機動戦士ガンダムoo もう一人の主人公 (ガタック)
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ファーストシーズン開始前
プロローグ


こちらに、友達が小説を投稿しているのを聞いて、それに便乗するように投稿を開始しました(後悔はしていない)

主人公の設定には、一部ご都合主義がありますが、物語で必要になるので見逃してもらえると助かります。
※詳細は、後で投稿する設定にて




この世界に神はいない…

かつて言われた言葉であり自分の心に刻まれたことばでもある。

(神がいるならソラン兄ちゃんは死ななかったはず)

そう思いながらアサルトライフル片手に戦っているが、敵の数が減る気配は全くない。

 

 

それもそのはず…

相手は巨大なMSであり攻撃のほとんどが弾かれている。

アサルトライフルをギュッと握りしめて飛び出すも、殆どの攻撃は効かない。

時々、無反動砲で攻撃する事で動きを止めれるが、それを使用した仲間は使った直後には死んでいく。

俺はそんな巨大な相手に蹂躙されていく仲間たちを見ながら戦場を走る。

 

俺のそばに、俺よりわずかに背が高い人が近づいてくる。

「おい、大丈夫か?」

俺にとっての兄貴分である、イオラスだ。

彼は俺が瓦礫の影にいる事に気が付いてきてくれたようだ。

「大丈夫」

本当は大丈夫じゃない。

けれど、こうでも言わないと本当に参ってしまいそうだ。

せめて、言葉だけでも強気でいないと……

「よし、行くぞ」

「うん」

そう言って瓦礫の影から出て走り始めると、無反動砲を見つけた。

「これで…」

そう言ってイオラスが拾おうと近づいた時、運悪く敵MSの砲撃の爆風が当たり、遠くに飛ばされてしまった。

恐らく、MSは俺達を視認したかもしれない。

攻撃を受けない為に、逃げるために、俺は足を動かす。

息が切れようが、足がもつれかけようが構わない。

「危ない!!」

近くにいたイオラスの叫び声と共に投げ飛ばされ、次の瞬間には爆音と共に、瓦礫が舞うのが視界に入った。

恐らく敵MSのロケット弾が近くに打ち込まれたのだろう。

投げ飛ばされながら見えたのは、イオラスが吹っ飛んでいるのがわずかに見えた。

 

 

若干意識を失っていたようで、目を開くと夕暮れの空と黒煙が視界に入った。

何とか体を起こし、つい先程の出来事を思い出す。

「……そう、だ。イオラス……兄ちゃん……!!」

立ち上がろうとして、膝に異常な痛みを感じた。痛みにこらえながら体を起こすとイオラスの上半身が見えた。俺の近くに飛ばされたのだろう。

しかし、彼の腰から下が見えない。

……どういう事?

「よ、う……元気か?」

そこで、ようやく俺は彼の下半身がなくなった事を認識した。ひどい吐き気に襲われ、喉元まで胃液が上がってきた。俺は、何とか吐きそうになる衝動を抑え、声を出すのを我慢して上半身だけになったイオラスの体とともに物陰に隠れた。

 

俺が物陰に隠れた時、4年前の出来事を思い出した。

ソラン・イブラヒム。

彼を失った時だ。

「兄ちゃん!!しっかりしてよ!!!!」

「俺は…もう無理…だ…せめて…シュレイ…お前だけ…でも…生き…ろ」

ソランの言う通り、この世界に神はいないと心の中で思った。

泣き叫びながら、俺は心の中で叫んだ。俺達は何の為に戦っているんだ、と。

「いやだよ!!もう誰もいなくならないでよ!!もうあんな思いはしたくないんだ!!」

「静かにしろ!!」

死にかけているはずなのに、叫ばれた、そしてゴーグルを取って僕の目の前に差し出した。

「このゴーグルを…持っていけ…俺は…いつでも…お前を見守っている…」

もう何も言い返さずゴーグルを受け取った。

 

しかし運命は残酷なものだ。

MSが俺達に気がついた。

俺の鳴き声か、それとも俺たちが死亡したことを確認しに来たのだろうか。

俺達に方に向けて、装備の実弾砲を構えてきた

(!!……もう死ぬんだ)

心では理解していた。しかし、どこかで祈っていた。

(誰か、助けて……)

偶然か、それとも思いが通じたのか。

空からビームが降ってきた。

 

上空にいた何かが光を放っている。。

気が付くと周りのMSが全滅していた。

「あれは・・・?」

何かわからないが、緑色の粒子が雪の様に待っていた。

光を放った何か、いや、新しいMSだろうか? とにかく、ソレは俺を見たが、どこかに飛んでいった。

 

俺は一人で生き延びてしまった。

行く当てもなく、さまよう様に何日も砂漠を歩き続けた。

 

数日後、食料と水が底をつき、そろそろ死んだ仲間の元へ行けるかと思った時だった。

目の前の人が俺に水と食料をくれた。

グラーベという名前らしい。

そして、彼の今後を決定づける一言を言い放った。

“世界を変えてみないか”と

 

 

物語は始まった、ここにもう一人の主人公(ガンダムマイスター)が誕生した。

 




投稿完了
って事で、俺の描いた作品をこのサイトに投稿してしまったか……
コメントとか、どんなのが来るかな?

正直言うと、初投稿で緊張していますが、温かい目で見てもらえると助かります。


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主人公設定(ファーストシーズン)

プロローグに書いてあった、主人公設定です。

パーソナルカラーを忘れていた為、急遽編集しました


主人公設定

名前(本名):シュレイ・イブラヒム

コードネーム:時也・E・フィアーズ

 

搭乗MS:Oガンダム

 

時也:基本刹那ほどではないが口数は少ないが、コミニュケーションを取る内に口数が増えていく

クルジスでは、かつて少年兵であった。

その時すでに刹那を兄のように慕っており基本的に刹那についてばかりいた。

あまりのしつこさに刹那も話すのをあきらめたぐらいだった。

しかし、ある時刹那に紹介されたゴーグルをつけている少年である、イオラス・ヒムに付き添うようになり、少しでづつではあるが、刹那から離れていく。

パーソナルカラーは明るい青緑(参考:ペイントにてRGB=35:226:131、色合い:鮮やかさ:明るさ=100:184:123)

 

戦闘スタイル

生身:対人戦ではハンドガンでの射撃、ナイフは余裕があると投擲、近くの相手には素早く急所を突き刺す。

MS戦では、基本的にはコックピットに銃を撃つ(これしか本当に勝つ手段が無い)。時々ライフルを使う事もあるが、足が止まるので本当に少ししか使わない。

MS:機体設定にて説明

 

 

感情豊かで、仲間の死に対してはかなり敏感。

最初は戦いが終わるごとに大泣きしていた。次第にみんなの前では泣かなくなったが、陰で泣いている。

 

刹那がいなくなった(ソレスタルビーングに入った)時には相当泣いており、それから徐々に表情が消えていった。最終的には、ひと月月程度で殆ど無くなっている。

しかし、相変わらず死に対しては敏感で、一人声を出すことなく静かに泣いている所を、度々目撃されていた。

時也もまた神を信じずに戦っていた。

ある戦いの時にMS相手にしていた時に死にかけたが刹那がリボンズ・アルマークのOガンダムに助けられたように、時也の場合はルイード・レゾナンスのガンダムアストレアに助けられていた。

その直前には、イオラスがMSの攻撃から時也をかばって下半身がなくなった。

死の間際に時也にゴーグルを託しており、時也も出撃の際いつも身に着けている。

 

スメラギの事を「母さん」と呼んでおり

ロックオン(ニール)の事を「ロック兄」と、刹那の事を「刹兄」と呼んでいる。

基本的には、~兄、~姉と呼んでいることが多い。

 

ティエリアが少し苦手であるが、リヒティやクリス、ロックオン(ニール)に弟のように扱われている。

 

容姿は細身で筋肉もあまりないがソレスタルビーングに入る前に右膝を負傷しており、ガンダムマイスターとしての自分自身への『紛争根絶への誓い・かつての過ちに対する咎め』としているので治療していない。

そのせいで少しだけミッションに影響を出すこともある。

また顔には右頬から耳たぶあたりにかけて、切り傷がある。

髪を長くなるまで放置する癖があり、その度にロックオン(ニール)に切ってもらっている。

ちなみにソレスタルビーングに入ってから料理を覚え、家事ができるようになった。

ソレスタルビーイング加入時、刹那と会うまでは表情がほとんどなく、コミュニケーションも最低限だったが、刹那と再開してからは表情が戻りつつある。そこから、ロックオン達により、明るさを取り戻し、今(ファーストシーズン開始前)では、部隊内でのムードメイカーのような存在になる程まで明るくなっている。

 

 




主人公の事に関しては、まだ設定がありますが、それはまだ書いて言いことではないと判断しました。
話が進んでから、再び追加で説明するつもりです。
少々お待ちください。


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機体設定

Oガンダムを使用するにあたっての設定です。

※投稿者はOOの外伝シリーズを一切読んでいない為、読んだことのある方からすると矛盾点があるかもしれません。
予め、ご了承ください。


Oガンダム(GN-000)

 

ガンダムマイスター、時也・E・フィアーズが搭乗するMS

かつて、GNドライヴ搭載機の原型となった機体であり、本来は計画に参加する事の無かった機体である。

性能自体は、GN粒子による完成制御をはじめ、高い運動性能と機動力を持ち、GN粒子兵器を使用する事ができる。

その為、機体性能は高い方ではあるが、第3世代ガンダムより兵装、性能共に劣っている。

 

時也・E・フィアーズの高いパイロット適性が発覚したが、彼の適性値は4機のガンダムのマイスターと決定的に違う事があった。

4人のマイスターは、それぞれの機体に特化した適正値を持っている(刹那ならガンダムエクシア、ロックオンならガンダムデュナメス等、各々のマイスターの得意分野に特化した機体の適正値が高い)のに対して、時也の場合、他のマイスターより少し劣る程度ではあるが、4機のガンダム全てに対して、高い適正値を持っている。

 

例:ガンダムエクシアの適正値の1位は刹那で、2位は時也だが、差はほとんど無く、仮に時也がガンダムエクシアを操ったとしても、刹那よりほんの少し劣るが、機体性能を発揮できたり、指定されたフォーメーションを殆ど問題なくこなすことができる。(EXVSシリーズでいう、エクストラ機体の様な感じ)

 

それ故に、ヴェーダが現在使用可能なガンダムである、Oガンダムを使用する事で計画の成功率を高くすることができるという結論を出した。

その為に、別組織に一時保管される前に『プトレマイオス』に収容された。

それに合わせて、トレミーの中にはOガンダムの収納スペースがカタパルトデッキ付近に、急遽増設されている。

射出順番が、格納の都合で最初か最後になっている。

 

最初に書いた通り、第3世代より性能が劣っている為に、追加装備を開発しているが、最初の武力介入に間に合わない為、追加武装はまだない。その代りに、機体の改修を行っており、第2世代ガンダムとほとんど変わらない程までは、底上げされている。

色は初期使用だが、盾や肩等、一部装甲には最終決戦仕様と同じ配色になっている。

時也のパーソナルカラーである、明るい青緑ではない(本人は気にしていない)

稼働決定はしたが、太陽炉が別組織に渡っている事もあり、Oガンダムは粒子貯蔵タンクでの戦闘が必須事項となってしまった。

中盤のモラリア介入時に、トレミーに太陽炉が戻されているが、その後は『トリニティ』の出撃により、出撃回数が激減した為、再び別組織に太陽炉を戻すことになる。

国連軍(GIN-X部隊)との戦いが始まるころに、再びOガンダムに太陽炉が装着される。

そのまま、太陽炉はOガンダムが持ち続ける事になる。(この辺りはOOPやOOI、OOFの知識が殆ど無い為に、この設定で行きます)

 

Oガンダムの運用により、粒子貯蔵タンクのデータ収集が行われ、セカンドシーズン時には粒子貯蔵タンクの改良がおこなわれる。




いかがでしょうか。
このような設定でこちらでの投稿を行っていく予定です。

コメント、感想等ありましたら、よろしくお願いします。


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ファーストシーズン開始
第1話


何とか今日中にコチラ様に編集した1話を投稿できる……

なれない作業で疲れました。

楽しんでもらえると、コチラも嬉しいです。
例の如く、感想、コメント等をお待ちしています。


あの後、俺はソレスタルビーイングという組織に加入することになった。

あんな馬鹿げたことのせいで、どこかで誰かが犠牲になるのなんていやだから。

世界を変えて、あんな醜い争いを無くすためだ。

その結果、俺はソレスタルビーイングで、Oガンダムのガンダムマイスターになった。

更に、俺はソラン兄ちゃんと再開した。彼もまた、ガンダムエクシアのガンダムマイスターになっていた。

しかし、彼は刹那・F・セイエイとして生きていくといい、俺にも刹那と呼ぶように言ってきた。勿論、俺はそれに対して反対はしなかった。彼は、俺以上に覚悟を持っていたからだ。

 

西暦2307年

ソレスタルビーイングで1Stミッションが行われる。

この世界で、公式記録上最初の武力介入が行われることになる。

そして、世界に『ガンダム』というMS『ソレスタルビーイング』という組織の存在が世界に知れ渡る事となる。

場所はAEU軍事演習場だ。近くには軌道エレベーターがある。

現在、世界3大勢力である、人類革新連合通称"人革連"の10周年記念式典が行われており、AEUはそれに対抗するかのように、新型MSの発表を合わせてきたのだ。演習演習場を公開し、他の勢力にも、機体性能を見せつけている。

MS『イナクト』

AEU初の太陽エネルギー対応型のMSで、特徴はユニオンの主力MS『フラッグ』に似ている。

左腕にはリニアシールド、右腕にはリニアガンを装備しており、この時代では最新鋭のMSだ。最も、ソレスタルビーイングのMSはビーム兵器を搭載しているが、この時は、まだ俺たちの組織の存在は知られていない。

 

俺達、ソレスタルビーイングがどうして、AEUにいるのかと言うと、この公開演習にガンダムを導入するのだ。

この演習は世界が注目している出来事の一つであり、もう一つは人革連の式典だ。

俺は、刹那とロックオンと共に、AEUの公開演習に武力介入をはじめる。

 

粒子散布→戦闘→増援の撃破→撤退

この予定で今回の作戦を行う。

 

 

まずは予定通り、刹那の乗るガンダムエクシアがイナクトと交戦し、圧勝した。

これで、敵は緊急事態として、エクシアの撃墜をしようとする筈だ。

そして、これも予想通りで、エクシアを包囲するかのように近くの軌道エレベーターから、MSヘリオンが飛行形態で出現した。

相手の数が多く、苦戦している様子を俺とロックオンが地上から見ている。

ミッションプランでは俺達は待機組である為に、地上で隠れていた。

『さすがの刹那でも数に苦戦しているみたいだ、俺たちもそろそろ初陣と行こうか』

「了解、出撃のタイミングはどうする?」

『俺が狙撃を開始したら刹那と合流しな』

「了解、時也・E・フィアーズ、これよりセカンドフェイズでエクシアと合流」

俺はそう言うと、Oガンダムを浮上させた。

 

Oガンダムが浮上する頃には、エクシアが背後を取られて攻撃されそうになった。

しかし、攻撃される事は無かった。

攻撃をしようとした機体が攻撃を受け撃墜したからだ。

「刹兄、大丈夫?」

『ああ、この攻撃はロックオンか』

エクシアが下の方を確認したのか、攻撃を見て理解したのかはわからないが、ロックオンの狙撃とわかったらしい。

敵からすれば、下にはスナイパーライフルで狙撃しているガンダムがあり、さらにもう一機飛んできた。

狙撃だけでなく、新たに来たOガンダムによって次々に落とされているが、その2機に気を取られていると、元々いたエクシアに撃墜されてしまう。

気が付けば、流れは完全に此方にあり、最後の一機はエクシアに落とされた。

そして、増援が来ないことを確認すると、俺達はこの場にいる必要性が無い為、指示通り、撤退を開始する。

撤退していると、宇宙で行われた人革連の式典会場に接近していた所属不明のMSをガンダムキュリオスとガンダムヴァーチェが撃破したという情報を受け取った。

ミッションプランは成功。

やるべきことはやった。

あとは、トレミーに搭乗しているメンバーたちのやる事だ。

 

その日の夜、三人のマイスターは地上にある活動拠点兼ガンダムの補修作業を行う拠点でもある格納庫に近い建物の外にいた。

そして携帯端末でニュースを見ている。そして、どのニュースもとある映像が流れている。

内容は、イオリア・シュヘンベルグが創設した、ソレスタルビーングは全世界の武力による戦争行為・紛争行為に対し、武力介入を始めると宣言したものだ。

携帯端末で映像を見ていたが、ロックオンは映像を切った。

「始めちまった、ああ始めちまったぞ…もう止められない」

「止マラナイ、止マラナイ、止マラナイ」

ロックオンのセリフに、ハロが答えた

「俺たちは世界にケンカを売ったんだ、わかっているよな刹那、時也」

「うん、わかっている」

「ああ、わかっている」

二人は答えて、それぞれのガンダムを見上げた。

「俺たちはソレスタルビーングの…ガンダムマイスター」

 

翌日、ニュースを見ていたらしいロックオンがその内容について話してきた。

「どの国のニュースも俺たちのニュースで持ち切りだ」

「どんな感じで言われてる?」

「『謎の武装集団、全世界に対して戦争根絶を宣言する』だとさ」

時也の質問に答えたが鼻で笑い、こう続けた。

「もっとも、ほとんどの奴は信じていないがな」

「ならば信じさせましょう」

ロックオンのセリフに答えるかのように女の声が聞こえた。

ここにはマイスター三人しかいないはず。

だが、ここには本来場違である女の声がした。

「ソレスタルビーングの行動理念は行動によってのみ示されるのだから」

この女の声を俺達は知っている。

「王留美(ワンリュウミン)」

刹那が眼だけを見て呟いた。

ソレスタルビーイングの活動資金を出している、いわゆる出資者である。

彼女は連れの人に抱えられている。

どうやら浅瀬で足を濡らさないためにらしい。

元々、彼女はここに来る予定だったのだが、もう少し遅い予定だった。

「お早いお着きで」

そして、彼女が来たという事には意味がある。

「あなたが来たということはミッションか」

「その通り、セカンドミッションよ」

 

少し時間が過ぎた頃に、俺達は再びガンダムを動かす準備をしている。

「時間ドオリ、計画ドオリ」

ハロが喋っているが聞き流している。

ガンダムに乗り込むとハッチが閉まった。

アイセンサーによる本人確認を終えると起動準備にかかる。

格納庫のハッチが開き起き上ると、それぞれの武装を装備する。

そしてエクシアとデュナメスがGN粒子を散布し始める。

そして、Oガンダムの粒子貯蔵タンクには今回のミッション分の粒子がある事を確認する。

「エクシア、刹那・F・セイエイ、セカンドミッションを遂行する」

「デュナメス、ロックオン・ストラトス、出撃する」

「Oガンダム、時也・E・フィアーズ、セカンドミッション開始する」

Oガンダムはデュナメスに捕まり、宙に浮く。(粒子消費を少しでも抑える為に)

三者三様のセリフを言ってミッションポイントに向かった。

セカンドミッションの開始である。




いかがでしょうか。
粒子貯蔵タンクで行う為の模索をしている所です。

太陽炉ではないから、行動や武装に制限が……
つじつま合わせがなかなか大変です。


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第2話

今回は、アニメ第2話の内容となっています。
例の如く、最後にはあの男が搭乗します。


粒子貯蔵タンクの機体って書くの難しいですね。
GNドライヴ搭載ではないから行動制限があるし……


つい昨日、武力介入をしたばかりにもかかわらず、今またガンダムでミッションポイントに向かっている。

今から行われるセカンドミッションは、二十世紀から度々紛争が行われていた地域である、

セイロン島に向かっている。

スメラギの話によれば、現在のセイロン島は、無政府状態である為に多数派のシンハラ人と少数派のタミル人による、民族紛争が起こっている。

『紛争根絶』を掲げるソレスタルビーイングとしては、活動理念に則り、この紛争に武力介入を行うというわけだ。

 

合流地点に近づくと、ガンダムキュリオスとガンダムヴァーチェを視認した。

『来たぞ、刹那、時也、アレルヤとティエリアだ』

『確認した』

「俺も視認したよ」

『よし。予定ポイントで合流後、ファーストフェイズに入る』

遠くにいるのキュリオスとヴァーチェを改めて目視し、合流ポイントへと向かう。

俺は過去の出来事故に、民族紛争という言葉に反応している。俺の予想だと、たぶん刹那も反応しているだろう。クルジス共和国はアザディスタン王国に吸収され、そこから反政府軍として、民族紛争に近い形で戦っていた。

その経験を踏まえて、俺は思う。こういう紛争はあってはならない。

 

 

もうすぐセイロン島に到着する。

『スメラギ・李・ノリエガの戦況予測に各自対応する』

ロックオンの一言でミッション開始に近づいた実感を得た。

『それなりの戦果を期待しているのでよろしく』

最後のは緊張ほぐしなのか、場違いなセリフを放った。

『それなりにね』

まずアレルヤが言った。

『俺は徹底的にやらせてもらう』

次にティエリアが言った。

『お好きに…』

ティエリアの言葉は毎回冗談が無い。と言うか、冗談が通じたことって、今まであっただろうか?

「了解」

次に俺が言った。三者三様の反応と言うか、皆の性格出るなぁと思っていると、刹那の返事が聞こえてこない。

『緊張しすぎるなよ』

俺に対しての言葉だろう。俺の返事には緊張感を受け取ったらしい。さすがは皆の兄貴分って思う。

『おい、刹那聞こえているか?返事しろ』

『……』

やはり応答がない。と言うか、集中しているのだろうか?

『刹那、オイ応答しろ、刹那』

流石に何かを感じたのか、ロックオンも返事をするように声をかけるが返事がない。さすがにおかしいと思うと、何か呟いた。

『俺がガンダムだ』

『何だって?』

刹那の呟きにロックオンは戸惑っている。

『俺がガンダムだ!!』

今度ははっきり言った。っていうか、思いっきり叫んだ?

『オ、オイ?! 何言ってんだ?』

ロックオンが戸惑いながら言った直後、エクシアが急加速した。

『オオイ、刹那!!』

キュリオスはエクシアを追う様子も無く、方向転換する。

『子供のお守をよろしく』

『ハァ?!』

どうやら、刹那を完全に放置するスタイルをとるみたいだ。

ヴァーチェもキュリオスとは反対方向ではあるが、方向転換する。

『作戦行動に移る』

『オオイ、お前ら!!』

完全に放置。自身の役割のみに徹するという考えが、簡単に伝わってくる。

というか、これ完全にロックオンが貧乏くじ引いたね。

「エクシアを追う」

『ビンボウクジ、ビンボウクジ』

俺はロックオンと共に行動する事が、今回のミッションでの行動だが、ハロの一言には正直笑いそうになった。笑ってしまうと後ろから撃たれかねない。冗談でも粒子量に制限があるから無駄な行動をとりたくない。必死に笑いをこらえる。

『チッ、わかってるよ。攻撃に集中する。回避運動は任せたぞハロ。あと時也。お前、地味に笑いを堪えてるだろ』

セカンドミッションが始まった。

若干問題は起きたが、ミッションには支障は無いだろう。……多分。

 

 

上空に到着早々、砲撃を受けそうになったが回避しビームライフル一機破壊した。

「時也・E・フィアーズ、介入開始、ミッションを遂行する」

そう言って、Oガンダムのビームライフルで四機破壊、近接格闘で五機倒した後、エクシアと合流し、共にMSの破壊活動を開始した。

何十機か倒すと、恐らく人革連の部隊であろう機体、ティエレンが撤退を開始し始めた。

撤退した後には、機械の残骸と爆発によって出たと思われる火が見えた。

『協力を感謝する。今までの借りを返してやる!!』

突然入った通信……さっきまで人革連の軍に押されていた、多数派のシンハラ人だと思われる機体が3機ほど進軍を始めた。

まるで、俺達の行動を理解していないみたいだ。彼らの援護をした訳では無い。紛争を終わらせる為に武力衝突を強制的に終わらせたのだ。もし、俺達の横を通り過ぎて無聊行使をするなら、それを止めるのも俺達の役割である。紛争根絶の為に。

3機はエクシアとOガンダムの横を通り過ぎようとした。勢いを抑える事も無く、確実に人革連のMSを破壊するつもりみたいだ。ならば、俺達は自身のやるべきことをしなければならない。

その為、エクシアとOガンダムで3機のMS破壊した。

それを遠くから見ていたのか、他にMSが攻め込んで行く様子は見られなかった。

つまり、この瞬間にようやくミッションが終了したのだ。

 

ミッションが終了を報告しながら、エクシアから帰投する分の粒子供給を行い、俺と刹那は先に帰投する事にした。

なんだか少年時代を少しだけ思い出していた。

少数ゆえに、ガンダムは性能で圧倒しなければならない。だから、先程の戦場を制圧する事も簡単だった。しかし、あの3機のMSパイロット達は、まるで俺達が協力部隊と思っていた。昨日の放送を信じていない人間の一部だろう。まだ、俺達の活動を世界は軽視している。それ故に紛争はまだまだ、多く続いている。

そう思うと、俺達はまだまだやるべき事が沢山ある。そうしなければ、紛争は無くならないし、かつての俺と刹那みたいな存在は、また生まれてしまう。

そんな考え事をしていると、Eセンサーに反応があった。

ユニオンの輸送機が近くに飛んでいた。いや、接近してきた。その様子は、俺達を恐れず、むしろ実力を見定めようとしているのだろうか。

「刹兄、あれってユニオンだよね、なんでこの空域で…」

『待て、もう一つ機体が来る…フラッグか』

一応迎撃態勢を整えると、フラッグが飛んできた。

飛行形態からMS形態に変形し、レーザーサーベルを構えると、かなりの速さでエクシアに接近してきた。そのままスピードを殺すことなく鍔迫り合いをする。

『初めましてだな、ガンダム』

接触回線ではない。外部スピーカーを使っているのだろう。俺の方にも声が聞こえる。

『何者だ?』

『グラハム・エーカー…君の存在に心を奪われた男だ!!』

 

グラハム・エーカー、そう名乗る男の叫び声は、新しいおもちゃを見つけて興奮するような純粋な声に聞こえた。




最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
グラハム・エーカーの登場です。
勿論、ガンダムOOの本来の主人公である刹那のライバルです。
アニメや小説を見返すと、フラッグで突っ込んでくるという、無謀を行いましたが、その後のセリフも相まって、とんでもない存在感ありますね。
次回は、この続きから投稿します。

是非、お楽しみに

感想、指摘等のコメント、お待ちしています。
矛盾点も指摘してもらえると助かります。
但し、荒らしコメントだけはやめてください。


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第3話

今回は、ソレスタルビーイングの欠点が出るかいですね。
原作を見た時は、こんな弱点があるのかと感心してました。

後は、この世界でガンダムに乗るって事はどういう事かを感じる回でもあります。最初の頃は、相手によってこんなことを感じるのでしょうね。


グラハム・エーカーと名乗った男と刹那の戦いが始まった。

『おとめ座の私にはセンチメンタリズムな運命を感じずにはいられない』

(何言ってんだコイツ?)

