真剣で私に恋しなさい!inガキ大将 (ぷるたぶっち)
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prologue ~いらん出会い~

prologue ~いらん出会い~

 

 

 

目が覚めると白い部屋にいた。

 

比喩表現などではなく本当に白色以外の色が存在しない部屋……、いや、空間と言ったほうが適切だろうか。

 

「いくら夢でもさすがに白一色はないだろう」

 

それにしてもいつ眠ったんだ?

 

確か大学が終わって、家に真っ直ぐ帰って、PCの電源を入れて、その後は……。

 

「そうだ、辻堂さんをプレイしてたんだっけか」

 

だんだんと思い出してきたぞ。

 

「よく来たな、人の子よ」

 

愛さん、マキ、恋奈、この順番で攻略してってあずさルートが無いことにもどかしさを感じながらクリアして。

 

「む?聞こえんかったかの、よく来たな人の子よ」

 

ちょうどタイミングよく公式サイトで人気投票やってたからあずさに票を入れてたっけ。

 

あ~、ここら辺から記憶が曖昧だな。

 

「よく来たな!人の子よ!」

 

何してたんだっけな~、思い出せんぞ?

 

「よく!来たな!人のk「うるさいわっ!!」痛っ!?」

 

さっきから聞こえとるっちゅーねん思わず殴ってしもうたわ!老人相手やから1割手程度加減しといたさかい堪忍してな。

 

「何故関西弁!?」

 

え?

突っ込むとこそこ?あと関西弁の前にエセを付けなさい、本場の方に怒られちゃうから。

 

「で、あんた誰よ?」

 

「よくぞ聞いてくれた、儂はかm「やっぱいいや」……」

 

どうせ夢だし聞いたところで起きたらたぶん忘れてるだろうしね。

 

「儂は神じゃ!!」

 

「へ~(失笑)」

 

神ねぇ、ん?神?

 

「そうじゃ」

 

ふ~ん

 

「反応薄っ!?」

 

いや、だっていきなり神様とか言われても反応に困るって。

 

「なんじゃこの人間……、今までにないタイプじゃな」

 

せめてこんなおっさんじゃなくて美人のお姉さんが神様とか名乗って欲しかったよ。

そしたら信じたよ。

そうだ。

 

「証拠とかないの?」

 

「その言葉を待っていたぞい!」

 

なんかこの神(失笑)テンションたけーな、おい。

 

「そなたが声を口に出せなくても会話が成立するのは儂がそなたの思考を読んでいるからじゃ!(どや」

 

「な、なんだってー(棒)」

 

それよりも何そのどや顔、めっちゃ腹立つわー、つかこれ夢なんだから別に思考読んでたって不思議じゃないよね

 

「(´;ω;`)」

 

「おっさんがうるうるしてもキモいだけだからやめてくんない?」

 

あー早く夢から覚めないかなー、これもう悪夢のレベルじゃね?

おっさんが自分を神様と名乗りながら否定されたら目をうるうるさせる構図。

 

「ん?そうだ、夢の中で寝れば夢から覚めるんじゃね?」

 

「いやいやいやいや!まだ話しの途中じゃから!話しを聞いて!?」

 

ここって布団とか枕とかねーのかな?

夢だから念じたら出てきたりするんかな

 

「布団~、布団~、おっ?」

 

出てきたわ、夢だからなんでもありだな。

しかも枕付き、いい感じにふかふかだし寝たら気持ちよさそうだな。

 

「本当に寝ちゃうの!?」

 

………zzz

 

「寝つき良すぎるわい!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE ~神様(失笑)~

 

「あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!

『儂はこやつをこの空間にある用があり、呼び出したんじゃがこやつ、話してる途中で寝やがった』。

な…何を言っているのかわからねーと思うが、

儂も何をされたのかわからなかった…

頭がどうにかなりそうだった…催眠術だとか超スピードだとか、

そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」

 

はっ!?

 

あまりの非常識さに電波を受信してしまったぞい。

 

しかし本当になんなんじゃこの人間は、自分が死んだことを自覚しとらんのか?

 

まぁ、それはそれでこっちは楽で良いんじゃが……。

 

「ふむ、先ほど辻堂さんと言っておったな」

 

少し調べて見るかの、ホッホッホ。

 

 

~5分後~

 

 

なるほどのぅ、言わゆる“えろげ”なるものじゃったか。

 

ちょうど良いわ、こやつの転生先が決まったぞい。

 

「じゃが……、ただ送るのもつまらん、いろいろと嫌がr…ゲフンゲフン、儂の気遣いを気に入ってもらえたら嬉しいのぅ」

 

別に殴られたことは気にしてないぞぃ?

 

 

 

 

prologue ~fin~

 




どうも、初めまして。

ぷるたぶっちと申します。

この度アットノベルズ様から書いていた小説をこちらハーメルン様にも記載させていただくこととなりました。

どうぞよろしくお願いします。


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第一話 ~起きたら赤ちゃん~

 

 

第一話 ~起きたら赤ちゃん~

 

 

 

「バブ、バブバブ、バブバ、バブ…(あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!

『俺は悪夢から覚めたと思ったら自分が赤ん坊になってたんだ』。

な…何を言っているのかわからねーと思うが、

俺も何が起きたのかわからなかった…

頭がどうにかなりそうだった…催眠術だとか超スピードだとか、

そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…)」

 

「しょうちゃん?どーしたのー?」

 

「バブバ、バブブ(何でもないぜ、new motherよ)」

 

さて、どうしてこうなった。

 

原因を考えよう。

 

その1、逆行した、これはないな、前の名前は義隆だし、神崎 将ではないし、それよりもなぜこの選択肢が最初に来た?

 

その2、生まれ変わった、これは…、ありそうだがまだ決めるのは早計だ。

 

その3、まだ夢から覚めていない、これが一番有力そうだな。そうだと思わなければやっていけん…。

 

 

 

~5年後~

 

 

 

あの電波を受信してから5年が経った。

 

え?早いって?

 

それは言いっこなしだぜ、兄弟。

 

結果から言うと選択肢その2が正解だった。

 

今日は4月13日、俺の誕生日だ。

 

朝枕元に手紙が置いてあり、封を開けて読んでみたところ。

 

こう書いてあった。

 

『ホッホッホ、元気にしとるか?

 

 儂じゃよ儂、神様じゃよ~ん

 

 あの時はそなたが話を聞かんからこっちで勝手に決めて送らせてもらったぞい

 

 まぁ、まだ気づいておらんじゃろうから教えとくとそなたはもう死んでいたんじゃい

 

 死に方があまりにも可笑しく、爆笑させてもらったので転生をさせる事になっていての

 

 辻堂さんなる世界に生まれ落ちたと言うわけじゃ、もちろんお礼はいらんぞ?

 

 しかしのぅ、こちらの手違いで残念ながらそなたが生まれ落ちたのは1992年なのじゃ

 

 そなたが卒業するのと同じに主要人物が入学する計算じゃな(笑)

 

 しかししょぼくれるではないぞ?なんとその世界はマジ恋と言う武士娘がたくさんおっての

 

 その主要人物達とは同い年に設定しておいたぞ、多少痛い思いはするかも知んが、応援しておるぞ

 

 精々頑張るのじゃ

 

 追伸

 

 :お詫びというわけではないが、あるプレゼントを贈ったぞぃ、“ステータス”と言えばでるからのぅ』

 

これはあの舐めた神からの手紙だった。

 

皆さんお分かりだろうか?

 

あの神(マジだった)の手紙におかしな点があるのだ。

 

手違いと言いながら設定したと書いてある…。

 

「フザッケンナーーー!!」

 

ビリビリ クシャクシャ ポイッ

 

全く、なんだあの駄神、今更手紙を送ってきやがって。

 

次あったら髪の毛と髭全部引っこ抜いてやる。

 

それよりも俺ってどんな感じに死んだんだ?

 

まったく記憶にないんだが。

 

ふむ。

 

「……ステータス」ボソッ

 

 

ステータス

 

名前:神崎 将

年齢:5

性別:男

種族:人間(転生経験者)

 

筋力:………ランクE  次のランクまでのポイント=3000

 

気力:………ランクE  次のランクまでのポイント=5000

 

幸運:………ランクC  次のランクまでのポイント=10000

 

知力:………ランクD  次のランクまでのポイント=5000

 

所持能力

・なし

 

残りポイント:15000

 

なんじゃこりゃ……。

 

う~ん、これ俺の情報か?それなら納得がいくが、筋力も恐らく気力も年相応だし、幸運はよくわからんが知力がランクDって…。

 

確かに5年も勉強していなければ下がるのは当たり前だが、せめてCは欲しかった。

 

気になるのは残りポイントなるものだが…、恐らく筋力やら気力やらにポイントを振り分けろってことだろう。

 

いろいろ分からんことだらけだが、もうこの世界に生まれ落ちて5年、今の状況にも慣れて来た。

 

潔く、新しく、真剣に第二の人生を謳歌しようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 補足

 

真剣で私に恋しなさい!の原作開始時は2009年

 

 

辻堂さんの純愛ロードの原作開始時は2012年

 

 

 

 

真剣で私に恋しなさい!inガキ大将を読んでいただきありがとうございます。

 

クロスにしようとも考えましたが、開始年が違う、及びまだ辻堂さんを知らない人が多数いるので

 

辻堂さんに関するSSは今現在保留にしました。

 

外伝を書きたくなったら外伝のみクロスしてしまうかも…。

 

これからもどうか温かい目でinガキ大将を見守ってください。

 

 

 



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第二話 ~俺の忍道&ステータスでわかったこと~

第二話 ~俺の忍道&ステータスでわかったこと~

 

 

 

どうも、今年で6歳になった神崎 将でございます。

 

昨年新しい思いを胸に秘め、第二の人生を始めたものの、明確な目標を持たずダラダラな日々を過ごしている6歳児でございます。

 

はっきり言いましょう。

 

ついてけない。

 

何を言ってるんだ?と思うかもしれませんが、体は子供、頭脳は大人なな人生を歩んでる俺からしたら大真面目です。

 

周りの子供達についてけない…。

 

体力面ではなく、精神面で。

 

ひたすら追いかけっこしたり、おままごとやアニメやら特撮物の話には充分について行けてると思う。

 

俺も楽しいし。

 

ただ…、虫やら蜘蛛やら、極めつけに黒い悪魔こと台所のGの異名を持つ生命体、あの触覚をぶん回してブイブイ行ってる危ないやつ。

 

そいつ等を手で掴み、こっちに向かって「変なの見つけた!」といい笑顔で言いながら近づいてくるのは是非やめて欲しい!

