フェアリーポップス (ありばば*)
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第一部『始まった物語』
1話


はじめまして。ありばば*というものです。
至らない点だらけですが、宜しくお願いします。
処女作です。




「ツイてねぇな………」

 

 

俺がこういうのには、理由がある。

近くのスーパーで買い物し、家に帰るためにショートカットしようと公園を通ったまでは良かったのだが、横断歩道がうっとおしかったため、歩道橋を使った。

 

そこまでは良かったんだ

どうして今の状況になったのか………

 

 

まず、今は冬で雪が歩道橋に積もっている。ということは、下に氷が張っててもおかしくない訳で。

手すりもあったが、生憎買い物袋で両手が塞がれている。

そして運悪く、つい足を滑らせてしまったのだ。

 

 

俺は死ぬのか。

多分このままでは頭から墜落死するだろう。何か皮肉だ……

 

さて、人類歴2052年にこのあと死亡するであろう自分。

 

 

「…あれ………」

 

 

何か走馬灯っぽいものが見えない(・・・・)

 

 

死ぬ間際に見えると言われるアレ。

あれは嘘だったのか。

………というか、そもそも。

 

|生きている感触がしない≪・・・・・・・・・・・≫……

 

 

 

次の瞬間、俺の意識は何か途方もない方向へぶっ飛んだのではという錯覚をする事となる。

落ちる、落ちる、落ちる

 

唐突に視界が眩しくなったかと思うと、ふと見えたのは宮殿と表現ができるモノだった。

…………………………んん?

 

 

「痛っっ!!」

 

 

鈍い音が響く。

 

周りの景色を見渡すと、冬の景色とか歩道橋とか、何より買ってきたものも見つからない

今夜は鍋だったのに。あぁ、俺のタマゴがぁ……

 

よし、少し整理するか。まずは…………

ここは俺の知ってる世界じゃない、という事だ

 

そう思った。

 

矢先に。

 

 

 

「ふーん、こいつが勇者サマ?」

 

女の子の声だ。こいつは堪らん、俺の好みストライク入っとるwww。しかもなかなかの美少女!! hshs

おっと、いけない。Be cool.

 

さて、どうしたものか。声をかけて、ここが何処かを聞くか

すると、今度は別の声が聞こえて来た。

 

 

「そうだ。起きたら、知らせて」

 

 

今度はショタか。流石にショタは対象外。

 

よし、次の行動は

 

⒈話しかける

⒉話しかける

⒊話しかける

 

なに、どれも同じだと?巫山戯るな、どれもちょっとずつ違うんだよ。

 

という事で、まぁ⒉と言ったところか。

 

 

「ねぇ、そこの二人」

 

 

お、振り向いた

 

 

「ここって何か知らない?」

 

 

何か、と聞いたぞ

 

 

「ここは「ここは第一区分目の第地下172層目の儀式場だよ」……むぅ」

 

 

女の子の言葉を遮って男の子が喋る

 

 

何か、で返されたということは、こいつはできるタイプだな。

それかもしくは唯の目立ちたがりだったり………

 

何にせよ、こいつらに場を説明してもらわないと話が進まないからな

 

「で、あなたの名前は?」

 

おっと、ショタの方に聞かれた。

 

俺は………

 

 



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2話

長いです


「俺は来島 アキト。そっちは?」

 

「私が不知火 サキ。こっちの根暗っぽいショタは木枯 スバル。よろしくね、勇者サマ♪」

 

「根暗って………」

 

 

結構軽い自己紹介が終わった。

 

ん?まてよ、さっき不知火とかいうやつは俺のことを『勇者サマ』と呼んだよな。

これは俗にいう転生とやらではないか?

