どこかおかしいシンフォギアG (黄金馬鹿)
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どこかおかしいシンフォギアG

ビッキー、SAKIMORI、クリスちゃん、きりしらのキャラが可笑しいです。それを許容できるならどうぞ

ついてこれる奴だけついてこいッ


「我等は武装組織フィーネ。これより各国へ要求する」

 

 ライブ会場。そのステージで黒い鎧を身にまとい、漆黒のマントを羽ばたかせる歌姫、マリア・カデンツァヴナ・イヴが認定特殊災害『ノイズ』を率い、全世界へと宣戦布告をした。

 決して巫山戯ている訳ではない。それはその瞳の中の決意と行動で示している。

 ライブに来た客は皆が人質となり、ノイズに恐れる。ノイズは無機物を透過し、人に触れた瞬間、自分ごと炭素分解してしまう。つまりは即死だ。防ぐ術はない。

 

「そうだな……さし当たっては求めるのは国土の割譲だ。もし、二十四時間以内にこの要求が飲めなかった場合は、各国の首都機能がノイズにより不全となるだろう」

 

 隣にいる日本の歌姫、風鳴翼は鳩が豆鉄砲をくらったような表情を浮かべている。

 その後もマリアによる演説は続いた。観客が不安を覚える中、突如そこに笑い声が響いた。

 

「なに……?」

 

 マリアは横を向く。その発生源は横からだった。マリアの横にいる人物……それは、

 

「ハハハハハハハハ!!何を意図しての騙りか知らぬが、ガングニールは貴様のような者が纏えるような物ではないと知れ!!」

 

 翼だった。言ってることは怒りを孕んでいてもちっとも可笑しくない事だが、愉悦に浸ったような声で翼は言う。

 マリアは身構えた。来る。翼の戦う力、自分の同じ力、シンフォギアを纏うと。だが、その予想は悪い形で裏切られた。

 

「悪・行・即・瞬・殺!!」

 

 翼はその手に持った杖のように長いマイクを思いっきり振り抜いた。その瞬間、持ち手の部分から上が吹っ飛び、中から銀色に煌めく一振りの刀が現れた。

 

「ハァ!!?」

「キエェェェェェェェェェェイ!!」

 

 歌姫が出していいのか分からない声を上げながら翼がマイク兼刀を持って走ってくる。余りの予想外の行動にタジタジになるが、その一撃をマイクで防ぐ。

 が、スパンッ!!といい音を立てて杖型マイクは真っ二つになった。

 

「えっ、ちょっ、それ本物ォ!!?」

「防人の刀に模造刀も真剣もあるものか!!」

「いや、その理屈はおかしい!!」

 

 再び斬りかかってくる翼から距離を取る。が、今度はスカートで隠れている太股辺りをゴソゴソと漁ったかと思うと、一本のナイフを取り出し、マリアへと投げつけた。

 

「くっ!」

 

 それを手で弾く。だが、ヌチャッと音がしたそれは上手く弾くことが出来ず、顔に当たった。ヌチャッと音をたてて。

 

「え?なにこれ……?」

「ライブ前に使ったばかりのバターナイフだ」

「新手のテロか!!というか何でそれをスカートの中に隠してるのよ!!」

「防人の刀に……」

「さっき似たようなの聞いたわボケ!!」

 

 マントでゴシゴシと顔を拭く。そして、両手を重ね合わせ半円の腕の防具を一つに合わせ、ガングニールの武器である槍を出現させる。

 

「って観客達は早く逃げなさい!狼狽えないでとっとと逃げる!Hurry!!」

 

 え?結局なんでここでノイズ出現させたの?という観客達の疑問の視線を受けながらもマリアは次々と投げられてくるバターナイフを防ぐ。なんだかシンフォギアに標準搭載の無線からマムの言葉が聞こえてくるが、バターナイフが当たる事の方がよっぽど精神的にキツイ。と、言うか何故あのSAKIMORIはバターナイフを何十本も持っているんだ。

 

「いい加減にバターナイフを投げるのをやめなさい!!」

 

 流石にキレたマリアがマントを操り、バターナイフを弾き飛ばし、翼の足元を破壊する。そこでやっとバターナイフ投げは止まった。

 

「はぁ……はぁ……さぁ、あなたもシンフォギアを纏いなさい!でないと勝てないわよ!!」

 

 実の所普通の勝負をさせてくれというのが心からの願いだった。

 だが、今はテレビ中継の目がある。そうそう聖詠は出来ない。つまり、暫く仲間の到着を待てると思った。思ったのだが……

 

「『Imyteus amenohabakiri tron』……」

「え?ちょっ、ホントに……って中継止まってる!?何で!?」

「ウチの忍者のおかげだ」

「あの忍者か!!」

 

 なお、現在管制室には赤い忍び装束を着た忍者がいるらしい。

 そして、翼の首からかけていた赤色のペンダント、天羽々斬が光り、翼の体がギアに包まれる。

 

「行くぞ!」

「ッ!」

 

 マリアが槍を構え、翼が剣を『六本』構える。

 

「……え?六本?」

 

 人差し指、中指、薬指、小指の間に計三本、両手合わせて六本の剣が握られていた。

 