 

俺死んじゃうから!ショック死しちゃうから!

 

情けない?

 

ハッ!

 

好きに言ってくれ!

 

あの黒い悪魔だけはダメなんだ。

 

それには理由がある…。

 

前世でのことだ。

 

あれは俺がまだ8歳程の時、その時も黒い悪魔は苦手ではあったがここまで過剰反応はしていなかった。

 

家の窓を全部開けて空気を換気していたらあいつが外から侵略してきやがったんだ…。

 

それもただ部屋に入っただけじゃない。

 

俺の家は二階建てで、俺は二階の窓を開ける役目だったんだ。

 

わかるだろうか?

 

あいつが飛んで来て、俺の顔面に張り付いたんだ…。

 

俺は驚きのあまり顔を振り回しながら後ろに下がったんだ。

 

それがいけなかった。

 

後ろに下がった時に本棚にぶつかり、上から六法全書が落ちてきやがったんだ。

 

それが頭にぶつかり俺は意識がなくなった。

 

それだけでもトラウマもんだがまだ続きがあるんだ。

 

意識が戻り、立ち上がって、混乱している頭の元、親のいる一階に行こうと思って階段を降りようとし、その一段目に脚を着いた時に思った。

 

あのGはどこに行ったのかと…。

 

その時だ、後ろ首に違和感を感じた。

 

冷や汗が吹き出し、嫌な予感が全身を包み込んだ。

 

右手を後ろ首に回そうと右腕を動かしたとき、右腕の肘のところにやつは、“やつら”はいた…。

 

そこからの記憶はなく、気がついたときには病院のベットの上だった。

 

親が言うには階段から転げ落ち、右足を折って入院したらしい。

 

これらの事があり、俺はあいつが死ぬほど苦手になった。

 

しかも子供というのは相手が嫌がっていても、いや、嫌がっているからこそ行動が過激化する。

 

追ってくるのだ、全力で……。

 

だから決めた。

 

人の嫌なこと絶対やらない……なんてことは絶対ない。

 

俺の人生におけるルール、ナルトで言う忍道、それは何か。

 

簡単だ、やられる前にやれ。

 

もしやられたら…。

 

倍返しなんて生温い、十倍…、いや百倍にして返す。

 

ふっふっふっふ。

 

まぁ、それは俺が怒ったとき限定だ。

 

頭脳は大人だぜ?

 

所詮子供がやることだ。

 

大目に見ようじゃないか。

 

ふぅ、こんな暗い話はやめて別なことを話すか。

 

そうそう、神(次あったら毛という毛を全部抜く)からもらったステータスと言う能力なんだが、わかったことがいくつかある。

 

思ったとおりゲームみたくポイントを分野に分けて振り分けることが可能だった。

 

しかも振り分けてわかったこともある。

 

振り分けてランクを上げると分野が増えた。

 

例えば今現在こんなかんじだ。

 

 

 

 

ステータス

 

名前:神崎 将

年齢:6

性別:男

種族:人間(転生経験者)

 

筋力:…………ランクD  次のランクまでのポイント=5000

 

気力:…………ランクE  次のランクまでのポイント=5000

 

幸運:…………ランクC  次のランクまでのポイント=10000

 

知力:…………ランクB  次のランクまでのポイント=12000

 ↓

思考速度:……ランクE  次のランクまでのポイント=5000

 

 

 

 

所持能力

・なし

 

残りポイント:20000

 

知力を上げたらなんか思考速度とか言うのが出てきた。

 

まだこれはランク上げてないから確証はないが、恐らくそのままの意味だろう。

 

ん?なんで知力を上げたかって?

 

だってねぇ、中身は26歳だぜ?

 

それなのにいつまでもランクDって…。

 

最高がAだとするならランク4つも下だぜ?

 

大学入るために一生懸命勉強したのにやってらんないぜ。

 

ポイントが増える方法もだいたいわかった。

 

簡単なことだった。

 

良いことをすれば増え、悪いことをすると減る。

 

簡単だろ?

 

ただこれは均一じゃない。

 

例えば人に良いことをしたとする、だが自分が良いことをしたと思っても相手にとってはお節介かもしれない、それと同じように自分が悪いことをしたと思っても相手は悪いことと思ってないかもしれない。

 

要は人に何かをする場合は相手が思ったことに依存する、間接的じゃなく直接的に。

 

しかも同じ様な良いことをしてもポイントの増減に差が大きく出る。

 

わからないのは誰も見ていなく、誰にも直接的に関係なく良いことをしてもポイントが増えるという事。

 

例えば道端にゴミが落ちていて、それを公園のゴミ箱に入れたりして処理すればそれでもポイントが増える。

 

これの判断基準はなんだ?

 

ほかにも年齢が上がるにつれ増えていき、運動などの体を動かす、勉強をして頭で考えるなどをすればポイントが増える。

 

これを知ったとき俺はこれを良い能力だと思った。

 

自分にではなく神様側に。

 

俺の他に転生者がいてもこの能力ならば悪いことはできない。

 

なるほど、これは合理的だ。

 

初めて俺はあいつ(神)を見直した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第三話 ~経験は最良の教師である。授業料は高くつくが。~

 

 

第三話 ~経験は最良の教師である。授業料は高くつくが。~

 

 

 

よくテレビや学校の先生から小さい時は頭が柔らかく、記憶力はもの凄いと聞いたことが意外に多くある。

 

今思うとそれはもの凄く同意だ。

 

二度目の生誕から6年と8ヶ月、実際に体験中である。

 

『ステータス』の分の能力も差し引いいてもこれは二十歳の時とは比べ物にならない。

 

すらすらと頭の中に入ってくる。

 

これほど勉を学ぶという事に興味を抱いたことがない。

 

前世の分も合わせても今が一番勉強に熱心になっている。

 

え?『ステータス』で知力を上げたのに勉強するのかって?

 

そりゃするさ、いくら能力で知力を上げても0、つまりは無の状態だとせっかくの知力も意味がなくなってしまう。

 

一を聞いて十を知る、と言うことわざがある。

 

今の俺を表すならばこのことわざがもっとも的確だろう。

 

だが、一を聞かなければ何も知ることができない。

 

これを聞いて何を当たり前な事を、と思う方もいるかもしれない。

 

だが人間という生き物はそう完璧にはできていない。

 

例えば、「何であんな難しいことが分かるのにこんな簡単なことが分からないの?」と言ったような事を経験したことはないだろうか?

 

片方の難しい事は基本を学んだからこそ応用がわかる。

 

だがもう片方の簡単な事は基礎を知らない、だから分からない。

 

それを人は時折忘れ、思い出したらまたそれを当たり前だと思う。

 

それの繰り返しだと最近思うようになってきた。

 

完璧な人間なんていない、もしいたのならば…、それは人ではないのだろ。

 

少しばかり恥ずかしい事を思い描いたが、要は勉強は無駄では無いということだ。

 

それは勉強に限らず、運動や武術、人とのコミュニケーション。

 

すべてに経験が必要だ。

 

いくら『ステータス』で知力を上げようが勉強をしたという事実、これは習ったという経験。

 

いくら『ステータス』で筋力を上げようが体を動かしたという事実、こうすればこう動くという経験。

 

いくら『ステータス』で気力を上げようが気を使ったという事実、こうすれば気が出るという経験。

 

これらに事実と言う経験がなければ豚に真珠、猫に小判と言ったような宝の持ち腐れである。

 

だから経験をすることの『努力』は欠かせないし、惜しまない。

 

カーライルと言う偉人が言っていた。

 

『経験は最良の教師である。授業料は高くつくが。』

 

良い言葉だ、これからは偉人の言葉をよく引用してみようか?

