がっこうぐらし!The world in confusion (ウィングゼロ)
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番外編
外伝『異界の友との再会』


どうも~ウイングゼロです

今回は息抜きということで本編とはあまり関係のないシナリオとなっております

前回にコラボしたアニメ大好きさんの初音島の魔法使いとの再度コラボです、今回は雄也と優花が誠の世界に行きます

時系列は第一章が終わり第二章での話になりますので少々ネタバレも含まれます、それでも構わないかたはお進みください



「はぁ…一刻を争うんだけどな…」

 

海鳴市の月宮家そこのリビングで俺はソファーにもたれながら今この世界で起きている事象を考え込んでいた。

 

世界が融合した多元世界…関東を中心に発生する次元のゲートによって出てくる魔物…ゲートに吸い込まれ、行方不明になる人達…問題が山というほど存在した。

 

既に巡ヶ丘事変から3週間が経っておりその戦いが終わった先が平穏とは言えないが問題を抱えた世界が広がっていた。

 

「ジュードの調査しだいか」

 

この件にジュードも手伝ってくれて、今は次にどこにゲートが発生するかそれを調べてもらっている。

 

「もう、働きづめだよ、お兄ちゃん」

 

そんな今後のことを考えていると台所からホットミルクがはいった容器を持ちながらソファーに歩いてくる優花は俺のことを心配してそのような言葉を口にする。

 

 

「大丈夫だよ…といいたいけど…流石に今回は…な」

 

一人でやるには大きすぎる、事情を知っている優花とジュードの二人には少し手伝っては貰っているが…

 

「少しは息抜きしたほうがいいよ、巡ヶ丘の時みたいに切羽詰まってる訳じゃないんだし」

 

優花のいう通り、魔物と行方不明を除けばこの世界は至って平穏だ…

 

「それに、悠里達に事情を話して協力してもらったらどうなの?」

 

「それはダメだ、もう悠里たちには危険なことに関わってほしくないからな」

 

優花が悠里たちに助けを求めたらどうかと提案するが俺はすぐさまそれを拒否する。

 

「…はぁ…そこまで拒むの…それじゃあ不本意だけど気分転換にあの変態男のところいく?」

 

「変態男…ああ…誠のところか」

 

未だに許せないだろうな…誠のこと

 

「そうだな…それも悪くないかもな」

 

なら少しお言葉に甘えて俺はソファーから体を起こし外に出る準備をすると同じく完了した優花と共に以前に祐輔さんから貰った転送装置を使い世界を越えた。

 

 

誠の世界 初音島

 

「よっと到着っと」

 

誠の世界に到着すると人目が見えないように桜並木が立ち並ぶところに転移した俺達は先ずは辺りを確認し誰もいないかを確認する。

 

「…居ないな」

 

いないことを確認すると桜並木を抜けて公園へとたどりつく。

 

公園では人が少なからず往来しておりこれを見ると穏やかと思えてしまう。

 

「ここが一年中桜が舞う初音島…か…本当に桜が満開なんだね」

 

『桜が舞う初音島』には始めてきた優花はその咲き誇る桜に見てれている。

 

「…にしても、寒いな…もしかしてこっちは今冬か?」

 

今俺たちの服装な半袖のラフな格好で俺達の世界ではまだ夏でまだ暑いからこの服装では寒いのは当たり前である。

 

「さてと、誠は学校…」

 

そういいきる前に悲鳴と爆発音が鳴り響いた。

 

「お兄ちゃん!! 」

 

「はぁ…息抜きもくそもないな…全く!」

 

ため息をはきながらも放っておけないために悲鳴が聞こえた方向へと走り出した。

 

悲鳴が聞こえた場所へと急行したどり着いた場所は俺が少しの間学舎であった風見学園

 

そこの校門前には誠の世界の敵であるファントムの雑兵、グールが群れをなして風見学園へと押し寄せていた。

 

「何あれ魔物!?」

 

「いや、怪物なのは間違いないが…誠の話だとあれはファントムという怪物の雑兵のグール…一体ずつはそこまで強くないけどあそこまで群れでこられると厄介かもな」

 

桜並木の道を抜けてグールの後方からやって来た俺達はグールをみて驚く優花に俺は誠から教えて貰った情報を補足した。

 

「それに校門の前で足止めされてる…あれは…誠…じゃないな」

 

グール達は校内には侵入できておらずその校門の前で謎の…たぶん、仮面ライダーだと思われるライダーが防衛していた。

 

「まあ、たぶん味方で間違いないだろう、誠が居ないのは気になるが…助けるぞ、アーク!」

 

「うん!オスカー!」

 

「「セットアップ!!」」

 

助けることを決めて走りだし俺達はデバイスを起動させてバリアジャケット、今回は顔を隠すためにフードつきのマントを装着し、後ろから俺はセイクリッドスラッシュを先制して放ち密集するグールを吹き飛ばして倒す。

 

「な、なんだ!?」

 

門前で戦っていた仮面ライダーも俺達に気づいたのか突然のことで動揺を隠せないようだが、そんな中でも俺は仮面ライダーの元へと直線で進み行く手を遮るグールを確実に切り伏せてライダーの元へとたどり着く。

 

「こんにちは、まあ話はあとだな、さっさとこのグール達をたおそう!」

 

「あ、ああ!」

 

突然話しかけられて共闘すると言われたら動揺しながらも頷きグール達を倒すために動き出す。

 

グール達の槍をアークで弾きながら脇腹にアークで切りつけて一体一体、倒していく。

 

「もっとぱっぱと倒せる方法ない…あっ!なあ仮面ライダー、こいつらって魔力で出来ているんだよな」

 

「え!?ああ、確かそうだったはずだったけど…」

 

ライダーに確認をとり、そうだと聞くと俺はすぐさま優花に指示を出す。

 

「優花!グールは魔力の塊だ!!全力で捕食しろ!!」

 

「え?捕食?」

 

「あっ!そっか!なら!」

 

指示を飛ばし隣ではライダーが言葉の意味をわからず首を傾げているが優花はその事を理解するとオスカーをランスから捕食モードを切り替える。

 

「てりゃぁぁあっ!」

 

「ええええっ( ; ゜Д゜)!?グールを食ったぁぁぁっ!?」

 

オスカーを持って纏めて捕食するために回転し周囲のグール16体を纏めて捕食した。

 

「優花!一気に決める!」

 

「うん!受け取ってお兄ちゃん!!」

 

俺は空高く飛び上がり、それを見て優花は捕食したグールの魔力を俺めがけて放ちそれをアークに纏わせるとアークはすさまじい魔力光を纏い俺はそのアークを着地と同時に地面へと突き刺した。

 

「合体奥義!シャイニング・ディザスター!」

 

すると俺から周囲に半径30メートルに魔法陣が形成されてその範囲内の地面から光の柱が次々と天に向かって放出し、巻き込まれたグールは一撃で撃破された。

 

シャイニング・ディザスターは空間魔法で回りの器物損壊にはならない、俺が敵だと思っているものしか害はないからこういうところでも使っても問題がない。

 

本来なら威力は範囲攻撃のために拡散しているのだが今回ばかりはグール魔力が多かったから威力も強かった…本当に優花って魔導士キラーだよな…まあ今回はファントムだけど…

 

「ふぅ…ようやく片付いたな…」

 

突き刺したアークを引き抜きながら俺は仮面ライダーを見る。

 

「あんた達は何者なんだ…」

 

十中八九、そう訪ねるのはわかってはいた…教えたいところなんだが…とりあえず…

 

遠くからサイレンの音がする…これはパトカーが来るな

 

「とりあえず、パトカーがくるから身を隠せるところにいこう…話はそれからだ」

 

「そうだな…ならこっちだ」

 

身を隠すことを提案すると仮面ライダーは了承して先頭だって俺達を案内してくれるようで俺達はその仮面ライダーの後を追いかけた。

仮面ライダーに連れられて来たのは風見学園の焼却場、ここなら余り人が来ないから大丈夫だと踏んだからだろう。

 

すると仮面ライダーは辺りを見渡して俺達以外誰もいないことを確認したのちに仮面ライダーの腰につけているドライバーからUSBらしきメモリーを向くと変身が解除されて、その変身者の正体を見て俺は驚いた。

 

「助けてくれて、ありがとう…お陰で怪我人も誰も出さずにファントムを倒すことができた、俺は…」

 

「義之!?なんで義之がここに!?戻ってきたのか!?自力でロストフロンティアから帰還…ふぐっ!?」

 

仮面ライダーの正体が義之だと知り大いに取り乱した俺にたいして優花はこのパターンのお約束である無言の腹パンを放つ。

 

「はっ!?ついやっちゃった…大丈夫!?お兄ちゃん!?」

 

「だ、大丈夫だ…問題…ない」

 

綺麗に優花のパンチが入ったが…これのお陰で冷静になれた…そうだ、目の前にいる人物は誠の世界の義之だ…決して俺の世界の行方不明になっている義之じゃない

 

「おい…本当に大丈夫か?」

 

綺麗な鳩尾を食らった俺に対し心配になって声をかける義之…世界が変わっても義之は義之か…

 

「ああ、すまない、取り乱して、余りにも君が俺の友人に似ていたからな…っと自己紹介がまだだったな」

 

そういって俺はバリアジャケットを解除して、続いて優花もバリアジャケットを解く。

 

「俺は月宮雄也…まあ、元騎士で今は流浪の傭兵…っといったところだ、っでこっちは」

 

「妹の月宮優花です」

 

俺達は義之に対して自己紹介をすると義之は何か思い当たる節があるのか首を捻らせて考え始める。

 

「月宮雄也に…優花…それって誠が言ってた…」

 

「誠?ああ、その誠がいってる雄也と優花で間違いない…ってことはあっち関係も知ってるみたいだな…そこら辺は話が早くて助かる」

 

どうやら、聞いているようだから要らない説明の手間が省けた。

 

「そうか!誠が言ってた異世界にいったときに一緒に戦った友人か!それじゃあ、俺の自己紹介は要らないみたいだな」

 

「ああ、桜内」

 

「俺のことは義之でいいよ…そっちの方が呼び慣れてるだろ?」

 

「なら、そうさせてもらう」

 

とりあえず互いに軽い自己紹介はすんだあと隣の優花が気になっていたことを聞こうと義之に訪ねる。

 

「ねえ、さっきから気になってたんだけど…あの変態男は?」

 

「変態男?」

 

誠のことね…そういえば最後まで現れなかったし…熱でも出して寝込んでるのか?

 

「ああ、誠のことだ、まあ、優花とはひと悶着あってな…察してくれ」

 

「わ、わかった…誠のやつなにしでかしたんだよ…」

 

まあ、気になるわな…

 

「それで誠についてなんだが…」

 

話が脱線してしまったために再度俺が義之に聞いてみる。

 

「誠なら今初音島にいないんだ…今は東京の音ノ木坂に音姉と一緒に行ってるんだ」

 

「音ノ木坂…」

 

その地名には心当たりがあった…俺の今の世界にもある地名だ…

 

「誠は音ノ木坂学園の男子生徒のテスト生ってことで留学してるんだ」

 

ん?男子生徒?テスト生?…それってまさか…

 

「なあ、義之、まさかだと思うが音ノ木坂学園って女子高?」

 

その二つの要点から浮かび上がった答えを義之に聞いてみると無言で頷く。

 

「…なあ、義之、俺は今無性に誠のことが心配になってきたんだが…」

 

「…やっぱり、雄也もわかるよな…」

 

「「あの誠が女子高行ってフラグを立てないわけがない!!」」

 

「え?フラグ?旗がなに?」

 

フラグの意味がわからない優花は置いておいてあの誠が既に何人も落としてる誠が落とさないはずがない!そこのところの情報は祐輔さんから全部聞いたよ、そんとき、あっ、俺だけじゃなかったと思ったもん俺も恋人二人いるし

 

…でも、妙だな…

 

流石の誠も抵抗もなく女子高にいくはずもない…恐らく押しきられたと思うけど…それだけですんなりいけるとは思えない

 

何か裏がある?誠がテスト生でなければならなかったことが…なにか

 

俺の元局員としての推理力と直感がそう告げている…この件は何かただ事ではないと

 

「…そうだ、今ってさくらさんっているの?」

 

「え?さくらさん?それなら学園長室に雪とアリシアと一緒にいるはず」

 

「え?由紀?」

 

由紀とアリシアも一緒?こっちにも由紀がいるのか?アリシアって…なにかの間違いだよな

 

「会いたいんなら連れていってやるよ、二人でうろうろされると怪しまれるからな」

 

義之の言葉に一理あると俺は頷き俺達は義之と共に学園長室へと向かうために校内へと入っていった。

風見学園の校舎内を義之を先頭に歩く俺達

 

私服の俺と優花もいて視線は感じるなかほとんどの生徒は先程のファントムの襲撃の話題で一杯でこちらを気にするのはごくわずかだけだった。

 

「さてと、さくらさん、いますか?」

 

っと考えているうちに学園長室にたどり着きドアの前でノックをすると中から足音が聞こえてくる。

 

「義之くん?どうしたの?ってそちらの二人は…」

 

「っ!!」

 

ドアが開かれ中からはさくらさんが現れて義之になにしにきたのかを訪ねようとしたとき、後ろにいる俺達に気づく。

 

そして優花もさくらをみた瞬間いきなり警戒し、俺はそれを静する。

 

理由はわかっちゃいるが目の前のさくらさんは俺達のさくらさんではないというのはわかりきっていることだから、だからこと、優花を止めた。

 

「誠の知り合いでさくらさんに聞きたいことがあるみたいなんで」

 

俺が優花を止めていると話は進む、さくらさんはとりあえず入ってと中に入れると、中には先客の二人の女の子がいた。

 

「パパ!」

 

え?パパ?

 

そんな疑問を思いながら金髪の女の子が義之に抱きつく。

 

「アリシア、パパはさくらさんにお客さんを連れてきただけだから、もうそろそろ教室に戻らないといけないんだ」

 

やさしく金髪の女の子の頭をなで、撫でられている女の子も気持ち良さそうにご機嫌であった。

 

「お昼になったら一緒にご飯食べような」

 

「うん!行ってらっしゃいパパ」

 

そういって俺達を残して義之は教室へと歩いていきそのあと俺は視線をさくらさんに戻す。

 

「それで、君たちは僕になんのようなのかな」

 

「とりあえず自己紹介を俺は月宮雄也っでこっちは妹の優花…以前に誠に世話になったことがあって…」

 

「雄也くんに優花ちゃん…ああ、行方不明になったときにお世話になったっていう…」

 

「いやいや、こっちの方が誠に助けられたから…それで今誠は…」

 

そう言うとさくらさんは少し苦笑いする表情でみせる

 

「あ~いま、誠くん僕の知り合いの学園へ行ってもらってるから今はここにはいないんだ」

 

「それはさっき義之から聞いたよ音ノ木坂学園にいってるんですよね」

 

「うん、男子生徒のテスト生としてね」

 

「…表向きは…そうなんでしょうね」

 

そう、俺が口にした瞬間にこにこと笑みを浮かべていたさくらさんの表情は一変し驚いた表情になる。

 

「ど、どうしてそれを…」

 

「簡単な推測です、男子生徒なら義之だって大丈夫なはず、その上此島にはファントムが出没するわけだから戦力を分散するなんて愚作だ…つまり、この案件には何か他の理由がある…と思っただけです」

 

ここまでのことを整理して推理しそれをさくらさんに対して言うと完全に唖然とした表情でこちらを見ている。

 

「す、凄い洞察力だね…それだけの情報でここまでの推論ができるなんて…」

 

「まあ、そこらのやつとは場数が違いますから…っで教えてくれませんか?なぜそこまでして誠をいかせたのか」

 

「うん…実は」

 

それからさくらさんから告げられた現状を教えられた。

 

「…なるほど、μ'sというスクールアイドルがストーカー…そのストーカーがただ者じゃないからボディーガードとして…か」

 

「うん、厳密には一人だけで綾瀬絵里ちゃんって子で、ストーカーもその勧誘している芸能事務所なんだけど」

 

「それだけの材料があるのになんで警察に通報しないんだ?普通はするだろ」

 

話を聞く限りそれで解決なんだけど、他にも何かあるのであろうか

 

「その絵里ちゃんが他の人に迷惑になるからって…」

 

「巻き込みなくないから…敢えて我慢しているってことか」

 

「本当は助けたいんだけどね…」

 

さくらさんは落ち込んだ表情で告げる、これは心のそこから救いたいということが現れていた。

 

「それで…あの変態男を手助けにいくの?」

 

「ふにゃ?変態男?誠くんのこと?」

 

先程まで口を閉ざしていた優花は俺にたいして手を貸すのかと聞いてくる。

 

「…当たり前だろ?誠には巡ヶ丘で助けられたからな、誠が困ってるだろうし今度は俺達が手を貸す番だと思う」

 

巡ヶ丘では俺がいない間の悠里達を守ってくれた本当に感謝してもしきれないぐらいに

 

「うんうん、羨ましいほどの友情だね」

 

「それじゃあ俺達はこれで失礼します、明日ぐらいには手を貸しに行きますから」

 

「うん、それじゃあ頼んだよ」

 

そういって俺達は上手く風見学園から抜け出して一度元の世界にへと戻るのであった。

 

「さくら…さん」

 

「ふにゃ?雪ちゃんどうしたの?」

 

「パパ…変態…なの?」

 

「ふにゃ!?」

 

優花がいった一言で誠の養女、桜崎雪が自身の父親が変態なのかと、さくらさんに聞き誠に降りりかかる騒動の火種になるとはその話が語られるのは別の物語で語られる(雪は変態という意味を知りません)

 

翌日…

 

「大丈夫!?しっかり!!」

 

「絵里!?何があった!?」

 

「車が急に飛び出して男の子を轢いちゃったの!!でも車が逃げちゃって!!」

 

「チッ・・・・・・さっきの車かっ!!」

 

「絵里・・・・・・・・今から見る事は絶対に口外するな」

 

「誠?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

[ヒール!プリーズ!]

 

 

俺達は本島の東京に来ていた、調べるのであれば早朝からと思い来ては見たものの、偶然にもひき逃げ現場を目撃してしまい俺も出ようとしたがその前に近くまで来ていた誠が駆けつけて、人前でありながらも魔法を使い、男の子は一命をとりとめた。

 

「…誠…俺がいくこともなかったな」

 

「お兄ちゃん!こっちはもう大丈夫そうだしひき逃げ犯の方を!」

 

一軒家の屋根の影から誠を見ているととなりにいる優花が犯人を追いかけようと進めるが

 

「大丈夫だろ、そっちはこの近くにいた誰かがものすごいスピードで追いかけていったみたいだし…追い付いたところでもう終わってる」

 

「そ、そうなんだ」

 

「取り合えず俺達は裏を調べる優花はその芸能事務所の噂でもかぎまわっていてくれ」

 

「うん、わかった…お兄ちゃんは?」

 

「ん?俺は…」

 

 

…そんなわけで

 

 

「此処が…その芸能事務所…ね」

 

俺の目の前には今回の件の首謀者の根城ともいえる芸能事務所の目の前にやって来た。

 

「さてと、行きますか」

 

ここからは隠密にことを運ばなければならない、そのために優花とは別行動をすることにして俺はここにきたのだ。

 

事務所事態はこのビルの2階の一室に設置されているために入る場合は窓か扉しか侵入はできない。

 

俺は事務所ないに人気がいないのを感じとると鍵穴をピッキングで扉を開けて無人の事務所に侵入する。

 

「さての、漁りますか」

 

まずは手当たり次第有力情報をノートに書き続けていく。

 

流石に証拠を持ち出すと後々厄介だからとる必要もない

 

「…だいぶ情報が集まったな…さてと、誰か来る前に…これをセットしてっと…退散するか」

 

事務所からでて、ドアの鍵をピッキングでかけ直しその場を後にし。事務所のビルを出たあと大勢の人混みに紛れながら合流予定の公園へとたどり着く。

 

「お兄ちゃん!遅い!」

 

待っていたのか、待たされたことにご立腹の優花、おれはそれを宥めるように遅くなったことに謝罪すると予定通り、昼食を取るために庶民に人気なあのハンバーガーショップに向かうのであった。

 

ハンバーガーショップで昼飯を済ませ、秋葉原をぶらぶらと観光したのち、昼の3時になるとさくらさんから教えてもらっていた宿泊先の南家にやってきた。

 

玄関前のインターフォンをならし数分後玄関の扉が開かれて出てきたのは以外にもこの世界の音姉であった。

 

「あの、南さんのお宅で…間違いないですよね」

 

「は、はいそうですが」

 

「今って誠はいますでしょうか?」

 

「まーくん?もしかしてまーくんのお知り合い?」

 

「はい、さくらさんからこちらに誠がいると聞きまして…もしかしてまだ学校の方に」

 

「はい、でももうすぐ授業が終わるはずですからなかで待っています?」

 

「それじゃあお言葉に甘えさせて」

 

音姉との軽い話を交えたから南家にお邪魔させてもらいその廊下で俺は右手に持っていたものを渡しておこうと先頭たつ音姉に話しかける。

 

「あ、すみません、これ…よかったら誠たちと一緒に食べてください、中身は自作したプリンで数は5つ入ってるので」

 

「あっ、本当ですか?ありがとうございます」

 

そうして、俺はプリンの入った箱を音姉に手渡し、案内されたリビングで音姉にどういった経緯で誠に知り合ったのかを軽く話していると誰かが帰ってきた音がする。

 

「もしかしたら、まーくんかな?」

 

待っててねと音姉は玄関へと向かっていき扉の向こうからは声が聞こえてくる。

 

「ただいま~」

 

「お帰りまー君・・・・・お友達が来てるよ?」

 

「友達?」

 

どんどんと近づいてくる足音そして扉を開け入ってきたのは予想通り誠であった

 

「久しぶりだな・・・・・・誠」

 

「雄也!それに優花も!」

 

かれこれ一ヶ月近く会っていなかったから再会に微笑む。

 

「本当に久しぶりだな・・・・・・そっちの音姉達は元気にしているか?」

 

「まぁな・・・・・・・元気すぎて困る位だな」

 

本当は元気じゃなく落ち込んでるけど…とくに音姉は…ランダル本社であれがあったから…

 

「そっか・・・・・・・そりゃ良かった」

 

察したのかはわからないが俺がここに来ていることは巡ヶ丘での戦いが終わったことを示しているために心底から喜んでいるようだ。

 

それからついつい会話が弾むのであったが…

 

「……」

となりに座る優花が無言のじと目で誠を睨んでいた。

 

「なぁ優花・・・・・・・どうして睨むんだよ?」

 

どうして自分を睨みつけるのかをその理由を聞く誠…だが十中八九あれが原因だろうな…

 

「忘れたとは言わせないわよ・・・・・・・私の胸を触った事を」

 

その瞬間この隔離された空間が凍りつく

 

あるものから並々ならぬ威圧感、その中心となっているのは音姉だ

 

優花の一言で眠れる戦姫を呼び覚ましてしまったのだ。

 

といってもこの二日かんで既に音姉を除く二人の戦姫を目覚めされていたとは誠はおろか俺も知らないことは余談である

 

「まー君・・・・・・・どういう事かな?」

 

「い、いやっ・・・・・・・そのっ・・・・・・・・」

 

威圧感MAXの笑みで迫る音姉に流石の歴戦の戦士である誠も怖じ気づく。

 

「まぁまぁ・・・・・・・優花も話を聞いたら誠が一方的に悪い訳じゃないんだろ?」

 

流石にこの空気を打開したいので俺が仲介する。

 

「・・・・・・・・・そ、それは」

 

「話をしなくちゃならないんだからさ」

 

「お兄ちゃんがそういうなら」

 

なんとかこの事態を終わらせてそろそろ本題に入る。

 

「音姉・・・・・・・少しだけ席を外してくれないか?」

 

その前に音姉に聞かれるわけには行かないために席をはずしてもらうことにして、少し間が空いたがうんと頷いてリビングから出ていった。

「こっちのさくらさんから話は聞いた・・・・・・少しだけだが俺達も力になる」

 

「良いのか?今回は少し大掛かりになるぞ?」

 

「誠には恩があるからな・・・・・・・・恩返しだと思ってくれ」

 

「・・・・・・・わかった」

 

取り合えず昼に調べて書き留めておいたノートを誠に手渡し少し裏を回ったことに心配されたが、誠はノートを見ているとある部分で指が止まった。

 

「ん?これって・・・・・」

 

「やっぱり・・・・・・そこで手を止めるか」

 

「これは止めざるを得ないだろ・・・・・・・絵里を狙う芸能事務所が暴力団と警察を丸め込んでるなんて」

 

誠がいう通り、その芸能事務所が暴力団と警察を丸め込んでいる証拠は見つかった。

 

それ関連の書類を見たときは流石に動きを止めてしまったくらいだ。

 

「今回の件・・・・・・・本当に大丈夫か?幾ら誠が強いとはいえ今回はでかすぎるぞ?」

 

誠が一騎当千の将であったとしても個々のちからでここまで大きい組織を相手取るのはかなり難しい

 

「絵里と亜里沙ちゃんに約束したからな・・・・・・必ず守るって」

 

「そうか」

 

約束…ね…そういわれたら仕方がないよな…

 

「ねぇ・・・・・・変態男?」

 

「(変態)・・・・・・・・・な、何だ?」

 

「何で朝の時に一般人が居るのに魔法を使ったの?あんたって自分の正体がバレるのが嫌なんじゃないの?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

優花からの問いに少し考える誠は直ぐに答えを出して口にする。

 

「俺の都合より目の前の命が大事だ・・・・・・・・じゃダメか?」

 

「・・・・・・・・・そっか」

 

優花は答えを得たのか納得した表情で俺はそろそろ時間かと思い立ち上がる。

 

「雄也?」

 

「もうそろそろ行くわ・・・・・・・一回自分の世界に帰るよ」

 

「そっか・・・・・・送ってくか?」

 

「いや、いいよ・・・・・・少し前に祐輔さんから転送装置を貰ったからさ」

 

「祐輔さん?それって阿南祐輔さんの事か?」

 

「正解だ・・・・・・誠の事も聞いたぞ?」

 

「そっか」

 

リビングのドアにてをかけて、その時にふと思い出したので誠に向かって口にする。

 

「また後で来るよ・・・・・それと冷蔵庫の中に俺が作ったプリンがあるから食べてくれ」

 

「わかった」

 

そういって南家から出て少し道路を歩いていく。

 

「お兄ちゃん…本当によかったの?」

 

「よかったって…なにが?」

 

「…私たちの世界の件…音姉たちが元気だって嘘ついたし」

 

確かに大丈夫とは言えないな…俺達の世界は完全に不安定になっているから…日本だって上手く国として機能していない状態だ…

 

「それに…誠も下手にあの事を知ってしまえば…きついかもしれないしな…」

 

あの人が生きていて敵対関係になってるなんて知ってしまったら…な

 

「もう~どうしてまーくん、直ぐに帰っちゃったのかな~」

 

「っ!?」

 

道路を歩いていると女子高生とすれ違いその顔を見て俺は驚愕する。

 

だって俺はあの子を…

 

自然に手を握る力が強くなり、心のなかでは俺が決意している気持ちはさらに強くなる。

 

「優花…必ず、俺達の戦い終わらせような…」

 

「うん」

 

優花は小さくうなずき、転送装置を使って元の世界へと帰還するのであった。



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プロローグ
chapter1


とある高層ビル内…いまビルは炎が立ち上っており床や天井も崩れ始めていた。

 

???「おい!しっかりしろ!雄也!待ってろ!今助けに…」

 

雄也「いや、俺は問題ない…それより早く…市民の救助を…」

 

???「大丈夫なわけあるか!お前身体中ボロボロじゃねえか!」

 

そんなビル内で市民の救助に立ち会っていた雄也は天井から落ちてきた瓦礫により足をやって身動きを動けなくなった。

 

雄也「俺のことより!市民を優先しろ!…大丈夫…絶対に生きてやる」

 

雄也のしたの床に罅がはいり…

 

そして遂に床が崩れた。

 

???「雄也!!」

 

雄也(これは不味いな…ごめん…なのは…フェイト…はやて…みんな…)

 

下へと落ちていく中、雄也の脳裏には親しい親友たちの姿が浮かんでいった。

 

 

 

……

 

そしてところ代わり一年中桜が咲き誇る初音島の海岸の道路では三人の少年、少女が歩いていた。

 

???「全くせっかくの休日だって言うのに…」

 

???「ふーん、両手に花だって言うのにそれでも満足じゃないんですか?兄さん」

 

???「そうだよ、弟くんのことだから家でのんびりしていたでしょ、それに男手が欲しかったし」

 

???「全く…ん?あれは?」

 

???「どうしたの?弟くん」

 

???「っ!!音姉!あそこ!人が倒れてる!」

 

???「っ!!」

 

海岸沿いを歩いていた三人は海岸の砂辺で倒れている少年の姿をみて血相を変えて少年に近づく。

 

???「おい!しっかりしろ!おい!」

 

???「酷い怪我…由夢ちゃん!急いで救急車を」

 

由夢「う、うん!」

 

それから数分後この場に救急車が来て少年は搬送された。

 

雄也「……うっ…こ、こは…」

 

少年…雄也が救急車に搬送されて数時間が経過して既に日がくれて夕方になっており、雄也は手を頭に当てて何があったかを思いだす。

 

雄也(俺は確か…休暇中に偶然居合わせた高層ビルの救助活動中に…)

 

雄也「此処は病院…俺はあのあと救助されたのか…アーク…アーク?」

 

現状の理解がわからない雄也は首に下げている自分のデバイスであるルミナスアークに状況を教えてもらおうと訪ねたが返答が帰ってこなかったために自分の胸を見るとルミナスアークはなかった。

 

雄也「……手元にないのか…」

 

相棒もいないことに寂しさを感じていると病室の扉が開いて外から金髪ツインテールの少女が入ってくる。

 

???「あっ!目が覚めたんだね」

 

雄也「えっと君は…それに此処は?」

 

???「僕は芳乃さくら、それと此処は初音島の病院だよ」

 

雄也「初音島?此処はクラナガンの病院じゃないのか?」

 

さくら「クラナガン?聞いたことない地名だね」

 

雄也(クラナガンを知らない?ということはまさか管理外世界に来てしまったのか)

 

さくら「そういえば、君の名前を聞いてなかったね、何て名前なの?」

 

雄也「あ、月宮雄也です」

 

さくら「雄也くんか…名前からして日本人だね」

 

雄也「日本!?」

 

さくらから出てきた言葉に目を開けて雄也はさくらに聞いてみる。

 

雄也「あの、神奈川の海鳴市という地名は知っていますか?」

 

さくら「海鳴市?うーんちょっと待ってね」

 

さくらは携帯を取り出してどうやら海鳴市を調べてくれているようだが

 

さくら「海鳴市なんていう地名はどこにも存在しないよ?」

 

雄也「……そう…ですか…」

 

雄也はさくらの話している間に何となく海鳴が存在していないのではと察していた、そこから推測して出された答えは…

 

雄也「……あそこから全くの別の地球に飛ばされた…か」

 

さくら「雄也くん?」

 

雄也「あのさくらさん…今からいうことは突拍子なことなんですけどすべて事実です」

 

雄也はさくらに自分の事やこうなる前のことを話した。

 

さくら「なるほど…つまり君は異世界から来たってことだね」

 

雄也「はい、原因は不明ですけど」

 

さくら「うーん、なるほどね、それじゃあこれからどうするの?」

 

雄也「…どうするも俺にはもう帰る手だてが…」

 

さくら「うーん、それじゃあ家にくる?」

 

雄也「え?」

 

さくら「だって、行く宛も帰る場所もないんでしょ?」

 

雄也「確かにそうですけど…家の人に迷惑が」

 

さくら「大丈夫!そこは僕がなんとかするから、それと怪我の方だけど大事じゃ無かったからこのまま退院することになってるから」

 

雄也「そうですか…お心ずかいありがとうございます、それじゃあお言葉に甘えさせていただきます」

 

そうして雄也は芳乃さくらの家に居候としてすむことになったのであった。

 

 

……

 

 

 

さくら「というわけで、今日から雄也くん家に預かることになったからみんなよろしくね 」

 

病院から退院してからさくらに連れられて芳乃家にたどり着き中にはいると中高学生の男女がいまにいて雄也をみると驚いたがさくらが説明(異世界等は省く)をした。

 

???「いくらなんでもいきなり過ぎますよ、さくらさん」

 

さくら「にゃはは♪ごめんね、義之くん、これついさっき病室で雄也くんと話し合ったからね」

 

雄也「すいません、こんなにも突然…迷惑きわまりないと思いますが」

 

???「ううん、別に迷惑じゃないよ」

 

???「それにさくらさんの突然は今からはじまったことではありませんから」

 

雄也「そ、そうなんですか…あ、そういえば名前をいってませんでしたね、俺は月宮雄也といいます、呼ぶときは名前で呼び捨てで構いません」

 

義之「雄也か…俺は桜内義之俺のことも名前で呼んでくれ」

 

音姫「朝倉音姫です、私と由夢ちゃんは隣の朝倉家に住んでいるけどよく芳乃家にお邪魔してるのでよろしくね雄也くん」

 

由夢「朝倉由夢です、これからよろしくお願いしますね雄也さん」

 

さくら「自己紹介もここまでにして雄也くんって何歳なのかな?」

 

雄也「?今年で15ですけど」

 

さくら「ってことは三年生か…うんそれじゃあ来週から風見学園の中等科に入学ってことで」

 

雄也「え?」

 

いきなり学校に入学すると言われて雄也は終始唖然とするのであった。

 



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chapter2

平行世界の地球へと漂流してしまった月宮雄也は芳乃さくらの誘いで芳乃家で居候をさせてもらって既に3ヶ月…夏真っ盛りの7月、風見学園では終業式が行われ中等科三年生の教室へと帰っていく人の中に雄也もいた。

 

渉「いや~漸く夏休みだぜ!」

 

義之「今回は誰も補習を受けずにすんだな」

 

明日から長期の休暇ということで受かれている男は板橋渉、義之の友人であり雄也がこの学園に来たときも直ぐに打ち解けてくれた人物の一人だ。

 

渉「今回は雄也が数学とか理数系なんか教えてくれたお陰もあるな」

 

雄也「そんなお恐れたことはしてないぞ、俺より杏なんかの方がよっぽど助かったとおもしな」

 

管理局の武装隊にいた雄也はデバイスを扱うことから理数系の知識が極端に方でありその反面、国語や歴史といった文系は余り得意ではなく全ての教科を高得点を収めている雪月花のひとり雪村杏のほうが今回の雄也より助けてくれているという。

 

杏「そんなことないわ、数学に関しては私あなたより劣っているみたいだし」

 

茜「どういうこと?杏ちゃん」

 

杏「私が答案用紙を半分書き終わった時点…20分ぐらいで雄也は手を止めていたつまり私より早く計算を解いていたってこと」

 

小恋「ええー!?あんなに多かったのにそんなに早く終わってたの!?」

 

雪月花の残りの二人、中学生とは思えないほどのルックスとスタイルを持つ花咲茜と義之の幼馴染みで占いなどが好きな月島小恋、二人も渉と同期に雄也と知り合いそれからの付き合いである。

 

渉「そういやあ、今回の数学のテスト問題数多くなかったか?」

 

杉並「ふむ、俺の情報網によると先のテストにて開始10分ほどで全回答を書き込んだ腹いせが目的だったらしい…まあ今回も凄まじき早さで全問正解されて現在真っ白に燃え尽きているらしい」

 

渉「うおぉ!杉並いつの間に」

 

杉並「ふっ、このていどで気づかないとはまだまだ甘いぞ同志板橋よ、既に月宮は俺の接近に気がついていたようだしな」

 

渉「雄也気がついてたのかよ!」

 

雄也「まあな、俺こういう気配察知能力がかなり高いみたいだから」

 

武装隊にいた雄也には周辺の察知能力が長けており杉並には気がついていたという。

 

茜「ていうか、杉並くんの話だと私達雄也くんのとばっちりを受けたってこと?」

 

杉並「もしかしたら、次のテストではもっと酷いやもしれんぞ、例えば問題が200問で2問1点というのもあるやろしれん」

 

義之「いやそれ、もう嫌がらせとしか思えないが」

 

杏「流石に全て手をつける前に終わりそうね、雄也ならどうなの?」

 

雄也「ん?どうだろ?…最悪マルチタスクすれば…うまくいけるかもな」

 

渉「マルチ?な、なんだ?」

 

杏「マルチタスク…つまり解答を書いているうちに次の問題を頭の中で演算するってことかしら…」

 

雄也「ああ、おれそういう平行思考もできるから…ただ、数学のみだけど」

 

杏「それでも十分凄いわよ」

 

渉「それでよ、今日と明日の予定全員空いてるよな」

 

茜「もっちろーん!」

 

杏「問題ないわ」

 

杉並「無論だ」

 

小恋「私も大丈夫だよ」

 

雄也「みんなOKってわけか…それで義之、さくらさんはなんて?」

 

義之「別に構わないって」

 

小恋「それじゃあ義之の家にお泊まりするのは大丈夫なんだね」

 

義之の芳乃家に泊まることは一週間前にそういった話がありそのあとさくらにそのことを訪ねたところ、さくらはなんなく了承してくれた。

 

雄也「あ、俺さくらさんに呼ばれてるから先に帰っていてくれ」

 

義之「そうか、それじゃあまた家でな」

 

そういって雄也と義之達は別れて雄也は学園長室の前に来てドアをノックすると入室した。

 

雄也「失礼しますさくらさん」

 

さくら「にゃははいらっしゃい雄也くん」

 

学園長室にはさくらが雄也を待ち構えて座っていた。

さくら「ごめんね、いきなり呼び出したりして」

 

雄也「いえいえ、それぐらい構いませんよそれで呼び出したわけとは…」

 

さくら「そんなにかしこまらなくていいよ、実はちょっとした質問に答えてほしいだけだよ」

 

雄也「質問?」

 

さくら「うん、もしも…もしもだよ、大切な人…例えば恋人や親友がいまにも消えそうなとき救える方法が1つそれが例え世界的に間違っている方法だったとしても…君はどうする?」

 

雄也「大切な人を…救う…」

 

さくら「うん選択できる道は1つ、自分の気持ちに偽って世界の…正義のために選ぶか自分の気持ち…信念を突き通して個人を選ぶか…」

 

雄也「正義…信念」

 

…我々……こそが正義なのだ、よってこれは我々が回収し管理する

 

正義ということばを聞いた瞬間雄也は顔を俯かせ苦い表情をする。

 

さくら「雄也くん?ど、どうしたの!?」

 

雄也「い、いえ…なんても…えっとそうですね昔の俺なら迷わず正義…を選びます」

 

雄也「けど…そんなのは個人の自由なんです…世界の全員が1つにまとまってるわけじゃない…だからさくらさんはさくらさんの考えて動けばいいと思います」

 

さくら「雄也くん…ごめんね、変なこと聞いちゃって」

 

雄也「別にいいですよ、それじゃあ失礼しますね俺も帰らないといけませんから」

 

そういって雄也は退室して雄也の足音が遠ざかっていくのを確認するとさくらはケータイを取り出してある者に連絡をいれる。

 

さくら「もしもし…例の件についてだけど…うん、君達に賛同することにしたよ」

 

……

 

さくらさんの呼び出しを終えた雄也は家に帰ろうと廊下を歩いていると後ろから駆け足で近づいてくる足音があった。

 

???「雄也くん!」

 

雄也「よう、ななか」

 

雄也は後ろを振り向くとそこになこの風見学園のアイドルと言われる白河ななかがニコニコとした表情でたっていた。

 

ななか「こんなところで何してるの?」

 

雄也「ん?いやさくらさんに呼び出しされててなそれが終わって家に帰ろうかと思ってるところだ」

 

ななか「ふーん、そうなんだ、そういえば小恋達校門前で見かけたけど雄也くん何か知ってる?」

 

雄也「小恋達が?…あいつら、先に行ってくれって行ってたのにな」

 

先にいったと思っていた雄也は小さくため息をつきながら校門前へと着くとななかに言われた通り義之達が待ちわびていた。

 

雄也「お前ら、先に行ってくれっていったのに」

 

義之「いや、直ぐに終わりそうだからやっぱ一緒に帰った方がいいかなって」

 

雄也「はぁ…まあそうだけど」

 

ななか「ねえねえ、なんの話なの?」

 

ちゃっかり雄也を追いかけていたななかが訪ねてくると義之が説明する。

 

 

ななか「ふーん、お泊まり会かななかも参会したいな~」

 

雄也「おいおい、いきなりだな」

 

義之「ん~別にそれぐらい構わないぞ」

 

茜「ものすごく軽くいっちゃったわね」

 

義之「別に問題ないわけだしな…それじゃあいこうぜ」

 

そういって雄也達は芳乃家へと向かうのであった。

 



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chapter3

途中、晩御飯の食材を買って芳乃家に帰ってきたときには既に夕方になっており玄関には明かりがついており、音姫と由夢が来ていることは直ぐに分かった。

 

義之「ただいま」

 

一同「お邪魔しまーす」

 

音姫「はいはい、お帰り弟くん、雄也くんあれ?月島さん雪村さん、杉並くんまでみんな揃ってどうしたの?」

 

雄也「?あれ?義之から何も聞かされてなかったのか?」

 

音姫「なんのこと?」

 

雄也「…義之まさかだとは思うが音姫さんや、由夢ちゃんには何もいってなかったのか?」

 

義之「え?雄也が言ってなかったのか?てっきり雄也が…」

 

雄也「…はぁ…なるほどそういうことね…えっと音姫さん、実は…」

 

説明中

 

音姫「なるほどね、もうそうだったらちゃんと教えてよね」

 

由夢「全く兄さん達はそんな大事なことどうしていってくれなかったんですか?」

 

雄也が説明した後音姫と由夢は少しご立腹な表情である。

 

雄也「め、面目ない」

 

義之「同じく」

 

小恋「まあまあ、音姫先輩、由夢ちゃんもそれぐらいにして、晩ご飯作りましょう」

 

音姫「まあ、それもそうね、えっと何を作るつもりなの?」

 

杏「多人数なのでシンプルにカレーです」

 

音姫「カレーかそれじゃあちゃちゃっと作っちゃいましょうか弟くん手伝って」

 

義之「わかったよ、音姉」

 

小恋「音姫先輩私も手伝います」

 

茜「はいはい、茜ちゃんも手伝いまーす」

 

音姫「それじゃあおねがいね、それから由夢ちゃんと雄也くんは他のみんなを居間に案内してね」

 

雄也「了解」

 

由夢「はーい」

 

そうして雄也と由夢は残りのみんなを居間へと案内しカレーが出来上がるまで雑談を交わすのであった。

 

その後、 芳乃家でみんなでカレーライスをいただいた後音姫と義之は後片付けて台所へといき雄也達はリビングでのんびりとしていた。

 

渉「いやぁ~うまかったな、こんな旨いもんいつも食えて羨ましすぎるぞ!」

 

雄也「羨ましいってな…」

 

茜「朝倉先輩の手料理を毎日食べてるなんて羨ましいしね」

 

杏「そうね…っで雄也って本命とかいるのかしら?」

 

雄也「本命ってなんだよ」

 

杏「最後まで言わなきゃわからないの?こんなに美女に囲まれていて好きな人が居ないはずがないわ、それで誰なの?」

 

雄也「好きなやつって…俺は居ないよ」

 

茜「えーいないの?」

 

雄也(俺が誰かを愛するなんてこと…できるはずがないんだ)

 

雄也の心のなかで暗い過去が脳内を過らせる。

 

…お前のお前達のせいで死んだんだ!返せよみんなを返せよ!

 

…この人殺し!

 

…何が正義だ…この悪魔め!

 

雄也「くっ!」

 

いやな過去を思い出して雄也は顔にを当てて辛い表情を隠すようにする。

 

小恋「どうしたの?」

 

雄也「…何でもない」

 

雄也「すまん、少し気分悪いから自室に行ってくる義之達にもそう伝えといて」

 

雄也は居間からでていき居間では戸惑いの声が(主に小恋 )聞こえてくるも雄也には聞こえておらずそのまま自室のベッドに寝転がった。

雄也「…はぁ…何やってんだよ俺は」

 

雄也(忘れかけてたいやな記憶…初音島にきてからはこんなことにはならなかったのに…)

 

初音島に来る前はその悪夢にうなされて寝れなかったことがよくあった。

 

雄也「俺は…なんのために戦ってきたんだろう…」

自分の戦う理由すらもなくしてしまった雄也は自身に自問するが答えが出るはずもなくまたため息をはく。

 

雄也(って、何考えてるんだろう…俺…アークもない、もとの世界にも帰れない俺にはもう戦うことなんてないじゃないか)

 

戦う力を持たないから戦わなくていいと自分に言い聞かせるとふと元の地球の友人達の顔をが浮かぶ。

 

雄也(なのは、フェイト、はやて、すずか、アリサ、ヴィータ、シグナム、ザフィーラ、シャマル、クロノ、ユーノ…悠里)

 

コンコン

 

音姫「雄也くん、いるぅ?」

 

雄也「音姫さん?開いてますよ」

 

音姫が部屋に入ってきて雄也の顔をみた瞬間表情が一変する。

 

雄也「どうしたんですか?」

 

音姫「どうしたもないよ!雄也くんどうして泣いてるの?」

 

雄也「え?」

 

雄也は音姫に言われて目を腕で擦るすると腕には濡れた後がつきこのとき自分は泣いていると理解した。

 

音姫「何か嫌なことでもあったのもしかしていじめ!?」

 

雄也「お、落ち着いてください音姫さん、ただ昔のことを初音島に来る前のことを思い出していただけですから」

 

音姫「昔のこと?」

 

雄也「はい」

 

音姫「…やっぱり話してはくれないよね」

 

雄也「…はい」

 

正直、雄也は異世界のことを話すことはできないと思い義之達は雄也の過去を知らなかった。

 

音姫「ううん、別に気にしないでね、けどもし話したくなったらお姉ちゃんに話してね、もう私たち家族みたいなものなんだから」

 

雄也「…家族か」

 

音姫「っ!?も、もしかして不味かったかな?ごめんね、無神経でこんなこといっちゃって雄也くんには本当の家族がいるのに…」

 

雄也「…行方不明なんです」

 

音姫「え?」

 

雄也「俺の両親…俺が6歳の頃に行方がわからなくなったんです…父さんは冒険家で良く海外の珍しいものとかをもって帰ってきて、母さんに怒られてたっけ…母さんは研究者で…何を調べていたのかはよく知らなかったんですけどものすごくすごい研究をしていたのは確かなんですけど…その研究をしていたんです」

 

音姫「そうだったんだ、凄い両親だったんだね」

 

雄也「はい、けどある日珍しく父さんと母さんが海外にいって…何でも遺跡の調査だったみたいでそれの調査に出掛けたんですけど…」

 

音姫「そこで行方不明に?」

 

雄也「はい、消えたんです遺跡から周辺まで忽然と…」

 

音姫「消えた?」

 

雄也「はい、話によるといきなり地震が起きて次の瞬間遺跡から周辺が荒れ地に変わっていたと…今思えばあれは…」

 

次元震による次元転移だったのかもと雄也は小声で口ずさむ。

 

音姫「雄也くん?」

 

雄也「あ、すみません、俺の話を聞かせて」

 

音姫「ううん、別にいいよ、私は雄也くんのことが聞けて少し嬉しいかな、それと話してるとき方苦しかったら普通に話してくれていいよ、なんか他人行儀だよ」

 

雄也「え、あ、すみ…いやごめん、これでいいかな…」

 

音姫「よろしい、それとわたしのことはお姉ちゃんって思っていいからね」

 

雄也「え!?それは…」

 

音姫「え?…だめ?」

 

音姫はうるうるとした瞳で雄也を見てきて雄也は少し後ずさる。

 

雄也「そ、それじゃあ…お、音姉…」

 

音姫「音姉…音姉か~弟くんだけしか言われたことないけど二人に言われるともっと嬉しいな」

 

雄也から音姉と呼ばれたことで機嫌が良くなった。

 

雄也「そ、それで俺を呼びに来た理由ってなんだったの?」

 

音姫「あ!そうだ実はね、さくらさんが帰ってきてなんか本島の人がお土産持ってきてくれたみたいで良ければみんなで食べてってもう、弟くん達も食べたから残りは私と雄也くんの分だけだからはい」

 

そういって音姫はさくらさんが持ってきたお土産…饅頭を雄也に渡しもうひとつの饅頭を口にいれる、そのあと直ぐに雄也も続けて饅頭を食べた。

 

音姫「うん、おいしい」

 

雄也「おいしいけど…あの店と比べたらまだまだかな?」

 

音姫「あのお店?」

 

雄也「ああ、此処に来る前に住んでいた場所の喫茶店でねそこのお菓子がものすごく美味しいんだ…なんならいつか作ろうか?」

 

音姫「え?作れるの?」

 

雄也「ああ、そこの喫茶店マスター仕込みでね、味は保証できるよ」

 

音姫「へぇーそれじゃあ楽しみだな」

 

にこにこと頬を笑みを浮かべる音姫そしてそれから音姫が雄也のとなるに座ったって少ししたあとうとうとと寝ぬたい表情をみせる。

 

雄也「音姉?」

 

音姫「あれ…?なんか…きゅ…うに…寝ぬたく…… 」

 

雄也「ね、寝ちゃった…そういえば俺もなんか眠け…が… 」

 

音姫が眠りについたあと直ぐ様に雄也も急に睡魔におそわれて眠ってしまう。

 

 

そして同時刻枯れない桜の前ではさくらと謎の人物が横に立っていた。

 

???「どうやら、最後の二人も眠りに落ちたみたいだぜ」

 

さくら「そう、音姫ちゃんと雄也くんはもしかしたら異変を起こしたら真っ先に気づいちゃうかもしれないからね寝ていてもらわないと…さてと、こっちは準備完了だよそれでやっぱりみんな飛ばされるだね」

 

???「しょうがねえだろ?術式の起点の中にお前の家があるんだしそこの中にいるやつは確実に飛ばされる正直どこに飛ばされるかは俺にもわからねえ」

 

さくら「そうだね」

 

???「おいおい、なに暗い顔してんだ?問題ないだろ?例え死んだとしても計画さえ成功すれば…な」

 

さくら「そうだね、これが僕が選んだ選択なんだもんね」

 

???「それじゃあ…始めようじゃねえか!」

 

すると術式が起動して魔法陣が初音島全体を覆う。

 

さくら(義之くん、音姫ちゃん、由夢ちゃん、雄也くん、これが僕が選んだ選択だよ、例え敵になったとしても、僕はこの手で殺す誰もが幸せになれる世界のために)

 

???「さあ、共に誘おう!失われた世界ロストフロンティアへと!」

 

その瞬間魔法陣から放たれた光によって初音島を包み込み光が収まったときそこには初音島が跡形もなく消え去っていた。

 



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第一章巡ヶ丘騒乱
chapter4


ここから視点を変えていきますそれでは本編をどうぞ


音姫「雄也くん…雄也くん」

 

いつの間にか眠っていた俺はふと音姉の声と肩を揺らされてゆっくりと目を覚ます

 

雄也「ん?あ…音姉…おはよう」

 

音姫「はい、おはよう、っていってる場合じゃないよ!周りをみて」

 

意味がわからないことを言い出して俺は辺りを見渡していると俺の部屋…ではなく何処かの路地裏だった。

 

雄也「此処…どこだ?」

 

音姫「わかんない、私も少し前に此処で目が覚めて近くに雄也くんがいたから起こしたの」

 

雄也「…俺達初音島の家にいたよな…」

 

音姫「うん、それも雄也くんの部屋に」

 

どうやら記憶の方は問題ないがいったいどういうことだ?ふと、空を見上げると太陽は既に真上へと上り制服の懐にしまっていたケータイを取り出して時間を確認するとある異変を確認することができた。

 

雄也「音姉…いまたぶん昼頃だよね…」

 

音姫「へ?う、うん、太陽の位置からするとそうじゃないかな?」

 

雄也「…ケータイの時間がまだ8時だ…いくらなんでもケータイの時間が可笑しくなるなんて見たことがない…」

 

音姫「それじゃあ雄也くんは此処は外国だっていうの?」

 

雄也「…その視野はある…まあ先ずは表に出よう…情報が不足してる」

 

音姫「そうだね、急いでは初音島に戻らないとね、弟くんや由夢ちゃん達が心配するもん」

 

雄也「そうだな」

 

そういって俺達は路地からでて大通りに差し掛かる。

 

見る限り、外国ではないかもしれない通っている人達は殆ど日本人しか通りかかってきていなかったために、此処は日本のようだ。

 

雄也「日本人が多い…多分日本の本島だな」

 

音姫「そうみたい…まだ外国じゃないだけましかな?」

 

雄也「そうだな…ん?」

 

立ち止まっているのも交通の邪魔になるかもと思い歩きだそうとしたときふと、道路をパトカーと救急車が通っていくのが多いような気がした。

 

音姫「雄也くん?」

 

雄也「…なんか嫌な予感がする…」

 

この胸騒ぎなにもなければ良いのだが

 

この時想像もしなかったもうそこにいや、既に異変は起きていたということに

 

既に数時間が経った、今現在は公園にいる、そしてこのの世界について完全にわかった音姉達の世界とは違うということ…まず年号だ。

 

音姉達の世界の時代は2054年であるが此処は2005と明らかにずれがある。

 

ふと過去に来たかと思ったがそれは直ぐに打ち砕かれた…初音島が存在しないのだ

 

大体50年前にも初音島は存在しているだがその影は全くなく、此処は別の世界だと音姉は認めざるえられなかった。

 

そしてそれと変わって存在するものがある…海鳴市…俺が生まれそして育った故郷、それが存在するということは此処はよく知っている地球であるということがわかった。

 

月日も俺が初音島に流れ着いてから同じ日数が経過しているようだ。

 

そして巡ヶ丘…聞いてみれば俺には聞き覚えがあった、確かここらいったいはランダルとかいう会社がしきっていたはず、それと幼馴染みの悠里もこの町に住んでいたはずだ…悠里にるーちゃん元気にしてるかな?

 

音姫「これからどうすれば…」

 

不安な気持ちを言葉に出してしまう音姉…確かになにも知れない場所に一人立たされればそうなるのも頷ける。

 

雄也「大丈夫、なんとかなる」

 

音姫「え?どうしてそんなこと言えるの?」

 

海鳴に行けば俺の家に止めることができる、その上クロノ達に頼めば時間はかかるだろうが音姉の世界も見つかるだろう…正直局の力を使いたくはないがやむえない。

 

雄也「落ち着いて聞いてくれ、俺は…」

 

信じられないと思うが俺がこの世界出身であることを明かそうとした矢先だった。

 

女性「キャアアアァァァァァァッ!!!!!」

 

雄也「っ!?」

 

突然と発せられた悲鳴声前に嫌な予感が再び過り、音姉に向く。

 

音姉も悲鳴を聞いて困惑しているようだ。

 

音姫「悲鳴!?雄也くん」

 

雄也「…行ってみよう、もしやばかったら逃げるいいな?」

 

音姫「うん!」

 

何が待ち受けているかはまだわかってはいないが行ってみないと始まりそうにない、そして俺達は悲鳴が聞こえた所へと向かった。

 

悲鳴が聞こえたのはわりと近くだった公園を出て角を曲がった大通り、悲鳴を聞いてか既に大勢の人だがりもできており、いまも直何故か銃声や叫び声が聞こえてくる。

 

これはただ事ではない!

 

そして現場前へと到着し現場を目にした。

そしてそこに広がっていたのは…地獄絵図だ。

 

辺り一体には黒い血が付着し、警官は持っている拳銃で在るものを発砲、腕、胸、腹と直撃するがものともせずに、奴は警察官にゆっくりと近づいていく、警察官は既に錯乱しているのか無我夢中で奴に発砲し頭を撃ち抜くと漸く倒れて動かなくなった。

 

だが奴等は一人ではない複数おり、それも警察官を囲むように近づいている。

 

それに気づいた警察官も拳銃で撃ち抜こうとしたが弾切れ、錯乱して撃ちすぎたのだ。

 

そして後ずさるが既に近距離まで奴等は近づきそして…警察官は喰われた。

 

この惨状を見て俺は理解できなかった、何故地球でこんなことが起きているのか…これは夢ではないのかと

 

だが俺の経験が語る。

 

この非日常な出来事、緊迫な時、そして何よりも血の臭いが…俺を現実へと駆り立てる。

 

音姉を含めて回りの人たちはフリーズしたかのように棒立ちになっている、頭がついてこれていないのだ。

 

普通はそれが正しいだが、今は立ち止まっていては命取りだ。

 

俺は直ぐ様に音姉の手を付かんで奴等に逃げるように走った。

 

音姫「ゆ、雄也くん!?」

 

雄也「音姉、今すぐここら離れるぞ!」

 

音姫「で、でも人が…人に…」

 

雄也「あれは人じゃない!もうあれは…奴等は生きた死者…ゾンビだ!立ち止まっていたら俺達も殺られるぞ!!」

 

音姫「で、でもこれはきっと夢なんだよ、目が覚めればきっと雄也くんの部屋で」

 

雄也「これは夢でも幻でもない!現実だ!」

 

俺の言葉がシーンとしていた空間に鳴り響き。

 

そして立ち止まっていた民衆がぞわっと戸惑いだしてそして…

 

男性「う、うわあぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

女性「いやぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

男性「にげろぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

民衆達も恐怖心に駆り立てられてその場から一斉に逃げ出したが大勢が一斉に動き出したのだ足取りを掴めないものもいるだろう、後ろからは断末魔、命乞いと悲鳴が既に聞こえてきている。

 

雄也「くそ!」

 

何としてでも今は音姉だけでも救う!それがいま俺にできる償いであった。

 



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chapter5

先程までの平穏なときは嘘かのように巡ヶ丘は荒れている。

 

そこら中で奴等が徘徊し生者を貪る。

 

俺達は細い裏路地で様子見する。

 

後ろには音姉が体育座りでうつむきその瞳も虚ろは眼差しであった。

 

そして奴等は先程より数が多い、やはり噛まれたもの達は奴等になって増えている、つまり時間が経つにつれて身動きがとれなくなっていくということだ。

 

今のうちに動かなければならないが宛もなく移動するのはリスクしかない…だが個人的だが目的はある…

 

悠里…そしてるーちゃん、若狭家のみんなの安否が気になっていた。

 

だが住所が全くわからない…これでは助けにもいけない…

 

思い出せ、何か…何が些細なことでもいい!

 

思考を巡らせて記憶を呼び起こしひとつだけ可能性を導き出す

 

雄也「あっ」

 

これは半年ぐらい前のこと…電話で悠里と話していた時のことだ。

 

 

…最近は園芸部の部活動が忙しくてね、帰るのが遅くなるのよね

 

…ふーん、なんか大変なんだな…でもやりがいがあるだろ?

 

部活動!そうだ!つまりまだ学校にいるかもしれない!

 

微かな希望にすがるしかない、俺は直ぐに行動をしようも近場で拾った鉄パイプを右手にもち、音姉の前にたつ。

 

雄也「音姉、此処も危ない安全な場所までいこう」

 

音姫「安全な場所ってそんなところどこにあるっていうの!?」

 

いつもの音姉は何処にもなく、既に錯乱状態だ。

 

雄也「此処にいても危険だ!けど巡ヶ丘中等学校なら屋上で籠城ができるはずだ」

 

あそこは設備がよかったはずだこんな事態でも機能するかもしれない、それに園芸部の活動も屋上だったはずだ。

 

音姫「どうしてそんなことわかるのよ!此処は私達の世界じゃないんだよ!」

 

失言だった、これでは俺は知っていると言っているものだ、俺も冷静さを欠けていたと悔やんでしまう。

 

雄也「あそこには…多分屋上には俺の幼馴染みがいるはずなんだ」

 

音姫「え?どういうこと?」

 

俺の知り合いがいるということに困惑を隠せない音姉、だが今は説明する時間がない。

 

雄也「ごめん、今は説明できない、頼む俺を信じてくれ音姉!」

 

俺は音姉に手を差し伸べ音姉はその手を着かんで立ちあげさせる。

 

雄也「急ごう、敵が増えてきてる、時間がたつと厄介だ、絶対に俺から離れるなよ」

 

音姫「うん、わかった」

 

音姉も決心ができたのか、少しだけ元の音姉に戻り、それを確認したあと裏路地から左右を確認し行けそうだったので飛び出て音姉もその後ろをついていく。

 

目指すのは巡ヶ丘中等学校だ

 

……

 

夕日が暮れてきて漸く巡ヶ丘中等学校の校門前に到着した。

 

雄也「漸くたどり着いたか」

 

音姫「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

此処まで最小限のゾンビを蹴散らし車などで道路を塞いでいたところをよじ登るなどで体力を使い、音姉の体力もかなり限界に近い。

 

雄也「音姉、あと少しだけ頑張ってくれ」

 

音姫「う、うん」

 

校門から入り、昇降口の入り口まで大体50メートルと言ったところだろう、辺りには奴等と棒立ちしている生存者がいた、後者は町中のあれと同じだ、現実を認識していないのだ。

 

雄也「行くよ、音姉」

 

音姫「わかった」

 

音姉と掛け合い、そして学校の敷地内に入り昇降口へと一直線に走り出した。

 

近くのゾンビを回避しながら速度を緩めず近づいていく。

 

近くでは襲われている人もいる…

 

音姫「雄也くん…」

 

音姉が言いたいことがわかる…助けてあげたいのであろう…けどいまそんな暇がない…見捨てるしかないのだ…

 

本当に最低だ…俺は何かなすということは、何かを犠牲にする…今、俺は音姉を守り、悠里の安否を確認しにいくという行動をし今襲われている人達を切り捨てている…あのときとロストロギアを回収して『1つの国を滅ぼした時と』

 

不謹慎だがPT事件と闇の書事件が奇跡だと思えたくなる。

 

音姫「雄也くん!!」

 

音姉の声で思考の海から抜けて目の前には奴が立ち塞がっていた。

 

雄也「邪魔だ!!」

 

直ぐに鉄パイプで頭部を破壊して昇降口前にたどり着き校内へと入った。

 

既に構内も荒らされており油断を残せない状態だ。

 

雄也「こっちだ!」

 

立ち止まってはいられない俺達は直ぐに動き上へと目指すそして二階に差し掛かったとき怪我おった男性を担ぐ女子生徒が同じ様に上へと駆け上がっているのがわかった。

 

そして屋上へと差し掛かる時、屋上から扉をノックする音がしてきて警戒しながら屋上に辿り着くと先程の女子生徒がノックしていたようだ。

 

少女「開けてくれ!おい!誰かいないのか!?」

 

少女も辛くも奴等から掻い潜って来たのだろう既に必死であった。

 

俺は音姉が屋上にたどり着いたのを確認してから少女に近づきすると足音で気づいたのかこちらに無理向いて俺の服装をみて血の気が退く。

 

雄也「安心しろ、全部返り血だ」

 

少女「そ、そうか…」

 

雄也「ってこんな余裕ぶっこいてる場合じゃない、屋上あかないのか?最悪こじ開けるが…」

 

そうすると屋上の鍵が開いた音がして扉が開かれると教師であろう女性が現れた。

 

教師「恵飛須沢さん!?」

 

少女「めぐねえ!よかったまだ此処は無事なんだな…」

 

そういって屋上の外へと出て直ぐに扉の鍵を閉めて辺りを見渡す、屋上には菜園が設置されており、人は先程のめぐねえと呼ばれた人と変な帽子をかぶった女の子そして…

 

少女「ゆう…くん?」

 

戸惑いの色を隠せないのはこの学校に来た理由である俺の幼馴染みの若狭悠里だ。

 

悠里「ゆうくん?どうして…」

 

雄也「その話は追い追い話す、いまはそれどころじゃねえ」

 

戸惑いを隠せないのはわかっているが今は本当にそれどころではない。

 

めぐねえ「ひどい怪我!急いで保健室に…」

少女「下はダメだ!」

 

雄也「俺も同感だ…多分保健室ももう落とされてるだろうし」

 

悠里「落とされてる?どういうことなの?ゆうくん!説明して」

 

女の子「なに…あれ?」

 

悠里が説明を求めて来るが帽子をかぶった女の子が外の状況をみて悠里とめぐねえと呼ばれた教師の視線はグラウンドに向く。

 

百聞は一見に如かずという、聞くより見た方が早い。

 

悠里「人を喰ってる…?」

 

少女「あいつら行きなり現れてああいう風に人を襲ってきて陸上部もそれに巻き込まれて…あたしは先輩を背負って此処まで…なああんた…あんた達外から来たんだろ?外はどうなってるんだ?」

 

雄也「………一言で言うとな…」

 

正直、長々と話すのも嫌気がさすために手短にする

 

雄也「地獄だ」

 

俺が言った瞬間建物で爆発が起こる、恐らく火を使っている時に奴等に襲われたのであろう。

 

女の子「どうして?……どうして…こんな…… 」

 

既に許容範囲を越えている出来事が連発で何故このようなことになったのかと混乱しているとそれに追い討ちを駆けるように屋上のドアを強く叩く音が響き俺たちの視線はそちらにいく。

 

恐らく奴等であろうしかも異様な邪気がかなりの数がいる。

 

そしてドアの窓ガラスが奴等の腕力で割れて窓から奴等の手が出てくる。

 

女の子「キャアアアァァァァァァッ!!!!!」

 

めぐねえ「え、園芸部のロッカーを!」

 

雄也「俺も手伝おう」

 

いち早く動きだした、教師がドア近くに存在するロッカーを動かして突破させまいと行動し俺もそれに手伝おうと動き出す。

 

ロッカーをドアの前に配置を完了して俺と教師が体重をかけて押さえようとするが奴等の力が強力で押し返されそうになるがそこに悠里も押し加わる。

 

めぐねえ「若狭さん」

 

悠里も必死なんだここを突破されれば自分も死ぬとわかるから必死ににもなる。

 

めぐねえ「丈槍さん!そこの洗濯機をこっちに」

 

雄也「音姉も!手伝って!」

 

音姫「う、うん!」

 

そして帽子の女の子と音姉も奴等の進行を足止めするためにこちらに来て手伝う。

 

少女「先輩?」

 

止めるのに必死になっている時、不意に後ろから少女の声が漏れて振り返るとあの怪我を負っていた先輩が起き上がっていた。

 

ありえない、正直、あの怪我しかもかなりの出血もしていた、起き上がるなど普通は無理だ。

 

だがひとつだけ……もし奴等なら…

 

めぐねえ「恵飛須沢さん!逃げて!」

 

少女「え?」

 

突然の逃げろという叫びに戸惑うが奴等と化した男性が少女を押して倒れさせる。

 

少女「っ!!」

 

少女は男性の顔をみて漸く理解することができた、必死に連れてきた男性は既に奴等の仲間と化しているということに

 

どうする!?正直今の俺は押さえるので精一杯動くことができない。

 

ならばこの鉄パイプを投げて倒すか?奴に…しかも頭に当てるなど命中率は低くその上武器がなくなるということでリスクが高すぎる。

 

そうこうしているうちにも奴は少女に襲いかかろうとしている。

 

少女「うわあぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

そして奴が今まさに手に駆けようとしたときそれより先に少女が近くにあった園芸部のシャベルで奴の首元に直撃し、体が脆い奴はそこから血が出血する。

 

そして奴は倒れるがまだ動くやはり頭部を叩かない限り死なないのであろう。

 

少女はシャベルを構え直して今だ動く奴の止めを刺すべく頭部にシャベルを突き刺した。

 

何度も何度も既に動かない奴にシャベルを、突き刺していく。

 

音姉も悠里もその惨劇に目を反らし教師はただ見ているしかなく俺も見るに耐えなかったが現状で動けじまいだった。

 

そんな中動いたのは帽子の女の子であり彼女は走って少女の元へと行き泣きながら抱きつく。

 

少女は持っていたシャベルを落とし右手を女の子の頭に触れる

 

少女「…どうしてお前が泣いてるんだよ…つうか、お前誰だよ…変な帽子…」

 

どうやら女の子のお陰で冷静さを取り戻してくれたようだが現状はいっこうに変わらない、未だに後ろでは奴等が扉を叩いている。

 

悠里「これからどうすれば…学校も外も…先生!先生!!」

 

どうすればいいかわからない悠里は教師に聞くがその教師もどうすればいいかわからずその場で立ち尽くすしかなかった。

 



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chapter6

日が沈み、夜になるとドアを叩いていた、奴等は何処かへ行ったのか叩く音が聞こえなくなりグラウンドをみると明らかに数も少なくなっているのがわかった。

 

めぐねえ「とりあえず、大丈夫そうね…」

 

雄也「でも安心もできない…これからのことも考えなければ…」

 

めぐねえ「そうね…そういえばあなたとそちらの方は外から来たのね…こんな状況だけれど自己紹介しましょうか…佐倉慈、この学校の国語教師をしていたわ」

 

雄也「月宮雄也です、それで隣の彼女は朝倉音姫といいます」

 

佐倉「若狭さんのことは知ってるみたいだし、あそこにいる人が恵飛須沢胡桃さん、そして小さい子が丈槍由紀さんよ」

 

生き残ってるのはこれだけ…か、佐倉先生も普通に話してはいるが明らかに精神的に参ってる。

 

いたって冷静なのは俺だけ…そんな緊急事態だというのに落ち着いている俺に苛立ちを覚えてしまう。

 

俺ならもう少し救えたかもしれない…そんな後悔で頭が一杯であった。

 

雄也「これからのことを考えないといけないけど今は少し落ち着こう…直ぐに行動は無理だろうし」

 

そうしてそれから二時間ほど経ち漸く音姉達も落ち着いてきたが落ち込んでいた、見えない未来に不安を持っているのであろう。

 

悠里「ゆうくん…少し聞いていい?」

 

雄也「なんの話だ?」

 

悠里「…この四ヶ月…どこにいってたの?なのは達からゆうくんが行方不明になったって…」

 

音姫「四ヶ月?それって…雄也くんが初音島に来た時期と同じだよね…」

 

四ヶ月…やっぱり時差は存在せずこっちでもたっていたみたいだな

 

音姫「で、でもここって異世界だって…」

 

悠里「異世界?」

 

雄也「あ~四ヶ月前俺誤って崖から海に落ちちまってな…気がついたら初音島…というか異世界に…あっ、さくらさんはこの事知ってるから」

 

悠里「…そうだったの…」

 

雄也「その事は後々また話してやる…それより、今どうすべきか…これが重要だ」

 

今後のことの話になり空気が重くなる中始めに口を開いたのは佐倉先生であった。

 

佐倉「正直、食料が心許ないわ、園芸部の野菜があるけど…それでもね…購買部に行けば色々と調達できると思うわ」

 

雄也「…購買部は何階に?」

 

佐倉「1階だけれど…どうしてそんなことを?」

 

雄也「いや、俺が行って色々調達をしようかと」

 

悠里「危険よ!此処は救助を待つ方が…」

 

雄也「はっきりいっておくけどその可能性は皆無だ、それなら自衛隊が日夜過ごして戦ってるはずだ…けど…プロペラの音どころか銃声ひとつも聞こえない…つまり、自衛隊が来ていないということだ」

 

今のうちにありえない希望は切り落としておいた方がいい

 

悠里「それじゃあ私達は…神様から見放されたの?」

 

雄也「俺は神なんて信じちゃいない…活路を切り開くしかない俺達の全員で生き残るために」

 

PT事件でも闇の書事件でも自分達の力で切り開いた未来なんだ今度もそこはかわりはない。

 

胡桃「あたしも一緒にいく」

 

佐倉「恵飛須沢さん!?」

 

雄也「ひとつだけいっておくが、行くにあたって、確実に奴等との遭遇及び戦闘は避けられない…それでも来るか?」

 

奴等でも元は人間なのだ本当に割りきらなければ彼女の精神が崩壊するかもしれない。

 

胡桃「奴等とやりあったのは私とあんただけだ、それに購買部の場所も知らねえだろ?案内は必要だろ?」

 

雄也「…なら…」

 

直ぐにいこうと言おうとした矢先、突如学校いや、地面が大きく揺れ出した。

 

雄也「地震!?」

 

突然の地震により取り乱す俺達だったが…

 

雄也(これは魔力の残留!?まさか…次元震!?)

 

音姫「っ!!」

 

次の瞬間俺の視界は眩い光によって包まれた。

 

……

 

揺れが収まり目を徐々に開けて辺りを見渡しみんなの無事かを確認する。

 

雄也「みんな無事か?」

 

佐倉「ええ、なんとか…」

 

悠里「なにさっきの…」

 

胡桃「天変地異の前触れだったのか…」

 

雄也「今は気にする必要はないだろう…さっさと物資の調達しよう」

 

胡桃「ああ…」

 

雄也「それじゃあ行ってきます、絶対に俺達が帰ってくるまでは開けないでくださいよ」

 

佐倉「ええ、わかったわ」

 

そしてロッカーを動かしてドアを警戒しながら開けて俺と恵飛須沢さんは校内へと入っていった。

 

三階へと降りた俺達は学校とは思えない惨劇を目にし恵飛須沢さんの顔色もかなり悪いが必死に耐えている。

 

胡桃「…暗いな…」

 

雄也「暗いけど直ぐになれる…っ!」

 

胡桃「どうし…「静かに…」」

 

三階の踊り場から顔を出して三階廊下を見て、奴等を3体補足する。

 

雄也「3体いる…」

 

胡桃「やっぱりいるのか…目的の通路じゃないから無視しよう」

 

雄也「いや、帰るときに遭遇しても厄介だ片付けよう」

 

胡桃「…わかった」

 

3体を倒すことにして踊り場から一気に駆け出して一瞬で片付ける。

 

胡桃「瞬殺かよ」

 

雄也「これぐらいなら奴等が反応する前に倒せるからな…先を急ごう」

 

そして校内を進んでいき邪魔な奴等を倒して購買部へと辿り着く。

 

胡桃「漸く着いたな」

 

雄也「…気配は感じられない…中は大丈夫みたいだ」

 

胡桃「気配って…わかんのかそういうの」

 

雄也「まあな…それよりさっさと必要物資をかき集めよう」

 

胡桃「おう」

 

そうして物資の調達を進める。

 

食料を始め、懐中電灯、ガスコンロ、ボールペン、あと服等々…

 

胡桃「なあ…ひとつ聞いていいか?」

 

集めている最中深刻な顔をした恵飛須沢さんが俺に聞いてきた。

 

雄也「なんだ?」

 

胡桃「ここに来る途中、奴等とお前一人で戦ったわけだけどよ……殺すことに躊躇いは無かったのか?」

 

此処までの経緯で遭遇した奴等は俺が一人で片付けた、端から見たらそう思うのは頷ける。

 

雄也「ないっていったら嘘になるが…こういうのは覚悟決めて割りきるしかないんだよ」

 

胡桃「そうか…なんか、あたしたち英雄みたいだな 」

 

雄也「…英雄?」

 

胡桃「ああ、この学校で孤軍奮闘し始めたわけだしさ…」

 

雄也「なるほど、みんなを守るから英雄ってわけか…でも…」

 

胡桃「ん?」

 

雄也「俺は英雄じゃなく殺戮者だろうがな」

 

胡桃「それってどういう…」

 

雄也「恵飛須沢さん…みんなを守る英雄になれよ…俺は…無理だからさ…」

 

俺は英雄なんかにはなれない俺は血塗られた殺戮者…こちらの方があっているであろう。

 

胡桃「……」

 

雄也「この話は終わりだ…さてと…必要物資はこれで揃ったろ…屋上に帰ろうみんなが待ってる」

 

胡桃「お、おう」

 

そして物資を詰め込んだボストンバッグを持って購買部から出る最中後ろから恵飛須沢さんに声をかけられる。

 

胡桃「なあ…」

 

雄也「何?」

 

胡桃「これからは名前で呼び会わないか?…そのこれから長い付き合いになるだろうし」

 

雄也「……それもそうだな…それじゃあこれからよろしく…胡桃」

 

胡桃「ああ、雄也」

 

名前を呼び会うことにして俺達は購買部を後にして屋上を目指した。

 

胡桃「めぐねえ、今帰ってきた」

 

屋上の扉前まで辿り着き、扉の向こう側にいる佐倉先生に呼び掛けて少し扉を開けて佐倉先生が伺ってくる。

 

佐倉「よかった…無事で」

 

胡桃「何ともなかったぜ、なあ雄也?」

 

雄也「ああ、胡桃の言う通り、敵もすくないからな」

 

佐倉「あらあら、いつの間に名前で呼び会うなんて」

 

胡桃「まあ、長い付き合いになりそうだからさ」

 

そしてなあっと胡桃は俺に聞き返してくるので俺もああっと頷いた。

 

胡桃「っで、これが購買部から持ってきたものだ」

 

そういってボストンバッグを下ろして戦利品を取り出す。

 

佐倉「こんなに…ありがとう、恵飛須沢さん、月宮くん」

 

胡桃「お互い様だって、あのとき鍵を開けてくれなかったらあたしたち今頃…」

 

雄也「まあ、結果オーライだったからいいじゃねえか…っでひとつ提案があるんだけど今下は奴等が少なかった三階なら制圧できると思う」

 

佐倉「本当?」

 

胡桃「それは本当だ、それでどうやって制圧するんだ?」

 

雄也「まず三階の教室にある机と購買部であったこの鉄線でバリケードを作って下への通路を封鎖してエリアを確保する…慎重に進めるからかかるとは思うけどこれが最善だと思います」

 

佐倉「…そうね…わかったわ、それじゃあ人手が必要ね、私も手伝うは後は」

 

音姫「私と若狭さんも手伝います」

 

雄也「いいのか?」

 

人手が増えるのは助かるが精神的にも来るからあまりおすすめができない

 

悠里「ゆうくんと恵飛須沢さんだけ、頑張ってるのに、私たちだけなにもしないのは嫌だから」

 

佐倉「丈槍さんは…どうする?私たちと一緒に来る?」

 

由紀「…うん」

 

雄也「んじゃあ決まりだ、それじゃあいこう」

 

そういって三階へと降りる…これが正しいと心に信じながら

 

 



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chapter7

………

 

(どうして…どうして私達の大切なものを奪った!)

 

違う!奪いたかったんじゃなかった!ただ!

 

(お前たちが現れたせいで大勢死んだんだぞ!)

 

俺はそんなつもりは…

 

(何が法の守護者だ!この悪魔共!)

 

違う…違う…!

 

(お前なんか死んでしまえ!殺戮者!)

 

俺は…

 

(死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね)

 

俺は…俺は!!

 

 

雄也「はぁっ!!」

 

雄也「はぁ…はぁ…ゆ、夢…」

 

まさかあの悪夢をまた見始めるとは…この四ヶ月一度も見ていなかったのに…

 

雄也「…やっぱり戦ったからか?」

 

昨日のことは全て幻ではと奥底では期待していたがそんなわけがない現に今いる場所は学校の用務員用の部屋だ。

 

雄也「…日が上ってきたか」

 

ちゃんとした寝床ではないので体が痛いが別に大したことではない、そんな体で窓の外を眺めると何体か奴等が見えた。

 

雄也「…見回りでもいくか」

 

そういって巡ヶ丘の制服を身を通して鉄パイプ片手に部屋を後にした。

 

部屋を出て安全エリアの徘徊するために歩く

 

安全と行っても、もしかしたら奴等がいるかもしれないので見回りは大事だ

 

そして徘徊していると割れた窓ガラスから見える顔をみてふと呟く。

 

雄也「ひどい顔だな」

 

戦いに戻ってしまったからか表情は歪んでいる。

 

雄也「…生徒会室に行ってみるか」

 

誰かいるかなっと思いながら生徒会へと向かうのであった。

 

徘徊した後生徒会室に来た俺は扉を開けると以外にも音姉、悠里、胡桃と三人とも既に起きていた。

 

雄也「おはよう、朝早いな」

 

胡桃「おはよう…ってか眠れなかったんだよ」

 

…まあ、普通そうだよな

 

雄也「…丈槍と佐倉先生は?」

 

音姫「えっと、部屋でまだ寝てる」

 

雄也「おいおい…」

 

よくまあこの状況で寝れますな…

 

悠里「もうすぐ朝御飯出来るから丈槍さんと佐倉先生を起こしてくれない?」

 

雄也「別に構わないぞ、それじゃあいくか」

 

胡桃「あたしもついてく」

 

胡桃が俺に着いてくることになり二人を起こしに部屋を後にし女子の寝室へと向かうために廊下を歩いていく。

 

胡桃「なあ、雄也、頼みがあるんだ」

 

道中考え事をしている仕草をしていた胡桃が俺に頼みごとを持ちかけてきた。

 

雄也「頼みって?」

 

胡桃「あたしに戦い方を教えてくれ」

 

予想外な頼みで足を止めてしまう、いやマジでどうしてそんなこと…

 

胡桃「ほら、昨日、雄也が戦ったところ見て慣れてるように見えたからなんか武道でも習ってるのかなって…」

 

雄也「だから、師事してみようと?」

 

胡桃「ああ、この先守れるようにならないといけないしな」

 

雄也「…確かに剣術を習ってる…けど…胡桃の武器ってスコップだから槍術の方がしっくりくるんだよな…まあ基礎ぐらいなら教えてもいいぞ」

 

胡桃「本当か!?」

 

雄也「こんなところで嘘なんかつくかよ」

 

これには理由がちゃんとある、有事と際…俺がいないとき悠里たちを守るのは胡桃しかいない…俺がいなくてもみんなを守れるぐらいには育てていたい…これが俺の本音だ。

 

雄也「練習は明日からやろう…それじゃあさっさと丈槍たちのところにいこうぜ」

 

胡桃「わかった」

 

そうしてまた佐倉先生がいる部屋に向かい歩き始めた。



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chapter8

…あれから二週間と日が経った…

 

既に二階までのエリアは制圧し食料などなにも不自由なこともなく此処まで過ごして来た俺達は前の落ち込んでいた表情などはどこかえと消えていた。

 

音姉と悠里は今後のことなどを考えて対策なんかを建てて俺達の生活の管理をしてくれている。

 

胡桃もまだ躊躇いは見れるけど筋がいいので大抵のことなら奴等が相手でも問題ないだろう。

 

佐倉先生も唯一の大人ということもあるのか俺達を安心してくれる存在だ

 

由紀もあいつの笑顔は俺達にとってかけがえのないものだ佐倉先生と同じで俺達を安心させてくれる。

 

もしも俺がいなくてもみんななら問題ない。

 

雄也「さてと、もう日が落ちる…そろそろみんなのところに帰るかな」

 

そういって俺はいつも通りに悠里たちのところへと帰ろうとしたとき俺に掛けられてるネックレスを見て思う。

 

ルミナスアーク…俺のデバイスであり、四ヶ月前に失った力、何故それがあるかと言うと悠里が所持していたからだ。

 

漸く二階を制圧したあと悠里が自身の鞄から出して渡してくれた、そして悠里が持っていた理由はある人物が手渡したらしく口答からの人物像でクロノではと推測している。

 

そういうわけで力も取り戻したのだが使っていない。

 

…理由は簡単だ…恐ろしいから

 

また殺戮者に戻るのが恐ろしい…力を使わない戦いならまだいいが使ったら最後戻れない気がする。

 

そのことはアークにも話している、そして帰ってきたのはどうするのかはマスターに委ねると言われていまだ迷っていた。

 

胡桃「雄也!」

 

思考していたとき胡桃が俺のもとにやって来る表情から何かやばいことでもあったかのようだ。

 

胡桃「来てくれ!」

 

雄也「おいおい、いったいどうしたんだよ」

 

胡桃「テレビが移ってるんだよ」

 

雄也「なんだと!?」

 

胡桃「なんか重大な話らしい急ぐぞ!」

 

俺達は生徒会室に駆け出す。

 

自分の止めた歯車(運命)が再び動き出したとは知らずに …

 

雄也「音姉!悠里!」

 

胡桃「もう始まったか!?」

 

生徒会室に辿り着き扉を開けて入ると既に他のみんなが集まっており部屋にあるテレビ…ノイズが酷いが確かに映っていた。

 

悠里「いいえ、まだよノイズが酷いから中々始められないみたい」

 

雄也「それにしても重大なことって…」

 

佐倉「どうやらラジオや市内の放送でも聞けるみたい」

 

雄也「なりふり構わず必死って訳だな」

 

いやこの状況だからこそ一人でも多く耳に入れてほしいことなのだろう。

 

由紀「あっ!始まるよ!」

 

由紀の声で俺達の視線はテレビへと向く。

 

 

 

市長「今、この声を聞こえている生存者全てにこの放送を聞いていることを願い、今からこの騒動を引き起こしたランダルコーポレーション…その裏で暗躍する組織について話したいと思います」

 

市長「現在、巡ヶ丘全域でランダルコーポレーションで開発されていたバイオ兵器によりパンデミック状態となっています」

 

市長「ですが、このパンデミックに陥れたのはランダルではなくその裏で糸を操る組織によるものです」

 

市長「やつらに関しては私にもどういう存在かわかりません、ただランダルコーポレーションとはこの巡ヶ丘市が出来ているときには既に手を組んでいるのです」

 

市長「この事を誰でもいい!外部の者達に伝えてほしい!そして影で操る組織を追い詰めてくれ!やつらの名前は時空か」

 

パァン!

