Unrealistic story~Days~ (彌凛)
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Days~Unknown~

始めまして、こんにちは。彌凛です。今回の作品は『Days~Memory of the past~』の現在にあたります。こっちから見ても、面白い仕様にしていきますので、よろしくお願いします!


ここはどこだろうか。

畳とテーブル、椅子しかない。周りも暗くてよく見えない。

(おーい、眞佐くーん、秀華ちゃーん)

声を出そうとしたが、声が出ない。椅子をたたいて音をたてようとするが、音が鳴らない。

耳がおかしくなってしまったのだろうか。

━怖い。なんで誰もいないの?

そう思っていた時だ。

「ss死nねee…」

若干ノイズが混じった声が聞こえた。そっちを向くと、見覚えのある姿が見え、手には刀を持っていた。

(やめ…)

そう言おうとしても声が出ず、私は切りつけられた。

傷が痛い。涙が零れるが、声は出ないままだ。

助けて…誰か…助けて…

 

 

 

 

 

 

 

「朱音、おはよう!」

「おはよー」

道角を曲がると、見覚えのある女の子が見えた。目は半開き、髪は一つに纏めてある。

「じゃあ行くか」

「うん!そうだね」

目つきはいいとは言いがたい。しかし、彼女は間違いなく美人だ。

真っ白な肌に、綺麗な黒髪。スタイルもそこそこいいだろう。

「羨ましい…」

「え?」

「いや、なんでもない!」

「ああ、そうかい。しかし、ここは学校が近くて助かるな」

「だよね。遅刻はまずないからねー」

校門を潜ると、走っている生徒や、自転車に乗っている生徒などがいる。

下駄箱を見つけて「中御門美佳」の場所に入れようとするが、手紙が入っていた。

「…」

「どうした…もしかしなくても、またラブレターか?」

「イエス…」

今週五枚目のラブレターだ。しかも、五枚全てが違う人とか…

「まあ、興味ないけどね」

「ひどいなお前…破ることはないだろ」

「だって興味ないもん」

ひどいのだろうか。

別に興味ないからいいだろう。

教室に向かう廊下は、大量の張り紙があった。どれもくだらないものばかりだ。

教室の扉を開けると、暖房が利いて暖かい空気が出てきた。

教室には、3人しか人が居らず、しかも全員友達だ。

「皆おはよう!」

「おはよう、美佳。×××でイライラしてる?」

…殺す。

朝っぱらから何を言うんだコイツ。なにが「×××でイライラしてる?」だ。

「ああ、おはよう…朝っぱらから最悪に気分がいいよ…」

「将兵、今のはいけないだろ。僕から言うと、どう考えても聞いちゃいけないだろ」

「えぇ~?女子も男子も平等にしないと…」

「いやいや、平等の感覚とは違うだろ」

…まあいっか。コイツは間違いなくクズ+変態だから。

そんな何気ない会話をしていたときだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━耳を疑うような爆音が鳴り響き、窓の外のプレハブ校舎が崩壊していった。

 

 

 




閲覧、有難うございました!


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Days~Disappearance~

俺は学校の校門の前に居る。警察によって、立ち入ることができないのだ。

…そもそも、俺は何故警察や消防車が来ているのかも分からない。

ただ、何か燃えているのは分かる。煙が上がっていて、焦げ臭い。

「ん?」

携帯のバイブが鳴る。

眞佐斗からのようだ。

「もしもし?」

『夏雄、今どこに居る?』

「校門前だ」

『そうか。今から僕が迎えに行くから待ってろ』

「ちょ…話の内容が分からないんだけど…」

『あとで話す。お前以外はこっちにいるからな。じゃ、後で」

「おま、ちょ…切られた…」

状況を話せ馬鹿野郎。わけわかんねぇだろうが。

しかし、俺以外の奴等は皆いるのか。皆元気だろうな…?

ところで、今はどういう状況なのだろうか。

煙が上がっていて、時々放送が聞こえる。放送の内容は、「警察共は今すぐ撤退せよ」など。

立てこもり?学校一つを占領するくらいだから、結構な規模の犯行グループだろうか。校内は混乱していることが予想できる。いや、犯行グループが押さえつけているかもしれない。

