インフィニット・ストラトス~やさしい世界で《さいこう》目指す~ (星屑英雄)
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設定集(注・ネタバレありのため先に本編を読むことをお勧めします)

設定集です。
ストーリーが進むごとに、随時更新していきたいと思ってます。
裏設定も書いてありますが、本編で語るので飛ばしても構いません。

それではどうぞ!


陣野 央樹(じんの おうき)

17歳 身長175㎝

主人公

茶色に近い黒の髪の天然パーマの青年。顔は中の上。

仮面ライダー大好き男。多々仮面ライダーのセリフをパロることがある。

何も特典が与えられず転生したが、転生先の親がチートだったため、束と出会う。これが彼の人生の転換となった。

その後、色々ありIS学園にいくことになった。

何か裏で動いているフシがある。

IS適性は??

 

余談ではあるが、一夏ほどではないが家事ができる。(両親が研究で不在にため)

それと、陽に関しては、告白して振られてからは普通の友達と思っている。

 

裏設定

 

ある目的のため、この二年間、束と色々な実験をしていた。

本人は知らないが、IS適性を得たのはその実験の副産物である。

 

 

専用機、赤最(せきさい)

赤い全身装甲(フルスキン)のIS。

正式名称・赤型(あかがた)(さい)《こう》三式(さんしき)

色々な装甲がついており、ゴツイ。

そのため速度があまり出せない。

翼がなく飛行することができないが、跳ぶことはできる。

地面についているように見えるが、実はすこし浮いている。(ドラえもんの法則)

正式名称の通り、三つの最《こう》を持つ。

1、 最鋼 全ISの中で一番の装甲を持ち、防御力が高い。

2、 ??

3、 ??

 

待機形態は、特撮の変身ベルト(イクサタイプ)

 

武装

ドリル(小)

ボディー装甲にまんべんなく隠されており、それを伸ばして周りの敵を突くことができる。束ねて巨大なドリルにすることも可能。

この機体の初期装備にして最強の装備。

だが、ある形態では使えなくなる。

 

ハンドガン

初期装備の二つのうち一つ。

これは今あるどのハンドガンよりも高性能で平均の二倍の射程距離と威力を誇る。

が、やはり対空用ではないので、空にいる敵に向けて撃っても軽く躱される模様…

 

陽刀(ようとう)紅嵐(べにあらし)

詳細不明…

 

ワンオフアビィリティー

詳細不明

 

なお、製作会社はすべてIS企業『ダディ』&束である。

 

 

 

 

立花 陽(たちばな よう)

17歳 身長 165㎝

赤い髪の腰まで届くツインテールの美少女。央樹の幼馴染。

頭がよく成績優秀、スポーツも万能、家事もできると、三拍子そろった人。

家が隣で小さい頃から、一緒にいる。

一回央樹に告白されたことがある。が、振った。

その後も関係が続いているのは、央樹曰く「男として見られてないから」らしい。

 

裏設定

 

『ダディ』の研究員。

研究員になった過程は、家は父親が蒸発し、母親が倒れ少しでも助けになりたいと思ったとき、央樹が会社の研究補佐が欲しいと誘ったのが始まり。

かなり腕っぷしが強く、央樹兼学園のボディーガードとしてきた。

 

 

専用機、ブラスター

純白の天使のように美しく幻想的なIS。

感知範囲半径10kmの超高性能なセンサーを持ち、セシリアの機体よりもより狙撃に特化した機体。

ダディのデータベースには、接近戦でも軽やかに戦う姿も記録されている。

 

超距離スナイパーライフル

三十キロ以内ならどこでも狙える高性能スナイパーライフル。

だが、三十キロも先を見通せるものがないので本領発揮されていない。

実弾とレーザーを選択可能。

展開するとハイパーセンサー付きのうさ耳型バイザーが出てくる。

製作者は言うまでもないと思うが、束が調子に乗って作ったものである。

 

近接用ハンドガン二丁

上記の赤最のハンドガンと同じだが、連射が可能になっている。

 

 

 

 

メル・ヴェンス

15歳 身長142㎝

薄緑髪のショートカットで二本のアホ毛が印象的な美少女。

活発的で元気、初めてあった央樹と普通に喋るなど、人当たりのいい性格。

妹とは違いしっかり者で、家庭的である。

何か秘密を隠しているようだが…?

 

専用機 フレアアイン

詳細不明…

 

 

 

 

アルル・ヴェンス

15歳 156㎝

白っぽい緑色のロング。フワフワの髪が印象的な美少女。

メルの妹。

姉とは違い、ぽわぽわした性格で料理が壊滅的にヤバイ。

セシリアとは違い、絵的にもアウトなので、まだマシかもしれないが…

 

専用機 ツヴァイガイヤ

詳細不明…

 

 

 

 

更識簪

15歳

詳細不明…

 

 

 

 

篠ノ之束 

??歳

基本スペックは原作と同じ、だが性格が柔らかくなっている。

親しい人以外に無関心なのは、ただの人見知りが発動しているだけである。

内心では仲良くしたいと思っている。

ISは央樹の両親と共に生み出した。

母親の方が白騎士の原型となる物のテストパイロットである。

 

央樹と結託して何か動いているようだが…?

 

裏設定

実は央樹とは、ISの発表会で会っている。

始めISのコア理論を発表した時に笑われ、落ち込んでいた所、小学生位の央樹が励ました。

その後、同じく来ていた央樹の両親が束を絶賛、両親の持ち込んだ宇宙用パワードスーツの理論と融合させISを完成させた。

央樹が覚えてないのは名前を聞いてなかったのと、スーツを着ていたからである。

 

 

 

 

セシリア・オルコット

15歳

イギリス代表候補生。

家は名家で、両親と妹の四人家族で仲良く暮らしていたが、事故で他界。

若くして長女として、家を継ぎ、立て直して見せた。

が、元々病弱だった妹が病で倒れてしまい、治療費などまで手が回らず、一時は家を抑えられそうになった。

ISの適性が高いことが分かり、猛勉強して代表候補生になり、家を取り戻した。

 

原作より実力がアップしていて、ビットを操作しながら射撃や回避ができる。

料理が下手なのは原作と変わらず。

 

専用機 ブルーティアーズ

 

原作と同じ

が、追加武装が増えるかも?

 

 

 

 

織斑一夏

原作と同じ。

戦闘センスの塊…流石主人公。

ボケツッコミ。

 

専用機 白式

原作と同じ

 

 

 

篠ノ之箒

原作と同じだが、声優ネタが入るかも。

 

専用機 紅椿

原作と同じ

 

 

 

織斑千冬

原作と同じだが、教師としてカリスマ化している。

出席簿アタックも減っている。

 

 

 

他、随時更新!!




はい、ということで、他に聞きたいことがあるならば感想覧にお願いします。
その設定を書いて、ここに追加しますので!!

それでは、皆さん。

インフィニット・ストラトス~やさしい世界で《さいこう》目指す~

を、よろしくお願いします!!


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本編
テンプレなプロローグ


グレンラガンを見ていたらロボものを書きたくなってしまいました。
不定期更新ですが、よろしくお願いします。

2017年6月16日 大幅に改変しました。



「転生?」

 

 目の前の神様は確かにそう言った。

 俺は ■野■樹(じ■の■■き)、仮面ライダーが大好きな、ただのオタクだ。

 今さっきまで寝てて、起きたら真っ白な空間にいたんだけど、神様が言うには死んだらしい。死因は、トラックに引かれそうになっている人を庇って、とかではなく、電気コードが絡まり合ってる所に首を突っ込んじゃったみたいで……そのまま、窒息死、らしい。

 ……それにしても、全く生産性のない死に方だな。いや、死に方に生産性を求めてちゃダメだけどさぁ。なんかあるだろ? 誰かを守るとか、何かを残すとか……

 

「おぬしには転生してもらう!!」

「あの二次創作とかにある奴?」

「分かっておるじゃないか!!おぬしはIS――インフィニット・ストラトスの世界に転生してもらうのじゃ!!」

 

 なんだか神様のテンションが高い……

 まあ、それは置いておいて俺もこのままじゃ死んでも死にきれない。それにしても、インフィニット・ストラトスの世界だと?

 読んだことがある、確か女にしか使えないISという兵器(厳密には違うが…)によって、女尊男卑となった世界で、ただ一人男性で動かした少年のハーレムアクションラブコメだったな……

 

 チョーイイネ!! サイコー!! 女の園……万歳!!

 

 ……踏み台的思考ですね。わかりますわかります。

 

「それで、特典とかは?」

「無しじゃ」

「無しか……ゑ?」

「おぬしにやる特典ねーからw!!」

「え、じゃあIS乗れないんじゃ…」

「そこは女になってもらうしかないのぉ」

「え、TSとか嫌だよ? 男のままがいいぜ、マイゴッド!!」

「ならば乗れないね!」

 

 TSとか、見るのは良いが自分がなるのは勘弁だ。

 しかし、それにしてもマジか……いったい何しに行くんだよ。IS乗れないんじゃ、ただ女尊男卑の世界に行くだけじゃねーか!!

 空を自由に飛んでみたいよぉ、ゴッドえもん~。

 

「ISに乗れないなら、チェンジで」

「HAHAHAHA、もう決まってるもの」

「マジでマジかマジだ……」

「ショータァイム!! と、いうわけでユー、 flyしちゃいなYO!!」

「どう……いうことだ……?」

 

 何か、足元から出てくる、それは―――

 

 でっかいスリングショットだった……

 

 俺は球を置く部分に乗っかり固定される。

 

「ちょっと!! 待って、MA☆TTE!!」

「3,2、1……ゴー……シュゥゥゥゥゥゥ!! エキサイティン!!」

「ベイブレードかと思ったら、ツクダオリジナルだった件……ウェェェェェェェェェェェェ!!!!」

 

 高速で景色が過ぎ去っていく……

 あ、駄目だ…意識が―――

 

 ――――――――

 ――――

 ―

 

 

 それから、十五年が過ぎた……

 

 いやもうほんと大変だった……

 赤ちゃんプレイから始まり、幼稚園児プレイ、小学生プレイ、中学生プレイなどなど。いじめにあったり、喧嘩して相手の前歯を折って冷や汗かいたり……

 

 ……うん、恥ずかしいことがあったけど、色々ヤンチャしすぎたかもしれない。

 

 それでも怒涛のような毎日で、十五年もすぐに過ぎ去った。

 

 そうそう、楽しいことももちろんあった。

 家の隣に可愛い女の子がいて友達になったり、いじめにあったときに庇ってくれるような友達もできたし……

 それと、結構女尊男卑もひどくはなかった。

 もちろん、「これ、あんたが直しておいて?」とか言う奴もいて、断ったら警察を呼ぶとか言われたけど、助けてくれる人もいたし、警察が来ても―――

 

 逮捕→連行→釈放

 

 の三連コンボだった。

 警察としては、またか……って感じで、逮捕しても警察署についたらすぐ釈放してくれた。

 お巡りさんも「またか、君も大変だな……」って言ってジュース奢ってくれたしな。

 ……お巡りさん!! 毎度毎度、本当にお疲れ様です!!

 

 とか、色々あったけど、只今絶賛ピンチ中です。

 拾ってきた兎さんに、敵意むき出しに変な道具で解剖されそう。ダレカタスケテー。

 

「君は何が目的なのかな? なんで束さんをこんなとこに連れ込んできたのかな?」

「え、だってそれは……」

 

 あれは数分前に遡る。そう、あの時……

 

 俺はすることもないのでだらだらと寝っ転がって、テレビを見ながら、本を読んでいた。

 

『この番組は、宇宙に夢を、星に願いを。最高のSatisfactionを貴方に……の、IS企業「ダディ」の提供でお送りしました』

「さてと、さっきメールでおやつ焼いたから食べにおいで~つってたし、幼馴染の家に行っておやつでも食べるてくるか……」

 

 そう言って、俺は携帯で家に行く旨をメールで伝えると立ち上がり、隣の幼馴染に家に行くため、外に出た。

 玄関をくぐり、門を開けお隣へ行こうとしたら……

 

「う、うーん。腹減った……」

 

 と、呻きながら倒れ伏す、兎――型人間、詳しく言えばおとぎ話に出て来るアリスのような服装で頭にうさ耳を付けた女性を発見……

 放っておくのも何か悪い気がして、腹が減っているようなので一旦家に上げよう。

 そう思って、家に上げた瞬間、兎さんが目を覚まし、どこかから出た機械の腕に押さえつけられ、今の状態に……

 

 うーん、なんだこれ? まるで意味がわからんぞ!? なんでこんなことに……

 

「なんでさ!! 俺はあんたが倒れていたからここに運んだだけなのに!!」

 

 なぜこんな生命の危機にあわなければならないんだ!!

 確かに、第三者が見たら誘拐にもとられかねないという事を頭の片隅に追いやりつつ、俺は抗議の声を上げる。

 

「これは、バナナ……罠だ!! 誰かが俺をキラとして陥れるためにやったんだ!!」

「黙れ」

「あ、はい」

 

 くそ、いったいどうすれば納得してくれるんだ……

 俺には分からない……何が正しいことで、何が悪い事なのか……

 

「……君は、私が倒れていたからここに運んだ、ということ?」

「あ、うん。お腹減ったって言ってたから何か食べさせてあげようと思って……」

「嘘だ!!」

「えー」

「そんな言い訳が通じると思ってるの? さあ、何が目的か言いなさい!! どうせ、あんなことやこんなことをしようと思って連れてきたんでしょう? エロ同人誌みたいに! エロ同人誌みたいに!!」

 

 そう言って、さらにメスやらを押し付けてくる兎。

 

 ええー!?こいつ、めんどくせぇ……

 

「そ、そうだ! 信じれないなら、こうすればいい。俺は何か食べ物を用意する、その時に見張っていて怪しかったら解剖でもなんでもすればいい」

「毒見もしなさい、私の前で」

「わかったよ!! だから、放してくれ…」

 

 そっと、押し付けていたメスと拘束が解かれる。

 俺は、メスやら刃物やらを背中に添えられるという多分稀有な体験をしながら、クッキングが始まった。

 

 数十分後、なんとか完成した料理を食卓に並べながら一息をつく。

 さて、毒見……どうしたものか……

 

「チャーハンだけど、毒見どうする?」

「私はマイスプーンを持ってる。だから、君が味見をしなさい」

「別に毒とか入ってないけどなぁ……」

 

 なぜマイスプーンを? とか、誰かの家に上がり込んで食べる気満々だったんじゃねえか!! とか思いながらも、俺はスプーンを自分の分を取りに行くと、チャーハンを一口食べる。

 

「もう一口食べなさい」

 

 スプーンに毒を塗っている可能性があるからだろうか?

 もう一口食べて、ゴクンッ!! と飲み込む。

 あ、なんか兎の口から一筋の涎が……

 控えめに言って、女性がしちゃいけないような顔をしている。

 

「大丈夫そうだね!!いただきます!!」

 

 ガツガツ、ムシャムシャ、パクパク……

 そんな音が聞こえるほどがっついて食べていた。

 

 数分後……

 

 そこでは兎が大満足(サティスファクション)していた!!

 

「ふぅ~、助かったよぉ!! えーと、名前は……」

「陣野央樹です。陣形の陣に、野原の野、中央の央に樹で、陣野央樹です」

「なら、オーくんね!! 君も知っているだろうけど、私の名前は」

「オーくん!? って、いえ、全く知りませんが…」

「なん……だと……」

 

 なんか、驚愕している。

 本当に誰だ? 俺も知っている?

 

「そんなぁ……やっぱりもっと自己主張していった方がいいのかな……でもでも、束さんは人見知りだし、指名手配されてるし……って、ん? 陣野……?」

 

 何かぶつぶつ言っている。

 しかし、束? どこかで聞いたような?

 

 ポクポクポクポク……チーン! と、俺と束さんは同時に思いついた。

 

「「あ!?」」

 

 思い出した、 篠ノ之束(しのののたばね)……IS開発者じゃねーかっ!?

 マジかよ!! なんでこんなとこに居んだよ!?

 

「もしかして……君の両親は 陣野 凌駕(りょうが)と陣野 優奈(ゆうな)って名前じゃ……?」

「ああ、そうだが……?」

「やっぱり、そうだ!! じゃあ、ここが凌駕博士と優奈博士の家!?」

「博士!?」

「うん、私の研究者仲間なんだ!」

 

 え、両親はどこかの企業で何か作ってるって言ってたけど……まさか、IS関係の企業!?

 

「……失礼ですが、確認します。あなたは篠ノ之束―――ISコアの開発者……ですね?」

「うん、そうだよ?」

 

 ……あっさりと認められた。

 

「じゃあ、両親との関係は?」

「うーん、一緒にIS開発をして、今は世界から匿ってもらっているってところかな?」

「今明かされる衝撃の真実ゥ!?」

 

 まるで、悪いバリアンに騙されたみたいだ……

 

「え!? 知らなかったの? 大IS企業『ダディ』の社長と秘書だよ!?」

「今明かされる衝撃の真実ゥ、パートⅡ!?」

 

 ええええええ!?

 父さんと母さんが、『宇宙に夢を、星に願いを』がキャッチコピーのあの大企業の社長兼研究者と秘書兼研究者!?

 

「ははははは、きっと夢だ、幻想だ、幻だ…こんなの絶対おかしいよ……」

「おーい、大丈夫?」

「いやいや、こんなの絶対嘘だ。きっとドッキリ大成功の看板を持ったテレビの人がいるんだ」

「もしもーし……」

「大体、篠ノ之博士がこんなにフレンドリーに話しかけてくる訳がない」

「あ、それは私は人見知りでねぇ……初めてあった人には攻撃的になっちゃうんだよ!!

でも、慣れるとこんな感じに話せるようになるんだ」

「おかしい、おかしいおかしい……」

「いやだから本当なんだよ!!」

「おかしい、おかし……お菓子食って腹痛いわ~」

「信じてないでしょ……しょうがないなぁ……」

 

 何か、四次元ポケットのようなものを取り出し、あさる兎改め、束(仮)。

 ん? 何か、巨大なものがポケットから……

 

「じゃんじゃじゃーん!! ISぅ~(ダミ声)」

 

 そう、現れたのはTVでしか見られないようなIS―――正式名称「インフィニット・ストラトス」女性にしか起動することが出来ないパワードスーツ状の、現代のどんな兵器や機体を超えるスペックを誇っている。元々は宇宙空間での運用のために作られた物であるが、上記の理由により兵器転用された。女性専用の究極の兵器。

 そのISがここにあった。

 

「ウェ!?」

「ふふ、これで信じてくれたかな?」

 

 ああ、信じるしかないだろうよ……こんなもん見せられたら。

 

「なあ、束さん」

「うーん、好きに読んでいいよ? オーくんとの仲だし」

「じゃあ、束……単刀直入に言う。どうしてここに来た?」

 

 そう、気になっていたのは……

 

 どうしてここに束が!? 逃げたのか!? まさか自力で脱走を!?

 

 と、いうことだ。

 ん? これじゃあ、意味が解らないな。

 つまり、なぜこんなところで倒れていたのかってことだ。

 もし、俺の両親の企業に身を置いていたのなら、腹が減ったら企業に帰って食べればいい……

 それができないってことは、企業が何かあったのか……また別の理由か……

 とにかく、聞かなくてはならない目的を!!

 

「なぜ、か……」

「忘れちまったぜ、そんなこと……とかは無しで」

「う、分かったよ。それは……」

「それは……?」

 

 ゴクリとつばを飲み込む。

 汗が出てきた。いったい何が目的なのだろうか?

 

「それは―――

 

 

追い出されたから……」

 

「は?」

 

 意味が解らず、目が点になった。

 

「だから、追い出されたの!! 食っちゃ寝の繰り返しで何も働かなかったり、自分の好きな実験ばかりしてたから!!」

「馬鹿か、こいつ」

「酷い!! 追い出されて、行く当てもなく彷徨ってたら、ここに来てついに力尽きたのに!!」

 

 本気で頭を抱えたくなった。

 

 ただの偶然かよぉ!! さっきまでのシリアスを返せ!!

 

「あ、でもここにいるってことが他の人に知られると不味いかな……ヤバイ企業が色々私を狙ってるから」

「マジかよぉ……拾って損した……どころじゃねーぞ!?」

「まあ、ばれなきゃ犯罪じゃない……もとい、心配ないよ」

 

 その時、玄関のドアが開き、バンッと扉を開けて―――

 

「大丈夫? メールが来てからずいぶん経ったから心配で見に来たん、だけ、ど……誰?」

 

 幼馴染の 立花陽(たちばなよう)が現れた。

 

「あっ!」

 

 ……速攻でバレてんじゃねーか!!

 

 どうなるのこれ!?

 

 

 




…やってしまった感がある。
他の連載あるけど、どうしても書きたかった…
筆が遅いし、夏休みも終わるのに…

だが、私は謝らない(キリッ

申し訳ございませんでした。
不定期で、こんな小説ですがよろしくお願いします。

それでは次回まで!!

次回予告

時は流れ、央樹は高校生活をエンジョイしていた。
だが、IS適性があることが分かってしまい、IS学園に入学することに。
早速、一夏と仲良くなった央樹は、一夏と共にクラスの代表候補を怒らせ、決闘を申し込まれてしまう。

次回、第一話 ここに伝説が始まる

デュエルスタンバイ!!







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第一話 ここに伝説が始まる 上

こんにちは!
一話目で、早くも予定より長くなってしまったので上下に分けました。
それではどうぞ!!

2017年 6月16日 大幅に改正しました。


 どうも、みなさん。こんにちは。央樹です。

 

 あの、即バレ事件から約二年、いや約三年が経ちました。

 あの後、色々あったのですが、そこはおいおい話していきましょう。

 

 さて、本題なのですが、わたくし陣野央樹ですが、今―――

 

 IS学園にいます……

 

 ……なぜこうなった!? 男じゃ乗れないんじゃなかったかのかよ!? なんで俺、IS動かしてんだよ!!

 

 二日前に世界初の男性操縦者が現れた。

 名を織斑一夏……原作主人公だ。

 

 ここまでは原作通りでいい。

 しかし、政府のお偉いさんの方々考えた……

 

 これ、他にもいるんじゃね?

 

 世界規模で検査→俺にIS適正あり→じゃあ、実験し……保護しなくちゃ!!

 

 俺は焦った……

 あっこれ、解剖(バラ)されるなと……

 

 てか、なんで俺に適性があるんだよ!!

 と、言うわけで束に聞いてみた。

 

『良かれと思って、ISに乗れるようにしておきました!!』

 

 タバネェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!!!

 ぜってぇ許さねぇ!!

 

『良かれと思って、IS学園に紹介状だしておきました!!』

 

 タバネぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!

 マジ、マイエンジェル!! 許す、許すよ!!

 

 IS学園にさえ入ればこっちのもんだぜ!! 

 三年間は、IS学園の規則『いかなる国家も企業も、生徒に手を出せない』というもので守られる。

 ……三年後が怖いが、三年あればどうにかなるだろ。ならなかった場合、最終手段として、親に泣きつき「ダディ」で雇用してもらうしかないが。

 

 と、言うわけで届いた学生服を着こみ。荷物を持ってやって来ました、IS学園!!