 

由紀「いや…いやぁぁぁぁっ!!!」

 

悠里「そんな…うそ…」

 

市長は撃たれたしかも威力が高い…頭を吹き飛ばす威力で…俺も見るに絶えない。

 

そしてあの時市長が言おうとした組織名…時空か…まさか…

 

???「全く、駄目じゃないか?勝手にこんなことをして…それで僕達のことが知られるとやっかいじゃないか」

 

テレビではまだ放送が映っており微かに悲鳴などが聞こえているがそんなことどうでもよかった、唯一先程聞こえた声俺にとって聞いたことがある声だが…

 

なりえない、あいつは今1年前から独房の中にいるとそう聞いた。

 

だがもしそれが嘘であそこと結託していたら?それならば推測は結論へと変わってしまう。

 

一番考えたくない推測にして一番可能性がある推測…それは

 

そしてテレビがその姿を捉えたとき俺の中の推測は結論へと変わった。

 

研究者のような白衣、銀髪に狂気に満ちた顔…

 

その上俺の目を釘付けにしたのは彼の左腕だ、確か義手であったはずだが、今やその原型などない異形の腕…

 

だが、あの腕はやつが作り、俺が倒して残ったのを局に回収された生物兵器の腕だ。

 

あれも局が厳重に保管したと聞いていたが…

 

なんにしても大体な情報はわかってきた

 

この騒動は人為的なものであり、それを引き起こした表向きの組織はランダルコーポレーション…だが裏で糸を引いていたのは…俺達時空管理局であることはまず間違いはない。

 

何故…時空管理局はこんなことをしたのか?…またあのときのように悠里達は正義のための犠牲だと吠えずらでもかくのであろう。

 

大勢の犠牲の上で成り立つ正義があっていいのか?いやそれはただの傲慢なだけで正義じゃない

俺達がやって来たことは正しいのか?いや、罪だ

 

時空管理局とは法の守護者なのか?違う次元世界をまたりあるく無法者の集まりだ…もちろんその中には俺もいる。

 

何故それが罪だと気づかない?気づかないじゃない気づけないように洗脳されているのだ…俺もなのはもフェイトもはやても…ほとんどの局員も

 

ならばその罪は誰が背負わなければならない?それは俺みたいに罪を自覚した者であろう。

 

俺が罪を認識したのはあの時約一年半前のロストロギア回収任務の日だ。

 

ある国の至宝…それはその国が裕福にし繁栄をもたらしたと記述にもかかれるものであった。

 

余りにも摩訶不思議な力を管理局がロストロギアと認定し回収することになった。

 

初めは交渉で納めようとしていたが交渉はもちろん拒否されて俺達の提督は強行手段武力による回収に持ち込んだ

 

そのため、俺達は回収のために戦った、量はあちらの方が上だが質は圧倒的にこちらが上、瞬く間に抑えて回収した。

 

そして反抗した200人あまりの人を公務妨害ということで逮捕された。

 

このときは俺はなにも疑いも持たなかった、気づいたのはそれから1年後…再びその世界に別件で来ていて任務を終えて帰ろうと思ったがふとあの国を思いだし立ち寄った…

 

だがそこにあったのは…見るに絶えない荒れ果てた町であった。

 

絶句した、俺は辺りの人たちに訳を聞いた、そして知った原因は俺達であったことを

 

至宝を奪ったあと国は突然と荒れた、大地は荒れ果て、作物もよく育たなくなり植物も枯れ、病気に犯された人も大勢いたという。

 

そしてなにより、他国からの侵略…既に戦う士気など残っていない彼らは止められることなど到底不可能で国は滅んだ、勿論何万…何十万という人が戦争で死んだ。

 

ここで俺は理解した…この国を滅ぼしたのは至宝を奪った俺達であると

 

そのあと、1年前に俺をみていた人が非難した、それに連鎖するように罵声が響く

 

俺は耐えきれなくなり逃げ出した、そのあと、俺はあの時の提督のところに行き殴り飛ばした。

 

そして俺はあの国が俺達の性で滅んだと言ったときあいつの返答はふざけた言葉であった。

 

我々にたてついたのが悪いのだと、楯突かなければこちらの支給を受けられたというのに愚かな野蛮人だと…っと…

 

そのとき、完全にぶちギレた俺は怒りに任せて殴りまくった。

 

そのあと、集まってきた局員に取り押さえられ…上からは2ヶ月の謹慎を言い渡された。

 

いくらなんでも短すぎる、恐らく有能は騎士を野放しにできないからだろう。

 

そして謹慎を受けて解かれる間近、ミッドで散策していたとき火事現場に出会わし、同じく出会わした、ヴィータと共に救助中にドジを踏んで…何故か初音島に飛ばせれていた。

 

そして今また管理局のエゴで大勢の犠牲を出している。

 

俺にできることと言えば戦うことしかできない…だが…今の俺にはその道すら見失っている。

 

何が正しいのか?間違ってはいないのか?不安になり本当は逃げ出したくなる。

 

でも運命はそれを許さない…一度は初音島の平穏で止まった歯車は…今また動き出した、だからこそ力を使うことが怖く、使えないでいる。

 

俺はどうすればいい?

 

そんな俺の思いの答えなど出るはずがなかった。

 



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chapter9

あのテレビのあと俺達は意気消沈で静まり返りあっという間に夜になっており俺は部屋の寝袋の中で今回のことを考えていた。

 

といっても行動にうつさなくては意味がないのだが…

 

雄也「俺はどうすればいいんだ…」

 

優柔不断になる…決断をすることができない。

 

コンコン

 

悠里「ゆうくん…起きてる?」

 

ノックして入ってきたのは悠里であったがその後ろには音姉、由紀などここにいる全員が集まっていた。

 

雄也「どうしたんだよ…みんな揃って」

 

胡桃「いや、一緒に寝ようと思ってな」

 

雄也「え?」

 

いや今なんとおっしゃいました?

 

悠里「というわけでお邪魔します」

 

そういった悠里達は部屋に入ってきて持ってきていた寝袋を広げていく

 

雄也「待て待て待て!いきなりそんなこと言われて…」

 

佐倉「今日のことがあったから…」

 

きょうのことがあってみんな恐怖したんだ、だからみんな一緒の場所で寝ようと…

 

由紀「それに…何でかな?ゆうくんが何処か遠いところに行っちゃうような気がして」

 

雄也「…由紀」

 

遠くにか…由紀は何か嫌なことを感じたのだろうだからそんな予感がしたと推測する。

 

雄也「安心しろ何処にも遠くになんか行ったりしないよ」

 

おれは優しく由紀の頭を撫でる。

 

由紀「うん」

 

由紀をみているとるーちゃんと重ねてしまう…るーちゃん大丈夫かな?

 

そうしているうちに寝袋の準備が終わった悠里達…なのだか…

 

雄也「あの~悠里、音姉…どうして抱きついてくるの?」

 

俺の両サイドを悠里と音姉が占領し俺の腕に絡み付いてくる。

 

悠里「今日は昔みたいに甘えさせて…ね?」

 

音姫「お姉ちゃんもこっちの方が落ち着くから、いいよね?」

 

この二人絶対いやといってもやめないだろうな。

 

佐倉「あらあら、月宮くん、幸せね」

 

胡桃「これぞ、両手に花だな」

 

雄也「悠長なことを」

 

ため息をつくがそこまで嫌だというわけではない…まあ今日一日な訳だから…な

 

そして明かりを消して今日はいつもより早めに眠ることになった。

 

翌日、いつもの通り見回り、昼頃佐倉先生に呼び出され生徒会室に集まった。

 

佐倉「実はね、若狭さんと話し合って決めたの部活を始めようって」

 

雄也「部活?」

 

佐倉「ええ、学園生活部」

 

雄也「つまり、この籠城状態を部活の一環ということにするってことですか?」

 

佐倉「ええ、そうよ」

 

確かにそれなら気も晴れるだろうしいいかも

 

雄也「いいんじゃないですか?音姉は?」

 

音姫「私も賛成だよ」

 

胡桃「なら決まりだな」

 

佐倉「そう、それじゃあ…」

 

だが現実は甘くはない。

 

雄也「っ!?」

 

俺は奇妙な感覚にとらわれて窓から外を見渡す。

 

佐倉「月宮さん?」

 

胡桃「どうしたんだよ、雄也?」

 

雄也「…いや…何か変な感じがして」

 

胡桃「変な?そんなの何処にも…っ!?奴等がいなくなってる!」

 

雄也「っ!!確かに…この時間帯ならまだいるはずだそれが影ひとつないなんて…」

 

異常だ…これは何かあると思った矢先校門前に俺には見慣れた武装をしたものたちが目に入った。

 

雄也「伏せろ」

 

胡桃「え?ええ!?」

 

とっさに視界に入らないように体をしゃがませごっそり外を伺う。

 

相手は二人、接近戦タイプと遠距離タイプの二人で武器は槍と杖か…

 

胡桃「あいつら何者だ?まさか救助しに来てくれたのか?」

 

雄也「まさか、恐らく目的は生存者の始末…つまり俺達だろう」

 

佐倉「そんな…どうして…」

 

雄也「昨日の一件で操ってた組織が動き出したといったところだろう」

 

悠里「…本当に助けてもらえないのかしら?」

 

…もしかしたら、無くはないかもしれない、あれは武装隊の一員のようだし交渉することもできるかもしれない

 

雄也「なんとか、やってみよう…」

 

佐倉「それじゃあみんなでいきましょう」

 

そういって俺達は部屋を出て階段を下りグラウンドへと出ると奴等もこちらに気づいた。

 

武装局員A「やっぱり生存者だな」

 

佐倉「あの、あなた方に保護をしてもらいたいのですが…」

 

武装局員B「保護だと?」

 

雄也「そうです、こちらは民間人です、ならば黒幕であろうと善意があるなら保護をお願いしたい」

 

武装局員A「なるほどな…生き残るためにはなりふり構わないってわけだ…」

 

佐倉「はい、お願いします」

 

武装局員B「残念だが答えはNOだ」

 

そして武器を構えて俺と胡桃も悠里達を後ろに下がらせて構える。

 

悠里「どうしてですか!?」

 

武装局員A「上はこの案の俺達以外の関係者は全て抹殺しろと言われていてな…悪いが死んでもらう」

 

武装局員B「要するに野蛮人に手を貸す義理なんてねえんだよ!」

 

胡桃「野蛮人って…同じ人だろ!」

 

武装局員B「人間にはな二つ人種があるんだよ、1つは俺達のようなエリート…もう1つは管理する価値もない、野蛮人さ!」

 

音姫「どうしてそんなひどいこと…」

 

武装局員B「それが法なのさ!」

 

聞いてるうちにイライラしてきた。

 

雄也「つまり、はじめから交渉の余地はなかったってわけだ」

 

武装局員B「ああ、だから潔く…」

 

覚悟は決めた、俺は決断する、その先に待っているのは戦場であると確信しながら前へと進もうとする。

 

雄也「じゃあ…戦うか」

 

その道は棘のみち、血の道にして裏切りの道そして孤高の道そんなのは既にわかってる。

 

雄也「胡桃…みんなを頼む、これからみんなを守るのはお前だ…それと俺みたいには絶対になるなよ」

 

胡桃「雄也?」

 

後ろにいる悠里たちも戸惑うその声には覚悟の覇気が見られるからだ。

 

雄也「由紀…ごめんな…昨日の約束守れそうにない」

 

由紀「やだよ…ゆうくん」

 

雄也「佐倉先生…悠里たちをお願いします、先生がみんなにとって心の支えなんですから」

 

佐倉「月宮くん…いったい何を…」

 

雄也「悠里、またあえて本当によかった…それと突然のことには冷静に対処するんだぞ」

 

悠里「ゆうくん!」

 

雄也「音姉、短い間だったけど初音島での生活は忘れないよ…ありがとう、それとさくらさんや義之達にごめんって謝っておいてくれ…それと帰る手立てなんだけど…海鳴市に住んでいるハラオウン家にいけ…リンディさんやクロノならもとの世界への手がかりも見つかるだろうしな」

 

音姫「やだよ…こんなのやだよ…雄也くん!」

 

みんなには最後の言葉を言ったもうやり残したことはない…

 

雄也「さてと、行こうか…アーク…」

 

アーク[よろしいんですね?]

 

雄也「ああ…腹はくくった!俺はもう一度殺戮者に戻る!」

 

アーク[マスターのお心のままにスタンバイレディ?セットアップ]

 

決意した俺は魔法陣を展開しアークを起動させるそして黒を強調した軽装のバリアジャケットに切り替わり右手には白銀で輝く剣ルミナスアークを装備する。

 

雄也「さてと…」

 

セットアップ完了して視線を驚いている局員達に向けてアークを構える。

 

雄也「俺は殺しにかかるから…覚悟を決めろよ?」

 

俺は再び剣をとる、殺戮者にして反逆者となった俺に迷いはない。

 

時間はかけられない一気に討つ。

 

俺は一気に踏み込み槍使いの右脇を狙うようにアークを振り上げる。

 

武装局員B「っ!!」

 

気づいた局員は槍で防いできてぶつかり合いで火花が散る。

 

武装局員B「こいつ!」

 

一旦距離をとって再び飛び込み連続で切りかかる。

 

武装局員も焦りはしているがなんとか防いでくる。

 

武装局員B「調子に乗るなぁ!!」

 

防戦一方だった相手が我慢の限界からか反撃に出てくるが

 

雄也「ダークスラッシュ」

 

反撃しようとしたときの隙をつきアークの刀身が黒いオーラを纏い斬りかかり局員の右腕を切り裂き大量の出血をする。

 

武装局員B「あぁぁぁぉぁ!!!!」

 

雄也「止めだ」

 

止めを刺そうとしたとき後方にいた局員が砲撃を放ってきた。

 

雄也「闇よ」

 

先に砲撃魔導士を片付けようと俺はまた闇の力をアークに纏わせて上段の構えで構える。

 

雄也「デス…ブリンガー」

 

一気に振り落とし闇の力が纏った斬撃が砲撃を押し消し局員を飲み込んだ。

 

煙がまい晴れてくるとそこにはなにもおらず、跡形もなく消滅させられたのだろう。

 

武装局員B「なんだ…なんなんだ!一体」

 

雄也「答える筋合いはない、お前も消えろ 」

 

生かしておくと後々の災いにもなるかもしれない。

 

だから今殺す

 

音姫「やめて!雄也くん!」

 

そんな織りだ、音姉が俺の間に割って入ってきた。

 

雄也「音姉、そこを退いてくれ」

 

音姫「駄目だよ!こんなの間違ってるよ!」

 

雄也「今ここでこいつを討たなきゃ確実に大勢の敵に襲撃される!そうなればどうなるかわかるだろ!?」

 

いや、もしかしたら交渉に望んだ時点でアウトだったかもしれない…

 

音姫「お願い…いつもの優しい雄也くんに戻ってよ」

 

音姉の瞳からは涙がこぼれ落ちていた。

 

……覚悟したというのに俺も甘いな

 

雄也「…おい、さっさとここから去れ、今回は免じて見逃すだが…次はないぞ」

 

武装局員B「く、くそ!」

 

武装局員はそういって転移魔法で何処かへと転移していった。

 

雄也「……」

 

もう後戻りもできない…そしてここにいる資格もなくなった。

 

俺は校門を出ようと歩き出す。

 

胡桃「おい!どこにいくつもりだよ!まさか、あいつを追いかけて」

 

雄也「無理だ、正直どこにいったかは知らない……だけど、俺がこの世界に戻ってきた理由が何となくわかった気がする」

 

胡桃「それってなんだよ…」

 

胡桃は恐る恐る訪ねる。

 

雄也「これが俺の…運命だった…それだけだ」

 

あの日から局員の道に入った日から俺の運命は決まっていた。逃げても結局運命は代わらなかった殺戮者は殺戮者でしかなかった…平穏など望めなかったのだ。

 

雄也「…俺は平穏なんかを求めちゃいけなかったんだ…だからお別れだ…最後に1つだけ…生きてくれ」

 

そういい残した瞬間俺は駆け出した悠里たちから逃げるかのように…

 

後ろからみんなの声が聞こえてくる…振り向くな俺に差し伸べる手を取るわけにはいけない。

 

そんな屋根を飛びうつりながら移動しているとポツリと雨が振りだしてきた。

 

そんなことをきにすることなく俺は学校から離れていった。

 



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chapter10

悠里「ゆうくん!待って!ゆうくん!」

 

ゆうくんが何処か遠くへいってしまう私は暗い道をひたすら走る。

 

それでもゆうくんは段々遠ざかっていきそして目を失った。

 

悠里「置いていかないで…私、ゆうくんしか…いないの…お願い私を一人にしないで…」

 

親しい間柄のゆうくんまで居なくなるなんて私…耐えきれないよ

 

 

……

 

悠里「ゆう…くん…ゆ…うくん」

 

胡桃「りーさん、しっかりしてくれ…りーさん!」

 

悠里「うっ?くる…み?」

 

先程とは違う部屋が視界に映る…そっかさっきのは

 

悠里「夢…だったんだ…」

 

先程のことは夢だと理解する…けど

 

胡桃「雄也のことで魘されていたぞ」

 

悠里「…」

 

ゆうくんが居なくなったのは現実だ…

 

あの時どうして、ゆうくんは私達から居なくなったのだろう…

 

胡桃「……あたし、先に生徒会室に行くわ、落ち着いたら来てくれよな」

 

そういって胡桃は部屋から出ていく。

 

私は起き上がり部屋を見渡す、部屋には由紀ちゃんと先生がまだ眠っている。

 

音姫さんはもう生徒会室に行ったのだろう…

 

昨日、ゆうくんが何処かへ行ってしまった後私と同じようにショックを受けてたのに…

 

私は制服に着替えて胡桃達の元へと向かう途中外の様子を見る。

 

奴等が少ないが徘徊してそして一部分だけ地面が黒い…あれはゆうくんがやったものだ…

 

私の脳裏で昨日のゆうくんを思い出す、あの時のゆうくんは私が知ってる優しいゆうくんではなかった…

 

私が知らない間に何があったの?どうして私達から居なくなってしまったの?と考え込む。

 

でも答えなんて見つかるはずもない…

 

そう考えているうちに部屋まで着いちゃったわね。

 

部屋にはいると椅子に座る、胡桃と台所で調理する音姫さんがいて入ってきた私に顔を向けて挨拶をする。

 

悠里「おはようございます、音姫さん」

 

音姫「おはよう、悠里ちゃん…昨夜はよく寝れた?」

 

音姫さんは私を気遣ってくれる、自分も無理をしているのに…

 

悠里「大丈夫です…ご心配してありがとうございます」

 

音姫「悠里ちゃんが一番雄也くんのこと引きずってたし…それでね、夜に少し考えてみたんだけど…雄也くんのこと教えてほしいんだ…雄也くんの行動にはなにか理由があるはずだから」

 

ゆうくんのこと…けど私が海鳴にいたのは小学二年の頃…恐らくゆうくんのことならなのは達の方がわかるとは思うけどいない以上私だけだしね、それに四ヶ月の行方不明の期間は音姫さんが知っているからそこにももしかしたら何かあったのかも

 

胡桃「そうだな、雄也のことがわかるのはこの中で幼馴染みのりーさんか音姉だけだしな」

 

そう決まれば頭の記憶の奥底からゆうくんのことを引っ張り出す何でもいい何か些細なことでも…引っ掛かることがあれば…

 

音姫「まず、雄也くんとはいつからの付き合いなの?」

 

悠里「幼稚園に入る前から家が隣どうしっていうのもあって家族ぐるみで仲が良かったわゆうくんの両親は父が冒険家で母が研究者だったはずよ」

 

胡桃「な、なんかすごい家族だな」

 

音姫「そこは雄也くんに前に聞いたけど…確か」

 

音姫さんもゆうくんから両親のことは聞いてたんだ…

 

悠里「はい…ゆうくんが小学校に入る前に両親は行方不明…向かった遺跡ごと忽然と消えたと…かなりニュースにもなりました」

 

胡桃「あ、あたしもそれ知ってるよく新聞にも乗ってるよな…あの事件に雄也の家族が巻き込まれたのか」

 

悠里「ええ、それのせいでゆうくんはかなり精神的に落ち込んで部屋に閉じ籠ったわ、それから2週間脱け殻のようになっちゃって…なんとか持ち直したの」

 

あの時、ゆうくんが壊れると思って必死になったことは今でも覚えてる…ゆうくんは私にとって大切な存在だったから

 

悠里「そういえば、それから少ししてからあのゆうくんが身に付けてたネックレスが海外からゆうくん宛に届いたのよ」

 

胡桃「ネックレスって…あのか?」

 

悠里「話だとあの遺跡の入った近くにあったあったものらしくてゆうくんのプレゼントで送ったらしいの」

 

ゆうくんが身に付けていたあのネックレス、何か曰く付きなんかじゃないのかと思ったことはあったけど…

 

胡桃「それが…武器になったよな?」

 

まさか、剣になるなんて思いもしなかったわ、それに服装も変わっていた…

 

音姫「ネックレスを所持してからは何か変化はなかった?」

 

悠里「いいえ、いたって普通の様子でした、それで家の都合で引っ越してしまってそれからは電話なんかでのやり取りでたまに海鳴遊びにはいきました」

 

音姫「ということは、悠里ちゃんが居なくなった間に何かあったってことだね…正直、変わったことは…いや1つだけある」

 

悠里「え!?なんですか?」

 

ゆうくんについて思い当たることがあるといった音姫さんに身を乗り出して聞く。

 

音姫「初音島にいた頃に何度か思い詰めていたことがあって…それにご両親の行方不明についても何かわかってるような雰囲気だった」

 

胡桃「それって一人で原因を突き止めていたってことか?」

 

音姫「わからない、けどなにか心当たりがありそうだった」

 

ゆうくん、いったい何を知ったっていうの?

 



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chapter11

注意ここからは台本形式と呼ばれないように頑張りたいと思います
以上それでは本編いきます。


side雄也

 

外は悪くも悪天候だ。

 

昨日から止んでいない雨は小雨程度に収まっているが正直もう一降りあるかもしれない。

 

俺は閉じていた目を開ける

 

俺がいる場所は誰かの民家の二階の部屋、灯りもなく薄暗さが目立つ。

 

外では奴等の呻き声も聞こえる、道中を徘徊しているのであろう。

 

昨日、暗がりを移動するのもありかと思ったが管理局の奇襲を想定して夜は動かなかった。

 

近場の一軒家で寝止まることにして二階の窓を破って入り、ドアを物で塞いだ…この状況なので不法侵入ではない。

 

そのあとは目を閉じ壁に持たれてアークを肩に掛けて仮眠していた…とてもではないがこの状況では寝れないし悪夢をみてまともに眠れないだろう。

 

「…行くか」

 

行くと言っても管理局の拠点はランダルコーポレーション本社だ、強行しても最悪返り討ちに合うかもしれない…うまく進入したいところだが今いこうと思っているところはそこではない

 

放送局だ、この前局に襲撃されたあそこならもしかしたら何かあるかもしれない

 

それに行くとしても学校を出るときは屋根を飛び移っていたが管理局員に補足されるのも厄介だ、ここは地上で見つからないようにいくべきであろう。

 

そうして窓から外に出てバリアジャケットを装着し屋根から下を見る。

 

下にはドアを叩く奴等が2体…此処の住人だったのかもしれない

 

不法侵入だが一泊の恩だ安らかに眠らせよう

 

俺は屋根から飛び降りて家の敷地内の地面に着地、着地したところが雨溜まりで大きな音を出して奴等が俺に気づき近づいてくる中アークを構える。

 

「おやすみ」

 

聞こえていないだろうが小声で俺はいって踏み込んで奴等を通り抜ける最中に頭を切った。

 

動きを止めて横目で確認する。

 

奴等の頭から俺が切った所から血が吹き出し倒れた、彼らに来世に平穏があるように望んでおこう。

 

確認後駆け足で走る取り合えず最小限に戦いは避けながら

 

それから二時間ほどが過ぎた、出てくるのは奴等だけで局員は来ない、もしかしたら武装局員はじたいは中隊も居ないのかもしれない。

 

「おっ!」

 

俺の視界にあるものが見えて足取りを止める、視線の先には皆さん、お馴染みのコンビニだ。

 

ギュルル~

 

どうやら俺の腹の虫がなったようだ

 

「…そういえば昨日の昼から何も食べてなかったんだな」

 

食べないと魔力もあまり回復しないし少しよることにしてコンビニの中に入る。

 

中は荒れ果てて地面には商品が散乱している。

 

「…気配はないな」

 

邪気は感じられないことを確認したあと物色を開始する。

 

「やっぱり殆どアウトか」

 

おにぎり、サンドイッチと定番なものは腐ってて全滅、缶詰めとかはまだいけそうだ。

 

そのあと最低限の物と更衣室に勤務中の誰かのバックを調達しコンビニを後にした。

 

コンビニから出て四時間大体午後の3時位であろうか未だに雨は止まずバリアジャケットは濡れて湿っている。

 

そして俺の目の前には大きな建造物が建っている目的地である放送局だ。

 

外見は一階部分には血などが多量に付着しているが二階以上は血は付着してはいないが一ヶ所だけ大穴が空いていた。

 

「誰かが砲撃を撃ったのか」

 

誰かとはわからないが魔力の残留が少しだが感じられる。

 

「入るか」

 

そういって放送局の正面玄関から入ることにして決壊をしていないバリケードをよじ登り中を確認すると中は地獄であった。

 

薄暗いロビーそして散乱する死体だ。

 

死体は何かに切られたり打撲されていたりと様々…恐らくここを襲撃したのは管理局だ。

 

「くっ!」

 

奥から込み上げる吐き気を抑えながら捜索を始める。

 

「そういえばバリケードが壊れていなかった…」

 

管理局は屋上から制圧してきたのだろうか?

 

管理局の進入ルートを模索してながら捜索しているとスタジオにたどり着き、中を見るが中は放送されていたときと同じであった。

 

「……ん?」

 

立ち去ろうと思ったとき倒れている市長のポケットからはみ出ている小さいものが見えてそれを拾う。

 

「USBメモリー…」

 

こんな非常時に所持していたとは単なる入れていて忘れていたのかはたまた重大な情報が入っているのか…

 

「一応持っていくか」

 

役に立つかもしれないと思い回収する。

 

そのあとも他の部屋を見回ってあることに気づく。

 

「パソコンが全滅ってのは可笑しすぎる、それに漁った痕跡があるってことも」

 

パソコンが全て意図的に壊されていたそのうえ全てのデスクに漁った後がある、何かここにはあったのかもしれない。

 

「…」

 

回収したUSBメモリーを見て、これがもしかしたら重要な事が書かれているのかもしれないと推測する。

 

「…さてと、次はどこに行くか……」

 

行く宛はない放送局で見つけたのはメモリーだけだし…パソコンが欲しいな…電化製品屋は…意図的に全滅してるかもな、となると…

 

「警察署…」

 

もしかしたらパソコンがあって手がかりも見つかるかもしれない。

 

「行ってみるか」

 

一つでも手がかりが見つかるようにと俺は警察署へと向かった。

 

side???

 

「はぁはぁ…」

 

逃げなきゃ…早く!

 

どうしてこんなことになってしまったのであろう。

 

あの日私は学校が終わって友達とリバーシティ・トロンでお買い物をしていた。

 

けどその途中でパンデミックに巻き込まれて私と友達は辛くもリバーシティ・トロンの一室に閉じ籠って一時は難を逃れた。

 

それから暫くはそこで生活をしながら救援を待っていたけど一行に来なかった。

 

来ないんじゃないかと思った矢先私が持っていたプレイヤーのラジオで市長の放送を聞いた。

 

このパンデミックが人為的なこととランダルコーポレーションが表向きに引き起こし裏には黒幕がいること、その黒幕を言おうとしたときに銃声が聞こえてその時私は悟った市長は黒幕に消されたのだと。

 

それから私達はただただその部屋に閉じ籠る日が続き、私はこの生活に精神的に限界がきた。

 

私は部屋から出ることを友達に告げると反対された。

 

そして私は友達にこういってしまった。

 

「生きているだけでそれでいいの?」

 

精神的に限界だったのだ…この状況を打開したいと思ってつい行ってしまった。

 

そのあと友達に助けを呼んでくると行って部屋から出ていった。

 

助けを呼んでくると言ったがそれはあそこから抜け出したい嘘だ。

 

そして辛くもリバーシティ・トロンから出た私は可能性も低い助けを呼ぼうと走った。

 

夜は住宅で息を潜めて過ごし早朝から行動し助けてくれる人を求めた。

 

そして、生きている男性を見つけた…

 

ただしその人が私に襲いかかってきた。

 

こんな状況で精神が安定しているはずがない、その人は狂乱していて右手には何処かで手に入れたであろうピストルを持っている。

 

そして今現在、その男から追われて逃げている。

 

「あっ!」

 

足を蹴躓いて倒れる、膝を擦りむいて血が出る痛いけど逃げないと。

 

立ち上がろうとした瞬間銃声がなり私の隣の地面に着弾する。

 

咄嗟に振り向いたが押し倒される目の前には追ってきたあの男性だ。

 

「捕まえた~へへへ、かなりの上玉じゃねえか」

 

「嫌!離して!嫌!いやぁ!」

 

無理矢理制服をたくしあげられ下着を露にさせられる。

 

「どうせ、みんな死んじまうんだ…死ぬ前に楽しまねえとな~」

 

男は嫌な手つきで私のブラジャーに手を掛けようとしたとき、男の後ろにいる男性をみて固まった。

 

男性は剣を男の首筋に当てていた。

 



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chapter12

side雄也

 

警察署を目指していた矢先銃声が聞こえてきたのでその場所に向かうと悠里と同じ制服の女の子が今まさに男に強制猥褻されそうになっていた。

 

ここは見過ごすことはできなかった為にアークを男の首筋に当てて脅しをかける。

 

「さっさとここから去れ、さもなくばわかってるな?」

 

「やろぉ!」

 

話はうまく聞いてはくれず右腕を振るい俺は後ろに回避する。

 

「さっさと死ねえ!!」

 

そして持っていたピストルで俺に向けて発砲弾丸がこちらに飛んでくる。

 

「ふっ!」

 

俺は弾丸をアークで切り俺の後ろへと真っ二つになって飛んでいく。

 

「なっ!弾丸を切った!?」

 

「さてと、もう一度だこっから去れ…二度目はないぞ?」

 

俺は最後の警告をする勿論殺気も出して

 

「あ、ああ…ああ!!」

 

男は俺に恐怖してがむしゃらに逃げ惑った。

 

男が見えなくなると女の子に視線を向ける。

 

女の子も恐怖で体が震えているようだ。

 

「…大丈夫か?」

 

俺は優しく声を掛けて手を差し伸べる。

 

「え…あ」

 

女の子も俺がとった行動に戸惑っているがそっと、俺の手を取り立ち上がる。

 

「あの、ありがとうございます」

 

「いいって、それより…その…」

 

「??」

 

女の子は首を傾げるが全くもって気づかない様子

 

「格好…何とかしてくれ」

 

女の子の格好は制服がたくしあげられて上半身が下着が露になってある状況だ

 

「え?あ…」

 

俺の言葉で漸く気づいたのか顔が段々赤くなって行くのをみて俺は女の子に背を向ける。

 

「見ないでください!」

 

「見てないから、整えてくれ」

 

後ろから衣服の動かす音がしてどうやら整えれているようだ。

 

「くしゅん」

 

後ろからくしゃみの音がして顔を向けると女の子がこの雨で風邪を引きてしまったようだ。

 

しかも衣服はずぶ濡れで透けていて目も当たらない。

 

1つため息をもらしながら着ているバリアジャケットの黒いロングコートを脱いで女の子に渡す。

 

「ほら、これ着ろ、これで少しはましになる」

 

「ありがとうございます」

 

女の子が俺のコートを着るとまあ、ましになったかな。

 

「さてと、俺はこれから警察署に向かうんだけど一人だと危険だ一緒に来るか?」

 

さっきの男は自業自得ということで捨てておくとしてこの子はひとりだと危ないだろうし提案してみる。

 

「はい、それじゃあお言葉に甘えて…」

 

「それじゃあ行こう、名前教えてなかったな、月宮雄也だ」

 

「祠堂圭です」

祠堂と共に警察署にたどり着いた俺たちは警察署の外見をみて息を飲む。

 

窓は割れて白い壁には血が付着している、その上付近には警官の奴等が彷徨いているのが見に見える。

 

「ありゃあ完全に機能していないな」

 

「そんな…」

 

祠堂が警察事態が機能していないことに絶望しそれを見かねて俺は優しく頭に手を置く。

 

「安心しろ、まだ完全に居ないって訳じゃないし…さてと…上手くなかに入ろういちいち相手をするのも面倒だ」

 

「はい」

 

祠堂が軽く返事をしてから行動を開始したといっても音を潜めて正面玄関から入るだけなのだが

 

正面玄関はシャッターが下ろされていたが、どうやら鍵は掛かっていないようで上げるとその音に反応して奴等がこちらに近づいてくる。

 

「早く入ろう」

 

「は、はい」

 

先に祠堂が入り、そのあとに俺も入ってからシャッターを閉めるすぐにシャッターを奴等が叩く音がするがシャッターを突き破るほどの威力はないために視線を警察署ないに向ける。

外よりかはましだが数体ぐらいはいるであろう。

 

「少し落ち着ける場所にいこう中にも奴等がいる気配はあるから」

 

祠堂はそれに頷いて俺のあとに着いてきてたどり着いたのは仮眠室だ、ここなら休めるだろう。

 

万が一のため扉をもので固めて一息つく、バリアジャケットも解除しておくか

 

「え?」

 

祠堂が突然服装が変わって羽織っていたコートも無くなったことに驚く

 

「驚くがそれはおいおい話してやる…」

 

そういいながら仮眠室を至るところまで調べていると電子モニターが映ってることに気がつき、試しに仮眠室の電気を入れてみる。

 

「電気は通ってるみたいだな…此処もソーラーパネルなのか?」

「そんなのしりません」

 

まあそりゃあそうだな

 

電気が通っているのを確認してからとなりの脱衣場とシャワールームに向かう。

 

そしてシャワーを出してみて手に当ててみる

 

「お湯…出てるみたいだ…おーい!祠堂!」

 

「なんですか?」

 

祠堂は俺の声に呼ばれて脱衣場に入ってきて俺はお湯のことを話す

 

「お湯が出るみたいだ…シャワーだけだが浴びるか?」

 

「え!?浴びれるんですか!?」

 

祠堂が目を輝かせて詰め寄ってくる。

 

「お、おう…入るか?」

 

「はい!」

 

やっぱ、女の子はこんな状況(パンデミック)でも清潔がいいんだよな…

 

俺は脱衣所から後にしてそこで気づいてしまった

 

祠堂…替えの服ねえじゃん!

 

俺はすぐに考える、このままではダメだ…同じ服を…いや濡れているんだから無理だな最悪祠堂と合流する前に調達した替えの服を貸すか…

 

そういって持っていたバックからYシャツと…このスボンでいいかそれを取りだし脱衣場の前にたつ。

 

「祠堂、服なんだけど俺の替えの服置いておいてやるからそれを来てくれ」

 

「脱衣場に置いておいてください♪」

 

なんか、ご機嫌がいいみたいだな

 

祠堂に言われた通り脱衣場に服をおいて脱衣場から出てさてとこれからどうするか…

 

「少し調べてみるか」

 

軽く見て回ろう、もしかしたらパソコンも手にはいるかもしれないし

 

そう思い俺はもう一度バリアジャケットを装着し右手にアークを持ってバリケードを退かして外に出て外側から簡易だがバリケードを作って探索に出掛けた。

 



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chapter13

薄暗い警察署の廊下を警戒しながら歩く、途中で出くわす奴等は一撃で葬り、たどり着いたのは事務所だ

 

ここならパソコンもあるかもしれないので中に入る。

 

中はパンデミック発生時だと思われかなり荒れていた。

 

パソコンがあればいいんだがな

 

そう思いつつ一つ一つデスクを調べて役に立ちそうなものは回収していく。

 

懐中電灯、カップ麺、ボールペン…エロ…ゴホン、あとで燃やしておこう

 

「ん?こいつは…」

 

燃やそうと思った本があった部長席の引き出しが二重底にやっていることに気づき底を外すと1つのファイルとまだ死んでいないパソコンを発見する。

 

俺はファイルを手に取り中を確認する。

 

「ランダルの調査?」

 

内容は簡潔にランダルの金の動きが可笑しく、さらに調査した結果裏で極秘に何かを開発している動きがあるという内容だ、報告した日は…パンデミックが起きる三日前…

 

「こいつなきな臭いな…」

 

恐らくランダルが極秘に開発してるのはパンデミックのウイルスだろう…まさか…嗅ぎつかれているのに気付いて証拠隠滅のためにパンデミックを引き起こした?

 

「どっちにしろ、まだわからないな」

 

パソコンも手に入ったこれで市長が持っていたUSBメモリーを調べることができる。

 

「調べるものはしたし一度戻るか」

 

そうしてパソコンとファイルを左脇に抱えて来た道を戻っていくのであった。

 

戻ってきた俺は壁に持たれながら手にいれたパソコンを起動してみる。

 

するとパソコンは起動して立ち上げが始まる

 

「ビンゴ」

 

起動したことにニヤリと頬を笑みウインドウが開いたところでポケットにいれていたUSBメモリーをパソコンに差し込む

 

そしてUSBメモリーのファイルを開けたがそこに入っていたのは…

 

「これは…日記か?」

 

入っていたのは日付されたデータで古い順に並んでおり内容も日常を記したものだ。

 

「外れだったのか…」

 

「何が外れなんですか?」

 

「ああ、祠堂か実は!?」

 

話しかけていた矢先声がつまった、今の祠堂の姿を見れば…詰まるのも無理はない

 

Yシャツを着ているただそれだけなのだ…下着も濡れているはずだから…してない…

 

「お、祠堂!ズボンどうしただよ!ちゃんと渡したよな!」

 

「だ、だってズボンサイズががぼがぼでそれにこのYシャツだけならみ、見えないし…いっかな~なんて」

 

いっかなじゃねえ!いや、確かにぎりぎり絶対守護領域(見えない)けどかなりきわどいんですけど!

 

「それで、何が外れなんですか?」

 

「え?いや手にいれたメモリーになんか重大な情報がはいっているかなっと思ったんだけど日記だったから…」

 

祠堂の姿があれだったから思わずドラッグしちまったよ…っ!?

 

「どうしたんですか?」

 

「この日記…パンデミック後にも書かれてる!」

 

新しい日付はパンデミック後の日付が記載されていた。

 

7月○×日

 

巡ヶ丘が奴等の巣窟とかしてから三日が過ぎた、私と他の避難者は辛くも近くの放送局に避難することで難を逃れた。私達は精神はかなりすり減っており、自殺をしようとする人たちもいた、その人たちを何とか説得したが何れも時間の問題だ…何か手を打たなければならない。

 

7月○△日

 

私は真実を知った、避難者の中にランダルコーポレーションの重鎮が避難しておりその者からバイオ兵器の実態とその裏でランダルを操る組織時空管理局の実態を知ることができたその話を聞いて困惑をしたが、その話は突拍子もないものだが…自然に信じられるものであった。

 

7月○□日

 

話を聞くにつれて時空管理局はこの巡ヶ丘に拠点を幾つも構えているようだが殆ど破棄されていて今使われているのはランダルコーポレーション本社の地下の基地だけということだ…打ち捨てた拠点はあの人のいうかぎりでは警察署、市役所、リバーシティ・トロンと幾つも存在することがわかった、我々が馴染みのある場所にそのような施設があるなど気づかなかったが、時空管理局はそれほどの技術力を有しているということは明白である。

7月○○日

 

私は決意した、明日、放送局の設備を使い巡ヶ丘全体にこの真実をすべて話そうと思う、恐らく時空管理局も黙ってはくれないだろう確実に私達を消しに来るはずだこの事は避難者全員に話、大半の避難者は他の場所へと逃れて他の避難者はここに止まった。

 

もしこの日記を見た人がいるのならば必ず

 

「必ず、時空管理局の野望を外に公開して欲しい…」

 

日記を全て読み終わり、部屋に沈黙が流れる。

 

「時空管理局…それが裏で操っている組織…」

 

「それにここにも拠点があるみたいだ…」

 

記載されていないところにもあるようだが…巡ヶ丘中学校にはないよな

 

「…あの月宮さん…聞きたいことがあります」

 

祠堂が真剣な表情でこちらに向いてくる。

 

「あなたは何者なんですか?」

 

アークや理解が越えている代物を所持しているからな聞いてきても可笑しくはないな。

 

「時空管理局第49武装隊所属の月宮雄也」

 

「時空管理局!」

 

「正確には元だがな…」

 

先程出てきた組織の関係者だと明かして祠堂は驚くが元時空管理局所属と付け足す。

 

「何が目的なんですか」

 

「目的は…今回の件の罪滅ぼしだ」

 

ここにいる管理局を退かせて全てを終わらせるそれが俺の局員としての責務だ。

 

「…後悔してるんですか?」

 

「っ!!そうだな…後悔しているかと言われればしている…罪を自覚している俺がやらなきゃいけないことなんだ…」

 

そうだ、これは罪を自覚しているやつにしかできない…

 

「そんなの…悲しすぎます、今回のことって月宮さんは関係ないじゃないですか、私、少しいただけでわかります、月宮さんは悪い人じゃないって」

 

「祠堂が言うような人間じゃないよ、俺はこの手で1つの国を何万って人を殺してしまった殺戮者だ…」

 

「それも命令されたからじゃないですか!月宮さんが全部悪い訳じゃ」

 

「じゃあどうすればいいんだよ!誰がこの罪を償えばいいんだよ!俺だってこの罪から逃げたいさ!けど運命はそうさせない!」

 

何やってるんだ俺はこんなの祠堂に八つ当たりしてるだけだ。

 

「私も言えた義理じゃないですけど…月宮さんにも一緒に背負ってくれて支えてくれる人がいるはずですよ」

 

支えてくれる人…

 

由紀…胡桃…佐倉先生…音姉…それに悠里…

いやそれだけじゃない

 

「あ…そうだった…」

 

頬に涙が流れる。

 

どうしてこんな簡単で大切なことを忘れていたのだろうか…

 

父さん達がいなくなったとき、悠里や若狭夫妻に支えてくれた。

 

小学校ではなのは、アリサ、すずかに支えてくれていた。

 

PT事件、闇の書事件でもだ、リンディさん、クロノ、エイミィ、フェイト、アルフ、ユーノ、みんなに支えてくれた。

 

管理局に入った初期も教官に支えてもらっていた。

 

けど、次第に力をつけ責任に追われていて一人でいることが当たり前で支えてくれる人も一人もいなかった…それが当たり前だと思ってしまっていた…背伸びして大人ぶってただけだ。

 

「月宮さん!?」

 

涙を流している俺を祠堂は見て驚いた表情を隠せない。

 

「いや、何でもない…」

 

すぐには素直にはなれそうにないな。

 

「……祠堂はこれからどうする?俺はここの破棄された拠点を探ろうと思ってる」

 

「それは罪滅ぼしでですか?」

 

「いいや、罪滅ぼしのためじゃなくて…この戦いの真実を知りたいから」

 

恐らく拠点には情報があるはずだ先ずはそれを見てみたい。

 

「私も一緒にいてもいいですか?私も心の整理がしたいので」

 

心の整理?…いや深くは検索しない方がいいだろう。

 

「それじゃあ今日は休むとしよう明日の朝動くからな」

 

床に倒れこんで寝ることにすると祠堂が俺の横に添い寝してくる。

「祠堂?」

 

「あの、眠れるかわからないので近くで眠ってもいいですか?」

 

「…好きにしろ」

 

そうして目を閉じてすぐに俺は眠りに落ちていった。



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chapter14

「…うっ…朝…か」

 

警察署の仮眠室…そこで寝た俺は起き上がり大きく屈伸をする。

 

「悪夢…見なかったな」

 

パンデミック後必ずといって見てしまっていた悪夢を見なかった。

 

「俺は罪に押し潰されていたのかもな」

 

罪に溺れ罪滅ぼしだけを見ていたからか…悪夢に魘されていたのかもしれない。

 

「んん~」

 

「祠堂まだ寝て!?」

 

ふと隣で寝ている祠堂に目を向けると凄まじいことになっていた。

 

Yシャツのボタンの隙間から素肌が露出し色っぽく雰囲気を醸し出してる。

 

「無防備過ぎるだろ!」

 

思わずつっこまずにはいられなかった。

 

「…はれ?」

 

大きい声で祠堂が起きてしまい起き上がって顔は完全に寝ぼけている。

 

「おはよう祠堂…そしてすぐに着替えてくれ」

 

「……」

 

祠堂の顔が徐々に真っ赤になっていく

 

「い、今着替えますね!」

 

そしてすぐに隣の脱衣場へと入っていった。

 

「俺は悪くない悪くない…」

 

数分後

 

「お、お待たせしました」

 

ようやく着替えが終わった祠堂が出てきて服は昨日と同じ巡ヶ丘中学の制服だ。

 

「それじゃあ、行こうか」

 

「行くってどこにですか?」

 

祠堂もここを徘徊するのはわかってはいるようだがここの何処に管理局の拠点があるかなど知らない。

 

「取り合えず、犯罪者から取り上げた没収品あさりにいくか」

 

「はい?」

 

 

………

 

仮眠室から出て来たのは捕まえた人の危険物を保管する保管庫でありその前の扉はかなり厚めな鉄の門が外部からの侵入を妨げようとしている。

 

「あの、どうするのてすか?これの開け方なんて知ってるんですか?」

 

「取り合えずこの門を切る、アークセカンドフォーム」

 

[了解]

 

アークが白銀の剣から白銀の大剣へと変貌しそしてそのアークをふるって扉を叩ききった。

 

「よし、これで進めるなさっさと…どうした祠堂?」

 

「ど、どうしたじゃないです!どうして扉を切るってことになるんですか!」

 

ああ、なんだそんなことか

 

「そんなことじゃありません!」

 

「地の文読むなよ…まあ、これは俺の教官の聞きつけなんだが…」

 

 

回想

 

あのときはそう、犯罪者の立て籠るビルに突入する直前のことだ

 

俺と教官はそのビルの中の犯罪者がいる部屋の扉の前に壁に張り付き突入の機会を待っていたときだ。

 

「雄也、お前ならこの状況でどうする?」

 

「ど、どうすると言われても…扉を蹴り破いて迅速に制圧するでしょうか」

 

「少し違うな…いいだろう、今その答えを見せてやろう正解は…こうだ!バーンストライク!!」

 

あのとき教官は魔法で扉をぶっ壊してその上扉の近くにいた犯罪者を戦闘不能にしたうえに突然のことで完全に棒立ちした犯罪者と俺そのあと教官だけで犯罪者を全員無力化した。

 

「いいか、雄也、この方法はロックがかかっている厳重な扉や突入時に有力な戦法だ、敵の予想だにしない方法で奇襲をしかけその間に迅速に制圧する、つまりは…」

 

……

 

「扉はぶっ壊すものだと」

 

「いや、ありきたりきりに間違ってますよ!」

 

盛大につっこまれた。

 

「そ、そのひと可笑しすぎませんか?」

 

「まあ、変わった人だけど、いい教官だったのは確かだったしな、教官からは色々と教わったからな、それよりさっさと入ろう」

 

「は、はい」

 

さてと、保管庫に入ったのはいいがどれにするか

 

「あの、月宮さん、漁りにきたのはわかっているのですが、月宮さんにはそれがあるのにどうして探す必要があるのですか?」

 

祠堂がそう質問してくるがその表情からわかっていないようだ。

 

「ああ、俺じゃなくて祠堂の武器な」

 

「私の…ですか?」

 

「俺は相棒がいるし問題ないけど祠堂は丸腰だろ?もし俺が離れてる間に何かあったら丸腰は危険だからなだからここに漁りにきたの」

 

祠堂は納得した表情を見せて視線を保管庫内に向けて調達を始める。

 

「何があるかな~」

 

呑気な声を出しながら祠堂の武器を物色する。

 

やっぱり、没収されているものはナイフや刀と近接系が多いが祠堂からして使うのは銃器かな?

 

「は?」

 

「どうしたんですか?」

 

物色していると縦長の箱を開けてその中身を見た瞬間流石に固まった。

 

いやいや、ここ日本だよ、これの持ち主特殊部隊所属だったのか!?

 

お手製にマガジンや弾もかなりある…メインこれにさせるか

 

そういって箱からライフルを取り出して祠堂の視線もそれに向く。

 

「え?それって」

 

「ドラグノフ狙撃銃…何で日本にあるのかは全く知らないが…使えるぞ」

 

そういいながらドラグノフ狙撃銃を祠堂に手渡して俺は弾が多い銃が他にないかを探ると二つあった。

 

「コルト・パイソンにベレッタPx4、狙撃銃(スナイパーライフル)拳銃(ハンドガン)回転式拳銃(リボルバー)、各一丁ずつ…これくらいで問題ないかな?」

 

問題ないというより、過剰戦力か?

 

そういいながら俺はパイソンとベレッタが入っているホルスターを祠堂に渡す。

 

「み、見ないでくださいよ」

 

「わかってるわかってる」

 

そういいながら祠堂に背を向けてホルスターをつけている間に俺はベレッタとドラグノフの弾を予備のマガジンにこめておく。

 

ドーーン!

 

「なんだ!?」

 

とっさにでかい音がした『後ろ』にを振り向く、あっちって玄関の方角だったはず。

 

「つ、月宮さん」

 

「はっ!」

 

後ろに振り向いたことにより目の前には祠堂しかもホルスターを付け終えたところなのでスカートがたくし上がっており…

 

「見ないでって言ったのに!」

 

「すまん!見るつもりはなかった!爆発音がなったからつい…」

 

やってしまった…マジで…わざとではないがうっかり見てしまった。

 

「つ、つぎ見たら容赦しませんから」

 

「りょ、了解…それと替えのマガジンと、パイソンのマグナム弾」

 

そういって後ろを向かずにマガジンを詰めた腰につけるポーチとマグナム弾を渡し祠堂は無言でそれらを受け取った。

 

「それじゃあいきましょう」

 

祠堂の発せられている言葉に怒りを感じる

 

「お、おう、その前に荷物だけ持っていこうかえれなくなる可能性もあるし」

 

俺はその怒声に威圧されながらも返答して保管庫から去った。

 



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chapter15

仮眠室にあった荷物をまとめて玄関付近にやってきた俺達は壁の端から玄関を覗く。

 

玄関は俺達が入ってきたとき以上に荒れており閉めていたシャッターが吹き飛ばされていた。

 

「こいつは」

 

「誰かが爆破したんですか?」

 

さらに近くに寄って調べてみると外側から地面を焦がしていることが見てわかり大気中に残っている魔力を感じることができた。

 

「辺りに魔力の残り粕がある…ってことは…ここにきたのは管理局のほぼ確定だな…えっとその…」

 

やっぱ、さっきのことがあって話しにくい。

 

「…はぁ…別にもう怒ってませんよ、ところでなんですけど月宮さんって歳幾つなんですか?」

 

「??今年で15だが」

 

今言うことか?

 

「1つ歳上なんですね…それじゃあこれからは雄也先輩って呼びますね…私のことも圭って呼んでください」

 

「それぐらいなら別に…それじゃあ圭…多分管理局の奴等はここの拠点に用があって来たと思う…それでな…」

 

「あっ!わかりました、その人たちの後をつけるんですね…けどどっちにいったかは…」

 

「それなら簡単だ…ほら」

 

そういって俺は床を指差し指した先には濡れた足跡がくっきりと残っていた。

 

「パンデミックがはじめての雨の日で奴等が通った痕跡はなく昨日の時は無かったし、俺達もあっちには通らなかったつまり、俺達でも奴等でもない第三者…管理局だってことに当てはまるわけ」

 

俺は自分の考えた推理を圭に話すとぽかんとした目でこちらを見ていた。

 

「どうしたんだよ、そんな顔して」

 

「い、いえ、たったこれだけの証拠でここまで結びつけたので…凄いなぁって」

 

「まあ、管理局にいたときにそういうことはしていたからな」

 

犯人の追跡とかで

「追跡して拠点の入り口まで案内してもらって証拠を押さえる、俺一人でもいくけど…」

 

一応、一番管理局のことを知り得ている俺が動かないわけにはいかないしな

 

「私も行きますよ、その一緒にいる方がいいと思うので」

 

「そうか、それじゃあ行こう!」

 

これからの行動を決めた俺達は足跡を辿って追跡を開始した。

 

足跡をたどりたどり着いた場所は書類室、俺達は音を出さないようにドアを開けて書類室にもある足跡を追っていくと書類室の奧隅に武装した局員が二人いた。

 

「何をしているんだ?」

 

本棚の隅から様子を伺い奴等の話に聞き耳をいれる。

 

「にしてもよ、本当に面倒だよな、回線が切れてて刑務所の地下に行けねえなんてよ」

 

「しょうがねえだろ?あそこの入り口電動の性で入れねえんだからよ、確かここの拠点から刑務所地下拠点に直通の連絡道があるのはここだけだしなそれにここは」

 

そういって局員は近くの壁に付けられている燭台をレバーのように引くとからくりが作動して本棚が動いて隠し通路が出現する。

 

「隠し通路とは大したもんだな…ってことはランダルと管理局はかなり前から癒着していたと言うことか」

 

管理局と地球に昔から接点があったことに驚きながらも更に局員の話を盗み聞きする。

 

「そういえばよ、学校にいった二人組が負けたって話」

 

「ああ、生きて帰ってきた一人が何でもベルカの騎士に負けたらしい」

 

「ベルカの騎士っていっても一体どこの誰だ?少なくても管理局の局員じゃねえだろ」

 

「そうだな、無駄話はあとださっさと目的を済ませにいくぞ、仮にも部外者が見たら危険だからな」

 

危険…ねえ…

 

「そろそろ、出るとするかな」

 

尾行もここまでにして俺は本棚の隅から出て資料ファイルを投げて局員の頭に当たる。

 

「な、なんだ!?」

 

「お勤めご苦労さん、実に良いことを聞かせてもらったぜ」

 

「なっ!生存者か!」

 

「聞かれたならば生かしてはおけん!」

 

局員達は直ぐ様デバイスを俺に向けて構えてくる。

 

「1つだけ教えてやるよ…さっき話したベルカの騎士ってのは」

 

そういって待機状態だったアークを起動させる。

 

「俺のことだ」

 

「なっ!くそ!厄介な相手だ」

 

「だが、こちらが数的有利だ一斉にかかれ」

 

二人一斉に俺に襲いかかってくるがその攻撃を坦々と捌いていく。

 

「くそ!なにもんだこいつ」

 

「二人係でここまで…」

 

事実、俺は攻撃を捌いていただけで攻撃はしていない。

「1つ聞く…お前たちにとって正義とはなんだ?」

 

「なんだと!?」

 

「正義とは管理局のことだ!この次元世界に頂点にたちすべての世界の管理する権利がある管理局こそが正義だ」

 

管理局を正義だと述べている時局員の顔は酔狂している顔をしていた

 

「つまり…それに反するものはすべて悪だと」

 

「そうだ!管理局に仇なすものが全て悪だ!何がおかしい」

 

「随分、自分勝手な正義だな」

 

こいつらの正義を聞いて呆れてほかならない。

 

「一応警告しておく、さっさと失せろ…お前たちには俺には勝てない…先程の一戦で実力はわきまいているだろ?」

 

これが俺の良心としての警告だ、あの時は怒りで殺そうとしたが…今はあまり殺したくはない。

 

「ふざけたことを!」

 

「この野蛮人がぁ!」

 

この二人は俺の最後の良心の警告を無視して不意討ちをしようとする

 

「そうか、それが答えなら」

 

俺はアークで暗黒を纏い一閃し局員の一人の胸を裂いて一撃で殺す。

 

「え?」

 

何が起きたのか全くわからない様子でもう一人の局員は立ち止まってしまう。

 

「元局員としてのけじめだ、暗黒剣でここで終わらせる」

 

「あ、…白銀の剣…そして暗黒剣…まさか…暗黒騎士…ユウヤ・ツキミヤ!?」

 

「今まで気づかなかったのか?俺の顔はかなり知れ渡っていたはずだが…まあいい」

 

今になって局員時代の名声など別に気にすることでもない。

 

「なぜだ…何故、我々を裏切る!貴様は我々と同じ局員のはずだ!」

 

「愚問だ、局員である前に俺は地球人だ…俺が祖国に荷担する理由はそれでいい…じゃあ覚悟はいいか?」

 

「や、やめてくれ…た、助けてくれ…」

 

局員は今殺されるとわかりみっともなく命乞いまでする始末である。

 

「そういって…お前たちはどれだけの命を奪ったと思う…命乞いもした人もいたはずだ…」

 

「そ、それは…」

 

「そんなやつに命乞いする資格もない!」

 

そういって俺のもう一人も体を斬り血飛沫がまって俺の顔に付着するが付いた血は腕でふいてアークに付いた血を払う。

 

「雄也…先輩」

 

ふと後ろを振り向くと顔の優れない圭だ。

 

「すまない、こんなものを見せてしまって…本当は討ちたくなかったんだが」

 

「私は…平気ですけど…先輩は…」

 

圭は二人を手にかけた俺の心配をしてくれているようだ…本当にいい子だな。

 

「平気っていうのは可笑しいけど…軍人ってのは死ぬ覚悟をしていないといけないんだ…勿論それを奪う覚悟も…」

 

「…はい」

 

「取り合えず、降りていこう…不信になって新手が来てもめんどうだ…」

 

そういうと圭は小さく頷いて隠し通路へと入っていった。

 

隠し通路を降りていき拠点を見て回ったが結果は成果ゼロ、見事に何もなく、やはり撤去したあとなのだろう。

 

となると…残された場所は刑務所の地下拠点…そこには何かあるはずだ。

 

そしてその連絡道明かりは届いておらず奧は完全に暗くて見えない状態だ。

 

「この先か…」

 

「暗くて見えませんね…」

 

やっぱり怖いのか圭が俺の裾を持って怖がっている。

 

「…大丈夫だ…この先に手がかりがあるはずなんだ言ってみる価値はある」

 

「…はい」

 

そういって先が見えない連絡道に入っていく、この先に何が待つのかは俺も圭も全く知らない



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chapter16

歩き始めて何時間たったであろうか…

 

俺達は足跡を先の見えない通路を未だに歩いていた。

 

流石に疲れたりして休憩もしたがかなりの直線を歩いているはずだ

 

「一体どこまで続いてるんでしょう」

 

「刑務所と警察署の直線距離がどれくらいあるかは知らねえしな…アーク歩き始めて何時間たった?」

 

[大体半日が経過しております]

 

「マジかよ…」

 

半日歩いてるって冗談じゃねえ

 

「ってことはもう外は夜か…」

 

外のことを思いながら懐中電灯のライトで先を照らしながら進んでいくと漸く壁のような所にたどり着いた。

 

「行き止まり…ですか?」

 

「いや、これは漸く到着したみたいだ」

 

ライトを上の方を照らして見るとでかい門が聳え立っていた。

 

「…電機通ってませんね」

 

「あいつらがいってた回線が切断してるせいだろさてと、下がっていてくれ…その門をぶち破る」

 

そういってアークを構えて圭も危ないと思って後ろに下がる

 

下がったのを確認してから俺は門を破壊にかかる。

 

「デス…ブリンガー!」

 

暗黒の斬撃が門へと飛んでいき門に大穴を開けることに成功する。

 

「さてと、入るぞ」

 

そういった俺に圭ははいと頷きながら後をついてきて中に入ると、ライトが点滅を繰り返しているがついており一応電気は通っている

 

「行こう、もしかしたら追撃してくる局員もいるかもしれない」

 

といったものの、追撃してこないことを祈りながら先ずは近場の部屋にはいることにした。

 

「っ!?」

 

部屋の前に立つと向こう側からもう馴れてしまった異臭がすることに気が付く。

 

「……奴等は…3体…いやもっといるな…圭…銃のセーフティ…解除したか?」

 

「はい」

 

圭も大体はわかったのかベレッタを手に持ってセーフティを解除し頷く。

 

準備ができたことで俺達は部屋の中に入ると中にいたものを見て驚愕する。

 

中は鉄格子が並び立つ牢屋のような所で沢山の奴等が鉄格子を押し続けていた。

 

「これって…」

 

圭はこの惨劇をみて口を押さえながらもその光景を見ている。

 

「実験室か…恐らくバイオウイルスの」

 

俺でさえこの光景に吐き気を覚えるぐらいだ。

 

「どう…しますか?」

 

「ここを出よう…証拠品はなさそうだし…それに少しでも居たくない」

 

そういって部屋から出て少し歩いてからその場で立ち止まる。

 

「恐らく、受刑者の人たちだろう…」

 

「つまり、実験台だったって訳ですか?」

 

「多分な…なら在るかもな」

 

ここがウイルス開発場所ならあって普通だ。

 

「何がですか?」

 

「ワクチンだよ…それと試作品のウイルスも…恐らく管理局の目的もそれだったんだろう」

 

「…なるほど…確かにありうることですね」

 

もしかしたらそれ以上のものもあるかもしれないがな…

 

「恐らくそう言ったものは厳重に保管されているはずだ…それらしい場所にいこう」

 

圭もそれに頷き拠点の探索を再開することにした。

 

「此処か」

 

探索を開始してから数十分が経過してそれらしき保管室を発見することができた。

 

中に入ると薬や他にも非常食等と中はそれなりに充実した整備が施されている。

 

「その上頑丈な壁とドア…此処はシェルターの役割あるみたいだな」

 

備えあれば憂いなしと言うし…越したことはないな。

 

「雄也先輩!来てください!」

 

圭はなにか見つけたのか声をあげて俺を呼び圭のもとへと駆け寄る。

 

「なにか見つかったのか?」

 

「あの、この薬ってもしかしたら…」

 

そういって圭は見つけたものを見せると…どうやら俺達が探していたお目当ての物で間違いはないようだ。

 

「初期感染者用のワクチン…」

 

数も6つと他にも同じ箱がたくさんある。

 

「一応一人ずつ2つほど持っていこう」

 

ワクチンをバックにしまい管理局の情報を集めるために他の部屋に向かい辿り着いた所はここの中枢と思われる動力室にやってきた。

 

「あの中央に聳え立ってるものなんでしょうか…」

 

「多分、ここの動力源だろう…しかもまだ動いてる」

 

仕組みは自動で動かせる物のようだが本来なら何人かが異常がないか確認するようのコントロールパネルも幾つか設定されている。

 

「あそこから情報が引き出せるかも」

 

そういってコントロールパネルに近づいていく

 

「残念だけどそうはいかないな…暗黒騎士」

 

その途上、この部屋の壁で反響したあいつの声が俺達の耳に届く。

 

「っ!!その声は!姿を表せ!」

 

この声に反応した俺は声の本人が出るように叫ぶ。

 

すると俺達の目の前に奴が突如として現れた。

 

「やあ、こんな形だが会うのは大体一年ぶりになるね…ユウヤ・ツキミヤ3等空尉」

 

その姿、独房に入っていたからか痩せ細っているがその姿を見て奴の名前を叫んだ。

 

「ドクターウェル!」

 

姿を表した敵に俺は睨み付けるのであった。

 



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chapter17

ドクターウェル

 

生物学の研究者で容姿言葉遣いと回りからは信頼の寄せていた人物であった。

 

だが、とある日に彼は元いた研究施設にて彼が作り出した生物兵器によって騒動を引き起こした。

 

それにより管理局はドクターウェルを指名手配し幾度となく逮捕に動いたが何度も逃れていた

 

だが、一年前、遂に追い詰めた管理局は武装隊の精鋭総勢100名もの人員を導入し完全包囲した。

 

その中に俺もいて今にもその記憶は清明に覚えている。

 

追い詰めたウェルの生物兵器との戦いにより重軽者52名、死者28名、行方不明者5名と多くの犠牲を払った。

 

そしてウェルを捕らえたあと彼の身柄は次元海に浮かぶ収容所に囚われているはず。

 

それに向け出すとしても週一でくる輸送艦以外脱獄できる方法がない…

 

それにウェルは管理局と共にいる…つまりは…

 

「おやおや、なにか言いたげな表情だね」

 

思考しているとあっちから声をかけてきた。

 

ならば当然ウェルに聞かなければいけないことがある。

 

「ドクターウェル…司法取引したな?」

 

「やはり理解しているみたいだね、まあ万年人員不足の管理局にとって僕の才能は喉から手が出るほど欲しいらしいからね」

 

やはり…か…

 

ドクターウェルの持つ知識に管理局が目をつけないわけがない、なんの条件を提示しているのかは知らないが…

 

「彼等には感謝しているよ、この研究施設も彼等が提供してくれてね…」

 

「つまり、このパンデミックの原因のウイルスを作り出したのは…お前だってことか」

 

こいつのことだ、そんなウイルスを作り出すなど造作もないだろう。

 

「いいや、実はそうではない」

 

「なんだと!?」

 

まさかの予想外な返答に俺は声を荒げる。

 

「今から35年前この地では男土の夜という事変が起きた…その結果この地の住民の約半数が死亡した」

 

「…そういえば…そんな話をモールにいたときお婆ちゃんから聞いたことがある…」

 

「日本政府はその公表を伏せているがね、そしてその原因になったものこそがパンデミックのウイルスなのだよ…」

 

「つまり!ウイルスはごく自然に出来たもの?」

 

まさか、そんな昔からそんなウイルスがあったとは思いもしなかった

 

「そして男土の夜が終息後、そのウイルスを研究するために立ち上がったのはランダルコーポレーションだよ」

 

「つまり、ランダルコーポレーションはウイルスの解明するために組織されたものだったって訳か」

 

「その通りだよ…理解が早くて助かる」

 

ならばそのウイルスの危険性も重々承知のはず…っ!?そうか!

 

「警察の行動に気づいて使ったのか!ウイルスを!」

 

警察署で手にいれたファイル、それに記載されていた内容を当てはめるとあたまのなかで結論に繋がった。

 

「その通りだよ、世界中にバレるとね、危ないからね…だからこの巡ヶ丘全域に結界を張って後は毒性の成分により全員死亡という…そういうシナリオさ」

 

「目的はなんだ…なんのために!」

 

「目的といっても個人的と集団的に二つあるが…集団的にはこのウイルスを兵器としての実用化の研究さ」

 

兵器としての実用化、坦々と笑みを浮かべながらいうウェルの言葉をきいて俺達は絶句した。

 

「管理局は万年人員不足なのは知っているね」

 

「当たり前だ」

 

いた人にとっては常識とも取れる話だしそれで9才だった俺も入っていたわけだし

 

「そして、改善すべく出されたのがウイルス兵器による鎮圧というわけだよ」

 

「っ!!」

 

そんなことをすればどうなるかなどわかっているはずだ。

 

「君達が生まれる前に男土の夜のことを知った管理局はランダルコーポレーションに技術提供をする引き換えに共同で研究することになった…といっても未だに完成品はできてはいないのだがね」

 

ウェルの言葉から察するにこの巡ヶ丘に使ったウイルスは試作品だったというわけか…

 

「それで、僕の個人的な目的はね…ふむ…良いことを思い付いた」

 

そういってウェルは何やら操作するとそして言いはなった。

 

「どうも!今晩は!!僕はドクターウェルゥ!!この放送は生存者たち全員に聞こえているはずだよ~外が見える人は外を見るんだ!」

 

「さあ今宵、なんとあと放送を見ながらも僕らに楯突く人が二人も現れたぞ~といっても、一人は元々此方側の人間だった人だけどね」

 

「あの人何をいってるんですか!?」

 

いきなりのウェルの演説にとなりにいる圭は何をしているかわからない様子だ。

 

「多分、俺達を見せ物にしてる…今頃外の生存者は見てるんじゃないか?」

 

となると音姉たちもみてるんだろうな

 

「まあ片方だけ紹介しておこう、今映っているものこそが元僕ら側、今は完全な敵側となった期待の四大エースの一人、その名についた二つ名は禍々しい名前だが暗黒騎士!月宮雄也だ!」

 

盛大に俺のことを紹介しやがった…何が目的だ?

 

「こんな前座はどうでもいい!さっさと本題に入ったらどうだ!」

 

「そうだね、今回、この放送を流した理由は簡単に言うと僕の研究成果と戦ってもらうためさ…所為の公開処刑だね」

 

「ようは、逆らえなくするためか」

 

そういっていると何処かが動いていることに気がつく。

 

「雄也先輩…ここ動いてます!」

 

「わかってる!どうやらウェルが動かしてるみたいだな」

 

そういっていると俺達から離れた大きめの自動ドアが開かれ中からは出てきたのは

 

「何…あれ」

 

「おいおい、何でこんなもんが地球にいるんだよ」

 

その出てきた生物は大きな牙に爪と角、四足歩行たが犬とか狼とかそんな茶々じゃないレベルの大きさをした化け物が現れた。

 

「君も知っているだろ?僕が生物学の研究者だってことは」

 

「つまり、個人的な目的ってこういうことか?」

 

ウェルの目的…それは生物兵器の開発及び研究だったわけか!

 

「試作品ベヒモス改…ある場所から持ってきて研究していたサンプルさ…さあ、ショーの始まりだ!」

 

そういうとベヒモスは雄叫びをあげて完全に戦闘体勢に俺もアークを構え後ろには圭が腕を震わせながらもバンドガンを持ち構えた。

 

「圭!お前は下がってろ!」

 

下がるように圭に言うと頷いて下がったのを見るとベヒモスが広まっている距離を一気に縮める、飛び込んできて右腕を覆いかぶっている。

 

「全く!まさか、危険生物と戦うことになるとはな!」

 

ベヒモスはその狂暴性から管理局でも危険生物と呼称されている生物でかなりの魔導士がいて倒したとかなんとか。

 

そんなベヒモスの攻撃を避け懐に飛び込んだ俺はアークを振り上げえ頭に当てる。

 

苦痛からか雄叫びをあげて生えている角で俺を突き上げようとするが回避が間に合うな。

 

「そうそう、そのベヒモスわね、僕の改良のお陰で通常より知能があるから気を付けたまえよ」

 

「なっ!」

 

角で来ると思っていた攻撃は左から尻尾が迫ってきており、咄嗟に空いている左手で『防御魔法』を発動した。

 

だがこれは悪手だった、あのウェルの生物兵器が何故あのとき大勢の犠牲が出たのかを…

 

防御魔法は尻尾のまえに紙のように砕けちり、そのまま勢いで俺を薙ぎ倒した。

 

「ぐはぁ…!」

 

その勢いで端まで吹き飛ばされ壁に激突する。

 

何故あのとき意図も簡単に防御魔法が砕けたのか…それはウェルの研究にある

 

奴は研究の末、魔力を無効化する生物兵器を作り上げた。

 

その結果魔法至上主義の管理局は大きな打撃を与えられたのだ。

 

「先輩!この!」

 

吹き飛ばされたのをみて圭は激昂してドラグノフで射撃し1発2発とベヒモスの体を直撃する。

 

「ベヒモス…ウェルの研究は実弾だと有効なのか…」

 

そう思っているとベヒモスの標的は俺から圭に変わっており、圭へと襲いかかろうと迫る。

 

「不味い!」

 

俺は高速魔法で間に入るために動く。

 

「この!この!!」

 

迫るベヒモスに何度も射撃するもベヒモスは怯むことなく突き進んでいき圭の目の前へと到達してしまう。

 

「あ…あ…」

 

完全に怯えた顔の圭、そんな圭をものともせずベヒモスは無情にもその鋭い爪を振り落とす。

 

「やらせるかぁ!」

 

高速魔法で移動した俺はなんとかベヒモスと圭の間に間に合うことに成功し振り落とされる爪をアークで受け止める。

 

振り落とす速度と力で体制を崩しそうになるも何とか持ち堪える

 

「ぐっ!」

 

「先輩!」

 

苦痛を漏らす俺に心配し圭が声をかける。

 

「直ぐに後方へ!」

 

「は、は…ごほぉ!げほぉ!」

 

後方に下がろうとしたとき圭の体に異変がおき口を抑えて咳き込むと退かした手には圭の血が付着していた。

 

「え?…はぁ…はぁ…なん…ごほぉ!」

 

「ふむ、漸く効いてきたみたいだね」

 

何が起きているのかわからない俺達に黙っていたウェルが口を開いてそういった。

 

「効いたって…なにがだ!」

 

「まだ量産には出来ていない新型のウイルスだよ、これはリンカーコアを所持しているものだけが感染しないタイプでね…どうやらうまくできたようだ」

 

つまりは兵器として使おうとしていたウイルスの実験台にされたということか…っ!つまり圭は!

 

「わ、たし…感染…した?」

 

感染したことに青ざめる圭、何とかしないと

 

っと、ベヒモスの攻撃を受け止めている最中に考えているとベヒモスが角で俺の防御を崩して爪でまた攻撃する。

 

咄嗟に後ろに下がるが攻撃の方が早く左肩に食い込んで傷跡から血が垂れ流れ苦痛から顔を歪める。

「デス…ブリンガー!」

 

痛みを堪えながらも魔力の斬撃を飛ばし直撃すると土煙が舞う。

 

ダメージは受けていないがこれで良い

 

この視界を奪った隙に後ろのウイルスにより苦しむ圭を担ぎ上げてこの部屋から離脱した。

 



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chapter18

部屋から離脱して安全な場所まで退避したのを確認してから俺は圭のバックからウイルスのワクチンを取り出す。

 

「ごめん!」

 

そういって圭の服をたくしあげて胸元にワクチンを打ち込む。

 

奴等に噛まれていれば噛まれた箇所の近くに打てば良いのだが、今回は空気感染であるために心臓に近い部分に打ち込むのが良いと思い打ち込んだ…けしてやましい気持ちではない

 

すると先ほどまで荒々しい呼吸だった圭が落ち着いた呼吸に戻る。どうやらワクチンが効いてきたようだ。

 

「雄也先輩…わ、たし…」

 

「意識がはっきりしてきたか?今ワクチンを打ったこれで問題ないはずだ」

 

といっても危機なのは変わりないのだが…

 

そう思っているといきなりこの基地全体がゆれはじめた。

 

「なんだ!?」

 

いきなりのことに戸惑っているとやつの声がこの基地全体に響き渡る。

 

「やあやあ、聞こえているかい?ユウヤ・ツキミヤ、今のはこの基地を完全放棄するということでね、今自爆装置を押したんだ、後数三十分もすれば基地は崩壊する、さあ、急がないと死んじゃうぞ~」

 

「あのやろう!」

 

このままでは危険だと判断するが咄嗟にベヒモスのことを視野にいれると出口に向かう前に先回りされている確率が有ると考えて圭に向かって話した。

 

「…圭、直ぐに脱出しろ、崩落はあの連絡道まではいかないはずだ、十分間に合う」

 

「それじゃあ雄也先輩は!?」

 

「ベヒモスを足止めする奴が先回りしたいたらそれこそ厄介だ…」

 

俺は行動の主旨を伝えて圭は納得したのか黙りこむ。

 

「…何か目的があったんだろ?」

 

「え?」

 

図星だったのか言い当てられたことに驚いている。

 

「ここでくたばったら、目的を果たせないだろ?」

 

「それは…」

 

「……巡ヶ丘中学校に俺と同じ生存者がいるはずだ…出来ればあいつらのことも頼む」

 

「…はい」

 

圭は小さく頷いて俺の荷物も持たせて出口へと走り去る。

 

曲がり角を曲がるところでこちらを向くが俺は小さく頷くと意思が伝わったのか出口へと向かっていった。

 

「さてと…」

 

見届けたあと俺は逆の通路を見据える。

 

そしてその角の先からは重い音を響かせる…ベヒモスの足音が聞こえてくる…もう奴が近くに来ているということだ。

 

そして角からベヒモスが現れてこちらを視認すると雄叫びをあげる。

 

「漸く見つけたよ…もう一人はどうしたのかな?」

 

「あいつなら逃がした…これ以上巻き込めないからな」

 

そういってアークを構えるが既に左肩をやられて動かす度に苦痛で顔を歪ませる。

 

「うっ!」

 

「怪我を負い、しかも、仲間もいないこの状況…今の君に何が出来るかな?」

 

「何が…出来るかか……勿論、ベヒモスを倒す…今ならあれを使うのにもってこいだろ」

 

「あれ?」

 

通信越しのウェルは俺のあれを聞いて不思議に思うまあ知ってるのは俺とアークだけでやったこともない架空の存在だからな。

 

だが、アークはあれに気づいて焦る声で俺に警告した。

 

[マスター!あれは検証段階で危険だと確認されて封印したじゃないですか!それを使うなんてマスターの体が壊れますよ!]

 

「わかってる…けどよ、こいつを倒さないと…後々他のやつらが危険にさらされる確率がある、だから今回だけは体の負担なんか気にしていられない!頼む!」

 

[わかりました、そこまでなら私も何も言いません]

 

ありがとよ、さてと…

 

「行くぜ…ダークフォース…発動!」

 

俺は切り札ダークフォースを発動するといつものアークに纏う暗黒をその身に纏う。

 

「ぐっぅ!」

 

先ほど以上の激痛が体を蝕む。

 

暗黒、闇属性はその性質が異様で今のところ所持者は俺以外にいない、そのうえ闇属性は攻撃的な属性であり攻撃以外はあまり使えないという結果になった。

 

だが1つだけ、体に闇属性を纏い自己ブーストした場合は本来の全快を越える力を振るうことができるが代償として闇属性の性質である攻撃…つまり、それを維持する代償で体にはダメージを負っていくという仮にも正気のさとではない方法であった。

 

「いくぞぉ!」

 

足に力をいれてベヒモスの懐に飛び込む

 

その速度は先ほどとは比べ物にならないほどの早さで懐に入りアークを切り上げて腸を切り裂く。

 

それでも奴は倒れないのは想定内だ。

 

ベヒモスの怒りの目線とともに繰り出される爪を振り落とすが容易に避けれる範囲なので前右足の切り裂く。

 

「ば、バかな…こんなことが」

 

今の現状を認められないと言わんばかりに戸惑いを見せるなかでも俺の代償を支払いながらも俺は攻め続ける。

 

「もっとだ!もっと早く!!」

 

さらに速度を高め音速の領域の剣速でベヒモスのからだ全体を切り刻んでいく。

 

そして最後の一撃で決めるためベヒモスの上空で止まりアークに渾身の魔力を籠める。

 

「こいつで!止めだぁ!!」

 

俺はベヒモス目掛けてアークを構えながら突撃する。

 

「暗黒闘…っ!!?」

 

ベヒモス目の前で突然俺の体に異変が始まり比べ物にならないような激痛が体を蝕みベヒモスに届くことなく手前で地面に落ちて踞る。

 

「ぐっ!ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

まさか、止めを刺せる手前で時間切れとはまさに最悪と言える…

 

そして先ほどまで劣性だったベヒモスは動きは鈍くなってはいるが前右足で俺を叩きなすすべもなく吹き飛ばされて壁に激突する。

 

「そうか、先ほどの魔法は自らの体を無理矢理限界以上に引き出す自己ブースト…そしてそれもあと少しといったところで切れてしまったようだね…いやあ、危なかったよ…こんなところで貴重な僕のサンプルを失うところだったよ」

 

くそ、体が悲鳴をあげてて動かせない…それに意識も段々と薄れて…

 

 

 

 

 

 

ちくしょう…!



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chapter19

 

……

 

「お、俺は…」

 

不意に意識を取り戻し辺りを見渡すと先ほどの場所とは全く違う、何もない真っ白な空間…

 

「俺は死んだのか?」

 

あの状況で考えられるのはそれが一番可能性があるが…

 

「まだ死んじゃいねえよ」

 

不意に聞きなれた声が後ろから聞こえてきて振り向くと目の色や、着ている服装など違う点があるがまさしくその姿は…

 

「よう、久しぶりだな俺」

 

正しく、俺そのものであった。

 

こいつは何者だ?なぜ俺の姿をしている?それに久しぶりだと?