突然突っ込んで行った挙句、訳の分からないことを言われても困る。

露骨に表情に出ているとわかってしまう。

それ程まで、この男は異常だと感じた。

『それとも光の粒子を出していなかったから見つけられたのか』

光の粒子というのは恐らくGN粒子の事だ。確かに散布はしていない。

本来はミッションの方は終了しており、そんなことをする必要はなかったからだ。

元々、自分達の事を知らせてしまう事でもあるが、敵の通信網を麻痺させることで、作戦を終止こちらの優勢にする為に散布している。

『恐らくは後者だ!!』

そういうと、フラッグが出力を上げてきた。

「刹兄!!」

それでもエクシアが出力を上げることでサーベルにかかる力を上げる。

するとフラッグの剣をがすっぽ抜けた様に下に落ちていった。

フラッグのパイロットは冷静に距離を取る。

しかし、刹那がそれを見過ごす訳はない。即座に盾を構えながら接近してGNソードを振り下ろす。

だが、フラッグのパイロットはエクシアのサーベルを回避した。大振りに振った事で隙を生まれたのはわかったが、その僅かな隙を見逃していない。

コイツは間違いない。エースパイロットと呼ばれる腕前だ。

『何?!』

「刹兄、そのパイロット」

『わかってる、結構な腕だ』

回避するとフラッグはエクシアに接近し肩をつかんだ。

『俺に触れるな!!』

エクシアはフラッグを強引に振りほどく。

払われるように投げ出されたフラッグは、レーザーライフルのでエクシアとOガンダムに射撃を行う。対して、Oガンダムがスイッチするように、2機の間に入ってシールドを構える。

エクシアはOガンダムを飛び越えるように上昇し、一気に距離を縮めると、シールドを投げ捨ててビームサーベルを腰から取り出してフラッグの銃を破壊する。

フラッグは武器を失からなのか、それとも単純にビーム兵器相手では不利と判断したのか、ユニオンの輸送機の方向に飛んでいった。恐らく帰投したのだろう。

 

 

後日、俺と刹那は機動エレベーターの駅に来ていた。

ここで言うエレベーターとは、地球の外に等しい高さに上るための施設だ。その高さ故に、世間一般のコンテナのよなエレベーターではなく、モノレールのような構造になっている。

エレベーターというよりは、宇宙ステーション行き鉄道のターミナルという表現が正しいのかもしれない。

「遅かったじゃねーか刹那、時也」

声をかけてきたのはロックオン。

「このきかん坊め」

建物の中にはガンダムマイスターが揃っている。

「死んだかと思った」

悪いがティエリア、俺たちに限ってそれは無いよ。

「何かあったの?」

「えっと「ヴェーダに報告書を提出した」……ってことがありました」

「後で閲覧させてもらうよ」

「ああ」

(いつも思ってるけどアレルヤは優しいけど、ティエリアは毒舌だな)

「時也、今何か変なことを考えてないか?」

「何にもないですよ。俺も書いておきました」

「後で閲覧させてもらう」

「……まぁ、全員無事で何よりって事で」

ロックオンが言うと、気楽そうな表情から真面目な表情に変えて、ティエリアに小言で話し始めた。

「ティエリア、宇宙は頼んだ。俺たちは次のミッションに向かう」

言われたティエリアは携帯端末を懐から取り出すと「命令には従う」と言い、俺達から離れていく。

振り向いて刹那と時也を見ると「不安要素はあるけれど」と言った。

いつも通りだな、そう言わんばかりにロックオンとアレルヤは笑った。

「お待たせしました」

ここのスタッフが二つ牛乳を持ってきた。

「ごゆっくりどうぞ」

そういうと去って行った。

どうして、俺達のテーブルに牛乳が来たのだろう。それも親切にコップ2個。

「ミルク……」

「だいたい予想はつくけど……」

「俺のおごりだ」

ロックオンが銃を撃つように手を動かしながら言った。

 

 

「しかしできるのかい?」

アレルヤが不安そうに言った。

「機体を機動エレベーターを使って宇宙に戻すなんて」

「確かにそうだよね……ばれないかな……」

「心配ない、機体をコロニー開発用の資材として紛れ込ませた」

ロックオンが不安を和らがせるために言う。

俺達がここに来た目的は、ガンダムを宇宙に、正確には宇宙にあるプトレマイオスに戻すためだ。

ガンダムは単機大気圏突入は可能だが、その逆はできない。故に、一旦地球圏に降りると、宇宙への帰り方が軌道エレベーターを使用するしか基本的にはない。別の手段が無いといえばうそになるが、今はそこまでする必要が無い。

「重量が同じで搬入さえクリアしてしまえば、以後のチェックは無いに等しい。特にここではな」

「搬入か……」

「まさしく盲点だね」

アレルヤが呟く。

「僕たちに弱点があるとすると、ガンダムがなければプトレマイオスの活動時間が極端に限定されてしまうことかな。それに4つしかない太陽炉が……」

言いかけて刹那がアレルヤの肩をたたいた。

「機密事項を口にするな」

「悪かったよ」

一応、周りに人もいないし、小声ではあるが機密事項だ。刹那は特にこういう事に対しては真面目だ。

そんな時に知らせ音と共にアナウンスが流れる。内容は、リニアトレイン(軌道エレベーターで使われている宇宙ステーションに向かう車両)が予定時刻に出発したという事だ。

「ティエリアの乗ったトレインが出るぞ」

建物の中の大型モニターにトレインが映る。

(その後にガンダムか……ばれないといいけど)

トレインが無事に出発したことを見送ると、俺達は建物の外に出た。

「さてと、じゃあ帰るか」

「少しは休暇がほしいところだけど」

「熱い鉄は熱いうちに打つのさ。一度や二度じゃあ、世界は俺たちの事を認めねぇ」

ちなみに、牛乳はしっかり飲ませてもらった。

 

サードミッションは個別に武力介入を行うことだった。

南アフリカの鉱石採掘現場にデュナメスとOガンダム、タリビア上空からテロリストの基地への爆撃をキュリオス、エクシアがセイロン島にて人革連のティエレンの残党勢力の掃討を行う。

 

今、俺はロックオンと共に南アフリカ圏の鉱物資源採掘現場にいる。ここでは、採掘権を求めて小規模だが紛争が起こっている。

だが、行っていることは、弱い者いじめに等しい。

さすがにOガンダムとデュナメスでもビームライフルによる射撃しか行っていない。

コチラはガンダム、相手は作業用のワークローダー(クレーン車の人が乗りこむ部分がコックピットとなり、それに手足がある感じ)に3個の銃口が付いた銃を持っているだけ。圧倒的にこちらが有利であり、ハッキリ言うとどうすれば相手に勝ち目があるかわからない。

「早く武装解除してくれよ、こういうの嫌なんだよ」

「でもあっちは武装解除する感じが無いんだけど」

「はぁ・・・狙い撃つか」

二人ともあまりに一方的すぎるから、やる気が起きない。

正直、早く終わってほしい。そう思っていると、ようやく敵が逃げ始めた。やっと戦力差に気が付いたのか、銃を投げ捨てるように落とすと一目散に逃げていった。我先にと言わんばかり散っていく様子を見て、ホッと一息ついた。

「敵ガニゲタ敵ガニゲタ」

「やっと終わったか。お利口さんだ」

「そうみたいだね。まだ抵抗されたらどうしようか考えてたよ」

「ヨカッタヨカッタ」

俺はモニタに消費した分の粒子を映し出す。微妙に帰投するには足りない。

「さてと、とりあえず帰投するか」

「それもいけど、粒子供給お願いしてもいい?」

「わかった。行うぜ」

ほんの5分程度だが、粒子供給を受ける。これで問題なく帰投できる。

「さて、やる事も終わった訳だ。帰るぞ」

「うん」

気前よく返事をして、採掘現場、いや、採掘現場跡から飛び立つ。

少しづつではあるが、世界は変革を始めているのだろうか。

俺達の行動は始まったばかりだ。今よりも世界に認めてもらう為には、更に行動しなければならない。

鉄は熱いうちに打て。まさしくその通り。冷めてしまえば、熱を加えるまで変化は起きにくいから。




最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
いかがでしたか?
ガンダムが宇宙にいないと、プトレマイオスの行動が制限される。
しかも極端になってしまうので、割と深刻な問題ですね。

主人公機も制約がありますが、母艦には更に制約があるとは……

※感想、コメント等お待ちしています。
荒らしコメントはやめてください。


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第4話

今回の内容
前半は日常パートですが、後半は戦闘があります。
戦闘表現はいつ書いても難しいです。
正直最初の方はガンダムで圧倒している事もアリ、表現が単調になってしまう……

前書きも難しい


『聞いたかアレルヤ、時也リアルIRAの活動休止声明』

「ああ。聞いたよ」

『さっきニュースでやっていたよね』

リアルIRAの活動休止声明。これには、世界で起きている紛争が1つだけではあるが終了する事を意味していた。一見すると、俺達の行動理念を理解したようにも見えるが……

『あの声明で俺達を評価している国も増えたみたいだが……』

「だが……って事はこの行動に反対している国も出てきたって事だよね。ロック兄?」

『それもあるがこんなの一時的なものだよ。俺たちの武力介入を恐れているんだよ』

『僕たちが活動を休止すれば再び活動を開始する。わかってるよ』

「アレ兄……」

『紛争根絶は簡単に出来る事じゃ無い』

『だからさ、休める内に休めよ。またすぐに忙しくなる』

結局は、俺達の武力介入を恐れての行動だ。事実、俺達のことを評価している国はあるが、人革連は俺達を『テロリスト』扱いしている。先日、明確な宣言を出しているのを報道していた。

だからこそ、活動を止める訳にはいかないが球速は必要。ロックオンが言った一言は確かな事実だ。

忙しくなると休めない。だから休める内に休む、当然の事だが、休息程大切な事は無い。俺自身、休むことは大切にしている。

それに、俺達の活動の理想は完全に活動停止させても、本当の意味で戦争を根絶させることだ。その為に、今は戦う。

俺自身、もうあんな思いはしたくない。その為に戦っている。

『恒久和平の実現、そのためのガンダム』

キュリオスが格納されている方向を見ながらアレルヤはそう言った。俺も、日本においてあるOガンダムを思い出す。

Oガンダム……俺がソレスタルビーイングの一員として、紛争根絶のために使うガンダム……

って思ってる時にロックオンがきた。

『それより、お前は飯の方大丈夫なのか?お前が食事を作らないと成長できないだろ。アイツの食事は質素だから、お前が管理しないとな』

「確かに……ってそうじゃなくて、俺は趣味で作ってるの」

『まぁ、頑張ってね』

「う~ん。何か含んでいるのを感じるけど……いいか。とりあえず、刹兄の所に戻るね。ロック兄、アレ兄」

俺は端末の通信を切って二人との通話を終える。二人は孤島にある格納庫だが、俺の現在地は潜伏先だ。潜伏先というのは、ミッションが無い時に、地上で生活するための場所。私服でいられるし、多少はリラックスすることはできる。俺自身、大事な休息の場として重宝している。家事担当なので、栄養管理という重大な仕事はあるけどね……

 

 

数日後、俺と刹那は公園にいた。気分転換程度に外に出ていたが、小腹がすいた。その為、休憩がてら、ホットドッグ購入してベンチに座りこんで軽食を取っている。

刹那はずっと俯いている。また少年兵の頃を思い出しているのだろうと思う。時々考えてしまうのだ。俺達の少年兵時代の事を。仲間が死に、建物も爆破され、気が付けば周囲には瓦礫だけという現実。そんな過去を経験してしまうと、この日本という国がどれだけ平和なのかを、感じられずにはいられない。

「あれ?君……」

不意に正面から声がして、顔を上げると一組の男女がいた。うちの男性の方には見覚えがある。

「沙慈・クロスロード」

「名前覚えてくれたんだ」

沙慈・クロスロード。彼は俺達の潜伏先の隣に住んでいる人だ。JNNの取材班に所属する姉がいるらしいが、見たことは無い。

沙慈の隣には金髪の女性もいた。見た感じ、日本人ではない。恐らくAEUかユニオンの出身だろう。金髪に青い瞳の日本人はそうそういない。

「沙慈、この人達だれ?」

「この人達は隣に住んでいる……えっと……」

「刹那・F・セイエイ」

「時也・E・フィアーズです」

「私はルイス・ハレヴィ。よろしくね」

「ああ」

「よろしくお願いします」

軽く自己紹介をすると、ルイスは沙慈の腕を引いてどこかに言ってしまう。

なんだか、中が良さそうにも見えた。

 

その日の夜。

タリビアが軍を機動エレベーターに派遣した。『一触即発』なんて言葉が当てはまる様な、いつ戦いが起きてもおかしくない緊張状態になっているらしい。

そこで、俺達ソレスタルビーイングは、今回軌道エレベーターに向かい、タリビア軍に対して武力介入を行うというミッションを行う。

俺と刹那は、自分のガンダムに向かって移動している。

俺達の格納庫は、水中にある。その為、湊付近の倉庫群から海に潜って格納庫に行く事になる。

格納庫に着くと、出撃予定時刻になるまでに軽く体を洗い、パイロットスーツに着替える。

着替えを完了すると、もうすぐ出撃予定時刻。ガンダムに乗りこみ注水作業を行う。粒子貯蔵タンクにある粒子量も満タン。出撃準備も完了し、水中より出撃する。

「エクシア、刹那・F・セイエイ、出る」

「Oガンダム、時也・E・フィアーズ、出撃する」

 

 

今回のタリビアの行動は世界が注目している。ソレスタルビーイングはタリビア軍に武力介入を行うのか否か。

俺達の回答は、戦争を助長する国として『タリビア軍』を攻撃する。理由は派遣内容にある。今回の派遣は、ユニオンの軌道エレベーターをタリビアの物とする事だ。即ち、軌道エレベーターから供給されるエネルギー資源は勿論、軌道エレベーターに関する全てがタリビアの物であると主張している。ユニオンの加盟国であったが、以前から反米意識が強く、一方的にユニオンという同盟から脱退して、勝手に宣言したのだ。そうすれば、ユニオンが動かない訳が無い。結果、ユニオン軍が出撃。タリビアの首都圏を中心に戦いが起きそうになっている。

だからタリビア軍を攻撃する。イオリア・シュヘンベルグの宣言にもあったが、争いを助長するモノは、例え国家であろうと武力介入の対象になる。

 

ミッションプランでは4機のガンダムで4ヶ所に同時に介入する。タリビア軍を一掃する。

そして、目標地点に到着、ミッション開始の合図が始まった。

「Oガンダム、時也・E・フィアーズ、介入開始。ミッションを開始する」

タリビア軍の地上用フラッグにビームライフルで攻撃を始める。

Oガンダムは、敵を近づけない正確な射撃で、フラッグを次々と撃ち落とす。

勿論、コックピットは狙わないように意識はしておく。今は俺達の行動を示す為に戦う。無駄に人を殺す必要はない。

「一方的だけど、こうしないと争いは……止まらないんだ。それに、この後の選挙の為か何だか知らないけど、そんな事で争いをうに出す原因を作ったアンタ達がいけないんだ」

そして、ミッション通り引き上げを開始する。

合流指定ポイントで合流して、粒子供給を受ける手筈だ。

無事、今回も何事も無く帰れると思っていたら、一機のフラッグが通常の2倍の速度でエクシアに接近するのを確認した。反射的に軌道を変えた。

「Oガンダム、エクシアの「撤退しなさい、それはミッションを無視するのと同じよ」……了解」

自分に言い聞かせて、ミッションに従い撤退をした。

ミッションを終えてキュリオスとデュナメスと合流し、キュリオスの上で粒子供給を受ける。

手短に済ませてもらい、俺は早々にエクシアの元に移動する。

 

帰投していると、トレミーから通信が入ってきた。

『全く、刹那が襲撃を受けたからってミッションを無視しようって、何て事するの』

「ごめん母さん、でも・・・もうあんな思いは」

『わかったわ、無事で何よりだけど、もうあんな行動はしないでね』

「了解」

『刹那と何があったかは知らないけど、だからと言って無茶はしないでちょうだい』

「了解」

トレミーとの通信を切って改めてエクシアを見る。

軌道をエクシアのほうに向けた理由は単純で、もう刹那を失いたくないからだ。

少年兵の時、刹那を2年失っていた。

生きていたからよかったけど、目の前で失うのが怖かった。

刹那は強いことは頭ではわかっているが、やっぱり怖かった。

やはり、いつになっても死への恐怖が出てくる。仲間の死はもう見たくない。

改めて、自分があの頃と変わってないことを実感した。




最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
今回は、ソレスタルビーイングの活動方針が理解できる話と投稿主は考えています。
彼らは宣言通り、武力介入を行いますが、対象は発生している戦争だけではない。戦いを起こす原因にも介入をするということですね。

感想、指摘コメント等、お待ちしています。
※荒らしコメントはやめてください。


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第5話

今回は、戦闘描写は無しです。
……テレビでも戦闘は無かった珍しい回です。




俺は、時也は刹那と共に日本の潜伏先にいる。

刹那は今筋トレを行っている。これは日常の光景であり、時間があれば筋トレを行っている。

その一方で、時也は掃除を終えたところである。これも日常であるが、ここでの家事担当である為に洗濯や買い出し、食事の準備も行う為、筋トレをしなくてもある程度は筋力を鍛えられる。

「刹兄、掃除終わったよ」

「そうか」

会話はいつもこの程度だ。

あまり、長い会話をする事は無いがすこし寂しい気もする。

あの境遇を生き延びた者同士だが、今はガンダムマイスターでもある。だけど、刹那は少年兵時代の影響が根強く残っているのか、最低限の会話しか行わない。

そんな中、急に携帯端末に連絡が来た。連絡が来る時は大体内容は決まっている。ミッションだ。

「MSの性能実験か」

人革連の新型MSの性能実験を、宇宙で行うらしい。情報から推測できる事は、新型のティエレンだろうか?

だが、人革連にはロシアの荒熊の異名を持つ、セルゲイ・スミルノフという男がいるが、今回の新型は彼の専用MSだろうか?

そして、ミッション内容にはこんなことも書かれていた。

『敵MSがソレスタルビーイングの活動に対して、脅威となりうる存在なら破壊せよ。判断はマイスターに委ねる。』

「破壊もあり得るミッションか……アレ兄なら大丈夫だよね」

「大丈夫だろ。あいつもガンダムマイスターだからな」

 

 

改めてミッションを確認しよう。

今回のミッションは人革連の新型モビルスーツの偵察。場所は軌道エレベーターの宇宙側のターミナルだ。今回のミッションは宇宙で行われる。

その為、アレルヤは機動エレベーターで宇宙に行き、その新型を民間人に紛れて視察する。

破壊というのは、新型の性能が今後のソレスタルビーングのミッションに対して、脅威になる場合、その機体を破壊する。その為『破壊もあり得る』というのは脅威となればの話で、AEUの新型の様に脅威にはならない場合(AEUに失礼だが)は、視察程度で終わる。

予定としてはこの連絡の二日後にミッションが開始するので、時間に余裕がある。

特に今回は、俺たちは出る幕がないミッションだが、マイスター全員には連絡する事が規則で義務付けられている。俺達に連絡が来たのは規則に則った結果だ。

 

今のソレスタルビーングは、タリビアに対して武力介入を行ったばかりであり、ユニオンの記者会見で、世間からは更に悪役として見られている訳だ。尚更、身分を隠さなければならない。

 

 

二日後、予定通りミッションが始まっているので、緊急出動の可能性を考慮して、一応格納庫に移動している。

とはいえ、視察にガンダムを使う必要性はない。だが、ミッションが終了するまでは何が起きるかわからない。その為、特にやることもないのが、大気はしておく。

「刹兄、これ食べて」

簡単にできるサンドウィッチと水を差しだした。

「ああ」

小腹が空いてくることを考えて、移動前に作っておいた。

これなら、隣人の沙慈・クロスロードに見つかっても遠くに出かけると誤魔化せる。

軽食を済ませたところで、緊急通信が入った。

内容は機動エレベーターの宇宙ステーションの区画の一部(左右3ブロックの2段構成)が破損、

中には民間人がいるとの事。更には、突然キュリオスがプランをすべて無視して飛んでいったので、ミッションを急遽変更。人命救助を行うとの事になった。

地上のガンダムは指定ポイントに移動するように命令が来た。

 

指示を受け、ガンダムは出撃した。

俺達が指定場所に移動すると、そこには巨大な銃が設置されており、デュナメスが装備されている(ように見える)。

『ミス・スメラギの情報通りなら、この上にターゲットがある。Oガンダムは上空で待機してどこかのMSが来ないか見張っててくれ。エクシアは俺の補助だ』

『「了解」』

俺は、エクシアから離れて滞空しながら、移動を始めた。

すると、背後でエクシアが動くととてつもない轟音に近い射撃音が聞こえた。

「何?!」

『俺の狙撃だ。刹那、そこの雲を消せ』

『了解』

すると、今度もエクシアが動いた直後に再び轟音が響く。

『……俺達の行動は完了した。コイツをどうにかして、さっさとズラかるぞ』

周囲を警戒するが、運よくどこのMSも来なかった。

砲台のような銃の処分(分解して隠すように指示があった。別の組織がどうにかするらしい)、すぐに移動を開始した。

今回は武器を使用していないから粒子の供給は無しで住んだ。

 

今回のミッションは人命救助だった。前回のような弱い者いじめが無い上、救助に成功している為、悪者扱いという世間の評判も多少は良くなるだろう。

だが、刹那は今回のミッションを快く思っていなかったらしい。

結局のところ、俺達は本来の視察ができず、新型の情報が殆ど無かった。

 

 

まさか、この時にしっかりと判断できなかった為に、今後苦しむことになるとは、この時誰も予想だにしていなかった。




最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

さて、今回の新型は時也君が推測していましたが、果たしてそうだったのか。
本編を知っている方は、これが何のMSなのかご存知でしょうが、彼からすると何もわからない状態ですね。
情報があるのと無いのでは、天と地ほど差が出てしまうのが、戦いの世界ですからね。情報は、ある意味かなりの武器ですね……


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第6話

今回は、モラリア介入の前半部分です。
今回から、Oガンダムに追加武装があります。
その詳細はすぐに投稿するつもりです。


この前の人命救助から一週間が過ぎた。

 

 

世間では、様々な反応が出ていた。

それもそのはずだ。『紛争根絶を掲げて、世界中の紛争に対して武力介入を行う』筈のソレスタルビーイングが、人命救助をするなんて予想外だ。世間では、テロリストと殆ど同じ扱いの組織が人命救助を行う事自体が、まずありえない。