 

こんな感じの事を考えた後に実際に筋力を上げてみて試してみた。

 

DランクをCに、たった一つランクを上げただけでスチール缶を潰せるようになった。

 

たった6歳のガキがだ。

 

前世の6歳の時なんて公式の野球ボールを持つので精一杯だ。

 

俺は少しばかりこの能力を舐めていたのかもしれない。

 

早急に何か対策、つまりは加減の仕方を知る必要がある。

 

運がいいことにここはマジ恋の世界だ。(最近忘れがちだが

 

この世界は武術が深く浸透している。

 

父親に頼んでどこか道場にでも通わせてもらうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE ~父親~

 

どうも、今年で30歳になる神崎 将也だ。

 

24歳で妻の秋恵と出来ちゃった結婚をした不届きものだ。

 

その時は嬉しいことと残念な事が同時に起きた。

 

それは秋恵の両親、お義父さんとお義母さんが結婚に大賛成だったこと、そしてその反面うちの両親は大反発だった。

 

親からの反対を押し切り結婚をした途端に親子の縁を切ってきやがった。

 

うちの実家は代々武術を嗜むように教育している。

 

俺もその教育を受けた。

 

だが俺は不出来だったららしく、長く続かずに破門にされた。

 

その代々のせいでうちの家系は頑固者が多く、少しばかり昔風な考えだ。

 

それのせいかわからないが、俺はあまり家族からはよく思われていなかった。

 

昔は除け者にされ、少しグレたりもしたが、その時に秋恵に会い、一目惚れした。

 

結婚に後悔もなく、子供も無事生まれ人生順風満帆だった。

 

しかも俺の子供、将は俺と秋恵の良いとこ取りをしたかのようなカワ格好良いと言うやつだ。(親バカ

 

夜泣きはしないし、お漏らしも最初の頃少ししてただけで今はもうそんな様子は欠片もない。

 

それに加え頭も良いと来た。

 

俺の書斎に入ってはいろいろな分野関係なく、様々な物を読んでいる。

 

将来は学者か、学校の先生だな。

 

だが政治家にはなって欲しくはない。

 

今のこの日本は正直な話腐っている。

 

腐りきっている訳ではないので救いはまだあると思うが…。

 

俺の仕事関係で知り合った親友、あいつが言うにはこの国はもう駄目だ、救いがないと言っていたがな。

 

全く、あのままだと外国にでも高飛びするんじゃないか?

 

あまり心労を増やさないで欲しいもんだが…。

 

仕事は何をやってるかって?

 

それはな、昔の同級生の友人が興した会社で働いているのさ。

 

最初はその友人が余りにも無茶ばかりするので嫌々手伝っていたのが始まりだ。

 

まったく、何が帝王学だよ。

 

まぁ、意外にも俺は結構な地位にいる。

 

九鬼家政治部門統括だ。

 

要は九鬼財閥を政治にも大きく顔が効くように日夜暗躍しているのさ。

 

それが結構ハードな内容でな?

 

もう毎日ヘトヘトだよ。

 

俺も家族連れて外国に高飛びしようかなー。

 

そんな事を休日に考えてた時だった。

 

「お父さん、今平気?」

 

「ん?おう、いいぞ」

 

「うん、僕武術をやってみたいんだ」

 

な…んだ……と?

 

「将…、それは本気で言ってるのか?」

 

「え?、う…うん、本気だよ?」

 

そうか…、まさかまた武術に関わることになるとは思いもしなかった。

 

これも血筋なのだろうか。

 

だが、息子の顔を見る限り中途半端な説得は逆効果だろう。

 

何せ頑固だからな。

 

ここら辺にどっか道場あったかな?

 



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第四話 ~え?何処で選択肢ミスった?~

 

 

 

どうも、七歳になった神崎 将です。

 

俺はいったい何処で選択をミスったのでしょうか?

 

去年の今頃を少し思い出してみる。

 

あれは、そう…、力の加減を知りたくて親父に武術をやりたいと頼んだ時だ。

 

親父にそのことを言ったら目を見開き驚いた顔をしていた。

 

そんな変な事を言ったか?と思ったが、すぐにいつもの威厳があるのを見せようと無理をしている顔に戻った。

 

一応の許可はもらったが、条件を出された。

 

何でも、お前はまだ武術のなんたるかを分かっていない。

 

だから、『まず知り合いに頼みお前のやる気を見てもらおう。』との事らしい。

 

親父にそんな知り合いがいるのか?

 

最初はそんな風に疑問を感じながらだが、その条件を了承した。

 

あれ?結構最初から選択肢ミスってね?何て思いもしなくはない。

 

だがその時は微塵もあんなことになろうとは思いもしなかった。

 

何せ後悔したのがもう少しあとの事なのだから。

 

 

 

 

~数ヵ月後~

 

 

 

 

俺は親父に知り合いに会うまで自分なりに武術の真似事をやっていた。

 

なにせ俺はRPGをやるときは充分なレベルと豊富なアイテムを必ず持って行って何が起きても勝てるようにする用心深いタイプなのだ。

 

だが所詮は真似事、ひたすら腕立てなどの筋トレ、体力作りのランニング、はじ〇の一歩で見た相手にボールを投げてもらいそれをキャッチor避ける反射神経の鍛える練習をしていた。

 

気を使ってみたかったが全くやり方がわからなかった。

 

その結果、今の『ステータス』はこのようになった。

 

 

 

 

ステータス

 

名前:神崎 将

年齢:7

性別:男

種族:人間(転生経験者)

 

筋力:…………ランクC  次のランクまでのポイント=25000

 ↓

反射神経: ……ランクA  次のランクまでのポイント=?????

 ↓

耐久力:………ランクD  次のランクまでのポイント=5000

 

気力:…………ランクC  次のランクまでのポイント=12000

 

幸運:…………ランクC  次のランクまでのポイント=10000

 

知力:…………ランクB  次のランクまでのポイント=12000

 ↓

思考速度:……ランクD  次のランクまでのポイント=8000

 

 

 

 

所持能力

・???

 

残りポイント:30

 

 

 

言いたいことはなんとなくわかる、だがこれだけは言っておく、後悔はしていない!!

 

ちょ、ごめ…、ゴミを投げないで!

 

これには理由がるんだよ!

 

みんななら多分分かってくれると信じてる!

 

この世界は前世の世界と似て非なる世界なわけでしょ?

 

つまるところこの世界にも漫画やアニメ、ラノベやSS、ギャルゲーやエロゲーがあるわけよ。

 

何が言いたいかわかったって?理解が早いね~。

 

そう、漫画に影響されちゃった✩

 

あれ?どうしたのみんな、固まちゃって。

 

いやこの理由は仕方ないでしょ!?

 

絶対みんなだって転生して『ステータス』みたいな能力があったら身近な漫画やアニメに影響されちゃうって!

 

ちなみに影響された漫画の名前はアイシールド12。

 

うん、ここは気にしてはいけない、この世界は似て非なる世界なのだから…。

 

その中でも最強クラスの実力者で、通称「神速のインパルス」という二つ名で呼ばれる驚異的な反応速度(脳から筋肉への電気信号の伝達所要時間が人間にとっては極限ともいえる領域の0.11秒)の能力だ。

 

これ武術にも使えるんじゃね?と思ってしまったのが最後、やってしまった。

 

それのせいで残りポイントが30…。

 

高い買い物だった…。

 

しかも最高ランクだと思ったAだが次があるみたいだ。

 

だがこれは???になっていてよくわかっていない。

 

それとなんか所持能力に一つ能力が追加されたみたいだ。

 

これも???でよくわかっていないが…。

 

そんなこんなで修行(笑)をして過ごし、約束の日が来た。

 

 

 

 

 

俺はこの時初めて親父が何の仕事をしているか知った。

 

普段家にいるときは仕事の話をするのが嫌なのか、全くと言っていいほど仕事関係の話をしない。

 

だが今日は親父の知り合い、つまるところ親父の仕事関係の知り合いの元を訪ねた。

 

ぶっちゃけるとなんとあの九鬼財閥だった。

 

え?親父って九鬼で働いてたの?ってアホ面晒して聞いた事は封印したい。

 

正直ビビッた。

 

生誕してからもう七年も経ってたし、原作も曖昧の状態。

 

もうマジ恋と言うゲームの世界の認識ではなく、一つの、人が生きている世界として認識していたからだ。

 

そんな状態でいきなり原作で出てくる会社、しかも原作でいろんな重大な役割を持っているそんな会社を目の当たりにしてみ?

 

心臓止まるかと思ったわ。

 

俺は軽く放心しながら、親父はいつもどおりの状態で会社の中に入っていった。

 

この時にもう少し頭を働かせるべきだったと昔の自分を殴ってでも気づかせてやりたい。

 

会社に入り、受付のお姉さんを見ながらやっべ、めっちゃ美人!と現実逃避しながら親父に付いて行ったらさらなる驚愕に襲われた。

 

いきなりだった、いや、薄々嫌な予感はしていたがまさかだった。

 

エレベーターを降り、何か無駄に豪華な扉を開けた先にはいたんだ。

 

何がいたって?わかるだろう?社長だよ。

 

総帥だよ、ボスだよ九鬼帝だよっ!!

 

マジで額にバッテンの傷があるわ…。

 

「社長、お話ししていた息子を連れてきました」

 

「おいおい、今は勤務中じゃないだろう?いつもどおりにフランクにみっくんって読んでくれよ」

 

「張り倒すぞ糞帝」

 

親父ぃぃぃぃ!?

 

自分の会社の社長だろ!?

 

何てこと言ってんの!?

 

「相変わらずのお前で安心したわ、その調子でこれからも頼む」

 

「ほざけ、勤務中とプライベートをしっかり分けてこそ社会人だ」

 

「じゃあ俺は一生社会人にならなくてもいいわ」

 

もう…、何が何だかわからないよ、パトラッシュ…。

 

「総帥、お話はそれぐらいで」

 

っ!?

 

この声はまさか!!

 

「おう、すまんなヒューム」

 

出たー!!

 

ナイスミドルなチートキャラ!!

 

それにしても存在感ありすぎ!

 

外見怖すぎ!!

 

しかもなんか殺気立ってるー!?

 

「いえ、それと久しいな将也、それが貴様の倅か?」

 

「おう、久しぶり、息子の将だ、こいつが武術をやりたいと言うんで、少し試してやってくれるか?」

 

ん?んん?んんんっ!?

 

親父は今なんて言った?

 

聞き間違いだよな?いくらなんでも実の息子とこんな殺気を振りまいてるような外見の強面ナイスミドルを戦わせようとしないよな?

