IS Striker (アーヴァレスト)
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原作開始前
プロローグ


その少年の過去とは?


「あぁ、死んだなぁ」

 

そう愚痴るのは一人の少年だった、普通の人間なら死んだことでちょっとおかしいテンションやら泣き叫ぶのが普通だが、少年はどちらでもない

 

「これで何度目?今回こそ確実に死んだんだろうな?」

 

それもその筈、何度も臨死体験をしていれば生死の感覚など薄れてしまう

その経験を少年は幾度もなくしてきたのだ、つまり彼は

 

「軍人だったからしょうがないとは言え、最後はあったかいベッドの上でみんなに看取られながら死にたかったなぁ・・・」

 

軍人・・・いわゆる少年兵だったのだ、どうやら何かの作戦中に死んだ模様だ

 

KIA(Killed In Action)・・・二階級特進、佐官に上がっても死んだら意味ねぇだろ」

 

つまりは最低でも中尉であったらしい、これはあくまでも海外での認識で、彼の生まれた国では・・・

 

「二尉から進んでなかったからしゃあないか、上からは圧力かかって昇官できないし、かと言って佐官になったら前線に立ちにくくなるからどうでもよかったけど」

 

案外世知辛い内情だったようである、ほかの軍人が聴いたら問題が起きているかもしれない

 

「所で、そろそろ出てきてくれない?神様とかそんなのどうでもいいから」

 

周りには誰もいないのに彼はそう言い放つ、実は本人が認識していないだけで頭でもおかしくなっているのだろうか?

否、彼はおかしくなっていなかった、正常である。そこには確かに、彼以外の存在がいたのだ

 

「気づいていましたか」

「当然だろう、俺は軍人だ。隠している方がむしろわかりやすいんだよ」

 

ちょっとおかしい、普通の人間じゃあ分からない。よくある転生系の小説だと大体の主人公は驚くのだ、現に気づかれた方の存在が驚きに何も言えなくなっている

 

「あの、貴方は少しおかしい気がしなくもないですが・・・」

「うん、それが?どうせDNAレベルでおかしい人間なんだしょうがないさ。それでアンタは誰?」

 

しかも、どうでもいいとばかりに本題に切り込み、さっさと要件を済ませて欲しいと言わんばかりの態度と表情である。

ふてぶてしい、あるいは図太いと言える人間だと理解できるし実際彼はそういう性格だ

 

「神様です、こう見えても」

「ほー、どーでもいー、で?転生とかさせてくれんの?」

「え、えぇ・・・まぁ」

 

しかも、先に言葉を奪う始末である

 

「でも世界は選べませんよ?どの世界も転生者で溢れてて・・・」

「神界も世知辛いなぁ、あんた、階級どれくらいよ?」

「人間の階級で判断するなら課長くらいですね」

 

さらっと自分の階級をそう言う神(?)である、ちなみに課長の階級を軍事に置き換えると

 

「俺と同じかぁ、案外話が合うかもなぁ?」

「そうですね、少し話し合いますか?」

「いいねぇ」

 

それから少し話し合う二人、その会話は小一時間に及んだ

 

「あんたも苦労してるな、じゃあ転生の特典無しでいいわ、苦労かけられんし」

「ありがとうございます、じゃあ肉体とかのスペックは今現在ので?」

 

彼はそれを聞いて少し笑いながら返事をする

 

「あぁ、頼むわ」

「はいです、最優先でしますね」

「別にゆっくりでもいいんだぞ?」

 

それに神は苦笑いしながら答える

 

「他の転生者だと、やれ特典増やせだのチートなスペック欲しいだとか、身の丈に合わない事をするんですよ」

「あぁ・・・馬鹿だなソイツら、自滅パターンだろ」

 

身の丈に合わない事をするとどうなるかよく知る彼は、苦笑いしながら同情した

 

「だから、貴方のように話のわかる人は最優先にしているんです」

「ありがたい事だ、あぁ、ところで転生先は?」

「貴方の使っていた武装に似ているマルチフォーム・スーツが抑止力となっている世界、インフィニット・ストラトスです」

 

それを聞いて彼は・・・

 

「ほう・・・?面白いな」

「あれ、驚かないどころか興味が湧いている?」

 

それもその筈、何故なら彼は

 

「俺はもう二度と自分が作ってしまったアレを戦争には使わないと決めている、それに似たモノが抑止力?ちゃんちゃらおかしい」

「え、えぇ?」

「戦争を起こすことも出来る、危険物だよ」

 

そう、彼は過去、自分が作ったモノで戦争の原因を作ってしまったのだ。だから、似たモノが抑止力など言われている時点で彼の中ではオカシイだろ馬鹿か?という認識に変換されている

 

「だから俺は物語に関わりません、普通に一般人A、あるいはモブとしてノンビリとセカンドライフを堪能します」

「はぁ、あなたがそう言われるのならばそれでも構いません、私は転生させるだけなので」

 

あくまでも、転生したあとは自己責任という事だ。つまりは自由にどうぞという意味である

 

「ほーい、そんじゃさいならー」

「えぇ、よいセカンドライフを」

 

少年の意識はそこで途絶えた




新作開始ぃぃ!!
次の話は、意外な人物登場のお知らせ。


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プロローグ(2)

さて、転生した少年は自由に生きるための金を用意することにした
応募した仕事先で驚きの出会いをして?


「うーん、仕事がない」

 

転生しました、俺氏です。これってもう古いかな・・・

現在就職情報誌とにらめっこして仕事探しています、自由に生きるためには金が何かと物入りなんですよえぇ、はい

 

「こういう時は・・・」

 

時代の利器、スマホとPCを使って探そう!!

ごめんなさい、最初からそうすれば良かったです

 

「お、これとか良さそう」

 

何やら単発バイトで要人護衛があった、用心とか言いながら年齢不問で実力重視というと俺にはベストマッチなので早速電話応募します

 

「えぇはい、お願いします、期待はしていない?結構です、実力を示せばいいのでしょう?わかりました、明日向かいます」

 

直ぐに決まりました、早かったです、明日実力を見て判断するとか

 

「さて、寝るか」

 

特に準備なんかいらないので、最速で寝る選択をします。それ以外ないです、対策?そんなの必要ないなぁ

 

 

<翌日>

 

指定された場所に来ました、海岸が近くて風が涼しい別荘です

 

「さて、試験だが」

「はい」

「三人の、銃を持った相手を時間制限5分で倒せ」

 

試験官が明らかに他の人間とは異なるメニューを出しやがった、因みに自分の他には女性しかいないし一人の相手に時間制限なしだった

女尊男卑、恐るべし・・・な訳あるかっての、余裕だ余裕、むしろ

 

「30秒で終わる」

「ふっ、男に」

「舐めるなよ、俺を」

 

半分殺意開放したら黙ったよ、俺全力じゃないよ

 

「さて、という訳でてめぇらぶっ倒すから覚悟しろよ?」

 

相手はサブマシンガン持ってます、えぇ。それが?というレベルです

普通の人間なら即逃げ出すでしょうがこの程度、欠伸しながらでも余裕です

 

「できるわけがない!!男に!!」

「ふっ・・・」

「開始!!」

 

試験管の声に相手は即動く、正面から蜂の巣か、だがしかぁし!!

 

「どこを見ている?」

「なっ!?」

 

俺には当たりません!!軌道が見えるから避けられます!!

つうかこの相手、俺からすれば素人もいいところだわ、ハイテンションから急にローテンションになったわ

 

「あぁ、ほいっ」

「がっ!?」

 

一人目撃破、残り20秒

 

「ほれ、はずれぇ」

「がふっ!!」

 

二人目撃破、残り15秒

 

「このっ!!落ちろ!!」

「遅いなぁ、ズブの素人かよ」

 

三人目撃破、残り10秒。30秒かからなかったね!!

 

「どうよ?わかったろう?これが格の差というものさ」

 

倒れた三人を見ることなく、試験官を見る、よく見ると他の人間もいた

 

「くっ・・・」

「何もズルはしてねぇぜ?完全な実力だ、それぐらいわかるだろう?」

 

試験官の隣にいた女性が、試験官の肩を叩き下がらせた

 

「合格だ、他に言いようがないほど」

「そりゃ嬉しい」

「早速だが会って欲しい人物が居る、君に面倒を頼みたい。自分達ではもう面倒を見きれなくてな」

 

おや、ということは・・・

 

「人払い?」

「それとは違うな、彼女は天才だが、決定的に欠けているものがある。だが世界は」

「そんな彼女を好き勝手使いたい、か・・・なるほどわかった、その子の護衛、絶対に引き受けよう」

 

どの世界にもいるんだな、ゴミのような輩は・・・どんな子だが興味が湧いた

 

「その部屋の中にいる」

「了解、じゃ、行ってくる」

 

扉を開け入る、その部屋には・・・黒髪の美少女がいた

 

「やぁ、こんにちは」

 

ハイライトのない目で見られた、どうやら不審人物扱いされているようだ

 

「何の用だ?」

 

ようやくの言葉がこれである、人間不信だと一瞬でわかった

 

「君の護衛を担当する事になった、藍澤・カズマです」

「そうか・・・この私を見て、驚く事はないのか?」

「特に何も、それよりこの部屋の散らかりようが心配だ。何ヶ月清掃してないのかな?」

 

あれ、聞いたらいけない感じがしたけど気のせいだよね?

 

「よく、変だと言われないか?」

「おかしいとは言われるかな、いろんな意味で」

「そうだろうな、普通なら最初に私の名前を聞くだろう?」

 

あ、そういえばそうだった

 

「今更だけど、お名前は?」

「峰島・由宇」

 

どっかで聞いたことのある名前だな、ミネシマ・ユウ・・・峰島・ユウ・・・峰島・由宇!?

 

「驚いたか」

「そりゃまぁ。あぁ、でも」

「なんだ?」

 

驚きこそしたが、それはそれ、あくまでも目の前にいるのはクライアントだ

だから、ここは誠心誠意

 

「目の前にいるのは女の子なので、任務は確実に遂行するまでです」

「そうか・・・」

「うん、だから特別扱いとかエコ贔屓しないから」

 

普通のそこらへんにいる子と変わりない態度で接することにする、世間知らずの可能性があるけどそうならそれで対処すればいいだけの事だ

 

「・・・」

「どうかした?」

 

言葉を発しなくなった、怒らせたか?

 

「これから、よろしく頼む」

「あぁ、こちらもよろしく」

「今日は帰っていい、色々と準備もあると思う」

「あぁ、それなら問題ない、ちょっとまってて」

 

外にいる人物がおそらく一番偉い人と見た俺は、早速あるお願いをしに行った

 

「はい、俺もここに住みます、荷物はこれからくるよ!!」

「非常識だと言わたことがあるだろう?」

「うん、何度も言われてもう慣れた」

 

俺のあっさりした返答にこめかみを押さえながら彼女はため息をつく、素晴らしいほど様になっているが同世代の子と比べて髪がボサボサだ、後でキレイにしよう

 

「それで、どうするのだ?」

「・・・?」

「何か物を買いに行くのにもかなりの時間が掛かるぞ?」

「あぁ、それなら既に解決済み」

 

なぜなら俺は

 

「大型バイクで買いに行くから」

「年齢的に危険ではないか?」

「そう?ここに来るのもバイクで来たけど?ほれ、その窓から駐車場見下ろせばあるよ」

「あぁ、見ていたからこそ言っている」

 

そりゃ問題ないさ、俺には

 

「まぁ、来る時からかなり余裕を持っていたから心配はしない」

「そりゃどうも、そろそろ遅いから食事でもしよう」

 

そう言って食事を準備する俺氏です、キッチンしっかりしてて使ったことない調味料があったけど、普通に暮らす分で困る事はないから食材さえ切らさないように気をつければ問題なさそうだ

さて、どうやって彼女に世間を教えるか楽しみになってきた




はい、某ラノベのキャラがいきなり登場です。
詳しくはまた後の話で説明するよ!!
・・・たぶん


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閑話休題、という名の設定

閑話休題的に主人公とかの設定を公開。


藍澤・カズマ

 

【挿絵表示】

 

転生者。転生前は軍人やってた人物、同時にこの世界で抑止力となっているインフィニット・ストラトスと似ている戦闘兵装を開発したせいで戦争が起きたので責任をとって最前線に出ていたのが実情だったりしていた。

 

性格は通常ではハイテンションでありながら冷静に判断する思考型、周りにとても優しく和やかに過ごすごく一般人風。思い立ったら即行動できる人物が羨ましい。

緊急事態の時は即座に軍人へジョブチェンジして前線に立つ、冷静なのは変わらないがローテンションに変わる、言葉遣いも命令形へ変更されているのが特徴的。敵には手加減も容赦もない

 

 

年齢 25→15(転生したため)

身長 170.6cm

体重 70.8kg

視力 2.4

握力 30.0 

 

戦闘能力はチート、サブマシンガンを撃ってくる三人の兵士が相手でも欠伸しながら勝てるレベル。

 

理由が理由のためかつての愛機は再製造すらしていない、原作組(織斑一夏とその周辺、というよりIS学園全般の出来事)とは関わりたくないため実力ですら封印していたい。

むしろ一般人として静かに暮らして、穏やかに死にたい。

だが無情、ある事でその願いごと砕かれて見事に原作組と関わることになる。

篠ノ之束と普通に渡り合える、技術でも、戦闘でも

 

 

 

 

 

 

 

峰島・由宇

 

某ラノベのキャラと名前が同じ、違いは親を知らない事からくる感情の違い、あと料理。主人公同様、自分の作ったもので戦争が行われていることに嫌気が差して研究をやめ、匿われながら生きてきたため世間知らずな面が目立つ

超がついてもまだお釣りが来る天才であり、その頭脳からくる物理演算は身体を正確無比に操るレベルであるため常人では絶対に彼女には勝てない。しかしそれは身体への過大な負荷を無視した行為でもある。

なお、彼女の血管は同世代に比べ非常に脆く、長時間の戦闘は絶対にできない。しようものなら最悪死ぬ、普通の(授業等の)運動レベルなら大丈夫でこそあるが。

原作組の方とはあまり関わらない、というよりエンカウント率自体が低い、基本的にISの整備室にいるか寮の部屋である(主人公と相部屋なのは双方からの根回し)

時折、常識が疑わしくなる主人公を冷静に抑える役でもある。ただし、研究者や科学者としての血が騒ぐとどこまでも突き進む危うさを持つ、本人も自覚しているが治りそうにないらしい

技術であれば篠ノ之束と渡り合える、短時間であれば戦闘でも十分に渡り合えるが長時間は無理。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍澤・カズマと峰島・由宇の共通項

科学の進歩において不要なものが共通している。二人に同じ質問をした場合、一言一句間違う事なく下記の言葉を言うであろう。人生からくる答えでもあるため

 

「モラル、倫理観という足枷は科学の発展を鈍らせる。ある人間の言葉だ。()もその意見にだけは賛成だ。科学者は己の信念に従って、探究心を追い求めていけばいい」

「だから()は、()が生み出したものに後悔したりはしない。するものかっ!!」




最後のセリフ部分はルビが主人公という形ですのでご注意を。
はてさて、これからどうなる事やら・・・前途多難ですねぇ


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一年後

一年が経過し、運命共同体と言えるだけの関係となった二人。
その間に様々なことを経験し、秘密も共有した
そして、運命が変わり始める


由宇との出会いと護衛の契約から一年が経った、平和を満喫しながらゆっくり生きている。

そう言えば、契約のときにいた最高責任者はモンド・グロッソとかいうIS版のオリンピックみたいな競技大会で総合優勝されている織斑・千冬さんだとか。因みに総合優勝者にはブリュンヒルデとかいう敬称が付くらしいが本人はそれで言われるのを嫌っているようだ。

まぁ、戦巫女(ワルキューレ)としての側面で見れば、燃え盛る焔のなかで眠り続ける事になった上に、幸せを掴みかけたら騙されちゃって、真相知ったんで後追いして火葬という始末だからなぁ

北欧神話に限定すると戦場において死を定め、勝敗を決する女性的存在だし、そもそもの語義が戦死者を選定する女を意味しているから嫌うのもわからない訳じゃない。

因みにワルキューレって言葉はドイツ語のWalküre(ヴァルキューレ)に由来するそうで、英語で書くとValkyrie(ヴァルキリー)なんだな

 

「そう言えば」

「うん・・・?」

「最近、男でIS使える奴が出たんだって」

 

そんなものは俺には一切関係ないし、そもそも関わりたくない。一体どんな面倒事が起きるか分からないから

 

「織斑・一夏というらしい、織斑・千冬の弟だ」

「ほぉ・・・?」

 

あの真面目な凶獣に弟がいたとはねぇ、これはこれは面白い事もあるじゃないか

 

「ま、会うことはないだろ、ゆっくり過ごしたいんだ」

「入学先はIS学園、女の園(ハーレム)だぞ?」

「それは経験済みです」

 

ハーレムなら転生前に散々経験済みだ、もうこれ以上あの地獄を味わいたくないのが実情である

 

「そうか?男なら憧れる人間が多いと思うが」

「経験したらもう二度と味わいたくなくなるさ、あれははっきり言って地獄だ」

 

居場所がない、肩身は狭い、挙句面倒事を押し付けられるという最悪の環境だ。マゾな奴ならそれこそ天国だろうが俺にはどうやっても馴染めない。

それが小隊単位ならまだいいが、師団単位で味わったことのある俺にとって、これからそのハーレムに凸る織斑・一夏の図太さに感服する

いや、違うな・・・

 

「入るというより、入らされるのか」

「どうやらそのようだ、同情するよ」

「あぁ、そうだな」

 

かわいそうに、ご愁傷様なことだと思いながら料理を作る。今日は契約責任者である織斑・千冬と山田・真耶が来る

ん、ちょっと待てよ?

 

「あの二人もIS学園の教師じゃん!!」

「あ、そういえばそうだった」

 

なんということか、影の部分で物凄く関係していた!!

 

「まぁ、黙っていた事には謝る、すまない」

「いや、由宇は悪くないよ」

 

むしろ今まで思い出せなかった俺が悪い気がする。うん、俺が悪い

 

「今日はゆっくり話せるといいな、面白い話が聞けるといい」

「そうだね、張り切って料理作ろう」

 

二人で一緒に料理を作ることにする。由宇は最近、俺に料理を教わって和食を作れるようになった

最初の頃は(何故か記憶にないのだが、思い出そうとすると頭が痛くなるレベルなので)最悪だったが、飲み込みの速さはやはり天才だな

 

「お、来たな」

「あぁ、私が出る」

「ん、よろしく」

 

由宇が二人を迎えに行く、その間に俺は配膳し料理を並べる




さて次話、急展開の模様
まさかの怒涛展開です。


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3月中旬

そして運命が変わり始める。
平和な日々だったのに、それを壊すものが現れて


「・・・」

 

夜中、突然目が覚めた。久しく感じたことのない感覚・・・殺意を感じる

距離はまだあるが、時間は限られているので急いで由宇の部屋に行き、彼女を起こす

 

「なん・・・だ?」

「敵襲だ、しかも数が多い」

「地下にシェルターがある、急いで向かおう」

 

泊まりで来ていた織斑・千冬と山田・真耶が一緒に来ていた、どうやら俺と同じモノを感じて目が覚めたようだ

 

「しかし、武器がないのは痛いな」

「俺のを貸す、彼女と一緒に移動してくれ」

「お前はどうする?」

「一緒に移動する」

 

二人に拳銃を渡し、由宇を囲むようにシェルターへ向かう

 

「つっ・・・!!」

 

視界の端に映った敵兵を確認して撃つ、由宇が悲痛な面持ちで俺を見ていた

 

「殺しはしない、君との約束だから」

 

半年前に俺は彼女に全てを打ち明けた、その上で殺しはしない・・・不殺戦法をとることを誓った

 

「先に行けっ!!」

 

三人を先に行かせ、殿を務める。数分後、何とかしてシェルターに到達した

 

「後ろだっ!!」

「つっ!!」

 

その瞬間に飛び前転をして初弾を躱し、片足で飛び側転して横の通路に入る、同時に銃の弾倉を交換、銃撃する

 

「はぁっ!!」

 

シェルターに入ると山田・真耶さんが腰を抜かした。それもそうだろう、ここまでの緊張はあまり経験がないだろうから

 

「なんで、ココに・・・銃なんて使って」

「しかもちゃんとした訓練を受けた連中だ」

 

二人の会話はどうやら敵の事のようだ、つまりは

 

「狙われたのは、私なのだな?」

「由宇・・・」

 

そう、狙われたのは由宇だ、天才の頭脳を求めての事だろう、しかし・・・

 

「まだ、終わってない」

 

全体が揺れた、つまりは

 

「特殊部隊だな、しかもIS装備で来てやがる!!」

「そんなっ!!」

「くっ・・・!!」

 

最悪だ、ISを相手にどう戦えという、一機だけならまだしも複数機と!!

 

「火力で押し切られたら、どうしようもないですね・・・」

「仕方あるまい!!」

 

織斑・千冬が由宇に視線を向け、ある言葉を放つ

 

「峰島、鍵は持ってきているな?」

「つっ・・・!!」

 

その言葉を聞いた瞬間、彼女の表情が変わった

 

「"扉"を開ける、仕方なかろう。それとも今ここで仲良く連れ去られたいか?」

「いや・・・だが・・・それはっ」

 

悲痛な声で途切れとぎれに反論する、その間に俺を一回見て、その後別の場所を見た。今いるシェルターのもう一つの扉を

 

「カズマ・・・」

「あ・・・」

 

まさか・・・彼女は、俺の機体を!?

 

「・・・」

 

由宇が再び扉を向く、その先にあるのだろう

 

「貸して」

「つっ!?」

 

俺の声に、由宇は顔をはね上げて俺を見る

 

「俺が開けるから」

「いや、でも・・・これは」

 

半歩下がり、彼女は否定しようとする。俺にもう、失って欲しくないから

 

「大丈夫」

「・・・!!」

「俺は大丈夫だから、由宇」

 

そう言って俺から彼女を優しく抱きしめ、続く言葉を告げる

 

「このまま何もしないで、君を守れない方が・・・今の俺には一番辛いことだよ」

「カズマ・・・」

「だから、鍵を貸して」

 

そう言って、由宇にお願いする。彼女は胸ポケットから小さな黒い箱を取り出し、開けた

 

「ありがとう」

 

鍵を受け取り、解錠する。同時に扉がスライドしていく

 

「それじゃ、行くね」

 

由宇に一時的にお別れを告げ、扉の向こうに入る。中にあったのは灰色の装甲の機体、姿形さえ完全再現された俺のかつての愛機だった

 

「・・・」

 

扉が閉まっていく、一歩一歩、緊張しながら進んでいき、機体の前に立つ

 

「久しぶりだな、相棒」

 

そう言って装甲に触れる、懐かしい感覚がして、次に目を開けたときはチョーカーになっていた

 

「行こう、ブラックフレーム・・・」

 

展開しシステムの再調整を一気に行う。最後にメインパワーをオンラインに切り替え、装甲に色がつき、各センサーが正常に作動する。

 

「ブラックフレーム、藍澤・カズマ・・・出撃()る!!」

 

 

<別荘外部、襲撃者>

 

「目標を探せ、シャフトの最下部にいるはずだ!!」

 

その瞬間、爆音とともに黒色の細い光の柱がそう発言した人間の100メートル左側で上がった。その爆煙の中から現れたのは・・・

 

「黒い・・・IS!?」

 

IS・・・インフィニットストラトスらしき機体を駆る、少年だった

 

「アレは・・・第二目標だ!!」

「え、えぇぇ!?」

 

胸部の両側から光とともに熱が解放される、その瞬間、背後から神々しいまでの後光が差し、美しさすら感じさせた

 

「捉えろ、操縦者もだ!!」

「りょ、了解!!」

 

 

<別荘外部、藍澤・カズマ>

 

外に出たらやっぱり敵がいた、別荘は既に原型すらないほど破壊されている。敵の数は3人、使用ISは特殊作戦部隊(SOF)仕様のラファール・リヴァイヴと判明する

 

「・・・!!」

 

最大加速で接近と同時に右手に持っていたビームライフルを腰部背面のラッチ部分にマウント、左腰のビームサーベルを抜き払い交差とともに敵の武装とそれを使う手を使用不能にする

 

「ふっ・・・!!」

 

仲間がやられたことで正気に戻り、射撃してくる一人攻撃を水面スレスレを飛行しながら躱し、武装を持つ手と大腿部を狙って逆さのまま両肩の高出力ビームキャノンと両腰の超電磁砲を放ち戦闘不能に追い込む

 

「そんな馬鹿な!!」

 

最後の一人はAHM(ActiveHomingMissile)を放ってくるが、コレを細かくスラスターを操作して躱し接近する

 

「おぉぉぉっ!!」

 

ナイフを展開し突撃してくる敵の前面に左手の盾を構え、掬い上げるかのように力を入れて背中から地面に叩きつける

 

「くぅっ!!」

 

敵が起き上がる間にビームサーベルを元に戻し、再度腰部背面のビームライフルを取り出し構える

 

「あぁぁ!!」

 

構えた瞬間に撃ち始め、左手・右手・左足大腿部・右足大腿部の順に撃ち抜く、どちらも血管は避けて撃っているので死なない代わりにものすごく痛いはずだ

 

「くっ!!」

「抵抗するな、殺しはしない」

 

それでも抵抗するので殺気を放って黙らせる、すると相手は恐怖しながら質問してきた

 

「どうして、殺さない?」

「俺が守ると決めた子との、約束だ」

 

シェルターの出口から俺を見ている由宇を見返し、武装を解く。相手も同時に解いた、俺にはどんなに足掻いても勝てないと悟ったようだ




主人公の無双回、この主人公強すぎぃ!!
でも不殺戦法です、シールドバリアーを貫通して絶対防御が働くか働かないかのギリギリを狙っています。


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閑話休題、という名の設定(2)

主人公機の設定が登場!!


ブラックフレーム

 

藍澤・カズマのかつての愛機。この世界には存在しないはずであったが、峰島・由宇が詳細を聞いただけで全性能を完全再現した。

仕様分類は殲滅型対IS戦及び近・中距離戦闘用万能機

本機にはインフィニット・ストラトスとは異なる体系のテクノロジーが採用されている。(つまり、ISではない)

 

本機最大の特徴は、その推力のみで大気圏内での高速・長距離飛行を可能とする背部メインスラスター基両脇に備えた左右3対の計6枚から成るメインのウイングバインダー(能動空力弾性翼)であり、AI制御で形状を変化させ、空力抵抗の制御と質量移動を行うほか、小型スラスターも内蔵されて放熱板の役割も兼ね備えており、エネルギーをフル活用する本機の性能向上にも一役買っている。

また、メインのウイングバインダー内には緊急排熱及び超加速用サブバインダーが存在しており、これも用いての最大加速はISの瞬時加速(イグニッション・ブースト)と同様の加速力を得る事も可能。

機動面と攻撃面を発揮するのに適した形態への簡易変形も可能で、高機動形態はハイマニューバ(High Maneuver)モード、全砲発射形態はフルブラスト(FullBlast)モードと呼称している

 

装甲も元の世界のモノを採用している。一定の電圧の電流を流すことで彩食される特殊装甲で、名称は電磁相転移装甲。特徴は物理衝撃、実弾兵器等の物理手段をある程度まで無効化できる。

その代わり、維持するためには装甲に電流を流し続ける必要がある。

 

極限まで高性能化した機体の性能を充分に引き出し得るパイロットが使用することを前提条件としてハイスペックを追求し尽くした本機は、藍澤・カズマ以外には使用不可能な機体となっている。彼の専用機だからこそ成し得た超高性能化であり、そのスペックを獲得できたのは非凡極まる使用者のの非凡な能力に答えるため、非凡極まる機体を生み出そうとした峰島・由宇の努力が有ったからこそである。

そしてワンオーナー・オリジナルビルドだが傑作機であるのは言うまでもない。だが余りにも尖りすぎゆえ制御するシステムも肥大化しており、通常のIS用OSでは性能を発揮できないため専用OS・STRIKERを使用している。

なおOS名は下記の頭字語である。

 

Strike(ストライク) Trial(トライアル) Revolution(レボリューション) Indicator(インジケーター) Kept(キプト) Enhanced(エンハンスド) Render(レンダー)

 

和訳すると、攻撃と革命の試練を表し、保持し強化し与えるという意味になる

また、下部システムには総合火器管制システム・マルチロックオンがあり、多数の敵を同時かつ精密に狙撃可能である。

 

 

武装

 

小口径近接防御機関砲 ネオアヴェス

襟首に内設されているミリ単位の弾丸を高速連射する機関砲

 

超電磁砲 ソードフィッシュ

腰部両側に装備される超電磁砲兼スラスター基、弾丸を高速射出することで高火力と携行弾数の多さを両立しており、多数の敵を同時攻撃可能。実体弾。

側面には保持性を高めるグリップも存在する。普段は3つ折りの状態でAMBACユニットとして姿勢制御に関わったり、推進器としても機能している。また、ビームサーベルのマウント部位も兼ねている。

後部にダクトが存在している、連射などで負荷が掛かると自動で廃熱を行う。

 

試作ビームサーベル サウリア

高出力かつ長刀身のビーム刃を形成する熱切断兵器、柄同士を連結した形態、ダブルブレイドモードが存在する

 

試作ビームライフル キャニスルプス

レーザタイプのライフルよりも高出力を誇る。不使用時は腰部背面のラッチにマウントする

 

プラズマ収束ビーム砲 シータス

最上部に位置する2枚のウイングに内蔵されているビームキャノン。高威力と射程距離を誇り、本機の火器の中では最大の破壊力を有する。

ソードフィッシュと同じく後部にダクトが存在している、連射などで負荷が掛かると自動で廃熱を行う。

 

ラミネートアンチレーザービームシールド

ラミネート装甲製の盾。グリップでの手持ち・前腕装着の両方に対応し、台形状の部位には銃眼(ガンポート)を備え、下部先端は切れ込みの入った尖角状になっている。




実はとても綿密にやるのはこれが初めての作者です。


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原作開始
入学


いろいろな理由で高校入学!!
だがしかし、(よく分からない)前途多難な生活が待っていた!!


「・・・」

 

えぇ・・・と、どう言えばいいのか俺は今、高校生になっています。

理由は後でご説明するとは言え、これはかなりキツい!!

 

「で、俺から始まるんですね?」

「はい、そうです。お願いしますね?」

 

山田・真耶・・・先生に自己紹介をするように言われたので、とても苦しいですけど行います

 

「藍澤・カズマです。趣味は読書と料理です。これからよろしくお願いします」

 

どうだろう、この簡潔で完全につけ入る場所のない自己紹介は

しばらく進み、織斑・一夏の番になりました。自己紹介ですらまともに出来ないのだろうか?いや、緊張からなのね

 

「それでは峰島さん、お願いします」

「峰島・由宇だ、ほとんどの連中は知っていると思うのでこれで終わる」

 

由宇はまだこういう事に慣れていない、やがて慣れるように積極的に関わらせよう。うんそうしよう

 

「さて、時間が余ったわけだが・・・」

「提案があります」

 

時間がかなり余ったので、俺から提案する

 

「席替えしましょう、クジで」

「ほう?」

 

いや、俺を見ないでくださいよ織斑・千冬先生

 

「お前が今回は仕切れ、異論は無いな?」

「えぇ、まぁ」

 

言いだしっぺだからしゃあないか、頑張ろう

 

「それではクジを引いてください」

 

全員分既に用意済みだったりする、この理由は簡単、仕込み済みだから

 

「では、黒板に示している数字のところに移動してください」

 

これが俺の仕込み、由宇の隣につくための作戦だ

 

「終わりましたか?」

「終わりましたよ」

 

しばらくすると担任が帰ってきていた、どうやら空気を読んで席を外してくれたらしい

 

「さて、終わったな?」

「えぇ、たった今」

 

席替えも終わり、作戦通り由宇の横に来た、これで後はのんびりゆっくり生活していくだけだ

 

「さぁ、これで一時間目は終わりだ」

 

それから続く織斑・千冬の言葉に俺は一瞬寒気を覚えた。

まぁ、(織斑・一夏を除いて)ここに来る連中は基礎をしっかり学んできているから大丈夫だと思うが

 

「よっ」

「あぁ、よかった、俺も話に行こうと思ってたところだ」

 

そんなこんなで俺は休み時間中に織斑・一夏に挨拶でもしておこうと思ったので軽く自己紹介の続きでもしようと思う

 

「二人目、だったっけ?」

「あぁ、一応な」

「俺、良く分かってない所があるから教えてくれるか?」

「分からないことならお前の関係者にでも聞けばいいじゃないか」

 

それを言うと、とても嫌そうな顔をした。理由は

 

「人間の性能限界を知っている姉と、サムライのような幼馴染だぞ?」

 

あぁ、そういえばそうだった。でもまぁ

 

「ユニークじゃないか」

「そういうものか?」

「あぁ、面白いと思うぞ?」

 

コイツの人間関係なんて俺は知らんし、それがボロボロならシカトするまでだ

 

「さて、そろそろ二時間目スタートだ、席に着こうぜ?」

「あぁ、そうだな」

「じゃないと鬼が来る」

 

そう言った瞬間、後ろから声がした

 

「その鬼とは、誰の事だろうな?」

「つっ!?」

 

織斑・千冬が再臨した。声的に処刑宣告のような気が・・・

パァンッ!!という音と共に出席簿アタックが炸裂した

 

「とっとと席に着け、藍澤」

「ご指導ありがとうございます、織斑先生」

 

一撃で脳細胞が5万個逝った気がした




入学です、次話に続きます

プチ用語説明:出席簿アタック
読んで字のごとく、出席簿による頭部への攻撃、当たり所によっては非常に効果的なダメージを与える事が出来る。
バリエーションは表・裏表紙と背表紙の二つがある、ダメージが高いのは後者


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対決1週間前

それは余計だけど避けられないことで、でも断れないモノ
それは、大好きな人からのお願いという、何者ですら勝てないもの


三時間目が始まった、このままノンビリしたいと思ったらセシリア・オルコットが何やら言い始めた。

曰く、物珍しいからという理由で極東の猿にされたくないとか、クラス代表は実力トップがなるべきだとか、文化として後進的だとか言ってた。

そしたら・・・

 

「お前の祖国なぞ、世界一まずい料理でいったい何年覇者なんだ?」

 

あ、言っちゃた、言っちゃいけないことを

 

「なっ!?」

「それにもう一人の男の存在を忘れているぞ?だから私は藍澤・カズマを推薦する」

「俺ぇ!?」

 

巻き込まれた、最悪だぁ!!

 

「あっ、あなた方、わたくしの祖国を侮辱しますの!?」

「・・・」

 

俺知らね、由宇と織斑・一夏がツルッと言っちゃったことだし

 

「決闘ですわっ!!」

「「おう。いいぜ。四の五の言うよりわかりやすい」」

「言っておきますけど、わざと負けたりしたらわたくしの小間使い・・・いえ、奴隷にしますわよ」

 

あ、今度は俺と織斑・一夏の言葉がシンクロした。それと勝負にはわざと負けるという概念は存在しない

 

「だと言っているぞ、藍澤?」

「セシリア・オルコット」

「なんですの!?」

「「侮るなよ、真剣勝負で手を抜くほど腐っちゃいない」」

 

またシンクロした、なんだよこのシンクロ率・・・で、セシリアはまた織斑・一夏を向いて話を始める。シカトされているが構いはしない

 

「ところであなた、ハンデはどうしますの?」

「して欲しいならするけど?あぁ、刀ふた振りにしておこうか」

 

笑われた、だが俺にとっては最高の条件だぞ?

なにせ俺の機体は超が付く高性能機だ、下手すると模擬戦で相手を殺しかねない(・・・・・・)ぐらいに

 

「代表候補生を舐めていますの?」

「たかが候補(スペア)だろう、換えはいくらでもいるじゃないか」

 

所詮その程度で調子に乗るなよ、小娘が。と内心毒づきながらそう答える

 

「さて、話はまとまったな。それでは一週間後の月曜。放課後、第三アリーナで行う。セシリア、織斑、藍澤はそれぞれ準備しておくように。それでは授業を始める」

 

織斑・千冬が話を締め、授業に入る。ワーイタノシイジュギョウダナー。

 

 

 

<放課後>

 

 

「カズマ・・・」

「なんだい?」

 

放課後、あてがわれた部屋に入り荷物を解きながら整理している最中、由宇が心配そうな表情で声をかけてきた

 

「すまない・・・」

 

その先を言いにくそうにしていたので、言おうとした言葉をとる

 

「俺が侮辱されたように感じて、我慢できなかった。かい?」

「あぁ・・・」

 

やっぱりな、そんなことだろうと思った

 

「怒っている・・・か?」

「いいや全然、むしろもう少し遅かったらキレてたからちょうどいいタイミングだったと思うよ」

 

俺はそう言って、俯いている彼女の頭を優しくなでる

 

「だが、私たちは・・・」

「大丈夫、ここの守りは万全だ」

 

そう、俺たちがなんでここにいるかは簡単な事。

由宇が他者と触れ合える環境にいながら安全に過ごせ、なおかつ様々なことを経験出来る場所。それはIS学園しかないだろうという判断を下したからである。

この案を提案したとき由宇は酷く驚き、葛藤していたが、敵がISを持ち出してまでも彼女を連れ去ろうとした事が後押しとなり、最終的には同意してくれた。俺との護衛の契約を、延長することを条件に

 

「さて、俺は行く所があるから行くね」

「どこに行くんだ?」

「寮監の部屋、一年生は織斑・千冬が担当だし、ついでに」

 

そう言って取り出すのアルミ缶の未成年は飲んじゃいけない飲み物

 

「一週間連続で放課後、整備室が使えるように根回ししてくる」

「汚い手に出るな?」

「はははっ、使えるコネはなんでも使うさ、悪いこと以外にね」

 

悪い事に使えば自分を滅ぼすだけの馬鹿なことになる、そんなマイナス要因に使うならプラス要因に使ったほうが100倍マシだ

 

「奇遇だな、ちょうど飲みたかったところだ」

「・・・!!・・・!?」

 

言葉にならない悲鳴が出た、いつの間にか俺の横に織斑・千冬がいる。なんとか絶叫にならないように努力した俺はきっと偉い

 

「いいぞ、放課後なら好きに使え。これはそれの口封じと言ったところか?」

「いいえ、俺からの賄賂(プレゼント)ですよ」

 

更にもう一本、今度は別のタイプの飲み物を出す、こちらも未成年は飲んじゃいけないものだ

 

「ほう、年代ものか、美味いんだろうな?」

「チーズ欲しくなるくらい美味いですよ」

 

根回しとはこうするものである。




主人公はやり方が汚い、でも卑怯ではない。
あくまでも整備室の占有だからね


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黒き焔VS蒼い雫

ブラック・フレームVSブルー・ティアーズ
近・中距離万能型と中・長距離射撃型。
元軍人の転生者と代表候補生の戦い、その結末は?


一週間が経った、その間たいした対策は一切何もしていない。

理由?する必要がないから

 

「よし、組み合わせはナイスだ」

 

一試合目は俺とセシリア・オルコットに決まった。よし・・・舐めプしよう

 

「今、舐めたプレイでもしようと思っただろう?」

「おう、コイツ(ブラックフレーム)は強すぎだからな」

 

由宇に注意された、でも変更のつもりはない

 

「まぁ、お前の戦闘能力なら手加減はしたほうがいいのは確かだが、手は抜くなよ?」

「スタイリッシュ舐めプレイしていい?」

「・・・」

 

無言でブレーンクローされた、とても痛い!!

 

「痛い痛い、すいません織斑・一夏でしますっ!!」

「そうかそうか、ならもっとしてやろう」

 

今度はスリーパーホールドしてくる、さっきより強さが増してる!!

 

「いたたた!!嘘ですしません!!しませんから許して!!それに胸が、胸があぁ!!」

「この変態!!」

 

蹴り飛ばされた、とても痛い

 

「さっさといけ!!」

「おう、行ってくる」

 

 

緊張をほぐすにはちょうど良かったのか、由宇は顔を真っ赤にしながら叫んだ

俺よりも緊張していたのでちょうどいい感じにほぐれただろう

 

「藍澤くん、いつでもいいですよ?」

「了解」

 

ブラックフレームを展開、ビームライフルを腰部背面に、盾を前腕部のラッチにマウントして両手をフリーにする

 

「藍澤・カズマ、ブラックフレーム・・・出撃()る!!」

 

さて、縛りプレイで行くかな?

 

「あら、逃げずに来ましたのね」

 

アリーナ中央上空、相対する形で滞空させるとセシリアはそう言ってきた。俺の返事は

 

「あぁ、ステージには主役がいないと話にならんだろう?」

 

この場合のステージには敵役にセシリアが、俺はそれを倒す主役が存在する

 

「そう・・・最後のチャンスをあげますわ」

「なに?縛りプレイでもして欲しいのかな?」

 

キレかけながらセシリアは否定してくる

 

「私が一方的な勝利を得るのは自明の理です。ボロボロの惨めな姿を晒したくなければ、今ここで謝れば許してあげないこともなくってよ?」

「はっ、それはチャンスと言わんぞ」

「そう?でしたら・・・」

 

次の瞬間、彼女のIS、ブルー・ティアーズの武装である六七口径特殊レーザーライフル"スターライトMkⅢ"の初弾エネルギー充填がされたことをブラックフレームのセンサーが感知した

 

「お別れですわ!!」

「よっ!!」

 

キュバチィ!!という、発射と弾いた音がする

 

「なっ!?デタラメなっ!!」

 

左腰から抜き放ったビームサーベルで弾いたのだ、驚きもしようものだろうが・・・

 

「まぁいいですわ、武装もそれだけのようですし、さっさと終わらせましょう!!」

「ちぃ!!」

 

そこから放たれる射撃を避ける避ける、顔は苦虫噛むように取り繕って内心は爆笑中だ

 

「さぁ踊りなさい!!わたくし、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲(ワルツ)で!!」

「いいぜ踊ってやらぁ!!」

 

そう言いながらも俺は避ける避ける、余裕だとバレないようにギリギリダメージを負わないように加減して

 

「よっ!!ほっ!?あらよっ!!」

「くっ!!ちょこまかと!!」

 

余裕で何度も避けてたらとてもめんどくさそうな顔になった、面白いのでさらにおちょくる

 

「どうしたどうしたぁ!?それぐらいじゃあねぇだろ代表候補生さんよぉ!?」

 

避けながら接近し降りかかって交差するだけに留める、攻撃?しませんよまだ

 

「そもそも、中距離射撃型のわたくしに近距離格闘装備とはどういう了見ですの!?」

「ハンデだよハンデ、それくらいくれてやらなきゃな」

 

戦闘開始から15分経過、それ言い出すの遅くね?まぁいいけど

 

「わたくしでは本気にはなれないとでもいいますの!?」

「うん?最初から勝敗を決めているようなガキの事なんて無視しているよ」

 

ブルー・ティアーズの機体名は搭載している武装自体の名称から来ている、いわゆるビットのような物だがこれに関しては俺にとって別段驚くことではない。

むしろ、たかが4機程度で俺に勝てるとでも?俺は大型3機、小型8機で総砲門数43門搭載の相手と死闘した経験があるから、はっきり言って敵ですらないんだよね

 

「では、閉幕(フィナーレ)と参りま」

「偏向射撃とか出来ねぇの?」

「・・・!?」

 

カマかけたら引っかかった、どうやら偏向射撃もできる機体のようだがマスターしていないと思われる

 

「どうして、それを!?」

「勘だよ、カ・ン」

 

それなら俺が一つの面白いやり方で擬似偏向射撃を披露しよう

 

「擬似的ではあるけど、披露してやるぜ!!」

「くっ!!」

 

盾を構え、レーザー射撃を防ぐ、その間にビームサーベルを戻してビームライフルを取り出す

 

「そら、受けな!!」

 

盾を投げ飛ばす、セシリアは機動で避けるが、俺がやったのは盾でビームを反射(リフレクト)させ、スターライトMkⅢを撃ち壊すというものだった

 

「なっ!?」

「ついでに全機落とす!!」

 

隙がある間にビット(モドキ)も撃ち落とし、セシリアの選択肢を近接のみに絞り込む

 

「まだでっ!!」

「どうせミサイルだろうがぁ!!」

 

使わせるとでも?さっさと片付けてやんよ!!

 

「そぉら落ちやがれぇぇぇ!!」

「きゃあぁぁぁ!!」

 

両肩のビームキャノン、両腰の超電磁砲、更には右手のビームライフルと襟首の近接防御機関砲を一斉発射するフルブラストでトドメを刺した




最後の最後で我慢できなくてやっちゃった♪
な回でした。
さーて、次は白式だよー


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黒VS白

ブラックフレームVS白式
男二人の勝負
一人の少女を守る盾であり剣の騎士と家族を守るために強くなろうという決意をする少年
主役のなった少年に先人が教える事とは?


「休憩に戻らなくていいんですか?」

「問題ない、このまま継続する」

 

セシリア戦終了後、山田・真耶先生から休憩をするか聞かれたのでそのまま連戦可能だと端的に伝える

 

「数分ほど待っていてください、直ぐにこちらは終わります」

「了解です、ゆっくり待っています」

 

それから丁度3分後、織斑・一夏は白式を駆って来た

 

「よぉ、待ってたぜ」

「待たせちまったな」

「気にするな、これから戦うのだから」

 

相対しながら俺と織斑・一夏は会話を続ける

 

「装備品を出せ、それくらいの事が出来んとなす術なく落ちるぞ」

「あぁ、わかった」

 

そう言って出てきたのは一つの剣だった

 

「一個しかないんだが・・・」

「俺に聞くな」

 

武装が一つしかないのにはきちんとした理由があるのだろう、おそらくはそれの性能が高すぎるがゆえのことだ。俺のブラックフレームにもかつて似たような現象が起きたことがある

 

「行くぞ、ついてこい、一夏っ!!」

「あぁ、行くぜ!!」

 

空中で近接戦をするのは久しぶりだが、それでも俺の動きは簡単に捉えることはできない、それでも一生懸命についてくる一夏に俺は

 

「おらぁ!!」

「うぉ!?」

 

振り返りざまに近接防御機関砲で蜂の巣にする、と言ってもISのシールドバリアー残量が減るだけだし、一発一発のダメージは極微だが

 

「くっ!!」

 

距離を取るにはちょうどいい、現に逃げ出すために一夏は離脱した

 

「どうした!!それでは俺に攻撃を与えることはできんぞ!?」

「うおぉぉぉ!!」

 

それでいい、全力で向かって来い、勝機を感じてるのなら!!

 

「はあぁぁぁ!!」

「つっ!!」

 

鍔迫り合いで互いの視線が交差する、純粋に隙をつこうと俺の行動の穴を探す真剣な眼差しに俺は少し笑う

 

「おかしいかよ?」

「いいや、俺もかつてお前のような事があったからな、少し感慨に耽っただけだ。気分を害したなら謝る」

 

ビームライフルと両腰、両肩の武装を使用不能にしてビームサーベルと近接防御機関砲だけを使える状態にする。ついでに盾に仕掛けを施して会話する

 

「そうなのか!?どんな気分だった!?」

「最悪だ、小間使いにはされるわいい様に弄られるわ、本当なら二度と味わいたくない」

 

戦闘中にこんなことを言えるのは経験者とこれから経験する人間だけだ、俺達の中にははっきり言ってその程度のことでしかない

でも決着は付けないといけないわけで

 

「さて、これで終わらせるぞ、一夏!!」

「おうよ!!行くぜ!!」

 

俺が放ったのは、左手に持っていた盾、それを一夏の持つ剣の先が触れた瞬間・・・爆発した

これが俺の仕込み、盾の中にある空洞に、信管と一緒に爆弾を仕掛け、剣先からの振動が与えられた瞬間に爆発するような仕掛けにしたのだ

 

「さぁ、一次移行(ファーストシフト)は済んだかい?」

「あぁ・・・」

 

煙が晴れ、そこから現れたのは滑らかな曲線とシャープなラインが特徴的な、どこか中世の鎧を思わせるデザインに変わった白式だった

俺が先ほどまで戦っていたのは初期化(フォーマット)最適化(フィッティング)中だった物だ

 

「俺は世界で最高の姉さんを持ったよ」

「だろうな」

 

最高?いやいや、最強でしょうよ。というツッコミはしない、今の織斑・一夏は純粋に思っている事があるのだから、それにチャチャを入れることなんてしてはいけない

 

「俺も、俺の家族を守る」

「そうか」

 

先程展開した剣の名は雪片弐型(ゆきひらにがた)、それでつくづく思い知ったのだろう

 

「とりあえずは、千冬姉の名前を守るさ!!」

「ならば魅せろ新鋭・・・主役を気取りたいんだろうが!!」

 

最高速度で加速し再び鍔迫り合いに持ち込む

 

「その何たるか、先人(オレ)が教えてやるから掛かって来い!!」

「うおぉぉぉぉ!!」

 

猛烈な剣戟と空間機動、それについてこれている織斑・一夏

なぁ、気がついているか?俺たちは今、通常じゃあ考えられない速度で動いているんだぜ?

 

「どんなに困難でも諦めるな!!その先には無限の可能性が待っているのだから!!」

「おぉぉぉ!!」

 

一気に接近してきた織斑・一夏は逆袈裟払いで切ろうとする、その瞬間に

 

「試合終了、勝者・・・藍澤・カズマ」

「はっ・・・?」

「あれ・・・?」

 

なんで俺が何もしてないのに勝てたか分からないし、一夏は何が起こったかわからないまま試合が終わった

 

「遅いぞ、ここで待ち合わせさせたの、お前だろ?」

「すまんな」

 

それから数時間後、夕暮れどきに俺は一夏を寮の屋上に呼び出した、少し遅れたが

 

「単刀直入に聞きたい、お前がISを使う理由のもう一つはなんだ?」

「つっ!?」

 

一夏が白式を使う理由を知りたい、先程のではなく、もう一つの理由を

 

「俺は前に、誘拐された事がある、千冬姉に助けられた」

「だからなのか?」

「・・・?」

 

だからなのか、という意味が彼にはわかっていなようだ

 

「その時、自身に力があれば、力を手に入れさえすれば・・・と」

 

本人すら自覚していないだろう後悔はきっとそれだ、だからこそあえて自覚させる必要がある

 

「なんで、そんなことを言うんだ?」

 

冷静にだが、怒りそうな表情で俺に問いかけてくる一夏から視線を外しながら俺は少しだけ過去を思い出す

自分の目の前で仲間が死に、何も出来ずにいた自分が、どういうことをしたのか

 

「自分の非力さに泣いた事のある者は、誰でもそう思うさ・・・たぶん」

 

仲間の敵を討とうと力を欲し、たくさんの人間を殺そうとした、自分も深い怪我を負いながら

その結果、確かに勝った、それで失ったものがどれほど大きかったか今でも後悔しきれない

 

「けれど・・・」

 

守ることがどれほど難しいか、普通に生きるために、日常を守ることがどれほどキツく、難しいか俺はよく知っている、だからこそ

 

「その力を手にしたその瞬間から、今度は自分が誰かを泣かせる者となる。それだけは忘れるな」

 

彼に伝えることは、自分にとって選びたかった道、自分のようになってほしくはない

 

「ISは戦争の抑止力だ、もしかしたら俺もお前も軍に入るかも知れないし、そうならなければいいと思っている」

「なりたくはねぇよ、軍人なんて」

「選べなかった者が、目の前にいるがな」

 

俺は選べなかった、選べるはずだったのに

 

「もし、軍人になって戦場に出る事になって、その時にそのことを忘れて、勝手な理屈と正義でただ闇雲に力を振るえば、それはただの破壊者だ」

「・・・」

 

一夏が押し黙る、だから俺は質問することにした

 

「そうじゃないんだろう?お前はさ」

「あぁ・・・」

 

その真剣な眼差しに俺は期待して一夏に最後の注意をする

 

「俺たちの持つ物は、喧嘩のためのものじゃないんだからな」

「わかってるよ、それは」

 

そうだな、そんな軽い気持ちでここに来るわけがない

 

「ならいいさ、ソレを忘れさえしなければお前はきっと、今よりずっと強くなれる」

「お、おう・・・」

「でなければ、筋金入りの馬鹿だがな」

 

そう言って俺は、自室に戻ることにした




試合後に聞くことってバラバラだよね。
主人公は後悔(?)している事を乗り越え、それからどうしていきたいのか聞きました


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ディスクレジット・クヴァール

それは自分の作り出したもので惨劇が繰り広げられた過去を持つ少女の、自分の判断に対する疑念
この選択であっていたのか、間違っていないだろうかという苦悩


「・・・」

 

IS学園の整備室、その一角にある黒塗りの機体の前に私・・・峰島・由宇はいた。

私は目の前にある機体の整備をしている

 

「・・・」

「峰島・由宇、もう遅いぞ?」

「ん・・・?」

 

考えるのをやめ、時計を見る、もうすぐで深夜になるところだった

 

「考え事でもしていたのか?」

「少しな・・・」

 

横に立った教師、織斑・千冬の質問に答える

 

「私は、間違えているのだろうか?もし、今私がしていることが馬鹿げた事だとしたら・・・」

「だが、大切な誰かを守ろうとする事は・・・決して馬鹿げた事でも、間違ったことではない」

 

その答えに、一瞬頭が真っ白になる、理解できなかったから

 

「えっ・・・?」

「世界の事は分からないが、その大切な者がいるからこそ、世界を愛する事が出来るのだと思うぞ?」

「・・・」

 

かつて、世界最強と呼ばれ・・・いや、むしろそう呼ばれる立場になったことでたった一人の弟を危険に晒したことが負い目となっている彼女はキツい言葉や行動の反面、その弟・・・織斑・一夏を大切に思っている

だからこその言葉か・・・

 

「きっと藍澤もそうだ・・・だから頑張るのだろう、お前の期待に応えるために。お前もそんなアイツのために答えようとしているだろう?」

「・・・」

 

確かにそうだ、その思いに答えたいがために作り上げたのだから・・・彼の為だけに

 

「ただ少し、やり方が・・・と言うより思いが違ってしまう事だってある。その誰かがいてこその世界であるはずなのに」

「つっ・・・!!」

 

小学校以来の付き合いで、現在は行方をくらまして何やら陰謀を張り巡らせている人物に対し、強い警戒心を抱いている彼女の言葉は重いものだった。

それに過去の経験からどれだけの覚悟でこの学園で、教師という立場にいるのだろうか余人には理解でき得ない領域だろう

 

「だから余計に難しくなるが・・・お前はお前で努力すればいい」

「あぁ・・・わかった」

 

努力の果てに振り返った時あるのは自分の歩んできた過去(みち)だと、私も彼も、目の前にいる織斑・千冬もよく知っている

 

「ではな、早く寝ろ、学生の本分は勉強だぞ」

「わかっている」

 

やれやれ、心配されているのか・・・いや、ダメだな私は・・・間違えていた

 

「道具の使い方は発明者が決めるのではない・・・使う側が決める事だ」

「そうだよ、だから君の悩む事じゃない」

「うわあぁぁ!?」

 

いつの間にかそこにいたカズマの声に今更気がつき、驚きながら振り返る

 

「い、いつから居た!?」

「ん、道具のところから」

 

幸いにも最初から居たわけではないようだ、セーフだ

 

「だが・・・本当に私はこのままでいいのか?

「いいんだよ、君はそのままで。そうやって泣けている間は哀れではないさ、涙を流せるほど大事なものがあるうちはね」

 

いつの間にか泣いていたその目の雫を優しく拭き、頭を撫でる

 

「さ、戻るよ。シャワーを先に浴びてね?」

「あぁ・・・行こう」

 

彼に何度救われたか、今やもう数える事さえできない。些細な事から大きな事まで助けられてきた

だから今度は私が彼の助けになりたい

 

「ん、どうかした?」

「いや、なんでもない」

 

いつの間にか足を止めていたようで、心配されたようだ

 

「あぁ、いま行く」

 

さぁ、戻ろう・・・いま自分のいるべきところへ




由宇の過去とかもっと掘り下げた内容のを書きたい作者です


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幕間の夕暮れ

それは突然の出来事で、マジバトル必至の相手


「えぇ・・・と受付は・・・本校舎一階総合事務受付?」

 

夕方、ある少女がIS学園の正面ゲート前にいた。荷物は小型のキャリーバッグ一つ

つまりは転校生なわけだが、彼女は初めて来るのだろう、地図をじぃ・・・と見て

 

「どこ・・・見づらいんだけど?」

 

その地図の小さな文字を見るのに飽きが来たのか、ついに捨て去った

 

「なんとかなるでしょ、たぶん」

 

そう言って歩き出すが、失念していることがある。その地図は、彼女に関わりのある人物があえて小さく書いたのだ

今はまだ、知らないことだが

 

「ん、そ・・・か?」

 

近くの池らしき場所から声が聞こえた、男性で、よく知っている声だ。おそらく高い確率で同一人物のはず。

そう思うと、懐かしくなって声を掛けようとする・・・だが

 

「あぁ、そうしてくれる、由宇?」

「わかった、カズマ」

 

・・・だれ?今の子、なんで親しそうなの?っていうかなんで名前で呼んでるの?

嫉妬・・・しっと・・・シット、嫉妬、しっと、シットシットシットォォォォォッ!!

 

「えぇと・・・これで続きは終了です。IS学園へようこそ、清水・アヤナさん」

 

それから直ぐに受付は見つかり、手続きをした少女・・・清水・アヤナは質問した

因みに手続き中に3本もボールペンが折られており、受付の窓口に居る職員の表情は恐怖に染まっている

 

「藍澤・カズマって・・・何組なの?」

「あぁ、噂の子?一組ですよ。あなたはほどんど会えないかも」

「そう・・・」

 

彼女がそういった瞬間、都合4本目となるボールペンがバキィ!!という音を立て折られた

 

「三組のクラス代表って、決まってます?」

「え・・・えぇ、聞いてどうするの?」

 

再びの恐怖でガクガクと震えながら、受付の女性は再度質問する

 

「お願いしようと思って、代表、私に譲れって」

 

その笑みの後ろには、阿修羅・・・いや、死神のオーラが漂っているように感じられた

 

 

 

 

<自室、カズマ>

 

「・・・!?」

「どうした?」

 

突然、何かに驚くかのような素振りを見せたカズマに由宇は質問する

対するカズマの答えは

 

「いや、何やら寒気と嫌な予感が混じったものを感じただけだ・・・」

「敵か?」

「それよりも不味いけど、そうでもないかも」

 

よくわからない回答に由宇はとりあえず大丈夫なのだと判断し・・・

 

「なら私は寝る」

「あぁ、お休み」

 

寝る事にした、しかしこの二人は分かっていただろうか?ある意味で危険な修羅場が待っていた事に

それもまた、今は当人ですら知りえない事ではあるが・・・




修羅が待っていた模様、エンカウント・ザ・修羅!!次回は(物理的に)ドタバタの回かも


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もう一人の転生者!!

それはとてもとても厄介な転生者。
それでも勝てない相手はいて・・・?


「転校生が来るそうだぞ?」

「ふぅん・・・どうせ三組だとか二組だろ?」

 

由宇からの会話のネタ投下に俺は答え、一つだけ質問する

 

「どんなやつだろうな?」

「気になるのか?」

「少しだけね」

 

この時期に入学ではなく編入とは少しだけきな臭い所がある。スパイか、あるいは他の要素もある・・・俺と同じ転生者で、この時期に来る理由があったとかだ

 

「今のところ専用機を持っているのは一組と四組だけだから、余裕だよ」

「その情報、古いよ」

 

なんだ・・・どっかで聞いたことのあるクソアマの声が聞こえたのは俺の気のせいか、そうだなシカトしよう

 

「三組も専用機持ちがクラス代表になったの、そう簡単にいかないから」

 

横にいる貧乳のチビと似たようなセリフを吐きながらそう言っているのは・・・

 

「清水・アヤナ・・・何の用だ?」

「宣戦布告よ!!」

 

うわぁ、ドヤ顔しやがった、マジぶん殴りてぇ・・・

 

「無い胸張って格好つけても全く似合わんぞ?」

「んなっ!?人が気にしていることを!!」

「おい」

 

はい、鬼が登場のもようです

 

「もうSHR(ショートホームルーム)の時間だ、教室に戻れ」

「お、織斑・千冬っ!!」

「織斑先生と呼べ。さっさと戻れ、そして入口を塞ぐな邪魔だ」

 

一夏の関係者と同時に怒られる姿を見るのは非常に滑稽だった、思わず薄笑いを浮かべる

 

「今のは誰だ、藍澤・・・?」

 

あ・・・横にいる由宇がやばい

 

「後でたっぷりと時間はある、逃げるなよ?」

「は、はははは、はははははは」

 

足が痛い、踏まれているようだ

 

「いいな?」

「はい、かしこまりました」

 

逃げたらひどい目に合いそうな気迫だ、それはもう、明日の朝日を拝めないようなレベルの

そして昼休み、(作者:ごめん、授業中の描写できない)なんか電波が入ったが、屋上に移動して食べながら話をすることにした

 

「待ってたよ!!」

 

屋上のドアを速攻で閉めた

 

「待ってたよ!!」

 

再度、速攻で閉めた

 

「別のところ行こうか」

「あ、あぁ」

「行かせないよ!!」

 

いつの間にか前にいた件について説明を求む

 

「全くもう、ヒドイじゃない!!従妹に対して!!」

「後で模擬戦でも」

「ひぃ!?」

 

こういっとけば黙るだろう、つか黙れ

 

「俺が全部答える、質問はこのクソアマじゃなくて俺にな?」

「了解した」

 

さて、話し始めるかな

 

「どういう関係だ?」

 

由宇の質問は当然といえば当然のことだった

 

「コイツと俺は戸籍上は兄妹だ、この世界でもなぜかそうなったようだが」

「なんでだろうねー愛が成せる技かな?」

「模擬戦しようか、たっぷり4時間ぐらい」

「すいません、もういいません」

 

ならば良し。

 

「使っている機体はカズマが作ったものか?」

 

おっと、質問が来たようだ

 

「コイツが使う機体の設計は俺がしたものだ、正式名称はグリーンフレーム」

「性能はかなり高いけど砲撃特化だから近接戦の武器が少ないかなぁ」

「ランス持っといて何を言うか」

 

あるじゃあないか、近接武器。ないとか言うな

 

「拡充は由宇がしてくれる、俺の機体をこの世界で完全再現してのけたすごい子だ」

「恋人・・・?」

「「・・・」」

 

その質問をしてきたコイツに、一緒の行動で頭を鷲掴みしていた

 

「「そうだと何故分からない?」」

「いたっ!?痛いよ!?しかも更に強くなってる!!」

 

よし、ならばその頭

 

「「トマトのように、赤く爆ぜろ」」

「ひどいよぉ!!」

 

トマトみたいに爆ぜればいいのに、赤くて・・・あ、マズイな、肉体自体の解体に加えて血液の処理方法が問題だ

 

「由宇、こいつ殺すのダメだわ」

「そうだな、面倒だ」

 

ということで解放する

 

「跡形残ったらどうするのよ!!」

「跡形?残ればいいだろ、一発終了だ」

 

そこから赤トマトにしてやる

 

「言うんじゃなかった」

 

けっ、ざまぁ

 

「さて、昼飯も終わりだ、午後の授業も頑張るぞー」

「おー」

 

さぁ、残り半分頑張ろうかー

 




人間を赤トマトにしちゃいけません、食欲(?)が失せます。それに処理が面倒です。
謎の転生者の正体は主人公の戸籍上での妹さんです。今後様々な面でチラチラ登場予定です。きっと面倒事を頼まれる可哀想な役どころです。


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閑話休題、という名の設定(3)

作者がわからなくなる前に新キャラの設定を追加します。


清水・アヤナ

 

二人目の転生者、IS学園に編入してきた。

藍澤・カズマとは兄妹の関係(従妹)だが、それ以上に好意を抱いている(恋心ではない)。

また、根っからの犬属性(飼い犬のように人懐っこく従順な性格)であるため主人公にいい様に使われる残念な人物でもある。(しかし任される仕事は重大なものもある為、信頼していることは確かである)

使用する機体は藍澤・カズマが自身の専用機として開発したブラックフレームを元に専門分野に分化させたモノの強化改修機という複雑な経緯を持つ、グリーンフレーム・ライブラリアンヘイルカスタム。

ライブラリアンとはIS世界での特殊作戦部隊にあたる組織で、藍澤・カズマも所属していた時期がある(抜けた理由はブラックフレームに使われるオリジナル技術の盗用を目論んだためである)

また、ヘイルは(あられ)(ひょう)を意味する英語である。

 

年齢 25→15(転生したため)

身長 165.2cm

体重 66.9kg

視力 2.5

握力 29.9 

 

 

使用機 グリーンフレーム・ライブラリアンヘイルカスタム

自身の専用機、ブラックフレームのデッドコピーではなくブランチ(分化)タイプ、狙撃戦用にチューニングを施された専用OS・STRIKERを搭載する。

ISではない。

 

武装

 

 

小口径近接防御機関砲 

ブラックフレームと同様、襟首に内設されているミリ単位の弾丸を高速連射する機関砲

 

 

三連装マイクロミサイルポッド

両肩外側面に装備されるミサイルポッド、全弾発射後に自動でパージされる

 

 

46口径三連装対空レーザーバルカン砲

両肩に装備される対空レーザー砲、使用時は砲身が前面にせり出す。対空防御だけでなく対人・対IS戦でも有用かつ効果的な汎用性を持つ

 

 

150mmガンランチャー

右背面アームに接続される電磁レールガン。散弾による複数目標への攻撃など、"面"の破壊に特化された武装。通常の質量弾頭の他にも、徹甲弾や榴弾などの各種特殊弾頭も射出可能

 

 

74mm高エネルギー収束火線ライフル

左背面アームに接続される大型ビームライフル、ブラックフレームのプラズマ収束ビーム砲を上回る火力を持つ

 

 

対装甲散弾砲

ガンランチャーを前に、収束火線ライフルを後に連結した広域制圧モード、散弾のタイプは通常弾と融解弾、テルミット弾の三種から選択する事が可能

 

 

超長射程狙撃ライフル

収束火線ライフルを前に、ガンランチャーを後に連結した高威力・精密狙撃モード、本機最長の射程を誇る

 

 

ビームブレイドランス

荷電粒子の刃槍、両腰に二つ装備される近接防御用装備。連結させることでツインランスと呼ばれる高出力モードになる




新キャラ登場記念で次話、模擬戦でもしようかな?
と思う作者であります。


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非常識の模擬戦!!

それは常識をどっかに置いてきたかのような模擬戦。
キチガイな変態機動をする二人の不毛なじゃれあい


それから数週間が経過し、クラス対抗戦(リーグマッチ)の一週間前となった、第3アリーナを貸し切って模擬戦をする算段を勝手に組まれて相手に文句を言おうと思ったが・・・

その人物は、清水・アヤナだった

 

「ねぇ、反省して謝る?」

「・・・」

 

えぇと・・・なんでこうなったか俺にはわからないんだが

 

「思い出せるまで、攻撃してあげるわ!!」

「いや、今思い出した」

 

あぁ、貧乳と何度も呼んだ事だな。きっとそうだ、そうでなければキレはしない

 

「するん、ペタン」

「・・・殺す!!」

 

笑いながら言う事じゃなかったか・・・

 

「コレで死ねぇ!!」

「おぉ!?」

 

150mmガンランチャーで攻撃してきたので躱す、と言っても質量弾頭だからある程度(装甲に)当たってもダメージを受けはしないが

 

「今度は俺の番だ!!」

「うわわわっ!!」

 

ビームライフルで連射攻撃を繰り出し後退させる、その間に・・・

 

「これでも喰らえ!!」

「げぇ!?」

 

ロケットランチャーを展開された、思わず盾で防ぐ。反動で大きく後退してしまった

 

「ぐ、おっ!!」

「いただきっ!!」

 

いつの間にか上にいる、クソッ!!

 

「させるかぁ!!」

「そりゃ!!」

 

大量のミサイルをフルブラストで一掃し、数メートル手前で止まる。よくよく見れば俺が元いた世界で開発した機体だった。

でも細部が異なるぞ?どういう事だ?

 

「私が兄さんと離れて所属していた組織、どこか知ってる?」

「知らんな、興味がない」

 

アヤナに機体を渡して以降の俺は戦争の只中にいた、だから彼女が属していた組織の事は知らない。

しかし、その戦争の只中にいたからこそ、今守れるものがあるし、守りたいと思う日常がある

 

「ヒントは、兄さんがかつて」

「ライブラリアンか!!」

 

厄介だ、俺の技術を盗もうとした連中の組織にいたなんて!!

しかもそれから察するに強化改修したんだな!!

 

「さぁ、グリーンフレーム・ライブラリアンヘイルカスタムの実力を、受けなさい!!」

「えぇい!!このガキ生意気なァ!!」

 

俺に断りもなくいけ好かないカスタムをしやがって!!

しかも完成度が非常に高いし!!

 

「墜ちろぉ!!」

「簡単に墜ちてたまるかぁ!!」

 

彼女が対装甲散弾砲へ連結させた武装の散弾を躱し、超電磁砲を連射する

当然躱されるが機動性は同一、未来値予測の結果から推定した座標にビームライフルの銃口を向け、撃つ

 

「うわっ!?この変態!!」

「誰が変態か!!変態ってのはなぁ!!」

 

一気に加速して後ろに回り、ガラ空きの背中を蹴る

 

「こういう事を平然とする奴だよ!!」

「このおぉぉぉぉ!!」

 

小口径近接防御機関砲と46口径三連装対空レーザーバルカン砲、更には74mm高エネルギー収束火線ライフルの猛攻を盾を前面に出しながら突撃攻撃(チャージアタック)をかけて突破し74mm高エネルギー収束火線ライフルを盾で圧壊させる

 

「くっ!!」

「そおぉれ!!」

「きゃああぁぁ!!」

 

150mmガンランチャーの基部を掴んで、背負い投げの要領で破壊する、これで武装はもう無いはず!!

 

「なんちゃって」

「がぁ!!」

 

最後の一撃と思って突撃(チャージ)した瞬間、彼女の両腰からビームブレイドランスが飛び出た

 

「くっ!!」

 

回避がギリギリ間に合ったが、左肩装甲を深々と抉った。肉体へのダメージこそ無かったが、もし間に合わなかったら・・・考えるとゾッとする

 

「あの頃とは、違うわよ?兄さん」

「あぁ、そうだな・・・甘く見ていた」

 

ボロボロになっている盾を捨て去り、ビームサーベルを構える

 

「ゆえに本気で行くが、良いな?」

「えぇ、本気で来て頂戴!!」

 

ビームサーベルとビームブレイドランスがぶつかり、鍔迫り合いに持ち込まれる

 

「はあぁぁぁぁ!!」

「うおぉぉぉぉ!!」

 

力ずくで切り抜け、一気に猛攻を開始する

 

「オラオラオラァ!!」

「うわっ!?このっ!!」

 

フルブラストの猛攻を彼女は避けるが、その装甲はゆっくりと削れていっている。

そして

 

「そこに居ていいのかい!?」

「え・・・しまっ!?」

 

決定的な弱点である粉塵爆発を人為的に起こさせて終わらせた




主人公が一強状態です。まぁ、そういう作品なんだけど
そろそろ無人機が登場の予感・・・デス○ロイ・・・いやなんでもない


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無人機・・・襲来

平和だと信じていた、そう思いたかった
それが崩れ去る時、主人公がとる行動は


そして一週間が経った、平和なものだ、何もないと思いたい

それは今、横に居るアヤナも同意見である。

 

「観戦しないの?」

「良くて引き分け(ドロー)だろ、最悪は初戦敗退なだけだ」

「現実の見方がひどいよぅ」

 

一夏の戦い方はまだ荒削りだ、現状のままでは良くて二回戦敗退が目に見えている

俺が代表で出るならば余裕でクリアできるのだが(生徒会長が敵だった場合は割と本気で挑まなければならない)

 

「緊急だ!!」

「なんです?」

 

そんな中で緊急連絡が入った、最悪な事に織斑・千冬からだ

 

「無人機と思われる反応が接近している!!至急対処してくれ!!」

「ここは平和だったはずだよな?」

「そうだが・・・」

「まぁいい、それは今後の話だ」

 

くそっ!!なんでこんなことになるんだよ!!

 

「つっ・・・!!」

 

戦いたくはない、それでも・・・守るものがあるならば!!

 

「藍澤・カズマ・・・ブラックフレーム、出撃する!!」

 

ブラックフレームを即時展開する。俺に対処してくれと言ったという事は既に根回しは終わっているだろうからな

 

「アヤナは即座に周辺生徒へ避難勧告!!戦闘は俺が一人で受け持つ!!」

「了解!!無茶はしないでよ!!ただでさえ!!」

「わかっている!!」

 

アヤナが心配したのは俺の体の事だ、俺の体は元とはいえ軍人でありながら平均より低いから

あまりに過度の負荷がかかると精神が肉体を追い越してしまい、身体機能の一部に機能不全が生じてしまうのだ

これはある理由(・・・・)も関わるのだが、今はまだ明かす必要がないか

 

「アレか!!」

 

威嚇射撃を3発発砲するが、それを躱す事なくこっちに突っ込んできた

敵対行動とこちらも認識して戦闘に入る

 

「ちっ!!」

 

ビーム砲撃の威力が高い、こちらの所有する兵装と同程度の出力はある!!

 

「早めに仕留めんと、厄介だな!!」

 

だが、使用できる武装は腕部に集中しているのか、その攻撃は線のものが多い。付け入る隙はある!!

 

「ならばっ!!」

 

フルブラストの連続をしながらハイマニューバで回避機動という至難の業を行う必要がある。

現状の俺の身体状態と機体の性能からこの機動がどれほど連続できるか算出する。

算出結果は5分・・・僅かだとはいえ厳しいわけでもない

 

「やるさ・・・やってみせるぞ!!ブラックフレームッ!!」

 

ブラックフレームのエネルギー出力が俺の声に応えるかのように跳ね上がる。

同時に機体の全機能制限を開放しサブバインダーを展開、それでさらに跳ね上がった機動性を駆使してフルブラストを連続、敵の一点を集中砲火する

 

「墜ちろおぉぉぉ!!」

 

狙っていた一点、最後に剥き出しとなったコア部分に全砲門の照準を合わせ、発砲、撃墜する事に成功する

 

「織斑・千冬、こちらは撃破した」

「こちらでも確認した、念の為に検査を受けてもらえ、あれほどの機動を行った場合」

「わかっている。俺の肉体への負荷は尋常ではない、IS近似であるとは言え限界はあるからな」

 

よりによって心配されるとはな・・・

 

「ぐっ・・・!!」

「大丈夫か?」

「俺よりも、弟の方を心配しろ、姉だろうが!!」

 

視界がぐらつくが、それでもなんとか意識のあるうちに伝えておく

 

「俺はしばらく寝る、適当に回収してく・・・」

 

次の瞬間、敵機が再起動してこちらに照準を定めてきた。

撃たれる数瞬前に再度フルブラストを行って今度こそコアを破壊する

 

「訂正、同時進行でいいから出来るだけ早くしろ、以上交信終わり!!」

「まて、まだ話が」

 

その途中で俺の意識は途絶え、黒く染まった




これでようやく1巻の内容は終わりました、ふぅ・・・

次は2巻だよ、より原作に近くしていくよ。


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ひみつ

それは主人公の誰にも明かしていなかった秘密


IS学園の医務室で、一人の"少女"が目を覚ました。

その少女はガラスに映った自分の顔を見て・・・

 

「またか・・・またなっちまったなぁ・・・」

 

そう呟いた。っていうか俺だ、うん

 

「・・・」

 

それから目線を横にずらして見上げる、そこにいるのは織斑・千冬だった

 

「お前についての説明をやり直してもらおうか・・・」

「最初からか?」

 

イラッとしたのか、織斑・千冬は無表情でありながら出席簿を少しだけ強く握り締めた

それを見て、その俺は・・・

 

「名前は言わんでもいいな?どのみち肉体関連でしかない」

「それだけでいい、さっさと言え、藍澤・カズマ」

了解(ヤー)

 

俺は、自分の肉体に関する今の時点(・・・・)で明かせる情報全てを明かす事にする

 

「答えは簡単、俺が作られた人間であり、完成していながら失敗作であるという事だよ」

「人造人間・・・という認識でいいのだな?」

「それとは少しだけ違う所があるがな」

 

山田・真耶から渡されたジュースを飲み、次に話すことを選ぶ

 

「俺が作り出されたのは、こことは別の世界だ。それについては以前話したな?」

「あぁ、覚えている」

「その理由だが、二つある。どっちを先に聞きたい?良い方か、悪い方か」

「じゃ、じゃあ、良い方で」

 

山田・真耶が恐る恐る提案してきたので俺は先にそちらを言うことにした

 

「人の進化と調和の可能性を次の世代に引き継げるだけの力。その希望の象徴であれ。という理由だ」

 

そこで織斑・千冬が気づく、それは先程、俺が言った作り出された(・・・・・・)という言葉に関連する。

つまり、俺はクローンかそれに近い何かしらの技術を利用して生み出されたのだと

 

「だが、やっている事は犯罪だ」

「俺の生まれた世界じゃ犯罪でなかったんだよ、むしろ先天的に病気に罹りにくいようにDNAを弄っていたぐらいだ」

 

それがどうしたという声で俺は反論する、俺の中ではそんな事などどうでもいいのだ

 

「では、悪い方を聞こう」

「軍事転用だよ。俺という究極の一人を先につくり、それを雛形に様々に分化させて専門特化させる。安定性を高くするがためにな」

「そんな・・・」

 

先ほどの理由を相殺するかのような、非人道的すぎる理由。

それを知った彼は、それでもなお抗う

 

「だが、技術の完成間近の時点で仕込まれたバグのお陰で俺は成功品でなくなった」

「それが今の姿に関係している・・・と?」

「あぁ、密接にな」

 

コップに残ったジュースを全て飲み干し、話を続ける

 

「人間のDNA・・・性別を決める部分はXYとXXしかない。これが基本であり普通なんだが。俺の場合、両方が奇跡的なバランスで存在している」

「それって、普通じゃないですよね・・・」

 

山田・真耶が驚きの表情でそう呟く、織斑・千冬ですら(よく見ないとわからないが)驚いていた

 

「あぁ、有り得ない(・・・・・)んだ。それを可能にしたのは俺のDNAで見た場合の母親にあたる人物らしい。名前を知る前に軍部のデータベースサーバから研究記録自体が抹消されていて掴めなかったが・・・」

 

だがしかし、重要な部分は掴めた・・・それは

 

「彼女は最後まで俺に使った技術の軍事転用を反対し、恐れていた。だから計画の中心でありながらそれに相反するバグをあえて加えて根底から覆したんだ。つまりはとんでもないちゃぶ台返しをしたんだな・・・」

「す、すごいですね・・・」

 

壮大すぎるちゃぶ台返しだ、根底から全てを不可能にしたんだから

 

「それでも俺という完成であり失敗作(・・・・・・・・)は誕生した。まぁ、軍部は失敗と聞いた途端に手を引いていたから俺を作った技術の軍事転用は見事に回避されたわけだが」

「それから様々な紆余曲折を経て、今お前はこちらにいる。という事だな?」

「まぁな」

 

やれやれ、と体を起こす。痛みが少しするのは戦闘で負ったダメージが少し残っている証拠だ。このダメージを早く癒すために自動で女としての染色体が一時的に活性化したのだろうと判断する

 

「これからどうするんですか?」

「どうせ後、一両日程度はこの体でいないといけませんし、しばらく戻れませんから、ちょうど明日は休みでしょう?外出許可をください」

「なぜだ?」

 

織斑・千冬が質問してきたので簡単に答える

 

「由宇の服類にバリエーションがなくなってきたから、サイズが足りないのかもしれないんで購入したいんだよ」

「サイズはわかっているのか?」

「幸い、この体の方だと由宇より"少しだけ"大きいから今度からこっちに合わせればいい」

 

女の子はいろいろ大変なのだ、俺は女性体の時にソレを(皮肉な事に)経験している

特に下着類とか、成長期はすぐに買い替える事も多々あるからな

 

「変態が」

「残念だが今は女の子だよ?」

 

ドガッ!!

 

「蹴り飛ばすぞ?」

「蹴り飛ばしてから言ってんじゃねぇ!!」

 

不意に蹴り飛ばされてかなり痛かった、しかも戦闘で負荷を負った部分を正確に蹴り込むという悪魔の所業だ

 

「その場で元に戻ったらどうなる?」

「あぁ、それに関しては大丈夫、戻る1時間前ぐらいから気分悪くなるんで」

 

その度にベッドに寝込むことになるんだがね

 

「まぁ、一両日程度なら問題はなかろう。外出許可証を後で書いて退出しろ。学園では男性で入学しているから理由は他の物にしておけよ?」

「了解です。理由は住居の清掃と管理保全で」

 

そう言うと、二人の先生は去っていった。ご苦労さん




主人公が女体化するだと( ゚д゚ )!?
と言っても一時的なものなので次話からは元に戻った状態です。
休日の話はまだまだ先だよ


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ブラックVSダーク

黒色の機体どうしの戦い
ISではないモノと第3世代ISの戦闘
その勝敗とは・・・


「なんだと?俺にそんな面倒な事をしろというのか?」

「すみません、でも近くで止められる実力を持っている人は藍澤君だけなんです!!」

 

俺が回復してようやく、学年別トーナメントが行われる時期に近づいてきたが、転校生であるラウラ・ボーデヴィッヒが問題行動を起こした

 

セシリアと鈴の模擬戦に介入し一方的な戦闘をしているのだとか。それならまだいいもののこのままでは生命の危険になるとのことで俺が緊急で呼ばれている

織斑・千冬は現在急行中だが間に合わない可能性が高いためちょうどその問題が起きているアリーナにいた俺にお鉢が回ってきたことになる

 

「仕方あるまい、俺なりのやり方で構わんな?」

「構わん、しかし加減はしろ」

「了解だ」

 

通信を中継されていた織斑・千冬の言葉を言質として受け取り、ブラックフレームを纏う

 

「さて、お仕事だっ!!」

 

ライフルの銃把を握り、精密射撃する、狙いは三人の中間地点

 

「双方動くな!!」

「つっ!?」

「ちょ!?」

 

驚きようはそれぞれだったが、それでも十分に威嚇は出来た。中間に降り立つ

 

「セシリアと鈴は下がれ、その状態では危険だからな」

「うぅ・・・」

「痛いところを突いてくるわね」

 

そういいながらも二人は従ってくれた、いかんせん(一夏と)何度も模擬戦(という名の教練)している俺の実力を知っているようだ

 

「さて、お前だが・・・除装しろ、2人のように言う事を聞けばこの場では不問にする」

「すると思うか?有象無象が減って一つ増えだけのこと」

「おまえがそう思うのならそうなのだろうよ。おまえの中ではな。それが全てだ」

 

力が全てというゴミなど俺は本気でなくても倒せる、たとえ相手の動きを封じれる機能を持つ機体であろうと

 

「織斑先生、緊急ですが俺とラウラ・ボーデヴィッヒの模擬戦を許可してください」

「許可する、双方好きにしろ」

「「了解・・・!!」」

 

同時に返信し、通信を切る

 

「こい、実力の差を見せつけてやる」

「それはどちらのセリフかな?」

 

ライフルの銃口を向け、放つ。ビームが見えない壁に阻まれ屈折した

 

「なるほど、大体わかったぞ。強みも弱点も全部な」

「たった1射で知ったようなことを!!」

 

突っ込んできた、ワイヤーブレードで俺の首を絞めながらだ

だがしかし・・・甘いな、やはり小娘だ

 

「武装の威力を試すにはちょうどいいか」

「つっ!?」

 

両腕の武装を使う前に近接防御機関砲で射撃し盾で突き壊す、さらに首についたワイヤーをライフルを捨て空いた手で握ったビームサーベルで切り飛ばし、身を捻らせてラウラの追撃を躱し返す刃で肩の大型カノン砲を蹴り壊す

 

「貴様っ!!」

「いい気になるなよ甘ったれたクソガキめ、専用機を持っただけの状態で偉そうにしやがって・・・選ばれた者気取りか?だったら周りの人間の邪魔にならないうちに()く死ねよ」

 

はっきり言って本当なら生死の境に叩き込みたい、それでも由宇との約束は履行しなければないから手加減をしているのだ

 

「はっきり言おうか?お前など俺には単なる雑魚だ、現に俺は本気じゃあない。意味はわかるな?」

「貴様・・・本気で倒してくれる!!」

「はっ・・・!!」

 

笑えてきた、拘束の網で俺を捉えたつもりらしい。元に拘束されているが・・・

 

「おいおい、この程度なのかよ?」

「つっ!?」

「もってけアーマーパージだァ!!」

 

表面装甲を内部から吹き飛ばし、強制的に脱出する。同時にすべての武装を失ったがそれでいい、むしろ雑魚に対して縛りプレイできる

 

「遅い!!」

「がっ!!」

 

一歩で懐に迫り、腹部をエネルギーを纏わせた拳で殴りつける。衝撃と同時にそのエネルギーを接触面に向けて放射、ラウラ・ボーデヴィッヒを吹き飛ばし、一撃で戦闘不能に追い込んだ

どうやら気絶したようで、すぐに医務室に運ばれたが

 

「フィストショット・・・と名付けておこうかな。初めてやったし」

 

実は思いつきでやった技だ、出来るとは思わなかったが成功して何よりである

 

「さて、織斑先生終わりました」

「好きにしろとは言ったがこの意味ではないぞ」

「すいません、俺は馬鹿なもので」

「あぁ、私も頭のあるバカほど嫌いなものはない所だ、後で反省文を5枚書いて提出するように」

 

うぇー俺喧嘩止めたのにー

 

「増やすぞ?」

「やらせていただきます」

「よろしい」

 

サクサク書いてチャッチャと終わらせますかね・・・




フィストショットはゼロ距離で撃つディ○イン○スターみたいなものだと考えてください。
恐ろしい威力です。


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ValkyrieTraceSYSTEM

それは信じるモノの違い
人を崇め、操り人形となった者と理想を求め、地獄を見た男の戦い


「相手がいない」

「ふぁ?」

 

 

ある日・・・というより学年別トーナメントのペアの締切が翌日となった時点で俺にそう言ってきたのは何を隠そう織斑・一夏自身だった。

一体どういう理由かというと・・・

 

「シャルルが教えたから出来るよね?って事で模擬戦だと思えばいいから敵となって戦いたいらしいんだ」

「教え子を鍛えるためには効率的だな」

 

つまりは卒業試験のようなものだと納得し・・・

 

「いいぞ、俺と組め。アヤナとシャルルのペアにする」

「お、わかった」

 

こんなんじであっさりと織斑・一夏と組むことになった俺は対ラウラ・ボーデヴィッヒの戦闘パターンを考えてきた

そして今。ジャストナウ。それが使われる日が来たのだ

 

「さて、俺は基本お前に合わせることに集中する。それまではお前がどうにかするんだな」

「カズマは約束通り箒を倒してくれ」

「あいよ」

 

ラウラ・ボーデヴィッヒのパートナーは篠ノ之・箒だった。

好都合にも俺にとってはとてもやりやすい相手だ

 

「試合開始!!」

 

スターターの号令と同時に二人同時に瞬時加速(イグニッションブースト)で接近、俺は篠ノ之・箒へと途中で進路を変え、斬りかかる

 

「くっ!!おのれっ!!」

「すまんな、さっさと沈んでくれ!!」

 

フルブラストモードへ即座に移行し三連射、戦闘続行不能にしてすぐに一夏の方に転進し横からビームライフルでラウラ・ボーデヴィッヒのシュヴァルツィアレーゲンのアンロックユニットにあるカノン砲を破壊する

 

「お待たせしたな、一夏」

「待ってたぜ、全くよ」

 

そう言って横に立つ一夏の白式の装甲は所々が破損していた、余程の猛攻だったのだろう

 

「さて、反撃・・・行くぜ!!」

「死ね!!」

 

一夏が突貫しラウラに迫る、俺はソレを見るだけだ

 

「おぉぉぉぉ!!」

 

白式による一撃は決まった、たったの一撃・・・零落白夜の剣先が掠めただけのひと振りで落とされたのだ

 

「つっ!?」

「なんだ!?」

 

だが、変化が起きた・・・ブラックフレームにある機能の一つで解析せた結果・・・

 

「やばい、一夏・・・俺に変われ」

「だけど、アレは千冬姉の!!」

「わかっている、だからこそ俺に譲れ。最後の一撃は譲ってやるよ」

 

ヴァルキリートレースシステム・・・その名の通りのシステムは使わせる人間の心理状態に激しく左右される

ラウラの場合はおそらく・・・織斑・千冬への憧れ、いやいっそ崇拝とも呼べるモノによるところが大きいであろう

 

「夢のないやつめ、ならば俺が見せてやろう」

 

そんな奴にはブラックフレームによる悪夢を見せてやろう

 

「ワンオフアビリティ・・・神の杖(ロッズ・フロム・ゴット)!!」

 

ワンオフアビリティ、ロッズ・フロム・ゴット・・・機体に循環するエネルギーをある一点に集中、あるいは複数箇所に点在させ物体を生成、コレを人類が誇る最高速度の砲撃装置を超える加速度で撃ち出す特殊状態を俺はブラックフレームのワンオフアビリティにした

 

これの威力は・・・軽く半径3メートルのクレーターが出来るほどだ

 

「夢を見ろ、それがお前に俺の教えること・・・。見れないというのなら見せてやろう」

 

さらに圧縮率を上げ、物体の強度を増し増しにする

 

「そうすることも、勇気だっ!!」

 

その言葉と叩き込んだ一撃でVTシステムだけを破壊してラウラを開放した

 

 




主人公やべぇ・・・と言う回でした。
感想ください、作者の栄養になります


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無謬の夢

それは眠る時に見るもの、人をして夢というモノ、あるいは精神の世界。
その中にいる少女は・・・


「いつまでそうしているつもりだ?」

「貴様に何がわかる・・・」

 

戦闘後ぶっ倒れた俺には精神の連結(リンク)現象が起き、目を開けた時には暗い部屋の中にいた

一番嫌な思い出が再現されているのだろう、照明は一つしかないから暗い

 

「とりあえず座れよ」

「つっ!?」

 

なので俺が強制上書き(オーバーライド)して明るい部屋にご案内する

 

「相談事ならなんでもしていいぞ?」

「・・・」

 

机と椅子を用意して対面になるように座る

 

「貴様は私に夢を見ろといったな」

「あぁ、言ったぞ」

 

そういえば言ったなぁ、気にしていたのか

 

「どういう意味だ?」

「俺とお前に共通する事が一つだけある、それは"作り出された"という事だ」

 

それを言うと驚かれた、どうしてだろうか?

 

「違いは一つだけ・・・軍人としての道しかなかったか、民草であったか」

「たった、それだけ・・・?」

「あぁ」

 

恐る恐る聞いてくるラウラに俺はそう答える。本当にそれだけなのだ

だから俺は彼女に告げる

 

「世間と人を知れ、それがこれからのお前を何倍、何百倍にも成長させる」

「だが、力も必要だ」

「ソレは経験の中で得られるものだ。経験もなしにある力はそれはそれで凄いが、磨きもせず放っておく、もしくは自分で考えて使うこともせずに闇雲に使うのは愚か者のすることだよ」

「・・・」

「君は違うだろう?織斑・千冬から君は何を学んだ?」

 

少しだけ俯いたラウラは、すぐに立ち直ったのか、俺を純粋に見始めた

 

「なぜ、お前はそう言える?」

「経験してきたから、それも、沢山ね」

 

語り始めれば止まらないほどの経験だ、その中では好きだった人を死なせてしまった事もある

それでも・・・全てを失っても、絶望してもなお挑み続ける者がいるのならその支えになっていきたいのだ

 

「そうか・・・」

「俺を超えんと織斑・千冬は倒せないぜ?」

「そう遠くないうちに超えてみせる、覚悟していろ」

 

そう聞き、もう大丈夫だろうと判断して俺は連結(リンク)を切る

 

「う・・・ん?」

 

目が覚めたら、声が変わっていた。やな予感がしたので鏡のある洗面台へ急行する

 

「またかぁぁぁぁ!!」

 

女になっていた、今回で二度目となる

しかも運動能力がそのままに

 

「どうしよう・・・どうしよう」

 

前回のように翌日が休日ならどうにかなった。だが今回は平日、しかもまだ週の初めである

 

「どうしようもあるまい、諦めろ」

「にべにもない言葉をありがとう。・・・Shit(クソッ)!!」

 

どうにもできなかった、ちくしょうめ・・・

 

「特異体質だということで、現にそうだし」

「そういう事にするしかあるまい、化けの皮が剥がれ始めてきたな?」

「うるせぇやい!!」

 

からかわれた、それが鬱陶しい

 

「どうやら体と性格がリンクしているようですね」

「えぇ、まぁ。こうなると言葉遣いも変わるので」

 

いつもならタメ口の相手である山田・真耶先生にもこうなる

 

「気持ちわるいな」

「よし黙ってください」

 

こうなるのだ、こうなってしまうのだ。だから嫌なのだが・・・

 

「副作用なのだろう?」

「そうなりますかね、不本意ですがっ!!」

 

どうしようもないなら諦める、そうすれば切り替える・・・事が出来るかぁ!!

 

「で、どうしろと?」

「諦めて女子生徒用の服を着ればいい」

 

あ・・・今なんて言った?

 

「俺の精神を殺す気か?」

「でも・・・似合いますよ?」

 

山田・真耶先生は俺を宥めようとしてくれているそれは嬉しいのだが・・・

 

「精神的に、受け付けないんですよッ!!」

 

どうしても言いたいので小さい声で反撃してみた、そしたら

 

「山田先生」

「はい」

「絶対に着せろ」

「了解です!!」

 

最悪な結果になってしまった!!

 

「さぁ、着ましょう!!」

「やめろぉぉぉぉぉ!!」

 

拒否権はなかった、結果的にその日は俺にとってのトラウマとなってしまった。




再び女体化!!これからも副作用でこうなりますよ!!
さて、特異体質のようですがこれが後にどういう変化を齎すのか・・・案をください。面白そうなネタなら採用します!!

感想も是非ください、作者のひりょ・・・もとい栄養になります。


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強襲

それは怒りの攻撃、矛先は正確にその場所を突く


「あ、君がちーちゃんからの助っ人?」

「まぁな、それで、どうしろと言うのだ・・・」

 

突然ですが問題です、一人でアリスとウサギを再現した変な格好の服装をしているのは誰でしょうか?

答えは・・・

 

「篠ノ之・束」

「んー、VTシステム作ってるおバカな連中の殲滅?」

「連休をどうしてくれる、お前のせいで地獄になりそうだぞ」

 

確かにVTシステムなんてものを考えた連中には腹が立っているが面倒くさい、そんなものはどっかの犬の餌にしたいくらいだ

 

「それで、成功報酬は?」

「一人で行くの?」

「当然だろう、お前ほどの人間が珍しく他人に興味を持った。その事に非常に驚いていたぞ、織斑・千冬はな」

 

基本的に心を許した人間以外は拒否している彼女が珍しく興味を示した。しかも俺に

厄介なことこの上ないのだがそこはそれ、金に成るなら構わない

 

「危ないよ?向こうはISでガッチリ固められているんだからさ」

「今もなお増産中のあんたがそれを言うか」

 

ここで俺の入ったこの世界の大きく違う点を言おう、彼女は今もなおISのコアを増産している。

それも月に一個ペースでだ、その為現在の上限数はもう既に1000機近い計算になる。

 

「将来は男の人でも使えるようにしたいから、いっくんの白式の解析をしたいけど、ちーちゃんに話を振られたからね」

「VTシステムなんてものを開発した輩がいるぞ、どうする?とかそんな所だろ・・・全くあのクソ教師め」

 

厄介だ、とても厄介だがしかし・・・

 

「ごめんなさい・・・本当は私が」

「それを言うな」

 

それでも彼女はそうなった事に反省をしている。ここも大きく異なる、おかしな人間・・・むしろ狂人に近いその思想と行動が綺麗さっぱり見当たらないのだ。

つまりはただの常識人・・・なんという事だろうか・・・ホワイト(?)になっているのだ

 

「まぁいいさ、勧告はそちらでやれよ?」

「うん、殺す気はないからね」

 

さて、それならいいんだが・・・

 

「終わったら言ってくれ、本気で破壊する」

「どうするの?」

「一撃で消し去るのさ」

 

そうしないと厄介だ、主に俺のスケジュールが

 

「急いでするね」

「頼むぞ」

 

それから一時間後・・・

 

「終わったけど、大変なことが起きちゃった!!」

「なんだ?」

「無人機の出来損ないを開放したの!!」

 

はぁ!?この・・・往生際の悪い!!

 

「面倒だ、一気に殲滅する!!」

 

ブラックフレームをエミュレートモードで起動しある機体を再現する。

それはかつての自身が持っていた、重力を操るに至った機能をエミュレートしたブラックフレーム。姿は現在のブラックフレームと違い禍々しい

 

「さて、これならどうかね?」

 

解放されてしまったのは5機、そのうち2機を照準に据え、武装を起動する

 

「ワームスマッシャー!!」

 

ロッズ・フロム・ゴットの機能を転用して砲撃を"転送"して破壊することに成功する。これはあくまでも前座だ

2機が破壊された事で危険度を上げた残り3機は最高速度で離脱を開始する

 

「収束されたマイクロブラックホールは特殊解を持つ。剥き出しの特異点は時空そのものを蝕んでいくのだ」

 

地面がヒビ割れ、砂塵が俺の生成した黒い球体に吸い込まれていく。これはマイクロブラックホールである

つまりこれは重力操作機能を兵器にしたものだ

 

「重力崩壊より逃げる術はない!!」

 

それを両手で天に掲げ、3機の内2機に笑みを向ける、搭載されている人工知能(AI)は何を算出するだろうか

 

「事象の地平へ消え去れ・・・ブラックホールクラスター、発射!!」

 

そして撃ちだし、破壊する。さて、残り一体!!