 

「IS学園キタ――――――!!!!」

「うるさーい、恥ずかしいからやめて!!」

 

 そう、俺の隣には、赤い髪をツインテールにして白い女子学生服を着た165㎝くらいの女子―――幼馴染の立花陽がいる。しかも、美少女。しかも美少女!! ここ大事なので二回言いました。

 陽は色々理由があってここにいるが、一番の理由は―――

 

「あなたを一人には出来ないでしょ? ってか、放っておいたら、どこかで野垂れ死にしそう……」

 

 ……涙がちょちょぎれるセリフと共について来てくれたのだった。野垂れ死にってなんだよ。

 

「それにしても……受付どこだってばよ……」

「そうよね……」

 

 俺たちは学園の中に入ったはいいが、どこが職員室か分からなかった。

 

「どうにかならないの?」

「もうダメだ、おしまいだぁ……」

「諦めるの早っ!?」

 

と か、ふざけている間に、なんとかなりそうなものが見えてきた。

 

「お、掲示板発見!」

「そうね、これを見ましょう」

「どれどれ……」

 

 ここが現在地だとして……

 あ~、ちょっとこれは逆方向だな……

 

「ここから逆方向みたいだな、また迷わないように写真撮ってから行こう」

「そうね、じゃスマホっと」

 

 カシャッという音と共に写真が撮られる。

 

 そうして、その場を後にした。

 

 

『職員室』

 

 その学級表札を見て、安心した。

 

「ここだ、ここだ!!」

「広すぎでしょここ……」

 

 陽がげんなりした様に言う。

 確かにここは広すぎるな……

 あれから何度も迷いかけた。地図が無かったら、また迷っていた所だ。

 

「ま、たどり着けたんだから入ろうぜ!」

「そうね」

 

 コンコンコンコンッ!!

 

 四回ノックをしてから入る。四回、これが重要だ。実はニ回だとトイレノックになるのだ、国際標準マナーで定められているノック回数は四回。こういった初めて訪れる場所や面接時などもこれだぞ!!

 しばらくして、「どうぞ」といった声が聞こえてきたので中に入る。

 

「「失礼します」」

 

 見事に声がハモった。

 ……あるよね、こういうの。顔を見合わせて、少し笑いあう。

 

「えっと?」

「「ん?」」

「あ~、あなたたちは転校生さんですね!!」

「「そうですが?」」

 

 何かぽわぽわした、メガネの胸の大きな少女が現れた。

 それにしても、また被った。

 

「え、と、あなたたちは、陣野央樹さんと立花陽さん……ですよね?」

「「はい、そうです」」

「私はこのIS学園で教師をしてます、山田真耶(やまだまや)です」

(教師だったのか、生徒かと思った)

「はい、よろしくお願いします。山田先生」

 

 俺が失礼なことを思っていると、陽は山田先生にあいさつをする。

 

「あ、よろしくお願いします」

「はい、こちらこそ」

 

 よかった、いい人そうだ。

 

「ちょうど、クラスに行こうと思っていたところなんです」

「「そうなんですか、ならちょうどよかったです」」

「仲がいいんですね、ぴったりですよ?」

「「そうですか?偶然ですよ」」

「…わざとやってます?」

「「いえ、全然」」

 

 ……あるよね、こういうの。

 

「おい、陽。お前俺に合わせたか?」

「いや、全然合わせてないわよ?」

「分かりました……まあ、仲がいいと言うことで」

 

 そこで、一旦言葉を切り、山田先生は話をしますよ、という風にコホンッと口に手を当てる。

 

「はい、それじゃあ、クラスに行きましょうか?」

「は、はい」

 

 そう言って山田先生は歩きだしてしまう。

 陽よ、声が震えているぞ。

 

「陽さん、緊張しないで大丈夫ですよ?」

「ウェイ!!」

「央樹くんはもう少し緊張しましょうよ……」

「いえ、違います。この人、緊張するとオンドゥルるんです」

「オンドゥルるってなんですか!?」

 

 うん、かなり緊張している。膝がガクガクするくらいには。

 陽のことを言ってられないなこれは……

 

「ま、まあ、頑張って行きましょう、央樹くん!!」

「わ、わかりました」

 

 そうこうしていると俺たちのクラスである、1-1が見えてきた。

 えっ、15歳から約三年たって18になってるんじゃないか?

 それが、『オーくんはISの知識がないし、1年間より3年間ISにいてもらった方が束さん的にはいいなぁ……』と言われたので渋々従っている、という訳である。

 ちなみに、誕生日が来ていないから、まだ17だ。

 

「ここで、二人は待っていてくださいね?」

 

 そう言って、山田先生は教室の中に入っていった。

 しばらくすると、教室の中はガヤガヤとうるさくなっていく。

 

「……なあ、中どうなってんだろうな」

 

 俺は隣にいる陽に聞いてみた。

 この学園の防音設備は中々のモノなようでこちらには、少しの声しか届かない。

 ただ、複数人の声が聞こえてくるので、うるさいのだろうということは分かる。

 

「さあ、私に聞かれても」

「だよなぁ……俺ら忘れられてるとか無いよな……」

「大丈夫、と言いたいけどこの雰囲気だからねぇ……」

 

 と、心配していると、廊下の先から「そこの二人!」と声をかけられた。

 振り返ると、そこには鬼軍曹……じゃなかった、主人公織斑一夏の姉、織斑千冬が立っていた。

 

「何をしている?」

「あ、はい。俺たちは転校してきた者です」

「今、山田先生に呼ばれるのを待っているんです」

「そうか、そこで待ちっぱなしということは山田君はクラスの連中に振り回されていると見える」

 

 織斑先生は1-1の扉を開けると、ツカツカと中に入っていく。

 

「えーと、以上です」

「自己紹介も満足にできんのか、貴様は?」

 

 ちょうど、主人公織斑一夏の自己紹介のタイミングだったのだろう。

 そう言って、一夏に声をかける織斑先生。

 

「げえ、関羽!?」

 

 ズドンッ!!

 

 すごい音が鳴った。

 ……あ……ありのまま、今、起こったことを話すぜ!!

 見えないほどの速さで出席簿が振り落とされ、一夏の頭が陥没した。

 な……何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった……

 頭がどうにかなりそうだった……

 催眠術だとか力技だとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。

 もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……

 恐怖の表情で陽を見ると、陽も同じような顔をしていた。

 

「おい、二人とも入ってこい!!」

 

 この空気でですか!?

 一夏が机に突っ伏したまま起き上がってこなくて、え? 死んだ? マジで死んだの!? とか言う声が聞こえてくる教室の中にですか!?

 

「い、行くか」

「うん、このままじゃ私たちまで沈みかねない……」

 

 いそいそと入っていくと教室の空気がお通夜みたいになっている。

 

「よし、来たな。じゃあ自己紹介しろ」

 

 ……したくねぇ!!

 もっと「きゃー、本物の千冬様よー!!」とか「抱いて!!」とか、俺に対しても「二人目!!二人目の男子!!」とか言うと思っていたが、暗すぎる……

 こんなとこで自己紹介したら、絶対俺の思い出したくない思い出フォルダに行くぞ!?

 

「どうした? 自己紹介しないのか?」

 

 先生、あなたの横で青い顔している山田先生や暗い顔した生徒たちに気づいてください!!

 誰だって、こんな空気で自己紹介したくないです……

 

 そして、俺の思いが点に届いたのか、その時、不思議なことが起こった……

 

「二人目の男子!? やった!! 俺は一人じゃない!!」

 

 そう、死んでいた(※死んでません)はずの一夏が顔を上げ、俺に向かってキラキラした目を向けてきたではないか!!

 ……こいつの頭(の耐久値)は化け物か!?

 

「そ、そうよ!! 二人目!!」

「男子キタ―――(゚∀゚)―――― !!」

「むう、フツメンだ……」

「でも、嫌いじゃないわ!!」

 

 口々に女子が騒ぎ出した。

 よかった、これで自己紹介が出来る。

 陽からアイコンタクトで、早く自己紹介しちゃいなさい、と言われたので、早速自己紹介をする。

 

「おばあちゃんが言ってい「そういうのいいから普通にしなさい」ウェイ……」

 

 改めて息を吸い、自己紹介を始める。

 

「陣野央樹です!! 趣味はカードゲームと特撮視聴。好きな物はカレーと仮面ライダー!! 見ての通り、男子です。歳は17だけど、気楽に話しかけて欲しい。以上!!」

 

 俺が言い終わると、パチパチパチッと拍手をくれた。

 一夏が号泣していたが無視しよう。つーか、そんなにうれしかったのか……

 続いて、陽が自己紹介する。

 

「立花陽よ。趣味は射的と機械いじりと武装開発、好きな物はカレー、かな? 歳は央樹と同じく17。ま、よろしくたのむわ」

 

 俺と同じく拍手が送られる。

 

 ……毎度思うが、女の子の趣味じゃねぇ!!

 

 そんなことを思っていると、女子の一人が手を上げる。

 山田先生がその子を当てて、どうしたのか問う。

 

「はい、質問よろしいですか?」

「織斑先生いいですか?」

「ああ、かまわんよ」

「じゃあ、どうぞ」

「はい!!」

 

 そう言って、息を吸い込むと俺と陽に向かって質問する。

 

「あの、立花さんは陣野君のことを名前で呼んでますが、お二人は知り合いですか?」

「あ、それ私も気になってた! 付き合ってるのかな?」

 

 もう一人女子が話に入ってきて、そう言った。

 その少女の言葉をきっかけに、他の人も一斉に喋りだす。

 

「え~、マジ~」

「でも、そう見えるよね」

「え~、マジ~」

「もしかして、あなたを一人にしておけない!! とか言って一緒に入学したのかも!!」

「え~、マジ~」

「もうラブラブだったり!!」

「え~、マジ~」

 

 ……はあ、女子はなぜこうもこういうのが好きなのか?

 あと、さっきから「え~、マジ~」しか言ってない人いるぞ。

 いつまでもこうしているわけにもいかないので誤解を解く。

 

「え、と、俺たちは幼馴染なだけで……」

「なん……だと……」

「何!? 幼馴染とはフィクションではないのか!?」

「なんだって!? それは本当かい!?」

「嘘だ!! 嘘をつくなぁぁァァァァァ!!!」

 

 このクラスにはまともな奴はいないのか!? つか、どんだけ幼馴染に反応するんだよ!?

 

「えっ、幼馴染は普通じゃ……」

 

 一夏!! お前は分かってくれるよな!!

 良かったよ!! まともな人がいて!!

 

 あ、そうだ! 陽お前も何か言ってやれぃ!!

 

 陽は仕方ないという感じで、渋々誤解を解くため喋り出した。

 

「私たちは別に付き合ってないわよ…でも、そう簡単には渡さないわよ?」

「「「「「「!?」」」」」」カン☆コーン!!

 

 何か、遊戯王で衝撃的な内容を明かされる時等に用いられる効果音がクラス中に響き渡った気がするぞ!?

 うわあァァァァァァ!!!! また誤解されるようなことを!?

 昔、言っていたがお前の場合はおかん的なもんでしょ!?

 ちなみにその際、こいつに告白して撃沈している。

 俺の秘密が暴かれたところで、陽は腕を組み、話を打ち切る。

 

「以上、他質問は?」

 

 よほどインパクトがあったのか、他のクラスメイトはふるふると一斉に首を振る。

 ……おい、一夏くんよ、お前もか!!

 全員、意味を間違えているようだ……

 なんだか、もうさっそく帰りたくなった。

 ふぇぇぇ、帰ってドライブ見たいよぉ……

 

「……という訳だ。仲良くしてやれ」

 

 織斑先生!! あんたよくこの空気でさらっと言えるね!?

 山田先生なんて、ギョッとした顔してるぞ!?

 

キーンコーン、カーンコーン……

 

 俺の学園生活が心配になってきたところで、丁度一時間目終了のチャイムが鳴り響くのであった。

 

 何やかんやで、転入というより入学一日目はさっきのことがあり、誰にも話しかけられることなく過ぎ去っていった……

 

 

 




はい、という訳で今回はこれで終わりです。
次話は早めに上げたいです。
とりあえず、セシリア戦まではいきたいなぁ…

次回予告

一夏と共にセシリアに挑むことになった陣野。
まず最初にセシリアと戦うことに!!
お願い、負けないで!!陣野!!
あんたが負けたら、一夏との約束はどうするの?
シールドエネルギーは全然残ってる、ここを耐えれば勝てるんだから!!

次回、陣野死す

デュエルスタンバイ!!


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第二話 ここに伝説が始まる 下

連日投稿!!
書けたので投稿します。
ゆっくりして行ってね!!

2017年6月16日 改定しました。


 時間がたつのも早いもので、放課後になった。

 帰る用意をしていると、山田先生が走って俺の前にやってきた。

 俺の前で、空気を数回吸って吐き息を整える。

 

「良かったです、まだ帰ってなくて……あ、織斑くーん!! こっちに来てください!」

「はい? なんでしょう?」

 

 同じく帰る用意をしていた、一夏がやってきた。

 一夏が来たと同時に、山田先生はゆっくりと話し始めた。

 

「はい、実はですね、寮の部屋が決まりました!!」

「そうなんですか!」

「はぁ」

 

 ぶっちゃけどうでもいい、というより寮に入る用意など持って来てないからそれが心配だ。

 そこも、一夏は気になったようで質問していた。

 

「それなら、織斑の分は私がしておいた」

「あ、着替えとか、いると思ったのは送っておいわよ」

 

 THE 保護者ズ が あらわれた !!

 

 うん、一夏は姉だからわかるが、うちは何でだろうね……

 

「お、おう、ありがとう」

 

 とりあえず、礼を言っておく。

 ありがたいことにはありがたいし。

 その後、寮での生活の注意事項や風呂の話など、色々説明された後、解放された。

 

「おい、織斑!!」

 

どうせならと、俺は思いきって一夏と話してみようと声をかけてみた。

一夏はくるっとこっちに振り向くと、「なんだ?」と返してきた。

 

「いや、男は俺たちだけだろ? 何号室かと思って」

「そりゃ、同室だろ」

「いや、さっき説明にそんなこと言ってなかったし」

「そうか、俺は1025室だ」

「やっぱり、俺は1040室だ」

 

 うーん、これはどういうことだ……? 男同士である俺と一夏がなぜ同室ではないんだろう?

 そう考えていると、一夏は去って行こうとした。

 

「待て、お前俺を避けてねぇか?」

「そ、ソンナコトアルデンテ……」

「あるのかよ!?」

「だって、お前、あの陽って人と付き合ってるんだろう? 邪魔しちゃ悪いと思って……」

 

はあ、やっぱ誤解してる。

 

「付き合ってねーよ、現に俺はあいつに振られてる」

「は!? マジか!?」

「マジだ」

 

 ああ、あれは俺のトラウマになっている。

 勇気をもって告白したら、この結果……

 あ、思い出したら死にたくなった……鬱だ、死のう……

 

「待て待て待て、お前はいったい窓からどこに行こうというんだ!?」

「新世界」

「それあの世だよな!?」

 

 ……冷静になったら死ぬことはないな、うん。きっと、いいことあるっさ♪

 

「いや、悪かったよ。なんか、トラウマを刺激するようなこと言って……」

「いや、こっちこそだ」

「そうだ、織斑じゃなくて、一夏でいいぞ。仲良くしたいし。あっ、でも、敬語の方がいいですか?」

「おう、敬語はなくていいぜ。それと、俺も央樹でいい」

「「よろしく」」

 

 俺たちは握手を交わすと、それぞれ自分の部屋に行ってみようという話になった。

 ……黄色い悲鳴やら「一×央…ブハッ」とかいうのを聞きながら……

 

「それでさ~陽やつ、笑顔でヘッドショットだぜ?」

「それは怖いな、だけど箒のやつもたいがいだぜ?何かあったらすぐ木刀取り出してくるからな。今日呼び出されたんだけど……おっと、ここだ」

 

 お互いに自分のことを話し合っていたら、いつの間にか幼馴染の事を話していたりと、色々なことを話しながら、寮に戻っていると一夏の部屋についた。

 

「じゃ、ここだから」

「おう、またな!」

「おう!」

 

 部屋の前で別れ、そのまま自分の部屋に向かう。

 あれ? 何か一夏にイベントがあったような……ま、いっか!

 

『ほ、箒!? ちょっと待って、ぎゃあああああああああああああ!!!!』

『問答無用!!』

『そんな!! 腕が曲がらない方向に!?』

 

 何か聞こえたけど、空耳だろう……(震え声)

 決して怖いわけではない! でも、膝がガクガクするのは何でだろうネ☆

 

「っと、ここかな?」

 

 数分後、俺は『1040』と書かれた部屋の前にいた。

 

 ノックして、っと……

 

『はぁ~い、今開けます』

 

 ガチャリと、カギが開けられる。

 そして、一番初めに見えたのは、薄緑髪の少女だった。

 大きなアホ毛と小さいアホ毛、二本のアホ毛が印象的で、薄緑髪のショートカット、耳の前に二本の髪の房を垂らす、いわゆる萌毛と、大きなクリッとした目、145㎝前後の身長の少女が現れた。

 

「え、っと? 陣野君?」

 

 確かクラスにいたような……

 だがなぜここに?

 ……もしかして、いや、もしかしなくても……

 

「こんにちは、えっと君部屋?」

「う、うん私と妹の部屋だけど……?」

「なんといいますか……俺もこの部屋なんだ」

 

 俺は証拠に部屋の鍵ナンバーを見せる。

 

「え、えええええええ!?!!?!!?!!?」

 

 驚きの声が上がった。

 

 

 その後、その声に集まってきた人たちに事情を説明し、帰ってもらう。

 

 で―――――

 

「相部屋になりました、陣野央樹です……」

「はい、相部屋になってしまいました、メル・ヴェンスです…」

 

 俺たちは互いに自己紹介した。

 その後、微妙な空気になってしまい、互いに

 

((空気が重い…))

 

 と、感じていた。

 俺はそんな空気を吹き飛ばすように話を振る。

 

「そ、そういえば、この部屋妙に広いな。ベッドも4つあるし……」

「う、うん! 4人用だって言われたよ、けど、その四人の内一人が男だって思わなかった……」

「そうなのか、なんかわりぃな……」

 

 再び、沈黙……

 

((か、会話が続かない…))

 

 せっかく同室になるのだ。話をもうちょっとして、親交を深めたいが話題がない……

 ん? そういえば……

 

「なぁ、君は妹がいるって言っていたけど今どこにいるの?」

「それはね、今織斑先生に呼べばれて出て行ったところでね」

「へー」

 

 その後、何とか話題を探しながらお喋りをした。

 

 ……JKとのおしゃべり、中々楽しかったです!!  

 

 

 会話も一段落し、俺は今さっき届いた荷物の点検に入る。

 

「へえ~、ザ・男の子って感じだね?」

「まあな!!」

 

 用意したのは女の子(よう)だけどな!!

 持ってきた荷物は、着替え一式にスマホの充電器、それとゲームと特撮のDVD全部とカードとカードとカードとカートとカードとカードだった。

 

「あ、遊戯王! 陣野君やってるの?」

「ああ、それはもう、デュエルキングやデュエルチャンピオン目指すくらいやってるぜ!!」

「そうなの? 私もやってるんだ。……しよっか?」

「ぜひ!!」

 

 そうやって、デュエルをしようとすると……

 

「いけません!!」

 

 急に女の子が飛び込んできた。

 

「あ、アル「エッチなのはいけないと思います!!」は?」

「ファッ!?」

 

 何言ってんの、この子!?

 あと、誰なの?

 

「アルル・ヴェンス……私の双子の妹です……」

「マジで!?」

 

 頭が痛いのか、片手で頭を抑えながらそう言う。

 確かに、そう言われれば……

 

 ふわふわロングの髪は薄緑というより白っぽい緑で、顔はどことなく姉に似ているし、身長も姉とどっこいどっこいだ。

 

「とにかく駄目です!! そう言うことはもっと仲良くなってからにしましょう!! 分かりましたか?」

 

 ナニイッテンダフジャケルナ!! ヒドォオヂョグッテルトヴットバスゾ! ワーチョマーチョマチョナチョノーン?

 (何を言ってるんだふざけるな!! 人をおちょくってるとぶっ飛ばすぞ! まーた間違いじゃないのー?)

 ……ふう、とにかくどうなったのかメルに聞いてみた。

 

「マジでどうしたのこの子!?」

「……この子は普段ポヤポヤしてるんだけど、たまに何かを勘違いして訳のわからないことを言うの……」

 

 うーん、また誤解かな? とりあえず、話聞いてみよう。

 

「あの、ちょっと落ち着こう? 何か誤解してるみたいだからさ」

「これが落ち着いていられますか!? いいえ、落ち着けません!!」

「少し黙ってて……」(無言の腹パン)

「ぐふっ」

 

 あね の 『無言の腹パン』 こうげき!!

 いもうと は ち に しずんだ……

 

 ……オーウ、イッツアバイオレーンス。メルガールの腹パンは天下一品デース。

 

 俺達は、腹パンにより沈んだアルルが目覚めるのを待って説明するのだった。

 

~事情説明中~

 

「そうなんですか!? 男の人が私たちの部屋にいて、男の子って感じ、やら、しよっか? とかを言っていたのでつい……」

「ほぼ私の発言!?」

「とにかく大丈夫だから……」

 

 そうやっていると、アルルは自己紹介をしてきた。

 

「陣野さん、ごきげんよう。私、ヴェンスお「ワーワーワー!!」……アルル・ヴェンスです」

「? まあいいや、よろしく!」

 

 途中、メル・ヴェンスが遮っていたのが、怪しいが気にしないことにしよう。

 自己紹介が終わると、俺は思っていたことを口にする。

 

「そうそう、俺のことは央樹でいいぜ?」

「そう? なら央樹って呼ぶことにするね。私もメルでいいよ?」

「私もオウキって呼びますね。私はアルルまたはアルと呼んでください」

「おう!! メル、アル!!」

「仲良くなれたようね? 三人とも」

 

 この声は―――

 

「「「陽(さん)!!」」」

 

「あれ? なんで二人とも……?」

「一人でこの部屋に来させたかいがあったわ」

「まさか、お前……」

 

 俺はその一言でピンと来た。

 

「そ、これからこの四人で生活するから、仲良くなってもらおうと思ってね?」

 

 そう言って、『計画通り……』とでもいう風にニヤリと笑った。

 なんて奴だ。最初から自分がいたら俺が馴染めないだろうと思って、まず俺と同居人を先に合わせて仲良くさせるなんて…っ!!

 何て策士!! そこにしびれるあこがれるゥ!!

 

「ちなみに織斑先生がどうっていうのは、私の嘘」

「え、そうなんですか? 通りで何も知らないはずです……」

 

 ……ほんと、すいません。うちの娘が……

 

 その後、親睦を深めるため一緒にドラえもんを見ました。楽しかったですまる

 

 

 

 コッケッコッコー!!

 

「は!?」

 

 昨日決めた自分のベットで目が覚めた。

 いつのまにか寝ていたようだ。

 周りを見ると女子たちはいなかった。

 

 ……でも、そういえば昨日、女の子の部屋で寝たんだよなぁ。

 今考えるとこれでいいのかIS学園と、思ってしまう。

 ま、俺は臆病だから手を出したりしないけどね。

 警察怖いし……つーか、それ以前に退学になるだろ、変なことしたら。解剖コース一直線だ。

 ん? もしかして、IS学園の奴、そこまで考えて?

 

 思考の果てに、学園の隠されざる暗黒面に触れようとしてしまう(妄想)と、ふと、視線が時計をとらえた。

 

8時20分

 

 ん?

 …やべぇ、遅刻だぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

 急いで、服を着替え部屋を出る。

 飯を食べている時間はすでにない。

 30分にホームルームは始まるから急がないと!!

