暗殺教室~拳法家の青春物語~ (GGG-EX)
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特別編
誕生日の時間


倉橋陽菜乃誕生日記念小説です。

どの時期かは本編中で


―――10月中旬

 

中間前に起きた交通事故から若葉パークへの無償奉仕に始まり、中間テストの惨敗に続きその後に起きたイリーナ先生離脱未遂を含んだ死神戦まで終わったある日の昼…

 

「むーーーっ(頬ぷくー)」

 

((((((((陽菜乃ちゃん(倉橋さん)、怒ってるなー))))))))

 

陽菜乃はめっちゃ怒っていた、まぁ理由は一目瞭然ではある、何せ…

 

「(ジーーーッ)これか…いやこっちも…」

 

恋人である龍哉が一心不乱に雑誌を読んでいるからだ…しかし、普通ならばこんなに怒ったりはしないだろう。

 

だが、龍哉が読んでいるのは『普通』の男性用雑誌とかではなかった。

 

読んでいるのは…女性向けファッション誌であった。

 

ぶっちゃけ中学生男子が夢中になって読むような雑誌じゃない。

 

しかし、読んでいる理由はほぼ全員察している、気づいていないのは渚と陽菜乃、愛美位なものだろう。

 

だが、他にも理由があるかもしれないと意を決して桃花が話しかけたら…

 

「いいよね、桃花ちゃんは、凛香ちゃん、菅やんと一緒に龍君とお出かけしたんだから…私なんてここ最近登校する時と学校にいる時しか一緒に居られないのに…」

 

見事に地雷を踏み抜いた。

 

ちなみに真相は龍哉が創介に頼んで一緒に買い物に行っていたところに桃花と速水が偶然合流したというだけなのだが…それを言っても無駄な可能性が高い。

 

そしてそこで『デート』という単語を使わないあたり、その4人ではそういうことにはならないと思っているのか、はたまた認めたくないのか…

 

取り敢えず、クラスメイト達の気持ちを一言でいうなら…

 

((((((((さっさとどうにかしてくれ!!いくらでも手助けしてやるから!!))))))))

 

==========

 

―――放課後

 

この日も龍哉は陽菜乃と一緒に下校せず、創介と商店街に行った。

 

そこの雑貨屋であるものを龍哉達は見ていたのだが…

 

「ん~~」

 

「やっぱ、中々ねえな…こないだ速水にも協力してもらったのにな」

 

「でも、他のにするのは…色々な意味で嫌だ」

 

「まぁな、でもさっさと決めないとまずいぜ、日にちも、倉橋の機嫌もな」

 

「分かってるさ…でも…しっくりくるのが…お」

 

創介の忠告を聞いて龍哉がちょっと視線を広げた先に、目的とは微妙に外れているが、龍哉の琴線に触れるものがあった。

 

「創介、例の」

 

「はいよ」

 

創介が出したあるものを使い、さっき見つけたものを合わせると…

 

「…!!こ、これだ!!」

 

「お、確かにいいな…決まりか?」

 

「ああ、サンキューな、創介!!」

 

「いいってことよ」

 

しっくりきたものがあったのでそれを購入し、龍哉は創介に礼を言う。

 

「これで…準備は万端だな」

 

「喜んでもらえるといいな…まぁその前に」

 

「…ああ、何とか機嫌取らないとな…」

 

「そっちは頑張れとしか言えねぇがな」

 

「流石に手を借りる気はないさ…自業自得って言っても過言じゃないし」

 

「言えてんな」

 

そう言って2人はひとしきり笑いあった後、互いに帰宅していった。

 

==========

 

―――数日後、誕生日当日の放課後

 

「皆、用意は良い?」

 

「「「「「「「「「「「おう(うん)!!」」」」」」」」」」

 

掛け声とともにメグをリーダーに数人の生徒が殺せんせーの暗殺に挑みかかる。

 

また、別の方向からは…

 

「準備はいいか?」

 

「「「「「「「「「「うん(はい)!!」」」」」」」」」」

 

同じく悠馬をリーダーに別のグループが殺せんせーの暗殺を敢行する。

 

そして2グループは合流と分割を繰り返して殺せんせーが教室から離れられないように暗殺を実行する。

 

しかし…

 

「ニュ~…皆さん、今日は一段と真剣ですが…殺気はそれほど強くありません………そういえば…いつもは覇月君と倉橋さんもいるのに今日はいませんね…まさか!!」

 

殺せんせーも龍哉達がいないことに気づき、どうして他の生徒達が離れようとするタイミングで暗殺してくるのか察する。

 

「ヌルフフフフフ、ですが皆さん甘いですね…せんせー自ら行けなくても律さんが「すいません、殺せんせー、流石に今日は嫌です」ニュヤ!?なぜですか律さん!!」

 

ならば、と自分が飛んでいこうとすると遠距離射撃による狙撃から生徒達が暗殺を仕掛けてくる。

 

「今日は絶対に行かせません!!」

 

「絶対にね!!」

 

「どうしてですか!!せんせーは生徒達の恋愛を見守る義務が「「「あるわけねーだろ!!この糞でばがめ教師!!」」」ひどい!!」

 

こうしてこの日、殺せんせーは日暮れギリギリまで暗殺を仕掛けられ、その後は生徒達が次々と各教科に対する質問をして家から家へと回る羽目になるのだった。

 

==========

 

―――椚が丘市内

 

ここで龍哉と陽菜乃はゆっくりとデートを楽しんでいた。

 

「でも今日は珍しいね~私達以外の皆で暗殺なんて」

 

「…そうだな(やっぱり、覚えてないのか)」

 

「で、今日はどこ行くの?」

 

「ああ、前に行きたいって言ってたところがあるだろ?そこに行くよ」

 

「ホント!?やった~!!」

 

「(この笑顔見ると…今日まで引き延ばしておいてよかったと思う)フフ、もうすぐだよ」

 

「うん!!」

 

龍哉と陽菜乃は少し歩いて目当ての店につく。

 

そこはアニマル喫茶だった。

 

犬、猫、猿に梟の他にポニーやミニブタといったこういう喫茶店では珍しい動物もいる。

 

「わあぁぁぁぁぁ~~~(キラキラ笑顔)」

 

「(無言で無音カメラで撮る)ほら、あそこ、空いてる席に行こう」

 

「うん!!」

 

そうして席について動物達と戯れながら龍哉はコーヒーを、陽菜乃はオレンジジュースを飲む。

 

「動物達とこうやってすごせて、龍君と一緒にお茶とかサイコ~~~!!」

 

「それは良かった…(やっぱ気づいてないか…それじゃ、そろそろだな)」

 

龍哉がお店のスタッフに手で合図を陽菜乃に見えないように出し、それを見たスタッフも頷いて用意に入る。

 

そして数分ののち…

 

「お待たせいたしました」

 

「へ?」

 

「こちら、倉橋陽菜乃様へ覇月龍哉様からの誕生日ケーキとなります」

 

「…ふえ?」

 

「誕生日おめでとう、陽菜」

 

「……えぇぇぇぇ!」

 

龍哉はいたずらが成功した子供のような顔で笑っている。

 

対する陽菜乃はかなりびっくりした顔だ。

 

いつのまに、なんで、どうして、とでも言いたいのか顔を百面相させている。

 

その間に店員はケーキを置いていき、再び2人だけになっていた。

 

「龍君、私の誕生日…覚えてたんだ」

 

「もちろんさ、大切な人が生まれた日だからな…生まれてきてくれてなければ、こういう風に会うこともできなかったんだからな」

 

「…うん、ありがとう」

 

「それと…これを」

 

龍哉は以前創介に協力してもらって購入したものを陽菜乃に渡す。

 

「これって…」

 

「ああ、誕生日プレゼント…創介や速水さんや桃花さんにも手伝ってもらったけどね」

 

「……あ!!」

 

そこで陽菜乃はここ数日龍哉が自分と行動せず、創介と行動し、速水と桃花と一緒に居たのか察した。

 

そして、ちょっとひどいことを速水と桃花に言ってしまったことを憂うが…

 

「大丈夫さ、保険として先にそういう事をフォローしておいたから」

 

「…さすが龍君」

 

そして陽菜乃は綺麗に包装された包みを開けて、中のものを取り出す。

 

「これは…」

 

「最初は昔リボンもらったからそういうの探してたんだけど…いいのなくてさ…でも、それなら陽菜乃に似合うと思って」

 

「か、可愛イイ~~」

 

龍哉が陽菜乃に渡したプレゼントは左右に黄色の小さなリボンが付き、デフォルメされた動物の絵柄が描かれているオレンジ色のカチューシャだった。

 

陽菜乃はそれをさっそくつけてみる。

 

「似合う…かな?」

 

「ああ、よく似合ってるよ(喜んでもらえてよかった)」

 

「えへへ」

 

その後、2人はケーキを堪能しつつ動物達と戯れたのだった。

 

==========

 

―――倉橋家

 

本日は陽菜乃の誕生日という事で当然倉橋家でも誕生日パーティーが開催されるのだが…

 

(俺…場違いじゃね?)

 

なぜか龍哉がいた、しかも陽菜乃の親父さんにスっごく睨まれてる。

 

言っておくと龍哉がここにいるのはデート後陽菜乃を家まで送り届けたら陽菜乃の母親と会い、パーティーに参加してほしいと親子から言われたためである。

 

(…なんで?俺なんかしたっけ?)

 

龍哉はなぜ睨まれているのか分からず頭をフル回転させて考えるが全く分からない。

 

「お前が…陽菜乃の彼氏か?」

 

「あ、はい…お嬢さんとお付き合いしている覇月龍哉です」

 

そう言って頭を下げる龍哉…ちなみに陽菜乃は母親と一緒に料理中のため助けは求められない。

 

「…いつからだ」

 

「……6月からです」

 

「…………そうか」

 

ところ変わって台所

 

「あらあら」

 

「…お父さん、龍君に変な事言ってないよね」

 

「例えば?」

 

「『娘と付き合いたくバオレを倒してみろ!!』とか?」

 

「ちなみに言ったらどうなるの?」

 

「…龍君、結構表裏ないし、そういう例えって分かんないから本当にやりそう…」

 

「それで、龍哉君はどれくらい強いの?お父さんも結構強いんだけど」

 

ああ見えて格闘技経験あるし、と陽菜乃の母は付け加えるが…

 

「…龍君、お父さんやお祖父さんから格闘技習ってるし、それにお母さんが生物に詳しくて人体急所も良く知ってるし…」

 

「あら、それじゃいい勝負になるのかしら?」

 

「冷静に立ち回るし、手足もお父さんより長いから一方的にお父さんやられると思う」

 

「あらあら、それは恋人のひいき目?」

 

「…ううん、純粋に龍君とお父さんの実力差を考えただけ」

 

「そう…」

 

そう言って料理作りを再開する2人、ちなみに先の会話の後龍哉達はずっとだんまりだったことをここに加えておく。

 

そして料理が完成し、パーティーが始まったのだった。

 

==========

 

―――パーティー後

 

「ほら、陽菜乃、プレゼントだ」

 

「あ、お父さん、ありがとう」

 

「はい、陽菜乃」

 

「お母さんもありがとう」

 

「あら、龍哉君は?」

 

「龍君からはもうもらってるの、これ」

 

そう言って陽菜乃が頭につけているカチューシャを指さした。

 

「あらあら、そうなの」

 

「呼ばれるとは思っていなかったので」

 

「ふふふ、でも陽菜乃も忘れてたものね」

 

「うう…」

 

「こっちとしてはサプライズが出来たので問題ないんですけどね…と」

 

「あら、もういい時間ね」

 

「…あれ?龍君今日家に誰もいないって言ってなかった?」

 

「ん?ああ、だけどこれ以上「なら、今日は家に泊まっていったら?」…え?」

 

「何!!認めんぞ!!」

 

「(親父さんナイス!!)いえ、泊まる用意とかありませんし」

 

「大丈夫よ、お付き合いしている以上こういう日が来ると思って用意しておいたから」

 

「「なんで!?」」

 

陽菜乃の母親の発言に龍哉と陽菜乃の父は突っ込む。

 

「あら、あなた…何か文句がおありで?」

 

「何でもありません」

 

そしてそれに対しては陽菜乃の母の凄みのある笑みで一蹴された。

 

「(親父さん…)…まぁ、用意は良いですけど…どこに?」

 

「もちろん、陽菜乃の部屋よ」

 

陽菜乃の母から出てきた言葉にさすがの龍哉も言葉を失い、陽菜乃は顔を真っ赤にしている。

 

「さ、それじゃお風呂に入って…あ、一緒に入ってもいいわよ」

 

「「入りません!!」」

 

こうして、なかばなし崩し的に龍哉の倉橋家お泊りが成立したのだった。

 

==========

 

―――陽菜乃の部屋

 

風呂も上がり、龍哉はそこでちょっと安堵していた。

 

ちゃんと布団が別に用意されていたのだ…もし一緒のベッドで、とかだったら流石にきつい。

 

「龍君、お待たせ」

 

「あ、い、いや…(/////)」

 

龍哉は戻ってきた陽菜乃を見て思わず赤面して顔をそらす。

 

なにせ覇月家にしろ沖縄旅行では寝巻姿はジャージか浴衣だったのでキャミソールにホットパンツというラフな格好を見たことが無かったのだ。

 

そんな龍哉に対して陽菜乃はごく自然に近づこうとするが…

 

「キャ!」

 

「!!陽菜!」

 

やはり緊張していたのと普段と違い布団があるためそこに足を取られ、転びかけたところに龍哉が助けに入る。

 

だが…

 

フニョン

 

龍哉が伸ばした手はちゃんと陽菜乃を支えていたが…つかんだ場所は…胸だった。

 

「り、龍君…」

 

「っ!!ご、ごめん!!」

 

慌てて手を離してはなれようとする龍哉に対して陽菜乃は…

 

「ま、待って!!」

 

手を掴んで止めたのだった。

 

「え…」

 

「じ、事故だからそんなに気にしてないし…何より…その…」

 

「その?」

 

「龍君にだったから…いいかなって」

 

「…他の奴だったら?」

 

「たとえお父さんでも許さない」

 

「(安心すべきかかわいそうにと思うべきか…)そ、そう…と、取り敢えずもう休もう、明日も早いし」

 

「…龍君、今日私の誕生日だよね?」

 

「ああ」

 

「だからね…その…もう一個だけ、プレゼント、お願いしてもいい?」

 

「あまり無理なこと以外なら」

 

「だ、大丈夫…私と…その…一緒に…一緒の布団で寝てほしいの…ダメ?」

 

ちなみにこのとき陽菜乃は龍哉の真ん前に座り込んでいるため、目線は上目遣いとなり龍哉の心はガンガン揺さぶられているが、さらに悪いことがあった。

 

「(さ、さっきチラッとだけどむ、胸が見えた…我慢できそうにないし)…我慢できなくなってもいいなら」

 

「り、龍君だったら…私は…いつでも」

 

「…それじゃ、遠慮なく」

 

そういうと龍哉は陽菜乃に深いキスをすると同時にベッドに押し倒した。

 

「龍…君」

 

「陽菜」

 

互いに名前を呼び合うと再び重なり合い、濃くて幸せな一晩を過ごしたのだった。

 

 




今回はあとがきコーナーなしです。

あまり甘くならないように気を付けました。

でも甘いよな、これ


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トリップの時間

最近、遅ればせながら鬼滅の刃にはまり、
無限列車が公開されたのでその戦いの場に龍哉と陽菜乃がトリップしたら、という話です。

ぶっちゃけ、上弦の参(猗窩座)VS龍哉という構図をやりたかっただけ

ただ、暗殺教室が完結後の設定になっていますので、そこまで知っている前提の話になっています。


「ん…」

 

「ここは…」

 

とある森の中、龍哉と陽菜乃は目を覚まし、周囲を見渡して…

 

「「どこ(だ)…ここ…」」

 

自分たちがどうしてここにいるのかわかっていなかった。

 

「…俺達は確か…」

 

「えっと、2代目と柳沢と戦って…殺せんせーの…(´;ω;`)」

 

「あぁ、それで、教室に入って…多分のその最中に例のレーザーが照射されて…」

 

「「「気が付いたらここにいた…」」」

 

「「って律(ちゃん)!?」」

 

「はい、お兄ちゃん、陽菜ちゃん、私もいます、ですが…」

 

「本体とも通信できず、どうなっているのかもわからないってことか」

 

「はい…ごめんなさい」

 

「謝ることなんてないよ」

 

「ああ、これで俺達は…元居た場所とは次元が違う場所にいる可能性が出てきた」

 

「ど、どういうこと!?」

 

「まぁ、俺達がいた世界なら、どこにいても律の本体とつながる…宇宙まで行ったしな」

 

「「ああ~~」」

 

「だから、律の本体とつながらないってことは、俺達の世界とは別の世界ってことだ」

 

「…優月ちゃんが喜びそうな状況(シチュエーション)だね」

 

「ああ…とりあえずこの辺の木の天辺まで登って、周囲を見渡して何かないか探すぞ」

 

「「了解」」

 

そして、周囲を見渡した後…

 

「龍君、向こうの方に線路があったよ、使われているものかはわからないけど…」

 

「いや、あったんならそこにまず行こう、んで線路沿いに移動すれば駅か集落の近くに出られるだろう…そこで情報収集すればいい」

 

「なるほど」

 

「ではいきましょう、地形データまで既に記録しています」

 

「さすが律、頼りになるぜ」

 

==========

移動した線路脇―――

 

「確か、線路の振動を感じれば、列車が来ているかどうか確認できたな…夜間だからあるかどうかわからないが、試してみるか」

 

「気をつけてね」

 

「………!!振動している、列車が近くに来ているが…何か変だ…まるで…!!」

 

「ど、どうしたの!?」

 

「列車が脱線しているみたいだ…このあたりで大惨事になりかない!!」

 

「そんな!!」

 

「陽菜、律、先頭とかがどうなっているのか確認して教えてくれ、集中して一発で客が乗っている箇所を全部クッションになる技を打つ!!」

 

「わかった!!」「お任せを!!」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………」

 

そして、小さくとも完全に視認できる場所まで列車が来たが……

 

「な、なにあれ!?」

 

「す、すっごい肉塊みたいなのが大量についています!!一体、どうなって…」

 

「距離は!!」

 

「後ここまで…5kmもないよ!!」

 

「わかった!!………今だ!!」

 

 

流派東方不敗最終奥義 石破天驚拳

 

 

其の手から放出されているエネルギー波上に、空に放り出されている2人が落ちた後、先頭から何両もの車両が支えられて徐々にエネルギーの放出が弱まると同時にゆっくりと地面に横たわる

 

「よし、肉塊と今の倒れ方なら、ほぼ軽症で済んでるだろう」

 

「おぉー、さっすが龍君!!」

 

「お見事です!!」

 

「よし、空中に放り出されていた人達の床に行くぞ」

 

「「うん!!」」

 

移動すると、腹から血を流して倒れている赫灼の髪の少年と、車掌もしくは機関士と思わしき人が倒れている。

 

「出血している…陽菜、治療を」

 

「うん!!」

 

「手前ら、一体何もんだ!!三五郎に何する気だ!!」

 

そこに猪頭の少年がやってきた

 

「治療だ」

 

ヒュイイ……

 

緑色の光が少年の腹部を包み、徐々に傷がふさがり始めていく

 

「な、なんじゃそりゃ!!!血気術か!?」

 

「気功による人が持つ自然治癒力の活性化だ、元々彼自身、しっかりとした呼吸が出来ている…直に治るだろう」

 

「……本当だろうな」

 

「俺自身も何度か自力でやっているしな…それと、これ以上話しかけないでくれ…気を練るのに集中した「君達!!一体何をしているのだ!!」…またかよ」

 

龍哉は先ほど猪頭の少年にした説明をもう一度、今度は炎のような髪の青年に説明する

 

「なるほど!!よもやよもやだ!!そんな方法があるとは…」

 

気を使う(これ)には才能はほとんど必要ない…誰か使えたり、自力で使えるようになる奴がいれば伝搬して使えるようになるのが特徴だ…よし」

 

「?何がだ?」

 

「ようやく、さっき撃った分の気の消費を回復することもできた…やはり、集中できないと時間がかかるな」

 

「よもや!!気とはそんなことができるのか!!」

 

「ああ、攻撃、防御、補助、使い手の性質にもよるが、基本的にはその3つのどれかに属する」

 

「基本的には、か…ということは、例外もあるということだな!!」

 

「ああ、3つとも使えるやつ、2つ使えるやつ、組み合わせて使えるやつ、といろいろな…ちなみに今、赫灼の少年を治療している奴は3つとも使えるからな」

 

「よもや!!…では、君は2つ使えるのか?」

 

「いや、俺も3つ使える…加えて、組み合わせることもできる」

 

「はぁ!?」

 

「でなければ、ここまで正確に説明できるわけないだろう…そもそも、彼女に気功の技を教えたのは俺の祖父と俺だ」

 

「そうなのか…では」

 

その瞬間

 

 

ドォォォォォン!!

 

 

という音ともに、何かが彼らの目前に現れる

 

その存在は、全身に入れ墨が入った赤い髪の青年に見える…が…

 

「!!……なんだ、あいつ…くそ気味が悪い…何百人という人を殺して…喰らってきた気配だ…」

 

その瞬間、目前にいた相手が姿を消す

 

それに呼応するかのように炎の髪の青年が動くが…

 

 

ドッ!!ドゴッ!!ガッ!!ドガガッ!!

 

 

それよりも早く龍哉が連撃を与えて吹き飛ばす

 

「いい攻撃だ…」

 

「(手ごたえは合ったが効いてない…ダメージが与えられた先から回復しているのか)解せねぇな」

 

「何がだ」

 

「弱っている奴とその治療をしている奴から狙うことだ…」

 

「なんだ、そんなことか」

 

「そんなこと(ピクッ)」

 

「話の邪魔になると思ったからだ、そこにいる燃える文様の羽織を着た剣士と俺のな」

 

「君と俺が何の話をする?初対面だが既に俺は君が嫌いだ」

 

「そうか俺も弱者が大嫌いだ…そいつらを見ていると虫唾が走る」

 

「……なんだ、一瞬キレかけたけど、そんな気が失せたぜ」

 

「ほう」

 

「なぜなら…お前自身も弱者だからだ(・・・・・・・・・・・)

 

(ピクッ)

 

赤髪の奴の米神に血管が浮かび上がる

 

「お前が最初から炎の青年(この人)と話したいだけなら、現れた後さらうなりなんなりして2人きりで話せる状況にするはずだ、だがお前はそれをせずここにいる弱っている奴を狙った…そこから推測するに、ここにいるお前の言う弱い奴を目の前で殺し、自分の強さを示すためだ…」

 

「なんと…」

 

「それはつまり、お前は自分よりも弱い奴しか殺せないんだ(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「貴様…!!」

 

「だってそうだろう、自分よりも強い奴、自分と同等の強さを持つ奴に挑まず、最初に弱い奴を狙う、それは弱者が強者を倒すためによく使われる手段だ」

 

「………いいだろう……ならばまずは貴様から殺しやる…闘気の欠片もない人間よ(・・・・・・・・・・・)!!」

 

「しまっ」

 

 

「ふん!!ふっ!!はぁぁっ!!」

 

ドゴドガベキメキャ!!

 

ドォン!!

 

炎の青年が驚き、龍哉を守ろうと反応するがそれよりも赤髪の方が早い…しかし…

 

「!!!」

 

打撃音とともに赤髪が吹き飛ばされたのだ(・・・・・・・・・・・・)

 

「闘気が欠片もない、か…闘気を感じあえるのは相手が同格の場合のみ、相手が自分よりも遥かに格上の場合、格下はそれを感じ取れない…そんな当たり前のことも知らないとはな」

 

「なんだと」

 

「だが、反応は悪くない…喜べ、雑魚から格下に評価をあげてやる」

 

「(ビキッ)まるで自分の方が強いとでも言いたげだな」

 

「ああ、強いさ…一流の武闘家は相手と手を合わせればその実力を測ることができる、それで相手と自分の力量差を確認して、戦い方を考えるのさ」

 

「では、君はあの手合わせで把握したというのか!?」

 

「ああ、最初は追っ払うためだったから、超大まかにしか測れなかったけどな」

 

「まぁ、龍君なら当然ですよ」

 

「!!君は…」

 

「煉獄さん、一体、どういう状況なんですか?」

 

「上弦の参が現れ、あそこにいる少年が戦っている…」

 

「加勢は「いらないよ」何で!!」

 

「龍君は1人で勝てない相手なら直ぐに助力を乞うけど、それがないってことは、自分の力だけでどうにかなるからだよ」

 

「そんな!!相手は鬼なんだ!!どんなに傷を与えてもすぐに回復してしまう!!殺すには俺達の持っている日輪刀か、日の光に充てるしかないんだ!!」

 

「だって、龍君」

 

「OK、戦術は決まった」

 

「ふふふ…俺を殺せるというのか…」

 

「ああ」

 

そういうやいなや、龍哉の手から光る剣が現れる

 

「「「!!!」」」

 

「こいつがどういうもんか…お前はわかってるよな(・・・・・・・・・・)

 

「太陽の…気配…」

 

「ああ、技の名は…超級覇王日輪斬

 

「まさかそんな人間がいるとはな…面白い………お前、鬼にならないか」

 

「くたばれくそ野郎」

 

「貴様の強さ、その力、至高の領域に到達しているな(・・・・・・・・・・・・・)

 

「至高の領域かどうかは知らないが…俺は澄んだ精神、明鏡止水の境地に到達している」

 

「そうか!!最初は闘気のない人間かと思ったが、貴様がこの場で一番強い!!!」

 

「ようやくわかったか…俺の名は覇月龍哉だ」

 

「俺は猗窩座(あかざ)、だからこそ惜しい!!人間では限りがある!!貴様のその力が失われてはならない!!鬼になれ龍哉!!」

 

「くたばれつってんだろ」

 

「なぜだ、同じく武道を極めるものとして理解しかねる…選ばれた者しか鬼になれない…老いて死にゆく人間では消え失せてしまうぞ、その力!!」

 

「馬鹿か手前は…老いて死にゆくこと…それこそが人間のある種の本懐であり…それゆえに紡ぎ繋いでゆくのだ…心を

 

「そうか…ならば死ね!!」

 

術式展開 破壊殺・羅針

 

ドォン!!

 

龍哉の足が猗窩座の顎を蹴り上げる

 

術式展開 破壊殺・空式

 

「(高速の拳で空気を弾丸としてんのか…なら)連空弾!!」

 

「ほう!!貴様の俺と同じような技が使えるのか!!面白い、面白いぞ!!」

 

術式展開 破壊殺・乱式

 

「!!バァァストォォォ…フィンガァァァァァーーーーー!!!」

 

 

ドォォォォォン!!

 

 

「くくく、それだけやっても全て無駄なんだよ龍哉、お前が俺に食らわせた素晴らしい一撃も既に完治してしまった」

 

「で、俺に左手一本で抑えられてるのに何でそんなに得意げなんだ?」

 

「何?」

 

「あーーー!!手前、さっき出したその右手のやつ、全然使ってねーじゃねーか!!」

 

「「「!!!」」」

 

「なんだ、今の今まで気が付いていなかったのか…まぁ、振るわずに抑えれそうだったから使わなかっただけなんだが…そろそろ夜明けが近いな」

 

「!!」

 

「だから…ここいらでケリをつける」

 

「………いいだろう…これで殺してやる!!」

 

術式展開 破壊殺・滅式

 

超級覇王日輪斬!!!

 

 

ドォォォォォン!!

 

 

「「ああ!!」」

 

両腕を肩から切り裂かれ、腹部に大穴が空いた猗窩座と五体満足の状態で刀を振り切った龍哉がいた

 

「ふっ!!」

 

「くっ!!」

 

龍哉が即座に振り返り首を落とそうとするが、それよりも早く猗窩座が引くも、皮一枚でギリギリつながっている状態になったことと、日の出も間近になったため…

 

「ちぃ!!」

 

脇目も降らずに逃走を開始する

 

「「「!!」」」

 

観戦していた4人のうち、3人がそれに気が付いて追いかけようとするが…

 

「待て、もう追いつかん」

 

「なぜそう言い切れる!!」

 

「奴は全速力で逃走している…身体能力に差がありすぎるしな、俺なら追えなくもないが…土地勘がないから戻ってくることも難しい…それにもう一度やっても勝つ自信もあるから、次の機会に必ず仕留めてやるさ」

 

「……今回、奴を追い払ったのは君だ、ゆえに君の意見を尊重しよう」

 

「すまないな、確かに奴を逃がすのはこれから先多くの人を危険にさらすかもしれん…しかし、ここで奴を無理に追いかけ、窮鼠猫を噛むという状況になったら逆にこっちがやられるぞ」

 

「…確かにその通りだな、しかし、よく状況を見ているな」

 

「まぁ、そういったことについて英才教育を受けてきたからな」

 

「そうか…そういえば、俺の名前を言っていなかったな、俺は鬼殺隊の炎柱、煉獄杏寿郎だ」

 

「そういえばそうだったな…さっきの奴に入ったが、覇月龍哉だ」

 

「私は倉橋陽菜乃です」

 

「俺は、竈門炭治郎と言います」

 

「俺様は山の王、嘴平伊之助様だ!!」

 

「すまないが、君達2人にはお館様のところに来てもらいたい…何せ、今まで一度も成し遂げたことのない偉業を成し遂げたのだからな」

 

「偉業?」

 

「もしかして、さっきの…鬼、だっけ、それを退けたからじゃない?」

 

「なるほどな」

 

「先ほどから鎹烏が君達のことを見ていたからな」

 

「へぇ~」

 

「まぁ、こっちとしても情報が欲しかったからな、願ったりかなったりだ」

 

「うむ!!まずは休養が必要だな…ちょうど、隠の部隊が来たしな」

 

煉獄がそういうと黒子の服装によく似た一団が周囲に集まってくる

 

「あの、炎柱様、そちらのお二方は…」

 

「うむ、今回の鬼の討伐で協力してくれた方だ!!丁重に頼む!!」

 

「はっ、あの、お怪我は…」

 

「特にないな…だが、俺達は拠点としてる場所がないから、あなた方のどこか拠点に連れて行っていただきたい」

 

「そうですか…では「ならば、まずは蝶屋敷がいいだろう!!」炎柱様?」

 

「彼らは特殊な治療術を持っているからな、胡蝶の役に立つだろう!!それに、竈門少年のことを心配しているのか、先ほどから気にしているしな!!」

 

「む、ばれていたか」

 

「さすがにあのケガじゃね~」

 

「わかりました、では先に一報を入れたうえでお連れ致します」

 

「うむ、頼んだ!!」

 

「んじゃ、煉獄さん、またあとで」

 

「さよなら~」

 

龍哉、陽菜乃を連れた隠の一団が走って先に出発していた竈門達の方に向かっていくのと同時に、二羽の鎹烏が飛び立っていった

 

==========

産屋敷邸―――

 

そこには目の部分まで紫色の痣に覆われた男性が白髪の女性に支えられて三段の滝を眺めていたところに、一羽の鎹烏が下りてくる

 

その烏から伝えられた情報に女性とそばにいたその女性によく似た子は目を見開き、男性は嬉しそうに笑う

 

「そうか…上弦の鬼を相手に一方的に戦える強い子が…その子は…ああ、しのぶのところに…では、近いうちに会うとしようか」

 

「大丈夫なのですか?」

 

「うん、それにね、一つ確信めいたものがあるんだ」

 

「それは…」

 

「私のこの呪い、これが、薄くなる気がするんだよ」

 

「「!!」」

 

「あまね、緊急だけど、柱合会議を開こうと思う…時期は追って伝えるから、まずは柱の子達に伝えてくれるかな」

 

「はい」

 

そうして決まる緊急柱合会議、そこに集まることが決まった龍哉達…

 

果たして一体どうなるのか…

 

それは、誰にも分らない…

 

 

 

続かない!!

 

 

 




鬼滅の刃、激情版無限列車編が公開されて、煉獄さんを生存させたかったので書きました。

ぶっちゃけ、上弦の鬼より上の戦闘力を龍哉は持っていますが…

殺せんせーに素で一撃入れれるので何とかなると思ってやりました。

そもそも明鏡止水を極めている龍哉は継国緑壱より劣ってもかなり近いレベルだと思いますので…

感想や意見がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。


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本編
人物紹介の時間


主人公とその家族の紹介です。


設定

 

人物

主人公

覇月 龍哉(はづき りゅうや)

出席番号 E-27

誕生日 4月10日

年齢 15歳

身長 170cm

体重 55kg

血液型 A型

得意科目 体育

苦手科目 音楽(聞くのはOK)、美術(見るのはOK)

趣味、特技 流派東方不敗、将棋、囲碁、チェス、乗馬

所属部活(過去) なし(日本にいなかったため)

宝物 祖父直筆の兵法書

好きな食べ物 精進料理

弁当派or買い食い派 弁当

将来の目標 総合格闘技連覇

百億円獲得できたら 自分専用ジム設立

好きな女性のタイプ 明るく笑顔が似合う人

座右の銘 明鏡止水

好きな動物 馬

その他

対殺せんせーを目的として3-Eに転校してきた。

祖父より伝授された流派東方不敗を扱い、初見で殺せんせーに大ダメージを与えたがとどめはある事情によりさせなかった。

髪の毛は黒で伸ばしており、祖父と同じく三つ編みお下げにしている。

乗馬が一番得意で裸馬にも乗れる(普通は鞍がないと乗れない)。

特徴として異様なほど野性動物に好かれる。

他に人がいると遠くから眺められているだけだが1人だとあっという間に野性動物に囲まれる。

普段は温厚で滅多なことではキレず、コミュニケーション力も高いが他人を見下す人に対しては毒舌のオンパレードで対応する。

5歳の時に両親を爆発テロで喪っており、その経験から人が発光に包まれるのを見ると過呼吸を起こし、その段階で安心させて落ち着かなかせないと猛獣のように暴れまわる(この時の戦闘力は祖父を上回る)。

こうなると鎮静剤を射つか1人にして野性動物に囲ませるかしないとおさまらない。

 

個別能力値(5段階)

体力:5

俊敏性:5

学力:5

近距離暗殺:5

遠距離暗殺:3

固有スキル:流派東方不敗

 

作戦行動適正チャート(6段階)

作戦立案:2

指揮、統率:2

実行力:6

技術力:5

探索、諜報:4

政治、交渉:2

 

烏間先生評価

暗殺には積極的ではないが単純な戦闘力は俺を上回る。

前線で真価を発揮できる生徒だ。

暗殺はしないというより出来ないといったほうが正しいのかもしれないが…

吹っ切って出来るようになれば恐らく殺れる可能性が一番高いだろうが来る日はないかもしれないな。

 

E組生徒評価

片岡:頼りになる人

前原:真面目君

岡野:身体能力凄すぎ

磯貝:色々助け合いたい

倉橋:動物にすかれるコツを教えてほしい

木村:足の早さには自信があったのに

茅野:洞察力おかしい

潮田:スルースキル高いなあ

中村:弄ろうとしてもかわされる

三村:アクション映画とりたい

矢田:髪の毛いじりたい

竹林:二次元を教えてやりたい

不破:リアル二次元超人

杉野:腕力凄すぎ

速水:動体視力おかしい

岡島:エロを教えてやりたい

神崎:真面目でイイ人

吉田:あいつの馬なんでバイク並の速度だせんだよ

 原:料理の話が合う

菅谷:感性は普通だけど絵は下手

奥田:自然の毒にすごく詳しい

千葉:勘で距離感掴めるって…

狭間:闇を教えてやりたい

村松:味覚半端ねえ

赤羽:強すぎっしょ

寺坂:こいつおかしいだろ

 

龍哉のE組生徒評価

片岡:そこら辺の男より男らしい

前原:チャラ男

岡野:バランス感覚いいな

磯貝:リーダー

倉橋:小動物

木村:俺の本気ダッシュについてこれるとは

茅野:なんか隠してるような気がする

潮田:羊の皮被った狼みたいな気がする

中村:弄る以外のコミュニケーション手段を持て

三村:撮影ぐらいはOKだ

矢田:髪型はこれ以外嫌なんだよ

竹林:オタクメガネ

不破:何かすごく視線を感じる

杉野:どうやったらそんなに柔らかい肘と手首を持てるんだ

速水:機動射撃上手い

岡島:こいつと同類にはされたくない

神崎:イイこちゃん

吉田:馬ってあんくらい走れんのが普通じゃねえの

 原:料理上手なオカン

菅谷:絵を上手く描くコツを教えてほしい

奥田:薬品知識の量半端ねえ

千葉:距離を暗算で即座に出せるお前の方がおかしい

狭間:人の嫌なところか?そんなん見飽きた

村松:ラーメン不味すぎ

赤羽:患ってるなあ

寺坂:リアルジャイアン

 

覇月 秀治(はづき しゅうじ)

誕生日 2月22日

年齢 55歳

身長 193cm

体重 80kg

血液型 AB型

趣味、特技 流派東方不敗、四川料理、詩歌

座右の銘 荒唐無稽

好きな動物 馬

その他 孫バカゆえ龍哉の話題は禁句(爺婆共通)。

龍哉の父方の祖父にして流派東方不敗の開祖。

かつて防衛省で新人教官を勤めていた(烏間達は教えていない)。

その時の繋がりから殺せんせーの暗殺依頼を孫とともに受けることになる。

息子夫婦がなくなった後、龍哉を引き取り義娘の両親と共に養育する。

イメージは機動武闘伝Gガンダムの東方不敗マスター・アジアそのまま。

 

紅日 市之助(くれひ いちのすけ)

誕生日 6月15日

年齢 55歳

身長 175cm

体重 60kg

血液型 O型

趣味、特技 将棋、囲碁、チェス

座右の銘 日進月歩

好きな動物 獅子

その他 孫バカゆえ龍哉の話題は禁句(爺婆共通)

龍哉の母方の祖父にして科学技術省のエリート。

秀治とともに孫の龍哉を養育した。

イメージはロックマンエグゼのワイリー博士がきれいになった感じ。

 

紅日 明(くれひ あきら)

誕生日 9月18日

年齢 55歳

身長 162cm

体重 48kg

血液型 A型

趣味、特技 乗馬

座右の銘 努力は何物にも代えられぬ宝

好きな動物 馬

その他 孫バカゆえ龍哉の話題は禁句(爺婆共通)

龍哉の母方の祖母にして科学技術省のエリート。

秀治とともに孫の龍哉を養育した。

イメージは銀の匙の御影アキをおばあちゃんにした感じ。




誤字、脱字がありましたら報告お願いします。


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出会いの時間:1時間目

転校の前段階の話です。


「帰ってきたんだ…」

 

「うむ、ではさっさと行こうか」

 

「うん、お祖父ちゃん」

 

これだけ聞けば空港のロビーで会話をする祖父と孫にしか見えないのだが…

 

((なんで大量の荷物を背負ってんだ!?))

 

2人の背には人1人では到底持てない量の荷物が背負われていた。

 

「お祖母ちゃん達へのお土産買いすぎちゃったかな?」

 

「それ以外にこれからお世話になる人達への分もと考えたらこれだけの量になってしまうのもしょうがない気がするがの」

 

((いやねーよ!!))

 

そのまま2人は大量の荷物を背負ってロビーを出ていくところを見ていた人達は

 

((というよりどうやって家まで持って帰るんだろう…))

 

と、ありえない光景に半ば現実逃避気味にどうでもいいことを考えていた。

 

=======================================================

 

「お祖父ちゃん、俺市内をちょっと見て回ってくる」

 

「うむ、荷物の整理は儂がしておこう」

 

「ありがとう」

 

そう言って龍哉は家を出て市の中心部へ向かったが…

 

(ここって…どこだ?)

 

市の中心部を見て回っていて、買い物に使える店とかいろいろ確認していたら迷ってしまったようだ。

 

(どっかに人は…お)

 

周りを見回していたら人を見つけた。

 

(あの制服って…確か明日から通う学校の生徒だよな…だが…)

 

龍哉が転入するのはちょっと特殊な事情のあるはぐれ教室だからそのクラスメイトとなる生徒以外との接触は極力避けたほうがいいのだが…

 

(あれってどう見てもナンパされてるよな…しかも変な連中に)

 

見つけた先にいる生徒達は幸か不幸か全員女子(ただしナンパされ中)だったようだ。

 

(見過ごすのもあれだし、助けとくか)

 

と、近づいて行くと会話が聞こえてきた。

 

「なぁ~いいじゃねえかちょっとぐらい遊んでもよ」

 

「そうそう、楽しい時間が過ごせると思うぜ~」

 

「私達は用事があるって言ってるでしょう、ほっといてよ」

 

「そんなの後々、そ・れ・よ・り・も!俺達と遊んだほうが有意義な時間を過ごせると思うぜ~」

 

とまぁ口説き文句としては0点の言葉で4人の男子高校生が4人の女子中学生を口説いていた。

 

(…なんであんな真面目そうな子たちがあれで誘えると思ってんだろう…)

 

口説いている高校生はどう見てもチャラくて勉強もスポーツもやっていない、毎日楽に過ごせればいいという考え方をしている感じだ。

対する中学生は容姿はバラバラだが全員イイとこの学校の生徒の感じを醸し出している。

そんな中、なかなか靡かないことにいら立ったのか高校生の一人が茶髪セミロングの子の方を強引につかむ。

 

「なぁ、いいだろぉ。同級生の連中じゃ教えてくれない遊びを教えてやるぜ」

 

「やめて、離して!!」

 

「速水さん!!」

 

それを見て黒髪ロングの子が引き離そうとすると

 

「いいじゃねぇかよ、楽しもうぜ」

 

それを別の男が強引に肩をつかんで引き留める。

 

「神崎さん!」

「有希ちゃん!」

 

黒髪ポニーテールの子と茶髪ゆるふわパーマの子が止めようとするがその前に残りの高校生が回り込む。

 

「いよーし、行こうぜ」

 

「行かないって言ってるでしょ、いい加減にしてよ!」

 

そう言ってセミロングの子が肩をつかんでいた手を強引に振り払う。

その態度に高校生達も空気を一変させる。

 

「くそが、優しくしてやりゃつけあがりやがって!!」

 

振り払われたことが感に触ったのだろう、自分のほうに引き寄せるようにもう一度肩をつかもうとするが

 

「はい、お兄さん達そこまで~」

 

龍哉がその手首をつかんでセミロングの子をかばうように前に立つ。

 

「な、なんだてめえは!!」

 

「この子たちの同級生」

 

全員が驚いた顔をする。

しかし、高校生達は突然割り込んできた第三者である龍哉に絡み始める。

 

「ああ!てめえ、邪魔すんのかよ!!」

 

「当たり前でしょ。あのね、嫌がっている子を強引に誘うってどんな教育受けてきたのよ、幼稚園とか保育園からやり直したら?」

 

「アンだとクソガキ!!」

 

「ガキって…日本じゃ二十歳未満は全員子供だから、ガキだから、俺らより年上なのにそんなことも知らないの?」

 

「なめた口きいてんじゃねぇぞ!!」

 

そう言って自由に動ける2人の高校生が左右から龍哉に殴りかかってくる

 

「「危ない!!」」

 

女の子2人が叫ぶが…

 

「ほいっと」

 

龍哉は手首をつかんでいる高校生と自分の立ち位置を苦もなく入れ替える。

立ち位置が変わったという事は当然

 

バキキッ!!

 

「ぐぉ!」

 

龍哉に手首をつかまれている高校生が左右から龍哉の代わりに殴られる。

 

「あらら~、お仲間を殴るなんてひっどいねぇ~」

 

「てめぇのせいだろうが!!」

 

黒髪ロングの子をつかんでいたやつも逆上し、つかんでいた手を放して龍哉のほうに向かってくるが

 

「まぁこのまま殴られ続けるのもかわいそうだし離してあげるよ」

 

そう言うや否やつかんでいた高校生を向かってくる高校生のほうに離す龍哉。

だが高校生は殴られて少し足取りはおぼつかないため…

 

「「うわっ!」」

 

向かってきた高校生のほうに倒れこんでしまい、それに足を取られて向かってきた高校生毎地面に倒れこむ。

 

「てめぇ!」

 

「いい加減にしやがれ!」

 

今度は真正面から2人が突っ込んでくるが

 

「あらよっと!」

 

龍哉はその2人の手首をつかんで倒れこんでいる高校生のほうに軌道を変える。

強引に軌道を変えられた2人の体はバランスを崩す、崩した先にはすでに倒れこんでいる高校生がいるため…

 

「「ふぎゃ!」」

 

すでに倒れこんでいる高校生達が悲鳴を上げる。

当然隙だらけなため

 

「今のうちに逃げるよ!」

 

「「「「は、はい!」」」」

 

龍哉と中学生達は見つからないよう、追われないように注意してそそくさと逃げ出した。

 

=======================================================

 

「ここまで逃げてくればもう安全かな」

 

「はい、たぶん大丈夫だと思います」

 

龍哉達が逃げ切った先は市内でも人が多いところだ、同じ制服の子もちらほら見かけるためまたナンパされる可能性は低いだろう。

 

「あの、助けてくれてありがとう」

 

「うん、でも本当に同級生?見たことないんだけど」

 

ポニテの子がお礼を言い、ゆるふわの子が同調するも恐らく全員が疑問に思っていたことを口にする。

 

「そういえば…確かに、本校舎でも見たことないわ。本校舎に転校生が来ると私達にも話は来るし」

 

「あ~、うん、嘘はついていない…転校生だけど、学校に通うのは明日からだ」

 

「あ、もしかして先生が言っていた新しい生徒ですか?」

 

「うん、そうだと思う…山の上にある教室への転校生だ」

 

「あ、じゃあ明日から同じクラスなんだね!」

 

「え?」

 

「ここにいるのはみんなあなたが明日入るクラスに在籍しているのよ」

 

「そうだったのか…あ、自己紹介がまだだったな、俺は覇月龍哉だ。明日からよろしくな」

 

「うん、私は神崎有希子。明日からよろしくね、覇月君」

 

「私は倉橋陽菜乃!よろしくね!」

 

「速水凛香。その…よろしく」

 

「矢田桃花だよ、よろしくね、覇月君」

 

「神崎さん、倉橋さん、速水さん、矢田さんね。ああ、よろしくな」

 

ここで何か思い出したのか倉橋が携帯で時間を確認すると

 

「…あ!!もう時間すぎちゃってる!!」

 

「ほんとだ…ナンパしてきた人達のせいで行けなくなっちゃった」

 

「なんか用事でもあったのか?」

 

「うん、ちょっと限定ケーキ買いに行く予定だったんだけど…」

 

「あのナンパ軍団のせいで販売時間が終わっちゃったのよ」

 

とうやら神崎達はケーキを買いに行く予定がおじゃんになったらしい。

 

「あ~、なるほどな…そいつは災難だったな」

 

「ほんとよ「ん、龍哉、龍哉じゃないか!!」

 

「あ、市之助祖父ちゃん、明お祖母ちゃん!」

 

「覇月君、この人達って…」

 

「俺の母方の祖父母だよ、市之助祖父ちゃん、明お祖母ちゃんこの子達は俺の明日からのクラスメート」

 

「おお、そうかわし等の孫と仲良くしてやっとくれ」

 

「皆さん、龍哉のことよろしくお願いします。あ、龍哉これ」

 

「明お祖母ちゃん、ありがとう。これ、ケーキ?」

 

「ええ、そこのお店の限定ケーキよ」

 

「「「「限定ケーキ!?」」」」

 

「あ、もしかしてみんなが買おうとしてたケーキってこれ?」

 

そう言って龍哉は箱を開けて中身を神崎達に見せる。

その中には桃をふんだんに使った限定ケーキが6個鎮座していた。

 

「うん、これこれ!!」

 

「うわ~、おいしそう…」

 

「んじゃあ食べるか?」

 

「え、いいの!?」

 

「でもこれ覇月君のお祖父ちゃん達が覇月君のために買ってくれた奴じゃ…」

 

「そうだけどさ、俺とお祖父ちゃんだけじゃ6個も食えないしね」

 

「お祖父ちゃんって」

 

神崎達の視線が市之助に向くが

 

「いやいや、わしじゃない、龍哉の父方のほうじゃよ」

 

「龍哉は秀治さんをお祖父ちゃん、私達のことを名前とお祖父ちゃん、お祖母ちゃんで呼び分けてるのよ」

 

「へ~、そうなんだ」

 

「そう、あ、なら家で食べてかないか?市之助お祖父ちゃん達も家に来るつもりだったんでしょ」

 

「え、そんな、悪いよ」

 

「気にしない気にしない、引っ越してきたばっかだけど、荷物は最低限しかないし、お祖父ちゃんのことだからもう荷解きと仕分け終わってるだろうから」

 

「はいは~い、私行きた~い!」

 

「ひ、陽菜乃ちゃん!」

 

龍哉が気にしないよう言うと即座に倉橋が立候補し、まずいと思ったのかすぐに矢田がたしなめるように名を呼んだ。

 

「だから気にしなくていいって、食べたかったんだろ、このケーキ」

 

「「「う…」」」

 

龍哉がダメ押しのようにケーキを見せれば…

 

「「「お邪魔させていただきます」」」

 

残る3人も折れ、そんな5人を紅日夫妻は暖かく見守るのだった。

 




はい、E組の子たちとの出会いの時間でした。

…いきなり2話構成になるって…

ちょっといろいろ忙しいので2週に一度投稿出来たらいいほうと思っててください。


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出会いの時間:2時間目

覇月家ですがイメージとしては「らんま1/2」の天道家です。

それと龍哉のイメージは上記の主人公早乙女乱馬をモデルにしています。


龍哉に案内されてついた邸宅は…

 

「さ、ちょっと古いけど…上がって」

 

確かに言われた通り古いものの、一般邸宅とはかけ離れた外見を持っていた。

 

「あの、本当にここなんですか?」

 

神崎が疑問に思って市之助達に尋ねると…かえって来た答えは首肯のため、本当のようだ。

 

「えっと…すごいね」

 

「そうかな?」

 

「まぁ龍哉のお祖父さんの秀治さんは旧家の出身だからなぁ」

 

「本当、礼儀作法もしゃんとしていますからねぇ」

 

とのんきに市之助達が発した言葉に倉橋ですら顔を青くする。

 

「え…それじゃ粗相なんかしたら…」

 

「あ~、そんなん気にしなくていいって、礼儀作法って俺も一通り叩き込まれたけどめったに使わないし」

 

「そうなの?」

 

「ああ…そもそも祖父ちゃんの父親とかそれより前からずっと礼儀作法なんぞ社交辞令、その場の空気に合わせていけばよし、って感じだったらしいよ」

 

「それもそれで問題ある気がするけどね」

 

「確かにな」

 

少々緊張も解けて招待された4人が元の調子に戻り始めたタイミングで

 

ガラッ!

 

「グオォーン!」

 

と、急に家の扉が開いたかと思うと龍哉に黒くてでかいのが襲いかかった。

 

「え、ちょ…」

 

「覇っ君!?」

 

「な、なに!?」

 

「おやおやこれは…」

 

「待ちきれなかったんでしょうねぇ…」

 

「え?え?え?」

 

孫が何かに襲われているにも関わらずのんきな市之助達に4人は混乱している。

 

そして渦中の龍哉といえば…

 

「うわ、ちょ、落ち着け、落ち着けよ悟朗」

 

なんとも呑気な声で自分の上にいる存在に呼びかけている。

 

「あの…あれって」

 

「龍哉の愛熊の悟朗じゃよ」

 

「10年近く離れていたのに…悟朗ちゃんってやっぱり龍哉のことが大好きなのね~」

 

「いや、え、ちょっと待って!?」

 

「すごーい、覇っ君熊なんか飼ってるんだ」

 

「まって、感心するところはそこじゃない」

 

そんな会話を聞きつつようやく龍哉の上から悟朗が退いたので龍哉も立ち上がる。

 

「ごめんごめん、まさかこんなことになるなんて思わなくてな」

 

「普通はないわよ」

 

「でもすごいね~この熊…悟朗ちゃんだっけ?」

 

そう言いながら倉橋が悟朗に近づいていき、それに慌てたのは神崎達ではなく龍哉達だ。

 

「ちょ、倉橋さん!?」

 

「危ないわよ!!」

 

「すぐに下がるんじゃ!!」

 

「ふえ?」

 

しかし倉橋はすでに悟朗の攻撃範囲に入ってしまっており、龍哉が飛び出そうと身を構えるが…

 

「グォ…」

 

悟朗は自分に近づいてきた倉橋を襲わず、逆に顔を近づけてにおいをかいだ後その頬をなめた。

 

「「「「「「「は?」」」」」」」

 

悟朗のとった行動に思わず目が点になる全員…そしてそんな空気のなか…

 

「悟朗、龍哉達はまだか…と、これはいったいどういう状況じゃ?」

 

龍哉の父方の祖父、秀治が顔を見せたのだった。

 

=========================================================

 

「まさか悟朗が一目でなつくとはのう…」

 

「女の子版龍哉ね」

 

「そうだなぁ…」

 

龍哉達は家の中に入り今は縁側の付いた和室にいる。

 

「あの…それで悟朗ちゃんっていう熊について教えていただきたいんですけど…」

 

恐る恐る神崎が秀治達に話しかける。

 

「ん、ああ、すまんな。何分儂等も驚いていてな」

 

「私達もあそこまでなつかれたりはしないんですよ」

 

「そうなんですか…」

 

そうして全員の視線が縁側に向く。

 

そこには…

 

「あはは、すごーい!!」

 

無邪気に悟朗と遊ぶ倉橋の姿があった。

 

ちなみにやっているのは悟朗の上に倉橋が乗ってそのまま歩き回っているだけだが。

 

「倉橋さん、悟朗、少し話をするからすまんがこっちに来てくれんか」

 

「あ、はーい」

 

「グオ」

 

その状態のまま縁側まで戻ってきて倉橋は悟朗の上から降りて席につく。

 

ちなみに構図は

市 明

秀| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|←机

|_______|

矢 速 神 倉

となっています。

 

倉橋が席につくと秀治が話し始める。

 

「悟朗はまだ赤ん坊だった時にサーカスから龍哉が引き取ったんじゃよ」

 

「サーカスから…ですか?」

 

「そうじゃ…むろん、無理矢理ではないぞ」

 

「むしろ龍哉の行動は立派でしたね」

 

「あの…もしかして悟朗ちゃんって…」

 

「まぁ予想していたかもしれんが悟朗は無理矢理サーカスに連れてこられたんじゃよ」

 

「ひどい…」

 

「それゆえ、悟朗はサーカスのところで暴れまわった」

 

「そこをたまたま旅行中の龍哉達が見つけてね」

 

「あまりに酷かったからその場で割り込んだんだよ」

 

「む、龍哉すまんな」

 

「お祖父ちゃん達に任せると緑茶しか出さないからでしょ…みんな、紅茶でよかった?」

 

「あ、うんありがとう」

 

「それにしても悟朗ちゃんを覇っ君が助けてあげたんだね」

 

「ああ、ちなみにそのサーカス団はそれがばれて全員捕まったけどね」

 

「当然の報いよ」

 

「ああ、それでなつかれたんだが人間不信がひどくてな。引き取った当初俺以外の人間には警戒心バリバリで下手に近づくと大怪我だったからな」

 

「そうだったんだ…」

 

「ああ、今は俺の家族にも慣れてるけどそれ以外の人間には警戒心バリバリだったんだが…」

 

「陽菜乃ちゃんになついたよね」

 

「それには俺も驚いた…」

 

「グオォ~ン」

 

「…もしかして俺と倉橋さんって似てる感じがするのか?」

 

龍哉が悟朗に聞くと悟朗は首を縦に振る。

 

「…マジか」

 

「動物は本能的に相手の本質をかぎ分けるからのう…」

 

「「「「なるほど~」」」」

 

「関心している場合じゃないでしょ、それとそろそろ「ピンポーン」誰だろ…ちょっと出てくる」

 

「うむ」

 

来客を告げるベルが鳴り、龍哉が応対に出ていく。

 

=========================================================

 

「はい、どちら様でしょうか」

 

玄関を開けて龍哉が来客に尋ねると

 

「俺は防衛省の烏間というものだ。君が覇月龍哉君だな」

 

「はい、そうですけど」

 

「お祖父さん、覇月秀治さんはご在宅か?」

 

「はい、あ、もしかして例の件についてですか?」

 

「ああ…ああ、君も関わるんだったな」

 

「はい…お祖父ちゃんは広間にいるのでどうぞおあがりください」

 

「…そうだな、上がらせてもらおう」

 

龍哉に促されて烏間が玄関に入ると

 

「む、来客中か」

 

「あ、お気になさらずたぶん知っている人達だけですから」

 

「…知っている人達?」

 

「来ればわかりますよ」

 

そう言って先導する龍哉の言葉に疑問を抱きつつも説明に必要な資料をもって烏間はついていった。

 

=========================================================

 

「……君達はどうしてここにいるんだ?」

 

「あ、烏間せんせー」

 

「あ、そっか、覇月君もE組の生徒になるんだもんね」

 

「説明は必要だもんね」

 

「そして…」

 

烏間の視線の先には市之助達がいた。

 

「なんで対奴用のを作っているお2人がここにいらっしゃるんですか?」

 

「え、あのナイフとかって覇月君のお祖父さん達が作ってたんですか!?」

 

「お祖父さん!?」

 

「…とりあえず、状況を整理しませんか?」

 

龍哉が状況整理を提案して各々が知っている情報とこうなった経緯を話し…

 

「なるほど、つまり覇月君の母方のお祖父さん達が紅日博士夫妻で、今回の件について腕利きとは覇月君と秀治さん」

 

「市之助お祖父ちゃん達ってやっぱりすごかったんだ…」

 

「そして神崎さん達は高校生達にナンパされていたところを覇月君に助けられ、そのままお茶をしに来たと」

 

「はい、あってます」

 

「そしてそこに俺が今回の件について説明しに来た…という事か」

 

一息ついて緑茶を一口飲む烏間

 

「うむ、ではケーキでも食べながら説明してもらおうかの」

 

「そんな呑気に話せるようなものでもないんですがね」

 

今秀治、市之助、明以外の手元には先程の限定ケーキがおかれており、そのことを神崎は疑問思い秀治に尋ねる

 

「あの、いいんですか?」

 

「うむ、儂等よりも可愛らしいお嬢さん方に食べてもらうほうがいい」

 

「そうですねぇ」

 

「うん、そういやお祖父ちゃん達食べれるけど好んでは食べないよね」

 

「でも何で6個も?」

 

「まぁあそこに供えるためだろうね」

 

そう言った龍哉の視線の先には仏壇があり、そこには年若い男女が祭られていた。

 

「あれって…」

 

「土門教官とその奥方の雨奈さんだな」

 

「烏間先生知ってるんですか?」

 

「ああ、俺が第一空挺団にいたころの教官でな…当時同期の間では負けなしだったが教官は息も切らさず俺をあっさりと倒したな」

 

「「「「!?」」」」

 

まさかの衝撃の事実に神崎達は驚く。

 

「ああ、そういえば土門の奴が言っていたな、1人すごく強い新人がいた、と」

 

「はい、わずかな間でしたがすごくお世話になりました…すみませんが」

 

「構わんよ、土門の奴も喜ぶだろうて」

 

「失礼」

 

そう言って烏間は仏壇の前に行って手を合わせ、少しそのままでいた後合わせた手を下して戻ってくる。

 

「ありがとうございました…だいぶ話がそれましたがそろそろ」

 

「うむ」

 

烏間が切り出すと秀治がうなずき、烏間が資料を取り出して秀治と龍哉に向けて説明する。

 

説明した内容は…

・月を爆破した犯人が椚が丘学園の3年E組で担任をしていること

・最高速度マッハ20で動き、触手を持っていてほとんどの攻撃が通用しないこと

・効くのは市之助達が開発したナイフとBB弾の対触手物質で構成されているものだけ

・監督として烏間が体育教師として派遣されていること

といったところだ。

 

「ふむ、なるほどな…」

 

「はい、そして成功報酬は100億円です」

 

「…地球って100億の価値しかないの?」

 

「…この状況でそういうことを聞くのか…」

 

「…あ、一つ聞きたいんだけどさ」

 

「なんだ?」

 

「この担任って教師としてどうなの?」

 

「……なぜそれを聞く?」

 

「いや、教師としてポンコツだったら最悪だな~って思ってさ」

 

「ポンコツじゃなくて、とってもいい先生だよ」

 

「うん、授業教えるのとっても上手だし」

 

「へぇ~」

 

龍哉の教師としての実力の疑問を持ったが倉橋と神崎の答えに安心する。

 

「では、明日からよろしくお願いします」

 

「はい、こちらこそ」

 

「うむ」

 

そう言って烏間とケーキを食べ終えた4人は帰るために玄関へ向かい、龍哉が見送りに行く。

 

「それにしてももうE組の子達と仲良くなるとはな」

 

「いえ、たまたまです」

 

「でも覇っ君がいなかったら私達危なかったもん、本当にありがとう」

 

「いや…にしてもなんで体育だけ烏間先生なんですか?」

 

「まずE組の生徒達は基礎的な部分が出来ていない、基礎が出来なければ暗殺など夢のまた夢だからな」

 

「なるほど」

 

「それに殺せんせーの体育の授業って…」

 

矢田が語ったのは烏間が派遣されるちょっと前の体育の授業で反復横とびで分身を作る、というような内容だったそうだ。

 

「…体育に関しちゃポンコツだな」

 

「あはは」

 

「それと一つ聞きたいのだが…」

 

「なんですか?」

 

「俺が入った瞬間熊らしき生き物が猛スピードで逃げ出していくのを見たんだが…」

 

「え~と…」

 

「…俺の愛熊の悟朗です…多分烏間先生の放つオーラにビビっちゃったんでしょうね」

 

「…そうか」

 

若干落ち込んだ表情をする烏間…そんなこんなで玄関につく

 

「では、明日からよろしく頼む」

 

「はい、烏間先生ありがとうございました。みんなも帰り道気を付けてね」

 

「いや、もう遅いから俺が送っていく」

 

「え、でも…」

 

「ここは甘えておけよ。それに帰ってる途中にさっきの奴らに会いたくないだろ?」

 

「そうだね」

 

「烏間せんせー、よろしくお願いします!」

 

「ああ」

 

そう言って5人が玄関から出ていき、車が発車するところまで見届けてから龍哉も戻る。

 

「また明日…か…楽しみだな」

 

一体何が起こるのかわからないが…龍哉は明日に期待して胸を膨らませながらその後を過ごした。

 




はい、という事でヒロイン候補達との顔合わせと主人公の愛熊:悟朗の登場でした。

時期的には原作の「毒の時間」のちょっと前でカルマが殺せんせーに手入れされた直後ぐらいですね。

では次話より原作の時間に突入します。


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転入の時間

前回原作の時間に突入するといいましたが、実際はまだです。

今回は龍哉の第1の個別会と思って読み進んでください。


翌日、椚が丘学園3-Eの教室―

 

「みんな~、おはよ~」

 

「おはよ~」

 

E組の生徒達は暗殺の相談などがあるためか始業時間よりも早めに登校している生徒が多くいる。

 

倉橋が登校した時には既に磯貝悠馬、片岡メグ、潮田渚、茅野カエデといったリーダーシップや観察力に優れた生徒が来て暗殺の相談をしていた。

 

が、茅野が先日の倉橋達の会話を思い出して尋ねる。

 

「あ、倉橋さん昨日のスイーツどうだった?」

 

「それがさ~すごく大変な目にあっちゃってさ~」

 

「何があったの?」

 

「変な高校生達にナンパされちゃって」

 

「さらっととんでもないこと言った!?」

 

「大丈夫だったの!?」

 

「うん、助けてもらったから」

 

「誰に?」

 

「今日来る転校生」

 

「「「「え!?」」」」

 

そんな話をしているうちに杉野友人や神崎といった面々も集まりだす。

 

「おはよう!」

 

「おはよう」

 

「おはよ~」

 

「そういえば今日だよな?転校生が来るの」

 

「うん、それで今倉橋さん達が昨日会ったって」

 

「マジで!?」

 

「うん、ナンパされているところを助けてもらったの」

 

「ってことはいい奴なのか?」

 

「「「「う~ん…」」」」

 

磯貝達は昨日倉橋達を助けた、というだけでいい奴と判断していいか迷っているようだ。

 

「あ、みんな!時間!」

 

ふと時計を見るともう始業時間間近である。

 

「と、転校生がどんな奴かは本人見て判断しようか」

 

「助けられた私達からすればいい人だけどね」

 

「うん」

 

そう言って席に戻る面々。

 

なおこの場にいないだけで同じような会話が矢田、速水、千葉龍之介、木村正義、岡島大河の間でも繰り広げられていた。

 

=========================================================

 

時間を少し巻き戻して大半の生徒が登校してきたころ、職員室では…

 

「ヌルフフフ、君が転校生の覇月龍哉君ですね、私が担任の殺せんせーです、どうぞよろしく」

 

「………はい、覇月龍哉です。よろしくお願いします」

 

「どうかしたのか?」

 

「いえ、想像していたよりも大きかったので」

 

「ああ…」

 

「それと笑い方が気持ち悪くて」

 

「ニュヤッ!?」

 

「…まぁいい、これから体育以外の科目はこいつに、体育は俺に教わる。何か質問は?」

 

「え~と…今は特にないです」

 

「そうですか、あ、それと授業中の暗殺は禁止です」

 

「分かりました」

 

「もうすぐ始業時間だな」

 

「では行きましょうか」

 

「はい」

 

殺せんせー、烏間先生と続いて龍哉も教室を出る。

 

「そういえば覇月君のお祖父さんも暗殺に協力するんでしたね」

 

「正確に言えば暗殺の訓練にな、放課後に生徒達が自主練しているがそれを見て各々にあったトレーニングメニューを作っていただく予定だ」

 

「いいんですか?そんなこと教えて」

 

「放課後になればばれる、同じことだ」

 

「…まぁお祖父ちゃんは厳しいからすぐに指導はしないと思いますよ」

 

「確かに空挺団でも個別指導は向上心のある奴以外は実施してもらえなかったと聞いたことがあるな」

 

と、歩いて会話をしているうちにチャイムが鳴り教室につく

 

「ヌルフフフ、ではまずは出席をとってきますので、その後覇月君は入ってきてください」

 

「分かりました」

 

そう言って殺せんせーは教室に入っていき、号令が聞こえた後出席がとられる。

 

「では最後に転校生です、覇月君、入ってきてください」

 

「はい」

 

教室のドアを開けて入る龍哉、パッと見普通の生徒にしか見えないその姿に多くの生徒驚いている。

(事前に烏間先生から戦力になる生徒が来る、と聞いていたため)

 

教団の近くに立つと黒板に自分の名前を書き

 

「覇月龍哉です、諸事情あって学校に通うのは初めてなので間違ってたりおかしいところがあったら教えてください。みなさん、よろしくお願いします」

 

自己紹介をして一礼する龍哉。想像していた生徒像と違うところがあったのかまだ大半の生徒が驚いたままだ。

 

「うん、よろしくね~覇っ君」

 

「おや、倉橋さんはもう知っていたんですか?」

 

「うん、昨日高校生にナンパされているところを助けてもらって、そのままお茶に誘われたの!」

 

「なにぃ!!」

 

「ってことは神崎さんも!?」

 

倉橋の発言に即座に反応したのは前原陽斗だ。なおこの男、既に片岡以外の女子生徒に声をかけて振られているため、余計に驚いたようだ。

 

また神崎に思いを寄せる杉野もワンテンポ遅れて反応する。

 

「え、意外と肉食系?」

 

「どうだろうな」

 

次にフリーズ状態から脱したのは中村莉緒と菅谷創介の2名。

 

「けっ」

 

どうやら寺坂竜馬、吉田大成、村松拓哉、狭間綺羅々、竹林孝太郎といった面々はあまり興味がない様だ。

 

「で、どうやって誘ったんだよ」

 

岡島が龍哉に尋ねる。どうやら先程軽く別口で聞いていたので興味を持ったようだ。

 

「…まぁ間違っちゃいないけど倉橋さん達が食べに行こうとしていたケーキをたまたま母方の祖父母が買っててな、俺の家に来る途中にあって時間限定ので数もあったから誘ったんだ」

 

「あ、じゃあ偶然だったんだな」

 

「うん、えっと…」

 

「磯貝悠馬。このクラスの学級委員なんだ。分からないことがあったら聞いてくれ」

 

「わかった、磯貝君」

 

「ヌルフフフ、聞きたいことはいっぱいあるでしょうがそれは放課後に行ってくださいね」

 

「あ、すいません」

 

「いえいえ、覇月君、君の席は奥田さんの後ろです」

 

殺せんせーは席の説明を龍哉にしながら眼鏡をかけた女の子を触手で指す。

 

「分かりました。それと殺せんせー、それってせんせーの指ですか?」

 

「へ、ああはい、まぁそうなりますかねぇ」

 

「他人を指さすなんて行儀悪いですよ。生徒が真似したらどうすんですか」

 

「ニュヤ!!」

 

((突っ込むところはそこじゃない!!))

 

その場にいたほぼ全員が思った。

 

龍哉は意外と天然かもしれない、と…

 

「それでは授業を始めます」

 

そして、殺せんせーの授業が始まった。

 

=========================================================

 

その後行われた授業では龍哉が中心に当てられた。

 

今まで学校に行っていない、という発言から恐らく学力が低いと思われていたのかもしれないが…

 

「これでいいですか?」

 

至極あっさりとたいていの問題を解いていた。

 

「…学校には行っていなかったんですよね?」

 

「あ~、学校には行っていなかったけど最低限必要な勉学の内容は教わってたから」

 

「誰に?」

 

「お祖父ちゃん達3人。語学は父方のほうに、他のは母方のほうに教えてもらった」

 

「なるほど…ってはぁ!?」

 

「ああ、覇月のお祖父さん達って元エリートと現役エリートだもんね」

 

「「マジで!?」」

 

「らしいけど、俺にはただのお祖父ちゃん達だからよくわかんねぇ」

 

「「もったいねぇ!!」」

 

そんなこんなで授業はつつがなく進行し、昼食の時間

 

「あ、覇月君、聞きたいことがあるから一緒に食べない?」

 

「いいよ、磯貝君、俺も今までに実行した暗殺のこと聞きたいし…一番知ってるのって誰?」

 

「それなら渚だと思うぜ、な、渚!!」

 

「へ、あ、うん、多分」

 

「じゃあお願い」

 

龍哉と打ち解けるために磯貝が昼食に誘い、龍哉が今までのこと良く知りたいためそんな生徒がいないか尋ねると近くにいた杉野が潮田を推薦し、潮田が多分知っていると答えると龍哉がお願いする。

 

「うん、いいけど…」

 

「あ、私達もいい?」

 

「神崎さん!!もちろん!!…達?」

 

「うん」

 

神崎の後ろには寺坂組(寺坂、吉田、村松、狭間)以外の面々がいた。

 

「この人数だとちょっと教室内じゃ集まれそうにないから…外で食べるか」

 

磯貝がそう提案し、全員が賛同したことで校庭の少し開けた場所に移動した。

 

=========================================================

 

「で、みんなが聞きたいことって?」

 

校庭の少し広い場所に龍哉を中心に輪になって座って昼食をとりつつ龍哉への質問タイムとなったようだ。

 

「えーと、まず烏間先生から戦力になる生徒だって僕たちは聞いてたんだけど…」

 

「そうは見えないって?」

 

その言葉に昨日龍哉と知り合った4人以外が頷く。

 

「そういえば昨日倉橋さん達って何か聞いてないの?」

 

「え~とね、覇月君のお父さんって烏間先生よりも強かったんだって」

 

「「マジで!?」」

 

「うん、昨日それ聞いて気になって父さんの日記探してみたらそんなことが書いてあったよ」

 

「ってことは結構強い?」

 

「どうだろう…やってみないとわからないだろうね」

 

「まぁ次の授業は体育だしなんかわかるっしょ」

 

「そうだね…ねぇ、お祖父さん達がエリートって?」

 

「えっと…父方の祖父、秀治お祖父ちゃんは元々防衛省の空挺団のエリート教官でいくつもの国を飛び回ったこともあるって聞いた。母方のほうの市之助お祖父ちゃんは機械作りをはじめとする技術分野で軍事にも昔留学先で関わってたみたい。明お祖母ちゃんは逆に生物系をはじめとする化学系にすごく詳しくて極秘のプロジェクトに関わった事もあるみたい、だから対殺せんせー用武器開発の第1人者になったんだと思う」

 

「ふ~ん…ってええぇ!!!」

 

「こ、これ覇月君のお祖母さん達が作ったの!?」

 

「あ、そういえば昨日烏間先生が言ってたね」

 

「あの時は詳しく聞いてなかったけどね」

 

「聞けば聞くほどびっくりよね」

 

「リアルチート一家来たぁ!!」

 

「そうでもないと思うけど…でもそれを聞いてお祖母ちゃんにちょっとお願いはしたけどね」

 

「何をお願いしたのさ」

 

「対殺せんせーの素材でできた制服を全員分、後俺専用の武器」

 

「対殺せんせー素材って…こんなゴムみたいな制服着んのか?」

 

「ううん、お祖母ちゃん曰く繊維レベルでも作れるっていうからそれでお願いしてるよ、あ、希望があるなら教えて、お祖母ちゃん達に伝えるから」

 

「それは後でいいんじゃないかな、急に言われても皆すぐには出てこないだろうし」

 

「それもそうだね」

 

「というか流しそうになったけどお前専用武器って何だよ?」

 

「んっとね、これ」

 

そう言って覇月が取り出したのは幅25㎝、長さ1mほどの布だった

 

「へ?」

 

「布?」

 

「うん、でも俺にはこれのほうがナイフとかよりも使い勝手いいんだよ、ほら、タオルとかって素早く振るわれたものが当たると痛いじゃん、そんな感じで使うのさ」

 

「(小声で)殺せんせーに効くと思う?」

 

「(小声で)そうは思わないけど…でも自信があるみたい、あれでどうにかできるって」

 

龍哉の答えに潮田、茅野が小声で話し合うなか、他の皆も同じような感じになっている。

 

「え~とじゃあ次は…」

 

「あ、俺からも聞きたいことがあるんだけど」

 

「あ、ああ、これまでの暗殺か、いいよ」

 

そう言って磯貝、片岡、潮田を中心に今までの暗殺を龍哉に教えていき…

 

「そう、分かったよ」

 

潮田の自爆テロまがいの暗殺と赤羽の飛び降り自殺まがいの暗殺を聞いた龍哉の表情は…怖いくらい険しいものになっていた。

 

「覇月君、もしかして…怒ってる?」

 

「…ああ、俺はお前ら2人とはちょっと仲良くできそうにないし、皆ともちょっとな…」

 

「「!!」」

 

龍哉の唐突な発言に全員が驚いた顔をする。

 

「…正直言って俺は自分の命を大切にしない奴が一番嫌いだ。そして誰もそれをいさめないのも、否定しないのも、ましてやそれでも「殺せればいい」って思っていることも含めてな」

 

龍哉の言葉に皆何も言えなくなる。

 

「それに、それで殺せたとして…どう親とかに説明させるんだ、怪我したり、飛び降り自殺した理由を」

 

「「!」」

 

「今俺達が殺っているのは、誰にも言ってはならない、ばれてはならない…それなのにそんなことをすれば確実にばれる、1人にばれたら全員にばれる可能性だってあるんだぞ」

 

「「…」」

 

「ばれてしまえばそれもう暗殺じゃない…自分たちが殺した、その証拠を残さないのも、暗殺なんじゃないのか?」

 

何も言い返すことが出来ず、龍哉以外顔をうつ向かせ、かなり悪い雰囲気になってしまった。

 

「でもさ~普通の方法じゃ殺せないんだから…だったらそんな方法をとってもいいでしょ」

 

そんな空気の中、実行した張本人である赤羽が反論するが…

 

「…自分の命と引き換えの方法をか?」

 

「あったりまえじゃん」

 

「ならお前は今後暗殺者(アサシン)を名乗るな、名乗るんだったら【テロリスト】にしてくれ」

 

「なっ!!」

 

暗殺対象(ターゲット)を自分の命と引き換えに殺すんだったらそう名乗るのが適切だろ」

 

龍哉の反論はある意味(・・・・)的を得ていた。

 

「そして…それが正しいと思い続けるんなら…俺は協力できそうにないな」

 

龍哉の言っていることは間違ってはいないだろう。

 

だが…

 

「でも、殺せんせーはそんな僕らのことを助けてくれたよ」

 

潮田が反論する。

 

「覇月君の言っていることもよく考えたら確かにそうだって思う…でも、実際に僕もカルマ君も殺せんせーに(・・・・・・)助けてもらったんだ」

 

全員がそう言えば…と思いだす。

 

赤羽の飛び降りは潮田以外知らないが、潮田の自爆攻撃の時は殺せんせーが自らの奥の手を使って助けたことを。

 

「そして、僕はそういうことをしてはいけないって、カルマ君は自分を信頼してくれって殺せんせーに言われた」

 

潮田がそう言うとその時のことを思い出した赤羽が少し顔をそらす。

 

「殺せんせーは僕らが間違えたら、きっと全力で正そうとする、僕らの気持ちをよく考えて…そんな先生なんだ」

 

「……確かに、君たちの事情をよく考えず、自分の気持ちを押し付けていたようだな…すまない」

 

龍哉が自分の気持ちを押し付けていたことを謝罪する。

 

「ううん、僕も覇月君も相手の事をよく知らなったんだからしょうがないよ」

 

「……ありがとう」

 

しかし、空気を読まない奴というのはどこにでもいるもので…

 

「でもさ、なんであんなに過剰に反応したんだよ」

 

普通はそうなのかー、で流しそうなもんなのにな、と坊主頭の岡島が言うと

 

「…まぁ、良く知らないからそういう質問が来るのも当然か」

 

龍哉がかなり渋い顔をし、全身に汗をかき始めた。

 

少々震えているように見える状態で話し始めた。

 

「…俺の両親は―既に知っている人もいるが―もう…この世にはいない」

 

「「っ!!」」

 

龍哉の口から語られた事に既に知っている4人以外は驚愕する。

 

「…病死とか、事故じゃない…殺されたんだ…全身に爆弾を巻き付けた男に人質に取られた俺を…助けてな」

 

「「っ!!」」

 

龍哉の口から語られた衝撃の真実、そしてそれにより、先程の龍哉の態度の意味が分かってしまった。

 

潮田、赤羽の行動は全て龍哉にとってトラウマ、といってもいいことをしていたのだ、という事を。

 

「…今だって時折夢に見る…人質に取られた俺を助け出して巻き付いた爆弾を男からとって蹴り飛ばした瞬間…その男が…笑って…両親を…(ハァ)…吹き…(ハァ)…飛ばす…(ハァ)…ところを…」

 

「覇月君?」

 

「汗すごいけど、大丈夫なの」

 

徐々に息も荒くなり、かいている汗の量も多くなってきていたので心配した神崎が声をかけて速水が龍哉の首筋に手を当てると

 

「っ!冷たい!!」

 

「えっ!!」

 

「ってよく見ると顔色悪いじゃないか!!大丈夫か!!」

 

「…あんまり…」

 

「覇っ君、教室に戻ろう」

 

「…あ、うん…ただ…一言だけ」

 

「何?てか早く休んだほうがよくない?」

 

「俺は…最初…両親の事いうつもりはなかった」

 

「でも言ったよね」

 

「うん…なんとなくだけど…皆なら受け入れてくれるって思ったから…」

 

「そう…なんだ」

 

「うん…勘だけど…でも、きっと…大丈夫だって確信があるんだ」

 

「つまり、自分の辛い事を打ち明けてもいいほど俺達の事を信用してくれてるってことでいいんだよな」

 

「ああ…すまない、先に戻るよ」

 

「いや、気にしないで」

 

そう言って龍哉と倉橋を見送る一同…顔に浮かぶ表情は聞いてはいけないことを聞いてしまったことへの罪悪感と自分の過去を話してもいいほどすぐに信用してくれた事への嬉しさがないまぜになったものになっていた。

 

=========================================================

 

5時間目の体育の時間

 

「では今日も…」

 

訓練を始める、と言いかけて烏間先生の表情が曇る。

 

何せほぼ全生徒がどこか気まずげな表情を浮かべているからだ。

 

これは何かあったな、と察する。

 

訓練をしなければならないが、こんな状況で実施しても怪我をするだけだろう。

 

そう判断し、何か別の案がないか考え…

 

「いや、今日は少し趣向を変えてみよう、覇月君、俺と組み手をしよう」

 

「へ、あ、はい」

 

「俺も皆も、ついでに奴も君の実力が気になるからな」

 

「分かりました。よろしくお願いします」

 

龍哉が答えて前に出ていき、烏間先生の指示のもと他の生徒達は校舎近くの土手に行く。

 

「…どうなるかな」

 

「ケッ、どうにもなんねーよ」

 

「寺坂」

 

竹林の疑問に寺坂があきらめたように答えると磯貝からいさめるように名を呼ばれた。

 

「しかし、確かに気になりますねぇ、国が態々外国にいたのを呼び戻すほどですからねぇ」

 

「殺せんせー」

 

「って、外国!?」

 

「ええ、なんでも5歳のころから特殊な事情故の海外暮らしだったそうですよ」

 

「特殊な事情って…」

 

昼食の時に言っていた両親の事と一緒にいたメンバーは察した。

 

「5歳…あ、だから10年ぶりって言ってたんだ」

 

「何がよ」

 

「あ、もしかして悟朗ちゃんとの再会の時に明さんが言ってたこと?」

 

「うん、それそれ」

 

「悟朗ちゃんって…誰?」

 

「熊」

 

「ふ~ん、熊かぁ………熊ぁ!?」

 

「え、ちょっと待って、あいつ熊飼ってんの!?」

 

「子供のころに悪徳サーカスから引き取ったって言ってたよ」

 

「…あいつ…マジでなにもん?」

 

突如現れた殺せんせーにより龍哉の両親の事にはまだ言えない事情があることを知ったE組の皆だが…

 

その後に出てきた情報に一層混乱することになってしまった。

 

そんな皆の会話は今から戦う2人にも当然聞こえており…

 

「ご両親の事、もう皆に話したのか」

 

「はい」

 

「既にそれほどまでに信用しているとはな…」

 

警戒心が強い、と聞いていたため少々驚く烏間先生、そんな烏間の心情を察しつつそれ以上は何も言わない龍哉。

 

そう少し会話をしつつ2人とも準備運動をしてながら対峙する。

 

「準備はいいか?」

 

「いつでも」

 

烏間先生の言葉に構える龍哉。

 

「では…」

 

「行きます!!」

 

烏間先生の言葉に答えるように龍哉が駆け出す。

 

その速度は木村正義のトップスピードよりも速い。

 

(速い!!)

 

想定より速いものの、対処できない速度ではない、龍哉が左こぶしを烏間先生の胴体めがけて繰り出すが、読まれているためあっさりと烏間先生の右手により払われる。

 

しかし龍哉もそれを想定しており、その勢いを使って右足で後ろ回し蹴りを放つがこれは烏間先生に受け止められる。

 

だが龍哉は受け止められた右足を軸にして左足でそのまま回転蹴りを放つ。

 

これにより烏間先生は龍哉の右足を開放してバランスを崩そうとするが一瞬早く龍哉のほうが手を地面につけ、そのままコマのように回転して両足蹴りを繰り出す。

 

烏間先生もこの攻撃に対してすぐに蹴りが当たらない位置までしゃがみ込み足払いならぬ手払いをかける。

 

龍哉も読んでいたため、烏間先生がしゃがみ込んだ瞬間両腕に力を込めて腕の力だけでジャンプする。

 

それに対して烏間先生も手払いの攻撃を上段攻撃に移行するが、これは龍哉が両手でつかんで防ぐ。

 

その状態から龍哉は烏間先生の頭に攻撃を…しなかった。

 

(何!!)

 

自分の頭部に攻撃が来ると読んでいた烏間先生はさすがに驚く。

 

龍哉はつかんだ足の足先のほうに移動して着地し、そのまま烏間先生を自分のほうに引き込んだ。

 

「「なっ!!」」

 

全員が驚く。

 

当然この行動は予期できなかったため烏間先生も体制を崩す。

 

「ふっ!!」

 

体制を崩した烏間先生に真っ直ぐ蹴りを入れる龍哉。

 

対して烏間先生は両腕をクロスさせてガードすることでダメージを軽減させるが、全身が宙に浮いてしまう。

 

そしてそのまま龍哉は前進して烏間先生の両腕を蹴りで跳ね上げる。

 

そこからさらに両足で烏間先生の両腕を抑え込みマウントポジションに持っていき…

 

「これで王手です」

 

龍哉の右の手刀が烏間先生の首筋に充てられる。

 

観戦していた皆も、殺せんせーも、烏間先生も驚いた。

 

((つ、強い!!))

 

一瞬の油断が勝敗を分けた、まさにそういう戦いだった。

 

「まさかあそこから体制を崩しに来るとはな」

 

「あそこで頭狙いに行ったら身動き取れなくなってしまいそうだったので…それに、相手の虚を突くのが「暗殺」だと思いまして」

 

「なるほどな」

 

他の生徒達の方に戻っていく龍哉と烏間先生。

 

そんな2人に生徒達が近づいてくる。

 

「すごいな、覇月!!」

 

「まさか勝つなんてなぁ」

 

「びっくりしちゃった」

 

皆から称賛されて嬉しそうに龍哉もはにかんで礼を言う。

 

「ありがとう」

 

昼食時や先程高レベルの戦闘を繰り広げたとは思えない表情に…

 

((ボフッ!!))

 

一部女子生徒が思わず顔を赤くしてしまったのは…まぁ余談だろう。

 

「でも、これから烏間先生と戦うときはちょっと厳しくなっちゃうな」

 

「え、なんでだよ」

 

「さっきの戦闘で俺の能力や戦法は大体把握されちゃっただろうからね、同じ手が通じるのは対戦相手の事を過小評価するよりも格下の相手だけ、烏間先生のような実力者には同じ手は使えないよ」

 

確実に防がれるからね、とも付け加える龍哉に

 

「ほへぇ~」

 

「同じ手は通じないか…」

 

関心する生徒が多数いる。

 

「まぁこれが今の(・・)俺の実力、皆…これからよろしくな!!」

 

「ああ」

 

「よろしく!!」

 

E組の仲間として入った龍哉…

 

まだ皆に秘密にしていることはあるものの、前評判に違わぬ実力を示した。

 

(皆と一緒なら…もしかしたら…きっと…)

 

龍哉は思う、E組(ここ)でならもしかしたら過去を乗り越えることが出来る、と…

 




皆と早く仲良くするにはさっさと行ったほうがいいと思い、龍哉の過去を少し話しました。

そして龍哉にはトラウマがありますが、まだ明確には顔を出していません。

…流れ的に少々強引なところがあるでしょうけどね。

ていうかちょっと龍哉のキャラがぶれている気がする。

意見、感想お待ちしています。


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欠点の時間

本来は原作の「毒の時間」にする予定でしたが内容的に「欠点」のほうがあっていたので変えました。

「毒の時間」は欠点の克服を焦点に充てていた感じでしたので…

書いてて思ったのは原作で空気読まないキャラのカルマの使いやすさは便利。

後メタ発言の不破とゲスキャラ(?)扱いされがちな岡島、この2人も割と動かすのに使えそう。




「お菓子から着色料を取り出す実験はこれで終了!!余ったお菓子は先生が回収しておきます」

 

「給料日前だから授業でおやつ調達してやがる」

 

あれ買ったの俺らだぞ、と前原がぼやく

 

「地球を滅ぼす奴がなんで給料で暮らしてんのよ」

 

殺せんせーの行動に突っ込むものがいる中、1人の女子生徒が殺せんせーにフラスコを持って近づく

 

「あ…あのっ、先生……毒ですっ!!飲んでください!!」

 

ガタタッ!!

 

奥田愛美が殺せんせーにフラスコを差し出し、言い放った台詞に対してクラスの大半がずっこける。

 

「……奥田さん、これはまた正直な暗殺ですねぇ」

 

「あっ…あのあの、わ私皆みたいに不意打ちとか上手くできなくて…でもっ化学なら得意なんで真心こめて作ったんです!!」

 

「ああいうの暗殺って言わないよな?」

 

「言わないと思うぜ…というか飲むやつもいないだろ」

 

龍哉が斜め前の席にいる菅谷に問いかけると肯定とともにありえない、という答えが返ってきた。

 

「だよねぇ…」

 

龍哉も納得して前を見ると

 

「それはそれは…ではいただきます」

 

((飲んだ!!))

 

「!!こ…これは…」

 

殺せんせーの体がガクガクふるえて…

 

ニュ

 

((なんか角生えたぞ))

 

角が生えた

 

「この味は水酸化ナトリウムですね、人間が飲めば有害ですが先生には効きませんねぇ」

 

「……そうですか」

 

「あと2本あるんですね」

 

「は、はい!!」

 

「それでは」

 

次の毒薬を飲む殺せんせー

 

「うっ、うぐぁっ、ぐぐぐ…」

 

今度は苦しんで…

 

バサッ

 

((今度は羽生えた!!))

 

((無駄に豪華な顔になってきたぞ))

 

「酢酸タリウムの味ですね、では最後の1本」

 

殺せんせーが最後のフラスコの中身を飲む

 

((どうなる!?))

 

ドクン!!

 

((最後はどうなるんだ!?))

 

ドクン!!

 

ドクン!!

 

(・_・)

 

((真顔になった!!))

 

((変化の法則性が読めねーよ!!))

 

「王水ですねぇどれも先生の表情を変える程度ですね」

 

「……はい…」

 

その程度の変化しかなかったので奥田も落ち込んでいるようだ

 

「てか先生真顔薄ッ!!」

 

「顔文字みてーだな!!」

 

「↑でどう表現しようか悩んで顔文字を実際に使ってるしね」

 

「メタいよ不破さん!!」

 

「先生のことは嫌いでも暗殺のことは嫌いにならないでください」

 

「いきなりどうした!?」

 

「それとね奥田さん、生徒1人で毒を作るのは安全管理上見過ごせません」

 

「…はい、すみませんでした…」

 

「放課後時間があるのなら、一緒に先生を殺す毒薬を研究しましょう」

 

「は、はい!!」

 

「……暗殺対象(ターゲット)と作る毒薬ねぇ」

 

「……後で成果を聞いてみよう」

 

そう潮田と茅野が話しているさなか、龍哉が殺せんせー達に声をかける。

 

「殺せんせー、奥田さん、俺も参加していいかな?」

 

「ニュ?」

 

「え?」

 

「お祖母ちゃんの影響かさ、そういうのに興味あるんだ、邪魔はしないからさ」

 

「せんせーは構いませんが」

 

「私もいいですよ」

 

「ありがとう」

 

そんなわけで龍哉、奥田、殺せんせーはHR後、再び実験室に集まることになった

 

=======================================================

 

「ではそれをエタノールを投入しましょう、気体を吸わぬように気をつけて」

 

「はいっ」

 

「しっかし見た目おんぼろなのに設備というか必要なもんは大体揃ってるんですね」

 

殺せんせーと奥田の実験の様子を見ていた龍哉が言う。

 

実際、校舎はおんぼろだが授業に必要な設備はほぼ十分にそろっている。

 

「そうですね…奥田さん、君は理科の成績は素晴らしいんですけどねぇ」

 

「え?」

 

「…はい、でもそれ以外がさっぱりで…E組に落とされても仕方ないです」

 

うわー、明お祖母ちゃんみたい、と龍哉は思った。

 

明にしろ市之助にしろ龍哉の母方の家系は基本的に専門の知識は半端ないがそれ以外は平凡かそれ以下という具合だ。

 

「特に…国語が」

 

「マジで?」

 

「うん、言葉の良し悪しとか、人間の感情表現とか、何が正解かわからなくて…」

 

「「……」」

 

龍哉も殺せんせーも奥田の言葉を黙って聞いている。

 

「…でもそれで構いません、数学や化学式は絶対に正解が決まっているから」

 

「まぁ、確かに、理系の奴は『正解』がなきゃ実用性とかもないもんな」

 

「そう、だから…私には気の利いた言葉遊びも、細かい心情を考える作業も必要ないんです」

 

「…そうですね」

 

殺せんせーが紙に素早く化学式とかを記載し、それを奥田の前に掲げて

 

「ではそんな君に、先生から宿題をあげましょう」

 

そう言って奥田に紙を手渡す。

 

それを受け取り、内容を見て嬉しそうにする奥田をどこか腑に落ちない顔で見ている龍哉がいた。

 

=======================================================

 

翌日

 

「…で、その毒薬を作って来いって言われたんだ」

 

「はい!!理論上はこれが一番効果があるって!!」

 

「毒物の正しい保管方法まで漫画にしてある」

 

「俺もこれ読んだ時殺せんせーどんだけ詳しいんだってびっくりした」

 

潮田の持っている本は先日殺せんせーが奥田に渡したもので、龍哉も興味本位で読んだのだがその詳しさは専門家レベルだったことにたいそう驚いたようだ。

 

「相変わらず殺せんせー手厚いなぁ」

 

「茅野さん、殺せんせーっていつも?」

 

「うん、ああいって暗殺者(アサシン)を手入れするんだよ」

 

「…すごいな」

 

自分の命を狙ってくるものを強くする、傍から見れば矛盾しかしていない。

 

「きっと私を応援してくれているんです、国語なんてわからなくても私の長所を伸ばせばいいって」

 

(いや、奥田さんがこのまま研究員を目指すんだったら…おそらく…それにまだ、『手入れ』は多分終わってない)

 

龍哉が殺せんせーが奥田に対してしたことについて考えていると…

 

ガラッ

 

殺せんせーが教室にやってきた。

 

「あ、来たよ、渡して来れば?」

 

「はい!!」

 

殺せんせーのもとへ行く奥田、それを見ていた龍哉は…

 

「速水さん速水さん」

 

「何?」

 

「なんか…嫌な予感するから射撃とかできる準備ってできる?」

 

「嫌な予感って」

 

「野生動物か」

 

2席前の速水に射撃準備を依頼しようとして近くにいた千葉にも話しかけられた。

 

「漠然とだけど…ね…ただわざわざ作らせた(・・・・・・・・)ってところが気になってさ」

 

「…釈然としないけど、準備はしておくわ」

 

「俺も」

 

「信じてくれてサンキュ…俺も準備しとくか」

 

殺せんせーが奥田から手渡された毒を飲む前に射撃準備をする千葉、速水とハンドガンとナイフを構える龍哉

 

それを他の生徒達は訝しげに見ていた。

 

「先生、これ……」

 

奥田がフラスコに入っている先日作成した毒薬を殺せんせーに手渡す。

 

「さすがです…では早速いただきます」

 

ゴクンゴクンゴクン

 

飲み終えた殺せんせーは震え始める

 

ドクン

 

「……ヌルフフフフフ、ありがとう奥田さん」

 

ドクンドクン

 

「君の薬のおかげで…」

 

ドクン

 

「先生は新たなステージに進めそうです」

 

ビキビキ、という音がして殺せんせーの体が光り始める

 

「…えっそれってどういう…」

 

「グオオオオオオオ」

 

殺せんせーが雄たけびをあげ、その体が光り輝く。

 

「「!!」」

 

全生徒達がまぶしさに目をふさいで再び教卓を見ると…

 

「ふう」

 

液状化した殺せんせーがいた

 

((溶けた!!))

 

生徒達の驚きを他所に殺せんせーの解説が入る。

 

「奥田さん、君に作ってもらったのはね、先生の細胞を活性化させて流動性を増す薬なのです」

 

シャッ

 

スポッ

 

言うや否や殺せんせーは素早く動いて片岡の机の中に潜り込む。

 

「液状ゆえに、どんな隙間も入り込むことが可能に!!」

 

「皆!!立って構えて!!」

 

龍哉の指示が飛ぶが突然のことに対処できる生徒はいない。

 

「しかもスピードはそのままに!!さぁ殺ってみなさい」

 

ドドドドドシュポシャシャシャッドドドドドド

 

マッハの速度で本来の体躯よりも小さい殺せんせーが教室内を縦横無尽に動き回る。

 

「くっそ!!」

 

「速過ぎる!!」

 

「ちょっ…無理無理これ無理!!」

 

「床とか天井に潜り込まれちゃ狙いよう無いって!!」

 

「なんだこのはぐれせんせー!!」

 

大半の生徒がパニックになる中、龍哉は冷静に殺せんせーの動きを読んで…

 

「そこぉ!!」

 

パァンパァンパァン!!

 

左腕に持ったハンドガンで殺せんせーが次に動くであろう場所に3連の射撃を放つ。

 

バチュチュ!!

 

次の隙間に入ろうとした殺せんせーの肉体に2発だけヒットする。

 

「ニュヤ!!」

 

「ひるんだ!!」

 

当然殺せんせーは驚いて動きが一瞬鈍り、その隙を逃さず速水、千葉が追撃するが…

 

「ニュオオ!!」

 

殺せんせーが必死に動いたことでよけられる。

 

「ちっ!!」

 

「逃げられた…」

 

「…っ」

 

「あ、危なかったです」

 

殺せんせーは龍哉、速水、千葉の射撃が届いても即座に対応できる教室の角に逃げ切り一息つく。

 

そして落ち着いたタイミングで茅野が奥田に話しかける。

 

「奥田さん…先生あの薬毒って言ったんだよね」

 

「だっ…騙したんですか殺せんせー!?」

 

つーんとした顔をする殺せんせー。

 

「奥田さん、暗殺には人を騙す国語力も必要ですよ」

 

「えっ」

 

急に真面目に話し出す殺せんせー

 

「どんなに優れた毒を作れても…今回のようにバカ正直に渡したのでは暗殺対象(ターゲット)に利用されて終わりです」

 

ああ…と納得した顔をする生徒達

 

「そして覇月君、君はその可能性に気が付いて対応をしてきましたね」

 

「はい、国語苦手って聞いたからそうされるんじゃないかと…そんな姿になるのは予想外過ぎましたけどね」

 

「でもなんで皆に言わなかったのさ」

 

「言ったろ、あんな姿になるなんて思わなかったって…俺と速水さんと千葉君でどうにかなるって思ったんだよ」

 

「でもああいう姿だったから3人じゃ足りなかったってわけだね」

 

「そういう事…まぁ、次からは皆でどうにか出来るように作戦を考えないとね」

 

「その通りです…そして渚君、君が先生に毒を盛るならどうしますか?」

 

「え」

 

急に問われて戸惑う潮田、少し考え込んで…

 

「…うーん、先生の好きな甘いジュースで毒を割って…特製手作りジュースだといって渡す、とかかな」

 

「そう、人を騙すには相手の気持ちを知る必要がある、言葉に工夫をする必要がある」

 

「あ…」

 

「上手な毒の盛り方、それに必要なのが国語力なのです」

 

「他にも、相手の事を信用している事を示すためにも、言葉ってのは必要だよな、分かりやすいから」

 

「その通りです、覇月君。奥田さん、君の理科の才能は将来みんなの役に立てます」

 

「うん、明お祖母ちゃんも昔は国語とか苦手だった~って言ってたし」

 

「そうなの?」

 

「うん、お祖父ちゃんと市之助お祖父ちゃんが元々友達で、その縁で会ってからは苦手だったのをある程度克服したみたい」

 

「でもなんで?」

 

「それは自分の才能で役立てたものを多くの人にわかりやすく伝える必要があるからです」

 

「あ、そっか、いくらすごい薬でも使い方わからなかったら意味ないもんね」

 

「そうです、ですから奥田さん、毒を渡す国語力も鍛えてください」

 

効果切れで元に戻ると同時に服をまとう殺せんせー。

 

「は…はい!!」

 

「あっはは、やっぱり暗殺以前の問題だね~」

 

殺せんせーの力の前では…どんな猛毒を持った生徒でもただの生徒になってしまう。

 

そんな中…

 

「そういえばさ、覇月って暗殺仕掛け無いの?」

 

「烏間先生に対して不意を打てるんだし、今のも対応してるんだから殺ってみたら?」

 

赤羽が龍哉に問いかけ、便乗するように不破優月が提案してくる。

 

「(…俺の重大な欠点(・・・・・)…それを知っておいてもらって損はない…か)そうだな、ちょっと殺ってみるか」

 

「ニュ?覇月君、単独で挑むつもりですか?」

 

「ええ、それと教室(ここ)じゃ狭いので校庭(そと)でお願いします」

 

「ヌルフフフ、いいでしょう、かかってきなさい」

 

そう言って外に出ていく龍哉と殺せんせー。

 

他の生徒達に烏間先生も見逃せないとともに校庭に出ていくのであった。

 

=======================================================

 

距離をとって対峙するよう校庭の真ん中に移動する殺せんせーと龍哉、他の生徒達は烏間先生と共に先日のように校庭近くの斜面に集まっており、結果を予測しあう。

 

「どうなると思う?」

 

「まぁ触手の一本でもとれりゃ儲けもんじゃないか?」

 

「烏間先生に勝ったといえどマッハ20で動ける殺せんせー相手だもんね」

 

そんな中潮田が烏間先生に尋ねる。

 

「烏間先生はどう思いますか?」

 

「あ、烏間先生は覇っ君の実力を間近で見たから」

 

「結果を予測するのに最適ですね」

 

そう生徒達に言われ、烏間先生は少し考え込んで…

 

「正直に言えば…分からない」

 

「へ?」

 

「何でですか?」

 

「俺は覇月君に覇月君のお父さんとも戦ったことがあるが…覇月君も覇月君のお父さんも俺に合わせて戦っていた(・・・・・・・・・・・)

 

「ど、どういうことですか!?」

 

「覇月君も覇月君のお父さんも覇月君のお祖父さんがインドの拳法を基に編み出した独自の型を持った拳法を使う、とは聞いたことがある…そしてそれには気功術を用いた技もあるといわれているが…実際に見たことはない」

 

「じゃあそれってただの噂なんじゃないですか?」

 

「だが、そう言われる程、あの拳法の型は独特なんだ…俺の数期前の新人達は生意気なものが多かったため、その拳法の一部を使って更生させたとご本人が言っていたとも聞いたな」

 

それゆえ、実際の実力はまだ未知数だ、とも烏間先生は告げる。

 

そして殺せんせーと龍哉が校庭の真ん中で対峙したことで全員会話をやめてこれから始まる暗殺に注目する。

 

「それでは始めましょうか」

 

「ええ」

 

―暗殺―開始!!

 

そんな声がかかったかのように龍哉が一直線に殺せんせー向けて駆け出し、懐に手を入れる。

 

(まずは射撃ですか…ですが、動きながらせんせーに当てれますかねぇ)

 

龍哉が懐に手を入れたことで銃による射撃と予測する殺せんせー、しかし、実際に龍哉が取り出したのは…

 

ビッ!!

 

鋭く繰り出された何か(・・)によって…

 

ドチャ

 

殺せんせーの右腕(?)の触手が切り落とされ、続くようにナイフの攻撃範囲でもないのに切るような風切り音が殺せんせーに襲い掛かる。

 

「!!」

 

これには殺せんせーも驚き、どうにか逃げ出そうとするが、龍哉の攻撃道具がそれを阻んでいる。

 

「あれって…」

 

「ああ、こないだ言ってた…」

 

「「あの布だ!!」」

 

龍哉が使っていたのは先日の昼食時に見せられた布だった。

 

効くのか疑っていたものの、今の状況を見れば有効な武器であったことは間違いない。

 

布の軌道は龍哉の手首や腕の動きで即座に代わるため、予測することに長けた龍哉にあった武器といえる。

 

しかし…

 

「ニュオオオオ…ニャ!!」

 

「!!」

 

龍哉が大振りで殺せんせーを攻撃したことで隙が出来てしまい、殺せんせーは布の攻撃範囲から脱出する。

 

「ああ!!」

 

「逃げられた!!」

 

観戦していた生徒達が逃げられたことに落胆の声を上げる。

 

脱出し、荒れた呼吸を整える殺せんせー。

 

「ぜーっ、ぜーっ、まさか布とは…驚きましたが、ここまでは…」

 

しかし、龍哉は全く意に介していない。

 

むしろ、殺せんせーが逃げた距離も、逃げた位置も、全て予測通りといわんばかりの表情を浮かべている。

 

「ニュ?」

 

龍哉の右腕に何かの力が集まっている…そう殺せんせーが認識した瞬間!!

 

「超級覇王…日輪弾!!」

 

「ニュアアアアア!!」

 

龍哉が叫ぶとともに右腕を突き出すと右腕から白く発行した球体が真っ直ぐ殺せんせーめがけて飛んでいく。

 

そんなものが飛んでくるとは思っていない殺せんせーは思わず上空に逃げ出す。

 

その直後に殺せんせーのいた場所に超級覇王日輪弾が着弾し爆発音と共に土煙をあげ、龍哉のいる位置まで土煙にまかれる。

 

「うおぉ!!」

 

「な、なんだあれ!!」

 

「あれが…気功術を用いた技!?」

 

「ていうか覇月が見えねぇ!!」

 

「殺せんせーは!?」

 

「あそこ、空だよ!!」

 

「あ!!」

 

超級覇王日輪弾に生徒達が驚き、龍哉が見えなくなり、殺せんせーが上空にいることまで確認した直後、太陽の部分を背にしている殺せんせーの背後に影が出来る。

 

それに気が付き殺せんせーが振り向くと…

 

そこには、右腕を発火させた龍哉がいた。

 

「は、覇月君!!その右腕は!?」

 

「俺の右手が真っ赤に燃える!!」

 

「質問に答えてください!!」

 

「勝利を掴めと轟き叫ぶ!!」

 

「無視ですか!?」

 

爆熱(ばぁぁぁくねつ)!!ゴッド!!フィンガー!!」

 

何やら口上を唱えて殺せんせーに右腕を突き出そうとする龍哉、そしてそれを防ごうとする殺せんせー…

 

殺れる!!

 

そう思ったものが大半だろう…

 

しかし…

 

「ニュ!!」

 

龍哉の右腕が殺せんせーにあたるよりも早く殺せんせーは攻撃範囲から脱出する。

 

そしてそのまま互いに地面に降り立った。

 

「あー!!」

 

「惜しい!!」

 

「もうちょっとだったのに!!」

 

そう口々に言う生徒達…それに対し、烏間先生はやはり、という表情をしていた。

 

「ヌルフフフ、惜しかったですねぇ…覇月君」

 

「…いえ、出来るかと思ったんですけど…やっぱり無理みたいですね」

 

「でしょうねぇ」

 

龍哉と殺せんせーの会話を聞いて疑問符を浮かべる生徒達。

 

「で、どうします?続けますか?」

 

「いえ、手の内をこれ以上晒すのは危険ですから…やめておきます」

 

「ヌルフフフ、あ、右手は大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫ですよ、ほら、やけどの跡一つないでしょう」

 

「おお、先程聞こえた気功術の技ですか?」

 

「ええ」

 

そう会話をしながら斜面のほうに向かっていく龍哉と殺せんせー。

 

そしてたどり着いたところで生徒達が龍哉のもとに集まってくる。

 

「惜しかったなー、覇月!!」

 

「ほんと、あそこまで追い詰めたのにね」

 

「でも、これで殺せる可能性は一気に上がったよな」

 

「だね」

 

「覇月君、右手って大丈夫なの?」

 

「ああ、さっき烏間先生が言ってた通り気功術の奴だから全く問題ないよ」

 

覇月の返答に何人かがほっと息をなでおろした。

 

「覇月君」

 

そこに烏間先生が声をかける。

 

「やはり…無理かね」

 

「…はい」

 

「あの、烏間先生、無理ってどういうことですか?」

 

「それについては俺から言うよ」

 

磯貝が烏間先生に龍哉が無理の理由を尋ねると龍哉が自分の口で言うと返す。

 

それを聞いて全員が龍哉の言葉に耳を傾ける。

 

「…俺は…殺すことが…出来ない」

 

「「!!」」

 

生徒全員が驚きの表情をし、殺せんせーは納得の表情だ。

 

「先程の最後の一撃、殺られたと思った瞬間、わずかに覇月君の動きが止まりました」

 

「えっ!!」

 

「ああ、本当だ…殺せる、そう感じ取った瞬間…俺の動きは鈍ったんだ」

 

「ええ、だからせんせーはもらわずに回避できたんです」

 

「そうだったんだ」

 

「でもなんで?」

 

「…俺の両親のことはこの間…話したよな」

 

寺坂組を除く生徒全員が頷く。

 

「その時のトラウマで…俺は…何よりも『命』を大切に思うようになった」

 

「あ…」

 

目の前で両親が殺されたのだ、そう思うようなってしまうのも無理はないだろう。

 

「昔は食事も碌に取れなくて…最近はましになってきたけど…それでも拒否感はある…」

 

「そっか、ご飯も大半は他の生物だもんね」

 

「ああ、で、超生物といえどちゃんと『命』を持ってる…そう思っちまった瞬間、本能的に殺さずに済むようにしちまったんだ」

 

殺せんせーを追い詰めても殺せなかった理由…それは龍哉自身にある問題が原因だった。

 

「だから…俺は1人(・・)じゃ殺せんせーを殺せない」

 

「で、しっぽ巻いて逃げ出すってわけ?」

 

「そうはいっていない…俺だけで殺せないなら、他の人にとどめを刺してもらうさ…さっきみたいにな」

 

「「あ…」」

 

先程の液状化した殺せんせーへの攻撃の時、龍哉は速水と千葉に協力して攻撃していた。

 

つまり…

 

「俺は殺せんせーを追い込むことしかできない、でも、とどめを刺せる力を持った仲間がいる」

 

龍哉はそう言って生徒全員を見渡す。

 

「…俺が追い込んで他の皆でとどめを刺す、そういう暗殺をこれから…やれないか?」

 

龍哉が提案した内容…はっきり言って例え成功しても龍哉に何もメリットはない。

 

「それで…いいの?」

 

「…やっぱ、無理だよね…」

 

「ああ…」

 

龍哉が無理かと聞くと肯定の答えが返ってきたため、龍哉は烏間先生の元に向かう。

 

「烏間先生、申し訳ないですけど…」

 

「覇っ君?」

 

「…覇月君、何か思い違いをしていないか?」

 

「え…」

 

「皆が君の提案を受け入れようとしないのは、君に何もメリットがないからだ」

 

「!!」

 

「確かに、君が奴をぎりぎりのところまで追い込み、他がとどめを刺す、しかし、賞金は殺したものに渡される」

 

「はい、分かっています」

 

「つまり、例え成功しても君には何もない…それでもいいと考えてそう提案したのか?」

 

「はい」

 

龍哉ははっきりと答えた。

 

「なぜだ?」

 

「はっきり言って、百億という賞金に興味はありません」

 

「えっ!!」

 

「興味ないの!?」

 

「うん、それ以上のものが欲しいから」

 

「賞金以上のなんて…」

 

「俺は…ほとんどが家族としか過ごしてないから…実は、友達とかって動物しかいないんだよ」

 

「あ…」

 

「だからさ、友達とか、仲間とか、それさえ手に入って暗殺さえうまくいけば…賞金何ていらないんだ」

 

「覇月…いや、龍哉!!」

 

「杉野君!?」

 

いきなり龍哉の呼び方を変えた杉野、その眼にはちょっぴり涙が浮かんでいる。

 

「そういう水くせー事いうな!!もうこの教室に来たからには俺達は仲間だ!!」

 

「うん、杉野の言う通りだよ」

 

「そうだな」

 

「友達なんてそっからなってきゃいいしね」

 

「でも、本当にいいの?」

 

「うん、俺、実はこういうのにちょっとあこがれてたから…」

 

そういった瞬間、大半の生徒からもみくちゃにされる龍哉、しかし皆笑って楽しそうだ。

 

「こんな俺だけどさ、皆、これからもよろしくな!!」

 

「「ああ!!よろしくな、覇月(龍哉)!!」」

 

こうしてさらにE組との絆を深めた龍哉、その一方で…

 

「……しかしながら本部長それは、生徒達に不安を与えはしないでしょうか」

 

烏間先生は皆から離れたところで電話に出ていた。

 

ちょうど龍哉が賞金以上のものを~といったタイミングで秘匿回線でかかってきたため、誰にも告げずに盗み聞きされない位置まで移動したのだ。

 

「『烏間君、君は生徒の不安と地球の不安、どっちが優先だ』」

 

その問いに渋い表情をする烏間先生。

 

「国の決定だ、もとより素人の子供達に殺れるとは思っておらん』」

 

「…それで、どのような人物なのでしょうか」

 

「『手練れだよ、世界各国で11件の仕事(・・)の実績がある、正真正銘…プロの暗殺者を送り込む』」

 

その報告を聞いて浮かない表情のままいくつか話をして電話を切る烏間先生。

 

ふと生徒達の方を見ると龍哉を中心に何やらとても楽しそうだ。

 

(…送り込まれてくる暗殺者…何も問題が起きなければいいが…)

 

問題が起きないことを願う烏間先生…しかし、彼は知らない。

 

その暗殺者により…大問題が引き起こされることを…

 




殺せんせーが毒を飲んで真顔になり、不破のメタ発言に対してい亜kのような会話文を入れようと思ってました。

「そういうのは言っちゃダメだろ!?言ってもいいのは異世界の烏間先生だろ!?」

「覇月君のほうがアウト!!ていうか何で知ってるの!?」

アニメの中の人ネタです、外したのは龍哉の設定がぶれかねないからです。

地の文のキャラ表記ですが基本的に主人公の呼び方に準拠しています。

作中で名前呼びになると名前に変更します。

…取り敢えず修学旅行の班振り考えないとな…

というわけで活動報告でアンケート取ります。

龍哉が所属する修学旅行の班はどこにするか、です。

締め切りは1月10日の23:59まで

待ってま~す


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ビッチの時間

ビッチ先生の時間です。

ぶっちゃけ和解するまでのビッチ先生は好きじゃないので…割と駆け足です。

この後は集会、中間テスト、修学旅行です…

中間の順位どうしよう…


「もう5月かぁ…早いね」

 

「最初はどうなるかと思ったけどな」

 

殺せんせーが地球を爆破するという3月まで…残り11か月。

 

暗殺と卒業までの期限だ。

 

「さ、今日も暗殺計画立てようぜ」

 

「そうだね」

 

「目標はどうする?」

 

「殺せりゃ一番だけど、まずは脱皮を使わせる事かな」

 

「あ~」

 

「確かに、脱皮は月一だから月初に使わせればその後に暗殺しかけても殺せる確率上がるね」

 

「んじゃ、まずはそれでいこっか」

 

「潮田君の弱点メモから行くと…」

 

皆で相談しながら暗殺計画を立てている。

 

そうこうして朝のHRの時間…

 

「…今日から来た外国語の臨時教師を紹介する」

 

「イリーナ・イエラヴィッチと申します、皆さんよろしく!!」

 

(……すっげー美人)

 

(おっぱいやべーな)

 

(……で、なんでベタベタなの?)

 

烏間先生がイエラヴィッチに何か説明し、殺せんせーがヅラをとる。

 

「本格的な外国語に触れさせたいとの学校の(・・・)意向だ、英語の半分は彼女の受け持ちで問題無いな?」

 

「…仕方ありませんねぇ」

 

「…なんかすごい先生来たね、しかも殺せんせーにすごく好意あるっぽいし」

 

「…でもこれは暗殺のヒントになるかもよ」

 

教室に入って来た時からイエラヴィッチはずっと殺せんせーにひっついているが、殺せんせーは烏間先生のほうを向いたりしていたのでよく見ていなかったようだ。

 

「タコ型生物の殺せんせーが…人間の女の人にベタベタされても戸惑うだけだ…いつも独特の顔色を見せる殺せんせーが…戸惑うときはどんな顔か?」

 

そして殺せんせーがイエラヴィッチのほうを向くと、胸に挟まれた触手が見えて…

 

ピンク色で頬を赤くして、口元が緩んでいる。

 

俗にいう「デレッとした顔」といったところか…

 

それを見た生徒達は…

 

((普通にデレデレじゃねーか!!))

 

心の中で総突っ込みを入れた。

 

「なんのひねりもない顔だね」

 

「うん、人間もあり(・・)なんだ」

 

潮田と茅野がそんな会話をしている間にイエラヴィッチが殺せんせーを口説き、殺せんせーもそれにデレデレになっている。

 

「なぁ、赤羽君」

 

「あっはは、そんなに心配する必要とかはないんじゃね?」

 

「いや、普通に疑問なんだけど」

 

「何さ」

 

「何で殺せんせーあんなにデレッ?って顔してんの?」

 

「」

 

赤羽が絶句した…そして周りにいた生徒はズッコケかけた。

 

「え…覇月君分かんないの?」

 

「ああ…たかが女性にくっつかれてるだけじゃん」

 

「「」」

 

今のはクラス全体に響き渡り、流石に全員絶句する。

 

「いや、覇月よく見ろよ!!」

 

これにいち早く元に戻ったのは岡島だ。

 

「殺せんせー、触手をおっぱいに挟まれてすごいうれしそうじゃないか!!」

 

「だからなんでそんなことで嬉しそうにしてるのかわかんないって言ってるんだが」

 

「はぁ!?」

 

「おい覇月、それ、マジで言ってる!?」

 

「ああ」

 

「…まぁ女性にああされると殺せんせーはうれしいんだよ」

 

「ふーん」

 

((し、心底どうでもよさそう…))

 

菅谷のフォローになんとなく納得したような龍哉だが、どうでもよさげな返事が返ってきた。

 

「どうでもよさげだね」

 

「だって俺らで暗殺するときにはあんまし有効そうな手じゃないから」

 

((うわぁ…))

 

確かに生徒が色仕掛けして殺せんせーが今のようにデレデレになったら先生として完全にアウトだろう。

 

流石にこれ以上HRが長引くと授業にならないので烏間先生により強制終了と相成ったが…

 

生徒全員が感づいていた、この時期にこのクラスにやってくる先生(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)、高確率でただものじゃないことに…

 

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昼放課、ほとんどの生徒が校庭に出て殺せんせーと暗殺しながらサッカーをしている。

 

というより、殺せんせーにパスを出して同時に暗殺を仕掛けているという状態だが…

 

そこにイエラヴィッチが割り込んできて、殺せんせーに本場のベトナムコーヒーを頼み、殺せんせーは喜々として買いに行った。

 

そこでタイミングよくチャイムが鳴り、5時間目の準備時間になったのだが…

 

なんと、イエラヴィッチは先生を()るのは殺せんせーの前だけ、そして潮田にディープキスをかまして情報を強制的に話させる形をとった。

 

さらに、他に情報を持っている生徒にも情報を出せと言ってきた。

 

しかもどう見ても堅気ではない男3人を呼び込んだ。

 

そして自分の邪魔をしたら殺すと…そう宣言した。

 

気絶するほど上手なキス、従えてきた強そうな男達に「殺す」という言葉の重み…イエラヴィッチがプロだという事を実感したが…同時に生徒達は思った…

 

((この先生は…嫌いだ!!))

 

と…

 

その後、潮田は情報をしゃべらされ、授業に入ったが全く教えてもらえず、赤羽、前原を筆頭にビッチコールだ。

 

それにキレたイエラヴィッチは正しい『V』の発音を習得させようとして全員を下唇をかませてそのまま授業を終わらせた。

 

そして翌日の5時間目…

 

イエラヴィッチと共に殺せんせーが倉庫に入っていく。

 

「…おいおいマジか、2人で倉庫にしけこんでいくぜ」

 

「…なんかがっかりだな殺せんせー、あんな見え見えの女に引っかかっちゃってさ」

 

「…でさ、あの人いったい何をして殺せんせー油断させてんのさ」

 

「「」」

 

今なお理解していない龍哉が全員に質問して絶句させる。

 

「覇…覇月君…」

 

「…あいつ…鈍すぎんだろ…」

 

「…えーと、あれだよ、求愛行動!!」

 

「ああ!!」

 

((納得した!!))

 

倉橋の言った求愛行動でわかるって…しかし、龍哉は皆の予想を上回ることを言い出した。

 

「でもさ、なんでなんとも思ってない人に対して求愛行動してんの?」

 

「」

 

「…覇月君、あれが彼女の暗殺方法だ。あれで彼女は何人も殺してきた」

 

「あー、なるほど…それで皆はあの人の暗殺は成功すると思ってる?」

 

いきなり話題を変える龍哉…が、龍哉の天然発言がなくなると即座に判断した何人かがそれに乗る。

 

「俺は…ああして引っかかってるから…もしかしたらって思ってる」

 

「私も」

 

磯貝と片岡が回答すると…

 

「そういう覇月はどう思ってるのさ」

 

「俺は100%失敗するって分かってる」

 

「「はぁ!?」」

 

「この前、明お祖母ちゃんが散々愚痴ってたからね、「国から推薦してきた殺し屋が私達の武器否定してきたー」って」

 

「つまり、ビッチ姉さんは俺らが使ってるBB弾とかゴムナイフとか使おうとしなかったってわけ?」

 

「おう、明お祖母ちゃんは結構がっつり絡んでるからさ、そういうの運がいいと知れるんだよ」

 

「うわぁ…じゃあどうやって殺そうとしてるんだろう」

 

「おそらく、実弾だろう」

 

「効くんですか?」

 

「いや、効かない…奴自身が我々の前に姿を現し多その時に君達に渡しているナイフとBB弾以外は効かないことを証明してきたからな」

 

「それは知ってるんですよね?」

 

「知っているはずだが…」

 

「なーんだ、プロって言ってもその程度なんだ」

 

「…そのことを度外視ししても烏間先生…私達はあの人のことを好きになれません」

 

「すまない…国から彼女に一任しろとの命令だ」

 

「ってことは国は見る目がないってことですか」

 

「…黙秘させてもらう」

 

その瞬間、倉庫のほうから銃声が響く。

 

「この音って…」

 

「まず間違いなく実弾の音だ!!」

 

「おいおい…マジかよ」

 

「ていうか今更だけど日本って実銃持ち歩くの法律違反じゃない?」

 

「本当に今更だ…」

 

そんな会話をしているうちに銃声がやみ…

 

ヌルヌルヌル

 

「いやぁぁぁぁぁ」

 

「な、なんだ!?」

 

「銃声の次は鋭い悲鳴とヌルヌル音が!!」

 

そして鋭い悲鳴とヌルヌル音がやむ。

 

「めっちゃ執拗にヌルヌルされていたな」

 

「行ってみようぜ!!」

 

そうして倉庫につくと中から殺せんせーが出てきた。

 

「殺せんせー!!」

 

「おっぱいは!?」

 

ちなみに聞いたのは岡島だ。そして女子生徒はそんな彼を汚らわしいものを見る目で見ている。

 

「いやぁ…もう少し楽しみたかったですが…皆さんとの授業のほうが楽しみですから、6時間目の小テストは手ごわいですよ」

 

「あはは」

 

「ま、頑張りますよ」

 

そしてその後にはイエラヴィッチが出てきたが…

 

体操服にブルマ、頭に鉢巻き、しかも体操服の名札にはご丁寧に【イリーナ】と記載されている。

 

((めっちゃ健康的でレトロな服にされてる!!))

 

「まさか…わずか1分であんなことされるなんて…肩と腰のコリをほぐされて、オイルと小顔のリンパをマッサージされて…早着替えさせられて…」

 

しかも顔を真っ赤にしてふらふらと足元がおぼつかなく歩いている。

 

「…その上まさか……触手とヌルヌルであんなことを…」

 

そう言ってイエラヴィッチは前のめりに倒れる。

 

((どんなことだ!!?))

 

「殺せんせー、なにしたの?」

 

「さあねぇ、大人には大人の手入れがありますから」

 

「悪い大人の顔だ!!」

 

「さ、教室に戻りますよ」

 

「「はーい!!」」

 

そうして皆が教室に戻っていく中、龍哉がふと立ち止まってイエラヴィッチのほうを見ると…

 

イエラヴィッチはとても憎々しげな表情をして鉢巻を握りしめていた。

 

(…あきらめてないな…まぁプライドは高いだろうからまた仕掛けようとするだろうけど…授業を放棄するなら…皆怒るだろうな…)

 

=======================================================

 

その翌日の英語の授業、イエラヴィッチはかなりいらいらした様子で手元のPadを操作していた。

 

黒板には大きい字で【自習】と書かれている。

 

生徒達はそれをかなりきつい目で見ている。

 

「あはは、必死だねビッチねえさん、あんな事(・・・・)されちゃプライドズタズタだろうねぇ~~」

 

「確かにな…てか有効武器を否定して未だに使おうとしてないみたいだし、本気で殺る気には見えないな」

 

「おいおいマジかよ」

 

赤羽と龍哉がそんな会話を後ろのほうでする中、磯貝が意を決してイエラヴィッチに声をかける。

 

「先生」

 

「…何よ」

 

「授業してくれないなら殺せんせーと交代してくれませんか?一応俺ら今年受験なんで…」

 

「はん!あの凶悪生物に教わりたいの?」

 

この一言に生徒の一部の顔色が変わる。

 

「地球の危機と受験を比べられるなんて…ガキは平和でいいわね~~」

 

これにさらに生徒達の表情が硬くなり始める。

 

「それに聞けばあんたたちE組って…この学校の落ちこぼれだそうじゃない」

 

この一言で―龍哉は制度を理解していないためあまり気にしていないようだが―全員の顔が表情が変わる。

 

「そうだ!!じゃあこうしましょ、私が暗殺に成功したらひとり五百万分けてあげる!!あんたたちがこれから一生目にする事ない大金よ!!」

 

生徒達がまとっている空気が変わっていることに気が付かず、イエラヴィッチはさらに提案を出そうとする。

 

「無駄な勉強をするよりずっと有益でしょ、だから黙って私に従って…」

 

ここで誰かが投げた消しゴムがイエラヴィッチの髪をかすって黒板にあたり跳ね返って教卓に落ちる。

 

「(ぼそっと)出てけよ」

 

それを見て、今つぶやかれた言葉を聞いて、生徒達の方をようやくじっと見たイエラヴィッチ…

 

それを見て気づいた…生徒達が怒っているという事に…

 

「出てけくそビッチ!!」

 

「殺せんせーと変わってよ!!」

 

「なっ…何よあんた達その態度っ、殺すわよ!!」

 

「上等だよ殺ってみろコラァ!!」

 

ブーイングと共に物を投げる生徒、交代を要望する生徒と様々生徒がいる中…

 

「そーだそーだ!!」

 

一番後ろにいるため安全な龍哉と周りが暴走しているため縮こまっている潮田がふと茅野のほうを見ると…

 

「巨乳なんていらない!!」

 

【脱巨乳】と書かれた紙をもって茅野が叫んでいた。

 

「茅野さん、それは違うだろう…」

 

そして教室の外では烏間先生が頭を抱えていた。

 

=======================================================

 

「んじゃ、今日も頑張ろうぜ」

 

「「うん!!」」

 

ときは変わって昼放課、何人かがテニスコートでナイフと殺せんせー顔のボールを使ってバトミントンのようなことをしている。

 

「よし、今日こそ龍哉負かす!!」

 

「だな、これ以上負けられっか!!」

 

「あはは…でも俺も結構負けず嫌いだからさ」

 

「じゃあ1対4ね」

 

「地味にきっついルールだしてきたな!!」

 

「…いいさ、やってやるよ」

 

「覇っ君頑張れー!!」

 

そのやり取りの後、龍哉と反対側のコートに中村、磯貝、前原、岡野が入る。

 

そうして開始した暗殺バトミントンだが…

 

「試合終~了~!!」

 

「だー!!また負けた!!」

 

「…殺せんせーの言ってた欠点残ったまんまじゃん」

 

「数を頼った思考は個々の思考を疎かにする、だっけ」

 

「…言われてみりゃ確かにそうだ」

 

「俺、互いの真ん中に落とされたとき反対側の奴がとるだろって思っていかなかったもんな」

 

「でも声出しあったらばれちゃうよね」

 

「だったらハンドサインとかで声なしで分かりやすく相互理解できるようにすればいいんじゃないかな?」

 

「ハンドサインか…」

 

「烏間先生に相談してみようぜ」

 

「そうだな」

 

そう言って皆がわいわい相談始めて、龍哉がふと校舎のほうを見ると烏間先生がイエラヴィッチを連れて何か話していた。

 

(…まぁ何とかなりそうだね)

 

そして予冷が鳴り全員教室にいるとイエラヴィッチが入ってきて黒板にいきなり何か書き始める。

 

「You're incredible in bed!言って(リピート)!!」

 

いきなり変なことを言われて全員ポカーンとしてしまう。

 

ホラ!!とイエラヴィッチに促されて全員が繰り返す。

 

「これはアメリカでとあるVIPを暗殺した時、まずそいつのボディーガードに色仕掛けで接近したわ、その時彼が私に言った言葉よ」

 

身振り手振りを交えてその時の事を解説するイエラヴィッチ

 

「意味は「ベッドでの君はすごいよ…♡」」

 

((中学生になんて文章読ませんだよ!!))

 

「外国語を短い時間で習得するにはその国の恋人を作るのが手っ取り早いとよく言われるわ」

 

どうやら外国語をどう身につけたりしたのか教えるようだ。

 

「相手の気持ちをよく知りたいから、必死で言葉を理解しようとするのよね」

 

それを聞いて生徒達は納得した顔をする。

 

「私は仕事上必要な時…その方法(ヤリかた)で新たな言語を身につけてきた」

 

「すごいな」

 

龍哉がポツリとつぶやく。

 

実際、それにかかった労力は計り知れない。

 

「だから私の授業では…外人口説き方を教えてあげる」

 

((どうしてそうなる!!))

 

「プロの暗殺者直伝の仲良くなる会話のコツ、身につければ実際の外人と会った時に必ず役立つわ」

 

((外人と…))

 

一部生徒が何やら妄想しているが気にせずイエラヴィッチは話を続ける。

 

「受験に必要な勉強なんてあのタコに教わりなさい、私が教えられるのはあくまで実践的な会話術だけ」

 

「なぁ赤羽君、受験に必要な勉強より将来に役立つと思わない?」

 

「言えてるね」

 

龍哉と赤羽の会話が聞こえる中、イエラヴィッチが言葉をつなぐ。

 

「もし…それでもあんた達が私を先生と思えなかったら…その時は暗殺をあきらめて出ていくわ」

 

そういったイエラヴィッチの顔はすごく不安げだ。

 

「……そ、それなら文句ないでしょう…(ポツリと)…後いろいろ悪かったわよ」

 

それを見て全員急に笑い出し、驚くイエラヴィッチ。

 

「何ビクビクしてんだよ、さっきまで殺すとか言ってたくせに」

 

「なーんか普通に先生になっちゃったな」

 

「もうビッチ姉さんなんて呼べないね」

 

岡野ひなたの言葉にぶわっと目じりに涙を浮かべるイエラヴィッチ。

 

「あんた達…分かってくれたのね」

 

「考えてみりゃ先生に失礼な呼び方だったよね」

 

「んじゃ、これからは普通に読んであげないとね」

 

「じゃ、ビッチ先生で」

 

ビシッ!!

 

赤羽が言い放った今後の先生としての呼び名に固まるイエラヴィッチ。

 

「えっとねぇキミ達、せっかくだからビッチから離れてみない?」

 

そんな風に呼ばれてはたまらないとイエラヴィッチは変えようとするが…

 

「でもなぁ、もうすっかりビッチで固定されちゃってるし」

 

「うん、イリーナ先生よりビッチ先生のほうがしっくりくるよ」

 

(いや、そうかな?)

 

龍哉が疑問の思う中、クラス中からビッチコールが沸き上がり…

 

「キー―――ッ!!!やっぱりキライよあんた達!!」

 

「…まぁそんなこと言わないで授業してください、イリーナ先生(・・・・・・)

 

そう龍哉が言った瞬間、全員の顔が龍哉のほうを向く。

 

「あれ、俺なんか変なこと言った?」

 

「あ…あんた…」

 

なぜかイリーナ先生がすごく感動した表情で龍哉を見つめて、そのまま近づいてくる。

 

それに潮田の事を思い出した龍哉は身構えるが…座っているのであまりうまく逃げれそうにはないが…

 

「あの…何かふぐもぉ!!」

 

「なっんていい子なのぉ~~~~!!!!」

 

「もガガガガガガガガガ!!」

 

龍哉が他の生徒と違い、ファーストネーム呼びしたことがどうやらイリーナ先生の琴線に触れたらしい。

 

龍哉を思いっきり抱きしめて頭を撫で繰り回している。

 

しかし、龍哉もさるもの、すぐに自分の両腕をイリーナ先生と自分の頭の間に差し込んで脱出する。

 

「いきなり何するんですか!?」

 

「…そうよね、そうようね…」

 

「話聞いてますか?」

 

「こっちのほうが嬉しいわよね、ご褒美よ」

 

「は?何がってうおぉ!!」

 

今度はディープキスしようとしてきたので思わずのけぞって躱す龍哉。

 

「何で躱すのよ!!」

 

「いきなりんなことされたら躱すわ!!というかなんでいきなりあんなことした!?」

 

「嬉しかったからに決まってるでしょ!!」

 

「何が!?」

 

「名前でちゃんと呼んでもらえたことよ!!」

 

それにああ、と龍哉も納得する。

 

確かに他の生徒達に苗字を略した形とはいえ変な風に呼ばれる中普通に呼ばれたら感動するだろう…それでも抱きしめたりディープキスはどうかと思うが…

 

そしてそれを聞いて…

 

「「俺らにもお願いします、イリーナ先生!!」」

 

阿呆な男子2名が立って名前呼びして頭を下げるが…

 

「さ、授業始めるわよ~」

 

イリーナ先生はガン無視して授業を始め、それに倣って生徒達、特に女子生徒はその男子たちに軽蔑の視線を向けてイリーナ先生に向き合う。

 

「「畜生!!なんで覇月だけ!!」」

 

「俺が知るか」

 

「下心があるかないかでしょ」

 

「サイッテー」

 

「巨乳ナンテ滅ビロ」

 

「茅野、なんか怒りのベクトル違うよ!!」

 

そんな風にわちゃわちゃとしてだが、終息した今回の騒動…

 

そしてこれを見ていた烏間先生は…

 

(…暗殺のために理想的な環境を整えるほど…学ぶために理想的な環境に誘導されてしまっている)

 

事実、現在の英語の授業は受験にはさほど役立たないが…世界がグローバル化している現在ではかなり有用な授業になっている。

 

(皆が踊らされているようだ…このモンスターの触手の上で…)

 

 

 

 

 

 




龍哉はちゃんと名前で呼んであげてます。

そのためビッチ先生にとって唯一かわいい生徒、という立場になるかもです。

あ、ビッチ先生はヒロイン候補にはなりませんよ

むしろ姉弟関係に近いものにしていく予定です。

一部カットしているのは主人公が「教師」ではなく「生徒」だからです。


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集会の時間

龍哉の祖父、秀治登場!!

