デジモンアドベンチャー 古代王宮を救え! (箱庭)
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物語の大罪者
*憤怒
1986年06月15日生、♂、β(α寄り)
【無印:中1、02:高1、tri:専1】
天邪鬼で素直じゃない長男坊。
器用貧乏で卒なく熟すが、突出した何かは持ち合わせていない。
右目は灰色で、鋼鉄などの知識が豊富。非常に頭がいいが、それを面倒くさがって使おうとしない
物心ついたころには孤児院におり、そこで芽流と出会った。
芽流と時間を過ごすうちに、奇妙な夢を見るようになる。
*憂鬱
1987年12月12日生、♀、β
【無印:小6、02:中3、tri:高3】
ネガティブな思考回路を持つお姉さん。
抑揚のない声で話し、自分の意思はあまり持ち合わせていない。
*怠惰
1988年09月14日生、♀、α
*傲慢
1989年11月11日生、♂、Ω
*強欲
1989年11月11日生、♂、α
*色欲
1990年07月02日生、♂、Ω
*暴食
1991年09月21日生、♂、Ω
*虚飾
フィオルネ・アーバイン
1995年03月15日生、♀、β
これはまだ自分が大きくなかった頃の話だ。もうすぐ小学生になる春の事。幼稚園を卒園して暇を持て余していた自分のところに運命の相手が来たのは。
そのころの自分がすることなんか何もなくて、ただ母親と父親が朝出かけるのを寝ぼけ眼で見送り、一日お留守番することが多かった。たまに幼馴染のヤマトの家に行くこともあった。でも、その日はなぜか一人でお留守番をすることを選んでいた気がする。今でも何故そうしていたのかは分からない。しかし、子供ながらにそうしなくてはと思った節があったのだ。
麗らかな季節を感じる風が舞う。誕生日に貰ったスケッチブックと色鉛筆を持って、家を飛び出す。そこには既に沢山のお母さんたちと一緒に遊ぶ子供たちの姿。その間を潜り抜けて、光り射すこの辺一帯で一番大きい公園へと向かう。自分は一人で公園の片隅にあるベンチに座って、空を見上げる。青い青い空、そこに広がる美味しそうな雲の白。そのコントラストが大好きだった。
今日は何を描こうかとバッグを漁っていると、視線の端に黒い物体が映ったような気がした。そこへ目を向ければ、黒地に緑と赤の模様が妙に目に付く。近寄れば、それが卵だということに気付いた。手に取って分かる重量感、卵の中で芽吹いているだろう命の脈拍が聞こえてきた気がした。卵を抱えて、家に帰る。卵は暖めると良いと昔母親から教わったからだ。
「~~♪」
どんな生き物が生まれるんだろう。
毛布でくるんで、しばらく観察していると、卵は少しずつ自分の意思で動き始め、そして、そのまま自立したかと思うと、卵は罅が入って、殻が破れたのだった。
「‥‥孵った?」
目の前にある割れた卵の上半分が落ちる。目の前にいる卵の中身は自分を一心に見つめている。その体に付いている大きな一つ目で。灰色で小さな足を四つ、二つの角、オレンジ色の目がぐりっとしている。
「きゅ?」と小さくそう言った生物は自分のほうへと寄ってくる。小さく揺れるそれは座っていた自分の足によじ登ると噛みついてきた。そして、控えめに聞こえてくる音にお腹が空いているのか?と聞けば、その生物は答えるように鳴いたのだった。
家にあるのは母親特製のクッキーと最近作るようになった自分お手製の蜂蜜レモンだ。あとは、自分が後で食べようと思っていたイチゴのアイス。
「君はなんでも食べるの?」
問いに答えるようにその生物はきゅっと鳴く。その子を抱き上げ、冷蔵庫へと向かう。抱きかかえるとその大きさが分かる。結局その子を頭に乗せると冷蔵庫を開ける。そして、中身を取れるように台に乗ると、蜂蜜レモンの入ったタッパーを取り出した。頭の上に乗せていたその子は扉を開けてから零れる冷気にびっくりしてるようだった。やはり、この世界の生物ではないそれは全てが驚きの対象なのだろう。
「さ、食べよう!」
蜂蜜レモンを何枚か取り出すとフォークでその子へと運ぶ。その子はじっとそれを眺めた後にパクリと食べた。そして、もう一個と言わんばかりに擦り寄ったのだった。結局、昨日のうちに作っていたレモンは全て食べられてしまった。美味しいとは言わないが沢山食べてくれることが嬉しくて、自分が食べようと思っていたイチゴのアイスもその子へとあげたのだった。
アイスをあげてからその子の様子は目に見えて変わった。あまりの美味しさに床を猛スピードで走り回り、止まったかと思えば、その子の体はみるみる光っていき、一段と明るい光を放つと、さっきより大きくなった子がまたイチゴのアイスを強請りに来たのだった。さっきあった小さい角が触覚のようになり、足にも大きく鋭い爪が生えている。しかし、性格はさっきの子と全く変わらないようだ。
もっと食べる?と問えば、きゅっと鳴く様子も変わってない。イチゴのアイスもあっという間にその子の胃袋へと消えていき、そのときに自分のお腹が鳴っていることに気付いたのだった。テーブルの上でイチゴのアイスのカップにへばり付いているのを見ながら、お昼ご飯は何にしようか…と考えていると、その子が自分の腕の中に擦り寄ってきた。そして、自分の顔に飛び掛かってきた。
* * *
お昼ご飯は家にあるもので済ますことにした。卵と砂糖、牛乳、それから食パン。それを混ぜ合わせる。それをこんがりとフライパンで焼けば、フレンチトーストの出来上がりだ。そのフレンチトーストを食べると、あの子も食べたいと床からよじ登ってくる。その姿に思わず笑いながら、フレンチトーストを与えるとやはり気に入ったのか、半分ぐらいはその子の胃袋の中へと消えていった。
小一時間経っただろうか。気付けば、昼寝でもしていたらしい。外は夕暮れ時。いつのまにか、昼に鳴く蝉は蜩に変わっていた。鳴き声が変わるだけで空気が涼しく感じるのは何故だろうか。ソファから起き上がると傍にはさっきとは別の生き物が眠っていた。自分が起きたことに気付いたらしい、すぐにその生物は起き上がった。
「‥‥オキタ?」
「喋った‥‥」
「オレっち、ドラクモン…」
「ど、らくもん?」
「ソウ、ドラクモン」
「私、
「エコ?」
その喋る
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