「天羽々斬ビーム!!」

 

 その場で両手を大きく振りかぶり、フルスイング。その瞬間、青色の稲妻のビームが放たれる

 

「って斬るんじゃないのォ!!?」

 

 いきなりのビームに驚くも、横にローリングしてそれを避ける。

 

「そっちがその気ならこっちは歌わせて……」

「させるか!『―――~~~~♪」

「そんなの有りっ!?ひぃっ!!」

 

 初手ビームにビビりながらも全力で相手をするため歌おうかと思い、ガングニールから伴奏が流れ始めたが、天羽々斬から流れた伴奏に遮られ、歌えなくなってしまった。しかも歌詞に合わせて斬りかかってくる。このSAKIMIRI、滅茶苦茶してきやがる。

 

「の、ノイズ達、足止めを……」

 

 

天羽々斬ビーム

 

 

 ノイズに命令を出した瞬間、天羽々斬ビームが一瞬でノイズを炭に戻した。

 

「そんなネーミングセンス皆無の技にやられてどうするのよ!!」

「防人の剣に技名など関係ない!!」

「うっさいバーカ!防人バーカ!!」

 

 槍で三本の剣を受け止める。が、その瞬間、もう片方の手の三本の剣が振るわれ、マリアを吹っ飛ばした。

 

「ぐはっ!」

「覚悟ォ!!」

 

 吹っ飛んだマリアに翼が追い打ちを仕掛ける。しまった、やられる。目を閉じたその瞬間だった。

 

「全砲門、ファイヤーデース!!」

「……」

 

 マリアの後方より放たれた砲撃とプラズマの刃が翼を襲った。

 

「防人の剣に飛び道具など!!」

 

 だが、その攻撃は安安と防がれた。しかし、翼のトドメを封じることが出来た。

 

「その声、切歌と調ね!」

「助けに来たデース!!」

「一人で戦うからこうなる」

 

 マリアの後ろから二つの人影が現れる。金色の髪に緑色のギア、そして背中に背負われた戦艦の主砲のミニチュアのような物。彼女がマリアの仲間の一人、暁切歌だ。

 

「……え?切歌のイガリマってそんなのだったかしら?」

「何言ってるデスか。私のギアはこんな感じデスよ」

 

 そ、そうよね、イガリマだけど戦艦の主砲っぽいのがついてるのは気のせいよねと現実逃避。

 だが、決して目を逸らしてはいけない異常がその隣にはあった。

 本来、暗い赤と黒を基調にした電動鋸のような物で戦うギアを纏った月読調。彼女のギアが記憶とはかけ離れていた。

 まず、全身が茶色の装甲で覆われている。この時点でおかしい。そして、顔までその装甲に覆われ、顔面があるであろう部分には青い光が圭の文字に見えるように放たれている。身長は180cmはあるように見える。顔文字で表すなら(圭)だ。

 

「……えっと、どちら様?」

「マリア、酷い」

 

 ガシャンと音をたてて顔の装甲が開き、中から少女の顔が覗く。彼女こそが調だ。調なのだが……

 

「え?シュルシャガナってそんなのだったかしら……?」

「元からこう」

「そ、そうよね、そうだったわね…………これ、悪い夢かしら……?」

 

 もうこれが夢だと言われても普通に納得出来てしまう。

 

「でも、私達が来たからにはもう安心デス!」

「マリアは休んでて。SAKIMORIは私達がやる」

「え、えぇ、お願い……ちょっと悪い夢か確認してこなきゃ……」

 

 マリアが少し後方に下がり、頬を抓る。痛い。

 

「覚悟するデス!全砲門、ファイヤーデース!!」

「天羽々斬ビーム!!」

 

 切歌の砲撃と翼の天羽々斬ビームがぶつかり合い、爆発。爆煙の中を調が突き進む。

 そして、爆煙が晴れた時には調は翼の目の前にいた。

 

「何っ!?」

「ン゛ン゛ン゛!!」

「調ぇ!!?」

 

 そして、調が物凄い低い声で唸りながら翼を殴った。その手に持つ武器的な何かで。

 明らかにオッサンの気合の入った叫びみたいな声を出した調に思わずマリアが声を上げる。

 殴り飛ばされる翼。それを切歌の砲撃と調の武器から放たれたプラズマカッターが追撃する。しかし。

 

「立花神拳奥義、有情鴻翔波!!」

「狙い撃つぜ!!」

 

 上空から回転しながら現れたオレンジと白を基調にしたギアを纏った少女が手からビームを放ちながら現れ、砲弾とプラズマを撃ち落とした。

 さらに上空から飛来した二つのビームが切歌と調を襲う。

 

「誰デス!!?」

「フンッ!!」

 

 切歌がバックステップでビームを避け、調が殴ってビームを霧散させる。マリアが調ってあんな子だったかしらと頭を抱える。

 

「大丈夫ですか、翼さん」

「ったく、アタシ等がいなきゃほんとダメダメだな」

「じゃあそんな私を助けるためにももっと早く来てくれても良かったのではないか?」

 

