夏の居候と剣と鬼 (へんぜる)
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第一話 夏休み
誤字脱字が多いかもしれないです。
感想も聞かせてもらえると嬉しいです。
文字数も多くは無いですが、多目に見て下さい。
鳴り止まない蝉の鳴き声と照りつく日の光の中
―俺は少女に恋をした―
ミーン、ミーンと蝉の鳴き声が聴こえる。
学校が夏の長期休暇に入って、一週間が過ぎた。
時間が過ぎるのは早いもので、夏休みが始まってもう一週間が過ぎてしまった……。
バイトもしていないので、24時間を自由に使えると言うのにまだ何もしていない。と言うか家からも出ていない 。
それなら毎日何をして過ごしているのかと言うと…… テレビゲームやネットサーフィンをだらだらとやり続ける日々。
此処で1つ言っておくが俺は引きこもり、またニートやその他の類いではない。
時計を見ると12時を指している。
「そろそろ起きるか……」そう言って重たい身体を起こす。
母親はキャリアウーマンと言うやつで、母は何時も仕事で外国を飛び回っている。(仕事の内容は知らないが)
よって何時も家には俺自分独りだけだ。もう独りの生活にも慣れ、家事も手慣れたものだ。
父の方は自分が小さい時に突如現れた闇の穴に吸い込まれて行った…… と、母に聞かされた。……出来ればもっとましな嘘をついてほしかった。
まぁ片親と言うヤツだが気にしてはいない。
顔を洗い今日は何をしようか?
と、考えているとカレンダーが眼に入る。そして、今日の日付に赤い丸で目印が付けてあることに気付いた……。
ん?今日なんかあったっけ?新作のエロゲの発売日か?
とか考えていると今日がなんの日かを思いだし背筋が凍る……。
「ヤバい……今日は母さんが帰って来る日じゃん……」
年に数回ほど息子の様子を見ようと、日本に帰国して来るのだ。
リビングを見渡すと、とても綺麗と言える状況では無い 。
と言うよりはゴミ屋敷と言う表現が合っている様な気がする……。
ゴミはゴミ袋に適当に詰め込み、空いている部屋に突っ込む。
食器類はとりあえずキッチンのシンクの中に放り込む。
そんなこんなで一応見た目は良くなったが、母を裏方に回すことは出来ないだろう。……それすなわち死を意味するからだ。
時計を見ると2時30分だ。
母が帰って来るのは何時も5時前後なので、まだ2時間は時間がある。
何をしようかと考えていると、何となく外を歩いてみたくなった。
履き潰したお気に入りのスニーカー(オールスターの黒のハイカットで紐を通す穴にはスタッズが付いている)を履き、玄関を開ける。そうすると、さっそく太陽の陽射しの洗礼を浴びせられたのだった。
「あちぃ~死ぬわ~」
そう呟いてみても暑さは変わるわけでは無いのだが、何故か条件反射的に口から出てしまう。
外に出るのは一週間ぶりだし……正直リハビリ無しにこの暑さはキツい。クーラーの効いた快適な環境でゲームやネットをしていたのがとても懐かしく感じる……少し前の事だが。
暫くの間 道なりに歩いていると、長い階段が見えてくる。階段の上には神社があり、もう少し日が経つとここら辺で一番大きな祭りが開かれる筈だ。
出店は勿論、人も集まるし花火も上がる。
他県からわざわざ見物に来る人もいるくらいだ。
まぁ俺の目当ては巫女さんだけだがな。
さらに進んでいくと通っている高校が見えてくる筈だが、そこまでは歩きたくない。そろそろ私のHPが0になるからだ。近くのコンビニに寄りつつアイスでも買って、HPを回復してから帰るとしよう。
コンビニに入るとそこは天国だった。
「なんて涼しいんだ!」
アイスはガリガリ君を買った。 そして、外にでてはまた陽射しが攻撃してくる。
だが俺にはガリガリ君がいる! さっきまでの俺と思うなよ!
