雷電D×D (生麺です)
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雷電D×D リメイク前
斬ノ壱 転生雷電起動


目を覚ますとそこは、普通に俺の部屋だった。

 

......一部を除いて。

 

「起きたか」

 

その一部が話しかけてきたなう。

 

「どうかしたか?」

 

いや、どうしたも何もねぇ。

 

「メカニカル狼モドキが自室にいたらビビるだろ普通」

 

「メカニカル狼モドキ...まぁいい、いやよくないが、あぁだが...」

 

なんかうんうん唸り始めたんだが。

ってかなんかこのメカニカル狼モドキ何かで見た事あるような無いような。

 

「というよりお前は一体何者なんだ」

 

「...ハッ、俺はブレードウルフ。お前の説明役兼サポート要員と言った所だ」

 

ブレードウルフ...?なんだろうすぐそこまで出かかってるんだが思い出せん。

 

「って事はこの状況に対する説明ってブレードウルフ?がしてくれるのか?」

 

「その通りだ。本来なら神と直接会うことになるんだが、最近は何故かお前のような予定外の死人が増えていて神も忙しいらしくてな、会っている余裕は無いそうだ」

 

予定外の死人が増えるって異常事態じゃね?とか思いながらも大人しく話を聞く。

 

「だから転生した者達には俺の様な特典内容に合わせたサポートが付く事になっている」

 

特典内容...?

ブレードウルフ......あ。

 

「思い出した!お前、ライジングのウルフか!!」

 

「やっと思い出したようだな」

 

「つまり、ブレードウルフが説明役って事は俺は雷電だったりするのか!?」

 

「ああ、概ね正解だ」

 

「てことは何か?もしかしてサイボーグになったのか?」

 

「いや、そこは変わらず人間のままだ」

 

俺はその言葉に安堵するが、ウルフ”ただ”と話を続ける。

 

「容姿が雷電になっている」

 

What?

 

「鏡だ、見てみるといい」

 

ウルフはそう言って器用に手鏡を咥えて差し出してきた。

 

俺は覚悟を決めて鏡を受け取り覗き込んだ。

 

「ハハッ、まじで雷電じゃねぇか」

 

そこには慣れ親しんだ自分の顔ではなく、多少の違いはあるがメタルギアライジングの時の雷電を若くした様な顔がこちらを見ていた。(違いと言っても左目があるとか、顎が普通だったり、サイボーグ要素がなくなった程度)

 

「イケメンに憧れたりはしたが実際になるとなんとも言えない感情が...」

 

この場には俺とウルフしかいないから、これが自分だというのは分かるが、あまり実感が沸かないというか......なぁ?

死んだと思って目が覚めたら顔が変わってましたってなんのドッキリだよ、しかもなんかかなり若いし。

 

「驚いているようだが変化は顔だけじゃないぞ」

 

そう言われてとりあえず鏡を持つ手を見る。

 

「俺こんなに肌が白い上に手が小さい......まさか!?」

 

「言っただろう。変化は顔だけじゃないと」

 

立ち上がってみるとやはり視点が異様に低い。

それ以外にも腕に視線を移動させると、子供にしてはやたら筋肉質だが小さく短い手足が視界に入る。

 

「...完全に子供だな」

 

「ああ」

 

どうやら俺は子供雷電になっているようだ。

 

「まぁ、なっちまったもんは仕方ない。問題はこれから俺が何をすりゃいいかだな」

 

「安心しろ、そのための説明役だ。そうだな、まずは今の状況を簡潔に説明しよう」

 

「頼む」

 

「お前は死んだ。これは覚えているな?」

 

「...ああ」

 

「それはさっきも言ったがお前が予定外の死人に分類される存在だからだ。そして、この部屋だが生前...今も生きているから前世とでも言うのか、その時のお前が住んでいた部屋の一室を再現してある」

 

「つまり前世の俺の部屋とはまた何かが違うって事か?」

 

「部屋、というよりは家だな。この部屋はそのままだが家が全く違う物に変化している。後で確認しておくといい」

 

部屋は同じでも家が違うとはこりゃまた変な話だな。

 

「そして、そもそも前世とはそもそも世界が違う。比喩的な意味ではなく、実際に世界そのものが違う」

 

What?(2回目)

 

「あれか?所謂、転生って奴か?」

 

「簡単に言えばそういう事だな。この世界はある物語の世界を再現して構築された世界だ。勿論、キャラ達一人一人が生きて生活している」

 

なんともまぁ不思議な事で。

 

「最後にお前の事だが特典は雷電の容姿だけではなく、身体能力の強化とライジング時の装備が含まれている」

 

「.........は?」

 

「といっても義体は体に纏うアーマーになっている上に、特殊作戦用義体のみで、武器もある条件を満たさなければ高周波ブレードとナイフのみだがな」

 

十分強くないですかねそれ?

 

「ああ、だがこの世界は危険に満ち溢れている。魔法もあれば悪魔や天使、堕天使、ドラゴン、神なんてのが普通にいる世界だ。簡単に死なれても困るという訳らしい。

ただ、お前の装備は神の生み出した神器という物という扱いにしてある。むしろそれが原因で狙われる可能性もある」

 

「いや、狙われる理由作ってどうすんだよ...」

 

「まぁ普通に考えたら逆効果だな。

だが、持っていなくとも転生した者は争いに巻き込まれやすい傾向がある。

死にたくないのであれば、多少危険は増えても力を持っておくに越したことはない」

 

アッ、ハイ

 

「ところで、話は変わるが名前はどうするつもりだ?前世と同じように名乗るか?」

 

「名前...?随分と話が飛んだな

 

「こちらにも色々手順があるんだ。

今は例えるならゲームのキャラクタークリエイトの段階だな」

 

「キャラクリねぇ...」

 

名前か...そうだな、せっかくの新しい人生。名を変えて生きるのもいいかもしれない。......もらった特典に準じて『雷電』とでも名乗る事にしよう。

 

だが、苗字がないと不自然だな...これも特典から考える事にしよう。

 

雷電は名前に使うとして...関連性を持たせるなら武器か?

高周波ブレード、斬る、斬り裂く、斬り裂き、きりさき、霧崎。

 

うむ、決定!俺の名前は『霧崎 雷電《きりさき らいでん》』だ。

ざっくり決めたがこんなのは勢いだ勢い。

 

「という訳で今日から俺は霧崎 雷電だ。よろしくウルフ」

 

「ああ、なにがというわけでなのかは分からないがよろしく雷電」

 

こうして俺の新しい人生が幕を開ける。




ウェイ、これを読んでくれた物好きなキミ!
大歓迎だぜ!
ただ、万一次が見たいとか思っても次回とかはあんまり期待せずに待って欲しかったりする。


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斬ノ弐 如何にもな急展開

急展開を乱発する物語はギャグ物かただのクソ及び、それをも乗り越えた神作だァァ(*゚∀゚*)
うちのは勿論前二つだぜ( ゚∀゚)ヒャッハァ!


よう、新しい人生を謳歌してる雷電だ。

 

あれから相当時間が飛んでるが気にするな!

今は身長も伸びて、転生したばかりの時は本家雷電さんほどデカくなるのかとか思ってた体が高校二年生になって本家雷電さん身長(調べたところ約180cm程らしい)に追い付いた時はビビったわ。

 

ちなみに、後で分かったんだが俺は最初は小学生という微妙な年齢でのスタートとだったらしく、その件についてウルフに問を投げた事があった。

するとウルフ曰く、神の趣味で選ばれた物語がベースの世界なので原作が始まる前の方が色々介入してくれそうで神的に面白いのと、もっと幼い時からも出来るが原作開始まで待てないから嫌だとか何とか。

 

ガキか!!

 

っていうか忙しいんじゃなかったのか。

 

「逆に忙しいから早く娯楽要素が欲しかった......?」

 

「急に立ち止まってどうした霧崎?」

 

「あぁ、いえ大丈夫です。少し考え事をしてました」

 

先生に言われて気付いたが、どうやら無意識立ち止まってしまっていたらしい。

 

「まぁ、転校初日じゃ不安になるのも仕方ないか」

 

「すいません、転校なんて初めてなもので...」

 

「そうそうするような経験でもないしな。でもそう緊張せずともうちのクラスは変わった奴は多いが、いいやつばっかりだからな!すぐに仲良くなれると思うぞ!」

 

先生は笑顔でそう言って再び歩き始めた。

 

あ、そういえば今の状況を説明して無かったな。

今は色々あって転校生として物語の舞台となるらしい駒王学園に来ている。

転校生とは言うものの、俺は元々用事で各地を転々としていたせいで学校には通っていなかった。

故に正規の手続きを踏まず、色々あって知り合ったこの学校の理事長に頼み、戸籍や経歴等諸々改竄してもらい転校生という枠に収まった訳だ。

 

完全に犯罪行為な訳だが、流石に転入生学歴無しは問題だ。

それに少々特殊な環境故に不正が明るみに出ることはまず無い。

 

「よし着いたぞ。ここが俺の受け持ってるクラスだ」

 

色々と思い返しているうちに教室に着いていた様だ。

先生は「呼んだら入ってきてくれ」と一言残すと教室の中に入って行く。

 

改めて微妙に緊張してきたな。

まぁ、なるようにしかならない訳だし気楽に行かせてもらうとしよう。

 

 

▽▲▽▲▽

 

 

俺の名前は『兵藤一誠(ひょうどういっせい)』だ!

皆にはイッセーって呼ばれてるぜ!

好きな物はおっぱいだ!

 

今日も松田と浜本の二人とエロ本を広げて談義していたが、なんとなく教室の雰囲気が微妙に違うことに気が付いた。

 

「なぁ、なんで今日は皆こんなにソワソワしてるんだ?」

 

それが気になり二人に聞いてみると呆れた顔で答えを返してくる。

 

「そんな事も知らないのか?

詳しくは分からないけど転校生が来るんだってよ」

 

転校生か...。

 

「その転校生ってのは女子なのか?」

 

「いや、残念ながら男らしい」

 

まぁ、それもそうか。

女子なら二人がこんなに興味なさげにしてるわけがないしな。

 

「しかもだ!噂によれば銀髪で長身のイケメンだそうだ!」

 

「どこのアニメ主人公だよ...敵だな」

 

「あぁ、イケメンは敵だ」

 

「イケメン死すべき慈悲は無い」

 

ただ、その特徴に何か憶えがある様な無い様な......?

 

ガラッ

 

「よーし皆、席につけ〜出席取るぞ」

 

俺達がイケメンに対する敵意を燃やしていると、先生が教室に入って来てそう言った。

 

「よし、全員いるな!」

 

先生は名簿を置くともったいぶった様子で噂の転校生について話し始めた。

 

「でだ、ほとんど皆知ってるとは思うがこのクラスに転校生が来る!」

 

「センセー、噂では銀髪のイケメンって聞いたんですけど本当ですか!!」

 

1人の女子生徒が興奮気味に聞いた。

 

「流石に耳が早いな!喜べ!噂通りの超イケメンだぞ!」

 

先生のその一言で女子達は色めき立つが、対照的に男子は殺意の波動に目覚めていた。

 

「よし、じゃあそろそろ噂のイケメン君に入って来てもらおうか。霧崎入ってこ〜い!」

 

ガラッ

 

その呼び掛けに応えて入って来たのは、とても高校生とは思えない様な大人びた雰囲気を纏った噂通りの銀髪長身のイケメンだった。

 

「霧崎 雷電だ。中途半端な時期での転校ではあるが、少しでも早く皆と仲良くなれるよう努力するのでよろしく頼む」

 

そう言ってあいつは僅かに微笑んだ。

 

_____瞬間。

 

「きゃあああああ!!!!!」

 

「リアル銀髪イケメンよ!!」

 

「服の上からでもわかる鍛え上げられた肉体!!」

 

「二大お姉様に続き二大イケメンの誕生だわ!!!」

 

「木場×霧崎!?霧崎×木場!?ヒャアアアアアアア!!!!!」

 

「我世の春が来たァァァアアアア!!!!!!」

 

......怖ッ!



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斬ノ参 昔馴染みの変態

三話目にして既に作者の目からしても謎が多い。


よう、皆が叫ぶ程のスーパーイケメン雷電だ。

 

......ごめん、今の無しで。

そんでもって、冗談はさておき女子生徒達の絶叫で雷電さんフェイスがマジでイケメンって事は改めて理解させられたわ。

後、木場が誰かは知らんが俺とそいつの為にもBLはやめてくれマジで。

 

「お前ら元気なのはいいが、あんまり五月蝿いと他のクラスに迷惑がかかるからもう少し抑えような」

 

あまりの大音量に先生も引き気味に注意する。

 

「「「はーい!」」」

 

そこは素直に了承するのか...。

 

「ただまぁ聞きたい事もあるだろうし、質問タイムを設ける!!」

 

「待ってましたァ!!」

 

「さすが先生わかってるぅ~!」

 

「ハハハ!そうだろう?ま、男子は退屈だろうけどな」

 

ハイテンションで先生を褒め称える女子生徒達に返答しつつ少ない男子生徒達に視線を向ける。

 

その視線の先にいる生徒、兵藤一誠は何かを思い出そうとしている様だがなかなか思い出せないようでもんもんとしているようだ。

そして自分に視線が向いていることに気付き何だか気まずそうな表情をしながら口を開いた。

 

「なあ、ど「霧崎君の髪すごく綺麗で染めてるように見えないんだけど地毛なの?」

 

が、1人の女子生徒と同時に話し始めた事で少しばかり声が大きかった女子生徒の質問にかき消されてしまった。

 

「ああ、かなり特殊だとは思うが地毛だ」

 

「ハーフとかなんですか?」

 

「いや、両親共に日本人だった筈だ。考えられるのは祖先とかからの隔世遺伝とかじゃないか?」

 

「ご、ご趣味などはあ、あ、あるのでしょうか!!?」

 

「何でそんなお見合いみたいなんだ?趣味か、うーむ趣味と言えるかは分からないがトレーニングは好んでやっているな」

 

「こここ、恋人とかはいるんですかァァァ!!!」

 

「「「確かに気になる!!」」」

 

「息ぴったりだな君達......残念ながらあまり出会いに恵まれなかったせいか恋人はいないな」

 

俺がそう言うと意外だったのか女子達だけではなく

男子達までざわつき始めた。

 

「意外すぎる」

 

「絶対いると思ってたけどワンチャン...」

 

「あんなにイケメンなのにフリーだなんて魅力的すぎるッ」

 

「あんなにイケメンなら選り取りみどりだろうに」

 

「これでカップリングが組みやすく......ぐふふふふ」

 

......最後のは絶対さっきと同一人物だろ。

 

「まぁ、何はともあれこれからよろしく」

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

どうも兵藤一誠です。

 

喋ろうとしたら女子達にセリフを完全封殺されました。

 

ちなみに言おうと思ったのは『なぁ、どこかで会ったことないか?』だ。

典型的なナンパのセリフみたいだが、どうにも銀髪とライデンという名前がどこか引っ掛かる。

何か大事なことを忘れているような...。

 

一人でウンウンと頭をひねっていると周りの視線が俺に向いているのを感じた。

何かと思い顔を上げるとそこには

 

「一誠、何をひとりで唸っている」

 

銀髪のイケメンフェイスが目の前にあった。

 

「うおおぉぉぉ!!?!?」

 

ガタンッ

 

突然の事に驚いた俺は勢い良く立ち上がってしまい、その拍子に椅子が大きな音を立てて倒れた。

 

「おぉう、相変わらず無駄に元気だな一誠」

 

俺が状況を把握出来ていない中、目の前のイケメンフェイス......雷電はそんな事を言う。

 

「ん?相変わらずって!やっぱりお前『ライデン』か!?」

 

「やっと思い出した様だな」

 

呆れた顔でそう言ってくるこいつは、やっぱり子供の頃に近所の公園でよく遊んでいた『ライデン』と同一人物らしい。

 

「久しぶりじゃねぇかライデン!お前急に居なくなったと思えば一体今までどこで何してたんだよ?」

 

「あぁ......まぁ、軽く世界を巡ってた的な?」

 

「子供のする事じゃなくねそれ!?」

 

そう、何を驚いているかといえばこいつが失踪、もとい旅立ったのはなんと7歳。

丁度小学校一年生に値する年齢だったのだ。

 

「気にするな」

 

「いや、気になるわ!!」

 

「そうか、なら今度別の機会にでも話してやろう。色々あったから話す内容には困らないしな」

 

「お、おう」

 

話が一段落すると近くにいた女子がライデンに若干興奮気味に質問を投げかける。

 

「霧崎君って変態兵藤と知り合いなんですか!?」

 

「ああ、子供の時に少しな。って変態?」

 

「そうなんですよ!兵藤の奴、そこの松田と浜本と一緒に変態トリオなんて呼ばれるほどの変態なんです!!」

 

「ほう...」

 

ライデンが俺を見る目が少し鋭くなる。あ、ヤバイやつだこれ。

 

「そうそう!覗きはするわ教室でエロ本広げてニヤニヤしてるわ本当に最低!!」

 

「そうか......」

 

ギンッっという音が聞こえてきそうな程に目付きが鋭く変わって俺を睨んでいる。

 

「......一誠」

 

「ハイィィィ!!!」

 

「俺がいない間に随分と変わってしまったようだなぁ......かなしいなぁ」

 

あぁ、何故かライデンから赤いオーラみたいな物が......死んだな。

 

「お 仕 置 き の 時間 だ」

 

現在、不適切な映像が流れております。しばらくお待ち下さい。

 

数分後、そこには魂が抜けた様に突っ伏している一誠とそれを見下ろす雷電の姿があったとかなんとか。




今はテンポよく投稿してますがあと二話ほどでストック消えます。


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斬ノ肆 友人と病み

なんかさぁ、本当ねぇ...。

何でこうなるッ!!(バナージ風


よう!変態に裁きの鉄槌を下す男、雷電だ。

 

転校から一ヶ月が経ち、学校生活の裏で”お仕事”をこなしつつウルフに情報収集を頼み、ある程度この駒王学園を取り巻く環境は把握出来た。

それと同時に発覚した衝撃の事実があった。

 

知り合いの悪魔がいっぱい居ました。

うん、説明も無しに何言ってんだと思うだろうけどさ。

 

残念だけどこれ、事実なのよね。

 

たださぁ、何で魔王の血縁者が二人もいるのかって話だよ。

 

しかも片方は完全に知り合いだったし、もう片方も本人とは面識は無いが親族と知り合いだし。

何でこんなとこにソーナがいるんだよとか、おいサーゼクスてめぇ色々と聞いてねぇぞとか思ったんだけどさ、何時ぞやセラ...あぁ、セラっていうのはセラフォルー・レヴィアタンっていう魔王の一人でシスコンの変人だ。

さっき言ったソーナの姉で色々あって世話になった事がある。

 

そんでもって話を戻すが、何時ぞやセラが「ソーたんが人間界の学校に通う」だのなんだの言ってたがここだったのか。

まぁ、普通に考えれば悪魔が安心して通える学校なぞここ以外にはほぼ無いだろうし当然なのだろうが。

 

「どうしたんだい雷電君、考え事かい?」

 

「あぁ、すまない祐斗。大した事じゃないんだが、少し気になる事があってな」

 

「そうかい?でも、もし悩み事とかなら相談に乗るよ?」

 

「ありがとう、その時はそうさせてもらおう」

 

「うん、期待して待ってるよ」

 

そう言って祐斗は食事を再開する。

説明が遅れたが目の前にいるコイツは『木場 祐斗(きば ゆうと)』といい、通称イケメン王子だそうだ。

転校初日にも木場の名が出てたと思うがその木場だ。

最近では俺と祐斗の二人で二大イケメンとやらになってるとかなんとか。

 

何故、俺が祐斗と仲がいいのかって?

なんとなく気になって会いに行ってみたら、意外と気が合ってそれからはよく今みたいに昼飯を一緒に食ったりしてる。

 

ただ、そのせいで俺が祐斗に気があるのではないかと言う疑惑が浮上したのは誤算だった。

俺はホモじゃねぇ。

 

あ、あと祐斗も件の悪魔の一人だ。

別にどうする訳でもないが一応説明の一部としてな。

祐斗には俺がそういった悪魔とかの裏の事情にも関わってる事は言ってある。祐斗に教えるという事は彼の王『リアス・グレモリー』にも伝わる事になるのだが、結局ソーナ経由でバレる事は確定なので先に伝えてある。

人伝にバレるよりは自己申告しておいた方が過度の警戒をされずに済む場合もあるしな。

 

ちなみに分かる人は分かるだろうが、リアス・グレモリーというのは先程言ったソーナでは無いもう一人の魔王の血縁者だ。

 

後、王云々というのはチェスの駒を模して作られた悪魔の駒というものがあるのだが、その悪魔の駒は他種族を悪魔に転生させることが出来る不思議アイテムで、転生させられた者達は眷属としてその王に付き従うとかそういう感じ。

悪魔の種の減少を危惧して作られたそうだが、相手の意思を無視して強制的に転生させることも出来るなど問題も多い。

詳しい事は別の機会にでも話すとして、何が言いたいかと言えば祐斗はその眷属だとそういう事。

 

「そういえば雷電君は部活とかは決めたのかい?」

 

「いや、まだだ。イマイチピンと来るものがなくてな」

 

俺がそう返すと祐斗は少し悩んだ末にこう言った。

 

「ならオカルト研究部に見学に来てみないかい?」

 

「オカルト研究部ねぇ、お前の所の王様に遂に目を付けられたか」

 

「ごめんね、僕も眷属だから報告しない訳にもいかないからさ」

 

「あぁ、別に責めてる訳じゃない。どうせソーナ辺りから伝わるだろうしな」

 

「うんそれでもごめんね」

 

本当にコイツは......外も内もイケメンとかハイスペック過ぎるだろ。

 

「わかったよ、一応その謝罪は受け取っておく。ただ本当に気にしてないからお前も気にするな」

 

「うん、わかったよ。で、来てくれるかい?」

 

「友人の頼みは断れないな。ただ見学って言うのも建前だろ?眷属を纏めている部に俺を入れる訳無いだろうしな」

 

「うーん、どうだろうね?部長は話を聞きたいから連れてくるようにとしか言ってなかったから」

 

「ま、行けば分かるか。今日の放課後でいいのか?」

 

「うん、部室は旧校舎にあるんだけど分かるかい?なんなら教室まで迎えに行くけど」

 

「大丈夫だ。それにお前が俺を呼びに教室にまで来たらまた変な噂が立つ。確実に」

 

「ハハ...そうだね、流石に僕もそれは望むところではないし。じゃあ放課後忘れないでね」

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

そして時はキンクリされ放課後。

 

俺は旧校舎のオカルト研究部の部室前までやってきた。

とりあえずノックをして名乗る。

 

「すいません、二年の霧崎です。見学に来ました」

 

中から足音が近付くのが聞こえて扉が開く。

 

「いらっしゃい雷電君」

 

中から出てきたのは祐斗だった。

 

「よう祐斗。忘れずに来たぞ」

 

「ごめんね、せっかく来てもらったけど部長はいまシャワーを浴びてるんだ。少し座って待っててもらえるかな?」

 

シャワーもあるのかこの部室は...。

 

「ああ、わかった」

 

そう言ってとりあえず、めっちゃ羊羹食べてる見覚えのある白髪の女の子の前に座る。

 

「どうぞ、紅茶ですわ」

 

コトリ、と俺の前にソーサーとカップが置かれる。

 

「ありがとうございます、姫島先輩」

 

「あらあら、私の事ご存知ですの?」

 

「ええ、二大お姉様でしたっけ?その称号でも有名ですし、姫島先輩程の美人は早々いませんから一度見たら忘れませんよ」

 

というかそんな称号を貰う人が両方オカルト研究部ってかなりミスマッチな感じだな。

 

「うふふ、お世辞でもうれしいですわ」

 

「世辞を言える程に利口ではありませんよ、本心です」

 

目に怪しい光が灯っているのはともかく、とても素敵な美人さんだと思う。

そんなやり取りをしていると、正面の席から殺気を感じた......殺気!?

 

「ハッ!?」

 

殺気の放たれている元凶へと向き直る......と同時に放たれる小さく鋭い何か。

 

それを視界に捉えると同時に視界に映っているもの全てがスローモーションのように変わる。

所謂『斬撃モード』の応用だ。

カップに伸ばしていた手をその小さい何かを止める為に動かし、人差し指と中指の2本の指で挟み押しとどめる。

完全に勢いを殺すと同時に遅くなっていた視界も戻り、俺はその掴み取った物を見る。

 

「楊枝?」

 

それは羊羹などの和菓子を食べる時に使用される木製の楊枝だった。

当然それは先程から羊羹を食べていた正面の座席に座る白髪の小柄な少女から放たれたのは明白なのだが......

 

「えっと、たしか君は塔城小猫さんだよな?初対面だと思うんだが」

 

「......はい」

 

塔城さんは所謂ジト目というヤツで俺を見ながらコクリと頷く。

 

「すまない、もしかすると私は君の気に障る様な事をしてしまったのだろうか?」

 

「......いえ、そういう事では無いんですが」

 

そう言って塔城さんは俯いてしまう。

 

「すまない、言い辛いとも思うが言ってくれれば直すが」

 

「......そういう事じゃ無い、です」

 

そして無言になる塔城さん。

気まずい......俺は一体何をしたんだぁぁぁ!?

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

......どうも、塔城小猫です。

 

今、私は予想もしていなかった出来事にかなり動揺しています。

 

......そうは見えなくてもしているんです。

 

その証拠に普段なら絶対にしない様な事をしてしまいました。

 

「楊枝?」

 

久しくお会いする事の出来なかった”ご主人様”を目の前に舞い上がっていた私は朱乃先輩と楽しげに会話をしているご主人様を見てつい、自分が羊羹を食べるのに使っていた楊枝を投げつけてしまいました。

それを難無く防ぐご主人様は流石としか言い様がありませんが、とんでもない事をしてしまいました。

でもご主人様も私を無視して朱乃先輩にデレデレしてたのは頂けません。

 

「えっと、たしか君は塔城小猫さんだよな?初対面だと思うんだが」

 

「......はい」

 

そういえばご主人様には猫の姿しか見せた事は無いんでしたっけ......。

忘れられたのかと思って一瞬心臓が止まりかけました。

 

え?さっきから私がご主人様と呼んでいるのは何故って?

そんなのご主人様はご主人様だからです。

ご主人様は過去に傷付いた私とお姉様を助けて下さった命の恩人であり、私がこの世で最も愛する御方です。

 

「すまない、もしかすると私は君の気に障る様な事をしてしまったのだろうか?」

 

助けて下さった後も私達を家族だと言って受け入れてくれました。

その後、とある事情で私もお姉様もご主人様の元を離れましたがご主人様への愛は薄れるどころか日に日に強さを増し、一ヶ月前にご主人様が転入されたのを知った時は授業が終わり次第すぐさまご主人様の教室へ行き、実際に目にした瞬間に胸と下腹部が熱を持ってしまい、その処理には苦労しました。

 

「......そういう事じゃ無い、です」

 

そう私はご主人様が私とお姉様以外の女の人にデレデレしているのが嫌なだけなんです。

それに今は朱乃先輩がいるから滅多なことは出来ません。非常にもどかしいです。

あぁ、愛しのご主人様。今すぐにでも貴方に愛してもらいたい......。

大好きですよご主人様。




はい、という訳で小猫ちゃんが病んでました。

うん言いたい事は分かる......だからその手に持った武器を置いて下さいお願いします。

...本来、私も誰かをヤンデレキャラにする気は一切無かったんですよ。
何か色々とノリに乗った状態で手が動いて書き上がるまでおかしいとすら思っていなくて、確認のために読み返してて初めてあれ?ってなっておかしいことに気付くという......。

ヤンデレ好きがここで影響してくるとは......。

思い付き作品だし、しょうがないね(*゚∀゚*)
こんな急展開系思い付き二次創作にお付き合い頂ける方は次回も見てくれると嬉しいぜ!


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斬ノ伍 ペーパーカッター雷電

完全にただの繋ぎのお話になった。

思い付き作品と明言してるのだから大丈夫なはず......。

後、沢山のお気に入りありがとうございます(*゚∀゚*)
まだ投稿し始めてからそんな期間経ってないのにお気に入り80越えしてて目を疑いました。

思い付き故のガバガバさ加減で失望されないか心配ですが、これからも頑張りますのでよろしくお願いします_|\○_


よ、よう、雷電君デスヨ。

 

塔城さんはあの後も、黙ったままだし姫島先輩はそれを見てニコニコしてるだけだし祐斗に関しては部屋入ってから喋っていない。

一応、楊枝投げ付けられてるんですがそれは......。

 

あぁ、紅茶が美味しい。

 

「ごめんなさい、待たせてしまって」

 

現実逃避気味に紅茶を飲んでいると、そんな言葉が耳に入りシャワールームから紅い髪の女性、オカルト研究部の部長にして眷属を束ねる王『リアス・グレモリー』が姿を現した。

 

......タオル一枚で。

 

「え、えぇ、あ、いや全然別に、大丈夫で、スゥゥン!?!?」

 

とりあえず立ち上がり挨拶しようとするも、目のやり場に困って視線を逸らすが、その努力も虚しくどうしてもその豊満な胸や綺麗なふとももに行きそいうになってしまう。

 

するとどういう事だろうか。

 

___また飛んできた。先程よりも増大した殺気と共に。

 

「楊枝ェ...」

 

塔城さん二度目の楊枝アタック。しかもファーストアタックよりも威力が高い。

学園のマスコットなどと呼ばれる彼女の意外な、それこそ一気に印象が変わりそうな以外な一面を二度も目の当たりにする事となろうとは......。

 

「小猫、彼は私が呼んだ客なのよ?軽はずみな行動は控えて頂戴」

 

「......すみません」

 

そう言って大人しく座り直すが、如何せんこちらを見つめる目が怖い。

睨まれてるのでは無く、光を失った様な目でただ俺を見据えているだけなのだがそれが非常に怖い。

 

本当に俺は何をしてしまったんだ!?

いい加減答えを見つけないと精神が死ぬ。

 

「ごめんなさい。あの子も何時もはあんな事はしないんだけれど...何かまずい事でも言っちゃったの?」

 

グレモリー先輩は着替えを済ませると俺にだけ聞こえる様に、何があったのかを聞いてくるが生憎と一切心当たりが無い。

 

「いえ、私自身全く心当たりが無くどうしたものかと」

 

俺もグレモリー先輩にのみ聞こえるように小さな声で返す。

 

「そう、なんにせよいきなり呼び付けてしまって悪かったわね」

 

グレモリー先輩は俺から少し離れると、本題へ移るべく多少強引ではあるが話を変えた。

 

「いえ、私のやっている事が知られている以上、まず間違いなく呼び出されるであろう事は予想できていましたのでお気になさらず」

 

「そう?なら私が今回貴方を呼んだ理由は勿論分かるわよね?ジャック・ザ・リッパーさん?」

 

グレモリー先輩はそう言って何かの資料を取り出し、机へと置いた。

 

「おや、この資料は...私の賞金稼ぎとしての活動を纏めた物ですか。最初の仕事から全て記載されている......これを何処で?」

 

「ある人物に貴方の事を聞いたら、快く教えてくれたわ。口頭での説明が主でその資料はあくまで補足程度らしいけど」

 

ある人物......ここまで俺の情報を持ってる奴はそういない。

その中でもグレモリー先輩と関わりのある奴など一人しかいない。

 

「『サーゼクス・ルシファー』貴女の兄ですか。

......ならば話し方は素に戻させてもらうぞ」

 

そう一言断ってから飲みかけだった紅茶を飲み干し、資料に目を通す。

 

「あぁ、それと呼び出しの理由についても大体見当は付いている。

建前としては俺の危険性を見極める為とかだろうが、そんなものはサーゼクスに聞けばいい話だ」

 

資料を机に置き、俺はグレモリー先輩に視線を戻す。

 

「直接見て判断しようとしたというのも考えられるが、会って話すリスクを考えれば理由にするには些か弱い。

不本意だがジャック・ザ・リッパーなんて大仰な二つ名まで付けられていれば相手が人間だとしても多少なりと警戒する筈だ」

 

グレモリー先輩は黙って俺の考えを聞いている。

その様子から話を続けても良いと判断して言葉を続ける。

 

「そんな奴をここに呼ぶ時点で危険視などしちゃいないのは明白だ。

そうなると呼び出した理由は他にある事になる。

ここからは、いやまぁここまでも全て唯の予想ではあるが...俺を眷属にでもしようと思ったのか?」

 

そう言って意地の悪い笑みを浮かべる俺の顔を見つつ、グレモリー先輩はへぇ、と小さく声を漏らす。

 

「驚いたわ、そこまで読まれてるなんて。ますます欲しくなるわね...」

 

「驚いたのはこっちもだ。

俺の事は祐斗を通じてある程度知っていたとはいえ、多少名の売れてる賞金稼ぎ一人程度の事を調べるのに態々サーゼクスにまで協力を求めるとはな」

 

「...聞いてはいたけど本当に呼び捨てなのね」

 

「まぁな、どうせ本人から色々聞いているんだろう?なら話は早い。

悪魔側の仕事を貰ってはいるが、俺は人間であって悪魔じゃ無いからな、いくら魔王だからと敬う気は更々無い」

 

大体勝手に領地とか言ってるが、何処の誰に許可取って言ってんだそれ。

 

「それに、親しい友人に様だのなんだの敬称を付けんのもおかしいだろ?」

 

「友人...貴方本当に何者なの?」

 

「何者と言われてもなぁ?

