咲-Saki- 神域を継ぐもの (スレ主)
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本編
一話


咲とアカギのクロスオーバーと見せかけた
ただのオリ主最強もの←最強とは言っていない

妄想をまんま文にしたんでめっちゃ読みづらいと思います
あと主人公の口調はちょくちょくブレるのは仕様です

そして1番大事なことですが作者は小説を投稿するのは初めてです
至らない点やルールなど全く知らないのでそういうことを教えてくださると助かります



「ふぅ、とりあえずこれでよし」

 

鏡の前で身だしなみを確認して外に出る

 

「本当に山しかないな」

 

通学路をどこを見ても山が見える

 

四月の割には少し寒く制服の中にはカーディガンを着ないと中々堪えるものがある

ゆっくりと歩き学校の近くになると綺麗な桜が咲いている、満開とは言いがたいが8分咲くらいだろう

 

校門をくぐり昇降口で自分のクラスを確認して教室に入る

一番最初に目に入ったのは背の高い金髪男子だ

 

いろんな髪色があるが金髪というとチャラいとか不良などそんなイメージがある、そして体付きがいいせいか余計に不良ぽく感じる

しかし、顔を見てみると不良ではないなと確信した

 

テレビのアイドルがニコニコ笑いながら話していても「コイツ性格悪そうだな」とか「この人優しそうだな」と感じることがある

それはおおむね間違ってはいない

 

その人の性格や雰囲気などというのは大概顔の表情で決まると言ってもいい

不良とかヤクザも意識的に強面の顔をしてそれが普通になってしまう

だから俺は金髪の顔を見て不良でもチャラい男でもないと判断した

 

「おっ、君もこのクラス?」

 

「おう」

 

「よし、俺の名前は須賀京太郎、金髪で不良扱いされるけど全く持って不良ではないからそこんところよろしく」

 

「おうよろしく、俺は小高達也一年間よろしくな」

「おうよろしくな」

 

そして、さっきから須賀の後ろに隠れてる女子生徒がいるんだが

 

「ほら、咲クラスメートに挨拶くらいはしとけよ」

「むっ、無理だよ京ちゃん女子ですら挨拶できなかったのに」

「せっかくの高校生になったんだからもう少し頑張ってみろよ」

 

二人してコソコソ喋っているが丸聞こえなんだよな

須賀が女子生徒を無理矢理俺の前に立たせた

 

「えっ、えっひょ、みやなにゃがさきです、よろしくおねぎゃいします」

 

バッと頭を下げサッと須賀の後ろに隠れる

正直カミカミでなに言ってるか全然わからなかったけど

 

「おうよろしくな、宮永さん」

 

ちゃんと礼を返すのが礼儀だ

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん、二人は地元の中学からなんだ」

「そうそう、ついでに咲は中学からあんな感じでさ、全然友達いなかったんだよ」

「きょ、京ちゃん、そんなこと言わなくていいからっ‼︎」

「まぁ、これから作っていけばいいんだよ、なっ咲?」

「別に本だけ読めればいいんだけど……」

「華の女子高生のセリフじゃねぇな」

「いいもんっ‼︎」

 

なんともまぁ、仲のいいお二人で

 

「んじゃ、俺ちょっと噂の美少女見に行ってくるから達也、咲のことよろしくな」

「えっ?ちょっ‼︎京ちゃん」

「うんじゃ頼むねー」

 

多分だが宮永さんのこれからの成長を期待し俺と二人きりにした須賀…いや、もう京太郎でいいか、

京太郎………二人きりはちょっとキツイぞ主に宮永さんが

 

「ふぇ、えっとえーっと」

 

ただいま絶賛テンパり中だな

ここは男の俺がリードしないと

 

「よくよく考えたら、俺宮永さんのこと名前しか分からないからいろいろ聞いてもいいかな?」

「はいっ‼︎大丈夫です‼︎なんでも聞いて下さい」

 

じゃあ早速気になったことを聞いてみますか

 

「宮永さんは京太郎と付き合ってるの?」

 

「へ?」

 

最初は質問の意味を理解できなかったのかリアクションが薄かったのだが、急に顔を赤くして

 

「ち、違います‼︎‼︎」

 

クラスメートの数名がこっちを見るくらいには大きな声を出したな

 

「あっ、えっと、京ちゃんとはそういう関係ではなく、ただの友達です………ハイ」

 

なんか喋るたびに勢いがなくなってきてるな

 

「なるほどね、うんじゃ趣味とか特技とか教えてよ」

 

これ以上京太郎との関係を聞いたら宮永さんのダメージ大きくなるのでやめよう

 

「趣味は読書で特技は料理とかです」

「へー自炊とかしてるの?」

「あっ、はい基本食事とか作るの私なので」

 

んー?普通母親とかが作ってくれると思うけど………あんまり聞かないでおこう

 

「そっか、いやさ、俺こっちに引っ越してきたばっかでさ、しかも一人暮らしでスーパーとかどこにあるのか全然分からなくてさ、よかったらイロイロ教えてよ」

「ひ、一人暮らししてるですか?」

「おう、もともとは東京のほうに住んでたけどちょーっとイロイロあって長野に来たって感じかな」

「そうなんですか」

「まっ、分からないことがあったらイロイロ聞いてもいいかな?」

「力になれることなら是非聞いて下さい」

 

 

 

 

 

 

 

 

これが清澄伝説の立役者の二人の初めての会話だった

 

 




正直に言うとスマホで打ってるからPCの人は読みづらいかも←PCを持っていない

なんにせよ所詮妄想なんで暖かい目で見守ってください

ここまで読んでくださってありがとうございます


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二話

さて、そろそろ麻雀するか←麻雀描写はあるとは言ってない


「はいっ、レディースランチ‼︎」

 

ドンと音をたてながら食器を置く宮永さん

怒ってます空気をだしているのに京太郎はいつも通りヘラヘラしている

そもそも宮永さんではなく、レディースランチしか見てない

 

「相変わらず宮永さんはいい嫁さんだな」

「嫁さん違います‼︎」

「まっこう否定ですか」

「つか、京太郎もなんでレディースランチなんか頼んでだよ」

「だって、めっちゃ美味そうじゃね、これが女子だけしか食べれないとかズルいだろ」

「だからって私に頼む必要もないじゃん、まったく」

 

京太郎はレディースランチが食べたいだけと言っているが、本当は宮永さんが昼休み1人で読書してるのを見て適当な理由を探して食堂に来ただけなんだよな

京太郎はコミュニュケーション能力が高い

食堂で適当な女子を捕まえて、レディースランチを頼めばいいのに、わざわざ外にいる宮永さんを

 

「ってコラ、京太郎飯食ってるのに携帯イジるなって」

「そうだよ京ちゃん行儀悪いよ」

「あとちょっとで終わるから待ってろ………よしツモった」

 

そう言って携帯をポケットにしまう

 

「何してたの京ちゃん?」

「いや、麻雀だよ」

「京ちゃん麻雀するんだ?」

「まだ役もロクに知らないけどな!麻雀ておもれーのな」

「私…麻雀嫌いなんだ」

「えっ?咲今日放課後暇だよな?」

「京ちゃんの中では私が暇って確定してるのが物凄くシャクだけど、一応暇だよ」

「よし、カモ1人………達也は麻雀出来るか?」

「まぁ、やれないことはないな」

「よしカモ二人………うんじゃ二人共放課後ちょっと付き合えよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、京ちゃん放課後になったけど、どこに行くの?」

「まぁ、付いて来いって」

 

確かこっちは旧館の方だな

 

「宮永さんちゃんと京太郎に付いていけよ、こっちに来るの初めてだろうし」

「小高君まで京ちゃんみたいなこと言って、もう学校で迷子にならないよ‼︎」

「「いや、それはない」」

 

入学してから約1ヶ月宮永さんの迷子癖はありえないレベルで発揮している

京太郎は「咲の迷子癖は体験すれば分かる」と言われたが本当に酷い

学校の場所を説明しているに迷子になる

図書室に行って帰ってこれなくなる

女子トイレに行って帰ってこれなくなる

更衣室に行って帰ってこれなくなる

他にまだまだあるがキリがない

 

「まっ、とりあえず京太郎に付いて行ってね………って言った途端何処へ行こうとしてるのかな」

 

さすがに猫のように首を掴む訳にもいかず

制服の袖を引っ張る

 

「わわっ、と、いきなりどうしたの?」

 

しかも無自覚だから困るんだよな

 

「旧館が珍しいからあちこち見るはいいけど頼むからちゃん京太郎に付いて行ってくれ」

「………まだ迷ってないもん」

「そうだね、だけど誰のおかげで迷子になってないのかな?」

「うぅ、京ちゃん、小高君がいじめる」

「話聞いてたけど全面的に咲が悪い」

「うぅ、周りは敵だらけだ」

「こほん、ようこそお姫様、我が部室へ」

 

芝居がかった態度で頭を下げる様子はまるで執事のようだが案外様になってるだよな

 

ドアを開けると

 

「カモ連れてきたぞー」

 

せっかくカッコよかったのに台無しだなオイ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お客様?」

「あっ、さっきの」

「え?お前和のコト知ってんの?」

「いえ、お昼休み少し……そちらの男子生徒は?」

「男子は俺のダチの達也」

「よろしく」

「わ、私は宮永咲ですよろしくお願いします」

「私は原村和ですよろしくお願いします」

 

原村和、噂では聞いたことがあるけど

なんで京太郎が追いかける理由もわかった気がするよ

とりあえずチラチラ視線が下に行くのはどうにかしたほうがいいな

 

「和はインターミドル王者なんだぜ」

「それすごいの?」

 

「すごいじょ!!」

 

勢いよくドアが開いた

第一印象は元気っ子って感じだがおそらく間違ってないだろう

 

「インターミドルチャンピオンで、才色兼備、両親は弁護士と検事で男子にもモテモテなんだじぇ」

「誰かさんとは大違いだな」

「む」

「んで、この子は?」

「私は片岡優希だじぇ、お客さんは歓迎するじょ」

「人数もいることですし打ちますか」

「達也は俺と変わりながら打つよ、それでいいよな達也?」

「おうわかった、先に打つか?」

「おう、麻雀部の力見せてやんよ」

 

 

 

 

 

半荘25000点30000点返し

ウマなしオカあり

 

東一局、片岡の三鳴きで混一見えている手に宮永さんが振り込んだ

 

「振り込むか?筒子集めてるの見え見えでしょ」

(もろ初心者だじぇー)

 

初心者

 

麻雀においての初心者とは、ルールがわからない、役がわからない、どこで鳴けばいいかわからない、他にもいろいろあるが概ねこのような感じである

 

しかし、小高達也は宮永咲を初心者とは見ていなかった

 

(本当の初心者は牌を掴むのもおっかなびっくりにやるし、河なんぞ見もせず自分の手しか見ない………だけど宮永さんの目は河を確認してるし手付きは完全に経験者)

 

東場は片岡さんの勢いが凄かったが、南場から失速し、原村さんが巻き返したそしてオーラス

 

「よーっしテンパったリーチ‼︎」

「ごめんそれロン」

「なんですとぉ、三色捨ててそれってどうなん⁉︎素人にもほどがあるよっ」

「おかげさまで、私がトップですね」

「…………なるほどね」

 

順位は原村さんがトップで片岡さんが二位三位が宮永さんでラスは京太郎

 

「ん、どうした達也お前の番だぞ?」

「なーにがお前の番だわ、お前焼き鳥じゃねぇかよ、宮永さんを素人扱いするくらいならせめて一回くらいあがってからにしろ」

 

そういって京太郎を無理矢理座らす

 

「うぐ、よーっしうんじゃあ二回目に行こうか」

「よかったら変わりましょうか?」

「いや遠慮しとくよ、もう少しインターミドルチャンピオンの実力を見てみたいし」

「じゃあ、小高君私と変わる?」

「まぁまぁ、宮永さんも座って座って」

 

肩を押しながらそっと座らす、そして小声で

 

「もっとプラマイゼロ見てみたいし」

「っ⁈」

 

宮永さんは驚いたようにこっちを見る

俺ニッコリ笑いながらがんばれーとエールでも送っておこう

 

 

二回目

 

この半荘、好調だったのは和。

ツモの良さにドラも乗り、初心者同然の京太郎からそして集中力が切れてる片岡さんからもアガっていく。そしてオーラス

 

「あっ、私もツモです」

「今回も和の圧勝かー」

「ありがとうございます」

「のどちゃん強すぎー」

 

結果は

原村さんがトップ二位は宮永さん三位が片岡さんでラスが京太郎

 

「京太郎………マジで一回上がろうな?」

「そんな同情的な視線はいらないから」

「はいはい、それじゃあもう一局行こうか」

「うぅ」

 

三回目

 

「それにしても咲の麻雀はパッとしませんなー」

「点数計算はできるみたいだけどねー」

 

(普通、点数計算ができる初心者なんている訳ないんだよな)

 

麻雀の点数計算はとても複雑である。

麻雀ができる人がいても点数計算が出来ない人間のほうが多い

 

(点数調整が出来るが故のプラマイゼロ………って、ならないよな普通)

 

点数計算が出来るからといってプラマイゼロが毎回できる訳ではない

点数計算がちゃんとできるのは原村和も同じである

しかし原村和が同じことができるといえばそうではない

 

(明らかに牌が見えてるって時があるんだよな、ガン牌って考えたけど牌に傷は見当たらないしそもそもガン牌できる女子高生とか怖いわ)

 

 

「雷?」

「夕立がきましたね」

 

「嘘っ?傘持ってきてないわ」

 

ベットの方に人のいる気配を感じていたが、まさかこの人か

 

「生徒会長?」

「この学校では学生議会長ね」

「おはー」

「麻雀部のキャプテンなんですよ」

「あなたたちが今日のゲストね」

「「どうも」」

 

(でー、この子がゲストの女の子ね、綺麗な手張ってるじゃない、最低でも7700点)

 

「ありゃ、あなたは打たないの?」

「京太郎がせめて一回アガってから変わろうと思ったですけどね」

「ありゃりゃ、それじゃあ変われないわね」

「ちょっ‼︎ひどいっすよ部長」

「まぁー頑張りたまえ」

 

そういってパソコンで作業をし始めた

 

「ロン1000点です」

 

宮永さんが京太郎からアガって終了した

 

部長が血相を変えてこっちに戻ってきた

 

「三回目終わりました」

「今回ものどちゃんがトップかー」

「今回の宮永さんスコアは⁈」

「プラマイゼロですよ」

 

俺がニッコリ笑って答えてあげた

 

「えっ、えーと、本を返さなきゃいけないのでこれで失礼させていただきます」

 

そういって逃げるように出て行った

 

「のどちゃんやっぱ強すぎだじぇ」

「圧勝って感じたな」

「圧勝?なに甘いこと言ってんのよ」

「「えっ?」」

「スコア見て気づかないの?」

 

三回連続でプラマイゼロ並ぶスコアこれを偶然とは言い難い

 

「宮永さんの三連続プラマイゼロが故意だと言うんですか?」

「えっ、そんな馬鹿なたまたましょ」

「そうだしょ」

「って、普通思うよな」

 

ずっと打たずに宮永さんの手配を見ていたのは俺だけだからな

 

「あら?あなたも気づいてたの」

「まぁ、後ろで手配をみてましたからね、まぁ、点数下げるはワザと振り込むやら、もうめちゃくちゃでしたよ」

「麻雀は運の要素があるからプロでもトップ率3割いけば強い方、ましてプラマイゼロなんて勝つことより難しいそれを毎回なんて」

 

「不可能ってかい?でも、圧倒的力量差だったら?」

 

雷がいいタイミングで鳴ったなーとか見当違いの感想をしていたら当然原村さんが飛び出した

 

「のどちゃん⁉︎」

「部長なに笑ってるんスか?」

「いや、あの子がうちの部に入ってくれないかなって思って、そうすれば全国狙えるかもよ」

 

こうして俺は一回も打たせてもらえず麻雀部見学を終えたのだ

 

 

 

 

 

 

「それより心配事があるんだけど京太郎………」

「ん、なんだよ達也?」

「宮永さんちゃんと図書室まで帰れると思う?ここに来たの初めてだぜ………」

「………大丈夫だろ、和が追いかけたし、うん多分」

 

もちろん迷子になっており京太郎と一緒に雨の中を捜索しました

 




麻雀描写がないと言ったな?

本当にないんだよなぁ………

とりあえず咲のプラマイゼロ回
主人公が打つのは当分先かなー

とまぁ、ここまで読んでくださってありがとうございます


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三話

と、三話連続投稿

今日の投稿はここまでにして

ゆっくりゆったりのんびり〜ペースでやるんで楽しみにしてください


麻雀部見学をした次の日

 

「宮永さんに一つお願いがあるの」

「え」

「小高君も見にくる?てゆーかあなた来たのに一回も打ってないじゃない。とゆーことであなたも来なさい」

「はぁ」

 

部長の後ろにメガネをかけた人がいた

昨日は居なかった人だな

 

「アンタも麻雀部にくるのか?」

「とりあえず見学ってことなんですけどね」

「そーか、ワシは染谷まこよろしくな」

「小高達也ですよろしくお願いします」

「宮永咲です」

「ほー、この文学少女が例のプラマイゼロ子か」

「じゃあ、早速部室に行きますか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「宮永さん、和、まこ、優希この四人で二回戦ね」

「部長はやらないですか?」

「私が入ったらみんなトンじゃうでしょ」

「いってんさい」

「ただし東風赤4枚ね」

 

麻雀は本来東一局から北四局の十六局で争うもの、これを一荘戦というが現代では余り主流ではない

現代の主流は半荘戦もしくは東風戦が一般的である

そして赤4枚とは赤く塗られたドラ、通称赤ドラが4枚入る

 

(完全にプラマイゼロ潰しだな、ただでさえ点数調整の難しいプラマイゼロに加えて、運の要素が高い東風戦、さらに赤ドラをぶっこんで余計に点数調整が難しい)

 

 

東風戦25000点30000返し

赤4ウマなしオカあり

 

東一局

 

「親リーチいっくじぇー‼︎」

(はやい)

(二巡目こがぁなん読めんわ」

(イヤな感じがしますね)

 

「リーチ一発ツモドラ3親跳は6000オール‼︎」

 

 

「これ見てみ」

 

パソコンを見せられる俺と京太郎

 

「優希の過去の平均点数のグラフよ」

「なんていうか東場に偏ってますね」

「東場で稼ぐけど南場で失速して弱くなるタイプね」

「天才なんですけどねっ‼︎集中力が持続しないのだ」

「飽きっぽいの間違いでは」

「それだ‼︎」

 

 

東一局一本場

 

「ロン8300です」

「ええっ⁉︎今染谷先輩が捨てたのじゃん」

「直撃狙いです」

 

東二局

「ロン‼︎1000点」

「優希はもう逃げる気ですね」

「そうね」

 

東三局

「張っとる?」

「はい」

「律儀に答えるなよっ‼︎咲」

「ロン、タンピンドラドラ11600です」

「アイタタ」

 

現在の点数

片岡優希35700

宮永咲30600

原村和27300

染谷まこ6400

 

「プラマイゼロは29600から30500のわずかな範囲」

「ゼロ子は100点捨てりゃぁプラマイゼロの完成じゃの」

 

東三局一本場

 

「ツモ、メンホンツモ中ドラ1、3000・6000の一本付けじゃあ」

 

オーラス

 

(今度は咲が面前混一聴牌)

(5筒8筒が出れば5200でプラマイゼロか)

 

「通るかな」5筒

(スルー⁈)

(優希から直取りすれば逆転トップだぞ)

 

トン 赤5筒

(和から赤5筒もスルー⁈この子あくまで勝ちは眼中になし⁉︎)

 

こそっ、と近くに京太郎が来て聞きに来た

 

「なぁ達也なんで和了らないの?」

「このルールにはウマはないけどオカはあるんだよ」

「オカ?」

「25000点持ちの30000点返しのその差はオカって言ってトップに与えられる訳よ、まぁ簡単に言うとトップはプラマイゼロにならない訳」

「それだとマズイ訳?」

「まぁ、トップを狙うなら問題ないけど、宮永さんはプラマイゼロしか見えてない」

 

(片岡さんの5筒で和了ればトップになるし、原村さんの赤5筒で和了れば2位だけど+2になる)

 

(宮永さんは5200を狙ってるはずですが…)

「リーチ」

(リーチ棒が出たらどうするのでしょう)

(和も意地がわるいのう)

(これで咲ちゃんがプラマイゼロにするには70符2翻を和了らないとだね)

 

「これ1000点増えたってことだよな」

「こうなるとプラマイゼロにできるのは4100点から5000までその条件にあうのは70符2翻のみ」

「70符って…」

 

京太郎が点数表を確認する

そして部長は部のデータを教えてくれた

 

「ついでに部の記録を見る限り70符なんて千局に一回出るかどうかよ」

「役満以上のレアですか…」

「それを2翻で作るとなるともっと難しいわ」

「でも、やるだろうね」

「「えっ?」」

「宮永さんは和了るよ70符2翻でね、賭けてもいいよ」

「じゃあ私も宮永さんの方に賭けるわ、須賀くんは?」

「えっ、流石にないでしょ、俺はあがれない方で」

「うんじゃ負けた人は勝ったやつにジュース一本」

「それくらいなら問題ないけど」

「部長も相変わらず悪待ちですね」

「悪待ち?」

 

京太郎が部長に対して悪待ちと言うから思わず訪ねてしまった

 

「まぁ、わたしは分の悪い待ちが好きで、いつの間に悪待ちなんていわれるようになったのよ」

「へー、でも大丈夫ですよ部長、俺が賭けてもいいって言ったら負けたことなんてないんで」

 

 

 

「カン、嶺上開花70符2翻は1200・2300です」

 

 

「ねっ、言ったでしょ」

 

 

 

この後の二回戦は宮永さんにプラマイゼロをやめてもらい、四暗刻ツモって勝った

 

そして原村さんがどこかへ行ったせいでまた俺は麻雀をすることをなく麻雀部見学を終えたのだ

 

そろそろ打ちたいな麻雀

 

 




まこさんの口調は適当です
とりあえず、じゃ、とか、のぉ、とか言ってればそれっぽい不思議

個人的には結構好きなキャラです
もっと出番増やしてあげてください

それではここまで読んでくださってありがとうございます


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四話

主人公ついに麻雀打ちます←麻雀描写があるとは言っていない





宮永さんが麻雀部に入ることになり、ついでに俺も入ることになった

 

男子が須賀くん一人だけだといろいろ大変だろうし男手も必要だからね

 

という理由でほぼ無理矢理麻雀部に入れられた俺

 

てゆーか、男手欲しいから俺誘ったんじゃないかあの部長………

 

なんにせよ、麻雀部に入ったことで、ようやく麻雀が打てるとワクワクしてる自分もいる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ということで小高くん、まこ、和、私で一局行ってみようか」

「やっと打てますよ」

「そういや達也一回も打ってなかったな」

「京太郎が焼き鳥だったせいでな」

「うぐぅ」

「まぁ、これが終わったらちゃんと教えてやるから待ってろ」

「そういえば、小高君は麻雀歴長いの?」

 

宮永さんの質問に少し悩んだが、嘘をついてもしょうがない

 

「うーん、中一の頃から打ってるから大体3年くらいかな」

「ズブの初心者ではないということね」

「まぁ、その辺は打ってみてのお楽しみということで」

「うんじゃ、親を………」

「うん?どうかしたか?」

 

染谷先輩が俺に質問してくる

 

「いや、スイッチってどこすか?」

「ワレ本当に初心者じゃないんよな………」

「いや、いつも手積みでやってるから、自動卓とか初めてで」

「ここじゃ」

「いやースンマセン」

「まぁ、わからんことがあったらなんでも聞きんさい」

 

 

そんなこんなで俺の試合の始まりは和気藹々とした空気だった

 

東一局

 

「リーチ」

「ポン」

 

6巡で久のリーチに対して達也がすぐに鳴く

 

(一発消し?なんにせよデジタルではなさそうね)

 

次順、久のツモはアガリ牌ではなかった

 

(こりゃ流れもってかれたかねぇ)

 

そして達也のツモ、本来久がツモるはずだった牌を達也が引く

 

「へー、これが部長の悪待ちって奴ですね」

 

達也は他人事のよう牌を確認する

 

引いた牌をそのまま倒す

 

「ロッ……」

 

「カン」

 

(ッ?私のアガリ牌が全部もってかれた)

 

「ツモ、嶺上開花ドラドラ5200、1300・2600」

 

(って、そのまま上がるの⁉︎)

(それよりあの捨て牌純チャン蹴って嶺上開花のみとかアホすぎるじゃろ)

(理解できませんね)

 

 

 

東二局

 

親の和の第一打の西を鳴き

次順のまこの9萬を鳴き

そして3巡目

 

「ツモ、チャンタ三色西、1000・2000」

 

流石に唖然としたのか

対局相手だけではなく後ろにいた京太郎達ですら驚いている

 

「はぇぇ」

「わ、私だって3巡目で上がったことあるじょ」

「それでもすごいよ」

 

「さっ、次に行きましょう」

 

東三局

 

(正直一年生だから大した事ないんだろうと思ってた、けどそんな甘い事は考えない全力で倒す)

(どのイメージにもない最速の鳴き、こりゃあ格上の相手じゃったの)

(私の親が流されましたね)

 

しかし、達也の勢いは止まらない

 

「ポン」

「チー」

「ツモ」

 

「チャンタドラ2、1000・2000」

 

これも僅か8巡目の出来事である

 

「さぁ、そろそろ目が覚めましたでしょ」

「こりゃあとんでもないヤツを連れてきたな部長」

「正直そんなつもりは全くなかっただけどね」

「なんにせよ、ガンガン行かせてもらいますよ」

 

 

 

東4局

 

(ううぅ、手配が重い)

(悪くない手配ですね)

(染め手にはちょいと牌がたらんのぅ)

 

そして達也3巡目に不可解のことをする

捨て牌 東

(東を捨てるってことはすでにでき面子があるのかしら)

捨て牌 西

(不要牌ですかね)

捨て牌 東

 

「ポン」

 

(はぁ?自分で切った牌を自分で鳴き返した?)

(何がしたいかよくわかりませんね)

(いや、このイメージは………)

 

それ以降和は4連続ツモ切りをして

達也は手配から牌を切っている

 

(やっぱりのぅ)

 

あの鳴き返しの意味が分かったのはまこだけであった。

彼女は膨大なイメージの中から流れの良くなるイメージを見つける

 

(とたんに和のツモが悪くなって、達也のツモが良くなっている)

 

麻雀に流れがあるかないかと聞かれればあると答える人間は少ないだろう

しかし調子のいい時もあれば悪い時もある

それをただの運としてみるか流れとしてみるかは人の主観である

ただ達也は流れというのを信じてる人間

事実達也の流れはいい

 

(流れのいいイメージがワシの頭の中にもあった。でもそう簡単に流れを持って行かせてたまるかい)

 

「ポン」

「もいっこポンじゃ」

 

達也がツモ切りした牌をまこ2副露

 

そして達也のツモ

 

(普段なら気にしない無駄ヅモ、だけど染谷先輩の2鳴きからのこのツモは流れが消えたかな………だけど、この卓にはカモがいるからなんとかなるか)

 

14巡目

 

(こりゃ無理そうね、オリですわ)

(ツモが途中からヨレてようやくテンパイになりましたが)

(張ってるけど流石に誰も振り込まんか)

 

ツモ切りが続く中

 

「ロン、一気通貫ダフ東ドラ1、12000だ」

「はい」

 

流れがなくても達也は上がる

しかし達也が上がったのは偶然じゃない

 

(本当綺麗な麻雀するよな原村さんは)

 

達也は狙ったのだ

インターミドルチャンピオンを

 

 

東4局一本場

 

「ここまで、達也が全部上がってる」

「いくら何でもすごすぎるじょ」

「………」

「どうかしたか?咲?」

「うん、なんでもないよ」

 

咲は驚いているのは理由がある

咲レベルの雀士になるとある程度打てるか感覚でわかる

つまり、京太郎が全然打てないのはある程度分かっていた

しかし、達也がこれほど打てるなんて思ってもいなかったのだ。

 

(和了ってるのに凄みがない、こんなに強いのに何にも感じない………変な感覚)

 

「ポン」

「チー」

「ポン」

 

和の3副露、索子の染手

 

そして切った牌

 

「ロン、チートイツのみ一本場で2700だ」

「はい」

 

「和の余り牌の狙い打ちかしら」

「そっすね、原村さん綺麗に麻雀するから狙いやすいですよ」

「ほうー、インターミドルチャンピオンを狙いやすいとか大した自信じゃのう」

「牌効率だけの人ならたくさん打ってきましたから」

「………次に行きましょう」

 

現在の点数は

 

久19600

 

和16000

 

まこ20700

 

達也51900

 

 

東4局2本場

 

(流石にこれ以上はまずいわね)

(小高君の親を流すための速攻だったんですが、完全にこちらの手配を読みきられてのチートイツ………)

(こりゃあ協力プレイかの)

 

「ポン」

「ポン」

「もう一個ポン」

 

久がまこに対して3副露

達也のツモ番が3回飛ばされてしまった

そしてまこが差し込んだ

 

「ロン、断么、ドラ2、2本場で4500ね」

「あいよ」

 

なんでもないようにまこが久に点数を渡す

 

「ありゃ、親が流されましたね」

「これ以上はさせないわよ」

 

部長が笑いながらこちら見てくるが、目は笑ってませんよ

 

「流れも染谷先輩に消されたし防御に回りますか」

 

染谷先輩の鳴きには正直驚いていた、あの鳴きから達也のツモは悪くなり正直辛かった

しかし、達也の発言に噛み付いてくる人物がいる

 

「流れなんてそんな非科学的ものありません」

 

デジタル麻雀を極めている和にとって達也の発言は戯言のように聞こえた

流れではなく、確率や期待値による最も信頼できる理

 

「流れがあるかないかは人の主観だぜ、俺は信じる、原村さんは信じない、それだけだよ」

 

人によって主観は違う、同じ花を見て綺麗と感じるか感じないかは人によって違う

ゆえに和の発言もまた自然である

 

「あらあら、流れ論者とデジタルの典型的会話が始まりましたねぇ」

「まっ、ウチの部は感覚派のほうが多いのは事実じゃのう」

 

清澄高校麻雀部の分かりやすい特徴をあげる

 

久←悪待ち

まこ←イメージから予想

咲←カンしてツモる

優希←東場で上がれる

達也←流れを信じる

 

こうして見てみると中々個性的な面子ばかりであることも事実である

 

「だからといって俺はデジタルを否定はしないけどな」

 

達也も実際デジタル打ちはできるが、今回は流れのままに打っている

 

「まぁの、牌効率も上がる為には必要じゃからのぅ」

 

まこの言った通り、いくら流れがあるからと言っても牌効率を無視して上がるのは不可能に近い

牌が透けて見えない限り、牌効率で打つのが無難である

 

「だからと言って牌効率と期待値だけが麻雀じゃないってのも事実ですけどね」

 

この場はネット麻雀ではなく現実にある麻雀である

人が牌をツモり河に出す、表情や視線、手の動き、人間が繰り出す麻雀

そこには目に見える要因だけではなく、見えない本質すら見えてくる

 

「私は私の麻雀を貫き通すだけです」

 

しかし、和は曲げない

決してブレない心を持っている………といえば聞こえがいいが

目に見えるものが真実とも限らないのが現実であり麻雀である

 

「原村さんは頑固だな」

 

皆が思ってることを口にだす俺に視線一瞬だけ集まった

 

「そうですね、あんまり他人に振り回されるタイプではないですね」

「まっ、見えない変数を見えないままにしとく痛めに会うよ」

「なんにせよ続きをやりましょう」

「そうだね、南入しようか、さっ、部長サイコロ回してください」

「え、えぇ」

 

和気藹々と始まった空気だったが思った以上に空気の重い中で麻雀をすることになった

 

 

 




アカギもかっこいいですが、個人的には天の赤木のほうが好きです



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五話

ついに半荘戦終了




南一局 親久

 

(和と達也君は相性悪いのかしら…なんにせよ本人は防御に回るって言ってるから流れはよろしくないみたいね)

 

(二人とも喧嘩してるって思ってなさそうじゃのう、和は自分の麻雀を貫き通す、達也は別にいいけどそれだけが麻雀じゃないと………見せてもらいましょうか)

 

 

6巡目

「リーチ」

 

和の先制リーチ、待ちは1〜4萬待ち

 

(防御に回るって言っても、攻めない訳じゃないよ)

 

「ポン」

(また一発消しですか?)

 

「もいっこポン」

(いや、これは攻めに来ている)

 

達也の2副露のにより出された牌は筒子

そして河に出される牌は両方とも索子

 

(わたしのリーチに対して染め手?理解できませんね)

 

そして流局

 

「「テンパイ」」

「ノーテンよ、せっかくの親だったのに」

「わしもノーテンじゃ」

 

そして晒した手は和が欲しかったあがり牌を全部持っている達也の手配だった

 

「完全に読み切っていたんですか」

「まぁね、鳴いたのも先輩たちに現物を分かりやすくするためだし」

 

振り込まないという自信と読みの自信そして他家からの放銃すら与えない

 

「それってそんなにすごいのか」

 

京太郎的には良くわからない

達也が和のアタリ牌を握ってテンパイしたということに

 

「このアホ犬‼︎すごいに決まってるじょ」

「京ちゃんにも分かりやすく言うと、麻雀の読みでできるのは『濃い』か『薄い』までで、『ある』か『ない』まではあんまり読めないんだよ」

「はぁ」

「原村さんがリーチした時の河は端の牌や字牌だけ、その中で索子が通ると予想した」

「のどちゃんのアタリ牌は索子だった可能性もあったのに達也はノータイムで切った、しかものどちゃんの通ってない牌だしょ」

「つまり、河以外からの情報で達也は索子が通ると踏んだのか?」

「………多分」

「なんで、そこは自信なさげなんだよっ‼︎」

「私だって自信がある訳じゃないじょ…ただ、もし次にのどちゃんに直撃を与えたら確実に手配を読み切ってるじょ」

 

 

 

 

南二局一本場

 

 

現在の点数差

 

久22600

 

和16500

 

まこ14700

 

達也52400

 

(東場の親の時まこが鳴いてから流れがないといいつつ、和から和了った)

(つまり、なんらかの方法で手配を読んでるちゅうこと)

(前回の私の余り牌を狙ってのチートイツ、そして今回の私のアタリ牌を潰してのテンパイ………手配を完全に読まれてますね)

 

理牌する間にチラッと達也を見た

 

「ん?どうかした?」

「いえ、なんでもありません」

 

(読みが鋭いもしくは私になんらかのクセがあるか、どちらにせよこのままでは私の不利なまま)

 

理牌をして、ここからもっとも早い和了を頭の中で考える

 

(最後の親、最速であがれば問題ありません

いくら、私の手配が分かったとしても止められなければ意味がありません)

 

気合を入れ直し、集中する和

 

「ふーん、速さ勝負か…」

 

しかし、それを見透かすように達也は独り言を言う

 

自分の心を見透かされて、一瞬ドキッとしてしまい

思わず言い返してしまった

 

「えぇ、なんらかのイカサマで私の手配を読んだとしても、私が先に和了すればいいのですから」

「イカサマって………まぁ、アガれるように頑張ってくれや」

 

達也の読みをイカサマと言った和

 

普段、温厚の彼もほんの少しイラッときたのか、少し含みを入れて達也も受けて返す

 

(小高君の読みをイカサマって、いくらなんでも言いすぎよ

 

と言葉に出したいけど、もしイカサマじゃない証明をしてしまったらそれは小高君の武器を一つ晒すことになってしまう。

だからこの半荘戦が終わったらタネ明かしをしてもらいましょうか)

 

(ここは見に徹するつもりなんじゃが………まさかこんな時にこの配牌は)

 

まこのこの時の手配、国士無双一向聴

 

(だからと言ってこの国士も上がりたいしのお、これでもラスじゃからなぁ)

 

ほんの少し悩んだが、まこはこの国士をアガることを決意

 

(まっ、当たった奴が悪いからのう、すまんが和了らせてもらうわ)

 

この時達也の手配

 

ドラの5筒が4枚、自風の西が対子、8筒が暗刻が出来ている

 

(東場の私みたいな手配だじぇ)

(染谷先輩は国士無双狙えるじゃん)

(染谷先輩は西か9索引いたらテンパイ)

 

ツモ切りする達也

 

「ポン」

 

和が達也の切った牌をいきなり鳴きにくる

 

そしてまこのツモ

 

(うっお、9索ツモってきたわ、国士無双聴牌西待ち、和には悪いが和了せてもらうぞ)

 

達也は5萬を河に出す

 

(また小高君はチャンタかな?苦しくなる前に端の牌を整理したいわね)

 

2萬を河に出す

 

(今のところ一度も字牌が出てませんね、おそらく誰かが抱えてるのでしょう)

 

「ポン」

 

和の捨てた1萬を達也が鳴いてくる

 

そして5巡目

 

「カン」

 

和の捨てた8筒を槓

 

ドラ表示牌は9萬

 

(ドラ3確定ですか、だけどこっちはテンパイしてますし、向こうの捨て牌を見る限りではまだテンパイではなさそうですね)

 

「もいっこカン」

 

(またカン?トップが無理してドラを増やすのは助かりますが)

 

ドラの5筒を暗槓した

 

そしてドラ表示牌はまたしても9萬

 

(ッ⁉︎ドラ12上がったら役満確定…貰ったらトビます)

(さすがに私もオリるわ)

(くぅ、この国士無双でオリはさすがにつらいのお)

 

久は現物、和も現物、そしてまこの引いてきた牌は中張牌

 

(さすがにこの牌は出せない)

 

まこテンパイを崩す

 

達也ここで西を捨てる

 

(なっ⁉︎、わしがテンパイを崩した瞬間に西を捨てた‼︎)

 

そして次順、達也ここでもまた西を捨てる

 

(手出しで西の対子落とし?自風なのに?まぁ、合わせ打つわ)

 

久ここで西を捨てる

 

そして和のツモは西

(現物ですね)

 

和もここで西を捨てる

 

まこに電流走る

(なっ、ワシの国士無双の上がり牌を全部出されたじゃと)

 

国士無双のテンパイを崩した瞬間に達也の西の対子落とし、達也のスレスレの捨て牌

 

「ドラで暗槓して、鳴いた牌がモロ乗りとか

マジやべぇな」

「それよりすごいのはその後の対応だじょ」

「染谷先輩がテンパイ崩した瞬間に西の対子落とし…でも、これじゃあ上がれないかな」

 

この時達也の手配はバラバラ

 

今の西の対子落としのせいでアガれる型は

嶺上開花、海底、横槍、トイトイ

 

「「「「ノーテン」」」」

 

しかし、そんな都合のいいことも起きずこの場は流れる

 

「あら?ノーテンだったの?」

「ええ、数え役満和了りたかったですけどね」

 

達也あそこからツモ切りをしていかにもテンパイしてるという空気を出していたが結局バラバラのままだった

 

「まぁ、ぶっちゃけアガる気はなかったですし」

「あら?いくら点差があるからって余裕かましすぎじゃない?」

「勝つ為のノーテンですよ」

 

まこの国士無双を察知し、ドラが乗った牌が見えてる状況で周りをオリるように誘導する、そしてまこがテンパイを崩した瞬間に自風の西を落とす

しかし今の達也の台詞でその意味が伝わるのは外から見てた咲達と国士無双を聴牌してたまこだけである

 

(ちゅうことは、わしが国士無双があるのを察知してたのか⁉︎確かにツモ切りが多かったがそれだけで国士無双があるって考えるのは無理じゃろ)

 

「まぁ、あなたにはいろいろ聞きたいことがあるけどこの対局が終わったらにするわ」

 

「まぁ、喋れる範囲なら…」

 

「ふぅ………次はわしの親じゃのう」

 

 

南三局

 

「リーチツモ、平和、三色同順、一盃口ドラ1跳満12000は3000・6000です」

 

和ここで跳満をツモる

 

これで点差は

 

久19400

 

和28500

 

まこ8700

 

達也49600

 

和のトップ条件は達也に跳満直撃か三倍満以上をツモるかである

 

しかし、達也にほぼ手配を読まれてこの場において直撃など不可能に近く、都合よく三倍満以上の手配もくることもなく

 

「ツモ平和のみ700オール」

 

達也の軽い上がりで終了した

 

 

最終点数

 

久18700

 

和27800

 

まこ8000

 

達也51300

 

結果は達也の一人浮き

 

「ねぇ一体どうやって和の手配を読んだの?」

 

結果よりも手配読みについて言及するのか…

 

「そんないきなり言われましてもね」

「もしかして、感覚だったりするの?こう相手の手配が分かるとか?」

「そんなオカルトありえません」

 

原村さんがピシャリと突っ込む

 

「まぁ、実際オカルト並の手配読みだったけどなぁ」

 

国士無双止めたからね、ちょっと根に持っているな染谷先輩

 

「外から見てなんかおかしな点あった?」

 

部長が、宮永さん達に聞いてみるが

 

「外から見ても訳わからないじぇ」

「なにがすごいのかさっぱり」

「とりあえず、外から見ても分からなかったですね」

 

三者同じような答えが帰ってくる、いや、京太郎はそもそも理解してなかったか

 

 

「なるほど、それじゃあタネ明かしといきましょうか」

 

なんかタネ明かしする空気になっているけど

 

「いやですね」

 

ほんの少し空気が固まった

 

「えっと…どうしてかしら?」

「あえて言うなら、原村さんの発言にちょっとイラっとしただけですよ」

 

達也を除いた皆が、和を見る

 

「ちょっと待ってね、ほらみんなこっちきて」

 

 

 

 

 

 

「本人笑ってますけど、絶対おこってますよアレ」

「でも、ありゃあ、和の発言が悪いじゃろ」

「流石に原村さんが悪いと思う」

「のどちゃんが悪いに一票」

「私も和の発言が悪いと思うわ」

 

じろっと、みんなに見つめられる和

 

「確かに、私も言い過ぎました私が悪かったです」

 

素直に自分の非を認める和

 

「そんじゃ、小高君に謝ってこようか」

「うっ…はい」

 

「えっと、話をする前に和が小高君に言いたいことがあるみたいです」

 

そう言ってササッと和を前に行かせた

 

「なに?」

 

その一言で、麻雀部全員がズンと重い空気が乗りかかった

底冷えた声、冷たい目、普段の彼から考えられないようなオーラ

遠くにいる咲達ですら足がすくむ感覚

目の前に立ってる和はもっと酷い重圧を感じている

 

「さ、先ほどは失礼な発言をし、すいませんでした」

 

頭を下げるが重圧はもっとくる

頭を下げて誰も気づいていないが涙目になっている和だった

 

そして、フッと重圧が消え

 

「今度から発言に気をつけてね」

 

達也はニッコリ笑っている

 

「はい、すいませんでした」

 

「こ、これで教えてくれるわよね」

 

久、達也のプレッシャーでちょっとビビってるせいか声が震えている

 

「まぁいいですけど、実際見た方が分かりやすいですよ、原村さん?」

 

「は、はいっ‼︎」

 

「適当に理牌してみてよ」

 

「はい」

 

達也が選んだ牌を理牌する和

 

「もう一個」

 

「はい」

 

手早く理牌する和

 

「もう一個」

 

「はい」

 

そして三つの手配が出来た

 

「ね?分かったでしょ」

「………なるほどね」

「あー………確かに分かりやすいのぅ」

「中学からの付き合いだけど、こんなクセがあったのか‼︎」

 

達也が選んだ牌はどれも同じ数字と種類の牌

それが三つとも同じ形で理牌しているのだ

 

「これが何か問題でもあるんですか?」

 

相変わらず京太郎は分かっていなかった

 

「そうだな、問題なしって言えば問題なしなんだけどな」

 

「京ちゃん、理牌した時に左から萬子索子筒子役牌って順番になってるよね」

「あぁ、なってるな」

「それも三つとも同じように綺麗に理牌してるよね」

「それだとダメなのか?」

「多分原村さんはいつもこの順番で理牌してたと思うんだ、これだとどこに何の牌があるとか分かっちゃうだよね」

 

ツモ引きを入れ河に牌を捨てるとき索子のゾーンから端の牌を切った、萬子のゾーンの真ん中のところに牌を引き入れたなどなどある程度の予測ができてしまう

 

「でもこれだと、予測は出来ても何の牌か分からないんじゃない?」

 

部長が質問してきたが

 

「確かに、これだとせいぜい種類が分かる程度ですけど、実際の動きで分かることもあります」

「実際の動き?」

「例えば索子の6と索子の7の違いって分かります?」

 

突然の質問に答えられない麻雀部

それもそうだ、牌は数字か種類だけであり、それ以外にも違いがあるなんて考えたこともないのだ

 

「えっと、分からなそうなので答え言いますけど牌の形が違いますね」

「どれも四角いじょ」

「あー、もっとわかりやすく言えば上下対称じゃないだろ?例えば索子の6を手配に入れるときそのまま入れるけど、索子の7を入れるとき、原村さんは牌を綺麗に入れるから牌を手元でくるっと回転させるんだよ」

 

こんな感じにっと達也がくるっと回転させるが、少し呆気を取られていたのは無理もないだろう、そんなところまで普通は見ないのだ

 

「ワシの国士無双のはどうやって看破したんじゃ?」

 

まこは睨むように達也を見る

 

「最初の理牌の時染谷先輩は妙にバラバラに入れたじゃないですか?最初は俺の狙いに気づいたのかなって思ったんですけど視線が何度も横に横断した時に気づいたんですよ」

 

「視線だけで手配が読めるのか?」

 

「さすがにそれは無理ですよ、でも普通の手なら4面子1雀頭、手配の一つ二つみればすみます

しかし、ある一つの役だけは手配全てを見ないとテンパイを確認できないですよね?」

 

まこの瞳はテンパイを確認する為手配全体を横断した

国士無双だけにあらわれる視線の動き

 

「待ちはどうやって看破したんじゃ?」

 

ほんの少し呆れているのだろう、それでもきになるので聞けるだけ聞く

 

「国士無双をテンパイしたの原村さんが鳴いた後ぐらいですよね?あの時の視線がまず、河をみて俺の手配そして山をみた

つまり河にはアガリ牌はない、そして俺の手配を見るのは俺の自風が西という確認、そして山から引くという思考

そういう思考が視線にでて分かったんですよ」

 

 

そのように達也が見せる理は明らかに他を圧倒していたのだ

 

「それじゃあ、東一局の時私のリーチを鳴いてきたのは?」

 

そう、確かに他を圧倒できる理を持っていながら、最初の久の先制リーチに対して達也は純チャンを蹴っての嶺上開花のみをやってのけたのだ

 

「あぁ、あれは勘ですね」

「………それだけ?」

「うーん、あえて言うなら中張牌を切るのが早かったからだけですかね」

 

様々な理を見せてきて、突如に暴論をかざす達也

 

「そこに理はないです、ただの勘ですから」

 

達也の強さは理だけによって作られている訳ではなく、理を捨てる強さを持っている

 

「さて、だいたいタネ明かしも終わりましたし、京太郎ほら麻雀教えてやるよ」

「えっ?あっ、おうよろしく頼む」

 

これが、達也が清澄で打った初めての麻雀であった

 




作者はリアルの麻雀は二回くらいしか打ってなくてほとんどネット麻雀しかやってません

そんな中友達が牌とマットを買ってメンツを呼んで麻雀をしました

そして初めての局作者はツモを忘れ三面待ちが台無しに………

初心者あるあるですね

とまぁ、ここまで読んでくださってありがとうございます
評価や感想等お待ちしております


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六話

京太郎強化回




清澄高校の麻雀のレベルはとても高い

そんな中頭一つ抜けている咲と達也

 

咲は女子達と数多く打っているが、達也は最初の一回以来ほとんど打っていないその理由が………

 

「頭がおかしくなる」

「おかしくなるくらいが丁度いいんだよ」

「麻雀は業が深いな」

 

京太郎の指導だ

 

 

 

 

時は戻り一週間前のお昼休み、達也は久の所へ向かった

 

「えっ?須賀君の指導をする?」

「ええ、流石に初心者一人だと京太郎もいろいろと感じることがあると思いますし」

 

久は正直小高君には女子達とガンガン打ってもらいたかった

プロにも負けないのではないかという圧倒的実力と他人には真似できない理

レベルが拮抗してる相手だけではなく圧倒的存在を相手にする必要がある

 

「それは………夏が終わってからじゃダメかしら?」

「それは京太郎を夏まで雑用係にするっていう発言として捉えていいんですか?」

「………えぇ、そうね」

 

ほんの少し考えた

当然部長の発言は正直問題発言だが

しかし、久の心情も考えてもみる

三年待っての初めての団体戦、当然勝ちに行きたい

三年だ、この人は三年も待ったのだ

ほんの少しは我儘を言いたくなるだろう

しかもこの人そういう本音は言わず自分か悪者としている

なんというか素直じゃない人だ

 

「妥協案を出します、一週間ください、そしたら京太郎を初心者から脱却させます」

「うーん、それくらいならいいでしょう」

「ありがとうございます、では一週間くらい部活休みますので」

「あら?部室で教えないの?」

「牌と卓がワンセットしかない部室でどうしろと?」

 

清澄高校麻雀部、部としてあるのはこの人が学生議会長の権力を使って残しているのだ

当然そんな部活動に部費なんぞほとんどでない

 

「それを言われると中々辛いわ、では小高君須賀君の指導よろしくね」

「分かりました」

 

そして達也による京太郎初心者脱却特訓が始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

達也と京太郎は達也の自宅に向かいながら話をしていた

 

「さて、京太郎には泊まり込みで教えてやるが、麻雀を教えてやる前に麻雀が強くなるコツを教えてやるよ」

 

