転生者である。

インドでも上位クラスの英霊である未来の王様らしい。ハーメルンの聖杯戦争では出てこない人、みんなもっと救世主だそうぜ! こんなんじゃ原作のインフレについていけねぇぜ!!

 

 

 

 

 

【CLASS】アサシン

【マスター】

【真名】人類の守護者、アラヤ (オルガマリー・アニムスフィア)

【性別】女性

【身長・体重】オルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいい

【属性】秩序・善

【ステータス】筋力E~A 耐久E~A 敏捷E~A 魔力E~A 幸運E~A 宝具EX

 

 

【クラス別スキル】

気配遮断:EX

 サーヴァントとしての気配を絶つ。完全に気配を絶てば発見することは不可能に近い。

 抑止の守護者として人知れず人類種を救うための掃除屋としての役割。もはやそれは概念に近い。

 

 

【固有スキル】

抑止の守護者:EX

 カウンター・ガーディアン。人類史の破滅を防ぐために破滅の元凶を刈り取るためのその存在。

 

 

魔術:A

 オーソドックスな魔術を習得。

 マスターとしての才覚は持ちえないが、現代の人間としては破格の実力の持ち主。

 

 

ポンコツ:EX

 オルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいい・・・

 

 

 

【解説】

オルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいいオルガマリーかわいい・・・

 

 

 

 

【CLASS】キャスター

【マスター】

【真名】弥勒菩薩

【性別】男性

【身長・体重】165cm・50kg

【属性】秩序・善

【ステータス】筋力C 耐久C 敏捷C 魔力EX 幸運EX 宝具EX

 

 

【クラス別スキル】

陣地作成:D

 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。

 ”結界”の形成が可能。

 

 

道具作成:E

 魔術的な道具を作成する技能。

 

 

【固有スキル】

救世主:EX

 一つの宗教観において「救世主」と呼ばれたことを示す。

 世界を救う存在。属性が悪の英霊に対し、常に全ステータスに+補正がかかる。

 人類が滅びゆく現状、救世主であるキャスターの信仰は最大となっている。

 

 

菩提樹の悟り:EX

世の理、人の解答に至った者だけが纏う守り。

対粛清防御とも呼ばれる"世界を守る"証。

無条件で物理攻撃、概念攻撃、次元攻撃のダメージを自身のHP数値分、削減する。

また、精神干渉ならば100%シャットアウトする。

EXランクに至ったキャスターなら人の七欲さえ凪の様に受け止めるだろう。

 

 

法術:EX

 神仏の教えに、己の力を上乗せして成立させる仏教系の魔術。

 その特性上、霊的・魔的なモノに対しては絶大な威力を持つ。

 

 

【解説】

仏教における救世主、救世主であるときは人間なので神性はつかない。ただのお坊さん、もといOBOUSANである。

宝具はたぶん浄化宝具、悪人や霊体に対して特攻、サーヴァントなんてカモもいいところ、デミサーヴァントならワンチャン。

キャスターの癖にメイン盾を救世主鯖の中ではメイン盾を張れるレベルの人、鯖はやっぱりステータスよりスキルだよってことを教えてくれる人。

 




 すまない、救世主なのに、おおよそ宝具だけがEXだけで済まない、肉体面でEXスキルを持ってなくてすまない・・・・・・

弥勒菩薩「まったく、スパルタクスやドレイクを見習え!」
スパさん、ドレイク「一緒にされたら困るんですけど」

救世主というスキル、世界を救うと以上、星の開拓者の上位互換な感じもしそうだと今思った。


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兄貴たちのF/GO

タイトルを変更、ちょっとしたギャグ短編化。


「・・・・・・これは一体どういうことです?」

 

 カルデアの一室において彼らは集められた、一人はブリテンの王にして、騎士王と崇められたアルトリア。

 

「・・・・・・マスターから話があると聞きましたが」

 

「・・・・・・私も」

 

 もう一人はへそを大きく出した痴女さながらの服装を纏うライダー牛若丸と、純白の衣を身にまとった戦闘王アルテラの三人が集っていた。

 

「まぁ、おそらく私たち三人に共通する事柄なのでしょうが、心当たりはありますか」

 

「うーん、私はお二方のようにセイバーでも、ましてや王でもありませんからね。三人とも女性である。くらいでしょうか」

 

「でしたら、他の方だっているでしょう、マシュさんや、ライダー・・・・・・メデューサとかもいるでしょうし」

 

 頭を抱えて悩むアルトリアと牛若丸だが、そんな状況に際し、アルテラは一言漏らす

 

「TS?」

 

「「あ」」

 

 そうか、この三人、史実では男として語られていた身、そうなると頷けるが・・・・・・。

 

「・・・・・・いや、その場合だったらネロ皇帝がいないのはおかしいですよ」

 

 牛若、渾身のファインプレーをするが

 

「いや、ネロはローマですから」

 

「ローマ・・・・・・ローマ・・・・・・」

 

「駄目だこいつら、ローマ面に汚染されてやがる」

 

 アルテラさん、貴方最初はローマ蹂躙してたでしょう、東ローマとか、貴方にとってカモだったじゃないですか。一発ぶん殴った方がいいのではと思ったときに、扉が盛大に開かれた。

 

「おはよう諸君! 今日もいい救済日和だ!」

 

「救世主・・・・・・レフ・・・・・・、うっ、頭が!」

 

 なぜかアルテラのトラウマが再発しているかは兎も角、今日も今日とてマスターはテンションが高かった。

 

「いやはや、聞いてくれ、今日は何と1/1サイズのオルガマリー抱き枕が手に入ってね、これが中々萌える。流石Dr.浪漫だ。おっとっと、今はそんな話をしている場合じゃなかった、君たちにも朗報があってねマシュ、連れてきなさい」

 

「はい、先輩」

 

 部屋の中に足を踏み入れた、マシュは神妙な面持ちで、部屋に入ってくる。マスターであるぐだ子は楽しそうに笑っているが、なんだろう、寒気しかしなかった。

 

「兄三銃士を連れて来たよ」

 

「「「兄三銃士?」」」

 

 疑問を漏らす三騎に対し、マスターは笑みを浮かべつつ答えた。そして、その言葉に意味に気づいてしまった。

 

「フン族の共同王、和議で貰うお金が大好き。クラスはライダー、ブレダ兄さん」

 

「うっす、よろしく」

 

「タイム・・・・・・」

 

 短髪に口髭を蓄えた大柄な男、彼こそアルテラの兄であるフン族の王、ブレダである。

 アルテラの脳内に出てくることだけじゃ飽き足らず、こうまでしてでも出たかったのか。ちなみに出場権は庄司との裁判の結果手に入れたと言っていた。

 

 ブレダ、無言のサムズアップ。アルテラはそっと目を逸らした。

 

「・・・・・・これはもしや」

 

 なぜだろう、冷や汗が止まらない。アルトリアはまさかまさかとは思いつつも、アルテラとブレダの様子を見るしかなかった。

 

「ツンデレ毒舌お兄ちゃん。クラスはキャスター、サー・ケイ卿」

 

「アルトリア、悪いことは言わん。その剣を寄越せ」

 

「義兄上ェ・・・・・・」

 

 アルトリア、目頭を抑える。できるなら、もう二度と会いたくはなかった。それほどまでに苦労と負責を背負わせてしまった義兄なのだから。

 大丈夫だ、アルトリア、たかが致命傷だ。冷たい視線が、アルトリアに深く突き刺さっていた。

 

 そして、その状況に際し、一段と目を輝かせている少女がいた。そう、牛若丸である。

 この状況、おそらく兄だ。そう、彼女の敬愛する兄が来るのだ。そう思うと自然と胸が高鳴る。

 

「知勇兼備にして、大軍を統率した武士。あとは分かるな牛若丸」

 

「はい! 兄上ですね!」

 

「そうだ、入ってきてくれ」

 

 そう、彼こそが大英雄。武家の棟梁として君臨し、鎌倉幕府というシステムを創り上げたもう一人の天才。

 

「やぁ、九郎。久しぶりだね」

 

 官服に身を包み、身だしなみを整えた、好青年。雰囲気でわかる温厚そうな顔立ち。

 源頼朝―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――の弟である範頼くんだった。

 

「違う、お前じゃない」

 

「「え?」」

 

 君、牛若丸の兄だよね?

 ええ、一応轡を並べて戦った仲です。

 

 ぐだ子と範頼の混乱はさらに深まるばかりであった。おかしいな、せっかくの家族との対面、涙を流しながら抱擁するとばかり思っていたのに。くだ子は訝しんだ。

 

「牛若丸、あんなにも兄上兄上と言ってたじゃないか、範頼の何が不満なんだい」

 

「もしかして、わしが無能なのがいけないのかい?」

 

 兄頼朝以下の政治能力と弟以下の戦術能力を持つ範頼ならむべなるかな、あんなにも兄上のことが好きだという牛若の為に石を割り続けた結果がこれとは許されざるよ、諭吉を返して。

 

「いや、違うのです。兄上なんですけど、兄上じゃないんです」

 

「・・・・・・確かに母親は違うが」

 

「複雑なご家庭なのですね」

 

「ええ、だからこそ、家族の絆は大切にしたいのですよ。平氏討伐まで生き残ったのは、兄と全成と九郎だけでしたから・・・・・・」

 

 平氏討伐が終わった後、源氏兄妹12人の内範頼が知る中で生き残ったのはわずか5名。勇猛な義平兄様、お優しかった朝長兄様等を筆頭に、従兄弟の義仲も指針の違いにより討ち取った。

 本当に、本当に苦しい戦いであったと、範頼は今でも思うのだ。

 

「範頼さん、可哀想です」

 

「牛若! 謝りなさい!」

 

「今なら範頼さんも許してくれますよ!」

 

 謝れ! 範頼さんに謝れよ!

 

「えっ!? なにコレ! 私が悪いの!?」

 

 みんなどうしたんだよ!? 混乱する牛若。

 牛若は人の心がわからない。同情の視線が範頼の集中する。

 

「そもそも、源氏が平氏に勝てたのは、範頼さんのおかげじゃないか!」

 

「そうだぞ、範頼さんが大手軍を率いたからこその戦果じゃないか!!」

 

「そうです、牛若丸さんが奇襲なんていうワンマンプレイが出来たのも、範頼さんが居たからじゃないですか・・・・・・!」

 

「なん・・・・・・だと・・・・・・!?」

 

 なんだこの状況、みんな何いってんだろう。頭が可笑しくなりそうだ。

 助けて、頼朝兄さん。え、無理? 事実だからしょうがない?

 

「わ、私が義仲を討伐できたのは・・・・・・」

 

「範頼が、戦上手の今井兼平を引きつけていたからだろう、京都から逃げられないように逃げ口を塞いだのも特筆に値する」

 

「貴方の功もあるでしょうが、それ以前にさっさと京都に入って範頼はいませんなんて讒言したので差し引きゼロですね。しかも貴方はそれ以来朝廷に頭が上がらなくなっている」

 

「ぐぬぬ・・・・・・」

 

 ブレダとケイによる追撃でぐうの音も出ない牛若丸。何せ事実だからだ。

 

「一の谷! 一の谷の戦いはどうです!?」

 

「正直、君いなくても勝てたんじゃない。いや、戦を早々に終わらせたのはすごいと思うよ」

 

「ですが、それも範頼が敵主力を生田の森で足止めしていたからですね。まぁ、それなりに功はありますが」

 

「なぜ真っ向から認めてくれない」

 

「「ぶっちゃけ範頼とお前なら範頼の方を買ってるから」」

 

「ぐふぅ・・・・・・」

 

 円卓にもいましたよ、牛若みたいな厄介な奴。範頼ポジ? いなかったね、皆なにか拗らせてた。まともそうだったのはアグラヴェインぐらいでしたよ。

 範頼と牛若なら範頼の方が安定するよね。理解できる良将と理解できない天才なら、そら良将を取るよ。

 

 ケイ兄さんからはとんでもない苦労人臭が、ブレダ兄さんは予想以上に安定志向だった。

 

「まぁ、それでも家族だ。アルテラも昔は可愛いところもあってだな」

 

「やめて、やめて! ホントやめて!!」

 

「アルトリア、後で説教ですからね。反省文百枚。終わるまで御飯抜きです」

 

「なっ!?」

 

 途端に二人が話題を逸らした。

 なんだろう。まぶしい、あの二人がすごくまぶしく感じる。

 

「いいえ、わしが悪いのです。そうか、異母兄弟の私より、同母兄の全成が良かったのか」

 

 違います、範頼兄様は勘違いしています。あとやめて、私の立場が無くなっちゃう。

 

「ぐだ子殿」

 

「あぁ、わかっている。みなまで言うな。必ず全成を召喚してやろう、だからお前が犠牲になる必要なんてないんだ、アサシン」

 

「これが、BUSHIDOU・・・・・・」

 

「なんてカッコいいんだ、これがSAMURAI・・・・・・」

 

 きっと、ドラゴンにだって勝てるんだ。だってアサシンだもん。

 

「そうと決まれば石を拾いに行こう、ヒャッハー! オルレアン周回だぜ!」

 

「わしもお伴しましょう」

 

「くっ、キャスターであるこの身が嘆かわしい、仕方ない。妹の再教育があるので私はお暇しましょう」

 

「え?」

 

「俺はいくぜ、久々に妹と一緒に戦いたいしな」

 

「はぁ、兄上も困った方ですね。貴方は直接戦闘より交渉の方が得意でしょう?」

 

「なーに、俺もフンヌの戦士だ。俺の弓馬の腕を甘く見ちゃいかんよ。あ、そうだ。ついでにローマを攻めよう! 小遣い稼ぎになる」

 

「いかんでしょ、まあ小次郎とハサン先生も誘ってドラゴン狩りですね、準備してきます」

 

「ヒャッハー! Dr.浪漫の胃はズタズタだぁ!!」

 

 こうしてオルレアンはSAMURAIとハサンとBANZOKUによって平和になったとさ、めでたしめでたし。

 

「いや、なんもめでたくないから!!」

 

 一人残された部屋の一室で、牛若丸は一人叫ぶのであった。

 




 小ネタ
 妹たちと会うまでの兄貴たちの会話

ブレダ「うーむ、互いに出来のいい妹を持つと苦労しますなぁ」
範頼「然り、然り」
ケイ「でも、可愛かったんでしょう」
範頼「そうですね、命は取ることは出来なかった」
ブレダ「なにせ、家族ですから、年下の妹の為なら何でもできる。そんな感じでした」
ケイ、範頼「わかるわ」
ぐだ子「先に入って、場を温めてくるんでスタンバイよろしくおねがいしまーす」

兄貴たち「「「はーい」」」


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兄貴たちのF/GO ステータス

ニーガタはスキルを考え、与えるのは得意だが、宝具を考えるのは苦手だ!


 

【CLASS】ライダー

【マスター】ぐだ子

【真名】ブレダ

【性別】男性

【身長・体重】184cm・74kg

【属性】中立・善

【ステータス】筋力C 耐久C 敏捷B 魔力C 幸運B 宝具A+

 

 

【クラス別スキル】

対魔力:C

 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。

 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。

 

 

騎乗:A

 幻獣・神獣ランクを除く全ての獣、乗り物を自在に操れる。

 

【固有スキル】

早駆けの乗法:A

 騎馬民族に伝わる、特殊な乗馬技術。

 騎乗物の敏捷性、持久性を向上させ、さらに本人の騎乗時中の魔力消費を抑える効果がある。

 

 

カリスマ:C

 軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。

 カリスマは稀有な才能で、小国の王としてはCランクで十分と言える。

 

 

千里眼:C

 視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。

 

【宝具】

『蹂躙踏破・弓騎蛮王(テュルク・フンヌ)』

 ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:10000人

 フン族が誇る万馬の軍勢、恐るべき騎馬民族による蹂躙。

 共同王ブレダとその兵士が得意とする騎射による流れるような一斉射撃をもって敵を蹴散らし、そのすべてを蹂躙する。

 かつてのヨーロッパにおける蛮族による略奪、その恐怖の再現。

 

 

【解説】

ブレダ「おまえ、なんで『蹂躙踏破・弓騎蛮王』使わないの? この宝具ニーガタが来るべき日にお前にやろうとした宝具だよ。なんか俺のモノになったけど」

アルテラ「サーセン」←ニーガタ版は対城の剣、対軍の軍勢宝具を持つ性格ブレダ兄さんでした。

 

 

 

 

【CLASS】アサシン

【マスター】ぐだ子

【真名】源範頼

【性別】男性

【身長・体重】165cm・56kg

【属性】秩序・中庸

【ステータス】筋力C 耐久C 敏捷C 魔力C 幸運B 宝具E

 

 

【クラス別スキル】

気配遮断:D

 サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。

 ただし、自らが攻撃態勢に移ると気配遮断は解ける。

 源氏兄妹の中でも格段の影の薄さ。

 明らかに範頼の方が戦功をあげているのに朝廷は義経に尻尾を振っている、無能。

 

 

【固有スキル】

情報抹消(偽):A+

 対戦が終了した瞬間、一つでもアサシンのステータスより上回っている相手がいる場合、

 或いは相手がそう認知している場合、

 目撃者と対戦相手の記憶から彼の能力・真名・外見特徴などの情報が消失する。

 葦屋浦の戦いって知ってる? え、知らない。・・・・・・そう。

 

 

無冠の武芸:-

 様々な理由から他者に認められなかった武具の技量。

 相手からは剣、槍、弓、騎乗、神性のランクが実際のものより一段階低く見える。

 真名が明らかになると、この効果は消滅。

 頼朝も義経もすげぇんだぜ! 範頼? 誰それ?