 オレンジと白のギアを纏った少女、立花響と赤と白のギアを纏った少女、雪音クリスが翼の隣に降り立つ。が、可笑しい。響はビームを出しただけだ。ギアからビームは出せる。マリアだって槍から出せる。だが、クリスが可笑しすぎる。

 

「何で腕がサイコガンなのよ!!しかもタバコ!タバコ吸ってる!!」

「こいつはシガーチョコだ」

「何で戦ってる時にそれをくわえてるのよ!!」

 

 片腕がサイコガンでしかもこんな真面目に戦う場所にシガーチョコを咥えて参戦。何処かおかしい。

 

「どっちにしろ、敵なら倒すだけデース!!全砲門、ファイヤーデース!!」

 

 先手必勝。切歌が背中の砲門から砲弾を放つ。

 

「立花神拳に飛び道具など無意味なり!!アタァッ!!」

 

 響が砲弾を殴りつける。

 

「殴った!?」

「そこの子、これ返すよ!!」

 

 しかも砲弾は爆発せず、殴り返され、切歌へと向かっていく。避けるには時間が足りず、両手を囮に防ごうとする。が、切歌に当たる寸前にそれは青い光に包まれ、止まった。

 

「調!」

「えっ、調が止めたの!!?」

 

 マリアが驚き、調の方を見ると、調は砲弾に手を翳し、青いビームのようなものを放っていた。

 

「……キネシスよ」

「違う、説明してほしいのは技名じゃない!!」

 

 何でそんなサイコキネシスのような物を使えるのか。最早シュルシャガナの面影ないじゃないとツッコミを入れたかった。(圭)の下の調のドヤ顔が手に取るように分かり、殴りたくもなってきた。

 砲弾は明後日の方向に吹っ飛び、爆発。

 

「何で戦うの!?私達は人間なんだから話せば分かるはずだよ!?」

「それは砲弾殴り返して切歌をノックアウトしようとしたあなたが言う事かしら!?」

「無駄だ。ああいう輩はベッドの上でじっくりと聞くしかあるまい」

「話をする気があるなら私のツッコミに答えてくれないかしら!?」

「へっ、ならさっさと片付けちまおうぜ!」

「言葉のドッジボール!仲間同士でのキャッチボールじゃなくて相手とのドッジボールしましょう!?」

「そっちがその気なら私達だってやってやるデース!」

「ネクロモーフは腕と足を斬るまで」

「調!?そのデカいノコギリみたいなのは何処から取り出したの!?と、言うかネクロモーフって何!?相手は人間よ!?」

『いざ尋常に勝負!!』

 

 マリアのツッコミも虚しく、五人はそれぞれの得物を構え、ぶつかり合った。そんな中、忘れ去られたかのようにポツンと佇むマリア。

 

「……帰りたい」

 

 本心からの一言だった。




改変事項は以下の通り

ビッキー……北斗神拳的なナニかで戦う
SAKIMORI……BASARA政宗的な感じ
クリスちゃん……ヒューッ!!狙い撃つぜ!!
きりしら……コンゴーデース!&(圭)
マリア……唯一の良心

ビッキーは素手で戦うから、SAKIMORIは刀使うから、クリスちゃんはなんか似合いそうだったから、切歌は何故か金剛が頭を過ぎったから、調は工具繋がりという理由でこんな事に。マリアは斬魄刀でも持たせようかと思ったんですけどツッコミ居なくなるんでやめました。

多分続かない。もしかしたらその場で思いついたネタを投稿するかも


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どこかおかしいシンフォギアG 其の二

なんとなく続き書きました。これからも多分不定期に書いていきます


 ン゛ン゛ン゛ン゛!!と年頃の少女が出すような物じゃない叫びが響けば立花神拳奥義!と続いて聞こえてくる。さらにデースッ!と聞こえれば同時にビームが放たれ爆発が起きる。もう嫌だ、帰りたい。と二十歳を過ぎたのに全世界に宣戦布告するという痛い行動を取った歌姫は剣を六本持ったSAKIMORIに追われる。そしてそれを管制室から見守る忍者もいる。何とカオスな光景と空間だろうか。

 

「何なのよこれ!切歌と調は変なことになってるし貴方達は聞いてたより遥かに可笑しいし!」

「知るかそんなもの!神妙にお縄につけ!」

「断るに決まってるでしょ!」

 

 ガァンッ!!と槍と剣がぶつかり、火花が舞う。暫しの唾競り合いが起き、二人が同時に離れ、黒色のマントが翼へと放たれ、同時に青色の稲妻が三本の刀から放たれ、爆発が起きる。その爆発の中を突っ切るように槍と剣が一つずつ投げられ、爆煙を抜け、敵の目の前に飛来する。それを二人が同時に掴み取り、マリアは剣を両手で構え、翼は五本の剣を格納し槍を構え煙の中へと突っ込む。

 煙の中から何度も金属がぶつかり合う音が響き、二人が煙の中から出てくると同時に再び武器を投げ合うが、当たらず得物が手の中に戻る。

 

「これで終わらせる!!」

「ハァァ!!」

 

 マリアの槍がフォニックゲインのエネルギーを纏い、翼の剣が紫電を纏う。

 

 

『HORIZON†SPEAR』『地獄龍』

 

 