その通りだ。その証拠に、俺達自身もこの手のミッションは、もう二度と行わないと思っている。しかも、人命救助を率先して行ったアレルヤは謹慎状態だ。

理由は、ミッションを無視した行動をしたからだ。本来の視察任務を行えなかった上に、こちらの手の内を世界に出してしまった。

どうしてこんな事をしたのかは、俺にはわからない。

アレルヤには何かを感じたのだろう。彼の過去、いや、俺達ソレスタルビーイングのメンバーの過去は完全に秘匿されている。これも、ソレスタルビーイングの規則で、特にマイスターの情報は太陽炉と同じランクSという最高機密レベルになっている。

だからこそ、俺達にはアレルヤが何を考えてあの行動をとったのかが分からなかった。

 

 

そんな中でも、ミッションは行われる。

モラリアの大統領がAEUの主要参加国の外相と極秘会談を行っているらしい。

ティエリア曰くCBへの挑戦とのことだ。

この会談の目的は、モラリアがAEUに加盟していない事を理由に、対ソレスタルビーイング防衛として、モラリアにAEUの軍隊を派遣する。

即ち、AEUは自らソレスタルビーイングを呼び込む口実を作った。これが、ティエリアの言うソレスタルビーイングへの挑戦らしい。

とはいえ、ソレスタルビーイングが武力介入の為に来る事を前提としている為、かなりの戦力をモラリアに派遣する事は免れないだろう。

よって、今回のミッションはマイスター全員を一旦集合させてモラリアへ武力介入する。それだけではなく、プトレマイオスからも、戦術予報士のスメラギ・李・ノリエガ、そのサポートとして、フェルト・グレイ、クリスティナ・シエラが地上に降りてバックアップをとる事になった。

 

そんな訳で、今から合流地点に移動するわけだ。

ミッションもハードだから気合いを入れて扉から出ようとしたとき、部屋のチャイムが鳴った。なんとも、タイミングに悪いことだ。

「ああ、ちょうどよかった」

扉を開けると、隣の沙慈さんがいた。何か持っている。

「姉さんが筑前炊きを作りすぎちゃって、よかったらどうかな・・・なんて」

どうやら、お裾分けというヤツらしい。

「今から出かける」

「ああ、そう」

刹那はいつも通りの対応をすると、さっさと歩いて行ってしまった。

俺も追いかけたいが、これを無視するのは隣人として怪しまれるので、受け取る事にする。

「出かけた後にでも食べるから貰うね」

「ああ、ありがとう」

俺は、筑前炊きが入っているタッパーを受けっとると、足早に部屋の中に戻った。

入ってすぐに冷蔵庫に入れると、走って玄関の外に出る。

「食べたら返しに行くから」

「ああ……わかったよ」

そう言って走って刹那のもとに行き、エレベーターに乗り込む。

 

 

モラリア共和国の説明をしよう。

この国は23年前の2284年に建国されたヨーロッパ南部にある小国だ。

人口18万人とやや少なめではあるが300万を超える外国人労働者が移住している。

約4千社ある民間企業の2割が傭兵の派遣、兵士の育成、兵器輸送、兵器の開発、軍隊維持、これらをビジネスとしているPMCである。

この国が武力介入の対象にならなかったのは理由がある。

紛争根絶の為に活動をつづければ、いずれ世界で起きる戦いは少なくなるだろう。そうすれば、彼らのビジネスである傭兵産業は縮小せざるを得ない状態になる。そうする事で、自滅してもらう予定だった。

しかし、これからPMCとAEUが超大規模合同軍事演習を行うらしい。

こうなってしまっては、ソレスタルビーイングはPMCの活動の拡大を防ぐために、武力介入を行う必要がある。

PMCとAEUによる、超大規模軍事演習に対する武力介入、それが今回のミッションだ。

そのために俺たちは合流地点に向かっている。

なんでも新装備があるらしいからだ。

それはOガンダムには助かる。

この機体の武装はGNビームサーベルとGNビームライフルとシールドだけだからだ。

元々試作機だったが、戦闘用にしてもこの武装は寂しすぎる。

その上、GNドライヴも粒子貯蔵タンクを使用する事しかできないから、粒子管理を徹底しなければ、いつ粒子切れになるかわからない。

 

合流地点に到着してコックピットから降りると、ロックオンとイアンさんがいた。

「久しぶりだな刹那に時也」

「イアン・バスティ」

「お久しぶりです」

「一刻も早くお前らに新武装を届けたかったからな」

「まぁ見てのお楽しみってやつだ」

「プレゼント、プレゼント」

「それは楽しみだな」

ちなみに今デュナメスには一足先に新武装であるシールドを装備させてあった。

「お前さんのはこれだ」

刹那に向かて言うと、格納庫が動き、一本の剣が出てきた。

「エクシア専用のGNブレイド、GNソード同様高圧縮したGN粒子を放出、厚さ3メートルのEカーボンを難なく切断できる」

「GNブレイド」

「それはすごいですね、名前はなんていうんですか?」

俺のガンダムの武装ではないが、興味はある。

「ガンダムセブンソード。ようやくエクシアの開発コードみたいになったな」

しかし、刹那は何も言わずにエクシアのほうに向かって歩いて行った。

「おいおい、感謝の一言もないのかよ」

他人から見ればそうだが、本人はとても感謝している。

「十分感謝してるよおやっさん、ただアイツはエクシアにどっぷりだからな」

「ところで俺の新装備は?」

「お前さんのはこれだ」

格納庫がまた動き、GNソードとGNピストルがでてきた。

「これは?」

「Oガンダムは近中距離のバランスがいい、だからそれ用に開発した装備だ」

要するに、機体の強化を行った。

武装を増やすことであらゆる戦況に対応するためらしい。

「更に、お前さんの機体にはGNドライヴが搭載される」

GNソードとGNピストルが格納されている場所とは別の場所が開いた。

「おお、ついに俺の機体にも!!」

「急いで、接続作業を行う」

「お願いします!!」

念願のGNドライヴ搭載に、俺は興奮している。

これで、粒子管理をそこまで気にする事も無いし、わざわざ粒子供給を受ける必要も無くなる。

そう考えていると、キュリオスとヴァーチェが見えてきた。

 

 

改めて確認するが、今回のミッションはモラリアの軍事演習に武力介入を行うことだ。

攻撃対象は敵対する全てのMSだ。

モラリアを5機のガンダムで飛行していると、正面に敵影を確認した。

敵に気づかれたようだ。

『敵さんが気づいたみたいだ。各機ミッションプランに従って行動するよう』

毎度の事、ロックオンが通信で連絡する。

これを聞くと、ミッションが始まると思い、体に力が入ってしまう。

『暗号回線は常時開いておくように、ミススメラギからの変更プランが届く』

『『『「了解」』』』

皆返事をしてプラン通りに移動を開始する。すなわち、ミッションが開始された。

それぞれ指定されたポイントで戦闘を開始した。

Oガンダムも勿論戦いを始める。

まず緑色のイナクトの部隊、AEU軍のMSを数にして50機近くを相手にする。

「さすがGNドライヴと新武装。粒子量を気にせずにこの戦場も突破できる!!」

新武装のおかげでこの数も相手にできる。

手数が増えたことで、より戦いやすくなっている。

GNソードで1~4機目を相手にして、5機目以降は距離を取ってGNピストルで応戦した。

敵を5分程度で殲滅すると、通信が送られてきた。

『Oガンダムプラン変更なし、そのままデュナメスと合流を』

「了解」

フェルトからの通信で指示を受け、早々にデュナメスと合流する。

「ロック兄、今来たよ」

『案外早かったな。機体の条件が少し良くなるだけで、だいぶ変わったんじゃないか?』

「そうだね。手数も増えてやりやすくなったよ」

『そうか。なら、指示通り、次の場所に向かうか』

「わかった」

ミッションプランに従い、デュナメスとミッションを続行する。




最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
執筆していると、この辺りからアニメに動き始めたと感じています。
特に、この後の出来事は刹那を始め、多くのマイスターに影響が出始めますからね。


感想、指摘等、コメントよろしくお願いします。
※荒らしコメントはやめてください。


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機体設定2

Oガンダムの追加装備についての詳細です。



機体設定2

 

モラリア共和国への介入の時より、Oガンダムに第3世代のアシストが強くなる。

各GNパック(国際テロネットワークへの攻撃の後に正式に名付けられる武装)と呼ばれる、換装装備が開発された。

 

標準装備には、GNソードとGNビームサーベル、GNピストルが追加されている。

GNソードは実体剣が1本、ビームサーベルが2本追加されており、近接戦における手数を底上げした形になる。GNピストルはGNビームライフルよりも精度が上がっており、命中率が上がっている。

最重要変更点として、OガンダムにGNドライヴが搭載されることになる。

これは、今後世界がガンダムやソレスタルビーイングに対して、行動をする可能性が出てきたためである。タリビアへの武力介入の時の様に、外交や政治活動としてソレスタルビーイングを利用する事が出てきた際に、粒子供給を受けることで一定時間の活動ができるOガンダムは、行動制約が付いている事と同意義であり、今後の活動において、作戦展開中に粒子切れを起こした事が原因で鹵獲される可能性が出てきたからである。更に、鹵獲されずに済んだ場合でも、Oガンダムの行動制限は世界に知れ渡り、Oガンダムを集中して攻撃して粒子切れを狙うことも容易にあり得る。これに対して、Oガンダムには粒子切れという最悪の事態を回避するためにGNドライヴが搭載されることがヴェーダの判断で決定された。

尚、別組織への粒子供給はガンダムからプトレマイオスを通じて、定期的に行われることも決定されている。

 

 

各種換装装備の紹介

 

GNパックtype-E:OガンダムにGNダーガー4本、GNショートブレード1本を追加武装した形態、近接戦闘能力を向上させたもので、GNビームガンのけん制射撃から一気に近接戦闘を行う戦法が主体となる。

 

GNパックtype-D:OガンダムにGNスナイパーライフルとGNミサイルパックを追加武装したもので、狙撃による援護射撃と近中距離においての射撃戦闘能力を向上したもの。

コックピットに狙撃時専用のスナイパーライフル型アタッチメントと、ガンダムヘッドに狙撃専用のカメラを付ける必要がある。装備が初期のガンダムデュナメスとほとんど同じになる為、回避運動用にハロのサポートが必要となる。

 

GNパックtype-K:Oガンダムからシールドを取り外し、GNビームサブマシンガンとGNシールド(兼GNクロー)を追加装備した形態。近接戦仕様と言う点ではエクシアに近いが、サブマシンガンによる攻撃が可能という点では、攻撃パターンがかなり増えた形になる。

 

GNパックtype-V:OガンダムにGNキャノンとGNバズーカーを追加武装したもので、

拠点攻撃、敵の一掃するための火力がかなり向上されている。

ただし、この機体では敵拠点本部をするより、支部拠点を攻撃することがメインである。

GNフィールドを張ることもできるが、その場合の粒子消耗量が多いので改良が必要とされている。重量が増えた分、機動力は従来より少し落ちる。

 

 

例:両肩にGNキャノン、ミサイルポットを合わせることで、一撃離脱型奇襲攻撃を行い、最初から戦況を有利に運ぶことも可能

 

 




どうでしょうか?
ハーメルンでも、この設定で行きたいと思います。

質問等ありましたらコメントの方にお願いします。


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第7話

今回は、前回の続きでモラリアへの武力介入の後半戦となっています。
ミッションは、一部で想定外の動きがあるが……


モラリア共和国での武力介入はまだ続く。

先日、この合同軍事演習をCBに対しての挑戦状と受け、武力介入を始めてまだ1時間も過ぎていない。

俺は最初のプランに従って、デュナメスと一緒に行動をしている。

合流後に発生した戦闘も、難なく終わらせて周囲の索敵を行っていたが、特に敵影は見当たらなかった。

『さて、この辺も片付いたし、次に行くか』

「そうだね」

移動しようと思ったがデュナメスが動かない。

「どうしたのロック兄?」『刹那!!』

何かあったの? と言おうとしていたら、刹那と叫んだ。

何かあったのか? だけど、刹那に限ってそれは無いと思ったが、気になって仕方がない。

「何? 刹兄が何してるの?!」

『あのバカ、なんでコックピットから!!』

あの刹那がエクシアのコックピットから出てきているだって?!

刹那と言えば、そう言う規律に関しては自分にも他人にも厳しいはずなのに、そんなことする訳がない。

そう思ってエクシアのコックピット付近を拡大すると、確かに刹那が銃を構えて外にいた。

銃口の先には、赤いイナクトのパイロットが見えた。

赤い髪が邪魔でイマイチ素顔が見えないが、刹那がソイツをコックピットから出させようとするって事は、俺達に関わった人間か?

……まさか、あの男か?!

「俺が行く」

あの男がいると考えた瞬間、自分でも驚くほど低い声で言っていた。

「いや、俺がけん制する。じゃないと刹那も巻き添いだからな」

「……わかったよ」

照準を定めたデュナメスのけん制射撃が放たれると、硬直状態の2人が各々のMSに乗りこんだ。Oガンダムで接近し、デュナメスが狙撃をするが、一発たりとも当たらなかった。正確には、俺が接近してビームライフルで射撃をした時には、リニアシールドで防御し、デュナメスの狙撃を変形することで回避した。そのまま、赤いイナクトはどこかに飛んでいった。

『よけただと?!』

「アイツは、俺達の動きを読んだってのか?!」

赤いイナクトの事に関しては、気になることが多いし、あのパイロットのMS操縦能力の高さは今後の脅威になりえる。しかし、今はミッションの途中。今はミッションを最優先にしなければならない。

『おい、刹那いったい『まだミッションできるわね?』』

『ああ』

『じゃあ、フェイズ5まですっ飛ばして6からね。デュナメスとOガンダムはエクシアのサポートを頼んだわよ」

「『『了解』』」

とにかく、今はこのミッションを終了させることを優先させることになった。

 

 

 

戦闘が止まって少し時間が経過し、移動の為に断崖絶壁の間を飛んでいる。

隊列は一列縦隊、キュリオス、デュナメス、Oガンダム、エクシア、ヴァーチェの順だ。

絶壁の間はキュリオスの飛行形態の横幅がほんの少し余裕がある程度、新人パイロットだと間違いなく、岩壁にぶつかるだろう。そう思うのは、飛行形態のイナクトやフラッグでも何とか通れるぐらいの幅しかない。少しでも左右にずれたら機体が岩壁にぶつかってしまう。そんな普通では通らない場所を飛行している。

『まったく、スメラギさんはよくこんなルートを通らせるものだ』

「確かに、これは危ないよね」

アレルヤの言う通り、スメラギはよくもこんな普通ではない場所を通らせるものだ。

確かに、ほかのルートもあったかも知れないが、この危険な道を使う理由はちゃんとある。

『そう言うなよ。相手は電波障害が起こっている場所を重点的に狙っている』

そう、ガンダムには太陽炉が搭載されておりGN粒子を放っている。

これは電波障害による、通信障害を起こせるのだ。

逆に言えば、電波障害の起こっている場所にガンダムがいるといっても過言でない。

PMCとAEUの部隊はガンダムの特性をしっかり理解して、今回の戦闘を行っている辺りは流石プロと思うが、逆に言えば今回の戦場は電波障害がない場所からの奇襲にはうってつけの状況になっている。

それを利用して、このような危ない道を通っている。

『隠密行動で一気に頭を叩くのさ。頼んだぜ水先案内人』

すると、キュリオスが突然右翼を岩壁にぶつけた。すると、当然のように岩壁の一部の岩石がデュナメスに飛んできた。

『うぉい!!』

突然の事にビックリしたらしく、変な声を出している。

『危ねーな、オイ!!』

『ヘタッピ、ヘタッピ』

『ドンマイ」

『それこっちのセリフだ』

まるでコントのような流れに思わず笑いそうになる。

それを堪えて、一応心配しておこう。

「大丈夫?」

『大丈夫だ……もっと水先案内人がまともならな』

「あはは……」

若干怒っている事をまるで隠すつもりがないらしい。

不機嫌その物を声に含めているように感じた。

『ロックオン、時也が困っているよ』

『誰のせいだよ、おい』

とりあえずコチラは大丈夫そうだし、一旦通信を切る事にする。

問題は刹那の方だ。さっきの事でいくらか気になる事がある。

すぐに通信をつなげる。

『時也・E・フィアーズ、何の用だ?』

「刹兄、いったいさっきの行動どうしたの?」

『気にするな』

「パイロットが気になったんだけど『アイツだ』へ?」

『あの男は何の神を信じている?』

「あの男って……なさか?!」

『アリー・アル・サーシェス』

「?! まさか、アイツはまだ戦争やってるのか?!」

『ああ。奴はあの赤いMSのパイロットだった』

アリー・アル・サーシェス。かつてクルジスで少年兵だったころ俺達に、戦場で生き残る術を叩き込んだ男であり、俺達を戦争の道具として使い捨てた張本人である。

そんな奴がどうしてか……考えられる可能性は傭兵としてPMCに雇われたことだ。

だとしたら、アイツは何のために戦うのか……

 

 

 

考え事をしているうちに、フェイズ6開始予定時刻寸前になっていた。

『よし。そろそろ敵さんの拠点だ。気合い入れてけよ』

そう聞いた直後、敵の拠点の目の前に出てきた。

俺達の突然の出現に、敵のMSは反応に送れていた。

その隙を突いて、戦闘を開始した。

「Oガンダム、時也・E・フィアーズ、ミッションを遂行する」

ビームサーベルと、ビームライフルで敵を次々に行動不能にする。

そして、新武装であるGNソードは切れ味がよく、敵の武装ごと機体を切り裂く。

新武装の性能を確かめるように戦闘を行う。

相手が性能で劣ることを知っているのか、数で圧倒しようとしているらしいが、それで押されるようなガンダムではない。

数で圧倒しようとするなら、それを上回る質と性能差で勝てばいい。

質で圧倒し、戦闘開始からほんの5分程度で敵部隊を全滅させた。

敵の拠点にあるのは、本部と思われる建物とMS関連の施設。後は、残骸となったMSがそこら中に転がっていた。

このあっという間の出来事に対して、敵は信号弾を放った。

降伏、白旗を意味する信号弾の確認は、ミッションの終了を意味している。

『ハロ、ミススメラギに報告。敵部隊の白旗を確認、ミッション終了』

『リョウカイ、リョウカイ』

これを合図に、撤退を開始した。

 

 

 

その日の夜

ガンダムマイスターは皆、集合地点の浜辺に揃っていた。

ただし、恰好はパイロットスーツで雰囲気は悪い。

そして今、ロックオンは刹那を殴った。本気で顔面に拳をぶつけた。その勢いで彼は尻餅をついた。

「殴られた理由はわかるな」

殴った手を振りながら言う。ロックオンには、いつもの気さくな雰囲気は微塵もない。

「ガンダムマイスターの情報は太陽炉と同じSレベルの秘匿義務がある」

これは、ソレスタルビーングでの決まり事だ。

刹那は、先程の行動(戦場で正体を晒しかける行為)は、これに反する。

「なぜ敵に姿をさらした」

刹那は答えることができない、勿論理由を知る俺もだ。これは俺達の過去に関わることだからだ。応えれば守秘義務に違反する。

結果的に俯いてしまう。

「黙ってないで理由ぐらい言えって」

ロックオンも刹那の行動から何かを感じたのか、声に同情が含まれていた。

でも言えない。いう事自体が規則に反する事だからだ。

「強情だな。お仕置きが足りないのか」

呆れたように拳を構えた。

だが、この後に追加のお仕置きは来なかった。

ティエリアが隣で銃を構えたからだ。

「言いたくなければいい、君は危険な存在だ」

いつでも君を撃ち殺せる。まるでそう言っているように見える。

さすがにロックオンはティエリアを抑える。

「やめろティエリア」

「彼の愚かな振る舞いを許せば、我々にも危険が来る」

さすがにティエリアの行動には我慢が出来ず、俺は反抗した。

「だからって、『はいそうですか』って殺していい訳がないだろ」

「だが計画は始まったばかりだ。こんなところで「俺は降りない」」

声のほうを見ると、刹那がティエリアに向けて銃を向けていた。

「エクシアから降りない。俺はガンダムマイスターだ」

すぐさまティエリアはロックオンの腕を振りほどき、刹那に銃を向ける。

「銃を下せ刹那」

ロックオンが咄嗟に叫ぶ。

「命令違反をした僕が言うのもなんだけど、僕たちはヴェーダによって選ばれた存在だ」

アレルヤの言う通り、ここにいるマイスターは皆がヴェーダによって選ばれた人間だ。

「刹那がガンダムマイスターに選ばれた理由がある」

アレルヤの発言の後、ほんの数秒経ってティエリアが銃をおろした。

「ならば見せてほしいな。君がマイスターである理由を」

すると、刹那も銃をおろすと、立ち上がった。

「俺の存在そのものが理由だ」

「何?」

彼の言う、選ばれた理由には、ティエリアは理解が出来ないといった様子だ。

「俺は生きている。生きているんだ」

確か、CBに入る前に刹那は死の直前といっても過言でない状況だったらしい。刹那から聞いた、俺達が離れた時の様子を聞く限りでは、そうとらえて間違いない状況だった。

「ミンナナカヨク、ミンナナカヨク」

場違いな声を出しながら、ハロが跳ねながら来た。

「ワー」

そのハロは、波に流されて海の方に流れていく。

「あっ!」

今度はロックオンは場違いな声を上げて、ハロの方に走っていった。

 

 

 

「おーい、みんな大変なことになっとるぞ!!」

ロックオンがハロを確保して戻ってくると、イアンが走ってきた。

「どうしたおやっさん?」

「世界の主要都市7か所で同時にテロが起こった!!」

「なんだって?!」

「多発テロ」

「そんな・・・」

「被害状況は?」

アレルヤの質問におやっさんは答えた。

「駅や商業施設で時限式爆弾を使ったらしい」

「それじゃあ、結構な人が巻き込まれたんじゃあ」

俺の予想は的中していた。

「ああ、爆発の規模はそれほどでもないらしいが人が多く集まるところを狙われた、

100人以上の人間が命を落とした」

「そんな・・・」

「何てことだ・・・」

俺とアレルヤは失望した。このテロの目的がまるでわからない。いや、目的があるとすれば……

そう考えようとした時に携帯端末に通信が入った。

「俺だ」

ロックオンが応じる。相手は王留美からだった。

「ガンダムマイスターの皆さん、同時テロの実行犯からたった今インターネットを通じて犯行声明が来ました」

『内容は単純でソレスタルビーングはガンダムを捨てての武力介入をやめろ。さもなくばまたこんな事を繰り返す』ということだった。

「やはり我々が狙いか」

ティエリアは冷静さを欠かさない。

「この声明を出した組織は?」

アレルヤの言葉に王は答えた。

「不明です、エージェントの調査結果が出るまでマイスターは現地で待機してください」

そういうと通信は切れた。

「どこのどいつかわからねーが、やってくれるじゃねーか」

ロックオンが少し熱くなっている。

「無差別殺人による脅迫・・・」

アレルヤが呟く。

「ふん、そんなことで我々が武力介入をやめると思うか」

皆がテロに対して怒りを感じていた中、ティエリアだけは鼻で笑った。まるで、テロをバカにしているようにも感じた。

「おい、ティエリア」

「一般人が犠牲になっているんだぞ。何とも思わないのか?」

ロックオンだけでなく、マイスターではないイアンも異議を唱える。

普通ならこの行為に対して、怒りを感じる筈だ。次には許せないと思い始める。それが普通の人間ならそうだろう。

だが彼は違った。

「思いません。何故なら、このような事が起こることも計画の中には予測されているはずだ」

きっぱりと、しかもテロが起こるのが当然かのように言った。

「貴様!!」

さすがにロックオンは怒る。

「どうしたんですか?」

近寄るロックオンを嘲笑うように言う。まるで挑発しているようにも思える。

「いつもひょんひょうな態度を取るあなたらしくないですね」

「クッ」

俺にも聞こえる程の歯ぎしりをすると、ティエリアのパイロットスーツの胸ぐらをつかんだ。

「ウルセーぞ、この野郎!!」

だが、ティエリアは表情を全く変えない。

「そんなにテロが憎いですか?」

「悪いか」

「世界から見れば、我々も立派なテロリストだ」

「テロが憎くて悪いか!!」

言われてもなお表情は変えず、むしろ胸ぐらに掴まれている手を払った。それ程まで、ティエリアは精神的に余裕がある。ロックオンを軽蔑するような眼差しで見返す。

だが、このケンカは意外な答えで解決する。

「その組織はテロという紛争を起こした」

刹那が言う通りだ。メッセージを送りつけてきた組織はテロを起こした。

「刹那」

「ならば、紛争に対して武力で介入するだけだ」

テロという紛争に対して武力介入を行う。それはソレスタルビーイングの行動理念だ。

「行動するのは、俺たちガンダムマイスターだ」

ならば、その組織に対して武力介入を行おうではないか。

彼の提案は、俺達の喧嘩を収束させるとともに、次のミッションを決める一言ととなった。




最後まで読んでください、ありがとうございます。
次回は、このテロ組織に対して武力介入です。
一方的にテロを起こした組織。目的はソレスタルビーイングの武力介入の中止。世界はどのように動くのでしょうか?