「マジで?そんなんあるならさっさと教えてくれよ」

 

「それはだな、意識することだ」

 

「なにを?」

 

「この世のありとあらゆる全て」

 

「はぁ?」

 

「麻雀をやる要素ってのは、なにも麻雀だけじゃない、数学ができれば牌効率もわかるし待ちの増え方も分かる、国語ができれば他人の捨て牌からどんな狙いをしたいか分かる」

 

「まぁ、理屈は分かるけど」

 

「そう、『理屈は分かる』京太郎お前は自分が強くなる方法は分かってるんだよ、京太郎に限った事じゃない大概の中級者や初心者も

『理屈は分かる』けど実践しないんだ」

 

大概の人間はやらないのだ

学校の宿題をやらなきゃいけないのにやらない

頭が良くなるためには勉強しなきゃいけないのにやらない

強くなるためには練習しなければならないのにやらない

 

「なるほど」

「でだ、俺の言った意識することっていうのは、普段当然であることをより高みにしていくことだ」

 

「高みに?」

 

「普段呼吸なんて意識してないだろ?それを腹式呼吸にしてみろ、他にも自分の姿勢なんて意識してないだろ?背筋伸ばしてみろ、歩くのも意識してないだろ?自分が思ってるよりほんの少し足を前にだしてみろ」

 

達也はどんどん追加して言う

 

「これ、結構疲れるんだな」

 

「こうやって日常生活でも人は鍛えることができるんだよ、これが何を鍛えるのかっていうと集中力だ」

 

「へー」

「麻雀ってのは、一人に集中しちゃいけないもので、卓全部を集中しなきゃいけない、そんな中、牌効率、相手の思惑、リーチ後の対処、残り牌の確認、通る牌、通らない牌、逆転への点数計算、挙げたらキリがない」

 

「うへぇ、そりゃ大変だな」

 

「それに慣れる為の意識をするんだよ、普段から多くの思考をすれば、昨日俺が皆に言った理にも気づく」

 

「あの、和のクセとか染谷先輩の国士無双の察知とか?」

 

「そっ、だけど今の京太郎はそもそも麻雀のルールを理解しないからそこから行くか」

「よろしくお願いします先生‼︎」

 

そういって京太郎の特訓が始まった

 

 

 

2日目

「とりあえず座学はこの辺にして、次は牌に慣れるか」

「やっと………終わった」

「あのな、ぶっちゃけ理さえ理解すればあとは簡単なんだぞ、むしろ理だけでも麻雀はできるからな」

「分かってるけどよー」

「分かってるなら実践しろ、二流ぐらいでいいなら今日で特訓終わりにしてもいいぞ」

 

そう、言われたら下りられない

男の子なら上に行きたい、もっと強くなりたい、二流ではなく一流、中級者ではなく上級者、弱者ではなく強者になりたいそんな願望を持つ、それが男の子

 

「いや、やるよ」

「うんじゃ、山作るか一つ30秒な」

「おう」

 

 

3日目 学校にて

 

「そういえば最近京ちゃん授業中寝てないね」

「ん?そうか」

「うん、いつも眠たそう顔してつっ伏せるのに」

「んー特訓の成果かな」

「あれっ?それって麻雀の特訓なんだよね?」

「達也の言葉を借りると、麻雀をやる要素は麻雀以外にもあるってやつだよ」

「へー、なんか大変そうだね」

「でも、なんかだんだん楽しくなってきたかな」

「頑張ってね京ちゃん」

「相変わらず宮永さんはいい嫁だな」

「嫁さん違います‼︎」

 

 

 

 

 

「うんじゃ、そろそろネトマでもやるか」

「ついに麻雀が打てるー」

「ここまで牌に慣れつつ理を詰め込んだからな、まぁ初心者ではないだろう」

「おお、ついに麻雀初心者の脱却‼︎」

「うんじゃとりあえず、明日までに上級卓に入れ」

「はい?」

「明日までに上級卓に入る、簡単な特訓だよ」

「は、マジで?」

「おう、うんじゃ飯作らなきゃいけないから適当に頑張れ」

「いやいや、流石に無理なんじゃ」

「負けが込んでも寝なきゃ大丈夫だろ、明日まで時間はたっぷりあるからな」

 

 

 

 

 

 

4日目

「あれ?小高君、京ちゃんは?」

「風邪を引いたってことにしといた」

「しといた?ってことは」

「そっ、俺の家で特訓中だ」

「えっと………学校出なくて大丈夫なの?」

「まっ、1日くらい問題ないだろ」

「あはは」

 

 

 

 

 

 

 

「よっしゃああああ、上級卓行けたぁぁぁ」

「近所迷惑だっつうの」

「あいてっ、やっと終わったぜ」

「まぁ、今日はもう寝ろ、明日から土日だからさらに詰め込むぞ」

 

うつらうつらとしていて話を聞いていない

 

「………麻雀っておもれーのな」

 

そのまま倒れこむように寝てしまった京太郎

 

 

 

 

 

 

「………おもれーか」

 

 

 

 

 

5日目

「今日から俺と打つぞ」

「いや、二人でどう打つんだよ」

「俺が山3つ使ってお前が一つでやる」

「それお前がめっちゃ有利じゃん」

「だからおれはお前の捨てた牌でしかアガれない、当然ツモアガリもなし、鳴くこともしない」

「うーん、それなら」

「さらにお前は持ち点は1000からスタート」

「はぁ?そんなんやったらすぐに飛ぶわ‼︎」

「だから俺から東風戦を取ってみろ」

「東風戦を?」

「そう、全部上がったら終了だ」

「かなりキツイと思うんだけど」

「なに、ちゃんと手加減するから」

 

 

 

 

 

最終日

「徹夜で麻雀がこんなに辛いとは」

「ほれ栄養ドリンク」

 

もうすでに達也とは2000局近く打っている

それもそのはず、京太郎は1000点しかない点棒を守らなければならない

しかしノーテン罰符でも死ぬ

振り込んでも死ぬ

つまり上げらなきゃ勝てない

しかし、アガれない

事実このルールは達也が数段有利なルールだ

しかし、京太郎も気づいているが達也は完全デシタル打ちをしている

つまり相手は牌効率のみの麻雀しかしていない

偶にアガれるが大概東2局で飛ぶ

つまり完全に手詰まり状態である

 

「ネトマの牌譜をみたけどよ、そこまで運がないんじゃないだけど、現実の麻雀も運が悪いか知らないが不要牌が来るパターンが多すぎるんだよな」

 

(京太郎は事実ネトマではデシタルを完全に打っていた

しかし、何故か知らないが現実の麻雀になると途端に運が悪くなっている)

 

達也は知るよしもないが、京太郎は決して運が悪い訳ではなくむしろ一般人より高い運を持っている

しかし、達也の強大な運気に飲み込まれていて、京太郎の運気がほぼ無い状態で打っているのだ

 

(普通はこれだけ負けが込みいれば放り投げたくなるが、負けがただの負けのままじゃなんも変わらないぜ京太郎)

 

京太郎も若干だが気づき始めた

(こんだけ打って明らかに俺に有効牌がこない時が多い、正確な統計は測ってないけど多分普通より悪い、常に普通以下なんて異常事態なんだけど相手が相手だから仕方ないと割り切るしかないけど)

 

ジッと手配を見る

(悪くない手配を引いたのも数え切れないほど引いた、だけど上がったのは数回だけだった、つまりこの手配は悪くないが、ツモが明らかに悪すぎる、つまり山をズラせば悪いツモ番もズレる)

 

「ポン」

 

(これで多少マシになるか………そういや染谷先輩は河からイメージしてアガれるパターンとアガれないパターンを探してるって聞いた、真似するにはいいけど問題は俺が上がるパターンが少なすぎてアガれる気がしないんだよな)

 

 

「チー」

 

(とりあえず鳴いて鳴いて仕掛けまくるしかねぇ)

 

「ロン」

 

(おっふ、そこもう張ってたのかよ、もっと集中しろ卓全体をみろ、もっと潜れ、卓の深い底まで潜れ)

 

(徹夜明けの麻雀なのに集中力が落ちてないな、むしろ何か掴みかけてるな)

 

(確かに俺の中じゃ、圧倒的にアガリパターンは少ないだけど逆を言えば達也のアガリパターンが腐るほどある、そこからどんどん見つけろこの手配がアガれるパターンを)

 

達也は卓の高みに行くなら

京太郎は卓の中に深く潜る

 

達也の築き上げたアガりを一つ一つ思い出す約2000局近く打ったなかで、達也とこの手配が近い形を見つける

 

(見つけた、さらにここから相手の手配を読め、上家は典型的な断么九系、下家は三食狙ってるのか?いや一気通貫か染め手、対面はまだ端の牌の整理をしてる、んで、あくまで達也は面前でこの手配を作ったけど俺にはそんな運がない、だから鳴く‼︎)

 

「チー」

 

(よしこれでテンパイ)

 

次順京太郎

 

「ツモ、断么九三食2000オール」

 

(よしっアガれたこのまま一気に行く)

 

(掴んだみたいだな)

 

この後京太郎は東四局までアガり

 

「特訓は終了」

 

と、達也に言われ無事特訓は終了したが

 

「もっと………もっと打ちたい」

 

と京太郎の強い要望で結局2日連続の徹夜でやり京太郎の特訓は終わった

 

 




作者は京太郎が好きです

ぶっちゃけると主人公は京太郎にしたかったですが、京太郎に後付けみたいな設定はしたくなくて←好きすぎて

素のままの京太郎を強くしたかったです

あと何より他の京太郎主人公作品より面白い作品が書ける気がしなかったので、オリ主という形でこの作品を書いたって感じですかね

とまぁ、ここまで読んでくださってありがとうございます
感想や評価等お待ちしております


追記

感想で京太郎の努力描写についてのご指摘がありましたので説明します

作者は「努力=頑張ること」とは思ってません
作者は努力というのは「努力とは目的の為の有意識行動」と考えてます
この場合ですと、麻雀部に入って部活動をするのが「目的の為の有意識行動」ですよね
じゃあ主人公が教えたのは何か?
「無意識的行動を有意識行動に変えること」です
本編でもあった通り、普段、無意識だったものを有意識に変えることは物凄く大変です、呼吸をするのも、足を動かすのも、手を動かすのも普通の人は無意識的にやると思います
だけどこれを有意識に変えると、呼吸も、足を動かすのも、手を動かすのも、全部意識してやるということです
じゃあそれに意味があるかというと、これも本編でもあった通り集中力が上がります
そして「努力=有意識行動」と考えると「努力してない=無意識的行動」だと作者は考えてます
つまり努力描写を入れるとすると、京太郎の日々の生活が努力描写だと考えてくれると助かります


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七話

咲達がメイド喫茶に行っている間に部室では………回


 

ここ数日、学祭の準備と中間テストのせいでどの部活動部活禁止期間が長く続いた

 

そして、久しぶりの部活動で夏の予選についての説明が出てきた

と言っても俺と京太郎は個人戦しか出られなくルールも特に変わったルールもないのだが

 

「へー、責任払いあるんだ」

「それって珍しいのか?」

 

京太郎もズブの初心者ではなく責任払いの意味くらいは知っている、だが責任払いのルールの有無が珍しいかはまだ知らない

 

「そーだな、どっちかというとローカルルールに近いかな」

 

麻雀には場所によってルールが異なってくるなのでこういった事前の確認も必須なのだ

 

「赤アリでダブル役満なしって変なルールだじょ」

「多分だが、テレビ向けだろ」

「テレビ向け?」

 

片岡さんの質問に俺の仮説をあげていく

 

「どんな競技でも言えることだけどさ、点数がたくさん動いたら盛り上がるだろ」

 

トップ転落や最下位からの逆転トップやってる本人達は大変な目にあうのだが見てる分には多いに盛り上がる

 

「でも、あんまり点数に差がついた試合って正直面白くないだろ?いきなりダブル役満直撃で6万近くの点数がなくなったらつまらないだろ」

「でも、結局赤アリだから点数も動くんじゃ」

「まっ、その辺がちょうどよくできてんだろドラ爆程度の失点なら大丈夫、ダブル役満はちょっと引くみたいな」

「そんなもんなのか?」

 

まっ、あくまでそんな予想だが

 

「それより染谷先輩がいないんですけど」

 

部活開始からそろそろ時間が経つが一向にこない

 

「おぉ、忘れてた」

 

大事な部員を忘れてたって………

 

「まこの家は雀荘をやってるんだけどね、今日はバイトが病欠らしくて人手が足りないらしいのよ」

 

へー、雀荘やってるんだ

 

「というわけで、和と宮永さんで行ってきて?」

「あれ?部長は行かないですか?」

「そーすると、こっちが3人になるでしょ、こっちはこっちで特打ちよ」

「そもそも、私行かなきゃいけないのかな?」

「部員以外の打ち方を見るのも勉強よ、県予選に向けて特訓ってことで」

 

という、すざましい暴論で宮永さん達を雀荘に向かわせた

 

「で、どういう意図で向かわせたんですか?」

「あら?まこのメイド雀荘が人手不足は事実よ」

「メイドだとっ⁉︎」

「京太郎は少し黙れ」

 

メイドという言葉で物凄く反応している

 

「だからって、染谷先輩で人手は足りると思うんですけど」

「まぁ、それは建前ね、知り合いのプロがあの雀荘の常連でね「二人をへこませてね」ってお願いしてあるの」

「プロですか………長野で有名なのは藤田プロですかね?」

「おっ?あたりよ、靖子も随分有名になったわね」

 

藤田靖子

オーラスからの逆転がプロの中で一番多い選手ついたあだ名は「まくりの女王」

 

「………俺も行きたかったな」

 

 

 

 

「メイド服を借りてきてあるじぇ」

「なんのためだ?」

「最下位の罰ゲームで貴様に着させるためさ、ほれパンチラ」

「いらねーよ、つか今までの俺とは違うってこと教えてやるよ」

「おっ、そういえば達也の特訓で初心者を脱却したようだな、どれ私が確かめさせてもらうじぇ」

「そうね、須賀君がどれくらい強くなったのか気になるし、早速始めますか」

「望むところですよ、おーい達也?そろそろ始めるぞー」

「…おう、うんじゃやりますか」

 

この後6回の半荘戦をやったが、6回ともトップが達也、4回二位を取った部長、一回ずつ京太郎と優希が2位を取ったのだ

 

 

 




合宿前の区切り回ですね

そしてそろそろ天のほうのキャラクターも出ますが、結構性格改変してますね

合宿編になりますが結構飛ばします、当然ラッキースケベもありません

そもそも作者はラブコメは苦手です、どうしても現実と小説の恋愛のギャップが酷すぎて感情移入とかできなくなるんですよね…

なにはともあれ、ここまで読んでくださってありがとうございます
感想や評価等お待ちしております


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八話

合宿の雀卓ってそういえば………


宮永さん達が藤田プロにボコボコにされた次の日の部活

 

「宮永さんと和は知ってると思うけど、今週の土日に合宿がやることが決まりました、ハイ拍手」

 

誰一人拍手が起きない部室

なんでこんなテンション高いんだこの部長

全員が白けた感じで見つめていて、部長はノリ悪いわねーと言いつつホワイトボードをひっくり返した

 

「というわけで、来月の頭に県予選がありますので、土日で強化合宿をすることになりました、で、場所はちょっと遠いけど格安の宿があるところでやるわ」

 

そういって日程や場所や持ち物の書いたプリントを渡された

無駄に手際いいなこの人

 

「で、誰かノートパソコン持ってない?」

 

部長の質問に誰も手を上げない

 

「俺持ってますけど?」

「うんじゃ、小高君はノートパソコンも追加ね‼︎」

「はぁ」

「うんじゃ、県予選まで9日間頑張るわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、合宿の日の朝

 

ブーブーブー

スマホのバイブ音で目が覚めた

こんな時間にメール?

「あっ、ごっめーん宿に雀卓ないから男子は雀卓部室から持ってきてくるようにねー」

………殴っていいよなあの部長

 

ブーブーブー

今度は電話か

「はいもしもし?京太郎か?うん、まじで?分かったうんじゃ6時に部室前な」

ピッ

あの部長、京太郎の制服のポケットに部室の鍵入れてやがった

朝からダルいな

 

 

 

 

 

 

「で、ここからもうひと登り?」

「みたいだな」

 

京太郎が絶望仕切った顔で宿までの道のりを見ていた

宿は山の上の方にありこれから長い坂を雀卓を持っていくことを考えると俺でも気が滅入る

 

「着いたら部長に一言いうか………」

 

なんか普通にムカついてきたな、当日こんなこと言われても普通に困るに決まってんだろ

部室からバス停まで運ぶにしろ、一輪車とかの使用許可とかあればわざわざバス停まで2人で歩きながら運ぶ必要もなかったし

ここから運ぶにしろ俺のツテに連絡して適当に頼んで運ぶこともできたのにこんな朝早くからじゃ流石に気がひけるから無理だし

そもそも、自動卓じゃなくて普通にテーブルとマットと牌さえあれば麻雀できるよな?

なんでこれ運ばなきゃならないの?

 

「………た、達也さん?」

「あん?京太郎どした?」

「いや………とりあえず運ぼうぜ!(和を怒った時と同じプレッシャーを感じたわ)」

「はぁ、そうだな着くまでの我慢だ」

 

そして2人で運ぼうとした時

 

「達也じゃねぇかよ‼︎」

「ん?」

 

黒い車から男が車を降りた

その体格は京太郎よりほんの少し大きいが圧倒的に厚みが違う、そして雰囲気が伝わる

 

京太郎は達也から無意識を意識するというコツを教えてもらってから今に至るまでずっと続けている、そんな京太郎がこの人の第一印象は関わっていけないと感じた

 

(ダメだ、この人は俺と住んでる世界が違う関わっちゃいけない人だ)

 

足がほんの少しすくみ、顔を伏せてしまった

しかし、男は気にせずこっちへ向かってきた

 

「原田さんじゃないですか‼︎」

 

原田克己

関西屈指の大阪の暴力団の組長。

「現役の王」「赤木の再来」とも言われる裏プロの最強の打ち手

 

「確か葬式以来だったな、というかお前はそんなもん持ってどこに行くつもりなんだ?」

 

雀卓を指差し尋ねる原田

 

「今から高校の奴と麻雀の強化合宿をやるんですよ、んで、宿に卓がないから、俺らが運んでるんですよ」

 

原田、一瞬達也が言ってることを理解できない、そして

 

「くぁはっはっはっはっはっはっ、まさか、お前がそんなことしてるのかよっ‼︎くぅはっはっはっはっ」

 

原田笑う……ッ!圧倒的に……笑う……ッ!

 

「そんな笑わなくていいじゃないですかー」

「いや、悪かった悪かった。クッ、クッ、悪いまだ無理だ」

 

必死に堪えようにしているが、本人のツボが収まらないのか中々止まらない

 

「あ、あの、達也さんこの人は?」

「あー、なんだ知り合いのおっさん」

 

説明する気がないのか達也は軽く言う

 

「はぁー笑ったわ、で、このボーズは高校のダチってことか?」

「そーですね」

「えっと、須賀京太郎です」

 

挨拶をする京太郎、第一印象は怖い人のイメージだが、大笑いしたせいかその空気が薄れてよく分からなくなってしまった

 

「そーかそーか、達也と仲良くしてやってくれ」

「で、原田さんはどうしたんですか?大阪への帰りですか?」

「そうだな、取り仕切り役で長野に来て、帰りに雀卓持ったお前ら2人を見つけたんだよ」

「そーなんですか、で、原田さん頼みがあるんですけどいいですか?」

「どーせ、その雀卓を車で運ぶんだろ」

「話が早くて助かります」

「まっ、面白いものも見れたし、別に構わないぜ」

「ありがとうございます」

 

そういって、雀卓を車の中に入れる

 

「ほら、お前らも連れってやるから早く乗れ」

「ありがとうございます」

「あ、ありがとうございます」

 

そう言って俺たちは車の中に入っていった

 

「なんか顔色良くなりました?」

 

助手席に座った達也が原田に質問する

 

「そうだな、だいぶ仕事を部下に任せてるからな、随分軽くなったぜ」

「体は大事にしといたほうがいいですからね、あと、部下連れてこないで一人で運転ですか?」

「いろいろ見ながら運転も悪くないぞ」

「俺のこと散々笑ったけど、原田さんも随分丸くなりましたよ」

「お前の前だからだよ、部下の前じゃちゃんとしてるわ」

「そりゃ、どーも」

 

そうしてお互い少し黙る

しかし居心地が悪い感じではなく、むしろ居心地の良い感じの空間ができている

 

「その気配の無さは曽我のじーさん真似か?」

「えぇ、原田さんの真似すると高校生が全員ビビりますって」

「そりゃそうだ………あいつを越えられそうか?」

「あんまり興味ないですね、上か下かと言われたら向こうのほうが上ですね、でも負ける気はしないですけど」

「クックックッ、相変わらずだな」

「あの人は誰からも支配されず、誰からも理解されなかった、だから誰にも真似出来ない麻雀ができた」

 

超えるべき目標、人生を賭ける価値のある夢

 

「だから俺は俺の麻雀であの人を超えますよ」

 

原田なにも言わないが、その顔は少し笑っている

 

(………なにがあんまり興味ないだよ、がっつり目標にしてるじゃねえかよ)

 

「あっ、あのー、そろそろ宿なんですけど」

 

京太郎は二人の会話に全く着いて行けず、宿が見えてきたので二人に声をかけた

 

「すいませんね、こんな雑用させちゃって」

「気にすんな、帰りの時は俺にメールでもしてくれ適当に足になってくれる奴を呼んでおく」

 

サラサラっとメールアドレスを書いた紙を渡された

 

「ありがとうございました」

 

京太郎が頭を下げ雀卓を運ぶ

 

「あいつも随分といいもの持ってるな」

 

原田が京太郎を見てそう判断した

 

「引っこ抜いちゃだめですよ?」

 

今の麻雀ブームは女子プロの華やかな麻雀によって作られたと言っても過言ではない

男子はだんだんと隅に追いやられ、地味だの華がないだの言われているが実際は違う

 

女子が表に出れば出るほど、裏プロの男子の凄みは増していく

本当に強いやつと打ちたい為に裏プロになる雀士も多い

男というのは基本負けず嫌いが多い故に強さを求め裏に行ってしまう

 

そして、もう一つの原因はある男の死だ

 

その男の麻雀は美しく、華やかに、そして高みのまま死んでいった

そんな話に男たちが燃えない訳がない、憧れない訳がない

こうして今や裏プロもまた表と同じくらい盛り上がっているのだ

 

「まぁ、なんにせよ頑張れよ達也」

「やっぱり丸くなりましたよ原田さん」

「ほっとけ」

 

そういって原田さんは帰っていった

とりあえず雀卓を宿に運ぶか

 

「あら?私達より早く来てるじゃない」

「部長?ちょっとこっち来てもらっていいですか?」

「ヒッ、い、いや、本当に連絡するのを忘れちゃって」

「そんな訳ないじゃないですかー、用意周到に京太郎のポケットに鍵を入れたじゃないですかー」

「うっ、いや、その」

「言い訳向こうで聞いてやるから、さっさとこいよ」

 

あくまでにっこりと怒気なんて全く込めてないむしろ優しい声色で部長を連れて行く

 

「えっ、えっと、お疲れ京ちゃんそれ重くなかった?」

「正直達也と運ばなかったらどこかに置いていこうと思った」

 

京太郎の遠い目がその辛さを物語っている

 

「朝、男子二人居ないから寝坊かとおもったら、朝からこれを運んでたのかのぉ」

「さすが部長、やることが鬼だじぇ」

「その鬼が、悪魔に叱られてけどのぉ」

 

こうして強化合宿が始まった

 




とまぁ、天のキャラクター原田さんでした

原田さんは以外と茶目っ気があると思うんですよね、赤木の葬式の時もちぇっとか言ってますし、義理に厚い男だと思います

ここでは完全に近所のおっさん扱いですけど、主人公が赤木とのつながりゆえですね

とまぁ、ここでは読んでくださってありがとうございます
感想評価等お待ちしております


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九話

合宿編を飛ばすと言ったな?

少しだけ触れるだけなんやで(ちょっとしかふれてないからヘーキヘーキ)


 

「うんじゃ、合宿の課題を言います」

 

本来なら部長の役目なんだがちょっとお話しをしたら顔を出せない状態なので代わりに進行係をしている

 

「最初は原村さん」

「はい」

「部長いわく、原村さんはネット麻雀では高いトップ率を取るような理詰めの打ち方ができてる、しかし、リアルではその場の勢いに流されてたり、ミスが目立つそうです」

「藤田プロとやった時もそうじゃった、プロ相手でも本来のわれの実力ならもっと善戦できたはずじゃ」

「ネットにはないリアルの情報量に惑わされてるな」

「リアルの情報?」

「ツモる動作、理牌する時の動作、捨て牌の動作、原村さんは全体的にリアルの麻雀に慣れてないんだよ」

 

ネット麻雀では数多くの打ってきたが、リアルで打った数は多くない

そこが現時点の原村和の弱点

 

「だから原村さんは麻雀牌に慣れることから始めましょうか」

「はい」

「で、逆に宮永さんはリアルの情報から読み取りすぎ」

「えっ?」

「たしかにそれは強みだけどそれだけじゃ勝てない、ということで宮永さんはネット麻雀をしてもらいます」

「ネット?」

「リアルの情報なしの麻雀だよ、多分大変なことになるぜ」

 

クックックッと笑う俺

 

「京太郎、後で俺のノーパソ使って宮永さんに使い方教えてやれ」

「おーよ」

「うんで、次は片岡さんだが」

「達也達也〜」

「ん?」

「片岡さんなんて堅苦しい言い方せずに優希でいいじょー」

「あー、うん、うんじゃ、優希の課題だが」

「なんでもかかってこーい」

「ホイ」

 

手渡したのは算数ドリル

 

「へ?」

「とりあえず算数出来ないと麻雀出来ないから優希はこれからな」

「えぇーーっ」

「ほら、全部できたらまた課題増やすから」

 

ぶつくさ文句を言いながらそのままドリルを始める優希

 

「なぁ、達也?」

「何ですか染谷先輩?」

 

さっと耳元に顔を近づけて

 

「ワレ、もしかして優希のこと苦手か?」

 

ちょっと顔が引きつってしまった

 

「やっぱりか」

「いや、別に苦手って訳じゃないですけど」

「じゃが、距離を取ってるようにみえるが気のせいか?」

「………自分、天真爛漫とか純情とか小動物系の女子ってどう対応すればわかんないんですよ」

「それって、1年トリオのことじゃろ………ワシら平気なのか?」

「あー、染谷先輩の姐御肌系とか部長の悪女系は散々あったことがあるから問題ないんですよ、むしろそんな女の人しかあったことがないんで対応に困るんですよ」

「なるほどのぉ〜」

 

中学の頃は常に年上しか居なかったせいか、ああいう女の子らしい女の子と会話なんて小学校低学年頃まで記憶を遡らなければならない

故に達也も対応が困るのだ

 

「まっ、これから3年間一緒にやっていく仲間なんだからもうちょい距離感をなんとかしたほうがええぞ」

「………ウッス」

 

そういって染谷先輩は俺から離れた

 

「で、ワシはなにをすればいい?」

「あー、少し京太郎と被ってるんでちょっと待って貰っていいですか?」

 

そして京太郎が宮永さんにネット麻雀のやり方を教えて帰ってきた

 

「あれっ?染谷先輩の課題言ってないの?」

「京太郎と染谷先輩は課題は同じ、経験値を上げさせる、京太郎はぶっちゃけると染谷先輩の打ち筋と似てるんだよ」

「ほー、京太郎はワシの真似でもしたのか?」

「本人は染谷先輩を意識して打ってもらいましたから、まぁ染谷先輩には全然及ばないけど」

「辛辣だなオイ」

「なんにせよ二人はとことん俺と打ってもらいますよ」

「達也と沢山打つ、分かりやすくて助かるわ」

「特訓の時は鳴き無しだったからな、今度は鳴きありで学ばせてもらうぜ」

 

 

 

 

こうして合宿の課題は言い渡されそれぞれの課題をクリアする

そうしてまた一歩強くなる

 

「私も打つわよーー」

「あっ、復活した」

 

 

 




とまぁ、合宿編を軽く触れときましょう

主人公の中学時代は過去編とか作って別にしようと思います←作るとは言っていない

そしてそろそろ赤木さん追悼動画を漁る時期がきましたね
やっぱ通夜の時の赤木はカッコよすぎる‼︎
あんな風に生きていけたらいいなと思ったり思わなかったり

とまぁ、ここまで読んでくださってありがとうございます
感想や評価等お待ちしております


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十話

ついに県予選開始



合宿から6日

 

県予選の初日

 

「さぁ、行こうか」

 

部長の声に合わせ皆声をあげる

なんか青春ぽいな

 

 

 

 

 

「うーわー人多いな」

 

はじめて大会に参加した京太郎がキョロキョロと周りを見ている

 

「オイ、京太郎お前あんまりキョロキョロすんなよ今日は女子の団体戦なんだから変質者扱いされたくないだろ」

「いや、変質者じゃねぇから」

「それとお前がキョロキョロして宮永さんが迷子になったらどうするんだよ」

「それもそうだな、オイ咲………咲は?」

「咲ちゃんがいないじょー」

「え……」

「はぐれたか…相変わらずどこか抜けているわね」

「あいつぁ携帯とかもっちょらんけぇのぉ」

「じゃあさっそく男子2人にお願いするけどいいかしら?」

「へーい」

「分かりました」

 

こうして俺と京太郎は宮永さん捜索隊として会場を駆け巡った

 

 

 

 

 

 

 

 

「こちら達也、宮永さんを確保しました」

「了解、会場入り口がポイントよ」

「了解しました」

 

パタンと携帯を閉じた部長

 

「いや、なんでそんな軍隊みたいなノリなんですか?」

「あら、須賀君も子供の頃やらなかった?ラジャーとかイエッサーとかアイェェェニンジャとか」

「いや、してませんし最後のわからないです、とか言ってる間に咲達きましたよ」

 

「捜したよぅ〜」

 

「なにはぐれてんだよ」

「心配したわ…女装した須賀君を出すことになるかとおもって」

「そっちの心配ですかっ‼︎」

「原村さんは?」

 

フラフラと遠くから歩いてきた

 

「やっと取材から解放されました」

「忘れがちだけど、原村さん一応全中チャンピオンなんだよな」

「期待されるのは嬉しいですけど、私より強い人はいますから」

 

そっと達也は原村さんから離れて染谷先輩に話かけた

 

「なんか原村さん丸くなってません?」

「そりゃ、ワレに合宿散々ボコボコにされたんじゃ全中チャンピオンのプライドなんてとっくになくなっとるわ」

 

なんかもっとトゲドゲした感じだったけどな

 

「それじゃオーダー発表するわよ、先鋒・優希、次鋒・まこ、中堅私、副将和、大将咲」

 

まぁ、これが一番ベストだろう

一応部長と話し合って決めたがなんで俺に確認を取るのかな

 

「わっ、私が最後ですか⁉︎」

「合宿でシミュレーションした結果この順番しかないと思ったのよね」

 

後半になればなるほど点差のために自由に打てなくなる

そういう意味では点数計算が得意な宮永さん原村さんを後半に置くのは正解だろう

 

「てことは先鋒に強いのをすえるのがセオリー!すなわち我最強」

「わら点数計算がでけんからじゃ」

「今日の一回戦で58校が16校に午後の二回戦で4校になる、そして明日が決勝というわけ」

「中学の時よりずっと多い…」

「それでも、激戦区の大阪や東京に比べりゃあ3分の1もないがのう」

「つまり田舎でラッキーってやつですね」

「まぁ、俺たち男子は個人戦だけだからあんまり関係ないんだけどな」

 

あれこれ会話してる内に時間が迫ってくる

 

「あと10分で一回戦が始まります各校の先鋒は所定の対局室に入室してください」

 

「ついに主役の出番だじぇ」

「じゃあ、私達は観戦室で応援してるから」

「まかせとけ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休み

 

「では、一回戦突破を祝してかんぱーい」

「「「かんぱーい」」」

「ってアレ?俺全然対局の記憶がないんだけどっ‼︎」

「ひどいな京太郎女子の皆があんなに頑張ったのに」

「あれぇ?おかしいな」

「しっかし咲ちゃんにはおったまげたじょ東福寺をとばして終わらせちゃうなんて」

「あっあれはほら…原村さんがたくさん削ってくれてたからだよっ」

「東福寺は48000点残ってましたよ」

「あぅ」

「ふふっ」

 

「なんか怪しい雰囲気ですね部長」

「あら?須賀くん私は男も女もどっちいけるわよ」

「ちょっと離れて貰っていいですか部長」

「ちょっと、なんで達也君が離れるのよ‼︎」

「ワシもちょっと離れておこうかの、一年間同じ部室にいたし」

「流石にロリは食べないと信じるじょ」

「ただの冗談じゃないよー」

 

 

「なにをやってるんだお前達は?」

「藤田プロ‼︎」

 

「オイアレ藤田靖子じゃねぇ⁉︎」

「あ、本当だ…」

「藤田プロが話しかけてるのって…清澄高校⁉︎」

 

 

「有名人がこんな所で油売ってていいの?」

「前打った時と随分違っていてな、一体どんな魔法を使ったんだ?」

「誰かさんに凹まされたのと合宿の鬼の特訓の成果かしら」

 

少し遠い目をする部長

 

「魔法…裸単騎…倍プッシュ…うっ頭が」

「京ちゃん落ち着いて合宿は終わったんだよっ‼︎」

「はっ、ここは地獄じゃない、閻魔様も鬼もいない‼︎」

 

「なにがあったんだ合宿中に?」

「いろいろあったみたいですよ、よくわからないですけど」

「だが、午後の二回戦に勝って決勝に進出しても龍門渕と風越に当たる、天江は強い…風越も今年はベストメンバーだ初戦のようにはいかないだろう」

 

などなど、客観的に意見を述べてくれるが

 

「確かに龍門渕と風越は強いと思う………けどそれって俺より強いか?」

 

と皆に聞いてみるが

 

「そう考えると気が楽になるわね」

「あの地獄に比べれば軽いもんだじょ」

「300近く打ってトップ率10割なんてそんなオカルトありえません」

「原村さん、落ち着いて震えてるから」

「結局合宿の対局全てトップでアガッたからのぉ」

 

 

「大丈夫ぽいみたいですね?」

「それより君の存在が気になるような発言がちらほらでできているんだが?」

「まぁ、男子の個人戦に期待でもしてください」

 

「まもなく二回戦を開始します各校の先鋒は所定の対局室に入室してください」

 

「よしっ、行こうかっ‼︎」

「「「はいっ‼︎」」」

 

「失礼します」

 

(宮永咲…そして小高達也か…大将戦が面白くなりそうじゃないか)

 

ついにシード校も参戦し、県予選はさらなる盛り上がりを見せる

 

 

 




主人公のおかげで清澄全体のメンタルが強くなりました

そしてここから主人公の解説タイムが続きますね
カットしてもよかったんですが、急ぎ足で進めて行き詰まりになってしまいますのでゆっくりペースで行きましょう

とまぁ、ここまで読んでくださってありがとうございます
感想や評価等お待ちしております


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十一話

県予選決勝開始ッ‼︎


「さぁついに始まりました県予選決勝戦‼︎泣いても笑っても全国に行けるのはこの一校のみ‼︎今年はどんな戦いを見せてくれるのか…‼︎」

 

 

清澄高校控え室

 

「決勝戦は1人半荘二回ずつでトータル半荘10回、点数も当然引き継ぐ」

「えぇっ⁉︎1人半荘2回…一回分のタコスしか持ってきてないじょ…」

「合宿でもミーティングでも話したじゃない」

「京太郎‼︎タコスを買ってこい‼︎」

「は?こんな朝早くに空いてるかなぁ…」

 

「あと10分で先鋒前半戦が始まります各校の先鋒はーー」

 

「とっ、とにかく頼んだじょ‼︎」

「お、おう」

「行ってくる‼︎」

 

「さぁ、快進撃の新鋭清澄高校1年片岡優希‼︎

 

王座を取り戻すか‼︎風越女子3年福路美穂子‼︎

 

善戦中の無名校鶴賀学園2年津山睦月‼︎

 

再びその力を見せつけるか龍門渕高校2年井上純‼︎

 

決勝先鋒戦、まもなくスタートです」

 

「ほれ京太郎、タコス売ってそうな店はこことここだから手分けしていくぞ」

「おう」

「ごめんね、雑用ばっかりさせちゃって」

「そういうつもりで部に入れたんじゃないんですか?」

 

笑いながら俺たちは部長に答えた

 

「………半分くらいわよ」

「別にいいんじゃないすかね?部長はドーンと構えててくださいよ」

「………須賀君」

 

「うんじゃ俺はこっちで、京太郎はそっちな」

「おう」

 

 

タコスが売ってそうな店に走る、そんな時執事が俺の横を通り過ぎた

 

「………すんません、タコス売ってる店知りませんか?」

 

俺は止まり、その執事に声をかけた

 

「タコスですか?そしたら近くにお店があるので案内しましょう」

「すいませんご丁寧に」

「いえいえ、気にしないでください」

 

そうやって執事についていった

 

「すいません、失礼なことをお聞きしますが常にその姿勢で歩いているんですか?」

 

達也は普段から無意識を意識するをしている当然京太郎とは比べ物にならないくらいの集中力だ

しかし、そんな達也でさえも届かない領域にこの執事は入っていると感覚的に気づいた

 

「そうですね、常にとまではいきませんが仕事中ではこのような姿勢ですね」

 

「本当ですか?………こりゃ俺もまだまだだな」

 

「いえ、貴方も相当素晴らしい意識の高さですよ、私の方がほんの少し長く続けているだけでいずれ貴方もこのくらいは簡単にできますよ」

 

「そうですか、えっとそういえばまだお名前を………」

 

「私は龍門渕高校の龍門渕透過華様の執事であるハギヨシと申します」

 

「自分は清澄の小高達也です」

「清澄高校の人でしたか、となるとタコスを買いに行くということは」

「先鋒の優希…片岡さんの好物ですね」

「そうですか、タコスはあまりメジャーな食べ物ではないので探すのは大変ですね」

「まっ、それでパワーが出るならこのくらいの労働大したことじゃないですよ」

 

と他愛のない雑談をしながらタコスの売っている店についた

 

「すいませんここまで教えていただいて」

「いえ、困った時はお互い様ですよ、では私は人を探さなければならないのでここで失礼させていただきます」

「お忙しい中ありがとうございます」

「いえ、ではこれで」

 

そしてほんの少し目を離した瞬間に消えた

 

(いや、外に気配がある…が、一瞬で50メートル以上離れたぞ………)

 

「俺もまだまだ足りないもんだなぁ」

 

とりあえずタコスを持って京太郎に渡しといた

 

優希も京太郎からもらったほうが嬉しいだろ多分

 

 

 

 

 

先鋒後半戦

 

「ありゃりゃ、随分削られてますな」

 

宮永さんが牌譜を渡してくれた

 

「ありがとう………ふーん、なるほどね」

 

牌譜をパラっとみて大体相手の麻雀が分かった

 

「リーチ‼︎」

優希の先制リーチ

 

鶴賀学園の人は現物を切ったが

 

「チー‼︎」

龍門渕の人が鳴く

 

「なんですかあの鳴き…」

「前半戦でも変な鳴きで優希の親倍を潰したわ」

「偶然ですよ」

「いや、どうも偶然じゃなさそうだぞ」

「へ?」

 

(一発ならず)

(発ーー)

 

「なっ…」

「あのチーがなければ一発ツモだった…」

 

「龍門渕の井上選手はたまに不可解な鳴きをしますね」

「ンーーそうね、相手の手の進みが好調か否か雰囲気から察しているような節があるわ」

「そんなコト可能なんですか……?」

「私はムリ‼︎」

「えっ……」

「できたとしてもあの鳴きはわけわからんまるで「流れ」が存在していてそれを操っているように見える」

 

「ロン発のみ1300です」

「はぃ」

 

「また潰された…」

「タコス入りの優希ちゃんが東場で和了れないなんて………あったね普通に」

「うん、普通にあったな」

「ありましたね」

「あったのぉ」

 

清澄のみんなが突然遠い目になった

 

(何もできないまま南入、なんだろうこの感じ、最近こんなコトあったような……あぁ、思い出した)

 

 

 

 

 

 

合宿の時

 

「うっうっ、ダメだーーっ‼︎東場なのに全然勝てないじょ」

 

私は思わず横に倒れてしまう

 

「咲ちゃんはなぜか槓材持ってて嶺上で和了るし!ありえない!」

 

嶺上開花の確率は0.28%

そんなのをホイホイあがられたらどうしようもないし

 

「のどちゃんはおっぱいでイカサマしてるし!」

「してませんっ‼︎」

 

のどちゃんにちょっと八つ当たり気味に文句を言う

あんまり負けが込んでると嫌な気分にもなるじょ

 

「私…麻雀向いてないのかなぁ」

「向き不向きなんて、ただの付加価値だよ」

 

一緒に対局をしていた達也が声をかけてくれた

 

「付加価値?」

 

「例えばさ、バスケが有利な奴ってどんな奴かしってるか?」

 

突然バスケの話になって訳が分からないけど

 

「えっと、背が高い奴のほうが有利だしょ」

 

「大概のスポーツに言えることだが背が高い奴はスポーツにおいて物凄く有利だ、だけど背が高い奴が全員有利なはずなのにスポーツ界には小さい奴もいるそれは何故?」

 

「えっ、えーと、足が速かったりとか?」

 

「そう、他のものが優れてたりして背が高い奴よりも強いってことだ。つまりさ、有利なだけであって絶対はないんだよ

多少点数が有利、多少配牌が有利、多少ツモ運が有利、それだけじゃ麻雀は勝てない

有利なだけで勝負は決まらない

不利なのはみんな知ってる、配牌が酷い時もあれば、ツモ運が最悪だったりする時もある、だけどそれだけでも麻雀は負けないし勝負は決まらない」

 

達也はいろいろ言ってくれたがちょっと私には難しいじょ

 

「まっ、よーするに多少の有利不利で諦めんなよ

不利だからどうした?絶対に和了できないのか?有利だからどうした?絶対に和了できるのか?

そんな所で止まるな、進めば必ず変わる………だから前に進め」

 

前に進め

 

前に進め

 

前に進め

 

 

 

「失礼」

 

断りを入れといて私は椅子を回転させる

 

(諦めた心では見えないものも、前に進めば見えてくる)

 

「さぁっ‼︎気合い入れ直したじぇ」

 

(まだ勝負は決まってないっ‼︎)

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫そうですね」

「みたいね」

 

俺と部長は優希の顔をみてそう判断した

 

「が、1人格上がいるからな」

「格上?龍門渕の選手じゃねーの?」

「確かに優希から沢山和了ってるから目立ってるけど少なくとも俺の理に届きそうな人が1人いるな」

「達也の理に?」

「まぁ見てなって」

 

 

(チートイドラ3もいいけどもっと高めだしょっ‼︎)

(ドラ切り?うんでこっちはテンパイ…リーチして脅して止めるか)

 

「リーチ!」

 

(あの捨牌…ドラが切りづらいじょー)

 

 

 

 

「ドラ残してチートイのほうが良かったか?」

「個人的には染め一択じゃ」

「まぁ、ここからだよ」

 

 

(恐らく萬子で染めてるだろうがそのまま縮こまってな)

 

(この子の理牌のクセと視点移動から考えると端の一牌以外全て萬子………リーチに対してドラが切れなくて困っているのね、大丈夫道を作ってあげる)

 

「ここでドラ切りっ⁉︎」

「解説頼んだぞ」

 

龍門渕のリーチに対してドラ切りの風越

 

「優希の高い手を予想して、道を作ったんだよ、多分ドラが切りづらいの見越してあえて自分のドラを切って龍門渕から点数を削る」

 

 

 

 

「ローン、リーチ一発メンチン平和ドラ1っ‼︎裏が乗れば3倍満だじょ‼︎

残念!乗らず24000‼︎」

「十分でけーっての…」

 

(このおねーさん味方⁉︎)

 

(くそっ…ッ!風越のキャプテンがチビを調子づかせる…流れを断たねば)

 

「ポン」

 

「それです、2000の二本場は2600です」

 

「ツモ1300・2600です」

 

「ロン1300です」

 

(この女…ッ)

 

(味方なんかじゃないじょ)

 

「ロンです8600!」

 

 

そして終局してみれば

 

風越142000(+42000)

 

清澄88900(−11100)

 

龍門渕87700(−12300)

 

鶴賀学園81400(−18600)

 

「先鋒戦終了ですっ‼︎風越女子が逆転して暫定トップですっ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

「まっ、一応二位だな」

「そうね、問題なしよ」

 

じっと画面に出る順位を見てみると和が大きな欠伸をした

 

「ふわ…」

「あら…おねむ?」

「今朝早かった上に、昨日あまり寝れなくて…」

「うーんそれは困ったね…咲の出番は7時間以上和の番まで5時間はあるから二人とも仮眠室で寝てきたら?後で起こしにいくから」

「えっ?せっ、先輩達の応援をせずなんてできませんよっ」

「応援がないことより眠くてぬるい麻雀打たれるほうがイヤだわ」

「ほうじゃほうじゃ」

 

「たーだいまー今帰ってきたじぇ」

 

「お帰り」

「頑張ったのう」

 

優希の顔をみて原村さんと一瞬目があった

 

「部長、ちょっと京太郎と一緒にコンビニ行ってきて弁当でも買ってきますよ」

グイッと京太郎の襟を掴む

 

「宮永さん仮眠室に行きましょう」

原村さんも宮永さんの手を引っ張っていく

 

「ちょっ、達也待てって‼︎」

「わわっ原村さん」

 

バタン

 

「あのメンツ相手に二位なんて大健闘、予想以上よ!よくやった!」

「うぅ…うわあああぁぁぁ」

「カタキはとっちゃるけぇ」

 

 

 

 

 

「急にどうしたんだよ達也?」

「原村さんも仮眠室に行かないつもりだったんじゃ…?」

 

「優希は気が強い子だから、同い年の私達の前では大泣きできないとおもったんです」

「「あー…」」

「私達が部屋を出ればあそこには先輩しか残りませんからね」

 

以外と気が使えるだなーと思った俺は悪くないと思う

 

「達也も良くわかったな」

「忘れたか?麻雀をやる要素は麻雀以外にもある、優希の顔をみればだいたい分かるよ、あいつは良くも悪くも顔にでるタイプだからな」

 

そんな話をしたら京太郎と宮永さんに尊敬な目で見られた

 

「京ちゃんあれがモテる男って奴だよ」

「俺が女だったら普通に惚れてたぞ」

「いや京ちゃんそれは流石に単純すぎない?」

 

いろいろ言われてんな俺………

 

「というかその原理だと和もモテる女…元々か」

「元々だね」

「元々だな」

 

結局その後は和はいい嫁さんになるよなという会話で終始終わった

 

 




ハギヨシさんは主人公より基本スペックは上です←麻雀で負けるとは言っていない

それとコレを読んでる人は常々感じていたことなんですが、「あれっ?この作品小説検索しても出てこないな?」って感じませんでしたか?
-----ここから作者のスーパー言い訳タイム------
作品を投稿する上で原作決定欄があるんですよ
で当然「咲-Saki-」にするじゃないですか?