 

「先の4機と同じ運命だと算出しろ、抵抗は無意味だ」

 

実体剣を召喚し手に取り、一気に加速、懐に潜り込み左腕を破壊する

 

「おっと、逃がさんよ」

 

さらに緊急離脱に移行したのでその先に向かい、正面から斬る

 

「これで、終わりだッ!!」

 

さて、全機破壊した。残りは基地だけだな

 

「これより基地を破壊する、いいな?」

「いいよ、やっちゃって」

「了解」

 

俺は篠ノ之・束に最後の確認を取り、俺は研究員たちに基地規模の巨大にして広大な建物と土地の一撃破壊の特別講義を行うことにした

 

「彼女に見つかり、俺が呼ばれたのが運の尽きだな」

 

基地の上空に向かい、更に続ける

 

「さぁ、これでフィナーレだ!!」

 

両腕を斜め下を向くようにして広げ、出力を跳ね上げる

 

「相転移出力、最大限・・・縮退圧、増大」

 

空に巨大な雨雲が現れる、それは今俺がやろうとしている事に大きく関係している

 

「重力崩壊臨界点、突破・・・君たちには絶望をプレゼントだ」

 

見ている研究員たちにやろうとしている事を告げる

 

「お前たちの研究成果を、この宇宙から抹消してやろう!!」

 

作り出されたのはフェルミ縮退によって崩壊寸前のマイクロ恒星、しかももうすぐで超新星爆発発生というゲテモノだ

 

「縮退砲、発射ッ!!」

 

一瞬で消し去り、跡形は1片たりとも残ることなく消え去った、これで俺のミッションは終わりだな

 

「行くぞ、篠ノ之・束」

「今から説教しようと思ったのに・・・」

「自分たちで反省させろ、俺というトラウマには向かうのならどういう事になるかこれで十分わかっただろうからな」

 

俺に戦意を向ければその分、由宇や一夏を襲う連中が俺に目を向ける

由宇と学友になった一夏、そればかりでなく周りの人達も僅かなりにでも守るためにはこれぐらいが手一杯だ

 

「私も、守ってくれる?」

「残念だが俺には一人しか背負えない、自分でその相手を捜すんだな」

 

そう言って、口座に振り込みがされているか確認する

 

「ではこれで失礼する、今度は面倒事に巻き込まないでくれ」

「ちーちゃんによろしく」

「あいよ」

 

渡されたものを預かり、帰宅の途につく。帰宅というより帰寮だが・・・

 

「なんで付いてくる?」

「一緒の場所だから」

 

最悪なのがついてきた、篠ノ之・束という人間であり荷物が




この話を書いているとき何故か、SRWのBGMの一つである Dark Prison が脳内再生されたのです。
知らない人は恐らくいないだろうけど、知らない人は適当に調べてね

しかし、主人公ばかりでヒロインが書けていないなぁ・・・そろそろ書かないとね

感想ください、作者の栄養(エネルギー)源です


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夜明け前

それは世界の中にとけ込もうとした者の代弁者の声
しかしその声は聞こえず、世界は変わっていった


「ふむ、紅椿ねぇ・・・」

 

最新世代すら超越した新世代機をいきなりプレゼントしてきたのは何処ぞの幽霊がごとく神出鬼没の天才(天災?)科学者こと篠ノ之・束だった

しかもプレゼントしたのは妹の為であり全くの善意というからなおのさらタチが悪い

 

「臨海学校という時期である事も見越しての事か、それとも何かを企んだか・・・どちらだと思う?」

「どっちともでしょうね、そうでなければこの時期にこのタイミングであることの不自然さを隠し得ないでしょう」

 

前回の戦闘時より副作用に悩み続ける俺は克服の方法を検討していた

その中で判明したことは、ブラックフレームからのバックファイアが予想以上に大きいことが判明もしている

この解決方法はたった一つ、新型機の開発以外にない。

 

その最中であり、改修案の模索段階でのこの事態・・・

 

「明らかに示威目的だろうな、それ以外でやるのならば一つしかないだろう」

「なんだ?」

 

暗い会議室と化した旅館の一室の中、織斑・千冬と会議しながら考える

これから先の流れを

 

「とりあえず、恐らく何かしらの動きはあるはずだ、その動き次第で次の一手を打つ」

「最悪、お前の自身の切り札を使うのか?」

「それは最後の最後、使うしかない時にだけのものだ、今はまだ使うべきではない(・・・・・・・・)

 

最後の切り札、ブラックフレームの全性能開放というソレは一週間の女体化固定の代わりにブラックフレームの全スペックを強制的に暴走状態で固定する

これにより、常識では考えられない機動性を発揮できるだけでなく、単騎推力だけで第一宇宙速度に達する事すら可能である。ただし、直線加速に限られるが

 

「それ程の事であった場合は切り札の二枚目を切るだけだ」

「完成したのか!?」

 

織斑・千冬が驚く、その理由は単純である

 

「あぁ、なんとかな。本来ならプレゼントのつもりで開発していたんだが、いかんせん俺は探求者であり研究者だ。作るものには十全にして最善の手段を取る」

 

開発したもの・・・それは

 

「峰島・由宇専用機・・・BALDR(バルド)SKY(スカイ)

 

平和と光の空にいて欲しいという願いを込めて、ブラックフレームの基礎フレーム技術をもとに開発した篠ノ之・束とは別のコンセプトの機体

それこそがBALDR・SKY、どんなに困難であろうとも解決してのける機体として十分な性能を持つに至ったから、彼女に託せる

いや・・・彼女以外で使いこなせはしないはずだ

 

「この子がどれほどの性能を発揮できるかは、由宇にかかっている。だが彼女以外に使えないのもまた事実だ、きっと色いい結果をもたらすはずだ」

「信じるのだな?」

「あぁ、信じるさ。信じるに当たるからこそ」

 

信じたいのではない、信じているから託すのだ。その感情は信頼すら超えている

 

「さて、仕事が入ったら言えよ?」

「立場が逆転しているぞ」

「ふっ・・・」

 

笑いながら俺は去る、帰るのは二人部屋、両隣は先生という地獄である

 

「よう、早速ヤってんのか?」

「やましい事じゃないのは分かって言ってるだろ!?」

 

帰ってきたらマッサージやってた、セシリアに

 

「ななな、何を言ってますの貴方!?」

「おうおう、その反応を待っていたのさ」

 

まんまと引っかかったセシリアに笑いながら由宇を見る、先程から後ろに居て修羅のソレに目線がなっている

 

「由宇、マッサージしようか?」

「本当だな?」

「嘘は言わんよ」

 

そう言って由宇をエスコートして布団に寝かせ、肩の辺りから優しく丁寧にマッサージしていく

 

「あ、そこ!?痛っ!?」

「硬いな、相当凝っているぞ?自分で自己管理しているか?」

 

マッサージの傍らにもそういうやり取りをしてゆっくりとした時間を過ごした

その途中で織斑・千冬が一夏にマッサージを受けに来てセシリアとエンカウントしたり、俺が極秘裏に持ってきていたビールを勝手に飲んでくれたりするなど様々な出来事があった

 

「さて、明日が楽しみだな、一夏」

「あぁ、本当に楽しみだぜ」

 

明日はいよいよ臨海学校の山場と言える各種実験装備の試用が待っている、ブラックフレームにも強化パーツが届くのだ

と言ってもコレの開発をしたのは由宇と自分、久方ぶりに誰かと共同研究をしたため実験内容は多岐にわたる

 

「俺にも使わせてくれねぇ?」

「残念だがお前には使わせねぇ」

 

つか、誰にも使わせねぇよ

 

「近接武装だってあるんだろ?だったら俺にもさぁ・・・こう、な?」

「フィスト・ショットを貸してやろう」

「マジ!?」

「エネルギーが即空になるがな」

 

白式は大飯食らいだ、零落白夜の一撃はブラックフレームですら20%もエネルギーを消費する。

このフィストショットは一発分のエネルギーである0.5%が白式に換算して丁度、零落白夜と同等出力というから驚きの低燃費だったりする

まぁ、ショット(・・・・)の名の通り射撃武器だが

 

「お前の機体である白式には射撃系のシステムが非搭載だろ」

「うっ・・・!!」

「諦めろ」

 

痛いところを突いて断念させる、しかし諦めの悪い一夏は・・・

 

「じゃあ、刀とか剣とかのテストを手伝わせてくれ!!」

「・・・」

 

こういってきやがった、誰も知らないはずの情報を何故知っていやがるこのクソガキ

 

「由宇からそういう系の武装も実験するって聞いているんだ」

「あの・・・バカッ!!」

 

ソース元は近くにいた、本人は今頃してやったりと笑っているところだろう

 

「まぁ、それなら構いはしない。俺は汎用型である分専門分野には少々疎い面もあるからな、感想とかそう言うので構わんから少しのことでも教えてくれ」

「わかった」

「じゃあ部屋に戻れ、そら、おめぇのだらしのない」

「誰がだらしないか教えて欲しいものだな、藍澤」

 

いつの間にか後ろに織斑・千冬が戻ってきていた

おかしいなぁ、さっき帰っていったはずなのに

 

「嘘ですよ、だらしないなんて言ってないよなぁ一夏」

「すまん、嘘はつけない」

「てめぇぇ、この野郎ッ!!」

 

逃げられた、このガキどうしてくれようか!!

そう考えた瞬間、ゴインッ!!という音がするほどの威力で殴られた、脳天を

 

「いってぇぇぇ!?」

「自業自得だ」

 

あんまりだ、事実なのに

 

「ほう、もう一発」

「大変申し訳ありません」

 

今度食らったら俺は死んでしまう、だからすぐにジョブチェンジ

 

「ならばいい、酒はもらっていくぞ」

「えぇ・・・」

「その代わり、いい店を後で何件か紹介してやる」

「うわぁい嬉しいなぁ、感激で涙出ちゃう」

 

いや本当に感激っす、なにせホントにいい店だから

 

「未成年者だということを自覚していないのか?」

「俺の唯一の娯楽なんだ、楽しませてくれや」

 

由宇と出会ってからしばらくの間飲めなくて禁断症状になりかけていたぐらいに俺の生活のは案外と酒が関わる

だって、実験で使う武装の中には酔っている状態で考えたモノだってあるぐらいだから

 

「オヤスミー」

「あぁ、また明日な」

 

そう言って一夏は自分に割り当て割れた部屋に戻った、といっても隣だが




いきなり臨海学校までスキップです、その間の描写はしません、次はいよいよシルバリオ・ゴスペル戦です

ちなみに本作での福音事件は箒が紅椿を受領した翌日という流れです。
次は主人公に意外な出来事が起こります


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闇を切り裂く光

それは運命を超えるために用意されたモノ
祈りと願いがこもるそれには確かな愛情があって・・・


「藍澤が・・・!?」

「あぁ、織斑と篠ノ之を庇う形で割り込んでな」

 

カズマが被撃墜した知らせを受け、驚愕した

有り得ない、カズマが墜ちるなんて!!

 

「ついてこい、お前に見せるものがある」

「え・・・」

 

そのまま連れてこられたのは黒いコンテナ車の中にある扉の前だった

 

「その文面を読め」

 

少し下には文字の書かれた画面があった

 

「この扉、開かれぬ日の来ぬ事、切に願う」

 

読み終わると同時に扉が開かれていき、中にあるものが姿を現す

 

「これは・・・ISかっ!?」

「あぁ、お前の専用機だ。名は・・・BALDR(バルド)SKY(スカイ)

 

黒と青を基調色にするその機体は、私のために開発されたモノだと連れてきた張本人である織斑・千冬は言った

 

「元々は藍澤が自身に提供されたコアをベースに次世代機として開発していたものだ。お前に合わせて新型システムの搭載と適合化も完了済みだ」

 

両肩には出力機関を内蔵したバインダー、右手には折りたたみ式の両刃剣、左手には両刃の剣が装備されていた

 

「コレを私に・・・」

「藍澤君はこんな事を言ってました」

 

後ろから付いてきていた山田・真耶がカズマが言っていたことを代弁する

 

「いずれ由宇さんにも守るための剣としての力が必要になる、その時何もできないのは彼女にとってとても辛いことだろう。使うという選択も辛いが、何もできない方がより辛いだろうから・・・って」

「カズマ・・・」

 

カズマが私のためだけに開発した機体、未来を掴むために、守るためにある剣・・・

 

「どうする?今なら使わないという選択肢もあるぞ?」

「使うさ、作ってくれたその思いを無駄にするほど愚かじゃあない」

 

その為に、力を貸してくれ。BALDR(バルド)SKY(スカイ)

 

触れると同時に光が舞い飛び、待機形態であろうリストバンドになった

 

「展開、BALDR・SKY!!」

 

再度展開し、現状を調べる

 

「一夏達が交戦中だな、急行する!!」

「任せたぞ」

「任された」

 

一気に加速する、一夏達の下へ

 

「そこだ!!」

 

暴走しているシルバリオ・ゴスペルと白式の中間に当たる部分にビームを通し、威嚇する

 

「峰島さん!?」

「それ・・・専用機!?」

 

みんなが驚く中、私は叫ぶ

 

「後で説明する、今はとにかく福音を墜とすぞ!!」

「わかった、あとで説明してもらおう」

 

ラウラがそれで仕切り、全員が再びフォーメーションを組む、そして

 

「指揮は任せる、私はどうも苦手でな」

「了解した、これより私が指揮を執る」

 

ラウラから指揮を任され、私はそれぞれに指示を出す

 

「シャルロットと鈴はペアを組め、箒は遊撃、ラウラは私とペアだ!!」

「了解・・・!!」

 

私の機体は箒の紅椿と戦闘のスタイルが似ているため組めない

なら現状で組める最も良いメソッドを選択するしかない

これでもせいぜいが互角程度にしかならない、なにせこの場にいるラウラを除いた全員が戦闘に関しては未経験者なのだから

それでも選べるギリギリの選択は・・・

 

「現状では最善・・・か」

 

それでもこれしか方法がないとなればしょうがない

 

「総員、各自の判断で連携しつつ福音を攻撃せよ、タイミングは各自の判断に任せる・・・戦闘開始(オープンコンバット)!!」

 

そして戦闘が始まる、この戦いの行くすえはどうなるのか、今の私にはわからない




主人公が墜ちた理由は後でわかります
次話、急展開!!

感想ください、作者の栄養源です


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Reboot BlackFrame

黒き焔は新たな姿となって甦る
進化したその姿は・・・



「づっ!?あっ!?がっ!!」

 

起きたら激痛が走った、なんでこうなったのかしばらく考える

 

「そうか、俺もまだ人間なんだな・・・」

 

箒が力に少しだけ溺れて密漁船の人たちを切り捨てようとして、それを看過できなかった一夏が正気に戻したはいいがそれが原因でエネルギーが切れて落ちかけて・・・

 

二人纏めて落とそうとした福音の攻撃を一夏と一緒に受けたんだった

 

「あんの野郎・・・起こしてくれりゃいいものを」

 

一夏は先に出て行ったようだ、恐らく皆で今頃お礼参り(・・・・)でもしようとしているのだろう

 

「つっ!!」

 

軋む音がするようなぎこちない動きだが体の痛覚を押さえ込むのには成功した

後は、いつの間にかなくなっているブラックフレームの待機形態であるブレスレットを探すだけだ

 

「探さずともいいぞ、ここに持っている」

「くっ!!」

 

声にいまさら気がつき、その声の元に目を向ける

 

「織斑・千冬・・・」

「そら、ついてこい。お前はどうせ止めても行こうとするだろう?」

「当然だ、血反吐を吐こうが行くぞ俺は」

「そうなられては困るのだ、だから付いて来いと言っている」

 

仕方なく、ついていく

その先は海岸で、ホバークラフト船が停泊していた

 

「なんとか間に合ったな、山田先生!!」

「はい、今開けます!!」

 

その船の貨物室の中にあるコンテナの扉の前に山田真耶先生がいて、織斑・千冬の声でその扉を開いた

 

「ブラックフレーム!?」

「峰島に対してお前がBALDR・SKYを用意したように、峰島もまたお前のために用意していた機体だ」

 

黒の色を受け継いでいるソレには、コアだけがない

コアはブラックフレームと共通だからだ

 

「名称は教えられてない、お前が付けるべきだと本人も言っていたからな」

「それなら、即決だ」

 

見ただけで進化(・・)させたものだとわかった、だから俺はこの名を付ける

 

「エヴォルツィオン・・・ブラックフレーム(黒 焔)エヴォルツィオン(進 化)

 

進化したブラックフレームの名に相応しい、スピード&マッシブ、そして高性能さを昇華させた超世代機がここにある

 

「織斑がいま到着して戦闘を開始したが状況が芳しくない、全権を委任していいか?」

「後始末だけは自分たちでやってくれ、あくまでも俺たちは命令違反という形でな」

「了解した」

 

さて、そうと決まれば・・・

 

「カタパルトの用意を、一気に加速する!!」

「了解です、カタパルトは仮設のものを利用します!!」

 

どうやらカタパルトも事前に用意されていたようで、すぐに通電され始める

 

操作移管します(You Have Control)!!」

操作移管された(I Have Control)!!」

 

カタパルトのコントロール権を譲渡されたのを確認して、冷静に戻るため一度息を深く吸う、そして

 

「ブラックフレーム、藍澤カズマ、出撃()る!!」

 

大空へ飛翔する、即座に交戦区域がマップ上に出現し、そこへ加速する

同時に僚機判定されていたBALDR・SKY(由宇の機体)に異常事態が発生している事を確認し、その発生源である福音を両手に持つビームライフルを連結させることで高出力化して狙撃する

 

「一夏、起こしてくれてもいいんじゃないのか?」

「おまっ!?俺より重体だったろ!?」

 

あ、それ?

 

「それなら問題ない、俺の体は頑丈だしリカバリも早いからな!!」

 

ここに来るまでに何とか痛覚はなくなった、それも無視できない範囲のものに限るが

 

「カズ・・・マ」

「由宇、大丈夫?」

 

そう言って、由宇の前に移動して頭を撫でる

 

「君のおかげで俺はもう一度空を飛べている、感謝しきれないよ」

「あぁ、後でたっぷりと聞いてやる、だから今は」

「わかってる、救うぞ、福音を!!」

 

福音の暴走原因はおそらく外部からの強制アクセスによるものだ、その通信さえできなくすれば勝機はある!!

 

「気をつけて!!収束砲撃をしてくるから!!」

「問題ない!!」

 

その瞬間に収束砲撃が来た、だが腹部にある新装備でそれ相殺する

 

「おいおい、腹部にどんなヤバイの仕込んでんだよ!?」

「発想の転換だ、手に持ったり肩や腰にあるのだけが砲撃装備ではないだろう?」

 

シレっとそう言ってのけた開発者である由宇に苦笑いしながら俺は指示を出す

 

「各自俺と一夏をサポートしてくれ、俺たちで倒す!!タイミング合わせろよ一夏!!」

「お前もな、カズマ!!」

 

俺の切り込みに合わせて、一夏が俺の後ろから随伴、俺が福音と交差する瞬間にセンサーが誤認識するようジャミングして一夏の零落白夜を必中させる作戦だ

言葉に出さなくてもわかってくれたらしい

 

「フルブラスト!!」

 

全門一斉発射して掃射砲撃を相殺、同時に肉薄して置き土産の対IS用フラッシュボムでセンサーをバグらせる

そして

 

「おぉぉぉぉ!!」

 

零落白夜が完全な形で決まり、福音は機能を停止してアーマーブレイク、操縦者が落ちていく

 

「ナイスだ、鈴、由宇」

 

だが、落ちていった先に待ち構えていた鈴と由宇がキャッチして事なきを得る

 

「終わったな」

「あぁ、やっとな」

 

由宇の横に止まった時、そう言ってきたので返す

これにて一件落着・・・だといいのだが・・・

 

「許せない、か」

「えぇ、相手が誰であれ、許せない」

 

どうやら事の真相は深く、闇の中にあるようだ。まず、軍事用にしては余りにも出来過ぎな感じがする

それに懸念事項を増やしていけば枚挙に暇がなさそうだ

 

「なら、俺の運営するP M C(民間軍事会社)に所属しないか?」

「貴方の味方になれと?」

「いいや違う、あくまでも所属だけで十分さ」

 

PMCを入学前に作っといて良かった、万が一、学園外で軍事行動を起こす場合には必要になりそうだったから作ったがコレがこんな形で使う日がくるとは・・・

 

「それで、私に得はあるのかしら?」

「あるとも、IS学園から非公式であるが生活資金が降りる。それだけじゃない、IS学園にもめでたく編入というオマケ付きだ」

 

これは事実である、一度も使われた事はないが

 

「ぷっ・・・ははははっ!!おかしいくらいに笑えちゃうわね!!」

「面白いだろう?高校生やり直し特典だぜ?」

 

これはこれで結構面白い特典だと思う、相手を間違えたら間違いなく地獄への案内状になるが

 

「条件があるわ」

「なんでしょうか?」

「織斑・一夏と同じ組にしてくれるかしら」

 

来ると思った、ソレ

 

「掛け合ってみる、おそらく可能だと思うよ?」

 

わずか数ヶ月で退学者が出てきたのでそろそろ転校生でもいいから欲しいと思っていたところだ、とても嬉しい事だと思う

 

「それじゃ、臨海学校の終わって夏休み以降で調整していいかね?」

「貴方、高校生にそれができるの?」

「特権っていう奴でね。生徒会長さんとは(あまりしたくねぇが)懇意なのさ」

「聞き取りづらかったところは聞かないほうがいいわね・・・」

 

ホントなんだよあの生徒会長とかいう女は、厄介な人種だぞアレ。構ってくれないとイタズラする猫の如き奴だった。人誑し属性まで付いてるとなると対処できない

 

「しばらくは俺の家で預かりな、由宇・・・君を抱き抱えたもう一人の女の子なんだけど、その子も同じく俺の家に泊まるから安心していい」

「えぇ、荷物はどうすればいいのかしら?」

「それについても問題ない、全てこちらでどうにかする」

 

暴走に関しての詳細な記録は由宇が急ピッチで進行させている。一両日あれば9割ぐらいは判明するだろうことも一緒に教える

 

「そう・・・」

 

残念な事に福音はコアだけを残して大破・損傷してしまった。おまけにコアは凍結封印というから始末に負えない

その前にせめて原因を解明したいと由宇が無理やり行っている。もちろん、その全てのデータを開示する責任も負ったが

 

「空を撮った写真でいいものはあるかしら?」

「あぁ、ちょうどいい物があるぞ」

 

俺は胸の内ポケットから一枚の写真を取り出す、ソレは俺のコレクションの一つだ

 

「宇宙と地球の狭間で取られた写真だ、本来の福音は君とこんな場所に行きたかったんだろう?」

「えぇ、そうね・・・コレ、大切にするわ」

「そうしてくれると嬉しい、貴重なものだからな」

 

なにせ一点ものだ、非常に高価だったんだからな

 

「じゃ、また」

「あぁ、また」

 

これでこの場はお開きになる、次の休日には会えるからいいか・・・




前途多難な主人公ェ・・・
PMCなんて設定の存在を今になって(主人公関連のネタ帳を見て)思い出した作者です

感想ください、作者の燃料になります


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ウォーズ サマー

それは戦いの夏、高校でいうところの夏休みに該当する時期に人知れず行われていた事


「掴めたの!?」

「えぇ、ようやくね」

 

夏休みになり、それぞれが自由を楽しんでいる時に俺たちは暗いお話をしていた

ナターシャの宿敵が見つかったのだ

 

「一時期はあなただと思ったのだけど」

「それはないよ、大切なものなのは私も同じだから」

 

篠ノ之束はこの世界では綺麗な状態(?)だった、そのため保護の目的で俺の運営するP M C(民間軍事会社)に所属してもらっている

国際IS委員会?黙らせたさ、年間10%、経常利益から寄付することで。ちなみにこの年間売上10%で日本国の国家予算の25%に匹敵する

 

「でも、相手はカズマ君と同じ世界の人みたい」

「ストライカーを使っているのか」

 

俺の開発した機体ではない事を祈るしかない、そうであった場合最悪なことになってしまう・・・まずもってISでは勝ち目がないのは勿論の事、最悪俺が倒すしかなくなるから

そうなったら、行き場をなくした彼女の復讐の炎が、いつの日にか違う形で出されてしまう。それだけは阻止せねばならない

 

「でも、勝つ方法はあるんでしょ?」

「あぁ・・・今、完了したところだ」

 

彼女のためだけに開発した新たな形の力、それの(キー)が入ったアタッシュケースを開く

 

「これ、何?」

「君の専用機だ、俺と同じストライカー系列への適性があるからこちらを提供する」

 

ナターシャは驚きながらも受け取る、この機体の名は・・・

 

「機体名はハウリング・シルバー(鳴り響く銀の音)

あの子(シルバリオ・ゴスペル)のもじり?」

「まぁ、そんなところかな・・・性能は真逆だけど」

 

シルバリオ・ゴスペルが遠距離拡散砲撃を行える機体であったなら、こちらは砲狙撃戦型と言える

ISであるかそうでないか、ナターシャから提供されたシルバリオ・ゴスペル用各種試験武装の情報を技術転用し更に昇華させた各種最新装備をふんだんに備えるのが違いだ

 

「いいのかしら?やろうとしている事は最低なことよ?」

「いずれは誰もが通る道だ、復讐の炎は死んでも消えないのだから」

 

それをよく俺は知っている、だからこそ俺は止めない。でも、最低限のラインだけは定めさせてもらう

 

「殺すな、犯人は法の下に裁かねばならない」

「わかったわ、コレ、使わせてもらうわね」

 

その会話から数日後、その機会が訪れるとは、知る由もなかった・・・

 

 

 

<数日後・・・>

 

「間に合えよっ!!」

 

あの会話と機体提供から僅か数日、ナターシャが敵に復讐する機会がやって来た

彼女は最前線に立ち、敵を限界まで引きつけている

その場所まで、俺はブラックフレームとの連結連動機能を持たせたバイクで向かっている

 

「国際IS委員会への使用許諾申請は!?」

 

HQ(司令部)にいるオペレーターに確認を取る

 

「完了しています、許可・・・出ました!!」

 

国際IS委員会への許諾も得た・・・さぁ、行くぜ!!

 

「変身・・・!!」

 

マイクでの音声認識でブラックフレームを展開、同時にバイクへのエネルギー供給を開始し更に加速をかける

 

「ナターシャさんの現在状況を送ります、急がないとマズイです!!」

「わかっている、あと30秒っ!!」

 

そして・・・




期待を裏切らせてすまない、次回はちゃんとナターシャの視点で書くから許してくれ・・・
これからちょっと強引になるけどね・・・

感想ください、作者のパワーになります


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ウォーズ サマー (2)

少女は宿敵を討つために力を振るう、それは、仲間と共に果たされて・・・


「これだから女はつまらん」

「がっ・・・はっ・・・」

 

敵に追い詰められ、立つのがやっとのダメージを負った

このままじゃ・・・あの子の復讐を果たせない!!

 

「その力、俺が受け継いでやろう」

 

敵の刀が振り上げられる、それから先がスローモーションになっていく

このまま・・・私は、死ぬのかと思ったその時

 

「つっ・・・!!」

 

段丘から黒塗りのバイクを運転する藍澤・カズマが現れ、敵に攻撃をさせなかった

 

「藍澤・カズマ・・・他の事は?」

「君が奮戦してくれたおかげで解決したよ」

「そう・・・良かった」

 

ボロボロの私を片手で立ち上がらせ、彼は告げる

 

「俺達が力を合わせれば、誰にも負けはしない!!」

「お前たちの、絆とかいうものか?笑わせるな」

 

そこに、歩きながらやってきたのは一夏君だ。本気で怒っているらしい

というより本来関係ないはずの一夏君がなぜいるかだけど、それは簡単、姉である織斑千冬からの言いつけらしい

 

曰く、夏休みの間にみっちり鍛えてもらえ。とのことだとか

 

いい迷惑だけど、この時だけは本当に感謝したくなった

 

「俺の仲間を笑ったな?」

「一夏・・・」

 

私がそう言った瞬間に白式を展開した一夏はさらに告げる

 

「俺も笑ってもらおうじゃねぇか」

 

マジでキレてる・・・?彼が少しだけ怖い

 

「同時攻撃だ」

「どんな技で来ようが返してやろう!!」

 

カズマの私達に対する呼びかけに、調子に乗っている敵は挑発するかのようにその攻撃を受けるといった。

 

「零落白夜・・・発動!!」

「スプラッシュキック!!」

「ライダーキック!!」

 

零落白夜での突きの一撃が、藍澤・カズマと私の超高密度のエネルギーを纏う蹴りが正確に命中し、敵は防御する暇すらなく吹き飛ばされた

 

「ば、馬鹿なっ!!こんな事が!!」

 

私はその戯言を聞きながら、新たな機体であるハウリング・シルバーの強化を行う追加デバイスをストレージから取り出す

 

「ハイパーモード!!」

-Howling Silver Hyper Mode!!-

 

電子音声が反応して、ハウリング・シルバーは禍々しいぐらいに様変わりする

この状態ではあるものを更に呼び出せる、それがハウリング・シルバーのワンオフアビリティでもある

 

「来なさい、パーフェクト・ブレイカー!!」

 

パーフェクト・ブレイカー・・・ハイパーモードへと切り替わったハウリング・シルバー専用の多機能武装にしてワンオフアビリティそのもの

その姿は剣に無理やり剣の機能を追加したようなものだけど性能は確かで、非常に優秀だったりする

 

「ガンモード!!」

-Gun Mode-

 

それを今回はガンモードと呼ぶ銃撃形態で使用して敵を墜とす

 

「フルパワー、ロード!!」

-Full Energie Combined!!-

 

さぁ、コレで墜ちなさい!!あの子の敵討ちよ!!

 

「マキシマム、ハイパーサイクロン!!」

-Maximum Hyper Cyclone!!-

「があぁぁぁぁぁぁ!!」

 

放った砲撃は円形状の竜巻を纏ったエネルギーの瀑流、それを真正面から受けた敵は逃げる間も無く、逃げ出す事すら出来ずに墜ちた

 

「はぁ・・・」

 

敵を倒したことを確認し、私はハウリング・シルバーを待機形態に戻す

それと同時に力が抜け、倒れかけた私を抱きとめたのは一夏だった

 

「すまねぇ、君に借りができた」

「後で、大好評と噂されてるマッサージをしなさい、それで許してあげるわ」

 

カズマからの話で、とても上手なのだと聞いているマッサージで許してあげようと言いながら、私は眠った




約束通りのナターシャさんの回です。前回からわりと散文方式なのでこの回の内容は夏休み中のいずれかの週になります。
次回は主人公に視点を戻してゴニョゴニョさせます。

感想ください、エネルギー源となっています。


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集合無意識

それは窮地に陥った主人公が己の限界を超えた時に起きた現象
それを人は奇跡と呼ぶ


「あぁ・・・」

 

そして俺はつかの間の夢から目を覚ました

 

「全ては都合のいい夢か、俺にあのような幸せが訪れるはずがない・・・しかし、全くどうして」

 

先程まで見ていた夢の暖かさと、現実の自分にあるあまりにも深すぎる隔たりを感じて思わず苦笑してしまう

今も絶えず、悔いている事

死にたくなるほど、生まれ直せるのであれば、この命すら要らぬと思える程にだからこそ思うのだ・・・

 

「強くなりたい」

 

仲間を守るために、大切な人を救うために・・・

 

「強くなりたい」

 

そうでなければ守れず、救えないから

 

「強くなりたい。強くなりたい。強くなりたいっ!!」

 

強くなろう、強くなるんだ、強くなければ男じゃない

そう願って、願い続けて、だから自分はあらゆるものを犠牲にしてきた

 

「もういい、たくさんだ」

 

()は全てをそれだけで理解して流れ込み始めていた由宇の記憶を自分から除去した

それだけでなく、突き抜けていく情報の爆風を全て一括で圧縮処理する

最後にどうして、この場にいるのかも理解して・・・

 

「やぁ。ようこそ、藍澤・カズマ。この世界で初めてにして最高の転生者。私は君を待っていた」

 

知の渦を意識が突き抜けた瞬間、俺は到達点であり始まりの地にたどり着いたのだと自覚(・・)した

 

「・・・」

 

目の前に広がっている空間は一言で、異形。自分の知りうる場でなく、どの世界とも異なる無形の趣に満ちている

聞いたことも、見たこともないし、話しかけてきた存在にこれまで会った覚えも当然ない

しかし、勘で分かった。この存在は何処にでもいるしどこにもいない。無限に広がっている大海であり、この空間そのものの化身だと

 

「お前は、この世界、そのものだな?」

「然り」

 

俺の問いに、やはりそう答えてきた、さらに相手は続ける

 

「私は根源、私は太極、私は森羅、私は万象。そして無であり、零であるもの。」

 

その存在には、固有する概念などなく

 

「天上にあり、奈落に坐すもの。全であると同時に一。」

 

全ての知を集積したもので

 

「つまりは君で、永劫出会わぬどこかの誰かだ。あえて言語に当て嵌めるのであれば、阿頼耶識(アラヤ)とでも呼んでくれればいい」

 

人間の総体と言える存在でもあった

 

「おめでとう、会えて嬉しいよ。いま認識しているであろうこの私は(・・・・)、君の功績を心から歓迎している」

 

それは本心でありながらどこか他人事の口調、それで確信を得る

 

「なるほど、アラヤ・・・普遍無意識とはよく言ったものだな」

 

曖昧な言い回しではなく、元からコレなのだ。一つの体に一つの命で構成される人間(ヒト)とは違い、唯一無二の個我で生じているのではないのだから

 

「そうだよ、だからコレがどういう事か、分かっているね?(ここ)に至るまでに死を経験したこと、しっかりと思い出せたかな?」

「あぁ、全て取り戻したとも。俺がここにいる意味・・・いや、ずっと誤解していた部分が解けた」

 

なんて愚かしい、大切なことを忘れているなんて。忘れてはいけないことだったのに

 

「俺の真実は、転生を定められた人造人間(・・・・・・・・・・・・)で。これまでの全て、本物だと思っていた記憶さえも、俺が作った偽の記憶なんだな?」

「そう、それは君が望み、そうなりたいと願った日常。この世界と君の情報を反映して随時演算した、一種の想定(シュミレーション)というやつさ」

 

なんということか、現実でありながらそれを出来るのがこの存在だ、凄まじいし恐ろしい

 

「よって、君が忘却してしまっていた本当の目的は・・・」

「いずれこの世界に来る、大量の転生者と、その中から生まれ出るバランスブレイカーの抹消」

 

この世界のバランスを保つために俺はこの世界の神とも呼べる存在の要請で転生したつまりは・・・

 

「最も重要なのは転生者の絞り込みでありその先にある抹消作業で揺るがない。つまりこれまでは、言うなれば修行期間のようなものだ」

「ならば、どうする?」

 

それは、決まっている

 

「俺は、俺の目的のためだけに動いてみせる。これで別れだ、アラヤ」

「そうかい・・・では、さらばだ、藍澤・カズマ君」

 

これで俺の記憶は閉じる、同時に解放された俺は最後に、戦う事に迷っている大切な人に自分の言葉で伝えたい事を伝える決心をした

だから・・・見ていてくれ、任せてくれ□□□□。君の夢は俺が継ぐ。伝えたい事があったんだろう?その為に強くなりたかったということ、その感情は間違っていないさ。

同じ男に生まれて身として、君の願いを今から形にしてやる。必ずこの手で彼女を連れ立って歩くと、誓うよ

その為に・・・夏休み冒頭の、プライベートな場所で・・・彼女は待っている

 

「待たせたね、由宇」




次話に続きます、戦闘シーン短いけどいいかな・・・疲れたよ連続投稿は

感想ください、作者のモチベーションが激変します


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過去と現在の狭間

それは今も迷う愛しい人へのスパルタ教育
激戦を果たして教育と呼んでいいものなのだろうか?


あぁ、今の由宇は信じているのだろう。一滴の濁りすらなく自分のトラウマが全てだと無意識のうちに確信して視野狭窄に陥っている。他の物には目が向かず自己完結というという停滞に陥っているぐらいに

だから・・・

 

「今の由宇には答えられないな」

 

俺がやらないといけないのはそれ(・・)なんだ

 

「どうして?」

そんな事、問うまでもない

 

「だって君、俺を信じていないだろう?」

 

その目に映るのが藍澤・カズマ(オ レ)じゃない。俺は、そして世の男たちは闘真と同じじゃないんだよ

返答に対して傷ついている由宇の目を見つめながら、ゆっくりと近づいていく

 

「そんな事はない、ずっと信じている。カズマは強いのだと。すまない、私のことだから、きっと知らない内に変なことをしていたのだろう?謝るから、信じてくれ。何も嘘は言っていない」

「そういう事じゃない」

 

勘違いも甚だしい彼女に対して俺が言うのはこの一言

 

「抜け」

「え・・・?」

 

言い放ちながらブラックフレームを展開し武装を構える。

彼女の本質を見抜き、そして俺は悟った。正す事が出来るのは、言葉という生ぬるい手段ではない

重度といってもいい心的外傷(トラウマ)は今更どんだけ言い募っても改善はしないほどに酷い様だ

それから逃げたことを臆病だとは言わないし、経験しているからこそ理解も深い。だがしかし、それを言い訳にしてその歪みを放置することだけは看過できないんだ

だから、戸惑っている由宇に研ぎ澄ました闘志をぶつける。さぁ俺流のスパルタ講義の時間だ、耐えてみせてくれ

 

「構えないのなら、俺から行くぞ!!」

一足で懐に入り、ためらいなく振り下ろそうとした瞬間、由宇は

 

「つっ!?」

 

それを一瞬でBALDR・SKYを展開して受け止めた、真っ向から、咄嗟に苦もなく、軽々と

一瞬でのIS展開と防御への移行、その体捌きは見事という他ないはないだろう

今までならば凄いのレベルで済んだが、真実を知った後では単なる手抜きの醜態に過ぎない

現に、これが全力だと取り繕う姿勢だ、どうしようもなく鼻につく

 

「なっ!?なんで・・・」

「それを分からせるためにだよ」

 

自覚しろよ、君はそんなものじゃないだろう?

へっぴり腰で精一杯なんて演出なんかしちゃダメだ。()も君を信じていたし、俺もそう信じているのに、自分自身からなんでそんなに目を逸らし続けているんだ?そんなの・・・悲しいじゃないか

 

「由宇、本気を出せ。それは俺が死なないとダメなのか?君を見て、信じている人がいなくなってからではないと発揮できないと?孤独になって、涙して、発狂しないと八つ当たりさえ出来ないだって?」

「それは・・・」

 

きっと違うと言いたいのだろう、だが俺の言ったことがあまりにも正鵠を射る言葉だったのか言い返せないでいる

 

「俺が役者として不足しているから、全力を出すと壊れてしまいそうだとでも?なるほど、侮られたものだな!!」

 

流石の俺でも頭に来たぞ。いいか、よく聞くんだ

 

「俺は誰か(・・)の様に、これで壊れてしまうほど柔な体じゃあない。だから男を、俺を、いつまでも甘く見るんじゃない!!」

 

そこから始まるのは怒涛の攻撃、由宇はそれを紙一重でいなし続ける。防戦一方・・・なんとも白々しいな

そして同時に頷ける。混乱し真っ当な精神状態ではなかろうに手を抜いていないどころか8割以上本気の俺からただの一撃すら(・・・・・・・)喰らっていないのだから

それはつまり生得的な素質に関して最高峰に位置するものを備えていることに他ならない、ずば抜けた才能・・・いや、超ド級の天才だ。しかし、それに見合わないのは傷だらけの小さな心。鋭く刃を振るいながら、今も童女の様に泣いている

心技体があまりにもアンバランスであり、欠片も統率が取れていない

 

「そんな事、一度だって思ってはいない!!」

 

だから捻る事もせず否定して泣き叫ぶ。追い込まれているように見せかけ、いかにも手一杯、降参だと白旗を振っている・・・自分は女だからだと

 

「カズマは男だ、お前の方が強くて凄くて格好がよくて・・・それは当たり前だろう?だから、訳が分からない。何に怒っているのか教えてくれ。やめてくれ・・・戦うなんて出来ないから。だって私は女だから、男よりも弱いんだ」

 

故に本気を出してしまえば俺が狂ってしまう。

男の人が強さにかける思いは狂気だから。女の私ではどうしても、その飢餓の深さを分かってあげる事が出来ないからと?

だから己の本気を、全力を出すべき時は無いと?

 

「強い女なんて、本当はこの世のどこにもいやしないんだ」

 

現にそうだろう?

この世界では女が戦い、強く、導いている・・・男の行き場を蹂躙していき、そして男は不満を抱えながらも、屈辱に耐えながらも生活している

 

「私は弱い、弱いから、変なことを言わないでくれ。女に戦いで負けて、平気な男がいる訳ないだろう?だからカズマには敵わない」

 

由宇は俺の体に刻まれた傷の数を知っている。それが全て、努力から来ているものだという事も。だからこそ、俺が負ける可能性を出してはいけない・・・と言いたいのだろう

 

「それにそもそも、同じ土俵に立たれる事すら嫌がるくせに・・・滅茶苦茶な事を言わないでくれ。どうしてお前は怒っているんだ」

 

俺からお株を奪ってはいけないと、だから自分は前に出ない、間違っていないと、これでいいのだと、思っているのだろうか?

だとしても・・・

 

「言いたいことはそれだけか?」

 

俺は否定する、だってさ・・・

 

「あぁ、確かに面白くはないさ、女は面倒だしな。だが男もどうして、かなり面倒くさい生き物なんだよ。野心とプライドの奴隷だとも。一夏の言葉に共感するのは少々癪に障るが、俺たち男は女性に戦いを任せる事を酷く不格好に感じるし、まして自分より強いとなれば心穏やかじゃいられやしない」

 

これが俺の本音、一夏同様この世の中の風潮に違和感を持つがゆえの言葉だ

 

「男女平等、能力、才能、効率効率・・・自分はその力を持っていないから。そういう風に生まれていない」

 

そんな思考をした時点で俺なら自害を選んでいる、そんな男など人間と言えるか

 

「性別など関係ないと言いながらその実、強い女を矢面に立たせようとする悪なる蟲(連中)共。その事を恥とも何とも思わない世の風潮(ゴミ溜め)・・・それには俺だって腹立たしいものを感じているよ。恐怖さえ覚えている。強くなければ男じゃない。いいや仮に弱かろうと、大切で大事なのはそこに恥を覚えるか否か。気概の有無。覚悟のほどだ。あぁ、実に小賢しい。確率や方法論を唱えるだけの男に一体何が成せるという。重要なのはまずソレを譲れないという憤りだ」

 

そんな拘りすら待たない男など語るまでもなくクズ(塵屑)だろう、と俺は付け足しながら続ける

 

「そんな奴らはもう男じゃない、男に生まれた資格が無い!!」

「そうだろう?なら・・・」

「だがな!!」

 

彼女が反論しようとした瞬間、烈火のごとく怒号と同時にビームサーベルで斬りつける

 

「だからって、俺は君に手加減をしろと頼んだ覚えは一度としてない!!分かってくれよ由宇。女に知らず手を抜かれて、それを喜ぶ男もまたこの世のどこにもいないんだ!!そして、追い越されるのが嫌だ、怖いからって女性の可能性を摘むような奴は男以前に人間(ひと)としての資格が無い!!我も人、彼も人、故に対等、基本だろう!?」

「なんだ・・・それ」

 

そしてついに、臨界を迎えた彼女の感情が発露する

 

「そんなの、どうしたらいいんだ馬鹿ぁぁぁ!!」

 

今までの思考戦闘から無意識に、矢鱈滅多に斬り結び始めたそれは奸智の一切ない全てが必殺の剣術

容赦も手加減もない本気の戦闘の火ぶたが切って落とされた

 

「私は生まれつきこうなんだ!!えぇごめんなさい、弱く生まれる事が出来なくてっ!!」

 

それが原因で、大切に思っていた人に、多大な負担を負わせ、挙句自殺させてしまった

 

「それが間違いだって痛感して、我慢して、ずっと閉じ込めてきたんだ!!なのに今度はそれもやめろ?腹が立つから、嫌だからって・・・軽く言うな!!じゃあどうすればいい!?死ね?消えろ?じゃあそうしてくれ、カズマがすればいいんだ!!」

 

そして、声音が変わる、泣き叫びそうなものに

 

「私、頑張ったのに・・・もう、嫌だ・・・嫌ぁ・・・」

「由宇」

 

それでも、俺は彼女に男としての意見を告げる

 

「男も、辛いんだよ・・・見栄とプライドを女の前で張り続ける事を背負って生まれた、馬鹿で苦しい生き物なんだ」

 

だから、そんなに気を使わなくてもいいのだと、俺は純粋に思っている

 

「仮に君の才能が(おれ)の2乗分あったとしよう。それで負けてしまったとしよう。で、それがいったい?だからなんだ?どうして(きみ)が遠慮しなくてはならないという見当違いの話になる。この場合、男と女の正しい関係はそんな手抜きや加減の問題ではなく」

 

そう、そんな事、どうでもいいんだ、負けた男は・・・

 

(きみ)に負けないよう、その2乗分努力(・・・・・・・・)できなかったこと(・・・・・・・・)を男は恥ずべきな(・・・・・・・・)んだ(・・)、違うか?」

「つっ・・・」

 

泣きそうな顔で、わけがわからないという彼女に俺はさらに畳み掛ける

 

「それに、君はもう一つ間違えている。強さにかける男の想いは狂気じゃなくて誇り(・・)なんだ。女を守ることでヒーローになれる特権こそ、男に生まれた醍醐味で、決してそれは不幸じゃないんだ!!たとえどれほど弱くても、その資格を持って生まれたことは、何者にだって勝る喜びなのだから!!」

 

戦わねばならないという(さが)の重圧、苦しいはずの宿命だがそれは男だけが得ることのできる喜びだ。これは・・・そう、決してこれだけは、女に譲ってはならない一線だから

彼女のため、仲間のため、誓いのため、未来のため。その波乱と苦難を一手に引き受けようとする覚悟。

 

「だから当然だけど、たまに無茶だってするから。それだけは許して欲しい。見えないところでバカみたいな努力だってするし、格好つける。その代わりに困っていたら最速最短で絶対に駆けつけるとも。見返りなんていらない。だってこれは、当たり前のことだから。ズタボロになって血反吐ぶちまけたって、全身跡形なくぶち壊されても。挙句の果てに君たち女に助けられる羽目になっても、恨むなどという狭量なことはするものか!!」

 

そう、全ては・・・

 

「鍛え方の悪く、足りていない自分が悪いんだ!!」

 

だから・・・

 

「そうやってやせ我慢をしながらいろんな荷物を背負い込んで、男は強くなるんだから」

 

だから、由宇・・・

 

「由宇、辛い時には幾らでも頼ってくれ。どんな困難が相手だろうと、俺は君を命をかけて守りぬく!!・・・まぁ、ほら、俺もそうだけど男って基本バカだからさ。意中の人に笑顔見せられたり、その笑顔を守れるだけで身体を張るには十分な理由なんだ。そう思っている限り神様だって殺せるし」

 

ちょっと苦笑いした、自称ではあるが神に近い存在を殺したことがあるから

 

「無理難題ふっかけて、男を辛くさせるのが、女の特権だろ?」

 

この言葉が彼女の心にある闇の欠片を砕いてくれればいいが・・・

 

「つまりはこういうことだよ、由宇。男の格好つけるべき場所を奪うな。見せるべき舞台を変な理屈で荒らさないでくれ。その意地を摘むような奴は女以前に人じゃねぇぞ?我も人、彼も人、ゆえに対等、基本だろう?」

 

さぁ、俺の言葉はもう終わり、そろそろフィナーレだ

 

「まぁ、諸々纏めてそういうわけで。そもそも、俺が君に負けるという場面が思いつかない。だから来なさい、どんな本気だろうと引かないし受け止めてやる。それとも・・・本気出したら俺も自害すると思っているのか?」

「カズマ・・・」

 

最後の一言は、これに限るかな

 

「男を舐めるなよ、峰島・由宇!!」

「そう・・・だな」

 

瞬間、由宇は視界から消えたと誤認識する程の速さで回避し

 

「受け止めてくれ、カズマ!!」

「もちろんだ!!」

 

返す攻撃を俺は紙一重で受け止めた

 

「ふぅ・・・」

 

今のはかなりやばかった、つか、えげつない

細かなスラスト移動と武装の超効率的選択速度、そして奸智を含んで体術も完璧・・・絶技という言葉でも生ぬるい

おかげで武装ごと首から下とお別れするかと思ったし、実際下手するとそうなっていた。実は割と本気で殺す気だったんじゃないだろうな?

当の本人もそれに気づいてそそくさBALDR・SKYを待機状態にしたし

 

「す、すまない、力入れすぎた、大丈夫だったか?」

「何がかな?全くぬるいぞ?見てわかんない?余裕余裕」

 

オロオロしている姿が可愛らしくはあったが気に入らなかったのでそう答える

痺れてる?気のせいだ。今回は俺の勝ちということでいいだろ

 

「ていうか、この程度で自惚れてたのかい?ちょっと自意識過剰じゃないかなぁ?」

「む・・・あぁ、あぁ、そう来るかこの場面で・・・足腰ぷるぷるしているくせに、意地っ張りな」

 

む、なんですと!?

 

「言ってろ、つまりこれこそ勲章なんだ。あれほど説いてやったんだからいい加減に分かりなさい。わー格好いいと黄色い声でもあげるがいい」

「うわー中身○○歳のくせに。おっさんわっかいなー」

 

はぁ!?今なんて言ったぁ!?

 

「精神年齢が○○歳のババア相手でもね。男のプライド。様式美だよ、文句ある?」

 

互いに顔を突き合わせるかのように見つめ合い、そして

 

「ぷっ・・・」

「ふっ・・・」

 

おかしくなって

 

「「あはははっ!!はははははははっ!!」」

 

大爆笑して終わったのだった。




過去最高文字数、5441文字を達成
頑張ったぜ・・・ほとんど寝てないけどな

考えながら書く上にネタ帳に記載したストックもそろそろ切れるぐらいにやばい

夏休み編はこれで終わりかな、これ以上ズルズルと夏休みするわけにはいかんよ

新学期編もドタバタやっていきます。それに新学期といえばナターシャさんの転校(名目はこれだが実際には再入学になる)があるしね!!


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閑話休題、という名の設定(4)

そろそろ分からなくなってくるので様々な設定とかをここに纏めます。


ブラックフレーム・エヴォルツィオン

 

ブラックフレームの強化・改修機。性能を改修前の2倍とした他、研究段階の技術や武装を標準装備した超世代機でもある。

内部の基礎構造材にはブラックフレームの装甲材である電磁相転移装甲を採用し軽量化と高耐久を同時に実現しているため物理攻撃には非常に強いが反面、ビームサーベルなどの荷電粒子を使用する武装には脆い面がある

表面装甲には発展版の多用途電磁相転移装甲を採用している。この装甲の特徴は、流す電流の量を変化させることが可能な点である。これによって、装備や状況ごとに装甲へのエネルギー配分を調整・最適化することで電力消費のロスを抑えることができる。

うまく利用すれば一種の光学迷彩(ステルス)としても使用可能なほど用途が広がったほか、出力に対する割合が減少したことで有り余ったエネルギーを武装に転化可能になったことで全体的にスペックアップを可能となった最大の要因でもある。

 

また、本機からは首より下の部分の完全に覆い防弾効果を増す事でシールドエネルギーの減少速度を緩めている。これは実弾兵器に対してのみ有効に働く装甲であるからなし得る事であるが、機体重量が増し機動性を下げる危険性も孕んでいる。実現は難しかったが上記における装甲の二重化と軽量化によって可能になったほか、下記の機構を採用した事で実行に踏み切った

 

特殊機構:人体連動外部装甲可変移動機構

非常に長い名称だが読んで字のごとく、人体の動きに対応して外部装甲が可変的に移動する機構の事である。

限りなく人体に近い可動と高い機動力を実現した機構であるが、同時に装甲の間に無防備な隙間を生み、防御力の低下を招いてしまう機構でもあり、カズマの被弾率の低さから導かれた「敵機の攻撃に当たらなければ装甲など必要無い」という理屈の下、極限まで運動性を上げ被弾しないことを前提として、防御力の低下を無視して導入された。

戦闘シミュレーションでは被弾率ゼロにはならず、一歩間違えば実戦で貴重な機体を容易に失いかねない非現実的な設計であるが、防御力の低下という不利点より運動性の向上という利点の方が大きいと判断され、更に、開発を行った由宇の、カズマに対する絶大な信頼がことを後押しし、導入されている。

また、カズマの反射速度の高さによる超絶機動は、関節部に大きな負荷を掛ける。基礎構造材の電磁相転移装甲は、その負荷から機体構造を保護するためにも導入されており、高機動戦闘時には自動で電力が振り分けられ、機体剛性を上昇させる。

だが、彼の反射速度は、時に電力振り分けの制御マトリックスの反応速度を瞬間的に上回る程高い域に達し、設計限界を超えた超絶機動を引き起こすことが多い。

機体の運動速度がある一定の域を超え設定値を上回る負荷が掛かった場合、フェイルセーフ機構が発動し、予備電力をも活用して内部骨格部材のPS装甲素材作動値を瞬間的に極大値まで引き上げ(常時極大値での運用は、システムに負担を掛けるために不可能)、リミットオーバーを防止する。

装甲素材作動値が極大値にされた際の内部骨格部材は、余剰電力を光子の形で放射するため、金色に発光する。更にこの発光には、関節部に掛かった負荷を外部に放出する効果が有る。

本機において確認された装甲素材の発光現象は、機体スペックでは想定されていなかった現象であり、基礎構造材に電磁相転移装甲を使用したことで優れた防御力を発揮し、外部装甲可変移動機構による防御力低下を緩和したと言える。

逆に、外部装甲可変移動機構によって生じた装甲の隙間は、機体内部に漏れ出た光の排出に役立っている。

 

 

武装

小口径近接防御機関砲 

襟首に内設されているミリ単位の弾丸を高速連射する機関砲

 

改良型超電磁砲

腰部両側に装備される超電磁砲兼スラスター基、弾丸を高速射出することで高火力と携行弾数の多さを両立しており、多数の敵を同時攻撃可能。実体弾。

側面には保持性を高めるグリップも存在する。普段は3つ折りからスライド式に小型化された。AMBACユニットとして姿勢制御に関わったり、推進器としても機能している。また、ビームサーベルのマウント部位も兼ねている。

後部にダクトが存在している、連射などで負荷が掛かると自動で廃熱を行う。

改良型ビームライフルをマウントしているときは腰部背面に回り込む形で固定される。

 

高出力ビームサーベル 

高出力かつ長刀身のビーム刃を形成する熱切断兵器、柄同士を連結した形態、ダブルブレイドモードが存在する

 

改良型ビームライフル 

レーザータイプのライフルよりも高出力を誇る。不使用時は腰部にマウントされ、可動レールによって改良型超電磁砲とスイッチ運用する

 

腹部高出力複相ビーム砲

新装備、有り余ったエネルギーを効率よく運用するために採用された実験装備。固定装備のため機体正面にしか撃てないが、本機の搭載する武装の中でも特に高い威力を有し、また構えずに撃てるため乱戦などでは使い勝手が良い

 

ドラグーン・システム

セシリア・オルコットのブルーティアーズ(BT兵器)を発想元にしてアレンジされた実験装備。左右3対の合計6枚からなるウイングバインダーに翼のパーツとして装備されている。

そのためウイングバインダーは改良され、高品位・大容量パワーコンジットを内蔵した強度の高い大型マウントアームによって本体と接続されている。

マルチロックオンシステムによる同時攻撃能力は改修前を上回ったが常人には不可能といわれる情報量の処理を要求するため、カズマでなければ性能を最大限に発揮させることは不可能となっている。

破壊力と連射性を合わせ持ち、広範囲に弾をばら撒き多数の敵機に同時に攻撃を行う。

ブルーティアーズ(BT兵器)との違いは偏向射撃(フレキシブル)ができない事だけである。

 

緊急加速推進システム

ウイングバインダーに試験的に採用された光パルス高推力スラスター。青白い光の翼を放出し、より驚異的な高速戦闘が可能となるもの。その繊細な操作には優れた判断力と熟練が要求されるため、カズマ以外が使いこなすことは困難である。

このシステムを使用しての加速は瞬間加速(イグニッションブースト)を上回る。

 

両腕部ビームシールド

両腕部に装備されたビームシールド発生装置。ビームを盾として展開し、ビーム兵器・実体弾を問わず遮断可能で大出力ビーム砲の直撃さえ防ぎ切る。ビームの出力を調整することで防御面を自在に変化させることができる。従来の実体式シールドに比べ、防御機能は遥かに向上し総重量の軽減にも一役買った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BALDR・SKY

 

峰島・由宇の専用機として開発された最新鋭機。

藍澤・カズマが持つ技術の粋を集めて開発・建造された超世代機で、その性能は第四世代機である紅椿に匹敵ないしこれを凌駕する程の水準にある。

 

近接・遠距離両面に即座に対応できる汎用機でもあり、搭載される各種武装も汎用性が高いもので占められている

 

本機最大の特徴は搭載されている出力機関である。この出力機関は特殊粒子を生成し、機体の稼動エネルギーのほかに、高濃度圧縮した粒子による強力なビーム兵器、飛行用の推進剤(バーニア)などさまざまな用途に利用される。また、粒子には見かけ上の重量を増減させる重力制御に似た作用があり、これを利用して機体の重心を各部に偏向・分散させることで、既存のISにはない高い運動性を与えている。また、装甲表面に粒子の防護幕を形成したり、高圧縮してバリアのように固定する「エネルギーフィールド」を展開することで高い防御力を得ることができる。さらに、空間に放出された粒子は既存のレーダーシステムや通信機器の使用を不可能にする効果もある。

 

また、肩部分から腰にかけて伸びるバインダーは実体盾としての役割も持つ高出力スラスター器であり。本機の機動性を最大限に発揮する一躍を担っている。

 

 

特殊システム:トランザムシステム(トランザムバースト)

機体内部に蓄積されていた高濃度圧縮粒子を全面開放することで、一定時間スペックを3倍以上に上げることができるシステム。任意での途中解除が可能なシステムだが負荷は大きいため使い切ることが推奨されている。

また、秘匿されているシステムに人間が遺伝子レベルで眠らせている能力の発現を促す力、「トランザムバースト」を持つ。このシステムは「純粋な祈りで出力機関が連動し、純度を増した粒子が人々の意識を拡張させる」ものとして開発された非戦闘用のシステムで、IS使用者とコアを経由した意志の共有が行えるなど、戦わずにして場を制する機能である

 

武装

 

ロングソード

長剣の長さと形状を持つ実体剣。左右の腰に計2基を装備する。2本の柄を連結させた双刀の剣「ツインランス」として使用できるほか、銃口から大型のビームサーベルを発生させることもできる。二つの銃口を持つライフルモードでは、通常の射撃のほかバルカンなど、状況に応じてさまざまな攻撃を行うことが可能となっている。MSの手持ち型火器としては標準的なサイズだが、出力機関より供給される大規模な高出力によって、大型砲にも匹敵する威力と射程を発揮している。

 

ビームサーベル

腰背部に2基を装備する。出力調整することで投擲用のビームダガーとしても使用される。

 

ロングソード2

最終決戦直前に配備された新武装。ロングソードに近い形状の実体剣で緑色の半透明素材が採用されている。刀身を畳むことでライフルモードに変形、3つの砲口による高い連射性能や、3門のビームを収束させた強力な砲撃を行うことができる。膨大な出力を前提に設計されており、運用次第では紅椿と伍するレベルである。

 

ライザーソード

トランザムを起動し、ライザーシステムを作動させることで使用可能となる特大ビームサーベル。使用時には、両肩のバインダーとロングソード2基を機体前方に向けるなどの発動形態をとる必要がある。その刃の長さは数千kmに及ぶ最強の攻撃手段だが、特殊状態で発動させるため貯蔵粒子を完全に使い果たしてしまうことや、発動中は一切の回避・防御行動が行えないという欠点も存在する。後に装備されたロングソード2では発動形態が不要となったほか、粒子消費量の調整も可能となったため運用面での欠点はほぼ解消されている。

 

 




主人公の新機体の設定だけで2000文字強だと!?
合計で4156文字だ!!歴代2位に当たる文字数!!

というわけで明日より本格的に再開します。


感想ください、頑張る気力になります。


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二学期開始!!

ついに始まる二学期、そして転校扱いで入ってくる新キャラがいて?


「というわけで、転校生のナターシャ・ファイルスさんです!!」

「これから宜しくお願いします」

 

夏休み明け、約束通り一夏と同じ一組へと転入できたナターシャは微笑みながら挨拶した

しかもとても丁寧にお辞儀までして

 

「それでは、新しく転校生も入ったことですから、席替えをします!!」

 

みんなが叫ぶ、ちなみに今回の席替えの方法は・・・

 

「今回はくじ引きです!!」

「さっすが山ピーわかってるぅ!!」

「や、山ピー?」

 

ちなみに山ピーは山田先生の愛称だったりする。誰だ言い始めたの

 

「そら、時間はないぞ早くしろ!!」

 

何気なく笑いながらそういうのは鬼でも難易度イージーに感じるクソ教師こと織斑千冬先生だ

 

「藍澤、不遜なことを考えただろう?」

「いいえ、まさか」

 

ゴイン!!という音が聞こえた鉄拳を喰らう、とても痛い!!

 

「くそぅ」

「真面目にしている分タチが悪いな」

「サクサク進めようかーみんなー」

 

俺と一夏の号令でみんな順番にクジを引いていく。今回ばかりは運任せだが・・・

 

「よし、隣だな」

「誰の?」

「由宇とナターシャの」

 

確信した、必ず隣になる(・・・・・・)

 

「やった、一夏君のとなりね」

「おぉ、そうか?良かったな!!」

 

この天然ジゴロ、しかも唐変木な上に無自覚ハーレム男はそれがどういう意味か分かっているのか!?

 

「リア充爆散しろ・・・」

「カズマ、何か言ったか?」

「特に何もー?」

 

このリア充は是非とも周りの女の子共々爆散してもらいたいものだ、そうすれば少しぐらいは女性に対して敏感な反応が出来るようになるだろう

 

「さて、放課後は実戦訓練だ!!夏休みで一夏がどれほどパワーアップしたか見せてやるぞ!!」

 

その放課後、一夏は鈴とセシリアを連続で相手して倒した。倒したはいいが残りのメンバーには負けた

いやはや、パワーアップには成功したが思ったほど伸びていないじゃないか。まぁいいけど

 

「なんでシャルには負けたんだ?」

「シャルの頭の良さと機転の速さだろうな、それから一夏の癖を分かっているからなし得たのだろう」

 

そのあとの反省会で俺と一夏は問題を考える

 

「ラウラと箒にはなんで?」

「ラウラとはそもそもの相性が問題だな、白式のポテンシャルから逆算すれば余裕で反応されるさ。箒の紅椿とは対の存在だからだろう」

 

紅椿と白式はカウンター(抑止力)だろう。性能的にも、ワンオフアビリティの特徴からもそう判断できる。

現に開発者である篠ノ之・束もそう言っているし

 

そして翌日・・・

 

「昨日に引き続いて、転校生です!!」

「うそだろ・・・」

 

俺の知らない転校生がやってきた!!

 

「フィーネさん、どうぞ!!」

 

入ってきたのはセシリアとは違った趣を感じる金の長髪に長身でモデル体型の女の子だった

待てよ、フィーネ?・・・まさかな

 

「彼女は日本の代表候補生だ、専用機持ちでもある」

 

その言葉を聞いた瞬間、専用機持ちの全員が警戒と驚きを示した

 

「では、席は藍澤の後ろだな」

「はい」

 

凛とした声、それでも滲み出る何かが俺には気になった。何故か、ここではないどこかで会った事があるような感覚がしたのだ

放課後にでも聞くとしよう

 

「俺と君はどこかで会った事があるのかな?」

「あるぞ、ここではないどこかの世界でな」

 

放課後、ようやく時間ができたので聞いてみたら案の定そう返って来た

つまり彼女は・・・

 

「転生とはこういうものなのだな。驚きこそあるがそこまでではないか・・・」

「転生者なのか・・・あえて聞くけど敵意は?」

 

感じてはいないが念のためでもある、隠せば何かがある

 

「ない。普通に生きたかったのに無理やりここにいるのは織斑・一夏と同じなんだ。むしろ同情してくれ」

「あぁ、ご愁傷様と言っておくよ」

 

どうやら本当に敵意はなさそうだ、今のセリフは本心だった

 

「それで、話とはこれだけか?」

「いいや、まさか」

 

そのまさかだよ、あぁ・・・

 

「模擬戦しようか!!」

「そうなるか・・・!!」

 

そして戦闘が開始される

 

「ほう、強いな!!」

「くっ・・・!!」

 

近接戦で俺はビームサーベルを即座に選択し切り込んだが、フィーネはカッターナイフをそのまま剣にしたような武装でそれに対応してきた

 

「その武装、名前はなんというのかな!?」

「単分子カッターだ!!」

「なら、次の武装を見せて欲しいな!!」

「言われずともっ!!」

 

次の瞬間、同時に離れ、武装を変える

彼女は十文字槍型の武器を、俺は素手

 

「はあぁ!!」

「おぉぉ!!」

 

突撃(チャージ)突撃(チャージ)で交差し離れる、ビームシールドを展開しなければヤバかった!!

 

「流石だよ、圧倒的だね」

「まだだっ!!」

 

高エネルギー反応に切り替わる、左腕のユニットが開いたと同時にシールドごと吹き飛ばされた

 

「つっ・・・!!」

 

あまりにも高出力で弾丸が見えない。これはまさか、甲龍の衝撃砲かシュヴァルツェア・レーゲンのAICと同じ技術!?

 

「行くぞ!!」

「来いっ!!」

 

それでもエネルギーの遷移から算出した弾道をもとに回避行動を取る

なんとか躱せているがそれでもシールドを用いてやっとだ、普通ならば余裕でよけられるソレは超々速度化した上に不可視状態であるために厄介だ

しかし、相手にも俺にも奥の手がある!!

 

「「ワンオフアビリティ、発動!!」」

 

同時に奥の手を使う、それこそが切り札で、最後の一撃となるだろう

 

「天魔覆滅!!」

「ロッズ・フロム・ゴット!!」

 

天空にあり空から落ちる神罰の如き砲撃と、神に仇なす存在を滅する一矢が炸裂し、爆散した

 

引き分け(ドロー)か」

「どうやらそのようだな」

 

これはこれで楽しい模擬戦だった、思わず本気になりかけた

 

「後で話す事がある。部屋に来ていいか?」

「由宇に聞いてくれ、許可が出ればきていいよ」

「わかった」

 

それで一時的に別れを告げ、自室に戻ることにした・・・




戦闘描写って、大変だ・・・
いつもそう思いながら書き上げていく作者です。

感想ください、作者の肥やしになります


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白式強奪未遂事件

それは非常に危険なこと、重大で最悪な事の一歩手前
しかし・・・


「というわけなの」

「却下」

 

突然ですが問題です、IS学園最強の名を冠する生徒会長の座にいる人物って誰だ?

 

「おねーさん怒っちゃうぞ♪」

「更識・楯無・・・追い出されたいか?」

 

その首根っこ掴んでプラーンとさせている俺はドアの方面に彼女を向ける

 

「いやぁん」

「よし出て行け」

 

ポイッと捨ててドアを施錠する。おまけに塩も撒いといた

 

「酷いなぁ、悪霊扱い?」

「当然だっ!!」

 

声がした方向へ振り向きざまに上段蹴りをかまして距離を取らせる、彼女は素早く反応して避けるが、その先には

 

「あれっ!?なにこれ!?」

 

由宇が仕掛けていた罠があった、ちなみにこの罠は・・・

 

「いだだだだっ!!」

「ざまぁみろ!!」

 

暴れると高電圧が流れる設計だったりする

 

「酷いじゃない、こんな事するなんて!!」

「いいざまだ、更識楯無」

 

由宇がいつの間にか帰ってきていた、どうやら読書タイムは終わったようだ

 

「大体、一夏と白式を守るためとは言え無理やり特権使って同室にしたんだろうが自分でどうにかしろよ!!」

 

一息でそういい、彼女が手一杯になった場合を考えるあたり俺も甘いとは思っている

 

「ケチ・・・」

「蹴り飛ばすぞ?」

 

流石にこれには由宇がキレかけて俺が先ほどまで彼女にしていた"首根っこ掴んでプラーン"をする。苛立っているのか少し爪先が食い込んでいるが見えないことにしよう

 

「あ、でもこのアイデア貰っていい?」

「構いはしないがカズマは関わらせるなよ?」

「由宇ちゃんドレス着たい?」

 

ドレス、それは女性が憧れるもの。最高の額がする婚礼衣装のことでもある

それを着れることを条件に出された由宇の反応は・・・

 

「着たい」

「じゃあ彼も関わらせて」

「いいぞ」

 

いや良くねぇぞ!?全く良くねぇぞ由宇!?

 

「じゃあ決まりね」

「嘘だぁぁぁぁぁ!!」

 

観客参加型演劇の開始前に、それは突然決まったのだった・・・

その後のこと?地獄に決まっているだろう?

 

「さて、そろそろイベント起きるかな?」

「イベント?」

「一夏の白式が奪われかけるという事件さ」

 

由宇はしばらく考えて

 

「行ってくれ、私は自衛できる」

「ん、わかった」

 

気兼ねなく行けばいいだろうと許可をくれた。俺はこの学園に所属していているが、あくまでも任務上では彼女の護衛が最重要なのだ。

そのクライアントからの許可には基本従うのが雇われている俺の仕事である。

 

「かえ・・・せ」

 

一夏のところに来たら案の定、白式を奪われていた

しばらくして敵のセリフの最後に俺は邪魔することにする

 

「じゃあなぁ、ガキ。お前にはもう用ねぇから、ついでだし殺してやるよ」

「それは困るな、ソイツ、俺の弟子だからさ」

「つっ・・・!!」

 

驚きの顔で俺に振り返る蜘蛛女のように見えるISの使用者は、すぐに三下発言を始めた

 

「てめぇ、どこから入った?今ここは全システムをロックしてんだぞ?・・・まぁいい、見られたからにはお前から殺すっ!!」

 

同時に放たれる八本の装甲脚を見ながら、俺は笑った

 

「三下が・・・」

「なっ・・・」

 

それを全て防いで俺は笑った。実に三下な発言で笑いが出たのだ

 

「おい、蜘蛛女。てめぇは俺を殺すといったなぁ?」

「今すぐに殺してやるよ!!」

「格の差を思い知らせてやるよ」

 

その言葉と同時に蹴り飛ばし、距離を取ると見せかけて更に接近、裏拳で飛ばす

 

「がはっ!!このガキッ!!」

「おぉ!?これはこれは・・・」

 

装甲にダメージを追わせようとして装甲脚で攻撃したのだろう。だがな・・・

 

「そんなもんに蹴られて効くか阿呆がっ!!」

「げはっ!!」

 

多用途電磁相転移装甲に対して物理攻撃は通用しない。並みのIS用装甲では破壊されたかもしれないが

 

「調子づくなぁ!!」

 

腰部装甲から2本のカタールを抜いた敵は自らの腕を近接戦闘にして背中の走行脚は射撃モードに切り替えたようだ

 

「おいおいどうしたどうしたァ!?そんなんじゃ一向に効かねぇぞ三下ァ!?」

「何なんだよてめぇは!?」

 

あ、それ?

 

「教えてやるよ、元軍人様だぁ!!」

「がっ・・・!!」

 

蹴り飛ばして壁面に叩きつけ距離を取る

一方的な強さを見せつけ、時間もついでに稼ぐのだから一石二鳥だ

 

「ちっ!!くらえっ!!」

 

 

装甲脚の四本を射撃モード、残り四本を格闘モードにしてきたが・・・

 

「だから、物理攻撃なんて効かねぇんだよ三下ァ!!」

「げはっ!!」

 

回避して懐に潜り込み、連続で掌底を叩き込み床に打ち付ける

 

「あぁそうそう、お前、いつの間にか自分のところから白式のコアがなくなってるの気づいてる?」

「なっ!?」

 

どうやら気が付いてなかったらしい、アホだコイツ

そう、コアは既に取り返している(・・・・・・・・・・・・)

つまりは・・・

 

「来い、白式!!」

「いつの間にっ!!」

 

気がついた時にはもう遅い、俺の作戦勝ちだ!!

 

「零落白夜、発動!!」

「ぐうぅぅぅ!!」

 

一夏のワンオフアビリティで追い詰められた敵の選択肢は一つ、本体と分離させての自爆しかない

 

「離れろ一夏っ!!」

「あぁ・・・!!」

 

俺の言葉に意味を察した一夏はすぐに後退して俺と立ち位置を変える。俺は前面に両腕部ビームシールドを最大展開して爆風と破片を防いだ

 

「くそっ・・・追わねぇと!!」

「いや、追わなくていい」

 

そこはちゃんと考えてあるからな、なんてったって

 

「敵の動きは更識・楯無が追っている。そっちの方はセシリアとラウラにフィーネ、それに更識・楯無が行くはずだ」

「お前・・・俺が襲われるって分かっていたのか?」

 

ん、なんのことだろー

 

「知らないって顔しても無駄だぞ!?おい目をそらすなよ!?」

 

知らぬ、知らぬ、見えぬ、聞こえん!!

 

「さー帰ろうかー、いい結果にはならないけどそこそこじゃない?」

「やっぱてめぇわかってたな!?どうせお前のことだから結果も見え見えだろ!?」

 

む、それに関しては否定するぞ?

 

「それはない、運がとても良かった場合は敵を捕まえられるだろう。だがそれはあくまでもとても良かった場合であって今回ではない」

「お、おう・・・」

「それに敵の増援もある場合に備えての待機だからな?」

 

そう、あくまでも帰るのではなく自室での待機だ、勘違いはしないほうがいい

 

「ま、呼ばれることはないと思うがな」

「そうあって欲しいぜ、本気で」

 

そう言い合って俺と一夏はそれぞれの自室に戻ったのであった。




ファントムタスクの一員であるオータムが出現!!、がしかし主人公が一方的にフルボッコの回でした!!
いやぁ、それにしても主人公強すぎね?

次のイベントってキャノンボールファストだね、主人公とヒロインにサイレントゼフィルスをフルボッコさせるか、それとも新キャラであるフィーネに任せるか迷うよ

次話はそのフィーネの設定とかを書き上げる閑話休題だけど


感想ください、作者のテンションが上がります


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閑話休題、という名の設定(5)

新キャラであるフィーネに関する設定をあげます
でないと作者がわからなくなるから・・・


フィーネ

 

藍澤・カズマとは異なる世界から来た転生者。

その正体はアニメ、戦姫絶唱シンフォギアの第一期のラスボスであるフィーネ本人である

 

藍澤・カズマは別の世界にも存在しており(カズマは自覚していないが察知はできる)彼に負けたこと、更に転生という方法で贖罪を行うという形で裁定されたことからこの世界に転生してきた。

当初はただ普通に過ごし、ISにも関わることなく生きていくと決意していたが、偶然受けた適性試験でまさかの「適性:S」という評価とそれを重く考えた政府によって保護の形でIS学園に強引と言える形で転校させられた。

 

専用機の名称はリインカーネーション。くしくも彼女が戦姫絶唱シンフォギアの世界で何度も転生してきた方法の名と同じである。

 

 

リインカーネイション

フィーネ専用機として提供された機体、使用するフィーネ自身が技術を提供して開発されたフルオーダーメイドの機体でもある。

機体自体のデザイン案はある世界に存在している人型のAIを搭載したロボット兵器を元にしている。

性能は第三世代機以上第四世代機未満だが、各種特殊武装に加えてブラックボックス・テクノロジーを使うことで非常に強力な機体に仕上がっている。

その気になれば第四世代機である紅椿、第三世代機である白式など、最新世代機を2機同時に相手にしても十分に戦えるポテンシャルを有している。

また、特殊装備を複数有する弊害としてペイロードがなく、発展機の開発は実質不可能である。これに関しては後にキャノンボールファストに向けてのほぼ新造に近い(・・・・・・・)改修を受けたことにより、全体性能はそのままに問題は解決された。

 

 

武装

 

20mmガトリングガン

左腕部に装備される単銃身ガトリングガン、装甲と一体化している

 

 

155mm多目的破砕・榴弾砲(デモリッション・ガン)

本機の武装の中で最大の威力と射程を誇る武装。

本来は建築物や構造物に対して使用される工兵用の破砕砲を戦闘用に転用したもの。

破格の口径とその反動はISで使用したとしても反動が高く、後述の特殊機構を同時作動させなければ発射できないとされる

その反面、掠るだけでも装甲ごと肉を抉るレベルでのダメージを負わせることが出来る程の異常な破壊力がある

長距離射撃時には着脱式の砲身を装着した「ロングレンジモード」となり、この際の最大射程は30kmにも達する

通常時はストレージに保管され、必要に応じて展開される

 

 

単分子カッター

細長い刃(刀身長は1.5m)と僅かに反りを持たせた刀身に柄元には鍔という拵えで、日本刀と似た外見を持つ武装。カッターの名のとおり折れた刀身を即座に交換可能で汎用性に優れる近接戦で非常に有能な武装

反面、同種の武装の弱点である横からの衝撃への弱さは解決されていない。

通常は腰の背面に収納された状態で懸架される

 

 

ドラゴンフライ近接戦闘システム

全長2.5mの十文字槍型の武装。三又の単分子カッターが備えられており、突く・斬る・払う・叩くなど様々な戦法に対応できる。

また、穂先に推進力補助のための小型スラスタが内蔵されており、イレギュラーな機動を行うことが出来る。

穂先はワイヤー経由で射出できるようになっており、これで敵機体を貫いたり、ワイヤーで敵を絡めとって拘束することも可能。

穂先の根本部分にはオプションとして短砲身の火器がマウント可能な固定用フックをもち、現在は試作のIS用ショットガンを装備。

これらの多彩な機能により、使い方次第であらゆる戦況に対応できる。

ただし、クセの強い兵装である事は間違いない

こちらも通常時はストレージに保管され、必要に応じて展開される

 

 

対IS用キャンセラー"妖精の羽"

肩部側面に装着される増設ユニット。「羽」と呼ばれているが、飛行能力はなく2機1対となる外見からの命名。

「超常的な現象を一切合財否定する」イメージによって発動するが、莫大な電力消費により使用時間にも限りがある上、自機の基本動作性能の低下までをも引き起こすことから、諸刃の剣とも呼べる存在である。

通常は装備されず、ストレージからロードすることで装着される

 

 

XL-0緊急展開ブースター

リインカーネーション専用の追加装備群の集合体、ロケットエンジンとジェットエンジンの双方の技術が融合した単合金製ブースターを2基搭載しており、その推力は全兵装を展開し装備したリインカーネーションでもマッハ4.0に達するのに僅か10秒という短時間ですむレベル

戦場への強襲とそこからの急速離脱にのみ使用されるため通常は装備・装着されていないため使用時にストレージからロードして使われる。

 

 

アイザイアン・ボーン・ボウ

装備された大型の弓。実際に矢を射る武器ではなく、後述の特殊機構で発生させた力場を矢と化して超高速で射出する。発射された瞬間に被弾するほどの凄まじい速度で飛来するため、回避はほぼ不可能な武装である。

右腕部に装着されている

 

 

特殊機構:ラムダ・ドライバ

本来の名称は「オムニ・スフィア高速連鎖干渉炉」である。使用する者の精神を物理世界に介入させるブラックテクノロジー。

一種の精神世界であるオムニ・スフィアは物理世界と相互に干渉しあっており、人間は生身の状態でもオムニ・スフィアを通して分子が揺らぐ程度の干渉を物質に与えている。この干渉反応は脳と全身の神経系によって生じており、これを連鎖的に増幅させることによってより強力な干渉反応を生じさせる装置の名称

しかしこれを実現するためには「使用者の精神パターンをトレースした疑似頭脳および神経系」を必要とし、そこに大電力を投入することによってのみ、通常の自然界ではあり得ない干渉反応を引き起こすことが可能となる。従って、使用者の神経系を模すことができない構造のモノにラムダ・ドライバを搭載したとしても、干渉反応を引き起こすことは不可能である。裏を返せば、極限の集中力が発揮される戦場で生き残ることのできる機械、つまりISにしかラムダ・ドライバを搭載できないということでもある

これに関しては他の世界から来た別の転生者の残していた研究資料を元にして開発された装備だが、その有用性は非常に高い域にあったため急遽搭載された経緯がある

 

 

補助特殊機構:TAROS(Transfer And Response "Omni-Sphere")

オムニ・スフィア転移反応とも言い、全身の構造材の内部に微細な結晶状の電子素子を埋め込み3次元的に連結する事で脳内の電気パターンを読み取ってAIに転写するシステム。

これにより前述の「使用者の精神パターンをトレースした疑似頭脳および神経系」を実現している。

TAROSによってAIが精神データを読み取り、オムニ・スフィアへの干渉を行い、それを「ラムダ・ドライバ」のメインユニットである「水筒サイズの虹色の光の束が納まったシリンダー」へ大電力を与える事で高速連鎖反応を発生させて物理世界へ干渉させている。

 




さて、元ネタを暴露する必要があるか、それともないか・・・非常に悩ましい所です
まぁ、わかる方はわかると思います。

感想ください、作者の頑張り度がかわります。


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大規模改修

それは大規模な性能アップのための切り札
ほぼ新造に近い改修の内容とは・・・


「うーん・・・これは芳しくないな」

「そう・・・か?」

 

キャノンボールファストという一大イベントに向け様々な動きが始まる頃、由宇、フィーネ、自分の順番で見ていたのは機体のトラブルとかのチェックデータだ

あと、由宇には機体の全情報を提供した。

今はフィーネの機体を見ているが・・・おい、なんだこれ!?

 

「魔改造できねぇじゃん!?」

「なぜそっちに行く!?」

 

正しくは追加装備を搭載するためのペイロードがない。ECSやECCSは搭載したが反面、全体重量を極限まで軽量化したため一部に関しては装甲なんてあってないようなものだという事が判明した

これは由々しき事態である、今の状態は、はっきり言うと裸でミサイルの雨の中にいるようなものである。

 

「そもそもコレは対同型機を想定して開発したんだ仕方ないだろう!?」

「それでもこれのスペックじゃあ良くて引き分け程度だよ!!なぁ由宇!?」

「あぁ、全くその通りだ」

 

由宇も俺の評価と同じらしい。それもそうだ

 

「第一、不確定要素が多すぎる。確かに強力だが発動に多大な精神力を必要とする欠点と搭載した武装との競合問題も解決されていない。はっきり言って欠陥機に近いぞ」

 

ISに欠陥機はないがな。と言いながらもこのセリフである、辛辣なんて言葉の領域を超えている

 

「むぅ・・・」

「だから、改修しよう」

「だとしたら間に合わなくなるぞ、ここには技術者もいない状況だ」

 

あぁ、それなら問題ない

 

「それなら問題ない、私とカズマの二人で改修すればいいだけの事だ、幸いにも私達は設定変更もなしに首位に行けるスペックを有しているからな」

 

俺に関しては実はセシリアの事で少し用事があるのだが、それはそれで問題ない

そろそろ彼女も身に着けるだろうから、それでも身につけられなかった場合はアドバイスするが、今は基本練習相手でいるだけだ

 

「幸いにもブラックフレームの改修案で開発して搭載を見送った各種武装・装備群がある、それをベースに行えば大規模のスペックアップも可能だろう」

「あぁ、そうだね。アレとかも良さそうだ、この機体の美しさを際立たせた上に瞬間加速(イグニッションブースト)を上回りながら変態機動するにはね」

 

ここで言っているアレとは、ブラックフレームに搭載した緊急加速推進システムの雛形でもあるアジャイル・スラスタを指している

最終的に光パルス推進となった緊急加速推進システムとは違い、使いようによってはフラッシュボムの代わりにもなる

 

「どれほどあれば可能だ?」

「三日もあれば余裕でしょ」

 

システムごと分解(バラ)してデータだけ取るのに一日、それから問題を探って再製造するのに一日、コアに馴染ませるのに一日というスケジュールだ

もっと余裕があれば五日で済む内容でもある。ただし、普通にやれば最悪半年かかる内容でもある。あくまでも俺と由宇がやるのだから出来ることで、専用機持ちは開発元の企業あるいは研究機関に行って再調整等を含めたオーバーホール並みの作業とその先の新武装換装なども含まれるハードスケジュールで間違いはない

 

「天才は二人もいると驚異を通り越して恐ろしいな」

「何を今更」

 

そもそも俺は天才じゃあない、努力の果てに生み出した技術で人類の未来を閉じかけた者が天才と呼ばれるのはおかしいと思っている

 

「機体の事は任せてくれ、必ず納期に間に合わせて強化改修する」

「あぁ・・・カズマ、由宇。お願いする」

 

これで機体は託された、後は・・・

 

「さて、やりますか」

「あぁ、やろう。これはなかなか一苦労しそうだ」

「そういうのが」

 

俺と由宇は同じ趣味を持っている、例えば

 

「「楽しい」」

 

自分たちの手で改造や作り出したものが活躍する場面を見ることだ。その為には苦労だって惜しまない

 

「三日で仕上げよう」

「おーッ!!」

 

その日から三日間、IS整備室にはおかしいテンションの一年生の二人組がいたとか

誰と誰の事だろうねー、俺たちじゃないはずだよなー




さて、次回はキャノンボールファスト当日のお話です。
フィーネのIS、リインカーネーションがどんな活躍するのかな・・・?
おっと、なんかネタバレに近いぞ

感想ください、栄養源になります


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イレギュラー

それはあり得ない事。
本来ならできない事をしてのける敵に主人公がとる選択は···?


「やはり来たか」

 

キャノンボールファスト

それはISを使った高速バトルレース。妨害ありでもある。ある意味でデスレースに近い競技だ

今年度は通常参加しない1年生に専用機持ちが多数いるため急遽参加させているらしい。

俺としてはいい迷惑である。

 

「ふっ···」

 

そして、ようやく1年生の番が来た時に事件は起きた。

イギリスから強奪されたブルーティアーズの2号機であるサイレントゼフィルスが襲撃して来たのだ。

しかも、仲間連れで

 

「誰かといえば藍澤·カズマ(オリジナル)ではないか、久しいな」

「つっ···!!」

 

最悪な事に俺のクローンである。容姿はそっくりだし声音も同じ

違うのは使う機体と敵対している事ぐらいしかない。

 

「貴様、サーディ·アヴァロニクスか!?」

「そのとおりだ、オリジナル!!」

 

戦闘の火蓋が切っておとされる、ブラックフレームのデッドコピー機だと推測できる機体を駆る敵を相手にして一夏達が勝てる保証はない。

せいぜい総員で取り囲んで何とか五分五分と言ったところだろうから

それほどまでに相手は強い。オリジナルである俺ですら厄介だと思っているから。

 

「死ねぇ!!」

「甘いっ!!」

 

予測はしていたんだ、頭の片隅で。いずれ復活するであろう事が。俺の転生に巻き込まれるであろう事も。

なぜなら···

 

「俺は一度、お前を滅し損ねたっ!!」

「知らなかったのだ、当然だろう?」

 

こいつを一度殺した際に俺は、別の任務を抱えていてきちんとした裏取りを怠っていた。

その時は、まさか自分が人造人間だと知らなかったから

 

「この状況は、蘇る事を予見出来なかった俺の不明でもある!!」

「ぐっ···!!」

 

裂帛の勢いのまま殴りつけ、距離をとる。

そしてジレンマとトラウマを思い出した。

コイツには俺が終止符を打つと決めた。しかしここにジレンマが生じる。コイツに対して確実に息の根を止める方法は俺が死ぬかコイツが蘇るのを待つしかない。

しかしそうなれば止められる方法が無くなる可能性だってあったのだ

 

「だが今は違うぞ!!こうして拳がお前に届くっ!!」

「がっ···!!」

 

しかし、何もしていないわけでもない。むしろ予防策は無意識のうちにしていたのだ。

転生前に、こいつを殺した時に、無意識に

 

「転生で知った肉体の痛みはそんなにも強烈だったか!?痛みがあるから人は誰かを求め、癒されるのだ!!それがやがて絆となる!!」

 

 

肉体に痛覚がないからコイツは強い。痛覚を感じないように細工されていたのだから当然といえよう。

それがコイツに様々な影響をもたらしていたのだ。最たるものでは痛覚に対する処し方で、痛みの本質を理解出来ないから曲解している。それが攻撃が通用しないという絶対的な境界を作っていた

しかし、これに痛みが生じたら?

きっと初めての感覚に、閉ざし、塞ぎ込む(・・・・・・・・)だろう

誰かと接することで癒される事を知らないから

 

「うるさい!!絆だと!?所詮我欲の押し付け合い、やりたくない事を他者にやらせるための体のいい方便だろうが!!それすら許さないのが曰く絆、曰く正義、ただの同調圧力に過ぎん!!キサマら痴れているのか!?」

 

このように、コイツが曲解して出した結論がこれである。

 

「それがお前だというのなら、専用の封神台に···永劫叩き落してくれるわぁぁぁぁ!!」

 

俺という自分にとっての歪みを除去しようと、奴は全力を注いでワンオフアビリティを発動する祝詞を紡ぎ始める

 

「天絶·地烈·風吼·寒氷·金光·化血·烈焔·紅水·紅砂·落魂ォォォン!!ワンオフアビリティ、十絶の陣ィィンッ!!」

 

それを聴きながら俺は攻撃しない選択を取った、何故なら

 

「民の怒りと鬼神の怒り、虎と成りて悪を討て!!ワンオフアビリティ、霊虎童子!!」

 

フィーネの機体、リインカーネーションの改修後に生まれ変わったワンオフアビリティ、霊虎童子の発動が控えていたから

思惑通り、フィーネはベストタイミングでワンオフアビリティを発動して攻撃を相殺した

 

「絶龍嶺、九天応元雷声普化天尊ッ!!」

 

続くありえないはずの二個目のワンオフアビリティの発動は俺が相殺する

 

「神鳴る裁きよ、降れい雷···ロッズ·フロム·ゴット!!」

 

完全に相殺して俺は敵である自分のクローンに接近する、そして···

 

「お前の封神台には、お前が殺した連中が待っている。そこで性根を叩き直されてこい!!」

 

最後の一撃を叩き込んで、倒した。

倒された反動で、サーディ·アヴァロニクスは地面にクレーターが生じる破壊力を受けたが




敵は死亡判定はしてないけど死んでます。
普通なら死んでないとおかしいぐらいの威力だからね。

感想ください、作者のエネルギー源になります


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nightmare

それは悪夢のごとき事態。
最悪の末路、それの引き金を引いたのは···


「ふむ、こんなところか」

 

やれやれ・・・と言いながら俺は座る

ブラックフレームのディスプレイには非常事態警報発令という文字が浮かんでいるが気にしない。

なぜならこの事態は俺が引き起こしたものだから(・・・・・・・・・・・・・)

 

「さて、どう出るかね、専用機持ち?」

 

この場をどう切り抜ける?さぁ見せろ、君たちの戦いを

これはこれから迫り来るであろう苦難の前哨戦に過ぎないぞ?

 

「貴様が全ての元凶か」

 

後ろから剣先を首元に突き付けながらそう言ってきたのは織斑千冬だった

俺はそれに答える

 

「全てと言うとどれを指しているのかは分からんが、今この場で、この茶番をしてのけたのは後にも先にも俺だけだ」

「貴様、一体何をするつもりでいる?戦争が好きだったのか?争いを求めているのか?敵味方で血を流させそれを神聖視しようとでも言うのか?」

 

苦々しそうな表情に変わったのだろう、声音が少しだけ鋭いものになっている織斑千冬を見ることなく話を続けろと合図する

 

「お前のこの行動で、何人が傷つくと思っている!?」

「勘違いをするな。俺はその全てが嫌いだというのは変わらん」

 

それは変わらない、現にこうするのはあんまりやりたくない事だ。

入学当初から感じていた違和感を最近ようやく納得しただけ。納得した上で、是正させる方法を過激なものにして見ただけという簡単な理由(もの)

ここは平穏すぎるのだ、各国が最大限警戒していながら、肝心の護りはガラ空き・・・シャレにならないジョークかと思わず笑うほど

しかしこの時・・・

 

「おい」

 

どこから響いた、途轍もない質量の波動が干渉し始めた

 

「つっ・・・!?」

 

さらに、ブラックフレームのエミュレート機能を使って結界を生成し、そこに織斑千冬を案内した存在に俺は声を出す

 

「やめろぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

その声は届かず、織斑千冬が視界から消えた(・・・)

 

 

 

<織斑千冬、???>

 

声がしたあと、目を開けたまま気がついたら何処かの空間にいた

ここはどこだ?何を私はされたのだ?

疑問に思うが、そこで思考を中断される

 

「特等席にご案内しよう、織斑千冬」

「これは、貴様がやった事なのか!?」

「然り」

 

当然だろう、このような事、出来るのは俺しかいないだろうが。と藍澤によく似た容姿の男は話す

そして近くに有る椅子を指して

 

「掛けたまえよ、せっかくだ、しばし話をしようじゃないか」

「私にはやる事がある、早々に退席するぞ」

「それは困るな」

「ぐぅ!?」

 

荷重を加え、簡単には動けないようにされた。

聞きたいことを聞けるまで帰しはせんよ。と言わんばかりのプレッシャーだ

 

「実は恐縮なのだが何も考えていなかった。一体俺は貴女と何を話せばいいと思う?」

「なに・・・?」

 

考えていなかった?、話をするタイミングを?それこそ考えなしの行動だ。

 

「そう怒るな、性分でな、面白そうなものには生来目がないのだ。ふと気がついた、だから捕えた。他に大した意味はない。吟味はしている最中だ」

「つっ・・・!!」

 

この男、藍澤とは異なり非常に馬鹿なのか?その場のノリと勢いでご破産にしてしまうことが多々あるんじゃなかろうな?

 

「まぁ、なに、時間は山ほどある、ゆっくりしていけ」

 

ふざけるな、そんなもの・・・!!

 

「私にはないっ」

 

対する相手の返事は・・・

 

「その点は問題ない」

「なに・・・!?」

 

その一言だった、どういう意味だ・・・

 

「こちらの次元とあちらの次元は異なる階層だ、こちらではあちらの未来を見ることが出来るが、あちらではこちらを観測できんよ」

「つまり・・・時間を停止させたと言いたいのか!?」

「そんな事、出来ないさ」

 

傲岸不遜に笑いながら相手は私に問いかける

 

「なぁ、平行世界というものを信じるかね?」

「つっ・・・!?」

 

いきなり何の話だ?ここに関係があるのか?

 

「その様子では信じていないようだが、どれ、あるのだという事を見せてやろう」

「がっ!?」

 

突然、視界が変わるかのごとく眼前に映し出されたのは様々な映像だった。それ一つ一つが様々な結果になっている

 

「理解したかね?」

「ぐっ・・・くっ!!」

 

あまりの負荷に頭痛が酷い、なんだこの人間は

そもそも、なぜそんなにも藍澤と似ている!?

 

「簡単だよ、俺はヤツの親だからさ」

「なっ・・・」

 

親・・・だと!?藍澤から聞いてはいたが・・・これ程のことをやる存在が、人間だというのか!?

 

「俺という存在は人間として突出しすぎてしまった、ゆえに俺は息子に全てを託している。だが今回ばかりは少々行き過ぎたのでね、君を経由して戒めようと思う」

「他力本願・・・か」

「十八番だからね」

 

破顔した自称藍澤の親は私に問いかけてくる

 

「さて、戒める理由は大体分かっているよね?」

「あぁ、それで、いつ私を返すのだ?」

 

うーん、と考えながら思いついたように紙を書いて私に渡してきた

 

「これだけ見たら帰すよ。これは彼の記憶であり自分の夢だった事だ。そして最後はこの世界が彼の入った事で変わっていく未来が映される。一種のシュミレーションだけどね」

 

渡された紙には触れてはいけない事が書かれていた。

藍澤・カズマの来歴、本来の年齢。藍澤・カズマを作り出した理由の気がして背筋が思わず凍りつく

それだけでない、藍澤が転生した結果変わった未来をシュミレーションではあるが見せるというおまけ付き。

なんの悪夢だこれは?思わず逃げたくもなる・・・だが

 

「いいだろう」

 

それでも、帰る方法はそれしかないと悟るには十分だった。

それだけの意味があるのだから・・・

 

 

 

 

<IS世界、カズマ>

 

「どうする・・・」

 

肝心要の織斑千冬が消えた事で緊急事態に対応する部隊は機能を消失した。

流石にこれは計画外だ。それも・・・

 

「うぅ・・・うぅあぁぁぁぁぁ!!」

 

全部、俺のDNA上での父親のせいだろうと判断できた。

あの野郎、愉快犯レベルでまた現れやがった。いけしゃあしゃあと!!

一体どうしてくれる!?これでは俺の計画が滅茶苦茶だ!!ふざけるなよ許さない。許さない。許さない!!

 

「がぁぁぁぁぁっ!!」

 

途端、生じたのは言語を絶する苦痛だった。

自分以外の人間が受けたらおそらく刹那も待つことなく絶命するであろう。それほどに末期なのだ

それでも普通の人間とは異なる精神力でこれを無視した。消すわけでもなく、治すわけでもない、単なる無視で凌駕する

 

「う、がっ、あぁぁぁ!!」

 

それでも戦うしかない、だから動くことにした。

しかし今の俺の体を見て、誰が戦闘できるだろうと思うであろう。全身に生じた裂傷は完全に出血死レベルの傷であるし、内蔵も大半がイカレている

 

「ぁ・・・」

 

逸る気持ちとは裏腹に、体は追いついてこない。無理はない、神経も一部が切れているのだから

結果、地に伏すことになる

 

「ぎっ・・・がっ!!」

 

こんな事が痛みになるものか、ヤツのせいで俺はまた絶望する羽目になるっ!!

視界は涙で歪み、像はバラバラになって見えにくくなっている

それほどまでに悔しい、憎い、妬ましい!!

なんなのだこれは、一体何なんだこの自分は!!

どうしてこれほど無様で醜い!!どうしてこんな仕打ちを受ける!?一体自分が何をしたという!?

 

「おい、カズマ!!・・・つっ!?」

 

もう一度痛覚を無視しようと決めたとき、一夏が来た

クソがっ!!こんな時に来るな!!

しかし今の俺は動けない、逃げられない状態で・・・

 

「見る・・・なっ!!」

 

なんとか立ち上がり、急いで由宇のいる場所に向かおうとする。あの子を奪われてなるものか!!

 

「待てよ、お前、今の状態じゃいつ!!」

 

死んでもおかしくないと?そうだろう死にかけだよ!!

 

「いけない・・・」

 

このままでは血が足りない。枯渇してしまう

そうなったら俺は・・・っ!!

 

「織斑・千冬・・・!!」

 

帰ってきてくれ、頼むから・・・!!

 

 

 

<織斑千冬、???>

 

「なるほど、つまり君はある程度見抜いてわざと踊らされているわけだ」

 

成り行きを最初から話せ。そう言ってきた相手に私は事の次第を語って聞かせた

結果返って来た感想はそんな身も蓋もない事だったが

 

「そうだ。貴様はどうやら自分の真実を分かっていないようだな。早く私を解放しろ」

 

そう言った私の言葉に相手は数瞬だけ虚を衝かれたような顔をした。しかしそれもすぐに笑いへと変わる。

それを見て、率直に恐ろしいと感じるほどの笑みに

 

「真実?俺の真実だと?おかしな事を、そんなものは未来永劫ただ一つしかない」

 

その言葉と同時に増していく破格の圧力、姿形はそのままに相手がまるで天まで届く氷山にでもなったかのような錯覚に囚われた

怒っているのか?楽しんでいるのか?いいやそもそもなんだこれは?

 

「自分の真実を知らないといったな?それはそうだ。それは自分の過去にあるものだから。過去にしか真実は転がっていないのだよ。では君はどうする?君の真を晒してくれよ」

「私の・・・真?」

「そうだ、祈り、願い、信じ、実践している事だ。その本心を聞かせてくれ」

 

それを言われて戸惑う、私は何をしたいのか?

 

そんなもの、決まっている

 

「私の真は、己の生徒を守る事。かつて護れなかったものの分も守るのだと自分に誓った。だから貫いてみせる、私にとっての戦いの真なる意味はそういう事で、死なないし、死なせはしない!!」

「よくわかった」

 

その瞬間、藍澤の親と私を隔てている空間が歪んだ

まるで水面に落ちた雫が、波動を生むように

その先には生徒たちが見える

 

「貴女の勇気を受け止めよう。その行く末を、俺もこの場から見させてもらう」

「・・・」

 

敵意が無いことに今更ながら気がついた、どういう事だ?

 

「おいおい、何を呆けているのだ?言っておくが俺は何もしていないぞ?真を晒し、誓った自らの成果に戸惑うなよ。なぁ・・・」

 

決定的に、私の中にある躊躇いという弱さを、相手は崩してきた

たったの一言で

 

「願うのなら、犠牲を躊躇うなよ」

「つっ・・・!!」

 

犠牲を躊躇えば、その大きな反動がいずれくる

そうなる前に、迷いは断ち切れ。と言いながら彼は笑う

 

「さぁ、早く行きたまえ」

「あぁ・・・世話になった」

 

別れたあと、すぐにもといた場所に帰って来れた

 

「行かなければ!!」

 

急いでこの事態に対処せねば、生徒が傷つく前に!!




試験的に視点変更してみました。失敗だったらごめんなさい

視点変更は〈人物、場所〉となっています

感想ください、作者の栄養源になります


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死傷と死病

それは後天的につけられたもの。
人をして呪いと言われるもの。


「あぁぁ···」

 

死にかけの人間が目を覚ました。

その人間の名は藍澤·カズマと言う。

間違いなく、俺自身の事だ。

 

「・・・」

 

体を起こそうとするが激痛に苛まれ、不可能と判断する。

同時にこうなった理由を探るが、一つにしか帰着しない。

 

「つっ···!!」

 

悔しい、腹立たしい、妬ましい!!

何故あの男はいつもいつもいつもっ!!

 

「あっ、ぐっ!!」

 

それでも何とかベッドから降り、歩き始める。

どのみちこの傷はここでは治せないのだから。

唯一の治す方法がある場所に向かうしかない。

 

「がはっ!!」

 

一歩一歩が今の俺には鉄の処女(アイアン·メイデン)のそれである。

歩けば歩く度に寿命が縮まる、死に近づいていく

 

「はぁ···」

 

そして、たどり着いた。

この世界での、俺の家に、その部屋に

 

「はぁ、はぁ、はぁ···」

 

部屋の中にある自分専用の治療用ナノマシンを連続3本投与し床につっ伏す

そして、暫らくの間意識が途絶えた

 

「つっ!?」

 

目が覚める、何かの気配を探知したから。

近くに誰かがいる。誰だ?

 

「目が覚めたのなら、目を開ければいいだろう?」

「織斑···千冬」

 

痛みがするなか目を開け、来ていた人物を見据える。

織斑千冬だけでなく一夏やその取り巻きである鈴、シャル、ラウラ、箒、セシリア、楯無(刀奈)、簪

それに、由宇まで来ていた

 

「聞いたぜ、お前の本当の姿と、状態を」

「どう思う、この死人の体を?憐れむか?」

「馬鹿でしょアンタ」

 

俺の質問にそう返したのは言うまでもなく鈴だった。

続く全員も否定せず頷いている

 

「愚弄、するか···」

「違う、尊敬しているんだよ!!」

 

な···どういう意味だそれは!?

この俺を、救うといいながら何も救えない愚か者をか!?

コイツは、馬鹿か!?

 

「そんなボロボロになってまで誰かの為に自己犠牲出来るヤツをここにいる皆、お前以外に誰も知らねぇよ!!」

 

馬鹿な、有り得ない

俺の記憶を垣間見ない限りそれを知る事は出来んはずだ、まさか、この世界から消えた時に織斑千冬はヤツから!?

 

「つっ···!!」

「もうわかったと思うけど、千冬姉から聞いたんだよ、お前の事を、本来の状態も」

 

余計な事をしてくれる。クソがっ!!

そう思いながらも、身体はやはり動かず、以前として回復する気配すらない。

 

「今、治療用ナノマシンを投与して効果が始まるのを待っているのだろう?だとしたら下手に動くな」

「くっ!!」

 

止血こそしているがあくまでもソレ止まりだから下手をすれば再度血反吐を吐く事になる

 

「学園に帰るぞ、幸いにも今はまだ警戒と管理のシステムの再構築中でお前は学園の中にいる事になっている」

「そう、かよ」

 

再び薄れ始めた意識の中で俺は思った

もう、騙すことは出来ないな。と




主人公が騙してきた真実とは?
かつての彼は何を目指して、何を成したのか?
謎が謎を呼ぶ回でした

感想ください、作者のモチベーションが変わります


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時の旅人

それは人生の中で生まれた後悔と無念という過去。
運命に左右されし過去の人生を振り返る時に、思う事は?


「さて、お前のことを既に話してあるが、まだわからない部分がある」

 

治療を受けながら俺は質問を受けていた。

質問の理由はおおよそ見当が付いている

 

「戦闘をしていないはずのお前がなんで、一番大きなダメージを負っている?」

 

その理由は簡単だ、何故なら・・・

 

「この傷は全て、暴走したブラックフレームの影響で生じた過去の事象だよ」

 

コレが俺の転生前最後の姿でもある。数々の腫瘍と裂傷、無事な器官を探すほうが手間になる。

この状態で生きてこられる人間などいないだろう、俺を除けば

 

「こちらには完成形の医療用ナノマシンがあるが、俺の居た場所(世界)にはなかった。生きるという事ただそれに全力をかけていたよ、特に、自分の正体を知る前ぐらいまでは」

 

それ以降はやめた。理由は、今の異常体質になる代わりにそれを克服したから。

医療用ナノマシンはなかったが、改造用のナノマシンはあったから

 

そして、同時に守るものが出来たのが大きい。

守りたい人のために、命をかけると誓ったから

 

だがその結果・・・

 

「守れないものが多くて、慣れないモノに手を出したことだってある。その過程で血反吐を吐くことも何度あったことか」

 

曰く、偶然の結果なのだ。俺という存在自体がイレギュラーなのだからしょうがない

 

「結果、地獄を見たよ」

 

守ることもできず、救うこともできず、ボロボロに成り果てた結果、俺は未来の自分に殺されかけた事もある。

それは未来と現在が交わる時空の狭間。歴史の、人類の混乱期に現れるそれは俺にとって皮肉でしかなかった

そして、激戦をくり広げる

 

「地獄を見るとわかっていて、そうなると理解した上で俺はそれでも歩むと決めた。今更止まるなどということはしない」

「それは今も変わらないのか?」

「譲らない、これは信念だから」

 

祈り、願い、信じる。俺にとっての戦いの真はまさにそれで、守るべき、救うべきものがなければ簡単に折れる諸刃の剣だと理解もしている

それでも歩みとなるならば。と心に誓いこれまで来た・・・だが

 

「今更思うが・・・俺、狂ってるな」

「・・・」

 

そんな思想は確かに狂っている。

自分よりも他者を優先するなどおかしい話だろう、普通の人間は皆と自分を天秤にかけたら自分が勝つ

それこそ当然で、普通なのだ。生存本能というモノに左右される環境ならば特に

 

「それでも、守りたいものがあったのだろう?」

「あぁ、あったよ。今は亡き、かつての盟友が」

 

そう、俺の戦いの中には常に恋人の存在があった。彼女の笑顔を守りたくて、悲しみの表情を見たくなくて。

その結果悲しませたりもしたけど、互いに支えあっていたのだから・・・

 

「つきない後悔は俺を孤独にした。彼をなくして俺は自暴自棄に近かった。それを正気に戻した本人とは別れる事になったが」

「主義と主張の違いか?」

 

一夏の質問に俺は首を横に振る

 

「彼は生粋の軍人だった。お上の指示には逆らえなかったんだよ。悲しいかな、当時の俺と彼の住んでいた国はそんな情勢だったからね」

 

軍事国家化した近未来の日本を皆は想像したことがあるだろうか?