 

 俺は一陣の風となって廊下を走った。

 

「廊下は走るな、馬鹿者」

「あっはい」

 

 風はやんだようだ……

 

 

~一時間目を終えて~

 

「フィ~」

 

 俺は精根尽き果てた顔をしていた。いや、実際には見ていないからわからないが、そういう顔をしているのであろうという事は、自分の疲労具合からわかる。

 

「おはよう、ってどうした!?」

「ああ、一夏か、遅刻しそうになってな……」

「なんだ、そんな事か」

「なんだとは何だ、飯食ってないから腹がすいてヤバイ」

 

 割と本気でヤバイ。グーグーとすでになり続け、ビートを刻んでいる。

 そう言えば、昨日映画三昧でご飯食べてなかったな……

 二食抜くのは男子高校生、いやもう大学生の年齢だが、にとってはかなり死活問題だ。

 

「そういうだろうと思って、持って来たわよ」

 

 俺の前に二・三個惣菜パンが置かれる。

 

「陽!! お前ってやつは……」

「寝坊すると思ってたわよ……ま、起こさなかった私たちが悪いんだし」

「サンキュー!! おかん!!」

「おかん言うな!」

 

 漫才のようなやり取りをしていると、「おはよー」と言いながら、メルとアルルがやってきた。

 

「おう、二人ともおはよう」

「おはようございます、オウキ」

「ん? 央樹この二人は?」

「ああ、同じ部屋なんだ。こっちのショートの方がメル。ロングの方はアルル」

「「よろしくお願いします」」

「こちらこそ、よろしく!!」

 

 そうやって、4人で話していると、ポニーテールの子が近づいて見ていることに気が付いた。

 一夏はその姿を見ると、その子に近づいて行って手を握り、こちらに連れてくる。

 

「な、放せ、ちょ、待て一夏!!」

「待たない。おーい、こいつは箒って言うんだ。俺の同居人」

「へー、やっぱ一夏もか…」

 

 箒と紹介された人物は、パッと一夏の手を放すと、頬を染めながら自己紹介する。

 

「し、篠ノ之箒(しのののほうき)だ! よ、よろしく」

「うん、よろしく!」

「「「よろしく(お願いします)」」」

 

 その後、箒を入れて五人で喋った。

 

 そして、数分後チャイムが鳴り、各自自分の席に座る。

 しばらくして、織斑先生と山田先生が入ってきた。

 

「すまない、少し遅れた」

「すみません、緊急職員会議で遅れてしまいました」

 

 緊急……どうしたんだろう?

 その答えを山田先生は教えてくれる。

 

「はーい、皆さん。先ほど会議で決まったことなんですが、学級委員を二人選出しなきゃいけなくなりました」

「どう……いうことだ……?」

 

 一夏が驚愕の表情でそう返す。

 そこまで、リアクションしなくても……

 ざわざわと周りも騒ぎ出す。

 つーか、みんな騒いでるけど学級委員なんて大体二人だろ? 男子と女子で二人、男子は男子、女子は女子、話しやすい奴を選んで、その二人をそれぞれの連絡係として学級委員に任命という名のなすりつけをする。

 

「それはね、この学園では学級代表っていってね。その名の通り、代表=一人って決まってたんだよ」

「そうなのか?」

 

隣のメルが教えてくれる。

 

「そ、んで、クラス全体で行動すること全部その人がリーダーとなってクラスを引っ張るの」

「そうか、その代表制度が二人選出になったってことか」

「うん、そういうこと」

 

 まあ、ここでは女子ばかりだし、一人でよかったのかもしれないな。

 ん? そう考えると俺達が入ったから変わったのかね?

 あれ、待てよ、でも……

 

「二人になって何か変わるのか? 確かに役割が二つに分かれて楽になるが……」

「変わったことは説明してくれるんじゃない? 先生が」

 

 陽が頬杖をつきながら、壇上に立つ山田先生を指す。

 

「みなさーん、落ち着いてくださーい、まだ説明はありますよー」

 

 その言葉を聞くと、みんなピタッと騒ぐのを止める。

 そんなに聞きたいのか……

 

「クラス代表の仕事が軽減できるというメリットもあります。が、まず、クラス代表が二人になったことで、クラス対抗戦は勝ち抜き戦になりました。まず一人づつ出して、勝った方が連戦し何方か一方が闘えるのがいなくなるまでやると言う風に変わります」

「へえ、色々できそうだな……」

 

 楽しそうだ、これなら専用機持ちも訓練機も戦略次第で化けるな。

 

「他はまたおいおいお知らせしていきますね?」

「そうだな、ありがとう山田先生」

「いえいえ~」

「そう、そのクラス委員についてだが、自薦他薦は問わない誰か推薦する者はいないか?」

 

 クラスがまた騒めき出す。

 各々が色々なことを言い合い、意見を出し合う。

 そして、果てにはこんな意見も……

 

「一×央でいいんじゃない?」

「受けも攻めも任せろって?」

「ちょwww 誰がうまいこと言いなさいって言ったよw」

 

「「……」」

 

 なんかもう絶句……

 腐力が強すぎる……

 俺たちは何も言えない。

 

「えーと、一×央……っと……」

「山田先生、書かなくていい書かなくていい」

 

 マジ止めて!!

 俺たちのライフはもうゼロよ!!

 

「……一夏と央樹以外にはいないか?」

 

 みんな、頷きかける。

 その時っ!!

 

「納得いきませんわ!!!!!」

 

 金髪ドリルガール(仮称)が立ち上がり、文句を言う。

 

「そんな選出納得行きませんわ!! 大体、男がクラスの代表になるなんて言い恥さらしですわ!! このセシリア・オルコットにその恥辱を一年間味わえとおっしゃるのですか?」

 

 あ~、いるよねこういう女尊男卑女。

 

「大体、実力から行けば、代表候補生であるわたくしがなるのは当然!! それを珍しいからと言って極東のサルにされては困ります!!」

 

 はあ……確かに戦時中イエローモンキーとか言われてたけどさ……

 おや? 隣の一夏の様子が……?

 

「大体、文化的人種的に後進的なこのような島国で暮らさないといけないこと自体、わたくしにとって耐えがたい苦痛で―――」

「イギリスだって「大体、大体と何度も何度も、他に言葉を知らないのか?」んな?」

「なんですって!?」

 

 一夏が余計なことを言いそうになったので、口を塞ぎ俺が代わりに喋る。

 

「汚らしい男が私に意見をしないでくださる?」

「なんで口を塞ぐんだよ! こいつには一回言ってやらなきゃ!!」

「自分が代表候補生だってことを分かっていない奴なんか、相手する必要ねーよ」

「なぁ!! あなたわたくしを「それがイギリスの総意なんだな?」は? どういう……」

「だから、候補生とは言え、この場ではイギリスの代表であるお前の意見は、イギリスの意見と言うことになるんだぞ? そこを分かっているのか?」

「っ!!」

「お前は俺たちだけを馬鹿にしていたらいいものを、よりにもよって日本全体を馬鹿にするようなことを言った。それにしてもおかしいよな? ISを作ったのは日本人で、世界最強も日本人……それを文化的人種的に劣っていると言った……あれれェ? おかしいなぁ~」

 

 今、自分が言ってしまったことを振り返ってみて顔を青くするセシリア・オルコット。

 どうやら本当に、頭に血が上っていたらしい。自分が言ったことによって、自分にどれだけのマイナスがあるのかを考えることが出来なかったみたいだ。

 少々、意地悪だが畳みかけさせてもらう。第一、俺の言ったことだってただの詭弁だ。ただの候補生が一クラスで言った程度の事だ。どこまで問題になるかは分からない。

 

「資格とISを取り上げられるどころか、これは国際問題に発展しかねないなぁ……」

「っうう……」

 

 あ、目に涙がたまってきた。

 しまったな、泣かすつもりはなかったんだが……

 しょうがない、フォローをするか。

 

「あ~そうだなぁ……確かに俺たちは実力的には足りないかもしれないしなぁ……」

「な、なにが言いたいんですの!?」

「つまり―――

 

『おい、デュエルしろよ』

 

ってことだ」

「は?」

「俺たちと戦って、勝てばこの話はここまで。これ以上は追及しない。ただし、俺たちが勝った場合は……ひ・み・つ」

「っ!! わかりましたわ……その勝負受けて立ちましょう!! 要は勝てばいいのですわ!!」

「え? 俺たち(・・)……?」

 

 そう、その通り。

 

「お前も戦うんだよ、一夏」

「マジで!?」

「ふん、やはり汚い男ですわね。1対2とは……」

「何言ってんだ? 戦うのは一人ずつだぜ?」

 

「「「「「「「「「「はぁ!?」」」」」」」」」」

 

「ちょ、ちょっとお待ちなさい! あなた、わたくしは代表候補生ですのよ!?」

「それが?」

「それがって……」

 

 「それが?」しか、言うことないんだが……

 別に負けてもいいだろ?

 負けても何も失うものはない。

 しかも、そこは喜ぶとこだろう? もしかして負けたいのか? 負けて、「くっ、殺しなさい」とかがお望みなのか? ドMなのか? ドMリア・オルコットなのか?

 

「何処までも私をッ!! いいでしょう時間をあげます! 一週間後です!! それまで、鍛錬にでも励むことですわね!!」

「おう、ありがとう」

「っ!!」

「一夏、お前の試合一週間後だってよ!」

「おう……って俺? 央樹は?」

 

 俺はその問いに答えず、織斑先生に確認する。

 

「織斑先生、今日放課後アリーナ開いてますか?」

「開いている、が……そんなことを聞いてどうするつもりだ?」

「もちろん―――」

 

 今までずっと座って言っていた俺は、立ち上がって宣言する。

 

「今日の放課後、俺、陣野央樹はセシリア・オルコットに決闘を申し込む!」

 

 その言葉と共に、セシリア・オルコットに指を突き付けるのであった。

 

 

 

 

 

「……やっちまった」

 

 時間は過ぎ、昼飯時。

 IS整備室の横のベンチに座って、うなだれている俺がいた。

 いやいやいや、なんで俺セシリアに喧嘩売ってんの!? 馬鹿か俺!?

 なんでこんなことに……

 確かに、相手が侮ってくれている今のうちに倒す、という方法を使うにはいい時期だが、いかんせん、他ならぬ俺自身が相手の逃げ道をつぶして、本気にさせてしまった。

 やばいなぁ…原作を知っているからといって経験値の差は埋まらない。

 ただ、救いがあるとすれば、俺のISだろうか。

 束と両親の合作で性能も折り紙付きだ。

 このISの特性上、セシリア相手には相性的にはいいが……俺自身の実力でこのISを使えるだろうか……

 そうやって、俺がもやもやしていると、「おーい」という声が聞こえてきた。

 

「おーい、王様~」

 

 上着ダボダボウーマンが現れた。

 この、のほほんとした感じ……

 この子がのほほんさんかな?

 

「って、王様?」

「うん、央だから王様~」

「やめてください、死んでしまいます、色々な意味で!!」

 

 同級生から王様とか言われるのはどうかと……

bのほほんさんは、うーん、と言いながら、ダボダボの制服の袖を頭に引っ付けて、腕を一休さんが考えている時のように回し、俺のあだ名を考える。

 しばらくして……

 いいのが思いついたのか、パッと腕を放し、これならどうだ! とでも言うようにニヤリと笑って、こう言い放った。

 

「じゃあ、オッキーだ!!」

「オッキー!?」

 

 オッキー・ザ・ファイナル!! とか、オッキーアワーとか?

 

(それを言うならラッシュ……最後は無理があるんじゃないかな?)

(コイツ……直接脳内に……ってなんでわかった!?)

(顔に出てるよ?)

 

「なん……だと……?」

 

 そんなに顔に出やすいのだろうか。というか、顔でそんなことまでわかるのか……?

 まあ、そのことは置いて、オッキーか……

 

「別に悪くないな」

「なら、オッキーにけってぇ~」

「ふふふ、ありがとう、いいあだ名だよ」

「そう? じゃーねー」

 

 なんか、悩んでるのが馬鹿らしくなった。

 いいじゃないか、当たって砕けろだ!!

 

 

 

 放課後のチャイムが鳴り終わった―――

 

 アリーナにはどこから聞いたのか、人がかなり入っていた。

 俺はアリーナのピットで肩を回していた。

 

「勝て、それしか言えん」

「ありがとう、箒」

「大丈夫か? 央樹、お前初めてなんだろ? IS乗るの」

「初めてってわけでもないが、まあ、それほど乗ってねーよ、一週間程度かな?」

「それって入試の模擬戦の話だよな……」

「ま、そんなもんだ」

 

 心配して来てくれた一夏と箒と軽くしゃべり緊張もほぐす。

 

「でも、大丈夫なの?」

「うーん、怪我でもしたら大変ですよ?」

「二人もありがとう」

 

 ヴェンス姉妹も来てくれた。なるほど、不安が顔に出るという事はこういう事か。二人ともかなり心配してくれているのがわかる。

 安心させるように、笑って礼を言う。

 

 そして、陽。

 

「別に何もないわよ」

「そうか」

 

 俺たちは少し見つめ合う。

 

「はぁ…勝ってきなさい!!」

「おう!!」

 

 幼馴染から激励を受け取った。

 これで、百人力だ。さあ、行こうか!!

 

 

 

~央樹が出て行った後のピット内~

 

 一夏は、そういえばと思い出す。

 

「あれ? 央樹のやつそのまま出て行ったけど…」

「そうだ、ISを装着してないぞ?」

「あれ? 忘れちゃったのかな?」

「かなり緊張してるのでしょうか?」

 

 四人は大変だ! と、騒ぎ出す。

 一人、陽は目を閉じ出て、行った央樹の顔を思い出す。

 

「もう、あの派手好きめ……」

 

 呟きはそのまま誰のにも聞こえることはなく、宙に消えていった。

 

 

 

~アリーナ~

 

 ざわざわしているな……

 

 今、俺はアリーナの模擬戦場の中央に立っていた。

 

「……わたくしを挑発してますの? それは」

 

 来たな……

 それ、とは、俺は今ISを纏っていない(・・・)

 なめられていると思っているのだろうか?

 

「いや、何も挑発してはいないさ」

「なら、ISはどこです? ISは用意できませんでした、では済まされませんわよ?」

「安心しな、ISはここにちゃんとあるさ」

 

 俺は肩から掛けていた、それ(・・)を前に突き出す。

 

「……その、おもちゃのベルトがなんですの?」

IS(・・)さ!」

 

 おもちゃのとはひどいな。

 俺のISはある仮面ライダーと似たベルト状のものだ。

 変身動作がかっこよくて、何度も練習したものだ。

 

 さあ、見てもらおうか、文字通り、俺の―――――

 

『変身』を!!

 

 右腕に持ったベルトを、腕を振りながら腰に巻き付ける。

 腰を帯部分がぐるっと一周し、カチャリとベルトに装着される。

 右手でベルトにあるナックル(・・・・)を取り外し、水平に立てた左手にゆっくりと持っていく。

 ナックルを左手に押し付け、そのままゆっくりと横に伸ばす。

 

「さあ―――――――――

 

変身!!」

 

 その言葉と共に一気に引き戻し、ベルトに装填する。

 

 赤いゴツゴツとしたISのシルエットが映り、俺と重なっていく。

 完全に重なった瞬間、カッと光があふれだし、その光が収まると……

 

 そこには、赤い全身装甲(フルスキン)のISが立っていた。

 

「さあ、最高に燃えてきたぜ!!」

 

 

 




ふう、やっとIS出せました!!
ISのベルトモチーフは仮面ライダーキバより、イクサです。
そしてそして、ヒロイン姉妹の登場です!!
彼女達にも専用機は用意されています。
登場までしばしのお待ちを!!

それでは次回!!
どうしよう、戦闘描写難しい、どう書こう?とか言えない…

次回予告

ついに明かされた、央樹のIS。
しかし、開始早々セシリアの猛攻を受け続けてしまう!
央樹は代表候補生に勝てるのか!?

次回 第三話 我がISの真価

次回も、サービスサービスぅ!!

おまけ
央樹の持ち物に仲間外れがいるぞ!探してみよう!!



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第三話 我がISの真価

連日投稿!!
なんだか訳わからなくなってきましたけど、ついて来てくれたらうれしいです。
それでは、どうぞ!!

2017年6月16日 改正しました。


両者は対峙していた。

一人は青のISを纏い、もう一人は赤のISを纏っている。

 

全身装甲(フルスキン)……それがあなたのISですか……」

「そうだ、これが、この姿こそが!! 俺のISだ!!」

「そうですか、なら、もう遠慮はいりませんわね!!」

 

そう言って、大型ライフルの『スターライトmkIII』を俺に向かって構える。

 

『バトル・スタート』

 

そのアナウンスと共に、セシリア・オルコットは『スターライトmkIII』を放つ。

 

「いきなりかよッ!!」

 

俺はとっさにガードの体制をとる。

が、取り切れず食らってしまう。

シールドエネルギーが()()に減ってしまった。

 

「踊りなさい、このセシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲(ワルツ)で!!」

 

そう言って、ビットを出してくる。

あれが、原作で自在にレーザーを曲げたりして操ることの出来る、第3世代型IS《ブルー・ティアーズ》のBT兵器『ブルー・ティアーズ』か!!

 

「踊りか……ダンスは苦手だな」

 

俺は『ブルー・ティアーズ』と『スターライトmkIII』から発せられるレーザーの嵐を、地面を滑るように回避する。

だが、長くは続かない。

 

「くそ、このレーザーの雨はきついな!!」

 

開始から数分が立つが、俺が『ブルー・ティアーズ』を地面でのホバリングで避けながら、『スターライトmkIII』を防ぐばかり……つまり、防戦一方だ。

 俺のISは鈍重で、そこまで早く動けるわけではない。が、ドラえもんの足ように微力な重力反発装置がついていて、地上で動く分には少し動きずらいだけで滑るように回避することは難しくない。

 だが、如何せんレーザーの数が多いので、苦しくなってくる。

 

「そのISは飛べないようですわね!!」

「っ!!」

 

 そう俺のISは飛べない。

 ブースターは積んでいるので、疑似的に跳ぶ(・・)ことはできるが……

 

 そう、飛べない俺は、今は避けるしかない。

 しかし、初心者の俺に完全によけきれるはずもなく、何発か被弾していく。

 俺は苦し紛れに、拡張領域(バススロット)からハンドガンを取り出しセシリア・オルコットに向かって、牽制の意味を込めて撃つ。

 当然、当たるわけもなく、そのまま弾は落ちていってしまう。

 

 実は俺の武装はこのハンドガンと切り札の二つしかない。

 これは俺の戦闘スタイルや要望によって増やしていくと、両親から言われたからだ。

 切り札もその俺の要望に応えたものである。切り札は文字通り、切り札にふさわしい威力を持つ、が、今はまだ切り札を明かす時じゃない。

 

「おやおや、どうしましたか? さっきまでの威勢は?」

「……」

「その様子じゃ、手も足も出ないご様子……正直、期待外れですわ。もう終わらせてあげましょう」

 

 セシリア・オルコットはビットを全方向に配置し、俺を囲むようにする。

 そして、『ブルー・ティアーズ』と『スターライトmkIII』から光が一斉に掃射される。

 

ッ―――!!一斉掃射――――

 

 

 アリーナの中心で爆発が起こった―――――――

 

 

 

~ピット内~

 

 爆発が起こったアリーナが映像に映し出される。

 一夏がバッと立ち上がり、画面に飛びつく。

 

「央樹!!」

「一夏!! 待て!! 何か様子が―――」

 

 爆煙が晴れると、そこには――――

 

「「「「え!?」」」」

 

 全く無傷(・・・・)の赤いISがそこにはたたずんでいたのだった……

 

 

~再びアリーナ~

 

「シールドエネルギーも減っていない……全くの無傷ですって!?」

「全くではねーけどな……」

 

 よく見るとほんの僅か、シールドエネルギーを削られている。が、それ以外は全くの無傷であった。

 

「一体どんなトリックを!!」

 

 そう言って、『スターライトmkIII』を撃つセシリア・オルコット。

 だが、俺はあえてそれを避けずに、

 

『受け止めた』。

 

 当然、無傷、シールドエネルギーも健在だ。

 

「な!?」

「……俺のISの名は赤最(せきさい)。正式名称は赤型最《こう》三式って言ってな。この機体には三つの《最こう》があるんだわ」

「どういう……?」

「その一つが《最硬》または《最鋼》。全ISの中でこいつの防御形態は一番の防御力を誇るのさ」

 

 明かされた俺のISの性能に観客がざわめく。

 ちなみに、最硬は実験での識別名、最終的な名称は《最鋼》だ。

 

「……その割にはダメージを食らっていたようですが」

「うん、《最鋼》と呼ばれる防御力を発揮するのはガードしたときのみだ」

 

 俺はあっさりとネタ晴らしをする。

 元々防御力は高いのもあるが、防御形態ではそれがもっとも顕著に現れる。

 俺の赤最の装甲はビームを半減させる特殊加工をしてあり、ダメージを抑えることができるのだ。

 そして、防御形態では機体の一切の動作を許されないが、防御性能がすべて二倍アップする。

 つまり、ビームは一切通さない。

 ちなみに、物理攻撃は80%減となる。

 

「……余裕ですわね」

「まあね」

「っ何処までも、わたくしを馬鹿に!!」

 

 これもまた作戦の内さ。

 怒ったセシリア・オルコットは『ブルー・ティアーズ』を俺に向かって再度差し向ける。

  

 でも……

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!!!!!」

 

 防御形態に移行し、全部ガードをする。これぞ、亀の甲羅の術、ってかぁ?

 俺はガードの隙間から、セシリア・オルコットの動きを見る。

 『ブルー・ティアーズ』の位置もISで検索し把握する。

 

「どうしたよ? セシリア・オルコットォ、息上がってんじゃねえのか!!」

「っ黙りなさい!!」

 

 こうやって挑発を繰り返す。

 まどろっこしく思ったのか、ガードを崩すため、全ての『ブルー・ティアーズ』を差し向け、本人も近づいてくる。

 

「近距離なら、どうです!!」

「ああ、確かにそれなら効くだろうよ、特殊加工とはいえ十全には発揮できないだろうしな――――――――でも、いいのか? そんなに近づいて?」

「ッ―――――――」

 

 瞬間、俺のISの全身の装甲が盛り上がり、中から無数の鋭くとがった槍のように、

 

『ドリル』

 

が、突き出て来て、全ての『ブルー・ティアーズ』を貫いた。

 その『ドリル』は近づいてきたセシリア・オルコットにも当たり、装甲の一部を突く。

 周りのビットとセシリア・オルコットのISの装甲が爆発する。

 爆風が俺の姿を隠す。

 

 煙が晴れると、観客席から戸惑いの声が聞こえる。

 まあ、そうだろう。今の俺の姿は周りから見るとハリネズミみたいになっている。ISがこんな姿になっているのはみんな想定外……と言うか、想定することはまずない。

 

 しかし、これこそが、俺の切り札『ドリル』を使った技……『フルドリライズ』!!

 少し前、グレンラガンを見ていた時に、陽に「ISの初期武装に何がいい?」と言われ「ドリル!」と即答してしまい、丁度この技を使うシーンだったことから、俺のISにもこの技を搭載されることになった。

 ……うん、深夜のテンションだったんだ。それでも、ダメージを与えることは出来たので良しとする。

 

 それにしても、セシリア・オルコット気づいたのか……

 流石、代表候補生と言ったとこか。

 人に向けるのは危ないとは思ったが、人体に当たっても大丈夫なようにはなっているらしい。だから、半信半疑でやったが、少しでも技を緩めていたら、躱されていたところだった……

 恐るべき直感力と反射神経だ。

 

「こんな、奥の手を持っていたんですの!?」

「ああ、お前は俺の挑発に冷静さを失った……結果がこれだ。お前は様子見をするべきだったんだ」

 

 そうすれば、俺は動けず、徐々に押され、ジリ貧になっていただろう。

 だが、セシリア・オルコットは不用意に近づいてしまった……

 男だからと侮っていたのか、それとも動けないから大丈夫と思ったのか、なんにせよ人はそれを油断と呼ぶ。

 シールドエネルギーは残っていたが、《ブルー・ティアーズ》はボロボロであり、素人目に見ても明らかに試合続行不可能だと俺は判断した。

 

「終わりだ……降参してくれ」

「ッ!!」

 

 俺はもう戦う気はなかった。

 背を向け、ここから立ち去ろうとした。

 でも、そんな態度がいけなかったのだろう、その結果―――――

 

「あなたは……あなた方は!!! いつもそうやって、わたくしを馬鹿にする!!!」

 

 怒りに火を注いでしまった。

 

「まだ……まだ、ブルーティアーズは残っていますわ!!」

 

 ドンッと何か発射された音を聞いた時には―――――

 

 

 

俺を爆発が飲み込んでいた。

 

 

~ビット内~

 

「央樹!!」

 

 今度は、陽がモニター画面に飛びつく。

 付き合いの長い陽が焦っている。その様子に、相当不味いと感じた他の四人もどうなったか心配でモニターに集まる。

 

 いまだにモクモクと立ち上る爆煙で、モニターからは姿が見えない。

 

「そんな……央樹」

 

 陽が、ぺたりと座り込んでしまう。

 女子組はその陽の様子に、陽を助け起こすように集まる。そして、一夏は央樹はどうなったのかと、ジッと見続けていた。

 そして、画面の奥に何かが動くのを発見し、声を上げる。

 

「おい! みんな!!」

 

バッと画面をみんながのぞき込む。

 

 瞬間、螺旋を描き爆煙が晴れ、現れる!!