しかし……ッ‼︎作者ここでミスッ………ッ‼︎

「咲-Saki-」を「咲-saki-」と打ってしまうとんでもないミス……ッ‼︎

しかも作者ここでなんと勘違い………ッ‼︎

「あれっ?コレって自分の投稿した作品は小説検索しても見れないのかぁ〜」

暴論ッ……あまりの机上の空論……ッ‼︎作者自分のミスに気づかない……ッ‼︎

そして心優しい読者の方が優しく指摘してくれました

とまぁ、このように作者作品を投稿するの初めてなのでこういうミスもあります……

今はちゃんと直しました‼︎

なので、こうして感想欄で指摘や疑問そして楽しみにしてる声を聞くと作者も思わずニッコリしますので、短くてもいいですから是非とも感想をください‼︎これからの活動の原動力になります‼︎

とまぁ、ここまで読んでくださってありがとうございます
感想や評価等お待ちしております


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十二話

県予選決勝中堅戦‼︎


今日はいい天気だなぁ、新緑も輝いてるし

 

あぁー

 

こんな日に和とキャッキャウフフできたらなぁ

 

 

 

「そのだらしない顔控え室に戻る前になんとかしろよ」

「うおっ?びっくりしたっ‼︎」

 

突然目の前に達也が現れて急に現実に帰ってきた

 

「どーせ原村さんのことでも考えてたんだろ?」

「ち、ちげぇし」

 

なんか好きな人が当てられた中学生みたいな反応になっちまったじゃねぇか

 

「ま、別に好きか嫌いかは聞いてないが、もうちょい視線胸に行かないようにしたほうがいいぞ」

「えっ……?」

「多分だけど原村さんも気づいてると思うぜ」

 

なん……だと……おもちを見ているのが和にバレてるとか絶対好感度落ちてるじゃないですかー

 

(無意識を意識してるせいか原村さんも気づいてないレベルまで胸見るの上手くなっちまったからなー、釘さしておこ)

 

「さてさて、弁当の買い出しの間に女子はどうなってるかなー?」

 

次鋒戦終了

 

風越140800

 

鶴賀学園112000

 

龍門渕77800

 

清澄69400

 

「アララ、まさかの最下位ですか」

 

 

 

「ただいま戻りました」

「おかえり」

「買い出しご苦労」

 

優希に近づいて、ホイと渡す

 

「ほれ、タオル」

「へっ?」

「目元まだ赤いぞ、コンビニのレンジで蒸しタオル作っといたから」

「えっ?うぅ、ありがとう」

「どういたしまして」

 

そういって達也は優希から離れた

 

「んで、次鋒戦の牌譜は?」

「これよ」

 

牌譜を見てみると

 

「ありゃ、染谷先輩の天敵がいますね、しかも親番で3回ツモられてるし」

「不甲斐のぉてすまんのー」

「相手は京太郎より初心者だったじぇ」

「一応俺、初心者脱却したんだけどなー」

「昼休み終わったら私の番だからなるべく取り返すように努力するわ」

 

 

 

 

 

選手通路付近

 

(おや?遅いご登場だな)

 

「におうね…この会場美味そうなにおいがする」

 

(天江衣‼︎)

 

「昼休みだからなぁこれはカレーのにおいだな」

「違う衣の生贄達のにおいだっ‼︎」

 

(身長のせいかいつも子ども扱いされるせいか難しい言葉を使うんだよな、そして何よりも可愛い‼︎)

 

「かわいーなーおまえはーこんな子供が欲しいー」

「子供じゃないころもだっ‼︎抱きつくな」

 

(こうは言っているが、実は頭を撫でられるのがすきなんだよな)

 

「よしよし」

 

途端に力が抜け、なすがままにされる天江衣

 

「撫でるなーっ‼︎」

 

「親善試合で衣に負けたゴミプロ雀士のくせに〜っ」

「なんだと」

 

流石にゴミプロと言われカチンときたのか流石に言い返す

 

「あの試合は変則的で直接対決がなかったからな」

「直接やれば勝てたというのか、三流にふさわしいおめでたい脳みそだな、片腹大激痛」

「あの試合はアマもプロもホントに強いヤツはきてなかったんだ、粋がるな」

「えっ……それって…自分が弱いってことを認めてるようなもんじゃ…」

 

撫でいた手をグーにして頭にグリグリとする

衣と遊んでいると決勝進出高校以外の選手がうろうろしている

 

「ん?おいそこの‼︎ここは決勝進出校以外は立ち入り禁止だぞ‼︎」

 

「うわっ」

「やばっ」

 

逃げるようにして何処かへいった二人組の高校生、そしてペンギンのぬいぐるみをおとしていった

 

「ペンギン?」

「清澄高校の原村和が持っているやつに似ているな」

「よしっじゃあ衣が連れて行ってあげよう」

「大丈夫かぁ?初めてのおつかいだろ?」

「子供じゃないっ‼︎」

 

(参加校同士の馴れ合いも悪くはないか)

 

「気をつけていけよ」

 

「うん!まかしておいて‼︎」

 

 

 

 

制服の肩の部分をほんの少し持ち上げ、おさげにする部長

 

(以外と緊張してるな部長……)

 

いつもみたいなヘラヘラした感じは少なく、真剣な表情だ

 

「それじゃああとお願いね」

 

ぐるぐると肩を回し、歩いていく

 

「ちょっと待った」

「ん?なにかしら?」

「両手を合わせてください」

「ん?こう」

 

達也はその両手をそこそこの力で叩く

 

「いっ痛、いきなりなによっ‼︎」

「緊張覚まし方ってやつですよ、難点は1人じゃできないってトコですけど」

「………なるほどね、けど女の子の手を叩くのはひどいんじゃない?」

「それくらいの軽口が吐ければ緊張もなくなったみたいですね、ほらいったいった」

 

しっしっと払うように部長を追い出す

なによーもうとぶつくさいいながら出て行った

 

「ずいぶんと優しいのぉ」

 

にやにやしながらこっちにくる染谷先輩

 

「染谷先輩だって気づいてたじゃないですか」

「まぁ、お前さん達よりも付き合いは長いからのぉ、自分でなんとかすると思ったんじゃ」

 

部長はどこか自分を客観視して怯えてる時がある

俺は緊張覚まし方をやったが、染谷先輩は自分でなんとかすると踏んだ

こういうところが付き合いの差として出てしまったのだろう

 

「信頼の差ってやつですね、今度は普通に追い出しますよ」

「いやたまにはええじゃろ、ああいうのはテンションが上がるからのぉ」

 

 

 

 

 

 

「清澄高校竹井久、中堅戦最初の先制リーチだ」

 

「リーチかけましたね部長」

「ドラ切れば待ちは多いよな」

「么九牌のドラ単騎自体割と普通だしょ」

「和が合宿の時達也のノートパソコンで部長の牌譜を見つけてプンプン怒ってなぁ」

 

 

 

 

合宿中

 

「わざわざ悪い待ちにするなんて理解できません」

「あれがおかしい打ち方だってのはわかってるのよ?」

「じゃあアレはなんなんですか…県予選であんな打ち方されたら困ります」

 

「やっとるねぇ」

「相変わらずですね」

 

試合が終わってからの検討会

打っている人以外は牌譜を取りどのような傾向やどのような思考を持って何を切るか教えあう

 

「ゆーて、ワレが一番和に突っ込まれてるけどのぉ」

「あはは」

 

何度も危険牌を切ったのは何故か?と聞かれ邪魔だから切ったと答えたら激怒された

 

これで待ちがすごく減るんですけど?と聞かれ次弾けそうな気がしたと答えたらもっと怒られた

 

何でフリテンリーチしかもリーチした牌で待ったんですか?と聞かれ、前の局宮永さんがこの牌で槓したから重なってるかなと思ってと答えたらすごく睨まれた

 

(一応理にかなってると怒りはしないんだよな)

 

「私も理論通りに打ちたいけどあなたほど頭も良くないし「ここ一番」って試合ほど悪い待ちにしてしまうの」

 

「大事な試合だからこそその一回の勝率を上げるために論理的打ち方をするべきでは…」

 

「じゃああなたは…たった一回の人生も論理と計算ずくで生きていくの?」

 

「そっ…それとこれとは話は違いますし、小学生の先生とかお嫁さんとか色々なってみたいですけど………じゃなくて‼︎」

 

意外と可愛い夢だなオイ

 

「麻雀は一回きりじゃないですよ」

「そうねでも私にとって…インターハイは今年の夏一回きりなのよ」

 

和もほんの少し黙る、最初で最後の夏のインターハイ、どれだけの思いを込めているのか和にもわからない

 

「それにねぇ、悪い待ちにして負けることがあったら理論派にもなれるけど………いつも勝っちゃうのよね」

 

 

 

 

 

 

 

 

「中堅戦前半戦終了ーーー‼︎中堅区間の獲得点数は清澄の圧勝だと思われましたが、龍門渕高校が少しずつ追い上げ現在は4校の点数はほぼ平らの横並び!試合はまるで振り出しに戻されたかのようです」

 

「ただいま戻りました」

「おー、おかえり」

「のっどちゃーん」

「おかー」

「ちゃんと寝れたかー」

 

「はい、おかげさまで大分楽になりました」

「もーちょい寝てても良かったのにな」

「それはどうしてですか?」

「人間の頭って寝起きから数時間が最も性能が発揮するんだよ、俺もここ一番の勝負前は寝るし」

「「「へー」」」

「というか小高君のここ一番の勝負の方が気になるですが………」

「ん?まぁ、そのうちな」

 

 

「リーチ」

 

「追っかけリーチ」

 

「清澄高校竹井久、8索ツモ切りで振り込むかと、思いきや三色捨てての追っかけリーチ、しっ…しかもこれは…」

 

久のアガリ牌はすでに場に3枚でているつまり

 

「和了れないな」

「空聴リーチです……ッ悪待ちにもほどがあるぞーッ」

 

 

「ミスった訳じゃなさそうだよな?」

「解説お願いするじょ」

 

みんなしてこっちを見てくるが

 

「初めて俺が麻雀部で打った時覚えてるか?その時和のリーチに対して俺は染め手のような鳴きをしてアタリ牌を出させないようにしただろ?それと同じだよ」

 

「おー、つまりアタリ牌を止めるためのリーチか」

「しかも親リーの追っかけ、当然大きいと踏む、しかも前半戦かなり稼いだからな」

「つまり威嚇のリーチってことかな?なんか達也みたいな打ち方だな」

「俺の場合そもそもリーチすらさせないようにするんだけどな」

 

(さらっと恐ろしいこと言うなオイ)

 

「このままの勢いなら部長はトップとってくると思うぞ、んじゃちょっとトイレいってくるわ」

「おー、いってら」

 

 

中堅戦終了

 

清澄高校108500

 

龍門渕106300

 

鶴賀学園93400

 

風越女子高校91800

 

「中堅戦開始時の順位とはまるで真逆…上位と下位の交代劇‼︎特に清澄高校の竹井久には目を見張るものがありました…‼︎」

 

(今から私はあそこに行く)

 

和は大きく深呼吸し入れ替える

普段の状態から勝負の状態に

 

「全国高校生麻雀大会県予選決勝…ついに副将戦を迎えます‼︎

 

名門風越女子2年深堀純代

 

健闘中の無名校は鶴賀学園は1年生東横桃子

 

前年度県優勝高龍門渕高校2年龍門渕透華

 

そして清澄高校は昨年のインターミドルチャンピオン…原村和‼︎

その力インターハイにも通用するものか!

 

まもなく試合開始です」

 

 

仮眠室に入りちょっと離れたところから声をかける

 

「おーい宮永さーん」

「ふぇ?えっ?ここどこ?」

「起きたか?うんじゃ起きたついでに原村さんに声かけに行こうぜ」

「はっ‼︎副将戦っ‼︎」

「まだ時間あるからゆっくりしなって、ほれ布団片付けるの手伝うから」

「ありがとう小高君」

「おー」

 

ちょうど会場に入る前に宮永さんと俺は声をかけにいった

 

「原村さん‼︎」

「宮永さんと小高君?」

「おー、激励ってやつだよ」

「頑張って‼︎」

「勝てよ」

 

和は自信満々に拳を上げた

 

(意外と男らしいことすんな原村さん……)

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

「おかえりーおはよう咲ちゃん」

「ちょうど始まるわよ」

「達也は咲を起こしに行ったんかい?」

「おー、よく分かりましたね」

「無駄に気を使うのが上手いからのぉ」

 

クックッと染谷先輩に笑われた

 

「トイレは本当ですよ、ついでですよついで」

「どーせそのまま和に激励でも送ったんじゃろ?」

「ついでですよ…」

 

(コイツもコイツで素直じゃないのぉ)

 




まこは好きと言いつつ麻雀描写はキンクリする←そもそも麻雀描写がない

感想でもあったんですけど、この作品めっちゃ文字数少ないですよね

それは作者が語彙不足、亀展開、場の説明不足、他校の背景無視、などなど挙げればキリがありませんね

作者のためにもこういうのどう?とかこんな展開だったら面白いよなとかあったら是非感想欄へ←露骨な移動

あとラブコメチックな展開なんですが、作者は基本咲のキャラクターみんな大好きです、故にあるキャラクターにだけ入れ込むのはちょっと気が引けるんですよ

うんじゃ、いっそハーレムにするか?と考えたんですけど、ハーレムで上手くいった作品は個人的に生徒会の一存だけでしたし←作者がオタクになった全ての根源

だから、個別でifストーリーが一番ですよね?←書くとは言ってない

こんな亀展開のお話ですが長い目で見てやってください

とまぁ、ここまで見てくださって本当にありがとうございます
感想や評価等お待ちしております


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十三話

副将戦ですぞ‼︎




放送室

 

「もったいないな」

「はい?何がですか?」

「この試合だよ、今年のルールは赤ドラなど運の要素が強すぎる、さらに試合数が少ないのも偶然性を高めている」

「かといってプロのリーグ戦みたいに年二千試合なんて中高生には無理ですよ」

「去年は地味な競技ルールだったが…難しいものだな、今年のインターハイのルールまるで一万人の中から特殊の子供を選り分けるシステムにもみえる、今あそこで戦ってるのは堅実に技術を高めた選手なだけに半荘二回で結果を出すのは惜しいのだ」

 

 

 

 

「確かにそういう風に捉えることもできるんだけどなー」

「あら?納得してないの?」

「まぁ、そうですね」

「じゃあ、達也はこのルールについてどうおもってるんじゃ?」

 

先輩達は藤田プロの考察を聞いて確かにそうだなと感じた、しかし達也はそういう風捉えていないらしい

 

「このルール云々じゃなくて麻雀って正直に言えば糞ゲーじゃないですか」

 

達也のいきなりの発言にみんな黙った

麻雀部なのにいきなり麻雀を糞ゲー扱いしたのだ

 

「確率的には全部天和で試合終了っていう可能性もありますしね」

 

そんな可能性は限りなくゼロに近いがゼロではない、ゼロでない限り起こる可能性もあるのだ

 

「麻雀って、囲碁とか将棋と違って人間には手のつけられない領域が多すぎるんですよ、どんなに理を極めたって和了れない時は和了れないんですから」

 

「だからこのルールは運要素が高くてこういう選手がもったいないって話じゃないのか?」

 

京太郎は思わず尋ねるが

 

「だからズレてんだよ、運がなかったから負けましたなんて、くだらない言い訳なんだよ

運が悪くても勝たなきゃいけない勝負ってのは確かに存在するだろう?

今がまさにそうだ、運が悪くて全国いけませんなんて二流以外の何者でもねぇよ」

 

「でも、運はどうしようもないじょ」

「そこだよ、つまり不確定要素、見えない変数、そこで思考停止しちゃうから駄目なんだよ

運が良かった悪かったで麻雀なんかしちゃいけない」

「あら?それじゃあ私達は麻雀しちゃいけないのかしら?」

「うーん、別にやってもいいですけど……」

 

久は尋ねるが少し後悔した

 

「それじゃあ、一生俺には勝てませんよ」

 

達也はもはやそういう領域の麻雀をやっていない、以前咲が達也が打っても凄みを感じないというのは咲がそういう領域に入っていないからだ

 

二次元が三次元に干渉できないように

 

普通の麻雀では達也には干渉できない

 

(合宿中ついに誰一人達也君をトップから下ろすことはできなかった、明確の差を感じていたけどここまで差かあるとわね……)

 

普通のやつがこんなことを言えば笑われるかもしれないが、ここまで達也は負けていないからこそこの発言

 

負けてないから発言の重みが他とは違う

 

「てゆーかまた原村さんは全力になってないのかよ………」

 

試合を見てみると龍門渕高校が先制リーチをしている

和は既に発を鳴いて、さらにもう一つ副露している

が、ベタオリをしている

 

「あの状態ならもう少し回し打ちなりしてるんだけどなぁ」

「あぁ、アレか」

「あれね」

「あの状態のぅ」

 

皆、言葉には出さずにアレというが伝わる

 

「ポン」

「チー」

「ポン」

 

「ロン、1300は1900」

 

三鳴きからの9萬のアガリ

 

「………そろそろかな」

 

そして次の配牌

 

「対子五つ、トイトイかチートイだけど暗刻がないこの手はチートイか」

「役牌もドラもないからねぇ」

「染めやすそうなら鳴いていくがの」

 

染谷先輩って染め手本当すきだよな………

 

 

「清澄高校・原村和二巡目にして七対子聴牌です……ッ喰い仕掛けた龍門渕は断么ドラ4の二向聴‼︎」

 

 

「おっ、見逃し」

 

和は風越の捨てた6索を見逃しツモってきた西単騎でリーチ

西は既に1枚切れてる残り2枚

そして龍門渕は一発でつかまされた

 

 

「これはオリるしかないな」

「なんでさっきの6索で和了らなかったんだろ?」

「それじゃあたったの1600だじぇ、トップだしそれでもいいかもだけど」

 

そして南2局

 

「ついにお披露目か」

 

つか、龍門渕の人めっちゃアホ毛動いてんな

あの人も察知したな

 

「うわー」

「のどちゃん発熱っ‼︎相手は死ぬ‼︎」

 

「合宿の時でも何度かあったわね、普段からクールな和がペンギン持つとさらに冷静に…まるで機械のように無表情になっていくんだけど

ある点を超えると急に何かにのぼせたような雰囲気になって表情が柔らかくなっていく」

 

「知恵熱ってやつですか?」

「それは赤ちゃんが熱だすやつでしょ?考えすぎると熱が出るっていうのは医学的には証明されてないわ

達也君を除いて、普通の打ち手より遥かに頭を使ってそうだから脳内でドーパミンが出まくっていろいろおきてそうね」

 

「ちゃっかり俺を省くんですか?」

「あなたは別よ」

 

しかし南2局も流局ここまで4回の流局である

 

そして次の局

 

「ツモです」

 

鶴賀と風越をかわしながらの鮮やかの和了り

 

「ここまで和のパーフェクトだな」

「あっ、本当だ」

「前半戦のどちゃん以外全員焼き鳥だじぇ」

「まぁ、まだオーラスがあるからのぉ」

 

前半戦オーラス

 

「ラス親の龍門渕透華テンパイ‼︎リーチせずにダマテンにとりました‼︎

この一撃が原村和のパーフェクトを阻止してしまうのか‼︎」

 

「ずいぶん私たちよりの実況ね」

「パーフェクトゲームが達成したほうが盛り上がりますからね」

 

 

「一方原村和は配牌、ツモともに最悪‼︎まだクズ手の三向聴です‼︎

今の捨て牌的に、ベタオリですか?」

「七対子なら二向聴、龍門渕の捨て牌から聴牌臭を感じて様子見といったところか」

 

 

 

「リーチですわっ‼︎」

 

「あれっ?ヤミで、11600あったらデジタルはリーチしないんじゃ…?」

 

ちらっとこっちを見る京太郎

 

「………たんに目立つためだろ…多分」

 

正直に言うとダマテンのほうがいいんだが、あのアホ毛を見る限り目立ちたいんだろうな………

 

「………達也でも確定できないことがあるんだ」

 

勢いをつけるためのリーチは確かに存在するが、単に目立つためのリーチはやったことないからな……

 

そしてオーラス一本場

 

鶴賀のリーチに対して龍門渕が振り込んだ

 

「ん?リーチしてんのに無警戒で振り込んだ?」

 

相変わらず女子の相手は面白い奴ばかりだな……

 

 

 

 

 

副将戦終了

 

清澄114900

 

鶴賀学園102600

 

龍門渕高校101200

 

風越女子81300

 

 

「副将戦終了ーーーー‼︎

後半は鶴賀の東横と清澄の原村‼︎その二人の一騎打ちのでしたが、終盤近くに龍門渕と風越も応戦、圧倒的な点差がつくまでには至りませんでした‼︎

昨年トップの2校が無名の2校に抑えられるという番狂わせ、勝負はついに大将戦に突入します‼︎」

 

「頑張れよ」

「咲ちゃんファイトー」

「いつも通りにね」

「頑張って来んさい」

「勝ってこい」

 

「大将戦、鶴賀からは3年生の加治木ゆみ

 

現在トップの清澄高校からはバトンを受け止めるのは同じく一年生宮永咲‼︎

 

昨年に続き名門校の大将を務めるのは風越女子2年池田華菜‼︎

 

そして、その池田選手の因縁の相手とも呼べる選手がいます」

 

「………へぇ、なんだ面白そうな奴もいるんじゃん」

「ん?どうした達也?」

 

「龍門渕高校2年、神懸かりな闘牌を見せる前年度MVP‼︎インターハイ最多得点数記録保持者‼︎天江衣‼︎

大将戦の幕が今開こうとしていますッ‼︎」

 




ここからはステルスモモの独壇場っすよ‼︎←マジでステルス

モモファンのみなさん本当申し訳ないっす
自分だってモモ大好きなんです‼︎
なにあのけしからんスタイル‼︎しかも見つけたら簡単に落ちそうなチョロインぷり………だがそれがいい‼︎

みなさんも咲-Saki-を読んでもしくはアニメで見たと思うですけど

基本過去回想なんですよっ‼︎‼︎‼︎

麻雀描写そっちのけで過去回想いくんですよ‼︎
当然主人公視点だから相手校の過去回想は無理じゃないですか‼︎
文字数減るじゃないですか‼︎
作者原作大好きだからあんまり原作改変はしたくないじゃないですか‼︎

つまり、作者の能力にかかってるじゃないですか………

男子の個人戦は面白くしたいと考えているので気長に待ってください

とまぁ、作者の叫びは置いといて、ここまで読んでくださってありがとうございます
感想や評価等お待ちしてます


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十四話

ついに大将戦‼︎


(麻雀の会場ってこんな広くする意味あるのかなー)

 

「よろしくー」

「あ…はいよろしくお願いします」

 

(うん大丈夫、昔は京ちゃんの後ろに隠れてないと挨拶もまともにできなかったけど、麻雀のおかげで挨拶もできるようになった)

 

遠くから扉が開き、クールな感じのお姉さんがきた

 

(あの人が鶴賀……じゃあもう一人が…)

 

空いていない扉を見て少し待つ、そして

 

ひょこっと私より身長の低い可愛い女の子がて出てきた

 

(えっ…?)

 

トテテテ、と効果音がつきそうな足取りで席にちょこんと座る

 

(えぇえええええええ〜〜〜っ)

 

 

 

「どう見てもお子様だじょ」

「お前も大して変わらないだろ……」

「天江は16歳あなた達の1つ上よ」

「力は1つ上どころじゃないかもしれんのぅ」

 

 

 

「大将戦スタート‼︎全国に行けるのは残り2回の半荘戦を制するのみ

中堅戦からトップを維持し続ける清澄高校がこのままインターハイへ勝ち続けるのか……はたまた昨年のファイナリストの2校が維持を見せつけるのか‼︎」

「龍門渕高校の天江がなにもせずに終わるとは思えないな」

「確かに天江選手はインターハイでも数々の記録を残してますから今年もどんな戦いを見せてくれるのか期待したいところです」

「(あー…衣かわいいなぁ)……ん?失念していたよ、他にも愉快な打ち手がいたことを…」

 

大将前半戦東一局

 

「リーチ」

 

鶴賀の先制リーチに対し次順の咲

 

「カン」

 

(ありがたいなトップがわざわざリスクを冒すとは…)

 

「ツモ、嶺上開花ドラ2 1600・3200です」

 

(嶺上開花だと⁈)

 

「清澄高校・宮永咲先制ーーーーッ‼︎このまま、さらにリードを広げていくのか‼︎」

 

(そういえばこいつの牌譜……)

 

「偶然ですが宮永選手は昨日も1〜2回戦でも嶺上開花を和了っています、これすごい確率ですよね…」

「偶然ならいいがな」

 

東二局

 

(張った‼︎高い手‼︎ツモれそーだし4位のウチとしちゃーリーチかけたいとこだけどさっ…ここは確実に和了っておきたいしね!)

 

「風越女子・池田高めで倍満の三面張をダマテン最下位からの浮上になるか‼︎

 

あぁーっ!清澄高校宮永も聴牌‼︎

しかし5萬8萬は風越池田の当たり牌です‼︎

これはさすがに振り込んでしまうじゃないでしょうか…」

 

「リーチ」

 

「8索単騎リーチだっ‼︎

清澄高校・宮永咲両面にとらず、しかも8索は既に2枚出ております‼︎」

 

 

「地獄単騎とか部長みたいだじぇ」

「一緒にしないでよ、咲は悪い待ちを選んだんじゃないわ」

 

「カン」

 

「カンできる待ちを選んだのよ」

 

「嶺上開花」

 

「2連続嶺上開花‼︎とんでもないことが起きてしまったーーッ‼︎」

 

東二局一本場

 

(ドラの自風が暗刻、あと1鳴きで聴牌だが………)

 

「ポン」

 

(清澄はカンするわりに副露率は低かったはずだが…)

 

「あれっ?鶴賀学園の加治木、自風のドラ暗刻を崩しましたよ?」

「役なしだな」

 

「……おっ?もう気づいたか」

「何がだじぇ?」

「俺が合宿中初めて宮永さんと対戦したこと覚えてる?」

「………あれは悲しい事故だったじぇ」

「まぁ、あれは運が悪かったと言うしかないけど、そっちじゃない」

 

 

「カン」

 

(これで3度目の嶺上開花)

 

「その嶺上取る必要なし、カンした瞬間ロンといったはずだが聞こえなかったか?

搶槓だ…その槓成立せず‼︎」

 

「搶槓だ‼︎嶺上開花より珍しい役が飛び出しました‼︎東二局ですでにおかしなことになってるぞ」

 

(3索6索待ちを捨ててその和了り、やろうとするのも成立するのも理解できないって‼︎)

 

(今回うまくいったのは偶然にすぎない、私が次に搶槓を和了するのは数年後になるかもしれない…しかし、清澄が真に怪物ならば恐怖という餌を与えておくのも悪くない)

 

と、ちらっと清澄を見たらガッタガッタに震えていたのだ

 

「合宿…搶槓…国士無双…うぅ頭が」

 

頭を抱えて青い顔になっていて思わず声をかけてしまった

 

「おい、大丈夫か?」

「はっ⁉︎ふぁ、えっと大丈夫です‼︎」

 

 

「これ合宿のトラウマ思い出してるじゃない?」

「ネトマで負けが込んで、気分転換に卓に入れたらいきなり国士無双ぶつけたもんな、しかも搶槓で…」

「マジで悪魔だったからのぉ」

 

じろっとみんな俺を見るが俺は肩すくめるだけにした

 

「でもあの国士無双のおかけで、宮永さんは強くなったよ………俺の立ち位置も感じることができるようになったし」

 

 

東三局は流局、そして一本場

 

「無聊を託つ、清澄の大将は厄介だと聞いてうきうきしてたけど、乏しいな闕望したよ…そろそろ御戸開きといこうか」

 

(やっぱりこの子だったんだ………でもなんか)

 

東三局一本場、東四局は天江の海底で和了った

 

「ここまで嶺上、嶺上、搶槓、海底、海底だじょ?」

「偶然にしても酷すぎます」

「エニグマティックだじぇー」

「(嶺上の花が咲き海底の月が輝くか)花天月地ね」

 

南一局 親衣

 

ここで鶴賀の加治木が宮永に差し込んだ

 

「あの鶴賀の人うまいな」

「ん?どのへんが?」

「読みというよりも状況判断が抜群にいいな海底二連続をただの偶然としてみてないし」

 

(衣の親が流されたっ‼︎衣は子どもより親やるほうが好きなのにっ)

 

南二局

 

(呉越同舟、地の利は人の和に如かず?そんな戮力通用するものか‼︎この有象無象…生猪口才‼︎)

 

(この配牌…もし「天江の支配」と呼べるものが真に存在するならば、自然に進めばまた一向張の袋小路が………ならいっそ戯れてみよう、その運命とやらと)

 

「いい判断だ」

「また褒めたじょ⁉︎」

「そんなに驚くことか?まぁ、なんにせよ普通にやっても勝てない相手に普通にぶつかるなんて愚の骨頂、勝つためにはセオリーから外れたことをしなきゃならない」

 

(聴牌できるじゃないか‼︎奴の支配が完全ではないことを知らしめる…‼︎)

 

「リーチ」

 

(リーチ⁉︎)

 

(へー、普通に聴牌できることもあるんだ)

 

そして池田ここで鶴賀の当たり牌をつかまされる

 

(捨て牌キモッ、でも点差が広げられてる今聴牌を崩すことはできないって………行けっ)

 

「ロン、リーチ一発チートイ、裏乗って12000」

 

(悪いな、本来なら天江から取りたい点棒なんだが…こちらも見逃すほど余裕はないのだよ)

 

南三局 親加治木

 

(トップまで14400点差…この親番は大事に扱いたい…)

 

この時、天江からのプレッシャーが跳ね上がった

 

加治木、思わず立ち上がる

 

(なんだ今の圧迫感は‼︎)

 

しかしニコニコと笑っている対面の天江

 

(すごいオーラ、小さい時のおねーちゃんよりすごい……でもなんでだろうそんなに怖くないや)

 

昔の咲だったら間違いなく吐き気がでるオーラ、しかし咲この時ほんの少し顔をひそめただけ

 

(私が前局和了ることができたのは天江の支配に逆らったからではないのか…?

まさか、これからなのか…?津波の前に潮が引くことがあるようにあのきは天江の海が引いていたとでもいうのか…)

 

「ポン」

 

「ポン」

 

天江の2副露

 

そして風越が1索をきった

 

「昏鐘鳴(こじみ)の音が聞こえるか?」

 

「ロン」

 

わずか三巡で上がる

 

(やはり出和了りもあるか!)

 

「世界が暗れ塞がると共にお前たちの命脈も尽き果てる‼︎」

 

南四局 親池田

 

(2連続でハネマンに振り込んだ…なんだこれ…メチャクチャじゃないか、キャプテンは楽しんで麻雀をしろって言ったけど無理っ‼︎

無理ですよキャプテン、この状況は楽しめない…ここは県予選決勝大将戦‼︎

みんなの全国の夢が…あたしのせいで…)

 

ブルブルと頭を振る

 

(もう前半戦もオーラス……)

 

「ポン」

 

(ダブ南…こっちはこのラス親で連荘したいってのに)

 

「ツモ‼︎3000・6000‼︎」

 

「ぜっ…前半戦終了ーーッ‼︎」

 

清澄高校116200

 

鶴賀学園101900

 

風越女子38600

 

龍門渕143300

 

「龍門渕高校天江衣独走状態…‼︎他校を一気に突き放しました‼︎残る後半戦は半荘1回のみ‼︎名門風越は絶望的とも思える点差の壁を越えられるのか?それとも新参2校が龍の尾を掴むのか‼︎」

 

勝負の行方は後半戦につづく




祝通算UA10000突破‼︎‼︎‼︎(ドンドンパフパフ)

いやね、普通にびっくりしてるわ‼︎
なんでこんなに見てんの⁈
小説検索で原作咲-Saki-で今週のUA多い順で検索すると一番上に出るよ‼︎
びっくりするわっ‼︎

まぁ、なにはともあれここまで多くの方に見られると作者はドキドキするし、あとね地味にプレッシャーが半端ないのね

だってさ、話は短いし、亀展開だし、主人公全然活躍してないし、咲のキャラクターとの絡みも全然薄いし、………これ以上は作者の心が折れるのでやめましょう(レイプ目

正直自分も全国編も書いてみたいし、主人公過去編、ヒロインとのifストーリー編、などなどいろいろ書いてみたい想像(妄想)はたくさんあるんですけどいかんせん文字にすると駄目駄目ですね

そして作者が一番大事にしてるのは更新ですね
やっぱり、更新されないとその作品から心離れしちゃうと思うんですよ
だから、毎日更新してる人はスッゲェなと感心します
そんな中クオリティを下げず毎日更新して読者の心までゲットしてる某18禁の有名作品はマジで凄いと思います←多分伝わる

自分もあんな風に書きたいなと思ってこの作品を書いてるんですけど無理ですね(迫真
書いて分かったんですけど無理ですわ(大事だから二回

当面の目標は女子の県予選決勝までは毎日更新して行きたいなとは思ってます

と同時に男子個人戦を書いてるんですけど、作者オリジナルストーリーの雑さに心折れそうです、これまでのようなクオリティは期待しないでください←期待されるとプレッシャーで潰れちゃう

ここまでは現状報告とこれからの方針ですね

そしてそろそろ皆さん気づいてます?

土曜日は赤木の葬式の日です

某笑顔にする動画でアカギ追悼動画などありますね、個人的に好きなのはカイジとアカギのクロスオーバー作品です是非見てみてください←露骨な宣伝

今はアカギの方が有名ですけど、天を読んでない人は是非読んでみてください、前半は人情物語ですけど、中盤の盛り上がり、そして後半の終わりが近づく感じ、人の生き方や死についていろいろ考えさせるられる作品でした、あと赤木がかっこいい

とまぁ、これからも更新は続けていく所存なので、気長にそして温かい目で見てくれると作者はとても助かります

ここまで読んでくださってありがとうございます
感想や評価等お待ちしております‼︎


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十五話

後半戦の前に……


大将戦前半戦終了間際

 

「そろそろ前半戦終わりそうだし誰か宮永さんのところに行く?保護者的意味で……」

 

前半戦と後半戦の休憩時間中にトイレや息抜きをして外にでる選手もいる

 

しかしそのまま迷子になる可能性があると考えた

 

「それなら私が行きます」

「それじゃあ和に頼むわ、咲がどんな感じで打ってるか気になるしいろいろ感想聞いてきてね」

「分かりました」

「俺ちょっと飲み物買ってきますけどなんか要りますか?」

「大丈夫よ、特にいらないわ」

 

皆、特に買うものもなく達也と和は外にでる

 

「宮永さん大丈夫ですかね……」

「………合宿最終日覚えてるか?」

「えぇ、もちろん覚えていますけど?」

「合宿最終日、宮永さんは自信に満ち溢れていなかったか?」

「……確かにそうでしたが」

 

合宿前の咲は相手を伺うような麻雀をしていた………

 

事実、京太郎や優希が振り込むたびにほんの少し顔をしかめていたのだ

 

前はプラマイゼロを打って場が荒れないようにするのが咲の麻雀

 

言いかえればみんなが楽しくできる麻雀をしていた

 

事実咲は一時期麻雀が嫌いだった、故にそんな思いをみんなにして欲しくないとワザと差し込んだり、点数を下げるような麻雀をしていた

 

「それに宮永さんどーも本調子じゃないんだよね」

「本調子ではない?」

「多分合宿の時の方が調子良かったと思う、まぁ、そこは原村さんの役目だから別にいいか」

「えっ⁉︎私ですか⁉︎」

「そっ、うんじゃ自販機コッチだから宮永さんによろしく言っといて」

 

そう言って和と達也は別れた

 

 

 

 

 

 

会場外の自販機

 

 

自販機の前にきたのだが

 

「うーんしょっ、うーんしょっ」

 

天江衣がここにいた、どうやら自販機のボタンが届かないらしい

 

一生懸命足を伸ばすが全く届いてない

 

(一応俺より年上なんだよなぁ………)

 

流石に放置という訳にいかず代わりに押す

 

「あっ?」

「コレでいいんですよね?」

「むー、礼は言わないからな」

 

プイとそっぽ向く天江衣、苦笑しつつコーヒーを一つ買う

 

そして遠くから見覚えのある人

 

「にゅ、フジタ!」

「おや?衣と小高じゃないか?」

「どーも」

「フジタはコイツのことを知っているのか?」

「いわく、相当強いらしいぞ」

 

衣はジッと達也を見る

 

(………何も感じない、凡夫ならそれなりの気、強者なら相当強いものを感じるがここまで何も感じないと不気味だ)

 

「で、どうですかウチの宮永さんは?」

 

目があったので宮永さんの評価を聞いておこう……

 

「宮永?あぁ、清澄の嶺上使いか……」

 

衣も一つ気がかりがあった、鶴賀に対してプレッシャーを跳ね上げた時、清澄はほんの少し顔をしかめていただけということに

 

本来なら気づかない凡夫なのかと考えたが、それは前半戦の連続の嶺上開花で気づいていないという線はない

 

「あいつらごときが衣に勝てるものか、あと小半時もすれば日降ちだから尚更だ‼︎」

 

しかし、所詮プレッシャーに耐えることができるだけで、点差はどんどん広がっていく衣の支配は破られていないし問題ない

 

「日没とか関係あるの?相変わらず面白いなお前は」

「なんならこの後フジタも相手してや、ふわっ」

 

靖子当然のように衣を撫でにいく

 

「…って撫でるな‼︎セクハラ雀士‼︎」

「あははー」

 

そして離れてタバコをふかす

 

「お前さ、そろそろ麻雀打てよ」

「?いま打ってるよ」

「お前は打ってるんじゃない、打たされてるんだ」

 

「お二人さんそろそろ時間ですよ」

「おっと、私も解説室に戻らないとな」

「天江先輩も早く戻らないと」

 

衣はゆっくりと達也を見る

 

(天江……先輩)

 

達也は知るよしもないが、衣はよく子供扱いされる

故に先輩と呼ばれることがなく初めて先輩扱いされたのだ

 

「名前はなんと言う?」

「?清澄の達也ですよ」

「そうか……覚えておこう」

 

 

そう言ってトテテテと効果音がつきそうな足取りで会場に戻った

 

 

 

 

同時刻 和

 

「あっ!宮永さん………ってどこに行くんですか⁉︎」

 

思わず追いかけて手を掴む

 

「原村さん‼︎」

「そっちは何もないんですけど…一体どこに行こうとしたんですか?」

「あぅ、ちょっとトイレに」

「それなら、こっちの方にあります」

 

小高君の予想通り迷子になりそうになりましたね………

 

そしてトイレに連れて行き、外で待つ

 

(小高君は宮永さんがまだ本調子ではないといいましたが私にも原因は思いつかないですね………けど激励の言葉くらいは送ることはできます)

 

「ありがとう原村さん‼︎」

「いえ………宮永さん、あなたはまだ本調子ではないそうですが本当ですか?」

「えっ?うーん?自分で自分の調子がいいとかよくわからないし……」

「小高君は合宿のときの方が調子が良かったと言ってました」

「合宿の方が……」

「合宿最終日のあなたはどこにいってしまったんですか」

「え………」

「あの自信に満ちたあなたは…‼︎」

「自信…」

「全国に行くんじゃなかったですか?」

 

「まもなく後半戦が始まります、出場選手の方は……」

 

「大急ぎで戻りましょう‼︎」

 

 

 

 

「県予選決勝大将戦後半、この半荘戦が最終決戦となります‼︎

全国に行けるのはこの中で1校のみ…‼︎」

 

(思い出せ私、合宿の最終日どんな感じだったのか…小高君や原村さんに認められた自信に満ちた私…)

 

「2日間に渡る戦いもついに天王山、ファイナルゲーム‼︎後半戦のスタートです‼︎」

 

 

 

 

後半戦東一局 親池田

 

(あたしの親は今回含め残り2回、普通に考えれば逆転は絶望的…だからこそこの親で稼ぐんだ‼︎)

 

(さて、天江衣の海底の気配なあの差し込み以降見られない…前半戦最終盤の天江は鳴きを入れた速攻…速度の緩急が異常すぎる…牌だけではなくこちらの心までかき回されているかのようだ)

 

 

加治木の読みは合っていた、後半戦東一局終盤まで誰も鳴かず、全員面前……そして誰にも止められず天江衣は海底牌を引く

 

「さっ…3回目海底ーーッ‼︎これが全国レベルの力なのかーー‼︎」

 

 

「また17巡目にツモ切りリーチだじぇ」

「………ありえません」

 

「これで天江選手は3回も海底を和了ったことになります、異常ですよ」

「海底どころか全てが異常だ」

「全て…?」

「天江以外の3人は配牌とツモを全て合わせても国士以外ではテンパイできない、完全に近い一向聴地獄鳴くチャンスもほとんどない流れだ、それでも海底を防ぐ方法はあった、清澄の4索‼︎」

「確かに、清澄が4索を切れば鶴賀が鳴いて潰せましたね」

「だが捨てなかった」

「いや、普通は鳴けるなんてわかりませんよ確実に海底で和了る訳じゃあるまいし」

「まあな」

 

(清澄から見れば嶺上開花の可能性が残っていた、だがそんな無に近い可能性を信じる者はいない………ただ1人をのぞいて、気をつけろ衣、そいつはまだ生きている)

 

 

東二局 親天江

 

「わぁーい、衣の親番だーっ‼︎さいっころっまわれ〜」

 

(そういえばフジタが先刻希代なことをぬかしていたな

衣が麻雀を「打たされている」だって?

烏滸言を‼︎

衣は今此の時、現に此処で打っているではないか‼︎

闇の現を見せてやろう)

 

 

(配牌やツモを呪うのは弱者の思考だけど…これはもう呪わずにはいられない…まるで悪夢だし…)

 

「ロン、12000」

 

東二局一本場

 

「ロン、7700の一本場は8000」

 

(まずいな…風越が危うすぎる…この点差と残り局数だ…手を高く仕上げる上にそうそうオリることもできない状況だろう、だがそれゆえに天江からも読みやすい…このままでは搾り殺されるぞ!)

 

東二局二本場

 

(東…一巡前に鶴賀が捨ててるし、天江は二巡前から手変わりしてないから、これで振り込むことはない‼︎)

 

「ロン‼︎」

 

(な…なんで…⁉︎)

 

(私から和了らず風越を狙い撃ちだと⁉︎風越をとばすためか…いや…違うな天江の最後の手出しは1筒、一盃口を捨てている……奴はワザと手を安くした…なぜだ‼︎)

 

「塵芥共、点数を見よ」

 

龍門渕187900

 

清澄113200

 

鶴賀98900

 

風越0

 

「汝等に生路無し‼︎」

 

 

「風越が0点ぴったりだしょ」

「ツモ和了りすると風越がトンでその瞬間龍門渕の勝ちが決まってしまうわね」

「うんで、ツモができないから、嶺上開花もできない」

 

龍門渕控え室

 

 

「あ〜〜〜〜っもう‼︎また衣の悪い癖がお出ましですわっ」

「1筒残してたらうちの優勝で試合終わってたのにね、でも衣はこうやって相手の心を折りにいくんだ、相手が自分自身で負けの烙印を押すようにどうやってもかなわない、そういう格付けを見せつけるために、ボクが見た絶望があそこにある……」

 

 

「………?」

「のどちゃん……?」

「なんだか一瞬映った宮永さんの顔が、わらっているように見えました……」

 

和の疑問に達也は答える

 

「………うん笑ってたよ」

「こんな状況で笑ってられるって……」

「でもさ、分かるよ俺も」

 

達也が遠く見つめるように言う

 

「逆境って燃えない?相手が強いと思わず笑っちゃうもん俺も」

 

普段怒った時にニッコリと笑う笑顔ではなく年相応と呼べる子供っぽく達也は笑ったのだ

 




ころたん大天使‼︎‼︎‼︎

主人公との初接触ですが、試合の途中ですし、そして何より四校合宿編でがっつり絡ませたいと考えてる所存ですっ‼︎

そしてただいま男子個人戦を書いてるんですけど、なかなか進まない………
誰か敵を考えてくださいっ‼︎噛ませキャラ考えてください‼︎
話の流れはできてるのに敵が思いつかない‼︎
だって主人公が強すぎるから強い個性を出さないと噛ませキャラがただのモブ男子化しちゃう………

…………もう全部モブ男子よくね?

さて、明日は赤木の葬式の日ですね‼︎←唐突の話題変換

すでに気づいている人はいますがこのお話は葬式後の話になっております

もし神域を継いだ高校生がいたら?
もし咲の世界の話だったら?

そんなもしかしたらを頭の中でずっと想像(妄想)してました

そしてここで書くようになって、沢山の方に見られるようになって、最近プレッシャーが半端ないですよwww

なかなか話は進まなくてイライラしてる読者もいると思います、だけど長い目で見てくれるととても助かります

これからも更新を続けていくので、気長にゆっくり待っていてください‼︎

ここまで読んでくださってありがとうございます‼︎
感想や評価等お待ちしております‼︎



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十六話

まさかのまだ終わらない……


「2日間にわたる県予選団体戦、この半荘が最終ラウンド‼︎開始直後からとんでもないことになってきました‼︎

前年比の覇者龍門渕高校天江衣、四連続和了‼︎前半戦も含めると6連続…まさにラッシュ‼︎

その親は未だ続行中‼︎

 

一方現在最下位の風越女子高校の点数はなんと0点ジャスト‼︎生きてはいても死と隣り合わせ

風越が振り込んだり風越以外がツモ和了りした瞬間に龍門渕高校の優勝が決まります

 

つまり清澄と鶴賀は風越以外からの出和了りしかできません‼︎

 

点差だけではなくこの状況も相当厳しい…‼︎」

 

 

「点差は74700…天江か鶴賀から直撃で取るしかないわね…」

「ダブル役満ならツモってもあのお子様をブチ抜けるじょ?」

「忘れたか、今回のルールにはダブルがないんだよ」

「そうだっけ?」

「優希はルールブックを見直せ……」

 

(役満自体は無理じゃない会話ですね…)

 

東二局三本場

 

(前局、ヤツは手加減した…あたしを殺せたのに殺さなかった…‼︎…みじめだな…)

 

空っぽの点数入れをみてさらに絶望する

 

(今まで聴牌もままならなかったのに三巡でドラ4聴牌か…6筒待ちだけど点棒がないからリーチもかけられない…でもこれでノーテン罰符で死ぬことはなくなったかな…)

 

衣ここで6筒を出す

 

(役がないから和了れないし‼︎でもまだ3枚ある…それを引けば…)

 

「ポン」

 

(これで残り1枚、どこにあるんだ…お願いしますあたしのツモる所にいてください…)

 

「カン」

 

 

 

「嶺上開花‼︎でも和了ったら負ける‼︎」

「だから点棒をあげるんだろ」

「えっ?」

 

 

(和了れまいさすればお前は即敗滅‼︎)

 

「もいっこカン」

 

(連続カン⁉︎)

 

「ロ……ロン…ッ‼︎搶槓ドラ7、16900‼︎」

 

「はい」

 

(はっ‼︎こいつ⁉︎)

 

「風越女子の池田初和了りで窮地を脱出‼︎そして今大会二度目搶槓が飛び出しました‼︎」

 

(清澄の嶺上使い、今のを故意にやってのけたのか…⁉︎)

 

 

「うちが3位に…このままじゃ全国に行けないじょ…」

「いや、この失点はワザと………この点棒でここから先の局を買う」

 

「ここから先の局?」

「風越が0点だといろいろ制限が多すぎるからな」

「確かにこのままだとツモは駄目ですし龍門渕がツモでも即終了………なるほど勝つための失点ですか」

「そゆこと」

 

 

「東京のスパで私の水着をお披露目できなくなっちゃうじょ!」

「は…?水着?」

「おっ?食いついたね?私の水着に食いついたね?」

 

京太郎なにがなんだか理解できていない

 

「毎日のどちゃんのおっぱい吸ってるから夏にはすごいことになってるじょ」

 

優希は自分の手を制服の中に突っ込みまるで巨乳のように見せる

しかも、制服を持ち上げているせいか大きくお腹がさらけ出て正直目に毒だ

 

「そんなことさせてません」

「だいたいお前の存在と水着というアイテムにイメージの接点がねーよ、どこでつながんだよ」

「私の夏のグラマラスボディーを見てからいうんだな小僧‼︎」

 

(この人たち緊張感なさすぎです…)

(そういや全国って東京でやるんだっけ?)

 

 

東三局

 

池田開始前に咆哮

 

(咆哮…?)

(あまりの点差にネジが飛んだか?)

 

(華菜ちゃんは図太いんだ‼︎まだまだ頑張るぞ……あれっ?)

 

「誰か牌いじった?」

「何も…」

 

(なんだこれ…さっきとまでと全然違う感じだし‼︎)

 

「スポーツでも大きな声を出すとアドレナリンが出るっていいますよね」

「カラオケ行きたいな」

 

何というやる気のない実況……ッ‼︎

 

(イメージするんだ、この手からどのような可能性があるか……

ラス引いて3位をまくるのも難しそうな時、心が折れて弱気になったらくる牌まで弱くなる気がする

もし神がいるのなら、前に向かうものを好きでいてくれるはず‼︎)

 

 

風越控え室

 

「ツモ…でもこれだとツモのみ1100」

 

(まだ…)

 

「フリテンだけど一盃口…ツモれば2000」

 

「ドラ、これで4000」

 

(もっと高く‼︎)

 

「平和がついてフリテン解消‼︎しかも高めで三色‼︎」

 

(天江…清澄以外は眼中になし…か)

 

「ここでテンパイ崩し⁉︎」

 

(さっきあたしをトバさなかったことを後悔させてやる……)

 

「純全もついた……ッ‼︎」

 

「リーチせずにはいられないな」

 

「ツモ…リーチ一発平和純全三色一盃口ドラ……3数え役満‼︎32000‼︎」

 

池田ここで数え役満を叩き出す‼︎

 

「そろそろ混ぜろよ‼︎」

 

 

 

 

東四局 親加治木

 

(結果的に2位になったわけだが、天江との差は未だに89000残るこの東ラスと南場だけ…か)

 

 

 

 

「先輩は3年生っすよね」

「今更の質問だな」

「3年生は秋の選抜には出られないんすよね……もし明後日の県予選で負けちゃったりしたら私と先輩が一緒にいる意味はなくなっちゃうんですか?」

「それは…」

「……こんな時間もなくなっちゃうんすかね」

 

 

「……負けたくないっす、頑張るっすよー‼︎」

 

 

(モモ………答えられなかったな」

 

「チー」

 

(それは卑怯なのか臆病なのか)

 

「チー」

 

(親の鶴賀が2副露…こっちは4筒押さえてるし鳴きの一気通はできないはず、河を見る限り三色ではなさそうだし役牌バックだとしたらダブ東くらいか…)

 

鶴賀ここで東をだす

 

(東でもない?、チャンタかピンズ染めか…?)

 

天江ここで6萬だす

 

「ロン、11600」

 

(これだけ点差あるのにカンしないのか!)