そこで日夜様々な非人道的な実験が繰り広げられている事を想像してもらいたい。それは嫌になるほどの悪夢だろう?

その結果生み出された俺と、人生を狂わされた彼、一方はなんとか自分という人間が狂っているのだと分かって落ち着いた

残るもう一方は・・・

 

「そして彼は完全に壊れた、元々不安定な精神を仲間との絆と精神の拠り所としていた唯一の肉親との関係でなんとか支えていたんだ。その後の彼は見るも無残な変わり様だったよ」

 

絶望に沈んでいるのならばまだ助けようはある。しかしそれが果て無き後悔からくるものだったら?それを源泉として生じた世界への復讐心を癒す方法なんてそうそう簡単に見つかるものじゃない

仲間を守れなかった、家族を救えなかった。支えとしていたものを一気に奪われた彼に俺は殺すことしかできなかった

救う術だってあったはずなのに。

 

「今でも、時たま思い出すんだ。俺に殺された時の彼の表情を。どこか安心して、救われたような表情で、俺の手の中で死んだ彼の、鼓動を」

 

穏やかに死んだわけでは決してない、壮絶な痛みの中で死んだはずだ

今でもそう思っている、後悔している。救う方法をなぜ探さなかったのか。この手に掴めるのは本当にそんな結末なのか?と

 

「それでも、俺には今、守りたい人がいる。もう二度と、亡くさぬように、守れるように」

 

そのために俺は彼女に専用機を開発した、あくまでも自衛のために。

それは今、彼女の首にかかっている二つのリングを掛けたネックレスとして待機している

 

「カズマ、お前・・・本当は馬鹿だろ?」

「・・・否定はしないよ。俺は頭こそいいがやっている事はまさしく馬鹿だ」

 

バカバカしいまでに純粋すぎるのだから笑える、問題は・・・

 

「でも、それがお前なんだと思うよ。お前はお前で頑張ってきたんだ、それを否定するなんて人を見下している人以下の奴がする事だし。俺たちはお前に鍛えられてんだから」

 

むしろ、賛同してやるべきことだろ?と一夏はみんなに告げた、全員がそれに頷く

 

「でも、一つだけ反対する事がある」

「あぁ・・・」

 

何となく分かっていた。どのことだか見当はつく

 

「俺達はそこまで弱くねぇよ、確かにお前に比べれば経験もないし肉体的にも圧倒的に弱いけど。お前と同じだけ何度でも立ち上がれるし、何度でも奮い立てる精神力はあるから」

 

だから、お前だけが負うものなんて今はないんだ。と、一夏はそう言いたいのだろうう

俺も、もしかしたら心の奥底ではその言葉を言われたかったのかもしれない・・・

 

「そう・・・だな」

 

そうだ、きっとそうなのだろう。

何故なら、気づいたら、涙が溢れていた。止められないのは安堵と、解放された喜びから・・・

 

「じゃあ、しばらく安静していろよ?」

「あぁ・・・そうさせてもらうよ」

 

現状、完全回復は相当な時間が掛かる。最も早くて2週間、最長で1年という所だが

 

「あんまりゆっくりしてられないな、あぁは言われたが俺の性根はそう簡単に治らん」

 

俺の性根はそうそう簡単に治りはしないだろう。頑固者だと理解もしている。

だから、仲間と親友、好きな人の話はよく聞くことを心がけているが、これだけは直せないというものがある

それこそが、生き急ぐ事である

 

「さて、動けるなら限界まで動くか」

 

限界までなんとか動ける部分を動かす。ハードワーク気味に動かす方が自分としてはいいし、それにはちゃんとした理由がある

それは、筋力の低下をなるべく抑えるためだ。動かさずにじっとしている方が筋力量が低下する速度が速いし、関節の硬化も防ぐ効果もある。

もちろん、俺のようにハードワークする必要は決してないが

 

「さぁ、できる限り短期間で復活しよう」

 

決めればあとは早い、なんとしても回復してのけてやる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<???、???>

 

「・・・」

 

少女は目を覚ました、何処とも知らぬ場所で

 

「ここ・・・は?つっ・・・!?」

 

頭を押さえ、しばらく呻いた。その間に誰かが来る

 

「ねぇ、大丈夫っ!?」

「う・・・あ・・・」

 

朦朧としているのか、覚束無い足取りで歩こうとする、しかし途中で倒れた

その寸前で声をかけた少女が支え最悪の事態を避ける

 

「藍澤・・・カズマ」

「え・・・」

 

その人物は支えた側の少女にとってとても恩義のある人物だった

 

「ってすごい熱!?急いで連絡してきてもらわないと!!」

 

疑問に思う前に即行動、彼女の行動はある意味的確だった・・・




最後の展開は次話へのフラグ(笑)

次話はすごいバトルになりそうだなー(棒)

感想ください、作者の励みになります


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女王権能

それは凶悪な力。本来は抑止力の力だったのを改悪した姿。
それでも最強には・・・?


「という訳でこっちに連れてきました、いいですか?」

「あぁ、むしろ的確な判断だ。そっちで健康診断してからIS学園の第6アリーナに連れてきてくれ」

 

俺が過去を明かしてから一週間後、設立していたPMCの運営本部からの連絡で俺の関係者らしき人物を保護していていると聞いた

保護したのは言うまでのなく・・・

 

「ナターシャ、それまでのその子の世話は任せるぞ」

「はい、了解です。・・・大佐」

「今はいらん」

 

俺のPMCは軍事階級制を取っている。というもの軍人からこちらに鞍替えしたメンバーが多数おり、階級によって仕事の質も量も変えているからだ

現状最高地位にあるのが設立者である俺、階級は大佐であるが実質の全権保有者だ

 

「じゃあ、カズマさん?」

「さんもいらないよ、あくまでも今は高校生だろ?」

「そうですね・・・今も懐かしい気分ですけど」

「そりゃあやり直しだからね」

 

実を言うと俺もそうだが、気にしたら負けなのであくまでもシカトだ

 

「でも、なんでアリーナなんですか?」

「迂闊に俺を見て記憶取り戻したら襲いかかってくる場合もあるだろう?それに対応するためでもあるさ」

「了解しました。では指示通りにいたします」

「うん、頼むよ」

 

そして、数日後・・・

 

「お連れしましたよ」

 

貸切にした第6アリーナで再会した・・・最悪の敵に

 

「貴方が・・・」

「そう、君の保護されたPMCの代表。藍澤・カズマだ」

 

目を見開き、彼女は俺を見る

そして・・・

 

「藍澤・・・カズマアァァァァァ!!」

 

案の定襲いかかってきた、しかも即座にグーで

 

「やはりな、君だったか・・・朽木レナ」

「うおぉぉぉ!!」

 

猪突猛進、攻撃あるのみと俺に対して侮辱しているのか?と周りにいる人間は思っているだろう。

だがしかし、俺はそう思えない。だって、彼女に機体を与えた事があるのだから

そしてその機体の特徴は、掌握と略奪にある。

俺の開発した機体が万が一にも戦争に使われ、更にテロ屋共に流れた場合を想定して開発した抑止力の象徴たる機体だ

 

「クイーンズレガリアはどうした?ちゃんとあるだろう?」

「殺すっ・・・!!」

 

だめだこりゃ、ならこの時のためにブラックフレームの中に隠匿していた機体を解放しよう

 

「キャストオフ」

-CastOff-

 

俺の音声入力を電子音声が復唱しブラックフレームとして隠してきた機体を解放する

これがブラックフレームの原型機、初源の機体・・・ゼロフレーム!!

 

「行くぞ!!」

-Change Zero Frame-

 

電子音声を聞きながら接近、一気に攻撃を仕掛ける

 

「くっ・・・!!クイーンズレガリア!!」

 

朽木レナがそれに危機感を感じクイーンズレガリアを展開し回避するのも予測済み、その移動先に俺は数瞬早く接近し

 

因子分解(アトミックレゾリューション)!!」

女王結晶(クイーンズレガリア)!!」

 

必殺技の撃ち合いで互いに吹き飛ばされた

 

「やるね」

「これでも、研鑽を重ねてきたんだ!!」

「という事は、記憶を取り戻したんだね?」

「あぁ!!」

 

よし、ならば!!

 

「俺も同じだ、あの時は出来なかった事が、今はできる!!」

-Hyper Cast Off-

 

更なるパワーアップを果たしたゼロフレームは地上戦特化、元々ゼロフレームは地上戦を主体として開発した機体ゆえ空中戦は苦手としている

それをあえて無視し、更に特化させた結果たどり着いたのがこのハイパーキャストオフモード。

 

「それはこちらも同じだと言った!!」

-Hyper Cast Off-

「なにっ!?」

 

だが、これは想定外。

まさかの同じポテンシャルで俺も驚く

 

「今度こそ、私の支配を受け入れろ!!女王結晶(クイーンズレガリア)!!」

「そんな事、認める訳無いだろうが!!因子分解(アトミックレゾリューション)!!」

 

破壊の光と支配の光が激突し眩い閃光に変わる、それの中に同時に飛び込み

 

「はあぁぁぁぁっ!!」

「うおぉぉぉぉっ!!」

 

互いに剣を首元に突きつけ、終了した

 

「引き分け、だね」

「えぇ、いい死合でした」

 

その言葉と同時に機体を待機状態に戻して、戦闘は終わったと全員に知らせたのだった




新キャラの新機体に主人公機の意外な設定を次回投稿致します。
今更ですが本作は読者参加型です。

感想ください、作者の励みになりなす


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閑話休題、という名の設定(6)

閑話休題シリーズもついに第6回となりました
ある意味ですごい話数になりましたね・・・
今回は新キャラと主人公機の隠された能力・姿の設定です


朽木・レナ

 

藍澤・カズマが転生した別の世界の元住人、彼の再転生に巻き込まれる形でこちらの世界に転生した

転生前にいた世界では超能力というモノを有していたがこの世界ではそれが急速に弱体化したため藍澤・カズマと峰島・由宇が抑止力として共同開発した機体を使用している

 

身長、体重等はシャルロット・デュノアと一緒

 

 

超能力:女王結晶(クイーンズレガリア)

彼女の特徴としてこの能力が挙げられる。

この能力はいわば催眠や暗示の超強化版とも言える能力で、指定範囲内の人間や人工知能など、人や物に関係なく強制的に支配下におけるという異常なまでの特異性も持つ

転生時に生じた謎のエラーによって変異・弱体化している。

 

 

 

クイーンズレガリア

朽木・レナ専用機として開発された機体、彼女の超能力を強化する事と防衛戦に特化させる事を念頭に開発された機体

建造時にブラックフレームで余った各種装甲素材及び武装類をフルセットで搭載したため基礎性能ではIS以上である

特に特徴的なのは使用者である朽木・レナの弱体化した超能力を強化する機能である

 

 

武装

 

試験型ビームガトリング

単銃身・短銃身長のバルカン砲。秒間最大177発の連射速度を誇る

威力も相当高く、通常装甲製の戦車を一発で貫通できる

 

試作ビームランス

円錐形の荷電粒子の刀身を形成する試作武器、切断力よりも貫通力に特化した性能を持つ

投げても約一分は持つ内蔵バッテリーを備えている

 

大型ウイングスラスター

空中戦に対応するために搭載された大型の複合可変翼、翼面一枚一枚が空力弾性翼という野心的な構造を持ち、超低燃費でありながら超音速を巡航速度とすることに成功している

 

IS用実体剣 葵(改良型)

唯一のISからの転用品、鍔にあたる部分は金と銀の炎を象った細工が施されている

原型である葵との違いは刀身の細さからくる軽量化と、その刀身を超高温(赤熱)化することで切断効果をさらに高める機能を追加した事

また、赤熱していない刀身はビームやレーザーを反射させる事も可能である

 

武装複合盾

武装と盾の融合を目指して開発された新装備。本来はブラックフレームに搭載予定であったがコンセプトが変更されたため搭載を見送られた経緯があり、本機のコンセプトが防衛に特化している事から最適化を施して採用された

左手の装甲と一体化しており、近接ガトリングとビームサーベル機能、更にはビームファング機能を持つ為に三種併用武装でもある

しかしその反面、武装としての取り回しを優先したため防護できる範囲を狭めてしまった事から盾としてはあまり優秀ではない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロフレーム

藍澤・カズマの機体であるブラックフレームの隠された姿。というよりブラックフレームは本機を隠すための複合型の追加装甲である

最大の特徴は本機の性能=藍澤・カズマの転生した世界で得た経験&能力である事であり、その純粋性能は測定不能の領域にある

ただしこれは空中戦を考えていないから出来た事であり、ISとは基礎コンセプトが大きく異なる。

武装などのシステム関連はブラックフレームと共通している

また、彼の得てきた超能力を補助するシステムも備えている

 

超能力:因子分解(アトミックレゾリューション)

藍澤・カズマがかつて転生した世界で得た超能力。最大の特徴はその特性

それに至る因子から分解する程の能力であるがゆえに命名されただけはあり、かなりの高出力を誇る。更にはそれを斬撃の形にして飛ばしたり、剣に纏わせることで敵武装を分解できるなど汎用性も優秀




いや、まぁ・・・わからなくなるからね・・・
という事で今回はこれでした!!次回は怒涛のバトルです!!
気づいたら原作最新巻まであと少しだった件について再検討しないと・・・

感想ください、作者のメンタルが非常に変化します


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世界の劇薬

それは抑えられてきた事。今の体制を是としない動き
それは別名を世界の劇薬という、狂気


「なに・・・?転生者と右翼団体が連携してIS学園を襲う計画をしている?」

「はい、現在事実上の密約状態ですがこの動きは非常に危険です」

 

PMCの本部にある会議室での会議中にその議題が上がったのは僅か二日前だった。

つまり今、襲われている

 

「俺はここで迎撃する、千冬、今回は俺が前線作戦指揮を行うがいいな」

「法外な料金でないのならな」

「ケチる気か?」

 

おいおい、一応俺のPMCと緊急時対応の署名をしただろう、敵一人倒すあたり20万でさぁ・・・

 

「今回は数が数だ、特例A-3を適用してくれ」

「・・・仕方あるまい」

 

特例事項A-3、敵勢力が一師団以上の場合一人当たりの換算でなく1000万を成功報酬とする

これを適用するしか今回はないだろう

 

「IS委員会への根回しは?」

「緊急回線で連絡、許可を得ている」

「了解、迎撃部隊を派遣する」

 

迎撃部隊を取りまとめるのはナターシャ、その後方に俺の指揮する掃討部隊を配置し迎撃の網を潜ってきた連中を殲滅、残りの別ルートからの侵入者はIS学園側が対応することで話は纏まる

そして・・・

 

「ナターシャ、迎撃任せる」

「了解です、取りこぼしの掃除はお願いしますね?」

「任せろ」

 

信頼には答えようじゃないか、俺なりにな!!

 

「行くぞ、掃討部隊、出撃!!」

了解(ヤー)!!」

 

装備品が最新鋭であろうとなかろうと、俺の部隊の練度は一国の軍隊のそれと変わらない。

いいや、世界の警察を自称ししている太平洋を挟んだ隣の国とは違うレベルだ

 

「A中隊は右翼に展開、C中隊は左翼に、B部隊は中央で一時停止後A・C中隊に押し出されて分断された敵部隊を撃破殲滅せよ!!」

「「「了解!!」」」

 

各中隊の長が俺の指示に応答し即座に行動を開始した

それを見ながら俺は更に細かく指示を出す

 

「A中隊は一時的に戦速を低下させ、C中隊と連携して敵を挟撃、B部隊は現地点で停止!!」

 

これで鶴翼陣形を完成させる事に成功した。さて・・・

 

「殲滅開始!!」

「了解!!」

 

一気に敵を倒して残りは離脱させた

あえて見逃したのはこちらの戦力にまだ余裕があると見せかけるためのブラフ(・・・)

 

「っていうかこっちにダダ漏れしているぞナターシャ!?」

「え、余裕でしょう?」

 

あのー、結構余裕ないのよウチ?

 

「貴方が出ればいいじゃないですか、それぐらいできなくてどうするんです?」

「解せぬ・・・」

 

なんでこんなに問題児なんだろうか・・・まぁ、問題児だらけだけどさ、俺のPMCは

 

「俺が出る、総員下がれ」

「了解・・・ご武運を」

「あぁ」

 

ブラックフレームを展開、敵陣に迫る

 

「俺はこれから君達を掃討する、逃げるならば即座に逃げろ。繰り返す、俺は君たちをこれから掃討する、逃げるならば即座に逃げろ」

「それでも我らには、なさねばならぬ大義がある!!」

 

大義・・・?それが今のコレと何の関係がある!?

 

「そうか、現世界秩序の歪みの極点であるココを消し去ることが目的!!」

「その通り!!世界は今、女性が統べている!!男はそれに甘んじろというのか!?そんな秩序を認めない為に我らは今日、行動を起こしたのだ!!」

「ふざ・・・けるなぁ!!」

 

キレた、完全に

 

「秩序がどうのこうのとバカじゃないのかお前らはっ!?そんなんだから女に負けるんだろうが!!性別で区別しているからその様になるんだよ!!」

 

そんなものがどうしたという!!馬鹿だろこいつら!?

そんな感じで違う性別や違う人格、ひいては民族を差別するからやがては自分だって差別されるんだろうが!!

 

「だから、俺は今から、お前たちにとっての災禍となってやる!!」

 

沸点を突破した怒りは完全にオーバーフローした、ここに俺の最悪最強、経験してきた転生の数だけ展開される悪夢(パワー)が溢れ始めた

 

「ふはははは、ははははははっ!!」

「なっ・・・!?」

 

全ての敵が俺を見る、それを見て俺は更にテンションを上げる

 

「そうだ、いいぞ、俺を見ろ!!好きなだけ仁でも義でも奮い立つがいい!!勇敢だな、眩しいことだよ羨ましくて仕方がない!!」

 

そこから始まるのは、俺の最も忌避する力、それは・・・

 

干キ萎ミ(かわきしぼみ)病ミ枯セ(やみこやせ)盈チ乾ルガ如(みちひるがごと)沈ミ臥セ(しずみこやせ)

 

最悪のパターン、その効果を一口で言えば、「対象の持つ"輝き"と、術者の"病み"の等価交換」というもの

悪辣過ぎるがゆえにこれまで封印してきたものだが、こうなった以上猶予なんてない

本気で行かせてもらう

 

「擬似ワンオフアビリティ、発動」

 

ここに最悪の力を解放すると決めたのだ、悪の側の人間として

 

生死之縛(しょうししばく)玻璃爛宮逆サ磔(はりらんきゅうさかさはりつけ)!!」

 

この擬似ワンオフアビリティが奪う"輝き"は有形・無形を問わず、肉体のパーツといった物理的なものから始まり、感情・記憶・技量・勘といった精神的なもの、異能や才能等の概念的なものまで含まれる。奪うことに特化している擬似ワンオフアビリティであるため、対象が自覚していないものや、忌避している美点までも簒奪でき、更には転生者に対しては転生時の特典ですら簒奪が可能である

ただし問題の奪える輝きは指定出来るわけではなく、肉体の表面から順次奪っていくしかないため、他者の才能や技能といった精神や概念的なものを目的とした簒奪には時間がかかる。とはいえ、目的の輝きを奪うためにある程度は奪う輝きの取捨選択をすることはでき、無差別に奪うよりも時間の短縮を行うことはできるが、今回はその限りではない

そもそも、それは今ここに攻め込んでいる敵から奪おうと大した価値はない。奪ったところで何の意味のないものに俺は興味を持たないのだ

ならばなぜ発動したか?簡単な事だ、かつて負った負傷の傷を再現して、押し付けるためだ

 

「さぁ、お前たちの"輝き"を、俺によこせぇぇぇ!!」

「ぎゃああぁぁぁぁぁぁ!!」

 

そこから始まったのは阿鼻叫喚の地獄絵図、全身に裂傷を負った敵の中心で笑う俺という構図は、"血雨を降らす者"と言われていた過去の俺を思い出させるのには十分だった

 

「あぁ、自力でこれは少々キツい。今も俺自身に来ているのだから」

 

女性体としての俺の体は健康そのものだ、故にこの擬似ワンオフアビリティは俺自身にも適応される

しかも今回は敵側に傷を負担させた故に即座の行動がしづらい、窮地にあるのは変わらない。

それは相手も同じ、今の世界秩序を認められない、それを壊すことを夢としてここに攻め入り、また叶えようと良心の呵責に苦しむ者もいるのは事実だが・・・

 

「諦めん、諦めんぞ見るがいい、俺の辞書にそんな言葉は存在せん!!何故なら誰でも、諦めなければ夢は必ず叶うと信じているのだァッ!!」

 

負荷が多大にかかると分かっていて、精神論で突破する。ここに生ける伝説が、再誕するのだ

 

(オン)摩訶迦羅耶娑婆訶(マカキャラヤソワカ)・・・ワンオフアビリティ、発動!!」

 

世界を新生させる極大のカタストロフ(破壊)を見せつけてやろう

 

大黒天摩訶迦羅(マハーカーラ)アァァ!!」

 

これこそが恐怖すべき者(バイラヴァ)、実に俺らしい勇気を奮い立たせる力の本流。さぁ、さらに見せてやろうじゃないか。最初に飛ぶのは三叉戟(トリシューラ)だ、伝承では金銀鉄の3都市を滅ぼした神火の名を持つのだが。ここから次々にテュポーン、フンババ、テスカトリポカ、蚩尤(しゆう)、ロキ、そして須佐之男(スサノオ)を矢継ぎ早に連射する。

全部が神話の神格の名を持つ攻撃で、その先にがちゃんとある

 

「神話を・・・破壊している!!」

 

誰かがそう言った、それはそうだろう。なんといっても今、俺は大元の設定を無視した大戦争を起こしているのだ。神話はキリスト、イスラム、ヒンドゥー、マヤ、エジプトetc・・・およそほぼ世界中のモノをフル動員している

それを北欧神話で、こう呼ぶ・・・

 

神々の黄昏(ラグナロク)ッ!!」




主人公の圧倒的強さ、それは完全に全てを吹っ切った状態でこそ発動されます。
つまりやらかすのです、しかもとても取り返しのつかない状態になります

感想ください、作者の栄養源になります


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反省。

それはやり過ぎた者を諫める為に行われる行為


「何か言うことはないか?」

「大変申し訳ございませんでした」

 

戦闘後、敵が千々にバラけた状態で撤退していき、残されたのは原型をとどめていない港湾部だけだった

しかもそこはメインで使われている場所であったため莫大な修繕費がかかる

およそ見積もって2億円という規模だ。俺は大技連発の反動で女性化して一気に(いろんな意味で)冷めた

 

「それまではお前のPMCが警護する護送車で輸送しなければならんな」

「はい・・・そうさせていただきます」

 

ベッドの上で土下座して俺は謝罪する。でないとこちらの反省の意が伝わらないからな

 

「では、反省の意味を込めて、今の状態をこいつらに説明しろ」

「うげぇ・・・」

 

一夏達がいた、エンカウントなう・・・死にたい

 

「そうよ、説明しなさいよ!!」

「えぇー」

 

鈴・・・君にはしたくないです

 

「「説明を願おうか」」

「なして・・・」

 

なんでそこだけ連動できるんですかね、ラウラに箒よ

 

「説明してくれるかな?」

「・・・」

 

笑顔が凍りついてて不気味だぞ、シャル

 

「説明しろよ」

「ふぁ?」

 

一夏、お前が言おうと

 

「断わぎゃぴぃ!?」

「説明しろと言ったはずだ、私は出て行くぞ」

 

 

織斑千冬さんや、途中で出席簿アタックかけなくてもいいだろ、とても痛かったぞ!?

しかも止める前に出て行きやがった!!

 

「説明するからちと待て、落ち着いてとりあえず座ろうか?」

 

俺はベッドに正座で座り、全員が見れるようにする

 

「簡単に言うと俺のDNAは男性と女性、両方のモノが混ざっている、それ故にどちらかの均衡が弱まるとこうなるんだ」

「じゃあ、通常は俺と同じ男で、変な事になるとそうなってしまうのか?」

「話が早くて助かる、正しくその通りだ。今回はワンオフアビリティの連続使用が原因だな」

 

俺は今回の戦闘で擬似を含めて合計3つのワンオフアビリティを使用した。その影響が強く出てしまい、今回の女性化の原因となってしまったのだろう

 

「じゃあ、いずれは戻るんだよな?」

「今回はいつになるかわからんな、いつもなら数時間から一両日で元に戻るが、ワンオフアビリティの連発ではどうなるかわからんのが現状だよ」

 

今回は本当に何も考えずにぶち込みまくったせいでいつごろ戻れるかわからない

 

「というか、生徒会長が悪巧みする前に早く生贄になれよ一夏」

「はぁ!?俺が!?」

 

お前以外に誰が居るという?

 

「大体お前も悪巧みの酷さならあの人よりひどいぞ!?」

「なんだとぉ!?」

 

殺る気か?いいぞかかってこい・・・あ、いや、待て、やっぱやめよう

 

「まぁいい、どのみちこうなるのは予測のうちだった。それが多少早くなっただけの事・・・」

「隠そうとしてたのかよ・・・」

「そうだ、知られたくなかったんだよ!!・・・畜生」

 

負け惜しみみたいになってしまったじゃねぇかよ、実際それに近い気分だけど

 

「ところで生徒会長、そこにいるのは分かっているから出てこいや」

「きゃあっ!?」

 

天井にいた生徒会長を天井版ごと落として室内に入れた、多少荒いがこの程度で死ぬ人間じゃあないだろうな

 

「酷いわねぇ・・・」

「更識・楯無・・・」

「楯無さん・・・」

 

ざまぁ、俺を出し抜けると思っているのか?

 

「今回は女子参加なの?」

「次は窓から落ちるか?」

 

窓を後ろで指さしながら由宇が告げる、目が本気だ

 

「嘘よ、でも、興味深い事なのは事実よ。生徒の長としてはどうすればいいのかしら?」

「どうもしない、そこらに居る一般生徒と同じで構わん」

 

これは本音の言葉だ、同じ感覚で接してもらって構わない。むしろ急にベタついたりよそよそしくされると迷惑になる

 

「じゃあ、普通に接するわね」

「是非ともそうしてくれ。俺からの話は終わりだ、みんな心配をかけたな」

「いや、この程度、普通だろ」

 

一夏、その言葉、確かに聞いたぞ?

 

「生徒会長、今度のイベント、一夏が率先して出たいて言ってたぞ」

 

その後、一夏達が去っていき、室内に居るのは俺と由宇、そして更識・楯無の三名となった。そこで俺はそう言ったが

 

「ホント!?」

「嘘ですよ!!」

「ケチ・・・」

 

うわははは!!面白いなぁ!!




今回は日常回です!!

感想ください、作者の栄養源になります


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日常?いいえ非日常です。

それは非日常な事、特別なイベント!!


「次は特別競技"玉撃ち落とし"だー!!」

「玉・・・撃ち落とし?」

 

嫌な予感がしてならない、こう、背中が凍るような寒気がする

 

「まさか・・・IS使って降ってくる玉を撃ち落とすのか?」

「ザッツライト!!小さいほうが得点が高いのよ!!」

 

更識楯無・・・ノリノリだなぁ

俺は呆れてものがいえんよ・・・

 

「国家予算をなんだと・・・」

 

これである、IS学園は日本の国家予算を運営費としているため行事ごともかなり費用の制限があるのだ

それを無視してこんなイベントするなんて馬鹿かこいつら・・・

 

「それでは玉撃ち落とし・・・スタート!!」

 

うわぁ・・・国家予算の0.0?%が消えてく。スゲェ光景だ・・・ため息が出る

 

「この時のために用意した新システムを使うぞ!!」

 

それはこの時のためじゃないぞ!!由宇!!

 

「トランザム!!」

「使うなよバカアァ!!」

 

俺の話なんて聞いてないのか、トランザムで得た超速機動を駆使して変幻自在にどんどん落としていく由宇を見ながら、俺は全力で深いため息をつく

 

「はぁ・・・」

「カズマ・・・」

 

一夏も同じ境地にいるのか、ため息後止まらないらしい

 

「じゃあ私も!!」

「やめろナターシャアァァ!!」

 

最後の切り札も飛んで火に入る夏の虫、喧騒の中でついに頭が沸騰したらしい

 

「マキシマム、ハイパータイフーン!!」

「ノオォォォ!!」

 

案の定大技を使ったナターシャに俺は頭を垂れるしかなかった・・・駄目だこいつら

 

「アヤナ選手、距離をとりました、どうする気でしょうか!?」

「おい、まさか・・・」

 

最悪だ、あいつは装置ギリギリを狙っていやがる!!

 

「嘘おぉぉぉ!?」

「つっ・・・!?」

 

箒の大出力エネルギーカノン"穿千(うがち)"とアヤナの超長射程狙撃ライフルの射線が衝突し爆散、機械が壊れた

 

「ふ、ふん!!やわな機械だ!!」

「そ、そうよ!!」

「両組ともマイナス200点!!」

 

即座に俺がそう言い返し、この場は上手く(?)終わらせる

 

「次は・・・軍事障害物競走ぉ?」

 

これもこれでやな予感がする・・・とてもやな予感、特に由宇はげんなりしている

理由は簡単、由宇は射撃系が苦手なのだ

 

「誰が勝つと思いますか?」

「射撃が得意で動き回るのが速い選手が勝つのではないでしょうか?そうなると前者はセシリア選手は優位ですが後者の動き回る点ではアヤナ選手が二歩先にいますね」

 

俺と一夏では仕事を分けた、一夏が声援で元気づけ、俺が解説で勝敗を予測するのだ

 

「おや、今回はセシリア選手、出ないようです!!次の競技への温存でしょうか!?」

「となると勝者はアヤナ選手ですね。では、声援の織斑一夏さん、よろしくお願いします・・・」

 

ここで一夏にマイクを渡し、声援をさせる

 

「みんながんばれ!!」

 

よし、こいつはまだ冷静だ、問題ない

 

「次は騎馬戦です!!」

「あのぉ・・・普通の女の子がする競技じゃない気がしますが?」

「一夏、もう、突っ込むのやめようや」

 

ダメだこの学園、いろいろ狂ってる

 

「おーっとここでラウラ選手にアクシデントです!!織斑先生にナイフを取り上げられました」

「いやナイフはダメだろ!!」

 

そうだそうだ!!

 

「さらに鈴ちゃんから青竜刀を取り上げました」

「おい、鈴!!」

 

なんでそんなにデカい物を!?

 

「箒ちゃんは、あれは日本刀ですね」

「馬鹿かお前ら!?」

 

じゃあ残った常識人は・・・

 

「シャルロットちゃんはチャクラムを没収されています」

「シャル、お前まで・・・」

「簪ちゃんは何も持っていないわね。お姉ちゃん信じてた!!」

 

あれ、セシリアが呼ばれていない気が・・・

 

「さてセシリア、そろそろ隠し持っている狙撃銃を出しておこうか?」

「な、なん・・・」

 

驚いたのか落ちてきた、やっぱり持ってたか・・・

 

「由宇、ピッケルナイフはダメだよ!!」

「うぅ・・・」

 

この調子だと残りのメンバーも持っている気がする。持っているとすれば・・・

 

「ナターシャ、スタンガンはNG」

「なんで!?」

 

わかったかって?君ならそれを選択するだろうからさ!!

 

「アヤナ、催涙スプレーは至近距離で使うと呼吸困難の原因」

「むぅ・・・」

 

拗ねても許しません!!

 

「うわーこれなんて乱痴気騒ぎ?」

「サラっとそれを言えるお前はスゲェよ・・・」

 

そうでもないぞ?

 

「さて、午前中のすべての競技が終了しました。これまでの得点では全チーム横ばいとなっています。午後からの競技に備え、十分に鋭気を補充してください。午前中競技終了です!!」

 

さて、俺の宣言は終わり。ここからは休憩タイムだ

 

「仕事が多い・・・」

「仕方がないでしょう?アレだけやっちゃったんだから」

「そうだな・・・」

 

残念なことに俺に休みはない。破壊してしまった装備品から建造物の再装備と再建造の予算を出さないといけない。

今のところ完了したのは45%だ・・・

 

「今日中に60%まで上げたいな」

「貴方なら大丈夫でしょう?」

「まぁね」

 

ナターシャがオニギリをくれる、由宇はお茶を、アヤナは書類を纏めていた

 

「まぁ、仕事が忙しいのはいい方だ。暇だと身体が錆び付く」

 

具体的には筋肉量が落ちるため研鑽を重ねてきた期間が無駄になりかねない。それを防ぐためには仕事が少しはある方がいい

今回は・・・やりすぎちゃった✩

 

「今、変なこと考えたでしょう?」

「そんなことはないですよ?」

 

考えていないさ、反省はしたけど

 

「さて、午後も忙しい。健闘を祈るよ」

「「「もちろん!!」」」

 

三人は三人とも妙な気迫で返事した。なしてそんなに本気なんですかね・・・

その後、午後の部ではいきなり生着替えの、しかもコスプレして走る競技があった

由宇はアヤナが用意した衣装である俺の世界の女性軍人の制服、アヤナはナターシャが用意したイヌミミフード付きの寝間着、ナターシャは由宇が用意したアニマル(猫)パジャマをそれぞれ着ていた

ちなみにこのパジャマは俺が用意したネタ服なんだが本人には非常に不評を買い一度も着てもらっていないモノだったりする

 

そしていろんな意味にで大会の熱気に(具体的にどこがとは言えない)やられていたラウラがISを使用できない競技であるコスプレ生着替え走でISを使用しレッドカードの即退場を喰らった事と羞恥心でついに錯乱、リボルバーキャノンで砲撃しようとした瞬間に山田先生より早く俺が改良型ビームライフルで狙撃して戦闘不能にさせる

 

「ルールはルール、きちんと守りましょう」

 

山田先生の声と同時に織斑先生に引きずられながらラウラは叫ぶ

 

「そんな馬鹿なぁぁぁぁぁ!!」

 

非常に悪役なセリフをありがとう、君のおかげでこの競技の勝者はいないよ

その数十分後、俺は空の人になっていた、理由?こっちが聞きたいよ

 

「えーと、この状況を説明しやがれ生徒会長っ!!」

「え、バルーンファイト」

 

なんでそんなこと聞くの?みたいな顔で言いやがってこのクソアマァ・・・

 

「「誰がっ!!何とっ!!戦うんだあぁぁぁ!!」」

 

一夏と同時にキレた、今回ばかりは二人共騙された!!しかも一年の専用機持ち全員がホバリングしているし!!

 

「まだ殺されてたまるか!!ブラックフレームッ!!」

 

・・・あれ?

 

「てめぇ!!半強制スリープ入れやがったなぁ!?」

 

ブラックフレームが反応しなかったということはそういう事。念入りにしてやがる!!

 

「それではー・・・開始っ!!」

「「待っ・・・!!」」

 

だがしかし無情、いきなり始まった戦況は最悪な結果をもたらす

 

「「死ぬ!!死んでしまう!!このペースでいったら俺は確実に死んでしまう!!」」

 

結果は言うまでもないだろう・・・結局、一夏は生徒会長が助け出し(?)俺はギリギリで五点着地法を駆使して衝撃を緩和(一夏より割られた風船が少なく、速度も出ていなかったから出来た)、何とか立ち上がった

その代わり全身が痺れてしばらく動けなかったが・・・




恐るべきは主人公を出し抜ける生徒会長こと更識楯無
な回です、主人公が一夏と同じで苦労人になりつつある・・・っていうか、日常回では基本この姿勢になると思います。

感想ください、作者の励みになります。


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戦闘介入

そこは既に戦端が開かれた場所。
そこに主人公が参戦して?


「戦端が開かれた!?」

「はい、アメリカ軍特殊作戦部隊、イレイズド所属の空母において戦端が開かれています!!戦闘者は織斑一夏と更識楯無!!敵はスコールミューゼルとエム、正体不明が一人います!!更識楯無が交戦していますが旗色悪いです!!」

「了解した、すぐに向かう!!委員会には許可を得ているのか!?」

「はいっ!!」

 

久しぶりの休暇ができた日の夜にそんな急すぎる要件が入ったのは、寝ようと思い布団に入った瞬間だった。

ちくしょう・・・ゆっくりしたいのに!!

 

「あの金ピカIS・・・ゴールデン・ドーンは更識楯無に相手を!!俺は正体不明の方を攻める!!」

「了解、緊急通信で通達します!!」

「任せる!!到着予定まで130(ヒトサンゼロ)!!」

 

到着まで1分半・・・持ってくれよ更識楯無!!

 

「正体不明の人間が更識楯無に加勢しました!!敵はスコール・ミューゼル一人です!!」

「了解!!あと10秒!!」

 

レーダーシステムに反応を示す光点(ブリック)が現れ、IFFが敵反応から味方反応に変わる

同時に最大望遠で映された新たな味方を見て俺は気づく

 

「まさか・・・!?」

 

その味方は、俺の記憶通りであれば最強の近接格闘戦闘能力を持つ機体として開発した、ブラックフレームの兄弟機を俺自身が提供した人物

俺と思想を同じくし、俺の後悔の源にもなった人物・・・俺の手の中で死んだはずの人物であり、俺の右腕として活躍していた男・・・

 

「牧瀬・・・セリア!!」

「お、カズマがいた」

 

空中でコケた・・・こ、こいつ・・・

 

「まぁ、敵はコイツらなんだろ?だったらさっさと倒そうぜ?話はそのあとでたっぷり出来るだろ?」

「全て話せよ?」

「当然だ!!」

 

スコールは俺のあとで来ていた更識簪と姉である更識楯無に相手を任せ、俺達はエムを相手にする

 

「気をつけろ、奴の機体は遠隔攻撃装備付きだ」

「マジかよ・・・ま、俺とお前のフォーメーションで倒せない敵なんて」

 

そう・・・こいつと俺の組み合わせで

 

「「勝てない奴は何処にもいねぇ!!」」

 

その言葉と共に肉迫するがエムはこちらを見ながら後方にイグニッションブーストする、しかしそれは俺の予測通り

俺の予測通りということは、その対策なんてアイコンタクトせずとも出来る!!

 

「おらぁ!!」

「つっ!?」

 

セリアがエムより早くその背後に移動、攻撃していた、それもその筈、最速にして最短の機動を連続で出来るポテンシャルを持つのが彼に与えた専用機、その改修機たる、ブルーフレームエクスプロシオンなのだから!!

 

「くっ・・・!!」

「遅い!!」

 

減速して回避した時には俺が接近しフルブラストで追い詰め、離脱しようと距離をとればセリアが接近して逃げられないように攻撃を仕掛ける攻撃フォーメーション・・・

その名も、バードケージ(鳥籠)!!

 

「エム!!」

「「ちっ!!」」

 

しかし横槍が入った、離脱したスコールが損傷を負いながらも撤退支援に来たのだ

 

「逃がすか!!」

「追うな!!」

 

セリアが追撃を仕掛けようとしたところで俺は止める

 

「ちっ・・・!!」

「これでしばらく、奴らも迂闊に動けまい」

 

今回の戦闘はあくまでも更識楯無と織斑一夏の戦闘支援だ、そこを履き違えてはならない

ならば安全を確認できればこちらが追撃する必要はないと判断した。

 

「さて、説明してもらうぞ、俺がいま所属している場所でな」

「了解だ、カズマ。俺はオメェに従うさ、昔も今も、従える範囲でな」

 

そうか、そう言ってくれて嬉しいぞセリア。

今度こそ、お前という片腕を失わないように俺は・・・

 

「そこから先はNGだぜ?お前の事だ、責任も何もかも一身に負おうとでも思っているんだろうが。させねぇからな?」

「ふぅ・・・お前にだけは本当に負けるぜ、セリア」

 

思考を見事に先読みされ、俺は降参した

前にもどこかで同じ話をした覚えがあるが、今は気にしないでおこう・・・




さらに新キャラ増えた!!
急速に新キャラ量産しているけど作品のバランスは大丈夫か!?
と不安な作者です

感想ください、作者の渇望に進化することもあります。
ちなみに最近はヨゴレを一身に受けている状態から作中キャラに新たなヨゴレを担ってもらいたく、作品自体の進行の足を自分で引っ張ろうとしています。


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ブルーVSブラック

それは共に戦場を駆けた記憶
希望(ひかり)を求めて駆け抜けた先で再会した友との闘い


「あれ?話し合いじゃねぇの?」

「こっちが先だ」

 

正しくは会議室が埋まっていたので開くまで待機を兼ねた再戦をしようと思ったのだ

かつてつけられなかった決着を···今度こそ!!

 

「まぁいいか···身体鈍りかけてたし」

「俺もだ」

 

そして、始まるのは世界を超えた本気の模擬戦っ!!

 

「「行くぞっ!!」」

 

同時に纏い、武装をぶつけ合う

戦闘の開始を告げたのは互いの武装が上げる火花の音だった

 

「やるな、錆び付いてはいないか!!」

「当然だ!!そうそう簡単に錆びさせてたまるか!!」

 

ブラックフレーム、ブルーフレーム共に大半の武装は共通発展品を採用している。

違う点はブラックフレームが採算と整備性度外視で開発したのに対して、ブルーフレームは両方ともかなり取れる用に一部の設計を簡易化した事。

これにより性能はそのままに適性を緩和した最新鋭機が完成したのだ。

その専任テスターに彼が選ばれた事が俺達の出会い。

そしてこの場の戦闘はその中でしてきた模擬戦のし直しだっ!!

 

「「ガルネイト、バスター!!」」

 

フィストショットの正式名であり技名を同時に叫び、攻撃を相殺させる

 

「フルブラストォ!!」

「ツインシュートォ!!」

 

続く高出力攻撃も同タイミングのために相殺されるが、それも互いに想定済みだ!!

 

「モード、フルドライブッ!!」

「モード、エクシードッ!!」

 

互いに機体のリミッターを解除

ここからは常人の目で捉えられない高速域の戦闘が開始される

 

「「フルストライクッ!!」」

 

同じ攻撃技で双方大ダメージを負う、次が最後の技だ!!

 

因子分解(アトミックレゾリューション)ッ!!」

因子崩壊(アトミックガンマレイ)ッ!!」

 

放った瞬間、激突したエネルギーが耐えきれず爆発した

同時に二人とも爆風を受け、意識を失った

 

「って言う訳で説明したいと思います」

「ドンドンパフパフー!!」

 

こいつのテンションがおかしい件に関して思うところがある···

 

「コイツは俺が前に話したはずの仲間だ、俺の腕の中で死んだはずのな」

「っていうか、俺も死んだと思ったら転む、ムムゥー!?(な、何すんだよ!?)!!」

 

セリアが転生などとうっかり話そうとしたので手で塞ぎ話すのを止めさせる

 

「転···?何よ?」

「何も無い、何でもないぞ、鈴」

 

何でもないったら、何でもないんだよ

 

「さてどうするか···」

「所属ならカズマと同じクラスがいいなぁー!!」

 

俺に死ねというか、セリアよ?

 

「問題はそれだけではない、戸籍がないだろう?」

「ん、問題ない、それぐらいは手配済みさ」

 

セリアの事だ、1日で必要な金を準備して戸籍を作ったに違いない

天才的な頭の回転速度は俺でも時たま驚く

残念な事にマネジメント系にしか働かないのが玉に瑕だが

 

「お前のマネジメント能力、また発揮してもらうぞ」

「了解だ、カズマ。お前の頭脳であり右腕としてもう一度死力を尽くそう」

 

ここに最強と最良が再び、世界を超えて手を組んだ

こいつがいれば俺は万に等しい助力を得たも同然になる

 

「ところで、俺の部屋はどこになる?」

 

その質問に答えたのは、1年生の寮の監督をしている織斑千冬先生だった

 

「しばらくは寮監室(私の部屋)だ」

 

可哀想に、セリア···

 

「あれ、なんだろう、急に皆が死にゆく者を見る目に···」

 

理由は、織斑千冬が人間忘れてるからだよ

 

「セリア、お前の事は忘れない···」

「俺は死ぬのか···」

 

短い転生人生だったな、セリア、お前の事は生涯忘れないよ

 

「勝手に殺すな、なに、藍澤との昔話でもじっくりと聞きたいのでな」

「うへぇ···」

 

笑いながら織斑千冬先生はそんな事を言う、明らかに最悪だ、俺の恥ずかしい過去が明るみになるその前にっ!!

 

(セリア、わかっているな?)

(分かっている、恥ずかしい部分は言わない)

 

アイコンタクトで封じておこう、そうしないと非常に不味い

 

「ではな、行くぞ」

「あっ、はい、今行きます」

 

一夏達と俺を含めた全員が、涙を流して(ないけど)見送った




新キャラ涙目。君の事は忘れない

感想ください、作者のエネルギー源になります


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歪みゆく世界

転生し、本来の未来(ルート)を変えた反動は着実に進みゆく病魔のように深く根強いモノ
それは、ある物が盗まれた事をきっかけに加速し始めた


「なに?黒騎士が盗まれた!?」

「ごめんなさい···研究室をピンポイントで襲われて、それで···」

 

篠ノ之束からの緊急連絡でその話がされたのはノンビリと欠伸をかいていた昼下がりだった

しかも内容が非常にマズいモノ。最新鋭機が盗まれる(・・・・・・・・・)などPMC設立以来初であると同時に最悪だ

 

しかも黒騎士はあくまでも白式及び紅椿の相互抑止力であり直援機として開発した以上、かなりの高スペックを誇る

扱えるのは織斑千冬か、それに近い身体能力(ハード)精神能力(ソフト)を持つものに限っている

それだけの事が出来るのはファントムタスク実働部隊···モノクロームアバター、スコール隊の1人、エム···織斑マドカしかいない

スコール·ミューゼルに関しては既に米軍に内偵済みで死亡しているはずの人間だと確認している

 

「やっぱり、私が···」

「どのみちそうなる可能性だってあった、全ては俺の判断ミスだ」

 

そう、分かっていて甘い判断をしていた俺の判断ミスが今回の件を招いた最大直接要因だ、コレを克服するためにセリアに即座に渡すべき案件であったはずなのだ

 

「電話を切るぞ、対策などはこちらに任せろ、俺の副官を行かせるから彼に従ってくれ」

「ん、分かった」

 

電話を切り、すぐにセリアにメールする

内容は指令文、端的に箇条書きにして必要な部分だけを伝えた

普通の人間では分からないような複雑暗号にしてあるが、彼なら1分かからず解読出来る

 

「メール見たぞ?」

「あぁ、頼むぞ」

「任せろ」

 

端的に電話も終わり、俺は1人になれる場所に行く

極秘裏に作った、地下にあるシュミレーションルームに

 

「ただ生きる···それだけのことが、何故こうも遠いっ!!」

 

果てしない怒りをブチまける為に大声を出せる場所として最適だ、ここは映像記録も残らない専用施設なのだから

 

「そこにいるんだろう?織斑千冬」

「気がついていたか、あまりに大きな声なので気づいていないかと思っていたが」

 

そんな事は無い、気がついたのはこの部屋に入る寸前だが

それでも、この状況にはある意味でしたかった

 

「なぁ、織斑千冬···この俺が、間違っていると教えてくれっ!!」

 

心の底から溢れた言葉はそれだった

俺はどこで選択を間違えたのか?間違えたとしたらそこはどこか?

全てが分からないまま進めていくのは危険な事だ

 

「そうだな。ただ生きるのは、難しい」

 

彼女は俺に向かって歩を進めながら腰にある刀を抜く、そして···

 

「だがお前はそれでいい、私とて迷いはある。その迷い、葛藤をお前はかけがえのない仲間と共有していけるようになったのだから」

 

同時に、姿が消えたと間違える程の加速で俺の首を狙った攻撃に対応して躱し、腰を肘鉄する

 

「いつまでもふさぎ込んでて、最後まで何もしなかったなんて。私は嫌だな。そう言って世界を変えた人間を私はよく知っている」

「篠ノ之束か」

「あぁ、そうだ。アイツとて実際、今のように世界が変わった事を喜ばしく思う反面、悲しんでいる」

 

ISは本来、女性の社会進出を宇宙にも広げるために開発したモノだ

それにも関わらず、今や軍事方面に使われている始末

こんな結果は望んでいない、むしろ忌避していたんだよ。と以前、俺は彼女に言われていた

 

「ほら、その肩にしがみ付いているぞ?お前に殺された分の、魑魅魍魎がな」

「つっ···!?」

 

指摘されて気がついた、俺は驚いた。

確かに俺はたくさんの人間を殺してきた、それを初めての全力戦闘で気づく(・・・)なんてな

 

「俺は、人を簡単に殺せる。でもきっと、誰かを見捨てるのは駄目だろう。理解はしても、慣れないだろうからな」

 

それが俺の彼女に向ける本心、人を殺すのは簡単に出来る。

しかし目の前にいる誰かを見捨てる事だけは出来ない。

見捨てなくてはならない理由を理解出来たとしても、慣れる事だけは出来ないだろう。

軍人であった頃からそこだけは変えられないのだから

 

「だからこそ、俺はお前に言わなくてはならない、そこにいるのだろう?一夏と、その取り巻き全員」

 

おずおずと入ってきたのは一夏を先頭にしたハーレム要員達

 

「なんだよ、カズマ?」

「ここから先は激戦が予想されている、先程盗聴していたから事の重大性は理解しているな?」

「直接開発機の強奪だからね、みんな分かっているよ?」

 

シャルロットがそう言い、俺は頷きながら話を進める為に確認を取る

 

「織斑千冬、アレの事は話していいか?」

「どのみち避けられないだろう、覚悟はしていた。構わない」

「分かった」

 

一夏の方を向いて、俺はマドカと一夏の関係を暴露する

 

「一夏、マドカとお前は兄()関係だ」

「本当かよ、千冬姉?」

「あぁ、私も最近まで知らなかった。調べたのは藍澤で、私も戸惑っている」

 

マドカと一夏、更には千冬のミトコンドリアDNA及び遺伝子構造は家族関係にある事を示していた。

それを調査するために大変な苦労をしたのは言うまでもない

 

「しかし彼女は敵だ、敵であるということは遠からず()たねばならない」

「つっ···!!」

 

一夏の表情が強ばる、やりたくはないし正直逃げたいことでもある、しかしこれは家族の問題

他人がする事ではないし、してもらうことでもない

 

「俺から教えることは一つだけだ。そういう場面になった時にこそ状況で引くな、責務で引くな、感情で引くな。例え理由や原因があったとしても、最後は自らの意思で引け」

 

それこそが、こいつらに俺が教える基本、人として当たり前の事を最後まで責任を持つ事で果たせ。

決して危険な状況だという事で躊躇うこと無く。責務を理由に逃げ出さず。感情に左右されず。理由や原因がわからないから逃げるなどという事はするな、最後は己の、意思の決定を貫け。

 

「さて、帰るぞ」

「対策は?」

「セリアが既に向かっている。やつに任せれば上手くいくだろう。こちらに篠ノ之束を連れてくるがよろしいな?」

「あぁ、構わん」

 

よし、コレでしばらくは彼女を危険から遠ざけることが出来るだろう




最新話にして急展開。まぁ、この作品はよく話が急展開していますが。

感想ください、作者のポテンシャルがアップします。


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閑話休題、という名の設定(7)

新キャラの設定、ついに10回目が近くなってきた。
···
······
·········濃密です


牧瀬·セリア

 

藍澤カズマにとっての相棒にして最高の右腕として活躍してきた戦友にして悪友。

どこか抜けた言葉を吐くが的確な判断と正確な言動、更には攻撃のパターンを1度見ただけで対応できるほどの対応力を持つ

情報操作、マネジメント能力にも秀でており天才的な才能を誇る。

特に情報欺瞞と改竄は彼に勝てる者はいない。といえるレベルである。

 

 

ブルーフレーム

牧瀬·セリアの専用機。元はブラックフレームの量産計画のテスト機である。

その為一部の機能は簡素化されているが、総合的なポテンシャルは原型機であるブラックフレームと同等である。

武装はブラックフレームと共通しており、ブラックフレームが使える武装は本機でも使用可能である。

 

 

特殊機構:ハイパワーアークジェットブースター

本機のメインスラスターにして全身に搭載されている補助推進器でもある加速機関

アークジェット推進は本来、地球上で使用しても一円玉を少し動かすのが限界であるが、本機で搭載した物は超大電力を複数の電極に連続して加速させるように流す事で瞬間移動と誤認識する程の加速度を見せる。

この機構は奇しくも、リインカーネーションに搭載されているアジャイル·スラスタと同じ構造である

 

 

武装

 

日本刀型ビームサーベル

本機で最もよく使われる日本刀のような反りを持つビームサーベル、通常の直剣型とは異なり熱切断力がより高い

 

荷電粒子短銃身速射砲

ビームライフルに高い連射性を持たせたブルーフレーム専用火器

破壊力と連射性を非常によく両立させている汎用武器でもある

 

汎用弾頭ランチャー

多種多様な弾頭を放てる汎用火器、破壊力に特化している工兵用火器をベースに開発した影響からか弾速が遅いという欠点がある

 

ビーム展開シールド

ビームの膜を展開する専用の盾、分離してブーメランにも出来るイロモノ武装だが使い勝手は非常に良い

 

ボルトアンカーチェーン

敵の鹵獲、行動阻害等に使用される武装

電流は設定可能で麻痺から即死まで高い範囲をカバーしている

 

ヒートピック

ボルトアンカーチェーンの先端に搭載されている推進機内蔵のワイヤー装備

赤熱化して武装を破壊するなど使い道は様々

 

エネルギードレイカー

背後の翼面パーツ又はボルトアンカーチェーン、ヒートピックを介して使用される武装

敵機からエネルギーを奪い取り、自機のエネルギーに転化する悪魔の如き武装

唯一の欠点はエネルギーを奪うために接近しなくてはならない事

 

E.M.Pフラッシュ

E.M.P、最悪の武装でもあり絶悪な効果を持つえげつない爆弾

直接打撃力よりも無効化に特化している

しかも耐性は出来ないため、連続して使用もできる




えげつない武装祭りやー!!
うんうん、酷いね(自分でしといて)

感想ください、作者の元気成分になります


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2015→2016
新年スペシャル!!忘・新年会!!


忘年会と新年会を兼ねた主人公ズと作者の会話回です。
メタ発言からネタバレまで含んでいるので見たくない方はスキップしても構いません。
でもスキップすると内容の再確認できなくなるかもしれないです。

作者のセリフ→(作)
キャラセリフ→(各キャラ一文字)

半分台本方式です


(作)「という事で忘・新年会を開きたいと思います!!」

(カ)「なして?」

(作)「ん、キャラ崩壊著しいのがこういう面白ごとだろう?」

 

カンペを出しながらそう言う(自称)作者が出てきたのは新年の1月1日深夜1:00だった

しかもカンペがノートサイズだ

 

(作)「どれどれ、主人公くん、これから一枚引いてけろ」

(カ)「どこでもいいのか?」

(作)「どれでもいいぞ?」

 

主人公と呼ばれたのは癪に障るが一枚引いた

 

(カ)「主人公の設定で元ネタはありますか?だとよ」

(作)「即答しよう、有る。ただし複数あるためコレとはっきりは言えない」

 

だいたいこのペースで進むようだ

 

(ア)「作者さんはなぜこの世界にいるんですが?」

(作)「これは大晦日から元旦にかけてのスペシャル回だ、その名の元に自由にできるのが製作者の力なのだよ」

 

胸を張ることじゃない気がする。

 

(一)「なんだこいつ?」

(作)「本作、IS Strikerの作者です」

(一)「よくわかんねぇけど、変人だと理解は出来た」

(全員)「正しくそのとおり」

 

しょげる作者のノートからさらに一枚引き抜くと、俺が代わりに読むことにした

 

(カ)「いろいろオリジナルな設定が出ているが無事か作者?だと」

(作)「それを言うなら原作者に言うんだ。ご都合主義が何度も続いてたまるか」

 

すねながら言うセリフではないし原作者が見ていたらどうする気だ?

まぁその時は反省して謝罪と削除をするか・・・バックアップを取ってから

 

(フ)「私の出番がない」

(作)「2016から出番があると期待してくれ」

 

すまん、君を出すこと自体が最初から計画外だったんだ。許せ

その代わり、2016から出番がチラチラ出てくるぞ?

 

(カ)「次は・・・主人公は何回転生しているのですか?・・・俺の記憶が正しいとこれが一回目のはずなんだが?」

(作)「主人公が認識できてないだけで実際には最低でも3回転生しています。具体的に(ネタバレ覚悟で)上げるのであれば戦姫絶唱シンフォギアの世界、マテリアルブレイブの世界。そして今回のインフィニット・ストラトスの世界です」

 

そうしないとフィーネの転生に理由付けができないし、因子分解(アトミックレゾリューション)などのアビリティの説明ができないです。

それだけでなく、今後の展開しだいではここでネタバレしたことが最重要になります

 

(作)「しかも本作ではそれ以外にも様々なゲーム、アニメ、漫画などのセリフを転用していたりします」

(楯)「これでいいのよ、よければね」

 

楯無さんのキャラがうまくつかめない作者。

 

(セ)「俺の出番も最近なくなぇか?」

(カ)「問題ない、そろそろある」

 

その通り、そろそろあるから喜べ、フィーネより早いぞ

 

(ナ)「そういえば最近、端役しかない」

(作)「ん、しばらく待とう」

 

強い機体を持つと作戦指揮が慎重にせざるを得なくなるんだ✩

 

(束)「性格がものすごく変わっているけど?」

(作)「制作の都合で変更しました、コミュ障でヘタレでダウナーになりやすく気の弱い(?)マッドサイエンティストですがやる時にはやれるような舞台は用意します」

 

でも本当にその時が来ると言っているわけではない

 

(作者除く全員)「作品のバランス」

(作)「問題ない、問題ないんだ。問題ないはず」

 

疑心暗鬼。

 

(カ)「ではそろそろ最後だな、一部出てないキャラいるけど」

(作)「・・・まぁ、気にしないでおこう。し始めたら止まらん」

 

でもちゃんとチラチラ出してるし・・・ね?

 

(作)「ではこの話をご覧の方々、良いお年を!!」

(カ)「新年から見ている方は、明けましておめでとうございますっ!!」




特にいうことはない。自己満足だ


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原作再開
事件の始まり


修学旅行の下見の前に少しだけ会話する三人
それはこれから起きる事件の想定ですらない平和なもので・・・


「修学旅行の下見だぁ?」

「おう、俺とお前、更には一夏たち専用機持ちの大所帯でな」

 

世界を相手に戦争でもする気か?

と言いたいところだが、その目的にすぐ気がつく

 

「そうか、ファントムタスクの撃滅!!」

「だろうな、この戦力の偏重では明らかにそれを狙っているだろう」

 

ところでだ・・・今いる部屋なんだが

 

「ここは本当に織斑千冬の部屋か?」

 

汚れていた部屋が数日見ないだけでクリーニングされていた

散らかって惨劇が広がっていた部屋から綺麗に整頓されている

 

「何が悪い?」

「散らかしてるのが悪い」

 

即答でそう答えると流石に黙った、あの惨劇はどう言っても壊滅的である。

別の部屋からセリアが出てきた、制服が少し汚れている

 

「オレだよ綺麗にしたのは、全く半日かかるとは思わなかったぞ。あのレベルの作業なんて義姉貴(アネキ)以来だ」

「アノ人もアノ人で整理整頓できない人だったからな」

 

少しだけ感慨深く昔を思い出す

コイツとその義姉貴(アネキ)と俺で連んでゲーセンとか行きまくって生活費に困ったこともあったっけ

 

「久しぶりにゲーセン連覇旅したいな」

「止めとけ、ただでさえ廃人ゲーマーな俺達が行ってみろ、大変な事になるぞ」

 

それこそ大変な事になる、転生する前にゲーム会社に一度呼ばれた事を忘れたか?

まぁ、あの時はまさか専属のテストプレイヤーに選ばれるとは思っていなかったんだけど

 

「さて、下見だとさ。お前も来るよな?」

「当然だ、お前のサポートと前線指揮のカバーが出来るのは俺しかいないからな」

 

それは頼もしい、さて・・・

 

「具体的に話をしようじゃないか、更識楯無」

「もう予測は出来ているでしょう?」

「当然だ、予測は出来ている。問題は今の時期にする理由だよ」

 

する事ぐらいは予測できている、問題はその理由だ

今の時期に行う理由、今の時期でないといけない理由があるはずなのだ

 

「簡単よ、黒騎士がファントムタスクの手にあること。それが非常に不味い」

「やはりな、でもそれだけを危険視していれば痛い目にあうのもまた事実」

 

相手にはスコール・ミューゼルとその機体、ゴールデン・ドーンがある

この機体には通常のISは太刀打ち出来ない

出来るのはワンオフアビリティを発動した更識楯無の機体、ミステリアス・レイディ、ブラックフレーム及び機体にSTRIKERシステムを搭載したモノ、峰島由宇の開発機だけと少数だ

現状該当するのは、ブルーフレーム、グリーンフレーム、リーンカーネーション、BALDR・SKY、クイーンズレガリア、ハウリング・シルバー、それにブラックフレームが秘匿するゼロフレームの7機

それに各専用機持ちの機体を含めて15機、世界とやりあえる規模であるが・・・

 

「スコールにはそれだけ本気で当たらないといけないな、アレは非常に危険な存在だし、こちらの予測分析ではやつら、転生者の集団と手を組んでいるようだ」

 

俺が転生者だとみんなに告げたら意外と納得された

そして普通に接してくれている、理由を聞いたら一夏が代表して"それでもお前はズルい人間じゃない、純粋に、強いから"と言った

一瞬だけ泣きそうになった、泣かなかったけど

 

「ふむ、その話はこちらでも聞くな。曰く、オーバーテクノロジーを使っているだとか」

「オーバーテクノロジーというよりはブラックテクノロジーだな、奴らの使うテクはどれをとっても危険で、一部には封印指定されたものも含まれる」

「封印指定?」

 

おっと、思わず口が滑っちまった

 

「簡単に言うと国際法や条約で使用・開発が禁止されたものだ、クラスター爆弾や核兵器が仲間に入るな」

「藍澤の開発した機体は入れないのか?」

「その点を完全にクリアするように開発しているからな」

 

セリアがすかさずカバーしてくれたのが良かった、俺なら危険なことをペラっと喋りそうだった

 

「大変だな」

「あぁ、一夏達になんてつた・・・えなくていいか」

「そうだな、あくまでも大義名分は修学旅行の下見ということで」

 

変な発想だが、悪くないと思っている

相手からの襲撃を最初から計算の中に入れていれば良いだけの事、その上で最悪の事態を想定した作戦指揮の編成と任務に当たるだけ

幸いにも、考えられる最低の事態は既に出し終わっている

 

「じゃあ、よろしく」

「こちらもな」

 

日取りも決まった、あとは待つだけだ




いよいよオリジナルルートへ進みます、得てしてどう転がっていくのか・・・
次話でついに、最悪の敵が立ちふさがります


感想ください、作者の栄養に変わります


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強敵再臨

それは最悪な敵、一度は滅したはずの敵が再度現れ、再戦を開始する
その暇はないと焦る主人公、そして・・・


「案の定予測通りの動きをしてくれる」

「そのせいか気になるな、ここまで計算通りだと寒気がしてならない」

 

案の定、強襲された。しかも京都に入って僅か半日である

俺の目の前には確実に滅したはずの人間がいる

 

「まさかこうも短期間で復活するなんてな。予測こそしていたが全く懲りることがないのかお前は?」

「まさか、お前という人間を殺すまで諦めんぞ」

 

となれば選択肢は一つしかないな

 

「「今度こそ、決着をつけるっ!!」

 

激戦の開始がここに告げられた

 

「本懐を遂げる前に、憂いを断たせてもらう!!」

「本懐・・・?お前の手で戦争を支配する事か!?」

 

おそらくやつの狙いはソレ、戦争を一局面に集中して最後は自分も誰かに嘲笑されながら死ぬという悲壮な運命

 

「そうだ、戦争を一局面に集中する事で最終的には人類を救う。それこそが俺の目的!!」

「正義である分、質の悪い!!」

 

確かにそれは長期的に見れば正義の行いなのかもしれない。

でもその先に人間(ヒト)の意志がない世界が誕生するのならば俺はそれを決して容認したりはしない!!

 

「マイナス計算で得られた可能性なんて知るか!!ようは泣き虫なんだろうが好きなだけ泣いてろよ!!」

「俺とお前は所詮土俵が違う!!お前こそ何故そんなに光の中にいられる!?」

 

そんなこと、簡単だ

 

「ようはどれだけ覚悟してそこからどれだけ勇気を捻り出せるかだろうが!!それすら見せないくせに正義だと!?抗うことしない代わりに少数を切り捨てるのかてめぇ!?」

 

怒りは一気にマックスレベルを超えてメーターを振り切らんばかりに触れている

コイツのやり方だけには断固反対だし、許せん所業だ!!

 

「何千何万が無残に死のうが!!何億何兆の人間が幸せに暮らせればそれで良い!!」

 

人間の側に立てば大抵そんなことを言う奴が出てくるのは仕方がないことではある。

それだけは共通して認識しているし、だからこそ許せんのだ!!

 

「貴様だけはなんとしても俺が!!この場で!!抹消してやる!!」

 

俺の声に応えるようにブラックフレームも出力を数段階上げる

精神強度に応じてリミッターが解除されているのだ

 

「ワンオフアビリティ!!ロッズフロムゴット!!」

「があぁぁっ!!」

 

まだまだだ!!この程度では済ません!!

 

「そろそろいいかしらぁ?」

「スコールか!!」

 

止めを刺そうとした瞬間、通信を入れたのは敵であるスコール・ミューゼルだった

しかも、その後ろには・・・人質がいた

 

「て、めぇ!!」

「こういう事よ、先頭を中止しなさい、藍澤カズマ。でなければご友人が死んじゃうわよ?」

 

人質の顔があらわになる、それを見た瞬間、完全に沸騰した

 

「殺す・・・!!」

 

だが、足を掴まれた、サーディ・アヴァロニクスに

 

「くそがっ」

「待て、コレを・・・」

 

焦る俺に奴が渡したのは懐かしい、待機状態の機体だった

 

「あの子の、専用機だ・・・俺の正義は間違えていても、お前と同じように守りたいのは事実・・・」

「つっ!!自分よりも他人かよ!!」

「オリジナルも、変わらんだろうが・・・」

 

くっ・・・反論出来ん!!

 

「俺の分も、もう一度・・・守ってやってくれ」

「約束はできんぞ、だがお前のような結果は一つでも多く減らしてみせる」

 

託された思いに嘘はなかった、目を見たときにそれを一発で見抜けた

魂が消える前に託したかったのだろう、俺と戦うという事がこの未来になると分かった上で

 

「この世界の行く末・・・見られんのは残念だが」

「見られるように短時間で済ませてやる、じわりじわりと死んでいく屈辱に耐えながらそこで寝ているんだな」

 

俺はそう冷たく言い放ち、敵陣中央に向かう。幸いにも向こうは湾部に停泊している空母に居る

なら空母ごと破壊してのけるまで。敵陣より要救助者を救助後すぐに離脱、離脱中に敵陣にワンオフアビリティを最大出力で発射し欠片も残さず粉砕してやる!!

だって、人質にされているのは・・・俺の、DNAを分けた片方の女の子・・・リーゼロッテなんだから!!

 

「待っててくれよ、リーゼ・・・必ず俺が、助け出してやる!!」

 

その決意とともに最大加速、敵陣に向かう




新キャラ登場か?いやこれ以上増えられても困・・・らなくはないか。
次話ではついに主人公がキレます。

感想ください、作者のエネルギー源になります


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暴走

それは完全にキレた主人公の全力。
火に油を注いだ敵の行く末は・・・?


「この、攻めにくい!!」

 

一夏達が俺よりも早く来ていた、空母上では一夏達IS学園勢力とファントムタスク、更にはこれに乗じて乱入した転生者の勢力が三つ巴で戦闘している

 

「一夏達、撤退だ。俺の後方300mまで後退し戦線を立て直せ」

「了解!!無茶するなよ!!」

「あぁ」

 

そう言い放ちながら俺は敵陣に突入、ちょうど一夏達と入れ替わる形で降り立つ

 

「なんだぁ?一人で戦う気か!?」

「・・・」

 

オータムの邪魔な声を無視して周りを眺める

ファントムタスクはオータムと人質がいると映像で言いやがったスコール・ミューゼル、転生者の方はISのような何かを纏った敵が三人

ふむ・・・

 

「退いてろ・・・俺の道だ」

 

殺意を全開で開放して動きを止める。半分でさえ普通の人間だったらトラウマになるレベルの濃密な殺意を全開で無指向に解放されたら普通でなくても動けないだろう

それでも、やはりというところかスコールは・・・

 

「撃ちなさい!!」

 

指示を出した、同時に俺は叫ぶ

 

「俺はあの子のもとに行かなくちゃいけないんだよ!!邪魔すんじゃねえぇぇぇ!!」

 

最終リミッターも解除、更に全機能を決戦状態であるオーバードライブへ切り替え、三人の転生者を速攻で撃破、オータムに最後の一人を投げつける

 

「っの野郎!!」

「そこをどけえぇぇぇ!!」

 

隔壁の前で邪魔してきたオータムを隔壁とIS装甲ごと蹴り飛ばし戦闘不能にする

 

「行かせないわ!!」

「退けと・・・言っただろうがあぁぁぁ!!」

 

更に迫り来るのはスコール・ミューゼル、それを俺は殴り飛ばす

 

「がぁ!?馬鹿な、プロミネンス・コートが効いていない!?

 

熱フィールドごときで俺の機体が破壊できると思っていたのか!!

 

「お前は俺が・・・殺すっ!!」

 

殺意を更に限界まで開放、それに答えるかのようにブラックフレームは限界を突破した性能を発揮する

 

「一体どこまで、その殺意を・・・!!」

「おぉぉぉぉっ!!」

 

スコールは攻撃を受けるわけでもなく躱し、後退を開始した

俺にはそれの理由がわからなかったが今はリーゼを助けないといけない

 

「リーゼ・・・いま助けに行くからな!!」

 

最後の隔壁をビームサーベルで切り飛ばし、室内に入る

 

「・・・」

「リーゼッ!!」

 

反応が・・・ない?

 

「目の前にいるのが貴女を殺そうとする存在よぉ」

「きっ、さっ、まぁ!!」

 

スコールめ、最後の最後で厄介なことに催眠暗示をかけてやがった!!

 

「殺さなくちゃ、ねぇ?」

「あ、あぁ、あぁぁぁぁ!!」

 

リーゼが俺に向かってISを展開して迫ってくる。それは、過去の記憶をフラッシュバックさせるには十分だった

最悪にも同じことがかつてあったのだ、そのときの俺は何も出来ず、結果死んでしまった女の子、それが今俺の目の前にいる少女

だから、俺は・・・機会が生まれた今度こそ!!

 

「俺は・・・」

「うあぁぁ!!」

 

迫り来る彼女の声を聞きながら俺はアーマーパージしてゼロフレームに切り替える

 

「君を救うと誓ったんだっ!!」

 

それと同時に武装を破壊、更に装甲を剥ぎ落としコアを握りつぶす

 

「あ、うぁ・・・あぁ」

「っと!!」

 

崩れ落ちる彼女を抱えながら俺はその寝顔を見る

そのすぐ後に通信が入った、相手は・・・

 

「馬鹿な・・・そんな事が」

「スコール」

 

通信相手であるスコールを俺は睨みつける

 

「今度会うときには貴様らに必ず教訓を刻みつけてやる。俺の姿を見るたびに身をすくめ怯えるような・・・トラウマを!!」

 

それと同時に通信を強制遮断、戦況を確認する

 

「セリア!!」

「どうした?」

「戦場ごと吹き飛ばす、周辺地域への影響範囲を算出しろ!!」

「出来ている!!」

 

すぐにデータが送信され、表示される

 

「感謝する!!あとでタップリ振り込んでおくぞ!!」

「おうよ、じゃあな、安全域まで後退する」

 

さて、影響範囲内に限界まで破壊領域を広げるか

縮退砲は威力が大きすぎるから・・・アレがいいか

 

「ブラックホールクラスター、発射!!」

 

空母はどうせ核動力だろう、ブラックホールクラスターはコレを完封して破壊する

それこそ、跡は残らない

 

「帰投する!!指示を出せ!!」

「そのまま下がってくれ、こちらはいつでも問題ない」

「了解・・・!!」

 

これで戦闘は終了した、リーゼを救えたのは嬉しいが問題が山積した気がする




新キャラ登場です。超やべぇ・・・どうしよう

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ある日のお仕事

それは学校の行事にかこつけて別の事をしていた時の話。



俺はある施設に訪れていた、IS学園の卒業就職組の交流会の出向要員として任務に就いている。交流といっても実際は面接に近いのだがそれはそれコレはコレとして省く、問題は私的な事で出向いた理由。

それは懇意にしていた依頼主(エンプロイヤー)から渡された依頼内容だった、それに俺は完全にブチギレて拒否していた出向要員の要請を条件付きで受諾、今に至る。

まぁ、これは表向きの理由だ。実際には、その依頼主を放っておけないし、美人な人なのに俺に殺害依頼を出そうとしているみたいなので泣かしてやろうという理由が大きい。

ちなみに相手が今いるその場所も場所で、なんと軍事関連施設、演習場というから驚きでこそある

 

「聞こえるか、リーナ・ヴァスティ少尉」

「あ、藍澤さん!?依頼はまだ出して・・・」

「自分の殺害依頼でも出すつもりだったのか?」

 

彼女は驚きの声を上げかけ、堪えた。それでも恐る恐る聞いてくる

 

「と・・・言うことは」

「安心しろ、頼まれた依頼は先日、完遂した」

 

彼女の出してきた依頼は生命操作関連の研究施設の破壊、しかもピンポイントに人間の多い場所をしてきていた。

しかもその場所は、彼女の生まれた場所でもある。

 

「そうですか・・・ありがとうございます」

「いろいろ聞きたいが、答えないんだな?」

「・・・はい」

 

なら・・・!!

 

「何故、あんな依頼を出した?」

「貴方なら既に、承知しているはずです」

「生命操作の、愚かさをか!!」

 

確かにそうだ、俺もその手の技術で生み出されたのだから

だがな・・・!!

 

「そうです、あのままにしておけば、ただ戦うために産まれて。無意味に死んでいく子が増えるだけですから」

「気持ちはわからんでもないが、あそこだけを潰してどうにかなる問題か?」

 

なんとか怒りをこらえ、それでもなんとか冷静に質問する

 

「リスクは承知の上です。それとその、効率も」

「・・・なら」

 

次の瞬間、彼女は叫んだ

 

「それでも、許せないんですよ!!同じような技術で作られた貴方なら経験だってあるでしょう!?」

「あぁ・・・今、現在進行形で再認しているところだよ!!」

 

こちらも怒気を孕んだ声で返答する、怒りで握った拳から血の雫が落ちているが気にはしない

どうせすぐに治る

 

「少しでも、減らせて行かなければならないんです」

「どうせすぐに元通りだぞ」

「それでも、やっては頂けないでしょうか?」

「・・・わかった」

「ありがとう・・・ございます」

 

一回深呼吸してブラックフレームをエミュレートモードで起動、武器を構える

 

「これから学生を殺す。お前が、俺に殺されるのをやめない限りだ」

「・・・は?」

「何が殺してくれだ。誰かの為にせよ、死に急ぎはうんざりすんだよ!!」

「あ、藍澤さん!!待ってください!!」

 

そんなもの!!

 

「待たねぇよ!!心変わりなら早くするんだな!!」

「そんな・・・!!」

 

その理由を教えてやる、戦闘しながらな!!

 

「いいか、少尉。貴女が今、無意味に死んで行くって言った子はな、生きているのが楽しいって言ったんだよ!!何もしないで、ただ生きているのが楽しいと言ったんだ!!」

 

それはまだ、PMCを立ち上げてすぐの頃だった、ある任務で出向いた先で生命操作技術で生み出された少女を救ったのだ。

その少女はDNAのある欠陥で余命が短く、ここ最近では起きている方より眠っている方が健康維持に最適な状態である。

俺の試算では持ってあと、最大でも半年だ。

 

「つっ・・・!!」

「その子はもう、余命幾ばくも無いのにだ!!そんな子を見ておいて、まだ十分生きていける奴を、"はいそーですか"って殺せると思っているのか!?」

 

誰かの為になるんであろう、しかしまだ生きていけるのにも関わらずそんな事をするのは俺が絶対に許さん。俺の手に届くうちは絶対に!!

 

「貴方は、命を弄ぶ人間を嫌いではないんですか・・・?」

「あぁ嫌いだね!!嫌いだ!!だからあんたを残して全滅させてやる!!そしてあんたも除装させてお持ち帰りしてやる!!」

「残念・・・です!!」

 

結局は戦うはめになるのかよ!!まぁ最初からわかっていたがな!!

 

「かっ・・・はぁ!!」

「結局、最後まで音を上げないのかよ!!」

 

学生もろともタップリ15分間フルボッコにした。

案外しぶとかった、まぁその程度なら高が知れるというものだろう

 

「そうでなければ、こんな事を頼もうと思いません!!」

「そうか、まぁ、全員生かしてあるから後は好きにしてくれ」

「え・・・?」

「今までで一番難しい戦闘だったんだぞ、畜生め」

 

そう、殺すと言いながら殺していない

理由は由宇との約束、それにほんとに殺したら俺は最低の人間に成り下がるから一種の線引きだ

 

「な・・・何故、そんな事をするんですか!?」

「あぁ!?それとも本当に殺して欲しかったか!?」

「そんな訳がないでしょう!!本当に・・・生きて?」

 

そう言いながら彼女は生徒を見ていく、急所は外し、生身への傷はほとんどないだろう

大抵は感電してまともに動けないか気絶しているだけだ

 

「あぁ・・・みんな・・・よかった・・・っ!!」

 

だが、問題が解決したわけじゃあない

 

「これで貴女への疑惑の目が強まるな。ついでに俺たちに依頼したことから考えると調べられるのを恐れて自殺も無理」

「あぁぁ・・・」

 

あれ、泣き出した。まぁ泣かすのが主題だからどうでもいいけど

 

「さぁてどうする?早くしねぇとウチのこわぁい奴らが攫いに行くぜぇ?」

「卑怯ですよ、藍澤さん!!」

 

その言葉に俺は笑いながら答える

 

「少尉みたいな美人に泣きながら言われると、なんともそそるねぇ」

「そんなことを言われても、困ります!!」

 

え、だって

 

「困らせたんなら成功だ。大体、自分のやった結果が間違いだって分かっているから、泣くんだろ?そんな奴を殺したところで、理解も納得もできるか、胸糞が悪くなるだけだ」

「・・・」

 

泣きながらも俺を見る目は変わった、それこそ、少しだけ恨む目に

 

「なぁ、少尉。貴女は俺ならばやると見込んだんだろ?」

「えぇ・・・」

 

なら話は早い

 

「だったら、自分の命も賭けてみろよ。周りに害が及ばないようにして下さい。ってな」

「考えて、おきます。ですが藍澤さん」

「ん・・・?」

「・・・恨みますよ」

 

それはそれは・・・困るけど嬉しいねぇ

 

「あぁ、今度会うのはウチの基地だ。恨み言なら幾らでも聞いてやるさ」

「はぁ・・・」

「じゃあな、生徒連中、大事にしろよ」

「・・・はい」

 

よし、私事(仕事)は終わったな。残りはセリアにでも任せるか。

映像通信でいいか。面白い顔見たいし

 

「セリア、仲間が一人増えるぞ」

「あぁん!?聞いてねぇぞ!?」

「今言った」

 

ため息が流れた、相当長いものが

 

「とびっきりの高待遇でオ・モ・テ・ナ・シ、しようぜ?」

「・・・悪い顔だ」

「そうだとも、美人を困らせるのは俺の趣味だ」

「今の恋人が見たらなんて言うだろうなぁ・・・もう見てるけど」

 

え・・・何ソレ聞イテナインデスケド?

 

「カズマ」

「は、はいっ!!」

「後で詳しく、話を聞かせてもらうぞ」

「や、了解(ヤー)・・・」

 

その後はセリアとどうやって基地に()させるか話し合った




主人公はサド。これ以外になんと説明しろという?
次話は戦闘こそないですが急展開です・・・よ?


感想ください、作者の活動源になります


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新所属者合流、情報提供

それは新しく入る人員の歓迎(?)とその人物からの情報提供
そして・・・


「リーナ少尉が施設玄関に到着されました」

「ん、ありがとう。ここまで通してくれるかい?クロエちゃん」

「分かりました、お連れ致します」

 

リーナ少尉を倒した翌々日の昼過ぎ、俺は篠ノ之束の依頼で助け出し、以降基地施設の様々な雑事(宅配物の受け取り等が主)を任せているクロエちゃんに起こされた。

予想より早いな・・・?

 

「セリア、ちゃんとおもてなしをしたのか?」

「したよ?」

 

二人して悪い顔をしながらリーナ少尉を待つ

 

「今気づいたが、どうやって来させたんだ?」

 

よくよく気が付いたらそこらへんを丸投げしていた気がした。

だから聞くと

 

「あぁいうのは無理に攫っても逆効果で支障をきたすからな。自主性を重んじて来てもらった。もちろん、ケアも万全」

「・・・あ、そう」

 

なんとなく、寒気がしたのは気のせいだろうか・・・?

 

「こ・・・ここが・・・エグゼ?」

 

いかにも基地の中とは思えない部屋の中に案内された事で目を丸くしている彼女にセリアはあくまでもPMCの副代表として接する

 

「楽にしたまえ、短日でのあの道程、胸中お察しする」

 

うーわー、しーらーじーらーしーいー

 

「はい、あの・・・ありがとうございます」

 

セリアは礼を言われるまでもないと言いたげに手を挙げて楽にするよう合図して俺の横に立つ

仕掛け人のくせしてよくまぁ・・・

 

「藍澤・・・さん?」

「なんとか、生きて来てくれたな」

「・・・本当に、何とかですよ」

 

あれ、泣き出しそうだぞ・・・?

 

「うん、セリア?」

「無事にたどり着いて何よりだ」

 

自分で後はどうにかしろ、かよ!!

 

「牧瀬少佐、少し失礼をよろしいですか?」

「構わない、好きにどうぞ」

 

コイツ、俺が代表だって言ってないだろ!?しかも嬉しそうな目をしやがって!!

 

「藍澤さん、あれだけ死ぬ死ぬ言っておいた身で非常に申し訳ないのですがっ!!」

「お、おう・・・」

 

なんとなくセリアがしたことが目に浮かぶ気が・・・

 

「一体どんな保護ですか!?いえ、保護以前の問題です!!あんな辱めを受けたのはこれまでの人生でも!!教官生活でも!!初めてですよ!!」

「そ・・・そうか」

「うぅ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

セリアてめぇ一体何をやらかしやがったあぁぁぁ!?

大体わかるが幾らなんでも・・・まぁいいか

 

「では、もう死ぬ気はないという事でいいんだな?」

「あんな事をされたら、その気も失せますよ・・・」

 

うん、セリアには後で忠告しておくよ

 

「分かっていますか?」

「な、なんとなくは・・・はい」

 

彼女は恨みがましい目で俺を見つめた後、咳払いをしてセリアに向き直った

 

「ところで牧瀬少佐、代表の方は?」

「君の目の前にいる」

 

あはははっ!!誰だろうねぇ!!

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・俺だよ!!

 

「え・・・え?」

「俺だよ、残念だが」

「も、申し訳っ!!」

「ん、気にしなくていい。あくまでも個人として受けた任務の場合、身分を明かさないのがウチのやり方なんでね」

 

万が一の場合を除いて基本は全員それぞれに日常生活で仕事を抱えている連中なのでそのスタイルが固定になっただけなのでこの場合は例外である。

俺とセリア、それに幾人かが専属なだけだ

 

「では俺の自己紹介を改めてしよう、PMCエグゼ代表、藍澤・カズマ、階級は准将だ」

 

俺の軍人としての肩書きは准将である。ここから上がる気はないし下がる気もない

 

「元ファントムタスク所属、リーナ・ヴァスティ。旧階級は少尉」

「ほう・・・現在は?」

「む、無職・・・です・・・!!」

「くっくっく・・・」

 

セリア、楽しそうだな

 

「この度は格別の配慮を賜り、感謝の言葉もありません」

「あぁ、いらんよ」

「は・・・?」

 

あぁ、うん、なんだ、簡単に言うとだな

 

「そのような謝辞は要らんよ。ただ普通にしただけだし。基本ウチは君と同じような感じで仲間を集めている。それにこちらは君を利用するつもりだ。媚売ってもそれは変わらない」

「いえ、でしたら・・・」

「それとも、こちらが掴んでいる君の家族を全員並べれば少しは頭が回るかな?」

「つっ・・・!!」

 

よし、これで緩んだ場の空気も引き締まっただろう

 

「私から現段階でお渡しできる情報はたった一つしかありません。それ以上は、どんな関係であろうと拒否します。それでもするというのであれば自害します」

「ふ・・・」

 

そのいきだ、それでいい

 

「ふはははっ!!それでいい!!仮にも一度死ぬと決めた人間があちこちふらふらするようでは黄泉路に迷うぞ!!」

「は、はい!!」

 

思わず敬礼した彼女は慌てて手を下ろした、そしてこちらを見てくる

 

「その情報一つで十分だよ。セリア!!」

「了解、リーナ元少尉、情報を」

「・・・これは」

 

セリアが何かに気づいた、同時にセリアのかけているメガネのカメラから映像が俺のメガネを介して流れる

 

「元々は私が死んでから時間を置き送信するはずだったものです」

 

つまりは遺言の意味もある情報だった、と

 

「感謝する」

「お役の立てるのではなく・・・」

 

あぁ、うん、もちろん

 

「うん、撃滅しよう」

 

俺がそう言うと彼女は驚きながら反応した

 

「・・・はい」

 

よし、では

 

「今後の処遇を言い渡す。幸い、君は顔がよく気立ても良い女だ。教官とは言っても世話程度、慣れているだろう・・・セリア」

「はっ」

 

セリアに後は任せ、俺はその様子を眺める

 

「准将が仰ったように貴女は顔が良く気立ても良く世話を焼ける人間でもある。リーナ元少尉、希望するのであれば我々には貴女を受け入れる用意がある。降格とはなるが階級は准尉として部隊内の雑事全般及び広報業務に携わってもらいたい」

 

そこでセリアは一度ため息をついて、続けた

 

「私も最近忙しいため、特に経費管理を手伝って頂けると嬉しい」

 

おいマジかよ、俺の肩身が今より更に狭くなるのか?

 

「以上だがどうする?全ては君の自由意思である」

「拒否権は・・・?」

 

そう言って彼女は俺を見てきた、なので俺は答える

 

「ないよ?」

「では、謹んで拝命させて頂きます!!」

 

目尻に涙が浮かんでいる彼女に全くというほど共感はしないが、そろそろのぞき見をしている人に出てきてもらおうか

 

「総員退室、これにて終わり」

「了解!!」

「はっ!!」

 

それぞれの返答と出て行く足音を聞きながら俺はテーブルの下にある酒から手頃なやつをセレクトする

さて、出てくるかな・・・?

 

「そろそろいいぞ、こうして飲むのは久しぶりだろう?織斑千冬に篠ノ之束」

「あぁ、全くだ」

「そうだね」

 

グラスも一緒に出し、中身を注ぐ

 

「なかなかに美人じゃないか、それに性格もいいときている」

「トータルバランスであれば今までで一番だよ」

「本当に良かったの?」

 

そう聞いてきた束に俺は答える

 

「何を今更、大体、彼女が所属していた組織自体が俺には気に入らんよ」

「理由は?」

 

今度は千冬が聞いてきたので同じように返答する

 

「恨みもつらみもあるのは十二分に分かる、ならばこそこそせず運動すればいいだろうが」

「すぐに潰されるのがオチだ」

「そうだな、それは馬鹿のやり方だ。だが他人を利用してその挙句に自主的な死を強いるやり方は気に入らん」

 

ファントムタスクの実働部隊の構成と今後の動き。それがリーナの持ち込んできた情報だった。

内部情報でこそあるが詳細にたどれているのは数名のみとかなり少ない

それでもかなりの有用性を誇る情報だし、上手くいけば壊滅に追い込める

その中で、大抵の任務は誰かのクローンか他人をその存在すら悟られないまま操るやり方だと判明した

 

「他にも絡んでいるのかなぁ・・・」

「それはまだ闇の中だ、しかしこれだけは言える」

 

束の疑問に俺は手に持つグラスが割れない程度に加減しながらも机に打ち付け答える

 

「こいつを支えている奴らは善人だ、いいや、自分たちを善人だと思っている。良い事をしていると、そう思っている」

「経験則か?」

「そうだ、機密性が高い、構成員の大半が死を選ぶ組織はおしなべて善意で構成されている」

 

だからこそ素振りからボロが出にくい訳だ、探る部分を間違えていたなコレは・・・

だが・・・リーナが持ち込んできた情報で

 

 

 

 

 

 

 

  「全部、繋がったぞ(・・・・・)?」




ついに主人公側から一手攻め込むのか!?
相手はファントムタスク!!次話、どうなる!?

感想ください、作者のメンタルが変わります


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決戦前夜

決戦を前に決意する主人公。
仲間を失わせないために己がすることは一つ。血路を開く事
その前にする事は・・・


「後悔はないのか?」

「無いといえばない、だがこれ以上、俺が原因で生じた歪みを看過する事だけは出来ん」

 

会議の結果、ファントムタスクへの強襲はPMCエグゼとIS委員会から派遣される部隊の連合軍となった。

その連合軍の中には対黒騎士戦を想定して一夏を加えている。

一夏が来るということはIS学園の専用機持ち全員が来ることでもあり、それぞれ配置を決めてある

つまりは実質PMCエグゼとIS学園専用機持ちの部隊が完成したわけである。

また、前線指揮をPMCエグゼ(こちら)で行うことをIS委員会には了承させており、軍事作戦としては異例の15機の専用機だけという超少数である

これだけでも、国家転覆ぐらい楽に起こせる規模だが

 

「お前だけが原因じゃなかろうに」

「そうだな・・・」

「で、見つけたのかよ?」

「あぁ、希望は残る」

 

最後の希望は残った、うまくいけば俺はもう一度・・・

 

「行かなかった場合はどうする?」

「その時は全てお前に任せる」

「けっ・・・誰がお前の尻拭いなんてするかよ」

 

嫌そうな顔でセリアはそう言う、本当に嫌そうだ

 

「必ず、帰ってこい。本当に死ぬのだけは許さねぇからな」

「あいよ、死んでも戻って来る」

「やめろやめろ、縁起でもねぇ」

「ははっ、違いない」

 

俺はこの作戦を確実に成功させるために威力偵察に出る

いや、実際には敵の戦力を削ぐのだ、限界まで。それで死のうと、希望があれば戻れるだろう

 

「スコールと、戦うのか?」

「あぁ、奴だけが、余りにもおかしいのでね」

 

何の目的で戦っているのかわからない、そういう奴こそ本音を出すとマッドなものが経験則上非常に多いのだ

 

「一夏には爆弾がある。それを提示してやれば流石にマドカも考えるだろう」

「ひでぇやつ、手心はないのか?」

「ないさ、家族なんだからそれぐらいの甲斐性は発揮して欲しいものだね」

 

あいにくとアイツは唐変木だ、相手の感情の機敏に鈍感すぎる

まぁ、最近変わってきているようだが

 

「それぞれの役割に今回は沿ってくれ。本当に申し訳ないが今回は世話になる」

「本当にな、いつもなら世話させられる側だから驚きだぜ」

 

核心に入らないのは、どのみち変更しないと知っているから

変わらないと知っているからこそ、そこに信頼もしているからだ

 

「最後に、俺もらしくないことをするか」

「なんだ・・・?」

「なんで、自らを犠牲にする?」

 

確かに、らしくないな

 

「なんでだろうな・・・自分でもわからないんだわ」

「はぁ・・・?」

 

うん、実は俺にもよくわからない。モヤモヤとしているのだ

いや、決まっていても、否定したいのかもしれないな

 

「どうせお前のことだ、そういうとは分かっていたがな」

「すまんな、こうしか生きられんのだ」

 

部屋の玄関口に立ちながら、やれやれ・・・と言いつつセリアは告げる

 

「酒は貰うぞ」

「それは困る、俺の楽しみであり、コレクションだ」

「だったら必ず帰ってこい、ズタボロでも構わん」

了解(ヤー)

 

閉まった扉に、その向こうを歩いているだろうセリアに届かないことを祈りながら俺は一人、呟く

 

「約束は、守れないかもしれない・・・」




次話、ついに主人公死す!?
ブラフですよ、きっと

感想ください、作者の肥料になります。


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亡国機業VS民間軍事会社(1)

決戦の火蓋が切られる、最初に向かうのは主人公
相手は転生者と組んでいる組織、厄介であることはもちろん恐るべき技術を持つ
血路を開くのは、主人公

それを傍観する学友たちは決戦に備える。


亡国機業とIS学園の決戦が開始された尖兵であるカズマの戦闘情報が表示される。

超長時間戦闘しているにも関わらず損耗率は10%以下という異常なレベルである

 

「既に承知のことですが、藍澤は我々の今後の作戦のために威力偵察を実行中だ」

「まぁ・・・スコアが4万に届く戦闘を偵察なんて言えるんか疑問ですが・・・」

 

中継されていた映像が消えると自然と全員が視線を織斑先生と山田先生へ向ける

 

「これは一個人の戦闘における撃破数を大幅に塗り替えています、その点に関しては誇るべきでしょう」

 

いつもであればここで、本来いるはずの、そして今戦っている人物が何か言うのだが、沈黙だけが流れている

 

「ですが、カズマ君はは仲間の死を前提とする作戦立案をこの上ないほど忌避していました。その意味では彼は自らを裏切った事になります」

「勝算のない戦いをしない。特に自らの命を賭すような戦闘は回避したまえ。それが反面教師として、藍澤の残した教訓だ」

 

教師二人が同時に咳払いし、山田先生が続ける

 

「まぁ、それは建前でしょう。命の賭けどころは人それぞれが決めれば良いでしょうから」

 

割と台無しな言葉を言いながら、全員は頷く

 

「それを助けながら結果を出すのが上官の仕事。そういう意味では正しいが・・・あぁ、いけないな」

 

自分でも何を言って良いのか、あるいは言おうとしたことがこんがらがったのか、織斑先生が珍しくかぶりを振る

その気持ちを、わからないはずがない

 

「とにかく、見ろ。これが、彼の死だ」

 

モニターに表示されたインジケーターはもう数ミリしかない、残り時間がもう、微かな時間しかないのだ

肉体にも変調をきたし始めたのか、表示されている身体の各部が赤く染まり始め、小さくも高い警告音が鳴り響く

 

「つっ・・・!!」

 

敵を倒すだけ倒して、後に道を残して死んでいく。

本当にこれでいいのか・・・?

 

「通信をつないでください」

「出来ません」

 

一夏の発言に冷たく山田先生が返す、その手は強く握られていた

 

「学友としての、お願いです」

「・・・わかり、ました」

 

そして通信がつながる、全体の共有通信だ

 

「何の用だ・・・?」

 

画面に表示されている状態は既に真っ赤、だというのに、その声は平静を保っている

こいつは、どれだけ・・・!!

 

「一夏さんたちから・・・繋げ、と」

「・・・あてつけか?」

 

一夏が苦笑する。ざまぁみろというような笑みだ

 

「用は無いのだな」

「・・・」

「ならば切れ」

「・・・ぁ・・・」

 

由宇が微かに声を発したが、それでもすぐに口をつぐんでしまう

 

「死んじゃうの・・・?」

「・・・」

「嫌だ・・・嫌だよぉ・・・」

 

由宇の懇願にカズマは・・・ため息をつく

 

「どうせ全員聞いているのだろうな」

 

その態度は常と変わらない。変わらないからこそ恐ろしくもある

 

「念を押しておこう、ファントムタスクに加勢する転生者どもは確実に殺せ。生かしておいても、何の益もない」

 

誰も答えないのはそうそう簡単にできないからだ。それがわからない彼ではない

それでも必ずさせるためにあえて言っているのである

 

「しかし、よかった」

「・・・?」

「はははっ!!」

 

疑問を浮かべた全員を彼は笑い、続けた

 

「目の前で、恥ずかしい姿を見せなくて済むからな」

 

その言葉を最後に通信は途絶えた。

画面のインジケータ残量はゼロ。中継されていた情報も消えている

 

「総員、敬礼!!」

 

織斑先生の声で全員が敬礼姿勢をとる。そして、全権を渡されているセリアを見る

 

「総員、戦闘準備!!」

「了解・・・!!」

 




主人公死す!?いやこれはブラフのはず!!
次話で内容が明らかになります。

感想ください、作者の励みになります


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亡国機業VS民間軍事会社(2)

決戦の火蓋は切られ、それぞれがそれぞれの戦いに向かった
そして、死んだはずの人間が、戦闘をしている


「これで、お題目はクリアだな」

 

戦場でそう呟くのは死んだはずの俺、藍澤・カズマだ

実際には死んでいない、こうして生きて戦っている

理由は簡単、これから戦う人物にとっての、最大の嫌がらせだ

 

「流石ね、エグゼ」

「スコール!!」

「ここまで寄せてくるなんて・・・いや、これも私の望んだ事だけだけども」

 

こちらに来ることは想定していたが少々早い、つまり目的は離脱までの防衛か

 

「何の用だ?黙って戦えばそれで済むだろう。もっとエムを見習ってみろ」

「あの子は必要な牽制よ、今からでも、引くことでも検討したら?」

「何を、いまさら」

 

そうそう簡単に"はいそうですか"と引けるものか、何を考えている

 

「善意だけで成り立つ社会が存在しないように、必要最低限の反抗勢力は必要不可欠なのよ?」

「必要悪に必要善か、そんな事務的に人の命を扱うんじゃねぇ」

 

システムとして生きることは確かに重要だ、しかしそれが事務的に扱われてはいけない

そんなことを言う奴は必ず墜とす!!

 

「情動的な部分と機構(システム)的な部分。その両立が必要よ?」

「はん、やけに機械的な物言いじゃねぇか。ここで退けると思っているのか?」

「何のため?」

 

あぁ、それか

 

「俺のためさ」

「・・・信義、ね」

「お前が進む道には人を使い捨てていく未来しかないのは俺の勘違いか?」

「いいえ、その認識で間違いないわ」

 

やはりな、どうりで繋がったわけだ

やはりコイツは、全身義体(サイボーグ)

 

「じゃあどう理屈こねくり回しても許容できんな、たとえここで負けようと」

「だからこそのPMCかしら?」

「そうだ、俺の作った組織であり、俺達の意志でもある」

 

 

だいたい、亡国機業のやり方に対して俺は・・・

 

「お前らのやりたい事は理解できる。だが、ソレを俺達は下らないとしか思えない」

「くだらない・・・?」

「あぁ、くだらんな。人を消費し続けるだけのマッチポンプにどれだけの価値があるという!?」

「価値・・・価値ですって!?

 

次の瞬間、イグニッションブーストで迫ったスコールの指が首を捉え、俺を締め上げていた

 

「命の価値など、とうの昔に忘れたわ!!」

「がぁ・・・!!」

「私たちわね、貴方達がまだ生まれてもいない頃から戦い続けてきたのよ!!平和というモノが夢物語だと知っていても死人を減らすことはできる!!そうして実現するなけなしの安寧でも、守る事は出来ると信じて!!」

 

そのまま攻め寄る彼女を睨みながら俺は聞く

 

「私達は戦い続けた!!戦力不足や肉体の破損を志半ばで倒れた仲間の肉体で補ってでも!!だが、上はそれを時間稼ぎの捨て駒として処理したのよ!?その意味が貴方に分かる!?私達の戦いは、一枚の紙切れ(書類)で終わったのよ!!」

「んなもん、わかってるさ!!」

 

蹴り返し、彼女と距離を取る。このままでは少々危険だ

 

「残った仲間も一人、また一人と戦闘や後遺症で死ぬ、それだけなら貴女もこうはならない!!」

「えぇそうよ!!私達の代わりに政府が治めてくれたのなら捨て駒になっても良かった!!だけど現実は何!?」

「つっ・・・!!」

 

戦争は今も続いている、どこかの国で。それを無くしたくて彼女とその仲間は戦ってきたのだ

それが叶わないと知り、発狂した彼女の選んだ道が、ファントムタスクへの所属とISの強奪・・・そして!!

 

「世界から戦争がなくならないのは、それが人間のやり方、意志だからよ!!ならそれを使って導いてやるわ!!」

「それが貴女の本音か!!」

 

なんてヤツだ・・・本気で狂ってやがる!!

 

「そうよ!!安定して、必要最低限の戦争!!やがて局地化した戦争(それ)は単なる商材へとなり下がり、多くの人々はその利益を享受しながら実戦とは無縁の生活を送る!!」

「消費され続ける人間にはどう報いる気だ!?」

 

俺の質問に彼女は叫びながら答えた

 

「何千何万が無残に死のうと、何億何兆の人間が幸せに暮らせればそれで良い!!完全な平和社会など存在しない、人類は戦争から解き放たれることはない!!なら、限定管理された戦争、それだけが絶対多数の平和に繋がる!!」

「狙いは戦争の継続でも、拡大ではなく縮小か!!」

「そうよ、いずれ戦争は商材以下の手段になる。コストだけがかさむ、くだらない手段として!!」

 

望みが何かわかった、少なくとも、スコールの望みは

 

「貴女の、目的はまさか!?

