ご注文はリゼでしょうか? (シドー@カス虫)
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1話 リゼとの出会い(物理)

処女作です
それでもいい方は、本編スタートです


ここは木組みの家と石畳の街。

俺は今日、この街に1人で引っ越してきた。

 

とりあえず自己紹介から始めよう。

俺の名前は 黄金桂兎(こがね けいと)。春から高校2年生になる。

姉さんの仕事の都合で、今日から一人暮らしを始めることになった。

 

姉さんの仕事についてはいつか話すとしてーー

幼い頃に両親を亡くし、俺と姉さんと二人暮らし。その姉さんも仕事で海外に行くことになった。でも正直俺は日本に残りたく、姉さんの親友に保護者代理として面倒を見てもらうことになったのだ。

同時期に女の子が下宿し始めるらしく、流石に男の俺も下宿させてもらうわけにはいかなかったけど…そこは姉さんが家を用意してくれたので問題ない。マジでありがとうございます。

まぁ、これが街に来た大まかな経緯だな。

 

 

 

今俺は、親友さんの経営している喫茶店『ラビットハウス』の前にいる。

事前にバイトをしたいと伝えたので、たぶん挨拶したらすぐにでもバイトは始まるだろう。

まず店に入るか。

 

 

「安心する味!これインスタントの…」

 

「うちのオリジナルブレンドです」

 

店に入ると、コーヒーを3杯飲んでる女の子と、頭にもじゃもじゃを乗せた小さな店員がいた。

てか失礼すぎるわ。

 

「すみません、タカヒロさんはいますか?」

 

「父に用があるのですか?」

 

小さな店員さんが呼ぶと父さんの親友、タカヒロさんがでてきた。

 

「やぁ、君が黄金君の弟か」

 

「初めまして、黄金桂兎です。今日からよろしくお願いします」

 

「あぁ、よろしく。こっちが娘のチノだ」

 

「初めまして。香風智乃(かふう ちの)です。」

 

二人ともクールだなぁ。

…カッコイイ。

 

「本当は君もうちに下宿してよかったのだけれどね」

 

「いえいえ、同年代の女の子がくるんじゃ色々危ないですし」

 

俺の理性とかね。

 

「まぁいい、さっそく仕事を始めようか。制服は二階にあるからまず着替えてきてくれ」

 

「わかりました」

 

制服に着替えるか。制服のサイズあるかな?

 

 

「ここにも誰かが下宿しにくるの?私も下宿先探してたんだ♪」

 

チノちゃんに俺にあった制服あるか聞いてたら、さっきの女の子が話してきた。ちなみにサイズはあるらしい。

 

あれ、そんな何人も下宿しに来る人なんているのか?

 

「イキナリで悪いけど、君の下宿先の人の名前は?」

 

「? 香風さんだよ?」

 

「……ウチです」

 

「え⁈すごい!これは偶然を通り越して運命だよ!」

 

やっぱり話で聞いた女の子だったか。てかイキナリ運命て。

 

 

「私は保登心愛(ほと ここあ)。今日からよろしくね♪」

 

「私は香風智乃です。ここのマスターの孫です」

 

「あれ、そのマスターはどこにいるの?」

 

「祖父は去年……」

 

「そっか、今はチノちゃんとお父さんで切り盛りしてるんだね……」

 

「いえ バイトの子が一人いますし黄金さんも増え……」

 

「私を姉だと思って何でも言って!!」

 

チノちゃんに抱きつくココア。

 

 

なんか俺びっくりするぐらい蚊帳の外にされてるな。

……着替えるか。

 

 

 

 

 

二階に上がると、それっぽい部屋があった。たぶんここが更衣室だろう。

そういえばどのクローゼットにあるか聞いてなかったな。

まぁ全部開ければ見つかるか。

とりあえず適当なクローゼットを開ける。

 

 

「「えっ?」」

 

 

……なんか女の子がいた。

なんでクローゼットに女の子が? てか、女の子の格好ってまさか下着じゃ…

 

「キャアァァァァァァ⁈」

 

「アァァァァア⁈!スミマセェェェェン‼︎」

 

咄嗟に女の子から目をそらす。

 

「スミマセンたぶん部屋間違えましたすぐに出まDOOR⁈」

 

俺はどこのサイヤ人だよ

 

 

……なぜだろう?背中が痛い

浮いて

 

 

あれ

 

床が

目 …… 前に

ドロップ…… キッ…

 

 

 

バダンッ‼︎

辛うじてドロップキックを食らったことを認識して、俺は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

これが彼女との、衝撃(物理)的な出会いだった。

 

 

 

 

 

 

「今何か大きな音がしました」

 

「そんなことよりお姉ちゃんって呼ん……」

 

「じゃあココアさん何があったか見てきてください」




初めまして シドーです
現役高校二年生です
更新は最遅で一週間の予定です

余談ですが、俺も背後からドロップキック食らったことあります。小5のときです。
世界が反転して、宙に浮きました。人は危機が迫ると1秒が何秒にも感じるときがあるようですが、ガチで世界がスローになりました。
皆さんはふざけてても友達にドロップキックはやめましょう(切実)
余談の方が長いなw


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2話 リゼたちとの初バイト開始

ケイト君の名前は、烏龍茶の黄金桂から考えました。
てかまんまでしたね。


「……あれ、俺なんで寝てんだ?」

 

よくわからないが、俺は寝てた。しかももじゃもじゃを抱いていた。

 

「う〜〜…う〜〜」

 

もじゃもじゃからおっさんの苦しむ声が聞こえるのは、きっと寝ぼけてるからだろう。

そんなことを思ってると、横にいたらしい女の子が謝ってきた。

 

「すまない!まさか知らない男が来るとは思わなくて!」

 

「へっ?なんのこと?」

 

謝られる理由がわからない。

 

「ま、まさか覚えてないのか!?」

 

「あぁ、全く」

 

確か俺は着替えに二階に上がって……

ダメだ、全く思い出せない。

 

「わ、私の……アレ(下着姿)を見たこともか?」

 

「アレって?」

 

まさか、俺は彼女の秘密を忘れたとはいえ見てしまったのか?

 

「えっと…よくわからないが、俺が何かしてたらスミマセン」

 

「いやいや、私の方こそすまなかった!」

 

「いや俺が」

 

「いや私が」

 

「俺が」

 

「私が」

 

……譲り合い謝罪終了まであと三分

 

 

 

 

 

 

話はなかったことにしました。

 

 

 

 

 

「私は天々座 理世(てでざ りぜ)。今日からよろしくな」

 

「黄金桂兎だ。よろしく、天々座さん」

 

「リゼでいいよ。天々座って言いにくいだろ?あと、敬語もさんもいらないからな。」

 

「えっと、リゼ………さん」

 

「リゼ、な?」

 

「待って、なんで銃を構える。てか何故銃を持ってる。」

 

「私は父が軍人で、護身術とか色々仕込まれてるからな」

 

なるほど、だからキックも強かったのか。

……あれ、キックなんて食らってないはず。なんでキックが強かったって思ったんだ?

 

「〜〜、わかった。よろしく、リゼ」

 

「あぁ。よろしくな、ケイト」

 

同年代の女の子を下の名前で呼ぶのは正直恥ずかしいな。

まぁ、俺が慣れれば済むしいいか。

……少し怖かったのはナイショだぜ。

 

 

 

 

自己紹介も済み、俺と女の子三人は集まった。

 

「リゼさん 先輩として二人に色々と教えてあげてください」

 

「きょ 教官ということだな!」

 

「嬉しそうだな」

 

「この顔のどこがそう見える⁈」

 

「そりゃ可愛く照れてるところが…俺が悪かったスミマセン」

 

だから銃を構えないで。本物じゃなくても心臓に悪いじゃん。

 

「ま、まぁ先輩として指導お願いします」

 

「よろしくねリゼちゃん♪」

 

「上司に口を利くときは言葉の後ろにサーをつけろ!」

おい待て、軍人に志願した覚えはないぞ?

 

「お、落ち着いてサー!」

 

「そうサー!落ち着くんサー!」

 

言葉のブーメラン(沖縄風)でしたね。

 

 

 

ココアが制服に着替えてきた。

女の子3人は色違いの制服を着ていて、チノちゃんが青色、リゼが紫色、そしてココアがピンク色だ。

ちなみに俺はバーテンダーの服だ。ラビットハウスは夜、バーとしてタカヒロさんが接客してるらしく、その服を着てる。

 

「どう、似合ってる?」

 

「いいです、似合ってます」

 

「あぁ、かわいいな」

 

「えへへ〜、ありがとう♪」

 

ココアはほのぼのしてるって言うのか、素直に喜んでるところもかわいい。

 

「では、早速この荷物を運んでください」

 

「了解」

 

そこにはコーヒー豆が入った袋がある。

ココアは大きい袋を持ったが、

 

「…お、重い……。普通の女の子にはきついよ……ねぇリゼちゃん」

 

ココアには重すぎたようで、持ち上げることしか出来なかった。

女の子には無理かとリゼの方を見ると、

 

「えっ⁈あ、あぁ確かに重いな。普通の女の子には無理だな」

 

…軽々持ってたのは、見なかったことにするか。

 

「重いなら俺が運ぶ。ココアは小さい袋を運んでくれ」

 

「ありがとうケイト君//」

 

力仕事は男の役目だしな。

 

 

袋を運び終えると、リゼがメニュー表を持ってきた。

 

「二人ともメニュー覚えておけよ」

 

「うへぇ、多いな」

 

メニュー表には、ブルーマウンテンやキリマンジャロなど色々なコーヒーの名前がある。

 

「そうか?私は一目で暗記したぞ」

 

「「すごいっ!」」

 

「訓練してるからな」

 

どんな訓練だよ。今度教えてくれ。

 

「私なんて大したことないぞ。チノなんて香りだけでコーヒーの銘柄当てられるし」

 

「私より大人っぽい‼︎」

 

「ただし砂糖とミルクは必須だ」

 

「あっなんか今日一番安心した!」

 

実家のような安心感ですね。

 

 

「いいなー、チノちゃんもリゼちゃんも。私も何か特技あったらなー……」

 

「俺も特技あればなー…」

 

「ん、チノちゃん何してるの?」

 

「春休みの宿題です。空いた時間にこっそりやってます」

 

そういえばもうすぐ新学期だったな。

 

「へぇ……。あ、その答えは128で、その隣は367だよ」

 

…………えっ?暗算?早くね⁈

 

「ココア、430円のブレンドコーヒーを29杯頼むといくらになる?」

 

リゼが問題を出した。や

「12470円だよ」

 

やはり一瞬で答えるココア。

 

「私も何か特技あったらなー」

 

詐欺や!充分特技やないか!

 

 

 

 

「特技か……」

 

「ケイトは何か特技ないのか?」

 

「……ないな」

 

「ジト〜〜」

 

やめて!可哀想なもの見る目で俺を見ないで‼︎

 




おはこんばんにちわ
東京在住のシドーです(唐突のカミングアウト)

12月4日はチノちゃんの誕生日でしたね!チノちゃんおめでとう♪パチパチパチパチ(全チノ好き+俺)
ちなみに18日は俺の誕生日です。俺おめでとう!パチパチパチパチ(全俺)
はい、俺の誕生日なんてどうでもいいですねw

4日に授業で千代田区(だっけ?)の皇居に行ったんですが、乾門あたりで両面チノちゃんのシャツ着て走ってる人がいました。

見てるこっちが恥ずかしかったです。

アニメキャラのシャツ着るのって、勇気いりますよね。
まぁ俺着たことないけど。


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3話 リゼたちとのバイト そして…

俺たちは今、ラビットハウスで仕事中です。

 

「いらっしゃいませー♪」

 

「おや、新人さん?」

 

「はい、今日から働かせて頂くココアっていいます」

 

ココアが接客をしている。緊張せずにできてるっぽい。

 

「ふーん、ちゃんと接客できてるじゃないか」

 

「意外と大丈夫みたいだな」

 

俺もリゼもココアがちゃんと接客できるか不安だったが、杞憂だったようだ。

 

「やった!私ちゃんと注文取れたよー♪」

 

「あー(棒)」

 

「すごいぜーココアー(棒)」

 

……それなけりゃもっと良かったのに。

 

 

えっ?俺はどうだって?馴染みすぎて新人さんなのかって聞かれなかったぜ!」

 

「心の声出てるぞ。しかもそれ影が薄いんじゃあ……」

 

「それ言わないで‼︎(涙)」

 

影が薄いんじゃない。空気のように馴染みやすいんだ!

……言ってて悲しくなってきたな。

 

 

 

 

 

そんなこんなで仕事をし客足が落ち着いてきた頃、ココアはチノに質問をしてた。

 

「このお店の名前 ラビットハウスでしょ?ウサ耳つけないの?」

 

「ウサ耳なんてつけたら違う店になってしまいます」

 

なに質問してんだよココア。ウサ耳つけたらいかがわしい店になるじゃねぇか。

 

「リゼちゃんとかウサ耳似合いそうだよねー」

 

「そんなもんつけるかバカ!」

 

リゼがウサ耳か……。スタイルいいしバニーガールの格好したら絶対凄そうだな。

待てリゼがスタイルいいって俺見たことないから。なんか今日の俺おかしいな。

 

「……露出度高すぎだろ!」

 

「あれリゼもバニーガ「死にたいのか?」イエイエナンデモアリマセンヨ」

 

失言でしたね、はい。

 

「じゃあなんでラビットハウスなのでありますか!」

 

「そりゃティッピーがこの店のマスコットだからだろう?」

 

「このもじゃもじゃうさぎだったんだ!」

 

「そこからか⁈」

 

だってしゃあないじゃん、ウサギっぽくないし。毛玉って感じだもん。

 

「うーん、ティッピーうさぎっぽくないよ。もふもふだし」

 

「じゃあどんな店名がいいんだ?」

 

「ズバリもふもふ喫茶‼︎」

 

「「そりゃまんますぎるだろ」」

 

リゼとツッコミ被りました。

 

「もふもふ喫茶……」

 

「「気に入った⁈」」

 

チノちゃんが気に入りました。女の子はやっぱり好きなのかな、もふもふ。

 

 

 

 

 

「よしココア、ケイト、ラテアートやってみるか?」

 

「てらあーと?」

 

惑星のアートじゃねぇよ。

 

「カフェラテにミルクの泡で絵を描くんだよ。この店ではサービスでやってるんだ」

 

「あっ、絵なら任せて!これでも金賞もらったことあるんだ」

 

「町内会の小学生低学年の部とかいうのはナシな」

 

「……」

 

図星でしたか。考えるとみんな小学生の時に賞もらってるよな。俺もだし。

 

「まぁいい、手本としてはこんな感じだ」

 

そういうとリゼは可愛いお花のラテアートを作った。

 

「わっ、すごい上手い!」

 

「うん、可愛い絵だな」

 

「そ、そんなに上手いか?」

 

「あぁ、上手いし可愛いしスゴイな」

 

「ねぇ、もう1個作って」

 

「しょ、しょうがないなー!特別だぞ!やり方もちゃんと覚えろよー!」

 

あの〜リゼさん、手の動きが速すぎて全く見えないんですが〜。

そして完成したのが、戦車の絵だ。キャタピラや砲口の煙まで細かい仕上がりだ。ご注文は写真でしたか?いいえラテアートです。

 

「上手いってレベルじゃないよ。ていうか人間技じゃないよ……」

 

ココアもそのクオリティに震える。

……リゼは、褒められると調子に乗っちゃう時があるっぽい。

 

 

 

 

その後ココアがフニャった可愛いうさぎを描いたり、チノちゃんが芸術的な絵を描いたりしてたら、閉店の時間になった。

ちなみに俺の絵は普通に下手でした。真っ白になっちゃいました。

 

「皆さん今日はお疲れ様でした」

 

「お疲れさん」

 

 

 

「じゃあなココア、チノちゃん」

 

「バイバーイ♪」

 

「また次のバイトの日に」

 

俺とリゼはラビットハウスから出て自分の家に向かう。途中まで同じ道らしいので、二人並んで歩く。

 

「そういえばケイトはこの街に引っ越してきたんだろ、学校はどこに行くんだ?」

 

「俺か?俺が通うのは………丁度良かった。あそこの学校だ」

 

丁度視界に入ったので指差して言う。

 

「私もあの学校だ」

 

「マジか!じゃあ同じクラスになるかもな」

 

「その時はよろしくな、ケイト」

 

「もちろん。違うクラスだったとしてもな」

 

そう言って俺たちは自然と握手をする。

なんか男の友情的な雰囲気だな

 

そしてもう少し歩くと、先に俺の家に到着する。

 

「じゃあな。おやすみ、リゼ」

 

「おやすみ、ケイト」

 

 

 

 

 

明日は学校か。リゼと同じクラスだったら楽だしいいなぁ。

そういえば、俺の通う学校どんなとこだっけ?寝る前に資料漁るか。




おはこんばんにちわ
現在モンハンクロスにハマってます、シドーです。

まだリゼの感覚は恋とか好きとかじゃなくて、友情的なやつですね。的な


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4話 リゼと同じ学校へ

「初めまして、黄金桂兎です。引っ越してきたばかりで至らない部分もあると思いますが、よろしくお願いします」

 

新しいクラスメイトから拍手が送られる。その中には見知った顔、リゼもいる。

 

「じゃあ、黄金君はあの空いてる席に座ってください」

 

俺の席は、窓際の1番奥になるようだ。

注目を浴び続けるのも恥ずかしい、さっさと席に座るか。

 

 

 

今日から俺の、新しい学校での生活が始まる。

 

 

 

……おかしいな、クラスに男子いないぞ。

 

 

 

 

とりあえず、少しは学校とかの説明をしよう。

 

ここは、街でも有名なお嬢様学校。男もいるけどお嬢様学校だ。

通ってるのは基本お金持ちで、例外に特待生が少しいるって感じだ。

そして俺は、その特待生として転校してきた。

ここにした動機?特待生は学費が免除されるからだ。

姉さんには少しでも負担をかけたくなかったから、必死こいて勉強してたんだよ。

そんで合格しました。

 

まぁ、説明することはこんぐらいかな。

 

 

 

 

「少し前まで女子校⁈」

 

「あぁ、だから男子は少ないんだよ」

 

昼時。

リゼと弁当を食べながら、なんでクラスに男子がいないか質問したら、そんな答えが返ってきた。

 

「ケイト、そんなことも知らなかったのか?」

 

「知らんかった。学費免除しか興味なかったしな」

 

「お前ってやつは……」

 

どうやら、全校生徒の9割が女子で、しかも男子の特待生は俺だけのようだ。初の男子特待生については、割と生徒間で有名らしい。

 

「まぁいいじゃん。居心地が悪いわけでもないし」

 

実際学校は広いし、生徒のみんなも良い人だし。

 

「本当に大丈夫なのか?」

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

 

明日の俺は、これはフラグだったなと後悔する。

 

 

 

 

 

放課後

今俺は女子に囲まれてます。クラスメイトから違う学年の人まで何十人もいる。

俺が何かしたか?監獄にでも連行されるの?覗きしてないしする気もないよ?

 

「黄金さん!」

 

「ひゃ、ひゃい⁈」

 

ヤバイ声裏返った、メッチャ恥ずかしい。 じゃなくて、要件は何?

 

「黄金さんは……

 

本当に庶民なんですか⁈」

 

「……ハイ?」

 

えっ?何この質問。

頭の中で戸惑ってると、今の質問をきっかけに、みんなが一斉に質問してくる。

 

 

「どこから来ま「特待生としてはい「許嫁はい「庶民部に「etc……」

 

 

ダメだ、何言ってるかサッパリわからねぇ‼︎これがいわゆる『転校生への質問攻め』か⁈人数が多すぎる!

助けてリゼえもん!

 

 

 

いやハンドシグナルじゃわからねぇよ‼︎

せめて口パクにして!

 

(諦めろ)

 

冗談だよね⁈助けてリゼえもん!いやリゼさん‼︎

待って!帰らないで!お助けください!お願い三百円あげるから‼︎

 

 

リゼは帰りました。

 

 

 

「……みんな一列に並んで。一人一つずつ順番に答えるから」

 

 

 

 

 

 

 

最終下校時刻まで質問に答えました。

 

 

パトラッシュ、俺はもう疲れたよ……




おはこんばんにちわ
アプリのリゼアラームを速攻買ったシドーです

オリジナルです。短い上に文才ありません
反省はしてます。後悔はしてません


今日(12月11日)授業で一時間ひたすら体育館走りました
自分のペースで走ったらなんと120周してました!運動部勢に食い込みました。
30秒で1周ペースです。あと俺は運動部に入ったことありません
おかげで足がバキバキです(涙)
皆さんも無茶はほどほどに


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5話 リゼたちとの初パン作り

みんなの学校の始業式、入学式が終わってちょっとたったある日。

 

 

「大きいオーブンならありますよ。おじいちゃんが調子乗って買ったやつが」

 

「ほんと!?じゃあ今度みんなで看板メニュー開発しない?焼きたてパンおいしいよ!」

 

どうやらココアの実家はベーカリーで、よく自家製パンを作ってたらしい。久しぶりに作りたくなったようだ。

みんなの中に俺入ってるよな?

 

「話ばっかしないで仕事しろよー」

 

おっと、仕事に戻らないと……

 

 

 

くきゅるるるるる〜

 

 

リゼのお腹から可愛い音が聞こえてきた。

 

「焼き立てってすっごくおいしいんだよ!」

 

「そんなこと分かってる!」

 

 

 

くきゅるるるるる〜

 

 

 

また鳴ったな。

 

「リゼ、焼き立てパン想像したら腹ぐらい鳴るし気にするな。それに結構可愛い音だった「可愛い言うなっ‼︎」グヘァッ⁈」

 

真っ赤な顔でチョップするリゼ。

スミマセン、真っ赤になるほど怒っちゃうとは……

 

 

 

というわけで、今日はみんなでパンを作ります。

 

あと、ココアが新しい友達を連れてきました。

 

「千夜ちゃんだよー」

 

「宇治松 千夜(うじまつ ちや)よ。今日はよろしくね」

 

女の子が増えてメンツは女子四人に俺一人。男混ざっててみんなはいいのかね?

 

「あらそちらのワンちゃん…」

 

「ワンちゃんじゃなくティッピーです」

 

「この子はただの毛玉じゃないんだよ」

 

「まぁ毛玉ちゃん?」

 

「もふもふぐあいが格別なの!」

 

そう言いながらティッピーを撫でるココア。ティッピーが起こってるように見えるが…

 

「癒しのアイドルもふもふちゃんね」

 

「ティッピーです」

 

「「だれかアンゴラうさぎって品種だって説明してやれよ」」

 

リゼとツッコミ被りました。

 

 

「それにしてもココアがパン作れるって意外だったな」

 

「えへへ〜♪」

 

「褒めてるわけじゃないだろ」

 

俺の指摘を無視して嬉しそうに頬をかくココア。

まぁいいか。パン作り始めようぜ。

 

「みんなパン作りをなめちゃいけないよ!少しのミスが完成度を左右する戦いなんだよ!」

 

ココアのやる気スイッチ入りました。

周りに燃え上がる炎のオーラが見える!気合いが違う!

リゼを見ると、俺と同じように驚愕してる。

 

(ココアが珍しく燃えている……!このオーラ、まるで歴戦の戦士のようだ……!)

 

って考えてるだろうな。きっと。

 

「今日はお前に教官を任せた!よろしく頼む!」

 

「任せた!」

 

「わたしも仲間に…!」

 

リゼの軍人スイッチも入りました。

てかみんなノリノリだね。楽しそうだからいいけど。

 

「暑苦しいです」

 

チノちゃん、そんなバッサリ言わなくても……

 

 

 

 

 

 

じゃあ、パン作り始めようぜ。

 

「それじゃあ各自パンに入れたい材料提出ー!」

 

みんなはそれぞれ自宅から持ってきたパンに入れる材料を取り出す。

 

「私は新規開拓に焼きそばパンならぬ焼うどんパン作るよ!」

 

「私は自家製あずきと…梅と海苔を持ってきたわ」

 

「冷蔵庫にいくらと鮭と納豆とごま昆布がありました」

 

「私はイチゴジャムとマーマレードと……」

 

「俺は昨日作った焼きそばを……」

 

(ケイト、これってパン作りだよな?)

 

リゼが小声で聞いてきた。

てか俺が聞きてぇよ。

 

 

 

「今日はドライイーストを使うよ!」

 

「ドライイースト⁈食べて大丈夫な物なんですか⁈」

 

「ドライイーストは酵母菌なんだよ。これを入れなきゃパンはふっくらしないよー」

 

流石パン作ってただけあって詳しいな。

 

「そんな危険なものをいれるくらいならパサパサパンで我慢します!」

 

チノちゃんどうしてそうなった?

 

 

 

次にココアはパンのこね方を見せてくれたが、真似してみても中々上手くいかない。やっぱ経験者は違った。

 

「パンをこねるのってすごく時間がかかるんですね」

 

「腕が……もう動かない……」

 

「やっぱり女の子には少しキツイか」

 

麺棒で生地を伸ばすが大変そうだ。

俺は男だし大丈夫だよ。

 

「リゼは……平気だよな」

 

「なぜ決めつけた?」

 

「そりゃリゼは軍人の……待って、麺棒はバットじゃないぞ⁈振りかぶっちゃダメだ‼︎」

 

俺の頭がホームランされるんですかね⁈

 

 

 

 

 

土下座して許してもらいました。

プライド?プライドで生きていけるのか?

 

とりあえずパン作り再開しようぜ。



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6話 リゼたちとのパン作り

前回のあらすじ

新しい友達とパン作りで土下座したケイト

間違いではない……ハズ


「ゴメン」

 

「わかればよろしい」

 

土下座now。まぁ、俺が悪かった。

 

とりあえず再開するか。ココア、力の入れ方とかコツを教えてほし……

 

「このときのパンがもちもちしててすごくかわいいんだよ!!」

 

「「すごい愛だ!!」」

 

ココアの周りのオーラはより一層激しくなっていた。真剣に頑張る姿がすごくカッコイイ!