 

「ね…ねぇ、お父s『バキッ!』ぐっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE ~ヒューム~

 

応接室に入ってくる二人の大人と子供を見ながら俺は子供の方を注意深く観察していた。

 

ふむ、これが神崎の倅か。

 

一番最初に持った印象は赤子以下、いや、赤子になろうとしているただのそこらにいるガキ。

 

だがその印象もすぐに変えた。

 

落ち着きすぎている。

 

帝様は曲りなりにもこの九鬼家を一代で大財閥まで押し上げたカリスマ的な持ち主、ただのガキがその方を目の前にし、落ち着いているのはただの無知か、あるいは大物か…。

 

少しばかり試したくなった。

 

俺は帝様と神崎の会話を中断させ、この赤子以下の神崎の倅にこれでもかと言うほどに俺の存在感、それに加え多少の殺気を混じりこませた視線を送った。

 

普通のガキならば失禁して気絶するほどのやつをだ。

 

しかし、思った変化は起こらず、あいも変わらずに落ち着いている。

 

人には誰しも少なからず気というものを持っている。

 

それは感情の変化で容易に揺らぐ、だがこのガキは変わらない。

 

気が全く揺らがない。

 

面白い、これがこのガキに対する二度目の印象だった。

 

俺は神崎に試してくれと言われ、すぐに行動に移った。

 

帝様の隣に控えていた場所から、5メートルと言った距離の先に神崎の倅がいる。

 

たかが5メートル、俺ならば普通に動いても一瞬であのガキがいるところに行ける。

 

だが、俺はあえて全力で動いた。

 

何故と聞かれてもそうしたかったから、としか言い様がない。

 

俺が全力で動いて捉えられる者など全世界においても10人といまい。

 

もし何の抵抗もできず、ただ気絶するだけならば従者部隊の二桁の位のやつに任せれば良い。

 

しかし、万が一の可能性もないが、これで何かしらの抵抗があれば俺が直々に鍛えてやるのもいいかもしれん。

 

結果から言えば抵抗してきた。

 

抵抗した上で気絶した。

 

実に単純でもっとも難しい行動で、それは避けるという行動。

 

しかし、完全に避け切れたとまでは行かず、少し攻撃される部分をずらしただけだったが…。

 

恐らく体、筋肉が付いてこれなかったのだろう。

 

だがこの年でこれほどの回避行動、久方ぶりに血が滾ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみにこれらの行動を見ていた二人からすると、いい年した不良執事が幼い子供を気絶させ、三日月の形に口を歪ませて笑っていることに強烈に不安を感じていた。

 

 

 

 



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第五話 ~起きたらジャングル、え?マジで?~

 

 

 

 

起きたらジャングルにいました。

 

あれ?なんかデジャブ…。

 

つかここどこのBТ〇〇〇М!?

 

「え?え?」

 

神様(あいつではない)、俺何か悪いことしましたでしょうか…。

 

起きたらジャングルとかあんまりです…。

 

俺確か親父に連れられて九鬼家まで行ったんだよな?

 

そこで九鬼帝に会って、ナイスミドルに会って…、っ!?

 

そうだよっ!?

 

あのナイスミドルいきなり攻撃してきやがって!

 

しかもあれは殺る気だったね、目がマジだったもん。

 

それにしてもすげー疾かったな、ほんの少しだけ反応できたけどこっちはまだ7歳と言えど反射神経のランクはAだぞ?

 

もうあれ人間じゃねーよ。

 

あー、でも少しムカつく、いきなり俺の信条の一つ目、『やられる前にやれ』が守れなかったよ。

 

幸先悪いなー…。

 

はぁー…。

 

それにしてもここ何処よ?

 

周りを見渡せばあるのは木、木、木、辺り一面全部木。

 

上を見上げれば燦々と降り注ぐ太陽光。

 

そんな時だった。

 

右のポケットから電子音とそれに続く少しばかりノイズが走る声が聞こえてきた。

 

ピ…、ピー、「目が覚めたか小僧」

 

ってこの声、まさか。

 

「起きたようだな」

 

右のポケットの中に手をつっこみ、取り出した先には小型の機械…通信機だった。

 

「ふむ、そう言えば自己紹介がまだだったな、俺はヒューム・ヘルシング、九鬼家従者部隊序列一位のただの執事(バトラー)だ」

 

執事と書いてバトラーですか。

 

「…どうも、神崎将と申します」

 

今更ながらの自己紹介をしつつ俺は何故ここにいるのか聞こうと、口を開きかけたときヒュームからの一言で一切の思考と行動が停止した。

 

「小僧、貴様は今日から一ヶ月、ここ九鬼家が保有する無人島で過ごしてもらう」

 

…………………………

 

「………………………」

 

絶句とはまさにこの事だろう。

 

あぁぁぁぁ、神様、俺はいったい何か悪いことしましたでしょうか…。

 

「だが、ただ過ごすのは退屈だろう、暇潰し程度の戯れだが童心に帰り、鬼ごっこをしてやろう」

 

…俺はもう神様なんて信じない。

 

俺の第二の人生もここまでか…。

 

俺は小さく息を吐き、目を閉じ、これまでの人生を振り返ってみた。

 

神崎の家に生まれ、両親に違和感を与えないように過ごし、幼稚園に通い、元気な子供達と一緒に走り回り、家に帰れば漫画、アニメ、ゲーム…。

 

ん?あれ?特にこれって言う良い思い出がないのはどうゆうことだろう。

 

それよりも何故か嫌な思い出が多い気がするぞ?

 

黒い悪魔とか、黒い悪魔とか、黒い悪魔とか…。

 

そして最後がこれ?

 

納得いかねぇーーーーーーー。

 

俺ってもしかして今までの人生無駄に過ごしてた?

 

い、いやまだ七歳だ。

 

人生これからであと三年したら華の十代だぜ?

 

うん、決めた。

 

さっさとここを出よう、しかしどう出るかが問題か。

 

無人島って言ってたよな?

 

…今更ながら九鬼家すげぇーな、おい。

 

木で船を作る?

 

いや無理だ。

 

ここが日本かどうかも怪しいし、距離が離れすぎていたら死ぬ。

 

そういえば俺はどうやってここまで来た?

 

船?ヘリコプター?

 

…ダメだ、考えがまとまらない。

 

そもそもヒュームはさっきなんて言ってた?

 

鬼ごっことか言っていたな。

 

この場合鬼になるのは十中八九ヒュームの方だろう、そうしたら俺は常に見張られている状態になる。

 

俺が今持っている通信機に発信機が付いていないとも限らない。

 

だからってこの通信機は捨てられない。

 

この場所唯一の連絡手段だ。

 

しょうがない、ここは考えを変えよう。

 

「ヒュームさん、鬼ごっこと言いましたが鬼はヒュームさんですか?」

 

「そうだ、ルールは鬼の交代はなし、常に俺が鬼で貴様を追い掛ける、もちろん貴様は捕まらないように全力で逃げろ?もし捕まったら多少痛めつけてまたこの森のどこかに貴様を置き去りにする」

 

俺死ぬんじゃないか?マジで…。

 

い、いや待て、これはただのジョークかもしれない。

 

そうだ名前が欧米の方だと思うしアメリカンジョークかもしれん。

 

原作でのヒュームの性格は…、ダメだ、ジョークを言うキャラには全然見えん。

 

「あ、あのヒュームさん、ジョークはおs「ジョークは嫌いだ。」………」

 

ポ、ポジティブに考えよう。

 

いきなり攻撃した時の仕返しをすると思えばやる気も多少…、少し出る…。

 

「聞きたいことは終わりか?ならば「あ、あの!」…なんだ?」

 

このまま始まったら確実に死ぬって!

 

「こちらからも提案があるんですがよろしいですか?」

 

「……言ってみろ」

 

「は、はい、もしあなたに一撃食らわせれられたら一ヶ月待たずに帰してもらえませんか?」

 

さすがに無人島で一ヶ月は死ぬ。

 

材料が確保できても料理なんてできないし、毒物なんて食ったら天に召されてしまう。

 

現代人の生活力舐めるなよ?

 

黄金伝説みたいにヤラセじゃなくこっちは真剣と書いてマジなんだよ!!(作者の偏見です

 

「ふっ…、よかろう、面白くなって来たな、当初貴様に合わせて加減しようと思ったが気が変わった」

 

「全力で狩ってやろう」

 

ブチッ…。

 

あれ?今墓穴掘った?

 

しかも一方的に通信機切りやがったよ、こんちくしょう。

 

「ま、まぁ、七歳児に本気を出す嫌な大人ではないだろう、たぶん…」

 

この時彼、神崎将は知らなかった。

 

つい先日もヒューム・ヘルシングはこの七歳児に対し、全力で動いていたことを。

 

そして今もヒューム・ヘルシングは通信を切り次第全力で神崎将に迫っていた事を。

 

 

 

 

 

 

 



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第六話 ~今回は脳内日記にてお送りいたします・前編~

 

 

 

 

あれから何日経ったのだろうか、仰向けになりながら空を見上げ、ふと考える。

 

どこかで人生の選択肢を間違え無人島生活が始まってからの日々、人生の全体で考えればそれは余りにも短い時間。

 

だがこの日々は後にも先にもこれ以上ないほど必死に生きていた時間だと思う。

 

俺こと神崎将の頭の中には走馬灯の如く記憶が駆け巡る。

 

 

~無人島生活一日目~

 

 

目が覚めたら周りは木々で覆われていて、眩しい太陽の光を浴びながら現状の把握に勤しむ。

 

右のポケットから通信機が鳴り出し、父の友人の不良執事から今の現状、これからどうなるかを聞かされた。

 

最初は何の冗談だと思いながらも頭で必死に考えながら交渉をするも、結果墓穴を掘ってしまった。

 

通信が切れ、無人島生活をどう過ごし、どう迎え撃つかを考えようと草木の中を歩きながらまずは水の確保をしようと決めた。

 

だが、俺の考えが甘かったのだろうか…、通信が切れ、ものの10分もしないうちに不良執事と書いて(バトラー)と読む生物と遭遇した。

 

その執事はこちらを見つめ、まさに獰猛な獣を連想させるような口を三日月型にして笑っていた。

 

その構図はまさに狩る側のライオンが、狩られる側のうさぎを見つけ喜んでいるようだった。

 

状況が理解できないながらも脚が動いたのはまさに奇跡か…、あるいは生存本能の賜物か…。

 

しかしここまでの接近を許し、狩られる側のうさぎが逃げ切れるだろうか?