「私達に、慈悲はいらないわ、哀れみも!!私の目的は、私達の戦争が何の意味もなく、無駄死にだと嘲笑される日が来ることよ!!」

「自分たちの全てを否定するのか!?」

 

想像なんてできない領域だ、俺でさえ驚く

だが同時に納得もできる、それ故に方針変更だ、殺さない!!

 

「そうよ!!戦争で死ぬのなんて馬鹿らしい、一銭にもならない、価値もないと、そういう差別階級に戦争をおいて!!平和に暮らす者が戦う者を侮蔑すればいいわ!!」

「それが貴女の、信義か」

「理解できたのなら撤退しなさい!!私も貴方も有用な戦争機械(ウォーマシーン)、ここで失うのは惜しいのよ!!」

「なおさら退けるかよ!!貴女達がどんなにお題目唱えようとやっている事は地獄のお膳立てだろうが!!」

 

それに、スコールは答える

 

「だからどうした!!」

「それが、人のやることかよ!!」

 

ボロボロになった状態で何とか撃破した。倒れたスコールは気絶している、スコールの撃破が今回の真の目的とは言えいささかダメージを負いすぎている

ファントムタスクの戦力はスコールの側に偏重していたので今回の作戦はこれで終了となる。

はてさて、死人となっている俺はどうするか・・・

 

「カズマ!!」

「どうした?通信はするなと厳命したはずだぞ!!」

「すまない、それよりもこのデータを見ろ!!」

 

すぐにデータが送られてくる。戦闘様式のデータのようだ、見て、愕然とする

 

「いま、ソイツがそちらに向かっている!!」

「あぁ、冗談だと、思いたいね!!」

 

二回戦が始まる、本当に死ぬかも・・・

 

「貴様・・・!!」

「よぉ、セリアの大したセリフを吐いたようじゃないか、見違えたぞノイン」

 

ノイン、正確な名前はノインツェーン。俺の19番目のクローン。より正確に言うと、俺のクローンの中で最も完成度が高く、唯一比肩できた女だ。

まさか転生していたとは思っていなかったが帰りがけの駄賃だ、相手をしよう

 

「誰の、事だ?」

「俺の教えた戦闘様式(コンバットパターン)を見間違える訳が無いだろう。理想(イデア)の為だと、何をしているのかと思えば、やれやれ・・・」

「私に、縁故の者はいない」

「はっ、冗談を抜かすな。オリジナルの顔も忘れたか?」

 

押し黙る彼女に俺はさらに告げる

 

「どうした、他に言う事はないのか?」

「私の子供はどうした?」

「死んだ、売り飛ばした。あぁ、君は知らないだろうけど高値だったよ」

「・・・お前、やっぱり人でなしだ」

 

嘘を言うのってしんどいね、実際にはちゃんと生きていると言いたいけど

 

「そうかい、だがお前も俺と大して変わらんだろう?比類したことだけは流石だと褒めてやる」

「私の戦いは人類の為のものだ!!お前のような個人的なことじゃない!!違うっ!!」

「そうそう、違うよねぇ、明確に。俺は俺個人の為になる戦争をして、お前は理想(イデア)の為に戦争をする」

 

しかし、同じ部分がある。それは・・・

 

「だが、どちらも同じ人殺しだ。わかるかな?」

「つっ・・・!!」

「そんな輩が人類の未来を語るのはまだ許せるが、左右するなどおこがましいにも程がある。それを手ずから思い出させてやろう」

「お前に教えられる事など、何もない」

 

いいや、ちゃんとあるぞ?

 

「いいやあるとも、セリア、アヤナ、お前たちは覚えているな?」

はい(ダー)!!」

「オリジナル・・・邪魔を、しないでくれ・・・!!」

 

対する俺の返答は一言、同時に墜とす

 

 

 

 

「死人は、喋らんものだ」




連続二回の戦闘ご苦労様です主人公君。次話はたっぷり休憩してね
休憩って・・・あるの、かなぁ・・・


感想ください、更新速度が上がります。


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嫌がらせ治療

それは最低な嫌がらせ、境遇を察して行った治療だが···


「何とか間に合ったか?」

「おう、何とかな」

 

セリアに俺は確認する。間に合ったのはスコールの新たな身体だ

機械ではない純粋な人としての身体だ。

幸いにも、肉体を失う前に取っていた血液から培養に成功したので運が良かったと言える。

問題は···

 

「どうやって移植する気だ?」

「そこなんだよなぁ」

 

移植法を考えている最中だ、どうしようか?

 

「にしても、殺さず拉致とはね」

「面白いだろう?」

「最低だな」

 

ひでぇ、酷すぎる!!

 

「その上、嫌がらせのごとく肉体再生治療をするなんてな」

「ふはははっ!!なんとでも言うがいい!!」

 

嫌がらせでいいんだよ、理由はちゃんとある。

 

「理由はちゃんとあるんだろ?」

「あぁ···」

 

悲しいだけの人生を終わらせるために、俺は彼女を治す

 

「悲しいかな、俺を産んだ技術を使うハメになった」

「お前が忌み嫌うあの技術をか···」

「その上さらに重ねる」

 

記憶転写では別人が生まれるだけだ、だとしたら方法は一つ

 

「脳移植か」

「それしかあるまい」

 

脳自体を移植する、それがどれだけ危険でどれほど難しいか理解している

 

「成功確率はゼロに近いぞ」

「神経幹細胞を利用すればなんとかなる、それでも確実な接続にはナノマシンを用いねばならん」

 

問題は神経接続だ、それに関しては神経幹細胞を挟めてナノマシンで確実に接続する

 

「血管は?」

「地道に繋ぐ」

「うわ···何本あると思ってんのコイツ」

 

ざっと1億本かなぁ···小血管を含めて

 

「三時間で済ませるぞ、それ以上は脳細胞がヤバい」

「うへぇ、超繊細な作業を超高速なんてやってらんねー」

 

それでもやるんだよ

 

「なんでそこまで、やるんだ?」

「嫌がらせ」

「・・・」

 

死に損なうことが彼女に対しての最大級の嫌がらせだ、おまけに治療を施され肉体が戻るなど悪夢に等しいだろう

 

「最低だな、やっぱ」

「何を今更、俺は最低の人間だよ」

 

戦闘したいが為にかつて最悪の事にも手を染めた人間なのだ、当然といえる

それでもやっとつかんだなけなしの命、無駄にはしない

 

「さて、やるぞ、ついてこい助手」

「へいへい、やりますよ。ところでどちらが執刀?」

「俺だ」

「了解、従いますよ」

 

さて、手術開始だ!!

 

 

<数十時間後、病室>

 

「・・・」

「よぉ、死に損ない」

 

手術は奇跡的に無問題で終了した、その後ずっと横に寝ていながら起きるのを待っていた

 

「···!?」

「あっ、起き上がるなよ?」

 

ナノマシンで手術跡は治されているが、服を着せていないため布団を剥ぐと裸体だ

 

「どういう事かしら?」

「そういう事だよ」

 

目線の位置が下がっている事に気づいたのか、憎しみの目を俺に向けるスコールを俺は見ながら答える

 

「肉体を再生治療で治した、ちなみに慈善事業じゃないから後で請求する」

「勝手に···!!」

「するよ?」

 

笑いながら俺は彼女が言おうとした言葉を奪う

理解こそすれ、認めないからな?

 

「だいたい、悲しいだけの人生に価値はないさ。俺が言いたいのは前を向く事だ、マイナスで残るのは絶望しかない」

「そういう貴方はプラスね、何人救えるか、何人助けられるかなんて」

「大多数はプラスなんだよ」

 

そう言って頭を撫でる、嫌そうな顔をして彼女は睨んできた

 

「あぁちなみに、細胞培養の関係上、肉体年齢が15歳まで低下しているが気にするなよ」

「気にするわよどういう事かしら!?」

 

(º∀º*)ア- ヤッパリ?

···だろうな、気にしない方が無理か

 

「細胞の質があまり良くなかったんだ。だから応用がかなり効く俺の開発したナノマシンで急速培養した、その際に培養できる限界の年齢が15歳なんだよ」

「理不尽な···っ!!」

 

おうとも理不尽さ、それがどうした

 

「それに、やり直しにはいいだろう?」

「···?」

「人生をやりなおしてみろ、良い事も嫌な事も、もしかしたら子供も、生まれるかもしれんぞ?」

「え···子供?」

 

彼女は結婚歴がない、子供もいなかった事が判明している

それもそうだろう、物心ついた頃から戦争のために生きていたような人なのだから

 

「本当に、産めるのかしら?」

「あぁ、産めるよ」

 

実は彼女、子煩悩である。一夏達を襲っていながらダメージを軽くするなど、子供には弱いし、本来は優しい

それゆえに狂ってしまったのだが、問題さえ解決させれば戻れるはずだ

 

「やがて出来る大切な人と、共に歩んでくれ」

「感謝は、しないわよ?」

「ふん、しなくても構わん」

 

俺はそういいながら紙を出す、請求書を

 

「···え?」

「残念だが現実逃避は許さん」

 

請求額、12億円。全身規模細胞急速培養装置稼働費と、保険適用外手術費用だ

 

「・・・」

 

目が点になっている、法外な金額に

 

「安くしようか?」

「嫌な予感がするわね」

 

その予感は当たるぞ

 

「IS学園に、新しい名で所属するならチャラだ」

「どの面下げてそんな事が出来ると思っているのかしら!?」

 

この面下げて

 

「はぁ、どのみちそうするしかないのでしょう?」

「おう、ちなみにオータムは既に了承したぞ」

 

オータムはチョロかった、戦闘狂のきらいがある彼女は強敵と毎日遊べると言ったら二つ返事だった

 

「もう、どうでもいいわ」

「じゃ、了承したという事で」

 

書類を出し、書くように促す

 

「これから、どう生きればいいのよ···」

「自分で決めろ、縛るものはない」

 

自分で自分に命令して行う任務だ、他人に押し付けられるものではない

 

「そう···」

 

どこか遠い目をしながら、黙々と彼女は書類を書いていく




スコール救済策は最悪の嫌がらせでした。
主人公は酷い人。

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再戦のクローン

それは再戦するために用意された戦場、その場に立つのはオリジナルである藍澤・カズマとクローンであるノインツェーン


「電脳空間で再戦とはな!!」

「こうした方がいいだろう?」

 

情報を互いに接続すれば普通の人間は脳死(フラットライン)に陥っている

そんな空間で戦闘を開始するのはオリジナルである藍澤・カズマと私、ノインツェーンだ

 

「では、こういう催し物はどうだね?」

「がっ・・・!!あぁ・・・!!」

(攻性防壁が全面に稼動中です!!逃げ場ありません!!)

 

私の機体に搭載されているAIがそう告げる、それでも!!

 

(状態(コンディション)さらに悪化、このままでは脳死(フラットライン)です!!)

「それは、嫌だな・・・」

 

なんとか立ち上がり、目の前にいるオリジナルを睨みつける

 

(直ちに撤退してください!!ここで貴女が死ぬ必要はありません!!)

「私は何京回も、あの人が誰かを忘れてしまうくらい、殺してきたんだ・・・」

(・・・っ!!)

「この身体を得ても、すぐ近くにいたのに取り戻せなかった・・・何回も!!」

 

ボロボロに成り果てた身体を奮い立たせ、身に纏った相棒に告げる

 

(それがどうかしたんですか!?このまま放置してもやがて機能を停止するんですよ!?)

「まだだ!!あと、少しで・・・!!」

(撤退してください!!)

「私の退路は、前だ!!」

 

オリジナルはさらに出力を上げ、殺しにかかってきている

それでも抗っている自分に驚いているようだ

 

(馬鹿ですか!?)

「悪い、我侭だ」

(理解できません!!)

「こんな馬鹿者だが、付き合ってくれ!!」

 

互いに言葉が詰まる、先に切り出したのはAIの方だった

 

(自己判断による情報管制法則(ロジック)第三条に基づいて、余剰処理能力の全てを貴女の効率的な戦闘に寄与します!!反応装甲(リアクティブアーマー)のように過負荷が閾値を超える度、リセットのために電脳空間における身体機能の一部を爆破・制限。戦闘続行とともに現実でも肉体の機能に欠損が生じますがよろしいですね!?)

「あぁ、ありがとう!!」

 

 

そのお陰で体が軽くなった、これで、行ける!!

 

「こんなものが、いまさら効くものか!!」

「ノインツェーン、何故そこまでする。何を以って、捉えてみせる。そこにどのような理由がある?」

「前にも、聞かれたな」

「お前が追いかけている人間は、この世界で戦死した人間の固有無意識を誰かが出力した効果(エフェクト)に過ぎない」

 

あぁ、それはもう

 

「聞いたさ、既に。何処にもいないことだって知っている」

「あれは、蜃気楼のようなものだぞ」

「オリジナル、私には正しさなんてものは分からない。お前の方法が、一番適切なのかもしれない」

 

それでもやっぱり、惚れたのだ

 

「あの人はいつも他人に面倒をかけていないか考えていて、泣き虫で、優しくて・・・戦争なんて似合わない。欠点ばかりが目立つ(ひと)なんだ。その意志が、戦争で犠牲になっていくこの世界の総体から出力されている効果(エフェクト)だというのなら」

「・・・」

「そんなのは、悲しすぎるじゃないか・・・」

「そうか・・・」

 

少しだけ悲しそうにしたオリジナルに私は告げる

 

「それを正しいというのなら・・・やはり、今のお前は間違っているんだ!!藍澤・カズマ!!」

「だから来たのか・・・」

「だから行くんだ!!」

「ならば行け、俺も行く」

 

それに私の返す言葉は

 

了解(ヤー)!!」

 

そして、攻撃は交差し、同時に覚醒した

 

「勝ったぞ、今回は私の勝ちだ!!」

「・・・ぬぅ」

 

勝った、ギリギリだが勝った!!

 

「認めよう、今はお前が強い」

「やったぁ!!」

「で、どうして欲しい?」

「そうだな・・・」

 

少しだけ悩み、そして告げる

 

「私の戦いを、手伝って欲しい」

「だとしたらお前の機体を大規模に改修する必要がある」

(触られたくありません)

 

AI・エックスが拒否を表明する、しかし

 

「してくれ」

(そんなぁ!!)

「了解した」

(ふえぇぇ!!)

 

泣き始めたエックスを叩いて黙らせ、話を続ける

 

「お前の脳の処理効率は恐ろしい領域に達している、しかし脳内に残っているブラックボックスデータはまだ2層残っている為どうしようもない」

「そこで確認したいんだが、一体どうやって開放しているんだそれ?」

「あぁ、それについては最初から説明しなければならんな」

 

モニターに表示されるのは私の脳の活動領域を表したデータだ、一部が黒くなっているのはその部分が活動していないからだろう

 

「まず、脳の過負荷を巻き込んで自動的に最適化する同調(シュミットトリガー)。これは簡単言うと味噌汁にラーメンを付け加えて味を変えるようなものだな」

「ゲロマズ」

「黙らっしゃい」

 

パシンッ!!と叩かれた、痛くはないが・・・

 

「次に同調(シュミットトリガー)とは異なる再構成、復旧(リカバリー)、これはまぁ、バイクを一回完全に分解(バラ)して再度組み立てるようなものだな」

「うわ、めんどくさ」

「やかましい」

 

再び叩かれる、今度は少し痛い

 

「残りは接続(リンクアップ)とオーバーラップだが、前者が仲間との絆と考えて後者は自分の信念か」

「・・・」

「やっぱ黙るな、何考えているかわからん」

「ひどすぎるぞ!!」

 

否定できない自分がいる気がした

 

「じゃあ、具体的にはエックスと決める形でいいか?」

(是非ともそうしてください、マイスターにペタペタ触られたくありません)

「エックス、それ以上ふざけた事言うと分解(バラ)すぞ」

(ぴぃ・・・)

 

また泣き始めた・・・




作者のお楽しみ回です。反省はしている(`・ω・´)キリッ

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戦勝祝賀

戦いに勝ち、一時の平和を祈る者たち
そして、新たに加わる者たちと共に、小さくも華やかな催し物がされる


「ようやく全員揃ったわね!!」

「「つっ・・・!?」」

 

祝賀会の会場に出てきたら鈴がそう言ってせいでノインとスコールがビビった

 

「ねぇ、今すごく失礼な態度だったんだけど?」

「安心しろ、君だけにじゃない」

「あーあーそりゃあ良かった・・・て駄目じゃない!?」

「ひっ・・・!!」

 

ほら、またノインが驚くじゃないか。コイツ言葉は強いけどビビリなんだぞ?

 

「だ、騙したなぁ!?」

「なに言ってんだ?脅しかけた上に全員医務室送りにした側なのに」

 

うん、酒飲もうとは言ったけど全員とはいってなかったからな。ざまぁみろ

それに一夏が反応して言うと・・・

 

「う・・・それは・・・」

 

流石に責任を感じてるのだろう。ノインは視線をさまよわせながら身を震わせる。

それが可愛い

 

「え、何、なんで俺が虐めてるみたいになってるんだ?」

「事実を言っただけじゃないかな・・・」

 

シャルロットが一夏のフォローをしているので俺はノインのフォローをする

 

「思った以上に繊細だから、優しくしてやってくれよ?」

「あれだけ手酷くやられて、それは無理ですわよ」

 

セシリアの言うことは確かに事実だ、うん

 

「スコールはいろいろ手がけるようだが、コイツはどうお返ししていくのか、楽しみだな?」

 

うわー織斑先生が邪悪な笑みを浮かべてるー!!超楽しそうですね、わかります

そしてノイン、ご愁傷様

 

「私は食べて寝るだけの生活ができたらそんなに悪くなかったよ?」

「お前は食い意地張りすぎなだけだろう?」

 

セリアとアヤナはそう言って二人の(罵倒しあう)世界に凸った

 

「あの、これじゃいつまでも始められませんよ?」

「一同、山田先生の指示だぞ」

「「は、はい!!」」

 

目に見えない浮遊銃座(フローティングタレット)からチキチキ音を出して全員を震え上がらせる

 

「では代表して、織斑、乾杯の音頭を取ってもらおう」

「わかった」

「おー!!」

「それじゃあ、今日は・・・えーっと、これからいろいろ大変なことになりそうだから、その鋭気を養うためと!!」

 

それで一度言葉を区切り、一夏は続ける

 

「それから、俺達にはとっっっても馴染み深く忘れもしないスコールと、フルボッコしてくれやがったノインツェーンの快気祝いだ!!だからそこっ!!」

「はひっ!?」

「なに!?」

 

ノインとスコールが驚きながら一夏に返答する。そして

 

「俺達ではとっくにオチつけたから遠慮なんてするなよ!?」

「そ、そう・・・でも」

「でもぉ!?」

「どうすれば、いいんだ?」

 

スコールが驚きながら返答して、続く質問をノインがする

それに一夏は

 

「楽しめっ!!笑えっ!!飲んで食えっ!!クラスメイトで(一般常識の)教育係を拝命したんだからな!!」

「えぇ・・・」

「引くなよ!?もう行くぞ!?やるぞー!!」

 

そして一夏がジュースの入ったコップを掲げ、声を張り上げる

 

「乾杯っ!!」

「「乾杯!!」」

 

俺はその後すぐに織斑千冬の元に行き酒を持ち込む

 

「酒はいかんだろう?」

「未成年?なにそれ?おいしいの?」

「・・・」

 

酒を飲んでいたのは俺だけじゃなくスコールとノインもだった

一夏を呼ぶか

 

「あぁ、一夏!!」

「なんだ?」

「あそこに馬鹿とバカと馬鹿がいるだろう?」

「あぁ、スコールさんとセリアとノインだっけ?」

 

よくまぁ丁寧だこと

 

「あの三人が飲んでるのは酒だから飲み過ぎないように注意してくれ」

「わかった」

 

あれ、気づかれてなくね?

 

「「っていうか死んだはずの奴がなぜここにいるんだ!?」」

「超いまさらだなおい!?」

 

遅すぎた、由宇が凍っていた

 

「どうした?鳩が豆鉄砲で撃たれたような顔じゃないか」

「・・・」

「敵を騙すにはまず味方から。って言うだろう?」

「・・・」

 

完全にフリーズしているその姿は可愛らしくもある

織斑千冬、山田先生、篠ノ之束、セリアの4名は今回の作戦の詳細を知っているので誰かに教えているだろうが・・・

 

「「・・・」」

 

あ、誰も知らないんですね・・・

 

「さ、みんな飲め!!そして食え!!経費は全て俺持ちだ!!」

「よぉしみんな、コイツの財布から金を消し飛ばすぞ!!」

「「おぉー!!」」

「え、それ非常にこま・・・まぁいいか」

 

どのみち、このあとはしばらく平和だ

その間、みんなには鋭気を養いながら競い、学んでもらおう




短いながらも平和の日々に戻ります。これでいいはず
はてさて、本作はどのようにこれから進んでいくのか・・・


感想ください、作者のエネルギー源になります


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仕組まれた模擬戦

それは用意周到に仕組まれていた模擬戦
それを知らない主人公は?


「シュミレーションねぇ・・・」

 

ある日の放課後、シュミレーション的な模擬戦をやることになった

相手は一夏らしい

 

「久々だが、肩慣らしにはちょうどいいか」

 

そう思い、ブラックフレームを展開、アリーナ上空に出る

霧を人工的に発生させており、あたりは見えづらいのでセンサーを最大出力で稼働させる

 

「・・・ん?」

 

そのセンサーが捉えた映像情報が表示される、7機・・・だと?

 

「一夏のハーレムじゃねぇか!!」

 

一夏を含め、箒に鈴、シャルロット、簪、ラウラ、セシリアである

たしかこの時間、生徒会で貸し切っていた気が・・・

 

「おい違う相手が紛れ込んでるぞ更識楯無!!」

 

返答がない、が続ける

 

「しかもモロに凝視されてるし、おい?あの、もしもーし!!」

 

応答がない、おかしいだろ!?

 

「変な人達が銃口向けてきまーす!!おい!!冗談だろ!?」

 

通信がきいていない、つまり・・・最悪だ!!

 

「行くぞみんな!!」

「おー!!」

 

その日、アリーナに俺の絶叫が木霊した・・・ってまだこれからだろうが!!

 

「えぇい、ままよ!!」

 

霧が晴れ、楯無など上級生の専用機持ちを除く全員が俺に断続攻撃を仕掛けてくる

戦術提案は織斑・千冬だな、畜生っ!!

 

「よっし、こっちは大丈夫だな!!」

 

戦闘の片手間にサブの通信回線で接続し、通信する

 

「今回みたいな手違いはもうするなよ更識楯無!?」

「ふふっ・・・」

 

あ、こいつ今笑ったか!?

 

「音声不良か?」

「あははっ・・・!!」

「待て、今なんで笑った?」

 

あからさまに笑ってやがる、こ、このガキ!!

 

「まさかわざとかよ!?」

「そうだぜ、カズマッ!!」

「危なっ!!」

 

先に仕掛けた一夏の専用機、白式の零落白夜の斬撃をスレスレで躱し、背中を蹴り飛ばして壁面に叩きつけ一時戦闘不能にする

その間に続いて攻撃を仕掛けてくる鈴とセシリアのコンビにドラグーンを差し向け怯ませ、互いに最大出力の砲撃をぶつけ合いさせ、衝撃で吹き飛ばされたところをフルブラストで一夏と同じ目に合わせる

 

「うそっ!?こんな実力差なの!?」

「実戦経験が違うのだよ!!」

 

それでもこちらは被ダメ蓄積中と手負いな状況、連度が非常に高くなっているのは成長を感じられて嬉しいが、徒党を組むのは少しダメだな・・・悪いとは言わないが

 

「改めて、俺が教育的指導をしてやる。実戦訓練開始だ!!」

「うぇぇ・・・」

「そこ!!嫌な顔しない!!そして逃げるな箒、簪っ!!」

 

逃げようとした箒と簪の、おそらく趣旨を聞かされてなかったのだろう二人をドラグーンの砲撃で逃げられないようにしこちらに集中させる

 

「俺に勝ったら夕食後のデザートを作ってやる、全力で来やがれぇぇぇ!!」

「「行くぞおぉぉぉぉ!!」」

 

どうやら俄然やる気が出たらしく、その後は久々に総力戦になった

機材こそ壊さなかったが、アリーナの内壁がいくつか破損したらしい




主人公も時たま騙されるのである。
にしても平和な回って書きにくいなぁ・・・


感想ください、作者のメンタルが復調します


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記憶喪失

それはありえない出来事
織斑・マドカに起きる悲劇、それを引き起こしたのは・・・?


「・・・」

「久しぶりだな、織斑・マドカ」

 

IS学園より少し離れた廃倉庫の中にある部屋の中で俺はそう告げた

相手は織斑・マドカ、一夏を襲い、一年の専用機持ちに手酷いダメージを追わせた女の子だ

 

「・・・何をしても話はしないぞ」

「話させる方法は別に薬と決まっていないさ、快楽漬けにすれば話は早いからな」

 

拷問や精神破壊の方法は簡単であるが、どれも廃人になる危険性が高い

ならば、遮断しようのない感覚である快楽を精神が屈服するまで与えればよいだけだ

その中で言葉をうまく利用して自分にとって最も上手く操れる駒にする事も可能である

 

残念だが、その気は毛頭ないんだが

第一、ここで捕まえている理由は彼女にとって、最悪だろう

 

「少しだけ、昔話をしようか」

「・・・」

「ある所に、人間の脳における記憶・・・海馬の機能を操作する技術をマルチフォーム・スーツのコアに連結させたマッドサイエンティストがいました」

 

これから語るのは最悪の一言に尽きる。

話すのですら躊躇われるそれは、俺がかつて生涯唯一の賭けとして実行した事なのだ

 

「その人物は、自分を超える力を持つ自身のクローンにコレを行い、彼女を逃す事に成功しました」

「何を言いたい?」

「まだ話は終わっていないよ」

 

ナイフを近くの床に投げつけて警告し、話を続ける

 

「彼がやりたかった事はなんだと思う?」

「知らん、興味もない」

「他人に押し付けられた法則(ロジック)から、その子を解放することだよ」

 

その言葉を言うと、意味が分からないという顔で俺を見てきた。まぁ、当然だろうけど

 

「私は私の目的で動いている」

「その中には、織斑一夏と織斑千冬の殺害も含めるのかな?」

「・・・」

 

沈黙は肯定だな、表情は微動だにしていないが、目の奥には復讐にも似た何かの反応があった

 

「悲しいな、自らを縛り、涙を忘れるとはね」

「・・・」

「だから、用意してあるんだよな」

 

部屋の電源を完全に入れる、彼女を捕らえている装置を中心に用意されていたのは

 

「まさか・・・!!」

「その通り、君が今思ったこと、正しくそれを実行する装置群だよ」

「貴様・・・!!」

 

あいにくと完全ではないため出来るのは精々、記憶喪失に留まる

人格を変えるほど器用なことはできないのだ

 

「殺す・・・!!」

「いつでもどうぞ、既に装置は電源入っていて、逃げることもできんがね」

 

途端、彼女は暴れだした。

当然だろう、自分の記憶が、自覚できる形で失われていくのだから

 

「やめろ・・・やめろ・・・」

「・・・」

「やめろおぉぉぉぉぉっ!!」

 

最後に絶叫を残し、彼女は意識を失う寸前に行く

その前に、俺はメッセージを残す事にした

 

「予定とは、異なっているのかもしれない」

 

このメッセージこそ本命にして切実な願いなのだ、その為に捕らえた。

 

「だが、ここまで辿り着き、このメッセージを聞いているのなら・・・」

 

未来の流れを考えるだけで、彼女にとって、とても辛いことがあるだろう

それもわかっているが、それでも残したい

 

「そう、なんであれ、君は取り戻せる。あるいは既に、その手に抱いているのかもしれない」

 

しかし、残すこと自体には意味こそ存在はしない。辿り着く事(・・・・・)に意味があるのだ

 

「記憶喪失によって解放された自己解釈の広がり、あるいは個人の感覚の中では、それぞれの時間や空間の概念も異なり、時たまに曖昧だ。だから、鶏が先か卵が先か、私が誰であるのかもとりとめのないものなのだろう」

 

あぁ、でも、ちょっと心配だな

 

「君は私が誰か知っているかもしれないが、それを私に知る由もない。だが、手を尽くさねばならないことは知っている」

 

これを付け加えればとりあえず、間違いはないだろう

 

「人が生み出した災厄は、人の手で刈り取らねばならない」

 

そう、彼女のDNAを調べたことで判明したことがあったのだ

それこそ、織斑千冬のDNAと80%が一致したのだ、残りの部分も、手を加えられた形跡がある

 

「同様に、人類が生み出してしまった悲劇である君には、一つの世界すべてを賭けてでも、幸せになる権利と義務がある」

 

だが、彼女を利用しようとする輩も多い・・・

 

「しかし奴らは、再び君を犠牲にしようという。従ってそこに、一つの可能性を用意しなければならなかった・・・」

 

でも、残念な事に、これは賭けだ

 

「これは生涯唯一の賭け、私の我侭(エゴ)だ」

 

そう、何故なら

 

「君にかつて運命づけられた在り方が、無慈悲な少年・少女兵だったとしても。いや、そうであるからこそ」

 

君の、その名こそ、本来の意味としてとらえて欲しいものだ

 

「君の見る空が、鳥籠や、戦火の中であってはならない」

 

限られた可能性や、絶望であって欲しくない

可能性がある限りどこまでも飛べる存在であってほしい

 

「その思いと、私が誰かに伝えられなかった言葉。そして確信を込めて、この計画(プラン)を設定する」

 

だから、生きてくれ。どんな結果になろうと、誰かを泣かせるためでなく、守るために

 

「おめでとう、織斑・マドカ。私の手を離れたこの先に、何があったとしても・・・君は必ず、運命に勝利する」

 

彼女の視線の先にあるのは、その計画の名前を書いた一枚の紙

それを捲り、本来の名前を出す

その計画の名は

 

「Break Destiny」




主人公が犯罪行為に及んでいる件について
まぁこれから先が本番さ(`・ω・´)キリッ


感想ください、作者のエンジンになります


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酒飲み

酒を飲みながらする話は、本来ならば会議もの
苦労人達は、共通する人物によってさらに苦労することになる


「なに・・・?転生者の残存集団が織斑マドカを狙っているだと?」

「あぁ、現在地は掴めているが気にしたほうがいいな」

「どうやって掴んだ?」

「情報屋」

 

織斑・千冬との会議中にそのような報告があった。

報告者は藍澤・カズマ。つまりは俺の指揮官なのだが

 

「藍澤はどうするか聞いてくれ」

「既にしている」

 

電話がかかり、出る

 

「保護できるようなら保護、できないならふん縛って連れ去れ」

「前者は問題ないとして後者は後々問題になるぞ?」

「それでも相手に利用されるよりは幾分マシさ」

 

環境音から察するに駅前だろう。時間は既に危ないが気にしていないだろうな・・・

 

「問題なのはその身柄だけだ、意志は関係ない」

「ひどい男だ」

「何を今更」

 

エンジンをかけたことからおそらく自分持つ大型バイクだろうな、年齢詐称な気がしてならない

 

「これから向かう、俺のほうが近いはずだ」

「任せていいか?」

「ちょうど今日、サイドカーが来たところでな、試しに運転したかったんだ」

 

全く、趣味に走るとどこまでも行くんだから・・・

経費のこと考えてくれよ・・・まぁ、最近はリーナ少尉がかなり絞めてるけどな

 

「位置データを寄越せ、これから向かう」

「了解した、情報を送る」

 

おそらく、成功したんだろうな・・・これからが大変だ

 

「やれやれ、途中戦闘が起こる可能性がある、気を付けろよ?」

「了解だ、今から向かう」

 

電話が切れ、通信が終了する

 

「さて、一人増えるが問題はないだろうな?」

「一人増えようと三人増えようと問題ない。だがここ最近多いな?」

「あんな奴だからな、しょうがない」

「諦めの境地か?」

 

あぁ、もうある意味で諦めだよ

 

「どうしようもないだろう?酔狂と伊達で日常生活を送るような男だぞ?」

「あぁ、それは出会った時から思っていたことだ、あれほど変な男もいるまい」

 

教師としての呆れと、女性としてのため息の混ざったそれはきっと苦労人だからだ

俺も、部下としてのストレスと悪友のため息が出るぐらいだから

 

「お互い、ヤツ関連で苦労するな」

「あぁ、本当に・・・」

 

再び同タイミングでため息をつき、互いに酒を飲む

この酒は以前、臨海学校でカズマが持ち込んでいたものを取り上げたものらしい

本人は最初からこれを渡そうとしていたものだから問題はない

 

「美味いな」

「アイツ、酒のチョイスはうまいからな」

 

悔しいことに、酒の好みが同じ連中でもある

アルコールが強めの、それでいて舌触りもよいものが好みである

 

「酒ならなんでもいけるんじゃないのか、藍澤は」

「まぁ、可能だと思うぞ、料理用にも使い分けしているくらいだからな」

「フランス料理も出来るのか・・・?」

「あぁ、そして、美味い」

 

今度近くに寄ったら作ってもらうか・・・と織斑・千冬は呟き、再び酒を飲む

酒瓶はまだ、半分近く残っていた

 

「これから、この美味い酒を飲む暇もない忙しさになるかもしれんな」

「飲めるだけ、飲んどこうぜ、明日に響かない程度にな」

「あぁ、未成年」

「年増」

 

ふん・・・と言いながら酒を飲むその姿は、見ようによってはやけ酒だった




酒飲みが好きでもないのに酒飲み回です。美味しい酒とおつまみあればいいのに・・・
次話は、視点が一夏になるかも・・・?

感想ください、作者のエネルギーに変換されます


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保護と組織名改名

記憶喪失の織斑・マドカの保護と、組織名の改名
それは今後の戦争の為の下地となるものであった


「・・・」

「あぁ、おはよう」

 

目を覚ましたマドカに俺はそう話す

セリアと千冬姉から聞いて、臨時で許可を得てカズマの家に来た

家というよりはどこかの豪邸に近かったが、中に入ると基地であることがひと目で分かったけど

 

「ここ・・・は?」

「え・・・?」

 

どういう事だ・・・?

 

「それにお前は・・・?」

「覚えて、いないのか?」

 

まさか・・・?記憶を失っているのか?

 

「うっ・・・!!あぁ!!」

「無理に思い出さなくていいぞ!?」

 

記憶喪失の場合は大変だ、無理やり思い出そうとすると痛みが来ると聞いている

 

「あぁ・・・そうする」

「ここは俺の友達の家だ、自分の名前はわかるか?」

「・・・」

 

無言で横に振るマドカを見て、俺は確信した。

記憶喪失だ、確実に

 

「医者を呼んでくる、ここでゆっくりしていてくれ」

「あぁ・・・」

 

ベッドで再び眠らせ、一路向かうのはカズマの仕事部屋だ

マドカの部屋に行く前に教えられた

 

「カズマ!!」

「なんだ、一夏」

「どうして言わなかった!!」

「あぁ、記憶喪失か」

 

コイツ、やっぱり知っていたのか!!

 

「何があった、マドカの身の回りで!!」

「俺も知らんな、俺が来た時の写真がそれだ、よく見ろ」

 

プロジェクターから表示された写真を見て、呻く

 

「つっ・・・!!」

「現場にあったのは拷問のような跡、十字架のような装置にかけられた状態で発見したんだ」

「だれが、そんな事を!!」

「それはこちらでも捜査している、幸いにも命に別状なしだからいいものだが、肉体に相当な負荷がかかったことで記憶を失った可能性がある」

 

握った手から血が出てくる、それほどに強く握っていたのを気づいた

 

「なんとしても、見つけて、俺に教えてくれ・・・俺が、倒す」

「わかった、見つけ次第こちらで強襲作戦を立てる、その際はお前に参加させる形でいいか?」

「あぁ、そうしてくれ!!」

 

その後、医者が来てすぐに診察された結果、確信したとおり記憶喪失と診断された

それを聞いて、寮にすぐ戻り、明日からの模擬戦の訓練内容をより厳しくしてもらうようにセリアに頼むことにした

 

 

 

<会議室、カズマ>

 

「さて、これより定例会議を始める」

「本日の議題は一つですのですぐに終わります」

 

大型モニターに表示された議題は、PMCエグゼの改名である

理由は組織所属員数が増えた事により、世界各国から仕事が多く来るようになった事

それにより、PMCとしてきちんとした名前にしたほうがいいだろうと思ったのである

 

「議長提案ではWALRUS(ウォルラス)です、議長、組織名の意味はなんでしょうか?」

「あぁ、日本名で"未来の骨組みのための、進歩的な誠意ある血統の戦争"の頭字語だ」

「それで英語の・・・」

「War of the Advanced Loval Rase Unborn Skeleton」

 

秘書になってもらったリーナ少尉が納得した表情で頷く

 

「賛成の方は挙手を、反対の方は退室ください」

 

最後に賛否の確認を取り、結果、誰も反対せず新組織名は決まった

 

「では、次の任務から本組織名はWALRUSとなります」

「緊急で済まないが、今日の議題はこれにて終了とする。これからの仕事でも、君たちがあらゆる陥計に惑わされず、腰を据えて敵を殲滅してくれる事を期待する」




WALRUSの名前は某PCゲーから持ってきたものです。
さて、今後の展開はどうなるのか・・・

感想ください、作者のパワーになります


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リ・ファーストコンタクト

それは因縁の再会。
かつての宿敵は記憶を失い保護された、戸惑うのは交戦したことのある専用機持ち
そして戦闘が始まり、記憶の一部を取り戻すことに成功するマドカも、戸惑う


「・・・」

「なんだ?」

「なんでもない」

 

転校生の紹介と聞いてテンションの上がっていた一組所属の専用機持ち(一年の専用機餅全員)は、顔を見て速攻で唖然となった

過去に数度、敵として立ちふさがり、襲っても来た人物であるからだろう

 

「後で織斑先生にお話を聞こうかな・・・」

「そうしないとわからんだろう」

 

全員、その確認をする気で昼休みとなる。俺も巻き込まれて、来たのは職員室だ

そして・・・

 

「その事であれば、保護した藍澤が詳しく知っていると思うが?」

 

コレである、責任を丸投げしたかったのに

 

「どういう事だ?」

 

質問してきたのは箒だった、少し怒っているようだな・・・

 

「薄々感じてはいたのだろうが、エム・・・あぁいや、織斑マドカは記憶喪失になっている。記憶が戻る可能性があるものの、保護できるのなら厳重だけど学べる場所であるIS学園に通わせた方がいいだろうと判断して会議にかけてもらい、承認を受けた訳だ」

「合理的ではあるけど、こっちは驚きだよ?」

「すまないな、俺も途中で来たわけなんでね」

 

俺は三時間目からの出席である。というのも、自分の組織であるWALRUSの緊急会議に行ってたからだが

 

「カズマ・・・忙しいのはわかるが、学業も疎かにするなよ?」

「しないさ、学べる期間を大切にしないと後々痛いからな」

 

一夏の心配も問題はない、学業に関しては暇なときに教科書読む程度で済ませているものの基本的には追いついているし、IS関連であれば習う前に覚えているうえ、俺が元いた世界で開発した技術と近似しているからな

 

「織斑先生!!」

「どうした、山田先生?」

「敵襲です!!以前強襲したファントムタスクの残存勢力かと!!それと・・・」

 

口パクだが、何を言ったか理解した。

山田先生が言ったのは、"転生者"・・・最悪なことであるが、今の一夏達なら問題はない

戦勝祝賀の後、一夏達は自惚れることはなく、むしろもっと強くなろうと決意したそうだ

理由はそれぞれだが、纏めると仲間を守るため。奇しくも、実戦がいい刺激になったことになるな

 

「どこから来ている?」

「港湾部からです、資材搬入船に紛れ込んでいた模様です!!」

「専用機持ちで迎撃、いけるな?」

「はいっ!!」

 

よし、ならばちょうどいいな

 

「マドカも呼ぼうか、一応、専用機持ちだし」

「そうしたいところだが・・・最悪だ」

「あ・・・?」

「既に交戦中だからな」

「はぁ!?」

 

聞いてないぞおい、どういう・・・って

 

「散歩か?」

「いや、探索といったほうがいいか」

「あぁ、なるほど」

 

その最中で敵に会うなど最悪だろうな。しかも記憶がないにも関わらず

 

「急ぐぞ!!」

「あぁ!!」

 

急いで向かわねば、危険なことになるやもしれん!!

 

「な・・・」

「これは・・・」

 

着いたら事が終わっていた、言うまでもない、マドカが全員ヤっちゃったのだ

その本人は気を失っているが

 

「あーぁこりゃひでぇや、全員ヤってるわ」

「・・・」

 

凄惨極まる場面になっている、夥しい血痕は全部敵のものだろう

何せ、マドカ本人は怪我一つしていないのだから

 

「まぁ、まだ呼吸はしているから大丈夫か」

「記憶を失っていても、これほどの実力なの・・・?」

 

青ざめた顔で呟くシャルロットに俺は頷く

 

「記憶には段階がある、大きく分けると二つだな。体で覚えた記憶と学んで覚えた記憶。彼女が失ったのは後者だ」

「じゃあ、これは・・・」

「一夏の予測通り、これは無意識に行なった戦闘行為だよ」

 

全員が絶句する、無意識に動いただけでこれだけの戦闘能力に

 

「初期の俺以上の戦闘能力だな・・・凄まじいの一言だ」

「・・・」

 

みんなが無言になり、現場を見つめる。

既に救命隊が入り、活動を開始した

 

<???、マドカ>

 

赤い砂嵐が見える、その後にどこかの場所に居た

 

「うあっ!!」

 

猛烈に痛い、ここはどこだ?わからない

 

「はぁ!!はぁ!!」

 

そういえば私は襲われて・・・何をした?

 

「人を・・・ぐっ!!」

 

殺した・・・のかもしれない。気が付いたらそうなっていた

どうしてか分からないうちに意識を失ったのだ

 

「くっ・・・あぁぁぁっ!!」

 

赤い砂嵐に場面がもどる、酷い痛みに絶叫しながら私は、冷たい電子音声を聞いた

 

同調(シュミットトリガー)




はてさて、この先の展開はまるで考えていないが無事にできるかな・・・
基礎から離れていくオリジナルのストーリ展開だしね・・・
でも、最悪な事にはしないです、絶対



感想ください、作者の投稿速度が上がります。


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敵の目的

暗躍する敵、目的は不明
対策は一つだけでなく複数あって、公開することも出来ない困難さが問題


「確保した敵の1人から証言が得られました、確実に転生者です」

「ふむ、学園を強襲した理由は?」

「証言者本人は織斑マドカを連れ去るように命令されただけなので分からないそうです」

 

報告を聞いていた織斑千冬はため息をつく、末端の戦闘員であろう証言者にこれ以上聞いても有力な情報は得られないからだ

だがしかし、それを補って余りある情報を持つ者がいる、それは正しく、俺、藍澤·カズマだ

 

「藍澤、どう思う?そちらの情報と照らし合わせて」

「転生者の寄せ集めにしては情報統制と秘匿性が高すぎる、可能性程度であるがかなり強権で高効率な組織運用がなされていると見ていいだろう」

「それは、つまり?」

 

山田先生からの質問に俺は答える

 

「敵は手ごわい、という事です。俺としては、転生者の中でも組織統率力に優れ、カリスマ性もある人物であり、なおかつ俺の事を知っている人間だと思います」

「藍澤と同じ世界の人間か、あるいはかつての同業者ないし敵の1人と言いたいのだな?」

「えぇ、おそらくその中のいずれかです」

 

可能性としての話なので確証はない。

しかし現有するパーツを嵌めていけば繋がるのはそれしかないのも事実だ

依然として正体がつかめない、掴ませない組織ほど身内にいたりするものだから、恐ろしさは何倍にも膨れ上がる

 

「でも、ここまで巧妙だと、かえってそれがカギになっているところもありますよね···」

「あるいはそれも敵の掌なのかもしれないな」

 

恐ろしさは疑心暗鬼に変換される

それがやがて不和を呼ぶことになる危険性でもあるのだが···

 

「どうします?これからも襲われますよ?」

「撃って出たら敵の勝ち、引いて待っても敵の勝ち···八方塞がりだな」

 

ならばどうするか?

ならば···最後の手を使うまで

 

「餌を撒くかねぇ···」

「エサ?何がある」

「織斑マドカ、スコール、オータムの3人だよ」

 

取り戻したくば本気でかかってこい、と挑発し来た方が残存、残りは転生者

そして残った方を強襲する。

作戦としては二面展開が強いられ、戦力分割も大変なことになるが仕方あるまい

 

「ですが、ものすごく危険です」

「スコールもオータムもその危険を承知済みだよ、問題は記憶を失っているマドカだけどな」

 

記憶を失っている彼女にその危険を負わせたくはない

むしろ避けたいところであるがこうなれば仕方なかろう

 

「山田先生、現有戦力で効率的な分割は可能か?」

「難しいです、連戦している影響から専用機の回復が急務ですね」

 

ここの所激しい戦闘を繰り返しており、ダメージからの回復がなかなか難しくなっている

ブラックフレーム、ブルーフレーム、グリーンフレームの3機はISと異なる技術体系のために問題こそないが、戦力としてはバランスが非常に危うい

最悪、俺が単騎で防衛を担当し、2人が強襲という形にせざるを得なくなるかもしれん

 

「期間が必要ですね···」

「まだ暇はある、ゆっくり回復してもらおう、精神的にも、な」

「あぁ、そうだな」

 

今回の会議では時期尚早と判断した、ボロボロでこそないがソコソコに痛いダメージを負っている今、無茶はできない

無謀な手段に出たところで敵の思惑通りになってしまうのだから




暗躍する組織の事が次話で判明する···か?
そしてその目的とは?
次話、久しぶりの急展開!!


感想ください、作者のエンジンです


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弟子、襲撃

かつての弟子が襲撃してくる。それは敵にとって最悪の事だった
同時に、主人公の義妹にも


「フィーネ、やはりここでも立ち塞がるか」

「すまんな、今のお前を行かせる訳には行かない」

「・・・」

 

数週間穏便に過ごせたかと思えば、そんなことはなかった

あと一日、あと一日あれば良かったのだ

それを・・・!!

 

「敵に対して頭にきているのは分かるが、冷静になれ、ここでお前が前線に出ても意味はない」

「くっ・・・!!」

「その代わり、私が出る」

 

フィーネの提案に、俺は驚く

彼女の本来のポジションから考えて防衛向きなのだ

それにも関わらず前線に出るという事は、隠し玉があるのだろう

 

「それでいいか?」

「あぁ、構わん、今回の戦闘、俺の代わりに出てくれ」

了解(ヤー)

 

そう言うと敬礼して彼女は出て行った、俺はすぐに管制室に入る

 

「敵の分布は?」

「今出します!!」

 

メインモニターに出された映像から、敵は三人で組み、二段構えで襲撃していることがわかった

 

「迎撃部隊は最前線より1層後退、二重鶴翼陣で狙撃!!」

「了解!!」

「専用機持ちの全員は迎撃部隊が漏らした敵の殲滅に集中!!」

「わかった!!」

 

戦況把握が忙しい、大変な事になる前に対処せねば!!

 

「戦況情報をメインモニター半面に、こちらで対応する!!」

「り、了解!!」

 

半分割画面にメインモニターが切り替わり、戦況画面が左側に表示される

 

「迎撃部隊、陣形そのまま、前進!!」

「了解!!」

「すごい・・・こんなに混戦しているのに・・・」

「専用機持ちの各員は迎撃部隊の後方につきコレを支援しろ!!」

 

すぐに返答があり、行動に反映されていた

これでいい

 

「別の海上より超高々速度で接近する反応を確認!!は・・・早い!!」

「モニターに出せ!!」

「はい!!」

 

新たな敵の映像が出された瞬間、思考が凍りついた

それほどにありえない人間だったからだ

 

「清水・・・ハルト!!」

「えぇ!?知り合いですか!?」

「あぁ、かつての教え子だ!!」

 

転生前に唯一取った弟子であり、最終的に敵となって立ちはだかり倒した人間だ

ここでも敵として出てくるとはな!!

 

「俺が相手をする、指揮を任せるぞ織斑・千冬!!」

「わかった」

 

指揮を織斑・千冬に戻し、俺はすぐに向かう

あいつが使っている機体は俺が開発した、ブラックフレームの量産化後期試作機"ディスティニーフレーム"。

前期の試作で開発されたブルーフレームなどとは異なり、システムの一部機能を削除して軽量化、使用者のポテンシャルに合わせて進化する自己進化ロジックを最初から搭載している

前期試作モデルでは後付け搭載であったため方向性を定めなくてはならなかった自己進化ロジックを標準搭載したことで機体と使用者自身の常時最適化に成功している他、単純性能ではベース機であるブラックフレームより上だが・・・

 

「どうせまた、誰かに操られているんだろうな・・・」

 

アイツは騙されやすい、軍人にしては良人過ぎるのだ。それが仇となるんだぞ、と何度言っても聞きやしない

 

「索敵支援システム最大強度、ピンガー連続発信」

 

普段使わないアクティブセンサーに火を入れ、"ここにいるぞ、さっさと来やがれ"と言わんばかりに連続で発信する

 

「そうだ、まっすぐこっちに来い」

 

案の定引っかかり、こちらに来る

 

「アヤナめ・・・」

 

その前にアヤナが邪魔して落とされたようだ

気絶のようだな、手加減をしたのか?

ログを探った結果、会話していたようだ、内容は・・・

 

「裸の王様だな・・・」

 

腹立たしくなってきた、イライラしてきたぞ・・・

あれだけの苦しい過去を持ちながらなぜまだ学ばないのか・・・

 

「アヤナは会っていたようだな、ここまで言わなかったのは敵だと思っていなかったからか」

 

その時、データが送られて来た

発信元はアヤナ本人からだった、あらかじめ彼に倒されたとき自動送信されるよう、グリーンフレームに仕込んでいたらしい

 

「そろそろか」

 

読み終わりにはもう、残距離は100mとなっていた

 

「よう、裸の王様のお出ましだな」

「どういうことだ?」

「ん?もしかして俺一人じゃご不満か?」

 

実はセンサーを欺瞞していた、ハルトの機体に対して

 

「何故、司令室じゃない!?」

「敵に、それを教える馬鹿はいないだろう?」

「先生・・・見知った中です。今教えて逃げるなら、見逃します」

 

あぁ、同レベルだったからな、そう言えるのか・・・おかしくて・・・

 

「は・・・ふははははっ!!」

「何が、おかしいんです!?」

「教えろ?逃げろ?見逃す?随分と悠長なこと言ってんなぁ、おい?」

「つっ!!」

 

武器を構えたハルトに俺は続ける

 

「アヤナにあんだけ敵だっつって、啖呵切ったのは俺の聞き間違いか?」

「俺と先生は同レベルだと、自分でもわかっているでしょう?」

「ハンデだよ、ハンデ。それくらいくれてやななきゃな」

「話す気は、ないんですね?」

 

あぁ!?このガキが!!

 

「んなもん、ハナからないのはてめぇだろうが!!人の義妹(いもうと)に手ぇ出しやがって!!」

「・・・」

「話がしたいなら!!頭空っぽにしてリセットしてから来やがれ!!そうすりゃ、腐った細胞がキレイに消えて、少しはマトモになるだろうよ!!」

「そんな事をしている暇はないんです!!」

 

あぁ、ダメだ、コイツ本当に成長してねぇ・・・

 

「だったらウダウダ喋ってないでかかってこいよ!!お前アヤナを倒したときわざと手を抜きやがったな!?ありゃどう考えても甘えだろ?」

「あなたには、関係ない!!」

「なければこんなに怒るかよ!!あいつは、お前を助けてくれればどんな事でもすると送ってきたんだぞ!!ボロボロになっているくせしやがって!!」

「話はそれだけですか?」

 

キレかけながらそう言ってくるハルトに俺もキレかけながら答える

 

「お前の言うこともそれだけかよ、そんな調子で敵を屠って、その後どうする気だ?」

「どうもしない、それで終わりですから」

「はいはい、わかりやすい人生ありがとさん。全く、それじゃお前に関わったやつ全員が可哀想だな。かつての懸念通り、浮かばれないにも程がある」

「なんだと・・・?」

 

明らかにキレたのか、怒りの声になっている

気づかないとでも思っているのだろうか?

 

「お、怒ったってことは図星か?清水・マヤだっけか、お前の電脳空間に溶かされた姉貴は?今頃お前を見てどう思ってんだろうな?ヤメテ!とか言って、現出してくるんじゃねぇのか?」

「ふざ・・・けるな」

「ふざけてるんだよ。訳の分からねぇ相手に頭挟まれて、視界が狭まっているのも気づかねぇ狭窄野郎が!!隣の女も見えないくらいなら、いっそ昔の女に浸ってろ」

「つっ・・・!!」

 

ジリッ!!という音と共に半歩近づく彼に、俺は一歩近づく

 

「今なら動画もあるぞ?見てヌいちまうのが怖いのか?」

「黙れ・・・!!」

「あぁ、やっぱダメだ。溶けて消えてちまうからな。そりゃあぞっとしねぇわ」

「黙れっ・・・!!」

 

さらにこちらに近づいてくるので俺も一緒に近づく

 

「ところで一つ聞きたいんだがな、清水・ハルト少尉。お前、溶けた家族からアヤナに乗り換えようと思った事、本当に一度もないのか?」

「・・・殺すっ!!」

 

同時に剣戟から戦闘は開始された、剣がぶつかる火花が散り距離が離れる

離れたところで改良型ビームライフルに持ち替え、互いの装甲を削る

 

「お前、知っているのか?」

「あぁ・・・!?」

「アヤナがお前の姉貴のミトコンドリアクローンだと、知っているのかって聞いているんだよ」

「つっ・・・!!」

 

驚きの表情で俺を見ながらハルトは攻撃を緩めない、このあたりは教導の賜物だろう

 

「なぁ、聞かせてくれよ、少尉」

「ウソ・・・だ」

「てめぇの姉貴のクローンに出会っていて、元気に暮らしている様子を見て、それでも殺した気分はどういうもんだ?」

「だ、ま、れえぇぇぇぇ!!」

 

"殺した"と嘘をついたら、最後の攻撃は当たる前に落とせるほど雑だった、俺は余裕を持ってそれを迎撃し墜とし、状況は終了する

 

「勝手に、殺さないでくれるかな・・・」

「すまんな、酷い事を言った」

「後で一番高いモノ買わせるんだから・・・」

 

途中から聞いていたアヤナが俺にそう言ってくる、俺も苦笑いでそう言って、気絶したハルトを肩に担ぐ

 

「流石に、体は成長してるか」

「頭は成長していないけどね」

「言うな、それもコイツの個性だ」

「ユニークな人が兄さんの周りには集まるよね・・・」

 

そうだな、と言いながら俺は通信を切る




主人公には勝てないよ・・・主人公強すぎだろ・・・
アヤナが意外すぎる秘密持ってたし・・・


感想ください、作者の精神ダメージが回復したり減衰したりします


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キリング イン アクション

通称、KIA・・・それは戦死を意味する頭字語
誰が死ぬのか、どうして死ぬのか・・・


「くそっ!!」

「数だけは多いな!!」

 

その日、俺たちは戦闘をしていた

IS学園からすぐ、廃倉庫の並ぶエリアだ

 

「本当に、多いわね」

「プロミネンス・コートがあるからいいが、いつまでも頼りきりはいかんだろう」

「えぇ」

 

共に来たのはスコールだ、敵は多くないと思っていたが以外にも多すぎた

当初の計算のおよそ5倍はいる

 

「しかも軍が動かない、明らかに俺たちを狙っているだろうな」

「相手はファントムタスクより強い権力がある、のね?」

「あぁ、間違いない」

 

ここでようやく尻尾を掴んだ、有り得ない事だが現にこうしてやられている以上、確定に近い

そもそも、有り得ない(・・・・・)なんて事は(・・・・・)有り得ない(・・・・・)

 

「だとしたら・・・」

「最悪の秘密結社だろうな」

 

想像だに出来ない敵の正体、それは・・・

 

「ファントムタスクより古く、秘密裏に動ける組織・・・まさか」

「あぁ、ようやく正体を掴めたぞ」

 

相手の正体、それは・・・

 

「秘密結社、トゥーレ!!」

「だろうな!!」

 

おそらくこの場で戦闘をしているのは所属していることすら知らない末端も末端の人間だろう

厄介だし、判断に迷う

 

「ものは相談なんだけど」

「なんだ?」

「全員捕まえる?」

「得られる情報はない、無駄に終わるぞ」

 

いいえ、と彼女は反対し、意外な言葉を告げる

 

「案外関係ないと持っているパーツに、意外な関係があるものよ?」

「・・・そうだな」

 

考えてみればそうだった、手当たり次第に探した結果、意外な真実にたどり着くときもあるのを忘れていた

 

「スコール」

「何かしら?」

「それ、乗った」

「いい顔じゃない」

 

悪巧みを始めようとした時、異変に気がつく

 

「攻撃が・・・ない?」

「気をつけたほうがいいわね」

 

攻撃が停止した・・・つまりは・・・

 

「後ろだ!!スコール!!」

「つっ・・・!!」

 

気がついたときにはもう遅かった、世界がスローに見え、彼女が刺されて、落ちていく

 

「スコール!!」

「よそ見を、している場合か?」

「貴様あぁぁぁ!!」

 

次の瞬間、目の前で敵が消えた

すべてのセンサーに瞬時に火を入れるが

 

「反応がない!?」

「それはそうだろう、このリーベンザーゲンの機能がそれなのだから」

 

声の反響もどこから来ているかわからない、それゆえに迂闊に撃てない

 

「我らに正体にはもう気づいたな?」

「トゥーレ!!」

「その通りだ、我はトゥーレの一柱、怠惰(トレークハイド)のメルクリウス」

「つっ・・・!!」

 

ついに正体を明かした敵に俺は身動きができない

動けば、確実に殺られる!!

 

「そろそろ退場するか、いささか見つかるのが早すぎた」

「まて・・・!!」

「待たんよ、ではな」

「くっ・・・!!」

 

反応は追跡できず、敵が去っていく事のみが確認できた

問題は・・・

 

「スコール!!」

「うる・・・さいわね、怒鳴らなくても・・・聞こえるわ」

 

腹部からの出血を見て、絶望しかないことを悟った

肝臓を切られている、出血量も多い・・・助からない・・・

 

「ははっ・・・そんな顔をしないの、坊や」

「もう、しゃべるな・・・」

 

それでも一縷に可能性にかけて、彼女の傷口にピンポイントでPICをかけ、血液の流出を抑える

 

「絶対に助ける、死なせはしないからな!!」

「人として、死ねるのは・・・」

「死なせない!!」

 

ふざけるな、絶対に死なせてやるものか!!せっかくすべての縛りから解放され、新たな生を歩み始めたばかりだろうが!!

死なせない、絶対に死なせないぞ!!

 

「わかっている・・・くせに・・・もう・・・」

「知るか!!いい加減黙れこのクソババア!!」

「・・・」

「お前が死んだら、今お前の周りにいる奴らがどんなに悲しいか考えろ!!次に似たようなことを言ったらただじゃ済まさねぇぞ!!」

 

手術室に入り、彼女を手術台に寝かせる。俺が外に出ている間、麻酔などの準備が進むだろう

それを確認しながらすぐに外に出、腕部と手を洗浄、手袋を二乗に嵌め、手術室に戻り、手術を開始する

 

「死なせねぇぞ、生きるんだ!!生きろ、スコール!!」




スコールさんがあぁぁぁ!!な回でした。敵の正体と構成員の一人が出てきましたね・・・彼の目的はなんでしょう?
主人公は慰謝の資格こそないですが手術してます、医師免許法違反だね・・・


感想ください、作者の栄養になります


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奇跡

それは偶然の奇跡、偶然が生んだ結果
奇跡は自分で掴めると知る主人公は・・・


「カズマ!!」

「藍澤・・・!!」

 

手術室から出た俺を待っていたのは一夏達を含む、スコールに世話になっているメンバーだった

 

「成功したのか!?なぁ!!」

 

特に心配そうにしているのはオータムだ、無理もないだろう

 

「・・・」

「ウソ・・・だよな?」

 

俺はタバコを一本出しながら告げる事にする

 

「あと、400ミリ」

「え・・・?」

「あと400ミリ足りなかったら、スコールは死んでいた」

 

ベッドで眠るスコールが手術室から出てくる。

手術中、血液が不足し全員の血液を検査するはめになった。

奇跡的な確率だった、彼女の血液型とマッチする人間が二人見つかり、生輸血でこそあるが間に合ったのだ

 

「俺と、オータムの血液で間に合ったのか・・・」

「あぁ、本当に偶然だがな」

 

それがセリアとオータムだった、本当にびっくりだ

 

「良かった・・・」

「だが、今夜がヤマだな」

 

安心はまだ出来ない、ここから先は彼女の精神力にかけるしかないのだ

 

「あとは、スコールの頑張りにかけるしかないだろうな。あぁ、先に言っとくがICUだから迂闊にはいれはしないぞ」

「許可がいるんだな?」

「あぁ、残念だがな」

 

ICUはその構造上、入室に許可が必要だ

というのも、術痕が完全に塞がっていないため滅菌環境に患者を置く必要があり、見舞いなどで入る場合は動きやすい簡易型滅菌服を着たうえでマスクをつける必要がある

 

「それでも・・・良かった・・・」

「あぁ、これで数十回目だが、嬉しいな」

 

命を救った時の嬉しさと感動はいつまでも色濃く残るものだ

何度重ねても同じだけ嬉しいし感動する

人とはこうまでも生きるために強く在ると実感できる

 

「しばらく一人にしてくれ」

「屋上に出るのか?」

「あぁ・・・」

 

それから別れ、一人屋上に出る

 

「・・・」

 

今回わかった敵・・・トゥーレの正体は1918年に右翼政治結社・ゲルマン騎士団の委託を受けて同騎士団のバイエルン支部として設立されたモノだ。

正式名称を"トゥーレ協会・ドイツ性のための騎士団"といい、スワスチカ(ハーケンクロイツ)と剣をシンボルマークとしていた秘密結社であったらしい

歴史的影響もしている組織でもあり、ナチ党の前身であるドイツ労働者党とドイツ社会党を設立したアントン・ドレクスラーとカール・ハラー、ミュンヘン大学講師で地政学者のカール・ハウスホファーも教会員であった。

また、ナチ党となった以降に重要な役割を果たしたルドルフ・ヘス、アルフレート・ローゼンベルク、ディートリヒ・エッカート、ハンス・フランクも属していた組織である。

そんな組織も、1937年にフリーメーソン及びその類似団体に対して活動が禁止された事によりゲルマン騎士団共々解散したはずである。

 

「そんな組織が何故、今の時期に・・・」

 

解散したはずの組織が何故、ここに復活したか?

あり得るのならその名前を借りること・・・つまりは

 

「ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの"ファウスト"、"トゥーレの王"に登場する伝説の地"トゥーレ"か・・・それとも、元素周期表No,69、ツリウムか・・・」

 

流石に後者はないだろう、ありえるならどう考えても前者だ

 

「あるいは、"既知の世界の境界線"を越えた、世界の果てを意味するのか」

 

こちらの可能性も大ではある、敵の目的がなんであれ、組織の名前にはちゃんとした意味が有るはずだ

例えば、俺の運営するPMC、WALRUSにも日本語訳で"未来の骨組みのための、進歩的な誠意ある血統の戦争"というちゃんとした意味があるように

 

「それが分かれば、苦労はしないんだが」

 

その名前の意味からわからない敵、だが言えることは一つである

 

怠惰(トレークハイド)のメルクリウス・・・奴は厄介だ」

 

ISより高度のアンチステルスシステムに加え高精度センサーにもまるで反応しない敵・・・まさかと思うが・・・

 

「目的は・・・俺と同じなのか?」

 

転生者の抹殺と減少が目的だとするのなら俺という人間を追い詰めるためにそうすることも考えるだろう

だがしかし・・・

 

「だとしても、許せんな」

 

だからこそ、今回の事は看過できない

狙うのならば俺を直接狙えばいい、逃げも隠れもしないで応戦しよう

だがネチネチと陰湿に周りの人間から攻めて(殺して)いくのだけは許せん

 

「よし・・・」

 

方針は決まった、ならば一つ、博打に近い事をして見せよう




という訳でスコールさんは死にませんでした。上げて(救って)落とす(殺す)のもいいかな・・・と思いもしましたが、そうなると後々響くので


感想ください、作者の励みになります


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疑似餌(ガセネタ)

疑似餌と書いてガセネタと読む
その心は、敵とて人間


「そんな···嘘だろ!?」

「残念ながら本当よ、織斑·一夏君」

 

スコールの緊急手術から一週間、ようやく敵が動き出した

というのも、あえてスコールが死んだ事にして1組で葬式らしい事をしたから。つまり俺は唯一に等しい賭けのような事をしたのだ

それは、スパイがいる可能性に賭けるというもの

そして案の定、見事に敵は動いてくれた

 

「黒羊歯、敵であるのならばここで容赦なく落とすがそれで構わんな?」

「えぇ、トゥーレの一柱憤怒(ツォーン)が相手になってあげるわ」

 

そう言って彼女が出したのはダイヤモンドカットの何かだった

 

「IS·SEジャマー、スタート」

 

その言葉を聞いた瞬間、システムの一部がエラーを出した

 

 

「なっ!?」

「これは···」

 

通信が妨害されたうえ、一部エネルギー回線が遮断された

一夏に至っては白式を強制除装させられている

これではおそらく学園の防衛システムから全てにわたり無効化されているだろう

とんでもないものだが、敵側がそれほどの技術を持っているのは先の戦闘で把握済みである

 

「ふむ、厄介だな」

 

量子転換も不可だが、これはISのシステムの一部を模倣したものだからだろう

本来のシステムであれば可能である

 

「相談を兼ねた最後通牒よ、私と共に、トゥーレに入る気は」

「ない、人の犠牲をなんとも思わないクズ共に身売りする気は毛頭もな」

「カズマ···」

 

一夏が俺を見る、現状ここで戦えるのは俺一人だけだからだろう

そして俺は、一夏達···本来の主役の支えでいたいのだ

 

「故にお前が本気をだそうと、俺には勝てない、勝てないように運命づけられている(・・・・・・・・・)

「そう···ならこれが貴方達の終焉ね」

 

そう言って彼女は右手をこちらに向け差し出す

そしてワンオフアビリティを発動した

 

「アジ·ダハーカッ!!」

 

莫大な出力のエネルギーが迫る、それを見ながら俺は

 

「擬似ワンオフアビリティ」

 

ブラックフレームで敵のワンオフアビリティをエミュレートする事にした

 

「アジ·ダハーカ!!」

 

相殺されるエネルギーが爆風となり吹き荒れる、同時に俺はその発生源である黒羊歯に迫る

 

「なっ!?機体は動けないはずよ!!」

「侮るな、高が数十kgの錘だろうが」

「つっ!?」

 

俺の筋力が同世代と違うことを彼女はいま知った

それも無理はなかろう、体つきはそこらの男性とあまり変わらないのだから

 

「ここは俺の距離だ、逃がさんぞ」

「しまっ!?」

 

その間にも接近しており、既に距離はない

 

「ワンオフアビリティ、ロッズ·フロム·ゴット!!」

「があぁぁぁ!!」

 

アームストレートと同時に放たれるようにデチューンしたワンオフアビリティがダイレクトヒットして黒羊歯に多大なダメージを追わせる

今回は追撃などせず、距離をとる

 

「くっ、ぐっ!!」

「ふん、逃げるならば逃げろ、追うことは出来んからな」

「そうさせてもらうわ」

 

すぐに逃げた黒羊歯に俺は笑いながら告げる

 

「が、逃がすとは一言も言っていない」

 

海上に出た瞬間、最大出力のロッズ·フロム·ゴットを満遍なく浴びせるように一斉掃射し戦闘不能に追い込んで鹵獲した




主人公は卑怯な手に出ました、でもこれから忙しくなるよ
はてさて、70話からの新章開始でどうなるか


感想ください、作者の活動燃料になります


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反撃の兆し

反撃のための情報を集める主人公、その中には鹵獲した敵の幹部への聴取も含まれていて・・・


「話してくれるか?トゥーレの全ての情報を」

「断るわ、幹部どうしとの連携は意外とないのよ」

 

鹵獲した翌日、休日最後の日に黒羊歯の聴取を俺は行っていた

既に開始から数時間が経過しているが一向に話してくれない

 

「君は憤怒(ツォーン)と自分を言っていたが、他にはどんな連中が居る?俺の予測では七つの大罪を象っていると思うが違うか?」

「・・・」

 

答えない、しかし目線が少しブレた

これに漬け込み、さらに告げる

 

「察するに、君は入って比較的に日が浅いと見えるが?」

「そうよ、ここまでくればもう分かっているのではなくて?」

「確信を得るには回りくどいこともしなくてはならんからな」

 

ようやく答えた、この数時間で考えられる全ての可能性の中から選んだ質問だったが、案外確信を得るには十分だった

 

「幹部は何人だ?」

「私を含めて7人よ、幹部は連携があまり出来ていないから、別の組織の力を借りているわ」

「さしずめ、アーネンエルベかな?」

「・・・」

 

ビンゴだった、目が泳いだ

 

「幹部はそれぞれ大罪にちなんだ名を持つのか、つまり、色欲(べギール)傲慢(ホッファート)嫉妬(ナイド)強欲(アンフォイシャイト)暴食(フレッセライ)怠惰(トレークハイド)・そして君の憤怒(ツォーン)というところかね?」

「えぇ、そのとおりよ。私はトレークハイド以外の人間の名前を知らないわ」

「相当な秘密主義だな」

 

そうなると厄介さは増し増しだな、これは別ルートから崩す方が早そうだ

 

「君のアーネンエルベでの名は?」

「いうとでも?」

ナトリウム(Na)だったな」

 

正体をこちらから明かすとするか、かつての名を

 

「俺は昔、君と同じ組織に所属していてね。その時の名はミスタ・K(カリウム)

「裏切りのカリウム!!」

「おぉ、そっちで覚えていたか、ある意味で嬉しいよ」

 

裏切りのカリウムと呼ばれる所以も彼女は知っているだろう

何故なら

 

「組織幹部の大半を殺した、最悪の人間!!」

「それがどうした?君たちのような極悪人が蔓延るより圧倒的にマシだろう」

 

そう、俺は裏切りの際に幹部の半数を殺害した

元々、歪んでいた体制を戻したいと言われて所属していた経緯があり、依頼主の粛清が行われたことに連動して裏切ったのだ

しかし、まぁ・・・

 

「まだ残っていたか、結構しぶといな。それとも、メンバーが転生者にすげ変わったか」

「・・・!!」

 

図星のようだ、どうやら、当たりらしい

 

「君がスコールが死んだと知ったのは学内新聞と普通の新聞だな?」

「えぇ・・・」

「あれ、ウソだから」

「・・・」

 

見事に黒羊歯はフリーズした、表情が凍っている

 

「どういう・・・事?」

「君たちの情報交換方法は新聞を媒体として行われる公開鍵暗号文、長年の経験と勘で暗号のアルゴリズムは解析済みなんだよ」

「くっ・・・!!」

 

軍人だった頃の勘を取り戻すためにはちょうど良かった、解析に二ヶ月を要したが

 

「司法取引をしようか?」

「何を言っているのか理解しているのかしら?日本にはその制度はないでしょう?」

「明かされてはいないけど、似たような制度自体は軍法には存在するよ」

 

軍自体の法律には司法取引は存在する、これはあくまでも内部で済ませる話であると言外に告げる俺に彼女は

 

「おかしいわよ、貴方」

「何を今更」

 

そんなのは詭弁に過ぎないが、詭弁も時たま役に立つのだ

 

「・・・じゃあ、私からの質問。貴方はこの世界をどうしたいの?」

「どうもしない、ただ一夏達の支えでいるだけだ」

「自分で変える気はないの?それほどの力はあるでしょう?」

「かつて十分にしている。今更そんな事など、心底どうでもいい」

 

かつて戦争を生んだものとして、これは一つの戒めだ

俺は歴史の裏舞台に居続ける、表舞台には上がらず、支え続ける存在で在り続ける

 

「・・・貴方になら・・・託せるかもしれないわね」

「この世界の命運を託すのは一夏達にしておけ。俺はせいぜい脇役だ」

 

それ以外はどうでもいい、由宇とイチャイチャしたいんだ!!

・・・おっと、今は関係ないか

 

「教えてあげるわ、組織の本拠地を・・・」

 

彼女から語られた本拠地は・・・




次話よりついに新章開始です。今後の動きはどうなるか、主人公の過去の謎が敵より齎せれるかもしれないです


感想ください、作者のポテンシャルに多大な影響があります


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真章-Eternal Destiny-
敗北・・・


それは有り得ないこと、しかし有り得ない事なんて有り得ないのだ
運命を決するために戦う主人公は、己の失策を知らない


「これより、PMC"WALRUS"主導による敵組織トゥーレの殲滅作戦を開始する!!」

「了解・・・!!」

 

黒羊歯より齎された情報を元に殲滅のための体裁と準備を整えて全てを用意した。

その黒羊歯本人には万が一のために全ての秘密を教えておいた。と言っても、教えたのは一夏達専用機持ちと同じ内容だ

敵の本拠地は意外と日本の排他的経済水域(E E Z)内にあり、潜水艦のように移動できることが判明したのだ

潜水艦といっても、その最高戦速が魚雷並みなのは少々速すぎる気がするのは気のせいではないはず・・・

 

「敵に動きあり!!」

「つっ・・・!!」

 

思慮に耽っていたらいつの間にか敵は反応していた、流石に早いが・・・

 

「計算通りに動いてくれるな・・・!!」

 

こちらにとって最も最悪の計算通りに動いてくれたので、こちらも当初の計画通りに動く

 

Ira Furor(怒りは短い)Brevis Est(狂気である)・・・Sequere Naturam(自然に従え)!!」

 

敵艦のプロペラを破壊し行動不能に追い込む、同時に装甲に無数の亀裂を生じさせ、潜水も不可能にする

 

「来るぞ、気をつけろ!!」

「了解・・・!!」

 

敵の幹部はIS近似の何かを纏い、戦っていることが判明している

何故ISでないかわかるのか?理由は単純、黒羊歯の機体を解析した結果得られた情報を元に推察できるからだ

怠惰(トレークハイド)のメルクリウスはセリアに担当してもらい、俺は敵首領である色欲(べギール)を狙う

 

「敵の布陣データを衛生リンクで各員に伝達、以降、本作戦の成功の是非は各員の奮闘にかかっている!!」

「了解!!」

 

ここから先は俺の戦いでもある、個人的な戦闘であるのはもちろんだが

その色欲(べギール)が誰か、大体分かっているからだ

 

「さしずめ、篠ノ之束のクローンかね?」

「そうだよ」

 

大当たりだった、オリジナル同様、随分と目に毒なスタイルをしているようで・・・使っているのは・・・ISだと?

 

「おかしい・・・という表情だね?それほどでもないよ?」

「つっ・・・!!」

 

この、相手の思考を読む点もオリジナル同様、長けているか・・・厄介だな

 

「悪いけど、君に構っている暇はないんだ・・・だから消えなさい」

「がっ!?」

 

突然、体が動かなくなる・・・これは、まさか!?

 

「ワンオフアビリティ・・・奈落堕とし(ケェス・ピュトス)

「うあぁぁぁぁ!!」

 

急激に視界が暗転していき、やがて意識が遮断された・・・




馬鹿な・・・主人公が敗れるだと!?そんな事が・・・!!(作者ですら計画外)
だとしたら父親さんに出てきてもらうしかないな!!(`・ω・´)キリッ!!



感想ください、作者のバッテリーです。


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明けの明星

それは不可逆的な現象、通常ではない出来事
それを可能とする存在が、ただ一人の人間のためにルールを破壊する


「さて、これで残りはIS学園の生徒達・・・」

 

そう言って動き始めたのは藍澤・カズマを倒した篠ノ之・束のクローンだった

後ろに向いた瞬間、声が聞こえる

 

「私はこんな展開など望んでない」

 

そう言って空間ににじみ出るように現れたのは藍澤・カズマと容姿がよく似ている人物だった

それもその筈である、彼はかつて、藍澤・カズマを生み出した人間であり、この世界では織斑・千冬を一時的でこそあるが別次元の空間に誘拐した張本人であるのだから

 

「あぁ・・・その事実が何故か、震える程に私の全てを打ちのめす」

 

溢れ出る正体の知れないモノが何か、いま戦場にいる人間全員が分からなかった

だがしかし、共通していることがある。

それは、この人間が何においても(・・・・・・)非常に危険(・・・・・)だという事であった

 

「未知のみを求めた、それのみを願った。その果てに筋書きを違えた(外れた)のならば、確かに是と言えるかもしれんがね」

 

しかし彼は自信を持って言葉を続ける

 

「だが違うのだよ、この場の私(・・・・・)は否と告げる。あぁ、嫌だ、認めない。このような終焉(おわり)など許せない」

 

だから・・・と彼は続けて、神の力を行使した

 

「ここからは、彼の出番だよ?」

 

その瞬間、光の柱が発生した、黒色の柱だ

しかも周りの光を食うかのように黒い

 

「さて、希望をかけた最終決戦・・・君はどうする、我が息子よ?」

 

そう言って彼は黒色の柱を眺める、その横顔は笑っていた

 

 

 

 

<???、カズマ>

 

気が付いたら謎の空間にいた。訂正、ここは一度来たことがある

転生する際に来た場所だ

しかし様変わりしていた、転生する時には明るかったし花がたくさん咲いていた場所だった

今は荒野で暗い、何があったんだ?

 

「あまりの転生者の多さに、世界を安定させる機構そのものが崩壊しかけているんです」

「なるほど」

 

あの時の神が目の前に現れ、俺にそう言ってくれた、それだけで納得した

 

「俺があの場で、これから戦うはずだった戦場で敵を倒せばどうなる?」

「ある程度、世界の保全を再開するには十分なほどには回復します」

「その保全とは?」

「世界を根本から自分の都合のいいように歪めようとする転生者の強制排除とそれらの予防的フィルタリングです」

 

なるほど、やはりな・・・

 

「幸い、貴方のお父上がこの世界のフェイルセーフを複数用意されたため何とか維持できていますが、これ以上は別の並行世界を巻き込んで崩壊する可能性もあります」

「うわぁお、おっかねぇ」

「お願いです」

「言うな、分かっている」

 

なにを言おうとしているか分かっている、だから俺は・・・

 

「ちぃとばっかし、無茶してみるか」

「・・・?」

「なに、俺がこれまで知り合った人達、その世界と、もう一度接続(リンク)するだけですよ」

 

正しくは俺を生かすために死んでしまった人たちだ、その中にはかつての恋人もいる

彼女をこの世界で蘇らせ、俺と共にもう一度・・・

 

「だから、あとは任せてくれ」

「分かりました」

 

そう言って神は去った、あとは俺の頑張り次第だ

 

「イセリア・・・俺の元に、帰ってきてくれ!!」

 

ブラックフレームがこの場ではかつての電子端末型として再現されている

これは俺にとって非常に好機だ。

だって、俺の元彼女は、電子の世界に囚われていた人間だったから

 

「もう一度・・・俺と一緒に戦ってくれ!!」

 

俺の声に応えるかのように、ブラックフレーム・・・いや、ゼロフレームが輝き、外装が黒に染まる

 

「帰ってこい、カズマ・・・!!」

 

だれかの声が聞こえた、おそらく今、トゥーレの殲滅に勤しんでいる一夏達だろう

その声に、応えないとな!!

 

「もう一度、俺に君の力を貸してくれ!!」

 

次の瞬間、ディスプレイに懐かしい、凛々しい顔の女性が表示された

 

「イセリア!!」

「カズマ・・・貴方の記憶が、貴方に賭ける皆の声が、私を蘇らせてくれたよ・・・ありがとう」

 

心底感慨深そうに彼女はそう言う、恥ずかしくなった俺はそれを隠すために急かす

 

「よし、行くぞイセリアッ!!」

「えぇ、行きましょう、カズマッ!!」

 

彼女も全力で答えてくれる、だから俺はまだ行ける、まだ、飛べる!!

 

「「クロス・ドライブッ!!」」

 

ゼロフレームを起動し、彼女と成し遂げた奇跡の力をここに蘇らせる

その名は・・・

 

 

 

<戦場、カズマ>

 

「やはり、復活するか」

 

あの空間から出てきたら気勢をそがれた、クソ親がいたのだ

 

「当然だクソ親、さっさと帰れ」

「ふむ、そうするか、いささか長居しすぎた」

 

そう言って消える父親を見送ることなく、俺はしようとしていた事を実行する

 

「「エクストリーム・イグニッション!!」」




主人公復活!!いや、うん、何か大変すまない事をしたような気がします。
ヒロインとどうするのかなぁ、主人公。まぁ、どちらも平等に(とは言えないけど)愛してくれますよきっと。


感想ください、作者の精神的栄養源になります


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白き守護の翼VS白き破壊の翼

それは織斑・一夏の戦い、明日を賭けた負けられない連戦の物語は彼から始まる
己の複製と戦う彼の心境とは・・・?


「お前が、俺のクローンか・・・」

「あぁ、そうだぞ織斑・一夏、お前と戦い、俺の有用性を世界に示そう」

「これが最後だ。お前の罪を、数えろ!!」

 

向こうが使っている機体は俺の白式の強化コピーだ、性能ではあちらが圧倒的に上らしい

それでも、勝つ方法はある!!

 

「うおぉぉぉ!!」

「はあぁぁぁ!!」

 

剣戟からの高速機動戦闘へ移行する

その速度はイグニッション・ブーストと同等まで上がっていた

 

「この程度で、俺達の計画が止まるとでも思うのか?」

「止めてみせる、何度でも!!」

 

戦闘の合間に話すのは互いの意思、譲れない信念

 

「何を以てそう思う?何がお前の核を成す!?」

「・・・絆だ」

 

皆との絆、共に進む日々を守りたい。俺の想いは白式を初めて使った日から変わらない

千冬姉を、家族を守ると誓ったのはそれを確実なものにするためだ

自分と家族を守れない奴が、ほかの人間を守ることなんて出来はしないんだ!!

 

「たとえお前がどんなに巨大な悪の側にしたとしても、皆を泣かせるんなら許さねぇ!!体一つになっても食らいついて倒す、その心でここまで来た!!」

「ならば、倒してのける。お前をっ!!」

 

互いに零落白夜を発動、一気に迫る

 

「うおぉぉぉぉぉ!!」

 

その時、白式に変化が起きた

コアであった白騎士のシステムが立ち上がり、白式のシステムと融合したのだ

 

「これは・・・」

「サードシフト・・・だと!?」

 

不思議な感覚がする、これまでよりもより白式と共にいる感覚だ

それと同時に力が・・・みなぎる

 

「そんなはずはない!!相手が強力であろうと、こちらが勝るはず!!」

 

そう思い敵は襲ってきたが俺は防御するわけでもなく受けた、零落白夜のシールドを最大展開して

 

「今の白式には、俺の姉とその親友の思いが篭っているんだ。お前が勝てるレベルじゃないんだ!!」

「がぁ!!こ、これが、白式の進化だというのか!?」

 

だが敵は諦めなかった、立ち上がり、叫ぶ

 

「まだだ、まだだぁ!!うおぉぉぉぉっ!!」

 

最後の力を振り絞り、白式は俺の意思に答える

 

「零落白夜、発動!!」

 

零落白夜、同時励起。刀とクローの二つに同じだけの力を振り分ける

今まで出来なかったのはエネルギーの総量と消費量が釣り合わなかったから

いま出来るのは、白騎士のエネルギー総量もプラスされ、都合2機分のエネルギー量だからだ

 

「うおぉぉ!!でぇぇりゃあっ!!」

「があぁぁぁっ!!」

 

空中で激突し、閃光が散った、地面に不時着し敵を見る

 

「お前の罪を・・・数えろだと?」

 

ボロボロで立てないはずの敵は立ち上がり、執念の目で俺を見る

その手には白式の強化コピーの待機形態が握られている

 

「人を愛することが・・・罪だとでも?」

「つっ・・・」

 

そう言いながら敵は光の粒子となって消えた、地面に落ちた白式の強化コピーも音を立て破損する




という訳で一夏君のバトルでした!!いやぁ、こうなるなんてなぁ・・・
問題は主人公の出番だけどこれは後回しです、同時進行ですので


感想ください、作者の執筆速度が急上昇します


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紅椿VS複製

紅椿・・・篠ノ之箒にも敵は迫る
迫る敵は己のクローン、纏う機体もまた同じく複製物


「来るか・・・」

 

心静かに待っていたのは己のクローンだった

冷静に、機体ともども感情のようなものを感じないほど

 

「さぁ、戦おう、どちらが強いかを示すために」

「戦うことしかないのか?」

「ない」

 

即答するクローンに哀れみすら感じる。同時に、一筋縄ではいかないことも悟った

纏い始めた殺気の濃さが、常人のそれとは大きく異なるからだ

 

「行くぞ、オリジナル」

「あぁ、行くぞ、クローン!!」

 

その言葉で戦闘は開始される。

最初に行われたのは空裂により発生したエネルギー刃による中距離攻撃

 

「やるな、流石にオリジナル。次の攻撃も同じだろう」

「そう、だろうな」

 

次の攻撃もまた同じ、雨月の刺突により生じたレーザー砲撃を寸分違わず落とした

 

「「貫け、穿千(うがち)っ!!」」

 

両肩の展開装甲をクロスボウ状に変形させ、2門の出力可変型ブラスターライフルとして使用する最新武装もまた互いに同タイミングのため相殺される

 

「くっ・・・!!」

「ちいっ!!」

 

その爆風で数メートル飛ばされる、それは敵も同じで戦況は並行のままだ

 

「だが、負けられんのだ!!」

「それは、こちらも同じだ」

 

私の叫びに敵は冷静なまま答える

 

「負けられん、負ける事だけは出来ない」

「なぜだ?」

「簡単な事だ、お前が羨ましい、妬ましい!!」

 

恨みと妬みが私に向ける殺意の源泉か?

ならば・・・

 

「私も、同じ感情を持ったことがある」

「・・・?」

「姉に対して、妬ましい感情を抱いたことがある。私は姉ほど頭がいいわけではないし、物分りも多少悪く、言葉よりも行動が早いことも多々ある」

 

これは本当のことだ、妬ましく思ったのは事実で、姉がISを発表して失踪した以降、一時は殺意に変わる一歩手前まで行った

それでもそこで踏みとどまれたのは、一夏と同じ時期に現れた二人目のISを使える男、藍澤・カズマの"話し合えばわかる事だよ。少なくとも、君の姉さんは君の事を好きだと思うよ?"という言葉だった

 

「だからこそ、お前にその感情を向けられることは理解できる。が・・・」

 

それと同時に雨月・空裂を構え、攻撃する

 

「何っ!?」

「ここから先は、応用で行こう」

 

ここまでは型通りの動きでしかないモノだ、ここ最近で発覚した私の意外な弱点を克服するために編み出したのは、身につけたものを一度捨てるというものだった

剣道の練習ではなく水泳や空手など異種類のものに手を出すという意味であったが、結果、実感持てるレベルで向上した

 

「これは学友の受け入りなのだが、所詮過去の自分と向き合う程度で、怖気づいてはいられんのだ!!」

「ならば良し、悔いも無し!!共に全力で挑むぞ!!」

 

もう一度相対する形になる、これが最後だ

 

「はあぁぁぁっ!!」

「おぉぉぉぉっ!!」

 

激突は一瞬、勝敗もまた同じだった

 

「見事だ・・・」

「そうか・・・」

 

雨月・空裂をストレージにしまい、振り返る事なくその場を去る




あれ、こんなに強かったっけ?ま、いっか!!
次は誰になるでしょうか・・・

感想ください、作者のエネルギーになります


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蒼い雫VS複製

同じ時間、別の場所で戦いは行われている、これもその一つ
セシリア・オルコットもまた、己のクローンと戦う事になる


「見つけましたわ!!」

「見つけさせたのだ」

 

そう言って出てくるのは、私と同じ顔をした人間でした

この方が、藍澤さんが言っていた私のクローンという人なのでしょうか?

 

「今の疑問はそのまま正解だ、オリジナル(・・・・・)

「でしたら・・・」

 

武器のセフティを解除し、私は叫びます

 

「終わらせますわ!!」

「できるかな?」

 

敵は、それを

 

「きゃああぁぁ!?」

「強化コピー機に対して、その程度で終われると思うな」

「くっ!!」

 

迂闊でしたわ・・・冷静さに欠けたようです!!

 

「所詮、実験・試作機。その程度に過ぎない」

「えぇ、そうですわね」

 

敵の言うとおりです、おそらく敵は近接も出来るでしょう

なら・・・!!

 

偏向射撃(フレキシブル)も近接も出来るクローンにオリジナル、お前はどう挑む?」

「こうするんですのよ!!」

 

インターセプターを呼び出し、構えて突撃します

同時に躱す敵にめがけて、プラットフォームに接続したままブルー・ティアーズのレーザーを照射します

 

「なにっ!?」

 

これは私を鍛えてくれた藍澤さんがやっていた事の応用に過ぎません、それをモノにしたら今よりすごく強くなれるとあの方は言っていました

 

そこにいて(・・・・・)いいんですの(・・・・・・)?」

「な・・・ぐあっ!?」

 

さらに交差した数瞬後にインターセプターを敵の躱した後にいる地点に落ちるように上空に投げておきました

見事に敵は気づかず、攻撃によってダメージを受けます

 

「これはこれは・・・意外すぎるな・・・」

「最後通牒ですわ、投降なさい」

「断る」

「なら、落とします」

 

交渉はできないようですわね、仕方がありません

ミサイルで落とします!!

 

「ミサイルだと?下らん!!」

 

そうですわね、でも・・・

 

「ただのミサイルじゃありませんのよ?」

「があぁぁぁ!!」

 

子弾頭を持つナパームミサイルであれば、流石に・・・

 

「おぉぉぉ!!」

「まだ落ちないんですのね!!」

 

執念の妄執でしょうか・・・恐ろしい神業で衝撃を緩和したようです

それでも装甲は確実に削っています!!

 

「スターライトmkIII?馬鹿か貴様は!!そんなものでっ!?」

「殴るんですの!!」

 

誰がいつ撃つと言いましたか?リーチは少し長いなら鈍器にすればいいと考えを変更してみました

少し良心が傷つきますが勝つために我慢します

 

「ぐっ・・・!?」

「射撃だけでは芸はないわよ!!」

「ちいっ!!チョロチョロと!!」

 

細かくブルーティアーズを動かし、敵の攻撃を躱します、偏向射撃(フレキシブル)は私より上手いですが機械的であるのは変わりませんので避けるのは余裕があります

 

「ブルー・ティアーズ、フルバースト!!」

「なっ!?」

 

最近まで出来なかったブルー・ティアーズの全砲門使用、フルバーストと名をつけた攻撃は寸分違わず命中し敵を落としました




セシリアも強化してみた(`・ω・´)キリッ
さて、この次は誰にするかねぇ・・・


感想ください、作者の執筆活動のエンジンです


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甲龍VS複製

こちらにも迫る敵、設計が漏れた訳でもないのに複製されたのは敵に転生者がついているから。
だからここは、同じ機体を持つ者が挑まざるを得ない。たとえ敵の機体が強かろうとも


「ってどこよ?私のクローンとかいう生意気なのは!!」

 

私は道に迷っていた、潜入作戦でもあるので慎重に行動しないといけないのはわかるけどさぁ!!なんでこんな面倒なことをしないといけないのよ!!

 

「デッキ・・・?行ってみようかしら!!」

 

ISデッキと書かれたプレートを見つけたのでそこに行く、扉を開くと・・・居た、眠っているのか、目を閉じている

老害なの・・・?

 

「「・・・」」

 

そうして私たちは向き合い、すれ違って・・・

 

「はぁぁ!!」

「おぉぉ!!」

 

次の瞬間、火蓋は切って落とされていた

 

「不思議だな、オリジナルの考えていることが分かる。全く、老害扱いとは耳が痛い。これでも未だ、青いと思ってるのだが」

 

振り向き様に展開した双天牙月が宙でぶつかり合い火花を散らすのを見て、同等のレベルだと認識を改められたわ!!

 

「きっと、DNAも同じで機体も同じだからよ!!戦場のど真ん中で寝るとかなんなの?老害と思われて当然でしょ!?」

「それはそれは、お褒めに預かり恐懼感激の極みなり」

 

褒めてないし言葉遣いがきもいんだけど!!

 

「それは当然、人格の基礎が異なるからだ、許せよ」

「その代わりに隙がないわねぇ!!」

 

さっきから龍砲で攻撃しているけど避けられている。私の動きも見えているかのように鮮やかで・・・

 

「いい加減当たりなさいよ!!」

「断る、そこまでマゾヒストではない」

 

戻ってきた双天牙月を掴んで連結を解除して構え直す、敵も同じように構えていた

 

「今度は、こちらの番か」

「危なっ!!」

 

敵の高速突撃をなんとか躱した、それにしてはなんていうか・・・

 

「早すぎじゃない!?」

「当然だ、機体の性能が異なる」

「あ、そう!!」

 

攻撃を仕掛ける、躱されるの繰り返しでイライラしてくる。敵は笑みを浮かべながらソレを楽しんでいる節さえあるような気がする

いや・・・本当にそうなの(・・・・・・・)?

攻撃も浅いものしかない、深手は負わないし、負っていない

 

「このぉ!!」

「甘いな」

 

あぁ、甘いわね。それはあなたも同じよ!!

 

「全く、よく喋る根性なしね!!躱していくだけで!!今日びガキでも、いくらか真っ当な喧嘩ができるわよ!!」

「ふっ・・・」

 

そこから攻撃のラッシュが始まる、ひたすらに休むことなく何度も

 

「何度やっても無駄だ、私にダメージを負わせることは出来ん」

「そういうあんたは機体性能に頼りきりじゃない!!弱いわねそんなものなのかしら私って!!えぇなるほど現実を見てない奴はうんざりだわ!!」

「つっ・・・」

 

眉が動いた、怒りのそれに一瞬だけ

 

「あんた知ってる?人としても仙道としてもあぶれた人間は、そのどちらでもない世界に行くん事になるんですって」

「・・・?」

「私の国では有名な話でね、そこは神界というのよ。そして神界に送られる事を封神というらしいわ」

 

これはカズマが言ってたことだっけ?まぁいいや、これで敵がキレたらいいけど

ちなみにこれは殷と周の易姓革命を舞台にした物語らしくて、簡単に言うと現世社会に上手く適応できない奴らの一斉排除みたいなものだって言ってた気がする。

 

「あんたがやってることはまさにそれなんだけど、一つだけ致命的に違う事があるのよ!!」

「なんだ、それは?言ってみろ、オリジナル!!」

 

キレた、作戦成功ね・・・とびっきり奇想天外な技で落としてあげるわ!!

 

「封じられたあぶれ者たちはね・・・」

 

その為に双天牙月を強く握って、私はあらん限りの声で叫んで攻撃に移る

 

「それでも封神台の中で、共に成長を目指して学ぶのよ!!」

「つっ・・・!?」

 

突撃開始と龍砲の連射を連動させて急速接近、同時に双天牙月を振り落として敵を落とした




鈴ちゃんは普通に強いからね・・・普通に、強い。ここ重要。
強い分、作戦も緻密にするといいよね・・・充分緻密だと思うけど


感想ください、作者の馬力に変わります


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疾風の再誕&黒き雨VS複製2機

時には同時行動もしている。敵は予測不能なのだ
そして最もバランスの良い二人は・・・


「来るか・・・」

「みたいだね」

 

シャルロットとラウラの二人は戦場の上空に待機していた、こちらに接近してくる反応から判明したのだが・・・

 

「うわ・・・怖い顔」

「・・・」

 

互いに自分のクローンを見ると、嫌そうな表情になった

無理もない、そもそも自分のクローンが存在すると藍澤・カズマに教えられた際にとてもショックを受けた一人だと思っているからだ

しかしラウラは・・・

 

「そうでもないぞ、ただ、そんなこともあるか・・・という程度だ」

「え、そうなの?」

「まぁ、な」

 

遺伝子強化試験体・・・簡単にいえば生体兵器に近い試験管ベビーという生まれからかその部分が希薄なのだ

と言っても最近ではルームメイトとなったシャルロットを始めとする他の生徒との交流を通じて次第に性格も柔和になり、年頃の少女らしい反応を見せるようにもなってきている

 

「やれやれ・・・どうしよう?」

「どうもしない」

 

ラウラは自信を持って告げた

 

「戦って、勝つだけだ」

「簡単だね」

「簡単だろう?」

 

そう言って互いに武器を構える。

シャルロットは左手にアサルトカノン"ガルム"、右手に近接ブレード"ブレッド・スライサー"

砲戦パッケージ「パンツァー・カノニーア」を装備したラウラは両肩のレールカノン"ブリッツ"のセフティを解除し両腕手首からはプラズマ手刀を展開する

 

「行くぞ!!」

「うん!!」

 

ここに戦闘が始まった、向こうもコンビネーションなのか戦術がうまい

しかしこちらも同じコンビ、譲れないものがある

 

「ラウラ!!」

「分かっている!!」

 

ラウラが上空に飛び、その後ろからシャルロットが前面に出て弾丸をバラ撒く。上空に飛んだラウラは、前面に出た自分のクローンに目掛けて両肩のレールカノンの照準を向け、最大出力で放つ

 

「ぐあっ!!」

「あまり効かんか!!」

 

シャルロットがバラ撒いた弾丸はただの弾丸ではなかった。衝撃拡散爆裂弾という、少し前に藍澤カズマから渡された少々エグい効果を持つ特殊弾頭であった。

それをわかっていたラウラは、衝撃を与えてAICごと自分のクローンを押し飛ばそうとしたのだ

 

「ちぃ!!」

「くっ!!」

「このまま押すよ!!」

「あぁ・・・!!」

 

アサルトカノン"ガルム"を捨て去り、連装ショットガン"レイン・オブ・サタディ"に換装して近接に持ち込むシャルロットに合わせてラウラは動く

自分のクローンが迫りシャルロットの動きを止める、同時にシャルロットのクローンが止めを刺そうとするが・・・

 

「させんっ!!」

「くうっ!?」

「なっ!?」

 

その二人に背後から迫りワイヤーブレードで動きを封じて勢いのまま海面に叩きつける

 

「ラウラ、グッドタイミング!!」

「当然だ、まだ終わらんが・・・」

「全力だからね?」

「もちろんだ!!」

 

近接ブレード"ブレッド・スライサー"を飛ぼうとした自分のクローンに投げつけたシャルロットは空いた手に重機関銃"デザート・フォックス"を展開する

 

灰色の鱗殻(グレー・スケール)使うこともなかったね・・・」

「所詮は過去の私達のクローンだ、その程度でしかないという事だろう・・・」

 

簡単に言うラウラだが、その目は自身に漲っていた。なぜなら敵は、先の一撃で撃墜していたのだから




シャルロットとラウラのコンビは強い、コンビじゃなくても強いけど
この二人って本当に仲いいよね・・・盾殺しでブチ抜かれたのにも関わらず仲良くできるラウラに一瞬疑問が生じるけど


感想ください、作者の肥料になります


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霧纏の淑女&打鉄弐式VS複製2機

姉妹に迫るのはクローンではなく敵の幹部
それも、傲慢なるもので・・・


「来たわよ簪ちゃん」

「うん、来たね、お姉ちゃん」

 

敵の気配を感じた更識姉妹は同時に振り向いた、敵はその先にいる

 

「貴方、お名前は?」

傲慢(ホッファート)のアイビス」

「・・・倒す」

 

姉妹の目的はあくまでも敵の撃破にある、その中で幹部が出てきたのは好都合だった

敵の幹部を倒すことで気勢を削ぎ、こちらの勝機を導く

 

「行くぞ」

「行くわよ!!」

「うんっ!!」

 

敵を前にして作戦などないように見える姉妹の動き、しかしそれはその分信頼があるということだ

二人は互いに指示を出すことなく動いた

 

「ふっ・・・!!」

「はあっ!!」

 

姉である楯無はミステリアス・レイディの近接武装、蒼流旋を構えて右側から。妹の簪は近接武器である対複合装甲用の超振動薙刀"夢現"を構えて左側から攻撃する

 

「近接攻撃など、効かんわぁ!!」

「「最初から狙ってない!!」」

 

二人が狙っていたのは近接武装によるダメージではない、それぞれの火器によるゼロ距離攻撃ダメージだ

 

「がぁぁっ!!」

 

案の定敵は避けなかったせいでダメージを食らう。名前通り、傲慢ゆえの油断が原因で

 

熱き熱情(クリア・パッション)!!」

山嵐(やまあらし)!!」

 

ナノマシンで構成された水の霧が敵を包んで発熱し水蒸気爆発し、48発の独立稼動型誘導ミサイルがその後に追撃する形で全弾命中し爆散する

 

「ぐぅ・・・!!」

「「しぶといっ!!」」

 

連携の精度は誰よりもずば抜けている二人、すれ違っていた期間が長かったからこその連携の良さは戦場において十二分以上に発揮されている

 

「「逃がさない!!」」

「くっ・・・!!」

 

麗しきクリースナヤを接続してこの戦場に来た更識楯無はミストルテインの槍を発動した

それを見て逃げようとする敵だが、それを簪が背中に搭載された2門の連射型荷電粒子砲"春雷(しゅんらい)山嵐(やまあらし)で弾幕を形成し妨害しいかせない

 

「いっけえぇぇぇ!!」

「ちぃ!!高が小型気化爆弾4個分!!」

「まだよ!!」

 

超高出力モードのミステリアス・レイディにはもう一つ切り札がある、それはワンオフアビリティ・・・

 

沈む床(セックヴァベック)!!」

「なっ!?沈むだと!?この俺が!?」

 

敵はもがくが抜けられない、そもそもが高出力ナノマシンによって空間に敵機体を沈めるようにして拘束する超広範囲指定型空間拘束結界である以上、逃げ道はないのだ

だが敵とて執念があった

 

「有り得ない!!最後に勝つのはこの俺だぁ!!」

「つっ!!」

 

右手に握っていた荷電粒子銃から閃光が放たれる、それは楯無に当たる前に弾かれていた

 

「が、あぁぁぁぁぁ!!」

 

最終的に敵を倒したのは、敵にはない連携プレイの賜物だった




更識姉妹は強いねぇ(お前が言うな)
次はついに主人公・・・と見せかけて別の人物だよ


感想ください、作者の精神栄養剤です


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天才VSクローン

それは技術を生み出した者が背負うべき重圧、責任と呼ばれるもの
その中で戦うことになろうと、それは定めであって、逃げることは出来ない
篠ノ之束の選ぶ手段は・・・


「くっ・・・」

「再戦だ、と言いたいところだが、着いたか」

 

藍澤カズマと篠ノ之束のクローンは空中で睨み合っていた

しかし藍澤カズマはそう言うと敵である篠ノ之束のクローンの背後の船の最上甲板を指さした

 

「つっ・・・オリジナル」

 

その先にいたのは、篠ノ之束本人だった

しかもISも纏っていない、服も薄手という。ここが戦場だと認識してないような服装である

 

原初の焔(オムニウム・プリンキピア)ぁ!!」

「・・・」

 

放たれた炎の弾丸を右手だけて相殺した、ISは纏っていない

それなのに何故、そのようなことを成せるのか?理由はその手に握るステッキにあった

このステッキは重力を作用させる能力を持つ"王座の謁見"というもので、織斑千冬と同じようにIS使用者と素手で渡り合えるほどの戦闘能力を持つ彼女が自分用に作ったものだ

 

「くっ・・・!!」

「効かないよ、そんな攻撃じゃあ」

「今まで逃げ隠れしておいて、よく言える!!」

「うん、そうだね・・・」

 

攻撃を重力の壁で防いで落とす、タイミングが重要なこの行動を繰り返せるのは、本人曰く「細胞レベルでオーバースペック」だかららしい

藍澤カズマにしてみれば、細胞レベルごときで粋がるなと言い返すだろうが、かなり常人離れしていることは確かだ

 

「死ねっ!!」

「死ねないよ、いっぱいやる事があるから」

 

攻撃を躱して懐に潜り込んだ篠ノ之束は掌底を叩き込み吹き飛ばす、ISの絶対防御が発動するほどのソレは破格の破壊力を秘めていた

 

「ぐっ・・・!?生身で!!」

「うん、生身だよ。でも・・・」

 

王座の謁見の先端を自分のクローンに向かって向けて、彼女は宣言した

 

「逃げるだけではもういけないし、隠れもしないことにしたから、貴女には負けない」

「つっ・・・殺す!!」

 

同時に迫るクローンに彼女は逃げるわけでもなく構えずにいる

 

「はぁぁぁ!!」

「ロック」

「ぐっ・・・があぁぁ!!」

 

そのまま重力空間を想像して敵を固定した、その拘束力は90kgの鉛を装甲につけたようなものだ、一筋縄では抜けられない

 

「ぎ、がぁぁぁ!!」

「はっ・・・!!」

 

ただし生身で迫る彼女はその適応外である、まさに王と言える権能だがそれにも弱点がある

使用限界時間だ、それが切れ、敵は解放された

 

「あぁぁぁ!!」

「危ないな、そんなものを簡単に振りかざしちゃダメだよ?」

「なっ・・・」

 

反撃に出たクローンの武器を篠ノ之束は破壊した、ステッキが武装を破壊するなど有り得ないといってもいいが原理は簡単だ、重力の壁をステッキの周りに剣のように展開し武装を"斬った"のだ

 

「ば、馬鹿な・・・」

「君、頭悪いよ?同んなじDNAの人間なのに」

「がぁぁぁぁ!!」

 

そこからは猛烈な攻撃のラッシュが続いた、篠ノ之束がステッキの先端を甲板に着けた時には自らのクローンは存在の限界が来たとでも言うように光の粒子となって消えた




あれ、格闘戦もできるってウィキにあったからこうしてみたけどこれでいいのか・・・?
まぁ、いいか、気にしないでおこう・・・


感想ください、作者の活力が変化します


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かつて在りし存在(もの)

それはかつての戦いの再現、神の如き力を揮う主人公と、それすら超える敵
ここに世界を越え、因縁の戦いが始まる


「敵の首領は貴方の6番目のクローンよ」

「ハジュンか・・・」

 

かつて別の世界で対峙した時の姿を思い出す。

褐色の肌に緩やかな衣を纏い、くすんだ金髪を炎のように逆立てているその容貌はとてもではないが同じDNAの人間とは思えなかった

 

「でも、マーラ・パーピーヤスの性能は・・・」

「知らぬ知らぬ、見えぬ聞こえん!!」

「・・・むぅ」

 

イセリアの忠告は分かっている事だった。奴の専用機、マーラ・パーピーヤスは非常に高性能だった

それもその筈、ゼロフレームのコピーなのだから

それでも勝てたのは奴の放つ無量大数の質量を片っ端から分解して強引に突破したから

 

「ここか・・・」

「えぇ、動いてないわね・・・恐ろしいくらいに豪胆といえるかしら」

「いいや違うよ」

 

それは違う、確実に異なるんだ。奴には分かっているんだから

 

「俺がここに確実に来ると分かっているんだ、アイツには」

「恐ろしいね・・・」

「問題はない、確実に倒す」

 

確実に今度こそ倒す、その為に用意したものもある

 

「来たか・・・」

「あぁ、クソ夢見の悪いものをこれでもかと用意してくれてたようだな?」

「あぁ、原作連中のクローンか?その程度、余裕で用意できるとも」

 

やはりコイツか、一夏達のクローンを作ったのは・・・!!