 

 

軍略:C

 一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。

 自らの対軍宝具の行使や、逆に相手の対軍宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。

 めんどくさい諸将を束ねる胃痛役。兄上、こいつら問題児ばかりだよ。

 

 

 

【宝具】

『蒲冠者』

 ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:― 最大捕捉:―

 源氏一門、源範頼の異名。優れた武士でありながら、ただひたすら兄や妹たちの影に隠れ続けていたその生涯。

 アサシンのステータスを隠蔽、更に真名が割られていてもさらにおのれのステータスをワンランク低く見える。

 温厚かつ家族思いな彼、されどその最期は彼も兄による暗殺であった。頼朝は一体、この男に何を見たのだろうか。

 

 

『参州代将軍』

 ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:10000人

 平氏追討、その総大将として兄より直々に命じられ、見事平氏を打ち滅ぼした範頼最大の偉業。

 幕府から派遣された将たちを統括し、命ずるがままに相手を打ち滅ぼすまで止まらない武家の棟梁のその代行としての権限。生涯不敗たる軍の統括は彼が最も得意としたものである。

 

 

【解説】

頼朝「範頼は絶対に滅ぼす、だって俺、あいつに勝てない可能性もある。最悪、御家人の中で俺じゃなくアイツに付く奴もいる可能性がある。義経はワンマンプレイで諸将には嫌われていた、けど、範頼はそんな諸将に好かれている。

なんでもいい、こじつけでもいいから殺そう、あいつは俺の兄弟の中で一番優秀だから」

牛若「兄上、私は?」

頼朝「お前は政治馬鹿だから殺した。まあ、お前のお陰で朝廷から譲歩を引き出せたり、目の上のたんこぶだった奥州藤原氏を滅ぼせたから、感謝するよ、それだけはな。あと、お前と範頼だったら範頼の方がすごい」

 

 

 

 

【CLASS】キャスター

【マスター】ぐだ子

【真名】サー・ケイ

【性別】男性

【身長・体重】172cm・68kg

【属性】秩序・善

【ステータス】筋力C 耐久C 敏捷B 魔力A 幸運B 宝具B

 

 

【クラス別スキル】

陣地作成:E

 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。

 若いころは冒険にもいきましたが、歳を取ったら快適な空間で、私はいつも書類整理をしていました。

 

 

道具作成:―

 魔術的な道具を作成する技術だが、キャスターは道具の手入れ、維持を得意とする程度である。

 特に剣磨きは見事の一言に尽きる。

 

【固有スキル】

魔術:A

 主に身体の変化や強化の魔術を得意とするほか、オーソドックスな魔術にも精通する。

 

 

話術:B

 言論にて人を動かせる才。

 国政から詐略・口論まで幅広く有利な補正が与えられる。

 毒舌に優れ、相手を怒らせ冷静な思考を阻害する手段に長ける。

 

 

王佐の才:C

 王器を持つ者を補佐する才能。

 己に相応しい王者に仕えることで、互いの欠落を補完するスキル。

 カリスマの影響下にある場合のみ、あらゆる判定に有利な補正が与えられる。

 王をちゃんと矯正しようとした奴はこいつしかいない。円卓? 自分勝手だよね。

 

 

 

【宝具】

『癒えること無き巨人の短剣(ウルナッハ)』

 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~4 最大捕捉:1人

 能力、ゲイ・ボウ。

 

 

 

【解説】

 またのクラスをバトラー、執事である。若きときは武勲に富み、巨人ウルナッハを倒すなど活躍した。

 アルトリアが王になると、その補佐として彼女を支えることとなる。生真面目でツンデレで毒舌な兄さん。

 円卓が脳筋過ぎて、文官が彼ぐらいしかいないという大きな問題も抱えつつ何とか頑張ってたんだけど、円卓が円卓すぎて、崩壊。アグラヴェインが真面目すぎた結果である。

 カムランの戦いの折りに戦死、既に腰の曲がった老人であった。

 魔術をつかえばそれなりに若さも維持できただろうが(肉体を変化させるのでそういった方面に向いていた)、ケイはそれをしなかった。なぜなら、老いることのない彼女の前だからこそ、彼は身を以て年月がどれ程過ぎたかということを証明し続けたためである。

 長くして戦線を引き、年老いた体では、とてもじゃないが戦争には生きられなかった。それでも彼はなぜ戦ったのか、それはただ彼の胸のみにしか答えはない。

 





王、将軍、補佐役と、この三人が組むとほぼ隙のない構成になる。
シリアスを書こうと思えば書ける三人でもあるが、基本鬱描写が多くなりそう。


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親父たちのF/GO 前編 たかしと王様

 今回は前後編に分かれる模様。鯖予想とかもしてみるといいかも。


「聖杯コロッセオですか?」

 

「せやせや」

 

 カルデア内部にあるぐだ子の私室にて、マシュは疑問を浮かべた。

 

「実はローマに新しい聖杯が出現してね、その権利を巡ってコロッセオにて天下一武闘会が繰り広げられるらしい」

 

「いろいろと突っ込みどころ満載ですけど、まぁネロさんのやることなので何も問題はありませんねローマ」

 

「ローマローマ」

 

 突っ込みどころとか言っているのに突っ込み不在とは何とやら。それは兎も角、早々に聖杯コロッセオに出場することを決めたぐだ子は出場メンバーの選定をするのだった。

 

「イカれたメンバーを紹介するぜ! デミサーヴァントのマシュ」

 

「安定の盾ですね、わかります」

 

 安定の相棒枠としてマシュ、なんだかんだ言っても盾役として重宝し、スキルも有用なものが多い。加えてマスターであるぐだ子とも相性が良かった。

 

「以上だ!」

 

 無理無理無理、腕を横に振るマシュは、無表情で否定の意を表した。

 

「なに冗談だ。メンバーはほかにも用意している。まずはすまないさん!」

 

「すまない、情けない竜殺しですまない・・・・・・」

 

 アルトリアもアルテラも兄との交流で水を注すわけにはいかないのでピンチヒッターとして登場したすまないさん、数合わせ的な感覚が強い。だらしないセイバーですまない。

 

「AU王」

 

「我はソフトバンク派だ」

 

「私はドコモです」

 

「なん・・・・・・だと・・・・・・!?」

 

 完全な不一致。どうやらAUはぐだ子だけだったらしい。

 

「ちなみにDr.浪漫は林檎です、F/GOの初期は盛大に爆死しました」

 

「Oh・・・・・・」

 

 可哀想に、だが私は謝らない。By庄司。完全にかみ合わないチームカルデア。ちなみにオルガマリーは黒電話しか使いこなせないらしい、あざとい。

 

「最後、鳥海」

 

「え?」

 

 驚くように反芻したのはアステリオス。反英雄である怪物である

 

「人肉と女と聞いてやってきました!」

 

 けたたましい扉の音を鳴らしながらやってきたゴールデン。

 

「あったよ! 串焼肉が!」

 

「でかした!」

 

 こんがりと焼かれたイェニチェリを持ってきた領王も備わって最強に見える。

 

「この串焼肉はできそこないだ、食べられないよ。明日来てください、もっとうまい串焼き人肉を見せてやりますよ」

 

 そしてその背後から現れた白衣の男。

 

「ハンニバル先生はdestructionに帰ってください」

 

「待ってください! 人肉と言えば私の国が」

 

「荊軻、それ以上いけない」

 

「くそ! こんなところにいられるか、私はローマに戻るぞ!」

 

 なんだこれはカニバリズムに侵食されてきている、このままでは変態短編になってしまうと感じたぐだ子は追いかけてくる数人の気配を感じながらカルデアスの下へと急ぐのだった。

 

「ちょ、ぐだ子ちゃん何してるの?! え、なにこいつら!? カオス」

 

 最後にDr.浪漫の声が聞こえた気がしたが、気にせずにぐだ子は駆け抜けたのだった。

 

 

 

 

「お、おう。なんだかカオスな連中であるな」

 

「えっ、ネロ・カオス?」

 

 違う、そうじゃない。ネロは腕を振って否認するが、ぐだ子がぐだってるためにいまいち意味はないのだろう。私は丹下ボイスです、決して中田譲治ではありません。

 

「譲治と言えば余だな、そうと思わないかイェニチェリのたかし君。『そうだね、アーカードおじさん』」

 

 狂気の空間、黒焦げたイェニチェリ兵と腹話術を繰り広げる領王、こいつ狂ってやがる。えっ、バーサーカーだから何も問題はない?

 せ、せやな。

 ちなみにたかしくんの声は中田譲治だった。

 

「人肉なら食べましたよ、こことは比べ物にならない大江山で美姫の肉をね。おえぇ・・・・・・」

 

 その傍らでは金時がトラウマ発症していた、駄目だこのバーサーカー早く何とかしないと。

 

「とりあえず、マシュ、鳥海、英雄王で行こう。バーサーク・ランサーとゴールデンは後衛で」

 

「マシュはいない。どうやらはぐれたようだ。すまない・・・・・・」

 

「ちなみに私もいるが?」

 

「じゃあ、すまないさん前衛ね。ハンニバル先生は帰って。いこう、この戦い。我々の勝利だ」

 

 どうしてぐだ子はそうそうにフラグをたててしまうのか、そうしてコロッセオに入った矢先のことだった。

 

「―――『雷鳴轟く主神の偽槍(ケラウノス・タウロス)』」

 

「ぐわぁぁぁ!!?? 『ぐわぁぁぁ!!??』」

 

「ぐふっ!?」

 

 突如として鳴り響く轟音、光る雷撃がアステリオスの下へと飛んでいくが、纏っている雷部分は領王の杭に避雷針の如く吸収される。こんな時でも腹話術を忘れない領王は大したものである。

 

「あーん! たかし様が死んだ!」

 

「た、たかしダイーン!!」

 

 黒焦げになるイェニチェリのたかし君、人肉の焦げ付いたにおいがコロッセオに充満し、唇が油でべたつく。

 

「ふむ、これでは死なんか。なら今度は連射で行こうか。『雷鳴轟く主神の偽槍(ケラウノス・タウロス)』」

 

 ふと振り向くと、そこには一人の男が立っていた。鋭き眼光を持つ堂々とした風格を持つ男。その周りには雷を纏った槍が並べられていた。

 

「ここであったが幾千年、死ぬがいい。余の恥部よ」

 

「『くっ! させるか!!』な、なにをするたかし!!」

 

 襲い掛かる雷槍、それに対し盾となるかのように一人前に立つ(というよりウラドに放り投げられた)たかし。槍はたかしをすり抜けるが、その槍の持つ雷はたかしが避雷針となりすべてを吸収していく。

 

「『ぐ、ぐああぁぁぁぁぁあああ!!』た、たかし! やめろ! そんなことして何になる!!」

 

「ぐあああああ! い、いたい!! ささってる、ささってる!!」

 

 すぐ後方ではアステリオスがなんやらわめいているが気にしない。むしろ邪魔であった。

 

「『へへっ、ドジ踏んじまった』たかし、お前何を・・・・・・」

 

「そんな、なんでたかしがこんなことに」

 

「たかし! 約束してくれただろ! 俺たちと一緒に聖杯コロッセオに優勝するって・・・・・・」

 

「また我を置いて先に逝くか、たかし! 許さんぞ!!」

 

「『ごめんね、みんな。どうやら僕はここまでみたいだ』」

 

「たかしぃ・・・・・・」

 

 ぐだ子は涙を堪えきれなかった。あのたかしが、みんなを励ましてくれたような気がするたかしが、今こうして最期の時を迎えているのだ。後ろのアステリオスがうるさかったが、みんな気にしなかった、眼中にもなかった。

 

「『領王、最初。君と僕は敵同士だった。今でも覚えている。僕が串刺し刑にされて、君はそんな僕の前で食事をとっていたね』」

 

 徐々に体が透けていくたかし。それはまさに彼が座に帰ってしまうことを意味していた。

 

『最初はなんて無神経な男だろうと思っていた。トゥルゴヴィシュテで死にきれず、君の串刺し刑に処せられた時は辛かったよ』

 

 あれ、これたかししゃべってね? もはや腹話術でもなんでもなかった。たかし普通にしゃべれるやん。まぁそれはそれで感動するな。ぐだ子はそう思った。

 

『でも、君の判断は正しかった。王とは、そうあるべきだ。どれ程の苦難であろうと乗り越えようとする。僕は君に殺されたことを誇りに思う。君という英雄と戦えたことを誇りとしよう』

 

「たかし、なぜお前は余の配下ではなかったのだ」

 

『決まっているさ。僕はオスマンの兵だ。君がワラキアを愛したように、僕もオスマンを愛していた。ただ、それだけじゃないか・・・・・・』

 

 沈痛なる面持ち、皆たかしとヴラドの話を聞き入っているのだ。

 

『平行線だよ、僕らは決して交わることはない。僕は兵士、君は王じゃないか。そうだ、王様なんだ』

 

「たかし・・・・・・」

 

『ありがとう、ヴラド。君と共に戦ったカルデアの日々は、とても楽しかった。ああ、楽しかったんだ・・・・・・。僕はオスマンの人間だけど、僕にとって、王様は君だった』

 

 黒焦げで表情もわからないたかし。けれど、ぐだ子は何故かたかしが笑っているような気がした。

 

『ありがとうヴラド。極刑王、ヴラディスラウス・ドラクリヤは僕の王様なんだ・・・・・・』

 

「たかしぃぃぃ・・・・・・!!」

 

『君は吸血鬼なんかじゃない。誇り高きワラキア公だ。前を向いて、もう君は「血塗れ王鬼」なんかじゃない』

 

「・・・・・・!!」

 

 ボロボロに涙を流すヴラド、それは長年の友人であるたかしだからこそ表に出せる彼の表情であった。そう、何をするにも一緒だった。たかしを杭にさし、或いは大車輪と言いながらたかしを振り回し、そして今回はきれいな串焼肉と化したたかし。楽しかったあの日々は刻々と流れる。

 

『ありがとう。さようなら、僕の、友達・・・・・・!!』

 

 たかしは最期にそういって消えていった。後に残ったのは一本の杭だけだった。

 

「うあぁぁぁぁぁあぁああああ!!」

 

 堅く、強く握りしめた杭は手が焼けるほど熱く、たかしが先ほどまでいたことを明確に示すのであった。

 見据えるは、雷槍を持つ男。ヴラドは、いや極刑王は力強く投擲すると、叫んだ。思いの丈を以て、強く、強く。天まで届くように・・・・・・!

 

「『極刑王(カズィクル・ベイ)』―――!!」

 

 彼の誇りは決して汚せない、それは王である矜持。そして友との約束故だった。

 




 ・・・・・・なんだこれ、ヴラド覚醒してるやん。こんなんただのタイトル詐欺やないか。
 あれか、キミガタメを聞きながら書いてたからか。どちらにしろたかしってすごい。改めてそう思った。

 たかしってなんだよ? 概念礼装だよ、効果はサーヴァントを覚醒させる、そんな感じ


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親父たちのF/GO 後編 父と王と

「じゃんじゃじゃーん! 今明かされる衝撃の真実」
フンババ「お前と俺、友達だろ」
エンキドゥ「知らねぇな、フンババは消毒だー!」
我様「お、おう・・・・・・」


「『極刑王(カズィクル・ベイ)』―――!!」

 

 その日、彼は王となる。

 いいや、彼は真に王となったのだ。

 

 何一つ報われることなく、誰一人見向きもされない孤独な王が、初めて誰かの為に戦おうとした瞬間であった。

 爛々と輝く眼、堂々たる覇気。まさしく王と呼ぶにふさわしい威風と備えていた。

 

 だがそれは相手として同じ! 動じることなく彼もまた笑みを浮かべる。

 

「邪魔立てするならば容赦はせん、『雷鳴轟く主神の偽槍(ケラウノス・タウロス)』」

 

 それはまさしく弾丸、それも十や二十ではない数百にも及ぶ雷霆の射出。

 

「往くぞ極刑王、なに死ねば死んだらですぐに会えよう。さらばだ」

 

 振り上げた手を今まさに下げようとしたとき、一陣の風は吹く。敵は眉を顰め、こちらは何事かと混乱の渦にある。

 

 それは鳥だった、いいや、ただの鳥じゃない。巨大な怪鳥であった。

 されど禍々しさはなくどちらかと言えば神聖な雰囲気を持つ大鳥。そして、その背中にはうごめく影があった。

 

「・・・・・・あれ?」

 

「知っているのか!? ギル電!」

 

 その怪鳥を見て首をかしげる我らがソフトバンク王。心なしか額には汗が滲んでいた。

 

「いや、まさかそんな・・・・・・」

 

 いまいち要領を得ないソフトバンク王、しきりに首を横に傾げながら、怪鳥の様子を注視すると、うごめく影は雷槍の主との口論になっていた。

 

「―――邪魔立てするか? ライダー」

 

「ぬかせランサー、先に手を出したのは貴君であろう。如何な理由があろうと、感情に任せて手をあげるとは裁判官として失格では?」

 

「あれは余の恥部だ、余の罪だ。ならば責任を以て余が消さねばならん」

 

「ここで殺したとしても結局は座に帰るのみだ、それは貴君の本意か?」

 

「―――」

 

「頭を冷やせ、貴君らしくもない・・・・・・」

 

「ふん、興が覚めたわ・・・・・・」

 

 鳥に乗ったライダーはランサーにそう告げると、ランサーは己が背後に装填した雷槍を下げ、背を向けて帰ってしまった。

 

「やれやれ、すまない。あれは真面目な男でね、厳格で頑固なのが傷だが、決して悪い男じゃない。君らに迷惑をかけたことを謝罪しよう」

 

 怪鳥の主はゆっくりとこちらへ近寄り、そして会長から一人の偉丈夫が舞い降りる。

 黒の頭髪に、鍛え上げ、隆々とした筋肉。整った顔立ちに加え、どことなく品のある雰囲気と物腰。おそらくはどこかの貴族や王侯ではないかとぐだ子は想像した。

 

「・・・・・・! ―――!?」

 

 そしてそんな彼に対し、普段では想像もできないほどに目を見開き、真っ青な顔色を浮かべる男がいた。

 

「いえいえ、困ったことはお互いさまですよ、貴方は・・・・・・」

 

「そうですね、名乗らせていただきましょう。私の名前はルガルバンダ。これでも故国では英雄王と呼ばれていた身、以後お見知りおきを」

 

「・・・・・・ゴフゥ」(白目)

 

 助けて、ギルが息してないの。今までの余裕と慢心はどこに行ったのか、この金髪にチャン兄、泡吹いてるよ。

 

「久しぶりだね、ギルガメッシュ」

 

 笑顔を浮かべるパパガメッシュ。なんだろうとても優しそうな笑顔なのに、とてつもなく恐ろしく感じてしまうのは。

 

「・・・・・・」

 

「その頭髪はどういうことかな? ちょっと説明してもらってもよろしいだろうか」

 

「・・・・・・」

 

「どうして、目を逸らすのかな?」

 

「ぼ、僕の名前は関智一です。ギルガメッシュってなんだろー、ドルアーガかなー(棒)」

 

「・・・・・・あれは確か十一歳の夏の暮だったかな。当時君は、侍従の制止を振り切って山に―――」

 

「やあお父上! お久しぶりですね、いやはや壮健で何より。僕もお父上のような偉大な方を得て大変うれしゅう―――」

 

「山に―――」

 

「ごめんなさい、すいません、誠に申し訳ございませんでした。お父様、お父様本当に申し訳ありませんでした。何卒、何卒その話は平にご容赦ください・・・・・・!! 謝ります、謝ります故、僕が悪かったから! ね、頼むよ! ね! お願い!」

 

「よろしい」

 

 片腹大激痛。なんだこの英雄王面白れぇ、流石にかの尊大な英雄王ですら実の父には敵わないか。

 

「おっと、これは申し訳ない。貴女がギルガメッシュのマスターだろうか、いやはやどうもうちの倅が迷惑をかけているようで済まない。父として深く謝罪しよう」

 

「おい、なんだこいつ。すごいまともっぽいぞ。ソフトバンク王、本当にお前こいつの子供?」

 

「ははは、ギルガメッシュは母親似だからね、私とはてんで違う。出来た息子だよ、本当に」

 

「父上ェ・・・・・・」

 

 ギルガメッシュは一人、苦笑を浮かべる。神嫌いな彼のことだ、そう言われてうれしいことではないのだろう。

 

「なにをしているライダー・・・・・・」

 

 そんな彼らの様子を見て近寄ってくる影、顔には一閃の大きな古傷、白髪の髪に髭を生やしているが、老人という訳ではなく、年頃で言うと三十半ばか、隆々とした筋骨はバランスがとれ、鞣した革の鎧に背中には大剣を背負っていた。

 

 そんな男に対して、身体を震えさせながら出てきた一人の姿、我らがすまないさんだった。

 

「ジークムンド王! なぜジークムンド王がここに・・・・・・逃げたのか? 自力で脱出を? ジークムンド王!」

 

 まさか、という問い。彼はあのすまないさんの父親であるジークムンド王なのか?