 

 

 

暫くこねってると、宇治松がしんどそうにしてた。

 

「宇治松、手伝うか?」

 

「千夜でいいわ。ケイトくんに負担はかけられないわ」

 

「健気ってやつだな」

 

「頑張るなぁ」

 

「ここで折れたら武士の恥ぜよ!息絶えるわけにはいかんきん!」

 

「健気?」

 

時代が違うぞ。

 

とりあえず生地を伸ばした後、一時間寝かして形を作る。

 

「チノちゃんはどんな形にするの?」

 

「おじいちゃんです。小さな頃から遊んでもらっていたので…」

 

「おじいちゃん子だったのね」

 

「コーヒーをいれる姿はとても尊敬していました」

 

チノちゃんのおじいさんか、一回会ってみたかったな。

 

「みんなーそろそろオーブン入れるよー」

 

「…では、これからおじいちゃんを焼きます」

 

「もうちょっとマシな言い方しようぜ⁈」

 

言い方怖いわ!ティッピーまで驚いてるわ‼︎

 

 

 

「リゼちゃんはうさぎパン!?」

 

良い感じにうさぎで可愛いな。

 

「焼けたらチョコで顔を描いて完成だな。ケイトは何パンにしたんだ?」

 

「俺は焼きそばパンだ」

 

ちょうど昨日焼きそば作ったからな。

ネタが思いつかなかったのはナイショだ。

 

「チノちゃんはさっきからオーブンに張り付きっぱなしだねー」

 

投入したパンを熱心に見てるチノちゃん。

 

「パンを見ててそんなに楽しいか?」

 

「はい。どんどん大きくなってきてます」

 

オーブンの中のおじいちゃんやみんなのパンが大きくなってる。

 

「おじいちゃんがココアさんと千夜さんに抜かされました!」

 

「おじいちゃんもガンバレー!」

 

「リゼさんとケイトさんのパンは出遅れてます。もっと頑張ってください」

 

「「私(俺)に言うなよ」」

 

無茶言うなや。

 

 

 

 

 

「みんな焼けたよー!さっそく食べよー♪」

 

それぞれ自分の作ったパンを一口食べる。

 

「……!美味しい!」

 

「いけますね」

 

「これは納得のいく味だ」

 

「流石焼き立てだな」

 

「これなら看板メニューに出来るよ!」

 

「この焼きうどんパン」

 

「この梅干しパン」

 

「このいくらパン」

 

「どれも食欲そそらないぞ」

 

看板メニューにはならなそうだ。

 

「そういえばリゼが作ったうさぎパンは?」

 

「無事に焼けたしここからが本番だね」

 

どうやら、うさちゃんパンにチョコで顔を描くようだ。

 

「絶対に揺らしたりするなよ!」

 

「揺らせってフリか?」

 

「フリじゃない‼︎」

 

ゴメン。

気を取り直して顔を描くリゼ。すると……

 

だう〜〜

 

チョコが少し溶けてしまった。

 

「あっまだ熱が冷めてなかった!」

 

「傾いてる!」

 

「歌舞伎うさぎね!」

 

「…………」

 

発想の転換か。リゼの望んだ成功じゃないけど。

 

「そういえばまだ焼いてるのがあったけどあれはなんだ?」

 

「じゃーん!ティッピーパン作ってみたんだ!」

 

「「「おぉーー!」」」

 

見事にティッピーの形をした可愛らしいパンが出来上がった。ティッピーも嬉しそうだ。

 

「看板メニューはこれで決定だな」

 

「食べてみましょう」

 

 

「もちもちしてる…」

 

「えへへー美味しく出来てるといいんだけど」

 

「中身はイチゴジャムね!」

 

((…なんかエグいな))

 

俺とリゼは、少しだけ食欲が削がれました。

 

 

 

 

 

パン作りも終わり帰り道。

 

「今日のパン作り楽しかったなケイト」

 

「もちろん。まぁティッピーパンの中身は反応に困ったけど…」

 

「それは忘れろ」

 

仕方ないじゃん。可愛い形に食べると真っ赤な体内、エグすぎて忘れられないぜ。

 

「そういえばケイト、それって焼きそばパンか」

 

「あぁ、さっきの余り」

 

知っての通り俺は焼きそばパンを作ったが、少し作りすぎたの今も歩きながら食べている。

 

「食べるか?」

 

「それじゃあ遠慮なく」

 

パクッ

 

「うまいな!」

 

「だろ!焼きそば気合い入れて作ったからな!」

 

あっ、もちろんパンも気合い入れたよ。

 

「あれ?これって…………

(間接キスじゃ…//)」

 

「ん?なんか言ったかリゼ?」

 

「なんでもない‼︎」

 

「ゲホァッ⁈!」

 

アレ?俺毎日攻撃食らってるような…

 

 

俺がこれらを照れ隠しだと理解するのは、まだまだ先のことだ……





ケイト君の性格はいい人。それさえ貫ければいいかなって思ってます。


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7話 リゼたちと甘兎庵へ

今はみんなで千夜の家に向かっている。パン作りのお礼にと家の喫茶店に招待してくれたのだ。

 

「どんなとこか楽しみだね♪」

 

「なんて名前の喫茶店ですか?」

 

「甘兎って聞いてるけど」

 

「甘兎とな!?」

 

なんかダンディなおっさんの声が聞こえた。

 

「チノちゃん知ってるの?」

 

「おじいちゃんの時代に張り合っていたと聞いてます」

 

「待ってその前に今の声って何⁈チノちゃんの声じゃなかっただろ!」

 

「私の腹話術です」

 

「いやでも……」

 

「腹話術です」

 

「いや「腹話術です」…はい」

 

腹話術らしい。

 

もう少し追求したかったが、気付いたら件の店に着いた。

 

「看板だけやたら渋い。面白い店だな」

 

「……オレ、うさぎ、あまい?」

 

「甘兎庵な」

 

「あと俺じゃなくて庵(いおり)だぞ」

 

俺とリゼで訂正する。まぁ普通に左から読んだら庵兎甘だけどな。

 

「こんにちわー!」

 

縞模様で緑の着物姿の千夜が出迎えてくれた。

 

「あっ初めて会った時もその服だったね!制服だったんだ!」

 

「あれはお仕事でようかんをお得意様に配った帰りだったの」

 

「あのようかんおいしくて3本いけちゃったよー」

 

「3本丸ごと食ったのか!?」

 

あれか?甘い物は別腹的な。

 

「あ、うさぎだ!」

 

「看板うさぎのあんこよ」

 

「置物かと思ったぞ」

 

台に座ってるあんこは微塵も動こうとしない。

 

「あんこはよっぽどのことがないと動かないのよね」

 

だがチノちゃんが近づくと、あんこが急に動き出した!てかティッピーに体当たりしてチノちゃんも尻餅をついた!

 

「大丈夫かチノちゃん?」

 

「びっくりしました……」

 

「縄張り意識がはたらいたのか?」

 

「いえ……あれは一目惚れしちゃったのね」

 

「「一目惚れ?」」

 

ココアとリゼが疑問を投げかける。

 

「恥ずかしがり屋くんだと思ったのに。あれは本気ね」

 

「あれ?ティッピーってオスだと思ってた。なんとなくだけど」

 

「ティッピーはメスですよ」

 

「縄張り意識がはたらいたのか?」

 

「いえ……あれは一目惚れしちゃったのね!恥ずかしがり屋くんだと思ったのに。あれは本気ね」

 

「あれ?ティッピーってオスだと思ってた。なんとなくだけど」

 

「俺も俺も。おっさんの声が聞こえたらついそうだと」

 

「ティッピーはメスですよ」

 

店の外に逃げるティッピーと追いかけるあんこ。

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

……おっさんの声が聞こえたのは気のせいだな。

 

「私も抹茶でラテアートを作ってみたんだけど、どうかしら?」

 

「わっどんなの!?」

 

「ココアちゃんたちみたいにかわいいのは描けないんだけど。北斎様に憧れていて……」

 

「浮世絵!?」

 

「俳句をたしなんでいて……」

 

『ココアちゃん どうして今日は おさげやきん? 千夜』

 

「風流だ!!」

 

「「季語はどこだ⁈」」

 

ついリゼとツッコミを入れた。

 

 

 

「メニューは何があるの?」

 

「はい、お品書きよ」

 

「えっと何があるかな…」

 

『煌めく三宝珠』『雪原の赤宝石』『海に映る月と星々』『姫君の宝石箱』etc…

 

「……リゼ、これ何?」

 

「私に聞くな私に‼︎」

 

そりゃそうか。何故かは知らんがこんな漫画の必殺技みたいなメニューじゃわかる奴なんているはずが……

 

「わー抹茶パフェもいいしクリームあんみつも白玉ぜんざいも捨てがたいなぁ!」

 

「「わかるのか!?」」

 

違う言語でも人は分かり合えるんですね。

 

 

「じゃあ私『黄金の鯱スペシャル』で!」

 

「よく分からないけど『海に映る月と星々』で」

 

「『花の都三つ子の宝石』でお願いします」

 

「じゃあ俺は『黒曜を抱く桜花』で」

 

「じゃあちょっと待っててね」

 

千夜はキッチンに向かった。

 

「和服っておしとやかな感じがしていいねー」

 

「確かに着てる人あまり見ないしな」

 

「……」

 

リゼの方を向くと、千夜の着物を凝視している。

 

「着てみたいのか?」

 

「あ、いや!そういうわけじゃ!」

 

「リゼちゃんならきっと似合うよ!」

 

リゼは美人さんだし何でも似合いそうだな。

 

「あの博打のやつすっごくカッコいいと思うよ‼︎」

 

「「そっち⁈」」

 

なんかココアの思考回路についていけない。

 

 

 

 

 

「でもリゼなら着物似合うだろ。胸大きい女の子は着物似合うらしいし」

 

「な、何を言っているんだおまえはぁぁぁ//」

 

「あ!待って今のはナシにし『ゴスッ‼︎』ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

うん、これは俺が悪かった。

あと店内で騒いでスミマセン、

 




おはこんばんにちわ
今日(12月18日)誕生日のシドーです

やっぱ誕生日って嬉しいですね
しかもパズドラ開いたら見事に600日目でした!
全く狙ってなかったので驚きました!

ちなみに俺のパズドラIDは
283632617 です
出したらフレンド増えるかなぁって淡い期待を抱いてみたり
まぁよかったら増やしてみて。増えないだろうけど(自嘲)

あとあらゆるゲームでシドーの名前使ってます
もしシドーかシドー@○○(○は色々ある)なら多分俺です


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8話 リゼと 『あーん 』を…

(ノ`△´)〇○・‐(======(〇)
砲星咆哮砲!
ワンパンマン終わっちまったぁっ‼︎‼︎

2期はよ2期はよ‼︎


「お待ちどうさまー」

 

おっ、注文した品がきたようだ。

 

「リゼちゃんは『海に映る月と星々』ね」

 

「白玉栗ぜんざいだったのか」

 

「チノちゃんは『花の都三つ子の宝石』ね」

 

「あんみつにお団子が刺さってます!」

 

「ケイト君は『黒曜を抱く桜花』ね」

 

「桜餅か。名前の通りだな」

 

「ココアちゃんは『黄金の鯱スペシャル』ね」

 

鯱=たい焼きらしい

 

「鯱がたい焼きって無理あるんじゃね?」

 

「さぁ、召し上がれ」

 

「いっただきまーす!」

 

あっ、無視ですか。

 

「このぜんざいおいしいな!」

 

「こっちの桜餅もうまいぜ!」

 

名前はアレだけど味はすげぇうまい!

 

『じー…』

 

「ん?どしたリゼ?」

 

「あっ!な、なんでもない!」

 

だがリゼの視線は俺、正確には俺の桜餅に向け続けている。

 

「…食べるか?」

 

「い、いいのか⁈」

 

「もちろん」

 

ダメな理由もないしな。

 

「ほれ、あーん」

 

「なっ⁈お前は何をやっているんだ⁈」

 

「何って普通に食べさせようと…」

 

これくらい普通だろ。よく姉さんもしてたし。

 

「そ、そうか…。わかった!さぁこい!」

 

食べるだけでそんな気合入れなくても…

 

「じゃあ、あーん」

 

「・・・あ、あーん//」

 

感想をどうぞ

 

「そ、その……(恥ずかしくて味がわからん//)」

 

「ん?なんて言ったんだ?」

 

「なんでもない‼︎」

 

何故顔隠して怒る。

 

「よしケイト!お前も私の白玉ぜんざい食べさせられろ!じゃないと気が済まん‼︎」

 

言いづらいそうだな。まぁありがたいけど。

 

「ほら、あーん」

 

「あーん」

 

「・・・どうだ?」

 

「うん、おいしいな!」

 

「そ、そうか!…(でも、よく平然としてられるな//)」

 

リゼが作ったわけでもないのになんで嬉しそうなんだ?

乙女心ってやつか?全然わからん。

 

「ほほぅ、まるでカップルですな」

 

「お熱いわね〜」

 

リゼと食べさせあいっこしただけだぞ。

 

「な、何を言っているんだお前らはぁっ⁈!」

 

リゼも過剰反応しなくていいだろ。

 

 

 

 

 

「千夜ちゃんまたねー!」

 

甘兎庵をでて三人で道を歩く。

 

「昔はこのお店とライバルだったんだよね?」

 

「はい。今はそんなこと関係ないですけどね。」

 

まぁいがみ合うのも面白くないしな。

 

「私たちもお客さんに満足してもらえるように頑張らなきゃね!」

 

「だなー」

 

「もっと努力しないとな」

 

 

 

「あれっ、あんこ!?」

 

「ん?あんこがここにいるわけ……いたっ⁈!」

 

「いつのまに!?」

 

いつの間にチノちゃんの頭には、ティッピーじゃなくあんこがいた。

ナチュラル過ぎて気づかなかった!

 

「じゃあティッピーは⁈」

 

「甘兎に忘れてきました!」

 

急いで甘兎庵に戻ろうとしたが、目の前にいた。

物陰にいた。目が鋭い。

 

ウサギって、こんな怖い目できるんだな……

 

 

 




おはこんばんにちわ
ワンパンマン大好きなシドーです

好きなアニメ終わると悲しいですね。
ごちうさ2期も終わってしまう……

辛いし話題変えよう!
チノちゃんは動物が懐かないらしいですが、俺も懐きません。てか怖いです。
具体的には今年の夏、妹の友達の飼い犬に追いかけ回されガチ泣きしたぐらいです。
飼い主曰く、滅多にないぐらい俺のことを警戒してたとのこと。

あれ、話題変えたのに目から汗が……


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9話 リゼたちとお嬢様?の出会い

リア充爆ぜろ!
(ノ`△´)〇○・‐(======(〇)
砲星咆哮砲‼︎‼︎

ワンパターンでしたね。


「ラビットハウスのカップって無地だよね」

 

「突然なんだ」

 

どうやら店のカップがシンプルでつまらないらしい。

 

「シンプルイズベストです」

 

「もっと色んなのがあったらきっとみんな楽しいよ!」

 

「そうでしょうか?」

 

「俺はありだと思うぜ」

 

「この前面白いカップ見つけたんだ。今度買いに行かない?」

 

「へぇ、どんな?」

 

「えっとね、ロウソクがあって、いい匂いがして…」

 

「それアロマキャンドルじゃないか?」

 

コーヒーの香りに別の香りが混ざっても…

 

 

 

というわけで、四人と一匹でカップを買いに行きます

 

「あの店良さそうだな」

 

良さげな店に入ると色んなカップやグラスが置いてあった。

 

「わー!かわいいカップがいっぱいー!」

 

「あんまはしゃぐなー」

 

「あっ、あのカップにティッピー入ったら注目度アップだよ!」

 

棚の上にある大きなカップを取ろうとするココア。

なんだろう、いやな予感が…。

 

『ゴッ!』

 

ココアはカップの棚にぶつかり、例のカップが落ちそうになる。

リゼはココアを支え、俺とチノちゃんで落ちてきたものをギリギリキャッチする。いやな予感って当たっちゃうもんだな。

 

「ごめんごめん、とりあえず入れてみよ」

 

 

 

 

「……なんかちがう」

 

「これは……」

 

「ご飯にしか見えないです」

 

「腹減ってきたな」

 

「食べるなよケイト⁈」

 

それは、あまりにもご飯にしか見えなかった……

 

 

 

 

 

「これなんていいかも……」

 

「あ……」

 

暫く見てると、ココアの手が誰かの手と触れ合った。

 

「こんなシチュエーション漫画で見たことあります」

 

「よく恋愛に発展するよな」

 

「片方男だけどな。しかもイケメン」

 

だがココアは恋をしたような瞳でもじもじしてる。

誰かさんが戸惑ってる!

 

ん?そういえばあの金髪の子って…。

 

「あれ?よくみたらシャロじゃん」

 

「リ、リゼ先輩⁈ついでにケイト先輩も⁈」

 

「ついでとは失礼な。泣いちゃうだろ」

 

「知り合いですか?」

 

「私たちの学校の後輩だよ。ココア達と同い年」

 

「……え?二人って年上だったの?」

 

「「今更!?」」

 

いや確かに言ってなかったけど!

 

「先輩達はどうしてここに?」

 

「喫茶店で使うカップ買いに来たんだよ」

 

「そうだったんですか」

 

「シャロは何か買ったのか?」

 

「いえっ!わ、私は見てるだけで十分なので。この白くすべらかなフォルム…はぁ〜……♡」

 

そう言ってシャロはカップを指でなぞりながら自分の世界にトリップする。

 

「それは変わった趣味ですなー」

 

「「えっお前が言う?」」

 

ハイパーにもふもふする女の子はそうそういないと思うが…

 

「そういえば皆さんは学年が違うのにいつ知り合ったんですか?」

 

「私が暴漢に襲われそうになった所を助けてくれたの」

 

「「……ん?」」

 

「へーかっこいいね」

 

 

 

 

……ココア ロードショー……

 

「へっへーお嬢ちゃん、俺と遊ぼうぜ〜」

 

「や、やめてください!」

 

暴漢(ケイト)に絡まれるシャロ。そこにリゼが颯爽と現れた!

 

「失せろ!」

 

「な、なにしにきたリゼ⁈」

 

「この私が断罪してやる!」

 

懐から銃を出したリゼは、暴漢(ケイト)に向けてその銃を……

 

 

 

 

 

 

「そんなこと言ってない‼︎」

 

「なんで俺が暴漢⁈!」

 

ひでぇ誤解だ!あと横で俺を睨むチノちゃんが怖い‼︎

 

「てか暴漢なんていねぇよ!本当は……」

 

「あっ言っちゃだめです!」

 

俺の世間体に関わるので言わせてもらう。

 

 

 

 

 

……とある日の下校中……

シャロside

 

『グレてそうなうさぎがあらわれた‼︎』

 

不良野良うさぎー⁈

噛まれる!

怖い!

通れない!

 

「あー通行のジャマするな。ほらしっしっ」

 

「ゴメンなうさちゃん。通らせてね」

 

 

 

 

 

 

 

「「じー……」」

 

「うっうさぎが怖くてわっ悪い!?」

 

確かにうさぎが苦手なのは少し珍しいけどな。

とりあえず俺の世間体は保たれたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「暴漢役にされたのはちょっとツライ……」

 

「まぁ男だし配役的にちょうど良かったんだろうな」

 

「だからってなー。それにもしリゼが襲われたら身を挺して守るぜ俺。大切な友「な、なに言ってるんだお前はぁぁぁぁぁ//」

 

「ゴフォァッ⁈!」

 

あ、俺いらなそうだわ

なんて思いながら五分ほど気を失った……

 

 




おはこんばんにちわ

クリスマスは家族と過ごすシドーです

リア充を思い出すのでクリスマスとは無関係の話します
昨日の24日、ココアちゃんとシャロちゃんが飲んでたギムネマを飲みました。甘味が感じなくなるアレです
色々試したら……

砂糖=砂
クッキー系=粉
マシュマロ=スポンジ

って感じになりました
特にマシュマロスポンジが個人的にクソ不味かったです

ギムネマを飲むときはマシュマロは食べないことをオススメします


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10話 リゼたちとカップ選び

ごちうさが…終わってもうた……。

三期ってどれぐらい待てばいいかな?


シャロを加えた五人+αでカップを見てます。

 

「このティーカップなんてどう?香りがよく広がるの」

 

「カップにも色々あるんですね」

 

「こっちは取っ手のさわり心地が工夫されてるのよ」

 

「なるほどなー」

 

「詳しいんだな」

 

「上品な紅茶を飲むにはティーカップにもこだわらなきゃです!」

 

カップにもこだわるとはなかなか通だな。

 

「うちもコーヒーカップには丈夫で良いものを使ってます」

 

「私のお茶碗は実家から持って来たこだわりの一品だよ」

 

「何張り合ってるんだ」

 

「俺だって…その…えっと……100均の安物です」

 

「そこはもっとがんばれよ」

 

いやほら流れにのるべきかなって

 

「でもうちの店コーヒーが主だからカップもコーヒー用じゃないとな」

 

「えっ!そうなんですか!?リゼ先輩のバイト先行ってみたかったのに……」

 

本気で残念そうだな。

 

「コーヒー苦手なのか?砂糖とミルク入れればおいしくなるぞ」

 

「に、苦いのが嫌いなわけじゃないわよ!た、ただ……」

 

「ただ?」

 

「カフェインを摂りすぎると異常なテンションになるみたいなの。自分じゃよく分からないんだけど」

 

「コーヒー酔い⁈」

 

変な体質ってあるもんだな。

 

「ねぇ、あのカップおしゃれだよ!みんなどうかな?と思ったら高い!」

 

五万もするカップか。なんでカップって高いものはこんなに高いんだろ。

 

「アンティーク物はそのくらいするわよ」

 

「あれ、これ……昔、的にして打ち抜いたやつじゃん」

 

「「「「!?」」」」

 

リゼさん一体どんな暮らししてるんや。

 

「チノちゃんお揃いのマグカップ買おうよ」

 

「私物を買いに来たんじゃないですよ」

 

端から見ると姉妹っぽいよなこの二人。

 

「(私も気軽にあんな事言えたらなー……)」

 

「なんか言ったかリゼ?」

 

「な、なんでもない!」

 

小声だけど実はちゃんと聞こえた。恥ずかしくて言えないのかな。

……よし

 

「リゼ、このカップ面白くね?」

 

俺が見つけたのは、銃のグリップが付いたカップだ。グリップ部分を握って飲めるようだ。

 

「へぇ〜こんなのあるんだな」

 

「せっかくだしペアで買おうぜ」

 

「えっ⁈」

 

恥ずかしいなら言えるようになるまで待つ。でも最初ぐらいは友達として、俺から一歩近づいてもいいよな。

 

「わ、わかった。買おう!」

 

というわけで買いました。リゼは黒で統一されたデザイン、俺はそれに白ドクロが描かれた奴と少し違いもだした。

 

「ありがとなケイト。声かけてくれて」

 

「……気にするな」

 

多分聞こえたの気づいてるな。ホントなんて言うべきだったかわからないな。

 

「ケイト君とリゼちゃんって、お揃いのカップ買ってて恋人同士みたいだね」

 

「カップだけに?」

 

「何言ってるんだココアぁぁぁ//」

 

「ゴヘァッ⁈!」

 

何故俺に⁈!

せめてカップの方に反応してほしかった!

 

 

このときシャロが睨んでたのは気のせいかな?

 

 

「シャロちゃんは高いカップ詳しくてお嬢様って感じだね」

 

「お嬢様!?」

 

「その制服の学校は才女とお嬢様が多いと聞きます」

 

「おまけに美人さんだし完璧だねー」

 

「それリゼ先輩に言いなさいよ!」

 

「シャロにとっては五万のカップも小物同然だろうな」

 

「リゼが言うのか?」

 

まぁ確かに美人さんだしお嬢様感があるよな。

 

「カップを持つ仕草に気品があるよね」

 

「普通に持ってるだけなのに」

 

「髪もカールしてて風格があります」

 

「くせ毛なんだけど」

 

「やっぱりキャビアとか食べるんですか?」

 

「そ、そういうことはリゼ先輩に聞いた方が……」

 

「んー私がよく食べるのはジャンクフード?あとレーションのサンプルとか」

 

ちなみにレーションとは軍用の携帯食料で、保存性に優れてたりする。とりあえず女子高生がよく食べるようなものではない。

 

「即席で食べられるものっていいよな」

 

「わかります!卵かけご飯とか美味しいですよね!」

 

「きっと卵ってキャビアのことだよ」

 

やっぱシャロってお嬢様なのかな。

 

「そういえばリゼってお嬢様なのか?」

 

「私か、そんなことないぞ」

 

本当にそうなのかね。今度リゼの家に遊びに行くか。

 

 

 

 

 

 

……みんなと別れて……

シャロside

 

「あらシャロちゃんお帰りなさい」

 

「……千夜ぁ、リゼ先輩に余計なイメージもたれた……。あと頭にヘンな生き物が……」

 

「ココアちゃん達に会ったのね」

 

「……絶対内緒よ」

 

「なにが?」

 

 

「私がこんな家に住んでるっていうことをよー!!」

 

実はシャロの家は、甘兎庵の隣のボロい小屋みたいな家だ。

シャロはけしてお嬢様ではない。普通の庶民だ。

強いて言うならバイトもしながら生活に少し苦しんでいる。

 

 

だがケイトたちがこの事実を知るのは、もう少し先のことだった……




ケイトはシャロの家のこと知りません


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11話 リゼたちと喫茶店潜入

あけましておめでとうございます
今年もこの作品をよろしくお願いします

ついに2016年になりましたね。
年賀状書くのメンドクセェ
てか何故出す相手3:1で女子の方が多いんだよ俺。
まぁいいか男だし

餅がウメェ


カップを買って一週間後……

 

「みんな!シャロちゃんが大変なの!」

 

「何事⁈」

 

仕事中千夜がきた。どうやら幼馴染のシャロが大変らしい。てか幼馴染だったんだ。

 

「みんなこれを見て!」

 

 

 

『〜心も体も癒します

fleur du Lapin』

 

 

 

なんて書いてるポスターだ。ウサ耳女の子のシルエットがある。

 

「きっといかがわしいお店で働いてるのよ!怖くて本人に聞けない!」

 

「(ケイト、たしかフルール・ド・ラパンって広告で釣ってるけど、ただの喫茶店じゃ…)」

 

「(そのはず。行ったことないけど)」

 

たぶん千夜の杞憂だろう。

 

「どうやってシャロちゃんを止めたらいいの……」

 

「じゃあ仕事が終わったらみんなで行ってみない?」

 

え、メンドクセェ。

 

「潜入ですね」

 

「(潜入!)」

 

あ、リゼの軍人スイッチが…

 

「お前らゴーストになる覚悟はあるのか!?」

 

「ちょっとあるよ~」

 

「潜入を甘く見るな!よし!私について来い!」

 

「「イエッサー!」」

 

「何処に潜入に行くんです?」

 

「米国国防総省(ペンタゴン)かな?」

 

俺の微妙なボケはさておき

俺たちはフルール・ド・ラパンに潜入することになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここみたいだな」

 

俺たち五人と一匹はフルール・ド・ラパンにきた。

コソコソ隠れてるけど正直道行く人の目がツライ。

 

「いいか?慎重に覗くんだぞ」

 

「「「「「せーのっ」」」」」

 

 

 

 

「なんでいるのーー‼︎」

 

一瞬で見つかりました

 

 

 

 

 

 

「ここはハーブティーがメインの喫茶店よ。ハーブは体に良い色んな効能があるの」

 

「(心も体も癒すってそういうこと)」

 

ロップイヤーにメイド服のシャロから説明を受けた。まぁだいたい知ってたけど。

 

「大体こんなチラシで勘違いしたの誰?」

 

「私たちシャロちゃんに会いに来ただけだよ?」

 

「いかがわしいってどういう意味です?」

 

「まだ知らなくていいよチノちゃん」

 

「こんなことだろうと思った」

 

そして俺たちの視線は千夜に向かれ……

 

「その制服すてき!」

 

「(こいつか)」

 

もう帰っていいか?