 

俺の記憶の中にはこんな俺と同じ姿をしたこいつとは一度もあった覚えはない。

 

「はっ!どうやら覚えてねえみたいだな、もう6年ぐらい前にもなるんだからな」

 

6年だと?つまり…PT事件や闇の書事件の中であっていたというのか

 

「お前は…何者だ?」

 

「俺か?俺は…お前だ…」

 

「俺…だと?」

 

こいつは自分を俺といったどういうことだ

 

「ここは俺達の真相心理…言わば俺達の精神世界というわけだ」

 

「…それでお前はなんで俺の前に現れた」

 

「何、簡単な話だ…俺に体の主導権を寄越せ」

 

「なんだと!?どういうことだ!?」

 

「ここで死んじまうと俺も不都合だからな…俺ならお前以上に暗黒剣を扱うことができるしな」

 

「俺…以上に?」

 

こいつが俺以上に暗黒剣を使えるだと?

 

「お前は闇を恐れている、故にその心があるかぎり暗黒剣を全力では扱うことができない…ダークフォースの副作用がそうだ、自分が知らないうちに闇を拒んでしまったゆえだ」

 

「俺が闇を…」

 

「だが、俺は違う!俺はお前の闇そのもの言える存在だ、暗黒剣を自由に使うことができる」

 

こいつは歓喜満ちた表情をしながら自分は俺の闇と暗黒剣の新の所有者と象徴する

 

「そんなわけあるか!お前が俺だと認めるものか!」

 

そういって俺はアークの剣先をあいつに向ける。

 

「はっ!やっぱり、あのときと同じで俺を否定するんだな」

 

俺の返答がわかっていたあいつは黒いアークに疑似している剣を構えた。

 

構えも同じか…

 

「っ!」

 

先に動いたのは奴だ

 

高速魔法による加速で左側に迫ってきており、振られた攻撃をアークで受けきり、鍔迫り合いに持ち込んだ。

 

「くっ!」

 

「初撃は受け止めたか、まあそう来なくちゃな!」

 

奴の口振りからまだ俺を倒す余裕があるようだ。

 

アークで奴の剣を弾き返しその隙に脇腹に一撃いれようと横切りでアークを振るう。

 

「あめえよ、ダークカノン」

 

奴の空いている左手の掌に闇が生成されてそれを放たれる。

 

至近距離であったが初撃と二撃目のカノンは弾いたが3発目は弾ききれず左腕に直撃直撃する。

 

勿論痛みが走る、まあ真相心理のはずなのに痛みがあるのも可笑しいものだが。

 

奴は既に体制を立て直し剣には暗黒を纏って俺に切り掛かってくる。

 

「ダークスラッシュ」

 

暗黒剣の一撃を受け止めるのならここは俺も暗黒剣を使うのが一番だと踏んで闇を使おうとしたが

 

「なっ!?」

 

全く暗黒を纏う様子がなく、戸惑うなか奴は射程範囲内に入っており咄嗟に後ろに下がったが胸に肉薄で切られて痛みが走った。

 

「どうして…」

 

少し前まで使えていた暗黒魔法が使えなくなっていることに困惑する俺に奴は知っているように話しかけてきた。

 

「あたりまえだろ?なんたって俺は闇そのものだからな…今のお前に闇は使えねえ…まあ、諦めて体を差し出すんだな力の差は歴然だ」

 

奴のいっていることは確かにそうだ

 

 

正直、俺の持つ魔法は殆どが暗黒魔法からのもので、その根元と言われる闇を使えなくては話になれない。

 

それにさきほどのダークカノンは俺も使ったことがない技だ…これでは認めざる終えなくなる。

 

「くそ!どうすれば」

 

自問するがそんな答えでるわけない…ただ抵抗する他には…

 

「防戦一方だな…まあ、そうだよな、理由もなく戦ってるやつに俺が負けるはずもねえ」

 

「なんだと!?」

 

咄嗟にひていしたが、こいつのいつ通りかもしれない、今の俺には何もないのだ。

 

真実を知りたいというが大雑把すぎて話にならないし、それも集団的な理由だ、それは今巡ヶ丘にいる全員が知りたいことだし

 

俺はなんのために戦っていたのか…

 

「俺はある!戦いたいから戦うんだ、俺に歯向かうやつらを全滅させて、戦って戦って戦い抜く!」

 

「快楽者の野望だな全く」

 

こんなやつに体を渡してはいけない…けど、俺に勝てるのか?力を失い、戦う理由もない俺に…

ここからの俺は完全に防戦一方だ

 

奴の過激な攻撃を防ぐことで手が一杯で反撃をすることができない。

 

「くそ!どうすれば!」

 

「どうすることもできねえよ!このまま心の奥底で眠ってな!」

 

剣を弾いた瞬間奴の右足が俺を捉えて吹き飛ばした。

 

「かはぁっ!」

 

地面に叩きつけられて息づかいも完全に荒くなり意識も失いかけていた。

 

くそ!このままじゃ…あいつに体を持ってかれる…これじゃあ『探し出すこともできない!』

 

「っ!?」

 

俺は…なにを?何を探そうとしていたんだ?

 

この戦いの真実?いや違う、これはもっと昔に決心した…あの日…闇の書の事件のクリスマスで…

 

「そうだ…」

 

思い…だした

 

「あ?」

 

「あの日から…誓ったじゃないか…」

 

あの戦いで感じ助けてくれたあれは本物だと信じて…

 

「へっ!まだ立ち上がるかよ…でもよこれで…終わりだ!!」

 

奴はデスブリンガーをはなちその斬撃がこちらに迫り来る。

 

「立ち止まれない…こんなところで…」

 

アークを握りしめて上段の構えをとりそして…

 

「立ち止まれるか!!!」

 

アークの刀身に何かが纏い一気に振るうと斬撃を放ってデスブリンガーを相殺した。

 

「なっ!」

 

デスブリンガーを相殺したことに驚くあいつの前に俺はアークを見る、まだ刀身には暗黒とは違う何かが纏っている。

 

「なんだ…これ」

 

纏っている魔力は暗黒とは違って…暖かく優しい感じが…

 

「光…か」

 

「光?」

 

奴は完全に剣を下ろしこの力のことをいい始めた。

 

「お前、聖騎士伝説の文書…読んだことあったよな」

 

「確かに読んだが…」

 

聖騎士伝説…遥か昔、今の魔法もなくベルカ戦役前の世界を描いた一人の暗黒騎士の物語、その暗黒騎士が苦難を乗り越え聖騎士となり世界を救ったとされる物語だ。

 

一応一通り読んではいたがあれは空想上の物語だと思っていたが…

 

「つまり、闇と光、この二つの力は表裏一体だ…そしてお前は光に目覚めた…」

 

「何がいいたんいんだ?」

 

「今のお前に闇は必要ない…今は手を引いてやるよ…けど諦めたわけじゃねえ、決戦の場所にふさわしい場所で闇か光かどっちが体を持つかふさわしいか」

 

今は引くということで俺はアークを下ろし奴の話に耳を傾ける。

 

「それと、そろそろ目覚めた方が良いぜ…外ではベヒモスに戦ってるやつがいるからよ」

 

戦ってるやつ?っ!?まさか!

 

「圭か!?」

 

「じゃあな、次会うのは決戦の地…忘れ去られた世界の終着点の聖剣の眠っていた神殿でだ」

 

そういって奴は消えた…奴がどこを示したのかはわからないが…今は

 

「圭、待ってろ!今向かう!」

 

今はここから目覚めるのが先だとおもい急ぐのであった。

 



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chapter20

side圭

 

「はぁ…はぁ…」

 

私は現在刑務所の地下施設を走っている、この先で戦っているはずの雄也先輩を助けに向かっていた。

 

やはり、先輩が不安になったから戻ってきたのだ。

 

そして先輩と別れた場所にたどり着くと私は目を疑った。

 

今だ動いている怪物にその目の先には壁に持たれて意識を失っている雄也先輩だ

 

「雄也先輩!」

 

雄也先輩の名前を叫びながら背中のドラグノフを構えてスコープを覗き怪物に照準を合わせてトリガーを引く。

 

それを三回引き、放たれた3発の弾丸は真っ直ぐ怪物の頭に当り少量の血が噴出する。

 

怪物の視線は先輩から外れて私に向いた。

 

いきなりの不意打ちで怪物は怒っているように唸り声を響かせる。

 

「おやおや、まさか戻ってきたのかい?あのまま逃げていれば生きていたかもしれないというのに」

 

どこからか声が聞こえてくる、たしかドクターウェルだったけ。

 

けど、彼がいっている通り逃げていればその場凌ぎでしかない、ウェルが行おうとしているのは此処にいる全員の抹殺なのだからどちらにしても殺される。

 

私には生き抜くために約束を守るために生きなきゃいけない。

 

美紀に謝るんだ、あんなことをいって置いてきてしまった、美紀を救うために…私はこの戦いに生き残る。

 

「死んでもいいと思ってた…だけど、この世界で奴等になりたくないと思って自殺することも考えたこともある…けどね、先輩にあって…何より美紀を残して死ぬなんて怖くなった…今でもあの部屋に閉じ籠っている美紀を助けに行かなきゃいけないんだ」

 

私は覚悟を決めて銃口を怪物に向ける。

 

「そうか、だったら此処で死んで…そのあと君の助けにいこうとしてる人も殺してあげるよ!」

 

その声と共に怪物は私に角を突きだして襲いかかってくる

 

迫り来る怪物に私は跳躍して攻撃を回避して怪物の背中に着地してからまた高くジャンプしてその滞空の間にドラグノフで背中を何発も射撃した。

 

「何…これ…」

 

あんな高く跳べたことに、やっていた私自信も驚いてしまう、そういえば此処に帰ってくるときも早かったような気もしてきた。

 

「そうか、試作品のワクチンの効果で体のリミッターが解除されてるのか」

 

体のリミッター?つまり私に投与されたワクチンの副作用でこんな動きができるようになったの?

 

だが、これはこちらにとっては好都合だ…これなら上手く戦える。

 

そう思いながらドラグノフのマガジンを不馴れた手つきでリロードする。

 

怪物は攻撃されたからか怒りを増して突撃してくる。

 

一直線で避けるのが簡単でまた簡単に避けて今度は頭に集中して射撃して確実にダメージを与えていく。

 

「この調子なら」

 

一人でも勝てると慢心していると怪物の目と合う。

 

「っ!!」

 

その目は怒りからとてつもない威圧感を感じさせて私を身震いさせると後ろから尻尾が迫ってきていることに気づくのに遅れ体にもろに当たってしまう。

 

痛い…痛いよ…

 

体が悲鳴をあげて味わったことのない痛みが私に襲う。

 

怪物は吹き飛ばされている私を地面に叩きつけようとその尖った爪を持つ前足で振り落とそうとしていた。

 

痛いけど…負けてるわけにいかない…こんなところで

 

「負けて…たまるかぁ!!」

 

先程の攻撃でドラグノフは弾かれて手元にないだから右手でホルスターに収まっているバイソンを手に取りそれを構えてハンマーを引きトリガーを引いた瞬間発砲音と共に装填されていたマグナム弾が飛び出して怪物の眼に当たった。

 

これにより怪物は悲鳴をあげて後ずさったが問題があった。

 

このままでは着地できずに体を強打してしまうために体を動かそうとしたが落下速度の方が早く間に合わないと思った矢先だった。

 

先程の落下感がなくなり着地する足音がする。

 

何が起きたのかはすぐに理解した、今現在私は抱き抱えられている…空中で抱き抱えてくれたお陰で地面に叩きつけずにすんだのだ。

 

「よかった、間に合った」

 

優しい声、よかったのはこっちのセリフです、さっきまで気絶していたのに体もボロボロなのに…それでも私を救ってくれた彼の名前を呼んだ。

 

「よかったわ、こっちのセリフですよ…雄也先輩」

 

気絶していたのが嘘かのように私を救った雄也は優しく微笑んだ。

 

side雄也

 

現実に意識を取り戻して眼に入ってきたのはバイソンでベヒモスの目を潰した空中に投げ出されている圭の姿であった。

 

そして圭はそのまま落下していくのを見て俺は高速魔法を使い圭を抱き抱えて地面に叩きつけられることはなくなった。

 

そして圭を降ろすと後退り片目となったベヒモスを見る。

 

「まさか、まだ動けるなんてな」

 

「生憎、圭が時間を稼いでくれたお陰で今は痛みはそれほどでもない」

 

驚きの声を隠せていないウェルに皮肉な言い方で言葉を返す。

 

その直後隣の圭が脇腹を手を当てて痛そうに顔を歪めた。

 

「大丈夫か」

 

「な、なんとか」

 

「今、回復する」

 

とっさにそう口にしたが俺は回復魔法など会得していない。

 

だが自然に頭のなかに詠唱文が浮かびできるような気がした俺は詠唱をする。

 

「清らかなる生命の風よ、失いし力とならん!ケアル!」

 

詠唱を完了すると青い少量の光が圭を包み込み傷を癒していく。

 

「凄い…痛みが引いてく…」

 

「…この魔法…まさか」

 

真相心理で奴がいっていた聖騎士伝説のないよう通りなら…

 

「な、なんだ…ベルカでも…ミッド式の魔法でもない…」

 

通信越しのウェルの声が震えていた、先程使った魔法がなんなのかわからないからだ。

 

「その二つの基礎術式を除いた場合…答えは1つ…古代魔法だ」

 

古代魔法…古代ベルカ時代より前に産み出されたという魔法の原点にして今は(俺を除いて)誰も使えない失われた魔法…記載されている書物曰く、命が消えそうな人間を呼び戻す魔法がある…また曰く、人の体内時間を早めたり、遅めることができる…また曰く、隕石さえも落とすと…俺達が使うデバイスを通して使う魔法よりメルヘンな魔法が古代魔法だ、聖騎士伝説事態、かなり有名な文献であったから、古代魔法は科学者なら誰しも一度は興味を持つほどである。

 

実際使った俺も完全にデバイスなし…というより、演算なしで使用できたことに驚いている位だ。

 

「古代…魔法だって…失われた魔法を何故お前が使えるんだ!」

 

「俺も突然だったから驚いてるが…あるとすれば聖騎士伝説…お前も知ってるだろ?」

 

「ああ、あれが唯一古代魔法のことが多く記載されているからな……まさか…!そんなバカなことがあるのか!?あれは空想上のものでは」

 

大方のことは理解したのか焦り始める。

 

「俺もそう思っていたんだがな…というか、暗黒剣じたい、失われた魔法だったんだろ?ならあり得るだろ?」

 

「…気が変わったよ、僕と一緒に来ないかい?」

 

「…なんだと?」

いきなり、手のひらを返したかのようにウェルが俺を誘ってきた。

 

何が狙いかは大体わかるが…

 

「あの古代魔法を使えることができる君は次元世界でも希少価値のある人物だ…その古代魔法を研究し…誰でも…古代魔法を使える…古代魔法を蘇らせることができるんだ、それがどれだけ名誉なことだと思う?」

 

「……」

 

「君の名前は未来永劫、英雄として語り継がれるだろう…どうだい?管理局に戻っては来ないかい?となりにいる彼女も助けてあげよう…悪い交渉ではないだろ」

 

「雄也先輩」

 

圭は心配な表情で俺を見つめる…俺の答え…そんなの

 

「決まってるだろ?」

 

「それでは…!」

 

「お断りだ!」

 

「な、なんだと!?き、貴様これだけの名誉を棒に降るというのか!?」

 

俺が提案を断ったことにより焦りを見せる。

 

「俺はもう管理局には局員には戻らない」

 

「何故!?」

 

「俺は六年前管理局に入るとき、俺は父さんと母さんを探すために管理局に入った」

 

六年前…闇の書事件でのリインフォースに見せられた夢の中で俺は確かに父さんと母さんにあった…あれは間違いなく本物の父さんと母さんだった。

 

それがきっかけで俺は次元世界を守護する管理局に入りながら二人を探しだそうと頑張ってた。

 

そのことを話した、クロノとユーノは不可能と言われたけどそれでも諦めたくなかった。

 

「けど、いつからか…俺はその目的を忘れて管理局の操り人形になっていた…それに気づいたあの時…もう遅かった…」

 

あの国の惨状をみて漸く操られていたことに気づいた…もしその事さえ知らなければ今も操られていたであろう。

 

「結果俺は何万という人を死なす根元となった…この重圧に耐えきれなくなって…なんのために戦ってきたかわからなくなって…俺は一度罪から戦いから逃げた…」

 

その重みから逃げた俺は偶然にも初音島に流れ着いた。

 

「俺は逃げた場所でも忘れたくても忘れなかった…でももう戦わなくてもいいっと思ってこんな日常も悪くないと思ったんだ」

 

初音島で過ごした時間は必ず忘れない…あれほど充実した日々はそうそうなかった。

 

「けど、突然この巡ヶ丘に迷い混んでパンデミックが起きてしょうがなく戦うことになった」

 

此処に来てからは音姉や悠里…そして学校で過ごしたみんなを守ろうと戦ってあのときはあまり、悪い気にはならなかった。

 

「けど、裏で管理局が暗躍してるって知ったとき、俺は結局戦いから罪からは逃れられないと思った」

 

だから、俺は何もわからないまま戦場に戻ってきてしまった今までは…だ。

 

「けど、こんな俺にも支えてくれた人たちがいた…いや、局員になる前も支えてくれた人はちゃんといた…けど、次第にそのことを忘れて一人になってしまった」

 

責任や期待の重圧で他に頼る人たちがいなかったから…

 

「そしてさっきまで俺はなんのために戦ってきたか、さえも忘れていた…本当…情けない…だから」

 

アークを構えてベヒモスに剣先を向ける。

 

「もう逃げない!自分の罪から戦いから!」

 

これが俺の決意…そしてけじめだ

 

「あ、あははははっ!!」

 

少しの静粛と共にウェルの笑い声が聞こえてくる。

 

「まさか、管理局のエースと言われた君がはじめは私闘で戦っているなんてね」

 

「別に笑いたければ笑えよ…けどな俺はこの道を進む」

 

「いいだろ、望み通りに殺してやるよ!」

 

ウェルの言葉と共にベヒモスの雄叫びが通路全体に響き渡る。

 

「俺はこれからまだやることがあるんだ!こんなところで死ぬつもりはない!それに俺には帰らないといけない場所がある!」

 

巡ヶ丘中学に残してきた音姉達…心配してるかわからないけど…謝りにいかないといけないしな、勝手に出ていってごめんって…

 

「圭!」

 

「は、はい!」

「こいつ倒して、生きて此処から脱出するぞ!」

 

「はい!」

 

脱出するために目の前の障害を倒す!

 



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chapter21

圭と共に戦うことになり、まず俺は右回りに圭が左回りベヒモスのまわりを駆け出す。

 

そして注意を引き付けるように体に接敵する時に体を切りつけて注意を俺に向けさせる。

 

その間に圭が落としたスナイパーライフルを回収し背後から射撃し痛手を負わす。

 

するとベヒモスが顔を圭の方に振り向かせ尻尾を圭に振り落とす。

 

「っ!」

振り落とす尻尾を横に回避し即座に反撃する。

 

「どこを見ている!こっちだ!」

 

圭に注意がいったベヒモスに俺は光の力を纏わしたアークを振り落とし角をへし折った。

 

苦痛の叫び声を轟かすベヒモスに追撃で圭が尻尾から背中に乗り移って跳躍し背中にベレッタとバイソンの2丁拳銃で連射して背中を攻撃する。

 

「ば、バカな…ベヒモスを…僕のサンプルに圧倒しているだと!?」

 

ウェルの圧巻の声が聞こえてくる。

 

ウェルの思うことも一理ある何せ自慢の生物兵器がここまで一方的追い詰められている光景を画面で見ているのだから。

 

先程と違い、迷いがなく戦う意味を見いだしたのだから動かす体が軽い。

 

圭もワクチンの副作用で身体能力が極限まで上がりその上覚悟を決めているためにその強さはそこら中の人達より強い。

 

その二人でベヒモスに圧倒するほどに匹敵するウェルに取っては悪夢としか思えない光景だ。

 

「こんなことがあってたまるか!お前たちは…全員ここでこの巡ヶ丘で死ぬ運命なんだ!」

 

「死ぬ運命か…岩砕き、骸崩す、地に潜む者たち 集いて赤き炎となれ! ファイア!」

 

また頭に浮かんだ詠唱を唱えて発動したファイアは突如標的となったベヒモスの体に火が燃え盛りベヒモスを苦しめる。

 

魔法が聞かなかったベヒモスがダメージを与えた、古代魔法なら有効か

 

「それがお前がいう運命ならば!」

 

そういってアークをツヴァイフォームに切り替えて光の力を纏わせて刀身を伸ばしベヒモスへと駆ける。

 

「これでぇ!!」

 

圭がバイソンでベヒモスの後ろ右足にマグナムを2発撃ち込みベヒモスの動きを鈍らせる。

 

「俺…いや俺達の力で!」

 

ベヒモスの首元にアークを切り刺して刺したまま背中まで切りつけていく。

 

「運命を!越える!」

 

その声と同時に力一杯にアークを振るい刺していたのを抜いて背中から飛び降りた。

 

ベヒモスは悲鳴ににた断末魔を上げながらその場でバタリと倒れた。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

肩から息をしながら倒れ伏せたベヒモスを見る。

 

ベヒモスは次第に体が消滅していき、最後には消滅したのを確認した後ほっとして緊張がとけた。

 

「やった…やりましたよ!雄也先輩」

 

「ああ」

 

ベヒモスを倒したことを喜ぶ圭、俺も声では喜んではいないが倒したことに喜んではいるのは事実だ。

 

だが緊張はまだ終わってはいなかった。

 

「っ!!圭!」

 

「え?うわっ!」

 

咄嗟に圭を押し倒して落下してくる瓦礫を回避した。

 

「不味い!崩落が始まったんだ!急いで脱出するぞ!」

 

「は、はい!」

 

こんなところで御陀仏などしてたまるか

 

圭に脱出するといって二人で出口へと急ぐ

 

急ぐなかでも崩落は酷くなっていき完全に崩れるのも時間の問題だと目に見えて分かった。

 

そしてここに来た出口へとたどり着いたのだが…

 

「そんな…!」

 

「道が塞がれてる」

 

唯一この基地から出ることができる連絡路が瓦礫の山で埋まっていて通ることが不可能になっていた。

 

「っ!圭!あぶない!」

 

崩落に乗じて壊れた導線から発せられる電気によって爆発かおき爆炎が俺たちを襲った。

side第三称

 

荒廃した巡ヶ丘の地面が大きく揺れる。

 

たった今刑務所とその地下が完全に崩れたのが要因だ。

 

とあるビルの屋上、刑務所の方向を見るものが二人いた。

 

一人は雄也と音姫にとって家族ともいえる人物芳乃さくら、もう一人は雄也達を飛ばした張本人である人物だ。

 

「あ~あ、あの聖騎士、死んじまったな…どうだ?知り合いが死んだ感想は」

 

「…別に、計画さえ成功すれば別に問題ないことだよ、ベクター」

 

雄也達が知るさくらとはかけ離れ冷酷な表情で述べた。

 

「少し前のお前だったら想像もできない答えだな、もし義之だったかあいつが死んでも…」

 

「黙れベクター、僕とお前とは利害しか一致していないんだ…それ以上いうと斬るよ」

 

さくらは携えていた刀をベクターの首筋に当てる。

 

「怖い怖い…その義之だがまだ見つからねえみたいだ…多分帝国領外…連合か教団の勢力下の村町にいるんじゃねえか?」

 

「それならさっさと滅ぼして帝国が治めないとね、不安分子は一欠片も残せないし」

 

刀を首筋から離し鞘に納める。

 

「それでな、たった今面白い人材を見つけたんだが…あのウェルっていう科学者…」

 

「引き入れるの?」

 

「ああ、魔法を無力化できる生物兵器…あれを帝国に組み込めば教団の主力を壊滅できるからな」

 

「好きにすればいい…僕は結果しか見ていないから」

 

さくらはウェルには興味がないのか適当に答える。

 

「にしてもな、初音島…ロストフロンティアに飛ばされなかったな」

 

「そうだね」

 

「運が良かったじゃねえか、こっちに飛ばされてたら間違いなく戦場になってたぜ」

 

「別にどうなっても構わない、枯れない桜はうまくロストフロンティアに転移できたんだ…それで計画は順調なんだね?」

 

「ああ、さてとこの戦いどうなるか…高みの見物といこうじゃねえか」

 

そういってベクターとさくらは転移してどこかへと消えた。

 




作者のつぶやき
ベヒモス戦、以外に長くなった…


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chapter22

1月7日(木)抜けていたところがあったので更新しました!本当に申し訳ございません!


side悠里

 

ゆうくんが居なくなってから二日が過ぎた、外は雨が未だに降っていて外に出るような天気ではない…といっても奴等がいる以上出る気にもならないけど。

 

この生活にも慣れてきて早朝に音姫さんと一緒に朝御飯の支度と屋上菜園のお世話をしてそれから後片付けを済ました後、家計簿に食料と電気の量を確認していた。

 

食料も購買部から調達はしているのだが何時かはなくなってしまうため外にでなければならないがそれ以上に電気が減っている…この二日は雨が多かったから蓄電できていないみたい。

 

「どうしましょうか…」

 

「電気は極力使わない方が良いね、ランタンとかろうそくとかもあるわけだしそっちを使っていくべきかな…食料は…やっぱり、どこかに調達していかないといけないし…その時は佐倉先生の車で行くべきかな」

 

音姫さんの考えを聞いて深く考える。

 

「確かにそれが最善かもしれませんけど…外には奴等の他にも例の組織の人達も」

 

私が恐れてるのは奴等以上にこの前襲ってきた人達だ。

 

今でもどうしてあんな簡単に殺そうとするのかわからないけど…あれ以上に恐ろしいことはない…外に出れば間違いなく現れるだろう。

 

「確かにそうだけど…それほど数はいないのかもしれない…普通ならまた此処に来ても可笑しくないのに」

 

そう言われてみればそう思えるけどそれは憶測に過ぎないから下手に出るわけには…

 

ゆうくんが入れば楽になるんだけど…

 

「おつかれ、りーさん、音姉」

 

部室にはいってきたのは校舎の見回りに出掛けていた胡桃だ、手とシャベルが水に濡れていることを察するに奴等と戦っていたのであろう。

 

「胡桃、無茶しちゃダメよ」

 

「わかってるよ、少し一階にいた奴等を少し減らしていただけだよ」

 

「もう、無茶してるじゃない」

 

「平気だって雄也に教えてもらったからか」

 

胡桃はゆうくんに戦いかたを伝授してくれたからか奴等が複数相手でも対処できるようになった…

 

「あいつ…無事かな」

 

「大丈夫だよ!だってあんなに強いんだから」

 

音姫さんがいうことは一理あるゆうくんが奴等や例の人達に負ける姿など想像できない。

 

「さてと、めぐねえ達がいる教室に顔を出すとするか」

 

そういって胡桃は由紀ちゃん達のいる教室へと向かっていった。

 

時間が過ぎていき特に何もなく夜になった、明日の不安もあるが大丈夫と自分に言い聞かせながら就寝する準備を進める。

 

「もう11時か…」

 

音姫さんが今の時間をいうと私も時計を見て既に11時になりかけていることがわかった。

 

「それじゃあそろそろ寝ようかしら」

 

そういって寝袋に入ろうとした矢先だった。

「どうも!今晩は!!僕はドクターウェルゥ!!この放送は生存者たち全員に聞こえているはずだよ~外が見える人は外を見るんだ!」

 

眠ろうとしていた私たちを妨げるかのように男性の大きな声が町中に響いたように聞こえる

「な、なんだ!?」

 

みんな眠気など完全に覚めて窓の外を眺めると巨大なコンピューターのようなウィンドウが出現しておりどこかの映像が映し出されていた。

 

「さあ今宵、なんとあと放送を見ながらも僕らに楯突く人が二人も現れたぞ~といっても、一人は元々此方側の人間だった人だけどね」

 

男性の話が進むなか映像に二人の人の姿が映し出される。

 

「りーさん!音姉!あれ!」

 

胡桃が指を映像の方に指す。

 

胡桃がいっていることはわかるその映像に映し出されている人物私たちのもとへ去って行方を気にしていた人がそこにいた。

 

「ゆうくん!」

 

「雄也くん、よかった…ぶじだったんだ」

 

画面越しであったが生きていたことに頬をにやけさせた。

 

すると画面はゆうくんの姿をズームさせる。

 

「まあ片方だけ紹介しておこう、今映っているものこそが元僕ら側、今は完全な敵側となった期待の四大エースの一人、その名についた二つ名は禍々しい名前だが暗黒騎士!月宮雄也だ!」

 

そのゆうくんの自己紹介に私は耳を疑った。

 

声の主はゆうくんが元々例の人達と同じ組織に所属していたといっているのだ

 

「ゆうくんが…黒幕の組織に…いた?」

 

胡桃達とそれを聞いて呆然としたがそんな私たちを待ってはくれず話は進んでいく。

 

「こんな前座はどうでもいい!さっさと本題に入ったらどうだ!」

 

呆然としていた私たちを正気に戻したのはゆうくんの声だ、話からこの放送が行われる前に何かあったのだろうか

 

「そうだね、今回、この放送を流した理由は簡単に言うと僕の研究成果と戦ってもらうためさ…所為の公開処刑だね」

 

「ようは、逆らえなくするためか」

 

公開処刑その言葉に寒気を感じた、奴等は私達に抵抗は無意味だと示すためにこんな放送をしているのだと考える。

 

そうしてゆうくんがいる場所が動いているのか扉が自働に開くと中からは化け物が出てきた。

 

「ば、ばけ…もの…」

「なんだよ…あれ」

 

あまりの怪物に私と胡桃は恐怖で口を漏らす。

 

「何…あれ」

 

「おいおい、何でこんなもんが地球にいるんだよ」

 

ゆうくんと私達と同じ制服…リボンから一年下の女の子も怪物に目を釘付けにしていた。

 

「君も知っているだろ?僕が生物学の研究者だってことは」

 

「つまり、個人的な目的ってこういうことか?」

 

画面越しでウェルという人とゆうくんの話が成り立っていた、何か個人的な目的に心当たりがあるようだ。

 

「試作品ベヒモス改…ある場所から持ってきて研究していたサンプルさ…さあ、ショーの始まりだ!」

 

ベヒモスと呼ばれた化け物は雄叫びをあげてそれに応じてゆうくんはあのときの剣を女の子も何処で手に入れたのかわからない拳銃を手にしていた。

 

「無理だ…あんなのに勝てるわけ」

 

胡桃も奴等や例の人達が相手だと思っていた矢先化け物が出てきてあれに勝てないと口を漏らす。

 

だがゆうくんは戦うつもりだ。

 

「全く!まさか、危険生物と戦うことになるとはな!」

 

映像に映し出されているゆうくんは臆することなく懐に飛び込んであの武器で攻撃を仕掛けていた。

 

「すごい…」

 

どうすればあれほど戦えるのか疑問に思えるがこんどは怪物の角でゆうくんを刺そうとしていたが表情はいたって冷静だった。

 

だが次の瞬間その冷静は崩れてしまう角の攻撃はせず尻尾でゆうくんを攻撃しようとしていた。

 

ゆうくんも黙って食らおうとしておらず左手をつき出して三角形の紋様が現れた簡単に壊れてそのまま尻尾に叩かれそのまま壁に激突させられた。

 

「いやあぁぁぁぁぁっ!!」

 

由紀ちゃんが悲鳴をあげる、私も吹き飛ばされたことで悲鳴をあげたいが声もあげられない。

 

「先輩!この!」

 

女の子がライフルを持って射撃している怪物に当たっているが全然怯んでいない。

 

「嘘だろ、こんなのって…ありかよ」

 

何発も射撃されていて未だに倒れないことに胡桃は絶望していた。

 

あんなのに襲われたら私たちは確実に死ぬ。

 

怪物は女の子の目の前に迫っていて爪を振り落とす。

 

「やらせるかぁ!」

 

すごい早さでゆうくんが間にはいって攻撃を受け止めた。

 

「ゆうくん!」

 

あの攻撃で凄く痛そうなのにまだ動くなんて…

 

「直ぐに後方へ!」

 

「は、は…ごほぉ!げほぉ!」

 

ゆうくんが受け止めている間に女の子は後ろに下がろうとしていたが口元を手で押さえて手には血が付着していた。

 

「え?…はぁ…はぁ…なん…ごほぉ!」

 

「ふむ、漸く効いてきたみたいだね」

 

「効いたって…なにがだ!」

 

「まだ量産には出来ていない新型のウイルスだよ、これはリンカーコアを所持しているものだけが感染しないタイプでね…どうやらうまくできたようだ」

 

新型ウイルス?リンカーコア?全くわからない単語が飛び出てくるが何となく女の子の状態に察知がついた。

 

「わ、たし…感染…した?」

 

女の子はやはり感染してた…奴等に噛まれていないとすると…まさか空気感染?そんなの防ぎようがない。

 

考えるなかでも映像は続いていきゆうくんが防御が崩されて左肩を出血するなかあの例の人を消した斬撃を飛ばした後ゆうくんは女の子を担いでその部屋から出ていった。

 

映像は部屋を抜けて通路を進んでいく。

 

今のところゆうくんは見つかっていない、このまま逃げてほしいと祈る。

 

「月宮くん、無事だといいけど…」

 

めぐねえも不安の声を漏らす。

 

「やあやあ、聞こえているかい?ユウヤ・ツキミヤ、今のはこの基地を完全放棄するということでね、今自爆装置を押したんだ、後数三十分もすれば基地は崩壊する、さあ、急がないと死んじゃうぞ~」

 

「そん…な…」

 

急いで出ていかないといけない理由までつけられて完全にゆうくんが追い詰められていく。

 

そして崩壊が徐々に近づく基地の通路を怪物は徘徊していき角を曲がったとき、ゆうくんが見つかってしまった。

 

「ゆうくん!」

 

見つかってほしくなかった…けど此処で疑問が現れた。

 

女の子が居なくなっているということだ…まさか…

 

「漸く見つけたよ…もう一人はどうしたのかな?」

 

「あいつなら逃がした…これ以上巻き込めないからな」

 

よかった…とほっとしていた…まさかゆうくんが殺したと思っていたからだ…感染の方はどうやったかはわからないけどそっちも何とかしたのだろう。

 

「怪我を負い、しかも、仲間もいないこの状況…今の君に何が出来るかな?」

 

けど状況は悪化したといってもいいゆうくんは完全に劣勢だ。

 

「何が…出来るかか……勿論、ベヒモスを倒す…今ならあれを使うのにもってこいだろ」

あれ?とは一体なんだろう、こんな状況でも勝機があるというのか。

 

なにやらゆうくんが一人で口論していると話がまとまったようだ。

 

「行くぜ…ダークフォース…発動!」

 

ゆうくんの体が黒い何かを纏い顔をからかなりの苦痛をしているのがわかる。

 

「なにこれ…この感じ…」

 

音姫さんがなにやらぶつぶつといっているが気にするときではないために聞き流す。

 

動き出したのは一瞬だった

 

目にも止まらない早さであの怪物をなすすべもなく圧倒している。

 

「す、すごい…これなら倒せるかも」

 

「うん、そう…だねけど…」

 

「音姫さん?」

何故か言葉を詰まらせる音姫さん何処か悪いことがあったのかしら?

 

音姫さんのその嫌な予感は直ぐに的中した。

 

「ぐっ!ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

止めを刺そうとしていたゆうくんが体制を崩し悲鳴をあげた。

 

「ゆうくん!?」

 

怪物はゆうくんに足を振り落とし壁に激突させた。

 

そのあとゆうくんは一歩も動かない。

 

「うそ…ゆう…くん…」

 

「りーさん!」

 

足を崩してその場で座ってしまう、それを見て胡桃が気にかけてくる。

 

「そうか、先ほどの魔法は自らの体を無理矢理限界以上に引き出す自己ブースト…そしてそれもあと少しといったところで切れてしまったようだね…いやあ、危なかったよ…こんなところで貴重な僕のサンプルを失うところだったよ」

 

「魔法やっぱり、ゆうくんは…」

 

映像は動かないゆうくんに怪物が迫っていく。

 

「雄也先輩!」

 

その声と共に銃声が鳴り響く。

 

現れたのはゆうくんが逃がしたと思っていた女の子だ。

 

おそらく戻ってきてしまったのだろう。

 

「死んでもいいと思ってた…だけど、この世界で奴等になりたくないと思って自殺することも考えたこともある…けどね、先輩にあって…何より美紀を残して死ぬなんて怖くなった…今でもあの部屋に閉じ籠っている美紀を助けに行かなきゃいけないんだ」

 

自信の心境を語ってから銃口を怪物に向けた。

 

そしてそこから女の子が怪物と相対する。

 

驚くべき身体能力で怪物を追い詰めていくが一瞬の油断で怪物の攻撃を食らってしまう。

 

「負けて…たまるかぁ!!」

 

空中に放り投げられているなかで反撃で怪物の目を潰した。

 

そして投げられている女の子を救ったのは目を覚ましたゆうくんだった。

 

「ゆうくん!」

 

「よかった、月宮くん」

 

起き上がった後、女の子が痛みで苦痛なのを見てゆうくんが謎の詩を綴ると女の子に青い光が包む。

 

「な、なんだ…ベルカでも…ミッド式の魔法でもない…」

 

「その二つの基礎術式を除いた場合…答えは1つ…古代魔法だ」

 

また私達にはわからない話が続き、掌を返したようにゆうくんに組織に戻るように行ってきた。

 

「君の名前は未来永劫、英雄として語り継がれるだろう…どうだい?管理局に戻っては来ないかい?となりにいる彼女も助けてあげよう…悪い交渉ではないだろ」

 

「お断りだ!」

 

「な、なんだと!?き、貴様これだけの名誉を棒に降るというのか!?」

 

ゆうくんは誘いを断った…迷いも戸惑いもその顔からはない。

 

「俺はもう管理局には局員には戻らない」

 

「何故!?」

 

「俺は六年前、管理局に入るとき、俺は父さんと母さんを探すために管理局に入った」

 

「けど、いつからか…俺はその目的を忘れて管理局の操り人形になっていた…それに気づいたあの時…もう遅かった…」

 

「結果俺は何万という人を死なす根元となった…この重圧に耐えきれなくなって…なんのために戦ってきたかわからなくなって…俺は一度罪から戦いから逃げた…」

 

「俺は逃げた場所でも忘れたくても忘れなかった…でももう戦わなくてもいいっと思ってこんな日常も悪くないと思ったんだ」

 

「けど、突然この巡ヶ丘に迷い混んでパンデミックが起きてしょうがなく戦うことになった」

 

「けど、裏で管理局が暗躍してるって知ったとき、俺は結局戦いから罪からは逃れられないと思った」

 

「けど、こんな俺にも支えてくれた人たちがいた…いや、局員になる前も支えてくれた人はちゃんといた…けど、次第にそのことを忘れて一人になってしまった」

 

「そしてさっきまで俺はなんのために戦ってきたか、さえも忘れていた…本当…情けない…だから」

 

「もう逃げない!自分の罪から戦いから!」

 

「ゆうくん」

気づいてあげられなかった。

ゆうくんは必死に両親を探していたんだ、けど回りにな頼れなくて、後悔して…逃げて…どれだけ苦しかった…辛かったか想像もできない。

 

パンデミック初期でも私たちを守るために戦ってくれた、本当はもう戦いたくなんてなかったはずなのに

 

けど、黒幕が出てきたとき、ゆうくんはどれだけ悩み考えていたのだろう…私達にもなにかできたのてあろうか。

 

「あ、あははははっ!!」

 

そんなゆうくんの決意を彼は嘲笑った。

 

「俺はこれからまだやることがあるんだ!こんなところで死ぬつもりはない!それに俺には帰らないといけない場所がある!」

 

帰る場所…それを聞いてみんなどこなのか気がついた。

 

「月宮くん…」

 

「全く帰ってきたら説教だな」

 

「そうだね、もう何処かへいったら駄目って」

 

みんなに少し笑顔が戻った。

 

 

そしてまた戦闘が始まった、だが今回はゆうくんと女の子が怪物を圧倒していた。

 

「ば、バカな…ベヒモスを…僕のサンプルに圧倒しているだと!?」

 

二人ともうまく集中砲火されないように攻撃しあっていた、本当にすごいと思う。

 

「こんなことがあってたまるか!お前たちは…全員ここでこの巡ヶ丘で死ぬ運命なんだ!」

 

「それがお前がいう運命ならば!」

 

「俺…いや俺達の力で!」

 

「運命を!越える!」

 

その声と共に決着がついた。

 

怪物は倒れ伏せ体が消滅した。

 

つまり勝ったということだ。

 

「す、すげえ、本当にたおした」

 

私たちは怪物を倒したことよりゆうくんが生きていることに嬉しく思った。

 

だが…

 

「っ!!圭!」

 

ゆうくんが女の子を突き飛ばして落石を避けさせる。

 

そうだ!崩壊まで時間がない!

 

ゆうくんたちも脱出するために出口へと走っていっている。

 

「たのむ!間に合ってくれ!」

 

みんな脱出するように声援を送るも検討むなしく出口は瓦礫で塞がっていた。

 

「嘘…だろ」

 

「そんな…嫌だよ…帰るって…いったじゃない…」

 

信じたくない…きっと脱出…

 

「っ!圭!あぶない!」

 

ゆうくんの叫び声と共に爆発が起こりそこで映像は切れた。

 



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chapter23

作者の呟き

コメントほしいな~


side胡桃

 

「お疲れさま恵飛須沢さん」

 

何時ものように見回りを終えて帰ってきたら部室で作業をしていためぐねえが声をかける。

 

「めぐねえこそ、疲れてないの?かなり無理してるはずなのに」

 

「もう、めぐねえじゃなくて佐倉先生でしょ?私になんて若狭さんと朝倉さんに比べたら」

 

そんな話をしていると音姉と由紀が入ってきた。

 

だが音姉の顔色は悪くまだ引きずってる様子が見られる。

 

「音姉、本当に大丈夫?」

 

「ううん、心配しないでわたしは大丈夫だから」

 

あの由紀でさえ、今の音姉を心配してるのだ…大丈夫といっているが絶対大丈夫ではない。

 

あれから…あの放送から既に4日が過ぎていた。

 

あの後すぐりーさんと音姉が倒れた、そのあと一夜明けたけど目を覚ましたのはいいけど二人とも脱け殻のようになっており、精神的に危険な状態に陥っていた。

 

音姉はようやく完全というわけではないが立ち直った。

 

「あの…若狭さんは…」

 

音姉がりーさんが今何処にいるか聞いてきて私たちは顔をうつむく。

 

「若狭さんは…今日もあそこに…」

 

「そう…なの…」

 

事前に知っていたから理解をした音姉も顔を俯く。

 

「私ちょっと見てくるよ」

 

「気を付けてね恵飛須沢さん、門を閉めたけど奴等は入ってきてるかもしれないし」

 

「わかってるよ」

 

シャベルを背負い部室から出て『階段で一階におり本校舎から出て体育館の二階のとある部屋へと向かった。

 

なんでここまで移動できるかというとこの4日間で奴等と管理局を両方同時に相手をするのは完全に危険だと踏んで奴等が少ない夜を狙って校門を封鎖し奴等を敷地内に入れなくさせた。

 

これにより、たまに入ってはくるが前回より奴等との遭遇するのは減った。

 

勿論、学校内などで奴等がいるがそれでも少数であるから油断さえしなければ私ても簡単に倒せる。

 

来る途中でも奴等はいただが、全員倒されている…共通して頭に何かが突き刺さって死んでいる…これをやったのは誰かは既に想像できるが。

 

そして目的地である弓道所にたどり着いた。

 

中は敷かれている畳は血で汚れて壁や装飾品も荒れているなかそこに一人たっている人がいた。

 

その人は手に持つ弓の弦を引き、つがえた矢を放ち20はある離れた的を射抜く。

 

「そろそろ帰ってきたらどうだ?りーさん」

 

弓をもち、顔をもかなり隈など出来て酷くなっているがこれが今のりーさん…若狭悠里である。

 

「何しにきたの…胡桃」

 

第一声は予想はしていたけど少し前のりーさんならあり得ないと思うくらいの冷たい言葉だ。

 

「みんな心配してりーさんの様子を見にきたんだよ…まあ顔からしてあんま寝れてないみたいだな…」

 

「別に私の勝手でしょ?」

 

これまた前のりーさんでは言わない言葉だ…

 

この4日間で一番変わったのはりーさんだ。

 

あの日から丸一日塞ぎ混んでいたのだが、次の日には居なくなっていた。

 

あの時点で門だけは閉めることに成功していたので急いで学校中を探し回って見つけたのもここだった。

 

あのとき勝手に居なくなったりーさんを怒鳴った…けどそこで帰ってきた言葉は

 

「それで?」

 

あまりにもりーさんが言いそうにない言葉で立ち尽くした私にりーさんは話を続けた。

 

「私ね、決めたの…ゆうくんを殺したあいつらを…管理局を許さない…だから管理局を潰す…組織の人間全員殺す、一人も残さずに殺してやるって…」

 

その時のりーさんの瞳は完全にゆうくんを殺した復讐の目になっていた。

 

それからりーさんは食事などの時間以外はここにいる。

 

「なあ、りーさん、頼むから復讐なんて止めてくれ…りーさんが憎んでる気持ちはわかる…私だって許した訳じゃないし…けど!雄也自身、りーさんにそんな復讐なんて望んでないはずだ!」

 

第一死んでいないかもしれない…実質死んだところをこの目で見たわけではないのだから。

 

「胡桃に何がわかるの!?この苦しみが!私にとって…ゆうくんは大切な…大好きな人だった!…本当に失ってから気づいた…ゆうくんが好きだって…」

りーさんの気持ちはかなりわかる、私も先輩のことが好きだったし、あの放送を見て怒りを覚えて殺したいと思ったこともある…けど

 

「お前は…俺みたいに殺戮者になるなよ」

 

雄也のあのとき言った言葉で殺したら駄目だと自分に言い聞かせてやってきた。

 

「雄也は私に殺戮者になるなっていった…あのときはどういう意味なのかも知らなかったけど4日前にようやくわかった…だから、私はりーさんを殺戮者なんかにさせない…」

 

そしてあいつが帰ってくるここを守るこれが私の決意だ。

 

「……少し一人にさせて」

 

「わかった、昼には戻ってきてくれよ」

 

そういってりーさんを残して部室に戻ることにした。

 

帰り道の途中何故か奴等の数が多かった。

 

何故と思ったがその思考は次瞬間悲鳴が聞こえてきた。

 

「この声…由紀!?」

 

何かあったのだと思って邪魔な奴等を最低限で一掃し二階に差し掛かるとバリケードが崩れていることをみて奴等ではなく管理局だとわかり悲鳴が聞こえた場所へと辿り着くと左腕なら血が流れているめぐねえと後ろには由紀と音姉、めぐねえの前にはあのとき雄也によって退いた管理局の人間がいた。

 



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chapter24

作者から一言

メリークリスマーーース!!



「まだ、獲物がいたか」

 

局員は後ろを振り向くと不気味な笑みでこちらを睨む。

 

「恵飛須沢さん!逃げて!」

 

めぐねえの悲痛な声で逃げるように言われるが見捨てるつもりはなかったのでシャベルを構える。

 

「全く、まさかまだここにいるなんてな…まあいい、たっぷり味会わせてやるよ!」

 

そういって局員は以前とは違う槍を振り回してくる、それを後ろに下がって避けた。

 

「ああ、なんだ?さっさと狩られろよ!」

 

[あ~俺は気分が乗らないぜ]

 

「うるせえ!お前は俺に使われていればいいんだよ!」

 

謎の声が槍から聞こえてきてそれに局員が激怒した。

 

「おらおらおら!」

 

荒く振りかぶる攻撃は攻撃が来るまで掛かるためにシャベルの棒状の所で防いでいく。

 

[中々やるじゃねえか嬢ちゃん]

 

「何野蛮人を誉めてんだよ!このポンコツ!」

 

何故か槍に誉められた…

 

「っ!おりゃぁ!」

 

大きな隙をみてシャベルを切り上げて槍を飛ばしてそのままシャベルで脇腹を強打させる。

「あ、ぐぅ!」

 

短い悲鳴を鳴らすあいつにシャベルの先を突きつける。

 

「終わりだこのまま帰ってくれ…」

 

「…ふざけるなぁ!!!」

 

私の警告に激昂する局員、だが今完全に武器を持っていない状況で何もできないはずだ。

 

[嬢ちゃん!あぶねえ!]

 

あの槍が私に警告するとあいつの手には前に所持していた槍が出現し切り上げられて咄嗟に防ごうとしたシャベルを真っ二つにして私の体に浅い傷をつけた。

 

「ああっ!?」

 

「恵飛須沢さん!!」

 

衝撃でその場で倒れ伏せる。

 

その間にもあいつは私に近づこうとしている間違いなく殺す気だ。

 

動かなきゃ…

 

痛みをこらえながら後ろの階段から急ぎ走りでかけ上がってくる足音が二つ聞こえてきた。

 

なんだ?りーさんじゃ…ないよな

 

「もうやめるんだ!」

 

上がってきたのは二人とも男性でその一人が私の前にたって静止をするようにいった。

 

「あ!?どういうことだよ?」

 

「兄さん!」

 

「もう殺すのは止めてくれ!」

 

「てめえ、本気でいってんのか?俺達に取っては都合が悪いやつらなんだぜ」

 

局員の話からいまきた人達も同じ局員だと頷ける。

 

「それでも、僕は命が消えていくところを見逃すことができない!頼む!」

 

「…しゃあねえな」

 

必死の懇願からあいつは構えていた槍をおろした。

 

「それじゃあ…っ!?」

 

「お前も殺すわ」

 

一瞬だった、直ぐに槍を構え直して局員の胸を一刺しで貫いた。

 

「ごふぅ!」

 

「兄さん!!!」

 

一突きにされた局員は口から大量の血を吐いてそれをみて弟である彼は悲痛な叫びをあげた。

私はそれ以上に仲間であるはずなのに殺したということに血が上る。

 

「お前…仲間を何で刺した!?」

 

「ああ!?そんなの邪魔だからに決まってるだろ?裏切りは重罰だそれにあのポンコツを作ったやつだしな…殺して清々した」

 

仲間を殺して清々しただと?こいつ…!!

 

「お前ぇぇぇぇぇ!?」

 

兄を刺されて弟であろう局員があいつに突っ込む。

 

「お前も裏切るんだな?なら兄弟一緒にあの世に送ってやるよ!!」

 

突き刺していた槍を抜いて今度は弟を刺し殺そうと突きを入れるが少し横に避けて突きを避けてそのまま接近して顔面に拳を入れた。

 

「ぐふぁ…!?この魔力も少ししか持たないしたっぱが!?」

 

顔面を打たれて完全に激怒した、あいつは槍を振り回すが最小で避けて弟の拳と蹴りの連撃を食らわせる。

 

「ぐっ!」

 

その間に私は立ち上がっることはできたが今の私に何ができるか

 

「…そこの…君…」

 

かすれる声で私に呼び掛けたのは先程刺された局員だ。

 

「君達…に…頼みが…」

 

「喋るな!しっかりしろ」

 

傷から大量の血が流れているのをみて敵だったはずの人を心配する、いや、そんなの今はどうだっていい。

 

「弟…を…頼む…ジュ…ドは…まだ…はいっ…て…浅い…だか…らあいつに…罪は…」

 

何となく途切れ途切れだが彼が言いたいことは何となくわかった。

 

私は彼の最後の話を聞いてるしかなかった。

 

「うぐっ!」

 

ここから少し離れたところで彼の弟があいつと戦っていたが肩を槍が掠めて血が少量飛び出し少し顔を歪めている。

 

あのままじゃ不味い!駆けつけたいが今の私には…

 

[嬢ちゃん!武器がいるなら俺を使え!]

 

そんな悩みを解消する声は先程の捨てられた槍であった。

 

[俺だってマイスターがこんなにされて今弟が殺られそうになって黙ってるわけにはいかないんだ]

 

どういう仕組みかは全く知らないけど今はそれが一番いいかもしれない。

 

そう思って捨てられていた槍を拾って手に持ってあいつに不意打ちで脇腹に棒状の所で強打される。

 

「き、きさまぁ!?」

 

一撃で怒りの矛先は私に代わり槍を振るってくるがそこは対処して防ぐ。

 

[いい腕してんじゃねえか嬢ちゃん]

 

「なんだ!?魔力が消費が激しいだと!?」

 

[そいつはな、武器強化に使ってる魔力を俺がぶつかるときに吸収してるからな…]

 

「な、なんだと!?」

 

[ありがたくもらった魔力は使わせてもらってるぜ]

 

「こ、このポンコツがぁ!!」

 

…何をいってるのか全くわからないためについていけない。

 

「おりゃぁ!!」

 

そんなこと考えるのは止めて、あいつの体制を崩すと後ろにいた彼の弟があいつに取っ組み合い窓に近づいて窓の外へと投げ飛ばす。

 

「この!」

 

「うわぁ!」

 

飛ばしたのだが最後の抵抗かあいつは彼の弟の腕を持ってそのまま一緒に放り出され咄嗟に彼の弟の手を握って落ちずに保っている。

 

「くそ…!」

 

「僕はいい!このまま落としてくれ!」

 

「なっ!お前正気か!?」

 

下には奴等が群がっている落ちれば最後死ぬのは確実だ。

 

「バカ言うな!絶対引き上げる!」

 

お前の兄にも頼むと言われたしな、だが引き上げるにも一番したのあいつが落ちてくれれば…

 

「あいつだけ落ちてくれたら…」

 

私は思っていたことを口に漏らす、といっても言っても何も変わるわけじゃあ

 

「あいつを落とせばいいのね」

 

不意に漏らした言葉に返答したと思ったら私の横の窓から体を乗り出して素早く放ち、放ったものは一番したのあいつの肩に刺さった。

 

「っ!!」

 

痛みから手の力が緩みあいつは彼の弟のつかんでいた手を誤ってはずれ下へと落ちていった。

 

「くそ!く、くるな…くるな!下等生物!俺は…俺は…」

 

 

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!?!?!?!?!?!?!!!!!」

 

大声の断末魔が響きあいつは奴等の群れの中に貪られながら消えていった。

 

「せーの!」

 

奴等の貪りが続くなか私はなんとか彼の弟を引き上げることに成功して気を緩めたからか疲れが一気に出てくる。

 

「助けてくれて…ありがとうございます」

 

「別にいいって…」

 

彼を助けることができたのも束の間先程援護をしてくれたりーさんがあろうことか彼にまで弓を向けていた。

 

「りーさん!?」

 

「この人も管理局の人間なんでしょ?だったらゆうくんの敵だから!」

 

管理局の人間を目の前にしたことから彼を殺そうと弦を引いていく。

 

そんななか私は咄嗟に彼の前にたった。

 

「待ってくれ!りーさん!こいつは敵じゃない!私や由紀達を助けてくれたんだ」

 

「若狭さん、雄也くんは復讐なんて望んでないよ、だって雄也くんだよ、若狭さんが一番よく知ってるはずだよ」

 

「私は…私は…」

 

弓を下ろしその場でへたりこむ。

 

「うっ!…ジュ…ド」

 

「っ!!兄さん!!」

 

掠れた兄の声に彼は反応して兄のそばに駆け寄る。

 

「だめ、出血が止まらない」

 

すぐ横で看病していた音姉とめぐねえは止まらない出血を見て打つ手がない状況だった。

 

「今止血するから!」

 

そういうと雄也が使っていた物と同じ陣が現れて両手をその人に当てるがその人は首を横を振りそれを拒んだ。

 

「今…回復…魔法を…使っても…もう……手遅れ…」

 

「そんな!まだ!」

 

「回復…魔法は…傷ついた…二人に…使え…」

 

「兄さん…」

 

恐らく二人と言うのは私とめぐねえのことをいっているのであろう。

 

「急げ…あの…バリケード…が壊れているんだ…生物…兵器は来るぞ…」

 

「っ!!」

 

確かに既に下の階からは呻き声がかなり聞こえてきていた。

 

「直ぐにバリケードを!」

 

「早く…!もう救えない…命より…救える命を…っ!!!」

 

そういうと体はピクリとも動かなくなり息を引き取った。

 

「兄さん…兄さぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!」

 

彼は兄の亡骸の前で涙を流した。

 

 

 



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chapter25

この話からゼルガーさんの個人サイト真・ゼルガーの部屋のアニメ大好きさんの投稿小説『初音島を守る魔法使い』とのコラボが始まります。


管理局襲撃から一夜が開けた。

奴等はグラウンドでうようよとさ迷っていているが何とか一階の半分を制圧することが出来たが油断を残せない状態だ。

 

りーさんは少しだがいつものように戻ったが、私と同じように奴等と戦ってくれている。

 

 

本当は奴等を倒すのは私だけでいいんだけど…

 

そして管理局の元局員だったジュード・マティス

 

彼は兄の死んで落ち込んでいたが「くよくよしていたら兄さんに笑われる」といって夜には立ち直って私達に色々と情報を提供してくれた。

 

管理局の実態、次元世界、魔法、巡ヶ丘にいる局員の人数など、その他もろもろ

 

その説明で昨日は夜までかかった。

 

そして私は朝の見回りを終えたあと部室に戻って来ると中ではりーさんが朝ご飯の支度を見ていた。

 

「あ、胡桃お疲れさま、もう少し待ってて、もうすぐご飯できるから」

 

小さい台所で調理しながら顔をこちらに向けて微笑んで私に語ってくる。

やっぱりりーさんはこうじゃないとな

 

「う~んりーさん、胡桃ちゃんおはよう」

 

そこにまだ眠い顔をしている由紀とめぐねえ、その二人をつれてきたジュードと音姉だ。

 

「おはよう、ちゃんと眠れたか?」

 

「うん、でもまだ眠りたいないかも」

 

「まだ寝る気か!」

 

「もう、丈槍さんったらちゃんと、しっかりしないと駄目ですよ」

 

「今のめぐねえに言われても説得力ないですよ」

 

りーさん、ナイスツッコミ

 

「めぐねえ…じゃ、ありましぇん…」

 

「はいはい」

 

完全にまだ睡魔に襲われてるな

 

「あれ?由紀その変な指輪なんだ?」

 

何故か由紀の手には変わった指輪があって昨日までにはそんなもの持ってなかったと思ったんだが

 

「ここに来る途中で拾ったんだ」

 

なんか、由紀が持つ指輪を見てるとなんか不思議な気持ちになるけど…気のせいだよな

 

「ご飯できたからみんな席に座って」

 

とりあえず、ご飯を食べますか

 

……

 

食事を済ませ音姉が食器の片付けなどをしている最中私とりーさんで少し今後のことを相談することにした。

 

「やっぱり、食料が心許ないわね…それに電気の方はもっと深刻かもしれない」

 

「そうだな、電気が使えなくなったら困るしな」

 

私たちの生活で電気があったからここまで生活が快適だったということもあるから何とかしたい問題なのはわかるがどうすればいいか…

 

「それで少しわかったんだけど、発電している電力がどこかへ流れていることがわかったの」

 

「本当なのか!?」

 

それが本当なら一刻も早く停止させて電力をこっちに回せばこの問題を解決することができる。

 

「それでどうすれば電力をこっちに回せるんだ!?」

 

「実は…」

 

解決策を聞こうとする私に招かれていない来客者がやってきた。

 

[嬢ちゃん、取り込み中だが生命反応が1つ敷地内に入り込んできたみたいだぜ]

 

私の手首についてる…アクセサリー…デバイスの待機モードの槍は親切なことに人が来たことを教えると私はこっそりと窓の外へと眺めた。

 

「いた」

 

グラウンドで奴等に包囲されているのは人形をした異形の人物で次々と奴等を倒していっていた。

 

「あいつも局員なのか?」

 

[いや、あんな局員は聞いたことがねえが…もしかしたら連絡がとれて後詰めで来た補充員かもしれねえな…]

 

断言はできないけど味方ではない確率が高いってことか

 

「どうするの?胡桃?」

 

すぐ横で既に弓を持っているりーさんが私にどうするか声をかけてきた。

 

「音姉は由紀達を呼んで屋上にいってくれ、あいつが中に入ってきたら、わたしとりーさんで仕掛けてみる」

 

昨日襲われたからな…悪いが手荒いおもてなしといかないとな

 

そういうと私達は部室からでて二階の階段前で待ち受けるとあまり警戒していない動きで上がってきた。

 

「余裕の顔してるな…それじゃあ仕掛けますか」

物陰から飛び出て先制の攻撃を仕掛ける。

 

「え?ちょっ!」

 

奇襲を仕掛けたが先制攻撃はぎりぎり避けられてその後も攻撃を何度か仕掛けるが避けられる。

 

「待て待て待て!まずはその物騒な槍をしまって話そう!」

 

「じゃあ、1つ…お前管理局の仲間か?」

 

「民間協力者ではあるけど…」

 

つまり…

 

「なら叩きのめす!」

 

「何故だ!!」

 

戦闘続行することで相手はツッコミを入れてきたが今はどうでもいいことだ。

 

「こ…のぉ!」

 

防戦一方だった異人は持っていた剣を使ってとんでもない早さで切り崩しそのまま抑えられた。

 

「ぐっ!」

 

「さてと、なんで俺を襲ったのか説めうぇい!!」

 

説明を求めようとしたとき彼の顔の横を矢が掠めそのまま矢は地面を砕いて突き刺さる。

 

驚いたのを好機に蹴りあげて距離をとる。

 

「矢が地面を砕くってどんな威力してんだよ…」

 

「抵抗はやめなさい、さもないと…痛い目にあってもらう」

 

「なんでこんなに物騒なこといわれないといけないんだ!?」

 

いや、管理局の行いを見れば一目瞭然だろ?

 

「若狭さん!大丈夫!?」

 

すると上の階から気になって降りてきたのか音姉が降りてきた。

 

「「音姉!?」え?」

 

言葉が重なった、私と重ねたのは予想外にも彼だ。

 

「何故音姉が此処に…」

 

音姉を知っている口振りだ…何者なんだこいつは…




恐らく今年最後の投稿となります、閲覧者の皆さんよい年末を


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chapter26

明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします


「あの、あなた誰ですか?私のこと知ってる口ぶりですけど…」

 

困惑する私たちの中で音姉もまた見に覚えのない異人に困惑しているようだ。

 

「え?俺だって!桜崎誠だって!」

 

「えっと…誠くん?」

 

「音姉覚えないのか?」

 

「うーん…やっぱり聞いたことないよ…」

 

やっぱり見に覚えがないか…ただ単に錯乱して勘違いしてるだけか?

 

「ちょっと待て…もしかして平行世界の音姉か?それなら…」

 

向こうであの誠という異人はぶつぶつと小声で呟いて何かに気付いた様子だ。

 

「とりあえず…敵じゃないってこと…だよね?」

 

音姉は恐る恐る敵かどうかを確認する。

 

「ああ、何か管理局に因縁でもあるみたいだけど俺はあくまで民間協力者だから管理局の味方じゃない」

 

そういうもつぎの瞬間纏っていた物を解除すると雄也が着ていた制服と同じものを来ている男性に変わった。

 

「あなた、もしかして風見学園の関係者?」

 

「ああ、出来ればその話は落ち着いた所でしたいんだけど」

 

音姉は制服を見て自分のいた世界の人間ではないかと思いそれの確認をとると彼は落ち着いて話せる場所で話すといい、音姉が私達に目線を向けたので別に構わないと頷いた。

 

「それじゃあ、若狭さん達に着いていってね、私は佐倉先生を呼んでくるから先に学園生活部の部室行ってて」

 

「さくら先生?それってさくらさんのことか?それと学園生活部って…」

 

めぐねえのこと誰かと勘違いしてるのか?

 

「まあそれもついたら話すから」

 

話を終わらせバリケードが壊れてないか確認した後部室へと向かった。

 

道中は私が先頭に後ろには彼と最後尾には悠里と彼を挟んだ形で進む。

 

まだ信用はできないというのもあってこれが一番妥当とも言える。

 

そして何も問題はなく私たちの部室にたどり着いた。

 

「学園生活部…」

 

「私たちにとっての家よ」

 

リーさんはそう彼に話した後部室の中にはいる。

 

中にはまだ誰もいない、まあ当然かな

 

「まあ、適当に座れよ」

 

並んでいる椅子に座るように促すと近くにある椅子に座って相対するように反対側の椅子にリーさんと私は座る。

 

「改めて桜崎誠だ、さっきの姿は仮面ライダーウィザード」

 

「恵飛須沢胡桃だ、その…さっきはいきなり襲って悪かった…管理局だと思ってつい…」

 

「若狭悠里よ、学園生活部の部長を勤めているわ」

 

お互いの自己紹介が終わった後部室の扉が開き外から由紀達が入ってくる。

 

「リーさん!胡桃ちゃん!その人が音姉がいってた人?」

 

「え、ええそうよ」

 

「ごめんなさいね、誠くん、この子は丈槍由紀ちゃんにこの学校の先生の佐倉慈先生、それとジュード・マティスくん」

 

「あ、ああ…なるほど桜崎誠です」

 

多分、めぐねえを見て何か納得した表情から恐らく勘違いが解けたのだろう。

 

そんなわけでこの学校にいる生存者が全員揃ったわけでめぐねえ以外は椅子に座って(椅子が足りなかったために)話を再開した。

 

「それじゃあ誠くん、あなたは風見学園の出身で間違いないんだよね」

 

「ああ、本校の一年…こっちの音姉は三年になるんだけど…」

 

「私が…三年?まだ私二年ですよ?」

 

また食い違いが起きた何かおかしいな…こっち?

 

それじゃあまるで音姉が二人いるみたいじゃないか

 

「やっぱりか…音姉は平行世界って知ってる?」

 

「つまり、あなたも朝倉さんと同じ別の地球かや飛ばされてきた…というわけてすか?」

 

「…はい?」

 

困惑の表情を浮かべる桜崎、多分桜崎はこの世界の音姉だと勘違いをしているのだろう。

 

「えっと…誠くんは私はこの世界の住民だと思ってるんだよね」

 

「そうだけど…」

 

「やっぱり、実はこの世界に…初音島は存在しないの…」

 

「…え?」

 

衝撃的な事実に桜崎は拍子抜ける顔をする。

 

「いやいや!そうしたらいったい全体どういうこと!?」

 

「うんとね、話せば長くなるんだけど…簡潔にいうとね、気づいたらこの世界に飛ばされてそれからこの巡ヶ丘の事件に巻き込まれちゃったの」

 

「……つまり、音姉はこの世界じゃない俺ともこことも違う別の地球からきたってこと?」

 

「うん、理解が早くて助かります」

 

「……」

 

理解できたのか無言で頭を抱える。

 

まあ確かにややこしいよなこれ

 

「と、取り合えず…桜崎くんがその平行世界からきたということは解りました…出来ればどうして此処にきたのか教えてくれませんか?」

 

こっちの状況を教える前に桜崎の話を聞いたほうが話せるしな。

 

「えっと、俺はいつも通り、初音島の学校帰りに寄り道して帰っていたんだけど、突然クリアリング…えっと平行世界を越えることができるリングが突然に光だして気づいたら裏路地にいて、直ぐに戻ろうとしたんだけどそのクリアリングを無くしてしまって帰れなくなって…町を徘徊してたらあのゾンビに襲われて…丸一日かけて此処に…」

 

な、なんとも壮絶な一日だな…

 

「なるほど、大体の事情は理解できたわ…今度はこの巡ヶ丘で起きてることを説明するわ」

 

一通りの事情は聞けたから今度は私達の状況を桜崎に話す。

 

「まず、ことの始まりは22日前…この巡 ヶ丘で暴行事件が頻発したの、ただの暴行事件ならまだよかったけど…突然奴等が現れて町中で大パニックに陥ったの、私と由紀ちゃん、めぐねえはその時屋上にいて気づかなかったの」

 

「もう、めぐねえじゃなくて佐倉先生、その後恵飛須沢さんと月宮さんと朝倉さんが来てパンデミックのことを知ったのよ」

 

「その時雄也くんが私を守って学校まで来たのもし雄也くんが居なかったら今頃私も…」

 

そうだよな…雄也がいてくれたからここまで来れたんだ…本当…どうして留められなかったんだろう。

 

「その後、生活範囲を拡大するために少しずつ勢力を拡大していったんだけど、事態は急変したわ、巡ヶ丘全体で放送が流れたの、内容はこのパンデミックが人為的に起きたこと、表立ってはランダルコーポレーションが引き起こしたということになってるけど実は裏では時空管理局が引き起こしたという内容だったの」

 

「…なるほどだから、管理局に敵対してたんだな」

 

「その翌日…此処に管理局の人間が来て…殺されそうになってたの」

 

「もしあのとき雄也が居なかったら…みんな殺されていただろう」

 

あの日の雄也のことは忘れられない…去っていく姿をまだ脳裏にこげついている。

 

「なあ、その雄也って奴は何者なんだ…それに此処にいないみたいだけど」

 

当然と言えば当然か昨日だということはあの放送を見ていないわけだし雄也を知らないはずだ、正直気が重い。

 

「月宮雄也、元時空管理局の第49武装隊所属していたSランク騎士です」

 

雄也について始めに口にしたのは同じ管理局だった、ジュードだ

 

「雄也は平行世界の管理局所属だったのか?」

 

「それはちょっと違うみたい」

 

桜崎は平行世界の管理局所属というがそれをリーさんが否定し桜崎は首をかしげる。

 

「はい?」

 

「ものすごくややこしくて、ゆうくんはこの世界の出身であることを境に音姫さんのいる初音島の世界にたどり着いたと」

 

りーさんが簡潔に話すと桜崎はやっぱり頭を抱えていた。

 

「雄也は黒幕が管理局だってことに負い目を感じて一人で何処かへ行っちまったんだ」

 

あのとき、留められていたら…雄也は死なずに…すんだのかもしれない。

 

「それから二日経過した夜に…管理局による放送が流されたんです、そこに写し出された映像にはゆうくんともう一人女の子が映し出されて…公開処刑で怪物と戦っている映像でした、結果は怪物は倒せたけど…地下基地の崩落に巻き込まれて…ゆうくんは…」

 

自分にいっていて辛くなりりーさんの瞳には涙が滲み出ていた。

 

「もう!もういい!軽率だった俺が悪かった!」

 

流石に泣かれたことに悪気を感じた桜崎は雄也について聞くのをやめた。

 

さてと、後は…管理局がまた来たときのことか…

 

「それで昨日のことなんだがまた此処に管理局が来て私達を殺そうとしたんだがその時私が使ってるデバイスを手に入れたり、ジュードが管理局に離反したり色々あって無事だったんだ、それで今に辿り着くってわけだ」

 

「なるほどな、音姉達も苦労してたんだな」

 

お互いの情報交換が終わり互いの状況を理解できた後、ふと思い出したことを桜崎に

話しかけてみた。

 

「そういえば…その平行世界に飛べる…指輪だっけ?今はそれを探してるのか?」

 

「ああ、それがないと帰れないし…それにあっちの義之や音姉達も今頃心配してるんだろうな」

 

桜崎のいう通りだよな、桜崎にとっては元の世界の生活があるわけだし…

 

「由紀、さっき見つけた指輪見せてくれないか?」

 

「え?これ?」

 

そういって由紀はこの前拾ったという指輪を取り出して桜崎の前に出すと目を開け驚いたいた。

 

「クリアリング!まさか、此処に落ちてたなんて…」

 

「実は由紀が拾ってたんだよ…話を聞いてもしかしたらって思ったけど」

 

「これで、元の世界に戻れますね」

 

元の世界に戻れると示唆するリーさんだが桜崎は何か考えて、考えが纏まったのかそれを口にする。

 

「いや、まだ帰るわけにはいかない、俺も此処に残って心配ないと思ったら帰るよ」

 

「そんな!桜崎くんには帰らないといけない場所が」

 

残るということに驚きめぐねえは桜崎に帰るべき場所があると言うが桜崎は首を横に降る

 

「恩を仇で返すわけにもいかないしな」

 

まあ任せろととても断りきれない様子で桜崎が此処にとどまることが決まった。

 

「さてと、桜崎くんのことも決まったわけだし、そろそろ本題の方に入りましょうか?」

 

「本題?」

 

桜崎のことで決まった矢先、めぐねえが本題にはいると言って私は首をかしげた。

 

「これからみんなで学校の地下に言って食料なんかを調達しようって若狭さんや、ジュードくんに話し合ってたの」

 

「この学校に地下なんてあったのか!?」

 

在校している私達ですら地下なんて存在していたことに驚く。

 

「はい、此処は万が一に備えて地下区画が存在してるんです、それとそれよりさらに地下には管理局が使っていた地下施設があったとどうやら、局員がきた理由はその施設が原因だと思います」

 

ジュードが地下区画について説明してさらにその下には管理局の施設があることに驚き二回も此処に局員がきた理由に納得がついた。

 

「電気も地下に使われている分があるからそれの電源を切ってしまえば電気にも余力ができるから今日みんなでいってみようと思ったのどうかしら?」

 

「私はそれでいいと思うぜ…けど、全員となると帰ってきたときに局員に鉢合わせなんてことには」

 

「それなら任せてくれ」

 

[ガールダプリーズ]

 

そういうと手形の形をしたベルトに先ほどつけた指輪を当てるとメカメカしい赤い鳥が現れて桜崎の周りを飛ぶ。

 

「使い魔みたいなものだ、もし局員がきたらこいつに知らせてもらえる」

 

それは便利だなこれなら不意打ちを食らうことはないだろう。

 

「それじゃあ準備ができたら地下区画に行きましょう」

 

私達の方針が決まり私達は地下に向かう準備を始めるのであった。



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chapter27

side悠里

 

めぐねえの言われた通り地下では何が起きるかわからないから矢の補給や弓のメンテナンスを済ませて十分の準備を整え、今地下への入り口とされている、一階にある保健室に来ていた。

 

「こんなところに地下にいる入り口があったなんてな」

 

胡桃が隠された地下への入り口がまさか、よく人が行き来する保健室にあったことに驚いている様子だ。

 

「ここを知ってるのはランダルコーポレーションの関係者か局員しか知らされていませんし、ここのパスワードは兄さんが残した手帳に書かれてました」

 

そういうとジュードくんが保健室の奥に隠されている扉の電子ロックにパスワードを打ち込んでいきenterを押すとlockと映されていた表示がopenと変わり、扉のノブを引いて中は下へと階段が続いていた。

 

前衛に胡桃とジュードくん、中央に戦えないめぐねえ、音姫さん、由紀ちゃん、そして後衛に私と桜崎さんという隊列で地下へと進んでいく。

 

階段が終わり先は広い通路が広がっていて幾つにも分かれ道が別れていた。

 

「ここが地下区画か…」

 

たどり着いた地下区画に緊張から胡桃は槍を持つ手を強くし辺りを見渡す。

 

[嬢ちゃん、力みすぎだぜ、そんなんじゃ力がうまく使えねえ、リラックスしな]

 

「あ、ああ、ありがとう」

 

胡桃が持つ槍が緊張で力を入れている胡桃にリラックスするように助言で少し肩の力を抜いたようだ。

 

「それじゃあ、二手に別れましょうか、私と丈槍さん、恵飛須沢さん、桜崎くんは左側、若狭さん、朝倉さん、ジュードくんは右側、中央の通路は地下2階に続いてるから合流してから行きましょう、物資はここに来れば手に入れられるから必要最低限でいいでしょう」

 

めぐねえの指示で二手に別れることになり私や音姫さん達は右の通路を進むことになった。

 

一定間隔で部屋があり中はどうやら避難できるように就寝スペースが施されていた。

 

「パンデミックで地上は危険だからね、ランダルコーポレーションがいざってときのために地下に生活スペースを築いていたんだって」

 

資料で知ったのだろうか、ジュードくんがそう説明し次の部屋へと手をかける。

 

「此処は…」

次の部屋は住む部屋とは違いズラリと収納しているケースが並んでいる、恐らくここは倉庫なのだろう。

 

「鉛筆に物差し、消ゴムケースにこんなに」

 

ケースのなかには消耗品がぎっしりと入っており、これもパンデミック対策なのだろうか音姫さんもケースの中を見て驚いている。

 

「多分、何か必要になるかもしれないからだと思いますよ…取り合えず必要最低限のものをもって積めて次に行きましょう」

 

そういって私も鉛筆や消ゴム、今は圏外で使えないかもしれないがいざとなったら使えるかもしれない携帯の充電器等をバックに積めて次の部屋へと移動する。

 

「今度の場所は…」

 

「うわ…これを見ると武器庫だね」

 

次の部屋は重火器…等のものはなく、木刀やパール、弓や矢など使いようでは武器になるものが大量に存在した。

 

「パンデミックに、生き残るための装備だったのかしら」

 

「そうだろうね、若狭さん、矢を持っていくの」

 

「はい、やっぱり、切れると困るので」

 

矢を手にもって筒に入れていく、これだけあれば充分かな?…そういえば

 

「あのジュードくん、聞きたいことがあるんだけどいいかしら?」

 

「なんでしょうか?」

 

「見てもらったほうがいいわね、少し見ていてね」

 

そういって矢を弓につがえ弦を引き、狙いを防弾チョッキに定めて放つと矢は空気を震わせて防弾チョッキを貫通した。

 

「こういうことなんだけど…何かわかる?」

 

「なるほど、恐らく無意識に魔力による武器強化を行っているんです」

 

「武器強化?」

 

「はい、普通の矢ならあれほど威力はありません、ですが魔力を通した矢なら説明がつきます、恐らくこのパンデミックの騒動で魔力の源リンカーコアが開花したんじゃないかな?」

 

魔力…これがゆうくんが使っていた力…なんか不思議な気持ちになる。

 

「ありがとうね、それじゃあ、次のところ行きましょうか」

 

もうここにも用が無くなったから次の部屋に向かった。

それからの調べた部屋は前と変わらず倉庫であり色々と物質を調達することに成功した。

 

そして突き当たりまできたので引き返し合流地点まで戻る。

 

辿り着いたがまだ胡桃達は着いておらず少し待っていると胡桃達が向かった左側の通路から胡桃達が帰ってきた。

 

「りーさん、ただいま!」

 

私達を捉えた由紀ちゃんは笑顔でこっちに駆け出して近づいてくる。

 

「おかえり、由紀ちゃん、それでそっちはどうだった?」

 

「すごいんだよ!物が一杯あった!」

 

由紀ちゃんは、向こうにも倉庫があったのだろう、そこで見た物資を見てはしゃいでる。

 

「りーさん、そっちはどうだったんだ?」

 

由紀ちゃんの後ろからやって来た胡桃達が私達の成果を聞いてくる。

 

「そうね、こっちにも物資が豊富にあったわ、文房具に日用品、それと武器なんかも」

 

「ってことはこっちとあんま変わらないな、っにしてもすごい数だったな」

 

あっちも種類は変わらなかったようだ、それに胡桃もあの量を見て驚いていた様子。

 

[後、嬢ちゃんがゲームがあるんじゃねえか?ってはしゃいでたな]

 

「ガングニール!それは言わなくていいって!」

 

胡桃が持つ槍が胡桃もはしゃいでいたことを口を漏らすと胡桃は聞かれたくなかったのか慌てる。

 

それ以上に気になったのは…

 

「あらあら、いつのまに名前をつけたの?」

 

ここに来る前は名前もつけてなかったはずだけど

 

「いや、誠に言われてなデバイスに名前が無いのも…悪いし、かっこいい名前を考えたらガングニールにしたんだ」

 

なるほどね、確かにガングニールは強そうだしかっこいいしね

 

「あれ?恵飛須沢さん、誠くんの名前で読んでるけど…」

 

「あ、ああほら、名字だと呼びにくいだろ?だから名前で読んでくれって言ったんだ、なあ、誠?」

 

「ああ、胡桃」

 

そうだったのね、まあ、確かにそっちのほうが仲良くなれるだろうしいいかしら

 

「あらあら、それじゃあ私のことも悠里で良いわよ」

 

「そうか、それじゃあそうさせてもらう悠里」

 

さてと、そんなこんなで合流できたわけだしいよいよ地下2階ね

 

「それじゃあ2階に行きましょうか」

話を終わったのを見越してめぐねえがみんなに声を掛けて中央の通路へと進み更に地下へと降りていく。

 

「2階は部屋が二つしかないから別れることもないはずよ」

 

そういって階段が終わり左右には扉と目の前は壁のはずなのだが

 

「これは…!」

 

ジュードが言葉をつまらせる。

 

目の前の惨状は通路には細かく砕けた瓦礫が散らばり目の前の壁があるはずの場所は穴が開いていた。

 

私達は穴に近づきその穴はさらに地下へと続いているのがわかった。

 

「もしかしてこの先って」

 

胡桃が頭のなかでこの先に何があるのかを予想がまとまる、私も胡桃と同意見の考えをしていた。

「多分、地下施設…もしかしたら何かが出てきたのかも」

 

例えばゆうくんが戦っていたあの怪物とか

 

そう考えると身震いで震えてしまう。

 

「取り合えずここの二つの部屋を調べて地上に帰りましょう」

 

めぐねえも長居は無用とおもったのか直ぐに調べることに賛成した。

 

そしてまずは左の部屋を入る。

 

中は薬や包帯…医療品等の物がズラリと並んでおり、取り合えず風邪薬や、一通りの病気に聞く薬を詰め込む。

 

「りーさん!こっち来てくれ!」

 

詰め込んで他の場所にいこうとしたとき胡桃の声に呼ばれて胡桃のもとに行くと胡桃の目の前にはなんやらの薬が入っていた。

 

「これ、感染者用のワクチンだ」

 

ワクチンだと聞いて私は驚く。

 

存在は前の放送で知っていたけどまさかあったなんて

 

「取り合えず、何個か持っていきましょう」

 

「そうだな」

 

そういって3つほどワクチンを詰めるとこの部屋にはもう用はないかな?