 

「誰だ貴様は・・・・・・?」

 

 非常に不愉快そうに眉を顰める白髪の男。そんな彼の下へ向かおうと、歩みを進めるすまないさんは控えめに言って不気味だった。

 

「ジークムンド王ォォォォオオオオ!! ウッ!?」

 

「彼はジークムンドではない」(無言の腹パン)

 

 無言の腹パンを決めた英雄王ルガルバンダ、ヒュウ、さえてるぜ。

 

「一体全体何なのだ彼奴等は・・・・・・?」

 

 困惑するジークムンド(仮)、そりゃそうだろう、いきなりこんな状況になったらそうなる、私もそうなる。

 

「ああ、セイバー。なに倅とたまたま会ってね。昔話に花を咲かせていたところだよ」

 

 ようやく得心が言った白髪のセイバーは無理やりにでもとりあえず納得した。

 

「息子か、そうか。ならばそれ以上話すのはやめておけ、ただでさえ情があるのにそれ以上剣を鈍らすことは無かろう」

 

「忠告、痛み入る。だが安心してくれ、私の息子は強いぞ、こっちが手加減する暇もない。昔は可愛かったんだけどなぁ・・・・・・今じゃこんな風に非行に走ってしまったようだ。改心したと聞いたんだがね」

 

「教え方が悪かった、貴様の不備だ。その点俺は間違えなかったがな」

 

「ははは、痛いところをついてくる」

 

 鼻息を荒くし、腕を組む白髪のセイバーはジロリとこちらに視線を向け、品定めするかのように目を向ける。

 かなりの手合いだろう。先ほどのランサーといい、どいつもこいつも覇気というものを持っている。おそらく彼らは王なのだろう。

 普通に考えれば、王同士で協力するなど本来はあり得ない、王と言えばどいつもこいつも我が強いのが普通だ。家でいえばギルガメッシュがその最たる例だ。

 自分こそが世界の中心、同格などあり得ない。

 

「忠告はした、精々足を引っ張るなよ・・・・・・」

 

「貴様、誰に向かって口を聞いている」

 

 高圧的な言葉に対し、真っ先に反応したのはルガルバンダではなく、ギルガメッシュだった。

 

 あれが貴様の倅か? セイバーはルガルバンダに視線を送ると、ルガルバンダは頷く。成る程、とんだ問題児のようだとセイバーは深く息を吐き出した。

 

「ルガルバンダだ、そもそも、俺と彼奴の問題だ坊主。指図される謂れはない。これは俺とライダー、ランサーとの三人で交わされた約定だ。上もなければ下もない、常に同格だ」

 

 悠然とギルガメッシュに目を向けるセイバー、カリスマも、能力も、全てギルガメッシュに劣ってなお、折れること無き気高い精神性、誇り高き英雄は、この程度で言葉を撤回するつもりはないのだろう。

 

「口を挟むな、小僧。奴の苦悩を知らずに、奴を弁護とは片腹痛い。

―――無論、俺が言うことでも無いだろうがな・・・・・・」

 

 自嘲するような、皮肉めいた笑みを浮かべてセイバーはセイバーは背を向ける。そして、ルガルバンダの苦悩とは一体。疑問の残る答えに何も言えないぐだ子たち、ただ、後ろのアステリオスがうるさかった。

 

「どうしても気に入らんならば、俺を打倒してみろ、幸いこの場はそういうところだろう。己が力を以て、己の正しさを証明せよ」

 

 力が無ければ何も出来ないのだから、振り返ったセイバーの瞳にはひどく哀しそうな色があった。

 その瞳の前だからこそ、彼らは何も言えなかった。

 

「ギルガメッシュ」

 

 穏やかな声調で、ルガルバンダは息子に語り掛ける。

 

「聖杯コロッセオに出る以上、ギルガメッシュ。君とは敵同士だ、手心は加えるつもりはない。たとえそれが親子であろうともだ。それが英雄王と呼ばれた私と、君の矜持だ」

 

 柔らかな笑みを浮かべるルガルバンダ王。彼のギルガメッシュの父親だとしても、英霊の格としては息子であるギルガメッシュと比べ数段格は劣る。

 それでもなお彼の瞳に恐れや焦りはない。たとえどれだけの困難であろうと超えてきた誇りを胸に、彼は息子の前に立ちはだかる。

 

「全力で来るといい、息子の全力を受け止めずにして王以前に父と名乗れようか。胸を貸してやろう、どんと来い!」

 

「・・・・・・父上、わかりました。ですが、我は強いぞ―――」

 

 それはあのギルガメッシュが慢心を捨てた瞬間でもあった。いつもそうだった、思い浮かべば、王として、英雄として父の背中を追ってきた生涯だった。誇り高く、神々に寵愛され、世界を統べるバビロンの英雄王。ギルガメッシュが憧れ、焦がれた人物だ。

 

「口調が悪い、そんな風に育てた覚えはないぞ」

 

「あっ、すいません」

 

「まぁいいさ。勝ってこい、お前の父は、強いということを証明して見せよう」

 

 怪鳥を引き連れ、悠々と過ぎ去る偉大なる父の背中は、昔よりも大きかった。少なくともギルガメッシュはそう思ったのだった。

 





 ギャグやって無くね? 割かしシリアスメインな回だったよ。
 すまないさんは犠牲になったのだ、他ならぬ白髪セイバーの、その犠牲にな・・・・・・。

 聖杯コロッセオの話はしないのかって、これ以上はシリアスになるのでNG、僕はギャグを書きにきたんだ。


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親父たちのF/GO ステータス

ウーゼル・ペンドラゴン「わしらは」
源義朝「何時?」
衛宮切嗣「出るのかな?」

庄司「ステーキ代を納めろ、話はそれからだ」ステーキ食いつつ


【元ネタ】ギリシャ神話

【CLASS】ランサー

【マスター】

【真名】ミノス

【性別】男性

【身長・体重】182cm・81kg

【属性】秩序・善

【ステータス】筋力B 耐久C 敏捷B 魔力B 幸運D 宝具B

 

 

【クラス別スキル】

対魔力:B

 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。

 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

 

 

【固有スキル】

神性:B

 神霊適性を持つかどうか。高いほどより物質的な神霊との混血とされる。

 クレタ島の女王エウロペと主神ゼウスの息子であり、死後冥府の裁判官として神格化されている。

 

 

カリスマ:C

 軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。

 カリスマは稀有な才能で、小国の王としてはCランクで十分と言える。

 

 

陣地作成:A

 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。

 “工房”を上回る“神殿”を形成することが可能。

 クノッソスの都を創設し、建築に造詣が深かったことがあげられる。

 

 

【宝具】

『雷鳴轟く主神の偽槍(ケラウノス・タウロス)』

 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~50 最大捕捉:1人

 ゼウスからエウロペに与えられた決してなくなることも無い槍にして、必中の槍。それは主神の持つ雷を模して造られた偽槍でありながら、主神の持つ槍と同じ名を持つ神槍。

 投げ放たれれれば雷を纏い、対象をホーミングし、敵を穿つ。決してなくなることが無い故に何発もの装填、連撃を可能としており、それは槍というよりも弾丸に近い。

 

『天星の猟犬(ライラプス)』

 ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1~3 最大捕捉:1人

 ゼウスから与えられた猟犬。

 探知能力と追跡能力に優れており、判定次第で気配遮断を看破しうる。

 護衛もこなすが、戦闘力は高くない。

 なお、ランサーはラエラプスと遠方からでも意思疎通が可能な装飾品を所持する。

 destructionで活躍中です。

 

 

【解説】

願い、自分の恥部をなくしたい、厳密に言えば、妻が獣姦し、アステリオスが生まれるという悪夢をどうにかしたい。あんな化け物に父親と呼ばれたくないし、妻があんなことになるというトラウマをどうにかしたい。だって俺悪くないもん(自己弁護)

 異名は断罪王

 

 

 

 

【元ネタ】メソポタミア神話

【CLASS】ライダー

【マスター】

【真名】ルガルバンダ

【性別】男性

【身長・体重】200cm・96kg

【属性】中立・善

【ステータス】筋力A 耐久B 敏捷A 魔力C 幸運A 宝具A

 

 

【クラス別スキル】

対魔力:B

 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。

 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

 

 

騎乗:A+

 騎乗の才能。獣であるのならば幻獣・神獣のものまで乗りこなせる。ただし、竜種は該当しない。

 

 

【固有スキル】

神性:B

 神霊適性を持つかどうか。高いほどより物質的な神霊との混血とされる。

 太陽神ウトゥを祖父に持ち、死後神格化された。

 

 

神々の加護:A

 妻ニンスンやイシュタルなどの層々たる神々からの加護。

 局地的な面で、助言や、優先的な幸運を得るなどの支援を受けられる。

 

 

カリスマ:C

 軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。

 カリスマは稀有な才能で、小国の王としてはCランクで十分と言える。

 

 

【宝具】

『敬いし付与の霊鳥(イムドゥグド)』

 ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1~50 最大捕捉: 100人

 ライダーと心を通わした霊鳥アンズー。

 時としてライダーの騎乗する鳥となり、その特攻能力は対軍規模の破壊力を与える。

 ほかにもライダーの敏捷値と筋力値を強化するなどの支援を行い、人鳥一体で敵と戦う。

 

【解説】

 パパガメッシュ、人類最古の英雄王? 俺のことかな?

 天の禊、それに選ばれた存在である生まれながらにして最強を約束された息子。

 生まれながらにして定まった生を生きる彼に対し彼が思ったことは哀しみだった。この世には彼と対等な存在はないということが、彼の胸を締め付けた。

 そのために協調性を高めたはずなのになんかああいう性格になった、解せぬ。

 

 

 

【元ネタ】ウォルスング・サガ

【CLASS】セイバー

【マスター】

【真名】シグムンド

【性別】男性

【身長・体重】191cm・85kg

【属性】混沌・善

【ステータス】筋力A 耐久B 敏捷B 魔力C 幸運D 宝具A

 

 

【クラス別スキル】

対魔力:B

 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。

 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

 

 

騎乗:B

 騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、

 魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。

 

 

 

【固有スキル】

神々の加護:A

 戦争の神オーディンの加護。

 精神干渉、及び痛覚によるペナルティ、毒を無効化する。

 

 

カリスマ:C

 軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。

 カリスマは稀有な才能で、小国の王としてはCランクで十分と言える。

 

 

心眼(真):B

 修行・鍛錬によって培った洞察力。

 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”

 逆転の可能性が1%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。

 

 

 

【宝具】

『運命られし破滅の剣(バルンストック)』

 ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~60 最大捕捉:500人

 神樹バルンストックに突き立てらてた魔剣にして、のちの魔剣グラム。

 太陽剣と呼ばれたその剣の原型は炎を纏い、敵を切り裂く猛火の剣である。

 

 

【解説】

ザ・セイバー。超平均的なセイバー。普通に強い。ジークフリード? 誰だそいつは、知らん。

 願いは息子(シンフィヨトリ)の救済そして報いること。たとえ不義の子であったとしても、愛すべき妹と、自身の間に生まれた唯一の息子であり、自身の復讐の道具としてしまった子。その生涯に、その功績に報いることが出来なかったことこそ彼の嘆きだった。

 顔も知らぬシグルドより、娶った妻より、幼いころから養育し、ともに数々の死線を潜り抜けた。愛と罪悪感を背負ってでも育てた息子を愛すなということなど、それこそ不可能だろう。

 大人の事情で振り回された愛息子の為に、彼は戦うのだ。

 あと、下戸であり、すぐに酔っぱらう。

 異名は勇壮王

 




 この親父たち全員カリスマ持ちだ・・・・・・。まあ一応全員王様でもあるからね、仕方ないね。
 内約的には実の親子が一組しかいない件だが、シグルドさんは後々登場するようなのでセーフといえばセーフ、ただしアステリオス、てめーは許さねぇ・・・・・・


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ジャパニーズF/GO

 源頼光が女性と言うことにショックを感じつつ再開してしまった例の短編。
 このジャパニーズたちもTS化してしまったら立ち直れないかもしれない。
 TS化しないよね、流石に


 カルデア総会議。それはカルデアにおける問題の撤廃の為に議長であるぐだ子が設立した会議である。

 今回、栄えある第一回会議がこの場で執り行われようとしていた。

 

「よく来たな有象無象ども! お前らの上司であるこの私に従えッ!!」

 

「先輩先輩、せっかく得た絆ポイントを溝に捨てる行為はやめましょう」

 

 始まるや同時に暴言を吐くぐだ子に対し諌言するマシュ。しかし、なぜか知らないが鬱憤の溜まったぐだ子の怒りはその程度では収まらない。

 

「うるせー! お前は何時になったら絆ポイントがたまるんだよ! いつになったら最終再臨するの!? お前の胸のマシュマロ揉んでやろうかあ゛あ゛ん゛!!」

 

「や、やめてくださ―――あぁ、痛いッ!! すごく痛い、やめっ、ちぎらないで・・・・・・!!」

 

 そのマシュマロは豊満で柔らかかった。ぐだ子は哀しくなった。

 

「浜風ェ―――!!」

 

「あの、ぐだ子ちゃん。浜風はF/GOじゃなくて艦これだから、マシュと似てるけど違うから」

 

 Dr.浪漫による微妙なフォローも意に返さず、ぐだ子はマシュのマシュマロを掴んだまま、会議に移った。

 

「くそッ、こんなにイライラしたのは久しぶりだ。レフの首についているもじゃもじゃを引きちぎりたい気分だよ」

 

「懐かしいなオイ」

 

 今は亡きレフ教授。カルデアが分裂する前は考古学における権威であり、ヨーロッパにおけるフン族の研究を主としていた紳士であり、口癖は「アッティラ王は最強なんだ」と言い続け、最期に救世主に塵となって殺された。

 時々「中村ァー」とうるさかったし、携帯ゲームとソシャゲーを愛し、Dr.浪漫にはいろいろなゲームの攻略法を隣にいたヤクザっぽい人と共に教えてくれた優しい人だった。

 

「レフのことはどうでもいい、重要なことは別にある! お前ら、協調性を持てよ!!」

 

「きょ、協調性ですか・・・・・・」

 

 協調性という言葉に真っ先に反応したのは騎士王と名高いアルトリアであった。彼女の生きていたブリテンは協調性皆無の騎士たちによってボロボロになって最後には自滅したという悲しい過去があった。

 

「そうだ、協調性だ。お前ら纏まりがないんだよ。ちゃんと協力し合ってる? この中にいるサーヴァントの半分以上と私戦ってきたんだよ。特にエリちゃんとカーミラとか、邪ンヌとジャンヌとか、ジルドレとジルドレとかお前ら同一人物だろ!!」

 

 同一人物だから気に入らないんじゃないだろうか。マシュと浪漫は訝しんだ。

 

「だから私は思った。お前らに足りないものを見つけ出したよ」

 

「「「「「「足りないもの?」」」」」」

 

 数々の業績を上げた英雄に対し足りないものとは一体何か。数々の部門において負けることはないと言われる彼らに対して、足りないと言わしめているもの。そう、それはまさしく。

 

「政治的機関だ」

 

「「「「「「政治的機関?」」」」」」

 

「そうだ、お前らに足りないもの、それはひとえに政治力だ」

 

「まて、まさかこの私に政治力が無いとでも言うのか?」

 

 そう反論したのは、我らがデブであるカエサルである。

 確かにカエサルの能力は非常に高い、軍事的、そして政治的にも傑出しているといっていいだろう。だが、足りない、それでは無理なのだ。

 

「確かにお前は優秀だ。だが駄目だ、元老院に嫌われて最終的に暗殺されている。オクタウィアヌスを呼んできて、どうぞ」

 

「余は! 余はどうじゃ!!」

 

「元老院を完全にコントロールしてオクタウィアヌス呼んできて、どうぞ」

 

 バッサリとローマにおける施政者を切り捨てるぐだ子。そもそも、やり方が古いのだ、もっと時代にあったセンセーショナルでアタッチメントな政治をクリエイトしてほしいものである。