 

 

 

 

 

「シャロちゃん可愛いー!ウサミミ似合ーう」

 

「てっ店長の趣味よ。ジロジロ見ないで」

 

「じーっ…」

 

リゼが真剣な眼差しでシャロを見てる。

 

「(ハッ!こ、こんな格好リゼ先輩には見られたくなかった…!あの目は軽蔑の目よ!)」

 

なんかシャロ泣きそうな顔してるな。

 

 

 

 

「(ロップイヤーもいいかもしれない)」

 

「……ウサ耳気に入ったのかリゼ?」

 

「な、なぜわかった⁈じゃなくて何言ってるんだおまえはっ⁈」

 

「ゴメン俺が悪かっただからその拳を下ろしてスミマセン‼︎」

 

なんかいつも謝ってるな俺。

 

 

まぁリゼ絶対ウサ耳メイド服似合うと思うけど。

 




みなさんおはこんばんにちわ

今母さんの実家でこれと次回を執筆してるシドーです。

正月とは関係ない話ですが
俺はぶっちゃけメイド苦手です。というよりアキバで見かけるメイドが苦手です。
リゼのメイド服はウェルカムですが、アキバにいる作り笑いと高い声したメイドはハッキリ言ってイヤです。みんなもそう思うでしょ⁈(切実)

まぁ俺の好き嫌いは置いといて

こんな無駄話ばっかのシドーですが
みなさん今年もよろしくお願いします
読者のみなさんがいてくれれば原作のネタ切れになるまでは休まず続けます!


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12話 リゼたちとハーブティー

喫茶店にきたわけだしハーブティーを飲むことにした俺たち。ちなみにシャロが選んでくれるようだ。

 

「ココアはリンデンフラワーね、リラックス効果があるわ。ちょっとは落ち着きなさい」

 

「へー」

 

「千夜はローズマリー、肩こりに効くのよ」

 

「助かる♡」

 

「チノちゃんは甘い香りで飲みやすいカモミールはどう?」

 

「子供じゃないです」

 

「リゼ先輩は最近眠れないって言ってましたから、ラベンダーがオススメです。ケイト先輩は精神的に弱ってそうなので落ち着けるレモンバームを」

 

「ほー」

 

「ありがとなシャロ。いやホントに」

 

リゼに意識刈られそうで精神弱ってるからな。マジでありがたい。

 

「あっ、ティッピーには難聴と老眼防止の効能があるものをお願いします」

 

「ティッピーそんな老けてんの?」

 

やっぱティッピーっておっさんなのかね?

 

 

 

「お湯を入れたら赤く染まった!キレーイ」

 

「いい香りです」

 

「なんかスーってするね」

 

「ハーブを使ったクッキーはいかがでしょうか?私が焼いたんですが……」

 

おぉ、シャロお手製のクッキーか。

 

「おいしい!」

 

「よかった……!」

 

「(シャロちゃんが真っ赤に!)」

 

「(こっちの方が見てて面白い…!)」

 

リゼに気に入ってもらって嬉しそうだな。

 

 

 

「……このクッキー甘くない……」

 

「そんなことないわよ?」

 

「ふふ、ギムネマ・シルベスターを飲んだわね?」

 

「名前がカッコ良かったから…」

 

「ギムネマってたしか一時的に甘味を感じなくなるやつだっけ?」

 

「そ、そんな恐ろしい効能が…⁈」

 

シャロが『私が説明しようと…』って顔してるのは気にしない。早い者勝ちだ。

 

「ケイトはギムネマ飲んだことあるのか?」

 

「あぁ。マシュマロは最悪だった」

 

「やっぱり試したのか」

 

そりゃね。試さなきゃ飲む意味ないじゃん。

でもマシュマロは酷かった。味がしなくてまるで掃除に使うスポンジでも食ってる気分だった。

本物のスポンジは食べたことないよ。念のため。

 

「シャロちゃんはダイエットでよく飲んでたのよね」

 

「いっ言うなバカー‼︎」

 

そう言ってシャロはぽかぽかと千夜を叩く。仲良しでホント羨ましいよ。リゼともこんぐらい仲良しになりたいな。

 

アレ?そういえばギムネマの効果って基本一、二分だったはず。それでダイエットができたのか……

いや忘れよう。命は大事にしないと。

 

 

 

 

「たくさん飲んじゃった」

 

「お腹の中で花が咲きそうだよー」

 

「レモンバームのおかげか気分が落ち着いてきたな」

 

「そういえば肩が軽くなったような」

 

「少し元気になった気がします」

 

「確かにリラックスしたけどさすがにプラシーボ効果だろ〜」

 

プラなんちゃらはともかくみんなゆっくりできたみたいだな。

さて、みんなで帰るか……

 

「ココアさんが寝てる!」

 

「ハーブティー効き過ぎ!」

 

 

 

 

 

 

俺たち五人はシャロと別れ帰路についた。

 

「Zzz……」

 

ココアは起きなかったから、俺がおんぶしている。背中に柔らかいものが当たってるけど俺は気にしない。

 

「Zzz…ムニュニュ……」

 

時折動いたり女の子特有の甘い香りがしたりするが、それぐらいは許容範囲だ。姉さんをおぶったこともあるしそれとあんま変わらない。

 

「すみませんケイトさん。わざわざココアさんを運んでくれて」

 

「別にいいよ。チノちゃんが運ぶわけにもいかねぇし」

 

けして俺がココアを直に触れたかった訳ではない。いや本当に。マジガチで。

 

「ケイト、重かったら変わるぞ?」

 

「いやリゼにだって運んでもらうわけにゃいかねぇよ。リゼだって女の子だし。それにこんな時の男手だろ」

 

まぁここでリゼに運んでもらったら、男の俺がカッコ悪いだろ。

 

「(お、女の子…//)」

 

「ん、なんか言ったか?」

 

「なっなんでもない!」

 

リゼがなんか嬉しそうな顔してるけどそんなにラベンダーがよかったのか?

 

 

よくわからなかったが、まぁ気にすることでもないのでそのまま仲良く帰ったのだった。




シドー「おはこんばんにちわ。冬休みの宿題は無事終わりそうなシドーです」
ケイト「どうも。ついに後書きに呼び出されたケイトです」
シドー「個性を出すためにこれからは後書きでケイト君と無駄トークをします」
ケイト「でシドー、今日の無駄話は?」
シドー「はい、今年の年賀状ですが皆さんは何枚もらえましたか?俺はなんと0枚だったんですよ!」
ケイト「……うわぁ」
シドー「ちょっ普通に引かないで」
ケイト「だって0枚だぞ。てかお前年賀状出したんだろ?」
シドー「うん、4枚ね」
ケイト「(ダメだこいつ!早くなんとかしないと!)」
シドー「なんでもらえなかったんだろ?」
ケイト「いやお前が鶏も真っ青のチキンだからだろ」
シドー「………
うわぁぁぁぁぁ‼︎ハッキリ言った‼︎だってだって俺小心者だもん!友達百人なんてムリだもん!相談乗ってくれる女の子友達(幼馴染)が1人いれば充分だもん!うわぁぁぁぁぁぁぁぁん‼︎(非現実逃避)」
ケイト「逃げたか……じゃあかわりに

後書きに出た俺ケイトは本編と一切関係ありません。フィクションです。
あと個人情報と今後のネタバレに触れない質問も募集してます。触れてさえなければノンフィクションの答えします。シドーが。

こんなアホで未熟者で情緒不安定なシドーですが
これからもよろしくお願いします。


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13話 リゼたちとお泊まり会

学校始まったか……




「今日は雨でお客さんあんまり来ないねー」

 

今日の天気は雨だ。しかも段々強くなってきてる。帰りがすごく面倒くさそうだ。

 

「2人ともこんな天気なのに遊びに来てくれてありがとね」

 

それでも千夜ととシャロはラビットハウスに来てくれた。

 

「ちょうどバイトの予定が空白になっただけだし」

 

「雨の日に来なくても良かったのにな」

 

なんか申し訳ない気分になっちゃうし。

 

「でも私たちが来た時は晴れていたのに……」

 

「誰かの日頃の行いのせいね」

 

「シャロちゃんが来るなんて珍しいことがあったからかなー」

 

「えっ!?」

 

シャロの日頃の行いだったか。

 

「シャロ、コーヒー苦手なのに大丈夫なのか?」

 

「少しなら平気です」

 

(リゼ先輩がいれてくれたコーヒーだもの)

 

カフェインに酔うらしいけど大丈夫なのかね。

 

 

三分後

 

「みんなー!今日は私と遊んでくれてありがとー!」

 

「時間が空いたらいつでも来てねー」

 

「いいの?行く行くー!」

 

テンションが別人だな。

 

「おぉ!ケイト先輩意外と筋肉あるー!」

 

シャロに抱きつかれた。

やはり女の子特有の甘い香りがするが、狼狽える俺ではない。まぁ嬉しいとは思うけど。

 

「……ていっ!」

 

「グフゥッ⁈」

 

何故かリゼにチョップされた。

 

 

 

 

「雨激しくなってきたねー」

 

「風も強そうです」

 

外は結構荒れてきて、近所の俺ん家に帰るのも難しそうだ。

 

「Zzz……」

 

シャロは寝てしまってる。

 

「迎えを呼ぶから家まで送ってやるよ」

 

「いえっ私が連れて帰るわ!」

 

リゼが迎えを呼ぼうとしたが、何故か慌てて千夜が名乗り出た。まぁ千夜ならシャロの家知ってるだろうな。起こすのも悪いし。

 

「じゃ、じゃあまたね……」

 

シャロをおぶって傘もささず出てしまった。

大丈夫……なわけないだろ!

 

「おい大丈……千夜ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

案の定千夜は目の前で倒れてしまった!

そういえば千夜体力ないほうだったな!

 

 

 

「ごめんなさい」

 

「いつの間にびしょ濡れに……」

 

もうプールに飛び込んだのかってぐらいびしょ濡れだ。シャロは起きて酔いも覚めたようだ。

 

「えっと……今日は泊まってってください。風邪を引いてしまうので二人は先にお風呂どうぞ」

 

「お言葉に甘えちゃうわね」

 

二人は風呂に入ってった。

 

「じゃ、俺帰るわ」

 

「え?何を言ってるんですかケイトさん。ケイトさんも泊まっていってください」

 

「え?マジで?」

 

女の子五人に男一人でお泊まりは色々危なくないか?

 

「いやいやさすがに男の俺はダメだろ。な、リゼ」

 

「わ、私は……別にいいが…」

 

「マジかよ」

 

まさかのOKもらいました。

 

「じゃ、じゃあお言葉に甘えて……」

 

まぁ俺が理性を保てば問題ないか。

 

 

 

in チノroom

 

「じゃーん!チノちゃんの制服着てみたよ!」

 

あの後チノちゃんの部屋で過ごしてたが、トイレに行ってる間に着替えたらしい。てか何故サイズ大丈夫なんだよ。

 

「そのまま中学校に行っても違和感なくて心配だ」

 

「ホント!?ちょっと行ってくる♪」

 

「待ってください、外は大雨です!」

 

「「そういう問題じゃない!」」

 

 

 

「みんなコーヒー持ってき……」

 

「ち、違う!ジャンケンで負けて!」

 

リゼもチノちゃんの制服を着た。

……スッゲェかわいい。

 

 

 

 

in 風呂

 

「おぉ、ココア(飲み物)の匂いだ」

 

千夜シャロの後にココアチノ、次にリゼで最後に俺が今入った。ココアが入れた入浴剤の匂いがしている。

 

「とりあえず入るか……」

 

…いや待て!風呂は五人の女の子が入った後だ!入って大丈夫なのか⁈

女の子五人が入った後の風呂に入るのはなんか罪悪感が湧く。

リゼが入った後の風呂……

 

いやこれじゃ俺が変態みたいじゃねぇか!

俺だって年頃の男の子だしその手の事は興味はある。家のベッドの下にも何冊かエrゲフンゲフン!

……まぁ姉さんのおかげ?で女の子といても動揺しないが、枯れてる訳ではない。

 

くっ!俺はどうすればいいんだ‼︎

従うか堪えるべきか‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局俺は風呂に入らなかった。

入ったらみんなと二度と喋れなくなりそうだったし。

 

うん、これが正しいんだ。

 

 




シドー「おはこんばんにちわ。学校が始まったシドーです」
ケイト「どうも、ケイトです。今日の話は?」
シドー「いや〜実はね〜、前回の更新した後にね、年賀状3枚きたんだよね♪」
ケイト「へぇ、よかったじゃん」
シドー「しかも二人は絵を描いてくれてたんだよ♪」
ケイト「ふーん、何の絵?」
シドー「幼馴染ちゃんがワンピースのルフィとロー。友達ちゃんがナルト、銀ちゃん、エレン、おそ松さんが炬燵に入った絵なんだよ♪しかも上手い!」
ケイト「女の子二人から貰って嬉しそうじゃん」
シドー「でしょ!いやホント嬉しくて涙が涙が………Zzz」
ケイト「泣き疲れて寝ちゃったか………

また次回


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14話 リゼへの不器用な優しさ

今回は俺にとって1つの節目




結局体を洗うだけで出て、チノちゃんの部屋に集まった。

ちなみにみんなはチノちゃんのパジャマ。俺はタカヒロさんが昔使ってたジャージを借りた。

 

「なんか一気に賑やかになったね♪」

 

「こんな機会だからみんなの心に秘めてる事を聞きたいんだけどー」

 

心に秘めてる……好きな人の暴露大会でもやるのかな。俺恋したことないしどうしよ。

 

「とびっきりの怪談を教えて♪」

 

千夜、恋をしたような瞳で言うな。

まぁ暴露大会よかマシか。

 

「怪談ならうちの店にもありますよ」

 

「「そうだったのか⁈」」

 

知らんかった。明日から働けなくなったらどうしよ。

 

「リゼさんとココアさんとケイトさんはここで働いていますけど、落ち着いて聞いてください」

 

結構マジメな顔をしてる。

ヤバイなんか緊張してきた。

 

「この喫茶店は夜になると……」

 

「なると……」

 

「店内を白い物体がふわふわとさまようんです!」

 

「「「………」」」

 

白い物体。それって……

 

(ティッピーだよなリゼ?)

 

(たぶん)

 

(……一生懸命怖がらせようとしてるけど)

 

(夢を壊せないな)

 

まだ幼気な女の子の可愛らしい勘違いのようだ。

 

「では次はリゼさんの番です」

 

「もう終わり!?じゃ、じゃあ小さい頃うちの使用人から聞いた話なんだけど」

 

「使用人!?」

 

リゼの家について追求したいが話は続く。

 

「仕事を終えて帰ろうとすると……ゆっくりと茂みの中から何かが地面を這って近づいてきたんだ。使用人はあまりの恐怖に逃げ出した…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「犯人はホフク前進の練習をしていた私だ」

 

「バラしちゃだめじゃん!!」

 

ま、まぁ盛り上がったし結果オーライかな。

 

「次は私ね。とっておきの話があるの。切り裂きラビットっていう実話なんだけど……」

 

千夜が話し始めるとタイミング良く雷が鳴った。しかも部屋が暗くなり更に雰囲気が出てきた。

 

「わ!?」

 

「て、停電!?」

 

「バーの方大丈夫かな!?」

 

「みんな落ち着け」

 

「そうです、落ち着いてください。こんな時のために……」

 

するとチノちゃんはロウソクを取り出して火を点けた。

 

「盛り上がってきちゃった……♡」

 

千夜のテンションが更に上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はもう寝ましょう」

 

「ぜ……絶対取り憑かれる……」

 

「南無阿弥陀南無阿弥陀南無阿弥陀……」

 

凄く怖い怪談も終わりみんな寝る準備を始める。

 

「じゃあ皆さんごゆっくり…」

 

と言って別の部屋に行こうとするが

 

「ケイトさんもここで寝るんですよ?」

 

おっとこれは予想外

 

「……いやダメだろ」

 

5:1の部屋で寝るとか危ないだろ。

 

「みんなだってダメだよな?」

 

「何がダメなの?」

 

「わ、私は構わないが……」

 

「私も別にいいわよ」

 

「どうせ先輩に度胸なんてないでしょうし」

 

まさかのOKもらいました。まぁ度胸はないけどさぁ。

 

あれ、なんで俺から一緒に寝たいって言ったぽくなってんだ?まぁいいやどうでも。

 

「えへへーみんなといると楽しいね!そわそわして寝れるかなー」

 

俺の場合は理性との戦いで寝れるか不安だがな。

 

「早く寝ないと明日起きれませんよ」

 

「んじゃ、おやすみ」

 

 

 

 

 

 

 

 

30分後

 

(((……あれ?もしかして私だけ寝れてない!?)))

 

と、思ったリゼ、シャロ、チノちゃんだった。

 

俺?5分で寝れました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真夜中

 

「……トイレトイレ」

 

俺は目を覚ましてトイレに向かってる。

真夜中なんで真っ暗だ。

 

「怖いな。マジで幽霊出てこないよな……」

 

なんてぼやいてると…

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎じゃなくてリゼ⁈おま何してんだよ⁈」

 

そこには幽霊、じゃなくてリゼがいた。体育座りで震えてる。

 

「ロ…ロウソクの火が消えて動けなくなった……わけじゃないぞ」

 

強がんなよ。

 

 

 

3分後 トイレからでて

 

「……怖い」

 

「立たなきゃ朝まで怖いぞ」

 

リゼがなかなか動かない。待つ義理もないが、震えてるのを見過ごすのはなんかヤダ。

 

「……ライターはないのか?」

 

「あいにくリゼが使って切れた」

 

使えたら俺も点けて来てるわ。

 

「……ヤダ。怖い。先に行ってていい……」

 

このままじゃ日が暮れる。じゃなくて日が昇る。どうすれば……

 

よし

 

 

 

 

 

ギュッ

 

俺はリゼを軽めにギュッとした。

 

「な// 何をしてるんだケイト⁈」

 

そのままの体勢で言葉を紡ぐ。

 

「別に1人で膝抱えてなくてもいいぜ、リゼ。怖いなら側にいてやるから。だから、もう少し俺に素直に甘えたって構わないんだぞ」

 

もう日が昇ったって構わない。置いてくぐらいなら側にいることにする。それが俺の選択だ。

 

「ケイト……//」

 

不器用な言葉だけど、少しは安心できたかな。

 

「……一緒に、戻ってほしい//」

 

リゼの方から軽くギュッとしてきた。てか戻るのか。

 

「…了解」

 

……なんか色々考えた俺がバカみたいだな。

 

 

 

 

 

 

 

「ふわぁ〜。……朝か」

 

起きた。途中起きたのに何故か1番みたいだ。

…あれ?動けない。

夜中のことを思い出しながら横を見ると……

 

「……ん、ケイ…ト♡」

 

……リゼが幸せそうな顔で寝てた。ギュッてしてて胸が当たってる。

確かあの後、まだ怖いから一緒に寝たいって言ってきて、眠いから二つ返事でOKして……。

 

 

まぁいいか。リゼも安心できてるみたいだし。

じゃあ動けないし二度寝するか。

 

 

 

 

 

 

 

 

少しあと、起きたリゼが恥ずかしがり俺を殴り三度寝したのは秘密だ。





ケイト「次回は俺のプロフィールです」


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番外編:ケイト君 設定集(現段階)

黄金 桂兎 (こがね けいと)

 

性別:男 (そりゃそうだ)

年齢:16(高2)

誕生日:3月3日 (うさぎの日)

 

ホワイトデーにしようかなって思ったけど、ワンパターンだからやめた

 

身長:170cm

リゼが160cmだから頭一個上ぐらいかな

 

 

髪色は黒。髪型は普通のショート。目つきはぶっちゃけ悪い方。

 

髪型はあまり考えてませんでした。俺は天然パーマなんで目立たないようにベリーショート寄りなんですが、同じでいいかなって思って結局やめました

理由は、俺の場合髪を放置するとアフロかリーゼントになるんですが、ケイト君がアフロorリーゼントはヤダって思ったからです

 

 

趣味:読書、テレビ、ゲーム、音楽

ここは普通に

格ゲーが得意

音楽は特に好みのジャンルは定まってない

 

 

特技:クールダウン

どんな時でも基本5秒で気を静められる

 

 

運動神経は中の上。スタミナはあるがチームプレイが苦手。

 

 

勉強は好きではないが自立のためにマジメにやってる。努力型

 

 

一人暮らしなんで料理はそれなりにできる。自立するには必要な能力だしね

 

 

姉さんの仕事の関係で日本中を転々としていて、1〜2ヶ月で引っ越していた。だから付き合い続けてる友人はいない

姉さんが海外で仕事をすることになったので、日本の家を固定。ケイトは日本に残って姉さんオススメの木組みの街で住み始めた

定住なんで引っ越してサヨナラなエンディングはない

 

姉さんの仕事はちゃんと決まってるけど今はまだ秘密

そのうちわかります

 

 

 

ラビットハウスではウェイトレス、ドリンク(飲み物作る役職)、倉庫の整理及び力仕事とか色々やってる

たまにバーも手伝う

 

 

特待生

別の町から引っ越してきて、しかも高1になるわけでもないんでこの方が自然かなって思った

姉さんと二人暮らしだったから、自立のために一応勉強してるんで学力は筋は通る

 

 

 

 

性格

面倒くさがり屋だけど優しい

友人から通りすがりのおばあちゃんまで困ってる人を見かけるとつい首を突っ込む

 

目つきが悪くて絡まれたりしてたが比較的マジメな部類。だがお固いことは苦手

 

引っ越し先の一部では悪い意味で有名

 

 

好きなタイプ

一緒にいて飽きない人 、裏表のなさそうな人(有る無しは本人しかわからないので)

 

苦手なタイプ

規則に縛られた、ルールにうるさい人

 

 

呼び方

ココア→ココア

リゼ→リゼ

チノ→チノちゃん

千夜→千夜

シャロ→シャロ

チノの父→タカヒロさん

 

普段は名字呼び。下で呼ぶよう言われたら下で呼ぶ

タカヒロさんは姉さんからその呼び方で話を聞いてたから

 

 

 

彼女いない歴=年齢

恋をしたことがない

優しいのもあり実は引っ越した先々でモテてたが、1〜2ヶ月しかいないので告白されたこともない。モテたのに気付いてすらいない

 




今のところはこんな感じ

ケイト君について質問はいつでも募集中

今後の話に重要な質問以外はなんでも答えます


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15話 リゼの気持ち

今日1月19日は学校休みだったんで早く更新できました

決してサボりではない


昼休み

 

「リゼ、飯食おうぜ」

 

「ケ、ケイト⁈」

 

あ、教室から逃げた。

 

みんなでお泊りから今日で3日。リゼに避けられてる気がする。

話しかけようとすると逃げるし、飯誘ってもどっかいっちゃう。

 

しかも……

 

 

『ラビットハウス』

 

「今日もリゼ来てないのか?」

 

「はい」

そう、ラビットハウスにも来てないのだ。

部活の助っ人で休むことはあったが、3日連続で休むのは初めてらしい(チノちゃん談)

 

「どうしたのかなぁリゼちゃん?」

 

「学校には普通に来てたんだけどなぁ」

 

なんか心配だな。

 

「そういえばケイトさんはリゼさんと同じ学校でしたね」

 

「あぁ。しかも同じクラス」

 

「では、明日リゼさんから事情を聞いてきてください」

 

「俺が?」

 

「はい。ケイトさんが適任かと」

 

俺が適任なのか?

まぁいいか。明日の放課後にでも聞こう。

 

…確かに悩み事があるとしたら、側にいてやった方がいいしな。

 

 

 

 

 

次の日の放課後

 

「リゼ、時間あるか?」

 

何も言わず逃げだそうとするリゼ。だが手を掴んで逃がさない。

 

「待ってくれリゼ、ちょいと俺と付き合ってくれ」

 

「…付き合う⁈い、いきなりなんだケイト//」

 

 

 

 

 

とある公園のベンチ

 

俺とリゼは並んで座った

 

「……(こんなことだろうとは思ってた)」

 

「なんか言ったか?」

 

「なんでもない!」

 

何故怒る。

いや、そんなことよりも…

 

「リゼ、最近なんかあったのか?ラビットハウスにも来ないし」

 

「そ、それは……その…なんでもない」

 

リゼはそう言うが、視線が泳いでいて明らかに嘘を言ってる。やっぱり悩み事があるらしい。

 

「……リゼ!」

 

俺は鼻と鼻がくっつきそうなぐらい顔を近づけ、リゼと目を合わせる。

 

「な、何をしてるんだ//」

 

 

 

「何かあるなら素直に話してほしい。俺は話を聞くし手伝えることがあるなら手伝う」

 

お節介と言うならそれでもいい。

 

「俺はリゼのことを真っ直ぐ見る。だから、側にいる俺のことも見てほしい」

 

これが俺の愚直なまでの本心だ。

 

 

「か、顔が近い//」

 

「……ワリィ//」

 

ガラにもなく熱くなっちまった。お泊りのときぶりだ(4日前)。

 

「と、とにかくまずは相談してくれ。頼りないかもだけど少しは力になるぞ」

 

「……わかった」

 

 

 

 

 

「私たちと同じ学校の…お、お前が知らない奴だ!お前とは全く関係ないある奴なんだが…」

 

ふんふん

 

「名前は言いたくない!けど、まだ少ししか過ごしてないのに、なんていうか、こう胸の奥が……言葉にするのが難しいけど、苦しくて、でも悪くない気分で…」

 

……ん?