 

(やはり卑怯者かもしれないな)

 

「一本場」

 

 

 

 

 

(清澄ばかり注意してたら、連続で他に和了られた…此は如何に

奴らの顔に絶念の色が聊かもない…拉ぎ折ったはずの心が何かに繋ぎ止められてる‼︎

清澄もあれから粛々としている暗がりに鬼を繋ぐごとくか……)

 

 

 

(うーん…確かに小高君が言ったとおりどこか違うような気がするよ…

家族麻雀の時や合宿最終日のあの感じ、あれがまだ…何が違うんだろ)

 

 

 

 

合宿最終日

 

「今日もいいお湯だったじぇー今晩でこのお風呂とお別れだと思うと名残惜しいじょ」

「その前に優希はそのはだけた浴衣をどうにかしろ」

「えー‼︎そしたらのどちゃんだってはだけてるじょー」

「あれは浴衣のサイズの問題だろ」

「………浴衣じゃなくて胸のサイズがってあいてっ‼︎」

「馬鹿なこと言ってないでさっさとちゃんと着ろよ湯冷めするぞ」

 

合宿中に気づいたんだけど小高君って意外と世話好きなのかな

 

まぁ、私も迷子でものすごくお世話になってるけど………

 

「明日の朝は無理でしょうか…」

「入りたい‼︎」

 

朝からお風呂なんて凄くいいかもと考えてるいると

 

「うぉうこれは…ッ‼︎たっ…足袋ソックス‼︎こんな素敵アイテムが常備されてることに最終日まで気づかないなんて…私はいったい何を学んできたのだ?」

「麻雀だよっ‼︎」

 

京ちゃんが思わずツッコミを入れてるけど本当だよ、それにしても

 

「それいいものなの?」

「試してみるかいぼうず」

 

試しに履いてみるけど……

 

「ここ、ここ」

 

優希ちゃんは足の親指と人さし指の間を指してすんごく気持ちよさそうにしてる

 

「この割れ目が…割れ目が擦れて気持ちいいじょ」

 

………ちょっとエッチな発言に聞こえたのはそういう本を知ってたとかじゃなくて、別に今の少女漫画だって普通に過激なシーンとかあるし、それで文学少女としてはいろんな作品を読んで感受性を高めているだけであって、私が別にムッツリではないと思うんだよね‼︎

 

あと……

 

「私はちょっと駄目かも…脱ぐね」

 

足が圧迫される感じがちょっと駄目見たい…

 

 

 

 

 

 

あ……思い出した‼︎

 

 

私は監視員の人に尋ねる

「あの…脱いでもいいですか?」

「えっ?……」

「靴……」

「えっ?…あぁ…靴…大丈夫ですよ」

 

「清澄高校、宮永選手いきなり靴を脱ぎ始めました‼︎」

「あーこれはわかる気がするな…」

「はい?新幹線のグリーン車とかにフットレストがあるだろう」

「えぇ…?」

「前の座席の下についてる足を置けるアレな

出張の時は私も使うのだが、靴を脱いであそこに足を置くとなんとも楽すぎる…あれがあるとないとでは大違いだ

靴を脱いでいるかどうかで快眠レベルに差が生じる…今の清澄はまさにそう……快眠状態!」

「フットレストあっても私は足を曲げるから疲れますけどね」

「えっ…ちょっとそれ私が足短いって意味?」

 

 

「実況っていつもこんな感じなんですか?」

 

達也思わず尋ねる

 

「まぁ、これでもマシなほうよ、福与アナウンサーと小鍛冶プロの実況なんてもっと脱線するわよ」

「他にも野依プロと村吉アナウンサーの実況や三尋木プロと針生アナウンサーの実況も中々個性的じゃのぉ」

「これでマシなほうなんですね……」

 

京太郎思わず苦笑い……

 

 

「ツモ 500・800です」

 

(なっ……なんだその手ーー⁉︎)

(血迷ったのか……⁉︎この点差だぞ‼︎)

 

 

鶴賀控え室

 

「やすっ」

「あんな手で先輩の親番が飛ばされるなんて…ひどいっす」

 

 

 

龍門渕控え室

 

「原村のチームメイトあんなことでよろしいのかしら私達を勝利にて近づけるだけというのに」

「どうかな…点差に縛られたら衣の支配からは逃げられない、もしかしたら清澄の大将には違うものが見えてるのかもしれない」

 

清澄控え室

 

「大丈夫なのか咲……」

 

京太郎が心配そうにみるが、達也はテレビ越しに流れが変わり始めたのを感じる

 

南一局

「カン ツモ嶺上開花‼︎」

 

(あたしの最後の親番がそんなゴミ手でーー‼︎)

 

 

南2局

 

(月は出ている…力も充実している…点差も十分…だがなぜだーー月に翳りを感じる)

 

「カン」

 

「もいっこカン」

 

((連槓…‼︎))

 

(まさか…)

 

「切りました」

 

「あ…ああ…」

(嶺上開花ではないのか…)

 

(にゅぁああああ、カンドラが、ドラ2一向聴が…断么ドラ9に化けだし‼︎)

 

「リーチだし‼︎」

 

(気息奄々としていたはずの上家から感じる…澎湃たる気運‼︎コイツが和了ることができるのは安手のはずだった)

 

はやくツモれよー

 

(だが今感じるのは安手ではない………そうか清澄の槓)

 

はやくツモれってばー

 

(…………)

 

衣1萬を切る

 

「ロン110符1飜 3600です」

 

「珍しい点数じゃのう」

「連風対子を4符で扱うルールじゃないとねぇ」

 

池田、次順の牌を確認

 

(一発ツモだったし……)

 

「風越の池田は残念でしたね」

「清澄はこれで3連続安和了りだな」

 

龍門渕163900

 

鶴賀101400

 

清澄87800

 

風越46900

 

南三局 親宮永

 

「勝負はもう南三局、あと2局を残すのみとなりました‼︎依然として龍門渕の圧倒的リードその優位はこのまま揺らぐことがないのか‼︎」

 

(清澄の、あの手ならまだ高目を狙えただろうに…なぜ安手ばかりで場を進める…?)

 

(何考えてんだよー清澄)

 

 

 

 

「そろそろだな……」

「何がだじぇ?」

「高いのが1発くるぜ」

 

 

龍門渕控え室

 

「6筒ポン⁉︎」

「八万近い点差があるのになにしてますの⁉︎」

「親だし食いタンで連荘狙いかもね…って、テンパイにとらない…じゃあ今のポンは何……?」

 

 

 

(こいっ…こいっ…ホイきた国士無双‼︎これで天江に直撃かませばまだチャンスはあるし!)

 

(こいつの手、またしても強大な気配……危険‼︎

 

それに比べて清澄はささたるものしかもテンパイすらしていないように感じる…)

 

「風越の池田、逆転につながる国士無双をテンパイ‼︎龍門渕の天江が降りたら北が出るかもしれませんね」

「それはどうかな、それより清澄の6筒ポン…アレがなければ天江は1萬をツモっていたこの南三局は終わっていたはずなんだ」

(衣……感覚に頼るなそれはお前の感覚を超越する相手だ)

 

 

(清澄も張ったか…しかし高くはない)

 

「カン」

 

(加槓‼︎)

 

「もいっこカン」

 

「嶺上牌は2連続で2索‼︎嶺上開花だ‼︎」

 

「カン」

 

「嶺上開花見逃しで3連続カン…」

 

(やつの手は幽かで…しかも張ってすらいなかったはず…それが一巡で……‼︎)

 

「ツモ 嶺上開花 断么 対々 三暗刻 三槓子 8000オールです」

 

 

「清澄高校、宮永選手…なんと親の倍満…‼︎2000点の手が24000点に化けたーーーッ‼︎」

 

 

(テンパイ気配のない安手の一向聴からいきなり倍満を和了る相手…衣の支配の及ばない王牌から牌を掠めていく敵‼︎)

 

「清澄…逆転できると思っているのか?」

「ん?うん、勝つよ麻雀部のみんなで全国に行ってお姉ちゃんと仲直りして…また家族一緒に暮らすんだ」

 

 

「………かぞく…?」

 

 

 

 

 

 

(残念です…貴重な研究者を二人も亡くすなんて…)

(奥さんが海外の引き抜きに応じなかったのはお子さんのためだとか、それであの事故に巻き込まれるとはね…)

 

 

「わたくし、透華といいます、あなたの従姉妹ですわ」

 

 

 

「衣様は学校でお友達ができないみたいで…」

「問題ナッシング‼︎友達の百人や千人わたくしが集めてみせますわ‼︎」

 

 

 

「さぁ、これからわたくしたち5人で、うちの高校のロートル麻雀部員を殲滅しますわよ

 

県予選、全国…そして世界‼︎

 

あなたと楽しく遊べる相手が、必ずどこかにいるはずですわ‼︎」

 

 

 

 

 

 

(家族…友達…畢竟するに衣は

 

やはり孤独のままなのだ

 

こうして他人と戯れても

 

その他人たちは楽しくないのだろう

 

衣と違って独りぼっちではないようだし

 

それでいて麻雀をやらない衣なんて誰も必要としないのだ

 

もう一切合切……烏有に帰せればいい‼︎)

 

突如照明が割れ始め停電になる

 

 

 

そして会場から離れたここにも伝わる感情

 

(………ずっと孤独が嫌で仕方なくて、友達と遊んでもみんなは楽しくなさそうで、そんなみんなは家族がいて……ズルいなんで衣だけが)

 

「………孤独か」

 

暗闇の中彼女は誰にも見せることなく泣いていたのだ

 




思った以上に長くなりましたね……

大将戦も残り少しですね‼︎


散々言いましたが今日は赤木の葬式の日ですね……

「いいじゃないか…!三流で…!熱い三流なら、上等よ…!まるで構わない…!構わない話だ…!だから…恐れるなっ…!繰り返す…!失敗を恐れるなっ…!」

大多数の人は挫折をして、自分の夢を曲げて、いわゆる平凡な人生を歩んでいるとおもいます

自分の思い描いた人生じゃないけど問題はそこじゃないんですよね

「成功を目指すな…と言ってるんじゃない。その成否に囚われ…思い煩い…止まってしまうこと…熱を失ってしまうこと…これがまずい」

衝撃的でしたね……

赤木のように生きたいと思った瞬間でしたし、赤木のように死んでいきたいと思いましたね

咲は基本的命はかかってませんが、勝負師の台詞をぶちこみたいですね‼︎

あとがきであんまり名言使っちゃうと本編で使えなくなっちゃうから、みなさんも是非調べてみてください‼︎

ここまで読んでくださってありがとうございます‼︎
感想や評価等お待ちしております‼︎


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十七話

ついに決勝終了‼︎


停電が回復し電気がついた

 

「原村さん?あかりついたよ」

 

突如停電して原村さんが俺の腕を引っ張りそのまま抱きついているのだ

 

そのことに気づきばっと離れ、小さな声ですいませんと言われた

 

「停電‼︎館内が停電していましたが…今復旧しました‼︎」

 

「誰か純正九蓮宝燈しないかな……」

「いきなり何を言ってるですか……」

「………それもそうだな」

 

突如停電になり天和そして純正九蓮宝燈……昔を思い出した達也であった

 

 

南三局一本場

 

(ここにきて手が進まないな)

 

「ポン」

 

(全然テンパイ出来ないし‼︎)

 

(さっきの和了りで清澄警戒かと思っていたが………怪物二人が同時に暴れるのか)

 

「ツモ」

 

「4度目の海底‼︎龍門渕高校、天江衣連荘で追い上げ始めてるいた清澄の親を一蹴‼︎勝負はオーラスに突入です…‼︎」

 

龍門渕168200

 

清澄105700

 

鶴賀90300

 

風越35800

 

「単純明解で助かるわね」

「そうですね、天江衣に役満をぶつける」

「単純なのは嫌いじゃないじょ‼︎」

 

 

オーラス 親加治木

 

「圧倒的な点差でオーラスを迎えた前年度覇者龍門渕高校‼︎このまま連覇を成し遂げるのか‼︎」

 

(さぁ…ラス親だ…役満直撃でまくることができる…だが…とにかくまずは和了ることだ、和了り続ける限り…負けることはない‼︎)

 

(このどん詰まり…あたしのすべきことは何かとにかくひたすらテンパイして流局……それを30回くらい繰り返す‼︎

リー棒出してくれたらもっと早くなるしそのあとほら役満和了れば、ほら、華菜ちゃん奇跡の逆転優勝だし‼︎)

 

局面は進み、池田ここで四暗刻単騎ツモ……ッ‼︎

 

が、池田これを拒否‼︎

 

(風越が和了らないとはあにはからんや)

 

そして天江のツモ

 

(5萬じゃない………)

 

引いたのは1筒

 

(清澄……!掴まされた‼︎如何にせん…)

 

放送室

 

(迷ってる…?衣が迷っているのか…!ふっ……ようやくお前は打ち出したんだな……麻雀を…‼︎)

 

 

 

(12000程度か…ならば振り込んでも子細なし…今までこの感覚通りにうって負けたことはない……しかし…奴は前々局2000の一向聴を一瞬で24000にしてきた

初めて出会った感覚通りに打っても負けるかもしれない相手‼︎)

 

中々牌を出さない天江

 

「麻雀って…楽しいよね、今日もいろんな人と打てて…ホントに楽しいよ…」

「楽しい…?衣と麻雀を打って…楽しい…?」

「うん、一緒楽しもうよ‼︎」

 

(衣と麻雀を打って楽しい…か……感覚の傀儡になるのではなく、感覚を選択肢の一つとするだが今回はこれを選ぶ、清澄の手配からの気配を信じるのならこれで振り込んでも衣の勝ちだ‼︎)

 

「和了るか?」

「ううん、それでロンしたら私の負け…でも」

 

「カン」

 

「もいっこカン」

 

(衣は今までの自分と同じ打ち方を選んだ、でもこれで敗北するようなことがあるなら…)

 

「もいっこカン」

 

(衣は、生まれ変われるかもしれない)

 

「ツモ、清一 対々 三暗刻 三槓子 赤1 嶺上開花32000です‼︎」

 

 

「数え役満ーーッ‼︎県予選2度目の数え役満‼︎しかもまた嶺上開花‼︎県予選団体戦はこれで完全決着…そして試合の結果は……清澄高校の逆転優勝です‼︎」

 

 

「楽しかったし‼︎」

「………お前が楽しめた…?」

「ん?おかしいか?何事もそーやって前向きに楽しんでいくのだよ‼︎」

「確かに…負け惜しみにしか聞こえないかもしれないが私も楽しめたよ、まだまだここで牌を触っていたい……できれば何局もここで続きを打ちたい気分だ」

「衣は散々ひどいこと言ったのにまた一緒に打ってくれるのか?」

「今度はこっちがぶちのめして罵る番だし」

「そうだな」

 

「「「「ありがとうございました」」」」

 

「また打とうね」

「ん…うん……清澄の…名前を教えてくれないか」

「私は、咲……宮永咲‼︎」

「咲…………楽しかった」

「うんっ」

 

 

 

 

 

 

こうして長野県の女子県予選決勝は終わりを告げた

 

 

 

 

 

 

そして数々の県でも県代表が決まりつつある

 

同日15時36分西東京

 

「試合終了ーー‼︎これでインターハイ西東京代表は三年連続、白糸台高校‼︎

2軍でも県代表クラスといわれる白糸台ですがこの「チーム虎姫」はまさに別格の一軍‼︎

率いるのは高校生10000人の頂点!

インターハイといえばすなわち彼女のこと…‼︎

現インターハイチャンピオン、宮永照‼︎

史上初の全国3連覇に向けて動きだしました‼︎」

 

同日15時38分東東京

 

「きィまったァァァアァ‼︎東東京最強のチーム今ここに誕生だァアア‼︎」

「臨海女子は今まで15年連続で地区代表だってば」

「さすが小鍛冶プロ詳しすぎ‼︎ってことはこれで16年連続で東東京代表だーーーーッ‼︎」

「あなた本当にアナウンサー⁉︎」

「それにしても外国人ばかりのチームですね!」

「………そうですね…それに今年からは先鋒に留学生をオーダーすることができないルールになりました、去年までの臨海は全員留学生でしたから」

「確かにひきょーでいけすかないですね?」

「そんなこと言ってないよっ‼︎………でもこのチームは本当に強い、

唯一の日本人選手も去年個人戦3位の辻垣内去年から引き続き団体戦にでるのはアメリカのダヴァンだけだけど…新しい特待生は世界で注目を集める3人

香港からきたハオは仁川のアジア大会で銀メダル

世界ジュニア活躍したサカルトヴェロのヴィルサラーゼ

フランスからの特待生、明華は欧州選手権でヴァントゥール…風神と呼ばれた世界ランカー……」

「世界ランクとかすげぇなにそれ⁈小鍛冶プロは?」

「わ…私⁉︎私はランキングに関わる大会にはあまり出てないですからね…こないだサイト見たら973位でしたけど…」

「中継を終わりますっ!」

「えぇっ⁉︎」

 

 

 

同日15時41分鹿児島

 

「役満の直撃が決まりました‼︎大将戦に回ることなく県予選終了‼︎

去年に引き続き鹿児島代表は永水女子です‼︎

薄墨選手は北家の時に和了ることが多いようですね、どう思いますか大沼プロ?」

「あー……(北家が牌を晒すのは東家と北家の間…鬼門…)残りの手牌が裏鬼門か…」

「よくわかりませんが……えーっと…薄墨選手のウラキモンが決まりました‼︎

永水女子は再び全国に挑みます‼︎」

 

 

数々と県代表が決まるがどれも女子の話題ばかり、やはり世間では麻雀といえば女子という空気が流れている

 

 

 

 

しかし、ある県予選個人戦で凄まじい記録を叩きだし、ある選手の注目を浴びる

 

ある人は、その闘牌は悪魔的であり、決して常人が打てる麻雀ではないと言う人もいる

 

ある人は、それは麻雀ではなくまるで博打打ちのようで、昔ながらの麻雀と言う人もいる

 

ある人は、あの人が帰ってきたと言う人もいる

 

ある人は、それはもうすでに神の領域に入っていると言う人もいる

 

 

 

 

 

 

なんにせよまだ彼の物語はまだ始まってすらいないのだ

 

そして全国に轟かせることになるだろう

 

常人を超え、人の身でありながら神の領域に踏み込んだ、彼の物語を……

 




前回長かったから仕方ないやで……

そしてなにはともあれ、女子は全国行きが決まりした……

………正直もう全部キンクリでよくねと思ったけど、合宿前の絡みとか必要じゃんとか思って、丁寧にやることになりました
そしてついに次からは……合宿編‼︎………の前に男子個人戦です‼︎

「もう麻雀はええよ、はよヒロインと絡めっ‼︎」

とか言ってるあなた‼︎
作者もそう思います‼︎

でも、作者はこの作品をラブコメのつもりはあんまりないですっ‼︎

麻雀TUEEEE→ヒロインが惚れるなんてリアルじゃないから……ッ‼︎
優しくする→ヒロインが惚れるなんてない……ッ‼︎
そんな夢捨てる……ッ‼︎(ナレーションはカイジをイメージ)

Twitterで書いてあったんですけど

「最近思うのは、いわゆる「俺TUEEEE的なやつが嫌い」っていうのって厳密には単純な戦闘力的に無双状態になってるのが嫌いというよりは「説得力のない感情論と根拠のない強さを周りの仲間が全肯定する構図が気持ち悪い」って意味なのかなと」

これみて……あぁってなりましたね
いままで集めてた小説を途中で切ったのいつもこんな感じでしたもん
特に根拠のない強さってのピンときましたね

咲ははっきり「能力麻雀」って決めているから何がきても「ちょwww
まじかよwww」ってなるんですけど

根拠がないと主人公に感情移入ができなくなるですよね
だから、このハーメルンにもアンチやヘイトっていう種類が出てくるのも納得かなって思うんですよ

だから、そういう意味では麻雀ってすごく説明しやすいですね
何故この牌は通るのか、なんでこれで和了れたのか、そういうものがないとやっぱり納得できないじゃないですか

しかも麻雀って全部理で決まらないじゃないですか?
手が勝手に動いたとか、ただの勘とかそういう目に見えないものがあるから余計に麻雀にハマっていくですよねwww←最近スマホの麻雀で3段になった

なにはともあれ、女子の全国行きが決まったので、とりあえずここからは不定期投稿とさせていただきます
毎日更新を楽しみにしている人もいますが、ここ最近のクオリティが酷すぎてとても投稿できるようなものじゃありません……

ですが‼︎なるべく毎日更新させていただきます‼︎
作者頑張るから‼︎いろいろ捨てて頑張るから‼︎

そしてかなりどーでもいいですけど明日スーパームーンですね‼︎

衣が十五夜で身体が大きくなるssを思い出して
「ワガママボディでちょっと妖艶なころたん………ありだなっ‼︎」
って1人妄想してましたwww

なにはともあれ、ここまで読んだくださって本当にありがとうございます‼︎
評価や感想等お待ちしております‼︎


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十八話

男子個人戦1日目やで‼︎


女子の個人戦と男子の個人戦は同時に行うため、会場は別会場になっており男子二人で会場に向かう

 

長野の個人戦1日目は東風戦のみ2日目は半荘戦

参加人数は600人を越えている

しかしこれでもまだ少ない方であり、東京や大阪は3000人近くの人数からたった3名のみしか上がれない

長野は1日目は北と南に分けその中から本戦行きを決める

2日目の本戦は南北区別なく本戦を始める

 

ルール確認するたびに個人戦の県代表を決める戦いがどれだけ大変か……

 

「うーーん、1日目は京太郎と戦わないな、残念」

 

表の紙をみて達也がそうボヤくが心の中でホッとした俺は絶対に悪くないと思う

 

達也はだるそうにとぼとぼ歩いてるが、俺は会場に近づくたびに心臓がドキドキと鳴る

 

「緊張してんの?」

「えっ?」

 

達也はこっちを見ず前を向きながらだるそうに聞いてくる

 

「そりゃ、緊張するだろ初めての大会だし」

「大方女子が結果を出したから俺も頑張んなきゃとか思ってるんだろ?」

 

図星、女子は全国が決まっているのに男子は初戦敗退なんてカッコつかないとは思ってる

 

「そうだけどさ………」

「勝つために必要なことって分かるか?」

 

勝つために必要なこと?

 

「諦めないとか、勝つ意思を持ち続けるとか」

「その気持ちは大事だけどな、もっと大事なことがあるんだよ」

「大事なこと?」

「勝つことに必要なのは今お前が持っているような勝とうとする意思じゃない、そんなもの邪魔なだけだ、ただ普通にいつもの打ち方をする、そういう事が試される平常心が必要なんだよ………あとお前は潜れ」

「………潜れってなんだよ」

 

「第1試合が始まりますので、選手の方は会場の方に移動して下さい」

 

「って、オレ第1試合じゃん‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

京太郎は今じゃ清澄の女子にもひけをとらない実力を持ってるんだけど、いかんせん自信がないからなぁ

 

それより今は京太郎じゃなくてこっちに集中するか

 

「よぉ、お前清澄なんだろ」

「おいおい天下の清澄様に声かけんなって数え役満ぶつけられるぞ」

「つか清澄って原村いるんだろ、どーせ原村に釣られたやつだろ」

 

………どこにもでもいるんだねガラの悪い連中ってのは

 

「女子は全国行きを決めたから男子はどんなもんなのかなと思ったけど随分ヒョロやつだな」

「ケッ、女子が全国決めたからって調子に乗んなよ」

 

 

「……どうしてだろうね、なんでもっとスカッとやらねぇのかね」

 

 

 

 

 

そして、終局……達也起家で相手をトバして終了

 

「ロン、満貫でトビですね」

「お前……いったい……」

「ありがとうございました」

 

わずか五分で終了………

 

「はぁ……こんなもんか」

 

外に出て思わずため息をする

 

男子の人数は女子よりも多いが、多いだけでそれだけだ、誰も達也の捨て牌には気づかず、ダマにすれば当然のように振り込む鈍感さ

 

(もっとヒリヒリする勝負がしたいんだよ……)

 

「まぁ、2日目は京太郎がいるし1日辛抱だな」

 

 

 

 

 

 

 

達也言うまでもなく、1日目を突破‼︎

 

そして数々の伝説をつくる

 

1日目総合成績歴代1位 836点……ッ‼︎

 

そして、公式には乗らないが20回の東風戦すべてトバして終了……ッ‼︎

 

東風戦平均時間7分……ッ‼︎

 

まさに異常事態……ッ‼︎アリの中に恐竜を入れるような圧倒的な差……ッ‼︎

 

しかし達也はまるで面白くないようにランキングを見る……

 

(京太郎は20位くらいか……確か予選突破は50位以上だけど思ったより下にいるな…)

 

 

 

 

 

 

 

「ロン12000です‼︎」

 

「うっ、はい」

 

 

京太郎、午前中は執拗なマークをされ思うような麻雀ができなかったが、相手の作戦を読み溢れ牌から和了る麻雀に変えた

 

(清澄のネームバリューがこんな風になるのか……もう少し早く気付けばもっと上の方に行けたのに)

 

しかし、京太郎予選突破は確実‼︎

 

和了率は高くはないが、20回の東風戦で放銃0回……ッ‼︎

 

目立たないが中々の活躍……ッ‼︎

 

がっ‼︎京太郎納得出来ない……ッ‼︎

 

(達也だって同じ清澄の名前を背負って執拗なマークだってされたし、ランキングトップでさらにマークされてるのにあの結果……ッ‼︎)

 

 

もう京太郎はそこそこの活躍では満足出来ない……ッ‼︎

 

そういう所に、もういない……ッ‼︎

 

睨みつけるようにランキングを見る……

 

(別にこの点数は2日目に引き継がれる訳じゃない……チャンスはまだある)

 

沸々と込み上がる感情、誰しも思う熱……ッ‼︎

 

がッ‼︎抑える‼︎それは今一番必要なことではない……ッ‼︎

 

達也も言ったが平常心が今必要なもの……ッ‼︎

 

「いつまでも突っ立てないで帰るぞ」

「うっお‼︎だから突然出てくんなよっ‼︎」

「時間になっても来ないし、携帯は出ないし、女子は集まってるのにお前が来ないから探しにきたんだよ」

 

個人戦が終了したら、会場の最寄り駅に集合し全員確認してから帰宅するのだが、京太郎が中々帰ってこないので達也がわざわざ探しにきたのだ

 

「……忘れてた」

「どーでもいいけど早く帰るぞ、明日も早いし」

 

早く帰るぞといいつつその足取りはゆっくり駅に向かっていた

 

 

 

 

「遅いよ、京ちゃん」

「悪いちょっとぼーっとしてた」

「初めての大会で疲れちゃった?」

「いえ、疲れはないんですけど……」

「………まぁ、なにはともあれ全員集合ね、それじゃあ帰るわよー」

 

 

 

「おぅ、京太郎1日目突破したらしいな」

「そういうお前は女子の1日目歴代ハイスコアじゃねえかよ」

「私に東風戦で勝てる相手なんて………一部を除いていないじぇ‼︎」

 

優希が大口を叩く瞬間達也と目が合った

 

「小高君は何かしらやると思ったけど、かなりド派手なデビュー戦になったわね……」

「男女含め1日目歴代最高ハイスコア、平均テンパイ速度、テンパイから和了率、リーチから一発率、どれも記録更新………悪魔的じゃのぉ」

 

なんかいろいろと記録更新してるんだ

 

「他に公式記録だと………放銃率ですけど、これは小高君、そして須賀君の2人だけが放銃率0…これもこれで中々の記録ですね」

「京ちゃん地味に公式記録に乗ってるよ‼︎」

「地味は余計だっ‼︎」

 

京太郎、実はこの記録にて記者と少し話をしていた、しかし主に聞かれたのは達也のことばかりだったが……

 

「女子は全員予選突破ですか?」

「咲さんがギリギリまでプラマイゼロで打ってましたけど、後半ギリギリで予選突破しました」

「あはは……」

 

和が如何にも怒ってますよオーラを出しながら説明している

 

「まぁ、男女ともに1日目は突破したんじゃからええじゃろ」

 

清澄高校麻雀部、無事1日目突破‼︎

 




文字数がががが

1日目は描写はありませんが大暴れですねwww

ぶっちゃけ主人公はすでに天、曽我、原田、赤木と打ってますからね
今更高校生に遅れをとるとかないでしょう……って考えたらこんなことになりました……

もうね……噛ませキャラはいらない……
達也と京太郎の一騎打ちで男子個人戦は盛り上げましょうよ‼︎

噛ませキャラは全国編とかにしましょう‼︎うん‼︎

ということでここまで読んでいただきありがとうございました‼︎
感想や評価等お待ちしております‼︎


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十九話

京太郎は主人公です←錯乱


2日目男子個人戦は、25000の30000返しの半荘を10回やりその成績で決める

午前に4回、午後に6回

 

 

 

「600人近くの高校生が50人までふるい落とされ

さらにここから3人まで選抜される男子個人戦‼︎

そして最有力候補は2名‼︎

1日目にインターハイ歴代最高記録を叩き出し、数々の記録を更新した神懸かりな闘牌見せつける清澄高校1年小高達也選手‼︎

そして同じく清澄高校一年須賀京太郎選手

この2名は確実に個人戦を抜けると思いますが、どう思いますか藤田プロ」

「そうだな、この2人明らかに他の男子……いや他の高校生とは違う感覚をもっている…主観的ではなく客観的にみてもこの2人抜けると思うな」

「つまり実質的に男子個人戦は残り一つの席を争う勝負となると……」

「言い方は悪いがそういうことだな」

 

 

この読みは的中している、言うまでもなく達也と京太郎は淀むことなくトップを取り続ける

 

それはもうすでに3位の選手がどちらか二人からトップを取っても逆転することはないほどの差

 

そして午後最後の卓

 

「午後の途中で、ほぼ確定的に決まったのは小高選手と須賀選手‼︎

3位争いがとても激化しております‼︎

そしてここまでなんと、小高選手、須賀選手はいまだに放銃率0という記録をもっていますがどう思いますか?」

「この2人の読みはすでに高校生レベルじゃないな、捨て牌は当然として、それ以外の情報から相手の待ち牌を読んでいる……だからこそ午後最後の卓が気になるんだけどな」

 

 

なんのめぐり合わせか午後最終卓は、トップの達也、2位の京太郎が今日のラス卓

 

これは大会側が意図したものではなく、偶然この2人がラス卓になったという

 

当然注目度があるのは達也と京太郎の勝負

 

そして今その戦いが始まろうとする

 

 

「さぁ、個人戦最終卓、トップの達也選手と二位の京太郎選手、同校が一二位とはかなり珍しい状況ですっ‼︎」

「テレビ的にはおいしいな」

「………さぁ、そんなテレビ的にもおいしい最終卓、始まります‼︎」

 

 

 

東一局 親秋山

 

(起家だけど、今回ばかりは早逃げは当然無理だな………)

 

秋山、第一打中

 

「ポン」

 

上家の達也いきなり鳴く

 

そして達也の捨て牌南

 

「ポン」

 

ここで、京太郎の鳴きが入れる

 

(いきなり中鳴くってことは、最速で三巡、遅くても6巡目くらいで和了るじゃないかこれ‼︎)

 

京太郎の膨大の達也との対局を思い出しそこからもっと近い牌譜をみつける

 

そして田島の1筒だす

 

「チー」

 

達也いきなり2副露

 

 

 

 

「小高選手は2日目はよくチャンタで和了るんですけど、なぜ手になりにくいチャンタを狙うんでしょう?」

「………個人戦最終卓だから言うがあれは戦略なんだよ」

「戦略?」

 

「単純に手作りを考えたら断么が最適だ、横に伸びたり膨らんだり縦横無尽だ……

その点チャンタにいいとこない、

第一に順子が存在しない、一二三、七八九は順子だが横への伸びが期待できない以上順子としての役割をしていない、性質的には暗刻に近いな

しかし、別の光をあてると全く違った物が見えてくる……チャンタと断么それぞれ使用できる牌の枚数は分かるか?」

 

「えーっと、断么が84牌で、チャンタは………100牌ですかね?」

 

「そうだ、つまり使用できる牌はチャンタの方が16枚も多い、言い換えれば待てる牌がそれだけ多いということ…

しかも単に数の問題ではなくこのチャンタの100牌は後半…前半問わず溢れてくる100…つまり捨てたい牌だ

そして、ここに強力の打ち手つまり小高のような打ち手がチャンタを全面に出した打ち方をするとどうなる…

雀力の弱い者は、小高の捨て牌、気配、そういうものに踊らされるようになる

自分の考えで打っているように思っているかもしれないが、すでに小高の支配の中だ」

 

「ロン、役牌チャンタドラ1 3900だ」

 

「くっ、はい」

 

 

東二局 親京太郎

 

達也11巡目

 

「リーチ」

 

(達也のリーチ、しかも捨て牌が不気味すぎんだろ)

 

達也は七巡目まで中張牌を連打し、8、9、10巡目に字牌整理してから9萬切りリーチ

 

(普通に考えれば1-4か6-9辺りのスジ、全体的に萬子を切り捨てていて、数字の高い牌が多い、となると1-4辺りが濃厚)

 

この時京太郎の手配、一気通貫ドラ3一向聴

 

(合宿の時達也の癖を探したけど、全く隙がねぇな、いや、隙らしい隙をたまに見せるが深く思考してみると罠だったりするからな……)

 

他家は現物を切っての様子見

 

(達也のチャンタシステムは決まれば強いけど、手作りに時間がかかるのが問題……つまり、達也より早くあがるか、達也より高い手配を作るかのどちらかだ)

 

三巡後

 

京太郎、2萬を引き、6萬を切ればテンパイ

 

(6萬切ればテンパイ……ここはダマで連荘狙いでいく)

 

「ロン、リーチ、断么、平和、三色、裏ドラ2枚のって跳満だ」

 

「えっ………??」

 

 

「ここで、須賀選手初めての放銃だー‼︎」

「これはたとえトッププロでもこれは振り込むさ、神懸かり的な捨て牌だな」

 

(す……すげぇ、この捨て牌からこの綺麗な断么三色、端の牌や字牌はほとんど手出しだった、つまりチャンタの二向聴から、断么三色に持っていったのかよ……

しかも序盤は中張牌から整理していく……

まるで綱渡りのように急所の牌を外して捨てていく……こんなの神業だろ)

 

 

東三局は他家のテンパイが早いと見ると、

 

「ポン」

 

「ロン役牌のみ」

 

達也が軽く和了り局を流す

 

東四局 親達也

 

 

「ここまで小高選手の平均連荘率は何と4連荘‼︎、そして今大会では八連荘は役満扱いではありませんが、すでに八連荘を二回出しています!」

「女子のインターハイチャンピオンのように制限がある訳がない分余計にタチが悪いな」

 

そしてわずかの五巡目

 

「リーチ」

 

(くっ、やばいどんどん勢いに乗ってきてる何としても止めないと)

 

「ツモ、リーチ、一発、七対子…裏乗って親跳6000オールだ」

 

もうすでに達也の勢いは止まらない……ッ

 

このままいくと誰かがトビ終了になる……ッ

 

 

(どうする……ッ‼︎どうする……ッ‼︎どうにかして止めないと本気でやばいっ‼︎

考えろッ‼︎考えろッ‼︎打開する方法をッ‼︎)

 

この時京太郎あることを思い出す……

 

 

 

「勝つことに必要なのは今お前が持っているような勝とうとする意思じゃない、そんなもの邪魔なだけだ、ただ普通にいつもの打ち方をする、そういう事が試される平常心が必要なんだよ………あとお前は潜れ」

 

 

 

 

(平常心と潜れ……潜れって記憶の中から牌譜を探すことじゃないのか?

仮に違うとしたらなんだ?

考えろ‼︎

考えろ‼︎

考えろ‼︎)

 

 

「……………考えても答えは出ないぜ」

 

達也が独り言を言う

 

「………思考は確かに大事……が、「運」は見えない、故に感じるしかない」

 

 

見えない変数は、説明できないから見えない変数なのだ……ッ‼︎

 

見えてしまったらそれはただの理……ッ‼︎

 

京太郎はいわば理に縛られすぎている……ッ‼︎

 

「そうか………失礼」

 

京太郎は大きく深呼吸をする

 

何度も何度もして、ふと止める

 

「…………ダイブ」

 

京太郎は潜った……136牌ある麻雀の卓上の中に……ッ‼︎

 

達也と特訓した時以来の感覚……ッ‼︎

 

頭の中に潜るのではなく、卓上の中を駆け巡る感覚……ッ‼︎

 

「………ロン、平和のみ」

 

「えっ、はい!」

 

 

「多分初めてじゃないか?小高が二本場いかなかったの」

「………確かに今大会、小高選手は親の連荘を二本場以下はありませんっ⁉︎

確かにすごい記録ですが、たった今、須賀選手に東場の親を流されました‼︎」

「……流れが変わったか」

 

否ッ‼︎流れが変わったのではない‼︎

 

流れを変えたのだ……ッ‼︎

 

本流とも言える達也という大きな川に逆らい自力で和了った平和のみ……ッ‼︎

 

しかしまだ本流の勢いは止まってない……ッ‼︎

 

もし仮にこの本流を止め、自分の流れにしたらそれは一流……ッ‼︎

 

ここからが京太郎の進化と言える闘牌が見せられる……ッ‼︎




咲の本編もそうですが、やっぱり咲のラスボス感と主人公のラスボス感は完全に一致ですわwww

今回の「「運」は見えない、故に感じるしかない」はプロ雀士の桜井章一さんのお言葉をちょこっといじらせてもらいました

確かに、麻雀に限らず運って絶対に見えないですよね

理ではほぼ説明できない何か、そういうあやふやな物を感じることができるのはアカギでいう麻雀のセンスってやつですね
この言葉見つけて普通にカッケェってなりましたもん……

それとついに説明がありました、赤木の不敗のチャンタ戦法ッ‼︎←不敗ではなくなったが
普通の人間は真似してはいけません、絶対に成績落ちます←経験談
これはアカギ並みの感覚の鋭さと相手の溢れ牌を読む能力が高くないとできませんッ‼︎
でもチャンタという役が思いの外使えるようになったのはこの説明があったのは事実ですね←チャンタでロンは気持ちいい

咲の世界だと赤ドラの関係でどうしても点数は伸びませんが、逆を言えば切られる可能性がグンと上がりやすいのも事実です

そして京ちゃん覚醒まであと少しッ‼︎

気づいた人もいますが、今回のダイブ発言はのハチワンダイバーっていう将棋の作品です

本編でも書きましたが、主人公はアカギのように高みに登る麻雀なので、京ちゃんは潜る麻雀を意識して書きました‼︎
厳密に何が違うのかは特にありませんっ‼︎
ただ、大きく深呼吸してからボソッと「ダイブ」って言うのかっこいいじゃん←厨二的発想

まぁ、これは完全に作者の厨二病が作品に投影された回ですね←黒歴史

さて、ストックがなくなったので本当に亀更新になります
もう作者のiPhoneに次回の話は一文字もありませんっ‼︎
ここまでいろんな人に自分の作品を見られるのは初めてで、ボコボコに批評されたらどうしようとか考えつつ投稿してしまいましたね……

なにはともあれここまで読んでくださり本当にありがとうございました‼︎
感想や評価等お待ちしておりますっ‼︎




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二十話

大変遅くなりましたッ‼︎


同日 女子会場

 

「女子個人戦代表は、一位竹井久選手、二位宮永咲選手、3位福路美穂子選手に決まりましたっ‼︎」

 

ーー女子個人戦2日目は意外にも早くも決まった

 

ーー今回長野一位を取った竹井久の打ち筋とても独特だった、多面待ちを取らずに単騎待ちや、三枚切れの牌を平気に待つ悪待ち……が和了って見せる

 

(ありゃ、こりゃ出来すぎわね)

 

 

 

 

 

 

 

合宿中

 

「そういえば、部長と達也の打ち筋って似てません?」

 

合宿中に須賀君が牌譜を取ってるいる時が事の発端だった

 

「そうかしら?」

「達也も部長も平気で三枚切れの牌で待つ時があるから現物が切れると困るじぇ」

「単純なダブロン率なら達也と和なんだけど、同じ単騎待ちをする場合だと部長と同じ待ちが多いんだよな」

 

小高君のパソコンからきめ細かいデータが出てくるが、三枚切れの単騎待ちの所だけ私と小高君のデータが突飛してでている

 

「部長の場合は悪待ちが好きなだけで、俺は理と感覚で打ってるからな」

「まぁ、悪待ちが好きなのは否定できないね、人生悪待ちってやつかしらね」

「全国狙うならもう少し武器が欲しいんですけどね」

「これ以上成長する余地って、私にあるかしら?」

 

私が全国で渡り合える武器は悪待ちだけだとおもうけど

 

「他にもあるじゃないですか」

「他にも?何かあるかしら?」

 

「ハイッ‼︎」

 

優希が勢いよく手を上げる

 

「どうぞ」

「部長の胸はまだ成長すると思うじょ」

「そうね、和までとはまでいかないけど、もう少し成長する余地はありそうね」

「なんで胸の成長になっとるじゃ……」

 

まだ胸は成長してるのは事実だけど、そこは置いといて何かあるのかしら?

 

「染谷先輩、部長を特徴を上げるとどんな感じですか?」

「そうじゃのぉ、部長、生徒議会長、悪待ち、悪女、傍若無人、腹黒、天邪鬼、なぜかストッキング常備、ベットでグータラ、実は可愛い物好き、初めて部活行った時マナーの悪いツモの練習してた、それから」

「ねぇ?途中から完全に関係なくない?しかも私悪口言われてるわよね?」

「ま、要するに天邪鬼で傍若無人な所が成長する余地がありますね」

「これイジメよね?部内でイジメよね?」

 

正直、小高君がこの手の冗談に乗るとは思っていなかったけど、流石に言い過ぎよねこれ?

 

「まぁ、俺の後ろでちょっと見ててくださ

い」

 

言われた通りに小高君の後ろに座る

そしてそのまま半荘が始まった

 

 

東二局が終わって小高君打ち方に物凄く違和感を感じる

さっきから私が切りたいと思った牌と同じ牌を切っている

 

「小高君………これ」

「そうですよ」

 

私の打ち筋をそっくり真似をしている

簡単に言うけど、やってることは神業に近いわよコレ……

 

そして

 

「リーチ」

 

小高君は単騎待ちではなく多面待ちを取った

だけど、私の感覚じゃコレはツモれないし、誰も出さない

 

しかし、咲が多面待ちの牌だした

 

「ロン、リーチ一発断么ドラ2満貫」

「うぅ、多面待ちかぁ……」

 

悔しそうに咲が点棒を渡す

そして、山を崩そうとした時、小高君が待ったをかけた

 

「部長、この待ちツモれると思いました?」

「…………この多面待ちはツモれないと思ったわ」

 

正直に自分の感想を言う

和あたりがジト目でこっちを見るけど、これは私の中の感覚だ

 

「でも宮永さんがだした、なんでか分かります?」

 

咲がだした牌は雀頭の4索

別にこれは現物でもない

咲の手配を見て、現物はなくても不要牌はある、

 

 

「宮永さんに4索を切ったのを説明するにはこの対局が始まることから説明しなきゃいけませんね」

「そこからっ⁉︎」

 

このたった一枚の捨て牌のためにどこまで遡るつもりよ………

 

「この対局が始まる前にまず、部長に俺の後ろにで見てもらいました、もちろん部長に何かを掴むためにここにきてもらいました、だけど部長が俺の後ろにいることであることが起こるんですよ」

「………あること?」

「警戒ですよ」

 

警戒?

 

「部長が俺の後ろにいて他の3人はどうおもった?」

 

卓に座っていたのは須賀君、咲、優希の3人

 

「まぁ、何かしらやると思ったよ」

「部長に何か見せようもしてると思ったけど」

「とりあえず警戒はするじょ」

 

「んで、東二局まで進んで部長が俺に声をかけましたよね?」

「そうね」

 

小高君が私の切りたいと牌を切っている

 

「その時京太郎と宮永さんは気づいたでしょ?「達也は部長の真似をしている」って」

 

まさかこの子は……

 

「………思考を誘導したの?」

 

「気づきましたね、宮永さんと京太郎は「達也は部長の真似をしている」という思い込みをした

だから俺のリーチは部長と同じ悪待ち………そう思い込む

そうなると字牌が切れなくなる、字牌は部長がよく待ちますからね、切れない

最初に切った赤5萬の周りも警戒する萬子は切れない

筒子も駄目だ優希の染め手に当たる、切れない

そうなると索子が切れそう……そんな思考」

 

 

場の流れを読んだ咲の思考

だけどその上をいく小高君

 

「けどそれが部長の成長と何の意味があるんじゃ?」

「部長の悪待ちは印象に残りやすい、つまり上に上がれば上がるほど部長悪待ちの印象は大きくなる………と同時に多面待ちはないと思い込む」

 

なるほどね………私の代名詞は悪待ち、だから多面待ちはない

そこを狙い撃つ

 

「そしてこの多面待ちは相手を惑わす

悪待ちが多い相手が多面待ちをした、その事実はより悪待ちが映えるようになる」

「なるほど、傍若無人、天邪鬼、悪女……ぴったりじゃの」

 

場の流れだけじゃなくて、私の特性をも戦略の一部とする………スタイルが見えてきたわ

でもまこ、それは流石に傷つくわよ

 

 

 

 

 

(小高君は全国出場した後か、もしくは私のスタイルを知っている人にしか使えないんだけどって言ってたけど都合良くいたわよ)

 

ーー久が見たのは風越の福路美穂子、達也曰く、出会った女子高生で達也の領域に一番近い人

 

 

(私のスタイルを知ってると言ってもそれは中学時代の話をなのよねぇ……読みは凄かったけど………あとこの子は真っ直ぐすぎなのよね)

 

ーー試合は久と美穂子の独壇場だった

一進一退の攻防だったが、最後の最後で久の多面待ちに美穂子が振り込んだのだ

 

(あの驚いた顔は中々いい気分ね………だから悪女とか言われるのかしら私……)

 

ーー久、素直に喜んでいいのかよく分からなくなる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在の点数差

 

達也 53900

 

秋山 16400

 

京太郎 8600

 

田島 15000

 

 

南一局 親秋山

 

ーーこの南一局は分岐点………流れのまま行けば確実に達也が和了する

 

今の達也は両隣の人間をおさえ、牌の流れをつかみ、運気も絶頂………だけどその圧倒的優位が逆につけ込むスキでもある

 

そして九巡目

 

「リーチ」

 

ーー達也の先制リーチ

 

「ポン」

 

「須賀選手、小高選手の4索ポンをするがこれで多面待ちがなくなりました」

「単に一発消しかそれとも何か別の糸があるか」

 

これが鳴けるってことは俺にもツキはある…この鳴きで俺と達也のツモが入れ替わった、そんで、このツモが本来の達也の一発ツモ

 

ーー引いたのは7萬

 

一見通りそうな牌だが、一発ツモに当たるこの7萬は切れない……仮に和了り牌全て100%自分のツモ山にあると考えると逆をいえば俺がその牌を全て抱えれば達也の和了り目は消えることになる……強運100の裏側はゼロだ‼︎

 

次順 京太郎ツモ

 

ーー引いたのは4索

 

「カン」

 

ーー引いた牌は7索

 

7萬切りテンパイ……ん?ドラが4索?………流石達也の運気が乗った牌だ…訳のわからない展開だな……

 

「須賀選手は7萬は切らず、雀頭を崩して行きましたね」

「だがドラ4は確定している、この暴れ馬を上手く乗りこなせばチャンスは広がるが…一歩間違えば大怪我だな」

 

次順 京太郎ツモ

 

今度はドラの4筒…まったく、達也の流れに乗ってからオイシイところばかりツモる……当然このドラも切れない

 

次順 京太郎ツモ

 

また、7萬、ドラを切ればテンパイだけど、これは切れない…かといって現物の6萬を切ったら、この手は死ぬ………駄目だこのドラは切れない

 

打 中

 

「須賀選手ここで中を打ちます」

「暗刻落とし………キツイ選択だ、これで手が振り出しに戻る」

 

次順 京太郎ツモ

 

また7萬⁈……どうなってんだこれ?これでもし達也が7萬待ちだったらツキが厚いとかそういうレベルじゃねえぞ

 

打 中

 

次順 京太郎ツモ

 

………中を暗刻落としてるうちに、またテンパイに盛り返した、流石にもう笑うしかねぇな6連続有効牌引きかよ………だけどそろそろあぶねぇ、だけど俺がツモれば問題ねぇっ‼︎

 

ーー引いてきたのは達也に通ってない3筒

 

……いやさっき下家がさっき6筒を通したな、ここはスジを追って……

 

牌をそのまま切ろうとしたが止める

 

どうして6筒をとおせたんだ?あれは一応危険牌だと感じる……つまり下家なりに安全理論があったんだ………カベか

 

ーー京太郎すぐさま下家の手を予想し、ドラに手をかける

 

だけど、この牌は達也にも危険なドラ……振り込みも当然あるが……ここは…いけっ‼︎

 

打 4筒

 

「ポン」

 

ーーそして溢れて切った牌……それは

 

「ロン 満貫だ」

 

「うっ……くそっ」

 

 

京太郎の上がり牌だった

 

 

「7萬がそっちに三枚いってたのか」

 

ーー達也は自分の手配を見せ教えてくれる、7萬のカンチャン待ち

 

「須賀選手、小高選手のアタリ牌を抱え込み見事満貫を手に入れましたッ‼︎」

「よくのみこんだよ、いい読みだ、捨て牌も意志ののある捨て牌だ……中連打といいドラ切りといい……流れが変わるかもな」

 

このまま俺の流れに……

 

「……えっ?」

 

風が吹いたと思ったら、急激な殺気を感じた

 

「……ッ⁉︎」

 

思わず立ち上がった

麻雀の試合中に殺気が飛んだんだ

だけど他の2人は気づいてない?

 

「リーチ」

 

たった六巡でリーチ?

くそ流れまだ達也か?

 

ーー京太郎ここは降りる

 

ーーしかし達也は中々ツモらない

 

………おかしいあらかた牌は出たのに中々達也が和了らない?

この流れで?