 

そして次は反対の部屋へと向かう、勿論辺りを警戒してだ。

 

あんな穴があったのだ、もしかしたら抜け出したものがいるかもしれない。

 

そうして反対の部屋に入ると中はひんやりと冷えており、どうやらここは食料庫で部屋全体が冷蔵庫になっているようだ。

 

「さ、さぶ」

 

夏服の私たちにはかなり堪える冷たさだ、早々に食料を調達しよう。

 

だがこの食料庫だけ、明らかに可笑しい点がある、それは

 

「これ…荒らされてる?」

 

音姫さんが呟く、食料庫はケースが引いてあったり乾パンやカロリーメイトなどが地面に散乱している。

 

「もしかして…あの穴から出たやつが?」

 

そう考えると妥当思える。

 

取り合えず食料を…

 

「めぐねえ!みんな!これ!」

 

ふと、由紀ちゃんの大声でこの部屋にいる私達は由紀ちゃんの元へ向かうと由紀ちゃんの目の前の引き出しの中にあるものに気が引いた。

 

「こ、これは…」

 

「お肉…」

 

中にあるのはこのパンデミックが起きてから一度も目にすることがなかった肉類…しかも牛肉でぶ厚いステーキにつかうものだ。

 

「りーさん!音姉!今日はステーキだよ!」

 

由紀ちゃんは口からよだれを滴ながらステーキを食べたいと懇願する。

 

「そ、そうね、そうしましょうか」

 

私も久しぶりに食べたいしね、と心で思い人数分のお肉を取り出して、早めにここから立ち去りたいために地上を目指して戻りの道を戻った。

地上にもどって来ると既に夕方で日が傾き沈んでいく、奴等もこの学校から帰宅するようにぞろぞろと敷地外に出ていっていくのを確認する。

 

「それじゃあ各自、持ってきた荷物を纏めたら夕食にしましょうか」

 

安全圏に戻って荷物を部屋に整理して入れてから私は部室にいくと音姫さんも整理が終わっていたようで既に地下で手にいれた野菜などを切ってサラダを盛り付けている

 

「あ、若狭さん」

 

「手伝います、音姫さん」

 

「ありがとうね、それじゃあそろそろお肉焼いてほしいな、私はステーキのタレを作るから」

 

そういってステーキの焼きは私に任せると音姫さんはステーキにあうソースを作るのにとりかかえる。

 

私もフライパンにサラダ油を敷いてその上に牛肉のステーキを乗せる。

 

乗せた瞬間ジューという焼いている音と肉の言い匂いが部屋の全体へと漂わせる。

 

焼いている私だけど本当に美味しそうで唾を飲みこむ。

 

「りーさん!お肉焼けた!?」

 

すると部屋の外から駆け足でこちらに近づく足音部屋の扉を開けて入ってきたのは由紀ちゃんだ、どうやら片付けが終わった後、走ってこっちに来ちゃったみたい。

 

「もう、廊下は走ったら駄目よ」

 

「ご、ごみん」

 

廊下を走ってきたことをしかると由紀ちゃんはしゅんっと落ち込む。

 

「もう少しで出来上がるから少し待っていてね」

 

「う、うん!」

 

そういうと由紀ちゃんは椅子に座ってニコニコといまかいまかと待ちわびている。

 

それからしばらくして胡桃達も来てソースを作り終えた音姫さんと一緒にお肉を焼き、みんなの人数分のステーキを焼き上げ机の上に並んだ。

 

それは見るからに家では見られない、ファミレスなどでよく見られる光景を学校で見られるとは少し驚く所かしら

 

「それじゃあ、いただきます」

 

『いただきます』

 

めぐねえの声が合図にみんないただきますと言うと私はフォークとナイフでステーキを小さく切り取り切り取った部分のステーキを音姫さんが作り上げたソースに付けて口に入れる。

 

すると口のなかでステーキを噛むと肉汁が溢れだしあまりの美味しさに頬を笑んでしまう。

このステーキの味をじっくりと堪能し続けそれから数十分もしたら机にある料理はひとつ残らず完食した。

 

「ごちそうさまでした!」

 

「お粗末様でした、本当に美味しかったわね」

 

私がいった言葉にみんながうなずく、こんなの二度と食べられないと思うぐらいだ。

 

「けど、まあ、食べたいと思えばまた食べられるしな」

 

胡桃の言葉に頷く。

 

「そんな頻繁に食べてたら太るぞ」

 

誠くんの一言で空気が一変した。

 

「「誠くん?」」

 

「え?音姉?悠里?何でそんなににこにこした顔なのに、笑ってないの!?」

 

だって…ねえ?女の子が気にしてることをずばっと言うなんてデリカシーがない。

 

「少しお話しましょうか」

 

このとき、漸くこの威圧感を受けたのか完全に冷や汗を垂れ流している

 

「お、音姉…が…一人のはずなのに…ふ、二人いる」

 

「あ~私達まだ整理終わってなかったわ由紀、ジュード、めぐねえ、早速取りかかろう」

 

「そ、そうね、それじゃあ私達は荷物整理しにいくから…そのほどほどにね」

 

「「はい、勿論です」」

 

めぐねえの言葉に同時に同じことをいって返答しめぐねえ達はさっさと部屋から出ていった。

 

「ちょっ!俺も!」

 

そういって誠くんも出ていこうとしたが、出ていく前に肩に手を掴んで逃がさないようにする。

 

「どこにいこうとしているのかしら?」

 

「は、はは」

 

もう誠くんはこの状況で苦笑いをするしかなかった。

 

「「誠くん?」」

 

「は、はい!」

 

完全に怯えた表情で私達に返答する。

 

「そこで正座しなさい!」

 

「じっくりとOHANASIしましょうか」

 

「……」

 

そしてOHANASIが終わって時計を見ると約3時間も過ぎていたのは余談である。

 



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chapter28

地上のエースオブエースを待ちわびてる皆様すみません、こちらを優先したいので気が向いたら次の話を執筆したいと思います


誠くんにお説教したあと、もう夜も遅いと思いそろそろ就寝することにした。

 

取り合えず、誠くんにはジュードくんと同じ、ゆうくんが寝ていた部屋を使ってもらうこたにして私達も眠りについた。

 

 

 

「ん…」

 

ふと目が覚める充電しつくようになったケータイで時刻を確認すると深夜の2時、まだ外はくらいようだ。

 

「……」

 

また眠ろうと思ったがふと部屋の外から微かだが足音と何かの音が聞こえた。

 

「…何?」

 

こんな夜中に足音…バリケードは破られていないだろうし…まさか管理局!?

 

気が抜けていた私に緊張が走る。

 

そしてみんなを起こそうと思ったが…やめた、騒いだりしたら気づかれる可能性もある。

 

ここは一人でいこう

 

そうすると寝袋から出て動きやすい、制服に直ぐに着替えると近くに置いておいた矢と弓を持って廊下に出る。

 

「少し出掛けてくるわね」

 

っと、起きないように小さい声で口にして扉を閉めて辺りを見渡す。

 

夜だから薄暗く奥の方は真っ黒で何も見えない。

 

足音が聞こえた方向に音を当てずに近づいていき、近づくにつれてその音は徐々に大きくなる。

 

すぐ角のそこから音が聞こえるところまで近づき角から覗くとうっすらとだが巨大な槍…いや、西洋風の槍だからランスかそれをもった何かが下に降りていくのを確認する。

 

「…奴等ではないわね」

 

気づかれていないようだから更に追いかけようもしたとき

 

「っ!!」

 

後ろから肩に手で叩かれて咄嗟に振り替えると

 

「何やってるんだ?」

 

誠くんとジュードくんがいた。

 

「何って…それは私の台詞よ、誠くんたちこそこんなところで何やってるのよ?」

 

誠くん達が起きている理由を聞くと誠がその理由を答えた。

 

「いや、ガルーダが知らないやつを見かけたようでジュードを起こして来てみれば悠里がいたから」

 

誠くん達も同じだということか…

 

「その人なら今、下に降りていったよ、今なら追いかけることできるわ」

 

「そうだな、追いかけるか」

 

このまま追いかけることが決まり私達は気づかれないように下へと降りていった。

 

真夜中の中、私達は足音を追って遂に保健室まで来た。

 

「この先っていったら地下ですが」

 

ジュードくんが足音がこの先へと進んでいることに呟いて目的を考えているがどうやら全くわからないのようだ。

 

「お昼の時の食料の荒れていたことと何か関わっていたりしてね」

 

もしかしたら、さっきのが地下施設から出てきたものだったのかも。

 

そう思っていると体に寒気を感じる…けど見過ごすわけにもいけない。

 

「さてと、行くか」

 

誠くんが先頭に保健室に入り地下へと続く隠し扉をみると強引にぶち破られている、つまりこの先で間違いないようだ。

 

そして地下へと進んでいき足音を聞き取りながら進むと案の定、二階へと進んでいくのがわかる。

 

「やっぱり、あの穴が関係してるのかしら」

 

予想というより十中八九そうだと思う。

 

そしてもうすぐあの穴があった通路まで降りて見えてきたときだった。

 

「危ない!」

 

誠くんがとっさに気づいたのか私とジュードくんを付かんで大きく横に飛ぶ。

 

次の瞬間私達のいた場所に多数の弾丸が通りすぎていった。

 

「気づかれていたのか!?」

 

「そうみたいだな…来るぞ!」

 

追っていたことに驚くジュードくんを他所に誠くんがまた警告する

 

薄暗く姿を視認できないところから何かが反射して光った、今度は私も見えた。

 

次の瞬間凄い発砲音と共にまた多数の弾を飛んできて今度は私とジュードくんも一人で避けた。

 

「悠里、どうして、身体強化の魔法使えるの!?」

 

「え?そうなの?」

 

確かに今、ものすごく動けたけど武器強化と同じで無意識にやっちゃったみたいだ。

 

取り合えずいまはそれどころではないけど

 

バラバラに散開したから纏めて倒すことは出来ないために弾の標的は誠くんで多数の弾が誠くんを狙って飛んでいく。

 

「このっ!」

 

標的にされていないのなら好都合、私は弓を構え弦を引き矢を発砲している場所めがけて放った。

 

放たれてから直ぐに発砲が止んだ、恐らく回避された。

 

次は私に来るかもしれないと思い撃つのは止めて回避に専念する。

 

正直、武器強化と身体強化を切り替えるのは忙しい、ゆうくんは切り替えるの物凄く早かったのかな…

 

そしてまた暗闇から何かが光、発砲もちろん、標的は私だ。

 

だが回避していると弾が飛んでこなくなった。

 

ふと疑問に思ったがその答えはジュードくんが口にした。

 

「弾切れ…この場合魔力切れを引き起こしたのかも」

 

「なるほどな、あんな景気よく撃ってればそうなるか」

 

ジュードくんの答えに頷く誠くん。

 

けど、私が見たときはランスのような形をしていたはず…それだから接近戦をしてくると思っていた。

 

まさか、私の見間違えだったのか…それとも全くの別の敵だったのか…

 

そんな思考を交錯していると激しく動く音とともにここから下へと音が遠ざかっていく。

 

「まさか地下に!?」

 

ジュードくんが地下へ逃げていったことに驚くなか、私は考えた。

 

いま弾切れを引き起こしているのなら捕まえることは容易じゃないのかと

 

後々不味くなるかもしれないからいまがチャンスだと思い私は穴に近づく。

 

「お、おい!悠里!」

 

後ろで誠くんが静止を呼び掛けているが私はそれを無視して出っ張ってる岩場を跳び移りながら下へと降りていった。

 

胡桃SIDE

 

「大変だ!みんな!!」

 

突然の大声で私は目をさます。

 

「うーん、ジュードくん?どうしたの?突然…それにまだ夜中だよ」

 

同じく大声で起きた音姉が少し不機嫌にジュードに話しかける。

 

「ごめん、音姫さん、実は…」

 

「あれ?…りーさんは?」

 

由紀のその言葉でりーさんが眠る寝袋を見ると脱け殻でりーさんがいなかった。

 

「地下から敵が現れて、悠里が敵を追ってあの穴から地下施設に行っちゃったんだ!」

 

「なんだって!?」

 

その言葉を聞いて私は完全に覚醒したよく見るとリーさんの弓と矢が無くなってる、持っていったんだ…くそ!なんで気づかなかったんだ!

 

「今、悠里の後を追って誠が変身して地下施設に降りていってる、それで誠に頼まれて胡桃たちを起こしに」

 

大体の行き筋はわかった。

 

「取り合えず、りーさんたちを追いかけるしかないな」

 

追いかけることにみんな頷く

 

「それじゃあ、僕は外で待ってるから準備して」

 

そういって外へと出ていき私達は直ぐに何時もの服に着替えて外の廊下に出るとジュードが扉の近くで待っていた。

 

「それじゃあ急ごう!」

 

「ちょっと待って!もしかして穴から行くつもり!?」

 

一刻も早く地下施設にいこうとした矢先ジュードが呼び止めた。

 

「それは当たり前だろ?」

 

「胡桃や僕はともかく、慈さん達は無理だよ!」

 

「あっ」

 

確かにそうだ、跳び移りなんて音姉達には無理がある。

 

「それじゃあどうするんだ、このままほっておくなんて」

 

「大丈夫!施設の行き方がある!こっちに来て!」

 

此処は唯一そういったことを知ってるジュードが頼みだ。

 

私達はジュードを信じて後をついていく。

 

暗闇のなかをジュードを追っていきついた場所は意外な場所だった。

 

「校長室?」

 

部屋の名前をいったのは教師であるめぐねえ、まさかこんなところにあるというのか?

 

ジュードは迷いなく校長室に入ってそれに続いて私達も入ると直ぐにジュードはドアを閉めて辺りを探し始めた。

 

「ここにもしかして地下施設にいく隠し扉が?」

 

「はい、少し違いますけどよく似たものです」

 

音姉の質問に探しながら答えるジュード、するとジュードはなにかを見つけたのか見つめる壁を探りだすと一部の壁が開きレバーが現れた。

 

「あった、これだ!」

 

「これが隠し扉が開くレバーなのか?」

 

わたしの質問に答えることもなくジュードはレバーを引くと突如部屋全体が揺れた。

 

「な、なに!?」

 

「これはいったい」

 

揺れたことに驚く由紀とめぐねえ

 

だが隠し扉など出てくることなく、ただ何故か降りている感覚を感じていた。

 

「もしかして…これ降りてる?」

 

「はい、今地下施設に向かってます」

 

ふと音姉がこの感覚が降りているのではと推測するとジュードが正解だと答えた。

 

「まさか、校長室じたいがエレベーターだったなんて…」

 

「ってことはうちの校長は管理局とグルだったわけか」

 

校長室のからくりに驚くめぐねえを他所に私は校長が管理局の関わりがあったことを気にする。

 

「取り合えず、あと少ししたら到着するよ、悠里と誠は無事だといいけど」

 

「ああ、待ってろよりーさん、誠」

 

私達はりーさん達の無事を祈りながら地下へと進むエレベーターが地下施設へと到着するのを待ちわびた。

 



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chapter29

SIDE悠里

 

穴から地下へ降りて既に10分はかかっているだろうか漸く地面が見えてきて岩場から飛び降りて無事に着地する。

 

地面は瓦礫が山のように散乱して、これは多分先ほどの攻撃してきた人がやったのだろう。

 

取り合えずまだそれほど遠くには行ってないと思うから警戒して進むことにしよう。

 

いつでも放てるように弓を構えながら進もうとした矢先後ろから勢いよく着地、直ぐに振り向くとウィザードだったかしら?それに変身してる誠くんだ。

 

「悠里!一人で行くな!」

 

「ご、ごめんなさい」

 

誠くんに注意された、確かに深追いしてたかも。

 

「…まあ、ここまで来たんだし追いかけるか」

 

「そうね…まだ遠くには行ってないはずだから…気を付けないと」

 

そういえば胡桃たちに心配してるわよね…

 

「それにしても、ここは明かりついてるんだな」

 

地下施設の通路は明かりがついており、この電力は上の学校の自家発電の電力を使われているのだろう。

 

「さてと、どこに…」

 

通路を歩き始めたその時誠くん頭上から重い音が聞こえてきてわたしの目にランスを持った女の子が誠くん目掛けて降ってきた。

 

「誠くん!上!」

 

「うおっ!」

 

わたしの声に反応して上を向いた瞬間横に避けて女の子はそのまま地面にランスを突き刺す。

 

「お、女の子?」

 

髪は黄緑で青い瞳、服装などはボロボロな布一枚

 

まさか、敵の正体がまだ幼さを残すこんな女の子だったなんて思ってなかった。

 

「外した…!たあぁぁぁっ!」

 

奇襲を外されたが女の子はランスで誠くん目掛けて突きを繰り出す。

 

「ちょっと!待て!なんでこんな!」

 

「こんなって何よ!あんた達は私を殺しに来たんでしょ!?」

 

…あれ?もしかしてこれって…

 

「違う!」

 

誠くんが否定するが女の子は全く聞き入れることをしない。

 

「嘘よ!そういって殺す気なんでしょ!? 」

 

女の子はランスの柄を引っ張り伸ばすとランスが変形してガトリングに変形した。

「変型しただと!?」

 

誠くんが驚くのも束の間女の子がトリガーボタンを押すが弾が発射されることない、つまり弾切れのままだった。

 

「こうなったら!」

 

女の子が柄を押してまたランスに変わり、再度おもいっきり引っ張るとガトリングにならずに黒い怪物が出現しその生物は体が伸びて誠くんよ体に喰らいつく。

 

「誠くん!?」

 

「ぐっ!うおっ!」

 

食らいついた生物はそのまま誠くんを放り投げて壁に激突させる。

 

「く、くそ…こうなったら!」

 

誠くんはリングを指につけてベルトに翳すのだが。

 

[エラー]

 

「なっ!どうなってる!?」

 

[エラー、エラー、エラー]

 

取り乱す誠くんは再度試してみるが結果は同じでいったい何が起きたというのか

 

そんなことをしている間に怪物は元に戻りそのままガトリングに変わると先程弾切れを起こしていたはずが弾が発射されて全弾誠くんに命中する。

 

「ぐっ!!」

 

先程まで弾切れのはずなのに何故いつの間に補充したのか…

 

そういえば、指輪を使うには魔力を使うと聞いた…だが、魔力はそんなに使ってはいないのに使えなくなった…まさか…!

 

「魔力を吸いとられた!?」

 

この推測なら今の状況に辻褄が合う、今撃ってる弾は誠くんの魔力を使ってる可能性が高い。

 

「こんなんで…」

 

弾の雨を耐えている誠くんがそう、口に漏らす。

 

その姿は何故か…震えている?

 

「負けたって幸助さんたちに知られたら…め、冥王に…!ま、まけてたまるかぁ!!!」

 

負けるのが怖いのか?弾の雨を平然としながら特攻する。

 

「うそ!全然効いてない!?」

 

全く怯まないことに驚いていると遂に女の子の目の前に到達し誠くんは押さえつけよけようと手を近づけたときだった

 

「っ!?」

 

「きゃっ!」

 

足元の瓦礫に蹴躓き女の子を押し倒して転倒した。

 

「だ、だいじょ…」

 

心配して近づいてみたけど…あらあら…

 

誠くん?なんでどさくさに紛れて女の子の胸を掴んでるのかしら?

 

「え?」

 

すっとぼけた声で返す誠くん、それに対して女の子は顔を赤めている。

 

「きゃああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

悲鳴をあげて動かせる左手で誠くんの顔をおもいっきりぶん殴り吹き飛ばして壁に激突させる。

 

「こ、これは不可抗りょぐふぅ!」

 

言い訳をいってるけど直ぐ様接近した女の子のランスの突きを溝に直撃したあと形態をガトリングにして誠くんにゼロ距離で弾を射撃。

 

「死ね!この変態!!!」

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!?!?」

 

前からガトリングでのゼロ距離射撃で後ろは壁のためにゲームのはめ技みたいな光景が繰り広げられられている。

 

「弾切れ!」

 

遂に撃ち果たしたようで弾が出てこなくなりこれで終わりだと誠くんも半分意識が朦朧としている中ほっとしていると思った矢先ガトリングからランスに切り替えて乱れ撃ちの次は乱れ突きの連続。

 

「まだまだぁ!!」

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!?!?」

 

悲鳴をあげ続ける誠くん、本来なら助けないといけないけど今回は誠くんが悪いんだしね、見逃すことにした。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

乱れ突きの繰り出すこと10分程が過ぎたあと漸く女の子は疲れはてたのか構えを解いて荒い息を整えている。

 

壁に持たれて倒れている誠くんは変身は解除して至るところボロボロで何本か矢も刺さっている。

 

……矢のことは気にしないでね、いいわね?

 

「りーさん!」

 

ふと、声が聞こえた方向を向くと向こうからジュードくんが連れてきたのか胡桃達がやって来た。

 

「胡桃、みんなも」

 

「勝手に先走らないでくれ!本当に…心配したんだからな」

 

予想通り胡桃に怒られた、他のみんなも同じ心境の表情で見てくる。

 

「ごめんなさいね」

 

反省してみんなに謝ると話の話題は気絶してる誠くんに向けられる。

 

「さ、桜崎くん!?こんなひどい怪我を!」

 

「あ、あのさ、りーさん」

 

取り乱すめぐねえを他所に胡桃が気まずそうに私に聞いてくる。

 

「なにかしら?」

 

「誠の体に何本か矢が刺さってるんだけど…」

 

「それで?」

 

「いや…あの…」

 

「それで?」

 

「…なんでもないです」

 

聞くのを諦めた胡桃、此処は知らぬが仏というし聞かない方がいいから懸命な判断ね。

 

「あ、音姫さん」

 

「な、なに」

 

私が声をかけると直ぐに音姫さんは取り乱した声で答える。

 

「誠くんに起きたらまたOHANASIしないといけなくなりまして…」

 

「…若狭さん、その話後でじっくり聞かせてね」

 

音姫さんは先ほどの取り乱しが嘘かのように頬を笑んで私のOHANASIに賛成し、その後ろの胡桃は誠死ぬなよっと小さな声で天を仰いでいた。

 

「えっと、ところでその女の子は…誰なの?」

 

気まずい雰囲気を変えようとジュードくんが女の子について聞いてくる。

 

「っ!!」

 

女の子も気が緩んでいたのかとっさにランスを構えようとする。

 

「まって、私達は管理局じゃないのよ」

 

彼女は誠くんが来たときの私達と同じことを考えてしまっているのだ。

 

「あなたが此処で何をされていたかはわからないけど、私達はあなたに危害を加えないわ」

 

優しい物腰で女の子に接して構えたランスを構えを解いた。

 

「お疲れ…オスカー」

 

そういうもランスは消えて待機状態の腕輪に変わった。

 

「まだ、信じた訳じゃないからもし、敵だって判断したら容赦しない」

 

「ええ、わかったわ、少し話せる場所にいきましょうか…君はここ詳しい?」

 

ここにはじめて来た私よりここにいた彼女に案内してもらった方がいいと思い話を持ちかける。

 

「わかった、着いてきて」

 

話がまとまり移動することになりジュードくんが気絶している誠くんを担ぐ。

 

「もしかして、そいつも連れていくの?」

 

「え?うん、もしかしてダメなのかな?」

 

「別に」

 

誠くんを連れていくことに完全に嫌な気でいる女の子…まあ、誠くんが悪いしね

 

「誠のやつなにしたんだよ」

 

胡桃がそう呟き、私達は説明できる場所まで移動する。

 

「ここなら話せるはずよ」

 

女の子に連れられてついた場所は幾つか大型のパネルが設置しており、極めつけに大型のガラスが張られている。

 

「ここは?」

 

辺りをキョロキョロする胡桃が興味本意で聞いてみる。

 

「実験室の傍観する部屋よ」

 

女の子の口からは物騒な名前が聞こえて聞いた胡桃は勿論私達もそれを聞いて固まった。

 

「実験…って」

 

音姫さんも信じられない顔をしての女の子を見るがそんな女の子はいたって平然としている。

 

「プロジェクトDKの実験、私はそれの被験者だったの」

 

「被験者って…君、ご両親とかは?もしかして…」

 

めぐねえが女の子が被験者だったことを聞いてふと彼女の両親のことを聞いてみた。

 

「知らない…ここにいた以前の記憶は実験の時に戦闘知識を刷り込まされたときに忘れたし」

 

「それってつまり、自分のことに関してなにもわからないってこと?」

 

私の言葉に女の子は頷いた、そんなの酷すぎる。

 

「それじゃあ、ここにいた局員はどこにいったの?」

 

ジュードくんのいう通りだ、ここがつかわれていたのはまだ最近だったはずだ、それならばどこにいったか知ってるとおもったのだろう。

 

「大体一ヶ月前にウイルスがまかれただの、ここも危険だのいって転送装置でどっかにいったわ」

 

「あなたを置いて?」

 

「そうよ、失敗作だったから放っておいても餓死するだろうって言われてね」

 

「なんだよ、それ…身勝手すぎるだろ」

 

胡桃は身勝手な管理局に怒りを覚えた。勿論私もだ、無理矢理実験に使われて要らなくなったら簡単に捨てる?本当に人間の所業じゃないわ、そんなの

 

「ところでプロジェクトDKってなんことなの?」

 

ふと、音姫さんが先程から出てきたプロジェクトについて聞いてみた。

 

「どうやらウイルス兵器と同時平行で進めていたプロジェクトだったみたい」

 

答えたのは女の子ではなくジュードだった。

 

その当人は今、設置されているパネルを操作してその中にある情報を閲覧しているようだ。

 

「正式名称プロジェクトDarkKnight(ダークナイト)目的は暗黒剣の使い手を量産するのが目的だったみたい」

 

ダークナイト…暗黒騎士?

 

「おい、それってまさか」

 

胡桃も何か勘づいたのかその答えをジュードに聞いてみる。

 

「胡桃の思ってる通りだよ、月宮雄也の因子…DNAを被験者に投与し暗黒剣の使い手を増やす」

 

「そんなことを…それにいつの間に月宮くんの因子なんか…」

 

「…多分健康診断などで採取した血液なんかを使っている確率がある…けど」

 

健康診断…いつも通りやっているところから…こんな研究に使われているなんてゆうくんが知ったら落ち込むに決まってる、また管理局を許せない理由ができた。

 

「そうよ、そんなの生半可ものじゃない、投与している人達はみんな細胞なんかが出来てるから…そこに全く違う血液…DNAなんかを投与した結果反作用が起きてまた一人また一人と死んだわ…そして生き残ったのは私だけ…」

 

「……」

 

研究で死者が出ていることにみんな押し黙る。

 

「私も死ぬ気はなかった、だから残ってたこのオスカーを使ってあそこから食べ物を持って籠ってたの」

 

「そうだったのね、一人で寂しかったのね…」

 

「寂しい?」

 

私がいったことに女の子は反応する。

 

「だってこんなところで一人でずっといたんでしょ?」

 

「別に寂しいなんて思ったことはないわ」

 

「…私達と一緒に来ない?」

 

私がいった言葉は女の子を含めめぐねえたちも驚かせる。

 

「なんのつもり?」

 

「だって放っておけないもの…こんなところで一人にさせられない…それに一人より、みんなと一緒にいた方が楽しいわよ」

 

私は優しい微笑みを女の子を向けて答える。

 

女の子も少し考えた後、考えをまとまったのか答えを口にした。

 

「わ、わかったわ、そこまでいうなら着いていってあげる」

 

「ふふ、それじゃあ行きましょ?『優花』ちゃん」

 

「優花?」

 

私が名前を口にすると女の子は不思議がってその名前を口にした。

 

「だって名前がないなんて不便でしょ?優しい花って書いて優花…かわいい名前でしょ?」

 

「優花……私の名前」

 

自分の名前を復唱する優花ちゃん、その顔は嬉しそうな顔をしていた。

 

「気に入ってくれたみたいね」

 

「べ、別に!でも、名前がなかったから…その…ありがとう…」

 

小さな声でお礼を言われた…素直じゃないわね

 

「それじゃあ若狭さんは見つかったことだし地上に戻りましょうか」

 

一件落着となったことでめぐねえが地上に戻ろうと提案し私達は頷く。

「これで、地下施設に回っていた電力を地上に回せるしここにあるデータは全て移しました、もうここにいる意味はないよ」

 

ジュードくんもやることは全てやったようで、胡桃達が来た方法で地上に戻った。

 

 

そして校長室のエレベーターで地上に戻ってきた私達はもうくたくたでもう一眠りした方がいいかしらと思っていたけど外を見ると夕日が昇りそうになっていた。

 

「もしかして…もう、朝なのかしら」

 

「みたいだな、地下にいるとわからなかった」

 

そうだねっと由紀ちゃんも同意していると隣にいる優花ちゃんがその夕日を見てぼそりと呟く。

 

「綺麗…」

 

「そっか、優花ちゃん、ずっと地下にいたわけだから見たことないんだったわね」

 

そういって優花ちゃんの頭を撫でるとむすっとした顔で私を見る。

 

「ちょっ!私を子供扱いするな!私はもう一人前なんだから!」

 

「はいはい」

 

優花ちゃんの威張るところを見て私はクスリと微笑む

 

どたばたしてたけど今日も1日頑張らなきゃね!

 

 

 

余談

 

「さてと、またじっくりとOHANASIしましょうか」

 

「…はい」

 

それから目覚めた誠くんを音姫さんと一緒に説教したのは言うまでもない。



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chapter30

今回短い


「遠足に行こうよ!」

 

地下の探索が終わって1日が過ぎたとき生活圏は本校全域まで伸ばすことに成功して今日もいつものように朝を迎えた…はずだったのだけど由紀ちゃんの一言でいつも通りじゃなくなった。

 

「遠足って…外にか?」

 

胡桃がみんなの疑問を由紀ちゃんに聞いてみた。

 

「うん!遠足なら学校行事で違反しないし、それに色々と調達できるでしょ?」

 

淡々と自分の意見をいった後その言葉を聞いて私と胡桃は直ぐにめぐねえに顔を向けた。

 

「「めぐねえ!」」

 

「めぐねえじゃありません、佐倉先生です…うーん、熱はないわね」

 

めぐねえが由紀のおでこに手を当ててはかってもらったが熱はないと言われた。

 

「嘘だろ…由紀が熱を出して無くてまともなこというなんて」

 

「もう!酷いよ!くるみちゃん!」

 

ぷんすかと由紀ちゃんが拗ねる。

 

「とりあえず外出か…どこにいくだ?」

 

「うーん、それなら色々揃ってるリバーシティ・トロンとかならいいかもしれないわね」

 

リバーシティ・トロン…巡ヶ丘の有数の大型のデパートそこなら色々と集めることも可能かもしれない。

 

「それに生存者もいる確率もあるしな」

 

誠くんのいうとおり、そこなら何人か立て込もっていても不思議じゃない。

 

「それで、行く場所は決まりましたけど全員でいくんですか?」

 

ジュードくんが全員でリバーシティ・トロンに行くのかと聞いてくる

 

確かに学校から遠いし恐らく日通しでいくことになるし、それに徒歩で行くとなると余計に時間がかかる。

 

「私の車があるけど最低四人ぐらいしか乗れないし…」

 

しかも、めぐねえの車でだと四人が限界…

 

「車なら校門のそとにある車両を使えば問題ないと思うよ、僕らが使ってきたもので詰めれば八人は乗れるし鍵も挿しっぱなしだから使えるはずだよ」

 

「そう、それならジュードくんが使っていた車を使いましょうか…」

 

「次は誰がいくかだな」

 

いく足は決まったけど、何人かここに残っていてもらわないといけない地下とは違い遠出になるのだから留守をしっかりしていないと帰る場所がなくなるなんて嫌だから

 

 

「由紀ちゃんは行くとして…私に胡桃、あと優花ちゃんは決定かな」

 

「なんで優花なんだ?」

 

いくメンバーに優花が出てきたのが疑問で胡桃は私に訪ねてくる。

 

「それはね、優花ちゃんの服なんかあったら調達できるかなって…」

 

「私の服?」

 

優花ちゃんは驚いた顔で私を見てくる。

 

因みに優花ちゃんの今の服は由紀ちゃんの制服を借りている。

 

「うん、やっぱり女の子なんだからかわいい服なんか来てみたいでしょ?」

 

「しょ、しょうがないわね…」

 

優花ちゃんが顔を赤くして着いてくることを決めるやっぱり素直じゃないな

 

「そしたら車でいくんだったら私も…」

 

「ああ、車なら私が運転するよ」

 

車の運転手が必要だろうとめぐねえが参加しようとしたときまさかの胡桃が運転手に立候補した。

 

「本当に大丈夫なの!?」

 

「大丈夫だって、それにいざ運転に慣れてた方がいいだろ?」

 

心配するめぐねえに胡桃は大丈夫と返す、確かに胡桃のいうことにも一理あるわね

 

そして討論の末胡桃が運転をすることになり私、胡桃、由紀ちゃん、優花ちゃん、音姫さん、誠くんの計六名が学校の外へといくことが決まった。

 

「それじゃあ作戦を説明するぜ」

遠足の段取りが決まり昼食をとったあと車までの道のりの作戦を胡桃が中心に説明が始まる。

 

「まず見てわかるけどグラウンドにはかなりの奴等がまた入り込んでる」

 

「ざっと見て100人は居るな」

 

先ずはやつらの数を胡桃が説明しその補足を誠くんがしてくれる。

 

「まあ、今からいく訳じゃないし、多分夕方位だし見積もっても誠がいった半数ぐらいだろう」

 

半数…つまり50人ぐらいだと言うわけか…それほどの相手にするとなると少し不安が残る。

 

「先ず、私と誠が2階から飛び降りてグラウンドの奴等を蹴散らす」

 

胡桃と誠くん…この二人が先陣を切るのはいい人選だろう。

 

「りーさんと優花は戦えない由紀と音姉を守りながら階段で降りてグラウンドに来てくれ、その間に玄関近くの敵は片付けておくから」

 

私達の役割も確かに妥当だろう、私は先陣を切れそうにないから

 

「ちょっと!何で私がバックなの!?」

 

優花ちゃんは胡桃の言ったことに不服があったのか異議を言い出した。

 

「私だって!華麗に戦えるんだから!そいつよりかは!」

 

優花ちゃんは誠くんを指差す。

 

本当優花ちゃん、誠くんのこと毛嫌いしてるわね…やっぱり出会いが出会いだったかしら

 

「優花のことが心配なのもあるんだ、けど優花の実力を見込んで由紀たち守りをしてほしいからそうしたんだ」

 

「……そ、そんなにいうなら…」

 

胡桃にさらに押されて照れた表情で胡桃の話に賛成した。

 

「それじゃあ、予定の時間までに各自荷物をまとめることそれじゃあ解散」

 

さてと、荷物をまとめないと

 

会議が終わり各自やることをするために散らばった。

 



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chapter31

解散したあと私は持っていくものをバックに積める作業を行っていた。

 

「さてと、こんなものかな」

 

外で必要になりそうなものを最小限で積める。

 

外…か…

 

私は窓から外を見ながら思う、まさか学校の外に出ていくことになるなんてと…

 

といってもそれが普通なんだけど…

 

今となっては学校の外の世界が懐かしくそして怖く感じる。

 

けど、ゆうくんは外へと足を踏み出した…自分の戦いから逃げずに…だから今度は私達の番だと思う私達も一方前へ…

 

「あ…」

 

ふと左手が前髪のヘアピンに当たる

 

今思えばこのヘアピンも長い付き合いと言えるかしら…

 

このヘアピン…私が巡ヶ丘に引っ越すときにゆうくんがプレゼントしてくれた大切なもの…

 

そのヘアピンを見ていると昔のことを思い返した。

 

7年前

 

木の葉が紅葉とし道路には無数の落ち葉が舞い落ちる秋

 

私…いや私達、若狭家とって重大な出来事が起きていた。

 

お父さんのお仕事の関係で海鳴から引っ越すことになった。

 

もう荷物は纏め引っ越し屋さんに運んでもらって後は私達だけで今日出立する。

 

「ゆうくん…」

 

だけど、最後に別れの言葉をいいたい相手となりの家にすむゆうくんが来ていない…家にもいなかった。

 

ゆうくんはゆうくんのお父さんとお母さんが居なくなって、一人なのに帰ってきたとき家がなかったらだめと言って残ると言った。

 

「雄也くん…どこにいってるんだろう…」

 

小学校に入って友達になったなのはが来ないゆうくんを心配する。

 

「やっぱり、ケータイにも繋がらない…雄也くん何かあったのかな?」

 

「あ~!あのバカ雄也のやつどこほっつ歩いてんのよ!」

 

なのはと同じ友達のすずかとアリサも来ないゆうくんを心配している。

 

「悠里!そろそろ時間だぞ!」

 

後ろからお父さんの声が聞こえてくる…

 

もう時間みたい…

 

「それじゃあ私…いくね」

 

別れの言葉を告げると3人とも悲しい顔をしている。

 

「またね」

 

「また会いましょ」

 

「げんきでね」

 

それぞれ別れの言葉を返すそして私は友達に背を向けて車へと近づこうと足を動かそうとしたとき。

 

「悠里!!」

 

私を呼ぶ声をした、聞き覚えのあるこの声に振り向くとなのはたちの後ろからゆうくんが走って向かってきていた。

 

「ゆうくん!」

 

「はぁ…はぁ…ぎ、ぎりぎり…間に合った」

 

私の元に辿り着くと全力で走ってきたのかその顔から疲れがわかる。

 

「あんた、どこいってたのよ!」

 

後ろのアリサはそんなゆうくんを怒るがなのはとすずかがそれを宥める。

 

「ご、ごめん、どうしても…渡したいものが…あって…」

 

少し息が整ってきたゆうくんはポケットにしまっていた小さな箱を取り出して私に渡した。

 

「これは?」

 

「開けてみれば…わかる」

 

そういわれて箱を開けてみると…そこには水色のヘアピンがあった

 

「ヘアピン?」

 

「ああ、…悠里にはいつも助けられたしさ…その…御返しでプレゼントを…」

 

ゆうくんは少し照れた表情で私に言う。

 

「ちょっとつけてみて」

 

「え?ちょっとまって」

 

ゆうくんにつけてと言われて私は水色のヘアピンを前髪の一部をサイドに束ねる。

 

「ど、どうかな?」

 

似合ってるかどうかゆうくんに聞いてみる。

 

「すごく似合ってる!」

 

ゆうくんは嬉しく笑った、よかった…

 

「あ、そうだ…ねえ、ゆうくん…昔の約束覚えてる?」

 

「約束?なんの?」

 

うーん、やっぱり覚えてないか…

 

「あれだよ、いつか私をお嫁さんに貰ってって話♪」

 

「お、お嫁!?」

 

ゆうくんが赤く取り乱す、なにか変なこといったかな?

 

「ゆうくん?」

 

「え?いや…うん、覚えてる」

 

「じゃあ、大きくなったら私をお嫁さんに貰ってね♪約束だよ」

 

「あ、ああ…約束する……多分忘れるだろうけど…ボソッ」

 

?あとの方がうまく聞き取れなかったけど…なにか言ったのかな?

 

「じゃあ、またね、ゆうくん!」

 

「ああ!またな!悠里!!」

 

 

 

回想修了

 

「~!!」

 

思い返した私は顔を赤くして頭を抱えた。

 

わ、私、そういえば羞恥心もなくゆうくんにあんな約束してたの忘れてた。

 

い、今思うとものすごく恥ずかしい

 

「け、けど流石にゆうくんも忘れてるよね」

 

もう7年になるんだ忘れていて可笑しくない

 

「りーさん、そっち終わったか?」

 

「ひゃ、ひゃい!」

 

突然、胡桃が入ってきて、とっさにした返事は完全にまともに返せていなかった。

 

「だ、大丈夫かりーさん?」

 

「だ、大丈夫よ、荷物は纏めたわ…そっちは?」

 

と、取り合えず平然を装うしかないわ…

 

「由紀がまだ終わってなくてそっちは音姉が手伝ってる、それじゃあ、私次は優花の方見に行くから」

 

そういって胡桃は部屋から出ていった。

 

…危なかった…そんなことバレたら胡桃になんと言われるかわかったものじゃない。

 

「と、取り合えず荷物を再確認しましょう」

 

確認に越したことはない、そう思いまた、荷物を確認し始めた。

みんなの準備が完了して午後の5時半夕日は静かに沈み始め奴等も予想通り下校していくのを確認して胡桃は私達の方向に向く。

 

「それじゃあ、そろそろ行くぞ、もし車が動かなかったら即座に撤退遠足は中止だ」

 

胡桃が言うことにみんな頷くとそれを見てから胡桃と変身した誠くんが窓に手と足をかける。

 

「それじゃあ…行くぞ!」

 

その掛け声と共に二人は窓から飛び降りて数秒後戦闘の音が聞こえてきた。

 

「私達もいきましょう」

 

「行ってくるね、めぐねえ」

 

「気を付けてね、それとめぐねえじゃなくて佐倉先生」

 

私達も階段を使って一階に降りて昇降口階段手前にあるバリケードを潜り抜けそして玄関前のしたの隙間から外に出ると玄関付近の奴等は片付けられて胡桃と誠くんはグラウンドに散らばっている奴等を一撃で倒している。

 

「誠!りーさん達が降りてきた!このまま校門までの奴等を倒すぞ」

 

「わかった!」

 

降りてきた私達を確認したあと私達が校門まで最短距離で辿り着けるルート上の敵を倒し始めた。

 

「それじゃあみんな行くよ」

 

音姫さんの声で皆校門に駆け出し優花ちゃんがオスカーのガトリングで近づく奴等を一掃し先頭を走る私は弓を構えて前を立ち塞がる奴等を一撃で頭を射ぬいた。

 

「よし!校門前についた!」

 

見慣れた校門を抜けて学園の敷地内から出た私達は次にジュードくんがいっている車を探す。

 

「どれだ…」

 

探す中でも奴等は着実に近づいてきており私達は焦りを隠せない。

 

「あれじゃないかな?」

 

由紀ちゃんが指差した方向を見ると窓ガラスなど割れていない自動車が1台駐車されていた。

 

「行ってみよう!」

 

その車に近づき胡桃が鍵をドアに挿すとすんなりと入り鍵を回すとドアが開いた音がした。

 

「これだ!」

 

鍵を抜きドアを開けてエンジンを回すとエンジンが動く音が響く。

 

「よし!エンジンがついた!早く乗れ!」

 

胡桃が乗るように指示すると由紀ちゃんと優花ちゃんが一番後ろの後部座敷私と音姫さんが中部座席誠くんが助手席にのり全員乗り込んだか確認する。

 

「よし全員乗ったな」

 

「大丈夫よ胡桃」

 

「胡桃ちゃん運転ほんとに大丈夫?」

 

由紀ちゃんが胡桃にちゃんと運転できるか訪ねる。

 

まあ、勿論運転ができるから自分でいったわけだし問題ないはず。

 

「いつもと感覚が違うけどまあ、任せろって!」

 

「違う?」

 

あれ?なんだろう…嫌な予感がしてきた。

 

 

「いつもはハンドルコントローラより、パッド派だからな」

 

「えっと…恵飛須沢さん?もしかしてゲームのことじゃあ…」

 

…嫌な予感的中

 

『えええええええっ!?』

 

「大丈夫だって!私の華麗なスピーン見せてやるぜ!」

 

「スピーンしたらダメよ!」

 

私の注意も空しく胡桃が動かす車は急発進され道路を突き進む。

 

「よし!遠足に行くぞ!」

 

…もう、こうなったら止められないわね

 

ふと、窓を見て景色を眺める。

 

壊れた町並み、人気のない道路…

 

そんな世界で私達は生きている。

 

この先何が待っているのかそれは…誰にもわからない。

 



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chapter32

学校から出て一夜が明けて胡桃が運転する車が私達以外通っていない道路を走行していく。

 

「遠足~楽しい遠足~」

 

後ろからは楽しそうな由紀ちゃんの声が聞こえてくる。

 

「全く、こんな状況で楽しいなんて…子供みたい」

 

「そんなこと言って優花も楽しみでうずうずしてるように見えるけど?」

 

運転する胡桃がバックミラーで優花の顔を確認して言うと優花ちゃんが慌て出す。

 

「そ、そんな、わけ…ないでしょ~」

 

否定はしてるけど完全に目が泳いでる…

 

「おっ!見えてきたぜ」

 

胡桃がそう言うと車の向かう先に大きい建物私達の目的地のリバーシティ・トロンが見えてくる。

 

リバーシティ・トロンのすぐ近くに駐車しみんな車から出ると玄関口で集まる。

 

「とうちゃーく!」

 

「由紀、あんま大きな声出すなよ」

 

胡桃に注意されると由紀ちゃんは口元を手で抑える。

 

「…さてと、中に入ろうぜ」

 

さてと、中には奴等もいることだし、警戒して進まないとね。

 

 

 

 

だが、その考えは入って中を見た瞬間打ち砕かれることになった。

 

「なんだ…これ」

 

胡桃はこの光景を見て絶句する、他の私達も同じように唖然として眺めていた。

 

目の前は奴等のなれの果てが大勢倒れている全て倒されているのだ。

 

「…ここに誰か来てたんだろう…しかも、割りと最近に」

 

いち早く正気に戻った誠くんが事の状況を口にする。

 

「ってことはこれをやったのは管理局なのか?」

 

そう考えるのが妥当と言っていい

 

予想はしていたがまさか、管理局と鉢合わせになる確率がここに来て一気に上がった。

 

「…諦めて帰る?」

 

音姫さんは被害がでないうちに帰るかみんなに提案してきた。

 

「いや、これだけ、戦える人数いるんだから少しの相手なら問題ないだろ」

 

そうだ、今の私達は前の怯えている私達じゃない、多少の人数でも太刀打ちできる。

 

「…そうだな、でも危ないと判断したら真っ先に帰るぞ」

 

誠くんの忠告にみんなうなずきエスカレーターを上り2階の雑貨屋に辿り着く。

 

「さてと、これとこれ…あとこれなんかも必要かしら…」

 

予備は学校の地下などにあるけど何かの拍子に行けなくなっては困るので必要そうなのをリュックサックに入れていく。

 

「ねえねえ、りーさん!」

 

「ん?何かしら?」

 

物色していると由紀ちゃんが来てピンクのリュックサックについている防犯ブザーを見せる。

 

「どうかな?」

 

「防犯ブザーか…もってて損はないわね」

 

由紀ちゃんが持ってきた防犯ブザーも持って帰ることにしよう。

 

「持って帰る物はこれぐらいにしていよいよ、服屋に行くか!」

 

雑貨屋を離れて今度は服屋のある場所に歩いていった。

 

雑貨屋から出て10分ほど立ちはだかる奴等は全て倒されており難なく服屋にたどり着いた。

 

「よし、それじゃあ優花ちゃんの似合うそうな服手当たり次第試着していきましょうか」

 

そういった私達は服屋に散らばって服を見ていく。

 

「うーん、やっぱりジーンズよりスカートの方が似合うし色は…髪の色と同じ緑主体の色彩の方がぴったりかしら」

 

そうなると…これと…これかな?

 

「優花ちゃん、今度はこれ着てくれないかしら?」

 

「えっと、これでもう何回目なのよ」

 

「うーん、20回くらいかしら?」

 

まあ、女の子の服選びはそんなもんかしらね♪

 

もう何回もやってる事からうんざりしてる様子だけど心のそこじゃあ楽しんでるみたいだし

 

「どう…かしら…」

 

試着室からでた優花ちゃんが似合っているか聞いてみる。

 

「うーん、似合ってるんだけどもう少しほしいかしら…あっ、チェックのスカートなんかどうかしら」

 

思いだったら吉日とチェックのスカートを持って優花ちゃんに渡して試着してもらうと先程よりしっくりくる容姿になった。

 

「どう?」

 

「似合ってるよ!なんか優等生みたいな雰囲気がするわ」

 

「そ、そう…それじゃあこれにしよっかな~」

 

何だかんだで優花ちゃんも気に入ってくれたみたいだ。

 

「あ、りーさん、優花の服、決まったか?」

 

そういって胡桃が幾つか服を持ち、そして何故かボロボロな誠くんを引きずってやって来た。

 

「えっと、何があったのかしら」

 

もう3回目だと言うこともあってもう、そこまでリアクションも薄い、

 

「いやあ、また女に気が障ることを言ったから、ついな」

 

「…どうせ、私の胸は小さいもん、若狭さんより、大きくないもん…ブツブツ」

 

…音姫さんに対して言ったみたいね、それを胡桃が代行して制裁っと…

 

「それじゃあ何着かほしい服取って上の階に向かおうぜ」

 

「そうね、そうしましょう」

 

それから私達、既に選んでいた優花ちゃんの服も他にも何着か選びリュックサックに入れてその場をあとにした。

 

服選びも済ませて既にお昼が過ぎた頃、持ってきたお弁当を食べて四階で生存者を探していた。

 

奴等が上に上るのを苦手なのはわかっていることつまり上にいくほど奴等が少なく生存者がいる確率があるということになる。

 

だけど、管理局は例外だから…正直いるかどうか…

 

「四階にはいないみたいだな…」

 

「残すは五階だけね」

 

私と胡桃が話し合うやっぱり、奴等が全滅されていることに関係してるのかも…最悪手遅れ…

 

「っ!誰だ!」

 

最悪の予想をしていると誠くんが上の階に向けて叫ぶ。

 

「っ!!」

 

すると誠くんが向いていたところの物陰から誰かが出ていって私達から逃げるように離れていく。

 

「もしかして生存者かも!」

 

音姫さんの言葉にみんながうなずき発見した生存者を追いかけていく。

 

「完全に見失った」

 

「でも五階のどこかに行ったはずだから」

 

「っ!こっちから音がしたよ!」

 

生存者の行方を見失いしらみ潰しで捜索しようとしたとき由紀ちゃんが指差した方向から音がしたとみんなに伝える。

 

「…行ってみるか」

 

由紀ちゃんのことを信じて胡桃は行くことを決めて胡桃を先頭にその通路を進んでいくと、1つの部屋の前でみんな立ち止まる。

 

「…誠」

 

「いるな…一人だけ」

 

胡桃は部屋の中の気配を感じて同じく気づいていた誠くんにも確認をとりドアノブに手を当てドアを押して開けると

「やっぱり、生存者」

 

部屋の隅で私達を怯えた目で見てくる巡ヶ丘中学の制服を着た女の子がいた。

 

「近づかないでください!」

 

女の子は直ぐに近くあったハンドガンを構えて銃口を私達に向けてきた。

 

「ま、待って!私達は敵じゃないわ!」

 

「そんなこと、信じられる筈がないじゃないですか!さっきだって!大声で呼んだのに!」

 

私も説得も空しく通じず、ふと余計なことをしてしまった誠くんを横目で見る。

 

「え、俺のせい?」

 

「ふん!」

 

「ぐぼぉ!」

 

キョトンとした顔の誠くんに優花ちゃんが裏拳を溝に入れ相当の威力だったのか膝をおって蹲った。

 

「えっと、大声で叫んだことで驚かしてすまない」

 

「…」

 

未だに信用できないのか銃を下ろさず構えたままだ。

 

すると後ろから走る足音が聞こえてきてそれは段々とこちらに近づきつつあった。

 

「っ!もしかして帰ってきたんだ!」

 

女の子の他にも生存者がここにいたのか

 

そう思っていると先にドアの前にたどり着いた人を見て私は…いや女の子と誠くんと優花ちゃん以外驚いた。

 

「圭!」

 

「美紀!急いで脱出…っ!?」

 

圭と呼ばれたライフルを持った少女、彼女は私達を見て驚いた表情をする。

 

この女の子はあの放送で死んだと思ってた女の子だ…つまりは

 

「圭!直樹!時間がない!急…い…」

 

更にきた人物は私達を見るや言葉をつまらせた。

 

考えた通りだった、女の子が生きてるなら勿論、もう一人も生きてるはずだと

 

私は生きていた嬉しい気持ちで彼の名前を口にした。

 

「ゆうくん!」

 

月宮雄也…ゆうくんは今私の目の前に生きている。

 



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chapter33

「悠里…音姉…みんなどうして…此処に」

 

信じられない口調で私達に向けてゆうくんはいった。

 

その言葉は私だって同じだ。

 

この8日間ゆうくんが死んだとばかり思っていたんだ、それが今目の前にいる。

 

帰ってきたらひとつやふたつ文句をいってやろうと思ってたんだけどうまく言葉を口にできない。

 

「雄也先輩!」

 

ゆうくんの隣にいる女の子がゆうくんに向けて叫ぶとはっとして正気になったゆうくんが私達に顔を向ける。

 

「悠里、胡桃、みんなを連れてここから逃げろ!」

 

「…え?」

 

とっさのゆうくんの言葉に私は耳を疑った。

 

逃げろってどういうこと?そういえば此処にきたときも時間がないって…

 

「圭は悠里たちの護衛に付いてくれ、こうなれば人数が多すぎてさっきの作戦は使えない、俺は囮になって敵の気を引き付ける…悠里たちのことを頼む」

 

囮って…置いていけっていうの?

 

また私達の前からいなくなるの?漸くまた会えたのに…!

 

「おい!雄也!何を」

 

胡桃が問い詰めようとしたとき広間の方から獣の鳴き声が聞こえてきた。

 

「っ!もう出てきたか!」

 

その鳴き声を聞いた瞬間ゆうくんに焦りの色を見せて広間の方に走り去っていく。

 

「ま、待って!」

 

私も直ぐにゆうくんのあとを追いかけていく。

 

そして通路を出て広間の手すりがある場所から下を見下ろしている。

 

「ゆうくん!っ!?」

 

私もゆうくんのすぐ隣にたち、何故置いていかなければならないのか聞こうとしたとき私の視界に下の光景が見えて絶句した。

 

下は先程のなにもいない広間ではなく、4足歩行の狼に似た怪物が大勢彷徨いていた。

 

「此処の地下施設に隔離されていた危険生物だ、管理局員のバカが解放した性でこの様だ」

すぐ横で私にこの光景になった事情を説明する。

 

「隔壁を下ろしたんだがここまで破られるのが早いとはな…くそ!時間がないってのに!」

 

どうやら此処に戻ってくる前にも対策はしていたみたいだけど時間稼ぎもできていないみたいだ。

 

「おい!りーさん!雄也!何を…!?」

 

すると後ろから胡桃たち…あの部屋にいたみんながやって来て下の光景を見て絶句した。

 

「本当なら美紀を連れて俺と圭で中央突破っていう作戦だったんだが悠里達がいるのは予想外だった、この人数をカバーしきれない」

 

当初の作戦が私達がいることによって破綻したことを苦い顔をしてゆうくんが口にする。

 

私達が帰っていれば…こんなことには…

 

「直ぐに荷物をまとめて脱出しろ…アークあと何分だ?」

 

[おおよそ、40分といったところです]

 

「もうそんだけか…あと30分で脱出しろ出ないと地下施設にセットしてきた自爆装置が作動してここから周囲1㎞は被害にあうぞ!」

 

「自爆装置!?」

 

ゆうくんが状況を説明してくれて音姉はもうすぐここが自爆に巻き込まれることに驚く。

 

「俺は敵を引き付ける、そうすれば悠里達は安全に脱出できる」

 

ゆうくんは自分がやる役割で私達のリスクを下げようと自ら危険に飛び込もうとしている。

 

そんな…そんなの…!

 

ゆうくんは下に降りようとしてるのかエスカレーターのある場所に向かおうとしていた。

 

私は感情に身を任せゆうくんに近づいて背中からゆうくんに抱きついた。

 

「っ!?悠里?」

 

「……いや…」

 

抱きついたことに驚きを隠せないでいるゆうくんに私は今思ってある感情を全部ぶつけた。

 

「もう…置いていかれるのも…置いていくのも…もう嫌よ…ゆうくん」

 

ゆうくんが離れて私の心は何処か空いてしまっていた。

 

ここで手放したら本当に手が届かない場所に行きそうで怖い。

 

「悠里…てもこのまま…じゃっ!?」

 

私を説得しようとしたときゆうくんは後ろからきた胡桃に頬殴られた。

 

「胡桃!?いきなりなにし…」

 

「これは学園生活部全員怒りだ」

 

少し怒り気味のゆうくんを胡桃は途中で言葉を遮ってそう告げた。

 

「漸く見つけたと思ったらまた消える?ふざけんなよ!お前は私達のこと仲間じゃないっていうのかよ!みんな!お前がいなくなってから、みんなどんなに悲しんだかわかるか!?あの放送で…死んだと思ってりーさんは管理局に復讐しようとしてたんだぞ!」

 

私達の悲しみを胡桃はゆうくんに声を荒げながら口にしていく。

 

「悠里が!?」

 

「学園生活部…いや、私達みんな誰一人でも欠けたら意味ないんだよ!誰一人も死なずに生きぬく!雄也がまた居なくなるんだったら私は全力で止めてみんなのもとに無理矢理引きずり戻す!元管理局だろうが殺戮者だろうが構うもんか!今のお前は学園生活部の部員だからな!」

 

迫力のある胡桃に終始圧巻し言葉も出せなくなったゆうくんはなにも言い出せなくなった。

 

胡桃に続いて音姫さんと由紀ちゃんもゆうくんに近づく。

 

「雄也くん」

 

「…音姉」

 

「私ね、今すっごく怒ってるんだよ」

 

「……」

 

「勝手に居なくなって…私達がどれだけ心配したか…雄也くんはもっと私達を頼ってよ!それともそんなに私達は頼りない?」

 

「そんなことない!」

 

音姫さんのいうことをすぐさまゆうくんは否定した。

 

「俺がいなくてもやっていけると思ったぐらい…頼りになると思った」

 

「……本当なら説教するところなんだけど…いまはそれどころでもないからこれは学校に帰ってから…だから必ず帰るよ」

 

「ゆうくん」

 

音姫さんの話が終わったと同時に由紀ちゃんが話しかけた。

 

「ゆうくんがいないと学園生活部が本当の学園生活部じゃないんだよ、胡桃ちゃんはゆうくんの分まで無茶するしりーさんや音姉ときどきゆうくんの分のご飯を作ったりする、めぐねえはゆうくんのことちゃんと見てなかったって責任感じてるし、わたしだって…本心で笑えなかったもん」

 

「由紀」

 

「だから、ゆうくんが帰ってきたら本当に学園生活部でいられるんだよ?」

 

「……まさか…由紀にまで説教される日がくるなんて」

 

「ゆうくん!それひどいよ!」

 

ゆうくんは少し苦笑いしていると由紀ちゃんは怒った表情でいう。

 

「あ、それ私も思った」

 

「胡桃ちゃんも酷い!」

 

正直にいうと私もなんだけど

 

横にいる音姫さんも同じみたい。

 

「…全く、また悲しませようとしてたな…俺は…」

 

そういいながら頭をかく、どうやら考え直してくれたようだ。

 

「雄也先輩」

 

そういって女の子が大型の弦楽器を収納するケースを担いでこっちにやって来た。

 

「圭、すまんがさっきの話はなしだ…何とか全員で生きて脱出する」

 

「そういうと思ってました…ってことは全力で中央突破っでいいんですね?」

 

「まあ、そうなるな」

 

中央突破…つまり、かなりの危険を考慮することになる用心しないと

 

「それならこれを使うときですね」

 

そういってケースを下ろして中を開け取り出すと、取り出したのは巨大なキャノンでもうひとつのものを耳につける。

 

「試作魔導砲!?それ持ってきてたのか!?」

 

「もしかしたらまた使うかなって思って…勿論弾薬もたくさんありますよ」

 

そういって鞄から弾薬だろうか小型のケースに大量につまっていた。

 

「カートリッジもこんなに……しょうがねえな」

 

そういって顔を私達に向けて意を決してこう告げた。

 

「共同戦線だ…敵を殲滅して脱出…もちろん全員生き残る…これでいいな?」

 

『うん/はい/おう』

side三人称

 

共同戦線をすることにした雄也達は一度美紀がいた部屋の戻り互いの自己紹介を終えて、雄也が作戦を説明する。

 

「さっきの生物、ブラッドウルフは主に集団的に行動する習性をもってる、だからまずはブラッドウルフの集団の親を潰す、これ以上地下からお仲間を出されても困るからな、最前線で俺と胡桃…後、桜崎さんと優花の四人で叩く」

 

雄也は胡桃たちの名前を呼んで胡桃たちを確認すると三人とも頷く。

 

「圭と悠里は2階から援護を頼む…バックアップ頼んだ」

 

「わかったわ、任せて」

 

試作魔導砲にカートリッジを詰め込む圭は頷き、悠里は任せてくれと返事を返す。

 

「音姉たちは悠里たちの近くにいたくれ、音姉たちは丸腰だから下手に離れてると襲われたときにカバーしきれないからな」

 

「うん、わかった、雄也くんも気を付けてね」

 

「ああ、わかってるよ、最後にみんなこの通信機を耳につけてくれこれでみんなとの連絡を取り合う」

 

雄也に言われ全員通信機を耳につける。

 

「あの、雄也先輩…まさかあいつとも戦うってことには」

 

通信機をつけた後圭が不安がって雄也に聞いてくる。

 

「あいつって?雄也なんのことだ?」

 

胡桃も心配になって雄也に聞いてきた。

 

「気にするな、あの大きさじゃあ出口は通れないから問題ない、だから俺達の敵はブラッドウルフだけださせと、行くぞ」

 

作戦が決まり雄也達は部屋を出て2階のエスカレーター前に陣取り下のブラッドウルフを見下ろす。

 

「さてと、逆赤ずきんだ」

 

赤ずきんは本来狼が赤ずきんを襲うというシナリオだがその逆版、赤ずきんが狼を狩る、その意味合いがあって雄也はそういった。

 

「ふ~……開幕の狼煙を上げろ!!」

 

雄也の号令と同時に先手必勝と圭が砲弾を放ち、放たれた魔力炸裂弾は一階の中央に着弾しそこから周囲に散弾し爆発して良い先手を取ることに成功する。

 

「行くぞ」

 

先手をとったのを確認すると雄也はその短い言葉をいった後雄也含めて4人は飛び出して、着地と同時に近くのブラッドウルフを切り裂く。

 

雄也と誠は場数が違うからか次々とブラッドウルフを捌き倒していく。

 

その一方で胡桃と優花は危なげなところもあるが何とか対処していた。

 

バックアップの圭と悠里もフォローもあって完全に戦線は雄也たちの方が有利な状況であった。

 

「っ!?」

 

2階にいる悠里が通路の奥からブラッドウルフの一際大きい個体が出てきたのを目視し通信機でその場から近い人物に通信する。

 

「胡桃!近くの通路から親が現れたわ!直ぐに倒して!」

 

「っ!あれか!」

 

通信を聞き通路に振り向き親を確認して胡桃は真っ直ぐと突っ込んでいく。

 

「たあぁぁぁぁっ!」

 

胡桃のガングニールの射程範囲に入ったのをみてガングニールを振るいダメージを与えようとしたがブラッドウルフの親と言うべきか胡桃のはなった攻撃を避けられる。

 

攻撃を放った胡桃は隙を生んでしまいそこをブラッドウルフは噛みつこうと襲い掛かる。

 

「っ!!」

 

胡桃とっさにガングニールで防ぐが力で胡桃が押されている。

 

「胡桃!!圭!悠里!胡桃を援護できないか!?」

 

「無理よ!胡桃も当たるわ!」

 

「…くそ!待ってろ!今助けに!」

 

雄也は胡桃の危機に駆けつけようと襲い掛かるブラッドウルフを一撃で倒した後、胡桃のもとに向かう。

 

(こんなところで負けるわけにはいかない!)

 

雄也が胡桃のもとに駆けつけようとしているなか胡桃は意を決してガングニールを握っていた右を離すとブラッドウルフを、押さえていた体は胡桃に着実に近くがガングニールを、うまく使いブラッドウルフを左に反らして直撃を避けた。

 

[ナイスだ!嬢ちゃん!魔力全快だ!]

 

ガングニールの矛先が魔力刃で強化されそれをブラッドウルフに振り回されブラッドウルフを倒すことに成功する。

 

「なっ!」

 

ブラッドウルフの親を撃破したことに驚きを隠せずにいる雄也、胡桃は彼が思ってるいる以上に成長していたことに驚きを隠せない。

 

(腕も技量も少し前だと思ってたけどここまで強くなっていたとはな)

 

胡桃が強くなっていることを雄也は改めている背後からブラッドウルフが襲おうと迫ってきていたが噛みつこうとしたとき雄也はわかっている動きでブラッドウルフをアークで一撃で倒した。

 

「なら俺も心配せずに行くか!」

 

そういって胡桃のもとから離れていき襲い掛かるブラッドウルフを次々と倒していく。

 

「たあぁぁっ!」

 

少し場所を離れた場所で優花はオスカーでブラッドウルフの喉元を突き刺し一撃離脱で距離をとる。

 

「はぁ…はぁ…」

 

だがこの中で最年少でしかもここまで大勢の戦闘は初めてであり既に息を切らし始めていた。

 

「こうなれば!」

 

纏めて一掃しようとオスカーの柄を引き伸ばしガトリングモードに切り替えて、トリガーを押してガトリングから放たれる魔力弾がブラッドウルフを一匹、二匹と撃ち倒していく。

 

だが撃ち倒しているとガトリングの弾が切れてしまう。

 

「弾切れ!?こうなれば!」

 

直ぐに優花はオスカーの柄を押してランスモードに直してから今度は思いっきり引っ張り捕食モードに切り替わりオスカーから飛び出たそれはブラッドウルフを喰らい上に放り上げるとそれは悠里が弓矢で仕留める。

 

捕食モードのそれはオスカーのもとに戻りガトリングモードなると弾はブラッドウルフの魔力で補充されまたガトリングの射撃が始まった。

 

「…相手を喰らって魔力を捕食してるのか」

 

その光景を目にした雄也はふと昔にユーノに聞いたことのある話を思い出す。

 

「本来リンカーコアはどのような生物でも持っておりそれに覚醒するのは極稀である…か」

 

恐らくあの捕食は覚醒していないリンカーコアの魔力も食らうことができるのであろうそう思えば相手がいれば弾は無限ということになる。

 

そう雄也が思っていると優花がブラッドウルフの親と接敵していた。

 

まず近づきながら円運動でガトリングで相手を怯ませある程度近づいた瞬間ランスに切り換えてブラッドウルフを突き刺して撃破した。

 

「モードをうまく使い分けてやがる……予想以上の出来だな」

 

雄也は胡桃とそして優花の強さを目の当たりにし戦闘中であろうと少し頬にやけさせた。

 

「よし!各自残りの戦力を殲滅するぞ!」

 

広間にはブラッドウルフの親がいなくなりチャンスと踏んで全力で殲滅することを指示しブラッドウルフたちを次々と狩っていく。

 

「こいつで!ラストォ!」

遂に残り一体となり雄也がアークで切り上げて上空に吹き飛ばす。

 

「っ!雄也!まだ生きてる!」

 

切り飛ばされたブラッドウルフは体制を立て直し上空から雄也を襲おうとしていたが…

 

「わかってるよ…圭」

 

「了解です」

 

そして轟音と共に圭の銃器から放たれた魔力弾がブラッドウルフを貫き最後の一体も撃破を確認した。

 

「ふぅ…これで終わりだな…それじゃあ圭達は下に降りてきてくれ」

 

雄也は通信機で指示して2階にいる圭たちが2階から降りてきているのをみてアークに残りどれだけ時間があるのかを聞いてみる。

 

「アーク爆破まであとどれくらいだ?」

 

[残り時間19分52秒です]

 

「それだけあれば脱出に十分だな」

 

残り時間を聞いて安心する雄也に悠里たち全員が近づいてくる。

 

「さてと、帰りましょうか」

 

「そうだな」

 

そうして雄也達は漸くリバーシティ・トロン向け出す…

 

「ねえ、みんな…」

 

ことができると思っていたが由紀が足を止めてみんなに訪ねた。

 

「どうしたんだ?由紀?」

 

「なんか音しない?下から」

 

「音?」

 

由紀がそういってるのでみんな耳を研ぎ澄まして聴くがそういった音は何も聞こえてなかった。

 

「なんも聞こえないけど…」

 

「……ちょっと待て…なんか地面が揺れている」

 

何も聞こえてこないことで気のせいかと思った矢先次は誠が地面が揺れていることに気がつきそれは全員がそれに気がついた。

 

「…本当ですね…地震…ではないのですか?」

 

「…美紀…違う…何か下からぶつけてる音が聞こえてくる…」

 

圭も他のみんなも揺れともに何かの音も次第に大きくなっていることに気づく。

 

「まさか…雄也先輩!」

 

「まさかあいつか!」

 

圭と雄也はこの揺れと音の正体があいつではないのかと嫌な予感が過り、直ぐ様に全員に向けて叫ぶ。

 

「直ぐに広間中央から離れるぞ!」

 

そういって雄也は近くにいた優花と音姉を抱えて中央から離脱し、他も胡桃は悠里を誠は由紀を圭は美紀を連れてそれぞれ中央から離れた直後地面が砕ける音と共に巨大な鋼鉄の拳が地面から突き出てきた。

 

「な、なんだ!?」

 

直ぐに全員が一ヶ所のところに集まりその拳に視線を向けるとその拳は動き地面に掌をつけて次第にその巨大な鋼鉄の姿が地上へと這い出てくる。

 

「まさか…ゆうくんが言ってたあいつって…」

 

「そのあいつだ、でかいから出てこれないと思ってたがまさか天井突き破って出てくるとは思ってなかった」

 

予想外の展開に焦りの色を隠せない雄也はその巨体に戦闘体制で構える。

 

その巨体の体長は6メートルを越え全身は鋼鉄の鎧で身を守り右手にはこれまた巨大な大剣を所持している。

 

「くそ!来るぞ!」

 

苦い顔をしながら雄也はみんなにそういって全員武器を構え、鋼鉄の巨人、鉄巨人との戦闘が開始された。

 



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chapter34

「音姉たちは直ぐに外へ!」

 

「う、うん!」

 

雄也が声を荒げながら丸腰の音姫達に安全なところへと行くよう指示して音姫達は外へとリバーシティ・トロンから脱出した。

 

それを見届けてから雄也は鉄巨人に視線を向けると大剣を持つ右腕を天高くあげており、次の瞬間に物凄い風圧と共に振り落とされる。

 

「っ!」

 

全員左右に避けてると、雄也たちの先程までいた場所が大剣により地面を抉る。

 

『くっ!/きゃっ!/うぉ!?』

 

抉れたことでそこから中心に風圧が周囲に吹き荒れしっかりと掴んでいないと吹き飛ばされそうになるため雄也達は必死に地面にしがみつく。

 

風圧がやむと直ぐに動き出したのは雄也と誠だった。

 

凄まじい破壊力を持つ鉄巨人だが足のスピードが遅いところをつき、防御したあと直ぐ様に攻勢にでた。

 

「はあぁぁぁぁぁっ!!!」

 

二人とも跳躍し鉄巨人の胸元にアークとウィザードソードガンで切りつけようと振るったが鋼鉄で出来た鉄巨人の胸元にかすり傷ひとつつけることはできなかった。

 

「やっぱ固い!」

 

あまりの固さに雄也は苦い顔をしていると彼の左側から鉄巨人の腕が迫っていた。

 

「くっ!うおぉ!?」

 

雄也はアークを盾にして腕の直撃を防ぐがそのまま思いっきり振り回される腕により吹き飛ばされ壁に激突させられた。

 

「ゆうくん!!」

 

悠里は雄也が吹き飛ばされたことで悲痛な叫びをあげる。

 

「このぉ!」

 

胡桃と優花も動きだし優花はガトリングモードで援護するが雄也たち同様全く効いていない。

「たあぁぁっ!」

 

胡桃が鉄巨人の足元をひたすら攻撃するが全く攻撃が入らなかった。

 

「胡桃!上!」

 

後ろから悠里の声で胡桃は上を振り向くと鉄巨人の目が私をとらえてその大剣を胡桃にめがけて振り落としてくる。

 

迫り来る恐怖に胡桃は動くことがままならなくなりその間にも大剣は迫り来る。

 

「ライトォブリンガー!!」

 

雄也が吹き飛ばされたところから白い斬撃が飛び出て鉄巨人の肩に直撃し鉄巨人を怯ませることに成功した。

 

「胡桃!下げれ!」

 

土煙の中から雄也が飛び出てきて、その雄也の声で恐怖していた胡桃は正気に戻り鉄巨人から離れる。

 

「雄也先輩!大丈夫ですか!?」

 

「何とか、ぎりぎりプロテスを使ったから何とかな…でもこいつは何とかしないとな…」

 

守りが固い鉄巨人にどう対抗するかそれを雄也は周囲を見て、鉄巨人があけた穴をみてひとつの作戦を思い付く。

 

「みんな聞いてくれ」

 

雄也が全員にそういうと悠里たちは雄也の話に耳を傾ける。

 

 

「まともに戦えば俺たちは自爆に巻き込まれる。だから、鉄巨人をあの穴に落とす」

 

「どうやってだ?」

 

まずは作戦の主旨を伝えた雄也に誠は詳細を訪ねる。

 

「胡桃、悠里、圭、優花でどっちかの足に集中的に攻撃して鉄巨人のバランスを崩す、その後俺と桜崎さんで全力であの穴に叩き落とす!簡単に言えばごり押しだ」

 

「でもそっちの方がいいかもな!」

 

誠は詳細を聞いてその作戦に賛成する表情でリングを填め替える。

 

「それじゃあいくぞ!!」

 

胡桃はそういって優花と共に駆け出して自分達の全力一撃を鉄巨人の足の一点に繰り出す。

 

「今!」

 

胡桃と優花の一撃が繰り出されたと同時に悠里の掛け声と共に悠里の矢と圭の魔力弾が同時に放ち胡桃たちが攻撃した同じ場所に直撃し鉄巨人の体勢を崩すことに成功した。

 

「よし!今だ!」

 

[ルパッチマジックタッチゴー♪チョーイイネキックストライクサイコー♪]

 

「セイクリッドスラッシュ!!」

 

雄也の光の力をアークに纏わせ、誠は右足に火の魔力収束し二人とも一斉に飛び出して鉄巨人の胸元に雄也のセイクリッドスラッシュ、誠のキックストライクを放った。

 

二人の全力の一撃で体勢を崩していた鉄巨人の体は吹き飛ばされ鉄巨人の体は宙を舞い、体が地面に叩きつけられた瞬間、地面は陥没して鉄巨人の姿は地下にへ消えていった。

だがここで雄也と誠の状況を見てみよう。

 

今二人は完全に宙にいる。

 

その上地面は鉄巨人の出現、地下への落下で地面が脆い…つまり…

 

「っと、うおぉ!?」

 

キックストライクを決めた誠が地面に着地した瞬間地面が陥没して体が下へと落ちていく。

 

だが誠の自然落下は直ぐに止まった。

 

「だいじょぶですか?桜崎さん」

 

飛行魔法を使い落下していく誠の腕をもって落下を防止した。

 

そして陥没しない外回りの地面に誠を降ろし、すぐとなりで雄也も着陸する。

 

「誠!」

 

「ゆうくん!」

 

胡桃と悠里が二人の名前を呼んで雄也と誠がいる場所に集まる。

 

「直ぐに脱出するぞ」

 

全員が集まったのを確認して雄也達はリバーシティ・トロンから出て入り口の車道の胡桃たちが来た車の付近に先に脱出していた音姫たちがいて出てきた雄也達を見て音姫達は雄也達に駆け寄る。

 

「雄也くん!みんな…無事でよかった…」

 

音姫はみんな無事に帰ってきたことに心のそこから安心する表情を見せる。

 

「後自爆まで8分しか時間がない、俺はここに来た車持ってくるからみんなは直ぐに脱出できるように車の近くで待っててくれ、あ、絶対に車道には出るなよ」

 

そういって全速で雄也は車がある場所に向かっていきその間に胡桃は乗ってきた車にエンジンをかけていつでも出られるように準備をする。

 

「胡桃、私達はゆうくんの車に乗っていくから、最悪私達をおいて…」

 

《そんなことされるはずないだろ!》

 

悠里、音姫、圭以外は胡桃の車に乗り込み、最悪の場合は自身達を置いて逃げろと言おうとした最中、その言葉に遮るように通信機から雄也の声と車のエンジン音が鳴り響いて聞こえてくる。

 

すると一台の車が悠里たちの元へと向かってきてすると突然に勢いを落とさずにドリフトして車を胡桃の車の前にぴったりと駐車した。

 

「あ、危な…」

 

「車の運転プロ並か」

 

運転席に座る胡桃は肝を冷やし、隣の助手席の誠は雄也の運転スキルの高さに感心する。

 

他のみんなは突然の出来事に終始驚愕していた。

 

「早く乗れ!」

 

窓を下ろして運転席から雄也が悠里たちに乗るように呼び掛けて悠里たちを乗せると雄也と胡桃が乗せる車がその場から発進した。

 

「アーク!後何分だ!!」

 

[2分を切りました!爆心地から現在769メートル!!]

 

雄也が乗る車時速50㎞で走行しどんどんと爆心地から離れていく。

 

「爆心地から1㎞到達!残り43秒!」

 

1分を切って余波がくると思われる距離を超えるがまだ走行する。

 

そして残り十秒になると車をそこで止める。

 

[6…5…]

 

「みんな衝撃に備えろ!」

 

[3…2…1…]

 

そして雄也達は車の箇所にしがみつきそして

 

[0]

 

アークのカウントダウンがゼロになった瞬間大音の爆発音とそれの衝撃が1㎞以上離れたここにも届き、車体がかなり揺れる。

 

そして十秒ほど揺れが続き次第に揺れが収まると雄也が通信機を通して全員の安否を訪ねる。

 

「胡桃そっちは無事か?こっちは全員無事だ」

 

《ああ、みんな無事だ》

 

胡桃の声を聞いてみんながほっとするとそのまま車を発進させる。

 

《一時はどうなるかと思いました》

 

「まあ、雄也先輩がいたから問題なかったんだよ美紀」

 

《まあ、そうですけど…》

 

「ところでゆうくん、車の運転普通に出来るけどどうして?」

 

後ろで圭が通信機を使って美紀と話し合ってると、助手席に座る悠里が車を運転する雄也にたすねてみる。

 

「ん?圭と同じこと言われたけど、任務でな教官に無理矢理運転させられて…カーチェイスしてたら自然とな、後ヘリとかクルーザー…極たまに大形飛行機なんか運転した…」

 

《いやいや!いくらなんでも可笑しいだろ!?》

 

通信機に焦りの声をあげる胡桃の声が聞こえてきて他の悠里たちは凄まじい経歴に圧巻とし圭は苦笑いを浮かべる。

 

「一体、その教官って雄也くんに何がしたかったの?」

 

「いや、あの人についてくと色々と身に付いてな、他にも爆弾の解体とか応急処置、尋問の仕方とか…」

 

『(何者なんだろうその教官って…)』

 

雄也が言う教官という存在…悠里たちはその存在に非常に気になるのであった。



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chapter35

アニメ大好きさんとのコラボもここで終わりです
アニメ大好きさん本当にありがとうございます!



日か落ちてきて夕方

 

巡ヶ丘中学では慈とジュードはふと学校から外を見ていた。

 

昼頃に起きた揺れとリバーシティ・トロンの方角からの煙が立ち上っている光景を見て、リバーシティ・トロンに向かった胡桃たちの心配で仕方なかった。

 

「若狭さんたち大丈夫かしら」

 

「誠がいるから大抵のことなら無事なはずだけど…」

 

立ち上る煙に不安を積もらせる二人は二階の廊下から敷地外の通路を見つめていた。

 

「あ…胡桃たちの乗ってる車だ!」

 

じっと見つめていると道路の先から胡桃たちが乗って出掛けた車がこちらに向かってきていることに気づく。

 

「あれ?もう一台車が…」

 

慈は胡桃の乗っていた車の後ろにもう一台車が着いてきていることに気づく

 

そして車は門の前に停車して中から誠と優花がでて門を開けて車はグラウンドに入り手頃のところで駐車した。

 

「とりあえず無事だったみたいだし、下に降りて迎えにいきましょう」

 

ジュードがそういうと慈も頷き下へと降りていった。

 

一方、グラウンドに車を駐車した雄也達は寝ている悠里達を起こして車から出ていた。

 

「今日は疲れたな」

 

「まあ、あんな激闘早々ないだろうしな」

 

身体を伸ばして疲れを顔に出している胡桃に雄也は軽い口調で言葉を返す。

 

「由紀ちゃんと直樹さん…寝ちゃったのね」

 

「相等疲れてたみたいだしな」

 

起きた悠里と圭はそれぞれ眠っている由紀と美紀をおぶっていた。

 

「もう、私もくたくた…早く休みたいわ」

 

門を閉めてから雄也たちのもとに来た優花も疲労の顔を隠せない状態であった。

 

「若狭さん!朝倉さん!みんな大丈夫!?」

 

すると校舎の玄関から慈とジュードがやって来て胡桃たちの安否を確認してきた。

 

「めぐねえ、私達はみんな無事です」

 

「もう、めぐねえじゃなくて佐倉先生…もうなんかい間違えば…え?」

 

悠里のめぐねえという発言にいつもの言葉で返そうとしたとき視界に雄也を捉えたことでその言葉をつまらせた。

 

「月宮…くん?」

 

「あのその…大変ご迷惑を御掛けしました…佐倉先生」

 

雄也がいることに動揺を隠せない慈に雄也は出ていったことへの謝罪を述べた。

 

「月宮くん、よかったわ…あなたが無事で…本当に」

 

生きていたということの朗報に慈は涙を流した。

 

「もう、勝手なことはしては行けませんの」

 

「は、はい…さ…めぐねえ」

 

「なんで言い換えたの!?めぐねえじゃなくて佐倉先生です!」

 

「いやぁ…のりで…」

 

「のりって!」

 

慈のツッコミに周りのみんなも笑顔がこぼれた。

 

「漸く…帰ってこれたな…」

 

「うん、ゆうくん…お帰り…」

 

「…ただいま!みんな!」

 

そうして雄也は戻ってきたこの…支え、支えてくれるみんなのもとに…

 

SIDE雄也

 

「あ~疲れた」

 

現在夜の9時廊下はうっすらと不気味な雰囲気を醸し出し、そんな中を俺は歩いていた。

 

先程まで、音姉、悠里、佐倉先生の三人に盛大なお説教を言われて漸く解放されたのだ。

 

他のみんなはお風呂とか寝室に行っていた。

 

「少し夜風に当たってくるか」

 

そう思い俺はあるものを部屋からもって階段を上がり屋上に来ていた。

 

空に曇りのない星空が見える。

 

「いい星空だな」

 

ふと夜空を見上げていると俺じゃない誰かの声ふと、聞こえた方向を顔を向けると桜崎さんが俺のとなりに座った。

 

「あの、桜崎さん…」

 

「誠でいい、それと敬語もしなくていいぞ、雄也」

 

桜崎…いや、誠はそういうと俺も頷く。

 

「その、すまない、誠のことは音姉達から聞いたよ、異世界から来て、帰れるのに音姉達を守ってくれたこと…本当にありがとう」

 

「べつに、気にするなよ、俺がやりたかっただけだしな…それにこれからは雄也が戻ってきたんだから…俺もそろそろ帰らないとな」

 

そうだよな、俺が戻ってきたんだから誠はもう音姉たちのこと心配する必要はないと思ったんだろう。

 

「雄也と俺は似ているからな」

 

「似てる?」

 

俺と誠で似てるところがあるのか?…少し気になる。

 

「俺も付属三年の頃、義之たちに内緒で仮面ライダーとして戦っていたんだ、もし俺が仮面ライダーになったら皆に危険が及ぶ可能性がある、そう思ってな」

 

誠はそういって俺は確かに似ていると実感した。

 

「たしかに俺も一度はこれ以上悠里達を巻き込めないと思って離れたしな…」

 

「一度、手放して戻ってきた希望…絶対に手放すなよ」

 

そう誠が言う、そんなの当たり前だ。

 

「ああ、もちろんだ」

 

そしてまた星空を眺めていると部屋からもって来たあるものを取り出した。

 

「?それなんだ?」

 

俺が取り出したのはひとつの瓶でカップは二つ用意されている。

 

「何って日本酒だよ…リバーシティ・トロンから持ってきてたんだ…少し飲みに付き合ってくれないか」

 

「酒かよ!ってか大丈夫なのか?」

 

「大丈夫、大丈夫!アルコール少しだし…問題ないよ」

 

そういってカップに日本酒を注ぎ二つのうちのひとつを誠に渡した。

 

「それじゃあ、まあ、ちょっとだけならな」

 

 

(訳あってここから地の文が少なくなります、ご了承くださいby 作者)

 

数分後…

 

 

「あはははは~!なあ誠~僕はいっじょうげんめい~がんばったのれすよ」(訳 あははは、なあ誠、僕は一生懸命がんばったんだよ)

 

「………一口飲んだだけで酔ってるよ」

 

「んあ?なにか~いいましゅたか~」(訳 ん?何かいいましたか?)