 

「そいつといると恥ずかしくて、でも温かいんだ。最近はできるだけ恥ずかしさを誤魔化そうとすぐ家に帰ってたんだが…」

 

………

 

「自分の気持ちが、よくわからないんだ!」

 

……oh

俺は先程の言葉を後悔している。いやあれは嘘偽りないガチの本心だ。

でも、これは流石に想定外だ。軽率だった。正直に答えるべきか…

 

いや、リゼは今悩んでいるんだ。言わなきゃたぶんもっと後悔する。

 

 

 

 

「リゼ、たぶんそれは……

恋だ。

 

しかも様子的に初恋だ」

 

「はっ⁈こ、恋⁈」

 

リゼは思わず声を裏返らせて、顔が真っ赤になった。

 

「え、えと…その……私は…」

 

「それともそいつのことは嫌いか?」

 

「き、嫌いじゃないぞ‼︎」

 

「だろ」

 

 

「自分の気持ちには正直でいいんだ。誰かを好きになる、いいことじゃねぇか」

 

「……私は、好きになってもいいのか?私は全然可愛くないし、ココアのようにふわふわでも、チノのようにクールでもない。千夜のようにお淑やかでもなければ、シャロのように気品もない。こんな私が……」

 

「……プ、アッハッハッハッハ!」

 

「何故笑う⁈」

 

「ワリィ。でも、リゼはもっと自信を持て。相手が迷惑だとか思うわけねぇよ。リゼにはリゼの魅力があるし、文句なしに可愛いからな」

 

「私が、可愛い…//」

 

「あぁ、可愛いよ。だからその気持ちを大切にしな。じゃないときっと後悔するぞ」

 

 

 

 

 

 

「…ありがとな、ケイト」

 

「礼にはおよばねぇよ」

 

「…私は、この気持ちを大切にするよ。まだ恥ずかしくて無理だけど、いつか必ず伝えるよ」

 

「まぁ、焦らずじっくりとな」

 

「…じゃあなケイト、また明日」

 

「じゃあな。明日はラビットハウス来いよ」

 

 

 

 

 

「……いつか、必ず伝えるからな。私の言葉で」

 

 




人は皆、他人の気持ちを完全には理解できない

だから精一杯の想いを乗せて、言葉を紡がなくちゃいけない

後悔しないために……


ケイト「詩人か」
シドー「なってはみたい」


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16話 リゼと勉強……?

オリジナルだよ

文才の無さは勘弁してくだせぇ…


とある公園

 

ここに、2人分の屍があった。

 

「……う、う〜」

 

否、2人の男女が大の字で寝転んでいる。

息も絶え絶えで、目には気力がほとんどない。

 

「ハァ…ハァ…」

 

2人は学校指定の体操着を着ている。男は半袖短パン、女は半袖ブルマだ。

 

「……どうして…こうなった」

 

男ーーケイトは、こうなった経緯をゆっくりと思い出す…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2時間前

 

「勉強会?」

 

「そう。やろうぜ」

 

俺はリゼに勉強会をしようって話をした。この学校に来て初の試験が3日後に迫ってるけど、せっかくだから一緒に勉強しようと思ったわけだ。

 

「よしわかった。お前には親父直伝の特殊訓練を叩き込んでやる!」

 

「それは却下で」

 

俺が保たない。

 

 

 

 

 

 

というわけでリゼと勉強することにしたが……

 

「なんで体操着?」

 

何故か体操着に着替えて外に出た。リゼも半袖ブルマに着替えた。

ブルマ姿のリゼは授業で何度も見たので狼狽えはしない。

 

「何って勉強のためだが」

 

「いやだから…」

 

体操着で外に出る意図が読めない。

 

「まずは徹夜に耐えられる体力からつけなきゃな!」

 

「………え?」

 

街を走るようだ。

 

 

 

 

 

街走ってるnow

だいたい1時間は経った。

 

「リゼ、あとどんぐらい?」

 

「ん〜、あと30分ぐらい走るか」

 

よかった。もう少しで勉強始まりそうだ。

 

「お先に〜ケイト♪」

 

リゼが抜かした。

 

「俺だって!」

 

俺が抜かした。

 

「なにおう!」

 

またリゼが抜かした。

 

「まだまだ!」

 

また俺が抜かした。

 

これがあと3回ぐらいすると、俺たちは全力疾走した。

 

「訓練を受けてないのにやるな‼︎」

 

「男だしカッコつけたいからなぁ‼︎」

 

そして俺たちは走り続けて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今に至る……

 

ヤバイ…疲れた……死…ぬ……。

隣でリゼの豊かな胸が上下に揺れてるが、気にする余裕がない。

てかそれ以前に…

 

「……リゼェ」

 

「……なんだぁケイト?」

 

「……勉強、しないとなぁ」

 

「……だなぁ」

 

本題に入ります

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、お邪魔しま〜す……」

 

死にかけてから翌日。

リゼが俺ん家に来た。てかリゼが来るって言ってガチで来た。

今日明日は休みってことでリゼが俺ん家に泊まって勉強しようと提案して、親父さんにも許可を貰って着替えとか持って家に来たわけだ。

 

「…他に誰もいないのか?」

 

「あぁ。1人暮らし」

 

「なっ⁈ (という事は2日間ケイトと2人っきりじゃあ//)」

 

とりあえずリビングに招待。ここででも勉強するか。

 

「それにしてもよく1人暮らしのOK貰えたな」

 

「まぁそうせざるをえなかったしな」

 

「ん、どういうことだ?」

 

「あぁ、えっとーー」

 

俺、家族は姉さんしかいなくてさ。その姉さんも海外で仕事することになったんだよ。

んで日本に残ることにした俺は、姉さんが昔来たこの街に引っ越してきたんだよ。ラビットハウスのマスターにはお世話になったらしいし。

 

「ーーってわけ」

 

「……悪いな。こんな話になるとは思わなくて」

 

「別にかまわねぇよ。2人家族でも幸せだし」

 

これは事実だ。両親が死んだのも小さい頃で、ぶっちゃけ写真を見ても両親と認識できないぐらいだ。だからあまり辛くないし、これが当たり前だからな。

 

「それに色々あってリゼに会えたんだ。今はそれで幸せなんだよ」

 

「…ホントお前は恥ずかしい事を平然と言うな」

 

「これが俺の本心だしな。まぁ、勉強始めようぜ」

 

「あぁ!」

 

 

 

 

 

俺たちのお泊まり勉強会はこれからだ!…的な?

 

 

 

 



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17話 リゼと今度こそ勉強

俺も4月には高3、受験生だなぁ……

勉強が普通に忙しい



「お、お邪魔しま〜す……」

 

全力で走った翌日

 

午後1時23分40秒

 

リゼが初めて俺ん家にきた瞬間だった。

 

 

 

 

「では早速勉強を始めようと思う」

 

「パチパチパチパチ〜」

 

「ケイトは苦手な教科はあるか?」

 

「ん〜、強いて言うなら数学」

 

「じゃあそれからやるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ワケがわからないYO」

 

「そういうな。ほらここ間違ってるぞ」

 

「うわぁあああああああああ‼︎」

 

頭がショートしそうだ!空間ベクトルの問題がわからない!

一応言うが応用問題が難しいのであって、俺の頭が絶望的なわけじゃないからな!たぶんこれが一番難しいって問題ばっかやってるんだぞ!

 

「あの〜リゼさん、もう3時間続けてるし休憩にしても…」

 

「いいやまだだ!」

 

「あれ軍人スイッチ入ってる⁈」

 

休憩まであと3時間……

 

 

 

 

 

 

 

「すまんケイト、つい勢い余って……」

 

「だ、大丈夫大丈夫…勉強にはなったし…」

 

今は2人で料理中。勉強になったのは事実だけど流石に気分転換にね…

 

「にしても悪いな、作るの手伝ってもらって」

 

「いいよこれくらい。1人だけ待つのもアレだし」

 

「なんて言ってエプロンを用意しててね。最初から手伝ってくれるつもりだったんだろ」

 

「む、む〜〜///」

 

俺の友達が可愛すぎてツライ。

ホントよく友達になれたな俺。

 

にしても二人で料理って……

 

「なんか新婚さんみたいだな」

 

「なっ⁈」

 

あ、流石に失言だったかな。

 

「えっと…悪かった」

 

「………」

 

「……リゼ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご飯にするか、風呂にするか?それとも………わ、私か///」

 

「………」

 

「わ、悪かったケイト/// 今のは忘れ……」

 

『バダンッ‼︎』

 

俺は倒れた。魂が抜けたのかってぐらい思いっきり。まぁあながち間違ってないが。

 

「ケ、ケイト⁈」

 

「わ、我が生涯に…一片の悔いなし……ガクッ」

 

鼻血を垂らし、だが良すぎる笑顔で俺は意識を失った。

 

可愛い=罪の理由が分かった気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あの時はホントに不甲斐ない…」

 

「いや私が悪かったって」

 

あのあと無事起きた俺は飯を食べ勉強を再開した。ちなみにカレーだ。いつも以上に美味かった。

んで、今は寝るところだ。

 

「じゃあ布団敷くからリゼはベッドで寝てくれ」

 

女の子に固い床上の布団に寝てもらうわけにゃいかないしな。

 

「そ、そのことなんだが……」

 

「?」

 

「………一緒に寝てくれ///」

 

「………えっ?」

 

「だ、だから一緒に寝てくれ!」

 

「マジで?」

 

前はオバケが怖かったろうけど何故今回もだ。マジでWhyだよ。

 

「そ、それはその……寂しくて」

 

なるほど、俺はぬいぐるみか。

 

「…いいぜ。寝るか」

 

 

 

 

 

 

 

俺の部屋

漫画やガンプラが沢山あるがそこそこ整理されてる。

そんな部屋のベッドに…

 

「「………」」

 

二人の男女が寝ている。正確にはまだ起きてるが。

俺が左でリゼが右だ。

リゼが抱きついている。女の子特有の膨らみが当たってる。

 

「リゼはこれでいいのか?」

 

「…うん」

 

「俺が抱き枕代わりでいいのか?」

 

「…お前じゃなきゃダメだ」

 

…そう言われると恥ずかしいな。俺じゃなきゃダメなんて今までもこれからも多分言われないぞ。

 

「…まぁ抱き枕として役立つならいいか。 ……おやすみリゼ」

 

「…おやすみケイト」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふわぁ〜〜。……ケイトは寝てるか」

 

リゼが目覚める。ケイトは爆睡。

 

「…目付きは悪いのに寝顔は可愛いな///」

 

リゼが呟く

 

「………」

 

リゼはゆっくりと顔を近付けると……

 

「…ありがとな ケイト///」

 

おでこに口付けをした……

 

 

 

 

 

 

 

 

テスト結果

 

天々座 理世 ーー11位

 

黄金 桂兎 ーー19位

 

 

 

 

「あ、これって……」

 

後日。洗濯をしてたらリゼの忘れ物があった。てかアレだ、下着だ。

 

「や、ヤバイ。どうしよう。届けに行けばいいのか?」

 

でも下着届けに行くのはなんか絵面的にマズそうだ。警察のお世話になりそうだ。

 

 

あれ、この下着どっかで見覚えが………

 

 

 

 

 

「ケ、ケイト‼︎忘れ物があったん……だ…が……」

 

「すみませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(涙)」

 

初めて会ったときのことを思い出した俺は土下座をした。号泣議員なみに錯乱した。

 

 

 

 




シドー「勉強ヤダァ…」
ケイト「頑張れよ。明治大学入るんだろ」
シドー「……うん」
ケイト「なら勉強しないとな」
シドー「……だよね。勉強して大人にならないとね」

ケイト「ただし物語はしっかり週一投稿な(ドスの利いた声)」

シドー「……ウィッス」


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18話 リゼたちとプールへ

俺が右膝を故障したり(非運動部)
弟がインフルエンザにかかったり
妹が人生で重要な局面を迎えたり
そんなで色々あり今日になった
反省はしてますん(どっちだ)

あと弟よ、インフル菌持っとるのに家族に黙ってこっそりジャンプ流買いに行くな
お前は認知症の高齢者か


俺たちは今日仕事終わりにプールにきた。

何故プールかは知らんがみんなワクワクしてるし気にしない。

 

「お城みたいだねー」

 

「古い建物を改造した名残だな」

 

「私、水着で温泉って初めて」

 

「泳ぐのとお風呂が一緒にできて一石二鳥ね」

 

温泉もあるってホント充実してる設備だな。

 

「浮き輪持ってくればよかった」

 

「これなら持ってきたんだけど」

 

「「足ヒレ!?」」

 

「いりません……」

 

足ヒレって足が攣るから嫌なんだよな〜。 えっ、ツッコミどころが違う?

 

 

 

 

 

 

「平日だから空いてるな。広いしイイ感じじゃん」

 

みんなと一旦別れて着替えた俺、更衣室からでたけど一番乗りだった。まぁ女の子は準備に時間かけるっていうし。

 

「ティッピーもみんなの所に行っていいんだぞ、メスらしいし」

 

ちなみにティッピーも一緒だ。何故かチノちゃんに預かってと頼まれたけどよくわからん。

 

「………」

 

「お前が喋るわけないか」

 

ティッピーが残るならそれでいいか。1人だと寂しいし。

 

「…やっぱみんな待つべきだよな」

 

 

 

 

 

 

 

 

10分ぐらい待ってやっときた。これなら少しは泳げばよかったな。

 

「お待たせケイト」

 

「あぁ 待ってた……ぜ……」

 

「どうしたケイト?」

 

「い、いや何でもない!」

 

「なんなんだその態度は」

 

ジト目で俺を見るリゼ。言わなきゃダメかな?ダメでしょうね。

 

「あー、そのー……か、可愛くてさぁ。マジで///」

 

俺が正直に言うとリゼの顔が真っ赤になる。

だから言いたくなかったんだよ。俺も顔赤くなってるだろうし。

 

「だ、だろ!/// お前もすごく顔赤いぞ!」

 

「う、うるせぇ!///」

 

なんか勝ち誇った顔してて悔しい!

 

「……ケイトくん、私たちはどうかな?」

 

「うん、可愛いよ」

 

ココアもチノちゃんも千夜もシャロもみんな可愛い。

 

「まるで反応が違うわね」

 

「そうね」 「ですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここのお湯は高血圧や関節痛に効果があるらしいぞ」

 

へぇ〜。俺らには関係ないな。

 

「おい毛玉、お前にぴったりだな」

 

チノちゃんの左隣にいるリゼがティッピーに話しかける。

 

「あっちにティッピーにぴったりの桶があったわよ」

 

と反対側にいる千夜も言う。

 

 

 

big small big

 

 

「おい何処を見ている」

 

「はて、何のことやら?」

 

「……成長促進に効果がある温泉はあるんでしょうか…」

 

まだ成長するんじゃね。歳的に。

 

 

 

 

 

 

「あっちに25mプールがあるよ!」

 

「あ、泳ぐのはちょっと……」

 

千夜は体力がないんだったな。

 

「私、深いプールで泳いだことないんだけど」

 

「「「「意外!!」」」

 

えっマジで⁈リゼ深いプール泳いだことないのか!

 

「じゃあ俺たちが教えるか」

 

「見て見てー。これがクロールだよー」

 

と言って背泳ぎしてるココア。

 

「…泳ぎ方を覚え直した方がいいわね」

 

「…俺が泳ぎ教えるよ」

 

 

 

 

 

 

 

チノちゃんが1人将棋(レベル高ぇな)してると千夜が話しかけた。

 

「ねぇチノちゃん。チェスでお手合わせ出来ないかしら」

 

「いいですよ 勝負です」

 

「せっかくだし何か賭けてみない?」

 

「では、私が勝ったらココアさんに逆にお姉さんと呼んでもらう事にしましょう」

 

「なんで巻き込まれてるの⁈」

 

本人の了解を得ず人権(姉権)が脅かされそうな図

 

「じゃあ私は……」

 

「「何故私(俺)をチラチラ見る?」」

 

なんか千夜が俺とリゼをチラチラ見てる。なんだろう、嫌な予感が……

 

 

「私が勝ったらリゼちゃんとケイトくんはデートしてもらうわ♪」

 

「「えぇええええ(((;゚Д゚)))))⁈」」

 

「リゼちゃんのために私頑張るわ!」

 

「「待てどうしてそうなる⁈」」

 

何故か俺とリゼのデートが賭けの報酬になった。

なんでや⁈俺ら関係ないやろ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

考えるのを止めた俺はリゼ、ココアと水泳の特訓をすることにした。

 




シドー「この作品を始めて2カ月、2月4日時点でついにお気に入り数100人超えたぜ‼︎やったー‼︎」
ケイト「パチパチパチパチ」
シドー「いやぁこの作品を読んでくれる人増えて嬉しいよ。頭の中でユニコーン流れたよ」
ケイト「お気に入り数100人にやっとなった感想を一言でどうぞ」
シドー「(`・ω・´)ドヤァ」
ケイト「なんかウザイ ( -_-)ノ*)゚O゚)」
シドー「クソマァ‼︎(吹き飛ぶ)」

ケイト「この作品を読んでくれる皆さん、ありがとうございますm(_ _)m
こんな感じで今後も続けるつもりなので、作者がアホですがこれからもよろしくお願いします」


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19話 リゼとの約束

母さんと弟がケンカしてると捗る悲しみ…


「これからリゼが泳げるよう特訓を始めまーす」

 

「ココアは泳ぎ方覚え直しなさい」

 

「はーい♪」 「わかった」

 

チェスのことは一旦忘れて特訓を始める。講師役は俺とシャロ、生徒役はリゼとココアだ。

 

「ではまず最初にすることは?」

 

「普通にストレッチだな」

 

「リゼ正解」

 

ストレッチしないとケガするしな。ストレッチ、やる絶対。

 

「確かに準備運動は大切だよな」

 

リゼは足を大きく広げながら上半身を床につける。

 

「おー体柔らかいな」

 

「訓練してるからな」

 

「何のだよ………あと、ココアたちは何してんだ?」

 

「肉体美の表現なら負けてられないね!」

 

ココアは負けじとシャロと組体操のサボテンをした。震えてて危なっかしい…

 

「だったら私たちも!」

 

「待ってリゼ‼︎押すなよ!それ以上絶対押すなよ‼︎」

 

「それはフリか?それに硬すぎるぞ!手は足につけないと!」

 

「うるせぇ!俺前屈ニガテなんだよ!体硬いからこれ以上ム『ボキッ!』ホギャァアアアア‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

「まずは息止め勝負開始!」

 

「「「(なんでそうなるんだろう)」」」

 

何故か3人で息止め勝負になった。俺?うつ伏せで観戦ですが何か。

 

 

………ちょっと待て!ココアが『ぷかぁ』て浮かんでる!ま、まさか溺れたのか⁈いま助け……

 

 

「私の勝ちだね!」

 

「変な体勢で息止めるなよ!こっちが息止まるわ!」

 

「あれ、じゃあこっちは……」

 

 

 

 

ぷかぁ

 

 

 

 

「大丈夫かケイト⁈」

 

腰が……。ヤバイ、死………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう大丈夫なのか?」

 

「あぁ。でもさすがの俺も死ぬかと思ったぜ……」

 

俺はどこのサイヤ人の王子だ。

 

「チャンスです」

 

「まだまだよ!」

 

あっ、チェス勝負も終わりが近づいてきたっぽいな。

 

「っ!チノちゃんが勝ったら私のお姉ちゃんとしての威厳がぁぁ!」

 

おいコラ生徒。

 

「えっと…とりあえずビート板を使って練習しましょう」

 

「あっシャロ ビート板じゃなくて手を引っ張るやつ あれがやりたい!」

 

((リゼ(先輩)意外と子供だ))

 

 

 

「先輩ってスポーツ万能かと思ってました」

 

「泳ぐ機会がなかったからなー。授業もなかったし」

 

2人は手を引っ張るやつで練習してる。……暇だな。チェス見に行くか。

 

 

「シャロが溺れても助けられるくらい上手くなってやるぞー」

 

「そんな迷惑かけませ……」

 

ぷかぁ

 

「もう想定訓練か⁈」

 

「(緊張して足がつった……)」

 

なんてことがあったのを俺はあとで聞いた。

 

 

 

 

 

暇なんで練習はシャロに任せてチェスを見に来た。戦況はチノちゃんが優勢だがまだわからない。

 

「千夜ちゃんそこでチェストだよ!」

 

「チェックメイトって言いたいの?」

 

しかもそんな盤面じゃねぇし…

 

「違うぞチノ!その隣りの方が有利になるはずじゃ!」

 

「ティッピーうるさいです」

 

「はい……(ショボーン)」

 

チノちゃんは腹話術しちゃうぐらいノリノリみたいだ。

 

 

「一兵卒が女王に逆らおうなど貴族に生まれ変わってからにしろー」

 

「ココアちゃん……駒になりきるのやめてもらえる?」

 

「チノ!今じゃそこだ!」

 

「千夜ちゃん!上、後ろ!」

 

「はいはい邪魔になるから泳いでよっか」

 

「あ〜う〜」 「はなせ小童!」

 

とりあえずココアと一応ティッピーをチェス試合から引き離した。

 

 

 

 

 

 

「リゼちゃんすごーい!もうあんなに泳げるようになってる!」

 

リゼはどうなったか見るともう一人で泳げるようになった。

 

「これも全部シャロとケイトのおかげだな」

 

「リゼ先輩は飲み込みが早いですから。私はほとんど何もしてないです」

 

「それ言ったら俺は本当に何もしてなかったぞ」

 

先生2人もいらなかったし。

 

「泳ぐのがこんなに楽しいとは思わなかった!ありがとなシャロ、ケイト!」

 

「よかったじゃんシャロ」

 

「は、はい!」

 

やっぱ誰かのために何かできるって嬉しいよな。

 

「次はこれを使って泳ごう!」

 

足ヒレ……さすがにムリだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここから見える夜景きれいー!」

 

外を見るとすっかり夜だ。こうして街を見渡すのもいいな。

 

「夜風が気持ちいいわねー」

 

「こうやって耳を澄ませばあの明かり一つ一つから街の営みが聞こえてきそう……」

 

「素敵です」

 

「あのお家、今夜は妹さん特製カレーだって。いいなー」

 

「あの家のご夫婦。今夜は修羅場ね」

 

「それは聞きたくなかった……」

 

 

「牛乳買ってきたわよー」

 

「みんなで飲もう」

 

シャロとリゼがコーヒー牛乳買ってきてくれた。ちなみにシャロはフルーツ牛乳だ。

 

「「「「コーヒー牛乳(フルーツ牛乳)で乾杯ー!」」」」

 

「お姉ちゃん!コーヒー牛乳はこうやって飲むんだよ!」

 

「チノが勝ったのか……」

 

 

 

 

 

 

 

「あのさぁケイト」

 

「?」

 

「その、千夜はチェスで負けたけどさぁ…」

 

「…デートをしたいと?」

 

「うっ/// ま、まぁそうなんだが///」

 

「あ〜、もちろんいいぜ。デートって言うべきかはわからんが、一緒に出掛けるとかならいつでも」

 

「いいのか⁈」

 

「断る理由ないしな。……いや、違う。そうじゃないな」

 

「?」

 

「俺もリゼと一緒に出掛けたいんだよ」

 

「なっ⁈/// お、お前は本当に恥ずかしい事を平然と言うな///」

 

「これが俺の本心だしな。まぁ、そのうち一緒に 約束な」

 

「あぁ 約束だな」

 

 

 

 

 

俺とリゼは帰り道、指切りげんまんをした。

リゼの手はちっちゃくて可愛らしかった。

 

 

 




次回バレンタイン&誕生日回です。


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番外編 何てことはないバレンタインデー

友達に勧められてツイッター始めました。
気が向いたらフォロー(だっけ?) お願いします

http://twitter.com/shido_1218



2月の始まり辺り

 

 

「ケイト、チョコって好きか?」

 

やぶから棒だな。

 

「好きだよ。人並みには」

 

よく食べるっちゅう訳じゃないけどキライって訳でもない。

 

「そ、そうか…」

 

「てかなんでチョコ?」

 

正直心当たりがない。

 

「わからないなら気にするな」

 

「は、はぁ…」

 

まぁ気にする意味もないし別にいいか。

 

 

 

 

 

 

2月14日

 

「先輩!受け取ってください///」

 

「あぁ、ありがと」

 

昨日思い出したけど今日はバレンタイン。俺も一応幾つか貰えた。

今までは引っ越し続きで親しい人いなくて貰えなかったから嬉しいな。

 

 

「……ケイト、今のはなんだ?」

 

「へ?普通にバレンタインのチョコだけど」

 

何か変な所あるか?学校も許可出してくれてるし。

 

「何故お前がチョコを貰ってるんだ‼︎」

 

「待て俺を何だと思ってるんだ⁈」

 

「いやお前はいつも私といてくれるし、他に友達とかいないのかと……」

 

「いるから。ちゃんといるから」

 

そりゃリゼと結構一緒にいるけど、普通に他の友達いるから。たまに数少ない男子として部活の助っ人してるから、先輩後輩にも友達?知り合いもいるから。

 

「てか別に貰ってもいいだろ。アレか、交友関係希薄そうってか?泣くぞ怒るぞ」

 

「い、いや……その……」

 

「その?」

 

「〜〜‼︎私が言いたかったのはそんなことじゃない‼︎ケイトのバカ‼︎」

 

「ナブシッ⁈」

 

何故かおもきしビンタを食らった。

 

「バカバカバカ‼︎ネガティブ‼︎ あとバカ‼︎」

 

リゼは涙目になりながら教室から出て行った。

 

「ちょっバカ言い過ぎや……」

 

そして俺は訳が分からず置き去りになった。

 

「…………………」

 

「みんな、その『女の子泣かせたな』って目は止めて。マジで泣いちゃうから」

 

教室にいた人たちに冷たい目をされた。

 

 

 

 

 

「あ、いたいたリゼ〜〜」

 

探すこと1時間、公園でやっとリゼを見つけた。

 

「………なんだ、ケイト」

 

「その…さっきは悪かったな。つい言い過ぎた」

 

「………」

 

「大丈夫。泣く怒るも冗談だから」

 

「……お前はいつもそうだ!」

 

「へっ?」

 

「お前はいつもネガティブなこと考えて!自分に責任があると勘違いして勝手に落ち込んで‼︎」

 

「えっと〜〜リゼさん?」

 

「今回だって私の問題なのにお前が勝手に‼︎」

 

「ちょっと落ち着こう、な?」

 

 

「…お前は自分を弱く見過ぎだ」

 

「は、はぁ…」

 

「お前はいつも側にいてくれて、私のことを考えてくれて、 私はお前に出会えて良かったと思ってる」

 

ーーだから

 

「お前は もっと自分に自信を持て!お前が私に言ってくれたように」

 

 

 

……前は確かリゼに、自信を持てって言ったっけ。

自分ができてないんじゃザマァねえな。

 

 

 

「……ありがとな、リゼ」

 

「礼には及ばないさ。私は私の本心を言っただけだ」

 

「ハハッ。俺も前にそんなことも言ったっけ」

 

ホント、リゼには敵わないな。

 

 

 

 

 

「まぁいいか。よしっ!この話はおしまい!ラビットハウスに行こうぜ。みんな待ってる」

 

「あっ!待ってくれケイト」

 

えっ話はおわりでよくね?