 

「さぁ、再戦だ。オリジナルと俺、勝てるのはどちらか?」

「ハジュン・・・」

 

二つの銃剣を構えて俺は叫ぶ

 

「俺が、全てを地獄に変えても貴様を倒す!!」

「・・・」

「俺はWALRUSの代表、藍澤・カズマ!!別の世界において、黄昏の女神を守護せし者の残骸だっ!!」

 

黄昏の女神とはイセリアの事だ、別の世界といってもこの世界から見た場合の話であり、俺とセリア、アヤナ、ハジュン、イセリアがいた世界のことである

残骸といったのは、俺という人間が様々な世界に分裂しているからだ

 

「何故そう言い切れる?貴様も俺と同じ人間だろう?」

「真実はただ一つ、無くしてはならない刹那があるから・・・ここに生き恥晒してんだよ、俺を知る者がほとんどいない世界でなぁ!!」

 

無数の剣戟が刻まれていく、その度にハジュンにダメージを負わせていく

 

「許さないっ!!認めないっ!!消えてなるものかっ!!時よ止まれっ!!」

 

限界まで引き絞ったその願いは敵も同じ、だからここに最大の攻撃の撃ち合いが始まる

 

「森羅万象滅尽滅相!!」

新世界へ(レースノウァエ)語れ超越の物語(アルゾ・シュプラーハ・ツァラトゥストラ)!!」

 

これは別の世界の人間の力だ、それでも、思いはその人物と同じだけあると信じている

 

「それが・・・貴様の・・・!!」

「俺の女神に捧ぐ愛だ!!」

 

そう、かつて誓ったんだ。たとえこの先なにがあっても、どんな悲劇が待っていようと忘れない。忘れない。何も見えず聞こえなくっても、それだけは忘れないと!!

だから今、この場の俺には!!

 

「他は何も見えないっ!!聞こえないっ!!ただ忘れないだけだっ!!俺は彼女達を愛しているっ!!」

 

だから手段も選ばない

 

「俺はその思いを抱き続ける限り諦めん。諦めんぞ見るがいい、俺の辞書にそんな言葉は存在せん!!」

「ぐっ・・・!!」

 

かつての戦いとは大幅に異なる結果になりつつある

理由は簡単なこと、自己愛が過ぎる故に慢心する敵と、命を賭しても護りたい者がいる俺だから

普通の人間が彼を攻めても倒すことは出来ないだろう、せいぜい出来ても一撃を入れる程度、それも身を削って拾う一撃でだ

 

「なぜなら誰でも、諦めなければ夢は必ず叶うと信じているのだからっ!!」

「まさか・・・貴様っ!!」

(オン)摩訶迦羅耶娑婆訶(マカキャラヤソワカ)!!」

 

神話の世界で金銀鉄の三都市を滅ぼした三つ叉の槍、トリシューラを放つそれの名は・・・

 

大黒天摩訶迦羅(マハーカーラ)ァ!!」

「くっ・・・ぐおぉぉぉ!!」

 

一つの神話における最上位の神格の名を持つ大技であるのだが、それすらも俺にとっては"大戦争"の呼び水の一つにすぎない

 

「お前の逃げ場はどこにもない!!」

 

逃げようとしたハジュンに俺はそう言い放ち、攻撃を放つ

 

神々の黄昏(ラグナロク)ッ!!」

 

この技は一度発動してしまえば例え俺を倒したとしても止めることはできない。最終的にこの技を発動して行き着く先は神々の戦いにより生じた莫大な力場に呑まれ破壊し尽くされた、誰も残らない黄昏の世界である。

だが俺はそれを容認できないため、出力を一点に集中、精密射撃でハジュンを細胞の一欠片の存在すら許さず滅した




主人公は超強い、これ重要。でもこれでちゃんと考えている
しかし、言ったセリフが恥ずかしい内容のような気が・・・聴く人によっては告白のような1文もあるし・・・



感想ください、作者の励みになります


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天才少女VS同一体

それは彼女、峰島・由宇の戦い。敵は己にとって最強の敵
その敵との戦いに身命を賭した彼女にとって、最後の戦い


「・・・」

「・・・」

 

IS学園の一角、今は戦場と化したその場所で私達は向き合った、同じ顔の人間・・・そして同じ想いの敵同士として

 

「来たか・・・」

「何故、私と共に生きようとしない?」

「あぁ、そう言うだろうな・・・過去にそうして生きていたのだから」

 

驚く程に淡々とした声に、ここに攻めて来る他の敵の悪意や狂気、確固とした妄執は一切無い

ただ、事実だけを語る言葉のようだ

 

「飢えも苦しみもなく、他者と誤解による諍いもない、安らかな世界に出来るというのに・・・」

「お前が、全ての元凶か?」

「あぁ、その認識と概念で間違いないだろう。だが、私だけではない。私の作るものを持つ者全てが"終末の使徒"となる。つまりは・・・」

 

終末の使徒・・・久しぶりに聴く言葉だ、これまでカズマや皆に迫っていた敵の正体は正しくそれで、最悪なことにコイツはそれを増産していた

 

「私達の敵だった存在は、全て終末の使徒だった・・・一種の意識集合体(レギオン)という事か?であっても倒すだけだが」

「私を倒す意味はないように感じるが?」

 

一生感じてろ、今の私は過去の私とは違う・・・大切なものができたのだから

 

「お前は何故理解しないのだ?私たちを否定し、拒絶する意味などないだろう?意思が違うこと、他者を理解できない事。敗者と勝者が生じる世界。そのような世界が消えるだけ」

 

そう、それが私がかつて追い求め、縋ろうとしたものだった・・・

 

「全ての意思が一つになること、それこそが新しい世界、生物における進化のその先・・・終着点なのだ」

「いいや、それは違う」

 

だが、私はそれを自ら否定する

 

「それはお前だけ(・・・・)の進化だ、今の私や、人間が求めたものではない。人間の意思を取り込んだようであったとしても、その根底にはお前(・・)がいる」

「進化でなく、支配と言いたいのだな?」

「あぁ、そうだ・・・」

 

そう、それは支配だ・・・進化とはお世辞にも言えない

 

「だが、お前は相違する意思に心を乱し苦しむ事になった・・・違うか?」

「確かにそうだな、でも・・・」

 

だが、一人の・・・今、大切に思う人に出会えたことで変わった

いや、変えられたんだ

 

「とても悲しく、苦しかった・・・だからこそ、理解し合えた時に、その何倍も嬉しくなれるようになった。お前にとっては不安定でどうしようもなく弱く、非効率かもしれないが・・・人は確固とした()であるからこそ、その()は愛しいのだ」

「・・・」

「その()を守りたい・・・それが私の意()だ」

 

私の同一体は無言でこちらを見つめる。既に交渉の手はない、戦うだけしか選択はない

 

「生物に終末は訪れない、私はお前を倒し、全てを終わらせる」

「何も理解できていないな、人類を滅ぼすわけではないんだ。次のステップに進むだけ・・・今までもそうしてきただろう?知恵を付け、田畑を耕し、武器を作り、国を治め、電気を生み出し、そしてISを誕生させた一人でもある両親のように・・・人類とは進化の積み重ねではないのか?」

「・・・」

 

そう、この世界(・・・・)のISは篠ノ之束だけが作り上げたものではない。私の両親が、その雛形を作っていた。

篠ノ之束はその雛形を元にオリジナルのISコアを開発しただけで、詳細は知らないが隠された機能を大量に有するそれは大変危険なものだ。それを悟った彼女は零世代ISである白騎士の製造においてその問題の大半をクリアしただけに過ぎない

故に、その危険性の意味を知る私と彼女は・・・

 

「今回も何も変わらない、進化のあるべき姿なのだ。それに抗おうというのならば、進化の道標を示し、その真実を知らしめよう」

 

ISが起動する、全ての封印(かせ)が外されていくのを感じた

 

「全てを一つに」

 

膨れ上がる異様な力、ISコアを介して雛形に搭載されていたシステムが再構築されていく

ISとして名をつけるなら黄昏、本来の名はひねりもなく、終末

 

「私は抵抗する、小さなこの身にある意思を、心を守るために!!」

「それが答え、なのか?」

「あぁ、私の想いだ・・・負けはしない!!」

 

私もISを起動し身構える、来るぞ、見逃すな!!

 

「排除する」

「くっ・・・!!」

 

発生したのは異空間に接続するゲートだった、それに吸い込まれそうになる

 

「これで・・・」

 

ロングソード2を振りかざし、叫びながら飛び出す

 

「終わりだッ!!」

 

その声と共に破壊した、しかし私は吸い込まれ、フェードアウトし遠ざかる意識の中、敵が倒れるのを見た

 

「君は事を為した。親として、誇らしく思うよ」

 

気が付けば、昔住んでいた家の、父親の書斎にいた。最後に見た時のままのように、父が微笑みかけている

 

「あ・・・れ?お父さん・・・」

 

どこか違和感が拭えない、何がおかしいのかは分からないが、父ではない他の誰かがいたように思える

私はどこかに迷い込んでしまったのか?

わからない・・・

 

「同一体を倒し、その計画を防ぎきった、そして今、最後の終末(・・・・・)は終わりを迎えようとしている」

 

最後の終末・・・何を意味していたんだっけ・・・

忘れてはいけなかったはずなのに、霞がかかったように思い出せない

 

「これほどの功績は他の誰であろうと成し得ない、由宇は僕の期待に応えてくれたんだよ」

「でも・・・」

 

何かが引っかかる

 

「由宇はもう十分に戦った。まだ、何かしたいと思っているのかい?」

「そうなのかな・・・私は失敗ばかりしてきた気がするんだ、もっと強かったら、賢かったら、もっといい未来にできたのかもしれないから・・・あの子(・・・)とも分かり合えたかもしれない、父さんを救えたかもしれない・・・もっと大勢の人を助けられたかもしれない」

 

そして、産んでくれた母さんも助けられたかもしれないんだ・・・

振り返れば後悔ばかりが残っている

 

「そう考える度、不安なんだ。あの時の選択は間違いじゃなかったのか・・・あの時、あぁしてよかったのか」

「人は限られた条件の中で戦わなければならない。不運もある、理不尽な運命もある、どれだけ身構えていようと抗えない事もある。でもね」

 

父が言う言葉に私は同意する事ができる、何故ならそれは私の思いでもあるから

 

「僕はそれが人だと思っているんだよ」

 

部屋に満ちた光が不安や悩みを溶かすように、違和感は時間と共に薄れて、何も感じなくなった

 

「だけど、もう思い悩むことはないよ。この中では、君を縛るものはなくなる。心の壁を取り除けば、苦しむ必要はなくなる。隠し事もなく、自分の利益のために他人を犠牲にしない」

「・・・」

()という概念がすべてを惑わせるのさ、由宇も嫌というほど理解しているだろう?」

 

これで・・・いいのか?

 

「由宇なら理解できるはずだ、終末の使徒は敵でないことを。僕たちに新たなる道を指し示すモノ、それこそが終末の使徒なんだよ」

 

そして父から手を差し伸べられる

 

「さぁ、僕()と共に来るといい。()という存在を捨てて、次の段階へ進むんだ」

「私は・・・」

 

何も悩む必要はない・・・それでも、この引っ掛かりはなんだろうか?

決して忘れてはならないような気持ちが・・・あったような気がする

 

「あ・・・」

 

突然、私の身体が輝いた。まるで蛍のように淡い光を放ちながら、周囲を照らす

それと同時、全て再認識した

 

「あぁ、そうだった・・・」

 

私にとって誰よりも大切な存在、決して忘れてはいけない人物(ソレ)が、蘇る

そうだ・・・この輝きは、私から生まれたものじゃない。

全てを託してくれる、託せる。私の中にないものを見せてくれるものだから

 

「・・・」

 

胸が熱くなる

温かく、それでいて何よりも純粋な想いを感じながら、私は自分の意思を取り戻していた

 

「やっぱり、私は私でしかないよ・・・」

「由宇・・・」

 

そして伸ばしかけた手を戻し、首を横に振る

 

「不運もある、理不尽な運命もある、どれだけ身構えていようと抗えない事もある。父さんの考えはその通りで、終末の使徒に身を委ねれば、楽になるのかもしれないけど・・・でもこの世界には、みんながいるんだ。同級生や友達が、私に関わってくれる人たちが・・・」

 

私は思い出し、想起する。

カズマに出会い、共に過ごし、IS学園に入り、学友と主に過ごし、学んだ数々のことを

これから歩んでいく未来の事を・・・

 

「この世界は嫌なことばかりじゃない、分かりあって、気付かされることもある。自分一人では無理で、辿り着けないとしても、仲間となら正しい答えを導き出せる・・・」

 

悩みや苦しみもなく、何も感じない存在。

もしそうなったら、みんなが望む・・・私の好きな人が望む峰島・由宇ではなくなるんじゃないだろうか?

 

「お互いの壁がなくなれば、一つになれば悩む必要もなくなる。それは素晴らしいことかもしれない。でも、私は・・・」

 

()であるからこそ、彼を好きになれた。

誰よりも大切にしたいと、ずっと一緒に生きたいと、そう願うようになれた

終末の使徒と一つになり、この気持ちが消えてしまうのなら・・・何も感じなくなってしまうのなら

 

「私は、峰島・由宇は、別でいたいです。この感情が乱れだとしても、もしも間違っていたとしても、好きな人を好きと言える世界にいたいと思います」

「そうか、君はいつまでも変わらないんだね・・・」

 

ふと、父の瞳に別の色が生まれた。終末の使徒とは違う、別の何かが

 

「この世界はどこも薄汚れている。キレイなままでは息苦しい時もある。だけど、だからこそ由宇は誰よりも強く光り輝く。その人生で得た仲間と共に歩めば、道を違えることもないだろう。その輝きが色褪せない限り」

「・・・はいっ!!」

「・・・いい返事だ」

 

ドアを開けると、その隙間から光が漏れてきた。体の芯を熱くさせ、眠りから覚まさせるような眩しさだ

もはや、この部屋でやり残したことはない。私は最後に一礼し、心を留めてくれた部屋から飛び出した

 

「この世界と、君達の未来に幸多からんことを!!そして、まだ見ぬ遠い未来に祝福をっ!!」

 

光が広がる。私はこの先で待っている思い人と会うため、全力で駆け抜けた

 

 




肝心の戦闘シーンがねぇぇぇ!!という事に今気がついた作者です
よし、後回しにして次話に行こう



感想ください、作者の肥やしになります


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進化のその先へ

それは進化の最先端を行く少女の戦い
未来を選択するのは少女か、敵か
今、ある意味での人類の未来は、一人の少女に委ねられた


熱い鼓動を感じる

熱く、強くて、それでいて優しく、どこまでも包み込んでくれる鼓動が

私より人付き合いが上手で、お節介焼きで、思い込んだら一直線のくせに妙なところで遠慮深い・・・そんな人の

 

「由宇・・・」

 

大切な人は、近くにいた

 

「カズマ・・・」

 

それと同時に彼は恥ずかしさから背を向ける

私はそれを見て、少しだけ笑った

 

「君がいなくなったら、これからの未来をどう描けばいい?せっかく好きになれたし、君にとってライバルが増えるというのに」

「ごめん・・・」

「約束、忘れるなよ?待っているから」

「あぁ・・・」

 

彼はそう言うと消えた、おそらくもとの空間に戻ったのだろう

 

「でも、その前に、すべてを見届けた後だっ!!」

 

その言葉を叫んだ瞬間、空間が書き変わった

 

「何故、私達を受け入れない。何故・・・なぜ・・・ナゼ」

「それが、私達の選択だから。人であるという事・・・そういう事だから」

「分からない・・・わからない・・・ワカラナイ・・・」

 

そして敵は叫んだ

 

「侵食するのみ!!」

 

対する私の一撃は・・・

 

「トランザム・・・ライザー!!」

 

限界まで充填された高濃度圧縮粒子を特大のビームサーベルとして解放する最強の攻撃手段であった

この一撃は、白式の零落白夜とは逆の考え。エネルギーシールドの耐久値飽和量のエネルギーをぶつける事によって甚大なダメージを与えることが目的だ

 

「がぁあぁぁ!!」

「おぉぉぉっ!!」

 

そのまま一気になぎ払い、地面に叩きつける、いつの間にかもとの空間に戻っていた

 

「わ、私は生物の究極進化・・・これこそが、最終到達点だというのに・・・」

「言ったはずだ、それはお前の進化(・・・・・)だと。そこに人間の意思は存在しない、お前が支配する世界には!!」

 

だから、だからこそ・・・!!

 

「お前がいるべき場所はない!!これで終わりだ!!」

 

今こそ、起動してくれ!!

 

「ワンオフ、アビリティ!!」

「あぁ・・・その力は・・・その光は・・・やめろ・・・やめろ・・・」

 

 

敵は何度も叫ぶ、やめろ、と

だが、ここでやらなければ、意味がない

 

「やめろ・・・やめろ・・・やめろおぉぉぉぉぉっ!!」

「浄化せよ、トランザムバーストッ!!」

 

次の瞬間、特殊システム"トランザムバースト"が起動し、七色の輝きを放つ膨大な粒子が戦場全域に放出された

吹き飛ばす物理的な力は勿論のこと、浄化ということからわかるように、傷つき、ボロボロになったISの装甲だけでなくその使用者の身体も回復する謎の力

カズマはこれを、人類を革新に(・・・・・・)導くための機能(・・・・・・・)と言っていた

コアを経由して皆の意志の共有されているのを感じる、私を見て驚きながら、敵が倒れたのを見て唖然としている人がいる

私に続けと、敵を倒すのではなく捕縛している人がいる・・・

 

「・・・?」

 

そんな中、カズマから文章データが送られてきた、すぐに読む

 

「純粋な祈りで出力機関が連動し、純度を増した粒子が人々の意識を拡張させる・・・」

 

最後には、「よくやった、後でいっぱい甘えていいよ」と、普段しない事をしてみろという皮肉もあった

 

「戦場にいるIS学園生徒及び教師陣に通達!!これより高濃度粒子領域を限界まで展開し敵艦ごとこの戦場を全域に渡って本校所有、あるいは専用機持ちのISの限界稼働を可能とする空間にする、心置きなく個々人の戦いを!!」

 

それから先はまさに圧倒的な戦闘になる、それ見ながら、私はカズマに通信を入れた

今頃カズマの方は作戦を終わり、帰投中だろうから

 

「カズマ・・・」

「なんだい、今終わったよ」

「質問があるんだ」

「言ってごらん?」

 

優しい促しに私は苦笑いしながら質問することにした

 

「なぜ人は、すれ違うばかりなんだろうな?」

「なまじ、知性があるから・・・些細なことを誤解するんだ」

「それが嘘になって、相手を区別して・・・」

「分かり合えなくなる」

 

そうか、そうだな・・・カズマならそう答えてくれるって信じてた

 

「ただ、気づいていないだけなんだ・・・」

「だから、示せるものが示さなければならない」

「あぁ・・・」

 

最後は二人で同時に叫んだ

 

「世界はこんなにも、簡単だということをっ!!」

 

最終的に敵は潰走し散り散りになったところを国連軍に拿捕され、IS学園の守りは鉄壁だということを改めて世界に認識させた

それと同時に、七色の光が戦場に降り注いでいたとも




これで一応戦闘の回は終わりかな、きつかった。
作者の頭の錬金鍋(ネタデータ)が底をついたぐらいに


感想ください、作者の精神ダメージが回復(あるいはさらに摩耗)します


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君と手を取る先の世界

戦いは終わり、一時の平和が再び訪れた
運命はここに収束し、新たな世界へ変わる


「ふぅ・・・これで全部かな・・・」

 

トントン・・・と小気味いい音を立てながら俺は最後の書類を纏めた

あの作戦・・・というより事件になっていたソレは、名称を怒りの日(ディエス・イレ)という

あの戦いで各地に大きな被害をもたらしたものの、もう二度とあのような事はないだろうし、今も復旧していく学園の建物を見てソレを確信している

 

「嬉しそうじゃない」

「当然だ、嬉しくなかったらなんだという?」

 

この世界は終わらないし、そう簡単には変わらないだろう

だが、俺達の力で少しずつ変えていけると信じている

何故なら、人は誰でも、誰か(・・)の意思を受け継いでいるのだから

それは親だったり、曽於父母だったり、あるいは友人や弟妹(きょうだい)だったりする

そして、今日という・・・新しい一日の始まりだ、穏やかで、それでいて騒がしい一日が

 

「・・・?」

 

背後のベットにおかしなものを見た

 

「イセリアさんや」

「なにかなー?」

「どうやって入ってきたのかな?」

「・・・」

 

この部屋はほかの部屋同様電子鍵を採用している、しかも一秒に6000層からなる多重防壁を展開する最新鋭のものである

それにも関わらず、堂々と侵入していて、俺のベッドでゴロゴロしている

おそらく個人で持っている電子端末によるものだろう。魔改造したな、得意だからって・・・

 

「愛さえあれば、何でもできるよねー!!」

「死ねぇぇっ!!」

 

横のベッドで寝ていた由宇が速攻で攻撃に転していた

寝起きでご苦労なことである

 

「っとまて・・・」

 

時間を確認する・・・最悪だ!!」

 

「マズイ!!着替えろ二人共っ!!」

「え・・・あぁぁ!?」

「もう着ている!!」

 

由宇はそもそも制服で寝てるからいいんだろうけど俺とイセリアは着替えなくてはならない

だから・・・

 

「イセリア、シャワーのとこで着替えろ!!」

「なんで!?」

「由宇、連行してくれ!!」

「わかった」

 

俺がベッドで着替え、イセリアをシャワー室で着替えさせる

今日が何か忘れていた、2学年に上がって最初の日、始業式じゃねぇか!!

 

「あぁ、どうしてこう初日から慌ただしいんだよ!!」

「不満を漏らす前に身体を動かせ!!新生徒会役員が総じて遅刻など笑えんぞ!!」

 

そう、迷惑なことに新生徒会の役員に全員指名されていた

生徒会長、更識楯無(狸)により。ちなみに(狸)と付けたのは彼女の俺に対する働きかけが狸ジジイ風だからだ、他意はない。

 

「僕たちいつもこうじゃない?」

「もはや様式美だな・・・」

「あんまり美にはしたくないが・・・」

 

シャルロット、ラウラ、箒の順番でそういう

一夏達とは部屋を出てすぐに合流した・・・やれやれコイツらもか・・・

いつも以上に騒がしい一日になりそうだな、だけどこれからはこういう日々が長く続くように頑張ろう。騒がしくても楽しくて、最高の日常にできるように

 

「急げばまだ間に合う!!」

 

そうしてなんとか間に合わせ、俺は一度みんなと分かれる

理由は・・・

 

「遅いぞ藍澤」

「すまん、寝坊した」

「珍しいじゃないか」

「からかっているのか?」

 

俺は織斑・千冬にそう言うと学生服を脱ぎ、別の服を着る。

酒の流れでなんだかんだ、俺はなぜか先生になっていた。といっても教えられるのは戦闘関連なので基本は実習などの模擬戦などでしか出番がないのだが

 

「お前をからかっても面白くはない」

「あ、そう」

 

そう言いながら俺は生徒会代表として登壇し話し始めた一夏を見る

 

「いい顔になったな」

「奇しくも実戦の積み重ねがいい気付けになったようだ」

 

なんだかんで織斑・千冬は弟である一夏に

 

「甘いな」

「分かっている」

 

甘いが、それだけに厳しい。しかし厳しさの中には心からの心配があるのを理解しているし彼女自身、自覚もしている

 

「さて、俺の出番かな・・・?」

「あぁ、そのようだな」

 

そんな奴らだから面白いと感じる。故に全力で協力もすれば、その逆の事も辞さない構えだ

それでも一夏達は成長していくだろう。かつて俺は元いた世界で立ちふさがった敵に"人類の進化は止まらない"と言った

その最先鋭を行くのが一夏達、今を生きる少年・少女達だと、心の底から思っている




という訳で平日回でした、すっごく久しぶりな気がする・・・
というか、俺、戦闘以外は書くのに時間がかかるんだわ・・・今回も(本当に)頭の中の少ない語彙をフル動員したよ


感想ください、作者のエンジンがフル稼働するかもしれないです


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冬休み

雪って楽しい。投げたり突っ込んだり。


「お、雪だな」

「今年は大雪だってよ」

「そうか・・・」

 

IS学園から離れ、一夏の家に呼ばれた俺達はその途中で降り始めた雪に少しだけ驚く

 

「降り積もるといいなぁ」

「交通機関が麻痺するぞ?」

「遊ぶのが優先だ」

「そうか?」

 

そうだとも、雪投げに雪だるま、かまくら作って中で餅食べるのもいい

まぁ、かまくらの場合は少々雪の質と量が問題になるが

 

「あぁ、1mくらい降らないかな・・・」

「無理だろ、ここは冬でも氷点下に行く事のほうが珍しんだから」

「そうだよなぁ・・・はぁ」

「お前の別荘とかは?」

 

あぁうむ、なんだ・・・

 

「無理、そもそも大所帯じゃはいれない」

「それか・・・」

「当然だろう、山篭り用のログハウスだぞ」

 

山にこもって心身を鍛え直す時にしか使わないログハウスだ、そもそも大所帯で入ることを想定した作りではない。

無理だとは言わないが厳しいところがある、主に電源容量が

 

「でも、こうして見ているだけでもいいものだな」

「そうか・・・?」

 

専用機持ちのうち、セシリアなどの外国組はそれぞれ帰国しており、ここには日本国籍の専用機持ちのみである

織斑・一夏、篠ノ之・箒、俺、峰島・由宇の四名だ

それに家主(?)である織斑・千冬もプラスしよう、ちなみにその織斑・千冬は・・・

 

「酒、かっ食らってないだろうな・・・?」

「俺に聞くなよ」

「その通りだな、俺の酒が美味すぎるのが原因といえば原因か」

 

セレクトが良すぎたのかもしれない。反省しよう

 

「出不精なの?あの凛々しき方が」

「冬は案外な、夏はそこそこだが」

 

身内から語られる衝撃の真実。案外ヒッキーだった。

そういえば篠ノ之・束はどうしているんだ?

 

「束さんは箒と遊んで・・・もといイジってるな」

「おぉう・・・」

 

主にどちらが可哀想だとかは言わないが、ご愁傷様である。

 

「明日は降り積もれー、雪球作って一夏の顔面にクリーンヒットだァ!!」

「ひでぇぞおい!?」

 

面白いだろう?これでないとな

 

「さて、おでん作るか」

「おぉ、その食材のほかに何を買ったんだ?」

「うどん」

「マイナーだな」

 

マイナーこそ王道なり

 

「美味ければいい、それが更に日本料理ならば」

「あ、そう」

 

呆れられた、酷いなぁ・・・

 

「さて、着きましたねぇ」

「なんだろう、今入ったらまずい気がする」

「以下略」

 

なんだが不吉な予感がした。こう、開けたら悪夢が広がってそうな感じがする

 

留守番をしていたのは話をしていた女性陣、織斑・千冬、篠ノ之・束、その妹である篠ノ之・箒、話になかったけど峰島・由宇の五名だ

セリアはおでんが出来た頃に来るとか言ってたのでおそらくゲーセンで遊んでいるのだろう

 

「お前が先に行けよ、織斑(弟)」

「いまさら他人行儀!?」

 

だって犠牲になりたくないもん

 

「行くぞ・・・」

「おう」

 

俺は一夏がドアノブに手をかけた瞬間に数歩引いた、食材を守るため

 

「へぶっ!?」

 

ドアを開けた一夏を待っていたのは、人ではなく皿の顔面クリーンヒットだった。

 

こ れ は い た い

 

「つうぅ!!」

「大丈夫か?」

「なんでお前は無事なんだ!?」

「逃げた」

 

さらっと盾にしてみた、だってモノが飛んでくるじゃん、あぁいう予感がした時って(偏見)

 

「ひでぇ!!」

「知らぬ」

 

そう言って一夏を促して先に入らせる、皿が飛んできた理由は直後に判明した

酒に酔った箒が原因だったのだ

 

「未成年に何飲ませてんの?」

「自分から飲んだのだ」

「うわぁお」

 

べろんべろんに酔ってやがる、これどうする?

 

「そういう事はわかったがなんで笑っている?」

「え、面白いから!!」

 

だろうと思った、この姉あってこの妹ありだな、反面教師には良さそうだ

 

「さて、おでんだぞ夕飯は、ちと酒に酔ってる奴は俺に任せろ」

「どうするんだ?」

「ショック療法」

「あ、はい、聞かないでおきます」

「よろしい」

 

お薬使って元に戻すか、アルコールが抜ければ冷静になるだろう

 

「終わり、10分待とうか」

「おう、その間に出来るぜ」

 

よしよし、いいぞ。そんなこんなで10分後

 

「う、うわああぁぁぁっ!!」

 

篠ノ之・箒の絶叫が木霊したのだった




酒飲ませちゃいけないのっているよね、箒は少々危険かな?



感想ください、作者のエネルギー源になります


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コタツ

もとい、コタツの虜の人間
いかな最強もコタツという魔物にはかなわないのだった


「って事で家に唯一無かったコタツを購入しました!!」

「イェーイ!!」

「・・・」

 

イセリアと束、セリアはノリノリだが、由宇は微妙そうな表情だった

それもそうだろう、コタツ見るのが初めてだから

 

「早速組み立てます」

 

絵文字付けるなら(`・ω・´)キリッ!という所だが、組み立ては簡単だ

 

···

······

·········

はい、できた

 

「完成っ!!」

 

僅か15分で完成&使用開始

 

「あー、温もるぅ···」

 

実はコタツを買った理由がきちんとある。それも凄く切実なものが

 

「エアコンの修理、どれくらいかかるの?」

「んー、(ピー)万くらい」

 

そう、エアコンがぶっ壊れたのだ。あの時の絶望と阿鼻叫喚は忘れない。

そのあと、急いでファンヒーターを出し(これは電気料金を削減するためにあらかじめ買っていた)、それだけでは食事中少し寒いので今日、コタツを買ってきたのである

 

「今日のご飯は何?」

「選択肢は二つ、味噌煮込みうどんとカレーラーメン」

 

どちらもコタツの天板の上に電熱を置いたら料理可能で楽チンなモノだ

 

「多数決しようか、カレーラーメンがいい奴は手を挙げい」

「んあー」

「ふひー」

 

だらしない声と共に手を挙げたのはセリアと束である

えっ?前者は分かるが後者は何でそんなにだらしなく?

 

「じゃあ、味噌煮込みうどんに決定で」

 

味噌煮込みうどんは二人を除く大勢なので民主主義の名のもとに料理の準備をする

と言っても、具材用意して電気コンロと道具持ってくればここでも出来るシロモノだ

 

「じゃあ作りマース」

「闇鍋したいおっ!!」

「黙れセリア」

「あっはい」

 

俺の作る飯で闇鍋などさせるものか

 

「完成!!」

 

皿を配り、全員で突っつきながら食べる

こうなると発生するのが···

 

「これ、私のお肉なんだけど?」

「知らん」

 

肉の取り合いである、味噌煮込みうどんであるが、俺のモノは少し肉の量を増量している

元々、味噌煮込みうどん自体に肉を入れる方と入れない方で喧嘩になりかけたのがきっかけであるので肉無しver.も共存できるように鍋が二つで一つだ

 

「ねぇ、私の肉」

「知らぬ」

 

由宇が束を···

 

「カズマくん、ゆーちゃんが苛めるよぉ!!」

「シラタキ食おうぜ」

「ふえぇっ!!」

 

肉以外にも食えよバカども、コンニャクとシラタキ余ってんぞ

 

「うどんが尽きたか、増量だァ!!」

 

うどん麺再追加、最後まで美味しく食べる方法はもう一つありマース

 

「んー、美味しー!!」

「さて、そろそろ〆だ」

「おぉ!?」

 

飯を用意しまして、鍋の中にぶち込みます。しばらく混ぜて、チーズ(ピザ用粉チーズ)をぶちまけます。

しばらく待つと···

 

「リゾットモドキ完成!!」

「美味しそー!!」

 

モドキなのでアレンジが激しいが、美味い事には間違いないはずっ!!




って理由でお料理回でした。味噌煮込みうどんよりすき焼きでやるようなメニューの気がします


感想ください、作者の執筆速度が向上します


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新学年編
お話し?


二年生となり教師にもなった主人公。そして、新たなる世代を育てる立場になる


冬休みもつつがなく(?)終わり、IS学園での生活が再開された

高校生だけでなく、実習の教官もする俺はそこそこに忙しい中、(一応)上司である織斑・千冬と話し合う

 

「専用機持ちは今年何人だ?」

「各クラスに最低でも一人はいるな」

「うわぁお・・・」

 

なんと豪勢なことであろうか・・・

 

「日本から各国に提供された専用機が大半だ、お前が担当するクラスは・・・」

「ギンガとヴェリアルか・・・」

 

俺の開発した機体に自分で当たる羽目になるとは苦笑ものだ

 

「ギンガもヴェリアルも性能は未知数なのだろう?」

「使う人間が人間なら、どこまでも進化をしていく上限なし(・・・・)の機体だからな」

 

性能は未知数だが、それは使う人間がそれだけの性能を引き出せる場合においてこそだ

それが出来ないなら、量産機と大して変わらない性能のままになる

 

「それで、お前の機体は?」

「あぁ、由宇のと一緒に改修中」

 

俺の機体・・・ブラックフレームは改修を行っている

ゼロフレームと分離し、ゼロフレーム自体は元の持ち主であるイセリアに提供、ブラックフレームは単体での運用を目指している

しかし、上手く進んでいないのが現状である。元々ゼロフレームを秘匿するためにブラックフレームという外殻を開発したため、基礎システムは同一品。その為、単体運用の際の問題を解決しにくいという弱点があるのを考慮していなかったから

 

「まだ、もうしばらくかかるな」

「天才が考えていなかった弱点なのだからな?」

「うるせぇ」

 

天才ではないと何回言えば分かるのか・・・ヤレヤレ

 

「さて・・・」

 

プランを練りつつ、俺は考える

転生者の敵集団は大まかな部分で倒す事にこそ成功はした。だがそれだからといって安心できるわけではない

彼らは世界に毒の種を撒いたのだ。それがいつ発芽し、こちらに牙となって襲いかかるかは分からないが、非常に危険なバランスで今の世界があるのは事実だ

それゆえに、危険な事になっても、自分と仲間ぐらいは守れる力を付けさせたいと教える側(・・・・)になって初めて思い始めた

しかしまぁ、俺が教えられることは少ないんだが

 

「少ないなぁ・・・予算」

「修復に持って行かれている状況だ、お前の組織とそのツテから寄付がなかったら今頃どんなことになっていたやら」

「全く、予算の半分だぞ」

 

WALRUSは正式に国連を通して国際IS委員会から外注でIS学園の防衛を任されるようになった。その条件が、予算提供。かなりの額だったが、それでも余裕はある

IS学園の予算の半分に匹敵する修復費を提供するのは少々骨が折れる事だったが、やはり国際的に名の知れた組織というだけはあったのか、ほかのPMCに寄付を募ったらたくさん来た。

 

「さて、どうするかねぇ・・・」

「どうしようもないだろう」

 

予算は限られているのでその中で考えねばならない、慣れた事ではあるが大変だ

 

「まぁ、何とかしてみせるさ」

「あぁ、そうしろ」

 

にべにもない声を聞きながら、俺は席を立ち、授業に行くことにした




さて、新学年編開始だよ!!
新学年でどんなことがあるのかなぁ・・・


感想ください、作者のエネルギー源になります


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誘拐事件

生徒が誘拐された、主人公はマジギレで?


四月のある日、優雅に休日を過ごす生徒を尻目に俺は仕事をしていた

その中で緊急の電話が入り、応対したのだが・・・

 

「それは本当か!?」

「あぁ、本当だ。たった今連絡が入った」

 

それは最悪な事だった、新入生が一人、誘拐されたなののだから

 

「俺が出る!!セリア、近接サポートを!!」

「了解!!」

「イセリアは狙撃、任せる!!」

「はーい!!」

 

最強の二人にもサポートを依頼して向かう

 

「待て藍澤、ブラックフレームは改修中だろう?」

「問題ない」

 

イセリアが俺に渡してきた日本刀を持ち、告げる

 

「これだけあればいい」

「そうか・・・敵はIS使用の可能性もあるのだが?」

「生身でそれを倒せるアンタがそれを言うか?」

「・・・」

 

皮肉を言ったら睨まれた、ひぇっ・・・!!

 

「さて、誘拐されたのは?」

「一名です、学園で専用機を受領するようですよ?」

「あっ・・・?おい、まさか・・・」

 

専用機の受領をここですると言ったら、オレが知る中で四人のうち誰かだ

俺の作った2機、由宇の作った機体、束が作った機体の計4機の専属使用者の誰かだろう

 

「喜べ藍澤、ヴェリアルの専属だ」

「あんのクソガキ!!」

 

腹立たしい、あんのクソガキ・・・ッ!!

 

「二人共」

「なんだ?」

「なに?」

「今日のドライビングは、やべぇぞ?」

 

車を運転するしかないので、先に忠告しておく。今日の俺はキレているので危険なことをすると

 

「まぁ・・・しゃあないな」

「そうだね・・・」

 

ということでカギを取り、車庫に向かう。骨董品に分類され始めている車

海外販売名はレクサスIS、国内販売名・・・

 

アルテッツァ(ALTEZZA)

 

ただし外観以外は魔改造を施したフルカスタムカーと化している。

サスペンションは当然のこと、ブレーキやABS、給排気、エンジン系統の刷新と換装を中心に軽量化も行った結果、ベースの5倍に匹敵する性能を引き出している。

その代わり車検を通せるようにするのが大変だったが。

 

「さぁ、行きますか!!」

 

そんなこんなで試走と一緒に救助任務に入る

 

「さて、着きました」

 

それから数十分後、現場近くに到着した

全く、あのクソガキ・・・

 

「後でお仕置きだァ・・・」

「うわぁ・・・悪い顔」

「ふん、何を今更」

 

現場の建物の壁の前に立ち、俺は告げる

 

「さぁ、お仕事・・・だっ!!」

 

同時に剣を振るい、壁面を切り飛ばした

 

「よぉ・・・生徒を誘拐したのはてめぇらか?」

「なんだテメェ?」

「IS学園の教師様だァ」

 

案の定、ISを展開して待ち構えていた。が、やはり烏合の衆だな、明らかに練度が低そうな感じがする

 

「男がIS学園の教師?分不相応だという事を教えてやるぞ!!」

「あーぁ、喧嘩売っちゃった」

 

そういったのは誰だろうか?恐らくイセリアだろう。その言葉の間に一番近くにいたヤツを装甲ごと無理やり片腕切った

 

「ぎゃあぁぁぁ!!」

「流石、馬鹿共だ、無駄で無意味に元気な事で実に大変宜しい」

 

激痛の悲鳴を聞きつつそう告げながら残りの人間の方にも向く

 

「さて、人質を開放し投降するのならばコイツのようにはしないが、どうよ?」

 

そう言って切り飛ばした腕をその持ち主に投げる

 

「あ、あぁ・・・あぁぁぁ!!」

「もう一度言おうか?」

「ひ・・・ひぃ!!」

「人質放して投降しろ、じゃねぇと次は首を狩るぞ?」

 

そう言って、首を着る仕草をして恐怖を煽る

 

「か、解放する!!だから命だけは!!」

「あ、そう・・・?じゃあ」

 

セリアと同時に構えて、告げる

 

「寝てろ」

 

気絶させ、後援の部隊が来るまで待つ事にした。その間・・・

 

「お前は馬鹿か!?」

「ご、ごめんなさい!!」

 

こっぴどく叱ることも忘れない

 

「今回は間に合ったからいいものの、次はないし、起こすなよ!?」

「は、はい!!」

「返事はいいんだが・・・」

 

ヴェリアルの専属使用者、坂上・アンナ。俺が演習を担当するクラスの代表でもあり、問題を起こしては先生方を悩ませることがほぼ確実の問題児である

IS学園の模擬試験(本年より施行、発案者は俺)で優秀な成績を出した結果、入学したはいいものの転生の問題児ぶりを遺憾無く発揮中らしい(本人談)

 

「お前が悪いわけではないが、反省文な」

「えぇー!?」

「あっ?なんか文句あるのかぁ!?」

「ないです・・・」

 

ならいい、さて・・・

 

「帰るぞ、車に乗れ」

「いいんですか?あれ、なんか可哀想な目で見られているような気が・・・」

「気のせいだちゃっちゃと乗れ」

「あ、はい」

 

地獄を見せてやるよ、トラウマになるようなモノをなぁ!!




新キャラが登場したぞぉぉぉぉ!!さぁ、原作を差し置いて突き抜けるぜ!!
突き抜けるけど、真面目に書こう。



感想ください、作者の栄養になります


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次世代専用機

タイトルのまま、最新鋭の専用機が新たな世代に渡される
それは新たなる物語のスタートであり、運命をも凌駕する力の発現であった


「ほら、入れ」

「はい・・・!!」

 

元気なのはいいが、少し腹立つ

 

「あぁ・・・これが」

「お前の専用機、ISVS-Plan1055"ヴェリアル"だ」

 

燃えるような赤と闇の中のような黒の2色を基調とした一撃離脱が主体構成の機体

基礎構造は既存ISの中で最もバランスのいい機体である打鉄を参考に、ブラックフレーム・エヴォルツィオンへの強化改修時に開発された、各種装備を再開発した物を採用している。

さらに背面には2枚1対のスラスター内蔵型ウィングパーツを装備、空間機動能力は第3世代はおろか、第4世代機である紅椿をも凌駕する

それでも、俺の機体ほどの性能は獲得できなかったのが残念で悔やまれる。

それもそれでしょうがないことではある、ISという縛りの中で最大限まで性能を追求出来ただけマシだと思う

 

「ISVS・・・てなんですか?」

「Infinte Stratos Variation Series、次世代ISの中でも装備品が最も優れている専用機のシリーズの開発名だ」

「専用機をシリーズで開発ですか・・・軽く悪夢通り越してますね」

「ちなみに既存機でも既に採用しているものがあるぞ?」

 

爆弾発言をここでかます、そう、既に採用されている技術なのだ。その開発者が俺と由宇、束なのが皮肉なのだが

 

 

「最新鋭機ですけど、コレ、私に扱えるでしょうか?」

「君と最も波長のあっている機体だ、君でなくては満足に動かすことも出来ん」

「はぁ・・・」

 

そう、波長・・・同調率が最も高い人間でなくては扱えたとしても満足なものにはならない

そのように出来ているし、そうなるべくしてなったとも言える。もともと、ISもストライカーも同じ条件があるのだ

その条件こそ、コアと使用する人間の精神波長、同調率だ

 

「明日から放課後に毎日1時間、コイツを使え。使えば使うほど君の言う事を聞くようになるし、性能も向上していく」

「うへぇ・・・マジですか」

「なんなら俺がコーチになってもいいぞ?」

「遠慮しますぅぅ!!」

 

全力で拒否された、ちょっとだけ泣きそうになった

 

「でも、使えば使うだけ答えてくれるって・・・なんだか不思議な感覚です」

「簡単に例えるなら"相棒"だな、自分の無茶についてきてくれて、フォローもしてくれるような存在だよ」

「互いになければ危うい・・・って意味ですね?」

「そうだ、自分自身の強さと使うモノの強さ、その両方がないと危うい」

 

簡単な説明だけでこちらの言いたいことが分かるのはいいのだが、なんでコイツはいつもトラブルばかりを起こすのか・・・はぁ・・・

 

「で、クラス代表戦は?」

「来週です!!」

「え・・・ヤバくね?それって超ヤバくね?」

「ヤバイです・・・」

 

すっごく付け焼刃な感じがするので・・・ここは俺よりも教えるのが上手く、伸び代を最大限まで引き出す奴に任せよう

 

「イセリア、少し来てもらっていい?」

「なに?教練?」

「うん、そうだよ。頭のネジが数本飛んでる上に予想の斜め上を滑空する系のガキの教育を頼んでいいかな?」

「カズマほどではないからいいよ、すぐに行くね」

 

なんか酷い言われようだったが、事実なので言い返せない

 

「ハイ到着ッ!!ここにプリティガンナーイセリアちゃん、爆誕ッ!!」

「やめようか、軽くトラウマだから」

 

それと一ミクロンもプリティじゃない、あんなに酷い(敵は全て堕とされる)超高速連続狙撃をやってのける女性のどこをプリティと思える?

 

「もう、そんな事を言うと、軽く粉砕するぞ?」

「ひぃ!?目が本気だァ!!」

 

殺す気かよ、やべぇぞ寿命がなくなる!!

 

「まぁ、いいや・・・で、あぁ・・・」

「なんでそんな可哀想なものを見る目に・・・」

「いや、違うよ?」

 

可哀想なものを見る目じゃあない、決して違う

これは・・・新しい玩具を見つけた時の表情だッ!!

 

「なんかやばくないですか、この人」

「あぁ・・・真性のドS(ヤンデレ)だな」

「誤字ですよね!?ねぇ!?」

「あはははっ・・・はぁ」

 

頑張れ、俺は今凄まじい墓穴を掘った

 

「さぁ、頑張ろうか・・・一時間生きていけるかなぁ?」

「ひいぃぃっ!!やぁぁぁぁっ!!」

 

俺は首根っこを掴まれて引きずられていく坂上・アンナに手を振りながら見送った

 

「さて、自分の機体の方に行くか」

 

ブラックフレームはまだゼロフレームと分離できていない。問題である新型動力機関との同調率が完全ではないのだ

これはブラックフレームの基幹システムとの機能競合が原因で、一部を解決したらまた一部が競合するという無限ループに陥っている

最近になってようやくこれを解決できる方法が見つかったのが最大の喜びだった

 

「さぁ、今日こそ、再起してくれよ。相棒」

 

整備室に入り、苦楽を共にしてきたもう一人の相棒と言えるブラックフレームに俺はそう言う。

ブラックフレームも、そういったのが分かったかのように、輝きを放つ

 

「カズマ君!!」

「お、どうした束?」

「この理論使って!!」

「うん、新型動力機関の理論?」

 

新型動力機関の可動システム理論だった、これは・・・

 

「BALDR・SKYで試みた可動システムの発展版か!?」

「そう!!これなら君の愛機も再起してくれると思って!!」

 

束から渡された資料を見て、確信した。この理論なら、成功すると

ただし成功はしても・・・

 

「完全同調は無理か、起動が限界だな」

「それは・・・そうだね」

 

新型動力機関の機体との同調は難しい作業だ、ヘタをしたら半径数キロは焦土と化すバケモノを搭載するのだからなおさらだろう

 

ツインリンケージ(2基連動)マイクロニュークリアリアクター(超小型核動力炉)・・・莫大な出力の代わりに同調率が問題だね・・・」

「それでも、やってのけるさ」

 

最大限までやってのけると決めた、限界まで挑戦しなければ結果なんてわからないんだ

 

「後でたっぷりお礼してあげる」

「ありがとー!!待ってるね!!」

「あぁ、待っていてくれ」

 

もらったモノを利用して再度組み直す、これで成功してくれよ!!




さぁ、新世代の胎動と主人公の新型機のお目見えは近いぞ!!
次はついに戦闘の回だ!!模擬戦でエキサイトしちゃうぜぇ!!


感想ください、作者の栄養になります


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最強(元)軍人VS歴戦の戦姫

最強の元軍人に挑むのは歴戦の戦姫(いくさひめ)
かつて在りし日の姿にて、女性として最高にして最強の人物がその実力を発揮する


「しゃあぁぁぁぁぁぁ!!」

「うわぁ・・・」

 

あれから数日、4連徹した結果、ようやく完成した。思わずエキサイトしてしまい、学業と教師とコレを両立していくのが大変だったが、今日をもってその苦難の一つが消える

 

「ようやく完成だぜぇ!!」

「このハイテンションでどこもおかしな点がないのがおかしいよね・・・ミスもないなんて本当に」

 

うん、先程から呆れた声を出されている人がおりますようですが・・・ま、いっか♪

 

ゴガンッ!!

 

「ぎゃひぃ!?いきなり殴ったぁ!?」

「目の下にクマをつくった上に不気味に笑うからよ」

「ひでぇ!!」

 

イセリアとぎゃーぎゃー言い合いながら最終確認をしていく

そして

 

「確認完了だあぁぁ!!」

「あのさぁ、キャラ崩壊著しくない?」

「オヤスミー」

「寝るなボケ、まだ平日だ」

 

え・・・

 

「なん・・・だと」

「なにその、嘘だろ!?みたいな顔は?本気でぶん殴りたいんだけど」

「嘘ですはい、普通に眠たいだけです」

「宜しい、では試験を始めよう」

 

・・・は?それは・・・えぇっと?

 

「はい・・・?」

「性能公試だよ、元は同じ設計の機体だからね」

「あぁ・・・やな予感がハイスピード・・・いや、マッハで迫ってきている」

「うん、やろうか」

 

やろうか。が、殺ろうか。に聞こえたのは間違いではないだろうなぁ・・・

 

「拒否権は?」

「あると思う?」

 

いつの間にか剣が首元に突き付けられていた件について

 

「ですよねぇ・・・」

「さぁ行こう、今すぐに行こう。さっさとやって遊ぶんだから!!」

 

いま、ものすごく輝いていた気がした

 

「で、ルールは?」

「実戦形式。それ以外に何かある?」

「ない」

 

場所は変わってアリーナ。バリア強度はフルパワー固定。でないと簡単に突き破れてしまうから。観客はなんと、学園の半分の生徒。お前らそんなに暇なのか?

よく見れば一夏達、専用機持ちもいるという驚き

 

「ではかつて在りし最強と極限と・・・」

「かつて在り得なかった戦いの場で・・・」

 

互いに機体を展開し、武器を構える

 

戦闘開始(エンゲージ)ッ!!」

 

それと同時に二人共ビームサーベルで鍔迫り合いに持ち込む

 

「やはりそう来るか、武術の心得はあったっけ!?」

「情報として知っているなら後はそれをリアルタイムで模倣(エミュレート)しながらやればいいだけじゃない、簡単よ!!」

「それはどう考えても簡単じゃない!!」

 

互いに蹴り飛ばして距離をあけ、ビームカノンとビームランチャーで相殺した

ゼロフレームとの同調は問題ないようだ、そしてかつての愛機と共に戦うことで急速に勘を取り戻しつつあるようでもある

このままだとジリ貧だな・・・!!

 

「「フルドライブッ!!」」

 

さらに性能上限を同時タイミングで開放、音を置いていく速度で空戦機動を行う

 

「ちいっ!!」

「くうぅ!!」

 

拳と拳がぶつかり、装甲が悲鳴を上げる。

ヒビが入り、じわじわと広がっていく

 

「「おぉぉぉぉぉっ!!」」

 

ついに装甲が限界をむかえ、爆散した。そのダメージと爆風で双方吹き飛ばされる

 

「「まだまだぁ!!」」

 

激戦再開、今度は地上戦に移る。地を駆けるだけでそこは抉れ飛び、土煙が起こる

 

「せぇっ!!」

「はぁっ!!」

 

剣戟は激しく、ぶつかるだけで衝撃波が発生し爆風に変わる

ビームサーベルのビーム発振器が、送られてくるエネルギー総量に耐え切れず悲鳴を上げて白煙を吐く

 

「「何度でもぉ!!」」

 

先に言っておくがこれは模擬戦である。性能公試を兼ねた模擬戦だ

それでこのレベルの事をするのは・・・

 

貴方()()愛を示したい(想いを伝える)ッ!!」

 

単なる親愛からだ、かつて互いに同じモノ・・・勝利を求めて、互いを愛した

その中で唯一しなかったのが、今している事だ

そう・・・全力を出すに足る存在が目の前にいる!!

 

「ぬうぅぅぅぅぅっ!!」

「おぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

激突は常に均衡、紛れもなく全力以上の領域に達しつつある

かつて俺はいつも飽いていた、飢えていた。生まれた世界を間違えたのではないかと諦観し絶望すらしていた

それを粉微塵と壊してくれたのが君だった、俺をいい意味でも悪い意味でも壊してくれた事を感謝している。礼に変えて全力で挑んでやる

あぁ、なんたる至福、何たる幸福だ!!胸を満たす充足感に宇宙さえ弾けそうだ!!

 

「俺は今・・・生きているッ!!」

 

この先何があろうと絶対にその手を放してやるものか。かつて迷った結果、君にあんな結末を与えたのを忘れてはいない。

だから、残り続けている後悔ごと押し流してみせる。この勝利は誰にも侵させたりはしない!!

 

「故に墜ちろ!!勝つのは俺だ!!新世代の最先端を飾る華となれ!!」

 

<アリーナ、イセリア>

 

「抜かさないでくれる!?散るのはどちらか知るがいいわ!!」

 

カズマの言葉を聞いて、ついに私は本気を出すことを決めた。

いつも願っていた、思い描いていた。始まりとはどんなものなのか、終わりが見えない故に狂するほど

その狂気を正し、期間を教えてくれたのがカズマだから、煩わしいけど礼を言おうかな・・・

あぁ、何たる絶望、何たる愚昧なのだろう!!胸を満たす自嘲感に宇宙さえ弾けそうだよ!!

 

「私は今・・・生きているッ!!」

 

貴方がいたから自分の今がある。貴方がいなければこの想いを誰にも伝えられないし感じられない。貴方と交わしてきた愛、恋という情を、胸に刺さないと流せないんだ!!

だから、残り続けている後悔ごと押し流してみせる。この勝利は誰にも侵させたりはしない!!

 

「故に墜ちろ!!勝つのは私だ!!新世代の夜明けを生む礎となれ!!」

 

最大火力の砲撃とワンオフアビリティの激突が起こり、アリーナのエネルギーバリアに亀裂が生じ始めた

それを起こしている私達は・・・

 

「ふふふふふふ・・・」

「はははははは・・・」

 

殺意にも似た感情を抱きながら、笑い

 

「「行くぞォ!!」」

 

更にピッチを上げ、激戦を繰り広げるのだった




はい、模擬戦です、主人公とニューヒロインが戦うだけで一都市は軽く消滅できそうですね(白目)
そろそろ設定資料出さないと作者が分からくなってくるぐらいですので小休止はさみます


感想ください、双葉(次話の構想)が出る(纏まる)のが早くなります


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閑話休題、という名の設定(8)

ついに8回目を迎えた設定資料!!
目指さくてもいい10回目はもう少しだっ!!


イセリア・アンクフレート

 

藍澤・カズマの初恋の人、バトルジャンキーじみたマニア。戦闘能力、資質ともに藍澤・カズマと同等レベルの"人間やめてる系"。

慎ましやかな雰囲気を漂わせる顔つきだが、出す言葉がトゲとポイズン塗れのせいで台無しになっている

 

身長 178.2

体重 ???

バストサイズ 慎ましやか。

視力(両眼) 2.4

 

 

ゼロフレーム

藍澤・カズマがブラックフレームに秘匿させていた機体。本来は彼女の専用機として開発されていたが、ある経緯により彼が使用する事を前提にモスポール処理をされていた歴史を持つ。

ブラックフレームの性能向上と同時に本機の性能も向上する特徴は失われたが、自己進化ロジック搭載のために再建造した事で、ピーキーでこそあるが全性能の大幅アップに成功している

再建造時に、単騎における戦場支配及び敵領土内の基地強襲に仕様変更がなされている。

 

武装

 

ビームサーベル

ブラックフレームと同規格のモノを採用。

 

ビームマシンガン

ビームライフルの連射性をさらに高めた試作装備、銃口部に追加パーツを付けることにより、さらに高出力のロングレンジライフルへ移行する"パーツスイッチングシステム"のテストも兼ねている

 

ビームシールド

両腕部と背面装備の武装複合盾に装備されている

本機では更に機能性を高めており、展開幅を変えることで両刃の剣としても使用できる仕様変更がなされている

反面、エネルギー消費量が増大したため連続使用に耐用出来ないデメリットを持つ

 

フレキシブル・スラスター・バインダー

サブジェネレーターを内蔵し片側3基計6基のバーニアを展開する肩部大型装備、背面のジェネレーターからの直接供給分を含めれば圧倒的なエネルギー総量を誇る

また、このバインダーは独立して可動することでAMBAC作動肢としても機能し、180°の姿勢変換を0.6秒で行える(重力加速度の計算を無視すればの話だが)。

 

アトミックバズーカ

超々高出力のビームキャノン、射撃時には身長を上回るほどの長さの砲身となり、専用の照準システムによって目標を捕らえる

その破壊力は書面上では戦術核クラスとなっているが、最大出力では戦略核並みの威力を発揮する

不使用時に砲身はスライド収納されコンパクトに纏められており、左背面に装着されている

 

多連装ビットシステム

大型3基、大型に内蔵される中型6基、中型内蔵の小型12基という圧倒的な多さを誇る遠隔攻撃装備、大型3基は大出力のビームを放つために小型ジェネレーターを内蔵している。また、このジェネレーターは中型、及び小型へのエネルギーチャージも使用される

中型は高速度のレーザー攻撃に使用され、小型は両刃剣の剣先のように鋭いため直接攻撃に多用。また、連携させることでバリアフィールドを展開する機能を有する。

不使用時には背面右側に装備されるコンテナユニットに収納される

 

腰部武装コンテナ

薄い箱型の小型武装専用コンテナユニット。下記の二つの対集団戦(及び攪乱)に特化した武装が内蔵されている

 

爆導索

爆薬を内蔵したワイヤーを射出し、目標物を拘束したのち、内部の爆薬が爆発し対象を破壊する装備。ワイヤーを絡めるために目標周辺を旋回する必要があり、そのため減速せざるを得ないという欠点がある

 

デコイ・ディスペンサー

ミサイルなどの照準を必要とする武装の攪乱用煙幕弾

アクティブ型とパッシブ型の二つがあり、用途に応じて使用される他、同時使用も可能である




なんだろう、激しくデジャブるんだが
こんな性能が高すぎる機体でどんな事をするんだろうか・・・
すいません、次話も閑話休題です。



感想ください、本葉(プロット)が出てくるのが早くなります


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閑話休題、という名の設定(9)

全話に続いて今話も閑話休題というなの設定です
作者が困惑する前に書かないといけないので、申し訳ございませんがもうしばらくお付き合い下さいませ。


坂上・アンナ

 

新入生の中でも選ばれた専用機受領メンバーの一人、専用機は藍澤・カズマの開発した第三世代IS、ヴェリアルである

"問題を起こしては先生方を悩ませることがほぼ確実の問題児"と評されるほど問題行動が絶えないのだが、大半はとばっちりだったりする。それでも先生方のストレスが大変であるのは間違いない

顔つきはシャルロット・デュノアの日本版とも言えるが、彼女とは異なり超、直情的なせいである意味台無しである

 

 

ヴェリアル

型式番号:ISVS-Plan1055

世代:第3.5世代

藍澤・カズマが直接開発を手がけた専用機、ISVSはInfinite(インフィニット)Stratos(ストラトス)Variation(バリエーション)Series(シリーズ)の頭字語でPlan1055は設計参考とした別世界のモノの型式番号である

設計基礎が別世界の技術であることから実用化は困難を極めた。(開発自体は入学時より始まっていた)

各種最新技術と大幅革新により完成しロールアウトされた最新鋭機であるが、本機にはカスタム・ウィングが存在しない

外見は藍澤・カズマの愛機であるブラックフレームと同様に各部が鋭く、シャープな造形をしている

本機の完成度は極めて高く、第三世代よりも第四世代に入ってもおかしくないため中途半端な世代設定である

 

設計段階より、隠密作戦などを主体としたステルス性を重点に運用する事を主眼に置かれている

 

武装

 

アイザイアン・ボーン・ボウ

フィーネの機体、リーンカーネーションと同じ装備の大型の弓。実際に矢を射る武器ではなく、発生させた力場を矢と化して超高速で射出する。発射された瞬間に被弾するほどの凄まじい速度で飛来するため、回避はほぼ不可能な武装である。

利き腕の関係から左腕部に装着出来るように改良された専用品で、先行採用機との互換性はない

 

単分子ブレード

細長い刃(刀身長2.3m)と反りを持たせた刀身に柄元には鍔という拵えで、日本刀と似た外見を持つ武装。日本人にとっては非常に扱いやすく、近接戦での汎用性に優れる非常に有能な武装

 

GAU-19mガトリングガン

航空機用ガトリングガンを小型化したもの、高初速な上に集弾効果も非常に高い

 

EWシステム

正式名称はElectric Warfare System。電子戦システムのことである

攻撃・防護・支援の全領域対応性は第三世代・第四世代機を相手にした場合であっても戦闘を優位に運べる水準に達している

 

 

特徴:新型機関

正式名称は不明、しかしその出力はISの中でも最高の4800kwで、ISでなければブラックフレーム(出力5500Kw)の次である

その出力の大半がステルスシステム稼働用のエネルギーペイロードとして利用されている

その反面、あまりに高すぎる出力のため放熱索が展開されつほどの戦闘は、莫大な余剰エネルギーの余波で白い光の粒子が発生する、又は新型機関の緊急停止や暴走の危険があるため非推奨とされている




第9弾だよ!!やりすぎ注意だね!!作者が暴走気味だよ!!
はい、冷静になります


感想ください、花(次話)が咲く(公開)のが早くなります


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闇に住まう者

それは闇の世界でしか生きられない者
胎動は既に始まっていたもの、それが表面化を始める


「・・・♪」

 

鼻歌を歌いながら俺は優雅に散歩していた、今日は珍しく平日に学園外に行ける日だったのだ

買いたいものも買ったし、余った金でギャンブルして十分に稼ぎ上げた絶好調の日だ

 

「楽しそうですね、藍澤・カズマさん」

「あぁん?」

 

声を聞いた瞬間に不機嫌になるまでは、だったが

 

「で、何の用だ?」

「はい、商談です」

「政府の高官がそんな裏仕事してもいいのかい?」

「えぇ、構いません、暇ですから」

 

抜けしゃあしゃあとよく言う。空いた口が塞がらなくなるぞ?

 

「あぁ、今日はどの役職で来た?」

「ただの会社社長ですよ」

「氷雨商会か」

「えぇ」

 

氷雨商会・・・IS関連の武装運送から開発まで幅広く手掛けるIS関連技術総合企業

その正体は政府の非公式IS関連技術情報収集機関にして諜報機関だ

そのトップがいきなり俺の目の前に来て商談(・・)というからには何か裏がある

 

「こちらで開発した新装備のテストをしてもらいたんです。お願いできませんか?」

「内容は?」

 

商談場所もそれに似つかわしい場所である、なにせ本社なのだから

全くどこまで豪胆で底の見えん奴なんだか・・・

 

「以上です」

「ふむ・・・」

 

資料を貰い、見ながら説明を受ける。表面上は普通の商談に見えるが中身は指令書

全く厄介な・・・!!

 

「これは本当か?氷雨・アキラ?」

「えぇ、本当ですよ」

 

普段通りのポーカーフェイススマイルを崩さずに言いやがる。これが本当に政府高官なのか疑わしいにも程がある。あいにくと事実なんだが

 

「ちっくしょう・・・やるしかねぇか」

「そうですか?それは良かった」

「が、あえて聞こう。これは俺がアレを開発していると知ってのことか?」

「はい、当然ですよ?私が知らない事なんて無い(・・・・・・・・・・・・)んですから」

 

その一言で分かった、IS学園内部にもコイツの毒手や毒牙がいる事を

全く完全に手を打たれているな・・・情報入手先は恐らく山田先生だろう。元代表候補生だから接触している可能性は非常に高い

 

「くくく・・・」

 

苦笑いにしかならないほどだが、それでもコイツの直接依頼だ。事態はそれほどに緊迫していて、尚且つ慎重と秘匿性が求められるのだろう

つまり政府にとっては何としても明かしてはならないモノだという事だ

 

「了解した、費用はこんなところだろう」

「ありがとうございます♪」

 

くそ・・・全くめんどくせぇが、金になるんだしょうがないだろう・・・

胸糞悪いことになったが、それでも・・・

 

「あぁ・・・今日も平和だなぁ」

 

平和を守ることが俺の仕事なんだ・・・

 

 

<???、???>

 

その頃、とある教会の礼拝堂で祈る人物がいた。白い服とズボン、そして手袋が特徴的である

その人物の前には墓が建っている。

その墓に刻まれた名前は織斑千冬、藍澤・カズマ、イセリア・アンクフレート・・・篠ノ之束の名が刻まれている

 

「・・・」

 

目を閉じていたその人物は静かに、そして確かに呟いた

 

「最強と天才は・・・二人も、いらない」

 

そしてその場を去っていく。その目は、ある種の決意ともいえる力を秘めていた




なんだかすっごく不吉な予感がっ!!これは新たな事件の前触れか!?
さぁ、主人公はどうする!?



感想ください、作者が超張り切ります


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歌う戦姫(前編)

それは別の世界に存在する人達。関係のないはずの世界は、ある人物の転生によって・・・


「ふむ・・・」

 

全世界からネットを利用して情報を収集していると、思わぬ情報にたどり着いた

"歌を力と変えて闘う者達がいる"という面白い情報だ

どうやら女性三人の2グループ存在するらしく、共闘もしているらしい

 

「面白い・・・!!」

 

実力を試そう・・・簡潔にそう思った

そして・・・

 

「釣るか」

 

事件を一つ二つほど餌として起こして誘い出し、実力を確かめることにする

 

 

<一ヶ月後、戦場>

 

 

「・・・」

 

そして今の状態がある、六対一という状況が

なんでかというと・・・逆撫でしちゃった♪

 

「貴様が全ての元凶か」

「全てというと何処までを指しているかはわからんが、君たちが追ってきた組織の最高位に立つのは俺だけだ」

「つっ・・・!!」

「ようこそ、この地獄へ。俺も君たちも、未来(せかい)を変えるほどの力を持つ者だ。この場にいる人間だけだそれを可能としている。現状(・・)だがな」

 

半月ほど前に一度邂逅した際は圧倒的戦力差を見せつけて撃破した

それとは異なる戦場で再戦するのは運命のように感じているだろうがそうではない、俺が仕組んでそうしたのだ

 

「私達が聞きたいのは一つだけだ、一体あなたは何をする気でいる?」

「戦争が好きなのかよ!?争いを求めているのか!?」

「敵味方で血を流すことを、神聖視しているのか?」

「アナタの存在がきっかけで、何人も死んでいる・・・」

 

三人からの代わる代わるの質問と一人の呟きに俺は答える

 

「勘違いをするな。俺は戦争が好きなわけではない。差別・貧困・虐げられる弱者・様々な悲劇・・・一言で言えば不幸。それらを俺は心底憎んでいる。道端で子供が犬のように打ち殺される世の中が、どうして正しいなどと言えようか」

「えっ・・・」

「なっ・・・」

 

六人全員が驚きに声を詰まらせる、それもそうだろう。想定外の返答だからだ

 

「だが同時にこうも思っている、そうした理不尽(・・・・・・・)があるからこそ(・・・・・・・)人は強く美しく在れる(・・・・・・・・・・)

 

そう、この場に立つ上で俺が決めているのが、人の勇気を試す事だ

 

「愛、友情、信念、決意・・・それら善の耀きは尊いものだ。守らなければならないと分かっているし、それを守り抜くために命をかけねばならんことにも、ああまったくもって異論はない。風鳴・翼、立花・響、雪音・クリス、マリア・カデンツァヴナ・イヴ、暁・切歌、月読・調。だからこそだよ、俺がそれを許せないのは」

 

だからこそ、この戦場を作り上げたのだ

 

「善は弱い。小賢しい悪を前に容易く蹂躙されてしまう。実際、世の歴史に台頭してきた強者とはその大半が悪党だ。ひとたび歴史を紐解けば、誰でもそう気づくだろう。世界は驚くほど正しい者が身を削るように出来ている。納めた税が正しく使われた機会を、おまえ達は見たことがあるか?為政者の手元を巡り二度と日の目を見ないことが日常茶飯事ではないか?」

「じゃあ・・・やろうとしていることって・・・」

「では聞こう」

 

俺はあえて質問することにした、どうせ戦闘になるのは自明の理、その前に聞きたいことがある

 

「俺が君達の前にいるのは、一体何のためだと思う?君達も、俺の表の顔は知っているだろう?」

「それは・・・」

「とてもいい人だと、思っています・・・でもだったらどうして!?」

 

どうして、か・・・

 

「それを悔しいと俺は思う。許せんのだ、そういう塵が己の悪を隠しながらほくそ笑む・・・その醜さが。勝ちを諦めた途端、他者の妨害に嬉々と勤しむ恥知らず。現実から逃避して凶行に走る腰抜けども。声高々に弱者であると吹聴しながら甘い蜜を啜る輩などに至っては、見るに耐えん塵屑(ゴミクズ)だ」

「自分自身の存在を否定するというのか!?正義の立場に立つというのに!!」

「いいや?だからいい加減気づけって、俺の目的は君達と戦ってその実力を試したいだけだよ」

「な・・・!?」

 

本心暴露に一同びっくり、それを聞きつつ俺は続ける

 

「それが叶わぬというのなら・・・裁断者が必要とされるならばいいだろう、俺がやってやる。罪には、罰を。悪には、裁きを」

「なんとなくわかった気がします・・・!!」

「奪われた希望には、相応ふさわしい闇と嘆きと絶望を・・・」

「貴様は、狂っている!!その正義は間違っている!!」

 

風鳴・翼がそう叫び、剣を構える。それに全員が反応して俺に向かって構えた

 

「そうだ、俺は歪んでいる。光を守る?いいや、否。"正義の味方"には程遠く、もはや目指したいとも思っておらん。資格もない!!」

「では何のために戦っている!?」

「俺はその逆、邪悪を滅ぼす死の光に・・・"悪の敵"に成りたいのだ!!」

 

醜い正義の体現の結果、俺は一つの世界を地獄にしてしまった。その後悔は今もなお続いている

もう二度とあの地獄(・・・・)を生まないように、これは戒めなのだ

 

「あなたを倒して、元の世界に戻る方法を聞きます!!」

「いいだろう、勝ったのなら教えてやる!!」

 

ここに戦端は開かれ、激戦が始まるのだった




後編に続く!!いやはや、どうなるのかな?
そして、シンフォギア装者達がこの世界に来てしまった理由とは!?


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歌う戦姫(後編)

戦闘開始、勝つのは果たしてどちらか・・・


「どうだ、これが私達の力だ!!」

「可愛いな、総じて可愛いぞ。可愛いすぎて絶望させたくなるぞ、俺のように」

 

ダメージは受けた、六人の連続波状攻撃に装甲は一部脱落している

が、それでも芯には届いていない

 

女 神(由宇とイセリア)以外に俺を殺せるものか。否、死になどせん。続きの出し物はどうしたシンフォギア装者。俺は飽き始めたぞ?退屈させるなら潰してしまうぞ、このようにな」

「つっ・・・!?」

 

空間に開放していたエネルギーを超高密度に凝縮、密度は測定が不能の域に達する

 

Ira furor brevis est(怒りは短い狂気である)・・・Sequere naturam(自然に従え)

 

掌大にまで凝縮して弾け飛ばしたのは超高温の大熱波、超新星爆発だ

あまりの破壊力に、音を置いていき振動すら後に来る

 

「うおぉぉ!!」

Sic itur ad astra(このようにして星に行く)・・・Dura lex sed lex(厳しい法であるが、それでも法である)

 

その裏で用意していたグレート・アトラクターにて迎撃する。この衝撃に巻き込まれて無事なものなど存在しないはずだが・・・

 

「はぁぁっ!!」

 

突破してきた、やはり通常物理攻撃は効かないと見える

それどころか、一瞬の綻びを突いて激突面を掻い潜り、こちらに迫る者すらいる

 

「どうした、未来を望んでいるのだろう?光を欲しているのだろう?戦場の空に輝きがあるとでも思っているのか?」

 

それは全員、否だ。だけどそれ以上に俺を倒さねばならないと感じているのだろう

 

「雪音・クリス、マリア・カデンツァヴナ・イヴ、人間の醜さの犠牲者の代表と言えばお前達だったな?」

 

砲撃と斬撃を受けてもなお余裕で対処できる。悉く滑稽で笑いが止まらない

 

「お前達に降りかかった悲劇など、俺の道に漂う塵芥ですらない。触れたところで"あぁ、そうか"とも思わん。その程度で何かを伝えられるつもりでいるのか?いま寄り集まっても石塊にすらなれないお前達が?」

「くっ・・・」

「俺の宝石(恋人)に捧げる愛を愚弄するか?笑止、儚すぎて抱きしめたくなる」

 

個人のために戦闘する事の何が悪いという。こいつらは半月前の邂逅時に個人のために戦う俺を愚弄した、許さん

 

「「ならば貴様も、私達の宝石(なかま)を愚弄するな!!」」

「ほう・・・?」

 

マリア・カデンツァヴナ・イヴと風鳴・翼の攻撃の鋭さが増したが、未だ効かん

 

「他者から見ればどれだけくだらなくても、(きぼう)は今もこの胸の中にある!!熱も炎も消えてはいない!!」

「岐路に迷い間違え!!血に濡れ、地に伏して沈もうと!!」

「ふふ、はははははは・・・」

 

都合六連撃、それでも通用できていないとは、随分とちゃちなモノだな、シンフォギアとは!!

 

「どうした、終いか?」

「無論、まだだ!!」

 

風鳴・翼がそう答え、こちらに駆けてくる

 

「風鳴る刃、輪を結び、火翼を以て斬り荒ぶ。月よ、煌めけ!!」

 

風輪火斬・月煌・・・それを受けて俺は

 

「ふ・・・」

 

ここに来て、仮の姿(・・・)で相対する事に決めた

 

「これで・・・!!」

 

全員の攻撃が命中し、壁面に叩きつけられる。全員の武器と拳が俺にぶつかっている状態だ

 

「そうだ、俺は・・・」

「つっ・・・!!」

 

いち早く俺の変化に気づいたのは誰か、でもそれすら致命的に遅い

 

「俺は、総てを愛している!!」

 

しかしその愛は親愛と情愛ではない、友情と心情だ

 

「なっ!?」

「女性・・・!?」

「これは仮の姿だ、本気ではあるが、ある物(・・・)を使うためにはどうしようもない」

 

意識的に女性体になるのはとても久方ぶりだったが、問題なく出来た、行ける

 

「Ars Notoria Tron」

「なっ!?」

「シンフォギア!?」

 

纏うのがおかしいかね?これは普通にありえる事だぞ?

 

「しかもただのものではない・・・!!」

「その通り、では、採点と行こうか?」

 

再度構えたシンフォギア装者に俺は攻撃するために詠唱する

 

「ああ、日の光は要らぬ。ならば夜こそ我が世界。夜に無敵となる魔人になりたい。この畜生に染まる血を絞り出し、我を新生させる耽美と暴虐と殺戮の化身・・・闇の不死鳥。枯れ落ちろ恋人」

「詠唱型!?」

「まさか!?」

Der Rosenkavalier(死森の薔) Schwarzwald(薇騎士)

 

発動と同時に風景は夜のモノへと変わった、これがこの詠唱で展開された事象の特徴一つ目、もう一つは・・・

 

「ギアが・・・重い!!」

 

敵の弱化と自分の強化を超効率で行い、攻撃の死角がなくなり、時間が経てば経つほど有利になっていくという凄まじい性能を誇る能力だ

 

「はあぁぁぁ!!」

「正解だマリア・カデンツァヴナ・イヴ、銀の腕で破壊するとはな」

 

銀という弱点を突かれ突破された、だが問題はない、次がある

 

「この身は悠久を生きし者。ゆえに誰もが我を置き去り先に行く。追い縋りたいが追いつけない。才は届かず、生の瞬間が異なる差を埋めたいと願う。ゆえに足を引くのだ、水底の魔性、波立て遊べよ」

「まだあるのか!?」

Csejte(拷問) Ungarn(城の) Nachtzehrer(食人影)

 

さらに発動、影に触れた人間はその間一切の身動きが取れなくなる力を行使する

しかも光点を俺の後ろに多数配置することで影の濃度こそ薄くなるが多数の人間に対応してのけた

 

「身体が!?」

「動かない!!」

「ならば・・・!!」

 

今度は風鳴・翼が対処した、千ノ落涙で俺を攻撃しつつ一本を大型にして壁面替わりにしたのだ

 

「まだまだ終わらんよ!!」

「くっ・・・!!」

「我は輝きに焼かれる者。届かぬ星を追い続ける者。届かぬゆえに其は尊く、尊いがゆえに離れたくない。追おう、追い続けよう何処までも。我は御身の胸で焼かれたい・・・逃げ場なき焔の世界、この荘厳なる者を燃やし尽くす」

 

逃げ場の一切ない砲身状の結界に対象を封じ込め、内部を一分の隙間もなく焼き尽くす回避不能の絶対必中の攻撃を放つ

その名は・・・

 

Muspellzheimr(焦熱世界) Lævateinn(激痛の剣)!!」

 

重ねていうが、これは逃げ場など最初から何処にも存在しない世界を展開する、真の絶対必中だ

 

「今度は私がっ!!」

 

剣戟の響きの擬音を意味する名のとおり、相殺されるのも計算の上だ

 

「これで終わると思うのかね?」

「まだあんのかよ!?」

「当然だ」

 

雪音・クリスが今度は動くだろう。だからこれはどうだね?

 

「接触を恐れる。接触を忌む。我が愛とは背後に広がる轢殺の轍。ただ忘れさせてほしいと切に願う。総てを置き去り、呪わしき記憶(ユメ)は狂乱の檻へ。我はただ最速の殺意でありたい。貪りし凶獣・・・皆、滅びるがいい」

 

次に発動するのは、どんな速度や行動であろうと必ず誰よりも速く動くことができるというもの。

後手が先手を追い抜くという不条理さえも引き起こすそれは、どんなに速い相手であろうとそれを上回る速度で先手を取り、どんな攻撃もそれを上回る速度で回避する、絶対最速且つ絶対回避の能力だ

その名こそ・・・

 

Niflheimr(死世界) Fenriswolf(凶獣変生)!!」

「今度はこっちだ!!」

 

案の定、雪音・クリスが対処する、装者随一の対応能力と範囲を誇るがゆえに

 

「あぁなんだ、俺はこんな事を覚えさせた記憶はないのだが?」

「やっぱり・・・カズマさんなんですね?」

「当然だ、こちらでの(・・・・・)藍澤・カズマだよ、オリジナルのね。ま、君達の世界でもオリジナルである事には変わらんが」

「ならばどうして、このような事を!!」

 

あのねぇ・・・それはさっきちゃんと言ったじゃない、実力を試したいと

 

「あまり舐めてくれるなよ?数が質を圧するなど説いた覚えは毛頭ない。覚悟(あい)が、足りんよ」

 

再度行われた総攻撃に、一撃を倍返しして叩き込みで相殺した

 

「君達と俺では練度が違う、覚悟が違う」

「くっ・・・!!」

「ここまで・・・強いのか!!」

「あぁ、君達の世界では少々不自由してね、全力を出したら死んでしまう状態だった。それに関しては許して欲しいところだな。そろそろ幕引きにするがね」

 

完全な形で転生できなかったのも一つの原因だが、それに関しては黙っておいたほうがいいだろう

 

「我は終焉を望む者。死の極点を目指すもの。唯一無二の終わりこそを求めるゆえに、鋼の求道に曇りなし。幕引きの鉄拳。砕け散るがいい」

 

最後に展開するのは、誕生して一秒でも時間を経ていたものならば、物質・非物質を問わず、例え概念であろうともあらゆるものの歴史に強制的に幕を引く(破壊する)能力だ

その、幕引きの一撃の名は

 

Miðgarðr(人世界) Völsunga Saga(終焉変生)!!」

 

攻撃の効果は全て殺した、これで初期状態に戻る事になる

戦況は今なおこちらが圧倒的有利だ

 

「イグナイトモジュール・ダブル抜剣!!」

<Dainsleif>

「ほう・・・?」

 

通常時より強大な出力に、それに伴う防御力と耐久性の向上、および戦闘技術と状況判断力が付加された、力と汎用性を兼ね備えた強大な切札を使用する事を決めたか

 

「うおぉぉぉ!!」

Deum colit(神を知る者は) qui novit(神を敬う)・・・Aurea mediocritas(黄金の中庸)!!」

 

膨大なエネルギー波を放ち、鉄骨造の建造物が粉砕されるほどの破壊力を解放する

それにも対応するとは、イグナイトモジュール・ダブル抜剣、侮れんな

 

「この程度でえぇぇぇ!!」

Spem metus sequitur(恐れは望みの後ろからついてくる)・・・Disce libens(喜んで学べ)

 

即座に対応する、切り札だが、気にしない

 

「うわあぁぁぁ!!」

 

六人全員が吹き飛ばされ、再び壁面に叩きつけられる

 

「ここにかつての誓いを果たそう、シンフォギア装者達よ」

「来るぞ!!」

 

あぁ、かつて果たせなかった近いは今、ここに

 

「我が身、地上の生活の痕跡は、幾世を経ても、滅びるということがないだろう」

 

別の世界にて使われた最高の性能を誇る能力だ。その特性は防性特化、敵対者を停止させ、その首を確実に切り落とし絶対に迎撃する完全排斥の力。故にその堅牢さは他の追随を許さない。

 

「そういう無上の幸福を想像して、今、私はこの最高の刹那を味わい尽くすのだ」

「この詠唱、まさか!?」

 

マリア・カデンツァヴナ・イヴの懸念は的中する、この詠唱は彼女達の世界で俺が命の最後に使った技の詠唱そのものだからだ

 

「時よ止まれ、お前は美しい!!」

 

ここに、彼女達の世界における、かつて在りし刹那(さいきょう)が復活した

 

「さぁ、行くぞ。今から俺の望む通りに、敗北という死をくれてやる!!」

 

詠唱の元ネタは"ファウスト"及びドイツの哲学者、ニーチェの著作"ツァラトゥストラはかく語りき"の一部らしい。

そのニーチェは、"ツァラトゥストラはかく語りき"を著する4年前にある本を執筆している。

その題名は・・・"曙光"。死してまでも得たかった未来は、己の近くに存在していたのだ

 

「これが決着だ、劇終の瞬間(アクタ・エスト・ファーブラ)はここにある!!」

 

莫大な量のフォニックゲインを同時に解放。その総量は、140億人・・・世界二つ分の人口に匹敵する

 

「S2CA・ヘキサコンバージョン!!」

「ジェネレイター!!」

「「エクスドライブ!!」」

 

それに彼女達は、S2CA・ヘキサコンバージョンで収束・制御・再配置を行い、人工的手段のエクスドライブ、ジェネレイター・エクスドライブを発動した

 

「そうだ、それこそが・・・」

「これが、私たちの答えです!!」

「いいだろう、こちらも本気を超えた領域でやろう!!」

 

その言葉を聞き、全力を超える舞台へと昇華させる事を決めた

 

「森羅万象、滅尽滅相ォ!!」

 

6人の力を響のアームドギアに集中させることで巨大な拳へと変化させ、敵を貫く最大の一撃、"Glorious Break"に対して俺は鏖殺の一撃を叩き込む

 

「うおぉぉぉぉ!!」

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

最後の激突、その勝敗は俺に傾いた

理由は・・・




5441文字(自己過去最高文字数)には及ばなかったけど大健闘したよ!!
おかげでしんどい事この上ない


感想ください、作者がハイテンションで次の話を出します


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新たなる闇、胎動

それは最悪の出来事、キャストが違うものの、昨年と同じ出来事


「さて・・・この日が来ました・・・」

「テンション超低いね?」

 

昨年はトラブルが起きて途中で終わったクラス対抗戦(リーグマッチ)の日が訪れた

 

「最悪な事が起きねばいいが・・・」

「不謹慎」

「あ、はい」

 

流石に不謹慎だったな・・・

 

「今年は熾烈だぞ」

「あぁ、どのいつもこいつも粒揃いと来てやがるからな」

 

今年の新入生は実力も成績も粒ぞろいだ、故に熾烈を極める可能性が高い

既に学内で(許可なく、そして非合法に)行われている賭けでは最有力候補が乱立中と凄まじい状態である

 

「貴様が胴元か?」

「おぉふ・・・」

 

セリアがノビた状態で織斑・千冬に連行されて室内に入ってきた

どうやらバレたらしい

 

「すまない・・・カズマ!!」

「くっ・・・切る札を使うしかないか!!」

 

捕まるギリギリ前まで来て俺は胸ポケットから秘密の切り札をチラッと見せる

 

「なっ・・・!?」

「コレ、バラしていい?」

「くっ・・・!!卑怯者め!!」

 

部屋の惨劇を撮した写真だ、これをバラされたらそれこそ精神的な大打撃を受けるだろう

 

「まぁ、半分は寄付するから黙っててくれや」

「・・・本当なんだろうな?」

「嘘は言わんさ、ついでにこれも処分しよう」

「今すぐに破り捨てろ!!」

 

どうやらとても恥ずかしいらしい、言われた通りに破り捨てた

 

「必ずだぞ?本来なら許さんのだからな!!」

「へーい」

 

次の瞬間、室内が揺れた

 

「状況報告!!」

「襲撃です!!」

 

即座に反応して状況を聞く

 

「なぁ、デジャブらないか?」

「残念だが、同意見だ」

 

案の定、ご丁寧に隔壁までクラックしてやがる

 

「クラック解除までの想定時間は!?」

「不明です、高度なクラッキング技術の模様です!!」

「ちぃ!!」

 

ここから何とかするしかないな!!

 

「システム手動変更!!何としても制御を取り戻せ!!」

「了解!!」

 

早くしないと、犠牲者が出るかもしれん!!

 

<アリーナ、坂上・アンナ>

 

「なんだコイツ?」

「どう考えても敵でしょうが!!」

 

対戦相手にそれを言われるほど私は変な事を言ったらしい

 

「アンタの機体、SE残量どんだけある?」

「ギリってとこかな、敵がしぶとかったら詰むかも」

「じゃあ共闘よ、コイツを・・・」

「「墜とす」」

 

無人機らしい、人間ぽい所がない

 

「でもすばしっこいし動きがいい」

「軽く専用機持ち以外は落とせそうだね」

 

攻撃を躱し、砲撃するもよけられる。それを見て大体わかった

 

「厄介だなぁ!!」

「本当に!!」

 

怒りにイライラしてくる、あるいはこれが目的か?

 

「あれ使いなさいよ!!」

「使えたら連続で使うっつうの!!それが出来ないから近接戦してるんでしょうが!!」

 

アイザイアン・ボーン・ボウの事を言っているのだろう。だけどあれはかなりの集中力を必要とする、簡単には撃てない

撃つためにはもう一つの要素が必要だ

 

「それまで私が何とかするから一発で決めなさい!!」

「えぇー」

「やれ!!」

「はぁい」

 

ヤレヤレ・・・期待されているのならやるしかないか

 

「オーバードライブ、スタート!!」

 

同時に、機体全域に供給されるエネルギーが激増した。放熱索が展開され、莫大な余剰エネルギーの余波で白い光の粒子が発生する

 

「おいこのバカ!!それはステルス機だと言ったろうが!!」

 

開発者であり、先生でもある人からお叱りの通信が入るけど・・・

 

「ステルスなんて知らねぇ!!」

 

の一言で無視した

 

「これでも喰らえ!!」

 

砲口を向け、最大出力にしたアイザイアン・ボーン・ボウを構える

 

「今よ!!」

「行っけえぇぇぇ!!」

 

直撃、爆散・・・してない!!

 

「それでも三肢欠損!!」

「畳み掛けるよ!!」

「おう!!」

 

これが最後の攻撃!!

 

「「コレでくたばれ!!」」

 

エネルギーを纏わせてた脚で跳び蹴り・・・所謂、ライダーキックで最後を飾った

 

 

<地下施設、カズマ>

 

敵の襲撃後、破片を元に解析を初めて数時間が経過していた

試合に関してはなんとか誤魔化し続行している

 

「で、解析結果は?」

「ISではありません」

「ほう・・・?」

 

去年に引き続いて今年も襲撃してくるとはなんとも忙しい連中だ

しかしISではないとはね・・・

 

「それどころかカズマ君の機体の構造に似ています」

「あぁ、なるほど・・・」

 

大体わかった、俺と同じ世界から来た人間がいる

しかも俺に近く、敵としていた者が

 

「戦端は再び開かれる・・・か」

 

新たなる敵が現れた、最大の敵をどうするか。今度の敵は前のように行かない可能性もある

それでも・・・

 

「何にせよ、立ち塞がるのなら倒すまでだ」

「本気だな?」

「本気だとも」

 

敵は倒す、何としても倒す

自分のために、そして仲間と居られる世界のために!!




無人機がISではなくなりました。それどころか主人公のモノに近いです



感想ください、作者が激烈に張り切ります


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監視者

それは見続けるもの、問題を探して突き付けるための蒐集者


「監視者の痕があるな」

「監視者?」

「あぁ、言ってしまえば政府の忠犬だ」

 

続く翌日、俺は織斑・千冬と共にある場所に来ていた、クラック元の建物だ

 

「ここからクラックされたことには間違いないんだな?」

「あぁ、ここにあるスーパーコンピューターからのクラッキングだと判明している」

 

最近の捜査速度ってすごいね・・・

 

「トゥルーアイだったっけ?」

「あぁ、一昨年前に納品予定で強奪されたモノだ」

 

へー、どうでもいいけど

 

「・・・?」

「どうした?」

「・・・」

 

ジャスチャーでなかに人間が既にいることを伝え、銃を構える

 

「3・・・2・・・1」

 

装填完了、準備よし

 

「ゼロ!!」

 

勢いよく扉を開け、その眉間に銃口を突きつける

 

「あ・・・ぅ」

「・・・」

 

女・・・?でも

 

「腰に持っている武器を出せ、銃だろう?」

「くっ・・・」

「あの場を見ていたのもお前だな?」

「さ、さぁ?何のことでしょう?」

 

あぁ、俺は見ただけで分かったというのに

 

「自衛隊統合管轄非公開特殊機関、その内の一つ、軍事関連情報収集部隊の人間だな?」

「そんなところ知りません」

「目が泳いでいるぞ、所属してから日が浅いな」

「くっ・・・!!」

 

情報部隊所属か、全く面倒な奴だ。ちなみに顔だけで分かったのは、学園内でも目撃しているからだ

お世話になったこともある

 

「保健室の主がこんな事をしているなんてな・・・世も末だ、特に美人ならなおさら」

「あら、お誘い?」

「あぁ、冷たい部屋へな」

「それは・・・」

 

雰囲気が変わる、化けの皮が剥がれたな

 

「お断りよ!!」

「あぁ!?」

 

逃げられると思っているのか!?

 

「逃がさねぇよ!!」

「そんな!?」

 

フラッシュ焚いて逃げられるとでも思ったのだろうか?だとしたら笑止だ

 

「さて、どう料理してやろうか?」

「ひっ・・・!!」

「悪い顔だぞ、藍澤」

「あぁ、どうやってゲロらせるか楽しみだ」

 

ニヤつくのが止まらなくなる、でもその前にひと働きしてもらおうか

 

「さて、情報を搾取していたな?それを出せ」

「断ります」

「出さないと一族郎党・・・」

「卑怯者!!」

「それがどうした?」

 

別に殺すとは言ってないぞ?言ったのと同じような言葉は言ったがな

 

「あぁうむ、仕事があるのはわかる。その上での商談と行こう」

「誰が乗ると?」

乗らざるを得ない(・・・・・・・・)

「ぐっ・・・!!」

 

ふはははははっ!!美人の顔を歪めるのは楽しくて仕方がない!!もちろんそれがいろんな意味で恥ずかしい顔だとな!!

 

「こちらの出すものは最新鋭機、全機の裏カタログだ」

「つっ!?」

「その代わりここで得た情報の全てを出せ」

 

交換条件にはとても良いモノだが、どう出る?

 

「本当ですね?」

「あぁ、嘘は言わんよ」

「出しません」

「よし、最終手段だ」

 

頭の上を掠るように撃った

 

「ひっ!!」

「無音銃だ、怖いだろう?」

 

いきなり発砲されたことに心底驚いたようだ、それはそうだろう

いい気味だ

 

「もう一度言うぞ、吐け」

「どうしてもですか!!」

「どうしてもだ」

 

さて、どう出る?

さっさと吐いて欲しいのだが・・・

 

「藍澤!!」

「どうした?今お話中だぞ」

「その前にこれを見ろ」

「つっ・・・!!」

 

案内された場所に行くと、死体があった

 

「これは・・・」

「そんな!!」

 

死体に心覚えのある人間でもいたのだろうか?

 

「心覚えがあるのだな?」

「つっ・・・!!」

「なおさら、聞かなくてはならんな」

 

学園にお持ち帰りして話を聞くことにする、スパコンは使い物にならないレベルで壊されていたが、これも同じくお持ち帰りしてできる限りサルベージするそうな

 

「さて、話す気になったかい?」

「ここまで来たら、そうするしかないですよ・・・」

 

ふははは、まさにその通りだ!!

 

「じゃあ、話してもらおうか?」

「はい」

 

彼女から語られた、衝撃の言葉に俺は・・・




次話、急展開!!
日常書くのダメダメな作者です、次はマジでドロドロした話だよ!!


感想ください、作者の精神力が変化します


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破壊の始まり

それは静かに蝕んでいく病、世界を蝕む猛毒


「赤い粒子を出す敵・・・」

「赤い粒子?」

 

敵の正体を知り、驚愕した翌日・・・さらに衝撃的な事を知らされた

赤い粒子を放ち、攻撃してくる敵がいると言うのだ

 

「擬似粒子だ、由宇の機体に搭載した専用動力炉の試作品だろう」

「でもアレは・・・」

 

廃棄したはずだ、研究資料も破壊したはず。それこそ、サルベージも出来ないレベルで

 

「誰かが、再現したな!!」

 

あの動力炉は危険性を考えていない試作段階のものだ、完成段階にするための試作として1基のみ制作し、束に提供している

連絡を取るまでもなく本人もここにいる

 

「盗まれていないよ、リーちゃんの機体として使っているから」

「そうだよなぁ・・・」

 

彼女の護衛としてWALRUSから出向している元少年兵、リオナ・バーンシュタインの専用機に使いたいという要望から提供しているモノが盗まれるはずがない

 

「で、実働可能なのか?」

「出来るよー!!」

 

試作機としても最新鋭機としても最高性能を誇る機体に仕上がったようだ

妙に自信たっぷりな非常に元気の良いお返事だった

 

「では、行くかね」

 

ブラックフレームを纏う、敵地に向け侵攻する準備をする

作戦開始時刻となった、WALRUSが建造した潜水艦の運用試験でもある

 

「リニア発進システム出力調整完了だよ」

「了解」

 

コントロール権限を移された、こちらの制御で出る

 

「ブラックフレーム、藍澤・カズマ、出撃()る!!」

 

そして出撃し、戦術プランを見る

 

「よし、戦術通りに・・・!?」

 

次の瞬間、大型熱量の接近警報が鳴り響いた

 

「ミサイル!?」

 

しかも・・・!!

 

「この物量は!?ぐあぁぁぁ!!」

 

対応が早いんじゃない!!仕組まれていた!!

 

「ぐっおぉぉぉぉ!!」

 

爆撃の中に砲撃も混じる、なんて高密度だ!!

 

「がぁぁぁ!!」

 

一時間が経過して・・・

 

「砲撃・・・が」

 

止んだ、不意に

それを突いて離脱する

 

「見つけたぜぇ」

 

通信がそこに入る、反応は・・・後ろか!!

 

「元いた世界での借りを返してもらうぜ、えぇ!?ストライカー使いさんよぉ!!」

「ちぃ!!」

 

よりによってなんて奴が転生してやがる!!最悪だ!!

しかも、擬似粒子機関搭載型!!

 

「がぁ!!」

「へっ!!」

 

地面に叩きつけられ、敵にマウントポジションを取られる、このままでは危険だ!!

 

「が!?あぁぁぁっ!!」

 

そう思ったときには遅かった、プラズマ攻撃に苛まれる

 

「どうよ、アグリッサフレームのプラズマフィールドのお味は?機体だけ残して消えちまいな、開発者さんよ!!」

「があぁぁぁぁぁぁ!!」

 

さらに出力が上がり、反撃できなくなる

これほどのエネルギーを一体どこから調達しているんだ!?

 

「そぉら死ねや!!」

「があぁ!!うあぁぁ!!」

 

死ぬ・・・死ぬのか?取り戻せたものがある、この世界で・・・失わせるのか?

俺はまた、喪い・・・朽ちるのか?