「おい」

「おお、眞佐斗!迎えに来てくれたか!」

「とりあえず、僕の能力を使ってここから抜けるぞ」

眞佐斗の能力は『透物』。あらゆる物体をまったく見えなく出来る。もちろん眞佐斗自身にも作用される。だけど、自分の体に負担が掛かるため、30分以上は出来ない。

「今はどんな状況なんだ?」

「『櫻ノ會』によって学校が占領された。プレハブ校舎は爆発で全壊、生徒たちは校舎内から出ることは禁止、先生は人質になっている」

「チッ、大人も今は役に立たねぇか。で、どうして校舎に戻るんだ?」

「僕等で櫻ノ會を倒す。奴等はこの町を攻撃しようとしているからな。僕等で倒して、それで終わらせる」

犯人は櫻ノ會か。

新興宗教『櫻神教』の派生政党だが、最近怪しい行動を見せていて、マスコミでも度々報道されていた。

気付けば、上空にはマスコミのものであろうヘリコプターが集まってきていた。今頃は生中継でこの事件のニュースがやっているのだろう。

下駄箱で靴を入れ替える暇も無く、ただただ教室へと走って行く。

自分が元通り見えるようになったのがわかる。

「皆、無事か!?」

「夏雄!無事で良かった…」

「朱音、これで一安心かい?」

「う、うるさい!とりあえず早く行動しないと」

「そうだな、急ごう」

コイツら、何をするつもりだろう。

…だけど、案外面白いかもしれない。

俺、楽しめそうだよ。



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Days~Collapse~

「眞佐斗先輩、どうするんですか?」

「櫻ノ會は第一校舎一階に居ると考えられる。まずはそこに向かう」

櫻ノ會…俺の両親が所属している新興宗教の派生政党だけど、正直馬鹿馬鹿しい。

普段は両親は居らず、いつも一人だ。だから祖母や祖父に育てられた。たまに両親が帰ってくると、俺に八つ当たりしてくる。半殺しにされたこともあった。

俺は両親が元々こんな人だったとは信じたくない。そもそも、祖母と祖父は元々は二人とも優しかったといっている。

…俺は許さない。両親をこんなにした宗教も、その派生政党も…

これは復讐だ。絶対に倒す。

「先輩、やるからには少なくとも半殺しにしませんとね…」

「え?ああ、うん」

絶対に倒す…俺の両親を狂わせたテメェ等は半殺しでも足りねぇよ…

『えー、只今より教室をランダムに爆破しようと思いますので、よろしくー』

「ッ!」

ふざけてんのか…!?このままだと、生徒の犠牲が増えるばかりじゃないか…!

…止める。絶対に…自分を犠牲にしてでも…

「…先輩、ごめんなさい」

「え、おい!待て!」

これ以上コイツ等の犠牲になる人を増やしてはいけない。誰も止められないなら、俺が止めてやる。

「とりあえず、武器になるものは…」

非常事態だ。他人のものも勝手に使わせてもらう。

とりあえず、筆箱からは鋏、コンパスとかが武器になるだろう。掃除のときに使う箒も使えそうだ。

「これだけあれば十分」

そう呟いて、二階にある1年B組を後にした。

階段をもの凄いスピードで駆け下りる。しかし、階段を全て下りたところで止まってしまった。

「動くな!」

警察ではない…ということは奴等か。

少し挑発してみるか。

「あ?テメェ等、教室を爆破させるとか言ってたけど、頭イカれてんのか?バーカ」

「テメェこそ頭逝ってるだろ」

なんだコイツ…ぶち殺すぞ…待て、このままコイツから情報を聞き出すことも可能…よし、そうしよう。

そう思ったときだ。

「餓鬼に何ができる。私達は大人だ。餓鬼が大人に勝てると思ってんのか、塵屑」

頭に血が昇ってきた…殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!

「死ねエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!」

俺はコイツを殺すことしか考えていなかった。箒を片手で振り回し、ソイツを殴り続けた。

「やめ…やめろ…」

「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!!」

ソイツは血を吐き、気絶した。こんくらいで十分か…足りない気がするけど。

『こちら、Aチー…お…答願う』

ノイズと混じってトランシーバーから声が聞こえた。俺はトランシーバーを踏み潰し、適当なところへ蹴り飛ばす。よし、急いで人質の居る場所を探し出して、早く救ってやらないと。人質達の精神状態にも限界があるだろう。限界が来る前に俺が救い出すんだ!

「先生達が人質になっているんだよな…だったら、職員室に居る可能性が高いな」

そう言った直後、後ろで爆発が起きて爆風によって体が押された。

職員室はすぐ近くにある。職員室に向かって走り、物凄い勢いで扉を開く。

「先生!」

 

 

 

 

 

 

 

 

━しかし、そこに人は誰一人居なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ…!?」

噓だ…なんで誰も居ない!?

まさか…ハメられた…?