 ビームと龍の形をした稲妻が放たれ、衝突し、爆発。マリアがマントを振り払い、その風圧で一気に煙を振り払う。が、その時には既に翼は剣を三本片手で持ち、エネルギーを纏わせ突っ込んできていた。

 

「しまっ!」

「トドメだ!」

「させない!」

 

 突っ込んできた翼と自分との間にマントを無理矢理持ってきて防ぐ。だが、エネルギーの衝撃がマリアへと響き、吹っ飛ばされる。

 

「やった!」

「だが、防いだ!!」

 

 吹っ飛ばされながらもマリアは槍を構え、矛先を翼へと向けてエネルギーを溜める。

 

 

『HORIZON†SPEAR』

 

 

 そして、もう一度ビームを発射。だが、

 

「防人にビームなど無意味!!」

 

 六本の剣を構えた翼がビームへ向けて剣を全て振り落とし、ビームを切り裂いた。

 

「なんてインチキ!?」

 

 マリアが転がりながら着地。圧倒的にこちらの不利。と、言うか相手が可笑しい。雷飛ばしてきたりビーム斬ったり。何時か六本の剣をヘリコプターみたいにぶん回して飛ぶんじゃないかとすら思えてしまう。

 

「切歌と調は……」

 

 マリアが切歌と調の方へと視線をやる。二人の方でも激戦は起こっていた。

 

「全主砲、副砲発射デース!それとレッツゴー瑞雲!」

「次から次へと撃って飛ばして来やがって!」

 

 切歌の方は遠距離主体の二人がまさに撃ち合いをしていた。

 切歌は時々戦闘機らしいものを腕にシールドみたいな物を召喚して飛ばし、常に背中の砲門からの砲撃を止めない。そして、クリスの方も左手のサイコガンと右手に召喚したガトリングを常に発射し、砲弾と戦闘機を落とし続ける。そして、切歌の方だけが何度か攻撃が直撃したのか、一部ギアがヒビ割れていたり汚れたりしている。

 本来のイガリマの戦い方、鎌を主体とする攻撃なら遠距離一辺倒のクリスを自分のペースに乗せて戦うことが出来たかもしれない。だが、変な進化をしたのかそれとも切歌が無茶やったのか分からないが戦艦のような戦い方になった彼女はクリスと同じ土俵で戦っている。

 切歌だって訓練はした。だが、ノイズとの戦い、響と翼との戦い、そしてフィーネとの決戦をくぐり抜けたクリスは的確に自分に当たる弾だけを撃ち落とし、切歌へとダメージを与える。時々飛ばす戦闘機、瑞雲もすぐに撃ち落とされる始末。

 

「埒があかないデス!」

「それはこっちも同じだ!くたばりやがれ!!」

「そうはいかないデスと言うわけでカモンアンカー!」

 

 切歌が横へ飛び退き、クリスのガトリングを躱す。クリスが再照準をする一瞬に右手にミニチュアのような錨を出現させる。ズッシリと金属特有の重みが腕にかかり、錨が出現したと感触だけで確認すると副砲での牽制を行いながら、切歌は走り出した。

 錨で殴りつけるただ単純な攻撃。だが、近接攻撃でペースを作れたら、勝率はグンと上がる。常に接近されればクリスだってペースを乱されざるを得ない。なのに。

 

「どうして笑って……」

「その程度の金属の塊でどうにか出来ると思ったら大間違いだぜ」

 

 クリスは笑い、右手のガトリングを投げ捨て、サイコガンを構えて左手を添える。何故武器を捨てたのか疑問に思ったが、副砲は全て『牽制』で撃っている。当たる弾は極僅か。殆どが当たりそうで当たらない位置を通っていく。それを理解して、弾幕を消し、サイコガンによる一点集中、全力の一撃をお見舞いする。それが、クリスの考え。

 

「悪いな、アタシの周りにはこの程度の弾幕よりも凄い物を拳と剣でやってくる馬鹿がいるもんで、多少当たったとしても問題ねぇんだよ」

 

 サイコガンにエネルギーが溜まる。ここで切歌は選択を誤った。

 もしも、背中に申し訳程度についているブースターを吹かし一気に距離を詰めれば一発殴って狙いをどうにか出来たかもしれない。なのに、切歌は錨を盾のように構えてしまった。

 

「ぶっ潰れな!!」

 

 クリスの叫びと共にサイコガンからビームが発射される。そのビームは一直線に切歌へと向かう。が、その延長線上に錨を置くことは容易かった。だが、それでもクリスは笑っていた。

 何故。と考える間もなくその答えは分かった。

 ビームが曲がったのだ。錨に当たる直前、ビームは屈折し、一直線に切歌の顔面へと迫る。

 

「う、うそっ!?顔は止めへぶぅっ!!」

 

 余裕あったのか咄嗟になのか分からないが顔は止めるデスと叫ぼうとしたが、そんなの気にするクリスではなく、見事にビームは切歌のプニプニしてそうな頬をバッチリ捉えて殴り抜けるように通過し、そのまま切歌は吹っ飛んだ。

 

「お、女の子の顔を狙うなんて最低デス!」

 