と、心の中で叫んで袋を開けた。
するとガリガリ君ソーダ味は地面に突き刺さった。
「……」
かつて無い虚しさが俺を襲った。
「帰ろう……」
肩を落として来た道を帰った。
やっと家につくと車があったので すぐに母が帰って来たのだとわかった。
「ただいま~……」
と玄関の扉を開けると見慣れないモノが立っていた。
「お邪魔しました!」
誰だ今の?!家を間違えたのか?
標識を覗くと鶴木と書いてある珍しい姓なので見間違える筈が無かった。
やっぱり……自分の家だよな……なら今の誰だ??
ドアを少し開けて中を覗くこちらを見ていた。
目が合い、ドアを閉めた。
するとドアが開き、中から顔が出てきた母だ。
「ヨッ!」
「よう……久しぶりだなわが母よ……」
「おう!久しぶりだなわが息子よ……」
「して中の人物は……いったい?」
「あぁ、あれは貴様へのプレゼントだ……嘘だ。可愛かったから空港で拾って車にのせて帰ってきた!」
「それ誘拐じゃねぇーーーかーー!!」
「大丈夫!ちゃんと同意のうえで誘拐してきたから!」
「誘拐って言ってるし!」
「だって迷子みたいだったし……可愛かったし……」
「なら迷子センターにつれてけよ!早く返してきなさい!」
「えぇーー、ケチ!」
「……」
「ぐっ……ハイ……返してきます……」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
う~んなんか身体がやけに重いな……
昨日歩いたから筋肉痛にでもなったかな?
「グッ」
腹部に痛みが走る。目を開け、腹部を確認しようと思った……。
何かが乗っている。
窓からさす日の光で彼女の金色の髪はキラキラと輝き、絹のようにしなやかにさらりとこぼれた肌は透き通るような白色で、雪を連想させる。蒼く光る目はまるでサファイアのようで、その瞳はじっとこちらを見据えていた。
奇妙な女の子との共同生活が始まった。
そして、鳴り止まない蝉の鳴き声と照りつく日の光の中、
―俺は少女に恋をした―
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第二話 一つ屋根の下
楽しんでいただけると嬉しいです(笑)
「なぁ……なんで俺の上に乗って……」
そこまで言って気がついた。
彼女が俗に言う裸ワイシャツの姿だと言うことに……。
あのあと、うちの母が空港まで連れて行ったのだ。しかし、相手の保護者にホームステイの形で留学させたいと言われ、その場で即OKしたらしくて戻って来てしまったのだ。
詳しい事は教えて貰えなかったが。
―――――――――――――――――
「ちょっなんでそんな格好なんだよ!」
そう言って目をそらす。
「これしか無かったの」
「そうかそれなら仕方ないな! ……ってなるか!」
「……だって自分で服を着たことが無いもの。……だから貴方が私に服を着させるしか無いわ」
昨日の夜にほったらかしにしたのがいけなかったか……。
ん? ちょっと待てよ? 自分で服を着たことが無い?
「今、自分で服を着たことが無いって言った?」
「言ったわ」
「MAJIKA!」
「マジよ」
いったい何なんだ。コイツこの行動にこの言動、まったく訳がわからん。
でも下着は流石に履いてるよな?
「あのー1つ質問させていただいても宜しいですか?」
「ダメよ」
!?
「なんでだよ!」
「嘘よ。あまり叫ばないで、耳が痛いわ」
「貴様ぁ、覚えてろよ」
「忘れるわ」
「わーお! 話が進まなーい!」
「……で? 質問は何?」
「あ、うん。え~下着は着けています?」
「えっち」
!?