感想、指摘等、コメントよろしくお願いします。
※荒らしコメントはやめてください。


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第8話

日数が空いてしまいすみません。
就活や、用事が重なり投稿が遅れてしまいました。

今回は前回の最後で起きたテロを起こした組織への攻撃をする回です。
最近、時也君の絵を書こうと絵を練習しているが、絵のレベルが人に見せれるものではないので、出来上がったら主人公設定に追加しようと思っています(あくまでも予定です)


ニュースはどれを見ても先日の無差別爆破テロのことだった。

『ソレスタルビーングによる武力介入の即時中止、及び武装解除が行われるまで我々は報復活動を続けることとなる』

要求はソレスタルビーングの活動停止だ。

まるで、俺達の行動を悪だと言わんばかりである。やっている内容は変わらないかもしれないが、俺達は紛争や戦争を無くすため戦っている。

『我々は悪ではない。我々は人々の代弁者であり、武力で世界を押さえつける者たちに反抗する正義の使徒である』

自分たちを正義と名乗ることで、正当性を示そうとしているのだろう。だが、こんな無差別テロなんかに正義なんて無い。

テロは悪だ。俺達だって自分達の行動が悪だとわかっている。だが、人類の歴史は争いがあった。だからこそ、俺達は『必要悪』となり、争いを止める為に戦う。

俺は、この行動によって世界から咎めを受けることになっても、それを受け入れる覚悟はある。

コイツらはその辺りをどう考えているのだろうか?

まぁ、こういう奴らは自分達の正当性は絶対であり、自分達の行動は絶対的な正義とでも考えているのだろう。

「やってくれるよ。全く」

荒々しくディスプレイを叩きビジョンの電源を落とすアレルヤ。その言葉の荒さと行動には怒りを感じる。

「無差別爆破テロ」

刹那は無表情だが、若干の感情を言葉から感じられた。

「本当に嫌だな」

俺も一言言って外に行く。

かつてクルジスにいたときに、仲間が自爆テロで散っていくのを見ているだけに、何故こんなことをするのかわからなかった。

外に行くと、ロックオンが拳を力強く握っていた。

「ロックオン、オコッテル、オコッテル」

ハロが元気づけようとしているのかそんなことを言った。

「悪いなハロ。今は一人にしてくれ」

「じゃあ、ハロ持って行くね」

「時也か。頼むわ」

そういうとロックオンは何かを言いながら歩いていく。

何を言ってるかは聞き取れない。

「なぁ、ハロ」

「ドウシタ?」

「あのテロリスト達は、いったい何のために馬鹿げたことをやってるんだろう?」

「ワカラナイ。ワカラナイ」

やっぱりわからない。何のために自爆テロを行うか……

俺達の活動を止めて、何がしたいんだろう?

 

 

場所は変わり、王留美のクルーザの上にいる。

但し、3名ほどの格好がかなり場違いではあるが……

「何故そんな格好を……」

こんな緊急事態にも拘らず、女性人3人組は完全にバカンスの格好でいる。

水着の上に上着を羽織っているだけなんて、完全に遊んでいる格好じゃんか……

「カモフラージュよ、カモフラージュ」

「ちょっと趣味が入っているけれども」

「ちょっとどころじゃないよそれ」

「時也、突っ込むところ違うよ。それにスメラギさん、今がどういう状況かわかってるんですか?」

「わかってるけど、今は王留美が放ったエージェントの情報を待つしかないでしょ」

「そうだけど。母さんその格好は」

「あ~それにしても熱いわね。冷えたビールとか無いの?」

手で仰ぎながらクルーゼの端のほうに行った。

「ダメだありゃ」

「神経が強いというかなんというか……」

さすがのアレルヤもアレにはお手上げみたいだ。

「強がってんだよ」

ロックオンはご機嫌斜めのようで、若干怒りながら言った。

「こっちからエージェントに直接連絡できればいいのに」

クリスの案にティエリアは冷静に答える。

「実行部隊である我々が組織の全貌を知る必要はない」

「ヴェーダの采配に期待するさ」

アレルヤの発言とティエリアの答えに対してクリスの表情はイマイチよくなかった。

「ヒサシブリ。フェルト、ヒサシブリ」

「ハロ」

フェルトはハロを抱えていた。

その表情はいつもより暗かった。

とりあえず、クルーザの上で飲み物を飲みながら落ち着ける事にした。

今怒ったところで、何も変わらないことは俺もわかっている。

 

 

『国際テロネットワークは、複数の活動拠点があると推測されるわ。相手が拠点を移す前に攻撃するためにも、ガンダム各機は所定のポイントで待機してもらいます』

俺達も、エージェントに任せきりにするわけにはいかない。

ポイントが判明次第、俺達は拠点を叩く。

その為にガンダムで、スメラギがヴェーダと共に出した『国際テロネットワークの基地がある可能性がある場所』に一旦移動することになる。

指示を受けた俺達は、指定場所に移動し待機状態に。

 

「Oガンダム、時也・E・フィアーズ、指定場所にて待機する」

いつも通りのセリフで出撃する。

ちなみにポイントとしては下記のような割り振りだ。

ヴァーチェ:オーストラリア

キュリオス:人革連砂漠地帯

デュナメス:ユニオン南米森林地帯

エクシア:AEUスコットランド山間部

Oガンダム:AEU森林地帯

 

 

待機状態に入ったはいいが、一向に行動開始の指示が来る気配がない。

待機している間にも、テロが発生している。

場所はAEUで、俺が行こうと思い通信をしたが、刹那の待機場所の方が近かったので、彼が行くことになった。

 

待機状態になってから数時間が過ぎた時、状況は一変した。

悪い方向ではなく、いい方向にだ。

エージェントの情報収集が滞っている中、世界の諜報機関が情報を与えてくれたらしい。最も、この場合は与えてくれたというよりは情報を流してくれた、という方が良いかもしれない。

ラ・イデンラというテロ組織が、今回のテロの首謀組織であり拠点は3か所。

拠点の場所まで丁寧に教えてくれたらしい。

紛争地帯に介入する時には、時々心を痛めるときがあったが、こういうテロ組織に対しての介入には、何のためらいもない。

『ブリニッジ標準時間14:00に同時攻撃するわ』

スメラギから、ミッションプランが来た。

さて、これから奴らを攻撃するために行動を開始する。

「了解。Oガンダム、時也・E・フィアーズ、エクシアのバックアップに回りつつアジトを破壊する」

エクシアと上空で合流し、破壊拠点の確認を始める。

「破壊拠点は貿易で使われる大型のタンカーみたいだよ」

『了解した、俺が切り込む』

「じゃあ、上空で援護射撃して状況によって近接戦闘に行くよ」

『了解』

確認完了し、急いで向かった。

お前らに容赦なんて文字はない。慈悲もない。俺達の行動が原因なら、俺達の手でお前達という組織をぶち壊す。

 

目標の目視完了。それを合図に俺達は戦闘準備を始める。

『エクシア、目標を駆逐する』

「Oガンダム、目標を破壊する」

まずタンカーの上にエクシアが着地し、操縦室をGNソードで切り裂いた。

破壊し上空に飛び立とうとしたときに足元にアームのようなで掴まれ、海中に引きずり込まれた。

「刹兄!!」

叫びながらエクシアの足を掴んでいるアームに射撃をするが、アームが細すぎてうまく狙えない。

タンカーから見えたアームは、旧式のモビルアーマーの一部だとわかった。

『モビルアーマー?! 旧式とはいえこんな物まで』

「どうなってんだよこの組織……だけど、」

そんな話をしていると、ほぼゼロ距離にもかかわらず魚雷かを発射しようとした。

エクシアは、冷静にモビルアーマーのアームを切り裂き離脱できたが、すぐに魚雷が発射された。

「アイツら素人じゃないのか?!」

Oガンダムのビームライフルで何発かは破壊したが、GNビームガン1丁で対処できる数には限界がある。

ありったけの魚雷を放とうとしているのか、処理能力以上の魚雷が発射されてしまい、何発かエクシアに直撃する。

対処しきれないと判断した直後に、GNピストルを構え2丁で対処するが、間に合わなかった。

とはいえ、ガンダムはもの程度で破壊されるほどヤワではない。

爆発で起きた水流をものともせず、エクシアはモビルアーマーに接近する。

Oガンダムでミサイルを発射する部分を即座に射撃で破壊し、動きが少し鈍くなった瞬間にエクシアのGNダガーで頭部と思われる所を刺した。そのまま、Oガンダムも接近して、エクシアとOガンダムはGNビームサーベルで腕と思われる所を切り裂いた。

モビルアーマーは沈んでいき、数秒後に紫電と共に爆発した。

『エクシア、目標を破壊』

「Oガンダム、目標の破壊を確認。ミッション完了」

引き続き、支援国家捜索のミッションを受けたので、一旦上空に上がる。

 

 

捜索を終えて俺達が帰投していると、一機の飛行機を見つけた。すると、エクシアは飛行機に向けて飛んでいった。

Oガンダムも後を追うが、すぐに飛行機から離れていったので、俺は飛行機に近づく事は無かった。

「刹兄。あの飛行機に誰か乗っていたの?」

『アザディスタン第一女王。マリナ・イスマイールだ』

「アザディスタン・・・」

俺達にとってアザディスタンという国は、俺達の国を滅ぼした国だ。

とてもじゃないがその女王となれば、敵意丸出しで睨むだけで済んだだろうか?

俺には、それは無理だろう。吸収合併なんてなければ、俺達は少年兵にならなかったかもしれない。

この前のサーシェスといい、今回のミッションは、いつも以上に胸糞悪い。

やり場のない感情を持ったまま、ミッションを終えた。




いかがでしょうか?
pixivで書いているモノをベースにしているけれど、少し無いようがイマイチだったので、いくらか編集していますが、どうでしょう?
最近、編集していると、今もあまり文章力が無いと思っていますが、更にひどいものと思っており、頭を抱えていますw



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第9話

ようやく9話が投稿できました。
今回は人革連との戦闘です。
とはいえ、戦闘描写がうまくできない……

もっと文章の表現力がほしいです。


ソレスタルビーングの活動が始まって早くも4ヶ月が過ぎようとしていた。

武力介入の回数は60を超えてきており、ガンダムの圧倒的性能もあり、

モラリアへの介入以来、大規模な戦闘は起きていない。

 

しかし、60もの介入があれば機体のコンセプトは大まかにではあるが、把握はするだろう。

エクシアであれば、近接戦闘が主体、何本もの剣とスピードで戦闘を行う。

デュナメスは、狙撃主体でスナイパーライフルの狙撃による援護が主体で、近接戦もアーマーと銃を使った戦闘をする。

キュリオス、飛行形態での爆撃や一撃離脱の奇襲攻撃と、MS(モビルスーツ)形態での高機動性能を利用した一撃離脱に加えてガトリングによる連射攻撃が主体。

ヴァーチェ、拠点破壊や敵の一掃を行う重装甲の機体であり、バズーカーを放つ際はGN粒子のバリアーで囲われる上に装甲が固いため、怯ませることもできない最強の砲撃機体だ。

Oガンダム、戦況に応じて装備を変える機体で、4機のガンダムのアシストをしている。

様々な装備をしているが4機のガンダムの装備と同じもので戦っている。

 

世界はこれらのガンダムをどのような見方であれ、ガンダムを認めていった。いや、認めざるを得ない状況だろう。圧倒的なパワーバランスを見過ごせるわけはない。

ソレスタルビーイングの行動理念である、『武力に対して武力で抑える』ということに関して、様々な意見を持ちながら世界は進んでいる。

 

AEUとユニオンは自国領土にかかわる事態にガンダムとの戦闘を表明した。

しかし人革連は主だった声明がない。

その人革連は、ある極秘作戦を開始した。

 

 

「Oガンダム、着艦します」

つい先程リニアトレインを利用して宇宙に上がり、トレミーにOガンダムを着艦しているところだ。

まぁ、この時がいろんな意味でまだ慣れてない。

この時に奇襲攻撃が来た場合、動くためには少し時間がかかり、その間に機体が無防備になり、ダメージを受ける可能性がある。

本当にこの時間が嫌いだ。

 

無事着艦し、ガンダムから降りた俺は、ヘルメットを片手にトレミーの中に移動する。

目的地はスメラギのいるところだ。ミッションの報告もあるが、俺が戦術予報を教わっているからだ。

学び始めた理由は、ミッション中に現地でもしもの事態のために教わっている。

それは建前であり、本音は母親のように慕っているスメラギの負担を取り除きたいと思っているからだ。

ヴェーダの測定結果でわかった事だが、ガンダムマイスターの中で、いやトレミー搭乗メンバーの中でトップクラスの情報処理能力を持っているから、戦場でも戦術の提案をして、メンバーの補助をしたいとも思っている。

 

「母さん、帰ってきたよ」

「おかえりなさい。報告は受けているから、戦術予報の勉強をやる前に食事をとってきなさい」

「わかったよ」

つい先程まで嫌だった時間があったことを忘れかけるぐらい、スメラギとの会話は重要な行動であった。

スメラギの指示に素直に従い、着替えをして食事を取りに行く。

食堂スペースに行くと、ロックオンが食事をとっているので彼の近くに座る事にした。

「お、時也か」

「ロック兄、お疲れ」

「お前もだいぶ動きが良くなったんじゃないか?」

「Kパックは一撃離脱ばかりじゃないからね。それに実戦経験もあると思うし」

「でもそれだけじゃないだろ。他にも何かあるだろ?」

「それは秘密だよ。誰にも言えない事」

「こいつめ~、言うようになったな」

「こういうのは、ロック兄が教えてくれたでしょ」

「あとは、髪を切ると見栄えも良くなるんだがな」

「髪の事は気にしないでよ。元々これ位あったんだし」

「2ヶ月も切らなけりゃ嫌でも気になるわ。もう肩まで伸びてるぞ。やっぱりお前は短い方が似合うんだよ」

「正確には2カ月半だけどね。そろそろ切ってもらおうかな」

「切った方が気にならないぞ。後で俺が切ってやるよ」

「まぁ、その内ね」

「今日か明日には気ってやれるぞ」

他愛ない話をしていると、それだけで気分が良くなる。

食事もあっという間になくなったので、スメラギの所に行く。

 

 

 

突然のアラートと共に、トレミー内では慌ただしく状況が変わっていく。さっきまでのPだ焼かな雰囲気が完全になくなっていた。

トレミーは相手の通信装置に囲まれ、自らの位置を相手にさらしている状況になっているらしい。

戦術予報の勉強は終わり、戦闘に入る。

情報をまとめると、人革連の大規模物量作戦に使用されている通信装置の大群の中にトレミ

ーがある。状況からすれば、コチラは相手の位置を把握できず、相手はコチラを把握している状況である。

光学カメラとEセンサーで索敵した結果、敵勢力は4隻の輸送艦に搭載されたMS部隊だ。人革連と言えば、先日には新型MSが追加されていた。

搭載されたというのは、4隻のうち2隻が全く動いていない事から、囮として使われたという事に気が付いたからだ。

トレミーの失態に気づく直前にはキュリオスとヴァーチェを出撃させている。

よって2機は囮の2隻を攻撃しており、囮の輸送艦からはMS(モビルスーツ)が出撃している状況だ。もぬけの殻となった囮艦を破壊を完了しているはずだ。

戻ってくるのに360秒かかるとスメラギは予測。残った3機(内1機は整備未完全)で戦闘しなければならない。

エクシアはトレミー前方で敵の迎撃、デュナメスは片足が整備の関係でないのでトレミーの格納デッキで狙撃、OガンダムはGNパックtype-Kで近中距離戦闘で敵を迎撃する。

これが、今回の戦闘プランだ。

プランはいいが、敵指揮官はセルゲイ・スミルノフ。『ロシアの荒熊』と呼ばれている男らしく、MS操縦能力と戦闘指揮能力は高いらしい。これ程の物量に指揮能力の高い指揮官の部隊。かなりコチラの条件は悪い。

 

 

とにかく、指示通りにトレミーの前に来たエクシアとOガンダム。

まず敵艦が出現したのでデュナメスが狙撃するも、機体重量の変化で標準がずれ外してしまう。

ロックオンが手動で標準を調整している最中に敵艦からミサイルが発射される。

通信で調整が完了した事を聞き、狙撃準備が完了する。

『よし、狙い撃つぜ』

ミサイルは36発。

3機の射撃でも数発撃ち漏らしてしまった。

『しまった!』

「トレミーが!」

そう言い背後のトレミーを見ると、GNフィールドを展開して難をしのいでいた。

だが、敵艦がゆっくりと前進してきた。まるで、コチラに突っ込んで……

「無人機の特攻?!」

『させるかよ!』

『やらせるか!』

GNミサイルをOガンダムとデュナメスが発射したので大丈夫だったが、敵のMS(モビルスーツ)が現れた。

「数は36か」

『結構な数だ』

『小癪なマネしやがって……狙い撃つ』

青いティエレン、即ち宇宙用のティエレンが36機現れた。

近中距離の武装からはあり得ない遠距離の攻撃を仕掛けてくる。

そして誘い込むような動きをしている。

まるでこっちに来てみろと言わんばかりに。

 

 

人革連の作戦と知りながらも、ソレスタルビーングは戦闘を行っている。

はっきり言って持久戦、しかもジリ貧といっても過言でない。

『クソッ、誘い込むつもりか』

悪態を言うものもいれば

『死角に入りやがって』

条件の悪さに怒るものもいる

「ちょこまかと……何なんだ、お前ら!!」

動きに翻弄され、冷静さを失いつつあるものもいる。

その中で、突然光が見えた。

「あれは……」

『撤退信号か?』

敵軍の撤退が確認された。おかしい、今まで俺達は相手に翻弄されていたはず。それに予想時間になっても2機のガンダムが戻ってこなかったことを考えると、このタイミングでの撤退はありえない。

とりあえず、俺達は戻ってこなかったガンダムの捜索・回収を行う事にする。

『ヴァーチェを確認』

Eセンサーで確認してのはヴァーチェだったが、そこにあった機体は、普段見慣れている重装備の機体はなく、俺達の見たことのないガンダムだった。

『あれが……ナドレ』

刹那の呟いたのは、ナドレ、ガンダムナドレ。ヴァーチェのアーマーをパージした、この計画の要とされているガンダムである。

ナドレは本来、もっと後に出るはずだった。だが、今目の前に出たということは、それほどの状況になってしまったということを意味する。

 

「もっと……もっと俺が強ければ……こんな事」

キュリオスも回収し、難をしのぐことができたが、その代価はあまりにも痛すぎた。

俺の心には、自分の弱さと、もっと使いこなさなければならないという焦りがあった。

 




いかがでしょうか。
主人公を含め、ソレスタルビーイングのトレミーメンバーには後味悪い結果となりました。
特に、ナドレの露見は最も痛手でしょう。


感想・指摘等コメントをお待ちしております。
※荒らしコメントはおやめください。


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第10話

就活で更新できませんでしたが、久しぶりの更新となりました。

就活タイヘン。ハヤクオワリタイ。


今回は、前回の続きですが、戦闘は全くといってもいいぐらいありません。


人革連との戦闘が終わり、ガンダムの収納が終わった。

いつもなら、ブリッジでラッセやリヒティと話していたり、スメラギの戦術予報を学ぶ予定だが、今回に限ってそのどちらの選択肢も選べる状況ではなかった。

先ほどの人革連との戦闘において、アレルヤは鹵獲寸前、スメラギの戦術予報が外れた上に、ナドレという存在を敵に晒してしまう。

これ程の失態が重なってしまったために、ブリッジでティエリアがスメラギに説教(もとい、八つ当たり)をしているのだ。

流石に、そんな状況のブリッジに行く気にはなれなかったので、トレミー内の自室にも戻ることなく、Oガンダムの整備状況の確認や、GNパックの組み合わせを考えて気を紛らわしている。

「しかし、噂のナドレがこんなに早く見れるとは予想外かな」

気楽にとらえようと思っても、人革連の鹵獲作戦の時にあまりにも弱すぎた自分を見ると、

自分を責めてしまう。

どうやっても過去の自分、少年兵の時の失う感覚がよみがえり恐怖や怒りを感じてしまう。

他ごとを考えて気を紛らわすことも、できそうに無かった。

 

 

結局考えに身が入らないので、ブリッジに行くとロックオンがいた。

考えに身が入らなかった、というのもあるが、ティエリアの説教を聞いていた皆が若干心配になったから。憂鬱な気分も多少は紛れるかも知れない。

「結局、何に怒っていたの?」

「時也か、あれは怒ってるんじゃねーな」

「じゃあ何?」

「八つ当たりだよ」

「八つ当たり?」

「ナドレを晒してしまったということに対して、自分で感情が処理できてないんだよ」

「そうなんだ」

「で、どうしたの?」

「皆どうしてるかな……なんて思ったから」

「心配してくれたんですか?」

「そりゃ、心配ぐらいはするよ。クリス姉」

「大丈夫っすよ。それよりは時也のほうが心配っすけど」

「そりゃそうなるだろうな。帰還した時に半泣きだったからな」

「もう大丈夫ですよ。心配しないでください」

「いつもに戻ったみたいっすね」

「うん。じゃあ部屋に戻るね」

「了解っす」

どうやらいらぬ心配をしていたようなので、部屋に戻ることにした。

 

 

戻る途中に大きな声が聞こえた。

声の方に行くと、刹那がいた。

「何があったの?」

「アレルヤがいた」

アレルヤと叫んでいたとは、驚きだが無理もない。

さっきの戦闘時は鹵獲寸前になり、もう一人の方が何かいったのだろうか。

適当な予想を立ててみたが、大まかにこんな所だろうが、もう少し詳しく聞いてみよう。

「ちなみに、なんて叫んでたの?」

「『違う』と叫んでいた」

という事は、やはりもう一つの人格が原因みたいだ。

一応、ヴェーダの報告で知った事だが、アレルヤは多重人格だ。もう一人は、彼と正反対で、戦い好きで、残虐的な性格があるらしい。

「そうなんだ、ありがとね」

一言残して部屋に向かう。

今更だが、眠くなってきたので仮眠をとることにした。

 

 

ある夢を見た。

白衣を着た人が3人いる。抱えられている?

振り向くと変わった格好の女の人がいる。

何かを喋っているが、何を言っているのかは聞こえない。

奥の方に巨大な機械が見えた。足似ている何かだ。

不意に水滴が当たった。上を見ると、2人の白衣の人が泣いて話しかけていた。

何を言っているのか聞こえない。

突然のアラート音が聞こえた時には、俺は変わった格好をしている女の人に抱えられていた。

そのまま、俺の視界は暗くなっていく。

 

目を覚ますと、トレミーの自室だった。

「……今のはなんだ?」

なんだか、懐かしい感じがした。見覚えのある場所だったな。

大体2時間ほど寝ていたらしい。イマイチ寝起きは悪いが、2度根をする気分でもなかった。

「……俺は何を忘れているんだ?」

 

 

「エクシア、デュナメス、Oガンダムはプラン通り南アフリカ国境付近の紛争地帯に武力介入を開始。三機発進後、トレミーの進路をラグランジュ4に変更。スペースコロニー『チュエンチュ』にある人革連特務機関に武力介入を行います」

今回は、アレルヤの提案したプランも同時進行なので、三機で武力介入を行う。

「時也、データは渡してあるから、現地では私の代わりによろしくね」

「了解」

事前に状況詳細を見ていたので、ある程度のプランは立っている。

Oガンダムに自分のプランを送り、プランを確認する。

とはいえど、ティエレンの旧式なので深く考える必要はない。

一応、今回はGNビームガンをGNパックtype-KのGNビームサブマシンガンに変更し、GNビームソードを外しGNスナイパーライフルを装着。完全射撃型で出撃する。

一応、GNパックの試験運用も兼ねている。

 

戦況はスメラギの予想通りになっている。

確かに、近接戦闘機に気を取られ、遠距離からの狙撃が簡単にできる状況になっていた。

当たり前だが、あまりに予想が当てはまりすぎて、何も言葉が出ない。

『こっちは楽勝だな。問題はアレルヤ達だな』

「そうだね。こっちは問題なさそう。刹兄、そろそろ別動隊が背後から接近するよ」

『了解、エクシア引き続きミッションを継続する』

 

情報通りで、部隊が来たが問題なく撃破して、ミッションを終える。

とはいえど、こちらは地球で待機しなければならないので、宇宙には戻れない。

なので、出撃時にミサイルポッドを装着せず、GNスナイパーライフルを

装着している。

もし万が一を考えた装備であり、一応どの距離でも戦闘は可能となっている。

 

 

宇宙から、ミッション終了の知らせが入ってくる。

ミッションは成功し、アレルヤ達はトレミーに帰還したようだ。

「全ミッション終了。帰還しようか」

『そうだな』

『了解』

こちらも終わっていたので、地上の潜伏用の基地に向かう。

あの時の夢は、俺に何を伝えようとしていたのだろうか?