 

わたしは~いたってへいきれしゅのに~…(訳 私は至って平気ですのに)

 

へいきたらへれきでしゅからね!(訳 平気ったら平気ですからね)

 

「まさか…音姉や由夢以外でちょっとの酒でこんなに酔うのがいたとは…」

 

まほぉとは何いってりゅの~? (訳 誠は何をいってるの?)

 

「しゃあ~まちょと~ほお、いっぷばい…いひょう~」(訳 さあ、誠、もう一杯行こう)

 

「いやいや、もうやめとこう…」

 

「なひぃ?われしのちゃけが…のめないのれすか?」(訳 何? 私の酒が飲めないのですか?)

 

「いや、だから」

 

まっひゃく、ぽれのしゃけがのめにゃいなんて(訳 全く、俺の酒が飲めないなんて)

 

「いいれす、このしゃけはじぇーんぶほへがのみまちゅ」(訳 いいです、この酒は全部俺が飲みます)

 

「待てぇぇぇぇ!!これ以上厄介なことになる!こうなったら!」

 

[スリープ プリーズ]

 

ふれ?なんにゃか…ねぬく…(あれ?なんだか…眠く…)

 

 

 

 

翌日

「それじゃあお世話になりました」

 

翌日の朝9時、誠が荷物をまとめてもとの世界に帰ることになり見送りに屋上に集まっていた。

 

「ううん、お世話になったのは私達の方よ、元気でね桜崎さん」

 

「ふん!こんな痴漢男が居なくなって清々するわ」

 

「もう、優花ちゃんたら…ごめんなさいね誠くん」

 

「ははははは…いや別に大丈夫だ、悠里、そっちも元気でな」

 

「じゃあね、まーくん!」

 

「そっちの私も心配してるだろうから、安心させてあげてね」

 

誠の世界の音姉や由夢達か…なんか、由夢に誠がぼろだしてかなり高いスイーツとか奢られそうだな…誠、ステーキ食べたし(二回)…

 

あ、そういえば…

 

「なあ、屋上でいっしょにあれ飲んだ後の記憶がないんだけど…何かあったか?」

 

俺は日本酒を飲んだ後の記憶がない気がつけば寝袋の中で知ってるのは誠だけだし聞いてみた。

 

「いや、ナニモナカッタゾ」

 

何故か返事がかたごとだ…いや、追求するのはやぼだな

 

「そうか、なら別にいい、この礼はいつか返す、またな、誠」

 

「ああ、またな、雄也」

 

[クリア プリーズ]

 

クリアリングをウィザードライバーに手を翳すと誠の足元に魔法陣が出現しそしてその魔法陣によって誠はもとの世界に転移した。

 

 

「…いったな…」

 

「そうだね」

 

誠が居なくなり少し寂しいけど…しっかりしないとな。

 

「さて、部室に戻りましょうか」

 

佐倉先生の言葉にみんな屋上から校内に入っていき最後に俺がドアの前で止まりふと空を見上げた。

 

「……またいつか…必ず会おう…希望の魔法使いさん」

 

そう誠に聞こえてはいないだろうがそう言い残し部室に戻っていった。

 

 

学園生活部の部室

 

誠がもとの世界に戻り全員この部屋に戻ってきた後悠里が俺に聞きたいことを聞いてきた。

 

「ねえ、ゆうくん、あの放送から8日間、何処で何をしていたの?それにあの施設からどうやって…」

 

「そういえば、私もそれ気になってたな」

 

同じく胡桃も行方がわからなかった8日間を気にしているようで圭を除くみんなも同じかおをしていた。

 

「まあ、秘密って訳じゃないし、話そうから日なり長い話になるから覚悟しておけよ」

 

そういうとみんなうなずいた。よし

 

「それじゃあ9日前…あの施設が崩落寸前まで遡るけど…」

 

俺はみんなに俺と圭の8日間の戦いの話を始めるのであった。



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chapter36

「っ!圭!あぶない!」

 

天井の導線が火花が散らし爆発した爆炎が迫ってきて俺はとっさに圭を覆うように抱き締めて爆炎から圭を庇った。

 

「くっ!」

 

背中がじりじりと爆炎により焼かれて激痛が走るが身をていして守った圭は何とか大丈夫だったようだ。

 

「雄也先輩!背中が…!」

 

俺が庇った圭は俺の背中の惨状を見て心配して声をかけるが俺は大丈夫と言って落ち着かせた。

 

倒れこんだ身体を起こして周囲を見渡す。

 

唯一の出入り口が瓦礫で封鎖され天井は今にも崩れそうに罅がはいり崩壊で断線している導線が火花を散らしている。

 

正直言ってかなりやばい状況下にいる。

 

あの瓦礫を斬撃で壊したとして確実に反動で天井が崩れ落ちていくのは目に見えているために使えない。

 

刑務所からいける通路はどうだ?そこからならもしかしたら…

 

いや待てよ、それなら通路のところを破壊すればわざわざ局員がこの連絡道を使う必要もなかったはずだ、つまりかなり頑丈な作りになっているということなのか?

 

「何か…何か手があるはずだ」

 

あの手この手と生き残る方法を模索する。

 

「雄也…先輩…」

 

考える俺を見て圭は心配の顔を隠せないようだ。

 

思い出せ、何か…脱出じゃなくていい、どこか避難できる場所でも……っ!?

 

「そうだ…」

 

ふと、少し前のことを思い出す、ベヒモスと戦う前あの保管室に言ったとき俺はあのときなんて言った?

 

(「その上頑丈な壁とドア…此処はシェルターの役割あるみたいだな」)

 

保管室だ!もしかしたらあそこなら崩壊に巻き込まれないかもしれない!

 

「圭!保管室だ!あそこなら崩壊に巻き込まれないかもしれない!」

 

「あっ、そうか!」

 

俺は直ぐにたったひとつの生き残る方法を圭に告げると圭も直ぐに理解した。

 

「行こう!もう時間がない!」

 

「はい!」

 

そういうと崩壊で天井の壁などが落下するなか保管室に向けて走り出した。

 

既に道中は瓦礫により障害物があちらこちらに散乱しており普通なら苦労して進まなければならないが魔力で身体強化している俺とワクチンの副作用で身体能力が上がっている圭の俺達には跳び箱のように跳躍して障害物を飛び越えていく。

 

だが、圭はベヒモスの戦いの疲労からか足取りが悪い。

 

「きゃっ!」

 

そう思っていた直後着地しようとしていた圭は蹴躓いて倒れる。

 

そして圭の真上の天井から瓦礫が降ってきていた。

 

このままでは圭が潰される、そう思い俺はアークでその瓦礫に真っ二つに割って圭を助けた。

 

「大丈夫か?圭」

 

「は、はい大丈夫です」

 

圭は身体を起こして再び走り出し、俺も走り出したのを見て走り出す。

 

そして漸く頑丈な扉が見えてきた。

 

「よし!もうすぐだ!」

 

後少し、俺達の足取りも軽くなり目の前に来ると頑丈な扉を開けると予想通り中は全く崩れていない。

 

「よし!中に…」

 

入ろうとしたとき後ろで爆発が起こり俺達は爆発に巻き込まれた。

 

 

……

 

「うっ…お、おれは」

 

意識がだんだんとはっきりしてくる。

 

まず始めに体が全身が痛い。

 

爆発で吹き飛ばされた…後何があった…っ!圭!

 

「うっ!くっ!」

 

目を開けて辺りを見ようと体を動かすだけで激痛が走る。

その激痛を押さえながらも俺は周囲を見渡すとどうやら保管室のようだ

 

だが中は先程の爆風により地面に至るところものが散乱している、そのなかで圭も倒れこんでいた。

 

「ぃ…っ…!」

 

圭も服装も体もボロボロで悲鳴も言えないほどの激痛に見回れているのがわかった。

 

「保管…庫なら」

 

もしかしたら鎮痛剤ぐらいはあるかもしれないと思い匍匐前進で徐々に移動しワクチンなどがあった。所にたどり着く。

 

そして顔を動かして地面に落ちた鎮痛剤を複数発見する。

 

割れていない鎮痛剤を手にもって、腕に針を刺して鎮痛剤を体に流し込む。

 

「うっくっ…!」

 

うまく針が刺さらなかったから要らぬ痛みを味わったがそれぐらい別にいい、そしてもうひとつの鎮痛剤をもって倒れている圭のもとに匍匐前進で向かう。

 

「け…い…」

 

掠れた声で俺は圭を呼ぶと圭は反応したのか痛みを走らせても顔を俺に向けてきた。

 

「せ…ぱ…い…」

 

同じく掠れた声で言葉もおぼつかない状態で俺のことをよぶ。

 

そして圭の元にたどり着くと圭の肩に鎮痛剤を刺して体に投与した。

 

「う…ぁっ…!」

鎮痛剤を撃った痛みからか小さい悲鳴をあげた後、鎮痛剤を抜いて俺は荒い息を吐きながら仰向けに転がる。

 

鎮痛剤で痛みは引いていくが体力の限界だ少し眠るとしよう…

 

 

……

 

………

 

「…ぱい…ゆ…んぱい…」

 

「ん…?」

 

「雄也先輩!起きてください」

 

俺は圭の声で目をさます。

 

目を開けると目の前には服がボロボロや圭の姿があり俺は少しの痛みを堪えながらも体を起こした。

 

「俺達どれくらい寝ていたんだ?」

[現在朝の7時21分、かなり眠っていました、無茶な体の使った付けですね]

 

そう、現在の時刻と共に軽く昨日の無茶な行動に値を持っているようにアークが告げた。

 

「悪かったって…まあ、とりあえず俺達二人とも無事だっただけでもよしとしよう」

 

といっても入り口はふさがり前途多難なんだけど…なんとかなるかな?

 

「とりあえず荷物整理するか」

 

俺達が持っている荷物もしかしたら使い物にならないものも出てくるかもしれないから今のうちに整理しよう。

 

そういってバックを整理するとやはりあの爆風で痛み使えないようになったものがちらほらと出てきた、ワクチンや食糧が無事ったのは幸運だがノートパソコンは画面が割れて使えなくなっている。置いていくしかないな、幸いUSBは無事だったし

 

「圭、銃器とかどうだ?」

 

「うーん、かなり気づいたけど…銃身とかは痛んでないから問題ないですよ、といっても今のわたしじゃあライフルは使えないんで」

 

圭は乾いた笑い声でそういう。

 

とりあえず荷物は整理した…とりあえず食糧を食べよう、脱出はそれからだ。

 

そうして一度乾パンなどを食べて休息してからこの崩落した地下施設からの脱出プランを練ることにした。

 

「さてと、なにか方法があるか…」

 

その場しのぎはしたが出なければ何れは餓死してしまう。とりあえず考える方法は2つかな?

 

1つ、救援を待つ。

 

といっても救援など来るはずない、来るとしてもそれは局員だから救援じゃない。

 

2つ、古代魔法で脱出

 

こちらの方が現実味があるけど俺の頭にある魔法詠唱のなかでそういった魔法がない…使えるのはケアル、ファイア、ブリザド、サンダー、プロテス、シェルの6つ、転移魔法も使えないしそういった方法もとれない。

 

「あの、雄也先輩、もしかしたらここに役に立ちそうなものあるかもしれませんよ?」

 

2つ以外の方法を考えていると圭がこの部屋にあるもので脱出に使えるものがあるかもしれないと提案する。

 

「…探してみるか」

 

そういって全身が少し痛みながも体を起こし保管室の物色を始める。

 

薬品や食糧などがあるなかあのとき見ていなかった所にはカーリッジや耳につける通信機、デバイスの部品などもちらほらとあり、そのなかで地面に落ちた大きいケースに目に入り中を拝見すると…

 

「こいつは…」

 

中には大型の重火器が入っておりそれを取り出して壊れていないかを確認する。

 

「壊れて…なさそうだな」

 

[どうやら一般のデバイスとは違う構造のデバイスのようですね]

 

「違う?」

 

[はい、これは使用者の魔力ではなくカートリッジに内包されている魔力で放つタイプのようです、簡単に言うと試作機ですね]

 

「なるほどな…試作機ね…こいつは使えるかもな」

 

俺はこの試作魔導砲で1つの強行策を思いつき、取り合えず圭のもとへと戻る。

 

「あ、先輩、どうでしたか?」

 

「取り合えず1つだけ作戦は決まった」

 

そういって圭の隣で座ると魔導砲のマガジンに持ってきたカートリッジ詰め込んでいく。

 

「えっと、その大きい銃器なんですか?」

 

「まあ、見ててくれ、よっと」

 

カートリッジを全部詰め込むとマガジンを元の差し込み部分に戻して両手で構えるて銃口を瓦礫で塞がっている保管室の入り口に向けた。

 

「圭、少し下がっていてくれ」

 

圭に後方に下がるのように促すと圭は後ろに下がる。

 

それを確認してから俺は魔導砲のチャージを開始し出力最大の魔力弾を入り口に向けて放った。

 

すると魔力弾は塞がった入り口で爆散、そして拡散し入り口を塞いでいた瓦礫は木っ端微塵に粉砕し入り口から3、4メートルぐらいの空洞が出来た。

 

「これなら時間はかかるけど、いけるかな?」

 

「えっと、いったいなにするの?」

 

これならいけるかと俺は感心しながら魔導砲の先程の一撃で使いきったカートリッジを地面に捨てて後ろから聞いてきた圭の質問に答えた。

 

「何って作ってんだよ、脱出路を」

 

俺が考えた脱出計画その3

 

この魔導砲を使って邪魔な瓦礫を吹き飛ばしそのまま地上まで貫通させる、いったってシンプルな作戦だ。

 

「ほ、本気?」

 

「こういうのは、なせばなるだ!まあ、任せとけ!」

 

そういって新しいカートリッジを詰め込みながら圭にそういうのであった。



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chapter37

強行策を取って既に1日と8時間が過ぎていた。

 

時間帯はアークに教えてもらいながらも魔導砲で着実に上へと上へと道を作っていく。

 

既にカートリッジを1000発以上は消費しており作った穴の地面にはそこら中にカートリッジの使い捨てが散乱していた。

 

[地上まで後十メートルといったところです、恐らく後一発で地上に貫通させられるかと]

 

「そうか、ならそろそろ圭も呼ぶかな?」

 

そういって耳につけている保管室にあった通信機で同じくつけされた圭に連絡をいれる。

 

「圭か?もうすぐ地上に出られるから荷物もって上がってきてくれ、後足元気を付けろよ」

 

《え?あ、うん、わかった荷物まとめてそっちにいきますね》

通信機から圭の了解の返事が届くと俺は斜面の地面に座りながらカートリッジの詰め込みを始めた。

 

「外はどうなってるのかな…」

 

既にあのベヒモスとの戦いから1日が経過しているのだ地上の情勢はそれから一気に変化しているに違いない、それが良いか悪いかは状況確認しだいだろう、まるでパンドラの箱だな。

 

「お待たせしました、先輩」

 

状況が気になるところで下から圭がやって来た。

 

「来たか、それじゃあ早速始めるとするか」

 

そう思って装填が完了した魔導砲を地上の方に向けて魔力弾を発射し土壁に着弾して爆散して拡散、すると爆破したところから日の光が差し込むと同時に土砂等がこちらに雪崩れてくるが巻き込まれる量ではないために押し流されることもなく魔導砲のカートリッジを捨てながら地上に出る。

 

「太陽の光だ…」

 

そう俺は言葉をこぼす。

 

丸2日しか拝んでいなかった太陽だが見たのが久しぶりのように思えてしまう。

 

「ん~なんか久しぶりな気がします」

 

圭も大きく屈伸をしながら俺と同じことを考えているようだ。

 

「さてと、これからどうする?」

 

地上に出るという目標は達成できた、それなら次の目的に移るわけだが。

 

「あ、それじゃあリバーシティ・トロンに行きましょう、あそこに私の友達がいるはずなんです」

 

「そうなのか、なら助けにいかないとな…その後は…巡ヶ丘中学かな?」

 

悠里達の所に戻るって誓ったしな…確実に怒られるけど…今悠里達どうしてるかな?

 

取りあえずの目標は決まったが俺は俺の姿と圭の姿を見る。

 

「な、なんですか?先輩」

 

「いや、俺達ボロボロだからさ、まずは傷なんかを手当てできる場所にいくべきかなって」

 

そう指摘すると圭も自身の体を見始める。

 

「それもそうですね、体も本調子ではないですし、迂闊に行動したら危険かもしれません」

 

「それじゃあ手頃の家で今夜を過ごして体を休めるか」

 

そういって俺達は刑務所跡を後にして住宅街にへと足を踏み込んでいった。

 

「ふぅ…ダメージの性で中々思うように動かないな…」

 

地上を出て4時間ほどが経過した。

 

俺達は疲れてはいないが体はボロボロでベヒモスの時のように戦えないのは明白なので何とか最小限で奴等とは戦闘しほとんどは隠れてやり過ごしていた。

 

そんなこんなで動く距離も通常より短く既に夕方になり日がくれそうになっていた。

 

「どうする?この辺りの家に忍び込んで一夜過ごすか?」

 

「………」

 

圭にこの辺りで休むかと訪ねたのだが圭は何故か黙りとして俺の声が聞こえていないようだ。

 

「おい、圭」

 

「は、はい、なんですか!?先輩」

 

圭の肩を揺さぶりながら声をかけて漸く反応した。

 

「どうした?なんか様子がおかしいみたいだけど」

 

「えっと…その…」

 

ことの理由を聞いてみようと思ったが圭は歯切れを悪くする。

 

「…何があるのかは知らないけど、ぼっとするなよ、正直町中敵だらけなんだから」

 

「はい…ごめんなさい…」

 

謝られてもな…

 

「取り合えずここら辺で今日は休もう…それでいいか?」

 

「そ、それもそうですね」

 

取り合えずそうだな…手頃の家に…

 

「あれ?圭ちゃん?」

 

「っ!?」

 

後ろから咄嗟に声をかけられてアークに手をかけながら振り向くと局員とは思えない男性が四人ほどがいた。

 

「っ!?おじさん!?」

 

圭が驚いた声をあげる、どうやら知り合いの様子だが、取り合えずアークを手にかけていた手を解いた。

 

「やっぱり、圭ちゃんだ!よかった無事だったんだね」

 

「あの、おじさんこそ…でもどうしてこんなところに…」

 

「今は祠堂家に避難されてもらっているんだ」

 

「私の家にですか?」

 

話から察するに圭の家がこの近くに存在するということか?

 

ん?もしかしたら上の空の原因って圭の家になにか関係があるということか?

 

「あのお父さんは…」

 

「源司さんかい?あの人なら幸さんと一緒に大丈夫だったよ、今も祠堂家にいるよ」

 

「そう…ですか…」

 

安否を聞いても安心することなく逆に落ち込んでいる表情を見せている…親と仲悪いのか?

 

「圭、どちみちここら辺の家に泊まるわけだから自分の家に帰ってみないか?…ほらこんな状況だし…なんか訳ありみたいだけど…」

 

俺は圭に一度自分の家に帰ってみたらどうだと提案すると圭は渋った顔で悩み始めた。

 

「圭ちゃんが無事ならきっと喜んでくれるさ」

 

「そう…ですね、それじゃあ、一度戻って見ます」

 

「決まりだな」

 

今日の泊まる家は圭の家に決まり、そうして圭の所で世話になっているおじさん達の先導の元に住宅地を歩いていくのであった。

 

途中、奴等への妨害用の柵やバリケード等が存在しそれを抜けていくと彼らがいう祠堂家の避難所にたどり着いたとき俺はその家を見て驚いた。

 

「でか!」

 

館と言ってもいいアリサとすずかの家とは少し規模は小さいが大きい敷地に立派な館が佇む家だ。

 

「…圭の家って金持ちだったんだな」

 

「うん…」

 

圭と話すけど、帰ってくる返事は反応が薄いものである

 

気にはなるとところだが触れない方がいいかもしれない。

 

そう思ってる内に門が開かれ敷地内にはいると中の敷地には簡易なテントが幾つも設置され老若男女色々な人がこの敷地で生活をしていた。

 

「こんなに…」

 

「今ここには140人ほどの人が避難しているんだ」

 

ここまで大勢の人達を見たのはパンデミックでははじめてだったために驚きを隠せなかった。

 

「それじゃあおじさん達はここで圭ちゃんは家にいくといいよ、両親に顔を見せにいくといい」

 

そういって彼らはテントの方に各自散っていき俺と圭は館の前にやって来る扉の前にはボディガードであろうか二人が配置されている。

 

「っ!圭さま!?」

 

「ただいま、ここを通してくれませんか?」

 

「わかりました」

 

そういって扉の前から退いて俺と圭は中に入ると広いエントランスが広がっておりそこ中にも何人か避難していた人がいるが外より何故か人数が少ない…これならこの家に全員くらい入れるかもしれないぐらいだ。

 

「圭!」

 

すると二階から女性が圭の名前を呼びながら降りてくる。

 

「お母さん!」

 

圭も嬉しそうな顔で圭のお母さん…確か名前は幸さんの名前を呼んで互いに抱き締めあった。

 

「よかった…よかったわ…生きていてくれて…こんなボロボロになって」

 

「ううん、大丈夫だよ、お母さんも生きていてくれてよかったよ」

 

生死がわからなかった親子の再会、これほどいいものはないだろう。俺も水を指さずに黙っていると…

 

「騒々しいがなんの騒ぎだ」

 

二階からそんな男性の声がするとその男性は下に降りてきて圭の嬉しい顔は一変した顔つきになった。

 

「お父さん…」

 

「圭か…てっきりあの場所で死んだと思ったが生きていたか」

 

予想外に冷たい対応で圭にいい放つ。

 

「部屋にもどっていろ、あとで話がある」

 

そういい放ちどこかへ去っていこうとするのを見逃すことはできなかった。

 

「ちょっと待ってください!生死不明だった、娘が帰ってきてその言い方はないはずだ!」

 

「…お前は…そうか…圭といた、これは家族である身内の問題だ、他所は口を慎んでくれ」

 

「だが!「いいです!」…圭」

 

「いいですから…雄也先輩私はこれでいいですから」

 

「それでいい、君は外のテントを使え」

 

そういい放って源司さんはここから去っていき、その後圭と幸さんも館の奥へと去っていった。

 



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chapter38

圭の家にたどり着いてから一夜が明けた。

 

俺はテントで休む予定だったのだが他人とのシェアで休むのは少し気が引けたのもあり敷地内にある手頃な木の上で座った体勢で眠りについていた。

 

日ノ出が出てきて小鳥達の鳴き声が囀り俺は目をさました。

覚めた意識で辺りを見渡すとちらほらと起床して動き出している大人達が見えている。

 

「アーク今何時だ?」

 

[6時49分です]

 

「…そろそろ起きるか」

 

そういって木の上からおりて俺も何か作業を手伝おうと行動をする。

 

行動したのだが…大人に…「怪我人なんだからじっとしていてくれ」「子供に手伝ってもらうほど忙しくないだの」などの理由で断られ結局、木の下で療養に専念することにした。

 

「はぁ…体を休ませろってことなのかね」

 

まだ完全に動かせないから体を休ませてコンディションを完全にすることを第一にしよう。

 

「ん?」

 

目をつぶって体を休ませていると何故か視線を感じる。

 

ふと目を開けて視線を感じた方向をみると俺に興味深々で覗いてくる幼い子供達がいた。

 

俺が見ていることに気づいて子供達は頭を引っ込める。

 

「俺ってそんな興味…持たれるな」

 

自分を否定しようとしたがこの前のベヒモス戦のことがよぎりすぐに肯定した。

 

あれだけ暴れたのだ印象に残らないわけがない。

 

「…どうしよう…この状況…」

 

声をかける?いや、返って怯えさせて逆効果だし、このまま無視するのもな…

 

「ねえ、お兄ちゃん」

 

…まさかあちらから声をかけてきた。

 

「えっと…何かな?」

 

怯えさせないように優しい物腰で幼い女の子に話返した。

 

「お兄ちゃんって騎士様なの?」

 

…騎士と言えば…騎士だけど…今はどっちかっていうと傭兵だよな~

 

でもこんな女の子が目を輝かせながら見つめていると否定ができない。

 

「まあ、そういわれればそう…かな~」

 

曖昧な答えで返答すると隠れていた子供達さえも我先と俺の回りに集まってきた。

 

「ねえねえ!あのかっこいい剣見せてよ!」

 

「すごい動きだったよね!あれどうしたらあんなに動けるの!?」

 

「あの服かっこいい!また見せて!」

 

「え?あ、あの…」

 

子供の質問ラッシュで流石にたじたじになる俺を見て後ろから大人の女性がやって来た。

 

「はいはい、お兄さんも困ってるからみんな落ち着いてね」

 

『はーい』

 

女性の一言で子供達は言うことを聞いた。

 

「ごめんなさいね、子供達、あなたに興味津々みたいだし」

 

「えあ、いえ、別に…あれだけ大暴れしたら興味も持たれるのも」

 

そう言い苦笑いで俺はベヒモス戦のことを、思い出す。

 

「それと、ごめんな、剣とか衣装はいざっていざってときしか使わないから見せるのはちょっとね」

 

そういって近くにいる子供も頭を撫でる。

 

「え~」

 

「もう、えーじゃないわよ、ごめんなさいね本当に」

 

「いえいえ、この子達の世話をしているですか?なんか凄いですね」

 

「私にはこれぐらいしかできませんから、この子達の遊びに付き合っているんです」

 

「そうなんですか、それじゃあ俺も手伝いますよ、暇ですし、なんか体を動かさないとな」

 

そういって体を起こす。

 

「わーい!なにして遊ぶ?」

 

「かくれんぼ!」

 

「鬼ごっこ!」

 

子供達はなにして遊ぶか話し合いはじめて、取り合えず始めにかくれんぼで遊ぶことになった。

 

「はぁ~疲れた」

 

既に日がくれて夕方、今日一日子供達と一緒に遊びまくった。

 

本当に子供って疲れ知らずで…はしゃぎ回ってかなりくたくたである。

 

俺は木の下で体を休めていてふと祠堂家の館に目を向ける。

 

「圭の奴、何してるんだろうな…」

 

今日一日圭の姿は見ていない、ずっと、館の中にいるはずなのだが…

 

「少し様子でも見に行くか」

 

そう思い館の前にやって来て昨日と同じ入ろうとしたとき扉の前に立つガードマンに立ち塞がれた。

 

「あの通してほしいんですけど」

 

「駄目だ、此処から先は源司様の許可された方以外立ち入り禁止されている」

 

「昨日は圭さまと一緒だったために特別に通したに過ぎない、ならさっさと帰った帰った」

 

そういわれて門前払いされて館から少し離れたところから館を見る。

 

「正規方がダメなら忍び込むか」

 

そう思い館全体を見渡して2階の一ヶ所が窓が開いていることに気づき魔力で身体強化して壁の窪みなどでよじ登り開いている窓から中を覗き誰もいないのを見計らって中に侵入した。

 

「さてと、圭の奴はどこにいるかな」

 

他の人に見つかると厄介だと思い見つからないように祠堂家の館を探索していく。

 

やはりというか隠れ進んでいる間中にいる人は確実に外より少ない…しかもまだ確実に入れることも可能なくらいに

 

そんな疑問を思いながら広い廊下を歩いていると前は行き止まりで引き換えそうと思った矢先近くの部屋から人が出てくる気配を感じた。

 

「やば!」

 

見つかると不味いために行き止まりにある扉の先から気配がしないのを確認した後中に入ろうとしたが鍵がかかっているのか中には入れない。

 

「鍵かかってやがる!アーク!ツールを出せ!」

 

鍵がかかっていることを確認後俺はアークに指示して収納してあるツールを取り出してそこから細い棒状のものを2本取りだしそれを鍵穴に入れて弄くること数秒で鍵が開く。

 

そして咄嗟に扉を開けて部屋の中に入り、気づかれることを回避した。

 

「…ふぅ…本当に何でも覚えておくものだな」

 

危機一髪、教官に教えてもらったピッキングスキルが役に立つとは思ってもなかった。

 

「いいな圭、もう二度と外に出ようとするなよ」

 

ん?この声は…

 

そういって男性の足音は次第に遠くなっていき扉を開けて外の様子を見ると誰もいなくなったので先程男性が出てきた扉の前に立つ。

 

「さっきの人…源司さんだったよな…ってことはここって圭の部屋か…」

 

そう思い圭の部屋の前で扉をノックする。

 

「…誰ですか?」

 

部屋の中から圭の声が聞こえてきて俺は部屋の中に入った。

 

「あの勝手に入って…雄也先輩!?」

 

中にはこの前のボロボロな制服ではなく清楚な

 

「よ、よう、後余り大きな声は出さないでくれ…見つかったらいやだから」

 

外からはこちらにくる足音も気配もない…感ずかれなかったようだからよしとしよう。

 

「…もしかして…聞いてましたか…お父さんとの…会話」

 

「…いや、最後の会話だけ…それだけしか聞いていない」

 

…それだけでも圭が父親を嫌っていることはすぐにわかったけど…

 

「少し話を聞いたほしいんだけど…いいですか?」

 

「…ああ、それで少し圭が楽になれるんだったら」

 

「ありがとうございます、先輩、私のお父さん、IT企業の社長でね、昔はいつも優しいお父さんだったんだ…だけどね、少しずつ会社の利益が不利益になってきて、お父さん、お酒に溺れて私やお母さんに暴力振るうようになったんだ」

 

「…」

 

「今回のパンデミックでも、お父さんチャンスだっていってた…この家に避難してる人少ないの気がついてますか?」

 

「ああ、圭と一緒に入ったときからその事には気がついてた」

 

「あの人たちはね、全員資産家や大企業の関係者の人たちなの…理由は助けた借りで会社の繋がりを作ること…」

 

なるほどコネを作るってわけな

 

「どうして、こんな時なのに自分の私欲のための基盤を作ろうなんて…可笑しい話ですよね」

 

「確かにな」

 

あれがしたい、これがしたいとみんなが同じ方向を向いているわけではない、このときだってそうだ

 

みんなが1つに纏まるということはそれほど難しいことなのだと改めて実感する。

 

「ねえ、先輩?」

 

「なんだ?」

 

「この戦いが終わった後、私と駆け落ちしましょう」

 

「な、なにいってんの!?」

 

突然の爆弾発言、流石に予想外の言葉に戸惑いを隠せられない。

 

「あははは、冗談ですよ、先輩…そろそろ誰か来たら先輩見つかるかもしれませんし、こっそり抜け出した方がいいですよ」

 

全く本当だったらまじで冗談じゃないぞ。

 

「わかった、そこの窓から飛び降りて出るから問題ないし、それと此処は圭の家だけど何があるか検討もつかないから一応、護身用の物は持っていた方がいい」

 

「わかりました、一応ベレッタを持っておきますね」

 

「それじゃあな、また明日」

 

「はい、また明日」

 

そういって俺は圭の部屋の窓から外に飛び降りて正面の避難民がいるところに戻った。

 

「……」

 

親子関係…か

 

俺にはそういったことはあまりわからない…俺の両親は小学入学の少し前に消息不明だからそういった思いは一度もなかった。

 

もし父さんや母さん達が一緒にいたなら俺もそういった気持ちを持つことがあったのだろうか…

 

いやこれは所詮もしもの話だ…

 

今すべきことはこの戦いをいち早く終わらせて生き残っている人達をこの戦いから解放することだけだ。

 

そのためにも

 

「頑張らないとな」

 

改めてこの戦いへの決意をして避難所を歩いていると視界の隅に妙な人物が映る。

 

「ん?」

 

外装は黒いローブで覆われて顔をフードで見えない…

 

だが、そいつからは何か感じたこともないほどの威圧感を出していた。

 

気になる人物を見ていると…

 

「っ!?」

 

人物はこちらを見た、確実に視線と視線が合わさった

 

それだけで俺の体が危険だと警告し直ぐにでもアークを起動させようと構える。

 

「……」

 

目があった奴は俺を見た後人気のない敷地内の隅に移動してかなりの身のこなしで壁を飛び越していく。

 

「逃がすか」

 

俺も追うことを決めて走りだしバリアジャケットを装着しとアークを腰に付けて跳躍して壁を飛び越しコンクリートの車道の真ん中で着地し辺りを見渡すと、奴の後ろ姿を目視する。

 

「こっちか」

 

おれもその後ろ姿を追って同じ方向に走り出した。

 

このときの俺はまだ…あのとき言った言葉があのような悲劇を生むとは微塵も思いもしなかった。

「くそ、見失ったか」

 

あの謎の人物を追いかけては来たのだが途中で見失い周囲を見渡して探しているがどこにも見当たらなかった。

 

正直にあの人物のことは気になる。

 

あれだけの威圧感を出していたのだ、気にならないはずがない。

 

といっても見失ってしまったのならこれ以上追跡しても意味がないかもしれない。

 

「取りあえず帰るかもう辺り暗くなったし顔見かけないって心配されも困るしな」

 

追っているうちに日が落ちて月が上り始めていた。

 

ここからそれほど祠堂家は遠くないから20分もあれば帰れるだろう。

 

そういって引き返そうと足を運ぶ。

 

「…仕込みは完璧か?」

 

…運ぼうと思ったら何やらこの近くで男性の声が聞こえてきた。

 

「ああ、これで問題なくいけるさ」

 

いるのは二人組でなにやら悪さをする会話の内容だ。

 

気になり住宅の敷地の壁から道路を覗くと私服姿の男性二人が何かやっていた。

 

「にしても、ユウヤ・ツキミヤが生きていたなんてな」

 

「ああ、だがあの様子じゃ痛手を負っているみたいだし今がチャンスさ、これでユウヤ・ツキミヤが死んだとなれば…」

 

「俺達は二階級特進だな!」

 

なるほど…避難民に紛れ込んでいたって訳ね

 

「いやいや、そいつはいいことを聞いたな」

 

隠れる必要なんてない俺は堂々と道に出て彼らに向けて話す。

 

「なっ!?ユウヤ・ツキミヤ!?なぜここに!?」

 

「偶然ここら辺にな…それにしても色々となんか企んでるみたいだな…」

 

そういってアークを抜剣し剣先を彼らに向ける。

 

「くっ!だが、今の奴は傷をおっている!まとめてかかれば!」

 

「遅い!」

 

長々と付き合う気など微塵もなく一撃で二人を吹き飛ばして戦闘不能に陥れる。

 

「ぐぁ!?くそ!卑怯だぞ!」

 

「卑怯?戦いに卑怯もくそもあるか、なにしでかそうとしたのかは知らないが失せろ…」

 

二人に警告する、これで逃げるのならそれでよし…逃げないときは討つ。

 

「おいおい、殺さないって甘すぎないか?聖騎士(パラディン)ちゃんよ」

 

「っ!?誰だ!」

 

新たな声に反応して声がした方向に振り向くと住宅の屋根の上…そこには俺が追いかけていたあの黒いローブをきた人物…声から察するに男性がそこにいた。

 

「俺を見失ったと思ったらいいことしてんじゃんか」

 

「…もう一度言う何者だ」

 

この威圧感間違いなく俺が追っていた奴だ。

 

「い、今のうちだ、仕掛けは起動したから後はずらか…」

 

「おいおい、逃げるなんてよ~そんなことさせると思うか?地の底に眠る星の火よ、古の眠り覚し 裁きの手をかざせ! ファイガ!」

 

「っ!?」

 

「うぎゃあぁぁぁああァァ!!?!???」

 

男は詠唱を始め魔法を唱えたとき俺が前に放ったファイアより遥かな爆発力と共に局員の一人を爆炎が包み、断末魔を挙げて体が塵になった。

 

「あ、あああ…うわあぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

「だから~逃がすかよ~」

 

「やめろぉぉぉっ!!!」

 

確実に殺そうとする男性を俺は必死に声を挙げたが男性は聞く耳を持たなかった。

 

「無念の響き、嘆きの風を凍らせて 忘却の真実を語れ… ブリザガ!」

 

次の魔法を放ちすると逃げていた局員の足元に巨大な氷が発生しその中に男性は氷付けにされる。

 

「砕けちまいな、天空を満たす光、一条に集いて 神の裁きとなれ! サンダガ!」

 

続けて詠唱されて上空から黒雲が発生しそこから雷が無数に振り落とされてそれは凍りついた局員に集中して落とされ氷が体諸とも粉々に砕けた。

 

「お前ぇぇぇぇ!」

 

俺は怒りに満ちたこの感情で男性を目掛けて切りつけるがひらりと避けられる。

 

「おいおい、俺はお前を助けてやったんだぞ」

 

「逃げる奴を殺すことなんてなかったはずだ!」

 

「甘いな~聖騎士ちゃんは戦場じゃあそれはアホがやることさ」

 

男性は見下す印象で俺に話しかけてくる、こいつは許せることはない。

 

「それよりさ、早くお仲間のところに帰ったらどうだ?」

 

「どういうことだ!?」

 

[マスター!!祠堂家に設置したサーチャーが反応!無数の奴等が押し寄せてきてます!!既に門が破壊されています!]

 

「っ!?お前!何をした!?」

 

「おいおい、それは俺じゃねえぜ、多分さっきの奴等じゃねえか?まあ、俺が殺したから真実は闇のなかだけどな」

 

どうする…早く戻らないといけないけど…こいつを野放しには…

 

「早くいかないとどんどんと死んじゃうぞ~」

 

「っ!くそ!!」

 

俺は悔やむ気持ちを抱えながら助ける方を第一にあいつに背中を見せて祠堂家へと走り出した。

 

Sideさくら

 

「人民を助けに言ったんだ…雄也くんらしいね」

 

先程の光景を僕は端から眺めており雄也くんが去っていくのを見て彼…ベクターの元に近づく。

 

「忙しいことでね~」

 

ベクターは軽い口調でそういう。

 

「あれでも『四剣』の担い手の一人だろ?」

 

「剣自体、本来の力を失っているから担い手と決めつけるのは駄目だよ」

 

「聖剣ルミナスアークは所持者がいるが力を失ってる、神剣ティネスティアも所持者が封印している、魔剣ネージュベルデはこっちにあるし、封剣ファフネルは行方がわからねえ…」

 

「四剣は揃わないそう言いたいのかな?」

 

まあ僕もそうは思うけどもし四剣が揃ったら僕らの計画の最大の壁になるのは間違いない。

 

「まあ、揃う前に終わらせればこっちの勝ちだ、それじゃあ、俺はドクターの引き抜きでもいくとするかな」

 

そういってベクターは何処かへ消えていった。

 

「…雄也くん…」

 

僕は助けを求めている人達の元へと急行していく雄也くんが走っていった方向を見続けた。

 



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chapter39

魔力全開の身体魔法で5分もしないうちに祠堂家の敷地内にたどり着いた。

 

アークの報告通り正面門は破壊されて既に敷地内に奴等が入り込み敷地の地面には赤く染まった箇所がちらほら…既に犠牲が出ていることを物語っていた。

「このやろう!」

 

取りあえず、周囲の敵を一掃するのが先決だ俺は近くの奴等を4体ほど倒して引き付けるように大声を出した。

 

「かかってきやがれぇ!!!!」

 

精一杯の大声で叫ぶと奴等は俺に向かって一直線に迫ってきて目標を俺に変えることに成功する。

 

こんな密集地では斬撃やファイアは飛ばせないだから一人ずつ近接戦で叩いていく。

 

「くっ!」

 

動きが鈍い、まだダメージは抜けきれていないか

 

だが今は一瞬のミスも許されない状況、瞬時に判断し対処していくしかない。

 

「っ!?」

 

四方八方の敵の群れを近づくものを斬り倒していると館の方角に大勢の人の集まりがあることに気づく。

 

だがその集まりはいっこうに減らない…

 

普通なら中にはいって減るはずなのだが…

 

「何かあったのか!?」

 

直ぐに行きたいところだがこの数を引き連れていくわけにはいかない。

 

「これなら!まばゆき光彩を刃となして 地を引き裂かん! サンダー!」

 

サンダーを広範囲に放ち30体以上の奴等を感電させて倒す、広範囲にすればするほど威力が弱まるのはこれを見てわかることだが、奴等にとってはこれでも一撃で倒すことが可能であった。

 

「サンダー!サンダー!サンダァァー!」

 

それを無詠唱で連発さらに威力が落ちるが一通りの奴等を倒すことに成功し第二陣がくる前に館の前にたどり着いた。

 

「開けてくれ!頼む!」

 

「何で開けてくれないんだよ!」

 

たどり着くと扉を叩いて開かれることを懇願する避難民の行列。

 

「まさか、開いてないのか!?」

 

なぜ開いていないと疑問に思うがこの扉は内側でしか開けられないようで、外がは鍵があれば開けられるがピッキングをするにしても人が密集していてすることができない。

 

俺が内側から開けるしかないか!

 

そう思い近くの窓を破って中に侵入し直ぐにエントランスの玄関の扉の鍵を開けて扉を開ける。

 

「落ち着いて!入ってくれ!」

 

そう外の人たちに聞こえるように促すが聞こえるはずもなくどんどんと我先に中にはいってくる。

 

俺も飲み込まれそうになったがなんとか2階に上がり圭が心配になり圭の部屋に向かう。

 

「どうして、気配が感じられない」

 

近くの部屋などから人の気配がなく何故と思っていると奥から銃声が2発ほど鳴り響く。

 

「っ!?何かあったの!?」

 

俺は進むスピードを早めて銃声がした部屋に急いだ。

SIDE圭

 

「はぁ…どうすればいいのかな…」

 

既に日が沈んで夜になり私は部屋のベッドに寝転がり今後のことで悩む。

 

お父さんに勝手な行動を禁止された。

 

勝手なことをして困るか、心配だからと色々と理由もあると思うが恐らく前者が理由であろう。

 

勝手なことをして家に泥を塗りたくないそういった意味合いがあった。

 

正直、そんなこと今の状況ではどうでもいいことなのに…大人ってそういうことも固執しているのだろうか

 

私は家族のことで悩んでいると外が何やら騒がしいことに気づく。

 

「?なにかあったのかな?」

 

遠いところで貸すかに聞こえるのは叫び声と…悲鳴!?

 

私はただ事でないとふんで部屋を出て二階の窓から外を覗くと正面の門が破壊されて無数の奴等が敷地内へと侵入してくる光景を目にした。

 

「あんなに大勢…」

 

正面からくる奴等の多さに圧巻とするが私は何とかしなければと部屋に置いてあるドラグノフを取りに部屋を入ろうとしたときだった。

 

「お待ちくださいお嬢様」

 

とっさに私を止めたのはここのメイドをしている女性だ。

 

「あの、私は急いでいるんです、話なら後で」

 

「源司様がお嬢様をお呼びになっております、源司様のお部屋にお連れするようにと申し使っております」

 

「お父さんが?」

 

こんな緊急時に呼び出すなんていったいなんのつもり!?

 

「わかりました」

 

どうせ、拒否してでも無理矢理だろうから今は従うしかない…外のことは今は先輩に任せるしかない。

 

そうして、メイドに連れてこられて来たのはお父さんの部屋だ。

 

「旦那様、お嬢様をお連れしました」

 

「入れ」

 

「失礼いたします」

 

そういってメイドが先頭に中にはいると部屋の中にはお父さんと同じく呼び出されたと思うお母さんがいた。

 

「お前は下がれ」

 

「かしこまりました」

 

そういって連れてきたメイドは部屋を退室しこの部屋には私達家族しかいなくなった。

 

「お父さん、なんのつもり?外は大変な時に部屋に集めるなんて」

 

一刻を争うことなのだ、少し私は機嫌が悪い中お父さんに話の内容を聞く。

 

「まさか、外に出て助けにいくなんて考えてるのか?圭」

 

「そうだけど、なにか悪いですか?」

 

どこも悪いところなどないはずだけど

 

「勝手なことをするなといったはずだ!」

 

そういってお父さんは私の頬叩く。

 

「っ!」

 

「いいか、外の人が死んだところで俺達にはな、関係ないことなんだよ!」

 

そう、気にくわない私をそう暴言した。

 

「いいか、俺達はな緊急用の脱出道から外に出るんだ…この家にいたほとんどがその道を通ってる…」

 

「外にいる人たちはどうするんですか!?」

 

今度はお母さんがそう話す、けどお父さんは気にくわない顔でお母さんを殴り床に倒れさせた。

 

「お母さん!?」

 

「だから!俺達には関係ないっていってんだろ!」

 

そのままお父さんは怒り任せでお母さんのお腹を蹴る

 

「かはぁ!?」

 

「そうやって他人の心配してよ、俺だけを心配してればそれでいいんだよ!」

 

もう一発お父さんはお母さんを蹴った。

 

「もうやめて!」

 

「お前は黙って俺の言うこと聞いてればいいんだよ!」

 

「きゃっ!」

 

流石に私も止めようと割ってはいろうとしたがお父さんに突き飛ばされお母さんの前で尻餅をつく。

 

「気に食わねえから殺しても問題ねえよな…今はこんな状況だか罪には問われねえしな」

 

殺す?お母さんを?

 

それじゃあお母さんを逃がさなきゃ…駄目だ、完全に怯えていて動ける様子じゃない。

 

ここにいるのは二人を除いたら私しかいない…私が…私が…お母さんを守る!

 

私は雄也先輩の忠告で携帯していたベレッタを手に持ち、銃口をお父さんに向けてセーフティを解除した。

 

「うわあぁぁぁぁっ!!!!」

 

私は絶叫と共にそのトリガーを2回弾き、ベレッタから放たれた2発の弾丸はお父さんの胸に当たった。

「はぁ…はぁ…わ、わたし…」

 

整わない息で私は目の前の光景をみる。

 

胸に銃弾を受けて仰向けで倒れたお父さん…血がこぼれ落ちて床を濡らしていく。

 

撃ってしまった…衝動的に…実の父を…私がぁ!

 

「大丈夫か!?圭!!」

 

すると部屋の扉から勢いよく雄也先輩が入ってくる、恐らく銃声を聞いて急いで来たんだろう、手にはルミナスアークを持って警戒しているのに気づける。

 

「っ!これは!?」

 

お父さんの亡骸をみて事の次第を理解した雄也先輩は私に顔を向けた。

 

「私…お父さんを…殺しちゃった…!」

 

苦しい…ものすごく胸が苦しい…撃ってしまった罪悪感をやってしまった今になって実感した。

「お母さんが…お父さんに…殺されそうになって…私…お母さんを守ろうと…!」

 

罪を懺悔する私に雄也先輩はそっと抱き締める

 

「もういい、言わなくて」

 

雄也先輩の胸に頭を押し付け優しく接してくれる。

 

「必死にお母さんを守ろうとしたんだろう?凄いよ、圭は…だから自分を…罪悪感で飲み込まれないでくれ」

 

そう雄也先輩は私に言い聞かせる、この言葉はやっぱり管理局にいた時のことを思い浮かべているのだろうか。

 

(「もう逃げない!自分の罪から戦いから!」)

 

あのとき先輩がいった決意…今になって私も実感できた、罪を受け入れるって…こんなにも簡単に言えるけど…実際は難しいんだと。

 

先程までの取り乱していたはずのに今は雄也先輩がいるからなのか心を落ち着いている。

 

ドクンドクンドクンドクン

 

ただ胸の鼓動が高鳴っていることを除けば普通だ…どうしてこんなに胸が高鳴るの

 

 

「奴等がはいってきたぞ!!!!」

 

部屋の外から男性の大声が聞こえてくる、私の家に奴等が入り込んできたのがその声でわかった。

 

「雄也先輩!」

 

「圭、俺がここに来る前、中にいた人たちが見当たらなかったんだが…」

 

「それは…緊急用の脱出道で…みんな」

 

「…そうか…わかった、圭は落ち着いたら避難民の誘導を頼む…敵の足止めは俺がする…」

 

「わ、私も!」

 

多分、私の心情も察して戦うことはできないと思ったのだろうけど私は雄也先輩が心配で共に戦おうと口にする。

 

「今回は避難民が一杯いる、その人たちの避難誘導も大事なことなんだ…」

 

「…うん」

 

「それじゃあ頼むぞ!」

 

そういって雄也先輩は抱き締めていた腕を解いて立ち上がると優しい表情から真剣な表情に替わり部屋を出てエントランスの方向へと走り去っていく。

 

「雄也先輩…」

 

今は雄也先輩の無事を祈るしかなかった。

 

 



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chapter40

Side雄也

 

部屋から走り出して一階のエントランス、避難していた人たちは玄関前から離れるように逃げ惑い、その玄関前には壊れた扉から第二陣と思われる奴等がはいりこんでいた。

 

既にまた犠牲者が出ている奴等とかした死体が立ち上がる。

 

「これ以上!やらせるかぁ!!」

 

もうこれ以上の被害を出したくないという強い思いと共に玄関前の奴等を1体2体と次々と撃破していき中に入ってきたであろう奴等は一掃できたが直ぐにまた次が来る。

 

「早く2階に避難してください!階段付近でバリケードを張って侵入を防ぐんだ!!その事を聞いている人は聞こえていない人にも伝えたください!!」

 

俺は大声で避難民に伝える。

 

「みんな!2階に逃げろ!!」

 

「急げ!」

 

周りがが2階にと大声でまた叫びぞろぞろと2階に押し寄せていく。

 

「ふん!でりゃあ!!」

 

入ってくる敵を1体1体着実に潰していき、後はあちらの押し寄せる数を全て倒せば何とか…

 

「お兄ちゃん!」

 

「ん?何してる!早く2階に逃げるんだ!」

 

俺に近づいてきたのは朝から一緒に遊んでいた一人だ、その近くには子供たちを世話をしていた大人の女性も一緒にいた。

 

「あの!琢磨くんと美海ちゃん見かけなかった!?この屋敷に入る前から姿が見えなくて…」

 

「なんだって!?」

 

屋敷に入る前つまり最悪のケース外に取り残されている確率があるということだ。

 

「早く来るんだ!バリケードももうじき!」

 

目線を彼女ではなく階段に向けると簡単ながらのバリケードが設置されていた。

 

「あれなら少しなら耐えられるはず…俺が探してきます!ですから早く2階へ!」

 

そう指示して女性は渋々と承諾して2階へと向かう。

 

[マスター、既にこの屋敷の生体反応は2階のみです…つまりですが…]

 

「つまり、いるなら外で奴等が大勢…生存確率はあまりにも低すぎる…そういいたいんだろ?」

 

アークが言いたいことは重々にわかっているだけど

 

「例え、生きている確率が低くても俺は…救い出せる命があるならもう命を見捨てたくない!」

 

俺ができる範囲でそして今外に出て助けことができるのは俺ただ一人!だから!

 

「敵が誰でも…どんな敵だろうと…俺は俺の信じる信念を貫く!!」

 

そう叫びと共に上段の構えをとっていた俺は光を纏わせたアークを振り落としライトブリンガーを放ちその放たれた白き輝く斬撃は壊れた扉を飲み込んで外の入り口前に集っていた奴等諸とも飲み込んで吹き飛ばした。

 

「行くぞ!!」

 

その掛け声と共に俺は外へと飛び出す助けを待っているはずの人を探しに。

 

SIDE圭

 

雄也先輩が去って少しするとここも騒がしくなった。

 

私はまだ動いていない…少し先輩のお陰で心の整理ができたけど…お母さんの目の前でお父さんを殺したことには変わりはない。

 

「圭…」

 

お父さんを殺してから初めてお母さんが口を開いて喋り私は身を震わせる。

 

やはり、何を言われるのか恐怖は収まらない。

 

「ごめんなさい…」

 

…え?

 

非難の声を想定していた私はお母さんから出た謝罪に戸惑ってしまう。

 

「ごめんなさい…って私はお父さんを…!」

 

怒られても…非難されても可笑しくないことをしてしまった。それなのに…

 

「それはお母さんを守ろうとしてでしょ?お母さんを守って圭はお父さんを殺した…その事実は本当に変わらないわ、けどねその行動で誰かを守れたことを忘れないで…現に私は圭に守られたわ…」

 

母親なのにねと苦笑いを浮かべる…笑う余裕なんてないはずなのに

 

そう思っているとお母さんは私を優しく抱き締める。

「圭、なにかを恐れたら駄目よ…恐れていたらなにも始まらないもの…決心してそれから行動する…テストだって運動だって恋愛だってそうよ」

 

「え、ええ!?」

 

れ、恋愛って…雄也先輩はそれは格好いいしモテそうだから…ってなんで雄也先輩のこと考えてるの!?

 

「さっきの男の子に惚れちゃったかしら?」

 

私が…雄也先輩を?

 

 

 

……

 

「……ボン!」

 

顔をゆでタコのように真っ赤になり取り乱す。

 

「あの子、格好いいから誰かに取られる前にとらないと手遅れになるわよ」

 

私が…雄也先輩のこと…

 

そんなことを考えているとエントランスの方から衝撃と爆音が聞こえてきた。

 

「ひゃっ!にゃ、なに!?」

 

「エントランスの方からだわ…圭、いってあげて」

 

「…うん」

 

お母さんありがとう

 

私は部屋を出てエントランスの方へと向かう。

 

すると向こう側から来た人たちに状況を聞いて理解する。

 

正直に奴等の群れのなか戦い回れるほど強くはない、ベヒモスの時は1体だったからうまくいったのだ…

 

けど雄也先輩の元へ行けなくても支えることは出来る!

 

そうして私は部屋にもどってドラグノフを手にとって2階の正面テラスにたどり着く下の避難所は火が燃え移りその明かりで奴等の位置がはっきりとわかる。

 

「雄也先輩、私も戦います」

 

私も一人じゃない!だから、戦える!

 

SIDE雄也

 

これで何体目かわからない…

 

既に四方八方は敵だからけ奴等のなかには老人や子供もいる。

 

「くっ!」

 

次々と奴等を撃破していくけどそういった奴等を切り捨てながら辺りを見渡す。

 

だがどこもかしくも奴等のみ…生存者がいない

 

やはり、もう全滅と頭によぎり判断を鈍らせて背後から奴等が来ていることに反応が遅れる。

 

「しまった!?」

 

一瞬の油断が命取りとなる戦場で油断してしまった俺は死を悟ってしまったときだった。

 

何処からともなく銃声が鳴り響き背後の奴等の頭を撃ち抜きそのあとも銃声は鳴りやまずに周囲の奴等を一撃ヘッドショットで倒していく。

 

《雄也先輩!聞こえますか!!》

 

「っ!?圭!!」

 

つけっぱなしだった通信機から圭の声が聞こえてきて近づいてくる奴等を切り捨てながら耳を傾ける。

 

《先輩の地点から左側の方に見える木の下に先輩が探している子供たちが居ます!奴等もその近くに!》

 

圭の声にしたがい俺は左手の木を視認する。

 

確かにあっちにはまだいっていない!

 

「直ぐに向かう!」

 

そういって邪魔な回りの奴等を一掃し木がある方向へ跳躍し邪魔な障害物を通り越していく。

 

そして木の根本を見ると昼に遊んだ子供、二人が奴等に囲まれて絶体絶命の状況に陥っていた。

 

「来るな!来るなぁ!!」

 

「お父さん!お母さん!!」

 

男の子は必死になって女の子を守ろうとしているが腰が引けている。

 

俺がその場に行く前に二人が喰われてしまう!だが斬撃を放つとしても二人を巻き込んで…

 

俺が思考を巡らしながらもその時は着実と進んでいく。

 

《任せてください!!!》

 

通信で圭がそういうと銃声と共に子供たちの近くの奴等をヘッドショットした。

 

これなら俺の到着の方が早い!!

 

俺は着地と同時に残っている子供たちの周囲の敵を蹴散らしていく。

 

「え?」

 

「あ…」

 

突然のことに呆然と立ち尽くす子供たち俺はその二人に優しく語りかける。

 

「大丈夫か?怪我してないか?」

 

「う、うん」

 

「そうか、琢磨くんだったね、よく美海ちゃんをここまで守っていたね、偉いぞ」

 

「う、うわあぁぁぁぁん」

 

子供たちは緊張の糸が切れたのか涙がボロボロと流して俺に抱きついてくる。

 

「おいおい、まだ泣くのはもう少しあとだぞ」

 

《あの…雄也先輩、早めに二人をこっちに連れてきてください…ライフルの弾も有限なんですから》

 

銃声が響くなか残り弾数を心配しだす…もう何発も撃っているのだ当然かもしれない

 

「あいつらまた来た!」

 

琢磨くんが怯えた目で奴等を見る…だけどそんな怯えるのもこれまでだ。

 

「大丈夫!」

 

俺は二人を抱き上げてそのまま高く跳躍そして飛行魔法を使って空をとんだ。

 

「お空飛んでる!」

 

「……」

 

空を飛んでいることに美海ちゃんはキラキラと驚いていることにたいして、琢磨くんは非現実的なことに完全に唖然としていた。

 

そして俺は屋敷のテラスに降りると近くにいた圭は俺に近づいてくる。

 

「飛べるんだったら、普通に使ってください」

 

「いやぁ…まあな」

 

言えない…完全に飛行魔法使えるの忘れていたなど…このごろ色々あって忙しかったから…

「琢磨くん!美海ちゃん!」

 

そこに屋敷の中から二人を視認できたのか大人の女性がこちらにやって来る。

 

「うえええええん!こわかったよ~」

 

二人とも怖かった思いから女性に抱きつく。

「さてと、俺達は退散するか…というか、下の奴等をどうにかしないとな」

 

まずはまた入り込んできているであろう奴等を掃討して安全圏を確保しなくては

 

「先輩私も行きますよ」

 

俺は圭を見るとライフルを背中に携えて手にはベレッタを持っていた。

 

「…圭はそれでいいのか?」

 

正直少し前に父を失ったことを引きずると思っていたが圭のその瞳には覚悟の強さが宿っていることが直ぐにわかった。

 

「…行くぞ」

 

そう短く言うと圭はそれに頷いてエントランスへと足を運ぶ。

 

エントランスはまた奴等が沢山入り込んでおり生存者を喰らうため階段をゆっくりと上がってきていた。

 

「圭」

 

ここまで来たら残れとかは言わない。

 

「背中は任せた」

 

「はい!私の背中も先輩に預けますね!」

 

それじゃあ頼りにしてるぜ、パートナー!

 

互いに背中を任せることを決めて下の奴等を見据える。

 

さてと…さあ…行くとするか!!



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chapter41

「ふぁ~日の出か…」

 

俺は木上で周囲の警戒していると日が上り始めていることに気がつく。

 

あの後祠堂家にいる奴等を片っ端から倒して安全圏を確保した。

 

その後燃えているものの消化や門前にがらくたとかした物を置いてバリケードにするなどしてから敵が来ないように木上で見張っていたら夜通しの作業になった。

 

当然だが眠たい…現に欠伸してるし。

 

「雄也先輩~!」

 

すると下から圭の声が聞こえてきて下を見るとライフルを背中に携えた圭がいた。

 

「よっと!」

 

木の上から飛び下り寝不足から着地に足取りをふらつかせたが何とか無事に着地した。

 

「大丈夫ですか?先輩」

 

先程のふらつきを見て圭は心配して俺を見てくる。

 

「少し疲れが出てるだけだ……そういう圭こそ疲れ出てるぞ」

 

「あははは…私も寝ずに警戒してたから…」

 

「おいおい、無理するなよ」

 

まあ、俺が言えた義理じゃないけど

 

「ん~もつ私たちが見張ることもないし…少し寝ようか…」

 

そういって俺の腕を強引に掴んで引っ張る。

 

本来なら振りほどけるんだが力が圭の方が上で振りほどけず連れられてきたのは圭の部屋だった。

 

連れてこられた俺はそのまま勢いでベッドの上に倒され、圭もベッドの上で横になって俺の体に腕を絡め始めた。

 

「ちょ!?圭!?いったい何を…」

 

「いや、一緒に寝ようと思いまして」

 

いやいや!いきなり何を言い出すのですかこの人!?

 

「先輩も疲れてるんですし、少しでも寝て体力を温存するべきです」

 

「いや、それならあの木の上でも…」

 

昨日もそこで寝たわけだし

 

「それに一緒に寝るなんて…」

 

普通は男女で寝るなんて嫌なはずなんだが…(悠里や音姉みたいなのは例外かな?)

 

「私は構いませんよ…だって雄也先輩のこと好きですから」

 

「いや、圭はよくても俺は…って今なんむぅ!?」

 

今爆弾発言したことに反論しようとしたとき口を塞がれた…しかも手ではなく…唇で…

 

つまり…キスした

 

「………」

 

「け、圭」

 

「もう一度言います、先輩のことが好きです、友人としてではなく異性として」

 

告白された…圭の表情には俺の態度を伺う表情が見える…いきなりのキス、嫌われても可笑しくないと思ったのだろう。

 

「嫌いになりましたか?」

 

「…はぁ…俺がそんなんで嫌いになるかよ…でも本当に俺なんかで良いのか?…俺はこの手で何人も人を斬った…人間だぞ」

 

一度は罪から好きになることを諦めた俺、そんな俺に付き従うというのだ…当然聞かなければならない。

 

「私もお父さんを殺してしまった…だから先輩が背負ってるものがどれだけ重いか…よくわかります…だからこそ、私も先輩を支えたい…支えられるんじゃなくて今度は私が支える番なんです」

 

支えられるんじゃなく支える…か昨日の夜で圭は何か変わったのかもしれない…あの戦いで…

 

「それに先輩、モテそうですし…こんな世界になってしまったですから複数恋人がいても構いませんよ…勿論平等なら…ですけど」

 

「ちょ!?」

 

いきなり何言い出してるのこの娘は!?

 

「そ、そんな訳あるはず…」

 

いやまてよ…確か昔に…

 

 

 

回想

 

「あれだよ、いつか私をお嫁さんに貰ってって話♪」悠里の回想から

 

 

回想終了

 

 

…あったよ、高確率で俺を好きな女の子…でも昔の話だし…忘れてるよな?

 

後いるとしたら…音姉?

 

ってなんで、音姉を思い浮かべたのだろう…というか、音姉の好きな人って義之だし…いや、それは音姉曰く弟くんだからとのこと

 

「その顔はやっぱりいるんですね」

 

圭はむすっとした顔で俺を見てくる

 

「まあ、いいですけど…大切にしないと一生恨みますけど…」

 

さらっと怖いこといったよこの子

 

「って話長くなっちゃいましたね…先輩?」

 

なんか、圭がニヤニヤした顔で俺を見てきて、なぜか嫌な予感を感じていた。

 

「このまま…ヤっちゃいます?」

 

「っ?!?!!??」

 

「冗談です、先輩」

 

「冗…冗談にもほどがあるぞ…全く」

 

「…まあ、冗談でもなかったんですけど」ボソ

 

「え?なんて」

 

いま小声で圭は何て言ったんだ?

 

圭はなにもと言ったが…気のせいだよな…

 

「ってまた長くなっちゃいましたね、それじゃあおやすみなさい」

 

そういって俺の体に抱きつくのは解かずに目を閉じて眠りにつき、直ぐに深い眠りについたらしい

 

「…しょうがないか…」

 

これで寝てなかったらきついし…諦めて俺も目を閉じて眠るに入った。

 

 

……

 

 

「…ん~」

 

眠っていた俺は眠りから覚めて体を起き上げようとしたが眠る前に抱きついていた圭の腕により体を起こすことができない。

 

「アーク今何時だ?」

 

日は落ちてないってことは昼だってことなんだろうけどもしかして丸一日寝ていたってことはないとはおもいたいけど…この場で唯一その状況がわかると思うアークに聞くことにした。

 

[現在10時53分、マスター達がお眠りになられてから約五時間半経過しております]

 

…よく眠れていたようだ…久しぶりにベッドで眠ったからすっきり睡眠がとれた気もするし

 

「アーク…この戦いいつまで続くと思う?」

 

この管理局と巡ヶ丘市民で巻き起こるこの戦争…恐らくどちらかが潰れるまで続く。

 

[私はもうすぐ決着がつきそうな、そんな気がします]

 

「…終わる…か…そういえばこの戦いが終わったあとのことなんて考えてなかったな」

 

ん~無難に音姉を連れて初音島に帰るのが目的だけど…このままだと管理局に追われるよな…でも俺に非はないから追いかけられないかも

 

まあ、どちみち初音島を一人で探さないと行けないことには変わりはないだろう。

 

「ん~先輩?」

 

すると寝ていた圭も起きて俺に絡めていた腕を外す。

 

「おはよう、圭…今は11時位だ」

 

「なんだか、よく寝れたかな」

 

といいながらまだ寝ぶたそうな顔を俺に向けてくる。

 

俺は漸く圭の腕から解放されたことにより起き上がってベッドから立ち上がり部屋を出ようとする。

 

「あ、待って」

 

出ようとしたとき圭に呼び止められ、振り向くと圭もベッドから立ち上がり服を整えるとライフルを背中に携えて俺の隣にたつ。

 

「それじゃあ行きましょうか」

 

部屋の外に出る準備ができたことを言うと俺達は部屋から出て屋敷の外にやって来た。

 

「ん?なんか門の方人が集まってないか?」

外に出て門の方に生き残った避難民が集まっていることに気がつき俺達もその人だかりの元へと歩いていき近くにいた人に話を強いてみることにする。

 

「あの、この人だかりはなんなんですか?」

 

「ん?ああ、自衛隊だよ!自衛隊の人達が俺達を助けに来てくれたんだ!」

 

「自衛隊!?」

 

自衛隊が来ていることに圭は驚く。

 

自衛隊…まさか、巡ヶ丘に駐屯していた人たちだろう、てっきりパンデミックで機能していないと思っていたんだけど…

 

「だけど、自衛隊がいるんだったらここより安全なところに保護してくれるのは間違いない」

 

それなら俺と圭はここを離れてリバーシティにも行けるだろう。

 

「うーん、雄也先輩、1つ気になったんですけど…」

 

圭が何か気になったことがあるようで俺は耳を傾ける。

 

「自衛隊が拠点に構えてるところって勿論避難民がここより大勢いるわけじゃないですか」

 

「まあ、ここより設備も資源も豊富だろうな」

 

「ってことは管理局に目をつけられてるんじゃないですか?」

 

圭のその言葉に俺は一理あると思った。

 

「皆さん!これから我々の拠点となっている地区に向かいますから、荷物をまとめて一時間後にはここから出るので素早く準備してください!」

 

管理局の襲撃を視野にいれると人だかりの向こうから自衛隊の人の声だろうか、その人がここにいる避難民全員に指示するとぞろぞろと自身の荷物を詰めに解散していく。

 

「取り合えず安全が確認できるまではその拠点にいた方がいいかもな…このまま着いていこう」

 

「そうですね、それじゃあ私も荷物持っていくもの整理したいからまた後で」

 

そういって圭は屋敷の方へと走っていった。

 

「……さてと、俺は荷物はそんなにないから他の人の手伝いでもするか」

 

俺は一度荷物を置いてある木の根本にいき無事に回収すると他の人の荷物の手伝いをするのであった。



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chapter42

自衛隊がやって来て今いる祠堂家から自衛隊が守る避難所に移動が開始して既に四時間。

 

順調な移動…とはいかず老人や怪我人などもいることで進軍のスピードは遅く、祠堂家を発ったのは大体12時だったので既に4時もうすぐ日がくれるであろう時間帯、そのなかで俺達祠堂家にいた俺達と生存者95名は懸命に避難所に向かっていた。

 

「お母さん、大丈夫?」

 

俺と圭は大体団体の中腹部に位置する場所に圭の母親を心配しながら進んでいた。

 

「ここら辺は奴等が少ないな」

 

進んでいてわかることなのだが通る道に奴等の死骸がない…ただし血の血痕がかなり残っているが…

 

「もうここは自衛隊の活動範囲に入っているのかもしれないな」

 

「なら、もう少しかもしれませんね」

 

俺たちは目的地まであと少しだと思いゆっくりと進むこと20分避難キャンプが設置されている学校にたどり着いた。

 

「今から受け付けを確認しますので落ち着いて列に並んでください」

 

学校の校門の入った近く、長台の机が設置され自衛隊が受付をしていた。

 

…あれ?これは不味くないか?

 

既に俺の顔はこの巡ヶ丘では有名といってもいい

 

そんな俺が此処にいたら…騒がれるよな

 

祠堂気ではそんなに騒がれていないけど、自衛隊て国を守る人たちにとっては別だ。

 

これは見つからないように出ていくと

 

「ん?君は…」

 

出ていこうとしていた矢先近くにいた自衛隊員に目をつけられた…あ、これ終わったわ

 

「っ!?君は放送の!?おい!直ぐに硲少佐に連絡しろ!君、少し私達と来てくれないかな?」

 

…バレちゃったよ、これどうなるんだろう

 

取り合えず武装は…解除した方がいいよな

 

「圭、すまないがアーク持っていてくれ」

 

「え!?雄也先輩!?」

 

驚かれるが取り合えずアークを圭に渡すと俺は自衛隊の指示通り連行されて連れてこられたのは応援室…

 

「失礼します!硲少佐!月宮雄也という少年を連れてきました」

 

「報告は聞いている下がるといい」

 

そういって連れてきた人は退室し俺は硲と呼ばれた此処の指揮官を目をあわせる。

 

「久しぶりだね、雄也くん」

 

…はい?

俺のことをしっている?どういうことだ?

 

俺の記憶にはこの人…ましてや自衛隊の人で知り合ったことなど1度もない…つまりただの嘘か?

 

「そんな疑っている目で見るのも無理はないか、会ったのは雄也くんがまだ小さい頃だし」

 

俺が小さい頃…しかも多分小学校に入る前…ってことか?

 

「つまり…父さんと母さんの知り合い?」

 

頭の中で推理してもしかしたらこの人は俺の両親の知人ではないかという推論にたどり着いた。

「よくわかったね、私は君の両親、雄二と叶さんとは親友でね…」

 

雄二と叶…間違いない俺の両親の名前だ…あっ!

 

「そういえば小さい頃父さんに知り合いが自衛隊にいる…とかいっていたような」

 

本当に小さい頃だからな…

 

「それと、すまなかった、雄也くんがあれほど大変なことに巻き込まれていたとは…あのとき、無理にでも私が雄也くんを引き取っていれば…」

 

本当に後悔している顔で硲さんは謝罪をしてくる。

 

「いや、謝らないでください、あれは自分で決めた結果で…それは後悔もありましたけど…それでも選んだ道なんです」

 

あのとき見つけた目標…この信念を曲げるつもりももう忘れるつもりもない

 

「そういった、真っ直ぐな気持ちは雄二そっくりだな」

 

「そりゃあ、俺の父さんだから」

 

「そうか、それじゃあここに来るまでに疲れているだろうから避難キャンプの所にいくといい、自衛隊のみんなには君のことは伝えておくよ」

 

時間が余裕があれば君の父親の話をするよと最後に言われて部屋を出て校舎の入り口前で圭の姿があってどうやら俺を待っている様子だった。

 

「あ、雄也先輩!大丈夫だったんですか!?」

 

「心配しなくても大丈夫だよ…ここの自衛隊の隊長俺の父さんの知り合いみたいだし、それに直接あったからわかるけど悪い人じゃなかった」

 

歩きながら話そうと俺は圭にいうと、支給されたテントへと向かいながら硲さんのことを話す

 

「そうだったんだ、優しい人で良かったですね」

 

「ああ、そうだな…今日はここで休んで明日にはここを出てリバーシティに行かないとな」

 

避難民は無事にここまで連れてこれた、後は自衛隊に任せても問題ないだろう。

 

「美紀…大丈夫かな…」

 

「…美紀ってもしかしてそのリバーシティで待ってる人?」

 

「うん、直樹美紀、現実的な性格で…私の親友…美紀とはリバーシティを出るときにいい荒そうになっちゃってね…生きていればそれでいいのなんか行っちゃったの…本当に助けにいって謝りたいな」

 

それが圭の目的、それができるように俺も手伝わないとな

「さてと、少し歩くスピード上げるか荷物の整理もしないといけないしな」

 

そういって歩く速度を早めたときだった

 

「ゆーにい?」

 

「っ!?」

 

聞き覚えの幼い声…そして俺のことをゆーにいなんて呼ぶ幼い子なんて一人しかない!

 

俺は直ぐ様聞こえた方を振り向くと、そこには小さい子供…俺がよく知ってる!

 

「るーちゃん!」

 

「ゆーにい!」

 

間違いない、俺が戦ってある間柄安否を心配していた一人若狭瑠璃…悠里の妹が笑みを浮かべて俺に抱きついてきた。

 

 

「るーちゃん、無事でよかった…」

 

「ゆーにい…」

 

予想外の再会…小さいるーちゃんが生きている可能性はあまりにも低かっただけれどこうして生きていて暖かさを感じる、この子は正真正銘悠里の妹だ。

 

「えっと、先輩のお知り合いですか?」

 

「あ、ああ、若狭瑠璃、幼馴染みの妹なんだ」

 

「幼馴染みの妹なんだ…」

 

「ゆーにい!こっち!こっち!」

 

圭にるーちゃんのことを軽く説明した後るーちゃんは元気よく俺の腕を引っ張ってくる。

 

「ちょ、ちょっと落ち着いて…圭悪いけど…」

 

先に帰っていてくれと言おうとしたとき遮るように圭が口を開く。

 

「先輩についていきます、から先に帰っていてくれは無しですよ」

 

「…はい」

 

完全に読まれた。

 

というわけで俺と圭は自身のテントには向かわずに急遽るーちゃんに連れられてきたテント入ると俺も見知った人が二人いた。

 

「パパ!ママ!ゆーにい、連れてきた!」

 

「雄也くんだって!?本当か瑠璃!」

 

父親である若狭隼がるーちゃんがいったことに驚き、るーちゃんは俺の方に指を指すと隼さんも俺の姿を見て目からは涙が出ているのがわかった。

 

「雄也くん、久しぶりだね」

 

「隼さんもお久しぶりです、それに叶さんも」

 

「本当に久しぶりね…雄也くん…げほぉ…ごほぉっ!」

 

「海里さん!」

 

俺は咳き込む海里さんのもとに駆け寄る。

 

「海里、熱を出してるんだから無茶はしないでくれ」

 

「ごめんなさいね…」

 

どうやら海里さん、熱を出している見たいで苦しそうなのが目にわかる。

 

本来なら薬なんかで下げることが可能なのだが…そういった薬品が今ここでは不足しているのであろう。

 

「早く良くなるといいですけど…」

 

「そうだな…所で雄也くん…悠里のことなんだが…実は…」

 

「悠里ですか?悠里なら巡ヶ丘中学で生きていますよ?」

 

恐らく隼さんは悠里は生死がわからないと言おうとしていたのだろう、だがそれならば俺は悠里の生存を知っている身としてその事を教えた方がいいと思い悠里が生きていることを話した

 

「本当か!?その話は悠里は…生きているんだな…」

 

「と、取り合えず順をおって説明しますよ」

 

なんとか隼さんを落ち着かせて俺のこれまでの行動を話すのであった。

 



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chapter43

「ん~良く寝た~」

 

あのベヒモス戦から既に五日目になった。

 

若狭家にことの事情を説明した後支給された食事を…久しぶりにまともなものを口にして軽い雑談をした後に圭達と同じテントで就寝した。

 

警備の方は自衛隊がいるために必要ないし少しアークと持ってきた試作魔導砲のメンテをするか

 

そう思い魔導砲が入ってるケースを持って木の下にやって来て背中を木に持たれてまずアークのメンテをし始める。

 

先ずはフレームを一つ一つ外し、外し終えた後はそのフレームを濡れた布で磨きあげる

 

汚れていると黴とか生えてフレームが傷んだり錆びたりとする可能性も否めない

 

だから定期的でいいから濡れた布で拭いて汚れを取ることにしていた…こういう手入れもデバイスマイスターからではな:

教官からならった…本当、色々できる人だよなあの人。

 

フレームを吹き終わった後はついている水分を乾いた布で拭き取ってシートの上において日光で乾かしその間にアークの精密器具方に手をつける。

 

カートリッジシステムや冷却システムなど重要なところをメンテしここを出る前に準備を万端にしておく。

 

「カードリッジシステムも冷却システムも問題なしか」

 

精密機器も問題ないのを確認した後フレームをつけ直して、アークのメンテが終了し次は試作魔導砲の方にてをつけようとする。

 

「ゆーにい!」

 

「ん?るーちゃん、おはよう」

 

手をつけようとした時大人の女性に連れられてきている子供達と一緒にるーちゃんもいた。

 

「おはよう、ゆーにいなにやってるの?」

 

俺がこんなところで何をやっているのかるーちゃんは興味津々に聞いてきた。

 

「ちょっとした手入れだよ…」

 

そう簡単に答えると何故か子供達は俺やアークや魔導砲に釘つけになっていた。

 

「すげぇ!勇者の剣だぜ!これで大魔王を倒しにいけるぜ!」

 

「未来兵器だ!かっけぇ!」

 

「ねえねえ、魔法使いさん…魔法見せて~」

 

わいわいがやがや

 

俺の周りで始めてなものに興味津々な子供達…本当子供って無邪気だな…俺達世代なんかと大違い

 

「えっと、勇者の剣と未来兵器、危ないし、持っていかれるとお兄さん、困っちゃうんだそれと魔法もいざってときしか使っちゃいけないの…せ、正義の味方だからね」

 

なんとか子供達の目線で優しく語りかけて見たけど…これでいいのかな?

 

『えええー!?』

 

「あはは、ごめんね」

 

残念がる子供達に謝ると後ろにいた女性がタイミングを見計らって口を開けた。

 

「はいはい、お兄さんも困ってるから、みんなほどほどしてね、それじゃあ今日の授業を始めましょうか」

 

『はーい!』

 

「授業?」

 

こんな状態なのに学校の授業をやり始めようとする女性…この人は教師なのだろうか

 

「私、まだ教育実習生ですがなにかできればと思い子供達に勉強を教えているんです」

 

こんな状態だというのに自分にできる精一杯のことをするなんて…すごい人だこの人は

 

「少し見学させても?」

 

「はい、別に構いませんよ」

 

そういうことで俺も子供達の授業を見ることにした。

 

「はい、この答えがわかる人」

 

子の授業参観を見に来た親とはこんな気持ちなのだろうか自然に子供の頑張れと応援したくなる。

 

授業が始まって二時間ほど今は10時半今やってるのは歴史、内容は鎌倉時代の幕府は何年に開かれたというものだ

 

『はーい!』

 

「それじゃあ若狭ちゃん」

 

おっ!るーちゃんが選ばれたようだ…頑張れ!るーちゃん!

 

俺は心のなかでるーちゃんの応援をする

 

鎌倉幕府は1192年…良い国作ろう鎌倉幕府と教えてもらったことがある

 

「えっと…1192年です!」

 

「はい、正解です、若狭ちゃん頭良いね」

 

「えへへ」

 

女性に誉められて嬉しそうな顔をする、るーちゃん偉いと俺も誉めてしまう。

 

「先生~!算数したいでーす!」

 

「え?!ええ!?さ、算数?先生教える自信無いかも…」

 

多分数学は苦手のようだ…数学ぐらいなら…

 

「あの、先生、良かったら算数、子供達には俺が教えますよ、算数得意中と得意ですから」

 

「ほ、本当に…でも君大丈夫?」

 

「任せてください」

 

そうして数学の授業が始まった、簡単な足し算や引き算、掛け算、割り算…それの応用といった初歩なものを子供達に教えていく。

 

「えっとこのようにクッキー65個を八人で子供で均等に食べる数は65÷8=8余り1という答えになります、はいここまでで質問がある人いるかな?」

 

「はーい!先生!残った1つは誰が食べるんですか?」

 

…まさかの質問だな…ここは雑談を交えるか

 

「それは子供達が取り合いになっちゃうので先生が食べちゃいます」

 

「え~先生も食べちゃうの~」

 

「取り合いになるんだったら先生が食べたら子供達均等に食べられるだろ?だからこれで良いんです」

 

こんな雑談を交えながら楽しい時間は過ぎていき昼の12時で俺の算数授業が終わった。

 

「あ~思いの外疲れた」

 

「お疲れさまです月宮先生」

 

「いやいや、先生に先生呼ばわりされるのも何かと…」

 

「子供達、楽しそうに算数の授業受けてましたよ…月宮さん」

 

「いやいや、こっちも楽しかったですし、何より教師のありがたみが染々わかりましたから」

 

教師をしてみてわかった…子供達にとっては教えてくれる先生という単純な考えだろうけど…教師は教える生徒達が正しく道を進んでくれるか悪かったら叱って…良いことだったら誉めて、抱え込んでる人には相談してこういう積み重ねで生徒を間違った道にいかせないように努力する、教師というのは教えるだけじゃなく、親以外で子供達を導き親しみやすく社会の知識を教える人だと、俺は思った。

 

俺達は小学校のころから管理局にいたから…間違った道に知らない間に入っていた…子供ってそういったことはわからないからな

 

そう考えると義務教育のありがたみも実感してきたよ

 

「お疲れさまです雄也先生」

 

そんな染々と実感していると圭がやって来た。

 

「圭、まさか見てたのか?」

 

「途中からだったけど…雄也先輩…教師に向いてるんじゃないですか?」

 

「教師にね…」

 

管理局一択だった俺は他の将来なんて考えてなかった、今となっちゃあ管理局以外の仕事をすべきだしな

 

「…悪くないかもな」

 

…そうなると元管理局エースで聖騎士で教師…思っただけでも凄い職歴だな…

 

教師という将来のビジョンの1つの選択として頭において、そろそろお昼の時間で昼食が来るはずだから俺も行こうかな

 

お腹も減り、お昼を食べようと移動したときだった…凶報が舞い降りた

 

[っ!?五時の方向から魔力砲撃がこちらに接近しております!!]

 

「っ!?なんだと!?」

 

五時の方向を振り向くと確かに砲撃が迫っていたしかも着弾点予想場所にはるーちゃん達や先生が!