 爆煙を巻き込みながら高速回転する巨大なドリルを持ち、掲げる赤最の姿があった。

 

『わかったよ、決着をつけようか!!』

 

 彼の闘志に共鳴するように、より一層回転率を増し唸りを上げるドリル。

 

『さあ、行くぜぇぇぇぇ!! これで!! 最後だぁ!!』 

『そん、な……わたくしが、負ける……?』

 

 セシリアの呟きをかき消すように、央樹の叫びがアリーナを揺るがす。

 

『必殺ゥ!!!!』

 

 そして、ドリルを正面に構え、ブースターを吹かせる。

 ボッ、ボォォォ!!! と、ブースターが唸りを上げ、央樹の体を押し出し、跳ぶ(・・)

 この技の名前を魂の奥底から絞り出し、体を高速回転させ、一筋の流星――――あるいは、一本の巨大な壁を突くようなドリルになりながら、セシリアに向かって突き進んでいく。

 

「ギぃガァァぁぁぁドリルゥゥゥぅぅぅ、ブレイクぅぅぅぅゥゥゥゥ

!!!!!!!!!」

「う、あ、きゃああああああああああああ!!!!!」

 

 先ほどのダメージで動けなかったセシリアはそのドリルをまともに食らい、そのまま吹き飛ばされた。

 

 ―――ダメージが危険域に達したIS《ブルー・ティアーズ》が、自動解除されながら。

 

「あ、危ない!!」

 

 誰かが叫んだ。だが、セシリアには届かない。先ほどの衝撃により意識を失っているようだった。

 このままでは地面に頭から叩きつけられる!!

 

 皆、この後に起こるだろう悲劇を想像し、目を覆った。

 対戦者の央樹以外は……

 

~アリーナ内~

 

 ちぃ、ヤベぇ!! やり過ぎた、気を失ってやがる!!

 俺はドリルを投げ出し、ブースターを強制的に方向転換させる。

 強烈なGがかかりミシッと身体からやばい音がなるが、関係ない。これにより、速度を落とさずに方向を変えることができた。

 

 後は―――――――

 

「畜生、間に合えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

 

 ガリガリと地面が装甲を削る衝撃に耐えながら速度を殺し、全力で地面を蹴り上げ、ブースターによりセシリアが落ちるであろう場所に向かって猛スピードで跳ぶ。

 精一杯伸ばした手が、セシリアの華奢な体が地面に激突する寸前に、ガシッとその体をキャッチする。

 

 よし! なんとか、キャッチ出来た!! あとは止まれば―――あれ?

 

「と、と、と、止まれないぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!????」

 

 結果……

 

 アリーナの壁には大穴が開きましたまる

 

 

 はあ、それにしても、ほんと人のこと言えねーな……

 俺も油断してたか……

 

 そう、俺は思いながら、意識を手放した。

 

 

 

『試合終了、勝者―――――――陣野央樹!!』

 

 

 勝利の余韻に浸りながら……

 

 

 




ウワアアアアア!!!!
戦闘描写難しすぎ!!
至らない点もありますがどうか、ご容赦を…

央樹のISの話ですが、一つ目のコンセプトは、硬くて一撃必殺です。
それとなぜあの技なのかと言うと…

私の趣味だ、いいだろう?

と、いう訳でございます。
趣味で他の技も使っていくと思うので、どうかご容赦を!!

それではまた次回!!

次回予告

なんとか勝利に終わった央樹。
次は俺だと、意気込む一夏だったが…?

次回 第四話 一夏VSセシリア

次回もリリカルマジカル頑張ります!!


クオリティが段々低くなってきているような気もします。
次回から、もう少し間隔が開くかも…


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第四話 一夏VSセシリア 上

どうも皆さんこんにちは!
大学が始まり、忙しくなってまいりましたが、書けたので投稿です!!

今回はバトルパートと日常パート分けました。

それでは、ゆっくり見て行ってね!


 俺は部屋で目が覚めた。

 

「確か、俺は……」

 

 そうだ、セシリア・オルコットと戦い、勝ったんだ。

 あの試合……一瞬でもガード遅れていたら、こちらに大ダメージが入り負けているところだった。機体の性能が良かっただけで俺は何もできてなかった……

 俺の機体、赤最は贔屓目無しにしても最強であろうISだ。

 もっと、使いこなせるようにしないとな……

 

 そう考えていると、コンコンとドアをノックする音が聞こえてきた。

 

「はいは~い、今開けますよっと」

 

 俺は鍵を外し、ドアを開ける。

 

 すると……

 

「おー、大丈夫だったか央樹!」

 

 一夏が現れた。

 はて? 何の用だろうか?

 

「ああ、大丈夫だが……どうしたんだ?」

「おお、いやな。意識を失っていたから心配でな」

「それは心配をかけた、でももう大丈夫!! 完全復活、パーフェクト央樹様だぜぇ!!」

 

 大丈夫だということを証明するために、俺は顎を出し顔芸をする。もちろん、ポ-ズも忘れない。どうだ、俺は元気だろう。

 ……なんだか、体がギシギシいっているのは気のせいだと思いたい。

 

「お、おうそうか……」

 

 あれ引かれた!? 人類には、AGOは早すぎたか……ま、いいや。

 

 俺は、ふう、と息を吐くと、一夏を見つめ、拳を出す。

 

「次はお前の番だぜ?」

「ああ、勝つさ」

 

 俺の拳に、一夏は自身のをコツンと当て、ニヤリと笑う。その笑みに俺も負けじとニヤリと返す。

 ここにニヤニヤと笑い合う気持ち悪い男たちの図があった。

 

 そう言えばと、俺は笑うのを止め、気になったことを一夏に聞いてみる。

 

「一夏お前は機体はどうするんだ?」

「ああ、一週間後までに専用機を用意してくれるってさ!」

「それなら大丈夫だな」

 

 あのセシリア相手に、訓練機なんざ自殺行為だ。なんとか専用機が供給されるようで一安心だ。

 

「ああ! で、物は相談なんだが……」

「なんだ?」

「俺のコーチしてくれねーか?」

「なぜだ?」

 

 いや別にいいが……

 

「そりゃ、あんなに動かせてるんだからさ。別にいいじゃねーか」

「かまわんが、言っとくけどそこまで出来ることねーぞ? 俺は凡人だしな」

「でも、勝ってんじゃん」

「あれは機体性能が良かっただけだ」

 

 そう、他の機体ならば俺は確実に負けていた。束や両親には、感謝してもしきれない。

 一夏は、俺に教えてほしい理由を続ける。

 

「でもさ、俺よりは乗ってんだろ? 何分くらいだ?」

「うーん、一週間だから…24時間×7で……168時間くらい?」

「は!?」

「うん?」

 

 そんなにおかしいことでも言ったのだろうか?

 

「ひゃ…168時間!?」

「代表候補生は300時間以上超えてるぞ?」

「いやそれにしたって、一週間ずっとつけてたのかよ」

「ああ、慣れるためだとか言ってな……箸が使いにくかったよ」

「風呂は?」

「風呂どころかトイレまで」

「マジか……」

 

ま、それなりに動かせるようになるにはこれほど時間がかかったってことだ。

今では、ISの状態で飯を食うのなんざ余裕で出来る。

ISで食べれないと飯抜きだったからなぁ……箸を何本折ったか……

力加減が難しいんだよ、本気で!!

 

「ま、お前はこんなことしなくてもセンスはあると思うから大丈夫だろう」

「うーん、ま、頑張るから、コーチよろしくな!!」

「あいよ、じゃまた明日……」

「待てよ、何寝ようとしてるんだ?」

「ゑ?」

 

俺は時計を見る……

 

日付は翌日、時間は午前(・・)8時10分……

 

「もしかして、半日寝てた?」

「と、思うぞ?」

「マジか……しょうがない授業に遅れるわけにはいかないし……用意取ってくるから待っててくれ」

 

俺は手早く荷物をかき集めると、一夏と共に教室に向かった。

 

 

教室のドアを開ける。

 

「おはよー」

『『『陣野君!!』』』

「うおっ!?みんな、どうした?」

 

教室にいた女子たちが押し寄せてくる。

そして、口々に昨日の試合の感想を述べる。

 

「すごかったよ!!」

「ねね、その操縦どうしたの?初めてにしてはうますぎない?」

「うんうん、だけどISの性能もすごかったよねー」

「そのISどこ製?」

「いいなあ、ほしいなぁ……専用機……」

「そいつ(専用機)をこっちに渡せ!!」

「ふひひ、殺してでも……」

 

怖っ!! 最終的には俺の専用機をよこせって話になってるし!!

ふと、教室を見てみると視界に金髪がチラッと映る。

金髪……セシリア・オルコットは俺を見ると、席を立ってどこかに行ってしまった。

 

「あ、おい待てよ!!」

「央樹!? もうすぐ授業だぞ!?」

「悪い、腹痛いって先生に言っておいてくれ!」

 

俺はけじめをつけなきゃな……

 

 

セシリア・オルコットを追って数分、チャイムが鳴り廊下は静まり返っていた。

 

「クソっ!! 一体どこに…?」

 

キョロキョロと探すと、階段が視界に入る。

ん? 何か落ちてる?

拾い上げてみると、青いハンカチだった。

 

「この階段に続くのは……屋上か!!」

 

もちろん、このハンカチがセシリアのものであるという保証はない、が、しかし、確信はあった。

俺は階段を駆け上がっていく。

 

数分後……

 

「やっぱいた…」

 

 赤く泣きはらし、そこに体育座りで座り、顔を埋めている、セシリア・オルコットがいた。

 ドアから入った、俺をキッと睨み付けて、言う。

 

「……何をしに来ましたの? ああ、敗者を笑いに来たんですの?」

「……んなことしねーよ」

 

 俺がそう言うと、また顔を下げてしまった。

 

「はぁ……授業始まってんぞ? いいのか?」

「貴方こそ、わたくしのことなど構わないで言ったらどうですか?」

「……今更、行けるかよ。誰かさんのせいでサボっちまったから、行った所で織斑先生に、出席簿で成敗されるだけだ」

「……」

 

 ずっと、だんまり、か……

 めんどくせぇけど、やっぱり俺がまいた種だし、首突っ込んでみるか……

 

「なあ、試合中に言ったことってさ……」

「……」 

「『あなたは……あなた方は!!! いつもそうやって、わたくしを馬鹿にする!!!』だっけ? あなた方って誰だ? お前は誰に馬鹿にされた?」

「……あなたには言いたくありません」

「そうだな……あ~そういえば俺が試合に勝ったんだよなぁ……」

「っ!! いいですわよ!! 聞かせてあげます!!」

 

 そう言って、彼女はゆっくりと話し始めた。

 

 

 

 わたくしはオルコット家の長女として生まれました―――――

 

 

 わたくしの家は何代も続いた名門貴族。

 わたくしは両親と妹の4人で暮らしていましたわ…

 両親は、厳しくも優しい母、父はそんな母に媚び諂っていた人でしたが、わたくしをその大きな暖かい手でいつも撫でてくれる、優しい人でした。

 妹は生まれながら病弱で、あまり外に出れませんでしたが、幸せな家族だったと今でも思っていますわ。

 

 でも、そんな幸せも続きませんでした。

 

 両親が仕事先で電車事故にあい、帰らぬ人となってしまったのです。

 

 そして、何があったと思いますか?

 

「……両親が死んだことによるトラブルか」

 

 そう、遺産を巡るトラブルですわ。

 遺産を横取りしようとする輩がわたくしたちを陥れようとしたのです。わたくしには……両親のお墓で泣くことも許されませんでした。

 ここからは地獄のような毎日でしたわ。

 遺産を守るため……オルコット名を、家を守ることに必死でした。

 

 なんとか上手くやれるようになってきた時です……

 妹が倒れたのです。

 

 妹の容態はかなり悪い部類でした。

 だけど、大きなお金をオルコット家の維持に費やしたところで、お金も時間もなにもわたくしにはなかったのです。

 

 オルコット家を乗っ取ろうとした男達は、笑い、口々に言いました。

 

『ほら、見たことか』『女が家を建て直せるわけがないだろ』『もう無理だ』『諦めろ』『やってきたことは無駄だった』『あとはすべてこちらに任せれば妹を助けてやろう』と……

 

 わたくしはもうどうすればいいかわかりませんでした……

 その時です。

 わたくしにISの適性があるとわかったのは……

 

 国から代表候補生になれ、そうすれば妹の治療費と施設を提供してやろう。

 そこから、また勉強をしました。そして、代表候補生になったのです。

 それによって、妹の治療代も出て、オルコット家を守ることができるようになったのでした。

 

 

 

「と、言った感じですわね……」

「……」

「なんですの? 笑いなさいな、わたくしを……」

 

「……ごめんッ!!」

 

「は?」

 

 俺が土下座をしながら謝ると、セシリア・オルコットは素っ頓狂な声を出す。

 

「俺、そんなこと知らなくて……試合中トラウマを掘り返すようなことを言ったり、冷静さを失わせるためとはいえ煽りまくって色々不快な思いをさせて、ごめんなさい!!」

 

 キョトンとした顔で、セシリアは驚いていたが、俺の姿を見て、ふっ、と口元を緩ませる。

 そして、上品に笑い出した。

 

「……フフフ」

「ど、どうした!?」

 

 クスクスと笑うセシリアに、今度は俺がキョトンとした顔になる。

 

「いえ……今のあなたが少し父に似ていたので、おかしくって……」

「そ、そうか?」

「わたくしも前に進まねばなりませんね……」

 

 少し笑うと、急に表情を変えて、今度は真剣な顔で俺を見てくる。

 そして、丁寧に座りなおすとゆっくりと、手を前にし、体を倒す。

 そう、俺がやっているみたいに……って!?

 

「わたくしも、申し訳ありませんでした……」

「え!?」

「わたくしも知らず知らずのうちに、嫌な大人たちと同じようなことをしてしまいました。男だからと侮り、墓穴を掘ったのはわたくしの方でしたわね……」

「……そっか」

 

 俺は結論を述べる。

 

「なら、おあいこ……だな」

「へ?」

「俺も悪かったし、君も悪いところがあった……それでいいよな?」

「……はいっ!!」

 

 そう言った顔は……

 

 

 キラキラと輝く、満点の笑顔だった。

 

 ……ああ、この子はこんなにかわいい顔もできるんだな、と俺はそっと記憶に焼き付けることにする。

 

 

 キーンコーンカーンコーン……

 

 チャイムが鳴りハッと俺たちは思い出す。

 ヤッベ……授業サボっちまった……織斑先生に殺される!!

 見てみるとセシリアも、顔を青くしている。

 

「すいません……わたくしのせいで……」

「いや、ま、あははは……」

 

 事情を話せばわかってくれるかなぁ、なんておもいつつ、とにかく次の授業に遅れないように、セシリアを伴って屋上を出ようとする。

 その時、セシリアが俺に喋りかけてきた

 

「そういえば、あの……」

「どうした?」

「陣野さんはわたくしより年上でしたわよね?」

「うん? そうだが……」

「央樹お兄様とお呼びしてもよろしいでしょうか?」

 

 うん、うん?

 

「え!? ちょっと待って……まるで意味が分からんぞ!?」

「お父様に似ていたので……駄目ですか?」

 

 上目遣いで俺を見てくるセシリア。や、やめろ、そんな目で俺を見るな!!

 

「いや、全然いいぞ?」

 

 上目使いには勝てなかったよ……

 

「それでは、陣野お兄様。わたくしのことはセシリアとお呼びください」

「おう! セシリア。……そうそう、教室で謝っておけよ、昨日の事」

「はい、わかってますわ」

 

 セシリア・オルコット……もとい、セシリアとの確執は無くなったのだった。

 

 

 

 俺たちは教室の前に来ていた。

 すると、俺たちの姿を見たのほほんさんが……

 

「お~オッキーがセッシ―を篭絡させて戻ってきた~」

「ちょ、お待ちになって布仏さん……っ!!」

 

 おい、のほほんさんよ!! ロクでもない噂になるから、やめろ!!

 セシリアは誤解を解くためのほほんさんについていった。

 

「央樹、解決したみたいだな……」

「おう、一夏……」

「ほう……」

「……織斑先生……」

 

一夏の声が聞こえたので返事をして振り返ると織斑先生がいた……

 

「良い目になったな……」

「え…ッづでぇっ!!!」

 

 俺とセシリアを見て、何か察したのかそう言ってくれる……が、聖剣出席簿は振り下ろされた……

 

「それと、勝手にサボったこと(これ)とは別だ」

「はい……」

 

 ですよねー……

 あっ、セシリアにも聖剣が無情にも振り下ろされ……

 

 死んだ……

 

 セ、セシリアぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!

 

 

 

時間変わって放課後……

 

「本当に、申し訳ありませんでした!!」

 

 セシリアは一夏に謝り、クラスにも謝った。

 

「と、いう訳で今回の件は不問と言うことで、いいよな!!」

『『『さんせーい!!』』』

 

 皆、賛成をする。

 ま、元々大事にしようとは思ってなかったしな。

 

「ん? じゃあ俺戦わなくてよくなった?」

 

 一夏が少しうれしそうに言っていた……が、その幻想をぶち殺す!!

 

「残念!! 一夏にはやってもらうんだなぁ、これが!!」

「はい、クラス代表になるのなら実戦試合は多いことに越したことはありませんから」

「と、いう訳でセシリアVS一夏。ついでに俺VS一夏をすることになった」

「げ!! 央樹のあのISともやるのかよ……」

 

 それから、一夏の修行の日々が始まった。

 

 

「おらぁ!! 腹筋千回じゃぁ!!」

「ひぃぃぃぃいいい!」

「次ぃ、箒に一本取るまでじゃぁ!!」

「ふぇぇぇぇえええ!!」

「IS借りてきたぞ!! 動きに慣れろ!! ギガァァァドリルぅぅぅぅぅブレイクゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」

「へぇ? ギャァァァァァァァァ!!!」

「特別講師に織斑先生よん「そ・れ・だ・け・は!! マジでやめろ!!」はい……」

 

 

~アリーナピット内~

 

 セシリアとの試合を目前に控えた俺は、アリーナのピット内のベンチに座っていた。

 地獄の修行を駆け抜けた俺には、怖いものは何もなかった……いや、千冬姉はやめて。

 

「織斑君!!織斑君!!」

 

 そう言って、山田先生が走り寄ってくる。

 

 ……来たか!!

 

「山田先生落ち着いて、息を吸って吐きましょう」

「すぅぅぅぅぅ、オェェ……」

「なんで吐こうとするんですか!? 吐かないで!!」

 

 なんで、吐こうとしてるのこの人!!

 

「冗談です」

「……」

 

 俺は絶対零度の視線で山田先生を見る。

 

「あ、そんな目で見ないで!!」

「良いですから、来たんですね……専用機」

「はい!!これが…」

 

そう言って、後ろで布を被った物体の布を取り払う。

 

「これが一夏君専用機……百式、じゃなくて白式です!!」

「これが!!」

 

 見てください! この真っ白なボディぃぃぃぃ!!(ジャパネットた○た風)

 

 眩しいほど純白のISがそこに鎮座していた。

 

「俺のIS……!!」

「一夏、早くしろ!! アリーナを使える時間は限られている、フォーマットとパーソナライズは実戦でやれ」

「わかったよ、千冬姉」

 

 俺はゆっくりと体を機体に預ける。

 情報が一気に頭に流れ込んでくる。

 

 これが、白式……俺の、IS!!

 

 自分の機体を実感していると、応援に来ていた箒や陽達がエールをくれる。

 

「一夏、勝ってこい!!」

「ああ、勝ってくる」

 

 箒が最初に俺にエールをくれる。

 そして、メル、アルル、陽の順に俺の背中を一言と共に叩き、気合を入れてくれる。

 

「頑張ってね?」

「お怪我なさらないように気を付けてください」

「しっかり気張りなさい?」

「ありがとう、三人とも!!」

 

 そういえば、と俺は思い出す。

 

「央樹は?」

「ああ、央樹は向こうのピットに行ってるわ。安心しなさい『しっかり相手を見て、自分の状態を確認し、慢心するなよ?』って言葉を貰ってるから。あ、あと『勝てよ?』って」

 

 陽がそう答える。

 よし、やってやろうじゃないか!!

 見とけよ、央樹!!

 

 カタパルトに足を乗せ、射出体制をとる。

 

「白式、織斑一夏……出るぞ!!」

 

 カタパルトから射出される。

 グッと、体が押される。

 

 

 アリーナに出ると――――

 

「来ましたわね!!」

 

 セシリアが待っていた。

 

「ああ、来たぜ」

「その、純白のISがあなたのISですか……」

「そう、これが俺のIS、白式だ!!」

「そうですか……ですが、一切気を抜かないでくださいませ」

「え?」

「いつも気を張り、落ち着いて対応してくださいまし。さまなくば……

 

一瞬、ですわよ?」

 

 セシリアはガシャリと自慢の『スターライトmkIII』を構える。

 

「っ上等!!」

 

 俺はこのISの武器であるブレードをしっかり構えた。

 

 

 白と青……両者が激突する……

 

 

 




ナチュラルに必殺技をぶっ放していくスタイル!!

はい、いかがでしたでしょうか?

セシリアの過去はオリジナルとなってます。
妹も後々登場するかも…

それと、セシリアは一夏と央樹に惚れません。
ライバルキャラ親友キャラとして、今後は登場します。
これは、この作品は作者が昔書いていたセシリアヒロインものを再構成したからで、セシリアがヒロインじゃなくなった時にどうしても違和感があるのでこうしました。
ご要望があればセシリアヒロイン化も取り入れますがどうでしょうか?
詳しくは報告活動にて!!
そう言えば、今回ある意味チョロインかも…

それと、この作品をより良くするための感想をいただきたいなぁ~と思います。
良くするにはどうすればいいのか、感想お持ちしております!!


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第五話 セシリアVS一夏 下

書けました!!
それでは、一夏VSセシリア戦をお楽しみ下さい。

最近、作者は日常でしょうむない事を書いてる方が性に合ってる気がしてきました…(しょうむない・仕様もない。価値のない、愚かな、面白みがない、という意味)

それでは本編へ!!