まぁ、ゆっくり考えるとしよう。




いかがでしょうか?
主人公の付箋を少し出してみました。
PIXIV 版を読んでいる方は、もうすでにご存知でしょうか?
そうでない方は、主人公が見た夢が何か……
とあるガンダムシリーズのコミックを読んでる方はピンと来る事があるかもしれません(あの表現で伝わるかはわからない)

感想・指摘等、コメントをお待ちしております。
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第11話

連日の更新です。

流石に更新できる日は更新するつもりです。

今回からは中東のあの国に介入します。


中東。かつて、石油輸出産業で国の経済を支え、時には世界経済に影響を与えてるほどの力を有していた。

しかし、太陽光発電計画により、一部の国を除き石油輸出の大幅な規制を国連で可決された結果、中東の国々は低迷し始めた。

その結果、一部の国が国連の決議に反対、武力を行使、それに伴い戦火が拡大した。

これが、20年も続いた『太陽光発電紛争』という名の紛争である。

この紛争の結果、中東の国々は疲弊し、世界からも見放されてしまった。

その結果、貧困から分裂や統合を繰り返している。

それが、現在の中東の現実であり、アザディスタン王国もそのような事情を抱えている国の一つである。

内政が悪化した隣国、クルジス共和国を6年前に吸収、新興国家として王政を復活させたのだが、国教の解釈の違いにより国民は大きく二つの教派に分かれている。

そのため、政治的に不安定な状態が続いている。

 

 

 

現在、先日南アフリカで武力介入を行った三人はアザディスタン王国の砂漠地帯にいる。

『マスード・ラフマディー』と呼ばれる男が誘拐された、という情報があったからだ。

現在のアザディスタン王国には、超保守派と改革派の二つの勢力があり、この男は超保守派のトップにいるといっても過言ではない。

誘拐されれば、最悪の事態として内紛がおこるという事態が予想されている。

内紛とはいえ、紛争が起きれば俺達ソレスタルビーイングは武力介入を行う必要がある。

故に、三人は王留美の小型の移動基地にいる。

移動基地といっても、実際は小型飛行機のような外見である。

「内紛が始まるまで、お三方は機内でお待ちください」

コーヒーを出してくれる、この紅龍という人は、かなり気が利く人だと俺は思う。

「狭いですが、部屋も用意しておきました」

小型の移動基地とはいえ、部屋まであるとは有り難い。

「気が利くね」

ロックオンも言う。

「ホテル、ホテル」

ハロに至ってはこの発言だ。

そもそも、この小型機の内部が一種のスイートルームと変わらない気がする。

「で、そっちは?」

ロックオンも聞くが、やはり重要なのはこちらだ。

「誘拐されているのなら、マスード・ラフマディーって人を探すんでしょ?」

「そうよ」

ここで王留美の説明が始まる。

 

まずは、誘拐され、マスード・ラフマディーを発見し、アザディスタン王国国民にその無事を知らせる必要がある。

しかし、この国は異文化を拒む習性がある。

なので、成果はどれほど出るかは期待ができない。

だが、それには例外という存在がいる。

「俺も動こう」

そういったのは刹那だ。

「なら、俺も動いた方が」

「いや、もしもの為に待機してくれ」

「わかった」

「しかし、何故あなた方が?」

「俺と時也はアザディスタン出身だ」

「!」

ロックオンが表情を変えた。

この国、アザディスタン王国の出身という事に反応したのかは、俺にはわからないが気いてはいけない気がした。

「この国の?」

刹那は返事をする事なく、まっすぐ歩き出す。

「刹那」

ロックオンが呼び止める。

「いくら自分の国の危機だからって、感情的に動くなよ」

「わかっている」

振り向くことなく返事をすると、外に出て行った。

 

「マスード・ラフマディー氏を誘拐した組織は改革派ではない確率が高いとヴェーダは推測しています」

王留美がそう言った。

「保守派の持ち文句か」

ロックオンが今回の保守派の考えを推測する。

「第三勢力の可能性もあります」

付き人の考えも可能性としてはある。

しかし、今は刹那の動きと犯人の動きを見るしかない。

 

 

情報を掴むことなく夜になってしまった。

アザディスタンで聞き込みをしてみたが、マスード・ラフマディを誘拐した組織の動きを掴むことはできなかった。

一旦刹那も戻ってきている。

しかし、夜になれば敵が動くかもしれないので、俺達はガンダムで待機をすることにした。

そして、予想は当たってしまった。それも最悪の方向で。

アザディスタンの太陽光発電受信アンテナ施設で、味方同士の戦闘が始まってしまったのだ。

この施設の防衛はユニオンの部隊が行っているが、ユニオンの協力している改革派の機体が判断できず、動きだせずにいた。

エクシアは別動隊の可能性を考慮して、市街地に移動している為、俺達で対処するしかない。

今回、OガンダムにはGNスナイパーを装備しているので、監視もかねてデュナメスと待機している。

待機している俺達からすれば、いきなりレーダーに動きが出た。

悪い予感が当たってしまったのを確認すると、待機場所からすぐに変化した場所を見る。

『中に超保守派がいたみたいだな。ユニオンの機体が攻撃していないみたいだ』

「早く止めよう」

『そうだな』

二機のガンダムによる狙撃でティエレンの足を破壊し、動きを止める。

『ゼンダンメイチュウ、ゼンダンメイチュウ』

『待機しといて正解だな』

「そうだね。とりあえずこれで戦闘は止まったしね」

しかし、安心も束の間。突然のアラート音と共に、どこからかミサイルが出てきた。

『何?!』

「ミサイル?!」

この事態にはさすがに驚く。ミサイルは俺達に対してではなく、太陽光発電受信アンテナ施設に向けてのものだからだ。

この攻撃はで施設が破壊されてしまえば、改革派と保守派の対立は更に深まり、戦争になり兼ねない。

しかもミサイルは、大型のものに小型を大量に入れる散弾型、クラスター弾と呼ばれるタイプのミサイルが4発なので、ミサイルの総数が多すぎる。

『数が多すぎる』

さすがのロックオンでもこの数は厳しい、GNスナイパーライフル2つあっても、恐らく無理だ。

GNキャノンを装備してこればよかったと、これ程まで公開した事は無いが、そんな暇はない。

とにかく撃ちまくる。

「間に合え!!」

二人とも、可能な限り撃ち続ける。

 

しかし、間に合わなかった。

結果、太陽光発電受信アンテナ施設は破壊されてしまった。

「ロック兄はここで待機、俺がミサイルを撃った機体を捜索する」

『わかった……ってなんでフラッグが来てるんだ?』

一機のフラッグがこちらに来ている。

『ユニオンはアザディスタン防衛が任務じゃないのか?』

「ガンダムは別って事なのかも」

『時也は行け、アイツは俺が狙い撃つ』

「了解、頼むよ」

そういって、デュナメスの最初の射撃に合わせて飛び立つ。

フラッグ如きなら、ロックオンの狙撃が外れる訳がない。そう思い飛び出した。

そんな予想を裏切るように、フラッグは空中で変形して回避する。

「そんな!!」

『俺が外した?!』

なんだろう。この感じは前にもいた気がする。……まさか!!

「ロック兄、ソイツは多分初めの頃に刹兄と戦ったフラッグのパイロットかも」

『関係ねぇ、狙い撃つまでだ』

「ガンダムに対しては尋常なほどしぶといから、近接戦闘の準備もしておいて」

『わかった』

通信を切り、俺はGNスナイパーライフルを投げ捨てると、全速で移動する。ミサイルを撃った機体を探すためだ。

 

 

捜索を開始すると、二機のフラッグと遭遇した。

やはり、この二機もこっちを見てきた(Oガンダムをロックオンしている)が、撃ってこない。

一分が過ぎたころにどこかに飛んでいった。

『アザディスタン軍に動きがあったみたいです。今は一か所ですが他の所にも出るでしょう』

「そんな」

恐らく超保守派だろう。

一応エクシアが動いていたが、1ヶ所ならどうにかなるかもしれないが、多発してしまうとこの一連の動きを抑える事ができるか不安になる。

 

 

不安だろうが、考えるより行動をした方がいいと判断した俺は、GNスナイパーライフルを回収してから、ロックオンと共に、エクシアと合流することにした。その為に移動をしていると、旧市街地と思われる場所が見えてきた。

『ところで、ミサイルを出した奴の機影は?』

「らしき機体がレーダーにギリギリ映ったから追いかけたら、フラッグ二機に目を付けられ捜索どころじゃなかったよ……あそこで戦闘していたら二次災害の意味で大変なことになっていたかも……」

『ってことは、フラッグは三機で1部隊ってところか?』

「多分。あと、これは俺の推測だけど、ロック兄が戦った機体が隊長機かもしれないね。外見が少し違ったように見えたし」

『かもな。奴らは俺達の行動の障害になる事間違いなしって事か』

気が付けば、もう明け方になっている。日の光が見えてきた。

ついたところは、かつて市街地だったと思われる場所だった。

最も、そこにあるのは廃墟と化した建物ばかりだ。

『こりゃ、ひでぇ』

たまらずロックオンがつぶやく。

『エクシアハッケン、エクシアハッケン』

その廃墟にエクシアはいた、武器は地面に刺さっていたり、シールドが捨てられていたり

まるでパイロットの心境を表すかのようだ。

「刹那……」

声をかけようとして、良い言葉が出ず黙り込んでしまう。

しかし、まだこの事件は終わらない。

まだマスード・ラフマディーを発見し無事を知らせない限り、この国で内紛が起きてしまう。

それだけは何としても防がなければ、今回の行動の意味がなくなってしまう。

そうならない為に、一刻も早く彼を見つけなければ……

 




いかがでしたか?

今回は、武力介入で紛争を止めるというよりは、紛争の発生を防ぐ事がメインになっています。

そういえば、この小説って2話で1つの介入が終わるって感じになっていると、今更気が付いた(自分で驚いている)

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第12話

前回の続きです。

さて、今年もあとわずかになりました。
投稿主は冬コミに一般で参加しようと考えており、年末の投稿は明後日で最後かもしれません。


……さて、どこのサークルまわろうかな?


「第三勢力?」

王留美の移動基地に戻ったロックオンは、現状報告を行っている。

「ああ。アザディスタン側の要請を受けたユニオン、そしてアザディスタンに武力介入を行っている俺達以外に紛争を誘発している勢力がいる」

「その勢力がマスード・ラフマディーを誘拐したと?」

「ああ、これは俺の勝手な推測だ。でも、ヴェーダもこの考えを示唆していたがな」

付き人の質問に答えるが、ロックオンの答えはあくまでも推測にすぎない

「その根拠は?」

王留美は問う。やはり推測を出すにはそれなりの根拠が必要だからだ。

そこで、一つのデータを見せる。俺達が遭遇したミサイル攻撃の状況を図にしたデータだ。

「今回の攻撃はMSのミサイルの可能性が高い」

「このためにMSを使う組織……一体何のために?」

そこで詰まってしまう。

「わからんよ」

「だから、中東出身の刹那と時也に動いてもらっている。俺たちでは目立ちすぎる」

この国の事情では、中東出身の二人しか動けない、そう判断し二人に頼んだ。

 

 

ロックオンが報告を行っているとき、刹那と俺はミサイルが発射された場所に、素手に到着していた。

「ロックオンの情報だと、このあたりからミサイルが発射されたみたいだが」

「そうだよ。俺もこの辺りからミサイルを発射したのは見えた。場所を考えると、ここから撃つと奇襲もできる、姿をくらますにもちょうどいい。この場所を選んだって事は、戦闘のプロか、この地に縁を持つ人物だと思う。」

とりあえず、端末を取り出して調査を開始する。

携帯端末を地面にかざして反応を調べると、MSがいたと思われる残留反応が確認された。

「ここにMSがいた」

「ならミサイルの発射も間違いない」

「しかし、どこに?」

「上空から施設の反対側……こっちにある丘の方を抜けたのかな?」

残留反応の確認したところから太陽光発電受信アンテナ施設の反対方向に歩く。

ちょうど丘のようになっており、岩壁もある。

丘の頂上のような所につくと、ユニオンのフラッグが見えた。

「ユニオン?!」

俺達は反射的に岩壁に隠れた。見つかると厄介なことになる。

 

話し声が聞こえてきた。

「回収したポットもそうだけど、やはり間違いないね」

男が二人いる、一人は科学者で白衣を着ており、もう一人は軍服を着ているので兵士だ。恐らく先程見たフラッグのパイロットかと思われる。

「奴らもここの捜索を」

「一応目撃者で、正式な軍人だからだよね」

適当に予想する。

「PMCトラスト側の見解は?」

金髪の軍服の男が言った。

PMCといえば、モラリア共和国の武力介入の時が一番新しい記憶だ。奴らが関わっているのか?

「モラリアの紛争時に紛失したM……」

そこで発言が止まった。いや、この場合は止められたと言った方が正しい歯切れの悪さだ。

「何だい?」

その為なのか機嫌が悪い言い方だ。

「立ち聞きはよくないな」

これには流石に驚いた。

隠れていたにも関わらず、その事に気づく事ができるのは、相当な人間である。

「出てきたまえ」

隠れても面倒なので、素直に応じる。

この場合は、怯えるような表情で両手を上げて出ることで、民間人を装える。

最も、万が一の為にソレスタルビーイングで支給されている銃を隠し持っているが。

「地元の子供だな」

「どうかな」

白衣の男(眼鏡を付けている)は警戒していないが、金髪の軍服を着ている男はまだ警戒している。

「あの、このあたりで戦闘があったと聞いて。それで友達の彼と」

「成程。そんなことに興味を抱く年頃かね」

どうやら、科学者は落ち着いているが、軍服の男は何かを考え付いた表情になった。

「でも、まだこのあたりは危険だよ。早く立ち去った方がいい」

「わかりました。失礼します」

「失礼します」

刹那に続いて一言言った後、一旦立ち去るフリをしておく。

ユニオンの2人がこの場所を去った後に、また調査するつもりだ。

「少年達」

しかし、軍服の男は俺達を止めるように呼び止める。

「君達は、この国の内紛をどう思う?」

突然聞かれるこの質問は、まるで何かを試しているみたいだ。

それとも、正体がばれたのかもしれない。いや、俺達の素性は知らないはずだ。マイスターの情報が漏出したという事は、あり得ない。

「グラハム」

小声だが、名前が聞こえた。

このグラハムという男、かなり鋭い。この男がパイロットとして敵対すると、かなり厄介だな。

「この国の内紛をどう思うかな?」

「僕は」

刹那もさすがに困っている。

「客観的には答えられないかな?」

すると質問を変えてくる。

「君達はどちらを支持する?」

主観的に答えてみろ、そう言ってきたみたいだ。

完全に俺達が何者なのかと探っている。

「僕は、どちらも支持しません」

まず刹那が言った。

「どちらにも正義があるからです」

刹那の俺も答えに合わせる。

「僕も支持しません。だってどちらにもそれぞれの考えがあるから」

「でも、この戦争で人は死にます」

刹那が結論のように言う。

「たくさん死んでいきます」

声を小さくすることで、相手に怯えている印象を与える。

即興ではあるが、この場をしのぐ事はできるだろう。

「同感だな」

納得したように、グラハムという男がうなずく。

「軍人のあなたがいうのですか?」

流石に俺がいってしまった。軍人がこんなこと言うのは予想外だった。

「この国にきた私たちはお邪魔かな?」

「だって、軍人が来たらもっと被害が増えるし」

急に発言を止められる、そして驚きの一言を言う。

「君達だって戦っている」

「え?」

「後ろに隠しているのは何かな?」

まずい、感づかれた。

後ろで持っている銃に気が付いた?!

いや、違う。この人は本能的に感づいたんだ。俺達の本来の姿に。

流石にまずくなったので睨みつけるが、相手は全く動揺しない。

「怖い、怖い」

まるで隠すなと言わんばかりに見てくる。

発現も全く怯える様子もなく、挑発に等しい言い方をしてきた。

しかし、すぐにグラハムは隣の男を見た。

「カタギリ」

隣の科学者の名前だろうか。

「一昨日、ここから受信アンテナを攻撃したのは、AEUの最新兵器『イナクト』だったな」

「いきなり何を」

となりのカタギリという男は戸惑っている。

「しかもその機体はモラリアのPMCから奪われた機体らしい」

まるで情報をくれてやる、そう言わんばかりに行ってきた。

「撤収するぞ」

その一言で、グラハムとカタギリの二人はフラッグの方に歩いて行った。

 

「PMCのイナクト、まさか……」

「俺も最初のPMCトラストである程度予想したけど、まさか……」

「奴があの男が、この内紛にかかわっている」

「何故……何故今になって」

持っていた銃を落としてしまう。

あの男、アリー・アル・サーシェス。奴がこの前の戦いでイナクトを操縦している事は知っている。

まさか、昨晩のミサイル攻撃は……

 

 

アリー・アル・サーシェスが主犯なら、隠れ家もわかる。

刹那がロックオンにその隠れ家のポイントを知らせて、三機のガンダムによる要人救出作戦を決行する。

隠れ家はかつての場所だ。そう、俺達が少年兵として、戦場をアサルトライフル片手に駆け抜けていたあの頃に、拠点としていた場所だ。

「GNシステムリポーズ解除、プライオリティをトキヤ・E・フィアーズへ」

Oガンダムを起動させる。

「外壁迷彩被膜解除、GN粒子散布のままフローリングモードへ」

Oガンダムに乗り込み、ハッチを閉める。

「Oガンダム、目標地点へ向かう」

目標地点へ移動を開始する。俺達の因縁の場所だ。

ソレスタルビーイングに入って、ガンダムマイスターになってもこの場所から逃れられないとは……

奇妙な因縁を感じずにはいられなかった。

 

 

エクシアと共に、ポイントに到着した。

この辺を探ると反応がある。

『やはりここか』

「やっぱり、あの男だね」

するとレーダーに反応がでた。

「MS!」

青いイナクトが来た。

『あのイナクト!!』

「あれが、あの男……いや、アイツの機体!!」

途端にエクシアが突っ込んでいく。

「刹兄、射撃で援護するね」

一言言って、狙撃体制になる。

ここには一機しかMSはないので、ハロのアシストはいらない。

エクシアとイナクトが剣を交える。

『アンタの……』

『声だと? 接触通信か?』

『アンタの戦いは終わってないのか?!』

音声通信を入れた。

『クルジスは……滅んだ!!』

イナクトが下がり、エクシアに蹴りを入れた。

『知ってるよ!!』

「なら、なんでここにいるんだ、アンタは!!」

狙撃を入れながら叫ぶ。シールドで防がれるが、そんなのは気にしない。

『テメェもいたか、小僧!!』

イナクトが浮上し、リニアガンを撃ってくる。

俺も、武器をGNサブマシンガンに切り替え射撃線を行う。

エクシアの体制を立て直すために時間を稼ぐ。

『アンタの神は何処にいる!!』

刹那が叫ぶ。

『答える義理は無ぇな』

あちらは面白半分で声を出している。

射撃でわずかなスキを作りエクシアがイナクトの右手首を切る。

しかし、爆発で煙が発生しエクシアは地面にたたきつけられる。

そのまま、エクシアに跨りコックピットハッチをこじ開けようとする。

位置が悪いので、狙撃する位に移動すると、エクシアのGNブレイドでイナクトの右腕を完全に切断した。

狙撃で追い討ちをかけるが、イナクトは器用に回避すると変形して撤退していった。

完全に俺達のクセを覚えているらしく、2機でようやく戦えている状況だった。

撃墜は失敗した。

だが、プラン通りに事は進んでいる。

 

 

ミッション成功の報告を受けたのは日が落ちたころだった。

マスード・ラフマディーを保護したと連絡が来たので、次の作戦に移る。

エクシアとOガンダムの二機でアザディスタンの王宮に向かうプランが、スメラギから届いている。

エクシアは引き渡し用、Oガンダムは引き渡し時にもし万が一の事を考慮して上空にて待機、その際に武装はGNビームソードとエクシアのセブンソードのみだ。

王宮につくとエクシアは武装を外してある事と共に、戦闘意識が無い事を見せつける。

引き渡し時には数発MSから攻撃を受けたが受け止めると、引き渡しに応じた。

引き渡し終えると、刹那はマリナ・イスマイールというアザディスタンの姫様に声をかけられたので一言二言残して、ガンダムに乗り込んだ。

『エクシアに乗りこんだか。フラッグの動きもない。帰還するぞ』

「了解。行こうか」

王宮を離れていき、今回のミッションは無事終了した。

しかし、この国の内紛は収まらなかった。

 

人は変化を拒んでいるのか、またCBの介入活動が起きるのかはわからない。

だが、今回の1件は確実にアザディスタン王国に大きな影響を与えたのも事実だろう。




いかがでしょうか?

個人的には、グラハムさん何者だよ? と突っ込みたくなった話でしたね。
いや~、あの人の洞察力高さには驚きます。

そして、因縁のアリー・アル・サーシェス。
彼との奇妙な縁はまだまだなくなりそうにありません。
次回は戦闘前ですが、次々回から大規模軍事演習への介入になりますね。
物語は急速に加速しますよ。

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第13話

遅くなりましたが
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

冬コミから年越しと年末を楽しんでいたものの、更新を忘れてしまうという事態に陥っていました。

今年は就職活動が終わればバンバン載せていきたいと思っています。


最近リアルに艦これを始めました。
主に艦これの二次損失小説の為に敵の統計取ってますw


アザディスタンは国連の支援を受けて、太陽光発電受信アンテナの建設が再開されたみたいだ。

中東にも、そういうのができるという事は、いいことなのかなと思う。

ガンダムに乗りながらこの情報を知った時、あの介入活動に意味はあったのかなと少しは思えた。

そんな中、今は潜伏先の日本のアジトにいる。休暇じゃないけど、今は自由行動だからだ。

 

 

家事担当である俺は今日も食糧の買い出しを行っている。

今日も、帰ったら適当に何かを作って、定期報告(異常が無いというだけの簡単なもの)をするぐらいだ。

でもいつもと違うのは、俺が戻ってきたときに隣の沙慈さんとその友人のルイスさんが部屋に来ていた事だ。

「時也さん、この後時間ある?」

「とりあえずは……」

 

何故こうなった。

沙慈さんの部屋に招かれたところまではよかった。

ルイスさんは泣きだした挙句、刹那に八つ当たり?

確か、さっきの発言は人数がほしかったからのようだ。

「こうなると思った」

「何で泣いてるんですか?」

「ああ、いつもこんな感じなんだよ」

「それでこの人数なんですか」

「人数の多い方がルイスの気が紛れると思ったんだけど」

「そうでもないみたいだ」

「あはは……」

刹那の言葉に沙慈さんは苦笑している。

ルイスさんは「ママー!」と泣きながら言っている。

「いや、そりゃあいつまでもいるって訳にはいかないですよ」

「けどー!!」

「母親が帰ったぐらいで何故泣く?」

「寂しいからよ!!」

「会おうと思えばいつでも会える、死んだわけじゃない」

「沙慈~コイツ嫌い、叩くか殴るかして!!」

「いやできないから」

「それに同じ意味じゃ……」

俺が言っている途中に沙慈さんの顔面にクッションが直撃した。

よく見ると顔が少し赤くなっている。

それにしても、母親が帰国しただけでこうなるって、ルイスさんは家族思いなのか?

まぁ、悪く言えばホームシックって奴か?