 

 

考えてみよう

 

俺は歩道橋から落ちた。脳天から。きっと、即死だったはずだ。なのに生きている。

どういうことだ?となると、転生しかない。あれが夢だったら、どこから夢かわからないし、夢の場合、さっきの痛みは何だったんだ。ということになる。

 

 

まぁ、考えるだけ混乱していくな。

 

 

もし仮に、この世界が異世界であるなら。戻れる道はきっと何処かにある。必ず。

だって、行ったきりの乗り物なんてない。往路があるなら、復路だってあるはず。

 

今から俺の目標は取り敢えずもとの世界に戻ることだ。

だったらこの世界のことを少しでも多く知っていなければならない。

 

 

「ねぇー、勇者サマ聞いてる?」

 

あ、話聞いてなかった。

 

 

「えっと、何だっけ」

 

「これからのことですよ♪」

 

………何か卑猥。

 

 

「これからって?あと普通にアキトでいいよ」

 

「はい!勇者さ…アキト様♪」

 

「アキトがここにいる理由だよ」

 

 

根暗ショタのスバルが話を切り込んできた

 

 

「どういう意味だ?」

 

「さっき話したとおりのことだよ。アキトには“現状ではどうやっても倒せない魔物を倒すためのギルドに所属してもらうんだ」

 

 

疑問符を浮かべると、上から目線がイラつくが、丁寧目に返してくれた。

 

 

「魔物を倒すためのギルド?」

 

「そうだよ♪世界に蔓延るモンスターをバッタバッタとなぎ倒して行くためのギルド」

 

 

成る程。どうやら本当に違う世界のようだ。

 

 

「あ、僕たちも加入してるから」

 

「で、ある魔物って?」

 

「(スルーって…)それはね、結構昔の話なんだけど………」

 

 

 

 

ーー☆★☆ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

場所は移り変わって今は変なトロッコの中だ。しかし、これは本当にトロッコと形容していいものだろうか。

見た目は変わらない。しかしこのトロッコ、不自然なのである。

 

 

何で誰も押さないのに動き出せるんだ?(・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

|何で途中でエレベーターのように上下に移動できるんだ?《・・・・・・・・・・・・・・・・・》

 

 

疑問が疑問を呼ぶ。

 

 

モンスターも、転生もあるのだからいっその事、魔法のようなものだってあっていいと思う。

 

あの後、魔物がどんなものかを聞いた。魔物というより、俺の認識じゃあ、妖怪と呼ぶ方があってた。

魔物の正体は、周期ごとに異世界から人間を呼び出す、神出鬼没な女の妖怪だという。

 

話を聞いた時、ガチでビビった。

まぁ確かに、折角転生した身で、勇者として呼ばれたので何かするのは分かる。

しかし、あれを倒すとなるとそれ相応の力が必要だ。

 

 

………ってか、今どこに向かってんだ?

 

 

「なぁ、今何処に向かってるんだ?」

 

「東方学館です」

 

「………ナニソレ?」

 

「魔法使いを育成、管理、運用するための機関です」

 

「あっ魔法使い、いるんだ」

 

 

やっぱ居たか。って、不知火寝てるよ。

 

 

「魔法使いなんて、第一区分目ではあまり珍しくないですよ。僕もそうですし」

 

 

とか言って、スバルはそこらの壁から金を取り出した。因みにトロッコはまだ動いている。

 

 

「何だそれ!マジかっこいい!」

 

 

すると、スバルは微笑みつつ、金塊を岩に戻す

あ、もったいない。まぁ、いいか。

 

 

「じゃあ、俺を魔法使いにすんの?」

 

「まぁ、そうなりますかね。厳密には、貴方に魔人使いの素質を確かめて、発現させることにありますが」

 

「魔人使い?」

 

 

こいつは初耳だ。

 

 

「魔人使いというものは、自身のオーラが特殊な条件で精霊と融合し、実体を持ったものを指します」

 

「しかし、魔人は魔人使いにしか見ることができません。ですが、魔人には各個体に一つのみ特殊能力を持っています」

 

「スバルも?」

 

「はい。個体名は『トランスフォーマー』といいます」

 

「どんな能力なんだ?」

 

「色々なものに憑依する能力です。自慢はできませんが」

 

 

これは、これは。面白そうなのが来たじゃないの。魔法使いに魔人使いか。

これであの魔物が倒せるってか。

 

 

 

 

最っっっ高だねェ………

 



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3話

俺は今第一区分目東部の第地下140層目の東方学館ーーー正式名称『東方光華学館ミキュリーバーツ』というらしい。ーーーに来ている。体感時間30分の旅だったが、それなりに街並みは見てきた。

 

第一区分目とやらはどうやら地名らしく、見渡す限りレンガや木材の建築物ばかりで、正直埃っぽい。何しろ壁が土なのだ。仕方ないと諦めよう。

 