 

「そ、そのだな……

 

ハッピーバレンタインだ ケイト ///」

 

リゼがチョコを差し出した。

 

「……………!」

 

……マジで?

 

「あっ!悪い固まってた」

 

ちょっと慌ててチョコを受け取る。

 

「…ありがとう ございます」

 

「こっこちらこそ!本当は学校で渡そうと思ったんだが……他の女子から受け取ってるのを見て急に恥ずかしくなって………」

 

「あぁ。そういえば貰ったな」

 

「それでつい強めに聞いたらお前がネガティブになって!

おかげでつい逃げちゃったんだぞ‼︎」

 

「は、はい……反省してます」

 

この度は誠に申し訳ありませんでした。

 

 

「えっと、じゃあ……食べても?」

 

「ど どうぞ……」

 

リゼは両手で顔を隠した。でも目はしっかり見てる。

……ちょっと食べづらい。アレか?美味いか不安なのか?

 

「では いただきます」

 

パクッ

 

「どうだ?」

 

「うん 美味い!」

 

「そ、そうか///」

 

 

 

「改めてありがとな リゼ」

 

 

 

 

ハッピーバースデー♪

 

二人でラビットハウスに来て真っ先に聞こえた言葉。

そう、今日はリゼの誕生日でもあるのだ。

ラビットハウスはパーティの状態だ。

「こ、これは一体……」

 

「いや、俺がみんなに準備しようって呼びかけたんだ。せっかくの誕生日だし」

 

「ケイト……」

 

 

 

「じゃあ俺からも

 

ハッピーバースデー リゼ」

 

俺はちっちゃな箱と大きな袋を渡した。

 

「ちっちゃな箱はバレンタインだし手作りのチョコマフィンだ。で、こっちの袋か……」

 

「…!うさぎのぬいぐるみ!」

 

迷彩ベレー帽、眼帯をしたミリタリー風のうさぎだ。

 

「……ありがとなケイト///」

 

「どういたしまして」

 

気に入ってもらえたのなら良かった。

 

 

 

たぶん俺は、今日の日の事を一生忘れないだろう。

 

リゼとケンカみたいのをしちゃって

でも 今までよりも仲良くなれた、通じ合えた気がする

 

 

なんてガラにもないことを考えて

今はパーティを楽しもう

 

リゼの誕生日パーティはまだ始まったばかりだから…

 




リゼちゃん ハッピーバースデー♪

なんか上手く書けなかった気が凄くする
酷評は勘弁してください。穏やかな心を持ちながらショックで覚醒してしまいます

来年!来年こそは!


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20話 リゼたちとグダグダなパズル

ガンプラをしてたから1週間かかったんじゃない

試験勉強を真面目にやってたからだ(白目)



ぷくつーん

 

「なぁ、今日のチノ機嫌悪くないか?」

 

「いつもの感じじゃね?」

 

ぶっちゃけ全然分からない。

てかどうせ原因は……

 

「へ?そうかな?」

 

ココアも俺と同じで気づかなかったみたいだ。ココアは自分の行動を思い出すと、もふもふしようと近づいたら拒否られたり、邪魔な所にいたらどかして通る……etc

 

「チノちゃんはいつも私につんつんだよ?」

 

「「いつもそんなあしらわれ方してるのか!?」」

 

チノちゃんって本当クールだな。

まぁリゼは俺やココアよかチノちゃんの事知ってるから本当に機嫌が悪いんだろうな。

 

と言うわけで聞いてみた。

 

「昨日……ココアさんが私の部屋で遊んでいたときにトイレに抜けたんですけど、帰ってきたら机の上に毎日少しずつやるのが楽しみだったパズルが……ほぼ完成状態になってたんです!」

 

「た、確かにツライけど……」

 

「しかも1ピース足りなかったんです」

 

「うわぁああああああああああああ‼︎」

 

なんて恐ろしい事をしたんだココア‼︎

と、とりあえずココアに伝えるか……

 

 

 

 

 

 

 

「ということだココア。余計な事しちゃったな」

 

「え⁈チノちゃん喜ぶと思ったのに!でもパズルのピースは最初から足りなかったよ!」

 

「無くしたのがココアのせいとは思ってないだろうけど」

 

「楽しみが取られちゃったからなぁ……」

 

「わたし……わたし……お姉ちゃん失格だあああああ!」

 

と言ってココアはラビットハウスから飛び出してしまった。

 

「「先に謝れぇええええ‼︎」」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ココア達が帰ってこない」

 

「心配しなくてもすぐ戻ってきます」

 

「悪気はなかったんだから許してやったらどうだ?」

 

「こんな事で怒ったままでいたくないんですけど……あんな態度を取ってしまった以上、普通に話しかけるのが恥ずかしくて……」

 

ああ〜〜あるある。しょうもない事で怒ったら後々喋りづらいんだよなぁ。

 

「まぁ謝りたいって思ってるだけイイじゃん。まずは機会をゆっくり待って……」

 

なんて言ってるとココアが帰ってきた。

 

「チノちゃんっ!新しいパズル買ってきたから許して!」

 

「「8,000ピース⁈」」

 

何が悲しくて毎日コツコツ8000ピースパズルしなきゃいけないんだよ‼︎

 

 

 

 

 

 

「協力して欲しいことがあるって聞いたけど……」

 

「手伝ってー!」

 

「始めたはいいんですが、終わらないんです」

 

「パズルやる事になるなんて……」

 

あの後3人でパズルを始めたが、終わる気配がなく千夜とシャロに救援要請した(ココアが)。

 

「一回崩してしまっちゃえば?」

 

「あの熱中してる2人を止められる?」

 

そう、俺とリゼは物凄くパズルに熱中している。いやぁ1個1個はまって少しずつ大きくなるのが超面白いんだよ‼︎

 

「ジグソーパズルなんて久しぶり」

 

「端っこから作ってくのが楽なんだよね」

 

「あ、チノちゃんが作った所と合体」

 

「こっちもリゼちゃんの作ってた所と合体だよー!」

 

「あ、チノちゃんとシャロが作ったやつと合体した」

 

みんな少しずつできてきてるな。やっぱ目に見える成果があると楽しいな。

 

「私……1ピースもできないで……ここにいてもいいのかしら……」

 

気分が台無しである。

 

 

 

 

 

みんなで始めて1時間、みんなぐったりしてきた。

 

「みんな集中力がなくなって来てる」

 

「ケイトのと合体してハートマークが出来たぞー♡」

 

「ケイト先輩もそろそろ休憩を……」

 

「まだだ!まだ終わらんよ‼︎」

 

一部まだまだ大丈夫そうだが。

 

「その……責任取ろうと無理しないでください。私もう怒ってな……って寝てる⁈」

 

チノちゃんの謝罪も空ぶったりしてもうグッダグダだ。

 

「ところで完成したらどうするんだ?」

 

「喫茶店に飾るのもいいかもねー」

 

「じゃなくて下に何も敷いてないのに、どうやって移動させるんだ?」

 

おっと世界が凍りついた。

 

「何も考えてるなかったのか……」

 

「私……さっき気づいていたのにこの空気になるのが怖くて言えなかった……。もっと早く言ってれば……私のせいで……っ!」

 

「ヤメロ更に重くなる‼︎まだ諦めんなよ‼︎」

 

 

 

 

 

方法思いついたので再開。

 

「お腹も空いたしみんなの分のホットケーキ作ってくるよ!」

 

「!手伝います」

 

そう言ってココアとチノちゃんはキッチンに向かった。

 

「あの2人、自然と仲直りしたみたいだな」

 

「ケンカしてたんですか!?」

 

「だっていつも以上にチノの口数少なかっただろ?」

 

「………」

 

千夜とシャロは少し考えて…

 

「「いつもあんな感じじゃないの?」」

 

「……こいつらが鈍感なのか、私が勘繰り過ぎなのか分からなくなってくるんだが……」

 

「知らんな」

 

実際俺もわからなかったし。

 

「まぁ仲直りできたならそれに越した事は……」

 

 

「チノちゃんが口聞いてくれないよぉー!」

 

ホッとして損した。

さらに暫くすると、今度はチノちゃんが勢いよく扉を開けて……

 

「大変です!ココアさんがケチャップで死んでます!」

 

まじでなんなん…

 

 

 

 

 

その後シャロの昔話を(千夜が)してると無くなってたピースが見つかった。

そこまでは良かったけど……

 

「チノちゃん、それって知恵の輪?」

 

「はい、おじいちゃんが作ってくれました」

 

「へぇ〜。パズルゲームが好きなんだな」

 

「難しくて何度挑戦しても解けなかったんですが……いつか自分の力で解いておじいちゃんをあっと言わせてみせます!」

 

「ちょっとだけ見せてもらってイイ?」

 

「いいですよ」

 

おぉ、兎がモチーフか。こういうの作ってみるのも良さそうだ………

 

 

 

 

 

 

 

チャリ

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

「あ……」

 

なんか解けちゃった。

 

「おいケイト‼︎何勝手に解いてんだ‼︎」

 

「ちょっと待ってこれは偶然だ偶々だ不可抗力だ‼︎」

 

「だからってお前って奴は‼︎」

 

「…………やっちまったぜ☆」

 

 

ゲボバァッ‼︎

 

 




テスト怖いテスト嫌いテストヤダァ……


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21話 リゼたちと写真大会

「チノちゃんの笑顔?」

 

「うん…見たことないの」

 

ラビットハウスのいつものメンツ。チノちゃんの笑顔を見たことないとココアが相談してきた。

 

「たしかにチノってあんまり笑わないよなー」

 

「基本クールだしね」

 

「早くにお母さん亡くしてるし、おじいちゃんもいなくなっちゃってショックを引きずってるのかな…」

 

大切な家族がいなくなったらそりゃショックだよな。俺のようにガキの頃だったら兎も角。

 

「……あれ?リゼちゃんあんまりって言った?」

 

「言ったけど」

 

「もっと笑ったら取っ付きやすいだろうに。勿体無いなぁ」

 

「⁈」

 

 

 

 

 

 

 

というわけ?で、チノちゃんの笑顔及びみんなの写真を撮る事になった。写真は姉に送るらしい。

 

「と、撮ったら見せろよ。半目だったら恥ずかしいからな。」

 

「わかったー!」

 

パシャッ

 

「!」

 

「これは…心霊写真!?」

 

え、マジで?

えっと、どれどれ〜……

 

「今までその銃で何人やってきたの⁈」

 

「おい、ココアの指だろ」

 

 

 

 

 

 

 

「チノちゃんもっと笑顔で!」

 

「いきなり言われても…」

 

「どうせなら3人一緒に撮らないか?」

 

リゼがカメラ係で、3人は並ぶ。

 

「チノちゃんだけ笑わないのも変だからチノちゃんに合わせるよ。」

 

「おk」

 

パシャッ

 

「これは…」

 

写真には無表情で並ぶ3人。

 

「ずいぶん陰気な喫茶店だな…」

 

却下で。てか俺ホント目つき悪いな……。

 

 

 

 

 

 

 

「笑ってくださいお願いします…」

 

「泣きながら言うなよ」

 

お願いしてしてもらうものじゃ…

 

「くすっ…なんだか証明写真みたいですね」

 

「今だココア!これがチノの笑顔だ‼︎」

 

 

 

「いねえ……」

 

 

 

「え?あ、ちょっとパンの焼き加減見に行ってたよー」

 

「「間が悪い‼︎」」

 

 

 

 

 

「私はココアさんにとって我が子を突き落とすライオンです。這い上がってきときに笑いかけるんです。たぶん」

 

「なんだその理屈?」

 

しかもたぶん言ってるし。

 

「照れてるだけって正直に言えよ。くすぐったら笑うだろ」

 

しゃあない。強行手段で…

 

「こちょこちょこちょこちょ」

 

「んっ…や、やめてください…」

 

あれ?楽しい。ゾクゾクする。何か新しい世界が見え……

 

「やめろぉおおおおおおおおおおお‼︎」

 

「ナブシッ⁈」

 

リゼにドロップキックされた。

 

 

 

 

 

「危ねぇ。行ってはいけない世界に行く所だった……」

 

そしたら俺は社会的に死んだだろう。

 

なんて考えてると、ココアが助っ人を連れてきた。千夜だ。

 

「漫才コンビの相方を連れてきたよ!コントで笑わせるからね!」

 

仕事中じゃなかったのかよ

 

「それはそれ これはこれ♡」

 

あっハイ。

 

 

「私、この前家庭科の授業で塩と間違えて砂糖入れちゃったじゃない?」

 

「うんうん、よくあるね。」

 

ねぇよ。

 

「あれ、砂糖じゃなくて粉末石鹸だったみたい」

 

「あはは、それ面白いー」

 

「「シャレにならない…」」

 

実話じゃないよな?実話じゃないよな⁈

 

 

 

 

 

「ふっ…こんなことまでして…ココアさんは本当にしょうがないココアさんです」

 

「チノちゃん…!」

 

パシャッ

 

「やったー!チノちゃんの笑顔撮れたよー!」

 

「「………」」

 

(リゼ、これって嘲笑だよな……)

 

(ココアがいいならそれでいい…)

 

ココアの姉生活も前途多難のようだ。

 

 

 

 

 

 

* * *

 

「ほら笑って笑って〜」

 

「お、お前も撮るのか?」

 

せっかくだし俺も姉さんに送る写真を撮る事にした。

 

「ココアに習って俺も笑顔の写真を撮るよ」

 

「そんな急に言われても…」

 

それもそうか。だったら…

 

「じゃあ首を傾げて、口に手をあてて」

 

「こ、こうか?」

 

「ニコッ!」

 

 

 

「ニコッ♡」

 

 

 

パシャパシャパシャパシャパシャ…

 

 

「すぐに消せぇえええええええええ///」

 

「イヤだ‼︎こんなカワイイ笑顔を消すなんて勿体無い‼︎」

 

 

後にこの写真は俺ん家の机に長い間飾られる……

いやだって超カワイイじゃん




テストやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ……

ケイト「うるせえ」

明日も日曜日曜日曜日曜日曜日曜日曜日曜日曜日曜日曜日曜日曜日曜日曜……

ケイト「現実を見ろ」

バルスバルスバルスバルスバルスバルスバルスバルスバルスバルスバルスバルス……

ケイト「学校は消えない」

次はかなりの確率で来週日曜の同じぐらいの時間です
ご意見ご感想ご評価お待ちしてます


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22話 リゼたちと球技大会特訓

テスト疲れたんだお(^ω^)




「もうすぐ私の学校で球技大会があるんだよ。千夜ちゃんと練習するから、その間バイト出れなくなるけどいいかな?」

 

「いいですよ。頑張ってください」

 

「ほ、本当に? 止めないの?」

 

「別に忙しいわけじゃないし」

 

「練習ならしゃーないだろ」

 

ついでに通りすがりのタカヒロさんもグーサインで了承してくれた。

 

「そっか……」

 

もう少し渋ってほしかったのかな。

 

 

 

 

「あの……リゼさん、ケイトさん。お願いがあるんですけど……」

 

どったのチノちゃん?

 

「私も授業でバトミントンの試合があるんですが……あの……調子が悪くて……練習に付き合ってもらえませんか?」

 

メンドk……いや、頼ってくれてる訳だしそれはダメか。

 

「俺でいいならいいぜ」

 

「いいよ!親父直伝の特殊訓練を叩き込んでやるよ!」

 

「「⁈」」

 

一体何をやらせる気ですかリゼさん⁈

 

「あの……でも……私も人間なので……殺さない程度に……」

 

「私をなんだと思ってる?」

 

「桁外れのパワーを持ったスーパー地球人」

 

ゴスッ‼︎

 

「ワタシヲナンダトオモッテル?」

 

「か、かわいいかわいい女の子です……」

 

「ならよし」

 

口は災いの元。

 

 

 

 

 

 

次の日

俺とリゼ、そしてチノちゃんは公園に向かっている。もちろんバトミントンの練習でだ。

 

「早めに仕事代わってくれたおじさんのためにも上達しような」

 

「ティッピーが頭に乗ってたら2倍の力が出せるんです。嘘じゃないです」

 

赤くなったら3倍の力を出せる奴みたいだな。

 

「じゃあ早速練習を……」

 

「ん?あれは……」

 

公園を見ると、そこにはココアと千夜2人の姿があった。しかも何故か倒れている状態で。

 

「ココアさん……?」

 

「最近死んだフリハマってるのか⁈」

 

「千夜もいるし……」

 

「何があった⁈」

 

チノちゃんは近くにあった木の棒で2人を囲うように円を描く。

 

「この状況どう見ます?」

 

「殺人現場だな」

 

「ふむ、現場に残されたのは一つのボール。ハッ!球技大会の練習というのは建前でお互い叩きのめしあったというわけか……‼︎」

 

「どうしたらそう見えるの⁈」

 

「生きてたか」

 

ココアが飛び起きて反論してきた。だったらヤ無茶するなよ。

 

「バレーボールの練習をしてたのー」

 

「それがどうしてこうなったのですか?」

 

「ボールのコントロールがうまくいかなくて……」

 

「私が付き合ってたんだけどね……」

 

そう言ってココアと千夜は回想を始めた。

 

 

 

 

 

 

「ハァ…ハァ…もう無理。私、当日休むから……」

 

「努力あるのみだよ!」

 

ココアはボールを高く上げる。

 

「今度はトスで返してね」

 

千夜の元へボールが来たが…

 

「トス……トス?……トス⁈トスって何⁈」

 

千夜は飛んできたボールを全力で打った。

ココアに……。

 

「ヴェアァァ‼︎」

 

「体力の限界……」

 

ココアは顔面強打で倒れ、千夜は体力の限界で倒れた。

 

 

 

 

「千夜ちゃん、和菓子作りと追い詰められた時だけ力を発揮するから……」

 

「「「…………」」」

 

ココアは頬を抑えつつ、顔面蒼白になりながらゾッとする回想を語った。俺たち3人も恐怖で震えた。

 

「これじゃチームプレイも難しいな」

 

「顔に当てたら反則なんだよ」

 

「うそ⁈知らずにやってたわ……」

 

「え、わざとじゃないよね⁈」

 

「たしか顔面はセーフじゃなかったですか?」

 

「そうなの?よかったー」

 

「全然よくないよ‼︎」

 

セーフだったとしても危ないしね。

 

 

 

 

 

「私たちも練習しないとな。いくぞチノー」

 

リゼがハネを打ち、チノちゃんの元へ飛ぶ。

 

「ふん!」

 

チノちゃんは思いっきり振ったが空ぶる。

 

「あっすみません」

 

「落ち着いてやれよー」

 

「チノちゃん、まずは上手く当てる事を意識しようか」

 

「分かりました」

 

「次、いくぞー」

 

「私そっち行きたい!」

 

「だめだ」

 

バレーやれや。

 

 

 

「あ、靴紐」

 

邪魔になるし俺は一旦距離をとる。

 

「せめて関係ない人に当てちゃうクセは直さないと……」

 

「今度はレシーブで返してね」

 

そう言ってココアは千夜にレシーブするが…

 

「やばっ!ちょっと強すぎちゃった!」

 

「しまった!ラケットが!」

 

強くなったボールとすっぽ抜けたチノちゃんのラケットが千夜に迫る。

 

「あ、危ない‼︎」

 

ヤバい間に合わない‼︎

 

「……あ、靴紐が」

 

千夜は靴紐が解けてるのに気づき、ボール&ラケットは上を通り過ぎた。

あれ、このコースって………

 

「大丈夫か千夜!……ケイトはどうした?」

 

「な、流れ弾が……」

 

ラケットは俺のおでこ、ボールは俺の腹に直撃した。

 

 

 

 

 

「千夜ー。おばあさんが帰りが遅いって心配してたわよ」

 

「シャロちゃん」

 

シャロがきた。

 

「シャロもちょっとやってくか?」

 

「リゼ先輩⁈」

 

「その格好な動きやすいし大丈夫だよ」

 

シャロは私服だろうか動きやすそうな服を着てる。てかシャロの私服見るの初めてだな。

 

(やる気満々だと思われてる⁈)

 

「被害し……人数は多いほうが楽しいよ」

 

「被害者……?」

 

怪我人出るの前提か。

 

 

 

 

 

いつの間にかバレーの試合が始まってた。

リゼ&千夜vs.ココア&シャロだ。

ちなみに審判は俺とチノちゃん。

 

「バレーボール大好きー♪」

 

「カフェインでドーピングしましたね」

 

シャロはココアの手でドーピングされてる。

 

「フレーフレー♪」

 

「何さらっと座ってるんだよ!」

 

千夜は座って応援してた。実質2vs.1だが、リゼは2人分動いている。

 

「ほら!千夜の所にボール来たぞ!」

 

「う、うん!……えいっ!」

 

おぉ!ついに千夜がトスした!

 

「凄いぞ千夜!」

 

「やっとトス出来るようになりましたね!」

 

「ありがとうみんな!」

 

「「ぜーぜぇー……」」

 

ココアとシャロはとっても疲れていた。

 

…なのにリゼは少し汗をかいてるだけだ。マジパネェッス。

 

 

 

 

数日後

 

ココアとチノちゃんから球技大会の報告がきた。千夜は甘兎でいない。

 

「球技大会勝ったよー!」

 

「マジか⁈」

 

「千夜ちゃんだけ種目をドッヂボールの子と交代してもらったんだけど、避けるのだけ上手くてボールが全然当たらなかったんだよ」

 

「何故最初からそうしない‼︎」

 

 

 

「そういやチノちゃんの方は?」

 

「私の方は……負けてしまいました」

 

あ、聞かない方が良かったかな。

 

「リゼさんに教えってもらった必殺技でどうにかなると思ったんですが……」

 

「は?必殺技?」

 

「その名も『パトリオットサーブ』だ!」

 

「何教えてんだよリゼ⁈」

 

「使ったときは結局ネットに引っかかってしまい、反動でふっとんでしまって……」

 

「危ねえ技じゃん‼︎」

 

「やはり素人が使う技じゃなかったか……」

 

「てか必殺技持ってるなんて……やっぱ桁外れのスーパー地球人じゃ……」

 

ゴスッ‼︎

 

 

ヤ無茶させやがって……

 

 




テスト終わってお年玉でごちうさvita買ったけど
つい一緒に買ったガンダムブレイカー3ばっかやってしまう…

ロボは漢の浪漫なんや‼︎


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23話 リゼたちの様子のおかしい日

水木は風邪で寝込んでました。



「三人ともー、今日もパンの試食してくれないかな?」

 

ココアはちょくちょくパンを作ってくれる。しかもめっちゃ美味い。

 

「今日はちょっと…」

 

「私もパスです」

 

あれ、リゼとチノちゃん食べないのか。

 

「えぇっ⁈いつも食べてくれてたのに!」

 

「食べたい気分じゃないんだ(です)」

 

「私にはもう飽きたのね!」

 

「「変な言い方するな」」

 

しゃあない、俺が三人分食うか。

食べ過ぎ?美味いから問題ない!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

ココアはまたパンを作ってくれたようだ

 

「今日は甘くなくて低カロリーなパンを作ったよ!おいしそうでしょ!」

 

なんで甘くないと低カロリーを強調するんだ?

 

「「………」」

 

「出来立てほかほかのパンだよー。お腹が空くにおいでしょ」

 

確かに俺も腹が減ってきたな

 

ぐきゅるるるる

 

「「うぅ……」」

 

何故か二人は腹が鳴っても食べようとしない。てか目が怖えよ。

 

「二人とも!正直になってよ!その顔やめてよ!」

 

明らかに様子がおかしい。

 

「ハッ!まさかリゼ太っ…」

 

「ナニヲイッテイル?」

 

「ななななんでもありません(震)」

 

だからナイフはしまって!てかどこからそれ出した⁈

 

「あのなぁ、リゼはスタイルもいいしダイエットする必要なんかねえだろ」

 

その体型でダイエットが必要とは全く思えない。

 

「それに、パンから目離してないし」

 

さっきからずっとガン見してる。

 

「べ、別に見てないぞ!」

 

パンから目を逸らしてコーヒーを入れるリゼ。

 

「……零れてるぞ」

 

動揺しまくりだな。

 

「とりあえずリゼは料理とか運んでくれ」

 

「すまない……」

 

さて拭かねえと。まだ熱いしどうしよ。

 

「………」

 

アレ、リゼなんか戻ってこないな。何してんだろ?

 

「………」

 

じーっ

 

リゼはじーっと運んだケーキを見つめてる。

 

「客が食べづらいだろ!」

 

「な、何をす…胸を触るなぁああ‼︎」

 

「待って今の不可抗りょごゥ‼︎」

 

 

 

 

カウンターに引きずり戻すと、ココアが二人に説教を始めた。

ココア曰くチノちゃんが虫歯で悩んでるらしい。

 

「チノちゃん!歯医者はちゃんと行かなきゃダメだよ!ティッピーみたいに歯がなくなっちゃうよ!」

 

「ティッピーはお年寄りですが歯はまだあります」

 

「リゼちゃん!自分が十分痩せてる事を分かってないみたいだね。ティッピーを見すぎて自分も太ってるって勘違いしちゃったの!?」

 

「ティッピーは太ってません。毛が豊富なだけです」

 

何かとティッピーで比べるな。

 

「リゼ先輩!」

 

シャロがやってきた。

 

「あれ、シャロちゃん。バイト終わったの?」

 

「先輩の体が心配で……これっバイト中に作った低カロリーお菓子です!無茶なダイエットはやめてちゃんと食べ……」

 

リゼは物凄い表情でお菓子を見てる。間違いなく葛藤してるけど…

 

「貧乳ぽっちゃりは去りますー!」

 

「なんだそれ⁈」

 

リゼめっちゃ怖い顔だったしね。

 

「待ってください!シャロさんは太ってないです!私の方が……私の方が……!」

 

「わっ分かった!食べるから。だから泣くな!」

 

「リゼちゃん男前〜♪」

 

ぱくっ

 

がくっ!