「ごめんね」

苦笑交じりに言うが、刹那は答えない。

「……平和だな」

「?」

確かにこんな環境、俺と刹那からすれば平和以外のなんでもない。

そんな時に端末に連絡が入った。

「すまない、用事ができた」

「そんなわけで失礼します」

とりあえず、沙慈さんの部屋から出ることに。

「帰れ帰れ、バーカバーカ」

相変わらずのルイスさんだと思うよ、この言い方は……

 

 

通信内容は各国家群に動きが出てきたらしい。

三大国家群のユニオン、AEU、人革連による大規模軍事演習が行われるらしい。

「各国家群に動きあり……か」

「どう考えても、何かありそうだね」

「そうだな」

軍事演習は、各々の国家群が別々に行うならばいいものの、三大国家群が合同でやると言ったら、相当な規模であることは間違いない。

そして、三大国家群のこの動きから、ある事が懸念される。

ガンダムを手に入れることだ。

 

何故この考えに至るのか。

軍事演習そのものに、まず莫大な資金が動く。

一国家群で行う時でさえ、結構な資金が動き、世界にけん制に近い動きを見せつけることができる。

それを今回は三大勢力のユニオン、AEU、人革連が合同で行う訳だ。

そうすれば、莫大という文字がそのまま当てはまる様な資金が動く。

勿論、各国家群はガンダムによる武力介入でダメージを受けている。

人格連であれば、超兵育成機関がソレスタルビーングによってマスコミにリークされた。

AEUは先日の1件でモラリアを取り込めたものの、ガンダムの最初の武力介入とされた事から、軍事演習にはガンダムが動くことが簡単に推測できるため、国民からの反対感情がある。

そんな中、莫大な資金を動かしてまで行うとすれば、目的は絞られる。

例えば、3大国家群の規模を知らしめる。だが、これはすでに世界が知っている為、力を示す必要性は限りなく無いだろう。

ならば、他の理由は何か。国家群がどんな手段を使ってでも手に入れたいものは何か。

そう、ガンダムだ。

ガンダムの圧倒的性能はすでに知られているが、その技術や動力源のGNドライヴの仕組みや導入技術は世界中が求めている。

解らないなら、ガンダムその物を手に入れるしかない。

一度だけ、人革連がガンダムの鹵獲を行っており、成功に近い状態だった。

ならば、かつて人格連が行った質量作戦よりも、はるかに多い質量で行えばいい。

そうすれば、ガンダムのパイロットを疲弊させる。

そうすればガンダムを鹵獲できる可能性が上がる訳だ。

だからこそ、今回の軍事演習は各国家群にとっては、ガンダムを手にいれる為の、またとないチャンスなのだ。

よって、今回の大規模軍事の真の目的は、数の圧倒的優位を利用した合同ガンダム鹵獲作戦といえばいいだろう。

 

「行くぞ」

「わかったよ」

今回の作戦はたった5機で三大国家群を相手にする。

いや、場合によってはPMCのような民間軍事企業の兵士もいるかもしれない。

「今回は厳しそうだね」

「それでもやるのが俺たちだ」

「そうだね」

 

 

苦戦すると知りながらも、この軍事演習に介入するソレスタルビーング

これは世界がソレスタルビーングに見せる答えなのだろうか

真意を知るものはまだ誰もいない

 

 




いかがでしょうか?
とうとう、物語が動き始めますね。

次回辺りにはチーム「トリニティ」が出ると思います。
ファーストシーズンも中盤を超えました。
確か、アニメのOPも「ash like snow」になってましたっけ?
とにかく、次の話も早めに投稿します。

感想・指摘等、コメント等をお待ちしております。
※荒らしコメントはおやめください。


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第14話

スイマセン、遅くなりました。
最近、リアルで艦これの敵統計をとるという謎の所業を行っており、気が付けば更新が……
更にはpso2のマイブーム再来に加え、始まる就職活動……
失踪はする気が無いモノの、更新頻度が落ちてしまうとは……
PIXIVの時と全く変わってない……俺はまた、あの過ちを繰り返すのか?!


では、今回の本編へ行きましょう


「光学迷彩起動、Oガンダム、ポイントにて待機する」

今回のミッションは、『大規模軍事演習の場所にある濃縮ウラン埋蔵施設にて、テロリストが施設を襲撃する』という事を、ヴェーダから報告を受けた。

これに伴い、このテロリストのテロ行為に武力介入という形でガンダムが出撃。

これを殲滅することだ。

編成は、飛行形態でキュリオスが現場に急接近。デュナメスがキュリオスにうつ伏せで乗る。

近くでは、三大国家群の大規模軍事演習を行っている為、即座に離脱することを前提としている。

但し、濃縮ウラン埋蔵施設が軍事演習場所のど真ん中にあるので、エクシア、ヴァーチェ、Oガンダムは、2機が演習中の機体から攻撃を受けて離脱に失敗した時の為に、光学迷彩を使用して待機することになっている。

 

「何も起こらないといいね」

『だが、これはあまりにも不自然すぎる』

「……確かに不自然なくらい」

ティエリアと話している通り、今まで順調すぎる。

先程も述べたとおり、今回のミッションは軍事演習、それも3大勢力という超大規模の軍事演習の真ん中に突っ込むはず。

それにも関わらず、砲撃音が聞こえなければ、テロ予告に対する施設の護衛機、それどころか演習している機体さえ見当たらない。特にユニオンとAEUは可変機であり飛行形態MSが見えてもおかしくはない。

演習はすでに始まっているはずだ。それなのに何故勢力に所属している機体は見当たらないのか……

「……まさか」

仮にも戦術予報をスメラギさんから教わっているので、ある程度は予想できるが、今考えられたのは、最悪のパターンだ。

「刹兄、ティエリア、最悪の状況になるかもしれない。プランB2の準備お願い」

俺が思いついた最悪の予想をまとめてみよう。

今回の軍事演習は、先日考えていた通り、ただの大規模軍事演習なんかじゃない。

三大勢力合同の総戦力をつぎ込んだ、ガンダム鹵獲作戦だ。

不自然な程に機影が見当たらないのは、今までの戦闘から、ガンダムに対しての近接戦は不利と見越した指揮官が、ミサイルをや迫撃砲をメインとした、長距離砲撃を攻撃手段として徹底する。

そう考えるのが、この状況で一番つじつまがあう。

恐らく近くに機影が無いのは砲撃とミサイルによるフレンドリーファイアー(友軍誤射)を避けるため。

そう考えると、とてつもない砲弾とミサイルが使用されると考えられる。

スメラギはこの事を推測していた為、プランはA1(ミッションを通常通りに遂行)~E5(敵との接触を可能な限り避けて戦略的撤退)まで準備してある。

『スメラギ・李・ノリエガと君がここに来るまでに話していた予測通りか?』

「そうだね。人革連以上の質量の鹵獲作戦だよ」

『最初からそれは前提とされていた。我々は待機をしている。最悪の事態を避けるために』

「そうだね。一応プランを確認しておきたい」

そういうと、ティエリアは黙り込む。

そして、数分過ぎてプランをB2に変更する時間になった。

 

 

『ミッションをプランB2に変更する』

「俺と母さんの考えがあってるなら、光学迷彩を解いたら、敵と接触しないように気を付けて。見つかったら、すぐに砲撃が来るから気を付けて」

『了解。エクシア、外壁部迷彩皮膜解凍、ミッション開始する』

光学迷彩を解くと、すぐに二機のMSが確認できた。

ユニオンのユニオンリアルド、ユニオンの可変機だ。

しまった、と俺は心の底から思った。

恐らく本部からの偵察のために、この空域を偶然通りかかっただけだろう。

だが、今は本部に知らされる前に動かなければならない。

エクシアは、この二機を即座に落とした、

そして、光学迷彩を解除したヴァーチェは即座にGNバズーカを構え、射撃体勢に入っていた。

高濃度圧縮粒子のチャージは既に終わっている為、即座に1撃を放つ。

反動で機体後方に粉塵が舞うほどの威力は、戦場である砂漠にMS用の塹壕と比喩してもよい穴を作った。

この一連の作業を確認すると、2機のガンダムの方向に飛び立つ。

プランB2の内容は、離脱完了終了予定時刻になっても、2機のガンダムが終了の合図を出さなかった場合に、離脱ルートを確保することだ。

ヴァーチェは離脱ルートの確保、エクシアはヴァーチェの援護、Oガンダムは2機に離脱する為のわずかな時間を作る。

そのために、Oガンダムは2機のガンダムに接近する。

 

先程、ティエリアにはGNバズーカの砲撃後の流れを話し合っていた。

『最初の砲撃で、離脱ルートを確保する。これはプラン通り』

『問題は、その後だ。君が2機のガンダムに接近して離脱を促しつつ、君も離脱する』

『母さんの予想は、この戦場で拘束されている可能性は低いから、俺が軽い揺動を仕掛ける』

『もし、2機のガンダムが攻撃を受けるとしたら、人革連のMS部隊を主力とした砲撃部隊だろう。あの機体は実弾の砲撃に関しては、3勢力でも高い方だ』

『そうだね。俺も囚われないように、警戒しながら進むよ』

『当然だ。ここでガンダムが囚われる事態があってはならない。力を誇示できなくなってしまう』

『だからこそ、離脱できるようにはする。そっちも砲撃には気を付けて。後、砲撃する前に射線をずらすことがあるなら通信をお願い』

『わかっている』

(もうすぐ圧縮粒子のチャージは終わる。通信が無いから、射線上にいないのは確実。速く二人の方に行かなきゃ。じゃないと……)

そこで思考が遮られた。

何故なら、後ろから爆音が聞こえ、いくつもの光も見えるから。

恐らく砲撃が始まった。だが、付近に機影が見当たらない。だが、レーダーには接近する機影を確認している。

「最悪だ……これじゃあE5に移行するしか……」

つい口から声を出してしまった。

しかし、前方の2機だけは、という思いは強くなる。

(そのためには、早く合流しないと)

前方の方でも砲撃による爆音が聞こえてきた。砲撃が行われいているのは間違いない。

だが、砲撃が途切れるタイミングなんてわからない。

でもアレルヤには、絶対的な脅威が向かっているのはわかっていた。

 

 

デュナメスとキュリオスが確認できる位置に近づけた時、砲撃が遂に俺の方にも飛んで来た。

今回はType-Dを装備しており、一応GNソードはモラリアへの介入の時に装備しているので、多少の近接戦闘も可能だ。

しかし、こうなると近接戦闘なんて選択肢は、ないようなものなので今ではただのお荷物となっている。

始めは飛行しているので回避できたが、敵の指揮官は相当頭が切れるようで、目の前に砲撃され、直線ルートで飛んでいた俺は緊急回避を行い、速度がほんの少し落ちてしまう。

幸い、砲撃の雨に当たること無く、2機に近づく事はできる。

けん制程度にしかならないような狙撃を行いながら通信を送る。

「二人とも大丈夫?」

『なんとかな』

「急ごう、あっちも砲撃受けてるみたいだし」

『了解』

そう言い終えるころ、運よく砲撃が止まった。

とにかく離脱することを決め、移動を開始するしようと、デュナメスが浮上したところで、突然キュリオスが止まった。

「うわ――あ!!」

アレルヤの叫び声の後に、キュリオスが崩れるように倒れた

『どうしたアレルヤ?!』

『あ……頭が……』

「しっかりして」

『来る……超兵が来る』

『超兵だって? 報告にあった人革の専用機か』

「レーダーに反応、来るよ」

敵が複数機接近しているが、一機だけ色と動きが違う。

『行くぞアレルヤ』

デュナメスがキュリオスの腕をつかみ、起き上らせようとする

しかし、色違いのティエレンはキュリオスめがけて突っ込んでくる。

「させるか!!」

デュナメスでの射撃は疲弊しているのか、本来外さない距離で外してしまう。

Oガンダムに装備してあったGNソードで近接戦を仕掛けようとしたが、後方にいた高機動型ティエレンの部隊の砲撃を受けて、身動きがとれなくなる。

更に、色違いのティエレンがキュリオスをデュナメスから強引に引き離して、そのまま遠くに行ってしまう。

狙撃をして後続の高機動型ティエレンを狙撃するが、即座に砲撃の嵐が来たため、攻撃ができなくなる。

 

 

もうどれだけの時間がたったのだろうか。

そんな事もわからなくなるまで、攻撃を受けた。

いや、今も攻撃を受けている。

『十五時間か』

ミッションレコーダーを見て呟いた。

飯を食べなかったり、風呂に入れないというのは少年兵の時に経験済みだが、

ここまで攻撃を受け続けるのは初めてだ。

(これじゃ、虐めなんて言葉が甘く感じるよ)

ここまで、ティエレンをはじめとする3大勢力のMSによる砲撃が接近以外で止んだ記憶はない。

“いつまで続く?”

この答えは突然来た。

いきなり砲撃がやんだ。

あまりに唐突で、状況把握に時間がかかった。

『プランE5に移行、離脱するぞ』

「わかった」

プランE5、それは砲撃終了時にエースパイロットによってガンダム鹵獲を開始する。

鹵獲される前に戦闘空域を離脱する。これがプランE5の内容である。

しかし、疲弊しているなかで逃げ切るなんてのは、宝くじで1等を連続であてるぐらい運が良くなければならない。結局のところ、神頼みのようなものだ。

だが、現実は残酷だった。

フラッグの大群が来ている。手始めに一機のフラッグが突っ込んでくる。空中変形し銃を撃ってきたが、単機で突っ込んで来たので、何とか冷静に対処し大破させる。

それから、陣形を建て直したフラッグの大群が攻めてくる。

『くるぞ!!』

先陣を切った一機がデュナメスに体当たりし、拘束した。

他のフラッグもこちらに来ている。

(また、仲間を失うのか?そんなの嫌だ)

「させるかぁぁ!!」

頭の中で何かが弾けた。

まず、最初にGNピストルを撃ち、二機のフラッグの頭と銃を持つ腕を破壊した。

接近したフラッグの膝あたりをGNソードで切り落としたが、三機のフラッグに後ろから倒され、行動不能になった

 

 

結局、鹵獲されてしまった。

「俺は……俺は……」

また失うのか、その言葉で胸が苦しくなる。

他のマイスターは、どうだろうか。

いずれにせよ、こうなってしまったからには、あることをするべきか考える。

太陽炉を守るために自爆する。

本来、太陽炉はマイスターと同じSレベルの秘匿義務がある。

鹵獲されてしまっては、太陽炉は解析され、新たな兵器として利用されてしまう。

紛争根絶を掲げるために使用されているものが、見栄を張るためだけに兵器として使われてたまるか。

自爆するためのシステムに手をかけようとする。

その時、爆発が起きた。

正しくは、近くにいたユニオンのフラッグの一機が攻撃により大破した。

「何だ?」

そして、二機三機と次々破壊していく。

砲撃の方向を見ると、MSがいた。

赤い粒子を放つ機体、いやあれは……

「ガン……ダム?」

ユニオンのフラッグが撤退していく中、ただ一機のMS(ガンダム)が上空に浮遊していた。

まるで下界を見下ろす神のように。

 

 

新型のガンダムの出現、その機体は五機のガンダムとは少し異なっていた。

粒子の色は赤、まるで血の色だった。

それは、戦いの血を求めているかのようだ。

新たなガンダムの登場は、世界にどのような影響を与えるのだろうか。

 

 

 




いかがでしょうか?
今回の終わりから出現したスローネですが、個人的にヨハン以外が苦手だったりします……

次回からは、本格的に物語が加速していくところですから、個人的に頑張ろうと思っています。
目標は来週中に更新したいです。


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第15話

就職活動で、やっと更新できました。

前回までのあらすじ、超大規模軍事演習の近くのテロ組織の作戦に武力介入したら、演習勢力に攻撃されました。
その結果、17時間も砲撃を受けることになった挙句、エース軍団に拘束されました。
拘束した舞台の本部に連れて行かれるかと思ったその時、血のような紅いGN粒子を放つ紅いMSに助けられました。


「ガン……ダム?」

黒色のガンダムが上空に浮かんでいた。

赤い粒子?何でそんなGN粒子まいているんだろうか?

そういえば、他のみんなは?

「そうだ!! ……ロック兄聞こえる?」

『ああ、なんとかな』

「あの機体は?」

『ハロにもデータが……通信?』

「あ、こっちにも来た」

あの赤い粒子を巻いているガンダムから通信が来たみたいだ。

って事は、敵意はないって事でいいのかな?

『どうやら、間に合ったようだな』

『あんたは?』

『スローネアインのガンダムマイスター、ヨハン・トリニィティ』

『ヨハン・トリィニティ?』

「スローネアインっていうのは、その機体ですか?」

『そうだ』

「ちなみに、それはガンダムなんですか?」

『その通りだ。私も君達と志を共にする者だ』

そういうと、スローネアインが降下してきた。

話を聞くと他のマイスターの所にも兄弟(弟と妹らしい)が向かっており、無事に救出されているとの報告をすでに受け取ったらしい。

話を聞き終えた時には、空を赤いGN粒子が空を覆っていた。

(この量の粒子、別の機体が散布しているのか?だとしたら、OガンダムのGNフェザーより凄い量を散布していることになるぞ)

そして、少ししたら他のガンダムと合流できたので、とにかく帰投することにした。

早く戻って、シャワーを浴びてご飯を食べたい……

 

 

『新たなガンダム』

『ったく、聞いてねーぞ』

『あの機体はいったい?』

「みんなのガンダムの強化版なのか?」

様々な疑問を持って現在の基地に帰投する。

そういえば、デュナメスに座標ポイントが送られてきたのが気になる。

後でわかったのは、宇宙にあるという事だけだ。

それとティエリアが焦っているように見えている。

疑問があるとすれば、あのガンダムはイオリアの計画に入っているのかである。

 

 

一度宇宙に上がって、トレミーに戻る。

トレミーに戻ってくると落ち着くが、今はみんなのいる操縦室に行く。

やはりスローネについて話し合っているみたいだ。

話の内容は<あの機体は何なのだろうか?>という事だ。

整備のためにMS工学は学んだが、第1世代や第2世代――最も第1世代のOガンダムは俺が乗っている――のそれらとは全く違う感じがした。

もしくは第3世代の強化型と表現するのがよいだろうか。

例えば俺とロックオンを助けたスローネアインは肩にスナイパーライフルの銃身のバズーカーを付けているがあれは言ってしまえば、デュナメスのGNスナイパーライフル+ヴァーチェのGNバズーカーみたいだった。コチラの機体が世間に知れ渡っているが、あそこまで精密に再現できるのだろうか?

気になるのはいくつかあるが、最も気になるのはGNドライヴがどこから手に入れたのかだ。

仮にもSレベルの秘匿義務がありヴェーダでも最高レベルで守られているはずの情報だが、

誰が流出させたのだろうか。そもそも、あれは本当にGNドライヴなのか?普通は緑色の粒子を放つが、あのGNドライヴは赤い粒子を放つ。

考え事をしている間に“スローネ”を乗せた輸送艦が目の前に現れた。

「見ろ、ハッチが開くぞ」

ロックオンの一言でモニターを見るとスローネアインが武装解除してこちらに近づいてくる。

よく見ると、二人の人間が“スローネ”の手に乗っている。

光信号で着艦許可を求めてきたので、スメラギが許可を出した。念の為ではあるが、エクシアを監視に送らせている。

 

 

“スローネ”が着艦し対面する。

こちら側はマイスター4人(刹那はエクシアから移動中)とスメラギがいる。

“スローネ”のメンバーは男二人、女一人、ハロに似た目つきの悪い紫色の球体型ロボットが一体だ。

三人はパイロットスーツだと思われる格好にヘルメットを着用した格好だ。

「着艦許可をいただき、ありがとうございます」

一旦言葉を止めヘルメットを外した。

「スローネアインのガンダムマイスター、ヨハン・トリニティです」

若干黒人のような肌をしている人がヨハンというそうだ。

俺とロックオンを助けた人物で、マナーをしっかり守っていると思わせるような言葉遣いと態度である。

「スローネツヴァイのガンダムマイスター、ミハエル・トリニティだ」

このミハエルという男は白人系みたいだが、言葉遣いがヨハンと違いかなり荒っぽい。

なんだか、戦い好きそうな印象を受ける。

「スローネドライのガンダムマイスターの、ネーナ・トリニティよ」

ピースサインをしながら話しているこの人はトリニティの一人の女みたいだ。

こちらはヨハンに肌の色が近いがこちらの方が若干色白に見える。なんというか、自由奔放という感じだ。化粧をしているようだが、それはマナーか?

「皆若いのね」

スメラギが見た目での率直な感想を述べた。……若干何かを含んでいるような気がするが、追及はしないでおこう。

「我々は血のつながっている実の兄弟です」

ヨハンが三人の関係を述べた。

兄妹でガンダムマイスターになるなんてあり得るのだろうか、なんて考えてみる。それに、こうも外見が違うのに兄弟というのは、何だか不思議な感じだ。まぁ、今なら国境なんてあってないようなものだし、あり得るか……

「それよりエクシアのパイロット君って誰?」

はしゃいだ様子で問いながら模索する。

「あなた?」

ティエリアに聞くがもちろん違うので「違う」と即答される。

「俺だ」

俺たちの後ろから刹那が来た。

「エクシアのガンダムマイスター、刹那・F・セイエイ」

「君ね!!」

この反応から推測できるのは、刹那を助けた“スローネ”のパイロットは恐らくこの人だろう。

「無茶ばかりするマイスターは!!」

そういうと、刹那の方に移動していく。

「ちょっ、ぶつかるよ!!」

タックルする勢いと思えるような速さで刹那に近づくと刹那に器用につかまり止まった。

「そういうところ、すごく好みね」

「は?」

口から素っ頓狂な声が出た。確かに刹那は無茶と言われる類の行動をしていたが、どうすれば好みにつながる?

なんて俯いて考えているとネーナの「キャッ」という悲鳴と共にこちらに流れてきた。

そして刹那が口を拭っている。

「俺に触れるな!!」

よくわからないが、刹那のされて嫌なことをしたのだろう。

「貴様!!妹に何を!!」

ミハエルが怒鳴りながら叫ぶとナイフ、それも超音波で振動するタイプのナイフを向けだした。とりあえず、ネーナを受け止めておくと、笑ってきた。……何故だろう、バカにされた気分がする。

「妹さんの所為だろう」

ロックオンが叫ぶがむしろ刺激したらしい。

「うるせーぞ、このニヒル野郎。切り刻まれたいかぁ?あーん」

流石にまずいので止める。

「落ち着いてください」

「やめろミハエル」

「ヤッチマエ、ヤッチマエ」

このロボに対してすごく腹がたってきた。

「ニイサン、ニイサン」

後ろから、ロックオンといつもいる方のハロが来た。

「兄さんだ?」

「どういう事?」

「アイタカッタ、アイタカッタ、ニーサン、ニーサン」

よくわからないが、この悪い流れを止めてくれたから感謝しよう。

「ダレダテメェ、ダレダテメェ」

「ハロ、ハロ」

「シラネーナ、シラネーナ」

あっち行けと言わんばかりに体当たりを受け黄色のハロは飛ばされていく。

「ニイサン、キオクガ、ニイサン、……」

最後の方が聞き取れないが、恐らく落ち込んでいるのだろう。

一旦、場を仕切るようにスメラギが大きく咳を出した。

「とにかく、ここじゃあなんだから、部屋で話しましょう」

「わかりました」

とりあえず、ブリーフィングルームに移動する。

この段階で、ヨハンの印象はいいが、後の二人はよくない。

「ねぇロック兄、見てなかったけどネーナってやつ刹兄に何したの?」

「お子様にはまだ早いぜ」

「俺だって14歳だ」

「まだお子様だ」

 

 

ブリーフィングルームに移動して話が再開する。

「何故、あなたたちはガンダムを所持しているの?」

「ヴェーダのデータバンクにあの機体が無いのは何故だ?」

「答えられません。私たちにも守秘義務がありますから」

後者(ティエリア)の質問ならともかく、何故前者(スメラギ)の質問にも答えられないのだろうか?

新しいマイスター達は、誰からガンダムを与えられたのだろうか?

「ああ、残念」

ミハエルの挑発的な言い方にティエリアの機嫌が悪くなったみたいだ。露骨に表情が変わって睨んでいる。

「太陽炉、いやGNドライヴをどこで調達した?」

「申し訳ない、答えられない」

まただ、ロックオンの質問は確かに気になる。

ガンダムはともかく、何故GNドライブが別にあるのかは気になった。

GNドライヴはもともと5基のみで、その都合でガンダムも5機しか用意できないはずだった。

貯蔵タンクで戦っていたからわかるが、GNドライヴの有無はミッション時間に、かなりの影響を出す。

GNドライヴがまだあったなら、何故使わないのかが疑問だ。

 

「またまた残念」

じゃあ、俺も質問してみよう。

「あのガンダムは誰から与えられたのですか?」

「それにも答えられません」

俺の質問にも答えてはもらえなかった。

どうやら、あちらは何を考えて彼らをここに向かわせたのかが全く分からない。

まるでスローネを使って何かを企んでるようにしか見えない。

「なら君たちは何しにここに来た?」

そんな事を考えていたら、ティエリアが一番根本となる質問をした。

「旧世代のMSにまんまとやられた無様なマイスターの顔(ツラ)オガミに来たんだよ」

「何だと?!」

「ふざけるなよ!!」

ティエリアはともかく、流石に俺も怒る。俺達は最初から戦場にいた上に、17時間も砲撃に耐えていた。それに対して敵はエース部隊を俺達にぶつけてくる。勿論、コンディションはあちらの方が上だ。結果はどう考えても目に見える。

その状況で、まるで俺達を囮にしたように現れてから、世界が始めてみた機体で圧倒的戦力で勝ったんだ。お互いの置かれた状況が違いすぎることを理解できているのか? この馬鹿そうなやつは。

「ナーンツッテナ」

ハロの真似をしながら言ってきたので気分が悪くなった。

「気分が悪い。退席させてもらいます。後でヴェーダに報告書を」

「俺も退席させてもらいます」

「わかったわ」

そういえばスローネの機体は何なんだ?