 が、案外平気だったのかちょっと赤くなった頬を抑えて切歌は立ち上がった。だが、そんなの気にする事なくクリスは二発目のチャージをもう終えていた。

 サイコガンはクリスの精神をエネルギーとしている。クリスがすぐに撃つと考えればサイコガンのチャージなど一瞬で終わる。しかも、クリスの考えるとおりに弾は動くため、障害物や盲増しなんて関係ない。

 

「くっ!全砲門発射デス!」

「甘いんだよ!!」

 

 切歌がすぐに背中の砲門全てから砲弾を発射する。が、クリスも叫んでサイコガンを発射。

 今度のサイコガンも切歌の予想とは違う弾を発射した。弾は発射された瞬間、分裂し、散弾となり全ての砲弾を破壊。そのまま切歌へと迫る。

 

「そんな馬鹿なデース!!」

 

 叫んだが何も変わるわけもなく、散弾は全て切歌に命中。爆発が起き、ギャグ漫画のように切歌は吹っ飛び、マリアのすぐ側に顔面から着地した。

 

「切歌!」

「はらほろひれはれ……」

 

 ひっくり返して確認すると切歌は目を回して気絶していた。ギアも解除されている。これはマズイ。撤退しないとと思った矢先だった。

 

「ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛!!?」

「え、ちょっ、しら……へぶっ!?」

 

 切歌を抱えた直後、またオッサンみたいな叫びを上げながらぶっ飛んできた調がマリアを直撃。三人仲良く吹っ飛んでステージの奥の液晶に直撃した。

 

「ぐへぇ……」

「ご、ごめん……あれは…………無理……」

 

 調は何とかキャッチして衝撃緩和剤になってくれたマリアへそれだけ言うと、気絶。ギアも解除され、マリアの知る調が現れた。

 無理ってどういう事だと思って響を見る。そして驚愕した。

 

「…………あれ、あの子、あんなにムキムキだったかしら?」

 

 そう、なんかムキムキなのだ。日本の漫画の絵が濃いバトル物に出てくる人みたいにムッキムキなのだ。胸がおっぱいなのか胸筋なのか分からないくらいムッキムキなのだ。しかも顔まで濃くなって身長も大きくなっている気がする。確かにアレには勝てない。勝てる気がしない。指先一つでダウンさせられそうだ。

 

(……うん、これ、喧嘩売る相手を間違えまくったわね)

 

 泣きそうだった。だが、ここでマリアの愛する(家族的な意味で)マムからここで捕まったら計画がおじゃんだから撤退しろ、ノイズだしてサポートするからという旨の通信が来た。

 

「悪いけど、ここで撤退させてもらうわ!」

「逃がすか!」

「逃がしてもらえるか逃せてもらえないかじゃなく逃げるのよ!」

 

 

『HORIZON†SPEAR』

 

 

 床へ向けてビームを発射。爆発し、粉塵が舞う中、離脱のために調と切歌を抱えて跳躍する。が、粉塵へ我武者羅に攻撃を撃ってるのか、電撃とビームが掠めるように通っていく。「ひぃぃっ」と短く悲鳴を上げながらも被弾することなく無事離脱。その瞬間、緑色の光が分裂増殖型のノイズを出現させた。

 

「あ、危なかった……」

 

 多分、これまでの人生でワースト十に入る位には危なかった。だが、油断は出来ない。合流地点まで移動しなくてはならない……のだが、実はまだやる事はある。

 楽屋に置いてきた備え付けのお弁当。あれを人数分確保してあるので、それを持って帰り、マム、切歌、調にあげなければならない。

 育ち盛りの切歌と調……調は一部成長が止まってる気がするが、二人にはいいものを食べさせなければならない。そして、マムももう歳だし、あんまり体に悪い物を食べさせるわけにも行かない。そのため、コソコソっとマリアは合流地点に切歌と調を置いてから楽屋へと向かうのだった。

 そして一方信号機トリオ。目の前で分裂増殖するノイズを見てどうしようかと頭を捻らせていた。

 

「うーん……ガトリング撃ったら破片からまた増えたしなぁ……どうしたものか」

「切り裂くのみ!」

 

 なんて事を言うSAKIMORIだが、この三人の構成は響が肉体言語、翼がSAKIMORI、クリスがツッコミといった感じだ。クリスが合流する前は肉体言語とSAKIMORIが化学反応を起こしてそりゃあもう酷かった。

 だが、初期の頃はまだ響が常識人枠だった。なのだが、とある時期から響は肉体言語をするようになった。いきなりムキムキになったのもその時だ。

 

「落ち着けSAKIMORI。だからあんたはSAKIMORIなんだ」

「なんだと!?どういう意味だ!」

「つまりあんたはSAKIMORIだ」

「ん?……なんだ、褒めてるのか」

 

 翼は照れ照れとしているが、確実にクリスは褒めてはいない。

 

「防人じゃなくてSAKIMORIだけどな。で、響は何かあるか?」

「……あのフォーメーションでいこう」

 

 クリスに話を振られ、ムキムキの響が答えた。

 

「まさかアレか?アレはまだ未完成だぞ?あとその格好はもう止めれ。その格好で可愛い系ボイス出されると違和感しかねぇんだよ」

 