そしてGガンファンの皆さん、あれが出ますよ!!

ヒロインを決めるのはもう少し先にしようと思ってましたけど…

今回の話でほぼ確定にします。

それと本校舎卒業生の未来をすさまじく曲解(?)しています。

でもこんな感じじゃないかって本編読んでて思いました。

それではどうぞ!!


イリーナ先生がE組なじんで数日、E組の生徒達は急いで校舎のある山を下りていた。

 

「急げ、遅れたら今度はどんなひどいペナルティがあるか、分からないぞ」

 

「この前は本校舎の花壇の掃除だったね」

 

「あれえぐかったな~…そもそも広すぎるんだよ」

 

「お前はほとんどサボっていただろ!!」

 

「あっれ、そうだっけ?」

 

「というか…なんで私達がこんな目に合わないといけないの~~~!!!」

 

「岡野さん、叫んでる暇があったら下りるために動いた方ほうがいいよ」

 

「そうだな」

 

「あっさり流さないで!!」

 

今、E組の生徒達は昼放課返上で自分達の通う校舎のある山から下山していた。

 

理由は…

 

「しかし、なんでわざわざ昼過ぎに集会をやるんだ?早朝にやった方が効率いいだろうに」

 

「それ、俺らも本校舎にいた時に思ってたけど…」

 

「こうなると、私達の差別待遇を行うためってよくわかるわ」

 

「…そう言えば、覇月の祖父さん、まだ学校に来ないよな」

 

「そういえば…」

 

「確かに」

 

「あ~…そういや今日あたりから行くって確か言ってた」

 

「ってことは今日の集会でもしかすると挨拶あるかもな」

 

「わざわざE組に来る先生なのにか?」

 

「晒し者ってことかも」

 

「お祖父ちゃん相手にそれ無謀…てか、絶対俺巻き込んで滅茶苦茶なことやると思う」

 

「滅茶苦茶って…」

 

「何する気なの…」

 

「多分度肝を抜くことだろうけど…十中八九、挨拶と紹介を兼ねたアレ(・・)だろうな」

 

「心当たりあるの?」

 

「うん…E組含めてってか俺以外の全員の心が一つになると思う」

 

「どんなことやる気だよ!!」

 

「それは見てのお楽しみにというより…言っておいても実際に見たらめっちゃ驚くだろうしね」

 

「…まぁ覇月にはびっくりさせられることが多いから…うん、気にしないでささっと行こう」

 

「そうだな」

 

「てか、他の皆大丈夫かな…」

 

そんなことを龍哉が心配していたら…

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

 

「なんだ!?」

 

「この声って…」

 

「岡島君…だよね」

 

「ああ…って皆脇道にそれろ!!大岩が転がってきてる!!」

 

「「ウソォ!!」」

 

龍哉の言葉に振り向くと大岩が転がってきて、その前を岡島が爆走していた。

 

流石にやばいと感じ、即座に磯貝が片岡の、前原が岡野の手を引いて脇道にそれ…

 

「って龍哉何を!」

 

「あの大岩を砕く気か!?」

 

「ああ!!」

 

「それアブな…くないね」

 

「覇月だもんね」

 

ここ数日の体育の授業で龍哉の実力を間近で見ていたため、まったく気にしない4人と

 

「龍哉~~!!助けてくれ~~~!!」

 

「おう!!任せときな!!」

 

そう言って龍哉が構え、そのわきを岡島が通り過ぎると大岩が迫ってきて…

 

「覇ぁ!!!」

 

龍哉の一声と共に繰り出した拳が大岩に突き刺さり、大岩は砕け散った。

 

「はあはあはあ、た、助かった~~」

 

「無事で何より」

 

そう言って龍哉は岡路もあのもとに行って体に引っ付いていた蛇をとって森の中に返していく。

 

「しっかし、なんであんなことになってたんだよ」

 

「俺が知るかよ」

 

「よく見るとずぶぬれじゃないか」

 

「さっき川の橋が落ちてさ…千葉は何とか助かったけど、俺だけ流された」

 

「おいおい…」

 

「こうなるとさっき岡野さんが叫んでも仕方なく思えてきた」

 

「確かにな」

 

そうして皆でまとまって歩いていくが…道中さんざんなトラブルがあり…

 

「ぜぇぜぇ」

 

「いったいどうなってるんだ…この山」

 

自然ありふれたこのE組がある山、まったくもって手が加えられていないため自然災害(?)も結構な頻度で起きるようだ。

 

「てか、時間は…」

 

「大丈夫だ、このくらいなら、余裕で間に合う」

 

「烏間先生!!」

 

「あれ?殺せんせーは?」

 

「奴なら、旧校舎に待機させている。他の生徒達の目にさらさせるわけには、いかないからな」

 

「勝手に来そうな気もしますがね、独りぼっちを嫌がって」

 

「…覇月君が言うと説得力が半端ないというか…」

 

「あたりそうで怖いな」

 

「まぁいい、覇月君、お祖父さんと段上でることになっているが、大丈夫か?」

 

「ええまぁ…絶対驚くでしょうが…」

 

「…何をする気かは聞かないでおくが…暗殺のことがばれるようなことはするな」

 

「その辺りは大丈夫です、潮田君や赤羽君のように下手すりゃばれかねないことはしませんよ」

 

「…その2人を引き合いに出したこともまぁ聞かないでおく」

 

「あれ?ビッチ先生は?」

 

「ちょっと、昼になったら移動なんて聞いてないわよ!!」

 

「ビッチ先生」

 

「どうしたんですか?」

 

「ヒールだと走りづらいのよ!!」

 

「山に登るのにヒールはどうかと…」

 

「しょうがないですね」

 

そう言って龍哉がイリーナ先生の前に背を向けてしゃがみ込む。

 

「イリーナ先生、乗ってください。俺がおぶって下まで行きます」

 

「え!?」

 

「おいおい覇月…」

 

「なにもそこまで…」

 

「だってこれ以上こうしてたらイリーナ先生だけ遅刻だぜ?そうしたらまたなんか言われるんじゃねーの?」

 

「それは…」

 

この学校の制度をようやくある程度理解した龍哉の言葉に詰まる皆…だが…

 

「龍哉、別にいいわ」

 

「イリーナ先生?」

 

「生徒に背負ってもらって下りてきた、でも結局なんか言われるわ…だったら自分で下りて自分で何とかするわよ」

 

「…分かりました」

 

「でもそういう気づかいはありがとう」

 

「いえ、イリーナ先生には授業で役立つこと教えてもらってますし」

 

「ほんといい子」

 

感激して涙目になってわしゃわしゃと龍哉の頭をなでるイリーナ先生…

 

「…急がないと遅れるぞ」

 

「やっべ!!」

 

「なんかほっこりしている場合じゃなかった!!」

 

「あわわ、皆待っきゃあ!!」

 

グキッ!!ドサッ!!

 

木の根につまずき何か嫌な音がした方を見ると倉橋が倒れていた。

 

「倉橋さん!?」

 

「大丈夫か」

 

不安そうに倉橋のもとに全員が集まってくる。

 

「これは…」

 

「完全に足首を捻ってますね…歩くのも難しいよ」

 

「えっ!!」

 

「だ、大丈夫ですよ、歩けます」

 

「いや、無理だよ…腫れてきてるし…集会欠席したほうが…」

 

「でもそれだとペナルティが…」

 

「あいつら、俺らが怪我してようが病気になってようが容赦ないだろうしな」

 

「おいおい…人としてどうなんだ、それ…」

 

本校舎のやり方に疑問を覚える龍哉…しかし、そうだとするなら倉橋は確実にペナルティを食らうことになる。

 

「倉橋さんはペナルティを受ける気なくて、行きたいから集会に行く気なんだね?」

 

「うん」

 

龍哉の問いに強い意志を持った目でうなづき返す倉橋、それに対して龍哉は…

 

「…分かった、ここで問答してても時間ないし、俺が連れてくよ、応急処置だけどひねった足の治療もできるし」

 

「連れてくってどうやひゃあ!!」

 

龍哉が自分が連れてくと言い出し、どう連れていくのか疑問に思った倉橋だが、その直後の龍哉の行動に驚く。

 

龍哉が倉橋の左腕を自分の首に回し、そのまま自分の左腕を両ひざ裏に、右腕を背中側に回して抱き上げたのだ。

 

「は、ははははは、覇っ君!?」

 

「あ、しゃべらないがいいよ…皆より先に行って倉橋さんの足の応急処置するから」

 

「へ?」

 

「じゃ、皆先に行くよ。場所は倉橋さんに聞けばわかるから心配しないで」

 

言うが早いか龍哉は競歩並みかそれを上回っているような速度でそのまま歩いて山を下り始めた。

 

「…あれって…」

 

「いわゆるお姫様抱っこだよね…」

 

「龍哉の奴なんも躊躇しないでやったな」

 

「ある意味すげえわ」

 

「俺らも急ごうぜ」

 

「そうだな」

 

龍哉の行動に驚き、既にすごく疲れを感じつつ、嫌味をあまり味わいたくないため皆急いで山を下りていった。

 

=======================================================

 

本校舎生徒達があまり来ない場所にある手洗い場、そこの場所を倉橋に聞いて龍哉はそこに到着した。

 

「んじゃ、今から応急処置するから靴と靴下脱いで、水で冷やしておいてくれる?」

 

「う、うん」

 

真っ赤にしている顔を龍哉から隠すようにうつむいて靴と靴下を脱ぎ、水を流して患部を冷やす。

 

それを背に龍哉は自分の得物―例の対殺せんせー布―を割いて包帯代わりのものを作り上げる。

 

「じゃあちょいっと失礼」

 

「あ、うん」

 

倉橋の怪我した足首を差し出すと龍哉は割いた布を巻いていく。

 

「上手だね」

 

「うん、お祖父ちゃんとの修行で怪我すること多くて…それでお祖父ちゃんに何度もやってもらったから覚えてるんだ」

 

「そうなんだ…」

 

「うん、これで終わり!!」

 

「ありがとう、覇っ君」

 

そう言って脱いだものを履いて恐る恐る少しだけ体重をかけると、痛みはあるものの歩けないわけではない…が…

 

「あくまで一時的な応急処置だから、それ以上負荷かけると悪化しかしないから片足立ちがいいんだけど…」

 

「それはさすがに…」

 

「うん、だから周りの人に支えてもらってて、戻るときはまた俺が連れてくから」

 

「…さっきみたいに?」

 

「だって肩かして歩くなんて俺と倉橋さんの身長差じゃ無理でしょ」

 

「それはそうだけど…(小声で)恥ずかしいよ」

 

「何か言った?」

 

「う、ううん!!それよりも早くいかないと!!」

 

「と、そうだね」

 

そう言って集会が行われる体育館に移動する龍哉達…ちなみにまたお姫様抱っこをしようとしたが倉橋が近いから大丈夫といったのでそのまま行くことになった。

 

「皆!」

 

「あ、倉橋さん、足大丈夫?」

 

「多分ギリだと思う…あんまし強くひねってはいないけど、ひねり方がね」

 

「じゃ、私が集会中支えたりフォローしてやりますか」

 

「莉緒ちゃん!?」

 

「よろしく、中村さん」

 

「お願いね」

 

委員長コンビも了承し、倉橋の後ろに中村が並び、そのまま全員整列したころに本校舎の生徒達が入ってくる。

 

その中には整列する最中に嫌味を言ってくるものもいて…

 

(器小さい…殺せんせー以下だな)

 

と、龍哉は内心酷評していた。

 

そして始まった集会でも校長を筆頭にE組批判のオンパレード…途中登場した烏間先生とイリーナ先生に他の生徒達が目を奪われたり、イリーナ先生が潮田に絡んで烏間先生に引き釣り戻されたりといろいろあった。

 

なお赤羽だが潮田によりサボりであることが判明している。

 

そして生徒会の連絡の時に…

 

『…はいっ、今皆さんに配ったプリントが生徒会行事の詳細です』

 

(いや、配られてないんだが)

 

龍哉がそう思うと、E組全員が確認しあうと誰も持っていない…

 

それを見て委員長の磯貝が配られていないことを報告するが、どうやらわざと(・・・)印刷して持ってこなかったようだ。

 

「なにこれ、陰湿ね」

 

「こんな事しないと人を見下せないのか…」

 

イリーナ先生と龍哉がつぶやく…その次の瞬間、E組全員の手元に手書きの(・・・・)プリントが配られる。

 

「磯貝君」

 

E組校舎にいるはずの殺せんせーの声が聞こえてきて磯貝が振り向くと…

 

「問題ないようですねぇ、手書きの(・・・・)コピーが全員分あるようですし」

 

どう見ても変な人にしか見えない殺せんせーがペンを回して烏間先生とイリーナ先生の間に立っていた。

 

磯貝が問題ないことを告げると壇上の生徒は動揺して笑いどころとか言っている。

 

(…お祖父ちゃんのやること、ちょっと乗り気じゃなかったけど気ぃ変わった、全力でやってやんよ)

 

どうやら本校舎の連中の態度に龍哉も腹をくくったようだ。

 

ちなみに烏間先生が殺せんせーを説教して、イリーナ先生が殺せんせーにナイフを振り、それを見た烏間先生に連れていかれるという一幕があり、それ見てE組の面々は笑っていた。

 

『それでは最後に講師の先生と新しい生徒を紹介します…ま、E組の生徒と講師なんで適当に聞き流してください』

 

その放送が終わった瞬間…

 

「くっくっく…はっはっはっはっは!!」

 

突如笑い声が響き、龍哉以外の全員がどこからかと体育館を見回しても見当たらない…が、声の主はそんなこと気にもしていないようだ。

 

その証拠に…

 

「答えよ龍哉!!流派・東方不敗はぁ!!」

 

「王者の風よ!!」

 

いきなり叫ばれたため龍哉の周囲の生徒がビクッ!!と驚く。

 

ちなみに龍哉は呼ばれて答えた時に腰に布を巻いている。

 

そして顔を隠した人物―体系的に男だ―が中央を走り、龍哉がその方に走り出す。

 

「お、おい!!」

 

「覇月君!?」

 

一番近くにいた吉田大成と矢田が龍哉に声をかけるが構わず龍哉は自分の名を呼んだ人物のもとに行くと…

 

その人物が腕が分裂しているような速度で拳を出し、龍哉がそれを寸分たがわず受け止めつつ…

 

「全新!!」

 

「系列!!」

 

「「天破侠乱!!見よ!!東方は赤く燃えている!!」」

 

という掛け声とともに壇上に上がり、龍哉の左拳と謎の人物が右拳を合わせる。

 

それを見ていた他の面々は…

 

((なんぞあれ!?))

 

余りの行動に全員白目をむいていた…気絶しているわけではないことを確認した謎の人物が話し始める。

 

「では自己紹介をさせてもらおう、儂が今呼ばれたE組の講師…」

 

そこまで言うと自分の顔を隠していた布に手をやり…

 

「覇月秀治よ!!」

 

布を取り払って自分の名を告げる…

 

果たして、こんなインパクトのある自己紹介が今まであっただろうか…普通にない。

 

ある程度非常識になれている、というより慣れざるを得なかったE組は早々に復帰し、普通に聞いていたが…

 

当然こんな非常識を見せつけられた本校舎の連中は…

 

「一体何なんだ!!」

 

「ふざけてるのか!!」

 

「これだからE組は!!」

 

「担任もなんとか言えよ!!」

 

そう言って全員の視線が烏間先生達の方に向くが…

 

「さ、流石空挺団伝説の教官…おいてなお切れのある動き…素晴らしい…」

 

「カラスマ、流石に注意したほうがいいんじゃない?」

 

なぜか感動していた。

 

思わずイリーナ先生が突っ込みを入れるレベルでだ。

 

そんな中、秀治が前に出て語り始める。

 

「ふん、一体何なんだ、か…貴様らのように他人を見下さなければ自分が優位と思えん者どもに、語ることなど何もないわぁ!!」

 

ちなみにマイクを使っていないのに声は体育館全体に響いていた。

 

先程の龍哉とのやり取りの際にも響いていたので疑問に思ったのはごく少数だ。

 

「ただ儂は先程そこのまるメガネが言ったように今月からE組に赴任する講師よ…それ以上、語ることはない!!」

 

抱負も語らず、ただ自分はそういう存在だ、といっているだけだ。

 

ある意味シンプル、ある意味本校舎の連中を見下している。

 

「そもそも、興味がないのであろう、嘲っていたであろう、そんな連中に抱負など語っても馬耳東風、意味などない!!」

 

そういわれてしまえばそうだ。

 

「あ~、確かにそうだね、師匠(せんせい)

 

「龍哉よ、おぬしは言いたいことはあるか?」

 

「1個だけあります」

 

龍哉がそう言うと秀治は1歩後ろに下がり、龍哉が壇上の中央に立つ。

 

「本校舎の皆さんはまるで恐竜ですね、とするなら僕らE組はネズミでしょうか…まぁこれからしっかり頑張ります、以上!!…(小声で)この意味わかる奴いんのかな?」

 

龍哉の言葉はどこか意味深そうだ…E組は首をかしげている…自分たちをばkにするような性格ではないことを分かっているからだろう。

 

…まぁ機嫌よくしている本校舎の連中は全く疑問に思っていなさそうだが…

 

そうして全体集会は終わりを告げた。

 

=======================================================

 

その帰り道、龍哉は来た時のように磯貝達と戻っていた。

 

「なぁ覇月、さっきの壇上での言葉だけどさ」

 

「ああ、あれ?意味わかった?」

 

「いや、まるでお前も俺らをバカにしているみたいだった」

 

「ああ、普通に聞くとそうだろうけど…あれ、本校舎の連中のことすげーバカにしてたんだぜ」

 

「マジで!?」

 

「え~と…もしかして…」

 

「あ、倉橋さん分かった?」

 

「多分…こうかなぁっていうのは」

 

「言ってみろよ」

 

「そうそう」

 

「うん…あのね、恐竜って強くて地上支配していたけど、地上の環境が激変して絶滅しちゃったじゃない」

 

「そういやそうだったな…」

 

「それでね、もしかして本校舎が恐竜っているのは椚が丘学園(ここ)を卒業したら環境の変化についていけないってことじゃないかなぁって」

 

「おお~、倉橋さん、正解、その通りだよ」

 

「やった!!」

 

「なるほど、逆にネズミはそういう状況で生き残って今なお生きてるから…俺らは卒業しても変わった環境に対応して生きていけるけど本校舎の連中は無理、か…確かに馬鹿にしてるっちゃそうだな」

 

「そうだな」

 

「事実、ちょっと聞いた話じゃ有名大学や一流大学に進学してもまともに卒業できたりしてるのって少数らしい、大多数は良くて留年、自主退学もあるってよ」

 

「うわぁ…」

 

「マジかよ」

 

「そもそも自分より下がいなけりゃモチベーション保てないなんて、非効率だよ…まず自分よりも下の奴探して見つけてそいつをバカにしてもさ、そいつがそれで一念発起して逆に自分よりも上に行ったらどうするんだよ」

 

「それは…」

 

椚が丘学園(ここ)にいる間は問題なくても、高校、大学で外に出てったら相当苦労するだろうな」

 

「…学校に通うのってこれが初めてだよな」

 

「初めてだけど、そういう事を勉強してないわけじゃないぜ」

 

「なるほどね」

 

そう言いあいながらE組校舎に戻って残りの授業を消化し放課後と相成った。

 

なお、校舎に戻る山を登るとき倉橋は行き同様龍哉にお姫様抱っこされてそのまま保健室に連れていかれて治療を受け、戻るときに殺せんせーにピンクのにやにや顔で見られたのは余談だろう…

 

 

 




はい、アニメの話も盛り込んだ話でした。

見ていてこんなシーンあってもいいんじゃと思ってました。

それを主人公とヒロインでやろうと思ってました。

書いてて思った事…暗殺教室の強者=鈍感の法則が成り立つ。

この小説の主人公はどちらかといえば「知らない」側になるとおもいますがね。


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支配者の時間

はい、ついにきました中間テスト

…なかなか2巻が終わらない…

オリジナルちょいあります。

それと修学旅行の班分けですが2班or4班とアンケ回答があったので4班にします。


「さて、始めましょうか」

 

((……何を?))

 

殺せんせーが頭に鉢巻きを巻いて分身してそう言い、全員が困惑している。

 

「学校の中間テストが迫ってきました」

 

「そうそう」

 

「そんなわけでこの時間は」

 

「(クワッ)高速強化テスト勉強を行います」

 

分身して口々に告げる殺せんせー。

 

「先生の分身が1人ずつマンツーマンで」

 

「それぞれの苦手科目を徹底して復習します」

 

言いながら生徒達の前に殺せんせーが現れたため全員びっくりしている。

 

「下らね…ご丁寧に教科別にハチマキとか…」

 

愚痴る寺坂…だが自分お前にいる殺せんせーの分身を見て…

 

「なんで俺だけNARUTOなんだよ!!」

 

自分だけハチマキが違うことに突っ込みを入れた。

 

「寺坂君は特別コースです、苦手科目が複数ありますからね」

 

突っ込みに対して理由を答える殺せんせー、そして龍哉も寺坂に同じく質問する。

 

「殺せんせー、じゃあ俺の前にいるの分身のハチマキ…何?」

 

龍哉の前にいる殺せんせーの分身のハチマキは…日の丸だった。

 

「日の丸ハチマキです、覇月君は初めての学校で初めてのテストですからねぇ、気合を入れていきましょう」

 

「チョイス理由がまさかの根性論!?」

 

「渚君、覇月君のことを気にしていないで勉強しましょう」

 

「す、すみません」

 

謝って自分の勉強に戻る潮田…

 

それにしても殺せんせーはどんどん速くなっているように思えてしまう。

 

国語6人、数学8人、社会3人、理科4人、英語4人、NARUTO1人、日の丸1人。

 

クラス全員分の分身だ…少し前までは3人ほどが限界だったので単純計算で9倍は速くなっていることになる。

 

グニョン!!!!

 

急に殺せんせーの分身の左側が何かを避けたようで大きく変わり、三日月を鏡写しにしたような形になる。

 

当然ほとんどの生徒がそれに驚く。

 

「なんだ!?」

 

「誰だよおい!!」

 

騒々しくなり、もしかしてと龍哉が隣を見ると…

 

案の定、赤羽が殺せんせーにナイフを突き出していた。

 

「急に暗殺しないでくださいカルマ君!!それ避けると残像が全部乱れるんです!!」

 

「意外と繊細なんだこの分身!!」

 

「まぁ元をたどればたった1体なんだから当然っちゃ当然か」

 

分身が全部乱れた理由を龍哉が冷静に分析している。

 

「でも先生こんなに分身してて体力持つの?」

 

そして潮田が殺せんせーの体力を心配する…これだけ分身しているのは初めて見るため気になったのだろう。

 

「ご心配なく」

 

外のほうを殺せんせーが向き、つられて潮田も外を見る。

 

「1体外で休憩させてますから」

 

「それむしろ疲れない!?」

 

休憩のためになぜか1体余計に分身している。

 

潮田の突っ込みも当然のものだろう。

 

しかしこの加速度的なスピードアップもといパワーアップは…1年後に地球を滅ぼす準備段階なのかもしれない。

 

何にしても…殺し屋にはとても厄介な暗殺対象(ターゲット)で…

 

「…と、ここまではわかりましたか?覇月君」

 

「はい」

 

テストを控えた生徒達には心強い先生となっている。

 

=======================================================

 

「さようなら殺せんせー」

 

「また明日、殺せんせー…テスト期間中は暗殺訓練なしか…テストに集中しろってことかな?」

 

「だと思うよ」

 

「んじゃ、家に帰っておとなしく勉強するか…あ」

 

「どうしたの?」

 

「職員室見てみろよ」

 

帰ろうとしていた龍哉がふと職員室を見ると誰かを殺せんせーが接待していた。

 

「誰だありゃ?」

 

「あ、覇月君は知らないんだ…この学園の理事長だよ」

 

「へぇ…それじゃ、あの人も俺らのやってること(暗殺)のこと知っているのか」

 

「多分ね…ねぇ」

 

「言いたいことはわかるぜ、聞いてくか」

 

「うん」

 

理事長と殺せんせーの話の内容が気になり、学んだ暗殺技術(スキル)を生かして盗み聞きを刊行する龍哉と潮田。

 

そして肝心の会話の内容は…

 

「なんとも悲しい生物(おかた)ですね。世界を救う救世主となるつもりが世界を滅ぼす巨悪となり果ててしまうとは」

 

(救う…?)

 

(滅ぼす…?)

 

盗み聞きを開始してすぐに聞こえてきた、理事長が紡いだ言葉に思わず疑問を覚えて顔を見合わせる龍哉と潮田…

 

「…いや、ここでそれをどうこう言う気はありません、私ごときがどうあがこうが地球の危機は救えません」

 

殺せんせーに対面していたが、烏間先生のほうに移動する理事長

 

「よほどのことが無い限り私は暗殺にはノータッチです(小声で)充分な口止めもいただいていますし」

 

「…助かっています」

 

「随分と割り切っておられるのね、嫌いじゃないわそういう男性」

 

「光栄です」

 

烏間先生と小声で話し合い、イリーナ先生から賛辞を受けつつ窓際に移動する理事長…

 

「…しかしだ、この学園の長である私が考えなくてはならないのは…地球が来年以降も生き延びる場合」

 

そう言って理事長は窓枠に座る。

 

「つまり、仮に誰かがあなたを殺せた(・・・)場合の学園未来です」

 

理事長は足を組み、そこに手を回す。

 

「率直にいえば、ここE組はこのまま(・・・・)でなくては困ります」

 

これに殺せんせーは何か思うような反応(リアクション)をし、龍哉は首をかしげる。

 

「(小声で)潮田君、どういうこった?」

 

「(小声で)えっと多分」

 

「…このままといいますと、成績も待遇も最底辺という今の状態を?」

 

「…はい」

 

「(小声で)ああいうことだよ」

 

「(小声で)待遇はともかく、成績上がっていけないっておかしくね?」

 

「働きアリの法則を知っていますか?どんな集団でも20%は怠け、20%は働き、残り60%は平等になる法則」

 

「(小声で)知ってる?」

 

「(小声で)さすがに知ってる」

 

「私が目指すのは、5%の怠け者と95%の働き者がいる集団です」

 

「(小声で)目指すのはいいけど不可能だろ」

 

「(小声で)えっ?」

 

「(小声で)それを実現したいのなら…世界を、少なくとも日本の教育機関を完全に掌握しないと出来ないだろ」

 

龍哉が理事長の目指すものを否定する中、理事長の話は続く。

 

「『E組の様にはなりたくない』『E組にだけは行きたくない』95%の生徒が強くそう思うことで…この理想的な比率は達成できる」

 

「…なるほど合理的です、それで5%のE組はみじめでなくては困ると」

 

「今日D組の担任から苦情が来まして」

 

「(小声で)あっ」

 

「(小声で)どうした?」

 

「『うちの生徒がE組の生徒からすごい目で睨まれた』『殺すぞ』と脅されたとも」

 

「(小声で)実は集会の後に…」

 

事情を龍哉に潮田が説明する。

 

「(小声で)…頭痛くなってきた」

 

「(小声で)ごめん」

 

「(小声で)いや、潮田君は悪くないよ、むしろ俺に言わなくてよかったよ」

 

「(小声で)なんで?」

 

「(小声で)俺だったらじゃあ()ってみろよって言ってそいつらの手で俺の首の首を絞めさせてた」

 

「(小声で)何する気なの!?」

 

「(小声で)俺らは幸か不幸か、殺す覚悟ってのを教わってる…覚悟のない奴に言われても腹立たしい」

 

「(小声で)覇月君…」

 

そう言った覇月の顔は…とても悲しそうな顔をしていた。

 

(覇月君は…命の大切さっていうのを多分…僕らの中で一番理解しているんだろうな)

 

それを見た潮田は…かつて自分のことを殺せんせーが見ていないと思い、あっさりと自分を捨てて殺せんせーを殺そうとしたことについて龍哉が怒った理由を本当の意味で知った気がした。

 

(覇月君は…自分の命が命がけで守られたものであることを理解していて…でも、命は時としてあっさりと奪われてしまうものという事も理解していて…だから尊いものだって分かってるんだ…)

 

龍哉はもう普段のような表情に戻っていたが、どこかぎこちなさがあった。

 

(だから…許せないんだろうな…『命』を軽視している人たちのことを)

 

「暗殺をしているのだからそんな目つきも身につくでしょう、それはそれで結構」

 

「(小声で)いや、いいのかよ」

 

「問題は、成績底辺の生徒が一般の生徒に逆らう事…この間の転校生の言葉のようにね」

 

「(小声で)えっ?」

 

「(小声で)うわ、理事長馬鹿にされてること気づいてたのかよ」

 

「(小声で)それって」

 

「(小声で)後で教えてやる」

 

「それは私の方針では許されない、以後厳しく慎むよう伝えてください」

 

「(小声で)ごめん殺せんせー、俺無理だわ」

 

「(小声で)諦め早いよ!!」

 

慎めと理事長は言うが龍哉は慎む気はないのか即座に殺せんせーにその場で謝罪する…潮田しか聞いていなったが…

 

そして理事長は懐に手を入れて何かを取り出し、殺せんせーに投げ渡す。

 

「殺せんせー」

 

理事長が投げ渡したのは…知恵の輪だった。

 

「1秒以内に解いて下さいッ!!」

 

「えっ、いきなりッ…」

 

1秒経過―――

 

殺せんせーの触手が知恵の輪に絡まっている。

 

((なんてザマだ!!))

 

知恵の輪にテンパって解けず、絡まって倒れてしまった殺せんせーを見て思わず突っ込む龍哉と潮田。

 

「……噂通りスピードはすごいですね、確かにこれなら…どんな暗殺だって躱せそうだ」

 

そして倒れた殺せんせーに聞こえるように理事長は顔を下げ…

 

「でもね殺せんせー、この世の中には…スピードで解決出来ない問題もあるんですよ」

 

「(小声で)なんか嫌な予感がするな」

 

「(小声で)えっ?」

 

「(小声で)理事長、何か企んでるぜ」

 

龍哉は理事長の口調や言葉から何かを感じ取ったが…それをどんなものなのかそこまでは分かっている様子はない。

 

「では私はこの辺で」

 

「(小声で)やばい出てきた」

 

「(小声で)ととっ」

 

龍哉達が立ち上がり帰る途中になったところで理事長が出てきて龍哉達に向き合う。

 

「初めましてだね、転校生の覇月龍哉君」

 

「どうも」

 

「今まで学校に通わないでいきなりこんなところでは大変だろうね」

 

「この教室にいる間は全く問題ありません」

 

「そうか…それでは、中間テスト期待しているよ、頑張りなさい」

 

龍哉も理事長も表面上は穏やかだが…どこか言葉に裏があるような舌戦を繰り広げて、理事長が去り残った龍哉と潮田が廊下に残された。

 

「…あんな乾いた「頑張りなさい」なんて…初めて聞いたぜ」

 

「うん…」

 

「どうした?大丈夫か?」

 

「ううん、あ、ていうかさ」

 

「んあー、とりあえず行こうぜ」

 

「…そうだね」

 

龍哉と潮田が廊下を歩いていく…職員室を見なかったがそれは2人にとって幸福だったかもしれない…

 

見ていたら2人ともどこか燃え上がっている殺せんせーに驚いていただろうから…

 

=======================================================

 

帰宅するために山を下りていくと途中で赤羽が出てきた。

 

「やっほ~渚君、覇月と一緒だったんだ」

 

「まぁね」

 

「たまたまな…お前は何でそっから出てきたんだ」

 

「え~ビッチ先生の車に悪戯してた」

 

「「何してんだ(るの)!!」」

 

「だっていい反応(リアクション)してくれそうだし」

 

「だからってなぁ…」

 

「カルマ君ってそういうの躊躇ないよね」

 

「もう少し嗜みってもんを覚えたらどうだ?」

 

「え~…それよか渚君さ、さっきからちらちら覇月のこと気にしているけどどーしたの?」

 

「え…あ、うん…実は…」

 

赤羽にどうかしたのか問われ、先程龍哉とともに見聞きした殺せんせー達と理事長の話を潮田は話した。

 

「それで…僕、覇月君に謝らなきゃって」

 

「…」

 

「僕は…E組行きって言われて…今まで同じクラスだった―D組の人達に―自分の存在すらなかったことされて…」

 

「渚君」

 

「それで…力があるゆえに狙われてる殺せんせーにどうしても一矢報いたくて…」

 

「そっか…俺のほうが悪かったな、すまなかった」

 

「えっ…でも…」

 

「俺はこの学校の制度による軋轢のことを本当に知らなかったんだ…だから潮田君がそんなに悩んでたとか知ろうともしなかった」

 

「僕だって!!覇月君がそんなに重たい過去を背負ってたなんて知らなかったもん!!」

 

「…互いに相手の事を知らないのに自分勝手に理解してたんだね」

 

「そうだね…そうかもしれないね」

 

「…なら、俺も話させてよ」

 

「カルマ君」

 

赤羽がどうして自分の命を賭けて殺せんせーを殺そうとしたのか、その原因を話してくれた。

 

「俺さ、渚君とは中2まで同じクラスで当時の担任は喧嘩っ早い俺をかばっててくれたんだけど…かばってたのは俺が成績優秀だったからなんだ」

 

赤羽が成績優秀といわれても龍哉にはピンときていないが、黙って話を聞き続ける。

 

「でも担任は俺が暴力振るわれてたE組の生徒―去年卒業した、ね―をかばって本校舎の生徒に大けがさせたらあっさり手のひら返したんだ」

 

「どういうこった?」

 

「『E組の生徒をかばって成績優秀な生徒に大けがさせるとは何事だ』ってさ…そこでそれまで喧嘩をかばってくれてたのは成績優秀だったからだって知ったんだ」

 

「…そもそも他人に暴力振るって言う時点で同レベルな気がするがな」

 

「ははっ否定できないね…そこでさ、俺にとって【先生】ってのは死んだんだ」

 

「今まで信頼、いや信用か?していた先生に裏切られた、という事か」

 

「そう、だから手入れされるまで、俺にとって先生ってのは憎悪の対象でしかなかった…でも殺せんせーは違った」

 

「うん、例えどうなっても真っ直ぐ僕達の事を「見て」くれる…僕もカルマ君もそれがとてもうれしかったんだ」

 

「そうか…赤羽君、君の事も悪く言っていてすまなかった」

 

「いーよいーよ、覇月が…いや、龍哉が言ってたじゃん、一緒に戦う『仲間』って」

 

「ああ」

 

「すぐにそういったってことはさ、俺らのことを信用して信頼してくれたってことでしょ?」

 

「ああ…ぶっちゃけすごい不安だったけど、でも神崎さん達に会って烏間先生に会って、皆に会って思ったのは「皆なら大丈夫」だった」

 

「どう大丈夫だって思ったの?」

 

「上手くは言えないけど…教室の皆の雰囲気がなんか好ましかったから」

 

「それで大丈夫って思ったの?」

 

「うん…変わってるよね」

 

「確かにね~でもさ、龍哉ってちょいちょい変わった発言多いけど空気とかそういうの察するのはできるよね」

 

「うん、分からないからだろうけどね」

 

「う…分かんないもんはわかんないしそのままにしとくとやばそうだから…でも変わった発言だったんだ」

 

「あ~そういうのって学校通ってたりしないと分かんないもんね~」

 

「あとは家族以外の人と接したりするとか…だね」

 

「どっちも俺10年近くやってないんだけど!!」

 

「あっはは、ま、これからやってきゃいんじゃね?」

 

「うん、殺せんせー殺さないと1年で終わっちゃうけどね…」

 

「…絶対に殺してやる、俺1人じゃ追い詰めることしかできないけど」

 

「そこは誰かに任せよう、頼りになる仲間がいっぱいいるし」

 

「うん、速水さんとか千葉とかすぐ頼ってたよね」

 

「…そうだな、んじゃ、テスト頑張ろうか、渚、カルマ」

 

「うん…あれ」

 

「だね…どしたのさ」

 

「へ?」

 

「だって今まで潮田君、赤羽君だったのに名前で呼んできたからさ」

 

「それならカルマ君だって名前で呼んでたじゃん」

 

「ん~なんかさ、こうして本音言いあったんだし…もっと仲良くって思ったからさ…いやだった?」

 

「ううん、全然!!」

 

「別に龍哉がそう呼びたいならそれでいいしね」

 

「ありがと、渚も好きに呼んでくれていいよ」

 

「ありがと、龍哉」

 

そう言いあって3人は仲良く下りていった。

 

道中、カルマが龍哉に倉橋にしたことを言って逆に絶句させられたり、渚に龍哉が本校舎の生徒達を「恐竜」と例えた理由を教えたりとあったが…

 

そして3人は…いや、E組の生徒達はこの中間テストで知ることになる…殺せんせーの力と椚が丘学園の怖さを…

 

 




龍哉はボケか突っ込みかで言ったら基本ボケです。

そして何とか渚たちと仲良くさせれた…

これで修学旅行の班分け苦労しないぜ


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くるくるの時間

中間テスト直前です。

龍哉の順位もどうするか決めました、こうなったら徹底的にやってやんよ!!

タグにチートと鈍感追加したほうがいいかな?



「さらに頑張って増えてみました、さぁ授業開始です」

 

((増えすぎだろ!!))

 

昨日はマンツーマンだったのに対し、今日は1人につき3体の分身がついている。

 

((残像もかなり雑になってきてるし…雑すぎて別キャラになってねーか(ない)!?))

 

分身の中には何体か被り物をしている殺せんせーがいるようにも見える。

 

「…どうしたの殺せんせー?なんか気合入り過ぎじゃない?」

 

「んん?そんなことないですよ」

 

茅野の疑問に律義に答える殺せんせー、しかし、龍哉と渚、それにカルマは気づいている…

 

殺せんせーは昨日、理事長から言われた「スピードだけでは解決できない問題もある」という言葉を気にしていることを…

 

=======================================================

 

キーンコーンカーンコーン

 

終業のベルが鳴る。

 

殺せんせーはさすがにバテバテになっていてうちわであおいでいる。

 

「…今なら()れるかな?」

 

「ん~、無理じゃね?」

 

「でも相当疲れたみたいだな」

 

「何でここまで一生懸命先生すんのかね~」

 

「……ヌルフフフ、全ては君達のテストの点を上げるためです…そうすれば…」

 

そう言うと殺せんせーは自分の考えを語った…

 

自分の教育のおかげで生徒達からは尊敬のまなざしで見てもらえ、

 

さらにはうわさを聞いた近所の(巨乳な)女子大生たちが教えを請いに来てくれると…

 

そしてそれを聞いた龍哉は…

 

「いや、前者は万が一にもありえても後者って絶対ありえない」

 

「だね~」

 

「そもそも国家機密以前にこのへん大学無いからそういう人いないし、加えて(異性に)モテるのがうれしいってのがわからん」

 

「…龍哉、一番最後のはいらなかったんじゃないかな~」

 

「?そう?」

 

龍哉の一言で教室内に変な空気が流れる…

 

「いる、いないはともかくとして、とにかく、先生は殺される危険もなくなるのでいいことづくめです」

 

「…殺せんせーって頭悪いよな?」

 

「俺らは例えそうなっても暗殺やめる気ないけどね」

 

「ニュヤ!?」

 

龍哉とカルマの言葉にビビる殺せんせー…

 

しかし他の生徒達は…

 

「…いや、勉強のほうはそれなりでいいよ」

 

「…うん、なんたって暗殺すれば賞金百億だし」

 

「「百億あればその後の人生バラ色だしさ~」」

 

何人もの生徒達が口々に言い、それを聞いた殺せんせーは…

 

「にゅや!!そういう考えをしてきますか!!」

 

「だって俺達エンドのE組だぜ殺せんせー」

 

「テストなんかより、暗殺のほうがよっぽど身近なチャンスなんだよ」

 

ほとんど全員がテストに対して諦めの目をしている…

 

それを見た殺せんせーの纏う空気が変わる。

 

「なるほど…よく分かりました」

 

「?何が?」

 

「…今の君達には…暗殺者の資格はありませんねぇ」

 

顔色を紫にして×マークを浮かべた殺せんせーの言葉に驚いた表情を全員が浮かべる…

 

もっとも一部は諦めの目をした連中と一緒くたにされた事への驚きの目のようだが…

 

「全員校庭へ出なさい、烏間先生とイリーナ先生も呼んで下さい」

 

そう言うと殺せんせーはドアを開けて先に校庭に出ていく。

 

「…?急にどうしたんだ殺せんせー」

 

「さぁ…いきなり不機嫌になったよね」

 

「…俺は烏間先生とイリーナ先生を呼んでくる」

 

「へ?ああ、うん」

 

龍哉が烏間先生とイリーナ先生を呼びに職員室に行き、他の生徒達は先に校庭に出ていく。

 

「烏間先生、イリーナ先生」

 

「覇月君か、どうしたんだ?今は授業中のはずだが」

 

「殺せんせーが校庭に出ろと…お2人も呼んで」

 

「はぁ?」

 

「…覇月君、そうなるまでの経緯を聞いてもいいか?」

 

「あ、はい、実は…」

 

龍哉は高速強化勉強後、殺せんせーと皆の会話を烏間先生とイリーナ先生に話した。

 

「そうか…」

 

「何よ、前にはあんなに怒ったくせに…」

 

「…覇月君は、このクラスから抜け出る救済処置があることを知っているか?」

 

「救済措置?」

 

「何よ、そんなのあるの?」

 

「ああ、定期テストで学年186人中50位に入りなおかつ元の担任がクラス復帰を許可すれば、E組(ここ)から抜けることが出来る」

「そうなの」

 

「…だから皆、テストに対してあんなに諦めた目をしてたのか」

 

「どういうことよ」

 

「ここの環境は劣悪だから、定期テストで50位以内に入るのは難しい、それゆえほとんどの生徒がそれを目指さずそのまま卒業してしまうそうだ」

 

「何よそれ」

 

「…とにかく早くいきましょう」

 

そう言って龍哉達が校庭につくと殺せんせーが校庭にある器具を避けていた。

 

そして全員がそろったことに気付いたのか、殺せんせーは全員のほうに振り替えり、イリーナ先生に質問した。

 

「イリーナ先生、プロの殺し屋として伺いますが」

 

「……何よいきなり」

 

「あなたはいつも仕事をするとき、用意する計画(プラン)は1つですか?」

 

「…?…いいえ、本命のプランなんて思った通りに行くことのほうが少ないわ、不測の事態に備えて…予備のプランをより綿密に作っておくのが暗殺の基本よ」

 

いきなり聞かれて戸惑うものの、暗殺者(プロ)としてしっかりと答えるイリーナ先生。

 

「…ま、あんたの場合規格外すぎて予備プランがすべて狂ったけど、見てらっしゃい次こそ必ず「無理ですねぇ」」

 

かぶせ気味に覚悟をつぶされて悔しそうな顔をするイリーナ先生をしり目に今度は烏間先生に問いかける殺せんせー。

 

「では次に烏間先生、ナイフ術を生徒に教えるとき…重要なのは第一撃だけですか?」

 

「…………第一撃はもちろん重要だが、次の動きも大切だ」

 

龍哉は烏間先生の言葉に頷いて同意を示し、殺せんせーもそれを見ていた。

 

「強敵相手では第一撃は高確率で躱される、その後の第二撃第三撃を…いかに高精度で繰り出すかが勝敗を分ける」

 

「結局何が言いたいん…「先生方のおっしゃるように」」

 

「自信を持てる次の手があるから自信に満ちた暗殺者になれる」

 

殺せんせーは校庭の中心でくるくると回り始める。

 

「対して君たちはどうでしょう…『俺らには暗殺があるからそれでいいや』…と考えて勉強の目標を低くしている」

 

もはや殺せんせーは高速回転して顔も見えない。

 

「それは…劣等感の原因から目を背けているだけです」

 

殺せんせーの回転により風が舞い上がり始める。

 

「もし先生がこの教室から逃げ去ったら?もし他の殺し屋が先に先生を殺したら?」

 

舞い上がっている風は勢いを増し、腕で顔を覆わないと目を開けてもいられない。

 

「暗殺というよりどころを失った君達には…E組の劣等感しか残らない!!」

 

もはや殺せんせーは小さい竜巻と化している。

 

「そんな危うい君達に…先生からの警告(アドバイス)です」

 

 

 

第二の刃を持たざる者は…暗殺者を名乗る資格なし!!

 

 

 

その言葉と共に【ゴゥッ!!】という音を立てて殺せんせーは竜巻と化した。

 

そして少ししたら回転をやめ、上から草木が落ちてくる。

 

「……校庭に雑草や凸凹が多かったのでね、少し手入れをしておきました」

 

「「!!」」

 

元々そうであったかのように完全にきれいになっている校庭に全員が目を見開く。

 

「先生は地球を消せる超生物、この一帯を平らにするなどたやすい事です」

 

殺せんせーは目を強く光らせて生徒達を見ている。

 

「もしも君達が、自信を持てる第二の刃を示さなければ…相手に値する暗殺者はこの教室にはいないとみなし、校舎ごと平らにして先生は去ります」

 

「第二の刃…いつまでに?」

 

「決まっているでしょう、明日です」

 

「明日って…まさか!?」

 

「そう、明日の中間テスト、クラス全員50位以内を取りなさい」

 

「「!!?」」

 

「君達の第二の刃は先生がすでに育てています、本校舎の教師たちに劣るほど…先生はトロイ教え方をしていません」

 

(そういえば…理事長が言っていた「E組はこのままではならない」っていうのと「スピードでは解決できない問題」…まさか!!)

 

殺せんせーの言葉に何か思い当たったのか考えにふける龍哉…

 

そしてそれを倉橋が不思議そうに見ている。

 

「自信をもってその刃を振るってきなさい、仕事(ミッション)を成功させ、恥じることなく笑顔で胸を張るのです」

 

殺せんせーは生徒達の方を見つめてそのまま続ける。

 

「自分たちが暗殺者(アサシン)であり…E組であることに!!」

 

そうして殺せんせーが教室に戻り、三々五々戻り始めるなか、龍哉に気づいたカルマ、倉橋が声をかける。

 

「龍哉、どうしたのさそんなに考え込んで」

 

「うん、どうしたの?」

 

「いや…今回の中間テスト…俺らにはかなり不利になってるんじゃないかって思う」

 

「なんでさ」

 

「理事長が言っていた「E組はこのままではならない」っていうのと「スピードでは解決できない問題」…この2つから恐らく…俺らが知らないうちにテスト範囲が変わっているかもしれない」

 

「えぇ!!」

 

「ありうるね~」

 

「で、でもそういうのって」

 

「俺らは本校舎に行事(ようじ)がない限りいけない…俺らへの連絡手段は…ない」

 

職員室にはなぜか外部連絡用の電話機が設置されていない、そのため、連絡は紙面で通達されることがほとんどだ。

 

「えと、えと、それって」

 

「俺らへの連絡手段がないこといいことに、変えたとしても「通達を聞いていなかった」とでも言われたら反論するの難しいよね~」

 

「…あくまで俺の憶測に過ぎないがな」

 

「でもあの理事長ならやりかねないっしょ…どうすんの?」

 

「…あまり、余計な情報を与えて混乱させるのもまずい…ここは悔しいが、静観するしかないな」

 

「でも、そのままで済ませる気無いでしょ」

 

「ったり前だ!!意地でも50位以内に入って本校舎の連中ビビらせてやる!!」

 

「…俺も、あんな連中に負けたくないし」

 

「…私も!!」

 

「でも倉橋さんって、生物以外あんまりよくないよね?」

 

「うぅ…」

 

「カルマ!!…倉橋さん、だったら俺が教えようか?」

 

「覇っ君!?で、でも覇っ君の勉強が…」

 

「俺はもう既定のテスト範囲はやり終えてるし、テンポが速くてだいぶ先のほうまでやってるから復習にもなる、問題ないよ」

 

「そ、それじゃぁ…お願いします」

 

「俺は自分でどうにかするよ」

 

「分かった、倉橋さんは今日大丈夫?」

 

「う、うん!!」

 

「ん、じゃあ戻ろっか」

 

そうして残っていた3人も教室に戻り、授業も終了したので帰宅していく生徒達…

 

そして迎えるは…中間テスト!!

 




はい、龍哉は理事長の策略を察しました。

とはいっても全員にはいわず、自分とヒロインとカルマのみで抵抗するようです。

…あ、毒の時間と一緒だ。

感想等待ってます。


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テストの時間

さぁて皆さん、テストの時間が遣ってまいりました。

龍哉、カルマ、倉橋はそれぞれ対策を立てて中間テストに臨みます。

さてさて、3人の検討の結果は如何に…

それでは…

テストファイトォォォォォレディィィィィゴォォォォォ!!


「うわぁ来た来た来た来た!!」

 

「ナイフ一本じゃ殺せねーよ!!」

 

「どうすんだこの「問4」!!」

 

中間テスト

 

全校生徒が本校舎で受ける決まりになっているため。E組生徒達にはアウェーでの戦いになる。

 

そして、E組生徒達を集中させまいと見張りの教師がペンで机をたたいたり、咳をしたりしている。

 

しかしそれを差し引いても問題が難しい…

 

問題の攻略のとっかかりをつかむのに皆苦労している。

 

それでも…

 

(これなら…何とか!!)

 

こういうテストを受けたことが無い龍哉も、殺せんせーに教わったことを生かして次々に問題を()っていく。

 

他の生徒達も龍哉に続くように次々と問題を()っていく。

 

((この問題なら…()れる!!))

 

そう全員が自信に満ち、次の問題にとりかかった瞬間…!!

 

背後から見えない(・・・・)問題に…殴り殺された…

 

=======================================================

 

「……これはいったいどういう事でしょうか?公正さを著しく欠くと感じましたが」

 

『…おっかしいですねぇ~ちゃんと通達したはずですよ、あなた方の伝達ミスじゃないですか?なんせおたくら本校舎に来ないからハハハ』

 

「伝達ミスなど覚えはないし、そもそもどう考えても普通じゃない」

 

そういう烏間先生の横で秀治、イリーナ先生が天井を見つめる殺せんせーを見ている。

 

「テスト2日前に…出題範囲を全教科で大幅に変えるなんて」

 

『…わかってませんねぇ、エーと…烏間先生?うちは進学校ですよ、直前の追い込みにもついていけるか試すのも方針の1つ』

 

烏間先生の電話相手の口調は確実にこちらをバカにしている。

 

『本校舎のクラスでは、なんと理事長自らが教壇に立たれ、見事な授業で変更部分を教え上げてしまわれました」

 

「……!!(あの理事長…自分の主義のためにそこまで(・・・・)やるか!!)

 

「余計な妨害をされてしまったの、烏間よ」

 

「ええ…(暗殺対象(こいつ)にこのE組を去られたら元も子もない!!)」

 

「…先生の責任です、この学校の仕組みを甘く見過ぎていたようです…君達に顔向けできません」

 

「「……」」

 

落ち込む殺せんせーに何かを思って見つめる生徒達…そこに対殺せんせー用ナイフが投げられる。

 

「にゅやッ!!」

 

間一髪でよけたためナイフは黒板にあたる。

 

「いいの~?顔向けできなかったら俺が殺しに来んのも見えないよ」

 

「カルマ君!!先生は落ち込んで」

 

抗議する殺せんせーの前に中間テストの答案用紙をカルマが見せる。

 

その成績は…

 

国語:98点

数学:100点

社会:99点

理科:98点

英語:98点

合計点数:494点

学年順位:5位/186人中

 

「俺問題変わっても関係ないし」

 

「うぉ…すげぇ」

 

カルマの結果を見に多くの生徒が集まってくる。

 

「俺の成績に合わせてさ、あんたが余計な範囲まで教えたからだよ…それに、俺よりもっとすごい奴いるし」

 

「え?誰?」

 

「ね~龍哉」

 

「覇月が?」

 

「どんなんだよ」

 

その言葉に龍哉もカルマのように答案用紙を教壇の上に広げる…その結果は…

 

国語:100点

数学:100点

社会:100点

理科:100点

英語:100点

合計点数:500点

学年順位:1位/186人中

 

((オ、オール満点!!))

 

しっかり最上位の成績をとってきていた。

 

「ってちょっと待て、覇月!!お前テスト受けんの初めてだろ!?なんでこんなにいいんだよ!!」

 

「俺もカルマと一緒で教わってた範囲が今回のにはいってたからできたんだよ」

 

「それに範囲が増えてるかもって予測してたもんね~」

 

「「えっ!?」」

 

「覇月君…なんでそれを先生に教えてくれなかったんですか~~~!!」

 

「うぉ!!」

 

カルマの言葉に龍哉に泣きつく殺せんせー、そして周りの生徒達もどうして教えてくれなかったのか…という目で見ている。

 

「まぁ、言えなかったのも教えれなかったのも無理ないよね、増えることは予測できてもどこまで増えるか(・・・・・・・・)まではわかんないもんね~」

 

「ああ、だからそれを教えても混乱させるだけだから…あえて黙ってたんだ…ごめん」

 

「「………」」

 

「そんな風に謝られたら…」

 

「責める気にもならないね」

 

「本当にごめん」

 

「もういいよ、覇月君」

 

「うん、ありがとう…」

 

「でも次はそういうことをちゃんと言ってよね!!」

 

「うんうん、片岡さんの言う通りです」

 

「はい」

 

「でも、覇月もカルマもこれで抜ける権利を得たんだよな?」

 

「そうだけど、俺はE組出る気はないよ、前のクラスに戻るより暗殺のほうが全然楽しいし」

 

「俺もだ…そもそも、俺は皆と違って復帰権利をそもそも持ってないしな」

 

「え…あ、そっか、覇月君は復帰するクラス自体がないんだもんね」

 

「そう…で、どうするのさ殺せんせー?」

 

「全員50位に入らなかったって言い訳つけてここからシッポ巻いて逃げちゃうの?」

 

「そういうのってすっごくかっこ悪いね」

 

「そうそう、それにただ殺されるのが怖いんじゃないの?龍哉みたいに追い詰めることが出来る奴もいるんだし」

 

ピク…

 

カルマの挑発と龍哉のちょっと馬鹿にしたセリフに殺せんせーの顔に青筋(?)が浮かびあがる。

 

それを見た生徒達は一斉に殺せんせーに向かって言い出す。

 

「なーんだ殺せんせー怖かったのかぁ」

 

「それなら正直に言えばよかったのに」

 

「ね~、「怖いから逃げたい」って」

 

「ニュヤ――!!逃げるわけありません!!期末テストにあいつらに倍返しでリベンジです!!」

 

「倍返しってもう古いよ殺せんせー」

 

「突っ込みがメタいよ不破さん!!」

 

そんな風に口々に言いあった結果、皆で大笑いした。

 

殺せんせーは皆がどうして笑っているのか分かっていない…

 

皆が笑っているのは…ただ全員がE組であることの誇りを持って胸を張れるようになっただけだ。

 

しかし…

 

「倉橋よ、どうした?かなり落ち込んでいるが?」

 

秀治が倉橋が深く落ち込んでいることに気づき、全員の注意が倉橋のほうに向く。

 

そして龍哉が倉橋を見た瞬間…

 

ポロッ

 

倉橋の目から大粒の涙がこぼれはじめた。

 

「く、倉橋さん!?」

 

「ど、どうしたんですか倉橋さん!」

 

「う…ひぐっ…」

 

突然泣き出した倉橋に龍哉と殺せんせーが慌て始め、周りの生徒達も何事かと騒ぎ始める。

 

「…龍哉、ちょっと陽菜乃を外に連れてって話をしてきなさい」

 

「イリーナ先生?」

 

「ふえ?」

 

「いいからさっさと行く!!」

 

「は、はい!!行くよ、倉橋さん」

 

イリーナ先生に強い口調で言われ、コクンと倉橋が頷いたのを確認した龍哉が手を引いて足早に教室から出ていく。

 

「あの、イリーナ先生、どうして?」

 

「うっさいわよタコ、黙って待ってなさい…そこぉ!!見に行こうとしない!!」

 

「「(・д・)チッ」」

 

「イリーナ、何か知っているのか?」

 

「知らないわ」

 

「…知らないのなら、覇月君よりもお前のほうがよかったんじゃないのか?」

 

「龍哉に行かせたのは女の勘よ、その方がいい方に向かうって思ったからよ」

 

「…よくわからんが…まぁいい…秀治さんは何か知っていますか?倉橋さんは覇月君を見たら急に泣き出しましたので、彼絡みかと思うのですが…」

 

「おぉ、そういえば昨日倉橋は昨日龍哉に勉強を教わっておったな」

 

「「原因それぇ!!」」

 

ふと思い出したかのように言った秀治の言葉にE組全員(-2)が心を1つにして突っ込んだ。

 

=======================================================

 

倉橋を連れて校舎裏へ来た龍哉、そこの水道でハンカチを濡らして倉橋に渡す。

 

「はい」

 

「あ、ありがとう」

 

倉橋は濡れたハンカチで涙をぬぐうが…依然として落ち込んだままだ。

 

「どうしたの倉橋さ「うぅ…」…あぁぁ泣かないで!!」

 

「グスッ」

 

こういう事態は初めてのため対処法がよくわからない龍哉はオロオロしている。

 

だが、急に何か思いついたのか動きを止めると考え始め、倉橋の事を正面からぎゅっと優しく抱きしめて頭を優しくなでる。

 

「!!!!」

 

「…何に怖がってるのか、分からないけど…大丈夫、見捨てたりはしないから」

 

「!!!!」

 

龍哉の行動と言葉に倉橋は驚いて顔を上げると、そこには今までと変わらない龍哉の顔があった。

 

「落ち着いた?」

 

「…うん」

 

倉橋が落ち着くとそっと離そうとするが、それは倉橋が龍哉に抱き着いたことで阻止される。

 

「倉橋さん、どうs「覇っ君…ごめんなさい」何が?」

 

「私…覇っ君が自分の勉強の時間を削って…私の得意な生物に例えて変更された範囲の問題教えてくれて…50位以内に入るって言ったのに…入れなかった…」

 

「なるほどね…」

 

倉橋が龍哉を見て泣いたのは、一生懸命教えてくれた龍哉に対する申し訳なさと、それにこたえることが出来なかった自分のふがいなさと…有言実行が、50位以内に入ることができなかったことに対する悔しさからだったようだ。

 

「…そんなことで、俺に嫌われるって思ったの?」

 

ビクッ!!

 

分かりやすく倉橋の体が硬直する。

 

そんな倉橋を龍哉はもう一度自分から抱きしめる。

 

「…俺が嫌いなのは…命を粗末にする奴だけだよ…自分のも、他人のも…」

 

「覇っ君…」

 

「それに…昨日の教えた範囲は、変更された範囲を全部教えきれたわけじゃないんだ…どっちが悪いって言ったらちゃんと教えれなかった俺が悪い」

 

「そんな!!覇っ君は悪くないよ!!」

 

「…そう言ってくれてありがとう、でも、テストを受けて問題を解き終わって思ったんだ、あれを教えておけば、これを覚えておいてもらえば…さっき言われたように皆にも言っておけば…って」

 

「覇っ君…」

 

「…ようやく泣き止んでくれた」

 

「あ…」

 

泣き止んだ倉橋を見てフッと龍哉が笑みをこぼす。

 

それを見て倉橋も自然と笑顔になる。

 

「うん、倉橋さんには笑顔が似合うね」

 

「////!!!!」

 

至近距離でそんなことを言われたため倉橋は一気に頬を赤らめてしまう。

 

「今回のことで悪かったのは、俺でもあり、殺せんせーでもあり、理事長でもあるんだ…だから、倉橋さんは気にしな「気にするよ」えっ」

 

「だって、悔しいもん!!今までこんなに悔しいのってなかったもん!!」

 

「倉橋さん」

 

「あんなに一生懸命教えてもらって、あれだけ一生懸命勉強して、それでぎりぎり届かなくて…!!」

 

「なら、次こそ達成すればいいんだよ」

 

「え…」

 

「テストって、これで終わりじゃないだろう?」

 

「う、うん」

 

「それに、本校舎の連中を見返すチャンスだってあるんだろう?」

 

「うん」

 

「その時に、見せつけてやればいい、たとえどんな妨害や障害があったって、乗り越えていく様を、そして…勝つのを」

 

「覇っ君」

 

「俺らのやってることだってそうだろう、殺せんせー、全然殺せないし」

 

「…そうだね」

 

「それでも俺達は殺すことをあきらめてない、だからさ、それと一緒なんだよ…」

 

「…」

 

「諦めなければ…()る気でいけば、すぐには無理でも、今年中には出来るさ」

 

「…うん!!」

 

龍哉の言葉に、ようやく倉橋はいつも通りの調子を取り戻した。

 

「さ、戻ろう、皆心配してるだろうし」

 

「うん」

 

そうして龍哉と倉橋は教室に戻っていった…出ていった時と同じ状態で…

 

殺せんせーにニヤニヤのピンクで出迎えられ、中村とカルマに後々からかわれるという事をすっかり失念して…

 




はい、結果として龍哉はチートっぷりを発揮し、カルマは大健闘しましたが…

倉橋は今一歩及ばず敗北しました…

ですが、代わりに倉橋はさらに意欲に満ちることになります。

いろいろな意味でね。

ちなみに倉橋の成績ですが…

国語:74点
数学:78点
社会:70点
理科:82点
英語:71点
合計点数:375点
学年順位:51位/186人中

これでギリギリ入れなかったのも泣いたのには関係してます。

点数は名簿の時間からそれまでの成績から抜粋してます。

感想等待ってます。

追記:龍哉の台詞一部修正しました


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修学旅行の時間:1時間目

はい、きました修学旅行!!

割とオリジナル要素あります。


「覇月、班決まったか?」

 

「班…って何の?」

 

「おいおい磯貝、覇月は知らないんだからちゃんと説明しないとダメだろ」

 

「あ、悪い前原、覇月、来週修学旅行があるんだ」

 

「修学旅行?」

 

「そ、京都に2泊3日でいくんだ」

 

「へぇ…学校ってそんなのもあるんだな」

 

「そう、で、今覇月含めて27人だから、7人班3つと6人班1つになるんだ」

 

「んじゃ、今6人の班か、まだ決まってない人たちと組んだりすればいいんだな」

 

「そういうこと、で、決まったら磯貝か片岡の学級委員のどっちかに報告ってな」

 

「なるほどね、了解」

 

「まったく…3年生も始まったばかりのこの時期に総決算の修学旅行とは片腹痛い」

 

そういった殺せんせーを全員が見ると…

 

「先生あまり気乗りしません」

 

といいつつでかいリュックが殺せんせーの隣にあった。

 

「「ウキウキじゃねーか!!」」

 

しかも紅潮しているからウキウキしているのは間違いない。

 

「たかだか修学旅行に荷物多すぎ!!」

 

「明らかに必要ないもの入ってるし!!」

 

「…バレましたか…正直先生、君達との旅行が楽しみで仕方ないです」

 

「…でも京都か…」

 

「覇月君、どうしたんですか?」

 

「あ~あれっしょ、始めていく土地だから不安になってるんでしょ」

 

「違う、小さいころ住んでたとこにこういう形でも同ことになったから、ちょっとおもしろいなと思っただけだ」

 

「な~んだ」

 

「つまんね」

 

「どういう意味だこら」

 

そんな風に軽口を言い合うカルマと龍哉達…

 

テストの次は修学旅行、暗殺教室とは言えど学校行事は目白押しだ。

 

=======================================================

 

その日の体育の授業で烏間先生から通達があった。

 

「知っての通り来週から2泊3日の修学旅行だ…君達の楽しみを極力邪魔したくないが…これも任務だ(・・・・・・)

 

「という事は向こうでも暗殺を?」

 

「その通りだ、京都の町は学校内とは段違いに広く複雑、しかも…君達は回るコースを班ごとに決め、奴はそれにつき添う予定だ」

 

「ってことは、京都での暗殺はばれないところからの狙撃とか…ですか?」

 

「そう、狙撃手(スナイパー)を配置するには絶好の場所(ロケーション)、既に国は狙撃のプロ達を手配したそうだ」

 

「龍哉はなんか聞いてる?」

 

「ん~、特には何も…かな、今回は」

 

「「珍しい!!」」

 

「どういう意味!?」

 

「…成功した場合は貢献度に応じて百億円の中から分配される、暗殺向けのコース選びをよろしく頼む」

 

「「はーい!!」」

 

=======================================================

 

次の時間、クラス全体で修学旅行の班分けと暗殺計画の話をすることになった。

 

「ん~」

 

龍哉は悩んでいた…悩みの元は…

 

(こういうのやったことないからどうすりゃいいか全くわかんねぇ!!)

 

初めてやることにどうすればいいのか分からず途方に暮れていた。

 

「あ、龍哉、どうせだったら同じ「友人誘ってくれてありがとー!!」うぉ!!」

 

そこに友人こと杉野が同じ班にならないかと誘ったら即座に食いついた。

 

「いや、すまん、こういうの初めてでどうすりゃいいか分からず途方に暮れてたんだ」

 

「…そういや初めてだもんな、そうだよな…」

 

「悪い」

 

「気にすんな!!」

 

「それでほかの班員は?」

 

「えっと、渚とカルマ、茅野さんに奥田さん、あと神崎さんだ!!」

 

「そうか、んじゃ磯貝君に言ってくるよ」

 

「おう、頼んだ」

 

そうして磯貝のほうに移動する龍哉、そこには磯貝のほか木村、前原、片岡、岡野、矢田、そして倉橋がいた。

 

「磯貝君」

 

「お、覇月、班決まったのか?」

 

「それとも入れてくれってか?」

 

「いや、決まったよ、渚達とだ」

 

「そうか、班メンバーは?」

 

「えっと」

 

龍哉が磯貝にメンバーを告げ…

 

「ん、分かった、覇月達は…4班だな」

 

「分かった、伝えるよ」

 

「ああ」

 

そうして皆のもとに龍哉が戻ると…

 

「龍哉~な~んで一人なのかな~」

 

「なんでって…ただ磯貝君に班が決まったことを伝えにいったからだけど…あ、俺らは4班だって」

 

「いや~あっちには倉橋さんがいたじゃん」

 

「いたけど、もう磯貝君たちと同じ班みたいだし、わざわざ班員を交換したりするわけにはいかないだろう」

 

「そ~だけどさ、ほら、もっとこの人と一緒にいたい~とかないの?」

 

「ないな…いや、皆と一緒にいたいとは思っているが」

 

「」

 

「(小声で)カルマ君、だからやめといたらって言ったのに」

 

「(小声で)龍哉、絶対に異性として倉橋さん意識していよな?」

 

「(小声で)うん、倉橋さんは結構意識してるんだけどね」

 

「(小声で)わ、私はお似合いだと思います」

 

「(小声で)あいつ…鈍すぎるだろ…ずっと倉橋さんが誘おうとしてたの気づいてないし」

 

「…おーい、どこを回るか決めようぜ」

 

「…そうだね」

 

それをイリーナ先生が見ていてふといった。

 

「フン、皆ガキねぇ、世界中を飛びまわった私には…旅行なんて今更だわ」

 

「じゃ、留守番しててよビッチ先生」

 

「花壇に水やっといて~」

 

自慢話をしようとしていたのをあっさりと流されて目が点になるイリーナ先生…

 

その間にも全員―龍哉までも―が無視して話を進めていくためどんどんイライラしていき…

 

「何よ!!私抜きで楽しそうな話してんじゃないわよ!!」

 

キレてデリンジャーを取り出した。

 

「あーもー!!いきたいのか行きたくないのかどっちなんだよ!!」

 

「イリーナ先生、どうしたんです?」

 

これだけの騒ぎになってようやく龍哉が気が付いた。

 

「龍哉、今気づいたのか?」

 

「いや、こういうの初めてでさ、皆と…って思ってて全く気にしてなかった」

 

「おいおい…」

 

「龍哉は旅行初めてなの?」

 

「いや、こうやって仲間とかといくのが初めて、旅行は何度か行ったことあるよ」

 

「そうなんだ」

 

そんな風に話がぶれたりする中、殺せんせーが入ってくる。

 

「一人一冊です」

 

そして殺せんせーは全員に辞書みたいなものを配る。

 

「重っ!!」

 

「なにこれ殺せんせー」

 

「修学旅行のしおりです」

 

「「辞書だろこれは!!」」

 

「こんなの配られるのか、修学旅行って…」

 

「普通は配られないよ!!」

 

「おい殺せんせー、修学旅行初めての龍哉が変な知識身につけしまうだろーが!!」

 

「違うのか?」

 

「「違うよ!!」」

 

龍哉が誤解しかけるが全員でなんとかこの教室のしおりがおかしいという事を納得させる。

 

ちなみに普通のしおりは多くても20ページぐらいだ。

 

「イラスト解説の全観光スポット、お土産人気トップ100、旅の護身術入門から応用まで、全員分昨日徹夜で作りました、ちなみに初回特典は組み立て紙細工の金閣寺です」

 

「どんだけテンション上がってんだよ!!」

 

「そろいもそろってうちの先生は!!」

 

「だいたいさあ、殺せんせーなら1分で京都まで行けるっしょ」

 

「もちろんです」

 

「自慢ですか、自慢なんですか、殺せんせー」

 

「自慢も何もできることですからねぇ…それに移動と旅行は違います、みんなで楽しみ、皆でハプニングに会う」

 

「いや、ハプニングには会いたくねーわ」

 

「うん、平和に旅行したいよね」

 

「悟朗との出会いみたいなのなら俺は歓迎だが」

 

「4班の男子陣!!バッサリ切らないでください!!…先生はね、君達と一緒に(・・・・・・)旅できるのがうれしいのです」

 

そういった殺せんせーの言葉を締めに、もう一度各班毎の暗殺計画を練り進め始める。

 

「んで、どこら辺がいいのよ?」

 

「あんまり人目につくのは避けた方がいいんじゃないかな?」

 

「かといって潜む場所がないのはアウトだ」

 

「といっても、路地裏みたいなところは危険だよ」

 

「ってなると…」

 

皆でどこで決行するのか話し合い、具体的なプランが練りあがったところで…

 

「んじゃ、こんな感じで…細かいところは携帯で連絡取りあえばいいか?」

 

「うん、杉野の意見に賛成」

 

「俺も~」

 

「私も問題ないよ」

 

「私も」

 

「覇月君はどうですか?」

 

「…俺、携帯持ってない」

 

「「…えぇ!!」」

 

「ボンボンなのに!?」

 

「お祖父さんが技術者なのに!?」

 

「関係ないだろそれ!!…別段今まで必要なかったから買ってないだけ、でも必要そうだから、今週末に買いに行く、修学旅行用の買い出しもする必要あるし」

 

「それならさ、一緒に行かねーか?」

 

「いいのか?」

 

「当たり前じゃん!!」

 

「それじゃ、今週末に行こうか」

 

「奥田さん、神崎さん、私達は私達で買い出しに行こう!!」

 

「は、はい!!構いません」

 

「私もいいよ」

 

こうして、4班は男女に別れて今週末買い出しに行くことになった。

 




はい、まずは班決めでした。

あ、倉橋はちゃんとヒロインします。

次は買い出し…無事に済ませよう


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買い出しの時間

久々の投稿!!

オリジナル回です。

とりあえず、修学旅行中のフラグも立てれたと思います。


週末、龍哉が携帯を持っていないため先にそれを決めようという話になったため渚、友人、カルマに加え保護者である秀治と共に携帯ショップに来ていた。

 

「へぇ…ってかこんなに種類あるんだ」

 

「うん、龍哉ってどんなのがいいんだ?」

 

「どんなのって…初めてだから操作しやすい奴かな、やっぱ」

 

「そっか~ってなるとこれかな」

 

「(小声で)ねぇ、杉野あれって」

 

「(小声で)ああ、間違いねぇ…倉橋さんのと同タイプだ」

 

「え~と…あ、確かに使いやすい…うん、これにしよ」

 

「そんな簡単に決めちゃっていいの!?」

 

「だって友達が考えて選んでくれた奴だぜ、信用して買うよ」

 

「(小声で)やばい、めっちゃ罪悪感が…」

 

「「(小声で)だったらするな!!」」

 

そんなやり取りがあったものの、無事に携帯を購入し、いろいろと使い方を教わった後、別件のある秀治と別れて本命の買い出しに向かった。

 

龍哉は律儀(?)にしおりをもってきており、その中にある必要品の中で役立ちそうなものを皆で取捨選択して購入していく。

 

「普通に今までの修学旅行より買ってるの多い気がする」

 

「そうなのか?」

 

「う~ん、普通は必要なさそうなのも買ってるからね」

 

「でも暗殺の事考えると何が役に立つか分かんねぇから買っといて損ないよね」

 

「そりゃそうだな」

 

「あれ、覇月達じゃねーか」

 

「本当だ」

 

「ん、あ、磯貝達じゃん」

 

「1班も買い出し?」

 

「ああ…覇月、お前律儀だな」

 

「皆そういうんだな…」

 

「俺らはこうしてメモにして持ち歩かなくていいようにしてんのにな」

 

「初めてなんだからしょうがないだろ」

 

「まぁそんなに書いてあったら持ってきて仲間に聞いた方が手っ取り早いかもな」

 

「「さすが磯貝(君)(イケメン)」」

 

「どうせなら磯貝君達も一緒に行動しない?」

 

「いいな、それ」

 

「そうだね、あ、龍哉と連絡先も交換しておいたら?」

 

「そういえばまだ龍哉とは交換してなかったな、いいか?」

 

「もちろんさ…さっき買ったばっかだから操作にまだ不安あるけど」

 

「「さっき買ったばっか!?」」

 

「俺らもこないだまで携帯持ってないの知らなかったんだよ」

 

「で、どうせならってことで一緒に選んで買って来たってわけ」

 

「そうなのか…じゃあどっかの店に行こうぜ」

 

「そうだね、ちょうどお昼の時間だし」

 

「あ、お祖父ちゃんからこれ使って皆で食べなって」

 

「お前の祖父さん、ふとっぱ…ら…」

 

そういって龍哉が秀治から渡されたものを見ると…

 

まさかまさかの1万円札だった。

 

((なんでたった4人の中学生の昼代にポンと1万も渡すんだ(よ)!!))

 

「あれ、たr「足りるどころかこれ俺ら7人でも十分余るわ!!」そっか、じゃあいこ、おススメとかある?」

 

マイペースに聞いてくる龍哉…それに対して他のメンバーは…

 

((甘やかされ過ぎだろこいつ!!))

 

思いっきり心の中でシャウトした。

 

=======================================================

 

昼食後、買い物を続ける龍哉達…なお、昼食はデパートに出店しているファミレスで済ませたようだ。

 

そこで龍哉はここにいる全員と連絡先を交換している。

 

「え~と、こんなもんでいいかな」

 

「そうだな」

 

「それじゃ、そろそろ…「いい加減にしてください!!」今の声って」

 

「片岡さんだね」

 

「行ってみよう」

 

磯貝を先頭に声が聞こえてきた方へ龍哉達が向かい、そこで見たのは…

 

「本当にいい加減にしてください」

 

「いいじゃねぇかよぉ」

 

ちょっと年上(?)に見える男達にナンパされている1班・4班女子の姿が見えた。

 

「またか」

 

「…そういえば覇月は転入前日にナンパされてるの助けたんだっけ」

 

「ああ…そん時はすっころばして逃げた…あ」

 

「どうした?」

 

「今ナンパしている連中の半分はそん時のだ」

 

「マジかよ…」

 

「どうする」

 

「ふっふっふ、俺に任せておけ、いい作戦がある」

 

どうしようか話し合いを開始しようとしたら前原が何やら作戦があるといった。

 

龍哉達はそれに耳を傾け…龍哉以外は若干どころか完全に呆れつつ他にいい作戦も思い浮かばなかったため前原の指示のもと行動を開始した。

 

=======================================================

 

(どうしよう…)

 

女子達はこの状況をどう打開しようか悩んでいた…

 

ただ最初は班毎で買い出しに来ていたのだが、たまたま昼食時に店で隣同士になり、大人数のほうがナンパされないのでは、という岡野の意見を採用して一緒に行動していたのだが…

 

しかし現実は無情にも同人数の、しかも見た感じ高校生っぽい連中にナンパされていた。

 

悪夢としか言えない。

 

「(小声で)…ねぇ桃花ちゃん、あの人達、見おぼえない?」

 

「(小声で)え…あ…」

 

「(小声で)知ってるの?」

 

「(小声で)…覇月君と初めて会った時にナンパしてきた人達だよね」

 

「(小声で)うん」

 

「な~にを小声でこそこそ話してるのかな~」

 

「あれじゃね?俺らの中の好みを話し合ってたんじゃね?」

 

「マジかよ、最高じゃねえか」

 

((ゲスイ!!))

 

自分達が好みを話し合ってると勘違いした男たちを見て完全にいやそうな表情を浮かべる面々。

 

と、そこに…

 

「すまない、待たせたな」

 

そう言って龍哉が現れた。

 

全員が龍哉のほうを見るが龍哉は全く意に介さず双方の間に割り込み、女子のほうを向く。

 

そして男たちに悟られないよう懐から携帯を取り出して皆に見せると、そこには…

 

《話を合わせて》

 

と書かれており、何かを察した全員が頷く。

 

「待ち合わせ場所とおんなじところが2か所あってさ、もしかしたら別の場所にいるかと思って俺が見に来たんだ、待たせてごめんな」

 

「ううん、そういうことだったら…ね、みんな」

 

「うん、別に気にしてないよ」

 

それを聞いて黙っていないのは男達だ。

 

「なんだお前ぇ!!」

 

「急に出てきてなんだよ!!」

 

「彼女達の先約って言ってもわかんないよね、今日彼女達は俺達と買い物に行く約束をしていたの、だ・か・らお引き取りを」

 

「あぁ!!」

 

「んなもん関係あるかよ!!」

 

「それはおニーさん達の都合でしょ、それにそんなのこっちには関係ないよ…まぁ嫌がってる女性に無理強いする最低な、常識のかけらもない人たちだからそんなこと言えるんだろうけど」

 

「「あぁ!!」」

 

怒った、普通に怒った、そしてそれを近くの物陰から見ている男子達はハラハラし始めていた。

 

「(小声で)おぃぃ!!あいつカルマ並みの毒舌ぶっ放したぞ」

 

「(小声で)しかも真顔で淡々と…」

 

「(小声で)先約があるで引かなかったら挑発して殴りかからせて周りの大人に助け求めろって形にしたのに、なんで最初の段階で挑発してるんだよ!!」

 

「(小声で)頭悪そうだからそうしたんじゃね?それにさ、矢田さん、倉橋さん、神崎さんは苦笑いしてるし」

 

「(小声で)…もしかして以前助けた時もああだったのかな?」

 

「(小声で)十二分にあり得るな」

 

「(小声で)あ!!」

 

そう皆が見守りつつ会話しているさなか、男達の方が龍哉に向かって殴りかかった。

 

「言わせておけばぁ!!」

 

「「!!」」

 

龍哉の挑発にキレた男が龍哉に殴りかかるが…

 

「フッ」

 

龍哉は鼻で笑い、最小限の動作で躱すと男の腕をとってそのまま跳躍して背後に回り、関節技を決めて後ろ手に拘束、そのまま拘束した男を盾にするように向かい立つ。

 

「いででででで!!」

 

「で、どうするの、おニーさん達、お仲間の一人はこっちの手の内にあるんだけど」

 

「てめえ、離しやがれ!!」

 

「じゃあ俺達の前から立ち去ってよ、それなら解放してあげるよ」

 

「先に離せ!!」

 

「……分かった」

 

((おい!!))

 

こんな男たちが約束を守るような奴じゃないことは傍から見ていてもわかる、にもかかわらず龍哉はあっさりと拘束を解き、男を開放する。

 

「それじゃあね、もう二度と顔合わせたくないけど」

 

そういって龍哉は女子を全員先に行かせて自分が殿を務める形をとる、そこに…

 

「はいそうですねって去るかよバーカ!!」

 

そう言って男たちが殴りかかってくるが…

 

「ふぅ」

 

龍哉は溜息を一つはき…

 

素早く振り返り先頭の殴りかかってきた男の拳が当たりそうになった瞬間に素早く横に移動して拳を顎にかすめる。

 

それを七度繰り返し、ゆっくりと女子のほうに戻る。

 

「ってまだむかってきてるじゃん!!」

 

「いや、もう大丈夫だよ」

 

「へ?」

 

龍哉がそう言うと男達は拳を突き出した状態でゆっくりと倒れ落ちた。

 

「え、えぇ!!」

 

「正確に顎を打ち抜いたから、1~2分は気絶してるはずだよ、さ、今のうちに」

 

「う、うん」

 

そう言って龍哉の指示のもと男子達と合流した。

 

=======================================================

 

「で、さっきのはどうやったの?」

 

全員買い出しは済んでいたため14人全員入れるのは龍哉の家だけだったため、龍哉の案内の元覇月家にお邪魔していた。

 

なぉ、出迎えは以前と同じく悟朗だったため既に一度見た矢田、倉橋、神崎以外は心底驚いた顔をしていた。

 

「ああ、ありゃ再現しながら説明したほうがわかりやすいな」

 

そう言って龍哉は磯貝を指名して相対させる。

 

「お手柔らかに頼むぜ」

 

「大丈夫だよ、ゆっくりやるから」

 

そう言って動きを交えながら龍哉が説明を始める。

 

「まず、最初、これは相手の拳が来るだろ」

 

龍哉は磯貝の拳を自分の方に向けて突き出させる。

 

「俺はそれで俺の顔が右拳で見にくくなる距離まで持ってきて」

 

磯貝の右拳を龍哉の顔の近くまで誘導して近づける。

 

「こうなると相手はどう思う?」

 

「どうって、当たったと思うけど」

 

磯貝が言うと皆が一斉に頷く。

 

「だよな、でもこの瞬間に俺が素早く横に避けるとどうなる?」

 

そういうと龍哉は素早く磯貝の出した右側に移動する。

 

「そりゃ、あたらないけど…」

 

「でもあたると思っていたからその瞬間は無防備になる」

 

「なんで?」

 

「えっと…攻撃しているときに同時に防御ってできる?」

 

「それは出来ないよ」

 

「うん、確実に当たると思ってる状況だと防御なんて考えてないよね、その瞬間は隙が出来るからそこで急所―今回は顎だね―をカウンターで打ち抜いたんだ」

 

「でも顎を打ち抜いたって…顎を揺らすと三半規管がマヒして立てなくなるって聞いたけど」

 

「そりゃ当てた時の位置とパワーによるな、先端を正確に撃ち抜けばさっきのように気絶させれる、これは女子でも使えるから覚えといたほうがいいよ」

 

「へぇ~」

 

「まぁ、俺みたいにパンチで出来るのは多分片岡さんだけ、他は下からの回し蹴りのほうがやりやすいと思う…岡野さん、今その格好で試そうとしないでね」

 

「え~」

 

「いや、覇月じゃなくても止めるでしょ」

 

「ほんっとがさつだなぁ~岡野は」

 

岡野が早速試そうとするが女子らしくスカートをはいているためその格好でやるのはアウトだ。

 

「死ねくそ原」

 

「なんで俺だけ!?」

 

「とまぁこんなところかな…まぁ後はさっきみたいに一直線になってる方が楽だな、他の方向から不意打ち食らうと防がれたも同然だし」

 

「なるほどね~」

 

「でも本当にこういうの詳しいな」

 

「まぁね」

 

その後もいろいろと話し合い、夕食を一緒に食べて皆は帰っていった…その際に余ったのは磯貝が全部持って帰ったのは余談だろう。




はい、龍哉の強さの一端をはっきり見せました。

次回は京都に行きます!!

新キャラも登場!!

感想、誤字脱字報告待ってます。


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修学旅行の時間:2時間目

さて皆さん、修学旅行の暗殺の時間がやってまいりました。

2日目と3日目の班別行動時にプロの狙撃手(スナイパー)が狙撃を行います!!

殺せんせーはそれぞれの班を順番につき添う予定!!

各班は狙撃手(スナイパー)の配置に最適なスポットへ誘い込むべし!!

それでは修学旅行暗殺計画…レディィィィィゴォォォォォ!!!


―東京駅ホーム

 

「うわ…A組からD組まではグリーン車だぜ」

 

E組(うちら)だけ普通車、いつもの感じよね」

 

「うちの学校はそういう校則だからな、入学時に説明しただろう」

 

「学費の用途は成績優先者に優先される」

 

「おやおや君達からは貧乏の香りがしてくるねぇ」

 

中間テストの時の監督教師とも部っぽいというかモブの生徒2人が馬鹿にしてくるが…

 

「別にグリーン車に乗るためにこの学校に入ったわけじゃないんだから気にする必要なんかなくね?」

 

龍哉がばっさり切り捨てた。

 

そんな龍哉の言い分にE組の皆が苦笑しているとそこに

 

「ごめんあそばせ、ごきげんよう生徒達」

 

そう言ってイリーナ先生が現れた…ただし…

 

「ビッチ先生、なんだよそのハリウッドセレブみたいなカッコはよ」

 

どう見ても修学旅行の引率の先生の格好には見えない。

 

それに木村が質問するとこの格好は女を駆使する暗殺者としては当然と言い切るイリーナ先生…しかし…

 

「目立ち過ぎだ着替えろ、どう見ても引率の先生のカッコじゃない」

 

当然烏間先生の怒りを買った。

 

「堅いこと言ってんじゃないわよカラスマ!!ガキどもに大人の旅の…」

 

そんな烏間先生に反論するも…

 

「脱げ、着替えろ」

 

白目+額に血管浮き出たせたかなり怒っている烏間先生に気おされ、泣く泣くイリーナ先生は新幹線内で寝巻に着替える。

 

「誰が引率だかわかりゃしない」

 

「烏間先生でしょ、どう見てもさ」

 

「ビッチ先生、今まで金持ちばっか殺してきたから庶民感覚ズレてんだろうな」

 

「でも修学旅行中ずっとあの格好なのかな?」

 

「それはちょっとかわいそうだよね」

 

「…しょうがない」

 

「覇月、どうしたんだ?」

 

「京都に祖母が―父方のな―いるんだ、服屋だったから京都駅に着替え持ってきてもらえないか頼んでみる」

 

「えっ、そうなの!?」

 

「本当にお前んちどうなってんだよ」

 

「あれ?でも覇っ君って椚が丘に家あったよね?」

 

「あ~…元々お祖母ちゃんは京都の人でお祖父ちゃんと結婚して東京に来たんだけど…10年前に喧嘩して京都に戻ったんだ」

 

「喧嘩って…」

 

「しかも10年って長いな」

 

「原因俺っぽいという事しか俺も知らない」

 

((あ、例の事件の事か))

 

恐らく龍哉の両親が亡くなった後の事だろうと察したE組の生徒達は黙りこくる。

 

「まぁとにかく、イリーナ先生、こっちに来てください、電話でお祖母ちゃんに服用意してくれないか頼みます、どんなのがいいかとかサイズとか注文してください」

 

「龍哉…安物はいやよ」

 

「イリーナ」

 

龍哉の親切に文句を付けようとしたイリーナ先生だがガチギレ寸前の烏間先生の呼び方におとなしく龍哉を通じて服を注文する。

 

「これでイリーナ先生の服も大丈夫…あれ、殺せんせーは?」

 

「いないね…うわっ!!」

 

龍哉が殺せんせーがいないことに気が付いて渚が周りを見渡すと窓に張り付いている殺せんせーがいた。

 

「何で窓に張り付いてるんだよ殺せんせー」

 

外には声が届かないので携帯電話で渚は殺せんせーとコンタクトをとる。

 

「いやぁ…駅中スウィーツを買っていたら乗り遅れまして、次の駅までこの状態で行きます」

 

「ってか国家機密がそんな目立つようなことすんな!!」

 

「ご心配なく、保護色にしてますから服と荷物が張り付いているように見えるだけです」

 

「「そっちの方が不自然だろ!!」」

 

=======================================================

 

「いやぁ、疲れました…目立たないように旅をするのも大変ですねぇ」

 

「そんなバカでかい荷物持ってくんなよ」

 

「ただでさえ殺せんせー目立つのに」

 

「てか国家機密がこんなに目立っちゃやばくない?」

 

「それ結構今更感あるけど」

 

「その突込みは野暮ってもんだよ…」

 

「そして変装も近くで見ると人じゃないってバレバレだし」

 

大半の生徒が殺せんせーの変装と態度に突っ込みを入れている。

 

そんな中…

 

「殺せんせー、ほれ」

 

菅谷が何かを殺せんせーに投げ渡す。

 

「まずそのすぐ落ちる付け鼻から変えようぜ」

 

菅谷が渡したのはそれまで殺せんせーが付けていたよくある人型の鼻ではなく団子鼻型の付け鼻だった。

 

「…オオ!!すごいフィット感!!」

 

「顔の局面と雰囲気に合うように削ったんだよ、俺そんなん作るの得意だから」

 

「ほへぇ~、すごいね菅谷君」

 

「うん、焼け石に水くらいは自然になった」

 

「あはっ面白いね」

 

「うん、旅行になると皆のいろいろな一面が見れるね」

 

「ってことはこれから先の出来事次第じゃ、もっともっといろんな顔が見れるってことだな」

 

「それはちょっと楽しみだな」

 

「ね、皆の飲み物買ってくるけど何飲みたい?」

 

「俺イチゴ煮オレ~」

 

「僕は紅茶」

 

「俺はスポドリかな」

 

「俺は…緑茶を頼む」

 

「あ、私は一緒に行きます!」

 

「私も!!」

 

「あ~じゃあ女性陣、頼みました」

 

「はい、頼まれました」

 

そんなやり取りもありつつわいわいと皆で道中を楽しむのだった。

 

=======================================================

 

――京都駅

 

京都駅につき、クラスごとに移動することになっておりA組から順に出発する予定になっているのだが…

 

「全然進まねーな」

 

「何があったんだ?」

 

「…あ!!誰かこっちに来るぞ!!」

 

「通せといっている!!私が用があるのはお前達ではない!!」

 

A~D組の生徒達を押しのけてE組の元まで来ようとしている人がおり、その人を龍哉が見た瞬間

 

「げ」

 

すごく怪訝な顔をしてしまい、それを不審に思った杉野が声をかける。

 

「おい龍哉どうしたんだ」

 

「ば「龍哉ぼっちゃまぁぁぁぁぁ!!!」

 

「「坊ちゃま!?」」

 

「はぁぁぁぁ」

 

杉野が龍哉を呼んだ瞬間、主人の居場所を見つけた犬のごとく猛スピードで龍哉の元に坊ちゃまと呼びながらやってきた一人の男性が来た。

 

それを聞いて龍哉が深~いため息をつく。

 

「…伊藤さん、それ本当にやめてって前から何度も言ってるよね?その耳飾り?だったら引き継ぎって肉塊にして口の中に突っ込んで咀嚼して食べさて上げる」

 

「「覇月(龍哉)(君)ストォォォォォォップ!!!!!」」

 

とてつもない行動できた男性(伊東というらしい)にアイアンクローを(心なしか発火しているように見える)をがっちり決めて上記台詞をノンブレス且つめっちゃいい笑顔で言い切った龍哉に思わずE組全員でストップをかける。

 

そして何とか龍哉を引き離し、場を整えて改めたところに和服を着こなした美熟女が現れる。

 

「皆様、お騒がせして申し訳ありませんでした、そこにいる覇月龍哉の祖母、覇月神奈と申します」

 

(え…?)

 

(お祖母さん…)

 

(若ぁ…)

 

「私は龍哉様の「この人はファッションデザイナーの伊東さん、イリーナ先生の服を準備してもらった」

 

自己紹介をしようとした伊東を遮り、紹介する龍哉…伊東の顔が不満気だが龍哉も神奈も完全に無視している。

 

「伊東、外にある車にイリーナ先生と龍哉をご案内して」

 

「分かりました、龍哉様、イリーナ先生、こちらです」

 

「へーい゛!!」

 

適当な返事をしようとした龍哉に神奈は素早く折檻する。

 

「返事はちゃんとする」

 

「はい」

 

「じゃ、行ってくるわね」

 

そう言って龍哉とイリーナ先生は去り、そこにはE組と神奈が残った。

 

「あの、神奈さん…でよろしいでしょうか」

 

「ええ、烏間惟臣さん、ですね…ええ、問題ないですよ、なんでしょうか」

 

「ええ…なぜ、覇月君まで…イリーナだけでも良かったのでは?」

 

そこにいた全員が疑問に思っていたことを代弁するように烏間が質問する。

 

それに対する神奈の答えは…

 

「そうですね…皆さんに祖母として、どうしてもお願いしたいことがあったからです」

 

「お願い?」

 

「ええ…あの子は…体は大きくなり強くなりましたが…一目見て分かりました、最も成長してほしかったところは最後に会った時から…5歳の、あの事件の後から全く成長してません」

 

「「!!」」

 

「その…最も成長してほしかったところとは?」

 

烏間先生が尋ね、全員がしっかりと聞き耳を立てる。

 

「それは…『愛』です…あの子は『愛』すること、『愛』されることを無意識のうちに拒絶しています」

 

「え…」

 

神奈の思いがけない言葉に全員が―特に倉橋が―絶句してしまう。

 

「それは…もしかして…」

 

「ええ、あの事件が原因です…」

 

愛する親を、愛してくれる親を、自分の手で殺したも同然と思い、それゆえに自分は愛し愛されてはいけないと思ってしまった―神奈にそう告げられて、完全に沈黙してしまう。

 

「ですが…そうではないと皆さんなら分からせることができると思います」

 

「どうしてですか?」

 

「あの子は…助けを求めているのだと…そう思っています、それが出来るのは皆さんだけと…そうも思っています」

 

「なぜ、今日初めて会った我々をそこまで…」

 

「目です」

 

「目?」

 

「目は口程に物を言う、というように目を見れば分かります、信頼・信用に値するかどうかは」

 

これは龍哉に忘れてはならないと一番最初に教え込みました―そう告げられ、龍哉が自分のことを包み隠さず話してくれた理由に全員が納得する。

 

「ですので皆さん、どうかよろしくお願いします」

 

そう言って頭を下げ、立ち去る神奈と入れ替わるように龍哉とイリーナ先生が戻ってくる。

 

イリーナ先生の格好はいつもより露出は少なめだがそれでも教師と明確にわかるスカートスーツスタイルだった。

 

「戻ったわよ…ってみんなどうしたのよ」

 

「なんか暗いぜ?」

 

「いや、なんでもない」

 

烏間先生がそう言うと皆も動き始めたため、龍哉とイリーナ先生は首をかしげつつともに移動を開始する。

 

「本当はかなりすごいことがあったんじゃないの?」

 

「…後で話す」

 

「分かったわ」

 

こんな会話が先導する教師2人の間であったことは誰も知らないが…

 

そんなこんなでようやく京都見学がスタートした。

 

=======================================================

 

「…1日目ですでにグロッキーなんだけど」

 

「まさか新幹線とバスで酔うとは…」

 

ぐったりとした表情になった殺せんせーを見て全員が乗り物に弱いことを知る。

 

「大丈夫?寝室で休んだら?」

 

「手厚く介抱してやるぜ」

 

そう言いながら龍哉と岡野、磯貝に前原がナイフを振り下ろしているが、その状態でもひらひらと躱されている。

 

「いえ、ご心配なく…それよりも先生これから一度東京に戻りますし、枕を忘れてしまいました」

 

((あんだけ荷物あって忘れ物かよ!!))

 

「どう神崎さん、日程表見つかった?」

 

「ううん」

 

「どうしたんだ?」

 

「あ、覇月、実は神崎さんが日程表無くしちゃって」

 

「…なんつーか、らしくねぇミスだな…」

 

「神崎さんは真面目ですからねぇ…でもご安心を先生手作りのしおりを持てばすべて安心」

 

「「それ持って歩きたくないから皆まとめてんだよ!!」」

 

「…確かにバッグに入れてたのに…どこかで落としたのかなぁ」

 

「確か、飲み物買いに行く前は出してなかったか?」

 

「あ、そういえば!!」

 

「えっと…確かに、買いに行くときにも持っていってたと思います」

 

「そういえば、その時に確か高校生にぶつかっちゃってたよね」

 

「そん時に落としたんじゃね?」

 

「そんな…」

 

飲み物を買いに行ったときに落としたのかもしれない…その可能性に思い当たった神崎の顔は暗い

 

「でもよ、俺らも俺らでまとめてるし、別に班行動なんだから誰かがちゃんと把握してりゃ問題ねーだろ」

 

「でも、それじゃ迷惑が」

 

「全然!!そんなことないよ!!」

 

「そうです!神崎さんは何も悪くないんですから!」

 

「そうそう」

 

「…ありがとう」

 

神崎の表情も少し明るくなる…しかし、これが悲劇のもとになるとはこのとき、だれも予想していなかった…

 




今回登場したオリキャラの紹介

覇月神奈(はづきかんな)
誕生日 8月7日
年齢 55歳
身長 155cm
体重 50kg
血液型 AB型
趣味、特技 生け花、裁縫、料理をはじめとする女の嗜み全般
その他 孫バカゆえ龍哉の話題は禁句(爺婆共通)。
実は京都老舗呉服屋の代表取締役兼会長だが、龍哉を筆頭に生徒達は知らない(そもそも教える気もない)。
龍哉の事をとてもかわいく思っているが、同時に立派になってほしいために厳しく接するが、そのため龍哉からは少々怖がられていたりする。
会社の経営者でもあるため人の内面を見抜く力に長けており、龍哉にもそれを叩き込んだ。
離れていた間に龍哉のその力が薄れていること、そして心のある部分が成長していないことを一発で見抜き、非常に心配している。
イメージはポケットモンスターのタマムシジムジムリーダーのエリカが年老いた感じ。

伊東
龍哉が幼い頃京都にいた時にスランプだったのを救ってもらってから龍哉の事を坊ちゃまと呼び、自分のデザインした服を何着もプレゼントしている(そのため龍哉は服を買ったことが無い)。
ただしそのテンションから龍哉からはうっとうしがられており、たいてい本編のような対応をとられるが、それでも折れないあたりこいつもいろいろな意味で規格外。
ちなみにこいつの作った服の宣伝には加工した龍哉の写真が神奈の許可の元使われているため、龍哉は知らずのうちにモデルとしてかなりの額を稼いでいる。
イメージはBLEACHの檜佐木修平


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閑話・1時間目:龍哉を助け隊

修学旅行1日目の夜、龍哉以外のメンバーがスマホの便利アプリを使っていろいろとお話します。

ちなみに全員強制参加

「参加しない不良生徒には先生がとっておきの手入れをして差し上げます」by殺せんせー


―1日目夜

 

龍哉を除く全員がLINE上に集まっていた。

 

片岡『覇月君はちゃんと寝てる?』

 

磯貝『ああ』

 

前原『でも本当に良く効いてるな』

 

奥田『覇月君、薬学の知識あるから効かないかと思ってました』

 

中村『あ~、分かる分かる』

 

殺せんせー『彼は知識としては知っていたでしょうが実体験は初めてなのでしょう』

 

業『だからぐっすり、多分盛られた事にも気が付いてないんじゃない?』

 

イ『それじゃ、本題に入りましょう』

 

烏間『そうだな』

 

渚『龍哉のお祖母さん、神奈さんが言ってたことだよね』

 

茅野『『愛』を拒絶してる、でいいんだよね?』

 

神崎『うん、端的に言うとそういう感じだよ』

 

杉野『でもなんか信じらんないよな~』

 

岡野『そうかな?』

 

矢田『むしろちょっと納得したかも』

 

原『うんうん』

 

岡島『あれ、女性陣はなんか納得してるっぽい』

 

狭間『そこらへんは男女の感覚の差よ』

 

村松『てか俺らは事件とかよくわかんねーんだけど』

 

不破『そういえば村松君達は覇月君が転校してきてからあんまり絡んでないよね』

 

三村『まぁ渚のこと聞いて覇月のほうもちょっと避けてるしな』

 

吉田『俺らが避けられるようなことって…』

 

速水『あんたらが渚にやらせたこと、あれ覇月のトラウマよ』

 

寺坂『はぁ?』

 

烏間『この事件だ。記事のURLをメールで送る』

 

烏間(新聞記事のキャプション画像)

 

イリーナ『龍哉、ガキの頃にこんなことに巻き込まれてたのね』

 

千葉『これは普通にトラウマだろ』

 

竹林『彼は話した瞬間、顔が青ざめてたしね思い出すだけで相当辛いんだろう』

 

菅谷『平然としてるように見えるけど、ありゃめっちゃ無理してるぜ』

 

木村『殺せんせーの暗殺に積極的だけどとどめを刺せないのはやっぱこれが影響してるんだろうな』

 

イリーナ『当たり前よ、これ5歳くらいでしょ、烏間』

 

烏間『ああ』

 

イリーナ『平和に暮らしていたところでそんなときにこんな目に会ったら、誰しもこうなるわよ』

 

殺せんせー『まるで経験したみたいですね、イリーナ先生』

 

イリーナ『うっさいわよタコ』

 

村松『…おい、寺坂』

 

吉田『俺らのやった事って』

 

寺坂『けっ』

 

渚『まぁ寺坂君達が僕にやらせたこととかは今は関係ないですよ、それよりも龍哉を『どう助けるか』です』

 

業『渚君の言う通りだね』

 

殺せんせー『…そうですね、せんせーとしては絶対に助けてあげたいです』

 

矢田『なんか意味深だね』

 

片岡『でもどうすればいいんだろうね』

 

中村『愛してるよゲームとか?』

 

茅野『絶対無理だよ』

 

杉野『ビッチ先生のハニトラを変なもの扱いしたんだぜ?』

 

イリーナ『変なものって何よ!!』

 

烏間『イリーナ、落ち着け』

 

岡野『でも愛を教えるって…』

 

殺せんせー『この情報には客観的なものしか載っていません』

 

磯貝『つまり、覇月が実際に見聞きしたことも分からないといけないってことですか?』

 

殺せんせー『その通りです』

 

前原『でも誰が聞くんだよ、いや、そもそも聞いて教えてくれんのか?覚えてんのか?』

 

神崎『そういう問題が残ってるよね』

 

茅野『どうしてそうなったのかも分からないよね』

 

業『龍哉は自分の性で両親が死んだと思っているって言ってたよね?』

 

速水『そうね』

 

渚『カルマ君、何かわかったの?』

 

業『それに龍哉本人が転入初日に教えてくれたよね?自分を助けて死んだって』

 

岡島『そういやその前のカルマと渚の喧嘩一歩手前の会話のほうがインパクト強くてちょっと忘れてたな』

 

不破『テロリスト扱いだもんね』

 

茅野『でも中間前から仲良くなったよね?』

 

渚『うん、もう一度本音で話し合ったんだ』

 

業『で、謝りあって仲良くなったってわけ』

 

片岡『ちょっと、ずれ始めてるわよ』

 

業『ごめんごめん、これはあくまで想像だけど、龍哉は自分を助けて両親が死んだから自分の性で死んだって思いこんでるんじゃない?』

 

磯貝『その可能性はあるな』

 

倉橋『多分、そう思ってる原因私知ってると思う』

 

前原『え、マジで?』

 

矢田『陽菜乃ちゃん、どうして知ってるの?』

 

倉橋『えっとね、中間前日に覇っ君に勉強教えてもらった時にちょっとだけ聞いたの』

 

殺せんせー『どういうものですか?』

 

倉橋『えっと…烏間先生が教えてくれた記事が出た後、毎日昼夜問わずに記者とかテレビとかに追いかけられたんだって』

 

速水『ごめんちょっと待って』

 

千葉『話が急展開過ぎるぞ』

 

業『あれっしょ、爆弾魔から救われた男の子とかそういう風に祭り上げて視聴率とかをとろうとしたんだよ…龍哉の気持ちを全く考えもせずにね』

 

倉橋『うん、カルマ君の言う通り、しかもお祖父さん達がいないと勝手に家の中に入り込んでまで来たんだって』

 

渚『それもろに不法侵入じゃん!!』

 

茅野『警察仕事して!!』

 

杉野『今言っても遅い!!』

 

倉橋『その時に自分を命がけで助けてくれた両親のことどう思う?とかそういう風に聞かれたんだって』

 

神崎『非道い…』

 

奥田『最低です!!』

 

倉橋『それ以上のことは本当に辛そうだったから聞けなかったけど…多分、爆弾魔からなにか言われたんだと思う』

 

矢田『どうしてそう思うの?』

 

倉橋『その後に言ってたの、「あいつらも最低だけど…ああなるきっかけも最悪だった」って』

 

烏間『なるほどな』

 

イリーナ『何よカラスマ、何かわかったの?』

 

烏間『覇月君のお父さんは厳しい方で有名だった、他人にも、自分にもな』

 

殺せんせー『なるほど、という事はその爆弾魔はかつて覇月君のお父さんの教え子だったという事ですね』

 

烏間『ああ、優秀だがその思想は危険と上層部に判断された男だ。優秀ゆえに自分が正しいと思いこみ、判断を不服に思った、その結果がこの事件だ』

 

烏間『その時に、自分の父親への恨みを晴らすために覇月君は人質にとられ、その時に自分がいなければこうならなかったといわれたのだろう』

 

神崎『私、覇月君が愛し愛されるのを拒絶してる理由、分かったかも』

 

渚『えっ!?』

 

杉野『さすが神崎さん!!』

 

磯貝『説明してもらえる?神崎さん』

 

神崎『うん、多分、さっき烏間先生が言ったことが本当に言われていたらって前提だけど』

 

神崎『自分がいなければこうはならなかったって言われて、でもご両親が命がけで自分を助けてくれた』

 

神崎『自分が愛し愛する人達がいなくなって、でも爆弾魔に言われたことが頭にこびりついちゃって…』

 

神崎『だから、人のことを愛し愛されることを拒絶しちゃうようになっちゃったんじゃないかな』

 

殺せんせー『これはこれは神崎さん、中々の考察ですねぇ』

 

奥田『神崎さん、すごいです!!』

 

前原『でも、これ前提で覇月に伝えるのも難しくねーか?』

 

岡野『なんでよチャラ男』

 

前原『おい!!』

 

片岡『まぁまぁひなた、まずは聞いてみよう』

 

磯貝『で、なんで難しいんだ前原?』

 

前原『いや、あいつは俺らのこと信頼してくれてるだろ?下手な伝え方すると信頼関係に罅入ってこじれてさようなら、もあり得るぜ…そんなにやわじゃねーと思うけどよ』

 

原『まぁ言いたいことはわかるね』

 

渚『龍哉の過去をもう少し知れたらいいかもね』

 

業『まぁ、気長にやればいいんじゃね?』

 

茅野『1日2日でどうにかなるもんじゃないもんね』

 

杉野『ただ誰を中心にいくかは決めといたほうがいいんじゃないか?』

 

神崎『なら倉橋さんだね』

 

イリーナ『まぁ当然よね』

 

片岡『妥当ね』

 

矢田『いぎなーし』

 

中村『ってか反対する奴いんの?』

 

速水『倉橋さん以外に可能性がある人はいないもんね』

 

倉橋『なんで!?』

 

渚『龍哉が一番心開いてるのは倉橋さんだろうからね』

 

業『たしかにね~龍哉が過去を詳しく語ってるのって、倉橋だけだし』

 

磯貝『まぁ何かあったら俺達もフォローするさ』

 

岡島『だな、世話になってばっかじゃな』

 

千葉『ああ』

 

原『でも修学旅行中は厳しいんじゃない?』

 

奥田『そ、それならまず外堀を埋めるのはどうでしょう?』

 

神崎『うん、私達がまずはもっと覇月君の事を知っていかないとね』

 

渚『龍哉はちゃんと話し合うと分かりあえるタイプだから…何とかなる…かな?』

 

杉野『何とかなるじゃなくて何とかしようぜ』

 

茅野『さんせー!!』

 

殺せんせー『ヌルフフフ、青春ですねぇ』

 

==========

 

「ん…ひ…ちゃん…」

 

そんな会話を某アプリ内で繰り広げられている事を知らず(奥田特製の睡眠薬によって)熟睡している龍哉。

 

寝言としてつぶやいた人の名前らしきものはいったい誰なのか…

 

幸いにして皆アプリに集中していたため気づかれなかったが…

 

真実の答えには意外と早く近づけるのかもしれない。

 

 




覇月の心情考察が多分に入りました。

正解かどうかは今後の展開次第、といっておきます。


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修学旅行の時間:3時間目

さてさて、先日の会話も胸に各判は殺せんせーの暗殺に挑みます。

されど、その楽しい暗殺旅行にも魔の手が迫っていることに、誰一人として気づいていませんでした。

それでは皆さん、暗殺旅行~~レディィィィィゴォォォォォ!!!


修学旅行2日目、この日1日は班毎に別行動となっている。

 

「しっかし、なんで京都に来てまで暗殺なのかねぇ~」

 

杉野のボヤキに反応したのは龍哉だ。

 

「京都こそ暗殺にはふさわしいよ、むしろここで暗殺されることはある意味殺せんせーにもいいことだ」

 

「どういうこった?」

 

「龍哉の言う通りだよ杉野、ちょっと寄りたいコースがるんだ」

 

「こっからだと…あそこか」

 

「知ってるの?」

 

「子供のころに京都内で起きた歴史上の事件の数々は覚えたからな、場所にも実際に連れていかれたし」

 

渚と龍哉主導の下、ついたのは…

 

坂本龍馬・中岡慎太郎が暗殺された近江屋の石碑前だった。

 

「坂本龍馬って…あの?」

 

「あ~」

 

「そう、1867年、今の日本の原型を作った功労者、坂本龍馬暗殺の近江屋の跡地だ」

 

「さらに歩いて直ぐの距離に本能寺もあるよ、当時とはちょっと位置がずれてるけど」

 

「他にも「池田屋事件」の他、様々な事件がこの京都市内では起こってる」

 

「このわずか1㎞範囲内でも歴史の教科書に出てくるようなビッグネームが暗殺されてる」

 

「古来、飛鳥時代のころから京都は日本の町の中心だった、それゆえに起きた暗殺は数知れず」

 

「つまり、暗殺の聖地ってことか~」

 

「そういうこと」

 

「さっきの覇月君の言葉の意味、『歴史上の人物と同じ土地で殺されるから』殺せんせーにもいい事だったんですね」

 

「そ…まぁそんな簡単に殺れるんならもうとっくに殺れてるんだろうけどね」

 

「あはは、それよりも次行こうよ次!!八坂神社!」

 

「えーもういいから少し休もうよ~京都の甘ったるいコーヒー飲みたい」

 

「八坂神社の近くにあるからそこまで我慢しろ、カルマ」

 

「良く知ってるね」

 

「いろんな場所を連れまわされたからな、大体の地形と建物や店の位置は覚えてる…10年前のだがな」

 

「「それ本当に大丈夫なの!?」」

 

そして龍哉案内の元いろいろな場所も観光しつつ暗殺結構予定場所に移動する4班の面々であった。

 

==========

 

「へー、祇園って奥に入るとこんなに人けないんだ」

 

「うん、一見さんお断りのお店ばかりだから…目的もなくふらっと来る人もいないし、見通しがよい必要もないし」

 

「それに店が開くのは夜間であることが多いし、店の中から外をのぞくこともないこの時間帯なら目撃者とかもいないからな」

 

「そう、覇月君が言ったこともあるから、私の希望コースにしてみたの、暗殺にピッタリなんじゃないかなって」

 

「さすが神崎さん!!下調べ完璧!!」

 

「覇月も良く知ってるね」

 

「…昔、俺が寝た後こっそり祖父ちゃん達がここに遊びに行って…俺が起きた時、全身ズタボロの祖父ちゃん達を見た、その時に概要だけ教えてもらったからな」

 

「「一体何があった!?」」

 

「その時にお祖母ちゃん達がすっげぇいい笑顔で「世の中には知らなくてもいいことがあるんだよ」って言って来たから細かくは聞かなかった…聞けなかったともいえるかもしれんが」

 

((確かにそれは聞けない))

 

「と、とにかくここで決行でいいかな?」

 

そんな会話をする龍哉達の元に…

 

「ほんとうってつけだぜ、なんでこんな拉致りやすいところ歩くかねぇ」

 

「誰だ!!」

 

3人組の学ランを来た男達が現れる。

 

「…何お兄さん等?観光が目的っぽく見えないけど」

 

「拉致っつったな、何が目的だ」

 

「男に用はねー、女おいておうち帰んな」

 

そういったデブの男をカルマが素早く顎に掌底を当て、顔を掴んで後頭部を電柱にたたきつける。

 

「ほらね渚君、目撃者いないところなら喧嘩しても問題ないっしょ」

 

「それには…同感だ!!」

 

ゴゴッ!!!

 

龍哉も即座にカルマに乗っかり、残った2人を即座に蹴りを水月に打ち込んで気絶させる。

 

「あれ?龍哉も手ぇだすんだ」

 

「あまりこういうのに目を付けられたくないから基本はおとなしいが、かといって放置し続けるほど、愚かではないつもりだ」

 

「んじゃこれでおわ「フン!!」」

 

カルマが終わったと言おうとした瞬間、龍哉がカルマの頭上に蹴りを繰り出した。

 

驚いたカルマが後ろを見ると鉄パイプを持ったさっき倒した3人と同じ学ランを来た男が倒れていた。

 

「油断大敵」

 

「(・д・)チッ」

 

「もういないかな?」

 

「いや、まだ5~6人はいる、渚、友人、女子の前に立て、女子は壁際に行っててくれ、俺とカルマで蹴散らすから」

 

「分かった」

 

「龍哉にカルマか、なんか大船に乗ってるって感じだな」

 

「気を抜くな、俺達とて油断したら負ける、向こうは全員戦闘が出来るがこっちは3人にも満たない、正直不利だ」

 

「…分かってるよ」

 

((あれ、もしかして俺(僕)達って戦力として合わせても1人分に満たない?))

 

龍哉の言った言葉からそう判断する杉野と渚、しかし、事実として戦闘慣れしていない2人では戦力にはならないだろう。

 

「どうする?」

 

「リーダー格をつぶすのと、周りを平らにするの、両方一気にやらんときつい…カルマ、リーダー格はお前がやれ」

 

「雑魚掃除出来んの?」

 

「この状況だ、相手も襲ってくるなら正面から、しかも多くても2人が限界だそれならたやすい」

 

「了解」

 

そう2人が段取りを決めると学ランを来た男達が現れる…ただし、龍哉達の頭上から(・・・・・・・・)だ。

 

「なっ!!」

 

「ちっ!!」

 

良く歴史もので屋根の上から奇襲があるが、それをこの学ランたちはやってのけたのだ。

 

そしてその手に持ってたのは…

 

(スタンガン!!)

 

「くっ!!」

 

「がっ!」

 

スタンガンから電流を浴びせられて倒れる龍哉とカルマ、それを確認した男達は渚、杉野を倒すと神崎と茅野を連れてその場から立ち去って行った。

 

==========

 

「皆さん!!大丈夫ですか!?」

 

「…よかった、奥田さんは無事で」

 

「ご、ごめんなさい、後ろに隙間があったので思いっきり隠れてました」

 

「つ…まさか屋根の上からとは…」

 

「あいつら…かなり手練れだよ…車のナンバー隠してた」

 

「見えたのか?カルマ」

 

「ああ、多分盗難車だしどこにでもある車種だから…犯罪慣れしてるよ、あいつら」

 

「ってことは警察に行っても…いや、いっている間に茅野さんと神崎さんがどんな目にあわされるか」

 

「!!」

 

「俺としては個人的に処刑させてほしいけどね」

 

「同感だ…「~~♪」俺の携帯だ」

 

どうすべきか途方に暮れかけたタイミングで龍哉の携帯が鳴る

 

「磯貝君、どうし「覇月!!大変だ、片岡たちが…さらわれた!!」何!!」

 

龍哉は携帯をスピーカーに切り替え、全員で会話を共有できるようにする。

 

「そっちでさらわれたのは?」

 

『片岡、倉橋、矢田の3人だ。岡野は無事で、俺と木村も大丈夫だけど、かばった前原が…』

 

「軽症だが動けない怪我、か」

 

『ああ』

 

「こっちは神崎さんと茅野さんがさらわれた、そっちはどのタイミングだ?」

 

『ついさっきだ』

 

「こっちもだ…時間が一緒ってことは同一グループの仕業とみて間違いないな」

 

「ねね、そっちでしおり持ってる人いる?」

 

『しおり?俺が持ってるけど』

 

「こっちは俺と渚が持ってる、もしかすっとそこに対策があるかもしれない」

 

『そんな簡単に「あったよ、班員が拉致られたとき」あるのかよ!!』

 

「よし、それを基に行動しよう、幸い、こっちは全員動けるから…磯貝君達は烏間先生に連絡して前原君と岡野さんを旅館まで連れてってもらって、俺らは殺せんせーに連絡するから」

 

『分かった』

 

「連絡は豆に、些細なことでも報告しあおう、合流地点は…」

 

龍哉と磯貝を中心に話を纏め、1班と4班は仲間を助けるために行動を開始する。

 

==========

 

ところ変わってさらわれた神崎達

 

「ほらよ、ここにいな」

 

そう言って連れてこられた先には…

 

「片岡さん!!矢田さん!!」

 

「倉橋さん!!」

 

既に到着していたのか、1班の片岡、倉橋、矢田がいた。

 

「なんだ…知り合いか…へっへっへ、良かったじゃねぇか」

 

「仲良く「台無し」にしてやるよ」

 

そう言って男達は女子達のそばを離れていく。

 

そうなったところで茅野が口を開いた。

 

「…神崎さん、ちょっと意外、さっきの写真…真面目な神崎さんにもああいう時期があったんだね」

 

「……うん」

 

茅野が言っているのはさらわれたとき、誘拐した男達が携帯で見せた写真の事だ。

 

服装もかなりギャルっぽい、普段の清楚なイメージの神崎からはかけ離れたものだった。

 

そのことを知らない3人は疑問を持つが、黙って神崎の話を聞く。

 

「うちは父親が厳しくてね、いい学歴にいい職業…いい肩書ばかり求められて…そんな生活から逃げ出したくて、名門の制服も脱ぎたくて、知っている人がいないところ格好も変えて遊んでいたの」

 

「そうだったんだ」

 

「……ばかだよね、遊んだ結果得たのが「エンドのE組」の肩書、もう自分の居場所がわからないよ」

 

「じゃあ作ればいいんじゃない?E組(ここ)で」

 

自分のことを話してうつむく神崎に声をかけたのは倉橋だ。

 

「有希子ちゃん、多分、皆そうだと思うよ」

 

「え?」

 

「皆、どこかに自分の居場所を作るのに必死だよ…そしてその居場所って無理に作るものでもないと思うんだ」

 

「倉橋さんも?」

 

「うん、私もね、昔はそうだったよ」

 

「えっ!!」

 

倉橋の言葉に一番驚いたのは友人である矢田だ。

 

なにせ彼女の知る倉橋陽菜乃という女の子は誰とでも仲良くなれる天真爛漫な子というイメージしかなかったからだ。

 

「昔…家族で京都に来た時に迷子になっちゃって…その時にね、男の子に助けてもらったの」

 

「そうなんだ」

 

「それと実はそのころね、幼稚園で中々友達が出来なくて迷ってたの」

 

「そうだったんだ」

 

「うん、その時にね、助けてくれた男のに言われたの、「僕を助けてくれたときみたいに、その優しさと明るさがあればきっと友達出来るよ」って、それからなんだ、友達ができて、居場所っていうのかな、そういうのもできたの」

 

「そうだったんだ」

 

「でもその男の子も…助けてくれたって」

 

「う~ん、まるで何かから逃げてたみたいだけど詳しくは聞かなかったな~…でも最後別れるときに心からの笑顔だったから大丈夫だと思うよ」

 

「そっか」

 

「はっ、くだらねー事べらべらとクチャべってるけどよ、俺らと同類(ナカマ)になればいいんだよ」

 

「俺らも肩書とか死ね!って主義だからよ」

 

その後も語られた男達の所業…はっきり言って人として最低であった。

 

当然…

 

「サイッテー」

 

茅野がつぶやく。

 

それを聞いてリーダー格の男が茅野を服を掴んで首を絞める。

 

「何エリート気取りで見下してんだよ…お前らもすぐに同じところまで堕してやんよ」

 

「今から10人ちょいを相手してもらうがよ、戻ったら涼しい顔してこういやいいんだよ「楽しくカラオケしていただけです」ってよ」

「…っ!!」

 

全員顔をゆがめる。

 

「それなら誰も傷つかねぇし、東京に戻ったらまた遊ぼうぜぇ楽しい修学旅行の記念写真でも見ながらよ」

 

「ッ!!」

 

そこまで言われて完全にピンチだと気付き、倉橋、矢田に至っては完全に涙目だ。

 

そしてドアが開く。

 

「きたぜぇ…うちの撮影スタッフがよォ!!」

 

しかし、出てきた男は顔面を手でわしづかみにされてつられている。

 

そしてその手は赤く光っている…誰がやっているのか分かった面々は一斉に笑顔になる。

 

そしてなぜと困惑している学ランたちに渚が修学旅行のしおりを読み上げて説明する。

 

「修学旅行のしおり1243ページ、班員が拉致されたときの対処法、犯人の手掛かりがない場合、まず会話の内容や訛りなどから地元の者かそうでないか判断しましょう」

 

「京言葉については俺が全部知ってるから、まずあんたらは京都在住じゃねぇことが判断できた」

 

「地元民でなくかつ学生服を着ていた場合、1244ページ、考えられるのは相手も修学旅行生で、旅先でお板をするやからです」

 

「覇っ君!!」

 

「みんな!!」

 

現れたのは龍哉、カルマを先頭に磯貝、木村、杉野、隠れて奥田だった。

 

向こうから向かってくる気配がないため龍哉はわしづかみにしていた男を連中の仲間のほうに放り投げる。

 

「なっ!」

 

驚きつつも仲間を助ける男達…

 

「何でてめえら…ここがわかった!!」

 

「地元民ではない場合、相手は土地勘がないため拉致した後遠くには逃げず、近場で人目につかない場所を探すでしょう、その場合は付録134へ」

 

そう言って渚は付録の地図を広げ、皆が見えるようにする。

 

「先生がマッハ20で下見した、拉致実行犯潜伏対策マップが役立つでしょう」

 

「「……!!」」

 

そこまで聞くと女子は全員が完全に喜色満面の笑みを浮かべる。

 

そしてそこまで黙って聞いていた男達は…

 

((ねーよそんなしおり!!))

 

内心律儀に突っ込んでいた。

 

「すまない、合流に時間がかかって遅くなったが…助けに来たぜ!!」

 

龍哉が、そう宣言した。

 

 




拉致された班員や友達を助けるために乗り込んだ龍哉達、そしてそこでわずかに知れる、龍哉の過去…

それが今後にどんな影響をもたらすのか…

次回、修学旅行の時間:4時間目に…レディィィィィゴォ!!


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修学旅行の時間:4時間目

学ランを来た別の学校の修学旅行生たちにさらわれた倉橋、神崎、茅野、片岡、矢田。

絶体絶命のピンチに龍哉、カルマ、渚、杉野、磯貝、木村、奥田が駆けつけた。

それで暗殺修学旅行番外バトルレディィィィィゴォ!!!


「で、どーすんの?お兄ーさん達」

 

「これだけの事しでかして、ただで済ませる気はこっちには毛頭ないけどね」

 

「…フン、中坊がいきがんな」

 

そうリーダー格の男がいうともう一方のドアから足音が聞こえてきた。

 

「呼んどいたツレ共だこれでこっちは20人、お前らみたいないい子ちゃんには見たこともない不良共だ」

 

「たかが不良なんて、怖くないね」

 

「あ゛?」

 

龍哉の返しににらみつけるが、ドアが開いたことで全員の意識がそっちに向くが…

 

入ってきたのは丸坊主にされ、ビン底眼鏡をかけた7人の男と…

 

(ふりょっ…えっ!?)

 

「不良などいませんねぇ、先生が全員手入れをしてしまったので」

 

「殺せんせー!!」

 

龍哉達の担任、殺せんせーだった。

 

「遅くなってすみません、ですが覇月君と磯貝君がしっかり連携を取ってくれたおかげで、この場所は君達に任せて、他の場所を虱潰しに探す方法が取れました」

 

「前原君と岡野さんは?」

 

「彼らなら心配いりません、烏間先生達がしっかりと手当てもしてくれました」

 

「…で、何その黒子みたいな顔隠しは」

 

「暴力沙汰ですので、この顔が暴力教師と覚えられるのが怖いのです」

 

「「チキンか!!」」

 

「覇月君、磯貝君、渚君がしおりを持っていてくれたから先生達に迅速に連絡を取れたので、これを機に全員ちゃんと持ちましょう」

そう言って奥田、カルマ、木村、杉野にしおりが手渡される。

 

「……せ、先公だとぉ」

 

「ふざけんな!!なめたかっこうしやがって!!」

 

殺せんせーに男達がとびかかるが…

 

「…ふざけるな?」

 

顔を黒く、ド怒りの表情で素早く触手を振るいとびかかってきた連中の顎を払いダウンさせる。

 

余りの早さだったため男達は何をされたのか全く分からなかっただろう。

 

「なぁ、あれって」

 

「こないだ俺が教えたやつは今の殺せんせーの芸当の応用だよ、本来は今みたいのが普通なんだ」

 

と、会話から分かるように今の殺せんせーの行動は龍哉達はギリギリ理解できたようだ。

 

「ふざけるなはこっちのセリフです、ハエが止まるようなスピードと汚い手で…うちの生徒に触れるなどとふざけるんじゃない」

 

「…ケ、エリート共は先公まで特別性かよ」

 

「(小声で)殺せんせー来なかったら全員壁から下半身生えてるオブジェになってたって教えてあげるべき?」

 

「「(小声で)何する気だ!!」」

 

「てめーも肩書で見下してんだろ?バカ高校と思ってなめやがって」

 

そう言って立ち上がってナイフを構えたリーダー格の男に対して龍哉が言う。

 

「バカ高校かどうかは知らないし、関係ないね」

 

「あ?」

 

「あんたらが周りからどういわれていようが、なにされてようが今この時には全く関係ない…あんたらは俺の大切な友人をさらって傷つけようとした犯罪者、ただそれだけだ」

 

「覇月…?」

 

はっきりと『犯罪者』と告げた龍哉の目は…怒りに染まっていた。

 

全員が戸惑っているのは龍哉がこういった人質をとるような行為を嫌う、というのはみんな初めて知ったためだ。

 

「それと、俺達は名門校のエリートなんかじゃねぇよ」

 

「ええ、学校内では差別され、クラスの名前は差別の対象となっています」

 

それを聞きながらじりじりと下がっていく男…その後ろには…倉橋がいた。

 

「ですが、彼らはそこで様々な事(・・・・)に実に前向きに取り組んでいます、君達のように他人を水の底に引っ張るような真似はしません」

 

「学校や肩書など関係ない、清流に棲もうがドブ川に棲もうが、前に泳げば魚は美しく育つのです」

 

「………………!!」

 

その言葉に反応したのは神崎だ。

 

「さて私の生徒達よ、彼らを手入れしてあげましょう」

 

その言葉に答えるように龍哉以外がしおりを持ってリーダー格以外の男の後ろに立ち…

 

「修学旅行の基礎知識を、体に教えてあげるのです」

 

その瞬間、全員が何のためらいもなく男達の脳天にしおりを振り下ろした。

 

重い一撃を食らった結果、残すはナイフを持ったリーダー格のみとなった。

 

「これで後はあんただけだな…早くその子たちを開放しろ」

 

「…ふざけんな!!」

 

言うや否や倉橋の腕をつかんで立たせると顔の前に手を回し、空いた手でナイフを倉橋につきつける。

 

「ひっ…」

 

首元にあるナイフにおびえ、悲鳴を上げる倉橋…それを見た龍哉の足元から、煙が立ち上り始めた。

 

「…その子を離せ」

 

怒ってはいるが精一杯抑えるような声で龍哉が言う…手は固く握られ、腕は震えているため、相手にはビビっている印象しか与えないのだろう…事実

 

「はっ…俺らが十分に楽しんだら離してやるよ」

 

完全に優位に立ったと思い違い、こうすれば全員引くと思いこんでいる。

 

しかし…

 

「……最後通告だ…その子を…離せ」

 

龍哉の表情はうつむいてて見えないが…表情が見えなくても龍哉が怒っているのは仲間であるE組の皆は分かった。

 

以前、秀治に龍哉が怒るとどうなるか教えられていたためだ。

 

龍哉は怒ると体を震わせ、全身から赤い気を発して熱を出し、足元から煙が立ち上る、と…

 

そのうえ、その状態ではかなり体が熱くなっているため、下手に触れるとやけどするため極力言葉で落ち着かせないと自分達にも被害が及ぶことまで教えられていたためどうにかしたいと思っている…

 

しかし、今の龍哉を見るのが初めてのため、どうしても全員戸惑ってしまう。

 

そんな全員の困惑を知らない男は声をあげる。

 

「てめぇみてえなガキのいう事なんざきくきはねぇよ!!こいつの顔に一生ものの傷をつけられたくなかったらさっさと去りな!!」

 

「そうか…」

 

そう龍哉が言って足を一歩踏み出した瞬間

 

ゴォ!!

 

龍哉を中心に気の暴風が吹き荒れ、周りの物を吹き飛ばし、窓ガラスが割れ、壁にひびが入る。

 

「な、なぁ!?」

 

「!!」

 

余りの事態に全員驚く。

 

そして龍哉が顔を上げると…その両目は怒りで真っ赤に染まっていた。

 

しかし、そんな龍哉を見ても倉橋はおびえず、むしろ何かを決意した表情になった。

 

龍哉はそんな倉橋に気づかず、一歩一歩確実に倉橋達の方に近づいていく。

 

その距離があと数歩となったタイミングで倉橋が大きく口を開け

 

「えい!!」

 

その一声と共に思いっきり男の手に噛みついた。

 

「いでぇ!!」

 

余りの痛みに倉橋を手放してしまい、その隙を龍哉は逃さず攻撃に移り…

 

ゴシャァ!!