そんなところで。俺が見た第地下140層から127層まで及ぶ巨大なその学館は異色だった。

 

上部が土で覆われているはずの部分が何故か突き抜けるような大空で、太陽も燦々と照っている。ふと見渡すと、地面には草木が生えている。何らかの魔術だろうか。

 

そして近くには東方学館が。

魔法学館なんて代物なので煉瓦造りのヨーロピアンなつくりだと思っていたのに、大理石っぽい石をふんだんに使い、道もレンガで舗装されていたので現代の私立の高校でこういうのあったなと思い出される。

 

 

「ほら、降りるよ♪」

 

「はいよ」

 

 

不知火が促す

 

 

「失礼します学館長。例の件で来ました」

 

 

スバルがインターホンっぽいものに喋りかける。すると、門が唐突に開いた。

 

 

☆★☆

 

 

 

 

…………ハッ!?

 

門が開いた後の記憶がない。

まるで意識だけをすっ飛ばしたようだ。

嫌な感じだ………全身の毛穴から汗が吹き出るっ!

 

 

「………………アンタが勇者っつー認識でいい訳?」

 

 

俺の知らないうちに事が進んでいるらしいな。誰だ?コイツ。

 

 

「多分あってるぞ」

 

「じゃあ遠慮なく………

 

嫌なヨーカン!いや、予感!!

 

 

「ーーー沈める」

 

 

刹那。

 

さっきまで話していた、クール系と思わしき美少女は消えた。

 

 

 

いや、見えなくなった。

 

 

いや、聞こえなくなった。

 

 

いや、イヤイヤイアイイいああいあいあいあいやいあやおあいああいきあっやいあいゆあいあいあyしあいあやいいあやいいああいやいあいあよあやいいあういいあいやいいあいあやいあやいあやおいやいやいあいあいあいあああいやいあいいいあやいいあやysじしあやあいやいあいあいああいああやややっいあやっっやいいいあやあいあやいやいやいあいやいあいあ

 

 

 

 

 

 

「っっ!!、gガハアッっっ!!!」

 

 

何なんだ。今の。訳わからねえ。

何かの魔法か!?それとも、何らかの魔人の特殊能力ってやつか!?

 

どっちにしろ最悪だ。こっちはマジックのmの字すら知らない一般ピープルだしな。

 

何すりゃいいんだよ畜生っっっ!!!

 

 

「………………OK。上出来」

 

 

………は?

 

 

「いやいや、何のことだし。俺ただブン殴られてそのままだったし!?」

 

 

「………………アレ食らってから意識を取り戻す時間を測った。アンタは4秒よ」

 

 

………イミフー

 

 

「ゴメン、俺の知ってる言語にしてくれ」

 

 

正直、理解が追いつかない。日本語でおk。

 

 

「………………アレは一般人が食らったら数週間は意識不明」

 

 

何か話し進めてるし、とんでもないこと喋ってるし?!

 

 

「いや、アレってどれだよ」

 

「……………アレはアレ。私の魔術だから。安心してOK」

 

 

なんだ、魔術かよ。デスヨネー。あんな能力を持った魔人なんてヤダ。会いたくない。ってか、安心できるか!!

 

 

「………………そういう魔人いるよ」

 

「怖ェよ!つか、地の文に突っ込むなし!」

 

「………………???」

 

 

とぼける気か。

 

 

「………………別に…」

 

 

もう、いいや。考えんのやめた。

 

 

閑話休題。あれからいろいろ聞いた。初めから話すとメッチャ長いから要約すると、こういうことらしい。

 

まずは、魔術の話。正直俺もよく分からんが、取り敢えず、

⒈精霊を人間が召喚、

⒉精霊は人間に従う。

⒊人間が精霊に命令、

⒋精霊が魔術を行使する。

っつー形で魔術が行使されるわけだ。

 

その精霊は召喚主によって出てくるのに偏りがあってある人は炎系の魔術が得意だったり、ある人は風系の魔術が得意だったりと様々だ。

 

現段階では精霊の属性的なやつは十種類あるそうで

その中でも特殊系っつーモンがあって、龍撃、融合、浄化、治癒、転移、魔手などなど種類があり、なかなか担い手が居ないそうだ

 

また、極端に召喚の時間が長く、魔力を消耗しやすいが、威力は申し分ないので、戦う時には切り札として使う人間が多いとか。

 

 

ハイ説明終わり。いや〜長かった。

え?魔人がまだだって?

