その”煌刃”ただ速く (天翼種@ジブリール)
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第一話
キャアアアァァァァァ~~~~~
とある村に一つの悲鳴が響き渡る。
その村は
のどかな村は本来であればお祝いの空気になっていてどこもかしこもお祭り騒ぎになる予定だった。
”村の長老の娘が出産する”
村にはいつになく助産師が出入りし長老の家はてんやわんや。
普段は鍛冶師で陳留に店を構えめったに帰ってこない夫も馬を使いすっ飛んできたものだ。
そんな出産というめでたい日になぜ悲鳴が響き渡ったのか.........皆が一様に顔を突き合わせ赤子の死という最悪の結末が頭をよぎる。
おぎゃ~おぎゃ~おぎゃ~
長老の家から赤子の泣き声が響く............やった~~~!!!!!
村人たちは抱き合いながら赤子の誕生を喜んだ。じゃあなぜ?落ち着きを取り戻した数人の村人は思った。赤子は無事産まれ何に長老の娘は悲鳴を上げたのだろうか...............
すると家から長老が出てくる。その顔は心なしか青ざめているようにも見えた。
長老に駆け寄る村人は「ナゼワタシノムスメガ......テンハナゼ..................」と消え入るような声を聴いた。
「ナゼワタシノムスメガ」ということはやはり何かあったのだ!そう思った村人たちは一人また一人と長老の家をのぞき込み一様に息をのむ。
家の中は別段変わったところは見られない辺境にも関わらず少し豪華な装飾の家具の数々、声はあまり聞こえないが嬉しさからなのか夫に抱かれながら泣き続ける長老の娘、表情からは何も読み取ることは出来ないが無表情にただ妻を抱きしめ背中を撫で続けあやす夫、そして助産師に抱かれた”白い髪”の赤子。
「かみのけがしろ~い!」
一人の子供が静寂の中声を上げる。
髪の毛が白い赤子..............................この村では禁忌とされる白髪の赤子。
かつて村は今の陳留のようにそれは栄え規模も今の倍ではきかずおよそ三十五町と約三倍もの広さを誇り今の陳留のように栄えてるといえばその賑わいは計り知れない。
その村には世にも珍しい白髪の赤子が産まれ成長するにつれ才覚を発揮していったそうだ。武芸に秀で頭も回る、ただときたまおかしな言動がよくあったそうだ。
ある日県令が村の巡回にやってきたとき白髪の才覚に目をつけ役人にならないかと勧誘、しかし県令と二、三言葉を交わすと首を振りなんと一言「無能め」である。
もちろん県令は自分のことを無能と言われたことに怒り捕らえるように指示を出す。
兵が白髪に迫ると白髪はすべての兵を切り捨て県令の首を刎ねた。
しかしこのことはすぐに太守に知らされ白髪は打ち首、白髪の一族も同じく打ち首になり村は辺境の
この時から村では白髪の赤子は村に厄災をもたらす存在であると禁忌になった。
その禁忌が今、目の前に現れた。
夜、緊急の集会が行われた。
あの赤子をどうするのか.........だ。
村人たちの答えは初めから決まっていた..................”死”である。
しかし、答えに待ったをかける人物がいた.........娘の夫である。
夫は今の仕事の場を村から数里離れた山に移し、赤子とそこで暮らすことを伝えた。
村から離れ何より、精神の不安定な妻から離れ赤子を育てていくと。
もし妻の精神が安定し赤子を許容出来るのならまた帰ってくる、出来ないならば私のことも忘れて別な幸せにしてくれる夫を探してくれ、今まで共に歩んでくれてありがとう、と。
夫は赤子をつれ集会を、そして村を後にした。
それから幾許かの時が流れた。
「............!ハッ!」
鋭い一閃が森の中で煌めく。
数瞬後目の前に見据えていた大木は滑らかな切り口を残し少しずつ倒れていった。
「ふぅ、今日はこの位にしていこうかな」
大木を切り倒したのは綺麗な純白の髪をなびかせる少女だった。
手には見たこともない反りの入った細身の剣、そしてそれを収めるための杖のように偽装された鞘。
「とうさん、いま帰った」
「あぁ」
お互い口数が少ない親子だが今日に限り父の口数が増える。
「使い勝手はどうだ、かなりお前向けに調整したんだが......」
「いいよ、使いやすい」
「そうか、ところでそのでこはどうした。またぶつけたのか」
「.........まぁ…ちょっと...」
「言い出したオレが今更言うことでは無いと思うが感覚を鋭くするために目隠しをしての生活は止めないか」
「うっ!......止めない...」
「......そうか、ならせめてオレのクロ連れてけ」
「...クロにはコレを振っているとこ見せたくないんだ......あの子は親を目の前で切られたから...」
「じゃあお前のカツ連れてきな」
「カツのことは大好きだけどボクから離れないからコレが振れないよ」
「...はぁ......まぁ何にしろ共にどいつでもいいからつけていけ、毎日毎日転んだりぶつけたりしてたらバカになるぞ」
「.........!?...バカ...バカ..」
「なんでこれで腕が立つのかね.........」
「............もう寝る、カツおいで」
少女の元に一匹のコウモリが飛んできて少女と共に眠りについた。
「.......おやすみ、”はじめ”」
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第二話
「.....めずらしいな、こんな山奥に人が来るなんて...............」
キキイキキイキイ~
「....?カツ、どうしたの?」
キキイキイキイ~キキ~
「え゛っ!?....とうさん以外の人がこの山に来たの....?どうしよ....カツ、なるべく人に近づかないように案内して」
キキイキイキイ~?
「どうなのかな?ボク、人見知りなのかな?カツ、知らない人見かけると思わず........切っちゃいたくなるのは人見知りっていうのかな?」
........キキイ?