ただ斬る事が得意なだけの賞金稼ぎ。それ以上でもそれ以下でも無いさ。

後、俺を眷属にしたいなら殺して無理矢理位しか方法は無いぞ。

まぁ、貴女には無理だと思うがな」

 

「...っ!」

 

思わず口にしてしまった言葉に、グレモリー先輩が若干不機嫌になったような気がして慌てて”立場的にも心情的にもな”と付け加えておく。

 

「だがまぁ、今のリアクションで貴女が俺をどう見てるか大体分かった」

 

そう言いながら俺は書類の束を再び拾い上げ

 

「ここでひとつ、俺の力の一端をお見せしよう」

 

無造作に空中に放り投げる。

 

「そう見れるものでもないからな......”見逃すなよ?”」

 

俺はそう言ったと同時に背中に鞘を展開。ブレードでは無くナイフを抜刀。

先程からちょいちょい使っていた斬撃モードを発動する。

 

俺の個人情報だらけの紙目掛けナイフを一閃。

感触を確かめた後、ナイフを握り直し寸断された紙を更に斬り刻む。

 

完全に内容が判別不能になったのを確認してナイフを納刀し鞘ごと展開を解除。

近くのゴミ箱を手に取り斬撃モードを止める。

 

「こんな感じなんだが、[パシャ] 見えたか?」

 

細切れになった紙がゴミ箱に綺麗に収まったのを確認し、スマホでグレモリー先輩の唖然とした顔を激写。

ついでに答えの分かりきった問を投げる。

 

「...いいえ、全く何も分からなかったわ」

 

「そうか、なら俺を眷属にするのは諦めた方がいい。

...さて、話が終わったのなら失礼させてもらおう。姫島先輩紅茶ご馳走様でした」

 

「お粗末さまでした」

 

なんで唇ペロってしたんですか。えっろ。

...塔城からの殺気がパネェ。これさては視線とか思考がバレてますねぇ!

 

「...祐斗、明日も昼は屋上でいいか?」

 

「うん、構わないよ」

 

「えっと、その、塔城さん?次回は投擲はナシで頼む」

 

「......考えておきます」

 

えぇ...。

 

「えぇ...まぁいいか」

 

回避余裕なので(慢心)

 

「それじゃ、お疲れ様でしたー」

 

俺は雑に挨拶を済ませそのまま退室し、帰路へとついた。

 

さて、今日の夕飯どうしよっかな。



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斬ノ陸 仕事とストーカー

うぇい、今回はすんなり書けた。
しっかり描写できてるかは微妙だけど、戦闘はイメージしやすいから考えるのは結構楽。書くのは難しいけど。

P.S.お気に入り登録100件超えました!
本当にありがとうございます(*゚∀゚*)


焼きうどん超うめぇ、雷電です。

 

最近のパックとかの麺類が進化しまくっててやばいね。入れたい具材用意して手順通りにやるだけで滅茶苦茶美味しいものができるあたりがやばい。

 

なんの話だって?

書いてた日の昼飯が焼きうどんだったからそれに影響されました。

 

「雷電、討伐の依頼が来た。依頼主は何時もの”アイツ”だ」

 

「ズズッ...詳細は?」

 

俺は一旦、焼きうどん超うめぇするのをやめてウルフの話を聞く体勢になる。

 

標的(ターゲット)は、いつも通りのはぐれ悪魔だ。

粗暴な言動を注意されたことにより逆上し、主に襲い掛かり傷を負わせ逃走したそうだ。

性格は粗暴かつ短気。

ゴリラの様な姿で、転生に使用した駒は『戦車』根っからのパワータイプだ」

 

「ほーん、なら今回は”アレ”使わずに済みそうだな」

 

あれとは御存知斬撃モードの事である。

斬撃モードは非常に強力ではあるのだが、使い過ぎると凄まじく疲れる。あとめっちゃ腹減る。

ウルフ曰く、燃料電池を消費する代わりに身体を動かすエネルギー...所謂スタミナをバカ食いしているらしい。

 

「だからと言って油断し過ぎるなよ」

 

「ああ、分かっている」

 

元より油断出来る戦いなど一度も無かった。

神器として雷電の力を持っているといっても、結局の所俺の身体は人間だ。当然サイボーグの様な耐久性は無い。

今回の様なパワータイプであれば、相手が低級の雑魚でも一撃貰っただけで死ぬこともありえる。

悪魔基準の弱いでもただの人間には強すぎる相手だ。

 

「もうレーションに内臓掻き回されるのは御免こうむる」

 

いくら義体の様な鎧を纏っても突き抜けた衝撃だけで俺の内臓はグチャグチャになる。実際になった。

あん時はまだ力に振り回されてて、大振りのボディーをまともに貰っちまって内臓破裂と粉砕骨折のタブルパンチだった......。

まぁ、結局悪魔の力なんぞ受け止めるのは土台無理な訳だ。

というかパワータイプはそれが顕著なだけで大抵の敵は一撃でも貰えばアウト。人外やべぇよ...。

 

標的(ターゲット)のおおよその位置はマップにマークしておいた。標的の気性を考えれば既に人間が襲われているかもしれない。すぐに向かってくれ」

 

「了解した。神器『雷の死神(リーパー・オブ・ライトニング)』起動」

 

神器の起動と同時に全身に攻撃的なフォルムの黒い装甲が展開。

背には鞘に納まった高周波ブレードとナイフが装備されている。

 

「出撃する」

 

「了解、出撃後のサポートは任せろ」

 

俺はウルフをひと撫でしてから家を出ると”ニンジャラン”で様々な場所を足場に最短距離で現場へと向かう。

 

ちなみにだが、全力のニンジャランとか使うと色々なものが壊れるので若干抑え目で走っている。

 

そうして数分もしない内に目標ポイントに到達。

ウルフに無線連絡を行い捜索を開始する。

 

「予想位置に到着”オーグメントモード”を使用して標的(ターゲット)を捜索する」

 

『了解』

 

ウルフの返事を聞きつつ、宣言通りオーグメントモードを起動する。

同時に今まで顔の両サイドに付いていたバイザーが顔を覆い隠し、暗くて見えなかった部分まで鮮明に見える様になる。

オーグメントモードは壁越しに人や物を見る事が出来る便利なモードである。

暗闇でも有効で夜間戦闘や潜入任務等で重宝している。

 

『こちらもレーダーを介して警戒を......と思ったがどうやらその必要は無いみたいだな』

 

ウルフの言葉に俺はブレードを抜きながら、視界に映る”それ”を睨み付ける。

 

「おめぇ人間か?見た所賞金稼ぎか何かだなぁ?俺を殺しに来たってか?人間が!そんな細い剣で!?この俺を?!グヒャヒャヒャヒャ!!!まったくお笑いだぜ!!」

 

それは事前情報通りゴリラの様な見た目の如何にもパワータイプといった感じのはぐれ悪魔だった。

 

「...探す手間が省けたな。任務を遂行する」

 

「あぁ!?人間如きが俺を無視してんじゃねぇぞ!!」

 

怒号と共に力任せに振るわれた拳は、動き自体に非常に無駄が多く威力もスピードも乗り切っていない様に見える。

特殊な能力を警戒し多少派手に回避するも何かが発動する気配もない。

であれば躱すのは非常に容易く、カウンターも狙い易いというものだ。

 

「___ッ!!」

 

俺は奴の振り切った後で伸びきった腕目掛け、ブレードを振るう。

 

斬ッ!!

 

銀光一閃。銀色の残像を残して振り抜かれたその一刀は何の抵抗も無く奴の腕を通り抜け、斬られた腕が宙を舞い鮮血を撒き散らしながら地面に転がる。

 

「グアアァァアァァ!!」

 

奴は悲鳴と共に後ろへと飛び退き、距離を稼ごうとする。

 

「クソがァ!!テメェ絶対に殺ッ「遅い、もう一本貰っていくぞ」なっ!?」

 

しかし奴が後ろへ飛ぶと同時にそれを追う様に奴の懐へと飛び込んでいた俺は、残ったもう片方の腕も斬り飛ばす。

 

先程の光景を繰り返す様にゴトリ、と二本目の腕が地に落ちる。

 

「がっ、ああああああ!!?!?」

 

痛みに悶え悲鳴を上げながら倒れた奴へ、油断無く近付きトドメを刺す為にブレードを構える。

 

「ヒッ!?こ、殺さないでくれ!!なぁ!!!?頼むよ賞金稼ぎだろ!!金だ!金が欲しいんだろ!?だったら「聞く耳持たんな」__ぁ?」

 

ぐしゃり。

 

醜く命乞いを始めた奴の話なんぞ聞く必要がある訳も無く、ブレードを奴の脳天目掛け振り抜いた。

ブレードは寸分の狂いも無く、奴の身体を左右半分に両断し絶命させた。

 

血や臓物が撒き散らされた凄惨な光景を横目に、刃についた血を払う。

血糊が残っていない事を確認してブレードを鞘へと納め、ウルフへ無線を飛ばす。

 

「ウルフ、標的(ターゲット)を排除した。依頼主への報告を頼む」

 

『了解した。

既に掃除屋も手配してある、そのまま帰還してくれ』

 

「了解、直ちに帰還する」

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

同時刻、本人にも気付かれずに雷電の戦いを見ている者がいた。

 

「んっ...ふっ......くぅ///」

 

その者は雷電の姿を情欲に濡れた瞳に映し、己を慰める行為に耽っていた。

 

「ーーーッ!!」

 

その者は一際身体を震わせると、雷電の名を口にしながら荒い呼吸を整える。

 

「はぁ...はぁ...らいでんすきぃ...はやく、はやく会いたいにゃ」

 

その者は戦闘が終わると同時にその場から姿を消した。




初めての戦闘回でしたが如何だったでしょうか?
おかしい、分かり辛い、そういった点があればどんどん御意見頂きたいです。

後、最後に出てきた奴は誰だか多分分かると思いますが奴も奴で雷電のストーカーと化してやがります。

5話を投稿した段階での奴の扱いについて。
感想にて質問があったのですが、その段階では奴は雷電の事が好きなだけで小猫ちゃんの様に病ませる気も、ストーカー化させる気もありませんでした。

ですが、その感想の言葉の一部をを見てビビッと来てしまい今回のコレに発展致しました。

後、神器の名前は適当です。


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斬ノ漆 もう訳がわからないよ

もう訳がわからないよ!

本来、脚光を浴びる事の無いキャラがメインに絡んでたり、原作置いてけぼりだし!

でも、あの人見た目が凄い好きなんだよ!!


よう、この前の依頼の報酬が思ったより多くてテンションが高い雷電だ!

 

あれから一週間位経ってるけど、毎日夕飯のおかずを一品追加する事でちょっと幸せな気分を味わっている。

 

「派手じゃないプチ贅沢ってなんかステキ」

 

そんなささやかな幸せを感じる食事を終え、食後の茶を飲んでいたのだが、ふと今日学校であった事を思い出した。

 

それはしばらく会わないうちに変態と化していた一誠の、彼女が出来たという一言から始まった。

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

「彼女?お前にか?」

 

「そうなんだよライデン!」

 

嬉しいのは分かるが、いきなり来て開口一番に「彼女出来た!!!」は驚くからやめて欲しい。

 

後、どうでもいい部類の話ではあるが、一誠は俺の事を雷電では無くライデンと呼ぶのだがこれは子供の時のイントネーションがそのまま残ってしまっただけで特に意味は無い。

 

「まぁ、それはおめでとう?」

 

「なんで疑問形なんだよ!ちゃんと証拠もあるんだぞ!」

 

そう言って一誠は携帯の画面を俺に見せ付けるかのように突き付ける。

そこには黒髪の美少女と言っても差し支えない女性が映っていた。

 

「いや、別に疑っている訳では無いんだがな...」

 

「あれ?そうなのか?てっきり元浜達みたいに疑ってるもんかと」

 

「あぁ、まぁ確かに久しぶりに会って随分と濃度の高い変態になっていたのは驚いたし、そういう面しか知らなければそう思うのは不思議では無いな。

だが、昔を知ってる俺からすればお前がいい奴なのは分かっているし、そのいい部分を評価してくれる娘に出会えたんだろうなと思ったまでだ」

 

そう言ってやると一誠は少し恥ずかしいのか頭を掻きながら礼を言ってくる。

 

「えっと、なんか面と向かって褒められるのって恥ずかしいな。

でも、信じてくれて嬉しいぜ!ありがとなライデン!」

 

「おう、愛想つかされないように気を付けろよ」

 

「勿論!...でだな?モノは相談なんだが...」

 

「何だ?力になれるかは分からんが言ってみろ」

 

話を聞いてみれば、明日デートに行くのだが何処に行けばいいのか分からないのだとか。

 

何故まだこの街に帰ってきてまだ日が浅い俺に聞いたのかは不明だが、学生の一般的と思えるデートスポットやらを調べて教えた。

果たしてこれで良かったのだろうか?

 

「ありがとうライデン!どうすればいいのか分からなくてマジで困ってたんだ!」

 

「構わんよ、と言ってもネット検索をかける位で大した事はしていないが」

 

「いやそんな事ねぇって!俺一人だったら調べるにしても、何をどう調べればいいのかすら分からなかったし本当に助かった!!」

 

一誠はそう言って俺を神か何かの様に拝み始めた。

 

「拝むな。まぁ、明日は頑張ってこい一誠」

 

「おう!」

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

といった具合にすげーハイテンションだったが、大丈夫なのだろうか。

 

後、俺がこの町に帰ってきたからなのかは分からんが、休日という事もあって、親戚が様子を見に来るそうな。間接的な連絡だった為に誰が来るのか正直分かっていなかったりするんだが...一体誰が来るのだろうか?

明日は一誠のデートを陰ながらサポートするつもりだったが仕方が無い。

 

「ウルフ、明日は親戚が家に来るから外出するか、地下にでも隠れててくれないか?」

 

「あぁ、この前言っていた件か。分かった明日は地下でアニメでも見ていることにしよう」

 

「すまんな、というか随分と俗っぽくなったなウルフ?」

 

アニメって...何だか変な感じだ。

 

「主人に似たんだろう」

 

ウルフはそう一言残して、部屋へと戻っていった。

 

 

▽▲▽翌日▽▲▽

 

 

ども、朝雷電です。

 

ウルフは一度顔を見せたらすぐに地下へと引っ込みました。

親戚の人は今日の朝到着予定と聞いているが、そろそろ着く頃だろうか?

 

ピンポーン

 

お、早速来たようだ。

これが噂をすれば影がさすってやつか。

 

「はーい、今出ますよーっと。親戚って誰が来たんだろ?」

 

神の気分なのか、親はいないくせにやたらと親戚やら家族ぐるみの付き合いやらが多いせいで特定し辛いという謎事情があったりする。

 

玄関まで行き、扉を開くと其処には白いフリルの着いたワンピースを着た青い髪の綺麗なお姉さんが立っていた。

 

「らいくん!」

 

俺がポカーンとしていると、そのお姉さんは感極まってといった様子で俺の頭をがっちりホールドして引き寄せ、抱き締めた。

 

「むぐっ!?」

 

抱き締められた俺は、その豊満な母性の象徴へと顔から突っ込んでしまった。とても甘い、いい匂いがする。

 

......って違う!これは色々とまずい。嬉し恥ずかしいとか色々あるけど、その前にッ

 

「シヌゥ」

 

「らいくん!?ご、ごめんなさい!久しぶりで興奮しちゃって!!」

 

俺が蚊の鳴くような声で言うと、クールそうな見た目に反して慌てながら俺をがっちりホールドしていた腕を離した。

なんだろうオロオロしてるのが凄い可愛い。

 

「はぁ、はぁ、大丈夫...大丈夫だから”加奈さん”」

 

俺が特徴に当てはまる人物の名前を口にすると、女性...加奈さんは目を輝かせて今度は俺に飛び込むように抱き着いてきた。

 

う...うおぁぁぁぁ!!!む、胸が!!お胸が俺のやったら鍛えられた胸板に当たって変形してるぅぅぅぅ!!?!?!!?

さっきも凄かったがこっちは視覚と触覚のダブルパンチでもっとヤバイぃぃぃぃ!!!!!

い、い、いい、い、一誠じゃぁあ無いがこの状況はマズイ!!いや、超美味しいけどマズイ!!!!

 

「らいくん!覚えててくれたのね!!」

 

ああ、笑顔が...とてもまぶしいです。

俺もゆっくりとだが加奈さんを抱き返して言葉を返す。

 

「あ、あぁ、加奈さんを忘れろって方が難しいよ。一緒にいた期間も長かったし」

 

心の中は大騒ぎだが、一切表情には出さずに努めて明るく対応する。

 

「んっ...はぁ...」

 

加奈さんは何で若干、艶っぽい吐息を漏らしていらっしゃるんでしょうかねぇ!?

そして玄関先だからか、周りからの殺気混じりの視線が痛いんだが!!

一人馬鹿みたいに濃い殺気を放ってる奴もいるし、なんなんだ此処は!?

 

天の声(玄関です。)

 

「か、加奈さん、いつまでも玄関で立ち話もなんだから上がってからゆっくり話そう」

 

そう言うやいなや俺は離れてくれない加奈さんと自分の位置を入れ替え、後ろ手で扉を閉めると殺気はともかく視線は途切れた。

 

「ふぅ、これでひとまずは平気か。加奈さん、大丈夫?」

 

問い掛けてみるも加奈さんは俺の首筋に顔を埋めていて、答えは帰って来ない。

 

とりあえず、抱きしめた体勢のままではどうしようもないので、靴を脱がして向きを少し変えお姫様抱っこに値する体制に変えてリビングのソファまで移動して加奈さんを降ろす。

 

なんか顔真っ赤でソファにうずくまっちゃったけど大丈夫か加奈さんや...。

 

「加奈さ〜ん、とりあえず風邪とかだったら今、家に薬無いから買ってくるけどどうする?」

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

どうも、加奈ことカラワーナです。

 

安直な名前?言わないで下さい(作者も)分かってます。

 

何でお前、雷電の親戚とかやってんの?って、それは色々あったんですが簡単に言うと...惚れました。

 

十年ほど前に出会って、最初は神器持った子供だし適当に育てて言うこと聞かせられたら色々都合がいいかな位の考えで近付いて親戚になりすましていたけど、一緒にいる内に次第にらいくんの事ばかりが気になって気付いたら好きになってた。

...恥ずかしいから本人には明かしてないけど。

 

お前性格違うだろって?らいくんを見て生きてたら性格も変わります。ええ、変わります。

 

ああ、らいくんの匂いを嗅いでたら頭がぼーっとしてって私は何をしてるんだ!?

お姫様抱っこ!?夢が叶っ...って違う!何でこんな事になってるの!!?

 

「加奈さ〜ん、とりあえず風邪とかだったら今、家に薬無いから買ってくるけどどうする?」

 

え?え?どういうことだってばよ・・・(錯乱)

あ、でも落ち着きたいかららいくんには悪いけど行ってきてもらおうかな。

 

「ごめんねらいくん、いきなり来てこんな...」

 

「いいよ、加奈さんが倒れでもしたら、そっちの方が心配しちゃうからさ」

 

あぁ、らいくんは本当に優しい。

私はそんな所に惚れたのかもしれない。

 

ストーカーの牝猫は今でもウロチョロしてるみたいだし、更に言えば悪魔と学校が同じなんて!

 

私がらいくんを守らなくちゃ!!

 

そして、カラワーナの戦いの日々が始まった。




はい、という訳で文句は受け入れよう(´・ω・`)
それが定めだ。

なんか書いててどうしてもカラワーナ程の美人さんを殺したく無い感情に駆られて、改変しちゃったんだぜ。

一応言っとくと病んでもいないしストーカーでもないよ。

前書きでも言ったけどカラワーナさん見た目がどストライクなんですよね。

生存させた事によってどう絡ませるかはまだ考えて無い。

思い付きって怖いね☆(ゝω・)v


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斬ノ捌 うちの一誠はシャキッとしたらイケメンになる(多分)

またしてもやってやったぜ(*゚∀゚*)

オメェら全員誰だこの野郎!面影すらねぇよ\( 'ω')/ヒィヤッハァァァァァァァア!!!

綺麗なレイナーレ。

略して、綺麗ナーレ。

またノリノリで書きまくってしまったので、今回は早めの投稿。


ドラッグストアに全力疾走中の雷電だ。

 

俺は強化された都合上、滅多な事では風邪など引かないからと風邪薬の類は一切置いていなかったのだが、今回はそれが仇となった。

 

あの優しい加奈さんの事だ、色々と無理をして今日もここまで来たのだろう。

それに、自意識過剰かもしれないが、加奈さんは俺の事となると些か無理をしすぎるきらいがある。

 

昔から世話焼きな人だったが、今思えば俺が世界を巡る旅の予行と称してちょくちょく一人旅して帰ってくる度に、だんだんと重症化してた気がする。

 

そんな感じでいつも自分より俺を優先しているような気がして不安でならない。

きっと普段も何かしらの無理をしているのだろう。

 

「心配だ...」

 

つい、言葉が口を突いて出てしまったが、どうやら聞いている人はいなかったようだ。

 

『やはり、お前は加奈の事が好きなのか?』

 

あぁ、そういやコイツがいたわ。

 

「ウルフ...前にも言ったが俺のはそういう感情じゃなく、感謝と親愛の念だと何度言えば......」

 

『そうか?......いや、そうなのかもしれないな。お前が他人に向ける愛は全て同じように見える。今も昔も恋愛経験ゼロのお前にとっては愛は一種類なんだろうな』

 

「ほっとけ」

 

確かにさぁ、転生前もイケメン雷電になった後もさぁ、一向に彼女の一人も出来ないしさぁ、一番最初に仲良くなった相手が拾った二匹の子猫な位にはボッチだったけどさぁ、その子猫達ともある事件を境に離れ離れになったままだけどさぁ、それでも家族に向ける愛と、恋人に向ける愛の違いくらい多少は分かってるつもりだしぃ。

 

......っと、拗ねてる場合じゃないな。

ドラッグストアには着いたが薬何買って帰ればいいんだ!?

 

と、とりあえず全部一種類ずつ買って帰ろう!(錯乱)

 

店にあった風邪薬全種類購入。

 

「ありがとうございましたー」

 

店員の挨拶もよそに、俺はドラッグストアを出てまた全力疾走で家へと駆ける。

 

走り始めてすぐに、公園が目に入り家までの距離が後少しだということを教えてくれるが、そちらをチラ見した時、公園内に見覚えのある人影があり足を止めてしまった。

 

「あれは...一誠か?」

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

どうも、加奈ことカラワーナです。

今回も出番ありました。

 

あぁ、今思えばなんてもったいない事をしているんだろうか。

この時間があればもっとらいくんと一緒にいられたのではという思考に至り、若干凹んでます。

 

「そうだ、らいくんのお部屋...」

 

ふと、私はらいくんの部屋を探そうと考えました。

何故そんな考えに至ったのかは不明ですが、この時の私はらいくんがいない寂しさを紛らわす手段を探す事しか頭にありませんでした。

 

家自体は非常に大き部屋数も多かったのですが、らいくんの部屋は案外簡単に見つかりました。

早速、中へ入ってみるとリビングよりも濃いらいくんの匂いが私を包み込みました。

 

もうそれだけでかなり幸せなのですが、堕天使は欲望に忠実な生き物です。

更なる充足を求め、私は先程から目に入っていたベッドへゆっくりと倒れ込み、枕に顔を埋めました。

 

その瞬間、らいくんの匂いが肺を満たし、思わず意識を飛ばしかけてしまいました。

 

「はぁ...らいくんの匂い」

 

そうしている内に段々と眠くなっていき、遂にはそのまま眠りに落ちてしまいました。

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

「一誠の奴、あの様子だとデートはいい感じに事が運んだみたいだな」

 

帰る途中、偶然にも公園内でいい雰囲気を醸し出している一誠と写真で見た彼女『天野 夕麻』を見掛けてしまい足を止めてしまった俺は、加奈さんに悪いとは思いながらも一誠の恋路が気になってしまいそのまま隠れて見ている。

何かあればウルフ教えてれる様頼んだしちょっとだけ...。

 

「イッセー君、今日のデート凄く楽しかった!

...この時間が終っちゃうのが嫌になる位に」

 

「俺もそう思う、夕麻ちゃんと一緒にいると楽しくてずっと一緒に居たくなっちゃうよ」

 

何だかキスでもしそうないい雰囲気だが、あの夕麻って娘は何であんな今生の別れみたいな言い方を?最近の子って皆こんな感じなの?

 

「ねぇ、イッセー君。お願いがあるんだけど...いいかな?」

 

「うん?べ、別に構わないよ!」

 

「フフッ、じゃあお願いしようかな......イッセー君」

 

これはキスの流れなのか!?キスなのか!!?!?

 

「死んで...くれない......かな?」

 

「え?」

 

は?今あの娘何て言った?

 

死んで欲しい?自分の彼氏に!?

一体なんだってそんなッ

 

「冗談...だよね?夕麻ちゃんも人が悪いな!こんな時に冗談な「ごめんなさい、冗談でも何でも無いの」......本当に?俺、何かしちゃった?もしかして今日のデートつまらな「違うわ!そうじゃないの...そうじゃないのよイッセー君」

 

「じゃあ、何で...なんでそんな事言うんだよ夕麻ちゃん!!!」

 

一誠が立ち上がって叫び、あの娘は悲しげな表情でゆっくりと立ち上がり、呟く様に言った。

 

「私ね......人間じゃないの」

 

バサッ!

 

その一言と共に、あの娘の背中から黒い、まるで鴉のような漆黒の翼が音を立てて広がる。

 

それは堕天使の証。人ならざる者の象徴。

 

何故こんな所に!?そう思いながら俺は神器を発動させようとして一誠の様子がおかしいことに気が付いた。

 

「やっぱり怖いわよね、こんな翼。こんな物があるから私は「綺麗だ...」え?」

 

「夕麻ちゃん、すごく綺麗だ。天使みたいな...あ、でも黒いから堕天使かな?でも、そんな事気にならない位に綺麗だ」

 

あいつ、こんな状況で何を!?

 

「待ってイッセー君、あなた私が怖くないの?」

 

「全然、だって自分の彼女を怖いなんて思う筈無いでしょ?」

 

絶句した。我が友人ながら肝が座りすぎている。

 

それを聞いたあの娘は涙を流し、一誠へと抱き着いて謝り始めた。

 

「ごめん...なさぃっ、わたしっ!いっせぇくんを...うっ、だまして!ころそうとしたのに!!!」

 

一誠はそれを聞きながら頭を撫でる。

 

「うん、でも俺は生きてるよ」

 

「ほんとは!ころ、したく...なんて!!ない、のにぃ...んぐっ」

 

...まったくもってあいつは、普段からあれなら相当モテるだろうに...。

 

一瞬目を離し、再び視線を戻すと一誠は泣きながら懺悔するあの娘にキスしていた。

 

「ふぇ...?いっせーくん、なにを?」

 

「何をって.........キス」

 

ボフッ!そんな音が聞こえそうな程、急速にあの娘は顔を真っ赤にして俯いてしまう。

 

「理由は全然分かんないけど夕麻ちゃんが俺を騙して殺そうとしたっていうのは分かった。でも、俺は生きてるし夕麻ちゃんの事も大好きだし、それじゃ......ダメかな?」

 

「イッセー君......好き!私もイッセー君が大好き!!」

 

それを聞くと一誠は笑顔になって、抱き締めていた手を翼に伸ばして優しく触れる。

 

「よかった、俺も夕麻ちゃんと夕麻ちゃんの翼も好きだから。これからも一緒にいてくれますか?」

 

「......喜んで!!」

 

彼女は泣きながらも今度は笑顔で一誠にキスをした。

 

良きかな良きかな、邪魔者は退散するとしようかね。

早く加奈さんに薬を持っていかないといけないし。

 

良かったな一誠。最高の彼女が出来て。

 

心の中でそう告げて、立ち去ろうとしたその時。場に似合わぬ男の声が聞こえた。

 

「何をモタモタしているレイナーレ」

 

その男はロングコートに中折ハットを被った大柄な男で、その背中には黒い翼が生えていた。




ひゃぁあ!!

レイナーレが恋する乙女天野夕麻になってしまっている件に関しましては、ある方に感想を頂いた上で影響をもろに受けた上でそこに更に事故成分を倍プッシュしてたら

こ う な っ た。

今更、もう自分じゃ驚かないよねとか思ってたらまた重大事故が発生するわけですよ。

堕天使組はカラワーナこと加奈さんが雷電を好きになってたり、レイナーレもとい天野夕麻ちゃんがイッセー君のヒロインと化しましたが、何も問題はない。いいね?

あと二人?残念だが知らぬ。


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斬ノ玖 倒れた友、振るわれる殺意の刃

随分と大層なタイトルを付けたものの、そこまでたいした内容ではないというね。

シリアスっぽい感じだけど雰囲気だけです雰囲気だけ。


「何をモタモタしているレイナーレ」

 

急に現れた堕天使の男は天野夕麻をレイナーレと呼び、鋭く睨み付けた。

クソッなんで堕天使がワラワラいやがるんだこの街は!

咄嗟に飛び出そうと思ったが、天野夕麻の例もあり一時的に様子を見る事に徹する。

 

「ドーナシーク!?イッセー君逃げて!!」

 

レイナーレというのは天野夕麻の本当の名かなにかであろう。

天野夕麻は堕天使の男...ドーナシークが現れた瞬間、表情を固くして一誠に逃げろと言うが、一誠はその場を動ことしない。

 

「嫌だ。逃げるなら夕麻ちゃんも一緒だ!」

 

「そんな事言ってられる場合じゃないの!お願いだから早く逃げて!!」

 

その様子を見て、ドーナシークは何を思ったのか右手に”光の槍”を作り出し、それを一誠ではなく天野夕麻向かって投げた。

 

「夕麻ちゃん!!!」

 

それを見ていた一誠は天野夕麻の前へと躍り出て、盾に成らんとする。

 

「間に合えよ!クソがッ!!」

 

俺は友人が危険にさらされるかもしれないのに様子見なんぞしていた自分に悪態を吐きながら即座に神器を展開。

周りの被害も考えずに全力で踏み込んだ。

 

「イッセー君!ダメッ!!」

 

天野夕麻が一誠を止めようと手を伸ばす。

 

だが、光の槍はそれよりも早く一誠へと迫る。

 

「届けええぇぇぇ!!!!」

 

その全てを超える速度で駆け、斬撃モードを発動。

光の槍が一誠に到達する既の所でそれを斬り落とす。

 

「なっ!?」

 

「一体何が...?」

 

ドーナシークと天野夕麻は驚き、訳がわかないといった様子で俺を見ている。

そんな中、俺は一誠の方へ向きバイザーを開いて顔を見せる。

ドーナシークに背中を晒すことになるが、致し方ない。

油断している訳では無いが、実力差による余裕というのもまた存在する。

攻撃されたとしても先程の技量や威力であれば対応は容易だ。

 

「ライ...デン?」

 

一誠は俺を見て案の定とポカーンとしている。

さっきまではカッコよかったんだがなぁ...。

まぁ、そういう所があってこそのこいつなんだが。

 

「友人の危機に参上した。安心しろ一誠、あいつは俺が......」

 

そこで一旦言葉を切り、ドーナシークを射殺さんばかりに睨み付け、ブレードの切先を向けて言い放つ。

 

「殺してやる」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「ハッ!人間風情が意気がるな!!」

 

わけがわからない。

 

「なら、その人間風情に斬られて死になァ!!」

 

何故、あいつがあんなのと戦ってるんだ?