 

答えは否、気づけば目の前に狩る側のライオンがいた。

 

頭が状況を理解したとき咄嗟に顔の前、顔面を覆うように腕をクロスさせ攻撃に備えた。

 

だが腕に攻撃は来ず、無防備な右側の腹の部分から衝撃が来た。

 

蹴られた、と思ったときにはもう吹っ飛ばされており、木々に当たることなく開けた場所に出た。

 

しかしそこで終わりではなく、そこは滝であった。

 

水が落ちたあとの下流ではなく、水が落ちる前の上流。

 

まるでスロー再生しているようにゆっくり、ゆっくりと滝に近づいていった。

 

だが滝に落ちる前に浮力がなくなり、転がるように滝に近ずいていった。

 

あと少し、もう左の片腕がダラン…と下に向けて降りている。

 

下流までの距離、水面までは目測だが100メートルはあるかもしれない。

 

げほっ、ごほっ…、っと息が出来ていないことに今更ながら気づき、蹴られた右の腹の部分を抑えながら混乱している頭の中を整えながら少し待ち、息ができるようになってくるまで待った。

 

気づけばまたも執事が近く、こちらを見下ろすような形で見ていた。

 

「生き――な?―れでこ――、だが――きのは―ただけない」

 

何やらしゃべっているが、こちらは頭がまだ混乱しているせいか、うまく聞き取れなかった。

 

「顔面―守―――はなく、ぎ―ぎりま―、―手の動きを見ろ。」

 

顔面?、守る?、ぎりぎりまで、手の動きを見る?

 

どうやらさっきの事を言っているらしい。

 

つまりは鬼ごっこしながら稽古しているということか?

 

もしそうならなんて鬼教官だ、ヘタをすれば死んでいたぞ。

 

俺はこの理不尽に怒りを感じ、いつもとは違い、素の自分の思いを言った。

 

「く、た…、ばれ…、糞爺…」

 

そう言ったら不良執事はさきほどの獰猛な笑いとは違う、今度は嬉しそうに口元を歪めていた。

 

なんだ?と思った途端にまた浮く感じ、いや、今度は落ちる感じがした。

 

そこで一日目の記憶は終わった。

 

 

~二日目?~

 

 

目を覚ます、生きていることに感動を感じながらまるで黒い悪魔の様にしぶといな、っと普段なら絶対言わない事を言い、自分のことを称した。

 

現状を把握するために周りを見る。

 

そこは当たり前のように木々であったが、昨日と違うのは後ろには俺が流されてきたのであろう川、前にある木々には木の実の様なものが成っていた。

 

とりあえず今日の食料と水は確保できたな、っと不幸中の幸いであった。

 

だがすぐには動く気にはなれず、しばらく仰向けになり目をつぶっていた。

 

 

~三日目~

 

 

昨日は俺の事を見つけられなかったのかあの不良執事は来なかった。

 

だが今日も来ないとは限らない。

 

朝飯の木の実と水をたらふく飲み腹を満たし、森の中を散策に出た。

 

しばらく歩いていたら、うさぎと遭遇した。

 

まさかここに生物がいるとは考えてなかった、確か漫画とかで遭難したり漂流したりしたらよく出てくる野生のうさぎ…。

 

木の実や水で腹を満たしてはいるが、体が肉、タンパク質を求めているのかうさぎに襲いかかろうとして、寸前でやめた。

 

捕まえてどうする、食うには火が必要だ。

 

しかし今火なんて持っていない。

 

それに俺は自分で言うのもなんだが可愛いものが好きだ。

 

もう少し年を取ったらネカフェにでも行こうかと思うぐらいだ。

 

そんな俺にこんなつぶらな瞳をしているうさぎを殺すことなんて…。

 

まぁ、やろうと思えばできるのが人間だが。

 

とりあえず別なところに行くか、そう歩き出した時に無意識に体が後ろに大きく跳んだ。

 

自分の行動に混乱する暇もなくさっきいた場所には不良執事がいた事に大きく動揺した。

 

「ほう、今のを避けるか」

 

っ!?

 

さっきの行動と今の言葉で頭が理解した。

 

今あの執事が攻撃してきて俺は今それを避けた?

 

「ふむ、回避能力は目に見張るものがあるな」

 

俺はこの執事から目を離さずに警戒しながらどうして避けられたのか考えた。

 

だが、思い当たるのは一つしかなかった。

 

「……ステータス」ボソッ

 

 

 

 

 

ステータス

 

名前:神崎 将

年齢:7

性別:男

種族:人間(転生経験者)

 

筋力:…………ランクC  次のランクまでのポイント=25000

 ↓

反射神経: ……ランクA  次のランクまでのポイント=?????

 ↓

耐久力:………ランクD  次のランクまでのポイント=5000

 

気力:…………ランクC  次のランクまでのポイント=12000

 

幸運:…………ランクC  次のランクまでのポイント=10000

 

知力:…………ランクB  次のランクまでのポイント=12000

 ↓

思考速度:……ランクD  次のランクまでのポイント=8000

 

 

 

 

所持能力

・反射神経(オートパイロット)

 

残りポイント:30000

 

 

 

 

 

わぉ…、所持能力が出てきたのもビックリだがまず目に入ったのは残りポイントだった。

 

え?30000?30じゃなくて?

 

なんでいきなり100倍に増えてるの?

 

これはあれか?

 

死に掛ける度に戦闘力が増す、某戦闘民族的なあれか?

 

なんというご都合主義!

 

だが助かる。

 

そして所持能力、これはあれか?めだかの箱に出てくる能力のやつか?

 

能力は確か…、物理攻撃からの回避行動を自動的に行う、だったかな?

 

なるほど、ステータスで反射神経を上げたらこの能力が出るのは必然だったと。

 

これに思考速度をプラスしたら最強じゃないか?

 

ふむふむ、モチベーションが上がってきたぞ。

 

ふふふふ…、反撃開始じゃボケィ!

 

不良執事に目にもの見せてくれるっ!!

 

その時はそんな事を思っていた。

 

 

 

 

 

 

 




今回の話は少しばかりシリアスを…、、、なんて思ってたんですがシリアスは書いてるうちにリアルでもシリアスになってしまいますね(笑)

ご都合主義よろしく能力が開放した主人公。

だが不良執事はそんなに甘くはない…。

次回は物理回避が鍵ですかね。

※補足

「反射神経(オートパイロット)」。過剰なまでの反射神経で物理攻撃からの回避行動のみならず反撃・奪取までを自動に行う能力。


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第七話 ~今回は脳内日記にてお送りいたします・中編~

 

 

 

 

ご都合主義の如く能力を開放した主人公、物理攻撃ならば自動で回避行動が取れる(オートパイロット)

 

神崎将、つまるところ俺はこれで一泡吹かせられると思っていた。

 

目の前には不良執事、構えもせず自然体でいるように見える、だがそこから放たれる威圧感は半端ではなく、少しでも気を抜いたら脚が勝手に動いて逃げてしまいそうだ。

 

しかしこの距離ではこの執事からは逃げられない。

 

つい先日もそのせいで瞬殺された。

 

あいつから目を離さずに警戒し続ける。

 

どこから攻撃してくる?

 

右か?左か?

 

それとも正面か?

 

そう思った時だった。

 

しっかり目を離さずに見ていたはずなのに消えた。

 

驚く暇もなく体がまたも勝手に、上半身を前に倒すように動く、その時に頭上からブンッ!…っと聞こえた。

 

恐らく不良執事が後ろに回り、背後から攻撃してきたのだろう。

 

これならば行けるっ!!

 

そう思いながら今度はこちらから動く、恐らく相手は容易く避けられるであろう俺の右拳を紙一重でかわし、こちらに右蹴りを放ってきた。

 

今度はぎりぎり見える速度ではあるが恐らく(オートパイロット)がなければ避けられないであろう速さ。

 

実際に体が勝手に動き、半歩後ろに下がる。

 

だが下がるだけではなく、今度は避ける動作に加え、俺の意思で動き、蹴りを放ったばかりの不良執事に向かって右蹴りを放つ。

 

そのようにお互いぎりぎりの回避を数十秒、あるいは数分繰り返した。

 

そしていつしか不良執事の攻撃がこちらに当たるようになってきた。

 

「なるほど、この速度まで上げると当たるようになるわけか」

 

観察されていた!?っと驚いたと同時に額に衝撃が来てその拍子に数歩後ろに下がってしまう。

 

だが痛みはなく恐らく当てただけなのだろう。

 

どうやらこちらがどの程度の速度まで回避できるかを観察されていたようだ。

 

そして思い知った、(オートパイロット)も万能ではなく、ある程度俺の身体能力に応じて回避できる速度が決まっているのだと。

 

それに加え体力を大幅に使うのだろう、先ほどから息が切れかかっている。

 

今現在七歳児としての身の上だが体力作りはなんちゃって修行でしてきた。

 

そうそう早く切れることはないのだと思っている。

 

長期戦は無理、ならば狙うは超短期決戦。

 

次の攻撃は絶対に避けよう。

 

そして避けたと同時に接近し、相手の服を掴んで殴る。

 

服を掴んでいる状態ならば避けられないだろう。

 

そう俺は考え、相手の出方を待った。

 

だが思っていた攻撃は来ず、代わりに言葉が来た。

 

「気を知っているか?」

 

なんで今ここで聞く?