 クリスは未完成のそのフォーメーションを本当に使うのか、もう一度響に聞いた。響の方はクリスに言われて現在のムキムキボディを何時ものボディに戻す事にした。

 ポンッとコミカルな音を立てて響はさっきまでの世紀末ボディから普通のボディに戻った。響は体を鍛えた時にこの技を会得し、戦う時は世紀末ボディ、普段は何時もの姿という感じになった。

 なんでこんな世界線間違った存在になったのかはよくわからないが、響が言うには立花神拳なる謎の拳法を身につけた時に出来るようになったとか。

 

「本当にやるのか?」

「だが、それしかあるまい。増える前なら何とかなったが、ここまで増えるとなるとやるしかないだろう」

「けど、こいつの体……は、別にいいか。ならやるか」

「え?あのー、私の体もそんなに丈夫じゃないんだけど~……」

「紐無しバンジーをやってあー楽しかったで済む奴が何言っている。ほら、やるぞ」

 

 響が何か言ってるが、元々響の言ったことなので拒否権はない。

 二人が響と手を繋ぎ、未だに分裂し続けるノイズを見て、口を開き、歌い出した。

 

『Gatrandis babel ziggurat edenal. Emustolronzen fine el baral zizzl. Gatrandis babel ziggurat edenal. Emustolronzen fine el zizzl.』

 

 絶唱。奏者への負担を一切無視した超強力な攻撃を与えるまさにシンフォギアの切り札とも言える一撃。だが、負担を一切無視するため、奏者の体はその有り余るエネルギーによりボロボロになってしまう。

 強大なフォニックゲインのエネルギーが三人を中心に広まっていき、ライブ会場全てを包み込む。並のノイズはそれだけで消え去り、分裂増殖型もその殆どが消え去り、本体だけが残った。

 

「大丈夫か、立花!」

「鍛えてますから!」

「その答えはおかしい」

 

 本来は三人ともボロボロになるはずが何故かピンピンしていた。それもその筈。翼とクリスはその過剰なエネルギーによるバックファイアの殆どを響と手をつなぐ事により抑制しているため、体がボロボロにはならない。そして、響自身は某大人に鍛えられたおかげで絶唱程度ではボロボロにならない。融合体であるためある程度の負担は緩和される上にその体のおかげで三人分の負担を一身に引き受けても特に問題は無い。まさに三人だからこそできる芸当だ。

 

「これでトドメ!」

 

 両手を合わせ、半円状の腕の装備を一つに組み合わせ、左手を抜き取り、右腕を構える。

 

「コンビネーション、S2CA!トライバースト!!」

 

 そして右腕を大きく天へと突き出す。その瞬間、三人分の絶唱の力が竜巻となり、天へと昇っていく。その竜巻は周りのノイズと分裂増殖型のノイズを跡形もなく消し去り、消えていった。これを見たマリアはマジで腰を抜かした。

 

「よぉし!勝った!!」

「周り滅茶苦茶だけどな」

 

 勿論、ライブ会場はしっちゃかめっちゃか。これは仕方ない。

 翼とクリスが響の体の無事を確認するが、全く問題なし。ただ、ドヤ顔してきたのでクリスがサイコガンで殴った。

 

「んじゃ、撤収すっか。あんま長居しても仕方ねぇしな」

 

 クリスはギアを解除して左手に義手を取り付けながら言った。

 特にここに留まる意味も無いので、回収に来た忍者緒川の車に乗り、三人は家に帰った。のだが、歌い足りないらしく、すぐにカラオケへ向かったのだった。




翼さんのオリジナル技、地獄龍はBASARAの伊達政宗のHELL DRAGONを日本語に直しただけです。オーモーイーガー

そしてビッキーが実は一番のぶっ壊れ。絶唱なんてなんのその。殺したければOTONA持ってこいのレベル。ムッキムキ世紀末状態のビッキーはラオウにビッキーのギア着せて髪型をビッキーの物に変えれば出来上がりです

次回があるならあの中の人杉田の博士が多分大暴れ。おぉ、ひわいひわい


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どこかおかしいシンフォギアG 其の三

短いですがどうぞ


「ねぇ、響。昨日は夜中に何をやってたの?」

「え、いや、未来?その、近いんだけど……」

「ねぇ、響……」

「お、落ち着いて……は、話すから落ち着いて顔離して。キスしちゃいそうなほど近いから…………あと怖い……」

 

 武装集団フィーネの宣戦布告があった翌日。響は軽くピンチにあっていた。先日、家に帰った時に未来はまだ帰ってきて居らず、居ないんならと翼とクリスと共にカラオケに行ったのだが、何も言わずに出ていったのがマズかったらしい。

 深夜近くまでカラオケに居たからか帰ってきた時に響の親友でありソウルメイトの小日向未来は寝ていた。故に、昨日は何をやっていたのかと問いただされている。壁ドンされて顔をキスまで数ミリまで近づけて。しかも目に光が無い気もする。

 ノイズとの死闘に加えてフィーネとの戦い、そのフィーネが引き起こした月の欠片一本背負いを何とかするためになんやかんやで宇宙まで行ったルナアタックを経験した響でさえ震えていた。と、言うか漏らしそうだった。割とマジで。