 

「イッセー君逃げるわよ!」

 

夕麻ちゃんが何かを言っているが頭に入って来ない。

 

「なにしてるのイッセー君!早く!!」

 

腕を掴んで引っ張られた。

 

「裏切り者は死ぬといいっす」

 

その際、やたらとハッキリ聞こえたその言葉と、別方向からこっちへ向かってドーナシークとかいう奴が放ったのと似たような物が飛んで来るのが見えた。

 

「___ッ!!夕麻ちゃん!危ない!!」

 

俺は咄嗟に夕麻ちゃんを突き飛ばし、押し倒すかのように覆い被さる。

 

グサッ

 

自身の腹部から肉を貫く音が聞こえ、夕麻ちゃんの顔に血が掛かっていた。

 

「ゆ、うま...ちゃ......ごめ...血、つけちゃ...たね」

 

刺さった所は焼ける様に熱いのに、不思議と痛みは無かった。

アドレナリンとかいうのの効果だろうか。

 

俺の体は自重を支え切れなくなったのか、倒れている夕麻ちゃんに倒れ込んでしまった。

 

「イッ、セー...君?あ、ああ、いやああああぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!」

 

「な!?一誠!!」

 

はは、人生最後の瞬間を恋人の胸に包まれて終わるのか。

贅沢すぎ、るな...。

ごめんね夕麻ちゃん。もう、何も見えないや...。

ごめん、一緒にいるって言ったのに...。

 

あぁ、死にたくねぇな。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「ハハッ!馬鹿な奴っす!!レイナーレを狙った槍に自分から当たりに来るなんて!!」

 

そう言いながら現れたのはゴスロリを着た小柄な堕天使。

 

「お前かミッテルト。カラワーナはどうした?」

 

「さぁ?こっち来てからすぐどっか行っちゃって見てないっす」

 

奴が

 

「そうか...」

 

「ん?」

 

「なんすかこの嫌な感じ〜」

 

「...貴様がやったのか」

 

神器の出力が抑えられていないのが自分でも分かる。

証拠に、ブレードの振動数が跳ね上がり普段静音起動している筈のそれが段々と不快な音を鳴らし始める。

 

「そうっすね〜先にレイナーレをと思ったのに勝手に死にに来るなんて本当に馬鹿な奴っす!」

 

「貴様が一誠を!!!!」

 

俺は叫びながらミッテルトと呼ばれた堕天使に肉薄し、斬撃モードも使わずにただ殺す為だけにブレードを振るう。

 

「ヒッ」

 

「殺してやる!!バラバラに切り刻んで殺してやるッ!!!!!!」

 

ガキィン!

 

力任せに振るったブレードをミッテルトは咄嗟に光の槍でガードする......しかし

 

斬ッ!!

 

その一撃は抵抗虚しく光の槍ごと腕を斬り飛ばす。

 

その際に返り血が俺の顔へと掛かったが、気にする程の事では無い。

 

「アアアアアァァァァァ!!!!」

 

腕を斬られた痛みにミッテルトは悲鳴を上げる。

 

「一旦引くぞミッテルト!」

 

そう言うやいなや、ドーナシークはミッテルトを置いて飛んで逃げるが、ミッテルトは痛みに悶絶していて未だ動けていない。

 

「ドーナシークッ!...あいつ!!!グウッ」

 

「痛いか?痛いよなぁ。だが、一誠は腹に大穴開けられて泣きもしなかったんだぜ?少しは根性見せろよ堕天使ィ...」

 

立ち上がろうとする奴の首を掴み上げそう言い捨て、手を離して一誠が風穴を開けられたのと同じ位置に容赦無く掌底を叩き込んで吹き飛ばす。

その時に電撃が迸り、触れた場所の布が弾け飛ぶ。

 

「ハッ、仲間を置いて逃げるとはな。まぁ、何処へ逃げようがどこまでも追い詰めて必ず殺してやる」

 

吹き飛んでいったミッテルトに少しずつ歩み寄り、ブレードを振り上げる。

 

「だが、せめてもの慈悲だ。これ以上苦しまぬ様、最期は一撃で葬ってやろう」

 

そう言って振り下ろしたが、それは意外な人物によって止められた。

 

「待って」

 

天野夕麻、彼女が一誠に回復魔法をかけながらそう言った。

 

「何?」

 

「レイ...ナーレ?たすけっ」

 

彼女を見て、僅かな希望に縋ろうとしたミッテルトの言葉は、心臓を正確に貫いた光の槍によって遮られた。

 

「イッセー君を傷付けた報いよ」

 

それを聞いて俺は刀身に付着していた血を払い納刀した。

 

「自分で始末を付けたかった訳か」

 

「ごめんなさい、どうしても許せなくて......」

 

「構わん、この怒りはもう一匹にぶつけさせて貰う」

 

覚悟しておけドーナシーク貴様は必ずこの手で殺す。

 

それを聞き、レイナーレ...いや、彼女はもう堕天使レイナーレではなく一誠の彼女、天野夕麻なのだろう。

天野夕麻は一誠を抱き締めながら必死に魔法をかけ続けている。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

ミッテルトを殺し、あのイッセー君の友人を名乗る男との会話もそこそこに、イッセー君の治療に専念する。

 

「イッセー君、何で...せっかく結ばれたのに、こんなのって無いよ...」

 

だが、イッセー君の身体は次第に熱を失っていく。

私に出来る事は魔法をかけながら無事を祈るぐらいしかない。

 

そんな中、視界の端に赤い光を捉え何かと思い視線を向けると、そこには見覚えのある紅い髪の女が立っていた。

 

「あなたは...リアス・グレモリー。

魔王の妹が態々私何かを殺しにでも来たの?

後にしてくれないかしら、私はイッセー君を助けないといけないの」

 

「...なにか勘違いをしているみたいだけど、今回は私はあなたを殺しに来た訳でも、拘束しに来た訳でも無いわ」

 

”そういう目的もあるのは否定しないけど”等と言いながらリアス・グレモリーはイッセー君の上着のポケットを指差して言った。

 

「今回の本題はそっち、私はこの子に呼ばれて来たのよ」

 

回復魔法をかける手を休めること無く、私は上着のポケットに手を入れると、手に何かが当たる感触があった。

 

取り出すとそれは、折り畳まれたチラシの様だった。

 

「これは...?」

 

片手で開いてみればそれは、悪魔が契約を取るために使う召喚魔法陣付きのチラシだった。

 

「私はその子の死にたく無いという”願い”を聞き届けるために、ここへ来たのよ」

 

「え?じゃあイッセー君は......助かるの?」

 

私は藁にも縋る思いでリアス・グレモリーに問う。

 

「残念だけど、このまま傷を癒しても彼は助からないわ」

 

「そんな...」

 

その容赦ない一言に私の心は絶望に覆われてしまう。

 

だが、リアス・グレモリーの話は終わっておらず、懐から何かを取り出した。

 

「でも、助ける方法が一つだけあるわ」

 

彼女は取り出した何かを私に見える様に持ち直した。

 

「”悪魔の駒(イーヴィル・ピース)”これを使えば彼は助かる」

 

「悪魔の駒......他種族を悪魔へと転生させるアイテム。実物を見るのは初めてね。

確かにそれを使えばイッセー君は助かるかもしれない......でも、それは同時に悪魔化と、あなたの眷属にさせられてしまうという意味よね?」

 

「そうなるわね。でも、方法はそれしか無いわ」

 

「でも、そんなのってっ!」

 

それしか方法がないと言われても、私はどうしてもリアス・グレモリーを信用出来ずにいた。

 

「早々に転生させてしまえ、リアス・グレモリー」

 

そんな時、リアス・グレモリーが来る前に何処かへ走り去って行ったあの男が戻ってきてそう言った。




多分私はこれが投稿される時には起きていません。

ただ雷電君は今日も元気です。

おやすみ。

P.S.最近、お気に入り登録が増えるのを見るのが楽しくて仕方が無いです。
ありがとうございます(*゚∀゚*)


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斬ノ拾 天野夕麻

いやはや、早くも10話目ですよ10話目(*゚∀゚*)

思い付きだけでよくもまぁやって来たと思いますよ!

正直、もっと早い段階で失踪すると自分で思ってました(;´∀`)

ここまで頑張れたのは皆さんのおかげですヽ(*´∀`)ノ
ありがとうございます!!そしてこれからもよろしくお願いします(*゚∀゚*)


「早々に転生させてしまえ、リアス・グレモリー」

 

俺は一旦、全力で家に帰り、何故か俺のベッドで眠っていた加奈さんを起こさない様に近くに薬とペットボトル入りの水を置き、家の一室に大量にあるMGSお馴染みの回復アイテム〈レーション〉を持てるだけ持って、再び公園へ全力疾走。

 

ウルフに聞くと神がオマケでくれたそうな。

このレーションただの非常食と思うなかれ、食えばゲームの様に真面目に傷が回復するヤバイアイテムである。

昔、腕が吹っ飛んだ時に10個ぐらい纏めて食ったら速攻で腕が生えた。

それに、使った時から24時間経つと使った分だけ補充されるので、ほぼ無限に等しい在庫がある事になる。

 

俺がサイボーグじゃないから自己修復用ナノペーストが使え無いので、おそらくレーションになったのだろうが、今はそれが非常にありがたい。

 

俺にしか効果が無いなどという事も無く、食べる事が出来るのならしっかりと効果が出る。

つまりは、一誠にも使えるという事だ。

 

ただし、一誠が食べられる状態であればの話だが。

 

「あわよくばと思ってコレを持ってきたが、意識が無いんじゃ食わせる事も出来ん」

 

「霧崎君!?貴方その格好は...そう、それが貴方の神器なのね。それは?」

 

リアス・グレモリーは俺の姿を見て驚くも、合点がいったというように落ち着きを取り戻し、視線を俺が持ってきた個人携行用コンテナに向ける。

 

「あぁ、なんと言えばいいか...食うポーションみたいな物だ。それよりも早く転生させてしまえ。悪魔の駒なら死人も生き返ると聞くが、だらかといって死んでいいなんてことは無いだろう?早くしなければ本当に死ぬぞ」

 

「ええ、そうね。じゃあ早速「待ちなさいよ!!」今度は何?」

 

リアス・グレモリーが一誠に悪魔の駒を使おうと近付くと、それを遮る様に天野夕麻が叫ぶ。

 

「あなた達一体なんなのよ!!急に現れて!イッセー君を悪魔にしようだなんて!!ふざけないで!!!」

 

「巫山戯ているのはお前だ天野夕麻。お前は一誠を殺したいのか?」

 

「それはッ...でも!!」

 

天野夕麻は一誠の死を目前にして迷いを見せるが、それでも俺とリアス・グレモリーの事を信用出来ないのか光の槍こそ出さないものの、一誠に近付かせようとはしない。

 

「おい、リアス・グレモリー。予想はついているが、一誠の願いは何だ?そのチラシがあるという事は召喚されたのだろう?」

 

「”死にたく無い”...その単純で強い願いが私を呼び寄せたのよ」

 

そう言われて天野夕麻は顔を俯かせる。

 

「そういう事だ。一誠は願ったんだ......生きたいと、お前と一緒にいたいとな」

 

天野夕麻は衝撃を受けた様に僅かに震え、次いで嗚咽が聞こえてくる。

 

「うっ...イッセー、君......私、なんかの...事......」

 

「グレモリー」

 

「分かったわ......堕天使、貴女が私の領地に無断で踏み込んだ事を許すつもりは無いわ。でも誓ってこの子を悪く扱う事はしない」

 

リアス・グレモリーは俺の言葉に答えると天野夕麻へとそう言って近付く。

 

「イッセー君を......お願いしますっ」

 

天野夕麻は一言そう言うと、一誠を横たえる。

 

「いくわよ」

 

リアス・グレモリーはそう言って一誠に駒を近付ける。

 

すると駒は自ら一誠の中へと入り込んだ。

 

「これで完了か...どうした?」

 

「一体なんなの!?駒が勝手に!」

 

リアス・グレモリーの懐から、一誠に入った駒を追うかの様に同種...ポーンの駒が7つ飛び出して一誠に入り込んだ。

 

「駒8つ?!この子、どんな神器を宿しているというの...?」

 

少しずつ一誠の身体に生気が戻り、 意識が戻ったのか小さく声を漏らす。

 

「......ぅあ」

 

「イッセー君!!」

 

天野夕麻は一誠が意識を取り戻したのを見て、再び目に涙を浮かべる。

 

「夕麻...ちゃん?泣い、てるの?それに、腹痛ッ...何が?」

 

「感動するのはいいが、とりあえず食え」

 

「もがっ!?」

 

一誠が意識を取り戻して嬉しいのはわかるが、転生した筈なのに腹に開けられた大穴が塞がって無い。

このままでは再び死を待つのみだ。

 

だからこそ俺は感動もそこそこにコンテナから取り出したレーションを一誠の口に叩き込んだ訳だ。

 

「ちょっと貴方!!イッセー君は怪我人なのよ!」

 

傍目から見れば俺の行動は暴挙に見えたのか、天野夕麻が声を荒らげる。

 

「言いたい事は分かるが黙って見ていろ。とりあえずさっさと食ってしまえ一誠」

 

一誠は訳が分からないといった様子だが、言われた通りにレーションを咀嚼し飲み込む。

 

「口の中がパサパサする......何だ!?腹が...熱い!!」

 

「イッセー君に何をしたの!!」

 

「ただの回復剤のような物だ、傷口を見てみろ」

 

天野夕麻は俺を睨み付けながら渋々といった様子で一誠の服を捲る。

 

「傷が塞がり始めてる?」

 

「言ったろう回復剤だと。治る時は結構痛いが効果は高い」

 

俺はそう言いながら、コンテナにレーションと一緒に詰めてきた水を天野夕麻へと放り投げる。

 

「飲ませてやれ。それと回復魔法はかけ続けろ、多少は治りが早まる」

 

天野夕麻は言われた通りに水を飲ませながら、腹部に回復魔法をかける。

一誠は水を飲んで少しすると消耗が酷かったのか眠ってしまった。

 

「グレモリー。今日の所はお引取り願いたいのだが?」

 

「ええ、元よりそのつもりよ。私もそこまで空気が読めないわけじゃなわ。だから後の事は頼んだわよ賞金稼ぎさん」

 

そう言ってリアス・グレモリーは来た時と同じく、転移魔法を使用して去っていった。

 

「ふむ、では俺はその空気の読めない行いをしなければならないのか......非常に面倒だ」

 

面倒だという思いを押さ付け、ついでに神器も解除しながら俺は二人に声をかける。

 

「お二人さん、俺達もそろそろ移動した方がいい。人除けの結界なんぞとっくに無くなっている。こんな所を一般人に見られるのはマズイ」

 

「......何処か宛はあるの?」

 

天野夕麻は一誠を悪魔に渡す様な行いをした俺が信用出来ないのか、若干警戒しながら答えた。

 

「そんなに邪険にしないで欲しいんだがね。何時もなら家でも良かったんだが、今は都合が悪い。それで代案だが一誠の家はどうだ?あそこなら家からもそう遠く無く、色々と道具を持って来やすい」

 

「...そうね、完全に信用した訳じゃないけれど、今回は貴方の意見に賛成よ」

 

「そうかい、ならさっさと一誠を運ぶぞ。死の危機は回避したが失血が酷い」

 

「イッセー君は私が運ぶわ」

 

そう言うと天野夕麻は一誠を抱き上げ、翼を羽ばたかせてゆっくりと上昇を始める。

 

「一誠の家の場所は分かるな?俺は先に家へ戻って治療に必要な道具を取ってくる。死体に関しては掃除屋を手配してあるから放置で構わん」

 

俺は言うだけ言って一人、ニンジャランで再び自宅へと向かった。

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

あれから数時間が経たった。

 

一誠を家へ運び込んだ後は俺が持ち込んだ道具を使って治療を施し、今は一誠の容態も安定している。

 

「状況も落ち着いた事だ。二、三聞きたい事がある。念の為言っておくが答えないというのは無しだ、こちらも心中穏やかではないのでね」

 

「ええ、今更隠す気は無いわ」

 

彼女はこちらを見ること無くそう答える。

 

「では単刀直入に聞こう。お前達...いや奴等の目的は何だ?何故一誠を狙う」

 

「...神器」

 

「なに?」

 

「私達はイッセー君の中で眠る神器を危険視して殺そうとした」

 

予想していなかった訳では無いが、改めて聞くと何とも横暴だと思う。

 

「滅茶苦茶だな。ではお前も一誠を殺す為に告白し付き合ったと?」

 

「最初はね...でも、今はイッセー君の事を本当に愛してる。

私みたいな心の醜い堕天使がこんな事を言うのは許されないのかもしれないけど、それだけは絶対に譲れない」

 

彼女は瞳に強い意志を宿してそう言った。

 

「そうか、では何か奴らの行動が予測できるような情報は無いか?」

 

「分からない、今回の作戦は本部を無視した独自行動な上に、私はあまり乗り気じゃなかったの。だから、残念だけど殆ど何も知らないわ」

 

「なら、他にもう一つだけ聞きたい事がある」

 

今回の出来事で個人的にだがずっと気になっていたことがある。

 

「お前は今後、誰でいるつもりだ?」

 

「それはっ」

 

「堕天使レイナーレか」

 

俺はそれとも、と続ける。

 

「一誠の彼女、天野夕麻か」

 

この言い方が卑怯なのは重々承知の上だ。

こんな言い方をすれば、一誠を愛している彼女は天野夕麻である事を選ぶ事は明らかである。

 

だが、こうでもして分からせなければ彼女は堕天使としての自分を引き摺ったまま生きていくことになる。

 

「私は天野夕麻よ。堕天使レイナーレじゃイッセー君の隣にいるには相応しくないわ。

当然、名を捨てた位で罪が消えるとは思ってはいないけど」

 

「そうか、では俺も天野夕麻が天野夕麻である為に協力しよう。あらかじめ言っておくが、俺はお前の為では無く、一誠の為に動く。そこは勘違いするなよ?」

 

そう言い切ると俺は返事も聞かずに、ある人物に電話をかけた。

 

『もしもし、君から連絡とは珍しいね?どうしたんだい』

 

「頼みがある」

 

『頼み?』

 

「一人分の戸籍をでっち上げてくれないか?......サーゼクス」




はい、という訳で天野夕麻はレイナーレの名を捨て、雷電君は気軽に魔王にお電話できちゃうと。
直通電話ですよ直通。普通権力者に対してありえんて。

あと、かなり今更ですがこの小説は独自設定や独自解釈、意図して説明を省いて誤魔化している部分が非常に多いです。
理由としては実際に原作にも説明が無かったりとか書いてたら辻褄が合わなくなったとかそんなしょうもない感じです。申し訳ねぇ...。

こんな小説ですが、今後も見て下さると嬉しいです(*゚∀゚*)

追記:よく考えたら転生して傷治んなかったらまた死ぬんじゃね?
と、思ったのだが修整するのも面倒臭い上に別の話にも食い込んできているので弄り辛い。

結果、生きてる状態で更には駒八つ分のイレギュラーで、そこに光の槍によるダメージが加わって、一誠の体のバランスがグチャグチャって事にして、一誠の体がそれに適応しようとして傷の回復を後回しにした的な感じで。

そんな感じです。
かなり無理はありますが、この雷電D×D世界はそんなもんです。


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斬ノ拾壱 今日は縦セタの日だけど内容には関係無い

へい、生麺でござる。

今回はちょいと短めですね、合間のお話だからしょうがない。

タイトルはただのおふざけでござい。

投稿時間も悪ふざけだぜ。


「ああ、分かった。資料は後日送る。すまんが頼む」

 

そう言って相手が電話を切るのを待ち、切られるとすぐに別の番号へとコールする。

 

「貴方一体何を...?それに、サーゼクスですって?」

 

天野夕麻は俺が魔王の知り合いである事に大層驚いているようだが、電話中なのを考慮してか声量は抑え目である。

 

「あ、アザゼル?今大丈夫か?」

 

今度電話をかけたのは堕天使勢力の組織『神の子を見張る者(グリゴリ)』の総督『アザゼル』その人である。

 

『急に何の用だ?こっちも暇じゃ無いんだが』

 

「悪いないきなり。ただ、お前の所の堕天使がこっちで好き勝手やってるんだがこっちでどう処理しても構わないよな?というかもう一人殺ったが」

 

『はぁ?俺はそんな事初めて聞いたぞ。まぁいい、お前が処理してくれるなら好都合だ。うちのが悪かったな』

 

「ああ、全くだ。じゃあな」

 

『おう。そうだ、今度また酒でも付き合えや』

 

「そうだな、次会った時にでもな。切るぞ」

 

そう言って通話を切り、天野夕麻に向き直る。

 

「と、いう訳でお前達の処理は俺に一任された訳だが、何か質問あるか?」

 

「質問も何も!貴方一体何者なの!?アザゼル様や魔王と一体どういう関係なのよ!!」

 

俺の言葉に天野夕麻は疑問をぶつけて来る。

 

「いや、何と言われてもな......友達だが。あとクライアント」

 

「友達!?」

 

「ああ、俺の交友関係はレボリューションだ」

 

「もういいわ、理解出来そうにないもの」

 

そう言うと天野夕麻は悟りを開いたかのような表情で顔を背けた。

 

「何はともあれ、俺はお前を殺す気は無いが堕天使レイナーレは死んだ事になる。

色々と手続きはあるだろうが、それさえ終われば本当の意味でお前は天野夕麻になる」

 

「......なんでそこまで私の事を」

 

メリットの無い行動をする俺を不審に思ったのか、公園の時のように警戒される。

 

「言っただろう、お前の為じゃない。一誠に感謝しろよ?処置中に目覚めたと思えば『夕麻ちゃんを殺さないでくれ、夕麻ちゃんは俺の大事な人なんだ』って言うだけ言ってまた気絶しやがった」

 

「イッセー君...」

 

その事を伝えると天野夕麻は真っ赤になって顔を隠す。

 

「愛されてるねぇ」

 

こんだけ愛してくれてるとか、普通に羨ましいんだけど。

 

「ま、そういうこった。学校はそのまま通える様にしてもらっとくが、住む家ぐらいは自分でどうにかしな。俺は帰るがレーションはいくつか置いてく、起きたら食わせろ。後は何か起きたら俺に電話しろ」

 

懐から名刺を出して天野夕麻へ投げ渡す。

 

「霧崎雷電......雷電って本名だったの!?」

 

「はぁ?確かに変わった名だとは思うが偽名だと思ってたのかよ......正真正銘本名だ。

ただ、一応言っとくと仕事の時のコードネームはライトニングボルトだ。じゃあな」

 

俺はそう言い残して窓から家の外へ出て、急いで家へと帰る。

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

「ライトニングボルト、何か聞き覚えがある様な......まぁいっか。イッセー君、早く元気になってね」

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

「友達の為に怒る雷電......かっこいぃぃぃ」

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

「......ッ!御主人様がまた良い行いをした気配がする!あぁ、素敵過ぎる!抱いて下さい御主人様ぁぁぁぁl!!!」

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

「らいくん、早く帰って来ないかな〜起きたら大量の薬が置いてあったし一回帰ってきたんだよね。何してるんだろう?」

 

「加奈さん、すまない今戻っ...たァ!?」

 

「らいくんおかえりなさい!」

 

抱きついただけなのにらいくん恥ずかしがってる。かわいいな〜もっと胸押し付けちゃおうかな。

 

「か、かかかっ加奈さん!?その、あ、当たってます!」

 

「何が当たってるのか言ってくれないと、お姉さん分からないな〜」

 

私は当然何の事か分かっていたが、わざとらしく分からないフリをして更に強く抱き着く。

 

「それ絶対わかってて言ってますよね!!ねぇ!?これ以上はッ!ちょ、まっ!?」

 

「今夜は寝かせないぜ〜」

 

その後、今日は泊まっていくと言って結局、同じベッドで二人一緒に寝ることになり、雷電が本当に眠れない夜を過ごしたのは余談である。

 

「胸が...いい匂いがッ!理性が死ぬぅ......」

 

ちゃんちゃん




加奈さんのメインヒロイン感がヤヴァイ。

ただ、ヤンデレとストーカーのターンは始まってすらいないんだぜ?

次回も、思い付き!思い付きィ!!


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斬ノ拾弐 お出かけ

全ては思い付くままに。


気付いてるか?この小説未だに原作序盤なんだぜ?

 

雷電だ。

 

昨日は最終的には眠れたのだが、起きたら思いっ切り加奈さんを抱き締めてたのには驚いた。

驚き過ぎて一周回って冷静になった。

 

更には何がどうなればそうなるのかは分からないが、俺の手が加奈さんのお尻を鷲掴みにしてた。

 

「朝からラッキ...心臓に悪いな」

 

微妙に冷静になった事でなんとか落ち着いて対処できたが、通常モードだったら襲いかねんぞこれは。

 

加奈さんの格好を説明すると、緩めの無地Tシャツとこれまた緩めの短パンといくら何でも無防備過ぎる。

Tシャツも薄手の物なので柔らかさがダイレクトに伝わってくるのでヤバイ。

 

中身の年齢は前世含めれば30超えてても、30代としての経験はした事がない上に女性経験など皆無なので非常に辛い。

 

「んぅ......ぁあ、らいくんおきたんだぁ...」

 

ベッドに座って頭を抱えていると、どうやら加奈さんを起こしてしまったようだ。

 

「あぁ、ごめん加奈さん。起こしちゃったかな?」

 

「ううん、平気だよ。いつもこの位の時間に起きてるし」

 

加奈さんは眠い目を擦りながら起き上がりそう言う。

 

「今から朝ご飯作るけど食べれそう?」

 

「らいくんのご飯だったらいくらでも!」

 

「作るとは言っても簡単にだけどね」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「「ごちそうさまでした」」

 

やっぱりらいくんの作るご飯は何だって美味しい。

毎日でも食べたいくらいだよ!らいくんを狙う他の娘達にちょっかい出される前に結婚を決めなきゃ...。

 

「そういえば加奈さん、どの位こっちにいる予定なの?」

 

「う〜ん、一応こっちに来れたのはお仕事があったからなんだけど、そのお仕事も期間は設定されて無いから終わったら帰る形になるかな」

 

「え、じゃあ昨日は仕事放置してこっち来たの?大丈夫なのそれ?」

 

らいくんは心配そうに聞いてくるが、問題は無い。

 

「そこは大丈夫!元々私はただの付き添いで役割なんてあって無いようなものだから」

 

「ならいい、のか?まぁいいや加奈さんが大丈夫って言ってるなら大丈夫だよね。宿泊先とかは決まってる?ホテルとか予約してないんだったら、部屋は余ってるし家に泊まっても平気「喜んで!!」...はい」

 

こ、こここ、これはッ!!同棲ってやつですか!?

 

(微妙に違います)

 

一緒に住むって事は!口にはできない嬉し恥ずかしイベントが一杯ッ!!

 

「ふつつかものですがよろしくお願いしますっ!」

 

「What!?」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

そんなやりとりから数時間後。

 

「とりあえず、持ってきた荷物だけじゃ足りないだろうし、泊まるのに必要なものを買いに行こう」

 

という俺の一言で加奈さんの滞在中に必要になりそうな物を買いに行く事となった。

 

「らいくんとデート!」

 

「いやデートって程では...」

 

「私はらいくんが大好きなのでデートがいいでーす」

 

加奈さんは恥ずかしげも無くそう言うが、言われた俺は嬉しいやら、恥ずかしいやらで絶対顔赤くなってるよ。

 

「あらら、らいくん真っ赤〜」

 

誰のせいだと...でもまぁこれもまた役得と思っておこう。

 

「早速行こっからいくん!!」

 

「え?あ、待ってまだ準備できてないぃぃぃぃ」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

「騒がしい奴らだ」とは地下に退避していたある狼の言である。

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

視線がッ!

 

思いっ切りッ!!

 

ぶっ刺さってくるんですけ...どっ!!!

 

「らいくんとお買い物なんていつぶりだったかしら?まだ何をしたわけでもないのに楽しくてしょうがないわ!」

 

喋り方を外出時仕様に変えた加奈さんは、そう言いながら俺の腕に自分の腕を絡めてくる。

 

更に視線が厳しくなる。

殺意混じりなモノもしばしば。

 

ちらほらと見た事のある姿が視界の端に映るが、腕に触れるその感触意識を持って行かれてしまう。

 

下着越し、服越しと侮るなかれ、加奈さん程のダイナマイトボディであればいくら布を重ねようがやわらかさがさぁ!?伝わってくるんだよ!!

 

「加奈さんッ周りの視線がですね...こう、俺に突き刺さってきている訳なんですが」

 

そう言うと加奈さんは身長差の関係で、俺を少し見上げるような形で言葉を返してくる。

 

「らいくんと私のラブラブさを見せつけてあげればいいのよ!」

 

そう言って更にきつく俺の腕を抱く。

カンショクガ、ヤバイ。

 

「あ!あそこよあそこ、最初のお店」

 

「えっと、まさか...アレか?」

 

加奈さんが指差した先を見ると、その先には女性用下着店。

所謂ランジェリーショップというヤツが鎮座していた。

 

あまりの衝撃に加奈さんの前ではあまりしない、仕事&普段用の話し方になってしまったがそれだけの衝撃だという事は分かって欲しい。

 

「ええ、らいくんに選んで欲しいな〜なんて」

 

加奈さんは悪戯を思いついた子供の様な表情で俺にそう言う。

 

「............よし」

 

覚悟は決まった。

ここで屈してしまえば加奈さんに情けない奴と思われてしまうかもしれない。それだけは避けねばならない。

 

「行こう加奈さん」

 

「らいくん大丈夫?顔真っ赤よ?」

 

だめでしたー。

 

「でももう、言質は取ったから行くわよ!」

 

「ホァ!?」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

一方その頃、若干最終回っぽい展開を迎え作者が微妙に忘れてた一誠&夕麻の二人は、文字通りイチャついてる訳ですよ、ええ。

コノヤロウ。

 

「なんか今、謂われなき罵倒をされた気がする...」

 

「どうしたのイッセー君?」

 

「あぁ、いや、なんでもないよ夕麻ちゃん」

 

「そう?ならいいんだけど。それにしてもあの雷電とかいう人が置いていった”コレ”凄いわね...」

 

夕麻ちゃんはライデンが置いていったレーション?とかいうのを不思議そうに見ながらそう呟く。

 

「そうだね......すっごい痛いけど」

 

「確かにイッセー君のあの様子を見て体験したいとは思わないわ...」

 

 

▽▲▽回想▽▲▽

 

 

「うっ...ここは......?」

 

「イッセー君目が覚めたのね!?」

 

「あれ、夕麻ちゃん......そうだ!俺ッ...イッテェ!!」

 

「イッセー君まだ起きちゃダメよ!まだ傷は塞がって無いのよ!そうだこれを!」

 

レーションGod original 治りは恐ろしく早くなるが、その分半端じゃなく痛い。

 

「もぐもぐもぐもぐ......傷が熱く、この感じ何か覚えが...イッテェェェェェエエエエエエエエ!!!!!!??!?!!?」

 

「イッセー君!?」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「...思い出したら痛くなってきた」

 

「イッセー君大丈夫?一応回復魔法かける?」

 

痛いと言う俺を心配して夕麻ちゃんは魔法を使おうかと提案するが、夕麻ちゃんも一応寝たとはいえ俺のせいで疲れているはずだ。

そんな夕麻ちゃんにこれ以上負担は掛けられない。

 

「大丈夫。ただ代わりと言ってはなんだけど、一緒に寝て欲しいな」

 

「ふぇ!?」

 

俺も言うのは少し恥ずかしかったが、夕麻ちゃんは少しでは無かった様で、顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 

「あ、ごめん!いきなりこんな事言っちゃ失礼だよね!今のは聞かなかった事に「いいよ」えぇ!?」

 

あわよくばとは思っていたがまさか、本当にOKが出るとは思いもしなかった。

 

俺がポカーンとしているうちに、夕麻ちゃんは上着とスカートを脱ぐと......って!?