 

「先輩意識高いですね」

 

「黙れもぐぞ」

 

 ねじる、そのマシュマロを。これでもかと言うほど揉み込みながらぐだ子は会議を進める。

 

「そもそも君主は私だ。そうでなければブレーンが動かない」

 

「ブレーン?」

 

 ブレーン? そんな人物がいるのだろうか。浪漫は眉を顰めて考えた。

 

「そもそも、ローマではいささか古い。きちんとした制度を整え、卓越した官僚制度と軍制を進めないと世界なんて救えないんだ。要は物量だよ、人だよ。人材が居なければ話にならない。高々英霊召喚してそれをすり潰すという体制で何もかもが上手くいくと思ったら大間違いだ。傑出した個が死んだらそのまま何もかもが失敗するなんて危うすぎるよ」

 

「えぇ・・・・・・」

 

「きちんとした大本営を施設、行政機関の設置、交通網・経済・技術の発展、現地住民との会話と融和を進めつつ最善最短で事態の根源を潰す。これがよっぽどスマートな方法じゃないか」

 

「ぐうの音も出ない正論だけどF/GOのシステム全否定じゃないか・・・・・・」

 

 少数精鋭? 何それ美味しいの。世の中数と技術の充実だよ。

 

「という訳で、先生をお呼びしました。入って来てください」

 

 ぐだ子がそう呼びかけると、扉が開き、人影が見える。

 ぐだ子が用意した人物。それは一体誰なのか、最悪はぐだ子に悪いことを吹き込んだとして排除せねばならないだろうか。

 会議の空気が重くなる中、入って来たのは二人の人間。

 一人は軍服姿の男であり、もう一人は背広を着た男。どちらも年頃は壮年であり、そしてどこか見たような人間だった。

 

「えー自己紹介をどうぞ」

 

 ぐだ子がそういうと、彼らはぐだ子に一礼をして自由に自己紹介をした。

 

「大日本帝国陸軍元帥大将。ランサー、山縣有朋である。見ての通りただの武弁であり、殿下から拝命されカルデアにおける行政府の長官となった。軍人たるものが政権を握ることに対して拘泥たる思いがあることは承知だろうが、職務を拝命した以上妥協することなく日本、ひいては世界を救うことに全力を尽くす所存だ」

 

「私は田中角栄、キャスターだ。ご存知の方も、そうでない方もおられるだろうが、小学校高等科卒業である。各人英雄とされ、数々の部門において優れた業績を上げた立派な方であると思われる。私は主に経済と交通、財政を握る立場である。昔大蔵大臣としての職務に就いた焼きまわしになるが、いささか若輩たる身であるがトゲの多い門松をたくさんくぐってきて、いささか仕事のコツを知っている。・・・・・・一緒に仕事をするには互いによく知り合うことが大切だ。われと思わん者は誰でも遠慮なく私の下に来てほしい。何でも言ってくれ。上司の許可を得る必要はない。・・・・・・できることはやる。できないことはやらない。しかし、すべての責任はこの田中角栄が背負う。以上」

 

「という訳で新しくカルデア行政府長官になる山縣元帥とカルデア開発局局長である田中角栄氏である」

 

「その二人、毀誉褒貶激しくないか!!?」

 

 紛糾する会議。ややついていけない様相を見せる人物もいる中で、茫然とするものや反対するものも出てきた。

 

「不敬ですな、処断いたしましょうか殿下」

 

「こいつのマシュマロだけ処断して」

 

「やめてくださいしんでしまいます」

 

 山縣がぐだ子の耳にそっと囁くと、ぐだ子はそう返した。

 

「ああ、あと顧問官としてもう一人いるんだけど、もう大層な歳で動けそうにないからここで言っておくね中〇根〇弘元首相っていうんだ」

 

「まだ生きてるのあの爺さん!?」

 

「うん、まだ生きていたみたいでカルデアのすぐ外で保護したんだ」

 

「外から!? 異能生命体か何かかよ!!?」

 

 凄いぞ中〇根、海軍主計少佐は伊達じゃない。

 

「やはり中〇根は凄いな」

 

「ふむ、まさに国士と言えよう」

 

 角栄と山縣はうんうんと頷きながら二人して中〇根元首相を讃えていた。

 

「ていうか、殿下って何ですか? 先輩ってもしかして高貴な生まれとか?」

 

「うーんそうなのかナ? 生まれは別に庶民なんだよね、ただ苗字が東久邇ってだけで」

 

「まさかの宮様!?」

 

 東久邇で殿下。まって、このSS消されたりしないよね!?

 浪漫はやや焦りながらも、辺りを見渡していた。

 

「うちの初代の名前がね、稔彦って言うんだ。総理大臣してたっていう。それで世界滅びたから、今存命している日本国の皇族の血を引いているのって私だけみたいなの。だからかナ、有朋凄い優しいんだよ」

 

「まさかの名前呼び!?」

 

 ジャンジャジャーン、今明かされる衝撃の真実!

 ぐだ子、内親王で現在天皇の位に一番近い人物だった。

 

「「「「あばばばばばばばばば」」」」

 

「先輩大変です! 日本英霊の皆さんが息してません!」

 

「別に隠していたつもりはなかったんだけどね。普通に知ってる人だっていたでしょう」

 

「東久邇で天皇家に縁有るかどうかわかるなんて普通外国の人は知りませんよ!」

 

 現在進行形で右翼団体に喧嘩売ってる件について。あーもうめちゃくちゃだよ。

 

「ん? と言うことは皇族で現在残っている最も古い王朝の血筋がぐだ子になるのう。プレミア感マシマシじゃの、是非もないネ!」

 

「ノッブ、なんでお前こんな時でも平常運転なの!?」

 

 ただ一つ変わらない第六天魔王。それがノッブ。このカルデアで唯一キャラがぶれないという稀有な存在であった。

 

「そもそも、政権が気に入らないなら倒せばいいじゃろう。武力討伐でも政治的な失脚を狙ってもいい。そういうふうに戦いを選んだなら、そういうふうに立ち向かってもいい。そういうことじゃろ」

 

「おっしゃる通り! こちらの政策よりもそちらが優れているというなら喜んで採用しましょう、こちらの政権が嫌ならカルデアが壊れない程度での政権の奪取すら認めましょう。それが政治なのだから」

 

「嘘だろ、ノッブがまともそうに見えるなんて・・・・・・」

 

 ノッブの問いに答えたのは角栄であった。終始にこやかな笑みを崩さずに、英霊に立ち向かっている。

 誰よりも劣っている代わりに、その結集した政治力だけはここにいる人員の中でも有数と言えよう。

 

「まぁそのー、いろいろと言いたいこともあるだろう。特に私は新潟の田舎出身の農民だ。ここには生まれた人種も、国も、そして掲げる方針も違うと思う。だが、ここにこうして集まっている以上、自分の生まれた国、或いは世界を救いたいとそう決めているのだろう。ならば、私たちは同じだ。全員が同じ目標に向かって戦っている。

 時には喧嘩もするだろう。或いは同じことを思っているのに主張が食い違うこともある。私は党人政治家だ。しかし、山縣長官は藩閥だ。彼は清廉で、私は俗物だ。それでも国を、国益を想う気持ちには変わりない。正直言って世界の命運などどうでもいい、日本がちゃんとそこに有ればそれでいいとでも思っている。

 だが、物事はそうはいかない。今、世界は未曽有の危機に瀕しているんだ。立ち向かうことが出来るのは私たちしかいない。だったらやるしかないだろう。それしか出来ないんだから、それをやるんだ、誰よりも何よりも真剣に取り組もうじゃないか。なあなあはやめよう、適当にしちゃだめだ。諦めずに立ち向かって、精一杯に頑張って、それで最後に皆で上手い飯を食える世の中を作ろうじゃないか」

 

「田中の言う通りだ。正直言ってわしは貴様らが嫌いだ。英雄なんぞ、居なくてもいい。わしは常々そう思っているよ。わしは何よりも国家を尊ぶ、日本と言う国を何より尊ぶ。日本人が日本人として生きれる国は日本しかない。だからこそ戦う、だからこそ学び、慎重に歩みを進め、そしてほかの欧州列強に対等でありたいと願った。幾分か古い頭であろうし、批判されてしかるべきかもしれない。事実間違いも多く行ってしまった。それでも人は失敗から学べると思う。

 戦後日本は偉大であった。わしの愛した国は、敗戦からもう一度立つことが出来た。失敗から学べた。それは純粋に嬉しいと思うと同じに、とても悲しいことである。多くの犠牲を払わなければ、成し遂げ得なかったことであるからだ。

 英雄の最期は大なり小なり悲劇に彩られているものである。諸君らの最期はどうであっただろう。そのミスを、間違いを、そのままにしておいていいのだろうか。人間は学ぶ生き物だ。人間は立ち上がることのできる生き物だ。

 わしは諸君らが嫌いだ、だが、諸君らの能力は否定しない。その能力を見せてくれ、その能力を以って、世界を救ってみてくれ。嫌っても構わない、憎んでも構わない。ただ、世界の為奉仕してくれるのであれば、私は諸君らを十二分に使って見せよう。誠意努力し続けよう。この山縣有朋の身命に賭して誓おうではないか」

 

 それは彼らの覚悟、彼らの偽らざる気持ちであった。

 国家の為ならば他国の不利益などどうでもいいと言えるそんな彼らを紛いなりにも協力させ、一致させているのは他ならぬぐだ子の存在故だろう。それ程に、彼らの生きた時代にとって天皇とは、皇族とは重い物だった。

 

 こうして、田中角栄と山縣有朋の両名は新たにカルデアにおける行政の担い手として認知されることになった。

 終始にこやかになると思ったのもつかの間、山縣は懐から書類を取り出すと、次々に英霊たちの人事を告げた。

 

「さて、まずは人事異動を命ず。新しく造兵廠へヘンリー・ジキル氏と二コラ・テスラ氏を・・・・・・」

 

「私の方ではまずレイシフト装置の見直しからカルデア内の区画整備を行いつつ、レイシフト後におけるインフラ整備に関するマニュアルの作成、後は来年における予算案の作成等に移りたいと」

 

 ついに始まるカルデアの大改革、またの名を酷使無双。英霊たちは近代国家のやり方についてこられるのか、それとも時代に取り残されたしまうのか。

 強い軍団は強い組織と優れた兵装があってこそ果たされる。そこに英霊ぶち込んだら本当に最強になれるのか。

 ぐだ子の貞操を守り、日本再興は叶うのか。

 頑張れカルデア、頑張れサーヴァント! 技術の発展が世界を救うと信じて!

 

 次回、核兵器開発!

 ソロモン王死す

 カルデア大勝利

 の、三本立てでお送りいたします。

 

 希望の未来にレディー、ゴーッ!




 今回はいろんな人に怒られそうで怖い。
 だが私は謝らない。


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ジャパニーズF/GO ステータス

 なんだかんだ言って政治家サーヴァントもっと増えないかなぁなんて思っていたりします。
 あと普通に英雄しているタイプじゃないのでこういう英雄を考えるのは何気に楽しいです。


【CLASS】キャスター

【マスター】ぐだ子

【真名】田中角栄

【性別】男性

【身長・体重】164cm・60kg

【属性】中立・善

【ステータス】筋力E 耐久E 敏捷E 魔力E 幸運C 宝具D

 

 

【クラス別スキル】

陣地作成:EX(A) 

 土建会社としての社長としての知識と現場力を以って得た技能。

 魔術師としての“大神殿”を大きく上回る、

 政治家として日本列島そのもののインフラを形成することが可能。

 本来はもっと低いランクであるが、宝具の効果によってその能力は比較的に向上している。

 

 

道具作成:―

 魔術的な道具を作成する技能・・・・・・などない。

 精々生活に仕えるちょっとした小道具程度の作成である。

 

【固有スキル】

カリスマ:B+

 軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。

 カリスマは稀有な才能で、一国の宰相としてはBランクで破格と言える。

 なお効果にはムラがあり新潟県民と自派閥の党人政治家にはAランクぐらいの変な効き方をしている。

「私が田中角栄だ。小学校高等科卒業である。諸君は日本中の秀才代表であり、財政金融の専門家ぞろいだ。私は素人だが、トゲの多い門松をたくさんくぐってきて、いささか仕事のコツを知っている。・・・・・・一緒に仕事をするには互いによく知り合うことが大切だ。われと思わん者は誰でも遠慮なく大臣室にきてほしい。何でも言ってくれ。上司の許可を得る必要はない。・・・・・・できることはやる。できないことはやらない。しかし、すべての責任はこの田中角栄が背負う。以上」

 

 

黄金律:B

 身体の黄金比ではなく、人生において金銭がどれほどついて回るかの宿命。

 大富豪でもやっていける金ピカぶりだが、散財のし過ぎには注意が必要。

 事実、あまりにも金をバラマキ過ぎて金権政治と政治腐敗を巻き起こした。

「政治は数であり、数は力、力は金だ」

 

 

貧者の見識:A

 相手の性格・属性を見抜く眼力。

 言葉による弁明、欺瞞に騙されない。

 裏日本と言われた日本有数の豪雪地帯である新潟県に生まれ

 裸一貫から一国の宰相にまで成り上がった機会に恵まれた角栄が持つ、相手の本質を掴む力を表す。

「人間は、やっぱり出来損ないだ。みんな失敗もする。その出来損ないの人間そのままを愛せるかどうかなんだ。政治家を志す人間は、人を愛さなきゃダメだ。東大を出た頭のいい奴はみんな、あるべき姿を愛そうとするから、現実の人間を軽蔑してしまう。それが大衆軽視につながる。それではダメなんだ。そこの八百屋のおっちゃん、おばちゃん、その人たちをそのままで愛さなきゃならない。そこにしか政治はないんだ。政治の原点はそこにあるんだ」

 

【宝具】

『日本列島改造論』

 ランク:D 種別:対国宝具 レンジ:37.8万km2(日本列島総面積) 最大捕捉:約1億400万人

 田中角栄が提起し、そして多くの課題を残した彼の政治的戦略。

 地方と都市を結び交通網を発達させることで地域の過疎と大都市の過密をなくすことを目標としつつ、インフラや情報網の発展などの成果と東京一極集中や国と地方自治体に多大な借金を巻き起こした失敗を呼んだ彼の功罪そのものである。

 その能力は一途に交通網の発達とインフラ向上、地方発展を呼び込み、キャスターの意思を以て必要な場所に必要な経済的資源を与え、交通網の施設によって流動的な国家を作り上げるものである。

 簡単な説明をすると、キャスターの力で道路や新幹線、しまいには空港を無理矢理生み出して、それを施設する能力である。

 

 

【解説】

 ニーガタの英霊(ガチ)である田中角栄。日本でも功罪、毀誉褒貶の多い総理大臣であり、最終学歴は小学校高等科卒、或いは中央工学校である。

 主張はかなり左派であり、大衆人気がある庶民派。人心掌握の天才でありバイタリティーのある「コンピューター付きブルドーザー」として自由民主党内で、一大派閥を築き上げたNOUMIN。

 

 

 

 

 

【CLASS】ランサー

【マスター】ぐだ子

【真名】山縣有朋

【性別】男性

【身長・体重】171cm・66kg

【属性】秩序・中庸

【ステータス】筋力C 耐久D 敏捷B 魔力E 幸運C 宝具A+

 

 

【クラス別スキル】

対魔力:E

 魔術に対する守り。

 無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。

 

【固有スキル】

戦略:A

 多人数を動員した戦場における戦術的直感力ではなく、国家単位で行われる戦争の経過や平時における国家の発展目標を定めることを最上としたスキル。

 相手の対軍宝具、対城宝具に対処する場合に有利な補正が与えられ、Aランクともなれば対国宝具の行使にも補正が掛かる。

 山縣の場合、それは国家間における戦争の遂行とその落としどころを探る軍政家としての能力が非常に高く、

 西南戦争では全軍の参謀として、戊辰戦争や日清戦争では司令官としてその手腕を振るった。

 

 

明治維新・革新:A

 時代の革新者たる英雄に与えられる特殊スキル「革新」。

 ランサーの場合、更に明治維新の文言が追加される。古きに新しきを布く概念の変革。

 「神性」や「神秘」のランクが高い相手や、旧体制の守護者たる英雄などであるほど

 自分に有利な補正が与えられる。これによりランサーは「神性」や「神秘」を持つ英霊や 宝具に絶対的な優位性を誇る。究極の相性ゲーである。

 さらに、倒幕、士族反乱の鎮圧という騎士階級の踏破者であるランサーは騎士階級の者に対し特効のごとき優位性を保つ。

 逆に神秘性の薄い近代の英霊 、主にランサーより新しい英雄などには何の効果もない。それどころか自身の各種スキル、宝具の効果が落ちる。

 

 

勇猛:B

 威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。

 また、格闘ダメージを向上させる効果もある。

 歴代首相経験者の中で唯一首相在任後に戦線で指揮を振るった経験者であり、

 「わしは一介の武弁」として生涯政治家でなく軍人としてあり続けた。

 

【宝具】

『長州山縣閥』

 ランク:A+ 種別:対国宝具 レンジ:― 最大捕捉:―

 山縣有朋が創り上げた官僚制度と山縣自身がこれと思った人材による近代日本の軍事、政治官僚たちの総称。

 極めて優秀な人材における国家運営を行う上で山縣の手足となって働き、近代国家である大日本帝国の礎になったその所以ともいえる。

 すなわち山縣の庇護を受けた官僚や軍人、そしてそれを行う施設、物資の召喚であり、山縣が指揮した奇兵隊の兵士から西南戦争の折りに総軍の作戦を任されたときの軍勢などが主に矢面となって戦う。

 しかし、幾ら召喚が可能とは言え、山縣を嫌う人間は多いので召喚に応じない場合もある。

 

 

【Weapon】

『無銘・槍』

 山縣愛用の槍、若き頃から武で身を立てようとした頃から、

 晩年に至るまで素振りを日課にすることから山縣にとって最も繋がりの深い一品と言えよう。

 

 

【解説】

 明治日本における必要悪にして偉大な元勲。

 国軍の父と呼ばれ近代日本の官僚制度と軍事制度を創り上げ、文官任用令の制定や軍部に大きな影響を誇った元勲中の元勲。

 政党政治を批判し、超然主義として後の党人政治家や非長州閥の軍人、国民にすら批判されながらも国家の為に奉仕し続けた。

 晩年に有って様々な功罪を持つが、その心はひとえに国を思い愛国心に満ちた「一介の武弁」そのものである。

 



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源氏たちのF/GO ごっつええ源氏

F/GOは死なぬ、何度でも蘇るさ!