 

龍哉のとび膝蹴りが相手の側頭部を的確にとらえ、その衝撃で吹き飛ばされる。

 

また先程の倉橋の行動によって少し頭が冷えたのか冷静に動けたため、倉橋を抱き留めて無事を確認する。

 

「…倉橋さん、無事でよかった」

 

「ううん、覇っ君ならちゃんと助けてくれるって信じてたから…助けてくれてありがとう、覇っ君」

 

龍哉の目をしっかりと見てそういう倉橋に龍哉も

 

「…ああ」

 

少し顔を伏せながらもちゃんと返すのだった。

 

「これで、一件落着ですねぇ」

 

「まぁ…ね」

 

==========

 

「うわ、もう夕方かよ」

 

「かなり時間たってたんだな」

 

「しかし…何かありましたか神崎さん?」

 

「え?」

 

「ひどい災難いあったので混乱しててもおかしくないのに…何か逆に、迷いが吹っ切れた顔をしています」

 

「…特に何も殺せんせー、ありがとうございました、覇月君もありがとう」

 

「いや、俺は…」

 

「覇月君」

 

礼を言われても答えを濁す龍哉に殺せんせーが声をかけた。

 

「君の行動は立派でした。人質を取られたからといって取り乱さず、怒りにかられず至極冷静に対処しました」

 

「でも…」

 

「覇月君、もし自分がもっとしっかりしていたらまず人質に取られなかったと思っているのならそれはただのうぬぼれ、自信過剰ともいえます」

 

「えっ」

 

「確かに君には力がある、ですが、こういう事態の経験は自分自身がなった時のものしかありません」

 

「!!」

 

「君は自分がそういう経験をしているからこそ人に同じ思いをさせたくないと思っているようですが、それだけではだめです」

 

そう言いながら殺せんせーは顔をオレンジにして×字を浮かべ、触手でも×マークを作る。

 

「そうしないようするにはどうすればいいのか、どう動けばいいのか、覇月君、君はそれを全く考えていません」

 

「…」

 

「思っているだけではだめです、そして知らないのでしたら人に相談するなりしてください、もちろん、先生は全力で答えますよ」

 

「…はい、ありがとうございます、殺せんせー」

 

「なぁ覇月、俺らも今後こういうのに巻き込まれないとは限らないからさ、護身術とか教えてくれないか?」

 

「磯貝君?」

 

「あ、私も」

 

「神崎さん?」

 

「あ、それいいかも」

 

「うん、烏間先生と同等の強さを持ってる龍哉に教えてもらえばまたこうなった時に対処できるよね」

 

「…いいのか?」

 

「うん!!」

 

「もちろんです!!」

 

「…分かった、でも、他の皆にも聞いてね、今回の件からそう思ってる人他にもいるかもしれないし」

 

「もちろんだ、じゃあ食事の時にでも聞くか」

 

「そうね」

 

そして龍哉に教えてもらう日程とかを話始めたが、中心である龍哉はなにかを思い出したのか夕日を見つめていた。

 

(…そういえば…あの子に…ひなちゃんに会った時もこうだったな)

 

思い出したのは昔であった少女の事だった。

 

(あの日…あの日も、こういう風に人に教えてもらって気持ちが良くなったっけ)

 

==========

 

龍哉は祖母に呼ばれ、両親と共に京都に来ていた。

 

呼ばれたのは子供服のモデルをしてほしいという事であり、祖母の役に立つならと1日だけという条件の元引き受けたのだが…

 

(なんで何日もなんでこんなことばっかりしなくちゃいけないんだろう…)

 

既に3日ほど経過しており、龍哉は両親と終わった後の予定がなかなか消化できないことに内心イライラしていた。

 

だが、龍哉の容姿に加えて祖母の祖母バカが発動してしまい、長時間拘束されている。

 

(…よし、脱走しよう)

 

なんでそんな考えになったのか今となっては思い出せないが…

 

(確か、トイレの窓の近くに木があった、そこから外に出られるはず…よし、準備していこう)

 

そう思うや否や、龍哉は素早く自分の部屋に戻ると動きやすい服装に着替え、財布をポケットに突っ込んだ。

 

(…一応確認しておこう)

 

龍哉が何かに警戒して服を確認すると発信器と思われるものが上下で見つかった。

 

(…母さん、絶対警戒してたな)

 

もちろん警戒しているのは脱走ではなく誘拐や迷子だが…今回脱走する時には邪魔でしかないため外して…

 

(…ばれた時のためにダミーとして持っていこう)

 

持っていくことにした。というかこいつ本当に5歳児だろうか…ここまで普通は考えないだろう。

 

(よし、行こう!!)

 

そのままの勢いでトイレに行き、窓から飛び出て木に飛び移り枝を伝って外にでる。

 

そしてそのまま京都市内を歩き回る。

 

と、そこに…

 

「うぅ~…ここどこぉ~」

 

涙目の女の子がいた。

 

「…どうしたの?」

 

龍哉は両親に祖父母の教育により、困っている人、特に泣いている女の子に対しては親切にと教えられている。

 

「…パパとママとお兄ちゃんたちとはぐれちゃったの」

 

「はぐれたんなら探しているんじゃないの?」

 

「…でもパパたち、私がよくちょうちょとか追いかけていくから…どこを探したらいいかわからなくて…かんこーちを見てるかも…」

 

(どんな家族!?なんなのこの子!?)

 

「今日も珍しいちょうちょ見て…それで…」

 

「…そう」

 

龍哉は少し考え込むと…

 

「じゃあさ、一緒に観光地行こうよ、そうすれば会えると思うよ」

 

「いいの?」

 

「うん、ただ遠いところには行けないけど」

 

「大丈夫!私でも歩いていけるところにしか今日は行かないって言ってたから」

 

「じゃあ行こう!!…あ!!」

 

「どうしたの?」

 

「はぐれちゃだめだからさ、はい」

 

龍哉が右手を差し出す。

 

「うん!!」

 

女の子は喜んだ顔で龍哉の右手を掴む。

 

そうして2人はいろいろな場所を歩き回った。

 

そんな中疲れたため茶屋でアイスクリームを一緒に食べている(龍哉がお金を出した)。

 

「龍君、ありがとう」

 

「ううん」

 

歩いている間に2人は自己紹介をして龍君、ひなちゃんと呼び合っている。

 

「なかなか見つからないね」

 

「うん…でも」

 

「でも?」

 

「こうして龍君とお友達になれたし、良かったこともある!!」

 

「…前向きだね」

 

「龍君はどうしてあんな所にいたの?いろいろ知ってるのってこっちに住んでるの?」

 

「ううん、お祖母ちゃんのところに遊びに来てたんだけど…」

 

龍哉はそこで1日という約束を破られ、ずっと用事の手伝いをしていたことを話した。

 

「はわ~、大変だねぇ」

 

「うん、僕の気持ちの事、ぜんっぜん分かってくれないんだ」

 

「でもさ、そういう約束だったってちゃんと言ったの?もっとパパたちと一緒にいたいって言ったの?」

 

「え?」

 

「あのね、ちゃんと言いたいことは言わないと分からないよ、私もね、約束って言ったのに守ってもらえないことあるけど、でも次はちゃんと守ってねって言ってるよ、龍君は言わないの?」

 

「…言ってない…」

 

「じゃあちゃんと言わないとダメだよ!!」

 

「…言っていいのかな?」

 

「もちろんだよ!!」

 

「迷惑にならないかな?」

 

「約束を破る方が悪いんだよ!!」

 

「ひなちゃん」

 

「なーに?」

 

「僕、ちゃんと言うよ…教えてくれて、ありがとう」

 

「ううん…友達だもん!!」

 

2人は見つめあうと笑い出した。

 

「あははっ…私、友達ってほとんどいないから」

 

「そうなの!?」

 

「うん…私、動物とか、ちょうちょとかが好きなんだけど…それでね、そっちばっかり気にしちゃって…」

 

「う~ん、でも僕とは友達になれたよね?」

 

「うん…なんでなんだろう」

 

「う~ん…あ!!」

 

「どうしたの?」

 

「ひなちゃんさ、ちゃんと友達になりたいこの方見てしゃべったりしてる?」

 

「え…う~ん…あんまり、してないかも…」

 

「じゃあさ、僕とはずっと互いに相手の方見てしゃべってたら友達になれたでしょ?」

 

「うん」

 

「他の子ともさ、そうすればいいんだよ!!」

 

「でも…なれるかな?」

 

「なれるよ!!ひなちゃんはとっても明るくて優しいもん!!」

 

「明るくて優しい?私が?」

 

「うん!!」

 

「出来るかな?」

 

「出来るよ、絶対、大丈夫!!」

 

「…うん!!私、頑張る!!」

 

「僕も、ちゃんと言えるように頑張るから、お互い、頑張ろう!!」

 

「うん!!」

 

と、そこへ

 

「「龍哉!!」」

 

「父さん!!母さん!!お祖母ちゃん!!お祖父ちゃん!!」

 

「「ひなちゃん!!」」

 

「パパ!!ママ!!お兄ちゃんたち!!」

 

「「探したんたぞ!!」」

 

「「ごめんなさい」」

 

各々を探していた2人の家族が現れた。

 

当然、驚きあうが…龍哉とひなちゃんが(運よく)きちんと説明できたためあまり大きな騒ぎにはならずに済んだ。

 

そしてこれは別れの時間でもあった。

 

「龍君…」

 

せっかくできた友達と別れることが嫌なのか、今にもひなちゃんは泣き出しそうだ。

 

「ひなちゃん」

 

龍哉も龍哉で辛そうだ。

 

「…また、必ず会えるよ!!」

 

「え?」

 

「僕は信じてるよ、ひなちゃんとは必ずまたどこかで会えるって」

 

「…私も、信じる!!龍君とは、必ず会えるって」

 

「約束」

 

「うん、約束」

 

「「ゆーびきーりげんまんうそついたらはりせんぼんのーます、ゆびきった!!」」

 

再開の約束のために指切りをする龍哉とひなちゃん、そして龍哉が何かを思いついた。

 

「あ、大きくなってもわかるように、これ、あげる!!」

 

龍哉が渡したのはきれいなハンカチだ。

 

「ちょっと男の子っぽいから使えないだろうけど…」

 

「ううん!!あ!!私も!!」

 

ひなちゃんが渡したのは黄色のリボンだ。

 

「これ…龍君だとつけれないかもしれないけど」

 

「ううん、とってもきれいなリボン、ありがとう、ひなちゃん」

 

「龍君も、きれいなハンカチありがとう!!」

 

これで本当にお別れの時が来た。

 

「またね!!龍君!!」

 

「またね!!ひなちゃん!!」

 

反対方向にわかれる2人…だが、その表情はまた関らず会えるという期待に満ちた笑顔だった。

 

==========

 

「…き!!おい!!覇月!!」

 

「わぁっ!!」

 

「んなに驚くなよ、こっちまでびっくりしたじゃないか」

 

「ご、ごめんごめん」

 

ちょっとの時間だったが思い出にふけっていたため少しぼーっとしていたようだ。

 

「で、日程とかだいぶ決まったぞ」

 

「分かった、教えてくれ」

 

「えっとな」

 

日程はまず基本的は自主的に訓練時間としている放課後と土日、時間は龍哉に任せるらしい。

 

「なるほどな…ただ、教えるにしても人数とかで場所とか考えないといけないから何人参加するのかで変わるから、修学旅行後すぐは無理だぞ」

 

「分かった、じゃあ詳細が決まったらまた教えてくれ」

 

「了解」

 

「にしても珍しいよね、龍哉があんなにぼーっとしてたなんて」

 

「へ?」

 

「うん、龍哉君ってしっかりしてるから」

 

「そっかなぁ…ってかなんで龍哉君なの?神崎さん」

 

「有希子」

 

「へ?」

 

「有希子」

 

「いや、え?」

 

「え?じゃなくて有希子」

 

((ど、どーした神崎さん!?))

 

いきなり名前を連呼する神崎に全員びっくりしている。

 

「有希子ちゃん、それじゃわからないんじゃない?」

 

「あ、ごめんね龍哉君、ただこうやって男の友達を名前で呼ぶのに憧れてて…まずは龍哉君で慣れていこうかなって」

 

それを聞いてあからさまにほっとした表情をする杉野、それを見ていた渚は苦笑いだ。

 

「ああ、そういうことか、分かったよ有希子さん」

 

「あ、呼び捨てじゃないんだ」

 

「さすがにそれはなぁ…なんとなく避けたい」

 

「そっか、でもこうして名前で呼び合える友達が増えたのはうれしいな」

 

「あ~それはわかる」

 

「それじゃ、私は桃花で、メグも名前で呼んでね!!」

 

「桃花!?」

 

矢田が便乗し、それに片岡が突っ込む。

 

「別にいいよ、桃花さん、メグさん」

 

「覇月まで!?」

 

しかし、そんな片岡の突っ込みもむなしく終わる。

 

「俺らもいいかな?」

 

磯貝も便乗すると木村もとなりでうなづいている。

 

「おう、悠馬、正義」

 

「あ、あの!!私も…いい…ですか?」

 

「いいに決まってんじゃん、愛美さん」

 

奥田も恐る恐る名前呼びがいいというと普通に許可を出す龍哉にぱぁっと奥田も笑顔になる。

 

「じゃ、私もね!!」

 

「うん、カエデさん」

 

こうして倉橋を除いた全員を龍哉は名前呼びするようになったため…

 

「あ、倉橋さんはいいの?」

 

「ふえ?」

 

「あれ?もしかして倉橋さんもちょっとぼーっとしてたの?」

 

「えへへ…ちょっとこの夕日見てたら昔京都で会った男の子と思いだしちゃって」

 

「男の子?」

 

「それってさっき言ってた子のこと?」

 

「うん!!その時にね、また会おうねって指切りしてハンカチとリボンを交換したの」

 

「へぇ~、なんかロマンチックだね」

 

「うん」

 

「ハンカチか…そういや俺も子供のころにそんなことしたな」

 

「龍哉も!?」

 

龍哉の言葉に全員が驚き、まさかという思いがしたため即座に連携をとって話を聞き出す。

 

「龍哉君、陽菜乃ちゃん、そのハンカチってどんなの?」

 

「えっと…」

 

「確か…」

 

「「青地にストライプ柄の男の子っぽいやつ…え?」」

 

「そ、それじゃリボンは?」

 

「「黄色の先端が二股に別れてるやつ…ええ?」」

 

この回答に2人とももしかしたらというのが出てきたのか、顔を見合わせる。

 

「「…もしかしてひなちゃん(龍君)!!」」

 

それと同時に2人ともブレザーの内ポケットに手を入れると倉橋はハンカチを、龍哉はリボンを取り出す。

 

「「ってなんで持ってるんだよ!!」」

 

全員が言う通り、なんで持ってるんだ、この2人。

 

「「いつ会うか分からないから毎日に持ってた」」

 

それに対してはもって答える2人、なんといおうか…

 

「似た者同士だね」

 

「夫婦か」

 

そんな渚と杉野の突っ込みが響いた。

 

「というか2人とももしかしたらって思ってたんじゃないの?」

 

「え?」

 

「なんで?」

 

「うん、陽菜乃ちゃん、ちらちら龍哉君の事見てたし」

 

「龍哉も倉橋の方見ていること多かったもんな、中間前から」

 

「「そんなに?」」

 

「「うん」」

 

そこまで指摘されて恥ずかしくなり、倉橋はちょっと顔を赤らめてうつむき、龍哉は自分の行動を思い返していたが…

 

「…そろそろ移動しませんか?もう夕食の時間ですよ」

 

「「あっ!!」」

 

ずっと忘れられていた殺せんせーの一言で時間を思い出した全員が大慌てで戻る準備をする。

 

そんな中…

 

「ひなちゃん」

 

「ふえ?」

 

「で、いいよね」

 

「…うん、龍君!!」

 

「龍哉、こっから旅館までの最短ルート分かるか?」

 

「問題ない、戻るときのことも考えている」

 

「さっすが!!」

 

「ドンくらいかかる?」

 

「体力無い連中の事考慮してもそんなに時間はかからない」

 

「よし、案内してくれ」

 

「了解!!」

 

そうして龍哉の先導の元旅館にダッシュで帰る面々…

 

これでようやく、長かった修学旅行の2日目の自由行動が終わったのだった。

 

 




戦闘自体はちゃっちゃと終わったのにその後のオリストにだいぶ時間取られました。

今回で龍哉と倉橋もとい陽菜乃の出会いが分かりました。

ついでに他のメンツとの距離も縮めました。

…他の女性のフラグは折れてるから問題ない…はず…

誤字等修正しました(2016/05/01)


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修学旅行の時間:5時間目

修学旅行はこれで終わりです。

次回からは皆さんおなじみのあの子が登場!!

色々とぶっ飛んだものにする予定です。


「うおお!!どうやって避けてるのか全く分かんねぇ!!」

 

「恥ずかしいななんだか」

 

「おしとやかに微笑んでっけど全くぶれてないな」

 

「龍哉、もう大丈夫なの?」

 

「さすがになれた…まさかゲームの画面がこんなにもちかちかするもんだとわ思わなかった」

 

「すごい意外です、神崎さんがこんなにゲーム得意だったなんて」

 

「…黙ってたの、遊びが出来ても進学校(うち)では白い目で見られるだけだし」

 

「人の趣味にとやかく言う権利はないだろ」

 

「龍哉みたいなやつは少ないんだよ」

 

「うん、周りの目を気にしすぎて…服も趣味も肩書も、逃げたり流されたりして身につけてたから自信がなかった」

 

「…」

 

有希子の独白に何か思うところがあったのか、龍哉を筆頭に全員聞きこむ。

 

「殺せんせーに言われて気づいたの、大切なのは中身の自分が前を向いて頑張ることだって」

 

「そうか…(前を向く、か…自分なりに俺も頑張ろう)」

 

有希子の言葉を聞いて龍哉もまた一つ決心した。

 

「にしても、神崎さんと茅野、めっちゃ仲良くなってんな」

 

「案外、浚われたときに何か話し合ったのかもな、メグさん達の方もそんな感じだし」

 

「確かにね…」

 

「ああ、ここにいたのか」

 

「烏間先生」

 

「どうしたんですか?」

 

「ああ、今回の暗殺だが、本日で終了とする」

 

「どういうことですか?」

 

「仕事の難易度から仕事を引き受けた唯一の狙撃手(スナイパー)も辞退してしまったからな、もうできることはいつもと変わらない」

 

「そういうことですか」

 

「分かりました、他の皆には?」

 

「すでに伝えている、君達で最後だ」

 

「分かりました」

 

「ああ、それと」

 

「なんですか?」

 

「良く、浚われた生徒達を助け出した、良くやった」

 

「「「あ、ありがとうございます」」」

 

さらわれた女子達を助けたことをよくやったと烏間先生から褒められ、全員嬉しそうな顔をする。

 

「…といっても俺と渚はほとんど何もしてないけどな」

 

「大半を龍哉とカルマ君が片づけちゃったしね」

 

「そうでもねぇよ、友人と渚の助けがなけりゃ下手すると最悪の事態になってたかもしれない…正直俺1人じゃ無理だったと思う」

 

「龍哉…」

 

「へへ…」

 

==========

 

「しっかしぼろい旅館だよな~」

 

「そうか?歴史があっていいじゃないか」

 

「そう思うのは龍哉だけだろ」

 

「俺んちもこんな風に和風だからな、落ち着く」

 

「「ああ…」」

 

今龍哉、渚、友人、大河の4人で大部屋である寝室に戻っている最中だ。

 

そのさなか、大河のボヤキに龍哉が意見を言い、その意見に納得のいく渚達だった。

 

「ん?中村さん、不破さん、何してんだ?」

 

「しっ!!」

 

「決まってんでしょ、覗きよ」

 

「覗きぃ!?それは男子達(俺ら)仕事(ジョブ)だろ!?」

 

仕事(ジョブ)ではないよね」

 

「いや、この時間帯ならだれを対象にしているかはわかる…協力しよう」

 

「「「龍哉!?」」」

 

男湯へ覗きを刊行しようとしている中村、不破に声をかけ、それに協力を申し出た龍哉に渚たちは驚く。

 

「およ?意外だね~」

 

「相手が相手だからな」

 

「でもなんで?」

 

「あれを見てもそれが言える?」

 

男湯の暖簾の先には壁に掛けられた殺せんせーの服が合った。

 

「あの服が掛けてあって、服の主は風呂場にいる、言いたいことはわかるよね?」

 

「殺せなくても欲しい情報だけは…手に入れられるな」

 

「ええ、服から下は触手だけか、胴体あんのか、暗殺的には知っておいて損はないわ」

 

「……この世にこんなに色気のない覗きがあったとは」

 

「…開けるぞ」

 

「ええ…」

 

龍哉が風呂場に通じる引き戸に手をかけて…一気に開く!!

 

そしてそこには…

 

「「「「「「女子か!!」」」」」」

 

泡ぶろに入った殺せんせーがいた。

 

「おや皆さん」

 

「何で泡ぶろに入ってるんだよ」

 

「ここ入浴剤禁止じゃなかったっけ」

 

「これ先生の粘液です、泡立ちいい上にミクロの汚れも浮かせて落すんです」

 

「ホント便利な体だな!!」

 

「中村さん、不破さん、入ろうとしないでね」

 

「「入るか!!」」

 

「…でも、出口は私達がふさいでる」

 

浴槽(そっから)出るとき、必ず俺らの前を通る、殺せねーけど、全裸にはさせてもらうぜ」

 

「そうはいきません」

 

殺せんせーはそういうと立ち上がった…浴槽にあるお湯毎だが…

 

「「「「煮凝りか!!」」」」

 

そしてそのまま

 

「窓から逃げた」

 

「おい中村…この覗きむなしいぞ」

 

「チッ…見れなかったか」

 

「龍哉もぶれないね」

 

失敗したため風呂場から出る龍哉達…

 

「修学旅行でみんなの事色々知れたけど…」

 

「殺せんせーの秘密にゃ全然迫れなかったな」

 

「大部屋でだべろうぜ」

 

大河の一言に同意して龍哉達も大部屋に戻った。

 

==========

 

―男子部屋

 

「やっぱり一番人気は神崎か」

 

「まぁ嫌いなやつはいないわな~」

 

彼らは修学旅行の定番(?)である気になる女子を言い合っていた。

 

ちなみに順位は

 

1位:神崎―4票

2位:矢田―3票

3位:茅野―2票

4位:片岡―1票

4位:倉橋―1票

4位:中村―1票

 

となっていた。

 

「で?うまく班に引き込めた杉野はどうだったんだよ?」

 

「それがさ~いろいろあってじっくり話すタイミング少なかったわ」

 

「あ~聞いてるぜ」

 

「覇月がキレたのもな」

 

「殺せんせーにお説教されたのもな」

 

「倉橋と幼馴染だったこともな」

 

「全部聞いてんのかよ」

 

と、そこにカルマが戻ってきた。

 

「お、面白そうなことやってんじゃん」

 

「カルマいいところに帰ってきた」

 

「お前クラスで気になる子はいるのか?」

 

「皆、龍哉も言ってるんだ、逃がさねえぞ」

 

「う~ん…奥田さんかな」

 

「へぇ以外」

 

「そうか?愛美さんあれで物怖じしないところあるからカルマが気になるのもわかるよ」

 

「いや、そんなんじゃなくてさ、彼女怪しげな薬とかクロロホルムとか作れそうだし、俺のいたずらの幅が広がるじゃん」

 

「…絶対にくっつけたくない2人だな」

 

「カルマ」

 

「何?龍哉」

 

「クロロホルムはかなり濃縮して使わないと人を一呼吸で気絶とかさせれないぞ」

 

「マジで!?作ってもらって寺坂あたりで試そうと思ったのに!!」

 

「うおい!!」

 

「試すのはいいけど、基本的に睡眠薬系は遅効性なんだよ、だからすぐに眠るのを見るのは無理だよ」

 

「でもドラマとかだとよく使われてっけど」

 

「う~ん…作った人に薬品知識がなかったんじゃない?クロロホルムはかつて麻酔薬として使われてたからそこからだけでチョイスしたんじゃないかな?」

 

「「「「説得力はんぱねぇな!!」」」」

 

「まぁ皆、この投票結果は男子の秘密な、知られたくない奴が大半だろーし」

 

「うん、女子はともかく殺せんせーに知られたら何されるか…」

 

そう言って窓のほうを見ると…顔をピンク色にしてメモを取っている殺せんせーがいた。

 

そのままメモしきると素早く逃走した。

 

「メモって逃げやがった!!」

 

「殺せ!!」

 

「待てやこらこのクソダコ!!生徒のプライバシー侵しやがって!!」

 

「ヌルフフフ、先生の超スピードはこういう事を知るためにあるんですよ」

 

「追え!!絶対に逃がすな!!」

 

ドドドドドドッ!!

 

猛スピードで殺せんせーを追いかける皆をしり目に龍哉とカルマは…

 

「あれを逆にネタに脅すか」

 

「お、いいね~」

 

のんびり?つかず離れずの距離で話しながら追っていった。

 

==========

 

少し時間が戻って女子部屋―

 

「ええ?好きな男子?」

 

「そうよ、こういうときはそういう話で盛り上がるもんでしょ」

 

「それって先生も含めちゃうの?」

 

「いやいや、クラスの男子よ…」

 

「それだと…磯貝君?」

 

「前原も見た目だけはいいよね、見た目だけは」

 

「ひなたちゃん、なんで2回言ったの?」

 

「重要なことだからよ、フラグともいうわね」

 

「不破さん!?」

 

「まぁ優良物件というと…やっぱクラス委員の磯貝よね」

 

「頭脳明晰成績優秀素行良しだもんね」

 

「顔だけならカルマ君もね」

 

「素行さえ良ければね」

 

「「「「「「「そうだね~」」」」」」

 

「でもそんなに怖くありませんよ」

 

「うん、普段はおとなしいし」

 

「野生動物か…だから覇月と仲いいのかもね」

 

「「「「「「「ああ~」」」」」」」

 

「神崎さんは?」

 

「私は…龍哉君かな」

 

((((((杉野君ドンマイ))))))

 

「陽菜乃ちゃんもでしょ?」

 

「えへへ」

 

「でも子供のころに会ってたなんてね~」

 

「そして10年越しに再会なんてロマンチックだよね~」

 

「でもなんですぐわからなかったの?」

 

「え~と…その…言わなきゃ…ダメ?」

 

「「「「「ダメ」」」」」

 

「えっと…ちょっと雰囲気変わってたし、それに…」

 

「「「「「それに?」」」」」

 

「あんなにかっこよくなってるなんて思わなくて」

 

「惚気か」

 

「でも確かに格好いいよね、龍哉君」

 

「助けに来てくれた時は本当に安心できたもんね」

 

「「うんうん」」

 

「おやおや~、陽菜乃ちゃんにライバル登場ですかな~?」

 

「えぇ!?」

 

と、そこに部屋の戸が開いてイリーナ先生が現れる。

 

「ガキども~もうすぐ就寝時間だっていう事を一応伝えに来たわよ~」

 

「一応って…」

 

「どうせ夜通しおしゃべりするんでしょ、あんまり騒ぐんじゃないわよ」

 

「それどっちかっていうと男子のほうがありえそうなんですけど」

 

「そうなったら龍哉が鎮めるでしょ、物理込で」

 

「「「「「ああ~」」」」」

 

騒がないようイリーナ先生から注意を受け、男子のほうがあり得るのではという反論に龍哉がいるから何とかなるという返事に納得する面々。

 

ちなみに既に男子達は烏間先生から注意を受け、龍哉にその任が与えられてる事を彼女たちは知らない。

 

「あ~先生お酒飲もうとしてる~」

 

「いいじゃない、大人なんだから」

 

「あ、じゃあさ、ビッチ先生の大人の話聞かせてよ」

 

「あ、興味ある~」

 

そう言って桃花に半ば無理矢理部屋に招き入れられるイリーナ先生…そこで知った事実は…

 

「「「「「えぇ~~~~~!!」」」」」

 

「ビッチ先生まだ二十歳ぃ!?」

 

「龍哉君がいたら「二十歳って…教員免許とれるのか?」って言いそうだよね」

 

「言えてる」

 

「経験豊富だからもっと上かと思ってた」

 

「ね~」

 

「毒牙みたいなキャラのくせにね」

 

「それはね濃い人生が作る色気が…誰だ今毒蛾って言ったの!?」

 

「突っ込み遅いよ~」

 

「女の賞味期限は短いのよ…あんたらは私と違って危険とは縁遠い国に生まれたのよ、感謝して全力で女を磨きなさい」

 

「「「「「…」」」」」

 

「ビッチ先生が真面目なこと言ってる~」

 

「なんか生意気~」

 

「なめくさりおってガキども!!」

 

「じゃあさじゃあさ、ビッチ先生がいままで落してきた男の話聞かせてよ」

 

「あ、興味ある~」

 

「ふふ、いいわよ…子供には刺激が強いから覚悟しなさい」

 

それに皆真剣に聞き入る。

 

「そう、例えばあれは17の時…」

 

その時、イリーナ先生がある人物がいることに気づく。

 

「おいそこぉ!!」

 

その先にいたのは…殺せんせーだった。

 

「さりげなく紛れ込むな女の園に!!」

 

「いいじゃないですか、私もその色恋の話聞きたいですよ」

 

「そーゆー殺せんせーはどうなのよ、自分のプライベートはちっとも見せないくせに」

 

「そーだよ人のばっかずるい!!」

 

「先生はコイバナとかないわけ!?」

 

「そーよ、巨乳好きだし片思いくらい絶対あるでしょ!!」

 

「ニュ…」

 

女子達の勢いに押されて後ずさる殺せんせー…そしてそのまま…逃亡した。

 

「逃げた!!」

 

「捕らえて吐かせて殺すのよ!!」

 

女子たち全員が逃げた殺せんせーを追い始めた。

 

==========

 

「いたぞ!!こっちだ!!」

 

「ニュヤ!!しまった、男女の挟み撃ちに!!」

 

そのままどたばたと男女入り乱れて殺せんせーを殺そうと攻撃を仕掛ける。

 

「…あいつ女子部屋に紛れ込んでたのか」

 

「これでまたいじるネタが出来たね」

 

「2人とも…」

 

殺せんせーの行動をネタにゆすって動揺させて動きを鈍らせることを考える龍哉とカルマ、それに呆れ気味なのは渚だ。

 

「何だかんだで暗殺になるね」

 

「そうだね~」

 

「ひなちゃんにカエデさんか、2人は参加しないの?」

 

「そういう龍君達は?」

 

「まぁ動揺させるいいネタ入ったから十分かな」

 

「…何する気なの?」

 

「「覗き魔とか女子部屋に入り込む変態教師とか噂流して社会的に殺す」」

 

「「「精神的に地味にきつい暗殺!!」」」

 

「しかもこの作戦、俺ら生徒に聞いたらどっちも肯定されるだけってのがみそだ」

 

「確かに…」

 

「否定できない…」

 

そんな5人の会話をしり目に殺せんせーは脱出し、暗殺できなくなったため解散して全員寝室に戻る中…

 

龍哉と陽菜乃は2人で月を見ていた。

 

「明日最終日かぁ…楽しかったね修学旅行、皆のいろんな姿見れて」

 

「確かにな、俺はいろいろと貴重な経験が出来た…有意義っちゃ有意義だったな」

 

「…龍君」

 

「ん?」

 

陽菜乃に名前を呼ばれて振り向こうとした瞬間…

 

チュッ

 

陽菜乃が頬にキスをした。

 

「ひ、ひなちゃん!?」

 

動揺して頬を押えながら陽菜乃から龍哉は距離をとる。

 

「助けてくれたお礼、だよ」

 

「お礼って…」

 

もしかしたら自分以外にも…と、考えた瞬間、龍哉はひどく不快な気分になった。

 

「大丈夫だよ、龍君以外にはしないから」

 

「俺以外にはって…俺でも簡単にしないほうがいいんじゃないか?」

 

だが、その陽菜乃の言葉を聞いて安心した自分がいることに龍哉は気づいていた。

 

「じゃあね、お休み!!」

 

「あ、ああ、お休み…」

 

そうして陽菜乃と別れ、寝室たる大部屋に戻る最中…

 

「…なんであんな気分になったんだろうな…俺は…人を幸せにできないのに…」

 

龍哉のつぶやきは、2人の様子をこっそり見ていた殺せんせー以外に聞かれることはなかった。

 

殺せんせーも龍哉のつぶやきを聞いて思う。

 

(覇月君…人は失ってからその大きさに気づきます…君には…私と同じ思いはしてほしくありません…)

 

月を見上げ、何か思いにふける殺せんせー…その姿は、どこか、寂しさと後悔がにじみ出ているようだった…

 




最近、これ以外にも暗殺教室を原作としたものを書こうとしています。

具体的は
・暗殺教室×遊戯王
・暗殺教室×仮面ライダーゴースト
・暗殺教室×仮面ライダーキバ
です。

考えるだけで執筆には至ってませんがね…


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転校生の時間:1時間目

律ちゃん登場!!

律についてはずっとこの予定でした。

……後半には龍哉と陽菜乃の恋愛劇もありますよ。


「今日から通常授業か~」

 

「昨日烏間先生から一斉メール連絡あったけど見た?」

 

「ああ、多少外見で驚くって書いてあったな」

 

修学旅行が終わり、いつもの通学路をいく龍哉、渚、友人の3人…そこに

 

「お~い」

 

「おはよう、悠馬」

 

「おはよう、昨日のメール見たか」

 

「ああ、今その話をしていたとこだ」

 

「文面から言ってどう見ても…」

 

「ああ…ついに来たな、転校生暗殺者」

 

「転校生ってことは龍哉と同じで俺らとタメなんだよな」

 

「そこよ」

 

「うお!!」

 

「大河、急に出てくるな…みんなびっくりしてるじゃないか」

 

「悪い悪い…俺気になってさ、顔写真とかないですかってメールしたのよ」

 

「俺ん時ってどうだったんだ?」

 

「龍哉の時は男子生徒がくるって聞いてたからな~」

 

「というより殺し屋的な感じでは言われなかったからな」

 

「そうなのか…まぁ烏間先生はある程度事情を知ってるからなぁ…殺し屋名目には出来ないよな」

 

「それでよ、返ってきた写真がこれよ」

 

「うぉ!!女子か!!」

 

「へぇ~結構かわいいじゃん」

 

「どんな能力持ってんのかな…」

 

「お前が気にするところはそこかよ」

 

「だってよ、それがわかんなきゃ集団暗殺にどう生かせばいいかわかんねぇじゃん」

 

「あ~、確かにな」

 

「速水さんみたいなスナイパータイプかな?」

 

「まぁ直接本人に聞くか」

 

「そうだな」

 

==========

 

「さぁ~てきてっかな転校生」

 

「いや、俺の時みたいにHRで紹介だ…あ、メグさん、ひなちゃん、おはよ」

 

「あ、龍君、おはよ~」

 

「おはよ」

 

「何見てたんだ?」

 

「「あれ」」

 

そう言ってメグと陽菜乃が指した先にあったのは…

 

「サーバー?」

 

「いや、モノリスじゃね?」

 

その瞬間、機動音と共に上部にあった液晶に人の顔が現れる。

 

「おはようございます。今日から転校してきました、自律思考固定砲台と申します、よろしくお願いします」

 

「「「「「「そう来たか!!」」」」」」

 

そしてHRの時間

 

「え~、既にみんな知っていると思うが、転校生を紹介する」

 

烏間先生が黒板に名前を書き

 

「ノルウェーから来た自律思考固定砲台さんだ」

 

「よろしくお願いします」

 

(烏間先生も大変だなぁ)

 

(俺あの人だったら突っ込みきれずにおかしくなるわ)

 

そんな自律思考固定砲台を見て殺せんせーは笑っている。

 

「お前が笑うな、同じ色ものだろうが」

 

まぁ確かに…と、ほとんどの生徒が同意する。

 

「いっておくが、「彼女」は思考能力(AI)と顔を持ち、れっきとした生徒として登録されている」

 

「ってことは」

 

「そう、あの場所からずっとお前に銃口を向けるがお前は彼女に反撃できない…「生徒に危害を加えることは許されない」それがお前の教師としての契約だからな」

 

「……なるほどねぇ、契約を逆手にとって…なりふり構わず機械を生徒に仕立てたと…」

 

(やることなす事むちゃくちゃだな)

 

龍哉が烏間先生の話を聞いて政府のやり方に憤りを覚える。

 

「いいでしょう、自律思考固定砲台さん、あなたをE組に歓迎しま「ちょっと待ってくれんかの」ニュヤ?」

 

殺せんせーの言葉を遮って初老の男性が教室に入ってくる。

 

その人物は…

 

「市之助祖父ちゃん!?」

 

「なぜこちらに?」

 

「なに、少し、気になることがあってな…そこの自律思考固定砲台にな」

 

「どういうことですか?」

 

「それを、今から調べるんじゃ…龍哉、すまんが手伝ってくれんか?」

 

「いや、いいけどさ…」

 

そういうと市之助は自律思考固定砲台の後ろに回るとカバーを開いて回路を露出させ、そこにノートPCを接続してプログラムを解析する。

 

「いったい、何が気になるのですか?」

 

「わしは昔留学した時に軍事の兵器開発にも少し携わったことがある…といっても、今回の自律思考固定砲台のようなものだがな」

 

「それで?」

 

「留学後もそういった情報は逐一仕入れていたが…こういった自律思考を完成させたという情報はなかった」

 

「それでは、今回のことで完成したという事では?数か国が合同で作り上げたといっていましたし」

 

「それだけならな…ただ、気になって少し調査したらな…雨奈が最後に作り上げたシステムがコピーされた跡があったのだ」

 

「!!」

 

「それってつまり、龍君のお母さんが作ったプログラムが使われているかもしれない、という事ですか?」

 

「そういうことじゃ…やはりな」

 

「ビンゴってこと?」

 

「うむ、この特徴はまず間違いなく雨奈が作ったものじゃ」

 

「どういう特徴があるんですか?」

 

「普通のプログラムなら構成している箇所毎に独自性と可用性があるのじゃが、雨奈はあえてなくしたんじゃ」

 

「どうしてですか?」

 

「おそらく、勝手に改造されたうえで軍事利用を避けるためでしょう…」

 

「その通りよ、もともとこのプログラムは龍哉のわがままをかなえるために作られたのじゃからな」

 

「俺の!?」

 

「「「「「「「「「「我儘!?」」」」」」」」」」

 

「さよう、昔龍哉が「妹が欲しい!!」といったのじゃが…」

 

「覚えてる?」

 

「…確かにひなちゃんと会ってしばらくしたらいったような気はする」

 

「しかしな…土門君も雨奈も忙しくてそんな暇が中々ないが、龍哉が珍しくいった我儘をどうにかかなえたいと思っておった」

 

「あの~もしかして…」

 

「そう、その結果出来上がったプログラムがこれじゃ!!」

 

「母さん…こういう時、どういう顔をすればいいのか全然わかんねぇ」

 

「…笑えばいいと思うよ」

 

「笑えるか!!」

 

「というわけで龍哉、これで網膜認証を行うんじゃ」

 

「どういうわけだよ…やるけどさ」

 

((((((((((やるんだ…))))))))))

 

ピピピピピピ……ピピィー

 

「マスター認証確認、最上位マスターとして覇月龍哉、覇月土門、覇月雨奈を登録しました」

 

「「「「「「「「「「最上位マスター?」」」」」」」」」」

 

「まぁ最高権限じゃな、これが基幹プログラムの根底を成しているから、変えてしまうとそもそもプログラムが全て破たんしてしまう」

 

「どういうセキュリティですか!?」

 

「まぁ悪用を防ぐためよ、雨奈達がおらんゆえ、龍哉一人だけじゃがな」

 

「でもそれって大丈夫なんですか?」

 

「全然大丈夫ではないな、もし龍哉が悪意を持って使えばだれも止められん」

 

「俺次第ってことじゃないか」

 

「さよう、じゃからこのクラス全員にそれに準ずる権限を持ってほしいんじゃ」

 

「ああ~俺を使って自律思考固定砲台を使おうとするのを防ぐためね」

 

「そういうことじゃ、まぁ強制ではないがな」

 

「私はやります!!」

 

「僕も!!」

 

陽菜乃、渚を筆頭に何人もの生徒が立候補する。

 

「ではこれで網膜を登録するんじゃ、それで龍哉が悪用しようとしても止めることが出来る」

 

立候補した人達は次々と順番に網膜を登録し、サブマスターとして自律思考固定砲台に登録されていく。

 

「しかし、この登録は改造ではないのですか?」

 

「いや、これは最上位マスター登録がされねば起動しないようプロテクトがかかっておる、そしてその権限を付けるには龍哉の網膜に共通するパターンが必要だったのじゃ」

 

「網膜は1人1人違いますからねぇ、それに指紋と違い時間経過で変わることもありませんからカギとしては一番ですねぇ」

 

「そういうことよ、しかも本人の目からでなければならぬようにもしてある…やはりか」

 

「どうしたの?」

 

「作ったところがわかった、これからわしはそこに赴いて交渉してくる」

 

「ああ…うん、行ってらっしゃい」

 

「うむ」

 

そう言って接続を終わらせ、身支度を整えると去っていった市之助…

 

「で、これから先この自律思考固定砲台どうすんのさ?」

 

「名目上俺の妹として扱えばいいだろう、まだ正式じゃないけど」

 

「そうですねぇ…覇月君、すみませんがお祖父さんが交渉完了するまで面倒をお願いしても?」

 

「元々俺にも原因はありますからね、引き受けますよ」

 

そうしてその日の授業は始まった。

 

途中、勝手に自律思考固定砲台が発砲を開始したものの龍哉の手により強制停止させられた。

 

==========

 

「でも今日はびっくりしたよね~」

 

「まさかの転校生が…ね」

 

「一番びっくりしたのは俺だっての」

 

放課後、龍哉は渚、カエデ、陽菜乃と共に下校していた。

 

「でもどうなるんだろうね?」

 

「あ~、それならお祖父ちゃんもついてったから大丈夫だと思うよ」

 

「じゃあ今日龍君家って誰もいないの?」

 

「ううん、今日お祖母ちゃんが京都からこっちに来るって言ってたからもういると思う」

 

「そうなんだ」

 

「…今日のことお祖母さんが知ったらどうなるんだろうね」

 

「龍哉が怒られるんじゃない?」

 

「いや、今回の場合は父さん達だと思う…俺も怒られるだろうけど…てk「~~♪」俺の携帯だ」

 

自律思考固定砲台のことで話し合っている最中、龍哉の携帯に着信が入る。

 

「もしもし、どうしたの?お祖母ちゃん」

 

(((なんでピンポイントなタイミングで電話がかかってくるんだ)))

 

人、それを噂をすれば影が差すという。

 

『龍哉、話は市之助さんから聞きました』

 

「(国家機密にかかわる話を何ばらしてんの!!)え~と、それって」

 

『ええ、それで私もちょっと行ってきますから』

 

「は?」

 

『ですので戸締りはしっかりするんですよ、友達の家に泊めてもらうなら話は別ですけどね』

 

「いや、ちょ、え?」

 

『ではもう搭乗時間なので、行ってきますね』

 

ピッ、プーッ、プーッ、プーッ

 

きれた電話を呆然とした表情で見る龍哉に陽菜乃が声をかける。

 

「龍君、どうしたの?」

 

「あ~…お祖母ちゃんもどうやらついてっちゃったみたい」

 

「ついていったって…交渉に?」

 

「多分…こりゃ相手地獄見るぞおい」

 

「どんだけなのさ」

 

「お祖母ちゃん…ああ見えてすげぇ苛烈でさ…キレるとお祖父ちゃんをぼこぼこにできるレベルだぜ?」

 

「「ああ~」」

 

それを聞いて修学旅行の時に聞いたことを思い出して渚とカエデは納得する。

 

「お祖母さんも強いの?」

 

「強いよ、薙刀はどっかの道場の免許皆伝だって言ってたし、格闘術もできるからさ、こないだの件で女子はお祖母ちゃんに見てもらおうとも思ってる」

 

「でも大丈夫なの?」

 

「…多分お祖父ちゃんが巻き込むからいいよ、「神奈だけ知らんのはダメじゃ!!」とかなんとか言って…」

 

「それってどうなのさ」

 

「言わないでくれ、自分でも言っててなんかむなしくなってきたから」

 

「でもさ、家族全員で暗殺に関われるっていいね」

 

「あ~、そっか、他の皆は家族には秘密にしてないといけないだっけ」

 

「うん…ちょっときついものはあるかな」

 

「まぁ殺せんせーは無害な存在とは言えないからな~」

 

「で、龍哉は今夜どうするの?」

 

「どうするって?飯とかの事?」

 

「うん、1人じゃ寂しいんじゃない?」

 

「…まぁ確かに今まで1人で飯食ったことは数えるほどしかないな」

 

「あ、それじゃあ私の家に来ない?」

 

よしっ、とカエデは思った。

 

渚も流れるような誘導に少し感心している。

 

「ひなちゃん家に?う~ん…大丈夫なの?」

 

「うん、お母さんに連絡すれば大丈夫!」

 

((どの家も女性が強いんだ))

 

渚と龍哉は思わずそんなことを思った。

 

「…じゃあお願いしようかな」

 

「うん!任せて!!」

 

「あれ?悟朗はいいの?」

 

渚がふと思い出した悟朗について龍哉に問う。

 

「ああ、それなら大丈夫、元々親元に返すつもりだったから野生で生きれるよう自力で食いもん取れるようにしておいたんだ」

 

「そうだったんだ」

 

「龍君は優しいね」

 

「そうかな?」

 

「ううん、僕もそう思った」

 

「私も」

 

「…ありがと」

 

その後、陽菜乃は母親に連絡を取って龍哉を夕食の席に招待することの許可を取り、渚達と別れ龍哉と共に帰宅した。

 

==========

 

「ここだよ」

 

「へぇ」

 

陽菜乃に案内されてきた倉橋宅は一般的な2階建ての一軒家だった。

 

「ただいま~、龍君、さ、上がって上がって」

 

「ああ、お邪魔します」

 

「あら陽菜乃、その子がさっき電話で言ってた子?」

 

「うん、昔京都で助けてくれた龍君!!」

 

「ああ、あの時の」

 

「お久しぶり、ですね」

 

「いえいえ、こちらもあの時お礼を言えなくてごめんなさいね」

 

「いえ、お構いなく」

 

「お父さんは?」

 

「今日は遅くなるって」

 

陽菜乃は母親の言葉に内心ほっとする、父親が龍哉と顔を合わせると何が起きるかわからないからだ。

 

「あ、ご飯出来るまでまだ時間かかるからもうちょっと待ってて」

 

「分かりました」

 

「陽菜乃、あなたの部屋に案内してあげて」

 

「えっ!?」

 

陽菜乃の母親の顔はちょっとにやけている…どうやら陽菜乃の恋心は母親には筒抜けのようだ。

 

「え…えっと…龍君、こっち」

 

「おう」

 

==========

 

―陽菜乃の部屋

 

「へぇ、ぬいぐるみとかあって可愛らしいね」

 

「そ、そうかな」

 

「うん、女の人の部屋って母さんとかお祖母ちゃん達のしか入った事ないけど…」

 

「え、じゃあ…初めて?」

 

「うん、同年代の子の部屋に呼ばれるのは初めてだね」

 

「そ、そうなんだ…」

 

同年代の女の子の部屋に入るのは初めてのためキョロキョロと周りを見回している。

 

それが恥ずかしいのか陽菜乃は顔を真っ赤にしている。

 

「り、龍君、今日の宿題、一緒にやろ!!」

 

その空気に耐えられないため、陽菜乃は宿題を一緒にやることを提案した。

 

「いいよ」

 

龍哉にも了承が取れたので部屋に備え付けてある小さいガラステーブルを使って一緒に宿題を始める。

 

途中、陽菜乃は分からないところ龍哉に聞きつつ、順調に宿題を終わらせていく中…

 

「あっ」

 

陽菜乃が消しゴムを落としてしまい、拾おうとすると龍哉も気づいていたのか拾おうとしていたため、2人の手が触れ合う。

 

「あ…」

 

手が触れ合ったことで陽菜乃の顔が再び真っ赤になり、流石の龍哉も訝しみ…

 

「ひなちゃん、顔赤いけど…風邪?体調悪いんじゃ」

 

「う、ううん!!全然、本当に大丈夫だから!!」

 

勢いよく大丈夫アピールを繰り返す陽菜乃に龍哉も押される。

 

「それならいいけど…気を付けてね」

 

「うん!!」

 

それからは何事もなく宿題も終わり、そのタイミングで夕食が出来たことを陽菜乃の母親から告げられたため龍哉達は部屋を出て食卓に着く。

 

「うわ、おいしそうですね」

 

「お口に合うといいのだけれど」

 

その日の倉橋家の夕飯のメニューはご飯にみそ汁、ブリの照り焼きにホウレン草のお浸しだった。

 

「いただきます」

 

「「いただきます」」

 

食事を開始する3人…途中途中に会話もはさんでいた、例えば…

 

「そういえば、陽菜乃に中間テスト前に勉強教えてくれたのよね」

 

「ええ、といってもあともう少しのところだったんですけど」

 

「いいえ、あれだけ成績を上げれるなんて…教えるのが上手なのね」

 

「父が教官だったので、その背中を見て育ちましたから」

 

「あら、そうなの」

 

「お祖父さんもじゃなかったっけ?」

 

「あら、そうなの」

 

「はい」

 

「すごいわねぇ」

 

「いえ…」

 

といった具合だ…そんなこんなで食事も終わり…

 

「えっと、食器は流しでいいですか?」

 

「ええ…うちの人とは違うわね~」

 

「へ?」

 

「ああ、お父さんいっつもそのままだもんね」

 

「ええ、おかげで手間が増えるのなんの」

 

(これ普通じゃないんだ)

 

ちなみに以前覇月家で食事をした際は全員食器を持っていってくれたのでこうするのが普通と思いこんでいたようだ。

 

「ついでに洗いましょうか?」

 

「いいえぇ、お客にそこまでしてもらう必要はないわ」

 

「そうですか」

 

「ええ、大丈夫よ」

 

「あ、龍君、そろそろ」

 

「ん、もうこんな時間か…すみません、お暇します」

 

「いいえ、こちらもあまりおもてなせなくてごめんなさいね」

 

「いえ、こちらこそ急に来たのに手土産の一つもなくすいませんでした」

 

「子供がそんなこと気にしなくていいのよ、それじゃあね」

 

「じゃあね、龍君、また明日!!」

 

「うん、また明日」

 

そう言って倉橋家を後にする龍哉…その後の親子の会話は…

 

「陽菜乃、龍君って言ったわよね」

 

「うん」

 

「あの子は…いろいろとしょい込んじゃう子よ…好きなら、しっかり支えてあげなさい」

 

「うん…えぇ!!」

 

驚いて母親のほうを見ると( *´艸`)と笑っていた。

 

「お、お母さん、やっぱり気づいて」

 

「気づかないはずないわ、あなたがあんなにも嬉しそうなんだもの…お母さん、応援してるからね」

 

「う、うん」

 

顔を赤くして答える陽菜乃…だけどその顔はどことなくうれしそうであった。

 

 




後半書いてて砂吐きそうになりました。

陽菜乃の母親ですが陽菜乃よりしっかりしていてそのまま年を取っていったイメージです。

いつかお泊りもやったろ。


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家族の時間

律ちゃん正式加入

今まで龍哉に封じられていたスペックも明らかに!!

…原作よりもパワーアップしてる

龍哉も地味に強くなってる。


「あれから一週間か~」

 

「交渉に時間かかってるのかな?」

 

「だろうな…加えて国内にスパイがいたとかそっちの問題も出てきてるのかもね」

 

「ああ~…そっか」

 

来たところがノルウェー(・・・・・・・・・・・)だもんな」

 

「そういう事」

 

「でもなぜか覇月ん家のお祖父さん達と考えると不安じゃないよな」

 

「「「「「確かに」」」」」

 

そんな話をしながら教室に入ると…

 

「あれ?」

 

「なんか体積が…」

 

「あれは大きくなってるな」

 

「ふと「前原、それ以上言ったら女子全員でボコるわよ」」

 

「ほんと~前ちんってデリカシーないんだね~」

 

「と言いつつ蹴るな!!」

 

「岡野さん、ひなちゃん、ストップ」

 

「え~」

 

「止めないでよ」

 

「蹴る位置悪い、やるんだったら弁慶の泣き所(向う脛)か太ももだろ」

 

「「なるほど~」」

 

「止めたの蹴る位置悪いからかよ!!それでアドバイス通りに蹴ろうとすんな!!」

 

「そうよ2人とも、やるんだったら体育の時間にしましょ」

 

「メグがそう言うなら」

 

「蹴ること自体は止めないんだね…」

 

「女性への禁句(タブー)ダメ、絶対」

 

「龍哉はどうしてそんなに…」

 

「昔父さんと母さんが喧嘩した時に父さんがポロッと言って…その後に起きたことは俺が絶対に言わないと誓うレベルのものだった」

 

((((い、一体何があったんだろう))))

 

「と、それより自律思考固定砲台だ、いったい全体何が」

 

「おはようございます、皆さん」

 

龍哉がそう言った瞬間、起動して画面に自律思考固定砲台が表示されるのだが…いつもの顔だけではなく、なぜか全身が表示されていた。

 

「親近感を出すための全身表示液晶と体・制服のモデリングソフトを作成した」

 

「今日は素晴らしい天気ですね、こんな日を皆さんと過ごせてうれしいです!!」

 

「さらに、豊かな表情と明るい会話術、それらを操る膨大なソフトと追加メモリを大幅増設したわ」

 

「市之助お祖父ちゃんに明お祖母ちゃん!?」

 

「いやー、交渉が先週のうちに終わってからこの子をより皆と仲良くできるように改良するのに時間がかかったわ」

 

「まぁ、これからは彼女の自己進化―いや、成長に期待するとしよう」

 

「妹らしくなった、といえばいいのか?」

 

==========

 

―HR後

 

HR中に先程の内容が生徒全体に説明された。

 

また、同時に自律思考固定砲台は覇月家で所有(?)することと正式に龍哉の妹となることも明かされた。

 

「まさかお祖父さん達が改良するとはな…」

 

「しかもちゃんと戸籍とかも作って龍哉の妹にしちまうとはな」

 

「しっかしまあえらくキュートになっちゃったね」

 

「これ一応固定砲台…だよな?」

 

分かるであろう龍哉は現在祖父達からスペックに加えて今後のことなどを烏間先生を交えて話し合っているためこの場にはいない。

 

「何騙されてんだよお前ら、どうせただのプログラムだろうガッ!!」

 

寺坂が自律思考固定砲台をとぼそうとした瞬間、床から気弾が飛び出てきて寺坂の顎にクリーンヒットする。

 

当然クリティカルなので寺坂は気絶する。

 

「寺坂――!!」

 

「ていうか今のできるのって龍哉だよな!?」

 

「地獄耳か、あいつは!!」

 

「操○弾だ!!」

 

「不破さん着目するところ違くない!?」

 

「気功術使えるからこないだ「ド○ゴンボ○ル」全巻貸したんだけどまさかその一部を使ってくるとは…」

 

「「「「「「「「「「って今のはお前が元凶か!!」」」」」」」」」」

 

「ていうか龍哉だと普通に元○玉もぶっ放しそうだよね」

 

「「「「「「「「「「今の見た後だと否定できない!!」」」」」」」」」」

 

「しかし…いいな2D(にじげん)D(ディー)を一つ失うところから女は始まルゥッ!!」

 

「竹林――!!」

 

「初台詞の直後に寺坂と同じ目にあったぁ――!!」

 

「私はそんなにいいものなんですか?」

 

「竹林的には、じゃないかな」

 

流石に皆あんなのを連発されるとあまり律に無碍なことは言えない…

 

そんな中龍哉が教室に戻ってくる。

 

「なんか騒がしいね」

 

「いや、お前のせいだよ龍哉」

 

「俺の?」

 

「お前が気弾で寺坂と竹林ぶっ飛ばすから」

 

「あぁ、律の悪口聞こえたからなんとなくあたりつけてぶっ放したんだが寺坂君だったか…竹林君はなんか他の女子を乏したようだったからやった」

 

「勘でやるなよ」

 

「まぁ竹林君のは…ね」

 

竹林のセリフはさすがにどうかと思っていた女子達も同意する。

 

「あ、お兄ちゃん、お帰りなさい、どうだったんですか?」

 

「うん、問題はないよ、律、そろそろ皆にお前の能力(チカラ)を見せたいから少し打ち合わせしよう」

 

「はい、分かりました」

 

そうして龍哉と律はそのまま打ち合わせをし、龍哉はそのまま殺せんせーを携帯で呼び出す。

 

「皆に頼みがある、律の能力を見せるからいったん律の後ろまで下がって」

 

「ああ…って律?」

 

「妹の名前だよ、自律思考固定砲台じゃ長いだろ、でもいい名前が思い浮かばなくてさ…だったらもういっそのこと元のから女の子らしいところをとったんだ、まぁいやなら変えるけど」

 

「いえ、お兄ちゃん達が一生懸命考えてくれた名前なのでそれでいいです!!」

 

「それじゃあフルネームは「覇月律」でいいの?龍哉君」

 

「ああ、それでもう名簿とかも殺せんせーに直してもらったから問題ないよ、メグさん」

 

メグとそんな会話をしているうちに殺せんせーも教室に到着する。

 

「ヌルフフフ、それでは律さん、どれほどのものか見せてもらいましょうか」

 

「フフ、お兄ちゃんほどではありませんが触手の2~3本はいただきます」

 

「そんな簡単に先生はやられませんよ」

 

「なあ龍哉、そういや固定砲台だけど銃ってどこにあるんだ?」

 

「見てりゃ分かるよ」

 

「では、攻撃を開始します」

 

そう律が言うと側面が開き、ショットガン4門、機関銃2門、ガトリングガン2門が展開されて殺せんせーに射撃を始める。

 

「ヌルフフフ、濃密な弾幕ですが既に皆さんが遣っている事、先生には当たりま「バチュ!!」」

 

殺せんせーが高説を述べようとした瞬間、腕に該当する部分の触手がはじけ飛ぶ。

 

「ショットガンとガトリングガンは殺せんせー、あなたの動きを狭めるためです、本命は機関銃です」

 

「い、一体どうや「バチュ!」また!!」

 

「続いての攻撃に移ります」

 

「まだ続くんですか!?」

 

そして次の攻撃で…

 

バチュ!!

 

再び殺せんせーの触手が破壊された…ただし、腕ではなく足の部分(・・・・・・・・・)ということに龍哉以外全員が驚いていた。

 

「これで攻撃を終わります、皆さん、どうでしたか?」

 

「すっげ―!!」

 

「殺せんせーの触手を3本も破壊した!!」

 

「一体どうやったんだよ!!」

 

「そうですね、先生も教えていただきたいものです」

 

「構いません、お兄ちゃんから一度試したパターンはほぼ使い物にならないとも聞いていますから、お教えします」

 

銃の展開は戻していないためそのまま律は解説を続ける。

 

「まずショットガンとガトリングガン、これらは皆さんが使っているものと大差ないですね」

 

「そういやさっき本命は機関銃だって言ってたよな?」

 

「律の機関銃は砲門が3門あるから3種類の弾を撃たせるように改造させたんだ、跳弾が変わるようにね」

 

「どういうこった?」

 

「もしかして、打つ時に変わった回転とかかけたのか?」

 

「お、悠馬よくわかったな」

 

「俺元テニス部でさ、テニスじゃそうやって相手をほんろうするのってよくやるから」

 

「へー、まぁ今悠馬が言った通り回転をかけてそのまま弾が跳ね返るんじゃなくて曲がって跳ね返るようにな」

 

「なるほど、先生の死角から攻撃できるようにしたわけですね」

 

「それが腕の触手をぶっ飛ばしたの?」

 

「いえ、全部これだけで飛ばしました」

 

「最後のも?」

 

「はい、当てる位置を計算して上から狙いました(・・・・・・・・)

 

「なるほど、回転させて打った弾を跳弾とした時の性質と先生が一番無警戒の(・・・・・・)上からの攻撃ですか」

 

「ええ、お兄ちゃんが初めて暗殺を仕掛けた時、上を取られたら動揺していたといっていたので」

 

「覇月君はよく見て覚えてますねぇ…」

 

「殺せんせーを殺すんならそんだけやらないとな」

 

「ただまだ完璧じゃないんだよな…」

 

「え?まだ何か問題あるの?」

 

「ああ、単独暗殺ならまだいいけど…俺らと協力して暗殺するにはまだ協調性にちょっと問題が残ってるんだ」

 

「はい、皆さんが席にいるときを考えた射撃パターンが出来ていないんです…」

 

「だから射撃した時に皆の後頭部とかにあたっちゃうんだよ…」

 

「それからこの状況はどうするんだ?」

 

「ああ、それなら…律!」

 

「はい、お任せください!!」

 

そういうと足元の部分が開くと2台のロボット掃除機が出てくる。

 

そのまま床を掃除しつつ先程打った弾を全部回収する。

 

「おお~」

 

「すごいな」

 

「自分がしたことですので、ちゃんと自分で片づけませんと」

 

「わぁ、律ちゃんえらい!!」

 

「ありがとうございます、陽菜乃さん」

 

「そういう仕事をさぼりがちな前原よりもえらいわ」

 

「サボりがちなカルマ君よりもですね!!」

 

「奥田さん!?」

 

「まぁ、律の能力(チカラ)分かっただろ、律、俺らが授業受けたり休み時間にどう動いてるか学習しな、それでどの弾道なら当てずに殺せんせーに攻撃できるかシミュレート出来るだろ」

 

「はい、分かりました」

 

「ヌルフフフ、それでは授業を始めます」

 

そしてその日の授業が始まった。

 

==========

 

―昼放課

 

「へぇー、こんなのまで作れるんだ」

 

「はい、特殊なプラスチックを自在に成型できます、設計図(データ)があれば銃以外になんでも!!」

 

律の周りに皆集まっていた…その中で律がミロのヴィーナス像を作って見せていた。

 

「おもしろーい!!じゃあさ、えーと…花とか作ってみて」

 

「分かりました、花の(データ)を学習しておきます…あ、王手です千葉君」

 

「…3局目でもう勝てなくなった…なんつー学習能力だ」

 

「律、チェックメイト」

 

「な!!また!?うう…お兄ちゃんにはまだ勝てません…」

 

「すげー、覇月5連勝か」

 

「いや、結構ギリ…勝ったのは意地、兄としての意地」

 

「思いのほか大人気だな」

 

「1人で同時にいろんなことこなせるし、自在に変形できるし」

 

「…やばいです」

 

「何が?殺せんせー」

 

「先生とキャラが被る」

 

ガガガガガガガガガガガッ!!

 

その瞬間律からマシンガンが連射される。

 

むろん、一発も殺せんせーには当たらなかったが…

 

「殺せんせー、全くもって被っていません、不愉快です、謝ってください」

 

「そこまで言いますか!!」

 

「謝って下さらないなら…お兄ちゃんから聞いた修学旅行の所業をネット中にばらまきます」

 

「所業…と言いますと…」

 

「女子生徒達の部屋に入り込んでいたというものです」

 

「ニュヤ―!!やめてください!!」

 

「そういえばあったねそんなこと」

 

「見出しにするなら『名門中学教諭、修学旅行中の女子生徒の部屋に侵入!!』かな?」

 

「不破さん、それ頂きます」

 

「ううう…すみませんでした」

 

((((((((((律が半端なく黒い!!))))))))))

 

「うわぁ~…律ちゃんと龍君…本当に兄妹だよ…」

 

「「兄妹は似るものだろう(でしょう)?」」

 

「そこまで似なくてもいいとは思うけどね」

 

「でも、これでまたE組に仲間が増えたね」

 

「うん、これからだね!!」

 

こうして律はE組の仲間として皆に受け入れられた。

 

 

おまけ

 

「あ、律、本体はずっとここだけど…」

 

「大丈夫です、お兄ちゃん、今携帯に私の端末をダウンロードしました」

 

「ん~おお、いいね…じゃあ今度皆にも聞いて入れようか」

 

「はい!!」

 

モバイル律も一緒に仲間になりました。

 




今回はヒロインとの絡みは少なめにしました。

次回は前原の個別回…

あ、原作よりもハチャメチャやる予定です。


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仕返しの時間

この回はデートさせたいからやった。

龍哉がSだ…

ちなみに律の交渉はダイジェストに行くと

・開発した国のスパイが律のベースを盗み出した証拠を次々と提示(この間殺気ダダ漏れ)
・相手が部下が勝手にやったことと反論する(殺気の量がやばいレベルになる)
・それを次々と神奈が論破していく(殺気だけでヤレるレベルに)
・最終的に全て覇月家で所有することを許諾させる
 (相手はガチ泣き寸前まで追い詰められた)

といった感じです…

…敵に回したくない。


6月に入り梅雨になり、殺せんせーの暗殺期限まで9か月を切ったある日のこと。

 

龍哉は陽菜乃、渚、カエデ、友人、岡野と共に下校していた。

 

「もう梅雨の季節か~」

 

「早いよね~」

 

「でも今日は驚いたね」

 

「まさか殺せんせーが湿気でふやけて膨らんだり頭からキノコ生えたりするなんてな」

 

「つくづく人外だと思い知らされたな」

 

「あ!」

 

「ん?どうしたんだ岡野さん」

 

「ひなたちゃん、どこ見て…あぁ」

 

岡野が見た先を見て何か納得した陽菜乃、それにつられて他の面々もその方を見ると…

 

「ありゃ前原君だね」

 

「一緒にいるのは…C組の土屋果穂」

 

「はっはー、相変わらずお盛んなことで」

 

「カエデさん、ひなちゃん、なんで俺目ふさがれてんの?」

 

「「悪影響だから」」

 

「どういう意味!?」

 

「龍哉」

 

「あ、渚、お前からも」

 

「耳ふさぐね、杉野、手伝って」

 

「おう」

 

「お前らもか!!なんでなんだ!?」

 

「「「「「悪影響だから」」」」」

 

「それさっき聞いた!!てか岡野さんまでって本当にふさぐな!!え、聞こえんし見えん!!」

 

「ほうほう、前原君駅前で相合傘…と」

 

「殺せんせー、相変わらず生徒のゴシップに目がねーな」

 

「いえいえ、それより、なんでそんな状況なんですか?」

 

「「「前原(あれ)が悪影響だから」」」

 

「……まぁ面白いから良しとしましょう」

 

「いいのかよ」

 

「それにこっちとしても3学期までに生徒全員の恋話をノンフィクションで出します、第一章は名づけるなら「杉野君の神崎さんへの届かぬ思い~ライバルは親友?~」ですねぇ…ちなみに最終章は「最強生徒の純愛~月と陽は惹かれ合う~」です」

 

「…出版前に殺す…ライバルがだれか聞きだしてから」

 

(((ここにいるんだけどね)))

 

有希子が気にしている男子を知っている女子達は友人に同情した。

 

「殺せんせー今目の前にいるよな?なんか俺に対して結構ひどいこと言ってない?」

 

「どうしてわかるんですか!?」

 

「そ、それよりも前原君の章は長くなるね、モテるから、結構しょっちゅう一緒にいる女の人変わってるし」

 

「今の龍哉が聞いてたら前原の株大暴落だな」

 

「あ」

 

「え…」

 

岡野が前原を見ていて声を上げると、どうやら土屋という女は二股をかけていたようで、そいつと前原が言い争いを始め、他の男達も含めて暴行を受けかけていた。

 

「止めないと」

 

そう言って渚達が駆け出そうとすると前原達の前に理事長が現れ、気遣うふりをして前原を乏しめ、そのまま全員去っていった。

 

そこでようやく龍哉も解放されて全員で前原の元へ向かう。

 

「前原、大丈夫か?」

 

「お前ら…見てたのかよ」

 

「上手いよなあの理事長、事を荒立てずかといって差別も無くさず、絶妙に生徒を支配してる」

 

「そんなことよりあの女だろ!!」

 

「二股とかサイッテー!!」

 

「まぁなんとなくわかったけど、災難だったな、立てるか?」

 

そう言って龍哉から差し伸べられた手を前原は素直に取って立ち上がる。

 

「俺からすりゃ、そもそもああするために前原君と付き合っていたんじゃないかと思えるぐらいだな」

 

「う~ん…」

 

「まぁいいさ、好きな奴なんて変わるもんだし、気持ちが冷めたりゃ振りゃあいい、俺だってそうしてる」

 

「中三でどんだけ達観してんのよ」

 

「あの女が好きなのは自分をに親切にしてくれる上位者的な便利屋男…か?とにかくいい奴じゃないな」

 

龍哉の評価に内心全員驚いている、何せ龍哉は基本的に性善説的な言動が多かったため、それでもあの女の事を多少は評価するのでは、と思っていたからだ。

 

「珍しいね、あんたがそういうの」

 

「別に、人を便利屋扱いするのが嫌いなだけだ…昔、近い扱いを受けたからな」

 

「もしかして、カメラに追っかけ回されたときのこと?」

 

「…ああ、あいつらはギラギラした欲望まみれだったからな、そういうのも嫌いなんだ」

 

「まぁ龍哉がそう評するのもわかるぜ…さっきの彼女見たろ?一瞬だけ罪悪感で言い訳モード入ったけど、そのあとすぐ攻撃モードに切り替わった」

 

龍哉は聞こえていなかったため不思議そうにしているが、最近は空気が読めるようになったのか黙って聞いている。

 

「「そーいやコイツE組だった、だったら何言おうが何しようが私が正義だ」ってな」

 

「いや、そのE組と好んで付き合ってたのはあの女だからそれはおかしいだろ」

 

「そうだけどよ、それに気づいたからあとはもう逆ギレと正当化のオンパレード、醜いとこ恥ずかしげなくまき散らして…」

 

「あれが本当の恥知らず、か」

 

「上手いこと言ってる場合じゃないよ」

 

「ヒトって皆ああなのかな…相手が弱いと見たら…俺もああいう事しちゃうのかな」

 

その前原の言葉に皆自分がもし同じ立場だったら今仲間であるE組の皆にどう接していたのだろうと考え込む。

 

「それはないな」

 

その悩みを龍哉がばっさりと切り捨てる。

 

「もしも自分があいつらの立場だったら…を考えただろうけど、そんなたらればを考えたってどうにもなんないよ」

 

「覇月君…では君はどう思うのですか?」

 

「もしもはないんだ、今、皆はE組にいる、これは覆しようのない事実だ」

 

龍哉にはっきりと告げられて全員顔をうつむかせてしまう。

 

「でも、E組(ここ)に来たおかげで知れたことも、いっぱいあるんじゃないのか?」

 

「あ…」

 

E組(ここ)に来たことで、相手が弱いと高圧的になるんじゃなくて、手を差し伸べて助け合える人になれたと考えればいいじゃないか」

 

「覇月」

 

「少なくとも、俺はE組(ここ)に来て本当に良かったと思っている」

 

「龍君…そうだね」

 

「うん」

 

「と、それ以上に今の前原君はそのままだと風邪ひいちまうな、家に来いよ」

 

「いいのか?」

 

「どうせ皆まだ話足りないだろう?この人数じゃ俺ん家が一番広いし」

 

「悪いな」

 

「気にするな」

 

そうして皆で龍哉の家に移動した。

 

==========

 

「というわけで仕返しです」

 

「どういうわけだよ」

 

覇月家には現在龍哉に加えて陽菜乃、渚、カエデ、友人、岡野、前原のほかに

 

「いきなり呼び出されたと思ったら何事なんですか?」

 

「びっくりした」

 

「ああ」

 

「私達の力が必要ってどうしたんですか?」

 

愛美、速水、千葉、桃花に

 

「何か不穏な感じですね」

 

「一体何やらかすんだよ」

 

「俺前原がピンチって呼ばれたんだけど」

 

有希子、菅谷、悠馬が呼び出されていた。

 

なお千葉と菅谷は部屋の中ででーんと丸くなっていた悟朗を見てビビって後ずさったが、他のメンバーに「やっぱそうなるよね」とちょっと同情的にみられていたりする。

 

「実はですね」

 

前置きをして殺せんせーが前原が受けた屈辱について話し、やる気の際はあれど全員ノルことにしたようだ。

 

なお、龍哉はまたしても陽菜乃に両耳を防がれて前原が本校舎の人間に侮辱された、としか認識していないままだが…まぁ問題にならないためスルーすることにした全員だった。

 

「作戦としてはこうです、既に律さんに頼んであの生徒の行きつけの店を調べてあります。」

 

・女生徒の行きつけの店は雨の日でも使えるオープンテラスがあり、そこでお茶することが多いと律からの報告

・そのため女生徒達が入った後に自分達も変装して潜入組として入店

・次に潜入組が気を引いた隙に狙撃手(スナイパー)組が奥田特製薬物を飲み物に入れる

・その際、潜入組により店のトイレは使えないようにしておく

・近くにあるコンビニに駆け込もうとするため、道中の民家の木を切り落として女生徒達の真上から落とす

 

「やることなすことえげつない」

 

「というか人の妹を勝手に使ってんじゃねーよ」

 

「それについては申し訳ありません…ですが、あれだけ理不尽な屈辱を受けたのです、力無き者なら泣き寝入りするところですが…」

 

「こんなことに訓練の成果発揮すんのかよ」

 

「ええ、君達には力がある、気づかず証拠も残さず標的(ターゲット)を仕留める、暗殺者(アサシン)の力が」

 

(…殺せんせーをスケープゴートにしよう)

 

何をやらされるのか大体察した龍哉は密かにこれが終わった後起きるであろう惨事の対策をこっそり練っておく。

 

「目には目を、屈辱には屈辱を、彼女達をとびっきり恥ずかしい目に合わせましょう…では役割分担といきましょうか」

 

その後、全員で何が出来るのか話し合って決まったのは

 

潜入担当:渚、カエデ

狙撃担当:千葉、速水

木落とし担当:岡野、前原、悠馬

偽装担当:菅谷

見張り・連絡担当:友人、律

交渉担当:桃花、有希子

調合担当:愛美

????担当:龍哉、陽菜乃

 

「おい殺せんせー、俺とひなちゃんの担当なんだよ」

 

「ヌルフフフ、それは当日のお楽しみですよ」

 

ピンクのデレ顔で言う殺せんせー…それを見て何か察した周囲の面々は…

 

(((((((2人をデートでもさせる気か)))))))

 

==========

 

そういったことが決まった、翌日――

 

前原に屈辱を与えた女生徒が行きつけの店に入ったのを確認し、渚達が連中の気を引く。

 

「しっかしよくバレないもんだな」

 

「パーティー用の変装マスクあるだろ?俺がちょいと改造(イジ)りゃあの通りさ、ま、殺せんせーには通じないけど」

 

「殺せんせー鼻がいいんだろ?体臭とかも変えないからばれるんじゃないか?」

 

「あぁ、なるほど」

 

「う…ま、まぁあいつらならあれで十分だろ、なんせあいつらは弱そうな人間には興味ないから」

 

「でもこの向かいの民家よく俺達を上げてくれたな…」

 

「有希子さんと桃花さんが家主を押さえてる…友人?どうしたんだ?」

 

「なんでもねぇよ」

 

(そりゃ自分の想い人が作戦のための接待とはいえ中年男性をよいしょしてるのはきついよな)

 

「イリーナ先生仕込みの交渉接待術、かじった程度でもあんなに役立つなんてな」

 

「首尾は上々ですから、始めましょうか」

 

「よし、律、合図だ」

 

「はい!」

 

律からのメッセージが送られると、カエデが店内のトイレに向かい、渚が注文したサラダを落として女生徒達の気を引いた隙に…

 

バシュシュ!!

 

命中(ヒット)

 

「マッハ20の目標と比べればちょろいね」

 

千葉と速水が薬品を女生徒達の飲み物に打ち込む。

 

なお、作戦考案の段階では下剤の予定だったが龍哉の「他の人達にあんな連中の汚物を掃除させられるっていう屈辱は味合わせるべきじゃない」の一声で疑似的に花粉症の症状を起こす薬に変更となっている。

 

「おぉ」

 

「んじゃ、悠馬達準備」

 

「おう」

 

「まっかせて~」

 

レインコートを着て木の枝を切り落とす準備をする悠馬達…

 

ここでも丸ごと落とす予定だったが「あんな連中に引っ付く羽目になる虫達がかわいそうだ」という龍哉の発言に陽菜乃が同意し、その場にいた生徒全員が賛成に回ったため虫の類は全部取り除かれている。

 

「お、症状出た」

 

「カエデさんが占有してるから、これで出て別んとこに行くしかないな」

 

「お、出てきた」

 

その女生徒達が通り過ぎようとした瞬間、悠馬達が木の枝部分が当たらないよう切り落としたのが真上から直撃する。

 

「では仕上げです、覇月君、倉橋さん、頼みましたよ」

 

「はぁ…」

 

「は、はい」

 

仕上げとして龍哉と陽菜乃が女生徒達と同じコンビニに向かうが…

 

龍哉の服装はかなりピシッと決められた格好いい服にして髪をほどいてポニーテールにしており、陽菜乃の格好はふわっとした可愛らしい服に眼鏡となっている。

 

2人の役目は追いついて先に入ろうとしている女生徒達を見て好き勝手いうだけなのだが…

 

(((((((どっからどう見てもお似合いの恋人にしか見えない)))))))

 

この見た目のせいで龍哉を除いた全員がそう思っていたりする。

 

「んじゃ、行こうか、ひなちゃん」

 

「う、うん…」

 

傘も1本、昨日の前原のように相合傘でコンビニに向かう龍哉達…それを見ていた皆は…

 

「龍哉の奴、さりげなく倉橋のほうに傘を寄せて濡れないようにしてるな」

 

「しかもあまり水たまりがないところを選んでやがる」

 

「あいつ、素で女性が喜ぶエスコートしてる」

 

「…負けた感が半端ないな」

 

「「「うん」」」

 

と、女性陣は龍哉の態度に感心し、男性陣はどこか敗北感に包まれて民家を後にした。

 

==========

 

コンビニ―

 

醜く店員が止めようとするも暴れっぷりが激しく困惑しているところに龍哉達が来店する。

 

「と、何買えばいいんだっけ?」

 

「もう、龍君忘れたの?みんなで食べるお菓子とジュースだよ」

 

「そうだったな」

 

そう言って龍哉達は籠を持ってドリンクコーナーへ向かう途中に喧嘩する2人を見て

 

「ありゃなにしてんだ?」

 

「喧嘩…かな?」

 

「え?男が女と?男クズだな」

 

どストレートにえげつない事を言った。

 

この会話は律を介して全員に聞こえているのだが、龍哉は構わず言葉をつなげる。

 

「トイレの前ってことは何か焦ってんのか?それでも普通レディーファーストだろ」

 

「龍君は私と被ってもそうしてくれるの?」

 

「当たり前だろう?(友達として)大切な人なんだから」

 

大切な人、と聞いて陽菜乃は顔を真っ赤に、聞いていた全員はおぉー、と感心の声を上げる…龍哉の心の声を聞いてたら龍哉は全員から糾弾されるに違いないが

 

「おまえ、さっきから聞いてりゃ勝手なこと言いやがって!!」

 

「君達の都合なんかこっちは知らないし、やってることが人様への迷惑行為だって気づかないの?」

 

「ああ!!」

 

「まず、コンビニの店内で取っ組み合いの喧嘩、しかもトイレの前、他に利用したい人がいても使いに行けないじゃん」

 

「なんだと!」

 

「第2に、君達のせいで床がびちゃびちゃ、これをあとから掃除する店員さんには余計な労力がかかる」

 

そばで聞いていた店員がものすごい勢いで頷いている。

 

「そして3つ目、君達その制服だと椚が丘中学の生徒だろう?椚が丘の生徒は公共の場で人様の迷惑を考えず好き勝手やってもいいって教えられてるのかい?そうだとしたら偏差値は高くても人としては最低の生徒が育つところ、という認識を人に与えて、ここの人から苦情が入るかもね」

 

それで学校の先生たちから罰則を受けることになるだろうね、と龍哉が告げるよりも早く2人ともまたダッシュでコンビニから逃げ去る…それぞれ別方向に

 

「大変でしたね」

 

「いえ、ありがとうございました」

 

「彼らによって出た被害は?」

 

「軽微なものですよ、せいぜい床掃除をまたやらないといけなくなったくらいです」

 

「それはよかったです」

 

「いえ、では失礼します」

 

そう言って店員は去り、龍哉と陽菜乃はあれが言い、これがいいと話し合いながらみんなと家で食べるお菓子とジュースを購入し、帰路へと付いた。

 

==========

 

事が終わり覇月家―

 

全員がリビング(?)に龍哉達が買って来たお菓子を広げてさながらプチパーティーのようだ

 

「エーと…何ツーカありがとうな、ここまで話を大きくしてくれて」

 

「どう出すか前原君、これでもまだ自分が…弱いものを平気でいじめる人間だと思いますか?」

 

「…………いや、今の皆を見て、龍哉の態度とか見てるとそんなことできないや」

 

「龍哉って弱きを助けて強きをくじくタイプだもんな」

 

「自分が弱いときにくじかれてみろ、こうなるぞ、普通」

 

「そうだよな、それに、一見強そうに見えず弱そうに見えても皆どこか頼れる武器を隠し持ってて、そこには俺の持ってない武器がたくさんあって…」

 

「そういうことです、強い弱いは一目では測れない、それをE組(ここ)で暗殺を通して学んだ君達は、この先簡単に弱者を蔑むことはないでしょう」

 

「…うん、そう思うよ殺せんせー」

 

「よし、それじゃ作戦の成功を祝って~」

 

「「「「「「「「「「カンパー「~~~♪」」」」」」」」」」」

 

「誰?」

 

「また龍哉?」

 

「いや、俺じゃない」

 

「あ、俺だ」

 

「前原?」

 

「あ、悪い、俺これから他校の女子と飯食いに行かねーと、じゃあみんなありがとうな、覇づ…龍哉も悪かったな、また明日」

 

そう言って去っていく前原を見て…

 

「ここまでした意味って…あったのか?」

 

龍哉の一言に、愛美、渚、悠馬、カエデ以外が怒りを爆発させ、少々荒れたパーティーとなったのだった。

 

 

 

 

 

おまけ

 

「で、言い訳は用意してあるんだろうな?」

 

翌日早朝、作戦に参加した全員が烏間先生の前で正座していた。

 

「はい」

 

龍哉がはっきりと答え、全員が龍哉に注目する。

 

「言ってみろ」

 

「殺せんせーに参加しないと暗殺をしづらくすると参加した全員は脅されまして」

 

「ニュヤ!?」

 

「そうなのかね?」

 

烏間先生の問いに全員が「はい」と答え…

 

「きっちり、お前には説教をする必要があるようだな」

 

「ニュヤ―――――!!」

 

その後、烏間先生に徹底的にしぼられた。

 

「龍哉のおかげだな」

 

「ありがと~」

 

「どういたしまして」

 

龍哉が事前に烏間先生にばれた時の対策を練っていたため生徒はお説教を逃れたのだった。

 

おしまい

 

「納得いきません!!」

 

「ほう、足りないようだな」

 

「勘弁してくださーい!!」

 




龍「あとがきコーナー」

渚「唐突に始まったね」

龍「以前にじふぁんで小説書いてた時にやってたのを復活させたらしい、作者が」

渚「でもそんな描写一度も」

龍「昔の話でかつ当時投稿していたのは「IS」とか「リリなの」で最近飽きたのと暗殺教室のほうが面白いから忘れてたらしい」

渚「メタ発言ひどいよ、龍哉」

龍「今の俺はほぼ作者の代弁者だ」

渚「主人公をナンテ扱いしてるんだ!!」

龍「というわけで進める、今後は毎回俺とE組生徒誰かをよんでちょっとしたことをやる」

渚「どういうわけ!?そして何をするの!?」

龍「議題はこれだ『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』」

渚「あ、うん、大体なんでこうなったか察したよ」

龍「ちなみに今回は告知だ、本格的なのは次回からだ」

渚「そうなんだ、ちなみに次回の生徒は?」

龍「渚のままだ、予定では渚、カルマ、カエデときてひなちゃんだ」

渚「全員思い浮かんでるの?」

龍「寺坂組が難しいらしい、基本的に死んでないのを使うらしいから龍騎系が全滅だし」

渚「うわぁ…」

龍「それでは」

渚「次回も」

龍・渚「お楽しみに~~!!」


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LとRの時間

お待たせしました、約3週間ぶりの投稿です。

ロヴロ氏登場!!

何気に出番が多いキャラですよね。


前原絡みの騒動も終わったある日―

 

「分かったでしょ?サマンサとキャリーのエロトークの中に難しい単語は1個もないわ」

 

英語の時間、この時間の担当はイリーナ先生であり、ビデオで海外ドラマを見せて授業をしていた。

 

「日常会話なんてどこの国もそんなもんよ、周りに1人はいるでしょう?「マジすげぇ」とか「マジやべぇ」だけで会話を成立させる奴」

 

(TVで見た確かギャル…だっけ?少なくとも俺の周りには…いない…よな?)

 

イリーナ先生の言葉を聞いてふと自分の周りにいないか思い出してみるとどうもいる気がしない。

 

「その「マジで」にあたるのがご存知「really」、木村、行ってみなさい」

 

「リ、リアリー」

 

「はい、ダメー、LとRがごちゃごちゃよ」

 

日本語読みのように言ったために正義はイリーナ先生からダメ出しされる。

 

「次はそうね…龍哉、言ってみなさい」

 

「really、でいいですか」

 

「上手ね、今の龍哉のような感じよ」

 

「「「おぉ~~~」」」

 

「LとRの発音の区別はつくようになっときなさい、外人(わたし)としては通じはするけど違和感あるわ」

 

「そうなんですか」

 

「ええ、いい?言語同士で相性の悪い発音は必ずあるの、韓流スターの「いつまでも」が「いちゅまでも」になりがちなように日本人のLとRは私にとってはそんな感じよ」

 

「ちょっとした違いってことですか」

 

「そう、でも相性が悪いものは逃げずに克服する!!これから先発音は常にチェックするわ!!」

 

「もし、発音がダメだったらどうなるんですか?」

 

「そうね、LとRを間違えたその時は…公開ディープキスの刑よ」

 

(((((絶対に食らいたくない!!)))))

 

そして放課後、この日は全員居残り訓練せずにまっすぐ帰るようだ。

 

「しっかしヒワイだよなビッチ先生の授業は」

 

「下ネタ多いし、アレ中学生が見るドラマじゃねーだろ」

 

「でもわかりやすいよ、海外ドラマは良い教材だって聞いたことあるし」

 

「他にも洋楽とかな」

 

「そうなんだ」

 

「それに潜入暗殺が専門だから話術も上手いし、間に挟む経験談も聞いてて飽きなかったよ」

 

「今日は桃花さんだったな…相手がイリーナ先生だったのに顔真っ赤だったな」

 

「しょうがねーよ、ビッチ先生結構色気あるし…たださ」

 

「ただ?」

 

「正解してもどっちみち公開ディープキスされるよね」

 

「そういや三村君が被害にあってたな…俺が合いそうになったらなぜかひなちゃんが殺気漲らせてイリーナ先生が引いてたけど」

 

「あはは…ほぼ痴女だよな、あの先生(なんでそこまで思われて気づかないんだよ)」

 

「(龍哉だから仕方ないよ)でもあれを食らいたくないから必死になるよね」

 

「そうだな、まぁそれを差し引いて考えると受験にも役立つよな、ヒアリング力上がってるし」

 

「いえてんな~」

 

「ん?」

 

「どうしたの?」

 

「いや、なんか変な人が…気のせいか」

 

「変な人?」

 

「どこに行ったの?」

 

「実験室のほうだな、ただいるのはイリーナ先生だけだな、今」

 

「ちょっと見に行かないか?」

 

「俺は構わない…ちょっと気になってな」

 

「気になるって?」

 

「纏っている気…オーラと言い換えたほうがいいか?それが堅気のものとは違ってたからな」

 

「じゃあ殺し屋ってこと?」

 

「ああ、だが殺気がない、殺りに行く前ならもうちょっと出ていてもおかしくないんだがな…」

 

「隠してんのかもな、ほら、よく漫画とかであるじゃん」

 

「……確かにイリーナ先生以上の熟練の殺し屋だとすると、その可能性もあるな」

 

「本当に行くの?」

 

「ちょっと興味ある」

 

「一応確認しておきたい」

 

「もう…」

 

見に行くことに乗り気な龍哉、友人を見て説得して止めることを渚は諦めた。

 

素早くこっそり走って行くと先程龍哉が見かけた人物が何かを仕掛けており…

 

「なんかやばそうだ」

 

「「うん」」

 

龍哉が危機感を感じて渚、友人は職員室に走り、龍哉は実験室に向かうと

 

「…っ!!」

 

ワイヤートラップで首つり状態になっているイリーナ先生がいた。

 

それを確認すると龍哉はドアを開けて飛び入り、そのまま手刀でワイヤーを切り裂く。

 

まぁ支えるものがなくなったのでイリーナ先生はそのまま尻餅をつくように落ちるが…

 

「ごほっ、龍哉、ありがとう」

 

「大丈夫ですか」

 

龍哉はイリーナ先生の背中をさすり、呼吸は整っていく。

 

「≪驚いたよイリーナ、教師をやっているお前を見て…子供相手に楽しく授業、生徒達と親しげな挨拶、まるで…コメディアンのコントを見てるようだった≫」

 

「≪………!!師匠(センセイ)…≫」

 

(……イリーナ先生の関係者か)

 

「何があったんだ」

 

そこに烏間先生を連れて渚と友人がやってくる。

 

「烏間先生、あの人がイリーナ先生にワイヤートラップを仕掛けて…後、関係者だと思います」

 

「ありがとう、≪何者だ?せめて英語だと助かるんだが≫」

 

(((烏間先生、東欧の方の言語しゃべれるんだ)))

 

イリーナ先生には劣るが、割とバイリンガルな烏間先生を見て驚いている龍哉達…

 

烏間先生が男を東欧の人間と判断したのはイリーナ先生が暗殺を実行したのがそっちの方と知っていたためだ。

 

「…これは失礼、日本語で大丈夫だ、別に怪しいものではない」

 

(((どこがだ!!)))

 

怪しいものではないと言っているが…どう見ても怪しい人物にしか見えない。

 

「イリーナ・イエラヴィッチをこの国の政府に覇月秀治を介して斡旋した者…と言えばお分かりだろうか」

 

(((元凶お祖父ちゃん(秀治さん)か!!)))

 

「……!!」

 

この場にいる中心の男の名は”殺し屋”ロヴロ…腕利きの暗殺者として知られていただ現在は引退しており、後進の暗殺者を育てつつその斡旋で財を成している。

 

また、かつて来日した要人を警護していた覇月秀治とは幾度となく交戦しており、それ以来奇妙な縁ができており、直接会ったりはなかったがその縁で秀治が暗殺者を欲していた日本政府に紹介したのだ。

 

しかし、なぜここに?

 

「ところで”殺せんせー”は今どこにいる?」

 

「職員室にいなかったのか?」

 

「うん」

 

「上海まで杏仁豆腐を食いに行った、30分前に出たからもう直戻るだろう」

 

「って俺らが下校した直後に!?」

 

「本当に自由だな、殺せんせー」

 

「フ…聞いていた通りの怪物のようだ…来てよかった、答えが出たよ」

 

何かを告げるようにイリーナ先生にロヴロが近づく。

 

「今日限りで撤収しろイリーナ。この仕事はお前じゃ無理だ」

 

「…?随分簡単に決めるな、彼女はあんたが推薦したんだろう」

 

「現場を見たら状況が大きく変わっていた、もはやこいつはこの仕事に適任ではない」

 

「どうしてそんなことが!!」

 

「イリーナ先生は潜入して相手の裏をかく暗殺専門…裏をかけない相手では並みかそれ以下の暗殺者ってことだろ」

 

「察しがいいな、秀治の孫、正体を隠した潜入暗殺ならこいつの才能は比類ない…だが一度素性が割れてしまえば一山いくらレベルの殺し屋だ」

 

「俺のこと知ってるんですか」

 

「何で知ってるんだろう…」

 

「なぜだろうな、知ったらいかん気がする」

 

「そして見苦しく居座って教師のマネゴトか、こんなことをさせるためにお前に技術を教えたわけじゃないぞ」

 

「…そんな!!必ず殺れます師匠(センセイ)!!私の力なら…」

 

「ほう、ならば…」

 

その瞬間、ロヴロは素早くイリーナ先生の後ろに回り込んで腕を絞めて首に指を突き立てようとする…

 

それを龍哉が同等の速度で動いてその指を左手で掴んで止める。

 

「ほう」

 

「ッ!!」

 

「速いな…私達のような動きがお前にできるか?」

 

(…速い!!そして覇月君も止めれるとは…)

 

「お前には他に適した仕事が山ほどあり…この仕事に執着するのは金と時間のムダだ」

 

その間、腕は絞められたままで、指は龍哉が握って止めたままだ。

 

「ここの仕事は適任者に任せろ」

 

「他に適任者がいるんですか?」

 

「その通りだ、2人いる転校生暗殺者の内残る1人が…実践テストで驚異的な能力を示し、投入準備を終えたそうだ」

 

「「「!!」」」

 

ロヴロから知らされた情報に龍哉達は心底驚く。

 

「……」

 

「相性の良し悪しは誰にでもある、さっきお前は発音について教えていたが、教室(ここ)こそがお前に取って…LとRじゃないのかね?」

 

「半分正しく、半分は間違ってますねぇ」

 

そこに殺せんせーが左側を○、右側をオレンジに×マークを付けてイリーナ先生の鼻の穴を触手で押さえて引っ張り、ロヴロの額を同じく触手で押さえて引っ張って引き離す。

 

「何しに来たウルトラクイズ」

 

「ひどい呼び方ですねぇ、いい加減殺せんせーと呼んで下さい」

 

戻ってきた殺せんせーにロヴロと龍哉達が気づく。

 

「帰ってきたんですね…あ、杏仁豆腐のお土産見っけ」

 

「マジか!食おうぜ!!」

 

「杉野君、それは先生の明日の朝食のデザートなんです、やめてください」

 

「殺せんせー、それでどうして半分合ってて半分間違ってるんですか」

 

「それはですね、イリーナ先生は暗殺者としては恐れるに足りません、くそです」

 

「誰がくそだ!!」

 

「でも最初に殺せんせーのこと侮って対せんせー用のナイフと弾を使わなかったのイリーナ先生じゃん」

 

「う!!」

 

「しかもその後潜入専門で先生として潜入してるのに仕事満足にしないでほぼ学級崩壊させるし…」

 

「うぐ!!」

 

「極め付けは授業で正解しても間違ってもディープキスするから一部の生徒からはそこだけ未だに受け悪いし」

 

「がは!!」

 

「龍哉、ストップストップ!!ビッチ先生めっちゃダメージ受けてる!!」

 

「ですが事実ですからねぇ…否定できません」

 

「確かにな」

 

「フォローしなさいよ!!」

 

「でもその後の授業はすごく役に立つこと教えてもらえてるから俺としては気にしてないんですけどね」

 

「そうだね、授業すごい分かりやすいし」

 

「龍哉、渚…」

 

事実を淡々と告げたものの、その後反省してちゃんと授業をしてくれているイリーナ先生を龍哉と渚は好意的に受け止めているようだ。

 

「そう、今渚君達が言ったように授業は非常に役に立っています―理由はそれだけではありませんが―彼女という暗殺者こそこの教室に適任です」

 

「どういうことだよ」

 

「あ~、俺なんとなくわかったかも」

 

「マジで!?」

 

「覇月君は察しがいいですねぇ…殺し比べてみればわかりますよ、彼女とあなた、どちらが優れた暗殺者か」

 

「ルールと暗殺対象はどうするんですか?」

 

「そうですねぇ、ルールは簡単、イリーナ先生とロヴロ氏の内、烏間先生を先に殺した方が勝ち!!」

 

その提案にイリーナ先生とロヴロは殺せんせーのほうを見る。

 

「イリーナ先生が勝ったら…彼女が教室(ここ)暗殺(仕事)を続ける許可をください」

 

「なんで俺が!!」

 

「烏間先生なら公平な標的(ターゲット)になるからです」

 

「あ、俺達だと質問だのなんだのでイリーナ先生に接触する機会多いし、暗殺(そんなこと)するはずないって油断してるもんな」

 

「その通りです、それに私が標的(ターゲット)になっては…イリーナ先生に有利なよう動くかもしれませんし」

 

「色仕掛け普通に効果ありだもんね」

 

「胸揉んでいいから刺させて、ってお願いしたら一も二もなく飛びつきそうだもんな、殺せんせー」

 

「生徒達の私のイメージ…第一私じゃだ~~れも殺せないじゃないですか」

 

嘗めきった黄色と緑のしましま顔で烏間先生に殺せんせーがそう告げる。

 

「使用するのは人間には無害な対先生ナイフ、期限は明日1日!どちらか先に対先生(この)ナイフを烏間先生に当ててください」

 

殺せんせーは掴んで触手を破壊しないように白のハンカチで挟んでナイフを掲げる。

 

「互いの暗殺の妨害は禁止です、また生徒の授業の邪魔になっても失格です」

 

「ってことは烏間先生が1人なった瞬間とか休み時間を狙うしかないってことか」

 

「…なるほど、要するに模擬暗殺か、いいだろう、余興としては面白そうだ」

 

「…チッ!勝手にしろ!!」

 

「烏間先生も大変だな」

 

「それだけの能力(チカラ)があるんだよ、烏間先生には…だって俺ら以外で唯一(・・)殺せんせーと直接接触してる政府の人間だぜ」

 

「フッフフ、なかなか出来るのだな、あの男」

 

「ええ、この私の監視役に選ばれるくらいですから」

 

「あいつに刃を当てることなどお前には無理だ、イリーナ」

 

「何でそう断言できるんですか?」

 

「イリーナに暗殺の全てを教えたのは俺だ、お前に可能な事不可能な事、俺が全て知っている」

 

「マジかよ」

 

「ビッチ先生超不利だ…」

 

(それはどうだろうな)

 

渚と友人が心配するが、龍哉はむしろロヴロの言ったことは余裕ではなく侮りと思ったようだ。

 

「暗殺ごっこでお前にそれを思い知らせ、この仕事からおとなしく降りてもらう…そして誰も殺れない殺せんせーよ、お前を殺すに適した資格、もう一度選びなおして送ってやるさ」

 

そう告げてロヴロは実験室を出ていく。

 

そして残ったイリーナ先生は…

 

「……私をかばったつもり?」

 

「つもりじゃなくてかばったんだと思うだけど…」

 

渚が思わず突っ込みを入れる。

 

「どうせ師匠(センセイ)が選ぶ新たな手ごわい暗殺者より、私のほうがあしらいやすいと考えてんでしょ」

 

「修学旅行の件から考えるとどっちでも一緒のような気がするのは俺だけ?」

 

どうやら龍哉はどんな暗殺者でも殺せんせーならあしらえるだろうからイリーナ先生だろうが新しい暗殺者だろうが同じ結果になると考えているようだ。

 

「そうはいくもんですか!!カラスマもアンタも私が絶対に殺してみせるわ!!」

 

そう言ってイリーナ先生も肩を怒らせて実験室から出ていく。

 

「なんか、大変なことになっちゃったみたいだね」

 

「ああ」

 

「一番悲惨なのは烏間先生だけどな」

 

「「それだけは言えてる」」

 

龍哉達もそう言いあって下校していった…

 

明日余計なトラブルが起きないようにと願いながら…

 




龍哉「あとがきコーナー・第一回、進行の龍哉だ」

渚「ゲストの渚です、今回はまたぶっ飛んでたね」

龍哉「そもそもロヴロをどうやって日本政府が知ったのか、という点からお祖父ちゃんとの繋がりを思いついたらしい」

渚「本当に龍哉のお祖父さん達の人脈おかしいよね」

龍哉「袖振り合うも多生の縁的な考え方してるからな…さて、本題に行こうか」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「これはゲストのE組生徒が仮面ライダーになっていたら変身するのはこれだろう、
   と作者が考えたものを披露するコーナーだ
   ちなみに他のE組生徒達はスタジオの客席側にいる」

渚「ここスタジオなの!?」

龍哉「ルールとしては
   1.主役ライダー、サブライダーから選ぶ
   2.サブライダーと言ってもMr.ガードベントのようなのは対象外
   3.突っ込みは感想で
   こんなところか、それと前回基本的に死んでないのを使うといったが…」

渚「あ、無理があったんだね、それで2.のようなルールに変えたんだ」

龍哉「そう、では渚が変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダージョーカー(原作:仮面ライダーW)

龍哉「仮面ライダーWの主人公の1人、左翔太郎がロストドライバーと
   ジョーカーメモリを使って変身する仮面ライダーだ」

渚「これ原作読んでる人にしか分からないんじゃない?」

龍哉「お前もなかなかメタいな、選んだ理由はまぁ原作の鷹岡戦とか
   渚個人のスキルを見れば一目瞭然だろう」

渚「僕は格闘能力低いけどね」

龍哉「それは言うな…後は左翔太郎も観察力か優れてたからな、探偵だし」

渚「まぁ納得は出来たかな」

龍哉「それではこれで終了、次回はカルマだ」

龍哉・渚「それでは次回もお楽しみに!!」


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克服の時間

ロヴロさんVSイリーナ先生、決着!!

龍哉は今回裏方です。

でも龍哉がいないと回らない話です。


翌日―

 

一時間目の体育の時間、2本の立てた丸太の上でバランスを取りながらつるしたボールを正確につく訓練をしているのだが…

 

「…………」

 

烏間先生が一方向をじっと見ており…

 

(狙ってる…)

 

見学中の生徒達も同じ方向を見ている。

 

(狙ってるぞ…)

 

「龍君、あれ…」

 

「気にしないで続けよう」

 

(狙ってるぞ…)

 

(((何か狙っている…でも見たことない人になぜかしこたま殴られた跡がある!!)))

 

そんなこんなあって授業終盤―

 

「…と言うわけで、今烏間先生はあの2人に狙われてるってこと」

 

昨日あった出来事を烏間先生、渚、友人と共に龍哉が説明した。

 

「迷惑な話だが、君らの授業に影響は与えない、普段通り過ごしてくれ」

 

((((烏間先生も大変だな…))))

 

「それともう一つ、なぜ、ロヴロ氏はあんなにズタボロなんだ?」

 

「あ~~、あれは俺がやりました」

 

「「「「「「「「「「ってお前かよ!!」」」」」」」」」」

 

烏間先生の至極もっともな疑問に龍哉が答えた結果、もはや恒例のようにE組全員から突っ込みが入った。

 

「…一応、理由を聞かせてもらえるか?」

 

「え~と、昨晩…」

 

以下、龍哉回想―

 

昨日、家にいたら来客があって、誰かと思ったらあそこにいたロヴロさんだったんです。

 

なんで来たのかと聞いたらお祖父ちゃんに会いに来たとかで、殺気も感じなかったんで招き入れたんです。

 

で、お祖父ちゃんとも普通に話してて、お祖母ちゃん達も交えて宴会みたいになって…

 

それで、急にロヴロさんが懐に手を入れて写真を取り出したんですよ

 

俺その時つまみを作ってて出来上がってちょうど持っていったところで…

 

まぁそれはただのお孫さんの写真だったんですけど…

 

そしてそのまま孫自慢が始まったんですけど…なぜかお祖父ちゃん達も触発されて俺の自慢を始めて…

 

いや、最初の内は俺も照れるぐらいの自慢だったんだけど…どんどんヒートアップしていって…

 

ロヴロさんなんか時差無視して自分の方が慕われていることを証明しようとお孫さんに国際電話かけようとするし、

 

お祖父ちゃん達は自分たちが俺のためにしたことをガンガン―俺が初耳のことがわんさかあったけど―言い出して…

 

思わずキレちゃって、全員お祖父ちゃんと市之助祖父ちゃんとロヴロさんはあの通りぼこぼこにしちゃって、お祖母ちゃん達は…ちょっとぎっちりみっちり反省してもらってます。

 

龍哉回想終了―

 

と、そんな呑気な感じで龍哉から告げられたことに思わず絶句する…そばで聞いていた殺せんせーとイリーナ先生もロヴロさんをガン見しており、ロヴロさんは気まずげに視線から顔をそらした。

 

「そうか…いろいろと大変だったな、本当にいろいろな意味で」

 

「ええ…ま、反抗期ってことで」

 

「とりあえず、その時の言っていたことや状況は全部録画しておきました!!」

 

「律!!おま!!」

 

「へ~、後で見せてよ」

 

「カルマァァァ!!」

 

「2人とも、遊ぶのはそこまでだ、今日の体育はここまで、解散!!」

 

「「「「「ありがとうございました!!」」」」」

 

そうして体育の授業が終わり、そこへ

 

「カラスマ先生~~」

 

イリーナ先生が駆け寄ってきて

 

「お疲れ様でしたぁ~ノド渇いたでしょ、はい冷たい飲み物!!」

 

水筒からドリンクを差し出した。

 

それを見て全員―龍哉も含めて―絶句してしまう。

 

「ほらグッといってグッと!!美味しいわよぉ~」

 

(((なんか入ってる、絶対なんか入ってるな)))

 

そしてそれを見て烏間先生は…

 

「大方筋弛緩剤だな、動けなくしてナイフを当てる」

 

あっさりとドリンクに含まれた薬物を当てて、当てられたイリーナ先生は肩をびくつかせてしまった。

 

「今の烏間先生の予測あたりだな」

 

「ビッチ先生、動揺しすぎだよ」

 

「…言っておくが、そもそも受け取る間合いまで近寄らせないぞ」

 

「龍君、今の立ち位置って大丈夫なの?」

 

「ああ、烏間先生の手の届く範囲の外だ、イリーナ先生の暗殺の仕方は自分に近づかせてからって方法が多いんだろうな、だから必要以上に近づいてない…烏間先生もそれを分かってるからあの距離なんだろうな」

 

「ほへぇ~」

 

龍哉の分析に陽菜乃を筆頭に周囲の生徒達は感心している。

 

「まぁ俺だったら渡すふりしてぶっかけたりするがな」

 

「「!!!」」

 

「すみません、2人共なんでその手があったか!!って顔してるんですか、って烏間先生即座に距離取った…」

 

「でも筋弛緩剤って…」

 

「麻酔薬の一種で、モノによっては気化して使う、全身麻酔の時とかね、だから烏間先生の対応は正しいよ」

 

そしてそのまま烏間先生は立ち去ろうとする。

 

「あ、ちょ待って、じゃここに置くから…」

 

と、イリーナ先生がしゃがみ込んだ瞬間…

 

「あっ」

 

芝に足を取られてすっころぶ。

 

「いったーーい!!おぶってカラスマおんぶ~~~!!」

 

そんなイリーナ先生にやってられるかとばかりに職員室に戻っていく烏間先生…

 

「…フン、恥をさらしおってバカ弟子め」

 

(((いや、昨日のアンタの行動のほうが恥だろ)))

 

龍哉によって暴露された行動のほうがひどいと思う生徒達…

 

「ビッチ先生」

 

「さすがにそれじゃ俺らだって…純粋な龍哉すら騙せてねーから無理だよ」

 

転んだイリーナ先生を悠馬と三村が立ち上がらせながら行動に突っ込みを入れると…

 

「仕方ないでしょ!!顔見知りに色仕掛けとかどうやっても不自然になるわ!!」

 

イリーナ先生は逆ギレした。

 

「キャバ嬢だって客が偶然父親だったらぎこちなくなるでしょ!?それと一緒よ!!」

 

(((知らねーよ!!)))

 

「ねぇひなちゃん、なんで急に俺の耳に手ぇ当てたの?びっくりするんだけど、あと不自然になった後イリーナ先生なんて言ったの?」

 

「龍君は知らなくても大丈夫だよ」

 

「いや、気にな「知らなくていいの!!」」

 

(((倉橋さん、必死だな~)))

 

イリーナ先生の卑猥なたとえ話で変な知識を龍哉に身につけてほしくない陽菜乃は授業中以外ではたびたびこうして防いでいるのだが、その理由は龍哉以外全員が既に知っている。

 

そのまま全員三々五々その場から解散して去っていった。

 

==========

 

その後の休憩時間、職員室には先生が全員そろい、外には様子が気になった龍哉、渚、友人、陽菜乃、カエデの5人がいる。

 

「烏間先生警戒してんな~妙にやる気だしてるし」

 

「どうしたんだろうな?」

 

「殺せんせーから何か報酬が出たのかな?」

 

「むしろ出てない状態でさっきまでよくやってたよな」

 

「どんなのかな~?」

 

「多分動かねぇとかじゃないかな?殺せんせーが動かない(・・・・・・・・・・・)ってのは最大の暗殺チャンスだからな」

 

「それなら、烏間先生のあのやる気もわかるね」

 

「あ~、烏間先生もあれで暗殺には積極的だもんな」

 

「…来る!!」

 

「えっ」

 

「あっ!」

 

龍哉が叫ぶと同時にロヴロさんが職員室内に真正面から突っ込んできた。

 

烏間先生は椅子を引いて躱そうとするが床に椅子が一定以上動かないようストッパーが付けられていた。

 

「まずい!!」

 

「これじゃ…!!」

 

「いや、ロヴロさんが甘い」

 

「「「「え?」」」」

 

龍哉が言った通り、ロヴロさんがナイフを持った左腕を突き出したが…

 

烏間先生はわずかに立ち上がった状態で同じく左腕でロヴロさんの腕を机にたたきつける。

 

そして椅子を倒すように立ち上がると同時に右足で側頭部に蹴りを放つ。

 

もっとも、それは直前で止められたが…

 

「熟練とはいえ年老いて引退した殺し屋が、先日まで精鋭部隊にいた人間を…随分簡単に殺せると思ったんだな」

 

(((((つ、強い!!)))))

 

その光景を見ていた渚達、イリーナ先生、そして実際に反撃されたロヴロさんは驚愕していた。

 

(師匠(センセイ)でも殺せない…そんな奴を私が今日中に殺せるの!?)

 

そして殺せんせーにロヴロさんが落したナイフを突きつける

 

「分かってるだろうな、もしも今日中に殺れなかったら…」

 

そう宣言する。

 

その迫力に、殺せんせーもイリーナ先生もビビってしまう。

 

「(イリーナとロヴロ(こいつら)の暗殺を今日1日俺が躱せば…お前は褒美で俺の前で1秒動かない約束だったよな)楽しみだな(1秒あれば俺のナイフは5回は刺すぞ)」

 

そう言って烏間先生は職員室を出ていく。

 

「…フッ、相手の戦力を見誤った上にこの体たらく、年は取りたくないもんだ」

 

「…俺にも原因あると思う?」

 

「…ないんじゃないかな」

 

「…まぁ普通は孫バカの自慢(そういう)話聞いたら…なぁ」

 

「手、怪我しちゃってるみたいだね」

 

「あれじゃ今日はもう殺れないな、んで殺せんせーが必死に応援してるから、報酬が殺せんせーに不利なものになったんだろうな」

 

「超焦ってるもんな」

 

「でもロヴロさんなら」

 

「いや、無理だ、烏間先生を殺すにゃ超長距離の狙撃ぐらいしかないな…さっきの戦闘力から接近戦は不利なことこの上ない」

 

「じゃ、その烏間先生と対等に戦える龍君ならやれる可能性はあるってこと?」

 

「…そうだね、俺で5分ぐらい…だから、正直イリーナ先生が烏間先生を殺るには相当な工夫をしないと無理だね」

 

「龍哉は殺れるって思ってるの?」

 

「ん~、正確な明言は避けるけど、まぁ可能性で言えば6割ぐらい、かな」

 

「6割…」

 

「高いのか低いのか分からないね」

 

「とりあえず、烏間先生見えるところに移動しようぜ」

 

「そうだね」

 

ここで龍哉達も職員室の外から教室に戻っていく…

 

なぉ、この後職員室でイリーナ先生を励ますついでに通販で新しい下着を買ったことを殺せんせーが暴露していたため、ここで離れたのは龍哉としても殺せんせーとしてもラッキーだっただろう。

 

==========

 

そして昼放課―

 

「お、見てみ渚君」

 

「…ああ、烏間先生よくあそこでご飯食べてるもんね」

 

「その烏間先生に近付いてく女が1人、殺る気だぜビッチ先生」

 

「間に合ったか」

 

「龍君、どこに行ってたの?」

 

「ちょっとね」

 

後でわかるよと龍哉が陽菜乃の追及をはぐらかして生徒たち全員が校庭の烏間先生を暗殺しようとするイリーナ先生を見守る。

 

イリーナ先生は上着を脱ぎ、得意の色仕掛けで烏間先生に近付いていく。

 

「あれじゃまた失敗しちゃうんじゃない?」

 

「うん、イリーナ先生直接の戦闘技術は低いし」

 

「それもまた武器ってことだよ」

 

「龍哉、お前なんか知ってるのか?」

 

「ああ、こないだたまたま知ったんだけどね」

 

見てれば分かるよ、とまた龍哉がはぐらかし、その間にイリーナ先生は上着をおいて烏間先生がもたれかかっている木の後ろに回る。

 

そしてイリーナ先生が後ろまで回った瞬間!!

 

グン!!

 

烏間先生の左足にイリーナ先生が脱いだ上着が引っ掛かり、体制を崩す。

 

「ワイヤートラップ!!」

 

「昨日、ビッチ先生がロヴロさんに仕掛けられた奴!!」

 

「龍哉、お前これ知ってたのかよ!!」

 

「ああ、でもそれだけじゃだめだから、ちょっと助言をね」

 

「助言?」

 

「そう、体制を崩した相手が仰向けでもうつ伏せでも足で腕を抑え込めってね」

 

俺が初めて烏間先生と戦った時のようにね、とも告げる。

 

事実、現時点でイリーナ先生は烏間先生相手にマウントポジションをとり、両腕を自身の両足で拘束していたが…

 

(ッ!!)

 

イリーナ先生の力は烏間先生を上回らない。

 

そのため徐々に拘束が緩みつつあった。

 

しかし、必死に努力してこの技術を見せられたためか…

 

烏間先生は諦めたかのように力を抜き、イリーナ先生にナイフを当てさせる。

 

「あたった!!」

 

「すげぇ!!」

 

「ビッチ先生残留決定だ!!」

 

「…でも、暗殺技術(あんな方法)ビッチ先生もってなかったよね」

 

「練習してたんだよ、殺せんせーを殺すために、自分に足りないものを会得するためにね」

 

「龍君が見たのって」

 

「あれの練習してるところさ、昨日の授業でも言ってたけど、苦手なものは挑んで克服して無くしていくのがイリーナ先生のスタイル、正直その姿勢を俺は見習っている」

 

「そうなの?」

 

「龍哉って苦手なものなさそうだけど…」

 

「…絵と音楽は壊滅的なんだ、絵は象形文字みたいになるし、音楽は歌うも演奏も怪音波みたいになる」

 

「「「「「「「「「「逆にすごいなそれは!」」」」」」」」」」

 

「後、やっぱり爆発音とかが苦手かな、正直今でも体が硬直する」

 

「龍君…」

 

そういった龍哉を心配して陽菜乃がそばに寄り添う。

 

「それに肉が焼かれるところ…見ただけで吐きそうになる…骨付き肉だとなおさらな」

 

「相当だな…」

 

「大丈夫?」

 

「こうしてしゃべるぐらいならまだ、ね…」

 

「でも、克服したいって思ってるんでしょ?」

 

「ああ、あんな風に克服しようと頑張ってる人を見て、逃げ回んのは性に合わないからな」

 

「なら、俺達にも手伝わせてくれよ!!」

 

「そうだよな、龍哉には護身術とか教えてもらう予定だし、対価ってことでさ」

 

「それ賛成!!」

 

そうしてワイのワイの盛り上がる一同…

 

「皆…ありがとう」

 

そんなみんなに礼を言う龍哉、その表情はうれしそうであった。

 

==========

 

ところ変わって暗殺を終えて戻るイリーナ先生の元にロヴロさんが現れた。

 

師匠(センセイ)…」

 

「出来の悪い弟子だ…先生でもやってた方がまだマシだ、必ず殺れよイリーナ」

 

「…!!もちろんです師匠(センセイ)!!」

 

「それと、秀治の孫、龍哉、だったか…」

 

「?龍哉がどうかしたんですか?」

 

「彼には気を配っておけ、彼は烏間よりだが…あそこにいる誰よりも深い闇を抱えている」

 

「闇…ですか?」

 

「昨日会っていなければ分からなかったがな…その闇がひとたび吹きだせば…この教室にいる全員に被害が及ぶ」

 

「…!!」

 

「彼は俺のライバルの孫だ、それが堕ちていくところは見たくはない」

 

「…分かりました、師匠(センセイ)、気を付けます」

 

「ああ」

 

この時残したロヴロさんの言葉…この危惧していたことが早々に訪れるとはイリーナ先生も予想していなかった。

 

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第二回、進行の龍哉だ」

業「ゲストの業だよ~、龍哉今回は裏でいろいろやってたね」

龍哉「まぁな、イリーナ先生のこと結構好きだし」

業「でもまさか伝説の殺し屋を一方的にボコるって…」

龍哉「酔っ払い相手だったから簡単だった…さて、本題に行こうか」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、カルマが変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダーサイクロン(原作:仮面ライダーW)

龍哉「仮面ライダーWのもう主人公の1人、フィリップこと園咲来人が
   ロストドライバーとサイクロンメモリを使って変身する仮面ライダーだ」

業「これ映画を元ネタにしただろ」

龍哉「そ、映画でのカルマ役の菅田将暉はかつて上記の配役だったからね、
   でも共通点は多いよ」

業「例えば?」

龍哉「頭がいいのに馬鹿なところとか」

業「おい」

全「それは言えてる」

龍哉「お前ら、一応見学中は声出すな後は…そうだな、
   人の技術を割と簡単に再現するところか」

業「そういやヘブンズトルネードっていうストリートダンス模倣してたね」

龍哉「納得したか?」

業「ん~、まぁね」

龍哉「それではこれで今回は終了、次回はカエデさんの予定だ」

業「それって変わるかもって意味だよね」

龍哉「黙秘する」

龍哉・業「それでは次回もお楽しみに!!」


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転校生の時間:2時間目

堀部イトナとシロ登場!!

原作でも何気に重要なシーンが多いんですよね。

龍哉の超人っぷり、陽菜乃の嫉妬も盛り込みました(笑)


イリーナ先生の残留が決まって数日―

 

この間に渚とカルマが殺せんせーに連れらて(律もモバイルで同行)ハワイに行き、帰ってくるといったことがあったが…概ねE組の面々は平和に暗殺を実行していた。

 

そして今日―

 

「はいおはようございます」

 

「「「「「「「「「「「おはよーございまーす」」」」」」」」」

 

「烏間先生から転校生が来ると聞いていますね?」

 

「あーうん、まぁぶっちゃけ殺し屋だろうね」

 

「覇月君の時はとんでも技のオンパレード、律さんの時は油断に加えて覇月君の経験からのサポートと甘く見て痛い目を見ましたからね、先生は今回こそ油断しませんよ」

 

「油断してたんなら殺せばよかった」

 

「たかがエロダコのくせに…」

 

「律さん、その黒さどうにかなりませんかねぇ…」

 

徐々に兄である龍哉に似て黒い発言が増えていっている律に恐れおののく殺せんせー…他の生徒達は自分たちが標的になることはないため安堵してるが…

 

「いずれにせよ、皆さんの暗殺者(なかま)が増えるのは嬉しい事です」

 

「そーいや律何か聞いてないの?同じ転校生暗殺者として」

 

「はい、少しだけ」

 

「どういうのなんだ?」

 

「初期命令では、私と「彼」の同時投入の予定でした、私が遠距離射撃、彼が肉迫攻撃、連携して殺せんせーを追い詰めると」

 

「初期状態の律と連携?100%無理だろ…現場を知らん阿呆共の考えそうなことだ」

 

「そうですね、私も今はお兄ちゃんと同意見です…ですが、2つの理由でその命令はキャンセルされました」

 

「理由は?」

 

「一つは彼の調整に予定より時間がかかってしまったこと、そしてもう一つは…私が彼より暗殺者として圧倒的に劣っていたから」

 

「律が劣っているとは思えんが…今じゃ俺の動きに合わせて射撃まで出来るほどに進化してるのにな」

 

落ち込んだような律の言葉に龍哉が優しくフォローする。

 

「初期命令当時の私のスペックでは彼をサポートしきれないと判断されたようです、そこで、各自暗殺を開始することになり、重要度の下がった私から送り込まれることになったと聞いています」

 

殺せんせーの触手を3本フッ飛ばした律より、同じく肉迫攻撃で3本フッ飛ばした龍哉…

 

今の2人の組み合わせのほうが強い感じがし過ぎてて、どうにもうまくイメージが浮かばない…

 

そして途端に教室の教壇側のドアが開き、生徒全員が驚いてドアの方を向く。

 

そこには、まるでスモークを炊いたように煙を巻いて全身を白の和装束で身を包み、フードで顔を隠した男がいた。

 

「!?」

 

その異様ともいえる姿に全員が驚く。

 

そんな驚きを他所に右手を前に差し出し、それにビクッと全員が身構える。

 

するとポンッという音共にハトが現れ、そのイリュージョンに近くにいた生徒達はさらに驚いてしまう。

 

「ごめんごめん驚かせたね、転校生は私じゃないよ」

 

(あれ、なんか声に違和感が…なんだ?)

 

龍哉は男の声質になぜか違和感を感じた…まるで、本来の声音を封じ込めるかのようなその感じに…

 

「私は保護者…まぁ白いしシロとでも呼んでくれ」

 

「いきなり白装束で来て手品やったらビビるよね」

 

ドキドキした心臓を押さえながらカエデが言う。

 

「うん、殺せんせーでもなきゃ誰だって」

 

といいながら渚が周りを見回すと…

 

以前使った液状化を使って教室前方にある黒板側の窓際の隅に逃げている殺せんせーがいた。

 

その位置は以前龍哉、速水、千葉によって追い込まれた位置とは反対側である。

 

「ビビってんじゃねーよ殺せんせー!!」

 

「奥の手の液状化までつかってよ!!」

 

「い、いや…律さんがおっかない話をするもので…」

 

「おい、あれはガチのビビりだぞ(この手だと恐らく…)」

 

噂に躍らせれてガチでビビっている殺せんせーを見て何か考え込む龍哉、そんな彼を他所に話は進む。

 

「初めましてシロさん、それで肝心の転校生は?」

 

「初めまして殺せんせー、ちょっと性格とか色々特殊な子でね、私が直で紹介させてもらおうと思いまして」

 

はい、おくりものと羊羹を殺せんせーに手渡すシロを烏間先生が窓の外からじっと見ていた。

 

格好や言動からつかみどころのない人物…と渚が思っているとそっちの方をシロが何か気づいたかのように見つめる。

 

それに渚も殺せんせーも気づく。

 

「何か?」

 

「いや、皆いい子そうですなぁ、これなあの子も馴染みやすそうだ」

 

「席はあそこ、自律固定砲だ「律、覇月律だ、俺の妹をそう呼ばないでもらおうか」…そうか、その子の隣であっているよね、殺せんせー」

 

(謝罪なし…か…)

 

「ええ」

 

「では紹介します…おーいイトナ!!入っておいで!!」

 

(どこから…!!)

 

気配に一番早く気付いた龍哉は素早く席を立って上に飛ぶ。

 

龍哉のその行動から一瞬遅れて教室の壁がゴッ!!という音と共に小柄な中学生1人が入れる分だけ破壊され、そこから男子生徒が1人入ってきてそのまま席につく。

 

(((((((ドアから入れ!!)))))))

 

「俺は…勝った、この教室の壁よりも強いことが証明された…それだけでいい、それだけでいい…」

 

(((((また面倒臭いの来やがった!!)))))

 

(((((殺せんせーもリアクションに困ってる!!笑顔でも真顔でもなく…何だその中途半端な顔は!!)))))

 

「堀部イトナだ、名前で呼んであげてください…ああそれと、私も少々過保護でね、暫くの間彼の事を見守らせてもらいますよ」

 

(こいつは…俺の時よりも、律の時よりもかなり波乱な展開になりそうだな)

 

そんなことを思いながら天井に回避していた龍哉がカルマの隣に下りてくる。

 

「龍哉、席が隣で破片あたりたくないからって何も天井に逃げることなくね?」

 

「しょうがないだろ、右にはお前がいて前にゃ愛美さんがいるんだからさ、上にしか逃げ道なかったんだよ」

 

「で、どうやって天井に暫くいたの?」

 

「隙間に指入れて握ってた」

 

「「「「「「「「「「まるでスパイダーマンだなおい!!」」」」」」」」」」

 

「それより気になんのは堀部君だよ、外から手ぶらで入ってきたのに…土砂降りの雨なのにどこも一滴足りとも濡れてねぇ」

 

「確かにね、そこんところどうなのよイトナ君」

 

そういうとキョロキョロと堀部は周りを見渡すとカルマの前に移動する。

 

「……お前は、多分このクラスで一番強い」

 

((((((((((え…))))))))))

 

堀部の言葉に全員驚く…どうしてもカルマに龍哉が劣っているとは思えないからだ…

 

むしろ2人は他人を弄る(龍哉は殺せんせー及び本校舎生徒限定だが)…というより色々言うのが好きなのでつるんでいるところが多いが、基本的に龍哉が主導のことが多いのも見ている。

 

加えて訓練や授業の成績も龍哉>カルマのため違和感しかない…

 

「けど安心しろ、俺より弱いから、俺はお前を殺さない」

 

くしゃくしゃとカルマの頭を堀部がなでる。

 

「……!!」

 

「俺が殺したいと思うのは、俺より強いかもしれない奴だけ」

 

堀部はそのまま殺せんせーの前まで移動する。

 

「この教室では殺せんせー、あんただけだ」

 

「強い弱いとはケンカの事ですかイトナ君?力比べでは先生と同じ次元には立てませんよ」

 

「立てるさ」

 

そういうと堀部は羊羹を取り出す…先程シロが殺せんせーに渡したのと同じものを…

 

「だって俺達、血を分けた兄弟なんだから」

 

「「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

「「「「き」」」」

 

「「「「き」」」」

 

「「「「き」」」」

 

「「「「き」」」」

 

「「「「き」」」」

 

「「「「兄弟ィ!?」」」」

 

「負けた方が死亡な、兄さん」

 

((((((転校生と、このタコが…兄弟!?))))))

 

「兄弟同士小細工はいらない、兄さん、お前を殺して俺の強さを証明する、時は放課後、この教室で勝負だ」

 

そういうと堀部は自分が空けた穴のほうに向かう。

 

「今日がアンタの最後の授業だ、こいつらにお別れでも言っておけ」

 

そう言って堀部は穴から出ていく。

 

その後に残ったのは生徒達の混乱と困惑だけだ。

 

「ちょっと先生兄弟ってどういうこと!!」

 

「そもそも人とタコで全然違うじゃん!!」

 

「いっ…いやいやいや!!」

 

生徒達からの追及にさすがの殺せんせーも慌てている。

 

「全く心当たりありません!先生は生まれも育ちも一人っ子ですから!!」

 

「そうなの!?」

 

「ええ、覇月君みたいに両親に「弟が欲しい」ってねだったことあります…先生の家の場合は家庭内が気まずくなりましたが…」

 

((((((((((そもそも親とかいるのか!?))))))))))

 

兄弟というのは本当なのか…それとも、殺せんせーを動揺させるための策なのか…

 

==========

 

昼放課――

 

堀部はすごい量のお菓子を摂取している。

 

「すごい勢いで甘いモン食ってんな」

 

「甘党なことろは殺せんせーとおんなじだ」

 

「表情が読みづらいところとかな」

 

「にしても…なんであんな格好なんだ?」

 

「あんな格好って?」

 

「6月で梅雨入りしたから日によっては相当蒸し暑いはずだ…なのになぜか堀部君は首にファーを巻いてる」

 

「あ!!」

 

「いわれてみれば…」

 

「殺せんせーと兄弟というが、違うのは今のところ種族以外じゃそこぐらいだな」

 

「兄弟疑惑でみんなやたら私と彼を比較してます…ムズムズしますねぇ」

 

「そりゃあんなこと言われたらなぁ」

 

「うんうん」

 

「気分直しに今日買ったグラビアでも見ますか、これぞ大人の嗜み」

 

殺せんせーがグラビア雑誌を取り出そうとすると即座に陽菜乃と桃花が龍哉の目と耳を塞ぐ。

 

「えっ!?いきなり何!?」

 

「いい龍君、今から私達がいいっていうまでこの状態だからね」

 

「龍哉君、殺せんせーが何しようとも気にしないでね」

 

「えっ!?えッ!?えッ!?」

 

「本当に徹底してんな~」

 

「まぁあれは純粋な龍哉には教えちゃだめだよね」

 

「でもよ」

 

そういって堀部のほうを見ると殺せんせーと同じグラビア雑誌を鑑賞していた。

 

((((((((((巨乳好きまでおんなじだ!!))))))))))

 

「…これは、俄然信憑性が増してきたぞ」

 

「そ、そうかな岡島君」

 

「そうさ!!巨乳好きは皆兄弟だ!!」

 

((3人兄弟!!))

 

「岡ちん、それ龍君に見せたり教えたりしたら…分かってるよね(殺気ギンギン)」

 

「も、勿論です」

 

((((((((((岡島…安らかに))))))))))

 

「もし本当に兄弟だとして…でも何で殺せんせーはわかってないの?」

 

「うーん、きっとこうよ」

 

以下、不破の予想―――

 

殺せんせーと堀部のいる国に軍団が攻め込んできて、玉座の陥落も間近になっていた。

 

そこで皇子であった殺せんせーと堀部だけでも逃がそうとする。

 

しかし、そこに軍団の追手が迫ってきた…!!

 

弟である堀部を逃がそうと殺せんせーが追っ手橋の上で食い止めようとする。

 

が、追っ手の攻撃により殺せんせーは川へと落下してしまう。

 

そうなった殺せんせーを救おうと堀部が川沿いに岸を走る…

 

しかし、殺せんせーの「生きろ」という一言で戸惑いながらもそこから離れて逃げていった。

 

「…で、成長した2人は兄弟と気づかず宿命の戦いを始めるのよ」

 

そんな風に言う不破の手には「ジャ○プ」が…

 

「……うん………で、どうして弟だけ人間なの?」

 

「それはまぁ…突然変異?」

 

「肝心なとこが説明できてないよ!!」

 

「キャラ設定の掘り下げが甘いよ不破さん!!」

 

「もっとプロットをよくねって、構成をしっかり作らないと」

 

「そうだね、そうしないとキャラ変の如くなっちゃうもんね」

 

そう言いあい声をBGMに皆が考え込む。

 

兄弟の事について語られるなら殺せんせーの過去についてもおのずと触れられると…

 

殺せんせーの過去を知れる、それは暗殺にも役立つ可能性が高い…

 

自然と全員は堀部と殺せんせーの対決の時間を期待と不安を交えて待つことになった。

 

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第三回、進行の龍哉だ」

カエデ「ゲストの茅野カエデです、こういうの緊張する…」

龍哉「ちなみに言い忘れていたがここでは原作最新刊をベースに話す」

カエデ「え、じゃあ私の事って…」

龍哉「知られている前提、かつあったこともそのままだ…さて、それも踏まえて本題に行こうか」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、カエデが変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダーゴースト(原作:仮面ライダーゴースト)

龍哉「仮面ライダーゴーストの主人公、天空寺タケルがゴーストドライバーとゴーストアイコンを使って変身する仮面ライダーだ」

カエデ「これ元ネタ100%最新刊のあれだよね!?」

龍哉「うん、ちなみにドラゴンボール的な要素があるから…本当だったらサブライダーのほうがあってるかも」

カエデ「もうこれ以上ネタバレしていいの!?」

龍哉「ついでにゴーストのヒロインの名前見ろよ」

カエデ「…なんかもう突っ込むのやめたい…」

龍哉「ゴーストのヒロインって愛美さんと気が合いそうだよな」

カエデ「そこは納得だね」

龍哉「後あの人とも」

カエデ「まだいうか!!」

龍哉「カエデさんが成長して髪を黒に染めて中身を愛美さんと入れ替えたらああなりそうだよね」

カエデ「お前後でスタジオ裏な」

龍哉「なんで!?…ごほん、それではこれで今回は終了、次回はひなちゃんだ」

カエデ「変わる予定ってどんなのが原因なの?」

龍哉「ライダーを見直してこれがいいかも、思った時だ」

カエデ「いないことを祈るよ」

龍哉「安心しろ、ひなちゃんのは変えてない」

龍哉・カエデ「それでは次回もお楽しみに!!」



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苦戦の時間

イトナVS殺せんせー

正直書いててイトナよりシロのほうが絶対目立ってるって思った。

後、割と龍哉が言いたい放題言います。


放課後――

 

教室内は一変していた。

 

全員の机と椅子を使ってリングを形成し、その中に殺せんせーと堀部がいた。

 

堀部は中に入ると同時に自分のブレザーとファーを外に投げ捨てた。

 

「机のリング…!?」

 

「ああ、まるで試合だ」

 

「龍哉が初めて仕掛けた暗殺の様じゃのう…もっとも、こうして室内というのはあやつにとって自慢のスピードが生かせんから不利じゃな」

 

その状況を見てイリーナ先生、烏間先生、そして昼から来ていた秀治が順々に意見を出していく。

 

「ただの暗殺は飽きてるでしょ殺せんせー、ここはひとつルールを決めないかい?」

 

(ルール?)