「「はあああああああ!!!!」」

 

一夏はセシリアに接近しようとする、が、それをセシリアは許さない。

ビット『ブルー・ティアーズ』が、しつこく一夏が駆る白式に迫る。

一夏は一旦後ろにバックし、レーザーを避けようとするが、死角から現れたビットによってレーザーをすべて食らってしまう。

 

「(クソっ!!こんなに強いのかよ!!裏をかいたと思っても、読み返されて、何度もセシリアの手の上で踊っている気がする…)」

「(織斑さん…なかなかやりますわね…)」

 

一夏の強さを認めたセシリアは、一夏に向かって言う。

 

「織斑さん…」

「なんだ?」

「正直、剣一本(・・・)でここまでついてこれるとは思ってませんでした」

「実は、俺が一番驚いてる…ここまで動けるようになったのは、やっぱり央樹のおかげだ…」

 

そう、央樹はこの一週間かなりの無茶をさして、一夏に技術を叩き込んだ。

姑息な手を使い、ISの訓練機を持って来たり…

作戦プランを徹夜で一緒に考えたり…

スケジュールをぴったりと組み、一夏のマネージャーを務めた。

嫌がっている一夏を、満面の笑みで毎日引きずり回したのだった。

 

その結果、ここまで動けるようになった。

もうすでに、セシリアの四機ある内のビットは一機落としている。

 

「そうですか…ですが、今負ける気がしませんの、勝たせてもらいますわよ?」

「はっ、俺もだ」

 

両者はニッと笑い、再び激突する。

 

 

 

『っで?オーくんはどう見る、この試合?』

「ああ、一夏は厳しいだろうな…」

 

関係者以外立ち入り禁止と書かれた部屋の隅で、俺は端末に向かってそう答える。

俺は端末の画面に映る人物―――束は『そっか~』と言いながら、残念そうに肩をすくめる。

 

「いくら、一夏でも白式の本来の力を使うことができないのなら、勝ち目は無い…」

『ま、そうだよねー…白式の真価はあの機体と組んだ時に発揮されるものだしね~』

「でも、まだ一次移行(ファーストシフト)もしていない機体であのビットを一機撃墜するセンスは、やはり織斑先生の弟と言うしかないな」

『そうだねー』

「この調子でいけるといいが…」

 

突然、ビービーと端末から警報が鳴りだす。

 

「どうした?」

『ちょ~とヤバイかな…』

「どうした!?」

『オーくんと話すついでに、奴ら(・・)のデータベースを漁ってたらこんなものを隠してたよ…』

 

いや、俺と話してるときに何やってんだよ、と言うツッコミは置いておいて、俺は送られてくるファイルデータに目を通す。

これは…!!

 

『これが起動したら大変なことになるよ…』

「…まだ、大丈夫だろ。奴らが動き出すには…まだ、早い!!」

『でも…』

「だいじょーぶだって、束。お前はこれに関しての対抗策を練ってくれ。その間、俺が学園を守るからさ」

『わかった、それじゃぁそっちは任せたよ?まったね~』

 

ピッ、と束との通信が切れる。

 

「ああ、守って見せるさ、必ずな…そのためのISだ…」

 

俺は通信の切れた端末をギュッと握りしめる。

そして、ポケットに押し込み、立ち入り禁止の部屋から出る。

出て、すぐそこにあったモニターでは、丁度、一夏はレーザーの雨を避けているところだった…

 

 

 

 

「クッソ!!」

 

ビットの操作が上手すぎる!!

厄介極まりないな…

ずっと俺の死角から攻撃できるように位置取りをしている。

勝つといったものの、相手の攻撃の手が休まらず、レーザーの雨を避けるしかない。

何とか今は被弾していないものの、一撃でも喰らって、バランスを崩したらその時点でアウトだ!!

 

「そこですわ!!」

「ッまた、死角から!?」

 

なんとか反応し、死角から迫ってきていたビットを切り裂く。

なんども、死角から狙われていたから、なんとかなったか……

 

「なッ!?」

「チェック・メイトですわ」

 

俺がビットを切り裂いた直後、俺の真下からレーザーが当たる。

下――――!?

 

「な、ん、だと!?」

「一つ犠牲にした甲斐がありましたわ!!」

 

囮…!! ワザと何度も死角から執拗に俺を狙ってきたのは、この一瞬を作るためか!!

分かった時には、もう遅い。

俺にレーザーの雨が降り注いだ…

 

 

 

 

「一夏ぁ!!」

 

箒がピットで爆炎に覆われた画面に向かって叫ぶ。

 

「そんな…」

「ふ、機体に救われたな…」

「え?」

「よく見てみろ」

 

この場の人間が、駄目だ、と目をそらす中、姉である織斑千冬だけはすべてを悟っていた。

千冬が言った言葉に、ジッと全員で画面を見る、すると―――

 

 

 

―――フォーマットとフィッティングが終了しました…

 

「まだ…終わっちゃいねぇ!!」

「な!?」

 

煙から、大きな影が突き出て来て、残り二つのビットを一閃し破壊する。

その影は、煙が完全に晴れることによって明らかになった。

今までの纏っていた何処か工業的なデザインは消え、滑らかな曲線とシャープなデザインの中世の騎士のようなISへと変貌した、白式がたたずんでいた…

 

一次移行(ファーストシフト)…なるほど、今まで初期設定で戦っていた、という訳ですか…」

「そういう事!!これで俺専用になったって訳だ、なら…ここからは俺のステージだ!!」

 

グンッと白式は加速する。

 

「早い!!」

 

専用になったことによって、速度が加速的に上昇している。

セシリアは冷静に『スターライトmkIII』を構え、射撃で迎え撃つ。

だが―――

 

「はぁ!!」

「なっ!?」

 

なんと、レーザーを手に持っていたエネルギー刃の剣で切り裂いたのだ。

これには、さすがのセシリアも一瞬驚く。

 

「それはまさか!!」

「そう、雪片弐型…千冬姉の―――俺たち家族の力だ!!」

「(ならば――――)」

 

セシリアは瞬時に判断すると、懐に入られる前に――――接近戦に持ち込まれるのは分が悪いので、腰に隠してある切り札を切ることにする。

 

「『ブルー・ティアーズ』は六機ありましてよ?」

「な…!?」

 

ミサイル型の『ブルー・ティアーズ』が発射された。

これがセシリアの切り札であった。

ちなみに、央樹と戦った時、最後に放った攻撃はこれである。

その、切り札は一夏に接近し――――

 

「それは央樹から聞いてんだよ!!」

 

真っ二つに切り裂かれた―――

そう事前に、直接喰らった央樹から聞いていたのである。

 

そして、さらにミサイルを切ったことで発生した爆風で加速する。

 

「(これなら―――ッ!?)」

 

行ける、と一夏が思った瞬間だった。

チラッと見えたセシリアの顔は――――

 

「笑ってる!?」

 

瞬間、一夏のISは切り裂かれ、シールドエネルギーはゼロとなった…

 

『勝者―――セシリア・オルコット!!』

 

 

 

わたくしは、機能停止した一夏さんのISに近づいていきました。

わたくしの姿を見ると、一夏さんは悔しそうに呟きました。

 

「クソッ俺の…負けかぁ…」

「ありがとうございましたわ…一夏さん」

「けど、聞かしてくれ…どうして、俺のシールドエネルギーがゼロになったんだ?」

「ええ、それは…」

 

 

 

あの時、わたくしは負けを覚悟していました…

でも…

 

『諦めんのか?』

 

央樹お兄様の声が聞こえてきたのです。

思い出されるのは、アリーナに出る前…

ピットで準備をしていた時でした…

 

 

 

 

 

『よお!!』

『え?お、お兄様!?なぜここに?まさか自力で偵察を!?』

 

央樹お兄様が、急に現れ、わたくしに話しかけたのです。

 

『いや、違うけど…』

『なら、どうしたんですの?』

『ああ、少しお前の調子を見にね』

『あら、ありがとうございますわ』

 

誰かが様子を見に来てくれたことがうれしかった。

これから負けるとしても(・・・・・)

 

『わたくしは…負けた方がいいのでしょうね…』

『はぁ?』

『これで織斑さんが勝てば、代表候補生を破ったと男子二人言う、クラスの宣伝効果が望めるでしょうし…それに、応援してくれる人がいるのに…』

 

わたくしはこの試合には負けるつもりでした…

練習になるくらいには戦って、これからの自信のためにも勝ちを譲る。

それがわたくしにできる、贖罪だと思ったのです。

でも、お兄様はそれを許しませんでした。

 

『負けたら、かっこ悪いって?はぁ…なぁ、セシリア…』

『はい、なんでしょうか?』

『全力で思うままにやって来いよ』

『…?』

『最後まで、全力で駆け抜けて来いよ。今のお前に出来るすべてでさ』

『ですが…』

『ですがもヘチマもねぇ!!そんな勝利に何の意味がある?手加減されたってわかったら、あいつは絶対に怒るぞ?』

『う…』

『お前に出来ることは全力で戦うことだ。大丈夫、一夏は簡単にやられるほど、ヤワな鍛え方はしてねぇよ!!だから、全力で行って来い!!』

『なぜ、ですか?』

『あん?』

 

わたくしには不思議でした。

なぜこの人は、ここまで言うのでしょう。

 

『なぜ、わたくしに全力で行けと言うのですか?』

 

どうしても、わたくしは聞きたかった。

ここのピットに来てまで、お兄様が言いたかったことは何なのでしょう…?

ワザと負けさせないため?

いえ、違います。

お兄様はそのことは知らなかった。

ならば、なぜ?

 

わたくしには、ただ何かを伝えたいという思いは分かりました。

でも、それ以上が分かりませんでした。

 

『様子を見に来ただけじゃないってわかってるんだろ…?』

『そうですわね』

『あーもう!!なんでわからないかな…様子を見に来た=気にしてるってことだろう!?』

『はぁ…?』

『つまり、お前を俺は応援しに来たってことだよ!!』

 

え?

 

『俺は別に一夏だけの味方じゃねぇよ、…お前の味方でもありたいと思ってるんだ。だからこそ、応援に来たんだ』

『?』

『まだわかんねえのか…いいだろう、ストレートに言ってやる!!俺が応援してやるから、全力で勝ちに行け!!』

『っ!!』

 

わたくしを応援してくれる?

わたくしにも応援してくれる人がいる!!

そう認識した、瞬間グッと暖かいものが胸の中に広がりました。

 

なら…わたくしは負けるわけにはいきませんわね…っ!!

 

『わかりました、応援に応えて、全力で行かせてもらいますわ!!』

『おう、それでいい!!俺はお前らが全力で戦う姿が見たいんだ。負けそうになっても、足掻いて見せろ!!諦めるなよ!!』

『はい!!』

 

やっぱり、頑張ってと言ってくれる人がいるというのは、心強いものですわね…

 

全力でやれるだけやってみましょうか!!

 

 

 

 

それを思い出した瞬間、自然と笑みが浮かびました。

やれるだけやる、と約束したのです。

だから、足掻こうと、私は試合前に『スターライトmkIII』の中に隠しておいた、接近戦用のショートブレード『インターセプター』を取り出し、一閃しました。

そしてそれが、限界まで近づいていた一夏さんに、上手く入りダメージを与えたのです。

 

「つまり、偶然?」

「ええ、それにしても、なぜシールドエネルギーが無くなってしまったのでしょうか?ショートブレードくらいのダメージでは倒せないと、思っていたのですが…?」

「あ~、それはこいつ(IS)だ」

 

そう言って、一夏さんは白式の腕を持ち上げる。

 

「こいつ、俺のシールドエネルギーを犠牲にして、相手のすべてのエネルギー無効化させる『零落白夜(れいらくびゃくや)』って単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)があるらしくてな」

「それでですか…」

「ああ、使うとき、説明と警告のポップが出てたんだけど、行けるかな?と思って突っ込んだんだが…」

「わたくしの一撃で沈んでしまった…と」

「ああ、そうみたいだ」

 

そういう事でしたのね…

 

「それにしても、セシリアお前の最後の一撃さ」

「はい?」

「何されたかわからなかったぜ?お前、案外接近戦もいけるんじゃないか?」

「偶然ですわ、偶然…わたくしは接近戦は全然ダメですもの」

「ふーん、でも才能はあると思うぞ?」

「…そうですわね、そこまで言うなら、接近戦の練習もやってみますわね」

 

そう言葉を交わした後、すっと一夏さんはわたくしに手を差し出して来ました。

 

「握手だ」

「あ、ええ、喜んで!」

 

お互いにしっかりと手を握りあいました。

それにしても…

 

「すいません、わたくし…先ほど、一夏さんと言ってしまいました…」

「ん、なんだそんな事か。俺もセシリアって言っちまってるからさ、お相子だ」

「そうですか…ならわたくしはこのまま一夏さんとお呼びしても?」

「おう!!いいぞ。それと、セシリアって俺も呼ぶな?」

「どうぞ、いくらでもお呼びください」

「これからも、よろしくな!!」

「こちらこそ」

 

二人で少し笑い合う。

そろそろアリーナを使える時間が少なくなってきたので、わたくしは一言断ってピットに戻る。

ピットの中にそっと入ろうとすると、向こうのピットから「ぎゃあああああああ、箒!!なんで、逆エビ固めを!?」「お前がオルコットの手を握ってニヤニヤしていて、ムカついたからだ!!」「いやああああ、腰がぁぁぁぁ!!!ナイキのマークになっちゃうぅぅ!!」と、聞こえてきたのですが何でしょう?

ピットに戻りISを解除すると、そこには央樹お兄様がタオルと飲み物をもって立っていました。

 

「オツカーレ!!…もとい、お疲れ様!!」

「央樹お兄様…ありがとうございます」

 

お兄様がタオルを渡してくれながら、そう労ってくれる。

わたくしはお礼を言って、タオルで汗を拭き、飲み物―――ペットボトルのスポーツドリンクを受け取る。

 

「どうだった、一夏は?」

「ええ、かなりのモノでしたわ…」

「お前のいい経験になったか?」

「ええ、自分の至らなさや弱点が色々と見えてきました。これで、わたくしはもっと強くなれます!!」

「そうか、それならよかった」

 

それだけを言うと、立ち上がり出口へ向かおうとしてしまいました。

わたくしは慌てて、お兄様を呼び止めます。

 

「待ってくださいまし!!」

「ん、どうしたんだ?」

 

振りむいた、お兄様に向かってわたくしは頭を下げる。

 

「ありがとうございました!!」

「っ!?お礼を言われるようなことはしていないぜ?」

「いえ、お兄様はわたくしを応援してくださいました!!あのままでは、わたくし、何も成長せずに負けたままになっていましたわ…」

「…」

「そして、今日…わたくしは自身の未熟を知りました。だから、今日出来ないことを明日出来るように…頑張って行きたいと思っています」

「なら、頑張ろうぜ…みんなでさ!!」

「はい!!」

 

そう言って、お兄様は親指を立てるジェスチャー―――サムズアップを私に向けると、背中を向けピットを出ていったのでした。

 

 

 

 

 

俺はピットから出て、少し進んだところの廊下の壁に背を預けて、俺は一人、ごちる。

 

「すまない、セシリア…無理やり戦わせて…」

 

違うんだ…俺は礼を言われるようなことをしてはいない。

ただ二人を全力で戦わせるために行動しただけだ。

そして、今行動したことは、すべて俺のエゴにすぎない。

だから、礼を言われても俺は…

 

「…それでも、お前にも強くなってもらわなくては困るんだ…」

 

俺のつぶやきは誰にも聞かれることもなく、宙に消えていく。

 

そう、セシリアだけじゃない、この学園の専用機持ちにも強くなってもらわないとな…

もちろん俺自身もだ。

この学園―――いや、世界の未来のためにも…

 

 

 

 

世界は回る…

原作はとうの昔に無くなってしまった。

この物語が何処へ行きつくのか…

今は、誰も知らない…

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
一夏VS本気セシリアでした。
本気とのことで、央樹と戦った時とは冷静さが違います。
代表候補生の力を発揮し、勝ちました(最後の一撃から目をそらしつつ)。
…やられたとはいえ、互角以上に渡り合っていた、一夏すげぇ!!

この作品の基本として、シールドエネルギー残量は基本的に表示しません。

それと、セシリアのアレは走馬灯のようなものと思ってください。
決して一瞬じゃねーだろ、とか、その間に切られてるよ!!とか言っちゃいけない…
ほんの一瞬だった、いいね?作者との約束だ。

そして、おや…央樹の様子が…?
色々と原作と違うことで、展開が変わってきます。(今回のセシリアの『インターセプター』と『スターライトmkIII』のギミックとか)
奴らとはなんなのか?
今後の展開をお見逃しなく!

それと、これが分かりにくかった、などがありましたら感想の方にどしどし書いてください。修正できる範囲で修正いたしますので!!

それとオリジナルISの設定や主人公たちオリキャラのプロフィールと設定集とか…
欲しいですか?(色々変わっているところがありますし…)
需要があれば書いて、投稿しますが、どうでしょうか?

それでは次回まで!!





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第六話 激突!!央樹VS一夏 前編

お待たせしました。
最新話出来ました。

注意
キャラ崩壊、アレな展開あり

以上のことが了承できる方は本編へどうぞ!!



皆さん、こんにちは。

央樹かと思った?

残念!!陽ちゃんでした☆キラッ!!

 

…やめよう、私のキャラじゃないわ。

 

今日は、一夏とセシリアが闘った日から数日…

 

一夏と央樹がISを纏って、アリーナで向かい合っていた。

 

え?何が起こったかわからない?

あれは数日前に遡る…

 

 

 

 

「いや~、最高だったぜ?お前の試合」

 

央樹が一夏の肩を叩きながらそう言った。

私と央樹、それと一夏は廊下を歩いていた。

一夏は央樹に肩を叩かれながら、返事を返す。

 

「おう!!でもさ、央樹はどこ行ってたんだよ?」

「ああ、セシリアのとこ」

「ふーん…」

「お、妬いてんのか?」

「べ、別にそんなんじゃねーよ…っ!!」

 

うん、ホモホモしい。

あれなの?一夏はホモ…?

央樹はホモじゃないのは確認済みだし…

このまま行ったら…

 

~男子トイレ内~

 

『いいのか?央樹、こんなところにホイホイついて来て?』

『待て、一夏!!俺はトイレに来ただけだ!!』

『や・ら・な・い・か?』

『ギャ、アーっ!!』

 

……ゴクリッ!

…はっ!!央樹(の貞操)が危ない!!

私は央樹のボディーガードとしてここに来た。

なら、アレを守るのも任務の内ね。

べ、別に他意があるわけじゃないけど!!

 

「はいはい、男どもの触れ合いはそれくらいにしてっ!!クラス代表…学級委員就任パーティーに遅れるわよ!!」

「おう、食堂だよな!!行くか!!」

「さー、沢山食うぞ!!」

「あ、央樹。食べ過ぎないように私が料理を選んであげるから」

「何!?パーティーなら自由に食べられるのが人間のルールではないのか!?」

「パーティーは例外ではない…よってバカ食いは無効…」

 

私が見ていないと、バカ食いしてその場の食料を食べつくしかねない…

なんとまあ、手のかかる幼馴染だろうか。

すると、ジィ~と私を央樹が見てくる。

 

「…」

「な、なによ…」

「手のかかることは十分承知だが…お前もアレな方だぞ?」

「何が?」

「…妄想とか」

 

何故バレた!?

ゲッという顔をしていると、央樹は肩をすくめながらこう言った。

 

「何年一緒だと思ってるんだよ…お前の考えていることは、全部まるっとお見通しだ!」

「そん…な…」

 

まさか…そんな切り返しで来るなんて…

私は探偵役に謎を解かれた犯人のような顔をし、その場に膝をつく。

私の…完敗だわ…

 

「はっはっはっ!!勝った…ッ!!」

「くっ!!殺せ!!」

「そいつは聞けねぇなぁ…ゲヘヘ…」

「いやああああああ!!」

「うおおおおおおお!!」

 

 

 

「いいから、早くパーティーに行くぞ!」

 

「「あい!」」

 

一夏(つる)の一声により、ふざけるのを止めて食堂へと急ぐのだった。

 

 

 

 

「と、いう訳で食堂キタ――(゚∀゚)――!!」

「央樹、うるさい…」

「アッハイ」

 

パーティー会場である食堂にやってきた私たち。

食堂は一組の貸し切り状態となっていた。

 

「あ、来た来た!おーい、こっちこっち!!」

「おーメル!」

 

メルが手を上げ私たちを呼んでくれる。

その場所に行くと、メルとアルル、そして箒、セシリアがいた。

 

「場所取り悪いわね」

「いいよいいよ、別に気にしなくて」

 

場所をとっていてもらっていたので、礼を言う。

メルは軽く手を振って、気にしなくていいと言ってくれる。

 

「あっ、そうそう二人ともクラス委員就任おめでとう!!」

「おめでとうございます!」

「おめでとうございますわ」

「…おめでとう」

 

メルは思い出したように、央樹たちに祝いの言葉を贈る。

それに続いてアルルとセシリア、箒も言葉を贈った。

央樹と一夏は照れくさそうに笑ったあと、「「ありがとう」」と返す。

 

パーンパンパーン!!

 

『おめでとー!!』

 

突然、クラッカーが鳴り響き、一組全員が一斉に央樹たちを祝う。

…ちょっと、いきなりすぎてびっくりした…

 

「ちょっとー、メル達少し早いよー」

「そうだよ!!みんなでお祝いしようって言ったじゃん!!」

「あっごめんみんな…」

 

えっと、確か…谷本さんと相川さんだっけ…?

その二人が、メル達のところに文句を言いにやってくる。

ああ、突然クラッカーがなったのは三人がフライングで祝ったから、前置き無しで慌ててやったからなのね…

そうこうして、パーティーは進んでく。

各自の出し物で、央樹がマイクをもって壇上に立つ。

 

「一番!!陣野央樹!!俺の歌を聞けぇぇぇぇぇぇ!!」

「待ってました!!」

「よっ、大将!!」

「行くぜ!!『Rise』!!」

 

一曲終了…

 

「わー!!」

「イイゾ~コレ」

「まだまだぁ!!『SURPRISE DRIVE』!!」

 

二曲目終了…

 

「まだだ!! もっと、熱くなれよ!! 『Don't lose your mind』!!」

 

三曲目…

四曲目…

十曲目…

…だいぶ他の人がゲンナリしてきた。

そうだった、忘れてた…この人、マイク握ったら放さない人種だった…

 

「まぁだぁだぁぁぁぁぁぁ!!」<バースト!!デットヒート!!

「いい加減しなさい!!」

 

私は飛び蹴りで、央樹の暴走を止める!!

壇上から央樹が転げ落ちていったけど…問題ないよね!答えは聞いてない!!

 

その後…

 

「二番!!相川清香!!歌います!!」

「ええ~」

「もういい……もういいだろ!!」

「こんなの絶対おかしいよ…」

「で、デスヨネー…じゃ、じゃあ…(うう、ど、どうしよう…歌以外準備してないよぉ…)」

 

と、いうことがあったそうな…

 

そして、今…

食べ物もなくなり、夜も九時を過ぎようとしている。

パーティーも終盤に差し掛かっていた。

 

「いや~出遅れた出遅れた~」

 

そう言って、席に座っているのは、二年生・新聞部副部長の(まゆずみ) 薫子(かおるこ)である。

大方、央樹たちを取材しに来たのだろう。が、なぜか疲れ果てていた。

 

「はあ…」

「どうしたの?」

「ちょっと生徒会長に呼び出されてね…」

「生徒会長…ああ、あの人か」

 

青髪の猫っぽい女子生徒が頭に浮かぶ。

あの子に書類でも手伝わさせられたのかな?

相当参っているような様子の薫子はテーブルに体をグデーと投げ出しながら、私に問いかける。

 

「うーん、私何しに来たんだっけ?」

「…取材じゃないんですか?」

「そうそう、その取材だよ取材!!央樹くぅ~ん」

 

仕事モードに切り替えるために私に確認したんだろうな、と私が考えていると、央樹を見つけたのか名前を言いながら薫子は行ってしまう。

とりあえず、やることもないのでボーっと、取材を受ける央樹と一夏、それとセシリアを見る。

 

「へー、じゃあ、セシリアちゃんは本気じゃなかったんだ」

「ええ、でも一夏の時は本気でしたよ」

「あそこまで戦えたのは、央樹が教えてくれたからだろう?ビットの動かし方に癖があるってことを教えてくれたのは央樹だし。打鉄とか借りてきたリ、アリーナを押さえたり、色々してくれなきゃあっさり負けてたよ」

「そうですわ、央樹お兄様!!確かにわたくしは最初は本気ではありませんでしたが、途中からは本気でしたわ!!あまり、ご自身の力を過小評価してはいけませんわ」

「…そうだな、でもまだまだだ…もっと強くならなくちゃな…もっと強く…!!」

「央樹?」

「…なんでもない」

「うーん、とりあえず次の取材行ってみようか。で、これなんだけど…」

 

しばらくの間取材をして、最後に三人の写真を撮っていた。

 

「おーい、陽!!」

 

央樹が呼んでいる。

なんだろうか?