 

「るーちゃん!みんな!逃げろ!!」

 

俺は必死に叫びながらアークとバリアジャケットを展開して急いで駆け寄り砲撃の前にたつ。

 

「やらせてたまるかぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

叫びと共に俺は子供達を守ると強く思いアークを振りかぶる。

 

このときのアークの光の輝きが一段と輝き増していたことには気づかず俺はライトブリンガーを解き放ち。

 

砲撃を押し返していく。

 

[な、なんですか…あれは…出力が魔力レベルSSS!?本来のマスター…でもあのレベルを出せるはずが…]

 

アークが驚愕しているが今はそれどころじゃない。

 

おれは咄嗟に振り向いて子供達の安否を確認する。

 

「みんな大丈夫か!?」

 

「み、みんな…月宮くんが守ってくれたから平気です」

よかったと心のなかでほっとしておれは砲撃が放たれた方角をみる。

 

[1500m先に管理局、空戦魔導士の部隊がいます、数は8、他にも九時の方向から同じく地上の魔導士が接近こちらの数は12です]

 

「…圭、自衛隊に急いでこの事を伝えてくれ…おれは空の敵を叩き潰してくる」

 

許せない、未来を支える子供を殺そうとして…流石に頭に来た…徹底的に叩いてやる!

 

そう思いながら空を飛び上がり空の敵を倒しに向かった。



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chapter44

拠点から飛び立って数分、巡ヶ丘上空では俺は空戦部隊を視認した。

 

「いた…」

 

俺は空戦部隊の視認すると加速して空戦部隊の中を通り抜けるのようにまず一人局員を切り裂く。

 

「ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?」

 

腹を切り裂かれた激痛の断末魔を上げながら落下していく局員仲間の局員誰もが唖然としているなか俺は残り7人の局員を見据える。

 

「ユ、ユウヤ・ツキミヤ!?なぜ貴様が生きている!?」

 

局員の一人に驚くなか俺はなんにも動揺せずに次の標的を目掛けて接近しまた一人落とした。

 

「貴様ぁ!俺達管理局に楯突くつもりか!」

 

「ああ、その通りさ、俺はお前らの正義をを正義とは認めない…俺は俺の信念で動いている」

 

「信念で動くだと…そのような馬鹿馬鹿しい理由で俺達に楯突くとは殺ってしまえ!」

 

そういって支給のデバイスの魔力弾や砲撃等が俺目掛けて放たれるなかその中を余裕で掻い潜っていく。

 

そんな中で魔力弾が上空で弾かれたような現象が起こる。

「まさか、結界か?」

 

なるほど…この巡ヶ丘全体に結界が貼っていたのか

 

「なら結界もいずれは破壊しないとな!ファイア!」

 

俺はファイアを放ち局員一人がファイアによって燃えて火だるまになりそのまま断末魔と共に落下していく。

 

「くそぉ!!三人も!この人殺しやろう!」

 

「その言葉そっくり返してやる!サンダー!」

 

広範囲にサンダーを放ち威力は下がるが体を麻痺させることは出来てそれにとらわれた3人を一撃で倒した。

 

「う、うわあぁぁぁぁぁっ!!」

 

次々と殺られていく現状に錯乱した局員は砲撃を放ち、俺は避ける気もなく上段の構えをとる。

 

「ライトォ…ブリンガァァッ!!」

 

 

渾身の斬撃…斬撃は砲撃を飲み込みそのまま局員を飲み込んだ。

 

「貴様ぁ!!」

 

最後の一人が怒り狂う顔で俺に接近しデバイスを怒り任せで振るう、だが余りにも素人の太刀筋で弾き飛ばしたあと腹に突きを食らわせた。

 

「がはぁ…!?」

 

「子供達を手にかけようとした罪だ…地獄で懺悔しな」

 

《おい何があった!?報告しろ!おい!報告しろと言っている!のろまが!!》

 

「っ!?」

 

俺の耳に串刺しにしている局員の胸元から誰かの声が聞こえてきてその声は俺にとって聞き覚えのある声であった。

 

俺は死骸から通信機をとってアークを引き抜くと死骸は自由落下していき付いた血を払うと通信機を使って相手と話した。

 

「久しぶりですね…ムラキス提督」

 

《なっ!?その声は…ユウヤ・ツキミヤ!?なぜ貴様が生きている!?》

 

「そんなことはどうでもいい、お前、今回の一件に関わってるんだな?」

 

「貴様ぁ!!上官に向かってなんという口の聞き方だ!」

 

ムラキス提督…こいつが俺の武装隊の提督だった男であの国の秘宝回収任務の最高責任者であった人物だ。

 

しかも今回のことでもトップとは…こいつとはここで因縁をはらすいいきかいだ

 

「もう俺は局員じゃない、それじゃあな、首を洗って待ってろよ」

 

そう言い残してから通信機を叩ききり俺は拠点へと戻っていく。

 

空から拠点へと飛び降りると近くにいた圭がこちらに近寄ってくる。

「先輩大丈夫ですか」

 

圭の表情は心配している顔をしており、俺のバリアジャケットには返り血が付いていたりする。

 

「大丈夫だよ…別に攻撃を一度も食らったわけじゃないしさ」

 

「…そうじゃないです、私が心配なのは先輩がまた人を…」

 

…圭が言いたいことは精神的な問題のようだ。

 

「大丈夫だといったら嘘になる…俺はあのとき子供達を手にかけようとしたことで逆上して…警告もなしに命…奪った」

 

俺の脳裏には先程の怒り振るう俺の光景が浮かび上がる。

 

「俺の力は奪うためじゃないはずなのに…」

 

俺はこの力で何人もの命奪った…

 

俺が自分自身の信念を突き通す中奪う命はもっと多くなるだろう…

こんな苦悩していたら信念を突き通すなんて到底不可能だ…

 

だが怒り任せで戦ってはいけない…そう心に決めた。

 

「地上の魔導士部隊は自衛隊が全滅させたって、奇襲みたいだったらしいけど先輩が気づいたお陰て被害はなにもなかったみたいです」

 

「そうか…」

 

報告を聞いて笑みをこぼす。

 

誰も死んでない…その事で少しほっとした。

 

「月宮雄也くんだね?硲少佐が応援室でお待ちしております、至急来てほしいとのこと」

 

「…硲さんが?…さっきの一件についてか」

 

俺は自ら硲さんの呼び出し理由を推理すると直ぐに返事を返す。

 

「それじゃあ直ぐに向かいます」

 

そういうと自衛隊員は何処かへといき、武装を解除すると俺は応援室がある校舎へと歩いていく。

「あっ!私もいく!」

 

「雑談しにいくわけじゃないんだぞ」

 

「そんなぐらいわかってます!」

 

どうかんがえても離れそうにないので連れていくことにして俺達は応援室にの前にやって来た。

 

「失礼します!雄也です!」

 

「雄也くんから入りたまえ」

 

硲さんに言われて入室し硲さんの前に立つ。

 

「…彼女は」

 

「圭は、俺のパートナーです、彼も同行したいと申しましたので独断ですが連れてきました」

 

圭をつれてきた経緯を簡単にはなし、呼び出された本題にはいる。

 

「まずはありがとう、雄也くんが警告をしてくれたお陰でこちらは被害が出ずにすんだ…」

 

「いえ、それでもあっちから攻撃されるまでわからなかったのは事実ですし」

 

「それと…すまない、我々の力不足で君をまた…人を手に…」

 

硲さんは既に察しているのかその顔から本当に悔やんでいる表情がわかった。

 

「硲さんが気に病むことじゃないです…ああしたのは紛れもなく俺ですから…それであの一戦でわかったことがあるんです」

 

そういって俺は硲さんに話した、敵の司令官のことを

 

「そうか、敵は雄也くんの元上官か」

 

「はい、小細工が効かないと今回のことで判断したでしょう、次にとる行動は恐らく物量作戦…大部隊による殲滅です」

 

「なるほど、確かに今までにも此処に管理局はちょっかいをかけていたのは事実だ…奴等からしたら此処にいる4000人以上の人民は目障りでしかないようだ…だが此処には君がいる…慎重に行動するとは思わないのか?」

 

硲さんの考えも一理ある…けど俺が知るあいつの性格からしてそれは否定できる。

 

「あの提督は管理外の人間のことを野蛮人と見下しています、だから俺一人で何ができると…軽視している確率が高い…逆にそこをつけば…」

 

「返り討ちにすることができる上に最悪、壊滅させることもできる…そういうことか?」

 

「はい、もしかしたら次の一戦で雌雄を決することになると俺は思います」

 

つまり次の攻撃は負けられないということだ。

 

「開戦は恐らく明日の午前中…直ぐにでも準備を整えた方がいいと思います」

 

「そう思っていた、既に準備を取り掛かっているよ…」

手が早いと少し硲さんのことを感心する。

 

「それじゃあ俺は子供達のところにいってきます、あのとき砲撃に当たりそうになっていたんだ…少しでも接して安心させないと行けませんし」

 

「そうか、すまないな」

 

「自分でやりたいからやってますから、それと調理室とその中にある食料、もしかしたら使うかもしれないので、事前に行っておきますね」

 

「わかった、それじゃあすまないが頼むよ雄也くん」

 

そういうと俺達は応援室から退室した。

応援室から出てから子供達の所に行く前に俺は調理室にやって来た。

 

「雄也先輩何をするつもりなんですか?」

 

一緒に付いてきた圭はなぜ此処に来たのか疑問に思いそう俺に訪ねた。

 

「何少しな…えっと、蜜柑に白桃…パイナップルのかんづめ…こんだけあれば充分か後は…あれがあれば…あったあった、牛乳があればよかったんだけど…こればかり仕方ない」

 

「えっと、何か作るんですか?」

 

「まあな、それじゃあぱっぱと作りますか」

 

 

 

数時間後

 

既に夕方になり避難所中が攻撃に備えてバタバタと自衛隊が動くなか体育館の一ヶ所に子供達が集まっているのが見えて俺はあるものを持ちながら彼らのところへ足を運ぶ。

 

そして近づいてわかったことだがみんな顔が暗い…襲撃を受けたのだ…困惑して恐怖しているに違いない。

 

近づいてその集団の中にいたるーちゃんが俺に気がつく。

 

「ゆーにい!」

 

そう叫びながら俺のもとに駆け寄り抱きついてくる、そして体が触れていることでるーちゃんが震えているのが清明にわかった。

 

るーちゃんに連鎖して他の子供達も集まってくる。

 

「先生、怖いよ」

 

「先生…怖い人たちまた来るの?」

 

「先生、私達…死んじゃうの?」

 

混み上がる恐怖を俺に話しかけてくる子供達…俺はそんな子供達に優しく頭に手を置いて撫でた。

 

「安心しろ、悪い奴等はお兄さんが倒して見せるから…」

 

そう慰めるように優しく接する。

 

「それと、みんなにお兄さんの自作のおやつを作ったんだ」

 

そういって俺は持ってきたものを差し出す。

 

「これ?寒天?」

 

るーちゃんがそう口を溢す。

 

俺が作ったのは寒天、うんよく寒天があったためにフルーツをいれてデザートを作った。

 

因みに寒天を液状にするときの火はファイアで冷やすときはブリザドを使ったのは余談である。

 

「どうかな?牛乳とかあればもっと美味しくできたんだけど」

 

そして子供達は恐る恐る、寒天を口にして俺は感想を聞いてみる。

 

「おいしい」

 

るーちゃんが俺のデザートをおいしいと笑顔でいって俺もほっとした

 

そして数分経つと子供達から笑顔が溢れていた。

 

「みんな、嬉しそうだね」

 

「ああ、絶対にこの笑顔を守らないといけない」

 

今はこの避難所にいるみんなのためにも俺の力を使う、そう決めた。

 

そして翌日の午前8時半…この拠点から数キロ離れたところに管理局の部隊が展開された。

 



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chapter45

「敵が…ざっと30人…か」

 

 

翌日、俺は拠点から数キロ離れた住宅街の一軒やの窓から管理局の陣営を偵察していた。

 

ざっとバランスが取れた編成ではあるが8割ほど何故か動きに切れがない。

 

「まさか、新人か?」

 

そう観察していると此処の隊長であろうかその男に胸元を掴まれて激怒、新人達は怖じけずきながらそいつの言うことを聞いている。

 

「…無理矢理立たされてるってところか…」

 

そう思い俺は付けている通信機で通信する。

 

「こちら雄也です、硲さん…聞こえますか?」

 

《こちら、硲だ…どうした?》

 

 

「敵の編成部隊を見つけましたがそのほとんどが新兵の模様…隊長と思われる局員が恐喝で無理矢理ってところだろう」

 

 

硲さん…というより作戦本部に敵の情勢に連絡する。

 

《つまり、恐喝している隊長を狙えば自然に指揮系統は分断されてこちらに降る局員も現れるそういいたいのかね》

 

硲さんの言う通り、こちらに降れば無力化できるし何より新人達に罪なんてない…あれは無理矢理戦場に立たされている連中なのだ。

 

「甘い…ですか?」

 

《確かに軍人としては…甘い発想かもしれないが…君らしいといえば君らしい発想だ…我々も無益な殺害は極力避けたい…雄也くんの考えには賛同しよう、自衛隊の全員にその言葉を徹底させておく》

 

「ありがとうございます、それじゃあ俺はこのまま侵攻拠点の敵陣営に潜伏します」

 

そう通信を切ると俺は局員達の死角の窓から抜けて屋根を飛びうつって管理局が構える本陣営に向かう。

 

俺が自衛隊との本隊と離れて行動している理由、それは単身の敵本陣の奇襲で敵の混乱をさせるため、本陣に向かっていた。

 

恐らく管理局は俺が最前線で戦っていると思うだろう…それがまさか敵本陣に現れたらどうなる?

 

大混乱は確実…歴史で例えるなら三国志の合肥の山田ぁぁぁぁっ!!みたいなことをするってことだな

 

「さてと、そろそろ」

 

自衛隊達と局員の先鋒が激突する頃合いだ。

 

SIDE三人称

 

 

日が上って少したつ午前9時、自衛隊の拠点から少し離れた場所に自衛隊全戦力が来る侵攻に備えてあるものは草影に隠れ、あるものは建物中かは外を窺っている。

 

「もうすぐ…始まるんだ」

 

小学校の屋上の一番高いところでは圭が昨日のうちに手入れをしていたドラグノフを構えてそしてそのすぐ足元には試作魔導砲も置いてありどちらも弾込めは十分だ。

 

《こちら、α部隊、エリアBにて管理局の小部隊が目視した、たった今から交戦を開始する!》

 

圭の通信機から自衛隊の報告を受けて圭も体を伏せて狙撃体制に入り銃口をエリアBに向ける。

 

そして同時期エリアBでは自衛隊α部隊と管理局の射撃戦が始まった。

 

「く、来るな!こないでくれ!!」

 

管理局の半数以上は入りたての新人が占めており、ベテランの局員も雄也によって既に11人が殉職いることからベテランの局員の方が圧倒的に少なく、新人の局員が最前線に立たされる結果となった。

 

その新人局員たちも無理矢理立たされているわけで、命令に逆らえば殺されると脅され、強制的に非殺傷モードを解除されて局員達は射てば殺してしまう現状と逆らえば殺される恐怖感の板挟み状態で怯えながら戦闘していた。

 

「くそ!乱射するから下手に動けない!」

 

《こちらKです…援護射撃を開始します》

 

恐怖からの局員達の乱射によりうまく攻勢に出れない自衛隊達に小学校にいる圭からの通信が入る。

 

「あっ!?」

 

「ぎゃっ!?」

 

すると射撃していた局員達が肩、足などを撃ち抜かれてその場で激痛から倒れこむ。

 

「肩が…肩がぁ!」

 

「痛いよ…痛いょぉ…」

 

「帰りたいよ…ママァ」

 

誰も命を奪わずに次々と新人局員を無力化している圭。

 

「何を弱気になっている!高々野蛮人などに遅れをとるはずがない!」

 

と、なんの根拠もない言葉を戦場で怒鳴りあげる局員

 

「質量兵器など野蛮な兵器に頼る、野蛮人らしい兵器だが我々の足元にも及ばない!」

 

これまた根拠のない台詞である。

 

「口だけの達者なとうしろうだな」

 

「なんだと!この野蛮人がぁ!」

 

自衛隊の挑発で怒る局員が先だって突っ込んでいく

 

「野郎、ぶっ殺してやるぅぅぅっ!!」

 

 

その光景を遠くで狙撃体制で見ている圭は銃口をその局員に合わせて

 

「…さよなら」

 

引き金を引いてそして弾丸は局員の胸を貫き仰向けで倒れて即死した。

 

「た、隊長がやられたぁ!?」

 

「た、助けてくれぇ!!」

 

小隊の隊長が死んだことにより小隊員達の恐怖感は一気に膨れ上がる。

 

「よし!武装解除して投降しろ!命だけは助けてやる!」

 

自衛隊の隊長がそう勧告すると既になにもできない局員達は命を失いたいいっしんに降伏した。

 

そして他のエリアでも戦闘は始まっていた。

 

「突撃ぃぃぃ!!」

 

「わあぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

「大和魂を見せてやれ!!」

 

「バンザーイ!!」

 

士気が異様に高い自衛隊達

 

「ひぃぃぃ!く、来るなぁ!!」

 

「なんで弾丸の中を突っ込んでくるんだよ!」

 

「こ、こいつら、頭狂ってる!」

 

元から半数以上が強制的に前線に立たされている管理局は勇敢に突っ込んでくる自衛隊を止める手だてなどなく蹴散らされていく。

 

前線に出ている狂信している局員はほとんどが圭の狙撃により倒され既に自衛隊優勢の戦いが続いていた。

 

開戦から一時間が過ぎた

 

小学校から凡そ15㎞離れた区役所の地下…管理局の拠点では非戦闘員のオペレーターと此処の指揮官が現在の状況を目にして唖然としていた。

 

「な、何故我々が劣性なのだ…あちらは高々50人程!こちらは300!新人が200人だとしても圧倒的大差のはず!」

 

6倍の戦力なはずの管理局が押し負けていることに声を荒げる。

 

「ハイマン准将!全線の局員から連絡!既に半数の局員が投降、及び戦死、至急増援を寄越してほしいとのことです!」

 

「まだそんな世迷い言をいっているのだ!まだ三倍の戦力が残っているのだぞ!さっさと野蛮人など片付けてしまえ!」

 

戦力を投入を断る指揮官…たが現状を見ても確実に戦力を投入するのが適切だと断言し要請を断った。

 

そして数十分が過ぎ…

 

「既に我々の戦力は8割が消失!このままでは全滅するおそれがあります!」

 

「上空を取っていたヘリが全て大破!…直撃したのは質量兵器ではなく魔力兵器…どうなっているんだ!?」

 

「自衛隊こちらに向かって徐々に戦線を押し寄せています!このままではここに攻めこまれる可能性も…」

 

既に管理局は前線を維持する戦力を失い逆に攻められそうになる、状況は自衛隊の圧倒的優勢であった。

 

(な、何故…何故こんなことに…こ、このままでは私は…この失態で降格…折角の地位を失ってしまう、な、なんとか…)

 

こんな状態であっても自分の地位を求めるハイマン…そんな彼らにまた新たな報が入ってくる。

 

《こ、こちら地下拠点第3Bゲート前!》

 

「騒がしいぞ今はこちらも忙しい!」

 

《し、侵入者です!たった一人で…ゆ、ユウヤ・ツキミヤが!?単騎で攻め寄せて「じゃまだぁぁぁぁっ!!》ぎゃあぁぁぁぁっ!?》

 

通信途中、別の声が聞こえてくると、断末魔をあげて司令室は動揺がはしる。

 

「な、なんだ!?何があった!?おい!すぐに映像をモニターに出せ!」

 

ハイマンは指示するとすぐにモニタに映し出されたそれは、血を拭きだし倒れ伏せる局員、そしてデバイスに付いた血を払う雄也の姿がそこにはあった。

 

「ば、バかな…ユウヤ・ツキミヤだと!?何故やつがこの拠点にいる!?やつは前線にいるのでないのか!?」

 

「み、味方からはそういった情報は一度も…」

 

「何故それを報告しない!…何故私がこんなめに…」

 

「し、侵入者なおも変わらず進行中…迎撃の為局員が応戦していますが…全く緩みません!」

 

「前線の部隊…壊滅!生き残りも消息が掴めません」

 

「バかな…野蛮人ごときに…6倍の戦力が…壊滅?ふ、ふはははははぁ!!」

 

完全に自分が描いた予想とはかけ離れたことにより、狂ったようにわらう司令官、既に負け戦この場の全員がそう思い始めた。

 

「お、俺は…死にたくないぃ!!」

 

遂に恐怖から自身の持ち場から離れて逃げ出す局員が出始めて指揮系統もこれによりズタズタになった。

 

一人また一人とこの場から離れていく局員たち、そして最後に残ったのは司令官であるハイマンだけとなった。

 

そして同時刻管理局本陣では慌ただしく逃げ惑う局員たち、そして避難口である扉が開くと扉の向こうには自衛隊が銃口を構えて待ち構えており、それをみた局員たちが絶句する。

 

「じ、自衛隊!?何故ここに…」

 

 

「貴様たちは既に取り囲まれている大人しく投降しろ、命の保証はする」

 

既に戦う気力など微塵にもない局員たちは次々と投降そして自衛隊総勢70名という人数で次々と拠点は制圧され、そして指令室には遂に雄也がたどり着き、ハイマン准将を目視する。

 

「ハイマン…お前が此所の指揮官か」

 

雄也にとってハイマンは元いた部隊の副司令

 

あの雄也にとって忌々しい作戦にも関わっていた男

 

そのハイマンに雄也は何もためらわずにアークを突きつける。

 

「き、きさま!本気で管理局を的に回す気か!」

 

「なんとでもいえ、ハイマン…これ以上管理局の横暴を許すわけにはいかない」

 

「くっ!この自分自身のために人を殺す殺戮者め!」

 

「殺戮者といいたいなら呼べ…だがお前たちもまた殺戮者と知れ!」

 

「…貴様と同じにするなぁぁ!!」

 

ハイマンは逆上して襲いかかってくるが、丸腰のため脅威とは思えず雄也はアークで腹を刺す。

 

「ぬぅっ!?」

 

「地獄に落ちろ…ハイマン」

 

冷酷な言葉を最後に雄也はアークを引き抜いて思いっきりハイマンの体を引き裂きその切り口から大量の血が吹き出して倒れた。

 

「……ファイア」

 

 

最後に司令室をあとにしながらファイアを詠唱しハイマンの遺体は炎に包まれて遺体は灰へとなった。

 

 

午前10時34分 開戦して1時間半あまり、自衛隊の圧倒勝利で戦いは終わった。

 

管理局の被害は行方不明者20人、自衛隊に投稿した局員429人、そして死者指揮官ハイマン准将を含め375人

 

 

近年管理局において最もの敗戦と後世語り継がれる戦いは幕を閉じた。

 



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chapter46

このかいで少しゼルガー小説でこうじさんのキャラクターとコラボしています


SIDE雄也

 

管理局と自衛隊との戦いは終わって昼過ぎ漸く俺は小学校に戻ってこれた。

 

「急いで衛生兵!」

 

「こっちに包帯を持ってきてくれ!!」

 

拠点では負傷者の手当てで自衛隊が疾走しており、見る限り手当てしている負傷者は投降した局員しかおらず、戦闘で負傷した怪我が目立つ。

 

「雄也先輩!」

 

拠点内を歩いているとドラグノフを担いでいる圭がやってくる。

 

「圭、無事だったんだな」

 

「それは、こっちの台詞です」

 

お互い無事だったことを確認しする。

 

「人手が足りない頼むから手を貸してくれ!」

 

そう自衛隊の助け声が聞こえて俺はその方向を見ると肩を脱臼しているのか痛がっている局員を見ている自衛隊、その局員に近づき横でしゃがんで様態を見る。

 

「肩が外れてるのか?ちょっと痛いけど我慢してくれ」

 

そう思い俺は局員の外れている腕を持ち、強引的だと思いっきり局員の肩を入れる。

 

「っ~っ!!!」

 

「肩は入ったからこれで問題ない、あの重傷者がいますか?できる限り回復魔法を使ってある程度の怪我は直せるはずなので」

 

「それならあっちのテントだ、あっちも人手が足りない、いってやってくれ」

 

自衛隊員から場所を教えてもらい俺はそのテントの元へと駆け足で向かう。

 

「雄也先輩!私に何か手伝えることないですか?」

 

俺の後ろを圭が着いてきて手伝えないか聞いてきて俺はふと子供達のことを思い浮かべ圭に向けて口にした。

 

「圭は子供達の面倒を見てくれ安心させてやりたいからな」

 

「うん、分かった」

 

そういって圭は体育館の方へ向かっていき俺は重傷者がいるテントへと入っていくのであった。

 

俺が重傷者の治療に入り二時間ほどか過ぎた立て続けにケアルを使い怪我を癒していると圭がやって来る。

 

「圭?どうしたんだ?子供達のところにいたんじゃ…」

 

突然の訪問に戸惑う俺に圭は平然に話しかけてくる。

 

 

「自衛隊員さんからボランティア…となのる…人が来て…その人が雄也先輩のこと呼んでいたんです」

 

「…俺を?それにボランティアだって?」

 

…俺に心当たりはないし何より今は巡ヶ丘は結界に包まれて出入りは不可能な状況…本当に妙な話だな

 

「どうするの?」

 

「…会ってみよう…もしかしたら知り合いかもしれない」

 

会わなければ始まらないと踏み切り俺は校門前に向かうと校門前にはキズがひとつもついてないトラックに運転手であろう青年に付き添いの小学校の女の子がいた

 

その二人の服装を見るに荒れているところがない…まさか、本当にそとから来たのであろうか

 

「あんたか?俺に会いに来た人って?」

 

「えーと、会ったことありますか?」

 

取り合えず、記憶ではあったことはない、一応警戒はしておいた方がいいな

 

「はじめまして、僕は阿南祐輔て言います」

 

「私は高町なごみと言います」

 

阿南…聞いたことのない名字だ…でも高町って…なのはの親戚か?…でもそんなの聞いたことないし…

 

「まぁ、ストレートに言うと僕達はこの世界の住人では無く平行世界からやって来たんです」

 

『………はぁ?』

 

阿南という青年がいったことに俺達は戸惑いを隠せなかった。

 

そこから祐輔さんの話とここに来た経緯を語り始めた。

 

平行世界の管理局…いや、既に管理局は解体されて新しい組織、時空警備局というところの局長から物資の提供をするように言われて来たらしい

 

その上祐輔さん自体、平行世界を行き来しているようで適任だと思い一般人でありながら頼まれたと祐輔さんは苦笑いしながら語った。

 

一応の事情を聞いて話から信用はできる人だと見抜き俺達も自己紹介をする。

 

「・・・・俺も似たようなもんだからな。改めて月宮雄也だ。救援物資届けてくれてありがとう」

 

「私、『祠堂 圭』て言います」

 

自己紹介が終わり早速、物資を運びここにいる避難民全員に食料を給付していく。

 

俺と祐輔さんも給付の手伝い

 

そして圭となごみちゃんは子供達に童話の本を読み聞かせていた。

 

因みになごみちゃんが童話の話から鈍感過ぎて女心がわからずに自業自得でぼこぼこにされるという実体験の話に…本当になごみちゃんって小学生だよね…一体どんなものを見てきたのだろうか…

 

そして色々と過ぎて夕方、物資の荷下ろしも終わり祐輔さん達は俺に異世界に行ける転送装置を渡すと去っていった。

 

そしてその夜、俺は硲さんがいる応援室にやって来ていた。

 

理由は俺は明日この拠点からでていくことを告げるために

 

「そうか…何をいっても止める気はないんだな、それなら私は止める気はない…」

 

「ありがとうございます、今管理局は壊滅的な打撃をおった直後、流石に動くことは不可能といってもいいですから…」

 

戦力のほとんどを失った今の管理局に動けるほど戦力があるとは思えない、今のうちにリバーシティにいき圭の友人を助けにいくのが先決だ。

 

その後は中学校に戻る…あいつらに謝らないといけないしな

 

「雄也くん、最後に私から言いたいことがある、例えこの先苦難が待ち受けているだろう、だが何かに立ち向かうことを恐れるな…どんなときでも自分が信じるもののために…」

 

「自分の信じるもの…」

 

「私からはこれだけだ、もう夜も遅い、テントに戻って休むといい」

 

そういって俺は部屋からでて行き寝床のテントへと向かうなか俺は考えた。

 

主にこれからのことでだ

 

この戦いが終わったら俺はどうしようか?

 

まず、初音島を見付けることを第一にだろう、これは祐輔さんが持ってきた異世界転送装置で見つかる確率は飛躍的に上がった。

 

そのあと自分はどうするべきか、俺はこの一件で管理局からのお尋ね者として追われることになるだろう、初音島に行けばその心配はなくなるとは思うが…この世界の圭達のことを考えるとそれができない

 

「はぁ…どうすればいいだろう」

 

この戦いが終わっても悩みの種は減らない一方だとため息をしながらテントに戻り眠りにつくのであった。

 

そして翌日朝9時を回った時刻校門前におり、俺の見送りにるーちゃん達を始め、若狭家、子供達などが見送りに来ていた。

 

「ゆーにい、行っちゃうの?」

 

別れたくないのか、るーちゃんは寂しそうな顔をして俺に問いかけてくる。

 

「うん、早く、りーねえや、他のみんなにもたくさん心配させちゃったから早く行かないと行けないからさ」

 

「…また戻ってくる?」

 

「ああ、用事がすんだら必ず、その時はまた特製のデザート作ってあげるから」

 

「本当!?」

 

「ああ、ほんとうだ」

 

るーちゃんは満面の絵顔を俺に向け、俺は他のみんなを方に顔を向ける。

 

「短い間でしたがお世話になりました」

 

「世話なんてそんな寧ろこっちが世話になったよ!」

 

「先生、算数教えてくれてありがとう!」

 

そんな感謝の言葉のなかこちらに近づく少女が一人

 

「ごめん!遅れちゃいました!」

 

「全く、あと少し遅かったら置いていってたぞ、圭」

 

「お、置いてくなんて酷くないですか!?」

 

巡ヶ丘中学の制服を来て大きな弦楽器を入れるようなケースにドラグノフそれとコンパクトなバックを持った圭がやって来た。

 

「それで、お母さんには話したのか?」

 

「は、はい、お母さんはいっておいでって…」

 

「そうか、それじゃあそろそろいくか」

 

出ていくことを認めてくれたようで素っ気ない返答してから俺達は校門から外へと離れていく。

 

『いってらっしゃーい!!』

 

ふと校門の方から見送りに来た人達が俺達にそういい、一度圭と顔を合わせて頷き。

 

「「行ってきます!」」

 

必ず帰ってくると心に決めながら俺達は助けを待ってあるであろう圭の友人のところへ歩き始めた。

 



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chapter47

学校の避難所から離れた俺達、リバーシティへと向かうこと既に二時間ほどが過ぎた。

 

もうすぐ昼時であり小腹がすくなか既に自衛隊の安全圏外にででいるため奴等を処理しながら向かっていた。

「よっと、いっちょ上がりと」

 

そういいながら、アークで頭を切り落としここら一体の奴等は倒した。

 

「うーん、これじゃあなかなかたどり着けないね」

 

と、後ろからついてきている圭がそういうのも一理ある。

 

まだまだリバーシティまでの道程は長いこのままでは今日中に辿り着けるかどうかも怪しいところだ。

 

「なんか、いいものでもかな~ん?」

 

ふと辺りを見渡していると俺の目にひとつの看板がうつる。

 

「……」

 

「どうしたんですか?雄也先輩?」

 

黙りこむ俺にたいして圭は首をかしげながら訪ねてきた。

 

「早くつく方法を思い付いただけだよ」

 

そう微笑みながら答えて俺達が入った場所はカーショップ…

 

「あの雄也先輩?まさかだとは思いますけどでは車をつかっていくとかじゃないですよね?」

 

そう恐る恐る聞いてくる圭に俺は涼しい顔をしてこう応えた。

 

「その通り…よくわかってるじゃないか」

 

「いやいや!流石に車の運転なんてできるんですか!?」

 

答えが当たっていて焦り出す圭を前に俺は平然と言葉を返す。

 

「安心しろ、車の運転はよくやってる」

 

「…あの、先輩って私のひとつ年上ですね?」

 

「ああ、少しあってな…あれは大体二年ぐらい前…だったかな」

 

 

回想

 

とある世界に逃げ込んだ犯罪組織を追いかけるために俺と教官が追いかけていたんだが犯罪組織の中心角が車で逃走したときのことだ。

 

「くそ!よりによって車で逃走するか!?」

 

あのとき必死に追いかけて車で逃げられたことに悔しい思いをしたけど、次の瞬間教官がしたことに悔しさなんて吹きとんだった。

 

「雄也、これを使うぞ!」

 

教官が呼び掛けると連れられてきたのは奴等が使っている逃走車と同じジープが置いてあったんだ。

 

「これを使って追いかけるぞ」

 

「なるほど、これなら追い付けるかも…流石教官です!」

 

直ぐ様周囲を確認して使えるものを使う…その判断力に感服していた…教官が助手席の方に座るまではだ。

 

「…あの…教官?」

 

「どうした、雄也」

 

「何故、助手席に座っているんですか?教官は運転席に座るとばかり思っていたのですが…」

 

 

あのときの疑問は本当にごもっともだった…そんな俺に決まってるだろと言わんばかりの顔で教官は…

 

「お前が運転するんだ雄也」

 

下された違法行為

 

「い、いやいやいや!無理ですって!俺まだ中学1年ですよ!運転する年齢でも」

 

「…雄也よ、よく聞け確かにお前が言うことは一理ある…だが、いざというときにその技術がなければ助けられないこともある…だから駄目だと思っているものでも…自分の技術として会得しておくことが大事なんだ…」

 

…無茶苦茶なことをいってるよ…教官

 

 

その後一通りの操作を一分いないに教えられて俺が運転した。

 

 

回想終了

 

 

「と、いうわけで大丈夫だ、問題ない」

 

「法的には滅茶苦茶問題ありだと思うんですけど!?」

 

「でも、その技術が今生かせてるだろ?大丈夫大丈夫♪」

 

そう言いながら俺は車の鍵を探し荒らす。

 

「…雄也先輩も何気にその教官さんに毒されてるような気がする」

 

圭がそんなことを言っていたとは知らずに鍵を見つけた俺は新品の車を調達し発進の準備が完了すると荷物などを積んでリバーシティへと車を走らせた。

 

「盗んだ車で走り出す~」

 

運転して既に五時間ほどが経過していた。

 

俺のドライブテクニックで障害物にはぶつけず、奴等は引きながら走行し続けそろそろ目的地に到着する頃であった。

「まんま、今の雄也先輩だと思いますよ」

 

そんな俺の隣の助手席に座る圭は皮肉な言い方で言ってくる。

 

「これは盗んだんじゃなく調達したんだ…決して盗んだ訳じゃない」

 

決して人のものを盗んだ訳ではない!そこにあったからありがたく使わせてもらっているだけだ!

 

「それより、あれじゃないか?リバーシティ・トロンって」

 

前方に見える巨大な建物それが俺たちが目指していたリバーシティ・トロンではないかと圭に訪ねると圭はそうだと頷いた。

 

「美紀…私、帰ってきたよ」

 

隣の圭はこれまでの道程を思い浮かべているのか、笑みには漸く目的が果たせる嬉しさに満ちていた。

 

そんな中俺はさらにアクセルを踏みスピードを上げる。

 

「せ、先輩?」

 

いきなりスピードを上げたことに隣の圭は疑問を持つ

 

「私…嫌な予感がするんですけど…」

 

「圭、しっかりなにかに捕まってろよ」

 

そう警告した直後俺はハンドルを切り車体は急カーブするようにドリフトし車は180度回転し道路の端にぴったりと停車した。

 

「…………」

 

「うん、腕は落ちてないな…いやよかったよかった」

 

「よくないですよ!今冷や汗かきましたよ!!」

 

少し放心していた圭は直ぐに正気に戻り怒りだす。

 

[これはマスターが悪いです]

 

…相棒にも言われる始末…解せぬ

 

「えっと、悪かった」

 

一応謝り圭の怒りのほとぼりが冷めた後荷物を持ってリバーシティ・トロンの玄関前にやって来た。

 

「漸く帰ってきた…」

 

「さて、早いことその友達に会いに行こうぜ」

 

そういって中に入ろうとしたときであった。

 

「…す…て!」

 

「っ!!」

 

微かにだが奥から声がした。

 

「圭!」

 

「この声…美紀だ!美紀が危ない!!」

 

圭が先頭だって走り出す。

 

俺もとっさに先走る圭の後ろを付いていく

 

圭の友人…助けられればいいが

 

一刻を争うために急いでその場に向かった。

 

リバーシティ・トロンに中に入ると血塗られた広間、無数の奴等…その奴等の先、ピアノの上には生存者…圭と同じ制服に身に纏う少女がいた。

 

「いた!美紀!!」

 

十中八九思っていた通り彼女が直樹美紀で間違いなさそうだ!

 

「っ!圭!?…生きてた…」

 

直樹も俺達を視認したのも束の間群がる奴等に足を掴まれて遂にピアノの上から引きずり下ろされた。

 

「美紀!!」

 

「くそ!仕方がない!ライトブリンガー!」

 

直樹を巻き込むかもしれないがこの方法しかないと踏みきり俺は斬撃を飛ばし群がる奴等を大半を吹き飛ばした。

 

「美紀に近づくなぁ!!」

 

そして斬撃を放った後圭は跳躍してベレッタで喰おうとする奴等をヘッドショットで倒し美紀の目の前に着地する。

 

「美紀!?大丈夫!?奴等に噛まれてない!?」

 

回りに奴等がいるなかで圭は直樹の心配をして体を調べると噛まれた後はどこにもなかった。

 

「よかった…感染してない」

 

「圭!感動の再会で悪いがその子をつれて2階へ!」

 

水を指すことに気が引けるがこの状況では仕方がない、俺は圭にとっさに指示し圭は直樹を連れてエスカレーターで2階へとのぼりその後を俺が追いかけながら魔法の口頭を詠唱する。

 

「くらえ!サンダー!!」

 

大体広間全体にサンダーが降り注ぎ感電した奴等はバタバタと倒れていく。

 

「ふぅ…かなり広範囲だったから魔力を結構食うな」

 

あらかた先ほどのサンダーで片付いたのを確認し圭達の方に向くと再会を噛み締めていた。

 

「ごめんね、美紀、私美紀に生きているだけでそれでいいのって…酷いことを…」

 

「ううん、圭は悪くないよ…こっちこそ…ごめん…圭の言う通りだよ…ずっとあそこに閉じ籠っていても何も変わらなかった…」

 

互いに謝りあい、それが20分近く続き…割れた窓から外を見てそろそろ日がくれそうだと思い二人に近づく。

 

「圭、話し合いは山々だがまずは安全な場所にいこう…もうすぐ暗くなるし…どこか安全な場所あるか?」

 

「え?ああ、それならここにいたときに籠ってたあの部屋なら大丈夫だと思うよ…」

 

「なら、話は決まりだなとっとといこうぜ」

そういって直樹は圭に連れられて移動しリバーシティの五階に位置する一部屋…倉庫にやって来て、そこは直樹が生活していた感じが残っており、ドアを段ボールでふさいで俺たちは一息をつく。

 

「漸く一段落だな」

 

「あの…助けていただきありがとうございます」

 

直樹が俺にたいしてお礼を言うと、先ほどから気になってたことがあるのか率直に訪ねてきた。

 

「あの、あなたは…月宮雄也…さんですよね…あの映像に…圭と映っていた」

 

恐らくこの部屋の窓から見たのだろう…突然俺の名前も素性も知ってるわけで警戒されているようだ。

 

「ああ、その雄也で間違いない…警戒するなとは…難しいな…仮にも管理局にいたわけだし」

 

「美紀、雄也先輩は管理局とはもう関係ないの…お願いだから信じてあげて」

 

「……先ず、どうして、圭が一緒にいたのか…説明してくれませんか?」

 

半信半疑の中直樹はどうやって知り合ったのかを気になったのか説明を求めてくる。

 

俺は圭と互いにうなずくとこれまでの話を話す。

 

錯乱した男性に襲われそうになったところを俺が助けたこと、あの地下拠点での戦い、祠堂家での悲劇…そして自衛隊と管理局の戦争…これまでの経緯を直樹に話した。

 

「というわけで漸くここまでこれたわけだ」

 

「……」

 

一通りの話はしたが直樹は黙ったままだ…だが表情からして納得いっていないようだが…

 

「取り合えず、ここを脱出するのは明日だ…今日はここで体を休めることにしよう」

 

そしてこの部屋で持ってきた食べ物で食事をとってできる限り早めに俺達は眠りについた。

 



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chapter48

今回は短め


リバーシティに来て一夜が明け、日がのぼり始めた時刻、俺は目が覚めて窓から外を見る

 

下は奴等が多く徘徊しているのが見てわかる。

 

…これであのベヒモスと戦ってから8日目か…

 

思えばかなり濃密な日々だったと断言できる。

 

…この戦いが終わったらゆっくり寛ぎたいものだ。

 

「うーん…あっ…雄也先輩……」

 

圭も目が覚めたのか眠たそうな顔つきで起き上がり、なぜか抱きついてきた。

 

「ちょっ!け、圭!?」

 

「えへへへ、雄也先輩~」

 

あ、駄目だ、完全に寝ぼけてて話が聞こえてない。

 

「先輩のこと愛してます~」

 

「ちょっ!まっ!うぐっ!」

 

不味いと思って離れようとしたが遅かった。

 

圭は俺にキスしはじめキスをやめようと抵抗するが圭の腕がそれを許さずにガッチリと俺の体を固定して動かせない。

 

本来なら振りほどくことも可能なのだがワクチンの副作用で力が上がっている圭を振りほどくことができなかった。

 

今も抵抗はしているのだが全く、無意味に終わる中俺の視界があるものを捉える。

 

 

「…え…あ…」

 

恐らく意識がはっきりとしてその惨状を目にしている直樹が顔を赤らめてこの光景を目にしていた。

 

いったって普通の反応をする直樹を見て俺も見られていることから恥ずかしい気持ちに駆り立てられる中、唯一意識がはっきりとしていない圭はさらにエスカレートしていた。

 

「うっ、ちゅっ!」

 

「ちょっ!舌は…!」

 

まさか舌まで入れてきて俺は更に抵抗を続けるのであった。

 

 

一時間後…

 

 

「………」

 

「あ~圭…あれは仕方がない…意識だってはっきりしてなかったわけだし…」

 

現在地下一階の食品エリア、そこで缶詰などの日持ちする食品を調達していた。

 

三人で順調に進むなか、顔を真っ赤にしている圭を宥める。

 

あのあと、意識がはっきりした後に顔を一瞬で真っ赤にして、謝ってきて…未だに激しいキスをした羞恥心で顔を真っ赤にしていた。

「取り合えず、これだけあれば問題ないはずです」

 

取り合えず、当分の食料を確保して一度あの部屋にもどるとしよう。

 

「……おっ!」

 

俺はあるものを発見しラベルを見て問題ないかを確認

 

「問題はなさそうだな」

 

問題がないのを確認したあとあるもの…日本酒をバックにいれると圭達のところに行き部屋に一度戻る。

 

部屋に戻ってから荷物を整理して出る準備が完了させたが窓から外を見ていた圭が何かを発見し目を見開いている。

 

「先輩!あれ!」

 

「どうした…っ!?」

 

圭に呼ばれて窓の外を見ると、奴等が徘徊している以外に奴等の隙を見て掻い潜って移動する人が二人着実にリバーシティへと近づいていた。

 

「先輩、やっぱり、あの二人は…」

 

圭は彼らが何者なのか予想がついているが一番彼らのことを知る俺に恐る恐る訪ねてくる。

 

「間違いなく管理局の局員…いや残党だな…恐らくあの戦いで散々になった生き残りだろう…」

 

あの戦いで管理局は大打撃を食らわせ統制が取れなくなり消息が不明になった局員も少なくはない。

 

「ど、どうして、彼らがここに…!?あなたの話では動かないんじゃないんですか!?」

 

俺たちの中で唯一動揺している直樹は俺に切羽詰まった表情で問いかけてくる。

 

「…そうか、確かここにも管理局の打ち捨てられた拠点があったはず…たぶんそこに向かってるのかも」

 

あの市長の残したデータに記された拠点の箇所に此処があることを思いだす。

 

ということはだ…あの二人はここにある拠点で何かしようとしているということになる…

 

「…調べた方がいいか」

 

もしかしたらかなりやばいものだったら防がないといけないし問題ないといってもあの二人を止めなければ被害が出かねない

 

「そうですね、ここで放っておいたらもしかしたら他の人が危ないかもしれないし」

 

圭も同じ考えに至ったのかドラグノフを両手にもってこちらを見る。

 

「これ以上好き勝手させるわけには行かないしな」

 

アークを起動しバリアジャケットを装着する。

 

「…そうやって…また人を殺すんですか…あなたは」

 

「…美紀?」

 

「人を殺してあなたは何も感じないんですか!?あなたの善悪で人を殺すんですか!?」

 

「美紀、雄也先輩は…」

 

…これまで思っていたことを感情に従っていい放つ、直樹、それをみて圭は俺のことを擁護しようとする。

 

それにしても圭の言うとおりの子だな

 

「…直樹の言いたいこともわかる…けど…誰かがやらなきゃ…この戦いは終わらない…例え汚れ仕事でも…」

 

「そんなの、あなたの行うを正当化しているだけじゃないですか!」

 

「別に正当化してる訳じゃない…けどわかってはいるけどやらないといけないときがあるんだよ」

 

「……」

 

なんとも言葉がでないのか直樹は押し黙ってしまう。

 

「…それに直樹がいってることも間違いじゃない…それに…直樹のように言いそうな奴が一人だけ知ってるしな…」

 

「…え?それってどういう…」

 

…お前なら直樹と同じこといって実力行使で止めるだろうな…クロノ…

 

ここにいない親友の顔が脳裏に浮かびながら俺は部屋のドアノブに手をかける。

 

「…美紀、一応これ持っていて」

 

「え?これって…」

 

直樹だけこの部屋に残ることからもしもの場合思ったのか圭はベレッタを圭に渡す、その渡された本人は戸惑いを隠せないでいる。

 

「何があるかわからないし、護身用だと思って持ってて」

 

「そんな、私は…」

 

引き金を引くのが気が引けるのか声に戸惑いがあった。

 

「…生きてるやつに引き金を引くかは直樹次第だ…俺達はもう選んだんだしな」

 

どうするかは直樹次第…俺たちに指図することはない。

 

「…見失うと厄介だ…行くぞ、圭」

 

「はい、それじゃあいってくるね」

 

そういって部屋から飛び出し広間へと走っていく。

 



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chapter49

雄也・圭、ルートが終了です…結構長かった…


急ぎ目で音たてずの駆け足で一階へと降り、まず局員を探そうと動き、局員は以外にも簡単に見つかった。

 

この一階の広間からそう離れていない階段そこに局員たちはいた。

 

局員の一人が壁に押すとその部分が凹んでなやら起動音が静かなこの空間に鳴り響きすると本来上にしかいけない階段の横にある床が動き始め下へと続く階段が現れる。

 

「よし、行くぞ」

 

局員のその言葉で二人は地下へと降りていき足音が小さくなってから物陰から出て地下へと続く階段を目にする。

 

「全く…こんなところに通路があるんだな…」

 

「この先に何があるんでしょうか」

 

この先に何があるのか気になっている圭、ウイルスの実験所、司令室ときて次は何が出てくるのか…

 

「さあな、鬼が出るか蛇が出るか…行ってみないとわからないな」

 

さてと、いってみますか

 

 

……ち…く…!

 

「??」

 

「どうしたんですか?先輩?」

 

「いや、今、声が聞こえたような…」

 

いやいや、まさかな…好きで安全圏から出てくる物好きなんてそうそういるはずないし…

 

「多分、空耳だなよし行くぞ」

 

恐らくまだ抜けていない疲れからの幻聴だろうと決めて地下へと降りていく。

 

階段は螺旋型でどんどんと下へと続いており下は先が見えず、ライトをつけたいところだが気づかれては危険なために付けずに階段を降りていく。

 

「もうかなり下に降りては来てるはずですけど」

 

「かなり深いな…でもそろそろ」

 

薄々直感で思っていると下から光が漏れている場所がありその前にたどり着くと小型の隔壁がひらいておりその先はかなり大きい通路が広がる。

 

「…ここはどういった施設なのやら」

 

入り口付近では何なのかはわからない…

 

「進もう」

 

それに圭も頷き奥へと進み始めると徐々にこの施設の全容が明らかになる。

 

「こいつは…」

 

通路の左右に設置されているカプセル…冷凍睡眠されているのであろうかそれを行う装置が並ばれておりちゃんと稼働されているがその中にいるものに気が気でしょうがない。

 

「これ…全部…あのベヒモスと同じ…危険生物なんですか?」

 

カプセルに眠っているのは大量の危険生物…ここは危険生物の貯蔵庫のようで、眠っている生物は様々で何れも聞いたことがある生物だらけだ。

 

「ああ、結構な数でブラッドウルフだが、かなり危険な生物だらけだ…」

 

「…目覚めたりしませんよね…」

 

不吉なこと言わないでほしいな…

 

けど圭の言うとおり、目覚めないとは限らない…まさかあの二人はこの生物達を解き放つために来たのか…それとも

 

「これ以上の何がここにあるのか…」

 

「先輩?」

 

これは急いだ方がいいかもな

 

「急ごう、此処がどういうところなのかわかったんだ、すぐに後二人に追い付いて取り押さえる…何かされる前にな」

 

嫌な予感を抱えながらカプセルが並ぶ通路を直向きに走り出した。

 

拠点内はそれほど巨大ではないので探し回ること一時間もしないうちにある部屋にたどり着いた。

 

「ふふ、こいつさえいれば…あの野蛮人どもは抵抗も空しく…」

 

俺たちが追いかけていた局員たちが巨大なカプセルのコントロールパネルであろうかそれを操作しながら不気味な笑みを浮かべていた。

 

「見つけた!」

 

俺達は局員を視認すると局員たちに近づき武器を構える。

 

「っ!!ユウヤ・ツキミヤ!?なぜこのようなところに!?」

 

漸く気がついたのか慌てた表情でデバイスを構え始める。

 

「お前たちかこそこそとしているところを見てな…この期に及んでいったい何をたくらんでやがる!」

 

「ふ、ふふふ、私たちを止めに来たようだがもう遅い!もうすぐ後ろのカプセルに眠る生物が目をさます」

 

「ここにいる奴等はウェル博士が研究するために保存されているが…これを解き放ち、あいつらに我々にたてついたことが何れだけ哀れなことだということを教えるのだよ!」

 

「そんなことでみんなを巻き込まないで!」

 

下らない理由を聞いて圭も激怒する。

 

こいつらをほうっておくとここにいる生存者全員の命が危ない!

 

局員の後ろのカプセルが徐々に開き始めて中の白い冷気が外に排出されるとカプセルの中には凡そ6メートルは越えるであろう長身の鋼鉄の巨人が眠っていた。

 

「な、なにこれ…」

 

「たしかそいつは…」

 

俺は昔の資料のなかでこの生物の情報を見たことがあったのでその記憶を奥底から引っ張ってきて思い出す。

 

「そうだ、こいつはある世界に生息していた絶滅危惧種、こいつはベヒモスと同等の強さを持ってるってされている!例えお前たちがベヒモスを倒したところでこの鉄巨人には勝つことなど不可能!さあ!いけ!鉄巨人!あの野蛮人どもを血祭りに上げろ!」

 

威勢よく局員が鉄巨人に命令をくだし右手に持っている巨大な大剣を振り上げる。

 

その時俺はあることに気づく。

 

そういえば、こいつはベヒモスのようにウェルに改造されているのか?

 

改造されているのであれば局員の命令を聞くであろうが…もし施されていないのであれば…

 

そのうえ、鉄巨人と俺たちの間にはちょうど、局員たちがいる…その上で鉄巨人は剣を振り上げている…つまりは…

 

「っ!おいお前ら!直ぐに伏せろ!」

 

良心から俺は彼らに警告し伏せるように促しながら圭を体をつかんで即座に伏せさせた。

 

「ふはははは!怖じ気づいて…こうさ…」

 

だが奴等は耳を貸さず俺達が伏せた本当の理由を理解せず高笑いするが…

 

鉄巨人が放った横切りは俺の頭上を通過して振り回したことによる風圧に飛ばされそうになるが必死にしがみついて耐えたが目の前を見ると…ひじょうに見るに耐えない光景が写る。

 

先程の局員たちは伏せなかったことで上半身と下半身が千切れて真っ二つになっている光景…流石に俺でも吐きそうになる。

 

「……っ…!!」

 

圭も目の当たりにして血の気が引くなか俺はすぐに、圭をつれて部屋を出るために走り出す。

 

「直ぐに逃げるぞ!俺たちじゃあ勝ち目がない!」

 

あの鋼鉄の体に恐らく俺たちの攻撃が通用するとは余りにも思えないために直ぐ様脱出を図るべく走り出したことを決めた俺は圭は無言ながらも必死に頭を縦に振り同意だと察すると鉄巨人から離れるべくあの部屋から遠ざかった。

 

あの部屋から出てから3分ほど全力で走ったから息が上がり一度止まって後ろを振り返るとまだ鉄巨人は追ってきては居ないようだ。

 

「ど、どうしよう…あれに勝たないともしかしたらあれが地上に」

 

圭は鉄巨人が地上に放たれたことでの最悪のケースを想像したのか動揺を隠せない

 

どうする、俺達が攻撃してもたかが知れている……

 

「っ!そうか!ここも拠点なら」

 

一つだけ鉄巨人を倒すことができそうな方法を思い付き、即座に圭をつれて行動に移る。

 

「ゆ、雄也先輩!?」

 

「此処のメインコンピューターにアクセスする!」

 

「メインコンピューター!?なにか思い付いたんですか!?」

 

そういってしらみつぶしにだが拠点を回ってついにメインコンピューターにアクセスできそうな部屋を見つける。

 

「ここか!」

 

直ぐ様コンソールの前にたちシステムを起動させて操作していく。

 

「………やっぱりあった、時間は…これぐらいでいいかな…」

 

操作を進めていき、承認ボタンを押すと拠点全体に聞き届くほどのアラートが鳴り響く。

 

《警告、警告、自爆システムの作動を確認しました残り一時間後にこの基地は爆破されす、駐留者は速やかの待避してください、繰り返します》

 

「じ、自爆!?」

 

「この自爆の破壊力を使って鉄巨人を沈める、さてと、急ぐ…っ!?」

 

ここから脱出しようとした時だった俺は気配を察知して圭を抱き抱えてその場から回避すると部屋の壁を破壊してそこから大剣が俺達のいた場所に振り落とされた。

 

《きん…ゅう…じだ…ぃ…これ…よ…ロック解除…》

 

アナウンスが完全に途切れるのを耳にしながら直ぐ様部屋に出ていきなり攻撃を仕掛けてきた鉄巨人からまた逃げる。

 

「よし!もうこの拠点にいる意味がないから急いで直樹をつれてここを出るぞ!」

 

急がなければ俺達も爆発に巻き込まれる困れることになる。

 

通路を疾走する俺達は微かに覚えている帰りの通路を通っていく。

 

次に角を右に曲がった直後通路の死角からあるものが飛び出してくる。

 

「っ!?」

 

咄嗟にアークで襲い掛かってくる敵を防ぐとそのまま切り返して敵を切り裂いた。

 

「こいつらは!?」

 

敵を視認するとその姿は先程来るときにカプセルに保管されていた危険生物たちが野に放たれている光景

 

咄嗟になぜこうなったかを思考するとふと鉄巨人の攻撃でメインコンピューターを破壊されたとき流れたアナウンス、最後にロック解除と微かだがいっていた。

 

つまり、ロック解除とは保管されていた生物の保管されていたカプセルの解除ということだ。

 

こんなときに限って本当に最悪だ。

 

「あと少しだってのによ」

 

既に出口は目視できる距離まで近づいておりその行く手には大勢の危険生物…

 

そのうえ後ろから鉄巨人も近づいてきているだろう、つまり時間がないということだ

 

「…あそこまでいけば隔壁を下ろせるか…」

 

「雄也先輩?何かあるんですか?」

 

「圭、全速力で入り口へいって扉の横にあるパネルで隔壁を下ろせそれまで俺が生物の相手をする」

 

「そんな!?先輩が危険すぎます!」

 

「まあ、確かにそうなんだが…時間がないしそうこういってる場合じゃない…それとバイソン貸してくれ」

 

「…わかりました、絶対生きてくださいね」

 

そういって圭はバイソンと補充用のマグナム弾を8発を俺に手渡すと全速力で走り出し俺は高く跳躍する。

 

「先ずは圭の進路上の敵を一掃する!!ライトブリンガァ!!」

 

纏った光の斬撃を飛ばし圭の前にいる生物を蹴散らしていく。

 

「さてと、次は…っ!」

 

横からワイバーンが鍵爪で俺を切り裂こうと振り上げてきて、それをアークで防いで鍵爪をアークで弾くと空中で体を捻らせて空中の踵落としで地面に叩き落とす。

 

俺は地上におりると自分を狙う生物はわんさかとおり物量をものを押した物量戦で俺に次々と襲い掛かってくる。

 

切り返し、防御、カウンター、ギリギリの攻防戦をしながらも何とか戦闘を維持する俺は横目で圭を見る。

 

「はぁはぁ…なんとかたどり着いた」

 

息が乱れているがどうやら入り口にたどり着いたようで扉の横にあるパネルを操作し出した。

 

そろそろか…とりあえず、先ずは囲まれているこの大群をどうやって突破していくか

 

そんな突破する考えをする暇もなく生物が襲い掛かってくる。

 

やるしかねえかな

 

そう覚悟を決めて先ずは突出して出てきたブラッドウルフを一閃で斬り倒すと次はコボルトとワイバーンが空と地上、二方向から同時襲い掛かってくる。

先ずはコボルトから大降りに降ってくる鉄製の棍棒を振り下ろしてきてそれはアークで弾いて大きくよろめいた瞬間をついて左手に持っているバイソンでコボルトの眉間に一発で射殺する。

 

「次!」

 

直ぐに次の敵ワイバーンを見ると急降下して襲いかかろうしていたがいちいち相手するのも面倒なのでワイバーンの上をジャンプで通り越し、通り越すときにバイソンの銃弾をお見舞いし倒す

 

「先輩!早く!!」

 

既に隔壁が徐々にしまり始めており俺は全速力で扉へと走りだしその後を大勢のブラッドウルフが追いかけてくる。

 

「飛び込んで!!」

 

閉まるあとわずか、滑り込もうと俺は思い切り地面を蹴り入り口へと飛び込む

 

だが後ろの突出していたブラッドウルフも俺めがけて飛びかかってきて、無防備な俺はなにも反撃できる状態ではなかった。

 

「任せてください!!」

 

そういったのは勿論、扉の前にいる圭、そういうと圭はドラグノフを構えて射撃、弾丸は俺の顔のすぐ横を通り過ぎブラッドウルフと頭に直撃して即死した。

 

そして滑り込みで入り口を通り過ぎ入り口は隔壁で閉じ、危機一髪、無事であった。

 

「あ、あぶねえ…」

 

ある意味さっき二重の意味で危なかった。

 

「大丈夫ですか?先輩」

 

圭が優しく倒れている俺に手を差しのべ俺はその手をとって立ち上がると後ろの隔壁の向こうから強く叩きつける音がする。

 

「…急ぐぞ」

 

「はい!」

 

その二つ返事で螺旋階段を登り始めてリバーシティ・トロンの五階へと向かう。

 

登っている間に直樹を守りながらの中央突破の脱出プランを説明し五階の直樹が待つあの部屋が見えてきた。

 

「美紀!急いで脱出…っ!?」

 

俺の先頭を走っていた圭が部屋を見て直樹を呼んだのだがその言葉が途中で途切れる。

 

「圭!直樹!時間がない!急…い…」

 

嘘だろ?

 

そんなはずない…あいつらが…あそこから出てこんなところまで来るなんて…

 

俺はこの部屋にいる集団を見て絶句する。

 

そして先程建てたプランが破綻したとともになにも知らない彼女がこういった。

 

「ゆうくん!」

 

悠里達、学園生活部と俺は再会すると予想していた場所と違う場所で再会した



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chapter50

「取り合えず、これで悠里達と合流したわけだ…大体の経緯はわかっただろ?」

 

悠里達との合流するまでの道程を全て語り、既に日が沈もうとしていて…かなり時間がかかった。

 

「雄也の方はそんなに忙しかったんだな…」

 

壮絶な経緯をきいた胡桃たちは驚愕するなか悠里が経緯の中にあった若狭家の生存を聞いて涙を流していた。

 

「よかった…みんな…生きててくれた…本当に…」

 

今まで安否がわからなかった肉親…それが見つかったのだ、どれだけ安心を覚えるか、それは本人しかわからないが俺にとっても若狭さん達が生きていてくれて本当に嬉しかった。

 

「さてと、もう夕方だからそろそろお夕飯の支度をしないとね」

「あ、本当ですね、若狭さんそろそろ支度しましょうか」

 

「はい、腕によりをかけないとですね」

 

そういって音姉と悠里がご飯の準備に入るのであった。

 

 

 

「ふぅ…本当地下に色々あるな」

 

夕飯を終えた俺は一度地下区画でなにか使えそうなものを漁っていた。

 

地下は大勢の避難を想定してたようでかなりの物資が備蓄してあった。

 

「さてと、これからのことを考えないとな」

 

悠里達と合流は果たせた、だがまだこの戦いが終わったと言ったわけではない。

 

ほぼ壊滅状態だが管理局も油断はできない。

 

まだ奥の手がありそうだし…迂闊に立ち回って窮地に追い込まれかねない。

 

だが逆に慎重にことを運ばせても未だに市内を徘徊する奴等の犠牲者を増やしたくはない

 

「攻めるべきか…守るべきか…」

 

「なにが?」

 

今後のことを考えていると横からいつのまにやって来ていた悠里が声をかけてくる。

 

「悠里、いつのまに…浴場の方につかりに行ったんじゃなかったのか」

 

夕飯後悠里達は別館に存在する体育クラブが使う浴場に入ってくるとそう言い残して別館へ向かったはずだが…

 

「もう、夕飯から何時間たってると思ってるの?もう夜の11時よ」

 

「え?もうそんな時間だったのか!?」

 

流石にそんなに時間が経ってたとは…

 

「ゆうくん、顔から察するに気づいてなかったみたいね…もうみんな、寝る準備してるのよ」

 

「あ、ああ、心配かけてすまない」

 

「もう……そういえば」

 

「ん?」

 

「こうやって…二人きりでいるのって…いつ以来だったかな…」

 

そう、懐かしむ表情で悠里は微笑み、俺はいつ以来か記憶をたどる。

 

「…二人であったのは…本当にいつ以来だったかな…小さい頃しか思い浮かばねえ」

 

「本当ね、私が海鳴に行ったときに限ってゆうくんがいないってことが多かったから」

 

「多分、管理局の仕事でいなかったんだと思う…」

 

「…そうだったんだ……ねえ」

 

なにか決心が決まったのか一度口を閉ざして決意した目でこちらを向いてくる。

 

「…昔…海鳴を出る際に交わした約束覚えてる?」

 

「え!?約束!?」

 

まさか、悠里からその言葉が出てくるとは予想できなかった俺は取り乱した表情をしながら悠里を見る。

 

「…その反応だと覚えてくれてるみたいね」

 

「…まあ、最近思い出したんだが…あれは昔にした約束だろ、何を今さら…」

 

冷静になれと俺の心に命令して落ち着かせようとしたが悠里は俺の目の前に立ち

 

「じゃあ、その約束まだ有効期限でいいわよね」

 

「え!?それは…つま…っ!?」

 

つまりと言おうときたとき言葉が途切れる。

 

悠里は俺の顔に近づき俺の口を悠里の唇で閉ざす。

 

長く感じる十秒間、そのまま静かな時が過ぎると悠里は唇から離れうっとりとした表情で見つめてくる。

 

「悠里…お前…」

 

「…私、ゆうくんのことが好き…幼馴染みとしてじゃなくて異性として…大好き」

 

「悠里…」

 

まさか、悠里がこんなに大胆な行動をとってくるとは…だけど

 

「俺は…その」

 

「わかってる、祠堂さんにも告白されたんでしょ?…話は祠堂さんから全部きいたから」

 

…既に聞いていながら告白来てきたというわけか。

 

「別に私は祠堂さんと一緒でも構わないわよ」

 

「え!?いやいや!流石にそれは!」

 

いろいろ駄目だろ!法的に!

 

「でも、二人のうち一人なんて選べないでしょ?」

 

「うぐっ!」

 

悠里の言う通りだ…正直、悲しませたくはないし…

 

「まあ、ゆうくんは優しいから…仕方がないことなんだけどね」

 

「…うっ…」

 

これはもう引き返せる所ではないな

 

「ねえ…ゆうくん」

 

「な、なんだ?」

 

「このまま…しよっか…」

 

「ウェッ!?」

 

イキナリナニイイダシテルンデスカコノヒトハ!?

 

「いきなりでごめんね…けど…不安なの…明日どうなるかわからない日々だから…」

 

悠里はからだが震えていて、明日生きれるかどうか不安でしょうがないのがよくわかった。

 

「…わかった…本当にいいんだな」

 

最後の確認ということで確認をすると彼女は頷き、取り合えずこの地下区画に存在する寝室で俺たちは一夜を過ごすことにした。

一夜が明けて翌朝、全員が学園生活部の部室に集まっていた。

 

「ふあぁっ…」

 

「リーさん、寝不足か?」

 

「え?まあ中々寝つけなくてね」

 

実際あまり眠れていない…俺もなんだがそこは慣れの違いだ。

 

「さてと、取り合えず今後の俺達の方針を考えてみた」

 

「え?此処で留まって外の助けを待つんじゃないんですか?」

 

この中で現実視している直樹が一番最適な考えを口にする…確かに直樹の言うことは一理あるが…

 

「それは現状あり得ないといっていい…それは後々話すけど先ず…今俺が考えている方針は、此処を出て自衛隊拠点に向かう…あっちの方が物資も戦力も多いからな」

 

「そっか、確かに安全っていったらそっちの方がいいしな」

 

物資、戦力、安全性…どれをおいても確実にそこが一番だろう

 

「そのあとだ…そこで待ち続けても此処で待っているのと変わらない…この巡ヶ丘を覆っている結界を破壊しないと駄目だ」

 

「結界?雄也先輩それってどういうことですか?」

 

「あの空中戦でのことなんだが、巡ヶ丘全体に結界が張られていることに気づいてな、つまり、外から人が来ないのはそれが結界が邪魔をしてるから」

 

「つまり、雄也くんはその結界を消さないいけないってことだよね」

 

「ああ、音姉の言う通り…それで結界は何かの装置で発生させていると見て間違いない」

 

「…なるほど、そういうことか…」

 

「え?りーさんなにかわかったの?」

 

悠里は今話した情報を纏めて俺がしようとしていることを理解したようだ。

 

「つまり、ゆうくんが次に動く目的は…」

 

「ランダル本社への管理局との完全決着、この事変の終止符を打つってことよ」

 

 



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chapter51

後半からかなりの良い文ができた気がします、よければコメントなど書き込んでください


「管理局との…完全決着…」

 

悠里がいったことを胡桃は意味深な表情で復唱した。

 

流石にそれが何を意味するかは誰だってわかることだから胡桃の言葉には重みがある。

 

「この結界は人が形成した結界だったらここまで長続きするはずないし、たぶん機械…それを重要な所においておかないといけないから、恐らく…」

 

「装置はランダル本社にあるってわけ」

 

結界の出所を俺が考えた推測をみんなに説明し、胡桃は俺の話を理解して俺が言い切る前にある場所を言い当ててそれに俺は頷く。

 

「取り合えず異議があるんだったら遠慮なく教えてくれ」

 

「別に問題ないだろう」

 

「…それが一番安全なら私は構いません」

 

「名残惜しいけど…仕方がないわね」

 

俺はみんなに意見を聞き上から胡桃、直樹、悠里の順に問題ないといい、他の一人を除くみんなも異論はないような表情だ。

 

「ええ!?それじゃあ学園生活部はどうするの!?」

 

唯一、学園生活部が好きな由紀が反論した

 

まあ、やっぱりというかなんというか…

 

「丈槍さん、気持ちはわかるけど…先生もそっちの方が安全だと思うの」

 

「でも…でも~…」

 

佐倉先生が由紀を説得するが駄々をこねる。

 

「由紀…由紀が駄々をこねる訳もわからなくはない、けどな…此処を出たとしても学園生活部がなくなる訳じゃない、俺達は学園生活部であることはどこにいこうと変わりはしないだろ、大事なのは形じゃなくて…心だと思うんだ」

 

「…うん」

 

俺は学園生活部は決して消えないと説得して由紀は小さく頷き了承した。

 

「それじゃあ、先ずは此処を出る前に、大掃除をしないといけないわね」

 

「そうですね、これまでこの学校にお世話になりましたから」

 

「最大限の恩返しだね!」

 

全員了承した後、佐倉先生が学校の掃除を提案しそれにたいして、悠里と元気な声を出す由紀が賛成する。

 

「さてと、それならすぐにでも取り掛からないとな」

 

学校全体を大掃除となると丸一日費やすかもしれないし善は急げと早速俺達は行動した。

 

「ふぅ…漸く…全部終わった」

 

方針を決めた後すぐに取り組んだ学校全体の大掃除、やはりというか漸く終わって外を見ると既に空は夜空が広がっており…言うまでもなく丸一日かけて完了させた。

 

流石に丸一日掃除に徹していたわけでかなり疲労を感じながら俺は部室で椅子に座りながら机に俯せている。

 

「…もう明日には此処ともお別れか…」

 

同じく、掃除が終わり同じように俯せている。胡桃が名残惜しい感じでポツリと呟く。

 

俺達にとってはこの約一ヶ月…帰るべき家と言うべき場所そこから離れるとなるとそういう気持ちにもなるのはよくわかる。

 

「ゆーくん!くるみちゃん!おつかれ~!!」

 

この名残惜しい雰囲気をぶち壊すかのように由紀をはじめとする残りメンバーが戻ってきて、由紀に関してはあまり疲れはてていないのかまだ元気であった。

 

「おっ、戻ってきたか全部終わったんだな」

 

「ええ、学校全体となると本当に疲れたわ…でもきついとは思わなかったけどね」

 

由紀達が戻ってきたことにより胡桃は俯せの上半身を起こしそれに続けるように俺も上半身を起こす。

 

そして疲れきっている表情を見せている悠里はその反面でやりきった感じをほとばしっていた。

 

「ねえねえ!今日はみんなで屋上で星空を見ながら寝ようよ!」

 

そんなとき意外にも由紀から珍しい提案を持ちかけられてみんな由紀に視線を向ける。

 

「星空を見てか中々いいかもしれないな」

 

「ここにいるのも明日の朝が最後だし私もそれに賛成だな」

 

「本当!?じゃあすぐに屋上にしゅっぱーつ!!」

 

由紀の提案に俺と胡桃が賛成だと口にし由紀は賛成してくれたことによろこび一目散に屋上へと向かっていく。

 

「由紀先輩!待ってください!」

 

「さてと、俺達も屋上に行くか」

 

「そうね、ちゃんと寝袋も持っていかないと」

 

先走って向かった由紀を追うように直樹が部屋からでてその光景に苦笑いしながらも俺達もゆっくりとその後を追いかけていった。

 

 

「もう!ゆうくんもめぐねえたちも遅いよ!」

 

そして屋上では案の定、由紀と直樹が待ちわびており由紀は俺達が遅いことにご立腹のようだ。

 

「すまんすまん、さてと、それじゃあ寝転ぶか」

 

軽い感じで由紀に謝り、謝った後に人数分の寝袋をしいて寝袋のなかに入り星空を眺める。

 

空は視界を遮る雲はひとつもなくこの巡ヶ丘全体で明かりなどは少なくなっていることで絶景な夜空がよく見えた

 

「うわ~すっごい!綺麗だね!」

 

「ここまでの夜景早々見れるもんじゃねえな」

 

仰向けで寝転ぶ由紀が素直に夜空を絶賛し都会ではここまでの夜景は見れないと俺も共感した。

 

「…ねえねえ、みんな…みんな将来の夢とかあるの?」

 

少し夜空を眺めていると由紀が将来の夢につて聞き始める。

 

「夢か…私は…あんまりそういうビジョンは無いな…りーさんは?」

 

「私、私は…」

 

みんなで将来のことを語り合うことになり、先ずは胡桃は特にないようで悠里にバトンタッチすると悠里は寝袋から手を出して俺の体に抱きついて…

 

「私はゆうくんのお嫁さんなんだから…」

 

赤らめながら俺の嫁発言をする。

「あ~!ずるいです!悠里!私だって雄也先輩のお嫁さんなんですから!」

 

悠里のお嫁発言に反応して俺の左側にいる圭が対抗して悠里と同じく抱きついてくる。

 

というか、同じ俺の彼女だからか敬語は一切内容だ

 

「…永久就職か…っで後は美紀と音姉はどうするんだ?」

 

「私ですか?…あまり考えたことはありません…今はこの場を生き残るこれぐらいですかね?」

 

続いての直樹の夢は…やはり現実的な発想というか…目の前の問題に直視している

 

「私は…そうだね、みんなが幸せになれる職業に就きたいかな~」

 

「へえ~以外だな…音姉だからてっきり悠里達と同じでお嫁さんだと思ったけど」

 

「それはどういう意味かな…雄也くん?」

 

おっとこれ以上深追いするとヤバイな自重自重

 

「それじゃあ、雄也くんの夢も聞かせてもらおうかな?」

 

にこにこしながら音姉が俺に問いかけて遂に俺の夢について語る番になった。

 

「俺か?俺は…元々就職してたけど…今は教師になりたいと思ってるんだ」

 

この戦いで教師をやってみたいと思え始めた、きっかけは小学校でやった授業のお陰だけど

 

「教師?めぐねえと同じか?」

 

「めぐねえじゃありません!もう…でもどうして先生に?」

 

疑問に思う胡桃にまたあだ名で呼ばれたことを注意するめぐねえも俺が何故教師なのか問いかけてくる。

 

「この戦っていた間にさ教師のありがたみがよくわかってさ…俺みたいに子供達が道を踏み外さないように導ける存在になりたくて、それで教師になりたいと思ったんです」

 

「そう、本当に立派だと思うわ」

 

俺が教師を目指す理由を話すとめぐねえが心のそこから共感できたようでその理由に称賛する。

 

「さてと、俺は言ったぞ、後は由紀とジュードと優花だな」

 

「え?僕達も?…うーん…そうだね、僕はやっぱり一人前のデバイスマイスターになりたいかな…元々それをやっていた兄さんの後ろ姿を見て追いかけてたから」

 

「私は……その………ほしい」

 

「ん?」

 

「な、何でもない!別に今のところ何もないし!あんたみたいに立派な理由なんてないの!」

 

俺は夢を語ったので残り三人の方に話題を振るとジュードはやはりといった夢であったが優花は…何故か水を濁した…本当になんだったんだ?

 

「私は以上よ!後は由紀だけどね!」

 

半分強引に終わらせると最後のこの夢語り合いの立案者である由紀に戻ってきた。

 

「わたし?ふふん、実は~」

 

なにやら自信満々の由紀いったいどのような夢を語るのか

 

「先生になりたいんだ」

 

『え!?』

 

まさかの将来の夢で由紀以外の全員が唖然とした。

 

「なにみんな、本気っていう反応してるの!?」

 

「い、いや、だってな…」

 

「由紀ちゃん、先生って頭がよくないとなれないのよ」

 

「現実的に由紀先輩だとちょっと…」

 

「無理かもしれないと思うんですけど」

 

「まして高校、大学で巻き返せるかも知れないけど、勉強苦手の由紀だとな…」

 

「あはは…すごい言われよう…」

 

「まあ、由紀だから仕方がないけど…」

 

「みんなひどいよ!!」

 

まさかの解答で唖然とした俺達に由紀は反論すると胡桃、悠里、直樹、圭、俺、ジュード、優花とひどいけど正論の言葉を口にして由紀は頬膨らせる。

 

「私だってめぐねえみたいな教師になるんだもん!」

 

「ええっ!?私!?」

 

「うん!私、めぐねえみたいな先生になりたい!」

 

由紀の将来のビジョンはめぐねえのような先生とは…確かにこの中でめぐねえと親交が深いのはめぐねえであるのは間違いはないしな

 

「丈槍さん、先生うれしいわ」

 

「まあ、それなら必死になって勉強しないとな」

 

「へぅ!もしかしたら無理かも」

 

「丈槍さん!?諦めるのはやい!?」

 

 

目指す目標が自分だとしっためぐねえは嬉しい表情を見せるなか俺がそのためなら勉強しないとと忠告するとすぐさま折れる由紀、それに対するめぐねえの突っ込みが入り、そのやり取りで屋上は俺たちの笑いと笑みで溢れた。

 

みんな、将来はまだ見えてないけど着実にやりたいことが見えてきてる…未来は1つじゃない…様々な可能性が分岐しているんだ…だから…運命は…変えられないんじゃない…誰にだって変える力を持っているんだ

 

 

 

翌日

 

 

「さてと、積めるものはこれだけだな」

 

太陽が登り始めて間近な時俺達は昨晩中に荷造りし準備していた必要な物資を三台の車に積める

 

「ん~いい旅立ち日和だな」

 

隣で体を屈伸している胡桃が晴天の空を見てそういう、因みに耳には通信機を取り付けてある、運転するに当たって3台なので通信機を全員につけてもらいいざというときに通信をとれるようにした。

 

「雄也くん!もう準備完了だって!」

 

音姉が出発の準備が完了したと俺に教え各自3台の車に乗り込む。

 

俺は乗ってきた車の運転席に座り助手席には悠里、後部座席には圭と音姉がのり、胡桃が運転する車には直樹とジュードと優花、めぐねえが運転する車には由紀が乗車した。

 

《いよいよ、学校ともお別れだね》

 

通信機を通して由紀の声が聞こえてくる、その声からは別れる悲しい声が聞いてとれた。

 

「由紀、また来よう、平和になったら必ずこのメンバーでな」

 

《…うん!》

 

またここにみんなで来ると約束すると由紀は元気な声で返答した。

 

《よし!それじゃあ出発だ!!》

 

その胡桃の掛け声と共に車を発進させた。

 

一ヶ月近く続いた巡ヶ丘のパンデミック、その終わりは近い

 

 



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chapter52

学園生活部が拠点にしていた巡ヶ丘中学から離れ通れる車道を通りながら自衛隊の拠点となっている小学校へと車を走らせていた。

 

街並みはもう見慣れてしまった廃墟当然の有り様であり、数日前のリバーシティの爆発で前まで通れていた道も塞がっているなどのアクシデントもあったがようやく小学校の近くまでやって来ることができた。

 

「もうすぐだな」

 

ふと、目的地につくことに微笑む、何でか去ったのがつい先日のはずが懐かしくも思えてしまう。

 

「るーちゃんたちとまた会える…本当にここまで長かった気がする」

 

隣の助手席に座る悠里も久しぶりの家族に会えることに胸を踊らせておりそうしていると見知った校舎が見えてきた。

 

「見えてきた!」

 

小学校の校舎を視認することができたあと目の前には自衛隊員が警備をしており俺達の車に気がつき、止まるように指示されて俺達は停車させる。

 

「俺が話をつけてくるよ」

 

そういって俺は車からでて自衛隊の前に出る。

 

「ん?君は…確か、月宮雄也くんじゃないか!」

 

「どうも、巡ヶ丘中学からこっちに移動してきたんですけど…通してもらえないてしょうか」

 

「ちょっと待っていてくれ」

 

そういうと、自衛隊員はトランシーバーを持って恐らく小学校の方にいる自衛隊に連絡を入れ、その交信のやり取りをして数分後トランシーバーを先程入れていたポケットに入れ直して俺の方に向く。

 

「あちらには連絡しておいたよ、それと硲少佐の元へ行ってもらえないかな?」

 

「??は、はい、わかりました」

 

何かあったのかと疑問に思うなか車に戻り小学校の校門の少し横に駐車させて外に出て校門前にたつ。

 

「…なんか人数が増えてないか?」

 

俺達がいたときより往来が激しく何故か管理局の局員もあちらこちらに疾走していた。

 

「ゆーにい!!りーねえ!!」

 

そんな中聞きなれた声の子が真っ直ぐこちらに駆け寄ってきて悠里に抱きついた。

 

「るーちゃん…っ!よかった…本当に生きていてくれて…」

 

妹に会えたことに悠里の瞳には涙で溢れた。

 

「りーさん、よかったな…」

 

家族に会えたことに回りにいる胡桃達も見守っていると

 

「胡桃?」

 

「え?」

 

突然と聞き覚えのない声で胡桃が呼ばれて呼ばれた声がした方向を向くと夫妻だろうか何故か何処と無く胡桃に似ている人達が胡桃を見つめていた。

 

「あっ……パパ…ママ…」

 

「胡桃!本当にあなたなのね!」

 

「本当に生きていてくれて…よかった…」

 

思わぬ親子の再会に胡桃も涙を流して親に抱きつく…やっぱり生死がわからなかった分うれしいに決まっているからな

 

「本当に感動だな」

 

少しもらい泣きしてしまうぐらいだ

 

「…取り合えず、悠里も胡桃も久しぶりの家族との再開なんだ…そっとしておこう…俺は硲さんのところにいくけどみんなは自由に行動してくれ」

 

「うん、わかった、私もお母さんのところにいきたいから…」

 

そういって各自別々の行動をして俺は硲さんがいるであろう応援室にやってきた。

 

「硲さん、雄也です、居ますか?」

 

「ん?雄也くんか?入ってきてくれ」

 

応答があったため部屋にはいると資料を読んでいる硲さんがおり俺は硲さんの前にたつ。

 

「無事に帰ってきてくれたんだな…先ずはその事に嬉しく思うよ」

 

「ありがとうございます、それで色々と気になることがあるんですけど…」

 

「やはり、わかるかね…ならばそこら辺の話をしなければな」

 

そういって資料を机の上に置くと目線を俺に向けて何があったのかを口にする。

 

「先ずは雄也くんが居なくなってから…また事態が動いた…といっても、あちら側でだ」

 

あちら側とは管理局のことだろう、いったい何が起きたのだろうか

 

「ランダル本社でクーデターが起きた…が結果はクーデターはならずクーデター首謀者であった主格はほとんどが粛清されたらしい」

 

「クーデター…なるほど、それで賛同していた局員は命辛々ここまで逃げ延びてきたと…」

 

軽傷重傷とかなりの人数がいるのであろう…だがこれでランダル本社にいる局員もわずかというわけだ

 

「その局員と一緒にランダルにいた生き残りの研究者や社員も上手く逃げてきた…その中にはランダルの最高責任者…つまり、社長もいた」

 

「っ!ランダルの社長!?」

 

「ああ、だが」

 

ランダルの社長がいることは驚くが何故か硲さんの顔は浮かないかおをしていた。

 

「彼の命はもう…残り少ない…」

 

「っ!!」

 

硲さんの言葉から浮かないかおをしていた理由を読み取った…そういうことか…だから硲さんは…

 

 

「…君が帰ってきて本当によかった…彼は君に伝えたいことがあるらしい…」

 

「俺に?それでランダルの社長さんの名前を教えてくれませんか?」

 

「彼というのも失礼だね、彼の名前は…○○○○だ」

 

…え?