 

「ちょっどうした⁈」

 

食べた途端倒れた!

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあリゼちゃんが虫歯で悩んでて、チノちゃんが体形気にしてたの?」

 

「ぽいね」

 

「治療が遅れると大変な事になりますよ?」

 

「行くことは毎日考えてる!」

 

「なら何故いかないんだよ」

 

「そ、それは……銃撃戦の音は良くても歯医者のあの音だけはダメなんだ!」

 

「吹っ切れた!」

 

なんか可愛い理由だった。

 

「後輩として何としても連れて行きます!」

 

「いきなり強気になった!」

 

 

「チノちゃんは全然太ってないよ?どうして言ってくれなかったの?」

 

「だって……ココアさんはバカにするじゃないですか。私にダイエットなんてまだ早いって言うに決まってます」

 

まぁ確かに早いとは思うけど…

 

「それによく私の事ふわふわふかふかって言いますし」

 

「それで太ったと勘違いしたのか」

 

「それはそういう意味じゃ………私のせいだー‼︎」

 

とりあえず様子がおかしかった理由もわかったし……

 

「早速行きましょう先輩!」

 

「大丈夫。最近の歯医者は痛くなくなってきたらしいし」

 

「や、やめろ!行きたくない!」

 

「ダメ。早く治療しないと後悔するし、今すぐ逝こう」

 

「ニュアンスがおかしいぞ‼︎」

 

「気のせいだ。抵抗は無意味だぞ」

 

「や、やぁああああああああ‼︎(涙)」

 

 

次の日は口を聞いてもらえませんでした、

 

 

 

 

 

後日談

 

「ココアのパンはやっぱ美味いな」

 

「ケイト、食べ過ぎじゃないのか?」

 

「でーじょうぶでーじょうぶ」

 

まだ3個目だ。あと2個は食える。

 

「そんな食べると太るぞ」

 

「俺太りにくい体質だから大丈夫」

 

「…………」

 

今日はメロンパンか。まぁなんでも食べるけど。

 

「菓子パンばっか食べてたら虫歯になるぞ」

 

「俺虫歯になりにくい体質だから大丈夫」

 

「………」

 

「…リゼ、その拳はなんだ? 待って顔怖い!お、落ち着けぇええ‼︎」

 

や、やばい!殺される‼︎今のリゼには殺ると言ったら殺るスゴ味がある‼︎

 

 

 

お、俺のそばに 近寄るなぁああああ‼︎

 

 

ガスッ‼︎

 




そろそろワンパンマンにお気に入り数負けそう

ケイト「そのようなことがあろうはずがございません」


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24話 リゼ 父のためにバイトを…

やっと右脚治った
二か月ぶりに走るのがめちゃくちゃ楽しかった

追記:各話タイトルをリゼメインっぽくしました



「もうすぐ父の日だねー」

 

「父の日……か」

 

俺の父さんは小さい頃に死んだから、父の日のプレゼントとかをした事がない。

 

「私はチノちゃんのお父さんにプレゼントをするんだー」

 

なるほど。俺も一応タカヒロさんにお世話になってるし、何かお礼的なのをしようかな。

 

なんて考えていると、リゼがやってきた。

 

「明日から私は他の店でもバイトをすることにした!シフトを少し変えてもらったからよろしく」

 

「リ、リゼちゃんが軍人から企業スパイに!」

 

「スパイなんて頼んでませんよ!」

 

「軍人じゃないしスパイでもない」

 

 

話を聞くと、かつて(最近)チノちゃんに教えたパトリオットサーブの練習をしてたら窓ガラスと父のワインを割ってしまったらしい。

それで父の日を機に飲みたがってた高価なヴィンテージワインを贈って罪滅ぼしがしたいとのこと。

 

 

「………ふぅぅん」

 

「なんだその反応は」

 

「いや、リゼのことだからGが出てつい手近な鈍器として使ったのかなと……」

 

「私を何だと思ってる‼︎」

 

「危ねえぇぇぇぇぇぇぇぇ‼︎」

 

洗ってた皿でチョップしてきたぞ!

俺じゃなかったら死ぬわ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

甘兎庵

 

 

「い、いらっしゃいませー」

 

甘兎に入ると、少し緊張したリゼが出迎えてくれた。まぁ知っててきたけど。

 

「ケイト?何でお前が⁈」

 

「千夜からいるってメール来たからつい」

 

これはマジ。ガンプラ作ってたらリゼがバイトしてるってきたんで参上した。

 

「千夜ぁあああああああ‼︎」

 

「あら、ケイトくん?もう来てくれたのね」

 

「無視するな‼︎」

 

なんだよ別に減るものじゃあるまいし。

 

 

 

 

 

 

「ところで千夜、何かぶってんだ?」

 

さっきから気になってたんだけど、千夜は何故か迷彩柄のヘルメットをしてる。

 

「リゼちゃんが来てくれたからミリタリー月間にしようと思って」

 

「「しなくていい」」

 

和服と相まって見事にアンバランスだ。見事ではないか。

 

「こちら抹茶の迷彩ラテアートだ」

 

「リゼ微妙に言葉使いが……って気持ち悪‼︎」

 

面白そうだから頼んだらスゲェ気持ち悪かった‼︎

 

「誰が気持ち悪いだ‼︎」

 

「リゼじゃない‼︎だからその銃を下せ‼︎」

 

 

 

 

「私もモデルガンを装備してみました♪」

 

「待て無闇に人に向けるな」

 

「さっき俺に向けた奴が言うな!」

 

銃を俺に向ける千夜に注意したけどお前が言うなよ!

ちょくちょく俺に向けてるじゃねえか‼︎

 

「こんなに面白い漫才コンビ初めて!ついはしゃいじゃった♪」

 

「漫才コンビじゃねえよ」

 

「今までワザとボケてないよな」

 

なんかだいぶ疲れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フルール・ド・ラパン

 

リゼは今日フルールでバイトをしてるらしい。

さて 早速からかいに行くか。

 

 

「いらっしゃいませー」

 

「あ………」

 

「……………え ///」

 

なんか超輝いてるリゼが迎えてくれた。

 

「「……………」」

 

「………ありがとうございます」

 

「う うわぁあああああああああああああ‼︎」

 

 

あれ、急に眠気が………

(訳:気絶)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……の…………えて………か?」

 

………うぅぅん。俺は確か…フルールにきて……

あぁ、リゼにやられたんだった。

 

どうやら俺は店の奥に運ばれたらしい。

 

「あのー、そろそろ閉店時間ですが……」

 

「……え?」

 

スタッフさんが言うなら間違いないだろうけど、俺閉店時間まで気絶してたのか。新記録じゃん。

 

「やっと起きたか」

 

「あ、リゼ」

 

着替えたリゼが来た。…ちっ。もう少しメイド姿見たかったんだが。シャロ写真撮ってないかな。

 

「ケイト、この後一緒にワイン見に行かないか」

 

とうとう例のワインを買うらしい。ちなみにシャロも一緒に。まぁ意見は多くて損はないし。

 

「おk」

 

 

 

 

 

「……ケイト先輩」

 

「………何かね」

 

「……リゼ先輩の頭の」

 

「シッ………ダメだ。言っちゃダメだ」

 

「ん?どうしたんだ?」

 

「なんでもない」

 

 

……ウサ耳付けっぱなしなんて誰が言うかよ。オモロイし可愛いし。

 

 

 

 

 

 

 

結局リゼはペアグラスを贈った。そりゃ15万なんて学生が買えるもんじゃないしな。

 

まぁリゼの父も絶対喜ぶだろう。

 

 

……え?ウサ耳はどうなった?

もちろん怒られました。

 

反省してます(もうしないとは言ってない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラビットハウス バータイム

 

「息子よ。ワシの秘蔵のワインが1本足りないんじゃが」

 

「あれなら昔馴染みに譲っちまったよ」

 

「な、なんじゃと‼︎せっかくいつか飲もうと残していたのに‼︎」

 

「その体じゃ飲めないだろ」

 

 

「…それと、そのネクタイとエプロンはなんじゃ?普段はリボンをしてたじゃろ」

 

「あぁ、ネクタイはチノとココア君、エプロンはケイト君が。父の日だとプレゼントしてくれてな」

 

「……ワシの似顔絵がキモイ」

 

「そうか?似てるだろ」

 

「ワシはもっとハンサムじゃ‼︎」

 

「メスのウサギの体じゃねえか」

 




ケイト「今日地味に更新遅くね?」

スミマセンm(_ _)m 実は、3兄弟で部屋の引越しをしてました(させられた)

「部屋の引越し?」

うん。俺が3階の妹の部屋、妹が5階の弟の部屋、弟が5階の俺の部屋に荷物を運んだんだ
10時からつい19時半までノンストップだからかなり疲れた

「ドンマイ」

しかも全く執筆してなかったから焦った

「……は?30分で今回の執筆したのか?」

うん(マジです)
次はもっと早くから執筆しないと


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25話 リゼとお出かけ

無事進級できました!

某物語では主人公はこの時期吸血鬼に出会いますが、
ケイト君や俺は通常運転です



「デートに行こう!」

 

「………いいけど」

 

何の変哲もない休日。リゼが家に来たと思ったらそんなことを言ってきた。

 

「てか何で急に?」

 

「前にデートに行くって約束しただろ」

 

あぁ、確かプールに行ったときそんな約束したね。でもホント急だな。今日の今誘う理由にはなってねえし。

 

「……なんだ、愛しい俺に会いたくなったからか(笑)?」

 

「そ、そんなわけあるか/// ‼︎」

 

「じょ冗談だから拳は止めデオッ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で どこに行くの?」

 

「………」

 

「考えてないのかよ」

 

なんとなく歩いてるけど正直ラチがあかない。

 

「そうだ、そこの店の服でも見るか?」

 

「お、いいな」

 

というわけで服を見る。

 

 

 

適当に見てる俺と違ってリゼは真剣に服を選んでる。やっぱ女子なんだな。

俺は趣味に使うから服は滅多に買わない。

 

「何やら葛藤しているようですな」

 

「そっとしておきましょう」

 

あら、ココアとチノちゃんだ。リゼにだけ気付いてどっか行っちゃった。まぁ微妙に離れてたし、俺影薄いし。

 

「ケイト、試着してみるから見てくれ」

 

「おk」

 

試着

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうだ?」

 

試着を終えたリゼが出てきた。

 

「うん、かわいいよ」

 

「そ、そうか///」

 

白のワンピースを着たリゼは何処となくお淑やかな雰囲気を感じる。たぶん気のせいだけど。

 

でもやっぱ着る服で雰囲気って変わるもんなんだな。

……フルールのときのもう一回見たくなったな。次着てたら写真撮るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リゼがワンピースの買い、二人で色々な店を見て回ってると……

 

「あらあらまぁ…!可愛いカップルですね♡」

 

「は、はぁ……」

 

「カップル//// ⁈」

 

誰やねんお姉さん?

 

「お嬢さん、よろしければカットモデルお願いできませんか?」

 

「へっ?私が⁈」

 

へぇ、ホントにカットモデルのお願いってあるんだな。

 

「どうするリゼ?」

 

「むぅ……ケイト、少し待っててくれるか?」

 

「ええよ。公園で待ってるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

する事もなく公園のベンチで横になってる俺。

 

「あのぉ…座ってもいいでしょうか」

 

「あ、スイマセン」

 

流石にベンチの占領はダメだよな。

 

「今日はお散歩ですか?」

 

「まぁ、そんなところです」

 

なんか会話が始まったけど、暇つぶしになるからいいや。

 

「あなたも散歩ですか?」

 

「はい。閃きを求めて彷徨っているんです」

 

「閃き?」

 

「えぇ。私、小説家なんです。未熟ながら本でご飯を食べさせてもらってます」

 

「おぉ…、凄いですね。ペンネームとかあるんですか?」

 

「あっ、自己紹介がまだでした。青山ブルーマウンテン・・・と申します」

 

「青山さん……、あぁ 『うさぎになったバリスタ』の作者さんでしたか」

 

確か最近映画化した本だ。……と昨日本屋に行ったときにそんな広告を見た気がする。

 

「あっ、俺は用があるのでそろそろ……」

 

約束した時間にそろそろなりそうだ。

 

「そうでしたか。話し相手になってもらってありがとうございます」

 

「いえいえ、こちらこそいい時間潰しになりましたし…」

 

「ではこれで…」

 

「はい。ありがとうございました」

 

青山ブルーマウンテンさん……不思議な雰囲気の人だったな。

 

 

 

……帰りに本屋寄るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論から言うと

 

メッチャお嬢様になった。

髪型とワンピースがさらにマッチして、何処からどう見てもお嬢様だ。まぁホントにお嬢様かもだけど。

 

「ど、どうしたんだケイト?」

 

おっと、固まってしまった。

 

「い、いや…その……」

 

「なんだその反応は?お前らしくないな」

 

「うるへぇ」

 

なんかリゼを直視できないな。

 

「……リゼさん?」

 

「はいっ⁈」 「へ?」

 

このタイミングでチノちゃんとココアがやってきた。

 

「……と思ったら違ったみたいです。失礼しました」

 

「さっき見かけた時と服と髪型が違うもんね」

 

(見てたのかよ‼︎)

 

って思ってるな、絶対。俺も一言も言わなかったし。言う理由がないし。

 

「…ん?でもリゼちゃんって呼んだら振り向いたよ?」

 

「ちっ違います!私はロゼです!聞き間違えただけです///」

 

いやリゼ、それは無理があるような……

 

「そうだったんですか!ロゼさんに良く似た人がうちの喫茶店にいるんでびっくりしました」

 

マジかよ気付いてねえ‼︎

純真すぎる‼︎

 

「ケイトさんはどういった理由でロゼさんと?知り合いなんですか?」

 

えっと……、これは真実を言えばいいのか?

 

いや……。リゼの目が怖い。口裏合わせなきゃ俺に明日は無いやつだ。

 

「いや、道を聞かれたから案内してるだけ」

 

「そうでしたか」

 

まぁ理由としては充分違和感は無いだろう。

 

「じゃあ私たちはここで」

 

「引き止めてすみませんでした。ラビットハウスという店なので、いつか来てください」

 

「はい。いつか必ず」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「案外気付かないもんだなぁ」

 

「……助かった」

 

「でもなんでわざわざ誤魔化したんだ?」

 

「そ、それは……恥ずかしくて///」

 

乙女心は複雑だ。

 

「まぁ、デート続けようぜ」

 

「だな!」

 

まだまだ時間はあるしな。

さっきあった青山さんの話もしたいし。

 

 

「あ、リゼ。言い忘れてた」

 

「ん?」

 

「そのカッコ、超可愛いぜ」

 

「なっ///」

 

やっぱ思ったことはハッキリ言うとスッキリするな。

恥ずかしがってるリゼも可愛いしw

 

 

 

 

その後も俺たちは街を回って、今日という日を存分に楽しんだ。

 




いやぁ、進級できてマジよかったよ

ケイト「進級ぐらいはできるだろ」

いやいや、うちガチで高レベルの進学校だから。俺毎年危ないし

「……マジかよ」

でも今年は初めて先生から『進級あぶないよ』って電話来なくてよかったよ。成長してるんだな俺も。やったねシドー君♡

「誇れねぇしキモイ」

(´・ω・`)



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26話 リゼたち+2人のお友達

なんかスランプな感じがしてます。

m(_ _)m



今日もラビットハウスでバイト。

 

でも、今日はいつもと少し違う。

それは……

 

おっと、ココアがやってきたな。

 

「遅れてゴメンみんな!」

 

「あ おかえりなさい」

 

「それは私の制服! 新人さん⁈私リストラ⁈」

 

そう、今店にいるのはいつものメンツではない。普段ココアが着てる制服姿の子と…

 

「チノー、このもこもこしたのかわいいなっ!倒したら経験値入りそう!」

 

この普段リゼが着てる制服姿の子がいる。

てかかわいいなら倒すな。ティッピーも冷や汗かいてるぞ。

 

「リゼちゃん⁈いつの間にこんなちっちゃく…」

 

「ちっちゃっ……⁈」

 

「あれ?よく見たら違う」

 

制服だけで人物判断するなよ。

 

「リゼってこの制服の持ち主?」

 

「マヤさん。ティッピー返してください」

 

「あと これもロッカーにあったけど裏の仕事も引き受けてるの?」

 

そう言って懐から出したのは、リゼの銃だ。

 

「大変なもの置き忘れてる‼︎」

 

「これって偽物だよな?」

 

「待って!なんで俺に向けるんだ⁈」

 

本物の可能性があるしそれ以前に普通に怖い‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

ちと騒ぎになったが、落ち着いたのでココアに自己紹介。

 

「二人は私のクラスメートです」

 

「マヤだよ!」

 

「メグです」

 

ココアの制服の子がメグ、リゼの制服の子がマヤだ。

 

「ココアさんもリゼさんもバイトに来ないので、ちょうど遊びに来てた二人が手伝ってくれてたんです」

 

リゼも部活の助っ人として拉致られてたからな。

 

「二人とも制服よく似合ってるよ!あと一色増えたら悪と戦うのも夢じゃないよ」

 

「マジで⁈私ブラックがいい!」

 

「いやブラックは既に俺が着てる!」

 

「先手を取られてた⁈」

 

「私 ホワイト〜」

 

「何と戦うんですか?あとケイトさんも話にのらないでください」

 

いやゴメン。

 

 

 

 

 

 

「すまない!部活の助っ人に駆り出されて…」

 

やっとリゼも来た。

 

「あ リゼちゃん紹介するね。私の新しい妹たちです♡」

 

「状況はよくわからないが嘘をつくな」

 

「こちらチノちゃんのお友達」

 

「なるほど。………そうだ忘れてた!私としたことがアレをなくしてしまって、ケイトは見てないか⁈」

 

「アレ?」

 

「もしかしてこのモデルガン?」

 

だからマヤちゃん俺に向けないで‼︎

 

「あとコンバットナイフもあったけどこっち?」

 

「リゼェェーーー‼︎」

 

普通の喫茶店に凶器持ってくるんじゃねえ‼︎

 

「おい、それは素人が扱えるものじゃない。返せ」

 

よ、良かった。とりあえず今殺られる心配はなさそうだ。

 

「リゼって役者目指してるの?それともミリオタ?」

 

「みりおたってなんです?」

 

確かに『素人が扱えるものじゃない』とかって映画ぐらいでしか聞かないな。

 

「私もCQCとかできるよ!」

 

「また変な影響受けてるー」

 

昨日やってたテレビの影響だな。俺を潰すときのリゼと比べて構えとかが素人っぽい。

 

「こいつCQCに精通してるのか⁈ケイト、まさかこいつ軍の関係者か⁈」

 

「俺に聞くな」

 

てか違えだろ。

 

「そういうリゼだってCQCできるだろ?俺を潰すときとか」

 

「そりゃできるが……それに手加減もしてるぞ」

 

CQCで戦う時点で大人気ねえぞ。

 

 

 

「……リゼって立ち振る舞いが普通の女の人と違うな。憧れる!」

 

「やっぱり私って浮いてる⁈」

 

いやいや浮いてるっちゅうより、クールとかカッコイイな感じで違うんだろ。

 

「ココアちゃんを私の目標にするね」

 

「そんな事初めて言われた……!」

 

……メグちゃん、後悔するなよ。

 

「「チノ(ちゃん)はどっちに憧れる⁈」」

 

「強いて言えば……シャロさん?」

 

「「ですよね!」」 「だろうな」

 

あと俺が候補にいないの物申したい。

べ、別に寂しくなんてないんだからね‼︎(精いっぱいのボケ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれからマヤちゃんメグちゃんは時々手伝いにくる。

それでも、いつもの4人での仕事の方がやっぱ多い。

今日も4人で仕事だ。マヤちゃんメグちゃんが客でいるけど。

 

「やっぱこの4人で仕事してる時が一番落ち着くねー」

 

「そうかもな」

 

「コンビネーションもとれてるしね!」

 

「そうでしたっけ?」

 

「リゼちゃんがお料理して、チノちゃんがコーヒー作って、ケイト君がお客さんに運んで……」

 

「ココアは?」

 

「…………日向ぼっこ?」

 

「「サボるな!」」

 

「あははははははは!」

 

「ココアちゃんサボっちゃダメだよー」

 

「はぁぁい……」

 

姉名乗るならも少し手本になれよ…

 

そうだ。

 

「ココア、これとこれ運んで」

 

「あ はーい」

 

さて、ココアに頑張ってもらってさりげなくサボるか。

 

「おいケイト、お前サボる気だろ」

 

「シュワット⁈ そそそそのような事があろうはずがございません!」

 

「お前の考えぐらいお見通しだ‼︎」

 

「待ってCQCは止めて‼︎」

 

罪に対して罰が重すぎる!拳1発1発重い!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スゲェケイト‼︎CQC相手に張り合ってた‼︎」

 

ひとしきりやられた後、マヤちゃんに感心された。

まぁ2分しか抵抗できなかったけど。

 

「その戦い方教えてくれケイト!いやアニキ‼︎」

 

「ア、アニキ⁈」

 

舎弟が出来ました。 いや違うけれども!

 




PC持ってないから艦これ改をやってるけど…

足柄が好きだなって思ったらリゼと声優同じで笑ったw

種田梨沙さん 妙高型4姉妹全員の声やってたんだね。声優パナいわ(小並感)



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27話 リゼとチラシ配り

俺もとうとう高3か……



今日も今日とてラビットハウスでバイト。

 

いつも通り仕事してたら、チノちゃんから見慣れない紙束を渡された。どうやらラビットハウスのチラシっぽい。

 

「ケイトさん、チラシ配りをお願いしてもらってもいいでしょうか?」

 

「ん?えぇよ」

 

断る理由もないし受け取る。

にしても分厚いな。ちょっとした辞書ぐらいある。

 

「ありがとうございます。少し多く作ってしまったので、リゼさんと協力して配ってください」

 

「別にえぇけど、2人抜けて大丈夫?」

 

「今日は比較的客も少ないので大丈夫です。それに2人で配るのはリゼさんの提案です」

 

あ そうなんだ。

まぁ人手は多いに越したことはないし。

 

「それじゃ早速行くぞケイト」

 

「へいへい。わーったからおいてくな」

 

俺をおいてきそうな勢いで店を出るリゼを追いかける。

あと半分持ってくれるとありがたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ配るか」

 

「おk」

 

適当に人がいる場所で早速分かれてチラシを配る。

チラシ配りは初めてだけどなんとかなるだろう。

 

 

「喫茶店ラビットハウスをよろしくお願いしまーす」

 

「あらどうも♪」

 

「喫茶店ラビットハウスハウスをよろしく(以下略)」

 

「へぇ、可愛い名前ですね」

 

「喫茶店ラビット(以下略)」

 

「……ん」

 

「(以下略)」

 

「ありがとうおじちゃん!」

 

「まだ高校生だ」

 

 

色々な人にチラシを配って30分、3割ほどチラシを配ったがいかんせんやる気が出ない。同じことばっか言ってると機械みたいで性に合わない。

 

……リゼはどんぐらい配ったかな。ちょいと様子見するか。

 

 

 

 

「リゼ、チラシ配りは順調か?」

 

「あぁ、こっちは大丈夫だ。だいたい半分は配った」

 

「えっマジで?」

 

リゼの手元を見ると確かにチラシは半分ぐらい減っている。30分で半分って早すぎだろ…

 

「しゃべる暇があるならもっと配ってろ」

 

「待て待て、せっかくだし配ってるとこ参考にさせてくれ」

 

「かまわないが私で参考になるのか?」

 

「…………」

 

「おい、なんだその反応は」

 

「冗談冗談。なるから見せてくれ」

 

リゼのやり方を参考に見せてもらうと、フルールでバイトしてた時の笑顔や姿勢をしていた。

……なるほど、可愛いから俺よか受け取ってくれるのか。こりゃ参考にならねぇわ。

 

「フルール・ド・ラパンをよろしくお願いしまーす♪」

 

……無意識にフルールの宣伝になっちゃったかー。さすがに止めないと客が減りかねない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ついフルールの宣伝をしてしまうとは……不甲斐ない」

 

「気にすんな」

 

可愛いもの見れたからプラマイで言えばプラスだ。

 

「ど……どい……っ」

 

「ん?なんか聞き覚えある声」

 

「あっちからだ」

 

気になって2人で声の出どころに向かうと……

 

「どいてくださいお願いします‼︎」

 

…うさぎに土下座してるシャロがいた。通りがかりの人も変人を見る目で見ちゃってる。

 

「ほら」

 

「リリリリゼ先輩⁈ついでにケイト先輩も‼︎」

 

「オマケかよ」

 

しかもデジャブ。

まぁとりあえずリゼがうさぎを追い払ったので、シャロも正気に戻った。チラシの上にうさぎ乗っちゃってたんだね。

 

「店の制服で外にいるなんて珍しいですね」

 

「ココアが企画したパン祭りのチラシ配り担当に任命されたんだ」

 

「そうでしたか…………2人で(チラッ)」

 

何故俺を睨む。

 

「で、どうするリゼ。さすがに他店と一緒に配るのはアレだし」

 

「そうだな。私たちは別の場所にでも……」

 

「あら、桐間さんと先輩方だわ」

 

「面白い格好をなさっているわ」

 

チラシ配りを再開しようと思ったら、女の子2人がやってきた。たぶんシャロのクラスメイトだろう、うちん学校の制服だし。

 

「桐間さんも今度開くお茶会ご一緒しない?」

 

「ま、またいつか……」

 

シャロはやんわりと断る。バイトが忙しいからかな。

 

「先輩方もよろしかったら」

 

「俺?俺はいいよ。みんなに馴染めなさそうだし」

 

お嬢様じゃないし、女の子ですらないし。

 

「ま、誘ってくれてありがとね」

 

「いえいえ。天々座先輩もよろしかったら」

 

「それならクレープやケーキのレーションを持ってこう。サバゲーやりながら食べると楽しいな」

 

「サバゲ?」

 

ブレないなぁリゼ。お茶会でその考えに至る人なんて他にいないだろ。

 

「お嬢様ばかりの中、先輩のそういう所すごく安心します」

 

「?」

 

まぁ、ありのままの自分でいるのは大切だよな。レリゴーは無しで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっちで配ってくる」

 

「いてらー」

 

「……なんでケイト先輩は残るんですか」

 

「なんとなく」

 

移動するのが面倒だし。

 

シャロに少し距離を置かれながらチラシを配ってると、なんだか見覚えのある人がシャロん所にきた。

いつかに会った小説家の青山さんだ。

 

「あの…このお店はいかがわしいお店なのでしょうか?」

 

「普通の健全な喫茶店です‼︎」

 

「なるほど……耳をつけた少女たちを拝みながらお茶をする…。こういった趣向もあるんですね」

 

「拝⁈」

 

微妙にズレた会話をしている。暇だし挨拶ぐらいするか(チラシ配れ)

 

「こんにちは青山さん」

 

「あらケイトさん。ケイトさんもチラシを配ってるのですか?