ハハハやだな。シッカリキイタッテノ



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4話


出来ました


 

 

はい、何だかわけの分からんうちに魔術を食らったアキトだ。魔人の説明?残念だったな、あれは嘘だ。これからだよ。

 

今は、魔術についてのキュロットさんから有り難い講義を受けて、魔人を見せてもらう事になった。

最初はすっげー疑ってたけど、今では信じられる。魔人を。

だってあんな現象起こせるのって、人間の力じゃ無理だよね?

 

 

「………………バッドステータス!」

 

 

何かを呼び出したっぽい。魔人だろうか。だがしかし、俺の目にはそれらしきものがみえない。

これじゃあ、ただの痛い人だ。

 

 

「……………見える?」

 

「いいえ、僕の目には貴方しか見えません」

 

「うわ、ちょっと引くわー」

 

 

何時の間に。いや、始めからいたのか。不知火が話に混ざってきた。

 

 

「君ってそんな性格だったの?」

 

「断じてない」

 

見ればトランスポーター?のスバルも居た。

 

 

「いえ、トランスフォーマーです」

 

 

だから、地の文に突っ込まないでって。

 

 

「………………話を戻すけど」

 

「あ、ゴメンなさい♪」

 

「………………魔人が見れないということは、あなたは魔人を持っていない。おわかり?」

 

「おかわり」

 

「………………。つまりあなたには魔人を身につけてもらうための儀式をしなくてはならないの」

 

 

おおぅ、ボケをスルーしたか。ま、確かに寒いと思ったけどな。

 

 

「………………スバル、アレ用意して」

 

「僕はパシリなんですね……」

 

アレってなんだよ。アレって。何か怖い。

とかいってスバルが校舎の方へ行き、何やらでっかい塊を浮かせて持ってきた。魔人の力か?

 

「………………配置して」

 

「何で僕だけ………」

 

シュンとなったスバルは、何処ぞのショタコンがホイホイされそうな雰囲気を出していた。

 

 

 

 

★☆★

 

 

 

 

十分後、俺はロウソクでサークルが作られた場所の中央付近にいる。何故付近にかというと、中央には謎の岩がある。鉄を含んでいるのか、少し黒光りしている。

あと、何故十分後かわかったか。それはあの校舎に時計があるからだ。太陽もないのによく時間がわかるな。

いや、電波か?まぁ、今はいいだろう。

 

 

「で、どうするんだ?」

 

「………………その岩に触って」

 

「マジかよ」

 

まさかとは思っていたが、本当に触るだけなのか?

まぁ、物は試しということで。触る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………別に何もっっっっっ!!!

 

 

 

何も起きていない。そう思っていた。激痛とか、脳裏に響く声とか、そういうものをファンタジックに期待してたんだが。

 

 

何だよこれ。

 

見れば正面にいる、キュロットとかいう少女。隣には紫色の人型がいる。

 

…………これが……魔人……なのか?

確かに言われてみれば、禍々しい。魔人という言葉がピッタリだ。

急いで近くにいたスバルを見ると、こちらも同様に隣には人型が。しかし、色や形、大きさは全くと言っていいほど違う。グレーだ。灰色だ。

 

 

「どう、見えた?魔人♪」

 

「おう、まさかこんなのとはな。思っても見なかった」

 

 

ファンタジックなものを期待していた結果がこれだよ!呆気なさすぎて何も言えねーよコンチクショー!

 

おっとBe cool、落ち着け、クールに振る舞え。

 

さて、儀式も終わったようだし、とっととそのサークル片付けよう。

 

 

「………………待って。まだ儀式は終わってない」

 

「まだ何か」

 

「肝心の自分の魔人を呼び出してないじゃないか」

 

あぁ、そういうことか。

 

 

って、俺魔人の呼び出し方しらないじゃん!

魔人の名前知らないし!