 

そう思いながらも決してこちらから口は開かずに相手の一挙一動に警戒する。

 

「なかなかの集中力ではある、だが、大人の質問にはきちんと答えなければ痛い目を見ることになるぞ?」

 

動いたっ!

 

そう思ったときにはもう眼前、しかし目で追えないほどではなく、左脚からの上段蹴りが来た。

 

そして狙い通りに躱しそこから攻撃に移ろうとした瞬間体が動かなくなった。

 

まるで電撃を浴びた様に、体全体が麻痺しているかの様に…。

 

「気というものは生物である限り多かれ少なかれみなが持っているもの、だが希にその気を何かに変換出来る者がいる」

 

「わかるか?」

 

「俺は小僧、貴様に攻撃する際に気を電気に変換し、左脚に電気を纏って蹴りを放った、その結果蹴りは避けたかもしれんが、蹴りに纏っていた電気は躱しきれなかったようだな」

 

「小僧、貴様の回避能力は目を見張るものが有り、根性や勇気もある。まだその年でこれほどの才気、だから貴様に伝授してやろう」

 

「我が一族代々伝わる電撃を…な」

 

そう不良執事が言い終わったと同時にこちらに近づいてきた。

 

俺は嫌な予感と冷や汗が止まらずに逃げ出そうとしたが体が全く言う事を聞かない。

 

声を出そうにも口が動かない。

 

体全体が本当に麻痺しているのか、それとも上段蹴りを躱す際に食らった電撃が脳に直接触れていたのか…。

 

理由はわからないがこれから起こることは絶対に良いことではないのは確かだ。

 

覚悟を決める間もなく、不良執事に顔全体を覆うように片手で掴まれいわゆるアイアンクローの状態にされ、宙に浮かされ、そして……。

 

――そこからは地獄だった。

 

ひたすら電撃を直に食らわせられた。

 

顔を掴んでいる手から流れてくるようにまずは脳へ、そこからゆっくりなのかそれとも早すぎてわからないのか…、上から順に体の中を駆け巡った。

 

そこで俺の三日目の記憶は途切れた。

 

 

~四日目~

 

 

目が覚めたら恐らく昨日とは違う場所の森の中、頭が異様にがんがんと響く、そこでズボンの左ポケットの中に

違和感を感じた。

 

そこに入っていたのは百円で売っているようなライターであった。

 

まさかあの不良執事が?

 

なんて考えたが即刻その考えを破棄した。

 

この短い時間だがあの不良執事の事は嫌でも理解してしまった。

 

こんな施しをするようなタイプの人間ではない。

 

今になって考えてみればあれは人ではなく悪魔か何かじゃないのかと思えてくる。

 

だがありがたいことには変わりはなく、ライターをポッケにしまい歩く、数分もしないうちに川に着いた。

 

そしてとりあえず体を洗いたかった。

 

この数日まともに体を洗っていないが体は不思議と小奇麗だった。

 

だがさっぱりした感じが欲しく、服を脱ぎ、川の中に入り小魚を取るついでに体を洗った。

 

小魚は意外にも簡単に取れた。

 

あの不良執事を見ていたからだろうか、小魚の動きはゆっくり見えて逆に不気味だった。

 

小魚を数匹取り、服を着てから枯葉と小枝を集め、ライターで火を灯した。

 

そこから焼き魚を作り、食事を終えた後は仰向けになり空を見上げていた。

 

正直な話し今日で何日経っているなんてわからなかった。

 

そして何か忘れている気がする。

 

そんな事を考えていたら急にばっ…と体を起こし、思い出した。

 

『我が一族代々伝わる電撃を…な』

 

そんな事を言われ電撃を体中に食らったんだ。

 

何故忘れていたのかを考えようとした時に体がふわっ…と浮いていた。

 

というよりもいつの間にか不良執事がいてまたも顔を掴まれていた。

 

「ま、また電撃ですか?」

 

「小僧、何か勘違いしているぞ、貴様が電撃の気を覚えるまでずっとに決まっているだろう?」

 

…oh

 

もう…、好きにしてください……。

 

 

 

 

 

 

 



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第八話 ~今回は脳内日記にてお送りいたします・後編~

 

 

 

 

電撃地獄が始まって恐らく15日。

 

目が覚めたら森の中を歩き、川辺についたら小魚を取り、何故かポケットに入っているライターで焼き魚を作る。

 

そして不良執事からの逃走劇が始まる。

 

始まったばかりの頃の方は逃走劇なんて言わない、ただのイジメだった。

 

容赦なく距離を詰め、アイアンクローで顔を掴み、そこから電撃を放つ、その繰り返し…。

 

だが3、4日経った頃だっただろうか?

 

なんとなくの感覚であるがあの不良執事がどこから仕掛けてくるのかがわかるようになってきたのである。

 

恐らくだが(オートパイロット)にも慣れてきたのであろう。

 

それでもあの不良執事の速度は異常で、必ず捕まる。

 

だが俺は諦めず、ひたすらに抵抗した。

 

精神が折れなかった自分を褒めてやりたい。

 

10日程経った時に変化が起きた。

 

目が覚めた時にライターがなくなっていたのである。

 

だが習慣というのは恐ろしいもので、体が自然に川に行き、小魚を取った。

 

さてどうするか。

 

なんて考えたときに何故ライターが入っていなことを考えた。

 

落とした?

 

いや、それは考えたくないがありえそうで嫌だ。

 

「はぁ~、とにかく今日の朝飯木の実だけか」

 

木の実を取り、さて食うか…、いただきますっと、手を合わせた時に異変が起きた。

 

バチッ…

 

…………。

 

静電気かな?と最初は思ったがこの真夏のような環境で、しかも電気が溜まりやすそうな物なんてここには…。

 

ってあるじゃん。

 

人間の、つまり俺の体が。

 

人間の体には生体電流と言う体を動かす電気信号が流れており、言わば体全体が電気を通す経路になっている。

 

ここ毎日不良執事から電撃を浴びていたのだから溜まるのは自明の理なのかもしれない。

 

なんて前世なら考えていたであろう。

 

だがここは気というのが常識的にある世界、しかも不良執事は先日こんな事を言っていたと思い出した。

 

確か、『我が一族代々伝わる電撃を…な』と『小僧、何か勘違いしているぞ、貴様が電撃の気を覚えるまでずっとに決まっているだろう?』だったかな?

 

つまりは俺は電撃の気を覚えられたのだろうか?

 

再び手を合わせてみる。

 

バチッ

 

一応は微弱だが電気が流れてるみたいだ。

 

だがこれは生活に困るんじゃないか?

 

常に電気を纏ってみ?

 

相手にちょこっと触れただけでバチッっとなる。

 

あれ?子供対策には有効かも?

 

え?もしかしてこの能力は俺の運命?

 

なんて冗談はやめて真面目に考えてみると困るな。

 

主に猫に触れなくなる、確か超電磁砲の美琴は微弱な電気が無意識で流れていて猫が近寄ってこなくなるだったかな?

 

能力が制御できることを祈ろう。

 

ふむ、しかしこれは今の状況には良いかもしれない。

 

確かトリコは指パッチンで火を起こしてたよな?

 

そしてやってみたところ。

 

――出来た。

 

おぉぉぉーー!!

 

なんだこの感動。

 

枯葉と枯れ木を集めて、一枚の枯葉を親指と中指の上に置く、そしてパッチンするとあら不思議。

 

枯葉に火がついて集めた枯葉のとこに置くと火が広がていった。

 

そんな感動に打ち震えていると…。

 

「貴様…」

 

ビクッ!!

 

後ろに不良執事…、いや、鬼がいた…。

 

「そんなことに我が一族の技を使ったのか……、死ぬか?」

 

ひっ、ひぃぃぃぃぃーーー!?

 

そこからはいつもより過激な逃走劇。

 

俺は木々の間を軽やかにすり抜け、鬼は環境破壊?なんだそれ?と言った感じに木々をなぎ倒す。

 

捕まったら確実に死ぬ…、そんな確信めいた思いがいつもより脚を動かす。

 

鬼は怒りで手加減を忘れ、いつもよりも圧倒的力で追ってくる。

 

そして俺は初めて鬼から逃げ切れた。

 

――なんて事はなく、人生は甘くなかった。

 

過激な逃走劇が終わった次の日。

 

いつもならアイアンクローで捕まえて電撃コースのはずが今日はちょっと違っていた。

 

なんと今度はまともに修行をつけてくれるらしい。

 

なんでも『そろそろ貴様も基礎体力がついたろう、次のステップに入る』…。

 

どうやら今までのは基礎体力作りだったらしい…。

 

俺を真面目にやらせようと殺気を振りまいて追い込み、ぎりぎりの環境で修行…。

 

「やりすぎだろっ!!」

 

なんて言えるはずもなく…。

 

「やっと本性を表したか」

 

えっ!?もしかして声に出してたっ!?

 

なんて、わざとですけどねっ!!

 

「もうあんたに遠慮なんてしねーよバーカ!!」

 

「まさに見事だな、ここまでされて精神が折れぬとは」

 

…なんか褒めらちゃったよ。

 

あれ?もしかして俺って実はすごいんじゃね?

 

なんて思ったのも束の間…。

 

次のステップは逃げることさえ出来ない鬼のマンツーマンであった。

 

そこからの生活はあまりにも記憶に残したくない類のものであり、結局は一ヶ月経ってしまっていた。

 

 

 

そこで走馬灯のような記憶回想は終わり、仰向けになっていた体を起こし、周りを見渡してみる。

 

そこにあったのは木々…、ではなくいくつものクレーター。

 

もう森なんて言っても信じられないほど環境破壊をしてしまった。

 

もちろん俺はほんの少ししかしてないぞ?