 

シロの言葉に疑念を抱く龍哉、そもそも暗殺とは殺せば勝ち、というのが龍哉の認識のため、わざわざリングを作ったりしたことから堀部はロヴロさんが言っていた驚異的な能力といったが…本当にそうなのか疑わしくなっていた。

 

「リングの外に足がついたらその場で死刑!!どうかな?」

 

「…なんだそりゃ、負けたって誰が守るんだそんなルール」

 

「…いや、皆の前で決めたこのルールは…破れば先生として(・・・・・)の信用が堕ちる、殺せんせーには意外と効くんだあの手の縛り」

 

「ああ、だが、そんだけ手を加えなきゃ殺せに行けないって時点で堀部の力の底が知れるな」

 

「どういうこと?」

 

友人が決めたルールに疑問を抱き、カルマが解説し、龍哉が分析したところに渚が疑問を投げる。

 

自分の力(・・・・)に自信がないんだろう、俺は…まぁそもそもそれ以前の問題だけど自分の力に自信があるし、カルマもそうだ」

 

「まぁ…ね…殺せんせーには通じなかったけど」

 

「でもその自信があるから皆暗殺に積極的に動けるし、仕掛けられるんだ、どんな状況でもね(・・・・・・・・)

 

龍哉の言葉に反応したのは堀部ではなくシロの方だった。

 

「フフ、言うねぇ…でも、君よりもイトナのほうが強いよ」

 

殺すことが出来ない(・・・・・・・・・)俺じゃ、殺す気のある堀部君にはそりゃ劣るだろうね、その一点では」

 

「それ以外では勝っているような言い方だね」

 

「勝っていると思うがな」

 

龍哉の返しに思わずクラス全員が首肯する。

 

「ククク、その自信もいつまでもつかな」

 

「どういうことだ?」

 

「見ていればわかるよ」

 

「……そうさせてもらおう」

 

「ヌルフフフ、いいでしょうシロさん、受けましょうそのルール…ただしイトナ君、観客に危害を与えた場合も負けですよ」

 

コクンと頷いて堀部もその追加ルールに同意する。

 

「では合図で始めようか」

 

そういうとシロが右手を上げる。

 

そしてみんなが注目する中…

 

「暗殺…開始!!」

 

そう言ってシロが右手を下げる。

 

それと同時に殺せんせーの左腕の触手が切断される。

 

そのことに驚愕すると同時に全員の視線はたった一か所に集中する。

 

切り落とされた殺せんせーの左腕ではなく、切り落としたもののほうに(・・・・・・・・・・・・)

 

「…まさか…」

 

殺せんせーがつぶやき、堀部の頭をじっと見つめる。

 

ヒュッヒュッ

 

ヒュンヒュン

 

まるで鞭が空気を切るような音が堀部君の頭の付近からする。

 

堀部君の頭にあったのは…

 

「「「「「「「「「「触手!?」」」」」」」」」」

 

「「「「「……!!」」」」」

 

「…確かに、あれなら雨の中でも濡れないな」

 

「ああ、全部触手で雨粒を弾けんだもん」

 

それを見た殺せんせーの様子がおかしい…そのことに気が付いたのは渚と龍哉だ。

 

「殺せんせー…?」

 

「……………………こだ」

 

つぶやいた言葉に込められた感情に気づき、背筋がゾクッとする。

 

「どこでそれを手に入れたッ!!その触手を!!」

 

殺せんせーの顔は真っ黒、これはド怒りの状態だが…以前寺坂達が渚に自爆テロを仕掛けさした時よりもその怒りが深い状態だ。

 

「君に言う義理はないね殺せんせー、だがこれで納得しただろう、両親も違う、育ちも違う、だが…この子と君は兄弟だ」

 

「殺せんせー」

 

龍哉が声をかけるが、そのことにも気が付いていない。

 

異常な状態になっている事をクラス全員が察している。

 

「しかし怖い顔をするねぇ、何か…いやな事でも思い出したのかい?」

 

その言葉に、殺せんせーの脳裏に触手に貫かれたとある女性が浮かび上がる。

 

だが、そのことを振り払うかのようにシロの方を向き、左腕を再生させる。

 

「…どうやら、あなたにも話を聞かなきゃいけないようだ」

 

「聞けないよ、死ぬからね」

 

そう言うとシロは左腕を床と水平に上げる。

 

そして袖口から光が発行した瞬間、殺せんせーが固まる(・・・・・・・・・)

 

「!?」

 

「固まった!?」

 

「あれって…!!」

 

「昨日、殺せんせーが教えてくれた現象だね」

 

「この圧力光線を至近距離で照射すると君の細胞はダイラント挙動を起こし、一瞬全身が硬直する」

 

「何故おぬしがそこまでの事を知っておるのじゃ」

 

「知っているんですよ、殺せんせー、君の弱点は全てね」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

「死ね、兄さん」

 

堀部が言うや否や触手が殺せんせーに襲い掛かる。

 

その触手全てが殺せんせーを貫いた…

 

そのままラッシュを堀部がラッシュをかける。

 

「うっ…」

 

「うおおっ…」

 

「殺ったか!?」

 

「…いや、上だ」

 

堀部のラッシュに驚き、殺したかとほぼ全員が思ったが、寺坂の言葉に全員が天井を見ると、蛍光灯につかまっている殺せんせーがいた。

 

「脱皮か、そういえばそんな手もあったっけ」

 

脱皮(あれ)って、殺せんせーの奥の手だろ?」

 

「うん、それをこんなに早く使わせるなんて」

 

1対1(タイマン)に見せかけた1対2、この結果も納得だな」

 

「え…」

 

「うん、イトナ1人じゃない、シロってやつが手を貸してる、これは…ね」

 

大半の生徒が驚く中、龍哉とカルマは冷静に今の状況を分析していた。

 

「でもね殺せんせー、その脱皮にも弱点があるのは知っているよ」

 

逃げられたものの堀部は意に介さず攻め立てる。

 

「ニュヤ!!」

 

殺せんせーの反応が遅れている(・・・・・・・・・・・・・・)

 

「弱点ってまさか」

 

「気が付いた生徒もいるようだね、そう、その脱皮は見た目よりもエネルギーを消費する、よって直後は自慢のスピードも低下するのさ」

 

襲い掛かる触手をはねのけるが、それでも殺せんせーの動きが鈍い。

 

「常人から見ればメチャ速いことに変わりはないが、触手同士での戦いでは影響はデカいよ」

 

「ううっ」

 

「加えて、イトナの最初の奇襲で腕を失い再生したね、再生(それ)も結構体力を使うんだ…二重に落とした身体的パフォーマンス、私の計算ではこの時点でほぼ互角だ」

 

「マジかよ」

 

「どうなるんだ…」

 

「また、触手の扱いは精神状態に大きく左右される」

 

その言葉に、殺せんせーはテンパると動きが悪くなることを思い出す。

 

「予想外の触手によるダメージでの動揺、気持ちを立て直すヒマもない狭いリング、今現在どちらが優勢か、生徒諸君にも一目瞭然だろうねー」

 

「お、おい…」

 

「これマジで殺っちゃうんじゃないの?」

 

その言葉に答えるようにシロが再び左腕を構える。

 

「さらには、保護者の献身的なサポート」

 

「うっ…」

 

回転しながらの攻撃でさらに足の触手を2本吹き飛ばす。

 

「!!!」

 

「…!!」

 

「フッフッフ、これで足も再生しなくてはならないね、なお一層体力が落ちてやりやすくなる」

 

流石の殺せんせーも膝をつく。

 

「…安心した、兄さん、俺はお前よりも強い」

 

(殺せんせーが追い詰められている)

 

(あと少し、殺せば地球は救われる…)

 

(…なのに)

 

(…なんで)

 

((((((((((なんで俺(僕)(私)は悔しいんだ))))))))))

 

(まるで後出しじゃんけんのように次々と出てきた殺せんせーの弱点)

 

(本来なら弱点(それ)は、俺達が教室(ここ)で見つけるべきものだったのに…)

 

((((((((((E組()で…殺したかった))))))))))

 

生徒全員がそう思うと同時に殺せんせーの足の再生も完了する。

 

「足の再生も終わったようだね、さ…次のラッシュに耐えられるかな」

 

「…ちょっと待てよ、堀部君」

 

そこに龍哉が声をかける。

 

その言葉に反応して堀部が龍哉の方を向く。

 

「なんだ、殺すなと言いたいのか」

 

「まさか、ただ、自分の力でないものを喜々として振り回して殺せそうになって喜んでいるガキに今の心境を聞きたくてね」

 

龍哉がガキといった瞬間堀部の表情が変わる。

 

「俺がお前の立場なら、全くうれしくないね、何せ…自分の力で成し遂げてないものは達成感は何もないからな」

 

「何が言いたい」

 

「お前は、触手を自分の力だと思っているようだがそれは違う、今までできたのは触手があったからだ、お前の力じゃない」

 

「どういうことだ」

 

「お前は触手がないと殺せんせーを追い詰めることもできない雑魚だといってるんだ」

 

ピクッ…

 

堀部の額に青筋が出来、龍哉の挑発に周囲の生徒達は龍哉のそばから離れ始める。

 

「俺は子供の頃から鍛え続けた自分の力で殺せんせーの触手を切り飛ばした、だからこそ皆と俺は協力し合えているし、もし殺せたとしたなら俺自身が(・・・・)称賛されるだろうし、俺個人に(・・・・)賞金も支払われるだろう」

 

ここで龍哉は一呼吸置き、次の言葉を紡ぐ。

 

「だが、お前が殺せんせーを殺したとしても称賛されるのはお前ではなく触手、当然賞金も触手をお前に与えた研究機関に支払われるだろうな」

 

「…!!なぜだ!!」

 

「当たり前だろう、それは後付けでお前に与えられた力、今のお前の力は本当の堀部イトナの力なのか(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)?」

 

「………ッ!!」

 

龍哉の言葉に大きく動揺する堀部、しかし、その動揺を振り払うようにシロが大声で指示を出す。

 

「そんな言葉を気にするなイトナ!!さっさと殺ってしまえ!!」

 

「…ここまで追い込まれたのは覇月君以来です…ですが、彼は命の価値(・・・・)を知っていたがゆえに先生を殺せませんでした」

 

「殺せんせー」

 

「一見彼の時のように愚直な試合形式の暗殺ですが、実に周到に計算されている…もっとも、それは覇月君も同様でしたがね」

 

「…あれ?俺1人 = 堀部君&シロってやつの方程式成立してない?」

 

「してるね」

 

「やっぱ龍哉ってすげえんだな」

 

「しかも殺せんせーのスピードが出しやすい屋外で、だからやっぱり龍哉のほうが強いんじゃね?」

 

「あなた達に聞きたい事は多いですが…まずは、試合に勝たなければ喋りそうにないですね」

 

「…まだ勝つ気かい?負けダコの遠吠えだね」

 

「…シロさん、この暗殺方法を計画したのはあなたでしょうが…一つ計算に入れ忘れていることがある」

 

「無いね、私の性能計算は完璧だから…殺れ、イトナ」

 

その指示の下、堀部がほぼ全部の触手を使って殺せんせーに攻撃する。

 

…だが…

 

ドロッ

 

殺せんせーは一歩引いて避け、代わりに堀部の触手が溶かされていた(・・・・・・・・・・・・・)

 

「!!」

 

「おやおや、落とし物を踏んづけてしまったみたいですねぇ」

 

堀部が攻撃した箇所には対先生用ナイフが置かれていた。

 

どうやら、渚が取り出していたナイフを素早く抜き取って攻撃地点に置いておいたようだ。

 

((((((((((いつの間に!!))))))))))

 

堀部が動揺して動きを止めた瞬間、殺せんせーは先程脱皮した皮で堀部を包み込む。

 

「!!!」

 

「同じ触手なら、対先生用ナイフが効くのも同じ、触手を失うと動揺するのも同じです」

 

「……」

 

堀部が焦っているが動揺して上手く動けないようだ

 

「でもね、先生のほうがちょっとだけ老獪です」

 

皮に包んだまま殺せんせーは堀部を校庭側の窓の方に投げる。

 

その射線上にいた龍哉は避けると同時に窓が割られずに堀部が通過するよう窓を全開にあける。

 

当然、そのまま堀部は外に放り出され、同時に足がリングの外につく。

 

「先生の抜け殻で包んだし、窓は覇月君が空けてくれたのでダメージも傷もないはずです」

 

「てか、あの一瞬でよく俺にそんな合図出せたよな、殺せんせー」

 

「えっ」

 

「ヌルフフフ、覇月君は先生が負けそうになったとき、とっさにイトナ君に声をかけて先生にわずかばかりですが体力を回復する時間をくれましたしね」

 

「!!!」

 

殺せんせーの言葉に堀部が龍哉を睨む。

 

「そんなに睨むなよ、殺すなとは言ってないが(・・・・・・・・・・・)殺させるとも言ってないぜ(・・・・・・・・・・・・)

 

「その通りです、龍哉君は君1人に殺させたくなかった、E組の皆の力で殺したかった、だから全員を騙すように先生が勝つよう助けてくれたんですよ」

 

「そうなのか?」

 

「まぁね、んで、堀部君の両足は地面についてっから」

 

「先生の勝ちですねぇ、ルールに照らせば君は死刑、もう二度と先生を殺れませんねぇ」

 

緑と黄のしましまの表情で言われたその言葉に堀部の触手が黒く染まっていく(・・・・・・・・・・・・・・)

 

「生き返りたいのなら、このクラスの皆と一緒に学びなさい」

 

「ただ情報(データ)だけを見ただけの性能計算じゃ、経験値(キャリア)の差ってのは埋まらねーからな」

 

「その通りです、先生は君より少しだけ長く生き…少しだけ知識が多い、先生が先生になったのはね、経験(それ)を君達に伝えたいからです…この教室から先生の経験を盗まなければ…君は私に勝てませんよ」

 

殺せんせーの言葉に堀部が反応する…

 

そしてそんな堀部を見てシロも動きを見せる。

 

「勝てない…俺が…弱い…?」

 

堀部がそう呟いた瞬間、触手が完全に黒く染まりあがる。

 

「なんだ!?」

 

「黒い触手!?」

 

「ヤベェキレてんぞあいつ!!」

 

「チッ!!」

 

前原が堀部がキレていること見抜いて言うと、龍哉が舌打ちと共に堀部の眼前に降り立つ。

 

「龍君!?」

 

「どうする気だ!!」

 

「堀部君がこうなった原因は俺にもある、どうにか鎮めるさ」

 

「策あんのかよ!!」

 

「…ない!!」

 

「「「「「「「「「「無ぇのかよ!!」」」」」」」」」」

 

「これは…面白いことになった」

 

「どういうことじゃ?…キサマ、まさか!!」

 

「フフフ、用心のために用意してきたが本当に役に立つとはね」

 

「やめろ!!」

 

シロが何か企んでおり、それを察知した秀治が止めようとするが、それよりも早くシロが龍哉と堀部の間にあるものを投げ込む。

 

それは…スタングレネードだった。

 

「いかん!!」

 

「龍哉!!」

 

「皆さん!!耳を塞いで伏せてください!!」

 

殺せんせーが言うと同時にスタングレネードが爆発する。

 

殺せんせーの言葉に教室内にいた生徒達と先生達は耳を塞いで伏せることで何とかやり過ごすことが出来たが…

 

間近にいた龍哉、堀部はその影響をもろに受けてしまう。

 

閃光が収まり、皆が外を見るとそこにいたのは…

 

触手を使ってダメージを最小限に抑えた堀部と…

 

何かに怯えるように両手で体を抱き(・・・・・・・・・・・・・・・・)震えている龍哉の姿だった(・・・・・・・・・・・・)

 

「キサマ!!」

 

秀治がシロに掴み掛ろうとするが、それより早くシロが堀部へ指示を出す。

 

「イトナ!!そいつはもう戦えん、なぶり殺しにしろ!!」

 

「「「「「「「「「「ッ!!!」」」」」」」」」」

 

「なっ!!」

 

シロの言葉に全員が驚く…秀治も、違う意味で驚く…そう言ったシロの声音には明らかに憎悪が籠っていたからだ。

 

「キサマ!!何を考えている!」

 

「覇月君!!」

 

烏間先生がシロに詰め寄り、殺せんせーが龍哉を守ろうと出ていこうとするが…

 

「いかん、待つのじゃ!!」

 

それより先に秀治が殺せんせーの服を掴んで止めることに成功する。

 

「どうしてですか!!このままでは覇月君が!!」

 

「今の龍哉に近付いてはならん!!」

 

「どういうことよ…まさか!!」

 

イリーナ先生の脳裏に先日師であるロヴロさんから言われた言葉がよみがえる。

 

(「あそこにいる誰よりも深い闇を抱えている」って…その結果がこれという事!?)

 

「龍哉は…トラウマを刺激されてそれが最高潮に達すると…暴走する!!」

 

「「「「「「「「「「ッ!!!」」」」」」」」」」

 

「何を言っているんだ、ただ震えているだけじゃないか…おや、その震えも止まったようだね」

 

「な!!いかん、逃げろ!!逃げるんじゃイトナ君!!」

 

秀治が見た先には両腕で体を包んだまま震えが止まっている龍哉と、シロの指示が聞こえて周囲の状況が把握できて来た堀部がいた。

その堀部に逃げるよう秀治が促すが、そんな事を聞く堀部ではなく…

 

「ガアァァッ!!」

 

感情のままに龍哉に襲い掛かった。

 

「龍君!!」

 

思わず陽菜乃が叫ぶ。

 

だが、次の瞬間…!!

 

ゴッ!!

 

「ガアアアアアアッ!!!」

 

ドゴォオン!!!!

 

何かが殴る音と共に堀部が吹っ飛び、教室の反対側にある木に直撃する。

 

そして龍哉が空に向かって声にならない声で咆哮した。

 

「――――――――――!!」

 

龍哉の身に一体何が起きたのか、一体どうなっているのか、それを知っているものは…

 

彼の祖父、覇月秀治…ただ1人…

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第四回、進行の龍哉だ」

陽菜乃「ゲストの倉橋陽菜乃だよ~」

龍哉「嬉しそうだね、ひなちゃん」

陽菜乃「えへへ、龍君と一緒だからだよ」

龍哉「そうなのか、まぁ本編じゃ俺は…ね…」

陽菜乃「悪いのはあのシロって人なんだから気にしちゃだめ!!」

龍哉「そう言ってもらえると楽だよ…じゃ、本題に行こうか」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、陽菜乃が変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダーウィザード(原作:仮面ライダーウィザード)

龍哉「仮面ライダーウィザードの主人公、操真晴人がウィザードライバーとウィザードリングを使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜乃「これって私が動物好きって設定から?」

龍哉「うん、当初は作中で魔法少女って名乗ったビーストにしようとしたけど、ヒロインだから主役キャラのほうがあってるって思ってこっちになったんだって」

陽菜乃「ふ~ん、そうなんだ」

龍哉「ちなみに登場以降、春の映画には2016年の仮面ライダー1号以外ずっと出演し続けてる仮面ライダーでもある」

陽菜乃「わぁ、すっごーい」

龍哉「ちなみに変身するフォーム数はクウガ並に多い」

陽菜乃「どのくらいあるの?」

龍哉「1話から出てきた4フォームとその強化形態4フォーム、さらに強化フォームの融合フォームが1つに作中最強フォーム1つ、あと単独映画の強化フォーム1つに後日談で出てきた強化最強フォームの1つで合計12フォームだな」

陽菜乃「そんなに使い分けれないよ~」

龍哉「大丈夫、俺がフォローしてやるから」

陽菜乃「ホント!?じゃあ頑張る!!」

龍哉「それではこれで今回は終了、次回は友人だ」

龍哉・陽菜乃「それでは次回もお楽しみに!!」


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暴走の時間

龍哉個別回

…最近忙しくなったので投稿速度が落ちます。

プロットは出来てるけど文章化の時間がない…orz


「え…え?」

 

「な、なんだ?」

 

「今、イトナの奴龍哉に殴りかかろうとしてたよな?」

 

「ああ、だけど次の瞬間、イトナは木に叩き付けられてた」

 

「龍哉が反撃したのかな?」

 

「その通りじゃ」

 

全員の疑問に答えたのは秀治だ…だが、そこにいる彼は普段とは違っていた、まるで戦場に赴く兵士の如く力を漲らせていたからだ。

 

「先ほど言ったように、龍哉はトラウマへの刺激が最高潮に達すると暴走する…そしてああなった龍哉は…儂の力を超えている」

 

「なっ!!」

 

「ってことは…」

 

「烏間では手も足も出ずにやられるじゃろう、イトナ君のようにな」

 

「「「「「「「「「「ッ!!!」」」」」」」」」」

 

「儂でも、今の龍哉を御しきるには…限界以上の力が必要じゃ」

 

「そ、そんなになの!?」

 

「龍哉の才能は…儂や土門よりも遥かに上じゃ、加えて雨奈さん達の影響で人体に精通したから攻撃は急所を的確に狙ってくるうえ、気功術による身体強化もあるからの…正直、勝てる気がせんわい」

 

秀治にここまで言わせるほど、暴走状態の龍哉は強い様だ。

 

「でも、どうしてそんなことを知ってるんです?」

 

「儂らが、外国にいた時に、一度だけあったんじゃ…密漁団相手にな」

 

以下、秀治回想――

 

その時、儂はちょうど買い出しに出て龍哉は1人だったんじゃ…

 

儂らがいたところは自然豊かで動物もたくさんいてな、希少性が高いのもおった。

 

そこにそれを狙った密漁団が現れ、そこはパニックになった。

 

龍哉にとってそこにいる動物達は友人と言っていい存在でな、彼らを守るために毅然と密漁団に立ち向かったんじゃよ。

 

当然、子供相手じゃからなめてかかり、密漁団は次々と龍哉の手によって倒されていった。

 

そのことに怒った奴らは…対動物用に改良したスタングレネードを爆発させたんじゃ。

 

ちょうどそのころ、儂も密漁団の事を聞いて大慌てて引き返していたんじゃ…

 

そして引き返してきたところでそれを見たんじゃ…

 

龍哉の手により、血祭りにあげられている密漁団をな。

 

儂はひどく驚いた、これは龍哉がやったのか…そう思ってしまった。

 

後からそれが事実と知ったんじゃがな…

 

そして龍哉は儂に気づいた、儂も龍哉が無事であったことに喜び、全く無警戒で近寄ったんじゃが…

 

龍哉から繰り出されたのは…殺気と殺意の籠った拳じゃった。

 

儂が間一髪でよけ、龍哉の目を見ると…龍哉の目は黒く濁っておった。

 

儂は素早くその場を密漁団の連中を回収しつつ離れた…幸いというべきか、密漁団の連中は大怪我だけで致命傷を負っておるものはおらなんだ。

 

その後、離れたところから龍哉を観察していたんじゃ。

 

そこで分かったことは、ああなった龍哉はまるで野獣の様であり、不用意に近づいたり、敵意をもっていたりすると攻撃してくるという事、動物であれば危害は加えず、まるで家族のように寄り添いあっているという事。

 

つまり、ああなった龍哉を治めるには動物―悟朗じゃな―の力を借りるか、薬などで強制的に眠らせるしかないんじゃ。

 

秀治回想終了――

 

「じゃ、今の龍君を助ける方法は…」

 

「無い…としか言えんな」

 

「そんな…」

 

陽菜乃から悲痛な声が漏れる…

 

そしてそんなことを知らなったシロは非常に分かりやすく動揺している。

 

(ば、馬鹿な!!あ、あの爆発で、生き残ったから恐怖で動きが止まると思っていたのに…だからこそ、イトナにも弱いと教えていたのに…()の計算が外れただと!!あの男といいあの小僧といい…どうして俺の思い通りにならないんだ!!)

 

既に堀部は龍哉の一撃で気絶しているのか、ピクリとも動かず、龍哉もそうなった堀部に気にかけるようなことはしない。

 

今龍哉は周囲を窺うだけで他に何もしようとはしていない。

 

だが、誰かが動く気配を感じ取ったのか、校舎のほうを見る。

 

遠目で見てもわかるほど、龍哉の目は黒く濁っていた。

 

その光景に思わずほとんどの生徒が息をのんでしまう。

 

秀治、イリーナ先生、殺せんせーの3人の表情が険しいものに変わる。

 

そして、その場にいた全員の中でただ一人、龍哉の目に違和感を感じた生徒がいた。

 

その生徒は立ち位置上龍哉の目を真っ直ぐ正面から見れたのだが、ただ黒く濁っているだけとは思わなかった。

 

また、龍哉も目があったことに気が付いたのか、一度外した視線を戻してその生徒と再び目を合わせる。

 

その時、その生徒は気づいた。

 

彼が本当に(・・・・・)望んでいることは何かを(・・・・・・・・・・・・)

 

同時に心に声(・・・)が聞こえてきた。

 

その内容は…

 

==========

 

龍哉Side

 

もう…いやだ…

 

目の前で…人を…大切な人を失うのは…

 

嫌なんだ…

 

嫌だから…

 

失いたくないから…

 

失わせようとするのは…

 

全部…

 

 

 

無くしちゃえばいいんだ

 

 

 

()も…

 

僕自身も…いなくなっちゃえば…

 

もう…

 

目の前で…

 

誰も…

 

大切な人を…

 

失わくてすむから…

 

だから…

 

 

 

 

これでいいんだ

 

 

 

 

 

……?

 

誰?

 

僕を見てるのは…

 

誰なの…?

 

==========

 

陽菜乃Side

 

今のが、龍君が…思っている事…

 

昔あったことが、こんなにも龍君を苦しめてる…

 

そして、修学旅行の時に有希子ちゃんが言っていたことはきっとあたってるんだ。

 

じゃなきゃ、自分までいなくなればいいなんて思うはずがない…

 

それにあの龍君の様子じゃ…

 

放っておいたら、このまま死んじゃうかもしれない!!

 

龍君が死んじゃうなんて、絶対に嫌だ!!

 

だって…だって…

 

 

 

 

私は龍君のことが大好きなんだもん!!

 

 

 

1人の男の人として、愛しているから!!

 

 

 

だから、絶対に助ける!!

 

 

 

龍君の、初めて会った時の笑顔がもう一度見たいから!!

 

 

 

 

それに、あの目の感じは…覚えてる…

 

昔、初めて会った時と同じような、助けを求める目…

 

…龍君のお父さん、お母さん、ちょっとだけでいいです、私に、力を貸してください!!

 

(ああ)

 

(お願い、あの子を…助けてあげて…)

 

今の、声…

 

はい!!

 

==========

 

三人称Side

 

龍哉が一点を見つめているのに全員が気づき、その方を見ると…

 

見つめ返している陽菜乃がいた。

 

「倉橋さん…?」

 

「倉橋…?」

 

「陽菜乃ちゃん?」

 

「皆…後は私に…任せてくれない?」

 

「なんじゃと!?」

 

「そんな!!危険すぎる!!」

 

「殺せんせーを簡単に追い詰めるぐらい強かったイトナをあっさり倒したんだよ、相手になるわけない」

 

「…私は別に戦いに行くんじゃないよ」

 

「じゃあ何しに行くの?」

 

「助けに」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

あっさりと言った陽菜乃にE組生徒、先生全員が驚く。

 

「助けるって…」

 

「どういうことだよ!!」

 

「龍君は…ずっと閉じ込めてたんだよ、ああして何もかもに当たり散らして自分もどうにでもなってしまえばいいのを…ずっと」

 

「自分も…じゃと!?」

 

「はい、きっと龍君はずっと…お父さんとお母さんが自分を守って亡くなって…自分がいなければって思ってて…それで…」

 

そこで陽菜乃は言葉を切り、深呼吸して紡ぐ。

 

 

 

「自分もいなくなっちゃえばいいって思っちゃってるんです、きっと」

 

 

 

「「「「「「「「「「!!!!!!」」」」」」」」」」

 

 

 

「そんな…」

 

「龍哉…」

 

殺せんせーと秀治から悲嘆の声が上がり、イリーナ先生も爪を噛む。

 

(師匠(センセイ)は多分暴れまわることを危惧していたんだろうけど、これもこれで厄介ね)

 

「だけど…」

 

陽菜乃の言葉はまだ続く。

 

「きっと、いなくならないで(・・・・・・・・)って…伝えれれば」

 

「少なくとも、あの状態からは戻せるってこと?」

 

「はい」

 

「そして、それを倉橋さんがやる、と」

 

「はい」

 

「…危険すぎます、先生として、それを受諾することは出来ません」

 

「大丈夫です、私なら…龍君が一番心を開いてくれてるから、私の言葉なら、きっと届きます!!」

 

「……殺せんせーよ、彼女に任せてみてくれんか」

 

「秀治さん!?」

 

「確かに、龍哉の心を一番分かっておるのは彼女かもしれん…龍哉は…自分の心の内を彼女にだけ打ち明けておった…龍哉が…助かる可能性があるなら、儂は…信じてみたい」

 

「秀治さん…ありがとうございます」

 

「…危険と判断したら先生はすぐに行きます」

 

「構わんよ」

 

「殺せんせー…ありがとう」

 

そういうと陽菜乃は窓枠に足をかけて外に飛び出る。

 

それを龍哉が認識するとじっと見つめている。

 

陽菜乃はその視線を真正面から受け止めて見つめ返す。

 

そのままゆっくり龍哉のほうに歩いて向かっていく。

 

龍哉はまるで品定めでもするようにじっと陽菜乃を見ている。

 

その龍哉に陽菜乃は一歩一歩ゆっくりと近づいていく。

 

その途中、自分に敵意がないことを示すためにブレザーの上着を脱ぎ、両腕を左右に広げる。

 

大丈夫、私は怖くないよ、と示すように…

 

対する龍哉もじっと見つめるだけで何もしようとはしない。

 

ついに陽菜乃は龍哉の元にたどり着き、龍哉をすっと柔らかく包み込むように正面から抱きしめる。

 

以前、中間テスト終了後泣き出した時、龍哉に抱きしめてもらったように…

 

「大丈夫だよ、龍君…龍君は…ここにいていいんだよ…いなくなっちゃえばいいなんて…言わないで」

 

「!!!!」

 

陽菜乃のその言葉に龍哉の体が反応する。

 

「私は…龍君と一緒に居たいよ…もっと龍君と、楽しいことや面白いこと……いろんなことをもっとやりたいよ」

 

「……」

 

「龍君が…いなくなっちゃうなんて…いやだよ…」

 

陽菜乃の目から涙がこぼれだす。

 

「お願い、いなくなりたいだなんて…言わないで」

 

その言葉に、濁っていた龍哉の目に、わずかに輝きがともる。

 

「あ…」

 

龍哉の心に、どうして、という思いが渦巻く。

 

そのことを察知した陽菜乃はさらに言葉を続ける。

 

「だって…私は…私は…」

 

陽菜乃はそこで言葉を止めて、深呼吸して心を落ち着かせ、龍哉をしっかりと見つめて、本心を打ち明ける。

 

 

 

「私は、龍君のことが大好きだから!!愛してるから!!」

 

 

 

「私は、龍君にいてほしい!!だって、いてくれなきゃ…この気持ちが…無意味なものになっちゃうから!!」

 

 

 

「だから…お願い…いなくならないで…」

 

 

 

大きい声で本心を打ち明けていき、最後には嘆願するような涙声に戻ったが、龍哉から目を離さず話し続けた。

 

その本心に触れて、龍哉の目に強い光が出てくる。

 

「あぁ…」

 

それを陽菜乃はずっと見つめ続ける。

 

「…いの?」

 

龍哉から言葉が漏れる。

 

「い…いい…」

 

出てくるであろう言葉をじっと陽菜乃は待つ。

 

そして、絞り出すように、つぶやくように龍哉は言った。

 

「僕は…いても…いいの?」

 

その言葉に、陽菜乃はゆっくりとほほ笑んで返す。

 

「もちろんだよ」

 

「あ…ああ…」

 

龍哉の口から嗚咽が漏れだし、膝から崩れ落ちる。

 

その瞬間だけ、陽菜乃は少し抱きしめる力を緩めたので巻き込まれず、龍哉の顔を胸で抱きしめる形になった。

 

「龍君のお父さんも、お母さんも、龍君には幸せになってほしいって、生きててほしいって思ってるよ」

 

「本…当…に…」

 

「うん」

 

これは気休めでもなんでもなく、陽菜乃が―偶発的にだが―土門、雨奈の気を感じ取りその思いを伝えたのだ。

 

「ウソ…じゃない…?」

 

「うん」

 

「……ッ」

 

「泣いていいよ、悲しくて泣くのは悪い事じゃないよ」

 

ボロリ、と龍哉の目から大粒の涙が零れ落ちる。

 

「………ヒグッ」

 

龍哉の口から嗚咽が零れだす。

 

そんな龍哉を陽菜乃は優しく抱きしめる。

 

「……あぁ…」

 

そして頭に手を置き、優しく撫でる。

 

「~~~~~~~ッ」

 

龍哉が陽菜乃に抱き着き、声にならない声で泣く。

 

その光景を、E組の皆はどこか、安心した、ほっとした表情で見つめていた。

 

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第五回、進行の龍哉だ」

友人「ゲストの杉野友人だ…本編とここはリンクしてないんだな」

龍哉「その辺は秘密だ、まぁ俺がこうして普通にいる時点でYESなんだがな」

友人「ちなみに龍哉の中でE組の皆はどういう位置づけなんだ?」

龍哉「親友は4班メンバーと前原君、岡野さんを除いた1班メンバー、友人・友達は寺坂組と堀部君以外、寺坂組を堀部君はクラスメートだ」

友人「あ~、大体枠が分かった、寺坂以外と仲良くなる予定は?」

龍哉「ある、ちゃんと予定もできてるから安心しろ、それじゃ本題行こうか」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、友人が変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダーガタック(原作:仮面ライダーカブト)

龍哉「仮面ライダーカブトのもう1人の主人公、加賀美新がライダーベルトとガタックゼクターを使って変身する仮面ライダーだ」

友人「選定理由は?」

龍哉「まずライダーフォームガタックは接近戦が得意、友人は接近戦が得意だからってのがある」

友人「あ、意外ときっちりしてる」

龍哉「んでマスクドフォームだととどまって射撃できるんだが、これはマウンドから基本動かず投げ続けるピッチャー要素から」

友人「確かに動くのってバントで真正面に転がってきた時とかぐらい出しな」

龍哉「最後は変身者の加賀美も野球やってたから」

友人「最後の理由が一番大きいだろ、絶対!!」

龍哉「まだいいぞ、決まってないキャラもいるんだからな」

友人「うぉぉぉぉぉい!!」

龍哉「しかもとある事情によりとある作品のライダーは全員使えないんだ」

友人「ダメだろ、それは!!」

龍哉「しょうがないだろ、文句は作者に言え」

友人「メタ発言!!」

龍哉「それではこれで今回は終了、次回は有希子さんだ」

龍哉・友人「それでは次回もお楽しみに!!」


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決意の時間

前話で龍哉に陽菜乃が近づいた時、教室内では

桃「陽菜乃ちゃん…だいじょうぶかな…」

メ「いくら殺せんせーがいるからって…」

速「無事には…たどり着いたね」

友「抱きしめてるな」

千「一体、何を…」

ふとカルマ、中村が大人しいので見てみると…

スマフォを構えて撮影しようとしていたが…

秀「赤羽くん、中村さん、それはさせんぞ」

秀治に阻止された。

渚「カルマ君、中村さん、こんな時まで…」

秀「あの状態の龍哉は感覚が鋭いからな、撮影しようものなら攻撃が飛んでくるぞ」

カ・中「え?」

殺「ああ、野生動物の中には気配に鋭く、敵意と感じて襲ってくるものもいますからねぇ」

秀「そういうことじゃ、嫌なら大人しくしておれ」

こうして何事もなく龍哉と陽菜乃は話し合い(?)ませたとさ


あの後、龍哉は泣き崩れ、加えて精神的負荷が多少軽くなったことと陽菜乃に対する安心感からかすぐに気絶するように眠り込んだ。

 

しかも龍哉はどれだけたっても陽菜乃の事を離そうとしなかったので陽菜乃は覇月家に泊まり込む羽目になった。

 

また、堀部はシロが回収し、また来ることを告げて去っていった。

 

他の生徒達は教室を片付け、龍哉の事を陽菜乃に頼み、その日は解散となった。

 

そして、堀部が転校してきた翌日―

 

「皆さん、おはようございます」

 

「「「「「「「「「「おはようございます」」」」」」」」」」

 

「それでは出席を取ります」

 

殺せんせーが出席をとる、ここまではいつもの通りだが…

 

「おや、倉橋さんと覇月君は欠席ですか、珍しいですねぇ」

 

「昨日、やっぱあんなことがあったからな」

 

「うん、龍哉は今日まだ寝てて、倉橋さんもそれにつきあわされてるんj「み、皆!!」」

 

「おや、倉橋さんおはようございます」

 

「お、おはようございます…ってそれどころじゃないの!!」

 

「どうしたの?」

 

「龍君が…龍君が…どこにもいないの!!」

 

「えっ」

 

「なっ」

 

「「「「「「「「「「「なんだって~~~っ!!」」」」」」」」」」

 

「倉橋さん、説明をお願いします!!」

 

「えっと、昨日の夜は確かにいたんですけど、朝起きたら」

 

「いなかったってこと?」

 

「うん」

 

「あ、律は!?」

 

ここで原さんが律でなら携帯で連絡が取れるのではと提案するが…

 

「龍君、携帯置いてっちゃったの」

 

「…きっと、自分を見つめなおしに行ったんでしょう」

 

「殺せんせー?」

 

「倉橋さん、覇月君は昨日、君の行動によってご両親がどう思っているのか、どうなってほしいのか、それが伝わったはずです」

 

「そうだといいんですけど」

 

「きっとそうです、でなければ倉橋さんから離れることはしないでしょう…(小声で)昨日の告白のこともあるでしょうし」

 

「そうですか…」

 

「陽菜乃、龍哉の事を本気で想ってるんなら、ここは大人しく待ってる方がいいわ」

 

「ビッチ先生?」

 

「龍哉は必ず帰ってくる、あんたが信じないで、他の誰が信じるのよ」

 

「b…イリーナ先生……はい!!」

 

「それでいいわ」

 

「では今日の授業を始めます」

 

==========

 

一方、龍哉は―――

 

(ここに来るのは…日本を離れる日以来か)

 

両親の墓を訪れていた。

 

(昨日、ひなちゃんが言っていた父さん達は俺に幸せになってほしい、生きててほしい、だから俺を助けた…)

 

墓に来たからとはいえ、両親のことがわかるのか、そんな疑問が龍哉の心にはあった。

 

墓をきれいに掃除し、仏花を活けて線香と蝋燭に火をつけて両手を合わせる。

 

(父さん、母さん…)

 

(龍哉)

 

(龍哉)

 

(!!)

 

両親の声が聞こえてきたため、龍哉は驚き立ち上がってあたりを見回すが両親の姿形はない。

 

(幻聴…いや、ちゃんと聞こえてきたから…でも周りに人はいないし…どういうこと?)

 

龍哉は疑問を解消するためにもう一度墓に手を合わせる。

 

すると…

 

(おいおい、何をそんなに驚いてるんだ)

 

(私達は、ずっと見守っていたのよ)

 

(!!!)

 

はっきりと、しかもさっきの続きのように、当たり前のように話しかけてきた両親に、龍哉は驚愕する。

 

自分のすぐそばに、両親の気配があることに気づき、龍哉はそのまま話しかける。

 

(ど、どういうこと?)

 

(流派東方不敗は天然自然と一体となる流派、それゆえ、俺達がお前を助けた時に俺達の意識をお前の体に潜ませておいたんだ)

 

(あなたが感情の赴くままに暴れるようになってもけが人ですんでたのは私達が密かに止めてたからよ)

 

(でも、どうして今になって?)

 

(それはね、ある感情がトリガーになってるからよ)

 

(ある感情?)

 

(それはな…愛だ)

 

(愛?)

 

(そうよ、龍哉、あなたが私達のことでそれを恐れたから、私達は見えなかった、でもね)

 

(昨日、京都でお前と仲良くなった()がお前に一世一代の大告白をした、それにお前も何か思うところがあったんじゃないか?)

 

(うん、正直、嬉しかった…)

 

(だから、私達と話せるようになったのよ…)

 

(もっとも、残り時間ももう少ないがな)

 

(えっ!?)

 

(だから伝えたいことが一つだけある)

 

(そんな、僕はまだ)

 

(…いいえ、あなたにはもう私達はいなくても大丈夫、あの()が、たくさんのお友達と仲間がいるから)

 

(ああ、もう、ちっちゃな俺達が守らなきゃいけない子供じゃない)

 

(…でも、僕はもっと父さん達と…)

 

(甘ったれるな!!)

 

(!!)

 

(いつまでめそめそしているんだ!!)

 

(龍哉、私達の死を悲しんでくれるのは嬉しいわ、でもね、あなたは()に進むと決めたはずよ、克服すると決めたのでしょう!!)

 

(…うん)

 

(私達は死んでしまっているけど、私達の愛が、あなたに与えたものは未来永劫消えることはないわ)

 

(ああ、もう見えなくなるが、俺達はいつまでも一緒だ)

 

(父さん、母さん…)

 

(なぜなら)

 

(私達は)

 

((いつまでも、ずっとずっと、あなたの事を愛しているから…私達の元に生まれてきてくれて、ありがとう…あなたがいて、私達は幸せだった…あなたは、私達の宝物…これからもずっと、ずっと…))

 

(待って、父さん母さん、行かないで)

 

(じゃあな、龍哉)

 

(あの()と仲良くね)

 

そう言って両親の姿が見えなくなっていき、完全に見えなくなったことで龍哉は自分の近くから両親の気配が消えたことを理解した。

(父さん、母さん…)

 

龍哉はそのまま後ろに倒れこみ、両手両足を投げ出して大の字になると右腕で顔を覆う。

 

最後に両親が伝えてくれたこと、そして、自分は両親に恨まれていなかったこと、いてもよかったという事を理解して声を殺して泣く。

 

(父さん、母さん…ありがとう、俺、頑張るよ…皆と一緒に…陽菜ちゃん(・・・・・)とも…)

 

自分の心を決めると龍哉は立ち上がり、涙をふき、立ち上がってほこりを払う。

 

(…ついでだ、例の爆発事件の現場にも献花しておこう)

 

龍哉はそう決めて墓から立ち去る。

 

その姿を、天から土門と雨奈が見ているのに気づいたのか、龍哉が振り返るとその方向に笑顔で手を振り、また戻っていった。

 

==========

 

都内某ホテルホール―――

 

龍哉は両親が死んだ場所に献花しようとやってきたのだが…

 

(…あれって…確か…)

 

そのホール内に2人の男性と1人の女性がいた、女性の格好は警察官の格好なので、事件かなにかと推測する。

 

(…間違いない、この間殉職したって号外が出ていた泊巡査だ…でもどうしてこんなところに?)

 

「あんたが犯人だ、仁良光秀!!」

 

(…いったい、どういう状況なんだ?)

 

どうやら、あそこにいる男が何か犯罪を犯し、残りの2人が追い詰めた、といったところだろう。

 

見苦しく反論する男に対して少々初老の男性が出てきてその反論を封殺する。

 

そのまま、男性は逃げ去っていき、残った2人が追う。

 

そして残った男性が出ていこうとすると龍哉に気づいたのか、近づいてくる。

 

「君、どうしてここにいるのかな?」

 

「あ、すいません、実は…」

 

―龍哉事情説明中―

 

「なるほど、そういうことでしたか、まさかね~」

 

「すみませんでした」

 

「いえいえ、まさか10年前にここであった事件の被害者さんの息子さんとは…どうぞご自由に…ですが」

 

「…分かっています、先程のことは黙ってます」

 

「ありがとうございまs「ドォォォン!!」ッ…派手にやってますね~泊ちゃん達」

 

「…そうですか」

 

そこで男性との会話を切り上げ、龍哉はドンパチやってるのを無視して両親が爆発に巻き込まれた場所に献花して手を合わせていると……

 

「おやおや~、そこで手を合わせてる愚か者(・・・)は誰かな~」

 

「!誰だ…っ!!」

 

「くくく、おやおや~、君は…くくく、わざわざ僕に殺されるためにここに戻ってきたのか~い?」

 

「お前は…10年前、ここで自爆テロまがいを起こした…破外山獣胡(ハトビジュウゴ)!!」

 

「そうよぉ~…と、言いたいところだが少し違うんだな~」

 

「…まさか…っ!!」

 

「ククク…ハハハ!!」

 

笑い声をあげると現れた男は体に幾何学的な文様を浮かび上がらせるとコブラ型の下級ロイミュードに姿を変える。

 

だが、その胸にはナンバーが刻印されていない。

 

「!く…」

 

「死にうおわ!!」

 

「!!」

 

ロイミュードが光弾を放とうとしたらどこからかミニカー型のバイクがやってきてロイミュードを吹き飛ばす。

 

「大丈夫か」

 

「あ、はい」

 

ミニカー型のバイクと共に現れたのは紫のジャケットとジーンズを身にまとった男だった。

 

「…3人目の、仮面ライダー」

 

「…お前は、なぜここにいる」

 

「ここで、両親が…あいつのコピー元に…殺されて…」

 

「仇討ちか?」

 

「違う、いるなんて知らなかった…ただ、死んだ両親のことに向き合う覚悟を決めたから、ここに献花しに来たんだ」

 

「そうか…ならば下がっていろ、奴は俺が倒す」

 

そういうと腰に青いものを巻き付け、ロイミュードの気を引いていたミニカー型のバイクのバイクを手に持ちカバーを開けてバイクをスロットに差し込むと

 

『シグナルバイク!』

 

と、音声が聞こえてきた後に

 

「変身」

 

と言い拳でカバーを押してバイクごとしまうと

 

『ライダー!!チェイサー!!』

 

と、再び音声が聞こえると甲冑が男の身を包み、仮面ライダーへと変身する。

 

「俺は、仮面ライダー、チェイサーだ!」

 

「お前も爆発させてやるよ!!」

 

そう言うとロイミュードはチェイサーに攻撃を仕掛けるるふりをして…

 

「こいつの後になぁ!!」

 

頭上を飛び越え、龍哉へと攻撃を仕掛けようとしたが…

 

「うおぉぉぉっ!!!」

 

龍哉の、渾身の気合の籠った拳が逆にロイミュードを吹き飛ばし、壁を突き抜け、屋上まで飛んでいった。

 

「何…」

 

流石の事態にチェイサーも呆然とする。

 

「…とっさだったけど、やっぱあんくらいならいけるか」

 

どうやら龍哉は半信半疑だったもののあのくらいは出来ると思っていたようだ。

 

「お前…まぁいい、ここで大人しくしていろ」

 

「いえ、奴は俺を狙ってくるはずです、なら一緒に行った方が他の人を巻き込みません」

 

「……好きにしろ」

 

そう言って2人は吹き飛ばされたロイミュードを追いかけた。

 

==========

 

―――屋外

 

先程、泊進ノ介こと仮面ライダードライブは仁良がロイミュードと融合して現れたシーフロイミュードを撃破したものの、ブレンの援護により仁良には逃げられてしまった。

 

そこに、屋上から吹き飛ばされてきたナンバーなしのロイミュードが現れる。

 

「なんだこいつは!!」

 

「ナンバーがない!いったいどういうロイミュイードなのだ!?」

 

「というより、あのホテルから出てきましたけど」

 

「くそが、あのガキィィィ…親の事引きずっているはずなのに…くそがぁぁぁ!!!」

 

「どうやら、自らがターゲットとした存在に返り討ちにあったようだね」

 

「でも、このままにしておくとその対象の子が危ない」

 

「ああ、ここで倒すぞ、進ノ介!!」

 

と、そこに

 

「居たか」

 

「屋上より外にぶっ飛ばしてたのか…」

 

タイミング悪くチェイサーと龍哉がやってくる。

 

「チェイス!!」

 

女性警官が名前を呼んでしまったがためにロイミュードもその存在に気づく。

 

「ククク…ハハハ!!!まさか自分からやってきてくれるとはなぁ…えぇ!!俺を乏しめた覇月教官のガキよぉ!!」

 

「覇月教官…まさかあの子は!!」

 

「うそ…」

 

「ベルトさん、霧子、知っているのか?」

 

「ああ、見た目も間違いない、私は彼がまだ赤ん坊の頃だったが、あったことがある」

 

「私もです」

 

「そうか、なら、余計にあのロイミュードを逃すわけにはいかなくなったな」

 

言うと同時にドライブはロイミュードに攻撃を仕掛け、チェイサーも反対側から同時に攻撃を仕掛ける。

 

「邪魔だぁぁぁぁぁ!!!」

 

ドライブとチェイサーの攻撃を軽くいなすロイミュード…

 

「攻撃が!!」

 

「あたらない…」

 

その隙をついて女性警官が龍哉の元にやってくる。

 

「大丈夫でしたか?龍哉君」

 

「あ、はい…あれ、なんで俺の名前…」

 

「ここは危険です、逃げてください」

 

「いえ、ここを俺が離れたら確実に奴は俺を追ってきます、ならほとんど人がいないここにいる方が安全です、仮面ライダーさん達もいますし…」

 

「それは…」

 

龍哉の反論に女性警官も戸惑ってしまう。

 

何とか逃がそうと考えていると…

 

「うわぁぁぁぁっ」

 

「グぉぉぉぉっ!!」

 

「泊さん!!チェイス!!」

 

「なんという強さだ…本当に奴は下級なのか!?」

 

「…奴はかつて自衛隊第一空挺団にいて、10年前、ここで自爆テロまがいの行動を起こした爆弾魔、破外山獣胡をコピーしています」

 

「破外山獣胡だって!?」

 

「そんな凶悪犯をコピーしていたなんて…」

 

「第一空挺団…?」

 

「自衛隊の中でも様々な能力が優れた人のみが入隊を許されているエリート部隊です…単純な戦闘力なら警察官を軽く上回ります」

 

「なるほど、単純な能力じゃ俺達よりも上ってことか」

 

「厄介だな…」

 

「遺言は終わったか…ガキごと全員始末してやる!!」

 

そういうとロイミュードは大きいエネルギーボールを作り出す。

 

「いかん!!あの大きさは…」

 

「くっ!!」

 

「やらせるか!!」

 

ドライブの腰に巻かれているものから危険と判断した声が響くとドライブ、チェイスが防ぐためにロイミュードに攻撃を仕掛けるが…

 

「ならまずはてめぇらからだ!!」

 

ロイミュードは即座に攻撃対象を2人の仮面ライダーに変更し、攻撃を放つ。

 

「はぁ!!」

 

「うおぉぉ!!」

 

仮面ライダー達も相殺しようと攻撃を放つが…

 

ズガァァァァァンッ!!!

 

「うわぁぁぁぁっ」

 

「ぐわぁぁぁぁっ」

 

仮面ライダー達の方がエネルギー量が低く、逆に吹きとばされ、変身も解除されてしまう。

 

「泊さん!!チェイス!!」

 

「大丈夫ですか!!」

 

龍哉と女性警官が駆け寄ってみたものは…

 

「…っこれは…」

 

「これじゃ…」

 

先程龍哉を助けたチェイスという青年も、泊進ノ介も腕に軽くではあるが裂傷を負っている。

 

「この怪我じゃ…」

 

「すぐにマッドドクターで治療を…」

 

「無理だ…奴がすでに攻撃態勢に入っている」

 

「そんな…」

 

チェイスが言う通り、既にもうロイミュードは攻撃できる状態になっている。

 

「くっ…こうなれば…進ノ介!彼に…龍哉に私とシフトブレスを渡してくれ!!」

 

「ベルトさん!?」

 

「クリム!?」

 

「何を考えている!?」

 

「…正直に言おう、彼もまた…いや、彼と彼の父親こそ、私が最初に選んだドライブシステムの装着候補者だったのだ!!」

 

「なっ!!」

 

「うそ…」

 

「どういうことだ?」

 

余りにも衝撃的な事実に龍哉は完全に言葉を失い、泊進ノ介達も驚きを隠せない。

 

「彼ら親子の身体能力、精神はともに私の知る限り右に出るものはいなかった…」

 

「では、なぜ泊進ノ介を…」

 

「後で教えるが、彼らを候補者から外して進ノ介を選んだのは理由がある」

 

「…その声…その感じ…クリムおじさん…?でも、ベルト…」

 

「その通りだ、龍哉!頼む、今だけでいい、私を使って奴らと戦ってくれ!!今我々を助けられるのは君「いいよ」」

 

「「「!!」」」

 

「いいのか!」

 

「うん…俺はもう決めたんだ…俺の持っている全てを使って…守りたいものを守り抜く、助けを求めてられたら助けぬくって!!」

 

「グレイト!!進ノ介!!」

 

「…だぁーもう分かったよ!!今回限りだからな!!」

 

「分かっている、さぁ、龍哉、私を腰に巻き付けて左腕にブレスを装着するんだ!!」

 

「こ、こう?」

 

言われるがままにベルトとなったクリムを腰に巻き付け、左腕にシフトブレスを装着する。

 

「カモーン、シフトフォーミュラ!!」

 

「ベルトさん!?」

 

「いきなりそれは無茶です、クリム!!」

 

「いや、龍哉なら大丈夫だ!!龍哉、その車の後方部を回転させるんだ!!」

 

「こ、これでいい?」

 

龍哉は勝手がわからないため、言われたままに行動したが、その中でどうやら進ノ介と女性警官には腑に落ちないところ、というより心配するような声が上がった。

 

「さぁ行くぞ龍哉、変身だ!!私の右側にあるイグニッションキーを回してさっき回転させた車をシフトブレスに入れてレバーを倒すように前に入れるんだ!!」

 

「わ、分かった!!」

 

龍哉が言われた通りキーを回すとエンジンの始動音のような音がして待機しているような音が鳴る。

 

「おっと、倒す前に掛け声だ、変身!!とね」

 

「もっと早く言ってよ!!…変身!!」

 

龍哉が掛け声をかけて車をレバーのように動かした、すると…

 

「【ドライブ!!ターイプフォーミューラー!!】」

 

というクリムの声と共に音楽が流れだし、龍哉の周りに装甲が現れると同時に全身がスーツに包まれる。

 

その後、龍哉の全身に装甲が装着されてどこからか小さい(?)タイヤが2つ飛んできて両腕に装着される。

 

「さぁ行くぞ龍哉!!」

 

「…こうなったら、とことんやってやる!!」

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第五回、進行の龍哉だ」

有希子「ゲストの神崎有希子です…今回はオリジナル回だったね」

龍哉「まぁな、ちなみに俺がこうして強くなるのは決めてたらしい」

有希子「そうなんだ、このコーナーもその前フリ?」

龍哉「一応な、でなきゃ最初は俺が変身する予定のライダー出すだろ」

有希子「結構ちゃんと考えてるんだね」

龍哉「まぁな、ついでだが次回もオリジナル回の予定だ、それでは本題行くぞ」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、有希子さんが変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダー天鬼(原作:仮面ライダーディケイド)

龍哉「仮面ライダーディケイドの響鬼の世界に登場する、音撃道威吹鬼流のアキラが変身鬼笛 音笛を使って変身する仮面ライダーだ」

有希子「どうしてこれを選んだの?」

龍哉「まず神崎有希子 = 大和撫子のイメージが強い事だな」

有希子「そうなんだ」

龍哉「次に射撃が得意で女性が変身って決めたら天鬼しかなかったんだ」

有希子「他には?」

龍哉「…名簿の時間や単行本にあったプロフのFPSオンラインのニックネームから」

有希子「ありがとう、龍哉君…ちょっと席外してもいい?」

龍哉「そのくそ怖えオーラしまってくれるんならな、あととどめは刺すなよ」

有希子「大丈夫だよ、お話するだけだから」

全(作者逃げてぇぇぇぇ!!)

龍哉「それではこれで今回は終了、次回は愛美さんだ」

龍哉・有希子「それでは次回もお楽しみに!!」


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告白の時間

ドライブの小説を読み返してちょっとクリムと龍哉の関係は知人程度に抑えました。

ただ、母親が話して聞かせていたり時々偶発的に通信で話しているところに一緒に居たので少しだけ話したことがある、程度にとどめました。

ただメインは後半です。

もう一度言います、メインは後半です。


「ハァッ!!」

 

「くっ!」

 

ガッ!ズガッ!ドガッ!

 

負傷した仮面ライダードライブの変身者、泊進ノ介に代わりクリムの知己の中である龍哉がドライブに変身してロイミュードと戦闘している。

 

「すげぇ…」

 

「奴の攻撃パターンを見切り、的確に反撃している…」

 

「霧子、お前はあれぐらい強いって知ってたのか?」

 

「いえ…ただ、父親はすごく強い、と雨奈さんが母に自慢していたのは覚えていますが…」

 

「その血をしっかり継いでるってわけか」

 

「だと思います」

 

そのまま戦闘を見守る泊、霧子、チェイス…一方…

 

「くそ!!なんで攻撃が当たらねぇんだよ!!」

 

「…そんなもん、お前が俺よりも弱いからに決まっているだろう」

 

「なんだと!!」

 

「いや、龍哉、奴の攻撃の鋭さは先程と変わっていない!油断するな!!」

 

「だってよクリムおじさん、この程度(・・・・)もう見切れるようになったし」

 

「何!!」

 

「アメイジング!!」

 

「マジか…」

 

「…あれを、見切れるだと…」

 

「強いってなんなのか分からなくなりますね」

 

「俺の攻撃が…お前如きガキに…見切れブヘァ!!」

 

「ね?」

 

見切れるはずがない、とロイミュードが言って殴り飛ばそうとした瞬間に龍哉があっさりとカウンターパンチを決める。

 

「ば、馬鹿な!!」

 

「それじゃ今度は…こっちから行くぜ!!」

 

ドゴ!!バキ!!ガガガ!!

 

龍哉の蹴りや拳を交えた連続攻撃が次々とロイミュードにヒットしていく。

 

「グッ、ガハァ、グハッ!!」

 

「いいぞ、龍哉!!」

 

「オラァッ!!」

 

龍哉の気合を込めた蹴りが思い切り水月に突き刺さり、たたらを踏んでロイミュードも交代する。

 

「ぐっ…ばかな…この俺が…こんながきににぃ!!」

 

「決めるぞ龍哉、フィニッシュだ」

 

「どうやって?」

 

「もう一度イグニッションキーを回して、シフトブレスのボタンを押し、車をレバーのように倒すんだ!!」

 

「こうか!!」

 

龍哉が言われてた通りに動くとベルトことクリムおじさんが声を上げる。

 

「ヒッサーツ!!フルゥスロットォル!!フォーミューラー!!」

 

「はぁぁぁぁぁ」

 

龍哉が気合を込めて左半身を引き、エネルギーを右足に収束させる。

 

そして、そのエネルギーがなくなる前にロイミュードに向けて走り出して跳躍し…

 

「デアァァァァァッ!!!!」

 

渾身のキック、フォーミュラドロップを繰り出す。

 

「なっ…はぁぁぁズァ!!」

 

ロイミュードも負けじとエネルギー弾を放ったため、競り合って膠着状態になる。

 

「クリムおじさん、このままじゃ!!」

 

「車をレバーのように倒すんだ!!それで出力が上がる!!」

 

「分かった!!デェェェェイ!!」

 

ガシュガシュガシュガシュガシュ

 

「フォフォフォフォフォーミュラー!!」

 

龍哉がレバーとなった車をさらに5回倒してエネルギーを増加させ、そのまま上半身を少し捻り蹴りの威力を上昇させ…

 

「そんな…バカなぁぁぁぁ!!」

 

龍哉の蹴りがロイミュードをエネルギー弾毎と貫き、コア毎爆散させる。

 

「…ッ…はぁはぁ」

 

「ナイスドライブ、龍哉」

 

コアの破壊が確認できたのでクリムがドライブの変身を解除する。

 

龍哉も膝に手をついて息を荒げているものの、進ノ介のように体にリコイルがあるようには見えない。

 

そこに進ノ介達が近づいてきた。

 

「龍哉君!!」

 

「大丈夫ですか!?」

 

「あ、はい…あ、お返しします」

 

そういうと龍哉はシフトブレスとクリムを外して進ノ介に手渡す。

 

「あ、ああ…いや、しかしすごかったな~」

 

「そうだな、お前と違ってすぐにシフトフォーミュラを使いこなしていた」

 

「…それを言うなよチェイス」

 

「し、仕方がありませんよ、ほら、あの時は緊急事態でしたし、使う覚悟も…」

 

「霧子、それ追い打ち」

 

「あ、えっと、その、そういうつもりでは」

 

「…あの、これから俺はどうなるんでしょうか?一応警察のものを勝手に使ったようなものですから…」

 

「ああ、そのことなら心配ないよ、こっちの方でどうにか処理しておくから」

 

「だが、それよりも気になるのはさっきクリムが言っていたことだ」

 

「ふむ、それを話すためにも、一度ドライブピットに戻ろう、龍哉、すまないがチェイスと一緒に来てくれないか?」

 

「分かりました、俺も母さんと霧子さんの関係とか気になりますし」

 

「こっちだ、付いてこい」

 

「はい」

 

そうして龍哉はチェイスと共にドライブピットに向かうことになった。

 

==========

 

―――ドライブピット

 

そこには、戻ってきた進ノ介、霧子に加えてチェイスによって連れてこられた龍哉を含めて特状課の面々がそろっていた。

 

「進ノ介君、この子は?部外者を入れちゃダメでしょ」

 

「いや、彼は私が招待したのだ、西城究、彼は私の古い友人だからね」

 

「いや、古いって……もしかして、こんななりなのに本願寺さんと同い年とかか!?」

 

「そんなわけないでしょゲンパチ!!彼はまだ15よ!!」

 

「おや、先程お会いしましたね~」

 

「あ、先程の…クリムおじさんの知り合いだったんですね」

 

「「「クリムおじさん!?」」」

 

「といって血縁はないのだがね、私の友人のお孫さんだよ」

 

「そういうことか…」

 

「にしても龍哉君、本当に大きくなったよね~」

 

「え~と、あなたは」

 

「沢神りんな、あなたがまだ赤ん坊のころに一度だけあなたのお母さんと会ったことがあってね、その時に」

 

「そういうことですか」

 

「クリム、さっさと彼がドライブシステムの装着候補者だったこととかを話して帰してやるべきだ」

 

「「「「ドライブシステムの装着候補者!?」」」」

 

「ふむ、チェイスの言う通りだな、あまり長引かせるわけにもいかないが、出会いから話さなければ分からないこともあるから、少々長くなるが問題ないかね?」

 

「俺は別に問題ないよ……学校サボっちゃってるし」

 

「学校にはきちんと通うのが学生のルールではないのか?」

 

「チェイス、そこのとこ論議するとややこしくなるから黙っててくれ」

 

「む…」

 

「…では話そうか、龍哉と私の出会いと、龍哉を候補者から外した理由をね」

 

――以下クリム回想&独白

 

実は、龍哉とは直接会ったことはないのだが、彼の母親を通じて彼と彼の父親のことはかねてから聞いていた。

 

彼らの強さは先程龍哉が示した通り折り紙付きだ。

 

また、龍哉の母親は科学者としてかなり優れていて、特に人の心を模したプログラムの作成に力を入れていた。

 

だから、私は彼の母親に依頼して開発したプログラムを譲り受け、完成したのがプロトゼロ、チェイスだ。

 

つまり、ある意味ではチェイスは龍哉の弟ともいえる存在だな。

 

しかし、私の研究を悪用しようとする存在がいた、それがロイミュードを生み出したのだ。

 

以後はりんなや本願寺も知っている通り、私はドライブシステムを手を借りて完成させ、それを扱う候補者を選び出した。

 

そこに、あの悲劇が…そう、ちょうどあのホテルで、進ノ介達が仁良を追い詰めたあそこで、彼の両親の命が奪われたのだ。

 

彼もしくは彼の父親である覇月土門さんを候補者から外したのは、それが理由なのだ。

 

1人は、亡くなったから…龍哉は…両親を亡くし、傷心の子供をこれ以上傷つけたくなかったからだ。

 

――以下クリム回想&独白終

 

「というわけなのだよ」

 

「そうだったんですか」

 

「まさか、あの覇月土門さんの息子さんとはね~」

 

「あれ?課長は知ってたんですか?」

 

「まぁ、警察の方でも有名でしたからね~要人警護において、彼の右に出るものはいないといわれたほどです」

 

「実際、父さんはよく駆り出されてました…そこで時々羽目を外しすぎてかえってきてから母さんに折檻されてましたけど」

 

「なぜ、それほどまでに強い父親を母親が倒せるのだ?」

 

「…惚れた弱み、だと思います…しかも家系的にそうかと」

 

「家系的に?じゃあ」

 

「お祖父ちゃんもそうだし…多分、俺も」

 

「どんな人間にも弱点はあるという事か」

 

「…ちょっと違う気がするけどまぁいいや」

 

「あれ?そう言えば霧子も知ってるんじゃなかったっけ?」

 

「あ、はい」

 

「あ、そういえば」

 

「霧子ちゃんはどうして知っているの?」

 

「実は、私の母も科学者で、昔、一度だけ雨奈さんと会った時に会ってるんです、りんなさんと一緒で赤ん坊でしたから覚えてなくても無理はないかと」

 

「そうだったんですか…いったいどんな研究をされてたんですか?」

 

「ごめんなさい、母はあまり話してくれなくて」

 

「いえ、大丈夫です」

 

「こんなところですかね?」

 

「そうだな、これ以上はないな」

 

「俺の方も問題ないです」

 

「それじゃあ龍哉ちゃん、今回は協力ありがとうございました」

 

「あ、いえ…俺の方からも、2つ程、いいですか?」

 

「ええ、どうぞ」

 

「俺は…多分、関わることはないと思いますけど、でも、何かあって、俺に協力できることでしたら…出来る限り協力します、今回のように」

 

「いや、それはないよ」

 

「そうだな、お前たちを守るのが俺たち仮面ライダーの使命だ、だから、安心していろ」

 

「…そうですよね、分かりました、もう1つは…あの時いたロイミュードです、あいつにはナンバーがありませんでした」

 

「そういえばそうだった!!」

 

「龍哉君のことで忘れてましたね」

 

「忘れないで下さいよ…俺の考えなんですが、恐らくクリムおじさんの技術を盗んだ奴、そいつのところに出資していたところが怪しいです」

 

「なるほど、出資の見返りとして研究データを持っていき、そのデータを基に作り上げたってことか」

 

「はい、ですので、何かありましたら」

 

「大丈夫ですよ、龍哉ちゃん、彼らなら」

 

「…そうですね、それでは、失礼します」

 

そう言って龍哉はチェイスに案内されてきた道を通ってドライブピットがある久留間運転免許試験場から自宅への帰路についた。

 

==========

 

戻る途中、龍哉はある骨董品屋に立ち寄っていた。

 

そしてそこで、水晶玉を抱き背に桃色の猫を乗せた金竜のオブジェを見つけたのだ。

 

それを見た瞬間、龍哉の心の内にはある女の子の姿が浮かび上がった。

 

そのため、それを入店してじっと見ていたら…

 

「坊主、ずっとそれを見てるけど、欲しいのかい?」

 

この店の店主と思わしき少々恰幅のいい初老の男性が話しかけてきた。

 

「あ、いえ…ただ、これを見ていたら…その…」

 

「どうしたんだい?」

 

「その…俺に、何度も希望を与えてくれた人の顔が思い浮かんだんです」

 

「!!……そうか、そうかぁ…」

 

龍哉の言葉に、どこか納得したような表情で男性は思案にふけ始める。

 

龍哉はどうしたものかと男性とオブジェを交互に見やる。

 

「…坊主、こいつはなぁちょっと特殊な方法で作られたオブジェでな、パッと見はただの置き物なんだが、人によってはその人の【希望】を見せてくれるっていう特殊なやつなんだよ」

 

「そうなんですか…だから…」

 

「【希望】が、見えたんだろう」

 

「はい」

 

「さすがに、そいつは売れんが、希望を与えてくれた人に、何か、あげたらどうだ?たまには、お前さんが【希望】を渡してもいいだろう」

 

「…そうですね、ただ、あんまりそういうのしたことなくて…」

 

「どんな人だ?特徴さえ言ってくれれば合いそうなやつを探してやる」

 

「あのですね…」

 

―龍哉説明中

 

「…そうか、分かった…ちょっと待ってろ」

 

「あ、はい」

 

そう言うと男性は店の奥に引っ込み、何かを探し出してくると深青色の箱をもって戻ってきた。

 

「これは?」

 

「まぁ見てくれ」

 

そう言って箱を開けると中には銀色の2つのブレスレットだった。

 

「ペアブレスレットですか」

 

「ああ、こいつもさっきのオブジェ同様特殊な方法で生成された金属でできてるんだ」

 

「どんな効果が?」

 

「互いがピンチになるとそこについている宝玉が光って教えてくれるんだ」

 

「へぇ、結構いいですね…あ、ピンチの度合いは?」

 

「…正確に言や、付けている奴が助けを求めりゃもう片方の方の宝石を光らせて教えてくれるのさ、ついでに、相手の方まで誘導してくれる」

 

「すっげ…これ、いくらですか?」

 

龍哉が聞くと値段をを提示する男性、その額は龍哉の手持ちで十分に購入できるものだった。

 

龍哉は即購入を決め、男性にラッピングをしてもらうとそれを受け取り、嬉しそうな顔をして礼を言って出ていった。

 

そこに入れ替わりに少々騒がしい男性が戻ってくる。

 

「あれ?どうしたんですか?何か嬉しそうですけど」

 

「ああ、あの子が残してくれた【希望】はまだ繋がってるってことがね」

 

「そうなんですか~…えぇ~~~!!」

 

「うるさいなぁ、ほら、さっさと片づけてこい」

 

==========

 

龍哉は椚が丘市に戻ってきたが一つだけ、とても重要なことを忘れていた。

 

(しまった…携帯()を家においてきたから陽菜ちゃんへの連絡手段がない!!)

 

戻ってきて陽菜乃に連絡しようとしたが、目的を邪魔されないよう携帯()を家に置いていったことが裏目に出たようだ。

 

(…しょうがない、他の誰か探して陽菜ちゃんが帰宅しているかどうか確認しつつ、陽菜ちゃん家に行こう)

 

行き当たりばったり感が半端ないが、それでも龍哉は行く道を決めた…が…

 

「……どうしてこういうときに限って誰とも会わないんだ…」

 

どうやらE組の生徒誰にもう事なく陽菜乃の家についてしまったようだ。

 

(…仕方ない、在宅か確認…あ…)

 

家にいるか確認しようとしたその時、学校の方から陽菜乃が帰ってくるのが見えた。

 

龍哉は確認すると陽菜乃のほうに向かって走りだす。

 

そして、陽菜乃の方も龍哉に気づき、龍哉に向かって走ってくる。

 

「龍君!!」

 

「陽菜ちゃん」

 

陽菜乃は龍哉の前で立ち止まる。

 

「…ただいま」

 

「!!…お帰り」

 

「今朝は、何も言わずに離れちゃって、ごめん」

 

「…ううん、帰って来てくれるって信じてたから」

 

「!…ありがとう」

 

そこで会話が途切れるが、龍哉はどこかそわそわとしている。

 

それに当然陽菜乃も気が付く。

 

「龍君?どうしたの?」

 

「あ…いや…えっと……これ!」

 

少し勢いが付いていたが陽菜乃にあたることなく、龍哉は先程購入したブレスレットの入った箱を陽菜乃の前に出す。

 

「これは?」

 

「えっと…その…ひ、陽菜ちゃん…昨日、いろいろと教えてくれたでしょ…その…両親の気持ちも…陽菜ちゃん自身の気持ちも」

 

「あ…!!」

 

龍哉の言った言葉に昨日自分が言った言葉を思い出して顔を真っ赤に染める陽菜乃、もっとも龍哉も思い出しているのか負けず劣らず真っ赤だが。

 

「伝えてくれて、本気で嬉しかった、その…だから…これと一緒に…俺の気持ちも、陽菜ちゃんへの思いをちゃんと伝えようと思って」

 

「!!」

 

「えっと…陽菜ちゃん」

 

「…はい…」

 

 

 

「俺も…君の事が好きだよ、大好きだ」

 

 

 

「!!…り、龍君…」

 

 

 

「だから…俺と…付き合ってくれないか?」

 

 

 

「………はい!!」

 

 

 

陽菜乃は返事と共に龍哉に抱き着く。

 

龍哉も抱き着いてきた陽菜乃を優しく抱きしめ返す。

 

「暖かいな」

 

「龍君も…」

 

ひとしきり抱きしめ合ったところで2人は少しだけ空間を作る。

 

「あ、さっきのブレスレットって?」

 

「ん、ああ、ペアブレスレットなんだ」

 

そう言って龍哉は箱を開けて女性用の小さいものを陽菜乃の右腕につける。

 

「キレイ…」

 

「そう…喜んでもらえてうれしいよ」

 

「あ、龍君には私が付けてあげるね」

 

「あ、ありがとう」

 

今度は龍哉が陽菜乃に男性用のを同じく右腕につけてもらう。

 

「龍君に良く似合ってるね」

 

「ありがとう…陽菜」

 

「…ふぇ?」

 

「あ、いや、その…せっかく恋人になったから…えっと…俺だけの特別な呼び方したかったんだ…ダメ…か?」

 

「だ、ダメじゃないよ!!全然!!むしろすっごく嬉しい!!」

 

「そ、そうか…よかった」

 

「…あ、もう時間!!」

 

「あ…そっか、そういやもう夕方だったね」

 

「…離れたくないなぁ…」

 

「俺もだよ」

 

「…お母さんに頼もうかな?」

 

「…昨日、俺の家に無理矢理に近い状態で泊めちゃったんだ、今日は…帰ったほうがいい」

 

「分かってる、分かってるけど…」

 

「…学校行く前に、ちゃんと迎えに来るよ、それと、帰りも送る、時間の許す限り、一緒に居よう」

 

「龍君…うん、明日があるって分かってるなら、ちょっとの時間も、耐えれるよ」

 

「ああ、俺も…それに、体がそばにいないだけだ…俺の心の中には陽菜がいつもいるから」

 

「それを言うなら私もだよ…龍君、また明日」

 

「ああ、また明日」

 

それでようやく2人は離れ、陽菜乃は家に入っていき、龍哉はそれを見届けて自分も帰路についた。

 

右腕につけられたブレスレットを触り、陽菜乃の事を想って顔にきれいな笑みを浮かべながら…

 

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第六回、進行の龍哉だ…今回は特別編だ」

陽菜「ゲストから補佐に昇格しました、倉橋陽菜乃です!!」

龍哉「今回は前話、今話に出てきた俺の両親の仇についてだ」

陽菜「破外山獣胡(ハトビジュウゴ)って人だよね」

龍哉「ああ、性格は簡潔に言えば才能ゆえに甘やかされて我儘放題なまま大人になった奴だ」

陽菜「でも、本編では狂っているような感じだったけど」

龍哉「元々我儘放題だったんだ、自分の思い通りにならないことがあったから、ああなったんだろうな」

陽菜「これって誰が悪いのかな」

龍哉「さぁな、ただ、気になるのは父さんへの復讐に俺を選んだ理由だ」

陽菜「どうして?龍君と比較したとかじゃないの?」

龍哉「いや、それはない、父さんはそこのところはきっちりしていたからね」

陽菜「そうなんだ…じゃあどうして?」

龍哉「そこがわからないんだ…だから、俺を狙うために陽菜を狙ってくる可能性もある…もっとも、刑務所にいるから出てくる可能性はないけどね」

陽菜「ピンチになっても大丈夫だよ、このブレスレットがあるから龍君が助けに来てくれるって今まで以上に信じられるようになったから!!」

龍哉「ありがとう、では今回はこの辺で」

龍哉・陽菜「それでは次回もお楽しみに!!」



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恋人の時間

前話冒頭で入れようと思って没にしたシーン

龍「クリムおじさん、何か武器ってあるの?」

ク「ああ、銃と剣がある」

龍「どうやったら使える?出来れば剣!!」

ク「名前を呼べばいい、[ハンドル剣]とね」

龍「…はい?何その名前…ダッサイなぁ~、クリムおじさん、そんなにネーミングセンス悪かったっけ?」

ク「No!!名前を付けたのは私ではない!!進ノ介だ!!」

龍「え~、どちらにしろダサい」

進(←めっちゃダメージ受けてへこんでる)

霧(←どうフォローしようか迷ってオロオロしている)

チ「そういえば、銃は[ドア銃]と、さらにタイプフォーミュラで使う武器は[トレーラー砲]と名付けていたな」

龍「せめて[ターンブレード]とか[ロックガン]とか[インパクトカノン]とかにして!!俺が使うときだけでいいからさ!!」

チ「お前が変身するのは今回限りだろう、気にするな」

ク「チェイス!!メタ発言はやめたまえ!!」

龍「クリムおじさんもね!!」

以上です、没にした理由はまぁこんなコントやってるとその隙に攻撃されるよねってのがあります。

あんまし甘くはないと思うけど殺せんせーが多分下世話、律も


―――翌朝

 

陽菜乃の家の前に、紙袋を持って龍哉はいた。

 

そこに陽菜乃が家から出てくる。

 

「お母さん、いってきま~す」

 

「陽菜」

 

「あ、龍君、おはよう!!」

 

「おはよう、あ、ちょっとお母さんと話させてもらってもいいか?」

 

「え?うん、お母さーん!!」

 

「何ー?あら、龍哉君、いらっしゃい」

 

「おはようございます、あの、先日は…」

 

「あらあらいいのよ、気を使わなくて…それとも、陽菜乃と付き合っているからかしら?」

 

「な、なななな!!??」

 

「分かりやすいわねぇ、あなたも陽菜乃も」

 

「うぅ…そ、そちらのあいさつはまた後程…」

 

「あらそう、それはそれで楽しみにしてるわね…用事はつまり一昨日の事ね、陽菜乃が外泊したことならちゃんと連絡もらっているから大丈夫なのに」

 

「でも、こちらに非がありますから…」

 

「う~ん、まぁ龍哉君がどうしても、と言うなら、もらっておくわ」

 

「すいません、ありがとうございます」

 

「いいのよ、それじゃあ、いってらっしゃい」

 

「あ…行ってきます」

 

なんとか一昨日のわびの品を受け取ってもらえてほっとした龍哉に、優しく声をかけて送り出す陽菜乃の母に、龍哉も思わず笑顔で返事をする。

 

「どうしたの?」

 

「…陽菜のお母さんがさ、いってらっしゃいって」

 

「それがどうしたの?」

 

「正直、学校に行くときに母親にああして送り出された事ってないからさ…すげぇ嬉しかった」

 

「そうなんだ」

 

「ああ…後」

 

「何ー?」

 

「お母さん、俺らが付き合ってる事知ってたけど、話した?」

 

「え…えぇぇ!!」

 

「どうしてばれたんだろうか…」

 

「あ…もしかして…」

 

「?」

 

「昨日…その…龍君からもらったブレスレット、ずっと持ってたから…」

 

「あ~、それで俺からもらったこと正直に言っちゃったのか」

 

「うん…ごめ「まぁ、いいさ、別に」え?」

 

「いずれはばれるってか俺からさ、挨拶に行こうと思ってたから…それに、反対している様子はなかったから…」

 

「そっか…」

 

そういうと陽菜乃は龍哉の腕に抱き着く。

 

「陽、陽菜!?」

 

「えへへ、いいでしょ、恋人なんだし」

 

「…まぁ、な…俺も…その…仲睦まじい両親見て育ったからこういうの憧れてたし」

 

「なら問題な~し」

 

「…だな」

 

龍哉と陽菜乃はそのまま登校したが、時間が早めだったせいか誰にも会わずに教室につくまで、他の生徒には誰にも会わなかった。

 

==========

 

「龍哉、今日は来るかな?」

 

「どうだろうな…」

 

「来てくれるといいんだけどな」

 

「ま、気楽に考えていこうぜ」

 

そう言いあいながら渚、友人、悠馬、前原が登校してくる。

 

そして教室に入ると…

 

「あ!!」

 

「龍哉!!」

 

「あ、渚、友人、悠馬、前原、おはよう」

 

「おはよう!!」

 

「おはよう!!今日は登校してきたんだな」

 

「ああ…皆、一昨日は迷惑をかけたな、すまない」

 

皆が登校してきたことを確認すると龍哉は立ち上がってみんなの前に移動すると頭を下げて謝罪する。

 

「龍哉!?」

 

「な、そんな…気にすんなよ!!」

 

「そうだって!!」

 

「…いや、ちゃんと皆に向き合っていきたいんだ…だから…ね」

 

「…そっか」

 

「なら、ちゃんと受け取るよ」

 

「…ありがとう」

 

「それはそうと龍哉」

 

「ん?」

 

「なんか、雰囲気変わったね」

 

「そうか?」

 

「あ~わかるぜ渚、なんか前よりも柔らかくなってるよな」

 

「確かに」

 

「そうか?自分じゃよくわからないんだが…」

 

「いや、確かに変わったよ…なんていうか…な」

 

「うん…」

 

「「「「大切なものが出来たって感じだ」」」」

 

「!!」

 

その瞬間龍哉の顔は一気に顔を赤面させる。

 

「お、これは…」

 

「何かあったみたいだね」

 

と、そこに…

 

「龍君、お待たせ~さっ、続きやろ!」

 

「「「「あ、倉橋(さん)おはよう」」」」

 

「あ、皆おはよう!」

 

「倉橋、続きって?龍哉と何やってたんだよ」

 

「昨日の授業の内容を教えてたの、昨日龍君1日いなかったし」

 

「ああ、教えてもらっとけば授業についていきやすいしな」

 

「そうなのか」

 

「…倉橋さん、なんかうれしそうだね」

 

「えっ…そ、そう!?」

 

渚に嬉しそうといわれて思わず動揺する陽菜乃に、前原は何か察したのか…

 

「あ~まぁ色々とあったんだろう、ほら、俺達も行こうぜ」

 

「お、おう」

 

前原に先導されて磯貝の席近くにそこに来た全員が集合して額をくっつけるような距離で頭を寄せ合う。

 

「…俺の見立てじゃ、あの2人は付き合ってる」

 

「マj」

 

叫びかけた友人の口を素早く前原がふさぐ。

 

「声がでけえよ」

 

「わ、悪い」

 

ちなみに龍哉達はギリギリ聞こえない声量で話している。

 

「何で気づいたんだよ」

 

「龍哉の雰囲気と、あと渚が倉橋が嬉しそうって言った時に動揺したことと」

 

「まだあるのか?」

 

「あの2人の右手首見てみ」

 

前原に言われて悠馬、渚、友人は龍哉と陽菜乃の右手首をよく見てみると…

 

「あ…」

 

「ブレスレット」

 

「しかもお揃いだ」

 

「あれ見ても付き合ってないって言えるか?」

 

「でも龍哉が一昨日のことで詫びとして買って来た可能性もあるだろう?」

 

「ああ、でも龍哉は基本的に分け隔てしない性格だ、迷惑をかけたってなると俺らにも何かしらあってもおかしくない、それにブレスレットとかだったらさっき渡してくるはずなのにそれもなかったからな」

 

「あ~」

 

「言われてみれば確かに」

 

「んで最後に倉橋は戻ってきたときに俺らに気づかなかった、今までだったらちゃんと気が付いてた、でも真っ先に龍哉にしか声をかけなかったってことは…」

 

「龍哉しか目に入ってなかった、だから僕らが挨拶するまで気づかなかったんだね」

 

「そういうこった」

 

「でも、どうするんだよ」

 

「どうって?」

 

「2人共、何も言わないってことは隠してるんじゃないのか?」

 

「それはないと思うよ」

 

前原が付き合っていると断定し、そのことを言わないのは隠しているからと友人が考えて言ったがそれを渚が否定する。

 

「何でそう言いきれるんだよ渚」

 

「だって龍哉、基本的に隠し事ってあんまりするタイプじゃないから」

 

「あ~、そっか、2人は付き合ってるのかって聞いたら素直に答えてくれるってことか?」

 

「多分ね」

 

「…でも聞いたら聞いたでちょっとな」

 

「ああ、前原はともかく俺らはダメージを負う、前原はともかく」

 

と、そこに

 

「きゃー、本当、陽菜乃ちゃん!!」

 

「ちょ、桃花ちゃん!!声大きいよ!!」

 

「おめでとうございます、倉橋さん!!」

 

「愛美ちゃんも~」

 

どうやら桃花と愛美が龍哉と陽菜乃の雰囲気から何か聞いて、祝うようなことを聞いたようだ。

 

「…前原と渚の予想、あたりみたいだな」

 

「カルマ君と中村さんに弄られるんだろうね」

 

「…龍哉が逆襲するのが目に浮かぶのは俺だけか?」

 

悠馬の一言にその場の全員が何とも言えない気持ちになった。

 

==========

 

―――HR後、体育の授業

 

殺せんせーの出欠確認の後、龍哉が立ち上がって再度全員に謝罪し、それで何事もなく終わり、体育の時間…

 

「それでは、今日も始める」

 

「「「「「「「「「「「よろしくお願いします!!」」」」」」」」」」」」

 

「では、今日もペアを作ってくれ」

 

その烏間先生の一言で何人かが龍哉を誘おうとしたら…

 

「陽菜、今日は組まないか?」

 

「へ!?あ、うん!!」

 

龍哉が自分から陽菜乃を誘った、しかも

 

「今…」

 

「龍哉、倉橋の事…」

 

「陽菜って…」

 

「…あ」

 

龍哉もどうやら自分の失言に気づいたようだが、慌てて訂正するような真似はしなかった。

 

「ま、いいや、烏間先生にナイフ当てる作戦考えようぜ」

 

「「「「「「「「「「「いや、どうしてそんな風に呼んだのか突っ込ませろよ!!」」」」」」」」」」」」

 

「え、そこ突っ込むところ?」

 

「皆、今授業中だよ?」

 

「…そうだな、そういうのは休み時間にやってくれ」

 

龍哉と陽菜乃にはその突込みを無視されかけ、烏間先生にまで言われたのでとりあえず収めることになった。

 

そして―――

 

「よし、次!!」

 

「行くか」

 

「うん!!」

 

「覇月君と倉橋さんか(この2人の組み合わせは初めてだ…果たしてどんな風に攻めてくるのか…)」

 

「「行きます!!」」

 

そう言うと龍哉が2本ナイフを持って烏間先生に向かっていき、陽菜乃はその陰に隠れる。

 

烏間先生との距離が残り3歩ほどになったところで龍哉は左手に持ったナイフを胴に向けて一直線に投げる。

 

無論、烏間先生はそんなものにあたるはずもなく、右手でナイフを弾き飛ばす。

 

龍哉も織り込み済みのため焦ることなく残った右手のナイフを振るう。

 

加えて体術を駆使して攻勢に出ているが、烏間先生も龍哉の攻撃パターンを覚えており、決定打は出ていない。

 

だが…

 

龍哉がナイフを引いて右足で大振りの蹴りを繰り出すと烏間先生は身を引いて躱す。

 

とそこに…

 

ビュッ!!

 

「!?」

 

風切り音がして足元を見ると陽菜乃が死角から蹴りを繰り出してくる。

 

しかも狙って来たのは軸足で体重が乗っているため下手をすれば体制を崩すため烏間先生は素早く飛び上がる。

 

だがそこに顔を目がけて陽菜乃がナイフを投げる。

 

「!!」

 

流石の烏間先生も驚くが冷静に右手でそのナイフを弾き飛ばす。

 

しかし…

 

((もらった!!))

 

それは龍哉と陽菜乃にとって今の烏間先生の行動は僥倖だった。

 

龍哉が空中にいる烏間先生のがら空きの胴目がけて右手を突き出す。

 

周りで見ている皆は何をと思ったが烏間先生がまるでナイフを防ぐように左手で防御する。

 

そしてその隙をついて…

 

グニョン

 

という音ともにナイフが烏間先生の背中に当たる。

 

当てたのは…

 

「ヒットですね、烏間先生」

 

陽菜乃だった。

 

「…ああ、2人共加点だ」

 

「「ありがとうございました」」

 

2人が他の生徒達の方を見ると…

 

「…え?」

 

「え?」

 

「「「「「「「「「「「えぇぇぇぇ!?」」」」」」」」」」」」

 

とても驚かれていたが、無理もないだろう。

 

龍哉は誰か組んで行動するときはアイコンタクトやハンドサインなどを使って臨機応変に望むのだが…

 

今の攻防の間、陽菜乃とは何も行わずに今まで通りのコンビネーションを決めてたからだ。

 

全くもって分からないので龍哉と陽菜乃にほぼ全員が説明を求める。

 

「どうやったんだ?」

 

「いつの間にか陽菜乃ちゃんが烏間先生の後ろにいたよね?」

 

「ん、ああ、簡単だよ」

 

「龍君が囮になって私が烏間先生に当てるっていうだけ」

 

「俺でも殺気を放つぐらいは出来るからな、それで陽菜を隠したってわけ」

 

「あとは私がその隙に最初に烏間先生が弾き飛ばした龍君のナイフを拾っておいたっていうだけ」

 

「じゃあ最後に烏間先生が龍哉の手を思いっきり払ったところは?見たところナイフなんて持ってなかったけど…」

 

「あれは烏間先生が俺が手にナイフを持っているって誤認させるようにちょっとだけ気を集めてナイフっぽくしただけでも実態はないけどあるように見えるから烏間先生も防御せざるとえなかったってところかな」

 

「なるほどぉ…手品技術等の応用といったところですか」

 

「そうで…なんでいるんですか、殺せんせー」

 

「いえいえ、昨日晴れて恋人となったお2人がどれぐらいできるのか見せてもらっただけですよ」

 

「そうなんですか…待って、殺せんせー、ちょっと待って」

 

「おい…おい」

 

「「「「「「「「「「「何で殺せんせーが知ってるの!?」」」」」」」」」」」」

 

「…おかしい、昨日殺せんせーの気配は感じなかったのに…まさか!!」

 

「律ちゃん!?」

 

「はい、昨日陽菜乃さんの携帯から一部始終を録音させていただきました!!一昨日の分も含めて!!」

 

「待てこらおい」

 

「律ちゃん、消して今すぐに!!」

 

「え、嫌ですよ、お兄ちゃんと陽菜乃さんの結婚式の時に流すって決めてるんですから!!」

 

「ふざけんな俺はいいけど陽菜がかわいそうだろ今すぐ消せマジで!!」

 

「いやまず結婚まで行くって思われているところに突っ込めよ!!」

 

「結婚…結婚…(顔が超真っ赤)」

 

「陽菜乃ちゃん、しっかり!!」

 

「…今の発言からすると龍哉ってすでにその気ありってことかな?」

 

「……キュウ(←今の渚の発言で龍哉との結婚&新婚シーンまで考えてオーバーヒート起こして気絶)」

 

「陽菜乃ちゃーーん!」

 

「殺せんせー、律、2人共後で覚えとけよ!!(顔真っ赤)」

 

そう言って龍哉は陽菜乃をお姫様抱っこすると素早くその場から離れていった。

 

「…殺せんせーはともかく律はどうなるんだろう」

 

「…龍哉がなんかプログラムに手加えるんじゃない?権限使って」

 

((((((((((十二分にありうる))))))))))

 

授業後、龍哉に本気で追い回される殺せんせーと…

 

龍哉にがっつりお説教される律がいたそうな…

 

「律、今後、こういうことはやめておくように、俺だけじゃない、クラスの皆にもだ、やったらしばらくの間ドット絵でしか行動できなくするからな」

 

「ごめんなさい、お兄ちゃん、陽菜乃さん(←ちゃんと正座している)」

 

((((((((((良かった、本当にいろいろな意味でよかった))))))))))

 

そして、龍哉の説教にクラスの皆が安堵していたのを、烏間先生が目撃したそうな…

 

しかし、その直後に…龍哉がある事件に巻き込まれるとは…誰も…予想だにしていなかった…

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第七回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

愛美「ゲストの奥田愛美です…龍哉君、倉橋さん、おめでとうございます!!」

龍哉「ありがとう、愛美さん」

陽菜「ありがとう~」

愛美「私も勉強になりましたので!」

龍哉「勉強?」

愛美「はい、前に殺せんせーに言われた「相手の気持ちを知る必要がある、言葉に工夫をする必要がある」というやつです」

陽菜「やってたのは龍君だけどね」

龍哉「でも陽菜が先にやってくれなかったら出来なかった」

愛美「つまりお2人共やってたからこうして恋人になれたという事ですね!?」

陽菜「…そうだね、うん」

龍哉「しかし食いつくね」

愛美「あ、ごめんなさい、最近神崎さんや茅野さんだけじゃなく他の皆さんとも話しててそういう話題に…」

陽菜「やっぱり愛美ちゃんも女の子だね!」

龍哉「おーい、そろそろ本題行くぞ」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、愛美さんが変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダーギャレン(原作:仮面ライダー剣)

龍哉「仮面ライダー剣に登場する、橘朔也がギャレンバックルを使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜「あれ?化学要素0だよ」

龍哉「選択理由はどっちかっていうと苦手なものを周りからのサポートで克服していくところだな」

愛美「そうですね、殺せんせーや龍哉君のおかげでだいぶ苦手な国語が克服できてきていますから」

龍哉「他にも劇場版だが新たにライダーシステムを開発する、といった科学者や研究者的側面もある」

陽菜「わ~、すごい…」

愛美「私も友達を幸せにする化学式を考え付こうとしてるので嬉しいです!!」

龍哉「なんだこの小動物、陽菜や律とは違うベクトルでめっちゃかわいいんだけど」

陽菜「うんうん」

愛美「?そうですか?倉橋さんのほうが可愛らしいと思いますが…」

龍哉「そこについては全力で同意する」

陽菜(顔真っ赤)

龍哉「それではこれで今回は終了、次回は悠馬だ」

陽菜「それと暫くはオリジナルという名のドライブ本編とのコラボ回の予定だよ~」

龍哉・陽菜・愛美「それでは次回もお楽しみに!!」


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変身の時間

今回は1万字近くあります。

ちょいちょい恋愛劇が混じってますのでご注意を

でもって龍哉のチートっぷりの一端がまた出てきます。


―――授業後

 

龍哉は保健室に陽菜乃を連れていくとケアを行い、律を説教して…

 

「待てゴラ」

 

「ニュアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

校舎内で殺せんせーを銃と布を手に暗殺しようとしていた。

 

ちなみにその勢いはすさまじいもので…

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

「ちょ、龍哉、落ち着けぇ!!」

 

「やばい、あいつ今までの時とは別ベクトルでキレてる!!」

 

他の生徒達(主に男子)が巻き込まれていた。

 

「と言っても龍哉君の怒りはねぇ…」

 

「これ以上やり過ぎるようなら止めましょう」

 

「どうやって?」

 

「それ以上皆に迷惑かけると倉橋さんに嫌われちゃうよ、とか?」

 

と有希子が言った途端にビタッという効果音が出たかのように動きを硬直させて止まった龍哉がいた。

 

((((((((((そんな簡単に止まるのかよ!!チョロすぎんだろ!!))))))))))

 

「……止まったね」

 

「ああ」

 

「……た、助かった~~~」

 

ほっと一息ついたのは大河、友人、カルマに加え、なぜか渚だった。

 

他の男子生徒も巻き込まれいたのだが上記4人が一番被害にあっていた。

 

…友人だけは宥めるため自分から率先して近づいていたので、不憫に思った何人かがフォローに行った。

 

「…ごめん、つい…」

 

「いや、いいよ…さすがにあれはキレてもしゃーないって」

 

「うん、大河とカルマと渚を巻き込んだことには悪かったと思ってないけど、他の皆はごめん」

 

「ちょっと待て、おい」

 

「なんで俺らを巻き込んだことは悪いと思ってないわけ?」

 

「大河はなんか鬱陶しくなりそうだから、カルマは弄ってきそうだから、渚は陽菜を気絶させたから」

 

「「「理由それ!?」」」

 

「…とりあえず、龍哉をあれ関係で弄るのはやめておこう」

 

「そうするのが一番だよ、中村さん」

 

「分かってるよ~あれ見た後じゃ流石に…ね…」

 

「…俺は陽菜の様子見てくる」

 

そう言って出ていった龍哉、そして今まで巻き込まれていた3人は…

 

「く…なんであいつばっかり…」

 

「そういうところが龍哉は鬱陶しいって思ってんじゃねーの?」

 

「うぐ…」

 

「ちっ…あいつが顔赤くなるなんてレアだと思ったのに…」

 

「そういう風に弄ろうとするからだろ、またやられんぞ…もしかすっともっとやばいことになるかもしれないぜ」

 

「…龍哉そこまでするかな?」

 

「どうだろうな」

 

「僕何かしたっけ?」

 

「「「「「「「「「「お前は自分の発言を振り返れ」」」」」」」」」」

 

「ほぼ全員に突っ込まれた!?」

 

「渚、あれは渚が悪いと思うよ」

 

「茅野まで!?」

 

そして授業が始まったが…陽菜乃はともかく、龍哉も戻ってこなかった―――

 

==========

 

―――保健室

 

そこには先程気絶した陽菜乃とイリーナ先生がいた。

 

「イリーナ先生」

 

「あら龍哉、聞いたわよ~」

 

「…あいつら…」

 

「まぁ、良かったじゃない、こーんな可愛い彼女が出来て」

 

「…ありがとうございます」

 

「それじゃ、私も授業の準備があるから行くわ、恋人同士、ごゆっくり」

 

そう言ってイリーナ先生は出ていき、龍哉と陽菜乃だけが残った。

 

龍哉は改めて陽菜乃の顔をじっと見ることになったが…

 

(…本当、可愛らしい」

 

思わず、声が出てしまうが、もはや構わないといったところか

 

事実、ぷっくりとした唇に先程まで赤面していたためか頬はピンク色、長いまつげに今は閉じているが目はクリッと大きい。

 

(…俺は…今、幸せだ…父さん達が望んでいたのは…こういうのだったんだろうな…)

 

どこか空の下で両親が親指をグッと立てているシーンを思わず考えてしまう龍哉…

 

そして全く同じシーンをE組校舎の空でやられていたが、そんなの龍哉が知るはずもなかった。

 

(…こりゃ、次の授業は無理だな、しゃーない、俺が…ん?)

 

授業に出て陽菜乃の分もノートをとっておこうと思った矢先に、保健室の()がノックされる。

 

(誰だ…他の皆ならドアから声をかければいいのに…)

 

不審に思って龍哉は警戒心MAXで窓に近付くとそこには…

 

(あれは…クリムおじさんのシフトカー…ってやつだっけ?何でここに?)

 

窓をノックしていたのは昨日龍哉が使ったシフトフォーミュラだった。

 

なぜここにいるのか、という疑問もあり龍哉は窓を開けてシフトフォーミュラを手に取る。

 

「龍哉、良かった、まだ学校にいたか」

 

「クリムおじさん、一体どうしたの?何があったの?」

 

「すまない、敵の策略によって君の存在が連中にばれてしまった!」

 

「っ!!」

 

龍哉は大声を上げて驚きそうになったがギリギリのところで手で口を塞いで事なきを得る。

 

「どうしてそんなことに」

 

「…我々警察の上層部の一部に、ロイミュードが潜り込んでいた…その時の策略がまだ生きていたのだ」

 

「…真影壮一の時に残っていたのが機能していたってわけ?」

 

「ああ、龍哉、今すぐ学校から出るんだ、そっちに刑事が向かっている」

 

「…冤罪で逮捕なんてされてたまるか、分かった、すぐに…いや、ちょっと待って」

 

と言ってシフトフォーミュラを窓枠においた後、龍哉は保健室の机の上にあるメモ用紙に何事か書き記してそれを陽菜乃の手に握らせ、そして…

 

「…いきなり、約束を破っちまってごめん、でも、必ず、陽菜のところに帰ってくるから」

 

自分の手で陽菜乃の手を握ってそう言うと額にキスをする。

 

「ほほう…」

 

当然、その光景は一部始終シフトフォーミュラを介してクリムおじさんに見られていた。

 

「ごめん、おじさん」

 

「いや、いいさ、君の戦う理由がはっきりとしているようで安心したよ」

 

「…あ」

 

今更ながらに一部始終を見られていたことに気づく龍哉…結構抜けている。

 

「大丈夫かね?」

 

「ああ、挨拶もしたし書置きも残した、連絡用に携帯も持ってるから問題ない」

 

「では行こう」

 

「おう」

 

そう言って龍哉がシフトフォーミュラと共に逃げ出した後、保健室に様子を見に来たイリーナ先生により龍哉がいないことが発覚するのは、もう少し先の事である。

 

==========

 

―――久留間運転免許試験場

 

「泊さん!!」

 

「あ、龍哉君!!」

 

「龍哉、無事に合流できて何よりだ」

 

「うん、でもどうして…」

 

「実は、君の事を話していたところに…ね」

 

「今、霧子達は捕らわれ、私と進ノ介、そしてチェイスと剛が無事という状態だ」

 

「そっか…剛さんって?」

 

「霧子の弟だ」

 

「あ、白いライダーさんですね」

 

「ああ…」

 

「で、今はどんな状況なんですか?」

 

「仁良の奴は何とか倒したんだが…」

 

「ブレン、敵のロイミュードの言った1体が超進化体になってしまっていてね…また取り逃がしてしまった」

 

「そうですか…昨日のニュースでやってたんですね、俺、マスメディアが心底嫌いで…見てなかったんです」

 

「まぁ、あの事件の後、君の元には殺到しただろうからね…気持ちはわかる、だが、こういう時のためにいくら嫌いでも最低限の情報は掴んでおくべきだ」

 

「はい、すいません」

 

「それより、どうやってここまでこんな短時間で?」

 

「あ、フリーランニング使ってきました…子供の頃教わって、海外生活の間に極めたんで」

 

「…フリーランニング?」

 

「木々や岩場を使って道なき道を行く技術だ、極めればビルからビルへ飛んでいくこともできる」

 

「ええ、それでここまでフォーミュラの先導で走ってきました、ビルの上なんてヘリがない限りばれないでしょうし」

 

(もしかしてさっきチェイスが気にしてたのって…)

 

どうやら街中での戦闘中に龍哉がフリーランニングで飛び回っていたのにチェイスが気づいていたようだが、チェイスも見間違いと思ったので告げなかったが、見間違いではなかったようだ。

 

ちなみに後日これを知ったチェイスは―――

 

「お前は、忍者の末裔なのか?」

 

「んなわけねーだろ!!」

 

「いくら手から炎を出せたり白光線を出せる龍哉君でもそんなわけ…な…」

 

「…あれ見た後だとね」

 

「ああ、天井を蜘蛛みたいに張り付いて移動してくる時点ですげぇよ」

 

「……ただの武道一家です」

 

「そうか(しょんぼり)」

 

(((((((なんでそんなにがっかりしてるんだよ!!)))))))

 

と、頓珍漢な質問して答えにがっかりしていたそうな。

 

「で、これからどうするんです?」

 

「俺達は仁良を追う」

 

「分かりました、俺は残った人たちをフォーミュラと一緒に助けに行きます」

 

「うむ、頼む」

 

「はい、あ、そうだ、泊さん、クリムおじさん」

 

「ん?」

 

「なんだい?」

 

「あのですね…」

 

何か相談し、龍哉が進ノ介に何かを渡し、龍哉はドライブピットの地下入口の方に、進ノ介はそのまま正面入り口から仁良を追った。

 

==========

 

―――霧子達のいる牢屋

 

「どうなるんだろう」

 

「進ノ介達を信じて、待ってりゃいい」

 

「そうは言うけどさぁ~」

 

西城究のボヤキに追田現八郎がもっともな反論をする。

 

「龍哉ちゃんには、申し訳ないことをしてしまいましたね」

 

「そうですね…」

 

「本当、彼のご両親に合わせる顔がないわ」

 

「…そんなに気にしなくても大丈夫ですよ」

 

「気にするわ…え?」

 

バッと全員が廊下につながるところを見るとそこには龍哉がいた。

 

「龍哉君!?」

 

「どうしてここに!!」

 

「ま、まさか…」

 

「あ、ここの見張りの人達は気絶して(眠って)もらってます」

 

「…クリムちゃんですね」

 

「はい、フォーミュラを使って教えてくれました」

 

「そうですか、泊ちゃんとチェイスちゃんは?」

 

「泊さんは仁良って奴を追ってます、チェイスさんは…分かりません」

 

「そうですか、でも、彼ならきっと大丈夫です」

 

「…そうだといいんですが…」

 

「大丈夫だよ、龍哉君、チェイスは、とっても強いから」

 

「…分かりました、今までチェイスさんを見てきた皆さんを信じます、下がってください、今出れるようにします」

 

「出れるようにって…まさか、鍵を壊す気じゃ…」

 

「それをしちゃうと後がめんどくさそうなんで、鍵をちょろまかしてきました」

 

(((((何気にやってることが犯罪)))))

 

「使った後は戻しておきますよ、それならばれないでしょうし、ばれなきゃ犯罪じゃないんですよ」

 

「…本来、捕まえなければならないんですが、事情が事情です、目をつむりましょう」

 

「ありがとうございます」

 

そうしてカギを開け、龍哉達はドライブピットを目指して脱出した。

 

==========

 

―――E組校舎

 

少し前から、昇降口近くで2人の刑事と烏間先生とイリーナ先生が言い争いをしており、それを教室から生徒達が不安そうな顔をしてみていた。

 

「だから、出せといっているだろう!!」

 

「居ないといっている」

 

「居ないってそんなわけがないだろう!!今日、登校しているのは調べがついているんだ!!!」

 

「居ないものはいない、そのくらいわかっていただきたい」

 

「そうよ、私の授業になったのにいないから保健室に行ったらいないんだもの、そして誰も見ていないのよ、ならこの教室内にはいないってことじゃない」

 

「バカげたことを言うな!!」

 

「そうだ!!この教室以外に入れるような場所なんてこの近くにはないぞ!!」

 

一方、教室では

 

「律ちゃん、どうなの?覇月君は」

 

「お兄ちゃんはどうやら犯罪者と扱われているようです、こちらを見てください」

 

そう言って律が表示したモニターには仮面ライダーとなったロイミュードことチェイスの設計者の1人として扱われているようだ。

 

「そんな…」

 

「どうして…」

 

「どうやら、お母さんがこのチェイスという仮面ライダーさんの基本人格プログラムの基礎を構築したみたいで、それが原因でああなっているようです」

 

「そんな!!」

 

「おいおい、龍哉は全く関係ないじゃないか!!」

 

「あ、もう一つありました、お兄ちゃんはどうやら子供の頃にお母さんを介して泊進ノ介刑事が変身する仮面ライダーの設計者さんと友好的な関係があるからだそうです」

 

「…それだけで!?」

 

「まるで、何かに仕組まれているみたいだ…」

 

「あ!!」

 

「お兄ちゃんからです…え、皆に見えるように?刑事は…来ていますけど…え、一緒に?…分かりました」

 

「どうしたの?」

 

「お兄ちゃんが、今から撮影するものを記録して、LIVEでE組にいる皆さん(・・・・・・・・)に見ていただきたいそうです」

 

「それって殺せんせーもってこと?」

 

「いえ、今烏間先生達が応対している方達もです」

 

「はぁ!?」

 

「龍哉の奴、何考えて「皆!!」」

 

「倉橋さん」

 

「目覚ましたんだ」

 

「うん」

 

「あれ、それは?」

 

「あ、これ、龍君の置手紙」

 

「…なんて書いてあるんだ?」

 

「えっとね、

『陽菜へ

急にいなくなってこんな手紙だけで済ませてすまない

緊急事態がだから教室から少し抜ける

実は、仮面ライダーの泊さんの父親を殺した真犯人に俺も狙われているそうだ

だが、俺には仮面ライダーさん達と一緒だし、なにより

「ねぇ、ここ飛ばしていい?」

 

「ダーメ」

 

「全部読んで~」

 

中村とカルマが悪魔の耳と尻尾を生やして顔を真っ赤にしている陽菜乃に言うが、中々口を割ろうとしない。

 

「……うぅ~、龍君…ごめんね」

俺の大切な恋人(ヒト)のもとにちゃんと帰るって心に決めてるから、大丈夫だ

 

流石にこんなストレートな一文とは思わず全員赤面してしまう。

 

「続き読むね」

今回の件はかなり厄介だ、多分刑事が来てたりするだろうけど、

途中で律に動画か何かを撮ったのを見てもらうから、

殺せんせーには教室の隅っこで保護色になってもらって

その刑事さん達と一緒に見てて

多分俺の予想通りだとその刑事さん達にとっては

晴天の霹靂の出来事になるだろうから

 

時間がないからこのくらいでとどめておく

 

最後に、陽菜

「本当にこれは読ませないでくださいお願いします」

 

「あ~、いいよ、さっきので大体想像つくし」

 

「しっかし龍哉ってはっきり言うよな~」

 

「でも前原ん時からそうだったじゃないか」

 

「あ~、確かに」

 

「言ってた言ってた」

 

「うぅ~、とりあえず、烏間先生とイリーナ先生呼んで来ようよ、言い争っている人達も」

 

「では先生は保護色になって隠れていますね」

 

「「「「「「「「「「「は~い」」」」」」」」」」

 

そうして刑事達と烏間先生達が一緒に教室に入ってきて、律が龍哉の携帯から送られてきている動画を見せる。

 

そこに映っていたのは―――

 

==========

 

―――記者会見場

 

ここでは、仁良光秀とブレンこと能見壮が記者会見を行っていた。

 

題材は無論、自分達がでっち上げた仮面ライダー達の犯罪についてだ。

 

ただ、その目論見が砂上の楼閣であることに全く気付かずに…

 

奴らの会見が最高潮に足した時…

 

「だが、それは間違いだ」

 

進ノ介、チェイス、剛、唐沢ゆかり、龍哉が入ってくる。

 

「な、なぜここに!!」

 

そこで進ノ介がネタ晴らしをする。

 

屈辱に顔をゆがめる2人…だが…

 

「そ、そんなものいくらでもねつ造が出来る!!」

 

「ブフッ!!」

 

「くっ…」

 

「…ふぅ」

 

「うっわー」

 

と、ブレンが叫んだ瞬間唐沢ゆかり以外全員が笑う。

 

「な、何がおかしい」

 

「いや、ここまでうちの参謀の考えが当たるなんてな」

 

「まったく大した男だ」

 

「…俺の考え通りのセリフをありがとう、負け犬コンビさん」

 

「なんだと!!」

 

「どういうことだ!!」

 

「教えてやるよ、あんたらは俺達を警戒していた、だが警戒していたのは仮面ライダーとしての力とかだけ、俺達の考えや計略、策謀と言ったもんには全く無警戒だった」

 

「何…」

 

「俺はお前達を泊さんが追えば逆に追い詰め、仮面ライダーの力は奪うがそれ以外のものは奪わないと考えた…そして、それはあたりだった」

 

そう言って龍哉は進ノ介の元に行くとスーツの外側の胸ポケットから携帯電話を取り出す。

 

「それは…」

 

「皆ご存知、携帯電話だ…いやー、今の携帯はすごいね」

 

「ま、まさか…!!」

 

「そう、あんたが今思い至った考えを実行したのさ」

 

「…携帯電話で、我々の行動を録画するとは…」

 

「ああ、だがそれだけじゃお前達に気づかれたらパーだ、だから俺は保険も掛けといた…もっとも、お前らが気が付かなかったから無用に終わったがな」

 

「…くっ」

 

「そして、それだけじゃないんだよな、これが」

 

「えっ?」

 

「まだあるのか?」

 

「ええ…遅い「龍哉、待たせたな」お祖父ちゃん、間に合ったね」

 

そこに秀治が現れた…両脇に大人2人を抱えて…

 

「…お祖父ちゃん、絞め落してないよね?」

 

「問題ないわ、起きんか」

 

秀治が連れてきたのはE組校舎にいた2人組の刑事だった。

 

「お、お前達は…」

 

「ふん、貴様達のような阿呆で分からずやでも自分が送り込んだ部下のことは覚えておったか、そうよ、龍哉を捕まえようと、ありもしない冤罪で捕まえに来た愚かな奴らよ」

 

「さっきの録画はこの人達も見れるように俺が今通っている学校のPCにLIVE中継しておいた、今みたいにね」

 

「「!!!!!!」」

 

「つまり、こやつらにはお前達の所業について全て証言できる状態になっているということよ…いやはや、流石と言うべきじゃのう」

 

「警察関係者内にもあんたらの悪行を証明した、もう、逃げ場はないぜ」

 

そう龍哉が言うとブレンが仁良に赤いシフトカーのようなものを渡すと仁良とブレンが融合しロイミュードとなり、そこから脱出する。

 

「お祖父ちゃんはここにいて!!」

 

「うむ」

 

ロイミュードを追って龍哉達も出ていった。

 

==========

 

―――警視庁近く

 

進ノ介、剛、チェイス、龍哉は生身で追いかけていき、追いつくことに成功する。

 

「もう逃げられないぞ、仁良!!」

 

「観念するんだな」

 

「もう、王手もチェックメイトもかかってる、詰んでるんだよ」

 

「ふん、お前たちを倒せばいいだけの事だ」

 

「それはどうかな」

 

そういうと進ノ介はクリムおじさんを、剛とチェイスは青いドライバーを、そして…

 

龍哉も、赤いドライバー(・・・・・・・)を腰に巻き付ける。

 

「な、なんだそれは!!」

 

「クリムおじさんが隠していた、俺のための力さ」

 

「最終手段だったのだがね、だが、四の五の言っている場合ではなくなったのでね」

 

「剛!!チェイス!!龍哉!!いくぞ!!」

 

「ああ」

 

「オーケィ」

 

「はい!!」

 

進ノ介の声に龍哉達が返事をして、それぞれの変身ツールを使用する。

 

進ノ介はシフトトライドロンのスイッチを押してシフトブレスに装填する。

 

剛はサイドカー型のシグナルバイクを折り畳んでスロットに装填してカバーを閉じる。

 

チェイスは黒のシグナルバイクをスロットに装填してカバーを閉じる。

 

龍哉は前方2輪、後方1輪の3輪車型のシフトカーの後輪を90度回し、『R』の字が見えるようにスロットに装填してカバーを閉じる。

 

「(ファイヤー!!オールエンジンズ!!)」

 

「(シグナルバイク!!)」

 

「「((シグナルバイクシフトカー!!))」」

 

「「「「変身!!」」」」

 

「ターイプ!!トラーイドローン!!」

 

進ノ介がレバーとなったシフトトライドロンを倒して仮面ライダードライブタイプトライドロンに、

 

「ライダー!!デーッドヒート!!」

 

剛が仮面ライダーマッハデッドヒートに、

 

「ライダー!!チェイサー!!」

 

チェイスが仮面ライダーチェイサーに変身する。

 

「ライダー!!バースト!!」

 

そして、龍哉にも白色を基調とした赤、青、黄色の配色の装甲が装着され、左肩にタイプワイルドのように小型のタイヤが装着される。

(イメージとしてはゴッドガンダムです、ただし背中の六枚羽はマッハのようにスカーフ?になってます)

 

「仮面ライダードライブ!!さぁ、ひとっ走り付き合えよ!!」

 

「追跡!撲滅!いずれも~マッハ―!仮面ライダーマッハ―!!」

 

「仮面ライダーチェイサー」

 

「俺は…仲間と、大切な人との明日を、未来を守る新たな戦士、仮面ライダー…バースト!!」

 

「やってしまいなさい!!」

 

下級ロイミュードが6体現れる。

 

「あいつらは俺達がやろう、剛、龍哉、行くぞ」

 

「何でお前が仕切ってんだよ!!」

 

「はい、ちゃっちゃと片づけて進ノ介さんを援護しましょう!!」

 

そう言って龍哉とチェイスは下級ロイミュードに挑みかかり、剛も遅れて参戦し、それぞれ2体ずつ相手取る。

 

「はぁぁぁぁ、ズァ!!」

 

龍哉の一撃一撃は強く重く、下級ロイミュードでは手も足も出ないようで2対1だというのに完全に圧倒している。

 

「すっげ」

 

「あれぐらいはやるだろうな、何せ、フォーミュラをあっさりと使いこなしていたしな」

 

「まじかよ…」

 

攻めながら龍哉はりんなさんに言われたことを思い出していた。

 

『(いい、龍哉君、これはクリムがもしもあなたが傷心状態から脱して一緒に戦うときが来たら、と言う時のために作っておいた、あなた用のドライバーよ)』

 

『(これはあなたの得意技の気功術にも対応しているわ、だから普段通りに戦えるはずよ)』

 

『(でも、調整とかは完全じゃないわ、だから無理をすると一発で壊れちゃうから、十分に注意して使ってね)』

 

(でも、これなら…行ける!!)

 

龍哉はどうやらこの短時間でどのくらいなら壊さずに戦えるかをつかんだようだ。

 

それと時を同じくして周囲の戦況も完全に仮面ライダー側に向いたようだ。

 

「ヒッサーツ!!フルスロットォーール!!コウジーゲンバー!!」

 

「ヒッサツ!!フルスロットル!!デーッドヒート!!」

 

「ヒッサツ!!フルスロットル!!マッテローヨ!!………イッテイーヨ!!」

 

「ヒッサツ!!フルスロットル!!バースト!!」

 

仮面ライダードライブタイプトライドロンのヒッサツの一撃が仁良とブレンの融合ロイミュードを撃破し、

 

マッハのゼンリンシューターによる強力な攻撃が下級ロイミュードを2体撃破し、

 

チェイサーのシンゴウアックスの振り下ろしを横振りが同じく下級ロイミュードを2体撃破し、

 

「俺のこの掌が輝き吠える!!仲間の、大切な人達を守れと雄たけび上げるぅ!!爆裂(バァァァクレツ)!!バァァァストォォォフィンガァァァァァァ!!!!」

 

龍哉の口上付きの掌から放たれた必殺技―右手全体を覆うカバーが付き、そこから白い光線のようなものが放出された―が2体の下級ロイミュードを纏めて葬り去る。

 

なお、この一撃の威力に周りで見ていた他の面々が唖然としていたのは言うまでもない。

 

「あとはお前だけだ、ブレン!」

 

「年貢の納め時というやつだ」

 

「な、なにを」

 

ブレンが反撃しようとするが、4人がかりの連続攻撃に手も足も出ない。

 

「いくぞ、とどめだ!!」

 

「ヒッサーツ!!フルスロットォーール!!トラーイドローン!!」

 

「ヒッサツ!!フルスロットル!!デーッドヒート!!」

 

「ヒッサツ!!フルスロットル!!チェイサー!!」

 

「ヒッサツ!!フルスロットル!!バースト!!」

 

「「「「はぁぁぁぁであぁぁぁぁ!!」」」」

 

4人からそれぞれ放たれたライダーキックが順々にブレンへと直撃し、ブレンは爆炎に消える。

 

そして、進ノ介の手によって仁良は逮捕され、こうして、今回の事件は幕を閉じたのであった。

 

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第八回、進行の龍哉だ…今回もまた特別編だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です!!」

龍哉「今回は今話で俺が変身した仮面ライダーバーストについてだ」

陽菜「まさか後書き(こっち)じゃなくて本編でやるとはね」

龍哉「作者曰くこれは最初から決めてたそうだ…画力0だから挿絵なしで誠に申し訳ない」

陽菜「変身後の姿は元ネタのお父さんの機体がモデルなんだよね?」

龍哉「そう、ゴッドガンダムね、最も完全に一致しているわけじゃないけど」

陽菜「あれがそのまま仮面ライダーとか…ちょっと怖いね」

龍哉「言うなそれは…まぁ差異点は以下のようだ」
・フェイス:チェイスのフェイスが左右対象になり、アンテナが金に、ベースカラーが白、オープンドアイは緑色になっている。
・ボディ:マッハのものをベースとし、中心部にエネルギーマルチプライヤーがあり、両肩、太腿に向けて赤いエネルギーラインがある。
・バック:マッハのようにスカーフ型のスタビライザーが白色が2対、赤色が1対ついていて、ブースターはない。
・アーム:肩は右肩はチェイスのようになっている。左肩は小型タイヤが装着されており、シグナルバイクを交換した時のマークがここに出る。また、前腕部にはスライド式の黄色の爪が付いた籠手がついている。
・レッグ:脹脛の部分に小型のブースターがついており、踵には小型の鎌が、爪先から足の甲には鋭いエッジがついている。

陽菜「ドライブの仮面ライダーをゴッドガンダムに近づけたって感じだね」

龍哉「そう、ドライバーは以下のようになってる。」
・正式名称:バーストドライバークロス
・形:マッハドライバー炎の青色の部分を赤色に、それよりも少し横に広いため、マッハドライバーでは装填できないシフトトライドロンを装填可能
・性能:他のドライバーとは違い最初から装着者を龍哉と定めて作成されたため、龍哉以外には使うことは出来ず、特技である気功術の使用が前提とされている。

陽菜「まさしく龍君のためのドライバーだね…あれ?」

龍哉「どうしたの?」

陽菜「専用武器はないの?」

龍哉「りんなさんに聞いたら現在開発中だとさ」

陽菜「もっと強くなるんだね!!」

龍哉「ああ、それで皆を…陽菜を守ってみせるさ」

陽菜「じゃあ、私は龍君の返ってくる場所になってあげるから…無事に…帰ってきてね」

龍哉「ああ、約束する」

龍哉・陽菜「それでは次回もお楽しみに!!」


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絆の時間

ようやくイトナ関係の時間が終わった~!!

しかしプライベートの時間がなかなか取れず約一月ぶりの投稿に…

申し訳ない。


特状課―――

 

「龍哉ちゃん、今回は協力してくれてありがとうございました」

 

「いえ、でも、これで俺も逃げ隠れしたり存在をうまく隠すことが出来なくなりましたね」

 

「あの場合は流石に隠しようがない、ま、しょうがなかったって割り切るしかないさ」

 

「それもそうですね」

 

「しっかし、お前さんかなり強いよな」

 

「子供の頃からずっと鍛えてきましたから」

 

「それでもあの強さは…すさまじいの一言だな」

 

「龍哉は先程自分を逮捕しに来た刑事2人を連れてきたお祖父さんが開いた流派の申し子と言われているからね」

 

「どんなのなんだい?」

 

「インド拳法を基に天と地の霊気を父母とし、天地自然の大いなる力をうけて生まれた拳法で、特定の型を持たずに自在に変化する無形の流派です」

 

「…よくわからないな」

 

「基本的な戦い方は空手家と似ていますね、ただ相手の動きに合わせて柔軟に対応できるのが特徴ですね」

 

「なるほどな」

 

「それに加えて実践的な戦闘訓練のようなものをよく父さんからやってもらっていたので…」

 

「なるほどな」

 

「皆さん、そこまでです、龍哉ちゃん、後の対応は我々大人、そして警察に任せてください」

 

「…はい、分かりました」

 

「ふむ、では龍哉よ、戻るぞ」

 

「はい」

 

「待て」

 

「ん?どうしたの?チェイスさん」

 

「送っていこう」

 

「別に問題ないですよ、ここからなら走ればまだ間に合いますし」

 

「そうじゃな」

 

「走って間に合うのかい?」

 

「「学校までこっから全速力で走ればおおよそ20分ぐらい」」

 

「「「「「いやおかしいだろ!!」」」」」

 

「…おかしいのか?」

 

「龍哉君、保険の意味もかねてあなたはチェイスに送ってもらったほうがいいわ、これから一緒に戦う仲間なんだし」

 

「…そうですね、分かりました…お祖父ちゃん」

 

「皆まで言わずともわかっておる、儂は儂でのんびり戻るとするわ」

 

「それじゃあチェイスさん、お願いします」

 

「ああ」

 

そして龍哉はチェイスと共に学校に、秀治は1人走って学校に戻っていった。

 

==========

 

「ここでいいか?」

 

「はい、送ってくださってありがとうございました」

 

「ではな」

 

そう言ってチェイスは踵を返してバイク―ライドチェイサーに乗って学校から去っていき、龍哉もE組に戻る。

 

「…どうなるんだろう…」

 

龍哉の心配していた、それは…

 

「陽菜に嫌われたらどうしよう」

 

恋人である陽菜乃に嫌われることだった。

 

「仮面ライダーと知り合いで変身できるっていうのを騙していたというか隠していたのは事実だし、それに一部巻き込んで殺せんせーに暗殺しかけたし、いや、でも…」

 

どうも仮面ライダーと先程の暗殺関連で陽菜乃が自分を嫌うかもしれないと思っているようだ。

 

「あ…」

 

E組に続く山道の入り口に人がいた、その人は…

 

「陽菜」

 

「龍君」

 

互いにゆっくりと歩み寄りあうが、途中で龍哉が怯えるように止まる。

 

「龍君、どうしたの?」

 

「あ、いや、その…」

 

「もしかして…さっきまでのこと?」

 

ビクッ!!

 

龍哉は何とも分かりやすく動揺する。

 

「…暗殺の事は桃花ちゃんから聞いたし、仮面ライダーさん達の事も律ちゃん介して全部見てたよ」

 

「あ、うん…」

 

「それでね、龍君に言いたいことがあるんだ」

 

「…何?」

 

「約束通り、無事に帰ってきてくれたね、お帰りなさい」

 

「!!」

 

「龍君、私ね、仮面ライダーさんの事と変身できることを隠してたことなんかで怒ったりしてないし、嫌ってもいないよ」

 

「…」

 

「言ってくれなかったことへの不満はあるけど、でも、龍君が決めたことだったら、応援してあげようと思って」

 

「陽菜」

 

「だって、私は龍君のことが」

 

そこまでで陽菜乃の言葉が途切れる。

 

理由は…

 

「陽菜、ありがとう…ただいま」

 

龍哉が感極まって陽菜乃を正面から抱きしめたからだ。

 

龍哉から告げられた言葉と行動に陽菜乃も抱きしめ返して答える。

 

「うん、改めて、お帰りなさい」

 

すっと離れる龍哉と陽菜乃…そしてしばし見つめ合い…顔を近づけていくと

 

―バキッ!!

 

木の枝が折れる音がしてバッと顔を離して音のした方を見ると…

 

「あ…」

 

ピンク色のにやけ面をした殺せんせーがいた。

 

その手にはメモ帳があるのをしっかりと確認した2人は…

 

「「殺す」」

 

2人ともナイフと銃を持って殺せんせーを追いかける。

 

「ニ、ニュアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

==========

 

「陽菜乃ちゃん、龍哉君と会えたかな?」

 

「心配する必要はない、龍哉はちゃんと陽菜乃ちゃんと会っておるわい」

 

「分かるんですか?」

 

「む?ああ、気で相手がどこにいるのか分かるからな…ただ…」

 

「ただ?」

 

「殺せんせーの気配も(龍哉達の)近くに感じるな」

 

「皆!!巻き込まれないよう逃げるぞ!!」

 

「「「「「「「「「「「おう(うん)!!!」」」」」」」」」」

 

「…確かに、龍哉は怒ると割と容赦ないしな、わしも逃げるとするか」(←ロヴロの時に実感済)

 

その後…校舎付近では…

 

「は、覇月君!!倉橋さん!!お、落ち着いてください!!冷静に話し合いましょう!!」

 

「大丈夫だよ殺せんせー、私達は冷静だよ」

 

「ああ、これ以上ないくらい頭は最っ高にクールだぜ」

 

「「だから大人しくそのメモ帳ごと死ね(死んで)」」

 

「それ冷静とは程遠くありませんか!?というか倉橋さん強くなってません!?せんせーもうお2人に合計で4本持ってかれてるですけど!?」

 

「ちっ、流石に速い…」

 

「龍君、狙いかえよ」

 

「それもそうだな、まずは…」

 

「「俺(私)達以外のタメにもなるあのメモ帳を消そう」」

 

「ダメですよ!!これは皆さんが卒業する時に実録小説の元ネタにするんですから!!」

 

「「ならなおさら消さないとね」」

 

「ニュアアアアアアアアアアアアアアア!火に油を注いでしまいましたぁァァァぁ!!!!」

 

「「というわけで!!」」

 

と、恋人同士の抜群の連携により屋外に関わらず追い詰められる殺せんせーが見られたと烏間・イリーナ両先生から他の生徒達は後程聞いたのだった。

 

==========

 

――放課後、全員集合したE組教室内

 

「…えーと、すまなかった、色々と」

 

「まぁ、そんなに気にしなくてもいいよ」

 

「しっかし、お前んちホントどうなってんだよ」

 

「…覇月君、1つ、確認したい」

 

「なんですか?」

 

「仮面ライダーの力、暗殺に使うのかね?」

 

「「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

「…いいえ、使いません」

 

「なんで!?」

 

「あんなに強い力なのに…」

 

「強い力だからこそ、だよ…仮面ライダーの力は人々を守る力(・・・・・・)、殺すための力じゃない」

 

「強すぎるから皆を巻き込まないようにするためだよね?」

 

「ああ、陽菜の言う通りだ、仮面ライダーバーストになると『どんより』現象を発生させられるが、発生させると俺以外は無防備になるからな、下手に流れ弾が飛ぶと危険だ」

 

「そっかー」

 

「ま、そういうことならしょうがないね~」

 

「…それにしても、イトナ君はどうなったんだろうね」

 

「あのシロって男、俺の知り合いであることは間違いないな…出なければあの時俺に対して攻撃を仕掛けてきた理由が想像つかん」

 

「でも、龍哉君はその人に覚えがないんでしょう?」

 

「ああ、というより俺より年上の人は基本的に親繋がりの人が多いからな、そっち方面から俺を恨んでいると考えるのが妥当だろう」

 

「そっか…」

 

「…でも驚いたわ、あのイトナって子、まさか触手を出すなんて」

 

「…ねぇ殺せんせー、説明してよ、あの2人との関係を」

 

「先生の正体今まで適当にはぐらかされてきたけどさ、あんなの見たら聞かずにはいられないぜ」

 

「俺達は先生の生徒だ、先生の事をよく知る権利はあるはずだぜ」

 

「……仕方ない、真実を話さなければなりませんねぇ…実は、実は先生」

 

ゴクッと皆が殺せんせーの言葉をつばを飲み込んで待つ。

 

「実は先生、人工的に作り出された生物なんです!!」

 

「………で?」

 

「え?」

 

「それで?」

 

「ニュヤ!!反応薄ッ!!これ結構衝撃告白じゃないですか?」

 

「…と言ってもね、殺せんせー、マッハ20で動けるタコなんて自然界いないよ」

 

「ま、それで次に考えられるのは宇宙人だが…」

 

「そんなわけないでしょう!!生まれも育ちも地球ですよ!!」

 

「と、本人が否定しているのでそれもありません、ですので人工的に作られた生物以外ありえないのです」

 

「そして堀部君は弟って言ってたから殺せんせーの後に研究成果を使って作られたか改造されたかと想像はつく」

 

陽菜乃、龍哉、律の言葉に生徒達全員が頷いている。

 

(察しがよすぎる!!恐ろしい子達です!!)

 

「知りたいのはその(・・)先だよ殺せんせー、どうしてこの間イトナ君が触手を出したことに怒ったの?」

 

「…殺せんせー、どういう理由で生み出されて、何を思ってE組(ここ)に来たのか、教えてくれねーか?」

 

「…………残念ですが今それを話したところで無意味です、先生が地球を爆破すれば、皆さんが何を知ろうと全て塵になりますからねぇ」

 

「だが、何も真実を知らないままでいるよりかはるかにましだと思うがな」

 

「ええ、ですがもし仮に君達が地球を救えれば…君達は後でいくらでも真実を知る機会が得られる」

 

「という事は」

 

「もう分かっているようですね、知りたいのなら行動は1つ…殺してみなさい、暗殺者(アサシン)暗殺対象(ターゲット)、それが先生と君達を結び付けた絆のはずです」

 

その殺せんせーの言葉に皆の顔つきが変わる。

 

「先生の中の大事な答えを探すなら…君達は暗殺で聞くしかないのです…質問がなければ今日はここまで、また明日!!」

 

そう言って殺せんせーは恥ずかしがりながら教室を出ていく。

 

そして殺せんせーの言葉を聞いて全員覚悟を決めた表情をして教室を出ていった。

 

==========

 

―――校庭

 

そこでは烏間先生、秀治指示のもと新しい訓練設備が整えられていた。

 

そこに…

 

「烏間先生!!秀治さん!!」

 

「む?」

 

「君達か、一体どうしたんだ、こんな大人数で」

 

「龍哉もか…なるほどな」

 

「あの…もっと教えてくれませんか、暗殺の技術を」

 

「…?今まで以上にか?」

 

「そりゃそうじゃろう、烏間よ、こ奴らの目をよう見んか」

 

「目を…!!」

 

烏間先生も皆がどういう覚悟を持ったのか気づく。

 

「今までさ、"結局ほかのだれかが()るんだろう"ってどこか他人事だったけど」

 

「ああ、この間のイトナをみて、龍哉の言葉で確信したんだ」

 

「「「「「「「「「「「誰でもない、俺らの手で()りたいって」」」」」」」」」」

 

「もしもこの先強力な殺し屋に先越されたら俺ら何のために頑張ってたのか分からなくなる」

 

「だから、限られた時間()れる限り()りたいんです、私達の担任を」

 

「殺して、自分たちの手で答えを見つけたいんです」

 

「ふふ、意識がまた一つ変わったこと、言葉でも確認できたな、烏間よ」

 

「ええ、とてもいい目をしています…分かった、では希望者は放課後に追加で訓練を行う、より厳しくなるぞ!!」

 

「「「「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」」」

 

「龍哉、放課後の訓練、お前には指導も実施してもらおう」

 

「俺も!?」

 

「以前言うとっただろう、希望する奴に護身術とかを教えたいと」

 

「でもお祖父ちゃん達が中々許可をくれなかったんじゃないか」

 

「当たり前ぞ、今日この時までの目つきでは、精神的に未熟で変に強力な技のみを覚えようとしかねん、そのような奴らに教えても無駄の一言!!」

 

「…まぁそれはそうだけどさ」

 

「じゃが、今なら問題ない、儂のほうから神奈に皆の分のこういう時の運動用の服を用意してもらっておくように言うておく、今後、好きな時にやれば良い」

 

「本当!!お祖父ちゃん、ありがとう!!」

 

「なーに、気にすることはない」

 

((((((((((秀治さん、めっちゃデレた顔してるなー))))))))))

 

「まぁ、今日は普段の体操着でやってもらおう」

 

「そうですね、では早速、新設したこの垂直20メートルロープ昇降、始め!!」

 

「「「「「「「「「「「厳し!!」」」」」」」」」」

 

「どこがじゃ?」

 

「割とコツ掴むと簡単だよ、見てて」

 

そう言って龍哉が両腕だけでスルスルスルっとロープを登り切って下りてくる。

 

「これ、瘻付きだから常に瘤の上に手や足を置くようにすれば行けるよ、ほら、やってみて」

 

「「「「「「「「「「「言うのは簡単だけどやるのは難しいんだよ!!」」」」」」」」」」

 

「うん、頑張る!!」

 

「ふん、大半の奴より倉橋さんのほうが根性あるのう…まぁ、龍哉が好きになった子じゃし、それも当然か」

 

「……何で知ってるの?」

 

「…律…」

 

「(∀`*ゞ)テヘッ」

 

「…おまえ、ほぼ全員に喋っただろ」

 

「いえ、殺せんせーとお祖父ちゃん達と烏間先生達だけです!!」

 

「…はぁ、お前、今日はタイミングが同じだったから見逃すが…マジで次はねーからな!!」

 

「うぅ…ごめんなさい」

 

「ま、まぁまぁ、家族公認でよかったじゃないか」

 

「…それもそうか」

 

((((((((((切り替え早っ!!))))))))))