 

「ななな、ナズェ脱いでるんディス!?」

 

「だって、制服しわになっちゃうし...い、イッセー君になら、何処を見られてもいいから!」

 

下着とシャツのみとなった夕麻ちゃんは言うが否や、俺のベッドへ入って来て俺に密着してくる。

 

「ひゃぁ!?」

 

変な声が出たが、そりゃ仕方ないだろ!!

半裸の彼女と一緒のベッドに入ってるとか、緊張しない方がおかしいだろ!!?

 

幸い夕麻ちゃんは疲労で直ぐにでも眠りそうだが。

 

あ、やべ...俺の男の象徴が自己主張を...

 

「ふふっ...いっせーくん♪」

 

静まれぇええ!!!

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

今度はさっきとは違う視線が俺へと突き刺さる。

 

「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ」

 

ランジェリーショップの店内、俺は他の女性客の視線という凶器に晒されながら要らぬトラブルを避ける為に加奈さん以外のものを一切見ないようにする。

 

正確には加奈さんが入っていった、試着室のカーテンをだが。

中からは悩殺だのイチコロだとか、一体加奈さんはどこを目指しているのだろうか...。

 

「ここは...地獄だ...」

 

その後、10分程経って加奈さんが出てきた時には、憔悴しきった雷電の姿があったとか何とか。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

まさか、ランジェリーショップで女性の下着を選ぶ事になるとは思ってもみなかった。

 

「疲れた...精神的に」

 

「らいくんはああいう下着が好みだったのね」

 

「ヤメテーもう言わないでぇ...」

 

「あ、ちょっとエッチな下着も買っておいたから、今度見たかったらみせてあげるわよ?」

 

エッチな下着と聞いて、色々な想像を膨らませてしまった俺はそれを振り払うかのように頭を振って、煩悩を捨ててからしっかりと答えを返す。

 

「是非お願いします」

 

って、全然捨てられてねぇぇぇえええ!!!

 

その後はやたらと上機嫌な加奈さんと、デートという名のお買い物を楽しんできました。

振り回されはしたものの、俺も楽しめたので非常に有意義な時間となった。

 

...ただ、明日は学校だ。

グレモリー眷属から何かしらのアクションがある、と考えると凄く行きたく無い。

 

一誠の様子を見る為にも行かなきゃならんのだがなぁ。

 

めんどくせ。

 

 

▽▲▽翌日▽▲▽

 

 

「じゃあ、いってきます」

 

「いってらっしゃ〜い」

 

学校へ向かうらいくんを見送って、家の中へ戻りそそくさとらいくんの部屋へと向かう。

 

 

「ふふっ、お楽しみお楽しみ〜♪」

 

何をするかは内緒だよ。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

学校へ着いて教室へ行くと、一誠が男子連中に囲まれていた。

 

「イッセーてめぇ!天野夕麻ちゃんと一緒に登校してくるとはどういうこった!?」

 

「いや、彼女と一緒に登校しちゃ悪いのかよ...」

 

「彼女ォ!?じゃ、じゃあこの前言ってた事は嘘じゃ無かったのかよ!」

 

「そんなしょうもない嘘ついても、自分が悲しくなるだけだろ」

 

彼女が出来てなんとなく余裕が出てきたのか、どこか落ち着いた雰囲気で友人達の相手をしている。

 

ふむ、一誠は天野夕麻と一緒に登校してきたようだな。

まぁ、当然といえば当然か。一誠の家にいる訳だし。

 

「よう一誠、随分と人気者なようだな?」

 

「おぉ、ライデンか。人気も何も、俺は夕麻ちゃんと登校してきただけなんだけどなぁ」

 

俺が声を掛けると一誠は助かったと言わんばかりの表情で答えた。

 

「まぁ、無理も無いだろう。

俺が一ヶ月もかけてちょっとエロい位にまで更生させたとはいえ、今までド変態だった奴に彼女が出来てしかも美少女ですって言って信じると思うか?」

 

「...信じない」

 

「そういうこった。こういうのは大体時間がどうにかしてくれる。今は大人しく諦めろ」

 

そう言ってやると一誠は力無く、机に突っ伏した。

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

時間は過ぎ、放課後となった。

 

教室内の人影もまばらになってきた頃、友人同士で遊びに行くか?なんて話をしているのも聞こえてくる。

 

俺は同じ様に帰ろうとする一誠を引き止めた。

 

「まぁ、待て一誠」

 

「ん?どうしたんだライデン。俺、夕麻ちゃんと一緒に帰る約束してるんだけど」

 

しれっとそう言った一誠に教室にまだ残っていた男子連中の視線が集まるが、当の本人は全く気付いていない。

 

「そうか、なら都合がいい。彼女もここへ呼んでくれ、この前の件で話がある奴がいる」

 

「え、それって...」

 

一誠は俺の言っている事の意味が分かった様で、片手で自分の腹に触れながら苦虫を噛み潰した様な表情になった。

 

「あぁ、一昨日の件だ。そろそろ迎えなりなんなりが来るとは思うんだが」

 

ガラッ

 

「噂をすれば影がさす、とはよく言ったものだな。待ちくたびれたぞ祐斗」

 

「ごめんね雷電君、そしてはじめましてだね兵藤一誠君。部長が君をお呼びでね。ついてきてもらえるかな?」




もう雷電、加奈さんと結婚してしまえと思った作者であった。


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斬ノ拾参 駒王のオカ研はともかく、一般のオカルト研究部ってなにやってるんだろうね?

色々終わって燃え尽きてたら、結構日が空いてしまった。


「ついてきてもらえるかな?」

 

ドーモ。ドクシャ=サン。ライデンです

 

なんで忍殺語かって?

 

俺も一応ニンジャランとかニンジャキル使えるし、ニンジャ名乗って問題ないかと思ったからな。

 

「行くぞ一誠」

 

「ちょっと待ってくれって。行くのはいいけど夕麻ちゃんに連絡しないと「その必要は無いわよイッセー君」夕麻ちゃん!?」

 

一誠が電話をかけようとすると、タイミングを見計らったかのように天野夕麻が現れた。

 

「イッセー君が私を呼んでいる気がして来てみたの」

 

「夕麻ちゃん...」

 

この一言で祐斗が来た時点で騒がしくなっていた教室が、更に騒がしくなり付き合ってたのは本当だったのか、と崩れ落ちる者達がいたが誰も気にせず放置。

...ドンマイ!

 

「これで問題無いな?すまない祐斗、待たせたな」

 

「構わないよ雷電君」

 

イチャつき始めた二人を置いて、俺達二人はそそくさと歩き始める。

 

「あっ、おい待ってくれよライデン!行こう夕麻ちゃん」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「一誠、緊張しすぎて変な事を口走るなよ?」

 

「おぅ...」

 

普段はあまり入る事の無い旧校舎という場所に、緊張を隠せていない一誠にそう言ってオカルト研究部の扉に手をかける。

 

「祐斗、入っていいんだよな?」

 

「大丈夫だよ」

 

一応、祐斗に確認を取ってから開ける。

 

ガラッ

 

「来たわね、兵藤一誠君。それと堕天使レイナ「あー、その事だが」なに?」

 

「正式に天野夕麻の戸籍が作られ、堕天使レイナーレは死亡扱いになった」

 

「誰がそんな決定を!?......いえ、そうね。死んでしまったのなら仕方ないわ。彼女が犯した罪は忘れる事にするわ」

 

俺の言った内容に一度は疑問を漏らすが、バックに誰がいるのかを察してか落ち着いて同意した。

 

「賢明な判断に感謝する。この場においては混乱を避ける為に彼女とレイナーレを同一として扱うが、これ以降は彼女をレイナーレとして扱うのはよしてもらおう。...話を遮って悪かったな」

 

「いいえ、構わないわ」

 

グレモリーはやれやれといった様子で肩を竦めると、気を取り直して話を続ける。

 

「じゃあ改めて......兵藤一誠君、私達はあなたを歓迎するわ...悪魔としてね」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

正直言って何が起きているのか全然分からねぇ。

 

ライデンはあのリアス・グレモリー先輩と夕麻ちゃんの事について話をしていると思えば、悪魔だって?

 

堕天使がいるなら天使も悪魔もいたっておかしくはないんだろうが、俺自身ついていけていない。

 

「先輩達が......悪魔?」

 

ここにいるメンバーが全員悪魔なんだとすれば、この学園の有名人の殆どが悪魔という事になるのではないだろうか。

 

まず、2大お姉様のリアス・グレモリー先輩に姫島朱乃先輩。

2大イケメンの木場祐斗にライデン。

そして、学園のマスコットと称される塔城小猫ちゃん。

 

「そうよ、そしてこれが悪魔の証」

 

バサッっという音と共に、先輩達から夕麻ちゃんのとはまた違う黒い羽が生える。

 

「うおっ!?」

 

それと同時に俺からも同じ羽が勢い良く生えた。

 

「なんだこれ!?なんで俺にも羽が...」

 

狼狽えている俺をよそに、グレモリー先輩は話を続ける。

 

「単刀直入に言うわよ。一昨日、貴方は堕天使によって死ぬ一歩手前まで追い込まれた。覚えているかしら?」

 

死ぬ一歩手前、その言葉にあの時の...槍が俺の腹に突き刺さる光景がフラッシュバックして、足元がふらついてしまう。

 

「イッセー君!」

 

夕麻ちゃんが支えてくれたおかげで倒れずに済んだが、俺が受けた衝撃は軽くは無い。

 

「夕麻...ちゃん俺......あの時...死んでっ「ふんっ」いってぇ!?な、何すんだよライデン!」

 

デコピンされた。

 

「気持ちは分かるが狼狽えるな、彼女の前で位気張って見せろ。それに正確に言えばお前は死んではいない」

 

「それってどういう...?」

 

「私があなたを悪魔に転生させたのよ」

 

次から次へと投げつけられる情報に頭が追い付かず、思わずわけがわからないよと言いたくなった。

 

「その様子では理解はできていない様だな。無理も無い」

 

「あぁ、正直何がなんだか...」

 

「仕方が無い、順を追って説明しよう」

 

そう言ってライデンはスマートフォンの様な端末を取り出して起動した。

 

すると空中に画面が現れ、そこには俺を襲った奴らの画像が表示されていた。

 

「まず、お前が刺された後に俺が堕天使ミッテルトの片腕を斬り飛ばして、そこにいる天野夕麻が止めを刺した」

 

ライデンがそう言うと、そのミッテルトという堕天使の画像に赤いバツ印が付く。

 

「それって...」

 

夕麻ちゃんが止めを刺したと聞いて、先程から一言も喋っていない内の一人だった姫島先輩が初めて口を開いた。

 

「ああ、文字通りの同士討ちとなるが、天野夕麻は元々奴らに仲間意識は持っていなかったそうだ。

それに一誠にベタ惚れで他の事など考えてもいなかったんだろうな」

 

なんだか改めてそう言われると少し気恥ずかしいが、それは夕麻ちゃんも同じ様で俯いて頬を赤く染めている。

 

「話を続けるぞ?

その後、ドーナシークは逃走。

一誠が持っていた契約用のチラシでグレモリーが召喚され、助けるには転生させる以外に方法が無かった故に、転生させる運びとなった」

 

そう言い切るとライデンは端末の電源を切って懐に戻す。

 

「以上が事の顛末だ」

 

「...悪魔になった理由は分かったけど、まず俺は何で狙われたんだ?」

 

「それについては予想はついているけど、折角相手側の元関係者がいるのだからこれ以上の正確な情報は無いと思うわよ?」

 

元関係者、つまりは夕麻ちゃんの事を言っているのだろう。

 

俺が口を挟めることではないかもしれないが、それは少し酷なんじゃないだろうか。

夕麻ちゃんの前に出てそう言おうとするが、それは本人によって制された。

 

「いいのイッセー君。それに、これは私が言わなきゃいけない事だと思うの」

 

「夕麻ちゃん...」

 

「...堕天使がイッセー君を狙った理由。

それは...イッセー君の内に眠る神器の危険性を考慮して、そう言っていたわ」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「言っていた...?まるで他人事の様な言い方だけど、君もその任を受けてこの町に来たんじゃないのかい?」

 

語った内容に疑問を感じたのか、祐斗が口を挟む。

 

「いいえ、今回はドーナシークの独断専行。私とミッテルト、そしてもう一人のカラワーナという堕天使はそれに着いてきただけよ」

 

「ああ、それについてはアザゼルに直接聞いたが、答えは知らないだった。

本来、堕天使の...神の子を見張る者の目的は神器を持つ者の保護及び監視だ。あの神器大好きで知られるアザゼルが、態々神器をドブに捨てる様な命令をする筈があるまい」

 

「たしかに、でもそうだとすればなぜ貴女はドーナシークに加担したのかしら?」

 

今度はグレモリーが天野夕麻に質問を投げ掛けられる。

 

「.........他の堕天使といるのが嫌だったの。だから何らかの計画を立てていたドーナシークの勧誘を受けた。

イッセー君に干渉する役を受けたのは、彼みたいな人と普通の日常を過ごしてみたかったから...かしら。

それ以外で言うと...なんとなく気になったから。

そう、思えば一目惚れだったのかもしれないわね///」

 

「夕麻ちゃん///」

 

なんだこいつ等。

グレモリーは挟み込まれた惚気を無視して質問を続ける。

 

「...計画というのは?」

 

「...ええ、私はあくまで多少の協力のみで話を受けたから計画の全貌は知らないわ。

でも、神器を宿していただけの一般人だったイッセー君すら殺そうとする位よ。

慎重さには欠けているけど、さぞかしデリケートな計画なんじゃないかしら」

 

「計画ね......人様の領土で好き勝手してくれるじゃない」

 

「奴の目的が何にせよ、ドーナシークは俺がこの手で斬る。邪魔はしてくれるなよ?

俺も友人を傷付けられたのだ、内心穏やかでは無い」

 

グレモリーは少し考える素振りを見せるが、考えが纏まったのか俺を見据えてこう言った。

 

「ええ、分かったわ。本来なら許さないけれど、今回は特別に許可しましょう。

ただし、私達が手を出さないのはドーナシークだけよ。他に敵がいれば、それはこちらで殲滅する。いいわね?」

 

「十分だ。感謝する」

 

「なら、この話は一旦終わりにしましょう。

次は兵藤一誠君...いえ、周りに倣ってイッセーと呼ばせてもらうけれど。

彼の神器が何なのかも気になるわ」

 

彼女が言った瞬間、一誠に視線が集まり身を固くしていたのは仕方のない事だろう。




戦闘するかオリジナル要素叩き込まないとモチベが上がらずに、どうも繋ぎの話っぽくなってしまう。

思い付きに頼ってるのでモチベーションは大事なんですよね。


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斬ノ拾肆 神器、そして衝撃

「そ、そもそもせいくりっどぎあ?ってなんなんですか?」

 

皆の視線が集まる中、一誠は緊張しすぎてガチガチになりつつも質問をする。

 

「簡単に言えば神様が人間にのみ与えた不思議な力って奴だな。神器は強い力を秘めているが...」

 

言いながら鞘に納められた高周波ブレードのみを手元に展開する。

 

「それが必ずしも良いものとは限らん。

俺のコレも神器だが、出来る事といえば敵を殺す事のみ。

お前にどんな神器が宿っているかは知らんが、その力を使う時は確固たる意志を持って使え。

意思無き力の行使は破壊しか生まない...気を付けろよ」

 

「...ああ」

 

一誠は俺の言葉に一瞬気圧されかけたが、天野夕麻をチラッと見ると言われた事を噛み締めるかのごとく深く頷いた。

 

「...すまんなグレモリーまた話を遮った。どうも友人の事となるとお節介気味になってしまってな」

 

「いいえ、貴方の言った事は大事な事だわ。

そして、その『力』で彼の窮地を救った貴方だからこそ言える事でもある...」

 

「窮地を救うという意味では君の方が適任ではあっただろう。

俺の場合は結局あの有様だったしな......まぁ今はそれはいい、本題へ戻ろう」

 

「そうね...イッセーまずはあなたが一番強いと思うものを想像しなさい」

 

「一番...強いと思うもの」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

最初に浮かんだのはライデンだった

 

俺は倒れて意識も朦朧としていたが、途切れる寸前に見たあの凄まじい掌底は俺の目に焼き付いていた。

それにライデンは力だけではなく、考えもしっかりしていて精神的にも強い。

 

だから俺は自信を持って答えよう。

 

「俺が強いと思うのはライデンです」

 

「...本気で言っているのか?」

 

「もちろん」

 

その問に胸を張って答えると、ライデンは顔の半分を手で覆い呆れた様に言った。

 

「俺のは殺す為の力であって、本来忌むべきものだ。

そんなものよりアニメ等のキャラクターの力とかにしておいた方がいい。

神器は持ち主の影響を受けて変化する。

俺みたいなのを参考にしても良い事は無いぞ」

 

「そんな事無いだろ。ライデンは夕麻ちゃんと俺を守ってくれた。

破壊する力だったとしても、それで何かを守れるっていういい見本じゃないか」

 

俺はライデンに助けて貰った事を感謝してるし、なれるんだったらライデンみたいになりたいと思ってる。

紛れも無い俺の本心。

 

「はぁ...お前がいいならもうそれでいいさ。

そう思っているなら俺の力の本質がどうあれ、俺の様にはならないだろう」

 

「決まったのね?なら、それをイメージしながらその中でも一番強いと思った技を真似てみなさい」

 

言われた様にあの時ライデンが放った掌底を思い出して足を大きく開く。

 

次に左手を大きく引いて構えっぽい姿勢を取り、虚空に向かって全力で左手の掌底を放つ。

 

「ハァッ!!」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

一誠が掌打を放った瞬間、突き出された一誠の左手が光ったかと思えば、赤い籠手の様な物が一誠の手を覆っていた。

 

「ほう、籠手か。

形状からして『龍の手〈トワイス・クリティカル〉』の様だな」

 

一誠は発現した自分の神器を見つめている。

 

「これが俺の神器...」

 

「そうだ、たしか能力は一度だけ力を倍にするだったか...駒八つにしては普通過ぎる気もするが...それも十分に強力な力だ。無闇矢鱈に振るうなよ?」

 

一誠は少しの間、自分の神器を見つめると視線をこちらに戻して深く頷いた。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「たしか能力は一度だけ力を倍にするだったか......は普通過ぎる気もするが...それも十分に強力な力だ。無闇矢鱈に振るうなよ?」

 

途中声が小さくなって聞こえない部分もあったが、それでもライデンの言葉が重く俺にのしかかって来る。

 

強力な力の前に何も出来ないのはドーナシーク達に襲われた事で痛い程に分かった。

それを踏まえ、俺はライデンの言葉を噛み締めて深く頷いた。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

ふむ、あの様子だとしっかりと言った事は理解してくれた様だな。

 

「じゃあイッセー、神器はもう仕舞って大丈夫よ。本当はもっと早く話しておきたかったんだけど、私の眷属となった事でしなければならなくなった事と今後の...」

 

グレモリーよ、滅茶苦茶天野夕麻が睨んでいる事に頼むから気付いてくれ。

 

そんな事を考えていると、制服の袖をクイッと引かれたのでそちらへと視線を向ける。

 

「......ご、先輩ちょっとお話したい事があるんですが」

 

どうやら引っ張っていたのは塔城小猫の様だ。

 

「どうしたんだ?」

 

「......ここではちょっと」

 

なんだろうか?雰囲気的にこの前の件とは関係は無さそうだが。

まぁ、聞いてみれば分かる事か。

 

「分かった。祐斗すまんが塔城小猫借りていくぞ。

グレモリーの話が終わった時にでも言っておいてくれ」

 

「分かったよ。でも何の用なんだい?二人の接点が僕には分からないんだけど」

 

「さてな?俺にも分からん。兎も角頼んだぞ」

 

「分かった。折を見て伝えておくよ」

 

そう言い残し、俺は塔城小猫と共に部室を出た。

 

「さて、何処へ行く?今の時間だと人が全くいないのは屋上ぐらいのものだが」

 

「......じゃあ屋上に」

 

目的地を決め、俺達は無言で歩く。

 

白髪と銀髪のコンビが歩いているのは流石に目を引くらしく、すれ違う人達の視線が集まっているのが分かる。

 

祐斗も言っていたが、俺達の接点が見つからないというのも要因の一つだろう。

 

そして無言を貫き、屋上へ到達。

 

俺はとりあえずフェンス越しに屋上からの景色を眺めて気分を落ち着かせる。

夕日が綺麗だな...。

 

「で、話とは...」

 

俺はそう言って振り返り、言葉を失った。

 

「ねこ...耳?」

 

「......ご主人様ッ!」

 

「What!?」

 

美少女から猫耳が生えたと思ったら抱きつかれたなう。

 

「と、塔城小猫!?一体何をッ」

 

「......ご主人様の匂ぃ...でも、他の女のニオイもする」

 

「何を言っているんだ!?説明してくれ塔城小猫!!」

 

俺はあまりに意味不明な事態につい語気を強めて言ってしまう。

 

「......白」

 

「え?」

 

「......昔の様に白とは呼んで下さらないんですか?ご主人様」




久々に急展開らしい急展開が発生しましたね。

次回を書かなきゃいけないのでこのへんで、サラバ!!


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斬ノ拾伍 ねこのきもち

えー、この小説も皆さんに支えられて15話まで到達致しました!

閲覧、評価、感想大変ありがとうございます_|\○_

皆さんの意見や感想はなるほどと納得共感、こういう展開もありだな~なんて思わせてもらえる物も多く、非常に参考になっております!

先行き不安なこの作品ですが、今後もどうか見守って頂けると嬉しいです(*゚∀゚*)

それでは前書きが長くなりましたが、15話どうぞ!!


(しろ)』それは世界を巡っていた時に拾った二匹の猫の片割れだった。

 

何があったのかは分からないが、傷付き倒れている猫を放って置く訳にも行かず。家から持ち出していた応急処置キットでとりあえずの処置を施し、そのまま二匹を抱えて泊まっていたホテルに直行。

 

駄目元で一応ホテルに確認を取ると、防犯を考え割と良い所を選んでいたのが良かったのかペットOK。

そのままホテルで二匹との生活が始まった。

 

俺は気の強そうな黒い猫に『(くろ)』大人しい白い猫に『(しろ)』と名付けた。

安直な名前ではあるが、この時は元気になったら自然に返すつもりだったのと、あまり変な名前を付けては可哀想と思いこの名前になった。

 

「...本当に白、なのか?」

 

「......はいっ」

 

彼女は嬉しそうに答えると、抱き着く腕の力を少し強めた。

 

「そうか、そうなのか...いや、でも良かった。もう二度と会えないと思っていた」

 

俺は驚くと同時に納得もした。

いなくなった理由も、あの不可解な傷の事も。

現代社会においては怪我をした猫自体は珍しくも無いとは思っていたが、傷口に魔力の残滓が残っていたのがずっと気になっていた。

 

「種族としては、妖怪......でいいんだよな?」

 

そう言うと小さな身体がビクッと震えた。

 

「あぁ、だからどうこうという訳ではない。

あくまでただの確認だ」

 

「......はい」

 

今度に返事は先程の様に喜色を含んだ物ではなく、落ち着いた静かな返事だった。

 

「あぁ、その、なんだ。何はともあれ無事でいてくれて良かった」

 

俺は彼女の肩に手を添えながら、もう片方の手で優しくねの生えた頭を撫でる。

 

「......ずっと」

 

「ん?」

 

「......ずっと会いたかったです」

 

「...俺もだよ、白」

 

会いたかった。その言葉にどうしても嬉しくなってしまう。

そう思っていたのは俺だけでは無かった。

 

いくら探し回っても見付からなかったのに、故郷に戻って来て会えたなど誰が信じるのだろうか。

毎日の様に戦いに明け暮れていた俺にとって、白と黒は数少ない俺の癒しだった。

転生したとしてもせいぜい18年分のぬくぬくと生きてきた人生では、殺し殺されの世界には到底耐え切れず知らず知らずの内に心は悲鳴を上げていた。

 

そんな中で白達の存在は正に救いだった。

殺しを生業とする者が今更救いを求めるのも可笑しな話だとは思うが、闘争とは無縁の世界で生きてきたからこその弱さが俺にはあった。

 

白達がいたから壊れずに戦えた。

その後、白達が俺の元から去ってしまった後の話は......正直あまりしたくない部類に入る。

それも今は脇に置いておこう。

 

「......ご主人様がこの学校に来た日から、可能な時はずっと見ていました。...でも、私は妖怪で悪魔だから、どうしても言えなくて...本当はもっと早く言いたかったんです」

 

「人ならざるものだと知られて嫌われると思った?」

 

聞いておいて少し質問の仕方を間違えたと思ったが、白は意外にもすんなりと答えてくれた。

 

「......はい。その時はまだ、普通の人だと思っていたので...でも、そうでは無いと知って不謹慎にも喜んでしまいました。

裏の仕事を請け負っているのなら妖怪も悪魔も見慣れているだろう、と」

 

「...そうか、で昔から俺がずっと気付けなかったなんてな」

 

「......それは無理も無いと思います。昔はお姉さま...黒が仙術という気を操る力で妖怪特有の妖気を隠していましたし、私も少しは気を扱えるのでそれを使って気配を隠していました」

 

「仙術...そういえば今の話にも出てきていたが黒はどうしたんだ?」

 

そう言うと白は抱きついていた腕を離して、憂いを帯びた表情で語り始めた。

 

「......私達は仙術という強大な力に目をつけられ、私の代わりにある悪魔の眷属となり、そこで戦う為の力を求め過ぎて仙術を暴走させてしまって主を殺害...今ではSS級はぐれ悪魔になっています」

 

それはあまりにも衝撃的な告白だった。

 

「SS級はぐれ悪魔......まさかっ!!」

 

妖怪、猫、SS級はぐれ悪魔。

 

これに該当する奴が一人だけいる。

賞金稼ぎをやっているとそういう情報も良く回ってくる。

 

「......おそらくそのまさかです。SS級はぐれ悪魔、その名は」

 

「黒歌......嘘、だろ?」

 

衝撃的すぎて言葉が出ない。

あの黒が力に固執して暴走なんて信じられん。

いつも白を守る様にしていたあの黒が......。

 

「......その通り、殆どが嘘です」

 

「What?」

 

何を言っているのでしょうかこの娘は。

 

「......はぐれ悪魔になってしまっているのは紛れも無い事実ですが、その理由は大きく異なります」

 

「...一体どういう事だ?」

 

「......仙術に目をつけられたのも私を守る為に眷属となったのも本当ですが、力を求めて暴走もしていませんし、主を殺害のも別の理由です」

 

俺は無言で続けるよう促す。

 

「......半ば無理矢理眷属にさせられたお姉さまは、最初は普通の仕事を任されていたそうですが......ある日突然、その男が本性を表してお姉さまに肉体関係を迫ったそうです」

 

「...なんだと」

 

言いようの無い怒りが俺の中で渦巻いているのが分かる。

 

「......落ち着いて下さいご主人様。話はまだ終わってません。

それにお姉さまも私もご主人様以外に体を許す気はありません。

だから、それを聞いたお姉さまは当然激怒して主を張り倒したそうです。

するとそれに怒った主がお姉さまを殺そうとして、お姉さまはそれを返り討ちにして主を八つ裂きにしたそうです」

 

「...何か不穏な言葉が聞こえた気がするがまあいい。

無理矢理眷属にさせられ、更には肉体関係を迫られて断ったら殺す?

巫山戯た野郎もいたもんだな......だが、それではぐれ悪魔か。

それではぐれ悪魔として正式に登録されてるって事は、情報はそのクソ野郎の眷属辺りに改竄された物か」

 

「......概ねそれであっています」

 

世の中とんだクズもいたもんだなぁ......それに、悪魔社会も随分と緩いもんだな。よく調査もせずにはぐれ悪魔認定とはな。

忙しいのは分かるが調査ぐらいしっかりしやがれってんだ。

 

「......その後、私はサーゼクス様に保護されて部長の眷属になりました。

私は仙術を少ししか使えないと言いましたがあれも嘘です。

仙術の力を狙う者達から身を守る為に、お姉さまの様に暴走するのが怖いと言って少ししか使えないと偽っています」

 

「...あれだけ一緒にいて、何も気付けなかったのか俺はッ」

 

自分の不甲斐なさに怒りが湧いてくる。

 

大切だなんだと言って結局は何も出来ないんじゃないか!

 

「...ごめん白、本当にごめん。気付いてやることも、守ってやる事も出来なかったなんて。

俺は...」

 

あまりの情けなさに、身体を支えられるだけの気力も失い膝から崩れ落ちてしまう。

 

「......そんな事無いです!」

 

そう言いながら白は、今にも倒れ込んでしまいそうな俺を抱き締め支えてくれる。

 

「......ご主人様は私達を助けてくれた!私達を家族同然に扱ってくれた!

それがどうしようもなく嬉しくて、誰にも渡したくないと思って......」

 

白の突然の激しさに唖然としていると、白は何か覚悟を決めた様な目で俺を見据えて言った。

 

「......好きですご主人様。私をもっと愛して下さい」

 

言うや否や白の顔が俺の顔に急接近、一瞬でその距離は0となり接触。

 

接触箇所は唇。

 

これは、所謂キスというモノでは無いのだろうか。




えっと、その、色々と改変されてたり時系列が分かりにくいとかあると思うんですが、とりあえず武器は仕舞ってくださいお願いしますぅ_|\○_

ヤンデレ感が薄い?うちのしろにゃんこは若干変な病み方してるってことで一つ。

あと、ヤンデレの魅力って愛情とか独占欲とかが振り切れちゃってて、いつもは普通なのに裏では愛ゆえに他者への憎しみが...とか、滅茶苦茶我慢してるけど、本当は他の女と仲良くとかのストレスが溜まっていってピークに達して何かの衝撃で爆発、狂気に走ってお前ら殺す。
みたいな過程をってのはあると思うんですがどうでしょうか?

最近はヤンデレていうと、刃物もって常にハイライト消えてて主人公にべったり、他の女消えろよみたいなのを全面に出して最初から隠そうとしないのが多くて、それはヤンデレの極端な二面性という個性を潰している様で如何なものかと。

悪いとは言いませんが、若干ヤンデレ感が薄いというかねぇ?
なんかキャラを立たせるためのテイストにしてる節があってこれはヤンデレキャラですって言われても、?ってなることが多いです。

まぁ、ヤンデレの捉え方は人それぞれだとは思うので、それは違うんじゃないか?と思ったら感想かメッセージ下さい。
自分が病むまで語りましょう。

長くなりましたが今回はここまで!

次回を待つのDA!

P.S.評価コメにて原作読み込んだらもっと良くなると言われ、確かにそうだなと本気で納得しちゃったので。原作買ったらリメイクなり要所要所の修整が入りますが、その時はまた何かしらの形でご報告致します。


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斬ノ拾陸 家族と愛

スターウォーズバトルフロントやってたら遅くなっちまったぜ!

フォースと共にあらん事を。


「......好きですご主人様。私をもっと愛して下さい」

 

そう言われると同時に唇には柔らかい感触。

 

驚きに声も出せない俺とは違い、白は頬を朱に染めながら可愛らしい笑みを浮かべている。

 

「......キス、しちゃいました///」

 

キス...その言葉をした相手に言われた事で、俺はその事実を更に強く意識してしまった。

 

「......初めてだったんですよ?」

 

「あぁ、俺もだ...」

 

思考が正常に働いていないせいで、よく分からない返しをしてしまったが白的には嬉しい事だった様で、普段から表情変化の薄いと言われている白が満面の笑みを浮かべている。

 

「好き...好きか。勿論それは家族としてって事だけじゃない、よな?