 

「…本当なんですか…それ…」

 

「………ああ」

 

嘘だろ…こんな…ことってあるのかよ…

 

「…受け止められるかは…信じてもらうしかない」

 

「…はい…取り合えず俺と一緒に来たみんなを集めてほしいです」

 

そうして、話し合いの末に会いに行くために応援室から出て保健室がある場所そこにランダルの社長がいるらしい

 

「ゆうくん!」

 

保健室で待っていると悠里を始めとしたみんながやってきた、自衛隊にいきなり保健室に来てくれと言われたのだ、その顔には戸惑いの顔が見える。

 

「ごめん、家族との再会だったのに…こっちも時間がなかったから」

 

「…何かあったの?」

 

俺の言葉から何があったのかを察した優花は俺に聞いてくる。

 

「…この保健室にランダルの社長がいる」

 

「なんだって!?本当なのか雄也!」

 

「……ああ、だが…彼は逃げる途中に深傷を負いもう…時間がないらしい」

 

「っ!そんな…」

 

「だから、生きているうちに会ってくれと硲さんに頼まれた……由紀」

 

「ん?なに?ゆうくん?」

 

少し言葉がつまる…本当は会わせたくないのが本心だ…だが…彼のため…引き合わせた方がいいと思いひとつだけ忠告することにした。

 

「…覚悟を決めてくれ」

 

「??」

 

それだけをいい俺は保健室に入りその後をみんなが入っていきそして保健室のベッドがある場所に向かいベッドを遮っているカーテンにてをかけ

 

「……」

 

少し息を整えるとカーテンを開けてベッドの上の光景が俺達の目にはいる

 

ベッドの上にはかなり顔色が悪く本当にぎりぎり命を繋いでいる状態だといっていいほどに至るところが血で滲んでいた。

 

 

「……君は…そう…か…君…が…ゆう…やくん…だね」

 

ほとんどかすれた声今にも途絶えそうなくらいだ

 

その彼の視線は俺から…由紀に変わった。

 

その由紀は彼を見て瞳を大きく開け体は震えていた。

 

「由紀…」

 

「…お、…父…さん」

 

ランダルコーポレーションの社長は由紀の父親…衝撃な事実に回りは驚きをかくせないであった。

「お父さん…ってそれってランダルコーポレーションの社長は由紀のお父さんだったってこと!?」

 

放たれた衝撃の事実それは俺たちを驚かせるのには余りにも容易な事実だった。

 

「…由紀は父親の仕事に関してはあんまり知ってなさそうな雰囲気だけどな」

 

もし知っていたら、確実に顔に出るはずだ…由紀は嘘が下手だからな

 

「さてと、驚くのはわかるけど、本題に入らないとな…色々と聞かないといけないことがあるんだ」

 

「あ…あ、話そう…」

 

「なら、単刀直入聞く…なんで管理局と組んだんだ」

 

ランダルと管理局…この協力関係になった理由は間違いなく何かあるはず…それは当事者のこの人でしかわからないはずだ

 

「……もう…二十年…ほど前になるか…」

 

彼は質問に答えるように何処か遠い目をしながら語り始めた。

 

「私は…国の…命令で…この土地で…発生した…パンデミックの…研究をしていた…」

 

「だが…当然だが…簡単な…ことでは…ない…資金…人員…科学力…何もかもが…初めから…不足していた」

 

「そんなとき…彼らが…管理局となのる集団が私の目の前に現れた…」

 

「彼らは資金と科学力を…提供する引き換えに共同での研究…を持ちかけてきた…」

 

「…管理局がきて資金と次元世界の技術…その上共同だから人員も確保できるランダルからは真にWIN-WINといってもいい商談だな…受けたんですか?」

 

確実に得な条件での商談、それを受けたのかを聞くと彼は小さく横に首を振る。

 

「…出どころ…がわからなかった…怪しいと思い…その時は商談を…断った…」

 

「…適切な判断ですね」

 

どう考えても首を縦には降らないだろう

 

「それから…何度かは…管理局からも商談があったが…全て…断った…ある日忽然と…商談を…持ち込まなくなって…5年が経過を経ったとき…また管理局は商談を持ち込んできた…」

 

「…何故…管理局は5年も歳月を…?」

 

少し気になることだが…今は彼の話を聞こう。

 

「5年も経過していることから人員や…研究費は余裕があった…勿論…断ろうとした…奴等のあの一言を…聞くまでは…」

 

彼の手が震える…それからは後悔等が感じされた。

 

「…由紀…今ならまだ引き返せるぞ」

 

多分、次の一言は由紀にも関係ありそうだっただから…聞きたくなかったら部屋を出ることを促す。

 

「ううん、私…ここにいるよ」

 

由紀は決心したのかとどまることを決意、その決意を見た再度彼の顔を見る。

 

「続けてください」

 

「…わかった…やつらは…こういったんだ…

 

 

 

 

 

 

 

『娘を生き返したくはないかと』」

 

『っ!!?』

 

生き返したくないか…その言葉は俺達に衝撃を与えた

 

それはまるで死者蘇生技術があるといっていることになる…それになにより、それでは…

 

「由紀…お前姉何ていたか?」

 

一応聞く…由紀はそれにたいして首を横に降った。

 

「丈槍さんは、姉妹もいない一人娘のはずです」

 

めぐねえが補足する…それではまるで…由紀が昔に死んでいたことになるではないか…

 

昔に死んだ?…俺はこれに似た出来事が…一度だけ…目の辺りにしたことがあった

 

「私はそれを…聞いて動揺した…悩んだ末…私は…管理局…提供を…受け入れて…しまった…」

 

「……」

 

みんな黙りこんで彼の話を聞く

 

「そして、管理局の技術のもと…ある技術を使い…」

 

その後に続く言葉は何となくわかった。

 

だから、俺は彼が言う前に口を開けて告げた。

 

「由紀が生まれた…違うか?」

 

『っ!!?』

 

その言葉は…余りにも残酷で…ひどい真実…

 

「そんな…そんなことができるはず…」

 

悠里は否定するが…俺には否定できなかった…その技術を知っているから

 

「…否定するのも無理はない…ジュード…お前なら薄々感づくんじゃないか?」

 

俺と同じく管理局にいたジュードならと訪ねると浮かないかおをしてこちらを見ており、どうやらわかっているようだ

 

「PROJECT…FATE…」

 

「死者蘇生技術…又は記憶複写型人工魔導士生成技術…だ」

 

「人工…魔導士!?」

 

プロジェクトフェイトの内容を聞いて知らない胡桃をはじめとする回りのみんなは絶句した。

 

「…それの…プロトタイプ…だ…まだ…実験…段階…だったらしい」

 

「プロトタイプ…」

 

「君が…言うように…由紀は…人工ではあっても…リンカーコアは複製…出来ていない…由紀の成長が…著しいのは…これが原因だろう」

 

告げられていく真実に俺を含めて無言で聞いていく。

 

「…あなたは…由紀を生まれたときどう思ったんですか?返答次第では俺はあなたを許せないかもしれない」

 

俺は由紀をどう思っているのか率直に聞く

 

「確かに由紀はあの娘とはそっくりだ…恐らく生きていたら由紀のような子供になっていただろう…」

 

「だが、あの娘と由紀は違う…私は今も由紀を愛している…!げほぉっ!ごぼぉっ!!」

 

その言葉をいったあとかなり大きく咳き込み、その咳で口からは大量の血を吐き出してしまう。

 

「おとうさん!?」

 

「無理をしないで!今すぐ治療を!」

 

「…いい…もう…長くはない…それは私自身が…よく…わかる」

 

すく様ジュードが治療を施そうとしようとしたが、それを彼は拒む…もう治療しても助からないのがわかっているからであろう。

 

「雄也…くん…すまない…本当は…」

 

「いやいいです、それよりも由紀の方を…」

 

俺は彼の言葉を察して、残りの時間を由紀に言う時間に回すように促す。

 

「由紀…すま…ない…由紀を…一人…残して逝ってしまう…」

 

「やだ…やだぁ…」

 

「……みな…さん…由紀のことを…」

 

「任せてください」

 

何を言おうとしたのかわかり言い切る前に返答した。

 

「ああ…ゆ…な…」

 

誰かの名前を呟きながら右手を揚げ…

 

「今…君…の…も…とへ…… 」

 

それを皮切りにプツリと切れたように手はベッドの上に落ちそれ以降彼はピクリとも動かなくなった。

 

「お…とう…さん…」

 

由紀が彼の名前を呼ぶだがその呼び掛けの彼は返さない…

 

 

もう彼の命の灯火は消えた。

 

「う、うぅ…ひっく… 」

 

「丈槍…さん…」

 

涙目を浮かべる由紀、それを見かねてめぐねえが寄り添い、すると由紀は溜まっていた涙は決壊してめぐねえに抱きつき泣き始めた。

 

 

「めぐねぇ…めぐねえぇ…」

 

むせびなく由紀をめぐねえが体を抱き締め、この部屋は一人の死の悲しみにみちあふれた。

 

 

 



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chapter53

今回は短めです

理由は簡単に区切りの問題です


夕日が落ち夜になり人々は設置されたテントなどで子供たちは就寝する時間となっていた

 

俺は保健室の出来事後、また硲さんのところへといき、行きを引き取ったことを告げ、硲さんは悲しい表情を浮かべながらもそれを聞き入れた。

 

それから、硲さんにある情報が入った端末を渡されると俺は小学校の屋上にて寝転がりながら端末を動かし情報を読んでいる。

 

「…ランダルコーポレーションに通じる秘密の地下通路、ランダルコーポレーション、管理局の拠点の詳細地図、結界発生の装置…そしてノンパンデミック…奴等の活動を完全停止させる…粒子…か」

 

端末の情報を一通り目を通し見終わると右手を横に伸ばしてリラックスした状態で体を休める

 

「こんなところにいた」

 

声がするとその方向に視線を向けると優花が様子をうかがうように俺に向いていた。

 

「優花か…まだ寝てなかったのか?」

 

「遠回しに子供扱いするな!もぅ…あなたに聞きたいことがあったの」

 

「俺に?」

 

何かあったのだろうか、心当たりはなく俺は首をかしげる。

 

「あのさ、あなたって…あの武装隊に入る前、あなたの教官がいた、あの第0師団にいたんだよね、それでね、どうやったら…そこまで強くなれるのかな…って」

 

何故か恥ずかしい仕草をしながら訪ねてきた。

 

そして優花がいった0師団…教官がいた…管理局最狂にして最強と呼ばれた超精鋭部隊

 

最狂と呼ばれているが狂っているわけではなく…全員が常識はずれで型破りな部隊なのだ

 

そこにいたのは小5から中学2年の初期まででそれまでに本当に色々な技術を教官達から学んだのだ。

 

「うーん、教官の教えの賜物…もあっただろうけど…なにより俺には守りたいものがあるからな」

 

「なにそれ…まあいいけど…あなたは…」

 

「ん?どうした?」

 

何故か続きを言おうと来ている優花は言葉をつまらせそれにたいして俺はどうしたのかを訪ねる。

 

「あなたは…由紀の父親が死んでさ…由紀悲しんで…いたじゃない?」

 

「他のみんなも悲しんでたけど…もし、本当に万が一で億が一で…私が死んだら…誰か悲しむ人入るの…かな…」

 

落ち込んだ表情で告げる優花に俺はため息を吐いておでこにデコピンを一発当てる。

 

「なっ!なにするのよ!人が真剣に考えてるのに!」

 

デコピンしたことに本当に真剣にたずねた優花は大声で怒鳴るが俺はそんな優花の頭に手を置いて撫でる。

 

「悲しむに決まってるだろうが」

 

「え?」

 

俺は悲しむときっぱりと告げるとキョトンとした表情で優花は俺の顔を見る。

 

「俺だけじゃない、音姉や、悠里…学園生活部のみんなだって優花が死んだら悲しむに決まっているだろ?俺達は苦難を乗り越えてきた大切な…親友なんだからな」

 

「親友…か」

 

そうポツリと呟く優花…そんなときに屋上の扉が開き屋上に出てきたのは音姉であった。

 

「あっ!雄也くん、優花ちゃんこんなところにいた」

 

何故かご立腹な表情の音姉…あれ?俺たち何かしたっけ

 

「音姉?なんで怒ってるの?」

 

「もうすぐ0時だよ…明日も早いんだからもう寝ないといけないでしゃ?優花ちゃんも子供だし、夜更かし何てしたら肌が荒れちゃうよ」

 

なるほど、何処かにいった俺たちを探していたのか…それは…本当に申し訳ないかもしれない。

 

「あ、ああ、そうだな、それじゃあ俺たちもそろそろ寝るか優花」

 

「え、ええ、わかったわ」

 

手を子招いていては何があるかわからないので俺は音姉の言うことに素直に聞くことにして就寝場所のグラウンドのテントに向かっていく。

 

 

作者SIDE

 

同時刻巡ヶ丘市 ランダルコーポレーション20階、社長室

 

《ムキラス司令、作戦開始時刻残り10分となりました》

 

「そんなことわかっている!…っでドクターウェルの所在はつかめたのか?」

 

町並みが見下ろせる巨大な窓から外を見ながら社長席に悠々と座るムキラスはこの本社に残った局員に消息を絶っているウェルについて訪ねた。

 

《そ、それが…以前と足取りはつかめず…捜索するとしてももうすぐ作戦時間なので…》

 

「使えない屑か…まあいい、奴などどうでもいいわ、それよりも所在がわかる局員は本社に退避したのだな?」

 

《は、はい、無事完了しました》

 

「そうか…ふふふ、野蛮人どもめ我々に勝てたと今ごろ浮かれているだろうがそれも終わりだ」

 

不気味な笑みで笑うムキラス、その瞳にはまだ策があるという表情を見てとれた。

 

《ムキラス司令、レクイエムの座標固定準備整いました》

 

「そうか…」

 

23:58…23:59

 

「さあ、我々に刃向かった愚者の屑ども、我々の正義の鉄槌を受けるがいい!!!」

 

そういってムキラスは空中パネルを展開させて、ある承認ボタンを押す。

 

押した時刻は0:00調度日が変わった時刻であった、

 

「この戦いに勝つのはこの私だぁ!!」

 

 

[レクイエム起動します、設定ポイントH23I69…繰返します]

 

社長室では高笑いするムキラスと繰り返される機械音が鳴り響くのであった。

 

 

 

その頃自衛隊拠点から2㎞地点、そこでは自衛隊が警備のために24時間交代で見張りをしていた。

 

「ふあぁ…」

 

「おい、気を緩めずだぞ」

 

「そういうがよ、管理局は壊滅状態なんだし…もう大丈夫だろ」

 

管理局に勝利したからか気が緩んでしまっている自衛隊そんな二人によろよろと奴等が迫ってきていた。

 

「おい、奴等が来たぞ」

 

「慌てることはない、たかが一人や二人なら簡単に……」

 

冷静に対処しようと軽い口調でライフルを構えようとしたとき会話は途切れ体は途中で膠着した。

 

迫ってきている数は一人二人ではないのだ…

 

10人…100人…いやそれ以上の大群がこちらに迫り来る。

 

明らかに異常な光景であった。

 

「お、おい!直ぐに本部に報告しろ!」

 

「お、おう!」

 

なんとか平常を取り戻し一人の自衛隊が連絡するように促しながらライフルで射撃を始めもう一人は無線機でこの現状を知らせるべく本部に連絡をいれる。

 

「こちらE地点!本部応答せよ!繰り返す!本部!応答せよ!」

 

銃撃音を繰り返すなか本部への緊急連絡を急ぐ。

 



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chapter54

雄也SIDE

 

「っ!?」

 

就寝場所のテントへと向かう校舎の廊下、何事もなく歩いていたが突然嫌な気配を感じて校舎の窓から外を眺める。

 

「あんた…どうしたの?窓から外を見て」

 

「雄也くん?」

 

咄嗟の行動に近くいた音姉と優花がどうしたのかと訪ねられ俺は外を見ているとあることに気づきそれを話す。

 

「嫌な気配がしてな…それと…外…自衛隊が妙に騒がしくないか?」

 

外では自衛隊達がライフルを持ち慌ただしく動いていることに気づき、音姉達も俺の隣にくるとその光景を目にする。

 

「本当だ…何かあったのかな?」

 

「……嫌な予感がする…音姉ごめんだけど、俺今から硲さんのところへいくことにする…」

 

そういって急がなければ取り返しのつかないことになりそうで俺は誰もいない暗闇の廊下を走り出した。

 

「ま、待って!雄也くん!私もいく!」

 

そういって俺の後ろから音姉と優花も俺のあとを追いかけてきて、硲さんがいる応援室にノックなしで入ると既に緊迫の状況を物語るように眉間に皺を寄せた硲さんがいた。

 

「っ!雄也くんか、それに後ろの二人は昼間に一緒にきた子達だね」

 

「外の自衛隊が慌ただしかったから来たんですけど何かあったんですか?」

 

そう口にすると、深刻そうな顔をしてこちらを見てくる。

 

「…先程警備から入った通信で奴等が全方位から大勢こちらに近づいている…数は10000以上はいるらしい」

 

「10000以上だと!?明らかに異常じゃないですか!? 」

 

硲さんから聞かされた事象に俺は今起きていることの異常性に俺は大声をあげる。

 

「恐らく管理局が何か仕掛けたんだろう…我々の息の根を止めるために」

 

管理局の今回の仕掛けた理由を硲さんは推測して俺達に説明する。

「逃げ場はないってことですよね」

 

全方位から来ているのだ抜け道などあるはずもない

 

「此処には管理局から逃げてきた人たちもいる…それも犠牲にするなんて…あのムキラスの奴!」

 

完全に投降した局員をごみのように捨てるような作戦を使うムキラスに更に怒りを募らせながらも怒りに任せないように冷静に状況をみる。

 

「雄也くん…」

 

今の状況に恐怖している音姉は心配になって弱々しい声で俺にといかける

 

「取り合えず先ずは…「うわあぁぁぁぁっ!!奴等が来たぞぉ!!」っ!!」

 

始めにどうするかの内容を告げようとした瞬間校門の方から大声と悲鳴が聞こえ始めた。

 

「まさかもうここまで!?」

 

「っ!俺は外に出て奴等を倒します!直ぐに住民の避難を!」

 

「雄也くん!」

 

「私もいく!」

 

この学校まで来たかとに恐怖がいれまじる声でしゃべる音姉に俺も外からの声に反応しアークを起動させて住民を助けるために外へ向かい走りだしそのあとを音姉と優花が慌ててついてくるのであった。

 

胡桃SIDE

 

つい先程までは静かな夜中であった。

 

ほとんどの人は眠りについて朝になったら目をさます

 

当たり前のように過ぎるであろうその時間は簡単に砕け散った。

 

今では悲鳴と奴等の呻き声が響き渡り住民達は四方八方と逃げ回る。

 

パパとママと一緒に寝ていた私はその騒ぎで二人ともはぐれて一人ガングニールを起動させて奴等を薙ぎ倒しながら逃げ遅れている人を助けていた。

 

「はあぁぁっ!」

 

ガングニールの刃部分で目の前の奴の頭部を突き、直ぐ様頭部から抜いて束で後ろいる奴の腹を突きそれから体を反転させてその勢いで頭部目掛けて切り上げてガングニールの軌道は奴の頭部を捉えて2体目を倒す。

 

はじめの頃は一体倒すのにも苦労した経験があるけど、今は雄也やみんなのお陰でここまで強くなった。

 

もしかしたら雄也がいなかったら私はとっくの前に死んでいただろう…

 

それほど雄也は私…私たちにとって大事な親友だ。

 

今も私とは違う場所で戦っているであろう雄也やりーさん等を頭の隅でおもいうかべながら迫り来る奴等を足払いで体勢を崩すとそのまま頭を一突きして倒す。

 

「くそ!まだまだ来やがる」

 

[この数は異常だぜ!気を付けな嬢ちゃん!]

 

倒しても迫り来る奴等に嫌気を指す、私にガングニールが気を付けるように注意してくれる。

 

本当いい相棒だよな…こいつは

 

「胡桃先輩!」

 

奴等の相手に集中しようと思った時横から私の名前を呼ぶ声が聞こえてくる

 

というか、私のことを先輩と呼ぶのは知る限りでは二人しかいないんだがな

 

横から連射される銃音が響き奴等を五体蜂の巣にして倒された。

 

二人のうち銃火器使うのは一人しかいないわな

 

「圭、無事だったか!」

 

「胡桃先輩、私もいるんですが」

 

「ああ、すまん、美紀」

 

既にメインウェポンとなってるドラグノフを背中に携えて何故か自衛隊が持ってるライフルを手を持っている圭と圭と一緒にきた美紀が私の元へとやってきて、先程で弾を切らしたのかマガジンを外して弾込めできているマガジンを完全に手慣れた手つきでリロードして辺りを警戒しながら私に話しかけてくる。

 

「私、お母さんと一緒に校舎の方に避難していたんですけど避難途中で胡桃先輩の両親にあって、一緒にいた美紀と胡桃先輩を探していたです」

 

そう、簡単にここにきた理由を聞き、そのなかにあった内容に自分の両親の安否があったからほっとしながら警戒は緩めずに話返す。

 

「そうだったのか、取り合えずパパとママが無事でよかった…でももしかしたら逃げ遅れた人がここら辺にまだいるかもしれない、悪いんだけど手伝ってくれないか?」

 

そういいながら着実に近づく奴等にむけてガングニールを構え、それに応じて笑みを浮かべながら圭はライフルを構える。

 

「はい!勿論です!手伝います!胡桃先輩!」

 

「私も…できる限り手伝います!」

 

私のお願いに二人とも即答で手伝うと返答してくれて、その事で嬉しくて笑みを浮かた。

 

「それじゃあ、行くぜ!」

 

[いっちょ!暴れますか!]

 

「最大限サポートします!」

 

「一刻を争います急ぎましょう!」

 

そういって私たちは取り残されていると思う人達の救出に動き出した。

 

悠里SIDE

 

同時刻

 

「このっ!」

 

矢筒から矢を3本取り出して弓につがえて弦を引き矢を放ち三体の奴等の頭を射ぬく。

 

「はぁ…はぁ…絶対ここは通さないから!」

 

既に戦いが始まって少し時が経っているからか息を整えつつ矢を取り出して何時でも射てるようにする。

 

今私がいるところは重傷者などの怪我をおった人たちがいるテント

 

お母さん達は無事に校内に避難して私は避難が遅れているであろう怪我をおった人達のテントを防衛することにした。

 

だが私は弓を使うため矢のストックは着実に減り続け持久戦に持ち込まれるとこちらが不利になっていく。

 

矢の残りを気にしつつ迫ってくる奴等をヘッドショットで仕留めるなか後ろから走る足音が聞こえてきて私の横を通りすぎると前方の奴等を素手で殴り飛ばした。

 

「大丈夫!?悠里!?」

 

「ジュードくん!」

 

殴り飛ばしたのはジュードくんで騒ぎになったときにここら辺の近くにいて私に気がついて此方に加勢にきたのだろう。

 

「ほ、本気で…俺達も消しに来てるんだ…」

 

合流したのもつかの間、近くでは膝をついている人…服装からは管理局の人だろうか…

 

その人は恐らく自分がいた組織から殺されそうになっていることから絶望しているのがよくわかる。

 

他にも周囲にはこの現状を受け入れられないという局員は少なくない

 

「危ない!」

 

その動かない局員に奴等いは迫ってきてジュードくんがそちらに向かおうとするけど距離的に間に合わない。

 

だけど、私なら

 

そう思うと直ぐ様矢を取り出して弓で狙いを定めて放つと近づく奴等の頭を貫いた。

 

「あ、あんた…」

 

奴等を倒したことに局員は此方に顔を振り向いた。

 

「私は別にこの戦いで管理局がやったことは許した訳じゃないわ…けどね、法の守護者なら、今此処にいる市民のために戦いなさい!」

 

「だ、だが…我々は…命令で…」

 

「命令が何!?命令がないとうごけないってこと!?あなた達自身で考えなさい!貴方達も知っている彼は考えて悩んで…その末に行動したわ!」

 

ゆうくんは自身が犯した罪に苦しんでどうすればいいか悩んで、その考えた末で管理局を裏切って戦うことを選んだ。

 

選択をするのはゆうくんだけじゃない…彼らにもその選択肢はある。

 

「お、俺は…し、市民を守る軍人だ!そんな俺が女子供や、新米の局員に守られた自分自身が恥ずかしい!おい!そうだろお前達も!」

 

「お、俺もだ!」

 

「俺も市民を守るために局員になったんだ!俺も戦うぞ!」

 

私の言葉に次々と立ち上がる局員達その瞳には闘志を燃やしていた。

 

「…ゆうくんならきっとこうしてたわね」

 

「…以外でした悠里さん、少し前までは局員皆殺しにするとか言ってた見たいじゃないですか」

 

「ちょっ、その話は止めて!お願いだから」

 

もうあれは私にとっては黒歴史なんだから…本当に恥ずかしい

 

取り合えず…これで動ける人は増えたこれで助けられる人も多いはず…

 

「だけど…この奴等の大群いつまで続くのかしら…」

 

この襲撃は異常だ、あの夜には鳴りを潜めている奴等がここまで大群できてる…管理局は一体何をしたのだろう

 

「恐らく、管理局が何かしたのは確かだよ、ここの避難がすんだら雄也の所に行こう」

 

ジュードくんの問に私は頷き矢の本数を確かめる

 

残り本数は107本…この数でどこまで行けるか

 

切れたときの不安が残るけど私は前を見据えて迫る奴等の迎撃を始めるのであった。

 

雄也SIDE

 

応援室がある校舎から飛び出した俺は一番奴等が多い校門前にやって来て迫り来る奴等を迎え撃っていた。

 

既に迎え撃ってから二十分ほどが経過しており俺の周りは倒した奴等の死骸が散乱しており、それでもなお奴等の侵攻は緩むこともなく続いている。

 

「はぁはぁ…くそ!まだまだ来やがる!一体どれだけの奴等がここを目指しているんだ!?」

 

完全な圧倒的な物量にものを言わせたこの侵攻加えてこちらは精神的にも肉体的にも長期的な戦いですり減る、対して奴等は疲れも恐怖もなく、目の前の獲物を喰らおうと進み続ける。

 

いつ終わるのかわからないこの大侵攻は間違いなく俺達が圧倒的な不利な状況に立たされていた。

 

「けど、諦めるわけにはいかない!!」

 

いま、俺の後ろには何万という生き残った人達がいる…ここを突破されればその命は無惨にもひとつも残らず散ってしまう…そんなこと…これ以上の悲劇を起こしてはいけない!

 

「雄也くん!」

 

「っ!音姉!?それに優花も!」

 

迫ってくる奴等を切り伏せていると後ろから音姉の声が聞こえてきて後ろを振り向くと此方に走ってくる音姉とそれを護衛する優花の姿があった。

 

「っ!」

 

とっさに前に近づいている奴の頭を跳ねてから後ろに跳躍して音姉のもとで着地すると回りを気にしつつ音姉に話しかける。

 

「音姉!ここは危険だ!直ぐに校舎に避難して!!」

 

「雄也くんが心配で…」

 

音姉に下がるように促すが音姉は俺を心配してここまで来たと口にして俺は心配されていることに押し黙るしかなかった。

 

「もう!こいつら一体何体いるのよ!!」

 

周りを警戒しているうちにも優花はオスカーのカトリングで前方の敵を凪ぎ払っているが倒しても倒しても後ろからぞろぞろとやって来る。

 

「切りがないな…」

 

優花にも疲れが見える…このまま疲弊されたら俺達も倒されるかもしれない…

 

俺はなんとか打開策を探すがどれも長期戦になってこちらが終わるビジョンしか見えずどうするかと思っていると前方の奴等が左右から放たれた攻撃により多数が吹き飛ばされた。

 

あるものは矢で頭を貫かれ

 

あるものは槍で纏めて吹き飛ばされ

 

あるものはその者の強力な一撃て吹き飛ばされ

 

またあるものは弾丸で眉間を撃ち抜かれた。

 

「ゆうくん、やっぱりこっちにいた」

 

「雄也先輩なら此処にいると思ってましたよ」

 

そう、俺の居場所がわかっていたような口ぶりで話す悠里と圭、その他にも胡桃にジュード、直樹、めぐねえ、由紀…が全員が此処に集結した。

 

どうしてという前にまた迫り来る奴等を一掃するのが先決だろうとふんだ俺はアークを振りかぶる。

 

「ライト…ブリンガー!!」

 

放たれた光の斬撃は奴等を飲み込み後続の奴等を巻き込んで校門をこえて出た道路の奴等も一掃することができた。

 

前方を一掃できたのを確認すると俺はアークを一度空振りして構えをとくと悠里達は俺のまわりに集まってきた。

 

まさか、騒動が起きてこんなにはやく集結できるとは思いもしなかった…もう少しバラバラにばらけるとおもっていたんだけどな。

 

「これで少しは大丈夫かしら」

 

「いや、全然大丈夫じゃないみたいだぞ…」

 

めぐねえが不安そうに大丈夫だと思っていると俺は横目で正門を見て左右からうじゃうじゃと奴等が押し寄せてきているのを確認する。

 

それを確認すると俺たちはまた武器を構える。

 

「くそ!まだ来るのかよ!」

 

「いくらなんでもこの付近にいた奴等だけならこんな数にはならないはず…」

 

また大群がきたことに鬱陶しそうな口ぶりの胡桃、そして悠里はこの大襲撃の数がここら付近の奴等の数では割りに合わないとこの件に疑問を口にする。

 

「…恐らく俺の推測なんだけど…この奴等は管理局がこの巡ヶ丘全域の奴等を此処に誘導してるんだと思う」

 

「巡ヶ丘全域ですか!?」

 

俺はこれまでの情報で纏めた推測をみんなに話しその事に直樹が全域から来ていることに驚く。

 

「そうじゃなきゃ、可笑しいだろ……これも正直な話なんだが…ここを守りきれる可能性だが…」

 

驚いているみんなに俺は更に話を進めここを守りきる確率を正直にいい放つ

 

 

「0%…不可能だ」

 

「そ、そんな…」

 

戦力差、疲弊、武装の物資などを全て計算してこのまま守りきるのは不可能だとふんだ…これは硲さんもわかっているはずだ…

 

俺がきっぱりと言い切るとみんなはならどうすればいいんだと言わんばかりの表情で奴等を見る。

 

奴等は着実に近づいてきている…それも後ろには何百倍の奴等が待ち構えながらだ。

 

だが戦うしかない、そう思いながらアークでライトブリンガーをまた放とうとした瞬間であった。

 

《雄也くん!みんなをつれて横に移動するだ》

 

「硲さん!?みんな!横に避けろ!!」

 

つけていた通信機から硲さんの声が聞こえてきて俺は咄嗟に避けるように指示して横に避けると次の瞬間であった。

 

校門の方から無数の弾丸が奴等へと目掛けて放たれて次々と奴等を倒していく。

 

「な、何!?」

 

「みんな、あれ見て!」

 

突然のことで俺たちは戸惑っていると音姉が放たれた方に何かあるのか音姉に言われて指差す方向に向くとそこには横に列になるように大人達が並んでおり武器を構えていた。

 

「自衛隊…」

 

「優花よく見て!自衛隊だけじゃない!」

 

「っ!あれは!魔導士!?」

 

横に整列しているのは自衛隊だけではないバリアジャケットを装着し杖型のデバイスを構えて魔力弾を放つ魔導士の姿もあった。

 

ついこの前まで対立していた局員までもがこの大襲撃で自衛隊と手を取り合っているのだ。

 

《雄也くん聞こえているかね?》

 

「っ!?これは校内放送!?」

 

「この声は硲さんだ」

 

魔導士と自衛隊の混合部隊に戸惑っていると学校全体に聞こえる校内放送がなり、その放送しているひとは硲さんの声だとわかった。

 

《現在、校門正面では自衛隊と有志の魔導士達によって守られている、見ての通り今はもう人種や世界が違うで歪み合うなどしているときではないということだ》

 

《だが、それも限度がある…いずれはこちらが疲弊し、奴等に飲み込まれるのも時間の問題だ》

校内放送は淡々と続いていく、これは俺だけではなく此処にいるみんなにも言っているのだ…そう俺には聞こえた。

 

《だが、まだ希望が潰えたわけではない》

 

「え?」

 

その言葉に悠里はそう口を漏らし他のみんなも同様な顔をする。

 

《ランダルコーポレーションには奴等の活動を完全に停止する方法が存在する、それを使うことができれば今襲ってきている奴等だけではない巡ヶ丘全域にいる奴等は活動を停止する、この悪夢は終わりを告げるということだ》

 

「それってまさか…っ!」

 

硲さんが言いたいこと…何となくんわかった気がする、これから俺が…いや俺達がやるべきことも

 

《だが、そのランダルへの道はやつらによって遮られ、我々自衛隊や有志の魔導士では辿り着くのは不可能だろう…しかし!》

 

《みんなも知っているだろう、この悪夢に置いて最初に管理局に立ち向かった幼くそして勇敢な騎士を!》

 

《勇敢な騎士は信頼できる仲間と共にきっと!この悪夢を終わらせてくれると私は信じている!私はこの一抹の希望を彼に彼らにかけたいと思う!》

 

「私達に…」

 

「希望を」

 

これができるのは俺達だけか…

 

《泣いても笑ってもこの一夜!この一夜で全てが決まる!失うか!得るか!我々の運命は彼らに託す!!だからみんなも…決して生きることを…!諦めないでほしい!!!》

 

その放たれた硲さんの語った言葉は俺たち全員に心から受け止め、すると校舎の方から声が聞こえてきた。

 

「頑張れ!!」

 

「負けるな!!」

 

「俺たちの全て君たちに託す!!」

 

「絶対に諦めないで!!」

 

大勢の声援が聞こえてきて、俺はみんなの方に振り向くとみんななにも言わずに頷く。

 

「行こう…ランダルコーポレーションに!この人数なら屋根を伝っていけば奴等の集団を向けられるはずだ」

 

「うん!」

 

「いよいよ決戦だな」

 

「お母さんのためにも負けられない」

 

「此処にいるみんなに託された願い絶対に無駄にはできない!」

 

「こっちとしても色々された借りは返さないとね!」

 

ランダルに向かうと俺が伝えると悠里、胡桃、圭、ジュード、優花と順に答えていくみんなその瞳には揺るぎない決意が見えた

 

「私にもこの戦いの最後を見守らせてもらいますね…なにもできないかもしれないけれど」

 

「ゆうくん!私もいくよ!おいてけぼりなんて嫌だからね!」

 

「私もいきます!ここで仲間外れは流石に嫌ですし」

 

「雄也くん、行こう!」

 

めぐねえ、由紀、直樹、そして音姉、戦えないとわかっていてもいてもたってもいられないのであろう、ここまできたのだ、仲間はずれにはするはずもない。

 

「勿論だ!音姉!掴まって!」

 

「うん!」

 

そういって俺は音姉を抱き抱え、他にも胡桃は由紀、圭が直樹、ジュードがめぐねえを抱えて走り出すと魔力で強化した体で高く跳躍して一軒家の屋根に着地し直ぐに他の家の屋根にとびうつり、ランダルへと急ぐのであった。

 

作者SIDE

 

既に廃墟とかした高層ビルの屋上…そこには黒いローブで身を包んださくらとベクターそしてドクターウェルが少しはなれたところにあるランダルコーポレーションを眺めていた。

 

「遂に、この戦いは終わるね」

 

そう冷たい表情で告げるさくらにベクターはヘラヘラと笑みを浮かべながらさくらに訪ねる。

 

「なあ、この戦いよ、どちらが勝つと思う?」

 

「愚問だね、ベクター…勝つのは管理局だと僕は思うよ」

 

「へぇ~断言的じゃねえか…どういった根拠だ?」

 

きっぱりと断言するさくらに対してベクターはその理由を聞くとそれはさくらではなくウェルが答えようとベクターの元へと近づきつつ述べた。

 

「簡単なことだよ、確かにユウヤ・ツキミヤは強い…だが…ムキラスには以前私が渡したあれを持っている…ムキラスが追い込まれ、あれを使うというならば…その時彼らの末路は死だけだろう」

 

そうウェルはさくらの変わりに自身の考えを交えた結論を話すと…ふーんと興味がなさそうにベクターは聞きとめる。

 

「まあ、どっちにしたって俺は構わないけど……でも俺が一番気になっているのは…聖剣だ…あのときの力…あれは」

 

ベクターの脳裏には以前の自衛隊と局員の短い戦争の前日に起きた奇襲で放った雄也の一撃…あれがベクターの脳裏には焼きついていた。

 

「恐らくそれは一時的な聖剣の力…だと私は思うわ」

 

此処にいる三人とは違う声ウェルは周囲を見渡すがのこりのさくらとベクターは落ち着いた表情でまわりに聞こえるように口を動かす。

 

「まさか、あなた様自ら出向かれるとはそれほどまでに雄也というガキに興味があるのですか?皇帝陛下」

 

ベクターは畏まった口調で話すとさくらたちのいる屋上に円上をした亜空間の穴が開きそのなかから黒いローブを纏っている頭を覆うフードからは纏まった黒髪が出ており、声からも女性だと判別できる。

 

「ベクター…偵察の任ご苦労…それとお久しぶりですねさくらさん」

 

「にゃははは、まさか○○ちゃんが生きているなんて思わなかったよ…しかもいまは皇帝なんてね」

 

皇帝の正体を知っているさくらは皇帝にため口で話しかける。

 

「それで彼のことですが…私は彼がもしかしたら担い手になるのではないのかと思っています」

 

「あいつが聖剣の?」

 

「確率は間違いなくあります、いずれかれは私達の…帝国の最大の障害になりかねませんね」

 

皇帝は雄也を危険視するがそれはあくまで担い手になった場合とさくらたちに告げると四人はランダルを見据える。

 

「どちらにしても、俺たちがやることは変わらない…さて、どっちに勝利の女神が微笑むのかね~」

 

そうベクターは不気味な笑みを浮かべながら着実に終わりへと向かうこの戦いを見物するのであった。

 



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chapter55

またすこし形式を変更しました、台詞のところに名前を表記して誰がしゃべっているのかを明確にしました。

あくまで試験的なもので嫌だと言いたいひとはコメントに書き込んでください、なければこのままいってみようと思います

それでは本編どうぞ


雄也SIDE

 

走る…走る…走る

 

ただひたすら走る、目的地へと…ぐずぐずしている時間など一欠片も残されていない、一刻も早い解決が必要だ。

 

あれから屋根を飛びうつりながら移動していた俺たちはある程度学校から離れると奴等の姿が見えなくなり、それを見計らい道路に着地して音姉達を下ろすと直ぐにまた走りだし今に至る。

 

みんな、これまでかなり早いペースで走っているがみんな脱落することなく着いてきて、これは恐らく大勢の命の生死を分けることだとわかるからの精神的なものだろう。

 

雄也「アーク、目的地まであとどれくらいだ?」

 

アーク[およそ、7㎞です]

 

胡桃「後7㎞…このペースでいくんだったら後20分もあれば着くな」

 

ガングール[そうなるな!敵の本拠地だ気を抜くなよ!]

 

俺は待機状態にしているアークに目的地までの距離を訪ねるとアークは教えるとそれに反応して胡桃がおよその時間をわりだし、もうすぐだということでガングニールが胡桃を始めに俺達に激励をする。

 

雄也「取り合えず、今回のランダルコーポレーションの強襲についての説明今のうちに言っとく…一回しか言わないから聞き逃すなよ」

 

悠里「うん、わかったわ」

 

雄也「…俺たちはわかっている通り、管理局の本拠地とかしたランダルコーポレーション本社の強襲だ…この強襲には3つの目的がある」

 

走りながら俺は作戦の内容を説明を始める。

 

雄也「まず、1つはノンパンデミックの発動だ、これはランダルコーポレーションの管理局地下拠点のG-7地点にその操作する機械が存在する、これを操作してノンパンデミックを発動させるこれによっとこの巡ヶ丘で活動している奴等は全て活動を停止する」

 

音姫「これが一番優先する目的だね」

 

これが一番優先しなければならない…これが早いか遅いかで犠牲者が少なくなるからだ

 

雄也「続いて、二つ目の目的は結界装置の破壊、これも地下拠点のA-4地点に存在している結界発生装置、操作して解除でもいいんだが…このメンバーで操作できるのは限られてくるだろうし遠慮なく破壊してくれ」

 

めぐねえ「は、破壊か…で、できるだけ穏便に済ませたいわね」

 

美紀「佐倉先生破壊するんですから穏便も何もないと思います」

 

二つ目の目的を話しめぐねえが穏便にというが破壊するのであれば穏便もくそもないと直樹に突っ込まれた。

 

雄也「そして三つ目は…正直個人的な面もあるが…この巡ヶ丘のパンデミックの起こした主格、ムキラスを倒す」

 

圭「ムキラス…そいつのせいでみんなひどい目に遭っているんですから…個人的でもないと思います」

 

雄也「あいつには今までやって来たことを清算してもらわないとな…落とし前はつけさせてもらう」

 

取り合えず1つは個人的な目的だが3つの俺たちの目的を話しみんなも目的を聞いて理解したように頷く。

 

胡桃「でもまあ、残ってる局員ってそれほど強くないはずだろ?だったら楽勝だろ」

 

局員を楽観的に考える胡桃だけれど…楽観的に考えると痛い目にあう確率がある。

 

ジュード「楽観的に考えるのは禁物だよ、まだムキラス提督は部隊のエースを出していないんだから」

 

優花「部隊のエース…強いやつがいるってことね」

 

雄也「ジュード、教えてくれないか」

 

ジュードは胡桃の楽観的な気持ちに注意し彼がいったまだ残っているという部隊のエースについて俺は訪ねた。

 

ジュード「今のムキラスの指揮している武装隊にはAランクのエース魔導士が三人いる」

 

雄也「あの戦った局員達ではCかD程度の魔導士ばかり、でもAランクとなると流石に一筋縄じゃいかないな…それでそのエース達はどんなやつらなんだ」

 

いったいどのような敵なのかここで聞いておくべきことだと思いみんなもジュードの話しに走りながら耳を傾ける。

 

ジュード「まずは、ゴーレムクイーンのエスミ…その名の通称通り…彼女はゴーレムクリエイションの達人でゴーレムの操作においては管理局に右に出るものはいないと言われているよ」

 

雄也「ゴーレムクリエイションとは変わった魔法を使うな…」

 

ジュード「二人目はデバイスコレクターのヴィトン、彼は希少なデバイスには目がなく、ほしいものは何がなんでも手に入れることからその名がついたと言われています」

 

悠里「な、なんか、聞く限りそれほど強そうな気はしないけど…」

 

雄也「悠里、仮にも相手はAランク、一筋縄じゃいかないんだから…気を付けろよ」

 

二人の注意する人物の説明をされ、あまり強そうとは思えないが管理局のAランク魔導士、油断はできないと思う。

 

ジュード「そして、三人目は雄也も聞いたことがある…あのネクロマンサーです」

 

雄也「っ!ネクロマンサーだと!?」

 

まさか、こんなところでその二つ名を聞くことになるとは…まさか最後の一人がネクロマンサーとは…管理局にいた時にもネクロマンサーの噂は聞いたことがあった。

 

音姫「雄也くん?そのネクロマンサーって一体どんな人なの?」

 

みんなが俺に視線を向け、俺は知る限りのネクロマンサーのことを話す。

 

雄也「俺も実際は見たことはないんだが…色々とネクロマンサーには噂があってな…何でもネクロマンサーに出会した犯罪者、みんな精神が崩壊していて、その犯罪者達が口を揃えて、既に死んでるその人の親しい人の名前を上声で呟く…その話からそいつは死人を操っているんじゃないかって憶測が流れて、ネクロマンサー…死霊使いなんて言われているんだ」

 

音姫「し、死霊…つかい…お、お化けを…操る…」

 

…あれ?音姉なんか青ざめて震えているんだが…もしかして…

 

雄也「音姉…もしかしてだけど…お化けとか…苦手?」

 

音姫「そ、そんなことないもん!こ、怖くないもん!」

 

……うわぁ…これは見え見えの嘘だな……悠里達もなんとなく察してるし…

 

由紀「音姉、おばけ怖いんだ」

 

音姫「怖くありません!」

 

由紀にいわれて完全に食いつく音姉……もう誤魔化しはできないだろ…これ

 

ジュード「と、取り合えず、よう注意しないといけない人物はこの三人だよ」

 

ジュードが半ば強引に閉めたけど…まあ大丈夫か

 

美紀「そんなこといってる内に見えてきましたよ」

 

雄也「っ!あれがランダルコーポレーション…」

 

目視できるほど近づいてきた高い高層ビル…あれがランダルコーポレーションで間違いない…

 

優花「それでどうするの?このまま正面突破?」

 

雄也「いいや、真っ向からやったらどうなるかわからない…ここは抜け道を使う…こっちだ」

 

そういって先頭だってランダルコーポレーションの周辺の裏路地に入ると手頃のマンホールから下水道へと降りる。

 

圭「うへぇ~下水道に降りてきたけど…何かあるの~?」

 

俺とジュード以外…女性陣は嫌な顔をする、まあ臭いからな

 

雄也「えっと、情報通りならここら辺に…あっこれか」

 

下水道の壁を探り、タイルの一面を押すとその一面が壁に押し込まれ左へとスライドすると先程のタイルの奥に電子機器が設置されていた。

 

めぐねえ「月宮くん、それ…なんなのかしら?」

 

雄也「ランダルコーポレーションが、局員に極秘裏に作っていた隠し通路らしい…脱走した局員達はここを通って脱出したらしい…えっとパスワードは…」

 

閲覧してみたパスワードを思い出しながら打ち込んでいきエンターキーを押すとopenと電子画面に表示されると俺が立つ直ぐとなりの壁がスライドしてランダルコーポレーションの地下拠点へとつづく通路が現れた。

 

雄也「この奥だ、情報通りなら地下拠点の倉庫に繋がっているはずだ」

 

こっからはどうなるかわからない…これ以上に気を引き締めなければならない。

 

悠里「いよいよね」

 

雄也「いくぞ」

 

みんなたてに首を振るい頷くと警戒しながらランダルコーポレーションへと続く通路へと進んでいくのであった。



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chapter56

ランダルへと続く隠し通路を奥へと進んでいく俺たち、待ち伏せなどはないことから恐らく此処は見つかってはいないと考えていると突き当たりまで到着した。

 

悠里「行き止まりね…」

 

美紀「月宮先輩本当にこっちだったんですか?」

 

突き当たりには何もないことから疑いの目線を突きつけてくる直樹…端末の情報通りならここは

 

雄也「ちょっと待ってくれ…此処はっと」

 

俺はアークを展開して手でも届くほどの天井に手を当てて上に押すと天井の一部分が開く。

 

胡桃「ずいぶんと手の込んでるな」

 

雄也「まあ見つからないようになってるからな」

 

天井の一部分をずらしてよじ登ると辺りは物資が置かれている…情報通りに此処は倉庫なのだろう。

 

まずは周囲を見渡し、人影と気配がないのを確認した後俺は空いた床から音姉達を見る。

 

雄也「誰もいないみたい、上がってきても問題ない」

 

胡桃「わかった、よっと!」

 

問題ないと答えると次に胡桃が自力で上がってくる。

 

雄也「胡桃、周囲の警戒頼んだ」

 

胡桃「任せろって」

 

胡桃に警戒を任せて俺は空いた床に手を伸ばす。

 

雄也「音姉、引き上げるから掴んで」

 

音姫「あ、うん」

 

音姉は俺の手を握り、離さないように音姉を掴んでいる手を引いて、体を持ち上げて音姉を引き上げた。

 

音姫「ありがとうね、雄也くん」

 

雄也「どういたしまして、次誰がいく?」

 

悠里「優花が次にいって、私と圭さんが最後に上るから」

 

雄也「優花だな」

 

そういって俺は音姉と同じように手を伸ばして引き上げようと差し伸べる。

 

優花「わ、私は手を貸してもらわなくても上れるんだから!」

 

差し伸べた手を取らず自らの力で上ろうとする優花

 

少し不安になりながらも差し伸べた手を下げて見守ろうとする。

 

優花は小柄な体で跳躍して倉庫の床をつかみそのまま力を振り絞ってよじ登る。

 

優花「どう?これぐらい私一人でも出来る…きゃあっ!?」

 

よじ登ったことを威張る優花であったが気が緩んでいたことから体制を崩し隠し通路へと落ちそうになったとき、警戒していた俺はすかさずに優花の体を抱き寄せて落下して怪我をするということは阻止することが出来た。

 

雄也「ふぅ…世話が焼ける…大丈夫か?」

 

優花「え?あっ…だ、大丈夫よ!落ちたとしてもちゃんと受け身取ってたし!」

 

優花は慌て離れて言い訳に等しい言い分を述べる。

 

音姫「優花ちゃん、そういうときはまずお礼を言わなくちゃ駄目だよ!」

 

後ろにいた音姉が優花に怒ると、優花もううっと落ち込む。

 

優花「あ、ありがとう…」

 

雄也「どういたしまして」

 

その後はアクシデントなどなく全員が上がってくるとずらした床を直して、周囲を警戒すると倉庫から出ていく。

 

作者SIDE

 

ランダルの地下管理局の本拠地の司令室ではおうよそ10人の局員が空中に浮かぶディスプレイを操作して現在行われている作戦の状況をモニタリングしていた。

 

局員「現在、レクイエム発動2時間42分が経過中、映像から地球人と離反した魔導士が妨害中」

 

局員「レクイエムより、バイオ兵器は着実に指定地域に進行中…レクイエム問題なく活動できています」

 

空中パネルを打ち込みながら刻々と変わっていく。

 

「失礼しますわ」

 

そんな中バリアジャケットを身に纏う魔導士の女性が入ってきて、オペレーターしている局員が驚く。

 

局員「エスミ二尉!今は第一種戦闘配置が出ています、持ち場からあまり離れないように…」

 

エスミ「ふふ、それは…これを見ても言えて?」

 

そういってエスミはパネルを操作するとこの場にいる全員が見える空中パネルが出現しそれは通路を警戒しながら目的の場所へと向かっている雄也達の姿であった。

 

局員「そ、そんな!?ユウヤ・ツキミヤ!?いつの間に侵入を!?」

 

エスミ「私の僕が彼らを見つけたので報告に差し上げましたのよ、それと彼らは着実にここに向かってきていますわ、おおよそ此処を落とすのが目的なのでしょう」

 

局員「す、直ぐに警報を!」

 

慌てて局員はこの基地にいる局員に知らせる警報をならそうとパネルを打ち込もうとするがそれはエスミによって遮れる。

 

エスミ「まだ警報はならさないでくれませんか?…私にいい作戦がありますの」

 

エスミは不逞な笑みを浮かべながら映像にうつる雄也を見ていた。

 

 

 

雄也SIDE

 

胡桃「よし!ここまでは順調だな」

 

倉庫からでてまずは指揮系統を破壊するために司令室に向かっている俺達、巡回に出ている局員を掻い潜りながら少しずつ司令室のある場所に近づいていた。

 

雄也「……」

 

だが、なんか妙だ

 

悠里「ゆうくん、少し気になるんだけど」

 

雄也「ん?どうした?」

 

悠里「ここまで上手くいきすぎてない?」

 

悠里も俺と同じことを考えていたんだな

 

雄也「悠里もそう思うか…明らかにここまで作戦通りにいきすぎてる、普通なら邪魔が来ても可笑しくないぐらいに」

 

恐らくここのカメラにも映っているはずだし…既にばれていると思っていたが…まさか気づいてない?…そんなバカなこと

 

雄也「あるはずないと思うんだが…」

 

丁度、十字路の通路で一度止まり考えるしぐさをする

 

胡桃「考えすぎじゃないのか?」

 

軽くいう胡桃だが、ここまで管理局が過信しているのか…

 

って今考えても仕方がないことか

 

雄也「取り合えず、司令室に…」

 

向かおうとした矢先だった。

 

局員「居たぞ!!」

 

俺達が向かおうとしている方向から武装した局員が8人やって来た。

 

雄也「やっぱばれてるよな!みんな!いくぞ!」

 

俺はアークを起動して戦闘準備を完了するとみんなに声をかける。

 

胡桃「雄也!前からだけじゃないみたいだ!左の通路からも来てる!」

 

ガングニールを起動させた胡桃は左の通路からもやって来ている局員に向けて構える。

 

悠里「こっちからもよ!」

 

右の通路からも局員が…やっぱりこれは待ち伏せられていた!

 

ただ後ろの来た道からは局員が来ていない、此処は後退するべきか!

 

雄也「此処は一度下がろう!この場所だと不利…っ!?」

 

後ろに下がろうとしたとき突如俺達の来た道が天井から隔壁が降りて閉鎖されてしまう

 

雄也「しまった!これじゃあ!」

 

後ろをなくしたのもつかの間、事態は更に変化する

 

ジュード「っ!?佐倉先生!由紀危ない!!」

 

めぐねえ「へ?きゃっ!?」

 

めぐねえと由紀がいる真上から隔壁が降りてきて咄嗟にジュードが飛び込みでめぐねえと由紀を両腕滑り込みで押し倒して隔壁に挟まるということは阻止したが…

 

雄也「胡桃!由紀!」

 

優花「ジュード!佐倉先生!」

 

胡桃たち四人は左の通路…つまりは隔壁が降りた向こう側に取り残されてしまった。

 

俺は必死にこれをあげるが返答が来ない…多分防音対策が施されているのであろう。

 

そんなことを考えているとまた次は右側の通路に隔壁が降りる。

 

悠里「しまった!ゆうく…」

 

音姫「若狭さん!祠堂さん!直樹さん!」

 

今度は右側の通路に悠里と圭、そして直樹が取り残されてしまう。

 

今残っているのは俺と音姉と優花だけ…完全に敵の作戦にはまってしまった。

 

警報がならなかったのは俺達を油断させて戦力を分断しするため!

 

局員「よし!作戦が上手くいったぞ!各個に倒していけ!!」

 

作戦が成功したことに奴等の士気が上がりこちらに襲いかかろうと向かってくる。

 

雄也「くそ!みんな無事でいてくれよ…今は正面の敵を倒すしかないか!行くぞ!」

 

優花「わかってる!」

 

俺と優花はデバイスを構えて正面の敵に向かって走りだした。

雄也「はああぁぁっ!」

 

退路がないために進むしかない俺達は前の敵を倒すべく駆け出していき、先ずは先頭にいる局員と交える。

 

気迫の乗った俺の上段から右斜めに振り落とされるアークは軌道が見えていた局員の一般のデバイスに防がれ鍔迫り合いとなり少しの膠着状態に陥るが空いている左手で局員を腹パンし隙が出来た瞬間に鍔迫り合いを解く。

 

解いた瞬間にアークを下段からの切り上げを放つと今度は腹パンでよろめいているために反応するのが遅く防げずに体を切り裂く。

 

局員「ぐわあぁぁっ!」

 

一人目の断末魔が響くなか切り裂いた局員は後ろに吹き飛びその背後から槍を構える局員が突貫してくる。

 

俺の死角からの奇襲なのだろうか、その局員はしてやったりとニヤリと頬を浮かべていたが…俺にとってこれは

 

雄也「踏み込みが甘い!!」

 

簡単に対処出来るので槍をアークであしらうも体を捻らせた回し蹴りで後頭部を直撃し俺の前で沈黙する。

 

雄也「どうした?さっきまでの威勢はどうした!?」

 

怖じ気づく局員に軽い挑発を放ち、頭に来た局員が俺に何度も剣を打ち込んでくるのをアークで冷静に対処する。

 

 

優花「たあぁぁっ!!」

 

俺と少し離れたところでは優花が音姉の近くで局員に応戦している。

 

ただ生者を貪る奴等や本能で動く生物たちとは違い鍛えられた技術に翻弄されて苦戦を強いられていた。

 

優花「手強い…そこぉ!!」

 

苦い顔を浮かべながら突きを放つがあっさりと弾き飛ばされて後ずさるが丁度後ろには気絶している局員が倒れており優花はそれに気づかずに足が体に絡まれて体制を崩し倒れてしまう。

 

優花「きゃっ!…あ…!」

 

局員「もらったぁぁっ!!」

 

これを絶好の機会見た局員が持っている剣を突き刺すように持ち方を変えて優花に止めを刺そうとする。

 

雄也「そんなことさせるかぁ!!」

 

絶対に失わないために俺は戦っている局員の胸ぐらを掴むと思いっきり優花を狙う局員に投げてつけて優花の窮地を助けることに成功する。

 

雄也「優花無事か!?」

 

優花「え、ええなんとか…」

 

雄也「ならいいが、優花は音姉の護衛だけに専念してくれ、あいつらの相手は俺一人で引き受ける」

 

音姫「雄也くん一人でいくらなんでも無茶だよ!」

 

優花には音姉の護衛に専念してもらい俺一人で立ちふさがる敵を倒すと告げると勿論のこと音姉が反発してくる。

 

雄也「一人の方が立ち回れるし、大丈夫、俺は強いのは音姉も知ってるだろ?」

 

音姫「…うん…」

 

渋々といった感じの返事をして今度は優花の方を向き、こちらもも納得がいっていないようすが顔に出ていていた。

 

雄也「優花も頼む、優花が守ってくれるから俺は全力で戦えるんだ」

 

優花「………」

 

説得はしてみたが無反応…けど優花だってそれはわかっていることであろう…だから音姉を守ってくれると優花を信じながら進むしかない道を進んでいくのであった。

 

 



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chapter57

悠里SIDE

 

局員「おい!そっちにいたか!?」

 

局員「いや、だがそう遠くにはいいないはずだ探せ!」

 

 

……

 

圭「行ったかな?」

 

悠里「多分いったと思うわ、それじゃあ動きましょうか」

 

人気のないのを確認して私達は匍匐前進で移動を開始する。

 

なぜ、匍匐前進でなければならないのかそれは私たちがいる場所に関係している。

 

現在私達は通気孔の中を通って移動している

 

これなら発見は難しくないからだ。

 

美紀「それにしても、圭がスタングレネードを持ってて助かったね」

 

圭「あっ、うん、奴等との戦いじゃあ使い物にならないから一杯いったの、たがら数個だけ持ってきたんだ…でも使える場面が出てくるなんて思ってなかったけど」

 

えへへと、頬を浮かべる圭さん、けど、ゆうくん達とは離ればなれとなってしまった…

 

ゆうくんや胡桃達は無事だといいんだけど

 

圭「それにしても…これどこまで続くんだろうね」

 

ゆうくん達の安否も気になりながらも通気孔を進んでいくけど出口がない

 

悠里「そうね、もしかしたら司令室にも続いているかもしれないわね」

 

そうすれば先ず初めの作戦が成功して他のみんなも動きやすくなるはず。

 

…まだこの状態が続くけど…それにしても

 

悠里「なんか、動きずらいわね」

 

圭「……」

 

美紀「……」

え?どうしてそんなにわたしを見つめるんのかしら…

 

圭「それは…私たちにとっての冒涜ですよ…」

 

美紀「若狭先輩、それは私たちの嫌みと受けとります」

 

悠里「ええ!?いや、でも胸が大きくても結構不便よ、肩こるし…」

 

圭&美紀「それは勝ち組の言葉です!」

 

え~そんなに…失言だったかしら

 

圭「もう、勝ち組はおいて私達だけで行こう美紀」

 

美紀「そうだね、圭」

 

悠里「ちょ、ちょっと待ってよ~」

 

 

先に先にといく二人に必死に追いかけていき、すると先頭にいる圭が左手に光が漏れているのを確認する。

 

圭「もしかして出口かも」

 

悠里「行ってみましょう」

 

そして光が漏れる場所にむかって匍匐前進で進み、案の定出口があり、先頭の鉄格子を圭が強引に外すとそこは少し広い空間であった。

 

悠里「また倉庫かなにかかしら」

 

通気孔から出てきて弓矢を携えながらも辺りを見渡す私はひとつだけ長方形で今も起動している妙な装置に目が止まる。

 

悠里「なにかしら…あれ」

 

美紀「何かの装置だと思いますが」

 

気になるため装置に近づく。

 

装置にいく最中に微かに気配を感じる。

 

悠里「殺気!?」

 

圭「美紀危ない!!」

 

とっさに感じたさっきに私達は臨戦態勢を取り、圭さんは美紀さんの体を飛び込みで押すと、先程美紀さんがいた場所に魔力による矢が2本刺さる。

 

悠里「誰!?」

 

するさま矢を引いて放てるようにしてあの矢が来た方向にむける。

 

???「なるほど、伊達にここまで来ることだけはあるな」

 

私の向いた方向にはコンテナの上に達弓を構えている男性は見下している雰囲気で私達に話しかける。

 

圭「あなたは誰ですか!?」

 

???「いいだろう、私の名はヴィトン!この武装隊のエースでもある」

 

ヴィトン!?確かジュード君がいっていた注意しないといけないAランクの魔導士!

 

ヴィトン「私はあの噂の暗黒騎士と戦えると思っていたのだが…まさか、デバイスも持たないもの達とは…」

 

悠里「あら?私じゃ不服ということかしら」

 

ヴィトン「あの暗黒騎士を倒した暁にはあの美しいデバイスをコレクションにと思っていたが…仕方がないこれが終われば褒美としてコレクションに加えるとしよう」

 

狙いはゆうくんのルミナスアーク!?あれはゆうくんの相棒…絶対にこんな人に渡すわけにはいかない!

 

悠里「絶対にゆうくんのもとには行かせない!あなたは私と圭さんで倒す!」

 

圭「それしかないですね!」

 

私達は戦うことを決め、武器を構える。

 

絶対にゆうくんに指一本も触れさせないんだから!

胡桃SIDE

 

胡桃「ふぅ…雄也達見当たらないな」

 

ジュード「僕たちが分断されたんだ、多分合流できる通路は隔壁が下ろされている上に通信も妨害されているから合流な難しいはずだ」

 

罠によって分断されたんだ私達は襲いかかってきた局員を蹴散らしたあと基地の内を徘徊して雄也達に合流するために移動していた。

 

めぐねえ「月宮さん達無事だといいんだけど…」

 

胡桃「大丈夫だってめぐねえ、雄也達は強いんだから、負けないって」

 

めぐねえの心配はごもっともだが雄也達の強さはそこらの局員には負けるとは思えなかった。

 

胡桃「問題は私たちの方だと思うぞ、今どこら辺にいるかわからないし…それに」

 

辺りを見渡しそして気配も探るが…やっぱりいないな

 

胡桃「あれきり、私達を襲ってくる局員が居ない…これは流石に奇妙じゃないか?」

 

あの分断されてから局員の接敵が一度もない、これはたんに運がいいのかはたまた油断させてるための罠なのか判断が難しい。

 

由紀「胡桃ちゃん、今は先にいこ」

 

胡桃「…そうだな考えても仕方がないし、今は先に進んでいこう」

 

突然の奇襲されるかもしれないと辺りを警戒しながらまだいっていない奥へと進んでいく。

 

通路は特に気になったものは存在せず、奥に進み分かれ道を右に曲がると何故か扉が開いている部屋があった。

 

胡桃「あそこだけ、扉が空いてる」

 

気になって扉の前に近づき端から中を覗くと、中は巡ヶ丘中学の地下基地のコンピューターが存在した部屋に疑似していた。

 

胡桃「ここ、何かを操作する部屋なのか?」

 

部屋を見る限りではそういうところだと理解し警戒しながら中に入っていく。

 

ジュード「胡桃、大丈夫なの?」

 

胡桃「…気配はないみたいだし…」

 

問題ないとかと口にして私はみんなを部屋の中に呼び込むと気になっていた装置をみる。

 

胡桃「なんの装置だ?これ?」

 

見てもこれがなんなのか全くわからないこういうときはジュードに任せるしかないか

 

そうして私は装置の前からどいてジュードがこの装置を調べると何かわかったのか笑みを浮かべていた。

 

ジュード「これ、パンデミックの操作装置だ!」

 

ガングニール[ってことはここからノンパンデミックを発動できるって訳だな!]

 

ジュードの言葉ではぱっとしなかったが、ガングニールの捕捉があって理解することができた。

 

胡桃「それじゃあここからパンデミックを止めて…っ!?」

 

止めてもらおうと思ったとき、私は突然現れた殺気に同じく気づいたジュードと共に警戒を強める。

 

次第に部屋は霧に包まれは始める。

 

胡桃「霧?みんな気を付けろよ」

 

霧が濃くなっていくことに奇襲の可能性がありうると思った私は皆に忠告しみんなそれに応対する。

 

 

???「ようこそ…」

 

するとどこからともなく男性の声が聞こえてきた

 

胡桃「っ!!」

 

突然の声で周囲の警戒を更に強め、そして…

 

???「黄泉への入り口へ」

 

私の目の前に突如としてフードをかぶり素顔が見えない男が出現した。

 

雄也SIDE

 

雄也「邪魔だ!どけぇ!!」

 

先行して行く手を遮る局員達を紙一重で攻撃を回避して一撃でノックダウンさせながら司令室へと向かう俺達

 

倒しても倒しても次々と立ちふさがる敵に今うんざりとしていた。

 

雄也「怪我したくなかったらそこを…どきやがれぇぇ!!」

 

ちまちまと一人一人倒していくことにしびれを切らせ叫びと共にライトブリンガーを放ち、通路上の局員ながら断末魔をあげながら通路の端に吹き飛ばされ倒れていく。

音姫「雄也くん!飛ばしすぎだよ!」

 

雄也「問題ない!俺一人で十分だ!」

 

力の使いすぎだと忠告する音姉、それにたいして俺は敵が大したことないから問題ないと即答するも音姉の顔は浮かない顔をしており、それに俺は気づかなかった。

 

優花「………」

 

雄也「ここを左に曲がれば司令室への直通通路だけだ!」

 

そして俺達は通路を左に曲がると突き当たりに司令室らしき扉がある

 

雄也「あれが司令室か!!なら速攻で!!」

 

制圧してしまおうとライトブリンガーを放とうとしたときであった。

 

???「そのようなことさせませんわよ」

 

聞いたこともない女性の声が聞こえると警戒したときだった。

 

雄也「なっ!?」

 

音姫「雄也くん!?」

 

右の壁から魔法陣が出現しそこから岩石の拳が俺にめがけて飛び出してきて咄嗟の判断が遅れて防御魔法が間に合わず、アークで防ぐが拳に押されて逆の壁に打ち付けられる。

 

雄也「がはぁ…!?」

 

背中を強打したことに肺から空気を吐いてしまう。

 

雄也「ぐっ…!これはただ者の攻撃じゃないな…」

 

???「咄嗟にデバイスで防御するとは…流石は期待されてたエースであることはあります」

 

司令室の扉が開き中から、下っぱの局員とは全く気迫が違う女性が現れる。

 

雄也「お前は…」

 

???「御初にお目にかかりますわ、私はエスミ…前の部隊エースであったツキミヤさんに会えるとは光栄ですわ」

 

音姫「エスミ…ジュード君がいってた!?」

 

雄也「ああ、要注意人物の一人だ」

 

まさかこんなところで…いや、重要な施設だからこそこんな場所で出くわしたのであろう。

 

どっちにしても、目の前の敵を倒すことには変わりはない。

 

どれ程の力量か計りながらもアークを構える。

 

雄也「音姉と優花は下がっていて!こいつは俺一人で倒す」

 

音姫「そんな、無茶だよ!」

 

一人で倒すことに音姉が反対する。

 

俺のからだの事を考えての話だろうが…今は第一に目の前のこいつを倒すことなのだ。

 

雄也「ごめん、音姉、それは聞けない…今回の相手はちっとやそっとじゃ勝てないだろうし…それに優花はなにもせずに下がっていてくれよ…下手を打てば、不利になるかもしれないしな」

 

優花「…っ!」

 

相手はこれまでとは違うAランク…1つのミスが敗北に繋がる可能性もある。

 

一対一で相手の動きを見切り…的確に当てる。

 

雄也「さあ、行くぜ」

 

エスミ「あなたを倒して…私は更に上に行きます、そのための踏み台となってもらいますわ!」

 

そういってエスミは持っているタクト型のデバイスを振るい、俺とゴーレムクイーンのエスミとの戦いの火蓋が切って落とされた。

 



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chapter58

火蓋を切ったのは俺が先であった。

 

足に魔力と力をいれてゴーレムクイーンの懐に飛び込もうと飛び出す。

 

エスミ「さあ、現れなさい!私の僕!」

 

懐に飛び込もうとしていた俺にゴーレムクイーンは自身の魔法を発動俺とゴーレムクイーンの間に岩が集められて瞬く間にゴーレムを作り出した。

 

音姫「岩の人形!?」

 

優花「あれがゴーレムクリエーション!」

 

雄也「ゴーレムの生産が早い!?」

 

俺が驚いたのはゴーレムを作り出す早さ、ゴーレムクリエーションを使うものでもここまで作り出す早さは見たことがなかった。

 

雄也「局員のAランクは伊達じゃないかっ!」

 

只者ではないことを、改めて再確認し目の前のゴーレムをアークを振るう。

 

ゴーレムも黙って動かないわけがなく剣のように尖った腕でアークと打ち合い鍔迫り合いに持ち込まれる。

 

雄也「ごつごつしたからだの癖にかなりの柔軟…いや、これはゴーレムクイーンの操作力と読んだ方がいいかっ!」

 

ゴーレムがアークを弾くと弾いた逆の腕を前に突き立て串刺しにしようと俺の胸に目掛けて飛んでくる。

 

雄也「あぶな!」

 

咄嗟に後ろに回避し一読距離をとる。

 

エスミ「私のゴーレム前に防戦一方の様子ですわね」

 

雄也「そいつは…どうかな?」

 

ゴーレムクイーンが余裕の表情を浮かべ、俺を見下してくるが、次の瞬間ゴーレムの片腕が崩れ落ちる。

 

エスミ「っ!?私のゴーレムが!」

 

音姫「え!?いつのまに!?」

 

優花「後ろに飛んだとき、ゴーレムの腕に攻撃していたの見えていたわ」

 

優花の言う通り、バックで回避したとき突き出していた腕にセイクリッドスラッシュをお見舞いし腕を破壊したのだ。

 

雄也「通常ならまだしも、魔力付与したらはかいできる…これなら問題はあまりないな…」

 

エスミ「…それは…どうかしら…」

 

音姫「雄也くん!後ろ!!」

 

雄也「っ!?」

 

音姉の声に反応して後ろを振り向くと、腕を破壊した別のゴーレムが存在して石でできた弓矢を放ってきて咄嗟に体を捻らせるが矢が俺の肩を掠めて着ているバリアジャケットを貫き破け掠めたところから小量出血する。

 

優花「ゴーレムが…もういったい!」

 

2体目のゴーレム…しかも弓矢と武器が違う、遠距離タイプのゴーレムであった。

 

エスミ「1体だと思って痛い目を見ましたね…」

 

してやったりと、笑みを浮かべるゴーレムクイーンはタクトを振るうと片腕を失ったゴーレムの腕をすぐに修復される。

 

雄也「岩だから簡単になおるか…」

 

エスミ「なんど倒そうが私の僕達は直ぐに治りますの…そして…これが私の本気ですわ!!私の前に現れなさい!私の僕達よ!!」

 

ゴーレムクイーンは魔力を大きく解き放ち、大掛かりな何かをし始め、そしてそれは直ぐにわかることになった。

 

音姫「そん…な…っ!」

 

優花「2体でも厄介だってのに…」

 

雄也「…まだ増えるかよ…」

 

次々と生成されるゴーレム…その総数…

 

エスミ「これが私の最大ゴーレム数…16体…さあ、私の前に膝まづきなさい!」

 

ゴーレムクイーンの前に16体というゴーレムが立ちふさがる。

 

エスミ「行きなさい!私の僕達!」

 

ゴーレムクイーンの高らかな号令と共に2体の近接方のゴーレムが動き出して尖った両腕で俺を切ろうと振るってくる。

 

エスミ「はあ、私の僕と共に舞いなさい!」

 

2体のゴーレムから繰り出される過激な攻勢に俺は防戦一方に追い込まれていた。

 

反撃するにもゴーレム一体を攻撃しても後ろに控えているゴーレムに邪魔されて一体も倒せていない…倒したとしても直ぐに修復されるのは目に見えているが

 

雄也「何か解決策が…」

 

アークで受け流しながら、これの攻略を模索する。

 

一旦距離を取り足を地面につけた瞬間、魔法陣が発動した。

 

エスミ「かかりましたわね」

 

雄也「しまった!罠か!?」

 

魔法陣から巨大な岩石の手が俺の体を掴み身動きが取れない状態に陥ってしまう。

 

雄也「う、動け…ない…!」

 

必死に解こうともがくがびくともせず、完全にゴーレムクイーンの術中にはまったことにゴーレムクイーンは笑みを浮かべていた。

 

エスミ「さて、そろそろ…終わりといきましょう」

 

ゴーレムクイーンはタクトを振るうと近接型のゴーレムが俺に向かって走り出していき止めを刺そうと尖った腕を突き立てながら迫ってくる。

 

雄也「やばい!」

 

命の危機にあせる俺、その間にもゴーレムは迫ってくる。

 

エスミ「さあ、終わりです!ユウヤ・ツキミヤ!!」

 

ゴーレムの射程圏内に入るとゴーレムは大きく踏み込んできて俺の胸にゴーレムの手が突き刺さる…はずだった。

 

エスミ「なっ!?これは!」

 

突き刺さるはずのゴーレムの手はほんの数十㎝前で止まり、ゴーレムの体は氷によって凍りつき、身動きが取れない状況に陥った。

 

雄也「ぎ、ぎりぎり…詠唱が間に合った…」

 

本当にひやひや、心臓の鼓動が早くなっており、ひとつ遅かったら串刺しにされていたであろう。

 

雄也「咄嗟に、ブリザドで動きを止めることを思い浮かばなかったら、命がなかった…」

 

本当にひと安心としているがエスミの笑みはまだ収まってはいなかった

 

エスミ「安心するのはまだでしてよ」

 

エスミがそういうと、凍りついているゴーレムの凍っていない腕の部分が伸び始めた。

 

雄也「伸縮できるだと!?」

 

止めたはずの攻撃が迫り…身動きが取れない俺はなすすべがないが、横から飛び出してきた物がゴーレムを砕く。

 

エスミ「っ!!何者ですの!?」

 

雄也「…優花!」

 

優花「ここからは私も戦う!」

 

オスカーを手に持ち瞳をゴーレムクイーンを見据えて仁王立つ、俺の眼前には覚悟を決めた優花が立っていた。

 

作者SIDE

 

エスミ「あなた…何者ですの?」

 

優花「優花…あなたたちにちょっと因縁がある子供よ」

未だに岩石の手に捕縛されている雄也を他所にこの二人の間で話し合いが行われる。

 

エスミ「そのデバイス…記憶にありますわ、確か、このパンデミックと平行で行われていたプロジェクトDKで使われていた試作機…あなた、プロジェクトの関係者かしら?」

 

優花「今となったら、そんなの関係ないわ…」

 

エスミ「そう、確かにその通りですわね、私に倒される方のことなど気にすることも…ありませんわ!」

 

二人の戦闘の火蓋が切って落とされ、優花に破壊されたゴーレムの変わりに生成されたゴーレムと後方にいる遠距離型のゴーレムが動き出して優花も動きを合わせて動き出した。

 

雄也「優花!くそ!待ってろ今助けに…」

 

雄也は優花には相手が荷が重いと思い必死になって束縛を破壊しようともがき始める。

 

音姫「雄也くん!」

 

そこに、後方にいた音姫がやって来る。

 

雄也「音姉!直ぐに優花を下がらせてくれ!優花じゃ、あいつには敵わない、俺もなんとかこいつを!」

 

音姫「雄也くん!少しは落ち着く!」

 

雄也「落ち着いてなんていられ…」

 

音姫「冷静をかいたら見えるもの見えないよ!優花ちゃんの戦いをみて、戦ってた時気づかなかったと思うけど、あの人の弱点が見えてくるの」

 

雄也「ゴーレムクイーンの…弱点?」

 

優花が危険な立場にいることで冷静さを欠けていた雄也に音姫が宥めて、冷静さを持たせると雄也は音姫と共に優花とエスミの戦いを観察する。

 

優花「はああぁっ!」

 

ゴーレムの攻撃を避けながら隙あればオスカーで突いて着実とダメージを蓄積していく

 

優花「はぁ…はぁ…本当、押されてるわね」

 

エスミと優花、この二人では圧倒的な経験の数がこの戦闘に現れており、冷静に対処するエスミに対して、ゴーレムの猛攻を防ぎながら隙をうかがっている。

 

雄也「…どうして、オスカーの変形機構を使わない?あれでもう少しましな立ち回りだって…」

 

音姫「それはもうすぐわかるよ」

 

何故、オスカーの長所である変形を使わないのか疑問視している雄也に音姫が直ぐにわかると話すと、その直後優花が動いた。

 

優花「さてと…そろそろ…」

 

エスミ「そろそろ、息が上がってきましたか!」

 

エスミは近接型のゴーレム2体を優花目掛けて動かし、優花とゴーレムの間合いが2メートル程に縮まった時、優花がバックステップで後ろに飛び上がり、滞空中に今まで使わなかった変形機構を使い、ランスからガトリングへと変形する。

 

エスミ「変形した!?」

 

優花(今だ!)

 

エスミが隠していた変形機構に驚いている隙に優花はオスカーの銃口をエスミに向けてガトリングを発射し無数の魔力弾がエスミへと向かっていく。

 

エスミ「くっ…!」

 

エスミは苦い顔をしながら周囲にいるゴーレム2体を射線上に移動させ、優花の攻撃を防御する。

 

雄也「っ!!」

 

音姫「…やっぱり…」

 

雄也「優花はこれを教えたかったのか?…それならこんな危険なこと…」

 

音姫「…それは家族だからだよ」

 

雄也「か…ぞく?」

 

雄也は優花の伝えたいことを理解はしたが方法真意がわからなかったが、音姫は家族だからこそだと言い切った。

 

音姫「うん、雄也くん、二日前のあの夜で将来のこと話し合ったときのこと覚えてる」

 

雄也「ああ、もちろんだ…そういえば、優花はあのとき何か呟いていたな…それが何か関係が?」

 

音姫「私、ちょっと気になってね、昨日の夜に聞いてみたの」

 

 

回想

 

まだレクイエムが発動する前の夜、夜の校舎で音姫は昨日の晩に気になったあの事を聞くことにした。

 

音姫「ねえ、優花ちゃん」

 

優花「何?音姉」

 

音姫「ちょっと気になってたんだけどね、昨日の晩、優花ちゃん将来の夢で何かいってたから…」

 

優花「……あれ…ね」

 

音姫「あっ、無理にはいいよ…本当にちょっと気になっただけだから」

 

音姫の問いに考える仕草をしながらどうするか悩み、ほんの数秒の末、考えがまとまった。

 

優花「別に、将来の夢…って訳じゃないんだけど……ひとつだけ…欲しいものがあるの」

 

音姫「欲しい…もの?」

 

優花「私は…その…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家族が…ほしい…」

 

音姫「え?」

 

優花が欲しいもの…それが家族であったと口にすると音姫は驚いた表情で優花を見つめる。

 

優花「わたしって…昔の記憶を無くして…あの施設にいる前のことは何も覚えてなくて…肉親とか…兄弟とか誰もいない…わけじゃない、だから…それに今日悠里や胡桃や由紀のこと見てたら…」

 

音姫「欲しくなったんだ」

 

音姫が優花が思っていることを言い当てると優花は少し赤く頬染めながら小さく頷く。

 

音姫「でも、優花ちゃんには雄也くんが…例え実の兄妹じゃなくても…」

 

優花「…確かに…そうだけど…向こうはどう思ってるかわからないじゃない」

 

音姫「それじゃあ雄也くんに直接聞きにいったらどうかな?」

 

優花「…一応…聞いてみる」

 

回想終了

 

雄也「…優花がそんなことを…」

 

雄也は優花の願いを知り、目の前で戦う優花に見つめる。

 

息を上げながらも一歩も退かない優花、その立ち姿は小さきながらも凛々しさを覚えるほどであった。

 

優花「きゃ…っ!」

 

雄也「優花!」

 

そんな優花が遠距離のゴーレムの矢を肩に掠り血が傷元から飛び出る。

 

優花は掠めたこたにより、悲鳴をあげ、怪我をおったことで雄也も優花の名前を読んで声をあげた。

 

エスミ「ふふ、いい、悲鳴ですわ、なら思う存分に…上げさせてあげますわ!!」

 

近接型のゴーレム2体が動きだし、優花に向けて尖った腕を振るい優花に攻撃繰り出しオスカーを使い捌こうとするが肩を負傷したこともあり思うように体が動かずにゴーレムの繰り出す攻撃を捌ききれず肩、腰、腕と体は徐々に傷つけられていく。

 

優花「あっ…あ、くっ!」

 

音姫「優花ちゃん!!雄也くん、このままじゃ!」

 

雄也「ああ、ちょっと手荒だが…」

 

雄也も優花の劣勢をみて動きだし、その優花は遠距離のゴーレムの矢を右足に深く掠り、これにより、膝をおり、その場から動けなくなる。

 

優花「くっ…!」

 

エスミ「ふふ、もう終わりですわね…」

 

エスミは膝をつく、優花に堂々と近づき、近づくなかでゴーレムで優花の両腕を掴ませて身動きが出来なくする。

 

エスミ「そろそろ、終わりといたしましょうか…」

 

完全に窮地の中…束縛された優花の表情はなぜか、この状況では考えられない、笑みを浮かべていた。

 

エスミ「何故、笑みを浮かべているの」

 

この状態で笑みを浮かべる優花に対して、笑みを浮かべるか訪ねるエスミ

 

そんなエスミに優花は口を開けた。

 

優花「2体…」

 

エスミ「2体?なんのことですの?」

 

優花「あなたが…ゴーレムを操作できる限界個数よ」

 

エスミ「っ!!」

 

優花が告げられた言葉に動揺の色を表すエスミ、この表情からその事実が事実であると物語っている。

 

優花「これは後ろにいた音姉と私ですぐわかった…だって、あのとき時点でもっと簡単に追い詰められた筈だもん、ただそのときは確信じゃなかった」

 

エスミ「…いつ、確信したと言うのですの」

 

優花「確信したのは私が戦ってるとき、あのとき変形させて直接あなたに攻撃したとき、あなたはゴーレムを使って防御した…その時、私を攻撃していたゴーレムは2体とも停止していた…つまり、2体しか操れない証拠になったわけ」

 

優花はあの滞空中に射撃した時横目で攻撃を仕掛けていたゴーレムを確認しエスミの能力を分析していた。

 

これにより、動いている2体以外は驚異では無くなったことになる。

 

その事実を述べられたエスミは苦い顔を浮かべるが直ぐに表情が戻る。

 

エスミ「ですが、あなたは捕まり、今息の根を止める直前…今のあなたに何ができて?」

 

エスミの言うとおり、今の優花はゴーレムによって捕まり何もできない状況、それでもなお優花の笑みは崩れない。

 

優花「わかっただけで十分、その程度ならあなたはあいつの足元にも及ばない、あんたなんて一撃で終わ…っ!」

 

エスミ「お黙りなさい」

 

優花が雄也だけで十分に倒せると坦々と口にすることに腹をたてたエスミは優花の頬叩いて黙らせる。

 

エスミ「お喋りは終わり、今からその顔醜く傷つけてあげますわ!!」

 

腹をたてたことは叩いたことでは収まるわけがなく、エスミの隣にいる近接型のゴーレムで優花の顔に切りつけようと操作しだす。

 

優花「ああ、ひとついい忘れてたわ」

 

エスミ「?今頃命乞い?もう遅い」

 

優花「私だけに目を向けて周りが見えてない時点であなたの負けよ」

 

エスミ「っ!!!」

 

優花の告げたことで何かに気づいたエスミは雄也がいる場所に漸く目を向ける。

 

だがそこには壊れた岩石の手だったものと音姫だけ、肝心の雄也がどこにも見当たらない。

 

優花「行って…お兄ちゃん」

 

雄也「ああ、任された」

 

中々と聞き取れない程で呟く優花に、その呟きが聞こえ返事を返した雄也はバリアジャケットが至るところ焼け焦げ髪は一部分が凍りついている状態で既にエスミの懐に入り込んでおり光の力を纏った一撃を今まさに放とうとしていた。

 

エスミ(もうここまで!これでは防御が!!)