 

ーーしかしその疑問も解ける

 

「ツモ、リーチ一通ドラ満貫だ」

 

なッ⁉︎このリーチフリテンじゃねぇかよ

くそっやられた

始まる前の殺気で日和ったところにフリテンリーチ

俺が降りるように仕向けたんだ

 

「そんな睨むなよ、降りたのはお前の意思だぜ」

 

ーーそして次の局達也が田島に満貫をぶつけてトビ

終わってみれば達也の圧勝だった………

 

 

 

 

 

 

 

「決勝戦終わりましたが、どうでした藤田さん?」

「言い方は悪いが近年稀に見れない男子戦だったな、どれだけ取り繕っても世間は女子は派手で男子は地味みたいな扱いは消えてない………別にこの試合は女子のような派手な得点移動は無かった、だが女子にはない予測と読みと心理戦がより如実に出てた試合だったな」

 

 

おおぅ、藤田さん辛口トークだねぇ、つかどんだけ男子ヘッポコだったんだよ………

 

女子も終わったし、取材は京太郎に任せたし帰るか

 

「ちょっと待て」

 

「おー京太郎お疲れ、最後は惜しかったなー」

「なにが惜しかっただよ全然余力残しておいて、つか取材を俺に丸投げすんなッ‼︎」

「まぁまぁ、これで京太郎も雑誌とかでるんじゃねぇの?そしたらモテモテじゃねぇか?」

「ぐぅ、だけどな質問も大概お前のことばっかりでこっちは大変だったんだぞ」

「へーへー、以後善処します、それより帰ろうぜ」

 

ーー京太郎をほっといて先に駅に歩を進める

 

「こらっ、最後の局あの殺気飛ばしたのなんだよ」

 

ーー数々の記録を叩き出し、長野代表を決めた

 

「ん?あれ?京太郎日和って面白かったな」

 

ーーだが、まだ底を見せてないのも事実

 

「フリテンリーチとか普通ありえねぇから」

 

ーー彼を本気にさせる相手はまだ会ってない

 

「そういう普通から出るのが面白いだろ」

 

 

 




いろいろ事情があって投稿できませんでした

ってあとがきでよく見るけど絶対ウソだゾ‼︎
単にやる気がなくなっただけだゾ‼︎
モチベーションとかリアルの事情とかそれっぽいこと言って読者に「それじゃあしょうがないよな」って思わせるだけだゾ‼︎

まぁ、作者の本音はともかく久しぶりに投稿しました

いやー、やっと個人戦終わりました
そして皆さんお待ちかねの四校合宿編だね

ぶっちゃけほとんど手付かずで主人公の過去編を書いてたなんて言えない………

咲より俺ガイルの「ヤベェ、この設定だったら確実にランキング取れる」って思ってそっち優先に妄想してたなんて言えない……

暇になると咲よりリリカルなのはの設定を詰め込んだなんて言えない……

そして同時にやってるせいかまったく話が進んでないなんて言えない
……

さぁ、暗い話はやめますかッ‼︎
ちょくちょく主人公のキャラ崩壊はスルーよっ‼︎
そして作者の出来の悪さもスルーよっ‼︎←深夜テンション

ここまで読んでくださってありがとうございます‼︎
感想評価等お待ちしております‼︎


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二十一話

天使はちょっぴり心配性


「四校合宿ですか?」

 

京太郎が思わず訪ねる

 

「団体戦女子決勝チーム4校で合宿をしようと思ってるの」

 

女子四校ねぇ……

 

「うんじゃ俺らはお留守番ですか?」

 

京太郎と俺は男子だけだし、つか龍門渕以外全部女子校じゃなかったっけ?

 

「男子はお留守番………って言いたいけどそうはいかないわ、てゆーか、もう少し2人とも自分の実力を考えたらどう?」

 

染谷先輩がため息を吐きながら近くの雑誌を読む

 

「須賀京太郎、男子個人戦二位、安定した闘牌と鋭い読み、そして注目するべき点は1日目個人戦での放銃は0、2日目もたった一回のみの防御力、牌譜をみるとデジタルだけではなく場の空気と手配読み相手の当たり牌を潰しつつ自分は和了る麻雀」

 

京太郎は頭をかきながら、大したことじゃないっすよ、と言っている

 

「うんで小高達也、男子個人戦一位、歴代1日目のスコアをほとんど更新、和了スピード、打点の高さ、そして放銃率0という記録、どれを取っても一つ頭を抜けている、しかし一番の注目点はそこではなく、その打ち筋……綺麗な麻雀もすれば彼にしかできない麻雀も見せてくる、彼の麻雀は既にプロでも通用するのではないのかという声も上がっている………ついでに男子の注目選手第一位じゃ」

 

雑誌を渡してくるが、その中には京太郎が振り込んだ牌譜が載ってたりする

そしてこの牌譜には細かく京太郎のコメントも入ってる

 

「それだけの注目選手がお留守番とか私達が許しても他の学校が許さないわよ」

 

そういうもんなのかな?

 

「また強い人と打てるんだッ‼︎」

「あのノッポには借りがあるじょ」

「いろんな人と打てるのはいい経験になりますね」

 

まぁ、男子が入っても問題なさそうだしいいか………

 

ーーしかし女子メンバーの心の中はちょっとした悪戯心もあった

 

(((((とりあえず皆小高君(達也)と麻雀打ってもらおう)))))

 

ーー合宿の時ボコボコにされた想いを少しでも皆に体験してもらいたいと黒いことを考えていた

 

 

 

 

 

 

四校合宿同時

 

「この度は合同合宿にご賛同いただき…そしてばっちりお集まりいただきまして、まことにありがとうございます」

 

こう時は部長っていうより、生徒議会長ぽいよなぁ

 

「今回の合同合宿ですが、我が校は男子メンバーも参加させていただきます」

 

なんか挨拶するようなジェスチャーされたけど京太郎が代表して挨拶させればいいだろう

 

「ちょっ⁉︎達也は出ないのかよ‼︎」

「お前が代表してやれ、長い挨拶は嫌われるぞ」

「おいっ、ちょっ」

 

背中を無理矢理押しつつ京太郎を女子の皆に立ってもらった

 

「えっ…と、この度、合宿に参加させていただきます清澄高校の須賀京太郎です、男子は今回もう一人いますが、代表で挨拶させていただきます、女子の中に男子が居るの多少の不便を感じるとおもいますが一生懸命練習させていただきます、よろしくお願いします」

 

なんか思ってたのと違う…………

 

「意外と京太郎って挨拶できんだな」

「あー、京ちゃんハンドボール部でキャプテンやってたし、集まりとかでもよく挨拶とかやってたからね」

「へー、さすが嫁さん良く知っておられる」

「嫁さんちがいますっ‼︎」

 

「移動の疲れもあることと思いますので今日は自由行動ということでよろしいでしょうか」

 

「「「異議なーし」」」

 

そういうと女子は部屋に戻る人や、温泉の方向へ行ったりする人もいるが、こっちに近づく人物もいる

 

「咲!ノノカ!いっしょにあそぼう!」

「うん何しよっか」

「麻雀‼︎」

 

こっちにというか、宮永さんたちに近づいたと言った方が正しいか……とか思ってたらこっち気づいた

 

「達也もいっしょにあそばないか?」

「いいですよ天江先輩」

「…………ッ‼︎」

 

なんか知らないけど悶えてる、………いや多分だけど先輩扱いされて嬉しいだなきっと

 

「せっかくだから私も見学していいかな?」

「えっと、加治木先輩でしたよね?」

「おや?男子個人戦一位に名前を覚えられるとは光栄だな」

「決勝戦での立ち回りはすごく良かったから記憶に残ってましたよ」

「立ち回りが良くても勝たなきゃだめなんだけどな」

 

などと他愛の無い会話をしてると後ろから視線を感じた

 

「………加治木先輩に悪い虫がつかないように監視しとくっす」

「別にそういうことはしないけどな」

 

そしたら突然周りに驚いたようなリアクションをされた

 

「えっと……どうかしました?」

「いや、突然一人言を言ったからビックリしただけだ」

 

加治木先輩も気づいてないみたいだった

 

「いや、後ろにいる東横さんに言ったんですよ」

 

「ッ⁉︎」

 

本人もビックリしたのかササッと加治木さんの後ろに隠れる

 

「モモなんか言ったのか?」

「えっとまぁ………加治木先輩に悪い虫でもつかないように……と」

「モモ……お前はまったく」

「ううぅ、だって加治木先輩が男について行くんすよ‼︎絶対その男、加治木先輩に惚れる決まってるっす‼︎」

「なにをいってるのやら」

 

頭を押さえる加治木先輩……なんて言うかあの人もいろいろと苦労してるな

 

「というか、小高君はモモが見えるのか?」

「見える?あぁ、あれって麻雀限定じゃないんですね」

「モモは日常生活から影が極端に薄くてな、そう簡単には見つからないんだが」

 

ーーこれは言わば感度の差である、普通の人が見逃すような小さな現象を見逃さないのが達也である

こうなると原村和が彼女の見える理由にはならない、つまり原村和は彼女の捨てる河は見えるけど本人を捉えてる訳ではないのだ

ついでに、京太郎は彼女が動いてる時のみ完全に認識できる、これは彼女を捉えてるのではなく、彼女の揺れるナニかを見てる為に認識できる(後に達也に怒られ認識出来るように小言を言われる)

 

「良かったなモモ完全に認識できる奴なんてそうそういないだろう」

 

ハギヨシさんあたりも普通に認識できるだろうな………

こちらジッと見ていたから挨拶はした方がいいだろう

 

「俺は清澄の小高達也よろしくな」

「………鶴賀の東横桃子っす」

 

そう言ってササッと隠れる

 

「すまないな、多分だが完全に認識できる相手と会話するなんて初めてなんで照れてるだけだと思う」

「ちょッ⁉︎違うっすよ加治木先輩‼︎」

「そうか?それはすまなかった」

「全然謝ってる感じがしないっすよー」

 

仲が良くて何よりです

 

「ほら達也早く部屋に行くぞ」

「はいはい」

 

天江先輩が手を引いて卓がある部屋に連れて行かれる

 

 

 

 

 

 

 

「ロン、逆転で俺の勝ちです」

「うぅー」

 

ーー終わってみれば案外早いものだった

衣も日が高い内はあのイーシャンテン地獄も半減しており、何回か海底を和了ったが、それ以上のこともしない

 

「よくまぁ、あんなに有効牌をポンポン切れますっすね」

「和了りもチャンタに偏っていたし、么九牌を上手く集めた印象はあるな」

 

ーー達也は何回も初手の断么平和の良型を平然と崩し、執拗にチャンタばかりを狙う

中張牌を切れば当然鳴く回数も増えツモ番も変わる、そして他人の不要牌は達也にとって必要なチャンタの材料となる

そして鳴かなければ衣が海底を和了る

達也を警戒すれば衣が和了り、衣を警戒すれば達也が和了る………このループが止められず

二人の独壇場になっていたが、最後に衣が達也に振り込んで終わった

 

「ころたん先輩と達也さんは相性が悪いっすね」

「そうだな、男子の個人戦2日目の牌譜も見たがチャンタの比率も多かったしな」

「あらら、随分と調べられてますね」

 

加治木先輩がこの試合の牌譜を取っていたのだが他にも俺の個人戦の牌譜も持っている

 

「ふふっ、個人戦の男女共に歴代記録を大きく更新した奴が長野にいるんだ、そりゃ気になるさ」

「へー凄いっすね………って⁉︎男女共に記録更新⁉︎男子だけじゃなくて‼︎」

「あぁ、そうだ前の有名な記録は小鍛冶プロの連荘記録や三尋木プロの個人戦2日目の最高スコア記録を更新したぞ……ついでに1日目の東風戦女子の記録保持者は清澄の片岡優希だ」

「加治木先輩はなんでそんなに知ってるんすか………」

 

………通りで取材が毎日くる訳だ

 

「達也は………… 楽しいか?」

 

ふと目の前に天江先輩が来て真剣な表情で俺に問いかけてきた

 

「咲に話を聞いたが、まだ一度も負けてないみたいだが、その……衣達と麻雀をやっていて楽しいか?」

 

ーー衣は懸念していたのだ、ただの一度も負けもなく、勝って当然な麻雀を……

 

(似ている……衣が咲に負けるまでずっと抱えていた悩み「特別」が故に隔離された存在)

 

ーー「特別」………と言えば聞こえはいいが違う側面からみれば「異常」

他とは違うが故に遠ざけられ、虐げられ、隔離される

達也から感じる壁は麻雀の実力だけではない形容しがたい見えない壁が存在する

そして咲や衣レベルの超感覚でようやく捉えることができる壁の向こう側

しかし、触れるにはあまりに遠すぎる

 

「楽しいですよ」

 

ーーしかしそれは衣の杞憂だった

 

「俺の知らない麻雀がこんなにたくさんあるんですよ?楽しいにきまってるじゃないですか?」

 

(………何か強い意志を持って麻雀をしてる、それ故にブレないのか)

 

ーー達也はブレない、他人の評価や世間一般的な普通など達也にとってはどうでもいいこと

ただ自分の為、自己満足のために打っている

 

「それに俺高校になってから負け無しですけど中学の時は普通に負けてますからね」

 

「「「「は?」」」」

 

「いやいや、小高君が負けるとか想像出来ないんだけど」

「そんなオカルトありえません(錯乱)」

「これだけ打ててまだ上がいるのか………」

「それは気になる話っすねー」

 

(そうか………達也は負けを知ってる「人」なのか………なら安心だきっと衣みたいにはならないだろう)

 

ーー彼女は安心し、達也の胡座の上に座る

 

「ちょっ、天江先輩」

 

ーー意外にも、初心な反応をするので少し笑うのも無理もないだろう

 

「衣は先輩だから、多少のことは言うこと聞くんだぞ!」

 

ーー確かに達也との壁が存在するが、今こうして触れることができる

 

「では、聞かせて貰おうじゃないか、達也に泥を付けた試合とやらを」

 

ーーちょっとずつでいい………彼の壁を壊してあげよう

 

「はぁー、ハイハイ仰せのままに」

 

「うむ、よきにはからえ」




次回予告
小高君の周りに女の子ばかりいると、何故か胸が痛い
「それは胸の成長だじぇ、のどちゃん」
「あー胸の成長じゃない?」
「胸の成長じゃろ」
「うぅ、のどちゃんくらいあったら京ちゃんも………」(自分の胸を抑えながら)

どうやら私は相談相手を間違えたみたいですね

次回 咲-Saki-神域を継ぐもの「恋?愛?両方あって恋愛よッ‼︎」

次回もデュエルスタンバイッ‼︎(半分くらい嘘)


はい茶番はさておき、あとがきです。

何気にあとがきって楽しいんですよね、小説とか書いてると主人公の口調とかナレーションの口調とかキャラの口調を意識して書くから自分でもすんごい違和感を感じるんですよ。

あ、あと最近スマホの麻雀アプリのMJで六段になりましたッ‼︎
スレ主って見かけたらそれ自分ですからよろしくっす‼︎
(作者は無課金勢)


今回のメインは主人公の特別故の孤独………を心配したころたんって感じですかね。

特別故の孤独っていういうのは物語の王道ですよね。

某一方○行さんとか、青春間違ってそうなゆき○ん&はるの○んとか漫画とかなら○子のバスケのキセキの世代の色黒の人とか

意識的には、ワンパンで相手を倒すハゲマント先輩のイメージですけどね

そして今回のメインなヒロインころたんですよ
個人的にはもっところたんの可愛さと背伸びしてお姉さんぽく頑張るころたんを前面に出したいのに作者の語彙不足で引き出せない……ッ‼︎

誰かキュンキュンしちゃう可愛いころたんだして下さいお願いしますなんでも(ry

そしてちゃっかり居ますモモちゃん

原作だと

和「河が見えない?そんなオカルトありえません」

って感じだったんですけど、本編の説明は自己解釈です。
そして安定の京ちゃんです。

しかしまだモモは警戒してます………

確かにいきなり好感度を振り切っている状態も良いッ‼︎
だけど違うッ‼︎そうじゃないッ‼︎
例えるならそうツンデレ‼︎
ツンデレはツンからデレになる過程が美味しいんや‼︎
最初から好感度Maxのヒロインは完全に溶けたアイス……ッ‼︎

だから作者ここは待つ……ッ‼︎機を熟すのを待つ……ッ‼︎

と、まぁ冗談はさておき

ここまで見ていただきありがとうございましたッ‼︎
感想や評価等お待ちしております


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二十二話

日常回かな?


東京のとある控え室

 

「咏ちゃん来月インターハイの解説のお仕事入ってる?」

 

私の前に座っているのは瑞原はやりプロ

その容姿とプロポーションでプロの雀士だけではなくアイドルも兼業している。

あと妙に交友関係広いんだよねこの人………

 

「そりゃがっつり入ってるよ、あと他の知り合いはすこやんと戒能プロと野依プロあたりかな?あとは知らんけど」

「いいないいな〜私も解説したかった〜」

 

ぶーたれてる姿は同性の私からでも可愛らしく見えるがコレ一応私より年上なんだよなぁ………

 

「むっ?咏ちゃんなんか失礼なこと考えてない?」

「いや別に何でもないですよ」

 

ここ数年、歳の話になると機敏に反応するから扱いづらいだよなぁ……

 

「はやりんはテレビの収録時間と被ってるからオファーが来なかっただけでしょ?」

「そーなんだよねー、あぁ〜せっかく知り合いが監督やってる高校あったから解説したかったのに〜」

「ふーん?ついでになんて高校?」

「阿知賀女子って高校、あと個人的に警戒してるのが有珠山高校かな?それと目をつけてる選手が………」

「男子の小高達也でしょ」

「あれ?咏ちゃんも知ってたの?」

「まぁね一応私の記録を破った選手だからねぇ」

 

記録を破られたその選手が男子と聞いた時、その日は馬鹿ヅキだったかな?と考えたが牌譜を見た時その可能性はなくなった。

 

相手の余り牌をピンポイントに待つ洞察力、次の牌が見えてるじゃないかと思われる手作り、相手を降ろさせる鳴き、完成度は既にトッププロレベル………

 

「これがまだ高校一年生なのが恐ろしいねぇい」

 

--牌譜を見ながら彼女は呟く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

合宿1日目

 

「なんつーか、場違い感がはんぱねぇな」

 

--女子20人近くの中に男子が2人入ってることに物凄く違和感を感じる達也

 

「はだける浴衣、無防備なオモチ………ふぉぉぉぉ」

「煩悩ダダ漏れだぞ」

 

とりあえず脇腹に手刀入れとくか

 

「ぐっ、だけどこんな桃源郷みたいな所で煩悩が出ない訳がないだろッ‼︎」

「いや、自信持って言えることじゃねぇから」

 

ジト目で京太郎を見ると流石に下心ありありの視線を見せる訳には行かず

大きく深呼吸してから、切り替える

 

「うっし、うんじゃ打ちますかッ‼︎」

「俺らは最初は牌譜取るんだけどな」

 

--気合いを入れたのに肩透かしされた気分の京太郎だった……

 

 

 

 

 

 

 

さて、いろいろあったが、ようやく麻雀が打てるぜ

 

空いてる席空いてる席はと………

 

「あら須賀君こちらへこない?」

 

部長に呼ばれ見てみるとそこは部長、加治木先輩、福路先輩が座ってる

 

「おー、3校のキャプテン卓ですか」

「いや、私はキャプテンではないんだが」

「えっ?」

「鶴賀の部長は蒲原だ」

 

ワハハー別に悲しくないぞー

 

「私も同じ学年に人がいなかったから自動的にキャプテンになっただけですし」

 

いやいや、あなた長野個人戦3位じゃないですか、実力的にもキャプテンですって

 

「あら、そしたら私も同じ学年に人がいないから自動的にキャプテンになったわよ」

 

ちょっと遠い目しないでください部長

風越とは部員数はちがうんですから………

 

「まぁとりあえず入ってみない?須賀君が男子予選でどれだけ強くなったか」

「ふふっ、あの決勝戦また俺は強くなりましたよ」

「あらじゃあそれなりに期待してもいいかしら?」

「これでも一応長野個人戦2位ですからねッ‼︎」

 

 

 

東一局 親久

 

(んー、配牌はよくないわねでも一応親だし強気に行きますかねぇ)

(よくよく考えたら私だけじゃないのか個人戦で活躍してないの………)

(まずまずかしら)

 

そして9巡目

「リーチ」

 

--福路の先制リーチ、待ちは萬子の147の3面待ち

 

(うん、無理降りるわ)

(待ちは萬子辺りか)

(手配の入れ方からしても待ちは萬子、けど流石に何かまでは読めないか)

 

そして三巡後

 

「ツモ、リーチ断么平和ドラ1、2000、4000です」

 

--福路ここは上々の立ち上がり

 

東二局 親福路

 

 

「ポン」

加治木の発を鳴き………

 

「チー」

福路の8萬を鳴く

 

--京太郎の早仕掛け……

 

そして6巡目

 

「ツモ、発ドラ2、1000、2000です」

 

東三局 親京太郎

 

久の第一打赤5萬

 

そして8巡目

「リーチ」

 

(きたわね)

(お得意の)

(悪待ち)

 

 

 

(最後の手出しが一番端からの北切り、つまり最後の最後まで不要牌の北を取っておいた、出来ることなら北で待ちたかったのかしら、つまりこれは多面待ちの方)

 

(と考えるのが普通だが、その普通じゃない待ちをするのが久の悪待ち、ここは現物で逃げるのがベターな選択)

 

(だけど、部長の悪待ちの一発率も無視出来ない、つまり部長の当たり牌を避けつつ誰か鳴ける牌を出さなきゃいけない)

 

福路 打5萬

 

(現物で、鳴けそうな牌だけど須賀君は鳴かないみたいわね)

(3〜6萬なら鳴けたけどそう都合よくいけないな………さて)

 

部長と目が会うとニヤッと笑ってくる

 

(読めるもんなら読んでみなさいってか?しかしあの顔は女の子がしていい顔なのか………だけど部長俺には見えてますよ、その待ち)

 

京太郎 打7索

 

「チー」

 

加治木が一発を消す

 

そして打 4索

 

--そして加治木顔には出さないが内心ヒヤヒヤしている

 

(いきなりなんていう牌を切るんだ、多面待ちだったら一発目で振り込むような牌だぞ)

 

--そして久はツモ切り

 

--そして本来のツモ持ってくる福路

 

(萬子の4、これは切れないわ)

 

--そして、そのまま流局

 

「「「ノーテン」」」

(なんとか流せたか)

(さて久の待ちは何かしら?)

 

「あら、皆硬いわねテンパイ」

 

--待ちは萬子の4

 

「須賀君が何度も強い牌を切るからみんなも安心して降りられちゃったわ」

「あはは、当たらなくてよかったですよ」

 

東四局 親加治木

 

「ッ⁉︎」

 

--外から牌譜をとっていた国広一は加治木の手配を見て少し驚いていた

 

(初手の手配から白と中が対子、発は一枚持っているしかも東と南が対子、13枚中8枚が字牌………大三元もしくは字一色の役満が出るかも)

 

--そして一枚目の南が出る

 

(スルー?どうして鳴かないの?)

 

そして白も出る

が、鳴かない

 

(はぁ?もしかして一枚目全部スルーするつもり?王牌とかドラ裏にあったらどうすんのさ?)

 

--そして二枚目の南も鳴かない

 

(はぁ、もう訳が分からない、せっかく役満狙える手なのになんでねらわないのかなぁ〜?

………もしかして、役満蹴ったのかな?)

 

--そして

 

「ツモ、七対子 混老頭 混一色、8000オールだ」

「その手を鳴かずに進められるのね…」

「これを鳴いて和了れるメンツではなさそうだからな」

 

(なるほどね、鋭い読みができる福路さんと須賀君、そんな選手に二つも三つも牌を晒したら和了れなくなると考えたのか………僕ならすぐに役満狙える手だったら狙っちゃうからな勉強になります)

 

 

--そして局は続くが、親の倍満をツモった加治木が有利に立ち回り、トップ加治木、2位福路、三位が京太郎、4位が久という結果になった

 

「うーあ、あとちょっとだったのに」

 

最後の逆転の跳満手の途中で加治木先輩が役牌のみの和了りをして試合が終わった

 

「流石に早和了りさせてもらったさ、それより南三局の福路さんと須賀君のバトルが中々印象的だったよ」

 

南三局、福路先輩の余り牌を待っていたが、福路先輩が躱す躱す

 

「あれもあとちょっとだったんすよ」

「あの読み勝負はワクワクしたわ、あと最後のフリテンツモは偶然よ」

「むー、いつか絶対直撃狙いますからね」

「あら?私もそう簡単に直撃はさせないわよ」

 

読み勝負自体は負けてなかった、あとはほんの少し上回る部分を見つけだせば勝てた

 

「須賀君も強くなったわね」

「ふっふっ、部長は自信があると牌を強打する癖があったから悪待ちか多面待ちか分かりやすかったですよ」

「なるほどね、だからあんなにスパスパ強い牌を強打した訳ね、おかげで最下位よ」

「まぁ、その癖が無かったら勝負もどう転んでいたか分からなかったですけどね」

「まっ、なんにせよ県2位は伊達じゃないみたいね」

「一位は遠いみたいですけど」

 

そうして、俺はいろんな人と打った、途中からプロの藤田選手と風越のコーチも入り、実りのある練習が出来た

 

だけど………

 

「んー、そろそろ時間も時間だし、風呂か飯にしませんか部長?」

 

達也の周りには突っ伏した女子が固まっている

清澄は達也と打ち慣れているから精神的疲労には慣れたが慣れてない人が打つと大概ああなる

 

「そうね、今日の練習はここまでにしましょう」

 

「「「賛成」」」

 

ゾンビみたいに手を挙げる女子達………うん、気にしないようにしよう

 

 

 

 

風呂、そして夕食も食べ終わり、あとは自由時間なので適当に過ごそうと思ったら部長から呼び出しがきた

 

「うんで?何の用すか部長?」

 

「第1回枕投げ大会っ!!」

 

「「「いぇーーい」」」

 

「おい、話を聞けよ」

 

「ルールを説明します、

まずこの16枚の布団を半分で仕切りそこが自分のチームのフィールドです

そして4対4の枕投げをします

当たり判定は体に枕に当たったら当たりです

当たりの場合フィールドから出てもらいます

そして最後まで残ったチームが勝者です

そして参加してないチームは散らばった枕をフィールドに戻してもらいます」

 

「狭いドッチボールみたいのようだな、しかしキャッチは駄目みたいだな」

 

加治木先輩ご丁寧に推察するのは構いませんけど、俺と京太郎のことを構ってもらいませんかねぇ?

 

「そして、チームは厳正なるくじ引きで決めました、ではこちらです」

 

紙を配っている当たりこの枕投げの本気度が伝わるが、もしかして

 

「えっ⁉︎部長俺らも参加するんですか?」

「あったりまえじゃない、何のために呼んだと思ってるの?」

 

みたいだ………

 

「まぁ、男子はか弱い女の子組に意図的に入れてるけど問題ないでしょ」

「いや、そもそもパワーが違いすぎるでしょ」

「男子は女子に投げる時は利き手と逆の手で投げてもらうわ………あと怪我させないように気をつければ大丈夫よ」

「はぁ……」

「ほら、後は自分のチームに行った行った」

「はぁ」

「へーい」

 

とりあえず渡された紙を見ていると

 

Aチームに俺の名前があった

 

えっと

 

天江衣

福路美穂子

沢村智紀

蒲原智美

小高達也

 

「おー、達也と一緒か」

「みたいですね」

 

天江先輩か……か弱いというか体格的にスポーツ向きじゃないな

 

「よろしく」

「こちらこそ」

 

確かに沢村智紀さんだっけ?………スポーツやっているようには見えないよな……

 

「あら?男子が入ってくれるなら心強いわ」

「そんな期待しないでください」

 

福路さんかぁ………か弱い部類に入るのか?普通………とは言いづらいよなぁ……

 

「ワハハー、まぁ期待しているぞ」

「あはは」

 

うん、この人は動けるみたいだな………ってなんで俺真剣に枕投げやろうとしてるんだ…適当に流せばいいだろ………

 

 

「AチームとBチーム入って」

 

確かBチームは

 

「おっ!?そっちには達也がいるのか、麻雀では負けたが枕投げなら勝ち目があるじぇ」

「衣がいるけど容赦しないぜぇ」

「キャプテンがいるのかぁ……ちょっとやりづらいな」

「ふむ、相手は蒲原か………なんとかなるか」

 

 

えっと、優希、井上純さん、深堀純代さん、加治木さん、………ちょっと無理くさくないか?

 

「メンバーだけ見れば優勝候補の一つ」

 

沢村さんがチーム表を確認しつつ答えてくれるが、ある戦力だけで頑張ろう

 

「始めるけど準備いいかしら?」

「ちょいと作戦タイムが欲しいけどいいですか?」

「そうね、各チーム1分よ」

 

部長はそう言って時計をみる

 

「さて、どうしますか?」

 

時間がないので指揮を取る

 

「単純に枕を投げるだけなら、背の高い人は後ろの方がいい」

 

沢村さんが簡単に意見を言ってくれる

 

「ワハハー、確かに背の低い人が後ろだと味方が邪魔になるからな」

「むぅ、なら衣は前か」

「あらあら、ふて腐っちゃダメよ」

「ふわぁ〜、はっ!?衣の頭をなでるなぁー」

 

なんていうか、マイペースの人が多いことで

 

「あと、一発でも貰ったら即退場ルールですからね、躱すというよりも投げる方を意識した方がいいみたいですね」

「最初が肝心」

「そうね、全員が一斉に投げれば躱す場所も減るわ」

「あとは個人個人で頑張るしかないなー」

「うむ、一騎当千の活躍を期待しとるぞ」

 

「それじゃあ始めるわよー、位置についてよーいスタートっ!!」

 

「おるるぁぁぁぁ」

「おいしょー」

 

掛け声よく投げたのは優希と井上さん

 

というか全員俺に向かって投げてないかっ!?

 

「にゃろ」

 

投げようと思っていた枕を両手で掴み、回避不可の枕を全部叩き落とす

 

「チッ、やはり枕でガードをするのはルールの範囲内か」

 

加治木先輩が悔しそうに言うが、アンタもどんだけ本気なんだよッ!?

 

「よしッ!今よッ」

 

相手が枕を投げた後に福路さんの掛け声によりこっちも投げ返す

 

「あっ」

 

「深堀さんアウト!退場よ」

 

「うぅ、すいません」

「大丈夫だッ!!仇はとるじょッ!!」

 

後方から枕が補給されるのを確認してから、優希は両手に枕を持ち、勢いよく走り自分のフィールド範囲ギリギリのところで投げる

 

「おいしょー」

 

「きゃッ」

「ふぐぅ」

 

「美穂子と天江さんアウト」

 

こっちは2人やられたか

 

「余所見してると危ねぇぞぉ」

 

井上さんが投げる枕は明らかに女子が投げるスピードではないが、避けれないスピードではない

 

「チッ、単発じゃ避けられるか」

 

大きな身体を限界まで使ってるいるのか、優希のような連射はできないみたいだな

 

「うーん、井上さんも左手ルールつけようかしら」

 

遠くからそんな声が聞こえるが今は右手を使ってるいるし

 

「おいタコス、達也は2人がかりじゃないとキツイ」

「分かってるじょッ!!」

 

今度は連携攻撃ってか?そりゃ辛い

 

「おいしょー」

「うるるぁ」

 

絶対これ麻雀の恨み入ってるよな………まぁ、そう簡単には当てられないけど

 

まず、井上さんの豪速球は躱す、ガードしてたら優希の二段攻撃に間に合わない、うんで優希の二段攻撃は………

 

「えいっ」

 

沢村さんが優希の枕に一つぶつける

これであと一つは簡単に避けれる

 

「まだだ」

 

ここに来て加治木さんの時間差攻撃だが、流石に枕でブロック

 

「これでラストッ!!」

 

自軍のフィールドギリギリまで来て飛ぶように投げる井上さん

とっさに俺は野球のスライディングのように前に出ながら避ける

うんでこっちも反撃だ

 

「ワハハー」

 

前線はもう1人蒲原さんがいる

 

左手とはいえここまで距離がないと流石に避けれない井上さん、そして時間差攻撃の為に前線にきた加治木先輩、優希は蒲原さんが当てる

 

「はい、Bチーム全員アウト、よってAチームの勝ち」

 

「「「おおぉ」」」

 

「ふぅ」

 

「やるなぁ、あそこまで集中狙いしたのによくもまぁ、あんなに避けるよ」

 

目の前に一緒に座り込んでいる井上さんも笑いながらこっちを見ている

 

「いやいや、井上さんも……」

「それッ!!その井上さんってやめようぜ、せっかく楽しくやってるんだ、固苦しくやるなんて野暮だぜ」

「はぁ……」

「純でいいよ、純で」

「いや、流石に先輩ですし」

「なら、純さんとか、純先輩とかにしろ」

「分かりましたよ、純さん」

「おうよ」

 

なにはともあれ、勝ってしまった………適当に流すとか思いつつ思いっきり全力でやってしまった

意外と負けず嫌いかもな俺、とか自己分析してると後ろから抱きしめられる感覚

天江先輩か………

 

「よくやったぞ達也」

 

あーもう、なんからしくないな俺

 

「期待添えてよかったです………よっと」

 

頭に抱きついていたのでそのまま肩車をする

 

「うんじゃ、他のチームもやりますし移動しますか」

「うむ」

 

偶には悪くないか、なんとなくそう思った。




甘いお話が書きたいのに甘くないッ!!

とまぁ、この話は次回の布石回なのでそこはかとなく見守ってください

合宿後は主人公は夏休みを利用して挨拶回りに行きます。

東京はもちろん北海道と大阪などに近況報告しに行きます。
この辺は咲というより天のキャラクターとのお話ですね。

もちろん、東京、北海道、大阪に行くんだから咲のキャラクターも当然絡んできます。

そう考えるとオラワクワクするぞッ!!


ここまで読んでくださいありがとうございましたッ!!
感想、評価等お待ちしておりますッ!!


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二十三話

合宿1日目終了


達也が自分が負けた話をして自室に帰ったあとのお話………

 

「清澄の人に聞きたいっすけど」

「なんでしょうか?」

「達也さんと清澄の皆さんって仲悪いっすか?」

 

ピシッと嶺上さんとおっぱいさんが固まった

 

「いや、気のせいか達也さんから若干壁を感じるっすけど私だけっすかね?」

 

グサッグサッと両手に畳の上について完全に項垂れてる2人………ちょっと面白い

 

「まぁ、それには訳があるんじゃ」

 

後ろから襖が開き、風呂上がりか顔が少し赤い

 

「えっと、確かに染谷さんでしたっけ?」

「おう、好きに呼んでいいぞ」

「それで訳というのはどういうことなんだ?」

 

ころたん先輩も気になるのか訳を聞きたがってるみたいっす

 

「これはワシと京太郎の推察じゃが、達也は敏感すぎるじゃないか?っていう結論になったのぅ」

 

「「「敏感すぎる?」」」

 

「県2位の京太郎を知っとるか?」

「あぁ、今日挨拶した背の高い男子だな」

 

むー、加治木先輩に覚えられるなんて光栄に思うっすよー

 

「あいつが入部したてのころは役の一つも知らないズブの初心者だったって言ったらどうする?」

「いやいや流石にありえないっすよー、それで県2位とかどんな教え方したんすか?」

 

と笑いながら私が言うと、清澄の皆さんが黙って苦笑いをしてた

 

「それは本当なのか?」

「ほうじゃ」

 

はい?マジで4月までズブの初心者だった?いやいやそれで県2位?………まじすか

 

「それが達也とどう関係してるんだ?」

 

ころたん先輩が訪ねると染谷さんは苦笑いをしながら答えてくれた

 

「京太郎曰く、麻雀に勝てるコツを教わったそうだ」

「麻雀に勝てるコツ?」

 

そんなものがあるなら私だって知りたいっすよ

 

「それは、ありとあらゆるものを認識しろだとさ」

「ありとあらゆるもの?」

「ワシらと達也が初めて打った麻雀の時、視線でワシの国士無双を察知したり、和の理牌のクセを利用したり、なんともまぁ桁外れの麻雀をしたんじゃ」

「聞いただけで人間技じゃないことは理解したっす」

「その離れ技をするためには、色んな物を認識すると思うんじゃ………」

「色んな物っすか?」

「なるほど、だから敏感すぎるのか」

 

加治木先輩は理解出来たけど私は理解出来てないっすよー

 

「彼はいわば感覚が研ぎ澄まされてる状態だ、それ故に人の心理を読むことができ、麻雀で勝つことができる、しかし日常生活からそんな研ぎ澄まされた感覚を持つとそれなりに負担もかかる、例えば、触れるだけで様々な思考や感覚が彼自身負担になる」

「大体加治木さんと同じ結論じゃ、あとあれじゃ、本人は女子とまともに会話したのは小学校低学年頃とか言ってたし、慣れないことだからそれなりに負担も大きいんじゃろ」

「それじゃあ、衣は達也に触れてはいけないのか?」

 

寂しそうに染谷さんに聞くが、染谷さんは首を振る

 

「それこそ達也の為にならんじゃろ、本人も直す気でいるし、むしろガンガン触れていってくれると助かるのぉ」

 

なんか後半のセリフは達也さんが困るところみたいだけなんじゃ………

 

「そうだから決して仲が悪い訳じゃないんですよっ!!」

「そうだよっ!!私なんてしょっちゅう迷子になってお世話になってるし」

「それは普通に達也さんが困ってるんじゃ………」

 

嶺上さんとおっぱいさんがひたすら弁明する

 

「優希ほど仲良くせぇとは言わんが、2人はちょっと距離を置きすぎな所があるからのぉ、これから3年の付き合いなるじゃ、もうちょい頑張れや」

「「はぃ」」

 

「そしてこんなこともあろうかと」

 

ドンとまた襖が開く、清澄の部長さん?

 

「いろいろと策を練っている訳よ」

 

ピラピラと紙を持ちながら語る

 

「まぁ、なんにせよ1日目の自由時間は楽しみにしてなさい」

 

なんか悪そうな顔をしてるっすね………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わーい」

「ほい」

「ワハハー」

「ほい」

「え、えいッ!!」

「ほい」

「よいしょ」

「ほい」

 

ただひたすら枕をフィールドに入れる作業だが、戦ってる人は必死だ

 

「ふぉぉぉ、揺れるおもち」

「京ちゃんそんなこと言ってる場合じゃないって!!」

 

おぉ、なんかあそこは幼馴染してるなぁー

 

「えいっと」

 

意外にも………というか地味に東横さん無双してるなぁ

周りが人が認識できてないから枕がポンポン当たるし

 

「透華さんアウトー」

「きぃぃぃ、目立つ前に当てられてしまいましたわー」

「ほら、透華落ち着いて」

 

龍門渕さんと国広さんも仲がよろしいよなぁ………

 

そして二回戦も滞りなく勝ってしまいそして決勝

 

「決勝についてから言うのもアレなんすけどうちのチーム清澄固まってません?」

「ほら、男子はか弱い女子のチームに入れるから自然とこうなっちゃったのよ」

「部長が………か弱い?」

「あら、咲?何か言いたいことある?」

「いえいえ何でもありませんッ!!」

「そして私だけボッチっすねー」

「クジで決まっただけですから偶々ですよ」

 

部長、宮永さん、原村さん、東横さん、京太郎が決勝か………

 

「それでは各チーム1分間の作戦タイムだ」

 

部長の代わりに審判をするのは加治木先輩だ………あの人すごくリーダー気質だとおもうんだけどなぁ

まぁ、なんにせよ

 

「京太郎の相手は俺ですね」

「男同士の戦い」

「うむ、両雄並び立たず勝ってこい」

「イメージ的には河原で喧嘩かしら?」

「それはちょっと古いんじゃないかー?」

 

「それと東横さんですけど」

「ワハハー、モモは私がマークしておくよ」

 

同じ学校だからなんとなくわかるのだろう

 

まぁなんにせよここまで来たんだ勝ちに行こうか

 

「それでは位置ついてよーいスタート」

 

一斉に枕が飛び交うが、明らかに一つスピードがおかしいものが俺に飛んできた

 

「ッ!?」

 

ほぼ反射で動いたため、隣の沢村さんにぶつかる

 

「すいません、怪我してませんか?」

「大丈夫だ、問題ない」

「それ大丈夫なんすか?」

 

というか………

 

「今、京太郎右手使いましたよね」

「あら?確かに女子に右手は使ってはいけないと言ったけど、男子に右手を使ってはいけないとは言ってないわよ」

 

この部長は………

 

「だけどここからは乱戦だからそうそう使えないはず………それと離れて貰わないとぶつけられる」

「……っと、すいません」

「………意外に初心?」

 

オーケー、クールに行こう

 

 

「奇襲失敗しちゃいましたね……ッと」

「いや、アレを躱す小高君がおかしいわよ」

「さすが元ハンド部のエース、伊達じゃないね」

「まぁ、運動はそれなりに得意だからな」

「………なんで京さんは麻雀部入ったんすかね?」

「それ私も気になりますね」

 

美少女に憧れて入ったなんて言ったら怒られるだろうなー

 

「今よッ!!」

 

相手チームは基本、相手に枕を投げさせたら一斉に投げ返すカウンター型のチーム

 

こっちも5人だから躱す場所も大きく減る

そうなると

 

「……あっ」

 

「宮永さんアウトだ」

 

「ううぅ、2回連続一番最初にぶつけられたよぉ〜」

「相変わらず鈍臭いなぁ」

「鈍臭いって言うなー」

「まぁ、後は任せろってお姫様」

「むぅ、頼みましたよ王子様」

 

 

「このやりとり何回見ればいいのかしら」

「多分アレは素でやってるっす」

「………ちょっとだけよくありません?」

 

なんか二人くらいゲンナリしてるけどまだまだ勝負はこれからだ

 

 

--それから、一進一退の攻防が続きお互いのチームは一人だけになった

 

「まぁ、こうなるわな」

「クックックッ、麻雀の恨み今ここで晴らしてやろう」

「完全に悪役じゃねぇかよ」

 

--お互い両手が解禁され、仲間が居なくなり大きく動ける二人、そして何よりお互い女子がいないという心のセーブもなくなり紛れもなく本気で動いている

 

「うぉぉ、犬のくせにやるなぁ」

「身体の大きい人は何かと有利からねぇ、走るにしろ、投げるにしろ」

「逆に小高君は細かいフェイントを入れて躱してますね」

「流石に元ハンド部エースの投げる枕は達也も脅威と感じるんじゃのぉ」

「こ、こういう時ってどっちを応援すればいいのかな?」

「「「(お主)咲(ちゃん)は京太郎(須賀君)を応援してなさい」」」

 

 

 

(にゃろぉ、投げる方向が分かってるみたいな動きしやがって、こっちも体力が無尽蔵にあるわけじゃないんだぞ)

 

(馬鹿みたいなスピードの枕を投げやがって、躱すのに二つ以上フェイント入れるこっちの身になれっつうの)

 

 

(………駄目だ、このままじゃジリ貧だ)

 

(………ギリギリまで待て、京太郎が我慢できなくなるのを待て)

 

--ピタリと京太郎が動くのを止めた

 

(………うっし、これで決める)

(きた、ここが勝負どころだな)

 

--ゆっくりと京太郎が後ろに下がり枕を一つ持つ

 

「フッ!!」

 

--フィールドの半分のところまで走り、飛びながら投げるモーションに入る

この動きはハンドボールのシュートのモーション

京太郎その大きな右手はギリギリまで枕を持つことができ、相手が反応した後から投げることができる

故に京太郎はハンドボールでエースになることができたのだ

しかし達也は躱すどころかほんの少し前に来てる

 

(無駄だ、前にスライディングしても当てることはできるぜ)

 

--ギリギリまでシュートモーションを保ち達也の回避コースを全て予想し、京太郎は投げた

そのコースは達也の体幹である

 

(身体の体幹は移動するのにほんの少し時間がかかる、この距離と俺の投げるスピードなら当たるッ!!)

 

--しかし、達也は笑う

 

達也そのまま前中をする

 

「「「ちょっ!?」」」

 

--アクロバットに避ける様はまるでハリウッド映画並みの動き

当然これは京太郎の想定外の動き………だが

 

(予想の範囲内だッ!!)

 

--京太郎はこの一撃で決まるとは到底思ってなかった、むしろなんらかの方法で達也は避けるもしくは防ぐと考えていた(前中は想定外)

 

故の二段構え

 

着地と同時に横にすっ飛ぶ京太郎

そして、そこには枕が一つ置いてある

 

(達也も投げた後のだから隙がある、これで………)

 

ぱすっ

 

「えっ……あっ、須賀君アウトだ」

 

「惜しかったな京太郎………作戦は良かったが最後が分かれ道だったな」

 

--京太郎は達也を見たが、その姿はまるでサッカーのシュート後のような姿

 

達也も京太郎と作戦は京太郎とほぼ同じだった、出来ることなら着地後に仕留めたかったが、予想以上に京太郎が動きが機敏で枕が当たることはなかった

 

しかしここで分岐点

 

京太郎は投げようと枕を取りに行こうとしたが、達也は枕をとって投げるよりも枕を蹴ったほうが早いと判断したのだ

 

そのわずかの差で京太郎は枕をぶつけられたのだ

 

「…………ちっくしょおぉぉぉぉぉお」

 

「ふぅ」

 

いや、なんだかんだ結構ギリギリだったよ、顔には出さないけど

 

「とりあえずAチームの優勝でいいのか久」

 

「えっ………ええ、優勝はAチームよッ!!ハイ拍手」

 

パチパチと拍手がくるが正直応えるだけの体力もない

 

「あー、疲れた」

「すごかったぞー」

 

あぁ、これは天江先輩だな

 

むぎゅっと正面から抱きついてくるが、取り乱したりない

相手は先輩だが、気持ちは兄になった気分だ

 

「大丈夫、立てるかしら?」

 

福路さんが声をかけてくれるが正直天江さん込みで立ちあがるは辛い

 

「ちょっと休憩すれば立てますかね」

「そう………あら、すごい汗ね」

 

気づいてみればそれなりに汗をかいてる

 

「天江先輩、汗かいてるからちょっと離れて貰っていいすか?」

「問題ないぞっ、どうせ衣もこの後は水浴びをする」

「そういう問題じゃ」

「はい、タオル」

 

沢村さんがタオルを渡してくれる

 

「あっ、すいません」

 

受け取ろうとするが天江先輩が腕ごと抱きしめてるので受け取れない

それを察したのかそのままタオルを持って俺の顔を拭こうと………

 

「いや、それは恥ずかしいですって」

「………大丈夫、私は気にしない」

「俺が気にするんですよ」

 

顔そらすとクスッと笑われたが、わざわざ注目を浴びるようなことはしたくない

 

「そろそろ動けそうかー?」

 

蒲原さんが布団を片付けながら聞いてくる………そろそろ邪魔になるな

 

「大丈夫っすよ」

 

嘘、めっちゃ疲れた早く布団に入って寝たい

 

「京太郎ほら、風呂行くぞ」

 

蹴りを入れつつ、京太郎を布団の上からどかす

 

「痛い痛いって………ふぅ……うっし、行くか」

 

お互い体力がないのは分かってるが、女子の前だ、多少見栄を張りたくなるものだ

 

「それでは行くか」

 

さっきから、コアラのように背中に張り付いてる天江先輩を純さんに預け、風呂場に行く

 

遠くから「やーだー、衣も一緒に入る」「屋敷ならともかく流石に宿の風呂はマズイから駄目だって」などの会話が聞こえてくるが気にしないにしよう

 

「あー、マジで疲れた」

 

まだまだ合宿は始まったばかりだ

 





なんだかんだ1日目終了ですッ!!

明日はムロ&マホがくるからちょいと楽しみ

夜遅くにランキングを見たら地味に自分の作品がッ!?
とりあえずスクショしました

麻雀描写より枕投げのほうが書きやすいという現実………
麻雀描写は頭使うから作者に向いてませんね

あとifストーリーという名の思いついたネタとか書きたいなーとか思ってる所存です←書くとは言ってない

ここまで読んでくださいありがとうございますッ!!
感想や評価等お待ちしておりますッ!!


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二十四話

テンポよく行きたい(願望


1日目の夜 清澄

 

「いやー、なかなか面白かったわね」

 

部屋に戻る途中、私たちに問いかけるように部長は喋る

 

「須賀君の枕を前中で避けるとは流石に驚きました」

「男子共があそこまで身体能力が高いとは思わなかったじょ」

「お風呂場でみんな盛り上がったよね」

 

皆さんは須賀君と小高くんの身体能力の高さと何故麻雀部に入ったのか?という話題で盛り上がってました

 

個人的に肩凝りについて同じ悩み持ってる人と盛り上がっていたのですけど………

 

「なぁ、久」

「ん?何?」

「確かに達也は女子と仲よくなってきたが」

「でしょ?いやー久しぶりにいい仕事したでしょ、久だけに」

「なんじゃこのウザいテンション、で、よく考えたんじゃが」

「うん」

「他校と仲よくなっても意味ないんじゃ………」

 

確かにそうですよね、ここまで小高君と仲よくなっているの龍門渕の人達ですよね?

まぁ、私達も積極的に話しかけてないというのもありますけど………

 

「………よしっ、作戦Bよ」

「なんですかそれ?」

「みんなで考えるのよ」

「作戦を考えるのが作戦って………」

「咲ちゃん、深くツッこんじゃだめだじょ」

 

仲よくですか………

 

ブーブーブー

 

「すいません、電話がかかってきたので」

「いいわよ、気にしないわ」

 

えっと、相手は………室橋裕子?

 

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

合宿2日目の朝、スマホが鳴り見てみると原村さんからメールが来ていた。

 

『朝早くからすいません、今日中学の後輩が来るのですが、後輩が是非あってみたいということで忙しくなければ会って頂きたいのですが大丈夫ですか?』

 

「大丈夫、部屋はどこ?っと」

 

ピロリン

 

「んー、清澄の女子部屋か」

 

なんか当たり前のように女子部屋行くけどいいのか?