 

 

「というか、どうやるの?」

 

「簡単だよ♪。岩の隣にある、ブロックを破壊したいと思えばいいの。そうすりゃ勝手に出てくるよ。守護霊みたいなもんだしね」

 

 

なるほど、守護霊か。………………細かいことは気にしたら負けだな。

 

取り敢えず、岩を砕きたい。そう考える。

何も起きない。

少し、イラッときて、砕け散るイメージをする。

 

すると、ニュッと背中あたりから何かが出てきて、岩をバガァーン!と粉砕した。

 

それは、赤焼けたレンガブロックのような色に、細い四肢、頭はそこだけ古代ローマの騎士のようなフルフェイスをつけていて、顔は見えない。

 

 

 

 

そして何よりも、その胴体から足にかけて、人、の字に首筋から、足首まで線が、正面、背後と、描かれている。

所謂魔人って奴だろうか

 

何というか、カッコ良くは見えない

 

 

「これが俺の……………」

 

魔人か。何だか、こいつの全ては元から俺が知っているような感覚がしてきた。

 

 

 

名前は、そうだな。そのままでいいや。

ザ・ブースト。これが俺の魔人の名前。

 

 

「………………名前は決まったか」

 

「はい。ザ・ブースト。それが魔人の名前です」

 

「よし。じゃあ、早速本部へいこう。キュロットもついてきてください」

 

「………………おk」

 

「りっくんいるかなぁ♪、楽しみだなぁ♪」

 

りっくんとは誰だか知らないが、本拠地へ向かうご様子。

怖い人とか、キチガイとかいなけりゃいいんだがな。

 

 

 

 

 

 

あれ?これフラグ?





というか、設定だけ無駄に六部まであるという……………


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5話

 

第一区分目東部の、第地下108層目のとある街角。俺こと来島 アキトは怪しげなパブの側の地下へ行く階段を降りていた。

 

 

「こんなとこが本部なのか?」

 

「うん、そうだよ♪」

 

「あの来るときにでっかい、入り口のない建物があっただろ?、そこへ繋がってんのさ」

 

「へぇー」

 

セキュリティーは万全のようだ。

まぁ、指紋認証とか、監視カメラとかは無いだろうが。

あったらあったで怖い。だって、ビルとかマンションとかそう言った類のマンションがないし。

 

 

「あとどれくらいだ?」

 

 

黙々と歩くキュロットに話しかける。

 

 

「………………まだまだ先」

 

「そうか」

 

しかし、この階段。まだ下の階が見えない。

どんだけ長いんだ。

 

 

 

 

 

★★☆

 

 

 

 

 

 

 

あれから二時間は歩いたかもしれない。いい加減に足が痛い。

 

「どうしたの♪」

 

こんな時でも楽しそうな不知火が羨ましい。まぁ、元から本部の人間らしいから慣れているのかもしれない。

 

「(実は魔人のおかげなんだ♪)」

 

そうでもなかったようだ。というか、俺はまだ不知火の魔人を見たことがないな。

どんなのだか興味はある。

 

そしてまたもやトロッコに乗っていた途中で、スバルから魔人には、人間に限りなく近い容姿や、物質と同化するもの、意思を持つもの。など、様々な魔人がいることを教えてもらった。

 

 

「ほら、もうついたぞ」

 

「はぁ~~。やっと着いたぁ♪」

 

 

何気に疲れていたようだ。

 

 

「………………キュロットだ」

 

 

キュロットがインターホンのようなものに話しかける。

すると、側面にあった壁が奥へスライドした。

先には大理石だろうか。石の床が奥へと導いていた。

最後に俺が入った途端、扉は閉まった。

何つーテクノロジーだよ。

 

 

「うわぁ、まだあんのかよ」

 

「いや、違う。この先はトラップ地獄だ」

 

「だからこっちについてきて♪」

 

 

思わず愚痴ると、みんなが壁に向かって走り始めた。すると、始めに走って行ったキュロットは壁に吸い込まれて行った。続いてスバルも入る。

 

走っていた途中で不知火がこちらを振り向き

 

 

「ほら、走って走って♪」

 

「おおっっと」

 

不知火が強引に押して

 

 

 

 

 

 

 

 

 

壁へぶち当てた。

 

「ぐはっ」

 

「あ、こっちじゃなかった。ゴメンね」

 

脳震盪起きなくて良かった。不知火は手探りで入り口を探す。

天然なの?生粋のドSなの?スゲー痛いんだが

 

 