脳裏に浮かぶ光景は今も鮮明に思い出せる風景、ソレに並ぶモノを作ろうと足掻いたその結果を、別の世界にいてもなお纏っている

 

「そんな・・・こと」

「しぶとい野郎だ!!」

 

敵がより出力をあげようとした瞬間、その機体を黒い紫電を纏う赤色のビームが装備の全てを破壊した

 

「なにぃ!?」

「それでいいんです、隊長。貴方のその前に進み続ける勇気を見て、皆が"この人に従おう"と決めています。だから、これは一つの恩返しです」

 

赤色の粒子精製機関、敵と同じソレは眩さの点で異なる。精製量が多いのだ、それだけ総出力は敵のよりも多くなる

 

「リオナ・・・か?」

「えぇ、リオナ・バーンシュタインです。お久しぶりです」

「機体は・・・」

「篠ノ之・束様が制作した、ヤークトアルケー、タイプドライです」

 

敵に応戦しながら彼女は俺に返答する

 

「作戦は最初から貴方が目的だったようです。研究者を捕まえるいい機会ですから」

「くそっ・・・!!巧妙すぎてそこまで気が回らなかった!!」

「反省は後でしてください、今は」

「あぁ、殲滅して差し上げるぞ!!」

 

再度ミサイルが来る、しかし

 

「撃ち落とせ、ドラグーン!!」

「撃ち落として、ファング!!」

 

2機の遠距離攻撃装備ですべて迎撃して発射装備もおまけに破壊する

 

「敵基地をこのまま強襲する!!イセリア!!」

「既に配置についてまーす!!」

「多連装ビットシステムのフル使用を許可する!!アトミックバズーカの出力上限は5%!!敵基地を潰せ!!」

「うわ、ものすごく怒ってる・・・!!」

 

そう言いながらも行動には移っているあたり彼女らしいな・・・

 

「俺たちも潰すぞ」

「了解です、どこまでもお供します」

「良し・・・殲滅作戦開始!!」

「「了解!!」」

 

イセリアとリオナがそう答え、作戦は開始される

 

「オラァ!!」

「がっ!!」

 

手当たり次第に出てくる敵を殺さない程度に蹂躙して回る

怒涛の100人連続撃破だ

 

「リオナ、そっちはどうだ?」

「だいたいわかりました、解析完了です」

「敵の正体は?」

「転生者で間違いないです、この基地の司令にO・HA・NA・SI♪して来ましたので間違いないかと」

 

お話の内容がすっごく悪そうだなぁ・・・

 

「イセリア、そっちは・・・聞くまでもないか」

「聞いてよ!?」

 

イセリアに通信を繋いだら、敵基地は聞くまでもなく蹂躙されていた

俺を失いそうで怖かった上にそれが仕組まれたことだと知り、少しリミッターが解除されていたようだ。

どのリミッターかは・・・考えないほうがいいな

 

「リオナ、残存粒子は?」

「まだまだかなり余裕はありますよ?」

「良し、擬似粒子、最大領域で散布、現戦闘エリアより離脱する!!」

「了解です、イセリアさん、事前のルートからこちらに変更です」

「了解!!」

 

イセリアとも連携が出来ているようだ、俺はそれを待つ

 

「擬似粒子、最大散布!!」

 

ヤークトアルケー・タイプドライの胸部にあるエネルギージェネレーターがほの赤く輝き始め、装甲の各部が開く

同時に手を広げ、ISですら影響を受ける双方向通信遮断効果を持つ擬似粒子を最大領域まで広げていく

 

「いっけえぇぇ!!」

 

そのシステムと、機能の名は・・・

 

「ステルスフィールド!!」

 

緊急時用に取っておいた切り札の機体にとって、最も有効的な運用ができるモノだった

 

「離脱するぞ、続け!!」

「「了解!!」」

 

三人とも合流し、離脱する




ピンチからの倍返し、チラッと出番のあったイセリアちゃんは敵基地でどんな事をしたのか・・・
それに新たに出た敵はとても厄介そう。これ、非常にやな予感(他人事)




感想ください、作者のエネルギーになります


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復讐者(アヴェンジャー)

それは復讐のために命を賭ける者、同じ存在が別れたもの


「さて、帰りますかぁ」

「うん、帰ろう」

 

作戦終了後、すぐさま帰投のためのコースに変更して離脱している

その最中、戦闘の反応を捉えた

 

「戦闘・・・?」

「あぁ、しかし・・・コレは」

 

一方的だ、虐殺になっている

しかも・・・

 

「ねぇ、カズマ」

「安心しろ、俺はここにいる、アソコに居るのは別の存在だ」

 

俺の女性体にソックリだった

 

「イセリア、リオナ、先に帰還しろ、コレは俺の戦争だ」

了解(ラージャ)!!」

「わかりました、ご武運を」

 

二人を先に行かせ、俺は今もなお戦い続ける人間の前に降り立つ

 

「・・・」

「ようやく来たか」

「その様子では、勘付いていたようだな」

「当然だ、私はお前の理想形の一つなのだから」

 

コイツは・・・やはりそうか

悪堕ちした俺の未来形だ、最悪にも程がある

 

「ここでお前を殺し、黄金錬成によって亡くしてしまった掛け替えのない人を取り戻せる安い取引をする」

「は・・・?」

 

今・・・コイツ、自分で言ったことを理解しているのか?

 

「おまえ、自分で言っても気付かないのか?」

「何を・・・?」

 

それほど大事なら、そこまで愛しているのなら。たとえ何を引き換えにしようとも、釣り合う天秤なんかないって分からないのか?

 

「掛け替えのないってことは代えが利かないってことだこのクソ馬鹿!!百万か一千万、それっぽっちで戻るもんモノなんざ安っぽすぎて唯一でも無二でもねぇんだよ!!」

 

かつて亡くしてしまったセリアもアヤナも含めて、俺の大切な親族も、もちろんイセリアも、お前が亡くした何処かの誰かも・・・断じてそんな代価じゃ戻らないし、戻してはいけないんだ!!

 

「地球とだって釣り合ってたまるか!!おまえがやってることは舐めてんだよ、ふざけんじゃねえッ!!そんなクソくだらねえもんのために、俺のものは渡さない!!おまえはそこらのゴミ山でも漁ってろ!!」

「・・・ゴミ?」

 

俺の怒声に、虚を衝かれた顔をしたのも一瞬。表情を怒りに変え、俺に向かって叫ぶ

 

「取り消せ!!」

「ゴミだろうがよ。おまえが捻り殺したエキストラで生き返る命なんか」

 

十万人だろうが一千万人だろうが、こいつはそれらを安い取引だと断じた。

かつて喪失したという大事なものより、自分にとって価値の無いものだと言い切った。

だったらそんな代価で取り戻そうという宝物は、"そんなもの"でしかないだろう!!

 

「人殺しが蘇生だ不死身だの図々しい!!ゴミ屑いくら寄せ集めても、黄金になんかなるわけないんだ!!」

 

恐らくそれが転生の取引条件だろう。だとしたらそれを可能とする存在が居るのは間違いない

だとしても、ここでコイツを見逃すことは断じて不可だ!!

 

「ならば・・・」

「戦うしかない!!」

 

意見は決裂した、だとしたら残るのは肉体言語だ

 

「でぇや!!」

「ぬぅ!!」

 

一気に押し出し、そのまま連撃のラッシュを叩き込む

 

「な、なぜ私がここまで・・・!?」

「お前に勝算など一分たりともない!!」

 

そのまま蹴り飛ばして距離をあけ、俺は告げる

 

「だからその目で見るがいい、俺が行き着いた先の答えを!!」

 

全ての武装をアクティブに切り替え、攻撃を開始する

 

「敵わないと知ってこの世界に来たその愚かさ。生涯をくだらない理想に囚われ、自らの信念を持てずにいる紛い物・・・それが自身の正体だと理解しているのか?」

「ただ救いたいから救うなどと、そもそも感情として間違えている。人間として既に故障しているお前は、初めからあってはならないニセモノだ。そんなものに、生きている価値などない!!」

「つっ・・・!!」

 

だからお前は俺に勝てない、何故なら

 

「俺はお前の理想の先に在る者だ。決して叶うことはないと理解したはずだが?」

「うぅぅおぉぉぉぉぉ!!」

「そうだな・・・」

 

剣戟を正面から受け、防ぐ

呆れて物も言えないくらいだ

 

「認めるわけには行かないのは道理だ。俺がお前の理想であり続ける限り、藍澤・カズマは誰よりもソレを否定せねばならない」

 

反撃するのも読めており、普通に防げる

 

「あえて聞くがな、お前は正義の味方になりたいと思っているのか?」

「何を今更、私はなりたいんじゃなくて・・・絶対になるんだ!!」

 

再び反撃してくるが、それを後ろ手に拘束し俺は続ける

 

「そう、絶対にならなければならない・・・何故ならそれは、藍澤・カズマにとって唯一の感情だからだ。例えそれが、自身の内から現れたモノでないとしても・・・」

「ぐっ・・・」

 

まだ抵抗するか!!

 

「その理由はあの出来事。一面の炎と充満していた死の匂い、絶望の中で助けを請い、叶えられた時の感情・・・藍澤・ミナトの、俺を救い出した時の安堵の表情、それがお前の源泉だ」

「つっ・・・」

 

認めたくなくてもそれが事実だ、否定なんて出来はしない

 

「助けられた事に対する感謝なんて、後から生じたものに過ぎない。お前はただ、藍澤・ミナトに憧れた。彼女の、お前をすく抱いた時の顔があまりにも幸せそうだったから、自分もそうなりたいと思っただけ」

 

そう、あの時救われたのは俺だけでなかったのだ。救い出したあの人だって、ある意味で救われていたんだ・・・

 

「子が親に憧れるのは当然の事だろう。だが彼女は最後の最後に"呪い"を残した。お前はその時から"正義の味方"にならなくてはならなくなった・・・お前の理想は、ただの借り物だ、藍澤・ミナトという女が取りこぼした理想、彼女が正しいと思ったモノを真似ているに過ぎない」

「それ・・・は」

「正義の味方だと?笑わせるな。"誰かの為になれ"と、そう繰り返し続けるお前の思いは、決して自ら生み出したものではない!!そんな女が他人の助けになるなどと、思い上がりも甚だしい!!」

 

それと同時にビームサーベルをナイフモードに切り替え、脚を突く

 

「ぐ、があぁぁぁぁ!!」

 

その悲鳴を聞きつつ向き直り、俺は続ける

 

「そうだ、誰かを助けたいという願いが綺麗だったから憧れた!!故に、自身からこぼれ落ちた気持ちなどない!!」

 

そこから連撃のラッシュを始める

 

「それを偽善と言わず、何という!?好みは誰かの為にならねばと、強迫観念に突き動かされてきた!!それが破綻しているとも気づかず、ただ走り続けた!!誰もが幸福であってほしい願いなどおとぎ話だ!!」

「つっ・・・!!」

「そんな夢しか抱いて生きられぬのであれば、抱いたまま溺死しろ!!」

 

地面に剣を突き刺し、息も絶え絶えの別世界の自分に俺は告げる

 

「正義とは、秩序を示すもの。全体の救いと個人の救いは別物で、絶対に両立し得ない!!正しき救いを求めれば求めるほど、お前は自己矛盾に食い尽くされる!!ただの殺し屋に成り下がる!!それが解らぬのなら死ね、その思想ごと砕け散れ!!何も成し得ぬまま燃え尽きろ!!」

「・・・!!」

「そうだ、そうすればお前のような間違いも霧散する!!お前という命の痕跡を、俺自身の手で、消し去ってやる!!」

 

何故なら、その理由こそ・・・

 

「俺たちは、ただの痩せさらばえた、捨て犬に過ぎない!!何故なら、失くしたものは戻らないから。彼女はそれを誰よりも知っているからこそ、刹那を愛したのではなかったか!?」

「つっ!?」

「その煌めきを、燃焼を、疾走したからこそ光と仰いだ。それはすなわち、未来を信じていたからに他ならない!!」

 

彼女が本当の意味で残したのは呪いではない、祈りだとこの世界に来て、由宇と出会って初めて理解できた

それまで見えていた世界が、180違って見えるほどに

 

「おぞましいと自らそう弾劾し、使うべきではないと封じていた力を、彼女が最後に纏ってまで守り通そうしたのは何のためだ!?それをお前は、呪いとして甘えやがって!!それがお前の報恩か!?彼女との絆なのか!?」

「・・・」

「笑わせるなよ甘ったれ!!真に愛するなら壊せ!!」

 

可能性という内なる神を未来に求める為に彼女は俺に託したのだ、祈りを

それを呪いに変えるだと?ふざけるな!!

 

「お前のいるべき世界はここではない!!正しき居場所へと帰るがいい!!」

 

最後の一撃で死亡させ、そのまま帰投した




誰よりも絶望を知っているからこそ、ソレを分からない奴は許さないという事です
主人公のセリフなのに、時たま何言ってるか作者が分からなくなってくる・・・


感想ください、作者がハッスルします


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素直になれない姉妹

それは姉妹の話、弟がいる姉と兄がいる妹の話


「で、作れと?」

「あぁ、作ってくれないか?」

 

俺は緊急であるモノを作ってもらう取引をしていた

 

「で、仮名がゼロ組だと?ふざけてるのか?名折れどころの話してではないぞ?」

「あぁ、あくまでも学園の予備戦力だからな」

 

学園への予備戦力配置。それが正体だが、粒揃いの人間が揃ったことでついに実行に移せる時が来たのだと判断している

 

「IS委員会にも知らせるなとはどういう意味だ?」

「最近のIS委員会の動きがどうにも妙だ」

「・・・?」

「なぜか管理官が急遽変わる、それも増員までする。更にはこちらで保護している人物の一斉引渡しを要求する・・・明らかにおかしいだろう」

 

この一ヶ月の間にこれだけの事をしている、それがおかしい

 

「気のせいではないのか?」

「それだけならいい、だが、テロも多くなっていておかしくない(・・・・・・)というのがおかしいだろう?ソレ関連の動きも抑制するのがIS委員会だろうが」

「確かに・・・」

「ゆえ、内通者のいる可能性を考えたわけだ」

 

内通者・・・IS学園にも黒羊歯という例があったように、IS委員会にもいる可能性がある

 

「過去の例から考えていけば、最適のメソッドはそれぐらいしかない。それでも、時間稼ぎ程度だろうけどな」

「それでも、やるだけの事はしないといけない・・・か」

「あぁ、そうだ」

 

それが有効活用できるのなら、最大限まで有効活用するだけだ

特に・・・

 

「風鳴・翼を含めたシンフォギア装者は特に潜在戦力として最高水準だ、元教え子でもあるしな」

「ほお・・・?」

「でも、お前みたいに人間やめてる系じゃないからな?」

「・・・チッ」

 

うわ、物凄くあからさまな舌打ちだよ・・・

 

「で、その条件はこちらからも出せるんだな?」

「もちろん、こちらから願い出していることだからな」

「地下になるがいいな?」

「あぁ、構わん」

 

その程度の事は予測できたことだ、窓の当たる部分に自然と間違うほどの映像を流せば良いだけで済む

 

「地下は案外とストレスが掛かるぞ?」

「窓枠に映像を流す、自然と間違うほどのな」

「流石だな、穴倉暮らしが長かっただけはある」

「ほっとけ」

 

あくまでも生活の基盤を地上に起き、学生と同じ時間を地下で過ごすだけのことだ

そこに何の問題が・・・あるな、うん

 

「問題は学生同士の付き合いが出来なくなる事だな」

「それに関してはこちらから考えよう」

「手があるのか?」

「ある、それもとびっきりのな」

 

気になる、同時に嫌な予感もする

 

「とりあえず聞こう」

「専門分野の特殊組」

「ブフォ!!」

「なぜ笑う?」

 

いや、だってさぁ!!

 

「確かにそうだが!!あぁ、うん、なんだ、これだけ面白ネタ突っ込んでくると笑い出したくもなる!!」

 

確かにそうだな、うん・・・転生者に、歌いながら戦う連中に、ISでないナニカなんだからそれは確かに言える

だがそれで1クラス纏めて作るなんて誰が考えるよ、しかも公開するんだと!!

 

「潜在戦力持ってるという言葉よりも強烈な打撃だな!!」

「敵を誘っていながら騙す、お前の常套手段を真似ただけだ」

「俺も上手く踊らされるかもな?」

「お望みならそうするが?」

 

はん、そんなの!!

 

「誰がさせるかっつの、一回程度で調子づくなよ?」

「そのうち出し抜いてやるから覚悟しろ、小僧」

「言ってろ脳筋」

「「あ゛?」」

 

あ、なんかやばい気がしてきたなぁ・・・何気に二人目がいる・・・マドカが

 

「マドカ、来ていたのか?」

「あぁ、つい先日、ようやく全ての仕事を終えたのでな」

「あれ、なんで直属の上司である俺に先に言わないのかな」

「チッ!!」

 

なんだろう、最近の俺は妙に激しく舌打ちされている気がする

 

「自分がした事を忘れたのか?」

「忘れてはいないさ、その結果君も自分の間違いに気づいんだろう?」

「それはそうだが・・・」

 

トゥーレとの決戦の時、彼女は全ての記憶を取り戻したらしい

それもギリギリの、敵にやられる寸前に

 

「でもあのような回りくどい事はとても嫌いだ、真正面から叩き潰された方がどれほど良かった事か・・・」

「それをすると一夏が黙ってないんだよ、それをしたら?って聞いたらなんて言ったと思う?」

「知らん」

「俺を殺して、自分がなんとしてもマドカを止める。だとよ」

 

マドカが、ポカン・・・とした表情になった、その気持ちすごくわかる

 

「は・・・?」

「家族として愛しているからさ、千冬以外に初めてわかった家族の存在だ、それを臆面もなく言い放つほど真剣なのだろうよ」

 

真に恐ろしく、強いのは()だ、家族に向ける愛、友や恋人に向ける親愛や恋愛感情

それは魔道や邪道に行かせたり、戦う理由にも化ける凄まじい汎用性を持つ

 

「良かったな、お前の兄貴、すっごく真剣な目でそれを言うもんだから俺も思わずたじろいだぜ」

「そのバカさ加減にだろう?」

「うん」

 

馬鹿になるのもいい時がある、それが一夏にも来た瞬間がアレだったのだろう

鈍感なくせによくまぁ・・・

 

「で、そういうお前は一夏の前でちゃんと話せているのか?」

「う・・・それは」

「出来てない訳だ、似たもの兄妹め」

「悪いか!!」

「悪い」

 

それはいかんなぁ、非常にいかん

 

「おい、姉上が教えてやれよ」

「・・・どう教えろと?」

「あれ・・・そういえばこの人もだった」

 

素直になれないがゆえに少し(少し?)厳しい事もするが、それはそれだけ心配している事の証でもあるのは、超がついてもおかしくない鈍感の一夏も知っている

 

「要はお前ら二人共不器用なんだよ、伝えたくても素直になれないんだ」

「「・・・」」

「おい、何だその目は?事実だぞ、他人から見た。なぁ、そこで温かい目をしている山田先生!?」

「は、はい!!」

 

ほら見ろ、事実だろうが。変なもの見る目でこっちを見るなっての

 

「カズマ君の言うとおり二人共素直ではないと思いますよ?」

「山田先生、後で藍澤と一緒に組手を」

「ふえぇぇ!!」

 

ご苦労さん、山田先生

 

「自覚はあるのか、二人共」

「む・・・」

「ん・・・」

 

あれ、だんまりだ・・・って事は

 

「まさか・・・なかったのか!?」

 

最悪だ、無自覚なんて!!

 

「「自覚ぐらいある!!」」

 

同時に否定ですか、そうですかそうですか

 

「じゃあ、頑張りたまえ、あぁでも」

「・・・?」

「自分の出来る範囲でな、あまり背伸びするなよ、千冬は特にな」

 

そう言うと織斑・千冬は顔を赤らめながら俺に叫んだ

 

「どういう意味だ!?」

「まんまだよ、年甲斐もなく張り切るなよ?」

「この、待て!!」

「待ちませーん!!」

 

脱兎の如く逃走し、一夏にエンカウントできる場所までわざと向かう

 

「おーい、一夏ぁ!!」

「どうした、カズマ?」

 

俺後ろから追いかけてくる千冬を見て、一夏はなんとなくわかったようだ

 

「あぁ、納得」

「俺を逃がしてくれい!!」

「ほらよ、裏口から逃げろ」

「サンキュ!!後で焼串奢るぜ!!」

 

そのまま逃げ去り、俺の作戦通りに物事は進むのであった




特殊な組を作らせて、後はいつの間にか姉妹を・・・からかって楽しんでますね!!


感想ください、作者の励みになります


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バレンタインスペシャル(?)
怒りのバレンタイン来たれり!!


遅れたけど2/141日のネタ。タイトルはそのまま、意味は変わらん!!
本編とは一ミクロンも関係ない(`・∀・´)!!


ちなみに出てくるキャラは下記、本話では台本に近い形式で書きます
それぞれ キャラ名 → 略 という形になります

カズマ → カ
イセリア → イ
作者 → 作
千冬 → 千
マドカ → マ
スコール → ス
凰・鈴音 → 鈴
アヤナ → ア
セリア → セ


<前日>

 

カ「バレンタイン終了のお知らせぇ?しかも作者が?」

作「イエス!!俺のボッチな」

イ「聞いてないから」

作「しょぼん・・・」

 

最近の主人公は作者から乖離しているの。

 

作「まぁいいさ、リア充爆散してしまえ!!」

カ「まずお前が爆散しろよ」

 

そんな話があったとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

<当日>

 

作「怒りのバレンタイン来たれり!!」

イ「渡す前の実験台にしてあげるから、美味しく食べなさい。きっと一撃必殺だよ」

作「総員、喜び勇んで食し、爆ぜよ。これぞ今日の理だ!!」

 

IS学園に突如現れた作者が撒き散らしたのは、最悪の理、無限チョコ爆発地獄だった

 

作「イセリアちゃん、少し話さないかい?」

イ「いやほんと、こっち見ないでお願い」

作「あれ、なんで・・・」

カ「おまえが無限チョコ爆破地獄なんてものをこの世界に流出させるからだろう。あまり婦女子をいたぶるものではない!!」

 

ははは、リア充ごときに止められると思うなぁ!!

 

作「怒りの日(バレンタイン)終末の時(ホワイトデー)。チョコレートは爆弾と化し、非リアと中二の嘆きのごとくに爆ぜて散る」

カ「おい、いきなり詠唱らしきものを始めたぞこの作者。しかもホワイトデーまで目算に入れてやがるようだ」

作「たとえどれほどの悪夢が待ちうけようとも、試食者(さくしゃ)が来たり。厳しく糾され、一つ余さず爆ぜ去り消える」

イ「要は食いたいだけじゃないの?」

 

いいや違う、いかなる者が作ったものでも、その法下にある限り必ずチョコ作りが失敗するのだぁ!!

 

作「我が総軍に響き渡れ、妙なる嘆き、開戦の雄叫びよ。皆すべからく玉座の下に集うべし」

ス「ねぇ、いい加減に止めた方がいいと思うわよ?」

作「彼の日、涙と罪の裁きを。卿ら、灰より蘇らん。されば天主よ、その時彼らを救いたまえ。世のリア充どもに今永遠の(チョコ)を与える。エィメン!!」

 

お前ら物語のキャラにも(作者)の嘆きを叩きつけてくれるわあぁぁ!!

 

作「太極・・・隋神相、神咒神威・無間チョコ爆発地獄ゥ!!」

マ「誰かこの大馬鹿者を止めろ!!」

作「我が愛は破壊の情。愛でるためにまずは壊そう。断崖の果てを飛翔しろ。ここにお前たちの愛を試す。これぞ既知感(リア充)の終焉だぁ!!」

千「まず作者を抹殺しようとする作戦を考えた、諸君、私に従え」

 

あ、やべ

 

作「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!」

(ワンオフアビリティと攻撃の嵐)

千「ふむ、ゴミ掃除だ」

イ「うん、もう遅いね。わたしの作ったチョコがなぜか爆発した件について」

 

効果は抜群だ!!全てのチョコは爆散しろぉ!!

 

ス「同じく、こんなんなっちゃった事について」

作「ふははははは!!はーははははははっ!!」

千「ちっ!!この男!!」

作「お前も見てみろよ、織斑・千冬ぅ!!」

千「貴様ぁぁぁ!?」

 

女性陣が贈ろうとしていたチョコは俺の理で爆発させたァ!!

 

イ「ねぇカズマ、どうするの?食べるの?食べないの?早くしないと私のチョコ爆発しちゃうよ!?」

カ「君の手作りチョコは中国かよッ!?」

鈴「どういう意味よ!?」

作「差別してごめんなさい」

 

すまん、出てきたのがこれだけなんだ

 

イ「こんな(既製品)チョコが許されると思ってるのアヤナ。女の戦場を舐めるんじゃない!!」

ア「ぐはっ!?確かに、爆発だけならまだしも、なぜか食感が数万ボルトな件について!!」

ス「チョコと一緒に黄金の夜明けになってしまう件について」

 

なんだそれは・・・

 

セ「どうするんだ、食べないのか?お前の愛はそんな程度のものなのか?」

カ「俺は・・・屑だ!!」

マ「もう面倒くさいから通販で頼めばいいのではないか?」

作「既製品じゃ俺のバレンタインチョコへの欲求は止まらねぇんだよっ!!」

マ「私にあたるなっ!!」

 

酷いなぁ・・・

 

作「さぁキャラ共よ、私は準備オーケーだ。ここに未知の味を教えてくれ」

女性陣「どうしてあなたにあげることが前提なの?」

作「酷い・・・でも!!

 

今日はこれを言いたいだけだ!!

 

作「怒りのバレンタイン来たれり!!」




遅くなってすまない!!本当に申し訳ない、本来なら日付変更時にあげる予定だったんだ!!




感想ください、本気でテンション上がります


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逃避行編
運命の破壊


築き上げてきた未来が音を立てて崩れていく
それはこれまでの反動、破壊をしたからこそ再生が始まった
追い立てていた者が追い立てられる者になる

その裏には、最悪の敵がいて。どうしても倒さねばならない
自分ではなく、この世界に生きる者達と、己の仲間が


「これは予測出来ていた事だよな、カズマ」

「あぁ・・・」

 

平和に仕事を終えたある日、意外な情報が寄せられた

WALRUSに対する国連の緊急決議が行われるのだ

 

「やれやれ、一介のPMCにそこまで躍起になるかね」

「なるだろうよ、現状最強戦力常時配備のPMCはウチだけだ」

 

そうなのかもしれない

でもそれにはきちんといた理由があるのだ

 

「俺達が築き上げてきたものが、崩れていっているな」

「破壊の次にあるのは創造だ、俺は破壊しか出来ない。後は任せるぞ」

「あぁ、でも・・・」

「死なんよ、守らねばならん者がいる限り」

 

今の俺には、最悪の敵がいる。どうしても倒さねばならない敵が

でもそれもかなわんだろう・・・ならば、残る者達に任せる

 

「久しぶりだな、追われる立場になるのは・・・」

「あぁ、だからこそ、巻き込んでしまうのは・・・」

「お前の部下であることは俺の誇りだ、それは今も変わらん。一人で逝く事など決して許さんぞ」

「・・・あぁ」

 

いつの間にかイセリアと由宇も聞いていたようで、俺を不安そうに見ていた

 

「カズマ・・・」

「イセリア、由宇。俺は死なない、君達がいる限りどんな事があろうとも」

 

切り札はこの世界に生きる者達なのだ、俺のような転生者ではない

 

「篠ノ之束、隠れてないで出てこい」

「決死の覚悟しているくせに、そんな事言うから・・・」

 

あぁ、そうだな・・・

今の俺は決死の覚悟だ、なにせ敵が敵なのだから・・・

 

「最悪の6人の復活・・・これは俺への命題か・・・あるいは」

「神による介入か・・・どのみち戦わざるを得んか」

「二元論、堕天奈落、悲想、修羅、永劫回帰、第六天波旬・・・どれもこれもこの世界のバランスを大きく崩すな・・・」

「賭けよう、一夏達に。それしか方法がないのも事実だ」

 

そのために俺はある決意をしていた。それが後にどれほどの影響を及ぼすのかも熟慮した上で

 

「じゃあ、覚悟は出来ているんだな?」

「あぁ・・・千冬に何も言わずに行くのは少しばかり悪いがな」

「聡明な彼女のことだ、なんとなくだが分かりはするだろう」

 

敵になると言ったらどれほど嫌そうな顔をするだろうか?

おそらく二度と見られないような表情になる事だろう

それが見れない事にも少しだけ残念な思いもあるが、もう決めて実行に移していることだ、今更帰るわけにもいかない

 

「学園にはどう話を通したんだ?」

「一時休学措置を取ってもらった、俺達がやろうとしている事を知っているのはほんのひと握りだ」

 

学園長の他は一人しか知らないことだ、それだけ極秘にする必要がある

彼らの覚悟と、その力を試すために

そして、俺にはしたくても出来ない事に挑んでもらうために

その露払い(・・・)程度はしてこよう、最後の一人、第六天波旬を名乗る敵を倒せる算段をしといてやる

 

「頼むぞ、一夏」

 

二年少々世話になった場所から一時の逃避のために出るというのは、後ろ髪を引かれる思いがこみ上げるものだった




逃避行編開始です。敵の名前がなんとも仰々しいものばかりです
最初に倒れる敵はどんな存在なのか、どこから来たのか、謎にして唐突に始まる逃避行の目的は何なのか徐々に明らかにしていきます。既に半分以上今話でヒントを出していますが



感想ください、作者がハイテンションで次話を書きます


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VSディメンジョンオーダー

逃げるわけではなく、仲間を守るために自らを犠牲にする主人公
最初の敵はある意味で正義である者たち、自分が崩したバランスを戻そうとする者達との戦い


「お前か、この世界のバランスを崩したのは!?」

「・・・」

 

逃避行開始からわずか数日、俺は敵と遭遇した

この世界のバランスを取り戻すべく、俺の前に現れた審判者達・・・

 

「なんであろうと、お前には死んでもらうしかない!!」

「そうか・・・俺もまだ、死ぬわけにはいかないんだ」

 

まだ死ねない、死ぬわけにはいかない

俺が死ぬのは、死んでいいのは、由宇とイセリアのいる場所だけだ!!

 

「うおぉぉぉ!!」

「はあぁぁぁ!!」

 

敵の機体と俺のブラックフレームは同時に展開を終了し、そのままもつれ合うように戦闘を始める

 

ディメンジョン(別次元)から、神の(オーダー)によりこの世界に来たのか?」

「そうだ!!世界を壊そうとするものがいるから、と!!」

「そう、か・・・」

 

その意味はおそらく違う、敵であった他の転生者たちと同様にこの世界をいいようにしたい神なのだろう

それはおそらく人間が起源より持つ大罪の神・・・闘争の神にほかならない

ただただ、戦え、戦え、戦えと・・・

 

「これで!!」

「ぬぅ・・・!!」

 

それゆえにこれまでとは違う、装甲にこそ留まりはしたがブラックフレームが破損した

それは驚きにこそ値するが撤退にはいかないモノだ

 

「俺はな、そうやって他人から決められた事にホイホイついて行く奴が大嫌いなんだよ」

「つっ!?何を!!」

「そう言う奴に限って、いつもいつも、見ても聞いても感動なんて出来る記憶(モノ)なんて一つもねぇ」

「ふざけるな!!全てを失ったことがあるのか!?」

 

全てを失った?あぁそうか、お前も俺と同じなんだな

 

「あるさ、あるから言ってるんだ!!」

「つっ!?」

「過去しか見てないのかお前は!?」

「それの何が悪い!?だからおまえを殺すしかないんだ、過去を見ないお前を、世界を壊そうとするお前を!!」

 

あぁ、そうか、そうかよ!!

 

「いい加減残像にすがりつくなっ!!例えソレを何度見ようと、返ってこないんだよ!!何も、何も!!何一つだ!!」

「そんな事、お前に言われる筋合いはない!!」

「神様に頭下げて!!摩訶不思議な神通力でも恵んでもらって!!そんな奴が、強いから、すごい使命を持っているとでも思っているのかてめぇ!?」

 

ふざけるな、結局他者頼りじゃねぇか、それのどこが孤独と言える?

 

「ふざけんなボケ、酔っ払ってんじゃねぇ!!」

 

俺もそうだ、誰も彼もが死んでいった、真の意味での孤独・・・己を知る者が誰もいない恐怖を味わったとも

それでもやはり、前を向けたのは最後まで愛していた者との約束があればこそだった

今もそうだ、俺はあの二人(由宇とイセリア)を愛している

 

「一丁前に吠える力はあるくせに、神ごときに頼り俺を殺すだと!?いいだろうやれるものならばやってみろ!!」

 

だから巻き込みたくなくて、置いていった事に後悔しながらこうして戦っている

彼女達の抱える苦悩を、決断を、生き様を失くす事など許さないし許せない

だからせめて結果は残そう、永劫残るものとして。

この思いは、決して色褪せずに輝き続けるのだから

 

「うおぉぉぉ!!」

 

俺の言った言葉を敵は否定できない。出来うる材料を持ち合わせていないからだ

だから無様にも戦う選択をする、自分は善だと思う続けたいがゆえに

そもそもそこから間違えているとも気づかず

 

「おぉぉぉぉ!!」

 

俺もそれに答えるかのように振舞う

敵は確かに強い、それは認めよう。先ほど俺は"神ごときに頼り"と言ったが、実際には彼も研鑽したのだろう、貰った上で俺を確実に倒せるように

でもそれは紛い物の宝石を磨くのと一緒で偽物でしかないのだ、本物というのは誰かから貰うものではない、自力で掴みとるものであるはずなんだ

 

「虚空より、陸空海の透明なる天使たちをここへ呼ばわん。この円陣にて我を保護し、暖め、防御したる火を灯せ」

「つっ!?」

 

詠唱か!!ならばこちらも同等の力で!!

 

「幸いなれ、癒しの天使」

「幸いなれ、義の天使。 大地の全ての生き物は、汝の支配をいと喜びたるものなり。さればありとあらゆる災い、我に近付かざるべし。我何処に居れど、聖なる天使に守護される者ゆえに」

 

おそらくこれは同じ世界の力だろう、転生特典は往々にして火力一辺倒なモノを選択する者が多い、特にこの世界では

 

「斑の衣を纏う者よ、AGLA・・・来たれ太陽の統率者」

「黄衣を纏いし者よ、YHVH・・・来たれエデンの守護天使」

 

それこそ、終わりの一撃にあるかもしれないモノが

 

「「アクセス、マスター!!モード"パラダイスロスト"より・・・」」

 

ゆえに俺は、無理やりソレを使っている

本来は神格域に達した存在にしかできないソレは、俺という人間が、人類の罪の結晶であるからこそ出来る

 

「ウリエル、実行!!」

「ラファエル、実行」

 

敵の攻撃は、数億トン以上の瓦礫等を凝縮・溶解し、十数メートル程の球体にまで圧縮することで作られる疑似太陽だった。太陽と喩えられる通りに、その威力はフレアの爆発にも匹敵する

対する俺の攻撃は、竜巻の旋風を巻き起こしそれに触れた一帯を空間ごと削り取り別次元へと放逐、それによって開いた傷痕が"世界を縮めて"接着することによって歪曲空間断層を引き起こす・・・つまりは攻撃を消し去る攻撃というモノだった

しかも敵は加減してないにも関わらずこちらは敵の攻撃だけを消し去るように加減している

 

「な・・・!?」

「"運命は繰り返させない"・・・お前を転生させた神にそう伝えろ。ではな」

 

斬首して終焉させ、俺は再び敵を追うことにした

敵を追い続ける日々がどれほど続くのわからないが・・・




主人公一強の状況は次話にて崩れます。次話は(もしかしたら)主人公の視点ではないかもしれません


感想ください、作者がトリップします


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奇跡を起こした者VS神格の管理者

奇跡を起こした者である主人公とその父であり神の一人、そして管理者である人物
更にもう一人の人物により戦端は開かれる
その戦いには世界を超えた友情、そして報恩と、覚悟と勇気を試す意味がある


「俺は・・・何してるんだろうな・・・」

 

俺は一人で敵を殲滅した直後、そう呟いた

既に学園から離れて一ヶ月が経過し、敵対してきた無数の組織や個人を潰している

 

「戦わなくても良かったはずなのにな・・・」

 

最初からそうだったのかもしれない、でも、あの時あの場での自分の行動は今でも正しかったのだと思っている・・・きっとこれからも

 

「それなのに、戦ってしまった・・・」

 

それなのに後悔している。そもそもどこから後悔しているのか自分でも分からないのだが

 

「何のために・・・」

 

それはもちろん、守るためだ

 

「何を・・・」

 

それは当然、自分の大切な人を

 

「自らの未来・・・」

 

それすらも捨てている自分がいる。他者にあんだけ言っておきながら、自分の中は存外にも空なのだ

今もそうだし、昔から変わらない。それでも、藍澤・ミナト・・・母さんは良いと言った

"空だと言うのなら、幾らでも中に入るという事。幾らでもつぎ込んでいって、溜めきれなくなったら誰かに肩代わりしてもらいなさい"と

それでも・・・

 

「誰かを討たねば守れぬ未来・・・」

 

自分もやがては討たれる存在だ、そうなるしそうしてみせる

そうなるように仕向けてもいるのだから

それなのに俺はどうして後悔しているのだろうか・・・

 

「そして、討たれた者にはない未来・・・」

「そして、それだけの数、討った者にも未来は消える・・・とでも言うつもりかね、我が息子」

「つっ・・・!!」

 

その声に弾かれて俺は後ろに振り返る

 

「クソ親父・・・!!」

「あぁ、全く。母親(ミナト)の懸念通りだな・・・」

「お前が、母さんのことを言えるのか!!」

 

俺はそう叫び返す。母さんを捨てて、俺の事も一度は捨てさせた張本人がそんなことを言ったのだ

 

「言えんが、父親らしい事はしないといけないだろう。それが彼女との約束に反していてもな。故に、お嬢さん。君も手伝ってくれるかい?」

「親子喧嘩ぐらい他所でやってくれよ、マジでどうでも良いし」

「つっ・・・!?」

 

聞き覚えのある声がその背後から聞こえる、出てきたのは・・・

 

「天羽・・・奏!!」

「すまねーな、カズマ。今回ばかりはお前をブン殴りてぇ」

 

立花・響のシンフォギア・ガングニールの元の持ち主にして、俺の何回目かの転生で救ったはずの人物だった

 

「どうして・・・君が」

「お前、もうわかっていて聞いてるだろ?それが私のイライラするとこなんだけど理解してるか?」

「つっ・・・」

「では、行こうか」

 

戦闘はキャストを変えて再開される、ここから先は世界を超越した"戦争"だ

 

「Croitzal ronzell Gungnir zizzl・・・」

「ブラックフレーム、全リミッターリリース!!」

 

彼女は救ってから数ヶ月の間、俺が真剣に鍛えた唯一の人物だ

あの世界での俺は完全でないことから性格にも違いが出ていたのもあり、記憶がほんの少し断絶している

それでも危険であるのは分かっている、何故なら・・・

 

「お前に救って貰った事で、私はアレ無しでもギアを纏えるようになった。それには感謝しているし、迷っていた時に進む勇気をくれて嬉しかった・・・」

「だから・・・か」

「あぁ、そうだ!!だからっ!!」

 

LAST∞METEORによる攻撃が来る

それを躱して・・・

 

「甘いな、僕が攻撃しないといつ言った?」

「ちぃ!!」

 

クソ親父からの挟撃にみまわれる。しかもソイツが纏うのは

 

「エクセリオンストライカー!!」

「その通り。かつて纏い、神となってまでも持つ物だ」

 

人間として存在していた時に纏っていた機体・・・ゼロフレームよりも古い時代の制作物でありながら全性能で追いつけすらしない機体だった

 

「く・・・このぉ!!」

「どこ見てやがる!!」

「しまっ!?」

 

その間に天羽奏が視界外から攻撃してきた

連携が・・・上手すぎる!!

 

「予想外か?」

「クソッ!!」

 

その連携は一夏に俺が教えてきた事の完成形に等しかった。それだけに俺自身が今、詰まされている状況になっている

 

「そして俺は君の上位互換だよ」

「貴様ッ!!」

 

俺の能力を使ってくる!!俺に出来ることが敵に出来るだけでどれだけ大変な事は承知しているが・・・!!

 

「あー、カズマの親父さん」

「何かな、奏君」

「俺に任せてくれや、第六天波旬に奪われっぞ?」

「それはマズイ、では戻るか。後は君に任せるよ」

「あーはいはい」

 

クソ親父はあっさりと去っていった、残るのは奏だけだが

 

「あの時と、似てるな・・・」

「あぁ・・・本当に」

 

あの世界で、ある時期のある一日だけ彼女は俺と翼、響を裏切った

俺も完全状態でなかったことから破れ、地に伏したが

 

「あの時の言葉、そのまま返すぜ・・・」

「・・・」

 

あの時の言葉を、今度は俺に返してくれるのか・・・

 

「さあ、お前の正義・・・貫いてみせろ!!」

了解(ヤー)・・・!!」

 

あの時の彼女は泣いていた。俺が全力を出してないと出せない事を知って、同時に本気で止めようとした事も分かっていたら

 

「なぁ、なんでお前はシンフォギアを纏えたんだ?」

「転生時の問題で、女性体だけでの転生になっていたからだ」

「なんで自分は動けて他の人間は動けないようにできたんだ?」

 

それは・・・俺の後悔と悲しい祈りからだ

 

「俺のようにさせないために、敵は全て凍り付けと、思ったからだ」

「そうか・・・お前の芯は空だけど。その思いだけは真実だと思うぜ」

「では、奏、今のお前はとても嬉しいのか?」

「そう、とても嬉しい。お前の救ってもらって、あいつらと沢山の思い出を作れて、色鮮やかな世界にいる自分・・・あぁ」

 

歓喜の表情と声で、奏は以前、この世界で俺が叫んだ言葉を、同じだけの音量で叫んだ

 

「私は今、生きているッ!!」

「ならッ!!」

 

俺もそれに答えよう、その言葉だけである意味救われた

俺の行為が間違っていないのだと、思えたから

 

「はははは、あーはははははっ!!はあぁぁ!!」

 

それは正しく豪笑をかき消すかのように、熾烈極まる破壊力を持つアームドギアによる1選が迫る

 

「乙女の笑い方じゃないぞ今のは!!」

「あいにくと、男女(おとめ)なんでな!!」

「言われればキレるくせに!!」

 

さっきまでのギスギスした雰囲気から一転、ただの痴話喧嘩に成り下がっている

彼女との本気での戦いは初めてであると同時に、ある意味救われた

さっきまでの色を感じなかった風景が、今は鮮やかに見える

 

「なんかおかしい気がするよなぁ、カズマ!!」

「無論、さっきからすべておかしいぞ!!」

 

俺は彼女の攻撃を躱し、逸らし、いなす。彼女も俺の攻撃を躱し、逸らし、いなす

そんな戦いの中でも、様々に技を応用して使い、自在に立ち位置を変え続ける

 

「感謝するぞ奏!!君のおかげで、今は色鮮やかに輝いて見える!!」

「つぅ!!」

 

最大限まで発揮されている両者の戦闘技能。それは・・・

 

「見ろっ!!なんだこの滑稽な戦いは!!」

 

戦術すらない、ただ一発ごとが全身全霊を叩き込む行為の繰り返しになっていた

これはまるで子供同士の殴り合いだ。無駄と無策の塊のような攻と攻のぶつかり合いでありながら同時に極限の攻め合いである

 

「なぁ、これがお前の以前言っていた、極限に近くなるほど陳腐になる事なんだろうな!?」

「ならばどうする?」

 

答えは同時、同じ言葉を叫ぶ

 

「「だから更に搾り出すまで!!」」

 

理由は簡単、続けるしかない

お互い、既に防御なんて頭にない大ぶりの攻撃で、逆を言えば一撃すべてが乾坤一擲。小賢しい真似をしようものなら即終わる

だからこの場で勝つのは・・・

 

「俺か・・・」

「私か・・・」

 

わからないからこそ無心になり・・・

 

「行くぞォ!!」

 

最後まで駆け抜けると決めたのだった




主人公の闇落ち寸前からコレよ、期待させない作者で済まない
にしても最近、マンネリ化しつつあるなぁ・・・
アレだけ嘯きながら、結局主人公視点だったしね


感想ください、作者がエキサイトします


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藍澤・カズマVS織斑・マドカ

それはかつて戦った者同士の再戦。
当時は弱かった少年は、様々な経験を積んだ事で強くなっていった・・・
そして、この世界の主役たる彼らを見極め、見届けようと決意した者が、遂に動き出す


「そこまでだ藍澤っ!!大人しく戻れ!!」

「断る、俺のエンプロイヤー(依頼主)からの命令なのでね」

 

シャルロットの故郷の国に向かう最中、俺はついにマドカと遭遇した

しかも黒騎士を纏っている

 

「どうしても敵に、なるのか・・・ならここでお前を倒すしかない!!」

「あぁ、本当に腐れ縁だな・・・故に加減はしない。元よりお前だけはこの俺が直に相手すると決めている」

 

そう、あの時から・・・彼女の記憶を奪った時から決めている

 

「予定とは異なっているかもしれない」

「つっ・・・!!」

 

全ての記憶を取り戻したわけではないマドカにとってそれは初めて聞く言葉なのだろう

 

「だが、そこまで辿り着き、このメッセージを聞いているのなら・・・」

「私の記憶を・・・知っているのか?」

「奪ったのはこの俺だ、知っていて当然だろう」

 

黒騎士に仕掛けた記憶再生システムを作動させ、彼女の記憶の最後・・・俺のメッセージを再生させる

ウイルスではなく、基幹システム内に組み込んだソレは簡単に解除できない構造になっている

 

「うあぁぁ!!」

「取り戻してくるといい、最後の記憶を」

 

<???、マドカ>

 

藍澤の声を聞いた瞬間、私はある光景を見ていた

暗闇に佇み、こちらを見る男・・・まだ敵だった頃の藍澤だ

 

「そう、何であれ君"達"は取り戻せる。あるいは、既にその手に抱いているのかもしれない・・・」

 

公開と自責の念のこもった悲壮な声・・・これが敵として再び立ちはだかる男の声だとは思えない

自分の記憶を見てるのに、そう感じる

 

「記憶喪失によって解放された自己解釈の広がり、あるいは個人の感覚の中では、それぞれの時間や空間の概念も異なり、時たまに曖昧だ。だから、鶏が先か卵が先か、私が誰であるのかもとりとめのないものなのだろう」

 

それが私の知る中での記憶喪失の総まとめだ、その上で不安で仕方が無かった

 

「君は私が誰か知っているかもしれないが、それを私に知る由もない。だが、手を尽くさねばならないことは知っている」

 

しかし、ただ心の底から私を心配し、身を案じてくれたのだと思っている

思うことで、ある意味で救われたのだ

 

「人が生み出した災厄は、人の手で刈り取らねばならない」

 

私と織斑千冬、更には一夏・・・一応兄のDNAは非常に酷似している。

人為的に細工されているのだ

 

「同様に、人類が生み出してしまった悲劇である君には、一つの世界すべてを賭けてでも、幸せになる権利と義務がある」

 

かつて自分もそうしたように、そうしてくれた人がいたから、自分もそうしようと

藍澤は罪を背負い、憎悪の泥に埋もれようとも前に進み続けているのだ

 

「しかし奴らは、再び君を犠牲にしようという。従ってそこに、一つの可能性を用意しなければならなかった・・・」

 

でも、残念な事に、ソレは賭けだった

 

「これは生涯唯一の賭け、私の我侭(エゴ)だ・・・」

 

だがそれが、今の状態を生み出したとしたらなんという皮肉だろうか・・・

 

「君にかつて運命づけられた在り方が、無慈悲な少年・少女兵だったとしても。いや、そうであるからこそ・・・」

 

自分が歩んできた運命を、この世界に生きる者に味あわせないために・・・

 

「君の見る空が、鳥籠や、戦火の中であってはならない」

 

限られた可能性や、絶望であって欲しくない。可能性がある限りどこまでも飛べる存在であってほしい・・・という希望を込めて

 

「その思いと、私が誰かに伝えられなかった言葉。そして確信を込めて、この計画(プラン)を設定する」

 

その時、彼の頬に流れていたのは、"だから、生きてくれ。どんな結果になろうと、誰かを泣かせるためでなく、守るために"・・・その意味の涙だと、今の私には分かっている

 

「おめでとう、織斑・マドカ。私の手を離れたこの先に、何があったとしても・・・君は必ず、運命に勝利する」

 

視線の先にあったのは、その計画の名前を書いた一枚の紙。それが捲られ、本来の名前を出された

 

Break(ブレイク) Destiny(ディスティニー)

 

その計画の名は、運命の破壊・・・という意味だった




次話、本作における(いろんな意味で)史上初の急展開!!


感想ください、作者がいい意味でも悪い意味でも暴走します


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逃避行編最終話

それは一人の少女を殺すために動いた組織の話
その少女は傷心状態にも関わらず、残酷な選択を迫ろうとする
主人公の続けてきた逃避行の真意がここに明らかとなる


<IS学園学生寮食堂、一夏>

 

「そん・・・な」

「ホントなんだ・・・お父さん・・・死んだって」

 

カズマ達が学園から出奔して丸三ヶ月が経過していたその日、シャルからとんでもないことを聞いてしまった

父親が死んだという事で帰国しないといけないらしい

 

「父親が、憎いのか?」

「そんなこと思ってもいないの知ってるでしょ?」

「あぁ・・・でも」

 

シャルの父親は、性別を偽らせてでも会社を維持しようとしていたんだ。家族を犠牲にして

そんな父親でも、シャルにとっては唯一の父親で・・・

 

「あれ・・・なんで・・・」

 

シャルの頬に一筋の涙が流れた。皆の前にいるときは気丈に振る舞うのが多いシャルでも、コレには堪えるらしい。

それもそうだ、母親についで父親も失えば・・・

そう言えばセシリアも似たような過去があるっけ

 

「シャル・・・」

 

涙を拭こうとした瞬間、久しぶりに聴く警報が鳴り響いた

敵が・・・来た!!

 

「織斑先生!!」

「千冬姉!!」

「織斑先生と呼べと何度言えば・・・!!」

 

イラッとした感じで千冬姉はモニターを見せてくれた

そこには・・・

 

「カズマ!?」

「そうだ、今度の敵は最悪・・・藍澤・カズマだ」

 

俺は恐る恐る質問する事にした

 

「アイツの要求は?」

「シャルロットの身柄引き渡しだ」

「しなかったら?」

「殺す、と言っているらしい」

 

アイツならやりかねない、なんせ平然と金と契約は裏切らんと公約してのけるのだから

きっと莫大な金と契約をしているに違いない

 

「俺が出る、織斑先生、頼みたい事が」

「なんだ?」

「デュノア社の廃社申請がされていないか調べて欲しいんです」

「何のためにだ」

 

契約を大事にする奴が、その契約元が無くなっているとどう動くかはわからない

莫大な金だけで動いてるのなら確実に終わるが・・・

カズマがそんな血も涙もない奴じゃないのは知っている

 

「カズマに聞いてくれればわかりますよ」

「・・・?」

 

俺はそのまま戦場になるかもしれない場所に向かう

そこは奇しくもカズマの率いる組織が一度破壊し、つい最近直されたばかりの場所だった

 

「よぉ、一夏。元気そうだな」

「こんな状況だけどな。見たところあちこち傷ついているようだが・・・」

「なに、擦り傷だ。時間もないことだから本題に移ろう」

「遊ぶ暇もねぇのかよ」

 

ヤレヤレ・・・とため息をつきながら俺の質問にカズマは答えた

 

「全くもって心苦しいがその通りだ。俺としてはジュースの一本でも飲み交わしたいぐらいなんだが雇用者(エンプロイヤー)が許してくれない」

 

そこに通信が入り、映像も出てくる

 

「叔母さん・・・」

 

シャルはその姿を見ただけで誰か分かったらしい。叔母と言っていることから両親のどちらかの親族だろう

 

「あぁ、まだ生きていたのね妾の子供。さぁ、藍澤君・・・あぁ、それとそこの織斑一夏。さっさと殺しなさい」

「断る。そもそも蔑む目線の奴のことなんて聞かねぇよ。それにカズマ、お前もそうだろ?」

「これも契約に基づく活動だ。俺たちは指示に従うだけだな、うん」

 

この野郎・・・頭にもない事をさも真剣そうに言いやがって・・・!!

 

「そういうところ、尊敬するぜ」

「お前に評価されても大して嬉しくない。さて、新社長、刻限は近い。行動に移るがよろしいな?」

「好きにすればいいじゃない」

「心得た。さ、諸君。戦闘だ」

「待ってくださいっ!!」

 

そこに山田先生の声が響き、カズマは

 

「待たないが?」

 

そう答えた、当然まだ動く前のものだから微動だにしていない

 

「これでもですか!?」

 

出された画像は、日本語に訳された・・・

 

「デュノア社の廃社申請処理の・・・証明書!?」

「ほう・・・?」

「なっ・・・!?」

「EUはデュノア社の廃社申請を受理。同時刻をもって強制的に解体されました!!」

 

時間は今から逆算してちょうど一時間前、つまり今、カズマを雇っていた会社はない

 

「新社長、コレはデュノア社の放棄だと考えていいかね?」

「えぇ、そうよ?だから再契約を」

 

シャルの叔母が最後まで言葉を言う前にカズマは口を開いていた

 

「その前に、先約があるんでな」

「は・・・?」

「カズマ?」

「何を言っているのかしら?早くそこのガキを殺して」

 

再び口を開き、カズマは蔑む目に変わっていく

 

「不思議に思わなかったのかお前?何故、俺が世界各地を回っていたのか。何故、シャルの国籍がEUから日本に移っているのか。何故、彼女の父親の財産がゼロだったのか」

「それはこちらの調査でも見つからなかったわね、あなた達も同時期に調べて・・・ちょっと?」

「生前贈与、という言葉を知っているか?」

 

俺は話についていけなくなっている

どういう事だ?シャルの親父さんとカズマにどんな関係があるんだよ!?

 

「まさか・・・貴様!?」

「契約に差しさわりはない、これは個人契約だ。そして同時に、お前はもう、WALRUSの雇用主(エンプロイヤー)ではない。故にその契約を行使する。君達の処分を頼まれていたんでな」

 

通信が一瞬にして切れた、どんな事があったのかは想像もしたくない

 

「やれやれ・・・金の切れ目が縁の切れ目とはよく言うものだな」

「カズマ・・・」

「何か言いたげだが、どうだろうか一夏?」

「なんだよ?」

 

カズマは後ろにいる自分の組織の方に指差しながら話しかけてくる

 

「あそこにたった今大きな契約スタックを終えた兵士がたっくさんいるんだが」

「俺に金はないぜ?」

「じゃあ帰ろうか?」

「IS学園の飯、三日分でどうだ?」

 

俺がそう言ったら

 

「はぁ!?」

「ちょ!?」

 

千冬姉と山田先生から驚きの声が上がった

 

「二週間」

「藍澤も何故まともに対応している!?」

「師団クラスの規模の・・・全員分なんて・・・」

 

流石に二週間は無理だ、だから

 

「一週間、これが限度だぜ?」

「いいだろう」

「「はあぁぁぁ!?」」

 

先生方の意見を無視して話は纏まってしまった、後はカズマが指揮することだ

 

「すいません、お願いします」

「それで済むのならば・・・」

「仕方ないですね・・・」

 

その間にカズマは電子契約書を送りつけてきたのでそのまま署名して送り返した

 

「さて、WALRUS各員、これが終われば一週間美味いメシがタダで食える。デカい契約が終わったばかりでへとへとなところすまんが・・・やる気はあるかな?」

「「了解(ヤー)!!」」

「タダ飯と聞いて元気が出たな?おおいによろしい!!ならばお仕事だ。セリア、指揮を取れ」

「了解。各隊小隊まで分散し残存敵PMC群を各個殲滅撃破、相手はただの有象無象だ。分かるな?」

 

副司令官であるセリアに指揮を任せ、カズマは去っていく

 

「じゃあな一夏、すぐに終わらせてくるわ」

「あぁ、後で話は聞くぜ!!」

 

カズマがやって来たことの意味を知ったのは、その日の夕方だった




あまりの酷さに思わず涙目の作者です、逃避行と見せかけてこのざまだよ!!
タイトル詐欺だね!!



感想ください、作者のエネルギーになります


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争乱編
エクスカリバー


それは戦争に狂わされた少女の名、人類にとっての聖剣であれという意味で主人公がつけた名
その少女、取り扱い注意


「ふぁ・・・」

 

眠気からアクビをして歩き出したのは授業が終わり、仕事もなんとか終わった夕刻だった

 

「酒を飲もう、そうしよう」

 

そう思い、酒の置いてあるクローゼットを開けたら・・・

 

「な・・・い?」

 

顔面が蒼白になった、飲もうと思った酒がなくなっているんだ

 

「あんの・・・クソガキャアァァァ!!」

 

あのクソガキだな!!今日という今日は!!

そのすぐ後、電話が来たので応対する、相手は一夏だった

 

「カズマ」

「どうした?」

「生徒会からなんだけど、最近、ISのパーツが一つずつ無くなっていく事件が起きているんだ、お前のところで掴んでないか?」

「・・・」

 

心当たりがありすぎる・・・

 

「心当たりがあるのか?」

「ありすぎて怖い」

「即答かよ・・・」

「そして帰ってこないと思ってくれ」

 

これは確定だ、帰ってこないだろう

 

「理由を聞いていいか?」

「極秘情報に触れない限りで伝えると、WALRUSで保護している人間が好き勝手やって盗んでいるということになる、ちなみに俺は酒を盗まれた」

「未成年者飲酒だぞ?」

「知らぬ」

 

どれだけの金がかかったと思っているんだ!!アレは500万の一品だぞ!!

 

「とりあえず、俺の方で何とかするが、諦めてくれ」

「白式は幸いにも問題ないけど、他の奴がなぁ・・・」

「そいつと模擬戦させて憂さ晴らしすればいい」

「お前、酷いな」

 

当然の罰だ、それぐらいの事をされろ

 

「さて、行くか」

 

行き先は地下の特別区画、"彼女"がいるはずのエリアだ

 

「やはりいないかっ!!」

 

室内は空だった、誰もいない

この部屋の主は、テーブルにご丁寧にも紙を置いていた

 

「"残念でした、ここにはいません(ゝω・)"・・・だとぉ?」

 

ワナワナと震えるのを我慢できない、完全にキレた

 

「絶対に見つけ出してやる!!」

 

その紙でハリセンを作り、俺は搜索に出る

幸いにもすぐに見つけた

 

「キャハハハ!!コレすごい美味しい!!もっと飲みたいなぁ!!」

「ほう?いつ飲むのかね?」

「・・・!?」

「天誅!!」

 

フルスピードで唐竹割りを炸裂させ、頭を抱えるほどのダメージを負わせた

 

「痛い・・・」

「てめぇが原因だろうが!!」

 

首根っこを掴んで元の部屋に戻らせ、ベッドに座らせる

酒は完全に飲み干されていた

 

「このクソガキ・・・」

「ちぇ・・・」

「あぁ!?」

 

もう一本あっただとぉ!?

 

「で、ISの装備や部品を盗んでいるのは?」

「私だよ?」

「酒も?」

「私だよ?」

 

よし・・・

 

「殺そう」

「まぁまぁ、それは悪いって思ってる」

「欠片も思ってないだろうが!!」

「チッ、つまんねー」

 

バレバレだっつの!!騙せると思ってたのかよ!!

 

「で、返す気は?」

「使ったら、無理だよね!!」

 

うわ・・・凄い笑顔。被害者が見たら殺しにきそうなレベルだ

 

「それで、自分で作るって言ってた機体は完成したのか?」

「昨日完成したんだー、大変だった」

 

全くその様子がない、誰か手伝っていたな?

 

「束、手伝っていたな?」

「バレた?」

 

扉から現れたのは束だった、バツの悪そうな顔をしている

 

「基礎的なところだけだから契約違反ではないよ?」

「分かっている」

 

恐らく、レクチャー程度のレベルだろう、コア自体は既に専用品を提供していたから

 

「では、見せてもらおうか?」

「いいの、反対しないでよ?」

「もう驚かん、お前の事だから」

 

何をしでかすかわからんのを相手にするのはしんどい

 

「では、見てもらいましょう!!」

 

彼女の後ろの扉が開き、その部屋の室内灯が点灯する。そこにあったのは・・・

 

「IS-RX0、いや・・・フェネクス」

「そう、IS"ユニコーン"の三号機だよ」

 

ユニコーン・・・IS-RX0は現在行方不明だ

あの子(・・・)物語(・・)に干渉する気はない、あの子ならどんな辛いことでも克服できるはずだと、信じている

 

「バンシィはワザと流したんだね?」

「何の事かな、俺は知らん」

 

困難な事を共に歩む仲間と共に克服するのは人間だけにしか出来ない事だ

可能性という内なる神(・・・・・・・・・・)を持つのは人類だけだから

 

「可能性を超える少女の物語だ、そこに干渉するほど俺は愚か者ではないよ」

 

あの物語は俺の入る必要のないものだ、俺はあくまでもゲストキャラに過ぎない

 

「さて、どうしようか?」

「ふぇ?」

「外に出てみる?」

「ふえぇ!?」

 

彼女をここに閉じ込めていたのは俺だ、必ず陽の光を浴びさせると誓っている

かつて由宇をして強引だと言われたが、それだけの事をしないといけない時もある

 

「でも・・・私は・・・」

「"でも"も"だけど"も聞きたくないし聞きません」

 

これは決定事項だ、揺るぐことはない

 

「いい・・・の?」

 

恐る恐る・・・といったように彼女は質問してくる

それに俺は

 

「たどり着く場所も分かりはしない、でもきっと、届くものはあるはずだ」

「だから、自分に負けるな・・・って事なんだね?」

 

戦争に全てを狂わされ、人を殺す方法しか学ばなかった彼女はそれが間違いだと知り、自らを地の底に封じる事を選択した

それを意思を俺は汲み、これまでここに居させていた

それももう、限界になりつつある

 

「君はもう、一人になることなんてない。そこ(・・)に立ち止まる必要なんてない」

「・・・」

 

自分が殺してきた人の命の重さ、それに彼女は今も縛られている

殺された人物たちはきっと、そんな事を望んでないはずだ

望んでいるのは忘れない事、忘れる事なく、殺した分以上の命を救う事を願っている

 

「そうだね・・・」

「それにそろそろ陽の光を浴びろ」

 

希望という光は諸人を照らすべきだと俺は思っている

かつてそれに抱かれ旅立った者を俺は知っている

 

「私にその資格があるの?」

「資格なんてどうでもいい、必要なのは進む一歩(・・・・)だ」

 

迷ってもいい、苦しんだって、その先には答え(・・)がある

答えの先にはまた問題があって、人生はソレの繰り返しなんだ

 

「だからこそ、今こそ出るときじゃないのか?」

「そうだね・・・うん」

「でも名前がなぁ・・・」

 

単なる単語・・・いや、それですらない、記号で呼ばれていた少女

その子に俺は・・・

 

「名前、つけてくれる?」

 

そう言われた、軽く混乱するがなんとか平常に戻し・・・

 

「俺でいいのか?」

「貴方だから頼むのよ?」

「わかった少し待て」

 

俺は彼女の人生を一部であるとは言え知っている

だから・・・

 

「シルヴァーナ・エクスカリバー」

「後ろの、聖剣の名前?」

「あぁ、君の名前にはいいだろう?」

 

銀の聖剣、彼女の名には良いものだと思う

人の罪の中にいてもなお、その運命に抗い続けようとし続ける勇気を持つ彼女には

 

「でも、聖剣というよりしょ・・・ゃん!!」

 

娼婦と言おうとしたのでハリセンで頭を叩いた

 

「お前はどちらかというと天秤(ライブラ)だろうが」

女神(アストレア)じゃあ、ないけどね」

「確かに」

 

可憐ではあるが、冷徹さも秘めている

例えるなら、磨き上げられた戦いの女性像か

 

「それでもお前は誰よりも人の事が分かる、それでいいじゃないか」

「出れるように、努力するね」

「そうしろ、でないと無理やり引きずり出すからな?」

 

そうして俺はその部屋から去る

これまでは鍵をしてきたが、今日からは不要だ

どのみち抜けて出るのだから意味がない

 

「これでピースは揃った」

 

これから始まるであろう争乱を最後の戦いにしよう、そう決意し日常に戻る




原作で名前だけ出ているキャラが次の話で大暴れの模様。
しかも外伝の存在(らしき)ものを匂わせる感じだ!!


感想ください、作者のテンションが跳ね上がります


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天秤と聖剣の巫女

その少女は敵に立ち向かう
それは彼女にとって普通でありながら、日常に溶け込めない原因
それでも少女は足掻き続ける、"それでも"・・・と


よく晴れた連休の中日、突然破壊音がした、学園と都市をつなぐ橋の途中からだった

 

「敵襲か?」

 

千冬にすぐに確認を取らせる、返答は・・・

 

「あぁ、数はこれまでより多い、男性の権利団体だな」

 

何ともつまらないものだった、自分の出る幕ですらない

 

「女の次は男かよ・・・みっともねぇ連中だな、おい・・・」

 

女性が自分達より偉くなるのがそんなに屈辱なのかねぇ・・・俺には全くわからんな、これまで威張ってきた分の仕返しをされているだけだというのに

まぁ、実際には才能もあるのだろう。男に下に見られるのが大嫌いな上昇志向の強い女性や、自分の限界を求める探究心を持つ女性がこの世界には多い

それは大変素晴らしい長所で、褒められるべき点だ。それを伸ばしてやりたいし、その環境作りをWALRUSでは行っている

 

「俺のPMCを見習えよ、男女恋愛も当然だが、揉める事なんてないぞ?」

 

そう、WALRUSでは男女間での喧嘩や揉める事が起きていない。それぞれがそれぞれに適任であるという認識があるからだ

彼女よりも自分が優れている面があり、彼女もまた自分とは違う点で優れているのだからそれでいいだろう・・・という考えがあるからである

 

「セリア、千冬」

「「なんだ?」」

 

セリアに通信を繋ぎ、千冬と一緒に聴かせる

 

「エクスカリバーを出撃させろ、IS学園生徒しての初陣にはちょうど良い」

「外道め・・・」

「千冬さん、それは違うぜ」

 

セリアがそう言って一人頷きながら言った

 

「スパルタなんだよ、コイツは」

「そのレベルではない気がするぞ・・・」

「お前が言えるのかよ、人間の限界知ってる系教師」

「貴様に言われたくはないな、スパルタ生徒」

 

通信越しににらみ合うこと約1秒、折れたのは千冬だった

 

「まぁいい、そろそろ学園でも奴を庇うのが限界になっていた頃だ、好きにしろ」

「了解、では・・・」

 

エクスカリバーの部屋から地上へと通じるダクト並びに通路のセキュリティレベルをフリーにセット、通信を繋げる

 

「エクスカリバー、聞こえているか?」

「寝てたんだけど?」

「お仕事だ、外に出ようか」

「んぇ?」

 

何だそのやる気のない返事は・・・

 

「あぁなるほど・・・戦場なのね」

「すまんな、皆に紹介する前に出撃させるなんて」

「構わないけど、好きにさせてくれるの?」

「相手はISじゃないから、打撲か気絶程度にしておけ」

 

殺されては叶わん、相手は世間一般の普通の人間だ

転生者であり、こちらに敵対するのなら最悪殺してもいいが、それでもやはり人の死は何度見て()ってもなれないものだ

割り切りはできるが、その分溜め込んだ先には闇しかない

 

「わかった、出る。出来る限りサポートして?」

「あぁ、了解した」

 

 

<地下室、エクスカリバー>

 

「・・・」

 

不思議と何も感じなかった。人間として暮らしていける日々の前に、今までの自分を捨てる程度の感覚でしかない

 

「行こう、フェネクス」

 

自分の開発した機体であるIS-RX0"フェネクス"の待機形態にそう告げる

待機形態である十字架に刺さる二つの剣のネックレスは、答えるかのように光を反射した

 

「私はもう、戦争のための道具じゃない、人間なんだ。そしてアナタは、その力を増幅するマシーン・・・そのために作り、そのためだけにある」

 

戦争のための力ではなく、守るための力。かつてそう誓いを立て、絶望した人間に私は救われた

そして今、人間に戻るための戦いを始める。守るために

 

「人の心を、悲しさを感じる心を知る人間のために」

 

自分もそうありたい、そうなりたい

だから・・・

 

「怒りに、のまれるな・・・」

 

フェネクスを纏い、地上に出るダクトの基部に立つ

 

「フェネクス、エクスカリバー・・・出撃()る!!」

 

戦場になっている橋に向けて飛翔し、降り立つ

 

「たった1機だと!?」

「何故、こんな事をするの?」

 

自分の考えだけでなく、他者の考えも尊重しないといけない。今の女性にはソレがない、自分の考えを押し付けすぎるのだ

もっと他者のことを考えないといけないのだ、例えば、織斑一夏の周りにいる女性のように

 

「復讐だ!!積年の恨みを晴らす、ただそれだけ!!」

「ダメッ!!ここで殺された子の家族や友達が、貴方達への憎しみを募らせてしまう!!」

「黙れぇぇぇ!!」

 

砲撃が迫る、膨大といってもいい弾幕だ!!

 

「やめてっ!!こんな事をしたら、心が壊れて人ではなくなってしまう!!」

「うるさいッ!!俺の家族も、仲間も友も!!お前たち女が無実の罪で捕まえて牢屋にいれ、殺したんだッ!!俺はその無念と遺志を継ぐために生きて、今ここにいる!!」

「つっ・・・!!」

 

それをやったのは確かに女性なのだろう、その瞳は暗い闇と復讐の炎に彩られている

だからこそ止めないといけない!!

 

「そこをどけえぇぇぇ!!」

「つっ!?」

 

投げ飛ばそうとこちらに接近してきた敵に対応してなんとかこらえる

 

「これが本当に、貴方のしたい事なんですか!?本当にこれでいいんですか!?答えてください!!」

「俺にはもう、こうするしか・・・生きる意味がないんだ!!」

「なら見つけましょう?憎しみや怒りが生きる意味なんて、悲しすぎます・・・」

 

自分がそんな人間に操られていたからわかる、結果は虚しいものにしかならない

そして、全てをまた失う事になるんだ・・・

 

「理不尽な事を起こすのが人間だ、人は神じゃない!!」

「それでも、止めなきゃダメなんです!!」

 

それを示すために、全ての武装を使用不可・・・武装解除する

 

「うぅぅっ!!」

 

その瞬間、強い思念を感じた

誰かの思念だろう、託そうとして心から祈ったことだけど・・・

 

「最後の仲間を・・・家族を殺したのか」

 

マズイ、このままじゃ!!

 

「殺す・・・全てを壊して・・・殺す!!」

 

こんな事・・・認めたくない。私は救える人をできる限り救いたい!!

 

「私は、目の前の人を止めたい。止めなきゃならないんだ、フェネクスッ!!」

 

フェネクスは私の声に応えるように光を纏い始める

 

「私に力を・・・貸して!!」

 

展開装甲が開き、中にある特殊素材から光が生じる。黒いメタリック装甲に青色の光を放つ内部素材だ

 

「そんな黒いものに染まったって、意味はないよ!!」

「があぁぁ!!」

 

攻撃をかわして頬を優しく触るが、獣のように弾かれた

まだ、私の声は届かないみたいだ

 

「家族も友達も、貴方がやろうとしている事なんて望んでない!!」

「そんな事は昔から分かっている!!もはやこれは、俺の(・・)戦争なんだ!!」

 

家族や友に捧げる戦争ではなく、自分のための戦争・・・やる場のない感情を吐き出し、自滅するための・・・

 

「掴まれッ!!」

「つっ!!」

 

見知らぬ男性の声がした、白い機体・・・白式・・・織斑・一夏だ

 

「カズマから話は聞いている!!アイツを倒すぞ!!その銃の残弾は!?」

「一発・・・」

「一度きりか・・・」

「話し合えば・・・」

「もう遅い、手遅れだ!!」

 

断言されてしまった、そんな事なんてないのに!!

 

「皆を守るには・・・それしかない!!」

 

そういう彼も辛そうな表情だ、同じ男だから敵の感情もわかるのだろう

 

「迂回して正面から突撃、すれ違いざまに分かれて同時攻撃、一点突破だ!!」

「つっ!!」

 

なんでそんなに、冷たくできるの!?

 

「お願い、戻って!!」

「諦めろぉっ!!」

 

敵に威嚇攻撃しながら叫んだ私に、織斑・一夏はそう言う

 

「つっ!?」

 

敵の動きが変わった、大型砲が展開されている!?

 

「このまま撃てっ!!」

「つっ!?」

「可能性に殺されるぐらいなら、そんなもの(敵との相互理解)なんて、捨てちまえ!!」

「う、あぁぁぁ!!」

 

私は、引き金を・・・銃を・・・

 

「撃てません!!」

「つっ!!」

 

大型砲が放たれた瞬間、織斑・一夏は私の持っていた銃を奪い取り、敵を撃った

 

「あ・・・あっ・・・あぁぁぁっ!!」

 

私の手を握りながら地面に下ろし、織斑・一夏は降り立つ

 

「展開を解除してくれ、君とその機体には捕獲命令が出ている」

「織斑・・・一夏・・・!!」

 

私は彼を睨みつける、だが

 

「そこまでだ、一夏。お前も辛いのだろうが、彼女も辛い事には変わらん」

「カズマッ!!」

「それに捕獲命令ではなく保護命令だ。間違えるな」

「つっ!!」

 

藍澤・カズマが現れた、敵を抱えながら

 

「ギリギリで重傷を負わないように逸らしたんだ、言い訳は出来ないよな、一夏?」

「あーもう、好きにしろッ!!やってらんねーよ悪役なんて!!」

 

悪・・・役?それってどういうこと?

 

「今回の襲撃はお前の機体のテストです、敵こそ本物ですが舞台をこちらで整えました」

「今あなたを殺したくなったわ・・・」

「すまんな、でも、お前の誠意は心に響くほど伝わってきた。それでいい、そのまま成長していけばいい」

 

そう・・・悪い事をされたけど、他の方法で償ってもらおうかしら・・・




今回の話は難産だった、それを言うと全ての話がそうなんだが。
特に、エクスカリバーの言葉遣いな、前話において全く考えていなかったから大変だったんだ



感想ください、作者のテンションが壊れます


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未だ赤き戦場跡の中で

紅蓮の炎が織り成す地獄の中で、ある少女は血と涙を流す
それは自らの罪の罰と、そこから生まれた後悔


「う・・・」

 

紅蓮の炎の舞う戦場の中で、私は目を覚ました。ふらつきながらもなんとか立ち上がり、歩き出す

 

「早く、しないと・・・ここも、危ない・・・」

 

服装は既にボロボロ、服としての機能を失いかけている

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

それから数分後、まだ炎の地獄から抜け出せない

 

「あっ・・・うぅ!!」

 

腹部から激痛が走り、そのまま倒れてしまう

 

「うぶっ!?がはっ!!」

 

立ち上がろうとしたが、血を吐き再び倒れた

 

「まだ・・・死にたく、ない」

 

痛い・・・全身が痛い、いたい、イタイ・・・

 

「もっと、生きて・・・いたい」

 

どこかから足音が聞こえた、誰の足音だろうか・・・

それすらも、もう分からない。目もあまり見えないのだ

 

「もっと、話して・・・いたい。もっと・・・」

 

思っていたい、だからもっと、ここに

 

「いた・・・い」

 

だから再起しようとして、さっきよりも大量に吐血した

 

「げふっ!?けはっ!!」

 

その量は甚大なダメージを負っている事を証左していた

これだけの量を吐血したら普通の人間なら痛みを感じる前に死んでいるだろう

それでも死ねない、死にたくない・・・

 

「・・・」

 

でも、こんなに痛いと・・・泣いて、しまう・・・

 

 

<戦場、カズマ>

 

傭兵として個人的に受けた仕事で出向いた先は戦場になっていた

よくある事だが、今回は既に戦闘行為自体は終わっているという珍しいパターンだ

 

「な・・・」

 

そこで見つけた、因縁深い人間・・・キャロル・マールス・ディーンハイムを

 

「これは・・・」

 

状態は"酷い"の一言だった、吐血の跡が今しがたのものだとすぐに分かる

出血量は致死と言っていい、それでいてまだ呼吸はしているようだ

 

「・・・」

 

すぐそばまで移動して俺は彼女の反応を見る

 

「・・・」

 

なんとか仰向けになった彼女に俺は告げた

 

「苦しいか?」

「・・・」

 

無言のままだ、反応はない

彼女がこの世界に来るはずはないと思っていた、それでも来ているということは響達からの引っぱりだと思う

一時期は響達と一緒に行動していたらしく、彼女達からも見つけたら一報を入れてくれとお願いされた

"痛かったり、苦しんでいたら、助けて欲しい"とも言われていたな。つまりは押し黙っていたんだろう

 

「痛かったら・・・」

「・・・?」

「痛かったら"痛い"と。辛かったなら"辛い"と。悲しいならば悲しいと。言えば良かったんだ、お前は」

 

負の感情を押し込めて、自分は何でもないと自分も他人も騙し続けた結果がこのザマになるんだ

そう言いたかったが、今の彼女を見ると、言い出せなかった

 

「あぁ・・・」

 

涙を流した彼女に、俺はナイフを・・・突き刺した




まさかのキャロル・マールス・ディーンハイム様登場!!
しかも何やら綺麗になっているようだ!!



感想ください、作者のエネルギーに変換されます


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ファントムタスク 復活

かつての敵が復活し、牙を剥く
これから先は、騒乱の幕内に・・・


「ふむ・・・」

 

その部屋の主は、淡々と見ていた画面(モニター)を閉じたあと、ため息をついた

 

「IS学園の動きは?」

「はっ!!現在もありません、恐らくこちらには気づいていないものと思われます!!」

「上々、現状のまま待機を命じておいて」

「了解しました!!」

 

膝の上にある聖書を片手で開き、もう片方はウイスキーの注がれたグラスを取り、飲んでいる

 

「失礼いたします」

「なんだい?」

 

室内に入ってきた人間に、目線もくれずに先を促す

傲岸不遜・・・とも言えるが、それがこの人間の自然体であり、似合ってもいた

 

「WALRUSについてですが」

「あぁ、そんな話もあったね。どうするかは君に任せていたっけ?」

「はい、任されていましたので、その途中経過の報告を」

「うん、聞こう」

 

聖書を机に置き、グラスをその横に置いた部屋の主はここでようやく部屋に入ってきた人物を見た

 

「WALRUS代表、藍澤・カズマは転生者です。その使用機もまたこの世界の技術を使用こそしていますが、ソフトウェアは大幅に異なります」

「外装からは分からない性能を有している。という事かい?」

「おっしゃる通りです、ポテンシャルはISのソレを大きく上回ります。彼我の戦力差は100対1かと」

「ISが100機でも敵わない・・・か。恐ろしいくらいだ」

 

途中報告でありながら、それは重要機密であった

それほどの情報が既に流れている・・・あるいは

 

「我々の動きをおそらく彼は予測しているものと思われます」

「だろうね。そうでなければ、彼がここまでの情報流出を許すはずがない」

 

その言葉を聞きながら笑う部屋の主を見て、報告していた人物は質問する

 

「楽しそうですね?」

「うん、不謹慎だけど楽しいよ」

 

そっと近づいてきた報告者に、彼は手を差し伸べる

 

「あ・・・」

「おいで?」

「はい・・・」

 

ただそれだけで、部下と上司という関係から一転、彼氏と彼女の関係へと変わる

 

「こんなにボロボロにしちゃって・・・」

「ご、ごめんなさい・・・」

 

手のひらを見て、生傷を見つけた部屋の主は愛おしむように自分の胸に飛び込むようにやってきた女性の頭を撫でる

 

「一緒にいよう。そう誓いあっただろ?」

「はい・・・」

「だから、無茶はしちゃいけいないよ?」

「うぅ・・・」

 

これはこれでかなり恥ずかしいのだろう、頬を朱に染めながら抱かれている女性は小さくなる

そこには確かな愛があった。それは親愛と情愛という、男を奮い立たせ、女を変える力であり・・・かつて、藍澤・カズマの人生を狂わせ、同時に大切な者と巡り合わせた感情であった

 

 

「あぁ、そう言えば」

「なんです?」

 

下から覗き込むようにして聞いてくる彼女に男は告げる

 

「組織の名前は、ファントムタスク(亡国機業)で行くよ」

「そう言えば最近吸収しましたしね・・・」

「それと、僕らの生きる意味を探すには悪を背負う覚悟(・・・・・・・)が要るから、ちょうどいいかな」

「そうですね・・・」

 

彼も彼女も、共通していることがある、それは

 

「国家にモノ(・・)として扱われていた私達に、生きる意味と場所を与えてくれた貴方に、どこまでもついていきます」

「あぁ・・・」

 

夜はまだ長い、明けない夜から抜け出そうとする彼らは、眩しい夜明けを待っているのだ




珍しいことに主人公が出てこない、完全敵サイドの一話だよ!!
これが次話にどんな繋がりを見せるのか考えている最中なんだ・・・


感想ください、作者の活動エネルギーになります


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織斑・一夏、暗殺未遂事件

それは新生したある組織の工作員が行ったこと
それに対して主人公は?


「・・・動くか」

 

一人そう言ったのは、二年生も半分まで来たある日のことだった

これからなにかの動きがあると、直感が告げていた

 

「早いな、早すぎる(・・・・)・・・」

 

拭い去れない違和感、何かの気配が傍にいるのに見えない恐怖

このような感覚を覚えた組織はこれまで一つしかない・・・

 

「ファントム・・・タスク」

 

だとしたら今度の標的は誰だ?まだ織斑・一夏を狙っているのか?

 

「だとしたら、今度こそ」

 

俺は本気で相手にしないといけないのかもしれない、前回とて本気であったが、それにも増して挑まねばならないのか・・・?

 

「カズマ」

「セリアか、どうした?」

「お前が今抱いている不快感、その正体を判明させてやろうか?」

「あぁ、是非ともお願いしたいものだ」

 

セリアはこういう時に活躍してくれる、情報操作や探査を最も得意とする彼には一番の本領であるのは間違いない

 

「お前の予測通りファントムタスクだ、最近復活したようでな、学園内にも潜り込んでいた」

「工作員の名前は?」

「聞くか?」

「処罰は俺が下す」

 

 

冷静にそう言い放ち、俺は武装を整える

 

「ダリル・ケイシーだ。目標は織斑・一夏」

「・・・ッ!!」

 

なんてことだ完全に危ないじゃねぇか!!

 

「セリア」

「なんだ?」

「途中で合流できるな?」

「あぁ、服だな。用意してある」

 

服を着替える事にする

多少は時間があるものと思うし、一夏は俺と楯無の愛弟子だ、多少のことなら対処できるだろう

問題は身内に甘すぎることだけ・・・それが命取りになるんだが

 

「ほれよ」

「すまんな」

「別にかまわねーよこれぐらい」

 

袖を通し、各部を確認する

 

「よくここまで再現したな?」

「イセリアが細部まで覚えていたからな、それを頼りに再現できた」

 

今来ている服はかつての軍服であり、俺の特攻服だ

重いが薄い素材で出来ており、対物ライフルの直撃弾でも3発まで耐えられる頑強さを持つ

 

「一夏を狙っている子を見つけたよ!!」

「イセリア、どこから見ている?」

「サーチャー張り巡らして部屋の中から」

「そうか、場所は?」

 

イセリアに場所を確認させる、彼女が告げたのは・・・

 

「急いで、一夏が狙われてる」

「問題ない、この程度予見している」

 

その程度の事は予測できていた、だから・・・

 

「狙撃ポイントまで案内しろ、イセリア」

「了解」

 

それからすぐに案内通りに進んで、屋上にたどり着いた

 

「ついてこい、フォルテ。オレと一緒に引き裂いてくれ」

「引き・・・裂く?」

「そうさ、この腐った世の中と・・・呪われた運命を、な」

 

そう言ってダリル・ケイシー・・・コードネーム、レイン・ミューゼルは強引なキスをフォルテ・サファイアにしようとした

そこに俺は声をかける

 

「いいや、そこまでだ、レイン・ミューゼル。お前の足掻きはここに終わる」

 

<IS学園校舎屋上、レイン>

 

「つっ・・・!?」

 

その声に弾かれるように振り向いたら、一人の男がいた

名前は、藍澤・カズマとか言った・・・

コツ、コツ、コツと、鳴り響くのは雄々しき足音・・・光の奏でる覇の進軍

それは自分にとって紛うことなき死の音色で、でも希望を担っている重々しい男の歩みはまるで荒野を往くような荘厳さを秘めていた

 

「・・・」

 

フォルテの動きも止まっている、さっきまで気配すらなかったのだから当然と言えるだろう

 

「ま、さか・・・」

 

そして今日、彼の英雄譚に捧げられる事になったのを私は悟った

たなびくマントに携えている剣。赤に近い髪に、情熱を宿す眼光・・・

そこにいるだけで圧倒的な存在感を醸し出すほどの男が、脇役(わたし)の暖めていた舞台へついに・・・運命を奏でる主役(・・)が登場したのだ

 

「良い目だな、報告とは違い覚悟も決まっているようだと判断できる。掴んだ決意の賜物かね?」

 

その言葉を吐いて、藍澤は剣を抜き取った

 

「だからこそ実に惜しい。非常に身勝手であるのは分かっているが、俺という人間に巻き込まれ(・・・・・)さえしなければと思わずにはいられんな」

 

その剣は断頭台を連想させるに十分だった、秘めている凶悪度で語るのなら、どんな処刑具でも遠く及ばないだろう驚異的な殺人性を宿している機体(モノ)の待機状態なのだから

 

「はぁ・・・!!はぁ!!ハァ!!」

「そうだ、それでいい。好きに足掻け、一切責めはせん。君にはこの理不尽に抵抗する権利がある」

 

巻き込まれた被害者として、同時にこの事態の当事者として自分を討つ資格があると藍澤・カズマは認めている

 

「手向けにはならんがここに誓おう。俺は必ず勝利(・・)を掴む。故に君もそうするがいい」

 

その言葉の間にも、幾多の思考をして、問いかけられたのはたった一つだった

 

「なぁ・・・教えてくれよ、藍澤」

「・・・」

勝利(・・)って、いったい何なんだ?」

 

オレにとってだとか、お前にとってだとか個人の主観で変わる言葉じゃない方で・・・

誰にとっても同じ普遍的な意味での勝利(・・)とは何だというのか

極論、人が生きていく上で勝つとは一体どういうものか・・・

連戦連勝、それを築き上げてきた男に聞いてみたかったのだ

 

<IS学園校舎屋上、カズマ>

 

「さてな」

 

俺はその質問に真摯に返した、僅かの間に浮かんだ疑問を噛み締めながら

 

「誰もがそれを探し求め、己の生涯(みち)を歩んでいる。だからこそ、俺は()くんだ」

 

それが俺の答え。運命を切り(ひら)かん。そう覚悟してそう決めているのだと理解したのか・・・

返答して、その直後、全く同時に攻撃へ移っていた

まるで示し合わせていたように、戦闘の幕を切って落とす

そう、もはや結末などとうに分かりきった、戦闘行為(よていちょうわ)を行うのだから

 

「つあぁ!!」

「ふむ・・・」

 

まずは一合、ともに最高速から放った攻撃は中空にて火花を散らせて、その刹那に届いた衝撃波で体を横に大きく傾がせた

しかしその間にこちらはそれすら利用して動いている

 

「がぁぁ!!」

「ほう・・・?」

 

続く二合、逆からの攻撃を彼女は相殺してのけた。力だけでない、技巧を駆使したその攻撃に手が痺れていることだろう。その結果が大きな隙をさらす

 

「あっ・・・がぁぁ!!」

「まだ耐えるかね?」

 

三合、皮一枚程度になったが防がれた、払いと斬り上げ、翻るマントを隠れ蓑とした連撃すら防がれたのだ

 

「けはっ!!」

 

四合、体勢を崩すことに成功する。振り下ろしと同時に手を離し、回し蹴りで蹴り飛ばして再度、剣を空中にあるままキャッチする

 

「く、ぐぅぅ!!」

 

続く五、六、七、八合、挙動の先を崩し続ける。動く場所に切っ先を向け、身体を真っ直ぐに保てなくする

 

「まだ、耐えるか・・・」

 

九、十、十一合、力で押し技も通さない。本能的に回避する場所すら予測して攻撃するもこれすら迎撃されている

 

「それも終わる」

 

十二合、武器を奪った。これで攻撃手段を失わせる

 

「もう、眠れ」

 

十三合、成す術など欠片もないのだと理解させ・・・

 

超新星(メタルノヴァ)・・・天霆の轟く地平に、闇はなく(ガンマ・レイ、ケラウノス)

「ガァァァァァ!?」

 

落とす光の刃にて、無慈悲に切り裂いた




機体を使わずとも勝てる強さ、でした・・・攻撃の手段すら考慮に入れていないバケモノとも言いますね
しかも、ものすごく恐れられているのはどういう事だろうか・・・
謎が謎を呼ぶ今話でした


感想ください、作者の肥やしになります


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最強の近接戦闘者(ショートレンジバトラー)

それは主人公の右腕にして最強の剣士、牧瀬・セリアの戦い
最強たらしめる所以をここに解放する
彼が持つのは罪を裁く剣、断罪の剣であり、誇り高き輝きである


「あ・・・あぁぁ!!」

「ふむ、この程度になるか。やはり再現は難しいな」

 

剣を鞘に戻しながら俺はため息をついた

皮膚一枚を掠った程度になってしまったが、それでも重症であるのだけは間違いない

 

「っつ!!よくも!!」

「来るか?」

 

フォルテの行動に対して再び剣を構える、今回は抜刀居合で終わらせようと思ったが・・・

 

「お前はそろそろ限界だろうが、休めよカズマ」

 

そこにセリアがやってきた

 

<IS学園校舎屋上、セリア>

 

「というか、この程度であれば俺だけでも十分だ。副作用が来る前に部屋に帰れ」

 

既にその兆候が出始めているカズマに対して俺は優しく諭した

走り始めるとどこまでも自分の力で行こうとするのは相変わらずだ、反省もしているようで改善もされているがまだまだ、だな・・・

 

「すまんな、既に限界だ」

「承知している。休んでいろ」

 

カズマを俺の後ろにある出入り口に座らせ、フォルテと相対する

 

「そこをどいてくれっス」

「是が非だろうと断る、奴に勝ちたいのならば、その爪牙である俺を超えてみろ」

 

ビームサーベルを二本同時に構え、利き手である左手に持つ方の切っ先を突きつける

 

「お前に格の差というものを教えてやろう」

 

一気に本気状態に差し替え、目線を鋭くする

本気で戦う必要は俺にはない、だが俺はカズマの爪牙、彼の手先となり戦う者だ

それなりに本気でやらねばならない

 

「殺す・・・!!」

「やってみろよ、小娘」

 

その言葉と同時にビームサーベルの出力上限を従来のものに切り替える

IS学園での運用では余りにも出力が高すぎるために制限する必要があるのだが、今回、それをする必要はないだろう

 

「さっきカズマが発動したワンオフアビリティで、レイン・ミューゼルと同じ目に合わせてやろう」

「そんなことが出来るはずないっスよ!!」

「出来るのさ、それがな」

 

戦闘をしながらの会話は真剣なもの、"負けるか!!"という意地でフォルテは食いついてくる

 

「どうしても邪魔するんスか!!」

「あぁそうだとも、俺はやつの腹心であり忠臣だからな」

 

俺はそう告げる、本気の一端を見せてやろう・・・全力ではないが

 

「もはや、人を忘れてるっスね!!」

「忘れてなど、いないさ」

 

そう、俺は一人の人間として奴に仕えているのだ。同時にそれを誇りとしている

 

「そういうのであればよろしい、格の違いというものを教えてやる」

 

俺の機体、ブルーフレームのワンオフアビリティ、天霆の轟く地平に、闇はなく(Gamma・ray Keraunos)を使用すると決めた

ついさきほどカズマが発動したものはソレを"ある能力"で利用したものだ

 

「俺の振るう死の閃光にて、全ての穢れと全ての不浄を祓い清めると誓いを立てよう!!その名は・・・」

「つっ・・・!!」

天霆の轟く地平に、闇はなく(Gamma・ray Keraunos)!!」

 

実は俺自身、生得的な才能は劣等なのだ。でも、驚異的な精神力、常軌を逸する鍛錬で会得した戦闘力は、如何なる者をも凌駕した域へと達して他の追随を許さないと自負している

 

「フォルテ、お前には先ほどレインがカズマに質問した言葉の答えを示してやろう」

「つっ!?」

「聞きたいか?」

 

攻撃を先よりも過激に、綿密に、周到にしながらも俺は彼女に告げる

これは俺の答えであり、カズマとは違うが、とても良く似ていると思う

 

「勝利とは・・・気付くこと。今まで生きた過去を、あるがままに受け止めること」

「・・・!?」

 

フォルテが驚いたのは、俺の言葉が正論だからだ

恐らくレインは"勝利"や"栄光"を手にすることが必ずしも幸せに通じるとは思っていなかったのだろう

それは間違いなのだと分かっていたから、最後まで逃げようとしなかった事だけは認められることではないだろうか?

 

「勝利からは逃げられない・・・なぜなら、常に消え去らない過去(おもいで)として、己の中にずっと存在しているものなのだから」

「痛みはどこまで行っても自分の物・・・ってことスか?」

「そうだ、そして過去は減るものではない。どれだけ振り払おうとしても、降り注ぐ雨のように内へ溜まって増えていくものだから」

 

それが俺の答え、悟りに至った境地だ。何故ならその俺こそが、勝利から逃げ出した(・・・・・・・・・)事のある人間だから

フォルテが言ったように、痛みはどこまで行っても自分の物だ。それを肯定できなければ、他者をどれだけ屈服させて新たな勝利を得ようとも、過去(きず)は幻肢痛のようにいつまでも疼き続ける。

 

「なら、なんでこれまで黙っていたんスか!?知っていたスよね!?」

「あぁ、知っていたとも、だからこそ黙っていたのだ。自分でその錯覚から解き放たれたいならば、たった一つ、気づくしかないからな」

 

それが俺をカズマと出会わせた因果、悟って軍に戻り、初めて下についた男がカズマだった

腐れていた母国に革命をもたらし、膿を出し切ることで新生の息吹を起こそうと奮闘し、実際にやってのけた勇者(バカ)を知っているから

 

「自分の重ねてきた時間が生きてきただけで価値を秘めているものなのだと、思えたその時、人は何処へだって飛び立てる。かつての俺がそうだったように、君やダリルもそうできる」

「それでも、私は・・・!!」

「いい加減に分かれよ!!」

 

それでも反対しようとするフォルテに俺は叫んでいた

理解しているはずなのに、それが分かっているはずなのに認めようとしない事にキレかけたのだ

 

「悲しいことも、苦しいこともあったとしても、だからといって嘆かなければならない理由(・・・・・・・・・・・・)なんてどこにもない!!目をそらさなければならない理由も、逆に見つめなければならない義務さえ同時にないんだ!!そして、悲しめと命令するものなどおらず、また涙を流しながら笑うことさえ否定されていない!!」

 

激情と共に叩きつけるように連撃を仕掛けながら俺は更に叫ぶ

この想いが届くまで何度でもやってやると、体現しながら

 

「自虐に走り、気づくことを遠ざけることもそうなんだ!!どんな辛い記憶でも空っぽじゃない限り、人は気づけば簡単に救われてしまえる生き物(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)なのだから!!」

「つっ・・・!!」

「いい加減に気づけよ!!お前達の事を誰よりも思っているからこそ、カズマは自分が嫌われていいと思っているだぞ!?」

 

そう、気づかせるためなら自分がその相手に嫌われてもいいとカズマは思っている

俺もそうだ、誰よりも人間の可能性を知る俺達だからこそ、迷っている子達を見ると無性に救いたくなる、導こうと思う

 

「そうだ、大きな理想を形にしたり、誰かに対して勝ったり負けなかったり・・・そんなことをしなければ得られないものでも、決して重たいものでもない」

「お前は寝てろよカズマ!!これ以上出張るな、苦しむ事になるぞ!!」

 

気が付けばカズマが俺の後ろに立っていた、フラフラの状態で女性化していることに気がついていないようだ

 

「フォルテ、俺の話を心して訊け、これは悟った者からの答えだ」

「一応、聞くっスよ」

「ある日ふと、過去うしろを向いたその時に・・・こういうこともあったなぁ(・・・・・・・・・・・・)って。それだけで、もう十分なんだ」

 

カズマが先に言い、俺に話を促してきた

俺はそれに答え、言葉を紡ぐ

 

「微笑みながら、はにかみながら、そんな言葉を口にできること。それが命の意味であり・・・」

 

そこで声を出したのは、カズマに俺のワンオフアビリティを使った攻撃を受けて甚大なダメージを負ったダリルだった

 

「ずっと共にいてくれた、"勝利"を()るということだから・・・かよ。ちっくしょう・・・負けるわけだ」

「ダリル・・・!!」

「それで、お前達が悟ったのは、そういうことなんだろ?」

「あぁ、その通りだ、ダリル」

 

ダリルの問いかけに、カズマはそう答える。それだけに俺は心配になる、限界まで自分を追い込む癖があるのだから

 

「俺の運命を、引き裂いてくれるのか?」

「自分でやれそんなもの、自分で抗ってゆっくり答えを出せばいい」

「あ、そう。なんとしてもお前をいつか超えてやるからな!!」

 

気絶する寸前に、彼女は啖呵を切った。素晴らしいまでの不屈の精神だ、思わず感心してしまった

 

「ここで戦う意味、あったんスかね?」

「冷静になればどうでもいいことって、たくさんあるぜ、フォルテ」

 

そうして救急隊が来るまで屋上で処置を続けるのだった

今回の戦闘に意味があったかといえば・・・ある意味であったのかもしれない




近接最強のセリア君でした。実は主人公、それぞれの得意なレンジで攻められれば負ける事もありえます。
主人公が主人公してない話は本作では珍しい構成です




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戦闘終了後

戦闘は終わり日常へ、その日常のある一幕


「ん···んぅ」

 

寝言のような呻きが聞こえたのは、戦闘終了から半日後だった

副作用で女性化している藍澤·カズマは、時たま苦しい表情をする他は普通の状態と言えた

 

「こうしていると、本当にカズマだが分からなくなってくるな」

「そうでもないぞ、一夏」

 

看病の手伝いに来た一夏の言葉を俺は否定する

理由はこれからわかる、俺の持つリンゴで

 

「これをだな」

「あぁ」

「投げる」

 

ぽいっ、と投げたらカズマはすかさずキャッチしていた

目覚めたのと同時でされた事で少しご立腹のようだ

 

「セリア、嫌がらせか?」

「起きたようで何より、で、気分はどうよ?」

「最悪に決まっているだろう、頭は痛いし、今の状態だからな」

「いいと思うけどな、俺は···」

 

一夏がそう言うと、カズマは拗ねた

この状態になると途端に可愛らしくなるから困る。可愛らしくあるが、毒舌はいつもより倍増しだ

 

「ふん···セリア、酒」

「頭痛のクセして酒飲むのか?二日酔いになりたいのかよ」

「やけ酒ぐらいいいだろう!?」

 

ガバッ!!と豪快に布団を剥がしたら···ふくよかなお胸様が···

 

「一夏···」

「なんだよ、セリア」

「何カップあると思う?」

「つっ!?」

 

己の失策を悟ったようだ、だがもう遅い。からかってやろう

一夏も俺の言葉の意味がわかったらしく、ニマニマしながら答えた

 

「D、ぐらいかな」

「俺としては、Eぐらいだと思うぞ?」

「人の胸をジロジロと見るな!!女性化していると恥ずかしいんだぞ!?」

 

嫌がらせだもん、それぐらい楽しませろや

 

「しかしまぁ、この素晴らしき···」

「何かしら?」

 

その声と同時に、後頭部に冷たいものを感じた

はい、どう考えても銃口です、ありがたくないです

 

「イセリア、俺が許可する、遠慮なくやれ」

了解(ヤー)

「ちょっ!?ま、待て!!いくら何でもやりすぎた、すまない!!」

「んー、聞こえないなぁ、最近耳が遠くてねー」

 

イセリアめ!!わざと聞こえないふりするなよ!!

そう言われると···

 

「その歳で老害かよ···」

 

パンッ!!という音と共に一夏が倒れた。容赦ねぇ、撃ちやがった!!

 

「っう!!()てぇ!!」

「訓練用のゴム弾よ、次は意識を狩るから」

「ひぇ···」

 

こ、こうなったら!!

 

「逃がすと思うか?」

「あ、アルェ?」

 

カズマも銃持ってた、しかもバッチリ照準は俺に向いている

 

「で、謝罪は?」

「申し訳ございません」

「どこ見て話しているのかなぁ?」

 

豊かなお胸様を、とは口が裂けても言えまい

本当にけしからんオッパイだな

 

「胸だね、よし撃とう」

「一夏、お前も早く言えよ!?」

「誰が諸原因だよ!?」

「俺だぁ···」

 

イセリアとカズマが向ける銃には殺傷能力は無いと分かっている

それでもやはり、反応が可愛いなぁ

 

「ま、そろそろこんな冗談はやめて、と」

「そうだな、本題に入ろうか」

「助かった···」

「後で今の状態のカズマの服を買ってきなさい」

「あっ、ハイ」

 

どうなるんだか、やれやれ

 

「俺の寝ている間に何があった?」

「特に動きはなかった。ダリルは急ぎ治療中、フォルテは看病している」

「そうか、ならいい。新生した亡国機業(ファントムタスク)は?」

「動きこそないが、怪しいな。動きがないのが怪しい」

 

やれやれ、どうするか。それが理由で困っているのだよ

 

「それでも近々動くだろう、それが来ないことを一番祈りたいんだが」

「無理だろうな、奴ら、何考えているか分からん」

 

考えが分からんから恐ろしいのだ、問題は山積みで多すぎる

しかも新生してからかなり秘密主義が徹底しているようで、ボロが出ない

 

「そうか、引き続き頼む···服もな」

「お前もかよ!?ブランドものとか言うなよ?」

「言おうか?自腹でやれ」

「ぎゃあぁぁぁ!!」

 

悲鳴を出すしかなかった、自腹とかふざけんな!!

ブランドものでないだけマシだろうが、我慢しろよとでも言いたいのか!?

 

「自腹って、マジで、言って!?」

「過呼吸気味だぞ、戻ってこい、足りないなら俺のから多少出しても構わんからやれ」

「つっ!!しゃあっ!!」

「現金な人ね、撃つわよ?」

「ひぃっ!!」

 

イセリアとカズマは同時に引き金を少しだけ引いた、もちろん反応しないギリギリで

 

「買うから、買うから撃つなよ!?なっ!?」

「うん、撃たない」

 

そう言ってイセリアはマジで撃ちやがった、そこで撃つかよ普通!?