 

そうして、皆で新設されたッ訓練器具で訓練し、龍哉が週末特訓することを約束してこの日は終了となった。

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第九回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

悠馬「ゲストの磯貝悠馬です」

龍哉「悠馬とってあんまり関わりなかったな、まだ」

陽菜「そういえば…」

悠馬「確かに、修学旅行以降ないよな」

龍哉「ほぼ作者が描写しなかったのが悪いんだけどな」

悠馬「まぁそれもそうだな」

陽菜「実際は結構仲良くしてるんだよね」

龍哉「まぁな、ちょいちょい互いの家行き来してるし」

悠馬「龍哉って来るとき弟達用にお菓子とか持ってきてくれるから結構助かってるんだよな」

陽菜(それって餌付けじゃ……)

龍哉「大体前原とかメグさんも一緒だけどな」

陽菜「そうなんだ…」

龍哉「そんじゃ本題行くぞ」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、悠馬が変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダーオーズ(原作:仮面ライダーオーズ)

龍哉「仮面ライダーオーズに登場する、火野映司ががオーズドライバーを使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜「あ~、これはピッタリだね」

悠馬「そうかな?」

龍哉「選択理由はぶっちゃけた話周りの奴のためには頑張るけど自分には結構無欲なところだ」

悠馬「それ言われると否定できないんだけど」

龍哉「最終的には自分の欲望理解して強さを得るんだよな」

陽菜「…なんか想像できないんだけど」

悠馬「俺も」

龍哉「安心しろ、欲望ってのは人それぞれだ…ぶっちゃけすでに理解してると思うがな」

陽菜「そうかな?」

悠馬「どうなんだろう…」

龍哉「ま、その辺は本人よりも前原君とかメグさんとか弟君達の方が理解してるかもな」

陽菜「あ~、自分のこと、自分じゃよくわかってなかったりするもんね」

悠馬「龍哉がいい例だよな」

龍哉「否定できん…それではこれで今回は終了、次回はメグさんだ」

龍哉・陽菜・悠馬「それでは次回もお楽しみに!!」


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特訓の時間

この話の前日譚です。

龍「あ、陽菜、明日俺んとこで皆と特訓する話だけどさ」

陽「どうしたの?」

龍「今日から泊まりに来て準備とか手伝ってくれない?」

陽「うん…えぇぇ!!」

龍「ダメ…か?お祖母ちゃんが用意してくれた服が大丈夫かの確認とかね、男子は俺がいるけど女子は…その場でだめだからって交換には時間かかるし」

陽「あ、そうだよね(うん、龍君が変な意味で誘うわけないよね)」

龍(本当はこんな理由もなく一緒に居たいからなんだがな…それでも陽菜のご両親を説得する材料がこれしかないし…くそっ)

その日、陽菜乃は龍哉の家で泊りがけで勉強すると言って覇月家にお泊りしましたとさ。


―――週末、覇月家

 

この日、E組生徒達の大半が家の門の前に集合していた。

 

「でけぇな…」

 

「で、まだ入っちゃダメなんだっけ?」

 

「ああ、龍哉が『俺やお祖父ちゃん達と一緒なら問題ないけど勝手には入ろうとするとセキュリティが発動してズタボロにされっから門の前に全員集合したら連絡してくれ』ってさ」

 

「いや、大丈夫なんじゃねーの?」

 

「そう思って私達も聞いてみたんだけど…」

 

「見せられた写真がさ…」

 

「どんなのなんだよ」

 

「「これ」」

 

そう言って悠馬とメグが出したのは…

 

【アフロヘアーになって所々にダーツが突き刺さってぶっ倒れている男の写メ】

 

「さすがに…」

 

「これは…」

 

「だろ?」

 

「で、連絡は?」

 

「それが…」

 

「まだ倉橋が来ていないんだ」

 

「…先に来てるとか、昨日の内から来てるってオチは?」

 

「……確認を兼ねて連絡してみるわ」

 

そう言ってメグが龍哉に連絡を取る。

 

龍哉もすぐに対応できるようにしていたのか反応は早かった。

 

「『もしもし、おはようメグさん、揃ったの?』」

 

「あ、おはよう龍哉君、いえ、まだ倉橋さんが来てなくて…」

 

「『へ?陽菜なら昨日から来てるけど?』」

 

「え、えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

「『あれ?昨日陽菜にちゃんと連絡するように言っといたんだが…』」

 

「聞いてないよ!!」

 

「『ちょっと待っててくれ……………すまん、どうやら忘れてたようだ』」

 

「はぁ、やっぱり…で、どうすればいいの?」

 

「『ちょっと待っててくれ、今迎えに行く』」

 

そう言ってメグは龍哉との電話を終了させる。

 

「なんだって?」

 

「今迎えに来てくれるって…それと、渚の言う通り、昨日から倉橋さんは来てたみたい」

 

「え、マジで!?」

 

「という事はまた泊まったってことだね」

 

「まぁ前回と違ってちゃんと許可とかとってるだろ、龍哉ってその辺ぬかりなさそうだし」

 

「そうだな、で、なんで倉橋さんは先に来てることを言わなかったんだろう…」

 

「龍哉君が聞いたら忘れてたそうよ」

 

「なんじゃそりゃ」

 

「まぁ、倉橋さんらしいよね」

 

「というより、恋人の家に泊まるから浮かれてうっかり忘れてたってことだと思うんだけど…」

 

「「「「「「「「「「「それ以外理由思いつかないけどね」」」」」」」」」」

 

と、そんなことを喋っていたら

 

「皆、すまない、待たせてしまって」

 

「龍哉」

 

「ううん、まだ指定された時間よりかは早いから迷惑かと思ったんだけど…」

 

「いや、全く…むしろそこまで真剣になってもらえるなんて、こっちとしても指導のしがいがあるよ…こっちだ」

 

龍哉の案内のもと、まずは居間に通される。

 

「荷物はここに置いといて、まずは着替え持ってくっから」

 

「あ、龍哉、倉橋さんは?」

 

「陽菜は今先に着替えてる、終わったら女子を道場に案内してもらってそっちで着替えてもらう」

 

「俺らは?」

 

「ここで、女子と一緒に着替えたいとかいう馬鹿はいねーよな?」

 

わずかに龍哉から放たれた殺気に思わず残像が見えるほどの速度で首を振る男子達に、女子達はちょっと呆れていた。

 

「龍君」

 

「お、陽菜、着替え終わったか、んじゃ女子連れてってさっき言った通りに」

 

「は~い」

 

そう言って陽菜乃が女子達と共に出ていき、龍哉達が残される。

 

「んじゃ、着替えはこれな、俺が子供の頃から愛用してるやつだから使いやすいと思う」

 

「お、マジで?」

 

「専門家推薦のか、これはいいな」

 

「それはそうと龍哉、倉橋さんのほっぺちょっと赤かったけど…」

 

「ん、ああ、昨日ちゃんと言っとけって言ったのにコロッと忘れてたからお仕置きと称してちょっと引っ張ったんだよ」

 

「あ~それで…」

 

「んじゃ、ちゃっちゃっと着替えてくれや、向こうが全員着替え終わったら陽菜から連絡くるから」

 

「「「「「「「「「「「りょうか~い」」」」」」」」」」

 

そうして皆が着替え終わって少ししたら陽菜乃から連絡があり、全員道場に集合した。

 

==========

 

―――覇月家道場

 

「んじゃ、始めようか…あ、メニューというか内容はこれな」

 

集合して龍哉から渡された紙に書かれていた内容は

有酸素(エアロビクス)運動系統×10種目

・コアトレーニング系統×10種目

・護身用のボディコントロール×10種目

etcetc…

 

と、普通に体を鍛えるつもりで来たメンバーからすればちょっと拍子抜けするような内容だった。

 

「…こんなんでいいのか?」

 

「ああ、まずは基礎体力とボディバランスを鍛えることからやっていかないとな」

 

「でもなんで?」

 

「まず、暗殺において筋肉はあり過ぎても無駄になる、もともと力勝負じゃなくてある意味技術力の世界だからね」

 

「そう言われれば…」

 

「確かに、力ずくってのはなんか暗殺とは言いづらいな」

 

「んで、目的だけどまず有酸素(エアロビクス)運動、こいつで基礎体力がつけておけば暗殺対象(ターゲット)を追い続けたり、狙い続けるのがたやすくなる」

 

「なるほどね」

 

「ついでに、脂肪燃焼効果とかも付随するからまぁダイエットとしても効果ありかな」

 

「「「「「!!!」」」」」

 

龍哉の言葉に参加している女子全員が反応する。

 

「次にコアトレーニングの目的はボディバランスの強化だ、ボディバランスが向上すれば困難な場所での行動もしやすくなる」

 

「例えば?」

 

「フリークライミングの授業でちょいちょいバランス崩しやすい場所があるけど、そういうところでも上手く動けるようになるんだ」

 

「へぇ~」

 

「私としてはぜひ覚えたいな!!」

 

「そうだね、岡野さんみたいなタイプは割と覚えておいて損はない…むしろメリットしかないね」

 

その後も龍哉の説明と解説が続き、全員が理解できたところで実際にやってみたのだが…

 

(以下ダイジェストでお送りします)

有酸素(エアロビクス)運動時

「ぜぇ…はぁ…ぜぇ…はぁ…」

 

「こ、これは…」

 

「き、休憩挟んでるのに…」

 

「ほらほら、もっとしっかり動いて!!効果なくなってしまうよ!!」

 

「「「「「!!!」」」」」

 

龍哉の言葉に女子達の動きの精度が上がる。

 

「それ、男子達!!女子に負けていいのか?」

 

「良いわけ…ない!!」

 

・コアトレーニング時

「うわ、ちょ、これきついきついきつい!!」

 

「ひ、膝が…肘も…」

 

「お、お腹が…お腹がぁ…」

 

「ほら、あともうちょいだから、それまで耐えろ!!」

 

と、休憩をはさみつつ皆で必死こいて続けました。

 

==========

 

―――夕方、覇月家道場

 

((((((((((チーーーーーン))))))))))

 

「あ~、やっぱりこうなったか…」

 

「こうなったかって…お前な…」

 

「まぁクールダウンも済んでるから、ちょっとこのまま休んでて俺は風呂の準備してくるよ、出来たら女子から入って」

 

「「「「「「…お言葉に甘えまーす」」」」」

 

「さてと、んじゃ沸かしてくるか」

 

そう言って龍哉は道場から出ていった。

 

「…そういえば、女子から入ってって言ってたけど…」

 

「多くても2~3人しか入れないわよね…」

 

「あ、それなら大丈夫だよ…龍君家のお風呂、スっごく広かったから…銭湯みたいに」

 

「…もう突っ込む気力もない…」

 

「同じく」

 

「後、薪炊きだからちょっと時間かかるかも…」

 

「古いな…おい…」

 

「しっかし…ほんと…ようしゃない…」

 

「でも…なんか…ちょっと…効果あったような…感じはする」

 

「とりあえず…もうちょっと…休もうぜ…」

 

それから数十分後…

 

「ごめん、遅くなったな…風呂が沸いたから女子から入ってくれ、場所は陽菜が知ってるから」

 

「ううん、長かったからだいぶ休めた…それじゃ、皆行こう」

 

「あ、着替えはちゃんと持っていってね、そのままだとまたその服に着替えないといけなくなりそうだし」

 

「っと、そうね」

 

「危ない危ない」

 

「それと着替え終わったら居間に戻ってて」

 

「「「「「は~い」」」」」

 

龍哉の忠告に女子全員荷物ごと風呂場の方に移動する。

 

「皆はもうだいぶましになった?」

 

「なん…とかな…」

 

「そっか、それと皆の荷物持ってきたよ、これで女子が出たら風呂に入んぞ」

 

「「「「「りょうか~い」」」」」

 

「それと、お祖母ちゃんが飯用意してくれてるから」

 

「「「「「うぉっしゃーー!!」」」」」

 

このさらに数十分後、女子が風呂から出てきたのだが…

 

その際に前原文句をぼやした瞬間岡野に蹴り倒されたのは余談である。

 

==========

 

―――夕食後、覇月家居間

 

「はい、皆今日はお疲れ様、帰宅する気力のある子はいる?」

 

「お祖母ちゃん、それもう聞く必要ないと思うよ」

 

「様式美、というやつよ」

 

そんな祖母と孫の会話を他所に…

 

「「「「「「「「「「「Zzz…………」」」」」」」」」」

 

全員疲れと満腹感から眠りこけていた。

 

「それじゃ、私は皆さんの親御さんに勉強合宿をやっていると説明してきますね」

 

「うん、お願い」

 

「あ、お布団は男子の分は道場に、女子の分は居間の方に敷いてありますから」

 

「ありがとう、お祖母ちゃん」

 

そう言って神奈が出ていき、龍哉はまず男子から運び始めた。

 

(皆重てぇからな、まぁこうやって、と)

 

肩を貸して左右両方に1人ずつ支える形で2人ずつ運んでいく。

 

(次は女子か…あれ?)

 

龍哉は敷かれている布団の数を数えておかしいと思った、何せ女子の人数に対して布団が1つ足りないのだ。

 

ちょうどそこに神奈が戻ってくる。

 

「あ、お祖母ちゃん、女子側布団足りなくない?」

 

「いいえ、それでちょうどですよ」

 

「いや、明らかに1つ足りないんだけど…」

 

「あら、陽菜乃さんは今日も(・・・)あなたの部屋に泊めればいいじゃないですか」

 

「あのね、昨日はある意味しょうがないから俺の部屋に止めたけど…ていうか客間まだ使い物になってないの!?」

 

「しょうがないでしょう、ロヴロさんと秀治さんが暴れたんだから」

 

「あの糞爺コンビ…(怒)」

 

「そういう事を言わない!!」(←いうと同時に龍哉をひっぱたいた)

 

「って!!…はぁ、分かった、陽菜は今日も俺の部屋に泊めるよ」

 

「それでいいのよ」

 

「ついでだから手伝って」

 

「ええ、分かっていますよ」

 

そうして神奈と手分けして陽菜乃以外を何とか床につかせる。

 

「んじゃ、俺も寝るから」

 

「ええ、おやすみなさい、龍哉」

 

「ん、お休み」

 

「ああ、1つ言い忘れてました」

 

「何さ?」

 

「私、初ひ孫は女の子がいいですね」

 

「気が早すぎるわ!!!」

 

「んっ…」

 

「!!」

 

「大きい声を出すと起きてしまいますよ」

 

(誰のせいだと…)

 

若干怒りに震えながらも、陽菜乃への愛からかすぐに立て直してゆっくりとお姫様抱っこで部屋に戻っていく。

 

そしてそんな龍哉を見て神奈がつぶやく。

 

「フフ…良くなりましたね、龍哉…陽菜乃さん、龍哉の事、よろしくお願いします」

 

==========

 

―――覇月家龍哉私室

 

「…ったく、こういう風ならあんな冗談いうなよ」

 

龍哉の部屋にはちゃんと布団が2つ(・・)敷かれていた。

 

「よいしょっと…」

 

まずは陽菜乃のを布団に寝かせる。

 

疲れから完全にぐっすりと眠り込んでいる。

 

「…お休み」

 

そう言って龍哉は陽菜乃の額にキスをして自分も床につき…

 

(…さすがに口には互いに起きてるときにしたい…でもなぁ…俺のヘタレ)

 

なんてことを考えていたのはこれもまた余談である。

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第十回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

メグ「ゲストの片岡メグです」

龍哉「メグも悠馬同様、あんまり関わりなかったな、今回冒頭まで」

陽菜「そういえば…」

メグ「確かにね」

陽菜「…あれ、でもよく話をしてるところ見たけど…」

メグ「本編に描写されないんだからしょうがないわ」

龍哉「そんじゃ本題行くぞ」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、メグが変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダーアクア(原作:仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX)

龍哉「仮面ライダーオーズ アンク復活と未来のメダルとつながる希望編に登場する、湊ミハルががアクアドライバーを使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜「うわ、これはピッタリだね」

メグ「…これ本編のネタバレにならない?」

龍哉「選択理由はまぁ原作を読んでいる人なら納得のチョイスだろう」

メグ「もう好きにして…」

龍哉「人の手助けを経て自分の弱さを受け入れて強くなるところなんか特にな」

陽菜「ちょっと龍君!?」

メグ「メタばれ自重して!!」

龍哉「といっても原作映画の方も見ていないと納得はいかんと思うがな」

陽菜「そこまで言う!?」

メグ「やりたい放題じゃない!!」

龍哉「しょうがないだろ、作者が悪い」

陽菜・メグ「いい加減にしなさい!!」

龍哉「へいへい…それではこれで今回は終了、次回は正義だ」

龍哉・陽菜・メグ「それでは次回もお楽しみに!!」


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球技大会の時間

前話の後日談

―翌朝、皆は寝落ちしたことと泊めてもらったこと、家族への連絡をしてもらったことに対して謝るために全員居間に集合していたのだが…

メ「あれ?倉橋さんは?」

桃「見てないよ…というより、昨日の夜からここにいなかったと思う」

神「うん、だってお布団が参加した女子の総人数分より1つ少ないから」

悠「ってことは…」

渚「客間じゃないかな?龍哉前によく客来るからそういう部屋があるって言ってたし」

大「倉橋だけ?それ贔屓じゃね?」

千「いや、覇月の祖父母達はどう見ても龍哉に甘い、そう考えると」

中「恋人の倉橋にも甘いってことか~」

悠「俺と片岡でいってみるよ、龍哉に前部屋教えてもらったし」

業「んじゃ、お願いね~」

そうして行った龍哉の私室で仲良く1つの布団(・・・・・)で仲良く抱きしめ合って寝てる2人を見て…

メ「…2人とも、何やってるのーーーー!!!」

メグの怒号が響き、何がなんやらよくわからぬまま説教される2人がいたそうな。

陽(…昨日の夜、寝ぼけて龍君の布団に入ってたなんて…)

龍(たかが添い寝ぐらいで何を怒ってたんだ、メグさん)

それでは本編をどうぞ!!



「クラス対抗球技大会…ですか、健康な心身をスポーツで養う大いに結構!!」

 

「クラス対抗ってことは団体競技のサッカーとかか?」

 

「覇月君、今から先生が説明します…おや?トーナメント表にE組がありませんねぇ」

 

「E組は本選にエントリーされないんだ、1チーム余るっていう素敵な理由で」

 

「その代わり、大会の締めのエキシビションに出なきゃなんない」

 

「エキシビション?ってことは見世物ってことか?」

 

「そう、全校生徒が見てる前で男子は野球部の、女子は女子バスケ部の選抜メンバーと()らされんだ」

 

「…そうか、こういうのに部活に所属している生徒は出場禁止されるから力示す場として設けられて…」

 

「トーナメントに負けたクラスもE組(俺ら)がボコボコに負けるのを見てスッキリ終われるし、E組(ここ)に落ちたらこんな恥かきますよって警告にもなる」

 

「ってことはいつもの(・・・・)やつか」

 

「そうよ…でも心配しないで殺せんせー、龍哉君が最近鍛えてくれたから」

 

「っていっても基礎体力と体幹整えて最小限の動作で最大限の力発揮できる動きの基礎教えただけだぜ?」

 

「…最近、皆さんの暗殺が強力になりつつあったのはそのせいですか…」

 

「ううん、スポーツやってた私からするとかなり効果あるよ」

 

「うんうん、私も最近踊るのだいぶ楽になったし」

 

「私も」

 

「俺らもな」

 

「そっか、なら、どうせなら白星取りに行くか」

 

「出来るの?」

 

「お任せを、ゴール率100%のボール射出機を作成しました」

 

「お前は男女両方のマネージャーな、律…そもそもヒューマンボディじゃないから出れないだろ」

 

「あッ…」

 

「あはは…」

 

「でも、そのボール射出機でどうシュートすれば入れやすいか、とかは研究できるだろう、お前の能力(チカラ)をフルに発揮して助けてくれればいい」

 

「お兄ちゃん…はい、全力でサポートさせていただきます!!」

 

そうして律、メグを中心に作戦会議を始める。

 

「おし、んじゃ女子の方はこれでいい…俺らのほうは?」

 

「龍哉君が律や片岡さんと話してる間に寺坂君達が帰っちゃった、晒し者は勘弁とかで」

 

「ん~、まぁ人数はそろってるから問題ないね」

 

「そりゃそうだけど…」

 

「で、野球ったら友人か、どうなんだ?実際のところ」

 

「…無理だよ、最低でも3年間野球してきたあいつらと、ほとんどが野球未経験のE組(俺ら)、勝つどころか勝負にならねー」

 

「そんなに強いのか?まぁ文武両道ってなると全国クラスはあるんだろうな」

 

「…まぁな、龍哉が言った通り、全国大会に出場できるぐらい強いんだ、それに今の主将の進藤、剛速球で高校からも注目される」

 

「ってことは150Km/hぐらい出すのか?」

 

「いや、140Km/hぐらい」

 

「覇月君、中学生の最速は145㎞/hです、150Km/hなんて高校野球クラスですよ、ちなみに平均は110㎞/hなのでかなり速い方ですね」

 

「へぇ…」

 

「それで、俺はその進藤にエースの座を奪われたんだ」

 

「…!!」

 

「勉強もスポーツも一流とか、不公平だよな人間って」

 

「…そう言って、逃げて誤魔化す気か?自分の本心を」

 

「…いいや、龍哉に鍛えてもらって、白星を上げようって言った時に、俺もそうも思った、善戦じゃなくて勝ちたいって!!」

 

「見返すためか?」

 

「違う!!好きな野球で負けたくない、追い出されてE組(ここ)にきてその思いは強くなった、自分と向き合いだしてどんどん強くなって、その強さを俺らにも惜しみなく出してくれる龍哉に会って、もっともっと強くなった!!」

 

「ってことはだ」

 

「ああ…E組(みんな)とチーム組んで勝ちたい!!…まぁでも難しいよな、殺せんせー」

 

と、全員が友人から殺せんせーに視線を戻すと野球の衣装に着替えてバット、グローブ、ボールに加えてなぜか野球盤を持っている殺せんせーがいた。

 

しかもその表情はスっごくわくわくしたものになっている。

 

「おっ………………おう、殺せんせーも野球したいのはよく伝わった」

 

「ヌルフフフフフ、先生一度スポ根モノの熱血コーチをやりたかったんです」

 

「でも俺らに危害加えれねーから体罰は出来ねーぞ」

 

「ええ、ですからちゃぶ台返しで代用します」

 

「「「「「「「「「「「「用意よすぎるだろ!!」」」」」」」」」」

 

「イトナ君が来た後、君達は目的意識をはっきりと口にするようになりました、()りたい、勝ちたい、どんな困難な目標に対しても揺るがずに」

 

そして殺せんせーのバックには炎が見える。

 

「その心意気に答えて、殺監督が勝てる作戦とトレーニングを授けましょう」

 

==========

 

―――球技大会当日、体育館

 

まずは女子バスケの試合が行われているのだが…

 

「…おい、おい……」

 

「これは…」

 

「まさか…」

 

「龍哉、お前、何した?」

 

「ん?陽菜が勝ちたいって言ったから一緒に練習しただけ、途中で何人か増えて、そのまま続けただけ」

 

「「「「「「「それであれはおかしいだろ!!」」」」」」」

 

「皆勝つっていう気持ちからモチベーションが高かったね、俺もつい調子に乗っていろいろ教えちゃった」

 

龍哉達は自分達の試合まで時間があるので女子バスケの試合を見ているのだが…

 

ビシィッシュッガガッシュ!!

 

コート内にいる岡野やメグ、有希子、桃花、速水が素早く相手のボールをカットしてパスを回してシュートを決める。

 

流れが鮮やかであり、しかも全員の動きのレベルが部活に費やした生徒達には劣るが負けていない。

 

スコアはほとんど差が出ていないことから、実力差がないことを明確にしている。

 

「体を鍛えただけでここまで変われるなんてね」

 

「龍哉君には今度お礼しないと」

 

「何がいいかな?」

 

「倉橋が好きなお店を教えて、タコの足止め」

 

「「「「それだ!!」」」」

 

と、コート内でこんな会話をしていた…当然、龍哉には聞こえるはずもないのだが…

 

「…なんか今度上手くデートできそうな気がする」

 

「「「「「「「いきなりどうした!?」」」」」」」

 

その会話を拾ったかのような龍哉のセリフに一緒に観戦していた男子から突っ込みが入った。

 

「お兄ちゃん、そろそろ時間です」

 

「え、もう?…まだ陽菜の活躍見てねぇのに」

 

「お前…変わったな」

 

「まぁそうかもな…でも、嫌じゃない」

 

「ははは、でも俺も今の龍哉のほうがとっつきやすくていいな」

 

「「「「「「うんうん」」」」」」

 

「あ~はっは…さっさと行こうか…律」

 

「陽菜乃さんの活躍は一部始終逃さず撮っておきます!」

 

「頼んだb」

 

((((((歪みねぇなコイツ)))))))

 

その後、龍哉に見てもらえなかったことに気づいた陽菜乃が八つ当たりとばかりに女子バスケ部相手に無双するのだが、そのことを龍哉が知るのは球技大会が終わった後の事だった。

 

==========

 

―――本校舎運動場

 

『E組対野球部部選抜の余興試合(エキシビションマッチ)を行います』

 

その放送と共に気合の乗った野球部員たちが現れる。

 

「…おいおい、なんであんなに気合入ってんだよ」

 

「野球部としちゃ全校生徒にいいとこ見せる機会だしな」

 

「今日の試合には出れていないし、普段の試合も見に行く連中もそんなにいないだろうしな」

 

「そう、それに俺達相手じゃコールド勝ちで当たり前、最低でも圧勝が義務だから…」

 

「情け容赦なく本気(マジ)でくるってことか」

 

対外が整列して並ぶ。

 

そこに周囲からヤジが飛ぶが、E組は気にしていなかった。

 

加えて友人に野球部のキャプテンが何やら言っていたが、そもそも勝ちに行こうとしてるため気にしてなどいなかった。

 

なお、先攻はE組、後攻は野球部となっている。

 

準備を進める中、菅谷があることに気づく。

 

「そーいや殺監督どこだ?指揮すんじゃねーのかよ」

 

「あそこだよ、烏間先生に目立つなって言われてるから」

 

渚が指さした方向にボールに紛れてヤル気に満ちた殺監督がいた。

 

「遠近法でボールに紛れてる、顔色とかでサイン出すんだって」

 

「…そう」

 

「で、なんだって?」

 

「渚、お前サイン表もらってたよな?」

 

「うん、えーと、①青緑⇒②紫⇒③黄土色だから…“殺す気で勝て”ってさ」

 

「確かに、俺らにはもっとデカい目標(ターゲット)がいるんだ」

 

「あいつら相手に勝てないようじゃ、俺らの先生は()れないな」

 

「よっしゃ()るか!!」

 

「「「「「「「「おう!!」」」」」」」」

 

==========

 

―――余興試合(エキシビションマッチ)開始(スタート)!!

 

『E組の攻撃、一番サード木村君』

 

「フン、まずは雑魚か」

 

「あ~、やだyだ、どアウェイで学校のスター相手に先頭打者かよ」

 

「ヌルフフフ、さぁ味合わせてやりましょう、殺意と触手に彩られた野球地獄を」

 

そして試合が開始したが…

 

ピッチャーである進藤の剛速球に一球目は流石に正義も棒立ちだった…

 

「やっぱり速いから棒立ちだったのかな?」

 

「約140㎞/hか…プロとしても通じなくはない速さだ…ストレートに限ってはな」

 

「向こうは完全に油断しきっている…そこにこそ付け入るスキがある」

 

「うん…ただ…」

 

「ただ?」

 

「龍哉達の性というかおかげで…」

 

「「「「「「「あの球ぐらいなら怖くなくなったんだよ」」」」」」」

 

「そう…(やり過ぎたとは思っていないがな)」

 

そして2球目は正義がバントでピッチャーとファーストの間に上手く転がしたため一瞬内野は誰がとるか迷い、しかも正義はE組1の俊足(同着で龍哉)のため余裕でセーフとなる。

 

続く渚も3塁線に強いバントを転がしたため、あっさりと1、2塁まで進む。

 

これにかなり野球部、及び観客も動揺しており、悪い空気が蔓延している。

 

「杉野じゃまともな練習なんてできないのにって顔してんね~」

 

「でもよ、こっちにゃ超人3人に加えて…アレ(・・)相手に練習してきたんだぜ」

 

殺せんせーは300Km/hの球を投げて、内野守備は分身で鉄壁を敷き、捕手の時はささやき戦術で集中を乱してきた。

 

なお、この時龍哉に対して実施した結果、練習そっちのけで暗殺されかけたため、即座に取りやめることとなったのは余談である。

 

それに慣れた頃、偵察に行っていた竹林と律の情報から進藤のストレートを見極め、それを狙ってバントする作戦をとったのだ。

 

ただ、それだけでは甘いと秀治の助言(アドバイス)により、さらに綿密な特訓を重ねてきた。

 

それゆえ、3番打者の悠馬も難なく決めてE組はノーアウト満塁というチャンスをつかむ。

 

4番の友人もバントの構えをとる。

 

その様子に進藤は動揺し、自分が本当に野球を行っているのか分からなくなってくる。

 

したがって、内角高めのストレートと相当打ちやすい球を投げてしまう。

 

(純粋な野球の実力じゃ俺はお前にかなわねー、でも…たとえ弱者でも狙いすました一刺しで、仕留めることが出来る!!)

 

その球を見た友人は素早くバットを両手で握り、打撃(ヒッティング)で外野を抜ける長打を放つ。

 

その打球は3塁打(スリーベースヒット)となり、E組がまず3点先制するが…

 

「顔色が優れませんね寺井先生、お体の具合が悪いのでは?」

 

そこに野球部監督が声をかけられ、振り向いた先にいる人物に驚愕する。

 

「すぐ休んだほうがいい、部員達も心配のあまり力が出せていない」

 

その言葉に反論しようとするも、その人物から放たれる圧力(プレッシャー)

 

「病気でよかった、病気でもなければ…こんな醜態をさらすような指導者が…私の学校に在籍しているはずがない」

 

すさまじく恐ろしさを感じる言葉を聞き、野球部監督は気絶する。

 

「ああ、やはりすごい熱だ、だれか医務室へその間監督は私がやります(・・・・・・・・・・・・)

 

出てきた人物にE組の面々もまた驚愕する。

 

「審判タイムを…なぁに、少し教育を施すだけですよ」

 

野球部の監督として、浅野理事長が現れたのだった…

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第十一回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

正義「ゲストの木村正義です」

龍哉「正義って訓練以外でそんなに絡まないよな?」

陽菜「そうだけどさ、そういう描写無いからわかんないよね」

正義「ああ、どっちのほうが(足が)速いのかよく勝負してるのにな」

龍哉「そんじゃ本題行くぞ」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、正義が変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダーサソード(原作:仮面ライダーカブト)

龍哉「仮面ライダーカブトに登場する、中二、じゃなくて神代剣がサソードゼクターとサソードヤイバーを使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜「何でこれ?」

正義「俺も気になるな、共通点0じゃねーか、変身者との」

龍哉「選択理由はどっちかと言うと仮面ライダーの能力だな」

陽菜「あ~、スピードあるし剣使いってところからか」

正義「あ~、そうなると納得、銃も使えないわけじゃないが、近接のほうが成績いいからな」

陽菜「でも言動的はこれカルマ君のほうが似合ってない?「俺は神に代わって剣を振るう男だ」なんてさ」

龍哉「いや、でも正義の本名」

陽菜「木村ちゃんごめん」

正義「謝るなぁぁぁぁぁ!!その気遣いがきついわ!!」

龍哉「悪い悪い…それではこれで今回は終了、次回は桃花さんだ」

龍哉・陽菜・正義「それでは次回もお楽しみに!!」


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エースの時間

女子の試合をダイジェストで

陽「エイッ!!」(結構辛そうな体制から)

シュッ!!

バ1「そんなの入るわけが…」

ザシュ!

バ2「ちょ、またぁ!?」

バ3「何であんな体制でシュートが入るのよ!!」

E女(そりゃ、超人仕込みの訓練(トレーニング)しましたから)

陽「まだまだいっくよーー!!(龍君に見てもらえない鬱憤を発散代わりに勝たせてもらう!!)」

イ「陽菜乃、手段と目的…入れ替わってない?」

E女(そこは突っ込んだらダメだと思う…馬に蹴られたくないし)

その後、バスカンを取りつつ点を取りまくる陽菜乃が見られたそうな…

それでは本編どうぞ!!


―――体育館からグラウンドに続く中庭

 

「「「「「「「「「「やったぁーーー!!勝ったぁーーー!!!」」」」」」」」」」

 

E組女子が勝利したことを全員で喜んでいた。

 

後半前に男子がいなくなったため、観戦者は少なくなったが、全員の士気は高く、特に龍哉に活躍をほめてもらいたかったのか…

 

「でも陽菜乃ちゃんすごかったね~」

 

「メグちゃんほどじゃないよ~」

 

「「「「「2人共すごかったよ…E組(うちら)の得点の7割方を取ってるんだから」」」」」

 

「でも陽菜乃ちゃんが相手にファウル取らせ続けた時はびっくりしたね」

 

「えへへ、龍君からはあんまり多用しないように言われてたんだけどね」

 

「ばれたら怒られるんじゃない?しかも覇月に見てもらえなかったからっていう八つ当たりまがい」

 

「う…でもでも、龍君は今余興試合(エキシビションマッチ)中だから…」

 

「残念ね、陽菜乃…龍哉ったら、律に頼んであんたのこと一部始終撮ってもらっていたわよ」

 

「えぇぇぇ!!」

 

「ごめんなさい、陽菜乃さん…お兄ちゃんがどうしても言うので…」

 

「うぅぅ(涙)」

 

「と、こんなこと言ってる間についたね」

 

「さて、男子野球はどうなってるかな」

 

「よぉ」

 

「お、来たか」

 

「!!すごい!!野球部に勝ってるじゃん!!」

 

「あー、ここまではね」

 

「え?」

 

「あっち」

 

「あ…」

 

「そう、そのおかげで一回表からラスボスが登場ってわけ」

 

==========

 

―――本校舎グラウンド

 

「り、理事長先生…」

 

(ここでE組(かれら)を勝たせてはいけない、彼らの目には少しずつ自信がみなぎりつつある、全てあの怪物の引いた糸だろうが…)

 

注1:龍哉の家族の経歴を理事長は知っているため、中間で1位を取った事にはそんなに驚いていませんので、運動(こっち)方面での原因は殺せんせーと考えています。

 

注2:秀治はあくまで講師、しかも運動系では招いていないので、同じく運動(こっち)方面ではノータッチと考えています。

 

(それでは良くない、「やればできる」と思わせてはいけない、常に下を向いて生きていてもらわねば…秀でるべきでない者が秀でると…私の教育理念が乱れるのでね)

 

『…!!今は言った情報によりますと、野球部顧問の寺井先生は試合前から重病で…野球部員も先生が心配で野球どころじゃなかったとの事、それを見かねた理事長先生が急遽指揮を執られるそうです!!』

 

放送部のその放送に本校舎生徒達が沸き上がる。

 

「空気をリセットされたか…こういう対応の早さは流石だな」

 

「でもどうすんだよ」

 

「次は俺が行こう」

 

「龍哉!?」

 

「お前、もう出るのかよ」

 

「こういう時、必要な奴がどんなやつか知ってるか?」

 

「…頼りになる奴」

 

「友人が塁に出てる今、E組(俺ら)のなかで一番は、俺しかいねーだろ」

 

「…確かに、龍哉なら何とかしてくれるかもな」

 

「ああ、頼むぜ!!」

 

「おう!!b」

 

向こうでも理事長の指示が終わったらしく、全員がグラウンドに戻ってくる。

 

そしてその構え方は…

 

「おうふ…これはなかなか強烈な…(まぁ圧力(プレッシャー)は本気のお祖父ちゃん&烏間先生に比べたら遥かにマシだけどね)」

 

「バントしかないって見抜かれているようなもんだな」

 

「…つってもダメだろあんな至近距離で!!」

 

「でも練習の時はさ」

 

「…あ、マシだわ」

 

野球部全員が前進守備の構えだ、内野、外野合わせてほぼ全員が内野で守備体制をとっている。

 

「ルール上ではフェアゾーンならどこを守っても自由だからね、まぁ審判がダメと判断したなら別だが…」

 

「審判はあっち(・・・)側だ、期待出来ない」

 

「でも、龍哉なら…」

 

「ああ、きっと何とかしてくれるさ」

 

そうして龍哉がバットを持ってバッターボックスに入る前に…

 

「ふぅ…情けないね、君達」

 

「!?」

 

「自分達がピンチになった時、助けてくれるのが野球部の人間じゃなくて俺らと同じド素人の理事長先生だなんて、本当に」

 

「なんだと…」

 

「つまり、理事長先生にとってエースは進藤君じゃない、自分なんだよ」

 

「なんだとぉ!!」

 

「何言ってんだお前ぇ!!」

 

「エースってのはつらい状況の時、助けてくれる人のことなんだろう?だったら俺の言っていることは間違ってないじゃないか…自分の力で何もできなかったエース君?」

 

龍哉の言葉に野球部含めた本校舎の生徒達全員が龍哉をにらみつけるが、龍哉はそんなのどこ吹く風という形で右バッターボックスに入って構える。

 

…予告ホームランの構えだが…

 

『こ、これは予告ホームラン!?E組如きが!?』

 

「…打つな、あれは」

 

「うん」

 

「期待して待ってようぜ」

 

龍哉が構えなおすと怒り心頭といった表情の進藤が振りかぶって投球するが…

 

「(甘い!!)」

 

龍哉は全く慌てず冷静にバットの芯にボールを当てたため…

 

カキィィィィィン!!

 

という快音と共にボールは高く高く飛び…

 

ゴン!!

 

という音がバックからする。

 

グラウンドにいる全員がその一点に注目している。

 

これは誰がどう見ても…

 

『ほ、ホームラン…嘘だろ…E組如きが…予告ホームラン達成…!?』

 

「「「「「「「「「「「よっしゃぁーーーーー!!!」」」」」」」」」」

 

ホームランのアナウンスと共にE組全員が歓声を上げて、龍哉もそれにこたえるように高々と右拳を上げて答える。

 

そのままダイヤモンドを一周し、友人と共に皆に迎えられる。

 

「やったな、龍哉!!」

 

「これで5点目だ!!」

 

「龍君、格好良かったよ!!」

 

「ありがとう、皆!期待に応えれたようでよかったよ」

 

「でも予告ホームランなんて…結構無茶したね」

 

「あのくらいやらねーとな、皆に期待されてたんだし」

 

「ははは…」

 

E組は龍哉を中心に士気が高揚し、かなり盛り上がっていた。

 

一方で、野球部および本校舎側の人間達は呆然としていた。

 

なにせ、理事長が出張ってすぐの打席で予告ホームランを達成されたのだ。

 

持ち上がりかけた闘志がへし折れかけるぐらいに…

 

特に、理事長の表情は誰も今まで見たことのないものになっていた。

 

しかし、それが逆に火をつけたのかその後の試合展開もすさまじいものだった…

 

続く6番の前原、7番の千葉、8番の三村の3人が龍哉に続いて打ちに行くが慣れていないのと投球の強さで内野フライとなり、3者連続凡退となってしまい、野球部の攻撃となる。

 

守備につく際、龍哉が友人に声をかける。

 

「友人、点差なんてあると思うなよ」

 

「え?」

 

「わずかなスキをついて点を取っただけだ、俺達とあいつらの実力差がなくなったわけじゃない」

 

「…そうだな、打たれたらヒット確定だもんな」

 

「ああ、俺も極力捕るよう努力するが…正直捕れるか分からん」

 

「分かった、任せとけ!!」

 

「おう、任せたぜ!!」

 

そうしてE組全員が守備につき、野球部の攻撃が始まると思いきや…

 

友人の変化球に野球部は対応しきれず、あっという間に2者連続3振となる。

 

「このままならいけるんじゃないか?」

 

「いや、見てみろよ野球部のベンチ、よっぽど悔しかったんだろうな…すさまじい勢いで理事長が進藤を改造してるぜ」

 

野球部のベンチでは理事長が呪詛のように強い、ねじ伏せる、踏みつぶすという言葉を連ねて言い、進藤も続いて同じ言葉を自分に言い聞かせるように言っている。

 

野球部の3人目の打順中にカルマの足元に殺せんせーが現れ、何かを告げるのを龍哉がじっと聞いていた。

 

そしてE組の攻撃となりカルマの打順で…

 

カルマはすぐに打席に入らず、守備位置をじっと見ている。

 

そんなKARMAに審判が早く打席に入るよう注意すると、カルマが口を開いた。

 

「ねーえ、これってずるくない理事長センセー?」

 

そう言うカルマに対して理事用は一瞥するだけで何も答えない。

 

「こんだけ邪魔な守備位置なのにさ、審判の先生何にも注意しないの、一般生徒(おまえら)もおかしいと思わないの?」

 

そんな一般生徒に対してカルマは下を出して小バカにした態度でさらに告げる。

 

「あ――そっかぁ、お前等馬鹿だから守備位置とか理解してないんだね」

 

カルマがそう言い切った瞬間一般生徒達からブーイングと共にごみが飛んでくる。

 

ほぼ同時に龍哉がカルマの元に走ってきて…

 

「カルマ、俺達より中間テストの成績が下の奴が大半なんだから馬鹿なのは分かり切ってるのに馬鹿って言ったらダメだろ」(←学年1位)

 

「あーそっか、そうだったね~、でもさ龍哉、そもそもそれでお前にホームラン打たれてんのになんで下がらないんだろうね」

 

「下手くそなんだろ、守備が…なんせ俺達ド素人(・・・)のバントすら捕れないザルなんだよ」

 

「でもさっきフライは取ってたじゃん」

 

「むしろあれが取れなかったら野球部(笑)なっちゃうだろ」

 

「あー、そだね」

 

「そして見てみろよ、野球部達の顔、図星付かれたような顔してるぜ」

 

((((((((((いや、どー見ても怒ってるよ、あれは))))))))))

 

「んじゃま、取り敢えず言いたいことは言ったし…気張れよ、カルマ」

 

「ああ」

 

龍哉達の反論(?)が終わり、龍哉がベンチに戻りカルマが打席に立つと進藤が怒りを全てぶつける形で投げてきたボールにはカルマも出も足も出ずに終わり、そのまま3者凡退する。

 

2回裏、いきなり進藤の打順だが、友人の上手い変化球により打球はセンター方向に飛び…

 

「うぉらぁ!!」

 

龍哉が気合を入れた声で打球に飛びつく。

 

捕球音とほぼ同時に龍哉がスライディングする。

 

「龍哉、良く捕れた?」

 

そうカルマが聞きに行くと…

 

「友人が懸命に抑えようとしてんだ…このくらいやらねーとな」

 

龍哉はそう言って左のグラブの中にあるボールを見せる。

 

「ナイスキャッチ」

 

「おう」

 

と、龍哉のダイビングキャッチにより進藤がまさかのアウトになってしまい、野球部には動揺が広がり、そのまま3者凡退に終わる。

 

よって点差は5点のまま、1点の追加も許さずに終わる。

 

そして迎えた3回表、3番悠馬、4番友人と打ち取られ、龍哉の番が再び回ってくる。

 

「はっはっは、やる気だねぇ」

 

「おいおい…」

 

龍哉の打席、野球部は内野守備を捨てて全員が外野のフェンス近くにいる。

 

龍哉も長打、しかもホームランクラスを打ってきたことから理事長が指示しておいたのだろう。

 

だが…

 

「一つだけ、戦いの鉄則を教えてやる」

 

龍哉の言葉など気にせずにそのまま大きく振りかぶって投げる進藤…それが悪手だと知らずに…

 

「戦いで奥の手は簡単に見せるな、奥の手を見せるときは…」

 

コンッ!

 

龍哉は素早くバントとの構えをして打球を1塁線上に転がす。

 

「さらにその上の切り札を持っておけ」

 

球はちょうど進藤とキャッチャーのどちらも取りに行ける位置で止まったため、一瞬どっちが行くか迷ってしまう。

 

その隙と、他の野手が戻ってくる前に龍哉は自身の俊足を生かして1塁、2塁、3塁と周り、ランニングホームランを狙うが、その前にボールを持った進藤が立ちふさがる。

 

龍哉は上体を(・・・)起こしたまま(・・・・・・)進藤に向かう。

 

(ふっ、やはり素人だな、そのまま突っ込んでくるとは!!)

 

進藤は余裕をもって龍哉をタッチアウトしようとした瞬間、進藤の視界から龍哉が消えたのだ(・・・・・・・・)

 

「!?」

 

そのことに驚いた進藤が動揺した瞬間…

 

ザザザァァ!!

 

地面をすべる音がして進藤が振り向くと、そこにはスライディングしてホームベースにタッチしている龍哉がいた。

 

「これでさらに1点追加だな」

 

「!!」

 

「世の中、デカけりゃいいってもんじゃないんだよ」

 

龍哉はあの一瞬、一気に状態を鎮めることで進藤の死角に入り、そのまま進藤の股の間を飛んですり抜けてからスライディングすることで振り向いてタッチアウトされるのを防いだのだ。

 

「俺に打たれて取られてまた点取られた…相性悪いねぇ~」

 

「くっ……」

 

これでE組は6点、さらに既に龍哉によって進藤の打球も通じないことがわかっている、野球部にとっては完全に万事休す、絶体絶命の大ピンチだ…だが…

 

「なっ…」

 

「こいつはまずいな……友人の球でも、あれにはどうしようもないな」

 

野球部もバント戦法をとってきた。

 

(理事長の作戦か…俺達の小細工を利用した戦い方と奴らのそんな小技を捻じ伏せれる圧倒的な強さを示せる連中…と言う構図にしたいんだろうな)

 

加えて…

 

(俺達相手に普通は納得してもらえないはず…だが、俺達が先にやったから「手本を見せる」という大義名分が出来て、しかも小技でも強いっていう印象を与えたうえに勝たれかねん)

 

そして龍哉の危惧通り、友人のすさまじく変化する変化球でも対処しきれず、しかもE組の守備力は低い、よってあっという間に満塁となってしまう。

 

(とはいっても、次からバントしてきたとしても、なんとか点を防ぎつつアウトが取れそうだな…)

 

しかし、龍哉の考えとは裏腹に…野球部はバントしたボールをうまいこと転がされ、それにより先程は打ち取れた1~3番打者にも出塁され、結果的に3点取られてしまう。

 

(まずったな、これは…しかも次の打者は進藤、さっきは何とか捕球できたが、あの状態から放たれる打球を俺でも捕れるかどうか…)

すさまじいオーラを放っている進藤に対して、流石のE組メンバーも戦慄する。

 

(ん?殺せんせー?カルマに何を…)

 

「龍哉~、殺監督から指令、さっきの挑発を生かせってさ~」

 

「ん、了解」

 

カルマと龍哉は殺監督からの指示の元、外野と内野を交代してそのまま前進守備の位置につく。

 

「明らかにバッターの集中を乱す位置で守ってるけど、さっきそっちがやったは審判が何も言わなかったから文句ないよね」

 

「それに、俺達はE組、お前等より頭悪いってことだろ?だったらこれでも問題ないだろう?理事長先生」

 

先程のクレームはこのための布石だったと感心する理事長…

 

加えて明確に打撃妨害とみなされるのは…守備側がバットに触れた時のみ、前進守備が集中を乱す妨害行為とみなすかは審判の判断次第のため…

 

先程の龍哉とカルマの挑発(クレーム)を却下した以上、今回も審判も観客も黙認するしかない。

 

「(よく考えたものだが…小賢しい真似を)ご自由に、選ばれた者は守備位置位で心を乱さない(進藤一考の集中力は…私の教育(・・)で極限まで高めてある、君達の小細工は打ち砕かれて弱者はさらに醜く見せられるぞ)」

 

「へーぇ、言ったね」

 

「それじゃ、遠慮なく…」

 

『ちっ…近い!!前進どころかゼロ距離守備位置!!当たれば確実にバットが当たる位置で守ってます!!』

 

「……………は?」

 

(はは、悪いな進藤、こんな守備じゃどんな集中も冷めちゃうわな)

 

「気にせず打てよスーパースター」

 

「ピッチャーの投球も投球された後の球を触ったりもしないからさ」

 

「フフ、くだらないハッタリだ…構わず振りなさい進藤君、骨を砕いても打撃妨害を取られるのはE組のほうだ」

 

(…マッ…マジかよ…!!嘗めたマネしやがって…大きく振ってビビらせりゃ退くに決まってる!!)

 

友人の投球に対してタイミングを合わせてバットを振ってくるが、龍哉とカルマはほとんど動かずに躱す。

 

特に龍哉はスピードが速すぎてバットが龍哉の体をすり抜けたように見える。

 

(マッハ20の私への暗殺で鍛えられた動体視力!カルマ君の度胸と動体視力はE組中でもトップクラス、バットを躱すならバントよりも楽勝ですねぇ)

 

「……ダメだよそんな遅いスイングじゃ…」

 

「そもそもそんなちゃちなスイングじゃ、俺達に…俺に当てるのは不可能だよ」

 

「うん、お前に当てるのはたいていの奴じゃ無理だから」

 

「「でも、もしもの可能性に賭けて…次は…殺す気で振ってごらんよ」」

 

(この時点で、進藤は理事長の戦略に体がついていけてねぇ…そして、ランナーにしろ観客にしろ、野球の形をした異常な光景に呑まれていた)

 

そして進藤のスイングはビビって腰の引けたものだったので、球には当たったが、それはすぐ近くに高く上がる。

 

それを龍哉が垂直飛びで素早く確保し…

 

「渚!!」

 

素早くキャッチャーの渚に投げ渡す。

 

龍哉の声に反応してキャッチしてホームベースにタッチする。

 

3塁(サード)ランナーアウト、渚君、そのボールを3塁に!!」

 

「し、しまった!!」

 

慌てて2塁(セカンド)ランナーが走りだすが、それより早く渚の投球が3塁(サード)の木村の手に渡り…

 

2塁(セカンド)ランナーアウト!!木村次は1塁へ!!進藤走ってないから慌てなくていいぞ!!」

 

木村の投げた球はバウンドしながら1塁(ファースト)の菅谷の元に届く。

 

「…打者(バッター)ランナーアウト……ト、トリプルプレー…」

 

『ゲ、ゲームセット…!…なんと…なんと…E組が野球部に勝ってしまった!!』

 

「キャーやったー!!」

 

「男子()勝ったー!!」

 

「………」

 

その光景を寺坂達は信じられない顔をしてみており、本校舎側の生徒達は野球部の連中に失望の言葉を口々に口にしながら去っていく。

 

「………(無言でバットとボールを持つ)」

 

「龍哉、あいつらにそんなことしてもムダだから」

 

「…そうだな」

 

「にしても、分かってない人達のほうがやっぱり多いね」

 

「ああ…試合裏でのE組(うち)の担任と理事長の戦略合戦をな…」

 

この結果を見届けて理事長は野球部ベンチから去っていく。

 

(これで中間テストと合わせると一勝一敗ってところですねぇ…次は期末テストでケリをつけましょう)

 

そして友人が進藤に近付いていく。

 

「進藤…ごめんな、ハチャメチャな野球やっちまって…でも分かってるよ、野球選手としてお前は俺より全然強ぇ、これでお前に勝ったなんて思ってねーよ」

 

「……だったら…なんでここまでして勝ちに来た、結果を出して俺より強いといいたいんじゃないのか」

 

「んー…」

 

友人はその言葉にE組の生徒達を見渡して・

 

「渚は俺の変化球の練習にいつも付き合ってくれたし…」

 

そして次は皆に囲まれている龍哉とカルマと見やる。

 

「カルマの反射神経とか、皆のバントの上達ぶりとか、龍哉の力のすごさとかさ、凄かっただろ、でも…」

 

結果がかかれた点数ボードを見る。

 

「結果を出さなきゃ上手くそれが伝わらない…まぁ要はさ」

 

そして照れた顔で告げる。

 

「ちょっと自慢したかったんだ、昔の仲間に、今の俺のE組(なかま)の事を」

 

そのことにまた進藤も嬉しそうに笑う。

 

「覚えとけよ杉野、次やるときは高校だ!!」

 

「おうよ!!」

 

(…高校までに地球があればな…)

 

こうして、余興試合(エキシビションマッチ)はE組の勝利で幕を閉じたのだった。

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第十二回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

桃花「ゲストの矢田桃花です」

龍哉「桃花さんと陽菜は親友だけど、最近は俺と話してばっかだから…悪いな」

陽菜「あ~、ごめんね、桃花ちゃん」

桃花「気にしなくていいよ…私も恋したいな~」

龍哉「どんな人が好みなんだ?」

陽菜「あ、興味ある~」

桃花「う~ん…龍哉君の事を格好いいな、とは思ったけどどっちかっていうと憧れみたいな感じだし」

陽菜「それじゃ、E組の中で他にいいな~って思った人いないの?」

桃花「うん、今のところはね」

龍哉(男子からの人気は有希子さん並にあるが…理由が理由だし黙っとくか)

龍哉「そんじゃ本題行くぞ」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、桃花さんが変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダーマリカ(原作:仮面ライダー鎧武)

龍哉「仮面ライダー鎧武に登場する、湊耀子がゲネシスドライバーとピーチエナジーロックシードを使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜「…ちょっと作者さん?」

桃花「OHANASHIしましょう(手招き中)」

龍哉「選択理由は…名前からだそうだ」

陽菜「本当に?」

桃花「間違っても変身者同様、私も胸が大きいからって理由で選んだんじゃないよね?」

陽菜「もしそうだとしたら…ね?」

桃花「ねぇ?(黒笑)」

龍哉「ちなみ作者は変身者がスタイルいいことに決めてから気付いたそうだ、動画見て(実話)」

陽菜「それならいいけどね…」

桃花「でも…次は…ないからね」

龍哉「だそうだ、今後は気を付けろよ…それではこれで今回は終了、次回は大河だ」

陽菜「唯一名前呼びエピがない岡ちんだから簡単になるね」

桃花「陽菜乃ちゃん!?」

龍哉・陽菜・桃花「それでは次回もお楽しみに!!」



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アートの時間

―――この日の登校時

龍「おはよう、陽菜」

陽「おはよう、龍君」(←会うと同時に腕を組んだ)

龍「…!!(///)」

陽「どうしたの?」

龍「い、いや…(陽菜…正面から抱きしめたりブレザー越しだったから分かりづらかったけど…やっぱ…胸が…)」

陽「今日から夏服、あ~、気持ちいい」

龍「そ、そうだな(…うん、話そう、意識をそらすんだ!!)」

陽「あ、龍君、あの(バシャァ!!)…ふえ?」

龍「陽菜!?」

他A「あ、ごめんなさい!!大丈夫!?」

陽「だ、大丈夫です、そんなにかかってないし、もう暑いから、すぐ乾きます」

他A「そ、そう?それならいいけど…ごめんなさいね」

龍「(…ばっちり見えちまった)…取り合えず、タオルだけでもな」

陽「あ、龍君ありがとう」(←簡単に拭いて直ぐ腕を組みなおした)

龍(水濡れだからさっきよりダイレクトに…心頭滅却すれば火もまた涼し、耐えろ、俺)

こうして校舎まで龍哉は理性を総動員して登校しましたとさ


―――7月、本格的な夏到来となり、生徒達の服装も夏服に切り替わり…

 

「忘れろ、忘れるんだ俺、忘却の彼方に捨て去るんだ(ブツブツブツ)…」

 

その朝っぱらから龍哉が呪詛の如く忘れろと連呼している。

 

「えっとさ、龍哉何かあったのか?」

 

「俺らでよければ相談に乗るぞ?」

 

コミュ力の高い友人とリーダーシップのある悠馬が話を聞きに行くと龍哉も顔を上げて答える。

 

「…すまない、話せないんだ…むしろちょっとそっとしておいてほしい」

 

「倉橋さんがいないのと何か関係があるの?」

 

と、渚が聞いた瞬間…

 

ゴン!!!と強く頭を机に打ち付けて

 

「忘れろ、忘れるんだ俺、忘却の彼方に捨て去るんだ(ブツブツブツ)…」

 

先程と同じ状態になってしまった。

 

「…渚、何でそう簡単にお前は地雷を踏むんだ」

 

「全員倉橋絡みって察したうえであの質問の答えでなんとなくわかったんだぞ…それをほじくり返しやがって」

 

「…ごめん」

 

「でもどうしようか?」

 

全員が悩んでいたそこに…

 

「いよー、今日から夏服で肌がまぶしくて健全な中学生にはつらい時期だな!!」

 

「いけませんよ、露出の季節に平常心を乱しては」

 

そう言って大河と殺せんせーが入ってきて、その言葉に龍哉がピクリと反応し、龍哉の状態に気が付かない2人はさらに言葉を続ける。

 

「しっかし、こういう時彼女のいる龍哉がすっげぇうらやましいな!!何せいつも一緒に居るからちょいエロハプニングとかにも…」

 

ブチンッ!!と、何かがキレる音が龍哉からして、その瞬間大河を残して全員が蜘蛛の子を散らすように教室から逃げ去る。

 

大河が恐る恐る龍哉のほうを見ると…

 

この間の進藤が凄く可愛らしく見えるほど恐ろしい表情をした龍哉がいた…

 

「り、龍「一片…3歳児からやり直せぇぇぇぇ!!」

 

ゴグワシャァァァァ!!!という音と共に大河の体が見事に宙を舞い、そのまま教壇にぶつかって一回転してさらに黒板にぶつかり、そのまま床に滑り落ちて崩れ落ちる。

 

「ハァハァハァ…一刻も早く夏終わってくんねーかな」

 

と、一部の男性に思いっきりケンカを売るような発言をした。

 

==========

 

―――女子更衣室近く

 

逃げた生徒達のうち女子はここで陽菜乃、桃花と合流していた。

 

「えっと、つまり、今日もいつものように龍哉君と一緒に登校していたら、たまたま水をかけられて」

 

「夏だしすぐに乾くと思ってそのまま放っておいたら」

 

「実はいろいろ透けてるの失念してて、それをばっちり龍哉君が見ちゃった、ってこと?」

 

「うん…(思いだして赤面中)」

 

「まぁ、ああなってたから予想はしてたけど…」

 

「で、でも龍哉君、凄く暑がりなんですかね?結構顔赤かったですけど…」

 

「…陽菜乃ちゃんってよく龍哉君と腕組んでるよね?」

 

「うん、今日もそうして登校してきたから」

 

「…覇月って意外と純情(ウブ)なのね」

 

「そうだね」

 

「?」

 

その言葉に首をかしげる陽菜乃…

 

「陽菜乃ちゃん、取り敢えずあまり…夏服の間だけでいいから龍哉君と腕組むのやめてあげて、下手すると…ね?」

 

「え~」

 

「…龍哉君への荒療治も兼ねることが出来そうだし、ほっときましょう…」

 

「…そうだね」

 

と言った具合で…良くも悪くも龍哉への評価が変わった瞬間だった。

 

==========

 

―――3-E教室

 

そろそろ龍哉の機嫌も落ち着ているだろうと思い、そろーっ中を見ると龍哉は落ち込んでもいるが落ち着いているようだ。

 

「り、龍哉、大丈夫か?」

 

「ん?ああ…ちょっとはな…」

 

と、そこに女子も戻ってきてほとんどの生徒がそろう中…

 

「あれ?菅谷君は?」

 

「まだ来てないね」

 

と、そこに教室のドアが開いて菅谷が登校してくる。

 

「…計算外だったぜ…今日から半袖だったとはな…」

 

ただし、その左腕にはなぜか花をあしらった刺青が…

 

「さらしたくなかったぜ…神々に封印された子の左腕はよ…」

 

「す、菅谷君が…カルマと同じ病気にかかった…だと!?」

 

「龍哉、それどういう意味?」

 

((((((確かにその通りだ、どっ……どうした菅谷!?)))))))

 

全員が驚愕の表情になる…とは言っても、すぐにネタ晴らしはされた。

 

「へー、これペイントなんだ」

 

「あんなこと言い出したから暑さでやられて頭おかしくなったのかと思ったぜ」

 

「しれっとひでぇこと言うな、龍哉」

 

「そう思うぜ…んで、これはメヘンディアートっつってな、色素が定着したら1週間ぐらいとれねーんだ」

 

「あー、インドの奴っしょ」

 

「なんだ、それかよ」

 

「知ってんだ、カルマ君、覇月君」

 

「うちの両親、インドかぶれだから旅行行くたびに描いて来るよ」

 

「俺の使ってる流派東方不敗は元はインド拳法だからな、インドの文化は一通り知ってるのさ」

 

「よ、よかった…先生てっきりうちのクラスから非行に走ること生徒が出たかと…」

 

殺せんせーは大量の生徒が非行に走った場合の対処本を読み漁っているような状態だ。

 

「相変わらずそういうところチキンだよね」

 

そんな殺せんせーに渚達は呆れている。

 

「でも菅やんってこういうの本当にじょうずだよねー」

 

「だな、前は…陽斗の時もそうだったけど、変装マスクとかを改造するのも上手いよな」

 

「へへへ、そうだ、殺せんせーにも描いてやろうか?まだ塗料残ってんだ」

 

「ニュヤ!!いいんですか?」

 

「嬉しそうだな、殺せんせー」

 

そして殺せんせーに描くために準備する菅谷…

 

「へぇー、溶けたチョコで絵を描くみたいなやり方なんだ」

 

「おもしろそうだな」

 

「ニュフフフフ、楽しみですねぇ、先生こういう刺青みたいなの一度は描いてみたかったんです」

 

そして菅谷が殺せんせーに描き始めた瞬間…

 

ドロォ…と殺せんせーの顔が溶けてパニックに陥る殺せんせー…

 

また、周り似た生徒達は突然のことに驚いてギャーギャー言っている。

 

「…なるほど、対先生用弾を粉末にして塗料の中に練りこんだのか」

 

「あ~、だからこの間それ俺に注文してきたのね」

 

「まぁな…とは言っても見てのとおりダメだった」

 

「先生完全に油断してたけど、殺すまでじっとしててはくれないね」

 

「アイデアとしては面白いですが菅谷君、効果としては嫌がらせのレベルです…というか、先生普通にカッコいい模様を描いて欲しかったのに…」

 

「わ、悪かったよ!!普通の塗料で描いてやるって」

 

==========

 

―――それから少しして…

 

「ふっふっふっ、夏場の露出と女を駆使する暗殺者は相性抜群よ」

 

イリーナ先生もノースリーブのYシャツ、短いスリットの付いた黒のミニスカートに服装を変更している。

 

(これで…「やべェ…ビッチ先生エロい」「イリーナ、なんだこの胸のざわめきは」って状態に…男共をこの素肌で悩殺して、思うがままに働く駒に仕立ててやるわ…陽菜乃が怖いから龍哉は外すけど)

 

そしてE組の教室のドアを開き

 

「私の色香に悲鳴を上げろオス達よ!おはよえぇーーーーー!!!???」

 

見たのは陽菜乃を左手で胸に抱いて右手で銃を構える龍哉とそれに対するようにいるのは悪そうな顔をした殺せんせー、陽斗、大河、カルマでその真ん中で菅谷が一心不乱にスケッチしている。

 

「……何?この状況?ていうか何であんた達そんな化け物メイクしてるの?」

 

「あ、ビッチ先生、おはようございます」

 

「え~と、かいつまんで言うとですね」

 

まぁ殺せんせーに菅谷がメイクしたらみんなやってほしくなったらしく、次々と描いていった中で龍哉が悪役っぽいな、そのメイク…とつぶやいた。

 

それを拾った愛美がそれじゃ龍哉君は陽菜乃さんを守る正義の味方ですね、と返す。

 

そしたら菅谷が何かインスピレーションが浮かんだのか龍哉の右手の甲にあるマークを描き、そのままあれよあれよと…

 

「…で、今の状況になったわけね」

 

「ええ…律も後ろから龍哉達撮ってます」

 

「ん~~、龍哉、もうちょい眉釣りあげて…髪を少し逆上げるのって出来るか?」

 

「え~~~と…こう?」

 

「おぉ!!いいな!!…おいこらそっち、俺は見逃さねぇぞ…さっきよりポージングが甘い!」

 

「「「「早く終わってくんね?(欲しいのですが)」」」」

 

「まだだ…倉橋、悪ぃけどもうちょい涙目になれないか?あとできれば龍哉の方を上目遣いで見て…龍哉は倉橋の方見ずにまっすぐ殺せんせーの方見てくれ」

 

「う、うん…」

 

「おう」

 

そして十数分後…

 

「よっし、出来たぁぁぁぁ!!!」

 

「お疲れー」(←平然そうに見えるが顔が真っ赤っ赤)

 

「お、お疲れさま…」(←茹蛸並みに顔真っ赤)

 

「「「「おつかれー」」」」(←菅谷の無茶ぶりにより疲労困憊)

 

「出来上がったら覇月と倉橋にやるよ」

 

「お、サンキュ…額買っとかないとな」

 

「あ、ありがと菅やん」

 

「「「「俺ら(先生)には…」」」」

 

「……ちゃんと渡してやるよ」

 

「何で間があるんだよ」

 

「それよりも…つけっぱなしで大丈夫なの?」

 

「しばらくして塗料をはがすと指揮をが定着してるんですって…楽しみで授業が手につきません」

 

「「「「「「「「「「「お前はそれでも担任か!!」」」」」」」」」」

 

「……ところで菅谷君、見てたら先生も誰かに描いてみたくなってきました」

 

「いいけど…皆描いちゃったし…空きがあるといったら覇月と倉橋とかだけど…あいつらにはあれ以上手を加えると変になるからやりたくないし…もう真っ白なキャンパス残ってないぜ」

 

「「あ」」

 

菅谷と殺せんせーはイリーナ先生に気づく。

 

「あるじゃないですか…好き放題描けそうな面積の広いキャンパスが…」

 

「ちょ…ふざけんじゃないわよ!!誰がそんな…」

 

「!!イリーナ先生、足元!!」

 

「へ…キャ!!」

 

ズルっ!!ガンッ!!(←落ちてた塗料に足を滑らせ、壁に後頭部激突)

 

「グヘッ!!」

 

「「…あ」」

 

「あぁ…だから言ったのに…」

 

「勝手に気絶しちゃったぞビッチ先生」

 

「とにかく、まずは安静にしておかねーとな…陽菜、濡れタオルを用意してきてくれ、俺は…」

 

龍哉がてきぱきと指示を出し、陽菜と共に教室から出ていく。

 

「安静にしている間に…覇月君もいませんし、先生はこっち半分、菅谷君はそっち半分を」

 

「ほほぉ~、俺と争う気かね」

 

と、そこに

 

「濡れタオルもってきたよ~」

 

「あちゃ~、烏間先生いなかったわ…なにしてんだ、あの2人」

 

「あ、龍哉君、殺せんせーと菅谷君が…」

 

「イリーナ先生使って絵勝負です、凄いですね菅谷君、いつもあっという間に彼色に染まってしまいます」

 

「うん…芸術肌なだけにさっきみたいに目立ち過ぎちゃう時があってさ、2年の時にそれが原因で素行不良扱いされたんだって」

 

「ほ~、まぁ芸術ってのは人を選ぶからな…菅谷君のが本校舎の連中の肌に合わなかったんだろう…もしくは、菅谷君の絵の才能に嫉妬したかの2択だろうな」

 

「(前に言われたんだよな…ただ成績が悪い人間と成績が悪い上に求めてもいない達者な絵を描いちゃう人間、社会に出たらどっちのほうが悪い評価を受けると思う?それが君のE組行きの理由よって)…ま、正しいけどね」

 

イリーナ先生の右腕には花とハートを掛け合わせたアートが描かれている。

 

「おお~~~さすが菅谷!!」

 

「そもそもファッションアートだしな、外に出て楽しい感じに仕上げてやったぜ」

 

「これなら逆にビッチ先生喜ぶんじゃない?」

 

「うん、確かにね~」

 

「ヌルフフフ、先生も負けてはいませんよ、こちら側をご覧ください」

 

イリーナ先生の左腕には…漫画が描かれていた。

 

(((((なぜにマンガ!?)))))

 

「いやぁ…アートとかファッションは苦手なので得意分野で」

 

「逃げに走るくらいなら描くな!!」

 

「おいおい、左右で差がひどすぎんだろう…これじゃイリーナ先生外歩けねーよ」

 

「いや…あえて漫画をポップアート的な図柄として活かす手もあるぜ、枠の周囲を弄って…」

 

そして漫画の周囲がきれいなアートとなるが…

 

「いや…あまりきれいに収まりすぎると気障ったらしい、どこか一か所で笑いを取らなくては」

 

「何でそこで張り合うの!?」

 

「んなもん全然いらねーだろ!?」

 

と、抗議を無視して殺せんせーが描いたのは、額に中肉中背、目の周りに丸メガネ、鼻の下にヒゲだった。

 

「それ見たことか!?」

 

「いや…ヒゲはまだしも丸メガネが野暮ったい、フレームをデザインでして…」

 

「いや…むしろこの塗料描きづらいです、マジックと段ボールで…」

 

「いや、いい加減やめんか!!そして殺せんせーはメヘンディアート全否定すんな!!」

 

「まま、龍哉、こうなると菅谷止まんねーんだ、殺せんせーもどうにもできねーし」

 

「…烏間先生探してくる」

 

「あ、私も行く!!」

 

そう言って龍哉と陽菜はさっさと教室を出ていく…

 

それを知っていたのは直前まで止めていた友人だけだと、クラスの全員が知るのは少し後の事…

 

==========

 

―――そしてまたさらに少しして…

 

兜と両肩に鎧を付けられ、露出箇所すべてに絵が描かれたイリーナ先生がいた。

 

「……収集付かなくなってきたな」

 

「どうすんだ?1週間は落ちねーんだろ?これ」

 

「一応落とせない事ぁ無いけど…めんどいな」

 

「ま…まぁ…ひょっとしたら気に入るかもしれませんし…」

 

その瞬間、イリーナ先生が目を覚ました。

 

「あ、起きた」

 

「自分の現状を確認してるな」

 

「出てった、意外と気に入ったか?」

 

イリーナ先生が出て言った方向を陽斗がそーっと確認すると…

 

殺気と怒気をまとった恐ろしい状態になったイリーナ先生が銃を持って出てきた。

 

「激しくお気に召さなかった!!」

 

「あの銃本物だぞ!!」

 

「死ね!!あんた達皆殺しにしてやるわ!!」

 

ドドドドドドドドド

 

その言葉と共にイリーナ先生は銃を殺せんせーに向けて乱射する。

 

「ゴッ…ごめんなさいつい夢中になってしまって…でも教室壊れるから実弾はやめて!!覇月君も銃弾防ぐの手伝ってください!!」

 

「あ、龍哉ならビッチ先生への所業止めるために倉橋と一緒に烏間先生探しに行ったぜ」

 

「ニャーーー!!」

 

「と、とにかく抑え込まなきゃ!!」

 

渚の言葉に応答するように友人がすぐに近づいて羽交い絞めして止める。

 

「やめろてビッチ先生!!すぐに落とせば定着しないらしいぜ!!」

 

「キーッ!!せっかくの夏服デビューが台無しよ!!」

 

そんなイリーナ先生を机の陰から見ながら…

 

「菅谷君が全部やればあそこまで怒らなかったのにね、殺せんせーが余計なもの足すから」

 

「…だろーな」

 

菅谷と渚が話していた。

 

「普通はさ、答案の裏に落書きしたらスルーされるか怒られるだろ?」

 

菅谷の言葉に渚が首肯して答える。

 

「だけどあのタコは安っぽい絵を加筆してくる、むしろ喜々としてさ…考えてみりゃ当然だよな、落書き程度でマイナス評価になるわけがない、なんせ殺しに行ってもいいんだから」

 

そんな菅谷を渚がじっと見ている。

 

「ちょっとぐらい異端な奴でもE組(ここ)じゃ普通だ、いいもんだな、殺すって」

 

「…うん、その筆頭が今ここにいないけどね」

 

「ああ…あ、戻ってきた」

 

そして教室の入り口にはかなり怒った烏間先生と龍哉、その後ろに陽菜乃がいた。

 

「貴様…覚悟は出来てるんだろうな…そこのクソダコ」

 

「へ…」

 

「ちょっとこい…イリーナ、お前はさっさと落としてこい、実銃使ったことの説教はその後だ」

 

「…分かったわ」

 

「あ、イリーナ先生、これ使ってください、さっきお祖父ちゃんからもらっておきました、さすがに化粧は落ちちゃうと思いますが…」

 

「化粧位すぐに直せるわ、龍哉、ありがとう」

 

「ええ、皆もすぐに落として、1週間じゃ遅いから」

 

「え?」

 

「…もうすぐ月一の全校集会だよ、それまで落しておかないとまずいんじゃない?」

 

「「「「「「「「「「「あァァァァァァ!!!!」」」」」」」」」」

 

「はぁ…ほら、皆の分、早く落として落して」

 

「は、覇月君、先生にも!!」

 

「烏間先生、殺せんせーが原因なので反省してもらうために1時間以上お願いします」

 

「分かった」

 

「ニャーーー!!って力、力強いですよ烏間先生!!服が、服が破れてしまいます!!…だ、だれか助けてーーー!!」

 

そう言って烏間先生に引きずられて教室から出ていく殺せんせー…それを助けようとする生徒は誰もいなかった。

 

「龍哉、なんで1時間以上なんだ?」

 

「殺せんせーには色素定着させねーとな」

 

「なんで?」

 

「定着しちゃうと落すの面倒くさいらしいからさ、それを利用して脱皮させようかと」

 

「「「「「「「「「「「それだ!!」」」」」」」」」」

 

「よーし、今月も頑張ろうぜ!!」

 

本格的な夏が始まり…殺せんせーの暗殺期限まで残り8か月となった。

 

==========

 

―――後日

 

「ほい」

 

「お、おおおおおおおぉぉぉぉぉぉ」

 

龍哉が描かれた自分達の絵に感動している。

 

「後さ、これも」

 

「?…(////////)」

 

菅谷から渡されたもう1枚の絵は…この間の状態を龍哉と陽菜乃だけで正面から描いたものだった。

 

「いいもんだろ?」

 

「……宝物だよ、ありがとな、創介」

 

「おう、またリクエストがあったら言ってくれ、龍哉」

 

といったやり取りが2人の間であったとか…

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第十三回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

大河「ゲストの岡島大河だ」

 剛「同じくゲストの詩島剛だ…なんで俺呼ばれてんの?本編で龍哉との絡みまだないんだけど」

龍哉「それを想定した早期登場です、剛兄さん」

陽菜「どうしてこう呼んでるかは今後を楽しみにしていてね!!」

大河「いきなり宣伝!?」

 剛「2人共自由にやり過ぎじゃね!?いくら本編に関係のないところで裏話とかする場所でもやっていいことと悪いことがあるだろ!!」

龍哉「やっぱ突っ込みがしっかりしてるとやりやすいな」

陽菜「岡ちんは…ただの変態キャラだもんね」

大河「うおおぉぉい」

 剛「おい、まて、まて、今回のゲストが俺達なのって…」

龍哉「そんじゃ本題行くぞ」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、大河が変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダーマッハ(原作:仮面ライダードライブ)

龍哉「仮面ライダードライブに登場する、今回ゲスト出来てくれている剛兄さんがマッハドライバー炎とシグナルマッハを使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜「これって決めた理由は某SSと卒アル作ってるときの岡ちんの写真から?」

 剛「頼む、頼むから違うって、違うって言ってくれぇぇぇぇ…」

龍哉「剛兄さんには悪いが、作者はそれで思いついたそうだ」

 剛「(ちーーーん)」

大河「おい、どういうことだよ!!」

龍哉「詳しくは自分で探してみてくれ、ネイキッド岡島」

陽菜「でもいいの?剛さん、力尽きちゃったみたいだけど」

龍哉「大丈夫、こういう笑い、じゃない、パラレル的な場所では剛兄さんがいじられキャラになるのは今に始まった事じゃないから」

陽菜「ああ、そういえばそうだね(←某飯テロSSを思い出した)」

龍哉「というわけだ…それではこれで今回は終了、次回は陽斗だ」

龍哉・陽菜・大河「それでは次回もお楽しみに!!」


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指名の時間

さて、暗殺教室を彩る重要キャラ登場です。

…既にフラグが何本もたってるけどね(何のとは言いません)


―――暗殺訓練中間報告書

 

4か月目に入るにあたり、可能性がある生徒が増えてきた。

 

1人目、2人目…磯貝悠馬、前原陽斗

 

運動神経が良く仲のいい2人のコンビネーション、2人がかりなら烏間教官(以下教官)に当てられるケースが増えている。

 

次…赤羽業

 

一見のらりくらりとしているが…その眼には強い悪戯心が宿っていて…

 

どこかで教官に決定的な一撃を与えて赤っ恥をかかそうとしているが…基本的に読まれているため、通じている様子はない。

 

対して女子は…

 

体操部出身で意表を突いた動きが出来る岡野ひなた、男子並みの体格(リーチ)と運動神経を持つ片岡メグ

 

上記2名が近接攻撃(アタッカー)として非常に優秀である。

 

これ以外に寺坂竜馬、吉田大成、村松拓哉の悪ガキ3人組、左記3人は体格は良いのに未だに訓練に対して積極性を欠くため、本気を出してくれれば大きな戦力になるのだが…ここは本人達次第のためどうにもならないだろう。

 

他に有力な生徒はやはり、覇月龍哉でありまた最近では倉橋陽菜乃も彼に近付こうと積極的に訓練に精を出し、能力の向上が著しい。

 

そして全体を見れば、生徒達の暗殺能力は格段に向上している。

 

そしてその中でも特筆すべき生徒は―――潮田渚

 

小柄ゆえにすばしこく、それ以外は特筆すべき身体能力はない温和な生徒だが…

 

時として得体のしれない気配を感じるときがある。

 

これの正体が何かはいまだ不明であるが、判明したもの次第では今後の暗殺に非常に役立つ可能性がある。

 

以上

 

烏間忠臣

 

==========

 

―――訓練後…

 

「いやー、しかし当たらん」

 

「スキなさ過ぎだぜ烏間先生」

 

「スキがないなら作ればいいだろう、俺と陽菜がやってるように」

 

「そうそう」

 

「いや、あれはひどかった」

 

「え~、ただちょっとイリーナ先生の泣き落とし技術を応用しただけなのに~」

 

「それで龍哉もキレるし…演技だって知った時は本気で安堵したけど…烏間先生込で」

 

「「あははははは」」

 

「笑ってごまかすな!!」

 

「あ、烏間先生ー、放課後町で皆でお茶してこーよ!!」

 

「…ああ、誘いは嬉しいが、この後は防衛省に行かねばならんのだ…ああ、覇月君、紅日博士達に君を連れてくるように言われている、すまないが、一緒に来てくれ」

 

「あ、はい、分かりました」

 

「え~~」

 

「ごめん、今度埋め合わせするから」

 

「約束だよ!!」

 

「ああ」

 

そう言って龍哉は烏間先生と一緒に教室から出ていく。

 

「…私生活でもスキねーな」

 

「…っていうかさ、私達との間に壁っていうか一定の距離を保っているような…」

 

「厳しいけど優しくて…私達の事大切にしてくれてるけど…でもそれってやっぱり…ただ任務だからにすぎないのかな?」

 

「そんなことはありません、確かにあの人は…先生の暗殺のために送り込まれた工作員ですが…彼にもちゃんと素晴らしい教師の血が流れていますよ」

 

==========

 

―――教室から離れる龍哉と烏間先生は…

 

「追加人員?」

 

「ああ、俺の補佐として1人、また追加されるそうだ」

 

「やっぱし、お祖父ちゃんだけじゃ無理なところあるか…」

 

「いや、秀治さんのおかげで楽はさせてもらっているが…」

 

「ああ、手引きに事務処理、普段の訓練は烏間先生ですからね、お祖父ちゃんは名目上普通教科の講師ですから体育は出来ませんし」

 

「その通りだ…!!」

 

「どうしたんです?」

 

「よ、烏間!」

 

龍哉達の前に段ボールとビニール袋を持った男性が現れ、烏間先生に声をかけるとそのまま校庭に向かう。

 

「……あいつは鷹岡明、空挺団で俺と同期だった男だ…」

 

そして2人の目の先で、残った生徒達と殺せんせーに甘いものを渡してお茶会をしていた。

 

「…なんか、俺にはまるで理解できませんね」

 

「…何がだ?」

 

「あの人…鷹岡…でしたか?あの人やっていること、何のためなのかが分かりません」

 

「…普通に、生徒達と仲良くなるためじゃないのか?」

 

「一見はそう見えますが…なんとなく、嫌な予感がします」

 

「(…覇月君の予感はバカにできない、警戒に越したことはないか)分かった、とにかく一度向かおう」

 

「はい…あれ?」

 

「園川?いったいどうしたんだ?」

 

「あ、烏間さん、本部長からの通達です、あなたには外部からの暗殺者の手引きに専念してほしいと、生徒の訓練は…今後すべて鷹岡さんが行うそうです」

 

「…大丈夫なんですか?」

 

「…いいえ、同じ防衛省の者としては生徒達が心配です…あの人は極めて危険な異常者ですから」

 

「…だが、教官としては俺よりもはるかに優れていたと聞いている」

 

「…一応、何かあった時は俺が対処します」

 

「お願いします」

 

その会話を後に、龍哉と烏間先生は教室から去っていった。

 

==========

 

―――残った生徒達

 

「結構面白い先生だな」

 

「どう思う?」

 

「え~、烏間先生や龍君、秀治さんのほうが絶対いいよ」

 

「でもよ、龍哉はともかく、秀治さんはあんまり来ないし、烏間先生は何考えてるのか分かんないとこあるよな」

 

「いつも厳しい顔してるし、飯とか軽い遊びも誘えばたまに付き合ってくれる程度で…」

 

「その点、あの鷹岡先生って根っからフレンドリーじゃん、案外ずっと楽しい訓練かもよ」

 

「でも、本当に大丈夫なのかな?」

 

「陽菜乃ちゃんは何か気になるところがあるの?」

 

「うん、なんか…家族っていうのが気になっちゃって」

 

「何でだ?」

 

「え~と、うまく言えないけど…なんか…こう…」

 

「いやな予感がするの?」

 

「うん」

 

「…だんだん龍哉じみてきたな」

 

「ホント!?」

 

「そこ喜ぶのかよ」

 

「本当にべた惚れね…」

 

「えへへ…でも、私がこう感じたってことは龍君もそう思ってると思う」

 

「…ま、なんにせよ明日になればわかるって」

 

「……うん」

 

そうして、その日は終わった。

 

==========

 

―――翌日

 

龍哉は学校には行かず、ドライブピットにいた。

 

「…防衛省内で、時々どんよりが…」

 

「ええ、俺も昨日聞いたばかりですから、誰がとかまでは…」

 

「いや、ありがとう、俺達の方でも捜査を進めてみるよ」

 

「はい…(もしかしたら…可能性はあるな)」

 

龍哉は昨日来た鷹岡が持っている可能性を考えた。

 

しかし、それを口にすることはなかった。

 

なぜなら…

 

(奴が持っているという事は対殺せんせー用と考えるのが筋…進ノ介さん達が俺達の事をどこまで知っているかで、教えるべきか考えないと)

 

自分達の事情をどれだけ警察内部の人間が知っているのか分からない以上、むやみに言って混乱させるのはまずいと思ったのだ。

 

「あ、龍哉君、あなた専用の武器、出来たわよ!!」

 

「本当ですか!!」

 

りんなさんの言葉に龍哉も考えるのを中断する。

 

「じゃーん、これよ!!コウリンブレードブラスター!!」

 

りんなさんが出したのはマッハのゼンリンシューターより一回り長く、上部にブレードの付いた銃器だった。

 

「これは…普段は銃で…ブレードは」

 

「ある程度思考で動いてくれるわ、音声でもいいけど…ブレードモードと言ってやってみて」

 

「は、はい、ブレードモード」

 

龍哉が言うと上部のブレードが展開して剣型になる。

 

「へぇ~、これは使いやすそう」

 

「あと、龍哉君の特技を生かせるように改良してあるから、それから気を撃つことも可能よ」

 

「ホントですか!?やった、小さめの気弾撃つの苦手だったからこれはありがたいな~」

 

「ふふふ」

 

「それより、学校はいいのかい?」

 

「担任には今日は遅れると連絡してあるので大丈夫かと…」

 

「でも、もう用事は済んだんだから早くいったほうがいい」

 

「進ノ介の言う通りだな」

 

「そうですね、行ってきます」

 

「進ノ介、送っていってあげたまえ」

 

「そうだな、龍哉君、トライドロンに」

 

「あ、はい」

 

そうして龍哉は進ノ介、クリムおじさんと共にトライドロンに乗り込み、E組に向かった。

 

==========

 

―――E組

 

ここでは、鷹岡による暴政が行われていた。

 

家族として一緒に頑張っていこうというにも関わらず、だ…

 

まず、時間割の改変。

 

今までの中学生らしいものから、一気に軍隊然とした夜10時までの訓練…

 

これには当然全員反発、抗議をした陽斗の腹に膝蹴りを入れ、強制的に従わせようとする。

 

有希子に同意を求めようとした鷹岡だが、有希子もまた真っ向から反発…

 

それに逆上し殴り倒すがそこで殴られたのは有希子ではなく…

 

「グホ!!」

 

「!!す、杉野君!!」

 

「杉野!!」

 

有希子に恋する男、友人だった。

 

そのまま拳で語り合おうとする鷹岡、流石にこれには烏間先生、殺せんせーも止めに入る。

 

しかし、鷹岡の反論になすすべもなくそのまま訓練を続けさせることになってしまう。

 

「龍哉はどうしたのよ?こういう時、あいつなら…」

 

「覇月君は今日は遅れてくるそうです、なんでも、仮面ライダーとしての話し合いが必要になったとかで…」

 

「こっちのことは?さっきの事も」

 

「流石にここまでとは私も思っていませんでしたので…まだ伝えていません」

 

「なら、今すぐ連絡を取りましょう、このままよりかはましだわ」

 

そう言ってイリーナ先生はすぐに龍哉に現状を電話で伝え、龍哉はすぐに向かうと返事した。

 

「すぐ来るそうよ…その間に、陽菜乃が殴られないことを祈りましょう」

 

「そうですね…下手に理性を残して暴れる分、イトナ君の時になった状態よりも厄介です…」

 

そして生徒達の方に目を向ける、今、生徒達は鷹岡に怯えながら訓練を続けている。

 

「…あれでは生徒達が潰れてしまう」

 

「烏間先生、超生物として彼を消すのは簡単ですが、それでは生徒達に筋が通りません…私から見れば間違っているものの、彼には彼なりの教育論がある…」

 

そこで言葉を切り、烏間先生の方に殺せんせーが顔を向ける。

 

「ですから烏間先生、同じ体育の教師として彼を否定してほしいのです」

 

(否定…俺が奴を間違ってるといえるのだろうか…)

 

「そもそもこんな時間割!!放課後に生徒達と遊べなくなるじゃないですか!!」

 

「そーよ!!私の買い物で荷物持ってくれる男子がいなくなるわ!!」

 

「………間違いだらけだなここの教師は」

 

今回の件は…鷹岡の烏間先生に対する嫉妬が関係している。

 

部隊で最優秀だった烏間先生と、そうでなかった鷹岡…

 

それゆえに烏間先生の育てた生徒達を奪い、大部分をつぶしてでも精鋭を育て、殺せんせーを殺して英雄を育てた英雄になろうとしているのだ。

 

「じょっ…じょうだんじゃねぇ…」

 

「初回からスクワット300回とか…」

 

「龍哉のメニューもきつかったけど…ここまでじゃなかったな」

 

「これじゃ…死んじまうよ…」

 

「龍君……烏間先生~~~」

 

陽菜乃がそう言った瞬間、その前に鷹岡が立つ。

 

何をしようとしているのか分かった烏間先生も動くが、それよりも早く1人の男がそっちに駆けて行った。

 

「おい、龍君ってのがだれか知らないし、烏間も俺達家族の一員じゃないぞ…」

 

そう言って鷹岡が拳を振り上げて…

 

「お仕置きだなぁ…父ちゃんだけを頼ろうとしない子は」

 

陽菜乃に向けて振り下ろす。

 

陽菜乃は恐怖で目をつむるが…

 

いつまでたっても殴られた衝撃は来なかった…

 

恐る恐る目を開けてみると…

 

1人の男子生徒が陽菜乃の前に立ち、左手の人差し指一本で鷹岡の拳を止めていた。

 

その生徒の名は…

 

「「「「「「「「「「「龍(哉)君(哉君)(覇月)!!!!!」」」」」」」」」」

 

「すまん、イリーナ先生から連絡もらってすぐ来たんだが…ギリギリだったな…大丈夫だったか?」

 

「うん、私は…でも…」

 

そう言って陽菜乃の視線の先には陽斗と友人、それを心配する有希子がいた。

 

「…そうか、すまない、もう少し早く来ていればよかったな」

 

「…気にすんな、お前でも、こんな教育をする奴だとは思ってなかったんだろう?」

 

「まぁな…」

 

「なんだ、遅刻か…悪い子だ…な!!」

 

止められた右拳に代わり左拳で龍哉を殴ろうとするが…

 

ピタッ…そんな効果音が似合う状況だった…龍哉はまた同じく左の人差し指で拳を止めていた。

 

「なっ…」

 

「どうした…この程度か?」

 

龍哉にとって、この程度の拳は幼少より受け続けてきたため、どうってことない。

 

そこに烏間先生もやってくる。

 

「これ以上はやめろ、鷹岡…それ以上生徒達に手荒な真似をして暴れたいのなら…彼、覇月君ではなく俺が相手を務めてやる」

 

「烏間先生!!龍哉!!」

 

しかし、この状況は鷹岡には想定内の事だった。

 

「…いったろ、烏間?これは暴力じゃない、教育だ…暴力でお前とやり合う気はない…対決(やる)ならあくまで教師としてだ」

 

「…どういうことだ」

 

「お前達もまだ俺を認めていないだろう、父ちゃんもこのままじゃ不本意だ」

 

(当然だ…いや、そもそも…)

 

「そこでこうしよう!!こいつで決めるんだ!!」

 

鷹岡は懐から対先生用ゴムナイフを出す。

 

「…ナイフ?」

 

「カラスマ、お前が育てた生徒(こいつら)の中でイチオシの奴を一人選べ」

 

「!!」

 

「そいつが俺と戦い一度でも当てられたら…お前の教育は俺よりも優れていたのだと認めよう」

 

(嘘くせぇ…それに、お前が勝ってもそれでも俺達は認めないだろうがな)

 

「その時はお前に訓練を任せて出てってやる!!男に二言はない!!」

 

「…律」

 

「はい、ばっちり音声録音しました!!言質とってます!!」

 

((((((((流石龍哉と律、こういう時は頼りになる)))))))))

 

鷹岡の言葉に対して龍哉と律によって言質がとられているため、逃げ出すことも不可能、これに生徒達の顔も喜色満面になる。

 

「ただしもちろん俺が勝てばその後一切口出しはさせないし…それに使うナイフはこれじゃない」

 

そう言って鷹岡が取り出したのは…

 

(((((((((ほ、本物!!))))))))))

 

「殺す相手が人間(オレ)なんだ…使う刃物も本物じゃなくちゃなァ」

 

「よせ!!彼らは人間を殺す訓練も用意もしていない!!本物を持っても体が竦んで刺せやしないぞ!!」

 

「安心しな、寸止めでも当たったことにしてやるよ、俺は素手だしこれ以上ないハンデだろ」

 

(まずい、対先生用ナイフなら俺でもいいが…本物だと全員動けない…これだと勝てないと思いこんでしまい、奴に心を折られて心服してしまう…)

 

「さぁ烏間!!一人選べよ!!嫌なら無条件で俺に服従だ!!」

 

鷹岡の顔が狂気に染まったような顔になる。

 

「生徒を見捨てるか生贄として差し出すか!!どっちみち酷い教師だなお前は!!はっははーー!!」

 

「…………!!」

 

(……………俺は…まだ迷っている…地球を救う暗殺者を育てるには…奴のような容赦のない教育こそ必要ではないのか?……この教師(しょくぎょう)についてから迷いだらけだ…)

 

(迷ってるな、烏間先生…当然だ、下手すると俺達全員にこの教室をボイコットしかれねぇしな)

 

(仮にも鷹岡は精鋭部隊に属していた男、訓練3か月の中学生の刃が届くはずがない…)

 

(とはいっても…)

 

(その中でひとりだけわずかに「可能性」を持った生徒を…危険にさらしていいものか迷っている)

 

烏間先生はそう思いながらナイフを拾って1人の生徒の元に行く。

 

「渚君、やる気はあるか?」

 

「…!?」

 

((((((((なっ…なんで渚を!?)))))))))

 

「選ばなくてならないなら恐らく君だ…戦闘能力では覇月君がダントツだが…彼は、ナイフ(これ)を使って戦うことは出来ない、だから返事の前に俺の考えを聞いて欲しい」

 

反論しようと動いたカエデを龍哉が手で制し、首を横に振る。

 

それを見てカエデも止まり、烏間先生も言葉を続ける。

 

「地球を救う暗殺任務を依頼した側として…俺は君達とはプロ同士だと思っている…プロとして君達に払う最低限の報酬は、当たり前の中学生活を保障することだと思っている」

 

「「「「「「「「「「「…!!」」」」」」」」」」

 

「だから、このナイフは無理に受け取る必要は無い、その時は俺が鷹岡に頼んで…「報酬」を維持してもらうよう努力する」

 

「ククク、烏間、土下座でもすりゃ考えてやるわ」

 

(ありゃ維持する気ねぇな…)

 

(僕はこの人の目が好きだ、こんなに真っ直ぐ目を見て話してくれる人は家族にもいない、立場上僕らに隠し事も沢山あるだろう、なんで僕を選んだのかもわからない…けど、この先生が渡された刃なら信頼できる)

 

渚が烏間先生の手からナイフを受け取る。

 

(それに、前原君に神崎さんをかばって殴られた杉野の事、せめて一発返さなきゃ気が済まない)

 

「やります」

 

「おやおや…」

 

(ここでは…最良の選択肢だ…そもそも、暗殺(・・)なんだ…あんたの思うようにはならないぜ)

 

渚がナイフを加えてストレッチしながら鷹岡に向き合う…

 

暗殺教室の、ひいては生徒達の今後を賭けた一戦が始まろうとしていた…

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第十三回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

陽斗「ゲストの前原陽斗だ」

龍哉「陽斗って早期に個別回与えられたのに活躍シーン少なかったよな」

陽菜「モテキャラ枠だけどチャラ男だから人気も低いよね」

陽斗「いきなりディするのやめてくんない!?」

龍哉「あと作者曰くドM枠だそうだ」

陽菜「ああ、蹴られたり殴られたりしてるシーン多いもんね」

陽斗「違う!!俺はドMじゃない!!ノーマルだ!!」

龍哉「まぁそんなのはどうでもいいんだけどな…そんじゃ本題行くぞ」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、陽斗が変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダープロトイクサ(原作:仮面ライダーキバ)

龍哉「仮面ライダーキバに登場する、紅音也がイクサベルトとイクサナックルを使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜「これってやっぱり?」

龍哉「ああ、陽斗がチャラ男だからだ」

陽斗「ざっけんな!!」

龍哉「そうだな、元の音也さんはああ見えて割と一途というか一人に絞る不特定多数の女子と何又もするお前とは違うな」

陽菜「前ちんサイテー」

陽斗「くそ、事実な点もあるから言い返せねぇ」

龍哉「それではこれで今回は終了、次回は創介だ」

龍哉・陽菜・陽斗「それでは次回もお楽しみに!!」


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才能の時間

約1月ぶりの投稿…

すみません、リアルにいろいろあったもので…



渚の秘められた才能がここで開花する!!

そして龍哉もまた、新たな力を披露する!!

2人の活躍の行方は…!!


「お前の目も曇ったなぁ烏間、よりによってそんなチビを選ぶとは」

 

「渚君、鷹岡は素手対ナイフの戦い方も熟知している、全力で振らないとかすりもしないぞ」

 

「はい」

 

「龍君、渚ちゃん…大丈夫かな?」

 

「渚のナイフ…当たると思うか?」

 

「……悪いが、明言するのは避ける…奴に下手に対抗策を思いつかれるのはまずい…ただ」

 

「ただ?」

 

「…鷹岡は渚の身体能力(・・・・)を見抜いている、この中でも最弱クラス―運動神経は平凡、体格と馬力は女子並―というのを…ただそれだけだ」

 

「えっと…」

 

「奴さんも最低限、教官としての能力はあるようだな…おまけに、使うナイフは本物だから…その意味に気づくと委縮して普段の一割に満たない力しか出せない」

 

「それじゃ、勝負にならないじゃないか!!」

 

「…ただの勝負ならな」

 

「へ?」

 

「…烏間先生が俺達に教えてくれた技術は何のためか、渚がそれを理解していれば…な…」

 

「どういうことだよ」

 

「ま、それを理解するためにも…今は見守ろうぜ、渚を」

 

その龍哉のその言葉と共に、皆が渚と鷹岡の戦闘を見守る。

 

また、イリーナ先生と殺せんせーは…

 

「何であそこで龍哉じゃなく渚なの?カラスマの奴頭が変になったのかしら?」

 

「覇月君はこの状況下では役に立てません…見てれば分かりますよ、烏間先生が出した答えは正しいですよ」

 

「つまり、あんたも?」

 

「はい、あの条件なら私でも…渚君を指名しますよ…覇月君も同じでしょうね、そうでなければ彼は自分を押し殺してでも自分が、と言うはずです」

 

「…分かったわ」

 

「…………いずれにせよ、勝負は一瞬で決まるでしょうね」

 

==========

 

―――校庭

 

烏間先生が渚に小声でアドバイスを与え、最後にこう告げた。

 

「(小声)いいか、ナイフを当てるか寸止めすれば君の勝ち、君を素手で制圧すれば鷹岡の勝ち、それが奴の決めたルールだ」

 

烏間先生はそこで声量を元に戻す。

 

「だがこの勝負、君と奴の最大の違いはナイフの有無じゃない、分かるか?」

 

「…?」

 

(やばい、あれ分かってない顔だ…頼む、気づいてくれ、渚!!)

 

「おい、渚のナイフ当たると思うか?」

 

「龍哉は…さっき烏間先生が言ってたけど出来そうにないうえに、本人も渚に任せっきりって態度だけど…無理だろ、一緒に訓練していたらいやでもわかるぜ…まして、本物のナイフなんて使えるはずが…」

 

(渚…!!)

 

カエデが手を胸に当てて不安げに渚の方を見る。

 

「さぁ来い!!(公開処刑だ!!全ての攻撃を躱してからいたぶり尽す、全生徒が俺に恐怖し…俺の教育に従うようにな)」

 

シーーーーーン

 

そこで渚の脳裏に烏間先生のアドバイスが蘇える。

 

―いいか、鷹岡にとってこの勝負は「戦闘」だ、目的は見せしめだからな

 

―二度と皆を逆らえなくする為には…攻防共に自分の強さを見せつける必要がある

 

―対して君は「暗殺」だ、強さを示す必要は無く、ただ1回当てればいい

 

 

―そこに君の勝機がある

 

 

―奴は暫くの間君に好きに攻撃させるだろう、それらを見切って戦闘技術を誇示してからじわじわと君を嬲りに来るはずだ

 

―つまり反撃の来ない最初の数撃が最大のチャンス、君ならそこを付けると俺も覇月君も思っている

 

鷹岡が刃物を持つことがどういうことか気づいて青ざめて絶望する顔を切望するような感じになるが…

 

烏間先生のアドバイスを思い出した渚は…

 

(そうだ、龍哉みたいに闘って勝たなくていい―――殺せば勝ちなんだ―――)

 

そう気づいた渚は笑ってそのまま普通に歩いて鷹岡に近付き、構えている左腕に接触する。

 

そして…

 

内側から真っ直ぐ鷹岡の首元を狙って渚がナイフを振るい…さすがにこのタイミングで自分が殺されかけいることに鷹岡も気づく。

 

鷹岡はギョッとして体制を崩す…当然だ、誰だって殺されかけたらギョッとする、殺せんせーもそうなのだから。

 

鷹岡の重心が後ろに偏ったことを見抜いた渚は右手で鷹岡の服を引っ張り転ばせる。

 

そして仕留めに行く、正面からでは防がれるので背後に回って確実に…

 

(まるで蛇みてーだな…俺や烏間先生が時折本気で防御すんのはあの性か)

 

「捕まえた」

 

その言葉と共に転んだ鷹岡の背後に回り込んだ渚がナイフの峰を鷹岡ののどに当てる。

 

その光景に、その場にいた全員が驚愕する。

 

(なんてことだ…予想をはるかに上回った!!…普通に生活している上じゃ絶対に発掘されない…殺気を隠して近づく才能、殺気で相手を怯ませる才能、「本番」に物怖じしない才能!!…俺が訓練で感じた寒気、覇月君から報告された渚君から感じる特異な気配…それが…)

 

((戦闘でも、暴力の才能でもない…暗殺の才能!!))

 

「あれ…ひょっとして烏間先生、峰打ちじゃダメなんでしたっけ?」

 

(しかしこれは…咲かせてもいい才能なのか!?)

 

「そこまで!!」

 

渚の頭上から届いた声に全員がそっちを注目する。

 

「勝負ありですよね、烏間先生」

 

殺せんせーがそう言うと共に渚からナイフを取り上げてそのままバリバリとかみ砕いて食する。

 

「全く…本物のナイフを生徒に持たすなど正気の沙汰ではありません、怪我でもしたらどうするんですか」

 

「はは…」

 

「怪我しそうになったら殺せんせーマッハで助けに入ったでしょ」

 

(…………それにしても…)

 

見ていると渚の周りに今龍哉が来たのを筆頭に他の生徒達も集まってきた。

 

「大したモンだよ、よくあそこで本気でナイフ振れたよな」

 

「いや…烏間先生に言われたとおりにやっただけで…鷹岡先生強いから…本気で振らなきゃ驚かすことすらできないかなって」

 

すると陽斗が急に渚をはたく。

 

「いたっ…なんでたたくの前原君!!」

 

「あ、悪い…ちょっと信じられなくてさ」

 

「なら自分の頬をつねれよ」

 

「仇取ってくれた渚ちゃん叩くなんて前ちんさいて~」

 

「お前ら俺ディスルの早くない!?ちゃんと感謝してるって!!スカッとしたし!!」

 

(ああしているととても彼が強くは見えない…だからこそ鷹岡はまんまと油断し反応が遅れた…暗殺者にとって、「弱そう」な事はむしろ立派な才能と言える…覇月君はこれに気づいていたのか?)

 

「笑顔でナイフ突きつけて『捕まえた』とか…渚クンは見かけによらず肉食獣だねぇ」

 

「違…上手くいって安心しただけだって!!」

 

(さらに、自然に近づく体運びのセンス、敵の力量を見て急所を狙える思い切りの良さ…暗殺でしか使えない才能!!)

 

「ん?(烏間先生、渚の力に気づいて…戸惑ってるというより、迷ってるな、あれ)」

 

(だが…喜ぶべき事なのか!?このご時世に暗殺者の才能を伸ばせたとして…E組(ここ)ではともかく、彼の将来にプラスになるのか?…いや、そうなったら覇月君が腕づくで止めるだろうが…)

 

「烏間先生、今回はずいぶん迷ってますねぇ~あなたらしくもない」

 

「悪いか」

 

「いえいえ、でもね、烏間先生…」

 

殺せんせーが何か烏間先生に告げようとしたところで鷹岡が復活し、息を荒げ、激怒の形相で渚をにらみつけている。

 

「このガキ…父親も同然の俺に刃向かって…まぐれで勝てたことがそんなに嬉しいか…もう1回だ!!今度は絶対油断しねぇ…心も体も全部残らずへし折ってやる!!」

 

「律~」

 

「はい、今の発言ともども、本部長さんへ秘匿回線を使って送りました!!」

 

「なっ!!」

 

「龍君…何で知ってるの?」

 

「本部長さんとは昔父さんについて防衛省に行ったときに会ったことがあるんだ…そん時のつながりもあったし、昨日たまたま再会してね(・・・・・・・・・・・)

 

((((((((絶対この状況見越してたな)))))))))

 

「…龍哉、ありがとう…でもそれでもしやっても、次は僕が負けます」

 

「そりゃそうだ…2度も暗殺されるような奴なんざ普通いない」

 

「うん、それではっきりしたのは鷹岡先生…

 

 

僕らの「担任」は殺せんせー、僕らの「教官」は烏間先生で…「副教官」は龍哉です、これは絶対に譲れません」

 

 

「……!!」

 

「父親を押し付ける鷹岡先生より、プロに徹する烏間先生の方が、一緒の目線で過ごせる龍哉の方が…僕はあったかく感じます」

 

「私も同意見です」

 

「陽菜…」

 

「本気で僕らを強くしようとしてくれたのは感謝してます、でもごめんなさい、出て行って下さい」

 

そう言って渚が頭を下げ…

 

男に二言はない(・・・・・・・)、でしたよね?」

 

龍哉が追撃をした。

 

「先生をして一番うれしい瞬間はね、迷いながら自分が与えた教えに…生徒がはっきりと答えを出してくれた時です」

 

「黙って聞いてりゃ…ガキの分際で…大人になんて口を…」

 

「そして烏間先生、生徒がはっきり出した答えには…先生もはっきり答えなくてはなりませんねぇ…覇月君も動いていますし」

 

そう殺せんせーが言った瞬間、鷹岡が渚を殴ろうとして…

 

 

ゴバキィッ!!!!

 

 

烏間先生のひじ打ちが顎に、龍哉の前蹴りが喉元に直撃し、鷹岡を昏倒させる。

 

「俺の身内が…迷惑かけてすまなかった…覇月君、君までやる必要は無かったんだが…」

 

「ある意味、あいつ(・・・)みたいなもんですからね…それに、俺がこうした理由、烏間先生だってわかってるでしょ」

 

「フ…後のことは心配するな、俺1人で君達の教官を務めれるよう上と交渉する、いざとなれば銃で脅してでも許可をもら「ああ、その方面では心配ないぞ、烏間よ」…秀治さん、今日はこちらに来られないはずでは?」

 

「ふん、そこのたわけが教官になったと聞いて、慌てて防衛省に飛んでいたのよ…お主こそが適任であるという証拠と共にな」

 

「そうだったのですか?」

 

「それで、結果は?」

 

「うむ、問題ない、お前たちの教官は烏間のままよ」

 

「「「「「「「「「「「やったぁぁぁぁぁ!!!!!」」」」」」」」」」

 

「なっ…」

 

「おやおや、既に私を介さずにそんなことを…もっとも、問題ありませんが」

 

「!!理事長…!?」

 

「……ご用は?それに、どういうことです?」

 

「経営者として様子を見てました、新任の先生の手腕に興味があったのでね」

 

「ストーカー?」

 

「いや…覗きじゃな…」

 

「ちょっと黙ってそこの爺孫」

 

(…まずいな、この男の教育理念からすると…E組を消耗を続投させる鷹岡の続投を望むのか?しかい、問題ないとはいったい…)

 

理事長は龍哉と秀治の侮辱ともとれる発言を無視して鷹岡に近付き、一枚の紙を取り出した。

 

「でもね鷹岡先生、あなたの授業はつまらなかった、教育に恐怖は必要です、でも一流の教育者は恐怖を巧みに使いこなす…が、暴力でしか恐怖を与えることが出来ないなら…その教師は三流以下だ」

 

その言葉に続くように、サラサラとその紙にサインのようなものを書く。

 

「自分より強い暴力に負けた時点で…それ(・・)の授業は説得力を完全に失う」

 

そのまま紙を丸めて鷹岡の口に突っ込む。

 

「解雇通知です、以後あなたはここで教えることは出来ない…椚ヶ丘中(ここ)の教師の任命権は防衛相(あなたがた)にはない、全て私の支配下だという事をお忘れなく」

 

そんな言葉と共に立ち去っていく理事長…

 

そして口に突っ込まれた解雇通知を悔しさによりぐしゃぐしゃに鷹岡はかみしめ…

 

「ひあうぇはgはwぽgjrpwじゃぽあwp!!!!」

 

わけのわからない雄たけびと共に幾何学的な文様(・・・・・・・)をその体から出した。

 

「「「「「「「「「「「!!!!!!」」」」」」」」」」

 

鷹岡の体はナンバーのない下級ロイミュードの姿に変わる。

 

余りの事態に1人を除いてその場にいた全員が固まり…

 

「死ねヤァァァァァァ!!!!!」

 

怒りの声と共に理事長にエネルギー弾を放とうとして…

 

バキュバキュバキュバキュバキュ!!!

 

5発のエネルギー弾が直撃し、体制を崩したが、すぐに立ち直って飛んできた方を向く。

 

その視線の先にいたのは…

 

「やっぱりか…当たってほしくなかったんだがな」

 

コウリンブレードブラスターを構えた龍哉がいた。

 

「龍君!」

 

「皆、下がって…後は俺の仕事だ」

 

「何を言ってるんだ…」

 

「ちゃんとニュース見ろよ…おもっくそブーメランだけどな」

 

その言葉と共に龍哉はコウリンブレードブラスターを上に放り投げてバーストドライバークロスを腰に巻き付け、右手でカバーを上げて左手でシフトバーストを変形させて差し込み、カバーを閉じ…

 

「(シグナルバイクシフトカー!!)」

 

「変身!!」

 

その掛け声とともにかめはめ波のように両腕を前につきだし、左腕を右上に、右腕を左下につきだしてそのまま回して胸の前でクロスして腰の両隣に下した。

 

その瞬間、龍哉の体の周囲を独特のエネルギーが周り…

 

「ライダー!!バースト!!」

 

その声と共にミュージックホーンが鳴り響き、龍哉の体が装甲に包みこまれて装着され、そこに先程放り投げたコウリンブレードブラスターが落ちてくる。

 

それを見事右手でキャッチし、そのまま鷹岡が変貌した下級ロイミュードに向ける。

 

「俺は仲間と、大切な人との明日を、未来を守る戦士、仮面ライダーバースト!!」

 

そのまま、自分の名乗りを上げ…

 

「覇ぁ!!」

 

気合の乗った一言を上げて向かっていった。

 

 




すみません、元々1話でしたが2話に分割しました。

なのであとがきコーナーはお休みです。


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覚醒の時間

すみません、以前は「才能の時間」でひとまとめにしていた話を分割しました。

今回の話は以前の「才能の時間」の後半にあたります。

新規ではなく申し訳ない。


―――特状課

 

「!!皆、ロイミュードの出現情報だ…場所はエーと…椚ヶ丘中の山の中だって!!」

 

「ふむ、確かそこは龍哉のいる隔離校舎のところだったはずだ…なぜそこに…」

 

「もしかすると、最近警察内部でも話に出ていたある存在の性かもしれません…龍哉ちゃん達を放っておくわけにはいきません」

 

「泊さん、早く行きましょう」

 

「ああ…あれ?チェイスは?」

 

「もう行っちまったぞ~」

 

「「早っ!!」」

 

その後、進ノ介と霧子はクリムと共にトライドロンでE組に向かった。

 

==========

 

―――特状課駐車場

 

「『は?』」

 

「だから、この間新しく俺達の仲間になった龍哉のいるところでロイミュードが出現した、倒しに行くのにお前にも協力してほしいといっているんだ、剛」

 

「『いやいやいや、この間あいつめっちゃ強かったじゃねーか、それに、何でお前が俺の連絡先知ってんだよ!!』」

 

「この間霧子に聞いておいた、それに、確かにあいつは強い、だが、複数(・・)であり、護るべき存在が多いから苦戦もあり得る」

 

「『あーそうか「場所は送っておいた、来るか来ないかはお前次第だ…それと、恐らくそいつらにはナンバーがない」は?』」

 

「この間、ナンバーがないタイプのロイミュードがいた、龍哉曰く研究資金の出資者が見返りとしてデータをもらい、作成した可能性があるそうだ」

 

「『なんでそれを俺に言うんだよ!!』」

 

「お前は全てのロイミュードをぶっ潰すのだろう?だからこうして教えている」

 

「『お前もロイミュードだし!!だーっ!!分かったよ!!』」

 

「了解した、俺もすぐに向かう」

 

チェイスは剛に連絡をとり、互いにすぐにE組に向かうことになった。

 

==========

 

―――E組校庭

 

ここでは龍哉VS4体(・・)のナンバーなしの下級ロイミュードが戦っていた。

 

「ハァ!!ズァ!!デリャァ!!」

 

龍哉の一撃で次々に3体のロイミュードが吹っ飛ばされるが…

 

「そらそらどうしたよぉ!!」

 

「ちぃっ!!」

 

鷹岡が変貌したロイミュードはそいつらを囮として使い龍哉に攻撃してくるためとどめを刺せず、結果泥沼の状態に陥っていた。

 

(くそ、下級オンリーだが、奴がとどめ用のエネルギーを充填する暇を与えてくれないから数を減らせない…)

 

(くくく…このままつぶしてやるよぉ…)

 

このまま龍哉が体力切れで負けてしまう、もしくは…

 

「確かに強い…だが…これでどうだ!!」

 

鷹岡の指示の下、全ロイミュードが避難した生徒達の方に銃口を向けて光弾を放つ。

 

「チッ!!」

 

龍哉は素早くベルト上部にあるシフトアップボタンを4連打する。

 

「(バ、バ、バ、バースト!!ブーストアップ!!)」

 

その音声と共にバーストにエネルギーがみなぎり、光弾よりも早く全員の前にたどり着き…

 

ガガガガガガ!!

 

「ぐぅぅぅぅ…」

 

「「「「「「「「「「「龍(哉)君(哉君)(覇月)!!!!!」」」」」」」」」」

 

その身を盾にして全員をかばい、ダメージの大きさから膝をついてしまう。

 

「ぐ…」

 

「安心しろよ…俺がそいつも有効活用してやるからよぉ!!」

 

その声と共に鷹岡がとどめを刺そうとするが…

 

「ハァッ!!」

 

「(ゼンリン!シューター!!)」

 

ダダダダダダダダ!!!

 

突如マッハが現れ、ゼンリンシューターで龍哉―バーストを援護する。

 

「大丈夫か!…あれがチェイスの言っていた」

 

「はい…ええ、ナンバーなし…ロイミュード開発に出資していた連中が作ったと思われます」

 

「そうか…たとえ作ったのが誰だろうと…ロイミュードは全て俺がぶっ倒す!!」

 

「協力します…あいつらは…俺の母さんがベース思考プログラムを作った…だから、親が残した負の遺産は…俺が清算する!!」

 

「!!…お前も…なら協力して、一気に行くぞ!!」

 

「はい!!」

 

マッハとバーストは互いが互いを援護しあうことで数の上では半分でも五分以上の状況に戻す。

 

「な、な、な…」

 

「これが、俺達の力だ」

 

「観念するんだな」

 

「ふざけやがって…これで…どうだ!!」

 

「!!」

 

「しまった!!」

 

追い詰められた鷹岡は他のロイミュードからエネルギーを集めて巨大なエネルギー弾を生徒達や烏間先生がいる方へ放つ。

 

しかし…

 

キュキュキュキュキュキュキュキュ!!!

 

上空から連続でエネルギー弾が巨大エネルギー弾に打ち込まれて速度が遅くなったところに

 

「ヒッサツ!!フルスロットル!!マッテローヨ!!………イッテイーヨ!!」

 

その音声と共にチェイサーが上空からシンゴウアックスを振り下ろしてはじき返し、相手の元に戻った巨大エネルギー弾が爆発する。

 

そしてそのダメージは大きく、全員が地面に倒れ伏した。

 

その隙に全員が合流する。

 

「チェイスさん!!」

 

「ってことは…やっぱり、進兄さんに…姉ちゃん…」

 

「すまない、遅くなった」

 

「大丈夫か!?2人共」

 

「いえ、むしろナイスタイミングでした…俺も剛さんも間に合いそうになかったので」

 

「霧子、君は他の人達を頼む」

 

「俺からもお願いします」

 

「はい…あ、剛…」

 

「あ…」

 

霧子はクリムと龍哉に生徒達を頼まれ、行こうとする前に剛に声をかける。

 

「あなたが、何か悩んでいる…でも、そのことで…今、あなたは私達と距離を置いているんでしょう?」

 

「…姉ちゃん…」

 

「だから、そんなあなたに、一言だけ言わせてもらうわ…あなたには、皆が、私がいるわ…だから、1人で出来ないことがあったら、ちゃんと頼って…」

 

「…うん、分かったよ、姉ちゃん…」

 

「さて…さっさとあいつらをぶっ倒さないとな」

 

「…指揮している奴は…俺にやらせてください…」

 

「龍哉?」

 

「分かった、他の奴らは俺達に任せろ」

 

「おい、チェイス何を勝手に」

 

「龍哉は引かない、だったら、その意をくんでやるべきだ」

 

「そうだな、いくぞ、剛!!」

 

「あーもう!!分かったよ!!」

 

その間に向こうも立ち直り、再度攻撃態勢に入る。

 

だが、ドライブ、マッハ、チェイサーが下級ロイミュードに、龍哉が鷹岡に挑みかかる。

 

「ハァッ!!」

 

「フン!!」

 

「ウォリャ!!」

 

先程までバーストが苦戦していた3体の下級ロイミュードを一気に追い詰めていく。

 

また、一方で…

 

「なぜだ…なぜぇ!!」

 

「分からないか?お前には『信頼』も『仲間』もないからだ」

 

「なんだと!!」

 

「他の仮面ライダー達が来てくれたのは、俺を『仲間』と思っているからだ…もっとも、ロイミュードを倒すのがある意味存在意義だからどうあっても来てくれただろうがな」

 

「そんなことはない!!」

 

「たとえ、ここに出たのがロイミュード以外だったとしても、俺達は駆け付ける」

 

「我々は『仲間』だ、剛も龍哉も、だから、君達が危機に陥った時は必ず助ける!!」

 

「進兄さん、クリム…チェイス」

 

「私も、同じです!!」

 

「姉ちゃん…」

 

「ふざけるな…ふざけるなぁ!!ああぁァァァぁァァァぁ!!!!!」

 

仮面ライダー達の『絆』を見て鷹岡の体にさらに変化が起きる。

 

「これは…!!」

 

「まさか!!」

 

幾何学的な文様が浮かび上がりさらに変化し、2門のバズーカ砲が付いた牛のようなロイミュードに変化する。

 

名づけるなら―ビーフバズーカロイミュード

 

「ナンバーなしでも進化体ロイミュードになれるのか!!」

 

「まずいな…一気に片付けて龍哉の援護に向かう!!」

 

「だな!」

 

「だから何でお前が仕切ってんだ!!同意見だけどよ!!」

 

鷹岡の変化にドライブ、マッハ、チェイサーの3人は驚き、すぐに援護に向かおうとするが、下級とはいえ相手はロイミュード、倒すのは時間がかかる、そう判断した鷹岡はすぐにバーストを攻撃して始末しようとする。

 

「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

両肩のバズーカ砲にエネルギーが充填され、発射される…E組の生徒達の方に向かって(・・・・・・・・・・・・・)

 

「なっ!!」

 

「いかん!!」

 

「ヒッサツ!!フルスロットル!!バースト!!」

 

「俺のこの掌が輝き吠える!!仲間の、大切な人達を守れと雄たけび上げるぅ!!爆裂(バァァァクレツ)!!バァァァストォォォフィンガァァァァァァ!!!!」

 

 

だが、ビーフバズーカロイミュードとE組の生徒達の間に必殺技を発動させたバーストが割り込む。

 

「龍君!!」

 

「龍哉!!」

 

「うぉぉぉぉぉ!!(俺は失いたくない…かけがえのない仲間を)」

 

その時、龍哉の脳裏には進ノ介やチェイス、霧子に剛といった特状課の面々と烏間先生といったE組の生徒の一部が浮かびあがる。

 

(―――何にも変えられない友を!!)

 

龍哉の脳裏に今度は渚、カルマ、友人に有希子、愛美、カエデといった名前で呼び合っている友達の顔が浮かび上がる。

 

(そして―――この世で一番大切な恋人(ヒト)を!!)

 

龍哉の脳裏に笑顔の陽菜乃が浮かび上がる。

 

(見えたぞ、水の一滴!!)

 

その瞬間に目を見開いて力をこめ、バーストフィンガーでエネルギー砲を相殺、爆散させ、周囲に煙が充満する。

 

だが、傍目にはバーストが攻撃を食らってしまったようにしか見えなかったため…

 

「!!リ、龍哉!!」

 

「龍哉君!!」

 

「!!きさ…邪魔だ!!」

 

「くそが!!」

 

それを見たドライブ達がビーフバズーカロイミュードに向かおうとするが今まで相手していた下級ロイミュードに邪魔される。

 

当然、同じようにビーフバズーカロイミュードこと、鷹岡も思うため…

 

「ふっ…ふははははは!ざまあねえぜ!!」

 

勝利の高笑いをしていた…だが…

 

「誰がだ?」

 

そこに、龍哉の、バーストの声が響いた。

 

「!?」

 

「龍哉君!?」

 

「無事だったのか!?」

 

「ええ…とんでもないパワーアップ付きでね!!」

 

煙を払って出てきたバーストの体は…超進化体ロイミュード同様金色に輝いていた(・・・・・・・・)

 

「え、ええええ!!」

 

「あれは…」

 

「あれぞまさしく…明鏡止水の境地…龍哉の奴め、父同様こんな土壇場で覚醒するとはな…」

 

「それってどういう…」

 

「ありとあらゆる感情を乗り越えた先にあるもの、それが明鏡止水の境地…素質はあったが今一歩のところで乗り越えられなんだが…」

 

「陽菜乃を含めた友達や仲間が危機に陥ったのを救うためにか…龍哉らしいわね」

 

「ああ」

 

「ば、バカなバカなバカなバカなバカなバカなバカなバカな」

 

余りの事態に鷹岡も混乱している。

 

「進ノ介さん、クリムおじさん、剛さん、チェイスさん、あとは全部俺に任せてください」

 

「何!!」

 

「もう…こいつらは…俺1人で十分です」

 

「っ…調子に…乗るんじゃねぇぇぇぇぇ!!」

 

龍哉のその発言に鷹岡が怒って3体の下級ロイミュードを伴って突進してくる。

 

「龍君!!」

 

「大丈夫さ、陽菜乃…安心してそこで見ててくれ」

 

「!!!…うん!!」

 

「行くぞ!!流派東方不敗の名のもとに!!」

 

掛け声とともに龍哉は右手を突き出す。

 

「俺のこの掌が輝き吠える!!仲間の、大切な人達を守れと雄たけび上げるぅ!!爆裂(バァァァクレツ)!!バァァァストォォォフィンガァァァァァァ」

 

そこまで言ったところで技を放たず、腰だめにエネルギーをためる。

 

「!!龍哉め、あれを撃つ気か!!」

 

「あれって…なんですか?」

 

「龍哉が撃とうとしているのは、我が流派東方不敗が最終奥義…その名も」

 

 

「石破!!天驚拳(テンキョォォォケェェェン)!!」

 

 

龍哉から放たれた『驚』と付いた強力なエネルギー弾は鷹岡を筆頭とするロイミュード4体を飲み込み、一撃で全員をコア毎倒しきる。

 

「…………」

 

余りの威力に秀治を含めたその場にいた全員が呆然としてしまう。

 

「あれが…石破天驚拳…凄まじい威力ですね」

 

「…儂でもあれほどの威力のものは撃ったことが無い…龍哉め、よもやここまでとはな」

 

そして、着弾点には威力の余波の性か、服装がボロボロになってのびている鷹岡がいた。

 

それにドライブが近づき…

 

「鷹岡明、機械生命体措置法に基づき、貴様を逮捕する!!」

 

「進兄さん、気絶しているから聞こえてないって」

 

「周りの人に聞こえるように言わないといけないのよ、剛」

 

「え、そうなの?」

 

「そうだったのか」

 

そんなやり取りの後、鷹岡はそのまま進ノ介達に連れられて警察へ連行されていき、今回の騒動は終端を迎えたのだった。




龍哉「あとがきコーナー・第十四回、進行の龍哉だ、今回もまた特別編だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

龍哉「今回は一部の解説と俺専用の武器についてだ」

陽菜「まずは…鷹岡先生がバイラルコアを持っていたことについて?」

龍哉「ああ、と言っても簡単な話、ただ殺せんせーを狙う連中が鷹岡に渡したってだけなんだがな」

陽菜「それってつまり、殺せんせーを狙う人達 = あのロイミュードを開発した人達ってことだよね?」

龍哉「ああ、だがそれだけじゃない…つまり、ロイミュード開発に出資していた人達が殺せんせーを狙う謎がついてきたんだからな」

陽菜「どうして殺せんせーを狙うんだろうね?」

龍哉「大方賞金目当てだろうな…それ以前に、どうして殺せんせーの事を知ったのかが気になるがな、俺は」

陽菜「あ、そっか、国家機密だもんね…どうしてだろうね」

龍哉「まぁ、この辺はおいおい本編で明かすとよ(by作者)」

陽菜「次は…龍君が撃った『石破天驚拳』の威力だよね?」

龍哉「まぁ、今回は単純に気が高ぶってたのもあったんだけど…まぁ普段でも下級ロイミュードなら生身でも破壊できる威力がある」

陽菜「…それって単純に仮面ライダー達の必殺技クラスだよね?」

龍哉「まぁな、ちなみに今回ので鷹岡&下級ロイミュード以外に被害はない、地面にあたってないからな」

陽菜「後付け設定くさすぎるよ…最後は龍君の専用武器についてだね」

龍哉「名前は「コウリンブレードブラスター」…ドア銃やハンドル剣ほどじゃないが…りんなさん…」

陽菜「ま、まぁまぁ、それで、龍君用にいろいろ調節してあるんだよね?」

龍哉「ああ、ま、俺の気をまとわせて切れ味を上げる、気を弾としてはなてるぐらいだがな」

陽菜「(それで十分すぎるような…)あ、武器使っての必殺技は?」

龍哉「本編で描写するからカットだと(再びby作者)」

陽菜「まぁ、今回はほぼ1万字だったからしょうがないか」

龍哉「それではこれで今回は終了、次回はいつも通りの予定だ」

龍哉・陽菜「それでは次回もお楽しみに!!」


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キスの時間

これで7月の鷹岡絡みの時間も終わりです。

次はプールだ!!

メグさんだ!!

ついでにイトナとシロだ!!