「あ!、あったあったよ♪こっちこっち!」

 

 

壁に手を突っ込みつつ、手招きされる。

なんて言うか、とってもシュールだ。

 

 

「それっ!」

 

 

グンと引っ張り、中へいれる。

 

 

 

 

 

★☆☆

 

 

 

 

刹那、白い光が俺の視界を奪った。どーせここでテレポートすんなら始めからせえや。

広い空間に出た。いや部屋か?、多分そうだろう。明かりは蛍光灯っぽいあたりに張り巡らされたパイプのみ。ここが地上か地下かもわからない。…………って、元からここ地下じゃねーかw。

 

 

「おい、どうした。ホバマーク酔いはもう解けたはずだが?」

 

「お~い!起きてる?」

 

「んぁ、っとと。悪い、少しボーッとしてた」

 

「………………連れてきました。リーダー」

 

 

ヤバい、何かボケっとしてた。つーか、ホバマーク酔いってなんだ?例えて、バス酔いのテレポートバージョンってとこか?

 

 

「ハハハッ、そんな改まっていうなよキュロット。お前とは同期だろうが」

 

「………………そうだったね、クソ外道」

 

「………オマエ、前より口が悪くなってないか?」

 

「………………気のせい」

 

「おっと、紹介が遅れたな勇者。私の名前は黒沢 カイトだ」

 

「来島 アキトだ、以後よろしく」

 

 

自己紹介はサラッとクールにこなせ!よし、まあまあな出来だろう。

 

 

「りっくん、いないのー?」

 

「ああ、悪いな。ここには私と君たちしかいないんだ。キャラバンは、既に地上に上がって敵地へ向かっているよ」

 

「なーんだ。残念♪」

 

「何か楽しそうだね」

 

 

スバルの引き気味のツッコミが決まったァ!スバルはレベルが上がった。

………何してんだ俺。

 

まぁ、そんな戯言はボッシュートして、と。キャラバンは地上に上がって、既に敵地へ向かったか。

 

 

あ、そうそう。この第一区分目って地域は、地下と地上の間に魔法のシェルターで覆われていて、地上はモンスターがうようよいるそうだ。最近はその中でも異色な、異世界から人間を呼び出す魔物(魔女か?)が、モンスターを従え、シェルターに攻撃しているとか。

 

そんなんで、このシェルターは三年に一回、第一区分目の全魔法使いが結界を張るんだが、この頃は三ヶ月で消耗してしまい、魔法使いに多大な負担がかかっている。

 

そこで、もういっその事その魔女を倒してしまった方が早いのではないか。そう偉い人は考えたわけだ。で、巡り巡ってこのキャラバン…………名前なんだろう。

 

 

「エンプディルだ」

 

 

おうふ、地の文に突っ込まないで。エンプディルのメンバーはみんなこんなことが!?

だとしたら主役のピーンチ。座が危うい。何かって?言わなくてもわかるだろ、な?

 

 

「さて、もう出発するぞ。明日には追いつくだろう」

 

「え、もう!?早くね!?」

 

「………………善は急げ。用事の時間から早くて損はない」

 

「そうそう、大型のトロッコの手配も済ませてあるしね♪」

 

 

い、何時の間に。あ、スバルがため息ついた。………貴方がやられたのですね。キュロットさん、またパシッたか。

スバルも大変よのう。

 

 

「デスゾーン!」

 

 

おおっと、これはギルド『エンプディル』のリーダー、黒沢 カイト様の魔人が見られるのか?

 

 

って、何もいないし。まぁ、空間が一部紫色になって、奥へと光が吸い込まれている感じがする。ということは、あのテレポートも黒沢さんがやってくれたということなのか。

じゃあ、射程とかもあるんだろうな。現状では分からんが。

おお、少しだけドヤ顔してる。

 

 

「よし、君たち早く来いよ!」

 

「………………五月蝿い、クソ外道め。はよ行って」

 

「………。」

 

「あ、な、泣かないでくださいリーダー!」

 

「サキ。これは冷や汗だ。冷房が効きすぎていたのだろう」

 

 

 

 

 

「(そっとしておこう)」




ネーミングセンスのなさは仕方ないですよね。

あと、基本的に会話は「」で。始めての固有名詞などは『』 で。

あと、囁いている時は「()」で表します


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