「ぐーだだだだだだだだ! お前は私のカキタレになるのだぁ!!」

 

 カルデア内部、レイシフト装置の前でぐだ子は笑っていた。

 

「や、やめ・・・・・・ヤメロー!!」

 

 ボコボコに殴られ、今まさに苦しんでいるグランドキャスターことソロモンはぐだ子に対する恐怖に身をすくませなすがままであった。

 

「返してほしくばオルガマリーを雌奴隷にする権利を私に与えろー!」

 

「くぅ、死んだ人は蘇らないというのに、なんてことをいうんだ・・・・・・」

 

 もはや半泣き。ぎょろぎょろとうごめく半魚類の目が心なしか怖い。というよりリヨ絵になっているぐだ子であった。

 

「畜生、レフはアルテラ厨になるわ、アンドロマリウスはハイスクールD×Dの世界に行ってしまうわ。魔柱をいくら呼び出してもそっちの救世主に倒され続けるは。もうどうしていいかわからないよぉ、ふぇぇ・・・・・・」

 

 仕舞いには幼児退行。魔術王と呼ばれたカリスマはもうない。

 こんな時に、不思議なことが起こったらなぁ・・・・・・。そんな風にただ助かりたい、すがりたいの一心だった。

 

「待てーい!!!!」

 

 そんな思いがYHVHに届いたのか、どこか遠くで救いの声が上がる。あの姿、あの様子、間違いない。アレはヒーローだ!!

 

「何奴!!」

 

 ぐだ子がそう叫ぶと、ヒーローたちは次々と現れる。

 

 その姿、まさしく痴女。腹は出しているわ、尻尾には狸の尾を生やしている何かのプレイ中に見える淫乱系雌犬近親相姦至上主義者。

 

「源氏ライダー!!」

 

 その姿、まさしくボイン。溢れ出る色香と母性。そして彼女もまた清純系オネショタ近親相姦至上主義者。

 

「源氏バーサーカー!!」

 

 その姿、まさしく畜生。親が死んだ頃を見計らい、自分を高く売りつけ、そして自らの欲望のために自分の兄を嵌め、甥っ子たちを皆殺しにした源氏一族随一の黒歴史。卑劣な武士だ・・・・・・。

 

「源氏ライダー!!」

 

 その姿・・・・・・まさしく見えない。え、何やったのこいつ。誰? っていうか誰?

 

「源氏ライダー!」

 

 その姿、まさしく「傲れる者も久しからず」。九州で好き勝手やった結果、最終的に朝廷に殺された源氏の恥さらし。バーサーカー以外適正クラスがない大馬鹿者。

 

「■■■■――!!!!」

 

 日本語? バーサーカーが喋れるわけないでしょ。

 

「「「「五人そろって、源氏レンジャイ!!!!」」」」

「■■■■―――!!!!」

 

 一人だけ言えていないやつがいるがこの際どうでもいいのだろう。

 

「さあ、早く逃げるんだーー!!」

 

「ありがとー!!」

 

「早く逃げ・・・・・・あっ」

 

 ソロモンを起き上がらせ、立たせたは良かったものの、そのまま喋れないバーサーカーに突撃した結果。憐れ爆発四散。ソロモンは一瞬で切り殺される。ナムサン!!

 

「おのれ、リヨぐだ子! ゆ゛る゛ざん゛!゛!゛!゛!゛」

 

「・・・・・・」

 

 ソロモン・・・・・・いい奴だったのかな・・・・・・?

 疾うに死体と化し、その遺骸を喋れないバーサーカーがつまんでいるのを横目に、ぐだ子に向き合う源氏レンジャイ。

 

「違う」

 

「えっ?」

 

 だが、その言葉を両断するかのようにぐだ子は続ける。

 

「違うよ、何? 君ら何?」

 

「源氏レンジャイ・・・・・・」

 

 渋々といった様子で牛若ライダーが呟く。一体何がおかしいのか。ちゃんと源氏一族で統一したというのに。何が問題なのか、彼女には理解不能だった。

 

「源氏レンジャイじゃないよ。君クラス何よ」

 

 ぐだ子はそういうとまず頼光バーサーカーを指さす。

 

「源氏バーサーカーですよ?」

 

 何を当たり前のことという返しであるが、そもそも喋るバーサーカーとは如何なものか。ぐだ子はそう思った。喋って狂化がほとんど機能していないんじゃそれバーサーカーとは言わないんじゃないか。そんなニーガタの不満を同様に述べた。

 

「君は?」

 

「■■■――」

 

「あ、源氏バーサーカーです」

 

 喋れないバーサーカーに代わって範頼アサシン・・・・・・もとい範頼ライダーは応えた。

 

「五人そろって」「「「「―――源氏レンジャイ!!」」」」

 

「待て待て待てい。タイムタイム」

 

 範頼ライダーが応えるとまるで様美式のように掛け声を決める源氏レンジャイ。

 

「源氏レンジャイじゃないよ、なんでクラスかぶってんねん」

 

 どうやらクラス重複がお気に召さない様だった。別に聖杯戦争で全クラスすべてセイバーの聖杯戦争もあるかもしれないのにそれを認めないとは何と心の狭いことか。

 

「源氏ライダー」

 

 ぐだ子の肩を叩き、アピールする淫乱狸の牛若ライダー。ちょっとかわいいと思いつつもぐだ子は平静を取り戻す。

 

「ま、まあ、君はいいよ。君は?」

 

「源氏ライダー」

 

 爽やかに名乗りを上げる範頼ライダー。影が薄いなりに頑張っている所作であった。

 

「じゃあ、そこの畜生」

 

 最後に残ったの髭面の男。なんだか一番信用できそうにない男であった。

 

「源氏ライダー! 五人そろって」「「「「―――源氏レンジャイ!!」」」」

 

「違ぁーう!!!!」

 

 この人は何を怒っているのだろうか、カルシウム足りてないんじゃない?

 畜生ライダーは不思議に思った。

 

「おかしいよ・・・・・・なんでバーサーカー二人でライダーが三人いるんだよ・・・・・・」

 

 久々に突っ込み役に回るぐだ子。流石の彼女もこの事態は想定してなかった。そもそもこのF/GO短編集で同じクラスのオリジナルサーヴァントが出てくるなんてことは前例に無かった筈だ。

 

「いや、クラスとかじゃないから」

 

「は?(威圧)」

 

「そうですね、一人ひとりの個性を見てほしいです」

 

 畜生ライダーがそう発言すると、牛若ライダーが繋ぐ。

 

「おま、お前らそんなこと言ったって。クラス以前にお前らの人格とかがもうアウトだから。個性見せちゃダメでしょ」

 

「はぁ・・・・・・」

 

「それに、ちびっこには見た目が大事だろ。お色気枠とか言って、その痴女のような恰好もいかなものかと」

 

「そこは、努力で何とかなって行くだろ」

 

「いや、努力って・・・・・・」

 

 努力って何を努力すればそうなるんだよ。ぐだ子は一人ため息をつく。

 

「同じライダーに見えるけど、彼女とかすごいお兄さん想いだし。良いエピソードとかあるんだけど」

 

「いや、そいつ最終的に喧嘩別れして死んだやん。範頼も誅殺されたし」

 

「源氏的には当たり前のよくあることだゾ?」

 

「えっ?」

 

 身内を謀殺するのが源氏的に当たり前? え、何それ怖い。

 畜生ライダーは破顔してそういった。卑劣な一族だ・・・・・・。

 

「そ、そんなことはいいんだよ。兎も角クラスだよ。そういったタイプとかばらけさせないといけないっていう話をしてるんだよ。武器が皆して馬ってどうよ、仮面ライダーじゃないんだから」

 

 レンジャイを名乗っているのにライダーはあまりに不自然。ぐだ子はそう言って源氏レンジャイを批判する。

 

「・・・・・・」

 

 沈黙する源氏レンジャイ。そんな中、一人のライダーが口を開く。

 

「兄上と同じこと言ってる」

 

 『いやいや九郎、なんでクラスを重複させるんだ。そうするんだったらいっそ全員ライダーにすればいいのに』そういった頼朝の声を牛若は思い出していた。

 

「そら君のお兄さん正しいよ」

 

「ですよね!!」

 

 ぱあっと顔を上げる牛若。兄上(頼朝)の命は何を置いても優先される。そういった表情だった。そのくせ朝廷から独自に官位をもらったりしていたのはなぜなのか、これがわからない。

 

「ならば、しょうがないですね、私がアサシンになりましょう」

 

「あ、いいの。範頼くん!」

 

 そう言ってクラス変更に同意する範頼くん。やはりぐだ子にとっての癒しであった。

 

「あら、じゃあ私もアサシンに・・・・・・」

 

「いや、なんでだよ!!」

 

「いや、同じ一族ですし」

 

「みんな同じ一族だろうがよォォォォ!!!!」

 

 なにこいつ怒ってるの? カルシウム足りてないんじゃね? 畜生ライダーは訝しんだ。

 

「ていうか区別つかない!! 範頼くんと痴女とママは知ってるけど君ら誰だよ!!」

 

「え、俺を知らない? 情弱かな」

 

「■■■■――?」

 

「源氏マニアでもあるまいし一目見てわかる訳無いだろ。義経と頼光ですら女体化してるんだぞ。無理に決まってるわ。ていうかお前はいつまでソロモン食ってるんだ!!」

 

 人肉を食むキチガイサーヴァントに戦々恐々しつつ、ぐだ子は理性のないバーサーカーからソロモン(死体)を取り上げる。もう原型をとどめてないミンチよりひどい状態だった。

 

「ええー、そんなにぃ? 俺たち有名やよぉ、めちゃくちゃ有名やよぉ、義経より有名やよぉ、なんでわかんないんかなぁ?」

 

 イラッ、ぐだ子か目の前の男に殺意を覚える。

 流石にその状況に辟易したのか、牛若は恐る恐る切り出す。

 

「と、いうことは今日は戦わないのでしょうか」

 

「当たり前だろ、常識的に考えて」

 

 おずおずと語り掛けるバーサーカーを尻目に、ぐだ子はそう返す。

 

「戦えるわけないだろ、こんなぐだぐだな状況で、もう一回話し合ったいいよ。そもそもそっちのバーサーカー言語野失ってるし、ソロモンの肉は食うてるわ、ヒーローちゃうがな」

 

「はあ・・・・・・」

 

 はぁ、じゃねぇよ。むしろお前ら怪人側じゃないか。

 天狗に育てられた奴と、妖怪混じりと、死んでも四回蘇る奴。まともな人間だけど性格が畜生が一人。本当にまともなのが範頼しかいない。

 

「一族なんでしょ、だったら話し合った方がいいよ」

 

 そう告げるぐだ子だったが、源氏レンジャイは皆一様に顔を曇らす。

 

「ごめん、俺このバーサーカー知らないんやけど」

 

 畜生ライダーは頼光ママを指さして言う。

 今明かされる衝撃の真実、この言葉に流石のぐだ子も声を失う。

 

「いやいやいや・・・・・・、一族じゃないの?」

 

「今日が初めてですね」

 

「祖父ちゃんの姉ちゃんってことしかわからん。会ったことも無いわ」

 

 畜生ライダーと頼光バーサーカーは二人して頷く。

 

「一族・・・・・・仲間じゃないのかよ・・・・・・!?」

 

「いや、生まれた時代が違いますし」

 

「私が摂津源氏で・・・・・・」

 

「俺ら河内源氏やから・・・・・・」

 

「あ・・・・・・、そっすか・・・・・・」

 

 これには何とも言えない微妙な雰囲気が漂う。

 

「それは、もう駄目だよ。無理無理、もっと話し合って。クラスとかちゃんと決めてな、まだ戦うのは早いよ」

 

 ぐだ子は頷きつつ源氏レンジャイにそう指導する。

 

「タイプムーンだってもう16年だぞ。このソシャゲで一本立ちしても15年からだからな。この作画で」

 

 そう言ってぐだ子は自身のリヨっている状況を見せつける。

 

「はあ、じゃあわかりました」

 

 渋々といった状態で源氏レンジャイたちは一応の納得を見せる。

 こういうのもなんだが、こういった白けた状況で戦うのは非常にいけない、そう思うだけの常識はリヨぐだ子は保持していた。

 

「うん、そうだな・・・・・・、そう、来週ぐらいに会おう。それでその答えを私に見せてくれ」

 

 そんな、儚げな笑顔を見せて、彼らは笑いながら別れた。

 

 

 

 

 

 その言葉から一週間後の時が経ったレイシフト装置の前でぐだ子は立っていた。

 

「ぐーだだだだだ! お前はレフ・ライノールから野田洋二郎になるのだぁ!!」

 

「嫌だぁ、前前前世なんて歌いたくないよぉ!!」

 

 ハットをかぶっていればみんな同じ人間かと思えば大間違い。しかし、ぐだ子はそれほどまでに強硬だった。

 

「お前は私の口噛み酒を飲むのだァ!!」

 

「いやだぁ、アルテラのが呑みたいよぉ!!」

 

 涙を流しつつ。それでもいや待てよ、これはご褒美ではと思いつつ一応嫌がるそぶりを見せるレフ。

 しかし、神・・・・・・YHVHは見捨てていなかった。

 

「待てーい!!」

 

 部屋の中に響く声、その声に対しぐだ子は真っ先に反応する。

 

「何奴!」

 

 約束を守ってくれた。そうぐだ子は信じていた。そう、この瞬間まで信じていた。

 

 その姿、空から響く雷霆。勇壮たる背中は広く大きいその姿。その姿に、在りし日の頼朝は憧れた。彼こそまさに源氏を代表する英霊、まさしく武弁たる若武者の装いそのものであった。

 

「源氏セイバーッ!!」

 

 その姿、まさしく畜生。戦国の世に生まれ、裏切りと策謀によって成り上がり、やがては江戸を代表する譜代の大名となった成り上がりの家、かつては賤ケ岳の七本槍の一角として名を挙げたその男は、畜生かつ有能な小物だった。

 

「源氏ライダーッ!!」

 

 その姿、まさしく無能。ただ、皆の笑顔が守りたかった。それでも、彼には力がなかった。無能で、どこまでも弱者故に、彼は否定された。ただ、彼に間違いがあるとしたら、生まれた時代そのものを間違えた。それでも彼はその汚名を背負う。それが多くの人の救いになると信じて。

 

「源氏(に殺された)ライダーッ!!」

 

 その姿、まさに朝家の守護。かの英雄源頼光の系譜にして宝具、雷上動を受け継ぎし弓の名手。老いて尚も壮んなりしもの、そして源氏で最も高位に登り詰めた努力の人。

 

「源氏アーチャーッ!!」

 

 その姿、まさしく農家。歳は四十半ば、泥に汚れ、小脇に農作物と肩に鍬を背負った古墳時代の農家のおっさん。誰だお前はっ!

 

「わしじゃよッ!!」

 

 いや、知らんがな。

 

「五人そろって」「「「「「―――源氏レンジャイ!!!!」」」」」

 

「誰だァァァァァァ!!!」

 

 在りし日の面影はない。そこには全く知らない新しいゴレンジャイがそこにいた。




元ネタ
ダウンタウンのごっつええ感じ 世紀末戦隊ゴレンジャイ


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源氏たちのF/GO ごっつええ源氏?

 前回のあらすじだオラァ!!
 悪の怪人リヨぐだ子の前に現われた源氏レンジャイ。しかしクラスがあまりにも重複し、うち一人の言語中枢がお粗末なこと、そしてヒーローに似つかわしくない性格を考慮され、ヒーロー失格の烙印を推された彼らは新たな姿を以ってリヨぐだ子の前に降り立ったのである!!


「おい誰だ、このあらすじ書いた奴?」

 

「なにも間違ってはいないですね」

 

 あながち間違いではないことが何よりの間違いではないか? ぐだ子は訝しんだ。

 

「・・・・・・」

 

 ぐだ子はちらりと新源氏レンジャイを見る。そして不意にそっと目を逸らした。

 

「もうやだよ、突っ込みたくないわぁ・・・・・・」

 

 こんなカルデアいやや、こんな鯖いやや。来世は黒髪のイケメン男子にしてくださーい! そんな風にぐだ子は叫びたかった。

 もうギャグ短編としてどうかしている? そもそもぐだ子は本来はボケ側の人間である。そんな人間が今ツッコミの立場にいる。これがどれ程のストレスかと言えば当の本人しかわからないであろう。

 

「さあ来い、リヨぐだ子!」

 

「この我々が貴公を討ち取って進ぜよう!!」

 

「おとなしく金目の物を出せ!!」

 

「和平結ぼう、な!」

 

「おーほれ、ウチの畑ばとれた野菜や、みんなで食べね?」

 

混沌(カオス)ッ!! くっそ混沌(カオス)だぞッ!!!!」

 

 誰一人として協調性がない。いや、上二人は一応真面目っぽいが、それ以外の面子がどうにも頼りないというか、ガチ勢過ぎるというか、もう・・・・・・なんていうんだろう・・・・・・。こう・・・・・・なんというか、帰りたい・・・・・・。

 

「ちょっと、なんていうんだろう。もうアレだ! 話し合おう、そうしよう! ちょっと情報が欲しい。想定したのと違いすぎる!」

 

 とりあえず、円を描くようにそれぞれが座り、ぐだ子は少しずつ情報を整理していく。

 

「とりあえずさ、まず。前回の面子と全員入れ替わっているんだけど。これはどういうこと?」

 

 そう、先の源氏レンジャイの面子はバーサーカー源頼光にライダー牛若丸、ライダー源範頼、そして謎のライダーと喋れないバーサーカーという面子であった。

 一応源氏で統一されていたものの、話は聞かないわ、ヒーローとしての人格が怪しいわ、影が薄いわ、そもそも喋れないわ、怪人っぽい奴が多いわ、クラスは重複しているわひどいものだった。

 

「とりあえず、自己紹介からしていこう。まずはそこの安牌そうなお兄さんから」

 

 そう言ってぐだ子がまず指名したのは鎧を身に纏ったいかにもといった若武者であり、若武者は荒々しい笑みを浮かべるとゆっくりと口を開いた。

 

「―――俺か、いいだろう。俺は源氏棟梁播磨守義朝が嫡子、鎌倉源太義平だ」

 

「クラスは?」

 

「セイバーだ、ちなみに享年は20歳。生きの良い敵と戦えると聞いたんでなぁ、可愛い妹の代わりに来てやったという訳だ」

 

「うーん、やや戦闘狂の気があるがまともだ。クラスもセイバーとなんかリーダーっぽい」

 

 あれ、問題はあるにはあるが結構まともなのでは? いや、あの源氏推薦の面子である、油断はしてはいけない。

 

「え、えっと、では次はそちらの男性で」

 

「某か・・・・・・」

 

 やや精強な面持ちでありながら、直垂を身に着けた品のある男性。それが目の前の男の第一印象であった。

 

「某は、源三位入道頼政。或いは馬場頼政と申す。此度の一件、我が高祖母より命を受け、参じた。クラスはアーチャー、若輩ながら弓の腕には少々自身がありまする」

 

「おいおい、70いった爺が若輩ならみんな赤子になっちまうわな」

 

「「「ハハハハハ―――!!」」」

 

 少々冗談を飛ばすお茶目な面を見せつつも、その姿には気品というものが身についている。これが武と文化を極めた上流武士というのだろう。

 正直いってすごいまともである。なんだあいつらちゃんと仕事してんじゃないか。ぐだ子の機嫌がよくなり、次第に期待も大きくなる。

 

 これは、いけるんじゃないか?