ウル...友人には愛の違いが分からない男などと言われたが、流石にこの状況なら俺でも分かる」

 

「......はい、私はご主人様の事を一人の女として愛しています」

 

あまりに急な事態に頭がついていかないが、どうにか考えを纏めて言葉にする。

 

「.........俺も白の事は好きだ。愛していると言っても過言ではない。

...ただ、それが家族としてなのか、それとも一人の男としての感情なのかが分からない」

 

以前、ウルフに言われたお前の愛は一種類だというのは本当に的を射た言葉だろう。

前世ならいざ知らず、殺し殺されの殺意しか向けられない様な環境で十数年の日々を送ってきた俺は、気付かない内にどこかおかしくなってしまっていたのだろう。

その結果、自分の感情がどういう物なのかすら理解出来なくなってしまった。

 

「こんな言い方は卑怯だと思うが、白の為にも中途半端な...自分の気持ちも分からない様な状態で答えを出したく無い」

 

そんなのは白の気持ちを馬鹿にしているのに等しい。

俺の自己満足でしかないのかも知れないが、それでもそんな事は絶対にしたくない。

 

「だから、返事はまだ待って欲しい」

 

それを聞いた白は一瞬悲しげな表情になるが、直ぐに笑顔へと変わり真っ直ぐな瞳で俺を見据えて言った。

 

「......絶対に私を好きにさせてみせます」

 

俺はその言葉に白の覚悟を見た。

それに報いるため、俺も自身の覚悟を示す。

 

「俺も、絶対に自分の答えを見つけてみせる」

 

白の綺麗な瞳を見つめ返してそう言う。

 

「......待ってます。悪魔の寿命は長いから...ずっと、ずっと。

もしご主人様が答えを出す前に死んでしまったら、悪魔に転生させてでも待ちますから覚悟しておいて下さい」

 

「おぉう、その覚悟も必要なのか...まぁ、それも悪くは無いかもしれんが、早目に見つけられるよう努力する」

 

本当にやりそうな雰囲気を醸し出す白に軽い調子で言い、フェンスの近くにある段に座って自分の膝をぽんぽんと軽く叩く。

 

「おいで白。折角再会できたんだ、もう少し位此処にいても文句は言われないさ」

 

俺の行動の意味を理解した白は目を輝かせながら躊躇いなく膝に座る。

俺は満足気に座っている白の頭に手を乗せて優しく撫でる。

 

「...懐かしいな。膝の上には白がいて」

 

「......頭の上にはお姉さまが」

 

言葉にする度に思い返される幸せな日々。

願わくばこの時を永遠にと思った事もあった。

 

「長くは続かなかったがけど、それでも大切な...これ以上無い程に幸せな日々だった」

 

「......はい」

 

短い肯定の言葉。

だが、その一言には色々な思いが込められているのは言われなくても分かる。

 

長い、それでいて心地良い沈黙が二人を包む。

 

「.........白、もう黙って勝手にいなくなったりしないでくれよ?

お前達がいなくなって俺がどれだけショックを受けたことか」

 

「......安心して下さい。もう二度と...離れろと言われてもご主人様からは絶対に離れませんから」

 

白は座ったまま俺の体にもたれかかり、顔だけをこちらへ向けてそう言った。

 

「なら安心した。俺は案外メンタルが弱いみたいでさ、失う事に耐えられない...自分で言うのもあれだけど、お前達がいなくなった後の俺は酷いもんだったんだぞ?」

 

軽い調子で言うと、白は深刻そうな顔をしてそんなにですか、と聞いてきた。

話したくない部類の話ではあるが、白になら話してもいいと思い話し始める。

 

「あぁ、あれは自分でも相当酷いと思う...。

最初は自然に帰ったって、元の状態に戻っただけだって自分に言い聞かせながら暴れ回って。

逃げる様に、忘れる様に、孤独を紛らわせる為に討伐対象を殺して回った。

でも、斬っても斬っても忘れられなかった......それ程に白と黒が大切な存在になってた」

 

そう言って、昔の様に子猫をあやす様に白を撫でる。

 

「気付いたら野良猫を目で追うようになって...その度に感情を殺して未練を断ち切ろうとした。

そんな事を繰り返していたら、気付いた時には何も考えず、何も感じず、殺すだけの機械にでもなった様な気分だった

......ただ、その時偶然俺を見つけてくれた親戚の人ってのが俺を繋ぎ止めてくれたお陰で壊れずに済んだんだ」

 

「......私達のせいで...」

 

白はなんだか凄く小さく何かを呟いているが、この距離で聞こえないということは独り言の類いなのだろう。

ペラペラと喋った手前あれだが、気に病んでいないといいのだが...。

 

「そろそろ話も終わりそうな頃だろうし戻るか」

 

「......名残惜しいですがそうしましょう」

 

「はは、これからは直ぐに会える様になったんだ。

またいつでも可愛がってやるさ」

 

俺の癒しにも最適だしな!

 

心の中で沿うう叫びながら白の頭を軽く撫でてから立ち上がる様に促し、白が立った後に自分も立ち上がる。

 

すると白はこちらへと振り返り、俺に向かって両手をのばしながら言った。

 

「......ご主人様、最後にぎゅって抱きしめてほしいです」

 

俺が断る筈もなく小柄な白の体格に合わせて膝立ちになり、苦しくないように優しく抱きしめる。

 

こんな少しでも腕に力を込めてしまえば壊れてしまいそうな少女が、身に余る大きな苦労を背負ってきたと考えると、それから護ってやれなかった不甲斐ない自分に対して殺意すら湧いてくる。

 

だからこそ、今度こそ絶対に...

 

「護ってみせる」

 

「......はい」

 

「俺の家族はもう誰にも奪わせない」

 

俺の家族を、仲間を傷付ける奴は誰であろうと斬り殺す。

 

「......ご主人様」

 

白は俺を呼ぶと、俺の顔を見てニコッと笑い。

また、キスしてきた。

 

......しかも今度はディープな方で。

 

ちょと待って!?舌入れるのはまずいって!!

そう思い引き剥がそうとするも、何処にそんな力があるのかガッシリとホールドしてきて外れない。

コレガアクマノチカラカァ!?

 

「はむ...ふっ......っぷは」

 

ようやっと白が舌を抜き、唇が離れる。

一体何をと言おうとするも、何とも言えない妖艶な雰囲気を醸し出す白に思わず目を奪われ何も言えなくなる。

 

「......ずっと会えなかった分、昔以上に甘えさせてもらいますっ」

 

これから大変になる。

俺は、何処か他人事の様にそう思った。




とうとう訳の分からん感じになって参りました。
作者の手を離れてキャラが動く的な。
暴走じゃね?

ダークサイドの力を思い知れ!


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斬ノ拾漆 私は久々にネタに走れて満足です

タイトルでもうお分かりかと思いますが、
今回も
誰かが
壊れます。


フォースと共にあらん事を、雷電だ。

 

前回同様作者がバトルフロントにハマり過ぎて更新が危うい感じになって来ているようだ。

いい加減にして欲しいものである。

 

それはさておき、屋上から部室へ戻ると話はとっくに終わっていたようで、一誠は入ってきた俺達を見てどういうことだってばよ...とでも言いたそうにこちらを見ている。

 

「ふむ、話はもう終わっている様だな。

何も言わずに途中退席したのは申し訳ないが、こちらにも多少事情があってな」

 

「いえ、いいわ...訳ありなのはその様子を見れば分かるしね。小猫のそんな様子、初めて見たわ......ちゃんと説明はしてもらえるのよね?」

 

グレモリーは”俺の腕に自分の腕を絡める白”を変なものでも見る様に眺めると、頭痛の種が増えたとでも言いたそうな具合にそう言った。

 

「あぁ、まぁ.........家族的な?」

 

空気が固まった様な気がした。

 

「は?」

 

「ええい!こちらにも色々と微妙な事情があってだな!!

誤解の無い様に言うが......」

 

その後、短く纏めても補足やなんやで時間を使い、三十分を超える説明を経てやっとグレモリー以下眷属一同を納得させるに至った。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「まさか貴方が小猫の話に出てきた”ご主人様”だったなんてね...」

 

「ああ、それについては俺も驚いたよ。

よもや昔一緒に住んでいた猫が妖怪で、更には悪魔の眷属になっていたとはな」

 

「あぁ、また面倒事がっ!堕天使侵入の件だけでも既に大変なのに!!やってられるかチクショウメェェェェ!!!」

 

グレモリーがなんだか良く分からんが壊れた。

 

「部長!どうしたんですか!!部長ォォォォォォ!!!!」

 

テン、テン、テテテン、テン!テン!テンッ!!(MGS:PWゲームオーバー風)

 

なんだか聞き覚えのあるサウンドが流れた気がするが気のせいだろうか?

 

「あー、大変そうな所悪いが今日は帰らせて貰おう。これでもなかなか忙しい身でね」

 

「...分かったわ。

貴方達が過去繋がっていても、私がどうこう出来ることではないし何も言うことは無いわ」

 

「......ありがとうございます部長」

 

「いいのよ。自分の眷属が幸せになるならこの程度の苦労なんて何の問題もないわ!」

 

...白は随分と愉快な、それでいていい王に巡り会えた様だな。

 

「感謝するグレモリー」

 

「気にしなくていいわ。

小猫の為だもの...ただ、泣かせでもしたら承知しないわよ?」

 

「ありえんな...だが、改めて気を付けよう」

 

「そう、ならいいのよ。

後、私の事はリアスでいいわ。自分の眷属の家族にずっと名字呼びされるのも何だか...ね?」

 

「ふむ、ではこれからはリアスと呼ぶ事にしよう。

俺も雷電で構わん」

 

「ええ、よろしく雷電」

 

「こちらこそだ。では失礼する」

 

一通りの挨拶も済ませた所で帰ろうとするとが......

 

「あー、なんだ。白さんや俺は帰らなければならないのだが?」

 

白は力にものを言わせて俺の腕を離そうとしない。

 

「...もう連れて帰ったらどう?今日位なら多めに見るわよ?」

 

どうしたものかと悩んでいると、リアスはだるそうにくたーっとしながらそう言った。

 

「リアス!?何をっ」

 

何を言っている、言おうとした言葉は白の輝き溢れる期待に満ちた目を見てしまい言葉を詰まらせる。

 

「.........致し方ない。だが、親戚が来ている故、悪魔やらなんやらの話はNGだ」

 

「......大丈夫です。ご主人様に迷惑はかけません!」

 

本人がそう言うのなら大丈夫なのだろう......多分。

 

「では今度こそ失礼する。行くぞ白」

 

「......はい。皆さんお疲れ様です」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

二人が退出するのを見届け、俺は訳が分からなすぎて飛びかけていた意識を戻す。

 

「あぁ、雷電に小猫取られた〜」

 

「行儀が悪いですよリアス」

 

「だってぇ...」

 

はい?

 

ちょっと待て、今の誰だ。

 

「朱乃だって彼に気付いてもらえなくてイラついてたくせにぃ〜」

 

「そんな事ありませんよリアス?」

 

「ひっ、ごめんなさいぃ...」

 

聞き間違えでなければ、やはり今の声の主は部長...リアス・グレモリーの様だ。

 

「これがキャラ崩壊ってやつね...」

 

夕麻ちゃんが何かを言っているが、目の前で起きている事のインパクトがデカ過ぎて頭に入って来ない。

 

「でも、子供の時の事なんていくら何でも覚えてても分からないと思うんだけど?」

 

「リ・ア・ス?」

 

「うぅ、分かったわよもう言わないわ!

...そうだ、イッセー!私の新しい眷属!!この傷心な私を慰めて頂戴!!」

 

「え?えぇっ!?」

 

部長は急に立ち上がったかと思うと座っていた俺にダイブ。

 

「ちょっ!あなた何をしてるのよ!イッセー君から離れなさい!!」

 

「なによー私は自分の眷属とスキンシップを取ってるだけなんだけどぉ?」

 

俺は部長と夕麻ちゃんの間に挟まれて、腕に伝わる感触は幸せだが雰囲気は地獄というなんなんだこの状況は。

 

「我らが部長VS天野夕麻!兵藤一誠君を巡る世紀の一戦が今始まる!!」

 

唐突に始まる木場の実況みたいな何か。

 

「あの方には自分で気付いてもらいたいんですの、叶わなくてもそれが私の理想...フフフ」

 

何かヤバイ笑いを浮かべている姫島先輩。

 

「雷電、助けてくれぇ...」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「ん?」

 

「......どうしたんですかご主人様?」

 

「いや、今一誠の助けを求める声が聞こえた気がしたんだが...気のせいか」

 

今日も世界は一誠という犠牲を得て回っています。




はい、部長崩壊しました。
朱乃さんも謎の設定が適用されておかしい人になりました。
ついでに木場君も片鱗を見せつつありますねぇ。

ま、しょうがないね!


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斬ノ拾捌 ちょっとした邂逅

まぁ、そんな感じです。


ついにこの時が来てしまった...雷電です。

 

あと少しで家に着く訳なんですが、俺の足取りは非常に重いものとなっておりますと。

 

前回は再開に喜び舞い上がっていたせいで忘れていたが、よくよく考えれば加奈さんは俺へのスキンシップが非常に激しい。

 

親戚とはいえど、それを度外視すればちょっと年上ぐらいの綺麗な女性である。

 

つまり俺が何を言いたいかってことなんだが、ただでさえ告白を長期間前提で保留にするという外道の行いをしておきながら!

その上、家に招いておいて態々別の女性と触れ合う姿を見せるのはどうなのよと。

 

「そう思う訳なんですよねぇ...」

 

「......どうしたんですかご主人様?」

 

「あぁ、いや、なんでもない」

 

嘘です、全くなんでもなくありません。

 

勘違いだったらクソ恥ずかしいのだが、加奈さんも加奈さんで何か昔から俺に女を近付けさせない様にしてた気がするんだよなぁ...。

 

段々と億劫になってきた......何も起こらなければいいんだが。

 

「着いてしまった...」

 

「......ここがご主人様のお家」

 

考えうる最悪の未来に絶望している俺の隣では、白が目を輝かせながら我が家を見上げていた。

 

「うん、まぁ入るか」

 

「......はいっ!」

 

自宅の扉を開けるのがこんなの辛くなる日が来るとは...。

 

俺は数秒間扉の前で立ち尽くすと、意を決してドアノブに手を掛けた......瞬間。

 

ガチャン!という激しい音と共に凄い勢いで扉がフルオープン。

 

あまりにも急な、まるでゲームのクイックタイムイベントの様な勢いで発生したそれに反応する事の出来なかった俺は、迫り来る扉を見ていることしか出来なかった。

 

「グハッ!!∵:(゚д゚lll)」

 

「おかえりらいくん!!帰って来た予感がしておねーさん張り切ってお出迎えに...って貴女は!?」

 

扉を思いっきり開け放ってくれやがったのは加奈さんだった様だ。

いや、まぁそれ以外だと困るんだけどさ。

 

「防犯考えてドアに強化装甲付けたのは間違い...だった、か.........ガクッ」

 

「ご主人様!貴方が倒れたら誰がPースウォーカーを止めるんですか!!ご主人様ーーー!!!」

 

白さんや、キャラぶれとる。

後、それ俺(雷電)やないBIGBOSSや...。

 

そんな下らない思考を最後に、俺の意識はあっさり途切れた。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

何故、悪魔がここに!!?

 

私は心の中でそう叫びながら、どうすればいいかを必死に考える。

 

幸いなにかに驚いていて、私の存在は認識出来ていない様だ。

今なら殺すのも容易かもしれないが、殺すのは論外だ。

 

彼女はグレモリーの眷属。

安易に手を出していい相手では無い。

 

それに、らいくんがグレモリーとも繋がりがあるのは調査済みだ。らいくんに迷惑をかける事は出来ない。

 

そしてなにより、殺せば間違いなくらいくんに堕天使だと知られてしまう。それは避けなければならない。

 

本当にどうすればいいか分からなくなっていると、悲鳴のような叫び声が私の思考を遮った。

 

「ご主人様ーーー!!!」

 

発生源は目の前の小柄な悪魔。

 

ご主人様ってなんなんだと思いながらも視線を更に下げる。

 

下げた視線の先には彼女の腕の中で気絶しているらいくん......って、らいくん!!?

 

らいくんの額は”何かで殴られたかのように”真っ赤に染まっていた。

 

私は自分が開けた扉の外側を見る。

何かが激突したであろうそこは、若干へこんでいた。

 

思わず考えた事が口に出た。

 

「...もしかして、私のせい?」

 

目の前の悪魔は無言で小さく頷いた。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

その後、気絶中のらいくんを家の中に運び込むと言ったら彼女はらいくんを軽々と持ち上げた。

 

悪魔の身体能力を隠そうともしないとは一体どういう事なのかと思ったが、彼女のその目を見た瞬間に全てを理解した。

 

彼女の目には、らいくん以外のものが殆ど見えていないのだ。

 

「......早く場所を教えて下さい。ご主人様に万が一の事があれば...」

 

”あなたを殺してしまうかもしれません”

 

私は、言われた言葉を理解するのに数秒掛かってしまった。

装っているだけとはいえ、私は今ただの一般人だ。そんな相手にこの悪魔は軽々しく殺すなどと言い放ったのである。

目の事もあり、とても正気だとは思えなかった。

 

「ころ、す?貴女何を言って「......もう演技は必要ありません。貴女が鴉なのはもう分かっています」...ッ!?」

 

いつ気付かれた!!?偽装は完璧にしてらいくんにも分からなかったのに!!!

 

「......安心してください、誰にも言っていません。嘘はつきたくありませんがご主人様にも言ってはいません。

大変不本意ですが、貴女がご主人様にとって大切な存在だというのは聞いています。

私はご主人様を悲しませる様な事は絶対にしません」

 

「...だから私も殺さないと、誰にも言わないと」

 

「......はい、本当は今すぐにでも貴女をバラバラにしてやりたい所ですが、貴女がご主人様の大切な存在である限り危害を加えることはありません」

 

正直な所、信用出来ない。

だが、らいくんを放っておくのも駄目だ。

 

一緒に来たということはらいくんが彼女を信用しているということを示している。

 

「...分かったわ。付いてきなさい」

 

だから私は、彼女を信じるらいくんを信じた。

 

それに何故かは分からないが、不思議と私には彼女が嘘をついているようには見えなかった。

 

私はこの決断が間違っていないと信じたい。



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斬ノ拾玖 秘めたる想いが爆発した時、大抵の場合理性は働かない

SHU☆RA☆BA☆モドキ!!!


......どうも、塔城小猫です。何気に私の視点は久し振りですね。

メタい?なんの事でしょうか。

 

なにはともあれ、あの後私は鴉に案内されてご主人様を家の中へ運び込み、リビングのソファに寝かせました。

 

赤くなってはいますが、傷等は無い様です。

とるあえず一安心ですが、それ以上の問題が目の前で座っている以上気は抜けません。

 

「......堕天使、貴女の目的は一体何ですか。

ご主人様の親戚を名乗っているようですが、当然嘘なのは分かっています」

 

堕天使の女は答えようとしない。

 

「......最初に言っておきましょう。

目的が何であれ、ご主人様があなたを大切だと思っている以上、悔しいですが私はあなたに手を出すことが出来ません」

 

ご主人様は身内に非常に甘く、疑う事は殆どしません。

だから堕天使だとしても気付けない。

 

「...何故?私は貴女が何者かは知らないけれど、ご主人様なんて呼ぶ以上、何かしら繋がりがある事ぐらいは分かるわ。

今、貴女にとって私はらいくん...ご主人様を欺いて近付いている相手とも言えるのよ?」

 

「......ええ、その通りです。

どんな理由があったとしても、ご主人様を騙すなんて許し難い行為です。

可能であれば今すぐにでも貴女を殺して魔物の餌にでもしたい気分です」

 

「なら、何故しないの?

貴女の実力なら私ぐらい簡単に殺せるでしょう」

 

「......何故?面白い事を聞きますね。

私はさっきもご主人様が悲しむ事は出来ないと、手が出せないと言ったばかりですが?

話をしっかりと聞いていたのですか?」

 

堕天使は俯いて何も言わなくなる。

 

どうやら別の事に気を取られて、話があまり頭に入っていないようですね。

仕方がありません、多少無理矢理にでも意識をこっちに向けさせることにしましょう。

 

「......あなたの様子からご主人様の事が好きなのは分かっています」

 

「...ッ!」

 

堕天使の肩が僅かに震えた。

 

予想通りの反応です。

 

「......無理もないことです。ご主人様のような魅力的な方と一緒にて、そうならない方がおかしいんですから。

ただ、別の目的で近付いたあなたにとっては誤算だったかもしれないですが」

 

普段とは打って変わって、かなり饒舌なのが自分でも分かる。当然でしょう。

ご主人様を騙した上に、あまつさえそのまま近くに居座り続けているなど簡単に許せる事ではない。

 

「......ご主人様は優しい方です。

あなたが堕天使だと、自分を欺いていたと知っても受け入れてくれるでしょう。

そして、私の中ではご主人様が何よりも優先されます。

ご主人様が良しとするのなら、私はあなたについて何も言いません」

 

そこで一度言葉を切り、椅子から立ち上がってご主人様を寝かせているソファへと近付く。

立ち上がった時の音で視線をこっちに向けていた堕天使は、私が何をするのか分からないといった様子でこちらを見ている。

 

「......ご主人様、失礼します」

 

意識の無いご主人様に一言ことわってから、ご主人様の頭を少し持ち上げてそこに座り、ご主人様の頭を自分のふとももに乗せる。所謂ひざまくらです。

こんな状況でも、ご主人様に触れていると愛おしさが溢れて来てしまいます。

 

「......ご主人様が最優先なのは本当ですが、私にも譲れないものがあります。

あなたがご主人様の近くにいるのを良しとしたとしても.........ご主人様の一番だけは、絶対に誰にも譲りません」

 

それが私の想い。

たとえご主人様の意思にそぐわなくても、ご主人様を誰にも渡したくない。

だから、お姉さまには二番目で我慢してもらいましょう。

 

「......ご主人様は私のものです」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

なんだこの状況は......。

 

目が覚めたかと思えば白には膝枕されながら私のもの宣言されてるし、加奈さんはそれ聞いて滅茶苦茶驚いてるし、なんだこの状況は(2回目)

 

「...て」

 

「......?」

 

微妙な空気が漂う中、加奈さんがボソッっと何かを言った。

白も聞こえなかった様で首をかしげている。

 

「私だって......私だってらいくんの事大好きだもんっ!!

いきなり出てきても渡さないなんて言われても、納得出来る訳無いじゃない!!!!」

 

加奈さんは内に秘めていた感情を爆発させるかの様に叫んだ。

 

衝撃の......いや、今までも俺が見て見ぬ振りをしていただけでそういった素振りはあった。

 

...やはり最低のクズだな俺は。

 

いい加減に不義理な真似はやめにしよう。

覚悟を決め、俺は起き上がると同時に口を開いた。

 

「.........おはよう」

 

ミスったあああああ!!!!!

 

何だおはようって!!!??

朝の挨拶?知ってるわァァぁぁあああ!!!!

 

「らいくん!何時から起きてっ///」

 

加奈さんが顔を真っ赤にして狼狽えている。

 

「今さっき。白に私のもの宣言された辺から......ごめん、盗み聞きの様な真似をするつもりは無かった。

それでも、不義理な真似をしてしまったからにはどんな罰でも甘んじて受ける」

 

「.........いいよ。本当はずっと言いたかった気持ちだったし。

今まで通りじゃ言えなかったかもしれなかったし、ある意味言えて良かったのかもしれない」

 

加奈さんはそう言うが、それでは俺が納得出来ない。

 

罰を求めるのも俺の自己満足でしかないが、それでもケジメとして俺は罰される事を求める。

 

「だとしても、それじゃあ俺が納得出来ないんだ」

 

俺がそう言うと加奈さんは困ったような様子だったが、すぐにいい事を思い付いたと言わんばかりの表情へと変わり、白の隣でソファに座っていた俺の元へ来る。

 

「罰の代わりにらいくんには私がしたい事をします!」

 

「......あなたまさか!?」

 

隣で白が何かを察知したのか、慌てて俺と加奈さんの間に割り込んで止める。

 

「......させませんっ!」

 

「私はらいくんの為にするの。邪魔しないで欲しいんだけど?」

 

邪魔されたのが気に障ったのか、少しムッとしながら言う。

 

「......いけしゃあしゃあとっ!!あなたのそれはっ「いいんだ白。この罰は俺が求めてるんだからさ」ですがっ!?」

 

俺はそれでも退こうとしない白の頭に手を乗せて優しく撫でる。

 

「頼む」

 

「.........分かり、ましたっ」

 

白は沈痛な面持ちでその場から退き、再び俺の隣に座った。

 

「ありがとう」

 

「もういいみたいね?じゃあ、行くから目を閉じてて」

 

言われた通りに目を閉じる。

 

自分から求めた罰ではあるが、何をされるかわからない分不安になる。

 

......だが、その不安も次の瞬間には一瞬で何処かへと吹き飛んでいった。

 

「らいくん...大好き♪」

 

耳元でそんな声が聞こえた瞬間、唇に柔らかい感触。

 

って?!さっきもこんな事あったような気が!!?

 

慌てて目を開くと、目の前には加奈さんの綺麗な瞳があった。

 

綺麗で、真っ直ぐな...いつまでも見ていたくなるような瞳が、俺だけを映していた。

 

思考とは別の部分が、この時を永遠にしたいとそう望んでいるのが分かる。

身体が、心が、それを求めていた。

 

時間の感覚が無く、それが数秒だったのか数分だったのかすら分からない。

 

思考が纏まらない中俺は、今日はよくキスされる日だな...等と的外れな考えを巡らせていた。




争いは避けて通れぬのか...。

えっと、加奈さんの想いの爆発と小猫...白の歪な病み方の説明をセットでぶっ込んでみました。

ご主人様至上主義。白の説明はこの一言に尽きますね。
自分は嫌でもご主人様がそうしたいのなら邪魔は出来ないと。

加奈さんと白を絡ませるだけでもこれなのに、まだ控えているヒロインがいるという地獄。

果たして作者の脳味噌は持つのか、乞うご期待。


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斬ノ弐拾 日常回長く続け過ぎて収拾がつかなくなっている

タイトルで全て物語っていくスタイル。

この表記何回目だろ。


よう!モテ期が来たと思えば修羅場に突っ込まれた雷電だぜっ!

勘弁して欲しいんだぜ!

 

「ふふっ♪これがキス...」

 

あぁ、加奈さんがトリップしていらっしゃる。

 

「素敵だわっ!」

 

あかんヤツやこれ。

そう思って隣にいる白の様子を見る。

 

「フシャー!」

 

こっちもこっちで何か滅茶苦茶威嚇してるぅぅぅ!!!

 

「し、白さんや落ち着いて「ご主人様の唇が奪われたのに落ち着いていられるとでも!?」...スミマセン」

 

喋る前の”......”が何処かへ行く位お怒りのご様子。

 

本当にどうするんだこの状況...。

 

「......とりあえずその女から離れて下さいご主人様!」

 

「うおっ!?」

 

言うが早いか白は俺の頭を両手で引っ掴み、自分の胸元に押し付けるかのごとく抱きすくめた。

 

......ところで本人には失礼だとは思うが、白は一般的に貧乳と呼ばれる胸の持ち主である。

 

だが、貧であり無ではない。

そう決して何も存在しないまな板な訳ではないのである。

 

結局の所何が言いたいのかって事だが......こう、絶妙な柔らかさなんですよね。

 

やめろ!誰がロリコン変態クソ野郎だ!!...別にそこまで言ってない?ごめん!

 

俺はさ、ただ事実を言ったまでなんですよ。

だって小さいとはいえ女の子の胸ですよ?柔らかいんですよ?なんかいい匂いするんですよ?

女の子に触れる事にそこまで慣れて無い上に!本日二度目のキスのショックから抜け切れてない俺に反応するなって方が無理だからね!?

 

鋼の理性!?これで襲わないんだからとっくに鋼以上に決まってんだろがあぁぁぁ!!!!!

むしろ最後の一線とも言える身体的反応だけは絶対にしないよう、全力で抑えてる俺を褒めて欲しいぐらいだわ!!

 

「あぁ!ずるいっ!!」

 

あぁ、どうやら加奈さんがトリップから帰ってきたようだ。

 

見る事は出来ないが、声を聞いただけで既に嫌な予感がする。

 

「私もぎゅーってするっ!」

 

「ふごごっ!?」

 

やめて!?そう言おうと口を開くも、頭を抑えられているせいでまともに喋れない。

 

とりあえず急いで拘束から逃れようともがく。

 

「んっ...///」

 

「ふごー!!!」

 

変な声を出さないで下さい白さぁぁぁぁあん!!!

 

「えい♪」

 

「べぼえ(背骨)!?」

 

折れる...かなり変な体制で加奈さんの抱き着きを背中に受けた事で、背に触れる感触を楽しむ余裕も無く身体が悲鳴を上げる。

 

今の俺の体勢を説明すると、普通に椅子に座った状態から頭を横に引っ張られて固定され、無防備な背中に乗られて曲がっちゃいけないところが曲がりそうな感じです。

 

「......む、離れて下さいっ」グキッ

 

抱かれたままの頭を引っ張られる。

 

「貴女こそ!」ミシミシ

 

その引く力に対抗する様に、腹にまで回された腕が締める力を強める。

 

「ぐごご...」

 

死ぬ......でも、好いてくれる女性の腕の中で死ぬのは幸せな事なのかな(錯乱)

 

ははっ、またしても短い人生だった。

 

「あっ」

 

......ゴキャリ。

 

「ご主人様ぁぁぁぁ!?」

「らいくぅぅぅぅん!?」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

一方その頃、なし崩し的にグレモリー眷属入りを果たした一誠は悪魔業の一つでもある契約を取る仕事をする為に契約者の元へ向かっていた.........何故かチャリで。

 

本来、契約者の元へは自転車や徒歩などの体力依存の移動方法ではなく、転移魔法陣を使用したいわば魔力に依存した方法で移動するのが普通である。

 

では何故一誠が自転車を使っているかというと、時は少し前へと遡る。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「魔力が足りない?」

 

「ええ、本来ならこの魔法陣は本当に僅かな魔力消費のみで起動するわ。

つまり、イッセーにはその僅かな魔力すら存在しないって事よ」

 

告げられた衝撃の事実に、内心魔法とか楽しみとか考えていた俺は思わずorzってしまった。

 

うんともすんとも言わない魔法陣が目に入る。

 

ちくしょうめ。

 

「イッセー君......ドンマイ」

 

夕麻ちゃんの言葉がトドメとなり、俺の心はポキッとあっさり折れた。

 

「...いいもん、俺元々人間だしぃ〜?魔法とか無くても平気だしぃ......走っていくから全然平気だし」

 

「はぁ、仕方無いわね。

自転車があるからそれを使いなさい。徒歩よりはマシだわ」

 

「...はい」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

とまぁそんなこんなで今に至る。

 

「でも悪魔が自転車って...なんだかなぁ」

 

まぁ、それが運命なのだ。

 

諦めろ兵藤一誠。世界は時に残酷なのだ。

 

「ウゾダドンドコドーン!」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

意識が浮上していく様な感覚があり、俺はベッドの上で目を覚ました。

 

どうやらまた気絶していた様だ。

生きてて良かった。

 

今日は一体どうなってるんだ。同じ事を一日に二回繰り返すのが流行りなのか?

 

「...っ!!」

 

そんなどうでもいい事を考えながら、周りを確認しようと頭を動かそうとした瞬間。

 

「ーーーくぅぅ」

 

言葉にならない痛みが首筋を襲った。

 

スゲェいてぇ...まぁ首をゴキャリといかれれば当然っちゃ当然か?

 

首だけ動かすのは諦め、今度は普通に起き上がろうとする。

 

「動かん...」

 

何故かは分からないが、まるで体が動く事を拒否しているかの如くぴくりともしない。

 

というか感覚すら無いんだが。

 

あれ、段々怖くなってきたぞ!?俺の腕あるよね?!