格納庫に行ってMSを見ることにした。

 

 

「……でおやっさんはなにしているの?」

「何って、機体を調べ取るにきまっとるだろ」

先を越されたわけではなく、元々話をしている間に調べる予定だったみたいだ

「俺も手伝うよ」

「いや、ワシ一人でいい」

「気になるんだ」

「コレがか?」

「いや、これらの機体が」

今改めて感じた、この機体の禍々しさ。

この機体はまるで返り血を浴びる為に赤く塗られたみたいだ。

機体の製作作者は俺達の行動に対して何を感じたのだろうか?

このガンダムは何かが違う。根本的な何かが……

「おい、終わったぞ」

「あ、わかりました」

まず、離れよう。

機体から離れ、ブリッジに移動することにした。

流石に調べているのがばれたらまずいだろう。

……あの機体は、本当にガンダムなのか?

 

先におやっさんが入った。

次に俺も入った。

「お前達が話している間にスローネって機体調べておいたぜ」

「さすが戦術予報士」

ロックオンが笑いながら言う。

「報告書は独立端末でお願いします、決してヴェーダには入力しないで」

「……了解した」

ヴェーダに入力しないで独立端末を使うとなると、何かがあったのだろうか?

とりあえず、イアンの報告書の手伝いをするために、データをまとめることにした。

 

 

後日、最近ミッションがないから何かやる事があるのか聞こうと、ブリーフィングルームに行くと、何人かが集まっていた。

なにやら話をしている。

「ロック兄、何があったの?」

「あいつらが米軍の基地を襲撃したんだと」

「そんな事すると、世間は」

「もちろん、反応は悪くなるって」

「しかもヴェーダに連絡が無いみたいだよ」

「そんな事あっていいの?!」

「言い訳無いに決まっている」

「本当に……」

ふと刹那が口を開いた。

「本当に彼らはガンダムマイスターなのか?」

もう、この疑問だけは何があっても解消されない。

“スローネ”の行動はガンダムマイスターとしての行動とは感じられないからだ。

何かが違う。それは、あの機体から感じるものだけじゃない。彼らの行動事態に違和感があった。まだわからない違和感を、彼らと彼らの機体から感じたのだ。

 




いかがでしたか?
久しぶりの更新という事で、若干編集に時間がかかってしまいました。
個人的に、自分もスローネは若干苦手です。
まぁ、次回以降はスローネの勝手な行動にソレスタルビーイングも怒っちゃいますかも。

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第16話

今週の投稿

最近休日の大切さを学んでいる俺です。

今回は、会話多いな……
まぁ、戦闘はほとんど無いですが読んでいただければと思います。
それでは、本文へどうぞ。


「“トリニティ”の武力介入はもう7回目か」

“トリニティ”の介入がまた行われた。

俺は、刹那、ロックオンと一緒に次のミッションの為に地上で待機をしている。

いや、していたというべきだろうか。

トリニティの出現と共に、彼らが俺たちより先に武力介入を行い始めた。本来の計画から、大いにそれはじめ、スメラギがヴェーダを使って計画の修正を行っている。

それに、俺達が言っていいのかわからないが、“トリニティ”の武力介入は嫌気を感じる。

自分たちが行っている武力介入は確かに“悪”であると思っている。

だが、“トリニティ”はそれを上回る“悪”と感じるほどだ。対象の全てを殲滅するまで叩き続ける、まるで容赦がない。更に、彼らの動きにはそれを楽しんでいるようにも見える。

「アレルヤじゃないが……世界の悪意が見えるようだぜ」

ロックオンのセリフはよくわかる気がする。

これじゃあ、本物のテロリスト以上の何かに変わってしまう……

俺達の行動はイオリアの意思を基に行われている。それなのに、奴らは根本からそれを破壊している気がする。イオリアの目指した理想は、この破壊の先にはない気がしてきた。

「次のミッションは?」

「待機だそうだ」

刹那の言葉もロックオンは機嫌が悪そうに返す。

“スローネ”の活動によって、コチラ側にも影響が出ているためにスメラギが修正している。その為、迂闊に行動できない。

最悪の事態を引き起こされたら、俺達は……

 

 

「アイツら何やってやがる、遊んでんのか?!」

「一般市民への攻撃」

「こんな事、紛争根絶とは関係ないのになんで?!」

ついに最悪の事態が起こった。“スローネ”が何の関係もない一般市民を攻撃したらしい。

スペインの警察機構による公式発表がすでに行われたみたいだ。

死者六十四名、負傷者二十三名でハレヴィ家の私有地が被害をうけたらしい。

普通ならあり得ない事だが、あの二人がいるなら気分で攻撃してもおかしくない。

そう考えている内に、ある単語が引っかかった。

「ん? ハレヴィ家……?」

どこかで聞いたことがあった。

そういえば、隣の沙慈さんとよくいる人ってたしか……

一旦地上基地の外に出た。

ルイス・ハレヴィ、彼女のファミリーネームは確かハレヴィ!!

「まさか……いや、けど……」

あってはほしくない。だが、それが事実とすると……

何が歪みなんだ……?

 

 

 

ついに、民間企業にまで手を出した。

それを知ったのはトレミーから連絡を受けてからだ。

「刹兄!!ロック兄!!」

「どうした?」

「また“トリニティ”がやらかした」

「またアイツらか、今回は何をやらかした?」

さすがに、ここで感情を表に出さないでいる刹那も焦ったのか声が高くなった。

ロックオンも、イラついているのが声を聞いてわかる。

無理もないだろう。先日一般人に手を出したばかりだ。

彼らの行動は、俺たちの考えている武力介入という概念を遥かに上回っている。

「アイリス社の兵器工場が襲われ八百名以上が死亡したそうだ」

「ッ!!」

「アイツら、またやりやがったのかよ」

「しかも、問題なのはアイリス社の従業員は全員民間人なんだよ」

「それじゃあ、無差別テロと変わらねぇ!!」

ロックオンの途端、刹那が基地に向かって走り出した。

「刹那!!」

後を追うように中に入ると、すでにパイロットスーツに着替えて走り出した刹那がいた。

「どこに行くの?!」

「奴等のところだ」

「まさか……オイ、刹那ぁ!!」

制止する間もなくエクシアに乗り込むと出撃した。

ロックオンはこの事態をトレミーに報告をした。

二人はすぐにパイロットスーツに着替え、ガンダムに乗り込む。

 

「ロック兄、どうしよう?」

『もうすぐミス・スメラギから、指示が来る』

すると、暗号通信で指示が来た。

内容は戦いを止めろ、ただし状況により判断をこちらに委ねるという事だ。

要するに、俺達の好きにやれって事だ。トレミーでも、”トリニティ”の行動を見逃すことに限界を感じていたのかな?

にやりと笑いながら、ガンダムを出撃できるようにする。

『まったく、とんでもない事をするな。あのきかん坊は』

「刹兄の行動力には本当に驚かされるよ」

『ロックオン、止メナカッタ、止メナカッタ』

『あら、見てた?けど、これでミス・スメラギの腹も据わった』

『トキヤモ、トキヤモ』

「ハロ、今回はなかったことにしてよ」

軽い口調でハロに言ってみる。

『それにな……刹那の気持ちもわかるのさ」

刹那はよく言っていた。

『あいつはガンダムそのものになろうとしている』

自分自身が戦う理由(ガンダム)だと。

『紛争根絶を掲げるものにな』

だからこそ、“トリニティ”行動は許せなかったのだろう

『ドウスル、ドウスル?』

ハロの質問の答えは一つ。

「答えは決まっているよね、ロック兄?」

『ああ、ぶっちゃけ撃つ気満々だ!!』

「俺も!!」

『行くぞハロ!!デュナメス、ロックオン・ストラトス、出撃する』

まず、デュナメスが飛び立つ

「Oガンダム、時也・E・フィアーズ、ミッション開始する」

今回は近中距離用の標準装備で出撃する。

“スローネ”相手だと、標準装備の方がいいと判断したからだ。

一応、追加装備のGNショートブレードとGNビームサブマシンガンを装備してある。

装備を確認してすぐに飛び立つ。

 

 

「ティエリアも交戦してるみたい」

トレミーから来た情報によれば戦術フォーメーションを使って戦っているらしい。

『まさか、あの二人がフォーメーションを使うとなんてな』

あの二人の仲の悪さは尋常でなかったが、ここでフォーメーションを使うなんて何があったのだろうか。けど、ティエリアは初対面で三人(主に次男に対して)の印象は悪かったのでなんとなくだが、今回の行動には納得できた。

『おい、あれは!!』

「え?」

モニター画面を拡大してみるとガンダムナドレがあった。

上空で制止しながら、大の字の様な姿勢でいると、スローネアインとスローネドライが落ちていった。

『こりゃ、勝負あったか?』

ビームサーベルを持ち、スローネアインに切りかかった時、突然が相手は浮上した。

「何が?」

そして、ナドレは動きを止めてしまい、隙を作ってしまう。決定的となる程に。

「ちょっと!!」

『アイツ!!』

デュナメスは即座にけん制のために射撃、事なきを得た。

『これで3対3だ、フェアプレーの精神で行こうぜ』

「いや、俺もいいでしょ? この前俺達を旧世代って言ったんだし、どうせOガンダムは底上げできても第2世代ぐらいだし。これでようやく3対3じゃない?」

笑いながら、アイツらが先日言った言葉を思い出した。

すると、スローネ3機はコチラとの距離をとり始めた。

『逃げるのかい?』

『ロックオン・ストラトス。貴様には我々より、先に戦うべき相手がいるはずだ』

ロックオンの挑発を一言で遮ると、あり得ない一言を言った

『いや、ニール・ディランディ』

『ニール・ディランディ?』

刹那が聞き覚えのない言葉を繰り返すが、一人だけこの言葉に反応をした。

『!! 貴様、俺のデータを』

ロックオン・ストラトス、どうやら彼の名前らしい。

『ヴェーダを通じて閲覧させてもらった』

『レベル7の情報を』

ティエリアが今度は驚く。

「そんな、マイスターはSレベルの秘匿義務があるはずなのに、マイスターが見れる訳……」

無いはずだ。この権限はマイスターには与えられていない。

それを、ヨハンは閲覧したという。スメラギの言う通り、ヴェーダに何かがあったのだ。

しかし、ヨハンは言葉をつづける、何かを訴えかけるように。

『ロックオン、君がガンダムマイスターになってまで復讐したい相手の二人がすぐ傍にいるぞ』

『何だと?』

機嫌が悪そうに、しかし、何かを待っているような感じがする。

そして、その正体をミハエルは言う。

『クルジス共和国、反政府組織KPSA、その構成員にソラン・イブラヒム、シュレイ・イブラヒムがいた』

俺は驚いた。いや、俺だけじゃない。刹那も驚いているだろう。

二人のフルネームがここで出てきたからだ。俺達が過去に関わっているとしたら、何か……確かに、中東の時は俺達が旧クルジス共和国出身と言ったら、表情が怖くなった記憶がある。

って、事はあの男がいた時の事かなのか?

『誰だよ、それは?!』

『ソラン・イブラヒム、コードネーム、刹那・F・セイエイ』

『刹那だと?!』

『シュレイ・イブラヒム、コードネーム、時也・E・フィアーズ』

『時也も?!』

『そうだ、彼らは君の家族を殺した組織の一員、君の仇というべき存在だ』

そういうと、とっととこの空域から離脱していった。

それよりも、コチラの問題の方が深刻だ。

家族の仇となったこの瞬間、ロックオンの敵意はこちらに向けられるのが機体越しに感じ取れる。

このままでは、内部分裂がはじめってしまう可能性だってある。

俺達は、最悪の雰囲気のまま地上の基地に帰投した。




いかがでしたか?
今回は1stシーズン後半の山場でしょうか?
刹那と時也の過去とロックオンの過去について少し触れました。
個人的には、このシーンを見た時次の話で内部分裂が起きるんじゃないか?とハラハラしていましたね。

戦闘描写無しはあまりなれないなぁ……(;´・ω・)
次回の投稿は来週の予定です。



感想・指摘等、コメントをお待ちしています。
※荒らしコメントはおやめください。





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第17話

今週分の投稿です。

今回は、戦闘どころかガンダムにも乗りません。
編集していて、正直難しかった。


一旦、隠れ家の基地に戻ってからガンダムから降りた俺達は、外に出た。

「本当なのか、刹那、時也?」

先程の事が真実かどうかを確かめるために聞いてくる。

「KPSAに所属をしていたのか?」

「ああ」

刹那はあっさり答えるが、隠す気はない。

知ってしまった以上話す必要はあるのだから。

「確かに、マイスターになる前にはKPSAに所属していたよ」

だから俺も正直に全て話す。

このままでは、内部の雰囲気が悪くなり、マイスター同士の殺し合いに発展しかねない。

「クルジス出身か?」

「ああ、二人ともそうだ」

ここに、ゲリラとその被害者が揃ってしまった。

「ロックオン、さっきトリニティが言っていたことは」

「すべて事実だよ」

って事は……

「俺の両親と妹は、KPSAの自爆テロに巻き込まれて死亡した」

やっぱり、そういう事だったんだ。思い当たる節がある。それを止めることもできたはずだった。だが、止められなかった。俺の中であの男に疑問を抱き始めたきっかけだ。

「全ての始まりは太陽光発電による石油の輸出規制だ。化石燃料に頼って生きるのはもう辞めにしようって」

太陽光発電の技術が発達と機動エレベーターの稼働により、石油に頼ることなく電力が確保できるようになったからだ。

「だが、それで一番割をくうのは中東諸国だ」

石油の規制は経済に大きな影響、それも国家レベルのものである。

いきなり、売れるものである石油の制限は、石油輸出国にとって、最悪の出来事である。

売れるものがなくなれば、国家の経済は最悪になる。

それは、当然大きな影響を出す。

「輸出規制にあい、国民は貧困になる」

その結果は、俺達が経験している。

「貧しきものは神にすがり、神の代弁者に頼る、富や権力を求める浅ましい人間にな」

思い返せば、あの男をかつて神の代弁者と見ていた過去を思い出す。

「そんでもって、20年にも及ぶ太陽光発電紛争の出来上がりって訳だ。神の土地に住む者たちの聖戦、自分勝手な理屈だ」

それでも、そんな自分勝手な都合で紛争が起きてしまった。もう、その過去を変える事はできない。

「もちろん、一方的に輸出規制をした国連もそうだ。だが神や宗教が悪いわけじゃない、太陽光発電システムだってそうだ」

それが無ければ、ガンダムのGNドライブだって否定することになる。

これは半永久の太陽光発電機である。

「けどな……どうしてもその中で世界は歪む、それくらいわかっている」

そして、歪みの中で人々は苦しむ、苦しみ続ける。

「お前らがKPSAに利用されて、望まない戦いをしていたことも」

そして、間をあけるとロックオンの表情が険しくなった

「そして、その歪みに巻き込まれて俺は家族を失った、失ったんだよ」

「……だから、マイスターになることを受け入れたのか」

「そうだ」

ティエリアの問いかけにも答える。

「矛盾していることもわかっている。テロと同じだ。暴力の連鎖を断ち切る方を選ばず戦う方を選んだ」

この男は自分の行為が矛盾していてたとしても、ガンダムで戦う覚悟をもってマイスターになった。

「それは、あの悲劇を繰り返さないためにも、この世界を根本から変える必要があるからだ。世界の抑止力となる圧倒的なチカラがあれば……」

「……ガンダム」

その圧倒的なチカラ(ガンダム)は世界を確かに変えている

「人を殺め続けた罰は、世界を変えてから受ける」

言葉に気迫を感じる。

それは覚悟から来ているのだろう。

「その前にやることがある」

そういうと、銃を俺たちに向ける。

「ロックオン!」

ティエリアが叫ぶ。

「刹那、時也、今お前達を無性に狙い撃ちたい。家族の仇を取らせろ。恨みを晴らさせろ」

冷徹な声で淡々と語り掛ける。

そして、銃声が響いた。

 

 

弾丸は二人の間を通り抜けた。

「俺たちは神を信じていた、信じ込まされていた」

「だから悪くないってか?」

「この世界に神はいない」

今の刹那は、ソラン・イブラヒムとして語っている。

かつてソランは実の両親を、シュレイは捨て子としていた自分を拾ってくれた実の親を、

その手で殺めている。神の聖戦への参加資格を得るためと言われて……

「神は、この世界にはいなかった。いるのなら、俺達はマイスターになっていない」

次は俺はシュレイ・イブラヒムとして言った。

「答えになってねぇぞ!!」

「神を信じ、神がいないことを知った」

ソランが続ける。

「あの男がそうした」

「あの男?」

「KPSAのリーダー……」

かつて、俺たちを紛争に導き、戦場で生き残る術を教えた男。

「アリー・アル・サーシェス」

「アリー・アル……」

「……サーシェス?」

ティエリアとロックオンが反復するように言う。彼らは、この名前を初めて聞く。だから、その男が何者なのか、わかっていないはずだ。

「奴はかつてモラリアで、PMCに所属していた」

「民間軍事会社」

「ゲリラの次は傭兵か!ただの戦争中毒じゃねぇか!!」

「モラリアの戦場で俺は奴と会った」

あの青いイナクトの事だ。

「そうか、あの時コックピットから降りたのは」

ティエリアがハッとしたように言った。

「奴の存在を確かめたかったからだ」

あの時の行動は、俺と刹那以外に意味が分からなかったはずだ。あの時、俺は刹那を責めなかったし、あの男がまだ戦いを楽しんでいると知った。

「奴の神がどこにいるのか知りたかったからだ。奴の中に神がいないとしたら……」

神の聖戦を率いた男の神はどこにいるのだろうか?

「俺は、今まで……」

「何のために戦ってきたのか。戦う理由さえ、俺達には最初から……」

幼い子供は、教えたものを信じることで戦ってきた。

もし、何も信じるものが無なければ何を信じればよいのだろうか。

何のために戦ったのだろうか。

「刹那、時也……」

ティエリアが呟く。

「刹那、時也、これだけは聞かせろ。お前らはエクシアで、Oガンダムで何をする?」

厳しく追及する。こんな奴らが何をしたいのかはっきり言って見当がつかない。

「戦争の根絶」

「この世界を変える」

刹那も俺も意志は同じ紛争根絶だ。

そこでロックオンは銃の引き金を少し引く、すぐに撃てるように。

「俺が撃てば、それはできなくなる」

「構わない」

「代わりにお前がやってくれるなら」

「この世界を変えてくれるなら」

「お前がやってくれ」

「この世界を変える為に」

俺と刹那は自然と言葉が出てくる。

「でも生きているなら俺は戦う、ソラン・イブラヒムとしてではなく」

「シュレイ・イブラヒムじゃなくて」

「ソレスタルビーングのガンダムマイスター、刹那・F・セイエイとして」

「時也・E・フィアーズとして俺は……いや、俺達は世界と戦う」

二人の答えは出揃う。

「ガンダムに乗ってか?」

「ああ、俺がガンダムだ」

刹那が宣言した。

すると銃を下げ、笑い始めた。

「あほらしくて、撃つ気にもなんねー」

そして銃をしまった。

「お前はとんでもねーガンダムバカだ」

「ありがとう」

刹那がお礼を言う。

「え?」

「最高の褒め言葉だ」

少しして、ロックオンは笑い始めた。

「これが、人間か」

ティエリアが呟いた。

すると、いつの間にか大きな壁が消えたような錯覚を感じた。

「じゃあ、これからもよろしくね。ロック兄」

「ったく、足引っ張んなよ、時也」

「よろしく頼む、ロックオン」

「ああ、刹那」

そして、同志として固く誓った、“世界を変える”と




いかがでしたか?

今回の話を経て、メンバーの結束も強くなったでしょう。
放送時は、ティエリアが笑ってる?!と驚いていましたw

次回は、いよいよ太陽炉搭載型との決戦が始まります
いよいよ、1stシーズンも終盤です。

次回は余裕があれば今日、なければ来週に投稿します。

感想・指摘等、コメントをお待ちしています。
※荒らしコメントはおやめください。


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第18話

昨日の分です。

ちゃんと、来週は日曜日に投稿します。

今週も戦闘は無しです。
次回にはちゃんとありますので……


俺達にトレミーへの帰投命令が出た。

“トリニティ”が好き勝手やらかしたおかげで、コチラの計画の修正を行っていた。

一応、先程の出来事の事も含めて状況を把握するために、宇宙に上がることになった。

その為、刹那、ロックオン、ティエリア、俺はトレミーに帰還している。

「状況は?」

ロックオンがブリッジに入って早々に状況提供を求めた。

「今のところ変化はないわ」

「“トリニティ”も沈黙している」

スメラギとアレルヤから得た情報で、動きはないと分かった。

「なら、いいんだけど」

「命令違反を犯した罰を」

時也の一言の後にティエリアが言う。

命令違反というのは、“トリニティ”との戦闘行為についてだろう。

しかし、

「そんなの、いつしたっけ?」

「しかし……」

スメラギの一言にティエリアが異論を唱えようとしたがロックオンに止められた。

「そういう事だ」

驚いて、すぐに微笑んだ。

「何かあった?」

「さぁな」

「あったんじゃない?」

ティエリアの心境の変化をアレルヤは宇宙にいたから知らないのだ。

ロックオンと俺は適当にあしらった。

「スメラギさん、“トリニティ”が動き出したみたいです」

クリスの一言で場の空気が変わった。

「なんだって?」

「フェルト彼らの攻撃目標は?」

ロックオンは少し驚くが、スメラギは冷静に状況を把握するように指示を仰ぐ。

「進行ルート上にある軍事基地は人革連、広州軍管区」

今回は人革連の基地に攻撃を仕掛けるらしい。

いつも通りの虐殺ショーでも行うのだろうかと、若干苛立ちながら話を聞いていた。

しかし、この後誰もが予想しえなかった展開が待っている。

 

 

「“トリニティ”戦闘空域から離脱した模様」

フェルトはそう告げた。

「まさか、撤退?」

「何があった?」

予想外の出来事に、アレルヤとロックオンが詳細を尋ねる

「……人革連側が太陽炉搭載のMSを導入したのよ」

「太陽炉……」

スメラギのセリフに刹那が呟く。無理もない。

太陽炉はガンダムの動力源であり、力の根底に存在するもの。

この班永久機関のおかげで、今まで三大勢力に対し圧倒的な性能差という

アドバンテージのもと、武力介入が行えたのだから。

だが、相手にも太陽炉搭載のMSがあるという事は、俺達ガンダムの持つ絶対的なアドバンテージの崩壊を意味する。

俺達は、太陽炉搭載MS同士の戦いを行う。数のアドバンテージを受けながらだ。

「そんな……」

「これじゃあ、ここから先は……」

アレルヤの後に俺が続ける。

「やはりヴェーダから情報が……」

ティエリアが呟いた。

「そう、ここから先はガンダム同士の戦いになるわ」

スメラギが結論を言った。

「ガンダムと……」

これからはガンダムと戦う。

それは、俺達が俺達自身と戦う事とほぼ同意義だ。

ある種の絶望が俺達に降り注いできた。

だが、それでも俺達は歩みを止める訳にはいかない。

計画の為に戦う。




いかがでしたか?
2話連続でほぼ会話パート

確か本編では、スローネがジンクスの大群に戸惑っていた記憶があります。
同じ動力源で、数の差で不利になっているのを見ていた時は、GNドライヴの性能のすごさを若干わかった気がしました。

次回は土日には投稿している予定です。


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第19話

久しぶりの投稿です。

今回から連合軍との戦闘です。


お楽しみいただければ幸いです


先程の“トリニティ”の戦闘で何があったのか、

情報を得るために戦闘映像を見ることにした。

「クリス、ヴェーダを経由して“トリニティ”を退けた部隊の映像を出して」

しかし、ヴェーダは今何者かに細工を施されている可能性があるので、

“但しこちらの情報を”と言いかけたところでブロックをしているとクリスは言った。

ダウンロードが完了したというフェルトの報告の直後、映像が出る。

「この機体は……」

背面からは、赤いGN粒子―スローネと同じ色の粒子―が放たれていた。

「やはり、疑似太陽炉搭載型」

「これが“トリニティ”を退けた機体」

考えると10機“でガンダム”3機を退けたという。

かつての性能、バックアップ両面による圧倒的な優勢状況(アドバンテージ)はもう無くなりつつある。

それを相手に、どこまで戦えるかはわかっていない。

 

少しして、ブリッジではクリスとフェルトが急ピッチで作業を行っている。

ヴェーダが何者かに細工を施されている。間違いない事だろう。ナドレのトライアルシステムが強制的に解除されたのがその証拠だ。

 

その結果、ヴェーダのリンクを切り離されてしまうとガンダムの動きに支障をきたすのは間違い無い。

そこで、スメラギの指示でガンダムのヴェーダのリンクを失った時の為に、ヴェーダのバックアップ無しのシステムを構築してもらっている。

始めは俺も手伝うといったが、二人でやると言われ敵の映像を見ていたが、小休憩をしていた。ちょうどスメラギがブリッジに差し入れのドリンクを持っていくようなので、ついていくことにした。