―――E組校庭

 

そこでは、鷹岡が進ノ介達に連行されていくのを剛と龍哉が見送っていた。

 

他の生徒は烏間先生達と共に教室内に、理事長はまるで興味がないといった形でさっさと校庭から去っていた。

 

「これで一件落着ですね」

 

「そうだな」

 

「…ロイミュードの思考とかのプログラムを作ったの、お前の母ちゃんだったんだな」

 

「ええ、この間の事件の時に俺も詳細は知ったんですけどね」

 

「お前はどう思ったんだ、自分の親が作ったものが沢山の苦しんでいるのを見て」

 

「見て知ってしまった以上、目をそらし続けることは…出来ないと思いました…だから、俺は戦うと決めました」

 

「…そうか」

 

「……でもそれは、ただきっかけにすぎません」

 

「え」

 

「俺が、俺自身が、そんなこととは関係なしに、ただ…護りたいから、護りたい人たちがいるから、戦う事を選んだんです」

 

「…そうなのか」

 

「…でも、戦う理由なんて人それぞれです、俺には俺の、進ノ介さんには進ノ介さんの、チェイスさんにはチェイスさんの、そして…剛さんには剛さんの理由があるんじゃないですか?」

 

「…ああ」

 

「俺はその理由は知りませんし、聞く気もないです…ですが、これだけは言っておきます」

 

「なんだよ」

 

「自分の決めたことなら、最後まで貫き通すべきです…出来ないのなら、さっき霧子さんが言ったように、周りにいる進ノ介さん達を頼ればいいと思います」

 

「…そうか…やっぱ、そうなんだよな…なぁ、1つだけ、聞いてもいいか?」

 

「ええ…」

 

「もし、もしもだ、お前の親が…ロイミュード達の親玉で、世界征服みたいなことを企んでたら…どうする」

 

「戦います」

 

はっきりきっぱりと龍哉は断言した。

 

そんな龍哉を剛が驚愕の目で見ている。

 

「何でそう簡単に決めれるんだよ」

 

「…確かに俺が今ここにいるのは親がいたからです…だからこそ、やらなきゃいけないことだと思っています」

 

「!!」

 

「子供が悪いことをしたら叱るのが親の役目なら…親が悪事を働いたのなら…それを止めるのが、子供のやるべきことだと思いますから」

 

「そっか…そうか…」

 

龍哉の答えを聞いて剛の目つきは何かを決めたような感じになる。

 

「ありがとうな…俺も行くわ」

 

「分かりました、お気をつけて」

 

そう言って剛もライドマッハーで去っていき、龍哉もE組の教室に戻るのだった。

 

==========

 

―――E組教室

 

龍哉が更衣室で着替えてそこに戻ると先に戻っている生徒達が嬉しそうな声を上げていた。

 

「どうしたの?この騒ぎ」

 

「あ、龍君、あのね、今日のことで烏間先生が体育教師に返り咲けたから臨時報酬を出してくれるんだって」

 

「なるほど、大方中村さんが言い出して…陽斗かそこらのノリのいい奴が便乗して烏間先生も乗り気になったってところか」

 

「…相変わらずの洞察力で…」

 

「でも、皆殺せんせー騒いでんの無視してんな」

 

「まぁ、今回殺せんせー役に立たなかったもんね」

 

「確かにな、俺と烏間先生と渚に祖父ちゃんに…友人か?活躍したの」

 

「あ~、確かに杉野ちゃん格好良かったね~」

 

「うん、やってること龍哉と一緒だったもんね」

 

「…友人、有希子さんのこと好きだったんだな」

 

「「「今更過ぎる!!」」」

 

「私がどうしたの?」

 

「有希ちゃん、どうしたの?」

 

「えっと…龍哉君、明日とか陽菜乃さん借りてもいい?」

 

「?なんで俺に許可取りに来るんだ?陽菜がよければ構わないが…」

 

「え、いいの?」

 

「別に登下校デートが出来なくなるだけで不機嫌になったりしないさ…つまんなくは思うが」

 

「そ、そうなんだ…実は、ちょっと相談があって…それで、その…その相談が」

 

「出来るのが陽菜だけ…か、まぁさっきも言ったように陽菜がよければ俺は構わないよ」

 

「う~~~ん…いいよ、私も」

 

「ホント!?ありがとう」

 

「ううん、気にしないで…龍君とはいつでも一緒に居れるし」

 

「だな」

 

「…と言うわけで、龍君、ちょっと保健室行こうか」

 

「え?」

 

「ほら、いくよ!!」

 

「え!?」

 

「あ、皆先行ってていいよ~後から追いかけるから!!」

 

そう言って陽菜乃は龍哉を半ば引きずるようにして教室から出て行った。

 

…つけられているとも知らずに…

 

==========

 

―――保健室

 

「陽菜、どうしt「龍君、手を出して」

 

その一言で龍哉は隠していたことがばれていることを悟り、大人しく右手を差し出した。

 

差し出されたその右手は…掌の部分が真っ赤になっていた。

 

どうやらエネルギー砲を相殺した時に軽くだが火傷を負っていたようだ。

 

「もう、こんなになるまで…」

 

そう言いつつ、陽菜乃は戸棚から秀治が来てから増えた薬品から火傷に聞く生薬を取り出す。

 

「じっとしててね」

 

「分かってるさ」

 

陽菜乃はテキパキと処置を進めていき、最後に丁寧に龍哉の右手に包帯を巻いて終わらせる。

 

「はい、出来たよ」

 

「ああ、ありがとう」

 

「…龍君」

 

「…無茶しないで、とかは無理だよ…体勝手に動いちゃうからさ」

 

「うん、言わないよ…だって、私はそんな龍君が好きになったんだから」

 

「陽菜…」

 

「私が言いたいのはね…どれだけ無理や無茶をしてもいいし、今回みたいに怪我しても私がちゃんと治療したり、看病してあげる、だから…必ず無事に帰ってきて、私がいるところに」

 

「…ああ、約束する…」

 

「龍君」

 

「陽菜」

 

2人の距離が縮まっていき、抱き寄せ合い、目を閉じて互いに顔を近づけていったら…

 

「お前達、そこで何をしてるんだ?」

 

突如、外から烏間先生の声が響いた。

 

バッと2人はドアの方を見るが閉じて…いや、僅かながらに開いていて其処から携帯カメラのレンズのようなものが見える。

 

「…まさか…って陽菜!?」

 

龍哉が何をされていたのか認識するより早く陽菜乃が足音を立てずに足早にドアに近付き、音を立てずに開ける。

 

そこにはカメラを構えた大河、陽斗、中村、殺せんせーがいた。

 

「「「く、倉橋(さん)」」」

 

「えーと…ごm「皆の…」

 

陽菜乃は顔を俯かせているため表情は見えないが、その声音から怒って悲しんでいることは簡単に想像がつく。

 

「皆の…バァカァァァァァァ~~~~~~!!!!!」

 

バチバチッ×5

 

叫ぶと同時にドアの外にいた5人(・・)に往復ビンタを食らわせると泣きながら出て行ってしまう。

 

「!!陽菜!!」

 

龍哉もそれを追って慌てて走って保健室から出ていく。

 

残された面々は…

 

「…なんで俺まで」

 

と、巻き込まれた烏間先生の一言がはっきり聞こえるほどに静まり返っていた。

 

==========

 

―――校舎前

 

そこには龍哉、陽菜乃とそれをこっそり追いかけて行った連中以外が全員そろっていた。

 

龍哉と陽菜乃の荷物も気を利かせた友人と桃花が持ってきてくれているため、後は本人達だけなのだが…

 

「遅いな」

 

「烏間先生が呼びに行ってくれたけど…」

 

そこに陽菜乃が走ってきた。

 

「あ、陽菜乃ちゃ…え?」

 

「……今、倉橋の奴泣いてたよな」

 

「龍哉が…泣かすわけないか」

 

「本人に事情を「皆!!」

 

「あ、龍哉」

 

「倉橋さんならあっちに」

 

「サンキュ!!」

 

「あ、龍哉君ちょっと待「陽菜が泣いたのは今ここにいない連中(出刃亀集団)のせい!!後烏間先生のフォローよろしく!!巻き込まれてたから!!」

 

メグが事情を聴こうとしたら被せるように大体回答してついでに烏間先生の事を頼み、龍哉は陽菜乃のいる方に走って行った。

 

「…何があったんだろう…」

 

「大方、いい雰囲気になったところを出刃亀されてそのことに陽菜乃ちゃんが怒ったってところじゃないかな」

 

「多分烏間先生が呼びに行ったらドアの外にいて声をかけたことでバレたんだろうね」

 

「で、烏間先生毎何かしたと…」

 

そこに今話題に上がっていた烏間先生と出刃亀集団が戻ってきた…両頬に真っ赤な紅葉を付けて…

 

「烏間先生、大丈夫ですか?」

 

「ああ、まぁ平気だ」

 

「タイミングが悪かったですね」

 

「…確かにそうだな、覇月君と倉橋さんは?」

 

「倉橋さんが走って逃げて行ったのを龍哉が追ってます…あ、メール」

 

「龍哉からだな…えっと…行くんなら先に行っててくれって倉橋を落ち着かせたら後から合流するって」

 

「そうか…彼がそう言うのなら問題ないだろうな…」

 

そう言って出刃亀集団に対して誰も何も言わず、ただただ放置して皆は先に下校していくのであった。

 

==========

 

―――E組近くの雑木林

 

陽菜乃は走っていた…心の中は、龍哉との2人ッきりの時間を邪魔されたことに対する怒りと悲しみでいっぱいだった。

 

これまでに何度かチャンスがあったものの、全部邪魔されてきたのだ…こうなるのも当然といえるだろう。

 

上がった息を整えると木の根元に体育座りの状態で両腕で膝を抱え込み、そこに顔をうずめて…

 

「グス…ヒック」

 

声を殺すようにして泣いていた。

 

そこに、龍哉が追いつく。

 

「陽菜」

 

「龍君」

 

龍哉が呼びかけると陽菜乃は龍哉に抱き着き、そのまま涙を流す。

 

「どうして…どうして私達ばっかりあんなことされないといけないんだろう…」

 

「本当にな…でも陽菜のやったことは―烏間先生に対してはともかく―間違っちゃいないと思うよ」

 

「え?」

 

「陽菜が怒って先にやったから俺はやらなかったけど…天井をぶち抜いて飛んでいく位のパワーで殴り飛ばそうと思ったし」

 

「…フフッ龍君も同じ気持ちだったんだ」

 

龍哉のその言葉に陽菜乃も泣き止み、顔を上げる。

 

「(良かった…少しは良くなったみたいだ)そりゃそうさ…俺だって、好きな人との時間邪魔されたくないよ」

 

「そうだよね」

 

「ちょっとじっとしててよ」

 

「え?」

 

そういうと龍哉は素早くハンカチで陽菜乃の目じりに残った涙をふく。

 

「これで良し、綺麗になったよ」

 

「あ、ありがとう…」

 

「…陽菜」

 

「龍君…」

 

「…携帯は切っておこうか」

 

「そうだね、また律ちゃんに覗かれるもんね」

 

携帯の電源を落とす2人…ちなみに切る瞬間に律が舌打ちする音が聞こえたのは気にしないことにした2人だった。

 

「気配は?」

 

「…ないよ」

 

「じゃ、2人きりだね」

 

「そうだな」

 

完全に2人きりになったことで2人はようやく安心する。

 

「本当、殺せんせーも前ちんも莉緒ちゃんも岡ちんも一体何考えてるんだろ」

 

「バカな事だろ、邪魔されたらいやだっつーのを分かってねーんだよ、あいつらは」

 

「だよね~」

 

「ま、今回のは良い薬になっただろ」

 

「…だといいだけどね」

 

「…さっきの続き、しようか」

 

「ふぇ?って龍君!?」

 

「ん?」

 

「か、顔が近い…」

 

「そりゃ続きだからね」

 

「んもう」

 

しかし、陽菜乃も満更でもなさそうに少し照れつつ嬉しそうにしている。

 

「陽菜」

 

「龍君」

 

互いに名前を呼び合い、頬を染めて目を瞑り、顔を近づけていき…

 

ゆっくりと、2人の唇が重なった。

 

==========

 

―――商店街

 

ここにはE組の生徒達は龍哉と陽菜乃を除いて全員そろっていた。

 

もっとも…

 

「あの、先生にも…」

 

シーーーン

 

「「「あの~~」」」

 

ツーーーン

 

出刃亀集団はいることしか許されていない状態だった。

 

そこに…

 

「おーい」

 

「皆ー!!」

 

「お、龍哉!!」

 

「陽菜乃ちゃーん!!」

 

「悪い、遅くなっちまって」

 

「ごめんね~」

 

「いや、問題ない…ああ、君達は何がいい?」

 

「あ、いえ私はいいです…」

 

「?なぜだ?」

 

「だって私…さっき烏間先生にビンタしちゃいましたし…往復で」

 

「ああ、だからさっきカラスマの両頬にキレーなモミジがついてたのね」

 

「そのことなら、君が気にする必要は無い、俺の間が悪かっただけだし、何より直接の現況には今」

 

「「「「シクシク(泣)」」」」

 

「君ら以外から無視されるという苦行を味わっている」

 

「「うわぁ…自業自得だからかばう気はないけど」」

 

「だろうな」

 

「で、2人は何するのよ、あ、もしかしてカップルジュース?」

 

「な、ななななな!!」

 

「イリーナ先生、そんなの人前じゃ恥ずかしくて飲めません」

 

((((((((((人前じゃなかったら平然と飲もうって言いそうだな、龍哉(覇月)の場合…))))))))))

 

「あらそう…なら、あのクレープは?いろいろ種類あるわよ」

 

「なら俺はそれで、陽菜は?」

 

「…あ、私もそれで」

 

「分かった」

 

そうして烏間先生と共に龍哉と陽菜乃はそれぞれ別の種類のクレープを購入してほおばる。

 

「ん、美味い」

 

「ホントおいし~」

 

「ははは、嬉しそうだな、2人共」

 

「そりゃな」

 

「皆と一緒だしね~…あ、龍君、ちょっとちょうだい」

 

「良いぜ、ほら」

 

「ハムっん~、これもおいし~…あ、はい、お返し」

 

「んじゃ遠慮なく」

 

龍哉も陽菜乃のクレープを一口ほおばる…だがそれは…

 

((((((((((ど、堂々と間接キスしやがった…気にしてないのか…!?))))))))))

 

(狙い通り)

 

まぁイリーナ先生が狙っていた展開でもあった。

 

そんなこんなありつつ、この日は終わったのだった。

 

 

 

おまけ

「私達、いつまで無視されるんでしょうかね…」

 

「土下座でもするか?」

 

「前に龍哉が言ってたんだけどよ、誠意の籠ってない謝罪は簡単にわかるんだって…」

 

「どうしよう…」

 

「誠意を見せましょう、とにかくね」

 

と、こんな会話をしていた。

 

ちなみに生徒は全員『もう二度と人の恋路を邪魔しません』と1000回書き取らせることで許してもらえたんだそうな…

 

殺せんせーは上記プラス暫くの間全員から覗き魔変態ダコと呼ばれ続けたそうな…

 

おしまい

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第十五回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

創介「ゲストの菅谷創介だ」

龍哉「創介って何気に活躍シーン多いよな」

陽菜「あ~、前ちんの回にしろ夏休みにしろね」

創介「特技が光るってのはいいもんだな」

龍哉「確かにな、俺なんて戦闘回以外じゃ特技光らねぇしな」

陽菜・創介(そうやって与えられた回じゃ十全な活躍してるくせに)

龍哉「まぁそんなのはどうでもいいんだよ…そんじゃ本題行くぞ」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、創介が変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダードレイク(原作:仮面ライダーカブト)

龍哉「仮面ライダーカブトに登場する、風間大介がドレイクゼクターを使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜「あ、これって変身者がメイクアップアーティストだから?」

龍哉「ああ、創介にぴったりだと思ってな」

創介「確かにな、俺もそう思うわ」

龍哉「射撃戦主体で、創介自身も射撃はうまい方だからな」

陽菜「なるほどね~」

創介「上手いよな」

龍哉「それではこれで今回は終了、次回は中村さん(の予定)だ」

陽菜・創介「不安な単語が混じってるよ!!」

龍哉・陽菜・創介「それでは次回もお楽しみに!!」


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夏の時間

これからの展開の都合上、タイトルを変更しました。

とはいっても主流戦術に流派東方不敗に他の拳法が加わるだけなんですけどね…

この先も応援、評価、感想等よろしくお願いします!


―――特状課

 

「なるほど、そういうことですか」

 

「はい」

 

今しがた、烏間先生から本願寺さんを筆頭に特状課メンバーに殺せんせーについて説明がなされていた。

 

これは先日逮捕された鷹岡が取り調べの際に殺せんせーベラベラげろったためで、決して龍哉達の本意ではないことを付け加えておく。

 

「そんな生物がいるとはな」

 

「未だに信じらんねー」

 

「ですが、龍哉ちゃん達の目は嘘を言っていません」

 

「そうですね」

 

「あ、じゃあもしかしてこの噂ってその殺せんせーの事じゃない?」

 

「「え?」」

 

究ちゃんから展開されたネット上で椚が丘市近郊で起きている不審者の噂の事を聞いた。

 

内容は…

・黄色いタコを目撃した

・コンビニスウィーツを買い占める黒ずくめの男

・Gカップの女性が「ヌルフフフフフ」という声がして後ろを振り向くと誰もいなかった

 

というもので、当然…

 

「あのタコ…(怒)」

 

「はぁ…(呆)」

 

烏間先生は怒り、龍哉は呆れ果てる…そして、その反応(リアクション)で全員そいつが噂の人物で実在することを確信した。

 

「とりあえず、このネット上の噂は律に消させます」

 

「頼む」

 

「律?」

 

「母さんが俺の我儘を叶えるために作ってくれた電子データ上にいる妹で…あ、チェイスさんとはある意味俺も含めて兄弟みたいな感じですね」

 

「…ああ、そういえば、龍哉の母親がチェイスの基本データを作ったんだもんな」

 

「なるほど、そう言われれば確かにそうだ」

 

「おいおいマジか…」

 

「なるほど、では龍哉ちゃん、実は、今追っているロイミュード関連でチェイスちゃんに協力してもらいたいのですが…如何せん、どうにもならない部分がありまして…」

 

「協力できることなら、なんでも」

 

「では……」

 

真剣な表情になった本願寺さんに全員が息をのむ…そして告げられたのは…

 

「チェイスちゃんが免許を取得できるよう、戸籍を準備してください」

 

がたたたたっ!!

 

告げられた内容にその場にいたほぼ全員がずっこける。

 

「それは…重要なんですか?」

 

「ええ、今追っているのはロイミュード006、彼は車でデートしているカップルの女性を狙ってさらっていく誘拐犯罪を行っています」

 

「…はい?」

 

「それで、我々は囮捜査を行うことにしたのですが…」

 

「囮になれるのが進ノ介さんと霧子さんだけ、ですか」

 

「追田警部補とりんなちゃんにも協力してもらっていますが、人手は多いほうがいいので」

 

「なるほど…分かりました、やってみます」

 

「お願いします」

 

「となると、龍哉君とチェイスは兄弟になるのね」

 

「そうだな」

 

「おいおいおいいいのかよ」

 

「俺は構いません…正直言うと、『兄』がいるのに…ちょっとあこがれてて」

 

「俺が『兄』でいいのか?」

 

「見た目でいくと俺が『兄』じゃ違和感しかないですし…そうすると学校に通うことになって中々出動できなくなりますよ」

 

「なるほど、確かにそうなると困るな」

 

「ね?だから『兄』はチェイ兄さんで」

 

「ああ…待て、どうしてそう呼ぶ?」

 

「え?だってもう決まったことだし…いやだった?」

 

「いや、少し驚いただけだ」

 

「ならいいね」

 

「ふぅ…今後ともよろしくな、龍哉(・・)

 

「うん、チェイ兄さん」

 

この話によりホンワカした空気が流れていく特状課だった。

 

その後、剛がちょっと羨ましそうにチェイ兄さんを見ていたことに気づいた龍哉が剛も同じく「剛兄さん」と呼んだら可愛がられた。

 

加えて「剛君の事を兄呼びするんなら霧子ちゃんは姉だね」と言う究ちゃんの言葉と、「そういえば、剛は泊進ノ介を「進兄さん」と呼んでいたな」というチェイ兄さんの言葉に2人の事も霧子姉さん、進兄さんと呼んだら同じく可愛がられた。

 

最後に本願寺さんから剛兄さんに加えて龍哉も免許取得の要請がきたため、烏間先生との相談の元、龍哉も要請を引き受けた後、資料という名の教材をもらい、特状課を後にしてE組に向かうのだった。

 

==========

 

―――E組校舎

 

ちょうど社会の時間が終わり、次は体育のプールの時間に龍哉達は学校についた。

 

「おはようございます…って皆何してんの?」

 

「あ、龍哉、いや、殺せんせーが今からプールだけど裏山に小さい沢があるからそこに涼み行こうって」

 

「で、今から水着に着替えんだよ、行こうぜ」

 

「…まぁ事情は理解した、今から行くよ」

 

そうして全員着替え終わり、殺せんせーの後についていく。

 

「裏山に沢なんてあったんだ」

 

「一応な、つっても足首まであるかないかの深さだぜ」

 

「そんなところで水かけ遊びしたら余計に暑くならないか?」

 

「そういう覇月は平気そうだな」

 

「心頭滅却すれば火もまた涼し、だ」(背中は汗まみれ)

 

「「「「「「「「「「「やせ我慢か!!つーか汗かき過ぎ!!」」」」」」」」」」

 

「そういや渚君、この前凄かったらしいじゃん、見ときゃよかった渚君の暗殺!」

 

「ホントだよー、カルマ君面倒な授業はサボるんだから」

 

「エーだってあのデブ嫌だったし」

 

「でもその後の龍哉君の活躍も格好良かったです」

 

「うん、正直いなかったらと思うとぞっとするわ」

 

「はは、まぁああいうことがあると思ってたからなったわけだしね」

 

「そういえば、今日はどういうお話だったの?」

 

ここで陽菜乃が龍哉に今日遅れてきた理由の核心に迫る。

 

「まぁまずはこないだ逮捕した鷹岡が殺せんせーの事げろったからそのことに対する説明と、今後の作戦とかで必要になるからって俺に運転免許取れって要請だった」

 

「え、龍哉運転免許取るの?」

 

「一応な、とはいっても仮面ライダーとして行動する時にしか使えないとかいろいろ制約もつくだろうけど」

 

「え~~」

 

「そんな不満気な声をあげられても…法律上15歳は取れないんだから、使えるようにしてもらえるだけでもありがたいんだよ」

 

「それはわかるけど…」

 

「陽菜乃ちゃんは龍哉君とドライブデートできないから不満なんだよね?」

 

「う…」

 

「はぁ…ついでに言っておくと2人乗りとかは免許取って1年、初心者期間すぎないと出来ないから、どっちにしろしばらくは待ってもらわないいけないぞ」

 

「うぅ~~(泣)」

 

「まぁまぁ倉橋さん、龍哉もしたくないわけじゃないんだし、我慢しなよ」

 

「分かってるけど…うぅ~」

 

「…今度ふれあい動物園とか八景島シーパラダイスに連れて行ってやるから、機嫌なおせよ」

 

「…熊やイルカのぬいぐるみ」

 

「抱き枕みてーな大型サイズでいいか?」

 

「ん、我慢する」

 

そしてこれまでの様相を見ていた周りの生徒達は…

 

「「「痴話げんか乙」」」

 

という感想を漏らしたのだった。

 

それとほぼタイミングを同じくして殺せんせーが皆に話しかけた。

 

「さて皆さん、さっき先生は言いましたよね、マッハ20でも出来ないことがあると」

 

「出来ない事…大気圏離脱?」

 

「え、出来ないの?」

 

「全ての条件を加味すると最低でもマッハ23以上は必要だよ」

 

「…あれ?」

 

「覇月君!!そもそも生身で言ったら普通に焼け死にます!!と言うかそういう話ではありません!!プール関係です!!」

 

「プール関係って…ただ本校舎まで移動するだけ…あ、見られないようには確かに無理か」

 

「それもありますが…そもそも1日がかりになってしまうんですよ」

 

「1日って…大袈裟ですよ、E組校舎(ここ)から歩いて20分程で…」

 

「おや、誰が本校舎に行くといいました?」

 

「え?」

 

「水音…まさか…」

 

殺せんせーの奥に全員で走って行くとそこには…

 

「何せ小さな沢をせき止めたので…水が溜まるまで20時間!」

 

全員がそこにあるプールに驚いている。

 

「ばっちり25mコースの幅も確保、シーズンオフは水を抜けば元通り、水位を調整すれば魚を飼って観察できます…制作に1日、移動に1分、後は1秒あれば飛び込めますよ」

 

その言葉にジャージの上着を脱ぎ…

 

「「「「「「「「「「い…いやっほぉう!!」」」」」」」」」」

 

大半の生徒が我先にと飛び込んでいった。

 

もっとも…

 

「ちょっと、皆!!」

 

「準備運動せずに飛び込んで…足吊っても知らんぞ」

 

「でも、こういう事をしてくれるから殺せんせーって殺しづらいよな」

 

「まぁな…取り敢えず、吊った奴はちゃんと助けるか」

 

「「優先順位は付けないで、近い人からちゃんと助けてね」」

 

「…善処する」

 

と、委員長コンビと龍哉はちゃっかりしっかり準備運動を行うのだった。

 

==========

 

―――E組プール

 

ここでは全員が思い思いに楽しんでいた。

 

ビーチボールで遊ぶグループ、25mでガッツリ泳ぐもの、色々とやっていた。

 

その中で、カエデは唯一浮き輪でビーチボールを抱えて浮かんでいた。

 

「楽しいけどちょっと憂鬱、泳ぎは苦手だし…水着は体のラインがはっきり出るし」

 

「大丈夫さ茅野、その体もいつかどこかで需要があるさ」

 

「…うん岡島君、二枚目面して盗撮カメラを用意するのやめようか」

 

「同感だな、というわけで」

 

ゴグワシャぁ!!

 

龍哉が問答無用で大河のカメラを奪い取り、メモリーカード毎本体を殴り壊した。

 

「俺のカメラーーーーー!!」

 

「龍哉ナイス」

 

それから少しして別の方で…

 

「渚…あんた…男なのね」

 

「今更!!??」

 

「…まぁ仕方ない」

 

「いや、最初っから分かっててやるな!!そういう事!!」

 

「そうだ!!この際だから教えてやる、渚のって結構デカいんだからな!!龍哉もだけど!!」

 

「「えっ!!」」

 

「「大河(岡島君)!!!!!!なんで今そういうことを言うんだ(の)!!」」

 

「陽菜乃ちゃん、食いつき速いよ」

 

「倉橋はわかるけど、どうして中村も食いついた」

 

「ノリ」

 

「おいこら」

 

と、大河が自分の迂闊な発言の性で龍哉にアイアンクローで頭をがっちり握られるという悲劇に見舞われたりもした。

 

そんなことがありつつも楽しんでいたら…

 

ピピピピッ!!

 

「木村君!!プールサイドは走っちゃいけません!!転んだら危ないですよ!!」

 

「あ、す、すんません」

 

ピピーー!!

 

「原さんに中村さん!!潜水遊びはほどほどに!!長く潜ると溺れたかと心配します!!」

 

「は、はーい」

 

ピピっ

 

「狭間さん、本ばかり読んでないで泳ぎなさい!!」

 

ピーッ!!

 

「菅谷君!!ボディアートは普通のプールなら入場禁止ですよ!!」

 

その後も殺せんせーの吹く笛の音がピーピー響き渡るため…

 

((((((((((小うるせぇ…))))))))))

 

「いるよな、ああいう自分の作ったフィールドの中だと王様気分になる人…」

 

「うん、せっかくのありがたいものもありがたくなくなっちゃうよね」

 

「ヌルフフフフフ、景観選びから間取りまで自然を生かした緻密な設計、皆さんにはふさわしく整然と遊んでもらわなくては」

 

「カタい事言わないでよ殺せんせー…水かけちゃえ!!」

 

「キャン!!」

 

と、陽菜乃が水をかけた瞬間、殺せんせーから甲高い悲鳴が上がった。

 

「…え?」

 

「何今の悲鳴」

 

それを見て龍哉とカルマがこっそり殺せんせーの座っている監視椅子に近付き…

 

「きゃあ!!揺らさないで水に落ちる!!」

 

2人で交互に椅子をゆすっている…殺せんせーはよほど水に落ちるのが嫌なのか触手を椅子に絡ませて落ちないようにするのに必死だ。

 

これに全員はこう思った。

 

((((((((((…………!!殺せんせー、もしかして!!))))))))))

 

「…いや別に泳ぐ気分じゃないだけだし、水中だと触手がふやけて動けなくなるとかそんなんないし」

 

「手にビート版持ってるじゃん、てっきり泳ぐ気満々かと…」

 

「これビート版じゃありません、麩菓子です」

 

「「「「「「「「「「「おやつかよ!!」」」」」」」」」」

 

この時に大半の生徒が思った…この手はおそらく今までの中で一番使えると…

 

「水絡みの暗殺か…俺ららしい自由研究のテーマになりそうだな」

 

「だね」

 

「覇月君!!カルマ君!!いい加減揺らすのやめてください!!」

 

そしてその揺らす余波で波が大きくなり…

 

「!!あ、やばバランスが…」

 

浮き輪で浮かんでいたカエデがバランスを崩してプールに落ちてしまう。

 

「やっべ!!」

 

「ちょ…何してんだよ!!」

 

「おい、あいつ背ぇ低いから立ててねーぞ!!」

 

殺せんせーもなんとかプールサイドに下りてカエデを助けようとするが…

 

「(おろおろ)か、茅野さん、この麩菓子につかまって」

 

「「「「「「「「「「「掴まれるかぁ!!」」」」」」」」」」

 

麩菓子で助けようとしたためほぼ全員に突っ込まれた。

 

そんな全員をしり目に1人の女子生徒が颯爽とプールに飛び込み、カエデをクロスチェストキャリーで救い出す。

 

「はい、大丈夫だよ茅野さん、すぐに浅いとこに行くからね」

 

「助かった…ありがとう片岡さん!!」

 

「…フフ、水の中なら出番かもね」

 

と、メグさんがカエデを救助し、頼もしい発言をした直後…

 

「!!」

 

不意に陽菜乃が水中に沈みこんだ。

 

「陽菜乃ちゃん!!」

 

桃花が声を上げるとほぼ同時に龍哉が水中にもぐり、陽菜乃を抱えて水面に出てくると近くにカエデが乗っていた浮き輪がありその上に陽菜乃をお姫様抱っこしつつ立つ。

 

「「「「「「「「「「「いや待ってなんでそんな自然に立てるの!!??」」」」」」」」」」

 

「集中力とバランス感覚だよ、ってかやっぱしこうなったか…準備運動しないからこういうことになるんだよ」

 

とはいっても陽菜乃は吊った足の痛みで涙目でかつ痛みをこらえているため声が出せない。

 

「ま、反省しているならそれでいいけどね」

 

そう言いながら龍哉は器用にジャンプしてプールサイドに着地する。

 

「俺はこのまま陽菜乃の治療してきます」

 

そう言ってそのままプールから離れていく龍哉、その際にメグ、悠馬に口パクで『放課後』と伝える。

 

そのしぐさに2人が頷いたのを確信して、龍哉は陽菜乃を連れて保健室に向かった。

 

そして放課後、校舎とプールの中間地点でクラス全員に烏間先生、秀治が集合したのだった。

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第十五回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

中村「ゲストの中村莉緒だよ~」

龍哉「中村って絡んだのは前回が実質初だよな」

陽菜「あ~、確かにそれまでほぼ出番0だったもんね」

中村「開幕早々きついお言葉で…」

龍哉「原作での活躍シーンは今後の期末と後半だからな…作者もいつ名前呼びにさせようかかなり迷ってるらしい」

中村「発言がメタいわ!!」

龍哉「まぁそんなのはどうでもいいしな…」

陽菜「確かにね~」

中村「2人共発言内容が前原ん時よりひどくない!?」

龍哉「うるさい黙れ変態覗き魔(中村)

陽菜「ちょっと黙っててよ盗撮覗き魔(莉緒ちゃん)

中村「いや、あの、その節は本当にご迷惑を…って2人共なんて書いて私を呼んだ!!それから私基本ボケキャラなのになんでこんなに突込みばっかさせられてんの!?」

龍哉「(無視)そんじゃ本題行くぞ」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、変態覗き魔(中村)が変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダーグリドン(原作:仮面ライダー鎧武)

龍哉「仮面ライダー鎧武に登場する、城乃内秀保がドングリロックシードと戦極ドライバーを使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜「共通点は?」

龍哉「原作最後の殺せんせーへのスイーツ」

陽菜「あ~、確かに買えないし保存もそんなに長く効かないだろうから、盗撮覗き魔(莉緒ちゃん)が作ったと考えるのが妥当だよね」

中村「そこらへんは作者の創造でってまだそう呼ぶの!?いい加減にしてよ!!」

龍哉・陽菜「キスの時間で自分がしでかしたことを心の底から悔いるまでこう呼ぶのはやめない」

中村「息ピッタリだねコンチクショー!!」

龍哉「それではこれで今回は終了、次回は不破さんだ」

龍哉・陽菜・中村「それでは次回もお楽しみに!!」


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溺れる時間

片岡メグ個別回前編

片岡メグはカッコキレイ系女子だと思ってます。

倉橋陽菜乃はゆるふわかわいい系女子だと思ってます。


―――E組裏山山中

 

ここにE組の生徒達と烏間先生、秀治が集合していた。

 

イリーナ先生は諸事情によりおらず、殺せんせーは今までに何度かあったように外国スイーツを購入に行っている。

 

「…まず一番の問題は殺せんせーが本当に泳げないのかというところだ」

 

「湿気が多いとふやけるのは梅雨の時期に見たよね」

 

「さっきも…倉橋が水をかけたところだけふやけてた」

 

「とういうことは、もし仮に全身が水でふやけたら…」

 

「死ぬまではいかなくても、極端に動きが悪くなる可能性は…」

 

「かなり高いと思う…ふやけると体積が大きくなるから俺達の射撃もかなり当てやすくなるだろうしな」

 

「だからね皆、さっき龍哉君と磯貝君と相談して決めた方針は…」

 

「まず、この夏の間にどっかいいタイミングで殺せんせーを水中に引き込むか、叩き落す」

 

それ(・・)自体は殺す行為じゃないから、ナイフ、銃、覇月の布といった対先生用武器より先生の防御反応も遅くなる」

 

「どうしてそんなことが分かるの?」

 

「何度か暗殺を試みた時に、殺気なしで触手の破壊を優先した時に防御反応が遅かったんだ…それで何度か触手切り落としたことあるからな」

 

「あ~、そういえば龍君と一緒に暗殺した時にそんなことしてたね…」

 

「ってことは…」

 

「そう、そしてふやけて動きが悪くなったところを…」

 

「水中で待ち伏せていた生徒達でグサリ!ってことか」

 

「そして、水中にいるのが私だったらいつでも任せて、髪飾り(バレッタ)に仕込んだ対先生ナイフで…いつでも殺れる準備はしてる」

 

「おお~」

 

「昨年度水泳部クロール学年代表、片岡メグ選手の出番ってわけだ」

 

「まず大事なのは、殺せんせーに水場の近くで警戒心を起こさせない事だ」

 

「とは言っても、夏は長いわ…じっくりチャンスを狙っていこう!!」

 

そのメグの言葉に大半の生徒が「おうっ!!」と気合の乗った返事を出す。

 

もっとも、一部の生徒達は遠巻きで見ているだけだったが…

 

「では、こちらでもそれに対応できる準備をしておこう…夏休み中に水場の近くの宿を貸し切る、などのな」

 

「ふむ、では儂は水場での戦い方を教えるのと…市之助と明に強力な水鉄砲の開発を要請しておこう」

 

「お願いします」

 

そうしてその場は解散となった。

 

三々五々立ち去る中…

 

「うーむ、さすがは「イケメグ」…」

 

「こういう時、頼れる度合いは龍哉とタメはるよなー」

 

女子委員であるメグは文武両道且つ面倒見が良い上に颯爽として凛々しい姿から…

 

「「イケメグ」ってよばれてるんだよ~」

 

「そうなのか…」

 

「さっき飛び込んで助けてくれた時とかさぁ、イケメンすぎて惚れそうになっちゃった」

 

「すげぇな…にしても」

 

「どうしたの?」

 

「なんであんなにすげぇのにE組(ここ)まで落ち込んじまったんだろうな…」

 

「それは…」

 

「ま、気にしてもしゃーないか…過去に何があったかは詮索しないほうがメグさんのためだろうしな」

 

「うん…そうだね」

 

==========

 

―――椚が丘駅前

 

この日、龍哉と陽菜乃はメグさんが殺せんせー対策に泳ぎの特訓をすると聞いてそれを見に行かれるのを防ぐため、出刃亀させるためにデートしていたのだが…

 

「律からの情報、どうやら見抜かれてたみてーだ」

 

「あちゃー」

 

「とは言っても渚からの暴露情報がある…巨乳女優の田出はるこってやつにセクハラもののファンレター送ろうとしてたみてーだ」

 

「う~、見たかった…渚ちゃんが追い詰めてるところ」

 

「確かに、面白そうだ…後、メグさんこっちの方に来るみてーだけど…浮かねー顔してたから様子を見といてくれってよ」

 

「ふ~ん、じゃ、メグちゃんの様子見に行こうか」

 

「だな、駅前のサイベリアだってよ…殺せんせーと渚とカエデさんも来るみたいだから、途中で合流だ」

 

数分後、龍哉達は渚達と合流し、こっそりメグさんの様子を窺っていた。

 

それを見て…

 

「…おい、メグさんの友達ってあれか?なんであんな寄生虫みたいなのと友達付き合い出来るんだ…」

 

「龍哉、いきなりそれ…」

 

更に聞こえてきたメグの友達の言葉に…

 

「龍君の寄生虫っていうの、あってる気がしてきちゃった」

 

「「倉橋さんまで!?」」

 

その後も会話している最中に、いきなり友達が立ち上がりメグに何かを告げ、気持ち悪い顔で涙を流してメグの手をなめた…

 

「ちょっと皆目ぇ閉じて離れてて、ちょっと真っ赤な雨降らしてくっから」

 

「ちょっと待って龍君」

 

(((倉橋さんいてくれてよかった)))

 

「私も行く、メグちゃんは私が庇っておくから思う存分やっちゃって」

 

「「「いや、倉橋さんもちょっと待って!!!」」」

 

龍哉がシバキに行こうとするのを陽菜乃が止めるのかと思いきや、友達の態度に憤っていたらしくむしろ率先して加担しようとしていた。

 

それには流石に渚達も止めに入る。

 

そんなやり取りをしている間にどうやら友達は帰ったのだが…

 

龍哉達の危機はこれが始まりなのかもしれない、なぜなら…

 

「説明、してもらえるよね」

 

尾行されて怒り心頭な状態のメグがいたのだから…

 

「ちゃんとするさ…こっちも、ちょっといろいろ聞きたいしな」

 

==========

 

―――椚が丘住宅街

 

そのまま帰宅することになった5人と殺せんせーはメグから話を聞いていた。

 

「去年の夏にね、同じ組だったあの子から泳ぎを教えてくれって頼まれたの」

 

「なんで?普通は授業で習うよね?」

 

「好きな男子含むグループで海に行くことになったらしくて、カッコ悪いところ見せたくないからって…しかも金づちに近いらしくて、ね」

 

「はぁ~、しっかし、海で泳ぐのに…そんなのはいらなくないか…むしろ溺れないようにする方が必要じゃないのか?」

 

「そうかもね…で、1回目のトレーニングで何とかプールで泳げるくらいには上達したんだけど…でも、なんだかんだ理由付けてそれっきり練習に来なくてそのまま海に行っちゃった」

 

「…なんで?」

 

「ちょっと泳げてもう十分だと思ったんでしょうね…元々反復練習とか大嫌いな子だったし」

 

「で、結果は?」

 

「案の定、海流に流されて溺れちゃって救助沙汰に」

 

「海流が原因ならメグちゃん悪くないんじゃ…だって、そんなところで泳いだのが悪いと思うんだけど」

 

「同感…と、言いたいがそもそも海流を見極めるなんて航海士とかしかできん…もっとも練習しなかったそいつが悪いんだからメグさんに非はないな」

 

「そう言ってくれてありがとう…でも、それ以来ずっとあの調子、「死にかけて大恥かいてトラウマだ」「役に立たない泳ぎを教えた償いをしろ」って」

 

「「律(っちゃん)、ちょっとあの女の居場所調べて」」

 

「「「何しに聞く気!?」」」

 

「「ちょっと記憶を失わせようかと…」」

 

「「「絶対だめ!!」」」

 

自業自得なのに完全にメグのせいにしていることに龍哉と陽菜がキレて襲撃しそうになるのを全員で必死に止めた。

 

何とかなだめすかすと、渚が続きを促す。

 

「それで?」

 

「テストの度につきっきりで勉強教えている間に…私のほうが苦手科目こじらせちゃってE組行きよ」

 

「そんな…彼女ちょっと片岡さんに甘え過ぎじゃない?」

 

「むしろ依存って言ったほうが正しいな…下手すりゃ高校、大学と付きまとわれるぞ」

 

「いいよ、こういうの慣れっこだか「ゴッ!!」っ~~~~~(涙目)」

 

まるでそれはしょうがない、とあきらめたような表情のメグの頭に龍哉が容赦なしに拳を落とした。

 

((((い、痛そ~))))

 

「メグさん、そいつは間違ってるよ」

 

「…どうしてよ、龍哉君にそんなことは…」

 

「正直に言って、陽菜の告白に答えるのは、すごく悩んだからな…陽菜の優しさと愛情に依存するんじゃないかって」

 

龍哉の言葉に全員が目を見開く…特に陽菜乃は驚いていた。

 

「陽菜は俺が本当に欲しいもの与えてくれた…だけど、それを与えてもらうだけの、依存しているだけの関係になってしまわないようにはならないよう気を付けてるんだ、こうして付き合ってもね」

 

「龍君、そうだったんだ…」

 

「ああ、依存することと、愛し合う事とか、想い合うことは違ってるからな…もっとも友情とかでも一緒だけど」

 

「フフフフフ、覇月君はしがみつくのではなく、自分で泳ぐ道を選んだんですね」

 

「ええ、じゃないと相手に失礼ですから」

 

「覇月君の考え方は立派です、片岡さんもそうしたほうがいいですよ…こうなってしまう前にね」

 

そう言って殺せんせーは素早く紙芝居を描く、そのタイトルは…『主婦の憂鬱』

 

内容はダメ夫(なぜかモデルは悠馬)を止めようとする妻(モデルはメグ)、だが夫は好き勝手…

 

そしてピンチになると泣きついて「お前がいないとだめだ」と言われてそれに絆される、というもので…

 

(((((今のメグ(片岡さん)(ちゃん)(私)だと十二分にあり得る)))))

 

「いわゆる共依存と言うやつです、あなた自身も依存されることに依存してしまうのです」

 

「…そういうのって家庭環境とかも問題あるんですか?俺のも家庭環境が原因に近かったですし…」

 

「一概にそうとは言えませ「「あ」」…思い当たるフシがあるんですか?」

 

「えっと…メグちゃんのお兄ちゃんが…」

 

「うん、ちょとダメなところというか…間が抜けてて頼りないところがあって…」

 

「…もしかして、そのお兄さんのフォローをよくしているうちに…」

 

「他の人を優先して自分の事を疎かにしがちになってしまった、というわけでしょうねぇ…そして、そんな人がいると放っておけなくなってしまったと…」

 

「ほとんどそうとしか言えません…」

 

そう言って落ち込んでしまったメグに思わず龍哉と陽菜乃は肩をポンッと叩いてしまう。

 

「片岡さん、先程のお兄さんの話からも、あなたの面倒見の良さや責任感は本当に素晴らしい…ですが、時には相手の自立心を育てることも必要です」

 

「確かにな…お兄さんと言い、さっきの友達といい、メグさんがいなくてもいい状態にしてやるのがいいな…メグさんにはメグさんの生き方ってもんがあるし」

 

「ええ、「こいつならどんなにしがみついても沈まない」そう思うと人は自力で泳ぐのをやめてしまいます、それはしがみついている人のためになりません」

 

「………どうすればいいのかな、殺せんせー」

 

「決まっています、彼女が自力で泳げるようにすればいい」

 

「そうか、そいつのトラウマ払拭してやれば、これ以上メグさんに付きまとうことはない」

 

「ええ、1人で背負わず先生に任せなさい!!このタコが魚も真っ青のマッハスイミングを教えてあげます」

 

そういうと同時に殺せんせーは水着に着替える。

 

「…泳ぎを教える?」

 

「自分の身体能力を基準に体育をやる殺せんせーが?」

 

「「無理無理、絶対無理」」

 

「覇月君、倉橋さん、いったいどういう意味ですか!?」

 

「「そのままの意味です」」

 

「ヌルフフフフフ、そう言って油断していると痛い目を見ますよ」

 

「まぁそれはどうでもいいんですけど」

 

「「どうでもいいの!?」」

 

龍哉と陽菜乃は殺せんせーによる泳ぎ指導は無理だろうと即座に否定を入れる。

 

そのことに殺せんせーから注意を受けるがどうでもいいと受け流した龍哉に渚とカエデは思わず突っ込みを入れる。

 

「で、どうすんだよ殺せんせー、俺らはともかく、殺せんせーは国家重要機密なんだからそいつの前に姿出せねーぞ」

 

「「「あ…」」」

 

一番の問題点はそこだが…

 

「問題ありません、変装すればいいんですよ」

 

「よし、創介も巻き込もう、殺せんせーが用意するものより120%上のクオリティの変装を用意してくれる」

 

「それなら寿美鈴ちゃんに衣装を作るの頼もう、家庭科得意だし」

 

「そういや、調理実習にしろ、家庭科の成績よかったな…」

 

「そうだね、殺せんせーってちょっと抜けてるから…」

 

「中途半端な変装で私達ってばれても困るしね」

 

「あの、皆さん…」

 

「場所は?」

 

「もう俺んちをそういうのに使う事にしようぜ、広いし家族全員知ってるから変に隠す必要ないし」

 

「でも、ここまでしなくても…」

 

「「「「メグさん(ちゃん)(片岡さん)はちょっと黙ってて」」」」

 

「自分の事なのに!?」

 

そうして、張本人であるメグ(ついでに殺せんせーも)ほったらかしで龍哉が創介を、陽菜乃が原を呼び出して協力を仰いだ。

 

事情を知った2人はあっさりと乗っかり、こうしてメグを救うための作戦がスタートするのだった。

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第十七回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

不破「ゲストの不破優月だよ」

龍哉「不破さんとは本編中で絡んだと思われる描写が1回あっただけなんだよな」

陽菜「あ、律ちゃんが市之助さん達にカスタムされたときだね」

不破「実際はマンガとかそういうのあんまり知らない覇月君にいろいろ貸してるんだけどね」

龍哉「その後に「これ出来る!?」って聞いてくるのは正直やめてほしいがな…」

陽菜「最近のイチオシは?」

不破「『NA○UTO』!!あとは『BL○ACH』!!」

龍哉「ここで『ONE○IECE』を出さない当たりある程度の分別はついてる…のか?」

陽菜「さあ~?」

不破「他にもやってほしいのはあるんだけど作者が主に読むのが上記の作品だからね、しょうがない」

龍哉「メメタぁ…そんじゃ本題行くぞ」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、不破さんが変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダーディケイド(原作:仮面ライダーディケイド)

龍哉「仮面ライダーディケイドに登場する、門矢士がディケイドライバーとライダーカードを使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜「まさかの主役級!?共通点は…」

龍哉「卒アル作ってるときのなりきりシーンから、後は洞察力の高さや不測の事態にあんまり動じないことかな、夏休みとかの」

陽菜「あ~、納得」

不破「おー、いいね、いいね!!あるのかな、漫画のカード!!」

龍哉「あるといいな(多分ないと思うが)」

不破「もしかしたらこっちに来るかな!?」

陽菜「作者曰く「特別編でだったら」だそうだよ、作中に出すのは流石にきついって」

不破「え~、それだと私出番ないじゃん」

龍哉「そこに不満を言うな…それではこれで今回は終了、次回は千葉君だ」

龍哉・陽菜・不破「それでは次回もお楽しみに!!」


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水泳の時間

前話の紙芝居について

龍「そういや殺せんせー、なんであの紙芝居、夫が悠馬なんだよ」

陽「そう言えばそうだよね~…磯貝君がああなるイメージなんてないし」

渚「むしろああいう生活をさせないように頑張りそうだよね」

カ「でも、それだと逆に仕事人間になるんじゃない?」

龍「…確かに」

殺「ヌルフフフフフ、理由はちゃーんとありますよ」

メ「どんな理由ですか?」

殺「それはもちろん、E組の中でも仲のいい男女は既に交際している覇月君と倉橋さんを除けば、お2人がピッタリお似合いですので」

龍・陽・渚・カ「納得」

メ「ちょっと!!わ、私と磯貝君はお似合いとはいえな…」

龍「ほぼあうんの呼吸なのに?」

陽「互いに気が付くと相手の事フォローしあってて気が付いてふにゃりと嬉しそうに笑うのに?」

メ「…本当に?」

渚・カ「うんうん」

龍「後、悠馬ってメグさんを他の女子より女性扱いしてるしな」

陽・渚・カ・メ・殺「え?」

龍「俺はさ、主戦力且つ協力前提だから悠馬とよく話してるから分かるんだよ」

陽「例えば?」

龍「ん~…分かりやすいのだと…メグさんが重いもの運ぼうとしてると自分だけで行くな、他の女子生徒だと俺にも声かけるけど、メグさん相手だと絶対に声かけてこない」

陽・カ「龍君(哉)、それはここだけの内緒ね」

龍「?分かった」

殺「なるほど…ヌルフフフフフ、どうやらまた1組に春が来るようですねぇ…」

龍「春…あ、そういうことか…あ゛、これ俺やっちまった?」

陽・カ「見事にね」

渚「片岡さん、大丈夫?」

メ「ちょっと大丈夫じゃない」(注:龍哉の話の内容により照れてる)

陽「メグちゃん、困ったことがあったらいつでも相談してね、私は力になるよ」

メ「倉…陽菜乃さん、ありがとう」

陽「いえいえ~」

と、こんな会話があったとさ。

というわけでこれ以降ちょいちょい原作カップルの描写が出てきますので、お楽しみに


―――夜中のE組プール

 

そこには創介、寿美鈴合作の特殊衣装に身を包んだ龍哉、陽菜乃、渚、カエデ、メグがいた。

 

殺せんせーはそばのビーチベッドで寝転がり月光浴を、龍哉、陽菜乃、渚、カエデは水をかけあって遊んでいる。

 

ちなみに姿格好のイメージとしては

 

 龍哉―ONE○IECEのネプチューン王から髭を除いた姿をイメージした衣装

陽菜乃―ONE○IECEのし○ほし姫の幼少期をイメージした衣装

渚&カエデ―原作準拠

 メグ―ディズニーのマーメイドプリンセスをイメージした衣装

 

ただし、全員水によって落ちたりしない化粧による特殊メイクを創介により手掛けられているため、身バレ率は大幅に下がっている。

 

なお、この化粧品は龍哉の祖母から与えられたものである。

 

と、ここで特別ゲスト(・・・・・)が目を覚ました。

 

それを確認したメグと龍哉が話しかける。

 

「目覚めたみたいだね」

 

「ここは水魚の国、人間、今宵は楽しんでいくがいい」

 

「…………は?」

 

「我が名はネ~プチュ~~ン!!!」

 

((((なんでわざわざそう言った!?))))

 

「そしてこやつは我が眷属にして水魚の国一の泳ぎ手、グレースである!!」

 

「グ、グレースよ、よろしくね」

 

「そ、そう…」

 

あっけに取られている…まあいきなりこんなことを言われれば処理が追いつかなくなっても無理はない。

 

そして、恥ずかしがっているメグに魚の衣装を着た殺せんせーがそっと囁く。

 

「堂々と魚を演じなさい片岡さん、夢の中だと思わせなければ我々の行為は拉致監禁です」

 

「もっとも捕まるのは殺せんせーだけにするから気にすんな」

 

「は「ネ~プチュ~~ン!!!」ね、ネプチューン「誰がこの国の王だったか、覚えているか」ネプチューン様…それはあんまりでは…」

 

「知らんなぁ」

 

((((流石龍君(哉(君))、えげつない))))

 

「この2人はその部下のサクラダイ(渚)とクマノミ(カエデ)だ」

 

「それから、私はネプチューン様の、つ、妻の乙姫よ」

 

「(小声)グレースにも言ったけど、もうちょい自然に堂々としないと」

 

「(小声)つ、妻って流石に恥ずかしいよ~」

 

「「(小声)新婚か」」

 

「なんで水魚なのに一匹浮き輪付けてるの!?しかも乙姫って浦島太郎なの!?」

 

龍哉が渚とカエデを偽名で紹介し、陽菜乃も偽名で自己紹介するが、若干声が硬い…

 

そんな自己紹介に特別ゲストの突っ込みが響く。

 

「そして私が魚キング、川を海を自在に跳ねる水世界最強のタコです」

 

「タコかよ!!」

 

「素晴らしい連続突込み、良い準備運動になってますね」

 

(((((どこがだ!?)))))

 

「入念なマッサージの後に早着替え」

 

水着は一部が水が入って膨れるのを防ぐためにゴムになっている…よって着替えた際に変な声が聞こえたが全員無視した。

 

「そして入水!!」

 

「ぎゃぁ!!」

 

急な入水でパニックになったゲストをメグが宥めて落ち着かせようとする。

 

「落ち着いて心菜!そこ浅いから…泳げるようになりたいでしょう、少しだけ頑張ってみよう!!」

 

「いっ、今更いいわよ泳げなくて!!それを逆手に愛されキャラで行く事にしたし!!」

 

「しかし…確か人間の学校のルールでは泳げなければ補習を受けなければ成績が下がるのではなかったか?」

 

「…っ!!で、でも泳げないって言っとけば…私の言う事をなんでも聞いてくれる友達がいるし!!」

 

「………」

 

「そんなことはどうでもいい、さっさと歩け…いや、歩かせろ」

 

「はいはい、もっと体をあっためておかないとね」

 

「な、なによ魚の分際で!」

 

「…おい、魚キング…何でお前は入らないんだ」

 

「い、いや今日は焼きに来ただけだし…」

 

「真夜中だよ今…しかも新月だから月も出てないし」

 

「それに入らなきゃ彼女に泳ぎなんか教えれないでしょ~」

 

(((((殺せんせーが泳げるのか、泳げないのか…今後の暗殺では重要な情報だ…しっかり見極めないと)))))

 

「それもそうですね…では入りますか」

 

そういうや否や殺せんせーはマッハで水の中に入る。

 

「躊躇なく…まさか…」

 

龍哉を筆頭に全員驚いている。

 

「まずは基本けのびから」

 

そう言って水面にいた殺せんせーは…

 

本当に魚型の水着(?)を身にまとった状態でいた。

 

「「どこがけのびだ!!」」

 

その姿に思わず龍哉と渚が立場を忘れて突っ込みを入れてしまう。

 

「この時のために開発しておいた先生用水着です、完全防水でマッハ水泳にも耐えられます」

 

「…仮面ライダークラスの耐久力じゃないか、それ」

 

「数々の秘泳法をご覧あれ」

 

そう言って尾ひれの部分をバタ足やドルフィンキックの要領で動かすと…

 

―ググ…

 

「え…」

 

ズイッと言う感じに水場が動き出し…

 

ゴゴゴゴゴとセルフ流れるプールになる。

 

「もがっ…流され…」

 

「心菜慌てない!!端っこの方は大した波じゃないから」

 

溺れかけたゲストにグレースが並走して泳ぐ。

 

「海での泳ぎ方を練習するよ、基本はプールと一緒、掌に負荷を感じながらテンポよく!!」

 

その言葉に答えるようにゲストも動く。

 

「海では自分の位置が分からなくなりやすいから…平泳ぎに切り替えて確認して、またクロールに戻る!!」

 

「水着とかずるいよ魚キング!!」

 

「そーだよ、生身で水に入れるかどうかを見たかったのに!!」

 

「入れますよ、生身でも」

 

そういうと着ていた水着を龍哉のほうに投げ渡し…

 

「汚ね」

 

と言うと龍哉は投げ渡された水着を持っていた三叉槍(トライデント)でズタズタに引き裂いた。

 

「ニュヤーーー!!」

 

「「龍哉、流石にそれはひどいと思う…」」

 

その行動に殺せんせーはショックを受け、思わず渚とカエデは殺せんせーに同情してしまう。

 

「これで絶対生身で水に…いや…これは…」

 

「「「「マッハで周りの水を掻き出してる!!」」」」

 

この殺せんせーの行動により、波の形が大きく変わる。

 

「な、なにこれ!!波はこっちきてんのに引きずり込まれる!!」

 

「落ち着いて!!泳ぐ方向こっちに変えて!!」

 

メグさんが立っている方向に泳ぐ方向を変えると…

 

「…え?あれ?流れるの止まった」

 

「離岸流と言い、岸に反射して沖に出ていく流れがある…人間のさーふぁーとかいうのが好むものだ」

 

「うん、海水浴場でも良く起きるの…心菜が前に溺れた原因はこれじゃないかな」

 

「我らやさーふぁーとやらであればそのまま乗っていれば問題はないな」

 

「ネプチューン様、ちょっと黙っててください…そういう時は無理に岸に向かわずに岸と平行に泳いで流れから抜ける、特に重要なのが絶対にパニックにならない事」

 

「知識だけ身につけてもダメですよ、朝まで死ぬほど泳いで…魚のような流麗な泳ぎを身につけましょう」

 

「やっぱ予想通りだったな」

 

「うん、自分の身体能力を基準に考える人じゃ教えるのは向いてないね」

 

その後も、特訓は続いた…

 

==========

 

―――翌々日

 

本校舎のプールで先日のゲストがきれいに泳いでいた。

 

そんなゲストにメグが声をかける。

 

「かっこよかったよ、心菜」

 

「は!!」

 

「水が怖いの克服したんだ、もう私の助けなくても平気だね!」

 

「し、しまった!!!(い、今更レベルは下げられない…)フ、フン!!あんたなんて元から頼りにしてないし!!」

 

その言葉を聞いて、メグは今回の事に関わった全員が集合しているE組専用プールに来た。

 

「これで彼女に責任は感じませんね片岡さん」

 

「よかったね、メグちゃん」

 

「これからは手ぇ取って泳がせるだけじゃなくて、あえて厳しく手を離すべき時もあるって理解できたな」

 

「うん、殺せんせーも龍哉君も、突き放すときあるもんね」

 

「覇月君も突き放したことが?」

 

「俺の場合は特訓メニュー、各個人でもやれる奴用意して各々やっとけーですけどね」

 

「でも龍哉はその突き放した時のほうがきついけどね」

 

「そうかな~」

 

「個別に用意してもらった特訓メニュー、あれきついよ」

 

「「「え?どこが?」」」

 

「「片岡さんまで!?」」

 

「あれ、一応中学生の平均レベルに抑えてるんだけど…」

 

「「…うそん」」

 

「でも結局わかんなかったな」

 

「うん…」

 

「ああそれと…」

 

そういうと殺せんせーはプールの水に触手を入れる、すると…

 

グググググと触手が大きくふやけた。

 

「察しの通り先生は泳げません、水を含むとほとんど身動きが取れなくなります」

 

「弱点としては、最大級ですね」

 

「ええ、とはいえ先生は対して警戒はしていません」

 

「落ちない自信と…」

 

「水中にいるのはほぼメグちゃんだけで、メグちゃん1人なら…」

 

「相手は出来ます、ですから、皆の地力を信じてみんなで泳ぎを鍛えてください、そのためにこのプールを作ったんです」

 

「…はぁー、やっぱ敵わねー」

 

「うん」

 

こうして、夏のE組専用プールがオープンした…

 

もっとも、これがもっと大きな火種となることは…この場にいた全員が思ってもいないことだった。

 

 





龍哉「あとがきコーナー・第十八回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

千葉「ゲストの千葉龍之介だ」

龍哉「千葉君とは実質欠点の時間だけか」

陽菜「速水さんもだよね」

千葉「まぁな」

龍哉「よく将棋とかやってるんだけどな~」

陽菜「戦績は?」

千葉「俺の全敗」

龍哉「10枚落ちでフルボッコした時はマジでごめん」

陽菜「10枚落ちって?」

千葉「歩と王将以外が盤面にない状態でスタートするんだ、いわゆるハンデありの状態でやるんだ」

陽菜「その状態でかつ龍君…いつやったの?」

千葉「なんでそんなこと気にするんだ」

陽菜「龍君の格好いいところ見たいから!!」

千葉「おい、お前の彼女どうにかしろ

龍哉「無理だ…本題行くぞ」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、千葉君が変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダースナイプ(原作:仮面ライダーエグゼイド)

龍哉「仮面ライダーエグゼイドに登場する、花家大我がゲーマドライバーとバンバンシューティングのライダーガシャットを使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜「今度は最新作から!?共通点は…」

龍哉「これも正義と一緒で仮面ライダー側の能力で考えた」

陽菜「なるほどね」

千葉「確かに、俺は射撃には自信があるからな」

龍哉「それではこれで今回は終了、次回は速水さんだ」

龍哉・陽菜・千葉「それでは次回もお楽しみに!!」


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閑話・2時間目:男子恋愛相談寄合所

ブーッブーッブーッ

龍『どうした?』

悠『あ、龍哉か、ちょっと相談があるんだけど…』

龍『別に構わないが…』

ブーッブーッブーッ

友『龍哉、ちょっと相談したいことがあるんだけど…』

ブーッブーッブーッ

千『龍哉、少し話したいことがあるだが…』

龍「…噂をすればなんとやら、か」

この後龍哉が全員にメールを送り、L○NEでグループを作って話すことにしました。


『男子恋愛相談寄合所』

 

―――龍哉が悠馬を招待しました。

 

―――龍哉が友人を招待しました。

 

―――龍哉が龍之介を招待しました。

 

―――悠馬が男子恋愛相談寄合所に参加しました。

 

―――友人が男子恋愛相談寄合所に参加しました。

 

―――龍之介が男子恋愛相談寄合所に参加しました。

 

龍哉『よし、全員揃ったな』

 

悠馬『俺と杉野だけかと思ったら千葉もなのか?』

 

友人『千葉は誰なんだ?』

 

龍之介『言わないとダメか?』

 

龍哉『まぁここでは俺がリーダーだし、俺としては知ってるというか分かってるから言わんでも構わんぞ…全員な』

 

悠馬『え、ばれてるの?』

 

友人『俺も!?』

 

龍之介『マジか…』

 

龍哉『俺も皆に分かりやすいって言われたけどお前らも相当だぞ、特に友人』

 

悠馬『まぁ確かに杉野は…』

 

龍之介『分かっていないのは矢印の向いている相手だけだろうな』

 

友人『それはそれでショックなんだけど!?』

 

龍哉『ちなみに俺が気づいた理由だけどな、悠馬は想い人が困ってると自分だけで助けようとするし、千葉君は授業中よくチラ見してるの見えるからだ』

 

悠馬『…え?』

 

龍之介『そんなに言われるくらい見てたのか!?』

 

龍哉『そして俺は悠馬に謝らにゃいかん』

 

友人『なんでだ?』

 

龍哉『この前ちょっと面倒なことがあってその解決を手伝ったんだが…その際にさっき気づいてる事言っちまった、すまん』

 

悠馬『…え、えぇぇぇ!?』

 

友人『…つまり磯貝は想い人に自分の事が好き、と…』

 

龍之介『いや、さっきの言い方からすると完全にそう思われてるわけじゃなさそうだが…意識はされてるだろうな、しかも今ので俺もわかった』

 

龍哉『…やっべ』

 

悠馬『…もういいよ…他に知ってるのは?』

 

龍哉『マジで申し訳ないが…渚とカエデさんと創介と寿美鈴さんに本人に陽菜と…殺せんせー』

 

友人『最悪じゃないか!!』

 

龍之介『一番ばれたらあかん相手に…』

 

悠馬『だから殺せんせー今日宿題集めて持っていったときめっちゃニヤニヤしてたのか…』

 

龍哉『いやもうマジで本当に申し訳ない』

 

友人『そういえば…前に殺せんせーが書いてたメモってどうなったんだ?』

 

龍哉『陽菜との逢瀬を出刃亀された時に消炭にしようとしたんだが死守された』

 

友人『マジか…』

 

龍之介『これからは俺らも協力する』

 

悠馬『ああ、あれはあってはならないな』

 

龍哉『サンクス、で、どうすれば想いをもうちょいはっきりと伝えれるか、という3人共通の悩みの解決に行こうか』

 

友人『この流れで行くのか!?』

 

龍哉『今までの流れで全員が最低限どのラインか分かっただろ』

 

悠馬『俺は意識されてる』

 

友人『俺と千葉は…気づいてもらえてない』

 

龍之介『だな』

 

悠馬『いや、杉野は一概にそうとは言えないぞ』

 

龍哉『千葉君もね』

 

友人『マジで!?』

 

龍之介『ああ、そういや鷹岡の時に体張ってかばったもんな、あれで意識されててもおかしくないな』

 

友人『うわー、嬉しいけど…吊り橋効果だったらどうしよう』

 

悠馬『杉野がいつになくネガティブだ…』

 

龍哉『まぁ気持ちはわかるぜ、俺も最初は何の冗談かと思ったし』

 

龍之介『そうなのか?』

 

龍哉『まぁ、堀部君が来るまでってちょいと卑屈気味だったから…深い人付き合いにはな』

 

悠馬『確かに、龍哉が俺達の内面とかにぐいぐい踏み込んでくるようになったのって倉橋と付き合いだしてからだったな』

 

龍哉『拒絶されたり、置いていかれたりするのが怖かったんだよ…でもビビってちゃ何も始まらないって体張って教えられたんだ、やらないでどうするよ』

 

龍之介『確かに…な』

 

友人『で、千葉のほうはどうなんだよ』

 

龍哉『実は相手の方も千葉君の事気にしてる、ぶっちゃけ後ろの良く見える席に座ってる俺からすると見ていて面白いぐらいに』

 

悠馬『どういうことだ?』

 

龍哉『千葉君が相手の事チラ見する⇒相手が千葉君の事チラ見するの繰り返し、しかもこの間一度も視線が合わないという奇跡』

 

龍之介『ちょいちょい視線感じると思ったらそうだったのか…』

 

悠馬『ということは最低でも相手に自分の事を意識されているか』

 

友人『チャンスはあるってことか』

 

龍哉『そういうことだ…とは言っても1人1人にするアドバイスは違うぞ、当たり前だが』

 

悠馬『まぁ確かに、俺達と相手の事を考えると、そうだよな』

 

龍哉『ああ、まずは悠馬、お前はぶっちゃけ思いを伝えても問題ない』

 

友人『まぁ、そうだよな、伝え方は?』

 

龍之介『お前達みたいにはっきりと言葉でか?』

 

龍哉『いや、ここはラブレターだ、2人きりになる機会も多ければそういうのをこっそり渡す機会も多い、ただ返事だけはきっちりもらうようにしろ』

 

悠馬『でも、良くもらってるし…』

 

龍哉『女子からな、昨日ももらってたな、女子から』

 

龍之介『よく見る光景だな』

 

友人『男子からもらったことってあるのかな?』

 

龍哉『「同性からばっかりで異性からもらったことほとんどないんだよね」と、少々意訳しているが本人がこう言っていた』

 

悠馬『…よし、頑張ってみる、ただ…』

 

龍哉『ただ?』

 

悠馬『…スーパーの広告の裏とかでもいいかな?』

 

龍哉『』

 

友人『』

 

龍之介『』

 

龍哉『分かった、今度便箋セットを買いに行くぞ、決定事項な』

 

友人『磯貝、告白でさすがにそれはねーよ』

 

龍之介『ないな』

 

龍哉『ルーズリーフとかだったらまだましだがな』

 

龍哉『次は友人だが…ちょっと距離を置いて落ち着いて話せるようになったら効果あるかもな』

 

友人『俺のはこうしたらどうだ、ってのなんだな』

 

龍哉『距離感が微妙すぎる、しかも今まではお前が押していたからな』

 

龍之介『なるほど、押してダメなら引いてみろというところか』

 

友人『共通の話題を探すとかは?』

 

龍哉『ありだな、ただ偶然を装え、やってるからやったはまずい』

 

友人『分かった、ちょっと落ち着いて話せるようになるのと共通の話題づくりをやる』

 

龍哉『それでよし、最後は千葉君だが…街中で偶然出会って一緒に遊んで距離を近づけよう』

 

龍之介『出来るのか?』

 

龍哉『陽菜に協力してもらえば、という前提条件が付くが、そこは問題ない』

 

悠馬『なんでさ?』

 

龍哉『千葉君達のに気づいたのは陽菜のほうが先だったからな』

 

龍之介『』

 

悠馬『やばい、千葉が無言になった』

 

龍哉『後ついでに言っておくと悠馬と友人の思い人も陽菜にいろいろ聞いてファッションとか気にしてるよ』

 

悠馬『』

 

友人『』

 

龍哉『おーい大丈夫か?』

 

龍哉『完全に皆黙っちまったな…ま、細かい打ち合わせは個々にやるか』

 

 




閑話の場合はあとがきコーナーはお休みします。

後この手のネタはちょいちょい挟みます。

それから時期早くない、と言う突っ込みはなしでお願いします。


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閑話・3時間目:女子恋愛相談寄合所

有希子が陽菜乃に相談開始

速水達の行動に陽菜乃が気づく

メグが陽菜乃に相談開始

陽菜乃が速水の話を聞く

岡野が陽菜乃に相談開始

上記のような経緯で女子恋愛相談寄合所はスタートしました。


『女子恋愛相談寄合所』

 

―――陽菜乃がメグを招待しました。

 

―――陽菜乃が有希子を招待しました。

 

―――陽菜乃が凛香を招待しました。

 

―――陽菜乃がひなたを招待しました。

 

―――メグが女子恋愛相談寄合所に参加しました。

 

―――有希子が女子恋愛相談寄合所に参加しました。

 

―――凛香が女子恋愛相談寄合所に参加しました。

 

―――ひなたが女子恋愛相談寄合所に参加しました。

 

陽菜乃『それじゃあ始めようか』

 

メグ『あれ?ひなたもなの?』

 

ひなた『う、うん』

 

凛香『まぁ、気持ちはよくわかる』

 

有希子『でも相手が相手だからね』

 

陽菜乃『うん、じゃあまずは相手と自分の関係がどんな感じか整理しよう!!』

 

有希子『じゃあまずは私からいいかな?』

 

メグ『ええ』

 

凛香『問題ない』

 

有希子『私は…話しかけられること多いけどどこか他の人と違うんだよね』

 

ひなた『例えば…』

 

有希子『私に対してだけ…上ずった感じの声で話すんだよね』

 

ひなた『緊張してるんじゃない?』

 

有希子『後話しかけると凄く嬉しそうなんだけど、さっきみたいな状態になっちゃうのよ』

 

ひなた『話しかけても話しかけられてもってこと?』

 

有希子『うん、修学旅行の班に誘ってもらったし、その時も意見よく聞き入れてくれたから嫌われてはいないと思うんだけど…』

 

ひなた『うーん、微妙だね』

 

有希子『うん』

 

ひなた『あれ?皆なんで何も言わないの?』

 

陽菜乃『とりあえず、今後有希ちゃんは龍君とかに鈍感って言う資格ないね』

 

メグ『傍から見てると付き合う前の龍哉君と陽菜乃さんの関係に近いわね』

 

凛香『積極的に動くのが男女で逆だけどね』

 

有希子『え?』

 

陽菜乃『あ』

 

凛香『…あ』

 

有希子『速水さん、それ本当?』

 

凛香『…えっと』

 

陽菜乃『流石にこれは誤魔化せないね』

 

メグ『そうね…』

 

凛香『…うん、神崎の予想している通りであってる』

 

有希子『そうなんだ…』

 

凛香『…次は私いい?神崎のはこれで大体いいし』

 

陽菜乃『私は良いよ』

 

メグ『私も』

 

有希子『私も構わないよ』

 

ひなた『え、皆あれだけで分かるの?』

 

陽菜乃『見てて分かりやすいもん、有希ちゃんの事が好きな人の態度』

 

メグ『E組上がった当初からね』

 

凛香『こっちからすると半分名物になってた』

 

ひなた『そんなに!?』

 

有希子『それは私も知らなかった』

 

陽菜乃『ま、その話は後々、凛香ちゃんは?』

 

凛香『そうね…私の場合、気になったのは覇月が来てすぐ、殺せんせーが液状化を身につけたころ』

 

メグ『そんなに早く!?』

 

凛香『…は、どちらかと言うと覇月のほうが気になってた』

 

有希子『あ、速水さんもだったんだ』

 

メグ『まぁ、修学旅行の時は本当に格好良かったね』

 

陽菜乃『それで?』

 

ひなた『あれ、ただの文面のはずなのに凄いオーラを感じる』

 

凛香『待って、今はもっと仲良くしたいとは思うけどあくまで友達だから』

 

メグ『そうそう、陽菜乃さん、落ち着いて』

 

陽菜乃『ダイジョーブダイジョーブ、さ、早く』

 

凛香『…と、とにかくその後、何度か訓練してるうちに私も相手も狙撃の才能があることが分かって、一緒に訓練することが多くなったの』

 

有希子『もしかして、それで相手の格好いいところをよく見ることが多くなって好きになっていったの?』

 

凛香『…大体そんな感じ、やっぱりこうして言葉にすると恥ずかしい』

 

メグ『まぁまぁ、次は私いいかな』

 

凛香『お願い』

 

陽菜乃『メグちゃんのことは私は知ってるよ~』

 

ひなた『え、そうなの!?』

 

メグ『むしろ暴露されたのよ、殺せんせーに』

 

有希子『倉橋さん?』

 

陽菜乃『ち、違うよ!!暴露したのは私じゃなくて龍君!!しかも言ったのはメグちゃんが気にしている相手の気持ちの方!!』

 

凛香『あいつはバカか』

 

陽菜乃『否定できない…』

 

メグ『一応謝ってもらったし、それに…』

 

ひなた『それに?』

 

メグ『わ、私でも好きになってくれる男の子がいるって知れてうれしかったし…』

 

ひなた『あ、よくラブレターもらってるもんね…後輩の女の子から』

 

凛香『そう考えるとむしろGJか』

 

陽菜乃『ほっ…』

 

有希子『じゃあ、今片岡さんと想い人は両片想い状態なの?』

 

陽菜乃『そうだよ、どうするかは後回しにして、最後はひなたちゃん』

 

ひなた『えっと、私は…その…』

 

有希子『好きな人はいるけど素直になれないんだよね』

 

メグ『そう、遊びに誘われた際に気のあるようなセリフを言われると嬉しいけど照れを隠すために女子力(物理)を振るっちゃうんだよね』

 

凛香『加えて想い人が自分以外の女とデートしていてそれを目撃した翌日ちょっと不機嫌になってたりする』

 

ひなた『待って、皆どうしてそんなに詳しいの』

 

陽菜乃『そりゃ、あんなに…ねぇ』

 

メグ『結構分かりやすかったよ、付き合う前の陽菜乃さん位に』

 

凛香『岡野の想いに気づいてないのは男子だけ、女子は全員気付いて応援してる』

 

ひなた『』

 

陽菜乃『あ、だまっちゃった…こうなったひなたちゃん復活に時間かかるし、今のうちに今後どうするか決めようか』

 

メグ『…そうね、私からいい?』

 

有希子『いいよ、と言っても…』

 

凛香『ほぼ確定してるよね』

 

陽菜乃『うん、メグちゃんは相手から行動あるまで待っていればいいと思う』

 

メグ『ほ、本当に?』

 

陽菜乃『うん、ただどういう形の告白でも時間をおいてもいいからちゃんと返事してね』

 

メグ『分かったわ、私はこれくらいでいいの?』

 

陽菜乃『うん、あ、あと私も同じ気持ちだよアピールもしておくとなおいいと思う』

 

メグ『あ、そうか…ありがとう、私はもう十分ね』

 

有希子『次は私いいかな?』

 

凛香『いいんじゃない』

 

陽菜乃『有希ちゃんはもうちょっと積極的に行ってみよう、まずは相手の好きな事を知って、共通の話題を作ろう』

 

有希子『なるほど…』

 

メグ『…これ以上はいらないんじゃない?』

 

陽菜乃『ううん、積極的に、だから後は自分から話しかけたり…後はボディタッチとかもいいと思う』

 

有希子『ぼ、ボディタッチ!?』

 

陽菜乃『無理にとは言わないよ…後は…あ、頑張ってる姿とかをちゃんとほめてあげたりするのもいいと思う』

 

メグ『確かに、それは有効そうね』

 

有希子『うん、頑張ってみる…』

 

陽菜乃『有希ちゃんにはこのくらいかな~』

 

凛香『次は私、お願いできる?』

 

陽菜乃『うん、凛香ちゃんはもっと話したりとか、距離を縮めたらいいよ』

 

凛香『…でも、会話とかそんなに続かない…』

 

メグ『速水さんってクールビューティー系だもんね』

 

有希子『話題がないのかな』

 

陽菜乃『凛香ちゃんの想い人もそんなに喋る方じゃないから…相手がいてくれればそれだけでいい、って空気に慣れれば…』

 

メグ『でも、出来れば仲良く話したいよね』

 

有希子『うーん、でも、必要な言葉だけで通じ合える方がらしいと思うけど…』

 

凛香『…どっちも、いいな…』

 

陽菜乃『うーん、じゃあ、一緒に街で遊んだりすれば…相手の事を知れて距離も縮められるからいいと思うよ』

 

メグ『うん、いいかも…』

 

有希子『私達も一緒ならちょっとは目的も誤魔化せるから』

 

凛香『だったら、みんな一緒に…私だけじゃ不平等』

 

メグ『うーん、でも私達の方は…』

 

凛香『あ』

 

陽菜乃『こう言っちゃったら悪いんだけど…私と凛香ちゃんと有希ちゃんの3人のほうがいいと思う』

 

有希子『どうして?』

 

陽菜乃『えーとね、メグちゃん達の事って結構皆分かってるから…逆に一緒に居ると気を使っちゃうかも…』

 

メグ『あ、そういう事…』

 

ひなた『でも、なんでその3人で?』

 

凛香『あ、岡野復活』

 

陽菜乃『凛香ちゃんと有希ちゃんの相手は龍君とかなり仲いいから誘ってもらうのにちょうどいいしね』

 

有希子『でも岡野さんは?』

 

メグ『誘っても相手が…ね』

 

凛香『ああ、皆を放ってナンパに行きかねないからか』

 

陽菜乃『そういう事~、龍君もそこが嫌だって言ってたし』

 

有希子『じゃあ、岡野さんへのアドバイスは相手の癖を矯正させること?』

 

メグ『無理でしょ、絶対に治らない』

 

凛香『もはや本能レベルだと思う』

 

陽菜乃『生まれ変わってもやってそう』

 

ひなた『3人共早い』

 

有希子『それじゃあどんなのがいいの?』

 

陽菜乃『ひなたちゃんの足癖の悪さをちょっと直して、少しずつ出来るところから女子力を上げていくしかないよ』

 

メグ『あ~、確かにそれしかなさそうね』

 

凛香『うん、あれは照れ隠しでも正直ない』

 

ひなた『うぅぅ(´;ω;`)』

 

陽菜乃『できることからでいいから、そういうのはイリーナ先生だけじゃなくて龍君のお祖母さんもいけるから!!』

 

有希子『そうなの?』

 

陽菜乃『うん、炊事洗濯掃除の家事万能、龍君の家に行ってよく教えてもらってるの』

 

凛香『今度から私もいい?』

 

有希子『私も』

 

メグ『同じく』

 

ひなた『私もお願い』

 

陽菜乃『OK!!龍君にも言っておくね!!』

 

陽菜乃『それじゃ、今後もがんばろー!!』

 




今回も閑話なのであとがきコーナーはお休みです。

今回と前回の話はこれからの展開に必要なので…

次回をお楽しみに!!


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恋愛の時間:1時間目

すいません、最近ポケモンにはまってのんびり執筆でした。

でもサン・ムーンどっちも面白いです。


―――通学路

 

この日は珍しくある4人が一組になって登校していた。

 

「こんな感じの文なんだけど…」

 

「…まぁ、の○太君のラブレターよりましだな」

 

「よし、書き直す」

 

「もういっそ、和歌というか短歌にしたらどうだ?」

 

「古くないか?」

 

「…いや、下手にばれても古典の勉強と言い訳できる」

 

「なるほどな」

 

「そういえば、日付は?」

 

「もう少ししたら期末だろ、その後だ」

 

「了解」

 

「は~、今から楽しみだな」

 

「ちなみに期末の結果次第ではお流れになるから気を付けろよ」

 

「「誠心誠意努めます」」

 

「ははは、あれ?渚?」

 

「あ、磯貝君…に、杉野に龍哉に千葉君?珍しい組み合わせだね」

 

「そうか?」

 

「うん、龍哉とそれぞれ、だったら珍しくもなんともないけどさ」

 

渚の言う通り、龍哉と悠馬、龍哉と友人、龍哉と千葉という組み合わせは教室内でよく見る組み合わせだが、この4人の共通点が中々思い当たらない…

 

「…とにかく教室行こうぜ」

 

下手に勘繰られるのは避けたいため、千葉が教室に行く事を提案し、そのまま全員で向かう途中に…

 

「「「「「あ!!」」」」」

 

「あ…」

 

うつ伏せで倒れている陽斗とそれに困惑している(・・・・・・)速水がいた。

 

「あ…ちが…」

 

何かを言おうとしてる速水を無視して渚が素早く脈を確認する。

 

「…ある、生きてる」

 

と言う渚の言葉に…

 

「チッ」

 

龍哉が舌打ちで答えた。

 

「「「「「おいこら」」」」」

 

流石にそれには全員が突っ込んだ。

 

「俺はまだこの間の所業(キスの時間参照)を完全に許してねーんだよ」

 

「おいおい…もう本人も反省してるんだからその辺で「矯正しねーと皆も同じ目に合うよ」…それ…は…」

 

龍哉のその一言で渚以外が龍哉の態度に納得してしまう。

 

「で、なんでこんなことに?」

 

「分からない…私が見つけた時はすでに」

 

犯人(ホシ)が何か残してるかもしれん、周りを探るぞ」

 

警察に協力しているためか龍哉の言い回しが警察じみているが突っ込んでもキリがないことを皆理解しているので大人しく従う。

 

その結果…

 

「ねぇ、皆これ見つけたんだけど」

 

と、渚がシャープペンシルを見つける、そのシャープペンシルは…

 

「「「「「「……やっぱりか」」」」」」

 

とある女生徒のもので、この状況もよーく理解できた。

 

「…こいつもいい加減懲りないな…」

 

「どうする?」

 

「…渚、速水さん、悪いが彼女を探してきてくれないか?」

 

「分かった」

 

「なんで僕も?」

 

「慰めたりするにゃお前が一番だからな」

 

「…分かった」

 

そう言って渚と速水は陽斗を気絶させた生徒を探しに行き、残った全員で陽斗を運んでいった。

 

もっとも…

 

「誰が運ぶ?」「俺が運ぶ」「どうやって」「こう、足を掴んで、このまま」「よし、千葉、俺達で運ぶぞ」「分かった、磯貝」

 

と、龍哉が滅茶苦茶な方法で運ぼうとしたので悠馬と千葉が2人がかりで肩を担いで保健室へ連れて行った。

 

==========

 

―――E組校庭

 

ここには、トレーニング用にアスレチックが増設されている、そこに…

 

「はぁ…」

 

1人の女生徒が落ち込んでいた。

 

「またやっちゃった、昨日相談したばかりなのに…」

 

どうやら、いつもと同じことをしでかしてしまい、そのことで落ち込んでいるようだ。

 

そこに…

 

「あ、居た」

 

「岡野」

 

「渚、速水」

 

彼女を探しに来た渚と速水が合流した。

 

渚と速水は岡野が気にしているであろう陽斗の容体を伝えると安心し、おずおずとしゃべりだした。

 

「一昨日は他校女子とデート、昨日は高校生とデート…あんまり女にだらしないもんで、どこかで一発キツイのお見舞いしてやんなきゃって」

 

「(まぁ、恋い焦がれてる相手がそんなことしてりゃ当然よね)でも、あそこまでする気はなかったんでしょ?」

 

もしも千葉が…そう考えると納得のいく速水であり、そんな風に思われた千葉は思わず悪寒がして身震いしたのを見た龍哉達は風邪かなにかと勘違いしたのを、速水達は後程知るのだった。

 

「うん、ただ、今日に限って」

 

「教科書の量が凄いもんね、今日」

 

「そう、だからさ、あんなに飛ぶとは思わなかった」

 

「(自覚してこれだからたちが…龍哉も似たようなもんか)だったら、はっきり言ったら?」

 

「……何を?」

 

「その胸の内にある本当の気持ち、どうしてそんな風なのかは私は知っているし」

 

「そうだけど…でも…」

 

「ぼやぼやしてると、二度と手に入らなくなるよ」

 

「う…」

 

「私だって嫌だ、好きな人が他の女といるなんて」

 

「…うん」

 

「……2人共、僕がいること忘れてない?」

 

「「あ」」

 

「まぁ、岡野さんの前原君に対する態度からなんとなく分かってたけど、速水さんにもいたなんてね」

 

「このことは」

 

「黙っておくよ、僕が2人の立場だったら嫌だしね」

 

「「ありがと」」

 

こうして岡野は落ち着き、この騒動は一応幕を閉じるのだった。

 

==========

 

―――E組教室

 

朝のHRが近いためほぼ全員(珍しくカルマも)既に教室にいる中に…

 

「おい皆来てくれ!!プールが大変だぞ!!」

 

本日は体育がないためプールの様子を見に行った(正確には龍哉が無理矢理行かせた)大河が慌てて戻ってくる。

 

なお、龍哉が行かせたのは大河は見に行けば十中八九隠しカメラを設置すると読み、それをエサに皆でボコるためである。

 

そして皆でプールを見に行くと…

 

「ッ!!」

 

「滅茶苦茶だ…」

 

「酷い…いったい誰が…」

 

「ビッチ先生がセクシー水着を披露する機会を逃した!!」

 

「どうでもいい!!」

 

「龍哉!?」

 

そんな風に慌てる全員を他所にある3人がそんな全員を見てニヤニヤと笑っている。

 

「あーあー…こりゃ大変だ」

 

「ま、いーんじゃね?プールとかめんどいし」

 

そんな3人を渚が見ていると…

 

「ンだよ渚、何見てんだよ…まさか…俺らが犯人とか疑ってんのか?下らねーぞその考え」

 

渚に寺坂が近づき、胸ぐらをつかむが…

 

「まったくです、犯人探しなどくだらないからやらなくていい」

 

そこに殺せんせーが現れ、いつものようにマッハでプールを一瞬のうちにキレイにする。

 

「はいこれで元通り、いつも通り遊んでください」

 

そんな殺せんせーに皆元気に返事をし、それには犯人と思しき全員の目が点になる。

 

そしてほぼ全員が教室に戻る中…

 

「龍君、何を?」

 

「大河に見に行かせたからな、わざと」

 

「あ~、なるほど」

 

そして龍哉と陽菜乃は大河が仕掛けた隠しカメラを見つけるが…

 

「…これは…」

 

「プールじゃなくて、別の目的…おそらく暗殺用だな、放っておこう」

 

問題無いと判断して龍哉と陽菜乃も教室に戻ろうとする途中で…

 

ドン!!

 

「なんだ?」

 

「行ってみようよ」

 

陽菜乃の言葉に従って見に行くと…

 

「村松君!?」

 

「大丈夫!?」

 

「…お前等か」

 

木のそばで村松が背中を押さえており、龍哉達は何かあったことを悟る。

 

「誰だ?」

 

「…寺坂がな、この間の補習に参加したことにキレやがってよ」

 

「あれか…自由参加なんだからキレられる理由はないはずだが…」

 

「もしかして…寺りんが参加しないよう強制していたとか?」

 

「あたりだ」

 

「…はぁ、お前らはあいつの数少ない友人ではないのか?」

 

「数少ないって…」

 

「あいつのほうは友人じゃなくて、手下としか思ってねーんだよ…自分の言う事をほいほいきく、な」

 

「はー、あほだな」

 

「はっきり言うな」

 

「言わなきゃわかんないことだろ」

 

「とにかく、教室戻ろう」

 

「歩けるか?」

 

「そこまでやわじゃねーよ」

 

そうして教室に戻ると…

 

「何してんだよ殺せんせー」

 

「おや覇月君、倉橋さん、遅かったですね」

 

「プールの周りに他に被害がねーか見てきたんだ」

 

「それで先生、それは?」

 

「見て分かんねーのかよ、バイクだよバイク!!」

 

「「いや、木製のバイクなんて見たことないからそう言ってるんだよ」」

 

「ヌルフフフフフ、この間吉田君が雑誌で見ていた奴です、丁度プールの廃材があったんで作ってみました」

 

「そういえば…寺りんは?」

 

「俺らより先に戻ったのにいねーな」

 

「便所じゃねーの?」

 

「ていうかこれもっとよく見ろよ!!まるで本物だぜ!!」

 

「…俺、もっとすげーの間近で何度も見たし」

 

「あ、そっか、仮面ライダーさん達は車にバイクだもんね」

 

「そういやそうだったな」

 

「……何してんだよ吉田」

 

「あ、寺坂…い、いやぁこの前バイクの話で盛り上がってさ、うちの学校そういうのに興味持ってる奴いねーから」

 

「龍君ってこういうの好きだよね?」

 

「ああ、市之助祖父ちゃんの影響でな、進兄さんはどっちかっていうと車派だけど、こういうので盛り上がるし」

 

「マジか!!」

 

「ヌルフフフフフ、先生は大人な上に漢の中の漢、この手の趣味も一通りかじっています」

 

「しかもこのバイク最高時速300㎞出るんですって、先生一度本物に乗ってみたいもんです」

 

「アホか」

 

「抱えて飛んだ方が早いでしょ」

 

そんな吉田と龍哉、殺せんせーのコントに寺坂が怒ったのか蹴りでバイクを破壊する。

 

「ニュヤーーーー!!!」

 

「!!何してんだ!!」

 

「酷いよ寺りん!!!」

 

「鬼!!」「悪魔!!」「外道!!」「ビビり!!」「考えなし!!」「空っぽ頭!!」「しょんべんたれ!!」「うんこたれ!!」「謝ってやんなよ!!」「大人な上に漢の中の漢の殺せんせー泣いてんじゃん!!」

 

「…てめーらぶんぶんうるさいよな虫みたいに…てか聞こえてんぞカルマに覇月ィ!!誰がうんこたれでしょんべんたれだこらぁ!!」

 

((((((((((考えなしと空っぽ頭は?)))))))))

 

ちなみに言ったのは友人と千葉である。

 

「うるせーから、駆除してやるよ!!」

 

寺坂が何か持ってるのに気づいた龍哉は…

 

「皆目を閉じて思い切り息吸って止めて!!」

 

と、指示を出し、これには生徒全員が何とか反応出来て思い切り息を吸って止めた直後に寺坂が投げた殺虫剤の中身が噴き出る。

 

殺せんせーは龍哉の言う通りにせず、寺坂をたしなめるために服に手をかけるが…

 

「さわんじゃねーよモンスターが」

 

と言う一言と共にはねのけられる。

 

「気持ちわりーんだよ、テメーも、モンスターに操られて仲良しこよしのE組も」

 

「何がそんなに嫌なんだよ…まるでボッチが嫌なガキだな」

 

「いやなら、気にいらないなら殺せばいーじゃん、せっかく許可されてる教室なのに」

 

「なんだ覇月、カルマ、てめー等俺にケンカ売ってんのか、上等だよ大体テメー等は最初から」

 

そう言って近づく寺坂の顔を龍哉とカルマが右手で掴む。

 

「ダメってば寺坂、ケンカするなら口より先にてぇ出さなきゃ」

 

「そもそも、逃げたいんならそう言え、ここに居たくなければ学力上げて本校舎に戻るんだな」

 

「…っ!!放せっ!!下らねー!!」

 

そう言って寺坂は教室から出ていく。

 

そんな寺坂を渚が心配そうに、悠馬は一緒に平和に割れないもんかとぼやき、殺せんせーは顎に手を当てて何か考えていた。

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第十九回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

速水「ゲストの速水凛香」

龍哉「速水さんとは出会いの時間に千葉と同じく欠点の時間、そして今回冒頭か」

陽菜「私としてはこの前のほうがびっくりしたけどね」

速水「警戒心高そうだったのにあっさり私には話しかけてきたから」

龍哉「その前に一応顔合わせてるからな、近くにいたからってのもある」

陽菜「そうなんだ~」

速水「でもちょこちょこ気にかけてたよね?」

陽菜「どうして?龍君」

龍哉「あ~…恥ずかしい話、陽菜の名前4月ごろちょっとド忘れしててな、ただ髪の感じと優しそうな雰囲気は覚えてたからどっちかが思い出の子だ、と思ってたんだよ」

陽菜「そんなに似てる?」

速水「…似てるかな?それに、優しそうって…」

龍哉「優しくなきゃ陽斗なんざ放置するだろ」

陽菜「放置する気だったんだね」

速水「まぁ、前原だからしょうがない」

龍哉「そろそろ本題行くぞ」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、速水さんが変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダーカリス(原作:仮面ライダー(ブレイド))

龍哉「仮面ライダー(ブレイド)に登場する、相川始がライダーシステム・カリスベイルとハートのラウズカードを使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜「共通点って…もしかしてどんどん人と関わり合うように変わっていくところ?」

速水「どっちかと言うとアンタじゃない?」

龍哉「ははは、否定できん、それと戦い方が遠近どちらも行けるからだな」

陽菜「あ~、確かに凛香ちゃん=射撃だけどナイフが出来ないわけじゃないもんね」

速水「第二の刃を隠し持つものでしょ」

龍哉「それではこれで今回は終了、次回は三村君だ」

龍哉・陽菜・速水「それでは次回もお楽しみに!!」


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実行の時間

龍「新年あけましておめでとうございます!!」

全「あけましておめでとうございます!!」

龍「今年も暗殺教室~拳法家の青春物語~をよろしくお願いします!!」

全「よろしくお願いします!!」

龍「それでは本編をどうぞ!!」


―――E組教室

 

寺坂がまき散らした薬剤を外に出し終えた後…

 

「あ、殺せんせー、俺明日来ない」

 

唐突に龍哉がサボりととれる発言をした…

 

「にゅや!!は、覇月君!!君までサボり始めるんですか!!」

 

「違います、明日は免許試験だから来れないんです」

 

余談だが主にサボるのはカルマで、残りの生徒はほぼサボらない。

 

「免許試験?」

 

「バイクと車のな、仮面ライダーとして活動するにしても変身前から使うことあるから取ってくれって言われてな」

 

「あ、そうなんですか…ちなみそれは…」

 

「学科だけ、実技はこの間の休みに終わった、そん時に俺用のマシンが出来てるのも聞いた、んで取得後ロイミュードの撲滅完了までそれで行動してくれともいわれた」

 

「え…それじゃ…」

 

「いや、暫く陽菜とタンデムの許可ももらった」

 

「「「「「「「「「「えぇ!!」」」」」」」」」」

 

「何でですか!?」

 

「おとり捜査の一環だよ、今追ってるロイミュードおびき出すための…もっとも浚われる前に即座に葬り去るがな」

 

(((((((((目が本気だ…))))))))))

 

「ということで、そこんとこよろしく」

 

「あ、はい…」

 

「陽菜乃ちゃん?」

 

ここで桃花が陽菜乃の様子に気づいてみると、当の本人は顔を真っ赤にして何やら考え込んでいたが…

 

(///り、龍君と2人乗り…ど、どんな服がいいかな///)

 

「…そのロイミュード倒したら必要ないからもうできないけどな」

 

龍哉が心苦しくも発した言葉ですぐに正気に戻り、そうだよね…とすごく落ち込んだ表情に龍哉もきつそうな表情をするのだった。

 

―――翌日、とある海辺の教会

 

龍哉はチェイスと共に運転免許試験終了後にそこ向かっていた。

 

正確には学科試験終了直後にトルネード出現を聞いて龍哉とチェイスはすぐさま急行したが一歩間に合わず、霧子をさらわれてしまう。

 

また、龍哉はその前にハートが超進化体に覚醒したこと、トルネードと一度戦った際に剛が持っていたタブレットの中にロイミュードの開発者である蛮野天十郎の意識が閉じ込められていたが…

 

反乱、というより自らが世界の支配者となるべく動き出し、クリムことドライブドライバーをコピーし、自らの配下となっている004と共にどこかに行ったという事を聞いている。

 

そして上記場所に霧子が囚われているという情報を聞いた進ノ介達が先行し、トルネードと交戦し始めたころ、遅れていたチェイス、龍哉が来た。

 

「霧子」

 

「霧子姉さん、大丈夫…って何その格好、似合ってるけど(状況的に)おかしいよ」

 

「龍哉、意味が分からないぞ」

 

「わ、私は大丈夫、それより、進ノ介さんと剛が…」

 

「後は俺達に任せろ、トライドロンで2人を援護する」

 

「でもチェイス」

 

「安心しろ、免許はもう取った、龍哉もな」

 

そういて2人同時に免許証を見せるが…

 

(龍哉君はともかくチェイスには似合わない笑顔ね)

 

(あれ見て噴出さなかったのは奇跡)

 

「いくぞ、変身」

 

「ライダー!!チェイサー!!」

 

「安全なところにいてくださいね、変身!!」

 

「ライダー!!バースト!!」

 

「いくぞ、龍哉」

 

「うん、チェイ兄さん」

 

そう言ってチェイサーはトライドロン:タイプワイルドに乗り込み、バーストは自らのマシン―バーストストライダー―に乗り、そのままドライブ、マッハがトルネードと交戦している箇所に向かった。

 

==========

 

―――とある海岸

 

「ぐぅ…」「くっ…」

 

「ははは!!これでぇ!!」

 

トルネードの吹き荒れる竜巻にドライブとマッハは捕らえられ、身動きが取れないでいたが、そこに…

 

「シグナルバイク!!ストーム!!」

 

「出りゃああ!!」

 

バーストストライダーをライドモードからジェットモードに変更し、更にストームシグナルバイクを運転パネルにあるスロットに装填し、機首と後輪部分からストームを出してトルネードの竜巻を相殺する。

 

「龍哉!?」

 

「助かった、脱出だ!!」

 

「くっ、おのれ!!」

 

「チェイ兄さん!!」

 

「任せろ、ハァぁ!!」

 

そこにチェイスが操るトライドロン:タイプワイルドにライドブースターが合体し、ブースタートライドロン:タイプワイルドになってブースターからの嵐で攻撃するが…

 

「なめるな!!」

 

トルネードも嵐で相殺していくため、決定打を撃てそうにないが、そこに…

 

「シグナルバイク!!シグナルコウカン!!スナイプ!!」

 

バーストがスナイプシグナルバイクを装填し…

 

「ヒッサツ!!フルスロットル!!スナイプ!!」

 

「はぁぁぁ…」

 

バーストのコウリンブレードブラスターにエネルギーが充填されていき…

 

「であああああ!!」

 

その強力な一撃が相殺されている風を貫き、トルネードに強烈な一撃を加える。

 

「ぐあぁぁぁ!!」

 

それにより、トルネードの力が弱まり、ブースタートライドロン:タイプワイルド側の風に圧倒される。

 

「今だ!!」

 

「「おう!!」」

 

「ヒッサツ!!フルスロットル!!マッハ!!」

 

「ヒッサーツ!!フゥルスロットール!!スピード!!」

 

「「でぁぁぁぁぁ!!」」

 

そして、ブースタートライドロン:タイプワイルドの嵐で強化されたドライブとマッハのダブルライダーキックがトルネードを貫き、コア毎爆散する。

 

「やった!!」

 

「ああ」

 

「これで…ん?」

 

しかし、その直後に龍哉の携帯に連絡が入る。

 

「はい…律か…うん、うん…分かった、すぐにそっちに行く」

 

「どうした」

 

「どうやら、学校の方でなんかきな臭いみたい…律のパターン分析の結果だからかなり信憑性が高いから、すぐに向かいます」

 

「分かった、急げ」

 

「はい、すみません、進兄さん、剛兄さん、後で特状課のほうに顔出します!!…あ、進兄さん、クリムおじさん、ロードウィンター貸して!!」

 

「分かった、持っていけ、それと急げ!!」

 

「うむ、急ぎたまえ!!」

 

「ああ、急ぎな!!」

 

「はい、ありがとうございます!!」

 

そう言ってバーストは変身を解除し、すぐにバーストストライダーライドモードに乗ってE組に向かった。

 

==========

 

―――E組プール

 

E組の面々―といっても例によってカルマがサボりのためいないが―は寺坂が言う計画に殺せんせーによって協力させられているが…

 

ほぼ全員やる気が見えない…それも当然だろう、龍哉と違い常に勝手に行動しているため、皆からの信頼度は0と言っていい…

 

そのため、せめて龍哉を呼んできてから、という案が大半の生徒から出たのだが、寺坂は焦ったようにそれを拒絶し、今回の作戦を強行した。

 

しかし、寺坂が協力を言い出したタイミングで律が龍哉に連絡して、それが届いてたのを寺坂は知らなかった。

 

ちなみに作戦とは銃で殺せんせーを水に落として全員にナイフで刺させる、というものではなく…

 

(「これは銃ではなく我々に合図を送る発信機、覇月君以外がプールに準備(スタンバイ)したら引き金を引いて我々に知らせろ、イトナが駆けつけて奴を水に落としてあげよう」)

 

と、シロに言われたとおりに行動しているだけなのだ…自分で考えて行動しているわけではない、そのことを皆感じ取っているのだ。

 

もっとも、そのシロの言葉も嘘で、他にも仕掛けが施されており、また彼が寺坂に言ってプールを荒らさせていたのだ。

 

「……覚悟は出来たかモンスター」

 

「もちろんできています、鼻水も止まったし」

 

「ずっとテメーが嫌いだったよ、消えてほしくてしょうがなかった」

 

「ええ、知ってます…暗殺(これ)の後ゆっくり2人で話しましょう」

 

(ナメやがって…来いイトナ!!)

 

そうして寺坂が銃の引き金を引いた瞬間…プールの堰が爆発しし、溜まっていた水が激流となりプール内の皆が流される。

 

「え…」

 

「皆さん!!」

 

それを見た殺せんせーは即座に飛んで生徒達を助けに行き、寺坂は…

 

「お、おい…嘘だろ!?」

 

自分の行動により起きた事に愕然としていた。

 

そして、そこにバーストストライダーライドモードに乗った龍哉が駆けつけた。

 

「なろぉ!!」

 

「シフトカー!!ロードウィンター!!」

 

龍哉がロードウィンターを装填してタイヤから氷を出して川を凍らせ、生徒達が流されるのを遅らせていく。

 

「覇月君!!」

 

「殺せんせー、あと何人?」

 

「後は…!!倉橋さんで…ああ!!」

 

そして残りが陽菜乃だけとなるが、その陽菜乃の流される先には、崖があった。

 

「倉橋さん!!」

 

「!!陽菜!!」

 

そのことに気が付いた龍哉は…

 

「変身!!」

 

「ライダー!!バースト!!」

 

仮面ライダーバーストに変身し、重加速現象を引き起こす。

 

「は、覇月君!?その力は暗殺には…」

 

そういう殺せんせーを無視してバーストはバーストストライダージェットモードに変更し、そのまま陽菜乃の元に向かう。

 

重加速はあくまで動きを遅くするだけであり、止めるわけではないのだ。

 

しかし、この行動により…

 

ガッ!!

 

バーストの手が陽菜乃の手を掴み、バーストストライダージェットモードの上に引き上げ、お姫様抱っこで抱きかかえる。

 

なお、手を掴んで引き上げたタイミングで重加速は解除しているため、陽菜乃は問題なく抱きかかえられる。

 

「龍君!!」

 

「すまない、遅くなった!!」

 

「ううん、来てくれるって、信じてたよ」

 

「これは…寺坂の計画じゃなくお前のだな…シロ!!」

 

「おや、やはり君には見抜かれたか…だから君がいないタイミングを狙ったのだけどね」

 

「(…どっかから俺の行動を聞いてたってことか)が、当てが外れたな、こうして俺は今ここにいる」

 

「ああ、だけど、この場合の対策も用意しているよ…では頼むよ」

 

「ええ、ですがあなたのためではありません、私の、ひいてはハート様のためです」

 

「その声…まさかお前がこいつと手を組んでいたとはな…ロイミュードNo.009、メディック!!」

 

「私の超進化に利用させていただきますわ、新しい仮面ライダー」

 

「やれるもんなら、やってみろ!!」

 

バーストは陽菜乃になにやら言づけた…しかし、これがこの戦いを動かすものになるとは、バースト自身も予想だにしていたかったが…

 

直後、バーストはメディックと、殺せんせーはシロ&イトナと戦闘を開始するのだった。

 




龍哉「あとがきコーナー・第二十回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

龍哉「今回は特別篇、俺用のマシンについてだ」

陽菜(もしかして作者さん、三村君の思いついてないんじゃ…)

作者(ちゃんと思いついとるわ!!)

龍哉(こいつ、俺達の脳内に直接…!!)

陽菜「ま、メタ発言はおいおいにして…どんなマシンなの?」

龍哉「下みたいな感じだ」

バーストストライダー
形としては前方1輪、後方2輪の3輪車型で、運転用のパネルにはシフトカー及びシグナルバイク装填用のスロットがある
通常形態のライドモードと、飛行形態のジェットモードがある
ジェットモードは前輪が横向きに、後輪がそれと垂直になるように横向きになる形
なお、ハンドルで素人で簡単な操作なら可能である

陽菜「ちょっとネタバレになってない?」

龍哉「問題ない」

龍哉・陽菜「それでは、次回もお楽しみに!!」


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2つの闘いの時間

暗殺教室なのにメインが仮面ライダーと怪人の戦闘

後半は恋愛劇…

楽しいからいいんです。


―――E組プール近くの川

 

ここでは2か所で戦闘が起きていた。

 

1つは殺せんせーVSシロ&堀部、こちらの戦いでは殺せんせーが苦戦していた。

 

プールにはシロが寺坂に指示して触手の動きを弱める薬剤を混入し、更に前日のスプレーの性で粘液も出ないため、触手がどんどん水を吸いふやけているためだ。

 

そのため殺せんせーの速度は落ちており、しかも後ろには寿美鈴が細い枝にぶら下がっているだけの状態でいるため、かなり危険な状態になっている。

 

もう一方の戦いは仮面ライダーバーストVSロイミュードNo.009-メディックである。

 

こちらは互角―ではなく、バーストのほうが一方的に攻め立て、メディックの方は防戦一方となっている。

 

その2つの戦いを見守るのは残されたE組生徒達だ。

 

流された生徒の内、先に上げた寿美鈴の他、拓哉、大成の2人も近くの岩場の上、加えて3人とも殺せんせーの真後ろのため殺せんせーは常に攻撃を避けたり、躱したりする際にそっちを気にかけなければならない。

 

その上、堀部は触手の数を減らし、その分パワーとスピードが上がっているため、かなりピンチである。

 

だが、E組生徒達のところにカルマ、寺坂が合流し寺坂が何をしたのか正直に話し、カルマに指揮をゆだねる。

 

カルマの方もそれを快諾し、そのままバストストライダーにいる陽菜乃以外はカルマの指示のもと行動を開始した。

 

そのころバーストVSメディックの様子は…

 

==========

 

―――バーストVSメディック

 

「なぜお前が奴の…蛮野天十郎のような奴の味方をする!!」

 

「言ったはずです、私のためだと!!」

 

「自分のため…超進化が目的か!!」

 

「その通りです、ですので…死になさい!!」

 

「誰が!!」

 

メディックは触手とエネルギー弾で攻撃してくるが…

 

「甘い甘い甘い!!」

 

バーストはコウリンブレードブラスターによる射撃で次々とメディックの触手を打ち落とし、エネルギー弾を相殺する。

 

「新戦力を見せてやる」

 

「シグナルバイク!シグナルコウカン!マシンガン!」

 

「覇ぁ!!」

 

ガガガガガガ!!

 

「ぐうううううう!!」

 

「お前の攻撃は、触手の速度は殺せんせーに劣り、エネルギー弾の速度は祖父ちゃんの奴よりも遅く弱い…サポートタイプのお前が、バリバリの戦闘型の俺に勝てるわけないだろう」

 

「くっ…」

 

「決めるぜ!!」

 

「ヒッサツ!フルスロットル!マシンガン!」

 

「はぁぁぁ…でやぁぁぁ!!」

 

バーストが決めようとメディックにマシンガンのフルスロットル攻撃を繰り出そうとするが…

 

「うぉぉぉ!!!」

 

「な!!グッ!!」

 

横から現れたものに攻撃を食らい、攻撃を中断させられる。

 

「誰…お前は…002-ハート!!」

 

「ハート様!!」

 

「メディック、大丈夫か」

 

「は、はい、すみません、ハート様…でも、どうしてこちらに?」

 

「ブレンが教えてくれた、何を目的としているのかは大体わかるが、お前ではあいつには勝てない」

 

「ッ…」

 

「次はお前が相手か?ハート」

 

「ああ、お前の力、試させてもらうぞ、新しい仮面ライダー!!」

 

「行くぞぉ!!」

 

それと共にバーストもハートも互いに右拳を繰り出し、互いの立ち位置からちょうど真ん中で2人の拳が激突し、周囲に強大な衝撃波が起きる。

 

「くっ…な、なんて威力ですの…」

 

「ほう…超進化した俺と同等の力を持つとは…だが!!」

 

「ぐ…うお!!」

 

超進化したハートのパワーはバーストの力を上回っているため、一瞬の均衡ののち、一気に押し切られる。

 

「その姿では十分に戦えないぞ、今の俺には!!」

 

「その様だな…ならばぁ!!」

 

気勢を上げ、両手を腰だめに構えたバーストのコンパウンドアイが輝き、スカーフや肩、つま先から徐々に黄金に染まっていき、胸のエネルギーマニピュレーターに届くとその色が赤からオレンジに代わる。

 

「こ、これは…超進化体…」

 

「と、同等だな…いいぞ!!面白くなってきた!!」

 

「行くぞぉ!!」

 

「おぉ!!」

 

バーストとハートがぶつかり合う。

 

今度は互いが互いに一歩も引かず、激しい乱打戦となる。

 

拳を放っては避け、避けては蹴りを繰り出し、それを躱して回し蹴り、それを囮に拳を出す、そんな攻防を延々と繰り返されている。

 

とは言え、互いの攻撃の威力は高く、時折相打ちとなり互いに弾き飛ばされる。

 

「くっ!!」

 

「うおぉ!!」

 

そしてそのまま滑っていって止まり、互いに構えなおす。

 

「はぁはぁ…」

 

「ふぅふぅ…」

 

「「これで…最後だ!!」」

 

「ヒッサツ!フルスロットル!バースト!」

 

「おぉぉぉぉっ!!!」

 

バーストの必殺技、バーストスマッシュとハートの飛び蹴りが激突し、しばしの均衡の後…

 

ズガァァァァァン!!!

 

大爆発と共に互いの位置を入れ替えたように着地する。

 

「………っくっ」

 

バーストの変身が解除されて龍哉の姿に戻り、膝をつく。

 

「…………ぐぅ」

 

ハートも怪人体から人間体に戻り、こちらも膝をつく。

 

「ハート様!!」

 

「龍君!!」

 

「「「「「「「「「「龍哉(君)(覇月(君))!!」」」」」」」」」」

 

そうなったハートに同じく人間体に戻ったメディックが駆け寄る。

 

また、龍哉の方にももう一方の戦いが終わったのか、陽菜乃を先頭に生徒達が駆け寄ってくる。

 

「…互いに戦う力は残っていないな」

 

「その様だな…」

 

「…次はこうはいかないぞ、覇月龍哉」

 

「そりゃこっちのセリフだ、ハート」

 

「行くぞ、メディック」

 

「はい、ハート様」

 

そう言って退くハートたち…それを龍哉達はただ見ているしかなかった。

 

==========

 

―――帰り道

 

「そっちはどうだったんだ?」

 

「うん、実はね…」

 

陽菜乃は一連の出来事を全部話し、その結果…

 

「…寺坂君…まぁ、反省しているようだし、少しは良くなった感じだな」

 

「…うん、そうだね」

 

「ていうか、よく操縦出来たね、これ」

 

龍哉は自分が押しているバーストストライダーを指さす。

 

実は陽菜乃は乗っていたバーストストライダーを龍哉の言っていたことから操縦して寿美鈴を助け出し、そのままカルマの指示により上から川に飛び込んで水を堀部に浴びせたのだ。

 

ちなみに並び順は歩道側に陽菜乃、車道側にバーストストライダーという具合だ。

 

「えへへ、でも残念だな~」

 

「何が?」

 

「もう一緒に乗れないんだもん」

 

「ははは、ごめんね」

 

「事情があるのは分かってるけど…ちょっと悔しいな」

 

「ま、後1年の辛抱だから…今回で取った免許は一時預かりで来年誕生日迎えたらバイクの運転許可が出た状態でまた渡すって本願寺さんが言ってたから」

 

「うん…」

 

「それと、これはお詫び」

 

そういうと龍哉は左手で陽菜乃の腰を抱いて抱き寄せ、そのまま頬にキスをした。

 

「り、龍君!?」

 

「少しは気が晴れた?」

 

「う…うん…」

 

陽菜乃は顔を真っ赤にしてうつむいている…もっとも、龍哉の方も耳まで負けず劣らずに真っ赤だが…

 

「…こ、今度は期末テストだね!!」

 

「あ、そうだな…」

 

空気を換えようと陽菜乃が次の行事の予定を出した。

 

「どうなるのかな…」

 

「殺せんせーが俺達の目標をどうするかによるな…流石に中間みたいな目標だとまた邪魔されんぞ」

 

「うん、そうだね…」

 

「(今の状況じゃな…そだ)陽菜」

 

「何?龍君?」

 

「次の期末で殺せんせーの出した目標をクリア出来たら―俺のできる範囲でだが―何でも言うこと聞いてやる」

 

「え!!な、なんでも!?」

 

「何でも」

 

「(な、なんでも、出来る範囲って…もしかして…あーんな事やこーんな事も…ってこと!?あ、でも龍君がイリーナ先生のような事を考えるはずがないし…あ…)そ、それって」

 

「ん?」

 

「中間みたいに龍君に教えてもらって達成しても…いいの?」

 

「もちろん、俺が勉強教えたからダメ、とは言わないよ…あくまで陽菜が殺せんせーの掲げた目標をクリアできたかどうかという結果だけで判断する、過程は気にしないよ」

 

「じゃ、また、教えてくれる?」

 

「ああ、いいぜ」

 

「…よぉーし、頑張るぞぉーー!!」

 

「ああ、その意気だ!!」

 

こうして、寺坂がかかわった堀部とシロの一件もなんとか収まり、次へと歩みだした。

 

次に待ち受けているのは、1学期の締めたる期末テスト…

 

E組の生徒達は次こそは殺せんせーの目標をクリアできるのか…

 

乞うご期待!!

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第二十一回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

三村「ゲストの三村航輝だ」

龍哉「今回、俺と堀部は絡まなかったな…」

陽菜「作者さん、絡んだら1000%ボコボコにするだろうから出来なかったんだって」

三村「あ~…倉橋絡みで?」

龍哉「ま、この後絶対会うし、そん時に顔面陥没クラスのパンチを…ボディに何十発と叩き込んでやる」

陽菜「あれ?顔は殴らないんだ」

三村「珍しいな」

龍哉「いや、ボディへのダメージって気絶するほどまで行かないからさ、一方的にボコボコにするにはちょうどいいんだよ」

三村(外道…だな)

陽菜「そうなんだ…」

龍哉「ちなみにピンポイントで打てば女子でも結構しっかりダメージ与えれるよ」

陽菜「へ~、今度教えてね!!」

龍哉「どうせだから女子全員に教えるか」

三村(やばい、女子の戦闘力が…)

龍哉「そろそろ本題に行くか」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、三村君が変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダー轟鬼(原作:仮面ライダー響鬼)

龍哉「仮面ライダー響鬼に登場するトドロキこと戸田山登巳が変身鬼弦 音錠を使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜「チョイスしたのって…」

三村「おい…まさか…」

龍哉「理由は2つ、まずは予想通りのエアギター」

三村「やっぱりかよ!!」

陽菜「でももう1つあるんだよね?」

龍哉「もう1つは―正確にはディケイドのリ・イマジネーションの世界でだが―仮面ライダー天鬼に対しての態度が…ね」

陽菜「あ~」

三村「おい作者!!」

龍哉「ここはネタバレ前提のコーナーだからな…あきらめろ」

龍哉・陽菜・三村「それでは次回もお楽しみに!!」


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期末の時間

すみません、ちょっとリアルが忙しすぎて更新が3か月近く停滞してしまいました。

感想返しもこの話の投稿後にやります。

色々とやらないことが重なってしまいましたので…

今後こういう事ある可能性があるという事をここで宣言しておきます。

本当にすいませんでした。


期末テスト

 

椚ヶ丘中学校では成績が全て!

 

E組を誰に恥じることもないクラスにする、そうもくろむ百億円の賞金首にとってこの期末は…

 

1学期の総仕上げ、決戦の場である!!

 

…と、そんな風に考えている殺せんせーはこの日、E組全員で校庭近くの木陰でテスト対策を行っていた。

 

「ヌルフフフ、皆さん1学期の間に基礎ががっちりできてきました、この分なら期末の成績はジャンプアップで期待できます」

 

そう言いながら殺せんせーは各生徒のそばを分身を駆使して動き回って疑問点に答えている。

 

「そうだよね、1学期って3か月ぐらいなのに連載停止ししていた期間含めて1年以上たってるから出来てておかしくないよね」

 

「メタいメタい、不破さんメタい」

 

「と言うか自虐ネタすぎるだろ」

 

「龍哉はどう思うよ?」

 

「約3か月陽菜に寄りかかられていたから…正直いろいろな意味で限界(本能的な意味で)」

 

「やっぱお前でも持たないことあるんだな」

 

「まぁな」

 

ちなみに龍哉の格好が体育座りで膝に教科書を載せている…これでナニが原因なのかはお分かりいただけるだろう。

 

「それで殺せんせー、また今回も全員50位以内を目標にするの?」

 

「基礎が出来ただけだと厳しいと思うよ、渚ちゃん」

 

「ええ、倉橋さんの言うようにまだそうしません…先生あの時は総合点ばかり気にしていました…生徒それぞれに合うような目標を立てるべきです」

 

「じゃあ、具体的にはどんな目標になるんですか?」

 

「ヌルフフフ、それを今から発表しますよ神崎さん、勿論、この暗殺教室にピッタリの目標を設定しました!」

 

「ま、まさか…」

 

「おや、覇月君察しがついたのですか?」

 

「え~ともしかして…本校舎の職員室に忍び込んで出題範囲が増加した時の対策を立てr「そんなわけないでしょう!!」分かってますよ~」

 

そんな龍哉の一言で少し緊迫した空気が緩む。

 

しかし、それでも不安そうにしている生徒はいるにはいる。

 

「だ、大丈夫ですよ寺坂君にもチャンスがある目標ですから!」

 

「……#」

 

その一言に寺坂の額に青筋が出来るが…

 

「なら結構簡単そうだな」

 

「よし、頑張ろう!!!」

 

「どういう意味だ覇月と倉橋ィィィ!!!!」

 

「「そのままの意味だけど?」」(←悪意なしの真顔)

 

「てめえらどんだけ人のことバカにしてんだ!!」

 

「実績持ってるぜ」(←中間1位)

 

「私は中間成績上がったし」

 

ちなみに寺坂は中間したか数えたほうがはるかに早い成績であった。

 

「さて、前にシロさんが言った通り、先生は触手を失うと動きが落ちます」

 

そういうと殺せんせーは自ら銃で自分の足の触手と1本打ち抜く。

 

「1本減っても影響は出ます」

 

そうなると分身が不規則な…

 

「ごらんなさい、全ての分身が維持しきれず子供の分身が混ざってしまった」

 

「分身はそんな減り方しねーだろ!!」

 

明らかにおかしい分身の減り方に龍哉が突っ込みを入れる。

 

「さらに1本減らすと…」

 

足をまた打ち抜く。

 

「ごらんなさい、子供分身がさらに増え…親分身が家計のやりくりに苦しんでます」

 

「なんか切ない話になってきた…」

 

「もう1本減らすと、父親分身が蒸発しました、母親分身は女手一つで子を養わくてはいけません」

 

「「「「「「「「「「重いわ!!!」」」」」」」」」」

 

「いろいろと試してみた結果、触手1本につき先生が失う運動能力は…ざっと20%!」

 

「ってことは5本こわせば…」

 

「そんな簡単な話じゃないぞ、馬鹿島…元々が100%だとすると1本失うと80%、2本失ったら64%までしかダウンしないぞ」

 

「へ?」

 

「覇月君の言う通り、先生の触手が失われて減った際の運動能力は(0.8)^(失った触手本数)×100%になります」

 

「つまりは1本減ったらその状態を100%として計算するという事か…」

 

「その通りです!!…そこでテストについて本題です…前回は総合点で評価しましたが…今回は皆さんの最も得意な教科を評価に入れます」

 

「それがどういう…」

 

「それを今から説明します、教科ごとに学年1位を取ったものには…答案の返却時、触手を1本破壊する権利を挙げましょう」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

殺せんせーの本題に生徒全員が息をのむ。

 

「チャンスの大きさが分かりましたね、総合と5教科すべてでそれぞれ誰かがトップを取れば、6本物触手を破壊できます…これが、暗殺教室の期末テストです、賞金百億に近付けるかどうかは皆さんの成績次第なのです」

 

「って殺せんせー、やっぱびびってんね」

 

「ニュ?」

 

そこまで言った殺せんせーに龍哉が声をかけると殺せんせーがそっちを向く。

 

「どういう意味ですか?覇月君」

 

「だって最大6本ってさ、同率1位の場合片方しか貢献できないってことだろ?」

 

「ええ、そうですけど…」

 

「つまり殺せんせーはさ、例えば理科で俺と愛美さんが学年1位になっても愛美さんにしか与えないんだよね?触手を破壊する権利」

 

「あ~そっか、順位付けのこと考えると確かにビビってるって言えるね」

 

「確かにな」

 

「ニュヤ!?」

 

「学年1位取らせる自信はあるんならさ、E組内で同率1位の場合は1位全員に与えたっていいんじゃない?殺せんせー…実際中間の時俺とカルマ同率1位だったし」

 

「その場合1位ってさ、名前の都合で俺になるんだよね~…でもさ、実質2人1位なのに片方にしか与えないのってひどくない?」

 

「他の組の奴と同率1位だからダメっていうのだったらさ、E組だけ(・・)で1位ってわけじゃないから納得がいくけど…」

 

「つまり、皆さんが100点を取って実質同率1位だった場合はその生徒たち全員に権利を与えるべき、と?」

 

「「まぁそういう事…でも無理だよね、だって殺せんせービビりでヘタレでチキンだし」」

 

「ム、ムキーーー!!そこまで言うならいいでしょう!!E組だけが1位と言っていい状況でしたらその生徒達全員に触手破壊権利を与えます!!」

 

「「律、今の記録した?」」

 

「ばっちりです!!」

 

「これでもう逃げられませんね、殺せんせー」

 

「覚悟しておいてくださいね」

 

「…先生、もしかして早まりました?」

 

「「まさか、皆ヤル気に出してるからいいんじゃない?」」

 

「…それもそうですね」

 

((((((((((流石龍哉とカルマ、上手く丸め込んだ))))))))))

 

==========

 

―――E組廊下

 

「奥田さん、珍しく気合入ってるね」

 

「はい!理科だけなら私の代の得意科目ですから!やっとみんなの役に立てるかも!」

 

「そうだね」

 

「1教科単位で見れば最優秀成績の生徒多いからな、E組(うち)って…俺の場合は一番得意なのは体育になるけど」

 

「「中間で全教科満点取っておいてそう言う風に言うな!!」」

 

「や、体育で有効的な事を考えて実施していくにはその辺の知識がいるからさ…英訳とかしないといけないときもあるし…そういうわけで必然的に基本科目は出来るようになったの」

 

「…あれ副産物だったんだ…」

 

「まぁ祖父ちゃん達の教育もあったけどね」

 

「それでも心配事があるぜ」

 

「「「?」」」

 

「理事長の妨害か…まぁ、烏間先生が釘刺しってほどじゃないけど、多分言いに行ってるんじゃないかな」

 

そう言って教室に戻り、龍哉を中心に勉強を始めていると…

 

ブブブッ

 

「誰?」

 

「また龍哉?」

 

「いや、俺だ」

 

「友人?誰からだ?」

 

「おう進藤か」

 

「『ああ、球技大会では世話になったな…高校で仮りを返すとお前に行ったが…俺と違ってお前はまともに進学できるのか心配になってな』」

 

「はは…相変わらずの上から目線で」

 

「『…と言うのもな、少なくともE組脱出は不可能になりつつあるぞ…今会議室に、A組が集まっている』」

 

「A組が…ちょっと待ってくれ、スピーカーにしたい、ちょっと情報を皆で共有したい」

 

「『別に構わない…そもそも聞いた情報からお前たち全員のやる気が落ちても俺には関係ないしな』」

 

「悪いな」

 

「でも、俺ら以外の組って同じぐらいの成績なんじゃ?」

 

「『その声は覇月龍哉か…そうじゃない、学力で言えばA組は成績優秀者と選りすぐった特進クラス、B・C・D組は横並びなんだ』」

 

「へー」

 

「『そしてそのA組が自主勉強会を開いているんだ…こんなの初めて見る』」

 

「それって…」

 

「中間で俺が全教科満点の1位取ったからか?」

 

「『可能性としてはあるだろうな…しかも音頭をとる中心メンバーは"五英傑"と呼ばれる椚ヶ丘(うち)が誇る天才たちだ』」

 

「どんな連中なんだ?」

 

「『教えてやろう…ゴホン!!中間テスト総合3位!!他を圧倒するマスコミ志望の社会知識!!放送部部長荒木鉄平!!』」

 

「全校集会の時に司会してたな…そういえば野球の時も実況やってたな…マスコミ志望か…(小声)ブッツブス」

 

「『…今怖いこと言ってなかったか…まあいい、次!!中間テスト総合4位!!人文系コンクールを総ナメにした鋭利な詩人!!生徒会書記榊原蓮!!』」

 

「なんでだろ?女子全員にコイツとは1m以上距離を取れっていいたくなる」

 

「『…初めて聞くのに何でそう言えるんだ?勘か?恐ろしいな…次!!中間テスト総合6位!!5位を奪った赤羽とその上をいった覇月龍哉への雪辱に燃える暗記の鬼!!生物部部長小山夏彦!!』」

 

「コロス」

 

「「「シンプルな殺意が出た!?」」」

 

「『なんでだ!?』」

 

「いや、まぁ、なんでも…(小声)言えない、陽菜が以前生物部に所属していた時にセクハラまがいの事受けてたからとか絶対に」

 

「『…触れないほうが良さそうだから次に行くぞ、中間テスト総合7位!!性格はともかく語学力は本物だ!!生徒会議長瀬尾智也!!』」

 

「さっきから言おうと思ってたんだけどよ、ナレーション口調且つ大声って何してんだ?」

 

「『あ、いや…1回やってみたかったんだこういうの』」

 

「なんか野球選手引退した後もこういうので稼げそうだね、進藤君」

 

「言えてる」

 

「『むむ…ん!!そして最後の1人、中間テスト2位、全国模試1位、俺達の学年で生徒の頂点に君臨するのが…今演説してるが、聞こえるか?』」

 

「『「僕らは太陽だ、名門椚が丘中で上から皆を照らしている、聞いた話では中間テストであのE組が全員50位以内を目指していたらしい…そんなことが万一起きれば皆の頭上に暗雲が漂う」』」

 

「…聞こえてるが…既に俺に負けてんのにいう事言うな、おい」

 

「『「太陽と地上の間に暗雲があってはいけないんだ…トップ40を独占して彼らに席は与えない!!この学校の光を護ろう…僕と共に!!」』」

 

「歓声上がってるが…既に中間の時点で負けてるから既に暗雲立ち込めてる状態じゃないのか?」

 

「『そこを言うな…とにかく、最後の1人は強敵だ…支配者の遺伝子、生徒会長浅野学秀…あの理事長の1人息子だ』」

 

「理事長子供いたのか!?」

 

「「「驚くところそこかよ!!」」」

 

「だってあの面構えにあの迫力…普通に考えて靡く女性が思い浮かばんのだが…」

 

「言いたいことはなんとなくわかるけど…」

 

「ま、奇特な女性がいたってことでしょ、く(がば!!)」(←口塞がれた)

 

「(小声)カルマ、龍哉キレさせる気か!?」

 

「(小声)カルマ君、ちょっと黙ってて」

 

「(小声)ごめん」

 

「『人望暑く成績トップ、プライドの高いA組の猛者を纏め上げるカリスマ性、彼自身の指導力に加えて…』」

 

「浅野君は龍哉同様全教科パーフェクト、それに他の4人も各教科のスペシャリスト、その5人を合わせて「五英傑」っていうの」

 

「ほへー」

 

「『5人合わせれば下手な教師より腕は上だ…ただでさえ優秀なA組の成績がさらに伸びる…このままだとトップ50はほぼA組で独占だ…杉野、奴らはお前等E組を本校舎に復帰させないつもりだ』」

 

「ありがとな進藤、口は悪いが心配してくれてんだろ…でも大丈夫、今の俺らは…E組を脱出()ることが目標じゃないんだ…けど、目標のためにはA組に負けないくらいの点数を取らなきゃなんない、見ててくれ、頑張るから」

 

「『…勝手にしろ、E組の頑張りなんて知った事か』」

 

「ああ、勝手に頑張るよ」

 

こうして、期末テストとその対策勉強が始まったのだった…

 




龍哉「あとがきコーナー・第二十二回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

作者「特別ゲスト、作者のスペリオルス(以下スぺ)です」

龍哉「今回は特別篇、という名の作者の言い訳だ…」

陽菜「くだらない戯言が多いとだろうから読み飛ばしてくださってもいいですよ」

スぺ「いきなりひどいなおい!!」

龍哉「さっさと言え」(特別篇は基本陽菜と2人きりだったので崩されたことを怒ってる)

スぺ「はい」

スぺ「と言うわけで言わせていただくとまず前書きに書いた通りリアルがくそ忙しかったのです」

陽菜「具体的には?」

スぺ「まず2月~3月前半、仕事が異様なほどたて込んで休出があったので体を休める時間が必要だったんだ」

龍哉「最後の投稿後からのはまだ問題ないな」

スぺ「そして3月後半~4月前半は4月中旬にある試験に備えて勉強をする必要があったので投稿できず」

陽菜「あ~、期末とかのことと被るから攻めづらいなぁ…」

スぺ「4月後半からGW直前まではちょっと出さないといけない資料の処理に時間が追われてた」

龍哉「それってあんたの計画性のなさが原因じゃ?」

スぺ「グオ!!…そしてGWは…積みプラ(積まれているプラモ)消化していました」

龍哉・陽菜「死ね」

スぺ「シンプルに来たな…でもこうでもしないと無くならないんだよ」

龍哉「もっと計画をしっかり練って動け」

陽菜「有給とかもっと取ればいいのに」

スぺ「立場ってもんがあるんだよこっちにも!!」

龍哉・陽菜「どんな?」

スぺ「この作品で言えば磯貝悠馬や片岡メグの立場に近い」

陽菜「すみませんでした」

全員(謝った!!)

スぺ「まぁ、今後は無いようにする…ちなみに今回までの後書きコーナーで出てきたのは
・潮田渚
・赤羽カルマ
・茅野カエデ
・倉橋陽菜乃
・杉野友人
・神崎有希子
・奥田愛美
・磯貝悠馬
・片岡メグ
・木村正義
・矢田桃花
・岡島大河
・前原陽斗
・菅谷創介
・中村莉緒
・不破優月
・千葉龍之介
・速水凛香
・三村航輝
以上、19人だ…全部で28人だから残り9人だな」

龍哉「次のゲストは作者から発表してもらおう」

スぺ「分かった、次のゲストは岡野さんだ…(小声)彼女のこと忘れたわ」

陽菜「次の更新は遅れないように私達で発破かける(脅す)から」

龍哉・陽菜「それでは、次回もお楽しみに!!」

スぺ「俺にも言わせてくれ!!」


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期末の時間:2時間目

今回で期末導入編は終わりです。

ちなみに龍哉は力の強弱は付けますし人に言われたらしますが、基本的に手加減はせずに全力で行くタイプです。


―――本校舎図書室

 

ここでは悠馬、メグに誘われて渚、カエデ、愛美、有希子、中村、陽菜乃、龍哉、友人、千葉、速水が来て勉強していた。

 

とは言っても龍哉は友人と共に現在参考書を探しに席をはずしているが…

 

しかしそこに…

 

「おや、E組のみなさんじゃないか!」

 

その声に反応して全員が声のした方を向くと…

 

「もったいない、君達にこの図書室は豚に真珠じゃないのかな?」

 

五英傑の内浅野を除いた4人がその場にいた。

 

(うわぁ…)

 

(このタイミングで例の五英傑さん達か…)

 

(龍哉がいなくてよかった)

 

「どけよ雑魚供、そこ俺等の席だからとっと帰れ」

 

「なっ何をゥ!?参考書読んでるんだから邪魔しないで!!」

 

「…って茅野、何読んでるのさ」

 

カエデが読んでいたのは世界のプリンという本…龍哉に見られたらほぼ100%鉄拳制裁が飛んでくるのは想像に難くない。

 

「ここは俺等がちゃんと予約して取った席だぞ」

 

「そーそー、クーラーの利いた部屋の中で勉強するなんて超久々~」

 

「君達は本当に記憶力がないなぁ…この学校じゃE組はA組に逆らえないの!成績が悪いんだから」

 

「さっ…逆らえます!!」

 

「何…?」

 

「私達次のテストで全科目で1位を取るの狙ってるんです!!そしたら大きな顔させませんから!!」

 

「「「「奥田(愛美)さん」」」」

 

「口答えすんな生意気な女だ…おまけにメガネのせいでイモ臭い…ギシシシなぁ荒木!!」

 

「お、おぅ…」

 

((お前の方はメガネとかなく生理的に気持ち悪いことこの上ない))

 

((ちょっと荒木に同情する))

 

「腐すばかりでは見逃すよ小山、御覧、どんな掃き溜めにも鶴がいる」

 

「!!」

 

(((((あ、やばい…二重の意味で…)))))

 

「…そうだな、倉橋さんも久しぶりだねぇ…」

 

「ひっ!!」

 

((((((あ、小山死んだ))))))

 

「ギシシシ」

 

「もったいない…学力があれば僕に釣り合う容姿なのに、君うちに小間使いとして奉公に来ない?」

 

「い、いえ…あの…その…」

 

「……神崎さんって…」

 

「…うん、とことん男運ないよね(っていうか早く戻って来い杉野)」

 

有希子の髪を勝手に榊原が取り、陽菜乃に小山が迫ったその瞬間…!!

 

ヒュルルルル…ガガガガッ!!!

 

「「うグぉぉぉぉぉ……」」

 

頭上から分厚いハードカバーの本が落ちてきて…しかもその見開き側の角が直撃したのだ。

 

(((((((((あれは…痛い)))))))))

 

「うわ、龍哉の言った通りだった」

 

「アレ(小山の事)には石破天驚拳ぶち込みたかったんだけどな」

 

「やめてやれ…図書室がぶっ壊れる…木っ端みじんに」

 

「んじゃ友人、お前はあいつ(榊原の事)許せんの?」

 

「いや全く」

 

「だろ」

 

どうやら龍哉が勘で危機を察知して友人と協力して先程の事をやったようだ。

 

「陽菜、大丈夫か?」

 

「うん、大丈夫だよ龍君」

 

「(別に強がる必要は無いんだけどな…顔色悪いことも言わないでおくか)成績が全てなら…俺がいるから問題ないだろ」

 

「何…」

 

「あ~龍哉は中間1位だったもんな」

 

「「「「!!」」」」

 

「だからいいだろ」

 

「…そういえば…記憶を辿れば…そいつ(龍哉の事)だけじゃなくここにいる奴らの何人かは一概には学力なしとは言い切れない…磯貝悠馬、社会14位…奥田愛美、理科17位…茅野カエデ、国語28位…神崎有希子、国語23位…中村莉緒、英語11位…1教科だけなら…一応勝負できそうなのが揃ってるな」

 

「面白い、じゃあこういうのはどうだろう?」

 

「僕たちA組と君たちE組、5教科でより多く学年トップを取ったクラスが…負けたクラスにどんなことでも命令できる」

 

「どうした?急に黙ってビビったか?自信あるのは口だけか雑魚共」

 

「ギシシシ、なんならこっちは…命かけたっていいぜ?」

 

その瞬間、龍哉と陽菜乃が小山に、友人と有希子が榊原に、悠馬とメグが荒木に、渚とカエデが瀬尾にシャーペンや定規を首筋に…特に龍哉はちょっと本気の殺気を放って当てている。

 

「命を簡単に…賭けるな」

 

「じょっ…上等だよ受けるんだなこの勝負」

 

「あぁ…ただ、単純に1位を取った方が勝ちじゃない…」

 

「何?」

 

「同じ点数―例えば100点だな―を取った生徒が複数いる場合…数が多い側が勝ちだ」

 

「けっ…それだとお前達が不利だぜ…それを分かって言っているのか?」

 

「不利、か…思い上がりもほどほどにしておけよ」

 

「へん!!死ぬよりもきつい命令を与えてやるぜ!!」

 

そう言って来ていた4人は逃げ去るように去っていった…

 

そして、この図書室の騒動は…たちまち全校の知るところとなり、この賭けはテストの後の僕らの暗殺を…大きく左右する事になる

 

==========

 

―――E組教室

 

「こらカルマ君真面目に勉強やりなさい!!君も覇月君同様充分総合トップが狙えるでしょう!!」

 

「言われなくてもちゃんととるよ、あんたの教え方が良いせいでね…けどさぁ殺せんせー、あんた最近「トップを取れ」言ってばっかり…フツーの先生みたいに安っぽくてつまらないね」

 

「…………」

 

「それよりどーすんの?そのA組が出した条件って…なーんか裏で企んでいる気がする」

 

「企んでるんだろうな…勝った方が下せる命令はひとつだけ(・・・・・)、しかもその命令はテスト後に発表とか…おそらく何かしらの協定書とかにサインでもいれさせられそうだな」

 

「心配ねーよカルマ、龍哉、このE組がこれ以上失うモンありやしない」

 

「バカなこと言わないでよ岡チン、人間としての尊厳…あ、岡チンは捨ててたからないんだね、ごめん」

 

陽菜乃の言葉に全員が頷く。

 

「なんだよそれ!!……って全員納得してる!?」

 

「でも勝ったらなんでもひとつかぁ…学食の使用権とか欲しいなぁ~」

 

「…学食って…倉橋食いしん坊だな」

 

「「「「「「「「「「死ねくそ原」」」」」」」」」」

 

「お前は一生木でも食ってろ(言って椅子を投げつけた)」

 

「グゴガ!!」

 

「ヌルフフフ、それについては先生に考えがあります」

 

「それって…もしかしてこの学校のパンフが関係してるんですか?」

 

「ええ、とっても欲しいものを見つけました、これ(・・)をよこせと命令するのはどうでしょう?」

 

殺せんせーが見せたパンフのページを見て全員が驚愕の表情になる。

 

「君達は一度どん底を経験しました…だからこそ次は、バチバチのトップ争いも経験して欲しいのです」

 

「あ~だから最近はトップ狙えって言ってたのか」

 

「はい、先生の触手、そしてこれ(・・)(先程のパンフのページ)、ご褒美は十分に揃いました…暗殺者なら狙ってトップを()るのです!!」

 

そして、時間は過ぎていく…

 

それぞれの利害が交錯する期末テスト!!!!