 

「じゃあ、次はそこの武士」

 

 月代を剃り、額に弾痕が残る歴戦の武士を思わせる男。明らかに装備とかが鎌倉武士っぽくないが、ワンチャンあるかもしれない。そう思った。思いたかった。

 

「私か、私は脇坂甚内安治。クラスはライダー」

 

「ダウト! お前源氏じゃない!!」

 

 お前藤原氏じゃねーか!! 源氏ちゃうやろォーーー!!

 

 そんな怒りが、ぐだ子の胸に強く到来した。

 

「それは、家の亨ちゃんが勝手に言ったことだからノーカンだ」

 

「誰だよ亨ちゃんって」

 

「倅」

 

 脇坂安元、龍野藩脇坂家二代当主であり、幼名は亨であった。

 

「安元の藤原氏宣言ってかなりガバガバだったじゃねーか! ありなのかよそれは!!」

 

「ええんやで」

 

「よかないわい!」

 

 よろしくニキーwwwと安治は笑っているが、ぐだ子にとっては頭痛の種である。

 

「ていうか、なんでお前が来ちゃったの? 誰だよ呼んだ奴」

 

「えっ? マブダチのサブちゃん」

 

「誰だよ! 前回いたかそんな奴」

 

 英霊サブちゃんってなんだよ、北島三郎かよ。

 

「んん? 居なかったか? 顎鬚伸ばして、飄々とした感じのクソ爺のライダー」

 

「あいつかァァァァ!!!!」

 

 思い出すだけで腹が立つ。妙に煽りを入れてくる人間の情というものを解そうとしていない畜生ライダーのことであった。

 

「確か本名が新羅三郎義光だったか」

 

「え゛え゛ッ! クソ大物じゃねーか!!」

 

 新羅三郎頼光。あの八幡太郎義家の弟にして文武両道の貴人。源義忠暗殺事件を起こし、源氏を弱体化させた戦犯でありながらその血族は常陸佐竹家、弓馬の名門小笠原家、甲斐武田家へと伝わった武家の名門中の名門の祖とされる男だった。

 個人的武勇の腕も高く、流鏑馬と言えばまずこの男の名が挙がるといっても過言でなく。音楽を愛し笙の達人であった。

 

「げ、幻想が・・・・・・! 私の幻想が崩れていく・・・・・・こんなこと、源頼光が女だったことぐらいにショックだ」

 

「いい夢見れたかよ」

 

 奪還してくれ(ゲットバッカーズ)、私の幻想を。しかし、脇坂の「無理やで」の一言で現実の重さを思い知る。

 

「ほかの二次創作作者に頼むんだな。きっと清廉潔白な新羅三郎義光を描いてくれるさ」

 

「外道じゃない新羅三郎もそれはそれで違和感があるな」

 

 なんだろう、この複雑な気持ちは? 恋かな?

 

 そんな風にボーっとしていると不意にレイシフト装置が起動してとある男が現れる。

 

「鯉と聞いてやってきました!」

 

「山古志は錦鯉専門だろォ!! 良いから放置していたレフを連れて新潟に帰れ!!」

 

「了解、頼んだよ後藤田君!」

 

 不意に現れた角栄はレフを連れ去り、昭和三色を一尾だけおいて警察庁長官であった後藤田正晴と共に帰って行った。

 

「後藤田さん英霊になってたんだ」

 

 不意にそんな言葉を漏らすと、源氏レンジャイ? は各々好きなように口走る。

 

「川路利良が英霊になれるんだ、警察庁長官がなれないはずがないだろ」

 

「中曽根さんいるんだから、あって行けば良かったのに」

 

「官房長官か、羨ましい。ああいう立場が、一番楽だろうになぁ」

 

「ほー、誰かと思うたが、ありゃ忌部氏の末裔か」

 

「この鯉食っていい?」

 

 ぐだ子は目頭を抑える。発言一つ一つに時代を感じるというか、現代に馴染みすぎとちゃうか? そもそも最近の子供は後藤田正晴を知っているのだろうか。

 

「ああ、そういえば後藤田正晴は英霊じゃなくて礼装枠らしいぞ。『内閣官房長官』というな」

 

「身も蓋もないなその礼装」

 

「あとは『たかし』っていう礼装が・・・・・・」

 

「聖杯コロッセオ・・・・・・うっ、頭が・・・・・・!」

 

「あと畠山庄司次郎重忠の絵が描かれた『まともな庄司』という礼装に源実朝の『金槐和歌集』だな」

 

「あと年老いた大江広元が泣いている『広元やある』という礼装もありましたな」

 

「『金槐和歌集』の絵がちょうど甥っ子・・・・・・実朝が切り殺されている絵だからな、シンパシーを感じるよな」

 

「やめろよ泣くわ!!」

 

 ここの作者鎌倉幕府厨かよ! 広元と実朝の別れのシーンは崇高? 知ったことかッ!!

 

「架空の英霊作れよ! なんで架空の礼装まで考えているんだ!!」

 

「英霊を一体作ったら礼装を五個から六個ほど作らなければなかろう?」

 

「そうそう、ガチャの確率的にな」

 

「ガチャの話はするなァァァァ!!!!」

 

 ガチャに嵌り、お金が解けていく恐怖をぐだ子は誰より知っている。けどやめられない止まらない。なぁに回す方のノッブがいるからへーきへーき。

 

「おめぇでぇじょぶかね、ほれ、うちでとれた胡瓜食べんね。うんめぇぞ」

 

「農家のやさしさが身に染みる―――!」

 

 あ、みずみずしくておいしい。味噌とかつけるとさらにベネ!

 

「あ、私の所でとれた魚もあるからやるわ、大洲の魚とミカン」

 

「ほう、フグであるか」

 

「ヒレ炙ろうぜ」

 

「わしの秘蔵の酒を出そう。こういうのは皆で飲んだ方がいい」

 

「ほお、こんげごっつぉ久しぶりやね」

 

「自由か! お前らッ!!」

 

 そんなぐだ子の心も知らず、男どもは和気藹々と名産に心躍らせ、次々と準備に取り掛かる。

 

「漬けとったもんあるけ、それつまみにすっぞ」

 

「せっかくなら何か狩って来よう。源太、着いてくるか?」

 

「いいな、あの源三位と肩を並べて狩りか。生前じゃ想像もしてなかったな」

 

「身は食うなよ、てっぽうにあたる訳にやぁ、いかんからな」

 

「ふむ、彼らをもてなすとして、肴は味が濃いものか、癖の強いものがいいじゃろうな。酒も辛口がヒレに合おう」

 

 そして各々行動し、頼政と義平はレイシフト装置で狩りに赴き、農家のおっちゃんも漬物を取りに戻り、安治は七輪に火を灯し、少々小太りの男は酒を取りに自室へと戻って行った。

 義平と頼政は猟から帰り、立派な鹿を狩って帰ると、農家のおっちゃんや小太りの男、そして脇坂安治と共に宴会を開始、わはらわはらと笑い、踊り、盛大に楽しむ。

 そんな中、宴会の空気に惑わされぐだ子はただひたすら、胡瓜をかじっていたのであった。

 

「忘れてた、こんなことしてる場合じゃないじゃん」

 

 宴会もそろそろ終わりに近づき、程よく酔いが回ってきたところでぐだ子はそう言った。

 

「え、なんでだ?」

 

「何!? 今宵はそれぞれの遺恨を流しともに酒を組み交わす機会ではなかったのか!?」

 

「せっかく、戦わなくてもよい時代になったのであろう? ならば、この平和を甘受せねば勿体なかろう」

 

「っくはー! うんめぇな!!」

 

 え? 宴会が目的じゃなかったの? と驚く男性陣三名とすでに出来上がっている農家のおっちゃんに頭を抱えつつ、一人沈黙を保つ安治に目を向ける。

 

「チッ、これだから勘のいい女は嫌いだ。酔いつぶれたところで絞めようと思ってたのにな・・・・・・」

 

「ヒェッこわい、マジにしか聞こえない」

 

 一瞬で酔いがさめた。流石小早川秀秋に隠れているとはいえ、関が原で裏切りを敢行し、その後ものうのうと生き延びた男がいう言葉だ。表面でうまく隠しているが、言葉の裏側に妙に殺意を隠している。

 

「なーに、ジョーク、ジョーク。戦国ジョークだ。マブダチの三郎が好色だったせいで武田信玄がバイになるぐらいのジョークだ」

 

「それはジョークというより遺伝では?」

 

 信玄もあれはあれで信義? なにそれ美味しいの。で条約破り大好きの外道武将の一角だ。明らかに遺伝であろう。小笠原は文化、佐竹は武を受け継いでいると考えると妙にしっくりくる気がする。

 

「ていうか、二人ほど聞いてないんだけど。えっと、何だっけ・・・・・・」

 

「もう忘れてきてんじゃねーかお前!」

 

 雰囲気に流され続けた結果、最早何が問題であったのかすら忘却の彼方に飛んでいったぐだ子。男たちのガハハハ―――!と笑う声を聞きながら、必死に頭を動かす。

 

「そうだ、源氏レンジャイだ。源氏レンジャイがおかしいんだった。よし、脇坂はほおっておこう」

 

「えー、無視ィ? 甚内寂しい」

 

「黙れ黙れ! お前は隣の男と乳繰り合ってろ!!」

 

「ごめん、俺一穴主義だから。男となんて無理っすわ」

 

「ファッ!!?」

 

 何!? 戦国武将=衆道ではないのか!? おいどういうことだ、説明しろノッブ!! 『わしにそんなこと言われても?』利家の初体験はお前じゃないのかよーッ!!!!

 

「そもそも女複数とか無理っすわ。ハーレムとかありゃろくなもんじゃない」

 

「確かにな、嫁は一人で十分だ。わしも立場が無ければ、新たに室を迎えることも無かったろうな」

 

「嫁と言われてもなぁ。俺、嫁とそんな詳しく話したこと無かったからなんとも言えないな」

 

 不思議、武将と言えば奥さん作って美女囲い込んでいるという風潮は彼らにとっては効きはしない。

 

「立場があれば、それ相応の室を抱え込まねばなるまい。だが、某が真に愛した女性は菖蒲だけだ」

 

「嫁はなぁー、繋がりっちゅうもんを深めるためにゃ、不可欠だわな。地方ば、地方で固まらんや、とってもでねぇが、たべてけんのや」

 

 あれ? 農家ってただの農家と思っていたが、もしかして地方の有力豪族だったりするの?

 でもなんていうんだろう。みんな英雄と言っても結構ストイックなのね。

 

「子供も、可愛くてのう。目に入れても、痛くない・・・・・・」

 

「うちの亨ちゃんも、真っ当に育ってくれてよかった。あれは、私の誇りだ」

 

「置いて行っちまったんだァ、そうしなければあかん。分かっとったはずなんになぁ」

 

「某に付き添って死んだバカ息子も、生き残って血脈を残した息子も、娘も、幸福な生涯と言えればそれでよい」

 

 そんな、頼政の言葉に対して面を上げたのは、源氏レンジャイの一人である小太りの中年だった。

 

「三位・・・・・・」

 

「今更でありましょう、内府殿。朝廷に踊らされた、馬鹿な男と思ってください」

 

「父は、其方を信用していた。きっと、源平問わず、貴方を友として信用していたのです」

 

「・・・・・・」

 

「無知なわしは、無能なわしは・・・・・・、貴公の心中を察すことは出来ない、それだけに、あの一連の件は驚きました。まさか・・・・・・そんな思いが強かった」

 

「某は貴公が嫌いだ。おそらく、植え付けられた想いなのでしょう。捻じ曲げられた記憶が、まるでまことしやかに某に囁く。貴方に好感など持てない。それでも其方に言うのなら」

 

 緊張が、部屋に孕む。義平はじっとして待ち、安治は何処から取り出したであろう十文字槍を片手に持ち、農家のおっちゃんは静かに動向を見守っていた。

 

「済まなかった。再び戦乱を起こしたことを、お前はただ、平和を望んでいたというのに・・・・・・」

 

「弱きは、ただそれだけで罪。そんな時代に生まれた、わしが愚かだったのでしょう」

 

 ・・・・・・しんみりと、空気が重くなる。

 なんだこのシリアスは、ギャグだったよね。この作品。時々重くなったり感動的になったりするのはなぜだ。

 なまじたかし死亡からのウラド覚醒がある分前例を作ってしまったことは失敗だったのでは?

 

「改めて、申し上げましょう。わしは内大臣、平家棟梁平宗盛と申す、戦に負けたどうしようもない愚か者よ・・・・・・」

 

「あ、はい・・・・・・」

 

 ・・・・・・なんだろう、突っ込める雰囲気じゃないぞ?

 ていうか、空気がそういう空気じゃない、何だろうこれ、しんみり? 郷愁?

 

「あのぉ・・・・・・、そのぉ・・・・・・平氏なので、源氏レンジャイではないですね。はい」

 

 ぐだ子が何とか声を出して言えたのはそのぐらいだ。だってこのオッサン、地味に重い。

 

「わしが平家の棟梁のおかげで鎌倉幕府が立ったと思えば、最も源氏に利益を与えてると言っても過言ではないでしょうな・・・・・・まったく、愚かなことではありますが、ははは・・・・・・」

 

「―――」

 

 だれか、だれか助けて。これはあんまりズケズケいっちゃダメな奴だ。私だって空気は読める、常識はあるんだッ!

 

 そんなぐだ子の願いが生じたのか、レイシフト装置が起動すると。一人の少女が現れる。

 

「やーいクソザコナメクジこれでもくらえッ!!」

 

 宗盛を死の淵に追いやったものだけが、宗盛に石を投げなさい。

 そんなキリストの言葉を免罪符として牛若は宗盛にパイを投げつけた。

 

「家族守れなくてどんな気持ち? 家族全員死の淵に追いやってどんな気持ち? ねぇ今どんな気持ち?」

 

「ニーガタの英霊ってやつ牛若アンチだろ絶対!!」

 

 だって、天才とかむかつくし。そんな作者の願いがこの作品に詰まっている。

 この世界の(作者)はいとも残酷である。

 

「これ以上の牛若は見るに堪えない、しまっちゃおうねぇ」

 

 ありがとう、しまっちゃうおじさん。CVは全然Fateとは関係ない人だけど。

 

「型月作品で見るとCV中田譲治は皆勤賞だっけ」

 

「信長もいっぱいいるしな回す方(島崎信長)回さない方(釘宮理恵)野望の方(神奈延年)

 

「最後コーエーテクモじゃねーか!」

 

「探せばもっといそうだな」

 

 ふむふむと頷き合う新しき源氏レンジャイ。そこで脇坂がいいことを思いついたとばかりに提案してくる

 

「いいことを思いついたぞ、CV〇〇って入れれば読者も良い感じに脳内補完してくれるんじゃなかろうか」脇坂安治CV大川透

 

「てめぇ如きが大川透とか片腹痛いぞ」

 

「おめぇ、頭いいな」源義平CV清川元夢

 

「クソ似合わねぇぞ」

 

「なるほど、では某も」源頼政CVさかなクン

 

「声優ですらねぇ―――!!!!」

 

「人気声優を使えば、わしにも人気が・・・・・・」平宗盛CV釘宮理恵

 

「ネタキャラじゃねーか!!!!」

 

「わしじゃよ」農家のオッサンCV青山ゆかり

 

「のじゃロリでもきつい!! しかもエロゲ声優じゃねーかッ!!!!」

 

 ちゃぶ台をひっくり返すぐだ子、気分は雷親父だ。

 しかし疲れる、こいつらといるとすごい疲れる。すさまじいほどのボケの応酬だ。

 

「リヨさんは誰であろうか」CVさかなクン

 

「ここは、あらゆる英霊を統べるマスターとしての実力を買って、あの人しかいないだろう」CV大川透

 

「いいのではないか? わしは反対しない」CV釘宮理恵

 

「俺も賛成だ」CV清川元夢

 

「ほうか、ならばええな」CV青山ゆかり

 

「「「「「リヨぐだ子のCVは若本規夫で」」」」」

 

「私は今までそんな低い声でしゃべってたというのかよッ!!」リヨぐだ子CV若本規夫

 

「よかったな、BASARAの信長だぞ」CV大川透

 

 また信長が増えるのか、壊れるなぁ。

 

「銀英伝のロイエンタールでもあるな」CVさかなクン

 

 ロイエンタールは設定を並べていくとなろうの主人公とかでよくある人になったりする人だったりする。

 

「ジャイアントロボの戴宗だな!」CV清川元夢

 

 むしろお前が雷属性なんですがそれは・・・・・・。

 

「コード・ギアスのシャルル皇帝という大身分であったものであるのう」CV釘宮理恵

 

 ルルゥーシュ(低音)。

 

「マスオさんじゃ!!」CV青山ゆかり

 

「穴 子 さ ん だよッ!! マスオさんはジャムおじさんの中の人だわ!!!!」CV若本規夫

 

 なぜか、息が荒くなる。こんなにもゼーハーゼーハーいうのは小学校の頃のマラソン大会以来の久しぶりなのではないか。

 幸いにも重苦しい空気からの脱却には成功したのでまずは良しとしよう。

 

「そもそも私がお前らを気に入らないのはただの農家のオッサンを仲間に入れていることなんだよォ!! CVもういらねぇ!!」CV若本規夫

 

「短気な娘だ、これがキレる若者って奴だな」

 

「二十歳の俺がいうのもなんだが嘆かわしいな」

 

「黙れこの裏切り者と脳筋武者!!」

 

 これだから世評を顧みない鬼畜畜生小物戦国武将は嫌いなんだ。最終的に堀田氏から養子をもらって譜代と化し、子爵になって明治維新も生き抜いている勝ち組だ。貴族だ! 平民とは違う上級民だ! 妬みだとか僻みとか言われるがとにかくすごく嫌いだ!」

 

「ぐだ子殿、心の声が漏れておるぞ」

 

 頼政に窘められた。やや恥ずかしい。

 しかしぐだ子はめげない、こいつらを認めてたまるか。ヒーローってのはもっとこう救われてないといけないんだ。

 

「あれは彗星かな・・・・・・? いや・・・違うな。彗星はもっとこう、バァーって動くもんな」

 

「いえ、アレはティアマト彗星でしょうな」

 

「おっ、前前前世ながれちゃう系?」

 

「話聞けよお前らッ!!!! 自由か、フリーダムか!! もう11月だぞ! いつまで『君の名は。』引きずってるんだよ!!」

 

 ああそうだよ、近年まれにみる良作だったよ!! だからってFate二次創作に持ち込むことじゃないからな!!