かなり痛いんだぞ!?

 

「おい撃つなよ!?」

「いや、ゴメンゴメン、反応が楽しいからつい」

「イセリア、テメェ!!」

「次は肩かな?」

 

そう言って照準を俺の肩に向けるイセリアを見ながら一夏はカズマと話している

どうせイセリアの性格のことだろう、早くこちらをどうにかして欲しいものだがな!!

 

「ほら、早く行く、後でメールするから」

「ホイホイ了解、今すぐ行く」

「はーい、今から行きます!!」

 

すぐに立って走っていった、案の定メールが入る

 

「ふ···はははははっ!!」

 

メールの文面を見て思わず笑ってしまう、何故なら

 

「身体のラインが強調される、エロティックな服···イセリアめ酷い事をする!!」

 

思わず、腹抱えて笑ってしまう。これ程に傑作な事は無かった

 

「了解、その期待に答えてやる。っと」

 

返すメールの文面を確認してイセリアに送信、そして

 

「買いに行きますかぁ!!」

 

ハイテンションで買い物に向かうのだった




日常書くのしんどい!!とてもしんどい!!
でも楽しい、すごく楽しい


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渇望の果て

それは織斑一夏の危機に発現した新たなる力、それの根源を知る主人公は・・・


「うおぉぉぉ!!」

「でぇぇぇっ!!」

 

身体が女性化して数日、俺はまだ戻れないでいる。理由としては使用したのが他人(セリア)のワンオフアビリティである事が大きく、前回以上に長期化する可能性が十分にある

その中でもこうして・・・

 

「クソッ・・・女性化しているのにこんなに強いのかよ!!」

「まだまだ、だろう。一夏?」

「あぁ・・・!!」

 

きっちりしっかり模擬戦をする。

なぜなら、この身体であろうと、()()()()()()()()()()()()()程度は必須であり、()()()()()()()()()()()・・・なんて笑いものにもならないのだから

 

「これで!!」

「あまい!!」

 

俺の目の死角から回り込み、切り抜こうとした一夏に対応してフラッシュボムを落としてかく乱、すぐに最大加速で離脱する

 

「ちぃ!!」

「はあぁぁ!!」

 

近接から離してくれんな、この戦い方は、まるで・・・!!

 

「セリアの言ったとおり、得意な距離から離さなかったら、追い詰める事ぐらいは出来るんだな!!」

「あの野郎・・・余計なことを!!」

 

剣戟のラッシュになんとか対応しながら俺は後退していく、このままではジリ貧と分かっているが・・・

 

「急に強くなってるじゃあないか一夏、それほどに俺と並びたいか?」

「いいや、超えてやる。それが一度だけのチャンスと分かっていてもな!!」

「ならば良し、本気で相手をしてやろう!!」

 

雪平弐型を蹴り上げ、一夏の手から弾き飛ばすと、返す身のこなしで殴り飛ばした

 

「がはっ!!」

「ちっ・・・掠った程度か」

 

一夏はその動きに対応してのけた、反応が良くなっている、これはいずれ・・・負けるかもしれんな

 

「嬉しそうだな、カズマ・・・」

「嬉しいさ、師を超える弟子を持つのは非常に嬉しいとも。俺が過去に持った弟子はアホとバカの権化だったからな」

「俺は・・・?」

 

一夏と会話しながらも攻撃は苛烈になっていく、ついてきている一夏に驚きながらも次々に様々な攻撃を繰り出し続ける

 

「無自覚ハーレム唐変木」

「はぁ・・・!?」

「駄目だコイツ、早く何とかしないと・・・」

 

まだ自分が美女を侍らせている事を自覚してないようだ、なんともけしからん

そう思いつつ剣戟を防いで距離を取るが・・・

 

「そういうお前もハーレムだろうが!!」

「あ・・・?」

「おい、そこでなんでキレるんだよ?」

「無自覚に唐変木のクセしてハーレム作った奴と俺は違うぞぉぉぉ!!」

 

キレました、違います。俺は無自覚にハーレム作る唐変木野郎とは違いますぅ!!

 

「うおっ!?危なっ!!」

「オラァ!!逃げんじゃねぇ!!」

 

ミサイルの代用にドラグーンを最大稼働、追い詰めていく

 

「セシリアのとは違い、こちらは動けるぞ!!」

「そのセシリアも、最近は動けてるんだぜ!!」

「なにぃ・・・!?」

 

必殺と決めながら突貫した瞬間、躱された。こちらの動きが読まれたのだ

そこまでの練度に一夏が達したのだと理解して、俺は・・・

 

「まだだァ!!」

「くっ・・・!!」

 

掟破りのアーマーパージで吹き飛ばすという奇想天外な戦術に出た

 

「そういえばお前、前の戦闘で謎の力を発現したようだな?」

「それが・・・どうしたんだよ!?」

「ISを纏う事、そのワンオフアビリティの発現に奇跡は介在し得ない。この言葉の意味がわかるか?」

「つっ・・・!?」

 

一夏が止まる、俺はそれを戸惑いと感じた

 

「全ては俺の渇望・・・という事か?」

「そうだ、俺がかつてそうだったように、お前の渇望に白式が応えて新たに発現した能力。それがあの謎の能力なのだろう。そしてソレの名を俺は()()()()()

「なんだよ、言ってくれ」

「無間大紅蓮地獄・・・俺も同じ能力を持っているからわかる・・・」

 

次の瞬間、俺はその能力を解放した

 

「俺からお前へ、次の教練だ。この困難を超えて見せろ」

 

膨れ上がるエネルギーの奔流、それは一点に収束していき、やがて反転し周りのエネルギーを奪い始める

それは別世界の理の極小規模での再現、無間大紅蓮地獄・・・別名、新世界へ(レースノウァエ)語れ超越の物語(アルゾ·シュプラーハ·ツァラトゥストラ)

その理は、この刹那よ永遠なれ・・・時を止めるという悪夢そのもの。しかしその根源には、大切な人を、その時を守りたいという渇望がある

 

「海は幅広く、無限に広がって流れ出すもの。水底の輝きこそが、永久不変」

 

ここに放たれる能力はかつて別の世界にて()()をめぐる戦いで()()()()が使ったモノだ

その人間の事を、表層とは言え理解しているが、再現できるのはとても限られた範囲だ。最大でもIS学園の島部のみで、世界規模での展開は不能になっている

 

「永劫たる星の速さと共に、今こそ疾走して駆け抜けよう」

 

それでも十分に戦えるだけの性能は兼ね備えている、元々が完全排斥の絶対能力だ、限界まで発揮しようと思えば発揮できる

 

「どうか聞き届けて欲しい、世界は穏やかに安らげる日々を願っている」

 

これこそが俺の最後の能力、女性状態での最高技能と性能の発露だ

 

「自由な民と自由な世界で、どうかこの瞬間に言わせて欲しい」

 

この瞬間こそが守りたいもの、永劫に残したいものだと、心から思う、それが俺の願い

かつて転生した戦記絶唱シンフォギアの世界にて命を犠牲に発動した最後の力だ

 

「時よ、止まれ・・・君は誰よりも美しいから。永遠の君に願う、俺を高みへと導いてくれ!!」

 

ただ圧倒的に容赦なく、己のエゴを流れ出させているだけに過ぎないけれど、それでもやっぱり好きな人を守るためなら、この身体が血に濡れようとも・・・救ってみせる

 

流出(アティルト)!!」

 

さぁ、時よ止まれ・・・いいや、流れ出せ

 

新世界へ(レースノウァエ)・・・語れ超越の物語(アルゾシュプラーハツァラトゥストラ)!!」

 

これこそが真実の神威、時を伴侶とした覇道神の力、極限域にある完全排斥にして防性特化の権能だ

 

「さぁ、来い、織斑・一夏ッ!!この輝き(・・)の意味を教えてやる!!」

「あぁ、行くぜカズマァァァ!!」

 

希望を担う白(白式)と、希望の誕生を待つ黒(ブラックフレーム)が激突する

時間停止の理の空間の中で戦う俺と一夏、激闘の果てに勝ったのは・・・

 

「俺の・・・勝ちダァァァァァ!!」

「クソオォォォ!!」

 

俺の勝ちだった、それでもギリギリで、辛勝と言っていい

 

「さて、模擬戦は終了だ。帰って飯食うか?」

「あぁ、ちょうどいい汗をかいたからな」




一夏超強化、強いけど唐変木は完全にそのままです。というかむしろ悪化している可能性もあります



感想ください、作者の活動源に変換されます


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新たなる影、その名は・・・

新生ファントムタスクに動きがあった、主人公の判断とは?


通信が入る、相手はセリアだった。かなり急いでいたらしく、息も絶え絶えとなっている

 

「新生ファントムタスクが動いた!!奴ら・・・()()()()()ぞ!!」

「なに・・・!?」

「本当か!?」

「あぁ、マジだ!!よりによって・・・俺たちに正々堂々、宣戦布告しやがったんだ!!」

 

なんて奴らだ、マジで信じられん・・・どんな奴がトップになったんだか!!

 

「作戦本部を開く、WALRUS単独での作戦とIS委員会には通達!!学園側からの援助は出来る限り受け入れるものの制限はお前の判断でかけろ!!」

「了解、B1Fの会議室で行う!!」

「急いで向かう、少し遅くなるが先に始めてくれ!!」

 

セリアは通信を切り、俺と一夏は頷いて向かう。飯はなしでこれから緊急会議だ。なぜ一夏が共に行くかというと、IS学園で今回のような緊急時にWALRUSと合同会議を開く際は、生徒会から更識楯無と一夏が出ることが決められているためである

 

「すまん、遅れた!!」

「問題ない、今始まったばかりだ」

 

それから数分後、会議室に入った俺達の目の前には問題の宣戦布告らしき映像が流れていた

 

「この野郎か?」

「あぁ、新生ファントムタスクの首領だ。捕虜として保護しているダリルにも確認した」

「カズマに・・・似てるな」

「分析は?」

 

山田先生がいつもとは違う緊張の表情で報告してくれる、俺はそれを聞きながら作戦を練り上げていく

 

「以上です、織斑先生、どうしますか?」

「藍澤、そちらはどうする?」

「IS学園生に協力を願いたい、今回の作戦はある程度連度の高い連中が必要だ」

「WALRUSからは?」

 

もちろん、全力だ、常時投入戦力はせいぜい大尉程度の練度だが今回は代表たる俺直々の作戦指揮をとる必要がある

 

「最大戦力で行う、この戦い、全力で挑まねばなるまい」

 

WALRUS所属員の練度は軍のそれとは桁違いレベルで高い。元々が軍所属の人間が多いこと、セリアやアヤナ、イセリアの三人が主導で新人教育を行っている事により自己防衛だけでなく他者防衛の観点での見方が優秀である。それ故に昇進や昇官などが早く、幹部候補生だけでも数百人は下らないほどだ

その戦力を1回の戦闘に全力投入する、それはかつての戦闘のさらなる大規模化を意味している

 

「スコール、マドカ、オータムの三人は?」

「参戦するそうだ、かつての大義の存在しないファントムタスクは敵じゃないとか言っていたぞ」

「なるほど、自分達の手で終止符を打ちたいわけだな。前線には立たせるな、突出してはかなわん」

「了解、カズマ、お前はどうする?」

 

そうだな、どうしようか・・・結果は一つしかないか・・・

 

「俺は前線に出る。どのみちそうした方がお前としても指揮はしやすかろう?」

「今回もお前を筆頭に作戦を遂行しようと思っていたからな。向こうの代表もおそらくそう考えるだろう」

 

セリアの分析でこれまで外れたことはほぼない。あったとしても10000回に1回程度で、それですら即応してリカバリ出来る程度の損害が出たとしても軽いものでしかない

それだけに、セリアの話は一考どころか熟考したものとして重用している

 

「因果かなにかだろうか・・・皮肉な話だな・・・」

「あぁ、これはある意味因果のある戦いだ。故に手加減はせん」

 

全力を出した俺は手加減なんてしない。優しさだけで世界を救うのは不可能だと散々経験しているから

 

「作戦開始時刻は明日、PM9:00、それまでは普段通りの生活を。以上、解散!!」

 

それでも、日常は大切にしていきたい。それこそが俺の守るべきものだから。そばにいる人間を守れなくて、屈辱と絶望を知っているからこその思いは誰にも譲らない

エゴでこそあるが、それでも・・・

 

「由宇は参加させるのか?」

「いや、今回の作戦では参加させん、イセリアもだ」

 

セリアはそんな俺に懸念と忠告をしてくれる、親友としてはもちろん、部下としても

 

「過保護だな、相変わらず」

「過保護ではないさ、二人にはI()S()()()()()()という()()がある。そちらに専念してもらおうと思うだけだ」

「言いようは様々だが、ようは行かせたくない口実だな?」

「・・・あぁ」

 

ため息をつきながら俺はセリアの言葉を待つ、セリアが言ったのは意外な言葉だった

 

「アヤナも置いていく、二人では不安もあるからな」

「・・・いいのか?」

「今回の作戦では狙撃兵はいらん。それにアイツは俺やカズマ、イセリアと比べれば全力戦に出た回数も少ない、練度は高かろうが、不慣れなことには突発でやるといい結果にならんのが世の常だ、ここで有る意味セーブしとかんとな」

 

言い方こそアヤナを思っての事だが、その裏には大切な人が傷ついて欲しくないという、俺と同じエゴがある

だから・・・

 

「お前こそ、言い得て妙だな?」

「お前と同じ理由だと言っているのは分かっているな?」

「当然だとも」

「カズマ」

 

そこに一夏が入ってきた、どうやら話したい事があるようだ

 

「なんだ、一夏」

「マドカも残していいか?」

「理由は?」

「ストリートに言うとお前達と同じで大切な人に傷ついて欲しくないからだ」

 

ドストレートに言いやがった、驚きにしばらく息が止まる

 

「私は行きたいぞ、一夏」

「駄目だ、マドカも残れ」

「なっ・・・!?」

 

俺の判断はマドカを残すことに決まった、理由はセリアも気づいている

 

「万が一の可能性として、新生ファントムタスクが学園を強襲する可能性もないわけではない。それに即応できる能力を持つのはマドカ、お前だ。だから今回の作戦では学園に残れ」

「・・・了解。一夏・・・」

「なんだよ、マドカ」

「・・・なんでもない」

 

そう言ってマドカは去っていった、顔を真っ赤にしながら。意外にもマドカは引っ込み思案で、今回のように押しが弱いことがある

 

「なんなんだ・・・一体」

「心配で言葉を掛けようと思ったけど、出なかったんじゃないかな」

 

会議場に茶と飯を出しながらイセリアは一夏に告げる、それは正鵠を射ている言葉で、俺が言うまいと思っていたことだった

 

「そうか・・・」

「大切にしろよ?」

「ニヤニヤしながら言うことかよ!?」

 

おや、そうだったか?楽しくてついつい顔に出ていたようだ

 

「頑張れよ?お・に・い・ちゃ・ん?」

「からかってるのか!?」

「そうだよ?」

「やっぱりかよ!?」

 

それはそれは楽しいからかいのネタだ、スゴイまでのいいネタキャラぶりに恐ろしいくらいだよ

 

「さぁ、作戦まで鋭気を養うついでに勉強していこうかぁ・・・」

「やる気ないねぇ・・・」

「あるよ、やる気」

「それよりも眠気が勝っているな・・・この男は・・・はぁ」

 

由宇もどうやら俺の指示に不満があるらしい。それでも理由はわかっているのかうまく言えないでいる

 

「由宇、君の気持ちも分かるけど。我慢してくれよ?」

「終わったら、いっぱい甘えてやる・・・」

「そうねぇ、いっぱい甘えましょう、だから絶対に帰ってきてね?」

「おうとも、誰にものを言っている」

 

そう言って二人の頭を撫でて、俺はメシを食う。全員が同じタイミングで食べている

この日常が永久に続けばいいのに・・・と、強く思いながら今日という日を謳歌するのだった




主人公の判断は一般人と同じはず、きっとそう・・・問題は新生した亡国機業の目的
次話から、謎を呼んで新たに新生したファントムタスクとの戦いが始まるようです



感想ください、作者の執筆時に消費されるカロリーになります


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正義VS正義(前編)

正義と正義の対立が始まる、それは世界の意思なのか?
もはや正義とは言えない、と自罰しながら主人公はその手に剣を獲る


「どうやら戦術は読まれていたようだな?」

「あぁ、完全に読まれていたな。で、どうする?」

「ふん、そんなもの・・・」

 

戦場についたとき、思わず愕然とした。こちらの布陣、つまりは戦術すら完全に読まれていたのだ

だが、それすらも考えに入っている。正々堂々と宣戦布告をしてのけた組織がその程度を読めないはずがない

だから・・・

 

「読まれていようが関係ない。そんな一撃を叩き込めばいい」

「容赦ねぇな、まぁいいか・・・」

 

セリアは呆れてものも言えない表情で後退の指示を全軍に通達し、俺だけが前線に残る

理由としては俺以外の者がいると巻き添えを食らうからで、その余波は津波を起こして余りある

 

「神鳴る裁きよ、降れい雷・・・」

 

過去最大規模で展開されるワンオフアビリティはこれまで何度も使ってきた自分のモノだ。

その破壊力、破壊半径、衝撃度・・・全てにおいて、kinetic energy penetrator・・・その究極系に他ならない

その兵器の名は・・・

 

ロッズ・フロム・ゴッド(神の杖)ッ!!」

 

敵に対応される前にこちらから攻撃する、最大出力なので破壊半径は凄まじい事になっているが気にはしない

それだけの破壊力を持っていたとしても・・・

 

「敵の反応は健在です!!攻めてきます!!」

「有象無象の雑魚共の掃討は済んでいる!!ここから先が正念場だぞ!!」

 

空いた隙間から一気に侵入し、作戦は第一段階に入る。ここからは殲滅戦で、基地侵攻戦も含む複雑で難しい作戦だ。

そこで優秀な作戦指揮官であるセリアに担当させ、俺はその忠実な手足として動く・・・転生する前から、部下と上司という関係になってから永遠と繰り返してきた組み合わせだ

一般の感覚からしてみれば普通逆だろうと思われるが、これが俺たちには正しい。究極的に言えば俺は自分の事しか見えないから、適材適所でセリアが上がってきただけという理由だ

 

「確認できました、敵は相当の練度を誇っています!!」

「問題ない、こちらも歴戦の勇士ぞろいだ。総員、総力戦に移行、各個撃破せよ!!」

了解(ヤー)!!」

 

総員が同時に返答して各々の担当区域に行く、そして

 

「突入する!!」

「施設内は任せた!!」

 

セリアに担当を任されている施設内に入り、一直線に最深部に突入する

 

「行かせるかぁ!!」

「邪魔すんじゃねぇ!!」

 

途中、邪魔してきた人間を俺は蹴散らす、だが・・・

 

「俺はあの方の爪牙、ジェイル・黒崎だぁぁ!!」

「ちぃ・・・!!」

 

特攻してきた、しかも最大加速で

 

「失せろっ!!」

「がぁぁっ!!」

 

壁面に叩きつけるついでにそのまま突貫、次のフロアへ突入する

衝撃で腕のマニピュレーターの一部が不可に耐え切れず機能停止したが問題はないレベルと判断し継戦続行する

 

「総員、撃てッ!!」

「シールドにはこんな使い方もある!!」

 

迫り来る無数の弾丸に対してシールドを全面に展開し突撃、破壊することにもシールドは利用できると見せつけて更に次のフロアへ突入する

これでシールドの展開装置を破損してしまったが、機動で避ければ問題はないと判断して戦い続ける

 

そのフロアの中には、全身を鎧に包んだ男と二刀を持つ男、更には軍服を纏った女性がいる

 

「二人共、ここが正念場だ、迎撃するぞ」

「「了解・・・」」

「邪魔を、するな・・・そこを退け」

 

殺意の思念を叩きつけて二・三歩下がらせる、これだけでもかなりの強者だと判断できた。

普通の人間なら自殺を選ぶほどの殺意の波動に対して怖気づくだけという精神力を持つのだから

 

「退けないならば、斬り捨てる」

 

リミッター解除と同時にビームサーベルを展開、最大加速もかけて切り結ぶ

 

「これが、WALRUSの代表・・・!!」

「遅い、キサマらで俺に勝てると思うな」

 

切り裂いた後に後ろの壁を破壊して中に入る。敵として立ち塞がった三人はおそらく、良くても重体だろう

 

「これでも俺は手加減している、死なないだけいいものと思え」

 

中にいたのは、とある国の機関で開発されていたはずの新型量産機、ラッヘンゾルダートだった

どうやら強奪されていたようだ、この機体の特徴を検索して愕然とする

 

「厄介なものを、完成度で劣るとは言え・・・面倒な!!」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()という()()()()を有しているのだ。戦場に正義を持ち込んだところで意味はないとわかっているが・・・

 

「まだ出てくるか・・・!!」

 

今度はファントムタスクが元々所有していた、ラプトルの集団が来る

これでもかとこちらに戦力を集中しているように見えるが・・・

 

「見え見えなんだよ時間稼ぎだという事ぐらい!!」

 

高速かつ繊細な機動で回避して仲間討ちを誘い、武装のダメージを最小限に済ませて最後の一人を倒し、さらに奥へ向かう

 

「藍澤・カズマ・・・闇の勇者よ。私たちはあなたの眷属。共に夢を見させてちょうだい」

「無論だ。俺は君たちを愛している。ゆえにもっとだ。もっと君たちを愛させてくれ。永遠に守りたいのだ。君達の人間賛歌を、俺に謡わせてくれ」

 

スコールがその通信を入れてきたので俺はもの凄く真面目に返した、これが俺の今、戦う理由

共に戦う仲間の事を誰よりも信じている。だから君達の人間賛歌を、一緒に謡わせてくれ!!

これはあくまで理屈の話、実際に行動へ移すわけではなく気構えの話だと考えている人間が多いけど、互いの想いを確かめたいと思うがゆえに、実行に移したいのだ!!

 

「そうさ、飽いていればいい・・・飢えていりゃ、いい!!」

「それがお前の答えか、WALRUS代表、藍澤・カズマ」

「あぁ、これが俺の貴様に対する答えだ」

「理由は?」

 

敵として最後の扉の前に立ち塞がった人間は、俺に答えを求めた

それに俺は答える

 

「生きる場所の何を飲み、何を喰らっても足りない。けどなぁ、それで上等だろう!?甘えるんじゃねぇっ!!」

「つっ・・・!!」

「耳が痛いだろ!?そうだろうな!!神様に頭下げて、摩訶不思議な神通力でも恵んでもらって、そんな自分は強くてすごいだぁ?ふざけんなこの根性なしども!!そんなものに価値なんて1銭たりとてあるものかボケェ!!」

 

転生者で8割が占められている今のファントムタスクに対して俺が最初から持っている感想はソレだ

身の丈に合わないバカバカしいにも程がある力を手にしたとて俺に勝てるはずがないだろう、絆を信じ、仲間と共に歩み、成長し続ける事を選んだ俺に!!

 

「邪魔だ退け」

「がはっ!!」

 

最後に顔面を殴って気絶させ、扉を開く。そこには・・・

 

「待ち焦がれていたよ、藍澤・カズマ」

「本当にソックリな顔つきじゃねぇか・・・吐き気がするほどだ」

「お前たちを見てると、ただ生きるのを勝手に難しくしているみたいだ。それじゃあ、駄目なのか?」

 

その質問に息を飲んだ、しかし、答えは決まっている

 

「そうだな。ただ生きるのは、難しい・・・」

「そうか・・・難しいな」

「だが、それでいいと思っている」

 

今更何を悩むという。決めたからこそ、果てなく征くのだ。それ以上の理由など俺達にとっては必要ない!!

だからこそ、今こそ討つべき敵を討つ!!

 

「俺はたくさんの人間を殺している、それで食べていけたんだから。なくなったら、困ってしまった」

「・・・」

「殺さなくちゃ回らないんだから、本当はいつまでも生きている俺は規格外品だ。血に濡れた男を、ココはいつまでも野放しにするような世界じゃあない」

「なら、なぜ戦う?」

 

その回答も既に考えがついている、そもそも、それを()()()()()()()()()()から

 

「勝ちたいならば、来い。俺が相手をしてやる」

 

ビームサーベルの切っ先を向け、俺は続ける

 

「Believe your Justice・・・お前の正義を、貫いて見せろ!!」

「了解だ・・・DNAの・・・父親ッ!!」

 

ここに最終決戦が始まる。正義と正義の対決は、どちらに勝利をもたらすか分からない




訳あって前・後編とします。作者の現在の文章力では3000文字以上のページを作るので発作が出てくるんだ・・・これで許して、頑張って次話作るからッ!!(スライディング土下座)



感想ください、作者の励みになります!(割と本気で)


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正義VS正義(後編)

最後の戦いが始まり、運命を超える物語が始まる
これは一人の勇者(バカ)の答えを教える戦いであり、父親と言われた彼がたった一つ教えられるモノ・・・
そして敵は覚醒する、最愛の人を犠牲にして。かつて主人公がそうしたように・・・


「うおぉぉっ!!」

「そうだ、本気を見せろ!!お前の全身全霊で、俺を超えてみせろ!!」

 

激戦は突如開始された、それもそのはず、会話していた状態からいきなりスタートしたのだから

 

「はあぁぁ!!」

「遅いっ!!」

「がふっ!!」

 

正義と正義の戦いはそう簡単に決着がつかない。どちらも同じ思いで戦うからであるが、それだけに性質は悪い

それは平和を象徴するハトと同じく、必殺の一撃となり得る爪や牙を持たぬからであり、その様相は血反吐を吐くどころでは済まされないレベルなのだ

 

「どうした、その程度か!?お前のDNAの父親程度、超えてみせろ!!自分で俺を父親と言っただろうがっ!!」

「うあぁぁっ!!」

 

でも、正直に言えば、父親と言われて少しだけ嬉しかった。それだけ彼がまっすぐに育てられたのだと思えたから

細胞は急速培養だろうと、その身に宿る心は誰かの操作を受けていないのだろう。それ故に戦い方もオリジナルで、一夏に近い近接格闘型だ

対応できるが、もし一夏の師匠を買って出ているセリアの下で師事を乞うたなら。と思うと非常に残念でならない

 

「俺は自分の過ちに気がついてやっと……取り戻す事ができた!!己の本当に成したいモノがなんであるかを思い出せた!!」

「つっ・・・!!」

「お前にもあるのだろう!?だったらそれすら世界と天秤にかけろッ!!()()()()()()()()ッ!!」

 

俺が本当に守りたいのは世界じゃなく、隣に生きる大切な者達、ただそれだけだ

世界と仲間、天秤にかけて重いと感じるのは問われるまでもなく仲間だと即答できる

それ故に、全力で愛して全力で守りぬくと誓っている!!

 

「さぁ、みせろ!!それとも・・・」

 

銃口を向ける、その先は

 

「マズいっ!!」

 

敵の部下、最後まで離れようとしなかった女性だった

 

「え・・・?」

「こうしようか?」

「やめろぉぉッ!!」

 

無慈悲に引き金を引き、黒の光条(ビーム)がその胸を貫いた

 

「藍澤・・・カズマ!!」

「伝説や寓話など、所詮は絵空事に過ぎん。守りたいなら自由を奪ってでもどこかに連れて行かせればよかったのだ」

「つっ・・・!!」

 

俺ならきっとそうしていただろう、今回だって適当に理由をつけて遠ざけたのだから

だからこそ・・・

 

「好きにしろ、君も、嫌われてもいいと思うぐらいの気持ちでやれ。そうしないと、いつまでも思いは届かんぞ」

 

その数瞬後、何のためらいもなく彼女は自分の腕を切り、鮮血を俺が倒した人間に与えた

 

「なるほど、プロトオーバーセカンドシフター(試作強制二次移行装置)か」

 

その行為で俺はようやく気がついた。と同時にそう来たか・・・と感心する

プロトオーバーセカンドシフターには欠点がある、その欠点は・・・

 

「自分の命、それすら犠牲にするとはね、いい覚悟だ。俺の時と、同じ状況になったわけだ」

「・・・」

「なら目覚めてもらおう、命の繋がり。()()()()()()()()()を」

 

抱き抱えられた男と、抱えている女性を包むかのように白い瘴気が立ち上り始める

それは瞬く間に濃度を増していき・・・

 

 

<戦場、???>

 

「君はどうして一緒にいてくれるのかな?」

 

ずっと昔・・・というわけではないけれど、恋人になる前、そう言った事がある

 

「え?どうしたんです、いきなり?」

「あ・・・いや、それは・・・何ていうか」

 

目を丸くして問い返されて、口ごもって下を向いたのも覚えている

あの時は、自分が生まれ育てられた研究所・・・地獄を焼き払った直後で、付き添ってくれていたのも彼女と他数名だった。こんな自分にも仲間が居る、と嬉しかったし、心強かったけど・・・

 

()()()のことを、もし恩義に感じているのなら、それはもういいんだよ?」

 

研究所で()()()()される予定だった彼女と、仲間の何人かを救って、その直後に焼き払った事

 

「それだけのことで付き添ってくれるなら、それは・・・」

 

彼女の未来を自分が邪魔してはいけない。これから苦境に身を投じる自分に、甘えている余裕なんてない

世界に復讐する・・・こんな()()()()に、彼女達を巻き込むなんて、あまりに申し訳ない

 

「あぁ、そんな事ですか?」

 

それでも彼女はあっけらかんと笑って、自分の思ってもいない言葉を告げてきたのだ

 

「ただ一緒に居たいからですよ。それ以外に理由なんて浮かばないもの」

「え・・・?」

 

そんな言葉しか出なかった、驚きゆえに

 

「というか、私の方こそ感謝しているんですよ?」

「感謝・・・?僕に?」

「えぇ、あなたに救われる前、私は色んなものが嫌いでした。でもあなたに出会って、それが少しはマシになったんです」

「そ・・・それって・・・」

 

抽象的すぎて分からない言葉、自分には分からなかった

 

「なんて言うんでしょうか・・・ようは救われたんですよ。だからこうして一緒にいるんです」

「・・・」

「来るな。と言ってもムリヤリ付いてきますからね?覚悟しておいてください」

「あ・・・」

 

思いがけない言葉にとっさの反応ができなかった。なんて返せばいいのだろうか・・・

 

「こ、こちらこそ・・・ついてきてくれると・・・うれしい」

「はい、もちろん。どこまでも、ずっとついていきます」

 

それで救われたのは、自分の方だった。君がいてくれたから・・・僕は

 

「つっ・・・!?」

 

白に染まった視界が晴れ、目を閉じていると分かったと同時、口の中に感じたのは鉄の味だった

喉に流し込まれていく熱い()の感覚、ひどく温かくて懐かしい、誰かの声が・・・

 

「これからも、一緒ですからね・・・?」

 

とたん、頭の中で耳障りな音を立てて、絡みついていた"何か"が崩壊していく

全身が燃えるように熱くなっていき、巨大な力を秘めた"何か"に変容する

 

「お・・・あぁ・・・あぁぁぁぁ、あぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

叫びと同時に、視界が再び白に染まった

 

 

<戦場、カズマ>

 

「おやおや、そうなるとは・・・いやはや全くの想定外だよ。()()()()()()()()なんてね」

 

敵が変異した。そう言うしかないほどの変わりように驚く。それは俺とイセリアの中で起きたことと同じだった

機体の形そのものは当然のこと、おそらくスペックすら測定できないだろう

敵の背中には、仲間の命を糧とした紅き翼が出現し、禍々しさを通り越して神々しささえ醸し出しているほどなのだから

 

「愛のなせる御技か、闇を抱えながら生きる人間の本能の発現か・・・どちらにしろ」

 

だからこそ、そう・・・己が己として、その先駆者として

 

「本気でお相手しよう、これが俺の、全力全開と知れ」

 

完全にリミッターを解除し、全ステータスをオーバードライブモードに切り替えた

 

「行くぞ、我が遺伝子を持つ者。この闇を・・・()()という()()()、黎明を待つ者を超えてみせろ!!」

「あぁ、行くぞ・・・!!」

 

再度激戦は開始される、これまでよりも激化して。しかもこれまでとは違い、世界を超えた別次元の力も使う

そう、今、敵は俺と同じ位階に到達していた

 

「全身に、力が満ちる!!」

「そうだろう、それこそが転生の意味だ。己で掴み取った分の力以外はいらん!!」

 

この世界の技術だけでなく、他の世界の技術も含まれる攻撃

俺の戦う戦場は、正しく混沌と化していた

 

「はぁぁっ!!」

「でぇぇっ!!」

 

衝撃一つをとっても、建物を震えさせ、剣戟の先で破壊をもたらしている。それだけでなく、存在値そのものが破格の性能まで引き上げられた事により圧倒的なまでに強化されている

 

「これが、第六法・・・神の力!!」

「いいや、正確には異なる」

 

そう、正確には異なる、この力の正体は・・・

 

「これが、俺の仲間の力だ。君も仲間の力をふるっているだけに過ぎん」

 

互いに装甲にダメージを追わせて距離を取る

 

「さぁ、どうする、時間はないぞ?」

「くっ・・・!!」

「だから早く終わらせようか」

 

天に手を掲げ、俺は話す

 

「これは過去の現象を真似る程度のものに過ぎん。が、破壊力は折り紙付きだ」

「つっ・・・!!」

「ソーラ・レイ!!」

 

太陽光を収束し、一点に向ける。その威力は厚さ数十センチはある特殊合金を僅か一秒で貫通するほどだ

それだけのパネルはないので・・・

 

「左腕の機能だ、持っていけぇぇぇ!!」

 

空に巨大なレンズを形成した、それを敵は見抜いて左腕を犠牲に突破したらしい

 

「がはっ・・・!!」

「ブルージェット!!」

「がぁぁ!!」

 

今度は自然現象を使う、それは通常とは逆に起こる雷の現象だ。日本語名では超高層雷放電という

 

「続き・・・行くぞ?」

「まて、カズマ・・・撤退だ!!」

「なに・・・?」

 

そこにセリアからの緊急回線通信があった、すぐに反応して・・・

 

「急いで帰るぞ、ファントムタスクは囮にされていた!!」

「なに・・・!?」

「まさか・・・」

 

敵にも驚きの表情が浮かんでいる、自分達が誰かに利用されていたのだから

 

「フェリア・・・!!」

 

敵はすぐさま自分の愛する女性の元に向かった、治療を施すのだろう

 

「セリア、作戦を中止だ・・・即刻帰還する」

「了解・・・ファントムタスクは?」

「俺が焚きつける」

 

俺は二人の敵のもとに向かい、声をかける

 

「味方になるか?」

「何を言っている?」

「憎いだろう?自分達をコケにして、いいように利用しやがった連中の事が」

「つっ・・・!!」

 

手を差し出し、俺は告げる

 

「ファントムタスクのまま、我が軍門に降れ。約束された勝利を、その手に握らせてやろう」

「正気か、貴様?」

「あぁ、正気だとも。これでも大真面目だ」

 

ついさっきまで戦っていた敵を信じることなんてなかなか出来ない、それでも・・・

 

「いいだろう・・・今回限りだ」

 

敵と共同戦線になる場合だってある




ファントムタスクと共同戦線!?そんな事が・・・(恐怖)
にしても主人公の性格が・・・まぁいいか




感想ください、作者のエンジンオイルにもなったりします


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仲間として

家族として向き合う前に仲間として向き合っている二人
家族として向き合うために、トラブルを利用する


IS学園への帰投中に事件は起きた、マドカが起こしたのだ

 

「マドカがやらかした!?」

「あぁ、独断先行して取り残された」

 

大問題が起きた、マドカが敵に囲まれた状態で取り残されたらしい

しかも···

 

「敵兵力はそちらに集中してるんです!!」

「山田先生、冷静になりなさい」

 

スコールが慌てている山田先生をたしなめ、俺に判断を促した

 

「指示を出してくれ、山田先生」

「マドカさんを救いに」

「却下だ」

 

山田先生の指示を即答で拒絶し伝える

 

「俺は作戦開始前に散々無茶をするなと言い含めていたのだ。それはつまり命令である」

「藍澤君!!」

「それを破ったのなら、何を遠慮することがある。奴一人のために部隊全体を危険に晒すわけには行かん」

「だけど、マドカはっ!!」

 

あぁ、そうだろうな、大量の敵を自分の方に差し向けさせるようにやってのけた

それでもな

 

「だからどうした、一夏。状況はわかっている。それでもマドカはお前と合流するべきだったのだ。一人では限界だからそれなりのプランを出せるツーマンセルでの作戦遂行を指示したにも関わらず自身の独善に走った奴が悪い」

「だからって、見捨てるのかよ!?」

「見捨てたのはマドカ自身だ、判断ミスを犯し、命令を破った」

「あくまで、それを通すのかよ!!」

 

通すさ、通してみせるとも・・・それが

 

「それが隊を率いるということだ。それにな、俺の部下に自らを犠牲とし仲間を助けようなどと戯言を抜かす輩はいらん」

「藍澤君、ですけど・・・」

「命令はしたぞ、山田先生(・・)、貴女は部隊全員が生還できるプランを立案しろ。無論、マドカの事は考慮するな。反応を示す光点(ブリップ)も消せ、いつまでも目障りになる」

「カズマ!!」

 

一夏が叫んできたが、俺はそれを無視する

 

「これより本隊はIS学園に帰投する、その際、有象無象の露払いをしながら帰還するため戦闘になるだろう」

 

次に、ルートを示すマップを全員に送信して俺は続ける

 

「現在の布陣から、合流ポイントに最も近いのは織斑·一夏だ、当人は合流地点の確保を行え」

「つっ···!?」

 

一夏はなにか()()()()()らしい。それもそうだろうな

合流地点は···

 

「合流地点に存在する者も、その際に蹴散らして構わん。捕虜などいらぬので殲滅戦だ、各員が腰を据えて敵を叩き潰す事を祈る」

「了解!!」

 

全員が返答して攻撃を開始する、その動きはこれまで以上に激しいものだった

 

「カズマ、お前なぁ・・・」

「ふん、みなまで言うな」

 

一夏を単独で動かしたのには意味があった、それは

 

「一夏とマドカの二人を戦場で互いに理解させるなんて・・・大馬鹿者だよお前は」

「戦闘効率は途中急速低下するだろうが、まぁ問題あるまい」

 

ニヤニヤと笑いながら俺は山田先生に通信を入れて、反応をうかがう

 

「先生、わかっていたんでしょう?」

「え・・・えぇ、まぁ・・・全員から、と言われなかったですし」

「その通りです、慧眼ですね」

「それぐらい分からんで先生とは呼べん」

 

おやおや、織斑先生がオカンムリだ。フォローをせねばな

 

「そういう織斑先生も、止めなかったでしょう?」

「・・・」

「同罪ですよ?」

「分かっている・・・どいつもこいつも、問題児め・・・」

 

おそらくこめかみを押さえながら言っているのだろう、声に苛立ちと呆れのようなものを感じた

 

「ですがマドカにはきちんと責任を取らせます、とりあえず今回の作戦は俺の立案とセリアの作戦指揮がありますので、こちらの裁量でいいですね?」

「好きにしろ、もう何も言うつもりはない」

了解(ヤー)!!」

 

完全に悪趣味な笑い声で返し、俺はコソコソと仕込んでいたプログラムを、遠隔で起動した

白式にこっそりと入れていた、盗聴・録音プログラムを

 

 

 

<戦場、一夏>

 

マップに示されていた新たな光点、合流地点にはマドカの反応が重なっていた

それで・・・これがカズマからの無言の指示だとすぐにわかった

 

「素直じゃないやつ!!俺とマドカを向き合わせたいんだろうに!!」

 

途中で邪魔してくる人達を構わず突破する、どうせカズマたちが露払いをしながら前線を合流地点まで押し込んでくるんだ、心配なんてない

 

「見えたッ!!」

 

なんとか到着してマドカに取り付いていた奴を蹴り飛ばす

 

「なっ・・・なんで貴様が来るんだ!?」

「黙ってろっ!!言いたいことは山ほどあるけど、こいつらを片付けるのが先だっ!!」

「ふざけるな、これは私の!!」

「お前のだからどうしたんだよ!?んなこと俺の知ったことか!!何言ってもやらせてもらうぞ!!」

 

叫び声で怒りながら返すとマドカは少し小さくなった、それでも俺に怒っているようで・・・

 

「なぜ、だ!!」

「ほら見ろ、もう体もまともに動かせないんだろがッ!!」

「だから、どうした!!このくらいでっ!!」

「このくらいで済む怪我かよ!!説明してやらないと分からないほどバカじゃないだろうが、えぇ!?」

 

さらに叫び返すと、嗚咽のような声で俺に叫び返してきた

 

「わからない・・・わかるわけがないだろう!?」

「じゃあわからなくていい、いいから動くな!!つっても動けないだろうけどな!!」

「お断りだ!!今のお前に命令できる権限なんてあると思っているのか!?カズマは"考慮するな"なんて言ってたから、今お前は単なる一学園生に過ぎないんだ!!」

「そうか・・・なら尚更・・・」

 

その声に、俺はキレてしまった。なら、尚更・・・なんだって言うんだ!!

 

「なおさら放っておけるか!!その怪我、普通だったらショック死だぞ!!()()()()()()()()()()()()んだよ!!」

「つっ・・・!!」

 

それが俺の答えだった。あぁ、困る、非常に困る

だってまだ、家族としての日常も始められていないんだぞ!!

 

「なんで、来たッ!!」

「やっぱり、そう来るよなぁ」

「せっかく、せっかく上手く出来そうだったのに!!今度こそ出来たはずなのに、なんでだ!!よりによってお前が来たら、何のためにやったのか分からなくなってしまうだろう!?」

 

その言葉を噛み締めながら俺は反芻する

 

「なんで、ね」

「お前のせいで台無しだ!!こんな事一つ、満足にさせてくれないのか!!」

「邪魔だったか?」

「あぁ邪魔だ!!お前でさえなかったら、今頃、私はっ!!」

 

この、死にたがりが!!俺がそんなのを見捨てられないって、まだわからないのかよ!!

 

「きれいに死ねた、と言いたいのか?」

「お前など、さっさと死ねば良かったんだ!!」

「・・・」

 

互いに無言になる、遠くから聞こえてくる弾音はだんだん近づいてきていた

それを聞きながら俺は話す

 

「このままだと、お望み通り死ねるな」

「だから早く消えろ!!」

「駄目だ」

「一夏ァ!!」

 

次の瞬間、俺はマドカの正面に向き、目を合わせる

 

「お前が残るなら俺も残る、そうなったら、俺を殺したのはお前だ」

「やめろ・・・!!」

「やめるのはお前のほうだっ!!」

「つっ・・・!!」

 

激情のままに俺は叫びながらマドカを俺に向かせる

 

「何が死ねばいいだ?そう言って結局殺せなかったのはどこのどいつだ!?頭がマトモなら、よく考えて言ってみろよ!!」

「今更、関係ないだろう!?」

「はぁ!?考えが足りないなら、残っている部分にも怪我負わせてやろうか!?そうすれば少しはマトモに考えられるんだろうな!!それともレイプでもしてやれば気付になるか、えぇ!?」

「何を、言って・・・こんな時に!!」

 

過呼吸気味のマドカを抱えて移動して、俺は続ける

 

「こんな時だから言ってるんだよ。あぁ、死んじまったらいいだろうな。でも、お前がそう思ってる奴はどこのどいつだ、さんざん言い続けるのにそれでもしぶとく生きてるんだろ?」

「望んで・・・そうしたわけではない」

「あぁ、そいつは偉い事だな、だけどそれは、お前がそうしたいからだろ!?」

「・・・」

 

黙ってしまったマドカに俺は畳み掛ける、もう二度と言わせないために

 

「俺の知っているマドカは、望んでもいないのにダラダラと生き延びるほど情けない奴じゃねぇ!!」

「人の事を・・・好き勝手に!!だったら私はなんなのだ!?何のために・・・こんな」

「知るか、俺もマドカも、元々頭いい方じゃないだろ。考えたって簡単には出てこない。だったら・・・」

 

そこで呼吸を一つ入れ、続ける

 

「今までお前が、その答えじゃないのか?」

「今まで・・・って」

「どれだけバカやらかしても、怒られても、ちゃんと最後は始末つけてただろ?」

「違う・・・違うんだ・・・一夏」

 

何が違うんだよ、どこが違うんだ・・・!!

 

「好き勝手に自分も俺も生かしといて、何が違うんだ。それとも、全部嘘だったのか?」

「違うッ・・・!!」

「だったら、それでいいじゃないか」

「そんな、簡単に・・・いうな・・・!!」

 

とても辛そうに叫ぶマドカに俺は優しく告げる。怒ってもいるが、それよりも向き合いたい

 

「そうだな、家族として過ごした日々がないから、その過去がどれほどのものだなんて分かりはしない」

「お前・・・まさか!!」

 

あぁ、そのまさかだ、お前レベルのバカをやらかしてやる

 

「待て・・・行くな!!」

「どこにも行きはしないさ、マドカが、心変わりしない限りはな」

 

優しく床に眠らせ、再度、白式を纏いながら背を向ける

 

「そこなら、多少のことじゃ被弾しないだろ」

「やめろ、私は!!」

「マドカを見捨てたら、後味が悪い。それこそ、落ち込んでニートになりそうなぐらいに」

「誤魔化すなぁ!!」

「それは俺のセリフだ、残されたらどんな気分になるのか知らないとは言わせないからな」

 

敵影が近づいてきたので迎撃に向かいながら俺はマドカと話し続ける

 

「人の過去を、勝手に探ったな!?」

「悪い、とは言わないぞ。間違っているのは、お前のほうだからな」

「そんな事、最初からわかっている!!」

「・・・」

 

少ししょげるな、何度も言われると

 

「最低だお前は!!死んでしまえば、いいのに!!こんなところにまで、来るなんて!!」

「あのなぁ・・・なんで俺がこんな状況になってまで、言い出せなかったと思うんだよ?」

「可哀想だとでも、思ったんだろう?」

 

それは違う、そんな事、ほんの少しも思っていない

何故なら・・・

 

「馬鹿言え、それだったらもっと優しくしてるさ」

「・・・」

 

これから俺は、マドカに告白することがある

それはマドカの過去をさぐる前から抱いていた感情だけど・・・




次話、一夏視点!!
主人公の出番が最近減少中、その代わりほかのキャラを出してます




感想ください、作者がパワーアップしていきます


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戦場にて

戦場で初めて、家族として向き合おうとする織斑・一夏
今まで向き合えなかった理由とは?


「怖かったんだよ」

「え・・・?」

 

俺はそう切り出した、そう・・・()()()()んだ

 

「言ったら多分、マドカに嫌われる。それがとても嫌で、怖かったんだ。笑える話だろ?」

「・・・」

「だって、もし踏み入ったら。それっきりになるかもしれないだろ?」

「一夏・・・?」

 

だから心の底から思ったんだ・・・

 

「マドカが可哀想だとか、そんなんじゃない。()()()()()()()()()()()んだ、別れたくないんだ」

「でも・・・私は」

「だからせめて、笑ってくれよ」

「あ・・・」

 

だって、それぐらいしかないじゃないか

残った感情で発露できるものなんて

 

「過去を勝手に探ったのを怒ってもいいけど、できれば今の俺を情けない奴だって笑ってくれるといい」

「それだけで・・・いいのか?」

「いろいろ考えてたんだけどな・・・お前と話していたら、どうでもよくなった」

 

だから俺は強く言い放つ、今の決意を

 

「でも、ここを退く気はないからな」

「・・・」

 

マドカは呆然としていたが、すぐに言葉を紡いだ

 

「私がまだココに・・・いや、一緒にいたいと言ったら・・・怒るか?」

「笑って、許してやるさ」

「つっ・・・」

 

マドカが何をしたいのかまだ分かってはいない、それでも、一緒に歩むことはできる

その為には許すことも必要なんだ

 

「この、馬鹿者ッ!!そんな事、誰も、言えとはッ!!」

「頼んでなくてもいくらでだってしてやるさ、今と大して変わらないしな」

「本当に・・・どうしようもない!!」

 

馬鹿だからしょうがないだろ、それに鈍感だって自覚も一応はあるんだ

 

「それは最初から分かってたことだろ?」

「あぁ・・・そうだな」

「これからも色々と世話になるけど、付き合ってくれると助かる」

「本当に情けない奴だ、少しは自分でしろ」

 

家族として・・・とは言わないのでそこを突く

 

「ならマドカはできるのか?家族として」

「・・・出来ない」

「よく聞こえなかった」

「一人じゃできないから、家族として、サポートお願いします」

 

素直になったじゃないか・・・おっと敵が来た

 

「了解」

「一夏ァ!!もっと考えて色気のある返事ができないのか!?」

「そんな余裕があるわけ無いだろ」

「・・・さっきあれだけ無駄話をしたくせに」

 

そう言いながらマドカは体から力を抜く、俺に任せるということだろう

 

「うるさい、怪我人は寝てろ」

「訂正だ、無駄話じゃなかった。ダメだな・・・いつも勢いで言って後から本当はどうかわかるなんて」

「そうか」

 

しばらく無言が続き、その間に俺は敵を倒した

 

「あの・・・だな」

「どうした?」

「嬉しかった」

「・・・寝てろ」

 

照れ隠しにそう言って、敵が再び湧いてきたので倒す

 

「一夏?」

「なんだ?」

「怒って・・・ないか?」

「怒ってない」

 

怒ってはいないけど隠したい事もあるんだよ・・・恥ずかしいから言わないだけで

 

「その・・・口数が少ないし・・・顔だってよく・・・見えないから」

「血が足りないだけじゃないのか?」

 

そう言ったら、途中でほかの人間の声が聞こえた

 

「それとも、一夏が照れているだけかな?」

「シャル!!それに皆!!ようやく来たのか!!」

「思った以上に手間取った。退屈だっただろう?」

「あぁ、死ぬかと思うほどにな!!もうちょっと労いの言葉があってもいいんじゃないのか、カズマ!!」

 

 

遅れてやってきたカズマにそう言うと、笑いながらカズマは返してくる

 

「はははっ!!何を言っている、学生は苦労するのが仕事だろうが!!」

「実感させてくれる奴を同級生に持って嬉しい限りだぜ・・・」

「そうだな、もっと敬え!!」

 

カズマが仕切り直すように全体に通信を入れて続ける

 

「では、これより侵入者の掃討作戦に移行する、背後なんて気にするな、全力でお相手してやれ」

「じゃあ、先頭は俺とカズマか?」

「嫌味かセリア。俺は一応怪我人だぞ?そんな奴が前に出ても迷惑なだけだろうが」

 

よく見るとカズマは片腕に包帯をしている、こちらに向かっている最中に怪我を負ったのだろう

 

「片腕で率先して合流に向かってたのって・・・どこの誰だったかなぁ・・・」

「どこかの頭の足りない奴だろう、俺は知らん」

「誰だろうな」

「箒!?それ言っちゃダメ!!」

「む、そうか」

 

珍しく箒がネタにしている、それに驚きながらカズマを見ると、セリアの方に向きながら

 

「・・・知らんぞ」

「俺に振るな」

 

その後、侵入者の掃討も終わらせ、全員が休みに入ったのだった




一夏の性格が変わっていますけど驚かないでね・・・本作はこうなります。
次はどうするかな・・・



感想ください、作者の執筆速度が変化します


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傭兵VS傭兵

それは最強の傭兵と因縁を持つ者の戦い
主人公に運命を狂わされた(と勘違い)する敵と、主人公の戦い
その強さは、未知数で・・・


WALRUS主体による新生ファントムタスク掃討戦とその後のIS学園侵入者殲滅戦の一週間後、また面倒な事が起きた。例によって攻め込んできた奴がいるのだ

 

「この反応は・・・!?」

 

その迎撃に出て数分後、見知った反応を示す光点が現れ、戦慄した

まさかと思われる反応があったからだ

 

「おいおい、熱烈なファンがいるじゃねぇか」

「クソッタレ・・・吐き気がするぞ」

「マジで吐きそうな顔しているからやめとけ」

「ちっ!!」

 

こんな時になんて面倒な奴が現れるんだよ・・・あぁもうめんどくせぇ!!

 

「カズマ君、これって!?」

「あぁ、俺が開発して提供していた機体群の一つだ、たしか・・・」

我が国(ドイツ)だな、最近強奪されたようだ」

「なんで報告してこない、君伝いで提供したはずだぞ」

 

そう、ラウラを経由して提供した機体だ、しかもその際、強奪された場合は連絡するように契約もしたはずである

 

「すまん、箝口令を敷かれていたものでな・・・どうしても自国で解決したかったらしい」

「絶対に無理だろうが!!それにその場合は契約違反のため今後一切の契約を破棄するといったはずだ!!」

「私とて言いたかったが、国からの命令には逆らえんのだ!!」

「それが分かっているからお前を責められんのだろうが!!えぇいクソったれ!!」

 

ラウラと言い合いながらも状況を判断する、現状あの機体に対応できるのは遅滞減衰戦対応能力に優れる・・・

 

「俺しかいねぇ・・・」

「そうだな、頑張れ」

「他人事だなおい!?」

「お前ならどうにかできるだろ、開発者」

 

それを言われると非常に痛い・・・主に心が

 

「見つけた・・・見つけたぞ・・・藍澤・カズマァァァ!!」

「この・・・厄介な!!」

 

視界に入ってようやく照合ができた、機体名・・・クリフォト・ヴァチカル

機動性そこそこでありながら、支援機に自作の即席無人機(シーカー)を使用する後方支援特化機だ。それ故に撃破は難しく、性能自体もかなり高い

そもそもが俺の直接開発機であるゆえに第三世代機水準の中でも非常に高位に位置している

 

「あぁ、頭痛くなってきた」

「逃がさない!!」

「やかましいわ!!」

 

コイツの相手をしている暇はない、地雷原の餌にしてくれるわ!!

 

「あなたに仲間を殺されて!!その復讐に囚われて!!それでも生きながらえて!!そんな私を殺せるのはもうあなただけ!!」

「この・・・!!」

 

滅多には使わない機関砲を久方ぶりに使い、距離を取ろうとするが離せない

即席無人機(シーカー)を盾がわりに使い、逆に距離を詰めようとしてくるのだ

 

「目ざわりなぁ!!」

「離さない、絶対に離さない!!私に殺されたいと言いなさい!!さぁ!!」

「ほざけ!!鬱陶しいんだよ変態がぁ!!」

 

機関砲では埒があかない、しかし問題はなくなった

地雷原に到達したのだ

 

「観念したのね、それじゃあ・・・」

「ボム」

 

その瞬間、俺の周りだけ器用に爆散し、敵は爆煙に包まれた

 

 

<戦場、敵>

 

「きゃあぁぁぁ!!」

 

爆発が起きて、その炎に身が焼かれた

赤い砂嵐が目の前に広がって・・・視界が突如変わった

 

「あ・・・」

 

わかる・・・()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

それだけがとても幸せで、()()()()でさえ、泣きそうになってしまった

あぁ、この人は泣かないで泣いているんだ、いつも、誰の前でも

 

「・・・ても・・・よ」

 

泣いてもいいよ、そう言ってあげたかったけど、口がもう、動かなくて・・・

 

「か・・・は」

 

それが・・・最後の・・・

 再び視線が変わると、くすんだ天井を見ていた

 

「・・・」

 

この手足は、もう思ったように動いてはくれない

 

「・・・だ、なぁ」

 

死ぬのは、嫌だなぁ・・・

でも生きてても、みんなに負担をかけるだけだ。少しでも負担が減って、少しでも助けられるなら、しょうがないかなって思う

 

 再び赤い砂嵐が目の前に広がって、また視る世界が変わった

 

「・・・」

 

準備は全て終えた、私に出来ることは、全て為したつもりだ

 

「・・・」

 

後悔はない、この研究に私は全てを費やした。結果がこの目で見られないのは残念だが、いくつもの予防線は張っておいた

彼は・・・彼女は取り戻さなければならない

 

「・・・」

 

口の端が引きつり、笑っているのがわかる。拳銃を手に取り、こめかみに当てる

あぁ、それと・・・あの子が無事、逃げ延びてくれればいいのだが・・・

 

「はは・・・」

 

笑える話だ、この私が今更、子供など・・・

 

初めて引いた引き金は、想像以上に軽かった

あぁ、軽いのは私の・・・いのち、か

 

 ・・・つっ!?私は何をしてるんだ!?ここは敵の・・・!!

 

「あ・・・あぁ」

 

 ()()()()()()()()()()()!!

 

「ぐがっ!!」

 

 そう思ったのに、再び赤い砂嵐に流されて、視界が変わる

 

「ダメじゃない・・・死んじゃうよ?」

 

今度は私を抱えている人物の視界・・・私を助けてくれた女の人の

 

「もう・・・無理、かなぁ・・・」

 

走りながら振り向くと、血がまるで線を引いたように広がっていた

流しすぎたからか、もう痛みさえない

 

「だから、離してよ、わたし、戦えないじゃん」

 

誰が、こんな風にしてしまったんだろう。私を、この子を、みんなを

きっと、()()()だ。あの上官が混ぜていたんだ。探して、殺してやりたい

 

 違う・・・ダメなんだ。誰かが止めないと、いけなかった

 

「もう、戦わなくていいの・・・!!」

「何言ってるの?まだ手も足も動くよ?」

「ダメ・・・死なせ、ない!!」

 

私はもう終わりだけど、この子の体は傷ついていない、まだ終わっていない

 

「おかしなことを言わないでよ!!死なせるのは敵だよ!!」

「このまま、味方のところ・・・までっ!!」

 

連れて行けば大丈夫だ、私が倒れたとしてもきっと止めてくれる

 

 ・・・やめ・・・て

 

「離してよ!!死に損ないのくせに!!なんで私の邪魔するの!?まだ進んで、殺さなきゃ、ついていけない!!」

 

あぁ、私にはもう、覆いかぶさることしかできない

 

「・・・生きて」

「生きるに決まってるじゃない!!あぁもうこんなところまで下がっちゃった!!後ろの味方に追いつかれちゃったよ!!」

 

 ダメッ!!その人を撃ったら、あなた(わたし)はッ!!

 

「・・・っ、はぁ・・・」

「邪魔だって言ってるのに!!もう!!」

 

 あなたは()()()()()()!!ずっと死に場所を探し続けて、死ぬまで走り続けて!!

 

「・・・ぁ」

 

そうなったから・・・私は?

 

「やめてえぇぇぇぇぇ!!」

 

<同 調(シュミット・トリガー)>

 

 

 

<戦場、カズマ>

 

「おいおい、俺やらかしたか?」

 

敵を地雷原でタップダンスさせた数分後、ようやく視界が晴れたとき、その姿は黒い球体になっていた

これは()()()()()()・・・?

 

「いえ、違います!!」

 

山田先生からの返答は分かりきっていた事ではあった、それでも・・・あぁ・・・

 

「わかっているから言ったんだよ、彼女は戦争の被害者だからな」

「知っているんですか?」

「粗方な」

 

そう、襲撃者の素性は知っていた

何せ・・・

 

「彼女が自分が殺したと思っている女性、実はかろうじて生きていてな、今もWALRUSで元気に働いている」

「戦争被害者なのに?」

 

一夏の質問に俺は簡潔に応じる、敵に反応はない

 

「元々戦争のために生み出されたような命だったから、それでしか食っていけいないそうだ、遠ざかるということが頭に浮かばないんだと」

「私達もあった事があるのか?」

「学友だぞ」

「え・・・?」

 

まだわからんか、あぁそれはそうだろうな、傷は全て消したし彼女もその素振りを一切見せないものだから

 

「リーナ・ヴァスティ」

「あの子が!?」

「リーナか、意外だな」

 

全員が驚きである、わかってて驚いている()()()もいるが

 

「敵に反応があります!!」

「おっと、ボンヤリしている暇はなかったか」

「お願いします、彼女を目覚めさせてください」

「了解だ、リーナ。合図しろ」

 

ここでいう合図とは、戦闘を開始するための仕切りのことだ

これから、再び戦うのだから

 

了解(ヤー)・・・戦闘開始(オープンコンバット)!!」




次話に続く!!最近これで話数を無理やり増やしている気がしなくもない・・・
それでも、今月中には動きがあるんだァァァァ!!(シャウト!!)



感想ください、作者の語彙が(多少)増えます


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紅きダイヤの女騎士

それは敵の力、赤色の人工ダイヤを三態(気・液・固)で駆使する最新鋭機
迷いも取れ、霧も晴れ、何を見出し何処へ行く?


「敵IS、サードシフト!!」

「問題ない、どうせナノダイヤだ!!」

 

リーナの叫びに近い声に俺はそう答える

これから先は最新鋭機VS歴戦機の戦い、同じ傭兵でも、ここまで違うのかという驚きを見せてやろう

 

「あぁぁぁ!!」

「急激な変化に脳の処理能力が追いつかないか?」

「逆です!!余りにも高すぎる適合率で、限界を連続突破しています!!」

「これまた意外な」

 

意外な出来事、限界突破という驚きを俺に与えてくれた

それでもなお、あぁ・・・

 

「っと危ない!!」

 

それでも戦闘は行っている、先程から打って変わって近接戦特化

恐るべき加速度に驚きこそするが

 

「やはりまだ甘いな、油断していない分、隙がないのが救いといえば救いか」

 

どこぞの一時を除いて完全に油断ばかりをしていた奴とは桁違いだ

・・・それこそ俺の戸籍上での姉だが

 

「思い出すな、あの戦いを!!」

「なに・・・を!!」

 

おや、自我が戻ったらしい。脳細胞にかなりの負荷がかかっていたはずなんだが・・・

 

「はぁっ!!」

「脆いっ!!」

 

水晶剣を切り捌いて破壊し、距離を取る

 

「お前はまだまだ基本動作が甘いッ!!」

「うるさい!!」

 

滅多には使わない実体剣と、敵の水晶剣が激しくぶつかり悲鳴を上げる

かたや金属、かたや鉱物、共に材質は違えど硬度は同じ

唯一の違いは密度、金属は満遍なく平均的な密度をしているのに対して、鉱物は偏りがある

つまりどういうことかというと

 

「おぉぉっ!!」

「なっ!?」

 

弱点が多いということ、衝撃により破損してしまう弱点(ウィークポイント)を突けば砕くこともできる

 

「こい、小娘・・・俺はそんなものを開発するずっと前から戦ってきたのだ」

 

両手を雄々しく広げ、挑発する

何年どころの話ではない、何十年・・・ブラックフレームの雛形であるゼロフレームの開発前から俺は戦っていた

その歴戦、今や数える事もできない。それほどに多く、俺は常に()()という山の頂点に立っている

 

「確かにお前は強い、過去、自分の直接開発機の中で世界を破壊した男が言うのだから間違いない。が、その程度だ、単に強いだけ。ヒネリもなければクセもない、よく言えば教科書通り程度の戦い方で俺に勝てるとでも?笑止、その程度で俺は止まらん」

「つっ・・・」

 

これまで、展開したことのない感覚を解放する

それは覇気、誰にも負けんという心意気、凄まじいまでの覇気は殺気と勘違いするほどだ

 

「バケ・・・モノめ!!」

「結構、そう言われようと構わん。むしろその人間に伍する君も五十歩百歩だ」

「つっ・・・!!」

 

敵が繰り出したナノダイヤの輝きで、あたり一面がまるで"死の森"と化している

現にこれは、領域内に侵入したISからシールドエネルギーを吸い取り、自機のエネルギーへと転用する結界領域でもあり、攻撃して範囲が広がるとともに効率も上がっていっている

 

「性能にかこつけていないのは褒めてやろう、だがどうやったとしても結果は変わらん、貴様の敗北だ」

「そんな事!!」

「ありえない、なんてことは有り得ない。これは誰かの名言だったが、この場においては相応しかろう」

 

剣戟からの突撃(チャージ)に対応して掴みとり、水晶を赤熱化して熱崩壊させ、爆破、距離を取ってドラグーンによる精密射撃で領域を刈り取る

 

「くっ・・・!!」

「サードシフトで進化したのは単なる偶然だと思うかね?」

「仕込んだことだというの!?」

「そのとおり、仕込んだことだ。最終的にどのような機体を扱うことになろうとも、君の脳はそれに適応する。なまじ素の適応性が高すぎる故に起こり得る現象だが、方向性を持たせれば今のように、専用機でも達したことのない位階に達する」

 

それがマドカに施した施術の一つ、マドカ本人に関しては後付けのような形だったが、目の前の敵に関しては最初からだった

故にマドカとは比べ物にならないほど早くすみ、勘違いも起こしているが構わない

科学で測れない存在、それこそが人間という・・・俺が信じ続ける種族なのだから

 

「お喋りはここまでだ、終わらせるぞ」

 

剣を納刀し、構える・・・抜刀居合、その最速の一閃は音速を超える

 

「はあぁっ!!」

 

敵も最大出力で答えるようだ、かなりの出力を収束し巨大な槍を作っている

 

「砕けて、散れえぇぇ!!」

「シッ!!」

 

一閃のほうが早かった、縮地と同時に抜いた剣先は正確に装甲を破壊し、その衝撃で敵は吹き飛んで気絶する

 

「これでいいかな、リーナ?」

「お見事です、全距離対応とは思えない剣さばきでした」

「なに、大したことはない」

 

通信を切り、気絶している敵を抱える

 

「さ、君の旧友と再会させてやろう」




終わりはや!!味気ないっ!!
次話にて問題発生の模様、これまた嵐の予感ェ・・・



感想ください、作者のエネルギー蓄電池です


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嵐の前に

それは最凶の人間の胎動
奇跡を破壊する人間の登場に、動き始める者がいる


少し連休がある初秋の頃、家に帰れる時間のあった俺は、千冬姉ぇと一緒に帰っていた

 

「千冬姉?どうしたんだ?」

 

帰宅途中のふとした姉弟(きょうだい)同士の話し合いの最中、千冬姉ぇは何かに気がついたような目つきにる。鋭く、何かを警戒するような目に、一瞬だけなっていた

 

「いや、ちょっとな・・・少し急用が出来たのでな」

「・・・?、なんか作っといてやるよ。どうせ今日もカズマ達と飲むんだろ?」

 

そういえば今日はカズマとの飲み会という名の会議だ

もしくは会議という名の飲み会なのかな・・・

 

「••知ってたのか?」

「帰ってきた時に、いつも酒の臭いがすれば誰だってわかるさ。それより何がいい?」

 

幼い頃から様々な料理をしてきたので、同級生から上級生まで料理上手と呼ばれている

それでもまだまだと思っているんだが・・・

 

「そうだな、今日はあっさりしたもので頼む」

「分かった、刺身にしとく。はやく帰って来いよ」

 

そういえば冷蔵庫(今日の朝買ったものが入っている)

 

「あぁ・・・」

 

 

<IS学園校門前、織斑・千冬>

 

「じゃあな」

 

・・・これが私と一夏の最後の会話だった・・・千冬は学園の敷地を出て佇む

 

「おい、少し前から見ていた異常性癖者(ストーカー)はお前だな?」

 

しばらくしても反応が無いため振り返るが気配はあったのに誰もいない

 

「つっ!?」

 

奴はいつの間にか目の前にいた。千冬は瞬時にブレードを呼び出し構える

 

「・・・貴様、何者だ?」

「•••」

 

気づかないほど速い動き、只者ではない・・・一瞬だけだが、勝てるか?

 

「ダンマリか、何が目的だ・・・?」

「復讐のために不死の英雄は立ち上がる・・・」

 

どういう意味だ、それは?何を言いたい?

 

「なに・・・?」

「何も恐れる必要は無い、復讐という喜劇は始まっている(死によって解放された)のだから・・・」

 

いつの間にやら部分展開された腕で人差し指を向けていて

 

「!?っ」

 

体から大量の血が吹き出し倒れる、痛みすらない、一瞬の出来事に気がつかなかった!!

 

「・・・人間が英霊の心臓に剣を突き立てる事など出来ない」

 

奴はその場から歩き霧の中へ消えていき・・・

 

「まず・・・い・・・逃げろ、一夏・・・」

 

その声はいつの間にか降っていた雨に消されて、意識が黒に染まった・・・

 

 

 

<数十分後、カズマ>

 

「なに!?千冬が刺された!?」

「はい!!瀕死の重傷です!!」

「ちぃ!!医療班は既に動いているな!?」

「はい、動いています!!」

 

 

WALRUSの通信回線、しかも秘匿回線の緊急連絡が来たのは、会議開始30分前だった

 

「対外的には行方不明にしろ!!何なら殺されたことにしていいっ!!敵の動きが掴めるまでなっ!!」

「了解!!」

 

この敵は、最凶の部類だ。過去最悪・・・最強の敵・・・

 

「クソッ!!これは・・・詰んだッ!!」

 

ギリッ!!・・・と歯軋りの音が室内に響く

 

「まだ、大丈夫だよ」

「そうだ、万に一つの可能性は残されている」

 

篠ノ之・束と風鳴・翼の参加者二人がそれぞれ自分の見解を告げてくる

 

「あぁ、詰んだ程度で諦めるかよ!!詰んだんなら木っ端微塵に粉砕してやればいいだけのこと、掃除は任せるぞ?」

「うん、任せて」

「あぁ、任せろ」

 

これから先、次々と仲間を傷つけられていくと、この時の俺には考えが及ばなかった




最強の敵出現!!その名は次話にて明らかに!!
最凶の敵は何が目的で何をなそうと言うのか・・・謎だッ!!



感想ください、作者の脳細胞が活性化します


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闇を抱える者VS世界が生み出した災禍

それは最優と最恐の違い
それでも挑むのは、守るべき大切な存在があるから


「今度は(たばね)か···」

 

千冬の次にやられたのは束だった、しかも同じやり口である事から同一犯だ

 

「しかしやられる寸前で情報搾取に成功してくれたあたりは感謝だな、本当に···」

「この情報がなかったら今頃詰んでいた、感謝してもしきれん」

 

敵の攻撃で意識を失いながらも彼女は敵機の情報を吸い取った

そして判明したのは最悪の一言に尽きた。

日本の倉持技研に提供したアメリカとの共同開発機、Z-1(ゼータ·ワン)···(アマツ)だったのだ

しかもこの試作機はかつて自爆欠損事故を起こした"いわく付き"の機体である

 

「悪夢か、これは?」

「残念ながら現実だ、最悪なんて昔に通り越している」

 

現在進行形でそれが自分の大切にしている存在達を傷つけていると思う、それだけではらわたが煮えくり返る気分だ

 

「どんな経緯で使えているかはともかく、確実に破壊し尽くす」

「いいんだな?」

「俺の作ったものはあくまでも自衛と他衛の為にあるものだ、破壊のための道具などでは決してない」

 

セリアが聞いてきたのは自分の心血を注いで開発した最新鋭機を、自らの手で壊すことになる事を悲しんでの事だ

それでも構いはしない、大切な存在を傷つけられていつまでも黙っていられる自分ではない

 

「セリア」

「なんだ?」

「この戦い、WALRUSではなく俺の独断で行う。首を突っ込ませるなよ」

「そこまで言われて、"はい、そうですか"と、食い下がる奴がいると思うか?」

 

セリアの言に言い返せない自分がいた、組織の長として今の発言に恥を覚えたからだ

同じ思いを組織に所属する全員が抱いているのだ、だからこそ

 

「そうだな、今の発言は無責任だった。扱き使うから全員俺についてこい」

「それだよ、俺達はお前という主柱を支える支柱だ、使い倒される覚悟ぐらいは出来ているとも、だから···」

 

互いに向き合い、右手を拳にして突き合わせた

それは昔から変わらない友情の証のように、熱く激しい意思を込めた動作だ

 

「お前に俺達の全てを託すぜ?」

「おう、任せろ。()()()()()()!!」

 

そして俺は約定を違えたことは一度とてない、ただの1度もだ

故に今度も勝つ、そうなるべくして。そうしてのけるのだ、自分こそが

 

「襲撃です!!機体照合完了!!ゼータワン!!」

「来たか、遠距離飽和煙幕展開!!センサージャマーも加えろ!!」

「はい!!」

 

そう思っていた時をまるで狙っていたように相手が攻めてきた

これは好機だ、ここで一気に

 

「倒すぞ」

了解(ヤー)!!」

 

俺の独り言に全員が大声で返礼した、それだけ彼らも本気ということだろう

 

「よし···セリア!!」

「なんだ?」

「ここは任せる、俺を狙うように指示しても構わん」

「了解だ、流れ弾に当たるなよ?」

 

そう言ってセリアは指示を出しはじめた、それを視界の端におさめた後、戦場となる場所に向かう

 

「あはっ!!ようやく会えたね!!」

「よくもまぁ、やってくれたな、ガキ」

 

蓋を開けてみれば一夏と同じ年代(肉体的には俺も同じ)の人間だった

そんなやつがあのような大それたことをしてくれやがったのだ、怒りのあまりに頭がプラズマ融解してド安定しそうだ

 

「楽しいからいいじゃん!!」

「楽しい···だと?」

 

沸点を超える一言に足る言葉を聞いた瞬間、完全にタガが外れた

 

「よろしい、殺戮しよう」

 

右手を地面と水平になるように展開して"ある物"の名を告げる、それは

 

ロンギヌスランゼ·テスタメント(聖約·運命の神槍)

 

それはかつて、神の位階へと上り詰めた際に手に入れていたモノ。仲間の意識を束ね、利用する最高の力だ

その代わり、呼び出す本体たるブラックフレームは性能が急低下するというデメリットがある。

なまじ素の性能が高すぎるが故に目立つ欠陥だが、それに見合うだけの汎用性はあり、破格の破壊力を持ってもいる

 

「へぇ、おもしろ兵器だね!!」

「黙って、死ね」

 

そのためにお前の力を借りるぜ、セリア!!

 

「さらばヴァルハラ、光輝に満ちた世界。聳え立つその城も微塵となって砕けるがいい」

 

手に持つ神槍は青い色を放ち始める、ソレは元来の使用者の機体の色だ

 

「さらば、栄華を誇る神々の栄光。神々の一族も、喜びのうちに滅ぶがいい」

 

コレがセリアの機体、ブルーフレームのワンオフアビリティ、超々速度機動、その名は

 

「ワンオフアビリティ、ニブルヘイム·フェンリスヴォルフ(死世界·狂獣変生)ッ!!」

「速いね?」

「つっ!?」

 

ソレは史実上、視界に捉えることすら出来ないはずだった

しかし敵はそれが出来ていた

それはどのような仕業なのか、どうして敵はそれが出来るのか分かりはしないが、危険だという事はわかっていた

なのに

 

「なっ!?」

「あはっ!!」

「があっ!?」

 

敵の手が脚部装甲に触れた瞬間、内部から()()()()()()()()

 

「ぐっ!!」

「なーんだ、つまんないの」

 

たまらず地面に肩膝をついた俺を眺めながらそう言い放つ

 

「私を、ジークフリートを倒したいなら···()()()()()()()()よ」

「なにぃ?」

「あははっ!!その顔だよ私が見たいの!!」

 

そう言いながら敵の姿は消えていく、まるで最初からいなかったように

 

「また会いましょう、世界を変えた闇の勇者さん♪」

「待てッ!!」

 

その日、俺は転生して久しい感情···屈辱を味わった

味方の見守る、戦場で




ジークフリート登場。主人公に最大の危機が迫る!!



感想ください、作者がハッスルします


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闇の勇者を支える蒼VS破壊の化身

それは二人の友情が成し遂げる力、諦めを知らぬ男と、透徹した目を持つ男の力で···


「今度は貴方なの?しつこいね」

「いつまでも、しつこくしてやるさ」

 

俺、牧瀬·セリアが敵、ジークフリードを見ながらそう言った

我ながらほとほと呆れかえる、カズマがコイツに敗れてもっともキレているのが自分だというのに

 

「全く、よくもここまで事を大きくしてのけたものだ、感心する···」

「じゃあ、そのまま死んで?」

「断る、と言ったら?」

「殺す♪」

 

ここに激戦は開始された、ここから先は俺の戦いとなる

 

「バルムンク!!」

「効かぬわぁ!!」

 

敵の暗器···カズマに負傷を負わせた武器を封殺しこちらも反撃を開始する

 

「カズマ!!お前の力を貸してくれ!!」

 

その声に、通信の向こう側にいる本人が答えた

 

「いいだろう、好きに使え」

 

その言葉と同時に流れ込んでくる圧倒的な力···その本質はかつて、俺とカズマが互いを殺しあった時の状況再現だ

 

「バイパス接続、オンライン!!」

 

全エネルギーの循環系があまりの出力に悲鳴を上げ始める

それは俺と機体を包む光として出ていた

 

阿頼耶識(アラヤシキ)システム···同調完了!!」

 

ブルーフレーム、アラヤモード···最高レベルで感応した俺とブルーフレーム、そこにカズマの処理能力を加えた三位一体の極限状態

阿頼耶識システムはこの世界でその再現を簡易化するためにカズマが極秘裏に開発した非人道的なシステムだ

やらないと決めていた非人道的行為をした、その覚悟、俺も共に背負うと決めているッ!!

 

「強くなったのかなぁ!?」

「もっとだ、俺に力を貸せ、ブルーフレームッ!!」

 

左眼と口から出血があるが、それを無視して俺は戦う

 

「悪魔だね、まるで」

「超えてやるよそんなモノッ!!」

 

切り払い、蹴り飛ばし、離れた距離をこちらから一気に詰める

 

「速っ!?」

「遅い!!」

 

そのままヒザ蹴りを叩き込み、両手に剣を展開する

 

「くっ!!こんな性能なんて聞いてないなぁ!!」

 

それでもなおついてくるジークフリートに俺は限界を自分の知る

だからと言って諦める訳ではない、むしろその逆、"まだだ"と無視して突破する

 

「ようやくわかったぞお前の本質が!!お前はただの犯罪者(テロリスト)だッ!!」

「つっ!?」

 

ブルーフレームを介して流れ込んでくるカズマからの情報、それでコイツの本質を俺は見抜いた

カズマの推理と俺の透徹した目、それでコイツの本性を暴き出していく

 

「ソレを救いでないと知っていながら、さも自分が聖職者のように振舞っている!!笑わせるなよクソがッ!!」

 

鍔迫り合いからロングレンジの砲撃を叩きつけ、装甲にダメージを負わせる

更には加速力をダイレクトな衝撃波としてぶつける

 

「かはっ!?」

「これでぇぇぇ!!」

 

次の瞬間、全身から血を吹き出して倒れたのは自分だった

 

「あれぇ?」

「があぁ!?」

 

限界駆働に俺の肉体が耐えきれなかったのだ

しかも継戦時間は長時間というデメリットを抱えていたのもあった

 

「つまんないなぁ!!」

「げはっ!!」

 

一転、今度はこちらが危機に陥る。しかし俺は···表情を笑みに変えた

 

「なんで笑ってるのかな?」

「お前の死が、確定したからだ」

「···?」

「そうだろう、カズマ?」

 

そう、カズマがこの戦場に降り立った

闇の中で輝く光を作る、最優の指揮官が戦場に立つ

 

「その通りだ、故に終わらせよう」

 

ここからカズマの作り出してゆく未来が再び始まる




次話で主人公が主人公に戻ります、早かったね帰ってくるの
さて、どうやってこの最強の敵を倒そうか



感想ください、作者がエキサイトします


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闇に光明をもたらす者

それは主人公のかつての力の一つ
禁忌として封印してきた力が解放される


「なんでそんな早く復活できたのかなぁ?」

「気合と根性で何とか出来る」

「うわぁ···」

 

そう、俺は()()()()()()()()した

かなりギリギリだったがそれでも問題は起きていない···一つを除いて

 

「あなたのそばにいた女の子はどうしたのかな?」

「つっ···!!」

 

そう、イセリアが肉体を再び放棄した

それは俺にとって最悪な結果だった、故にもう負けないと誓いを立て直す

 

「勝手に殺さないでくれる?」

「あぁ、すまない、イセリア···一緒に終わらせよう」

「えぇ、私たちの未来(あす)のために」

 

俺を倒した武器で攻撃して来るジークフリートに、とった行動は殴打だった

しかもただの殴打ではなくプラズマを纏っている

 

「あははははっ!!」

「・・・」

 

笑いながら自分のダメージを気にしていないジークフリートに俺は告げる

 

「お前、痛覚が無いな?」

「それだけじゃないよぉ!?」

 

全身が凶器とも言える魔改造を施されたZ-1(ゼータ·ワン)(アマツ)の性能は遺憾ないレベルとなっていた

 

「味覚もないよ!!」

「知るか」

 

味覚がない、だからなんだと言う?

視覚を除いた全てがなくても、1日1日を大切に、真剣に生きていた少女を俺は知っている

お前のような人間が自分のエゴで世界を壊すというのなら···!!

 

「カズマ、やりましょう?」

「あぁ、やろう。イセリア」

 

俺達は封印してきた最後の力を開放することを決めた

 

「かつて何処かで、そしてこれほど幸福だったことがあるだろうか?」

「あなたは素晴らしい!!掛け値なしに素晴らしい!!しかしそれは誰も知らず、また誰も気付かない」

 

俺の言葉から始まり、しばらくはイセリアの独唱があるこの詠唱

その力は転生前の世界で、欲しいものから無くしていく、そんな不幸な運命に対する憤りから発現したものだった

 

「幼い私は、まだあなたを知らなかった。いったい私は誰なのだろう?いったいどうして、私はあなたの許に来たのだろう?」

 

最優の能力であるが故にバランスだけは非常に良い

それゆえに決定打にも欠けるが構いはしない

ここに2人で使う事にこそ意味があるのだから

 

「もし私が騎士にあるまじき者ならば、このまま死んでしまいたい。何よりも幸福なこの瞬間、私は死しても 決して忘れはしないだろうから」

「ゆえに恋人よ、枯れ落ちろ。死骸を晒せ」

 

これから先は俺の詠唱になる

とても少ないが、この瞬間、俺とイセリアの同調率は最高レベルとなっていた

 

「何かが訪れ 何かが起こった 私はあなたに問いを投げたい」

「本当にこれでよいのか?私は何か過ちを犯していないか?

 

かつて間違えた未来を作ってしまった清算をし続けた俺達だからこその言葉

その力は···

 

「恋人よ、私はあなただけを見、あなただけを感じよう」

「私の愛で朽ちるあなたを、私だけが知っているから」

 

そして詠唱は最終段階に入る、二人で同じ言葉を言い、終わらせるのだから

 

「「ゆえに恋人よ、枯れ落ちろ」」

 

急激に膨れ上がるエネルギーは外部から吸収を始めたモノだ

この合同ワンオフアビリティはその力を有している

 

「コンビネーション、ワンオフアビリティ···」

 

その名は···

 

「「ローゼンカヴァリエ·シュヴァルツヴァルト(死森の薔薇騎士)ォォォ!!」」

 

ここに薔薇の夜が再現された。

この合同ワンオフアビリティは、敵の弱化と自分の強化を超効率で行い、攻撃の死角がなくなり、時間が経てば経つほど有利になっていくという凄まじい性能を誇る

 

「くあぁぁぁっ!?」

「おらァ!!」

 

顔面を蹴飛ばし、逃げようとした所で足をつかんで地面に叩きつける

立ち上がったところでラリアット、そこから畳み掛けるようにアームストレートとアッパーカットを浴びせ昏倒寸前に追い込む

 

「う、くっ!!」

「そぉらよっ!!」

「かはっ!?」

 

逃げようとして後退したところを、後ろに回り込んでボディブローキックで中断させ、その間に見えない衝撃の波状弾幕を形成する

 

「うぁ!!くうっ!!」

「そこだぁ!!」

「けはっ!?」

 

コアが露出したところで鷲掴みにする、そしてそのまま···

 

「やめろ、やめろ、ヤメロォォォ!!」

「何をだよ、あぁ?」

 

ギギギッ!!と軋み、破損していくコアを握りつぶしながら俺は答える

 

「戦争を生み出せなくなるか?」

「そう、私はもっと人の!!」

(はや)く死ねよ」

 

握りつぶし、後ろを向いた

精神崩壊したジークフリートは、無言のまま倒れ、気を失った




主人公が主人公してる、だと!?
馬鹿な、ありえんッ!!
そんな冗談はさておき、次章より急展開があります(予告)
次章は何と、( )が( )に行きます(ネタバレしないように空字です)




感想ください、作者がエキサイトします


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決別

全てとの別れは突然訪れる、それは決意している者としていない者との違いでもあり、悲しき結末を迎える序章ともなり得る引き金で···


「疑いをかけられている事はわかっているな?」

「あぁ···」

 

ついにこの時が来てしまった

WALRUSの仕事とIS学園との軋轢が生じ、疑心が疑惑となったのだ

予測こそしていたが今暴発するとは想定していなかった、それでも即応しているだけマシだとは思っているが

 

「藍澤、まだどうにか出来るぞ?」

「言葉だけ受け取っておくよ、織斑·千冬」

「···敵と、なるのか」

 

そう、これからIS学園とWALRUSは敵同士となる

WALRUSは既に、拠点機能を()()()()に移管しており、いつでも切り捨てられる

 

「あぁ、済まんな。これも性分だ」

「お前とは、末永く付き合えると思っていたのだがな····」

 

この話がされていたのは、IS学園より数km離れた洋上だった。つまり、WALRUSは拠点を宇宙に置いたのだ

本来はレーダー監視網がある宇宙に拠点を置くのは自殺行為に等しい

それを可能としたのは、WALRUSの規模がなせるパトロンの多さにある

WALRUSは現在、12ヶ国の軍の軍事顧問並びにアグレッサーを、更には300近くの組織への協力をしているため、所属員は極少数でも、圧倒的な戦力となっている

それを極限まで利用したのが今回の出来事となったのはある意味不運だが

 

「お前を止める、それで全てを」

「終われると、思うなよ?」

 

ブラックフレームを纏い、構える。すると

 

「ならば、力ずくだ」

 

彼女はISを纏った、しかもそれは···!!

 

()()だとぉ!?」

 

彼女が現役時代に纏っていたISだった!!

 

「束に無理を承知で復元してもらった。これで現状はイーブンだろう?」

「つっ!!」

 

そう、現役時代の彼女は世界最強だ、故に

 

「他者の心を掌握し、その先の行動を操るのは容易だ」

「つっ!?」

 

俺の得意とする嫌がらせの一つ、過去を紐解いた上で最大限まで利用することを今回もしている

 

「過去を紐解く。ただそれだけで、対象者が選ぶ選択肢の予想は簡単につく」

 

今ここではないどこかで行われている戦争だってそのせいでもある

それを彼女に分からせよう

 

「嫉妬、憎悪、汚辱に恥辱」

「貴様···!!」

「消えない過去に縛られて、輝かしいはずの未来は、全て、愚かしい過去の精算ばかりに消費される」

 

そしてそれは、過去の俺も同じことで···

 

「それは俺とて同じ事···なぁ、千冬。お前達が踏み出すその脚は、前に進んでいると思うか?」

 

俺からの問いに千冬は即座に言い返せなかった

 

「もし、本気でそう思っているのなら」

 

武器を構え直し、静かに俺は告げながら彼女を見た

 

「見せてくれ、俺に」




次話、波乱の戦闘シーンだ!!(予告)

世界最強VS最優の勇者の戦いがはじまるぅ!!




感想ください、作者がハイテンションになります


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ブリュンヒルデVSエグゼキュター

世界最強の女性である織斑千冬、その敵となったのはかつて一つの世界を滅ぼした転生者、藍澤カズマ
その戦いの行く末に、何が待ち受けているのだろうか?


「いくぞっ!!」

「つっ!!」

 

踏み込みの速度に合わせるのがやっとな速さで織斑千冬が攻撃して来る

なんとか剣戟を捌き、距離をとる事に成功する

 

「厄介だな、その性能。復元ではなく強制解凍したのだろう?」

「つっ!!」

 

図星らしい、だと思えたのは余りにも人機一体だからだ。

復元であったなら習熟までの間、ほんの僅かだが動作に誤差があるのだが、彼女に限ってそれはなかった

だからこそ、強制解凍したという結論に帰着する

 

「やれやれ、だという事は零落白夜も使えるわけか。恐ろしいな」

「・・・」

 

剣戟を捌き、砲撃を行い、また剣戟を捌いて攻撃の繰り返しの中で俺は話す

余裕なんてない、あるわけ無いが、それでもしたい理由があった

 

「専用機持ちはそれぞれ部下が倒している最中だろう。そうしたら俺の出番だ」

「なっ!?」

 

そこからが俺の出番であるのは言うまでもない。そこから先が重要なのだから

 

「嘘···だ。お前は···自らの、学友全員の命を!?」

「・・・」

「藍澤ァァァ!!」

 

怒りの怒声と共に振るわれた剣戟は過去最速だった、やはり彼女も怒りで本来のスペックを発揮できるタイプか···

 

「一夏は、お前に憧れていたんだぞ!?」

「・・・」

「オルコットも、デュノアも、篠ノ之や凰も!!お前に憧れていた!!」

「一夏やセシリア、シャルルと箒、鈴音の事は任せるがいい。幸せは、保証しよう」

 

そうでなければここで戦う意味が無い。嫌疑を掛けられようと、非難されようと、存在し続ける事に意味があるのだから

 

「あ、あぁ、あぁぁぁぁぁぁッ!!」

「つっ!?」

 

さっきよりも早くなった動きに驚きながらも対応し距離を取る

同時に彼女は、怒りにまかせて突貫してきた

 

「藍澤ァァァァァッ!!」

「そうだ、千冬、俺への憎しみを、怒りをぶつけてこい」

 

記憶を回想しながら俺は彼女の急所を狙った攻撃をする。それは機動性を殺す攻撃である

 

「友情、愛情、信頼···そんな生温い感情は、残念だが今の俺には届かない。半身を失った、俺には」

 

急所を攻撃し続け、機動性と身体の自由を奪われた彼女に最後の一撃を与える

突き刺した剣の感覚から致命傷であるのは間違いないだろう

 

「・・・」

 

最後の一撃を与える瞬間、彼女は涙を流しながら俺を見上げていた

その意味は分かっていても、今の俺は止まれない、止まるわけには行かないのだ

 

「千冬、貴女に語った言葉に嘘はない。俺の半身を取り戻すためなら、俺は何だってする。そして···」

 

彼女を見下ろし、俺は小さく呟いた

 

「貴女はこの世界で唯一、俺を超えられる女性だったよ···」

 

夕焼けを身にあびて、俺はそこから飛び立つ宇宙船を見ながらさらに呟く

 

「あとは任せたぞ、お前ら」




あれ、重要な事が語られていないぞ!?なんだこの不気味な話は!!(混乱)
そういう訳で今回の話となりました、次話から次章に突入です!!





感想ください。作者が暴走します


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半身喪失

それは主人公が自らの半身と語るほど大切にして来た存在を失う事
その喪失は、主人公を狂わせた


「イセリア···由宇···」

 

ベッドで眠る二人を見ながら、俺は名前を呟くことしか出来なかった

 

「カズマ、奴が動いたぞ?」

「そうか、今行く」

 

セリアからの連絡に答え、俺は司令室に入る

IS学園、ひいては国連を裏切ったWALRUSではあるが、その業務は山積しており、まだまだ組織規模は拡大中である

特にいまは大きな策戦の前だけあり人員が足りないため追加増員を決定していた

 

「シェイドの動きは?」

「最近の目撃情報から推測されるのは、WALRUSの地上基地への強襲です。既に三つの基地が奴の手で落とされています」

「そうか、地上基地への軍備を拡充しろ、本部は手薄になろうと構わん」

「はっ、取り計らいます」

 

報告を聞き、俺はそう指示を出す

一見、とんでもなくおかしい指示であるが、それほどコチラには余裕がある

幹部の戦闘能力ははっきりいってチートクラスであるからだ。

亡国機業(ファントム·タスク)実行部隊、モノクロームアバター、スコール隊隊長、スコール·ミューゼルを代表とした第三小隊影雨(ファントム·レイン)だけでも5大国のうちの一つと争う事が可能である

そして、代表である俺の直属部隊、第一小隊天秤(ライブラ)の場合はそれをさらに上回れる

 

「シェイドとの交戦からもう1週間か、二人は目を?」

「覚ましてない、だからこうして狂っている」

 

自分で自分が狂っていると自覚できているのに治さないのはそうしてはいけない理由があるからだ

俺はここで立ち止まれないのだ、二人がどれほど大切であったとしても、組織を率いている以上、仲間の事も考えねばならない

それゆえに···

 

「俺が死んで、二人が目を覚ましても真実は伝えるな。余計な心配はさせたくない」

「断る、真実を告げて、それでお前を地獄の底から引き摺り上げてやる。俺の時のようにな」

 

俺はかつて、セリアを死の底から蘇らせた上で半殺しした事がある

その時俺が言った言葉は···

 

「家族を見捨てる気か、お前は?」

 

家族···共に戦う仲間をそう言いかえていた

その時と全く同じ言葉をよりよってその時の相手に言われると···

 

「笑えんな、全く」

「あぁ、全くだ、この大馬鹿者め」

「お前に言われたくねーよ」

「ふん···」

 

意識の戻らないイセリアと由宇、2人の事を強く思いながらも俺は歩み続けるしか今はできない

もし立ち止まりでもしようものなら、2人に殴られるだけで済むかわからないし···

 

「2人がお前を半殺しにするかもな?」

「勘弁してくれ、好いた女にはめっぽう弱いんだぞ?」

「知るか」

 

セリアはそう言いながら笑い、俺をサポートしてくれている

そんな仲間に感謝しながら、俺は新たな始まりを告げる狼煙を上げる準備を始める




新たなる章の始まりに相応しくない展開だぁぁぁぁぁ!!
ネタが無いから早く終わるのでお付き合い下さいーッ!!



感想ください、作者が爆走します


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騒乱編Ⅱ
破壊と再生、その先を望んで


それは一人の青年の物語
惨劇を生み出して世界を壊し、創造による破壊と再生を行った者の記憶

それを知る人物が語る、もう一つの真実とは?


「捕まっちまったか・・・」

 

のんびりと起き上がりながら俺はそう言う

これもカズマと計画した流れではあるが面倒な事には変わらない

 

「お前達の隠してきた秘密の一つ、今日ここで明かしてもらうぞ?」

「やれやれ・・・お前ら、それが()()()()()を持つのか分かっているのか?」

 

俺達がコイツら・・・一夏達に隠してきた事、それは聞けば後悔するようなものだ

それほどに、聞いたことにたいして後悔することになるのは間違いない

 

「つっ・・・!!」

 

これから語るのはアイツを語る上で最も忌むべき罪、人類を敵に回して勝ってのけた男の最期、愛しき者を失った時の行動を・・・

 

「語れるのが俺だけしかいない、最大にして最悪の出来事だ、それでも聞く覚悟があるというのなら・・・」

 

殺意を解放して睨みつける、これは俺の決意であると同時に本心だから

 

「死ぬ気でアイツを止めてみせろ。でないとお前ら、何も出来ずに死ぬぞ?」

 

それが結果となる、どのように未来を作ろうと、すべてを無意味にする力をカズマは持っているのだ

本人はそれを知ってるのか知らないのかはぐらかすが、俺はその一面を見ているからこそ分かる、アイツは神をも殺せる存在だと

 

「覚悟はある、刺し違えてでもカズマを止めるさ」

「いいだろう、その決意が揺らがぬよう、話してやる。一人の男の、運命に反逆した物語をな」

 

これから俺が語るのは真実、繰り返してきた転生の中で一番最悪の結果に陥った記憶だ

 

「俺とカズマ、もう面倒だから俺達は幾つもの世界を転生してきた。その原罪はある一つの世界で生み出されたものなんだ」

「え・・・?」

 

幾つもの世界、とはこれまで言ってなかった事だ

()()()()()()とは言って来たが、()()()()()()と言うのはおそらく初めてだろう

 

「その世界は魔法と科学が高次元で融合した世界だった。そこでのカズマは一時期、本当に救われていたような・・・とても穏やかで暖かな時間を満喫していたよ、心の底からな」

「前に聞いていた、最初に転生した世界なのか?」

「その通りだ、最初に転生した世界で、自分が壊してしまった故郷を思い出して、思わず泣き出すほどに救われていた・・・あの時までは」

 

そう、あの時までは、だ

その理由は・・・

 

「自分の全てをとして蘇生した女の子・・・()()()()を失って、アイツは元に戻ってしまった。彼女からしてみれば本望なのかもしれないが、少なくともカズマはそれを望んでなかったのだから」

「アリシア・・・?」

 

その名はおそらく初めてだろう、一度も言っていない名前。あの世界・・・"魔法少女リリカルなのは"の世界の事は一度も語っていないのだから

 

「カズマがその世界で自分の命の半分を賭けて救った人物だ、聡明で、愛らしい女性だったよ」

 

時たまイタズラを仕掛けてきていたが、それも愛おしいと思えるほど心優しい女性だった。今でも思い出すと、微笑んでいる顔をしか浮かんでこないぐらいに

戦いの中で育ってきた俺や、戦争で自身を狂わせてしまったカズマにとって、彼女の存在がどれほど大きかったか、今になってわかる

 

()()()()()()()()、ただそれだけの事が、俺達にとって何にも代え難い存在になっていた。彼女の為なら命もかけると、そう決意していた・・・なのに」

 

結果は、惨劇だった

そう決意していた、そのために戦った、命さえとして寿命を削って得た結果は・・・

 

「俺とカズマは、敵に敗れた」

「なっ・・・!?」

 

俺とカズマが組んで戦えば、国連軍が総力戦で挑んできても半年は均衡を保てる。このことは前に言ってあるが、それを()()()()()()()が超えていたのだ

 

「そして、カズマは身体の55%を喪失した」

「馬鹿なっ!?敵はそれだけの力を有していたのか!?」

「あぁ、敵はそれだけの力を持っていた、決戦時は更に出力を上げていた」

 

限界まで出力を上げた事で敵には絶対性がなくった、それを利用して辛くも勝ったが、こちらも甚大な被害を被った、それは・・・

 

「決戦後、残った寿命はたったの5年だった。残ったその期間、カズマが何をしていたかわかるか?」

「・・・」

「贖罪だよ、月命日に彼女の墓に行って、献花していた。季節の花と、彼女の好きだった花を添えてな」

 

毎月、月命日にアリシアの墓の前にいるカズマはまるで抜け殻のようだった。魂の抜けたように全ての事を諦めていた

正しく絶望のドン底。それでも・・・

 

「それでも・・・最後の最後に、奇跡は起きた」

「え・・・?」

「奇跡・・・?」

 

一夏達が驚く、その奇跡、最後の奇跡は・・・

 

「死にゆくその時に、彼女と再会したんだ。死にゆく俺とカズマの前に現れた彼女は、言葉を何も発しない代わりにいつものように微笑んで・・・」

 

ただ一言、たったの一言。ただそれだけで、ただそれだけに・・・どれほどの意味があったか・・・

 

「ありがとう。ただそれだけを告げて、消えていった・・・」

「・・・」

 

その言葉一つで、カズマがどれほどの涙を流したか。考えずとも分かる

 

「救った者に救われて、再度の転生を願った」

「今度は、このような事にならないように・・・と?」

「あぁ、自分の手で、今度こそ守れるように、とな」

 

守りたかったものがあった、救いたい存在がいた。それを今度こそ守れるように・・・と、呪うかのように心の底から祈った

その結果の果てに、今アイツが思うのは・・・

 

「アイツは死にたがっている、心の底では死に場所を求めている。だからお前たちが止めるというのなら・・・」

「つっ・・・」

「殺すな、生かせ。殺す気で殺すな」

「なんてしんどい二律背反だよ、それ・・・」

 

それでもやってくれるだろう、一夏達なら。何故なら・・・

 

「俺達にはまだまだお前やカズマが必要なんだ、勝手に巻き込んでおいて殺してくれと世界を転々とするなんて許さねぇよ」

「・・・そうだな」

「だから、さ」

「止めてくれ、アイツを」

 

俺には出来ないことを任せる。一夏達だからこそ任せられる

 

「お前の、前に進もうとするその勇気、それこそが未来を掴む鍵だ」

「おう・・・」

 

微笑んで、互いに拳を打ち付ける。そこには互いを信じる信念があると、信じて




主人公が悲しいよぅ・・・主人公が邪神化しそうだよう・・・

でも、愛ゆえに壊れるのってある意味とても普通じゃないかと思う作者でした




感想ください、作者がエキサイトします(久しぶりのPC投稿だから)


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未来を望む者

絶望がその身を包み、前を見つめられずにいる青年の前に立ち塞がるのは彼の背中を見てきた少年

それは過去の自分が望んだこと、ここに未来と現在(いま) のすり合わせが始まる


「セリア、俺にカズマを倒す方法を教えてくれ!!」

「自分の未来を閉ざす覚悟はあるか?」

 

カズマは俺が倒すと意気込んだ一夏の翌日のセリフがこれだった、舌の乾かぬ内に自分だけの能力では不可能だとわかったらしい

 

「俺はかつて、自らの愛機を2度と使用出来なくなるのを覚悟の上でカズマと戦い、辛くも勝利した···お前は、白式を失う覚悟はあるか?」

「覚悟ならある、白式を失う事になっても、カズマを連れ戻すんだからなっ!!」

 

強い力を宿した目が俺を見つめている、そこには今にも溢れ出さんとする様々な感情があった

その瞳を見て、俺は···

 

「いいだろう、その方法はちゃんとある」

 

俺と同じ事を一夏にさせる事にした、幸いにもその為の装置は既に揃っていたのだから

 

「電脳ダイブ?」

「そうだ、白式のAI人格の空間にお前の意識をダイブさせる。そして対話して体得しろ」

 

方法を伝えると一夏は黙り込んだ、過去に似た経験をしてるからだろう

しかし方法はそれしかない、やるしかないのだ

 

「白式が教えてくれるかは分からん、それでも挑むか?」

「あぁ、やるさ」

「そうか、あとは好きにしろ、勝てない訳では無いからな」

「あぁ、そうする」

 

賽は投げられた、その先にあるのは絶望か希望なのか俺でも分かりはしないが、やる事に意味がある

やりもせずに立ち止まることなら誰でも出来よう、しかしそこから前に行くことには、それまで以上の覚悟と試練を自らに課さねばならない

それは使命なのだ、そして運命でもある

かつて俺はそれと戦い、この身体を血に染め上げたのだから···

 

「お前が少し、羨ましいな···」

「そういうお前らは、自分の行く道を選べなかったんだろ···()()()()()()()()と、追い詰められていたんだからな···」

「そうだな、俺達は()()()()()()、だからこそ未練がある、その未練が俺達の渇望だ」

 

機体のワンオフアビリティにも影響するほどのソレは正しく渇望そのものだった

俺は誰よりも早く仲間の元に駆けつけ、敵を討ちたいという渇望から天霆の轟く地平に、闇は無く(ガンマレイ·ケラウノス)を顕現させ、カズマは己の敵を確実に撃滅したいという渇望から闇の竪琴、謳い上げるは冥界賛歌(ハウリング·スフィアライザー)を顕現した

 

それは呪いであると同時に与えられた恩恵(ギフト)、運命を呪い、運命に救われた俺達への皮肉であった

 

「後悔はないのか?」

「ないよ、そう生きることを選択したのだから」

 

転生してもなお変わらないのは、救える命を可能な限り救う事、ただそれだけ

そして、穏やかに生きていきたい

しかしそれがどうしてこうも難しいのだろうか···切に願うことから乖離していく自分にはどうしても抗う事しか出来ないのだ

 

「だから、お前達、この世界に生きる者に世界は委ねられるべきだ、俺達はそのための舞台装置に過ぎない」

 

そうだ、俺達は本来、そうあるはずだろう····カズマ?