 

主にあの不良執事…、ヒュームがやったんだ。

 

「そろそろ迎えのヘリが来るぞ」

 

「あぁ、……」

 

「どうした」

 

「いや、いつかあんたをかならずボコボコにしてやろう心に決めてたとこだ」

 

なんて言ってやったら、あの野郎、楽しみにしておく…、だってよ。

 

カッコつけやがって。

 

迎えのヘリきて、乗り込む際に俺は振り返り島を見た。

 

そこで一礼。

 

短い時間であったがお世話になりました。

 

 

 

 

 

 

今の現状

 

ステータス

 

名前:神崎 将

年齢:7

性別:男

種族:人間(転生経験者)

 

筋力:…………ランクB  次のランクまでのポイント=15000

 ↓

反射神経: ……ランクA  次のランクまでのポイント=?????

 ↓

耐久力:………ランクB  次のランクまでのポイント=12000

 

気力:…………ランクB  次のランクまでのポイント=50000

 

幸運:…………ランクC  次のランクまでのポイント=20000

 

知力:…………ランクB  次のランクまでのポイント=12000

 ↓

思考速度:……ランクB  次のランクまでのポイント=9000

 

 

 

 

所持能力

・反射神経(オートパイロット)

 

残りポイント:5000

 

 

 



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第九話 ~息子が反抗期になって帰ってきた。~

 

 

 

そこは神奈川県川神市、ある住宅街のある二階建ての一軒家。

 

そこの神崎将也の二階にある書斎部屋。

 

椅子に座りコンビニ弁当を食べていた。

 

今から一ヶ月前、息子の将を九鬼社の社長改め九鬼帝に会わせ、ヒュームに会わせ、連れて行かれた…。

 

なんでもこの子は才能があり、修行に連れて行く、だから一ヶ月貸せ。

 

だそうだ、修行内容は一切聞かされていない。

 

もちろん帝やヒュームは信用できる人物であるのは間違いはないので心配はしていないが…。

 

しかしまさかヒュームに『才能がある』と言わせるとは家の将はますます優秀だな。

 

まぁ…、それを妻に話したらお小遣いを70%OFFにされたがな……。

 

どこの大特価バーゲンだ。っと突っ込んだら心温かい愛妻弁当が心冷たいコンビニ弁当に早変わりさ。

 

将よ、早く帰って妻を説得しておくれ…。

 

コンビニ弁当を食べ終え、自分で入れたコーヒーを飲み一息。

 

「ふぅ、しかし…」

 

…息子が武術か。

 

親父達は元気にしてるかな。

 

なんて感傷に浸っているとインターフォンの音が鳴った。

 

ついに帰ってきたか…、何て顔がにやにやするのを我慢して威厳に満ちた顔に直す。

 

書斎の扉を開け、階段を下りる。

 

玄関に着き、鍵を開け扉を開ける。

 

そこには何故か執事服を着ている息子の姿。

 

しかし目を見張るのは息子の顔、前に比べなんて生き生きしているのだろう。

 

これはヒュームに預けてよかった。

 

「おかえり、将」

 

男子三日会わざれば刮目して見よなんてことわざがある。

 

まさにその再現をしているようだ。

 

「あん?おぉ親父、ただいま」

 

……………………。

 

んっ?んんっ?んんんっ!?

 

あれ?想像していた返事とはまるで違うぞ?

 

俺の想像は、『おかえり、将』『うん、ただいま!お父さん!』『立派になったな』

 

なんて感じのはずだぞ?

 

それが、『あん?』『親父?』……。

 

おいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!

 

ヒューーーーームゥゥゥゥゥゥウウウウーーーー!?!?!?!?

 

貴様息子に何をしたっ!?!?

 

「な、なぁ将?ど、どどどどうしたんだその言葉遣い?」

 

「え?どっか変か?」

 

変どころじゃないよっ!?

 

丸替わりだよっ!?

 

以前なんて、『ねぇねぇ』『お父さん』とか『どっか変かな?』『お父さんかっこいいね!』←親父の妄想

 

だったのに何この変わりよう!?

 

「あぁ、そうだ、外にタクシー待たせてるから支払いよろしく」

 

そんな俺の驚愕はどこ吹く風状態の息子は靴を脱いで家に上がり、リビングに行く。

 

ッ待て!

 

そこには秋恵がいるっ!!

 

今の将の状態を見たら秋恵がショック死してしまう!!!

 

急いで息子の後を追いリビングに入る。

 

そこには妻が息子の言葉遣いに卒倒する姿

 

――ではなく、和気あいあいしている姿。

 

「ただいまっ、お母さん」

 

「将!お帰りなさい!」

 

「わっ…ぷ、ちょっと苦しいよお母さん…」

 

なんて感じにお話している…。

 

俺は夢でも見ていたのかと床に手を付け、まさにorz状態になっていた。

 

ちなみに少し経ち、外に待たせているタクシー代はしっかり払いました。

 

 

SIDE ~将~

 

 

無人島からヘリで一時間と少し、そこまで離れていたわけではなく割と早く九鬼家が所有する川神市のビルの屋上に着いた。

 

俺はヘリから降り、帰ろうとするとヒュームに止められた。

 

「待て将、貴様、その姿のまま帰るつもりか?」

 

そう言えば今の俺の服装は一ヶ月前の綺麗な感じではなく、そこら中が破け、服とはいえない状態になっていた。

 

それに加えまともに体など洗っていなく、正直汚い。

 

ちなみにヒュームが俺を小僧、ではなく将と呼び始めた。

 

一応は認めさせることができたと思っていいのだろう。

 

俺もヒュームと呼び捨てだからな。

 

え?一撃入れたか聞きたいって?

 

それはまた後日のお楽しみに取っておいてくれ。

 

「付いてこい」

 

のヒュームの一言で付いて行ったらそこは従業員、つまりは従者たちが生活する区画であった。

 

そこには現在人の気配はなく、恐らく仕事中で外に出ているのかもしれない。

 

「あそこを曲がれば従者達が使う大浴場がある、そこを使って体を洗え、着替えは新調し届けさせる」

 

無人島の時と比べると天と地の扱いの差、だが理由はなんとなくわかる。

 

一応は帝、主人の友人の息子としての扱いだろう。

 

無人島の時は恐らく弟子としての扱い、なのだろうか。

 

はっきり師弟関係を表明したと言う訳ではないから曖昧な感じだ。

 

俺は遠慮なく脱衣所に入り、服を脱いで風呂場に入った。

 

そこは広く、まるで銭湯みたいな感じであった。

 

広い風呂を独り占めでき、この一ヶ月の疲れを流した。

 

風呂から上がると脱衣所にあった俺の服はなく、別の服、執事服が置いてあった。

 

「なして執事服?」

 

少し着ようか迷ったが他に考えも思い浮かばず、執事服に腕を通した。

 

脱衣所を出て、ヒュームの気を探す。

 

あの無人島生活でヒュームからのマンツーマン。

 

そこから得た物は癪ではあるが多くあり、その中に気を探すと言うものも含まれている。

 

気を探し出して数秒、ここから50メートルほど先の部屋にヒュームの気はあった。

 

しかしヒューム意外にも二人、知らない気の持ち主がいた。

 

気を図るに二人共なかなかの実力者。

 

そこの部屋に俺は気配を消しながら近づいた。

 

これは半ば癖になっていてもうこのままで良いと思い始めている。

 

扉の前に行き、遠慮なく扉を開けた。

 

 

SIDE ~ヒューム~

 

 

無人島での修行が終わり、九鬼社に帰ってきた。

 

この一ヶ月はなかなかに有意義であったと思う。

 

最初は気を教えるつもりではあったが電撃を教えるつまりは砂一粒ほどもなかった。

 

しかし襲った時に見せた数々の才能の片鱗。

 

才能のベクトルは違うかもしれんが昔の俺に少し似ている。

 

そんな様々な感情が俺をああさせた。

 

ちょうどよかったのかも知れん。

 

俺は妻を娶り子を為すつもりなど毛頭なかった。

 

俺は九鬼家に生涯捧げた身。

 

九鬼のためになるのならば先祖代々の技も賭して見せよう。

 

将を浴場に連れて行き、俺は自分の執務室に入った。

 

そこで内線を繋ぎ、侍女に将の服を頼む。

 

電話を置いたとき部屋にノックが鳴った。

 

「入れ」

 

ドアから入ってきたのはクラウディオ・ネエロ、九鬼家従者部隊序列3位の老兵だ。

 

そしてそのクラウディオと一緒に入ってきたのは星の図書館の異名を取るマープルである。

 

この二人とは同期であり、昔にいろいろあった関係でもある。

 

「ヒューム、貴方という人は今までいったい何処にいたんですか」

 

「なんだ、帝様から聞いていないのか」

 

「あたしゃも聞きたいね、あんたがいないせいでこっちは進まない仕事がたくさんあるんだ」

 

まったく帝様のこれにはほとほと困る。

 

「少しばかり弟子をとってな」

 

「で、弟子ですか、あなたが…」

 

「それはあれかい?以前帝様がおっしゃってた揚羽様のことかい?」

 

「いや、帝様の友人である神崎将也の倅だ」

 

九鬼揚羽様、以前帝様から揚羽様の護衛並びに稽古の相手をして欲しいと頼まれたことがる。

 

だがそれを妻である局様がまだ早いとお止められていた。

 

それは俺も同感だ。

 

まだ未発達の子供を稽古すると体が壊れやすくなる。

 

将は例外だ。

 

あれを俺は7歳として見てはいない。

 