 なんか突如として農家のおっちゃんがしまっちゃうおじさんの中の人の名言言ったことに驚きつつもぐだ子は身をすり減らしてツッコミを続ける。

 

「致し方なかろう、ニーガタの英霊は『君の名は。』を視聴して長いこと筆が進まなくなってしまったからな」

 

「あと自動車学校で忙しかったってさ」

 

「ニーガタの英霊のことなんざ誰も聞きたないわ!!」

 

 作者のリアル、それはただの言い訳、はっきりわかんだね。

 

「気に入らねぇんだよ、小説の最初に処女作とか豆腐メンタルとかで予防線張る奴なんて!! 読者の批評あってこその小説だろう!!」

 

 ぐだ子は叫ぶ、その思いの丈を。目いっぱい、思いっきり。しかし反対に叩き付けられるのは冷たい現実の波だった。

 

「いや、なろうならともかく、ハーメルンの二次創作でそこまで本気で書く奴いないだろう。二次創作なんか所詮作者の自己満だぜ。書籍化の芽もないし、精々遊び半分だ。趣味の範囲だ」

 

「書物など、所詮は売れるか売れないか。そんな厳しい世界じゃ。印税でクラスなど所詮は夢のまた夢、わしのような無能のように身の丈に合わない行為をすると必ずや後悔することになろう」

 

「某も聞いたことがある、その昔、なろうやにじファンにはまって、留年した高校生の話や受験に失敗する中学生」

 

「おいおい、そんな奴いるのかよ、所詮は遊びの範疇だろ? きちんと割り切って、学生なら将来の為に勉強しろよ・・・・・・」

 

「ヤメロー聞きたくなーい!! そんな現実聞きたくなーい」

 

 空想の中でぐらい、自由に生きたっていいじゃないか。涙を流し、前を向く、だって、だってそれでも彼らは二次創作を描くんだ。

 

「それでも、それでも私たちは書き続けるんだ。駄作だとしても、未熟だとしても、見るに堪えない痛い黒歴史だとしても! 面白いと思ったから書きたいんじゃないかッ!!」

 

 それが、何よりの叫び。ぐだ子のそしてハーメルンの二次創作作家たちの想いと信じて―――!

 

「―――こんなSSの場面で、何マジになっちゃってるの。活動報告で言っとけよ」

 

「ムキーッ!!!!」

 

 脇坂安治、ぐだ子がヒートアップしたところで梯子を外す。

 

「ころちゅ」

 

「おいおい、人を簡単に殺すなんて言っちゃダメでちゅよー」

 

 わかった、コイツ天性の煽りストだな。発言の一つ一つがヘイトを稼ぐ一助と化している。いやらしい奴だ。

 だが落ち着け、落ち着け私。今の私はリヨぐだ子。戦闘力ならソロモンすら締め上げることが出来る実力の持ち主だ。高々サーヴァント程度へし折れる。

 そう思った矢先に、脇坂は私に向かってこう言った。

 

「いいのか、暴力を振るって、いざとなれば、マブダチのサブちゃん呼んでお前を72時間犯し続けることになるぞ。その間、俺は隣でお前を煽り続ける」

 

「ふん、私に欲情する奴がいるとでも?」

 

 何せこのビジュアル。このギョロ目、二頭身、高い肉体スペック。勝てる奴などそうはいない。

 

「三郎は言っていた、オナホ妖精ってロマンだよなって」

 

「すいません、勘弁してください」

 

 アカン、この小説R-18に行っちゃう。それだけはアカン。管理人さんに注意されちゃうことになる。

 

「ツッコミポジは駄目だな、戦闘力が100分の1にまで劣化してしまう」

 

 そう言ったぐだ子の表情はどこか晴れ晴れとしていた。

 

「戦わずして勝つ、これが戦の常道よ」

 

「―――脇坂お前・・・・・・」

 

「これが、私のヒーローとしての道だ」

 

 そう言った脇坂の笑顔はどこか安らいでいて、何の憂いもなかった。

 

「大丈夫だよぐだ子。オレも、これから頑張っていくからさ」

 

「―――」

 

 そして彼はその儚い笑顔を見せたまま、光り輝くレイシフト装置に導かれ―――

 

「いや、行かせねぇよ! どこに行こうとしてるんだおめぇは!!」

 

「チッ、バレたか」

 

「会って数分だけどな、お前の心は大体わかってるんだよ。名言レイプしやがってよ」

 

 なんかうまい具合に終わらせようとしていた脇坂を捕縛し、そのまま押さえつける。

 

「私思うんですけどね、そろそろエミヤさん休ませましょうよ。いつもどこかの世界に行って戦ってるじゃないですか」

 

「しょうがないだろエミヤ人気なんだから」

 

 恋姫の世界からハイスクールD×D、或いは同じFateの世界。ハーメルンでエミヤさんを見ない日はない。

 

「あと八幡くん、比企谷八幡くんも。このままじゃ彼ら過労死するぞ。代わりに私が主人公するからさ!」

 

「ただ単に出番欲しいだけだろ!!」

 

 艦これ世界とか、私溶け込める気がするんですよ。淡路水軍知りません? あれ率いてたの私ですよ。

 

 そういって脇坂はこれでもかと自分をプッシュする。その積極性だけは評価に値するが、いかんせん性格が鬼畜畜生小物外道なので主人公には向かない。かませキャラするにしても落第騎士の桐原静矢君のようなカルト的な人気を博しそうである。

 

「失敬な、私はただ次回作の大河主人公になりたいだけだ!」

 

「地味に野望デカいなお前!!」

 

 井伊直虎より私の人生の方が面白いですって絶対! 黒田官兵衛がなれて自分がなれないなんてことはあり得ない。などと言った主張を続ける脇坂安治。ナチュラルに人を見下すその精神性だけは感嘆に値する。

 

「落ち着くんだぐだ子殿、そしてしっかりと記憶し、受け止めるのだ。馬鹿は死んでも治らない」

 

「・・・・・・悲しいこと言うなよ、源三位頼政」

 

 脇坂安治はどう足掻いてもこういう人間なのだ。戦国時代という闇が彼という巨悪を作り出してしまった。悲しい、寒い時代だった。

 

「時代が悪いんだ! 私は悪くない!」

 

「やっぱお前が悪いわ」

 

 キャラが濃い、ひたすら脇坂のキャラが濃すぎる。

 

「あわよくば、この短編の準レギュラーに成りたい」

 

「オリキャラは準レギュラーになれるわけねぇだろ! 自重しろっ!」

 

 脇坂とぐだ子は互いに取っ組み合いを続け一歩も引こうとはしない。

 仲が悪いようでコンビとしてみればそれほど悪くない、トムとジェリーのような関係であった。

 故にその様子を残りの源氏レンジャイたちは生暖かい目で見つめていた。

 

「なんだお前は、もしかして自分がこの戦隊のリーダーだったりするのか? リーダーだから好き勝手に振る舞っていいと?」

 

「リーダー? 馬鹿いってんじゃねぇ。私がリーダーな訳ないだろ。お前は自分がマスターだからといって一番偉いと勘違いしてんじゃねぇか?」

 

 堪忍袋の緒が切れる。そんな風な音がした。

 

「面出ろや、おらぁ!!!!」

 

「喧嘩売ってきたのはぐだ子、お前だ。吐いた唾飲みこむなよォ!!」

 

 二人は決裂、今にも殺し合いが始まらんとする。

 

「新羅三郎義光呼んでこい! エロシーンの始まりだ」

 

「やってみろや! フタレターのごとくギャグにしてやんよ!!」

 

 ぐだ子、今すぐち〇こを生やしてふたなりになるんだ!

 

「了解、みさくらなんこつ!!」

 

 どこかでどこぞの先生の声が聞こえた。その言葉に導かれるようにぐだ子が服を脱ごうとした、その時のことである。

 

「勅命である―――双方、矛を収めよ」

 

 瞬間、肉体にとてつもない負荷がかかる。息すら止まるごときその重圧に、流石のぐだ子も立つのがやっとであった。

 

「お前は、いや、貴方は一体・・・・・・」

 

 辺りを見れば、彼女の周囲、脇坂安治ですら一人の男にひれ伏し、皆一様に頭を垂れる。

 

「安治が無茶をした。赦してくれ、奴はこれといって特徴のない地味な奴でな、悪いやつではないのだ」

 

「脇坂が地味な奴なら、世の中の人全員無個性になるわ・・・・・・」

 

 ぐだ子が金縛りのように動きを止め、緊張を孕んだ声に変わる。

 尊大にして荘厳。高貴にして清貧。そんな言葉では足りない男がそこにいた。気づくべきだった、福井の訛りで農耕を行っていたあの人物の存在を。あれこそ、あの人こそ、今の日本そのものであることを。

 

「そういえば・・・・・・、まだ名を、いっていなかったな―――余は男大迹王。継体天皇をといった方が分かりやすかろう。源氏レンジャイの首魁よ」

 

 現代天皇家の皇祖様がなんばしょっとね!?

 

「馬鹿野郎! お前ら本当に馬鹿野郎!! どうして天皇なんて持ってきたんだ!!」

 

「陛下を無礼るな、日本出身鯖の中でも上位に来る弓の名手だぞ」

 

「余のクラスはアーチャーだ」

 

「頼政とかぶってるんですけどぉ!!」

 

「仕方ないのぉ、ルーラーでもいい」

 

 すごいぞ天皇、ヤバいぞ天皇。継体天皇は竜の上位種である龍を追い払った実力を持つガチ英雄だ。同クラスで明確に上位者と言えるのは桃太郎の元ネタの吉備津彦とか神武帝ぐらいじゃないか?

 

「こんなギャグ短編に出てくるお方じゃないよ、もっとシリアスな聖杯戦争に出れる人だよ。ていうかもう、源氏レンジャイじゃない。大和戦隊とかでいいんじゃないかな?」

 

「「「!!?」」」

 

「ぐだ子お前、頭いいな」

 

「やはり天才か・・・・・・」

 

 その発想はなかった。まさか源氏にこだわらなくていいという逆転の発想、男大迹王以下の面々は驚嘆する。

 

「クラスは如何にすべきか、陛下がルーラーであれば、ライダーが被ろう」

 

 頼政が音頭を取ると、次々に意見を述べる

 

「アドミラルというクラスにしよう、艦これ二次創作作家に目を付けられたいし」

 

 新しいエクストラクラスであるアドミラルを脇坂が錬成すると、次々にほかの鯖も自分に合ったクラスを述べる。

 

「わしはスイマーにしよう、こう見えても泳ぎだけは得意じゃった」

 

 平宗盛は唯一の特技である泳ぎを元にスイマーに。

 

「では某はポエマーにしよう、こう見えてそれなりに詩は嗜んでいた」

 

 頼政は詩歌を好んでた故にポエマーに。

 

「俺、怨霊になれるからスピリットにするか」

 

 義平は持ち前の雷伝説からスピリットに。

 

「「「「「完璧だ!!」」」」」

 

「ああそうだな、完璧だな。誰一人として基本クラスでないのを除けばな!!」

 

 コアすぎるわ、こんな戦隊。

 

「大和戦隊源氏レンジャイ、完璧だな」

 

「違う違う、大和戦隊は兎も角、源氏レンジャイいつまで引きずってるんだよ」

 

「では大和レンジャイか」

 

「全員エクストラクラスだからエクストラレンジャイはどうだ?」

 

「いや、ここは我らが友であるぐだ子の名前をとってぐだ子レンジャイにしよう」

 

「わたしゃ、敵だよ。なんで敵の名前取ってくるんだよ」

 

 馬鹿かね脇坂。

 しょうがねぇだろ、人殺ししかやってこなかったんだから。

 

 そんな殺伐とした会話を、ぐだ子と脇坂は微笑みながらやっていた。

 

「さて、そろそろお開きにしようか」

 

「え、ちょ・・・・・・どこ行くの」

 

 突如として帰り支度を始めた源氏レンジャイもとい大和戦隊の男たち。

 

 戦わないんすか? そんなリヨぐだ子の疑問をガン無視して赤ら顔で奴らは一人ひとりレイシフト装置から遠ざかっていく。

 

「所詮某たちは代役、偏に高祖母様に頼まれただけである」

 

「そうそう、俺も弟妹たっての願いだったからな。本命が来るまでのつなぎでしかねぇ」

 

「敗者に意見を言う権利はない。なに、わしはただお呼ばれしただけの無力な男じゃ、戦っても肉壁にしかなれん」

 

 そう言って、急にドライな反応を示す、比較的まともな三人の対応にぐだ子は急に心が覚める思いがした。

 

 なんだろうこの気持ち、凄い寂しい。

 

「次、救世戦隊メシアンズが来るとだけ報告しておこう」

 

「は?」

 

 救世とメシアという言葉に真顔になるぐだ子。完全に例のあいつらじゃないですかヤダー。

 戦う? メシアだ、誰も勝てんぞ・・・・・・。塵一つ残さず死ぬ。

 

 圧倒的恐怖と、約束された絶対なる敗北を宣言される中、ぐだ子の肩を一人の男が優しく叩いた。

 

「私は、お前のことが大好きだったぞ」

 

「脇坂・・・・・・」

 

「大谷吉継ぐらい好ましい人間だ、一週間ぐらいは忘れない」

 

「救世主たちが来たら、お前を盾にするわ」

 

 脇坂は令呪で出荷する。そんな思いを決めた、リヨぐだ子であった。

 後ろでらん豚になってそんなーと言っている脇坂を尻目に、来週はどうやって生き残ろうと、遠い目をぐだ子はしていたのであった。




義光・安治「みんな、僕らが活躍する二次創作小説を是非とも書いてくれ!」
リヨぐだ子「出来れば惨めに死ぬ奴を頼んだ!」


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源氏たちのF/GO ステータス

ギャグ本編は不真面目でも、ステータスだけは真面目な短編、それがF/GO短編集である。


【CLASS】ライダー

【マスター】

【真名】源新羅三郎義光

【性別】男性

【身長・体重】170cm・66kg

【属性】混沌・善

【ステータス】筋力B 耐久C 敏捷A 魔力D 幸運A 宝具A+

 

 

【クラス別スキル】

対魔力:C

 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。

 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。

 

 

騎乗:B

 騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、

 魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。

 

【固有スキル】

武芸十八範:A+

 合戦を行うにあたって武士が身につけておくべき武芸の技能。

 剣術、柔術、弓術、槍術、馬術等の古武術のほか、

 見切り、心眼(真)、宗和の心得、勇猛、軍略など専業スキルに対し補正が付く。

 義光は合気柔術の開祖や小笠原流、武田流などの流鏑馬の古の武家の心と形をいまに伝えている。

 

 

計略:A

 物事を思い通りに運ぶための才能。状況操作能力。

 戦闘のイニシアティブ判定において常に有利な修正を得る。

 

 

反骨の相:B 

 権威に囚われない、裏切りと策謀の梟雄としての性質。

 同ランクの「カリスマ」を無効化する。

 

 

【宝具】

『楯無』

 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:― 最大捕捉:―

 清和源氏に代々伝えられたという8種の鎧である源氏八領の一つ。

 その堅牢さから盾がいらないと言われ、甲斐源氏に伝来した家宝。八領の内唯一現存する宝具であり、現代でも貴重な一品。

 通常攻撃では傷一つ付かず、盾の如き堅牢さを持つ鎧であり、同ランク以下の宝具の攻撃を無効化、同ランク以上であっても、ダメージを半減する効果を持つ。

 

なお本人は『薄金』の方が着たかった模様。

 

 

『御旗』

 ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:― 最大捕捉:―

 甲斐源氏によって脈々と受け継がれてきた日章旗であり、現存する最古の日章旗とされる。

 日本の象徴である日輪を掲げ、その威光の光の下に義光以下、彼の血族である武田氏、佐竹氏、小笠原氏、南部氏を召喚。彼が夢見た源氏の棟梁の如き威光を示す。

 

 おき太の持つ『誠の旗』の強化版。

 

 

【Weapon】

『無銘・弓』

 義光愛用の弓。八幡太郎義家を別格とすればその弓馬の腕は源氏有数であったとされる。

 

 

【解説】

 源氏が生んだ最強のぐう畜有能の始まり。身内争いのほとんどはこいつが悪い。

 その気になれば実の兄だろうが甥だろうが葬ってちゃっかりいい位置を独占するぐらいたちが悪い。

 牛若丸の祖父の大叔父という身分である。大叔母に源頼光がいる。義経と頼光の漢字を合わせると義光になるのはなぜだろうか。何かを暗示しているのだろうか?