「えっ?....なんていうか反射っていうのかな?確かに人と目を合わせると....その........///いろいろダメなことがあるけど....たぶんそれを避けるために反射で....その........切っちゃうんだ、つい」
........。
「カツ?なんで離れてくの?カツ?カツ~!?」
........!?キキイキイキイ!
「えっ?うしろ?何かい...る..の....」
「おっ?こんなとこに何でガキが?お~いお頭~ここにガキがいたぞ~」
「なんだなんだ~ガキ~?へえ~瞳はわからないがなかなかの上玉じゃねえか~!!でかしたな~サブ!!」
「へい!そう言っていただけると何よりでさ~........、それよりお頭~俺にも少しおこぼれなんてあったりしやすか~?」
「へへへっ!サブも物好きだな~!いいぜ~オレが楽しんだらまわしてやるぜ」
「ホントですかい!?ありがて~」
「........................」
「なんだ~嬢ちゃ~ん怖くて声も出ないか....」
「.............ゴメ......カツ....モウ.....」
「あぁん?あんだっt........」
........ゴトリッ
「......えっ?お頭?お頭!?てっめe......」
........ゴトリッ
「......ごめ、ごめんカツ......我慢できなかった」
キキイキイキイ~
「汚れちゃった....川行って水浴びでもしよ、カツ....行こ」
キキイキイキイ~
「お、お頭......サブ....あのガキ覚えとけよ!!」
~少女水浴び中~
「華琳さま、本当にこんな山奥に腕の良い鍛冶師など居るのですか?」
「あら、秋蘭は私の言う事が信用できないのかしら?」
「い、いえ。華琳さまがおっしゃることに異を唱えるなどしたくないのですが............その情報の出処が私としては不安を煽るのです」
「確かに胡散臭いけど腕は確かな商人なのだから払うものを払えばそれ相応の品を提供してくるわ」
「........それでは、この情報にはいくらお払いになられたのですか?」
「..................馬一頭よ」
「......は?申し訳ありませんがもう一度お聞きしても...」
「馬一頭と交換したと言っているの、この情報の価値はそれほど高いし、正しいのなら馬一頭なんて安すぎるくらいよ」
「......華琳さまがそこまで絶賛する鍛冶師とは....おや?華琳さまもしやあの小屋が件の鍛冶師がいる鍛冶場では?」
「ええ、そのようね」
一行が小屋を見つけた数瞬のあと小屋から一人の少女が現れた。
肩より少し短めの透き通るような白い髪、遠目でもわかる絹のような白く滑らかな肌、それに加え一流の武人のような闘気
欲しい、ただあの少女が欲しい。心の中はその思いで埋まっていった。
「こ、こここ、此処にな、なんの用だ!」
「こ、此処は人が来るようなところでもな、無いのにこんな大勢で!」
「今ならまだ許してやる!早く帰れ!」
「帰らないならボクがき、切る!!」
一行は開いた口が塞がらなかった。いきなり出てきた少女にこれまたいきなり帰れと言われ剣の柄に手をかけた状態で殺気を向けられている。
なにが起こっている
一行の心はこの一言に尽きる。
かろうじて秋蘭が華琳の前に立ち前面は守れているが気が気ではなかった。
秋蘭が華琳の前に立ったのを見て一緒に来ていた兵たちも華琳を囲むように陣形を組んだ。
全員が一触即発の空気を肌で感じ取ってる中、華琳だけは余裕の笑みを浮かべていた。
「ふふふっ、目隠しをしているあなたが私の精鋭たちを、一人で!相手にできるのかしら?」
「............なめるなっ!」
少女の手元が
「はじめっ!!!何してる!やめねえか!!!」
「.....!?とうさん.....」
男の怒声と少女のつぶやきに思考を巡らせたとき少女の声が自分のすぐそばにあったことに気付く。
自分の首筋には振り切った形で少女の剣が迫っていた。
あとほんの一瞬男が声を上げていなかったら自分の首は体とおさらばしていたようだ。
少女の剣に目を向けてみると見た事の無い少し反ったような剣、先ほどの動きからして極限までに速さを追求するために耐久性と剣幅を犠牲に細く、薄く、さらに長く造られていた。
いろいろ思考してる間に少女は目にもとまらぬ速さで男の後ろに隠れた。
「はじめっ!!このバカ者が!あれほど人様を問答無用で切りかかっちゃダメと言うたのがまだ分かってなかったのか!!」
「ヒウ!?ご、ごめんなさい.....で、でも!」
「でももかかしもあるか!オレがあとちょ~っと遅かったらあの子の首は地面と接吻してたろうよ!」
「うぅ~、ごめんなさい~」
「謝る相手が違うだろうよ、まったく。それであんた達はこんな大勢でこんな山奥に何の用だい?」
「ああ、じつは....」
「いいわ、秋蘭。私から話すわ。武器を造ってちょうだい、あなたにできる最高の出来の物を。種類は.....そうね、その子が持ってる剣に似た剣を二振りよ。代金は言い値でいいわ」
「はっは、いきなり来て武器造れだ?ずいぶんふてえ~奴だ」
「なっ!貴様っ!」
「だが!だからこそ気に入った!取りあえず今オレが作れる最高の出来の剣を造る、言い値で良いって言ったができた品を、あんたが見て、あんたが値段を決めな。話は終わりかい?なら早速オレは製作に取り掛かるとするよ。おいはじめ先家入っとけ!お前残しとくと客切っちまいそうだからな!はっはっはっ!」
「/////もお~~とうさん!!!///」
「待ちなさい、まだ自己紹介していなかったわ。私の名は曹操!いつの日かこの時代で名を上げていく者の名よ!!!」
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