 

「ふんぬぅ...!」

 

動かす度に首に走る痛みに耐えながら、俺はまず左側を見た。

 

「......」

 

白の顔があった。

それはもう互いの鼻が触れそうな位近くに。

 

再会してからそう時間も経っていない為、しっかりと見ている余裕が無かったのだが、こうやって近くで見るとやはり可愛い。

 

身内贔屓が無いと言ったら大嘘付きもいいところだが、それを抜きにしても......いや、無理だ。

俺みたいな家族大好き人間に贔屓するなって方が無理だわ。

 

だが、そうでなくとも学園のマスコットなんて言われて人気を博している位だし、この評価は何も間違っていない筈だ。

 

まぁそれは置いといて、とりあえず腕の感覚がない理由は分かった。

 

この娘、俺の腕を抱き締めながら寝てるんですもの。

そりゃ痺れて感覚もなくなりますわな。

 

で、だ。左手が動かない訳は分かったが、俺は”両腕”が動かないんすよね。

 

つまり、左に白がいたって事は当然右は......

 

「ぐごごっ!」

 

また無理矢理首を回す。

 

左を見ていた分、右を見ようとすると先程よりストロークが長いので辛い。

 

「ふんぬっ!」

 

気合一発、思いっきし首を回す。

何か首からグキって音したけどキニシナイキニシナイ。

 

「...やっぱりか」

 

向いた先には予想通り、加奈さんが俺の腕を抱えて寝ていた。

 

まぁ、俺が気絶する前にあれだけやっといて黙ってるわけが無いか。

 

うむ、加奈さんも可愛げのある人ではあるが、容姿を褒めるとすれば綺麗という言葉がピッタリだろう。

 

言動は子供っぽいが、見た目だけなら完全に出来るお姉さんである。

後、妙にエロスを感じる。

 

.........だから変態じゃねぇえぇぇえええええええ!!!!!

 

しょうがないだろうが!?こんなエロい体付きの人が自分の家で無防備にくたーってしてたり抱き着いたりしてくるんだぞ!!!

耐えられるのか!!?

無理だよなぁ?!!

俺もとっくに限界だよ!!!!

終いには襲うぞ!!?

あいあむあコーコーセイッ!!

人生二回目だけどコーコーセイッ!!!

性欲がまずい時期ですバカ野郎!!!!

 

はぁ......でだよ?そこでどうしても気になっちゃうのが、非常に豊満なお胸な訳なんですよね。

 

「腕の感覚が無いのは良かったのか、悪かったのか...」

 

多分良かったとは思う、あったらあったで襲う自信がある。

 

性欲に負けるな俺!

 

いくら告白されてキスもしたからといって......そっかキスしたのか。

 

加奈さんと白、二人とキスした記憶が脳内で同時に再生される。

 

やっば、今更恥ずかしくなってきた...。

 

「と、とりあえず抜け出さないと後がマズイっ」

 

そう思いなんとか腕を抜こうとするも、まぁ〜ビクともしない。

 

白は悪魔で駒も戦車と純粋なパワーじゃ俺は勝てないし、加奈さんは一般人な訳で無理に引き剥がすと怪我をさせかねないのでどうにも出来ない。

 

「詰んだッ!」

 

うん...もう諦めて寝よう。

 

皆、おやすみ。

 

スヤァ




もう多少おかしくても気にするのはやめた!

仮にも作者ならもっと気にしろ?

いい台詞だな 感動的だ だが 無 意 味 だ。


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斬ノ弐拾壱 教会のシスターって何でシスターってい言うんでしょうね?

遅くなって申し訳ない...。

中々話が思い付かなかったんです。

やっと少し話が進んだ気がします。


ヒャァーおはよう!昨日は酷い目にあったぜ!!雷電DA☆

 

だが俺はあのSHU☆RA☆BA☆を生き抜いたッ!!

 

後、最近言葉遣いが崩壊してきてるけど、あれは身内には雷電風の喋りをしてないだけだ!

ぐっちゃぐちゃになってる時はそれだけ混乱している証拠。

 

とりあえずそれは置いといて、前回は腕拘束されたまま寝ただろ?

 

あの後寝ようと思っても全然寝れなかった訳よ。

しかも変に動かしたせいか締まり方が変わって、感覚ゼロからあの痺れるヤツに移行しちゃってすげぇ辛かった。

あの言葉に出来ない感覚は皆も分かるはず...。

 

収まった後、時間を掛けて少しずつ引き抜いて脱出。

 

結局リビングのソファで寝たから体いてぇわ。

 

.........朝飯作るか。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「......ぅん?」

 

眩しい......ご主人様がいない、一体何処に...。

 

「......これは、鮭の焼ける匂い?」

 

ご主人様がご飯を...いかねば!

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

ガチャン

 

私は扉が閉まる音で目が覚めた。

 

「ふぁぁ...なにぃ?」

 

あくびをしながら周りを見る。

 

らいくんとあの白い娘がいない。

 

「まさか抜け駆け!?」

 

こうしちゃいられないわ!待っててね、らいくん!

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

うむ、そろそろいい感じに焼けてきたな。実に美味そうだ。

 

「......おはようございます、ご主人様」

 

焼き鮭をフライパンから皿に移していると、後ろから挨拶の声が掛かった。

 

「おう、おはよう白。ちょーとまってな?もうほとんど出来てるから」

 

手元から目を離せないので、振り返らずに挨拶を返す。

 

すると、トテトテという軽い足音と共に腰に軽い衝撃。

 

「およ?」

 

「......ご主人様」

 

どうやら白が近寄ってきてしがみついてきた様だ。

...まぁ、逆にそれ以外の何かだったらそれはそれで怖いんだが。

 

「どうしたんだ白?」

 

俺はとりあえず焼き鮭を皿に移し終え、一旦離してもらってから振り返る。

 

「......いえ、大した事では無いんです。

ただ起きた時にご主人様がいなかったので心細くて...」

 

少しばかりモジモジしながら白はそう言った。

 

「ーーーッ!!本当に可愛いことばっかり言うんだからこの娘はっ」

 

俺はその可愛さに耐え切れずに白を撫でくり回す。

 

「ニャニャ///」

 

「はっはー愛いやつめー♪」

 

赤くなっておる赤くなっておる。

 

白を可愛がっていると加奈さんが慌てた様子でリビングに来て言い放った。

 

「あぁー!ずるーい!!!」

 

ず、ずるいとは一体...!?

 

「らいくん!」

 

「は、はい!」

 

何を言われるのかと内心ビクビクしていると、予想の斜め上を行く答えが返ってきた。

 

「私もナデナデして!」

 

「What?」

 

加奈さんは言い切るよりも速く、俺の前に来て目を輝かせながら頭を差し出してくる。

 

「おぉう?」

 

とりあえず言われるままに頭に手を置いて撫でる。

 

「はふぅ...」

 

あぁ、なんか加奈さんがへにゃってなった...。こっちも可愛い。

 

「......むぅ」

 

白がむくれているので片手を白の頭に戻し、今度は優しく撫でる。

 

するとどういう事だろうか。

女性2人の頭を同時に撫でる謎場面の出来上がりである。

 

「うん、飯食おう」

 

一瞬で終了だけどなァ!!

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

そして時は過ぎ放課後。

 

別に長引きそうだから無理矢理切ったとかじゃない、もう5,6話以上同じ事やっててまずいなーとかじゃない......多分。

 

メタいな。

 

考えてる間に結構時間も経っていた様で、教室に残っている人は少ない。

 

うむ、流石に今日は白も家には来ないだろうし、一人で買い物してから帰ろう。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

夕麻ちゃんが用事があるとかで久しぶりに一人での下校である。

 

しかし昨日は疲れた......まさか魔法少女アニメがあんなにも熱い演出と泣けるシナリオで出来ていたとは。

 

結局ミルたんとの契約は成立しなかったけど楽しい時間だった。

 

「はわう!」

 

「ん?」

 

振り返るとそこにはシスターがすっ転んでいた。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

俺は咄嗟に手を伸ばし助け起こす。

 

「あうぅ、すみません。ありがとうございますぅぅ」

 

その時、風が吹いてシスターのヴェールが飛んだ。

 

「おっと」

 

悪魔になって向上した動体視力を生かし、空中でヴェールを掴む。

 

「はい、これ...」

 

視線をシスターに戻すと、彼女からは長く美しい金色の髪が広がっていた。

 

かわいい......俺は思わず見惚れてしまった。

 

い、いかんいかんっ!俺には夕麻ちゃんが!!

 

「あの、どうかしたんですか?」

 

「い、いや何でも無いよ!それよりその鞄、旅行?」

 

これで多分上手く誤魔化せたはず。

 

「いえ、違うんです。この町の教会に今日赴任する事になりまして...この町の方ですよね?これからよろしくお願いします」

 

それから少し話を聞くと、道は分から無いし誰かに聞いても言葉が通じず困っていた所に俺が現れたのだそうだ。

 

俺は悪魔化の特典で得た『言語』の影響で全く気にならなかったが、この人は日本語以外の言語で喋っていたようだ。

 

そのまま成り行きで教会まで案内することになり、俺はたまにチラつくシスターのロザリオに拒否反応を覚えつつも、人助けと思い教会へ向かった。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「あそこのスーパーのセールは昨日だったか?」

 

俺は頭の中で夕飯の献立を考えながら、何処でなにが安かったかを思い出そうとする。

 

「ああ、そういえばどっかにチラシ入れてたような気がしたんだが......って、あれは一誠と...シスター?!」

 

遠くに一誠と金髪のシスター服を着た少女と歩いているのが見えるが、何をやってるんだあの馬鹿はッ!?

 

悪魔がシスターと一緒にいるって何を考えているだ!まず彼女はどうしたあいつ!!

 

......ふぅ、落ち着け俺。とりあえず様子を見よう。

 

「全く、ゆっくり買い物もできんのか俺はッ!」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

後追うこと数分、どうやらシスターは一誠が悪魔だとは気が付いていない様子......好都合だ。

穏便に済むならそれが一番いい。

 

「頼むからバレずに済んでくれよ?」




一誠が変態からまともになったせいで展開を考えるのが微妙に難しくなってござる。

あと前々から書こうと思っていたんですが、雷電の言葉遣いに一貫性が無いのは仕様です。

普段は雷電を意識した様な大人っぽい?喋り方をしますが、元々一般人として生きてきた18歳の少年がベースなので身内と話す時や混乱した時は素の一般人としての喋り方に戻ります。

そんだけ☆


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斬ノ弐拾弐 いい加減無理矢理にでも話を進めたい

前回に引き続き一誠とシスターを尾行していると、小さな公園へと差し掛かった。

どうやら公園内を通り抜ける様だ。

 

「遮蔽物が少なく隠れにくい、中に入るのは得策では無いな」

 

そう思い俺は2人が公園を抜けるまでは、遠くから見るだけにした。

 

2人が公園の真ん中辺りに到達した時、その近くで走り回っていた子供が転んでしまった。

それにここからだと詳しい事までは分からないが、どうやら転んだ時に怪我をしたようだ。

 

2人も気が付いた様だが、怪我の処置が出来る道具は流石に持っていないだろう。

バレるが仕方が無いと思いながらも公園内に入ろうとするが、それよりも早くシスターが子供に駆け寄り子供の怪我に手を翳した。

 

「何をする気だ...?」

 

俺はその不可解な行動に疑問を覚えたが、すぐに分かる事だろうと思い考えるよりも観察を優先する。

 

無いとは思うが、まさかシスターだからといって怪我した子供相手に祈り云々でどうにかしようとは思ってはいまい。

 

そんな事を考えていると、シスターの手のひらから光が溢れた。

 

光が傷口に触れると、瞬く間に傷は塞がり跡も残さず消えた。

 

「治癒魔法?.........いや、あれは魔法というよりは神器(セイクリッドギア)の類いか?」

 

そういえば旅をしていた時にどんな傷も治してしまう聖女がいるとかなんとか。

 

名前は確か......『アーシア・アルジェント』

 

しかしあのシスターがアーシア・アルジェントだとすれば、何故態々悪魔が多く住むこの土地に来たのだろうか?

 

あの身のこなしでは悪魔狩りというのは無理がある。

それに回復系の神器はレアだ。いくら教会の連中でもそれを戦闘員にするなどという巫山戯た判断はしない筈だ。

 

なら独断か?

何にせよ調べてみる必要がありそうだな。

 

調査ならウルフに任せたい所だが......加奈さんが家に来て以来、毎日会いには行っているがあいつ自身は外へ出られずに随分とストレスも溜まっていたみたいだし受けてくれるかどうか...。

 

「まぁ、いい。モノは試しだ」

 

意を決してウルフに電話をかける。

何故電話なのか?いや、外で一人で突っ立って喋ってたら変でしょうが。

 

『...どうした雷電、何か用か?』

 

ひとまず出てくれた事に安堵するが、電話口のウルフの声は重い。

 

「う、ウルフ........さん?いや、その〜お願いしたい事があってですね?」

 

『何でそんなによそよそしい喋り方なんだ。まぁいい、言ってみろ』

 

「えっと、調べて欲しい事があってですね?」

 

『......内容は』

 

あからさまに声が不機嫌そうになる。

 

「聖女アーシア・アルジェントについての詳細な『断る』......参考までに理由を教えてください」

 

『ずっと俺を地下に監禁しといて、いきなり見知らぬ女の事を調べろって言われて素直にOKすると思うか?

何はあったかは知らんが、気になった女の事ぐらい自分で調べろ』

 

ん?気になった女?

 

「......ちょっと待て。何か誤解してないか?

別に俺は今さっきアーシア・アルジェントらしき人物を見つけて、この町にいるのが何か変だと思ったから調べてもらおうと思っただけなんだが」

 

『.........』

「.........」

 

『で、俺はそいつの何を調べればいいんだ?』

 

「いや誤魔化されないからな?」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

ひとまずウルフの協力は得られたが、おかしな茶番を繰り広げている間に肝心の2人を見失ってしまった。

 

「まずいな......えぇい、こう人通りが多いと神器(セイクリッドギア)を堂々と使うわけにもいかん」

 

どうする...バイザー無しじゃオーグメントモードもレーダー類も使えない。

 

「彼女が行きそうな場所......シスターなら、教会か?」

 

とりあえずはそれ以外に思い当たる様な場所も無い。

 

だがこの町の教会はかなり前から機能していない筈なので、いない可能性も十分にある。

 

「行ってみなければ分からんか。全く面倒な」

 

そう言いつつも、俺は端末で教会への最短ルートを調べて走り出した。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

走ること数分、俺は教会の前にいた。

 

「あぁ、今になって自分の予想が間違っている気がしてきた......」

 

たしかに教会には着いた。

 

しかし、その教会はかなりボロボロでとても運営しているようには見えない。

 

ついでとばかりに一誠達の姿も見当たらない。

 

「......そもそもシスターだから教会に来るだろう、という考えはあまりにも安直過ぎた.........訳でも無さそうだな」

 

まだ大分遠いが一誠とシスターが歩いてくるのが見える。

どうやら無駄足にはならずに済んだ様だ。

 

「見つかる前に隠れるか.........ん?これは」

 

隠れ場所をさがしていると教会の扉が少しおかしいことに気が付いた。

 

この教会からは人の気配がしないのにも関わらず、扉には最近になって使用された痕跡があった。

それも短期間にかなりの頻度で使用されている様だ。

 

あのシスターがという可能性もあるが、態々旅行鞄を持って町をうろついたりはしないだろうという事で除外。

 

出入りしているのがシスターではないという事はつまり、第三者がこの教会に入り何かをしているという事になる。

 

迂闊に踏み入るわけにもいかん......今はウルフの情報を待つしかないか。



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斬ノ弐拾参 教会

ーーーその後、一誠とアーシア・アルジェントは教会まで来ると少しの会話を挟み、何事も無く別れた。

 

まぁ、悪魔である一誠は教会に近づいたせいで終始笑顔が引き攣っていたが。

 

アーシア・アルジェントは一誠の姿が見えなくなると教会の扉に手をかけた。

 

一瞬とはいえ見えるであろう中の様子、それを見逃がさないように集中する。

 

そして、扉が開かれる。

 

中は暗く、この距離では中の様子は見えない。

一瞬でそう判断しバイザーのみを展開、オーグメントモードを起動。

 

世界が青く染まり、教会内にアーシア・アルジェント以外の姿を複数捉えた。

 

「あいつは!!」

 

その中に、見覚えのある男がいた。

 

「ついて来て正解だったぜ」

 

まさかこんな所に居るなんてなぁ.........ドーナシークッ!!!!

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

アーシア・アルジェントは到着した。

”儀式”の準備も時期完了する。

 

そうすれば奴などおそるるに足らん。

 

「......ッ?!」

 

計画達成を前に浮かれていた私は、突然として突き付けられた刃の様な殺気に驚きその場から勢い良く飛び退いた。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

観察を続けていると、奴は何かに怯えるかのように飛び退き、周囲をを警戒し始めた。

 

どうやら自分でも気付かぬ内に殺気が漏れ出していたようだ。

 

「あぁ、クソ。いくらなんでも初歩的なミス過ぎるだろう」

 

やはり、近しい者が傷付けられるとどうにも自制が効かなくなる。

 

それに今押し入っても、以前の様に仲間を盾に逃げられるやもしれん。

 

居場所が分かっただけでも十分だ。

今日の所は建物と周辺の探索だけにとどめて、しっかりと情報を整理してから奴を確実に殺す手立てを考えなければ。

 

 

▽▲▽数時間後▽▲▽

 

 

む、バレないようにこそこそと調べていたらもうこんな時間か......既に日が落ち始めている。

 

「だがまぁ、ここで最後か」

 

俺が今やっていたのは襲撃する時のエントリーに使えそうな場所の確認だ。

 

調査の結果、ステンドグラスを含むガラス窓が数十個に正面入口と裏口があり、最も妥当なは窓からのエントリーだと判断。

 

調査終了、帰還する。

 

 

▽▲▽一方その頃▽▲▽

 

 

「二度と教会に近付いちゃダメよ」

 

「そうね、今回は同意見だわ。イッセー君はもっと悪魔になったという自覚を持つべきよ」

 

俺は今、部長と夕麻ちゃんに滅茶苦茶怒られてます。

 

教会は悪魔にとって敵地であり、入るだけでそれが問題行動になるらしい。

今回は純粋な善意でアーシアを送り届けた事を考慮して素直に帰してくれたが、本来なら光の槍が飛んできてもおかしくはなかったそうだ。

 

言われて光の槍に貫かれる感触が甦り、思わず体が震えた。

 

「それとイッセー君、教会関係者......特に悪魔祓い(エクソシスト)には関わっちゃダメ。

神の祝福を受けた者の攻撃は悪魔を完全に消滅させる」

 

消滅、そう言われても全く実感が湧かない。

 

それも当然の事だと思う。この世に完全な消滅を迎えるものがどれだけ存在するのだろうか。

 

夕麻ちゃんはそっと自分の腹に触れる俺の様子を見て、軽く息を吐いてから落ち着いた口調で言う。

 

「ごめんなさいイッセー君。でも本当にそれだけ私達も心配だったの」

 

「ええ、私も熱くなりすぎてたわ。それでも、今後は気をつけてちょうだい」

 

二人との会話はその注意を着地点として終了した。

 

「お説教は済みましたか?」

 

「うおっ」

 

突然背後から声がしたと思ったら、気づかぬ内に朱乃さんがそこにいた。

 

「朱乃、どうかしたの?」

 

「大公から討伐の依頼が届きました」




というわけで、次回ちょっぴり戦闘です。


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斬ノ弐拾肆 ライダーキック

明けましておめでとう御座います。

ウェイ、最近スランプ的なものに悩まされている生麺ですです。

本当に書けなくてギャグに逃げてしまいました...。

ノリノリでかける場面にいければ少しは治るはずと信じて、遅いながらも書き続けます。


よう、つい最近まで作者に苗字を忘れられてた雷電だ。

ちなみに苗字は霧崎な。

 

でだ、教会の調査を終えた俺は、さっさと買い物を済ませて全力で帰宅しようとしてたわけなんだが。

 

は ぐ れ 悪 魔 に 絡 ま れ た 。

 

いくら何でも運が悪すぎる。

加奈さんが待ってる以上、こっちは急いで帰らなきゃいけない上に買い物袋で両手が塞がってる。

 

加えて袋の中身への影響を考えて出来れば激しい動きは避けたいところ。

置くという選択肢もなくはないが、戦闘の影響を受けないとは言い切れないので却下。

 

「どうしたものか」

 

しかも目の前のはぐれ悪魔は美味いだの不味いだのとブツブツ言ってるし........不幸だ。

 

しかし、女性の上半身に獣の下半身とは......イカレた主に改造でもされたんだろうな。

同情はするが、俺に出来るのは精々殺して楽にしてやる事ぐらいだ。

 

まぁ、そのうちリアス達が来るだろうし足止めぐらいでいいか。

 

「というわけで、軽く相手をしてやろう」

 

とりあえず等と言っても相手に俺の心を読む力がある訳でも無いので、意味は良く分かっていないだろう。

 

元より殆ど理性など残っていないであろうこのはぐれには、あまり関係の無い事だろうが。

 

「どうした、来ないのか?」

 

はぐれ悪魔はこちらの様子を伺っていたが、俺の一言で不気味な笑い声を上げながら真っ直ぐに突っ込んで来る。

 

ただの人間だと思ってか完全に舐められている様だ。

......まぁ本当に一般人だったら怯えて逃げるだろうが。

 

「悪いな。俺、一般人の枠は外れちまってるんだわ」

 

そう言いながら目前にまで迫ったはぐれ悪魔に前蹴りを一発。

通称”ヤクザキック”と呼ばれるアレだ。

 

それを受けたはぐれ悪魔は、予想もしていなかった攻撃に踏ん張りが効かなかったようで軽く吹っ飛んだ。

 

しかし、獣の下半身は伊達ではないらしく着地は非常に安定感のあるものだった。

 

「ふむ、加減が過ぎたか?いや、しかしこれ以上やると食材が......」

 

袋への影響を考えて放った蹴りはたいしたダメージにはならなかった様で、平然とそこに立ちつつこちらを睨み付けている。

 

どうしたものかとと思案していると、突然俺の後ろに赤い色の魔法陣が展開され、そこからオカ研のメンバーが姿を現した。

 

「おお、いいタイミングだ!一誠、スマンが少しの間これを持っていてくれ。落とさんでくれよ?」

 

「え?あ、ああ」

 

俺が買い物袋を手渡すと、一誠は戸惑いながらもそれをしっかりと受け取った。

 

「さっきは食材が気になって動き回れなかったが、それが無い今!俺はお前でストレスを発散するッ!!」

 

そして言うや否や俺は走り出し、はぐれ悪魔の少し手前で跳躍。

 

「ヘシン!」

 

そのまま空中で雷の死神(リーパー・オブ・ライトニング)を展開。

 

「あいつらも用があるみたいだし命までは取らんでやろう。

喰らえっ!ライダーキック......モドキ!!!」

 

叫びながら重力に身を任せてはぐれ悪魔にキックを叩き込む。

演出用に右足から放電するのも忘れない。

 

「ウェェェェェイ!!!」

 

キックをモロに受けたはぐれ悪魔は、感電しながら盛大に吹き飛び土煙を上げながら何度も地面を転がり止まった。

 

「ふぅ、スッキリした。では帰らせてもらおう」

 

俺は一誠に礼を言ってから袋を受け取り、面倒な質問をされる前にそそくさとその場を後にした。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「なんだったのよ一体......」

 

リアスはなんとも言えない表情でそう呟いた。

 

「......ご主人様、かっこいい」

 

「うん、やっぱりいつ見てもキレのある素晴らしい動きだね」

 

「あぁ、あの姿はまさしくあの御方........素晴らしいですわ」

 

「今度、俺もライデンにライダーキックのやり方教えてもらおうかな」

 

上から小猫、祐斗、朱乃、一誠である。

 

「こっちもこっちで一体なんなのよ......」

 

”ダメだこの面子”この時リアスは心の底からそう思った。

 

※ちなみにバイサーはリアスがコマの説明をしつつしっかりと討伐しました。




ライトニングブラスト


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斬ノ弐拾伍 オンドゥル

戦闘がなくなった瞬間、剣ネタ塗れになったのは私の責任だ。だが私は謝らない。


前回までのあらすじ

 

『ライトニングブラスト』

 

雷電「ウェーイ!!」

 

なんか違う気がするけどまぁいいんじゃね?

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

あの後、俺は逃げる様にその場を去り帰宅。

 

加奈さんに帰りが遅いと怒られながらも急いで飯を作り、少々遅いながらも夕飯を済ませた。

ちなみに、昨日作ったプリンを献上したら機嫌を直してくれた。

 

しばらくして食べ終わった後、加奈さんはお風呂に入ると言って脱衣所に消える。

 

それを見届けた俺も、慎重に隠し扉からウルフのいる地下へと降りた。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「うるーふ」

 

「何だ?アーシア・アルジェントの件ならまだだぞ」

 

俺が軽い調子で声を掛けると、ウルフは振り返ることも無く画面を見ながら少し気だるそうにそう言った。

 

「ああ、今来た理由はそれじゃない」

 

「どういう事だ?」

 

「ドーナシークの居場所が分かった」

 

そう言うとウルフは画面から俺へと視線を移す。

 

「そうか......いつ仕掛けるつもりなんだ?」

 

「お前の調査結果を待ってからにしようと思っている。

目撃したのは偶然だが、アーシア・アルジェントの向かった教会にドーナシークがいた。二人の間に何かしらの繋がりがあるのは確かだ」

 

「なら、こちらも出来る限り早急に調べよう」

 

「すまん。お前に頼り切りになってしまって」

 

「そう思うのなら少しは自分で情報収集位してくれ」

 

「実に耳が痛いな......」

 

「フッ、だがまぁ今回は友の仇討なのだろう?それなら流石に俺も協力は惜しまんさ」

 

「勝手に一誠を殺すな。確かに近いものではあるが」

 

「細かい事はいいだろう?どちらにせよ俺はお前に為にやるんだからな」

 

「......助かる」

 

 

▽▲▽同時刻:教会▽▲▽

 

 

暗い部屋の中、ドーナシークと一人の悪魔祓いが立っていた。

 

「お前に始末してもらいたい人間がいる」

 

「私に?」

 

「そうだ。その人間は悪魔と取引して富と名声を得ている。欲望を知り堕天使に身を落とした私が言えたことではないが、これは到底許せることではない。

多少過激な対応ではあるが、そいつは自身の神器で罪なき者を殺してて楽しんでいるという」

 

「......いいでしょう、その罪深き人間には私が罰を与えましょう」

 

「頼んだぞ”フリード・セルゼン”」

 

静かな怒気を纏う悪魔祓いの背中を見るドーナシークの表情は、醜い悪意に満ちた笑みを浮かべていた。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

そろそろ寝ようと思い、椅子から立ち上がると不意に殺気を感じた。

 

「っ?!「ガンッ」...グオォォォォォ」

 

あまりに鋭いその殺気に思わず身構えてしまった俺は、足の小指をテーブルの脚にぶつけてしまった。

 

「らいくん!?」

 

加奈さんは悶えている俺を見て、何事かと聞いてきた。

 

「小指......ぶつけたァ」

 

「うわぁ...痛そう。何か冷やすものでも持ってこようか?」

 

「いや、そこま「......安心して下さいご主人様。小さな怪我は舐めれば治ると言います。ですから今、私が舐めて治します」What?」

 

そう言って白は俺の足の小指に顔を近付けようとする......って!

 

「ストォォォォォップ!!!!汚いから舐めようとしない!そして何で白がここにいるんだ!?」

 

「......ご主人様の体に汚い所なんてありません。何故いるかと言われても、今日からご主人様のいるこの家に住ませてもらおうと思いまして.........ダメでしたか?」

 

白は不思議そうな表情で首をかしげながらそう言った。

 

「いや、部屋は余っているし、昔の様に一緒に暮らせるのは嬉しいが......だから舐めようとしない」

 

話してる際中に舐めようとしてくる白の頭を片手で抑える。

 

「むー!」

 

「......ふっ」

 

「むっきー!!」

 

オッペケペンムッキー!だっ違う!!

 

最近、まじで剣ネタ多いな...自重しよう。

 

えっと、とりあえず加奈さんがお怒りで白はそれを見て勝ち誇ってる。

 

意味不明すぎる。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「おかしいですね、殺気の一つでも放てば釣れると思ったのですが......」

 

忘れられてますよ貴方。

 

「ナニヲジョウコニズンドコドーン!」

 

いや、本当ですって。

 

「ウソダドンドコドーン!」

 

剣ネタ自重とは。




バーニングザヨゴ


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斬ノ弐拾陸 誰おまフリード・セルゼン

誰おまなのは今更ってね。


「なに?一誠が負傷しただと?」

 

前回から数日の時が経ち、俺は何時もの様に祐斗と最近俺から殆ど離れてくれない白と共に、屋上で昼食を摂っていた。

 

そして、思い出したかの様に祐斗は一誠が怪我をしたという事を伝えてきた。

 

「詳しく教えてくれて」

 

「うん、構わないよ。

僕らも後から駆けつけたから、途中までは本人から聞いた話でしか無いんだけど...」

 

祐斗の語った内容は、ドーナシーク、アーシア・アルジェント、教会の一連の出来事が繋がっている事を明確にした。

 

なんと、一誠を襲ったのは『はぐれ悪魔祓い』だったそうだ。

更にその場にはアーシア・アルジェントもおり、一誠が悪魔である事が露呈したらしい。

はぐれ悪魔祓いとは、はぐれ悪魔と同様に罪を犯したりなどして自陣営から逃亡、もしくは追放された者達である。

 

「ただ、その悪魔祓い少し変だったんだ」

 

「変?一体どういう風に?」

 

「なんていうか、はぐれにしては妙に神にこだわっていたというか......」

 

そう言うと祐斗は適切な言葉が見つからなかったのか、うんうん唸っている。

 

「確かに妙だな。

はぐれ悪魔祓いの大半は信仰心なぞ早々に捨てているだろうに」

 

「それに兵藤君の話を聞く限り、その悪魔祓いは殺されていた契約者を見て怒っていたらしいんだ」

 

「なに?という事は契約者を殺したのはそいつじゃないのか?」

 

「どうやらそうみたいで、タイミング悪く出くわしてしまった兵藤君を犯人だと勘違いして襲ったんだと思う」

 

祐斗はそう言うが、全体を通して話の内容には違和感があった。

 

「......聞いておいてなんだが、それは本当か?疑っている訳では無いんだがなぁ」

 

「話が出来すぎている?」

 

祐斗の言葉に静かに頷く。

 

「他にもアーシア・アルジェントや気になる要素はあるが、大体そんな所だ。

そもそも悪魔祓いが”偶然”契約者の自宅にいて、そこに”偶然”いた一誠と出くわした上に、”偶然”その日に何者かによって殺害された契約者の死体が部屋に転がっていた?

随分と都合のいい”偶然”だ」

 

「そうだね、僕もこの件については誰かの意思が絡んでいるとしか思えない」

 

「とは言っても、そうなって来るとこの流れになって都合がいい奴なんて一人しかいないがな。

こっちもこっちで色々と情報収集はしていてな、それに加えて今の話を総合すると、最近になって立て続けに発生している騒動は全て一人の人間に収束しているのが分かる」

 

「それは...一体?」

 

祐斗は全く思い当たる節がないようで、俺が答えを口にするのを待っている。

 

「思えば最初に気が付いてもおかしくは無かった。

ドーナシーク以下堕天使達は何故、何の目的があって危険を冒してまでグレモリー領であるこの町に来た?