 

「みんなで一緒に写真撮ってもらうからお前も来いよ!!」

 

なるほど…

 

「わかったすぐ行くね?」

 

私はそう言って、クラスのみんなが待つ場所まで歩いていくのだった。

 

 

 

 

パーティーを終えた俺たち男子組は部屋に帰えるべく、廊下を歩いていた。

ちなみに女子たちはみんなで乙女の内緒話…らしい。

 

「…」

「…」

 

俺と一夏は無言で歩いていた。

俺は隣を歩く一夏を見て、話しかける。

 

「なあ、一夏?」

「どうした?」

「お前、強くなりたいって思ったことあるか?」

「あるよ…俺が両親がいないってこと知ってるだろう?」

「ああ、織斑先生一人でお前を育てたんだってな」

「そうだ。そして、俺は一度千冬姉の夢を奪っちまってる…」

 

一夏はそっと目を伏せる。

思い出したくないことなのだろうな、と俺は容易にわかった。

 

「もう、あんな悔しい思いはしたくない…だから強くなりたい」

 

そう言って、顔を上げた一夏には決意、覚悟があった。

そうか…なら…

 

「なら、一夏…俺と勝負しろ」

「へ?」

 

俺も、強くなりたい…

 

思いは一緒…ならば、きっと…

 

「お前と戦うことによって、俺は俺のISは進化する。お前の白式もそうだ、俺と戦うことによって進化する…」

 

俺たちのISはそういうもの(・・・・・)だ。

 

だから、俺たちは羽ばたける。

最高の大空へ…

 

「全力勝負だ。一勝負付き合えよ!!」

 

俺は廊下のど真ん中で、一夏に宣言した。

 

 

 

勝負の日まで…あと二日

 

 

To Be Continued

 




いかがでしたか?
超展開でしたがまだまだこれからです。

質問、感想、どこをどう直した方がいいなど、大歓迎です。
分からないことがあれば、感想覧にどうぞ。
設定集、あとがきなどで解説させていただきます。

それでは、また次回!!


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第七話 激突!! 一夏VS央樹 後編

やっと投稿できました…

これも作者のタイピング速度の遅いことが原因だ…
非力な私を許してくれ…
ああ、ナッシュ…こんな時、君がいてくれたら…

と、おふざけはここまでにして、誠に申し訳ございませんでした。
タイピング速度も、話を作る頭もないのに、なんで連載してしまったんだ…

次回からもまた遅くなってしまうかもしれませんが、頑張って書きますので、見捨てないでください。
お願いします。

それではどうぞ!!


~アリーナビット内~

 

「まったく、央樹の奴。自分ともやるとは言ってたけど、こんな早くとは聞いてねーよ」

 

俺こと織斑一夏は今、ビットで白式を纏い、コンソールを叩き最終調整をしながら、ぼやいていた。

前に、セシリアと戦う前に『お前の白式と俺の赤最でも戦うからな』と言っていたのは自分は覚えている。が、なんせセシリアと戦ってまだ三~四日ほどしかたっていない。もうちょっと情報収集などの準備をする時間が欲しいところではあった。

まあ、そう言っても何も始まらないし、機体の調整はもう出来ていて俺の調子も最高なのでいいだろう。

さてと、この話はここまでにして、俺は集まってくれた人を見る。千冬姉と箒それから、山田先生が俺のところに来ていた。

 

おし、準備は万端だな。

コンソールから手を放した、俺を見て千冬姉が言う。

 

「相手は防御型だ。だが、お前の雪片ならば突破できるだろう。しかし、相手はお前よりISのことを知っている…なめてかかるなよ?」

「分かってるって!!あいつは俺にISの基礎を叩き込んだ奴だぜ?油断はしないよ、千冬姉」

 

…そう、あいつは厄介だ。セシリアほどのISの《慣れ》ってやつはないが、それを補える装甲と操作技術を持っている。

あいつは俺との練習の時、模擬戦で最初は普通の動きだったが、最後の方は確実に動きがよくなってきていた。考えるに、あいつは一週間IS生活で操作技能は一定のものになったのはいいが、慣れないせいでセリリア戦ではあまり動かせてなかったのだろう。

ISに慣れ始めている…

ならば、セシリア戦とは比べ物にならない強さになっていると考えられる。

これは気を引き締めなければならないな…

 

「さてと、そろそろ行くか…」

「一夏!!」

 

俺がカタパルトにつこうとすると、後ろから箒が俺の名前を呼ぶ。

俺はその声に反応するように後ろを向く。

すると箒は少し赤い顔で何かを言おうとしている。

 

「どうしたんだ、箒?」

 

あまりにももじもじしているので、何かあったのだろうか?と思い声をかける。

箒は少し唸ってから、意を決したように俺に向かい――――

 

「私はお前を応援する!!だから、絶対に勝ってこいっ!!」

 

エールをくれた。

何を言われたのか一瞬分からず、ぽかんとしてしまったがその言葉を反芻してみて意味が分かった。思わず、笑ってしまう。

 

「な、なぜ笑う!?」

「いや、悪い。そうか、箒は俺を応援してくれるのか」

「…悪いか?」

「いーや何にも悪くない。箒がエールをくれたんだ、箒のために勝ってくるよ」

「ばっ、私のためにっ!?!?!?!?」

 

箒の顔がみるみる赤くなってくる。

…風邪か?大丈夫だろうか?

一応確認しておく。

 

「箒?どうした、大丈夫か?」

「な、にゃんでもない!!早く行け!!」

「?」

 

ま、いいや、そう思い俺はカタパルトにISを乗せる。

機体に俺の体を預け、射出の時を待つ。

白式とカタパルトのシステムをチャックしていた山田先生がOKを出してくれる。

 

『織斑君、システムオールグリーン発進してください!』

「了解!織斑一夏、白式、出ます!!」

 

その言葉と共に、俺の体にGがかかり、一気に射出されたのだった。

 

 

 

 

~アリーナ~

 

「よお、待ってたぜ?」

 

央樹はすでにアリーナの中央に待機して待っていた。

ビットから出てきた一夏は、降下し地面に降りながら頭を下げ、謝る。

 

「悪い、少し遅れちまった」

「いや、これくらい大丈夫だ、問題ない」

「そうか、よかった…」

 

へーデートかよ、とでも言いたくなるような会話の後、二人は真剣な表情になり、互いに獲物を構える。

 

「それじゃあ…」

 

そう言いながら、央樹はハンドガンを一回くるりと回す。

 

「一対一の真剣勝負…」

 

一夏は、央樹の言葉の続きを言いながら、雪片を一度、ブンッと下に向かって振るう。

 

「「始めようか!!」」

 

瞬間、央樹のハンドガンが火を噴き、弾丸が発射される。

一夏は慌てず、雪片を一振り…IS用の実弾は横に弾かれていく。

 

「と、思うよなぁ!!」

 

一夏は央樹の声にハッし、横を向こうと機体を動かそうとした。

が、横殴りの衝撃で機体ごと体制を崩す。

その隙を央樹は逃がさず、更に二発三発とハンドガンで撃つ。

 

「クッ、何がっッ!?」

 

一夏は放たれた弾丸から頭を守るように腕を盾にし、気づいた。

 

「そうかこの弾丸…磁石か!!」

「大正解!!正確にはISのシールドに引き寄せられる特別製の弾丸…名付けて立体吸着シールド弾だ!!」

 

そう、先ほど防御した時、一夏のIS白式の腕装甲部分に張り付いている弾丸が見えたのだ。

 

実は前の試合で簡単によけられたことから、央樹のハンドガンの弾丸は全部この立体吸着ウェットシー…立体吸着シールド弾に変えてあるのだ。この試合のためにだけ用意したという訳ではなく、元々は絶対に当たる弾丸というコンセプトで開発された赤最の基本装備である。だが、試験実演で衝突時の衝撃がかなりあり、必ず当たることは当たるので成功かと思われた、が、威力がほぼ無いに等しいという事が発覚し再開発になったものだった。それを、央樹は引っ張ってきたのである。

 

「威力は小さいがそれ、結構効くだろ?」

「…ただでさえこっちはシールドエネルギーを気にしないといけないって言うのに、やってくれるっ!!」

 

一夏もやられてばかりではない、ダメージが微々たるものであるとわかるとすぐに体勢を立て直し、反撃に出る。

央樹のハンドガンを気にせず、一気に接近し、気合の言葉と共に雪片を振るう。

 

「はあ!!」

「っ!!」

 

それを何とか紙一重で、躱す赤最。

この時ばかりは、鈍重な装甲を少し恨めしく思う央樹であった。

攻撃を避けた央樹だが、このままでは追撃を食らってしまう。

央樹はハンドガンを一夏のISに密着させる。

そして―――

 

「この距離なら、バリアは張れないな!!」

 

ハンドガンを連射する。

いくら威力のほぼ無い一撃と言っても、至近距離で連続して喰らうのはかなりこたえたらしく、一夏は距離を開ける。

その間に央樹は自身のハンドガンの弾数がなくなったことを確認し、弾がなくなったハンドガンを一夏に向けて放り投げる。

一夏は冷静にそれを切り払おうとするが、央樹の様子がおかしいことに気づき、全力で上に飛ぶ。

 

「っち!!」

「あっぶねっ!?」

 

次の瞬間、今まで一夏がいた場所に、槍のようになった無数のドリルが通り過ぎる。

そう、央樹はセシリア戦でも使った技『フルドリライズ』で一夏のシールドエネルギーを一気に刈り取ろうとしたのだ。

 

「(早く気付けて良かった…あと一歩でも遅れていたらと思うと…ああ、考えたくないな)」

 

一夏は冷や汗を流しながら、そう呟く。

一瞬、自身が貫かれるイメージが浮かぶが、頭を振りそのイメージを霧散させる。

実際にはシールドエネルギーが削れるだけなのだが、白式の全身に多大な損傷が出るところであったのは変わらない。

央樹には空を攻撃する手段が無い。遠距離攻撃で攻めたいところだが、生憎、一夏には遠距離で攻撃をする手段が無い。

なので、必然的に近距離しかないわけなのだが、央樹には『フルドリライズ』があるのだ。不用意に近づくと、グサリッ!!である。

 

「(厄介だな…)」

「(厄介だ…)」

 

しかし、下手に動けないのも央樹とて同じであった。

そう、央樹にも対空攻撃がないのだ。

 

「(このままじゃジリ貧だな…)」

 

央樹はそう感じ取っていた。

何故なら、自身の技である『フルドリライズ』は大きくエネルギ-を消費する。あと放てて2・3回が限度であろう。

 

「(このままじゃ赤最はただの木偶の坊になっちまう…)」

 

もし、このままエネルギーが切れたらエネルギーが回復するまで完全に無防備になってしまう。一夏はその隙を見逃さないだろう。

エネルギー切れで決着とは何ともかっこつかないものになってしまうので、それだけは避けたい、と思う央樹であった。

央樹はこの膠着状態を活用し、少し思考する。

 

「(幸い一夏も俺の『フルドリライズ』を警戒して、仕掛けてこない…

仕方ない。切るか、切り札の一枚(・・・・・・)を―――!!)」

 

央樹が、動く―――

 

 

 

 

 

 

「(っ!!空気が変わった!?何か…来る!!)」

 

俺は白式を構え、その何かに備える。

ジッと、央樹の動きをよく見て、どんなアクションがあっても見逃さないようにじっと見つめる。

が―――――――

 

「えっ?」

 

ブンッと央樹の姿がぶれ、ドンッという衝撃が俺の全身を駆け巡る。

気づいた時には、俺は地面に叩き落とされていた…

 

「が、は…っ!!」

 

息が詰まる…いったい、何が起こった!?

俺は慌てて身を起こす。視界に入った央樹は、先ほどいた所とは真逆の方向にいた。

央樹のISの装甲の一部分が少し汚れている。いや、少し歪んでいる…?

 

「そう、か…央樹。今のは瞬間加速(イグニッションブースト)だな?」

「…ああ、そうだ」

 

大方、あの分厚い装甲のまま、タックルでもしたのだろう。

そういえば、と、俺は央樹にISを教えてもらっている時のことを思い出す。

 

あの時、央樹はメガネと白衣を着て、教壇の前に立っていた。

 

『いいか、一夏。ISには、後部スラスター翼からエネルギーを放出し、内部に一度取り込み、圧縮して再度放出。その際に得られる慣性エネルギーで爆発的に加速することが出来るんだ。これを瞬間加速という、覚えておけよ』

『なんでだ?』

『これが一番手っ取り早いんだよ。現にお前の姉の得意技は、これを使用して一気に相手の懐に入り一刀の元に切り伏せる、というものだ。お前もどうせ近接戦特価だろう?だったら覚えておいた方がいい』

『千冬姉の…』

『おーい、一夏?これは世界大会とかでは一般的な加速方法で…』

『千冬姉…』

『駄目だ、コイツ…早く何とかしないと…』

 

…駄目だ、肝心な部分が思い出せない!!

その後、央樹のISの瞬間加速について説明してくれたのに!!

クソッ…

 

「非力な俺の記憶力を許してくれ…」

「ぜってぇ許さねぇ!!ちゃんと説明してやったのに!!」

「何がいけなかったんだ…」

「シスコンが悪い!!」

「千冬姉は悪くねぇ!!」

「いや、お前のことだよっ!?お前が悪いって言ったんだ!!誰も織斑先生のこと言ってねぇよ!!!!」

「はっ!!」

 

しまった…俺の頭の中で千冬姉=シスコンの方程式が出来上がってた…

後悔するがもう遅い。俺の白式から千冬姉の通信が入る。

 

『ほう…私のことをそう思っていたのか…後でO☆HA☆NA☆SIだな…』

『ちーちゃん!!それ私のセリh…ブッツ――――』

「…」

「…」

 

央樹にもこの通信は聞こえていたらしく、互いに微妙な顔をする。

…束さん、なんでいきなり通信傍受したんだろう…

そう考えていると、央樹はキッと真剣な表情になり、こう言った。

 

「ああ、そうだ…これが俺の瞬時加速だ!!」

「いやいやいや、なかったことにならないぞ!?」

「…お前、KYって言われないか?もしくは朴念仁…」

「大丈夫、もう言われた!!」

「って、おい!?」

 

一瞬、ポカーンとした顔になったが、すぐに気を取り直して俺に突っ込む。

なんだか、俺にはそれがツボに入ってしまい、少し笑ってしまう。

 

「ぷ、はは!!」

「…何笑ってんだ?」

「なんだかツボに入ってさ!うふふふふ」

「はぁ…」

「ははははははは、ゲホゲㇹへ!!!」

「ブッ、ふはははは!何、むせてんだよ!」

「いや、ゲホッ、ははは!!」

「「あはははは!!」」

 

言い合うと、どちらとも笑い出してしまった。

なんだろう、今、この時俺たちは本当の友になった気がした。

一通り笑った後、お互い真剣な顔をする。

 

「…行くぞ、央樹」

「ああ、来い一夏」

 

お互いに獲物を構える。

今度はお互いに本気の獲物だ。

俺は零落白夜を発動させ、雪片をエネルギー刃にする。

央樹は全身のドリルを収束させ、大きなドリルへと変換する。

 

「お、おおおおオオォォォォォォォォ!!!!」

「ダァァぁぁぁぁぁああああああああ!!!!」

 

俺達の口から咆哮がもれ、それを合図に互いに向かって走り出す。

 

「央樹ぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」

「一夏ァァァァァァ!!!!!!」

 

互いの名前を叫び、光り輝くエネルギーの刃と高速回転する大型ドリルが火花を散らしながら激突する。

激突のエネルギーが紫電を散らし、大きな光となり俺たちの全身を包む…

 

そして――――

 

 

『勝者…

 

 

無し!!

この勝負、両者ダウンにつき、引き分け!!』

 

 

アナウンスが響き、ドッと観客が湧くのを最後に意識を失った…

 

 

 

 

 

一夏は意識を失ったようだな…

俺こと央樹は、壁によりかかりながら、一夏の様子を見ていた。

それにしても、効いたな…

俺は自分の顔に手を持っていった。っ痛、やっぱり大きく腫れている…

 

…最後の瞬間、一夏と俺の武器は砕け、膨大なエネルギーの中で互いに拳振りかぶり、殴り合ったのだ。互いのISの拳が両者の顔面にぶち当たり、絶対防御が発動しシールドエネルギーがゼロとなった。それだけに留まらず、エネルギーの膨張で弾き飛ばされアリーナの壁に叩きつけられたのだった。

 

メットが砕け、かなり腫れている…

これはヤバイくらい痛い…

 

そして、俺も陽やメル、アルル、セシリアが走ってくるの後目に意識を失った…

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?

色々突っ込みたいところがあると思いますが、戦闘描写に自分の頭が追いつきませんでした…
すいません、もっと勉強していきたいです。

それと央樹の瞬時加速ですが、背後のスラスターないのにどうやった。また、瞬時加速っていっても、そこまで早くないだろう?という疑問があると思いますが、次回で説明したいと思うので、ご安心ください。

それでは、また次回!!



お詫びのおまけ~ちょっと未来編~


ある日の放課後、俺こと央樹はセシリアとアリーナに練習に来ていた。

しかし、なぜセシリアはドヤ顔をしているんだ?
いや、ドヤ顔かわいいけどさ…
俺は不思議に思い、問いかけてみる。

「なあ、セシリア…なんで、そんなにドヤ顔をしているんだ?」
「ふふふ、よくぞ気づいてくださいました!!」

あ、これめんどくさいパティーンのやつや…
俺は直感的にそう思った。
セシリアはそのまま説明を続ける。

「実は武装を新調したのです!!」
「へ~」

そうなのか、それはちょっと見ておきたいかも…
セシリアはISを展開して、その武装を俺に見せてくる。

「見てくださいまし!わたくしの新調したこの『ブルー・ティアーズ』を!!翼型にし、そして数を8個に増やしましたの」
「お~、え……ゑ?」

…うん、それはとってもストライクフリーダムだなって。

見た瞬間、絶句した。
何アレ!?完全にストライクフリーダムガン○ムのスーパードラグーンなんですけど!?
いやいやいや、それはまずいでしょ!!
何処が開発したんだよ…

「あのー、セシリアさん?それはどこで…」
「?ブルーティアーズを作ったイギリスの会社ですが…?」

イギリスぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!
何してんの!?
いや、かっこいいけどね!?
これはまずいでしょう!!
ちなみに言っとくと、ガン○ムは普通にアニメとしてあるぞ!?

その武装はヤバイ!!(著作権的な意味で)
と、言うことを教えた方がいいよなぁ…

「これで、もっとあなたと共に戦えますわ!!」

うん、嬉しそうにドラグーン…もとい、ブルーティアーズをなでるセシリアを見て、何も言えなくなってしまった。
非力な私を許してくれ…



「許してやるよォ!!」
「わ、ちょっと一夏いきなり叫ばないで!」
「ご、ごめんシャル」

と、いったやり取りがあったりなかったり…



まぁ、とにかく…
扱えるかをテストしてみてもいいだろう。

「じゃ、少し慣らしでやって(試合して)見るか!」
「はい!!」

その後、何度か試合をしたが8個はやはり操作が難しかったようで、泣く泣くイギリスに送り返しましたとさ。


おしまい。




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第八話 『ブラスター』

長らくお待たせしてしまってすみません!!
出来てはいたのですが、手直しなど他の小説に時間をとられてしまってました。
遅れた理由は作者が設定を理解しきれてないこともあります……すいません。
なので、独自解釈やら独自設定のオンパレードです。この小説ではそういう設定なのだなと思ってください。

お待たせしました、第八話です!
どうぞ!!


~央樹vs一夏の模擬戦があった翌日~

 

「おはよー」

 

 俺は教室に挨拶をしながら入る。

 

『おはようー、央樹君』

「おー、央樹おはよう!!」

 

 何人の生徒と一夏が挨拶を返してくれる。

 ってか……

 

「一夏、昨日全力で戦ったってのに元気だな」

「何言ってんだ!! 昨日全力で戦ったからこそ、状態はキラキラだぜ!!」

「キラキラって、艦これかよ……」

 

 他愛もない話をしていると、そう言えば今日はISの実技授業だったことを思い出す。俺はすぐに一夏を誘って、更衣室を目指す。

 

「今日の授業は何だろうな?」

「さあ? 多分専用機持ちによる実演とかじゃないか?」

 

 雑談交じりに更衣室でISスーツに着替え、アリーナに出るとちらほらと1組2組の女子がいた。

 しばらく一夏と話をしていると陽やセシリア、ヴェンス姉妹、箒がアリーナに出てきた。陽が俺たちを見つけ、喋りかけながら近寄ってくる。

 

「あら、早かったわね?」

「まあ、今日実習の日だって早めに気が付いたからな」

「私のISも届いたから、今日は見て驚きなさい?」

「っ!? 届いたのか、専用機!!」

 

 俺のボディーガードとして来た陽には、束から武装無しの専用機が渡されたのだが自分で武装を組んでいたら中々上手くまとまらず、結局ダディ(うち)の武装研究部に依頼したらしく、今まで届いてなかったのだ。

 そう言えば、首から銀の拳銃が彫られたアクセサリーをしている。

 

 陽のIS…気になるなぁ……

 

「ふふふ、気になってしょうがないって顔に出てるわよ?」

「そりゃぁ、気になるだろ」

「ま、楽しみにしてなさい。そろそろ先生が来るわ、列に並んで待ってましょ?」

「そうだな、おーい、みんなー列になってくれ!! 点呼も取るから!!」

 

 学級委員の俺はみんなに指示を出し、織斑先生が来る前に列になっておく。少しして、織斑先生が山田先生を連れて現れた。

 

 

「よし、整列しているな。点呼は?」

「出来てます!!」

 

 織斑先生は整列している俺達を見て点呼確認。それに一夏が返事を返した後、すぐに指示を出す。

 

「なら、専用機持ち前に!」

「「「「はい」」」」

 

 俺と一夏、セシリア、そして、陽が返事をする。一夏は陽が返事をしたことに対して疑問を持ったのか、首をかしげながら俺に聞く。

 

「ん? 陽にも専用機があるのか?」

「ああ、見とけばわかる。ま、俺も見たことないからどんなISかわからんがな」

「そうなんですの? なら、楽しみですわね」

 

 俺と一夏、セシリアの視線の先にはISを展開しようとする陽の姿があった。

 

「立花、お前は今日ISが届いたそうだな?」

「はい、そうです!」

「なら展開してみろ」

「了解」

 

 陽はグッと、胸の前のアクセサリーを握りしめ、意識を集中させる。集中が最高潮に達した時―――――

 

「来て……ブラスター」

 

 その言葉を言うと同時に光が陽を包み、一瞬で晴れる。

 

 するとそこには…

 

 白銀色に輝くボディ……

 

 小さめだが天使の翼のような後部スラスター……

 

 そして、シャープな線が印象的なISを身に纏った陽がいた。

 

 そのISの姿に誰もが一瞬息を忘れた。それほどに幻想的で綺麗なISだった。

 

「これが『ブラスター』……私のISです」

「っ…そ、そうか! 展開速度も十分だ」

 

 織斑先生も例外ではなかったようだ。陽のISは『ブラスター』の名前に疑問を覚えるほど幻想的で綺麗なのだから仕方がないと思う。

 

 つーか、なんでブラスターなんて名前にしたし?