『残念!人質はここではありません!それでは、さようなら~」

そんな放送が聞こえ、直後爆発が起きた。

自分はどこかに飛んで行き、どこかに叩き付けられた。

痛みが酷い。腹から出血している。クソ…動けねぇ…

「見事のハマってくれたねぇ。最高だよ、本当に」

気が付くと、目の前には背の高い男が立っていた。顔は見えない。

「テ…メェ…ふざ…け…ん…な…」

「君、県光太朗くんだよね?四強の一人だね」

「んだよ…そ…れ…」

四強…?何だソレ…聞いたこともねぇよ…

「県平八郎さんの子供でしょ?」

「なん…で…」

「とりあえず一人潰したな…言っておくと、俺等の目的はお前等だ。お前等を潰す、それが目的だ」

お前等…?話の展開が早すぎてわけわかんねぇぞ…

「名前を言っておこう。梅園巡だ」

そういうと、男は「次は徳大寺眞佐斗か~」と言って歩いていった。

思ったより傷が深い。出血を止めなければ。

「光太朗!大丈夫?」

「秀華先輩…」

「まったく、心配かけて!それより、さっき話していた男は…?」

「あ…!あいつの…狙い…は…眞佐斗…先輩…で…す」

「眞佐斗!?…って、光太朗、動いたら…!」

「大…丈夫…」

眞佐斗先輩を助けないと…!このままだと拙い…どうにか…どうにかしなきゃ…!

しかし、前に踏み込んだはずの足がぐにゃりと歪曲し、地面が迫ってきた。俺は地面に叩き付けられ、意識が薄くなっていった。



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Days~Riddle~

俺はただ呆然としていた。

 

━血の付いた、しかしどこか見覚えのあるネックレスを見つめていた。

 

『コレ、美佳からの誕生日プレゼント!かっこいいよなコレ!』

『凄い気に入ってるなあ、眞佐斗』

 

…いやな予感が過ぎる。

さっき秀華が電話で言っていた。「眞佐斗が狙われている」と。

眞佐斗がやられた?信じたくない。

でも、俺等の中でも実力者である光太朗がやられた。…まさか、本当に…

眞佐斗はこのネックレスを貰って以来、これを一瞬も手放さなかった。これを捨てるということはあり得ないだろう。…だったら何だ。血が付いていることから戦いの際に落としたか、逃げる時に落としたか…

いずれにせよ、眞佐斗が負傷していることが考えられる。

その時だ。

 

耳を劈くような悲鳴が鳴り響く。その声は、やはりどこか聞き覚えのある声だった。

 

━気が付けば、俺は声がした方へ走り始めていた。

「眞佐斗オオオオオオ!!!」

━俺には分からなかった。

何故そこまでして人を助けたいのか。昔からそうだ。困った人を助けずにはいられなかった。時には騙されもした。だけど、俺は人を助け続けた。しかし、何故助けるのかという理由は分からなかった。

廊下を鳥のように駆け抜けて行き、気が付くと怪我をしていた。だが、今の俺にはそんなことはどうでもよかった。

眞佐斗を助けたい、いや、仲間を助けたい一心で走っていた。

 

息を切らし辿り着いた場所には、彼が居た。

━しかし、血を吐き、ナイフが刺さっている姿は、見るに堪えない姿だった。

「眞佐斗!!」

「夏雄…って、そのネックレスは…!」

「あ、落としていたみたいだし、拾っておいたよ」

そう言うと、眞佐斗にネックレスを渡した。

「…すまねぇ…すまねぇ…」

眞佐斗は涙を溢れさせ、そう言った。

「礼に及ばないよ。それより、応急処置をしないと…」

眞佐斗が無事(そうは言い切れないけれど)で良かった。

しかし、同時に怒りが湧いてくる。

何故、近くの奴等は眞佐斗を助けなかった?

…わからない。だが、普通だったら助けるだろう。

とりあえず、連絡を取っておかないと。他の皆は無事なのかも確かめなければ…

『もしもし?』

「もしもし、夏雄だ。秀華、眞佐斗が怪我をしている。結構深い傷っぽいから、本格的な治療はお前に任せるよ」

『分かったわ』

「他の奴等はどうだ?」

『光太朗はかなり傷が深いわね…今は寝かせてあるわ。朱音はこっちに待機中、それ以外のメンバーはどこかしら散らばってるわ』

「どこかしら…ねぇ」

『あ、眞佐斗をこっちに連れて来てくれない?場所は第二理科室よ』

「了解。じゃあ、あとで」

どこかしら…引っかかるな。攻撃を受けていないことを願う。

携帯でテレビを見ていると、高校生達が交戦中というタイトルでヘリコプターからの中継になっていた。

「眞佐斗、理科室へ行くぞ。秀華達が居る」

「ああ。近くて助かるよ」

理科室はすぐ近くの階段を降りて左に行けばある。楽な道のりだ。

…しかし、眞佐斗にとってはキツイ道のりかもしれない。

ナイフを刺されたことによる出血、そして吐血までしている。かなり傷は深い。

…光太朗もこんな状態なのだろうか。

こいつ等の仇をとる為ににも、櫻ノ會を倒さなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

━俺等の長い戦いはまだ序章に過ぎない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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