アーシア・アルジェントもそうだ。聖女と崇められる様な少女が護衛も連れずに一人でここまで来た理由は何だ?」

 

そう言いながら俺は懐から端末を取り出し、あるデータを表示する。

昨日にウルフから上がってきたアーシア・アルジェントの調査結果だ。

 

「これは?」

 

「アーシア・アルジェントの経歴を纏めたデータだ。

これは最近の物のみだが、これに今回の騒動の発端が記されている。これを見てみろ」

 

俺はそう言って経歴のある一部分を大きめに表示する。

 

「それは?」

 

「ごく最近のことだが、アーシア・アルジェントは敵方である悪魔を癒した故に『魔女』として教会から追放されていた」

 

「...そこに彼女の神器に目を付けていた堕天使達が接触した」

 

「大正解。奴らの目的は分からんがアーシア・アルジェントの神器を使って何かしようとしているのは間違いない。

近い内に俺はあの教会に突入する。リアスにも一応伝えておけ、言われなくてもするんだろうが」

 

「そうだね、今の話も含めて部長に伝えておくよ」

 

「あぁ、後もう一つ。一誠を襲った悪魔祓いだが、もしかして銀髪じゃなかったか?」

 

「よくわかったね。その通りだけど......何か心当たりでも?」

 

「あーその、多分知ってる奴だ」

 

「本当かい?出来れば教えて欲しいんだけどダメかな?部長と天野さんが怒り狂ってて」

 

「やめとけやめとけ。あの二人じゃどうやっても倒せん」

 

そう言うと祐斗は一瞬顔を顰めて、信じ難いという様に聞いてきた。

 

「そんなに強いのかい?」

 

「まぁな、ともかくアイツには挑むなと二人に言っとけ。

一応、今日は放課後オカ研に寄るつもりだから詳しい説明はその時にでもな。んじゃ」

 

 

▽▲▽放課後:オカ研部室▽▲▽

 

 

「俺達は手を出すなってどういう事だよライデン!!」

 

「落ち着け、何も一切合切手を出すなとは言っていない。

お前を襲った悪魔祓いには手を出すなと言っているだけだ。話はしっかり最後まで聞け!」

 

「ア、ハイ。ゴメンナサイ」

 

「よろしい。そもそもオカ研全員で奴に挑んでも、返り討ちにあって滅されるだけだ。

まぁ祐斗なら多少はついて行けるかもしれんが」

 

俺の言葉にリアスはムッとしながら問いを投げる。

 

「何故そう思うのかしら?」

 

「俺の予想が正しければ、その悪魔祓いは『フリード・セルゼン』病的なまでの信仰心と卓越した戦闘技量の持ち主だ。あと恐ろしい位に馬鹿だ」

 

「で、何でそのお馬鹿さんと戦っちゃいけないのよ?」

 

「以前、リアスと天野には言ったと思うが、俺は昔片腕を落とされた事がある」

 

「まさか......」

 

「まぁ、そのまさかだな。

過去に俺の腕を飛ばしてくれたのはフリード・セルゼンその人だ。

俺自身、奴と今戦っても負ける気はしないが、勝ちまで持っていけるかは分からんが......とりあえず勝てる気はしなくなってくるだろう?」

 

「.........私達はあなたの攻撃の一部すら見えないのに、それと互角に渡り合う相手に挑むのは自殺行為ね。

皆も件の悪魔祓いフリード・セルゼンとの交戦は控える様に」

 

「部長!だったら、だとしたらアーシアはどうなるんですか!!」

 

一誠が吼えた。

 

「残念だけど、もともと彼女はあちら側の人間。

自身の眷属と素知らぬ他人なら当然、私は自身の眷属を選ぶわ。おかしいかしら?」

 

「それはッ......でも、俺はアーシアと友達になったんです。

友達を助けたいと思うのはッ!そんなに駄目なことなんでs(っ・д・)三⊃)゚3゚)'∴:.ぷぁっ!!?」

 

「だから話は最後まで聞け、リアスもな。

お前達だけで挑むなら兎も角、今回は俺がいるんだから大丈夫だ。そもそもフリード相手なら多分、戦闘に発展すらしないぞ」

 

その言葉に全員が不思議そうな表情になる。

 

「言ったろう?あいつ馬鹿だって。だからすぐ騙される、今回も多分それだ」

 

「確信はあるの?」

 

「アイツが騙された回数は俺が知ってる限りでも三桁を超えている。

はぐれ悪魔祓い扱いされる様になったのもそのせいだしな」

 

「......バカなの?」

 

「ああ、馬鹿だ」

 

 

▽▲▽翌日:夜▽▲▽

 

 

「はぁ?一誠がアーシアが攫われたとか言いながら教会に突っ込んでった?祐斗と......白を連れて!?」

 

『ええ!だから直ぐに......ブチッ』

 

電話を一方的にぶった切り、加奈さんに出掛けることを伝えて玄関を出て神器を起動。

 

「一誠......白に怪我させたら敵諸共斬り刻んでくれる」

 

展開が終わると同時にニンジャランに移行。

破壊をまき散らさない程度で出せる全力で走り抜ける。

 

数分もしない内に教会に到着した。

 

「邪魔だァ!!!」

 

扉の前に降り立つと同時に扉を両断。

 

「白無事かッ!」

 

切断した扉を蹴りで吹き飛ばして叫ぶ。

 

しかし、そこには驚きの余り固まっているはぐれ悪魔祓いの集団以外何もいなかった。

 

「ん?どうやら先に来てしまったみたいだな」

 

俺が言葉を発すると、それで悪魔祓い達は我に返り戦闘態勢へと移る。

 

「まぁいい。お前達を全員斬れば......白は怪我しなくて済むしなぁ?」

 

煽る様な口調でそう言うと、如何にも血の気の多そうな奴が悪魔祓いの基本武装『光の剣』を取り出し、走り出そうとしたその瞬間、見覚えのある銀髪の男がそれを制した。

 

「待ちなさい」

 

「よう、久しぶりだな......フリード」




という事で、今回のキャラ改変の犠牲者はフリード・セルゼン君でしたー。
キチ〇イから騙されやすい信仰MAXな悪魔祓いにジョブチェンジです。

最近、天野夕麻の出番が少ない?
仕方が無いじゃない一誠がアーシアの話をしている時の形相が怖すぎて描写できないのよ!!


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斬ノ弐拾漆 馬鹿たる所以

「こんな所で出会うとは、奇遇ですね雷電。

しかもまた、以前と同じ状況で」

 

「そうだな、いつもと変わらない状況だ。

お互いは敵対していなくても」

 

「与する陣営は敵同士」

 

「そんでもってお前は騙されてると」

 

「そうそう...え?」

 

「え?」

 

「............私、また騙されているんですか?」

 

フリードは数秒間固まったかよ思うと、たっぷりと間を開けながら震える声でそう言った。

 

「ああ、いつもと同じ様にな。お前のボスってドーナシークだろ?」

 

「そうですが...それが?」

 

「お前は知らないとは思うが、あいつの目的はアーシア・アルジェントの神器を引っこ抜く事だぞ?

で、お前の後ろにいるそいつらは多分全員知ってる」

 

「それは本当ですか!?そんな事をすればっ」

 

「死ぬな、当然。

で、一応俺はそれを止めに来た訳なんだが」

 

フリードは不思議な体勢で考え事を始め、元に戻ったかと思うと懐から光の剣と光の銃を取り出した。

 

それを見て悪魔祓いの一人がフリードに寝返られては困ると言わんばかりに、声を掛ける。

 

「ふ、フリード様!あの様な怪しげな奴の言うことを信じてはいけません!!

それに先程、奴は悪魔の手先と自分から名乗ったではありませんかっ!

ここ最近、悪魔と契約してやりたい放題しているのもきっとあいつです!!

ですから早く奴をころ......し」

 

そこまで言ったかと思うと、急にその場に倒れて動かなくなった。

突然の事に雑魚悪魔祓い達がざわつき始めたが、その原因を叫ぶ声を聞いた瞬間にざわめきが騒ぎへと発展した。

 

その原因とは、フリードの銃から音も無く放たれた光の弾。

 

そして、それを放ったフリード自身は悪魔祓い達の方へ振り返り、聖職者が出してはいけないようなドスの効いた声で喋り始める。

 

「黙りなさい。

私を騙し、あまつさえ私の友を侮辱するとは......その罪」

 

ーーー万死に値します。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

一方その頃というよく使う表現のアレでは、鬼気迫る表情の雷電に突然留守を任された加奈さんにスポットを当ててみる。

 

ということでお久しぶりです、加奈です。

...私は一体誰に挨拶してるの?

 

「そうだ、そんな事よりらいくんこんな夜中に何処に行くんだろう?まさか女!?」

 

もちろんそんな事は無いと思っての発言だが、口に出した直後に小猫ちゃん(同じ家に住む時に名前呼びでいいと言われた)の事を思い出した。

 

「一応らいくんの気配を追って......」

 

一応の確認だからと自分に言い聞かせて、らいくんの残った気配から言った方向を割り出す。

 

え?何でそんな事が出来るか?好きな人の匂いや気配ならいくら隠そうとしても普通分かるでしょ?

 

「っと、行き先はあっちの方向ね」

 

気配云々の時点で家からは出ていたので、しっかりと施錠だけは済ませて背中から堕天使特有の黒い翼を出す。

 

その翼を使って素早く飛び立ち、らいくんの気配の続く先へと進む。

 

「待っててらいくん!今行くからね!!」

 

思えばこの時の私に冷静さなど欠片もなかったのだろう。

何故ならその向かった先が、ドーナシークのいる教会だと気付くことすら無かったのだから。




加「不吉なモノローグやめて!!」

残念ながらこれから起こるお前のイベントは確定事項DA☆


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斬ノ弐拾捌 激しい視点変更

激しいです。


ーーー万死に値します。

 

その一言で戦闘は開始された。

 

数だけは多い悪魔祓い共はフリードと俺を取り囲み、次から次へと襲い掛かってくる。

 

来た奴から順に斬っているが敵はまだ多勢いる。

そんな時、段々と近くに来ていたフリードと背中合わせの状態になった。

 

「雷電、貴方はドーナシークの所へ行ってください!

彼らは私が裁きます!!」

 

フリードはそれだけ言うと銃を連射しながら敵の群れに突貫。

ある程度距離を詰めると同時に剣も使い始め、確実に敵を仕留めていく。

 

ここは奴一人でも全く問題ないと判断し、行けという言葉に甘えて先へ進むことにする。

 

今回はドーナシークメインのつもりは無かったがまぁいい......殺るのはどうせ変わらないしなぁ?

 

「助かる!後ここに悪魔と後多分悪魔側の堕天使が来ると思うが敵じゃないから攻撃すんなよ!」

 

そう言いながら俺も眼前の敵を三人纏めて斬る。

横薙ぎに放った一閃は相手の胴を易々と斬り裂いて真っ二つにした。

 

上半身と下半身を切り離された死体から血やら臓物、ついでとばかりに斬られた胃から漏れ出た中身までが教会の床にぶちまけられる。

 

「了解...しましたぁ!!」

 

敵の攻撃をマトリックスの様にアクロバティックに躱しながらフリードは応えた。

 

それと同時にオーグメントモードを起動。バイザーが俺の顔を覆う。

水色に染まる視界の中、瞬間的にドーナシークの居場所を特定。更にそこへ繋がる道を探す。

 

「...見つけたッ!」

 

奥の台座の下に階段が隠されているのを発見。

 

俺は台座へ向かって走り出し、それを阻むように前へと躍り出て来る敵を走りながら斬り、そのままの勢いで台座すら叩き斬る。

 

半分になった台座の片割れを蹴り飛ばして退かし、即座に階段を降りる。

 

「ハハッ......待ってろよドーナシークッ!」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「行きましたか.........貴方達も運が悪い。

私が残っても、(雷電)が残っても待っているのは『死』のみ。

ですが神は寛大です。貴方達も裁かれる事で神に受け入れられる事でしょう。

ですから私が罰を与えましょう。裁きましょう。

神の名の元に貴方達を救済(ころ)しましょう」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

悪魔に転生した事で向上した身体能力をフル稼働し、休み無く走り続けていると段々と教会が見えてきた。

 

それにつれて一緒に遊んだ時の楽しそうにしているアーシアの姿が脳裏をよぎる。

だが、それと同時に最悪の事態も想像してしまい、焦りが募る。

 

「クソッ!何でこんなに遠く感じるんだよ!!」

 

その焦りは悪態という形で外へ漏れ出てしまう。

 

「イッセー君!焦る気持ちも分かるけど、こういう時こそ冷静になるんだ」

 

俺の様子に気付いた木場がそう声を掛けてくる。

 

「そうは言ってもッ!...だって、アーシアが!!」

 

「だからこそだよ」

 

「でも、じゃあ!どうすればいいんだよ!!」

 

焦りでまともに思考が働かずに思わず怒鳴ってしまったが、木場はそれに対して深呼吸をして覚悟を決めた様な表情をするとこう言った。

 

「『強い意志を持って行動するのはいいが、焦りは禁物だ。

流石に切迫した状況下で焦るなとまでは言わんが最低限に抑えろ。

そして今やろうとしている事をどう成功させるかを考えろ』」

 

「え?」

 

「昨日の帰り際に雷電君に言われたんだ。

イッセー君が焦りや怒りで暴発しかねないと思ったら伝えてくれって」

 

「ライデンのヤツ、何でもお見通しかよ」

 

聞かされたその内容に俺は皮肉っぽく言ってしまうが、内心では親友の心強いその言葉と通りに焦りや怒りを一旦収める。

 

ライデンの言葉のおかげだろうか、自分の感情の制御を意図してやった事なんてないのにも関わらず、今この時だけは思っていた以上にすんなりと上手くいった。

 

「どうやら雷電君のアドバイスは今のイッセー君にはピッタリだったみたいだね」

 

「ああ、助かったぜ木場」

 

「お礼なら全部終わった後に、直接雷電君に言いなよ」

 

「......あと少しで教会です」

 

木場との会話に集中していて気が付かなかったが、小猫ちゃんの言葉でもうかなり近くまで来ていたことに気が付いた。

 

「......っ!!ご主人様の匂いッ!?」

 

「ちょっ!小猫ちゃん?!」

 

後もう少しで教会の全体が伺えそうな位置に来た所で、小猫ちゃんがいきなり何か言いながら走る速度を上げた。

 

「どうしちゃったんだ一体!?」

 

「分からないけど僕らも急ごう!」

 

俺と木場もスピードを上げ、小猫ちゃんを追い掛ける。

 

既に近くまで来ていたこともあり、教会には直ぐに着いたが俺達二人はそこで衝撃的な物を目にした。

 

「扉が......切れてる?」

 

そう、数日前にアーシアを送り届けた時には健在だった大きな扉が斜めに切断されて壊れていた。

 

「切れていると言うよりは、斬らているが適切かな。

多分これは雷電君だ」

 

「なんだって?」

 

「この恐ろしく綺麗な切断面はほぼ間違いなく彼だと思う」

 

木場はそういいながら扉の断面を観察している。

 

「でも、だとしたら何であいつがここに?」

 

「分からない。ありえそうなのは部長が連絡してくれたって事なんだろうけど」

 

「でも部長は敵なのは分かってても上に確認を取ってからじゃないと動けないって......」

 

「だからこそだよ。雷電君は実質どこにも属していないからね。

そんな事より急ごう!イッセー君感じているとは思うけど、中から濃い血の臭いがする」

 

「あぁ...一体ここで何が起こってるっていうんだ」

 

「急いだ方が良さそうだね」

 

そして、俺達は教会に足を踏み入れる。

 

 

▽▲▽少し前の出来事▽▲▽

 

 

私は結構なスピードを出しながら空を飛び、らいくんの気配を追っていた。

 

「浮気だったらお姉さん許さないんだからね!」

 

若干の茶目っ気も含めつつ、そんな事を言いながら進む。

 

「あ、止まった。目的地に着いたみたいね。

なら後はそこまで行くのみ!!」

 

そう意気込んで、私はさらに速度を上げる。

段々と近くなって来ると、らいくんの気配がかなり鋭いものとなっていることに気が付いた。

 

私はそれを不審に思い、正確な居場所を探った。

 

「まさか、ここって!?」

 

らいくんのいる建物、それは教会だった。

ただ教会にいるだけならあまり問題は無かったかもしれない、しかしその教会には堕天使が、はぐれ悪魔祓いが、そして何よりもドーナシークがいた。

 

「らいくん!!」

 

それがわかった瞬間、私は全速力で教会に向けて飛んだ。

 

らいくんが戦う力を持っているのは知っている。

でも、私はそれがどの程度のものなのかを知らない。

 

...考えたくも無いけれど、もしもその力がドーナシークに劣っていた場合、らいくんが殺されてしまうかもしれない。

 

「ダメッ!そんなの絶対に嫌!!」

 

心が、不安や焦りで一杯になる。

 

そんな状態で冷静さなど保てる訳も無く、私はただらいくんの無事を祈りながら飛ぶ。

 

速度だけは馬鹿みたいに出ていた様で、教会には一分もせずに着いた。

 

「らいくん!!」

 

私は切断されていた扉が少し気になったが、無視して中に駆け込む。

 

「おや?貴方が雷電の言っていた方ですかね?

彼は下ですよ。あの階段から降りられます」

 

中では何故か、悪魔祓い同士の戦いが繰り広げられていた。

唖然としていると、銀髪の悪魔祓いが戦闘中にも関わらず余裕を見せながら奥の壊れた台座を指さした。

 

「ッ!!」

 

私は反射的にそこへ走っていた。

 

銀髪の悪魔祓いを攻撃していた悪魔祓いの一部が私を行かせまいとして来るが関係無い。

 

「邪魔よ!!」

 

一瞬で手元に光の槍を展開してすれ違いざまに首を刎ねる。

 

死体には目もくれずに私は階段へ飛び込み、駆け下りた。

 

ただ、らいくんの事だけを考えて。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「.........来たか」

 

暗闇の中で男...ドーナシークがそう言った。

 

「ああ、お前を斬りにな」

 

すかさずそう返す。

 

「ほぅ?俺はてっきりこの娘を救出しにきたのかと思ったんだがなぁ?」

 

「勿論それもあるさ。ただ、お前を殺せばどちらにしろ同じ事だ...」

 

俺はブレードの(きっさき)をドーナシークに向けてそう言い放つ。

 

「くっ、ふはははははっ!!」

 

「何がおかしい」

 

「いやぁ?少しばかり遅かったと思ってなぁ......」

 

「一体どういう...まさか!?」

 

「フハハッ!そのまさかだよ間抜けぇ!!!儀式はとっくに終わってるのさァ!!!!」

 

奴が叫ぶと同時に、アーシア・アルジェントの神器と思しき物が彼女の体から抜け出る。

 

「貴様ァ!!」

 

神器を抜かれた者は死ぬ。

事実、アーシア・アルジェントはグッタリとしたまま動かない。

 

「おぉ怖い怖い。

そんなに怒るなって?たかが人間一人殺した位でさぁ?

お前だって知らない奴が殺された程度じゃ何も感じないタチだろう?

隠しても分かるんだよ、お前はそういう奴だってなァ!」

 

奴は言うだけ言ってゲラゲラと笑い続けている。

 

「........言いたい事は、それだけか?」

 

「あぁ?他に何かあると思ってんのか?」

 

「そうか、なら俺からも一つ言っておこう。

貴様が言った通り、俺は素知らぬ他人が何処で死のうと何も思わんさ」

 

そこまで言うと、奴はそれ見た事かと言わんばかりに気色の悪い笑みを浮かべる。

 

「だがな、彼女は俺の友人の友人だ。

関係性でいったら他人とはいえ、友人の友人が死ぬのなぞ......ましてや目の前で誰かが殺されそうになって黙っていられる程のクズに成り下がった覚えは無い!!!」

 

「ハッ、今更善人気取りか死神ぃ?」

 

「善人を気取りつもりなど毛頭無い!

俺はただ、貴様の様な奴が許せないから殺す。それだけだッ!!!」

 

いつぞや取り逃がした時の鬱憤もしっかり晴らさせてもらうとしようか......。

そんな事も考えながら両足に力を込め、走り出そうとした瞬間。

 

「らいくん!!」

 

この場で聞こえてくるはずの無い声が響いた。



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斬ノ弐拾玖 貴様の言葉など

「らいくん!」

 

その聞き慣れた声は、ここが地下という事もあってか、やたらと響いた。

 

「加奈......さん?なんで此処に...それにその翼ッ?!」

 

「っ!?これは!!....そのっ」

 

ここまで動揺したのはいつ振りだろうか、上手く言葉を纏める事が出来ない。

 

「これはこれは、カラワーナではないか。

どこへ消えたのかと思っていたが、まさか死神と知り合いとはなぁ......フハハハハッ!」

 

「どういう事だッ!!!」

 

理解出来ない...いや、理解したくも無い事態にどうすることも出来ない俺は、ドーナシークに怒鳴る事位しか出来ない。

 

「そんな大声を出さなくても教えてやるよ。

まぁ?その女がお前に近付いたのはなぁ......」

 

「やめて!!」

 

加奈さんが悲鳴の様な声を上げる。

 

「お前の神器が目的ってだけだったのさァ!!!!」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

最高の気分だ!

 

やっぱり人間を絶望に叩き込むのは楽しくて仕方ねぇ!!

 

「ハハハハ、グフッ...ぐひゃひゃひゃひゃ!

分かったろォ?お前は騙されてたんだよ!!」

 

「違うっ!違うの!らいくん...!私ッ!!!」

 

俺とカラワーナの丁度間に立つ死神野郎は俯いたまま動かない。

 

もう一押し。

 

「いいや、違わないだろカラワーナ?

もう演技は必要無いぜぇ!!

どうだい死神ィ!!!裏切られる気分ってのはよォ!!!!」

 

反応は無い。

だが、俺には分かる。奴の精神状態はとても戦闘など出来る訳もない。

後は嬲り殺しにしてお終いだ。

死神野郎を殺したとなりゃあ、俺も昇格間違い無しだ!

 

あの様子では大分親しくなっていたんだろうが、今回はそれが裏目に出たようだなぁ?

 

あぁ......信頼ってやつが崩れ去るのを見るのはいつだって気分のいいもんだなぁ!!

 

「.....か」

 

俺がこれからの事に思いを馳せていると、死神野郎がゆらりとその体を揺らしながらぼそぼそと何かを呟いた。

 

「あぁ?全然聞こえねぇなぁ?もっと聞こえるように言ってくれないと分かんねんだがァ?

あ、そうか!心折れちゃって声も張れないのかなぁ?ゲヒャヒャヒャヒャ!!

死神なんて大層な名で呼ばれてても所詮は唯の人間って訳だ!!!」

 

俺が上機嫌で話していると、奴から以前も感じた刃の様な殺気を感じ、咄嗟に身構えてしまう。

 

「ッ!...ハ、ハッ!そんな状態で!!まだやろうっての

か!?

俺よりも殺すべきはそのおんッ!!!!」

 

途中まで言いかけて、言葉を詰まらせてしまう。

 

言おうとした瞬間、奴から感じていた殺気が膨れ上がりその威圧感を増したのだ。

 

先程までのが喉元に突き付けられた刃だとすれば、今感じているそれは吹き荒れる刃の嵐。

 

全身を斬り付けられる錯覚を覚える様なそれを受け、言葉を詰まらせないというほうが無理だ。

 

「......話はそれで終わりか?」

 

瞳を赤く輝かせる死神は、底冷えする様なそんな声でそう言った。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

らいくんから今まで感じた事の無い様な濃い殺気に、思わず身を固くしてしまったけれど、すぐにそれが自分に向いていない事に気付いた。

 

「なら殺すが、構わないよなぁ......ドーナシーク?」

 

らいくんは溢れ出る殺気以外は何ら変わらない様子で、機械の様な見た目の変わった刀型の武器を構えた。

 

「な、何故だ!殺すならまずその女が、カラワーナが先だろう!!」

 

ドーナシークはその様子に焦り、私を指差して喚き散らす。

 

奴に同意するのは非常に癪だけど、私自身も同じ様に思った。

元を正せば、私は神器目的でらいくんに近付いたのは事実。

普通なら何も言わない私を疑うだろう。

 

「この後に及んで何を言い出すかと思えば.........まぁいい、冥土の土産に教えてやろう。

一度しか言わないから聞き逃すなよ?」

 

その言葉に、私は全力でらいくんの一挙一動を見逃さぬ様に集中する。

 

ーーー刹那、らいくんが一気に踏み込みドーナシークの懐に飛び込んだ。

 

「ッ!?」

 

「誰が......」

 

らいくんが刀を振り上げ、そして叫んだ。

 

「誰が貴様の言葉など信じるかァァァァアアアアアアア!!!!!!!!」

 

単純明快。

あまりにもあっさりした理由に、私は思わず脱力してしまう。

 

ドーナシークもありえないと言わんばかりの表情だったが、

 

斬ッ!!!

 

そんな音と共に振り下ろされた刃がドーナシークの左腕と左翼を鮮やかに切断し、その表情も苦痛を訴えるものへと変わり、追撃を受けない様にする為か数回のバックステップで距離を離し、翼を落とされた事への怒りを爆発させる。

 

「クソッ!!!俺の翼をよくもぉ!!!!絶対にぶっ殺...ガァッ!!」

 

しかし、そんなの知った事かとでも言うようにらいくんは一気に距離を詰めてドーナシークの顔面に強烈な蹴りを叩き込んだ。

 

それを受けたドーナシークはもの凄い勢いで壁に激突しその瓦礫に埋れた。

 

「馬鹿が。あんなに綺麗で優しくて子供っぽい性格の加奈さんが悪意を持って人を騙すわけがあるまい。

それに彼女は俺の大切な人だ。

堕天使であろうと人であろうと関係無い」

 

「うっ...」

 

らいくんの純粋な信頼がグサグサと私の心に突き刺さる。

うぅ、罪悪感で心が痛い......。

 

「殺すゥ!!!!!コロスゥゥゥウウウウ!!!!!!」

 

尋常ならざる声を上げ、瓦礫を蹴散らしながら光の槍を出し、らいくんに飛び掛る。

 

「醜いな」

 

らいくんはそう一言呟くと、刀を振り上げ。

 

「これ以上語る事も無いだろう。大人しく死んでおけ」

 

静かにそれを振り下ろした。



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斬ノ参拾 戦いはまだ終わらない

「これ以上語る事も無いだろう。大人しく死んでおけ」

 

言うと同時に俺は光の槍片手に飛び掛かってくるドーナシークの脳天目掛け、ブレードを振り下ろした。

 

「アアァァアアア!!!!」

 

だが奴は、それを見たと同時に奇声を上げながら光の槍を地面に突き立てて無理矢理停止。

 

俺が振り下ろした刃は空を切り、その動作の間に奴は斬られて転がっていた自身の翼と腕を拾い上げた。

 

「ほぉ、特攻はブラフで、最初からそっちの回収が目的か」

 

「余裕ぶっこいてられんのも今の内だけだぜ死神野郎ォ!!

なんたってこっちにはあのシスターから抜いた神器があるんだからなぁッ!!!」

 

奴は下卑た笑い声を上げながら、アーシア・アルジェントから抜いた神器を使い腕と翼を繋ぎ治した。

 

「ハハッ!すごいねぇ!聖女様の神器ってヤツはさぁ!!!取れた腕すら元通りってねぇ?」

 

「ふむ、つまりはいくら斬っても元通りという事か」

 

「そういうこった!!絶望的な状況だなぁ?打つ手無しだよなぁ?

まぁ?俺は寛大な男だからよぉ......土下座して命乞いでもすりゃ許してやらん事もないぜ?

なんたって俺は至高の堕天使になる男だからなぁ!!器のでかさも並じゃないんだよ」

 

奴はそう言いながら治った腕と翼を見せつける様に動かす。

 

「......その割には治せる片腕と片翼を落とされた位で激怒するとは、器とやらもたかが知れているな」

 

「なんだとッ!!」

 

「俺が言っているのはそういう所だ。

貴様はそもそも短気すぎる。

至高の堕天使とやらが何かは知らんが、貴様では到底なれるとは思えんな」

 

「ふざけんじゃねぇ!!テメェに堕天使の何が分かる!!

俺はッ!絶対に至高の堕天使になって金も権力も手手に入れるんだよ!!!」

 

奴は叫びながら持ったままだった光の槍を投擲。

 

真っ直ぐに飛んでくるそれを難無く斬り捨てる。

 

「ふむ、貴様は何か勘違いをしている様だな。

俺は堕天使勢力からの依頼もよく受ける分、その内部構造もある程度は知っている。

それこそ、貴様の様な妙な勘違いをしている下っ端よりはな」

 

そう、俺は旅の過程で悪魔や堕天使、そして天使の勢力との関わりを持った事でそれぞれの組織形態もそこそこ理解している。

 

「だがな、”至高の堕天使”なんて(くらい)は聞いたことも無いし、そう呼ばれている奴も見た事が無い。

大方、出世欲にかられた下っ端の妄想が広がりでもしたんだろう。残念だったな」

 

「う、嘘だッ!デタラメに決まってる!

俺はその為に今までッ!!

アーシア・アルジェントの神器を奪う為に長い時間をかけて準備もした!!

なのに...至高の堕天使が妄想だと!?根も葉もない噂に過ぎないだと!?そんな事があってたまるかッ!!!」

 

「喚くな。

貴様が何を言おうと事実は変わらん」

 

「クソッ!クソッ!クソォッ!!」

 

「惨めだな.........俺が殺そうと思っていたが、丁度お前を倒す者が来た。

今回はアイツに譲るとしよう」

 

「何言ってんだテメェ?」

 

奴が疑問を口にした瞬間、彼等は来た。

 

「......ご主人様ッ!!」

 

「待ってって小猫ちゃん!」

 

「雷電君?」

 

若干締まらない感じではあったものの...。

 

「一誠......こいつがお前を倒す」

 

「え?なんでライデンがここにいるんだ!?

いや、そんな事はどうでもいいんだ!アーシアは!?アーシアは無事なのかライデン!!」

 

「......すまない」

 

俺はそう言ってアーシア・アルジェントが磔にされている方を向く。

 

「嘘...だろ?アーシア、アーシアァァ!!!」

 

薄暗い室内に磔にされたまま動かないアーシア・アルジェントを見た一誠の叫びが響き渡る。

 

「俺が着いた時にはもう......目の前にいたのに儀式を阻止出来なかったッ」

 

「違う!ライデンが悪いんじゃない......悪いのはアイツだッ!!」

 

一誠が憎悪の篭った眼でドーナシークを睨み付けて言う。

 

「おいおい、誰かと思えばレイナーレ庇ったガキじゃねぇか!

あのまま死んだと思ってたが......まさか悪魔になってたとはなぁ」

 

「うるせぇ!お前アーシアに何しやがった!!!儀式って何の事だッ!!」

 

「イイねぇ!!その表情(かお)!怒りと憎しみに満ちてて最っ高だぜェッ!!!!!

あぁ...テメェのおかげで気分が良くなって来たし教えてやるよ。

そこの聖女さんは俺が神器を引っこ抜いたから死んじゃいましたぁ!!!」

 

「てめぇぇええええええッ!!!!」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「......せぇ!......シアに何......がった!!!」

 

声が聞こえる。

 

誰......イッセーさんに似てる?

 

「イイねぇ!!......お!怒りと憎しみに満ちてて最っ高だぜェッ!!!!!」

 

怒り?憎しみ?

 

何を言っているんでしょうか......。

 

寒い...体も全然動かない。

 

「......ましたぁ!!!」

 

「てめぇぇええええええ!!!!」

 

この声は......やっぱり

 

「......イッセーさん?」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

本来なら二度と声を発する事の無い筈のアーシア・アルジェントが、一誠の名を口にした。

 

「アーシアッ!?」

 

一誠が驚きその名を呼ぶ、それと同時に俺もアーシア・アルジェントを開放すべく飛び出す。

 

「おっと死神君!あの女にもう用はねぇが、タダでくれてやるつもりはねぇぜ!!!」

 

だが、それを阻む様にドーナシークが立ち塞がる。

 

しかし忘れるなよ?

 

今ここには俺以外もいるって事を。

 

「白ッ!!!」

 

「......ッ!!」

 

その名を呼んだ瞬間、視界の外から影が飛び出して奴の懐へ入り込みーーー

 

その小さな拳が、唸りを上げた。

 

「ガァッ!!?」

 

その一撃は奴を壁に叩き付けるに留まらず、周囲の壁すら粉砕し奴を大量の瓦礫に埋もれされた。




30話にもなってまだ一巻やってんのか俺はッ(*゚∀゚*)


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斬ノ参拾壱 Close Quarters Combat

盛大に吹っ飛んで行ったドーナシークを尻目に走り抜ける。

白が障害物を排除してくれたお陰でアーシア・アルジェントまでは一瞬でたどり着く事が出来た。

 

すぐ様手足の拘束具を切断して倒れ込んでくるアーシア・アルジェントを受け止め素早く一誠の所まで行きそっと受け渡す。

 

「アーシアッ!!」

 

「イッセー...さん」

 

おそらくこれが、二人の最後の会話となるだろう。

 

「行け......奴は俺が抑えておく。

喋れるうちに言いたい事は言っておけ」

 

俺は言うだけ言って振り返り、飛来した瓦礫を斬り捨てる。

 

一誠はそれに驚くも、アーシア・アルジェントを抱えて走り出した。

 

「やはりあれだけでは死なんか。

白もここの崩落を恐れて加減したとはいえ、しぶとさはゴキブリ並みだな」

 

未だ晴れぬ砂煙に向かってそう言い放つと、その中で歪な人型の影が揺れる。

 

「おいおい、ゴキブリはひでぇんじゃねぇのかぁ?」

 

「ほざけ、そういう事は自分の姿を見てから言うんだな」

 

煙が晴れ、その姿を露にしたドーナシークに向けて吐き捨てるようにそう言う。

 

「うわっ、そういう事言っちゃう?