 聖杯にかける願いがあるとしたら源氏の棟梁になりたいとのこと。

 

Q源氏に聞きました嫌いな身内は?

義忠「三郎叔父さん」

義綱「三郎」

為義「大叔父の新羅三郎とかいう畜生」

 

 

 

 

 

【CLASS】バーサーカー

【マスター】

【真名】源対馬守義親

【性別】男性

【身長・体重】174cm・81kg

【属性】混沌・狂

【ステータス】筋力A 耐久A 敏捷B 魔力C 幸運C 宝具

 

 

【クラス別スキル】

狂化:B

 全パラメーターを1ランクアップさせるが、理性の大半を奪われる。

 

 

【固有スキル】

直感:B

 戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を”感じ取る”能力。

 視覚・聴覚に干渉する妨害を半減させる。

 

 

戦闘続行:C

 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、死の間際まで戦うことを止めない。

 

 

仕切り直し:C

 戦闘から離脱する能力。

 また、不利になった戦闘を戦闘開始ターン(1ターン目)に戻し、技の条件を初期値に戻す。

 

【宝具】

『悪対馬守』

 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:― 最大捕捉:―

 剛勇で知られ、後に朝廷に討伐されたバーサーカーの持つ逸話が昇華されたもの。

 マスターの令呪を消費することで、このサーヴァントは令呪一画につき、同等の存在を召喚することが可能。

 最大で二人までの同時運用が可能であり、例え倒されたとしても最大で四回の再臨を可能とする。

 

 

【解説】

 新羅三郎の甥であり、牛若の曾祖父にあたる人物。

 根っからの暴れん坊でまさしくバーサーカーたるに相応しい逸話を持つ。

 

 

 

 

 

【CLASS】ライダー

【マスター】ぐだ子

【真名】源範頼

【性別】男性

【身長・体重】165cm・56kg

【属性】秩序・中庸

【ステータス】筋力C 耐久C 敏捷C 魔力C 幸運B 宝具A+

 

 

【クラス別スキル】

騎乗:C

 騎乗の才能。大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせるが、

 野獣ランクの獣は乗りこなせない。

 

 

対魔力:C

 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。

 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。

 

【固有スキル】

情報抹消(偽):B

 対戦が終了した瞬間、一つでもアサシンのステータスより上回っている相手がいる場合、

 或いは相手がそう認知している場合、

 目撃者と対戦相手の記憶から彼の能力・真名・外見特徴などの情報が消失する。

 アサシンの時よりも偽装が働かない為、ランクが下がっている。

 

 

勇猛:B

 威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。

 また、格闘ダメージを向上させる効果もある。

 

 

軍略:C

 一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。

 自らの対軍宝具の行使や、逆に相手の対軍宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。

 

【宝具】

『参州代将軍』

 ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:10000人

 平氏追討、その総大将として兄より直々に命じられ、見事平氏を打ち滅ぼした範頼最大の偉業。

 幕府から派遣された将たちを統括し、命ずるがままに相手を打ち滅ぼすまで止まらない武家の棟梁のその代行としての権限。生涯不敗たる軍の統括は彼が最も得意としたものである。

 

 

『虎月毛』

 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:― 最大捕捉:―

 平家討伐の際、九州に降り立った範頼が名門である菊池氏に与えた名馬、

 あるいは自身の旧臣である九門修理飼育していたとされる長命馬。

 五百年は生きたとされる。

 

 

【解説】

 ライダー版範頼君。温厚な性格であるが、いざ戦が始まると自分も戦いたくなるぐらいには好戦的。

 名馬らしい名馬を所持していたためにライダーにもなれる。

 

 

 

 

 

【CLASS】セイバー

【マスター】

【真名】源義平

【性別】男性

【身長・体重】180cm・77kg

【属性】混沌・善

【ステータス】筋力A 耐久B 敏捷B(A+++) 魔力D 幸運D 宝具A

 

 

【クラス別スキル】

対魔力:A+(B)

 A+以下の魔術は全てキャンセル。

 事実上、魔術ではセイバーに傷をつけられない。

 

 

騎乗:B

 騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、

 魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。

 

 

【固有スキル】

勇猛:A

 威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。

 また、格闘ダメージを向上させる効果もある。

 

 

直感:B

 戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を”感じ取る”能力。

 視覚・聴覚に干渉する妨害を半減させる。

 

 

魔力放出(雷):A+

 武器ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出する事によって能力を向上させる。

 セイバーの死後に残した伝説によってその身に雷を纏わし、真名解放と同時にその身を雷に変化させる。

 

 

【宝具】

『八竜』

 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:― 最大捕捉:―

 源氏八領の内の一つ。全身に八大龍王の飾りがつけられた甲冑であり、

 霊験あらたかな守護を持つ鎧、単純なダメージの抵抗のほか、その本領は対魔力の高さにあり、

 セイバーはこの鎧を身に纏い妖魔や狒々などの怪物を打ち払った。

 

 

『悪源太蹴雷(あくげんたしゅうらい)』

 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:― 最大捕捉:1人

 死の間際において「雷になって蹴り殺してやる」と宣言し、後に雷となって自らの仇を討った逸話が昇華されたもの。

 自らの肉体を雷に変質させることで使用し、自身の敏捷値をA+++。

 雷速と同等にし、対象である人物に攻撃を与えるまで相手を狙い続ける。

 

 

『祖師野丸』

 ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:2~4 最大捕捉:1人

 セイバーが狒々退治に使用し、後に八幡宮に奉納されて神剣となった一振りの大太刀。

 現在でも現存する剣であり、神威を備え、妖魔、悪鬼に対し治療不可の攻撃を放つことが可能。

 

【Weapon】

『石切丸』

 セイバーが戦場において愛用した大太刀。

 

 

【解説】

 播磨守義朝の嫡男で本来の源氏棟梁となれる逸材であった勇猛果敢な若武者。

 セイバーとしては利器型の剣と発動型の雷変化を使える良鯖。武士らしい人物であるが脳筋なのが玉に瑕。

 召喚されたとき範頼からは歓迎されたが、牛若からは違う、そうじゃないと言われた悲しい過去を持つ男。

 

 

 

 

 

【CLASS】アーチャー

【マスター】

【真名】源三位入道頼政

【性別】男性

【身長・体重】166cm・66kg

【属性】秩序・善

【ステータス】筋力C 耐久C 敏捷B 魔力D 幸運C 宝具B

 

 

【クラス別スキル】

対魔力:C

 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。

 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。

 

 

単独行動:C

 マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。

 ランクCならば、マスターを失ってから一日間現界可能。

 

【固有スキル】

千里眼:C

 視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。

 さらに高いランクでは、透視、未来視さえ可能とする。

 

 

心眼(真):C

 修行・鍛錬によって培った洞察力。

 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”

 逆転の可能性が数%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。

 

 

追撃:C

 離脱行動を行う相手の動きを阻害する。同ランクの『仕切り直し』を無効化し、

 相手が離脱しきる前に、一度だけ攻撃判定を得られる。

 

 

【宝具】

『雷上動』

 ランク:B 種別:対人・対軍宝具 レンジ:1~50 最大捕捉:100人

 元は文殊菩薩の化身、楚国の養由基の娘椒花女より源頼光が夢中に授けられた弓。

 文殊菩薩の両眼よりつくられた『兵破』『水破』の二本の鏑矢が備わっており、

 兵破は射ち抜いた者の霊的、魔的加護を失わせ、霊核そのものを損傷させる必滅の矢であり

 水破は天空に向かって射ることによって結界を形成させ認識阻害や気配遮断、魔術の効果すら打ち消し、

 アーチャーに居場所を察知させる。

 また『雷上動』の弦を鳴らした音色を用いて魔を払い病を退け、

 あらゆるバットステータス、精神干渉を無効化する。

 

 

【解説】

 高祖夫が女性だった件

 別名馬場頼政。武術と芸術を愛する平安軍事貴族であり、基本的に心優しい青年。

 朝家の臣として生まれ、そして以仁王の挙兵で自害した。基本的に心優しい脳筋だが、時流を見る目はある。

 その弓の腕は鎮西八郎に並ぶ腕である。

 兵破は相手がサーヴァントであれば必殺であり、水破は地形での優位を撤廃させ、陣地作成スキルを破壊し、アサシンの気配遮断を見抜くなど最弱いじめを敢行できる。

 

 

 

 

 

【CLASS】ライダー

【マスター】

【真名】脇坂甚内安治

【性別】男性

【身長・体重】164cm・59kg

【属性】混沌・善

【ステータス】筋力C 耐久C 敏捷B 魔力D 幸運A+ 宝具B

 

 

【クラス別スキル】

対魔力:A+++

 A+++以下の魔術は全てキャンセル。

 事実上、魔術ではライダーに傷をつけられない。

 また本来魔術ではない呪術などの自然を元とした術すら無効化する。

 

 

騎乗:B

 騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、

 魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。

 

【固有スキル】

貂の皮:―

 ライダーが所持したとされる貂の皮で作られた槍鞘。

 ライダーの勇武を表す象徴のほかに、自らの武功を脚色し脇坂家の威光を知らしめるためのものとされる。

 自らのステータスを隠さず、あえて誤認させ戦力を見誤らせるほか、

 Cランク程度の戦闘に関するスキルを自身に付与することも可能。

 持ち前の演技力や詐術によって敵をだます、姦計と狡知の象徴である。

 

 

嵐の航海者:B

 船と認識されるものを駆る才能。

 集団のリーダーとしての能力も必要となるため、軍略、カリスマの効果も兼ね備えた特殊スキル。

 

 

鑑識眼:A 

 人間観察を更に狭くした技術。対象となる人間が

 将来的にどのような形で有用性を獲得するかの目利きに極めて優れている。

 ライダーの場合、時代の最終勝利者を見極め、それに追従することによって戦国の世では珍しい大往生を遂げた。

 

【宝具】

『脇坂艦隊』

 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:― 最大捕捉:―

 ライダーの所領である淡路や伊予において活動していた水軍衆であり、所領を得た脇坂が熊野水軍の棟梁である九鬼嘉隆に学び、一角の軍として朝鮮や小田原征伐の海上封鎖、海戦で活躍した秘蔵の軍。

 1000人ほどの小規模の海軍であるが、脇坂の巧みな運用によって非常に精強かつ勇猛な軍となっている。

 

 

【Weapon】

『無銘・十文字槍』

 ライダーが賤ケ岳の戦いにおいて使用し、柴田勝政を討ち取ったとされる槍。

 其の武功を以てして賤ケ岳七本槍の一角として名声を高めた。

 

 

【解説】

 戦国時代の最終勝利者。

 一度は仕えた浅井家が滅んだものの、その反省を生かして徐々に石高をあげ、外様大名だったが戦国時代が終わった後に願い譜代となって譜代大名と化し、明治政府では子爵家になった名門中の名門。

 基本的にリアリストであり、性根は小物。しかし、卓越した先読みの目で戦国を生き抜き、裏切り者の汚名を自分より目立った小早川秀秋に擦り付けることでヘイトを減らした隠れた傑物。

 大阪の陣では自身が隠居し、倅に武功を積ませることでうまい具合に世代交代を成し遂げたり、賤ケ岳七本槍の中で最も長く生き、最も幸福な死を遂げ、関が原の裏切りでは大谷吉継の呪いを無効化し、穏当な生涯を送るなど幸運な生涯を遂げた。

 生涯に愛した妻は一人でありながら、その妻との間に子供をポンポン作るなど愛妻家でもある。

 

 

 

 

 

【CLASS】ライダー

【マスター】

【真名】平宗盛

【性別】男性

【身長・体重】166cm・98kg

【属性】中立・中庸

【ステータス】筋力E 耐久E 敏捷E 魔力E 幸運E 宝具E

 

 

【クラス別スキル】

対魔力:D

 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。

 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

 

 

騎乗:C

 騎乗の才能。大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせるが、

 野獣ランクの獣は乗りこなせない。

 

【固有スキル】

仕切り直し:C

 戦闘から離脱する能力。

 また、不利になった戦闘を戦闘開始ターン(1ターン目)に戻し、技の条件を初期値に戻す。

 

 

無知無能:EX

 史跡において優れた業績が無く、歴史に汚点を残した愚者として評された存在。

 自身のステータスをすべてEランクとし、自身では戦うことすらままならず、宝具の展開もまともに出来ない。

 ライダーは戦いにおいて勝利すること不可能であることが運命レベルで決められており、自身のあらゆる行為が敗北へとつながる結果をもたらす可能性すらある。

 『平家物語』や『源平盛衰記』に記されたあらゆる愚行と脚色によってあらゆる存在から侮蔑を受け、引き立て役とされている。

 

 

【宝具】

 『盛者必衰の理』

 ランク:EX 種別:対人理宝具 レンジ:― 最大捕捉:1人

「祇園精舎の鐘の声。諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色。盛者必衰の理をあらわす。

 おごれる人も久しからず。ただ春の夜の夢のごとし。たけき者もついには滅びぬ。偏に風の前の塵に同じ」

 盛んな者は必ず滅びるという人間のどうしようもないあり方とその性質を表した言葉であり、世界の真実である。

 栄華を極め、形あるものはいずれ滅ぶという無常を是とし、自らの滅びを認めることで、指定した人物を道連れとして共に滅びを強制する、逃れられぬ人理の現象。

 時代は流れ、古き慣習は淘汰され、そして人は新しい体制、文化、人理を求める。そしてその中で何を受け継ぎ、何を捨てるのかは、後の人が決めることである。

 この宝具から唯一逃れ得るのは太古の昔より一度たりとも滅んだことの無い現天皇家だけである。

 

 

【Weapon】

『小烏丸』

 平氏に代々伝わる名刀であり、本来は宝具級の一品であるが、無知無能のスキルによって使用できない。

 

『唐皮』

 宗盛の祖先が不動明王より譲り受けたとされる鎧。

 敵の矢から身を守ることが出来るなどが出来るが、無知無能のスキルで宝具としては使用できない。

 

『木下』

 平家物語によって源頼政の子である仲綱より譲り受けた名馬。

 無知無能のスキルによって宗盛を殺さんばかりに憎んでいる。

 

 

【解説】

 源平合戦における平家の棟梁。無能の癖に、頑張れば英雄王を倒せる宝具を持つ反則鯖の一人。

 性格は非常に善良であり、官僚としては非常に優秀であるが、武士としては二流の人、何度も政治的決着を模索したものの、源氏の兵士たちは皆脳筋、朝廷も新参者の平家を切り捨てるチャンスと切り捨てた結果、脳筋たちは義経を筆頭に粛清、朝廷も権力基盤を失うこととなり、最終的に鎌倉でぬくぬくしていた頼朝の最終勝利が決まったという頼朝における最MVPである男。

 基本的に無能として描かれるものの、上として立つ能力がないだけで官僚としての実務能力は優秀、実際源氏に囚われ、逗子付近に暫く軟禁されていた時、宗盛と交流した人間の心をつかむなど人間的な魅力はあった模様。

 

 

 

 

 

【CLASS】アーチャー

【マスター】

【真名】男大迹王(継体天皇)

【性別】男性

【身長・体重】169cm・58kg

【属性】秩序・善

【ステータス】筋力B 耐久C 敏捷C 魔力A 幸運A+ 宝具A

 

 

【クラス別スキル】

対魔力:A

 A以下の魔術は全てキャンセル。

 事実上、現代の魔術師ではアーチャーに傷をつけられない。

 

 

単独行動:A

 マスター不在でも行動できる。

 ただし宝具の使用などの膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。

 

【固有スキル】

皇祖:A

 同ランクのカリスマと神性、皇帝特権を備える特殊スキル。

 現天皇家における皇統の初代であり、その祖である皇家の始祖であるアーチャーは、

 日本における文明・文化・伝統の頂点その始まりともいえる。

 日本という地に生まれた英霊はすべからずアーチャーにひれ伏すものとし、反逆者や荒神、アーチャー即位以前の人物等の一部を除いて、アーチャーに危害を加えることは心情的、物理的に不可能である。

 

 

千里眼:B

 視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。また、透視を可能とする。

 さらに高いランクでは、未来視さえ可能とする。

 

 

魔力放出(水):A

 アーチャーに備わる先天的な治水の御業。

 水の流れを読み、魔力を纏わせることでその流れを利用して攻撃と防御に使い、

 応用として恵みや癒しなどにも転用が可能。

 また千里眼と合わせて地脈にある水源を見つけ、間欠泉の様に地形を変えることも可能とする。

 

【宝具】

『足羽山の立矢』

 ランク:A 種別:対人、対軍宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:600人

 九頭竜川の黒龍を打ち払い、岩を貫き水を湧かせた逸話が宝具に昇華されたもの。

 あらゆるものの滞った部位を貫くことで毒素や弱点を先天的に貫く、致命の一撃。

 故に逸話から弱点が知れるものは無意識にその部位を狙われることとなる。

 また地中を打ち抜くことで、岩を貫き、水を湧かせることで対軍クラスの水の奔流によって敵を洗い流す。

 

 

【解説】

 福井県出身の最強のサーヴァントと言えばおそらくこの男。現天皇家の直系の最初である皇祖の一人。

 同じく皇祖のスキルを持つのは初代神武と10代崇神ぐらいであり、歴代の中でも上位の格を持つ天皇と思われる。農業や内政、治水に造詣の深い一面のほか、弓の名手であり、九頭竜川の龍を鎮めるなどの伝説を持つ武人の一面を持つ。




源氏身長シリーズ
義平>180cmの壁>頼光>義親>義光>170cmの壁>義経(牛若)>頼政>165cmの壁>範頼
当時の女性の身長として見たら電柱飛び越え摩天楼レベルの源氏女子の身長


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