 

「この子とは違う店ですけど」

 

「近日伺いますのでお二人とも何卒よしなに」

 

「ちょっ太ももに向かって話さないでください‼︎挨拶する体勢じゃない‼︎」

 

何故かシャロの太ももを見ながら喋る青山さん。

どこまでもズレた感じがする人だった…

 

「先輩も太もも見ないでください!」

 

「いやいやついノリで『ガスッ‼︎』

 

頭を踏まれ、鼻血が出ちまった。

ちなみに残念ながらパンツは見えなかった。ちくせう。

 





朝納豆食って歯磨き忘れたのに

『とってもキレイですね♪』

なんて歯科検診で言われて心が痛い(7日の実話)

ケイト「みんなは歯を磨こう」



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28話 リゼたちとシャロの秘密

タイトル力が欲しい……



「2人ともチラシ配りストップー!」

 

「ココアさん待ってくださーい!」

 

再びリゼとチラシ配りをしていたら、ココアとチノちゃんがやってきた。

どういうわけか慌てている。

 

「2人きて店大丈夫なのか?」

 

「父がいますので」

 

ならいいけど。

とりあえず本題が何か聞きたい。

 

「えっとー実は……スペル間違えちゃった」

 

「えっ間違えてたっけ?」

 

改めてチラシを見てみる。

ティッピーの絵やパン祭りについて書かれていて特におかしな所は……

 

 

『Rabbit Horse』

 

 

「「見落としてた‼︎」」

 

HouseじゃなくてHorseじゃん!

ウサギ馬ってなんだよ!

 

「早く回収しないと私のうっかりが知れ渡っちゃう‼︎」

 

「もう遅えよ」

 

すでに俺とリゼは7割近く配ったし普通に手遅れだ。

もうちと確認すりゃよかった。

 

「しょうがない。残りは書き直そう」

 

「おk」

 

rとuならまだギリギリ誤魔化せるかな。

 

「…ここで狙い澄ましたような風がきたりして」

 

「おいやめろ」

 

「いやいや冗談冗……」

 

『ビュオッ‼︎』

 

『バサササササ……』

 

 

狙い澄ましたような風が吹き、俺とリゼが持ってたチラシが大量に飛んでった。

 

 

「………これは俺を陥れるために仕組んだ罠だ‼︎」

 

「お前が馬鹿な事を言わなければ‼︎」

 

「このままじゃ馬も置かなきゃいけなくなっちゃう!」

 

「何でだよ‼︎おいケイトうずくまらないで追いかけるぞ‼︎」

 

「ま、待って………腹が……」

 

罠だ‼︎ あたりで食らった腹パンがつらいです。

 

 

 

 

 

 

「シャロまで手伝わなくても良かったんだぞ?」

 

「いえ、リゼ先輩が困ってたのでそういうわけには」

 

あれ、俺は?

 

とにかく飛んでった先にいたシャロも手伝ってくれて思ったよかチラシは集まってきている。

みんな(俺以外)スタートダッシュで頑張ったおかげで早くもラスト一枚だ。

そして……

 

 

「木に引っかかってるな」

 

ラス1は木に引っかかってた。

 

「木に登れる人ーー」

 

『……………………』

 

誰もいない。

てかリゼも無理なのはちょっと意外。

 

「お前が登ればいいだろ」

 

「俺?高所恐怖症」

 

誰も登れないので結局俺が土台になってチノちゃんが背中に乗った。

届くか微妙だけど木から落ちるよかマシだろう。

 

「本当に馬になっちゃうなんて……」

 

「誰が馬や」

 

チノちゃんが必死に手を伸ばしてるけど、ギリギリ届かない。

 

「あ、おっきい虫が落ちました」

 

リゼの頭に。

 

「ななな何とコトを!!!」

 

普段の感じからは考えられないくらい大きな悲鳴をあげるリゼ。

なんか可愛い。

 

「意外な一面ですね」

 

シャロはリゼの頭の虫を何でもないようにはらう。

 

「おおっ!お前も意外とたくましいな!」

 

「家によく入ってくるんで慣……んでもないです」

 

よくわからんけど虫が大丈夫なのはちょっと意外。

お嬢様っちゅうかそれ以前に女の子だし虫は苦手かなって思ったわ。

 

「ん?シャロ」

 

「何ですか?パンツは見せませんよ」

 

「見ねえよ。それよか……ウサギが足舐めてるぞ」

 

「ピャーーーーーーーー!!!!」

 

やっぱウサギはダメか。

 

 

 

「あっ取れました!」

 

そういえばチラシ取ろうとしてたね。

忘れてたわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

パン祭りはいい感じに客も集まり無事に成功した。まぁ何でウサギ馬なのか?って質問されたのは忘れるけど。

 

そんなわけで今はみんなで千夜の家の前にきてる。パンのお裾分けだってさ。

 

「そういえばシャロの家知らないか?」

 

「来れなかったからシャロちゃをにもお裾分けしたくって」

 

 

「あ、えっと……」

 

何故か千夜が困った表情をすると、隣の少しボロめの物置きからガチャ と扉が開いた。

 

「夕食買い忘れちゃった………ん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「…………………」」」」

 

シャロが出てきた。

 

「千夜ちゃん家の物置きからシャロちゃんが出てきた」

 

「もしかして私たちは…」

 

「大きな勘違いをしていた…?」

 

リゼとチノちゃんが固まってる。

うん、俺もビックリしてる。

 

「い、今まで勝手に妄想の押しつけを…おっお嬢様とか関係なく私の憧れなのでっ!」

 

「ところでシャロちゃんの家はどこ?」

 

「この物置きよ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うちの学校の特待生がいるのは知ってたけど、1年はシャロだったんだな」

 

「何だか言いにくくて……スミマセン」

 

「別に謝る必要はねえよ。俺も特待生だし」

 

「そ、そうだったんですか⁈」

 

今更かよ。まぁ言ってなかったし。

 

「フェアになるよう私の秘密も教えよう」

 

「いっいいんですか⁈」

 

「あのな、うさぎのぬいぐるみに銃のミニチュアを背負わすのにハマってるんだ。こんな趣味おかしいかな?」

 

「わかります!私も人形の近くに小物の食器とか置くの好きです!」

 

リゼの秘密?を聞いた途端、シャロに笑顔が戻った。

てか可愛らしいなリゼ。

 

「……ケイト。今の聞いたのか?」

 

「いんや聞いてない」

 

バレたら暴露大会が始まりかねない。

 

「ケイトくん、これって同じベクトルなのかしら?」

 

知らんがな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「にしても、ケイトは特に気にしないんだな。シャロの秘密知って」

 

「それはリゼもだろ」

 

まぁビックリはしたけど。

 

「……正直、シャロがお嬢様じゃないからって軽蔑しないか心配だったぞ」

 

「何でだよ。別にお嬢様なり何なり友達に変わりはないだろ」

 

そんな要素で友達か否か決めるなんて馬鹿馬鹿しいだろ。

 

「お嬢様じゃなくても友達になったら縁は切れねえよ。軍人の娘さんとの縁も切れねえぐらいだしな」

 

「……ほんと、ケイトはケイトだな」

 

「俺は俺だ。リゼもそうだろ」

 

心配せずとも、これからだって楽しくやっていけるだろ。

 

「………私は友達以上でもいいんだぞ///」

 

「へっ?なんか言った?」

 

「何でもない‼︎」

 

なんか怒られた。

(´・ω・`)しょぼん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また次の日

 

 

「たのもー!」

 

「テンション高い!」

 

明らかにカフェイン酔いしてるシャロと千夜がやってきた。

他に客いたら迷惑だったぞ。

 

「てか何でシャロ酔ってんだよ」

 

「貧乏がバレてしまった恥ずかしさに耐えられないって言うから…ヤケコーヒー巡りを進めてみたの」

 

「「もっと違うものを勧めろ!」」

 

「ちなみに3軒目」

 

中年サラリーマンの飲み会かよ。

 

 

「でも見て。あの晴れやかな笑顔」

 

カフェインでおかしくなってる顔だな

 

「シャロさん……コーヒーが好きになってくれてうれしいです」

 

違うだろ。

 

 

 

「ま、賑やかな方が俺たちらしいな」

 

「だな」

 

願わくば、こんな日常が続いてくれれば……

 

あっ、フラグじゃねえぞ。いやマジで!

 




ハーメルン内全109件のごちうさ作品で、平均評価値がまさかの2位になりました!

ケイト「マジかよ」

マジです!

一つでも誇れる要素のある作品になれたのは今読んでいる皆さんのおかげです!
ありがとうございますm(_ _)m

これからももっと人気がでるよう頑張ります‼︎

「面白半分で評価値1されたり」

ケイト君それは言わんといて!俺が泣くから!
まぁとにかく

重ねて 皆さんありがとうございます‼︎



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29話 リゼの演劇特訓

最近喉がヤヴァイ。
⬇︎
筆談をリアルでやるとは…
⬇︎
龍角散がめちゃくちゃ美味い
⬇︎
もうゴールしていいよね?



「演劇部の助っ人頼まれたから、またバイト休むかも」

 

「あ、俺も俺も」

 

つい昨日、演劇部の人たちに助っ人を頼まれた。

やるのは構わないけどあらかじめバイト休むかもってわけだ。

 

「時々助っ人してる部活って演劇部だったんですね」

 

「運動部もあるけどね」

 

まぁリゼは俺よか運動部に呼ばれるけど。

男のメンツなんてあってないようなもんだ。

 

「リゼちゃん声張るし暗記得意だもんね」

 

「演劇…童話とかいいですよね」

 

「そんなかわいいものじゃないけど」

 

「ところでどんなダークメルヘンやるの?」

 

「「どうしてそうなる」」

 

リゼのことどう思ってるのか聞くのが怖い。

 

「じゃあなにやるの?」

 

「……オペラ座の怪人のヒロイン…ク…クリスティーヌだ///」

 

「優雅でお淑やかなオペラ歌手だな」

 

部長さんはイメージ通りって言ってたっけ。

……リゼが?

 

「…嬉しそうです?」

 

「そんなワケあるか/// ‼︎」

 

だがリゼは笑みを隠せていない。

スッゲェ嬉しそうな顔だ。ニヤニヤ。

 

「落ち着くんだクリスティーヌちゃん!力みすぎて皿が割れそうだ!」

 

「その名前で呼ぶな/// ‼︎」

 

バリンッ

 

「「「「 あ 」」」」

 

 

 

 

 

 

「優雅で おしとやか……」

 

「…ゴメン、弁償する」

 

完全に俺の責任だ。

リゼのパワーは予想外だったけど。

 

いやだって皿割るなんて思わないじゃん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところ変わって甘兎庵

お淑やかって事で千夜に指導してもらうんだとか。

シャロもバイトが終わったら来るらしい。

 

「…で、なんでロゼになったんだ?」

 

「…知らん」

 

何故かロゼの髪型と服装になっていた。服自体は前と違うけど、だいたい同じ。

 

「……フフッ♡」

 

あ、これ絶対お出かけしてるの見たやつだ。

 

「まずはこの花を愛でてみましょ」

 

「…この格好に意味はあるのか?」

 

「形から入るのは大事よ」

 

そういうもんなのかね。

 

「ダメだわクリスティーヌさん!全然腰が入ってなくてよ」

 

ぷんぷん怒りながらメガネをくいっと上げる。

早速キャラがわからん。

 

「ハッこれで殴って人格変えたほうが早くないか⁈頼むケイト‼︎」

 

「その考え自体がダメよ」

 

「てか俺に頼むなよ」

 

鈍器で頭叩くとか余裕で警察行きだ。

 

「物事に全力でぶつかるその姿、とても花盛りの乙女です」

 

「誰⁈」

 

「小説家の青山さんよ。メニュー名を考えるのを時々手伝ってもらってるの」

 

「「共犯者かよ‼︎」」

 

「苦悩の果てに素敵なメニュー名を思いついた瞬間、笑顔を咲かせる千夜さんもまた素敵な乙女です」

 

「詩人だ!」

 

さすが小説家。

 

「そういう青山さんは?」

 

「私はまだ苦悩してます…///」

 

「人の事励ましてる場合か」

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにち…アァァァァァァァァァ‼︎」

 

シャロの出落ちである。

まぁいきなりおかめ面が出てきたら怖いな。

 

「劇の役作りの中だったの……はずし忘れちゃった。シャロちゃんの意見も参考にしたいらしいの」

 

「わかりました……これを使い鬼か仏の気持ちになって先輩に指導しろということですね」

 

「それ関係ないぞ」

 

とりあえずお面は没収で。

般若面付けんでいいから。

 

「習いたいのは上品さなんだ。コツを教えてくれ」

 

「コツと言われても……これは生き抜くために無意識に身についた処世術のようなものでよく分かりません!」

 

「そんな過酷なものだったのか⁈」

 

確かにお嬢様学校に通ってるんじゃ受け答えとか大変そうだな。

 

「なるほど。最近のウェイトレスは世渡りするのも大変なんですね」

 

「この前追い出された人!」

 

一体何したんすか青山さん。

 

「ウェイトレスってホールで舞うアイドルみたいですものね」

 

「そんな風に見えてるんですか?」

 

「同時にホールで戦うファイターでもありますよね」

 

「イメージが主に私じゃないですか‼︎」

 

悪い、俺もシャロで連想してた。

 

「アイドルで……ファイター……」

 

リゼは満更でもなさそうだ。

またフルールのリゼ見たいな。

 

 

 

 

「リゼちゃんの本心を聞きに来たよ!」

 

「ココアにチノちゃん⁈」

 

何故かココアとチノちゃんが来た。

繁盛店だったらタカヒロさんアウトだろこの状況。

 

「「ロゼちゃん(さん)⁈」」

 

あ、そういや二人はロゼって勘違いしてたんだった。

 

「……お久しぶりです!魑魅魍魎も恥じらう乙女です!」

 

……………………∑(゚Д゚)

 

(クリスティーヌが降臨したわ!)

 

(あのセリフ教えたの誰⁈)

 

俺たち3人はもうスゲェビックリした。

いや、スゲェは俺だけか。

 

「ロゼさん!うちの喫茶店に来てくれるの待ってたんです!」

 

「ごめんなさい……。まさか覚えててもらえたなんて」

 

そういえばそんな話もあったな。

……あれ、なんかココアがしょんぼりしてる。

 

「ケイトくん……。チノちゃんって私よりシャロちゃんやロゼちゃんみたいな人に憧れてるんだよね」

 

「……じゃねえの?」

 

さすがにココアだって言うのはココアに良くないよな。

まぁロゼはリゼだけど。

 

「私も自分を磨いて出直してきます!」

 

「あ、ココアさんまだ話は終わってません!」

 

マジでなんなん。

 

「やっぱこんなの柄じゃないよな。疲れるし。役は断るよ」

 

「おいおいなんで止めようとすんだよ!」

 

「そうですよ先輩!」

 

「「やりた『やりたい事を諦める必要がどこにあるのでしょう』…言いたいこととられた‼︎」」

 

なんか悔しい!

 

「ま、まぁせっかく役引き受けたんだ。途中で諦めたら絶対後悔するぞ」

 

「そうですよ!それにその格好すごく似合ってます!」

 

「こんなに可愛いのに勿体ないわ」

 

「………な、なんか今更恥ずかしくなってきたな///」

 

「ケイト君もそう思うでしょ?」

 

「あぁ。超かわいい」

 

「おっお前は平然と何を言うんだ‼︎ ///」

 

照れたのか顔を見せてくれない。耳は真っ赤だけど。

 

「……フフッ♡」

 

「………」

 

千夜はなんかありそうな笑み、シャロは頬を膨らませてご機嫌斜めだ。

俺なんか悪いことしたか?

 

「……やっぱ、勢いで来たけどこういうのって人に聞くもんじゃないな」

 

「聞く相手が悪かったのよ」

 

自分で言うんかい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日

 

 

「…銃持って怪人と戦ってる」

 

写真にはファントムに銃を向けたり手榴弾持ってるリゼ。

うん、俺もこうなるとは思わんかった。

 

「最初から脚本を私のキャラに合わせたかったみたいだ」

 

「ファントム……なんで逝っちまったんやファントム……」

 

「役やったからって感情移入しすぎだ」

 

「しゃあねえだろアレは‼︎マジで逝くなよファントム‼︎」

 

いやまぁ実際は逝ってないけど。

Love Never Dies っちゅう10年後の作品あるし。

 

「本当にファントムが好きなんだな」

 

「……そりゃあ誰よりも人間だったし」

 

ホント、過激なクリスティーヌはともかく劇や原作は良かったよ。

確かファントムのラストは……

 

 

 

 

「……you alone can make my song take flight.

it's over now the music of the night.」

 

 

君だけが私の歌を羽ばたかせることができたんだ

それは今終わった、 夜の音楽……

 

 

 

 

「……互いに羽ばたかせ合える奴と、そんうち結ばれたいな………」

 

「……わ、私は………それでも……///」

 

「あーーファントム逝くなよーーーー」

 

「………聞けよ」

 

なんか汚物を見るような目で見られた。

 

 

 

「とにかく、せっかくお淑やかさのコツが分かってきたのに、悔しいから別の役でリベンジしてやる!」

 

「そんなのダメー‼︎」

 

「似合わない役はやるなと⁈」

 

さっき聞いたが、いなくなったら寂しいとのこと。

 

 

……案外、今でも充分みんなで飛べてるかもな

 





ちなみに作者は演劇得意です。

ケイト「どんぐらい?」

怒る演技で子供が号泣する程度には………

「ドンマイ」



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30話 リゼたちと映画館へ

自分の髪型がオールバックだって気づいたこの頃



学校

 

普段はリゼと帰宅だけど、今日は珍しくシャロもいる。

 

「待ち合わせは直接映画館でいいんだっけ」

 

「はい」 「そだよ」

 

これから俺ら3人にココア、チノちゃん、千夜を加えた6人で映画を見に行く。

しかも見るのは青山さんの『うさぎになったバリスタ』だ。楽しみでしょうがない。

 

「…………Zzz」

 

「…シャロ?」

 

「ふぇっ!」

 

…寝てたな今。

まぁいつもバイト頑張っているししょうがないか。

 

「……ところで待ち合わせは直接映画館でいいんだっけ」

 

「「えっ⁈」」

 

何故かまた同じことを聞いてきたリゼ。てかよく見たら目の焦点が合ってない。

こりゃリゼも半分寝てるな。

 

「おいリゼ、目を覚ませやい」

 

リゼの頬をペチペチと超軽く叩いて起こす。

こうして触ると、柔らかくてやっぱ女の子だなって感じる。

 

「……う、う〜〜ん。……眠い」

 

「だろうな。こんまんまじゃ映画館で寝ちゃうぞ」

 

もちろんシャロも。

おれ?俺はちゃんと寝たよ。

 

「す、スマン……」

 

「おおかた楽しみで眠れなかったんだろ?」

 

「 ⁈ な、何故わかった/// ⁈」

 

「………マジかよ」

 

「なっ⁈」

 

ぶっちゃけ当てずっぽうだわ。

にしても随分可愛らしい理由だな。

 

「おまえって奴はーーー/// ‼︎」

 

「待て待て落ち着けやい。眠気覚めたやん」

 

「……あっ、確かに」

 

「よかったじゃん。じゃ、行こうぜ」

 

2人、主にリゼからちょっと離れて前を歩く。

なんか恥ずいしな。

 

「……ホント、お前って奴は……」

 

……あれ、まだ怒ってる?

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、雨じゃん」

 

校舎を出ると、雨が降っていた。

 

「雨⁈傘持ってないのに!」

 

「困ったな」

 

2人は傘忘れたっぽいけど…

 

「俺持ってるぞ」

 

備えあれば憂いなしってね。

 

「3人は無理だし2人で使ってくれ。俺は鞄で行くよ」

 

「でもケイトが風邪を引くかもしれないし……そうだ!こうすれば!」

 

すると、リゼが俺の右腕に抱きついてきた。

 

「これだったら雨に濡れないだろ?」

 

「いや、たしかにそうだけど……さすがに恥ずい///」

 

「わ、私だって恥ずかしいぞ/// ‼︎」

 

だったらやめてくれよ!

おもきしリゼの大きめな膨らみが当たってヤバイ!

 

「ほら、シャロも入れよ!」

 

「は、はい!」

 

今度はシャロも入ってきた。

左側にきたシャロだけど、何故かシャロにはあまりパニックにならない。なんでやろ?

 

あっ!膨らみあんまないから………

 

「…イマナニカンガエテマシタカ?」

 

「ナナナナンデモナイヨアハハハハ!」

 

だからその眼で俺を殺せそうな顔やめて!

 

 

 

 

結局押し切られ、マジで3人で傘を使った。

リゼの膨らみもヤバイけど、周りの視線もツラかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

無事?に映画館にたどり着き、びしょ濡れのココア、チノちゃん、千夜と合流した。

 

「ちゃちゃと中入ろうぜ」

 

「これ使ってくれ」

 

リゼが取り出したのは、体育で使わなかったタオルだ。俺は持ってきてない。

 

「ほらほらちゃんと乾かさないと髪に変な癖ついちゃうわよ」

 

「もうっ!お母さんじゃないんだから!」

 

みんな回して使うが、シャロはなんか頭が爆発してる。

 

「頭拭いてあげるねー」

 

「いいです、私はあまり濡れなかったので」

 

「チノちゃんは傘持ってたのか?」

 

「途中でティッピーが持ってきてくれました」

 

「スゲエなティッピー」

 

もはやウサギの能力を超えている。

ティッピーがテレビに出る日がくるかも。

 

「そういえばこの前の、先輩が演じた劇見ました。かっこよかったです」

 

「思ってたのと違っただろ」

 

銃向けられたしね。

……いや、それはたまにあるか。

 

「リゼちゃんが銀幕デビューの日も近いね」

 

「寂しくなりますね……」

 

「話を膨らませるな」

 

「もしヅカ的な歌劇団に入っても私の事忘れないでください!」

 

「入らないから!」

 

「甘兎・ザ・ムービーが上演決定の際はぜひ主演女優に……」

 

「お前の野望はどこまででかいんだ!」

 

千夜もう小説家目指せよ。メニュー名とか独特だし。

 

 

 

 

 

 

 

 

上映後

 

映画は原作を忠実に再現していてよかった。

確か青山さんはラビットハウスをモデルにしてるって言ってたし、今度色々話を聞いてみよう。お爺さんの事とか。

 

「後半寝てたんですか⁈凄く良かったのに皆さんと語り合えないじゃないですか‼︎」

 

「でも小説は読んだから〜」

 

チノちゃんが熱い。まぁ気持ちはわからなくはないけど。

 

「とにかく映画よかったよな?」

 

「「「………」」」

 

………マジかよ。

 

「一応聞いておくけど理由は?」

 

「映画館が初めてでスクリーンのデカさに感動してて……」

 

「新作のメニュー名に……」

 

「お腹が減って……」

 

とりあえずシャロには売店の食べ物奢った。

 

 

「でも主人公のうさぎになっちゃったお爺ちゃんかっこよかったね!」

 

「ライバルの甘味処のお婆さん、あの情熱には心打たれたわ!くだらないことで争ってたけど」

 

「どこかで聞いた話ね」

 

確かモデルは甘兎って言ってたっけ?