 

「あ、あのですね……その、帰ってきた時に未来が帰ってきてなかったからカラオケ行ったらつい時間を忘れちゃって……いつの間にか深夜になってまして……」 

「……それだけ?」

「うんうんうん!それだけそれだけ!ワタシウソツカナイ」

 

 初めてノイズと戦った時並に怖かったと後に響は語る。

 

「……よかった。何かあったらあの二人を殺……オハナシしてたところだったよ」

「い、今殺すって……」

「なぁに?」

「いえ何も!」

 

 幾らOTONAの特訓により世紀末ボディを手に入れた響でもガチギレ(?)した親友には到底勝てないらしい。そして未来が呟いたことは聞かなかった事にした。じゃないと精神衛生上よくないと判断した。

 その後は嘘のようにいつも通りになった未来と共に登校をした。途中、クリスを見かけたが横にいる未来からの謎の威圧感により話し掛けることが出来なかった。フィーネを目の前にした時よりも恐怖した。

 何だかルナアタックが終わってから未来がよくくっついて来たり甘えてきたり一緒にお風呂に入ったりする事が多くなった。ついこの間は深夜に少しだけ目が覚めた時、布団の中でゴソゴソと響の名前を呼びながらなにかしていた。確実に何かした場合の響を仕留めるためのイメージトレーニングだと思考が行き着いた響は何も言わずに再び夢の世界へ旅たった。じゃないと口封じに記憶を飛ばされそうだったから。

 最近、ギアの外見がXDモードを一度経験した事により変わった時を境目に歌う歌が変わったが、その時に未来への恐れからかそれを題材にした歌が流れそうにもなった。勿論、それは気合でなんとかして以前のようにカッコイイ歌になったが。そろそろ腹を割って話すべきかもしれないと響は考えている。

 

「はぁ……」

 

 教室についてから響は窓の外を見て溜め息をついた。その理由は昨日戦った(圭)としか言えないスーツか何かよくわからない物を身にまとった少女とクリスと戦っていた砲撃を撃ってた少女、それと翼が戦っていたマリアの事だ。

 彼女達は言葉を解せないノイズではなく、人間だ。話せば分かり合えるかもしれない。昨日はつい世紀末ボディでぶん殴ってしまったが。でも、殴り合い宇宙という言葉があるくらいだ。一回ぐらい誤差だろう。

 

「それにしても響。どうかしたの?何か考えてるようだけど」

 

 と、考えていたら未来が声をかけてきた。忍者みたいに完全に気配を消しながら背後にやって来て。

 

「ヒッ……み、未来?」

 

 思わず短い悲鳴が出たが、相手が未来だと分かって一応安心した。が、何故かあまり安心できてなかった。自問自答しても特に答えは出なかったため、いつも通り接する事にした。

 

「で、どうかしたの?」

「あ、うん……昨日戦った子達がね……」

「昨日?それって、マリア・カデンツヴァナ・イヴさんの事?」

「うん、それもあるんだけど、他にも二人いたみたいで……」

「へぇ……」

 

 響は調と戦った訳だが、彼女の『目』を見ることが出来なかった。それはかつてのクリスのように自分の中の正義を貫くためにやっている事なのか、仕方なくやってる事なのか、それともただテロを起こし人が恐れ逃げ惑う姿が見たくてやっている正真正銘の悪なのか。それが分からなかった。

 だが、昨日言葉を交えた時はかなりキツイ事を言われたのは覚えている。「偽善者」、「貴方のような甘い人間が多すぎる」、「綺麗事で戦う奴」。様々な罵倒をあの少女から受けた。確かに、響は理想を信じ、その手に掴み取るため戦っていると言ってもいい。自らの正義を信じている。故に、言葉が通じる相手とは戦いたくはない。話し合いで解決したい。

 

「何か言われたの?響がそんなに考え込むなんて」

「それ、なんか端的にお馬鹿って言われてる気がしないでもないんだけど…………話し合いで解決したいって言ったら偽善者とか言われちゃってね。それで」

「へぇ……響にそんな暴言を……」

 

 あ、やっちまったと思ったのはここら辺だった。未来の瞳から光が消えてどこから取り出したのかカッターナイフを手に持っている。

 

「ちょっと用事思い出したから行ってくるね」

「ちょっ、ちょっ、未来!?今から授業だし刃を全開まで剥き出しにしたカッターナイフを使う校外での用事ってどんな物騒な事!?それになんか殺すとか呪詛吐いてるように聞こえるよ!?これは私の問題だから落ち着いて、ホントお願い!!」

 

 外に出ていこうとする未来とその腰にしがみついて何とかその場に留める響。シンフォギアを纏わないと完全に止めれそうにない未来が止まったのは先生が教室に入ってきてからだった。

 

 

****

 

 

「それでデスね、可笑しいのはそれをザバーっとご飯にかけたことなんデスよ!」

「よくそれ聞くけど、結局ご飯にザバーっとかけるものって何……?ふりかけ?」

「調、これは一生の謎なのデス」

「いや、きりちゃんから言ったことなんだけど……」

 