しかし将を見るに揚羽様ももう良いかも知れん。

 

あの方ももうすぐ10歳、帝様に進言するのも良いかもな。

 

将にも良い刺激になろう。

 

「それは帝様に頼まれたからかい?」

 

「いや、今回の件に帝様は最初しか関与していない、弟子を取るにしても俺の考えだ」

 

「そうですか、いやしかしあなたが…」

 

「なんだクラウディオ、そんなに意外か」

 

実際は俺自身も意外なのだがな…。

 

「えぇ、驚きです」

 

「そうか…」

 

その時に入口の扉が開いた。

 

 

SIDE ~将~

 

 

扉を開けたら机に両肘を付いているヒュームの姿(いわゆるゲンドウのポーズ)そして前にいる二人組は…。

 

確か原作で見たはずだが覚えていない。

 

「クラウディオ、マープル、これが俺の弟子の将だ」

 

あっ、やっぱり弟子なんですね。

 

「ほう、この方が…、若すぎませんか?」

 

「いや、若すぎるだろうよ」

 

確かに俺はまだ7歳なんだよね、自分でも忘れがちだが。

 

「将、貴様はもう帰れ、その執事服は返さなくてもいいぞ」

 

「おkおk、んじゃ帰るわ」

 

って言うかクラウディオにマープルね…。

 

覚えといて損はないだろう。

 

俺は振り返り扉に脚を進める、扉を開き、出る直前で少し耳をクラウディオやマープルの方に傾ける。

 

ここ大事、ヒュームではなく、クラウディオやマープル。

 

もしもヒュームに傾けたらすぐにバレていただろう。

 

そして部屋を出て扉をゆっくり閉める。

 

閉めた後は廊下を歩き、エレベーターに乗りながらさっき聞こえた事を整理する。

 

聞こえた単語は、『武士道プラン』『弁慶達』『島』これぐらいだ。

 

ふと頭に残っている原作を思い出してみる。

 

武士道プランは確か偉人のクローンだったか?

 

そして弁慶達、他のクローンの名前は思い出せん。

 

そして島、これはおそらくその偉人のクローン達、言い方が悪いな。

 

弁慶達は島で生活をしていると言うことだろう。

 

まぁ、今無理に考えなくともいずれわかるだろう。

 

しかし今更ながら介入するかどうかだが、別に無理に介入しなくともいいか。

 

正直細かく覚えていないし。

 

九鬼社の美人な受付嬢に笑顔で挨拶を交わし、社を出る。

 

適当にタクシーを拾い、家に向かう。

 

さて、あんの糞親父はどうしてくれようか。

 

なんて事を考えながら家に帰宅した。

 

 

 

 

 

 



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第十話 ~夏休みが無人島で潰れた件について~

 

 

8月ももうあと僅か、不真面目な学生でも宿題の追い込みに入る時期である。

 

しかしこの俺、神崎将は夏休みが入った途端に金髪の不良執事に誘拐されてたのであった。

 

解放されたのはつい先日…、まさに昨日だ。

 

そんな俺が小学校から出た宿題もやっているはずがなく、ただいま必死こいて取り組んでいる状態であるっ!!

 

小学生の宿題だと思って甘く思うことなかれ、大人達は小学生に質は求めず、量を求めるのである。

 

つまりは量が半端ではないのである。

 

でた課題は、算数ドリル、漢字ドリル、ポスター、自由研究、習字、読書感想文、そして最後に絵日記……。

 

あと2日でやれないこともないがめんどくせぇーーーーーー。

 

そして一番の難関は絵日記である。

 

ありのままを書けって?

 

夏休み初日に誘拐され、無人島生活で死ぬ気の鬼ごっこやって、滝から落ちて、電撃の拷問受けて、ひたすら虐められてたと書けと?

 

間違いなく嘘つき呼ばわりされるわっ!!

 

俺はこれでも外面は良く、模範的な優等生なのである。

 

今までの積み上げてきた世間体を崩してたまるか!!

 

い、いや待てよ?

 

また優等生で行くと面白みのない人生になるのでは?

 

だ、だがしかし…、いきなりこの絵日記はハードルが高すぎる気がするぞ?

 

く…、なんてくだらないことで悩んでるんだ!?

 

はぁ~、しかたがない、嘘と現実を混ぜよう。

 

え~っと、一日目。

 

『お父さんの友人と一緒に一ヶ月ほど田舎の島に遊びに行きました。』

 

二日目。

 

『木がたくさんあり、大きな滝もありました。』

 

五日目。

 

『お父さんの友人と川で釣りをして魚をいっぱい取りました。』

 

七日目。

 

『お父さんの友達と鬼ごっこをしました。とても早かったです。』

 

十五日目。

 

『川に電気ウナギがいて、体中が痺れました。しばらく動けなかったです。』

 

~~~~~

 

よし、こんなもんでいいだろう。

 

さて次はドリルでも――

 

ピンポーン。

 

ん?

 

誰だ?

 

ピンポーン。

 

そう言えば今両親どっちも出かけてるんだっけか。

 

確か母さんはご近所さんとお茶だっけ、そして糞親父は何か仕事関係の友人と飲みに行くとかで今夜は帰らないんだっけな。

 

そうそう、あれから親父と一体一の時はしばらく遠慮せずにタメ語にすることにした。

 

一応はしばらくである。

 

親父が言うには修行の内容は一切知らんらしいし、土下座して謝ってきたので渋々許そうと思う。

 

「はーい、今でまーす」

 

俺はリビングを出て玄関に向かい、扉を開ける。

 

そこにいたのは3人の少年だった。

 

と言うか同じクラスの少年A、B、Cだった。

 

「しょー君、あーそーぼー」

 

「「あそぼー」」

 

先ほど言った模範的な優等生の俺の定義は、適度に勉強できて、先生の言う事をよく聞き、クラスメートの面倒を適度に見ることである。

 

そのためクラスでは一応はお兄さん的ポジションなのである。

 

なのであるが…、何で家を知ってるし。

 

「それはねー、なんとしょー君のママは今僕ん家にいるからなのです!」

 

「「いるからなのです!」」

 

っ!?

 

こやつ、心を読みおった!?

 

「やだなー、顔に書いてあるよ~」

 

「「あるよ~」」

 

あなどれんな、少年Aよ!!

 

そしてBとCよ、お前ら一生BとCな。

 

Aは今後の活躍次第だ。

 

「それでねー、近くの空き地に遊びに行こうよ」

 

「「行k「ごめんね、留守番してなきゃいけないんだ」う…よ…。」」

 

言わせんぞBとCよ。

 

「大丈夫だよ~、しょー君のママからは許可とったから!」

 

何その根回しの良さっ!

 

A、何て恐ろしい子っ!?

 

だがしかし、ここで遊びに行っては明日はマジで宿題地獄だ。

 

だからといって宿題を理由にはできない、それは俺が模範的な優等生だからである。

 

…本音は小学生の宿題をまだ終わってないことを言うのは、精神年齢がおじさんな俺にはできないからである…。

 

だがあれやこれやと理由を付けたが少年A、と言うよりもBとCが何故か泣き出してしまった。

 

流石に近所さんの目が厳しく(精神年齢がおじさんにはそう見えた)諦めてついて行ってしまったよ。

 

だがまさかここで運命が大きく左右されるとは誰も思わなかった…。

 

 

SIDE ~OUT~

 

 

 

 

SIDE ~BAR THE GRIZZLY~

 

 

ここはある県に存在する、裏通りのBAR。

 

ここは訳ありの客が集まる店である。

 

ここでのルールは3つ。

 

1、人の詮索をしない。

 

2、ここで聞いた話は他言無用。

 

3、喧嘩は御法度。

 

これらさえ守ればどんな奴であろうと差別や区別なく歓迎する。

 

例えここに総理大臣が来ようと一人の客として持て成す。

 

例えここに武神が来ようとルールを守らなければ出入り禁止だ。

 

だからここに来る客は自然に静かな雰囲気を持つお客ばかりだ。

 

ばかりなのだが…、ここに一人例外がいたようだ。

 

見た目は30歳前後の男、スーツを着てカウンターに座りバーボンを片手に持って飲んでいる。

 

「ヒック…、なんだよなんだよ、秋恵も将も俺のこと邪魔者みたいに…、扱いやがって!!」

 

一言で表すならば自棄酒である。

 

「将也、わかったから少しは落ち着け」

 

それを止めるように言う連れは同じく30歳前後の、同じくスーツ姿の男。

 

髪の色は付け根辺りは白、そこから毛先に行く程黒くなっている長髪の男。

 

「景清~、俺はいったいどうすればいいんだ…」

 

「まずは水を飲め、何で私がお前を慰めなければならないんだ」

 

「うぅ~、冷てーよ~、俺の周りみんな冷てーよ~…」

 

ふたりの雰囲気からすると友人である様に思えるし、ただの知り合いにも見える。

 

「まぁ、俺の息子は素直でまだまだ甘えん坊だからな」

 

「将だってな~、将だって…、……ヒュームめ、今度会ったら覚えてろお~」

 

「しかしそうか、いずれ大和にも反抗期が来るのかもしれんのか」

 

ただの親バカコンビであった。

 

「だが将君か、興味があるな」

 

「んだよ~、将はやらんぞ!?」

 

「いらんよ、……あの九鬼の一位に認められる、か…」

 

「あん?最後声小さくて聞こえなかったぞ~?………」

 

「なんでもないさ、いずれ会わせてくれよ?大和と良い友達になれるかもしれんからな」

 

なんて長髪の男がいうが自棄酒の男は酒が回りきったのかうつ伏せで寝ていた。

 

BAR THE GRIZZLYの夜はまだまだ明けない…。

 

 

 

 

 



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