 

ある者にとっての勝利は別のものにとっての敗北である!!

 

それぞれが自分にとっての勝利を求め…やってきた試験当日!!

 

==========

 

―――本校舎

 

「どーよ渚?ちゃんと仕上がってる?」

 

「中村さん…まぁヤマが当たれば…龍哉は?」

 

「ちゃんと、と言っていい状態になっていると思うよ…それに、獅子欺かざるってね」

 

「油断なくいく気だねぇ…渚も男ならしゃんとしな!!英語ならあんたも上位狙えるんだから!!」

 

「同感だな」

 

そう言って中村が渚の尻をたたき、龍哉は頭に手を置く。

 

「楽しみだな~~A組と無謀な賭けをしたんだって?」

 

「お前ら負けたらどんな命令されんだろうな~」

 

そう言ってからもうとしたモブのような2人の前にいる方に…ペン2本を鼻に突っ込んで思いっきりひっかく。

 

「うわ…」

 

「やるな、中村さん」

 

そして試験会場の教室に着く。

 

「さて…あたしらのテスト会場ここだよね」

 

「うん…あれ?」

 

((誰だ!?))

 

「ん?律役だよ」

 

「え?なんで龍哉が?」

 

「俺の妹だぜ?まぁどうしてなのかっていうと…」

 

「流石に理事長から人工知能の参加は許されなくてな、ネット授業で律が教えた替え玉を使うことで何とか解決した」

 

「そういう事、ちなみに彼女は烏間先生の直属の上司の娘さん、俺も昔あったことはある」

 

「そうなんだ」

 

「…といっても陽菜に会った後だから居たってことぐらいしか覚えてなかったけどな」

 

「「おいおい」」

 

「それと烏間先生、俺の代わりに交渉してくださってありがとうございました」

 

「ああ…交渉の時の理事長に「大変だなコイツも」…と言う憐みの目を向けられたと俺の気持ちも察してくれたらな…」

 

「本当にありがとうございました(最敬礼)」

 

「律と合わせて俺からも伝えておこう…頑張れよ」

 

「「…はい!!」」

 

そして全員揃ってチャイムが鳴り響く…

 

(本来1人で受けるはずの試験なのに…いろんな人と同じ舞台にいるのを感じる)

 

(一緒になって戦う人、敵となって戦う人、応援をくれたりヤジを飛ばす観客(ギャラリー)達)

 

((これはまるで…闘技場にいる闘技者(グラディエーター)!!))

 

そして、戦いのゴングが鳴る!!

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第二十三回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

岡野「ゲストの岡野ひなのだよ」

龍哉「期末テスト始まったな」

陽菜「うん、今回は中間の時よりも自信があるよ」

岡野「私もだよ!!」

龍哉「そりゃそうだ…中間と違って範囲も変わってないんだもんな」

陽菜「うん!!」

岡野「頑張るよ!!」

龍哉「んじゃ、本題に行くか」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、岡野さんが変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダーなでしこ(原作:仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX)

龍哉「仮面ライダーフォーゼ 撫・子・降・臨編に登場する美咲 撫子をコピーした宇宙生命体『SOUL』がなでしこドライバーを使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜「チョイスした理由は?」

岡野「この子って確か唯一クロスオーバー映画に2回出てる仮面ライダーだよね?」

龍哉「それと、チョイスした理由は彼女の戦闘シーンは岡野さんみたいに新体操のような動きをするからだ」

岡野「うん、確かに似てるって思った」

陽菜「でもちょっと違うよね」

龍哉「あ~、まぁ戦うときにヒップアタックとかしてたしね」

陽菜「うん、でもひなたちゃんはやらないよね」

岡野「やらない!!恥ずかしいし!!」

龍哉「むしろやると死人が出そうだな…デリカシーのない奴もいるし」

陽菜「いるね~出席番号3番の人とか、22番の人とかね」

岡野「うん、今回も言ってたしね」

龍哉「それではこれで今回は終了、次回は竹林君だ」

龍哉・陽菜・岡野「それでは次回もお楽しみに!!」


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5教科の時間

テスト本編は前作の通りダイジェストで終了

ぶっちゃけた話、冒頭の殺せんせーの言葉は学生のテスト全てに当てはまる気がします。


―――E組校舎

 

(テストは良い、一夜漬けでつけた知識など大人になったらほとんど忘れてしまうでしょう…それでいい)

 

そこには、殺せんせーに皆が本校舎の試験会場に入ることを確認した烏間先生にE組校舎に待機していたイリーナ先生が揃っていた。

 

(同じルールの中で力を磨き、脳みそを広げ結果を競う、その結果から得る経験こそ宝物だからです)

 

==========

―――英語

 

(は、早い!中間の時よりもずっと!!)

 

中高一貫の進学校では中三の段階で高校の範囲を習い始めるのは珍しくなく、椚ヶ丘も例外ではない。

 

椚ヶ丘において特に速度(ペース)速いのは…英・数・理の3教科!!

 

しかし…

 

(同じ学校なら、条件は互角(イーブン)!!)

 

そして最後の問題において、大半の生徒がつまずいている中…

 

「俺は親の仕事で1年間LAにいたんだ…今更日本の中学レベルでつまずくかよ!!」

 

そう言って瀬尾が問スターの腹に一撃入れるが…

 

「…倒れない!?嘘だろ?満点回答の見本だぞ」

 

その横を2人の生徒が駆けてふわりと飛び上がり頭を問スターの頭を得物のハンマーの石突で刺す。

 

「お堅いねぇ、力抜こうぜ優等生」

 

「無知って怖いな」

 

その2人の攻撃により、2人の生徒と対峙していた問スターはひび割れ、花丸になって消える。

 

「満点解答!?E組如きが…」

 

「多分読んでないっしょ、サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」」

 

「まさかあの有名な名作小説から引用してくるとはな…どうやら俺らの読書量に臨機応変さも採点基準に採用されているな」

 

「な!!」

 

「だから…原文に準じた雑で簡潔な口語体で書けば…」

 

そこに新しく表れた生徒も先の2人習って満点解答をする。

 

「トップ争いに食い込んできたな、渚」

 

「龍哉もすごいね、中村さんも」

 

「覇月も読んでたんだ」

 

「有名な小説は一通りな…海外行った時の話題づくりなるからって祖父ちゃんに」

 

「ま、私らはタコに勧められたからだけどね~瀬尾君はいなかったでしょ、外国にそういういいお友達」

 

==========

―――理科

 

「そぉ~らっ!!(理科は暗記だ!!記憶屋の先行で敵の鎧を一枚一枚剥いでいく!!…だが…一番片井亜太もお装甲がはがせない、ちゃんと暗記したはずだが…)」

 

ただ(・・)暗記しただけの小山の攻撃にびくともしない鎧型の問スターの横を、既に頭の装甲を剥ぎ、肩に乗っている愛美、陽菜、龍哉が通り過ぎて行った。

 

「本当の理科は暗記じゃ楽しくないです」

 

「「相手の事を理解している」ってちゃんと伝えてあげれば…」

 

「この理科の問題は簡単に解けちゃうね!!」

 

「でも陽菜乃さんもすごいです!!」

 

「えへへ、生物に必要な知識の中には化学が重要なのもあるからって龍君が教えてくれてね」

 

「陽菜なら出来るって思ったからな…さすがだぜ」

 

そして鎧型問スターは全身の鎧を脱ぎ捨てて去っていく。

 

(理科にも相手に届く国語力が必要…って、最近やっとわかってきました殺せんせー)

 

(いろんな科目は結局つながってるんだ…だから龍君は本当に好きなものを極めたりするためにたくさんの事に詳しくなって出来るようになったんだ!!)

 

==========

―――社会

 

「し、しくじった…」

 

「危ね…悠馬に言われてちゃんとチェックしてなかったらやばかったな、今年のアフリカ開発会議(TICAD)の首相の会談回数」

 

「会議の重要度の象徴だからな…それにこれが出来たのはお前のおかげだぜ、龍哉」

 

「俺の?」

 

「どんなことにも油断せずにいくっていうやつさ」

 

「あ~…つっても言った本人が油断してがな…」

 

「それをフォローしあうのが『仲間』や『友達』だろ」

 

「…ふぅ、そうだな…ありがと」

 

そんな和やかな2人に対して…

 

「…キサマら…社会問題でこの俺を出し抜くとは…」

 

「たまたまだよ」

 

「運も実力の内なんだからそこは素直に誇っとけよ」

 

「いや、俺んちはさ…ほら」

 

「…なる、それでアフリカ(向こう)の貧困に共感して調べてたのか」

 

「そう、それで知られたら実際に現地に連れてかれて、更に興味が広がったのさ」

 

「なるほどな」

 

「…ククク、たった一問解いたぐらいで調子にのるな、なぜなら…」

 

==========

―――国語

 

「思った以上にやるようだなE組!!顔だけでなく言葉もなかなか美しい!!」

 

「そういうテメーは中身が汚ねーから外面の人間としか思えねーな」

 

そう言うと龍哉は有希子、友人と協力して美しい言葉と桜吹雪を作り上げる。

 

「すごいね、杉野君、国語…苦手気味だったのに…」

 

「龍哉みたいに苦手を克服しようとしてるやつがいるんだ、ダチとして負けてたくないんだ!!」

 

「だが!!ただひとかけらの会心の回答でテストの勝敗は決まらない!!取りこぼし泣く全て制する総合力が必要なのだ!!」

 

榊原の言葉の意味とは…

 

(…決して二度とE組の奴がトップをとることはない、A組は総合力の怪物がいる、まぐれや運なんかに左右されないほどのな…)

 

==========

―――数学

 

(数学か…E組には赤羽がいたっけ、中間では僕と同じ点数で総合でも5位、もう1人覇月ってやつがいたけどあんなのはただのまぐれ、そもそも僕には数学はもとより全教科死角はない!!…そしてクラス対決も頂上対決も圧勝で制し、E組には父を支配する駒として働いてもらう!!)

 

(最後は数学…さっきの社会のこともあるからな、油断大敵!!)

 

(今まではちょっと苦手だったけど…龍君がしっかり教えてくれたんだから、必ず結果を出す!!)

 

本気で挑もうと準備をする3人に対して…

 

「…あーあ、皆目の色変えちゃってまぁ…(勝つっているのはそういうんじゃないんだよね…通常運転でさらっと勝ってこその完全勝利…正しい勝ち方、皆に教えてやるよ)」

 

==========

―――テスト後

 

こうして、2日間に及ぶ攻防の末…全ての戦い(テスト)が幕を下ろした!!

 

暗殺

 

賭け(ギャンブル)

 

全ての結果は(正解)の数で決まる!!

 

そして3日後!!

 

「さて皆さん、全教科の採点が届きました、今から結果の確認を行います」

 

この結果が…誰もが予想できなかったものになるという事を、今はまだ、誰も知らなかった…

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第二十四回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

竹林「ゲストの竹林孝太郎です」

龍哉「竹林君とはよく話すな…律絡みで」

陽菜「ほぼ竹ちゃんの熱弁を龍君が聞き流し気味に聞いているだけだけどね」

竹林「君達は分かっていないな、律の可能性というものを!!」

龍哉「まぁ確かにデータで存在しているから…バイラルコアを改造すりゃ生身ボディになれるか?」

陽菜「その時は女性らしい体が必要だね、協力する!!」(←動物好きが高じて人体にも詳しくなった)

竹林「ふむ、では僕は服装について…」

龍哉「制服以外は本人の趣味に任せよう…変に俺の趣味疑われなければいいしな」

陽菜「明るいのとか動物柄とか着せてみたいな~」

竹林「それは倉橋さんの趣味だろう?ここはやはりメイド服を…」

龍哉「お前もッ趣味全開フルスロットルじゃねーか!!これ以上はやめ!!本題に行く!!」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、竹林君が変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダーバース(原作:仮面ライダーオーズ/OOO)

龍哉「仮面ライダーオーズ/OOOに登場する伊達明がバースドライバーを使って変身する仮面ライダーだ」

全員「仮面ライダーポッピーじゃないなんて!!」

竹林「いくらなんでもそれは…」

龍哉「作者も一瞬思い浮かんだようだが、色々違うという理由でこっちにしたらしい」

竹林「飽きられめてくれてよかったよ、流石の僕も女装っぽいことは嫌だよ」

陽菜「じゃあチョイス理由は?」

龍哉「医者っていうところから」

陽菜「それなら千葉君みたいに最新作から持ってくればいいんじゃ…」

龍哉「研修医、天才外科医の2人しか残っていないが?」

竹林「基本的に途中退場した人は使わない方針だからね、僕らに対しては」

陽菜「…竹ちゃんなら研修医でもいいんじゃ…」

龍哉「いや、研修医はむしろもっと早かったら神崎さんに当ててた」

※作者より
一度当てたものから変更する予定はありません

陽菜「あ~そっか、ゲーマーだもんね」

竹林「神崎さんは割と芯の通った主張もするし、案外あっているかもね」

龍哉「それではこれで今回は終了、次回は原さんだ」

龍哉・陽菜・竹林「それでは次回もお楽しみに!!」


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挫折の時間

今回龍哉の事がA組にばれますが、そんなに影響はないと思います。

ついでに今までの後書きコーナーの『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』について振り返ると

  潮田渚 仮面ライダージョーカー(原作:仮面ライダーW)
赤羽カルマ 仮面ライダーサイクロン(原作:仮面ライダーW)
茅野カエデ 仮面ライダーゴースト(原作:仮面ライダーゴースト)
倉橋陽菜乃 仮面ライダーウィザード(原作:仮面ライダーウィザード)
 杉野友人 仮面ライダーガタック(原作:仮面ライダーカブト)
神崎有希子 仮面ライダー天鬼(原作:仮面ライダーディケイド)
 奥田愛美 仮面ライダーギャレン(原作:仮面ライダー(ブレイド))
 磯貝悠馬 仮面ライダーオーズ(原作:仮面ライダーオーズ)
 片岡メグ 仮面ライダーアクア(原作:仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX)
 木村正義 仮面ライダーサソード(原作:仮面ライダーカブト)
 矢田桃花 仮面ライダーマリカ(原作:仮面ライダー鎧武)
 岡島大河 仮面ライダーマッハ(原作:仮面ライダードライブ)
 前原陽斗 仮面ライダープロトイクサ(原作:仮面ライダーキバ)
 菅谷創介 仮面ライダードレイク(原作:仮面ライダーカブト)
 中村莉緒 仮面ライダーグリドン(原作:仮面ライダー鎧武)
 不破優月 仮面ライダーディケイド(原作:仮面ライダーディケイド)
千葉龍之介 仮面ライダースナイプ(原作:仮面ライダーエグゼイド)
 速水凛香 仮面ライダーカリス(原作:仮面ライダー(ブレイド))
 三村航輝 仮面ライダー轟鬼(原作:仮面ライダー響鬼)
岡野ひなた 仮面ライダーなでしこ(原作:仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX)
竹林孝太郎 仮面ライダーバース(原作:仮面ライダーオーズ/OOO)

これだけ選んでもまだ平成ライダーって20人以上いるですよね、びっくりです。


椚ヶ丘中学校では…学園内の順位も答案と一緒に届けられる。

 

故にテストの行方は一目瞭然となっている。

 

「では発表します、まずは英語から…E組の1位は…」

 

生徒全員の心臓が『ドクン』と跳ねる。

 

「中村莉桜!そして学年でも1位です!!」

 

「「「「「「「「「「おおおおお!!」」」」」」」」」」

 

中村莉桜―英語100点 E組1位、学年1位

 

「完璧です、君のやる気はムラっ気があるので心配でしたが…」

 

「なんせ賞金百億かかってっから、触手1本忘れないでよ殺せんせー」

 

「覇月君も素晴らしいです、中間テストの結果を維持できていますね、渚君も健闘ですが、肝心なところでスペルミスを犯す癖は治っていませんね」

 

「しゃぁ!!俺も触手破壊権利得たぜ!!…惜しかったな、渚」

 

「…うーん…」

 

潮田渚―英語91点 学年6位

 

覇月龍哉―英語100点 学年2位(同率1位扱い)

 

「さてしかし、同率1位で1教科トップを取ったところでつぶせる触手はたった2本、それにA組との5教科対決もありますから」

 

そう言って殺せんせーは2本の触手に「破壊予約済」と書いた旗を刺す。

 

「喜ぶことが出来るかは全教科返した後ですよ、続いて国語…」

 

そう言って国語の成績を確認する殺せんせー…

 

「E組1位は…神崎有希子!!」

 

「「「「「「「「「「おおお~~」!!」」」」」」」」」」

 

神崎有希子―国語100点 E組1位

 

「…が、しかし学年1位はA組浅野学秀!!…神崎さんも大躍進ですし、賭け自体は覇月君も同率1位ですのでE組(私たち)の勝ちですね」

 

浅野学秀―国語100点 学年1位

 

覇月龍哉―国語100点 E組2位、学年3位(同率1位扱い)

 

「…やっぱ点取るなァ浅野は…」

 

「強すぎ、英語だって覇月と中村と1点差の3位だぜ」

 

「流石模試全国1位、中間よりはるかに難易度高かったのに…全教科変わらずスキなし、龍哉がいなければ同等に戦えなかっただろうな」

 

「そうなると、"五英傑"とは名ばかり、結局は浅野君の1強だから、あいつを倒せば学年トップは取れるという事だな」

 

「………!!」

 

「…では続けて返します、社会!!E組1位は磯貝悠馬!!」

 

磯貝悠馬―社会100点 E組1位

 

「そして学年では…おめでとう!!浅野君を抑えて学年1位!!」

 

「よっし!!!」

 

「マニアックな問題が多かったよくぞこれだけ取りました!!」

 

「せんせー、浅野君は何点だったんですか?」

 

「浅野君は95点です、ちなみに覇月君は満点ですから、触手2本ですね」

 

浅野学秀―社会95点 学年3位

 

覇月龍哉―社会100点 E組2位、学年2位(同率1位扱い)

 

「しかも、A組との賭けはもう私達の勝ちだね!!」

 

「あ、そっか、龍哉君が条件出したもんね」

 

「俺ぁてっきり2教科引き分けに持ち込まれるんじゃねーかと思ってあの条件出したんだがな」

 

「…勝てるとは思ってたんだ」

 

「まぁな、国語と数学は厳しいかな、と思ってな…変に負けると皆がひどい目にあわされそうだと思ったんだ」

 

「でも、こうなると超ファインプレーだよな」

 

「…てことは、賭けの商品のアレ(・・)イタダキだな」

 

「楽しみ~」

 

「でも、まだ理科と数学の結果発表がある…A組のは抜きにしてこれからは触手破壊できるかどうかだ」

 

「だな…」

 

「次は理科だから…奥田か!」

 

「ええ、理科のE組1位は…奥田愛美!!そして…」

 

==========

―――本校舎

 

『「3-Aの浅野学秀君、理事長先生がお呼びです」』

 

「……」

 

「…良かったじゃねーか小山、お前は標的の1人に勝てたんだ」

 

「…フッ」

 

==========

―――E組

 

「理科の学年1位は…素晴らしい!!学年1位も奥田愛美!!」

 

奥田愛美―理科100点 E組1位、学年1位

 

「ってことは今のところ全勝!?」

 

「おいおいマジかよ…」

 

「そして、覇月君も100点で同率1位です」

 

覇月龍哉―理科100点 E組2位、学年2位(同率1位扱い)

 

「これで触手合計6本か!!」

 

「実質全教科で1位を取ったも同然だね!!」

 

最後の数学の発表を前にして、ふと渚が後ろを見るとカルマの姿がなかった…

 

「…龍哉、カルマ君どこに行ったか知ってる?」

 

「…ああ、まぁ、色々と思うところがあるんだろうな…」

 

==========

―――本校舎

 

「E組とのクラス対決で負けるなんて…こんな屈辱あるか?」

 

「あの覇月ってやつの出した条件さえなければ…」

 

「そりゃ確かにある意味俺は目的を果たしたさ、俺より総合点で上をいった奴2人のうち1人へのリベンジな、でも…」

 

==========

―――E組

 

「それでは最後の数学の発表です、数学のE組1位は…!!!!」

 

「ど、どうしたんですか殺せんせー」

 

「い、いえ…ちょっと驚きと感動がありまして…」

 

「え、どうして…」

 

「では改めまして…E組1位、倉橋陽菜乃!!」

 

「え」

 

「え」

 

「「「「「「「「「「えぇ!!」」」」」」」」」」

 

殺せんせーから出た1位の名前に本人含め―龍哉までも―が驚いている。

 

理由を少し考えればそれも当然だろう、なにせ陽菜乃は数学の成績不振が原因でE組に落ちてきたのだから。

 

驚きで固まった状態からいち早く回復したのは、やはりというべきか龍哉だった。

 

「やったな、陽菜!!」

 

「本当に…」

 

「ええ、本当ですよ、ほら」

 

倉橋陽菜乃―数学100点 E組1位

 

「…!!…!!龍君…」

 

「ん?」

 

「ありがとう~~~!!!」

 

ガバッ!!ギュッ!!

 

感極まった陽菜乃は龍哉の首元に手を回して抱き着いた。

 

「フフフ、おめでとう、陽菜」

 

そんな陽菜乃を龍哉も抱きしめ返して頭をなでる…それにより陽菜乃も破顔したため…ピンク色の甘い雰囲気が流れ始めたため…

 

「はいはい!!覇月君、君も1位ですよ!!」

 

「やったね、龍君!!」

 

止めようと殺せんせーが覇月も1位であることを告げるが、それはただ…

 

「ああ…2人でつかんだ勝利だな!!」

 

その空間に燃料を投下するだけに終わってしまった。

 

「ちょ、殺せんせー!!」

 

「おいぃ!!甘ったるさが増したぞ!!」

 

「ブ、ブラックコーヒーを…」

 

「す、砂まみれになりそう…」

 

「すみません、先生が悪かったです」

 

「…あ、浅野君も1位なんだね…」

 

「あれ?カルマは…」

 

「すみません、先生、ちょっと行ってきますね」

 

言うや否や殺せんせーはマッハの速度で教室から出て行った、そのため…

 

「「「「「「「「「「ってカルマ口実にこの甘い空間から逃げやがったあのクソダコ!!」」」」」」」」」」

 

龍哉、陽菜乃を除いた生徒全員から怒りを買ったのは言うまでもない。

 

==========

―――E組近く林

 

そこにはテストを握りしめて悔しいそうな顔をしたカルマがいた。

 

そこに殺せんせーが現れる。

 

「流石にA組は強い、5教科総合は覇月君に負けるも7位まで独占、なのでE組総合は竹林君片岡さんの同点8位と続いています」

 

そのまま近づいていく。

 

「当然の結果です、A組の皆も負けず劣らず勉強し、テストの難易度も上がっていた…油断なく行く事を決めていた覇月君や、悔しさをばねにした倉橋さんとは違う、怠け者がついていけるわけがない」

 

「……何が言いたいの?」

 

「恥ずかしいですねぇ~「余裕でかつ俺カッコいい」とか思ってたでしょ」

 

背後に居た殺せんせーから言われた言葉に一瞬で顔を真っ赤にするカルマ…

 

「先生の触手を破壊する権利を得た4名で…中村さん、磯貝君、奥田さんが1本ずつ、覇月君が4本です、暗殺においても賭けにおいても、君は今回何の戦力にもなれなかった」

 

そんなカルマの頭を触手で頭をパシパシと叩く。

 

「分かりましたか?()るべき時に()るべき事を()れない者は…暗殺(この)教室では存在感を無くして行く」

 

黄色と緑の縞縞顔…嘗めきった表情を浮かべる殺せんせー…

 

「刃を研ぐのを怠った君は暗殺者じゃない…錆びた刃を自慢げに掲げたただのガキです」

 

「………チッ!!」

 

カルマはそんな殺せんせーの触手を振り払い、そのまま教室に戻っていく。

 

==========

―――本校舎理事長室

 

「個人総合2位、そしてなにやらE組と賭けをして君はその賭けに負けた」

 

そう言いながら理事長が浅野の方を向く。

 

「全校中に賭けの話が広まった以上、E組の要求はそう簡単には断れないよ、どうする?学校側が庇ってあげようか?」

 

「……結構です」

 

理事長の申し出を険しい表情で断る浅野…

 

「私の事を…「首輪つけて飼ってやる」と言っていたね…ありもしない私の秘密を暴こうとしたり、よく言えたものだね、同い歳との賭けにも勝てない未熟者が」

 

理事長の言葉に額に青筋を浮かべて歯ぎしりする浅野…そしてそんな浅野に理事長はさらに言葉を続ける。

 

「君達A組の生徒は覇月龍哉君を侮っていたけど…どうしてなのかな?」

 

「転入してきたときからE組なんです…そんな奴が1位とか、まぐれ以外にありえません」

 

「ああ、彼には中間テストの後にA組に来ないかと誘ったのだがね」

 

「なっ!!」

 

「私も彼の家族構成を調べて驚いたよ…彼は君よりも上、親の才能を十二分に引き継いでいるようだからね」

 

「………!!!!」

 

「彼はいわばサラブレッドだよ、しかも学術面でも、身体面でもね…」

 

「…つまり、彼の親はその両面に秀でていて、彼はその両方の才能を引き継いでいる、と…」

 

「そういうことだよ、そしてその才能を十二全に使いこなすための努力をし続けている…才能もあり、努力をし、慢心しない…私もそうだしね…完璧な人間とは、そのような人のことを言うのだよ」

 

「ッ!!!!!失礼します!!!!」

 

理事長から告げられた言葉の数々に完全に気分を害した浅野は肩息荒げて理事長室を出て行った。

 

もっとも…

 

「いい忘れていたな…彼にも私にも、自分の事を支えてくれるものがある、もしくはいる、という事を」

 

==========

―――E組近く林

 

烏間先生と殺せんせーがカルマにしたことを話していた。

 

「おい、いいのかあそこまで言って」

 

「ご心配なく、立ち直りの早い方向に挫折させました、覇月君同様彼は多くの才能に恵まれている、だが力ある者は得てして未熟者です」

 

「覇月君もか?」

 

「はい、ですが彼は早いうちに挫折を知り、自分の力だけでは私の暗殺(どうにもできない事態)…ですが本気を出すことが礼儀、と考えていますし、周りに恵まれているので問題ないでしょう」

 

「……確かにな、今の覇月君は倉橋さんもいる」

 

「ええ、ですが挫折を知らない力ある者は本気でなくとも勝ち続けてしまうために、本当の勝負を知らずに育つ危険がある」

 

「…そういう意味では、覇月君はお前の暗殺(これ)以外に、ロイミュード撲滅(仮面ライダー)もある、本当の勝負、と言うのを学ぶ機会は多いか…」

 

「えぇ、そして大きな才能は…負ける悔しさを早めにしれば大きく伸びます…テストとは、勝敗の意味を、強弱の意味を、正しく教えるチャンスなのです」

 

「お前からすればテスト(これ)すらも教育の一環か…」

 

「ええ」

 

そう言って殺せんせーはそこから離れて、街並みが見える崖につく。

 

(成功と挫折を今いっぱいに吸い込みなさい生徒達よ!!勝つとは何か、負けるとは何か、力の意味を!!今!!)

 

そう思いながら殺せんせーは空を見上げる。

 

(――私が、最後まで気付けなかった…とても大事な事だから)

 

==========

―――E組教室

 

「さて皆さん、素晴らしい成績でした…5教科プラス総合点の6つ中、皆さんが取れたトップは4つ、しかもうち3つは同率1位が2人なので…計7本ですね」

 

「……」

 

そんな殺せんせーの言葉にカルマがふてくされた表情で見ている。

 

「早速暗殺の方を始めましょうか、トップを取った4人はどうぞ7本ご自由に(流石に7本はきついでしょうが…まだ防ぎきれるでしょう)」(←黄色と緑の縞縞顔の嘗めきった表情)

 

しかし、そんな殺せんせーに待ったをかけた生徒がいる。

 

「おい待てよタコ、5教科のトップは4人じゃねーぜ」

 

「?覇月君が全科目同率1位、後は中村さん、奥田さん、磯貝君で英・理・社、それに国・数を合わせて…」

 

「はぁ?アホ抜かせ」

 

「どういうことだよ」

 

「5教科っつったら英・社・理・数…あと家だろ」

 

そう言ってサッと出されたテストには…

 

寺坂竜馬―家庭科100点 学年1位

吉田大成―家庭科100点 学年1位

村松拓哉―家庭科100点 学年1位

狭間綺羅々―家庭科100点 学年1位

 

「か…家庭科ぁ~~~!?」

 

「ちょ、ちょっと待って!!家庭科のテストなんてついで(・・・)でしょう!!こんなのだけ(・・)何本気で100点取ってるんですか君達は!!」

 

「だーれもどの(・・)5教科とは言ってねーよな」

 

「クックック、クラス全員でやりゃ良かったこの作戦」

 

「あ、そういう意味なら俺も」

 

「覇月君!?君もですか!?」

 

「あ、じゃあ私も~」

 

「私もね」

 

「倉橋さん!?原さんまで!?…ほ、他の人は…」

 

「ちょっとだけ足りなかったよね…」

 

「「「「「「「「「「悔しいなぁ~」」」」」」」」」」

 

「…なんで女子全員そういうリアクションが出来るんだ?」

 

「「「「「「「「「「覇月君のお祖母さんにいろいろ教わっているから」」」」」」」」」」

 

「……覇月君の家はチート一家ですね、完全に…」

 

「「「「「「「「「「うん、否定はしない」」」」」」」」」」

 

「え、龍君のお祖父さんもお祖母さんも好きこそものの上手なれじゃないの?」

 

「「「「「「「「「「龍哉(覇月)に毒されてきたね、倉橋さん(陽菜乃(ちゃん))」」」」」」」」」」

 

そんな状況下で、千葉がカルマに言ってやれ、とさらに合図をする。

 

「………ついで(・・・)とか家庭科さんに失礼じゃね殺せんせー?5教科のなかじゃ最強と言われる家庭科さんにさ」

 

「人間に必要なもの、衣・食・住それらについて学べる家庭科を否定するなんて、ひどいな殺せんせー」

 

「そーだぜ殺せんせー約束守れよ!!!」

 

「一番重要な家庭科さんで7人トップ!!合計触手14本!!」

 

(14本!?ひぃぃぃぃ!!)

 

「それと殺せんせー、これは皆と相談して決めたんですが…」

 

「この暗殺には、今回の賭けの「戦利品」も使わせてもらいます」

 

「!!」

 

こうして、中間テスト、野球大会につづく1学期のイベントである期末テストが終了した。

 

A組との賭けには完全勝利し、触手も合計14本破壊できることになったため…

 

この1学期、E組の生徒達にとってはとてつもなく充実した時間になったのは間違いないだろう…

 

そして、終業式を迎えて夏休みに入っていく…

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第二十五回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

 原「ゲストの原寿美鈴です」

龍哉「原さんは原さんでちょいちょい話すね」

陽菜「話している内容が料理だったり裁縫だったりだけどね」

 原「覇月君がそんな風だったのは驚いたよ」

龍哉「料理にしろ、裁縫にしろ、自力でできないとまずい状況だったからな…」(←祖父に連れられてサバイバル生活もどき)

陽菜「あ~、そっか」

 原「でもそれでも出来るようになるなんてすごいけどね」

龍哉「そう言ってくれてありがとう、本題に行くよ」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、原さんが変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダーアギト(原作:仮面ライダーアギト)

龍哉「仮面ライダーアギトに登場する津上翔一がオルタリングを使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜「チョイス理由は?」

 原「共通点って…」

龍哉「料理のうまさからだな、原さんは料理上手って原作でもクローズアップされてるし」

 原「うん、自信あるよ」

陽菜「うん、寿美鈴ちゃんの料理美味しいもんね」

龍哉「放課後の差し入れが楽しみの一つでもあるな」

陽菜「分かる分かる!!」

 原「喜んでくれてありがとう、作り甲斐があるわ」

陽菜「木村ちゃんが間違えてお母さんって言ったのわかる気がする」

龍哉「あぁ、すっげー分かる」

 原「?」

龍哉「それではこれで今回は終了、次回は挟間さんだ」

龍哉・陽菜・原「それでは次回もお楽しみに!!」


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終業の時間・1学期

今回で1学期が終了し、夏休みに…

でも入ったら入ったでいろいろあるんですよね~

後半からはドライブにつながりますので、お楽しみに!!

※7月中なので映画ではなく、ちょっとしたネタ程度に修正しました。


―――本校舎

 

期末テスト終了後、程なく一学期の終業式…

 

しかし、E組の面々にはやるべきことが残っている。

 

「おぉ~、やっと来たぜ生徒会長サマがよ」

 

「何か用かな、式の準備でE組に構う暇なんて無いけど」

 

無視してさっさと行こうとする浅野の肩を寺坂ががっしりと掴む。

 

「おーう待て待て、何か忘れてんじゃねーのか?」

 

「浅野、賭けてたよな、5教科を多く―1位と同点の生徒がいた場合は人数が多い方が―取ったクラスが一つ要求できるって…要求はさっきメールで送信したけど、あれで構わないな」

 

「…っ!!」

 

「5教科の賭けを持ち出したのはA組(そっち)側だ…まさか今更冗談とか言わねーよな」

 

「もっとも、その時点で負けたらそれを有耶無耶にする、約束すら守れない(・・・・・・・・)…嘘つき呼ばわりされる、俺達にな、ま、そんなことで痛むような精神構造はしていないか」

 

「そういうことよりもさ覇月、いい加減あれ(・・)どうにかしろよ」

 

「ん~、まぁショックなのは分かるし、誰が言ってもさ…(フォローのための奴や用意してあるけどね)」

 

「ま、苦手科目を恋人のフォローありで克服したんだからそんなに落ち込まなくてもいいじゃない」

 

((((((((((あの挟間さんが倉橋さんをフォローした!?))))))))))

 

「綺羅々ちゃん…うん…」

 

「…茶番はもういいかい?」

 

「いや、まだ俺らから言いたいことがあんだよ」

 

「なんだ?」

 

「どうせだったら5教科のどれかを家庭科に変えてもいいぜ、それでも勝つけどな!!」

 

==========

―――E組職員室

 

「見事にしてやられたわねぇ、特にあの悪ガキどもには」

 

「…ええ」

 

イリーナ先生が窓の外に足を出して窓枠に座り、教員席では殺せんせーが落ち込んでいる。

 

「彼らの主張は詭弁すれすれですし、本当の5教科に力を入れてほしかったのは確かですが…でも私は嬉しい」

 

そんな殺せんせーの言葉にイリーナ先生も殺せんせーの方を向く。

 

「家庭科のテストは受験に使わない分重要度が低い、よって問題も…教科担任の好みで自由に出題する傾向があります、そうなると私の授業しか受けていないE組の生徒は圧倒的に不利」

 

本校舎の家庭科担任はオリーブオイル派、殺せんせーはごま油派のためそもそも授業内容が被るのかも甚だ疑問である。

 

「百点1位は下手すると5教科よりも難しいはずです…相当研究したのでしょう、私に一杯食わせるために、ありとあらゆる出題傾向を…盲点を突く自由な発想と一刺しのための集中力、暗殺(この)教室にふさわしい」

 

「………ところで、なんで私達留守番なのかしら」

 

「だって烏間先生が終業式来るなって」

 

「タコがいるせいだわ」

 

「ビッチがいるせいです」

 

ここにE組生徒がだれか1人でもいたら声を大にしてこう言っただろう―どっちもどっちだ、と…

 

==========

―――本校舎体育館

 

「カルマ珍しいな、お前が全校集会に来るなんて」

 

「だーってさ、今ふけると逃げてるみたいでなんか嫌だし」

 

「(小声)そもそも最初からふけてたんだから逃げてたも一緒だよね」

 

「(小声)それは言わないお約束だよ」

 

そこに1人の女子生徒が現れる。

 

「「………」」

 

期末テストの時からいたにせ律さんだ。

 

「(小声)烏間先生、龍哉、にせ律が気になって式に集中出来ないスよ!!」

 

「(小声)こらえてくれ、律が機会とバレないために必要な工作だ」

 

「(小声)絵を描いてる時の集中力はどうした?」

 

「(小声)無茶言うな!!」

 

「(小声)俺の直属の上司の娘さんだ、口は堅いし詮索もしない」

 

「(小声)しかも律の授業で成績が上がったと上司もご機嫌だ」

 

「(小声)俺、テスト中からずっと隣だし…集中できずにクラス最下位になっちまった」

 

「(小声)寺坂君に負けたのは要反省だぜ」

 

「(小声)聞こえてんぞ覇月ィ!!!」

 

菅谷創介―合計点数338点 学年186人中95位

 

(…クラスでは最下位でも学年で見れば注意の成績、どん尻から良くぞここまで育てたものだ)

 

その後の終業式はつつがなく進み、いつものE組いじりも受けが悪い、「悪い見本(エンド)」がトップ争いをしたからだ。

 

この日、殺せんせーはいなかったが…E組の生徒達は全員前を向いていた。

 

(今回の期末で生徒全体の学業意識が向上した、しかもE組に対する屈辱や危機感はなお一層奮起する材料になる…地球の存亡がかかるような異常時でも…私の教育理念は実に正しく機能している…が、それは全てE組(エンド)底辺(エンド)であってこそ、手を打とう、夏休みの間に…)

 

==========

―――E組教室

 

「1人1冊です」

 

殺せんせーから夏休みのしおりが配られているが…

 

「…出たよ恒例過剰しおり」

 

「アコーディオンみてーだな」

 

「これでも足りないぐらいです!夏の誘惑は枚挙に暇がありませんから」

 

「…そうですね」

 

「覇月が同意した!?」

 

「一体どうした!?」

 

「村松ん家のラーメンでも食ったのか!?」

 

「どういう意味だ吉田ぁ!!!」

 

「いや、単純にいろいろ誘われることが多いだろうな、と思っただけだ」

 

「そっか」

 

そしてしおりが配り終わり…

 

「さて、これより夏休みに入るわけですが…皆さんにはメインイベントがありますねぇ…」

 

「ああ、賭けで奪ったコレ(・・)の事ね」

 

「本来は成績優秀クラス、つまりA組に与えられるはずだった特典ですが…今回の期末はトップをE組で中間からトップをキープした覇月君を筆頭としてE組生徒とA組生徒がトップ50のほとんどを独占している、君達にだってもらう資格は充分にあります」

 

E組の生徒達がA組から奪い取ったのは…

 

「「夏休み!!椚ヶ丘中学校特別夏期講習!!」

 

「「沖縄離島リゾート2泊3日!!」」

 

==========

―――A組教室

 

「…ま、あんなシケた国内旅行くれてやるよ」

 

あれ(・・)毎年半分も参加していないらしいぜ、余裕ない奴は夏休み中勉強してるし」

 

「余裕ある奴は俺らみたく海外旅行行っちまうしな」

 

「うち今年ヨーロッパ1週ヒヒヒヒヒ」

 

そこまで言って周りの空気に気が付く五英傑(笑)…

 

「皆が皆海外に行けると思うなよ!!」

 

「あ、いや…」

 

「肝心な勝負に勝てなくて何が五英傑よ(笑)(おわらい)だわ!!」

 

「そもそもあの覇月ってやつのはまぐれって言ってたのにまた負けてるじゃねーか!!!」

 

「あいつのほうが優秀なんじゃねーのかよ!!お前等より!!」

 

その言葉が発せられた瞬間…!!

 

「黙っててくれないかな…」

 

浅野がそう言うとA組全員が動きを止める。

 

「負け犬に口無しだ、次に僕がリードを引くまでお座りしてろ(この借りは必ず返す、父より先にまずE組…特に覇月龍哉…標的(ターゲット)はお前だ)」

 

==========

―――E組教室

 

「―君達の希望だと、触手を破壊する権利は教室(ここ)では使わず、この離島の合宿中に行使するという事ですね」

 

「はい、それで問題ありません」

 

「触手14本という大ハンデでも満足せず、四方を先生の苦手な水で囲まれたこの島も使い、万全に貪欲に命を狙う…正直に認めましょう、君達は侮れない生徒になった」

 

殺せんせーはそう言って頭を触手で掻く。

 

「親御さんや保護者に見せる通知表は先程渡しましたが…これは先生からの暗殺者(あなた)達への通知表です」

 

そう言うと殺せんせーは紙に一気に何かを書いていく。

 

それが教室中にまかれる、書いてあったのは…二重丸、それはE組生徒達にとっては、標的(ターゲット)からのこの3か月の嬉しい評価だった。

 

「一学期で培った基礎を存分に活かし、夏休みも沢山遊び沢山学び、そしてたくさん殺しましょう」

 

そして下校していく生徒達に最後の言葉をかける。

 

「暗殺教室、基礎の一学期、これにて終業!!」

 

==========

―――下校中

 

「陽菜、いい加減元気出せよ」

 

「だって~(´;ω;`)」

 

「確かに、殺せんせーの出した目標はクリアできなかったね」

 

「…うん」

 

「でも、俺は驚いた…苦手科目で100点取った、そのおかげで俺達はA組に完全勝利できた」

 

「…でも…」

 

「そして、俺は陽菜がどれだけ努力してたのか知ってる…だから」

 

そう言って龍哉が鞄からあるものを取り出す、それは…

 

「これって…今度東京に来るふれあい動物園の優先入場チケット?」

 

「ああ、もっとも、努力の結果がなかったら手に入れようとも思わなかったけどね」

 

「…いいの?」

 

「俺からの努力賞、ってね…」

 

「あ、ありがとう!!」

 

その言葉と共に陽菜乃は龍哉に抱き着く。

 

「…でも、その努力を続けてくれよ、じゃないと…」

 

「う…ま、任せてください!!」

 

「うん、頑張れ!!それと、日付は…………で、いいか」

 

「うん、いいよ!!」

 

後日デートをする約束をしたらちょうど陽菜乃の家についた。

 

「それじゃ、またね、龍君!!」

 

「ああ、またな…って、あ」

 

「?…あ、お母さん、ただいま!!」

 

「あら、陽菜乃お帰りなさい、龍哉君もいらっしゃい」

 

「あ、こんにちは…いえ、もう帰りますので…」

 

「あ、お母さん、私成績上がったよ!!」

 

(今ここでいう事なのか?)

 

「あら、そうなの?もしかして、龍哉君のおかげ?」

 

「いや、陽菜の実力で…「うん、そうだよ!!」陽菜!?」

 

「あらあら、龍哉君、何だったらお昼一緒にいかが?」

 

「…そうですね、お願いしま―ピリリリリッ―!!」

 

陽菜乃の母親が龍哉を昼食に誘おうとしたら龍哉の携帯に緊急通報連絡が来る。

 

「失礼、龍哉です…はい…えっ!!分かりました、今すぐ確認してその後すぐ現場に向かいます!!」

 

「ど、どうしたの?」

 

「ちょっと待って…これか、駅開発地近くで重加速確認か…場所も近いな、よし!!…すみません、昼食はまた今度で…俺、今から現場に行かないと!!」

 

言うや否や、龍哉はヘルメットをかぶり、バーストストライダーにまたがるが…

 

「龍君、ちょっと待って!!」

 

「陽菜…って!!」

 

陽菜乃は龍哉に待つよう告げると龍哉の通学鞄を持っていき、少ししておにぎりを持って戻ってくる。

 

「これ、持っていって」

 

「…陽菜、ありがとう」

 

「無事に、帰ってきてね」

 

「もちろんだ」

 

「いってらっしゃい」

 

「行ってきます」

 

そんなやり取りの後、龍哉はバーストストライダーを駆って陽菜乃の家の前から走って行った…

 

そして残された親子は…

 

「龍哉君、そういえば仮面ライダーだったわね~」

 

「うん」

 

「それと陽菜乃」

 

「何?お母さん」

 

「さっきのやり取り、最後はキスするべきじゃなかったの?」

 

「お、お母さん!!」

 

「あ、それだったらお母さん気を使って離れるべきだったわね」

 

「~~~もう!!」

 

「フフ、ごめんなさいね、でも陽菜乃」

 

「何?お母さん」

 

真剣な顔をする母親にしっかりと向き合う陽菜乃…その口から放たれたのは…

 

「龍哉君はきっとへとへとになって帰ってくるわ、だから…」

 

「うん、その時は私が出来る限りの事をして癒してあげる!!」

 

「ええ、それでいいわ…龍哉君と2人きりなれるよう、お母さんも協力するから」

 

「お母さん!!」

 

と、緊迫した空気をぶち壊す話をしており、龍哉が走行中にくしゃみをして事故りかけたのは余談である。

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第二十六回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

狭間「ゲストの狭間綺羅々よ…」

龍哉「狭間さんってちょっと独特だからあんまし話したことないんだよね」

陽菜「あれ?でも綺羅々ちゃん結構龍君と話したそうにしていたから話したことあると思ってた」

狭間「…最初に話しかけた時に『人の闇をどう思う』だったんだけど…」

龍哉「在って当たり前だけどそれとどう向き合うかがは人それぞれだったな」

陽菜「…ちなみにいつ?」

狭間「修学旅行終わって、イトナが来てからね」

陽菜「私と付き合い始めた直後に!?」

龍哉「だからこそのあのセリフなんだけどね…本題に行くよ」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、狭間さんが変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダーレンゲル(原作:仮面ライダー(ブレイド))

龍哉「仮面ライダー(ブレイド)に登場する上城睦月がレンゲルクロスを使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜「チョイス理由は?」

狭間「そういえば変身者は邪悪な意思に支配されかねないのよね」

龍哉「ちなみに理由は今はざんさんが言ったことが主な理由らしい…」

狭間「でも私を支配できるかしら」

龍哉・陽菜(確かに、挟間さん(綺羅々ちゃん)なら逆に支配しかねない)

陽菜「あ、レンゲルって蜘蛛系多いんだ」

龍哉「ちなみに作者はWikiで見直して気づいたらしい、が、それも狭間さんにはぴったりだから変える理由にはならないな」

陽菜「むしろピッタリ感ましたよ」

狭間「いいチョイスね、作者さん」

陽菜「でもペットのタランチュラがいなくなったときはパニックになって私に助けを求めてきたもんね~」

龍哉「へぇ、ペットにちゃんと愛情もてるなんて、優しいんだな、やっぱり」

狭間「やっぱりってどういうことよ」

龍哉「なんだかんだ言いながら寺坂達につきあってるもんな」

陽菜「あ~、そうだね、優しさないと出来ないね~」

狭間「うるさいわよ(テレ顔)」

龍哉「それではこれで今回は終了、次回は吉田君だ」

龍哉・陽菜・狭間「それでは次回もお楽しみに!!」


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夏休み編
サプライズ・フューチャーの時間:1時間目


ドライブの映画の時間を合わせました。

生き物の時間はほぼカットです。

…陽菜乃絡みだけど龍哉を絡ませづらいんだ、許してくれ…


―――E組山中

 

「…にしても、夏休みでこういうのに龍哉と一緒じゃないなんて珍しいね、倉橋さん」

 

「あ~、確かにな…そういえば小遣い稼ぎって…」

 

「龍哉になんかプレゼントすんのか?」

 

「へっ!?いやその…」

 

「ヌルフフフフフ、青春ですねぇ…」(ピンク顔)

 

「うぅぅ~」

 

「…で、当人は?」

 

「今日はチェイスさんと町に行ってるよ…ロイミュード絡みのこともあるから私との約束がないと大体一緒に居るよ、一緒に住んでるし」

 

「へぇ、そうなんだ」

 

「…宿題、ちゃんとやってるんですかねぇ…」

 

「龍哉って案外ため込むタイプなのか?」

 

「ううん、一緒に超特急で終わらせたよ、龍君こういってたよ「苦あれば楽あり」って」

 

「「畜生、龍哉も仲間だと思ったのに!!」」

 

「あの様子だとあの2人、ほとんどやってないみたいだね」

 

「…結構分かりやすくて面白くて楽しいのにね」

 

「あ、それ分かる」

 

「確かにな~」

 

割と真面目なメンツからすると楽なものの、面倒臭がりからするときついものらしい…そこに…

 

「皆さん!!大変です!!」

 

「律、どうしたの?」

 

「焦っていますねぇ…何があったんですか?」

 

「こ、このニュースを見てください!!」

 

―仮面ライダードライブ泊巡査(24)全国指名手配―

 

「「「「何、このニュース!?」」」」

 

「これは、覇月君にも話を聞く必要がありそうですね…」

 

==========

―――市街地某所

 

「泊進ノ介が指名手配…」

 

「…チェイ兄さん、これって…ロイミュードの…」

 

「…奴らのアジトに行くぞ」

 

「アジト…ってチェイ兄さんちょっと待って!!」

 

==========

―――ロイミュードアジト

 

「豪胆だなチェイス、覇月龍哉、俺達のアジトに立った2人で乗り込んでくるとは」

 

「今ここで決着をつけてしまいましょうか」

 

「まぁ待て、メディック」

 

「もしや、今ニュースになっている泊進ノ介についてでしょうか」

 

「お前たちの仕業ではないようだな…そもそも、警察内部では001や仁良に関わった人員は全て整理されていたな…」

 

「ならば、心当たりはないのか?」

 

「…1体だけ、心当たりがある」

 

「「!!」」

 

「そいつは性格の凶暴さから、俺達ですら手を持て余し…蛮野の協力もあって永遠のグローバルフリーズの実験体にしたんだ」

 

「!!…ハート、お前がかつて言ったことと矛盾しているぞ!!」

 

「…その時には、魔進チェイサーはまだおらず…性格のリセットが出来なかったという事か…」

 

「察しがいいですねぇ…ですが、彼が何らかの方法で再起動したのなら…」

 

ブレンがそう言うと龍哉とチェイスは互いに頷きあうとロイミュードのアジトを後にした。

 

「どういたしますか、ハート様」

 

「どうもこうもない、俺達は、高みの見物といこう」

 

==========

―――某変電所

 

そこに龍哉、チェイス、剛の3人が集結した。

 

3人の見えるところで黒いドライブのような存在に襲われている進ノ介の姿もあった。

 

「やばい!!急がないと!!」

 

「分かってるよ!!」

 

「行くぞ」

 

「Let's「「変身!!」」」

 

『「「「ライダー!!マッハ!!チェイサー!!バースト!!」」」』

 

「借りるぞ」

 

そう言ってチェイサーはライドマッハ―をマッハから借りようとする。

 

「~~~壊すなよ!!」

 

「剛兄さん!!早く!!」

 

「わーってるよ!!」

 

そのままバーストとマッハは黒いドライブと進ノ介の元に向かい、チェイサーはライドクロッサーに合体させて工事現場の作業車と合体した未来型ロイミュードに向かう。

 

「ハァッ!!」「おりゃ!!」

 

「剛!!龍哉!!」

 

「進兄さんは下がってて!!」

 

「すまない」

 

その後、マッハ、バーストVS黒いドライブが始まるが…

 

「こいつ…!!」

 

「強い…!!(と言うよりも、むしろ…)」

 

「龍哉、手はある?」

 

「一個だけ!!」

 

「じゃぁ任せる!!」

 

「任された!!来い!!シグナルライトニング!!」

 

『「シグナルバイク!!シグナルコウカン!!ライトニング!!」』

 

「はぁ!!」

 

シグナルライトニングに交換したことで銃撃に雷の力が加わり、さらに…

 

「オオォ!!」(バチバチバチ!!)

 

バーストの体中に雷が走る。

 

「!!それからどうするんだ」

 

「勿論、こうするんですよ!!」

 

『「バ、バ、バ、バースト!!ブーストアップ!!」』

 

バーストが体中に雷をまとった状態で超高速移動を開始する。

 

「!!は」

 

「速い!!」

 

「なるほど、実に龍哉らしい発想だ…シグナルライトニングの雷で神経伝達速度を向上させ、その状態で高速移動を開始する、そうすることで相手が認識できない速度で動くことを可能にしているんだ」

 

「は~…なんだってそんな発想出てくんのかな」

 

(不破さんサンキュー、貸してもらったN○RUTOって漫画のおかげでこの運用が出来たぜ!!にしても…)

 

「ほとんど効いてねぇ…」

 

(やっぱり、奴は…)

 

「くそ…!!チェイスも!!」

 

「なっ…」

 

バーストが連撃を加えてもく追いドライブは全くダメージを受けている様子はなく、またチィエスは重機を使うロイミュードに捕らえられてしまっている。

 

「剛兄さん!!こっちは良いからチェイ兄さんを!!」

 

「…分かった!!」

 

「…やっぱり見てられない!!ベルトさん!!」

 

「だが進ノ介!!」

 

「あんたがまた暴走しそうになったら、俺が止めてやる!!」

 

「俺もいるってことッ忘れなんなよ!!」

 

「俺も!!」

 

「分かった、スタートユアエンジン!!」

 

『「ファイヤー!!オールエンジンズ!!ドライブ!!タイプトライドローン!!」』

 

進ノ介がドライブタイプトライドロンに変身し、チェイスの援護に向かう。

 

『「カモン!!ダンプミキサーグラビティ!!タイヤ!!カキマゼール!!コウジゲンバー」』

 

「うぉぉぉ!!」

 

「おりゃぁ!!」

 

マッハとドライブの攻撃がチェイスを拘束している重機の腕を破壊する。

 

「!!すまない…龍哉は!?」

 

「うおぉ!!」

 

「「「「龍哉!!」」」」

 

「くそ…やっぱぶっつけ本番の付け焼刃じゃ無理があったか…」

 

「え、あれ付け焼刃かよ」

 

「…龍哉は規格外だからな、色々と」

 

「…俺達も行くぞ、剛!!ベルトさん!!」

 

「分かってるって!!」

 

ライトニングで速度を強化して戦っていたが、先程の言葉通り付け焼刃のためあまり持たずスピードアップが切れてしまったところに黒いドライブの反撃を受けてしまったが…

 

「おら!!」

 

「はっ!!」

 

「剛兄さん、進兄さん…俺だって…まだまだぁ!!」

 

バースト、マッハ、ドライブの3人の猛攻で黒いドライブは一気に追い詰めれられていき…

 

「決めるぞ!!」

 

「おう!!」「はい!!」

 

『「ヒッサーツ!!フルスロットール!!トライドローン!!」』

 

『「ヒッサツ!!フルスロットル!!マッハ!!バースト!!」』

 

「「「はぁぁぁ……デリャァァァァァ!!!」」」

 

バースト、マッハ、ドライブの3人のライダーキックが同時に黒いドライブに決まり、そのまま一気に押し切っていき…

 

ドォォォォォン!!!!!

 

黒いドライブは爆散し、その破片がデータ(・・・)となって消えていく。

 

「(やっぱり…)とりあえずこれで…!!」

 

黒いドライブを倒して安心と思ったのもつかの間、クリムの人格が表に出たタイプトライドロンがマッハとバーストに襲い掛かる。

 

「センメツスルノダ、スベテ…センメツスルノダ」

 

「くっ…なんつー殺気だ…」

 

「これまでとは比べ物にならないくらい…強い…!?」

 

グググ…とマッハとバーストはトライドロンに首を絞めて宙づりにされる。

 

「進兄さん…クリム…おじさん…」

 

「くそ…どうすれば…」

 

そのタイミングでブン!!と腕を振るいマッハとバーストを別々の方向にとばし、その衝撃でマッハの変身は解除されてしまい、そのマッハに対してドライブはフォーミュラー砲を構える。

 

フォーミュラー砲にエネルギーが充填されていくが…

 

「やめろベルトさん!!やめてくれぇ!!!」

 

進ノ介の必死の行動がフォーミュラー砲を上空へと構えさせてそのまま発射させ、そのまま変身が解除される。

 

==========

―――一方、チェイサー

 

敵の攻撃に対し、ライドクロッサーにブースタートライドロンを合体させてブースターライドクロッサーにしてそこから射撃をして敵の動きを怯ませる。

 

「はぁ!!」

 

その上に飛び乗り、シンゴウアックスにシグナルチェイサーを装填し…

 

『「ヒッサツ!!フルスロットル!!」』

 

ブースターライドクロッサーで敵の操縦する重機の腕をブースターのファンで破壊しつつアクロスブレイカーを発動させ、そのまま敵を両断するが…

 

「くぅっ!!」

 

爆発の衝撃でシンゴウアックスを手放してしまい、シンゴウアックスはそのまま飛んでいってしまう。

 

しかし、飛んでいった方向でドライブ達が戦っていたのでそのまま向かうことにするのだった。

 

==========

―――ドライブ達サイド

 

チェイサーがそこに駆けつけると変身が解除された進ノ介がシンゴウアックスを手にクリムのほうに向かっているのを見、その反対側に龍哉がいるの見つけて…

 

「龍哉!!進ノ介を止めろ!!」

 

「分かって…ぐぅ!!」

 

「!!まさかさっきので…進ノ介、やめろ!!」

 

「あんたのせいで最悪な未来が来る…それを止めるためには…これしかないんだ…」

 

「頼むよ…進ノ介…」

 

「クリムおじさん…く、くっそぉぉぉ!!」

 

龍哉が気合を入れて立ち上がり、進ノ介がクリムを破壊しようとするのを阻止しようとするが…

 

「うあァァァ!!」

 

それよりも早く、シンゴウアックスがクリムへと振り下ろされる…

 

「ありがとう、進ノ介…」

 

そして、その一撃でクリムの意識が入ったドライブドライバーは破壊される。

 

「あ…」

 

「く…」

 

しかし、そこに…

 

ザッザッザ…龍哉のいる方向から足音が聞こえてきてそっちに顔を向けると…

 

「なっ…」

 

「彼は…いったい…胸に銃撃の後が…確実に心臓直撃の即死コースのはずだ…」

 

「あいつ、さっき進兄さんと一緒に居た…しかも、進兄さんの事「父さん」って」

 

「!?いったい、どういうこと!?」

 

「俺が聞きてえよそんなこと!!」

 

「エイジ…」

 

「「エイジ?」」

 

「だが、いったいどうして…」

 

「相手に嘘を信じさせるには…真実の中に2割だけ虚構を混ぜること…」

 

「虚構…だと…」

 

「詐欺師の手口だな…」

 

「そう、そしてその虚構とは…クリムが未来でロイミュードを使って世界をしようとする事、そして…僕が泊エイジだという事さ」

 

「なっ」

 

そう言うと白服の青年―エイジ―の姿が一瞬ロイミュード108に切り替わり、その後元に戻る。

 

そしてその横に先程3人がかりで倒した黒いドライブが現れる。

 

「嘘だろ…さっき俺達が倒したのに…」

 

「こいつは未来のドライブ、遠隔操作である程度の戦闘は行える」

 

「やっぱりか…手ごたえはあったけど、シグナルライトニングの攻撃は中の人間にも多少なりともダメージは通る…でも平然としていた時点でそのことは予測していたが…まさか未来のとはな」

 

((予測してた、と言うより見抜いてただな))

 

「覇月龍哉、泊進ノ介…君達はここで消えてもらう…僕らロイミュードの未来のためにね」

 

「…クリムおじさん、そして俺と進兄さんの命を狙って来たってことかよ」

 

「そういうことだよ」

 

そう言うとロイミュード108はドライブドライバーを電子プログラムから具現化させ、左腕のシフトブレスに黒いシフトカーを装填すると…

 

「変身」

 

『「ドライブ!!タイプネクスト!!」』

 

その音声と共にロイミュード108は黒いドライブに変身する。

 

「ダークドライブ…そして…」

 

右腕を上げるとそこに高密度のエネルギー弾が生成され…

 

「これで終わりだ」

 

その言葉と共に射出される…しかし…

 

「なめるな!!」

 

先程気合で―一時的なものかもしれないが―力を回復させたバーストが金色に輝き…

 

「俺のこの掌が輝き吠える!!仲間の、大切な人達を守れと雄たけび上げるぅ!!爆裂(バァァァクレツ)!!バァァァストォォォフィンガァァァァァ…」

 

腰だめの状態なり…

 

「石破!!天驚拳(テンキョォォォケェェェン)!!」

 

「よし!!」

 

「これなら!!」

 

「…いや!!」

 

吹き飛ばせると剛と進ノ介は思ったが、バーストの体の状態に気が付いたチェイサーは無理だと分かった、そしてチェイサーの予測通り…

 

「ぐ、ううぅぅぅ!!」

 

2つのエネルギー弾は拮抗していたが…徐々に、徐々にだが石破天驚拳の方が(・・・・・・・・)押され始めていた。

 

「龍哉!!」

 

チェイサーが龍哉の援護をしようと駆けつけようとするも…

 

「く、ぐぅああ!!」

 

バーストの方が耐え切れず、そのまま押し切られて、その場で爆発する。

 

その爆発の規模は大きく、ほぼ全員が巻き込まれる。

 

しかし、バーストが巻き込まれた瞬間…青い何者かが彼を連れ去っていった…

 

そして、それを見ていたのは少し遠くにいた霧子、追田だけだった…

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第二十六回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

吉田「ゲストの吉田大成だ」

龍哉「吉田君とは寺坂君の例の事件の時が初めてだったよな」

陽菜「あ~でもそれって村松君もだよね」

吉田「まぁ、渚の事件に加担してたからな…」

龍哉「うん、ぶっちゃけ反省と言うか後悔しているのを知らなかった」

陽菜「教えてくれたのは?」

龍哉「殺せんせー」

陽菜・吉田「やっぱり」

龍哉「ついでに村松君もね、だからあん時声かけたんだよ」

陽菜「は~殺せんせーさすがだね」

龍哉「全くだ…本題に行くよ」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、吉田君が変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダーアクセル(原作:仮面ライダーW)

龍哉「仮面ライダーWに登場する照井竜がアクセルドライバーとアクセルメモリを使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜「チョイス理由は?」

吉田「バイクか?」

龍哉「そ、このネタ考えてわりと簡単に浮かんだメンツの1人」

吉田「おいおい」

陽菜「私はヒロイン確定してからだもんね」

龍哉「アクセルはドライブのVシネマにも出てるし、単独のVシネマもある、平成2期のサブライダーでは結構優遇されてるんだ」

陽菜「…吉田君には豪華じゃない?」

吉田「ひでえな」

陽菜「だって仮面ライダーのなかでは数少ない婚姻者なんだよ」

吉田「マジで!?」

龍哉「うん、ちなみに事実婚含めてしている、もしくはすることが確定している仮面ライダーは以下のメンツだ
 ・加賀美新(仮面ライダーカブト(劇場版))
 ・野上良太郎(仮面ライダー電王)
 ・桜井侑斗(同上)
 ・紅音也(仮面ライダーキバ)
 ・紅渡(同上)
 ・名護啓介(同上)
 ・泊進ノ介(仮面ライダードライブ)
 ・天空寺タケル(仮面ライダーゴースト)」

陽菜「意外と多い!?」

龍哉「といっても映画や本編で結婚シーンがあった、もしくは子供もしくは孫が登場している人を挙げただけだけどね」

吉田「でも仮面ライダー全体で見ると…アクセル以外はなんか時間移動に関係するネタに関わった仮面ライダーが多いな」

龍哉「作者も気づいてびっくりしたみてーだ…それではこれで今回は終了、次回は村松君だ」

龍哉・陽菜・吉田「それでは次回もお楽しみに!!」


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サプライズ・フューチャーの時間:2時間目

構成を作って言ったら全3編となりました、その中編です。

この後にはドライブサーガを予定しています。

その後、皆集まって練習後、夏休み暗殺に入る予定です。


―――とあるどこか

 

「…ん」

 

そこのソファらしき座席に治療さして寝かされていた龍哉が目を覚ました。

 

「ここは…」

 

「おや、目を覚ましたようですねぇ」

 

「…あなたは…」

 

「初めまして、私はこの列車のオーナーです」

 

「列車…さっきから微弱な振動を感じるはず…って列車!?」

 

「はい、外をご覧になりますか?」

 

「勿論…って荒野!?嘘だろ、なんで!?俺さっきまで変電所につながる工事現場に居たはずだぜ!?」

 

「では、状況をある程度認識して貰えたようですので説明をいたしましょう」

 

「…お願いします」

 

「まず、あなたの前に現れたドライブが、未来から来たドライブと言うのは分かっていますね」

 

「ええ」

 

「そして、その攻撃から石破天驚拳を打って仲間を護ろうとした、そこまでも大丈夫ですね」

 

「はい」

 

「では、その爆発の瞬間、何者かに浚われたのは?」

 

「…確かに、誰かに…バイクか何かに乗った誰かに腕を引かれたのは覚えている」

 

「では、まずはその人に登場してもらいま「おいオーナーのおっさん!!いつまで待ってりゃいいんだよ!!」」

 

「赤鬼!?」

 

「ほらほら先輩、急に出て言ったらダメだって、強面なんだから」

 

「せやな、初対面の相手にはきついんやないか?」

 

「モモタロスのバーカ」

 

「ンだとてめえら!!」

 

オーナーと言う人の話をぶった切って入ってきた赤、青、黄、紫の異型の存在に、龍哉が驚き、ソファから転げ落ちそうになるが…

 

グ、と誰かに支えられる。

 

「と、ありがとう」

 

「うん、大丈夫だった?師匠(センセイ)

 

師匠(センセイ)!?」

 

「ちょっと幸太郎、自己紹介もなくいきなりそう言う事言ったら混乱するでしょう」

 

「そうだよ、ちゃんと挨拶しないと」

 

「あ、ごめん、じいちゃん、ハナさん」

 

「…取り敢えず、全員落ち着いてくれないか?」

 

「あ、うん、そうだね、モモタロス達、落ち着いてぇ!!」

 

「うるせぇぞ良太郎!!」

 

「それはあんた達よ!!いい加減にしなさい!!」

 

ゴッ!!バキッ!!ガスッ!!メキッ!!

 

「相変わらずすごいな、ハナさん」

 

「…すっげぇデジャブ」

 

師匠(センセイ)がいると日常風景に近いからそんなに違和感が…」

 

「…取り敢えず、落ち着いたようだな」

 

その後の話し合いで…

 

「つまり、そこにいる幸太郎君は未来の俺の弟子、それとそちらの良太郎さんは俺よりも先に仮面ライダーになった方で、先程騒いでいた4体は良太郎さんの仲間、ハナさん?ちゃん?はいずれ生まれる良太郎さんの姪御さん…これでいいですか?」

 

「うん、それであってるよ」

 

「そして、俺達がいるのは時の列車デンライナーという列車の中で、時間をある程度自在に移動できる、か…」

 

「そう、それで俺達は時間移動した奴がいるって聞いて追いかけてきたんだ」

 

「そうか、そしてそいつがさっきまで俺達とやり合ってたやつ、という事か」

 

「ええ、そして奴は本来の時間軸とは(・・・・・・・・)別の時間軸から来ているのよ(・・・・・・・・・・・・・)

 

「なんですって!?」

 

「うん、本来の歴史なら師匠(センセイ)も泊さんも死なないし…そもそも師匠(センセイ)定年超えてるのに孫と親子に間違われるくらい若々しいし」

 

「(ある意味今の俺の祖父ちゃん達以上の存在になってないか?俺…)しかし、奴がいるってことは…」

 

「うん、今未来はそっちに繋がり掛けてる、僕らはそれを止めるために君を助けたんだ」

 

「…でも、どうやって?奴の狙いは………まさか、過去と、未来のロイミュード108の融合!」

 

「うん、それがなされると永遠のグローバルフリーズが起きる、それを止めてほしいんだ」

 

「…今の時代の仮面ライダーは俺達、俺達でないと決着は付けられないという事か」

 

「そう言う事です、そして、彼を倒す切り札を、用意しました」

 

「切り札?…!!」

 

オーナーが用意したという切り札、それが世界の命運を分ける。

 

==========

―――ドライブピット

 

龍哉はデンライナーから直接ここに下りた、というより、正確に言うならドライブピットにつながる扉からここに来た。

 

「事情とかは分かったし、進兄さん助けるためにも…」

 

運び込まれているトライドロン、ライドブースター2台とシフトカーたちを見て…

 

「いっちょやってやりますか!!」

 

トライドロンがクリムなしでも動くように、ライドブースターを動かせるように、シフトカーたちが戦えるように準備するのだった。

 

==========

―――8月6日

 

この日、進ノ介はクリムから渡されていた手紙から旧ドライブピットに訪れ、それを読んでいた霧子からこっそりトライドロンキーをもらうも、ダークドライブからの襲撃を受ける。

 

進ノ介はプロトタイプトライドロンに乗り込みその場を脱出し、霧子は真実を報告しに警視庁へと戻る。

 

そして、霧子、本願寺、追田らの説得により、ようやく警視庁も進ノ介を援護する動きとなったが…

 

しかし、決定がなされても進ノ介の居場所が分からなければどうしようもない、どうすれば…と言うタイミングで

 

「霧子」

 

「チェイス!!もう大丈夫なの?」

 

「動く分には問題ない、今はどうなっている」

 

「泊さんを援護することが決まったんですけど…」

 

「進ノ介君の居場所が分からないからどうしようもないんじゃないかってところね」

 

「なるほど…警視庁はともかく、お前達が進ノ介を援護することは分かっていた、という事か…」

 

「どういうこと?」

 

「龍哉からの伝言だ、「全部調整したから、進兄さんの援護、先行くね」だそうだ」

 

「それって…」

 

「龍哉は俺の治療と並行してトライドロンとライドブースターをクリムがいなくとも十全に動かせるようにしてシフトカーとシグナルバイク達を戦えるようにした」

 

「うそ、ちょっとまって、龍哉君も相当なダメージを受けているはずよ…しかもそんなことしてたんなら、ほとんど寝てないなんじゃない、あの子!?」

 

「「「!?」」」

 

「龍哉曰く、「どうせ上の連中は自分のメンツだけ(・・)を保つことだけ考えて仲間どころか本来守るべき市民すら見捨てる形になるだろうから、俺達が頑張んなきゃ」だそうだ」

 

「っておい!!あいつまだ中坊だろ!?」

 

「『!?』」

 

「龍哉ちゃん…彼もまだ、本来は守られているべき対象のはずですのに…どうしてそこまで…」

 

「それもこういっていた「いろんな人の笑顔と明日を護る戦える力があるから、やれるだけの事をやるだけだ」と」

 

「…そうですか、では、私達も行きましょう」

 

「はい!!」「おう!!」

 

「機動部隊、彼らに続け!!警察の誇りに掛けてこれ以上の蛮行を許すな!!」

 

「『はっ!!』」

 

==========

―――某道路先

 

そこでは進ノ介がダークドライブとデコトラと融合した未来のロイミュードに追い詰められ、脱出ポッドのように使っていたプロトトライドロンの運転席まで破壊されてしまう。

 

とっさにドライブ超デッドヒートに変身して衝撃を緩和する。

 

「くっ…(ここまでか…)」

 

それを見てダークドライブはもう用がないとばかりに去っていき、とどめと言うかのようにデコトラのロイミュードが襲い掛かるが…

 

キュキュキュキュキュ!!

 

フィイイイイ!!

 

上空からブースタートライドロン、地上ではバーストストライダーとシフトカー達がデコトラのロイミュードに攻撃する。

 

「トライドロンにシフトカー!?それにバーストストライダーってことは…」

 

ブースタートライドロンがドライブをかばうように着陸し、その周りにシフトカーが来る。

 

そして、ブースタートライドロンの運転席からバーストに変身した龍哉が下りてくる。

 

「これは…龍哉!?どうして、と言うかどうやって!?」

 

「昨日の夜から調整しておいたんです、チェイスの方も戦闘は無理ですが動けるまでにはしたから、伝言も頼んでるから霧子姉さん達も来てくれます…あ」

 

「噂をすればか…って」

 

「…まさか霧子姉さん達毎…」

 

バーストがどうするか迷っていると、警察の機動部隊が下りてきて銃を構え、一斉に銃撃した…デコトラロイミュードを!!

 

「「!!」」

 

「泊さん!!」「龍坊!!」

 

「霧子!!」「現さん!!」

 

「警察上層部も、ようやく理解したみたいですね」

 

「とはいっても、龍哉君の言っていたことはかなりきつかったんだけど…」

 

「ま、ある意味間違ってなかったけどな」

 

「いってください、泊さん」

 

「うん、トライドロン使って…追って、ダークドライブを!!あいつは、俺が引き受けます!!」

 

「…すまない!!」

 

そう言うとドライブはトライドロンに乗り込み、ダークドライブを追いかける。

 

「それじゃ…行くぜ!!」

 

龍哉がデコトラロイミュードと戦闘を開始した…

 

==========

―――某施設近く

 

「くっ!!」

 

バーストは昨日から続く無理無茶により、パッと見は普通でも中身はボロボロであり、本来なら問題ない状況でも苦戦してしまうのだった。

 

「くそっ!!やっぱり龍坊の奴、かなり無茶してやがったな…いつもと動きが違い過ぎる」

 

「龍哉君…」

 

「…まだまだぁ!!」

 

バーストも反撃するが、体がうまく動かず、殴り合うような状態になっている。

 

「ちっ…奴をたおすにゃパワーが足りねぇ…」

 

「くそ…お前等!!もっとよく狙え!!龍坊を援護するんだ!!」

 

「しかし、敵ロイミュードは完全に仮面ライダーバーストの陰になっていて…」

 

「まさか野郎…」

 

「違います、龍哉君が私達に攻撃が来ないよう、常に正面に立ってくれているんです」

 

「『!!』」

 

「グッ!!」

 

バーストは良い一発をもらってしまい、その衝撃でついに変身が解除されてしまう。

 

「「龍坊(龍哉君)!!」」

 

しかし、龍哉の戦う意思は消えない、ロイミュードの方を向き、立ち上がろうとする。

 

「なめんなよ…お前相手に…グッ」

 

だが蓄積されたダメージにより、膝をついてしまう。

 

そして、そんな龍哉にとどめを刺そうとロイミュードが迫るが…

 

「うおぉぉぉ!!はぁ!!」

 

青い仮面ライダーが銃剣を振るい、ロイミュードを攻撃する。

 

「!!幸太郎か!!」

 

「大丈夫?師匠(センセイ)

 

「「師匠(センセイ)?」」

 

「ああ」

 

「(でもどう見ても強がりだよね)それに、俺1人じゃないし」

 

「何?」

 

そう言うとオレンジ色の目玉のような陣が空中に現れるとそこからパーカーを来た黒い戦士が現れる。

 

流石にそれにはロイミュードも驚く。

 

「な、なんなんだ、お前らは!!」

 

「俺?俺は仮面ライダーNEW電王、さっきまであんたと戦ってた人の弟子だよ」

 

「俺はゴースト、仮面ライダーゴースト」

 

「「ゴーストに、NEW電王!?」」

 

「…NEW電王はともかく、ゴーストって…」

 

「行くよ」

 

「ああ」

 

そのまま、2人は次々に攻撃を繰り出していき、一気に追い詰めていく。

 

「龍哉君」

 

「おい、大丈夫か?」

 

「大丈夫です…こいつもあるし」

 

「マッドドクター…って、体力は回復しないわよ!!」

 

「マジで!?」

 

「それより、あいつらの事、知ってんのか?」

 

「NEW電王は正しい未来(・・・・・)から来た俺の未来の弟子、動きみりゃ真実って分かったけど、ゴーストは…知らない」

 

「そうか…って未来!?」

 

「俺達の先輩仮面ライダーに歴史改編とかを防ぐために戦う人達が居たみたい」

 

「それって、もしかして…」

 

「嬢ちゃん、心当たりあんのか?」

 

「はい、1人だけ…でもそういう話は聞いたことが…」

 

「まぁ、言わないでしょうね、そんな突拍子もない事」

 

「確かにな」

 

と、そこに…

 

『「カイガン!!ニュートン!!リンゴガマッカーヒキヨセマッカー!!」』

 

「変身した!?」

 

「ニュートン…引力の法則は発見した物理学者ですね…偉人と言われる人でもあります」

 

そんな龍哉達の驚きもよそに、ゴーストが別の姿になり、敵を引き寄せていく。

 

「合わせるよ『「フルチャージ」』」

 

『「ダイカイガン!!ニュートン!!」』

 

「え、う、うおぉぉぉ…」

 

「おぉぉぉ、「はあ!!」」

 

「グおおおおおお!!」

 

ゴーストの引き寄せからのパンチとNEW電王のライダーキックを同時にくらわせ、最後のロイミュードを破壊する。

 

「それじゃね」

 

師匠(センセイ)、また未来で!!」

 

そして破壊しきったのと同時に2人は別れの言葉と共にすぐに去っていった…

 

「なんだったんだ…」

 

「…俺らを助けに来てくれた、それだけですよ」

 

「そうか…まあそうだな」

 

「…泊さんの方に行きましょう」

 

「ですね」

 

そうして霧子と龍哉は進ノ介の方に向かい、追田は機動隊と共に引き上げるのだった。

 

==========

―――某施設内

 

そこにつくと龍哉と霧子は上空に上がっていく何かを見つける。

 

「!!あれは…」

 

「ドライブドライバー…108の使っていた奴か…それと…トライドロンキー!?」

 

「あ!!泊さん、もしかしてあのドライブドライバーにトライドロンキーのデータを移して…」

 

「!!クリムおじさんを復活させるのか!!それなら、スピード!!ワイルド!!テクニック!!フォーミュラ!!」

 

ドライブドライバーの方に向けて龍哉が変身に使うシフトカー達を走らせる。

 

そして、雷のエネルギーとトライドロンキー、シフトカー達のデータから…

 

「どうなったの?」

 

「早くいきましょう!!」

 

そして、2人が向かった先にいたのは…仮面ライダードライブタイプスピードに変身している進ノ介と…それと会話しているクリムの姿だった。

 

「良かった…」

 

「これで一安心…でも、奴は…強い」

 

「うん…あ」

 

「霧子姉さん、それって、あいつの使ってたシフトカー?」

 

「…これを…」

 

「!そうか、なら霧子姉さん、こいつのデータ使って!!」

 

「え、このシグナルバイク…見たこと…」

 

「マッドドクターで調整終わったら、シフトカーを進兄さんに、シグナルバイクを俺に、剛兄さんを安全な場所に移動させたら俺も行くから、お願いね!!」

 

「龍哉君!!…マッドドクター、お願いね、あなたも」

 

霧子がそう言うと見たことないシグナルバイクが使えるデータをマッドドクターにインストールし、インストールされたデータを基にマッドドクターが黒いシフトカーのチューニングを開始した。

 

その一方で…

 

「剛兄さん、大丈夫…じゃないよね」

 

「まぁ…ちょっと休めば大丈夫さ…それより」

 

「うん、ここなら大丈夫だと思う、俺も行くね!!変身!!」

 

『「シグナルバイクシフトカー!!ライダー!!バースト!!」』

 

「オオ!!」

 

「「龍哉!!」」

 

「行くよ、進兄さん、クリムおじさん!!」

 

「ああ!!」「OK!!」

 

「ふっ…1人増えたところで無駄な事…まもなくだ…永遠のグローバルフリーズを私が起こす!!お前達のような石ころにはどうにもできない!!」

 

「だがその石ころが正義の塊なら、躓いた悪の道は変わるかもしれない!!」

 

「そして未来を決めるのはてめーじゃねえ…俺達だ!!」

 

バーストとドライブが攻撃を仕掛ける…しかし、ほぼ対等という状況であり、時間だけが過ぎていきついに…

 

「ふははは!!時間切れだ…これで…終わりだ!!」

 

そうロイミュードが言った瞬間、ロイミュードを中心に重加速現象が発生し、その重加速粒子を浴びたものは皆…

 

(完全に…止まっちまった)

 

(くそ、動け、俺!!動け!!動くんだ!!あいつらに…陽菜と一緒に、あの子に会うために!!)

 

動けなくなっていき、さらにその粒子はその場だけでなく全世界に広がっていった…

 

だが、いつでも希望は存在している…未来へとつながる希望は…残っている…!!!

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第二十六回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

村松「ゲストの村松拓哉だ」

龍哉「実は正義の方がすさまじかったら話題に上がってないが、お前も名前で苦労しそうだよな」

陽菜「あ~某有名人と同じだもんね」

村松「はっきり言えばそれからとったんだよな…昔学校の宿題で自分の名前のルーツ聞くってあってそれで…」

龍哉・陽菜「うわぁ…」

村松「そう言う覇月のルーツはなんだよ」

龍哉「俺は祖父ちゃん伝で聞いたんだが、母さんが(俺を)身籠っているときに龍が宿るの夢を見たから、らしい」

陽菜「えぇっ!?」

村松「作者設定つけすぎだろ!!ていうか三国志の劉禅じゃねーか!!」

龍哉「作者曰く元ネタはそれらしい…本題に行くよ」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、村松君が変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダーネクロム(原作:仮面ライダーゴースト)

龍哉「仮面ライダーゴーストに登場するアランがメガウルオウダーとネクロムアイコンを使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜「チョイス理由は?」

村松「共通点思い浮かばねー」

龍哉「まずは面倒見のいいところ」

村松「あ~イトナが合流した後か…ここの本編じゃまだ描写ねーけどな」

陽菜「確かに、原作のアランさんも幼少期の深見兄弟の面倒見てたもんね」

龍哉「後は引き立て役に近いところだな、それと要所要所で活躍するところ」

陽菜「…ピッタリ感半端ないね」

村松「納得してしまっている自分がいるぜ…」

龍哉「ちなみにゴーストの中でも作者は結構アランはお気に入りらしい」

陽菜「あれ~、なんか本編に出てきそう」

村松「ドライブとつながってるんなら…出てきてもおかしくないな」

龍哉「作者曰く「予定あり」だそうだ…それではこれで今回は終了、次回は寺坂君だ」

龍哉・陽菜・村松「それでは次回もお楽しみに!!」


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サプライズ・フューチャーの時間:3時間目

今回でまず映画は終わりです。

次はVシネマです。

そして『祝!!電王10周年』を記念して前回には電王メンバーを出しました。

ぶっちゃけ、電王出てくると思ってたんですよ、春の映画でデネブ達が出てきたから…

ではお楽しみください!!


―――地球上

 

ある一点を中心に重加速粒子が平がっていき、次々と人が、モノが、静止していった…

 

その中心にいるロイミュード―のちにパラドクスロイミュードと名付けられる―以外は…

 

かと思われたが、唯一の例外がいた、それは…

 

==========

―――少し離れた未来のトライドロン

 

そこのボンネット上では、1台のシフトカーが動いていた、その名は…マッドドクター

 

なぜ止まらないのか、その答えは単純、ただ単にパラドックスロイミュードの影響を受けないシグナルバイクとシフトカーがそこにいるからだ…

 

そして、全世界が停止し始めてさほど時間をおかず、マッドドクターによるチューニングが完了しシグナルバイクとシフトカーがその場から走り出す…

 

その時に…

 

「父さん!!」「パパ!!「あなた!!」」

 

青年、少女、女性の幻影が声をかけて投げ渡すのが見えた…

 

==========

―――ドライブ、バーストサイド

 

パラドックスロイミュードによって動きを止められてしまった人類の希望である2人の仮面ライダー…

 

しかし、静止しているのは肉体だけなのでその心は、人々を護るという意志だけは止められていなかった…

 

そこに、その意志に答えるように、2人の元にシフトカーとシグナルバイクが駆けつけた!!

 

シフトカーはシフトブレスに入っているシフトスピードを、シグナルバイクはシグナルシフトバーストをバーストドライバーから外してその場に自分が収まる。

 

それにより…

 

「「ッ!!!」」

 

「バカな、なぜ動ける!!」

 

「教えるわけがないだろ、ど阿呆が…」

 

「ああ…行けるか、龍哉」

 

「勿論です」

 

そう言うと2人は変身するために構える…

 

と同時に進ノ介は左側を、龍哉は右側を見る…そこには先程の幻影として現れていた青年、エイジと…

 

(お前達の居る未来に、必ずたどり着く、だから…待っててくれ、陽菜…龍奈)

 

デンライナーの中でオーナーが用意した切り札…シグナルバイクを渡してくれた未来の妻と娘がいた。

 

互いに頷きあい、進ノ介と幻影のエイジは同じ変身ポーズを、龍哉は2人に見守られて変身ポーズを取り…

 

「「「変身!!」」」

 

『「ドライブ!!タイプ!!スペシャル!!」』

 

『「ライダー!!バースト!!次元覇王(ディメンショナリティー)!!」』

 

ドライブはダークドライブをベースに、赤いラインの入ったタイヤ、ベーススーツは稲妻のような模様が入っている。

 

バーストは手甲、足甲がシンプルな形になり、膝、肩、肘には小型の球のラスピラズリ、胸には大型の球のラスピラズリが追加され、スカーフは3対から2対となると鳳凰の翼のような形に、加えて手甲と足甲には爪のような出っ張り、胸のラスピラズリの左右には牙のような装飾が付き、仮面のホーンは黄色と白の2対になり、フェイスガードは龍の顔を思わせる形になった。

 

「俺の息子のドライブ、返してもらった!!未来の分の怒りも食らいやがれ!!」

 

「未来で待っている人達が居るんだ…ここで立ち止まるわけにはいかない!!全力全開フルスロットルだ!!」

 

「石ころ風情が!!」

 

「「うおおおお!!」」

 

ドライブは未来の技術を使ったシフトカーの能力でシンゴウアックス、ゼンリンシューターで次々と攻撃を繰り出す。

 

また、バーストは両腕の出っ張りが伸びて龍の爪となり、胸の牙の装飾が手持ちの刃の長いコンバットナイフへと変化して次々と切り裂いていく。

 

「進兄さん、これも使って!!」

 

「ああ!!っていいのか?」

 

「この状態だとどうやらコウリンブレードブラスター使えないみたいなんだ、でも代わりに!!」

 

そう言うとバーストのスカーフが炎の如く燃え上がり、滑空してパラドックスロイミュードの懐に飛び込むとスカーフから爪と牙に炎を纏わせて切り裂き、更に…

 

「ぜえぃ!!」

 

蹴りと共に足甲の爪を伸ばしてパラドックスロイミュードを突き刺す。

 

「ぐふ…な、なぜだ…なぜぇ…!!!」

 

「1人で戦い、信念も…何も…何も背負っていない奴に、人類の明日と希望を背負っている俺達を倒すことは出来ない!!」

 

「そうだ!!俺達の未来は、お前なんかに壊すことは出来ない!!」

 

「なにを…何をぉ…!!」

 

「「これが…その証明の一撃だ!!!」」」

 

下から深く踏み込んでドライブの右アッパーとバーストの左アッパーが同時にパラドックスロイミュードをはるか上空に殴り飛ばす。

 

「決めるぞベルトさん!!龍哉!!」

 

「ああ!!」

 

「はい!!」

 

『「ヒッサーツ!!フルスロットール!!スペシャル!!」』

 

『「ヒッサツ!!フルスロットル!!次元覇王(ディメンショナリティー)」』

 

ドライブとバーストの必殺技が発動し、未来のトライドロンが動き出し、空中へと飛び出し、超高速でパラドックスロイミュードの周りを覆い囲む。

 

バーストの方はスカーフが翼の様に炎と共に広がり、空高く跳躍し…パラドックスロイミュードの上空に到達する。

 

そしてドライブが下から、バーストが上空からパラドックスロイミュード目がけて…

 

「「はぁぁぁァァァ!!うおりゃぁァァァぁ!!!」」

 

バーストは翼の炎が右足に収束し、右足を高く振り上げて振りかぶって叩き付けて振り下ろすようにライダーキックを繰り出し、ドライブもまた右足に大量のエネルギーを収束させて上空目がけてライダーキックを繰り出す…

 

バーストとドライブのダブルライダーキックはジャストタイミングでパラドックスロイミュードを上下から同時に捕らえ…

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

空中で己の野望と共に爆散するのだった…

 

==========

―――後日公園

 

ここでは、あの日、護った人々が家族だんらんを楽しんでいた。

 

「護ったんだな」

 

「はい」

 

「俺達皆の力があったから、ですね」

 

「ああ、その通りだよ龍哉」

 

そこで、何かを思い出したかのように進ノ介がボロボロになったネクタイを取りだす、それは…

 

「泊さん、それは…」

 

「…もしかして、未来からの、ですか…」

 

「ああ…」

 

「だが、彼はロイミュードだった、君の息子ではない」

 

「…そうだな、でも、これに込められた思いは…本物だ」

 

「きっと、奴は未来で…本当の進兄さんの息子を殺して姿をコピー、そして彼の持っていたそれも奪い取ったんでしょうね…進兄さんを騙すために…」

 

「なるほどね…」

 

「そして、あいつの言ったことが本当であるなら、あの時言った2つのこと以外は全て本当ってことですね」

 

「本当の事、か…」

 

そう言うと進ノ介は隣にいる霧子の顔を見ると…突然噴出した。

 

「泊さん!?どうして私の顔を見て笑うんですか!!」

 

「い、いや…」

 

そのまま進ノ介が逃げ出し、霧子がそれを追いかける図になる…

 

「やれやれ…」

 

「ふふ、いつもの光景だね」

 

「そうだな、しかし、なぜ進ノ介は…」

 

「う~~~ん…クリムおじさん、108って母親の事って何か言ってた?」

 

「母親?う~~~む…たしか、こういっていたな「自分の母はいつも笑わず、たまに笑うのは父さんの話をする時だけ」、と…まさか…」

 

「…うん、俺も多分同じ結論に至ったよ…あれが痴話喧嘩にしかみえなくなっちゃった」

 

「私もだよ…」

 

「あれ無自覚だから空恐ろしいね」

 

「うむ…しかし、いつか、そのときが来るだろう」

 

「…それもそうだね…既に恋人もちの『先輩』としてのんびり見守りますか」

 

「そう言えばそうだったね」

 

そう言って顔を見合ってから進ノ介達の方を向いて笑う龍哉とクリム、そしてそれをたまたま見た進ノ介達が怪訝そうな顔をするのだった…

 

==========

―――ふれあい動物園前

 

あの後、龍哉はその足で陽菜乃との約束のデートの待ち合わせをしていた。

 

「…やばい、早く来すぎた」

 

ちなみに待ち合わせ時間は11:00なのだが、現時刻は…10:00、ちなみに先程の時間は9:00頃である。

 

「楽しみだったからな…それに…ここなら、殺せんせーもこれないだろうしな」

 

このふれあい動物園は東京の中心地から少し離れたところであり、人も多い上に遮蔽物がほとんどない、よって殺せんせーが自在に姿を隠すことが不可能になっているのだ。

 

「さて、時間をどうつぶすか「あ、龍君!!」陽菜?」

 

「もう来てたんだ」

 

「ああ、ってか陽菜もか」

 

「え?」

 

「時間…まだ1時間あるよ」

 

「え?…あ、本当だ…」

 

「ふふ、陽菜も待ちきれなかったんだ…俺と一緒だね」

 

「へ?…ああ、龍君も待ちきれなかったんだ」

 

「まあな…あと、その格好良く似合ってるよ…すごくかわいい」

 

「へ?………あ、ああありがとう(/////////)」

 

本日の陽菜乃の格好はスマホゲームの暗殺教室囲い込みの時間にあった薄ピンクの帽子に白のサマーニット、青のインナーに帽子より少し濃いめのピンクのミニスカート、同じ色のパンプスである。

 

※画像を見たい人は検索してみてね!!(by作者)

 

そして、龍哉があることに気が付く。

 

「ん、それって…」

 

「あ、うん、これ?」

 

そう言って陽菜乃が見せたのはバスケットだ、しかも人の食欲を刺激するいい匂いがしている。

 

「もしかして…」

 

「うん、私の手作りお弁当!!」

 

(誰か知らないけど、マジでグッジョブ!!)(←内心でガッツポーズ)

 

(よかった…お母さん、龍君のお祖母さん、本当にありがとう!!)

 

「と、もう開園してるし、行こうか」

 

「うん!!」

 

そう言うと陽菜乃は先に走り出す…と、止まって龍哉の方を振り向く。

 

「龍君!!早く早く!!」

 

それを見た龍哉の目には、もう一つ―この間の戦いの時に会った未来の陽菜乃とその間に生まれた娘の姿を見―が写り…

 

「ああ、今行く!!」

 

その姿目がけて走り出したのだった。

 

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第二十六回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

寺坂「ゲストの寺坂竜馬だ」

龍哉「俺がE組の生徒の中で一番仲良くないよな」

陽菜「寺りんの自業自得だから、龍君は気にしなくていいんじゃない?」

寺坂「てめえらな…(#)」

龍哉「まぁ、知る余地もなかったんだから、しょうがないといえばしょうがないんだがな…」

陽菜「とは言っても作者さんも最初の渚ちゃんの見て「暗殺?」と疑問に思ったらしいけどね」

寺坂「…まぁ、あれは悪かったって思ってるよ、その後の事もな」

龍哉「後悔も反省も猿でも出来る、重要なのはその後だ」

陽菜「その時の事を次にしないようにいかせるか、だね」

寺坂「わーってるよ、つか、俺の時だけ重くねーか?」

龍哉「しょうがないだろう、基本的に敵対気味の辛味しかないんだから…本題に行くぞ」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、寺坂君が変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダービースト(原作:仮面ライダーウィザード)

龍哉「仮面ライダーウィザードに登場する仁藤攻介がビーストドライバーとウィザードリングを使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜「チョイス理由は?」

寺坂「おい、あんまし人の話聞かねーで勝手に進めちまいかねないとこじゃねーだろーな?」

龍哉「ビンゴ!!」

寺坂「ど畜生!!」

陽菜「あ~「皆まで言うな」か~」

龍哉「まあ後は結局パワースタイルなところだな」

陽菜「…ピッタリ感あるね」

寺坂「納得しちまっている自分がいるぜ…」

龍哉「ちなみにだが、ウィザードともちょっと絡みがあったこと気が付いている人いるのかな?」

陽菜「もしかして、これのこと?」(ブレスレットを見せる)

寺坂「本編じゃないからって本当にやりたい放題だな!!」

龍哉「作者はここで少し遊ぶのが好きだからな…それではこれで今回は終了、次回は律だ」

龍哉・陽菜・寺坂「それでは次回もお楽しみに!!」


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ドライブサーガ/チェイサーの時間:1時間目

タイトルの通り今回からVシネマ「ドライブサーガ」です

この話まで終わらないと島の暗殺が上手く行かなくなるんです…

まぁ龍哉が頑張るのは決定事項ですけどね


―――東京都某所

 

ふれあい動物園でのデートを終えて龍哉は陽菜乃を誘ってある喫茶店に向かっていた。

 

「それで、どんな喫茶店なの?」

 

「ミルクディッパーってお店だよ、コーヒーがおいしいライブカフェだって」

 

「へ~」

 

「…もう少しだな…」

 

「あ。あれじゃない?」

 

「お、そうだな…あ、ちょっと待って」

 

「え?」

 

龍哉はそう言うと陽菜乃を電柱の陰に隠れさせる、そしてそこに…

 

「う、うわあぁぁぁ~~~」

 

「イよいしょっとぉい!!」

 

「わ!!わ!!…あ、龍哉君、ありがとう」

 

「大丈夫ですか?良太郎さん」

 

「うん、あ、そこにいるのが奥―じゃなかった、彼女さん?」

 

「……今のは聞かなかったことにします…後聞こえてない…みたいだな」

 

「あ、良かった…色々問題になっちゃうだろうし」

 

「ですね」

 

「龍君、その人は?」

 

「野上良太郎さん、この間の事件の時に世話になったんだ」

 

「へぇ~あ、私は倉橋陽菜乃です!龍君がお世話になりました」

 

「ううん、こっちも今助けてもらったし、2人はどうして?」

 

「今からミルクディッパーに行くところで…」

 

「(ああ、今日だったね)そうなんだ、僕も今行くところだったから…あ、自転車大丈夫だから先に行くね」

 

「あ、はい…行っちゃったね」

 

「(…良太郎さん、なんで恋人居ないんだろう…絶対モテるだろうに、あの空気の読めっぷり)気ぃ使ってもらったし、ちょっとのんびり行こうか」

 

「え?あ、うん!」

 

==========

―――ミルクディッパー

 

「いらっしゃいま…あ、龍哉君、陽菜乃ちゃん、来てくれてありがとう」

 

「はい、良太郎さん」

 

「あら、良ちゃんのお友達?」

 

「あ、姉さん、え~と、そんなところかな」

 

「そうなの、ゆっくりしていってね」

 

「あ、はい、お気遣いありがとうございます」

 

良太郎に先導されて席につく龍哉と陽菜乃…その席の近くにはハナと見知らぬ男性がいた。

 

龍哉達が席について何を頼もうかとメニューを開くと不意にその男性が声をかけてきた。

 

「こうして会うのは初めましてだな、覇月龍哉」

 

「こっちも進兄さん達から聞いてます、初めまして桜井悠斗さん」

 

「え?え?知り合い?」

 

「ん~、まぁ俺の方は知ってる人が多いのは…なぁ…」

 

「ニュースに顔つきで出てたもんね」

 

「それじゃあ、桜井さんの事どうして龍君は知ってるの?」

 

「俺が仲間になる前に春先に合った事件で進兄さん達が知り合って、その時起きたことを教えてもらったんだ」

 

「…それって、もしかしてなんか同じ時間に2つの出来事が起きたやつ?」

 

「「「!!!!????」」」

 

「どういうこった?」

 

「あのね、本来はその時間では私は桃花ちゃんとかと話してただけなのに、もう1つ…なんか黒ずくめの全身タイツに骨みたいな衣装が付いた人(?)達を従えた組織に支配されていた世界になっていたの」

 

「…確かに、春先って言ったらなんか変な波動みたいなの感じたな、んの後数日したらまた同じ波動を感じたな…その後、何度か同じ時間を繰り返していたような気もするな…まぁ、俺はほぼ影響のない場所にいたから何も変わったことに気が付かなかったのかもな」

 

「…野上、覇月はともかく、この子は…」

 

「…もしかしたら、龍哉君と一緒に居たからかもね、ここは正直に教えてあげよう、ハナさんもいい?」

 

「勿論よ(…まぁ、今日教えるのは決まっていたことだし)」

 

「じゃぁ教えてやる、覇月が何度か同じ時間を繰り返していた気がするっていう事についてもな」

 

「お願いします」

 

==========

―――良太郎&桜井&ハナの説明後

 

「…剛兄さん…」

 

「…そんなことがあったんですね…」

 

「しかし、まさか覇月の彼女()特異点だとはな…」

 

「「()?」」

 

「うん、ここにいるのだと僕とハナさんが同じ特異点なんだ」

 

「そうなんですか…」

 

「そう、でも侑斗は違って…」

 

「まぁなんか訳ありっぽいですね」

 

「そういう解釈でいい」

 

「分かりました」

 

「で、2人はこれからどうするの?」

 

「特に予定は…あ、良太郎さん、これを」

 

そう言うと龍哉はあの時の決戦で使ったシフトカーとシグナルバイクを良太郎に手渡す。

 

「え?何で?」

 

「それらは本来この時間には存在しません、進兄さん達と話して元の時間軸戻すのが言い、と決めたんです」

 

「そっか、分かった」

 

(まぁ、次元覇王(ディメンショナリティー)の方は今の(・・)俺では性能をフルに発揮できないから、ってのもあるんだけどね)

 

「この後はどうするの?」

 

「ここで一休みしたらデートの続きを…」

 

と、そこで携帯の音が鳴り響く、これは…

 

「陽菜…じゃない?」

 

「うん…あれ?お母さん?」

 

陽菜乃はかけてきたのが母親であることから、龍哉達に一言入れて席から離れた…直後に…

 

「今度は俺?って霧子姉さんか…失礼」

 

龍哉にも霧子から連絡が来て詫びえお入れて応対する…少ししたら2人ともすぐに戻ってきた

 

…ら、良太郎達よりも先に互いに恋人に向けて話し合う

 

「ごめんなさい、私、ちょっと行かないといけないところが…」

 

「俺も、ちょっと○○病院に…」

 

「え、龍君も?」

 

「陽菜も?」

 

「それじゃ、一緒に行ったら?」

 

「「そうですね、そうします」」

 

ハナに進められ、病院へ行くために龍哉と陽菜乃はミルクディッパーを後にした…

 

==========

―――○○病院病室

 

そこの近くに霧子と陽菜乃の母がいた

 

「お母さん!!」

 

「霧子姉さん!!」

 

「あら、龍哉君…そういえば、今日はデートだったわね」

 

((//////////))

 

「あ、ごめんなさい、呼び出しちゃって…あれ?龍哉君にはロイミュード出現情報は?」

 

「い、いや…気にしないでください…ん゛ん゛、さっき確認しましたけど届いていませんでした…しかしチェイ兄さんが守り切れないなんて珍しいですね」

 

「相手のロイミュード051がね、チェイスを倒そうと彼女を狙って右腕の火器を…」

 

(何でだろ、龍君がいたら問題なかった気がする)

 

「…そうなんですか…あれ?でもなんで陽菜や陽菜のお母さんが?」

 

「今回の被害者、田宮日奈子さんは…」

 

「陽菜乃のハトコなの」

 

「なるほど…でもこういうのって…」

 

「彼女達のご両親はすでに亡くなっていて、身寄りが姉弟しかないんです」

 

「…すみません、無神経に」

 

「知らなかったんだし、そう思うのは…」

 

「…そうはいっても、ある程度は予想すべきでした」

 

「まぁまぁ落ち着いて…今、弟の洋君もお見舞いに…あら?」

 

自身の迂闊な発言に落ち込む龍哉を倉橋親子が慰めているところに弟・洋が出てきた

 

しかし、龍哉達には見向きもせずに去っていった…

 

「どうしたんだろう…」

 

「霧子姉さん、俺らも…」

 

「そうね、行きましょう」

 

「あ、陽菜乃じゃああなたがお見舞いお願い」

 

そう言って、はい、と渡された見舞いの品…陽菜乃が受け取ると陽菜乃の母は弟・洋を追いかけていく

 

「…行こう、ちょっと嫌な予感するし」

 

「そうね」

 

龍哉達も病室に入ると、免許証を握りつぶしたチェイスがおり…

 

「「いやチェイス(チェイ兄さん)何やってんの!?」」

 

即座にその行為を突っ込んだのだった…

 

==========

―――翌日特状課

 

今回の事でロイミュード051のコピー元となった男について調査、及び犯行を目撃した女性の護衛をすることになり…

 

「で、進兄さんと霧子姉さん、剛兄さんが調査か…ま、警察の情報収集力と剛兄さんのフットワークの軽さを考えればそうなるよね…で」

 

「ああ、龍哉とチェイスが護衛だ」

 

「…でもチェイ兄さん大丈夫かな?田宮日奈子さんの弟さんに言われた事結構気にしてたみたいだし…」

 

「ああ、今朝もあの後私とりんなに『人間らしい感情が欲しい』と言ってきた位だからね」

 

「…何考えてんだろ…ああじゃないチェイ兄さんってチェイ兄さんらしくないよ…なんていうか…その…」

 

「「「「あ~まぁ、確かに…」」」」

 

何やら言いよどむ龍哉に言いたいことを察して納得する進ノ介達…しかし、事態は龍哉達の想像を超えた事態になっていたのだった…

 

それを証明する存在がこちらへ快活に(・・・)歩いてきて…

 

「やぁ皆今日は良い皆既日食だったね!!元気そうで何よりだよ!!!!」

 

そう言って快活に笑う

 

そしてそれを見た龍哉達は…

 

「「「ぶうぅぅぅぅーーーーーー!!!」」」

 

進ノ介、霧子、クリムが飲んでいたジュースを吹きだし、剛は進ノ介と霧子のそれを受け、龍哉は口を真ん丸にあんぐりあけて信じられないものを見る目になった…

 

「あ…ごめん」

 

「ごめん」

 

「あっはは、剛、大丈夫かい?」

 

心配して声をかけるが…

 

剛はあわただしく椅子を引いて立ち上がり、進ノ介、霧子と共に逃げるように立ち去ろうとする…が、チェイスも追いかける

 

「お前、どうにかしちまったんじゃないのか?」

 

「あはは、どこか変かな?俺?」

 

「変ではないけど、変じゃないけど、変!!」

 

「なんか無理してないか?チェイス」

 

「あはは、別に無理なんかしてないさ、俺はね、人間になれたんだよ」

 

「「はぁぁぁぁぁ~~~~~っ!!!???」」

 

「What!?」

 

ここでようやく事態が飲み込めた龍哉、クリムも復活し、龍哉もチェイスに詰め寄る

 

「で、実は頼みがあるんだけど…この間の被害者の弟君の面倒を明日見てあげたいんだ…捜査の方、頼めないかな?」

 

そう言って顔の前で両手を合わせて拝むように頼み込むチェイス…

 

「ね?ね?ね?お願いだよ、ね?」

 

このチェイスのしぐさに全員が未だに困惑しているが、龍哉は何とか気力を振り絞って答える

 

「チェ、チェイ兄さん…そもそも俺とチェイ兄さんは被害者の護衛…奴がチェイ兄さんへの復讐のためだけに彼女を狙う可能性もあるんだから…」

 

((((良く言った龍哉(君)!!!))))

 

「あ、そうなの…困ったなぁ~」

 

「…律と協力すれば、多分俺1人でも大丈夫だから…いいよ、チェイ兄さんはそっちに集中しても」

 

「いいのかい!?本当に!!ありがとう!!今度借りは必ず返すね!!じゃね!!」

 

そんなチェイスにさすがに剛が殴りかかろうとしたがあっさり躱され、霧子が呼び止めようとするのを龍哉が腕を掴んで首を振って止める…

 

「チェイス…」

 

(いいぞ…これなら俺は人間と変わらない!!)

 

そんなチェイスを見送り…

 

「何今の自然な会話…逆に気持ち悪ィ…」

 

「あれは外見はチェイ兄さんだ…でも、心に何か別のがとりついてる…」

 

「どうしちまったんだろうな…チェイスの奴」

 

「彼の事は、私と龍哉に任せてくれたまえ」

 

「え?俺も?」

 

「ああ、君のチェイスの修理には問題ない…だが、どうにも気になることがある…その調査には」

 

「普段から一緒に居る俺の助けか…分かったよ、クリムおじさん」

 

「すまないね」

 

「いいさ」

 

その後、チェイスが病院に行く事が分かったので龍哉は慌てて追いかけるのだった…

 




龍哉「あとがきコーナー・第二十七回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

 律「ゲストの覇月律です」

龍哉「律はまたとんでもない経歴だよな、この作品だと」

陽菜「あ~元々龍君のわがまま叶えるためにお母さんが作って盗まれて…」

 律「で、お祖父ちゃん達のおかげで帰ってこれました!!」

龍哉「しかもパワーアップしてな…」

陽菜「私としては付き合い始めた直後の方が印象深いけどね…」

 律「すみません、まだ結婚していないのにお義姉ちゃんと呼んでしまって」

龍哉「気が早すぎるわ…もっとも、本編ではもうそうなること決まってるけどな」

陽菜「前回までので大っぴらにしちゃったもんね」

 律「私としては陽菜乃さんみたいな人と家族になるのは大歓迎です!!」

龍哉「(あと残ってる障害がほぼ陽菜乃のお父さんだけになったな…)本題に行くぞ」

『もしもE組生徒が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、律が変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダー電王(原作:仮面ライダー電王)

龍哉「仮面ライダー電王に登場する野上良太郎がデンオウベルトとライダーパスを使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜「チョイス理由は?」

 律「変身者が本編に出ていたけどいいの?」

龍哉「問題ないよ、それ言ったら大河なんて両方出てるし…で、チョイス理由はさまざまなキャラを演じ分けれるところ」

 律「なるほど、色々と勉強してますから!!」

陽菜「あ~後はもしかして皆の携帯に入り込むのをイマジンの憑依と考えたの?」

龍哉「そう、ちなみに射撃はデンライナーでの一斉射撃からだ」

陽菜「ああ~、あれは確かにそんな感じだね」

 律「とってもいいチョイスだと思います!!」

龍哉「ちなみにだが、電王は意外と使いやすいから今後ももしかしたら出番はあるかも知れん」

陽菜「それって作者さんの気分次第なんじゃ…」

 律「後情報によると、作者さんは平成二期の仮面ライダーはどれもお気に入りだそうですよ」

龍哉「…なんか春のライダー大戦みたいになりそうだな…それではこれで今回は終了、次回は烏間先生だ」

陽菜・律「E組生徒じゃないのに!?」

龍哉「無論、次のゲストの時はタイトルが変わる」

龍哉・陽菜・律「それでは次回もお楽しみに!!」


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ドライブサーガ/チェイサーの時間:2時間目

また約3か月ほど投稿期間が空いてしまいました…

リアルが忙しかったうえにPCのDVDドライバが故障して修理に出してたので…

ではドライブサーガの中編スタートです。


―――病院、病室

 

先日ロイミュードによって負傷させられた田宮日奈子の病室にはその見舞いに来た倉橋親子と護衛役の龍哉と…

 

「洋君、昨日はごめんね、イライラしていてね…お詫びと言っては何だけど…これ。受け取ってもらえないかな?」

 

洋に昨日の昨日の態度を詫びつつプレゼントとしてバスケットシューズを送るチェイスがいた

 

「(小声)龍君、チェイスさんどうしたの?」

 

「(小声)さっき特状課であった時からあんな感じ…マジで俺達も困惑してるんだ」

 

「(小声)じゃあ、龍哉君にもなにも分からない、という事ね」

 

「(小声)はい」

 

そんな会話を龍哉達がしているのを他所にチェイスは洋を誘って出かけて行った…

 

「…自分の立場分かってんのか、あの2人…」

 

「分かってない…よね」

 

「シグナルストーム、ライトニング、2人の護衛を、何かあれば報告を」

 

2台は了解、という音を返すと2人を追って病室から出て行った…

 

==========

―――翌日、病院近くの公園

 

そこでバスケットボールに興じる洋、チェイスとそれを見守る姉・日奈子と龍哉、陽菜乃がいた。

 

「2人は混じらないの?」

 

「俺はあなたの護衛です、あまり離れるわけにはいきません」

 

「私は…流石に男の人とはきついかな~」

 

「そっか…」

 

そんなやり取りの中、トレーラー砲にのったクリムが現れるのを見つけた龍哉は2人の傍を離れてそっちに行く。

 

「おじさん、どうしたの?」

 

「ああ、チェイスの様子を見にね…やはりか、彼の胸には正体不明の金属片がある」

 

「…そいつがチェイ兄さんの精神をつかさどるプログラムに干渉して、あんなにも豊かな感情を与えてるってことか」

 

「イグザクトリィ、しかし、あんなものを一体どこで…」

 

「確かにね…少なくとも、俺はああいうのは好まないし、蛮野のやつもロイミュードを機械人形としか思ってないからあんなことをするとは思えない」

 

「その通りだ…だが、一体誰が…」

 

と、そこに霧子からの連絡がクリムに入り、龍哉もシフトバースト経由で話に参加する。

 

「霧子、そちらはどうだね」

 

「『051のコピー元らしき男が、死体で発見されました、今現場です』」

 

「そうか、事件が進展しそうだね」

 

「『それが、足止めされてて…』」

 

「足止め?誰に?」

 

「『被害者がちょうど風都市と東京の境に倒れていて、どっちが捜査するかでもめているんです』」

 

「えぇ、なんて古典的な島争いを…」

 

「『被害者にガイアメモリ、というものの仕様根があったらしく、風都署の超常犯罪捜査課、と言うところの照井竜警視がどうしても譲れないそうで…』」

 

「合同捜査じゃダメなの?」

 

「『ええ…泊さんが提案したんですけど…どうにも…』」

 

龍哉とクリムがそんな会話をしているところで、チェイス達は休憩をはさんでいるところだが、そこに…

 

「むっ!!」

 

「龍哉!?」

 

龍哉が何かの気配を感じとったのか、チェイス達の方に走って行く。

 

「龍哉、君も「2人共、危ない!!」

 

龍哉が2人の前に立つと大きく右足を振り払うと暴風が巻き起こり、それによってチェイス達に放たれた弾丸は薙ぎ払われる。

 

「「!!」」

 

「チぃ!!邪魔しやがってぇ……」

 

「陽菜!!日奈子さん連れて逃げろ!!チェイ兄さんは洋君を安全な場所に!!ここは俺が!!変身!!」

 

『「ライダー!!バースト!!」』

 

「てめえも仮面ライダーかよ!!」

 

「なんだ、ハートたちから聞いていないのか?ハァ!!」

 

バーストが戦闘を開始すると同時に陽菜乃は日奈子を連れて病院の方に行こうとし、チェイスも洋にそっちの方に行くよう言いつつマッハドライバーを装着し変身しようとするが…

 

「…!!変身…できない…」

 

「ハァッ!?」

 

「変身できねえのか、こりゃあいい!!はっはっは!!」

 

「チェイス!!私を使ってプロトドライブに変身するんだ!!」

 

「無理よ」

 

変身できないチェイスにクリムが自分を使って変身するように言うも、それを遮る第3者の声がその場に響いた

 

「誰だ!!」

 

「エンジェル…」

 

「…!ロイミュードか!!」

 

「変身は無理よチェイス、あなたにつけた羽はあなたの基本プログラムに干渉しているの」

 

「…仮面ライダーには変身できないってことか…ってまだ逃げきれてないのか…」

 

「……!!」

 

日奈子や洋、陽菜乃が逃げ切れない状態にあることを理解したチェイスは歯噛みし、そんなチェイスにエンジェルが何か金色のものを投げ渡す

 

「それを使いなさい、チェイス」

 

それは…金色の見たことないバイラルコアだった

 

「それを使えば戦うことが出来るわ」

 

「!!!」

 

「チェイス、使ってはいかん!」

 

「クリム」

 

「俺も同意見、どう考えても怪しすぎる!!」

 

「龍哉」

 

仲間である2人の言葉に戸惑うも…

 

怯える洋と、車椅子のために逃げきれていない日奈子と陽菜乃のために…

 

「俺は…うぉぉ!!」

 

「チェイ兄さん!?」

 

『「ブレイク・アップ」』

 

チェイスはブレイクガンナーの銃口を押し込み、魔進チェイサーへと変身し、バーストが抑え込んでいた051を一撃で押し倒し、ブレイクガンナーを胸元に押し付け…

 

一瞬戸惑いつつも金色の剣がついたバイラルコアをブレイクガンナー上部のスロットに装填しすると

 

『「チューン・ライノ 」』

 

という音声とともに、金色のタイヤパーツが魔進チェイサーを囲み、同時にチェイサーのパワーが上昇して051をもち上げると…

 

『「スーパー・ブレイク・アップ」』

 

チェイサーに金色の羽パーツが付き、超進化体のような姿になる。

 

「なっ!!」

 

「まるで…超進化体…」

 

「そう、いうなれば…超魔進チェイサー」

 

「って、陽菜、2人を連れて早く!!」

 

「うん!!」

 

龍哉のいう事に陽菜が日奈子と洋を連れていく。

 

「お前だけは許さない」

 

そう言ってチェイサーは051に猛攻を仕掛け、バスケットコートから遠ざかっていく。

 

龍哉は変身を解いてクリムを抱え、トレーラー砲を持ってそのままチェイサーを追いかけて行った。

 

==========

―――雑木林

 

そこではチェイサーが051の右腕のガトリングガンを切り落とし…

 

『「スーパー・エグゼキューション!フルブレイク! ライノ!」』

 

躊躇なく必殺技を発動し、051は爆散し、コアもブレードによって切り裂かれた。

 

「なんという破壊力だ…」

 

「強い…仮面ライダーよりも上…かもしれない」

 

「…チェイ兄さん、その力を与えたさっきの女は…誰?」

 

「彼女は、俺に人間の心を与えてくれた…名前は…」

 

「エンジェル、だそうだ」

 

そこに、龍哉達以外の男の声が響いた…全員がその声の方を向くとそこにいたのは…

 

「ハート」

 

「どうしてここに…」

 

「んふふ、ハート、チェイス、クリムに私達の精神プログラムの生みの親の息子、覇月龍哉まで…役者が揃ってるわね…ちょうどいい、今こそここで、ロイミュードの新時代を宣言しましょう」

 

エンジェルがそう宣言すると同時にブレンがエンジェルの後ろから現れる。

 

「ブレン!!お前!!」

 

「…奴もエンジェル側に…」

 

「えぇ!!いや違いますよハート、対抗勢力の言い分も聞かないとと思っただけで…」

 

「…の、割には胸には前はなかった金色の羽があるが?」

 

「…彼女のこの発明で、ロイミュード達全ての望みがかなうのなら…」

 

「俺とお前は自力で精神を高め、超進化体になれたじゃないか!!」

 

「でも、皆があなたや私のように優秀じゃないんですよ!!」

 

「優秀だとか、そう言うのは超進化には影響がないな」

 

ブレンの言ったことを、あろうことか龍哉が否定した。

 

「どういうことだね、龍哉」

 

「…この間、チェイ兄さんを直した時に、母さんが残した精神プログラムも解析したんだ…そこで分かったのは…感情の極みが超進化を促すんだ(・・・・・・・・・・・・・・)

 

「どういう…ことだ」

 

「簡潔に言ってしまえば、ロイミュードの超進化は俺や父さん達が使える【明鏡止水の境地】を1つの感情で出来るようにしたもの、プログラムで人間の全ての感情を表すのは不可能だからね」

 

「そんなことはない、現に今の俺は「それも不完全だよ、チェイ兄さん」なっ!!」

 

「俺達人間が生み出すのは全て自分達が理解できるものだけ…理解しきれていないものを再現するのは不可能なのさ…数を絞らない限りね」

 

「数…まさか…俺達ロイミュードが108体以上作り出すことが出来ないのは…」

 

「そう、人間の煩悩の数は108個、母さんは煩悩イコール感情と定義づけて精神プログラムを作り、そのうち1つを基幹にするようにした…ハートなら喜び、既に亡きフリーズなら屈辱、と言うようにね」

 

「だから、俺の喜びが最大限に極まった時、超進化したのか…ならば…」

 

「いいえ、私が目指すのは、究極の平和よ…皆が私に共感してくれている…ロイミュードも残り31体、今こそ、平和への道を歩むべきだわ…あなたも、私にしたがってハート、私がその名の通り…ロイミュード全てを救う天使になってみせる」

 

そう言われたハートの脳裏には…かつて、自分を救ってくれた純白の衣装に身を包んだメディックが浮かび上がり…

 

「お断りだ…何が天使だ…俺の女神は1人しかいない…俺は、自分の心を揺さぶられないものを信じない!!お前の言葉からは上っ面の甘い匂いしかしない!!」

 

「イグザクトリィ、私もハートに同意見だ」

 

「俺もだ」

 

「え?」「クリム?」

 

「チェイス、その回路を使い、全てに満足してしまえば…」

 

「いずれ自分の思考がなくなっていき…最後には、動かなくなる」

 

「「私(俺)にはその羽は全てを自分の支配下に置くための悪魔の羽にしか見えない!!」」

 

クリムと龍哉が告げた瞬間、ブレンは見ていた自分の羽を取り落とし、エンジェルは肩を振るわえて笑い出す。

 

「悪魔…ひどいわぁ…私は天使よ…私がコピーした羽佐間翔子は何度も何度も考えていたわ…究極の平和と言うものを…結論は1つ、全ての生物が心満たされ、活動を停止した世界…それが、平和だわ…そして私は感謝される、皆を導いた、天使として…」

 

「ふざけるな!!そんなものの、どこが平和だ!!活動の停止、それは死と同義だ!!そんな世界は平和な世界じゃない、虚無の世界だ!!活動無くして新たな命、生物の連鎖は生まれない!!すべての生命体の滅び、即ち未来すらない!!未来なき世界を作り出そうなど…愚の骨頂!!」

 

「その通りだ」

 

「そうそう、確かに、天使って天国に誘導しますよね」

 

「エンジェル、君は…」

 

「ワカラナイヒトバカリネェ!!仕方ない…私が…楽園に…案内して…ア・ゲ・ル」

 

そう言ってエンジェルは自分の服の胸元を広げると、そこにはブレンが持っていた羽と同じものがあり…

 

エンジェルの姿が人間体からロイミュード態になる…そしてその姿は…

 

「超、進化体…」

 

「当たり前でしょう、私の心は最高に満たされている…この星の救世主になるという、希望でね」

 

エンジェルがそう言うと同時に頭の和から光の輪が出るとブレンの近くにいた6体のロイミュードの胸に突き刺さり、そこからコアを抜き取る。

 

「コアを…直接抜き取った…」

 

「なんという能力だ…」

 

直後、エンジェルが波動を出し、龍哉、チェイス、ハートは踏みとどまるもクリムは吹き飛ばされる。

 

「ブレン!!」

 

「うぅ…は、はい!!」

 

「おじさん!!」

 

「私に構わず、龍哉、君もハートたちに加勢するんだ!!」

 

「…了解!!変身!!」

 

『「ライダー!!バースト!!」』

 

3方向からエンジェルに攻撃を仕掛けたが…

 

「くっ!!」「うっ!!」「これは…テレキネシス!?」

 

エンジェルが両手をかざすとハート、ブレン、バーストは動きを止められ、そのまま投げ飛ばされる。

 

「なんて能力だよ…だが!!」

 

『「シグナルバイク!!シグナルコウカン!!ライトニング!!」』

 

バーストはシフトアップボタンを4回押し、雷撃を纏った超加速状態に入る。

 

「うおらぁ!!」

 

「残念ね…」

 

「何!!」

 

「バカな!!」

 

「あれを、見もせずに…」

 

「その状態のあなたの攻撃方法は接触攻撃のみ、しかも癖なのかしら…私達ロイミュードにとっても、人間にとっても死角となる位置からしか攻めてこない…」

 

「くそ…それなら!!ハァ!!」

 

バーストは気合の一言で纏っていた雷撃を周囲に飛ばすことで、エンジェルの拘束から脱出し、ハート、ブレンのそばに降り立つ。

 

「大丈夫か?」

 

「無論、まだいける!!」

 

その後も3対1で戦い続けるも、エンジェルにはいいようにやられてしまう。

 

そこに…

 

『「チューン・ライノ 」』

 

『「スーパー・ブレイク・アップ」』

 

チェイスが超魔進チェイサーに変身して乱入してくる。

 

「愚かな…」

 

「チェイ兄さん!!うわ!!」

 

「「うおぉぉ!!」」

 

4人はエンジェルのテレキネシスによりいいように振り回される…しかし…

 

「いい加減に…しろぉ!!」

 

バーストの体が金色に輝くと同時にエンジェルのテレキネシスを弾き飛ばした。

 

「何…なら…」

 

そう言うとエンジェルはハート、ブレンを同じ方向に、チェイサーをその近くに投げ飛ばした。

 

「フフフ」

 

そして、右腕にエネルギーを充満させる。

 

「ならこっちは…こいつで!!」

 

『「バーストホーウ!!ヒッサーツ!!フルスロットール!!フルフルバーストビッグターイホーウ!!」』

 

エンジェルのエネルギー波とバーストの放ったバーストカノンがぶつかるが…

 

「ちっ…」

 

エンジェル側の方がエネルギー量が多かったのか、バースト側で爆散し、バーストは吹き飛ばされてしまう。

 

また、その後エンジェルはハートとブレンにも同様にエネルギー波を放ち、かばったチェイサーともども倒したのであった…

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第二十七回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

烏間「ゲストの烏間惟臣だ」

龍哉「この作品だと烏間先生との戦闘シーン、描写があると大体俺が勝ってるけど…」

陽菜「ほんの2回だけだよね、しかも2回目は私とペアで」

烏間「それ以外では基本引き分けだな、主に時間切れで」

龍哉「いやー、有効な攻撃方法考えてるとどうにも時間がかかってしまって…」

陽菜「戦闘だと烏間先生隙無いもんね~」

烏間「む、そうか…」

龍哉「そして烏間先生以上に隙だらけの殺せんせー」

陽菜「本当、何で殺せないんだろう…」

烏間「奴の場合、その隙をカバーできる速度を持っているからな…」

龍哉「本当、あの速さは反則だよな…本題に行きます」

『もしもE組先生が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、烏間先生が変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダーエグゼイド(原作:仮面ライダーエグゼイド)

龍哉「仮面ライダーエグゼイドに登場する研修医・宝生永夢がゲーマドライバーとマイティアクションXを使って変身する仮面ライダーだ」

見学のE組生徒「クウガじゃない、だと!?」

陽菜「当初の予定ではクウガだったんだよね?何で変わったの?」

龍哉「ああ、実は最強フォームのスペックが以下の通りでな…」

仮面ライダーエグゼイドムテキゲーマー
スペック
パンチ力 128.0t
キック力 128.0t
ジャンプ力 ひと跳び128m
走力 100mを0.128秒

烏間「なるほど、HEROSAGAでスーパーライジングアルティメットクウガ出ているが…」

龍哉「あっちは一応公式ではないので、公式のこっちに変更となりました」

陽菜「でもこの変更になったのって、もしかして…」

龍哉「あ~うん、実はサプライズ・フューチャーの時間をやってた時には出てきて、最強フォームどのくらい強いのか、と調べたら…」

陽菜「こうなったんだね」

烏間「しかしいいのか?」

龍哉「原作最強キャラは烏間先生ですから、最強スペックライダーじゃにあとだめらしいです」

陽菜「作者さんの気持ちってことだね」

烏間「ちなみに戦績はどのような感じなんだ?」

龍哉「作者曰く、卑怯な手段使われて追い込まれたことはあっても変身解除までダメージを受けたことは一度もないそうです…それではこれで今回は終了、次回はイリーナ先生だ」

陽菜「あれ、お祖父さんはやらないの?」

龍哉「流石にオリジナル扱いのキャラはやらないようだ」

龍哉・陽菜・烏間「それでは次回もお楽しみに!!」


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ドライブサーガ/チェイサーの時間:3時間目

まとめて書く時間作らないと本当に書けないですね…

これでドライブの主な話は最終決戦前後を残すのみです。

…それが終わらないと8月が終わらないんですけどね(遠い目)

ついでに言うと龍哉がメインなのでチェイスとハート、ブレンの逃げた後のやり取りや戦闘シーンはほぼカットです

…そう考えるとなんでやったんだ、俺、ダイジェストでいいじゃんorz


―――雑木林

 

エンジェルとの砲撃戦に負け、ぶっ飛ばされた龍哉は…

 

(…っ、そうだ、俺はエンジェルとの砲撃戦に負けて…気絶してたのか、だが、近くに陽の光の感覚が…ん?ここって陽の光あまり届かない場所だったような…それと…その力が口から流れ込んで(・・・・・・・・・・・・)!!??)

 

陽の光が口から自分に流れ込んできていると感じた瞬間、龍哉の意識は一気に覚醒し、目を見開くと…

 

目の前には陽菜乃の顔があった、どう考えてもキスしているとしか思えない状態で…

 

龍哉はすぐさま気付いたことを知らせるために右手で陽菜乃の左腕をタップすると、陽菜乃も気づいて唇を放す

 

「龍君、起きたんだ」

 

「ま、まあな(///)」

 

返事をしながら龍哉は起き上がろうとして…

 

グキィッ!!!

 

そんな効果音が聞こえてきそうな速度で首を陽菜乃とは反対方向に向けた

 

なぜなら、陽菜乃の本日の格好も夏らしくミニスカートであり、その姿の事をあまり気にしないで龍哉の顔のそばにしゃがみ込んでいたのだ

 

当然のことながら、スカートの中が見えないように、という事をしていないため、龍哉からは丸見え(・・・)だったのだ…

 

「り、龍君、どうしたの!?そんな勢いで首を回したら危ないよ!!」

 

「…陽菜、俺の前だからいいけど、もう少し自分の格好の事を気にしてくれ…その…見えるから…」

 

「へ…!!!!????」

 

龍哉の指摘との視線により、自分がどんな状態で龍哉の前にいたか気づき、スカートの前を抑えこみ…

 

「……龍君のエッチ(//////)」

 

「…すまん」

 

と、こんなやり取りを2人がしている間にクリムはりんなさんが助け出していた…

 

「シフトカーからの緊急コールですか、りんなさん、助かりました」

 

「いいわ、それよりも大丈夫、かなり顔真っ赤だけど、2人共」

 

「「大丈夫です(/////////)」」

 

「…それならいい、龍哉、今すぐ進ノ介達と合流したい」

 

「分かった、チェイ兄さん、かなり危なそうだからね…すぐに行こう!!」

 

「龍君、気を付けてね」

 

「なーに、大丈夫さ!!」

 

「うむ、では頼む!!」

 

「おう!!」

 

そうして、龍哉とクリムはバーストストライダージェットモードでトレーラー砲を持って進ノ介達がいる風都市との境目に向かうのだった…

 

==========

―――風都市と東京都の境目

 

「ああ、分かった、すぐに来てくれベルトさん、龍哉」

 

「どったの進兄さん」

 

「チェイスがピンチらしい」

 

クリム達からの連絡で向こうの情報を得た進ノ介達…だが、その情報に表情が曇る…

 

その表情には…仲間を助けに行きたい、という感情と警察官としての務めを果たしたい、という2つの感情が綯い交ぜになったものだった…

 

そして…意を決して照井警視に話しかけた

 

「警視…警視!!…すいません、僕は」

 

「仮面ライダー、だったな、泊巡査」

 

そう言うと照井警視は風都と東京都の境目ギリギリまでやってくる

 

「この場は俺に任せて、早く仲間を助けに行け、捜査の状況は、特状課に逐一知らせる」

 

「福井警視」

 

「照井です」

 

人の名前を覚えない進ノ介に剛が無言でケツをたたく

 

進ノ介も小声で繰り返し、ようやく覚えたようだ

 

「照井警視、ありがとうございます」

 

その進ノ介の言葉に合わせて剛もともに頭を下げる

 

「人々や仲間の危機は決して見過ごさない、それが仮面ライダーの流儀のはずだ」

 

「はい」「(コクッ)」

 

照井警視の言葉に同意してクリム達と合流しようと動き出した進ノ介の携帯に連絡が入る

 

「現さん…はい…泊……え?」

 

「『だから、捕まえたんだよ051のモデルの強盗を、三輪利雄、50歳、無職』」

 

現さんからの情報に戸惑う進ノ介…

 

「じゃあこの死体は…」

 

不審に思って近づくと、その死体がいきなり起き上がって動き回り始めた!!

 

流石にそれには現場にいた警察官たちは全員ビビって倒れたり後ずさったり、逃げ出したりする、進ノ介、剛、照井警視は距離を取って死体になっていた男を注視している中…

 

男は笑いながら目を赤く光らせるとロイミュードに変貌しつつ風都側に居た座り込んでいる警官に蹴りを入れて気絶させると、その手に持っていたガイアメモリを強奪する

 

「しまった!!」

 

しかも、そのロイミュードのナンバープレートに記載されている番号は…

 

「077!!」

 

「つながった…強盗犯をコピーしたロイミュードが2体いたんだ!!こいつは風都でガイアメモリを盗んで、それを試して…」

 

「突然変異を起こして倒れたというわけか!!」

 

「なんなんだよそれ紛らわしい(怒)!!」

 

そんな周りの様子を気にもせず、笑いながらロイミュードは「《ビースト!!》」と言う音声と共に首筋にガイアメモリを突き立ててドーパント体へと変貌する

 

そのまま、歓喜のあまりからその場で飛びまわるが…

 

「ひゃひゃひゃひゃぶばが!!」

 

突如上空から飛んできたエネルギー弾が顔面に直撃してもんどりうって倒れる

 

「「「!!!!」」」「!?」

 

そのエネルギー弾に心当たりのある進ノ介達は驚き、認識のない照井警視は純粋に驚く

 

「はっ!!」

 

そして、勢いのある声とともに1人の少年がその場に降り立った

 

「彼は…」

 

「龍哉!!」

 

「進兄さん、はい、クリムおじさん」

 

「ああ、ありがとう」

 

「行くぞ!!」

 

「はい!!」「おう!!」

 

「「変身!!」

 

『「ドライブ!!タイプ!!スピード!!」』

 

『「シグナルバイクシフトカー!!ライダー!!バースト!!」』

 

『「シグナルバイク!!「追跡、撲滅!!Let's、変身!!」ライダー!!マッハ!!」』

 

「仮面ライダーマッハ~~!!」

 

「よし」「行くぞ!!」

 

そんな3人を見て、照井警視は何かを考えており…

 

ロイミュードは全く気にもせずその場から逃亡し、3人の仮面ライダーはそれを追いかけるのだった…

 

==========

―――池のそば

 

そこに逃げたロイミュードをドライブ、マッハ、バーストの3方向より包囲して挑みかかるも、ロイミュードはスライディングの要領や飛んだり跳ねたりでよけ、予測の付かない方法で攻撃を繰り出したりする

 

(こいつの動き方…まるで動物だ!!)