 場所は変わって一週間後の武装組織フィーネ(構成員一桁)のアジト、の中のシャワールーム。二人は並んでシャワーを浴びながらそんな他愛もない会話をしていた。調が血走った目で何処ぞのSAKIMORIより少し大きい切歌の胸を凝視していたりするがそれは些細な事だ。口癖が「くっ……」なアイドルでマスターやってる青い人と同じ胸囲の調はそんな切歌(の胸)が羨ましかった。寄せて上げる程もないのだから。

 

「それにしても調……さっきから元気無いデスよ?私の胸凝視してきたりしてますけど……やっぱりあの筋肉ムキムキマッチョウーメンの事デスか?」

「大体あってるからツッコミはしないけど……あんな口先だけでやってる事世紀末な奴が英雄なんて……私は認めない」

「いや、やってる事世紀末だからその過程でルナアタック成功したんじゃ……」

「困ってる人を助けたいって言うのならどうして……」

 

 切歌のツッコミを一切合切無視して無理矢理話を進める調。壁を殴ろうとしたら切歌の乳をガッチリ掴んでるのも些細な事だろう。

 切歌が苦笑いしながら調の手をそっと「そうだね、本当にやらなきゃならないなら例え悪いと分かっててもやらなきゃならない事だって……」と言いながら退かそうとするが、なかなか離れない。どれだけ自分の胸にコンプレックス持ってるんだこの子は。

 切歌が痛い痛いと言いながら調の手を何とか離そうとしてる時、マリアがそれを見ないようにしながら入ってきてシャワーを浴び始めた。

 

「それでも、私たちは私たちの正義とよろしくやっていくしかない。迷って振り返ってる時間なんてもう無いんだから……」

「調、ほんとに痛いデス!もげますから!!」

「巨乳なんて皆もげてしまえ!」

「なんか怒りの矛先変わってます!!」

「あの世紀末女とSAKIMORI女すらあるのになんで私だけまな板なの!!」

「知らないデスよ!!」

 

 マリアのいい言葉も(一方的に)乳こねくりあってる人には届かなかった。

 ちょっとイラッとしたので壁ドンしたら手を痛めたのはちょっとしたお茶目だろう。

 だが、その瞬間、けたたましく警報が鳴り響き、シャワールームの外からガシャンガシャンと隔壁が下がる音が響いた。ここでやっと調は切歌の胸から手を離し、さっさと服を着て自分達のマム、ナスターシャ・セルゲイヴナ・トルスタヤの元へと走り出した。その間、切歌は胸を抑えたままだった。

 そして一方、件のナスターシャは万能車椅子に座りながらモニターを確認していた。そこには、オレンジ色のラインが入った図鑑になんて絶対に載ってない生物を見ていた。

 

(共食いすら厭わない飢餓衝動を持つ怪物、ネフィリム……やはりいささか人の身には過ぎた……)

 

 片目で見るモニターに映るネフィリムは何かを捕食しているようだった。バリバリと嫌な音も響いてくる。

 

「ネフィリムが人の身に余る先史文明期の遺産……だ、なんて考えないでくださいよ?」

 

 そこに入ってきたのは白い髪に白衣を着たメガネの真っ白な男。一週間前のあの戦いの数時間前、響とクリスに救出された男。

 

「Dr.ウェル……」

 

 本名、ジョン・ウェイン・ヴェルキングクリクス。如何にも怪しい科学者という雰囲気を醸し出す男だ。

 

「例え、人の身に余っていたとしても、英雄の身の丈に合っていればそれだけでいいじゃないですか」

 

 こんな物が英雄の身の丈に合うものなのかは怪しい物だが、ナスターシャが何かをいう前にマリア達が入ってきた。

 

「マム!今の警報は!?」

 

 敵襲かとマリア達は疑っていたが、そうではなかった。

 

「次の花はまだ蕾が故、大切に扱いたい物です」

「謎ポエム乙……」

「ア゛ァ!!?今言ったの誰だ!!」

「心配してくれたのね、でも大丈夫。ネフィリムが少し暴れただけ。隔壁を下ろして餌を与えたから時期に収まるわ」

「無視か!?この僕を無視するのか!?」

「それよりも、そろそろフロンティアへの視察の時間ね。ここは大丈夫かしら?」

 

 グチグチと文句を言う男らしくないウェル博士にナスターシャは言った。

 

「くっ……こっちは留守番ついでに食料調達の算段でもしておきますよ」

「では、調、切歌、留守番を頼みますよ」

「どうせならそちらに戦力を集中させた方がよいのでは?」

 

 軽くぶっきらぼうにウェル博士は言うが、スルーして早めに帰ってくる事だけを伝える。

 その後、二人は出ていった。

 

「さて、撒いた餌に獲物は掛かってくれるでしょうか……」

 

 ウェル博士は一人呟いた。




393はレズ。はっきりわかんだね。そして響は脳筋。はっきりわかんだね

そして調ちゃんは自分の72な胸にコンプレックスを持ってるようです。そんな彼女もきっと石村なら大活躍してたのでしょうね

このSSは不定期にこんな感じでシリアル一割シリアル二割寒いギャグ七割でお届けいたします

ウェル博士の本気はもうすぐ出ます


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