この思いは伝わらないだろうけど、それでも···

 




さて、次話にて急展開か?ドキドキするようなネタでないことは事実だっ!!


感想ください、作者がエキサイトします


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白式との対話

それは最後になるかもしれない戦いの前の対話、戦いの中でその意味を知る原作主人公は···


「じゃあ、行ってくる」

「おう、頑張ってこい」

 

電脳ダイブを始める前に、俺は付き添いで来ていたセリアにそう言った

相変わらずサバサバしているセリアの方が、迷いもなくすんなり行けるだろうと思ったからだ

 

「うごあっ!?」

 

入った瞬間、水の中だった、やべぇ早く水面に出ないと死ぬっ!!

 

「···!?」

 

その瞬間、逆に水中へと引っ張られた

 

「落ち着いて···見苦しいよ?呼吸なら出来るでしょう?」

 

言われてみれば、水の中だというのに呼吸が出来た、とりあえず礼を言わないとな

 

「ありがとう、白式」

「・・・」

 

白式の人格が手を振るった瞬間、そこにあったのは···

 

「雪片弐型!?」

「なぜ武器を出せるのか、驚いてる?」

「無理もない、彼がここに訪れるのは二回目···展開状態で来るのは初めてなのだから」

 

白式の後ろにいたのは、千冬姉ぇの残留思念だった

 

「なっ!?」

「貴方の機体のワンオフアビリティの名前を、もう一度思い出しなさい」

 

剣戟から一気に押し出される、破壊力は···

 

「零落白夜···」

 

なんでだ、なんで俺を襲ってくるんだ!?

 

「待ってくれ、俺は戦いに来たんじゃない!!お前に聞きたい事があるんだ!!」

「最後の零落白夜の事?」

「つっ···!?」

 

分かっていて、なんで攻撃してくるんだよ!!

 

「俺の言いたい事、分かってるなら···」

 

次の瞬間には、剣が俺の首をとらえて···

 

「何すんだよ!?」

「貴方に、ソレを教える訳には行かない」

「そうかよ···」

 

なら、やりたくなかったけど!!

 

「けど俺は、教えて貰わないといけないんでなっ!!」

「それがなんだ?」

「なっ!?」

 

今度は千冬姉ぇの残留思念と入れ替わり、斬撃を防いでいた···

 

「お前の守りたいものがどうなろうと私たちが知った事か···」

「つっ!?」

 

そして斬撃をモロに喰らい、地面に叩き付けられる

 

「思い違うな、一夏···お前の守りたいものが、私達の守りたいものではない」

「つっ···うおぉぉぉぉっ!!」

 

その言葉を聴いた瞬間、頭の中で何かが弾けた、裂帛の声と同時に上段で一撃を叩き込むがそれをエネルギーベクトルを変える事でいなされる

 

「どういう事だ!?」

「なにが?」

 

冷たい目、これほどに冷たい目を見るのはいつ振りだろうか?

あぁ、力を望んで千冬姉ぇの残留思念に睨まれた時以来だ

 

「俺の守りたいものがどうなろうと私たちが知った事かって、どんな気持ちでそんなことを言ったのかって聞いてんだよ!!」

「・・・」

「俺の為に力を貸してくれているんだって、さっきまで思ってた!!それは、俺の勘違いだったのか!?」

 

 

答えない二人に俺は叫ぶ

 

「今まで何を思って俺に力を貸してくれてたんだ!?」

「···言葉通りの意味だ」

「なに!?」

 

白式が手を広げ、叫ぶ

 

「この世界を見て!!」

 

その言葉に俺は気付く、そうだ···前に来た時はこんな世界じゃなかった

 

「水の上にあり、反射する景色が美しかったこの世界は、貴方の身近にあった街の風景に成り下がった!!」

「・・・」

 

それは反論も出来ない事実だった、たしかにそうだったから

 

「全ては一夏、貴方が絶望して歩みを止めたから!!」

「つっ···!!」

 

剣戟のラッシュに耐えながらも勝機を探す、でも違和感を感じていた

何か、これまで戦ってきたのと違うのだ

 

「まだ倒れないのか、一夏···」

「つっ···」

 

その声を二人が出すときには、全身にダメージを負っていた

無事な所はない、裂傷だらけで、現実世界なら数分待たずに絶命しているだろう

 

「倒れねぇよ、最後の零落白夜を聞き出すまではな」

「教える気はないと···言っているっ!!」

 

そして攻撃が再開される、そこでようやく違和感の正体に気が付いた

そう、倒すのなら最初で倒せていたのだ。

それだけの実力差があるのにもかかわらず、二人はしない

 

「おぉぉぉっ!!」

 

本当に教える気が無いのなら、戦わずに隠れればいい。それだけの事は出来たはずなんだ

 

なのにどうしてだ···

 

「ぐっ···!!」

 

どうして二人から、寂しさと悲しさが伝わってくるんだっ!?

 

「はあぁぁぁっ!!」

 

刺突が迫る、それを俺は···

 

「···良く、気がついた···ね」

「痛みが、無いのは当然か」

「えぇ、受け入れたのだから当然···」

 

うけいれた、反撃をせずに貫かれたのだ

 

「答えは、私達を受け入れる事、そして···」

「理解して使う事、そして···」

 

優しく2人を抱き締めながら、俺は呟いた

 

「ありがとう、二人とも···」

 

時間が来たのか、意識が薄れはじめる、戻る時間が来たのだろう

2人に感謝しながら、俺は···




まさかの展開になりました、これで主人公を倒せるぞっ!!
と意気込んでもなかなか倒せないのが主人公、シビアな戦いが始まります


感想ください、作者がオーバーヒートしていきます


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最後の力

残された手段は一つとなってしまった、それでも希望を背負う少年は立ち向かう
果たすべき約束と、いつか訪れる未来を作ろうと


1ヶ月後、学園から数キロ沖合に俺はいた、と言うのもカズマに直接届くメールアドレス宛に果し状を送ったのだ

 

「突然ここに呼び出すとはな、一夏···お前は今でも学友でいるつもりか?」

 

そうだ、俺は今でもお前の事を···

 

「思っているさ、学友だと···そして、倒すべき(ライバル)だとな」

 

だからこそ、ここでお前を止める

お前を止めることしか、今のオレには出来ないけど···

 

「だから止めてみせる、俺はそのためにここに来た」

「そうか、分からせねばならんようだな、格の違いというものを」

 

その言葉を放った瞬間、背筋が凍った

その凄みだけで常人なら失神している程だろう、自分ですら思わず半歩引いていた

 

「・・・」

「・・・」

 

同時に駆け出すと共に攻撃を繰り出していた、その速度、正確性は同レベルだ

まだカズマに()()()()()()()()という事か!!

 

「どうした、その程度ではあるまい?」

「くっ!!」

 

剣戟は苛烈を極めていく、スピードとテクニックが重なっていく

一瞬の気の緩みが破滅に導く結果になる、それは死を意味するだろう

 

「見ろ、これが俺の力だ」

 

背後の岩壁が消し飛んでいた、わずか一撃でこの威力···だと!?

 

「どれほどの力があればこの破壊を···」

「1.7ギガジュール。大陸間核弾道弾のソレと等しい」

「なっ!?」

 

破壊半径の計算だけで凄まじい事になる、人口10万の都市を焦土に変える決戦兵器じゃないか!!

 

「先に言おう、この戦い···俺の勝ちだ」

「言わせるかよ···」

 

汗が頬を伝う、冷や汗は止まらない

それでも勝つ方法は用意してきた、後はやるだけだ!!

 

「俺も言ってやるよ···お前を倒す」

「ほう···?その手段があるとでも言うのか?」

「あるさ、お前は最初から怪しいと思っている事があるだろう?」

 

そう、カズマは俺との剣戟で怪しいと思って一度フェイントを入れてきていた、それはほんの僅かにだがブレのあるものだった

怪しいと思った時点でカズマは···いや、()()()()()()()()()()()

 

「さっきの岩山砕いた剣戟、あれがお前のものだといつわかった?」

「・・・?」

「あの一撃は、オレのものだ」

 

その言葉を言った瞬間、カズマの動きは凍った

 

「何を言っている?」

「分からないか?」

「どうでもいい、俺の本気の一振りで砕いてやろう」

 

剣が振るわれる、俺はそれを片手で掴んで止めた

後ろの岩塊が消し飛ぶぐらいの破壊力を片手で止めたのだ

 

「何を驚いているんだ?」

「つっ!?」

 

驚きの表情で止まっていたカズマに俺は話しかける

 

「俺がお前の剣を受け止めたことが、それほどに驚く事なのか?」

「な、にぃ?」

 

表情が変わる、怒りのそれだろう

それでも構わない、本気であったとしてもまだ足りないのだから

 

「怖いのか?自分の目の前で、自分の理解出来ないことが起きるのが」

「ふ···面白い」

 

今度は侮蔑する表情に変わった、普段のカズマなら絶対にしない表情をしたことで俺の中での疑惑は確信に変わった

 

「俺の理解出来ないこと···か。勝ち誇ったような口を聞くなよ小僧!!今のはお前の膂力が瞬間的に俺を上回っただけの事だ。そのような奇跡も時として起こりはしよう、だが俺はそれをも凌駕する!!だから奇跡など二度と起こらぬよう、ワンオフアビリティで消し飛ばしてくれる!!」

 

発動するのはカズマの機体、ブラックフレームのワンオフアビリティ、神の杖(ロッズ·フロム·ゴッド)

ソレを正面にしながら···

 

「行くぜ、カズマ」

 

一瞬で懐まで入り込み、右肩を切り裂いた

 

「ぐぅ···!!」

「妙な気分だな···」

 

カズマは攻撃をギリギリで躱したらしいが、それでも出血していた。間違いない、今アイツは逃げた

 

「俺を攻撃させずに倒せるはずのお前が、自分から距離を取った」

「つっ!!」

「今度は俺から聞こうか···いま、なんで距離をとった?」

 

ワナワナと震えているのは怒りからだろう、それもそのはずだ然もありなんと言える

 

「俺と同列になれた事がそれほど嬉しいか、思い上がるなよ···人間風情があぁぁぁぁ!!」

 

叫び声と同時に姿が変わっていく、本来の姿に戻ったのだろう

そこに居たのは、バケモノと融合している人間だった

 

「こんなにも早く、化けの皮を自ら剥がす事になろうとはな···神の怒りを知るがいい、小僧」

「ふざけろよ、偽物が!!」

 

こんなやつにカズマは取り込まれてしまったのか?そんな訳が無い、現に敵は焦っているのだから

 

「そうだ、この一撃にて消し飛ばしてくれる!!」

 

核爆弾に匹敵する破壊のエネルギーが放たれた、それを真正面から受ける

 

「今のを受けてその程度か、だがその左腕はもう使い物になるまい!!」

 

その言葉と共にカズマの体を奪った敵はこちらに迫り、首を絞めてきた

 

「聞こえるか、織斑·一夏?お前は確かに、一時は最強であった。だが今は手にしたモノを失い見る影すらない!!今のお前には取り込み理解するほどの価値すらないのだ!!お前は神である私の手により死を迎える!!俺はお前を殺す事で人間という愚劣にして低劣な存在から完全に決別し再び神座に上り詰めよう!!」

 

饒舌に喋る偽物の言葉の最後はなんとなくわかっていた、あぁ、カズマなら絶対に叫ばない言葉だ

 

「終わりだ、織斑·一夏ッ!!」

「終わりだと?」

「ツッ!?」

 

驚きの表情に再び変わった敵に俺は睨みながら告げる

 

「こんなモノかよ?」

 

そして首を絞めている腕を浅く切って剣圧で飛ばす

 

「もう止めにしようぜ、偽物野郎。お前の講釈や理屈は···もう、ウンザリだ」

 

こんな奴に俺はやられたくない、負けたくない、だから

 

「見せてやるよ、これが最後の···零落白夜だ」

 

白い閃光が辺りを包む、その先あるのは···




最後の零落白夜の正体とは!?次話にて明らかに!!


感想ください、作者の励みになります


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閑話休題、という名の設定(10)

今回は記念して最新設定のまとめと、今後登場予定の新型機についての設定が!?


ブラックフレーム

型式番号:CBR-X00

使用者:藍澤カズマ

開発者:藍澤カズマ

内部装甲素材:電磁相転移装甲

外装装甲素材:多用途電磁相転移装甲

 

藍澤·カズマが開発した自身の専用機

近中距離即時対応·高速機動強襲機という仕様分類の機体で、性能は作中全ての機体を上回る。

本作中にて数度の改修の結果、その性能は作中世界最強と言えるレベルとなっている

 

武装は平均的なもので占められており、機能の多様化よりもユーザビリティに重きを置いている

 

武装

 

ビームサーベル

直剣型の荷電粒子で形成された熱切断兵器

 

ビームライフル

荷電粒子を高速連射する火器、冷却方式は液体窒素循環式を採用している

 

腹部複層ビーム砲

余剰したエネルギーの捌け口として開発された装備、固定装備であるため前面にしか放てないが構えずに撃てるために乱戦などでは非常に使い勝手が良い

 

ドラグーン·システム

4対の羽根に搭載された遠隔砲撃装備、連射性、破壊力共にB·T兵器ブルーティアーズのソレを上回る

 

両腕部ビームシールド

両腕部に搭載された荷電粒子の膜を展開する装備、高エネルギー砲撃にすら耐えられる出力を誇る

 

 

 

 

 

ブルーフレーム

型式番号:CBR-X02

使用者:牧瀬·セリア

開発者:藍澤·カズマ

装甲素材:多重積層ナノカーボン

 

藍澤·カズマが自身の専用機であるブラックフレームの量産化を計画して開発した機体

その為型式番号は1つ飛びではあるが連番となっている

性能は近接格闘戦特化となっており、装備も汎用性の高いものが多い

 

武装はブラックフレームと共有されている、その為ブラックフレームの武装の使用も出来れば、逆にブラックフレームで本機の武装を使用することも出来る

 

武装

 

日本刀型ビームサーベル

日本刀のように反りのあるビームサーベル、熱切断効果は直剣型を上回る

 

短銃身機関砲

短銃身の機関砲、どの場面でも使える汎用性を持つ

また、銃身下部には銃剣を装備できるポートが存在する

 

ビームコーティングシールド

荷電粒子の膜を展開する装置のついた小型盾、出力次第ではビームサーベルの代用も可能

 

 

 

グリーンフレーム

型式番号:CBR-X03

使用者:清水·アヤナ

開発者:藍澤·カズマ

仕様変更:ライブラリアン

装甲素材:複層圧着ナノカーボネート

 

藍澤·カズマが清水·アヤナの専用機として開発したブラックフレームの直系機、初期の仕様では遠中近距離を対応できる汎用機として開発されたが、ライブラリアンと呼ばれている軍内組織による改修の結果、砲射撃戦特化機へと変貌した

 

武装は砲射撃特化であり、近接用兵装は1種しかないが、汎用性を持たせることで対応している

 

武装

三連装マイクロミサイルポッド

両肩外側面に装備されるミサイルポッド、全弾発射後に自動でパージされる

 

46口径三連装対空レーザーバルカン砲

両肩に装備される対空レーザー砲、使用時は砲身が前面にせり出す。対空防御だけでなく対人・対IS戦でも有用かつ効果的な汎用性を持つ

 

150mmガンランチャー

右背面アームに接続される電磁レールガン。散弾による複数目標への攻撃など、面破壊特化武装。通常の質量弾頭の他にも、徹甲弾や榴弾などの各種特殊弾頭も射出可能

 

74mm高エネルギー収束火線ライフル

左背面アームに接続される大型ビームライフル、ブラックフレームを上回る射程を持つ

 

対装甲散弾砲

ガンランチャーを前に、収束火線ライフルを後に連結した広域制圧モード、散弾のタイプは通常弾と融解弾、テルミット弾の三種から選択する事が可能

 

超長射程狙撃ライフル

収束火線ライフルを前に、ガンランチャーを後に連結した高威力・精密狙撃モード、本機最長の射程を誇る

 

ビームブレイドランス

荷電粒子の刃槍、両腰に二つ装備される近接防御用装備。連結させることでツインランスと呼ばれる高出力モードになる

 

 

 

 

ホワイトフレーム

型式番号:CBR-X01A

開発者:???

解析者:藍澤·カズマ

仕様変更者:藍澤·カズマ

装甲素材:薄型対放射能対策ナノカーボネート

 

イセリア·アンクフレートの使っている機体、藍澤·カズマがブラックフレームを開発する以前に軍部より本体が開発されていたが、そのカタログスペックを出すためのソフトウェア開発が難航したためモスポール処理をされた上で凍結封印されていた

フレームの名を冠する全ての機体に共通して搭載されているSTRIKERシステムの搭載を考えた藍澤カズマの手により封印から解かれた本機は当初考えられていたカタログスペックの限界値をやすやすと突破してのける性能を獲得していた為に後のブラックフレーム以降の機体開発に優位となるほどの資金を獲得することに成功している

 

武装は精密狙撃と高火力による殲滅戦に特化している

 

 

武装

 

ビームサーベル

ブラックフレームと同規格のモノを採用。

 

ビームマシンガン

ビームライフルの連射性をさらに高めた試作装備

 

ビームシールド

両腕部と背面装備の武装複合盾に装備されている

本機では更に機能性を高めており、展開幅を変えることで両刃の剣としても使用できる仕様変更がなされている

反面、エネルギー消費量が増大したため連続使用に耐用出来ないデメリットを持つ

 

アトミックバズーカ

超々高出力のビームキャノン、射撃時には身長を上回るほどの長さの砲身となり、専用の照準システムによって目標を捕らえる

その破壊力は書面上では戦術核クラスとなっているが、最大出力では戦略核並みの威力を発揮する

不使用時に砲身はスライド収納されコンパクトに纏められており、左背面に装着されている

 

多連装ビットシステム

大型3基、大型に内蔵される中型6基、中型内蔵の小型12基という圧倒的な多さを誇る遠隔攻撃装備、大型3基は大出力のビームを放つために小型ジェネレーターを内蔵している。また、このジェネレーターは中型、及び小型へのエネルギーチャージも使用される

中型は高速度のレーザー攻撃に使用され、小型は両刃剣の剣先のように鋭いため直接攻撃に多用。また、連携させることでバリアフィールドを展開する機能を有する。

不使用時には背面右側に装備されるコンテナユニットに収納

 

腰部武装コンテナ

薄い箱型の小型武装専用コンテナユニット。下記の二つの対集団戦(及び攪乱)に特化した武装が内蔵されている

 

爆導索

爆薬を内蔵したワイヤーを射出し、目標物を拘束したのち、内部の爆薬が爆発し対象を破壊する装備。ワイヤーを絡めるために目標周辺を旋回する必要があり、そのため減速せざるを得ないという欠点がある

 

デコイ・ディスペンサー

ミサイルなどの照準を必要とする武装の攪乱用煙幕弾

アクティブ型とパッシブ型の二つがあり、用途に応じて使用される他、同時使用も可能である

 

 

 

今後登場予定の機体

 

???

型式番号:CBR-X17B

装甲素材:不明

使用者:不明

開発者:不明

 

黄金に輝く装甲、ブラックフレームなどのSTRIKERシステム搭載機の全ての武装を一時的に奪えるなど、同種システム搭載機であるのは判明しているがその他の機能など全てが不明の機体

上半身はブラックフレーム、下半身はブルーフレーム、背面はホワイトフレーム、腕部はグリーンフレームというキメラで全スペックにおいて初期型(X-0ナンバー)を上回る

ゴルドフレームと使用者は呼んでいるが···?

 

武装は上記フレームシリーズの全武装に加え腕部·手足装甲内部に隠したモーターブレード、破壊特化の機体のためか全体のバランスは非常に悪いはずだが、最良の使用者を得たためかその性能を遺憾無く発揮している




ゴルドフレームのネタはゴルドドライブであるのは間違いないです(ネタバレ)
つまりは···?


感想ください、作者がハイテンションになります!!


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光を纏う者

それなんて最終決戦(?)


「なんだ···その姿は!?」

 

一瞬の閃光の後に、織斑一夏の姿は変わった

黒く短かった髪は銀で長い髪になり、体つきも女性のソレに近くなっている

更には、その身を鎧う装甲も白と銀の二色になる

 

「最後の零落白夜、それは俺自身が白式となることで使えるワンオフアビリティだ」

 

そこに至っても織斑一夏からは何も感じない

 

「バカな···ありえんっ!!そんな事があっていい筈がない!!」

「・・・」

 

ゆっくりと腕を挙げていく一夏、その手には白い一条の光の剣が握られていた

 

「そんな事があっていいはずがあるか!!人が、人の作ったモノが神を超えるなどと!!」

 

しかし現実は変わらない、結果は···

 

月蝕(イクリプス)!!」

 

白色の閃光が、その身体を砕いた

 

〈戦場、一夏〉

 

月蝕(イクリプス)の一撃でカズマの偽物を消し飛ばした俺は岸壁に降り立った

その瞬間に何かが落ちた音がして、そちらに振り向く

 

「はぁー、はぁー!!」

「まだ、再生するか!!」

 

倒せたと思った、思っていた。

それでも予想を上回る回復力に心の底から驚く

 

「つっ···!?」

 

1歩、踏み出そうとした瞬間に全身を脱力感が襲った

同時に白式とのリンクが閉じていくのを感じた

白式との絆が、消えていく···!!

 

「どうやら限界らしいな、織斑一夏!!」

「くっ···!!」

 

カズマの偽物は立ち上がり、俺に剣を向ける

 

「そう、神に勝てるはずが無いのだ!!つっ!?」

 

その直後に変化が起きた、その胸部から、赤い光の柱のようなものが出てきたのだ

 

「なんだ、コレは!?」

「それは封印、だよ」

 

知らない声が聞こえて、二人してそちらを見る

 

「完全に取り込まれた場合にはソレを持って貴方を封印する、その様に開発したのさ」

 

そこには、和服を着た保健医、神主·鮮花(かみう·あざか)さんだった

 

「ふん、それもどうやら無駄のようだな!!見ろッ!!」

 

カズマの偽物が纏うブラックフレームが姿を消していく

 

「俺は今、織斑一夏と同じ位階に上り詰めたッ!!」

 

その瞬間、その装甲がかき消える

 

「なっ···にぃ!?」

「だから言っただろう、それは()()だとな」

 

鮮花さんの声が変わる、口調も

 

「元々、神様ですらない人間を懲らしめるための天罰としては凄まじいものだ、その強制力はすべてを上回る。チェックメイトだな」

「貴様···まさか!?」

 

鮮花さんが1歩進んだ瞬間、姿が変わった

服装はそのままに、よく知る姿に···

 

「そう、本物の藍澤カズマだよ。姿形を奪われたから身体は新たに作ったけど、そちらに移ってくれたのが僥倖だな」

「まさか、この身体は!?」

「サブボディさ、本体はこちらだよ?」

 

俺には付いてこれない話がされている、体が違う?サブボディ?

えぇ···と。俺がしていた事は無駄だったのか?

 

「無駄じゃないさ、一夏。お前がここまで敵を圧倒してくれなかったら奪い返せなかったものもあった」

「その先読みやめろよ、カズマ」

「はははっ!!」

 

俺の横を通り過ぎ、カズマは敵の前に立つ

 

「藍澤カズマ!!」

「君には封印されてもらうよ、人が神になろうなどと、おこがましいにも程がある」

 

ヤレヤレ、といいながらカズマはさらに一歩敵に近づく

 

「それにこの世界のバランスは安定している、お前がやろうとしているのは···」

「それは敗者の理論だッ!!」

 

敵はカズマの声に叫び返した

 

「お前は勝者なのに、なぜ敗者の側に立つ!?勝者とは常に、世界をどうしようかと考えるのに!!」

「それこそが間違いだよ、勝者が考えなくてはいけないのは、世界をどうするかなどではなく、未来に何を残せるかだ」

 

悲しげな目でカズマはそう言って、敵に背を向けた

 

「少し目線が違うだけで、こんなにもすれ違うなんて···虚しいな」

 

その瞬間、敵は完全に封印された




という訳で一度も出番のない新キャラ(と見せかけた主人公)が根こそぎ持って行きました!!
何してんだが、作者は



感想ください、作者のエネルギーに変換されます


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紡がれる未来

白式を失った一夏の一日です。
何故か爆弾を投下されます


「・・・」

 

目が覚めたら保健室だった、決してしらない天井じゃないけど、一面が白に覆われた空間にいると少し怖いものがある

 

「そうか···」

 

俺は、白式を失ったんだな···

そう思っていると、おもむろに気になることが浮かぶ

 

「カズマ、なんで女性体のままなんだ?」

 

そう、カズマは女性体に戻っていたのだ

 

「もともと、俺はこの世界に来た時から女性体だったよ。逆にお前達に見せてた方はエネルギー消費のデカい方さ」

「つまり···?」

 

回答の意味がわからず、さらに質問する、帰ってきた答えは···

 

「つまりは()()()ってことさ。ちなみに転生する前、というより大元の俺自体は男なんだが何故か世界によっては性別が異なる場合がある」

 

意味が、分かんねぇー!!

 

「まぁ、簡単に言うとだな、俺が心の奥底でイメージしている女性の姿が今の姿。という事だよ」

「転生時にバグってそうなった···という事か?」

「そゆこと」

 

タバコを吸いながらカズマはニヤリと笑い、話しを続ける

 

「幸いにも、男性体であるお前達に見せていた姿は限りなく俺のオリジンに近い、そこは安心してくれていい」

 

安心できる要素がどこにあると思ってんだコイツは···

 

「イセリアさんは?それと由宇も、あの2人は意識を···」

「あぁ、それならお前が目覚める数時間前に意識を取り戻したよ。敵を封印したら簡単に意識を取り戻してくれた」

「封印した敵は?」

「丁重に五感を奪って無間という地獄に叩き落としておいた、余程の事が無い限り開放はしない」

 

敵はあの後、マスドライバーと呼ばれる宇宙への物質運搬方法を利用して、WALRUSが国際社会に訴えて作った刑務所、通称·無間地獄において初の受刑者となったらしい

しかも五感を奪った状態での収監である、容赦が欠片も存在しないのは相変わらずか

 

「俺は、どうしようかな···」

 

白式を失った俺には、IS学園にいる理由がない

資格を失っているのだから当然といるだろう

 

「それについて、更識·楯無現生徒会長様から直々に話があるそうだぜ?」

「そうねぇ、コレは非常に、とても大切な話よ?」

「うおぁ!?」

 

カズマの後ろにいつの間にかいた楯無さんに驚くが、カズマは

 

「ほら、早く話せ、でないと割と真剣に落とすぞ?」

「いやん、困るわ!!」

「知るか、落ちろ」

 

冷静に窓から落とそうてしていた

 

「そんな冗談はさておいて、織斑君」

「何でしょう?」

「次期生徒会長に任命します」

「···はい?」

 

俺が寝ている間に一体何があったんだ!?




謎の生徒会長任命!?
な回でした、ほんとにこの生徒会長様は···


感想ください、作者がハイテンションになります


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託されるもの、最後の過去

託されるモノは重く、そして負いきれなかったもの
最後の過去が明かされる


「というわけで次期生徒会長は俺で決まりらしい」

「俺にそれを言うのか?」

 

翌日、事の次第をカズマに伝えたら呆れ顔で返された

 

「まぁ、確かに、お前が適任といえば適任だろうよ?」

「何でだ?」

「人を使うのが上手いから、お前は人の上に立つ資質がある人間だ」

「でも、俺は」

 

あの日以来、俺は練習機すら使えなくなった

世界で初めてにして唯一ISを使える男性適正者はいなくなったのだ

 

「それがどうしたという?公表されても何も問題になってないだろう?」

 

そう、IS学園の次期生徒会長は既に公表されている

それでも問題が起きていないのは···

 

「お前達の働きを手伝っただけだろ、俺は」

「そうでもないさ、お前がいなけりゃ危ない場面もあったんだ、誇れよ」

 

そう言ってカズマは俺の背中を叩く

 

「どんなに辛くても、希望はそこに残っている。諦めずに前に進めば、自ずと道も開けるはずだ」

「あぁ···」

 

その言葉の意味は、前だけを見て進め、という事だと理解した

万策尽きてなおカズマ達は抗い続けるように、絶望を吹き払うという事だ

 

「人間だけが神を持つ···だったか」

「己の中にある、()()()()()()()()()()()()、それこそが鍵なんだ」

 

諦めなければ夢は必ず叶う、とカズマは何度も俺達に伝えていた

その本人も今回だけは流石に折れかけたそうだ

それでもこうして復活できたのは、自分を倒す決意をしてでも仲間として思い続けた皆の心が伝わったから、らしい

 

「お前は、何なんだ?」

「俺は、人類史の傍観者さ」

 

ふっ···と浅く笑うカズマの横顔は、今まで見てきた表情とは違った

まるで、何かを諦めきれない表情だったのだ

 

「なぁ、カズマ」

「なんだい?」

「そんなになってまで、お前が成したかったのは、何なんだ?」

「救済、かな」

 

これから語られるのは、最後の一面

俺が憧れ始めた存在の、()()()()()

 

「俺は、英雄に憧れた」

「正確には、正義の味方···だったよな?」

「あぁ、そうだ」

 

正義の味方···カズマにとってそうだった存在、養母である藍澤·ミヤはカズマの前で死んだそうだ

その横顔は微笑のままに

 

「彼女は特別な人間だった、その特殊さから忌避される程に」

「特別な人間?」

 

疑問を質問すると、返ってきたのは···

 

「彼女は人類の···人の願いを無差別に叶える力を有していたんだ」

「人の願いを···無差別に叶えるだと!?」

「あぁ、それゆえに、人と世界を天秤にかけて、一の犠牲で全を救う事をして来たそうだ」

 

正義としては、歪んでいる···そう感じた

その歪みが何なのかは分からないが、歪んでいるのは間違いない

 

「それでも、俺を研究所から救い出した時に···その考えを捨てたそうだ」

「何でだ?」

 

それはこれまでの人生への反抗ではないだろうか?

何故、なのだろうか···

 

「俺の触れた手が、俺の目が、これまでの自分とまるでそっくりだったから。そこに虚無を見たそうだ」

「虚無···」

「そんな虚ろなモノのために人生を賭した訳では無かったそうだ。最後の最後に彼女が残した言葉は、今も俺の中に息づいている」

 

カズマにとって二人目の母親、藍澤ミヤの残した言葉···

 

「私は正しく成ろうとして際限なく間違いを重ね続けてしまった、そうしてどう使用もなく行き詰まった果てに、都合のいい奇跡(俺という存在)を求めたんだ」

「お前が、彼女の能力を受け継いでいたのか?」

「いや、受け継いではいないよ」

 

悲しげな横顔が、やんわりと俺の問いを否定した

 

「悲しいかな、俺の能力は攻撃のみしかない」

「防御という性質がないのか?」

「あぁ···」

 

悲しいかな、それはカズマの性質が、人類史の傍観者というものだからだろう

傍観者はただ見るだけ···という事か

 

「見えない月を追いかける、暗闇の夜の様な旅路だった」

「・・・」

 

それこそが人生だろう···と言いそうになるが、カズマが言おうとしているのは意味が違う

 

「カズマは、なんて答えたんだ?」

「暗闇なんてあるものか、月は見えなくても···星は輝いている。正しく成ろうとする事が間違いなものか、私が、間違いになんかさせない!!と答えたよ」

 

カズマは幼い頃、女性体がメインだった様だ

というのも、本人が前に言っていた

"幼い頃は女性体を基本の姿として生活していたよ、そちらの方が生活には困りにくかったからね"と

 

「その人は、なんて言ったんだ、その後?」

「そうだね···それなら、安心だ···それが最後の言葉だったよ」

 

最後の言葉の意味、それは···

きっと、()()()()()()()()()()()()()という確信から来た言葉だろう

 

「彼女にとっての最後の希望、それがお前だったんだな」

「そうである事を、祈るしかあるまい」

 

その悲しげな横顔は、まるで···

 

「だから一夏、俺はお前に託したい!!」

 

悲痛な叫びをカズマはあげる

 

「俺は結局、()にしか()()を見いだせていない!!」

「つっ!!」

 

確かにそうだ、カズマの()には、犠牲になった者達しか映っていない

 

()()()()()()()()ッ!!お前は、()()()()()()()()()()()()になれる!!」

 

弱々しい、今のカズマは正しくそれだった

身体が男性体に戻るまでまで期間があるのもそうだろう

それよりも、カズマの中の何かが折れているのかも知れない

 

「俺は···」

 

だから俺は···

 

「正義の味方には、なれねぇや」

「・・・」

「俺には、まだ正義がなにかなんてわからねぇからな。でも、お前の人生を知って、思っている事はある」

 

俺が思ったのは、カズマの人生から俺が得たものだ

 

「お前は、間違ってなんかいねぇよ。その時その時の選択は間違いなんかじゃねぇさ」

 

そう、その時の選択は決して間違いなんかじゃないんだ

人類全体から、あるいは長期的に見れば間違いかもしれないけれども、その場においては正義であったはずなんだ

 

「お前の今までの行いを、悪だという奴がいるのなら···ソイツは間違いなく、俺達の敵だ!!」

 

カズマが見出した正義の成れの果てを俺は知っている

その先にあった絶望も、話に聞いている

だからこそ絶望を希望に変える、という意味で黒を自分の色としているのだ

 

「絶望を希望に変える、お前のやってる事は間違いなんかじゃない!!」

 

意識失いながらカズマは頷いて、眠りに落ちた

俺は、守るために力が欲しい···今までのように




希望を託されてもなお、今は力無き少年
力を求めた先には何があるのだろうか!?


感想ください、作者の励みになります


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織斑一夏の謎

それは今まで語られてこなかった織斑一夏の謎
彼がどうしてISを纏うことが出来たのか、その秘密が明らかになる


「皆、真剣な話がある」

 

昼休み、俺は皆の持つ電話にメールを打っていた

 

「放課後に生徒会室に来てくれ···っと」

 

俺は()()()()を胸に、放課を待つ

 

 

〈放課後、生徒会室〉

 

「それで、重要な真剣な話とはなんだ?」

「まだみんな来てないだろ、もう少し待てよ」

「···」

 

俺と同じタイミングで来ていた箒が急かすが、みんなが来てからでないと話す気は無い

コレはそれほどに重要な事なのだから

 

「よし、揃ったな」

 

それから数10分後、生徒会室の席は全部埋まっていた

今は最後の一人、カズマを待つだけだ

 

「悪いな、遅れた」

 

その最後の一人も席に座り、全員が俺を見る

 

「みんな、今日は部活をサボって来てもらってすまない」

「そーね、サボって来たわよ」

「これから話すのは、俺がカズマに言って調べてもらった···俺の過去だ」

 

俺は小学校に入る前の記憶がない

幼いから当然、という人もいるだろうが、想起できない訳では無いはずだ

それが俺には出来ないのだ、だから第三の可能性···記憶を弄られている可能性が浮かんだのである

 

「そして、調べてもらった結果がコレだ」

 

映像としてモニターに出したのは、調査結果の書類だ

 

「遺伝子に改良と改造の()()を確認···この事から織斑一夏を人造人間と断定する」

「つっ!?」

 

マドカも含めた全員が驚きに声すら出せない

カズマはその中で平然と茶を啜っていた

 

「思えば、そうではないか?という場面がいくつもあった。重体からの奇跡的なまでの回復、生死に関わる危険な状態に陥った時に限って一夏は切り抜けてきている」

 

これまでは単なる偶然で片付いていた、だが裏を返せばそれは調べる努力を怠ったという事だ

力をなくした俺がそれに気づいたのは、ある意味では必然なのかもしれない

 

「さらに詳しく調べてもらった結果がこれになる」

 

1枚めくり、詳細な検査結果を表示させる

 

「俺のDNAの改変されていた部分は、自己治癒力と空間認識能力の部分と判明した」

「そこまで、わかるのか···」

「カズマが調べた事だからな、カズマに聞いてくれ」

 

カズマに答えてもらった方がわかりやすいと判断して先を促して俺は席を立つ

 

「確かに一夏のDNAには改変が確認された、しかし現在は痕跡のみであり、どの様に戻されたかは判明していない」

「どういう意味だ?」

 

確かに改変されている、その痕跡が確認されたのに普通の人と同じ構造になっていることに疑問を感じるのだろう

みんなが頭にクエスチョンマークを浮かべている

 

「それはわからない、何らかの方法としか言えないのが事実だ···しかし、それこそが一夏がISを纏えた理由なのではないか?という推測はできている」

「改変されていたDNAの部分がISの適正に関わる事···か?」

「その通りだ、どのように関わるのかは研究が必要だがね」

 

カズマが両手を上げ、降参というようなポーズをとる

 

「だけど、これで本当の意味で奇跡ではなくなったという事になる」

 

一時は奇跡の男性適正者とまで取り沙汰された一夏のIS適正は、DNAを弄られていたからと判明した

しかし、ここで新たな謎が生まれる

 

「一体誰が、どうやってDNAを元に戻した?」

「考えられる可能性は2つ、一つは彼の使っていた白式、もう一つは篠ノ之束」

「姉さんは、なんと?」

「返答していないため分からない、だが何かしらの秘密を隠しているのは事実だ」

 

どうして隠したままにしているのかは本人に聞かなければわからないが、やましい事でないのだけはこの場にいる全員が分かっていた

優しい彼女だからこそ、知られたくない事もあるのだ

この場にいる、由宇も同じく秘密にしたまま隠している事がある

 

「私から一つ、いいか?」

「何だ、由宇」

「白式のコアナンバーは00(ダブルゼロ)···つまり一番最初のコアだ、それならば幾つかの条件が揃えば、一夏に起きた事が説明出来る」

 

コアナンバー00···白式のコアは世界初のIS、白騎士のコアを初期化、転用したものである

しかし、初期化してもなお使っていた織斑千冬の残留思念が残るなどの不可解な現象が起きている

 

「世界初のISのコア、そしてその使用者であった織斑千冬の弟である事、これから考えられる事は···」

「織斑一夏が再びISを纏えるかは、彼自身にかかっているという事かな?」

 

カズマが由宇の言葉を奪い、由宇はカズマの言葉に頷いた

 

「一夏、白式だが···」

「修理は出来ていない、アクセスエラーを返して無応答を貫いているそうだ」

 

あれから白式は修理のためのコマンドポートをも閉じて無応答のままだ

壊れているのでは?という技官もいるが、一夏とカズマは共通見解として、()()()()()()と考えている

 

「また、戦いがきたら···俺は戦う」

「それが一夏が話したかった事···だね?」

「あぁ···今日は俺の為に時間を作ってくれてありがとう、みんな」

 

そしてそこからは宴会のような小さな会食をし、お開きとなった

この日が、それぞれの決意の日である事を全員が思いながら




一夏の伏線をとりあえず回収してみた
ここから先は伏線回収が最優先だなぁ···


感想ください、作者がエキサイトします


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リフレイン

少年は夢を見る、その夢はこれまで自分が辿ってきた過去
そして、決意の朝を迎える


「ここかぁ···」

 

夢の中の俺は試験会場でポツリと呟いた

そう、IS学園に入るきっかけになった場所で

 

「これ···ISか!?」

 

試験官どころか、警備すらいない室内にあったのは適性検査のために運ばれていたラファールだった

それに触れて俺は男性適正者となったのだ

 

そう、全てはココから始まったんだ

 

「箒···!!」

 

場面が変わり、シルバリオ·ゴスペルの暴走事件で、密漁をしていた漁師達を見捨てようとした箒を叱責していた

 

「箒ぃぃぃ!!」

 

攻撃をカズマと一緒に受けて、俺の意識が落ちる

そして再び場面が変わり、雪羅が追加された白式で再戦している自分がいる

 

「うおぉぉぉぉ!!」

 

最後の一撃を与え、シルバリオ·ゴスペルは落ちる

 

「かえ···せ!!」

 

今度は白式を奪われかけた場面になる、あの頃まではマドカもオータムもスコールも敵だった

今では共にいる仲間だが···

 

「こい、白式ッ!!」

 

カズマが窮地を助けてくれ、俺は再び白式を纏うことが出来た

 

「思いは届かなくても、願いは叶わなくても、そこに挑戦する意味がある、そして掴むからこそ未来となる」

「カズマ···」

 

再び場面が変わる。夕日を浴びながら、俺の横に並んでみんなを見ているカズマはそう言った。

自分が生まれた世界で、多くの人達を救おうと開発した兵器で戦争を起こされてしまった

その尻拭いと、開発してしまった自分への自罰として軍に協力して対抗策を開発したら、今度はそれが火に油を注ぐ結果となったのだ

しかも、その果てに自分の成り立ちを知ってしまった

絶望したカズマはそれでも戦い続けた、自分を犠牲に多くの人を救おうとした

 

「足掻くことにこそ、意味があるんだよな···?」

「そうだ、足掻き、踠きながら答えを探し続ける···その先にたった一つの答えがある」

 

カズマはこれまで、ずっとそうしてきた

そしてこれからもそうするだろう

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

それがカズマの強さだ、誰にも負けない権謀術数、手練手管···そんなカズマに勝つ方法は一つだけ、自分の強みを極限まで生かしきること

 

「世界はどうしても容赦ない、何処までも闇が広がっている事だってある」

「それでもお前は、その中に一筋の光を見た」

「だから、俺は諦めない」

 

諦めないから、掴めた選択がある

足掻き続けた先に、尊いものを見た

 

「俺も、お前のように強くなれるか?」

「それは知らんね、強くなるきっかけなんて人それぞれだから」

 

カズマは恥ずかしそうに笑って、少しだけうつむいた

 

「こういう時に役に立たねぇな」

「うるせぇ、激情熱血唐変朴念仁」

「殴っていいか?」

「2000倍で返してやるよ」

 

すぐあとにチャラけた空気にするあたり、カズマらしい気の配り方だ

 

「なぁ、カズマ」

「力を手にしたのは単なる偶然だ、そこに疑いの余地はない」

 

力はただ力でしかない、その使い方一つで世界すら壊せてしまう

 

「全てはお前の判断が成すことだ、その先にある答えがお前を導く鍵なる」

「そうだな、お前ならそう言うと思ってた」

「ふん···分かっていて聞くんじゃない」

「すまねぇな、聞きたい気分だったんだよ」

 

そう、全ては選んだから導いてきたものだ

だからきっと、この先もそうしていける




次話、ついに動きが!!



感想ください、作者が元気になります


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謎が暴かれる時
亡霊(レイス)


それは隠れ続けた男の物語
ここに、新たな戦いの種火が産まれる


〈WALRUS基地、???〉

 

「···っう訳で、アレのワンオフ試作機をくれよ」

「まるで世間話のようなノリで言うのな、ソレを」

 

俺はWALRUSの基地に来ていた、目の前にはその代表、藍澤·カズマがいる

 

「レイス、Ζ1(ゼータワン)·(アマツ)のワンオフカスタム試作機とは言えアレはお蔵入りしたモノだ、簡単には渡せんぞ?」

「そこを何とか頼むよ、代表さん」

「・・・」

 

無言で睨まれた、どうやら無理っぽいなコレは

 

「はぁ···がっかりだぜ」

「諦めろ、アレはアメリカ軍との共同資産だ」

 

それは知ってたけどよ···まぁしゃあねーか

 

「大体そもそも、お前は二人の子供の親のクセして···」

「その二人に危機が迫っているんだよ、お前は分かっているだろ?」

「・・・」

 

再び無言。そう、伊達にアイツらを放っていた訳じゃない

この数十年、ずっと俺は探してきたモノがある

そしてついに知ったのだ、それが何処にあるかるか

知ったのは、三年前···それからずっと準備してきた

 

「聞かせてくれないか?」

「何をだ?」

「夏と冬、二人になぜ、季節を表す言葉を付けた?」

 

ソレね、よりによって聞くのが

 

「俺が生涯で唯一愛した、(アイツ)の名前の一部だからだよ」

「そうか、冬夏と言うのか」

「あぁ···」

 

懐かしいな、もう死に別れて20年か···

 

「馴れ初めは?」

「任務でミスって血ィドバーってしてた所を拾われた」

「うわぁお、何てグロテスクゥ···」

 

喧しいわ糞ガキ黙って聞けよ

 

「で、拾われクマーした後に護衛の仕事が」

「よりによって本人から来たのか?」

「そうだよ」

 

出されていた酒を飲み、グラスをあける

すぐに注がれた新たな酒は、かなり高級なモノだ

 

「それで恋仲になってめでたくゴールイン、な訳はなく駆け落ちして結婚というわけね」

「なんでそこまでわかる?」

「俺も似たようなものだからな、結婚はまだだが」

「しろよ」

「まだ若い」

 

精神的には既に成人のクセしてまぁよく言うわ、呆れて言葉が詰まったぞ?

 

「それで、あの2人が生まれたという事だな?」

「正確には違うな、夏の方はとある任務で見つけた赤子だ」

「拾い子か···」

 

正確には"助け出した"が正しいがまぁいいか

 

「夏を付けた子供が最後で良かった、あんな非人道な計画は何が何でも破棄すべきだ」

「アイツが生命の危機に無意識で発動した力はそういう裏があったのか···」

 

そう、俺が親になれず戦い続けている意味はそこにある

アイツを最後の犠牲者にしなければならない。

それが今を生きている大人として、未来にその選択の正しさを問いかけるために出来る事と信じて

 

「あと一つの切り札があれば···いいんだがな」

 

そう言って俺は部屋の扉の前に立つ

 

「コレは独り言だ、聞き流してくれ」

「?」

 

独り言をわざわざ聞き流せ···?

あぁ、()()()()()か!!

 

「二日後に、ココからある試作機が出される、卸先はアメリカ軍···黒い装甲色に展開装甲が特長だそうだ」

「・・・」

 

それだけの情報があれば十分だ、後は

 

「大層な()()()だな?」

「ふん、さっさと帰れ」

 

さて、そう言われたら帰るしかないですかねっと




最終章開始まで、残り僅か!!


感想ください、作者が歓喜に涙します


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Z2(ゼッツー)、虚空(そら)を駆ける

それは最強の傭兵が使う黒き機体
新たな力を手に、最後の戦いに挑む


「だれだ貴様ッ!!」

「いや誰ってそりゃあ、強盗犯だよ?」

 

最後の1人を殴って昏倒させた俺はコンテナの中に入り、その中にある機体を確認した

あいつの言う通り黒い色をした機体が鎮座している

 

「よし、ゼッツー···飛翔する!!」

 

コンテナを内側から突き破り、空を駆ける

ISではない技術で作られているとは思えないほど、こちらの動きに追従してくるこの機体は、かつて強奪されたZ1(ゼータワン)·(アマツ)とやらのワンオフカスタム試作機だ

大きな違いが、近接戦に特化していたZ1と異なり、砲撃戦を主体としている事だ

 

「お蔵入りしたワンオフ試作機とはいえ、流石はWALRUS謹製品、性能が桁違いだな!!飛ばすぜ!!」

 

レーダーが敵を捉える、所属は···

 

「国内でありながらアメリカ軍とかち合うなんてな!!」

 

でも今の俺は急いでいる、だから悪いが

 

「もたもたしてらんねぇ、突っ切るっ!!」

 

砲撃が命中し、進行を止められた

 

「問答無用かよ、悪いが、進路上にいる奴は排除するぜ!!」

 

大型艦艇を確認した、アレが基地らしいな···だったら!!

 

「甘い!!」

 

攻撃をギリギリで躱しながら接近、エンジンを破壊しないように調節しながらメガビームライフルでプロペラを空から狙撃して破壊する

 

「当たらんなっ!!」

 

武装をクレイバズーカに持ち替え、各種武装群を破壊する

対空掃射砲、ミサイルターター、魚雷発射管、全てを破壊して離脱する

 

「新しい敵部隊か、総数見るだけでうんざりだわ···」

 

相手をしている暇は一切ないので、メガビームライフルの銃口を海面に向ける

 

「でぇぇりゃ!!」

 

そのまま最大出力で海面を薙ぎ払い、巨大な水柱を立ち上がらせて離脱する

途中、それとは別口の敵とかち合うが···

 

「邪魔すんじゃねぇよ!!お前らも、国家も、俺には関係ねぇんだよ!!」

 

弾幕を強引に突破し、包囲を抜ける

 

「つっ!?見えたっ!!」

 

そのまま進んでいたら、親として接してられなかった家族2人がいた

 

「よし、まだ運は俺に味方してくれてるようだな!!」

 

同時に、10年間探し続けた存在もいた

 

「撃つなよ!?敵じゃねぇからな!?」

「誰だ···?」

「あー、トラヴィス·カークランドだ。千冬はわかるよな?」

「つっ···!!」

 

ギリッ!!と音が鳴りそうなレベルで俺を睨む千冬を尻目に敵に向き直す

 

「話は後だ、敵が集まりつつあるからな···完全包囲される前に活路を開くぞっ!!」

「わかりました!!」

「行くぞ、二人とも!!」

 

いま、ここから戦争が始まる




という訳で、次話にてようやく原作主人公の視点になります
突然出てきたキャラの正体とは!?


感想ください、作者の脳がトップギアになります


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再誕の白

それは奇跡の再現、奇跡の果てに得る最後の力とは?


「警報···!?敵が来たのか!?」

「そうだ、少し遅いがな」

「つっ···!?」

 

後ろからした声に振り向くと、そこには俺に似た姿の男がいた

 

「何もんだお前?」

「未来のお前、本人だ」

 

姿はそのまま、声だけが変わった、低く重い声に

 

「俺は世界に捨てられた、その意味がわかるか?」

「言ってろ、今更言われて驚くと思ってんのか?それに···どうでもいい、俺が好かれる必要は無いんだからな」

 

そう、世界に好かれる必要なんてない、人はそれぞれ別の生き物、好かない奴もいれば、好くやつもいる

 

「そうか、やはり俺はここで死ぬべきだな」

 

未来で何があったかは知らない、知るすべがないから

だけどこれだけは言える、コイツは何かを知っている!!

 

「お前は何を知ってんだ?」

「お前の進んだ先にある答えを」

「その先は、変えてやる」

「そうか···ならば死ね」

 

奴が纏ったのは···俺のよく知る機体を黒く塗りあげたモノだった

 

「白···式···!!」

「そうだ、お前が生涯持ち続けた宝物、その果ての姿だ」

 

ゆっくりとした歩を進めながら未来の俺は語る

 

「残ったものは死、だけだ。できるだけ多くの人を救おうと殺して殺して殺し尽くした···結果その数千倍の人々を救えたよ」

「残ったのは後悔、だけか!?」

「そうだ、お前···いいや俺には人を救う資格などない」

 

なら、それを否定してやる

 

「なら、俺とお前は別人だ、俺は後悔だけはしない!!だから、お前の事も認めない!!間違った理想は、俺自身の手で叩き潰す!!」

「愛機もなく、どう戦うという?」

「つっ!!」

 

確かに、白式はない。それでも、今の俺にはコイツを倒さなければいけない理由がある!!

 

「それでも···!!」

「その甘さが、おまえを殺す!!」

 

剣戟が始まる、相手の攻撃を躱し、掻い潜り、攻撃を与える

同時に軌道を逸らして攻撃を無効化する

···はずだった

 

「ぐっ···がっ!!」

 

結果はボロボロだ、未来の自分に打ち負けていた

攻撃の間にもその記憶が垣間見えてしまった、それで理解した、してしまった

 

「うっ···ぐっ!!」

 

今、ようやく。カズマの言葉の意味を、その無念さを理解出来た

全てを救おうとした道の果てには、その全てを失う断崖があった

あぁ、もう···月の明かりも、星の明かりすらも···もはや、見えない

 

「死ね、織斑·一夏」

「1つ、聞きてぇ」

「なんだ?」

「仲間を傷つけた気分は、どんなだ?」

「最悪だ」

 

そう言って、未来の自分はそのまま俺を投げ飛ばした

 

「がッ!!」

 

そうだ···もう、(奇跡)は無く、(希望)も無く、(理想)は闇に溶けてしまった

それでも···あぁ···それなのにッ!!

 

「あぁ、あぁぁぁッ!!」

 

この体()が残っている!!

だからこれは、今抱いた感情は祈りじゃなく

もっと独善的で、矮小で、どうしようもなく無価値な自分に向ける!!

 

〈戦場、織斑·一夏(未来)〉

 

「馬鹿な···白式の、復活だと!?」

「・・・」

 

この世界、俺が救世主としての運命を歩き始めるその日に自分を消そうと現れた

しかし結果はどうだ、最悪の一言だ

この日まで織斑·一夏は白式を再展開不能だったはずだった

なのに今、目の前にいる織斑·一夏はそれを纏っている

両手には剣とクロー、どちらも零落白夜の発動で高い威力を出す兵器だ

 

「何故かはわかった、俺に覚悟がなかったからだ」

「つっ···!!」

「こいよ、未来の自分()···俺はお前という自分を、打ち負かすッ!!」

 

その瞳には強い覚悟があった

瞳の色が、金になっている

その力がなにか知っていても、()は止まらんだろう

だから···

 

〈戦場、織斑·一夏〉

 

「お前は英雄になりたいのか!?」

「なりたいんじゃねぇ、絶対になるんだよ!!」

「そうだろうなッ!!なぜならそれがお前にとって、唯一に等しい感情だからだ!!」

「何をッ!!」

 

激しい戦闘が再開される、その速度はイグニッションブーストのまま空中戦を繰り広げる程だ

 

「お前は、憧れただけだ!!」

「つっ!!」

「お前を助けた、姉である織斑·千冬のあの姿があまりに美しく、同時に自分の無力さを知ったあの日!!そこから、自分とは違う藍澤·カズマの行為の尊さに涙し憧れた!!」

「それの何が悪いッ!!」

 

確かに憧れた、それを己の夢と描いた

だがそれの何が悪い!?

確かに夢は夢でしかない、絶望する程の現実だってある!!

だけど、それでも叶えようと努力さえすれば、本当にそれはきっと!!

 

「自分を犠牲にして誰かを救おうなどと、空想のお伽噺だ!!そんな夢しか抱けぬならば、抱いたまま溺死しろッ!!」

「するかよ、するわけには行かねぇんだ!!」

 

剣戟は鋭さをさらに増し、一撃が必殺となる

 

「そうだ、それこそが俺の過ちのはず!!」

「決して、間違いなんかじゃない!!」

 

俺はそう叫び、裂帛の勢いに乗せ、未来の自分の雪片弐型を破壊した

そして···

 

「俺の勝ちだ」

「あぁ、そして、俺の敗北だな」

「俺は、未来に何が待ち受けていようと後悔はしない···絶対に乗り越えてみせる」

「そうだな、そうでなければならない」

 

ざぁ···という音を残して、未来の自分はこの世界から消えた

元の世界に帰ったのだろう、きっと

 

「まだ、戦いは始まったばかりか」

 

周りから敵の反応が来ている、すごい数だ

思わずうんざりしてしまう···

 

「ん、千冬姉ぇ!?」

 

味方のIFFを覗いたら千冬姉ぇが戦闘していた、かつての愛機たる暮桜で

 

「マジかよ、急いで向かわねぇと!!」

 

かつてカズマにまずは家族から救えるものを救うと言った手前、ここで千冬姉ぇを救えなかったら

 

「救えなかったら、男じゃねぇ!!」

 

俺は復活した愛機、白式で再び空を駆ける




はい、白式復活ぅ!!

いやはや本当に難産だった、次はサクサクしたラスクみたいな内容だよ!!


感想ください、作者が鳴いて(誤字にあらず)喜びます


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クロスオーバー

過去と現在が衝突し、未来になる
その中で、世界を壊した男がついに牙を向く


「織斑·千冬」

「十年ぶりか···懐かしいとは言わんぞ」

 

俺がそこに来たのは、戦闘が始まる少し前だった

 

「はいはーい、ちょーっと待とうか」

「「つっ···!?」」

 

二人が同時に俺に振り向く

 

「「何のつもりだ藍澤(転生者)?」」

「何のつもりも何も、君たちが戦うのは少しアレでね」

 

ブラックフレームを展開し、構える

 

「だからここで、裏切ることにした」

 

ドラグーンを展開、全武装をスリープモードからアクティブモードへ固定し二人に襲いかかる

 

「やはり貴様はそうするか!!」

「するとも、俺が何回世界と、国を破壊したと思う!?」

 

二人を同時に相手し、俺は有利な状況を作り上げていた

 

「一つや二つじゃない、世界なんていくつも壊してきた、数なんて数えるのも億劫な程にな!!」

「くっ!!」

「貴様ッ!!」

 

織斑千冬の剣戟を左手で白刃取り、もう1人の敵の攻撃はドラグーンの一斉射撃で対応する

 

「さぁ、来たまえ···俺を倒して見せてくれ!!」

 

今まで隠してきた全てのスペック···ブラックフレームの真価を見せる

 

「その姿は···!?」

「これこそが、ブラックフレームの新なる姿だ」

 

今までの姿はシステムではなく装甲で抑えてきた

余りにも高すぎるスペック故に、開放するだけでも莫大なエネルギーを放出してしまう

だからスリムでありながらマッシブな体型の機体として封印してきた

本来の姿は、服そのもの

黒に金の線が入った長袖·長ズボン、腰にはサーベルとアサルトライフル

人機一体型戦闘支援システム·STRIKER(ストライカー)の融合形態だ

 

「さぁ、足掻いてくれ···時の魔神の前で!!」

 

黒き光を纏う、時を伴侶とした覇道の神の息子が叫ぶ

 

時よ止まれ(レース·ノウァエ)君は誰よりも美しいから(アルゾ·シュプラーハ·ツァラトゥストラ)!!」

「くっ···!!」

 

ギリギリでその効果範囲から抜け出した織斑·千冬ともう1人の敵は、同時に攻撃する

 

「はあぁぁぁぁ!!」

「うおぉぉぉぉ!!」

「アクセス·我がシン!!」

 

その瞬間に、藍澤·カズマは攻撃手段を変える

 

AGLA(アグラー)、来たれ太陽の統率者!!」

「まさか···!?」

「貴様ッ!!」

 

ここでそんなものをやらかすか!?という驚きが織斑·千冬ともう1人の敵にある

そう、この攻撃は···

 

「モード、パラダイスロストより···ウリエル実行ォォォ!!」

 

莫大なレベルの熱エネルギーの開放、そこから起こる破壊は桁の時点で比較できるものはない

唯一わかりやすく説明するのならば···

 

「ツァーリ·ボンバ4発分の破壊力、その身に受け切れるか!?」

 

皇帝爆弾が早いだろう、それの数発分が僅か一回の攻撃に費やされている

 

「さぁ、魅せろ···君達の輝きを!!運命に足掻くその姿をォォォッ!!」

 

全ての楔から解き放たれた藍澤·カズマを止めるものはここに居ない

この姿こそ、普段の彼が最も忌避する姿

感情よりも抗い難き衝動に流されている状態なのだ

 

「やがて夜が開け闇が晴れ、お前の心を照らすその時まで、我が言葉を灯火として抱くがいい」

「まさか···!!」

「コレは···!?」

 

天元突破、すべての物理法則を無視して彼は更に高い出力を出していく

 

「神話の再現だ、神代の時代に生まれた業火を受けるがいいッ!!」

 

その名は···

 

ロッズ·フロム·ゴット(神の杖)!!」

 

コレが、世界を破滅に導いた男の本気···

人を超えてしまった者の姿だが

 

「止めなさい、バカッ!!」

「ぐほぁ!?」

 

それを見事に止めたものがいた、何を隠そう、藍澤·カズマの恋人···イセリア·アンクフレートと峰島·由宇だった

このふたりは彼に対する抑え役である

 

「っとアレ!?どーして俺はここに!?」

「「記憶してないのか!?」」

 

立ち塞がれた織斑·千冬と敵は同じ言葉を紡いだ

 

「いやはや済まないな、どうやら記憶が飛んだようだ!!」

 

ブラックフレームも元のIS近似の姿に戻り、今まで起きていていた現象が嘘のように消え去る

 

「さぁ、再戦といこう···あの時の」

「あぁ···」

「審判員は俺がしよう」

 

織斑千冬と彼女を襲った敵は互いを睨むかのように見ながら距離を取る

 

「では、始めッ!!」

 

ここに、人類最強の女の戦いが始まった




よし、次に行こう···トラヴィスさんとの話が書けない

次話から急展開の開始予定です


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終焉(おわり)へのカウントダウン

それは再会、離れていた者同士がまた交わる事
そして、運命の歯車は回り始める


「千冬姉ぇ!!」

「一夏!!」

 

戦場に出てきた一夏を見て俺は思わずため息をついた

何だかんだとコイツは不可能を可能にしやがる···

 

「白式は戻ったようだな?」

「あぁ···俺の覚悟を試していたみたいだ」

「それならば良し、敵に囲まれている···切り抜けられるか···」

「別方向から来ている···コイツは」

 

敵か?と思って銃口を向けると

 

「撃つな!!撃つなよ!?敵じゃないから···んなぁ!?」

 

思わず発砲してしまった、ノリで

 

「あ、すまねぇ」

「てめぇ!!今わざと撃ちやがったな!?」

 

いやだって、敵じゃないとかいうからつい

 

「つぅか、何でWALRUSの代表さんがここにいるんすかねぇ!!」

「昼間は学生なのだよ」

「···マジ?」

「ガチ」

 

壮年期に近いのにこの人は本当に青年のような言葉遣いだな、ある意味すごい気がするぞ?

 

「で、ここにいる敵は?」

「一夏、お前に関係がある連中だよ」

「つまりはマドカとも!?」

「ある」

 

マドカ本人がそう言うがその表情は暗いものだった

 

「なるほど、この世界でも俺と同じような存在がいたのか···」

 

そう、それから察するに、俺と同じ存在がいたのだ

織斑·一夏という、少年が

 

「そうか、俺はカズマと似た境遇なんだな···」

「一つだけ違うのは、お前は愛されているという事だ、それはお前自身がわかっているな?」

「あぁ···」

そう、彼の目の前にいる人物こそが···

 

「トラヴィス·カークランド!!」

「そう叫ぶなよ、千冬。俺はまだ老人にはなってねぇぞ?」

「ちっ···!!」

 

ここまで露骨な舌打ちを千冬がするとは思わなかった、苛立ちがはんぱないようだ

 

「今更···!!」

 

そこに、砲撃がはしった

 

「つっ···!!」

「コイツは···!!」

 

そこにいたのは、黒塗りの禍々しい機体を纏った女性だった

 

「織斑·一夏、織斑·千冬、織斑·マドカ、それに···篠ノ之·束」

「まさか···」

「私の命にかえても···貴様らをここでッ!!」

 

黒き獣が、空で叫ぶ

 

「トラヴィス、コイツは···!!」

「あぁ、千冬よりも前に生まれた人間だ···同時に俺が10年かけて探していた子でもある」

「じゃあ···俺達にも関係あるのかよ!!」

「そりゃあな···!!」

 

多角攻撃に加え反応速度もケタ違いのレベル、この性能を引き出しているのはまさか!?

 

「プロトコアだな、ISの!!」

「クソッ!!」

 

ISのプロトコア···束が開発する以前に作られた、非人道もここに極まるレベルの人類が生み出した最悪の技術

それをベースに開発されたのが···

 

「この、ガデラーザで、全てを終わらせる!!」

「させるかッ!!」

 

一夏が即応していた、その瞳には彼女を止めるという強い意思がある

 

「リーゼの嬢ちゃん、俺を覚えているか?」

「覚えている、レイス···トラヴィスさん」

 

戦闘をしながら、彼女はトラヴィスの話を聞いていた

 

「俺がお前達と別れてから知った事を今から話す」

「うるさい!!いいから戦え!!」

 

トラヴィスは放たれた攻撃を最小限度の動きで躱してのけた、その技量は最強の傭兵に相応しいものだとわかる

俺でも絶対にしないレベルの回避だ

 

「この場にいるみんな、みんな消してやる!!」

「お前が殺そうとしている一夏、それにマドカは、君と同じように遺伝子を弄られた被害者だ!!その非人道極まる犯罪の首謀者は失脚し、命を絶った!!」

 

その言葉に、敵である女性の顔が変わる

驚き、迷う表情に

 

「実験をしていた連中も、施設も、データも、すべて俺が始末した!!」

「つっ···!!」

「あとは君の使うその機体を破壊すれば全て終わる!!だから、束を許してやれ、彼女のこれからの人生を、まっとうに生きるべきだろ!?」

「だったら···」

 

リーゼと呼ばれた女性は、泣きながら叫んだ

 

「私を殺してよッ!!」

「・・・」

「私と同じ時期に生み出されて、殺されたみんなの憎しみを背負って戦ってきた···私のこの10年は何だったのよッ!!」

 

今まで無言を貫いてきた俺も、この言葉には我慢も限界だった

 

()()()()()()()()なんて思うなッ!!非人道的だけど、生み出されてしまったのが最後、生きていく上でみんな、何かを背負ってしまうんだッ!!」

「つっ!!」

「背負って押し潰されるくらいなら、そんなもの放り出してしまえ!!放り出したっていいんだッ!!」

 

無言の彼女にさらに言葉をかける

 

「みんな、みんな許してくれる!!みんな、生き残る奴らの幸せを願っているッ!!そうだろうッ!?」

「あぁ、その通りだッ!!」

 

一夏はそれを知っている、学友として俺と関わった彼は、俺自身の裏切り行為でそれをさんざん思い知った

だからこそ···

 

「でも、でも···!!私たちを犠牲に作られた、たったひとりの人間を、どうやって許せっていうの!?」

「君たちの戦争は、もう10年前に終わっているんだ!!死者の魂を、君が縛り続けてどうする!?」

「まだ、まだ終われないッ!!」

「やめろッ!!」

 

一夏と敵がぶつかり、爆煙があたりを包む

 

「一夏ッ!!」

「・・・」

 

爆煙から、一夏はボロボロの状態で出てきた、それでも飛行ができる程度のダメージ量だ

対する敵は···

 

「最後の···一撃でさえ!!」

「その一撃が俺に当たらなかったのは、貴女を、貴女の仲間が止めたからだ···貴女が背負ったのは、憎しみだけじゃない···」

 

一夏はリーゼに近づいて、話しかける

 

「貴女だって、それは分かっていたんでしょう?」

 

一夏の言葉は、敵にかけるような言葉ではなかった

優しく、問いただすそれは、慈愛に満ちている

 

「本当は、とっくに分かってた···こんな事じゃ、みんなの死を無駄にするだけなんだって···でもッ!!···でもッ!!」

 

そして彼女は泣く、空を向いて

 

「うあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

しばらく後、WALRUSで保護することになったリーゼが去った後トラヴィスは一夏と千冬に振り向いた

 

「これで全部終わりだ···いいか?」

「なにが?」

「千冬、一夏、俺のとこに来い、お前達にはマトモに生きる権利···いや、義務がある」

「今までもマトモに生きてきたけどな」

 

あー、うん、そうだね

 

「俺に1度くらい親···いや、とにかく来い!」

「どこまでも身勝手な···親だ···」

「ん!?···あぁ、冬夏(トウカ)にもよく言われたよ」

 

翌日、一夏に話を聞いたところ···

 

「千冬姉ぇがマジで今までの中で凄まじく怖かった」

「おぉふ···」

 

何があったかは、察するにあまりある事だった




さて、次はようやく金の···(これ以上はネタバレになるのでNG)

ようやく最終章だよ!!


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最終章 killer the God
最後の敵、その力


物語は最終章へ、その先にあるのは?


都内某所

 

「ふはははっ!!遂に手に入れた、究極の器を!!」

 

とある存在が叫んでいた、その瞳は紅く、髪は白い

 

「これで私の世界は、完全になる!!」

 

その存在はかつて、ある人間をこの世界に転生させた神であった

 

「藍澤·カズマ、お前という存在は私をこの世界に堕天させる為の駒だ···その生命、捧げてもらう!!」

 

そして再び笑う、狂ったかのように

いや、実際に狂っているのだろう、本人がそれを認識していないだけだ

 

「この力···試させてもらう!!」

 

その首には、黄金に煌めくチョーカーがあった

 

「お待ちしておりました、我らが神よ」

「ご苦労、コレの完成は?」

「先日、完了しました」

「ならば良し、全ては我らの世界の為に」

 

そのチョーカーの正体は、ISと近似した別技術の機体

 

「Strikerシステム···利用させてもらうぞ」

 

史上最悪の敵が、今ここに誕生する

堕天せし神は、災禍を生み出す化身となった

だが···

 

「させねぇよ、そんな事···開発者であるこの俺がな」

 

そのシステムの開発者、すなわち自分が、立ちふさがる

もう二度と、悪用されてなるものか

 

「黄金のストライカー···一体に何を考えている!?」

「藍澤·カズマ···もう、神様とは言わないのか?」

「貴様は俺が倒す、それが···俺の勤めだ」

 

関わった者としての責務、彼女に導かれ、俺はこの世界に転生した

 

「どういう意味だ?」

「分からないのか?お前自身が世界を壊している事を!!お前に、神としての慈愛はないのか!?」

「慈愛···?そんなモノは無い。私にとって世界とは、支配するモノでしかない、慈愛などというものは存在しない」

 

コイツ···平然と言い放ちやがった!!

 

「ならば、貴様にとっての俺はなんだ!?」

「決まっているだろう?()()()()だ。ほかの転生者に比べてお前は実に役に立っている、予想以上になァ」

「ふざ···けるなぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ブラックフレームを展開すると見せかけ、第4世代IS試作機、不知火を展開し攻撃する

 

「どうした?その程度か!?」

「はな···せ!!」

 

武器による攻撃を放とうとした瞬間、光に包まれて武器が分解され、奪われる

この機能は、ストライカーシステムへの搭載を見送った、アレか!?

 

「なっ···!?」

「はあぁ!!」

「ぐあぁ!!」

 

強制除装させられ、地面に叩きつけられる

 

「ふふ、ふはははっ!!脆弱だなぁ!?さっきの言葉を撤回する、研究材料としての貴様の役割は終わりだ」

「ふざけ···な」

 

意識が途絶え、そのまま俺は倒れた




最終章の最初の話を飾るのがこれでいいのだろうか···


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運命、その果て

厳しくも辛い選択、それはこの世界の神を殺すこと
その覚悟の前に、少年の心は


「目が覚めたか?」

「セリア···俺は」

「言うな、分かっている」

「そうだな···」

 

ふっ···とセリアが笑うのを見て、俺は考える

 

「敵は最悪だな···俺達の全ての力を持っている」

「あぁ、それゆえに···」

 

俺達の闘いは最終章を迎えた

それについては言うまでもなかろう

そして···

 

「俺の狂気に、また付き合ってもらえるか?」

「いいぜ、地獄の果てまで付き合ってやる」

 

そう、ここに俺は決意する

 

「セリア、俺はこれから神を殺す」

「やるか、遂に」

「あぁ···」

 

俺が倒れてからまだ数時間、学園にいるという事は···

 

「お前が運んだのか?」

「そうだ、復活したらお前の横で、肝心要のお前は倒れているとはな···復讐以前の問題だ」

「そうか···」

「俺はお前の存在を許さない、だが同時に俺の好敵手はお前しかいない···だから助けた、殺す為に」

 

部屋の中、別途から少し遠いところにあるテーブル席に俺を助けた存在···19番目のクローン、ノインがいた

俺の行く先々の世界にコイツもセットで転生して、仲間になるか敵になるかのどちらかを好きに選んでいる

先の戦闘では敵であったが、今回は味方のようだ

 

「お前を倒していいのは私だけだ、ほかの奴には···牧瀬以外には絶対に許さん」

「おいカズマ、告白されてるぞ?」

「転生しても相変わらずヤンデレのようで···」

「真面目な話を茶化すな!!」

 

場の空気を爽やかにしたところで、本題に入る

 

「敵の正体は俺達を転生させた神、使う機体はストライカーシステム搭載機、ウェポンジャックプログラムを追加搭載している」

「それは確か、藍澤が搭載を見送ったほど危険なシステムだったはずだが?」

「脳に対する負荷があまりにも高すぎたから見送った、しかし元が人間とは次元の異なる存在であれば話は違う」

「相手するのは化物という認識で良いのだな?」

 

そう、ここまで来れば化物としか形容できない。仮にも神であった存在に対して失礼ではあるが

 

「その認識で行かなければいかんだろう」

「具体的な方法は?」

「そうだな、現人神化しているならば勝機はこちらにある」

 

勝機はそれでも存在していた

かなり危ない橋を渡ることになるし、()()()()()事になる

 

「お前なぁ···マジでやるから怖ぇよ」

「やるさ···そうしなければこの戦争、勝てないからな」

 

すべてを話し終え、俺はベッドから降り、立ち上がる

 

「俺がやるしかない、始まりの人間である俺がな」

 

そう、なればこそ···

 

「奴は俺がこの身に変えてでも倒す···みんな、付いてきてくれるな?」

「当然だろ、俺達はどの世界でも一蓮托生、戦友なのだから」

「恋人だから当たり前じゃない」

「家族なんだからついて行くよ」

 

三人それぞれの回答が来る、ソレはそれぞれが既に覚悟を決めているという意味だった

 

「敵の名前が決まってないな、そう言えば」

「神というのもアレだから適当に名前を付けてやろう···」

「その敵から素晴らしくクソッタレな犯行声明が来ているよ」

「・・・」

 

犯行声明とは穏やかじゃないな、まさか···

 

「コレを見て!!」

「うん、もう見てる」

 

犯行声明に映った映像には、巨大なクレーターがあった

それを作り出した兵器の正体とは···

 

「破壊半径と周辺の磁場、及び重力場の変化から、使われたのは···」

G-FLEIA(ジー·フレイア)だな···こんなものを俺達の世界から引っ張ってくるとは」

 

ジー·フレイア、俺達の世界で開発された究極の大量破壊兵器だ

その威力は限界までリミットを付けても数キロ圏を消し飛ばす程であり、このリミットを外した状態であれば数100キロが地図から消えるレベルだ

比較対象となれる兵器などは当然のことながら存在などしておらず、していたとしてもその多次元レベルの破壊力の前には意味をなさないだろう

 

「アンチシステムは確か···」

「ブラックフレームに搭載している物のみだ」

「マジキチだな」

「それでもやるしかあるまいて···」

 

映像の中では敵が自分の名を告げていた、その名は

 

「ゴルドフレームとはね、笑わせてくれる」

「許せないな、カズマの作った技術であるフレームシリーズをパクったくせに」

「じゃあどうしようか?」

「うん、消し飛ばそう」

 

対ゴルドフレームの対策はそこからサクサク進んだ

どの道あそこまででかいクレーターを作るためには人工太陽に匹敵するエネルギーが必要だ

 

「それすら超える兵器となると···」

ロッズ·フロム·ゴッド(神の杖)しかないな」

「うわぁ···無理ゲー」

「分かっているから、言わないでおこうか」

 

ソレも数万発同時発射というキチガイだ、呆れてくる

 

「やれやれ···」

「疲れてくるどころか···」

「あぁ··」

 

うん、ヤバイな。とにかくヤバイ

数万発同時発射とかしたこと無いし

 

「最後の切り札がカズマであるのに、その本人は死ぬしかない···また、あの時のような事になるの?」

「分からない、けど···あんな結果だけには、決してしない」

「うん···」

 

そっと、イセリアの頭を撫で、落ち着かせる

 

「お前のように、優しい人間がこの世界に多ければいいのにな···」

「多いさ···今回の敵が、大馬鹿者なだけだ」

 

最終決戦は近い、その前に···




さて、急展開だ!!
ここから、主人公への試練はさらなる過酷なモノにッ!!


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Operation Battle Destiny

それは自らを転生させた神との戦闘
争いの果てに少年は叫ぶ


「藍澤·カズマ···まだ立ち上がるか」

「何でかなぁ···諦めがつかないんだよ」

 

俺達の敵と化した神の襲撃地点は、本拠地たるIS学園だった

 

「そう、俺達が存在()る意味を今日も探していくために」

 

そう、もう二度と仲間とは会えないだろうという絶望のなかで由宇と出会った

その出会いで、《《約束》》···そんな言葉を思い出したのだ

 

「さて···次善の一手を打たせてもらおうかね」

「させると思うてかッ!!」

「罷り通す!!」

 

阻止して来ようとしているのは分かっている

だからこちらは

 

「はあぁぁぁぁ!!」

「記憶力をなくしたかッ!!」

 

俺の武装を奪おうとするが、それはもう出来ない

何故なら

 

「なにッ!!」

「一度やられれば十分だ、対策など簡単に立てられる!!」

 

そう、あの後に行った臨時メンテナンスの結果、コイツの搭載したウェポンジャックプログラムは敵の武装を分解したあと、再構築して使用していることが判明した

分解するという事はつまり、データ領域にアクセスしてプリフェッチロードするという事だから···

 

「残念だったな、全ての武装をカーネルから書き換えさせてもらった!!」

「貴様ッ!!」

「この世は全て己のモノ···そう思った結果がそうさせる!!」

 

こちらに攻めてくるまでの1晩でその全てを俺の仲間の全ての機体に施した

欠点としては展開速度の僅かな遅延が認められるが、それを考慮しての非プリフェッチロード化は見事に功を奏している

 

「どうだ、神···いや、ゴルドフレーム!!」

「くっ···思い上がるなよ、人間風情がァ!!」

「残念だが俺は人間の悪意が生んだバケモノだッ!!」

「なにッ!?」

 

返してくる剣を左手のビームシールドで防ぎ、右手でへし折る

同時に腹部に蹴りを叩き込み距離を取る

 

「よくも、この私を···!!」

「それは俺もだ、よくも俺の技術を悪用してくれたな?万死に値する!!」

 

次の瞬間、そのまま顔面を蹴り飛ばした

 

「ぐっ···!!」

「ちっ、浅いか」

「こうなればッ!!」

「つっ···!!」

 

次の瞬間、体が動かなくなる

存在値に干渉しているのか···これは参ったな···

 

「あぁ、マズイな···詰んだわ」

「終わりだ、藍澤·カズマァァ!!」

 

そのまま、俺の意識は暗転する

わけが無かった

 

「なんてなぁ!!」

 

黒色の光を纏い、攻撃を弾き飛ばす

 

「なっ···!!」

「おう、どうした?」

 

首を掴み、壁面に投げ飛ばす

 

「この姿は初めてかぁ?」

「ひっ···!!」

「逃げんじゃねぇよ!!」

 

背中から掴みあげ、一気に空へ投げる

 

「明日はいらねぇ、今お前を殺すための、詰みの一手だ!!」

 

その上につけ、腹部を殴りつけた状態で地面に叩きつける

 

「ドラグーン·ハウリングッ!!」

 

更に掴んだ手から高密度のエネルギーの塊を叩き込んでノックアウトさせる

 

「バカな···このゴルドフレームが、人間などに負けるなど!!」

「あってはならない、か?」

 

ゆらりと立ち上がり、睨みつけながら話す

 

「始末におえない面倒くささだな、いっそこの場で楽にしてやろうか?」

「貴様がなッ!!」

 

次の瞬間、視界がぐらつき、倒れた

 

「毒というのは、遅れた頃に効果を出すものだろう?」

「て···めぇ!!」

ハスハイン(神の毒見)だ、そのまま死ぬがいい」

「ふ、ふはは···はははははッ!!」

 

それを受けて俺は笑った

何故なら

 

「これで俺の出番は終わったッ!!そして、勝ちだぁぁぁぁッ!!」

 

最後の瞬間まで笑い続け、俺はこの世界で3度目の死を迎えた




主人公が死んだぁぁぁぁ!!
作者の人でなしッ!!

次話、窮地ッ!!


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Crisis War

それは神を殺す勇者の物語、そして、奇跡を起こす軌跡


「カズマ···」

 

カズマが敵と交戦して死んだという報を受け、俺はすぐに遺体を安置している部屋に向かった

 

「お前···どうして」

 

その身体には、あちこちに出血の跡があった

そんな状態で半日近く戦闘を行い、敵にダメージを負わせたというのだからこいつの精神力に心底驚かされる

普通なら1時間で失血死の状態だ

 

「コイツは最後まで、お前達なら倒せると言っていた。自分の作った技術を悪用されたにもかかわらずな···」

「俺達に全てがかかっているんだな?」

「そう、全てを託してアイツは死んだ···だから」

「あぁ、必ず倒す」

 

そう、倒す

復讐などではなく、己の敵として

 

「コレを持っていけ、一夏」

 

セリアから渡されたのは、黒いバンドだった

 

「完成していたのか?」

「あぁ、カズマが最後に作り上げた、白式用の外付け武装コンテナだ」

 

ようやく完成した白式用の追加武装コンテナ

一切の追加装備を拒む白式に、外付けの追加装備として無理やりインストールしたシステムを利用して、今の俺が使える武装を限界まで保存領域に入れ込んだ試作品

性能を限界まで引き上げる事に成功した唯一の方法だった

 

「デットヒートシステム···うまく機能してくれるかは分からないが···」

「やるしかないだろ、俺達が」

 

この方法しか今は取れない、それ以外にあるとすれば、それは仲間の命との天秤だ

それだけは絶対に選べなかった、その代わりにカズマが死んだのだから遣る瀬無い気持ちだ

 

「託されたのは希望、繋がるのは思い···人だけが神を持つ生き物だから、その思いと共に紡いでいけるモノこそが未来で、それを次世代に繋げていく···それが継ぐということ、だよな」

 

夢も希望も何もかもを奪われてなお呵呵大笑しながらカズマは俺達の勝ちを叫んで死んだそうだ

それは即ち敵への挑発、()()()()()()()()()()()()という言葉に他ならない

それだけ俺達を信じていたカズマの想いに、俺達が出す答えは一つだけだ

 

「アイツは···ゴルドフレームは俺が討つ!!」

 

それが、俺達がやるべき事。成さなければならない事だと信じて

 

「行くよ、カズマ」

 

親友の遺体にそう言って、俺は安置室を出た

 

「・・・」

 

そして···敵の前に立つ

 

「織斑·一夏、自ら生贄と成りに来たか?」

「いいや、俺は倒しに来た、てめぇを」

 

そう、この戦い、負けるわけには行かない

決して負けられない戦いが今から始まる

 

そして願わくば、この戦いが最後の戦争となる事を、心の底から願うほかない




(書いた文字数が)ちょうど1000文字いぃぃ!!


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OVER DRIVE

それは運命という限界の突破から超越へと至る道
人はそれを、奇跡と呼称する


「ならば、死ねっ!!」

 

ゴルドフレームからの攻撃が始まると同時に俺は飛翔していた

 

「逃げられると思っているのか!?」

「ンなわけねぇだろ」

 

雪羅を砲撃モードに切り替え3連射すると同時に雪片弐型を片手に持つ

 

「うおぉぉぉッ!!」

「甘いわッ!!」

 

雪片弐型が奪われた瞬間、俺は逆の手···雪羅をクローモードに切り替えて敵を雪片弐型ごと切り裂いた

 

「なにぃ!?」

「でぇりゃあ!!」

 

そのまま空いた手で殴り飛ばす

 

「立て、お前と俺、どちらが強いか分からせてやる」

「いいだろう、神の怒りを受けるがいい!!」

「やれるものならなッ!!」

 

切り札を使うにはまだ早く、システムの最終調整もまだ出来ていない

 

「バカの一つ覚えがッ!!」

「はぁぁ!!」

 

剣戟のラッシュから距離を開けて砲撃戦、接近してからの殴打の連続を躱す

 

「うおぉぉぉッ!!」

「ちッ!!」

 

再び放たれた略取のエネルギー波に押し飛ばされ、白式ごと地面に叩きつけられた

 

「がはッ!!」

「織斑·一夏···お前の存在は私にとって唯一の欠陥だ」

 

だから、と目の前の敵は叫んだ

 

「醜く死ぬがいいッ!!」

「つっ···!!」

 

死ぬ、殺される···そう思った時、目の前に現れたのは···

 

「死してなお、私の邪魔をするか···藍澤·カズマッ!!」

「失礼だな、俺がいつ死んだって?」

 

光に包まれていながら、カズマは不敵に笑う

 

「立てよ、一夏···お前達の掴む未来を俺は信じる」

「あぁ···だから、カズマ···力を貸してくれッ!!」

 

デットヒートシステムの最終調整が完了したマークが現れた瞬間、俺は迷いなく実行した

 

「うおぉぉぉッ!!」

 

そして、白式の姿が変わる

 

「なんだ···その姿はッ!?こんな姿の白式など、有り得ない!!」

「分からねぇのか?コレが···」

 

そう、デットヒートシステムはあるモノと白式の融合した姿

そのモノは常に俺達より先に立ちながら導いてきた人物の機体

 

「白式とブラックフレームの融合体だッ!!」

 

装甲の一部が黒色に変わり、カスタムウィングはこれまでの大きなものからスマートで大出力のものへと変わった

それだけでなく···

 

「有り得ん···そんなこと、出来るはずがないッ!!」

「お前は、幾つも許せないことをした」

 

すべての元凶と言っても構わない、こいつが全て影から操っていた

カズマの最後の言葉は、ゴルドフレームが全ての争いの真犯人であることだった

 

「自分の良いように世界を歪めて、駒のようにカズマ達を使い捨てて、その発明品を悪用しているッ!!」

「・・・」

「だけど、いま一番許せないのは···俺の友達の生命を、奪ったことだッ!!」

 

そう叫んだ瞬間、一気に加速してゴルドフレームの懐に入る

対するゴルドフレームも対応しようと動くが、今の俺にはその動きですら止まって見えた

 

「たあっ!!はあぁ!!」

「ぐっ!?がっ!?」

 

蹴りを躱して後ろに回り込み、振り向いたところでそのガラ空きとなった腹に連撃を叩き込んで壁面に叩き付ける

 

「馬鹿な···有り得ない!!白式の性能が、ゴルドフレームを上回るはずがないッ!!」

 

武器を奪うエネルギー波が浴びせられ、身動きが出来なくなる

その間にゴルドフレームは雪片弐型を奪っていた

 

「はあぁ!!」

 

振り下ろされる瞬間、何処からともなく現れたのはカズマが開発した機体の特長的な武装だった

それがゴルドフレームの攻撃を防ぎ、白式に接合する

 

「雪片弐型を返してもらう!!それは俺の武器だッ!!」

 

そこから怒涛のラッシュを始める

セシリアのブルーティアーズから借りたBT兵器

ラウラのシュバルツェアレーゲンから借りたレールカノン

シャルのラファールリバイブカスタムⅡから借りたパイルバンカー

鈴の甲龍から借りた衝撃砲

箒の紅椿から借りた空裂

簪の打鉄弐式から借りた夢現

 

みんなの機体の特徴的な武装による猛攻でゴルドフレームを一気に追い詰める

 

「おのれ···許さん···許さんぞォォォ!!」

「俺もだッ!!」

 

零落白夜を過去最高出力で発動、敵と刀をぶつけ合う

 

「はあぁぁ!!」

「おぉぉぉ!!」

 

敵はまだ分からないようだ、俺の背中には!!

 

「まさかッ!?」

 

そう、今の俺はカズマの思いも背負っている!!

 

「やっと···くそぉ!!」

 

人間体を維持出来なくなったのか、機械の姿に変わった

これがコイツの正体なのか···

 

「一夏!!」

「勝ったのか···ゴルドフレームに」

 

千冬姉ぇとみんなが来た、俺はカズマの機体、ブラックフレームのコアを握りながら

 

「俺は、大馬鹿野郎だッ!!」

 

後悔していた、だって、自分が選択に悩んだせいでカズマが死ぬ事になったのだから

 

「こんな別れになるなら、はっきり言えば良かった···皆で一緒に闘おうって!!」

 

千冬姉ぇの顔にも苦悩の表情が浮かぶ。俺はみんなと一緒に泣いた

だが···

 

「ふは、ふははははッ!!」

 

突然体が重くなり、身動きが難くなった

 

「てめぇ···まだ···!!」

「間に合ったようだな、G-FLAEIAの臨界状態時に起きる重力場変容現象だ!!」

「こ···の!!」

 

ブラックフレームのビームサーベルを逆手に握り、俺はゴルドフレームに近づく

 

「ま、待て!!待つのだ、織斑·一夏!!」

「···断る」

「待ってくれ、織斑·一夏!!お、落ち着けッ!!」

 

振り上げるモーションと同時に最大出力に切り替え

 

「やめろ!!やめろおぉッ!!」

「・・・」

「ううぅ···あぁぁぁぁぁ!!」

 

そのまま一思いに突き壊した




呆気ない終わり方ァ!!いやこうなるとは分かってたけどね···
しかし最後に残されたのはとんでもない兵器の起爆までのタイムリミットとは嫌がらせがすぎるぜ···


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物語の終わり

それは最期の始まり、残された絶望の前に転生者が選ぶ答えとは?


「なんてものを残していきやがったんだ、あの敵は!!」

「コレをどうしろってのよ!?プロテクトがっちり過ぎて解除できないじゃない!!」

 

現場は騒然としていた、あるものは解析して内部から自壊させようとハッキングを試みているが出来ず

あるものは残していったものの破壊力に驚きの声を上げる

 

「みんな、どけてくれ」

「一夏・・・」

「カズマもついてくれてる、俺にならできる」

「その通り、俺のいる限り不可能なんてないさ」

 

電子の海に溶けているカズマの声が聞こえて、みんな安堵したようだ

俺は目の前にあるG-FLEIAに向かって剣を構える

 

「ってまさか!?」

「斬るの!?」

「これしかないんだよ、止める方法は」

 

白式の零落白夜で斬り、ブラックフレームにあるアンチプログラムを同時に展開してウイルスによって機能を停止させる

現状取りうる最も安全な方法がこれしかなかった

 

「はあぁっ!!」

 

そして斬り、全てが終わる

 

「・・・終わったな」

「あぁ・・・」

 

俺とカズマは不思議な空間にいた、カズマは笑っている

 

「あぁ・・・一つだけ嘘をついていた」

「なんだ・・・?」

「アンチプログラムなんて実はない」

「・・・え?」

 

ケロッとした表情でそういうカズマに俺は驚き

同時に納得した

 

「お前・・・自分の命がないと」

「あぁ、随分と前に悟っていた。今度の戦闘が俺の命の最期だと」

「それなのに・・・なんで!!」

「君たちに、未来を託したかったから」

 

カズマはそう言って、ため息をついた

 

「そのためにはこの方法しかなかったんだ、今まで嘘をついていてすまない」

「だったら・・・!!」

「君たちは生きて、守ってくれ・・・この世界を」

 

ブラックフレームの解除をしようとするカズマを俺は止める

その言葉の意味がわからないほど、俺はバカじゃない

だから最後は俺の手で・・・

 

「俺に・・・やらせてくれ」

「・・・任せる」

 

カズマは俺に話しかける

 

「泣いているのかい?一夏」

「バカ言うな・・・泣いている訳無いだろ」

 

泣きながら、俺はそう言う

これが最後なんだ、カズマ達との毎日が・・・日常が

 

「カズマ・・・」

「後悔はない、今も、これからも・・・心残りはあるけどね」

 

俺にそう返すカズマの声は、泣きそうな感じだった

カズマ自身も別れとなるのを分かっていて、感情を抑えているのだ

だから、俺がここで泣いていい理由はない

 

「閉じるぜ・・・」

「あぁ・・・さようなら・・・一夏」

 

ゆっくりとブラックフレームとのリンクを断ち、元の風景(せかい)に戻る

 

「みんな・・・」

「カズマは、満足そうに消えたか?」

「あぁ・・・笑顔で」

「そうか・・・」

 

すると、セリア達、残った転生者メンバーの体が透け始めた

 

「俺達とも、別れが来たようだな」

「やっぱり、敵がセリア達をこの世界に転生させたんだな?」

「そういう事、だからその存在が消えると私達も消えるのよ。死ねばもろとも、という事ね」

 

イセリアがそういい、少しだけ寂しそうにする

 

「最後の最後に、教えられなくてごめんね?」

「いいさ、わかっていた」

「ふふ・・・そういうところ、カズマに似てる」

 

彼女も、そしてカズマの仲間達も全員、俺達に笑顔を向けて消えていく

 

「ありがとう・・・俺達はこれから、掴んでいくよ・・・自分達の未来を・・・この手で!!」




作者から次話にて重大発表


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世界を守る者、超える者

それは現代によみがえる奇跡
奇跡の果てに軌跡があるというのなら、それは


「いい天気だ!!」

 

あれから半年が経った、世界はカズマ達が来る前のように静かで平和となっていた

というより、カズマ達は世界の政府や人たちに憎しみを持たれたまま消えることで自分達を救ってくれたようだ

でなければ、戦争犯罪を行った俺たちに半年間、監視員がつくだけの処分で済むわけがない

 

「今日まで俺の監視ご苦労様でした、スコールさん」

「全く、損な役回りだったわ」

 

スコールさん、オータム、マドカの三人は最終決戦前に国連側に寝返っていた

これもカズマからの指示だそうで、あえてWALRUSから離反者を出すことでその目を自分たちに向け続けるという考えだったらしい

どこまでも先読みができるアイツらしい合理性だ

 

「ところで、今月も行くのね?」

「えぇ、そういう約束ですから」

 

今日はカズマたちの月命日、遺体はないが石碑はある

そこに花を手向けに行く・・・

 

「よう、また来たぜ」

 

石碑の前で俺は静かに手を合わせる、そして・・・

 

「また来月、来るから・・・」

 

そして墓所を去って向かうのは・・・

 

「さぁ、仕事だ」

 

就職先だった、と言ってもIS学園だ

俺はあの戦いの後、就職先をIS学園に決めた。本来なら教員資格が必要になるが、特別講師という名の役職ならその限りではないので問題ない

・・・教えられるのは、ISでの格闘戦だけだけど

 

「同僚となるなんてな」

「千冬姉ぇ・・・なんでこっちに?」

 

IS学園の分校・・・技術分野に分岐した専門校に行ったはずの姉さんが本校に来ていた

 

「いや、書類関連で本校の側と話し合わねばならない事案があるだけさ」

「大変だな、その年で校長だもの」

「単なる飾りさ、この役職なんて」

「その割には物凄い仕事の量をこなしているのによく言うよ」

 

そう、姉さんは今すごく忙しい身の上だ

なんせ分校の校長に選ばれたばかりか仕事が毎日山のように増えているのだから

おかげで割と最近まで家にも帰ってこれなかった、今では少しは落ち着いてきたのか二週間に一度程度は帰ってきているけど

 

「そういうお前も、その年で戦技教導官という役職に就いているだろう?」

「たはー、バレてたかー」

 

内緒にしていたんだが、どこかでバレていたようだ、やっぱ俺は隠し事が苦手だな・・・

 

「さて、そろそろ束を捕まえに行かないとな・・・」

「あの人また仕事サボってるのか?」

「あぁ、全く・・・」

 

束さんは以前のように逃亡し続ける生活から一変、今度は技術開発の最前線に立っている・・・と思いきや仕事が一段落つくタイミングを狙ってサボる癖が出てしまっていた

しかもそのタイミングがところどころ重要な部分なので部下になった人たちの胃痛がヤバイとか、ある人は胃薬が友達になったと嘆いていた

 

「大変だな・・・部下の人たち」

「もう既に二人が病院通いだ、そろそろ自制させねばな」

「それって私のことー?」

「「そのとおり」」

 

二人で同時に束さんを確保して連れて行く、向かう先は同じだから

 

「で、改修は出来たんですか?」

「それはもちろん、束さんお手製だからね!!」

 

どやぁ!!という顔をしている束ねさんだけど、連れて行かれながらだと説得力に欠けている気がしなくもない

 

「そして今日は、スペシャルゲストもいるんだよ?」

「・・・?」

 

どういう意味だろうか、少しだけ期待する

 

「だから、最初にWALRUSの司令執務室に行こう!!」

「理由は?」

「そこで待っている人がいるから」

 

いつものような笑顔で、束さんは歩いていく

その表情は、いつも以上に浮かれている

 

「入るよー!?」

「あぁ、入ってくれ」

 

そして到着し、束さんがなかにいる人物に声をかけて入る

 

「あなたが、俺たちを呼んだんですか?」

 

部屋の中には箒たちが既にいた、これで同級生の専用機持ちが全員揃っている

 

「そうだ」

「そろそろ顔を向けてくれないか?」

「あと、その仮面も外してくださる?」

「いいだろう」

 

その人物は仮面を外し、椅子に座ったままこちらに振り向く

その顔には見覚えが・・・いいや、決して忘れはしない人物だった

 

「そんな・・・」

「うそだろ・・・」

 

そう、その人物とは・・・

 

「藍澤・カズマッ!!」

「よう、元気にしていたか?」

 

そう、こいつはいつもそうだ

 

「死んだふりか!?」

「いいや、確実に死んだよ、そこで俺はほかの世界と自分のコネクションを切って自分の力のみで再転生したんだ」

「デタラメだな・・・」

「それができちゃうのが俺ってことで」

 

席を立ち、ほかのメンバーにも入室を促す

 

「みんな・・・」

 

消えたはずの仲間がここに全員揃った・・・

 

「おかえり」

「「ただいま」」

 

その一言を、言えただけでもよかった

こうやって、日常は続いていくのだから




↓作者とキャラのダベリ↓

(作)
本作はこれにて終了いたします、これまでご愛読大変ありがとうございました。

(主人公)
作者が途中で投げ出しそうだと、物語の登場人物はヒヤヒヤしました
それでも投げ出さなかったのは皆様のおかげです

(作)
そういえば前回、重大発表を行うと言ってましたのでここで行います

(主人公)
詐欺じゃない事を祈ろう

(作)
あるゲームの要素を加えてもう一度インフィニット・ストラトスの二次創作を書くよ
ちなみにそのゲームはR-18ゲームだから不要なシーンは削除してインフィニット・ストラトスの世界観と融合させます

(主人公)
マジか・・・ところで俺は出るのか?

(作)
すまん、キャラは全員一掃して完全新規設定で執筆する予定だ
でも所々で世界観的な部分でのフィードバックもあるから完全な意味での別作品とも言い難い
簡単に言うとIF設定の別物語というややこしいものになる

(主人公)
よかった、これ以上出ると俺のストレスがマッハなところだった

(作)
ただでさえストレスフルな生活しているから仕方ないね

(主人公)
ところで、インフィニット・ストラトスでの新作タイトルは?

(作)
IS Cross・Desire 略してIS・CD
元傭兵の少女と一夏達の物語となる予定


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次回作予告編

新作品の予告ダイジェスト的な話


睡眠から覚醒に向かう夢路の中、私はいつも同じような夢を見る

それは失われた時と場所の光景・・・人が故郷と呼ぶ、二度と戻れない時空の記憶

パターンはいつも決まっている。

日差しを受けて輝く草原で、●●●(あの人)おとぎ話(フェアリーテイル)を語り聞かせてくれる夢で・・・

 

私は、今見ている光景が夢なのだと分かっている

 

起きてしまえば、あの人の顔も言葉もはっきりと思い出せなくなることも知っている

 

だから、私はその懐かしい声を刻みつけようと耳を傾け続けて・・・

 

だって・・・あの人はもう・・・

 

「あぁ・・・」

 

だって、私はあの人を()()()()()()()()()()()()から・・・!!

 

「はぁ・・・!!はぁ・・・!!」

 

どうしてこうなった・・・目が覚めた私はそう思った

いや、死ぬ前の一瞬に見る走馬灯を見ていたのかもしれない

 

「後悔と未練・・・それだけで何ができるっ!!」

「死ねるか・・・こんな所でッ!!」

 

そう、まだ死ねない

こんな所で、自分の人生を終えるわけには行かないんだ!!

 

「そうやって君は戦い続けるのか!?自らの正義と世界の正義の狭間に揺れながら!!」

「それでも・・・!!」

 

そう、それでも、成し遂げねばならないことがあるのだから

 

「そうして・・・正義と信じて、分からぬと逃げ、知らず、聞かず!!」

「くっ・・・!!」

 

その果てを知る人間に私は押されていた

 

「力だけが、私の全てじゃない!!」

「それが誰に分かる!?何が分かるという!?」

 

その質問に、答えられない私・・・

 

「分からぬさ!!誰にもッ!!」

「あなたは・・・あなただけはっ!!」

 

戦争は続く、人類が存在する限り。それが人の罪だというのだろうか?

違う、違うはずなんだ・・・

人は、戦わなくても生きていけた存在なんだ・・・!!

 

「平和をいくら叫ぼうと今更ッ!!」

「はあぁぁ!!」

 

そして敵は宣言するかのように叫んだ

 

「人は滅ぶ、滅ぶべくしてなぁ!!」

「人は、あなたが考えているような存在(モノ)じゃない!!」

「何が違う!?何故違う!?この憎しみの目と心と、引き金を引く指しか持たぬ者達の世界で!!何を信じて、なぜ信じられる!?」

 

あの少年という究極の一人を作るために生み出された私と敵

その両者が異なる視点でぶつかる

 

「自分ごと世界を滅ぼすのがあなたの望みなのか!?」

「私のではない!!」

 

つばぜり合いから互いを睨み合いながら会話する

 

「これが人の夢、人の望み、人の業ッ!!他者より強く、他者より先へ、他者より上へ!!競い、妬み、憎んで、その身を喰い合う!!」

「それはあなたの理屈だ!!思い通りになんて!!」

「既に遅いさ、私達はその結果なのだから・・・だから知る!!」

 

全方位飽和攻撃が私に迫る

 

「自ら育てた闇に喰われて人は滅ぶとなぁ!!」

 

争いの果てにあるものは、悲しき未来ではないはずと信じて私は戦う・・・




これが次回作の予告だよ!!


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