 

今まで経験したことのない動きに翻弄されて、3人おライダーはダメージを受け続けてしまい…

 

「ぐあ!!」

 

つい先ほどまでエンジェルと戦闘していたバーストの動きが一瞬鈍り、その隙を的確に攻撃されて木に叩き付けられてしまう

 

「「龍哉!!」」

 

ダメージを受けたバーストにとどめを刺そうとロイミュードが近づいた瞬間、何者かに切り付けられた(・・・・・・・)

 

「「「「!?」」」」

 

その人物は照井警視で、そのまま重そうなブレードで何度もロイミュードを切り付け…そして…

 

「《アクセル!!》」

 

「変…身!!」

 

「《アクセル!!》」

 

赤いUSBメモリのようなもののボタンを押して腰に巻いてあるドライバーに挿入し、ドライバーのグリップを回すとバイクのエンジンのが鳴り、照井警視が変身した!!

 

「俺は仮面ライダーアクセル」

 

「えぇ!!」「えぇ~、あ、あんたも仮面ライダーだったの!?」「さっきの視線、こういうことか…」

 

「正体は秘密のままに、風都を守り続けてきた」

 

「最初の頃の私と進ノ介のようなものか」

 

「警察に仮面ライダーの先輩がいたなんてな…よし、照井警視、いや、先輩!!ひとっ走り付き合ってください!!」

 

「ああ、さぁ、振り切るぜ!!

 

「あぁ~ちょっとちょっと、俺も連れてってくださいよ!!」

 

「俺も、置いてきぼりは食らいたくないですね」

 

「フ…よし「「「行くぞ!!」」」」

 

そのまま、四身一体の連続攻撃により、ロイミュードには次々とダメージが与えられていく

 

「ハァッ」

 

アクセルのブレードによる唐掛割が、

 

『「ゼンリンシューター」』

 

マッハのゼンリンシューターでの殴打が、

 

『「ターン」』

 

ドライブのハンドル剣の回転切りが、

 

「おぉぉ!!」

 

バーストの連続回し蹴りが次々とヒットしていく

 

「決めちゃうよ」

 

「こいつで止まってろ」

 

マッハとバーストはシグナルバイクを交換するとすぐにシフトアップボタンを連打してシグナルバイクの能力を発動させる

 

『「イマスグトマーレ!!」』『「バーストライトニング!!」』

 

マッハとバーストの攻撃により、ロイミュードは身動きが取れなくなる

 

『「ヒッサーツ!!フルスロットール!!スピード!!」』

 

「《アクセル!!マキシマムドライブ!!》」

 

それを見てドライブとアクセルは必殺技を発動し、同時にライダーキックを叩き込む

 

「絶望がお前の、ゴールだ」

 

アクセルのその言葉と共にロイミュードはコアとガイアメモリ毎爆散した

 

その後、マッハがアクセルにため口で話しかけたため、それをクリムと進ノ介が止めるのに苦労する一幕があったのだが、バーストはアクセルに一礼をしてすぐさま踵を返してチェイスの援護に向かったため全く知らず、そのことを後々聞いてその態度にほとほと呆れたのだった…

 

==========

―――都内競技場近く

 

バーストに少し遅れて、ドライブとマッハもタイプトライドロン、デッドヒートマッハになって駆けつけると、金色に光るチェイスを見つけ、攻撃を受けているため援護を開始する

 

「進ノ介!!剛!!龍哉!!

 

「チェイス!!」

 

「お前なんでそんな姿に」

 

「詳しい説明は後だ!!」

 

「今はこの状況を何とかするのが大事だ!!それに、エンジェルを倒せばついでに6体ロイミュードを…」

 

「今、奴にはハートのコアも取り込まれている」

 

「…マジかよ」

 

「エンジェルとは俺にケリを付けさせてほしい」

 

「分かった、とにかく、今はあれをどうにかしないとね!!」

 

『「カクサーン!!」』『「マシンガン!!」』

 

『「トライドローン!!ターイホーウ!!」』

 

3人の攻撃によりエンジェルの攻撃は全て破壊される

 

「「今だ!!」」

 

ドライブとバーストの掛け声とともにチェイスはエンジェルにライドチェイサーで体当たりし、そこから一気に飛んでいく…

 

「…ってどこに行ったんだよ!!」

 

「俺は知らないよ!!」

 

「…どうすべきか…」

 

「…そうだ!!重加速!!その反応を…ブレン以外の超進化体の反応を探せば…」

 

「そうか!!それならエンジェルの居場所を探し出せる!!今すぐりんなに連絡を!!」

 

そうしてりんなに連絡を取り、チェイスとエンジェルの場所を探すも…どこに飛んだのか方角しか分からなかったため結局時間がかかってしまうのだった…

 

==========

―――海岸

 

夕暮れ時になってようやく3人がチェイス達を見つけた時には…

 

「もしかして…終わってる?」

 

「…みたいだな」

 

「チェイ兄さ…どうしたの!?血まみれじゃないか!!」

 

「問題ない、すまなかった」

 

「なんだよ無愛想な奴め…ってあれ、てことは」

 

「元の…チェイ兄さん…」

 

「だな」

 

「チェイス…」

 

「ん…あ、洋君!?」

 

龍哉が洋を見つけ、そのまま保護する形で彼を病院まで連れて行くのだった

 

==========

―――病院近くのバスケットコート

 

そこでは洋が思い出に浸るようにバスケをしており、そこにチェイスが現れた

 

「チェイスさん!!」

 

洋が近づくも、それまでのチェイスと雰囲気が違うことに気づく

 

「バスケットボールか、ルールは覚えているが、1人ではできないスポーツだ、学校で仲間を探せ」

 

そのまま去っていくチェイス…それに、何かを決意した洋は…

 

「分かったよ!!」

 

そう言って、チェイスと別れるのだった…

 

「フェザーサーキットを自ら引きちぎったことで、事件に関する記憶をすべて失ってしまったようだ」

 

「マジかよ」

 

「多分、フェザーサーキットは外部記憶容量の役目も果たしてたんだろうね、だからこそ、記憶もなくなった…」

 

「チェイス」

 

「何を悲しむ、心配するな、俺は人間ではない」

 

「ふざけんなよ、バカヤロー」

 

「いや、あいつらしいよ」

 

「うん、あれが俺達の仲間で、俺の兄貴の、チェイ兄さんだ」

 

こうして、一連の騒動は終わった…

 

次からは…沖縄離島での暗殺の準備!!

 

 





龍哉「あとがきコーナー・第二十九回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

イリ「ゲストのイリーナ・イエラヴィッチよ」

龍哉「イリーナ先生とは絡み多いよな」

陽菜「そうだね~、まぁ私が原作だと弟子だし、龍君は設定上…ね」

イリ「陽菜乃、あんたメタいわよ」

陽菜「原作よりイリーナ先生って戦闘力挙がってるの?

龍哉「いや、ちょっと小手先テクニック学んだだけ、ぶっちゃけ残留暗殺の時から今まであんまし進展なし」

イリ「そこまで言うか!!」

龍哉「そんじゃ、本題に行きます」

『もしもE組先生が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、イリーナ先生が変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダーポッピー(原作:仮面ライダーエグゼイド)

龍哉「仮面ライダーエグゼイドに登場するポッピーピポパポがバグルドライバー(ツヴァイ)とときめきクライシスを使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜「作者は本編のポッピー見てて「こいつぁピッタシカンカン」って思ったそうだよ」

龍哉「確かに、主人公勢の味方⇒裏切り⇒救われて元の陣営に戻る、だからな」

イリ「ね、カラスマがエグゼイドなのってこれも影響してるの?」

龍哉「作者曰く「これは合うな」だそうです」

陽菜「(エグゼイドのそのシーンを思い返して)…烏間先生のやってることと変わらないね」

龍哉「で、イリーナ先生はそこで本格的に惚れた、と」

イリ「うッさい!!」

龍哉「それではこれで今回は終了、次回は殺せんせーだ」

陽菜「殺せんせーは呼ぶんだ」

龍哉「なんでだろうな、次回の後書きコーナーはカオスになる気がする」

龍哉・陽菜・イリ「それでは次回もお楽しみに!!」


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策略の時間

1か月ぶりの投稿です。

今回は要所要所にギャグっぽいシーンを入れてますので、楽しんでください。


―――E組校庭

 

夏休みも8月に入り、南の島での暗殺旅行まで残り少しとなったので、訓練と計画の詰めのためにカルマを除いたE組生徒全員が集合していた。

 

勝負の時、殺せんせーの暗殺期限まで残り7ヶ月!!

 

「まぁまぁガキども、汗水流してご苦労な事ねぇ」

 

「ビッチ先生も訓練しろよ」「射撃やナイフは俺等と大差ないじゃん」

 

イリーナ先生の発言に若干食ってかかる生徒達に…

 

「大人はズルいのよ、あんた達の作戦に乗じてオイシイところだけもらっていくわ」

 

「ほほう、えらいもんだな、イリーナ」

 

突如聞こえてきた声にビクリと肩を震わせるイリーナ先生、恐る恐る振り向いた先にいたのは…

 

「ロッロヴロ師匠(センセイ)!!??」

 

「夏休みの特別講師として来てもらった、今回の作戦いプロとしての助言をくれる」

 

「1日休めば指や腕は殺しを忘れる…落第が嫌ならさっさと着替えろ!!」

 

「へ、ヘイ!!喜んで!!」

 

「ビッチ先生もあの師匠には頭挙がらねーのな」

 

「ああ、でもよ…あのたんこぶとモミジって…」

 

創介の言葉にその場に残った全員の視線が龍哉と陽菜乃の方を向き…

 

「「すまん(ごめんなさい)」」

 

「何があったんだ…」

 

「「ロヴロさんが自分の孫を(恋人にと)進めてきたのでつい…」」

 

「「「「「「「「「ああ、それはロヴロさんが悪いな」」」」」」」」」」

 

「ゴホン、それで、殺せんせーは今絶対に見てないな?」

 

「ああ、予告通りエベレストで避暑中だ、部下がずっと見張っているから間違いない」

 

「ならばよし、作戦の機密保持が作戦の要だ」

 

「ロヴロさんって殺し屋の斡旋業者なんですよね、今回の暗殺にも誰かを…?」

 

「いいや、今回はプロは送らん」

 

「というよりも遅れないんだよ、ひなたさん」

 

「またお祖母さんから?」

 

「いや、俺が仮面ライダーになったことで警察との窓口も兼任できるようになったからね、俺もロヴロさんが今まで送り込んだ暗殺者の事を知ってるんだけど、誰一人として(・・・・・・)近づくことすら(・・・・・・・)できていないんだ(・・・・・・・・)

 

「どういうこと?」

 

「もしかして、殺せんせー匂いに敏感だからそれで嗅ぎ分けてる、とか?」

 

「そんなまさか「いや、そのまさかだ」…マジですか?」

 

「ああ……下手にその暗殺者を使った作戦を考慮させないようにあえて皆には黙ってたけど、レッドアイさん以外にも送り込まれてるんだ」

 

「でも、私達誰も見てないけど…」

 

「部外者だから俺達にも気づかれないところに隠れてるけど―俺は気配を察知して気づいてたけど―殺せんせーはそれを匂いでかぎ分けてるんだ」

 

「その際、プロ特有の強い殺気を臭い事覚えられ、2回目からは教室にすらたどり着かせてもらえんのだ」

 

「ふえ~」

 

「だから、ロヴロさんの斡旋出来るのは1人につき1回まで、でも他にも理由はあるんですよね?」

 

「ああ、残りの手持ちで有望だった殺し屋数名が…なぜか突然連絡がつかなくなった」

 

「…潜入暗殺ですか?」

 

「いや、そいつらが仕事を受けたという連絡はもらっていない…まぁ、と言う訳で今現在斡旋できる暗殺者は0だ、慣れ親しんだ君達に殺してもらうのが1番だろう」

 

そうして再度グループに分かれて訓練を続ける中、ロヴロは暗殺計画書を読み進め…

 

「先に14本の触手を破壊し、間髪入れずクラス全員で攻撃して奴を仕留める…それは分かるが、この一番最初の「精神攻撃」と言うのはなんだ?」

 

「まず動揺させて動きを落とすんです」

 

「殺せんせー、動揺すると性能がガタ落ちするんです、使えるものは使わないとね」

 

「この前さ、殺せんせーエロ本に拾い読みしてたんスよ」

 

「「クラスの皆さんには絶対に内緒ですよ」って言われたけどよ…」

 

「今時アイスで口止めできるわけねーだろ!!クラス全員で散々にいびってやるぜ!!」

 

「って前原!!」

 

「ん…あ」

 

ここで龍哉の事を思い出す陽斗…と言っても修学旅行班で分かれているから龍哉にも聞かれてしまっているので、陽菜乃から制裁があるかと思ったら…

 

「???」

 

「えっと、龍哉、どしたの?」

 

「あのさ」

 

「うん」

 

「エロ本って、何?」

 

「「「「「「「「「そこかぁ~」」」」」」」」」」

 

「え~とそれは…なぁ、渚!!」

 

「え、ここで僕に振るの!?」

 

「「「「「「「「「頑張れ!!漢の娘!!」」」」」」」」」」

 

「渚ちゃん、お願い!!」

 

「こういうときだけ漢扱い!?と言うかいいの倉橋さん!?」

 

「…うん、龍君も男だったから…」

 

「龍哉君、後で夏休み始まってからナニがあったのか説明してもらうわよ」

 

「いきなり何メグさん!?何もなかったよ!!」

 

「…文字でなければできないボケの芸当だな」

 

「ロヴロさん、メタいです」

 

「え~とね、龍哉耳貸して」

 

「…大声出したら殴るからな」

 

「カルマ君じゃないんだから」

 

そうして渚の説明を聞いて…

 

「(////////////)そ、そういうのを…」

 

「あ、そう言えば殺せんせーが拾い読みしてたやつの上で倉橋、殺せんせーを飛び上がって喜びあってたよな(アルビノのミヤマクワガタ見つけて)」

 

「「アンだって?」」

 

「龍君!?メグちゃん!?」

 

「「陽菜(陽菜乃さん)、ちょっと来て」」

 

「ご、ごめんなさい!!ごめんなさい!!ちゃんと、ちゃんと説明するから!!(涙目)」

 

こうして陽菜乃は龍哉とメグに連行されて教室に戻っていった…

 

「岡島君、わざとだよね」

 

「いや~、だって龍哉と倉橋さ、期末以降2人でいるとすげー甘ったるいからさ、それとたまにああいう空気になっても大概龍哉が責められてっからな」

 

「龍哉の場合は自分に非があるって思ってるし、下手に反撃すると墓穴掘ったりするだけだろうから言い訳もせず黙ってるらしいけどね」

 

「でも倉橋の説明でそもそもの原因が岡島にあるってばれたらどうすんだ?」

 

「……(ダッ)!!」

 

「「逃げたな(ね)」」

 

==========

―――E組教室

 

「で、どういうことなの?」

 

「えっとね、今度の暗殺旅行で終わった後の観光に使う軍資金を虫取りで稼いでいたところに…」

 

いきものの時間であったことを陽菜乃が説明し終わると…

 

「「ごめんなさい」」

 

龍哉とメグは自身の非を認めてすぐさま陽菜乃に謝るのだった

 

「う、ううん、岡ちんの説明が悪かったんだし…」

 

「いや、メグさんはともかく、俺は変に疑わず信じるべきだった…本当にごめん」

 

「…じゃあ、龍君、一個お願い聞いてくれる?」

 

「…俺にできる範囲内なら、必ず」

 

「…岡ちん多分逃げてるから捕まえてきて、それで次の凛香ちゃんと千葉君の射撃訓練の的にしよう」

 

「…私の方でそっちは準備しておくから、龍哉君は捕まえてきて」

 

「了解した、それじゃ2人共、また後で」

 

龍哉は校庭にすぐに出ていき、「悪い岡島はどこじゃ~~~!!」と、秋田のなまはげも真っ青の形相で大河を追いかけたのだった。

 

==========

―――E組校庭

 

「しかし、精神的に追い詰めるとは残酷な暗殺方法だな」

 

「つっても、ほとんど龍哉と渚と律、カルマが集めてきたやつですけどね」

 

「その集めた奴の1人は悪魔すら逃げそうな形相で校庭から逃げて行った奴を追いかけ、今…」

 

ロヴロが向けた視線の先には…

 

「ム゛ーっ!!ム゛ーっ!!!」

 

「それじゃ、龍之介、凛香さん、説明するよ、今回は実際の状況を想定してやるから」

 

「ターゲットの脳天か心臓を打ち抜くのが目的だから、その2か所にターゲットマークを設置しているから、2人共1発で打ち抜いて」

 

「今回、第2の刃は殺せんせーも予想していない奴だからな…ああ、打ち抜けなかったら打ち抜けるまで訓練するから安心してくれ」

 

「ム゛ーっ!!!」

 

「「うるさい黙れ諸悪の根源その1」」

 

「…一応聞いとく、その2は?」

 

「「殺せんせー(黒笑)」」

 

「…やるよ、千葉」

 

「…おう」

 

捕まえた大河に顔だけ出ている殺せんせー等身大パネルに猿轡をかまされた状態でいる、しかも…

 

「「あ、ヒットするとそれが分かるように大河(岡島君)に軽い電気ショックが行くようにしてるから、判断基準にしてね(黒笑)」」

 

「ム゛ーっ!!!」

 

((((((((((倉橋さん絡みであの2人を怒らせるのはやめよう、殺されはしないけど人として何か大切なものを失いそう))))))))))

 

「…そして、肝心の最後のとどめの射撃はあの2人か」

 

「…不安か?このE組(クラス)の射撃能力は」

 

「ーーーーーーーーーッ!!!!!!(声にならない悲鳴)」

 

「…いいや、全くだ、特に今射撃をした2人は素晴らしい」

 

「……そうだろう」

 

「龍之介は空間計算めっちゃ得意ですからね、遠距離射撃の狙撃手(スナイパー)としちゃ下手すりゃレッドアイさんに届きますよ」

 

「そして、速水凛香は手先の正確さと動体視力のバランスが良く、動く標的(ターゲット)を仕留めることに優れた兵士(ソルジャー)

 

「主張はしない性格(タイプ)ですけど、結果で語る仕事人ですね」

 

「ふーむ、俺の教え子に欲しいくらいだ」

 

「他のメンツはどうですか?」

 

「他の生徒達も高いレベルに纏まっている、短期間でよく見出し育てたものだ…人生の大半を暗殺に費やしたものとして…この作戦に合格点を与えよう、彼らなら十分に可能性がある」

 

その後もロヴロの指導は続き、人による向き、不向きに合わせたスタイルを教えていく…そんな中、渚がロヴロに近付いていく

 

「ロヴロさん」

 

呼ばれたロヴロが渚を見ると驚いた表情になり、それに気づいた龍哉が2人の方に来た

 

「僕が知っているプロの殺し屋って…今のところビッチ先生とあなた、後接触はなかったけどスナイパーの方しかいないんですが…」

 

「何が聞きたいんだよ、渚」

 

「あ、龍哉…うん、ロヴロさんの知ってる中で、一番優れた殺し屋ってどんな人ですか?」

 

「(よくよく見れば素質がある、フフフおまけに…)興味があるのか、殺し屋の世界に」

 

「おいおい勘弁してくれよ渚、何が悲しくて将来顔見知りから政治家(濁った豚)を護らなきゃいけないんだ」

 

「ち、違うよ、ただ、単純に興味があって…」

 

「ならいーけどよ」

 

「フ、そうだな、俺が斡旋する殺し屋の中にそれ(・・)はいない…最高の殺し屋、そう呼べるのはこの地球上にたった1人」

 

「…!!まさか」

 

「君もやはり知っていたか、誰も本名を知らず、仇名のみで呼ばれている…曰く「“死神”」」

 

「すごくありきたりだから、逆に驚いたかもしれないだろうが、こう呼ばれているのは事実だ」

 

「神出鬼没冷酷無比、夥しい数の屍を積み上げた結果、死そのものと呼ばれるに至った男…君達がこのまま殺しあぐねているのなら…いつかは奴が姿を現すだろう…ひょっとすると今でもじっと機会を窺っているかもしれないな」

 

「…」

 

ロヴロの説明を聞き終えた龍哉は無言でその場を去り、渚は1人考え込んだ

 

(そんな人が…いよいよ…南の島の暗殺(チャンス)は逃せない)

 

「……では少年よ、君には"必殺技"を授けてやろう」

 

「!?ひっさつ…?」

 

「そうだプロの殺し屋が直接教える…"必殺技"だ」

 

…そうして、南の島の暗殺旅行が幕を開けるのだった…

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第三十回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

 殺「ゲストの殺せんせーです」

龍哉「殺せんせーは出刃亀してること多いよな」

陽菜「原作もそうだけど、この作品だとカップル成立させようと作者さんがいろいろ画策してるもんね~」

 殺「いいじゃないですか、青春の思い出の1つですよ」

龍哉「でもそう言うのはさ、2人だけの間で取っておきたいもんだからよ」

陽菜「そうそう、それを他人にとやかく言われたくないんだよ」

 殺「う、それを言われてしまうと」

龍哉「第一殺せんせーなんて確実に恋人いない歴=年齢だろ!」

陽菜「絶対魔法使いでしょ!!」

 殺「ニュヤ!!そ、そんなわけないでしょう、こ、これでもせんせーモテたんですからね」

龍哉「確かにモテモテだな」

陽菜「確かに…」

 殺「分かってくれ「「漢の暗殺者達にね」」ここでも文字じゃないと分からないボケをかますんですか!?」

龍哉「まぁそんなことはどうでもいいんで「どうでもいいってなんですか!?」、本題に行きます」

『もしもE組先生が仮面ライダーになったら』

龍哉「今回のゲスト、殺せんせーが変身するであろうライダーは…これだ!!」

 仮面ライダーギルス(原作:仮面ライダーアギト)

龍哉「仮面ライダーアギトに登場する葦原涼がメタファクターの力を使って変身する仮面ライダーだ」

陽菜「作者は殺せんせーに合ったことを読んでてこれだな、って思ったそうだよ」

 殺「え~と、あ、変身者の葦原涼さんって…なんですかこの不遇っぷりは…」

龍哉「本人の意思とは関係なく周囲の環境が原因ですからね」

陽菜「あ~、殺せんせーがそうなったのも、確かに元をたどれば周囲の環境だもんね」

 殺「そうだったことを否定する気もありませんし、そうでなければよかったのに、とは思いませんがね」

龍哉「ま、過去を変えることはできないっすからね」

陽菜「それで、次回からはどうするの?」

龍哉「次回からはNGシーンとかそういうのをやる予定だ、堀部君は9月にならないと出来ないし、敵サイドの設定はあるけどやる気ないし、作者も俺も」

陽菜「呼んだら呼んだで確実に流れるね…敵サイドの人の血が」

 殺「ですねぇ」

龍哉・陽菜・殺「それでは次回もお楽しみに!!」


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島での仕込みの時間

また一月たってからの更新です。

今回から沖縄暗殺編です。

ちょいちょい龍哉のチートが垣間見えます。


―――沖縄へ向かう船上

 

そこでは船酔いでぐったりしている殺せんせーに対して陽菜乃と龍哉が見事なコンビネーションで攻めていた…

 

もっとも、一発も掠りすらしていないが…

 

「にゅやァ…船はやばい…船はマジでやばい…先生覇月君と倉橋さんの攻撃も相まって頭の中身が全部まとめて飛び出そうです」

 

「「よし、もっと追い詰めよう!!…お!!」」

 

「起きて起きて殺せんせー!!見えてきたよ!!」

 

「東京から6時間!!殺せんせーを殺す場所だぜ!!」

 

「「「「「「島だーーーーーっ!!」」」」」」

 

==========

―――普久間島リゾートホテルの海岸

 

「ようこそ、普久間島リゾートホテルへ、サービスのトロピカルジュースでございます」

 

「いやー最高!!」

 

「景色全部が鮮やかで明るいな~」

 

「ホテルから直行でビーチに行けるんですね、様々なレジャーも用意してあるようですねぇ」

 

「あれ?龍哉と倉橋さん、トロピカルジュース飲まないの?」

 

「「ちょっとな(ね)」」

 

龍哉と陽菜乃の態度に何人かが飲もうとしていたのを取りやめているが、そこはどうでもいいだろう

 

まずは、殺せんせーの暗殺である

 

「例の暗殺は夕食の後にやるからさ、まずは遊ぼうぜ殺せんせー!」

 

「修学旅行ん時みたく判別行動でさ」

 

「ヌルフフフ賛成です、よく遊びよく殺す、それでこそ暗殺教室の夏休みです」

 

==========

―――暗殺準備中

 

「まずは1班がエアグライダーで暗殺しながら気を引いてるから、その間に俺らがフィールドを整える」

 

「龍哉、大丈夫?」

 

「大丈夫大丈夫、俺は落ち着いている、COOLだ、COOLになるんだ…」

 

「…必死に心を落ち着けてるな…」

 

「まぁ、倉橋さんが短めのスカートで殺せんせーのあのスピードで動き回るんだもんね」

 

「もし、あんなふうにされるとなると私も嫌です」

 

「ほらほら、次はうちの班に来る番だよ!!やることやってすぐに着替えないと!!」

 

「「「「おーう!!」」」」

 

遊びに見せかけて全員真剣である、計画書(プラン)通り暗殺できるかどうか…綿密に現地をチェックして回る

 

そして、それは他の班も同様である

 

1つの班が殺せんせーと一緒に遊んで―無論暗殺も織り交ぜて―他の班が着々と準備を進めていく

 

そして―夕方

 

海岸には人っ子一人いなくなった

 

無論、それになぜかイリーナ先生が憤り、烏間先生に色々と絡んでいる様子が見られたそうだ

 

しかし、不安要素は大きい…

 

連絡が取れなくなった手練れの殺し屋達に、防衛省内と刑務所において発生した問題、加えてこの普久間島自体にも怪しい噂をちらほら聞いている

 

(暗殺を取り巻く空気が不穏になってきた…晴れている間に暗殺が終わればいいが…)

 

==========

―――夕食会場近く

 

「いやぁ、遊んだ遊んだ…おかげで真っ黒焦げに焼けました」

 

「「「「「「「「「黒すぎだろ!!!」」」」」」」」」」

 

「歯まで黒く焼けやがって」

 

「生物の常識無視か」

 

「もう表情も読み取れないよ」

 

「え?声音とかから何とか分からない?」

 

「「「「「「「「龍哉(お前)と一緒にするな!!」」」」」」」」」」

 

「じゃ、殺せんせー、飯の後暗殺なんで…まずはレストランに行きましょう」

 

「どんだけ満喫してんだあのタコ」

 

「こちとら楽しむふりして準備すんの大変だったのによ」

 

「ま、今日殺せりゃ明日は何も考えずに楽しめるじゃん」

 

「まーな、今回ぐらい気合入れて殺るとするか」

 

「こっちは+αもあるからさっきも殺意も増し増しだけどな(半分自業自得だけど)」

 

(((一応自覚してるっぽいから言わないでおくか)))

 

そうして夕食会場の船上のレストランに移動する

 

「夕飯はこの貸し切り船上レストランで、夜の海を堪能しながらゆっくり食べましょう」

 

「…な、なるほど、まずはたっぷりと船に酔わせて戦力を削ごうというわけですか…」

 

「当然です、これも暗殺の基本の一つですから」

 

「実に正しい、ですが、そう上手く行くでしょうか…暗殺を前に気合の乗った先生にとって船酔いなど恐れるに」

 

「「「「「「「「「いや黒くて本当にわかんねーよ!!!」」」」」」」」」」

 

「気合のってるのは分かるけどさ、表情変わんねーじゃん」

 

「……そんなに黒いですか?」

 

「表情変わんないどころか前も後ろも分からないわ」

 

「ややこしいから何とかしてよ」

 

「ヌルフフフ、お忘れですか皆さん…先生には脱皮がある事を…黒い皮を脱ぎ捨てれば…」

 

そう言って頭頂部から罅が入り、いつもの早さで脱ぎ捨てる

 

「ほら元通り」

 

「あ、月一回の脱皮だ」

 

「こんな使い方もあるんですよ、本来は【ヤバいときの奥の手】ですが…あっ!!!」

 

自分が何をしたのか気が付いた殺せんせーは顔を触手で覆って俯いている

 

「バッカでーーー暗殺前に自分で戦力減らしてやんの」

 

「どうして未だにこんなドジ殺せないんだろう」

 

「思わぬところで計画(プラン)通りに行ったな」

 

「これなら、いけるかもね」

 

夏休みに入り、この日のために密かに特訓を重ね、仕込みも万全…

 

((((((((((今度こそ、殺せんせーに僕ら(俺達)の子刃を届かせるんだ!!))))))))))

 

==========

―――ホテル離れのパーティー会場

 

「さぁて殺せんせー、飯の後はいよいよ(・・・・)だ」

 

「会場はこちらの、このホテルの離れにある…水上パーティールーム」

 

「ここなら…逃げ場はありません」

 

「さ…席につけよ殺せんせー」

 

「楽しい暗殺」

 

「まずは映画観賞から始めようぜ」

 




龍哉「あとがきコーナー・第三十一回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

龍哉「今回から暫くはちょっとしたNGシーンを披露したりする」

陽菜「基本的には最新話でのNGシーンになりまーす」

龍哉「今回は1か所だけだ」

NGシーン
―1班が殺せんせーと遊んでいる時

「まずは1班がエアグライダーで暗殺しながら気を引いてるから、その間に俺らがフィールドを整える」

「龍哉、大丈夫?」

「大丈夫大丈夫、俺は落ち着いている、COOLだ、COOLになるんだ…」

といいつつバズーカ砲のようなものを構える龍哉

「「「いや、いったい何を考えてるんだ!!」」」

当然男子全員に突っ込まれた

陽菜「これって、私が殺せんせーと乗ってた時の1シーン?」

龍哉「ああ、あんな陽菜の姿で変幻自在に飛び回る殺せんせーに殺意が沸いたんだ」

陽菜「でも、本編だと落ち着こうとしてけど…」

龍哉「1班(陽菜と一緒の班)にならなかった俺が悪いんだからな」

陽菜「龍君…で、でも私も誘おうとして誘えなかったし…(ツンツンモジモジ)」

龍哉「陽菜…(やばい超可愛いい)」

他の生徒達「いちゃついてないでさっさと締めろ!!」

龍哉・陽菜「そ、それでは次回もお楽しみに!!」


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暗殺決行の時間

龍哉の普段の私服ですが、基本的に上着は道着のようになっている服(STARWARSのジェダイのうっわぎを想像してもらえればよろしいかと)にGパンにスニーカーです。

夏場は上着が半袖になります。

また、イメージ声優ですが保志総一朗さんでお願いします。


―――海上の小屋

 

「まずは、三村が編集した動画を見て楽しんでもらって、その後、テストで勝った10人で合計14本の触手を破壊」

 

「ちなみにやり方ですけど、まずは悠馬、俺、中村、愛美さんが7本破壊して一度再生してもらい、その後残りの6人と俺でまた7本破壊します」

 

「それを合図に残った皆で一斉に暗殺を始めます、それでいいですよね、殺せんせー」

 

「ヌルフフフ、上等です」

 

「セッティングご苦労さん、三村」

 

「頑張ったぜ、皆が飯食ってる間もずっと編集さ…途中で渚が龍哉と倉橋と一緒に持ってきてくれたから正直助かったけどな」

 

(…殺せんせー、やっぱりかなり警戒してるな…脱出のリスクが高い(・・・・・・・・・)、そう思ってもらえりゃ上々だな)

 

(この小屋の周囲は海、加えて建ち方から壁、窓に対先生物質が仕込まれている可能性は高い…というより覇月君がいる以上それ(・・)を前提にしましょう)

 

(いや、俺がいる以上脱出せずにこの小屋の中(・・・・・・)で避け続ける気だ…ありがてぇ)

 

「殺せんせー」

 

思案していた殺せんせーに渚が声をかけ、ボディチェックを行う

 

「いくら周囲が水とはいえ、あの時龍哉がズタボロにした水着と同種の奴隠し持たれてたら逃げられるもんね」

 

「入念ですねぇ、そんな野暮はしませんよ」

 

「「「「「「「「「「嘘つくな」」」」」」」」」」

 

「酷くないですか皆さん!?」

 

(これだけ直に触っている状態でも、殺せんせーは僕の攻撃なんか余裕で躱す…でも、皆で…そして、この(・・)作戦なら…!!)

 

「準備は良いですか?」

 

そう言って椅子に腰かける殺せんせー…若干余裕そうな感じでもある

 

「全力の暗殺を期待します、君達の知恵と工夫と本気の努力、それを見るのが先生何よりの楽しみです…遠慮は無用、ドンと来なさい」

 

「それじゃ上映(はじ)めるぜ、殺せんせー」

 

大河がそう言って小屋の電気を消すと、三村が編集した動画が流れ始める

 

まだオープニングだが、後ろの暗がりにいる触手破壊権利を持っていない生徒達が頻繁に出入りを開始する

 

(しきりに小屋を出入りしていますねぇ、位置と人数を把握させないためでしょうが…甘いですねぇ、ここに2人(・・)の匂いが無いのは分かっています、四方が海に囲まれているこの小屋、しかしホテルに続く一方向だけは近くが陸、その方向の窓から…E組きっての狙撃手(スナイパー)の千葉君と速水さんの匂いがします)

 

殺せんせーがここまで考えたところで動画がさらに進む

 

(…しかしこの動画、良く出来ていますねぇ、編集とナレーターは三村君ですか、カット割り、選曲、どちらもいいセンスです、ついつい引き込まれ…)

 

ここで、動画があるシーンを映し、同時にナレーションが流れる

 

「『…まずはご覧いただこう、我々の担任の恥ずべき姿を』」

 

そのナレーションと同時に、敷き詰められたエロ本の上でにやけながらエロ本を読んでいる殺せんせーの姿が映し出された

 

「ニュヤァァァァァァ!!!!???」

 

「『お分かり頂けただろうか、最近のマイブームは熟女OL、全てこのタコがひとりで集めたエロ本である』」

 

「違っ…ちょっ、岡島君達、皆には言うなとあれほど…」

 

「『しかもこの後、自信が教育する女子生徒とそのエロ本の上で喜んで飛び跳ね合っている、教育は教育でも性教育に偏っているのではないだろうか』」

 

その後には陽菜乃とその上で喜ぶように飛び跳ね合っている様子が映し出され…龍哉からは殺気に加えて明確な殺意が出てきた

 

「いやちょっと待ってください!!これは完全に濡れ衣です!!倉橋さんがアルビノのミヤマクワガタ見たいって言っていたじゃないですか!!それを偶々その時に見つけて、その時偶々倉橋さんもいたので、そのままノリで映像のようになったんですよ!!」

 

「と、加害者は言っているが?」

 

「その時は呼び出されたの、従わないと…ひどい目に…って(涙目)」

 

「「「あ゛?」」」

 

「殺せんせー、ひどいです!!最低です!!」

 

「えぇぇぇぇぇっ!!!???」

 

まさかの追撃である、ちなみに全員真相をしっかり把握している上での行動であることは言うまでもないだろう

 

「『お次はこれ、女子限定のケーキバイキングに並ぶ巨影…誰であろう、奴である…バレないはずがない、女装以前に人間ではないとバレなかっただけ奇跡である』」

 

「クックック、あーあエロ本にその上でミニスカの女子生徒と飛び跳ね合って、しかも女装なんて恥ずかしくないのド変態?」

 

「『給料日前の奴は分身でティッシュ配りに行列を作り、そんなに貰ってどうするのかと思いきや…』」

 

ここで映像が切り替わり、E組の裏山でティッシュを挙げている様子が映し出される

 

「『なんと、唐揚げにして食べ始めたではないか!!教師、いや生物としての尊厳はあるのだろうか…こんなものでは終わらない、この教師の恥ずかしい映像を一時間たっぷりお見せしよう』」

 

(あと一時間も!?)

 

==========

――― 一時間後

 

「…死んだ、せんせー死にました…あんなの知られてもう生きていけません」

 

「『さて、秘蔵映像にお付き合いいただいたが…何かお気づきではないだろうか殺せんせー?』」

 

そう言われて周りの音を真剣に聞くと、チャプチャプと音がする

 

(!!!いつの間に床全体に水が…誰も水など流す気配はなかった…まさか、満潮か!?)

 

海水により、殺せんせーの普段地面に下している触手は水分によって膨らんでいる

 

「ここにいるメンバーは何もしていないよ」

 

「ああ、誰かがこの小屋の支柱を短くでもしたんだろ」

 

「そう言えば、龍君のお祖父さん来なかったね」

 

「本土の方でいろいろあるって言ってたからな」

 

「船酔いして恥ずかしい思いして海水吸って、だいぶ動きが鈍ったよね」

 

「こいつがとどめだ、更に鈍らさせてもらうぜ」

 

「さぁ本番だ」

 

「約束通り、避けんなよ」

 

その言葉と共に悠馬、中村、奥田、龍哉、倉橋、寺坂、吉田、村松、狭間、原が銃を構える

 

(……やりますね、だが狙撃手(スナイパー)の居る位置はわかっている、そちらの窓からの攻撃さえ気を付ければ…)

 

パパパパパパパ!!

 

動画を流す前に宣言したとおり、悠馬、中村、奥田、龍哉が7本の触手を破壊し、殺せんせーも即座に再生し…

 

パパパパパパパ!!

 

再び7本の触手を破壊する、そしてそれを合図に…

 

ミシミシッ…パカァ!!

 

小屋の四方の壁が突然開き、周囲の様相が様変わりする

 

直後に龍哉がその場から陽菜乃を連れて飛び去り、更に海中から水着に着替え、何かボードに乗ったメグ、ひなた、桃花、有希子、大河、陽斗、正義、友人、創介が出てきて、殺せんせーの頭上で円陣を組む

 

(これは…水圧で空を飛ぶ…フライボード!!……水圧の…檻!!)

 

更に、渚とカエデによりかかっている橋の前後からも海水が放水され、更に陽菜乃を連れて飛び去った龍哉は小屋の近くに係留されていたボートに乗りこむ

 

「陽菜、大丈夫か?」

 

「うん、後は任せて、龍君も皆に合流して!!」

 

「ああ!!(殺せんせーは急激な環境の変化に弱い、堀部君とシロってやつのおかげでそれが分かった…木の小屋から水の檻、弱った触手を混乱させて反応速度を更に落とす!!)」

 

直後に陽菜乃は笛であらかじめ手なずけて置いたイルカ達を海面で跳ねさせて水しぶきを巻き上げると同時に下からの逃げ道を塞ぐ

 

一方、龍哉は海面を走って渡って他に控えていた面々と海中より現れた律と合流する

 

「射撃を開始します、照準、殺せんせーの周囲全周1m」

 

「一斉射撃、開始!!(今までの俺の暗殺で分かった事、それは当たる(・・・)攻撃に殺せんせーは即座に反応する…故、あえて狙いを外して弾幕を貼り、逃げ道を更に塞ぐ!!)」

 

そうして殺せんせーの逃げ道を塞ぎ切ったところに、水中から(・・・・)千葉と速水が現れる

 

先程まで殺せんせーが嗅ぎ取っていた臭いは2人の匂いをよくしみこませたダミーで、本人達はずっと海中に潜んでいたのだ

 

(小屋の中で陸上を警戒させ、フィールドを水の檻に変えることで全く別の狙撃点を作り出す!!2人の匂いも、発砲音も、水が全てかき消す!!)

 

((もらった!!))

 

動きが止まっている殺せんせーに狙いを定め、2人が発砲…

 

殺気が出たためか気づかれ、狙撃点に殺せんせーが振り向くが…その時には2人の打った弾が目前に迫っていた

 

(よくぞ…ここまで!!)

 

その瞬間、殺せんせーの全身が閃光と共に弾け飛んだ!!

 

一体、殺せんせーはどうなったのか…

 

暗殺は成功したのか…

 

全ては…まだわからない

 




龍哉「あとがきコーナー・第三十ニ回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

龍哉「今回はNGシーンはない、と言うか出てくるはずがない」

陽菜「流石に暗殺本番ではね~」

龍哉「なので、前書きで決まった俺のイメージ声優についてだ」

陽菜「保志総一朗さんだっけ、代表作は?」

龍哉「以下の通りだ」

保志総一朗さん代表作
機動戦士ガンダムSEEDシリーズ(キラ・ヤマト)
最遊記シリーズ(孫悟空)
戦国BASARA(真田幸村)
スクライド(カズマ)
黒子のバスケ(笠松幸男)
デジモンセイバーズ(大門大)

陽菜「パッと見た感じ、熱血系のキャラが多いんだね」

龍哉「顕著なのはカズマ、真田幸村、大門大だな…特に大門大」

陽菜「どんなの?」

龍哉「少し古いが、デジモンクロスウォーズの第3期に再搭乗した時にかつてのデジモンシリーズのボスキャラを拳一発で3体撃破した」

陽菜「…よ、弱かったのかも!!」

龍哉「ちなみにそいつ究極体で、下半身の本体を破壊しないと倒せない奴だったんだけどな」

陽菜「…あれ?龍君のイメージ声優に合ってる気がしてきた」

他の生徒達「同意」

龍哉「どういう意味だこら!!」

陽菜「今回はここまででーす」

龍哉・陽菜「それでは次回もお楽しみに!!」



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異変と伏魔の時間

仮面ライダーバースト用のシグナルバイクは下記4つです
マッハ、チェイサーも使用できる

・シグナルマシンガン
⇒能力:弾丸を連射できる、シフトアップすることで連射弾数、速度が上昇する
    ヒッサツフルスロットル時にタイヤを回転させることで
    その威力、連射弾数、速度を向上させる

・シグナルスナイプ
⇒能力:超高速の弾丸を射出できる、シフトアップすることで射程距離、速度が上昇する
    ヒッサツフルスロットル時にタイヤを回転させることで
    その威力、射程距離、速度を向上させる

・シグナルライトニング
⇒能力:雷の力を付与する、シフトアップすることで威力を向上させる
    その力を全身に伝達させることで全身の筋肉/神経を活性化させ、
    自身の身体能力を向上させる

・シグナルストーム
⇒能力:嵐の力を付与する、シフトアップすることで威力を向上させる
    その力を四肢にまとわせることで打撃の威力を向上させられる



―――海上

 

「うぉっ!!」「キャっ!!」「どわっ!!」「くっ!!」

 

殺せんせーが弾け飛んだ時の衝撃で周囲にいた生徒たち全員が海に吹き飛ばされた

 

何も影響を受けなかったのは離れていた烏間・イリーナ両先生と手漕ぎボートの上にいた陽菜乃だけである

 

「全員、無事か!?」

 

「何とか」「大丈夫です!!」

 

「それより、()ったのか!?」

 

今までの暗殺とは明らかに違い、殺せんせーが爆発し、後には何も残っていない…故に()ったを感じ取っていた

 

「油断するな!!奴には再生能力がある!!片岡さんを中心(リーダー)に水面を見張れ!!」

 

「「「「「はい!!」」」」」

 

「陽菜!!ボートの上から気泡を探してくれ!!おそらく殺せんせーはそこから浮かんでくる!!」

 

「うん、任せて!!」

 

「残りは銃を海面近くにしつつ、メグさんと探すよ!!」

 

「でもよ、水圧の檻と対先生物質の弾の弾幕っつー二重の檻だぜ、逃場はなかっただろ」

 

「しかも、唯一逃げれる下にはお前の彼女(倉橋)指揮下のイルカ達がいたんだぜ、流石に…」

 

「あっ!!皆!!気泡だよ!!」

 

「「「「「「「「「「!!!!!」」」」」」」」」」

 

「構えろ!!」

 

気泡がどんどん大きくなるも、全員が油断なく銃を構える…

 

しかし、海中から出てきた殺せんせーは…

 

「ふぅ」

 

「………なんだあれ」

 

「殺せんせーの」「顔がはいった」「オレンジの」「変な球体」「何アレ」

 

「これは先生の奥の手中の奥の手、完全防御形態!!」

 

「「「「「「「「「「完全防御形態!?」」」」」」」」」」

 

「外側の透明な部分は…高密度に圧縮されたエネルギーの結晶体です」

 

「…!!普段、俺らが触手切り落としたりした後、再生に使っているエネルギー、か…」

 

「その通りです、覇月君…この形態は肉体を思い切り小さく縮めることで余剰エネルギーを作り出し、肉体の周囲をがっちり固めた状態です」

 

「…加えて、先生の弱点の1つである【水】も克服してやがる…まさか」

 

「ええ、この形態になった先生はまさに無敵!!水も、対先生物質も、あらゆる攻撃をはね返します」

 

「…そんな、じゃ、ずっとその形態でいたら殺せないじゃん」

 

「ところがそうは上手くいきません」

 

「だろうな、そもそもそんな形態になれるのなら、わざわざ愛美さんに液状化する薬を作ってもらう必要はない」

 

「その通りです、このエネルギー結晶は…24時間程で自然崩壊します、その瞬間先生は肉体を膨らませ、エネルギーを吸収して元の姿に戻ります」

 

「逆に言えば、結晶が崩壊するまでの(・・・・・・・・・・)24時間(・・・・)先生は身動きできない(・・・・・・・・・・)ってことですよね」

 

「その通りです、ゆえにこの形態は様々なリスクを伴います、最も恐れているのは24時間の間に高速ロケットに詰め込まれてはるか遠くの宇宙空間に捨てられることですが…覇月君は、分かってますよね」

 

「……今この瞬間から24時間以内に、高速ロケットに詰め込んで捨てる、そんなのはありはしない(・・・・・・・・・・・)…!!」

 

「おや、どうしました、覇月君、何やら嬉しそうですが…」

 

「もう1つある、殺せる方法が!!」

 

「ニュヤ!?」

 

「マジか!!」「どんな方法だよ!!」

 

「烏間先生、今から出発して、24時間以内に日本海溝に到達できる船ってありますか?」

 

「船を?日本海溝に?なぜそんなことを…」

 

「この形態の殺せんせーに重りつけて海に沈めるんです、例えさっきのように元に戻るときに爆発できるとしても…水圧による圧力で爆発の規模は小さくなるはずです」

 

「そして、こいつ自身は動けないし、元に戻っても水は苦手だから動きも鈍る…なるほど、試してみる価値はあるかもしれん、上層部には掛け合っておく」

 

「んな事しなくても、無敵だか何だか知らねーけど、ぶっ壊せばいいだろ!!」

 

そう言って寺坂がスパナで殴り掛かるも、かすり傷一つ付かない

 

「ヌルフフフ、無駄ですねぇ、核爆弾でも傷一つ付けられませんよ」

 

「ならこれならどうだ…俺のこの掌が輝き吠える!仲間と大切な人達を護れと雄たけび上げる!!爆裂(バァァァクレツ)!!!バァァァストォォォフィンガァァァァァッ!!!!」

 

龍哉が寺坂の元から殺せんせーを右手で掬い上げつつ自信の必殺技であるバーストフィンガーを決める

 

「おぉ!!」「これなら!!」

 

周りの生徒達から期待がかかるが…

 

「………チッ」

 

肝心の龍哉は数秒ほど続けてすぐに必殺技を止めてしまった

 

「どうしてやめちまうんだよ!!」

 

「内包しているエネルギー量がやばい、破壊するにしても放出を1点に絞った(・・・・・・・・・)石破天驚拳(・・・・・)…およそ10発分(・・・・)ぐらいかな」

 

「…いや、ドンだけすごいんだよ」

 

「物理的なエネルギー単位で言うなら、2億ジュール以上(・・・・・・・・)だな」

 

「「「「「「「「「「!!!」」」」」」」」」」

 

「ま、そう言うことなら砕けないし、弱点なしって感じだから…さっき龍哉が言ったプラン以外打つ手なしだね、龍哉パス」

 

「何する気だよ…思いっきり回転掛けるぜ」

 

ギュルルルルルッと言う効果音が聞こえるくらい殺せんせーを回転させて龍哉はカルマに渡す…むろん、渡る前に海上でワンバウンドさせて回転を殺しているが…

 

「うぉっと…ちょ、龍哉殺せんせー酔ってんじゃん」

 

「うぶ…先生…吐きそうです」

 

「…よし、もっと回転掛けて回して吐かせよう」

 

「ついでだから恥ずかし映像とウミウシを引っ付けてさ~最後に不潔なおっさん見つけてパンツの中にねじ込もう」

 

「ニュヤぁ…やめてください…誰か…助けてください…」

 

「「「「「「「「「「暗殺対象(ターゲット)暗殺者(アサシン)に助け求めるなよ」」」」」」」」」」

 

「……取り敢えず解散だ皆、上層部とは先程の覇月君の案で検討する」

 

「う…確かに、先程の覇月君の案でしたら…うぷ…深度によっては…おぇ…先生のエネルギーの爆散による…あぁぁ…吹き飛ばしも…効果が…薄れるでしょうしねぇ…うっぷ」

 

「しゃべるか気持ち悪いのを止めるのかどっちかにしろ」

 

「…ですが、皆さんは誇って良いです…うぶ…世界中の軍隊でも…うぐぅ…先生をここ(・・)までは…おぉぅ…追い込めませんでした」

 

「いや、見てるこっちも気持ち悪くなるからいい加減してくれません?殺せんせー」

 

「覇月君、君の…うぷぷ…せいですよ…おう…ひとえに…あう…皆さんの計画の…ああぅ…素晴らしさです」

 

殺せんせーはE組全員で知恵を絞って立てた計画を褒め称えたが…全員の落胆―龍哉でさえ―隠せなかった

 

かつてなく大がかりで…全員で力を合わせたうえでの渾身の一撃を外したショック…異常な疲労感と共に全員はホテルへと戻った

 

==========

―――ホテルのコテージ(E組の宿泊先)

 

ここで、何人かのグループに分かれて座っている、特に今回の計画(プラン)の中心だった龍哉、龍之介、凛香に陽菜乃が1つのテーブルに揃っていた

 

「…律、今回の…記録に取れていたか?」

 

「はい、可能な限りのハイスピード撮影で今回の暗殺の一部始終を」

 

「…何か、気になることでもあるの?」

 

「だな、あんな隠し玉流石にあるなんて誰も思わないが…」

 

「…俺さ、撃った瞬間分かっちゃったんだよ…「ミスった、この弾じゃ殺せない」って」

 

「「!!」」

 

「…いえ、断定はできません、あの形態に移行するまでの正確な時間は不明瞭です」

 

「龍君、傍で見ていてどうだった?」

 

「…目測+勘での推測だが、約2~3秒ってところかな…」

 

「はい、ですので千葉君の射撃が後0.5秒早いか、速水さんの射撃が後標的(ターゲット)に30㎝程近ければ…」

 

「殺せてたってこと?」

 

「はい」

 

「…やっぱり」

 

「自信はあったんだ、リハーサルは勿論、龍哉に付き合ってもらってあそこより不安定な場所で練習しても外さなかった」

 

「でも、あの瞬間(・・・・)硬直しちまったんだろ、まぁ、俺とは違う理由だろうけど」

 

「…いや、同じような理由だ…指先の硬直とか、視界の狭さとか、前に龍哉が話してた…殺す瞬間の戸惑いだった」

 

「…同じく」

 

「しかも、絶対に外せないという重圧(プレッシャー)、「ここしかない!!」って大事な瞬間」

 

「……こんなにも練習と違うなんて、思わなかった」

 

そんな2人を見て、龍哉と陽菜乃は顔を近づけて小声で会話しあう

 

「…だいぶ落ち込んでるね」

 

「無理もねぇよ、あれだけ周りからのサポート+期待がかかった状態で外したんだから…とは言っても、これは外からどうこう言ってもしょうがない…自分でどうにか解決してもらうしかない」

 

「…それはそうかもしれないけど、でもでも、何か…」

 

「…それは俺も同じさ…だけど…こんな状況になるのも(・・・・・・・・・・)皆初めてなんだ(・・・・・・・)

 

「あ、そっか…どう励ましたりしたらいいか、自信を取り戻させたらいいか、分かんないんだ…」

 

「そう言うこと…俺だって…あの2人をどうにか元気づけたいが…」

 

「難しいよね…でもそれ以上に、皆…疲れてない?」

 

「…そういや確かにな、龍之介や凛香さんはともかく、ほとんどサポートだった三村君達まで…」

 

「り、龍哉!!」

 

「どうした、渚…!!皆!!」

 

「「「!!」」」

 

「これは…いったい…」

 

「ぼうっとしてる場合じゃないよ、龍君!!莉緒ちゃん、有希ちゃん、大丈夫!?」

 

「ちょっと、原さん、大丈夫?」

 

「三村、岡島、大丈夫なのか?」

 

「陽斗に友人、一体どうした?」

 

龍哉達が反省会とどうにか自信を取り戻させる方法を考えていたら急に周りがあわただしくなった

 

ふと見渡すと中村、有希子、寿美鈴、三村、大河、用途に友人がへたり込んでいた

 

「………!!フロント!!この島の病院はどこだ!!」

 

「え…いやその、何分小さな島なので…小さな診療所はありますが、当直医は夜になると本島に帰ってしまいます、船は明日の朝十時にならないと…」

 

「くっ…」

 

「烏間先生、状況は…」

 

「かなり悪い…むっ…」

 

「電話…こんな時に…」

 

そう言うと烏間先生が電話に出る…前に龍哉に一緒に聞くようハンドサインで指示を出し、ともに携帯に耳を当てる

 

「『……やぁ先生、可愛い生徒達がずいぶん苦しそうだねぇ』」

 

それを聞いた龍哉が陽菜乃に手渡されたメモ帳ですぐに筆談を開始する

 

「【ボイスチェンジャー使ってます、今、律に発信源の特定を頼みます】」

 

それに烏間先生は頷き、相手からの会話をできるだけ長引かせ、正確な位置を特定しようとする

 

「何者だ、まさかこれはお前の仕業か?」

 

「『ククク、最近の先生は察しがいいな、人工的に作り出したウイルスだ、感染力はやや低いが一度感染したら最後…潜伏期間や初期症状に個人差はあれど、一週間もすれば全身の細胞がグズグズになって死に至る…治療薬も一種のみの独自開発(オリジナル)、当然、私の手元にしかない…渡すのが面倒だから、直接取りに来てくれないか?』」

 

「【特定できました、場所は山頂のホテルの最上階です】」

 

「『山頂にホテルが見えるだろう、手土産はその袋の賞金首だ』」

 

「【今の話から、このコテージ内は一部見張られています、ここは問題ありません】」

 

その文言に、烏間先生も確かにと納得する、なぜならば一緒に聞いている(・・・・・・・・)龍哉についてなにも(・・・・・・・・・)言及してこないからだ(・・・・・・・・・・)

 

「『クラスの半分…特に危険な奴は見えないが…ウイルスに感染しているようだな…フフフ結構結構』」

 

「もう一度聞く、お前は」

 

「『俺が何者かなどどうでもいい、ただ…百億の首を狙っているのはガキ共だけじゃないという事だ』」

 

((同業者(他の暗殺者)か!!))

 

「『治療薬はスイッチ1つで爆破できる、我々の機嫌を損ねれば感染者は助からない』」

 

「…念入りだな」

 

「『そのタコが動ける状態を想定しての計画だからな、動けないなら尚更こちらの思い通りだ』」

 

その言葉に龍哉達は言葉を失ってしまう

 

「『山頂の「普久間殿上ホテル」最上階まで1時間以内に賞金首を持ってこい…だが先生よ、お前は(・・・)相当腕が立つそうだから危険だ…だから、動ける生徒の中で最も背が低い男女に持ってこさせろ』」

 

「「!!!」」

 

電話主から言われた言葉に龍哉も烏間先生も思わず渚、カエデの方を見てしまう

 

「「……?」」

 

当然、いきなり向けられた視線に2人も困惑するも、仲間の看病の手は止めなかった

 

「『フロントに話は通してある、素直に来れば賞金首と薬の交換はすぐに済む…だが…外部との連絡を取ったり…1時間を少しでも遅れれば…即座に治療薬は爆破する』」

 

「「っ!!」」

 

声が出そうになるも、龍哉は慌てて自分の手で口を塞ぐ

 

「『礼を言うよ、よくぞそいつを行動不能にまで追い込んでくれた…天は我々の味方のようだ』」

 

そこまで言って電話が切れる

 

そして龍哉はその電話主のやりように…怒りが溜まり…

 

「~~~ッ!!」

 

両こぶしを思いっきりテーブルに叩き付けて…

 

ドカァァァァン!!

 

強さのあまり、テーブルを1つ破壊してしまった…

 

「り、龍君!!大丈夫?」

 

「…ああ、だが、まさか…」

 

「どうしたの?」

 

「第三者が…狙ってきた」

 

「!!」

 

龍哉の言葉と烏間先生の表情と雰囲気から…生徒達は非常事態になったのだと悟るのだった…

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第三十三回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

龍哉「そんじゃ、NGシーンに行ってみようか」

NGシーン

「うぉっと…ちょ、龍哉殺せんせー酔ってんじゃん」

「うぶ…先生…吐きそうです」

「…よし、もっと回転掛けて回して吐かせよう」

「ついでだから恥ずかし映像とウミウシを引っ付けてさ~最後に不潔なおっさん見つけてパンツの中にねじ込もう」

「むしろ下水に流そうぜ、汚物がたっぷりある場所にさ」

「ニュヤぁ…やめてください…誰か…助けてください…」

しかし、殺せんせーの願いは聞き入れられず、烏間先生も含めた全員で殺せんせーを苦しめる方法を話し合うのだった

陽菜「これって暗殺失敗後のどうするか相談してるとき?」

龍哉「そう、でもなんでこれ採用されなかったんだろうな」

(流石にまずいと思ったので…by作者)

龍哉・陽菜「それでは次回もお楽しみに!!」


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潜入スタートの時間

今回からガッツリオリジナル要素が入ります。

漫画化し、最新刊の発売が決定したあの仮面ライダーになる人達が登場します。

ぶっちゃけ、この為にドライブサーガ:チェイサー編はやりました。

そして陽菜乃の服装ですがポケモンORAS(オメガルビーアルファサファイア)のハルカの服装のタンクトップの色がピンクに、バンダナを外したものです。

龍哉は前々回の前書きに合ったように、他の皆は原作のままの服装です。


―――コテージ内広間

 

ここには動けない生徒達がタオルとブランケットの上に寝かされ、他の無事な生徒達はその看病に動きつつ、龍哉と烏間先生から先程の電話の話を聞く

 

「…と言う訳だ」

 

「…ひどい、誰なんですか、こんなことする奴は!!」

 

「…電話口じゃボイチェン使われてたからな…ただ、相手は複数人、しかもそのうちの1人が開発したウイルスだ…だが…」

 

「だが?どうしたのだ?何か気になることでもあるのか?」

 

「潜伏期間はともかく、初期症状の個人差は…大河以外には出ていないと思いまして」

 

「……確かに、そうだな」

 

「烏間さん、案の定ダメです、政府としてあのホテルの宿泊客を問い合わせても「プライバシー」を繰り返すばかりで」

 

「やはりか」

 

「はぁー、最悪の事態だ」

 

「やはり?烏間先生、覇月君、何か知ってるんですか?」

 

殺せんせーに聞かれると、龍哉が目線と手で自分が話す、と烏間先生に告げ、烏間先生も頷いて返した

 

「俺は仮面ライダーでもありますから、この島に来る間、参加できないってことを伝えに行った時に、本願寺さんからこの島について教えてもらったんです」

 

「この島について?何か変な動物でもいるの?」

 

「だったら何百倍もマシだよ…この小さいリゾート島の「普久間島」は別名「伏魔島」とも言われ、警視庁本庁からもマークされてる」

 

「じゃぁ、ここも…」

 

「いや、まずいのはさっきの電話主がいる離れた山頂のホテルだけ、南海の孤島という地理もあって国内外のマフィア勢力とそれらとつながってる財界人達が出入りしている、と言う話だ」

 

「やはり、警察内部はほぼ確信状態か」

 

「とは言えど、現場を抑えることが出来ないんでほぼ野放し…というより、政府要人とのつながりもあって迂闊に手が出せないそうです」

 

「一体、どんなことやってるのよ」

 

「私兵警護の元、違法商談、ドラッグパーティー、R18な事…表では絶対に出来ないことを連夜開いているそうです」

 

「ふーん、そんなホテルがこっちに味方するわけないね」

 

「…祖父ちゃんに何とか連絡取れれば、少しはましな状況に持っていけるかもしれないけど…」

 

「どうして?」

 

「祖父ちゃんのパイプを使ってつながりのある政府要人達を探って動かしてもらうのさ、少なくとも、何もしないよりはマシな状況にはなるはずだ」

 

「でもそれでも間に合わないかもしれないだろ!!どうすんだよ!!このままじゃいっぱい死んじまう…殺されるためにこの島に来たんじゃねーよ!!」

 

「落ち着いて、吉田君、そんな簡単に死なない死なない、じっくり対策考えよう」

 

「お、おう」

 

「言う事聞くのも危険すぎんぜ、一番チビの2人で来いだぁ?このちんちくりん共だぞ!?人質増やすよーなもんだろ!!第一よ、こんなやり方する奴らムカついてしょうがねぇ、人の友達(ツレ)にまで手ぇ出しやがって」

 

「キシシ」「単細胞が」

 

「じゃあどうするんだよ」

 

「決まってんだろ!!要求なんざシカトだ!!シカト!!今すぐ全員都会の病院に運んで」

 

「…賛成しないな」

 

「ああ、まず運ぶにはヘリコプターだが…そんなのがここに飛んで来れば流石に交渉決裂がばれる」

 

「加えて、もし本当に人工的に作った未知のウイルスなら対応できる抗ウイルス薬はどんな大病院にも置いていない、いざ運んでも無駄足になる可能性が高いから、患者の負担(リスク)を増やすだけだ」

 

「竹ちゃん、氷あるだけ持ってきたよ」

 

「次はどうすればいいですか」

 

「ありがとう倉橋さん、奥田さん、対症療法で応急処置はしとくから急いで取引に行ったほうがいい…ああ、氷嚢を作って患者の頭に、間にはタオルをはさんでね」

 

「悪いが、俺は取引に応じるのは寺坂君同様、反対だな」

 

「龍哉!?」「どうして!?」

 

「奴らが約束を守る保証がどこにもない以上、渚とカエデさんまで危険だ…最悪の事態を考えるとな」

 

「う…」

 

「せめて、殺せんせーが動けたら…」

 

「私達の暗殺が中途半端に上手くいったせいで…」

 

「そんなことを今更悔いてもしょうがない…と言うかこんなことになるなんて想定している奴なんざいないって」

 

(敵の目的は殺せんせー(こいつ)だが、覇月君の言う通り、渡しに行った生徒2人(渚君と茅野さん)を人質に取り、薬も渡されず逃げられたら最悪の事態だ…どうする…!?交渉期限1時間も無い…)

 

「いい方法があります」

 

「え…?」

 

「病院に逃げるより、大人しく従うよりもずっといい方法が」

 

「もしかして、さっき律に頼んでいたことと何か関係が?」

 

「ええ、下調べを…元気な人で…申し訳ありませんが、竹林君、奥田さんはこのまま看病をお願いします…それ以外の人はついてきてください、汚れてもいい格好でね」

 

==========

―――ホテル裏

 

「……高ぇ…」

 

「あのホテルのコンピュータに忍び込んで、内部の図面を入手しました、警備の配置図も」

 

「どういう風になっているのか、説明してくれ」

 

「はい、警備は正面玄関をはじめ敷地内一体に大量に置かれているのでフロントを通らずにホテルに入ることはほぼ不可能です」

 

「…つまり、今いる箇所以外からは入れないってことか?律」

 

「流石お兄ちゃん!!はい、この崖を登った先にある通用口、その1か所はまず侵入不可能な地形なので警備も配置されていません」

 

「敵の意のままになりたくないのでしたら手段はただ1つ、患者9人と、看病に残した竹林君、奥田さんを除き、動ける生徒全員でここから侵入し、最上階を奇襲して治療薬を奪い取る!!」

 

「「「「「「「「「「「!!!!!」」」」」」」」」」

 

「…危険すぎる、この手口は脅迫の手口、敵は確実にプロの奴だ」

 

「ええ、しかも私は完全防御形態なので君達の安全を守れない、大人しく私を渡した方が得策かもしれません」

 

「それは…」

 

「どうします?全ては君達と…指揮官である烏間先生の判断次第です」

 

「……」

 

「…ちょっと、難しいな…」

 

「そーよ!!無理に決まってるわ!!第一この崖よこの崖!!ホテルにたどり着く前に転落死よ!!」

 

「(やはり無理だ…渚君と茅野さんに持っていってもらうしかないか…)すまないが…」

 

烏間先生が取引に応じようと渚とカエデに声をかけようとしたが、そこには生徒達は誰1人として残っていなかった

 

慌てて周りを見ると、崖をひょいひょい上っていく生徒達がいた

 

「いや、崖登るだけぐらいなら訳ないですからね」

 

「いつも龍哉にやってもらってる特別訓練に比べると断然な」

 

「「「「「それな」」」」」

 

「あ~確かに、ここよりつるつるだもんな、俺が訓練に使う場所」

 

「でも、俺達は未知の場所(ホテル)で未知の敵と戦う訓練をしていません、ですので烏間先生、しっかりとした指揮をお願いします」

 

「俺もできる限り、フォローします」

 

「おぉ、そんで、こんなふざけた真似した奴らに…きっちり落とし前付けさせてやる」

 

「見ての通り彼らはもはやただの生徒ではない、あなたの元には16人の特殊部隊がいます…さて、どうしますか?時間はないですよ」

 

「………注目!!目標山頂ホテル最上階!!隠密潜入から奇襲への連続ミッション!!ハンドサインや連携については訓練のものをそのまま使う!!いつもと違うのは標的(ターゲット)のみ!!3分でマップを叩き込め!!19時50分(ヒトキューゴーマル)作戦開始!!」

 

「「「「「「「「「「おう!!!」」」」」」」」」」

 

==========

―――崖及び通用口

 

「それじゃ、俺、ひなたさん、正義の順で上るよ…烏間先生が殺せんせーもってイリーナ先生背負ってるから、次いで戦闘力や気配察知が出来る俺が先頭には適任だ」

 

「私が次なのは?陽菜乃ちゃんじゃなくて」

 

「身軽で速いからな、俺になんかあっても皆への連携や連絡が取れる」

 

「「了解」」

 

その後に続いて他の生徒達も悠々に上っていく

 

「しかし皆さん見事なバランスですねぇ」

 

崖上り(クライミング)なら学校や覇月君の家の裏山でやらせている、どんな場所でも暗殺を可能とするためにな、基礎となる筋力とバランスが不可欠だからな」

 

「なるほどねぇ、フライボードを自在に操ったのもその成果ですね」

 

「そんなことどうでもいいから早く昇んなさいよ!!捕まる手が疲れてきたわ!!」

 

「ならなんで着いてきたんだよ…」

 

「留守番とか除け者みたいでいやなんだって」

 

「フン、足手まといにならなきゃいいけどな」

 

そうしてまず、龍哉、ひなた、正義が最初に通用口のある崖の頂上にたどり着く

 

「ん?」

 

「…あれ?」

 

「おいおい、嘘だろ…」

 

気が付いた龍哉達がハンドサインで一度全員にその場で止まれ、というのを出す

 

「どうしたんだろ…」

 

そのまま、敵影らしき3人の人影あり、と言うハンドサインが送られてくる

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

「ひなたさん、正義、いつでも下りれる準備を」

 

「龍哉は?」

 

「ギリギリまで近づいて、どんな人達か「Gyou!Gyou!!」なんだ?」

 

「白い…恐竜の…」

 

「メカ?」

 

「ファング、ここにいたのか…おや、君達は?」

 

「!!逃げ「おい、フィリップ、ファングいたのか?」「おい、左、フィリップ、まだか?」…この、声…」

 

「おい、どうした龍哉」

 

「む、そこに誰かいるのか?」

 

「ん?」

 

(((ばれた!!)))

 

「む、君は…」「あ、あなたは…」

 

「覇月龍哉君、だったな」「照井警視!!」

 

「「「「え、知り合い?」」」」

 

==========

―――通用口前

 

「こちらの方は風都署の特犯罪刑事課の警視さん、照井竜警視」

 

「風都署の照井だ、こっちは私立探偵の左とフィリップ」

 

「今紹介に預かった、ハードボイルド探偵の、左翔太郎だ、よろしくな」

 

「いや、君はハーフボイルドだろう…彼の相棒のフィリップだ」

 

「あなた方がここにいるのはガイアメモリ関係でしょうけど、ここは管轄外、ですよね」

 

「俺に、質問をするな」

 

「…フィリップさん、違いますか?」

 

「おや、どうして僕なんだい?」

 

「照井さんも左さんもこの手のやり取りは時間かかりそうなので」

 

「ぷっ、ははは」

 

「何がおかしいんだフィリップぅ!!」

 

「と、僕達がこの島に来たのは、君の言う通りガイアメモリ関係さ、そして照井竜も管轄外だが…これは警視総監からの依頼(・・・・・・・・・)でね」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

「しかも、実は君には極内密に、と言われていたんだが…無理そうだしね」

 

「…分かりました」

 

「龍君?どうしたの、何か…あった?」

 

「…少し、気になることが…特状課の皆もかなり余所余所しかった…その件と…多分、今照井警視達がいるのはつながってる」

 

「(凄い推理力だな…)まぁ、そんなところだ、で、俺達はそのガイアメモリ関係者を追ってここまで来たんだが…」

 

「急にこの扉に入れなくなってな…」

 

「何者かにパスワードを書き換えられたんだ…これでは犯人を追うことが出来ない」

 

「「「「「「「「「「「あ~」」」」」」」」」」

 

「何か知っているのか、君達は」

 

「……犯人の素性をそれなりに教えていただくのと、俺達の事、どこまで把握しているのか…教えていただけるのなら」

 

「………それは「いいんじゃねぇの、照井」左」

 

「その通りだ、それに、僕等の件は彼らにも密接に関わっている…友好な協力関係を結ぶためにも、話せるだけ話しておいたほうがいい」

 

「……分かった、お前達に任せる」

 

「それじゃ、話すぜ」

 

左達が知っている情報は以下の通りだった

・主犯格は全部で2人、加えて3人程暗殺者を雇っているという事

・主犯格2人はガイアメモリを所持しているという事

・主犯格の1人は内部の8Fのコンサートホール近くに、もう1人は最上階にいるという事

・龍哉達の事は超生物を殺す為だけに暗殺者の訓練を受けているという事

 

「……極秘任務なのに何で知ってるんですか」

 

「…あ~、こいつはちょっと特殊能力持っててな、地球上にあることなら大概調べることが出来るんだ」

 

「それで、元々月の事で調べていたら君達に行きついてね、その後照井竜から君の事も聞いたよ、後輩の仮面ライダー」

 

「そこまで知っているなら、あまり話さないわけには、いかないな」

 

「ですね、烏間先生」

 

「それで、君達は通れない理由を知っているのか?」

 

「…実は、俺達の仲間が恐らく照井警視達が追っている連中にウイルスに感染させられたんです…それで、俺達は交渉をもちかけられたんですが…」

 

「その内容が受け入れらるものではない、もしくは危険なものであった為に決裂してこの事態になっている、という事か」

 

「その通りです」

 

「それで、通れるのかい?」

 

「はい、律、説明を」

 

「分かりました!!」

 

「これは…電子媒体の中にいる…いや、超AIみたいに、自律して思考しているのか」

 

「ええ、俺の母親の…遺作、みたいなやつです」

 

「なるほど、興味深い…さぁ検索を「やめろフィリップぅ!!」何するんだい翔太郎!!君も気になるんじゃないか!?」

 

「確かに気になるけど、今やることじゃねーだろ!!」

 

「…説明の続きを頼む」

 

「は、はぁ…今、あのホテルの一部は律が掌握しています、あの扉の電子ロックもそうです」

 

「はい、また、監視カメラにも私達が写らないよう細工できます」

 

「ただ、一部、という事は掌握できていない個所もあるのか」

 

「流石に管理システムは、多系統に別れているので全てを私1人で掌握するのは不可能です」

 

「…流石に厳重だな」

 

「…律、侵入ルートをこの場にいる全員(・・)で確認しよう」

 

「俺達も、いいのか?」

 

「正直、ガイアメモリを持ってるのが2人同時ですと、俺1人じゃ対処しきれないですから」

 

「分かりました、内部マップを表示します」

 

そう言うと全員のスマフォにマップが表示される、照井警視達は龍哉のスマフォをのぞき込んでいる

 

「私達はエレベータを使用できません、フロントが渡す各階ごとの専用のICカードが必要だからです…従って階段を使って上るしかありませんが、その階段もバラバラに配置されているので最上階までは長い距離を歩く必要があります」

 

「テレビ局みたいな構造だな」

 

「どういうことだ?」

 

「テロリストとかに占拠されにくいよう複雑な設計になっているそうです」

 

「こりゃあ悪い宿泊客が利用するわけだぜ」

 

「…でも、行くしかない、時間がないんだからな」

 

「ああ、状況に応じて指示を出すから見逃すな」

 

「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」

 

「照井警視達には俺から警察のハンドサインでいいですか?」

 

「俺に質問を「あ~うん、それでいいわ、俺達も知ってるから」左」

 

「……分かりました、それでは行きましょう」

 

烏間先生が通用口を開け、そのまま先頭にしてホテルへ潜入していく

 

仲間達を助けるために、黒幕を倒すために…

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第三十四回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

龍哉「そんじゃ、NGシーンに行ってみようか」

NGシーン

「こちらの方は風都署の特犯罪刑事課の警視さん、照井竜警視」

「風都署の照井だ、こっちは私立探偵の左とフィリップ」

「今紹介に預かった、ハードボイルド探偵の、左翔太郎だ、よろしくな」

「いや、君はハーフボイルドだろう…彼の相棒のフィリップだ」

「うるせぇぞフィリップ!!」

「あなた方がここにいるのはガイアメモリ関係でしょうけど、ここは管轄外、ですよね」

「俺に、質問をするな」

「いや、でも聞かないと分からな「俺に、質問をするな」いやでも「するな」…」

((((((((((なんかまた面倒臭い人が…))))))))))

陽菜「照井さん達の紹介の時か…NGシーンはなんかW本編みたいな感じだね」

龍哉「確かにな、こっちでもよかった気がするが…」

陽菜「あれじゃない?一応本筋で活躍するのがバーストで、ドライブよりだからじゃない?」

龍哉「あ~、納得」

龍哉・陽菜「それでは次回もお楽しみに!!」


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引率と保護の時間

長らくお待たせしました

最低減は書き上げてたんですが、締めを書くのに時間がかかりました。

今回は内容上NGシーンなしです。

そしてあとがきでバーストのスペックを上げました。

今後の戦闘シーンの参考にでもしてください


―――山頂ホテルロビー

 

龍哉達は烏間先生を先頭に順序良く進むが…

 

(侵入早々最大の難所だな…)

 

このホテルはロビーを通らなければ上の階には行けない構造の上、警備のチェックも一番厳しい場所だ

 

幸いにして非常階段は龍哉達がいる場所の近くいあるが…生徒含め全員が発見されずに通過するのは不可能と言える

 

「…人数絞るわけにもいかないし…全員の目を一か所に集中させれれば…」

 

「しかし、そんなことは不可能「何よ、普通に通ればいいじゃない」何?」

 

「「~~~~~~~~~~!!」」

 

「(小声)状況判断もできねーのかよビッチ先生!!あんだけの警備の数どうやって」

 

分かっていないような発言をしたイリーナ先生に創介が詰め寄るが全く意にも介さず、イリーナ先生はあるものに目をつけ…

 

「だから、普通によ」

 

そう言って普段と変わらぬ(・・・・・・・)足取りで右手にシャンパングラスを持って目を付けたピアノの方に向かっていく

 

その美貌と色香にその場にいた人達は全員釘付けになる

 

その途中、酔った(フリ)のためか…わざとかどうかわからないようホテルマンの1人にぶつかる

 

「あっ…ごめんなさい、部屋のお酒で悪酔いしちゃって」

 

「あ、お、お気になさらずお客様(キューン)」

 

「来週そこでピアノを弾かせていただく者よ、早入りして観光していたの」

 

「…目線で会話してるな…おそらくピアニスト自体珍しくないんだろうな」

 

「なるほどな」

 

「酔い覚ましついでにね、ピアノの調律をチェックしておきたいの…1曲、弾いてもいい?」

 

「えっ…では、フロントに確認を」

 

そう言って離れようとするボーイの1人の袖をつかみ…

 

「あなた達にも聴いて欲しいの…そして審査して」

 

「し、審査?」

 

「そ、私のこと良く審査して…ダメなとこがあったら叱ってください」

 

そうしてピアノを弾きだして…

 

「め…メチャメチャうめぇ…」

 

("幻想即興曲"ですねぇ、腕前もさる事ながら、魅せ方が実にお見事…色気の見せ方を熟知した暗殺者が…全身を艶やかに音を奏でる…まさに"音色"、どんな視線も引き付けてしまうでしょう)

 

「ね、そんな遠くで見てないで…もっと近くで確かめて」

 

胸元を見せながら手招きしてホテルマン達を誘導する

 

「「お、おお…」」

 

(20分稼いであげる行きなさい)(ハンドサインで皆に教える)

 

その間に通るだけだが…E組の生徒達のほとんどが目を奪われていた…ついでに…

 

「翔太郎、いい加減にしなよ」「ハァ…」「うわぁ…」

 

左までも綺麗な先生に見とれていた

 

「(小声)ぷはぁ!全員無事にロビーを突破!!」

 

「すげーやビッチ先生…あの爪であそこまで」

 

「ああ、ピアノ弾けるなんて一言も」

 

「普段の彼女から甘く見ないことだ…」

 

「優れた殺し屋程万に通じてる、昔のロヴロさんや今見たイリーナ先生のようにね」

 

「そう、彼女クラスになれば…潜入暗殺に役立つ技能なら何でも身につけている…君らに会話術を教えているのは…世界でも一・二を争う色仕掛け(ハニートラップ)の達人なのだ」

 

潜入しているE組の全員が驚いている

 

「ヌルフフフ、私が動けなくても全く心配なさそうですね…」

 

改めて知ったプロの大人の技術の威力…殺せんせーが動けなくても…プロ揃いのE組の先生は頼もしい!!

 

だが…それは相手側も同じである…

 

==========

―――E組が宿泊しているホテルロビー

 

「うぐ…わ、悪ィな竹林」

 

「とにかく皆発熱がひどい、脳にダメージが行かないよう頭だけは冷やしておこう」

 

「は、はい!!…あ、でもこれだけ強いウイルスなら…この島中に広まってしまうんじゃないですか?」

 

「覇月とも話したけど、それは多分ないよ、犯人は「感染力は低い」と言っていたそうだし、恐らく空気感染の危険は少なく…経口感染…飲食物に混入されていたとみるべきだろう…赤の他人にバシバシ感染(ウツ)す心配はない…あそこに行った皆にも覇月経由で伝わるから問題もない」

 

「でも、私達(E組)だけを狙って盛られたウイルス…一体いつ、どこで盛られたんでしょう…」

 

「多分、覇月あたりが気が付いているだろうから、それも問題ないと思うよ」

 

==========

―――潜入先ホテル2F

 

「……さて、君らになるべく普段着のままこさせたのにも理由がある」

 

「このホテルは入口の厳しいチェックさえ抜けちまえば、後は客のフリして通ることが出来る」

 

「客ゥ?悪い奴らが止まるようなホテルに、俺等みたいな中学生がいるわけないっしょ」

 

「ところがどっこい、けっこういるんだな、これが」

 

「え?」

 

「芸能人や金持ち連中のボンボン達だ…覇月君の家の様に格式高くしっかりとした教育をせず、王様のように甘やかされて育った彼らは…君ら位の事から悪い遊びに手を染める」

 

「そう、だから君達もそんな輩になったフリで…世の中をなめてる感じで歩いてみましょう」

 

そう殺せんせーに言われると、皆が皆嘗めきった表情で先に進んでいく…ちなみに

 

「り、龍君…ちょっと…恥ずかしいな…」

 

「このほうがいい…こっちの方がばれづらい」

 

龍哉は陽菜乃の肩に手を回し、そこから胸元あたりにまで手を伸ばしている

 

「…なんでお前等そうなってんのに顔赤くなってないんだよ」

 

「「こないだイリーナ先生から教えてもらった…皆が殺せんせーの劣化パクリって言った顔色操作技術、こんなこともあろうかとしっかり教わっておいた」」

 

「……ぬかりないな、2人共」

 

「なんつーか、全員頼もしい感じじゃねーか」

 

「フ、確かにね」「ああ」

 

「でも油断するなよ、こっちも敵の顔を知らないんだからな」

 

「そう、敵もまた客のフリで襲ってくるでしょう、十分に警戒して進みましょう」

 

「……はい!」

 

==========

―――潜入先ホテル3F

 

通る最中に何人かとすれ違うが…

 

「(小声)本当にただの客同士って感じだな」

 

「(小声)むしろ視線も合わせない、トラブルを避けたいのはあっちも一緒なんだろうな」

 

「ホテル内全員が敵かと思ったけど、案外そうでもないみたいだね」

 

「これなら、最上階まで楽に行けそうだね」

 

「うん、仮に何かあっても前衛は烏間先生が、後衛は龍哉が見つけてくれるさ」

 

そんな前衛側で…

 

「へっ、楽勝じゃねーか、時間がねーんだからさっさと進もうぜ」

 

と、油断した寺坂と吉田が烏間先生を抜いてずんずんと先に進んでいくが…その先にソフト帽を被った男が口笛を吹いて現れた

 

その男に気が付いた優月が声を上げる

 

「寺坂君!!吉田君!!そいつ危ない!!」

 

それとほぼ同時にその男が左手で筒状の取り出すとガスを放射するが…

 

一瞬早く烏間先生が寺坂と吉田の襟首をつかんで後ろに放り投げ、自分が代わりにガスを全身に浴びてしまう

 

それでも右足で男の噴射機を蹴り飛ばしつつ距離を取ると、相手も引き、自分に気づいた優月に興味を持つ

 

「…なぜわかった…さっきを見せずにすれ違いざまに()る、俺の十八番(おはこ)だったんだがな、おかっぱちゃん」

 

「…不破」

 

「だっておじさん、ホテルで最初に私達にサービスドリンク配ってた人でしょ?龍哉君、間違いないよね?ついでに言っとくと私の髪型はおかっぱじゃなくてボブよ、おじさん」

 

「ああ、このおっさんの気配、そん時のと何ら変わってない(・・・・・・・・)…隠す気あんのかってくらいにな」

 

「…あ!!そうだ!!」

 

「断定するには証拠が弱いぜ、ドリンクじゃなくても…ウイルスを盛る機会は沢山あったぜ、本土とかでもな」

 

「そいつは無理だな、俺達の居住区は全員バラバラだし…全員が集まるのは学校ぐらいだがそれでも昼飯はバラバラ、本土で俺たち全員に感染させておくには…それこそウイルステロクラスじゃないと無理だ…そうすると、俺達(E組)の家族に加えて他の民間人にも被害者が出る…しかしプロの暗殺者は余計な殺しはしない」

 

「それゆえに私達(E組)を感染させるにはこの島での飲食したものに限られ、その飲食物に入ったウイルスから感染したって竹林君がそう言ってた…そして、クラス全員が同じものを口にしたのは…あのドリンクと船上でのディナーの時だけ」

 

「?あれ?岡ちんも三村んも感染してなかった?」

 

「そう、あの2人は映像編集作業をしていたからディナーは別に用意してもらった軽食、でもそれも私達が食べてたディナーと同じ人達が作ってたからその中にあったなら皆感染してる」

 

「あそっか、それで感染してないってことは、昼間のドリンクに絞られるってことだね!!」

 

「そういうこと、従って…犯人はあなたよ!!おじさん君!!」

 

「いやまてなんで君付けた」

 

「でもすごいよ不破さん!!」「なんか探偵みたい!!」

 

「…はー、すごいな」「僕ら顔負けの推理力だね」「でもきっとできた理由は…」

 

「普段から少年漫画読んでるとね、普通じゃない状況が来ても素早く適応できるのよ」

 

「そうなのかい!?」「いや嘘だろ」「ありえん」「ほぼ精神面要素だろ」

 

「そうでもないよ!!特に探偵物はいろいろとメガヒット揃い!!」

 

「…珍しいな、メタ発言なしとは」

 

「しょうがないじゃない、二次創作作品じゃステマも販促もしたってほとんど意味ないもん」

 

「「原作よりもメタすぎる!!」」「「「お前ら(君たち)()!!」

 

「……ククク」

 

「何がおかし…烏間先生!!」「!!」

 

烏間先生が力が抜けたように倒れこんだのだ

 

「毒物使い…ですか、しかも実用性に優れている」

 

「俺特製の室内用麻酔ガスだ、一瞬吸えば象すら気絶(おと)すし、外気に触れればすぐに分解して証拠も残らん」

 

「という事は…私の生徒達が苦しんでいるウイルスの開発者もあなたですね」

 

「!!」

 

持っている渚が思わずビビるほど、真っ黒ではないが、殺せんせーの顔が黒くなっている…日焼けではないのでこれはかなり怒っている証拠だ

 

「…無駄に感染を広げようとしていなかったか、最初(はな)っから取引用か」

 

「まぁな、ただお前等に取引の意思がないことはよくわかった…加えてお前らに使ったウイルスの改良点も見つかったしな」

 

「改良点?」

 

「ああ…そこの茶髪のショートのお嬢ちゃんと、道着みてーな服着てるにーちゃんにはガッツリ盛ったのに効いてねぇ…その場合の「「ブチ!!」」…は?」

 

「……誰か、後ろを見てくれませんか?」

 

「…渚くーん、殺せんせーに見てもらいなよ」

 

「殺せんせー、お願いします」

 

「…怖いです、嫌です、先生だって「速くしろ渚!!」「殺せんせーに拒否権はないよ!!」そんな殺生な!!」

 

そうして殺せんせーが見たさきにいたのは…

 

((にっこにこ))

 

超いい笑顔で殺気を振りまくE組の恋人同士の姿があった

 

「…覇月君、倉橋さん」

 

「大丈夫だよ殺せんせー、殺しはしない」

 

「うん、ただチョーット痛い目に合ってもらうから」

 

「ほどほどにしてあげてくださいね」

 

「は、交渉決裂だろう、ボスに報告しに…」

 

ザッ!!という音と共に龍哉がウイルス男の後ろに、陽菜乃が烏間先生をかばうように前に立つ

 

「2人共…」

 

「「烏間先生、後は任せてください」」

 

「…分かった」

 

「いつの間に…」

 

(お前ら)と遭遇した場合、即座に退路を断って連絡を絶つって指示はもうもらってる」

 

「あなたは…私達を見た瞬間攻撃とか捕まえるとか考えずに、さっさと報告に変えるべきだったんだよ」

 

「ふん、だがしょせん今いる2人はガキ…簡単にヤれるさ(まずは女のガキの方からだな…男は退路塞ぐが目的だろう)」

 

((((((((((あ、こいつ馬鹿だ))))))))))

 

そうして男が陽菜乃の方に向かった瞬間!!

 

メリィッ!!!!!

 

男はいつの間にか自分の両肩に手が置かれ、龍哉の足が自分の股間にあることに気づく…

 

(こ、こいつ…同じ男なのに…躊躇なく…)

 

((((((((あれは…痛い)))))))))

 

思わずE組の男子生徒達に照井警視、探偵コンビも前かがみになってしまう

 

そして次に男の視界に女の子の膝が見えると…

 

ゴキィッ!!

 

と、陽菜乃が思いっきり男の顔面に膝蹴りを叩き込んだ

 

その衝撃により男は前かがみからのけぞり状態になり、そこに…

 

ブゥン…ゴシャァ!!

 

龍哉と陽菜乃が前後から右足で回し蹴りを打ち込む

 

その衝撃で天を仰いだ男の視界に最後に入ったのは…

 

(お前等…何もんだ…)

 

殺意の籠った眼で自分を見ながら踵落しを決めようとしている龍哉と陽菜乃の姿だった

 

ドゴォォォォン!!

 

運よく床にひび割れとかは起きなかったものの…

 

男の顔面は鼻から血を流し、陥没等は無いものの蹴りの威力で頬がはれ上がり、最後の踵落しにより目のあたりに青たんが出来上がっていた

 

「…死んでいませんよね」

 

「ちゃんと手ぇ抜いたよ」

 

「うん、最後の踵落しは見た目は派手だけど威力なくなるよう調節したし」

 

「とりあえず、あれだね…雉も鳴かずば撃たれまい…って感じだったね」

 

「「「「「「「「「「本当にそれな」」」」」」」」」」

 

==========

―――3F 中広間

 

先程の毒使いが縛られて転がされている

 

また、烏間先生も先程の毒の影響により…

 

「…ダメだ、普通に歩くふりをするだけで精一杯だ…戦闘が出来る状態まで…30分で戻るかどうか…」

 

「…いや、このガス吸ってあの程度で十二分にすげぇよ」

 

「龍哉の方が常に発揮してるから分かんないけど…大概チートだよな、烏間先生も」

 

「でも…ここはまだ3階なのに…」

 

「うん…」

 

標的のいる10階はまだまだ先だが、この先烏間、イリーナ両先生にはもう頼れず、殺せんせーは動ける状態ではない

 

加えて、この短時間で分かったことだが…経験と知識を重ねた大人の凄さ…そしてそんな大人()がこの先に数多く待ち構えている

 

………そんな連中を相手に…自分達の力だけで太刀打ち出来るのか…

 

乗り込んでいる生徒全員がそんな空気になるなか…

 

「いやぁ、いよいよ夏休みと言う感じですね」

 

「何をお気楽な!!」「一人だけ絶対安全な形態だからって!!」「渚!!龍哉程でなくてもいいから回してもう一回酔わしてやれ!!」

 

そう言われて渚も太陽模様になった殺せんせーが入ったビニール袋をヒュンヒュン振り回す

 

「ニュヤーーー!!」

 

「よし寺坂、これ捻じ込むからパンツ下してケツ開いて」

 

「死ぬわ!!」

 

「いや、そん位じゃ死なねぇよ、せいぜい肛門括約筋が伸びきる位だ」

 

「ちなみにそうなるとどうなるの?」

 

「おむつ生活確定だね、そして今の発言から行くとカルマは寺坂君に自らそう言う快楽を教え込んで自分の僕にしようと…」

 

「「「「「「「「「「うわぁ…(ドン引き)」」」」」」」」」」

 

「「龍哉ァァァァァァァ!!!!!!!」」

 

「後半のカルマは~以降は冗談だからそんな本気で怒るなよ」

 

((((((((((あ、前半のおむつ生活はマジなんだ))))))))))

 

「それで殺せんせー、なんでこれが夏休みなのさ」

 

「先生と生徒は馴合いではありません…そして夏休みとは、先生の保護が及ばない所で自立性を養う場でもあります」

 

「とは言ってもよ…」

 

「大丈夫、普段の体育で学んだ事をしっかりやれば…そうそう恐れる敵はいません、龍哉君に探偵さん2人、刑事さんもいらっしゃいますしね」

 

「…いや、なんで生徒の俺が半分保護者側に回されてるんだ」

 

と言う龍哉を慰めるように照井警視と左が無言で肩をたたき、陽菜が腕をポンポンと叩いた

 

「君達ならクリアできます、この暗殺夏休みを」

 

殺せんせーの教師としての特徴として、体育の容赦のなさがある

 

勉強はかなり手厚いが、体を動かすミッションになると自分基準の無茶ぶりを生徒に課す…

 

が、時間がない、残り時間も考えれば後戻りは不可能…

 

故、ここまで来たら自分達でやるしかない!!そう言う思いを胸に生徒達は先に進むのだった…

 




龍哉「あとがきコーナー・第三十五回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

龍哉「今回はいままで明かしていなかったバーストのスペックについて紹介する」

仮面ライダーバースト
身長:200.5cm
体重:90.7kg
パンチ力:12.8t
キック力:21.7t
ジャンプ力:ひと跳び40.1m
走力:100mを3.1秒

陽菜「マッハは上回るけど、チェイサー、デッドヒートマッハは下回るんだね」

龍哉「変身者の基礎スペックは一応チェイ兄さん>俺>剛兄さんで、未強化形態で比較した結果だけどね」

陽菜「…まぁチェイスさんの方が上になるのは分かるけど、今の時点で龍君の方が剛さんより強いんだ」

龍哉「ま、そこについちゃ昔っから鍛えてた俺と2年ほどしか鍛えてない剛兄さんじゃ差が出ちゃうよ」

陽菜「それもそうだね」

龍哉「ちなみに上記のスペックは気を使わないでのスペック、実際は気を使うから最低でも1.5倍は行くよ」

陽菜「その場合は…あ、タイプトライドロンとほぼ同等になるね」

龍哉「作者はそこまで考えて一応設定しているからね、そしてこの暗殺夏休みでも仮面ライダーは出番あるよ!!」

 全「ってそこでネタバレすんな!!」

龍哉・陽菜「それでは次回もお楽しみに!!」


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拘りと成長の時間

前回の更新からまた3か月ほど空いてしまいました。

楽しみにしていただいた方々には申し訳ありません。

今回からあとがきでは新コーナーを行います。

…ぶっちゃけ、その為に3か月ほど空いてしまいました


―――5階展望回廊

 

その中盤あたりに差し掛かったところで先頭を歩いていた寺坂、片岡が足を止める

 

そこには明らかに(・・・・)堅気ではない雰囲気を纏った外人が立っていた

 

それを見て龍哉達は小声で会議を開始する

 

「……お、おいおい、メチャクチャ堂々と立ってやがる」

 

「…あの雰囲気」

 

「…ああ、いい加減見分けがつくようになったわ」

 

「どう見ても…<()る>側の人間だ」

 

「きついな…」

 

「なんでだよ、さっきみたいに…」

 

「さっきよりも狭いし、見通しもいいからな、展望回廊(ここ)…」

 

「じゃあさっきみたいに奇襲をかけたりとかも…」

 

「無理だ、数の暴力も行えん…烏間先生が動けてかつ実弾入りの銃があればどうにかなる可能性は高いが…」

 

その瞬間、回廊の外人が回廊の大窓を素手で掴んで罅を入れた(・・・・・・・・・・・)

 

そのことに龍哉以外が驚愕する中、その外人が口開いた

 

「…つまらぬ、足音を聞く限り…手ごわいと思える奴は1人のみ…しかし、精鋭部隊出身の引率の教師よりも幼く感じぬ…という事は最も警戒が必要な生徒だぬ」

 

そう言って龍哉達が潜んでいる方を見る

 

「どうやら、引率の教師は"スモッグ"のガスにやられたようだぬ…しかし、最も警戒が必要な生徒がいるという事は…色々と失敗しているようだぬ…それよりも…出てこい」

 

そう言って手招きされるままに龍哉達が出てくる…

 

しかし、全員の表情にはあるものがあった…それは…

 

「"ぬ"多くねおじさん」

 

「というかただの日本かぶれだろ、このおっさん」

 

((((((((((言った!!良かった、カルマと龍哉居て、本当によかった))))))))))

 

「"ぬ"を付けるとサムライっぽい口調になると小耳にはさんだ、カッコ良さそうだから試してみたぬ」

 

「OK、おっさんはただの馬鹿外人だね」

 

「(…#)間違っているならそれでも良いぬ、この場の全員殺してから"ぬ"を取れば恥にもならぬ」

 

「……お前の依頼人が日本人じゃなかったらそれでいいかもな」

 

「……そうやって俺から情報を引き出そうとしてもそうはいかぬ」

 

((((((((((な、なんか一瞬間があったような…))))))))))

 

「で…どうすぬ?」

 

その一言と共に手をゴキゴキッとならして体制を整える

 

「……素手、それがあなたの暗殺道具ですか」

 

「そんなん「かなりありだ、はっきり言って護衛する側としては武器使ってもらえる方が守りやすいんだ」は?」

 

「その生徒の言う通りぬ、身体検査に引っかからず、近づきざま頸椎を一ひねり、その気になれば頭蓋骨も握りつぶせるが…」

 

その言葉に何人かの生徒がぞぉっとして思わず頭に手を当てる

 

「…だが面白いものでぬ、人殺しの為の力を鍛えるほど、暗殺以外にも試してみたくなる」

 

「…そう言うことならはいよ(ポイッ)」

 

「(パシッ)…なんだぬ?これは」

 

「暗殺以外で試すんだったらその未開封のスチール缶を一握りでつぶすとかしてろよ、こんな風に」

 

言うや否や龍哉は未開封のスチール缶を即座に指で挟んでつぶし、中の液体があふれ出す

 

「「「「「「「「「「ってお前がやんのかよ!!」」」」」」」」」」

 

「…そう言う大道芸ではなく、戦いだ、強い敵との殺し合い…」

 

「つまり、俺や烏間先生との…」

 

「ああ、だがお前はあまり殺し合いする(そういう)気がなさそうだぬ…故に雑魚全員を1人でやるのは面倒、ボスと仲間呼んで皆殺しぬ」

 

そういって外人が携帯出した瞬間、カルマが木の生えた植木鉢で外人の左手事携帯電話を殴り壊した

 

「ねぇおじさんぬ、意外とプロってフツーなんだね、ガラスとか頭蓋骨とか俺でも割れるよ…ていうか速攻仲間呼んじゃう当たり、中坊とタイマン張るのも怖い人?」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

「よせ、無謀…」

 

「ストップです烏間先生…顎が引けている」

 

「…!?」

 

「えぇ、今までのカルマなら余裕引きら貸して顎を突き出し、相手を見下す構えをしていた…でも」

 

「今は違います、口の悪さは変わりませんが、目は真っ直ぐ油断なく、正面から相手の姿を観察しています」

 

「期末以降、ちょっと大人しかったのは…あれで学んだことを吸収していたからだろうな」

 

「……いいだろう、試してやるぬ」

 

「存分にぶつけなさい、学んだことを…高い大人の壁を相手に!!」

 

その言葉を合図としたのか、カルマが植木鉢を振り下ろすが、あっさりと木の幹を掴まれ握りつぶされる

 

「柔い、もっといい武器を探すべきだぬ」

 

「必要ないね(頭蓋骨を握りつぶすほどの握力、つまり一度でも捕まったらゲームオーバー、普通に考えて無理ゲーだけど、立場が違うだけで、いつもやってるよねその無理ゲー)」

 

「お、おお…」

 

「すごい、全部避けるか捌いてる」

 

「烏間先生と覇月君の防御テクニックですね」

 

(殺し屋にとって防御技術は優先度が低い、だから授業で教えた覚えはなく、覇月君からも教えていると聞いてはいない)

 

(暗殺は都合上基本的に一撃必殺、つまり、目で見て盗んだか、俺や烏間先生が生徒のナイフを避ける動きを…)

 

((赤羽業、このE組(クラス)のなかでも、戦闘の才能は頭一つ抜けている))

 

ここで、カルマが急に動きを止めた

 

「…どうした?攻撃してこなくては永久にここを抜けれぬぞ」

 

「どうかな~、あんたを引き付けるだけ引き付けてといて、その隙に皆をちょっとずつ抜けさせるのもアリかなと思って」

 

「………」

 

「…安心しなよ、そんな狡い事は無しだ、今度は俺から行くからさ」

 

そう言ってカルマは指をポキポキと鳴らす

 

「あんたに合わせて正々堂々、素手でのタイマンで決着付けるよ」

 

その瞬間、"本気かこいつ"、"え、あのカルマが?"と言った視線が突き刺さるが、カルマは完全に無視している

 

「いい顔だぬ少年戦士よ、お前とならやれそうだぬ、暗殺家業では味わえないフェアな闘いが」

 

その言葉を合図にカルマが右足で飛び蹴り⇒右拳のフェイント⇒左手の目つぶし⇒左足のローキックを繰り出す

 

最後のローキックで外人は右足を少し痛めたのか苦悶の表情となり、その際に背中を見せたのを好機とみてカルマがとびかかるが…

 

ブシュ!!

 

その音ともに外人の左手から煙が噴き出し、それがカルマの上半身を包み込んだ

 

それによりカルマは意識を失ったのか前のめりに倒れ、そこを外人の右手がカルマの頭頂部を掴む

 

「一丁上がりぬ」

 

その言葉と共に外人の左手から落ちたのは…先程龍哉と陽菜乃によって倒されたガス使いの男が使っていたものと同じ容器だった

 

「長引きそうだったんで、"スモッグ"の麻酔ガスを試してみることにしたぬ」

 

「き…汚ぇ…そんなモン隠し持っといてどこがフェアだよ」

 

「俺は一度も素手だけとは言ってないぬ、拘る事に拘り過ぎない、それもまたこの仕事を長く続けていく秘訣ぬ」

 

そう言いつつ掴む位置を頭頂部から顔面へと移行し、いつでも握りつぶせる状態にする

 

「至近距離からのガス噴射、予期していなければ絶対に防げぬ」

 

そこまで言ってカルマの方を見た瞬間、カルマの右手からガスが噴射された

 

起きたことに龍哉と陽菜乃以外の生徒達全員が驚き、その合間に龍哉と陽菜乃は攻撃態勢を整える

 

「な…なん…だと…!!」

 

「奇遇だね俺も同じことを考えてたよ」

 

そう言うカルマの口元にはハンカチが当てられていた

 

そして、麻酔ガスを吸ったことで外人の足は震え、動揺により動きもままならない

 

「(何故…お前がそれを持っているぬ…しかも…なぜお前は俺のガスを吸っていないぬ)ぬぬぬぅぅぅぅ!!!!!」

 

叫び声と共に左手にナイフを持ってカルマの方に向かうが…

 

「タイマンとは言っても、外から急に助太刀が無いわけじゃ、ないんだぜ」

 

「!!」

 

外人の左手側(・・・)にはいつの間にか龍哉が回り込んでおり…

 

「バーストぉフィンガァーー!!!」

 

ナイフを持った左手を金色に輝いた右手で掴んでそのまま握り込み…

 

ビキキッ!!

 

「!!!グッ!!」

 

骨にひびを入れてナイフを取り落とさせる

 

「きさ「あ、助太刀、俺だけじゃないから」な」

 

に、と続くよりも早く右側に回り込んだ陽菜乃が右腕に組み付き…

 

ゴキィッ!!

 

「!!!!!!!」

 

躊躇なく関節技で外人の右肩関節を外したのだった

 

「お前達!!」

 

しかし、龍哉と陽菜乃はそんな言葉を無視してそれぞれ外人の手首を掴んでしゃがみ込み、水面蹴りで外人を前のめりに倒し、そこにカルマが右足でストンプする

 

「ほら他の皆も早く早く、ガムテともっと人数使わないとこんな化けモン抑え込めないって」

 

「へーへー、ま、テメーが素手で1対1(タイマン)の約束とかもっと(・・・)ないわな」

 

と言う寺坂の言葉を筆頭に残ったE組の生徒たち全員が外人に組み付き…

 

「っふぎゃっ!!」

 

という情けない声と共につぶされるのだった

 

「縛るとき気を付けろ、麻痺した上、覇月君が左手を握りつぶし、倉橋さんが右肩を外したといってもそいつの握力は要注意だ、掴まれないよう絶対に掌には触れるな」

 

「「「「「「「「「「はーい」」」」」」」」」」

 

==========

―――それからちょっと後

 

展望台廊下にはガス使いのようにガムテープでぐるぐる巻きに―特に両手は怪我でもしているのかと言うくらい念入りに―された外人の姿があった

 

「くっ…」

 

「毒使いのおっさんが未使用だったのをくすねといたんだよ、使い捨てなのがもったいない位便利だねこれ」

 

「ま、だから俺らも驚かずに即座に連携とれたんだけどな」

 

「何故だ…俺のガス攻撃、お前は読んでいたから吸わなかったぬ、俺は素手しか見せていないのに、何故…」

 

「とーぜんっしょ、素手以外(・・・・)の全部を警戒していたから」

 

「あんたが素手の闘いをしたかったのは本当だろうが、この状況で既に固執するようならプロとして(・・・・・)仕事を長く続けていく事(・・・・・・・・・・・)なんざ出来なかっただろうしな(・・・・・・・・・・・・・・)

 

「俺らをここで止めるためにはどんな手段でも使うべきだし、俺でもそうする、あんたのプロ意識を信じたんだよ、信じたから警戒してた」

 

そう言ってカルマは外人の前に座り込んだ

 

「カルマ君、ちょっと変わったな、良い感じに」

 

「覇月君と違い、大きな敗北を知らなかったカルマ君は…期末テストで敗者となって身をもって知ったでしょう、敗者だって自分と同じ、色々考えて生きている人間なんだと」

 

そう言う殺せんせーを渚が見つめて続きを促す

 

「それに気づいた者は必然的に…勝負の場で相手の事を見くびることはなくなり、自分と同じように敵も、考えていないか、頑張っていないか、敵の能力や事情をちゃんと見るようになる」

 

「だから、敵に対して敬意をもって警戒できる人、つまりは「隙が無い人」っつー戦場ではそう言う風に言われる人になるんだよ」

 

「にゅや!!覇月君!!先生のセリフのいいところを取らないでください!!」

 

「そう言う風に言われるような奴が言ったほうが説得力あるでしょうに」

 

「「「「「「「「「「それは確かに」」」」」」」」」」

 

「皆さん酷い!!」

 

「ま、これでカルマは安心だろ、一度の敗北をでっかい糧にしているから、まぁ将来それなりの大物になるだろう」

 

「…大した奴だ少年戦士よ、負けはしたが楽しい時間を過ごせたぬ」

 

しかし、ここでいい感じに終わらないのがカルマと言う男である

 

「え、何言ってんの?楽しいのはこれからじゃん」

 

そう言って両手には<生わさび>と<練りからし>のチューブを持っている

 

流石の外人もこれには目が点になってしまう

 

「…なんだぬ?それは?」

 

「わさび&からし、おじさんぬの鼻の穴にねじ込むの」

 

「なにぬ!?」

 

「さっきまではきっちり警戒してたけど、こんだけ拘束したら警戒もクソもないよね」

 

「鬼や、鬼がおる」「いや悪魔だろ」「外道だな」

 

「うるさいよ~」「そう言いつつ鼻フックかけてんじゃねーよ」

 

「とにかく、わさび&からしを入れたら専用クリップで鼻塞いで~口の中にトウガラシの千倍辛いブートジョロキアぶち込んで~その上から猿轡して処置完了」

 

((((((((((絶対やられたくない、そして助けてって目が訴えてるけど…助けられない、同じ目にあいたくないもん))))))))))

 

「さぁおじさんぬ、今こそプロの意地を見せる時だよ」

 

そう言ってめっちゃいい笑顔で躊躇なく外人の鼻の穴にわさび&からしを捻じ込むカルマ…

 

「モガァァァッ!!モガ、モガァァァァァァァッ!!!!!」

 

「殺せんせー、カルマ君何も変わってなくない?」

 

「ええ、将来が思いやられます」

 

「……何はともあれ、2人目撃破だな」

 

「うん」

 

こうして余計なオチはついたものの、E組生徒達は5階展望廊下の攻防を制したのであった

 

==========

―――6階テラスラウンジ手前

 

そこでE組生徒達はどう抜けるか相談していた

 

「……あっこ抜けるのは男だとちょっときついかもしれないな」

 

「確かにな…」

 

「え、なんで?」

 

「こういうところってのは、大概女のチェックはだだ甘だからな」

 

「とは言っても男の手助け抜きで抜けれるようなところではないな」

 

「ってことはこん中の誰かが…」

 

「女装して…」

 

「女性陣をサポートすると…」

 

(((((倉橋さんがいる限り安全そうだけどな)))))

 

「ん?どこに行こうとしてるんですか?フィリップさん」

 

「いや、ちょっと用足しに(がしぃっ!!)離してくれないか?翔太郎」

 

「さ、いこーか渚君」

 

「カルマ君!?」

 

「服はどうすんだよ」

 

「あ、あそこに脱ぎ捨ててそのままのが」

 

「「よし、使おう」」

 

「「いやぁぁァァァっ」」

 

こうして、6階テラスラウンジを抜けるための作戦がスタートするのだった

 

約2名の男の心を犠牲にして………

 

「「何で僕達ばっかりこんな目に!!!」」

 

 




龍哉「あとがきコーナー・第三十六回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

龍哉「今回からはNGコーナーに作者が飽き、もといもっといいコーナーを思いついたので変えるとのことだ」

陽菜「それってまたゲストを呼ぶ形式?」

龍哉「うん、ちなみに思いついたのは一昨年ぐらいから嵌ってるある架空動画からだ」

陽菜「…そう言えば昨年からその動画のオフ会に参加しまくってるんだっけ」

龍哉「ま、そこらへんは作者の個人事情だからここまでだな」

陽菜「それもそうだね」

龍哉「一応既に全員分考えてあるが、こいつのはこれじゃね?と言うのがあったら活動報告の方に一方を」

陽菜「最新話の前にあげてるからね~」

龍哉「そんじゃ、コーナー行くぞ」

 "暗殺教室キャラに遊戯王をやらせたら"

龍哉「記念すべき1回目、最初は俺だ」

陽菜「このキャラが使うデッキを紹介していく感じだよ~あ、あとあくまで作者のイメージだからね~」

龍哉「俺のデッキは…これだ!!」

 【HERO】(E・D・V・M混合)

陽菜「って作者がリアルで使ってるタイプのデッキじゃんか!!」

龍哉「ちょっと前にこのデッキで【BF】デッキと対戦した際にLPを100まで追い詰めて逆転負けしたらしい」

陽菜「うわぁ…」

龍哉「ちなみにこのデッキなのは俺が仮面ライダーだからだ」

 全「納得」

龍哉「次のゲストはない、陽菜のを紹介する」

陽菜「やった!!」

龍哉・陽菜「それでは次回もお楽しみに!!」


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女子達とチャンスの時間

前回の更新から大幅に空いてしまいました。

楽しみにしていただいた方々には申し訳ありません。

これからはもうちょい更新できるように頑張ります。


―――6F テラス・ラウンジ

 

ここを切り抜けなければ7Fより上に行く事は出来ない

 

しかし、こういう場所は大体男性のチェックは厳しく、女性のチェックはだだ甘である

 

ゆえに、E組メンバーも女子を潜り込ませたが…時として男手は必要となる、それゆえに…

 

「又か…体格ゆえだろうが…どうして僕ばかっり…」

 

「それを言うなら僕もですよ…」

 

E組でもっとも小柄な渚と、かつて風都で一世を風靡した園崎若菜と体格がよく似ているフィリップ―とは言っても実弟なので当然だが―の2人が女装して同行している

 

とはいっても…

 

「ホラ、渚君!!男でしょ!!フィリップさんみたいにちゃんと前に立って守らないと!!」

 

「(震え声)無理…前に立つとか無理無理」

 

「諦めたまえ、潮田渚…男にはチェックが厳しいが女には甘く、また男手は必要だ…」

 

渚は顔を真っ赤にしてうつむいて最後尾を歩いている

 

「……自然すぎて新鮮味も違和感もない」

 

「そんな新鮮さはいらないよ!!そしてなんで違和感がないの!!??」

 

「……似合ってるから」

 

「疑問符なしなの!!」

 

「大丈夫!!渚ちゃんは漢の子だから!!」

 

「どういうこと!?というかどこにあったのこの服!?」

 

「外のプールサイドに脱ぎ捨ててあった」

 

「ただ、元の持ち主がどこに行ったかは知らないけどね」

 

「はーーあ、やだやだ、こんな不潔な場所さっさと抜けたいわ」

 

「…その割には楽しそうだね、不破さん」

 

==========

―――一方、裏口で待機中の男子達

 

「渚君もフィリップさんも似合ってたね~、女装」

 

「律、カルマの携帯から写真データ削除して」

 

「はい、お任せください!!」

 

「龍哉!?」

 

「それで、今はどういう状態なんだ?」

 

「チャランポランで軽薄そうな同い年の子にナンパされてますね…あ、メグさんが渚君に対処させています」

 

「「「「「片岡(メグ(さん))ェ……」」」」」

 

「あ、今度は自由業みたいな人に…でも桃花さんがイリーナ先生仕込みの交渉術で撃退しました」

 

「てことは、もうすぐか…」

 

「そうですね、カエデさんが渚さんを呼びに…あっ!!」

 

「どうした?」

 

「いえ、渚さんが抑えていた男性が余計な茶々を…それで余計なトラブルが…」

 

「おいおい」

 

「残った奴がどうにか止めりゃいーのによ」

 

「フィリップさんって素手での戦闘は?」

 

「ああいうの相手だとキツイな…」

 

「彼は基本頭脳担当だからな」

 

「なるほど」

 

「あ、ひなたさんが素早く潜り込んで回し蹴りで上あごを跳ね飛ばして気絶させました」

 

「あ、修学旅行前に俺が教えたやつ、ちゃんと出来てら」

 

「「「「「あれお前がしこんだんかい!!!」」」」」

 

「あ、無事にカギが開きました、これで6Fも突破ですね」

 

「……最後に渚がなんか言ってたけど、大丈夫なのか?」

 

「………多分」

 

==========

―――6F~7F間階段

 

「危険な場所への潜入をさせてしまいましたが、危ない目には合いませんでしたか?」

 

「「「「「んーん、ちっとも!!」」」」」

 

「おーい、渚がどこがだって眼ぇしてんぞー」

 

「え、どうしたの渚?」

 

「……いや、結局今回女子が全部やってくれたし…僕がこんなカッコした意味って」

 

「面白いからに決まってんじゃん…龍哉、撮れないんだけど」

 

「あのな、こういうの残すのはまずいだろ」

 

「ありがとう、龍哉」

 

「渚、そんなことないと思うよ」

 

「茅野」

 

「きっと、撮られる以外で誰かの為になってるよ!!」

 

==========

―――7F廊下手前

 

「(小声)あれ、着替えるの早いな渚」

 

「(小声)う…」

 

「(小声)そのまま行きゃよかったのに、暗殺者が女に化けるのは歴史上でもよくあるぞ」

 

「(小声)い、磯貝君まで!!」

 

「(小声)渚君、とる(・・)なら早いほうがいいらしいよ」

 

「(小声)うん、ホルモンの関係とかで女の子っぽくならないんだよね」

 

「(小声)取らないよ!!大事にするよ!!カルマ君も陽菜乃さんもやめてよ!!龍哉も止めてよ」

 

「(小声)あんまりからかうな、余計な時間が取られる」

 

「(小声)いや、そーいう感じじゃなくて!!」

 

「(小声)全員、そこまでだ…この潜入も終盤だ…律」

 

「(小声)はい、ここからはVIPエリアになっています、ホテルの人員に警備を任せず、客が個人で雇った見張りを置けるようです」

 

「(小声)そんで早速上への階段に見張りか……超強そう」

 

「(小声)照井さん、左さん、手前の人いけますか?」

 

「(小声)いや、ちょっときつそうだ」

 

「(小声)ああ、俺達も鍛えてはいるが、あれ(・・)相手ではきつそうだ」

 

「(小声)ち、ちょっと待ってよ、私達を脅している人達の一味じゃないかもしれないじゃない」

 

「(小声)どっちでもいーわ、倒さなきゃ通れねーのは一緒だろうが」

 

「(小声)ええ、覇月君と寺坂君の言う通り、倒さなければ進めません」

 

「(小声)烏間先生が回復しきっていない以上、今いる戦力でどうにかするのが一番…行きま「(小声)ちょっと待ってください、覇月君」なんです、殺せんせー」

 

「(小声)彼らを倒すには、今回は(・・・)寺坂君が持ってる武器などが最適です」

 

「(小声)武器?」

 

「(小声)けっ、透視能力でもあんのかテメーは…」

 

「(小声)出来るのか?一瞬で2人共仕留めるんだ…そうしないとすぐに連絡されるぞ」

 

「(小声)任せてくれって……おい、木村」

 

「(小声)なんだよ」

 

「(小声)テメー1人ならすぐに敵とは思われねーだろ、あいつらをちょっとここまで誘い出して来い」

 

「(小声)俺がぁ?どーやって?」

 

「(小声)知らねーよ、なんか怒らせる事言えばいい」

 

「(小声)ってんなのすぐには思いつかねーよ」

 

「(小声)ならさ、こういってみ木村」

 

「(小声)楽しそーだな、あいつ」

 

その左の言葉に周囲の生徒は苦笑するほかなかった

 

==========

―――7F廊下

 

2人の見張りの前に正義が立っている

 

正義に気づいた見張りが…

 

「?…なんだ、坊主」

 

「…あ」

 

そう言って正義は大声で周囲をキョロキョロしながらこう言った

 

「あっれ~、脳みそ君がいないなぁ~こいつらは頭の中まで筋肉だし~」

 

そう言ってくるりと他の生徒達がいる方へ方向転換し

 

「ヒトの形をしてんじゃねーよ豚肉どもめ」

 

そして当然ここまで言われれば………

 

「「待て、コラ(##########)」」

 

走って正義を追いかけてくる

 

(声がものスゲー怒ってる!!そりゃ怒るわ!!)

 

「ちょ…」「くっ…」「なんがこのガキクソ速ぇ!!」「てかもしかしてコイツ」

 

「(小声)おっしゃ今だ吉田ぁ!!」「(小声)おう!!」

 

木村が誘い出した2人組に寺坂と吉田がタックルで押し倒し、首元にスタンガンを押し当てて気絶させる

 

「スタンガンか…どうやって手に入れたんだよ…ていうかなんで持ってきた」

 

「タコに電気試そうと思って買っといたんだよ…こんな形でお披露目とは思わなかったがな」

 

「買ったって…そういうの高いんじゃないの」

 

「ん…つい最近臨時収入があったからな」

 

そんな寺坂のセリフに全員が臨時収入の経緯などを察する

 

「あれ、こいつら…」

 

「龍君、知ってるの?」

 

「ん、ああ…確か…」

 

「覇月君、それは後回しにしましょう…それよりも寺坂君、彼らの懐を探ってください、君が持っているものよりもいい武器が手に入ると思います」

 

「あン?」

 

そうして寺坂が探って出てきた武器は…

 

「ショートリボルバーの拳銃…」

 

「ええ、そして千葉君、速水さん、その銃は君たちが持ってください…ああ、安心してください、吉田君が倒した方にも入っているはずですから、1人1丁です」

 

「まて、警官としてそれは許可できない」

 

「ヌルフフフフフ、ご安心を…彼らなら大丈夫です、それに烏間先生は精密射撃ができる状態ではなく、あなたはどちらかというと接近戦型ではないですか、照井警視」

 

「あ~、そういうやそうだな」「確かにね」「剣型の武器ぶん回してたもんな…生身で」「龍君みたい」

 

「……確かに、そうだが…」

 

「だ、だからっていきなり…」

 

「そして、先生は殺すことは許しません、君達の腕前ならば、傷つけずに倒す方法はいくらでもあるはずです」

 

「(小声)ね、龍君…大丈夫かな、2人とも…」

 

「(小声)…殺せんせーのフォロー頼みになるけど、俺自身もどうにか動くさ」

 

「さて、ホテルの様子を見る限り…敵が大人数で陣取っている気配はない、雇った殺し屋も残りはせいぜい一人か二人!!」

 

「おう!!さっさと行ってぶちのめそうぜ!!」

 

「ねぇ、彼の様子、おかしくないかい」

 

「だな…」

 

「しかし…どんな顔をしてるのだろうな…こんなくそったれな計画を立てたやつは…」

 

==========

―――8F コンサートホール

 

1人の銃を口にくわえた男が入ってくるなり、その男のまとっている空気が変わった

 

「……18、いや19匹か…呼吸も若い、8割以上が10代半ば…ってことは動ける全員で乗り込んできやがったか」

 

そういうなり口から銃を話して後ろの照明に対して発砲する

 

「言っとくが、このホールは完全防音仕様でこの銃は本物だ…お前ら全員ぶち殺すまで、誰も助けには来ねぇってことだ…」

 

その様子を見ながら2人(・・)の人間が射撃準備に入る

 

「お前ら人殺しの準備なんてしてねーだろ!おとなしく降伏してボスに頭下げとけや!!

 

その瞬間、2発の弾丸が銃使いの右側を飛び、さらに照明を2つ破壊する

 

「(小声)凛香ちゃん、外しちゃった…」

 

「(小声)銃狙いでしたが、わずかにそれていました」

 

(今のうち1発は実弾!?発砲音からボスの手下のM60か…もう1発の方は聞いたことねーけど、かなり狙いが甘いな、的外れだった…だが…)

 

「(小声)覇月てめー、ちゃんと狙えよ!!」

 

「(小声)理由ならちゃんとある、さっきので俺はまだ…」

 

狙われない、そういおうとした龍哉と寺坂の近くに銃弾が撃ち込まれる

 

「「!!」」

 

「(小声)うそだろ、こんなわずかな座席の隙間から狙いやがった」

 

「(小声)拳銃でこの精度…下手すりゃレッドアイよりも上だな」

 

(今ので1人はおとなしくなったか…今の奴はガキの中じゃ一番やべー奴だろうしな…しかし、用意していた作戦とは思えない、俺の接近を察知して急遽銃を奪い迎撃態勢と整えたといったところか…暗殺の訓練を受けた中学生か…いーね)

「意外とうめぇ仕事じゃねぇか!!」

 

そう言った瞬間、後ろ側の照明が全て照らされる

 

(ま、まぶしい!!)(ステージの逆光ですごい見づらい!!)

 

「今日も元気だ銃が美味ぇ」

 

そういってまた一発撃たれ、今度が凛香のそばが撃ち抜かれる

 

「一度発砲した敵の位置は絶対に忘れねぇ、もうお前ももう1人ももうその場から一歩も動かさないぜ」

 

その相手の動きをみた龍哉は誰かにパスしようと考えていたコウリンブレードブラスターを握りなおす

 

「下で見張ってた2人お殺し屋は暗殺専門だが、俺は違う、軍人上がりだ…今程度の1対多戦闘は何度も経験している…その中で、敵の位置を把握する術や銃の調子を味で確認する感覚を身に着けた…中坊(ジュニア)如きに後れを取るかよ」

 

そういって再度口に銃を加える銃使い

 

「…さぁて、お前らが奪った銃はあと一丁あるはずだが…」

 

「覇月君、速水さんはそのまま待機!!今打たなかったのは賢明です千葉君、君はまだ敵に位置を知られていないから先生が敵を見ながら指揮するので、ここぞという時まで待つのです!!」

 

「なんだ、いったいどこから…」

 

周りを見渡すと最前列に完全防御形態の殺せんせーがいた

 

「テメー何被り物付きで見てやがんだ!!」

 

そういって残りの弾丸を発射するが全弾防がれる

 

「ヌルフフフフ、無駄ですねぇこれこそ無敵形態の本領発揮…熟練の銃手相手に中学生が挑むのです、このくらいの視覚ハンデは当然でしょう」

 

「…っち、その状態でどうやって指揮をとるつもりだよ」

 

そういいながら次弾を装填する銃使い…その通り、このままでは厳しいが…

 

「では木村君、5列左へダッシュ!!」

 

その言葉を受けて素早く移動する正義、続けて寺坂と吉田が左右に3列移動し、その移動に気取れれているすきにカエデが2列前進

 

更に業と不破が同時に右8列、悠馬、陽菜乃が左5列の移動を殺せんせーの指示のもと行う

 

(シャ、シャッフル!?ややこしい真似しやがって…だが、指示するほどに名前と位置を俺に知らせることになる…立った20人程度あっという間に覚えちまうぜ!!)

 

しかし、この銃使いの考えは殺せんせーには見抜かれていたようで…

 

「出席番号12番、右に1で準備しつつそのまま待機!!」

 

「へ?」

 

「4番と6番は椅子の間からターゲットを撮影!!律さんを通して舞台上の様子を千葉君に伝達!!」

 

そう、生徒と先生しか知らない情報で指示しだしたのだ

 

また、今回の作戦において左たちは人数には入っているものの、殺せんせーは指示出す気はなく、彼らの方も静観することに決めたようだ

 

「ポニーテールは左前列へ前進!!バイク好きも左前に2列!!」

 

更には外見的特徴と趣味で指示を出し始め…

 

「最近竹林君一押しのメイド喫茶に興味本位で言ったらちょっとはまりそうで怖かった人!!この島に来る準備の買い出しで恋人の水着ファッションショーを思い出して夜中に鼻血を出しかけた人!!攪乱のため大きな音を立てる!!」

 

「「うるせぇ!!何で知ってるんだ!!」」

 

「殺せんせー…後で覚悟しててね」

 

だがしかし、これにより銃使いはさらに混乱し誰がどこにして誰が誰だかわかりづらくなってきている

 

そのうえで特攻覚悟の接近戦に持ち込まれたことの厄介さも理解しているため…

 

(早く千葉ってやつを特定しねーと!!)

 

そんな思いからわずかに焦りが生じる

 

「…さて、いよいよ狙撃です千葉君、次の先生の指示の後、君のタイミングで打ちなさい」

 

「!!」

 

「速水さんは状況に合わせて彼のフォロー、敵の行動を封じることが目標です。覇月君は彼らが動きやすいように行動をお願いします」

 

「了解、つまり、さっきの殺せんせーの暗殺時と同じ状況(シチュエーション)ってわけね」

 

「ヌルフフフ、まぁそれに近いですね…が、その前に表情を表に出すことの少ない仕事人2人にアドバイスです」

 

「「…」」

 

「君達は今ひどく緊張していますね、先生への狙撃を外したことで、自分たちの腕に迷いが生じている…言い訳や弱音を吐かない君達は…「あいつだったら大丈夫だろう」と勝手な信頼を押し付けれることもあるでしょう」

 

その言葉に、龍之介、凛香は過去の学校であったことを思い出す

 

「苦悩していても気づいてもらえないこともあったでしょう」

 

更に、家庭で言われた母親の言葉を思い出す…

 

「でも大丈夫、君達はプレッシャーを一人で抱える必要はない…君達2人が外した時は人も銃もシャッフルして、誰が撃つかもわからない戦術に切り替えますし…」

 

「そのさらに混乱した隙を狙って俺が特攻かける、だろう、殺せんせー」

 

「その通りです…覇月君、後で皆さんに君が気付いたことを教えてあげてください」

 

「わーってますよ…こっちの準備はOKだ、いつでも行けるぜ…いつもやってることだしな」

 

「それは良かった、そして、ここにいる皆が訓練と失敗を経験しているからこそ出来る戦術です…君たちの横には同じ経験を持つ仲間がいる、安心して引き金を引きなさい」

 

「………!!」

 

しかし、こ高説の間指示は当然止まっており、それは相手に狙いを絞る準備時間を与えてしまったことを意味する

 

(出席番号12番の奴、あいつだけ待機携帯から動いてねぇ、他にも動いてない奴はいるがあいつだけ呼吸は何か企んでいるのかやたら荒い…ほかの場所も警戒はするが…あの近辺は動いた瞬間確実にとる!!)

 

「では…行きますよ」

 

その殺せんせーの言葉のしゅんんかん、銃の味で銃と一体化し外す気がしなくなった銃使い

 

「出席番号12番!!立って狙撃!!」(ビンゴぉ!!)

 

その瞬間立ち上がった存在の眉間が撃ち抜かれる

 

しかし…

 

「へっ!?」

 

撃ち抜いたのが人形だったら?

 

それにより動きが止まる銃使い…その隙を

 

『「ヒッサツ!!フルスロットル!!」』

 

「おらぁ!!」

 

龍哉がコウリンブレードブラスターにシグナルマシンガンを装填した必殺技を放ち、すべての照明を破壊する

 

これによりステージの逆光もなくなり、それに動揺した銃使いはうかつにも後ろを向いてしまう

 

「(小声)分析の結果、狙うのであればあの(・・)一点です」

 

「(小声)オーケー、律」

 

そして千葉の狙撃音に気が付いて振り向きなおすが、自分には傷一つない(・・・・・・・・・)

 

「フ、へへ、外したな、これで2人目も場所が…(ゴッ!!)!?」

 

しかし、次の瞬間自分に天井からつるされていた照明セットがあたるとは思っていなかったようだ

 

「(つ、吊り照明の金具を…狙っただと…)く…そが…」

 

そういって構えた銃も凛香の狙撃で弾き飛ばされる

 

「フーっ、やっと当たった」

 

そして、力尽きて倒れる銃使い

 

「よっしゃ、そっこー簀巻きだぜ!!」

 

「その前にこいつの持ってる銃と弾丸を回収しておこう、烏間先生用の武器がいるだろうし」

 

「おっしゃ!!」

 

そんな生徒たちの様子を見て…

 

「肝を冷やしたぞ」

 

「確かに、こんなにも危険な戦いを生徒達にさせるなんてね」

 

「どんな人間にも、殻を破って大きく成長できるチャンスが何度かあります」

 

「それを乗り越えるには、仲間が必要…そういうことだね、殺せんせー」

 

「えぇ、あなた方のように集中力を引き出すような強敵や、経験を分かつ仲間達に恵まれてほしい…だから私は用意できる教師になりたい…生徒たちの成長の瞬間を見逃さず、高い壁を、よい仲間を、すぐに揃えてあげたいのです」

 

「……なんつー教育だよ…」

 

「しかし見てみろ、彼らの顔を…戦う前よりも表情は中学生らしくなっているぞ」

 

全員でハイタッチをして皆で喜んでいたところに…

 

「ア゛ァ゛~おいおい全滅かよ~どいつもこいつもだらしねぇなぁおいい~」

 

地の底から響くような低い声の、不気味な男の声が…銃使いが現れた方から聞こえた

 

そしてその声が聞こえた瞬間から、龍哉のまとっている雰囲気が変わった

 

「まさかここで現れるとはな」

 

「おおや、さすが俺様、有名だな~」

 

「君の有名さは【悪名】だけだろう…破外山獣胡!!」

 

フィリップの言葉に全員がその男の招待と、龍哉の雰囲気が変わった理由を察する…

 

「皆…俺を置いて先に進んでくれ…あいつは…俺がやる!!!」

 




龍哉「あとがきコーナー・第三十七回、進行の龍哉だ」

陽菜「補佐の倉橋陽菜乃です」

龍哉「本当に長くあいたな」

陽菜「会社関係が異様に忙しくなり、更に転勤が入ってそれに慣れるのに時間がかかったんだよね」

龍哉「まぁ、社会人の宿命だな…」

陽菜「さらに最近はゴルフも始めたから余計に時間取れなくなったんだよね~」

龍哉「いずれ俺達もやらされ…いや、結構難しいと言っているからないだろうな」

陽菜「未来編…」

龍哉「やめろ!!…コーナー行くぞ」

 "暗殺教室キャラに遊戯王をやらせたら"

龍哉「今回は2回目、補佐の陽菜だ」

陽菜「私が使うデッキのイメージ、作者さんのはこれだよ~」

 【ナチュル】

龍哉「自然に身を置く植物族と昆虫族を中心としたデッキだな…後見た目的に合う、というのが理由だ」

陽菜「コントロール戦術にも長けてる…これって私がイリーナ先生の弟子だから?」

龍哉「だろうな…実はarosさんからも意見をもらってるんだ」

陽菜「arosさんのイメージだと【EM】または【マジェスペクター】か…どっちもペンデュラム中心のデッキだね」

龍哉「ただどっちのデッキも現在のマスタールール(2020年4月1日改訂版)ではかなり弱体化してるんだよな…」

陽菜「確かに…」

龍哉「逆に俺のデッキ【HERO】はリンクモンスターを気にする必要がなくなったから逆に強化されたんだよな」

陽菜「ちなみに私のデッキと戦ったらどうなるの?」

龍哉「【ナチュル】だと《ナチュル・バンブーシュート》を《E・HERO エッジマン》で、《ナチュル・ビースト》や《ナチュル・エクストリオ》を《超融合》で対処できれば勝てるな」

陽菜「一応対処法あるんだ…」

龍哉「【EM】または【マジェスペクター】の場合は…《M・HERO ダーク・ロウ》を出して上級融合HEROで上から叩けばいいな」

陽菜「ほえ~逆に私はその方法を取らせなければいいんだね」

龍哉「そういうこった、次のゲストは渚だ」

陽菜「あ、大筋としては仮面ライダーの時と同じ順番なんだね」

龍哉「そっちの方が楽だしな」

龍哉・陽菜「それでは次回もお楽しみに!!」


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