 

寝ている京太郎を起こしてもしょうがないので

京太郎のスマホのアラームを時間ギリギリに設定してから

ノートの切り端に女子部屋で麻雀してくると書いてから俺は部屋をでた

 

 

 

 

 

廊下を歩いていると、井上………じゃ無くて純さんと天江さんが歩いている

 

「おはようございます、純さん、天江先輩」

「おー、まだ集まるにははえーぞ」

「ちょっと女子と一局打ちに行くんですよ」

「そうなのか」

 

しかし、さっきから天江先輩がまったく絡んでこないが

 

「あー、朝は弱いんだよ、しかも昨日の夜もテンション上がってて寝れなかったし」

「そうなんすか」

「んー?そこにいるのは、達也かー」

 

いつも大きな目を開き笑ってる印象の多い天江先輩だが、完全に糸目になっている

 

「ふわぁ、達也はうまく捉えることができないからちゃんと触らないとわからないぞ」

 

大きな欠伸を隠しもせず、ヨタヨタと俺の方に歩き、浴衣を触り確認している

 

「ちゃんといますよ」

「うむ、ちゃんといるな」

 

触ったら安心したのか、糸目からほんの少し目が広がり、微笑した……ん?

 

「…………んー、噂の後輩かな?」

 

俺がそう呟くと、天江先輩は首を傾げる

 

「ん?何が…………ん?」

 

天江先輩も旅館の空気が変わったのに気付いたのか、完全に目が覚めてる

 

「………ふえた」

 

そう呟き、廊下の奥の方を見る

 

「それじゃ、俺は用事があるんでここら辺で失礼します」

「………そうか」

 

ちょっとしょんぼりしてるけど、待たせるのも悪いので、少し頭を撫でてあげてから部屋に向かう

 

 

 

 

 

部屋の襖をノックするのも変な感じだが、流石に何も合図もなく開けるのは問題なので軽く襖をノックする

 

「どうぞー」

「ありゃ、もう始まってます?」

「ちょうど、起家が決まった所よ」

 

8人中7人が女子………部屋から出て行きたいという感覚が募ってきたが、少しため息をつき気持ちを入れ替える

 

「あっ!?今日1日お世話になる和先輩の後輩の室橋裕子です」

 

俺の顔を見るなりきっちり挨拶をしたのは室橋さんね、うーん?中学生にしちゃあ背が高いな、だいたい部長と同じくらいか?

 

「同じく和先輩の後輩の夢乃マホです、よろしくお願いします」

 

んー、この子か

なんつーか、小さい……140センチないんじゃないか?

まぁ、身長はともかく麻雀だよ

 

「俺は小高達也、挨拶はその辺にしてとりあえず始めたら?」

 

起家が牌を取らないと始まらないので、ちゃんとした挨拶は一局終わってからでいいだろ

 

「あっ、はい、ほらマホ始めるぞ」

「はいです」

 

「タコスおいしいじょ」

「ありがとうございます」

 

優希が夢乃さんにタコスをあげている

ついでに優希は着替え用のバックとタコス用のバックで合宿所にきた

 

「久々にマホのタコスぢからが見られるね」

 

んー、模倣か………いや、不完全な模倣なのか?

 

東一局

 

五巡目

 

「ロンです!18000!!」

「あいたた、いきなりインパチかー」

 

優希の模倣?………でも消えた?

 

東一局 一本場

 

「今度は『まほっち』か…」

「まほっち?」

「こいつ和先輩に影響されてネット麻雀やってて…『スーパーまほっち』とかいう名前の天使でプレイしてるんですよ…でも激弱でレーティング1200台なんです」

「1200…あ、リーチ」

 

原村さんの模倣

別に原村さんは何か特別なことはしていない、ただただ牌効率と期待率に沿って打っているだけだ、だから頭の中でどれだけ計算が出来るのかが肝だ

なのにこの子は「先輩ならこう打つ」という願望と持ってる感覚だけで完璧に原村さんになりきっている

 

「テンパイ」

「「「ノーテン」」」

 

東二局 流れ二本場

 

「あら?」

 

部長、後ろに立ってリアクションするのはマナー違反でしょうが………この打ち方は部長か、三門張を蹴ってドラ単騎

 

「ロンです!二本付けで8600です」

 

東三局

 

「あれ?もしかして宮永先輩が待ってるのって5萬ですか?………マホ…嶺上でツモれる気がします……カン」

 

「嶺上開花ツモドラ2 2000・4000です」

 

あからさまに動揺してるな宮永さん………んー、自分にしか持ってない武器を取られた不安感って所か?

 

東四局

十一巡目

 

「それっカンです!!」

 

んー、それはちょっと

 

「りんしゃん…ツモならずです…」

 

「えいっ」

 

あら、その牌は………

 

「ロン!12000!」

 

原村さんの当たり牌だ

 

「安直なカンはしない方がいいって教えたはずです…」

「で…でも…県予選で見た宮永先輩の嶺上開花がものすごくて…宮永先輩な意識しちゃって…強い人たちがそばにいるとマホもあーいう風に打ちたいと思っちゃうのです」

「マホちゃんはいつもそうでしたね…私や優希の打ち方を真似てもうまくいくのは1日に1局あるかないか…人まねの前に自分自身の底上げをしたほうが…」

 

………正論ってこれ以上もなく正しいから正論なんだよな、夢乃さん完全に涙目だよ

 

「マホこれでも頑張っているんです!プロのやっている教室に通ったり毎日部室で遅くまで練習してしてるんです………これでも」

 

最後のセリフ台無しだよ室橋さん………

 

「言いすぎましたね、あれから4ヶ月、どれだけ成長したのか、ここからですね」

 

南一局

 

「夢乃さん、それツモったら多牌だよ」

 

親なのに山に手を伸ばそうという動きがあったので、完全に伸ばしきる前に注意しとく

 

「あっ…そうでした…」

「まだ、ちょっとしか手動かしてないのに良くわかったわね?」

「そういう積み重ねが勝てるコツですよ」

「やっぱり格が違うのぉ」

「マホは相変わらず永遠の初心者だじぇ」

「…………あー、なるほど」

 

優希の言葉にピンときた、部長と染谷先輩をみると部長が「そういうことよ」と目で訴えかけてきた

染谷先輩は決勝戦で初心者の打ちまわしに翻弄されまくってたから、初心者の打ち方に覚えようとしたのか

 

まぁ、他にもいろんな思惑があると思うけど素直に乗っておくのが吉かね

 

ついでにその後2局打って検討に入った

そして検討が終わり、せっかくだし東風戦で一局打ってもらえないかと室橋さんに頼まれ打つことになった

 

「それじゃあ私がはいるじょ」

 

東風戦と聞いて素早く席に座る優希

そういや、この合宿は半荘戦だからな、

自分の庭で戦いたいのか……

 

「うんじゃやりますか」

 

「「よろしくお願いします」」

 

東一局 三巡目

 

「リーチ」

 

優希のリーチの中を鳴く

「ポン」

 

今まで戦ってきた人でも毎回東場でここまで速いのは優希だけだ

 

「むー、毎回一発消しするじょ」

「それほど脅威的なんだよ」

 

「ポン」

 

室橋さんの客風の西を鳴く

 

「うぅ、今度はツモ番飛ばされた」

 

「ロン、中のみ」

「ふぇ、はい」

 

端の牌で待ちあっさり夢乃さんが振り込む

 

東二局 七巡目

 

「リーチ」

「チー」

 

相変わらず馬鹿速いな、だけど

 

「ロン、断么九のみ」

 

優希の現物を切った室橋さんから討ちとる

 

「ノベタンリーチしないで、私の現物で待つとか相変わらずやることが鬼だじぇ」

「それほどでも」

 

ポカーンと夢乃さんが俺を見る

 

「えっ…と、どうしたの?」

「す、すごいです、東風戦で優希先輩渡り合える人初めて見ました」

「馬鹿っ!!達也先輩は男子個人戦一位で高校記録保持者で超有名人だよっ!!」

「ええぇ!!ど、ど、どうしてそんな人がここに」

「清澄だから決まってんだろ馬鹿ッ!」

 

……もしかして夢乃さん

 

「男子個人戦見てませんね」

「結構記事になってたんじゃがのぉ」

「男子に興味がないのかしら」

 

「す、すいません先輩の活躍とか全然知らなくて」

「あぁ、別に気にしてないからいいよ」

 

知ってて当然でしょとかどんなナルシストなんだって話だし

 

「ま、とりあえず一本場だ」

 

 

数分後

 

 

「ツモ、室橋さん夢乃さんがトビだな」

 

「死屍累々とはまさにこのことじゃのぉ」

「この後も練習あるんだけどねぇ」

「ムロマホコンビ起きろー」

 

優希は一瞬だけハデに突っ伏したが、すぐに起き上がり後輩を起こしに行く、なんだかんだ先輩やってたからな

 

突っ伏した二人は優希に任せ、時間も朝食を食べる時間なので先に上がらせてもらおうか

 

 

 

 

「はっ!?」

「おー、マホ起きたか」

「えっと、試合は」

「達也がツモって二人ともトビだじぇ」

「そういえば達也先輩は?」

「朝ごはんを食べに行きました」

 

マホちゃんはキョロキョロ周りを見ながら、いないことを確認してからジッと小高君が最後に倒した手配を見る

 

「私達は一旦朝食をとらなきゃいけないけど中学生組はどうする?」

「あっ、自分達は朝ごはんは食べてきたので大丈夫です」

「そう………じゃあ、とりあえず朝食が終わるまでここで待機してもらってもいいかしら」

「はい、今日はよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくね、それと夢乃さん」

「あっ、はいっ!!」

「これ、さっきの東風戦の牌譜よ」

「えっ、あっ、ありがとうございます」

「いちおう聞いておくけど真似できそう?」

「えーと、………まだわからないです」

「できないとは言わないのね……」

 

部長は苦笑していがどこか楽しみにしている顔です

 

ほんの少し彼の牌譜を見るとやはり私には真似できないような打ち筋です

咲さんのような嶺上開花や部長の悪待ちと同じように見えますが、彼の場合ほとんど理がある

偶に、引けそうだったからとか、なんとなく鳴いたとか言っていますが多くはありません

 

なんとなく、優希のリーチから小高君の一発消しから、裕子ちゃんから和了する一連の流れを見てみましたが

 

「………綺麗」

 

山を見てみると一発消しをしなかったら優希がツモっており、さらに鳴いて自分の手も進める、そして待ちも優希の現物で待って他家から和了るのを待つ

 

今までは結果論だけで見てきましたが、実際の流れと牌譜を見てみるとやはり美しく感じる

 

「和どうしたの?」

「えっ、あっ、すぐに行きます」

 

部長に声をかけられ、思ったより自分が牌譜に集中していたことに気がついた

 

「珍しいわね、和はほとんど自分の打った試合しか検討してないのに」

「えっ?そんなことは………」

「偶に、プロの牌譜とか私達の牌譜を見るけど、あれほど集中して見てないし、なんか気になる点でもあった?」

「いえ特になかったんですけど、綺麗な牌譜だなと思って」

「綺麗………か、和もだいぶ染まっているわね」

「そうですか?」

「初めて、打った時なんてイカサマ扱いしてたじゃない」

「それは私がまだ何も知らなくて!!」

「そんな怒らないでよ、………今も知らないことが多いけど」

 

寂しそうに部長がいうが言うが、何も責任は全部私達にあるわけじゃないと思うんですよね………

もう少し、向こうから話しかけてきてもいい気がするんですが…流石に甘い考えですかね

 

………そもそも私、他の女子と比べて会話された回数も少ないような

 

--和は達也に壁を作っていることに気づいていない、和にとって男性は胸ばかりに目が行きあまり良い印象がないという固定観念と心のどこかで彼の麻雀を敵視していることもある

それも無理もない、彼の麻雀にコテンパンにやられ一度も勝っていない、しかも和自身の麻雀を否定するような打ち筋はやはりどこか納得できてないことだろう

それゆえに周りが気づかないほど薄い壁のようなものを張っている

壁の内側に入ればそれこそ優希や咲のような親友と呼べる間柄になるだろう

達也はその薄い壁のようなものに気づいている

しかしここで達也の女性関係の少なさが露呈している

要するに達也がその薄い壁が分からないのだ

拒否なのか、それとも測っているのか、それとも男女の違いなのか、あらゆる可能性を考えているが答えが出ない

とりあえず達也は男女の違いによる壁ということにしている

まぁ、これは半分あたりで半分ハズレだ

実際の答えはまた少し違う

 

 

 

気にしても仕方ないですね………私は仲良くしてる時間なんてないんですから

 

全国で優勝しなければ転校………そのためには勝つしかないんです

 

 

--今の彼女には心の余裕はない

 

 

 

 

 

 




今回は視点が和視点が多かったですね
後、ころたん天使
そしてもしかしたら最強かもしれないマホですッ!!
なんかのSSで模倣が行き過ぎて、自分が誰だか分からなくなるという設定がすごく印象深く残ってます

そして、作者が地味に好きな和さんですッ!!

エロとレズ扱いが多いですが、ノンケの和の作品は素晴らしいものが多いですよね、特にラブコメ
京太郎と和の最初の関係から徐々に惹かれる感じが好物です

しかし、それと同じくらい京太郎と咲の関係も美味しいですね、咲に追いつくため奮闘する京ちゃんのお話も好きですし、単純にダラダラと緩い幸せを送る感じも非常に好きです

他にも、恋心に目覚めるタコスとか、悪女ぽく振舞ってるけど実は悩んでる部長とかいいですけど、オススメはまこですね

--ここから作者のSSのオススメ

「染谷先輩が可愛いすぎて辛い」っていうSSを読むと最高にキュートで小悪魔なまこ先輩に出会います

他に咲のSSを読んでいい意味で裏切られたのは、
和「咲さんから須賀君を引き剝がしたい」ですね

まーた、レズピンクのお話かよって思って読んでいくと………
続きは調べて読んで下さい

作者がSSを読んで神がかりに凄かったのは涼宮ハルヒの憂鬱でした
「こっ、高校デビューってのをしてみるわっ!」から
「甘いのがいい?甘くないのがいい?」が神でしたね

もうね、これ以上甘い作品を見たことがありませんね、
終始作者は頬が緩みぱなしで、甘すぎてスマホ投げて、ベットでゴロゴロしました←だいぶやばい人

他にもいろいろありますが、オススメはこんな感じです

感想欄などで是非とも皆さんのオススメSSとか教えて下さい、できればラブコメ系だと嬉しいですな

ここまで読んでくださってありがとうございますッ!!
感想や評価等お待ちしております







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二十五話

最近何も思いつかない件


東京中央区

 

いつも思うんだがなぜメグはスカートの下にジャージを履くんだ?

まぁ本人もスカートは似合わないって言ってるし

他の連中はそもそも制服を着ないし、一応マシなほうか……

 

「キヨスミ…?リューモンブチではないのでスカ?」

「龍門渕を倒したのがその清澄さ」

「それは残念でスネ…」

 

ほろりと涙を流すめくメグ

 

「やけにこだわるな」

「ハイ心残りデス、去年あの選手は突如豹変しまシタ、私はすぐさま矛先を変え合浦女子をトバしまシタ」

「逃げたんだな」

「そうデス、今年の私なら正面から倒しマスでも去年の私は怯んでしまいまシタ………彼女が恐ろしくなったんです」

 

リベンジが出来なくて悔しいのか、個人戦は龍門渕透華はでてきてないしな

 

「そうか………私は清澄には知り合いがいて注目してるんだが」

「知り合い?………怖いおにーさん達でスカ?」

「違う違う、私より年下だ」

「へー、じゃあもしかしたら大会でぶつかるかもしれないでスネ?」

「いやそれはない、そいつは男だからな」

「は?」

 

--メガンダヴァンは固まるのも無理はない、あの辻垣内智葉に男………しかも年下男子と知り合いがいるのだ

 

「どうかしたか?」

 

--ここでメガンダヴァン少し悩む、当然からかうか普通に関係を聞くか、それともそれ以外か………

 

(当然面白いほうがいいですヨネ)

 

「なんですかー、長野に彼氏がいるなら先に言って下さいでスヨ」

 

(まぁ、せいぜい男友達って奴ですカネ?)

 

「………彼氏ではないが………元許嫁だ」

 

少しそっぽ向くサトハは同性の私から見ても可愛く見えたのは仕方ないとおもうデス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝ご飯中

 

「あれ?そういえば京ちゃんは?」

「あぁ、昨日の枕投げで疲れてまだ寝てるわ」

「あれ?起こしてあげないんだね」

「まだちょっと早かったからね、まぁ、ギリギリにアラームが鳴るようにしたから大丈夫でしょ」

 

ドタバタと廊下のほうから走る音が聞こえてきたし。

 

「うっお、ギリギリ!!」

「あと、5分で片付けだけどな」

「ちょ!?達也起こしても、いや、それよか時間がねぇ」

 

朝食はバイキング形式なので、皿をとってとりあえず食べ物をどんどんのせてく。

 

「流石男子っすね、朝からあんな食べれないっすよ」

「ワハハ、昨日は夕食が終わってから枕投げだったしな」

 

地味に俺も今日はちょっと多めに朝食をとってるけどね。

 

「京ちゃん、そんな急いで食べると」

「むーーー」

 

宮永さんが注意する前にすでに詰まっている。

 

「わ、京ちゃんお水お水」

 

急いで、宮永さんからお水を受け取り水を飲む京太郎………つかあのコップ。

 

「は、は、はじめ、少女漫画でよく見る間接キッスですわ!」

「落ち着いてよ透華………まぁ、一応緊急事態だったし気にしすぎじゃない?」

「合宿先でラブコメワロタ」

「飯食ってる時くらいパソコン持ってくるなよ、つかなんつうスレ立ててんだよ」

 

「あら、大丈夫かしら?」

「お水飲んでますし大丈夫ですよ!」

「というか昨日も思ってたけど、アレって付き合ってるのかな?」

「女子校だからああいうのは憧れますね」

「外にしか出会いがないですし」

 

「なんか私は慣れたっす」

「昨日の枕投げも須賀君がちょくちょく守ってあげてたしな」

「本人は当然みたいな感じで振舞ってたけどなー」

「私と同じくらいに初めて、個人戦二位で彼女持ちかぁ」

「佳織なんか出しちゃいけないオーラ出てない?」

 

かなり注目を浴びているけど、本人達に聞こえないように言うのが優しさなのかな?

 

まぁ、とりあえず俺が言うこと一つ。

 

「咲さんいい嫁さんだなー」

「嫁さん違いますっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、室橋さんと夢乃さんも入って卓の関係上余る人がでてくる。

ちょうどお腹も空いたし、なんか適当に軽食でも買いに行こうかな?

 

廊下を歩いていると荷物を持った風越のキャプテン……福路さんが歩いていた。

 

「買い物っすか?」

「ええ、ちょっと皆さんに軽食を振舞おうと思って」

 

そう言って、買い物袋を見せる。

 

「ありゃ、それじゃあ手伝いますよ」

「助かるけど…いいのかしら?」

「自分もお腹空いてるので早く食べたいのが本音ですよ」

「ふふっ、それなら仕方ないわね」

「荷物持ちますよ」

 

女子に重たいものは持たせるなって散々言われたからな。

 

「それじゃあお願いしましょうかしら」

 

ビニール袋を受け取り、中身を確認するとおにぎりの具になるようなものとパンが入ってる。

 

「おにぎりとサンドイッチっすか?」

「えぇ、もしかしたら苦手な具とかあるかもしれないからサンドイッチとかも作ってみようかとおもったの」

 

………うん、やっぱりこの人いい人だな

 

福路さんはおにぎりを作り俺はサンドイッチの具を作る。

卵サンドやツナサンドは意外と手間がかかる

んだよな。

 

「ずいぶんと手際がいいわ」

 

おにぎりを結びながらこっちを見ている福路さん………金髪なんだけど割烹着がすごく似合ってるな。

 

「まぁ、一人暮らししてるんで嫌でも上手くなりますよ」

「小高くんは一人暮らしをしてるの?」

「えぇ」

 

その後は一人暮らしは大変じゃないか?1人は辛くない?よかったらご飯作りに行こうか?………心配性っていうか、田舎のおばあちゃんみたいっていうか………

 

まぁ、そんな素敵な提案も断って(?)

 

みんなに軽食を振る舞う。

 

「おにぎりとサンドイッチ作ってきました」

「いただくわー」

 

速攻で食べに来たのは部長だった………というか福路さん?

 

コソッと福路さんに話しかける。

 

「部長のことなんか気になるんすか?」

「えっ?あっ?………ちょっと昔ね」

 

そう言って部長を見る。

 

「なんか、フラれた彼女みたいな言い方みたいですね」

「………ふぇ?」

 

おふざけ半分に笑いながら言うと、福路さん顔赤くして必死弁明してくるが適当に流しておこう。

 

「もうっ!小高くんったら」

 

なんだろう怒られてるのに全く怒られてる気がしないな。

 

「あの卓すごい」

「入りたくないなー」

 

みんなが視線を集める先は

 

「あと一人」

 

清澄高校大将、宮永咲

龍門渕高校大将、天江衣

プロ雀士、藤田プロ

 

だけどそれより面白そうな人がもう一人。

 

「お願いしますわ」

 

龍門渕高校副将、龍門渕透華

 

 

 

 

 

「ツモ」

 

4回の半荘戦を龍門渕さんが全てトップか………

 

龍門渕さんがサッと立ち上がり俺の前で止まる。

 

「一局いかがでしょう?」

「いいですよ」

 

 

試合は半荘一局やって結果は俺の勝ちだった。

戦法は天江先輩と戦った時と同じく中張牌連打

河が凍るたびに河に石を投げるように中張牌を連打する。

当然海底を狙う天江先輩、場の流れを変えたい藤田プロは鳴きにくる

しかし天江先輩のように他家が配牌が悪くなる訳ではないのでオーラスまで全員混戦状態。

最後は藤田プロと俺のデットヒートだったが最後にまくり返して勝った。

 

「まくりは私の専売特許なんだが………」

「逆転勝ちなんてそんな珍しいことじゃないですよ」

 

後ろで牌譜とっていた京太郎が声をかけてくる。

 

「達也って意外とオーラスの時三位とかあるんですけど、トップに直撃とか連荘で逆転するんですよ」

「勝てそうで勝てないから悔しいじょ」

「まぁ、圧倒的に勝つ時は誰も手がつけられないし」

 

軽く雑談していたら隣の龍門渕さんがうつらうつらし始めた。

 

「龍門渕さんだいじょ……ぶじゃなさそうだね」

 

俺が言う前にドサっと横に倒れそうだったがしっかり受け止める

 

「透華ッ!!」

 

国広さんが駆け寄ってくるが…

 

「あー、大丈夫ただ寝てるだけだよ」

 

実際は気を失ったけど、寝てると言った方が安心するでしょ。

 

「そっか、………あー、えっと小高君お願いがあるんだけど」

「うん、龍門渕さんの部屋まで運んでいくよ」

 

そのまま抱え上げようとしたが、周りの視線が痛い………やっぱりおんぶにしよう。

 

「ここはお姫様だっこじゃないのかな」

「咲、さすがにここまでジッと見られると達也もいろいろ考えるだろ」

 

おいそこ聞こえてるからな。

 

「うんじゃ、国広さん案内よろしく」

「うん、小高君も透華をよろしくね」

 




祝お気に入り1000件突破です!!

自分の作品がいろんな人に見られてると思うと作者は正直胃が痛くなります。

拙い作品ですが長ーい目で見てやってください。

さて、まえがきで書いた通り最近なんかいいアイデアが全くと言っていいほど浮かばないです。
まぁ、ラブコメ作品じゃないからいろいろと制限が多いですよね(ネタに走れないから辛い

そして、作者の一番の悩みは………ネトマで勝てなくなった

いや、すごい切実な悩みなんですよっ!!
最後に満貫で和了ったのいつだっけな?状態ですよっ!!
一応これでもMJ八段までいったのに今じゃ六段………もう辛すぎるっす。
先制リーチすれば、追っかけリーチに一発に振り込むし、テンパイの為に牌を切ればことごとくと当たるし、多面張なのにカンチャンに負けるし、小さな和了りをしてもオーラスで倍満ツモされるし、清一ドラ3張ってリーチしたのにあとから張った相手の混一に振り込むし、不要牌整理で東場が終了したり、もう負けに負けまくりましたね。

もう作者はハートは限界でした、麻雀とかマジクソゲーだと思いましたね、いつも通りに打ってるのに全く勝てない、突っ張れば当たる引けば相手がツモる、なにコレ状態です。

それなのに主人公は負けなしとかなんだよそれっ!!
絶対ムリだからッ!!
つか小鍛冶プロの国内無敗もなんだよっ!!
こんなんチートやチートや!!

とまぁ、作者は書くたびに主人公に文句いいながら書いてます。

最近は麻雀をやらずに将棋ウォーズ始めました。
将棋は2級なので全然強くないですけど運に左右されないから好きっす。

なにはともあれ、作者の気分投稿なのでもしかしたら遅くなったりします(昔の毎日投稿が懐かしい………もうムリだな

麻雀しなくてもヒロインが可愛いから咲はいい作品ですよねっ!!


さてさて、ここまで読んでありがとうございますッ!!
感想や評価等お待ちしておりますっ!!


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二十六話

モモは長野勢でもトップランクで好き


「いやーなんだかんだで合宿も終わりっすねー」

「そうだな明日は6時くらいに出れば学校には間に合うな」

 

--この四校合宿は土日に行われたのでそのまま帰ったら学校というそこそこハードな日程であり、一番遠い鶴賀学園は早めに合宿所に出ないと間に合わない。

 

「もうちょっと合宿やりたかったねー」

 

かおりん先輩もこの合宿でいろいろと頑張ってたし。

 

「私もいろいろ考えさせること増えてよかったよ」

 

むっきー先輩も時期部長として他のキャプテンとお話しをしてたりした。

 

でも私は?私はこの合宿で何か掴めたのだろうか?

 

確かにステルスは相変わらず発動してたし、この合宿でも勝ち星は多いほうだ…でもそれは成長じゃない………私だけ変わってない。

 

そう思うと急に怖くなった。

 

もしこのままなにも変わらなかったら?

いずれ私に対応してくる人も出てくるだろう事実とおっぱ……のどかさんと達也さんは普通に対応してきた、当然ステルスなしでも打てる自信はある…けど。

 

「って、アレ?………もしかして置いてかれた?」

 

周りを見るとすでに皆部屋に戻っており、

ぼーっとしてるすぐに置いてかれる…というか誰も気づかれない影の薄さ。

 

「あはは、まっ、これは私がぼーっとしてたせいっすね」

 

ため息がを出して私も部屋に戻ろうとすると、ふと廊下を歩いてる人を見かける。

 

「達也さん?」

 

なにやら麻雀牌を持ってどこかに向かっている。

 

「男子の部屋とは逆方向っすね……」

 

牌を持ってるということは誰かと打ちにいくのかな?

達也さんの打ち筋は正直ためになることが多いから見学させてもらおうかな。

 

 

 

 

ついて行くと外がよく見える廊下に着く。

近くに休憩ようのテーブルが置いてありそこに牌を広げる。

どうやら誰かと打つ訳ではなさそうみたいだった。

 

「こんな時間になにやってんすねぇ?」

 

遠くから見てる私が言うセリフではないがジャラジャラと麻雀牌を混ぜてる。

そして達也さんは大きく息を吸い込みゆっくりと吐いた。

そして、変わった………

 

なにが変わったと聞かれれば雰囲気。

達也さんは確かに人を寄せ付けない空気を出しているが、そんなものが生ぬるく感じる。

遠くにいる私ですら息がつまるような感覚。

そして彼は牌を9個選び伏せて自分の前に置く。

 

そして彼は大きく息吐き、もう一度牌を混ぜる。

 

そして牌を9個選ぶ。

 

遠くから見てると目を閉じてるように見えるがスムーズに牌を選んでいるように見える。

 

そしてその牌を反対側に置く。

………ここからじゃよく見えないっすね。

 

「ん、東横さんか?」

「あっ」

 

結構距離があったのにしっかりと私を認識してる。

 

「どうかしたの?」

「牌を持ってたんで誰かと打つのかと思ってついてきたっす」

 

素直に自分の心情を吐露すると困ったように彼は笑う。

 

「まぁ、誰かと打つって意味じゃあってるね」

「誰かくるんすか?」

「いやもう終わったよ」

「終わった?」

 

彼は9個の内7つ倒れた牌を指差して苦笑する。

 

「ナインっていうゲームでさ、まぁトランプの戦争みたいなゲームなんだよ」

 

彼に説明を受けこのゲームを簡単に理解する。

 

「でもこれって二人用のゲームじゃないっすか?」

「あー、まぁ、自分に勝つというか、まぁ超えるべき目標は自分の中にいるってやつだよ」

「は、はぁ?」

 

いつもは一から十まで理を持って説明するのになんかあやふやな回答が返ってきた。

 

「あー、とりあえずやる?ナイン」

 

ごまかすように彼は牌を9個とる。

 

「まぁいいっすけど、ただやるだけじゃつまんないっすよねー」

「ん?なんか賭けるの?」

「そっすね………負けたほうが勝った方にジュースを奢るってのはどうすか?」

「まぁ、そんなもんだね………引き分けたら?」

「引き分けっすか?うーん、お互いジュース奢るでいいっすかね?」

「………まぁそれでいいか」

 

そうして彼とのゲームは始まった。

 

 

 

 

 

 

 

うーん、最初から高い数字を使うか……それとも低めで行くか。

 

「じゃあ私はコレで」

「それじゃ俺はコレで」

 

「「オープン」」

 

出た数字はお互い3

 

「ありゃ、引き分けっすか」

「みたいだね」

 

達也さんも3っすか………じゃあ今度は勝ちたいから高めの数字で行きますか。

 

「私はいいっすよー」

「どうぞ」

 

「「オープン」」

 

出た数字はお互い9

 

「むっ」

「引き分けだね」

 

むー、また引き分けっすか、虎の子の9で点数が取れなかったのは痛いっすね。

ここはなんとしても点が欲しいっす。

 

「じゃあいくよ」

 

「「オープン」」

 

またしてもお互い8

 

三回連続で引き分け………思考が偶然似てたとしても中々の確率っすね。

さて、8と9を使って点数が取れなかったのは痛い………けどそれはお互い同じっす。

そしてこのゲームの重要の数字は多分1っす。

どれだけ1でダメージを減らすかがこのゲーム

本質っすね。

 

 

--1はどの数字に負ける運が良くて引き分け、しかしそんな可能性は限りなくゼロに近い。

ナインにおいての1は必敗の1ッ!!

その1をどこで出しどれだけダメージを減らすのもナイン特徴であるッ!!

 

 

だけどここで1をだせるほど勇者ではないっすね……

ここはなんとしてリードが欲しいっす

 

「いいっすよ」

「じゃあ」

 

「「オープン」」

 

出た目はお互い7

 

4回連続引き分け………もしかして

 

「引き分け狙いっすか?」

「さぁどうだろう」

 

始まる前に引き分けはどうする?って意味が今わかったっすよ………

さて、達也さんは引き分け狙いってのはわかった。

さっきから私の後に出してましたし。

うーん………つまり私が達也さんの予想以上の牌を出せばいいってことすか?

今手配にあるのは1.2.4.5.6

これはお互い同じ条件っす、この中で一番強い牌は6コレで5に勝てば11点もらえる……

だけどこの思考も読まれてるとしたら………

うーがー、もう、考えすぎて頭おかしくなりそうっすね

ここは指運に任せますか

牌を倒し混ぜて、適当な牌を選ぶ。

 

「いいっすよー」

「運に任せたのね……うんじゃ」

 

「「オープン」」

 

私の牌は4達也さんの牌は………6?

 

「10点もらーいっと」

「えっ………あれ?達也さんは引き分け狙いなんじゃ?」

「さぁどうだろう?とは答えたけど引き分け狙いをしてるとは言ってないでしょ?」

 

すんごいいい笑顔で言われた。

そしてそのまま達也さんのリードのままゲームは終わった 。

 

 

 

 

 

「むーー」

 

頬を膨らましながら自動販売機の前に立つ東横さん。

 

「そんな怒らないでよ」

「別に怒ってないっす………なにがいいんすか?」

「うんじゃコーラで、東横さんは好きな飲み物はなに?」

「ピーチ系ならなんでも好きっすけど」

「炭酸はいけるクチ?」

「まぁ、特に好き嫌いはないっすね」

 

自販機にお金を入れて桃の天○水を買う

 

「ほいじゃ、コレ」

「えっ、いやでも」

「まぁまぁ、貰ってくれや」

 

コーラ一口飲んで隣を見る

 

「うんでなに悩んでんの?」

「うぇ……こほん、別に悩んでないっすよ」

 

ジーっと東横さんを見る………本人も視線に気づいたのか顔を背けるが、少しため息をついてポツポツ語る。

 

「そっか」

 

彼女は元々ボッチだったから麻雀部という居場所を大事にしてる。

しかしその居場所は徐々に変わってくる、彼女を見つけた加治木さん、部をまとめてる蒲原さんの引退。

成長する先輩達……しかし変わらない自分。

 

「いいんじゃねぇの変わらなくて」

「え?」

「原村さんいるじゃん、ウチの麻雀部の」

「あっ、はい、おっぱ…じゃなくてのどかさんですよね」

「あの子さ、宮永さんが何回も何回も嶺上開花してもさ『偶然です、たまたまです』っていうんだよ」

「えっ」

「そりゃさぁ、俺もさ、理では説明できない感覚ってのもあるけどそのたびに『そんなオカルトありえませんっ!!』っていうんだよ………個人的に感覚について否定するのは別にいいけどさ、それを信じてる人まで否定しちゃうのが彼女の悪いところなんだけど………おっとコレはオフレコでよろしく」

「はぁ」

「仮に原村さんが俺みたいな打ち方とか想像できる?」

「………想像できないっすね」

「でしょ、変わるって別に強くなる訳じゃないんだよ、変わってもむしろ今より弱くなることもある。………変わらない強さも必要なんだよ原村さんみたいにね」

「変わらない強さっすか………」

 

 

そう言い少し考え込むとスマホのアラームが鳴る。

確認すると部長からの呼び出しだ。

 

「なんかまた変なことでもやるのか?」

「誰からっすか?」

「部長が遊技場に来いってさ」

「あー、そういえば卓球やるとかなんとか言ってたような」

「まぁ、息に抜きにはなるか、うんじゃ怒られる前に行くか」

「そっすね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

卓球大会は龍門渕さんの優勝だった。

なんでも勝てそうと周りに言われたがなんでも勝てる訳じゃないんだよな。

 

それから龍門渕さんから運んでくれたお礼をしたいと言われたので夏休みに龍門渕さんの家でちょっとバイトさせてもらうことにした。

ついでに京太郎もついてくことが決まり日程は夏休みの始めにお願いした。

 

中学生組は夕飯前に帰宅しており、来年必ず清澄に来ると言って帰って行った。

全国も決まったし、来年は部員もそこそこ増えるかも………

 

卓球大会が終われば後は寝るだけなのだが、皆この合宿がよかったのか中々部屋に戻ろうとはしない。

しかし鶴賀学園組は明日は朝が早いのでちょっと遅め解散。

東横……モモにメアドを聞かれるとなぜかいろんな人からメアドを交換することになった。

天江……じゃなくて衣先輩は携帯を持っていないので膨れていたが名前呼びにしたらご機嫌になったな……うん、かわいい。

 

そんなこんなな四校合宿も今日で終わりだ。

いろいろあったが充実した合宿だったな

 

「あー、このまま学校に行くのかー」

「まだねむいじょ」

「二人とも学校で寝ないでくださいよ?」

 

京太郎と優希を注意する原村さん………オカンだな。

 

「宮永さんは意外と大丈夫なんだな?」

「途中からメアド交換したでしょ?………私ケータイ持ってないからすぐ部屋に…」

「うん、ゴメン、謝るからそんな遠い目しないで」

 

遠い目をし始めたので即謝罪する

 

「なんだかんだで一年の仲もよくなったのぉ」

「あら、仲良くだけじゃなくて強くなってもらわないきゃいけないのに」

「だからこそ仲良くさせたんじゃろ、達也が遠慮なく言える間柄にさせる為に…」

「お見通しでしたか」

「まぁのぉ」

「後は夏休みにどれだけ詰めこめるかね」

 

………そういや

 

「あっ、部長」

「ん?なにかしら」

「夏休みは近況報告しなきゃいけないんで部活でれませんので」

「えっ?………どこに行くの?」

「あー、東京、大阪、岩手、北海道っすね」

「「「遠っ!!」」」

 

 




お悩み相談室でしたね。

そして伝説のナイン………

くぅ〜、アレは痺れましたね、曽我の人柄も赤木の強さも何もかも好きですっ!

作者は本当の意味で赤木が神域だったのはあの通夜のナインだと思ってますね。
あの時の赤木は豪運とか誰にも真似できない理とかそういうレベルじゃなくて本当に神域。
神の領域に入っていったと思いましたね。

そういう意味では主人公は赤木を超えるのではなく、あの時の赤木を超えたいんですよ。
そういう意味では主人公は神域を見せてないし、神域に到達してないですね。



--すんごくどうでもいい話--

作者は結構お悩み相談室をやってますね…主に恋愛について←年齢=彼女いない歴

まぁ、恋愛とかさておき、悩んだらやっぱり誰かに相談したほうがいいですね。
口に出すと悩みは余計に辛くなりますが、誰かと共有することでやっぱり人って安心するとおもいますね。
作者の経験論ですが、大概いつもニコニコ笑ってる人は強がってる人が多いです。
「大丈夫」とか「平気平気」とか言っちゃう人とか特に強がりです。
だからそういう時はちょっと強めにこっちは心配なんだぞってことを伝えましょう。
そうするとポツポツ言ってくれます。←作者の経験談であり万人に通用するとは言ってない

まぁ、悩んでる人がいたら助けてやってください、損得とかじゃなくてそれが縁だと思って話しかけてください。

ここまで読んでくださりありがとうございましたっ!!
感想や評価等お待ちしておりますっ!!


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二十七話

ふと思った全国前の清澄


 

忘れがちだが、俺たちは学生でありその本文は勉強である。

まぁ、学校の勉強自体は社会に出ても役に立たない。

しかし、物事を測ることにおいて勉強をとてつもない効果がでる。

老若男女、全ての人間にチャンスがあるのは勉強だけといってもいい。

満点という上限があり、誰もができる思考と記憶力を測るもの。

出題範囲が存在し、そこに運というものは一切介入しておらず、知っている奴が勝ち、知らない奴が負ける。

当然個人差もあるが、努力で埋まるものが大抵であり、勉強ができないというのは自分の努力不足であり、他人のせいではない。

つまり何が言いたいのか言うと

 

「頼むからテスト受かれよ…優希」

 

 

 

 

 

麻雀部1年で一番成績が良いのは俺………というか学年一位だ。

事実入学式の新入生の挨拶を任されそうになったが、一人暮らしの手続きや準備等で辞退させてもらった。

 

次に頭が良いのは原村さん、勉強はしっかり予習復習はしており、分からないところはしっかり聞く………典型的な優等生である。学年順位は常に一桁。

 

次に良いのは宮永さん、特に国語で90点以下を取ったことがないのが自慢らしい。

数学はできない文学少女に見えがちだが、彼女は別に数学は苦手ではなく普通に平均以上はとっている。

プラマイゼロできるのに数学できないのはありえないか…

苦手教科は特に無し。順位は中の上らしい。

 

次に京太郎、曰く中学の時から宮永さんが京太郎の世話をしていて勉強だけでは宮永さんに頭が上がらないそうだ。

順位は真ん中より下

 

そして………

 

「優希、頼みますから赤点だけは回避してくださいよっ!!赤点取ったら補習でインターハイ行けなくなりますからねっ!!」

「あはは、何とかなるじょ………多分」

「ついでに前回のテストは?」

「何と赤点は3つで済んだじぇっ!!」

 

頭が痛くなってきた………

 

「まぁ、優希以外は特に言うことは無いわ、ということで一年生は何としても優希に赤点を取らせないようにしなさい」

 

部長に優希を丸投げされるし。

 

「勉強会ですね」

「そうだな、部室は部長が鍵を持ってて使えませんし、無難に図書館でも」

「「「それがむりなん(だ)(よ)(です)」」」

「えっ?」

「この辺に図書館って中学校近くにあってテスト期間になると中学生たちが図書館の席全部埋まってるんだよね………」

「しかもそんなに大きい図書館じゃないですし、席もすぐに埋まってしまいますからね」

「だから高校生はテスト期間は自宅でやるのが大概なんだよ」

「へぇー知らなかった」

 

引っ越して3ヶ月近く…図書館には行ったがテスト期間になるとそんな風になるのか

 

「じゃあ、誰かの家でやるか?」

「うーん、私の家は電車に乗ってそこそこ歩くしあんまり向いてないかも」

「私の家もそうですね、帰りの電車の時間を考慮するとちょっぴり辛いですね」

「俺の家も辛いなー」

「私も辛いじぇ」

「うんじゃ、俺の家がいいな駅の近くだし」

「そういえば京ちゃん小高君の家に行ったんだよね?」

「あぁ、そこそこ広いし、綺麗だし、飯美味いし最高だったぞ、出来ればもう一回泊まりたい」

「なんだよそのホテルみたいなレビュー」

「いや、飯がマジで美味かったわ」

「そういや達也は一人暮らしか………ということでタコス作って欲しいじょ」

「何を持ってタコスを作って欲しいことに繋がったんだよ……」

「とりあえず小高くんの家で勉強会でいいんですかね?」

「みたいだね」

 

 

 

 

小高家

 

「おおー、確かに広いじょ」

「東京でこの家賃だとかなり狭くなるからな………」

「田舎ならではの部屋の広さだね」

「綺麗にしてるというより、物が少ないんですね」

 

キョロキョロと女子勢にみられるが特に困る物もないしな。

 

「うんじゃ、早速勉強始めるか」

「えぇー、もう少し探索させてほしいじょ」

「何言ってるですか優希の為の勉強会でしょっ!!」

「優希ちゃん頑張ろ」

「う〜、仕方ないじぇ」

 

基本的に教えるのは原村さん、原村さんの教えでそれでも理解できなければ俺が教える。

宮永さんは久しぶりに京太郎に勉強を教えてるせいかほんのすこしテンションが上がってる。

そして俺はテスト予想問題を作る。

 

ぶっちゃけ優希に赤点を取るのは優希のミスであり自分でどうにかしてほしいのが本音である。

しかし今回ばかりはインターハイがあるので緊急処置である。

 

 

 

そして数時間の勉強会もそろそろ解散させようかと考え始めた。

 

この時期は日が落ちてなくても案外時間は過ぎている、いくら日が長くとも帰る時間に変わりない。

しかしそんな流れが変わったのは京太郎の電話からだった。

 

「悪い電話」

「おう」

 

少ししてから出てくると

 

「咲、今日親父さんが遅くなるから夕飯先に食っていいよってさ」

「うんわかった」

 

ちょっと待って

 

「………なんで京太郎の電話に宮永さんのお父さんが掛けるんだ?」

「あー、咲携帯持ってないからな、代わりに俺に電話するんだよ」

「お父さんは一回家に電話してから出なかったら京ちゃんに電話するんだよ」

「………迷子癖もあるしスマホの一つくらい持ったほうがいいだろ」

 

少し遠い目をしつつ俺が言うと、京太郎も遠い目をして

 

「あー、………咲、スマホ買うか」

「すんごく持ちたくなくなったんだけどっ!?」

「それで今日はいつもノリで部室の方に行って途中で気づいて帰ったら迷子になったって、咲ちゃんそろそろ道を覚えようじぇ?」

「私が校門の前で待ってる間そんなことがあったんですか?………すいません失礼します」

 

今度は原村さんの携帯が鳴る、少し経つと

 

「私も夕飯を作らなくていいみたいになりましたね…」

「おー、のどちゃんのお父さんも遅くなるのか」

 

へー、………という事は原村さんもお父さんと二人暮らしか?

………まぁ、野暮なことは聞かないにするか

 

「どうしよっかな、夕飯作らなくてもいいなら外食にしようかな…」

「そうですね、私も夕飯は外食にしましょうか」

「ならタコスにしたほうがいいじょ!!」

「いや、それはないだろ………どうせならさ達也の家でなんか食べないか?俺も勉強して腹減ったし」

「………ならビーフシチュー食うか?作り置きのビーフシチューなら温めれば直ぐに食えるぞ?」

 

--この時、和と咲に電流走るっ!!

 

「(ビーフシチュー?確かに作り置きにするなら、カレーシチュー系はいいけど、ビーフシチューはお肉が柔らかくなるまで煮込まなきゃいけない)」

「(しかも、お弁当の事を考慮するとカレーシチュー系は敬遠がちです、どうしても揚げ物などが多くなります………父も揚げ物は喜んで食べますが)」

 

「今回は市販のルーは使わずに香辛料をブレンドして作ったんだぜ」

「それって美味いのか?」

 

--和、咲に再び電流走るっ!!

 

「(しかも、市販のルーを作らずに作った?)」

「(無難に作るならルーは市販の物が必須ですそれなのに自作のブレンド香辛料?)」

 

「いろいろ試したけど今回は中々自信作だぜ」

「おっ、そりゃいいこと聞いた」

「そんなに美味いなら私もたべたいじょ!!」

「お、いいぞ作り置きって言っても昨日の夜作ったからな全然大丈夫だぞ」

「「あの私も貰っていいですか?」」

「お、おう」

 

急に目の色変えて迫ってくるからびっくりするじゃん。

 

 

「ホイ、ビーフシチュー3人前」

「あれ?俺の分は?」

「あー、途中でデミグラスソースが足りなくなったからお前は別メニュー」

「えー、まじかよ」

「まー、5分くらい待ってろよ」

 

 

5分後

「ほい、デミグラスソースオムライス」

「おおっ!!オムライスか!!」

「がっつり食うならこっちの方がいいだろ………誰も食ってないのかよ?」

「5分くらいなら待てますよ、みんなでいただきましょう」

「達也早く席に座れじょ!!」

「………思いっきり待ててないぞ、うんじゃ、いただきます」

「「「いただきます」」」

 

うん、上手くできてるなと軽く自画自賛。

 

「中々やるじゃないか達也」

「食いながら喋るな………えっと二人とも口に合わなかった?」

 

基本的京太郎は食ってる時は喋らずガツガツ食っているので話しかけない

宮永さんと原村さんは一口食べ止まっている。

 

「(………初めて作ったビーフシチューは美味しいけど酸味が強くて単品じゃ辛いな、そう思ってたけど)」

「(このビーフシチューはまろやかな味付けですね、これなら単品で食べる分には問題ないですね)」

 

二口、三口とようやく食べてくれた。

 

「え、えっと二人とも感想を言ってくれると助かるんだが」

 

パクパクとスプーンを進める。

 

「(そしてこのビーフシチュー1番のメインのお肉………柔らかいだけじゃなく、ほんの少し弾力がある)」

「(煮詰め過ぎると直ぐにお肉が崩れてしまってお肉本来の食感がなくなってしまいますがこのビーフシチューはちゃんと残してあります)」

 

お肉を食べると、頬が緩んだ。

 

「おおぅ、二人ともめっちゃ笑顔になったじょ」

「………美味そうに食ってるならいいけどさ」

「あっ、達也、私もオムライス食べたいじょ」

「………えっ?えっと………俺のオムライス食うか?まだ一口しか食べてないから」

「おー、食えるならもらうじょ」

 

優希には結構多めによそったんだけどな………

 

「ごっそさん」

「お粗末、うんでどうだった?」

「美味かった!!」

「そりゃよかったよ」

 

京太郎は感想はシンプルでいいんだが、もうちょい感想が欲しい。

 

「優希はどうだった?」

「今度は私も最初からオムライスにして欲しいじょ、後タコスも作っとけ」

「タコスはオカズかなにかか?」

 

どんだけタコス好きなんだよ………

 

「原村さんと宮永さんはどうだった?」

 

いつの間にか食べ終わっていたので感想を聞くと物凄く複雑そうに。

 

「えぇ、すごく美味しかったですよ………自分が女子という自信がなくなるくらい」

「本当美味しかったよ………明日の夕飯を作る気がなくなるくらい」

 

後半ボソボソっとなにか言ったが、美味かったならそれが1番だ。

 

「うんじゃ、時間も時間だしそろそろ帰るか」

「そうだな」

「おっ、咲ちゃんは京太郎と方向が一緒かー、送りオオカミになるなよ〜」

「………それより、迷子にならないか心配だ」

 

割と本気で遠い目になってたので、皆京太郎の肩をそっと叩く。

 

「京太郎なんかすまないじょ」

「流石に私も不憫だと感じましたね」

「今日はお疲れ」

 

「なんでみんなしてそんな哀愁漂う目で京ちゃんを見るのさっ!!」

 

「うんじゃ、俺は優希と原村さんを送ってくから」

「じゃあな、京太郎、咲ちゃん」

「また明日」

 

「おうじゃあな」

「ちょ、もーーー、みんなして迷子扱いするんだからっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

答案返却日

 

「まっ、いつも通り」←学年1位 前回1位

 

「今回はそこそこよかったです」←学年4位 前回8位

 

「小高君の対策プリントがモロ当たってたね」←学年60位 前回146位

 

「本当マジビックリだったよな」←学年156位 前回220位

 

「神様、仏様、達也様だじぇ」←学年187位 前回284位

 

一年生は300人近くいる………つか、前回どんだけ順位低かったんだよ………

 

「さぁ、テストも終わったし、小高君は夏休みほとんど居ないからガンガン打って貰うわよっ!!」

「「「はいっ!!」」」

 

 

 

「ダブリー、一発ツモ、裏乗ってハネ満」

「2巡で終わったじょ!?」

 

「ん、ツモ、親倍だ」

「すいません、今のでトビました…」

 

「ロン、ハネ満」

「なんでそんな所で待つんじゃ!!」

 

「悪いな、スッタンだ」

「ぐっは、流せなかったか………」

 

「三暗刻………裏ドラモロ乗りで数えだな」

「うぅ、次引けたら嶺上開花だったのに」

 

「………そろそろ小高くん抜けない?」

「なに言ってんですか、夏休み居ないから沢山打てって言ったのは部長でしょ?」

 

「「「もうやめたげてぇよっ!!」」」

 

いつもより打てて満足満足

 




大会が決まったら勉強回というお約束。
少しづつですけど主人公と清澄の距離が縮まっていく感じですね。

そして次回は夏休みになり全国巡りっ!!………の前に龍門渕に遊びにいきますっ!!