 

 そんな事を思っていると、陽が俺に耳打ちをしてきた。

 

「ブラスターはね、カールとミッシェルっていう夫婦が1998年に開発した防犯用カー用品の名前なの」

「防犯……ああ、つまり俺を守るからか」

「名付けた経緯は、そんな感じね。それとまあ、それ(防犯用カー用品)は火炎放射器だったらしいけど、私のISの武器は火じゃなくて……」

「もしかして、アレか? ゲームとかのブラスターって武器ことか?」

「ご名答、その二つの意味で名付けられたの」

「マジか……いや、でももっと幻惑的な名前でもよかったんじゃ……」

 

 そんなことを話していると、一夏、セシリアはISの呼び出しが完了していた。

 織斑先生は「次、陣野!!」と俺の名前を呼ぶ。

 

「おっと、俺の番か……」

「ま、がんばって~」

「おう、さ~ていきますか、変身!!」

 

 取り合えず、いつも通り俺のIS『赤最』を呼び出すためのポーズをとり変身の掛け声と共にISを身に纏う。いつも通り、一瞬で俺と『赤最』の姿が重なり、『赤最』の装甲が構築される。

 

「…陣野、展開速度には目を見張るものがあるが、そのポーズはなんだ?」

「すいません、先生…これ、こうやってしなくちゃ身に纏えないんです…」

「…まぁいいだろう、ならば専用機一同武器を出してみろ!!」

 

 ほんと、ややこしくてすみません……

 誰だよ、こんな厄介な設定にしたの!?

 

 あ、俺だったわ、束にそう依頼したの…

 

 そうこうしている内に一夏が剣を出す。

 

「とりあえず妥協点だが……まだだ、一瞬で出るようにしろ」

「っはい!!」

「次、オルコット!!」

「はい!!」

 

 セシリアは意識を集中させ、一瞬の内にその手に獲物である『スターライトmkIII』を呼び出す。

 

「ほう、なかなかだオルコット」

「ありがとうございますわ」

「次は近接武器だ」

「はい!!」

 

 『スターライトmkIII』をしまい、さっきほどより更に深く右腕に意識を集中させる。少しずつ形を成していき、その手に近接武器『インターセプター』が呼び出される。

 

「遅い……が、前よりはマシにはなっているな。精進しろよ」

「っはい!!」

「次!! 陣野は近距離武器は無かったな?」

「いえ、昨日の試合には間に合いませんでしたが夜に近接武器が届きました」

「そうか、ならどちらも出してみろ」

「わかりました、っと」

 

 俺は手にハンドガンを一瞬で呼び出す。

 織斑先生にOKを貰ったので、ハンドガンを格納領域に送り返すと、俺は俺が出すべき物―――《刀》のイメージを脳裏に浮かべ、鞘から刀を抜き放つように右腕を前にかざす。

掌に光が集中し、光が弾けるとそこには一振りの刀が現れていた。

 

 刀身が赤く煌いている刀…これが俺のメイン近接武器『陽刀(ようとう)紅嵐(べにあらし)》』。

 陽が武器案を出したので、妖刀とかけて陽刀と名付けたらしい。

 

「よし、遠近両方の展開速度は問題無し!!」

「ふう……」

 

 織斑先生に問題ないと言われて、俺は無事武装を出せたことに安堵し息を吐く。

 

「次、立花は…資料によると遠距離のみだったな、武装展開してみろ」

「はい!」

 

 おっ、陽の番か。

 瞬きをしている間に陽は一瞬で両手に真っ赤な銃を一丁ずつ握っていた。すげぇな、俺より早かったぜ……速さで言うと、セシリアのライフルを出す速度と同速かそれ以上だ。

 

「ほう、よし合格だ」

「ありがとうございます」

 

 これには織斑先生も満足したようで、すぐに合格判断が出た。

 流石は陽だ。誰にも出来る事じゃないぜ……

 略して、さすよう、なんつって!!

 

「よし、飛行訓練に移行する!! 陣野のISは飛べないから除外だとして……織斑、オルコット、立花、三人とも飛んでみろ」

 

 織斑先生は、次の指示を俺以外の三人に下す。

 

「ん? そう言えば、なんで央樹のは飛べないんだ?」

 

 一夏は俺の機体が飛べないという事について疑問を持ったようで、そう聞いてきた。

 

「そうだな、みんなも疑問に思っていただろう? 陣野、説明しろ」

「はい」

 

 めんどくさいなぁ……と思いながらも、決して顔と態度には出さない。出席簿が飛んでくるからだ。

 まあ、いつか説明しなくちゃいけないと思っていたので、良いタイミングだと思おう。

 俺は一歩前に出てクラスメイトの方にふり返ると、俺のISのコンソールを叩きモニターを出す。モニターには簡略化した『赤最』の立体図が映し出される。

 

「えーと、これは俺のIS『赤最』の立体図だ」

「それは分かるけど、それがどうしたんだ?」

 

 一夏が俺に質問してくる。

 

「何か気づかないか?」

「え? うーん……」

 

 しばらく悩むそぶりをしてから、「あ、そうか」と言いながら一夏は、ポンッと拳で掌を叩きながら言う。

 

PIC(パッシブ・イナーシャル・キャンセラー)のための翼が無いんだ!」

 

 PICとは、物体の慣性をなくしたかのような現象をおこす装置のことだ。これと肩部にある推進翼、任意で装備できる小型推進翼を使って姿勢制御、加速、停止などの3次元的な動勢を行う、らしい。

 

「そう、俺の機体には飛ぶための推進翼が無い。小型のバーニアならあるがな。」

「ん? じゃあ、どうやって機体の制御を?」

「PIC自体が無いわけではないんだ。ただ、飛ぶ為の機体制御をする推進翼が無いから飛べないだけさ。ま、出力の関係もちょっとあるけどな」

「そうか……」

 

 納得してくれたのか、一夏は次の話題に移った。

 

「ならさ、どうやって瞬時加速(イグニッション・ブースト)してるんだよ?推進翼無いんだろう?」

「ああ、それは簡単だ。翼のかわりに小型バーニアにエネルギーを取り込んで一気に放出し、瞬時加速をしてるんだよ」

「そうなのか……でも、かわりなんかになるのか? 役割が違うんじゃ?」

「ん? ああ、そうか言ってなかったな。俺の言うバーニアは、お前の言うようなロケット推進装置じゃなくて補助用のバーニアスラスターのことだよ。補助用だから飛行はもちろん、小型バーニアを壊すつもりで運用しなければ加速を得られないのさ」

「ん、じゃあ俺がタックルくらった時のは……」

「ああ、もちろんあの時バーニアは壊れていた。あの後、お前が飛んだままで遠距離武器を持ってたら100%勝つことは不可能だっただろうな」

 

 だから、あの後跳ぶ事をしなかった、と俺は説明する。

 なるほど、とクラス中が納得する中、セシリアが疑問の声を上げる。

 

「あの、確かにそれで飛べないという事は分かりました。ですが、なぜ飛べない機体になっているんですの?」

「……うーん、そう言われても詳しいところは分からないんだよなぁ」

「その質問には私が答えるわ」

 

 そう言って、出てきたのは陽。

 この機体は、俺の親の会社『ダディ』の機体だ。そして、陽は『赤最』の開発チームの一員だ。ま、開発チームと言っても、陽は武装班だが……

 それでも、俺よりはこの機体のコンセプトを聞いているだろう。その分ふさわしいと言える。なので、俺はここからの説明を陽に代わる。

 

「んじゃ、任せる」

「任せるって言われてもそんなに大したことじゃないわ」

「そうなのか?」

「ええ、ま、そこで聞いてなさい。すぐ済むから」

 

 そう言って、陽は俺やクラスのみんなに話し始めた。

 

「簡単なことよ、この『赤最』の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)のためなの」

「「「「単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)!?」」」」

 

 クラスで一斉にハモった。とっさに耳を塞いだのだが、キーンときた……

 同じように耳を押さえていた一夏は陽に質問をした。

 

「それって、俺の零落白夜みたいな?」

「そ、確か飛行系の能力みたいだけど」

「でも、単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)は発現するまで分からないのではなかったか? しかも、発現するのは第2次移行(セカンドシフト)からでは?」

 

 箒がその疑問を言うが、次の言葉でさらに混乱が広がることになる。

 

単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)は、第2次移行してからだけど、大体そう言った類の能力が発現するって、束さんが言ってたから……」

「あっ、馬鹿、それは……」

 

 一瞬、みんな何を言われたのか分からなかった。

 

「え?束って、もしかして…」

「IS開発者の篠ノ之束!?」

「「「「ハアぁ!?」」」」

 

 またもや、一斉にハモった。……皆さん仲いいね。そんな事を思っていると、クラス中の人が陽のところに集まってしまっていた。

 

「ひぇ!?あ……」

「あっちゃー……」

 

 やっと自分の言ったことに気が付いたようだ。

 全く、束のことは言っちゃいかんだろーが…あの人世界中で指名手配中なんだぞ? さっきまではかっこよかったのに……

 陽はたまに抜けたことを言うからなぁ。

 

「あのIS開発者の!?」

「え、陽ちゃん知り合いなの!?」

「う、っそまじで!?」

「もしかして、央樹君も知り合いだったり?」

「そのISはもしかして……」

 

 クラスメイト達に詰め寄られ、質問攻めになり、陽はどう言ったらいいのか分からずにあたふたしている。

 

「あ、うー、ど、どうしよう……?」

「……織斑先生、すいませんよろしくお願いします」

「わかった……授業中だ、静かにしろ馬鹿者ども!!」

 

 パパパンッ!! パン、パーンッ!!

 

 ……出席簿の一撃、いや、連撃で地に沈むクラスメイト達に合掌しつつ、残ったクラスメイト達の俺は言っておく。もちろん(草加)スマイルで。

 

「……この話題はこれ以上聞かずに黙っていてくれないかなぁ?」

「「「「は、はいぃぃぃぃ!!」」」」

 

 俺の凶悪な笑顔とこの死屍累々の状況が合わさったためか、みんな首振り人形のように首をガクガク振りながら、瞬時に返事をする。

 クラスメイトが起き上がるのを待ち、織斑先生は授業に戻そうと指示を出す。

 

「疑問は無くなったか? 時間も押しているので、この飛行訓練で最後にする。それでは行け!!」

「「「了解!!」」」

 

 三人一斉に飛び立ち、一気に上空に上昇していく。

 それを見ていて思うのは陽の飛行能力だ。陽の飛行能力には目を見張るものがある。ISの稼働時間が長く経験豊富なセシリアに比べても遜色ない速度と機体制御だ。一方、一夏はやはり飛ぶ感覚がつかめないのかふらふらしている。

 

 一定時間、三人が飛んでいると織斑先生が「そろそろ戻って来い。ただし、高速で降下し、地上から15から10㎝で止まって見せろ!!」という、オーダーを出し、陽とセシリアは問題なく着地したが問題は……

 

「我が魂はIS学園と共にアリィィィィ、ウワアアアアアアアアア!!!!」

 

 一夏だ……

 チュドーン!! という音と共に、落下―――というか墜落し、グラウンドに大穴を開けたのだった。

 

「……今日の授業はこれで終わりにする」

「「「「「ありがとうございました」」」」」

 

 頭を抱えた織斑先生は解散の指示を出す。何事もなかったように皆、教室にそそくさと帰っていった。

 

 ……埋まっている一夏を放っておいて。

 

「……しょっぱいな。何だろうこの目からあふれるものはさ……」

 

 誰もいないグラウンドに一人、埋まったまま放置された一夏の声は風と共にとけていったのだった。

 

 

 

 ……安心してください、その後、一人でグラウンドの穴を直す一夏がかわいそうで見てられなかったので手伝いましたよ。

 

 

 

 夕暮れのIS学園の中を、自慢のツインテールをぴょこぴょこ跳ねさせ、スキップをしながら進む少女がいた。

 

「ふふふ~、いきなり来たら驚くだろうなぁ~あいつ」

 

 少女はとある少年との再会を想像し、二ヒヒッ!と笑う。

 

 しかし、ここはどこだろうか?

 

 ふと、気づいたら見知らぬ場所……少女はぶっちゃけ言って迷ってしまっていた。感動の再会の想像に浸りすぎてしまい、道筋を逸れてしまっていたのだ。

 少女は、この学園に来るのは初めてであった。なので、次に出会った人に道を聞こう、と思った矢先に話し声が聞こえてきた。

 丁度いいや、と思いその話声がする方に顔を向けると……

 

「い、今起こったことをありのまま話すわ……幼馴染で想い人である織斑一夏が、見知らぬ男の肩に手を回し互いの顔を近づけ合っていた……な、なにを言っているのか分からないと思うけど、BLだとか、ホモだとか、そんな恐ろしいものの片鱗を味わった気がするわ……」

 

 少女……(ファン)鈴音(リンイン)はそのショッキングな光景を見て、その場を動けなくなってしまった。

 ……あえて言っておくが鈴音の見ていた光景は、普通に「いや~、グラウンドの整備手伝ってもらって助かったぜ。やっぱ持つべき者は友達だよなぁ!! そうそう、俺達なら今度の大会優勝も夢じゃない!! 頑張ろうぜ、目指せ優勝!!」と言って、円陣を組むように一夏が肩を組もうとしただけであって、鈴音の思っているようなことはない。

 だが、この時ばかりは鈴音の乙女フィルターが暴走してしまっていたことには変わりない。この乙女フィルター腐ってやがる、遅すぎたんだ……

 

 この勘違いがどうなって行くのかは……

 

 誰も知らない……

 

 

 

 

「あ、受付の場所聞くの忘れた……」

 

 気づいた時には、もう周囲に誰もいない。しばらくの間、鈴音は人を求めて練り歩く羽目になるのだった。

 

 

 




八話でした!!
難産でしたよ……設定がちゃんとわかってないと駄目ですね。読み返してみても少しわかりにくくて……

ここちょっとわからないとか、こうした方がいいんじゃない?って方はぜひ感想ください、お願いします!!もちろん、他の感想も大歓迎です!!

次話も頑張って書きますので、よろしくお願いします。


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第9話 四組の代表候補生

ものすごく遅れました。お待たせしてしまって、本当にすみません。

それでは、良ければ見て言ってください。


~side央樹~

 

「ヤバイ、ヤバス、ヤバイッス!!」

 

 俺は、IS学園の廊下を全力疾走していた。なぜ、俺が全力疾走をしているのか?

 

 それは――――

 

 一言で言っちゃうと遅刻だ。

 

 朝、早めに起きたので、アリーナの調整室でISのトレーニングと軽いメンテナンスをしていたのが駄目だった。自分でできる軽いメンテナンスなので油断していたら、思ったより時間がかかってしまった。

 

「やばい、やばい、具体的に何がやばいって? ああ!! それって、出席簿?」

 

 正確には、織斑先生の出席簿から繰り出される脳天への破壊の一撃だ。主に脳細胞的に。脳細胞がトップデッドだぜ!! ……冗談抜きで、あれはマジでヤバイ……ヤバイとしか言えないヤバイ。ヤーババイ、ヤーババイ、ヤ―バーバーヤイヤイヤイ……

 

「(俺の言い訳を)聞いて!! 織斑せんせぇぇぇぇ!!」

「きゃっ!!」

「うおっ!!」

 

 しまった!! 誰もいないと思い、大声で叫びながら走っていたせいで角を曲がって来ていた女子生徒とぶつかってしまった。なんとかスピードを緩める事には成功したが、ぶつかり、小さく悲鳴を上げた女子生徒は尻餅をついてしまった。

 すぐに俺は駆け寄り、手を差し出す。

 

「ご、ごめん!! 急いでて、見えてなかった!!」

「…い、いえ、私もボーっとしてて、ごめんなさい」

「あ、そうだ、怪我はないですか?」

 

 言って一度よくその女子生徒の姿を見た。

 白いIS学園の学生服、水色の綺麗な髪、赤い瞳、メガネ……うん、美少女だ。そして、その子が持っていた物に俺は釘づけになる。

 

「そ、それはッ……!?」

「……?」

「ドラゴンフルーツエ○ジーロックシードッ!!!!!!!」

「えっ!?」

 

 間違いない、仮面ライダー鎧武の劇場版で登場し、プレ○ン限定で販売されたロックシード……っく、予約していなかったことが悔やまれる……

 俺はその女子生徒に聞いてみる。

 

「あの、もしかして貴女は仮面ライダーファンですか?」

「……はい?」

「やっぱり!! 俺もそうなんすよ!!」

「きゃっ!?」

「おっと」

 

 俺は思わずその少女の手を握ってしまう。小さく悲鳴を上げたのを聞いて、我に返りパッと手を放した。よく聞いたら、疑問形だったのでいきなりの事に驚いていただけだろう。

 やってしまった……と思いながら、謝りつつ自己紹介をする。

 

「あっ、ごめん。俺は一年一組の陣野央樹といいます!! よろしく!!」

「え? ……えっと……更識簪」

「そっか、更識さんか!!」

 

 そうか、更識……ん? なんだか聞いたことがあるような……? そうだ、この子は確かISのヒロインの一人だ!! なーんだ、だから知ってたのか……

 

 あれ? それだけじゃないな、俺はこの子とどこかで……

 

「ねぇ? 君、俺と何処かであった事ありませんか?」

「ッ!? ……う、ううんないと思う……」

 

 なにか、ビクッ、と肩を揺らした気がしたが……まあ、どうやら俺の気のせいだったらしい。

 

「更識さん」

「……簪でいい、あまり、更識は好きじゃないから」

「そう、なら簪さん。もう一度聞くけど仮面ライダー好きなの?」

 

 もう一度、今度はゆっくりと問いかけてみる。すると、戸惑いながらも、ゆっくりと首を縦に振ってくれる。

 

 お、おお……やっと、やっと会えた……!!

 

「簪さん、突然だけど俺と友達になりませんか!?」

「っへ……?」

「俺さ、この学園で初めて話の合いそうな奴と会ったんだ!! だから、俺と友達になってくれ!!」

「……姉さんの差し金?」

 

 先程までの困惑の表情とは違い、一瞬で冷めたような顔をした。

 俺は本当に覚えがないので、首をひねるしかない。

 

「姉さん? 誰? 簪さん、姉がいるの?」

「……なんでもない」

「? それないらいいけど? あ、そうそうこの間の仮面ライダーさ……」

 

 何でもないなら何でもないのだろう。俺は気にせず、簪さんに仮面ライダーの話題をふってみると、簪さんは面白いほど食いついてきた。

 

「あの話は……うん、あれは……」

「へー、こっちのこれは……」

「あっ、それにはそんな意味が……」

 

 俺はそのまま簪さんと井戸端会議よろしく、話を始めた。

 

 

 

~side陽~

 

 私こと立花陽は、あまりにも授業が始まっているというのに来ない央樹を探すため廊下を走っていた。織斑先生に探してくるように言われ、教室を出たのが十分前。手伝ってくれているメルアル姉妹とセシリアとは手分けして探そうということで先ほど別かれたのだが……結構簡単に見つけた、見つけてしまった。

 

「ならさ、今度俺の部屋に来いよ。仮面ライダーならDVDは揃ってるぜ?」

「本当? 行きたいな、龍騎の劇場版は昔借りたままだったからもう一度見たくて……」

「おう、あるぜ!! 来いよ! 俺の部屋は寮の10……」

 

 茶色に近い黒の髪の天パの男が少女をナンパしている…

 

 と、言うか央樹だった…

 

「何しとんじゃ、われぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

「タジャドルっ!?!?」

 

 助走をつけた跳び蹴りが央樹に炸裂した。央樹は変な声を上げながらぶっ飛んでいった。

 ……ふぅ、悪は去った……

 満足して、跳び蹴りの体制から一回転し着地する。目の前にいたナンパされていた少女は目を丸くしていた。とりあえず少女の無事を確認する。

 

「あなた大丈夫?」

「は、はいぃぃ……」

 

 ほ、なんとか無事みたいね…

 

「お、お前は俺を何だと思ってやがるんだ……」

「ナンパ男」

「ンナヅェダァ……」

 

 何かナンパ男が言っているが無視だ、無視。

 今は目の前の少女に謝る。

 

「ごめんなさいねぇ…ウチの子が…」

「息子っ!?」

「お前は俺のオカンか!?」

「私はオカンではない」

 

容赦のない、倒れているところに無言の腹蹴りが央樹を襲う。……やってるの私だけどネ。

 

「グハァ…ル…リ…」

「……あの、そろそろ許してあげてください」

 

 見ているのがつらそうなので、腹蹴りを一旦止める。

 央樹はヨロヨロと立ち上がると私に文句を言ってくる。

 

「酷いじゃないか!! いきなり蹴って!!」

「はぁ……ねぇ、央樹。今、何時だと思ってるの?」

「何時って、は!? 九時四十分すぎてる!?」

「で、私はここに何しに来たと思う?」

「……トイレ?」

「はっ倒すぞ、この≪ピー≫野郎!!」

「申し訳ございません(^U^)」

 

 ふざけた野郎には仕置きが必要……無言のアイアンクローを喰らえ!!

 私はゆっくりと、しかし確実に力を込めていく。メキメキと気持ちのいい音が頭からなっているが気にしてはだめだ。

 

「ぎゃあああああああ!!!! お前の細腕に何でこんな力がっ!? ヤバイって、頭がギシギシ逝ってるよォ!? マジでごめん、だから手を、手をォォォォォォォ!!!!」

「……あ、力加減が」

「ふごっ!! ガクッ……」

 

 あ、死んだ。

 

 

~しばらくお待ちください~

 

 

「悪いな、簪。引き留めて……」

 

 死の淵から甦って、央樹が少女に謝る。……頭は変形し、歪なまま。

 

「…ううん、別にいいよ。私も楽しかったから」

「そうか、んじゃ、また!」

 

 少女は引き気味に早足で去っていった。

 それを見送った央樹は私に頭を下げる。……やっぱり歪な頭だ。

 

「悪かったな、探しに来てくれたんだろ?」

「……うん、まあ、いいわよ別に。それに私も、ごめん」

「なんで謝るんだよ?」

「えっ……ゆ、歪んでるから……」

「ゑ?」

「はいっ」

 

 そう言って、私は手鏡を渡す。

 央樹はじっと自分の頭を見た後……

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?なんか手の形に頭が変形してるぅぅぅぅ!!!!」

「……大丈夫、すぐ戻してあげるから」

「え? 戻すってどうやって……頭に、陽の手を、乗せて、思いっ切りつかんでででで!?」

 

 頭を掴み、更に力強く締め上げる。

 

 数分後、なんと完全に元通りになった央樹の姿が!!

 

「元通りになったのは……人体の神秘ですな? 議長」

「はぁい……って、無茶し過ぎィ!?」

「ま、とにかく授業に急ごう?」

「急だな!?」

 

 渋々と言った感じで、央樹はついてくるのだった。

 

 

 

~side央樹~

 

 俺は教室に入って困惑した。

 だって……

 

「俺は、俺は央樹が大好きだぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 一夏の魂(?)の叫びが聞こえたのだった。

 

 どういう…ことだ……!?

 

 一から説明しよう。俺たちはメルアル姉妹とセシリアと合流した時には、一時間目の授業終了の鐘が鳴ってしまった。三人……いや、陽を合わせて四人に全力で頭を下げつつ、一限目ブッチしちゃったし織斑先生が怖いなぁ、と思いながら教室に入った直後、このセリフが聞こえてきたのである。ちなみに今の発言で「一×央キタ――(゚∀゚)――!!」と言いながら、天空に鼻血のアークを描き倒れ伏した人が数名いた。

 なので―――――――

 

「まるで意味が解らんぞ!?」

「……どういう状況?」

 

 俺の頭の処理メーターが振り切るぜっ!! だったので、陽が冷静に状況確認をしようとしていた。

 

 クラスメイトの、えーと、相川さん(だったかな?)が、教えてくれる。

 

 聞いて理解した。なぜこんな状況になったのかを一言で言うと……

 

 しかしそこではツインテールが大活躍をしていた!