「えっ?」
「えっち」
「ストップ!」
「貴方って耳が遠いのね」
完全に向こうのペースに飲まれている。
だが此方も黙ってやられているだけではないのだ。
「〇〇〇して〇〇〇してやるぞ!」
フッ……勝った。
お前の敗因は男子高校生を甘く見た事だな。
「……どういう意味?」
き……効いていないだと。
意味を知らなかったら確かに意味はないが。
「言ったこっちが恥ずかしいわ!」
「もしかして、いやらしい事なの?」
「うっ……」
「えっち」
もういいわかったやめてくれ! 俺が悪かったからぁあッ!。
穴があったら入りたい……。
「履いて無いわ」
「MAJIKA?」
「マジよ」
鎮まれ俺の中の獣よ……耐えるんだ……駄目だ出てくるなよ。
「ノーパン、ノーブラよ」
くっ……想像するな俺。
落ち着け、こう言うときは素数を数えるんだ……。
「ねぇ……お腹がすいたわ」
「そうだな……なら何か作ってやるから、いい加減俺の上から降りてくれないか? え~と……」
「エレンで良いわ。あなたは?」
そう言えば自己紹介がまだだったな。
「俺は
「……よろしく」
そう言って彼女は俺の部屋から出ていった。
二度寝をしようと思ったが、また上に乗られては困るので渋々ベッドから出て起きる事にした。
とりあえず洗面所で顔を洗い歯を磨く。
そうすると、後ろから服を引っ張られた。
「ん?」
振り向くとエレンが包丁を此方に向けて立っている。
「ちょっどうした? 危ないから!」
廻れ右するエレン。
と同時に、エレンの持っている包丁が俺を襲う。
「うおっ! お前は俺に怨みでもあるのか!? と言うかその前にその格好をどうにかしてくれ! 昨日、お前が着てた服で良いから着てきてくれ!」
「……わかったわ」
そう言ってエレンは二階にあがっていった。
歯ブラシを口からだし、とりあえず口を
エレンが着替えている間に朝ごはんを作ってしまおう。
そのままリビングに行きキッチンに入ると……、
「な、何があった?」
戦争でもやったのかって思うほど散らかっていた。
とりあえず今の惨状を見る限り、冷蔵庫の中身は空だろう。
食器も割れている、サラダ油も床に広がっている、何をどうしたらこうなるんだ?
と言うか人の家なんだが。
もっと気を使って欲しいものだ。
「お腹がすいて死にそうなの。だから自分で作ろうと思ったの」
突然後ろから声をかけられた。
振り返りると真っ白なワンピースーー腰に大きなリボン、胸の中央にも小さなリボンが付いているーーを来たエレンが立っていた。
「お前服一人で着れるじゃ……」
美しいとはこのような人物に向けて言うのだろう。真っ白なワンピースを着た金色の髪と蒼色の瞳の少女は、俺をこの上なく魅了した。
俺は真っ白なワンピースを来たエレンから、暫くの間目が離せなかった。
「始めて自分で服を着たけど案外簡単ね」
「……」
「どうしたの?」
「あ、いや」
「えーと、料理の経験は?」
「この道具で作るのよね?」
そう言って右手に持つ包丁を前に突きだす。
「うおっ! だから俺に何か恨みでもあるのか!?」
と言うか包丁を持って移動していたのか。
「別に無いわ」
「料理の仕方くらい私でも知っているわ」
「他には火を使うんでしょ?」
それは知っているとは言わない。
「はぁ~……俺が朝ごはん作るから、リビングのソファーに座ってテレビでも見てろ。頼むからおとなしくしててくれ」
「……」
黙ってリビングに行きソファーに座るエレン。
「ふぅ……疲れる……」
え~と生き残ってる食材は……。
卵は割れずにすんだものが幾つかと、真空にされて5枚に切り分けられているハムが足元に転がっていた。
まぁこの二つの材料があれば何とかなるだろう。
スクランブルエッグとハムの上に卵を落とした目玉焼きを作ることにした。
エレンは窓から指す光に照らされ、ソファーにきちんと座り込んで朝ごはんができるのを待っている。
それはまるで絵画の様だった。
エレンの髪は日光に当たり、キラキラと輝く目はガラス玉のように透き通っている。
俺はその空間だけ……時間が止まっているかのように思えた。
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