最強の執事の元で修行?奈良からの刺客?大天使と………お風呂!?

………次回の話、一文字も書いてないですけどね。



ここからは作者のどうでもいい話

みなさんは年末年始はどのようにお過ごしでしたか?
作者は正直忙しすぎて大変でした、忘年会とか新年会とかクラス会とか同窓会とかめっちゃ飲んでました。
そして1番大変だったのが年末の神社のお手伝いでした。
神社といってもお参りとか初詣とか来るような神社じゃないので、お守り作りとか袴を着て誘導とかする訳じゃないですが、年越しは神社で過ごしたいという人たちの為に豚汁と甘酒を作ってたことですね。
豚汁や甘酒などを配って「おいしいよ」と言われるとすんごく嬉しくなりますね、大変でしたがいい思い出になりました。

まぁその代わり投稿が遅れたんですけどね………

あんまり投稿がないんで感想欄に待ってますとか書かれると胸が痛くなると同時に嬉しくなります。

「こんな拙い作品でも待ってる人がいるんだ」とか「もっと頑張ろう」ってあったかい気持ちになりますね。

なんとか毎日投稿してた頃に戻りたいけど、クオリティを上げつつ話の展開というのは中々難しいです。
更新を待って暇になったら皆さんも是非作品などを書いてみて下さい。
寝る前にベットでいろんな妄想してる人が沢山いると思います(笑)
それを字にしてお話にするのは語彙力ととんでもない想像力が必要です、正直毎日投稿をしてる人は神だと思いますね!!
特にR18で毎日投稿してるあの作品本当に凄い、私も毎日楽しみにしてる人ですし………

まぁ、忙しい期間も終わり、実家からアパートに帰ってきたのでなんとかペース上げて行きたいと思います。

ここまで見てくださってありがとうございますっ!!
感想や評価等お待ちしておりますっ!!


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二十八話

お待たせしましたっ!!


車の中

 

「ながのっ!ながのっ!」

 

私の親友はチャームポイントのポニーテールを揺らしている

 

「シズ、もう少し落ち着けないの?」

 

身長と見た目もあいまって完全に小学生に見える。

 

「だはは、強い人と打てると思うと嬉しくなっちゃて」

「高校生にもなったんだから落ち着きなさい」

「はいはーい」

 

それでも鼻歌は止めずゆらゆらと揺れている。

 

「それにしてもハルエは遅いわね」

 

少しトイレに行ってくると言ってコンビニに止まっている。

なんか買い物でもしてるのかと考え始めたが………

 

「ゴメンゴメン」

「遅いわよ。なんか買ってきたの?」

「いやー、ぶっちゃけちょっと道迷ってコンビニの人に龍門渕高校の場所聞いてきた」

「なんで自慢げにそんなこと言えるのよっ!?」

「あー、それと男子が龍門渕高校にいるらしいんだけど一緒に打ってもよろしいですか?みたいな連絡があったのよ」

「え………男子?」

 

正直私は男子が苦手だ………いや、苦手というより苦手意識があると言ったほうがいい

小学生の頃は特に思うことはなかったが、中学高校とあまり話しをする機会もなく、苦手意識を持つようになった。

 

「龍門渕高校の男子麻雀部ですか?」

 

後ろに座ってる宥姉が尋ねる。

 

「龍門渕高校に男子麻雀部はないよ………まぁ、着いてからのお楽しみってことで」

 

皆「えぇー」と文句を言うが個人的にはお楽しみでもなんでもない………ただ

 

「男子………ねぇ」

 

この前記者にインタビューされ、その雑誌が部室にある。

 

皆、自分達のレビューだったり、出場校のレビューの欄しか見てなかったので後ろの男子の欄はほとんど見てない。

 

なんとなく男子の方まで読んでみると、男子予選ベスト牌譜賞という、予選で1番いい牌譜があった。

 

「………なにこれ?」

 

初手のチャンタ二向聴から断么を向かうという暴挙。

しかも、捨てる牌は中張牌から切っていく綱渡りのような捨て牌。

しかし牌はスルスルと入っていく。

そしてそのまま

 

「………今大会放銃ナシの選手から討取るねぇ」

 

狙ってやったならそれは神業に近い何かか女子のオカ持ちのようなものだ。

 

「憧?何ボーッとしてるの?………もしかして男子と打つのが怖いの〜」

「違うわよっ!!………まぁ、ちょっと気になったことがあったのよ」

「ふーん?まっ、私は男子と打つの楽しみだなぁ」

 

相変わらずシズは鼻歌を止めず楽しみにしている。

 

「まぁ、なんにせよ勝つだけよっ!!」

「憧ちゃん燃えてるねー」

「あったかいの好きー」

「むしろ暑苦しい……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍門渕の屋敷

 

 

俺と京太郎は龍門渕の屋敷に来たが

 

「……でっけー」

「デカイな」

 

門の前に思わず立ち止まり屋敷を見上げる。

 

「いかにも金持ちって感じ」

「………和式の屋敷なら色々見たことあるが、洋式でここまでデカイのは初めてだな」

 

屋敷を楽しむこともなく麻雀打ってたけど。

 

「お待たせしました」

「うぉっ!?」

 

まるで突然目の前に人が出てきたように見えたが、実際はゆっくり歩いてきている………ただ認識が難しいだけ。

 

「敬語なんていいっすよ、龍門渕に遊びに来たと言うより、ハギヨシさんに会いに来たと言った方がいいんですから」

「嬉しい申し出ですが、お嬢様と衣様は二人が遊びに来たと思っていますので」

 

思わず苦笑してしまうが、まぁ、しょうがない。

 

「とりあえず2日ほど執事の研修ということで来ましたが、その中にはお嬢様達の相手をしてもらうことありますので」

「そう言われると断れませんよ」

「おや?断るつもりでしたが?」

「ノーコメントで………うんでこっちが須賀京太郎です」

 

これ以上突っ込まれたくないので軽く京太郎を紹介する

 

「初めまして、清澄の須賀京太郎です」

「私は龍門渕透華様の執事ハギヨシと申します」

「今日は達也と一緒に執事研修?をさせてもらいます」

「はい、よろしくお願いします、それでは案内させていただきます」

 

 

案内され部屋に荷物を置き、執事服に着替える。

………いや、当たり前のように着替えてるけどあんまりコスプレって感じはしないんだよな。

生地も安モンじゃないし、っていうかコレ普通に特注品じゃないか?サイズもぴったりだし………

 

「まぁ、金持ちなんてそんなもんか?」

 

経験上、金持ちは細かいことを気にしないような奴が多い。

しかし、ただの学生に特注品の執事服を渡すか?

あー………外堀埋めにきてんのか?

 

「もうどこかに囲われるつもりはないんだけどな………」

 

ふと昔を思い出す。

 

 

 

 

 

 

赤木さんが亡くなってから、一度だけ組に入ったことがある。

その時はただの中坊ではなく、赤木さんの付き人………当然名前も売れており、ガキが1人で生きるには弱すぎた。

最初は天さんの付き人でもやろうかと思ったが、天さんの仕事は体張るのが多く、天さんのほうから断られた。

組を持っている原田さんだが、ここで俺の名前が売れているのが問題だった。

 

関東と関西の勢力図だ。

代打ちの四天王と言えば、関東の赤木、天。

関西の原田、曽我………と言われていたが、赤木さんの死後、原田さん、曽我のじーさんが第一線を退く。

このことにより新たな勢力争い………言い換えれば成り上がりが始まってる。

そんな成り上がりの時代に俺の名前が挙がった。

もちろん俺は関東生まれなので関東側に付くのだが、関西側から多くの勧誘が来た。

勧誘と言っても、賄賂や恐喝などいろいろあったが………まぁ、それで関東側が一気に俺を囲いにきた。

が、どいつもこいつも俺を利用する輩しかおらず、組に入るのを断っていた。

そんな中熱心に勧誘をする組が一つあった。

 

辻垣内組………

「代打ちもしなくてもいい、ただ赤木さんに返せなかった恩を返したいんだ」

昔、辻垣内組は崩れる寸前までいったらしいが、赤木さんと一緒に勝負にでて、組の再建ができたとかなんとか………

その辺はことはどうでもよかったが、あまりに熱心だったのと、代打ちをしないという約束のもと辻垣内組に入ることになったんだが………

 

 

 

 

「達也着替え終わったか?」

「………ん?あぁ、終わったよ」

「なんか珍しいな、ボーっとしてるなんて?」

「いや、なんでもねぇよ早くハギヨシさんの所に行こうぜ」

 

………半年だけだったのにいろいろあったなぁ

 

 

 

 

「おっ、来たな」

「みたいだね」

「2人とも似合っている」

 

純さん、一さん、智紀さんも待っていた。

 

「ハギヨシさん以外の執事服は見たことなかったからね、ちょっと新鮮だね」

「俺も別に執事服でもいいんだけどな」

「純が来ても違和感はない」

 

確かにあれだけの長身なら執事服も似合うだろう。

 

隣の京太郎を見ると目をキラキラしながら、3人を見ている。

 

「逆に俺たちのほうがビックリっすよ!!本当にメイドだったんすね!?」

「あはは、確かにあんまりメイド服で知り合いにあったことはないね」

「れっきとしたモノホン」

「まぁ、まだ見習いだけどな」

 

 

「では、2人に今日の業務を教えます」

 

 

「うぉっ!?」

「いい加減察知しろ」

 

ハギヨシさんが現れるとまた驚く京太郎。

 

「僕らも慣れただけで、ハギヨシさんがいつ来るから察知はできないんだけどね………」

 

苦笑しつつ教えてくれるが聞かなかった事にしよう。

 

「須賀君は今日は3人に仕事を教わっていただきます」

「えっ、俺だけっすか?」

「さすがに1日目からハギヨシさんと一緒に仕事したら………うん、死ぬね」

「あぁ、死ぬな」

「死亡フラグガン立ち」

「執事ってなんなんすか?」

 

怯えた京太郎を見て3人は少し笑って

 

「あはは、それは流石に冗談だけど、ハギヨシさんの仕事は桁違いに多いからね、教えてもらったことを一回で覚えない限り、1日じゃ足りないね」

「今日1日で仕事を覚えてもらう」

「あっ、なるほど、そういうことっすか」

「でも、達也はどうすんだ?」

 

「小高君は今日1日私と一緒に仕事をしてもらいますよ」

 

「「「えっ!?」」」

 

「桁違いの仕事量とか言ってましたけど?」

「小高君は一度教えれば出来るでしょう?」

「………やってみないと分かりませんね」

「無理だと言わないだけ充分です」

 

「いやいやいやいや小高君っ!?本当にハギヨシさんの仕事量半端ないからねっ!?」

「しかも透華の呼び出しがあったら行かなきゃいけない」

「透華だけじゃない、衣のお付きもしなきゃいけない」

 

「………まぁ、なんとかなるっすよ」

 

軽く笑うと、ジトッと見られ、「まぁ、ハギヨシさんもキツイことさせないでしょ」「一応1日目だしな」「骨は拾ってあげよう」「達也本当に大丈夫か?」

などなどいろいろ言われたが、結局ハギヨシさんの裁量に任せることに落ち着いた。

 

 

 

 

調理場

 

私たちは夕食の下ごしらえをしている。

ジャガイモの皮を剥きつつ、ふと隣の小高君を見る。

 

(集中力が切れない………言い方が良くありませんね。きっと彼はこの状態が当たり前なんですね)

 

--勘違いされがちだが、ハギヨシは別に完璧超人執事ではない。

ハギヨシが幼い頃は普通にミスをし、普通に間違えをしてきた。

しかし普通にミスを減らし、普通に間違えを直したのだ。

いわば人としての当然の成長。

もちろん、人はそんなに単純じゃない。

ミスをしても直す事も、減らす事もしない人の方が大多数だ。

いけないと思っていても行動には移せない。

それが普通の人だ。

だが、天才たちは間違えをそのままにはしない。

そう意味ではハギヨシもある種の天才だ。

 

そう考えると達也のここまで高い集中力は生き残ることに必死だった為の副産物。

過去にもし達也が気を抜いたことをすれば死んでいたことも多々あった。

故に達也は集中力を切らさない………しかし

 

 

(初めて会った時からずっと彼は張り詰めている………無意識ではなく、意識的に張りつめているから負担が大きいんですね)

 

--前にまこと京太郎が「達也は敏感過ぎる」と言っていたが、ハギヨシはさらに達也の問題点を見つける。

 

(私の仕事を見るよりももっと大事なことがありますね)

 

「小高君は前に私に常にその姿勢で歩いているですか?と訪ねましたね」

「そっすね、俺より無意識を意識する人なんて片手で数えるくらいしか会ったことがないですから」

「そこまで高評価を貰えるのは嬉しいですが、小高君と私の集中力の質はそんなに変わらないですよ?」

「………はぁ?」

「要はメリハリですよ………そうですね、この仕事が終わったら今日の仕事は終わりにします」

「えっ?まだ全然仕事残ってるじゃないですか?」

「いいんですよ………でもそこまで言うなら一つ仕事をお願いしてもいいですか?」

「大丈夫ですよ」

「それでは………」

 

 

 

 

「あとは衣に任せよっ!!」

 

両手を腰に当てて胸を張っている。

俺のジト目に衣先輩は少し気に食わなかったのか少し脹れる。

 

「むー、衣が相手では不満なのか?」

「いえ、そういう事ではないのですが」

「む、言葉遣いも執事モードなのか」

「ハギヨシさんから仕事をお願いされたので」

 

ぺこりと頭を下げる。

ハギヨシさんからの仕事は「衣様の相手をお願いします」と言われた。

 

「………では主として命じる、いつも通りにしろ」

「むっ………はい、いや、分かりましたよ」

「うむ、それでよい」

 

不機嫌そうな感じから途端に機嫌が良くなる衣先輩。

 

「うんで、何します?」

 

考える衣先輩、じっくり考えた結果。

 

「………特にすることないな」

「ハギヨシさんの所行ってていいすか?」

「それはダメだっ!!」

 

思わずそう言った俺に即座に切り返す衣先輩。

 

「だって仕事ないんですよね?」

 

今日は遊ぶ為にここに来た訳じゃない、ハギヨシさんからいろいろと盗んで行きたいのだが。

 

「衣と遊ぶのだっ!!」

 

先ほどハギヨシさんから言われたのは衣先輩の相手をすること。

仕方ないので、何をして遊ぶか考えるか。

 

 

 

 

 

 

 

「すぅ……すぅ……」

 

寝息を立てる衣先輩、さっきまでいろいろ遊んでたが今は疲れて寝ている。

 

「館に篭ってるせいか全然体力無いみたい」

 

少し頬っぺたを突くと困ったような声をあげる。

しかしその小さな手は、俺の手を離さない。

離れようとすると少し強く握ってくる。

 

コンコンと扉からノックの音が聞こえる。

 

「失礼しますわ」

「どうかしましたかお嬢様?」

「………思った以上に違和感を感じますわね、いつも通りでいいですわ」

「………そんなに違和感あります?」

「えぇ、貴方誰かに仕える人間ではなく、誰かの上に立つ人間、そんな人間に執事をやること自体違和感だらけですわよ」

 

意外と人をしっかり見てるみたい。

伊達にお嬢様やってる訳じゃなさそうだな。

 

「衣に明日の予定を言おうと思いましたが………どうやら後でいいですね」

 

俺のすぐ近くに座り、衣先輩の頭を軽く撫でる。

その目は普段の勝気な感じではなく、慈愛に満ちた目だ。

………そんな顔も出来るんだな。

そんな横顔見てるとふと彼女が口を開く。

 

 

「あの大会に負けてから衣も良く笑ったり、不機嫌になったりするようになりましたわ」

「………いいことじゃないですか?」

「そうですね、確かに大会で目立てなかったですけど、負けて得ることもありましたわ」

 

透華先輩はジッとこちらを見る。

 

「そして衣が誰かの為に行動するのは初めてですわよ?」

「………それを言ってどうするつもりですか?」

「あら?レディーに全部言わせるなんて甲斐性の無い男ですわね?」

 

イタズラ成功したみたいな顔して………

 

「それが偶然初めてが俺だったって話ですよ、………衣先輩もこれからも誰かの為に動くことがありますよ………この人は優しいから」

 

誰かを潰して、誰かを倒しても、他人に興味がなければ何も感じない。

優しいからこそ彼女は自分の力に悩んでいた。

 

「えぇ、衣は優しいですから」

 

そうやって、また衣先輩の頭を撫でる。

もっと近くで撫でたいのか、ほぼ肩と肩がぶつかるくらい近くにいる。

ここで何も感じない男がいれば是非とも会ってみたい。

多分そいつはホモか何かだと思うが。

 

「むにゅ………とーか?」

「あら、起こしてしまいましたか?」

 

ポケーとしていて、口からよだれも出ている。

ポケットからハンカチを取り出し彼女の口元を拭ってあげる。

 

「………こういう所にギャップを感じるんですよね」

「はい?」

「………なんでもありませんわ、衣そろそろ夕飯になりますよ」

「むーー、分かった」

「行く前に顔洗いに行きましょうか?」

「うん」

 

可愛く頷いて、ヨタヨタと俺の背中によじ登る。

 

「では行くぞ、達也」

「………へーい」

「ふふふっ」

 

 

 

風呂場

 

「あーーーーー」

「うるさいぞ京太郎」

「疲れた」

「だからって風呂場でデカイ声出すな」

「悪い悪い」

 

俺たちは龍門渕の風呂場にいる。

正直なんでこんなに広くする意味がわからないが、他人の家にケチをつけてもしょうがない。

 

「うーん、ちょいと温いな」

「そうか?こんなもんだろ」

 

俺の家の風呂の温度は高めに設定しているせいかここの風呂は温く感じる

 

「まぁ、女子に合わせてるんだろ」

「だろうな」

 

そんなに長風呂タイプではないが、いかんせん温いせいで中々温まらない。

 

「うんじゃ達也先に上がってるぞ」

「おう」

 

先に京太郎が上がるが俺はもう少しゆっくりしよう。

 

「はぁ」

 

ふと上を見上げ、考える。

 

「やばいな」

 

ここ最近の自分の停滞を。

 

「(個人戦あたりからツキがねぇ感じはする、勘は冴えてるが、運がねぇ)」

 

--達也は前に、運が良かった悪かったで麻雀をするなと言ったが、運自体は否定はしてない。

達也が言っているのは運が良かった悪かったで勝てたとか負けたではなく、運も組み込んで勝てた負けたをしろといってるのだ。

 

「(集中力も落ちてる………いや、落とさないようになったしな)」

 

前なら意識せずとも高い集中力を維持できるが、ここ最近意識してないとふと抜ける感覚がある。

 

「ん、京太郎………じゃなさそうだな」

「むむっ、ばれたか」

 

 

衣先輩を見ると水着は着用しているみたいだ。

………流石に裸だったら問題だけど

いつもはリボンが付けているが風呂に入るため外している

なんか余計に背が小さく見えるな。

 

「どうしたんですか、女子の時間は終わりましたよ?」

「うむ、前の合宿では一緒に入れなかったからな、背中を流しに来たぞっ!!」

 

そういや合宿の時一緒に入るとか言ってたな………

 

「あー、うん、じゃあお願いしますね」

「任せよっ!!」

 

下手に断って時間がかかるより、さっさと済ませて出るか。

 

「うんしょ、うんしょ」

 

なんかお父さんになった気分だな………

 

「達也の背中は随分と広いな、純と比べても達也の方が大きいぞ」

「まぁ、一応男の子なんで、身長は負けますけどね」

「………身長」

「気にしすぎですよ、背丈があってもそれなりに不便ですよ」

「むぅ、もうちょっと身長があったら」

 

他愛のない話をしつつなるべく意識をそらす、流石にこのお子様体型に欲情しないと思うが、何も感じないほど鈍感でもない。

 

「さっ、身体も洗ったし、風呂に100秒浸かって出ましょ」

「うむっ」

 

浴場に座るが、その股の間に座る衣先輩。

このお子様先輩は………

 

「いーち、にー、さーん、しー、ごー」

 

………なんつーかこの人には勝てないな。

 

 




扉の前

純「完全夫婦に見えるな、衣が子供で」
智紀「小高君が金髪だったら完璧だった」カシャ
一「むぅーー」
京太郎「………なにやってんすか?」
純「覗きに決まってんだろ?」
智紀「ベストショットを撮っている」カシャ
一「僕たち透華のメイドだからね、小高君が襲わないように監視してるのっ!!」
「「「それはないな(ないと思う)」」」
京太郎「とりあえず仕事に戻りましょうよ」
純「なーに硬いこと言ってんだよ?」
智紀「………いい感じに透華が寄ってた」カシャ
一「むぅーー、あんな肩が触れるまで体寄せなくてもいいのに」
ハギヨシ「なにをやっているんですか?」
「「「あっ」」」
一「ハギヨシさんこれには深い訳があって」
ハギヨシ「言い訳は後で聞きます、仕事に戻ってください」
「「「はぃ」」」


………とかあったり


ということで、お待たせしました!!

本来なら2/2の京太郎の誕生日に出そうと思っていたんですが、寝落ちしました………

という事で京ちゃん誕生日おめでとう!!(3日遅れ)

そして最近作者、シノハユ買いましたっ!!

いやー、ネタバレはちょっとアレなので、一言だけ言うなら、「はやりんごめんなさいっ!!」ですね。

数々の咲のSSを見てきてはやりんのキャラは大抵「アラサー」「結婚出来ないアイドル」「正直あの年でアレは痛い」などなど不遇な扱いが多かったです。

しかし、はやりんの事情とか知ると、アレはなりたい自分を貫いているんですね。

作者のどうでもいい話。
先ほども出ましたが自分の理想を貫くのは凄く難しいですよね。
福本先生の言葉にこんなのがあります。
「たとえば武士は、『自分はこうである』っていうイメージを大事にするんです。
そのために死んじゃっていいわけですよ
命っていうのは自分を表現するためにあるエネルギーじゃないですか。ガソリンですよね。
それより自分が大事。
自分が思っている自分のイメージが大事。命よりも…」
赤木が
「命は二の次…それよりも自分が大事だ…!」
とも言ってます。
「自分はこうでありたい」ってのは誰もが持ってます。
例えば、「みんなからモテる自分」「勉強ができる自分」「運動ができる自分」
そんな様々な理想の自分を持っていると思います。

しかしそんな理想の自分になるために努力しているとなると話は違ってきます。
「モテるにはなにが必要か?」「成績がよくなる為にはどうするか?」「運動ができる為にはどうするか?」
言ってしまえば「行動」ですね。
思う事はだれでもできます、でも努力するのは自分の選択なんです。




…………と言うことで作者も努力しますっ!!
とりあえず執筆ペース上げたいですっ!!
思ってるんですけど内容が出でこないッス!!
努力足りないッス!!
でも一歩一歩頑張っていきたいッス!!

ここまで読んでくださりありがとうございますっ!!
感想評価等お待ちしておりますっ!!


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二十九話

祝通算UA100000突破っ!!

感謝ッ………!!圧倒的感謝ッ………!!

そして今回はちょい長くなりました


side憧

 

 

龍門渕に着いてまず思ったこと………デカイ。

 

「うっへぇー、憧の家の神社よりデカイ」

「うちも結構大きい神社だけどこりゃデカイわ」

「むむぅ、今回はおもちセンサーの反応が悪いですね」

「もう玄ちゃん」

「………たぶん無理だと思う」

「ほらほら、ちょっと遅れてるから急ぎなって」

 

少し歩くと門の前に執事服とメイド服を来た人がいた。

 

「お待ちしておりました、阿知賀高校の皆さんですね」

 

男の人だったので、ほんの半歩下がったら、その執事さんは少し私から離れて案内するようになった。

………流石に気のせいかな?

 

そして案内された所に入ると

 

 

「お待ちしておりましたわ!」

 

いかにもお嬢様という雰囲気をだす龍門渕透華さん

 

前大会の副将戦の牌譜を見たが最後の怒涛の追い上げは中々凄かったのを覚えている。

 

「こいつらが奈良代表?」

「こいつらとか失礼だよ純くん」

「よろしく…」

 

先鋒の井上純さん。

牌譜を何度か見たけど正直訳わからない鳴きをする人だと思う。

私も鳴きを中心としたプレイスタイルだけど井上さん鳴きは相手の流れを潰す麻雀って感じかな?

 

そんな井上さんを注意するのは国広一さん。

クセのある龍門渕で攻守共に隙の無い人だ。

牌譜を見ても至って普通………と思いたいが、この人なんと公式戦全てプラス収入で終えているのだ。

周りがクセのある人が多いので埋もれがちだが、他の高校に行ったら間違えなくエースクラスだ。

 

そして次鋒の沢村智紀さん。

 

「ピキューン!!おもちセンサーに反応アリっ!!」

 

………玄は後で締めといておこう。

この人は一言で言えばデジタル打ち。

しかも和と同じレベルの高いデジタル打ち………和は確か副将戦だから灼先輩と沢山打ってほしいな。

 

そして………

 

「さぁ、麻雀を打とうではないか」

 

前年度MVP天江衣さん

 

練習相手にしては随分豪華なメンツね………

 

「それと連絡があったと思いますが、男子が2名ほど追加されますがよろしいですか?」

「えぇ、丁度12名で三卓できるので大丈夫です」

 

………男子か。

いやまぁ、見てる時間も勿体ないし、それなら打ってた方が練習になるよね。

 

扉から出てくると、1人目は

 

「本当にいいんすか?」

 

「デカッ!?」

「おぉー金髪だ」

「むむ、おもちセンサーが反応している、あの人もおもちを愛していると」

「玄ちゃん、ちょっとこっち来ようか」

「煩わし…」

 

「相変わらず京太郎は目立つな」

 

もう1人は至って普通の男子。

女子から見れば少し背が高いかな?

 

「では、紹介しますわ、県予選男子個人戦1位小高達也さんと個人戦2位の須賀京太郎さんですわ」

 

「今日はよろしくお願いします」

「どーも」

 

「個人戦一位と二位ッ!?」

「そうですわ、ついでにこの二人は」

 

龍門渕さんがもっといろいろと言おうとしたが、黒髪の方が龍門渕さんの口に手を当てる。

 

「まぁ、なんにせよ打ってからのお楽しみってやつだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

時は戻り、朝。

 

 

side京太郎

 

 

「ハギヨシさんすげぇな」

 

俺とハギヨシさんは龍門渕の庭の手入れをしているが、正直このバカ広い庭の手入れをハギヨシさん一人でやっているのだ。

 

「ここまでくると愛着ができてあまり苦労とか感じないですね」

 

など言っていたが流石に量が多いでしょ。

そして達也も手入れのお手伝いをするかと思いきやハギヨシさんに見学をしろという指示の為達也は動けない。

 

「いいんですかハギヨシさん?」

「小高君のことですか?」

「さっきから、これでもかってハギヨシさん睨んでますよ?」

「アレでいいんです、彼は少し休んだ方がいい」

「はぁ?」

 

正直俺はハギヨシさん意図が読めない。

そんな俺の顔を見てハギヨシさんは手を動かしながら語る。

 

「無意識を意識する、これは須賀君もやっていることですね」

「はい」

「私も意識してますが、常時それをやっている訳ではありません」

「………と言いますと?」

「つまり普通の時、私の場合は仕事の時は意識していますが、休み、つまり寝る時や就寝前とかは意識はしてません」

「ん?それって普通のことじゃないですか?」

「彼はその普通のことをしてないんですよ、………昨日の夜君達二人の部屋に入ったんですよ」

「えっ!?全然気が付きませんでした」

「勿論バレないように入ったんですが……彼は私が扉に触れた瞬間に起きましたよ」

「はぁ、でもそれってマズイんですか?」

「彼は寝ている間も無意識を意識してる、つまりほとんど休んでない状態なんですよ、聞くにはそれを数年前から続けているみたいですしね」

「えっ、じゃあ達也は」

「肉体的には身体を休むことができていますが………精神的には」

「それって結構マズイんじゃ」

 

思わず聞いてしまうが、ハギヨシさんは少し困ったような顔をする

 

「精神的に休めてないと言っても、本人の意思の強さによりますね」

「じゃあすぐに何か起きるって訳じゃないんですね」

「そうですが、早く改善した方がいいですね……………彼はどうして生き急いでいるんでしょう」

「はい?」

 

後半少し声が小さくて聞こえなかったので尋ねると

 

「いえ………龍門渕は男性が少ないので是非とも仲良くなりたいなと思っただけですよ」

「あはは、俺も達也もハギヨシさんのこと友達だと思ってますよ」

「それはとても嬉しいですね」

 

ハギヨシさんはニッコリ笑う。

その顔はとても晴れやかなものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………何故か朝の仕事をハブられた俺。

まぁ、何かしら意図があっての休めだと思うけどさ……

 

「小高さん?」

「はい、なんでしょうかお嬢様?」

 

と執事対応したら物凄く嫌な顔された。

 

「………なんですか、透華さん」

「えぇ、実は今日の予定に練習試合があるんですけど」

「練習試合ですか?」

「えぇ、是非とも参加してみませんこと?」

「………相手女子なんすよね?」

「そうですけど……問題でも?」

「いや、この時期にやるってことは多分相手全国決まってるチームっすよね?」

「えぇ、今回相手になるのは奈良の県代表ですわ、それがどうかしました?」

「いや、俺ら一応清澄じゃないすか?俺と京太郎が仮に打って、その情報がそのまま女子に流れるとか考えてないんすか?」

「………確認させていただきますわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(と言ったが、結局やることになった………男子だから舐めてるのか、それとも別の意図があるのか)」

 

ちらっと阿知賀の顧問の人を見ると向こうも俺と目が合った、とりあえず会釈しておく。

 

「(あの子が例の男子ね………)」

 

--赤土晴絵は手元の資料を見る

 

「(打点、速度、状況判断………どれも学生レベルじゃないわね………けど、少しほつれもあるわね)」

 

--達也の判断はほぼ正解だ。

赤土晴絵は達也を強いと言っても男子プロと同レベル、どんなに高く見積もっても「男子レベル」と見ている。

たしかに牌譜を見ると一方的に蹂躙しているが、ちょくちょく和了が噛み合わない感じがある。

赤土晴絵にとってそれは学生故の驕りだと思っている。

しかし実際は違う。

達也はチャンタシステムの見直しをしていたのだ。

長期の麻雀でチャンタシステムは多大なる効果を発揮する。

しかしそれは長期の麻雀。

短期決戦の麻雀では、速度と打点の高さは非常に重要だ。

インターハイルールでは赤ドラの多さ故に断么系が好まれる、それ故に達也は么九牌を落とした所を狙い打っていた。

しかしこのチャンタシステムにも弱点がある。

実際京太郎はそのチャンタシステムのスキをつき達也の連続和了を止めたのだ。

速度を上げつつ相手を縛り、その上自分は和了る

よりこのインターハイルールに適応した新たなシステムを構築している途中である。

 

「(まぁ本命は今日の龍門渕よ、この練習試合が少しでもみんなの糧になってほしいね)」

 

 

 

 

 

 

適当に空いた席を選び、席決めの牌をとる。

 

「よろしくお願いします」

「うっ、よろしく」

「よろしくねー」

「………よろしく」

 

俺の入った卓は阿知賀の新子さんと松実宥さん、龍門渕からは智紀さんだ。

 

新子さんは男子が苦手みたいだな。

うんで、松実宥さんは………

マフラーと厚手のセーターを着ていて寒そうにしている。

………今って7月の後半だよな?

 

「どうかしたの?」

 

ジッと見たら声をかけられた。

 

「いえ、寒いんですか?」

「ちょっと冷えるけど我慢出来ないほどじゃないよー」

「………そうですか」

 

この件について考えるのはやめよう。

 

「………ツッコミを放棄した」

「体質みたいなものなので気にしないでくれると助かるわ」

 

智紀さんには突っ込まれ、新子さんは苦笑いされる。

 

 

 

 

 

 

 

東一局 親 松実宥

 

「リーチ」

「ポン」

 

先制をしたのは智紀さん、そしてその牌をすかざすと鳴く新子さん。

………新子さんは鳴き麻雀か。

 

「ポン」

 

今度は松実さんの牌を鳴く。

 

「ツモ、役牌、ドラ2、1000、2000です」

「「「はい」」」

 

 

東二局 親 新子憧

 

「(とりあえず先制した、このまま一気に放すっ)」

「(うーん、親流されちゃったし、先制リーチでオリは引いたの失敗だったかな)」

「(………リー棒取られた)」

 

「あっ」

「ポン」

 

智紀さんが中を出したと同時に新子さんが声を上げ、松実さんが鳴く。

 

「(そっか、宥姉の特性を知らないからそりゃ中を普通にだすよね)」

「(久しぶりのあったかい牌鳴けた)」

 

そして2巡後

「ツモ、中、混一、ドラ1、2000、4000です」

「うぅ、親かぶり」

「ふふっ、お返しだよ」

 

 

東三局 親 沢村智紀

 

「ポン」

 

新子さんまた鳴いて来たか。

 

「チー」

 

智紀さんも鳴いてきたか、親の連荘狙いか。

 

「ロン、ダフ東、ドラ1、5800」

「はい」

 

松実さんが智紀さんの三面張に振り込む。

 

「一本場」

 

 

東三局 一本場 親 沢村智紀

 

「(そう簡単に離させてもらえないわね)」

「(うーん、普通に振り込んじゃったよ)」

「(………細かい麻雀になりそう)」

 

--東三局一本場は流局し親は流れた。

 

 

ここまでの点差

 

松実宥 24200

 

新子憧 28000

 

沢村智紀 24800

 

小高達也 24000

 

東四局 親 小高達也

 

「(さて、親はこの男子。県一位と言っても、ここまで焼き鳥ね)」

「(………ここまで一回も鳴いてないし、早和了りもしない………速度勝負はしないで打点の高い手を待ってるのかな?)」

「(………最初の山場が来た)」

 

9巡目

 

「リーチ」

「ポン」

 

--達也のリーチにすぐさま突っかかる憧。

そして切った牌は

 

「ロン、リーチ、平和、断么、一盃口、ドラ2………裏ドラ乗って跳満」

「うっわ、親っパネ」

 

--ここで達也が一気にトップに上がる

 

「一本場」

 

東四局一本場

 

「(うーわ、いきなり最下位転落よ、けどまだまだこれから)」

 

憧の第一打、1萬

 

「ポン」

 

--達也これをすかざす鳴く

 

「(ん、いきなり鳴かれた。けど私の手そこそこ速いわよ)」

 

智紀の第一打、西

 

「ポン」

 

--憧もこれをすぐに鳴く

 

そして次順

 

「チー」

 

--再び憧は鳴き、牌は切ると

 

「ロン、チャンタのみ、1800」

「うっ、はい」

 

--憧の溢れ牌がまた綺麗に達也に当たる。

 

東四局 二本場

 

「(なんか急に)」

 

「ロン、断么、ドラ3、二本場で12600」

「は、はいぃ」

 

東四局 三本場

 

「(連荘が)」

 

「ロン、役牌のみ、三本場で1900」

「………はい」

 

東四局 四本場

 

「(止まらないっ)」

 

「ロン、チャンタ、三色、四本場で4100」

「うっ、はい」

 

東四局 五本場

 

「(………あっという間にトビ寸前ね)」

「(連荘止まんないよ)」

「(………配牌が中々酷い)」

 

「ポン」

「ロン、役牌のみ五本場で3000」

「えっ、は、はい」

「(あの捨て牌だと、三面待ち捨てて単騎待ち………)」

「(憧ちゃんが鳴いてから振り込むなんてあんまりないのに、さっきからぴったり待ってるよ)」

「(………そろそろ阿知賀の人が飛ぶ)」

 

ここまで点数

 

松実宥 11800

 

新子憧 1100

 

沢村智紀 22900

 

小高達也 64400

 

東場四局 六本場

 

「あらら〜ここは憧がトビ寸前か」

 

先ほどまで、違う卓を見ていた阿知賀の監督。

新子さんの点数を見て簡単に感想を漏らす。

 

「(ありゃ、いつもだったら一言二言噛み付いてくるけど、そんな余裕もないか?………って六本場?ずいぶん連荘してるな)」

 

 

--赤土晴絵はそのまま新子憧の後ろに立つ。

 

「(全体的に真ん中寄りの牌が集まってるし、憧の得意の鳴き麻雀がでるかな)」

 

--ぱっと見で、8巡くらいで和了る形が見えてる。

 

「………ポン」

 

--憧はほんの少し悩んだが、宥の牌を鳴く

 

「(上家が宥だし、筒子、索子の牌が簡単に溢れるから憧もやりやすいでしょ)」

 

--あっという間に聴牌になる憧の手配………しかしまたしても切った牌は

 

「ロン、ダブ東、ドラ1、トビ終了だな」

 

--達也の当たり牌になる。

 

「(………多面待ちに取らずに単騎待ち………憧の溢れ牌を狙い打った?)」

 

 

 

 

 

 

東場で終わったか………周りを見るとまだまだ南入したばかりだし

 

「検討でも」

「どうして憧の溢れ牌が分かったの?」

 

しましょうか?という前に阿知賀の………赤土さんが声を掛ける。

なんか前にもこんなことあったな………

 

「………キズですよ」

「「「キズ?」」」

「あー、クセって意味よ、久しぶりにそういう言い回し聞いたわよ」

 

俺の周りだと、クセって言うよりもキズって言う人の方が多かったからな

 

「新子さんは普通のポン、チーは問題ない。手配から抜いてパンこれで終わり、だけどこんな形だとちょっと違う動きがでる」

 

簡単に牌を並べる

 

「例えば牌の並びが7、8、8、9、9の時、上家から索子8が出た時、新子の指は一瞬8の対子に指がかかる、一瞬ポンかチーか考えでるんだろうね、だから俺はそのどっちかの余り牌を待てばいいって話」

 

ポンならば7で待てばいいし、チーならば9で待てばいいただそれだけ。

 

「………でもそれだと鳴いた後で私の手配が分かるだけで私の余り牌を狙うことなんてできない」

「そこで新子さんの上家、松実宥さんの特性ですよ」

「………特性?」

 

智紀さんが頭を傾げる

 

「この卓に入ってから妙な違和感を感じてたんですよ」

「違和感?」

「はい、松実宥さんは手配に赤い牌が偏って引いてますね」

「………そうなの?」

「あったかい牌が来てくれるの〜」

 

とってもいい笑顔で言われるが智紀さんは少し手を顎において

 

「………とりあえずそう仮定しておく」

 

と言った。

原村さんみたいに「そんなオカルトありえませんっ!!」とは言わない。

まぁでも、本人もガチガチのデジタルだし根拠のない理論ってのが好きじゃないだろうな。

 

「本人も赤い牌を集めてるので必然的に索子や筒子などの牌が溢れる、そうなると新子さんも鳴く牌はほぼ索子か筒子になる、そこまで分かれば後は溢れそうな牌で待てばいいってことですよ」

 

--そして達也は多くは語らないが、女子特有のキズがある。

牌の整理だ。

達也が初めて清澄で打った麻雀で和の牌整理から手配を読みきり、溢れ牌を狙うという技。

これは何も原村和だけのキズではない。

言ってしまえば几帳面な性格の人物のキズである。

事実達也はこの半荘憧だけではなく、宥や智紀からの直撃をとっている。

何もこれは偶然ではなくほぼ狙った形の和了である。

この三人の共通点は几帳面な性格。

故に達也にとっては相手の手配はガラス張りのような物………それでどうやって負けるのだろうか?

 

 

「はーー、しかし良くもまぁたった一回の半荘、いや東風戦でそこまで分析できたわね」

「どーも」

 

赤土さんと会話してると周りも終わったみたいだな。

 

「一回検討しますか?」

「うーん、時間が勿体無いから全員打ってからにしようか」

 

とりあえず阿知賀の人全員と打つことになった。

 

 

 

 

 

 

「勝てない………!!」

「また衣の勝ちだー」

 

頭を突っ伏しているのは高鴨……じゃなくてシズ。

一度高鴨さんと呼んだら周りも見渡して「私かっ!?」と叫んだ。

それから本人から「シズ」と呼ぶようにと言われたのでシズと呼んでる。

 

シズは突っ伏した顔を上げて「もう一回お願いしますっ!!」と言うが、赤土さんが「一回検討してからねー」と言い雀卓からテーブルに移った。

 

「………ぶっちゃけ打ってみてどうだった?」

 

赤土さんが席について堂々と聞いてくる。

龍門渕との練習試合なので自然と視線は龍門渕の人達に集まる。

 

「正直な話厳しいですわね、チーム全体のポテンシャルの高さは認めますが、全国レベルかと言われると………」

「………奈良の晩成を倒したと言っても晩成がノーデータだったから」

「もし仮に決勝とかに晩成と当たってたら負けてたかもよ」

「まぁ、総じて言えばこのままだと全国一回戦負けだな」

 

容赦無い龍門渕のコメントが阿知賀のメンバーに次々と刺さる。

 

「あははこりゃ手厳しいね、男子の方はどうだったかな?」

 

赤土さんは俺と京太郎を見る。

京太郎に先に言えと目線で送ると口を開く。

 

「えっ、あー、うーん、自分も清澄で打ってますけど…うちの女子の方が手強いって感じましましたね」

「えっ、清澄っ!?」

「あー、そういや言ってなかったわね、この二人、清澄高校の男子麻雀部だよ」

「和がいる高校じゃんっ!?いいの私達の情報だだ漏れよっ!?」

 

新子さんが声を上げて文句を言うが。

 

「うーん、私も全国に行けたのは運が良かっただけだと思ってるの」

 

赤土さんがなんとも無いように言う。

 

「だから、運が良かっただけの阿知賀を見せても清澄側はあんまり得は無いかなーと思って男子の練習試合を受けたの」

 

だから男子の練習試合を受けたのか。

しかし、赤土さんの発言でより意気消沈する阿知賀のメンバー。

そんな中顔を下げない人が一人。

 

「全国行けたのが偶然でも運が良かったとしても…私は和と一緒に遊びたい、だからもっと私達と打ってくださいっ!!」

「………シズ」

「シズちゃん」

 

その目には諦めは無い。

どんなに可能性が低くとも、彼女は決して諦めることはしないだろう。

 

「(………どこはかとなく天さんと似てるんだよな、打ち筋というか、性格というか)」

 

彼女の打ち筋はまだまだ甘い所が多い。

そんな中でも、彼女の一打には諦めた一打は一つも無い。

どんなに点差が離れていても、どんなに負けを重ねても、彼女は勝ちを諦めることはしないだろう。

そんな一打一打に俺は天さんの面影が見える。

 

 

そしてその後も俺たちは彼女らと麻雀を打った。

 

 

 

 

そして龍門渕玄関前

 

 

「須賀君…いや京太郎君っ是非ともおもち同盟を結んでほしいっ!!」

「松実さん…いや玄さんっ、組みましょうっ!!おもち同盟をっ!!」

 

 

少し目を離した隙にいろいろと手遅れ感があるんだが………

 

「結局一回も勝てなかった」

 

頭をうな垂れ、自慢のポニーテールもしょんぼりしているシズ。

 

「県2位っても龍門渕は去年一年生だけで全国行ったようなチームだぜ?そう簡単には勝てねぇよ」

「でも清澄は勝ったんでしょ?」

「………まぁ今の阿知賀が清澄と同じレベルって言われたら違うとは言えるな」

「うぅ」

 

余計しょんぼりし始めたシズ。

ただでさえ低い身長も更に縮み完全に小学生に見える。

頭がいい位置あったのでつい手を置いて撫でてしまう。

 

「まっ、それでも可能性はある………原村さんと遊びたいんだろ?」

「うん」

「なら頑張れ、せっかく全国まで来たんだろ?当たる前に負けんじゃねえぞ?」

「うんっ!!」

 

しょんぼりしてた顔が急に元気よく頷く。

そのまま頭をぐりぐりと手に押し付けてくるからつい頭を撫でてしまう。

 

「うひひ」

 

撫でられて気分がいいのか、だらしなく笑う。

 

「ほーらシズ、いちゃいちゃするのはいいけどそろそろ帰りの支度するよ」

「んにゃ!?」

 

赤土さんがそう言うと顔を赤くして離れる。

「そんなじゃないって!!」と大声を出すが赤土さんは「はいはい」と軽く流す。

うーうーと唸っていたが、俺の視線に気付き

撫でられた頭をを抑えつつこっちをチラチラと見る。

 

「うんじゃ、全国でな」

「うん、全国でっ!!」

 

軽く手を挙げるとわざわざ近づいてきて手を叩きにくる。

 

「またねーー」

 

車から手を振ってくる阿知賀のメンバー

その手は俺たちが見えなくなるまで手を振り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

車の中 side穏乃

 

「龍門渕強かったねー」

 

疲れ気味に玄さんが言う。

確かに龍門渕の人達はみんな強かった。

 

「………でもあれに勝った清澄はもっと強い」

「それだけじゃないよ」

「それだけじゃない?」

 

宥さんの疑問に赤土さんが車を運転しながら言う。

 

「清澄の男子………と言うか小高君、今日打ってて感じたと思うけど正直あの子だけトッププロレベルだったね」

 

赤土さんがそう言うと車の中の空気は重くなった。

 

「小高君の卓に入ると絶対焼き鳥になる」

 

少しトラウマなのか涙目になってる玄さん

 

「あったかい牌じゃない時はとほとんど振り込んじゃった」

 

少し遠く見つめる宥さん

 

「………鳴いて切った牌がほとんど当たり牌」

 

憧は不機嫌そうに言う。

 

「降りるたびに当たり牌だった」

 

灼さんは牌譜を確認しつつ語る。

 

「毎日トッププロレベルの子と打ってる清澄だよ、間違いなく県予選より強くなってる」

「………アレと毎日打ってればそりゃ強くなるわ」

「でもこっちにもハルちゃんがいる」

「期待してくれるのは嬉しいけど流石にアレは別格よ、………でも不思議と何にも感じなかったんだよなー」

「私もですー」

 

と玄さんは同意するが

 

「えっ、ものすごく感じましたよっ!!」

 

私は否定する。

 

「もー、すっごいすっごい大きな空って感じですよ」

 

身振り手振りで伝えるが皆はあまりいい反応はしない。

 

「それより私はアンタがあの男子とイチャイチャしてたほうが驚きだったわ」

「ちっ、ちがうし別にイチャイチャなんか」

 

突然憧がそんなこと言うから変にキョッドたら、皆好き放題に言ってくる。

 

「ねー、シズちゃん撫でて貰いたくて頭押し付けてたし」

「見てて心があったかくなっちゃった」

「………惚れた?」

「おー、ついにシズも恋をするようになったかー」

「だからそんなんじゃないって!!」

 

その後も皆私の反応が楽しいのか好き放題言われた………

 

でも、また会いたいな。

 

 




………皆の言いたいことは分かります。

それでもあえて言おう、「作者はロリコンではありませんっ!!」

いや、分かるっ!!
明らかに小さいキャラばかりに好かれてる主人公。
作者も正直どうしてこうなったよく分かってない←無自覚なロリコン疑惑
でも阿知賀に限っては悩みました。
ただ阿知賀には有名なSSが多く存在しており、その中でも筆頭ヒロインは憧ですっ!!
そんな有名所と同じような感じになるかもしれないっ!!
故に作者は憧には手は出せないっ!!
松実姉妹に至ってはクロチャーのせいで京太郎絡みになる。
灼さんのヒロインは赤土さんです(迫真)
ハルちゃんのヒロインはすこやんです(レイプ目)

だから、仕方なくシズ?

正直に言いましょう。

シズが焦って否定してる所想像したら可愛かったので採用しました。

ツンではなく、顔を赤くしながらも、「ちっ、ちがうし」と一生懸命否定するシズが書きたいが故にシズにしました。
可愛いは正義いいね?





作者のとてつもなくどうでもいい話。

二十八話を投稿して数日くらい経ってからランキングを見るとなんと自分の作品が載ってたんですよ。
作者は嬉しいという感情よりもヤバイという感情が湧き出ましたね。
これで、「この作品めっちゃつまらん」とか「読みづらいから書くな」とか「お前の机ねーからっ!!」とか書かれたどうしようって日々悶々としてましたね。
増える感想欄、見たくないという感情、しかし気になるという現実。
まぁ、普通に見ましたけど、うわー恐いわーって感じでしたね。
しかし、想定してた罵詈雑言はなく、「これ間違っとるでー」とか「ここ、こうした方がええやん」などが多く寄せられてきました。
そんな中に「応援してます」とか「頑張ってください」という言葉には作者は「ふひひー」と気持ち悪く笑っています。

まぁ、何が言いたいかと言うと

感想書いてくれて誠にありがとうございましたっ!!

作者は基本アホなので普通に誤字脱字しますし、読みづらい書き方をしてしまいます、なので「アレここ変やなー」とか「アレ?間違っとるで」と思ったら即感想欄に書いてください、一生懸命修正しますっ!!

作者はランキング欄に自分の作品が載ると胃が痛くなりますが、他の咲作品とかが載ると「おおー頑張れー」ってなりますね。
咲も天も超有名な作品ではないですけど、ランキングに載ると「ちょっとでもいろんな人に知れたらいいなー」とは思ってます。
目指せランキング10位←作者の最高が22位くらい………多分。

ここまで読んでくださり本当にありがとうございましたっ!!
感想や評価等お待ちしておりますっ!!