 

 この一言に尽きる。

 そう、さっきから俺を射殺すように睨み付けてくる、小柄なツインテール少女がこの悲劇(?)を引き起こした張本人である。

 今回のクラス代表戦について話している時に、この少女が来て俺と一夏の関係について問いだしたらしい。それが何の因果か、運命か。一夏は鈍感スキルで、話がこじれにこじれ、ややこしいことになりこの発言に至ったのだと言う。

 

 ……なぁにそれぇ?

 

 とにかく、これ以上話をややこしくしないためにその話に入っていくことにした。

 

「あーもー、とりあえず二人とも落ち着いて……」

「これが落ち着いていられますかっ!! って、このホモ野郎!! よくも!! よくも、私の一夏を汚したわね!!」

「俺はお前のものじゃねえよ!?」

「そうだそうだ、一夏は私のものだ!!」

「箒さん!? ナニイッテルンディス!?」

「……一夏、お前何言った?」

 

 まさか、ホモ野郎なんて言われることになろうとは……

 それにしてもなんで俺に向かって「ホモ野郎!!」なんだよ!? この子の俺の評価はどうなっているんだ!! 多分、一夏の発言のせいだろうと予想はつくが。

 俺は一夏に何を言ったかを聞いてみる。

 

「一夏、怒らないから正直に迅速に即座に言いなさい。何を言った?」

「えっ、俺はただ訓練したことと、兄のような人物だって言っただけだぜ?」

「ならこの子のホモ発言は何だ? それとさっきのお前の発言は?」

「えっ、聞かれていたのか? なんか、恥ずかしいな……」

「男の赤面とか誰得だよ。良いから話せ」

「えっと、コイツ凰鈴音(ファンリンイン)っていって俺の幼馴染なんだけど……いきなり現れたコイツとなんだか言い争いになっちゃって、それで央樹の話が出て来て、『あんたはどう思ってんのよ!!』って言われて、仲間として大好きだっていったら急に……」

 

 oh……orz

 

 さっきの叫びは「俺は、俺は央樹が(仲間として)大好きだぁぁぁぁぁぁぁ!!!」だったのかよ……紛らわしい言い方すんなよ!! 周りからの俺への視線を考えろ!!

 

 ん?じゃあ……

 

「ホモ発言はどっから来た?」

「知らん、そんなことは俺の管轄外だ」

「えー……」

 

 ちらりと、ツインテールの方を見ると小声で何か言っていた。

 

「…だって、昨日……想い人がホモだなんて思いたくないし…」

 

 なるほど―――大体わかった。

 彼女は誤解している。恐らく昨日、ホモと誤解するようなところを見たんだ。例えば、グラウンドでの帰りとか。ならば、誤解を解いてやればいい。

 

「凰鈴音…だっけ? 君は勘違いしている。恐らく、昨日グラウンド帰りに見たことは誤解だ」

「……本当?」

「ああ、俺達はクラスの腐の付く方々の喜ぶような関係じゃないよ」

「よかったぁ……」

 

 ホッと、胸を撫でおろす鈴音さん。こらそこ、撫でおろす胸ねえだろ、なんて言っちゃいけない。

 クラスの皆さんは色々騒ぎ出す。

 

「よかった~、織斑君や央樹君がホモじゃなくて」

「うんうん」

「なんだ、ホモはいねぇのか……てっきり私はクラスの一大事かと……全くいいクラスだった!! ガクッ」

「じょ、城之内ぃ!! え、嘘だろ……こいつ息してないぜ!?」

「そんなにショックだったのね……次回、城之内死す!!」

「死んじゃダメでしょ……」

 

 母さん、今日もクラスは混沌としています。

 と、思っているとチャイムが鳴り休み時間が終わった。

 

「と、とにかく、ホモ野郎は勘違いだったけど、対抗戦は負けないわ!! ば、バイバイキーン」

 

 そう言って、走って自分のクラスに帰る鈴音さん。バイバイキンって……

 

「あいつはバイキンマンか何かなのか、一夏?」

「いや?知ら管」

「お前ら授業を始める、さっさと席につけ。……あと、陣野は後で職員室に来い。みっちり絞ってやる」

 

 額に青筋を立てた織斑先生はそう言って教壇に立つ。あ、俺\(^o^)/オワタ。

 

 

 

 授業が終わり、放課後、罰として書類の整理を手伝わされた俺は寮に向かって歩いていた。

 

「ふぃ~、やっと解放された…っと?」

 

 俺の部屋のドアの前で、一人の少女―――簪が立っている。

 簪は深呼吸してから、ドアを叩くようなふりをし―――やっぱりやめる。もう一度深呼吸して、ドアを―――叩かない。そして、何度か挑戦し諦めるを繰り返す。あたふたあたふたしている簪があまりに可愛かったのでしばらく見つめていると、何度目かの挑戦の後、肩を落とし帰っていこうとするので、出ていくことにする。

 

「あれ? 簪? 来てくれたのか? いやぁ~嬉しいなぁ」

 

 私は何も存じ上げておりません、たった今来ました。という風に装いながら話しかける。

 

「あ、う、うん……」

「ささ、入って入って」

 

 肩を押しながら部屋に入る。まだ、同室の三人は帰ってきていないようで、好都合だ。

 

「え~、と、龍騎のDVDはこれだな。あ、そこのベッドにでも座ってて、あと飲み物とか何がいいかな?」

「え、え、あ、コーラで」

「りょーかい!!」

 

 ササッと、コーラとお菓子を持ち簪のところに戻る。お菓子と飲み物を簪に預け、俺はDVDをセットする。

 

「んじゃ、始めるぜ。あ、あとお菓子勝手につまんでていいぜ」

 

 再生ボタンを押し、簪が座るベッドの近くにあった椅子に腰を下ろし映画を視聴する。映画の要所々々でお互いに声を漏らし、クライマックスでお互いのテンションのボルテージが最高潮になった。

 

 と、まあ、そんなこんなで映画視聴が終わり、そのまま仮面ライダーやらウルトラマンやら特撮、アニメの話をした。話の途中で俺は気になったことを聞いてみた。

 

「そうそう、朝は本当にごめんな?」

「大丈夫、一限目は遅れるかもって先生に許可を取っていたから……。央樹こそ大丈夫だった?」

「あ、あはははは……」

「……駄目だったんだ」

「ま、まあな。と、そう言えば、簪さ、なんで朝あそこに居たんだ?」

「アリーナに居たこと?」

「そう、一限目遅れるって申請してたんだろ? だから気になってさ」

 

 簪は、少し悩むようなそぶりを見せたが、理由を教えてくれた。

 いわく、自分は日本の代表候補生なのだが、専用機の開発をする会社が一夏の白式と同じ会社だったそうだ。なので、白式を作るために人員が回されてしまい、完成が遅れるとのことだったので自分が預かって完成させようとしているところだったらしい。

 

「ほえ~、自分で完成させようとするなんてすごいな!!」

「ううん、全く進んで無いの。……やっぱり私には無理だったのかな……」

 

 そう言った、簪の目は悲しみの色が映っていた。そして、目を伏せてしまう。

 ……なんだろうか、その姿を見た俺はほっとけなかった。しかし、ISのこととなると俺に出来る事は少ないだろう。なので、俺はもっと詳しく事情を聴くことにした。

 

「なぁ、どうしてISを自分で完成させようと思ったんだ? 待っていたら遅くなるけどちゃんとしたものが送られてくるんだろう?」

 

 いくら初の男性IS操縦者のISの製作とはいえ、会社なのだ。その会社が依頼された業務をほっぽりだすという事はあり得ない。と言うか、あっちゃいけないだろう。なので、待ってさえいれば完成されたものが来るはずだ。

 なのに、簪は自分で組もうとしている。確かに、自分で組んだ方が自分にあった者が出来ると言うメリットもある。しかし、本来IS開発とは大の大人が何人も集まって出来上がるものだ。一人で組み立てるには荷が重いと思う。

 あの束でさえ、うちの会社で何人もの人と共にISを開発しているのだ。……まあ、別にあいつは一人でも超高性能のができそうだが……。

 

「それは……姉がISを一人で組み立てたから……」

「なるほど、姉への対抗心か……。なるほど、なあ……」

 

 思い出したことだが、簪には姉がいて、確か……更識たてなっしー……だったか? いや楯無だったな。そうだ、そうだ、確か原作では簪は姉にコンプレックスを抱いていたのだった。しかし、当の姉本人は一人ではなく、友達に手伝ってもらっていたはずだ。

 よし、ここは……

 

「あのさ、よかったらだけど俺も手伝っていいか?」

「え?」

「俺はISのことについてはあんまり役に立たないけど、一応一通りの知識は持ってる。それに、こう見えて俺、『ダディ』の社長の息子なんだ」

「えっ!? あの『ダディ』の!?」

「うん、まあな」

「それなら……っ!」

 

 簪は一瞬、俺の提案に乗りかけたが、姉への対抗心か首を縦には振ってくれない。

 ならば、と俺は攻め方を変えてみることにした。

 

「ほんとに君の姉は一人でISを組んでたのか?」

「……どういう意味?」

「いやな、ISを組み立てるってかなり大変なことなんだよな、それこそ会社みたいなとこで何人かの大人たちが頭ひねって作ってるくらい」

「そんなことは知ってる……」

「で、だ。どんな天才でも一人でやるには相当時間がかかる。ちゃんとした物を作るには付きっきりにならなくちゃいけない位に」

 

 ま、束は自分で補助ツールを作ってやってるから、かなり早く組み上がるけど。

 とにかく、一人で組むには膨大な時間がかかることは間違いない。

 

「君の姉は、そんなに暇人なのか? 学生なんだろ?」

「うん、今2年生。ISは私と同じ1年のころに組んだって聞いてる」

「聞いてみればいいと思うぞ? 姉が無理なら、姉の近くにいる人とか」

「……わかった。聞いてみる」

 

 すぐに思い当たったみたいで、タブレットを取り出しメールを送る。数分後、メールが返って来た。

 俺はチラッと、画面を盗み見る。……マナー違反だが、今回は見逃してほしい。何々……。

 

『おじょーさまのIS? お姉ちゃん達や先輩みんなに手伝ってもらって完成させたみたいだよ~。かんちゃんもIS作ってるみたいだし、私も手伝うから言ってね~ 本音』

 

 本音……のほほんさんか、そういえば付き人だったな。俺の記憶もあまりあてにならなくなってる。そりゃ、色々原作と違う事もあるし、記憶が劣化してるのもあるからなぁ。

 

「お姉ちゃん、一人で組んだんじゃなかったんだ……」

「なっ? 言ったろ? だからさ、一人で抱え込まなくたっていいんだぜ? 誰かが誰かを助ける。そうやって、世界は回ってるんだ。だから、お前も誰かを助けてあげなさい。……俺の父親の言葉さ」

「ッ!!」

 

 俺がそう言った瞬間、簪の目から涙があふれ出した。そして、そのままその場に泣き崩れてしまった。

 

 え? えー? 俺なんか悪いこと言っちゃった? もしかしなくても、余計だったか……。

 

 俺は、目の前で泣く簪を前にあたふたすることしかできなかった。

 あっ、とりあえず……

 

「えっと……はいこれ。ハンカチ」

 

 俺はタンスから引っ張り出したハンカチで簪の涙をふき、簪に渡す。

 簪はハンカチをギュッと握ったまま、涙を流し続けた。

 

 

 

「落ち着いた?」

「う、うん……」

 

 涙を流すこと10分間、やっと泣き止んでくれた。大変だった……やっぱり、慣れないことをいうもんじゃないな……泣かすつもりはなったんだが……。

 

「なんか余計なこと言っちゃったかな?」

「……ううん……ありがとう、手伝い、頼んでもいいかな?」

「ああ!! まかしてOK!! じゃなくて、任せてくれ」

 

 そう言うと、落ち着かないみたいで、顔をさらに赤くし、話を切り上げるように早口で俺に一言う。

 

「えっと、これ……洗って返すから、じゃあまた!!」

「え、っちょ、ま」

 

 そのまま、俺の静止もむなしく、ハンカチを握りしめて、走って出ていってしまった。

 

「やっぱり、まずかったか……」

 

 俺のつぶやきは部屋にとけて消えた。

 

 後日、俺の部屋から泣きはらして真っ赤に充血した目で走って出て来た女の子を目撃した、と噂になるのはまた別のお話。

 

 

 

 

~side簪~

 

「(あ、あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!! やっちゃったぁぁぁぁぁあ!!)」

 

 現在、私は顔を枕に押し付けて叫んでいた。私はあの後、「部屋まで送ろうか?」と、言ってくれた彼に断り、一人で部屋に戻って来たのだが、部屋に戻ってきた途端、彼の部屋であったことを思い出し、羞恥で叫びたくなってしまったのだ。

 ひとしきり叫ぶと、顔から枕を放し、両手を頬にあてる。顔がものすごく熱くなっている。鏡を見るまでもなく、顔が赤くなっているのは自分でもわかる。

 いくら友達になったとは言え、今朝知り合ったばっかりの人、しかも男の人の部屋で、思いっ切り泣いてしまった。 

 いや、今朝知り合った……じゃない、私は彼を知っていた。

 

 陣野央樹……ううん、ジンお兄ちゃん……

 

 最初に会った時から思っていた。けど、お姉ちゃんの姿が脳裏に浮かんだ瞬間よくわからなくなって、疑ってしまったのだ。

 あの最後の言葉、お兄ちゃんのお父さんの言葉で確信出来た。あの言葉は昔もよく言っていた。だから、間違いない。

 

 それなのに、なんで私知らないふりをしちゃったんだろ……?

 はぁ……とにかく明日、また行ってみよう。

 

「(でも、明日から顔が合わせにくいなぁ……)」

「ただいま~、かんちゃ~ん」

 

 本音が帰ってきてしまった。

 ……とりあえず、明日のことを考えるより、今はこの赤くなった頬をどう本音に言い訳するか考えよう。あと、照れくさいけど、本音にもISの組み立てを手伝ってもらえないか言ってみよう。

 

 

 

 

 

 

 暗い部屋に複数のモニターばかりが煌々と光っていた。8つある内の一つ、一番大きなモニターに男の顔が映る。

 

『諸君、聞こえているかね』

『『『『『『はい、総帥』』』』』』

 

 モニターの男―――総帥の呼びかけに6つの声が答える。モニターに6人の男女が映り、総帥に頭を下げる。

 総帥は一つ何も映らないモニターを一瞥し、言葉をこぼす。

 

『む、また欠席か、NO.8は……』

『申し訳ありません、総帥。次回こそは、このNO.4が必ずや()をここに連れてまいりましょう』

『いやいや、このような色ボケ婆などではなく、(わたくし)NO.6が見事連れてまいりましょう』

 

 その総帥の様子を見た美形の女―――NO.4が名乗り上げるが、幼い少女―――NO.6がそれを遮り、ついでとばかりにNO.4を煽る。

 

『NO.6!! また私のことを色ボケ婆などと!! 私はまだ20代だ!!』

『えー、それ5年前も言ってなかったぁ~? しかもぉ、(わたくし)と比べるとただのババアだしぃ?』

『貴様ァ!!』

『君達、そこまでです』

『しかし、NO.2様!! 私をババアと……』

『NO.4、貴女が美しいのは分かっていることです。 ババアと言われたからなんですか、貴女は美しいのですからもっと胸を張りなさい!!』

『は、はい!!』

『NO.6、あなたもです! いくら総帥に褒めてもらいたいからと言って、仲間を貶めるような発言はやめなさい!!』

『ちぇ……わかりました』

 

 総帥の前で喧嘩を始める二人を仲裁する人物が一人、音源のモニターには筋肉質の美形の青年が映っていた。NO.2、それが彼のコードネームであった。そう、ここにいるものは皆数字のコードネームで呼び合っているのだ。そのNO.2は喧嘩を始めたNO.4とNO.6を黙らせ、総帥に向き直る。

 

『総帥、お騒がせしました』

『いや、面白いものが見れただけでも良しとしよう。それではそろそろ、本題に入っていいかな?』

 

 NO.2はそれに肯定するように、一度膝をつき礼をする。

 静かになった所に総帥は一拍空け、こう切り出した。

 

 

『さて、それでは会議を開始する……機械による機械の世界のために!!』

『『『『『『機械による機械の世界のために!!』』』』』』

 

 静かに、闇が動き出した―――――

 

 

 




随分と久しぶりの投稿になってしまいました。

……ほんと色んなことが起きますね。人生ってやつは。

これから、少しずつでも更新して行きたいと思っているので、これからもよろしくお願いします。


……誰か観想ください(切実)


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第12話 それぞれの準備、そして開幕


ふう、難産でした……

色々遅くなりましたが、どうぞ!!


 

 俺こと陣野央樹の部屋には、簪がまた来ていた。

 俺と簪は向かい合って話をする。

 

「で、手伝いはOK、と……」

「うん」

「わかった、では善は急げだ。早速手配しよう」

「え?」

「今回のクラス代表戦、出るだろう? だったら、専用機が無いとかっこつかないだろ」

 

 俺は話を切り上げ、簪に断ってから電話のため席を立つ。

 

「もしもし」

『もすもす、ひねもすぅ~』

「あ、間違いました」

 

 ふざけた声が聞こえたので、電話を切る。しかし、こっちの電話が鳴り響く。流石に、今回はこちらがモノを頼む側だ。無視はできないので電話に出る。

 

「で、束どうした?」

『どうしたじゃないよ!? かーちゃんのISを完成させるんでしょ!?』

「……ああ、簪だからかーちゃんか。話が早くて助かる。あと、盗聴器は発見次第ぶっ潰す」

『はたして、盗聴器だけかな?』

「なん……だと……?」

 

 向こうがこちらの事情を完全にわかっているのは助かる。束の事だから盗聴くらいはしてるだろうなと思っていたが、まさか盗聴器だけじゃないのか……?

カマをかけてみたが、恐ろしいことが発覚し、背がゾクッとする。 

ま、まあ、いいさ。とりあえず、後で部屋中の盗聴器類を片付けるとして、本題に入る。

 

「そうなんだが、いけるか?」

『準備はもう出来てるよ。社長にも許可取ってる』

「流石、仕事が早い」

『ふふん、仕事が早い、上手い、安い! が、束さんのモットーだからねッ!』

「なんだ、その定食屋のモットーみたいなの」

 

 雑談を少々挟みつつも予定を立てていく。

 おっと大事なことを忘れていた。簪に予定を聞いておかなければ。

 

「簪、明日からで開いてる時間を教えてくれ。予定を組むから」

「あ、ごめん。……明日からならいつでも行けるよ。ただ、授業時間中はちょっと……」

「OK、なら急で悪いが明日の放課後辺りからはどうだ?」

「……え? そんなにすぐに来れるの?」

「ああ、丁度、手が空いてる人たちがいるらしくてな。すぐにいけるってさ。つーか、あの人らは、暇で毎日変な装備案を出しては試作品を作っているような奴らだから、存分に使ってもらってかまわないぜ」

 

 簪は少し面を食らったようだが、すぐに「わかった。それじゃあ、お願い」と言って、OKサインを出してきたので、束にはそれじゃあ明日たのむ、と言って予定を決定する。

 

『あ、おっくん。ISをどんな風に仕上げたいかを聞いておいてね。じゃね~』

 

 あ、そっか、それ聞いておかなきゃな。俺は束に言われて大切なことを聞くのを忘れていたことを思い出した。

 電話を切ったら、早速聞くとしよう。

 

「おう、ありがとうな束」

『いいてことサ!!』

 

 そう言って、電話が切れる。

 

 さて、と……

 

「簪、どんな風に完成させたい?」

「えっと、最初のコンセプトを大事にしつつ、私に合わせて細かいところをいじっていけたらなぁ……と」

「なるほど、元のコンセプトのまま、と。元のコンセプトは倉持研から資料はもらえる手はずになってるから大丈夫だな」

 

 事前に倉持研に連絡したところ、今回の件は自分たちの不始末でありそのための資料提供は惜しまない、好きにやっていいと言われている。

 

「あの……私の方でも友達に声かけてみたんだけど、ダメ、かな?」

「いや、うちの奴らはそうやって友達想いな奴が大好きだから、多分手伝っても大丈夫だ。勉強にもなるだろうし、是非とも連れてきたらいい」

 

 そう言って、今回の簪との打ち合わせは終わった。

 簪が帰った後、メールで決まったことを束に伝えたあと、俺は一週間の一夏と自身の練習メニューを考える。もうそろそろ、クラス代表戦が近いからな。

 

「ああ、そうだ。俺はクラス代表になるなら俺は見ない方がいいな……」

 

 そうと決まれば、簪に明日の集合時間と場所……105号の整備場に行ってくれとメールをする。

 さて、俺が出来るのはここまで……簪のISの完成が楽しみだ。

こっちも、簪と戦えるように秘密兵器をモノにしておかなければな!!

 

 

 

 やってきました、クラス代表戦!! 

 

 早いものでもう一週間。色々と忙しい一週間だったが、合間を縫って俺と一夏はクラス代表としてこの日のために訓練を重ねてきた。

 瞬間加速などを完璧に仕上げ、鈴音さんの衝撃砲対策などを練るなど、自分たちに出来る事はやってきたつもりだ。もちろん、秘密兵器も完全に俺のモノとした。

 

 誰が来ようが、俺達を阻むものは居ないと宣言する!!

 

 しかし、気を抜いてもいられないのも事実。俺は一夏と打ち合わせをするため顔を突き合わせ小声で話をする。

 

「さて、相手は3組か……専用機持ちは居ないが油断するなよ、一夏?」

「わかってるって、作戦通りだな?」

「わかってるならいい……行くぞ、絶対勝つぞ!!」

「応!!」

 

 円陣を組み、気合を入れた後、一夏は意気揚々と出ていった。

 

『一組VS三組の対戦カードとなりました。えー、まず出てきたのは一組、織斑一夏君!! 最初に出して来ましたか……てっきり、防御力の高い陣野君を出してくると思っていたのですが……どう思います? 解説の更識生徒会長』

『そうね、確かにそれがセオリー通りだと思うわ。でも、それは逆に言えば誰でもわかっているという事よ。彼らはあえてセオリーとはずすことで自分たちのペースに引き込みたい、って感じかしら?』

 

『対する、三組は芦屋久留美さんだ。使用機体は、打鉄のようだ!! 彼女は剣道部に属しているそうだぞぉ!! これは剣士同士の戦いが見られそうだ!!』

 

「えーと、君が俺の相手?」

「うん、芦屋久留美。よろしくねっ!」

「ああ、よろしく」

 

『試合開始!!』

 

 試合開始の合図がなる。と、同時に両者動き出した。

 

『さあ、今試合の鐘が鳴る!! ッとォ!? これはどうしたことだ!! 両者一斉に相手に切りかかったァ!!』

 

 実況の言う通り、打鉄の近接ブレードと白式の雪片二型が激突する。そして、互いにつばぜり合いのような体制になる。そのまま、グッと雪片を押しつけ、白式の推進翼の力を徐々に上げていく。

 もちろん、打鉄の力ではそれを押し返すことは出来ず、後ろに後ろに流されていく。そして、背後にアリーナの壁に当たってしまう。

 

「いま!!」

 

 一夏が急に力を緩め、急後退する。今まで全力で押していた打鉄は、押さえている力がなくなったことにより前につんのめる。機体を制御し、なんとか転倒を防ぐが、大きな好きとなってしまう。 

そう、その隙を見逃すことなく、一夏の雪片はすでに零落白夜を使用していた。

 

 生身に当たらない様に軽く一閃。

 されど、打鉄のシールドエネルギーを刈り取るのには十分な攻撃だった。

 シールドエネルギーがゼロとなり勝者を宣言する声が会場に響き渡る。

 

『勝者!! 一組、織斑一夏!!』

 

「さて、次は誰だ!!」

 

 一夏がニッと笑い、そう宣言した。

 

 

 

 





それでは、また次回まで!!


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