俺をこんな姿にしたのはそこのお嬢ちゃんだろうが!あぁ!?」

 

奴の姿はギリギリ人型を保ってはいるものの、白の拳が直撃した部分は大きく抉れ、それ以外にも手足の骨は砕け、他にも折れた骨が皮膚を突き破っている部分すらある。

 

しかし、それも神器の力により、グチャグチャと不快な音を発しながら治っていく。

 

「......化け物が」

 

俺は治った手足をブラブラと動かして具合を確かめている奴を更にきつく睨み付ける。

 

「こわいねぇ...怖過ぎて殺っちまいそうだぜ!!!」

 

「そういう事は俺に傷の一つでも付けてから言え」

 

「ほざけぇ!!」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

......このままじゃアーシアは死ぬ。

 

神器を取り戻せばいいのかも知れないけれど、アーシアはもう今にも死んでしまいそうな程に衰弱している。

 

そんな状態で神器だけが返ってきても、失った生命力までは返ってこないだろう。

たいした知識もないはずなのに、そんな確信めいたものが俺の中にはあった。

 

悪魔の感覚が、死の淵に立つ人間特有の何かを感じ取ったのだろうか。

 

「アーシア...」

 

生気の感じられない彼女の頬に優しく触れる。

 

やはり体温は異常な程に低く、反応も鈍い。

 

ーーー助からない。

 

頭では理解しているが、心がそれを否定する。

 

俺はそんな心境のまま、まだ僅かに意識のあるアーシアと言葉を交わす。

 

友達、遊び、学校。

 

色々な事を話す内に、アーシアもどんどん言葉少なになり肌色も半ば死人のそれと遜色ないほどに悪化している。

 

「......ありがとう......」

 

アーシアは最期にそう言い残し、息を引き取った。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「どうした?神器を手に入れてもそんなものか?

いや、神器を得たとしても本人が強くなる訳ではないか」

 

「黙りやがれ!!さっきからてめぇ舐めてやがんのかッ!」

 

「一体何の事だ?イマイチ要領を得ないのだが?」

 

俺は両の掌を上にして肩をすくめる。

 

要するに┐(´д`)┌ヤレヤレって感じのアレだ。

 

「てめぇ......俺はその手を言ってんだよクソッタレ!」

 

奴は自身の怒りを隠そうともせず、俺の”何も持っていない両手”を指差して喚き散らす。

 

「あぁ、そういう...何も不思議な事は無いだろう。

貴様程度の相手に、それも足止め程度では全くもって必要性を感じないのだが?」

 

「ぶっ殺す!!!」

 

「そのセリフももう何度目だったか分からんな」

 

安い挑発に乗った奴は、光の槍を出したかと思えば飛び上がり、そこから真っ直ぐ突っ込んで来る。

 

何かの策かと一瞬疑ったが、今の奴にそんな事を考える余裕は無いだろうと判断し迎撃を選択。

 

棒立ちのまま構えは取らずに攻撃来るのを待つ。

 

「てめぇは俺を舐めすぎなんだよ!!!くたばっちまいな死神野郎!!!!!」

 

罵声と共に槍が突き出される。

 

「らいくんッ!!」

 

「......大丈夫です」

 

俺は自身を貫かんと迫る槍を半身になる事で躱す。

 

避けられる事は予想していたのか、瞬時に左手にも光の槍を出し、横薙に振るった。

 

「取ったァ!!」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「くたばっちまいな死神野郎!!!!!」

 

叫ぶのと同時に右手に持った槍をあのクソ野郎の心臓めがけて突きを繰り出す。

 

「らいくんッ!!」

 

しかし、その突きはあいつが僅かに体の向きを変えたことで回避された。

 

だが俺も馬鹿じゃねぇ。

何度も同じ事をやってりゃ避けられる事位予想はしていた。

 

回避されたのが分かった瞬間、左手にも光の槍を出し、あいつの首をぶった斬るために全力で振り抜く。

 

「取ったァ!!」

 

次の瞬間、俺は天井を見上げていた。

 

「なっ?!...ぐぅ!」

 

起き上がろうとするが、背中に鈍い痛みが走り中断させれる。

 

「クソが!一体何が起きたってんだ!」

 

「教えてやろうかドーナシーク君?」

 

見たくもねぇ死神野郎の顔面が視界に入ってくる。

 

「そうか、てめぇか!!」

 

「当然」

 

「俺に何しやがったんだてめぇ!!」

 

「ハァ......本当に分からなかったのか?」

 

俺は何をされた!野郎の神器の能力か?!

 

「なんの事は無い。

ただ、”受け流した”それだけだ」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

流石ですご主人様。

私も早くあの領域に辿り着きたいです。

 

...そうすればご主人様に褒めて頂ける!

まさか、御褒美にあんな事やこんな事もッ!!!

 

「投げた?らいくんは何をしたの?」

 

......ハッ!いけません、妄想を広げすぎました。

 

幸い、加奈さん(鴉や堕天使呼ばわりは嫌と言われ、この呼び方に収まった)は気付いていないようですが、見られていたら恥ずかしいかったです。

 

丁度いいですし、説明でもして気を紛らわせましょう。

 

「......ご主人様は攻撃が到達する瞬間、

振るわれた腕を掴み、そのまま攻撃に乗った力を受け流すと同時に地面に引き倒しました。

これはCQCと呼ばれる近距離用白兵戦闘技術です」

 

「し、シーキューシー?」

 

「......”Close Quarters Combat(クロース・クオーターズ・コンバット)”本来は銃やナイフ、素手等を状況に応じて使い分けて戦う技術ですが、今回ご主人様は素手のみのでそれを行った様ですね」

 

「どこでそんな技術を......それに白ちゃんも何でそんな事を?」

 

「......少し前にご主人様と戦闘スタイルの話をしていて、その時に格闘がメインなら覚えておいて損は無いと教えて頂きました」

 

「いつの間に...」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

うむ、やはりCQCは便利だな。

 

何故か家にあったシリーズの一つ”VR訓練シュミレーター”に雷電装備の訓練以外に、これまた何故かCQC訓練もあったので習得していたのだ。

 

基本的に斬る事がメインなので、あまり多様はしないのだが、相手を殺してはいけない場合(敵司令官の生け捕り)などで有効活用している。

 

ちなみに、訓練はスネークが直接付けてくれた。

VR訓練と銘打ってはいるが、勿論神様製なのでスネークもデータからの再現ではなく、ほぼ本物みたいなものだった。

 

ちなみに、組み手ではまだ一回も勝った事が無い。

 

「む、どうやら俺がお前の相手をするのはここまでの様だ」

 

「なに?」

 

「言っただろう。

お前を倒すのは俺じゃない......」

 

そう言って既に立ち上がり距離を取っていたドーナシークから、入口が見えない様に立っていた俺はそこからどいて隠れていたものを見せつける。

 

「俺が相手だ......アーシアの仇は俺が討つ!!!!!」

 

丁度俺の後ろ辺にまで来ていた一誠がそう吼えた。

 

『Dragon booster!!』

 

その叫びに呼応するかのように、左手に現れた一誠の神器についた宝玉が光を放ち、籠手の形状が大きく変貌していく。

 

「そういう訳だ。

早々にくたばってしまえドーナシーク」



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斬ノ参拾弐 決着

「早々にくたばってしまえドーナシーク」

 

「ウオォォォ!!!!」

 

一誠が雄叫びを上げながらドーナシークに突撃する。

 

『Boost!!』

 

籠手から電子音声のようなものが聞こると同時に力強いオーラを纏って跳躍、刺々しい見た目になった籠手を装備した左腕を振りかぶる。

 

「オラァ!!」

 

そして両者が接触する寸前、一誠が固く握り締めた拳を放つ。

 

「誰がてめぇみたいな雑魚悪魔に......クッ!!」

 

ドーナシークは一瞬それを受け止めようと身構えるが、一誠から放たれるプレッシャーに負けてその場から飛び退き拳を躱す。

 

回避された事により放たれた拳は床に叩きつけられる。

あまりの威力に床石は砕け破片が飛び散り、その下のコンクリートにも大きな罅が入る。

 

「な、なんだその馬鹿げた威力はッ!!!

龍の手(トウワイス・クリティカル)で力が倍になったからってこんなッ!こんな事がありえるかッ!!!!」

 

「知るかッ!!!」

 

喚き散らすドーナシークを一誠が一喝して黙らせる。

 

「この力が何だろうと関係無い。

俺はお前を倒せれば......アーシアの仇を討てればそれでいい」

 

『Boost!!』

 

再び音声が鳴り響く。

 

「...守れなかったんだ。

 

だからさ........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仇くらいは討ってやるッ!!!!!」

 

『Explosion!!』

 

「ッ!?」

 

先程とは違う音声が流れ、一誠の纏う力が上級悪魔のそれと遜色ないぐらいに跳ね上がる。

 

「クソ!クソックソックソッ!クソッタレがぁああああ!!!!!!」

 

目の前で起こる異常に耐えきれなくなったのか、ドーナシークは狂気に取り憑かれたかのように光の槍を滅茶苦茶に投げまくる。

 

狙いも定まっていないそれを、一誠は意にも介さずに自分に当たるものだけを左腕を振るって打ち砕いていく。

 

「流れ弾......この場合は流れ槍か?いくら何でも飛んできすぎだろう」

 

一誠は自分に当たるものだけを処理している都合、それ以外のいくらかは必然的に後ろにいる俺達に飛んでくる。

 

当然、喰らってやる理由もないので白と加奈さんの前に立って飛来する槍を打ち落とす。

 

「雷電君、イッセー君のあの状態。

少し不味い気がするんだけど......どう思う?」

 

久しぶりの出番だな祐斗。

 

「ああ、見事に怒りに飲まれてるな。

ただまぁ、あいつなら多分平気だろうとは思う」

 

「なぜ、そう思うんだい?」

 

「あいつはそんな事で自分を見失う奴じゃないからな。

最悪、俺がぶっ飛ばせば問題無い」

 

「...分かった。僕も君の言葉を信じるよ」

 

「それは何よりだ。

という訳だ......さっさと倒してしまえ一誠!」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「さっさと倒してしまえ一誠!」

 

雷電の声が聞こえる。

 

「ああ、そうだな......終わりにしよう」

 

俺がそう呟くと、ドーナシークは逃げようと翼を広げる。

 

「クソがッ!」

 

「逃がすか、バカ」

 

言うと同時に一気に奴へ肉薄し、飛び立とうとする奴の腹に膝蹴りを御見舞する。

 

「ガッ!!...う、ゴホッゴホッ」

 

その一撃で飛ばれるのを阻止し、悶える奴を見据えて左腕を全力で引き絞る。

 

「吹っ飛べ、クソ野郎」

 

籠手の力が一気に解放され、左の掌に集約される。

 

イメージするのはあの時雷電が放った掌底。

指先だけを曲げ、胸あたり目掛けて渾身の力で掌打を叩き込む。

 

「うおりゃああああああああああ!!!!」

 

放ったそれは、ほぼ正確に奴の心臓位置に突き刺さった。

 

ドゴンッ!!!と鈍く大きな音が鳴り、バサバサと羽根を撒き散らしながら何度も地面を跳ねながら吹き飛んでいく。

 

「よくやった一誠、後は任せろ」

 

力を使い果たし腕を振り抜いた状態で止まっていた俺の横を、雷電の声と共に風が通り過ぎた。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「うおりゃああああああああああ!!!!」

 

一誠の放った掌底でドーナシークがボールの如く飛んでいく。

 

しかし、俺は奴がインパクトの瞬間に上手く翼を使って後ろに飛んだのを見逃さなかった。

よくある”後ろに飛んで衝撃を殺す”的なあれだ。

 

仕方が無い、このままでは逃げられそうな上に神器回収もしなければならん......後始末は俺が請け負った。

 

「よくやった一誠、後は任せろ」

 

一誠の隣を通り過ぎる瞬間にそう声を掛ける。

 

さて、どこを斬れば神器は出てくるんだか。

 

まぁいい、”見れば”分かる事だ!!!

 

ニンジャランで吹き飛ぶドーナシークを追い、近くまで来た瞬間に斬撃モードを発動。

 

「ふむ、配置は心臓。

そこから血と共にエネルギーを回して治癒能力を発動させていた訳か」

 

何の事かと思っただろうが、まず斬撃モードを使用する事によって自動的にオーグメントモードも発動する訳だ。

 

そして、今までに依頼で色々な奴と戦ってきた経験から、ゲームで左腕の情報集積部が違う色に光るのと同じ様に、神器等の特殊なエネルギーを放つモノが光って見えるというのは既に把握していた。

 

「......潔く死んでもらうぞ、ドーナシークッ!!!」

 

ブレードを抜き、その勢いのまま袈裟懸けに一閃。

 

 

斬ッ!

 

 

神器を斬らぬよう振るわれた刃は、高周波という特性を遺憾無く発揮し、僅かな抵抗も無く奴の体を斬り裂き臓物をブチ撒けさせる。

 

奴の目が驚きに見開かれているのが視界に入る。

 

「残念だったな......アーシア・アルジェントの神器、返してもらおう」

 

 

奪ッ!

 

 

一瞬で刃に付着した血糊を払い納刀。

 

斬った体の断面から手刀を突き入れ、奴の心臓を掴む。

 

「ハァッ!!!」

 

そして一気に引きずり出し、見せ付けるかのように”それ”を握り潰す。

 

ブシュッと鮮血が飛び散り、地面と俺の体を汚す。

 

握った手を開くと、そこには血の海に浸されたにも関わらず、一切の汚れも無く光る神器のみがあった。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「ははっ......ライデンの奴、いいとこ持っていきやがって」

 

しかし口ではそう言ったものの、最後の一撃に全身全霊を込めたせいか体は全くもって動いてくれない。

 

返り血塗れのライデンは、アーシアの神器をその手に持ったままこっちに向かって歩いてきていた。

それを見て、改めて終わったんだという思いが沸き上がってくる。

 

「やったんだ......ドーナシークを倒した、アーシアの仇を討てたんだ」

 

しかし、俺の心にはもう一つ感情が渦巻いていた。

 

「なのに、何でだろうな.........虚しくて、情けなくて、最悪の気分だ」

 

やっぱり体良く仇討ちなんて言った所で、結局は唯の復讐でしか無かったという事なんだろうか。

 

漫画やアニメなんかでも『復讐なんて虚しいだけ』だなんて言うが、今の状態が正にそれだろう。

ドーナシークを殺したところでアーシアは生き返らない。

 

当然、そんな事は分かっていた。

 

結局、俺は守れなかった悔しさや怒りを、奴にぶつけて発散したかっただけなのかもしれない。

 

「クソッ......」

 

座り込んで項垂れる俺にライデンが声を掛けてきた。

 

「一誠、自分がした事を悔やんでいるのか?」

 

「......分からない。

ただ、こんな事してもアーシアは生き返らないって理解してて、自分の復讐心を満たす為にやったって事に気付いたら.........どうしようも無く虚しくなって、でもそれに多少なりと満足してる自分が嫌になった」

 

「だろうな」

 

「っ!」

 

心の奥底で少なからず否定や慰めを期待していた俺は、ライデンのその一言に少なからずショックを受ける。

 

「所詮、復讐なんてものは自己満足だ。

やられたからやり返す。だが、それを成したとしても失ったものは戻らない。

それで満たされるのは結局の所自分だけだ。

仇討ちなんてものは、誰かの死を復讐の理由にしているだけだ」

 

頭をハンマーで殴られたみたいって、こういうことを言うんだろうな。

 

自分でも分かってはいたけど、改めて言葉にして言われるとショックで心が折れそうだ。

 

...,..そして、今日はとことん漫画のセリフや表現に縁がある日だな。

 

「だがまぁ、別にそれでも構わないんじゃないか?」

 

「え?」

 

俺はライデンの言葉に、一瞬頭がついていかなかった。

 

さっきまで復讐をさも悪い事の様に言っていたのに、今度はそれを認めるような事を言い始めたらそりゃ驚きもするさ。

 

「一誠、とりあえずその『何言ってんだお前』みたいな表情はやめろ」

 

「アッ,ハイ」

 

怒られた。

 

「そりゃ、一般的に考えれば復讐は悪だろうさ。

そもそも人を殺すこと自体が悪だからな。

だが、親しい者を殺されて黙っていられる奴がいるか?

違うという奴がいれば、そいつは本当に親しい相手ではないって事だ。

 

確かに復讐が正しい行いかと言われれば違うだろうさ。

殺されたから殺す、何も生み出さない非生産的な行為だからな。

だけどさ、殺した者が憎いって感情は存在して当然の感情だろう?

そりゃ自制は必要だろうが、それを抑圧していい事なんざありゃしない。

 

いざとなったら善悪なんぞ関係無いさ。

 

これはあくまで例えだが、俺は白や加奈さんが傷付けられるような事でもあればそいつを生かしておかないだろうさ。

それが世界を敵に回す事だとしてもな」

 

ライデンがそういった瞬間、思わずゾッとした。

剥き出しの刃を鼻先に突き付けられたかのような恐怖。

 

「あぁ、すまん。想像したら殺気が漏れた。

俺もまだまだ未熟だな。

なにはともあれ、お前の復讐は100%悪ではないって事だ。

それに、アーシア・アルジェントの事もまだ諦めるには早いぞ一誠」

 

「それってどういう?」

 

「それは、そろそろ私の出番って事でいいのかしら?」

 

「部長...?」




全然違う内容の中に、自然な流れで原作のセリフをぶち込むの好きです。

あと、クソ天使をクソ野郎に変えたのは、一誠の彼女化した天野夕麻&加奈さんが堕天使だから。

やっと一巻終わりそうだね。


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斬ノ参拾参 行かないでくれ

もう滅茶苦茶だよ!

話の進め方に悩むと巫山戯始める癖が治らねぇ!!!

初期の設定から乖離しすぎて訳わかんねぇ!!!!!

おっぱい!!!!!!!


よう、この始まり方も久しぶりだな。

雷電だよん。

 

キャラ崩壊?

平気平気、このモノローグ的なものは作者ぱわーで保護されてるから。

 

んで、前回は一誠がドーナシークぶっ飛ばして、俺が斬奪で心臓引っこ抜いてぬっころした訳だ。

 

そしたら唐突に一誠の独白が始まったけど、俺は自分の意見言うことしかできませんでした。

 

でもって最終的にリアス・グレモリーが登場して前回は終了。

 

今回はその続きから。

 

んじゃスタート。

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

「部長...?」

 

「よく頑張ったわね一誠」

 

「あ、私もいるわよイッセー君」

 

「夕麻ちゃんまで!?」

 

あれぇ?俺は放置系?

 

んじゃま、アーシア・アルジェントの神器は渡しとくんで後はご自由にー。

 

って、あらすじテンションを引きずったままじゃまずいな。

自重自重。

 

自重ついでに神器を解除する。

原理はよく分からんが、アーマー消すと付いていた血も消えるので非常に便利だ。

 

「あ、あの、お疲れ様...です」

 

「む?姫島 朱乃か。

なんの事は無い。

とは言っても、結局頑張ったのは一誠なんだがな。

......それより、何故そんなに挙動不審なんだ?」

 

そう、何故かは分からないが姫島 朱乃は異様にオドオドしている。

 

「いえ、あの、それは...」

 

「妙に歯切れが悪いな、何かあったか?」

 

「いっ、いえ!そういう訳ではないのですが......その、ですね」

 

なんなんだ一体?

 

それに、その微妙に赤らめた頬や両手の人差し指をつんつんするそれは正に、想い人を前にした恋する乙女ではないかッ!?(大正解)

 

き、気のせいだよな?

まず接点が無いし!惚れられる要素など無い筈だァッ!

 

何故か平気な加奈さん以外の女性と仲良くして、後で白に殴られるの嫌だァ(しょうもない本音)

 

「あの、もしk「ご主人様」小猫ちゃん?」

 

白登場。

 

むぅ、助かったような気もするが、何を言おうとしてたのかも気になる......。

 

むむむ.........あぁ、そういえば加奈さんは平気だろうか。

 

俺は平気でもずっと秘密にしていた事を暴露されたんだ、そのショックは計り知れない筈だ。

 

移動するなら白と姫島 朱乃が俺を放置し、火花を散らしながら睨み合っている今がチャンス。

 

そして俺は2人の意識が向かない程度に気配を薄め、少し離れた所に一人でいる加奈さんの所へ行く。

 

これがNinjaの技だッ!!!(違う)

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

一気に色々あり過ぎて、さっきまでは考える事も出来なかった。

 

だけど、今なら分かる。

 

らいくんは気にしないって言ってくれたけど、やっぱり私みたいなのが.........らいくんの側にいちゃいけない。

いるべきでは無い。

 

「加奈さん......大丈夫か?」

 

「ッ!?」

 

背後から掛けられた声に驚き、そして苦しくなった。

 

なんてタイミングで来るの!と心の中で叫ぶ。

 

「ぁあ...うん、平気」

 

「本当に?大分無理をしている様に見えるが...」

 

そう言ってらいくんは背後から私の正面に回って来る。

 

「もしかしてどこか怪我でも!?

ああ!それとも俺がグロ注意なことしちゃったせいでかッ!!」

 

らいくんはいつになく慌てた様子で聞いてくる。

 

「あ、いや!そういう事じゃないし大丈夫だよ!」

 

そう言って私は笑顔を作る。

 

「......嘘だな」

 

「ッ!!?」

 

「思いっきり顔に出てる」

 

言われれて思わず自分の顔を触ってしまう。

 

「ははっ、その反応は間違いなさそうだな......あっ!勘違いしないでくれよ?

当てずっぽうとか、鎌かけたとかじゃなくて本当に分かってたから!」

 

そんな事思っていなかったのに、らいくんは慌てて言葉遣いが崩れるのも気にせず弁明してくる。

 

「ふふっ」

 

私はその様子があまりにも可笑しくて笑いを漏らしてしまった。

 

「笑うとはひどいな。

これでも真剣なんだが...」

 

少しムッとしながら言うらいくん。

 

普段は大人っぽいのに、変な所で子供っぽいらいくん。

 

初めて合った時から変わらない。

 

そんな彼だから私は好きになってしまったんだろう。

 

「......らいくん」

 

「ん?」

 

色々な感情が混ざり合って、適切な言葉が見当たらなくなる。

 

会話に不自然な間が空いた。

 

それは時間にすれば五秒にも満たない短いものだが、私にはその五秒が酷く苦しい物に感じられた。

 

沈黙は躊躇いを生み、決意すらも鈍らせる。

 

挙句の果には、このまま何も言わなければ......これからもらいくんと一緒にいられるのではないか?

いてもいいのではないか。

 

そんな事すら考えてしまう。

 

でも、彼を騙してした私にはそんな権利は無い。

 

「.........ッ!」

 

意を決して、別れを告げようとしたその瞬間。

 

 

「行かないでくれ」

 

 

彼が、そう言った。

 

「え?」

 

「何を考えているのか、何を言おうとしていたのか。

そんなの簡単に分かった」

 

「なん、で...?」

 

内心を見透かされていた事に、私は驚きを隠せないでいた。

 

「どれだけ一緒にいたと思ってんだ。

分かるに決まってる」

 

確かにらいくんと過ごした日々は長かった。

 

最初は神器を奪って捨てるつもりだった。

でも、何時しか世話を焼いている内に本来の目的忘れてしまった。

 

そして、気付けば恋をしていた。

 

私はなんて浅ましい女なんだろうか。

 

「......でも、やっぱり私は「うむ、聞く耳持たん」え?」

 

「どうせ俺の為に去るとか、私がいると迷惑がとか思ってるんだろうが。

その俺がいいと、行かないで欲しいと言ってるんだ。

俺の事が嫌いになって去る訳じゃ無いなら......一緒に居てくれ」

 

そう言ってらいくんは、優しく私の手を取った。

 

私はその様子に、思わずプロポーズを想像してしまった。

 

「あ、えっと、その......ふ、ふふ不束者ですがっ!」

 

「What?」

 

や ら か し た。

 

「ち、ちがっ!今のはそういうのじゃっ」

 

慌てて訂正しようとした瞬間、それは物凄い勢いで白ちゃんがらいくんの隣に現れた。

 

「白ちゃん何時の間に!?」

 

「......ご主人様の本妻は私です。

それだけは絶対に譲りません」

 

その言葉で、悩んでいた事の全てが消し飛んだ。

 

今私が考えるべき事は一つ。

 

 

「違うわ!らいくんは私のお婿さんよ!!」

 

 

彼女より先に、どうやってらいくんを射止めるか。

 

ただそれだけ。

 

 

今、らいくんを巡る女の戦いが始まる。

 

第一次正妻戦争______開幕。




貧乳も勿論好きだ!!!!!!!

致命的な誤字に気付かない俺!!!!!BA☆KA☆


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斬ノ参拾肆 焼き鳥参上

いやー、余裕で一ヶ月過ぎてました。

一応、学校入学したばっかで忙しかった〜とかそれっぽい言い訳もあったりするけども。


まぁ、殆どDARK SOULSⅢやってたのが原因だよね(白目)


あと、普通に話をどう展開させるかとかで行き詰まってた。
結局ネタに走った。
まぁ、最初っからそういう系って説明分にちゃんと書いてあるからもう諦めて(*゚∀゚*)


あの騒動から数日、俺は何をするでも無くぼーっとしていた。

 

あれから短時間で色々あり過ぎだっての。

 

なんかアーシア・アルジェントが悪魔として転生してたり、さらには一誠に惚れて天野に宣戦布告してるわ。

家に帰ったら帰ったで白と加奈さんの二人は俺から離れてくれないし。

俺の正体もバレたからウルフ紹介したらオーバーテクノロジー過ぎてまたひと悶着あったし。

滅茶苦茶だった。

 

それ以外にも結構色々考えさせられる事もあったしな。

 

ん?何考えてたか?

いやなに、加奈さんの事とドーナシークが言ってた事をちょっとね。

 

加奈さんのは勿論堕天使云々ってやつだが、実際全く気にしてない。

考え込んでたのは、何で俺がそれに気付かなかったか。それに尽きる。

 

最終的に、そういう気配は感じてたけど、無意識の内に否定して目を背けてたって事で決着が付いた。

まぁ、害意一切無かったし疑う気もなきゃどうやっても気付くわけがないってね。

 

で、ドーナシークの方は俺が人が死んでもどうでもいいと思ってる的なやつね。

 

まぁ、実際何も間違っちゃいない。全く知りもしない奴の死をどう悲しめと?

そんなもんに一々感情爆発させてたらこっちの精神がぶっ壊れるっての。

 

最低だと思われようがこれが俺なの。

 

どんな奴であろうと世界の中心は自分だ。

 

......よく「世界は自分を中心に回っているとでも思っているのか」なんてセリフがあるが、そんなもん当たり前だろうが。

 

自分が生きている中で自分を中心に据えて生きてない奴なんざいやしない。

誰かの為に生きるっていうのも、自分の意思や感情があって初めて誰かの為に行動できるんだろうが。

 

そうでない奴がいればそんなのは人形と変わらん。

 

何時だって、誰だって、人は自分中心でしか生きれない。

 

つか、そんな事は別にどうでもいいんだけどさ。当然の事だし?

 

結局の所、自分でそう思ってても改めて他人に言われると何か考えさせられるよね的な。

まぁ、結局自分の中で答えが出てるから一瞬で片付いたけどさ。

 

あ、そういえば昨日は白と加奈さんと一緒のベッドで寝ました(唐突)

 

天国でした。

 

両サイドで俺の腕をガッチリホールドして下さるもんですから、己が内で暴れ回る性欲を押え付けるのに必死で全く寝れなかったんだけどね......。

 

毎度ながらにいい匂いするし、加奈さんの大きなお胸の包み込む様な柔らかさと白の慎ましやかではあるものの、密着した事で感じられるその感触がダブルパンチな訳よ。

 

しかも二人とも態々生地薄めのパジャマを着ているという徹底ぶり。

 

正直、もうゴールいいじゃないかな感すらあったわ。

 

これが今日もあったら俺はもう駄目だ。耐えられるか怪しい。

 

いや!そんな弱気でどうする俺!!

 

告白の答えを保留にしている時点でクズ極まりないというのに、性欲に負けて襲うなど二人に対して不誠実にも程がある!!!

 

情けない!情けないぞ俺ぇえぇえぇぇぇぇ......

 

 

 

 

......やめよう。虚しくなってきた。

 

そうだ。夜だが気分転換に何処かへ行こう。

 

オカ研なら夜でもやっている、というより夜がメインだしな。

 

「オカ研でも行くか......加奈さーん。オカ研行くけど行く?」

 

離れた所にいる加奈さんにそう一声かけると、凄い勢いで走ってきた。

 

「らいくんが行くなら行く!一人で行ったら白ちゃんに独占されそうだし」

 

「そんな事は......ありえるな」

 

主に膝の上を占領されそうである。

 

「......それに最近は新しい心配も増えたしね」

 

心配事、察しのいい人は分かるかもしれないが、これは最近やたらとボディータッチが激しくなってきた姫島朱乃の事。

 

「らいくんはなんだかんだ押しに弱いからおねーさん心配なのー」

 

そう言ってソファに座ってる俺の後ろから抱き着いてくる加奈さん。

 

相変わらずのやわらかきもちいおっぱいである(不誠実とは一体)

俺は思った。耐えずにある程度だけ受け入れれば辛さは少ないのではと......。

 

「じゃあ、すぐ行く?」

 

「ああ、軽く準備したら行こう」

 

「了解」

 

そう言うと加奈さんは俺から離れ、準備の為に自分の部屋へと消える。

 

「.........危うく”反応”するところだった」

 

受け入れ作戦大失敗。

 

その様子を隅っこで見ていた狼君「バカだな」

 

「うるせぇ」

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

 

という訳で部室に着いたんだが......

 

「何なんだこの空気は」

 

部室内には妙に重々しい空気が漂い、心なしかメンバーの表情も暗い。

 

「お久しぶりです雷電様。それにつきましては私が説明致しましょう」

 

「貴女の魔力を感じた時は気のせいかと思いましたよグレイフィアさん。

何故貴女程の方がが此処に?まさかとは思いますが、サーゼクスの使いですか?」

 

グレイフィア・ルキフグス。

 

サーゼクスの女王。色んな意味で。

 

「その通りです。して、そちらの方は?」

 

グレイフィアさんは、俺の後ろに立つ加奈さんを見て言う。

 

「ああ、彼女は加奈さん。

種族こそ堕天使だが、完全に俺サイドだから問題無い」

 

「そうでしたか。

加奈様。不躾な視線をお送りして申し訳ございません。

私はグレイフィア・ルキフグスと申します。雷電様にはお世話になっております」

 

「あぁ、いえ!お気になさらず?」

 

「何故疑問形」

 

「......そろそろ本題に移ってもいいかしら」

 

場の雰囲気に似つかわしく無い俺達の漫才じみたやりとりに、先程まで無言を貫き通していたリアスがどこか不機嫌そうに言った。

 

「ああ、すまん。

それでその本題というのは?この雰囲気だ。あまりいい話では無いのは分かるが......」

 

そこまで言った所で、突如地面に魔法陣が展開。

 

俺は即座に白と加奈さんを守れる位置に陣取り、ブレードを緊急展開。

 

「___フェニックス」

 

祐斗がその言葉を口にした瞬間、魔法陣から炎が吹き出し熱気が俺達を襲う。

 

炎が振り払われ、中からホストの様な風体の男が顔を出す。

 

「ふぅ、人間界は久しぶりだ」

 

ん?




うちの雷電モドキ君のキャラが段々ブレ始めた件。

最初から定まって無い?


......仰る通りで御座います。


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