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三十話

なんやかんや三十話行きました。


南大阪

 

side愛宕洋榎

 

「暇やな」

 

ベットの上に大の字になり天井をボーっと見る。

今日の部活は早めに終わってしまい、私はとにかく暇を持て余してた。

手元にある各全国出場校の中堅戦の牌譜を一通り目を通して、一つ一つに傾向と対策を考えていたが、流石に疲れたし、飽きた。

花の女子高生が牌譜だけで休みを潰すなんてもったいない。

 

「あー、晩ご飯までどうするかー」

 

ベットでゴロゴロとするのはなー。

 

「うっし、歩くかっ!!」

 

晩ご飯までにお腹を減らして待つ為に歩く。

うんで、歩いて途中なんか思いつくやろ。

 

そう考えたら部屋着からパッと着替える。

正直、ジャージが楽なのに外に出るたびに周りが止めるからなー

 

「しゃー、なんか出会いあるやろー」

 

とりあえずテンションを上げとけば良い事あるかもしれんしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

家を出てある程度歩くと思った。

 

 

「飽きたっ!!」

 

ーーわずか15分の出来事である。

 

「歩いたらお腹減るとか阿呆かウチは」

 

夕飯まで時間は腐るほどある、それまでどう時間を潰しながら歩いていると、この辺に見かけない顔いる。

 

手に手帳を持ちつつ、キョロキョロと周りを見ているところ、家を探していると見た。

 

「おっ、兄ちゃん迷子か?」

「あっ、はい、ちょっとこの辺は初めてで」

 

イントネーション的に大阪の人ではないと分かった。

標準語で綺麗な発音で返すし。

 

「なんやこの辺は初めてか?ウチがガイド役やってもええで」

 

兄ちゃんが持ってる手帳から住所を見て、少し考える。

 

あそこには………

 

難しい顔していると、兄ちゃんから声がかかる。

 

「あー、もしかして」

「いや、分かるわ………僧我さんのとこやろ」

 

オカンから近寄るなと言われている。

いい噂は聞かないし………

 

「まー、ガイドしてやるって言ったからにはちゃんとやるわ」

「よろしくお願いしますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別に迷子になっていた訳じゃないが、ガイドしてくれると言ってくれるなら素直にそうさせてもらおう。

 

んで、ガイドをしてくれるこの人は姫松高校の中堅の人だよな?

他人の空似というものもあるから、聞けずにいるが目の前の少女を見て確信した。

 

「おねーちゃんなにやっとんの?」

「ちょいと道案内や」

 

愛宕絹恵さん

姫松高校の副将として今大会出場している。

となると、やっぱり愛宕姉妹か。

 

「ねぇ、おねーちゃん?私の記憶が正しければその男子」

「おっ、なんや絹、見ず知らずの男子に一目惚れか?」

「ちゃうわっ!!その男子、長野代表選手ちゃうのっ!?」

「長野代表?………そうなのか?」

 

疑問の視線を受けたので肯定はしておく。

 

「そうですよ、となるとそちらは愛宕姉妹ですかね?」

「一括りにされるのは癪やけど、まぁそうやな」

 

愛宕さん………絹恵さんは苦笑いしてから尋ねる。

 

「………小高君はどうして大阪に?」

「あー、ちょいと野暮用ですよ」

「なんや教えてくれてもええやんー」

「………強いて言うなら麻雀を打ちにきましたね」

 

そう言うと洋榎さんはニヤリと笑う。

 

「せっかくやから私も打ってええか?」

「ちょ、おねーちゃんっ!?」

「ええやん、メンツがいるならまた後日にするけど」

 

打つことは確定なのか。

だが、それはそれで丁度いい。

 

「いいですよ、2人いれば4人になりますし」

「ならちょうどええやん、絹行こーや」

「えっ、でも小高君どっかに行くって」

「そこで打つんですよ」

 

そう言うと、洋榎さんは苦虫を潰したような顔でコソッと絹恵さんに耳打ちをする。

 

「どうしたのおねーちゃん?」

「いやな、打つ場所が僧我さんの家らしいんよ」

「えっ、オカンに近寄るなって言われとるやん」

「まぁな、でも折角長野代表と打てるし、僧我さんの家で麻雀するだけやし…」

「最悪、小高君に守ってもらうのもアリやな」

 

 

なんか随分と警戒されてるけど、まぁ無理はないか、なんだってあの「僧我三威」なんだから。

 

 

 

 

 

 

 

「ここや」

 

敷地が馬鹿広いなんてことはない、ただ見た目が、いかにもヤクザが居そうなお屋敷と言えば分かりやすい。

 

「ちょくちょく厳つい兄ちゃんがこのお屋敷の中に入る噂があるんやけど、小高君ホンマに大丈夫?」

 

心配そうにこっちを見る絹恵さん。

 

「大丈夫っすよ、下手な事をしなきゃとって食われることはありませんから」

「下手な事したら食われるん!?」

「ええ、小指一本覚悟してください」

 

俺がニッコリ笑うと、絹恵さんは涙目になり洋榎さんの腕を取る。

 

「おねーちゃんっ!!やっぱり帰ろうよっ!!」

 

腕を取られながらも、その目は玄関前を見ている。

 

「絹、ここまで来て下がるなんて出来へん、女は度胸っ!!全ツッパや!!」

「お、おねーちゃん………」

 

絹恵さんは、洋榎さんの覚悟を感じとったのか、腕を取ることはしなくなる。

大きく息を吸い、吐き、そして目の前玄関をじっとみる。

覚悟は決まったみたいだな。

 

「まぁ、嘘ですけど」

 

「「嘘かいっ!!」」

 

おお、本場のノリツッコミだ。

 

「多分想像したような場所じゃないのは確かですよ」

「ウチ小高君の言うことが信じられへんやけど」

 

ジト目で見られるが、インターホンを鳴らす。

 

「はいはい」

 

出てきたのは、割烹着をきた女中さんみたいな人。

 

「今日はどのようなご用件で?」

「ちょっと、僧我さんに会いにきました、赤…小高が来たと言えば分かります」

「小高さんですね」

 

そう言うとそそっと奥の方へ行ってしまった。

 

「なんか旅館みたいな感じやな」

「女中さんみたいな人もいたしな」

「お手伝いさんというか家政婦かな?」

 

流石にこの広い部屋を一人で維持するのは無理だろうし

とか考えると、足音立てずに先ほどの女性が来た。

 

「確認取れました、後ろの方はお友達でしょうか?」

「そんな所です」

「では奥の部屋まで連れていきますんで」

「どーも」

 

長い廊下を付いて行くと、女性に声を掛けられる。

 

「今日の僧我さん凄く機嫌がいいんですよ、いつもはしかめっ面とか哀愁漂う感じの雰囲気なのに」

「らしいですね」

「なのに今日は、「そうか、悪りぃが卓の準備しとけ」って言うんですよ」

「それ機嫌いいんですか?」

「機嫌がいいんですよ」

 

そうこう話しているうちに奥の部屋らしき所に着く。

前を歩いてた女性は「さっきのは内緒でお願いしますよ」と言って離れていった。

 

躊躇いもなく襖を開けたら、その男は座っていた。

視線は最初に俺を見ていたが、すぐに後ろの方に向かう。

 

「なんや、彼女でも連れてきたんか?」

「まさか、じーちゃんと麻雀打ちたいから、メンツを呼んでおいたの」

「けっ、そいつら相手になんのか?」

 

いきなり、そんな事を言うので後ろの二人はムッとした表情になる。

 

「なんや、じーさんは知らんかもしらんが、こっちは姫松のエースと副将張ってる愛宕姉妹や」

「そやそや」

「愛宕姉妹?よーするに高校生なんやろ?」

「麻雀は歳がいってるから強いとは限らんで」

 

初対面でメンチ切りあうとか………

まぁ、会話が面白いから放置するけど。

 

「まぁ、言葉で語るより打ってみたほうがいいんじゃないですか?」

「そうや、じーさんに吠え面かかせたるで」

「けっ、よー吠える女やの」

 

近況報告とかは別に後回しでいいか。

 

 

 

 

 

 

 

半荘戦、インターハイルール

 

東一局 親 小高達也

 

「(なんか久々に起家だな、うんでラス親がじーちゃんか………)」

「(ん、なんや?男二人は理牌しとらんな)」

「(おぉ、配牌イーシャンテンか、中々ええやん)」

 

「そーいや、じーちゃん?」

「わかっとるわい」

 

ちらりと目を合わせると、肩をすくめながら言う。

ヒラで打つように先に釘を刺しておかないと、当然のようにサマするからな。

 

………さて、どうやってこの人を倒そうか。

 

 

 

side 愛宕絹恵

 

「(よし張ったで)」

 

--東一局意外にも一番速くに張ったのは愛宕絹。

待ちは、3-6-9索の三面待ち。

 

「(普段ならリーチかけてもええけど、おねーちゃん居るし、何より大会放銃率0の小高君も居る、ココはダマや)」

 

--牌は曲げずに、ダマテン。

しかし、索子が中々出ない。

 

「(くっ、結構巡目が速かったのにテンパイされたの気づかれた)」

 

--そして、流局。

 

「テンパイ」

「テンパイや」

 

--形テンだが、愛宕洋榎もテンパイしている。

 

「ノーテン」

「ワシもノーテンや」

 

「(なんや、散々煽ったクセして結局オリかいな)」

 

--姉との会話で、僧我にあまりいい印象を持たない愛宕絹恵。

しかし、二人のノーテン発言にジッと捨て牌を見る愛宕洋榎。

 

「テンパイ料とらんでええんか?」

「さぁ、どうでしょう」

「なんや、そこそこできるみたいやな」

 

--そう言い、二人は手配を崩す。

 

「(もしかしてあの2人張ってたん?なのにノーテン発言って………訳わからん)」

 

 

東2局 親 愛宕洋榎

 

side愛宕洋榎

 

「(こりゃ、もしかして相当ヤバいかもな)」

 

--前局の捨て牌、途中から達也、僧我は全て手出しで出していた。

無論これはオリる為の手出しではない。

お互いが溢れ牌を狙うという離れ業である。

 

前局、張っていた僧我だが達也の当たり牌を引いて、待ちをチェンジ。

そして次のツモに今度は達也が僧我の当たり牌を引いて、テンパイを崩し、次順で張り直す、そしてまたもや当たり牌を掴んだ僧我は今度は単騎待ちに移行。

そんな応酬を繰り返していた二人。

 

「(絹のダマテンを当然のように看破しつつ、お互いの溢れ牌を狙う………しかもそこまでやっといて2人ともノーテンと言い張る意地の張り合い)」

 

--思わず洋榎の身体が震える。

もちろんこの震えは恐怖からの震えではない。

目の前で高レベルなやりとりとお互いの意地の張り合いを感じ取っての武者震い。

自分より明らかに上のプレーを見て、子供のように憧れる目をしている。

 

「(なんやそれめっちゃカッコええやん!!)」

 

--しかし、それと同時に感じる疎外感。

確かに2人の高度な駆け引きには痺れるものがあったが、それはあくま2人の勝負。

洋榎の熱が急速に冷めていく。

 

「(つまり、ウチらは数合わせってことか?………ええやろ、実力が足りんことは認めよ、それでも麻雀は4人でやるもんや)」

 

「出端くじきリーチっ!!」

「うっさい小娘やの」

「これが若さやっ!!」

 

--5巡目のリーチ、捨て牌も字牌と么九牌で読みづらい親のリーチ。

待ちは辺張3筒。

………しかし

 

「(やっぱり出んか)」

 

--まるで動揺無しと言わんばかりに2人は牌を切る。

しかも、6〜9筒は普通に切るのに3筒は出さない徹底ぶり。

………そして

 

「ツモ 700 1300」

 

--あっさりと達也がツモる

 

「なんや、リーチかけへんのか」

「3筒がまだ山にあった気がしてね」

 

それでリーチしなかったんか………

まぁ、リー棒と親っかぶりやけど、まだ大丈夫や。

 

 

東3局 親 愛宕絹恵

 

「(土台は整えた。後は俺の運だな)」

 

--そして舞い降りるチャンス。

 

「(配牌でドラの3萬が対子に、萬子が偏ってる流れ………ここだ)」

 

--しかし6順目

 

「リーチです」

「ポン」

 

「(絹の一発消しとくか)」

「(親のリーチ………関係ないな)」

 

--9順目、門前、混一、中ドラ2のハネ満テンパイ

しかし、達也ここで中を落とす。

そして次順、5萬を引いてくる。

もしここで達也が中をおとさなかったら、ツモっていた。

が、次順再テンパイっ

 

「(チンイツドラ2………)」

 

--河に中が三つ並ぶ異様な捨て牌。

 

「うっ!?」

 

--そして、その当たり牌5萬が絹恵から溢れる。

………だが達也、これをスルー

 

「(なんやまだ張ってないんか?)

「(違うワザと見逃したんや………一撃で吹っ飛ばす為に)」

 

--達也の狙いは僧我ただ一人。

東場で僧我を打ち取るためにスルー。

 

「(点棒がぶっちぎりで離れていても、ラス親があの僧我三威だぞ?必ず何か起きる………ならこの東場で決める)」

 

--そして、僧我はツモる。

達也の当たり牌8萬を。

………しかしこれは。

 

「同順で当たらんの」

 

--8萬の合わせ打ち。

 

「(まだだ、まだ道はある)」

 

--次順、達也のこのツモによる張るっ!!

達也、九蓮宝燈テンパイっ!!

1、4、2萬待ち!1なら九蓮宝燈………役満っ!!

だがあと一歩が来ない………

 

「(ツモはあと二回)」

 

--しかしここで達也2萬を引く……ッ!!

三倍満ツモ……ッ!!僧我に6000を与え、さらに大きく点棒に差がつく三倍満ツモ……ッ!!

 

が、達也ここで和了らない……ッ!!

 

ツモ切りっ!!

 

達也和了らず見逃し……ッ!!

 

本来ならあり得ないツモ切り、しかもこれで達也はフリテンになり僧我への直撃も出来ない。

仮に次順1萬をツモって九蓮宝燈にしたとしても、僧我に与えるダメージは8000で大して変わらない。

言うなればただの暴挙っ!!

 

そして愛宕洋榎が1萬をツモり………九蓮宝燈の目が消える。

 

そして僧我が引いたのは9萬、普段なら切れない牌………しかし、達也のフリテン確定を読み切り、なおかつ、これを切ればテンパイという形。

 

「(くっくっ、あくまでワシから直撃をこだわるのか?それなら三倍満も捨ててええ?さすがにそれは暴挙じゃないか?)」

 

--ほんの僅かな隙と、テンパイを取りたいという一種の思考停止状態。

そこを達也は見逃さないっ!!

僧我の捨てた牌は9萬

 

「………カン」

「……っ!?」

「インターハイルールだと、大明カンからの責任払いがあるけど、忘れてないよね」

 

--鉄壁だった僧我の防御の僅かなスキを突く、逆転の大明カン。

カンさせた責任払いで僧我に16000の直撃………カンドラに8萬があれば三倍満でトビ

 

しかし、4萬は達也に一枚、僧我に一枚、愛宕絹に一枚使っている。

現実的にはほぼあり得ない可能性。

仮にツモってもカンドラが乗るという可能性がある訳ではない。

 

が、達也はこれに賭けた。

 

「(………風の噂で赤木さんが有名になった対局の最後は大明カンの責任払いで決まったとか言ったけ?

なら、今の俺は届いているかな?

あの人領域に………いや、届かせるんだ神域って言われてたあの人の領域にっ!!)」

 

「………清一色、嶺上開花、ドラ6枚三倍満でトビですね」

「………そうかトビか」

 

 

 

 

 

 

 

 

side僧我

 

あの後、軽い近況報告を貰って、達也を帰らせた。

泊まらせてやってもよかったが、連れてきた愛宕姉妹に自分の家に無理矢理泊まらせられるみたいやし、負けた腹いせに盛大にからかってやったわ。

 

 

 

………ワシも歳だから「自分の死」については考える。

赤木に死なないように頼んだのに、自分も赤木のように案外あっさり死にたいと思っている自分もいる。

だが、それは駄目だ。

それに、赤木が出来なかったことをしたい。

 

「赤木、残念だったなガキの成長を見れなくて、奴は大きくなったぞ」

 

夜空に向かってつぶやく。

 

自分のガキを見届ける。

赤木しげるが唯一出来なかったことだ。

 

 




次回
「やっぱり唐揚げにレモンはつけへんよな〜?」
「えっ?」
「あぁん?」
「アッハイ」
「まさか男連れてくるとはかーちゃん驚いたわ」

みたいな話。
はいウソです。一文字も次回の話書いてないです。徹夜で書いたから深夜テンションなんです。

ということで大変お待たせしましたっ!!

多分1ヶ月も投稿してないから「ついに作者は失踪したか」とか思ったでしょう。
大丈夫です、作者もこのまま失踪したくなるレベルでリアルが忙しかったです。
………いや、本当だよ?
引っ越し準備とか手続きとか色々あって大変だったんですよ?

とまぁ、読者さんからすれば「作者の事情なんか知るか、はよ新作出せや」ってなりますよね?
まぁ、ぶっちゃけ今年は普通に忙しくなる年なんで、もしかしたら投稿が予想以上に遅れる疑惑が立ってます。
でもなんとか完結するように頑張るんで長ーい目で見てください。




作者のどうでも良い話。

随分前の話なんですが、前回の後書きで「目指せランキング10位」とか言ったじゃないですか。
それで次の日にランキング見るじゃないですか?

何故か1位になっているこの作品………

リアルで「ファッ!?」ってなりましたよ。
「いやいやいやいや、えっ、なんで?馬鹿なの?」ってなりましたよ。
「えっ、絶対誹謗中傷コメント来るじゃん、あっ無理死んだ」ってなりましたよ。
「どーせ読みづらいとか、面白くないとか来るんだろうなー」とか思いましたよ。

まぁ、何が言いたいかと言うと

「あまりのプレッシャーで胃薬飲みました」

だってさ、1位ですよ?1位。
人生の中で何かで1番をとったことがない人間が1位とっちゃったんですよ?
そりゃ死にたくなりますよ。
現状のランキングは「俺ガイル」「ダン間違」「艦これ」「Fate」などなどの超有名作品がランキングを占めていて、ちょくちょくマイナー作品がランキング入りをしているのが現状です。
もちろんタイトルだけじゃなくて、その作品のクオリティが高いからこそランキングに入ったりします。
なのに「咲」や「天」というマイナーに近い作品。
しかも誤字しか打たない作者の作品が日間1位ですよ?
読者の皆さんも気づき始めましたか?「あれおかしくね?」って………

まぁここまで言ってアレなんですが…………

「ものすごく嬉しかったです」

胃が痛い中でも、それでも嬉しいっていう感情はあります。
だから作者も続けようって気持ちになります。
実際批評コメントがゼロだった訳じゃありません。
この作品がランキング入りするようなクオリティが高い作品でもないです。
でも見てくれてる人が居て、コメントをくれる人が居るとなんとなく続きを書く気力になります。
完結までの道はまだまだ先ですけど、ゆっくりのんびりと書き続けて行きたいです。

ここまで呼んでくださりありがとうございましたっ!!
評価や感想等お待ちしておりますっ!!


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三一話


おまたせしました。


 

僧我のじーさんの家で1日泊まる予定なのに負けた腹いせで泊めらせてくれないので、洋榎さんのご厚意で泊めさせて貰うことになった。

 

「ウチのおかーちゃんの唐揚げは絶品やから楽しみしといてな」

 

隣で笑いながら言うが

 

「………それより普通に男子を家に上げるんやな」

 

まぁ、これが普通の反応だ、女子が簡単に家に泊めるのはそれなりに問題だとおもうが。

 

「なんや絹、そんなに意識しとるんか?」

「ちゃうわっ!!………というかおねーちゃん、おかーちゃんに言ったの?」

「友達が泊まるって言っといたでっ!!」

「友達って………まぁ、ええか」

 

少しだけ不安になったんだが………洋榎さんの家に着いてしまう。

 

「「ただいまー」」

「お邪魔します」

「おかえり、友達呼んだらしい……って、男かいっ!!」

「ほらこうなる」

 

普通娘が友達呼んだと言えば同性だとおもうのが普通だ。

 

「えっと、やっぱりやめときます?」

 

俺が洋榎さんに尋ねると

「おかーちゃん別にええやろ?」

 

そうは言うが親に許可されないと………

 

「まぁ、別にええけど………で、どっちの彼氏なん?」

 

にやにやしながら、そう尋ねると

 

「あー、そういうのとはちゃうで」

「彼氏ちゃうわっ!!」

「(絹の方がおもろい反応するなー、連れてきたのは洋榎っぽいのに)」

 

--静かに分析する愛宕雅枝

 

「まっ、それはともかく夕飯にするで………とその前に、私まだアンタの名前聞いとらんわ」

「小高達也です」

「ほら、男子の個人戦でアホみたいな成績叩き出した」

「………へぇ、あの馬鹿げた記録をだした、でもなんで大阪に来たんや?確か長野代表やろ?」

「いろいろと報告みたいなものですよ」

「………ふーん、まっ、洋榎が連れてきたんや、夕飯終わったら一局頼むで」

「夕飯終わりの三麻や!!」

「今日は四人いるから普通にできるけどなー」

 

麻雀大好き一家だな。

 

 

 

夕飯を食べ終えて、麻雀をそこそこ打ち検討に入っている。

 

「なぁ、おねーちゃんなんでこのダマテン躱せんたん?」

「うーん?勘やな」

「またか………んでもって、小高君はどうしてここでおねーちゃんの染め手に対して危険牌のドラ打ちなんや?しかも手配に関係ないチャンタの手で」

「このタイミングでドラ打ちすれば、誰か降りると思いましてね、そこを狙い打ち」

 

そう言うと、絹恵さんは「うわーこっちも頭おかしい」と言い、聞いてた雅枝さんは苦笑する。

 

「案の定、絹が振り込んだと、………発想はええけど洋榎に振り込む可能性は考慮しなかったんか?」

「当てずっぽうとか、一か八かが好きなんですよ」

 

分の悪い賭けが好きな訳じゃない。

ただ、確証のない場、理が通じない場、そんな場面に自分の感性や感覚に身をまかせる。

そんなギャンブル好きな性質。

 

「そんな考えで放銃0の記録なのもおかしな話やな」

 

呆れ気味に洋榎さんは言うが、この人も俺と同類だ。

理がない場面で自分の感性や感覚に身を任せることが出来る人間だ。

 

「でもウチもそんな感じやからなー」

「俺も思いましたよ」

 

そう言い彼女と俺は笑う。

その後も検討を続けて、ひと段落した所で雅枝さんから声をかけられる。

 

「なぁ、小高くんは明日は暇なのか?」

「あー、そうですね、さっきまで予定があったんですけどね」

 

原田さんに挨拶をしに行こうと思ったが、どうやら急な仕事が入ったらしく大阪に居ないらしい。

なので、明日の予定がポッカリ空いてしまった。

 

「ちゅうことは暇ってことやな………なら千里山に来てくれへん?」

「千里山ですか?」

 

確か女子の全国ランキング2位の学校だっけ?

 

「あっ、おかーちゃんズルいっ!!」

「それより千里山って女子校やん、ええの?」

「どーせ夏休み中やし、かまへんやろ」

 

というか、さっきから気になっていたが、もしかして。

 

「雅枝さんって、千里山の監督なんですか?」

「そや、言ってなかったっけ?」

「言ってませんよ………でもまぁ、せっかく泊まらせていただいのでいいですよ」

 

俺がそう言うと隣の洋榎さんが、こっちをじっと見る。

少し不機嫌そうに見えるのは決してタレ目のせいだけではない気がする。

 

「ということは、ウチの高校……姫松にも来るってことやな?」

「ちょ、ちょ、おねーちゃんそんな勝手に」

「ええやん、練習になるし、千里山だけズルいやんけ」

「こらこら先に予定を組んだのはおかーちゃんやで」

 

わざわざ近くに来て腕を取り、肩に顎を乗せ流れるように手を恋人繋ぎをされ、一瞬フリーズする。

 

「な?明日は千里山に行こな」

 

ふわりと甘い香りと女性特有の柔らかさ、しかもかなり密着しているので、腕に暖かく、柔らかい感触が当たる。

 

「分かりましたから、離れてくださいね」

 

心の動揺は見せずに離れてもらう、その反応の無さに雅枝さんは一瞬怪訝な顔したが、すぐニンマリ笑って「ポーカーフェイスが上手やな」と俺にしか聞こえないように言い、離れる。

 

「おかーちゃんっ、恥ずかしいからそんなことせんといてよっ!!」

「いやー、普段女子校におるから、ついな」

「お父ちゃんが聞いたら泣くで」

「はいはい、二人ともお風呂入ってさっさと寝なさい」

「そうやって話をそらしてっ!!」

 

 

そうこう言いながら、俺は愛宕家で1日過ごした。

 

 

 

 

 

翌日

 

「女子校に行く気分はどうや?」

「夏休みで人が少ないのが幸いです」

 

女子校に男子がいるだけ視線をかなり集める。

ある程度年齢を取った男性なら教師や事務の人など考えられるが、残念ながらそこまで大人びた顔ではない。

 

「ここで、ちょいと待っててな」

 

部室と思われる所で少し待つ。

雅枝さんが先に入ると、大きな挨拶が部室から聞こえてくる。

 

「(随分と体育系だな…ここって麻雀部だよな?)」

 

一瞬そう思ってしまったが、すぐに納得もした。

 

「(強豪校だからこそ色々と目立つんだろうな、一人でも馬鹿な輩がいたら全体の評価が落ちるし)」

 

組を持っている原田さんが組の規律のことで少し愚痴ってたの思い出した。

 

「入ってええでー」

 

部屋の中から声がかかる。

声の大きさからして、結構な人数がいるだろうな………

 

「失礼します」

 

部室に入ると、この学校に入った時とは比にならないくらい視線が集まる。

そして同時に感じる、相手の困惑、疑問の感情。

 

「(赤木さんの付き人をやってた最初の頃を思い出すな………)」

 

ほんの少しざわついた部室だが、雅枝さんが「静かにせぇ」と言うと教室は静寂に包まれる。

 

「今日呼んだのは、長野男子代表の小高君や………知らん奴は大多数だから、今から渡す小高君の公式戦の記録と牌譜をプリントを渡す」

 

いつの間にか作られていたプリントを部員に回す。

そしてまた部室はざわめく。

「放銃率0ってなんちゅう守備力や」「それよか園城寺先輩より一発率高いってなんやねん」「守備型って思ったんやけど、連荘記録も持ってるとか………」「えっ、小鍛冶プロ越えしてるん!?」

 

最初と同じように困惑の感情が見えてくる。

雅枝さんもこのざわつきは止めずに声をかける。

 

「小高君にはスタメンを中心に打ってもらう、後ろで牌譜とってる人は一打も見逃がすんじゃないよ」

「「はいっ!!」」

 

 

そのまま雅枝さんに連れていかれ卓に座る。

そして直ぐに他の席も埋まる。

 

「先鋒の園城寺怜や、よろしく」

「ウチは部長の清水谷竜華や、竜華でええで」

「江口セーラや、お手柔らかに」

 

当然のように3人は一番最初に座った。

………つまりここのトップ3ってことか。

 

「よろしくお願いします」

 

 

 

 

side雅枝

 

「なんというか………蹂躙したなぁ」

 

昨日家でも打ったが、ここで打った麻雀は蹂躙というしか他ない。

 

昨日の家族麻雀は正直家族全員で小高君を抑えにいっても止められへん。

しかもウチが入ってあれやもんなー

いくらウチのトップ3でも流石に………

 

「おー、怜生きとる?」

「………生きとるでー」

「突っ伏しながら言っても説得力ないで」

 

最後に怜を飛ばして終了か………セーラの和了り牌を見逃してねぇ………

 

「ん、なんや山越しか?」

 

セーラが小高君の和了りの形を見て聞いてみるが。

 

「園城寺さんが辛そうでしたから」

 

と彼はなんともないように返す。

 

「年下から気を遣われて飛ばされるウチはなんて返せばええの?」

 

ズーンと違う意味で突っ伏しとる。

 

「春はぶつからなかったけど、夏のあの宮永照とぶつかるからな、格上相手と打たへんとアレには勝てへんで」

「監督、宮永照って小高君より強いんか?」

「………まぁ、強い奴と打って損はないやろ」

「これより強かったらウチ小高君と結婚するんや………」

「雑な死亡フラグやなぁ」

「しかも俺が相手なんですか」

「小高君………ここ女子校だから男子の知り合いなんて全然居ないんやで」

 

怜だけではなく、他の部員も遠い目をし始める。

青春を全部麻雀に振りこんどるからな、「男子」っていう存在に憧れとか持ってる奴とか多そうやな、ウチ女子校だし。

それにプロになると婚期が遅くなるジンクスもあるし………あー、早めに結婚して良かった

 

「怜まだ行けそうか?」

「余裕のよっちゃんです」

「なら十万点でやろか?」

「すいません嘘です、あと半荘2回くらいが限界です」

「ならあと半荘3回やな」

 

私がそう言うと「ですよねー」と怜は遠い目をする。

 

「うんじゃ、次は泉と浩子が入って怜はそのままや」

「同じ一年の泉です」

「2年の舟久保浩子や、先輩からは舟Qって呼ばれてるから気をつけてな」

「よろしくお願いします」

「小高君ガンガン頼むで」

 

………その後もウチのレギュラーをトバしまくり、レギュラーが精神的に折れそうになったので午前で切り上げてしもうた。

 

 

 

 

side達也

 

「えーと大丈夫ですか?」

「「「無理」」」

 

彼女らは雀卓に突っ伏しながら声を揃えて言う。

6回半荘戦をやったがまだまだ打てる。

 

「せめて一呼吸は打ちたかったかな」

「………一呼吸ってどんくらいなの」

 

途中から後ろでずっと見てた園城寺さんが聞いてくる。

 

「10荘か、20荘くらいですかね」

「それを一呼吸って言う小高君が怖いわ」

「短期決戦も面白いですけどやっぱり1日かけてやる麻雀も好きなんですよ」

「………それ絶対やりたくないわ」

「よく言われます」

 

役目も果たしたし、帰りの支度をしようとしたら雅枝さんが他の先生と話をしている。

 

「あー、ごめんな小高君ちょいとウチ今からちょいと仕事するから遅くなるけどええ?」

「大丈夫ですよ、どれくらいかかりますか?」

「んー、だいたい4時くらいになるから適当にぶらぶらしてええよ、流石に女子校でずっと待ってろって言ったら嫌やろ?」

「お言葉に甘えさせていただきます」

「それじゃあ4時くらいに校門前にな」

 

そう言って雅枝さんは部室から出ていくと、一瞬で女子に囲まれる。

囲まれそうなった瞬間、いつもの癖で突破しようとしたがぐっと堪えて尋ねる。

 

「えっと、どうかしましたか?」

 

集まった女子はバッと牌譜をだしあちこちに赤線の入った部分を指差しながら

 

「この配牌でどうしてコレ切ったん?」

「なんで、部長の黙聴を読んでこの牌止められたんですか?」

「園城寺さんの1発消すために暗刻切るの狙ってやったの?」

「どうしてチャンタばっかりで和了るんですかね」

「連絡先交換してええか?」

「なんで………ってちょい待てーい、誰や今ドサクサに紛れて小高君に連絡先教えてもらっとる奴はっ!!」

「ウチやけど?」

「園城寺さんかいっ!!なんでちゃっかり連絡先交換しようとしてるんですか!?」

「小高君ありがとなー」

「って既に交換してるっ!?何事もなかったように交換してるっ!?」

「これでウチが部の中で一番男の人連絡先多いんちゃうか?」

「いやいや、流石に誰か一人くらい男の連絡先くらい持ってるはず………」

 

「それくらい当然やろ」「連絡先に男が入ってないとかそれはダサすぎや」「よーゆ、よーゆ」とあちこち声をだすが

 

「同じ高校生の枠の中やで、親とか親戚のおじさんとかアウトやからな?」

 

という園城寺さんの発言でサッと全員眼を逸らす部員の人達。

 

「あー、うん、ウチが悪かったわ」

 

あははと乾いた笑いが部屋の中を木霊する。

 

「こーらー怜、せっかく麻雀関連で質問してる所に茶々を入れない」

「分かっとるって、でもあんなに一斉に来たら小高君も困ると思って、ちょいとおふざけしただけやって」

「で、ちゃっかり連絡先も貰うと」

「そこは否定せんけど、とりあえず一人一人聞くよりボードの所でみんなに教えた方が効率ええやろ」

「そうやな、ウチら打ってる時は小高君が何切って何入れるか、分からんしお願いしてもええかな?」

 

「いいですけど、多分参考にはならないですよ?」

 

 

ーー少年説明中

 

 

「とても真似出来そうのない離れ技やな………」

 

ある程度説明し終わると全員がため息を吐きジトっとこちらを見てくる。

 

「人間死ぬ気になればなんでもできますって」

「………確かに死ななきゃ安いな」

「なに「確かにそうかも」みたいなリアクションしとるやん………怜が言うとギャグに聞こえへんで」

「実際問題死にかけたしなー」

「ええと………園城寺さん事故でもしたんですか?」

 

彼女に尋ねると、ニヤリと笑いながら答えてくれた。

 

「実は重い病気にかかって結構危ないとこまでいったけど、手術でギリギリ生還してな、ここの胸の辺りに手術の跡が」

「「わーーー」」

 

制服を捲り上げようとするが一斉に彼女を止めるかかる………というか主に清水谷さんと泉さんが

 

「「なにやってるの(んですか)怜(園城寺先輩)っ!!」」

 

「えっ、聞かれたから答えようと………それに初めての人にはみんなに見せとるやん」

「女子っ!!女子ですらギリギリセーフなのになんで男子の前で当たり前のように脱ぐんですかっ!?」

「いやー女子校のクセでなー」

「せめてネタって言ってくださいっ!!」

 

こういうネタにどういう反応したらいいか一瞬考えるが、適当に流すのが正解だろうな。

それにそろそろ抜け出したいし………

 

「えーと」

「ほら、小高君が困ってるやろ?」

「ははは、じゃあ検討も終わったし自分は外でぶらぶらしに」

「……せっかくやし、案内したろか?ほら小高君この辺に初めてやし、お昼も食べに行くんやろ?」

 

………確かにそうだが

 

「それじゃあ、お願いしますね」

「ええでー」

 

「竜華がさらりと誘ったな」「あれが女子力って奴ですかね?」「どっちかと言うと母性やないか、ほら母性の塊もあるし」「いや、そこも魅力やけどやっぱり太ももやろ」「その魅力知ってるの怜先輩だけです」

 

この後千里山の人達と一緒にお昼を食べて大阪を軽く観光した。

………途中から「千里山の女子を侍らせてる男がいる」という噂が流れたのは聞きたくなかったな。

 





えぇ、まぁ、言いたいことは分かります。
なんかこう申し訳無さすぎて投稿ボタンを押すのにかなりの躊躇がありました。

それでももしかしたら待っている人が居ると思い投稿した所存であります。

長い目で、長い目で見てください。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

感想評価等お待ちしてあります。


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清澄日常編
原村和編


山なし谷なしおもちアリ


とある清澄の日常編

 

 

授業も終了し、部室までの慣れた道を通る。

麻雀部の部室は特殊の場所にあるため、人通りも少なくなってくる。

 

「(今日は染谷先輩が家の手伝い、部長が議会長の仕事で来れない。京太郎が家の用事、優希が小テストの補習、宮永さんが夏風邪か)」

 

面子も揃わないので今日の部活は休みなのだが、昨日の部活で牌にキズを見つけてしまい、家から新しい牌を持ってきた。

 

「小高君が来てから部室に牌が増えたわ」

「仕事柄牌のキズは気にするが、ほとんどキズなんて見えないじゃがのう…」

 

目を凝らして見えないようなキズで牌を交換するので部室には牌がどんどん増えてくる。

流石に使わないのはもったいないので染谷先輩の雀荘などにあげたりもしている。

 

部室につくと部長から貰った鍵を使いあける。

鍵は部長、染谷先輩、原村さん、俺が持っている。

こんなに鍵を持ってる人がいるのは、部長や染谷先輩が一番に来れない為、時間に余裕があり、かつ管理がしっかりしている人に鍵を作ったらしい。

まぁ、それでも鍵4本は多すぎるような気がするが………

 

バックから牌を取り出し、雀卓にセットする。

動作不良がないか確認する。

 

「(問題なしと………うんじゃ俺も帰りますか)」

 

身支度をして帰ろうと思ったが………

 

「小高君?」

「原村さん?」

 

 

 

 

 

 

side 原村和

 

「原村さんじゃあねー」

「えぇ、さようなら」

 

クラスの友達との挨拶をし、部室に足を運ぶ。

 

「(そういえば、今日は部活は休みでしたね)」

 

ふと足を止め考える。

 

「(せっかくですし、昨日の牌譜でもコピーしますか)」

 

--ここ最近原村和は達也の牌譜をこっそり集めている。

四校合宿以来、他人の牌譜もしっかり見るようになったが一番見る回数が多いのは達也の牌譜だ。

 

「(別にこっそり集める必要なはないのですが………なぜか恥ずかしいんですよね)」

 

--彼女の性格上、他人に興味を持つのは珍しい。

引っ越しを繰り返したせいでか、他人に必要以上近づかない、近すぎるといずれ離れる時に悲しい思いをする。

………しかし、それでも彼女は気になってしまった。

あの一打に、どんな意味があるのだろうと。

 

「(とりあえず部室に行きますか)」

 

部室に行くと、既に開けられている扉。

覗いて見ると、身支度をしている………

 

「小高くん?」

「原村さん?どうかしたの?」

「いえ、昨日の牌譜で気になることがあって」

「昨日の牌譜?なら確か」

 

彼はそう言い、棚からファイルをだしながら尋ねる。

 

「全部?」

「いえ、昨日の最後の半荘戦ですね」

「あー、時間なくて検討出来なかったからね」

 

ペラペラとファイルをめくり、牌譜を渡される。

 

「ほい、昨日の」

「ありがとうございます」

「部室で見る?それとも持って帰る?」

「………できれば小高君も一緒に検討して欲しいんですが」

「…………えぇ」

 

………露骨に嫌な顔されました。

 

「むぅ、何か予定があるんですか?」

「いや、ないけどさ、昨日の最後の半荘戦でしょ?………そんなオカルトありえませんが飛んできそうだな」

「何か言いましたか?」

「いいやなんでも、うんじゃ検討でもしますか」

 

 

 

--少年少女検討中………

 

 

「だからってこの混一を捨てて裏ドラに賭けるのは運に頼りすぎですっ!!」

「あの時は上ヅモは偶数の流れだったから下ヅモは奇数の流れっていう読みだったんだけど」

「そんなオカルトありえませんっ!!」

「ですよねー」

 

昨日の最後の半荘戦は、小高君は三面張を蹴ってあえてシャボ待ちで受けたりして、愚形で点を取りに行ってました。

しかし南3局、咲さんが跳満をツモって咲さんと小高君の点差は23600。

咲さんに跳満直撃じゃないと逆転勝ちなかったのですが………

 

「でも実際、下家と上家は奇数の流れでしょ、対面の宮永さんは偶数の流れだし」

「この際、最後の逆転勝ちは運が良かったことにします、それでもなんでこの半荘戦は愚形で和了ることが多いんですか?」

「あー、この時は奇数の流れよりも偶数が…」

「またそれですかっ!!」

 

思わす声を大きくなるのも無理はないでしょう。

彼は「でもそう言うしか説明出来ないしなー」と言い続けてます。

 

「はぁ………じゃあこの局の須賀くんの黙聴を躱すことができたのは何故ですか?」

 

この時私は軽い気持ちで聞きました、どうせまた「勘」などと言ってくるのだろうと…しかし………

 

「優希が2索をチーした時にほんの少しだけその牌を凝視してたんだよ。

多分鳴いたどれかの牌が欲しかったんだろうな。

まず鳴いた2索はない、もし欲しい牌が下家に出たらその時点で和了るからなし。

3索か4索のどっちかの牌だけど、

………仮に4索が欲しかったら、とれる形は234、345、456の形、もしくはなんかのシャボ………だけど黙聴だとシャボはキツイ、役牌抱えないと基本和了れない、例外的に断么のシャボ待ちがあるけど、それならリーチかけた方が得だ。ドラ抱えのシャボ待ちはドラは9筒だから断么が出来ないし黙聴で断么のみのシャボ待ちは却下。

つまり考えられるのは、ある牌を持ってこれれば役が付く、もしくは役が増える形。

単純に考えれば断么、チャンタ、三色のどれかだ。

チャンタだと河がもう少し匂いがつく、だから却下。

問題は三色か断么だけど、これは複合してとれる役だから絞れきれない」

 

「は、はぁ」

 

「うんで、この時の咲さんの手配に6索の槓材が揃ってる」

「……なんで断定できるんですか?」

「手配を揃える時につい槓材を触る癖があるんだよ、ついでに暗刻から槓子になる時は誰かツモるときにほんの少し山を見る癖があるね。

………まぁその辺は置いといて、とりあえず6索の場所は全部わかった。

ならあるのは234、345の形。

うんで、さっきも言ったけど2索はないから、あるのは345の形。

となると、三色を見つつの断么が妥当。

役さえわかればそこを気をつければ振り込まないでしょ?」

 

「………小高君は防御に回るときはしっかりと理を使うんですね」

 

思わずジトっと見てしまう。

 

「攻めるときはどれだけ相手の理から外す、守るときは相手の思惑を理解することかな?」

「なるほど………では安パイがない状況の時はどうしますか?」

 

どんなに綺麗に降りてもいずれ安パイはなくなりスジや壁が通じない時も多々あります、そういう時はどういう対応するのかと訊ねたんですが………

 

「勘」

「………投げましたね」

「もうさ、理を重ねても自分の手配の中に安パイがなければ、もうそれは勘とか指運しかないよ」

 

あっけらかんに言いますが未だに放銃はありません。

前も彼は「一人が役満張ってて、一人が安めを張ってたら安めに差し込む」と言ってましたがまだそういう状況がないみたいですね。

 

「後付けな説明なんていくらでも言えるけど」

「………そうですね、私はただ納得したいだけかもしれないですね」

 

そう言ったら、小高君は意外な表情で私を見るので思わず頬を膨らませる。

 

「なんですかその反応は、私だって麻雀が全部計算で出来る競技だと思ってませんよ」

「そうだけど、………あの堅物原村さんが」

「小声で言ってますけど聞こえてますよ」

 

私が少しジトッと見ると彼は「何も言ってませんよ」という感じで顔そらします。

 

「………でも原村さんの強みは運じゃないからね」

 

確認するように聞いてくる。

確かに理で説明できない麻雀があるのは分かります………いや分かったのですね。

 

「ええ、私が信用するのはそんな不確かなものじゃありませんから」

「そっ、………あとはもう少し他人に寛容になれば強くなれるんじゃない?」

「まるで私が心が狭いみたいな言い方じゃないですか」

「さぁどうだろう?………さて、検討も終わったしそろそろ帰ろうか」

「そうですね………って、なんで当然のように先に帰ろうとしてるんですか?」

「………?だって原村さん鍵持ってるし」

「女子を残して先に帰るのは男子としてどうなんですかね?」

 

彼は一瞬驚いた顔をしたが、「それもそうだね」と横に並ぶ。

 

「そういや原村さん、昨日の放課後告られたらしいね」

「………どうして知ってるんですか」

「優希」

「………あの子はホントに」

 

思わず頭を押さえる。

嬉々として部員のみんなに喋っている様子が容易に想像出来ます。

 

「中学時代を入れると20回を超えるとかなんとか」

「………実際にはもう少し多いですけど」

「アララ、他人から好意を持たれてるのに随分と冷たい反応だ」

「男性にあんまり興味がなくて」

「つまり女の子がいいと」

「今ならiPS細胞で………ってこの会話は優希としたような」

「そ、だから部員の皆は原村さんが特殊な趣味を持ってることになってるから」

「特殊?ん?………って違いますからっ!!」

 

確かに男性よりも女性のほうが付き合いやすいということはありますけど、それは友人関係であって、私にだって男性と結婚………ん?

 

確かに結婚してお嫁さんになりたいという願望はありますが、男の人と付き合うのは想像できないですね。

 

「ま、まぁ、その辺は個々の自由って奴だから」

「引きつりながら言わないでくださいっ!?」

「重い冗談だよ」

「せめて軽い冗談にしてくださいっ!!」

 

………合宿以降なんですけど、こうやってからかうことが増えた気がします。

麻雀の打ち筋からしてもそうですけど他人をおちょくるというか、からかうのが好きなんですね。

 

「そういえば小高君はどうして部室に行ってたんですか?」

「牌の交換しに行っただけ」

「またですか、これで5回目くらいじゃなきですか?」

「交換しないとガン牌できるからね、それでもやっていいならやってみる?」

「………そもそも本当にガン牌ができるですか?」

「大抵のサマはできるよ、多分公式戦でもバレないやつも」

 

なんでもない口調でこの人はとんでもないことを言いますね。

「まぁ、遊びで見せるもんじゃないからね」と言いましたが、一体どういう状況でソレが必要な時があるのでしょうか………

 

「………原村さん、あれ知ってる車?さっきからこっち見てるから」

「車?………あぁ、あれは父の車ですね、というかよく視線を感じましたね」

「まぁ、そういうのに敏感なタチでね」

 

父はクラクションを軽く鳴らし、こちらへ車を寄せる。

 

「学校の帰りか?」

「はい、今日は部活がないので早めに帰ります」

「そうか、このまま車で家に送ってやりたいがまだ仕事の途中でな」

「大丈夫です、明るいですし歩いて帰れます」

「………隣にいる男子は?」

「同じ麻雀部の同級生です」

 

父は少し小高君を見て、「………そうか」と言い気をつけて帰れよと声をかけそのまま行ってしまいました。

 

「随分と嫌われたもんだ」

 

車が去ってから肩をすくませてやれやれというジェスチャーをとる。

確かに冷めた対応と言えばそうですが………

 

「正しく言えば麻雀にもかな?」

 

ピタリと父の心境も読んでくる。

 

「父は確かに麻雀は好きではないみたいですけど、初対面でなんで分かるのですか?」

「細かく言えば沢山あるけど、大体は雰囲気」

「雰囲気ですか?」

「初対面で京太郎を見てどうおもった?」

「………軽そうな男子ですかね?」

「宮永さんは?」

「文学少女です」

「それは概ね間違えじゃないでしょ?

初めて会った人間なのに原村さんの第一印象は大きく外れている訳じゃない、それが人の雰囲気ってやつだよ。

実際は顔の表情や仕草を見て頭の中からもっとも近い人物を探してその人の人格を予想する脳の働きだけどね」

「それでも初対面で父の麻雀嫌いを当てるのはおかしいですよ」

「半分くらいは当てずっぽうだけどね」

 

相変わらずこの人は人の本質を見抜く目と経験値が違い過ぎますね。

………でも意外にも女性の心は読めないのが偏ってるというかちぐはぐというか。

 

「というかよく麻雀嫌いな親が部活なんて許したね?」

「………まぁ、多少小言は言われますが」

「辞めろって言われてるでしょ?」

 

ここで思わず目線を逸らしたのは失敗しました。

 

「でも優勝したら、て……辞めなくていい条件をもらいました」

「辞めろじゃなくて転校か?」

 

「転校」という単語を言い淀んだらまたピタリと当ててきます。

 

「はぁ、そうです出来なかったら転校です」

 

正直言うつもりはなかったんですが、ここまでピタリと当ててくるとさすがに観念します

 

「ふーん」

 

彼はそう言って黙ってしまいました。

 

「えっと、このことは」

「言わないよ、みんなのプレッシャーになりたくないんでしょ?」

「はい」

 

一瞬怒っているのかと思いましたがそうでもありません。

………ただ、いつも通りにも見えません。

 

「あの?」

「ん?」

「何か思うことがあるんですか?」

「んー、まぁ、原村さんの勝負だから口は出さないようにしてるだけ、あとは………」

「あとは?」

「………みんながどう思うかなと思ってな」

「………それは」

 

正直皆さんには悪いと思っていますが、軽々しく言える話題でもないです。

 

「まぁ、たらればを言ってもしょうがないからな、勝つことだけ考えてればいいさ」

「それに関しては同意見です」

 

負けた後のことは負けた後に考えます。

今は少しでも強くなるようにならなければいけません。

 

「それではここで」

「おう、またな」

 

なんとなく手を振ると、彼はぎこちなく手を振り返す姿に少しだけ笑ってしまいました。

 

 

………本当に女の子慣れしてないんですね

 




えぇ、まぁ皆さんの言いたいことは分かりますよっ!!

しかし、スルー………ッ!!圧倒的スルー………ッ!!

なんでこんなに放置したかって?しかも本編じゃない?まぁとりあえず事情を聞きましょう。

もちろん本編は書いてたんですよ?北大阪編めっちゃ書いてたんですよ?

突然のtoki-怜-ですよっ!!

いやね、これで「怜のキャラの掘り下げができるっ!!」って思うじゃないですかっ!!

「ん、そしたら今書いてる怜と設定とか違ったらどうしよう」←重度の原作厨

「えっ、マジどうしよう………とりあえず放置だな」

流石に更新なさすぎてマズイ………そうだ番外編書こうっ!!

そうだ、デレマスも書こうっ!!

そうだ、FGOもイベント行こうっ!!

そうだ、デレステもイベント行こうっ!!

そうだ、京都行こうっ!!←嘘

とまぁ、いろいろあったせいで投稿してませんでしたっ!!

ちょくちょく確認はして「書こうかなー」って思ってたんですよっ!!
………思っただけなんだよなー

例えるなら
夏休みの宿題をそろそろやろっかなーって皆さん思うじゃないですかっ!!
………思っただけなんですよね。

まぁ、何はともあれ更新出来たという目標は達成されました。
これからも長い目で見てやってください。

ここまで読んでくださりありがとうございましたっ!!
評価や感想をお待ちしておりますっ!!


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