「敵についてはどう思う?」

「すごいのは、ファングに反応していることじゃないかな?」

「数で圧倒していたのもあるけど、性能もガンダムと変わらない……」

「大丈夫、皆は俺が守るから」

気休め程度だが、今弱気になってしまえば紛争根絶なんて無理な話だ。

「……そうね、期待してるわ」

今度こそ、あの時のようにならない為に俺は皆を守る。そう決意をした。

 

 

中に入ると床を蹴り、指揮官席に向かって移動する。

「ごめんね、無理させちゃって」

「あ、助かります。ありがとうございます」

スメラギはクリスにボトルを投げた。

指揮官席に着くと、フェルトの方を向きボトルを渡す

「フェルトもね」

「任務ですから」

「システムの具合は?」

「8割といったところです」

そして、時也もスメラギの前に支えてもらい降り立つ。

「でも、いいんですか?ガンダムからヴェーダのバックアップを切り離すとパイロットへの負担が……」

一区切りして、ドリンクを飲んだらプハッっと苦しそうに息を吐いた。

「クリス姉大丈夫?」

俺はその行動に若干慌てる。何か変な物入れたのかと焦る。

「これお酒じゃないですか!!」

「ああ、ごめん」

軽く受け流すスメラギ、このやり取りにフェルトが笑う。

控えめな笑い声だが、フェルトが珍しく表情を見せている。

「最近柔らかくなってきたわね、フェルト」

そう言われてハッとする本人は、頬を若干赤くして“そうですか?”と問う。

「いい傾向、いい傾向」

クリスが笑いながら言う。

「そうだね」

時也も笑いながら言う。

「じゃあ、もう少しよろしくね」

「お願いします」

そう言い残して俺はスメラギとブリッジを出て、各々の行くところに移動した。

 

 

改めて、敵の疑似太陽炉搭載MSの武装を確かめる。

「装備はOガンダムに近いのかな?」

見ているだけでは、サーベルとビームガン、頭部バルカンを使っているのは

確認できているが、他に武装が見当たらないようだ。

「システムはティエリアの言う通り、ヴェーダの補助ありの可能性はなしだけど、他には……」

ソレスタルビーングに来てから学んだMSの事をフル活用し、解析をする。

やはり、武装はOガンダムに近いとみて、まず間違いなかった。

「なら、装備は……」

『総員第一種戦闘準備、敵部隊は疑似太陽炉搭載型19機と断定』

「19対5……数で押すつもりなのか?」

『すでに相手はこちらを補足しているわ、Oガンダム以外のガンダムはコンテナから緊急発進、フォーメーションS34で迎撃』

急いでOガンダムに乗り込む。GNパックType-Vで迎撃した方がよさそうだ。

しかし、接近されるかもしれないので、GNキャノンを装備せずにType-Eのショートブレードを左足に装着、実質装備はGNビームサーベルを取り外し、GNキャノンを両肩に、実体剣を両足に装備、左腕にはシールド、右腕にはGNハンドガンを装備。

「おやっさん!!」

『わかってる。要望通りの装備は付けるが、時間がかかる!!』

「お願いします!!」

機動力は落ちるが、接近されても鍔迫り合いの間にGNキャノンを撃てば、確実に仕留めることができる。換装には時間がかかるため、終わるのを待つ。正直に言えば、GNパックのアタッチメントの問題がない事と、換装バリエーションが豊富にできる事がこれほどまでに役に立つとは思ってなかった。第3世代のパーツも使えるが、今はその必要も無い。

『敵部隊0130まで接近』

すぐそこと言う訳ではないが、危険な状況に間違いはない。

『よし、換装で来た!!』

「了解。Oガンダム、出撃準備完了!!」

『コンテナハッチオープン、ガンダム出撃します』

『各機フォーメーションS34』

ロックオンの声を聴いて、出撃を確認したと同時に換装が終了したので、

Oガンダムはカタパルトから出撃する。

「Oガンダム、時也・E・フィアーズ、ミッションスタート!!」

カタパルトからの射出により、先に出たガンダムに追いつく。

『時也、フォーメーションS34だ。油断するなよ』

「了解した」

 

 

戦闘が開始され、早々に驚くことが起きた。

一つ目はヴァーチェのGNフィールドを展開してもダメージを受けたことだ。

これにより、敵の射撃武装攻撃は強力であることを意味する。

二つ目はキュリオスの飛行形態時の射撃をよけたこと。

これにより、機動力もこちらと同等のレベルであると意味する。

最後に、デュナメスの狙撃に反応したことだ。

これは、敵の性能の高さ、装甲の硬度が高いことを意味し、更に、ヴェーダクラスのバクアップがあることを意味した。

「くそ、強い」

19対4、今までなら圧倒できたが疑似太陽炉搭載型になっただけで、これほどまでに状況が変わってしまった。

そして先程の考えは、簡単にできなかった。

敵と鍔迫り合いをして、GNキャノンを発射したが右足を掠った程度。瞬間的に姿勢を崩すことはできたが、他の機体がフォローに入ったせいで追撃ができない。

『僕らの滅びは計画に入っているというのか?!』

『そんな事が!!』

通信で聞こえる声も悪い流れになってきた。

「くそぉ、ふざけるなぁ!!」

叫びと同時に頭の中で何かが割れて、視界が良くなる。すぐに実体剣を持ち、肩にあるGNキャノンをパージする。そのままジェネレーターのエネルギーを実体剣に回し、相手の腕を切る。

一撃離脱を行い、陣形を立て直すために敵を捕らえながら交代していると突然コックピットが暗くなった。

「バックアップがなくなった?!」

タイミングが悪すぎる、せめてシールドを構えていればよかったが、完全に無防備な格好で止まってしまった。

レバーを動かしても反応しないのにもかかわらず、焦って動かしてしまう。

「これじゃあ、あの時と同じだ」

仲間を失い、戦い続けたあの時を思い出している。

サーシェスの掌の上で踊らされ続けた挙句、見捨てられガンダムに救われるあの時までを思い出している。

「でも、これじゃあ、いい訳が無い……」

紛争根絶、ソレスタルビーングの行動理由であり、戦う理由。

「そうだ……戦う、紛争根絶の為に」

それには力がいる、ガンダムという抑止力が……

「そのため……動いてくれ、ガンダム!!」

そういうと、コックピットに光が戻る。目の前にいる敵MSに攻撃を仕掛ける。

「そうだ、二人が作ってくれたシステムが来たのか……ありがとう」

“守られたなら、次は守る”

決心し、パージしたGNキャノンを拾い、GNキャノンとGNハンドガンで攻めに入るがレーダーにおかしな点を見た。ヴァーチェが動いていない。

即座にデュナメスとキュリオスがカバーに入っているが、射撃が集中している。

「やらせるかぁ!!」

GNキャノンとGNハンドガンにジェネレータのエネルギーを回し、射撃で応戦する。

しかし、背後からの接近を許してしまう。

「待てぇ!!」

剣を出し、エネルギーを回したが、かなりのスピードで突っ込まれたので、鍔迫り合い(時間稼ぎ)ができずに、吹っ飛ばされてしまい、デュナメスにビームサーベルが刺された。

ヴァーチェを庇ったために、デュナメスのコックピット付近に相手のサーベルが刺さってしまった。

二度目の攻撃は砲撃によって防がれた。

後方からの砲撃は飛行型MAだが、粒子ビームはオリジナルのものなので、ソレスタルビーングの援軍だとすぐに分かった。

敵も撤退信号を出してきたので、戦闘が一時的に終わったと理解した。

通信からは、ラッセがマイスターの無事を確認する声と、

ハロからロックオンの負傷とデュナメスの損傷の連絡が聞こえてくる。

トレミーからもデュナメスとヴァーチェの回収、帰投の命令が出た。




いかがでしたか?

システムが落ち、完全にヴェーダのバックアップを受けれなくなってしまいました。
原作を見ているときは何が起きてるのか訳が分からなかったなぁ(話を理解していなかったから)
ただ、今でも思うのはジンクスの強さは異常だと思う。

次の投稿は未定です。
来週中に投稿することを目標にします。

それでは、次の話まで




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第20話

今回は、地球での戦闘です。
終盤で一度だけ地球に降りた回です。

就活により、投稿できませんでしたが、復帰します。
不定期ですが、年内にセカンドシーズンも終わるといいかなぁ…


※投稿する話を間違えていました。
2016/12/17に投稿しなおしました。


『トレミーへ、こちらGNアームズ、ラッセ。強襲用コンテナへのドッキングシークエンスに入る』

GNアームズは、ガンダムサポートの為のMAであり、

ガンダムとドッキングすることにより、驚異的な性能を引き出すことができる。

『GNアームズ、強襲用コンテナとのドッキング完了』

通信機越しではあるが、GNアームズのドッキングが完了したことを確認し、ようやく問題と向き合う。

ロックオン・ストラトスが先程の戦闘でティエリアをかばい、負傷した。

機体の損害自体は、コックピットを取り換えるだけで済んだが、パイロットであるロックオンは、効き目を負傷した。そのため、現在は集中治療室でDr.モレノの検査を受けていた。

モノレはトレミーの医者であり、時也の膝の怪我に対して定期診察や薬の服用指示を出したりしている。

 

「Dr.モノレ、傷の再生までの時間は?」

「最低でも3週間は必要だ。わかっていると思うが、一度カプセルに入ったら治るまで出られんからな」

スメラギの問いかけに、モノレは作業を行いながら答える。

「治療をお願いします」

そして、スメラギは後ろにいる刹那、アレルヤ、時也の方を向いた。

「その間に私たちはドッグに戻ってガンダムの整備を……」

『おいおい、勝手に決めなさんな』

ロックオンが治療用の布団の上で起き上った。

「ロックオン」

『敵さんがいつ来るかわかんねぇ、治療は無しだ』

「しかし、その体では精密射撃は無理だよ」

『俺とハロのコンビを甘く見るなよ』

『モチロン、モチロン』

アレルヤの指摘もハロと共に返す。

『それにな、俺が寝てると気にする奴がいる、いくら強がってもアイツは脆いからな』

それは、今回の原因となった人物の事だろう。

 

 

『ガンダムの整備状況はどうですか?』

『ヴァーチェの損傷はなんとかなりそうだ』

『デュナメスは?』

『駄目だな』

3人のマイスターはイアンと共にガンダムの整備を確認している。

改めてみると、デュナメスは損傷がひどすぎた。肩にできた一文字の傷も目立つが、やはりコックピットである。

「やはり、コックピットですか?」

『ああ、コックピット付近の損傷がひどい。カレルでは手に負えん。ドックに戻ってユニットごと取り換える必要がある』

「そんなにひどいんですか……」

そして、これはとってもまずい状況である。

活動できるガンダムは4機、しかも0ガンダムは性能が他の3機より若干劣るため、

3.8機分の戦力と言っても過言でない状況だ。

そして、もう一つ悪い知らせが入ってくる。

 

 

「ついに国連軍が“トリニティ”と戦闘を行ったか」

三大勢力の集結組織軍、国連軍がついにGN-X“ジンクス”を使用したガンダム掃討作戦“FALLEN ANGELS”が開始された。

「ガンダムを倒すことで、世界がまとまっていく」

「やはり、僕たちは滅びゆく存在」

「これも、イオリア・シュヘンベルグの計画」

「だとしたら!!」

弱気な声に一括するように刹那が叫ぶ。

「何のためにガンダムはある?戦争を根絶するための機体がガンダムのはずだ」

確かに、最初の介入の後、イオリア・シュヘンベルグのメッセージ映像は

ガンダムを全ての紛争に対して武力で介入し、紛争根絶を掲げる機体、とガンダムを定義していた。

「なのに、“トリニティ”は戦火を拡大させ国連軍まで・・・これがガンダムのすることなのか?」

「刹兄・・・」

「これが・・・」

「刹那、国連軍による“トリニティ”への攻撃は紛争だ、武力介入を行う必要がある」

突然ロックオンが言い始めたのは、地上へガンダムで行くことだ。

「おいおい、何を言い出す」

「無茶だよ、僕たちは疲弊しているし、機動エレベーターも抑えられている」

もちろん反対はする、最悪宇宙に上がれないからだ。

「この前襲撃を受けたのも、エクシアとデュナメスがトレースされたから・・・」

「ソレスタルビーングに沈黙は許されない、そうだろ刹那」

「ああ」

「二度と宇宙に戻れないかもしれない」

「俺一人ででも行く」

どうやら、刹那は決心をしたらしい。

「俺は確かめたいんだ、ガンダムが何のためにあるのか」

「俺も付き合うぜ」

「けが人は大人しくしていろ」

ブリーフィングルームに入ってきたラッセがロックオンを止めた。

「俺が行く」

「ラッセ!!」

「強襲用コンテナは大気圏離脱能力がある、ついでにGNアームズの性能実験もしてくるさ」

「今戦力を分断するのは・・・」

アレルヤが途中で言うのをやめたのは、スメラギが刹那の方に歩いて行ったからだ。

「ミッションプランよ」

端末を、刹那に渡す。

「不確定要素が多すぎてあまり役に立たないかもしれないけど」

一拍溜めて

「ちゃんと、帰ってくるのよ」

改めて刹那の眼を見て言う。

「わかっている」

「じゃあ、ロック兄の代わりに俺が行くよ」

「時也?!」

「不確定要素が多いならある程度プランの修正ができる人物がいた方がいいし、

さっきの戦闘である程度数がいることも証明された」

「じゃあ、俺の代わり頼めるか?」

「ロックオン!!」

「了解、type-Dで行く準備をするよ」

 

そして、2機のガンダムがコンテナに収容された。

『刹那のバックアップ、よろしくね』

「わかったよ、絶対帰ってくるからね」

すぐにコンテナは地球に向けて出撃した。

 

 

大気圏に入るとすぐに見えたのは、爆発と赤いGN粒子だ。

『仲間割れか?!』

「でも、あの3人は絶対にありえない」

『急ごう』

すぐにエクシア、0ガンダムが戦闘準備を開始。

スローネヴァイがスローネドライのコックピットをGNバスターソードで刺そうとしていたため、コンテナで体当たりし、エクシアで上からGNソード攻撃する。

『邪魔すんなよ、クルジスの小僧どもが』

『アリー・アル・サーシェス?!』

「何で?!」

『何故だ、何故貴様がガンダムに!!?』

『答える義務があるのかよ!!』

GNバスターソードでエクシアを圧倒していく。

「ラッセ!!」

『わかってる』

コンテナの射撃は当たらないがOガンダムの狙撃は数発当たる。

しかし、ガンダムの装甲は固く、むしろこちらが射撃を受ける羽目になった。

『なんて正確な射撃だ』

「俺も行く」

スナイパーライフルを取り、GNパックなしで突っ込んでいく。

『最高だな、ガンダムってのは……覚悟しな!!』

一旦、エクシアがスローネツヴァイを鍔迫り合いで追い払う。

「よくも、ミハエルさんを!!」

『わめいてんじゃねぇぞ、ガキがぁ!!』

ハンドガンの射撃もすべて防がれた。

『ガンダム、こいつは飛んでもねぇ兵器だ、戦争のし甲斐がある……テメェらのガンダムもそのためにあんだろぉ』

再びスローネツヴァイがこちらに来る。

「違う!!」

『絶対に違う!!』

エクシアのGNロングブレードがはじけ飛ぶ。

0ガンダムのハンドガンも飛ばされる。

『俺のガンダムは……』

「俺達のガンダムは……」

しかしスローネツヴァイはGNバスターソードとGNビームサーベルで

エクシアとOガンダムをコックピットから切り裂きにくる。

『こいつで終わりだぁ!!』

 

 

だが、振りかざした剣が当たることはなかった。

 

 

よくわからないが、機体が今までよりも格段に早く動いている。

とにかく、この機動力で敵をかく乱する。

右手にはGNビームソード、左手にはGNソードをもっておく。

『そこか!!』

あちらの狙撃を回避しエクシアは背後に0ガンダムは正面に回る。

『あたらねぇ!!』

そして、エクシアが背後から蹴りを入れ、0ガンダムはそのまま右肘を切り落とす。さらにエクシアがスローネツヴァイを地面にたたき落した。

『この、ガンダムは……』

そこへ、通信が聞こえる。

『GNドライブを有する者たちよ。君たちが私の意志を継ぐものなのかはわからない』

「この人って」

『イオリア・シュヘンベルグ』

『だが、私は最後の希望を、GNドライブの全能力を君達に託したいと思う』

「全性能を、託す?」

『君たちが真の平和を勝ち取るため、戦争根絶の為に戦い続けることを祈る。

ソレスタルビーングの為ではなく、君たちの意志で……ガンダムと共に』

そういうと、このメッセージの再生が終わった。

『ガンダム』

そして、警告音に気が付いてレーダーを見ると、こちらにスローネツヴァイが来ていた。

そして背後からGNビームソードを振りかかろうとする。

『どんな手品か知らねぇが・・・』

しかし、こっちのスピードの前にスローネツヴァイを翻弄していく。

『この俺がぁ……』

サーシェスの焦り声が聞こえてくる。とどめを刺すタイミングは今しかない。

「うおぉぉぉぉぉぉ!!」

『うあぁぁぁぁぁぁ!!』

2機で切り裂いたのは敵の盾だった。

モニターの画面は背景が赤くなっており、こう書かれていた。

“TRANS-AM”

「トランザム?」

『トランザムシステム……これが、トランザム』

 

イオリア・シュヘンベルグから託された、GNドライブの最後の性能

“TRANS-AM”、圧倒的な性能を引き出せるものであった。

そして、イオリア・シュヘンベルグは託した。

この世界の戦争根絶の為にと。

そして、託された。

戦争根絶を達成するために。

それは、戦争をなくすために戦う決意、そのために世界と向き合う覚悟という、

起爆剤に点火させるためのものだった。

世界はガンダムを、ソレスタルビーングをどうするのだろうか。

その答えが開示されるのはもう目と鼻の先にある。

 




という訳で、初のTRANS-AMでした。
今思うと、よく初使用であそこまで使いこなせるな……
これが、ガンダム愛なのか


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第21話

クリスマス前に投稿。
20話と21話が逆になっていたので、急遽修正しました。
※コチラも逆に投稿していました。やらかしました……
確認して即座に修正しました。

文章も修正する必要があるので、割と年末の冬コミ前後が大変そう……


トレミーに戻りながらTRANS-AMについて分析していた。

どうやら、このシステムは機体に蓄積した高濃度圧縮粒子を全面開放し、

一定時間だけ、スペックの3倍とする出力を得ることができるが、

使用後は極端に性能が落ちるという、正に諸刃の剣だった。

 

トレミーへの帰還は、強襲用コンテナの大気圏突破能力を利用するので問題はないが、

あの男、アリー・アル・サーシェスが気になる。

あの時、スローネツヴァイを仕留めることができなかったから、

また対峙することは確定事項だろう。

あの戦争中毒の事だ、国連軍に混じっているかもしれない。

それに、大気圏内の疑似太陽炉搭載型MSが全機宇宙に上がった。

トレミーに暗号通信で報告をしておく。

 

 

『刹那、答えは見つかったのか?』

『わからない、だが俺たちはイオリア・シュヘンベルグに託された』

そう、今回地球に降りたのはガンダムの存在意義を見つけるためだ。

そして、イオリア・シュヘンベルグにGNドライブと夢を託された。

これは、答えにつながるかもしれないが、今はまだイマイチつかめていないみたいだ。

『なら、俺は俺の意志で紛争根絶の為に戦う……ガンダムと共に』

『はっきり言って、俺は紛争根絶ができるとは思っていない』

「ラッセ?!」

『だがな、俺たちの馬鹿げた行いは、良きにしろ悪しきにしろ人々の心に刻まれた』

ラッセの発言に驚いたが、言葉は続いていた。

『今になって思う。ソレスタルビーングは、俺たちは存在することに意義があるんじゃねーかってな』

『!!存在する事……』

存在する事、確かに今までの行いで人々に何らかの形でソレスタルビーングを

刻むことができた。

そう、だからこそ存在する、それことソレスタルビーングの本質なのかもしれない。

『人間は経験したことでしか本当の意味を理解しないという意味さ』

そう考えると、ラッセの考えは理に適っていた。

ソレスタルビーングが行動した、それによって人々は何かを経験し、

自分なりではあるが、その意味を理解する。

この場合は、ソレスタルビーングが本当の意味で「紛争根絶」の為に戦っていると

世界中に訴えていることが分かるはずだ。

紛争をどんな手段を使ってでも止めている。

それを見て、戦火を広めていると思う人もいれば、紛争を止めに来ている。

いくつもの解釈はできるが、結果的に人々に行動をしていると訴えている。

しかし、訴えているだけでは意味がない。

達成してこそ、組織の意味がある。

そう、俺たちは世界と向き合い「紛争根絶」を達成するために戦っている。

それが、例え世界と戦う事となっても……

 

そう考えていた直後、アラートがなった。

トレミーが敵艦を補足したらしい。

どうやら合流するときには戦闘中か、あるいは……

(嫌な予感がする)

時也は直感的にそう感じた。

 

『刹那、時也、ポイントを確認した』

戦闘宙域を確認し、ラッセから座標が送られてくる。

『ドッキングを解除』

強襲用コンテナから、エクシアとOガンダムが出てくる。

『トランザムで戦闘宙域に向かう』

「了解」

そして、2機のガンダムはTRANS-AMを使用し、戦闘宙域へ向かった。

ただ、悪い予感が当たらないことを祈って。

 

 

数分してTRANS-AMの限界時間が来た。

これだけ移動をして、まだ戦闘宙域に到着しない。

嫌な予感はさらに増していく。

どうか皆無事であってほしい。

 

 

『GNアームズが……』

まずアラートと共にモニターの拡大映像で確認したのは、

GNアームズの上部に搭載されていたキャノン砲だったモノだ。

モノだったというのは、それが大破して、その役割を全うできる形ではなかったからだ。

そして、その後に移ったのは……

『!!ロックオン』

「ロック兄!!」

2機は加速する、マイスターを、仲間を、紛争根絶の為に戦う同志を助けるために。

キャノン砲は、紫電を走らせ徐々に爆発していく。

そして……

 

 

爆発した

 

 

ここはどこだろう?

そこはまるでオリジナルの太陽炉のGN粒子で包まれたような空間だった。

そんな不思議な空間に時也はいた。

『時也か』

「ロック兄!!」

格好は何も来ていない、自分はパイロットスーツを着ていた。

「俺は……僕は……」

『オイオイ、泣くなよ』

「でも、そんな事言ったって」

『俺はあの時、お前と刹那から聞いたはずだ』

「あの時……」

恐らく、本当の意味で仲間になったあの時だ。

『もし俺がお前と刹那を殺したらどうするかって』

そう、確かにそう聞かれた。

その答えは……

「その時はロック兄に意志を託す」

『なら、俺のできなかったことをお前が成し遂げてくれ、俺は先にリタイアしちまう』

「そんな、ウソって言ってよ……いつもみたいに言ってよ!!」

『悪いな……だが、ニール・ディランディーとして、ガンダムマイスターロックオン・ストラトスとして、改めてお前に頼みたい事がある』

「……何?」

『俺の代わりに世界を変えてくれ、お前にはその力がある、お前の中には可能性の種がある』

「種?」

『それから花を咲かせてくれ、紛争根絶を成し遂げることで』

「でも、俺は……」

『お前は俺の次に狙撃が上手いしどのガンダムでも、今のマイスターの次に適性がある』

「うん……」

『自信を持てよ、気休め程度にしかならないが、狙撃の時は俺のコードネームを使ってもいいからさ』

「……いいの?」

『それが、俺がお前に遺せるモノだからな』

「わかったよ、ロック兄、いや、ロックオン・ストラトス、ニール・ディランディーの意志は、時也・E・フィアーズが受け継ぐ」

『頼むわ、しいて言えば、トレミーに戻ったらティエリアが泣くだろうし、士気も下がっているだろうが、そこを持ち直してくれ、特にあの生真面目は一苦労するだろうな』

「うん」

ロックオンは、俺に意志を託してくれた、なら俺はこういうべきだ。

「絶対に達成するよ、紛争根絶」

『頼んだぜ、時也』

そうして、気が付くとコックピットにいた。

(ロック兄、意志は受け継ぐよ)

そう心に誓いトレミーに帰投した。

 

 

今一人のマイスターが死に、一人のマイスターに意志を託した。

しかし、彼らに滅びがすぐそこに迫っていた。

カウントダウンはもう開始された。

マイスター達、ソレスタルビーングのメンバーたちは何を見るのか。

どのような結末をたどるのか、知る者はいない。

 




1stシーズンも残り2話となりました。
最近、色々な物に手を出して忙しかったり暇だったり……

最近pso2やったり提督やったりと、小説投稿も忘れないようにしないと……


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