 

雄也「よくも…」

 

そう一旦言葉を区切り雄也は全力のセイクリッドスラッシュをエスミに向け…

 

雄也「俺の妹にいたぶってくれたな!!」

 

エスミ「キャアァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!」

 

その言葉ともに渾身のセイクリッドスラッシュがエスミに繰り出されエスミは攻撃によってものすごい勢いで吹き飛ばされ司令室の扉を突き破っていった。

 

 

 



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chapter59

久しぶりの更新です。
色々とやっていたので遅れてしまいました


雄也の攻撃により司令室へと吹き飛ばされたエスミ、吹き飛ばされた光景は司令室にいる局員達を釘つけになった。

 

局員「え、エスミ…二尉」

 

局員「そ、そんなエスミ二尉がやられた…」

 

局員「に、逃げろぉ!!」

 

エスミが吹き飛ばされたことによって混乱を始める司令室、その騒音は吹き飛ばした張本人である雄也たちにも聞き取れていた。

 

雄也「ふぅ…思いの外…これで司令室が混乱し始めたな」

 

混乱の声を聞きながらアークを鞘にと収めると優花の方に向く。

 

優花の体は至るところに傷がついており、バリアジャケットも所々が破損している。

 

雄也「優花大丈夫か?」

 

雄也はそういいながら、優花の前で膝をつかせ、ケアルで優花の傷を回復させていく。

 

優花「それはこっちのセリフ、バリアジャケット、焦げてるし髪だって凍ってる、無茶したでしょ」

 

雄也「まあな、ファイアとブリザドを交互に使ってあの岩の手をぶっ壊した…もちろん、被害があるから魔法防御を高めるシェルは掛けてたけど」

 

雄也「それに俺の事言えないだろ?…全く、本当に兄妹似たもんだな」

 

そういって優花の頭を撫でる。

 

優花「え?良いの…私が妹で…だって血だって繋がって」

 

雄也「はぁ…いいって言っただろ?優花は正真正銘、俺の妹の月宮優花だよ」

 

優花「…うん!」

 

音姫(よかったね、優花ちゃん)

 

晴れて兄妹になった雄也と優花、その光景を近くから音姫は小さく微笑んだ。

 

雄也「さてと、そろそろ司令室の様子を見に行くか」

 

先程とうってかわり優花を撫でていた手をどかし立ち上がって司令室へと入っていく雄也。

 

そのあとを優花と音姫もついていき司令室に入ると、司令室は既にもの気のから…既に全員が逃げ出した後であった。

 

雄也「逃げ足だけは達者だな…さてと…司令室は無力化できたわけだし、後は2度と使えないようにぶっ壊すか」

 

此処で破壊し局員が戻ってしたとても使えないようにしようと雄也はアークで設備に攻撃を仕掛けようとしたときまだ土煙が舞う、煙の中から石の矢が飛び出してくる。

 

優花「お兄ちゃん!」

 

雄也「っ!!」

 

石の矢に気づいた優花が叫び、雄也も石の矢に反応してアークで切り落とし、石の矢が来た方向に目を向けた。

 

雄也「全く、まだ戦えるだけの気力が残ってたとはな」

 

土煙が晴れると中からバリアジャケットがボロボロで息を上がりきっている、先程とは見違えるほどの姿をしたゴーレムクイーン、エスミが現れる。

 

エスミ「まだ…負けて…いません…わ!」

 

雄也「そんなボロボロな状態で何ができる、下手をすれば命を落とすぞ」

 

既に満身創痍の体であるエスミに慈悲ともいえる、警告をする雄也、それてもなお、エスミの闘志は潰えていない。

 

エスミ「しかた…ありませんわ…こうなれば…あれを…使う!」

 

ボロボロな体でエスミは通常より一回りも大きい魔法陣が体の回りに展開されエスミは魔法の影響で宙に浮かぶ。

 

エスミ「ゴーレムクリエイト…アームドォっ!!!あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」

 

魔法名を告げ、その直後大声で叫び出すと魔法陣からゴーレムの生成する岩石が飛び出てきてそれはエスミの周りを飛び回り次第に岩石はエスミ自体を包み込み、その形は大きく…更に大きく巨大化していく。

 

音姫「これって!」

 

雄也「本当に…奥の手ってわけか!」

 

この光景をみて息を飲む雄也そして飛び回る岩石がなくなるとエスミがいたそこには体長6メートル鉄巨人にも並ぶ体長で巨大な腕を組んだ大型のゴーレムが姿を表した。

 

エスミ「ユウヤ・ツキミヤ!これで終わらしてあげますわぁ!!」

 

ゴーレムの赤い目が光、腕組んでいた腕を構え、雄也たちも戦闘になるためデバイスを構え直した

 

エスミ「はああぁぁっ!!」

 

ゴーレムと化したエスミ…エスミゴーレムは組んでいた腕を解いて右腕をストレートで繰り出され、雄也達は防御しても無意味だということは直ぐにわかり回避行動をとり、雄也達がいた場所はエスミゴーレムの攻撃により床が沈む。

 

音姫「きゃっ!」

 

雄也「うおっ!?」

 

回避したが右ストレートによる、風圧て少々体勢を崩してしまったが直ぐに持ち直した。

 

エスミ「逃がしませんわぁ!!」

 

エスミゴーレムが走る雄也を追うように体を雄也達に向け、エスミゴーレムの赤い瞳が赤く光。

 

雄也「なんか、やばい!?」

 

雄也は何か嫌なものを察知して音姫を脇にかかえて、足を踏み込んでスピードをあげるとその直後雄也の後ろにエスミゴーレムの

目から出たビームにより、爆発が起きる。

 

優花「お兄ちゃん!このぉ!」

 

反対側に逃げていた優花が雄也の光景を見て、オスカーをガトリング形態でエスミゴーレムに向けて魔力弾を発砲するが岩石で身を守っているエスミゴーレムにはびくともせず、発砲に反応して頭が優花の方に向き、嫌な予感がした優花は即座にその場から移動し、もといた場所は優花の予想通りビームが着弾する。

 

エスミ「そこですわぁ!」

 

優花「っ!きゃっ!」

 

移動する優花にエスミゴーレムは左腕で吹き飛ばそうと優花に左腕を迫らせ、反応が遅れた優花はオスカー盾に防御はできたがエスミゴーレムの攻撃により体は宙を浮き壁に激突する。

 

優花「っ!かはぁっ!」

 

エスミ「まず…ひとりぃ!!」

 

壁に激突して動きが鈍った優花を仕留めるチャンスとエスミは即座に右ストレートを飛ばす。

 

雄也「やらせるかぁ!!」

 

雄也は優花のピンチに動きエスミゴーレムの右腕が優花に当たる前に間に入りセイクリッドスラッシュで右腕を砕くと直ぐ様に優花を担ぐ。

 

音姫「雄也くん!早く!」

 

雄也が優花を担いでいるうちに音姫は先程入ってきた扉の前におり、雄也もエスミゴーレムを警戒しながら扉まで急ぎ、三人は合流すると直ぐ様で部屋から脱出した。

 

雄也「此処は逃げよう!司令室はもう使い物にならないしあそこにいる意味もない!」

 

そういって部屋からでた雄也達は持てる全速力で部屋から離れていく。

 

雄也(それに、あんなにでかいんだ、鉄巨人と同じで足も遅いはず…)

 

雄也は心からそう思っているが…そういうのはフラグと相場が決まっている。

 

エスミ「逃がしませんわぁぁっ!!」

 

そう背後からエスミゴーレムの雄叫びが通路を響き渡りすると出てきた扉、というより、壁をぶち壊して雄也達に迫ってくる。

 

雄也「なんでゴーレムにブースターなんてついてるんだよ!!」

 

背部の上半身のところからブースターらしきものが転載されたことによりゴーレムの弱点だと思っていたがそれを覆すことに雄也は焦りの色を濃くした。

 

局員「っ!居たぞ!ユウヤ・ツキミヤだ!」

 

徐々に距離が縮んでいくなか、ここに来て雄也の行く手に局員達が遮る。

 

雄也「くそ!こんなときに!」

 

うしろから迫る脅威を振り撒くには局員をどうにかしなければならなくなったことで状況は次第に悪化していく。

 

エスミ「これで死ねぇぇぇぇっ!!」

 

雄也の背後にいるエスミゴーレムが右腕を突きだして手首部分が回転を開始する。

 

優花「明らか、嫌な予感しかしないんだけど!」

 

雄也「…仕方ない、音姉ちょっとごめん!」

 

音姫「ちょっ雄也くん!?」

 

雄也は意を決してアークを待機状態に戻すと手が空いた腕で音姫を持ち上げて魔力を全て身体強化とバリアジャケットに回して局員が放つ魔力弾を紙一重に避けていく。

 

音姫「きゃあぁぁぁぁぁっ!!!」

 

エスミ「潰れろぉぉぉぉぉっ!!」

 

そして背後ではエスミゴーレムが右手首から先の手が雄也目掛けて回転しながら発射される。

優花「やばいよ!お兄ちゃん!」

 

優花も迫る岩拳に危機間を覚えるなか雄也は局員の目の前に到着する。

 

雄也「お前らも直ぐに左右に避けろよ!」

 

そういって雄也は右の道に入り、次の瞬間エスミゴーレムの岩拳が局員達を押し潰し断末魔を響かせた。

 

雄也「敵味方なしかよ!」

 

完全にぶちギレているエスミゴーレムを見ながも、雄也は急いでゴーレムとの距離を離れていく。

 

そして直ぐに雄也が曲がった角にエスミゴーレムが到達して飛ばした岩拳は直ぐに代りの新しい腕に再生された。

 

エスミ「どこにいった!?絶対に逃がしませんわぁ!!」

 

そういってエスミゴーレムは見失った雄也達を探し回るのであった。

 

雄也「はぁ…はぁ…ここまで来れば…一段落できるか…」

 

なんとかエスミゴーレムを撒くことに成功し、近くの倉庫に身を潜めていた。

 

現在の雄也達の状況というと満身創痍、ゴーレムの腕から出るために自らの魔法を受けた雄也にエスミゴーレムの一撃を受けた優花。

 

そのうえ、ここまで来るまで蓄積された疲労もあり長期戦など消耗戦に持ち込まれると疲弊している雄也達には不利な状況になるのは目に見えてた。

 

雄也「あのゴーレムクイーンをどうするか…」

 

恐らく通路で雄也達を捜索しているであろうエスミゴーレムをどうするか、それに頭を悩ませていた。

 

優花「問題はあの速度と耐久度だね、それに小回りも何となく効きそうな気がする」

 

雄也(欠点だった操作人数は無くなり、あの力…本当どうしたものか…)

 

戦ってわかったことを整理しているとふと優花が口を開けこう言う。

 

優花「倒す必要もないからスルーするっていうのはありかな?」

 

倒すのが難しいなら倒さず他の目的に向かうという方法を話す優花であるが雄也と音姫は簡単に頷かなかった。 雄也「それは簡単にはできないだろう、下手をすればその事を知らない悠里達がゴーレムクイーンと遭遇してしまうリスクがある…」

 

高機動、高耐久、仲間の中で1番の雄也ですから打つ手なしと完全にお手上げ状態で他のみんなの遭遇するリスクを考えやり過ごすことも簡単にはできない状況、攻めても逃げて問題がある板挟みの状況に三人は頭を悩ました。

 

音姫「ねえ、雄也君、雄也君が持ってる技であのゴーレムにダメージが与えられそうな攻撃ないの?」

 

音姫は雄也にまださらしていない、強力な必殺技がないかと訪ねると雄也は顔を俯かせる。

 

雄也「あることにはあるが…溜めるのに時間がかかるしもしかしたら基地じたい崩壊する恐れもあるから…さすがに…」

 

と、あるがこの場所では使えないと音姫に告げると音姫は少し考えて、考えたことを口にする。

 

音姫「ねえ、それじゃあ…」

 

音姫はことの方法を雄也たちに教え、雄也も納得した表情で頷く。

 

雄也「なるほどな…一か八か…相当な賭けになるな、その音姉のいった方法がうまくいって倒すことが出来れば成功、倒せなかったら…それが最後…」

 

優花「どっちみち、私達がやらないといけないし、お兄ちゃんはこの近くにいて、この近くまであいつを誘導するから」

 

雄也「優花一人であいつをおびき寄せるつもりか!?いくら何でもリスクが!?」

 

「わかってるよ、けどお兄ちゃんは体力を温存しないといけないし、それで残ってるのは私だけでしょ?だったらやる…それにちょっとあいつに通用しそうな方法もあるから」 任せてと、頼もしい表情で優花は魔法陣を展開し服装が変化する。

 

ベージュ色のベストに白い半袖のシャツ、紺色のスカートと正にどこかの学生の制服を思わせる服装に早替わりした。

 

優花「…上手く…いったかな?」

 

雄也「バリアジャケット…っていうか、さっきまでつけてなかったのか!?」

 

今の今まで普通の服装で戦闘していたことに驚く雄也に対して優花はキョトンとした表情で首をかしげる。

 

優花「そうだけど…だってつけるの初めてだし」

 

知らなかったから当然と言わんばかりの優花の発言に雄也は頭に手を置いてため息をつく。

 

雄也(なんというか、二重ですごいな…)

 

雄也は優花が魔導士としての知識のなさとあのゴーレムの一撃を受けて立ち上がる力が残っているという意味で驚く。

 

優花「それじゃあ行って来るね」

 

意を決してオスカーを片手で持ち倉庫から出て行く優花。

 

その背を雄也達は見届けると雄也も痛む身体を起こす。

 

雄也「俺もそろそろ行くか…分の悪い賭けだけやるしかない…っ!」

 

音姫が告げた方法が倒すことが出来るかそれはやってみなければわからない、一発逆転の賭けが今始まろうとしていた。

 

優花「多分…このあたりだと思うんだけど…」

 

倉庫で雄也達と別れた優花は来た道を戻りエスミゴーレムを捜索していた。

 

ここまで来る行く手は遮る魔導士は誰一人おらず、全員、獲物を狩るために周囲を暴れているエスミゴーレムの性で逃げ出していた。

 

優花「…っ!来たみたい」

 

優花の耳にズシンズシンと重い足音が聞き取れ聞き取った方向を向くと、優花との間はまだ距離があるが直線の通路の奥からエスミゴーレムがおり、ゴーレムの赤い瞳が優花をとらえた。

 

エスミ「見つけ…ましたわっ!!!」

 

獲物が見つかったよろこびから一直線に背部のブースターを使ってエスミに突貫してくる。

 

優花「本当、仕事熱心…ねっ!」

 

ボロボロな身体になり、切り札のゴーレムクリエートアームドを使い、味方を巻き込もうと侵入者を潰そうとする執着心からそんな言葉を漏らす優花は迫り来るエスミゴーレムにオスカーのガトリングの砲身を向け弾丸を発射される。

 

本来オスカーのガトリングは命中精度から中距離の武装だが、今回の…エスミゴーレムは的がでかいために離れていようと数多くの弾がエスミゴーレムに直撃する。

 

しかし、岩石の身体を持つエスミゴーレムは優花の放つ球を物ともせず直進し続ける。

 

優花「こいつ相手だと豆鉄砲じゃない!」

エスミ「そんなもの…っ!しねぇぇぇぇぇっ!!」

 

ブースターで急接近したエスミゴーレムは優花の目の前に辿りつくとすぐにその豪腕の岩石の拳を優花めがけて振り落とす。

 

優花「っ!!」

 

振り落とされる直前で優花は射撃をやめて、横に飛んで、エスミゴーレムの攻撃を避け、前転で受け身をとった後すぐさま、攻撃の姿勢に入り、またガトリングを放つ。

 

今度は近距離であるためにある程度、場所を絞って狙えるためにエスミゴーレムの頭部を狙ってガトリングを放つ。

 

優花(どこかに、弱点があるはずっ!)

 

至る所硬いエスミゴーレムだが、弱点がないかと自分で実践して模索する。優花、頭を狙ったのも、ほかとは違い赤い瞳があるのと頭を狙えば怯むかもという考えで至った結果である。

 

エスミ「そんなものにくらうかぁぁぁっ!!」

 

頭部に弾の雨を受けているのに関わらず拳を振るうのを見て、無駄だと判断して回避に専念する。

 

優花(これは予定通り、こいつを誘導するしかないか)

 

なにか、倒せる方法はないかとそんな甘い考えで試していた優花は回避優先で徐々に後退していく。

 

エスミ「っ!逃げすかぁぁっ!!」

 

優花が後退しているのを見て逃げると思ったエスミゴーレムがブースターを吹かせて優花を追いかけていく。

 

途中、少々ではあるが優花が攻撃を繰り出しはするが効果は全くなく、エスミゴーレムからの逃走を続ける。

 

優花「もうすぐ、予定ポイントっ!」

 

優花(結局、試すことは出来なかったけど…後はお兄ちゃんに…)

 

予定ポイントに行けば計画通りと通路を走る優花に突如通路の両端から岩石の腕が現れ優花を両手で摑み下半身の身動きを取れなくする。

 

優花「これって!お兄ちゃんが捕まった!」

 

エスミ「漸く…捕まえ…ましたわぁ…」

 

そして優花が逃げてきた方向からゆっくりとエスミゴーレムがやってきて優花の目の前に止まる。

 

エスミ「この、私が何もしていないと思いましたか?少々、手をこまねいてしまいましたが…」

 

優花(お兄ちゃんはまだ来てない…多少予定よりずれてるけど来るとは思うけど……一か八かここで試すか)

 

「ここですり潰してさしあげますわぁぁぁぁっ!!」

 

身動きの取れない優花に息の手を止めようとエスミゴーレムの右拳が迫り来る中、優花は無理に身体を曲げてオスカーの変形機構を動かす。

 

「っ…っ!」

 

無理に動かすことで激痛が走る中でも耐えて束を思いっきり引っ張りオスカーの捕食モードが発動する。

 

エスミ「なっ!?」

 

優花「いっけぇぇぇっ!!」

 

捕食モードになったオスカーは頭身が生き物のように伸びていき大きな口を開けエスミゴーレムの右肩の関節部を喰らう。

 

エスミ「ば、バカなぁ!」

 

エスミゴーレムの悲鳴とともにオスカーがエスミゴーレムを噛み砕き、右肩から先の腕は地面に自由落下で落ちる。

 

優花「やっぱり思った通り、あんたのそれは言わば魔力の鎧…やっぱりこれは有効だった」

 

優花の思いついた方法それはエスミゴーレムを捕食すること。

 

あのエスミが作ったゴーレムは魔力によって作られた産物、それの応用のゴーレムクリエートアームドも同様、ならばオスカーの捕食なら通用するのではないか?と優花は思い立ったのである。

 

エスミ「な、何をしたのかは知りませんが…まだ左手が!」

 

「いいや!充分だ!!」

 

右腕は失ったが左腕は未だ健在、今度こそ優花にとどめを刺そうとしたエスミゴーレムに第三者の男の声が響く。

 

雄也「右肩を落とすなんて、これでやりやすくなった!ありがとよ!優花!」

 

優花「お兄ちゃん!うん!」

 

雄也「優花は頑張った…次は俺の番だ!!」

 

登場とした雄也は片腕を失ったエスミゴーレム目がけてアークを持って駆け出す。

 

エスミ「無駄ですわ!私を倒そうものならブレイカーを放つ以外あなたに私のこれを打ち破る方法など…」

 

雄也「なら、試してやるよ!!」

 

そういってルミナスアークに光を纏わせる。

 

雄也「やるぜ……サンダー!」

 

雄也が持つルミナスアークは光を纏うと同時に紫の雷纏う。

 

エスミ「っ!?古代魔法を自らのデバイスに!?」

 

雄也(音姉の言ったとおりだ)

 

今起きていることにエスミゴーレムは驚き、雄也も倉庫で音姫が語った方法に頬にやつける。

 

雄也(古代魔法をアークに付与できないか、本当やったことなかったから出来るか心配だったがやってみるもんだな!)

 

音姫が語った古代魔法のエンチャント、そして光をアークに纏わせていることで威力はさらに増大することに成功した。

 

エスミ「す、すぐに防御を!」

 

あれはやばい、エスミゴーレムもそう感じ取り残った左腕で防御態勢を取ろうとするのを身動きが取れない優花は見逃さなかった。

 

優花「やらせない!あんたから喰らった魔力に全部一発で返すわぁ!」

 

捕食モードからガトリングに戻ったオスカーをエスミゴーレムの左腕目がけて構え、銃口に濃密に圧縮された魔力弾を放つ。

 

魔力弾は左腕をいとも簡単に破壊しこれより、エスミゴーレムは防ぐすべをなくした。

 

エスミ「…っ!!」

 

雄也「うおぉぉぉぉぉぉっ!!聖破!雷光斬!!」

 

雄也の叫びと共にルミナスアークは振るわれそれは今まで弾いていたエスミゴーレムの胸部をいとも簡単に切り裂いた。

 

エスミ「そん…なぁ…わたくし…の最強…魔法…が」

 

切り裂いた間からゴーレムの中に入ったエスミの本体が露出する。

 

「これで…終わりだぁぁ!!」

 

再度、切り返して同じところを…エスミ本体を切り裂いた。

 

エスミ「あぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!?!?!」

 

エスミの断末魔とともに、纏っていたゴーレムは崩れていき切り裂かれたエスミは吹き飛ばされ壁に激突。そして力なく、その場で倒れ込んだ。

優花「あっ」

 

エスミが倒されたことで優花の拘束がとけ、自由になるとすぐに雄也の元に駆け寄る。

 

優花「お兄ちゃん!……エスミをやったの?」

 

雄也「いいや、死んでない、あの技は魔力が多いしな、でも時間がたたないと身動きも取れないさ」

 

優花「そう…なんだ」

 

音姫「雄也くん!優花ちゃん!」

 

エスミが死んでいないことを確認すると後ろから音姫のこえがきこえてきてふたりは振り向くと音姫がふたりの元に走ってきて二人に抱きつく。

 

音姫「よかった…もしかして死んじゃうかもって…」

 

雄也「おいおい、こんなところで死ねるかって…」

 

音姫「でも、今度は物凄く強かったし……」

 

雄也「うん、音姉の心配もわかるよ、けど、俺たちは生きてる誰一人死んでない……」

 

音姫「……うん」

 

二人の話が進む中やや、蚊帳の外になった優花が口を開く。

 

優花「二人の空間、ごめんだけど、これからどうするの?」

 

雄也「え?ああ、これからな……司令室はぶっ潰したし……次は結界かノンパンデミックだが……なんか、そっちはあいつらに任せていいような気がするんだ」

 

音姫「あいつらって……若狭さんたちのこと?」

 

雄也「ああ、なんかなんとなくだけど……だから、俺達は一足先にあいつのところに行く」

 

優花「あいつってムキラスのところ?」

 

雄也「ああ、個人的にあいつとはけりをつけないといけないしな……」

 

音姫「……そうだね、それじゃあ行こう、逃げられると厄介だし」

 

雄也達の次なる目的を決めて動き出す3人。

 

雄也(悠里、圭……勝てよ)

 

今も戦っているであろう悠里達に心の中で応援しながら雄也達は地上につながるルートを捜索を始めるのであった。

 



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chapter60

時はさかのぼること、雄也がエスミを司令室に吹っ飛ばした時まで遡る。

 

結界発生装置を発見し破壊しようとする悠里と圭、美紀はAランク魔導士ヴィトンと戦闘の火蓋が切って落とされていた。

 

戦況は余りにも悠里達の一方的な劣勢である。

 

場数の差もあることながら問題となっているのは弾数であった。

 

ヴィトンは魔力で生成された矢であり尽きない限り無限に受ける。

 

それに対し悠里と圭は弓と銃、それに使う矢と弾も有限のために、数は多いに関わらず、劣勢となっていた。

 

悠里「はぁ…はぁ…」

 

悠里(強い、やっぱり攻撃が簡単に防がれちゃう…)

 

悠里は大型のコンテナを背にしながらヴィトンのことを考える。

 

悠里(どっちにしても時間をかけてもこっちがもっと不利になる…矢ももう十本もない)

 

背部の腰に携えている矢を悠里は手の感触で数え既に矢筒の中の矢も残り少ないのを悟る。

 

悠里「圭さんと上手く連携を取らないと」

 

悠里は余り音を当てずに動き出そうとした矢先、突如と真上から魔力の矢が何本も降り注がれてくる。

 

悠里「っ!」

 

降り注がれた瞬間矢に気づき前に飛び込み前転で矢を回避し、周囲を警戒する悠里に、仕掛けたヴィトンは悠々と悠里の前に現れる。

 

ヴィトン「よく、さっきの攻撃を避けられたものだ」

 

悠里「生憎、敵に褒められてうれしくないわ!」

 

ヴィトンは先ほど仕掛けた攻撃を避けたことを余裕な表情で賞賛するも対して悠里はそのような余裕はない悠里は目の前に出てきたことを好機とみて数少ない矢を魔力でコーティングして放つ。

 

放たれた悠里の矢は放たれたのを見てクスリと笑うヴィトンの弓形のデバイスから放たれた矢により相殺される。

 

ヴィトン「まだ、足掻くようだね、だがいつまでもつか…」

 

弓形デバイス[マイロード、ここはすぐに撃破すべきと推奨します]

 

徐々に追いつめられる悠里を見て楽しそうに頰浮かべるヴィトンに持っているデバイスが悠里を速攻で倒すことを助言する。

 

ヴィトン「それでは楽しくないではないか…せっかくだ、楽しまねば…そんだろう?」

 

悠里(完全に弄ばれてる…でもあいつにどうやって…)

 

どうすべきか模索する悠里、そんな状況にこちらに近づく足跡を響く。

 

ヴィトン「…ん?」

 

圭「たあぁぁぁぁぁっ!!!」

 

驚異的な身体能力でコンテナの上からやってきた圭がヴィトンの真上でライフルをヴィトンに構え、射撃する。

 

ヴィトン「あれは、当たると痛いだろうな」

 

そういって、圭にむけて左手を伸ばしシールドをはり、弾丸を弾き防ぐ。

 

数秒間、放たれた弾丸が弾く状況が続くが圭のライフルの弾切れでこの膠着が終わるとヴィトンはすぐさまデバイスを圭に向ける。

 

悠里「圭さん!避けて!」

 

デバイスが圭に向けられたことで悠里は避けることを叫ぶが圭は今現在空中既に格好の的であった。

 

叫びもむなしくヴィトンの魔力の矢が放たれる。

 

圭「…くっ!」

 

圭も迫り来る矢を何とかしようと体をひねらせる。

 

そして矢は圭のライフルを撃ち抜きそのまま圭の脇腹を掠める。

 

体をひねらせていたことでなんとか直撃を避けることを成功した。

 

圭「いっ!…先輩!目をつぶって!」

 

圭は脇腹を掠めたことで痛みを耐えながらも身につけていた閃光弾の安全ピンを抜きヴィトン目がけて投擲する。

 

投げられたことに気づきすぐに目をつぶる悠里、それからすぐに閃光弾が弾け部屋が閃光に覆われる。

 

ヴィトン「うっ!!目がぁ!」

 

目を開いていたヴィトンは閃光弾により、視界を奪われるなか、圭は空中から地上に落下し、地面に着くときに上手く受け身して衝撃を受け流す。

 

悠里「圭さん、大丈夫!?」

 

圭「なんとか、急いで離れましょう!」

 

悠里「そうね」

 

ヴィトン「っ!逃がしはしない!」

 

この場から離脱しようとする悠里達に目眩まししたヴィトンはあろうことか悠里達目がけてデバイスを向ける。

 

悠里「嘘!?きいてない!?」

 

弓形デバイス[距離二十メートル、包囲、角度問題なし]

 

圭「っ!あのデバイスか!」

 

何故ここまで正確に捉えることができるか悠里は疑問に思ったがそれはヴィトンのデバイスの仕業だと圭が理解して叫ぶ。

 

そしてヴィトンの魔力の矢が放たれその矢は悠里の左肩を射抜く。

 

悠里「あっぐっ!」

 

圭「先輩!?」

 

悠里「だ、大丈夫…それより、すぐにここから」

 

圭「は、はい」

 

圭は悠里の射抜かれた肩を気にしつつ、ベレッタでヴィトンを目がけて射撃、だが、それはヴィトンのシールドに防がれる。だがこれで攻撃に転じられない、この瞬間を使ってこの場から離れて行くのであった。

 

ヴィトンから辛くも撤退し、交戦した場所から離れたところで、圭達は気を休ませていた。

 

悠里「くっ!」

 

圭「先輩!早く止血しないと」

 

美紀「仕方ない」

 

止まらない血を何とかしようとする圭だが先に美紀が自身の制服を袖を破りそれを布がわりに傷元に巻きつける。

 

悠里「あ、ありがとう…美紀さん」

 

美紀「いえ、当然のことをしただけです」

 

悠里の止血を完了し3人はヴィトンとの交戦して冷静に相手のことを考える。

 

悠里「……圭さん、あのヴィトンと戦って何か思ったことある?」

 

圭「率直に言って強いです、二人がかりで中々攻めきれない……」

 

悠里「そうよね、やっぱり正攻法じゃ無理よね」

 

まともに戦って勝つことは難しいのは先ほどの一戦交えたことで身にしみた、悠里達

 

そのため勝つためにはヴィトンを欺く作戦がなくてはならない。

 

それを考える中でもタイムリミットは迫ってきていた。

 

ヴィトン「さて、逃げたのはこっちのはずだがな…」

 

悠里「っ!!!?」

 

コツコツとこちらに近づく足音と敵であるヴィトンの声を聞き取り、悠里達は急いで息を潜める。

 

圭「不味いです。このままでは見つかって…」

 

小さい声で焦りをながら悠里に話しかける圭に悠里はどうすればと頭を働かせる。

 

美紀「圭…悠里先輩、私も何か手伝えるのなら、手伝います」

 

圭「美紀……」

 

悠里「……ねえ、美紀さん」

 

美紀「悠里先輩?」

 

悠里「それじゃあ、お言葉に甘えて一肌脱いでもらおうかしら」

 

何か作戦を思いついた悠里は美紀達を見てニヤリと微笑んだ。

 

ヴィトン「何処へ逃げた…恐らくこっちなはずだが」

 

圭が投げた閃光弾により悠里達を逃したヴィトンは悠里達が逃げるときに聞こえた足の音から方向を割り出し余裕の表情で獲物たちを探し出す。

 

ヴィトン「…ふむ?…あれは…」

 

入念に回りを捜索しているヴィトンはコンテナの角にある物をとらえた。

 

それは悠里達が着ている巡ヶ丘の制服の袖先がコンテナ端からヴィトンに見えてしまっていた。

 

「漸く見つけた」

 

ニヤリと獲物を捕らえたヴィトンは忍び足で接近していき、踏み込める距離までコンテナの角からいっきに踏み込んで弓形デバイスを構えた。

 

だがヴィトンの目先には人は誰も居らずあったのはヴィトンが視認していた誰も着ていない上半身の制服だけだった

 

「い、いない!?」

 

いると確信して構えていたヴィトンはいないことに驚きたじろぐ、その直後コンテナの上からナイフとベレッタを手に持つ圭がヴィトン目掛けてナイフを振るわれる。

 

圭「たあぁぁぁぁっ!!」

 

横切り、切り返しとまだ不慣れなナイフ捌きで近接戦を行うが決定打という一撃はヴィトンに与えられない。

 

圭「やっぱり、一筋縄じゃいかないか…けど!」

 

圭の後ろから何かが放たれそれが合図に圭は横に飛ぶと先ほどまで圭がいた後ろから悠里が全身全霊をこめた矢がヴィトンのデバイスを弾き飛ばす。

 

ヴィトン「な、に!?」

 

ヴィトンがデバイスを弾き飛ばされたことに驚くなか圭はベレッタを丸腰のヴィトンに突き付けていつでも撃てる体制を整える。

 

圭「形勢逆転、私達の勝ちだよ」

 

 

 



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chapter61

文字数い、一万越え…なげえ…


悠里達の作戦は実に簡単だ。

 

既にヴィトンがこちらに来ているのは足音や声で分かっていたことなのでわざと気付いていないふりをする。

 

更にあちらに気付かれるために美紀の上の制服を囮にしてヴィトンを待ち伏せポイントに誘導する。

 

誘導に成功した瞬間コンテナの上に身を隠している圭とコンテナの角にいる悠里が飛び出てヴィトンに奇襲を掛けて無力化する。

 

これが悠里が考えた秘策である。

 

悠里「やったわね、圭さん…」

 

圭「本当ですね、奇襲の一撃目が避けられたときは冷や冷やしましたけど」

 

先程の接近戦での緊迫感を苦笑いで伝える圭、そして2人に続いて美紀がやってくる

 

美紀の姿は先程とは違い来ていた上半身の制服は囮に使っているために今上半身は下着だけになっている。

 

美紀「圭!悠里先輩!は、早く私の服返してください!」

 

悠里「あら?ありがとうね美紀さんおかげで助かったわ」

 

上が下着だけのために顔を赤らめる美紀に悠里は微笑みながら落ちている服を渡す。

 

美紀「で、でもどうしてこんな方法しかなかったんですか!?」

 

圭「でも、悠里先輩、美紀に一肌抜いてくれって…言ってたでしょ?」

 

美紀「そういう直球の意味だとは思わなかったの!」

 

赤らながら自分の言い分を悠里達に言う

 

そんな中、銃を突き付けられている、ヴィトンは苦い顔ひとつせず、それどころか余裕の表情を見せていた。

 

圭「?どうして、そんなに余裕なんですか?」

 

彼の表情に気づいた圭がヴィトンに問いかける。

 

ヴィトン「何、随分余裕だなとおもっただけだよ」

 

悠里「…さてと、これであなたは終わりよ大人しく…」

 

ヴィトン「終わりだって?くくく、随分舐められたものだな」

 

そう笑いながら悠里に返答を返す。

 

悠里「もう、あのデバイスは手元にない、あなたに、戦うすべはないわ」

 

完全に武器のないヴィトンに抗う術など無いはずと、思う、悠里であったがどうしてもあの余裕な表情が気が気でなかった。

 

それで、ふと、悠里はランダルに突入前の話を思い出す。

 

悠里(確か、この人はデバイスコレクターと呼ばれてたはず…その由来は無類のデバイスマニア、けどそれだけなの?)

 

(何か他に由来の理由があるとか…)

 

そういって、悠里は改めてヴィトンの姿を見る。

 

バリアジャケット等は特に目立った奇妙なものはなく。さしていえばつけている『指輪などの装飾品』が多い。

 

悠里(え?装飾品?)

 

この一つの特徴に悠里は彼の二つ名や、デバイスのことを考えて一つの考えたくもない結論にいたってしまい。直ぐさまこのことを叫ぶ。

 

悠里「圭さん!気をつけて!もしかしたらまだデバイスを!」

 

そう叫ぶが結論にいたるのが遅かった。

 

ヴィトンはつけている指輪が光、片手剣に変わる。

 

圭「っ!!」

 

突如武器を出現に驚いて後ろに後退しようとしたが驚いたことで反応も遅れヴィトンの振るわれた剣により、圭の体に浅くだが切りつけられる。

 

圭「あぐっ!」

 

美紀「圭!?」

 

圭が切りつけられたことに美紀は悲鳴を上げ、痛みをこらえながらも後退した圭は地面に膝をつける。

 

ヴィトン「ほう、どうやら、気付いたようだが一足遅かったようだな」

 

悠里「デバイスコレクター、てっきり、マッドなデバイス好きの収集家と、思ってたけど…本当は…」

 

悠里「複数のデバイスを操りこなす…それがあなたなのね!」

 

複数のデバイスを巧みに扱うヴィトン、戦いは未だ終わらない。

 

SIDE雄也

 

ゴーレムクイーンの異名を持つエスミを撃破した俺達は地上に上がるためにエレベーターを探した。

 

それは数分もしないうちに発見したのだが電源が落ちているためか何度もボタンを押してもエレベーターは起動する素振りを見せない。

 

優花「動かないね…どうするの?」

 

そう優花に訪ねられて俺はまずエレベーターの扉を強引にこじ開けエレベーター内に入ると天井の板を動かし、そしてよじ登ると非常用のはしごを確認する。

 

雄也「よし、行けるな、音姉、優花、ここから上がれる、上から引き上げるから上ってきてくれ」

 

そういうと、2人は頷いて俺の手も借りてエレベーターの上にのぼると、直ぐに、はしごに手を掛けて地上まで上がっていくのであった。

 

悠里SIDE

 

悠里「はぁはぁ…どうすれば…」

 

完全に勝ったと思っていた矢先、ヴィトンは新たなデバイスを起動させて再び牙を向けた。

 

その結果まともに戦える圭さんが負傷…情勢は一気に劣勢になったと言って良い。

 

ヴィトン「そらそらそらぁ!」

 

右手に剣、左手に槍と先程とは全く違う近接戦を持ち込まれて反撃ができないわたし。

 

現在美紀さんが圭さんを連れて離れているがそれぐらいの時間は稼がないと!

 

悠里(でも反撃の間がない!)

 

絶妙な間合いで遠距離の弓を私に攻撃させまいと連続で切り突きと繰り出し、彼の目論見通り、わたしは攻撃できず、回避に専念するほかなかった。

 

悠里「あっ!ぐっ!?」

 

繰り出された槍が私の脇腹を掠め体が痛みにより悲鳴を上げ、体の動きが鈍る。

 

その隙を見逃さずヴィトンは間合いを詰めて右手に持つ剣で斬り殺そうと振るわれた。

 

悠里「ら、ラウンドシールド!!」

 

咄嗟にゆうくんから少し教わったうちの一つラウンドシールドを使いヴィトンの剣を防ぎ鍔迫り合いが起きる。

 

悠里「うっ!くっっ!!」

 

ラウンドシールドに力を精一杯注ぎ込み防ごうと試みる。

 

しかし、ヴィトンは左手の槍をシールドにぶつけると先端が徐々に貫通し始める。

 

ヴィトン「ふふ、ここまでよく粘ったものだ……だが……」

 

槍の先端が左右にスライドし先端の間所に魔力が充填されていく。

 

悠里「まさっ!?」

 

嫌な予感しかしない、直ぐに回避しなければ!

 

ヴィトン「終わりだ」

 

槍から放たれた砲撃は避けるまもなく私を包み全身に激痛が迸り、何メートルか後方に吹き飛ばされた。

 

悠里「……っ……っ!」

 

声も出ないくらいに全身が痛い……このままじゃ……

 

ヴィトン「仕留めそこねたか……だが、今度こそ!」

 

そう言って槍を私に向けまた同じように砲撃を放とうと射撃体制に入る。

 

必死に避けようと体を動かすとわたしの目にある物が視界に入る。

 

悠里「や、やめな…さい」

 

ヴィトン「命乞いかい?答えは分かっているだろ?」

 

バカなことをと見下すヴィトン、わたしはそんな彼に見えるようにある物を動かしたり手で掴み彼とわたしの前に出す。

 

私と彼の前に出したのは弓形のデバイス

 

これはヴィトンが最初に使っていたデバイス、あの時圭さんが打ち落としてそのままだったのだろう。

 

いまはこの可能性にかけるしかない。

 

悠里「このまま…撃てば……」

 

自身のデバイスも巻き込むと言い切る前にヴィトンは構えを解くどころか更に狙いを定めていることに気がつく。

 

悠里「っ!!」

 

嫌な予感が私に過ぎり今の精一杯の力で横にとびこむと彼は砲撃を放った。

 

なんとか避けることができたが彼は自身のデバイスを無視して放ったことに私は声を荒げて口を開いた。

 

悠里「あなた!自分のデバイスまで殺す気!?」

 

ヴィトン「ああ、そのことか物を、一々気にしていては面倒だろ?それに…今回、功績を残せばあの暗黒騎士のデバイスが手に入るんだ…デバイス一つと引き替えなら安いものさ」

 

悠里「なっ!?そんな身勝手な……理由で……」

 

ヴィトン「デバイスは所詮主に振るわれるべきして作られた兵器「違う!!」」

 

デバイスは兵器そう主張する彼に私は彼の言葉を遮って否定した。

 

悠里「デバイスは兵器じゃない!戦う道具として生まれたのかもしれないけど…ゆうくんは共に戦ってくれる相棒だってそう言っていたわ!」

 

ヴィトン「相棒?」

 

悠里「そうよ!共に語り合い共に悩み…ゆうくんはアークのことを兵器だなんて一度も口にしなかったわ!私もそうよ!デバイスを持ってるゆうくんや優花ちゃん、胡桃を見ればわかるもの!そんなこともわからない人にデバイスコレクターなんていう名前私は認めない!」

 

わたしは倒れているが堂々と彼の主張を否定し彼の顔はまさにおもしろくないという顔を向けてくる。

 

ヴィトン「まあ、今度こそ終わりだ、潔く絶望しながら死にたまえ!」

 

また同じように砲撃を撃つつもりだ!けど体が上手く動かない…!

 

必死に体を動かそうと抗っているとわたしの目の前にどこからか投げられた投擲物、その瞬間投擲物から煙が勢いよく噴き出す。

 

ヴィトン「むっ!?またしても!!」

 

悠里「これ…スモークグレネード?」

 

煙のせいで何も見えない…が後ろから足音が聞こえてきてその足音の人物がわたしの腕を引っ張る。

 

美紀「悠里先輩大丈夫ですか?今のうちに!」

 

悠里「その声…美紀さん!?」 

 

美紀さんがいるなんて思ってもなかったけど…美紀さんの言うとおり今はそれどころじゃない

 

私は何とか立ち上がり美紀さんに引っ張られて煙の中を移動していった。

 

ヴィトン「またしても逃げられた…だが次こそが最後だ」

 

悠里「はぁ…はぁ、はぁ」

 

美紀「なんとか…撒けました」

 

美紀さんのスモークグレネードのお陰でまた命拾いをした。

 

圭「悠里先輩…大丈夫ですか?」

 

逃げた先で待っていた圭さんが私のボロボロな姿を見て心配しだす。

 

けど、その圭さんも彼に斬られて私より傷を負っているのは目に判る。

 

悠里「…それより、本当に不味いわね…」

 

あっちは決定打というダメージはなし、それに比べて私達は満身創痍…絶体絶命な状況

 

ゆうくんならこんな状況でも切り返せるんだろうな…

 

弓形デバイス[…理解できません…何故私を連れてきたのですか?]

 

今後どうするか考えているとつい持っていたので連れて来たこの子が敵である私達が救ったことに疑問をふっかける。

 

悠里「…強いて言うなら…助けたかった…からかな」

 

弓形デバイス[マスターとあなた達は敵同士、あの時捨てていれば…]

 

悠里「私はあなたを道具として見たくないの!…アークやガングニール、オスカー…あの子達は道具として使われた所なんて一度も見たことはないわ…だから私はあなたも道具として見たくない」

 

弓形デバイス[……先程、あなたが言った…相棒…ですか…ですがマスターからすれば所詮捨てられたのです…道具として]

 

この子が淡々と平気のようにありのまま出来事をしゃべる中、私はそんな話の中で感じたことを口にする。

 

悠里「悲しいのね…マスターである彼に捨てられて」

 

弓形デバイス[悲しい?私に感情などありませんよ]

 

私はこの子の話の中悲しんでいるように思えた…この子は悲しんでいないと言ってるけどなんとなく…わかる…デバイスにも感情はあるってことが

 

そろそろ現状をどうするか考えないと…

 

悠里「…次の彼との接触で、すべてが決まるわ」

 

どっちにしても逃げることはできない。

 

美紀「けど、悠里先輩は弓」

 

美紀さんの指摘通り、先程のヴィトンとの戦いの末使っていた弓は折れ、もう使い物にはならない

 

つまり、私は現状で戦うことができないのだ。

 

美紀「圭もまともに動けない…動けるのは私だけですね

、悠里先輩、圭…私が…」

 

美紀さんが意を決して何か言おうとしたけど大体察したのですぐに遮った。

 

悠里「それはなしよ、大方美紀さんが囮になってその間に私達だけ逃げろってことでしょ?」

 

圭「そんなの、絶対却下だよ!」

 

圭さんも察していて、私と同様美紀さんの提案を拒否する。

 

美紀「それじゃあどうすれば…」

 

悠里「一つだけ…ないことはないわ…」

 

圭「本当ですか!?」

 

あるというと信じられない顔でこちらを見るふたり、現状が現状だからそうも思うでしょうね

悠里「これはここにいる全員が力を合わせないと無理よ…まず…」

 

私は作戦を圭さん達に話す。

 

作戦を聞いて行くにつれ、圭さん達も頭の中でその作戦を思考して考える表情が目立ち、作戦をすべて聞き終えて数秒間考えてまず圭さんが口を開ける。

 

圭「この作戦しか…ないですね…」

 

美紀「…うん、みんなで生きて帰らないと…みんな悲しみます。一か八かで掛けてみましょう」

 

悠里「決まり…ね…」

 

作戦は決まった…後は時間が勝負の分け目を分かつ…何とかしないとね…

 

圭「それにしても…こんなことになるんだったらあの時に雄也先輩とシちゃえばよかったな」

 

美紀「け、圭!?」

 

あらあら、最後になるかもしれないからって大体ね~まあ私も

 

悠里「そうね、私も1回だけじゃ物足りないわね」

 

わかりきってる爆弾発言を落として、勿論のこと、2人は赤らめながら反応する。

 

圭「せ、先輩!?ゆ、ゆ、雄也先輩ともうしたんですか!?」

 

悠里「ええ、ゆうくんの別れていたときの話を聞いた夜にね」

 

あのときは、本当に今まで感じたことないぐらいの幸福感に満たされたわ…また味わいたいわね♪

 

圭「ぬ、抜け駆けです!私も雄也先輩といちゃラブしたいのに!!」

 

美紀「け、圭!?お、落ち着いて」

 

ゆうくんこ思う感情が爆発した圭さん、それを押さえようとあたふたしている美紀さん、本当、こんな会話してるけど今大ピンチなのよね

 

圭「この戦いが終わったら絶対に雄也先輩とイチャイチャします!そしたら、悠里先輩と同等ですから!」

 

やっぱり、先駆けしてるから嫉妬してるのね

 

それにしても同等か…今のうちに言っておきましょうか。

 

悠里「ねえ、どっちもゆうくんのお嫁さんなのは間違いないわけだからお互い敬語はなしにしない?そっちの方が上下関係がなくなると思うの」

 

圭「あ、それ良いね、それじゃあ、悠里、これでいい?」

 

悠里「ええ、それでいいわ圭、そてとお話も此処までね…そろそろ近づいてきてるわ…行きましょう」

 

泣いても笑ってもこれが最後…必ず生き残るんだから!

 

作者SIDE

 

ヴィトン「…ほう、まさかそちらから出向いてくれるとはね」

 

作戦会議後ヴィトンの目の前に現れたのは悠里、圭でもなく、直樹美紀である。

 

美紀の手には圭が使用していたベレッタを持っていてそのベレッタの銃口をヴィトンに向ける。

 

ヴィトン「…まさか、君が来るとなね…ある意味で予測外だよ」

 

美紀「それは…どういう意味で…ですか?」

 

ヴィトンは美紀が自身の前に対峙していることに驚き、美紀はそのことを追求するとヴィトンの頬が吊り上がる。

 

ヴィトン「もちろん、楽に殺せるからさ!!」

 

そう言ってヴィトンは剣と槍を構えて美紀に目掛けて走り出しそれと同時に美紀ヴィトンと距離保つため後退する。

 

美紀「くっ!」

 

全速力で走りながら美紀は後ろに顔を振り向けベレッタでヴィトンに発砲していく。

 

ヴィトン「そんなもので僕が倒せるものか!」

 

ベレッタから弾丸が連射される中大体の弾丸はヴィトンに当たらず、左右を通り抜けていき、当たる軌道の弾丸は全てヴィトンのデバイスにより、弾き落とされる。

 

美紀(ここまでは作戦通り、私じゃああの人を倒すのは不可能、私がやるべきことは悠里先輩や圭の準備が整うまでの時間稼ぎ) 

 

美紀(先輩も圭もまともに動けない以上、私がやらないと!) 

 

あくまで時間稼ぎが第一と頭の中で思いながら美紀は走りながらもヴィトン向けて射撃し続ける。

 

景気よく連射していると遂に弾が切れ、トリガー引くも空撃ちになる。

 

美紀「弾切れ!」  

 

美紀は弾が切れたを分かるとすぐにマガジンを地面に捨てるように外し弾が込めされた。新しいマガジンを取り付ける。

 

ヴィトン「逃がすと思ってるのか!!」

 

連射が止んだことでヴィトンはスピードを上げて徐々に距離が詰まっていく。

 

美紀(急がないと!この角を曲がれば!)

 

撃てるようにコンテナの角を曲がる中、美紀はベレッタのスライドを元に戻し銃のセーフティーを外すとすぐさま曲がったコンテナの角に予め設置しておいたスモークグレネードに銃口向ける。

 

ヴィトンが角にさしかかった瞬間スモークグレネード目掛けて美紀は発砲しスモークグレネードに当てるとグレネードの中から圧縮されている煙が辺りに飛び出てヴィトンの視界を塞ぐことに成功する。

 

ヴィトン「くそ!小細工が通用するか!!」

 

煙で視界を奪われている中ヴィトンはデバイスをおもっきり振り回し視界を遮っていた煙を撒き散らす。

 

これにより、時間稼ぎの煙は晴れてヴィトンは背中を見せる美紀を視界に捉える。

 

美紀「そ、そんな!」

 

美紀(い、急がないと!)

 

このままでは格好の的だとそう思った美紀は速度を上げてヴィトンの砲撃を逃れようと足掻く。

 

もう少しでコンテナの角に差し掛かろうとしたときヴィトンの槍から砲撃が放たれる。  

 

美紀「きゃあぁぁぁっ!!」

 

砲撃は美紀が全力で走っていたこともあって直撃は避けることはできたが近くに砲撃が着弾したことにより砲撃による爆風に巻き込まれる。

 

美紀「うっ…くっ!」

 

爆風の熱により制服の背中は破けそこから晒されている肌は火傷を負う。

 

美紀「走らなきゃ…っ!」

 

ここで足を止めることは即ち死につながることは美紀は重々判っているために体が激痛に襲われながらも歩くことを止めず逃げる美紀であるが後ろから美紀の真上を飛び越え、ヴィトンは美紀の前方に着地する。

 

美紀「あ…っ!」

 

前方に立ち防がれたことで美紀の足は止まり急いで逆方向に逃げようと足を動かそうとするが既に先程の砲撃の余波による炎症で体が限界をきたし、その場に倒れ込んでしまう。

 

ヴィトン「ふふ。はあ、まずは一人目だ」

 

ヴィトンはようやく一人目を殺すことができると笑みを浮かべながら剣を振りかぶる。

 

圭「美紀!!」

 

そんな光景を見ているのはヴィトンの攻撃で怪我を負っていた圭。

 

圭はコンテナの上に乗り俯せでドラグノフ狙撃銃をヴィトンに目掛け構えていた。

 

だがこれまででヴィトンに対して銃弾はあまりにも無力…奇襲ならまだ有効打を打てたかもしないな圭が大声を上げたことによりその理を放棄している同然であり、ヴィトンも圭の存在を気付いてしまう。

 

ヴィトン「あんなところに…」

 

圭(この1発…この一撃で戦況を覆す!)

 

圭「いっけぇぇぇぇぇ!!」

 

スコープをヴィトンに合わしそしてトリガーに手を添えそしてトリガーを引く。

 

引いたことでこの部屋…ランダルの外まで響くような銃声を共にドラグノフの銃口から無事に弾丸が発射される。

 

その後今まで以上に反動がある、ドラグノフは反動に耐えきれずバラバラに壊れ飛散し、想定していた圭はすぐに顔を覆うように腕で身を守る。

 

そして放たれた弾丸はヴィトンに目掛けて飛ぶ中ヴィトンは美紀は後回しと弾丸に正面を向け、剣で切り落とす態勢を取る。

 

ヴィトン(奇襲の理を捨てた攻撃…あたるわけないじゃないか)

 

先程のように切り落とそうとタイミングを合わせ弾丸に剣のデバイスを当てたとき、ヴィトンは異変に気付く。

 

ヴィトン「なっ!バカな!切り落とせないだと!?」

 

先程のように打ち落とされる弾丸があろうことか剣と真っ向から鍔迫り合いのような状況に持ち込まれた。

 

圭「やっぱり、ただの弾丸だと思って油断してたみたいだね」

 

ヴィトン「こ、これは…この弾丸に高出力の魔力がコーティングされている!」

 

魔力付与の弾丸のため、打ち落とされる弾丸が拮抗する現状を作り出し予想通りと微笑む圭に対してヴィトンは予想外と焦りを滲ませる。

 

そして弾丸と剣の鍔迫り合いの拮抗は剣が弾丸が当たっている刀身に徐々に罅が入りだす。

 

ヴィトン「ば、バカな!?僕のデバイスが!たかが質量兵器!?」

 

そして剣のデバイスは刀身が折れると弾丸は勢いを落とさずに飛んでいきヴィトンの右肩に着弾。

 

すさまじい破壊力を誇るその弾丸はヴィトンの右腕を引きちぎり右腕を失うほどの威力を見せる。

 

ヴィトン「ぐわぁぁぁぁぁっ!!!」

 

感じたこともない激痛に藻掻く、ヴィトンだがそんな彼に最後に残っている彼女達が迫る。

 

圭「後は任せたよ…悠里」

 

そう迫ってる彼女を見て圭はポツリと口をこぼすと

 

悠里「ええ…任されたわ」

 

それが聞こえているかのように返答して悠里はコンテナの上を走り、おもいっきり跳躍して藻掻くヴィトンの真上を取る。

 

ヴィトン「っ!!?!?!?」

 

冷静の判断ができないヴィトンに悠里の姿を目で捉える

 

悠里の姿は先程までの巡ヶ丘の制服とは少し異なる。

 

黄緑と黄色をメインとした巡ヶ丘の制服に似ているがその上に黄緑に白をあわせたようなロングコートを羽織、手には機械仕掛けの弓と魔力でできた矢をつがえていた。

 

ヴィトン「あ、あれは!僕のデバイス!!」

 

悠里が構えていた弓はヴィトンが捨て駒として捨てたデバイスが今悠里の力となり元主人に牙を向けた。

 

悠里「これで…終わりよ!!」

 

悠里は魔力の矢を放ち、矢はヴィトンの胸に突き刺さった。

 

ヴィトン「ば、バカ…な…こ、こんな…デバイスの持たなかった小娘や質量兵器に頼る…娘どもに…っ!」  

 

ヴィトンは格下だと思っていた相手に負けたそんな屈辱な感情を滲ませながらヴィトンは力尽きるのであった。

 

悠里「はぁ…はぁ…やった…のね」

 

空中に滞空していた悠里は無事に地面に着地し、そして近くに倒れているヴィトンの死骸に目を向ける。

 

弓デバイス[元マイスター…申し訳ございません。私は新しいマスターの話したことを見てみたいのです……何でしょうか…これは…感情がないはずなのですが…とても、悲しく思えます]

 

悠里「本当に…ねあなたがデバイスを相棒だと思って信頼し合っていたら…負けていたのは私たちだった」

 

もしものことを想像する悠里、そんな彼女の元に美紀と圭が集まる。

 

圭「やったんだよね」

 

美紀「うん、私たち勝てたんだ…うっくっ!」

 

圭「美紀!?酷い火傷…」

 

美紀「私より、圭の方がよっぽど酷いよ…それより悠里先輩、急いであれを止めましょう」

 

悠里「…そうね、ところであの装置あれって何の装置なの?」

 

今更ながらあの装置がなんなのか知らない悠里達、そんななか唯一知っているデバイスが話し始める。

 

弓デバイス[結界の維持する装置です…もしや、本当に知らなかったのですか?]

 

悠里「え、ええ、実物がどういうものか教えられてなかったから…それとあなた名前ってあるの?」

 

弓デバイス[いいえ、ありませんが]

 

悠里「それじゃあ不便でしょ?うーん、アルテミスっていう名前はどうかしら?」

 

アルテミス[アルテミス…中々よい名前だと思います]

 

悠里「ふふ。ありがとう」

 

アルテミスという名前に決まった後圭が結界装置の件について話を戻す

 

圭「それじゃああれをどうにかしないとね」

 

圭の言葉で悠里達は結界装置のコンピューター前にやってきてコンピューターを悠里はパネルを操作して操作し始めて数分後結界装置の稼働音が鳴り止む。

 

悠里「これで、結界は止まったはずよ」

 

美紀「やった。これで…私たち巡ヶ丘の外に…」

 

悠里「まだよ、少なくともパンデミックをどうにかしないと…」

 

結界が解けただけでは奴等を全滅させることはできない…ノンパンデミックを発動しない限り悠里達の勝利とはいえなかった。

 

悠里「取りあえずゆうくんと合流しないと…」

 

圭「たぶんだけど…雄也先輩達はムキラスの所に向かってると思う」

 

悠里「そうね、ゆうくんにとってムキラスは因縁があるわけだし…なら私達も…」

 

アルテミス[…不味いですね]

 

悠里達の方針が決まりかかろうとしたときアルテミスから不穏な言葉が耳に届く

 

悠里「どういうこと?」

 

アルテミス[月宮三尉とムキラス提督では通常では圧倒的に月宮三尉の優勢です…ですが彼には……]

 

アルテミスが語った話を聞いた悠里達は目を見開いてこの内容に言葉も出なかった。

 

 

悠里「もしそれを使われたら

 

圭「悠里、悠里だけでも雄也先輩に合流を!」

 

最悪の予感が過ぎる中圭が悠里に急いで雄也達の合流することを提案する

 

悠里「で、でもそれだと」

 

雄也達の合流に口が渋る悠里。

 

悠里1人行ったとして残るのは戦えるかどうかわからない圭と美紀だけ、此処に残して言って良いのかそのことで決断ができなかった。

 

美紀「悠里先輩は行ってください、私達は二人で何とかします」

 

圭「そうそう、ドラグノフは壊れたけど私の武器はまだベレッタが残ってるから問題なし」

 

私達は大丈夫とやせ我慢してる素振りで返答すると悠里は二人の覚悟を受け止め頷いた。

 

悠里「わかったわ、二人とも無茶はしないでね…アルテミス、地上までの最短ルート、ナビゲートお願いできる?」

 

アルテミス[了解、それとですが、マスター、一つマスターの力になれる物があるのですが…]

 

悠里「私に?」

 

アルテミス[…走りながらでも構いません、もしや、マスターならばこの魔法もできるかもしれませんので…ムキラス提督と戦うのであれば必要になるかと]

 

悠里「わかったわ、お願い」

 

そういって悠里は雄也達との合流するために部屋の出口へと走る。

 

そして残された圭達はコンテナの壁にもたれかけ、一息つく。

 

圭「私達は一息していこう」

 

美紀「悠長な…でも…すぐに動けないもんね」

 

そういって激戦が終わったからか気が緩みたわいもない話をし出す。

 

圭「…あの日、パンデミックが起きて、色々あったね」

 

美紀「うん」

 

圭「…信じられないよ、気づけば巡ヶ丘の命運の戦いの中心で戦うことになるなんて…」

 

美紀「そうだね…」

 

圭(失うものは多かったけど…得たものもあった…大切な…私の初恋の雄也先輩と会えた…だから、私は後悔なんてしない…私が起こした罪も向き合う……)

 

心の中でこれまでと自身の心境を心の中で語る圭。

 

圭「もう少し休んでから行こっか」

 

美紀「そうだね」

 

何も音が立たない静かな空間で二人は体を休めるのであった。

 

 

一方…その頃雄也達はエレベーターの非常用の梯子を登り切り1階からエレベーターの扉をこじ開けて地上に戻ってきた雄也達。

 

ようやく地上にたどり着いたのも束の間、雄也はある異変に気付く。

 

雄也「っ!?アークこの感じ…」

 

アーク[マスターも感じましたか?…この巡ヶ丘を覆っていた大規模の魔力が飛散していきます]

 

音姫「どういう…こと?」

 

雄也は気配で魔力の変動を感知し、ルミナスアークがそれについて、簡単に説明、その二人の話に付いてこれない優花と音姫は頭をかしげ、わからないしぐさをとる。

雄也「要は、巡ヶ丘を覆っていた結界が消えたんだ」 

 

優花「っ!それって!」

 

雄也「ああ、間違いなく悠里か、胡桃達が結界装置をどうにかしたんだ」

 

音姫「やった!けど、ノンパンデミックの方はどうなってるんだろう」

 

雄也「わからない…けど信じるだけさ…俺たちはムキラスのところに急ごう!」

 

雄也の言葉に二人は頷きムラキスがいると思われる上の階へと足を運んでいくのであった。

 

 

ムラキス「ば、バカな…結界が無くなった…だと!?」

 

時を同じくして最上階の社長室では雄也達の襲撃も知らされておらず悠々と巡ヶ丘の生き残り撲滅が完了するのを待っていたムラキスが結界が消えたことに動揺を起こした。

 

 

ムラキス「おい!司令室!どうなっている!」

 

急いで地下の司令室に取りつなぐが既に司令室は雄也によって破壊…機能停止していることに気付いていない。

 

ムラキス「くそ!つながらん!どうなっている!こうなれば!エスミ!ヴィトン!ネクロマンサー!!返事をしろ!!」

 

司令室に連絡が付かないことに苛立ちながらもムラキスは次に部隊のエースである三人に連絡をする。

 

しかし、この段階で既に二人は倒されている。

 

もちろんその二人からは返事は来ない…ただ一人を除いて。

 

ネクロマンサー《………ムラキス提督》

 

ムラキス「おお!ネクロマンサーか!結界が消えた!司令室とも連絡がつかん!おまけにおぬし以外の二人とも連絡がつかん!どうなっている!?」

 

ネクロマンサー《ユウヤ・ツキミヤ率いるもの達が地下に侵入していた。》

 

ムラキス「な、なんだと!?あのユウヤ・ツキミヤがだと!?」

 

ネクロマンサー《提督のお話から察するに司令室と結界装置が置いてある部屋は落とされたと考えるべきかと…その二つを守っていた二人も同じく…ユウヤ・ツキミヤに敗れたのかと》

 

ムラキス「な、あの二人が…そ、それより…お前は今どこにいる!パンデミックの装置に何かあれば…」

 

ネクロマンサー《ご安心を既にパンデミック操作室におりますただし、ネズミは入り込みましたが》

 

ムラキス「なっ!?やはりか!それでどうした」

 

パンデミック操作室にまで侵入を許していたことに動揺するがムラキスはネクロマンサーにさらなる状況の報告を促す。

 

ネクロマンサー《それならばこの通り…既に…

 

 

 

片付いております》

 

 

画面に映る、ネクロマンサーの後ろには…地面に倒れ込み激しく魘されている胡桃達四人の姿が映っていた。

 

 



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chapter62

久しぶりの投稿です


ネクロマンサーと相対していた胡桃達…だが、その胡桃達は地面に倒れ魘されて一向に起き上がる様子はない。

 

ことの原因は胡桃達が相対したときまで遡る。

 

SIDE胡桃

 

ネクロマンサー「ようこそ…黄泉の入り口へ」

 

突然と幽霊のように現れたこの謎の男の出現によりあたしたちは武器をそいつに向ける。

 

めぐねえ「ゆ、幽霊…」

 

本当にいきなり現れた…めぐねえが幽霊と恐れるのも無理はないけど…ちゃんと影や足があるから…幽霊とはいいきれないだろう。

 

ジュード「まさか…こいつがネクロマンサー!!」

 

ジュードは現れたこいつを観察して誰なのか考えて、この風貌に当てはまる人物の名前を言い当てる。

 

ネクロマンサー

 

雄也からランダル突入前に注意すべき三人のエースの一人にして一番危険な人物だといっていた。

 

ネクロマンサー「まず、ここまで来たことには賞賛に値する褒め置こう」

 

胡桃(話からこいつに関しては情報が全然ない、なら此処は!)

 

あいつがあたし達を賞賛している内に一気にたたみかかるためにあいつとの間合いを一気に詰める。

 

胡桃「一気に決める!」

 

あいつが変なことをする前にとあたしはカングニールでおもいっきり棒のところで脇腹強打させネクロマンサーを吹き飛ばす。

 

ネクロマンサー「ぬぉっ!?」

 

強打させたことであいつは拍子抜けな悲鳴を短く上げる中あたしは追撃するように踏み込みガングニールで奴の腹を目掛けて突きを繰り出す。

 

ガングニールはあいつの腹に突き刺さったが突き刺さった後、あいつは霧のように姿を飛散して消えた。

 

胡桃「なっ!?消えた!?」

 

霧のように消えたあいつに驚くなか周囲を見渡すとあいつの姿を捉える。

 

ネクロマンサー「どうした?私はこっちだぞ?」

 

明らかな挑発に腹が立つ、あたし。

 

胡桃「くっ!てりゃあぁぁぁぁっ!!」

 

ネクロマンサー「ふふふ」

 

まだ何もしていない!何かする前に叩かないと!

 

あたしはあいつの不気味は笑みで笑っている意味も分からずに再度あいつに接近する。

 

ネクロマンサー「さあ、出番だよ」

 

あいつはそういうとあいつの左右から武装した局員達二人が現れてデバイスを構えこちらに走り出してきた。

 

胡桃「邪魔をするなぁ!!」

 

あたしはガングニールの魔力を開放して向かってくる局員を一撃で倒して切り裂いて出た血飛沫と局員の断末魔の合間を通り抜けて今度こそあいつを倒すために足に力を入れてガングニールを突きだして突撃する。

 

胡桃「これでぇぇ!!」

 

弾丸のごとく加速しガングニールの先端が奴を突き刺してそのまま壁まで押して激突する。

 

胡桃「やっ…っ!?」

 

…え?  

 

どう…なってる?

 

あたしは奴…のフードが取れたことで素顔を見えて言葉がでなくなった。

 

だって…しかたがないじゃないか…

 

胡桃「ジュー…ド…!?」

 

あたしがそう思っていたやつはジュードだったのだから

 

ジュード「く、るみ…どう…し…て…!」

 

ジュードが恨み声であたしの名前を呼ぶ

あたしはどうなっているのか恐ろしくなってガングニールから手を離して一歩また一歩と後退る。

 

そして後ろに後退っていると足が何かに当たった、あたしは恐る恐るそれを見ると…

 

たしかそこにはふたりの局員の亡骸がある…けど…違った…

 

胡桃「ゆ…き…!…めぐ…ねえ…?!」

 

そこに横たわっているのは局員ではなく由紀とめぐねえ…

 

あたしがつけた傷からは今もなおふたりの血が流れている。

 

由紀「く…るみ…ちゃ…ん…いたい…よぉ…」

 

めぐねえ「えびずざわ…ざん…ゆる…ざない…!!!」

 

ふたりとも恨み声で私を睨み付けてくる。

 

胡桃「あああ、あああああっ!?」

 

恐ろしくなったあたしは離れるように走るがすぐに立ち止まる。

 

目の前にはもう一つの人がそこにおり、初めにネクロマンサーだと思って倒した奴だ。

 

そしてあたしはそいつの顔を見て頭が真っ白になった。

 

先輩「えび…すざわ…」

 

胡桃「先…輩」

 

あの日…パンデミック初日にあたしが殺した…あの、先輩がボロボロな体で起き上がってくる。

 

先輩「君…に…殺され…て…本当…に痛かっ…た」

 

逃げなきゃ…逃げないと

 

直ぐにこの部屋から脱出をしようと足を動かそうとしたが何かに捕まれて動けない。あたしはそれを確認すると由紀とめぐねえが足を掴んでいた。

 

胡桃「ひっ!」

 

捕まれていたことに気づき振り払おうとしようとしたとき背中からジュードがあたしの動きを封じ込めるように腕で縛り上げてきた。

 

胡桃「い、嫌だ…こんなのって…」

 

必死にもがいて拘束を解こうとするけど解けずにあたしの目の前に先輩がやってきた。

 

先輩「お、まえにも…僕たちの…痛み…をあじわぇぇぇぇぇっ!!!」

 

胡桃「いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

先輩は恨み声であたしの首元に噛み付こうと襲いかかり、あたしは悲鳴を上げた。

 

作者SIDE

 

ネクロマンサー「眠るが良い永遠の悪夢の中で…」

 

苦しみながら一向に立ち上がらない胡桃達4人、その中で唯一正常なものネクロマンサー以外にもいた。

 

ガングニール[おい!嬢ちゃん!返事をしろ!]

 

ガングニールだ、ガングニールはデバイスなのでネクロマンサーの力を受けずにすんだのだが部屋に入った瞬間倒れ魘され始めたことに困惑を隠せないでいた。

 

ネクロマンサー[ほう?デバイスか…流石に機械には私の幻覚は効かないか]

 

ネクロマンサーは死者など操ることは出来ない…彼は幻覚という特殊なレアスキルにより、相手に幻覚を見せ永遠に終わらない悪夢を見させていた。

 

ネクロマンサー「そこの4人は自身が死んだことも気付かずに永遠と悪夢に魘され続ける…まさに、野蛮人達には滑稽な最後だ」

 

そう、魘されている胡桃達を見下すネクロマンサーは自身が持つデバイスから通信が入っていることに気がついて通信を開くとムラキスが焦りを表に出していた。

 

そしてネクロマンサーとムラキスは互いの情報を交換をおこなう。

 

ネクロマンサー「ならば、急ぎ他のもの達も始末しなければなりませんね」

 

ムラキス《頼むぞ、ネクロマンサー…頼りになるのはきさまだけだ》

 

ネクロマンサー「お任せください、例え、暗黒騎士でも私の幻覚から逃れることは不可能です」

 

ガングニール[ちくしょう!このままじゃ…!]

 

ガングニールは必死にどうにかしようと無意味な足掻きをしているがデバイスのために動けるはずもない。

 

ガングニール[っ!?お、お前は…]

 

 



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chapter63

連続投稿です


由紀SIDE

 

由紀「はぁっはぁっ!」

 

逃げなきゃ…

 

私と音姉は必死に奴らから逃げていた…

 

あの日から…学校で籠城していたけど…ある日…その平穏は簡単に崩れた。

 

めぐねえが噛まれていた…そこから…学園生活部の崩壊が始まった。

 

それに気付かなかった、くるみちゃんとみーくんが最初の犠牲者になった。

 

突然の事態に混乱した私達は逃げ惑ったけど…運悪く他の奴らも学園にやってきて逃げ場所は次々と無くなっていく…そして追い詰められて、けーくん、りーさんも…奴等に噛まれて死んだ。

 

そうして、学園生活部は私と音姉の二人だけになった。

 

音姫「由紀ちゃん…大丈夫?」

 

音姉は私の体調を心配して声を掛けてくれる…その顔は自分自身大丈夫じゃないのが私にもわかるよ

 

音姫「安全な場所まであと少しだよ…だから…っ!?」

 

もう少しというところで奴らの大群がこちらに向かってきている。

 

由紀「そん…なぁ…」

 

音姫「……由紀ちゃん…」

 

ここまでなのと思った矢先音姉から深刻な声で声を掛けてくる。

 

音姫「私が奴らの大群を引きつけるから由紀ちゃんはその間に大群を越えて安全な場所に」

 

由紀「そんな、音姉はどうするの?」

 

音姉が危険なのはわかるよ…でも音姉は作り笑顔で私に語ってくる。

 

音姫「大丈夫、お姉ちゃんは絶対に死なないよ」

 

そういうと、音姉は走りだして奴らの注意を一点に引きつけて、そのすきに私は大群の奴らの隙間を突破する。

 

由紀「はぁ…はぁ…お、音姉は?」

 

なんとか、大群から抜けられて、私は音姉を探して辺りを見渡すと直ぐに見つかった。

 

由紀「音…姉?」

 

そこにいたのは音姉だったものが…

 

由紀「……!!」

 

恐ろしくなって私は必死にその場から離れる。

 

もう私しかいない…みんな死んじゃった…

 

やだよ…誰でも良いから助けてよ…

 

居場所も家族と言えるみんなも全部失った私はただただ希望もないこの世界をさ迷う。

 

由紀「ひっ…く…みんな~…」

 

どうして、私だけが生きているんだろう…あの時音姉と一緒に奴らに食われていたらこんな思いもしなかったんだろう。

 

由紀「…あ…」

 

目の前には奴ら見え、こちらに近づいてくる。

 

もう、逃げる気にもない…このままいっそ… 

 

そう、諦めようと思ったとき、こちらに向かって走ってくる足音が一つ聞こえてくる。

 

???「こっち!」

 

私に近づいてくるといきなり私の手を掴んで無理矢理連れて行かれる。

 

それからどの道を通ったか覚えていないけどどこかのビルに身を隠し私を連れてきた、女性は外の様子を見て一安心できるとほっとする。

 

女性「大丈夫?」

 

そう心配した顔で私に優しく声を掛けてきた。

 

あれから何分…ううん何時間たっただろう…

 

名前も分からない人に助けられて…私は何も話さずにあの人には首を振るなどの動作で受け答えをする。

 

女性「あなたが救えてよかったわ…」

 

この人は何故か私を見てほっとしている様子が見受けられる。

 

由紀「……」

 

救ってくれたこの人には悪いけど私はしたに俯く。

 

私なんて…何もできないもん…音姉達が救われていた方が…

 

女性「…奴等…中々減らないわね」

 

女性は窓から外の様子を伺い奴らの様子を見て、至る所に彷徨いている奴らを見て苦い顔を浮かべる。

 

由紀「もう、やだよ…」

 

夢なら覚めて欲しい…目を覚ませば私の家の部屋で死んじゃったお父さんと朝ごはんを食べて…

 

由紀「?」

 

あれ?お父さんって…どうして死んだって分かるんだろう…

 

そんなへんな疑問も浮かんだけど…今更気にすることじゃないよね

 

女性「ねえ、あなた、これからどうするつもり?」 

 

女性にこれからのことを訪ねられるけど…今更私に…なにが…

 

悲観的に思う私に女性は更に声を掛けてくれる。

 

女性「…生きること…つらい?」

 

女性は見かねたのかそんな言葉を私に投げかける。

 

由紀「…うん」

 

だってこの前までの当たり前が崩れてしまったのだから…どうして私は生きているのだろうって今の私にはそんな気持ちでいっぱい出会った。

 

「…じゃあこのままいっそのこと命を絶っちゃう?」

 

そういって懐からサバイバルナイフだろうか、それを取り出して私の前に置くと私は手に取る。

 

このナイフなら私は苦しむだろうけどその後のことを考えれば楽なんだろうな

 

そうして私はナイフを私に向けて胸に突き立て…

 

 

そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突き刺せなかった…

 

これからくる死の恐怖なのかな?震えが止まらない…ううん、違う、多分これまでのことが無駄になっちゃうようなそんな気がする。

 

女性「恐い?」

 

あの人は心配そうな顔をしてこちらを伺ってくる

 

由紀「なんでかな、もうこんな辛いことしたくないのに…私の奥底から駄目ってそう言ってるような気がする」

 

女性「…そう、これからも辛いことはいっぱいあるかもしれないわよそれでもいくの?」

 

あの人は私に覚悟があるのかと訪ねられると私は返事はせず、迷うことなく頷いた。

 

女性「そう…本来ならここであなたが死ぬことになったんだけど…ふふ、仕方ないわよね」

 

由紀「え…?なに…いってるの?」

 

あの人が言った言葉に私は恐怖が身体中を支配する。

 

この人も私を殺そうとしているのか

 

手に持っていたサバイバルナイフを構えながらあの人への警戒を強める。

 

女性「身構え無くても良いわよ…今からあなたをこの無限地獄の檻の外に出してあげる。」

 

由紀「無限地獄の…檻?」

 

いったい何を言ってるのか分からない、まるで今私が見ているものは夢と言っているものではないかと

 

女性「それじゃあ行きましょうか」

 

由紀「ど、どこに…!?」

 

あの人外に出ようと通路へといけるドアノブに手を掛けようとしたとき私は何処に行くかを尋ねた

 

女性「…巡ヶ丘中学、そこに抜け出す扉がある」

 

……

 

ビルから出て数分、あの人に連れられて巡ヶ丘中学についた。

 

本来ならたった数分でたどり着ける距離じゃないのにどうして…

 

女性「やっぱり気になるわよね、この世界は現実じゃないわ幻の世界だから現実と比例しては駄目なのよ」

 

と当然と言わんばかりに平然と口走る。

 

私も少しわからないけど、そんな中奴らも生きてる人も誰もいないグラウンドを走って校舎内へ

 

ロビーを駆け、階段を上がり、廊下を走るそして辿り着いた先は…

 

由紀「学園生活部…」

 

私の…ううん、私たちの居場所だった所…この部屋が出口だったんだ。

 

女性「さて、出口までは来れたわ、後一押しね」

 

由紀「まだあるの?」 

 

あの人は出口に辿り着いたことに微笑む中、もう一つ脱出するにな必要なものがあると口にする。

 

由紀「まだなにかあるの?」

 

女性「それもあなたに関係があることよ」

 

由紀「私に?」

 

女性「ええ、学園生活部のこと思い出せる?」

 

あれ?このひとに学園生活部のこと話したっけ?

 

そう思いながらも私はみんなのことを思い出す。

 

くるみちゃん、りーさん、音姉、めぐねえ、けーくん、みーくん

 

少し前までこの学園で苦しかったけど楽しく過ごしてたみんなのことを脳裏に思い浮かぶ。

 

女性「他にも居なかったかしら?」

 

由紀「他にも?」

 

学園生活部はこれで全員…

 

由紀「あれ?」

 

どうしてかな?全員だって言い切れない…頭がなんかもやもやしてるよ。

 

後…3人は居たはず…

 

私は頭の奥底の底下まで記憶をたどると…

 

由紀「あ…」 

 

思い…だした…

 

由紀「ゆうくん…優花ちゃん…ジュードくん」

 

私の頭の脳裏に忘れてたことがどんどんと溢れてくる、管理局のこと、ゆうくんの苦悩、お父さんのこと…他にも忘れていたこといっぱい

 

そうだ、そうだよ、まだゆうくん達は戦ってるんだ…こんなところ早くでないと

 

女性「ふふ、みんなのこと思い出したのね」

 

あの人は私がゆうくん達のこと思い出したのを察したのかそう声を掛けてくる。

 

由紀「うん、でもどうして?」

 

どうして、ここまでしてくれるのか…わたしには疑問でしかたがなかった。

 

女性「確かに疑わない方が可笑しいわよね…」

 

いくら何でも出来過ぎてるもん…けどなんでかな?この人を信じてもいいって心の奥底でそう思ってるんだよね。

 

女性「…ねえ、ちょっとだけこっちに来て」

 

あの人はそう手招きすると私は警戒せずに近づき目の前に立つと突然私を抱きしめてきた。

 

突然だったから少し取り乱したけど…どうしてかな?

 

この抱き心地…懐かしく感じる。

 

女性「あなたのことはいつまでも見守っているわ、由紀…」

 

え?

 

由紀「どうして私の名前…」

 

教えた覚えがない…ここは私の夢の世界だから?知っていて当然なのかな?

 

女性「どうしてでしょうね」

 

そうクスリとあの人は微笑む。

 

女性「話はここまでね、さあ早く行きなさい、お友達を助けに行かないと行けないんでしょ」

 

あの人に言われて抱きしめていた私を離すと学園生活部の扉に手を掛けて開けると中はいつもの部室の部屋じゃなくて摩訶不思議な空間に繋がっている。

 

由紀「……」

 

私は躊躇わず入るつもりだけどもう一度だけあの人の顔を見ようと振り返る。

 

由紀「えっ!?」

 

あの人のいる方向に振り向くのあの人は体が光、徐々に透き通っていて、あの人だけじゃなく隣にはもう一人…

 

由紀「お父さん!」

 

あの学校で命を引き取ったお父さんもあの人と同じように体が消えかかりながら、私に向けて微笑んでいた。

 

丈槍父「由紀、私はいいや、私達はいつまでも由紀を見守っている」

 

お父さんの言葉で私は一つの可能性…ううん、答えが思い浮かんだ。

 

お父さんの隣に立っているあの人…私はなつかしいと感じた。それもそのはずだ…

 

女性「悩むことや苦しいことも色々とあるかもしれないけど…由紀は一人じゃない…頼りになる友だちがいっぱいいるから」

 

由紀「うん…うん…!」

 

今見ている光景のあまり感情が抑えられず頬に涙が垂れる。

 

女性「それじゃあ、私達は行くわね…由紀の幸せを願っているわ…愛してる由紀」

 

 

…私の…私達の娘

 

由紀「うぅ…ひっく…お父…さん…お母さ…ん…」

 

お父さんとお母さんの体は光の粒になって飛散してその直後私は先程より多く涙を流した。

 

由紀「うん…私…行くね…行ってきます…お父さん…お母さん…」

 

涙を腕で拭い必ずみんなを助けると決意し私は外へと通じている扉の先に足を踏み込んだ。

 




由紀のお母さん登場…些か描写不足でしたかね?


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