 

「お爺さんも良かったけど、ジャズで喫茶店の経営難救ったバーテンダーの息子さんはもっとカッコよかったな!」

 

「まるで父みたいでした!」

 

「ムキーッ!」

 

何故かティッピーが怒った。

なんか悔しそうだな。

 

「おぉ今日のティッピーは表情豊かだね!」

 

「一番楽しんでたんじゃないか?」

 

「案外ティッピーにお爺さんの霊ついてるかもな」

 

「 ⁈ 」

 

あれ、なんで驚くんやチノちゃん?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

 

「私もバリスタ目指してみようかな。それでリゼちゃんとケイトくんがバーテンダーかソムリエになるの。大人になってもここで4人で働けたら素敵だよね!」

 

「確かにそれもいいな」

 

「けど、パン屋さんと弁護士はもういいのか?」

 

「あ、最近小説家もいいなーって」

 

もうちょっと将来の夢絞れよ。

 

 

 

 

「確かケイトは色々な所に引っ越してたんだよな?」

 

「そだよ」

 

姉さんの仕事でね。

 

「また引っ越すことは……」

 

あぁ、なるほど。いつか引っ越しちゃうかもって不安なんだな。

 

「だいじょぶだいじょぶ。どこにもいかねえよ」

 

姉さんは今は外国だ。

元々ここに残り続けるつもりだし引っ越すことはない。

それに……

 

「せっかくリゼに会えたんだし、離れるのは俺もやだよ」

 

……なんか恥ずかしい///

リゼも後ろ向くけど耳まで真っ赤だ。

 

「……お前はよくそんな恥ずかしいことを………///」

 

「わるかったな/// ‼︎」

 

 

まぁ、離れるかもって心配してくれたのは

マジで嬉しかったわ。

 

 

サンキューな、リゼ。

 




『このすば』とか『艦これ』の創作や『小説家になろう』でオリジナルやってみたい。

ケイト「今やったら更新速度さらにヤバくなるがな」

………
せめてワンパンマンの方原作に追いついたらやろう


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31話 リゼと失職の青山さん

今日はリゼが部活の助っ人に駆り出されてるんで、俺一人で下校中だ。

 

欠伸しながら歩いてると、紙飛行機が飛んできた。

当たりそうだしキャッチしたが、何か書いてある。

 

「えっと………『失職』?」

 

「すみませーん!」

 

そこのベンチの方から女性が走ってきた。青山さんだ。

 

「すみません思わぬ方向へ」

 

「別にいいですけど、この失職は一体……」

 

「その……辞めたんです 小説家」

 

………マジですか。

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ⁈青山さん小説家辞めちゃったの⁈」

 

次の日、青山さんをラビットハウスに連れていった。

 

「就職先に困ってたし、とりあえずラビットハウスに来てもらった」

 

ちなみに青山さんは女性用バーテンダーの制服を着てる。

 

「すごくピッタリです。まるでこの仕事が天職かのような……」

 

「本当にそれでいいのか?」

 

他に策ないししゃあない。

 

「そういえば、ケイトさんはラビットホースの仕事は大丈夫なのですか?」

 

「………最初からラビットハウスのバイトです」

 

今更ラビットホースのネタくんのかよ。

ほら、ココア恥ずかしくて震えてるし。

 

「と、とにかく人数が増えてぎゅうぎゅうだね!」

 

話題逸らした。

まぁ客がすごいわけでもないのに5人はちと多いか。

 

「青山さんが入るのはバータイムなので今は見学してもらってるだけですけど」

 

「どうか気を使わずに。拾ってきた動物のようなものと思ってください」

 

「「ダメだろ!」」

 

つい頭ん中で青山さんinダンボールが浮かんだのは内緒だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、青山さんの話を聞いた千夜を連れてくと……

 

『人生相談口』

 

「あの受け付けよく出来てるでしょ!私の力作!」

 

変な窓口ができてた。

 

「このお店に貢献するために、自分にしか出来ない事をやろうと思いまして」

 

それでどうしてこうなったんや。

 

「私は人のお話を聞くのが好きなので相談口を。バータイムでタカヒロさんがお客さんの愚痴を聞いているのを参考にしました」

 

「素敵!とてもいい考えだと思うわ!」

 

千夜も気に入っちゃったか。

 

 

 

 

『手相占い』

 

「なんか手相占いが増えてるし」

 

リゼ、考えるだけ無駄だ。

 

 

二つの窓口ができたが、それから数時間誰一人相談や占いに来る人はいなかった。

まぁ元々人少ないししゃあない。

 

何故か皆さん愚痴って下さらないんです」

 

「相談口意味ないな」

 

「ミステリアスな感じだから一歩引いちゃうのかもね」

 

「そういう問題か?」

 

俺に聞くなよリゼ。

 

「マスターは人のお話を聞くのがお上手でした。私もそんな一息つける存在になれたらと……」

 

「ファンシーさがもっと出たら学生の子も話しやすいかしら」

 

「ぬいぐるみを配置してみましょう」

 

そういってチノちゃんは青山さんの周りに可愛らしいぬいぐるみを置く。

ってかそれチノちゃんの私物かな?

 

 

「こ、こんな可愛らしい物に見つめられたら……呪われるっ‼︎」

 

「「呪われる⁈」」

 

なんかもう収拾がつかない。

 

 

 

 

「日々思い悩んでいそうな子を連れてきたわ」

 

「千夜から日頃の鬱憤を発散しろって言われて来たんだけど……」

 

シャロが人生相談に連れてこられた。まぁバイトばっかにお嬢様学校やから悩みもあるか。

手相占い?そんなものはなかった。いいね?

 

「よくいらっしゃいました。おもてなしのコーヒーです」

 

「ストップです。別ん飲み物にしてください」

 

シャロが覚醒したらさらに面倒くさくなる。

 

「そ、そうです!それにこの後バイトがありますし……」

 

「あ、それ私がブレンドしたんだ」

 

「先輩が⁈飲みます‼︎」

 

リゼがブレンドしたと言うと、シャロはコーヒーを一気飲みした。

はぇぇよ心変わり。てか熱いだろうに。

 

「はれ……?何から涙出てきた……」

 

「まさかブレンドの具合によって酔い方が変わる⁈」

 

「嘘だろ⁈」

 

でも実際シャロはいつものハイテンションじゃなく、どっちかて言うと泣き上戸な感じになってる。

 

「リゼ先輩ー……。今月厳しくて……うさぎも噛んできたりして……グスッ」

 

「…まぁ落ち着け」

 

「俺のメロンパンやるよ」

 

いつの間に俺とリゼがシャロの相談に乗っていた。

とりあえず酔い覚ましに水用意するか。

 

「私もそういうのがやりたかったんです!」

 

なかなかどうしてうまくいかない。

すると、今度はココアがなんか手紙を出した。

 

「悩める相談者からお手紙が届いたよ」

 

「ご意見BOXみたいになってきたわね」

 

 

 

『妹が野菜を食べてくれません。このままじゃいつまでたってもちっちゃい妹のままです。そのままでも全然オッケーなのですが、セロリが嫌いな子でも食べられるお料理を教えてくれるとうれしいです』

 

 

「ケイト、これって……」

 

「……チノちゃんだね」

 

チノちゃん顔真っ赤だ。

 

「お手紙貰ってきました!自称姉が自分も嫌いなのに野菜を押し付けてきて困ってます!」

 

どっちも直接言えや。

 

「……その、私も相談が……」

 

あら、リゼもお悩み相談か。

 

 

『とあるやつが一向に私の考えることに気付かない。でもまだそれを言うのは恥ずかしくて………

私は一体どうすればいいんだ‼︎』

 

 

手紙にした意味がわからん。

それととあるやつって誰だろ?

 

「リゼさんはその人とどのような関係でありたいんですか?」

 

「それは………やっぱり大切な……でも、今の関係が壊れるのも…」

 

「今の関係も大切なら、まだそのままでもいいと思いますよ。でも、変わりたい気持ちがあるなら、手遅れになる前に決心しないといけません」

 

「決心……」

 

「焦らずゆっくり、今の関係での思い出を作っていってはどうでしょうか?」

 

「……そうですね。相談ありがとうございます!」

 

「いえいえ」

 

どうやらいい感じにまとまったようだ。

 

「……ふふ♡」

 

青山さんが、何故か俺とリゼを交互に見て含みのある笑みを浮かべた。

………いつかの千夜も同じ感じの笑みしてたな。

俺にはよくわからん。

 

 

 

「それにしても、そんな簡単に小説家やめちゃってよかったんですか?」

 

酔いの覚めたシャロが聞く。

確かにだいぶアッサリやめちゃってたしな。

 

「本当は続けていたかったんですが……」

 

「やりたいこと諦めるなって私に言ったのは誰だよ!」

 

「リぜちゃんがアツイ‼︎」

 

劇のときとか教わった事もあって、リゼにも思うとこがあんだろう。

いいねぇ、情に熱いって。

 

「実はマスターから頂いた万年筆を無くしてしまって以来、筆が乗らなくて……他の万年筆ではダメなんです」

 

「確かに、手に馴染んだ物じゃないとなぁ……」

 

「共感すんのかよ!」

 

あとその指の銃やめて。怖いわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は万年筆の話を聞いてすぐ、青山さんに初めて会った公園に来た。

俺に会う少し前にココアに会ってたのは驚いたが、とにかく初めて会った時に無くしたらしい。そんなわけで来た。

 

「…リゼまで来なくてよかったんだぞ」

 

「お、お前一人だと心配だからな!」

 

「へいへい」

 

ついでにリゼもついてきた。

情けなくて悪うござんしたね。まぁ人手が多いにこしたことはないけど。

 

「それにしても、いきなり探しにいくって言ったのは驚いたぞ」

 

「これぐらいは俺にもできるからな」

 

「でも……そう都合よく見つかると思ってるのか?」

 

「思ってねぇよ」

 

「……え?」

 

意外そうな顔をして固まるリゼ。

 

「知り合いが困ってる、それだけで行動する理由は十分だろ。見つかる見つからない関係なく。

探さないで後悔すんなら、探すだけ探して後悔する方がいいだろ?」

 

 

「……ホント、お前はお人好しだな」

 

「一緒に探してくれるリゼもな」

 

そうは言ってもそろそろ日が暮れそうだし、とりあえず続きは明日に……って、なんか茶色んウサギが足元にいる。

 

…あれ?こいつって確か前シャロ通せんぼしてた、今度遊ぼう言ったウサギじゃん。

 

「…ん?ケイト、そのウサギが咥えてるのって……」

 

………あっ、万年筆。

 

 

 

 

 

 

 

 

無事万年筆が戻ってきた青山さんは小説家に戻って、早くも新作の『カフェインファイター』を出版した。

ちなみにシャロがモデルらしい。

 

バーテンダーもハマったらしく時々手伝ってくれてる。

 

今もラビットハウスで執筆中だ。

 

「ケイト、そのウサギはどうした?」

 

「なんか懐かれてな」

 

今俺はあの茶色ウサギをナデナデしてる。

あの一件でナデナデして以来やけに懐かれたんで、飼うことにした。今日はティッピーに挨拶。

 

「………私も撫でていいか?」

 

「おk」

 

こいつんおかげで見つかったしな。やっぱり情の一つや二つは湧く。

もちろん一緒に探してくれたリゼにも感謝してる。

 

「ありがとな、リゼ、『アミ』」

 

またあんときのお礼を言うと、茶ウサギは誇らしげな顔をした………気がする。

リゼの方は撫でるのに夢中で聞いてない。ま、いっか。

 

 

 

こいつん名前は『アミ』にした。

 

アミ ちゅう名前の意味は……

 




チノちゃん万年筆探しに漫画っぽく連れてけなかったのは残念だわ。悔しいわ。

ちなみに茶ウサギの名前はタックと悩んでいたけど、可愛らしいしアミにした。

ちゃんとアミっちゅう名前に意味あんので。


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32話 リゼ meet 姉さん

体育祭に今日の東進の模試……

短いのとか色々勘弁してくだせぇm(_ _)m


「……なんであそこで甲羅を投げた?」

 

「い、いや……普通に勝つためで……」

 

バイトもない休日

うちん家でリゼとマ◯カーをやってた。

 

楽しいよね マリ◯ー。

 

「そういえば、何故Wi◯リモコンが2つあるんだ?一人暮らしなのに」

 

「あぁ、姉さんの分。たまに遊んでた」

 

リゼと遊ぶために買うほど俺は気が利いてるわけではない。

いつ姉さんが顔を見にきても問題ないよう、指定された姉さんの物は家に残してある。

 

 

 

ピンポーン♪

 

 

 

ピンポンの音が鳴った。

リゼぐらいしか家に来る仲いないのに珍しいな。

 

「悪い、ちょっと待っててくれ」

 

「わかった」

 

ゲームを中断して玄関に向かった。

押したのがリゼじゃないっちゅうことは……

 

 

 

「やあ!久しぶりだね 少年!」

 

 

 

ドアを開けると、俺より5センチほど高いショートヘアの女性がいた。

まぁ、女性っていうか……

 

「久しぶり、姉さん。だいぶ急だね」

 

「ま、いいじゃない。困るわけでもないんだし」

 

姉さんが家に来た。

正確には帰ってきただけど。

 

 

 

 

 

 

「あれ⁈これって女の子の靴じゃない‼︎」

 

「ん?そうだけど」

 

「ま、まさか友達のいない少年に彼女が⁈」

 

「違うから。あと友達いるから」

 

リビングで一緒に◯リカーやってたし。

 

「彼女と乳繰り合ってるならしょうがないね。邪魔なお姉ちゃんは帰るわ」

 

「ぶっ◯すぞ」

 

姉さんは普段は普通なのに、何かあると結構変だったり話を聞かなかったりする。

弟のこと少年って呼ぶあたりスタートから変だったし。

 

「何か騒がしいがどうした?」

 

「紹介するわ。俺ん姉さん」

 

「ケ、ケイトのお姉さん⁈」

 

イキナリではあるけど、ビックリしすぎじゃね?

 

「あら〜、なかなか可愛い子じゃない♪やるじゃないの少年!」

 

何がだよ。

 

「あたしは『黄金 愛』よろしくねん♪」

 

「え、えと……天々座リゼです。ケイトの、その…友人です」

 

「ふむふむ、リゼちゃんね。……少年!この子と話があるからちょっとトイレにでも行きなさい!」

 

「いいけど…」

 

どういう意図かさっぱりだけど、まぁ困ることもないし、俺は会話が聞こえないよう部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、リゼちゃん。少年のどこに惚れたの?」

 

「なっ⁈なにを……‼︎」

 

「わかるわよあたしには。ほろほらお姉さんの私にぐらい教えてくれてもいいじゃない♪」

 

「…………言わないでください。ケイトには」

 

「あったりまえじゃない!そんな野暮なことしないわ」

 

 

 

 

最初はバイト仲間とか

同じクラスの友人とかそんな感じだったのに……

 

 

あいつはいつだって真っ直ぐで、優しくて……

 

 

アホな所もあるけど

ときおり本気で私の事を思ってくれて……

 

 

真っ直ぐ私の瞳を見てくれるあいつが

 

気付いたら…………

 

 

 

 

 

 

「いや〜若いっていいわね♪

嬉しいよ、 …ケイトの事を本気で思ってくれて」

 

「本気といっても、気付いたらって感じで……」

 

「人を好きになるのに理由なんていらない‼︎

あのアホには苦労するだろうけど、あたしは応援するわ‼︎」

 

「……なんていうか、本当にケイトのお姉さんですね。真っ直ぐ真剣な人で」

 

「……ま、真剣すぎてわかってないアホもいるけどね。

 

とにかく!せっかくだしケイトと何があったか色々聞かせてちょうだい‼︎」

 

「はい!じゃあまずは初めてあった時の事を……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………まだかな。俺だけ会話に入れてもらえない。

 

 

結局4時間ほどリビングには入れさせてもらえなかった。

 

あと2人超仲良くなってた。




姉さんの見た目は、まぁ『バカテス』の吉井玲がイメージに1番近いかな。

「俺の姉さんは弟を異性として見てる面白恐ろしい人なのかよ」

見た目だけ。
俺だって素で死ねっていう妹異性として見るなんて考えるだけで吐くわ

「……リアル妹持ちも大変だな」


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33話 リゼたちとチマメ隊

試験1週間前で大変だお( ^ω^ )


いつも通りラビットハウス

 

いや、今日はココアがいない。確か千夜ん家で勉強合宿するとか言ってたっけ?

 

「ココアこの連休は千夜の家なんだって?」

 

「ぽいよ。静かだな」

 

「いえ……これから騒がしくなります」

 

「「なんで⁉︎」」

 

「今日からメグさんとマヤさんがお泊りに来るんです」

 

なるほど、確かに騒がしくなるな。

なんて納得してたらちょうど2人が来た。

 

「やっほ チノー」

 

「お世話になりま〜す」

 

「……ココアって割と間が悪いよな」

 

「チノの笑顔のときもパン見にいってたしな……」

 

いたら超喜んでたろうな。

 

「にしても小さいの3人がうろつくと名前を間違えそうになる」

 

「私も⁉︎」 「ちゃんと覚えて!」

 

「まぁまとめてチマメって呼ぶか」

 

「なんかヤダ‼︎」

 

リゼ案のチマメは不評だった。

 

 

 

 

 

 

 

マヤとメグも働くことになった。

 

「ほら 働くなら私の制服着たいんだろ」

 

「いいの⁉︎」

 

「私はバーテンダー服借りた」

 

マヤはリゼが着てる制服、メグがココアの着てる制服を着るっぽい。

にしてもアリだな。バーテンダーのリゼ。

 

「ハンドガンも貸してくれたり?」

 

「調子に乗るな」

 

まず普通にハンドガンがあることがおかしい。

すごい今更だけど。

 

「私のレベルじゃまだ制服までってことみたい」

 

「じゃあもうちょっと経験積まないとね〜」

 

「チノ!レベルアップさせて!」

 

「ティッピーは魔物じゃないです!」

 

「じゃあアニキ特訓して!」

 

「箒振り回しながら近寄らないで!」

 

危ないから!箒普通に痛いから!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねー私にもアルゼンチン教えて」

 

「社会の宿題でも教えて欲しいのか?」

 

「アルデンテのことじゃないかなぁ?」

 

「通訳かっ⁉︎」

 

「メグさん達は以心伝心なんです」

 

スゲエな以心伝心。

ちなみにアルデンテは『麺が完全に茹で上がらずに麺の中心が髪の毛の細さ程度の芯を残して茹であげること』だ。あとでゆっくり教えよう。

 

「私たちも心が通じ合えば仕事の効率も上がると思うんです」

 

「心が……通じ合えば……」

 

「なんで俺を見る?」

 

まるで俺が分からず屋みたいだな。一応リゼの考えそこそこ分かるようになってきたのに。

 

「まぁ言葉なしで通じ合いたいならハンドシグナル教えてやるよ」

 

「そんなの使わないです」

 

あーー、ハンドシグナルか。とうとう俺も軍隊式のヤツ覚えちゃったんだよなぁ。

サバゲーでも少しはやってけるレベルだわ。

 

「じゃあリゼ!私は今何を思ってるでしょう?」

 

「うん?えーと、銃貸してとか?」

 

「はいはい!温泉プール行って疲れをとろう?」

 

「正解!」

 

「「分かるか‼︎」」

 

マジで以心伝心スゲエな‼︎

いつかリゼともこの域で以心伝心になれるだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

ってなわけで舞台は温泉プール。

レンタル水着を借りて入ったが……

 

「…なんで姉さんがいるの?」

 

「あらあら少年!女の子達と来るなんてやるじゃない♪でも中学生は守備範囲に入れちゃダメじゃない、ねぇ青山さん?」

 

「私はケイトさんの好みを尊重しますが…」

 

「ひっでぇ風評被害だ」

 

てかいつの間にか青山さんと知り合ってたのか。

 

「ケイト………おまえっ……まさか⁈」

 

「やめろぉおおおおおおおおおおおお‼︎」

 

ちびっ子は守備範囲に入らないから‼︎

だからゴミを見る目はやめてくれ‼︎

 

 

 

無事?3人の誤解を解くと、二手に分かれて銃撃戦をやることになった。

水鉄砲だよ。リゼいるけどモノホンじゃないから。

 

「今何か失礼なこと考えなかったか?」

 

リゼとは割ともう以心伝心かなって。

 

まぁとにかくジャンケンで分かれた結果

 

マヤ メグ 俺 チーム

 

リゼ チノ 姉さん チーム となった。

 

青山さんは見るだけっぽい。

 

「よーし スタートだ!」

 

「スゲエ生き生きしてるな」

 

「輝いてますね」

 

楽しそうでなによりだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ティッピー‼︎」

 

マヤの仕掛けた青山さんによるティッピー兎質作戦も効かず、メグがやられた。

 

「マヤさんはどこですか?」

 

「あっち!」

 

「メグのあほー!」

 

あっマヤもやられた。

これで3対1………いや

 

「あちゃー、やられちゃったよ」

 

「愛さん!やられたんですか⁈」

 

「いやぁやるよ少年。なにか訓練でもしたのかなぁ?」

 

たぶんリゼの影響。

 

「ところでケイトは?」

 

「ここだ!」

 

「「⁈」」

 

俺は姉さんの後ろに隠れ、2人の視界に移らないようにしてたのだ!

予想外の場所から出てきた俺に反応が遅れ、リゼとチノは俺の凶弾にさらされる。水だけど。

 

「勝った!第3部完‼︎」

 

「何が完だ?」

 

いや ついノリで。

一か八か姉さんの後ろを視界に入らないよう歩く大変な策だったし。バレたら即負けたし。

 

「にしてもすごい潜入技術だな‼︎今度一緒に

サバゲーに行かないか⁈」

 

どうやら潜入の腕を買われたようだ。まぁ楽しそうだし行くけど。

 

 

 

「せんせ〜 お風呂上がりに牛乳飲も〜」

 

「先生?」

 

「リゼの事 先生だって!」

 

「あっ!つい学校にいる感覚だった〜/// 体育の先生みたいだからかなぁ」

 

「先生……教官ではなく……///」

 

リゼが先生か。生徒想いのいい先生になりそうだな。

 

「少年も進路考えないとね〜」

 

「わーってるよ。…あと青山さんはなんで後ろに?」

 

「担当さんがここまで原稿を取りに来たのかと…」

 

ちゃんと原稿出しましょうよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

「今日はお客として入ってみよう!」

 

「たまには悪くねぇな」

 

確か今日も3人で働いているはずだ。

 

 

 

 

「「「 お帰りなさい‼︎

 

お姉ちゃん! お兄ちゃん! 」」」

 

 

店を間違えたようだ。

 

「いやぁ妹たちに囲まれて幸せね〜♪みんなかわいい♡」

 

姉さんはもう可愛らしい妹達に夢中になってる。

 

「いつからここは妹喫茶になった?」

 

「なな何してる!一列に並べー‼︎///」

 

「教官とアニキには効かなかった!」

 

「リゼさんはちょっと照れてます」

 

普段と違うメンツでも、やっぱり俺やリゼの周りは賑やかだ。

 




ツイッターでは言いましたが
来週あたりは試験でガチで忙しいので
来週は更新を休みます

本当にスミマセンm(_ _)m

一応受験生なので勉強おろそかにするわけにもいかないので……
私事で本当にスミマセン




ご感想ご指摘ご評価お待ちしてます


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34話 リゼたちとお洗濯

試験大変だったお( ^ω^ )




俺ことケイトは今みんなで洗濯をしている。それも手洗いだ。

チノ家の洗濯機が壊れたんで、ラビットハウスの制服をみんなで手洗いすることになった。ちなみに千夜やシャロも手伝ってくれてる。

 

「ケイト、これって洗濯か?」

 

リゼが言うのも無理はない。

ココアやチノちゃんはシャボン玉を作るのを頑張っていてはしゃいでる。

普段クールだけどそこんとこはチノちゃん子供らしいな。

 

「私の渾身のシャボン玉が……儚いものね。私の人生もきっと……」

 

「千夜ちゃぁぁぁぁぁぁん!」

 

「本当に洗濯してるのか?」

 

俺が聞きたいわ。

 

純粋に洗濯を頑張ってるのはシャロとリゼと俺の半分。頑張らない人を見てると俺も頑張りたくなくなってくるし、もうちとちゃんと洗濯してほしい。

 

「リッリゼ先輩!その制服洗いましょうか?」

 

「いいのか?」

 

普段手洗いをしてるのか一番ハイペースのシャロは、リゼの制服も洗ってくれるようだ。

リゼにいいところを見せれてイキイキしている。

 

「気合い入れすぎて破かないようにね」

 

「そんな失敗ありえな………ハッ!」

 

制服を見てみると脇が破れていた。

シャロは気合いで破っちゃったと思ったか、めっちゃ青ざめてる。さっきまでのイキイキ顔が嘘みたいだ。

 

「あ、そこ昨日引っかけて……」

 

「これって軍法会議にかけられますか……?」

 

「落ち着け!何言ってる⁉︎」

 

シャロはガタガタ震えて涙まで流している。ガチ泣きだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

シャロが軍法会議にかけられることもなく洗濯してると、ココアがカーテンを持ってきた。

流石に手洗いでは無理じゃね?

 

「大丈夫!手洗いの底力見せてあげるよ!」

 

結局、ビニールプールに入れてみんなで踏んで洗うことになった。

足洗いだね。踏んで洗うのはわかるけど。

 

「流石に素足じゃ冷たいな…………キャッ!」

 

「おっと危ない!」

 

バランスを崩したリゼを先に入ってた俺が受け止める。

俺の胸元にリゼの顔がある状況だ。

こうして抱きかかえてみると、柔らかくてリゼも女の子だなって感じるな。

 

「とりあえず濡れなくてよかっ……リゼ?」

 

「うなぁああああああああああ‼︎」

 

「ヘブシッ⁉︎」

 

リゼが震えてるなって思ってると、いきなりプールの底に叩きつけられた。

 

「あっ‼︎すっすまないケイト!」

 

「プハァッ! あー大丈夫大丈夫」

 

まぁ流石にちょっと恥ずかしいことしちゃったしな。しゃあない。

とりあえず服がびちょびちょになったし、まだ洗ってない俺の制服に着替えるか。

 

「ふふ♡」

 

俺とリゼの光景を見た千夜の笑みに、俺が気づくことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

一時間後

 

カーテンの洗濯は未だに終わらない。女子たちは体力も尽きかけ足の動きが鈍くなっている。

リゼは男子顔負けの体力あるし大丈夫だ。女子のカテゴリーに入れてない。

 

「何か失礼なこと考えたか?」

 

「ソンナコトアリマセン」

 

心読むのは反則。

まぁとにかくカーテンの洗濯が終わらない。

 

「人間の力じゃ機械に敵わないの⁉︎」

 

「諦めちゃダメよ!力を合わせれば必ず勝てるわ!」

 

あんたらは一体何と戦ってるんだよ。

するとココアは一人プールから出ておもむろに両手を挙げた。

 

「み みんな…!私に力を貸してー!」

 

「貸してるから戻って足動かせ。あとケイトも何で手を挙げてる?」

 

「いやもうやるしかないと」

 

両手を挙げて力を貸してって、ドラ◯ンボールじゃん。元◯玉じゃん。

ド◯ゴンボール知ってたらやるしかないだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わったー!」

 

あの後なんとかカーテンの洗濯機を済ませ、一気に残りも終わらせた。

 

けど、みんなの制服は所々ほつれていて、直す必要があるようだ。

 

「いい機会なので制服をリニューアルしますか?」

 

「「「リニューアル⁉︎」」」

 

「それならミニスカートの着物なんてどう?」

 

「絶対フリル付きのエプロンドレスよ!」

 

お二人さんの案は却下で。違う店になるわ。

 

「着ぐるみがいいなぁ。ティッピーの」

 

ダメ。

なんか悲しそうな顔してもダメ!

 

「でも、この制服それなりに愛着があるんだよな」

 

「わかります。私も今ではうさ耳がない仕事服は落ち着かなくて」

 

シャロ、それ洗脳されてる。

思わず可哀想な人を見る目で見ちゃったけど、一瞬リゼもしてたし許してほしい。

 

「先輩のフルールの制服姿もすごく似合ってましたよ!」

 

「うちの制服も着こなせてたわ」

 

二人に言われてリゼも満更ではない顔をしている。

確かに普段と違う服のリゼも可愛かったな。フルールのは少ししか見れてないけど。

 

「いっ今出た案をローテーションで回すのは……」

 

「リゼちゃんもティッピーのコスプレしたいの」

 

違うそうじゃない。

 

「リゼもたまにはフルールの制服姿見せてくれ」

 

「土下座するなよ」

 

これは誠意を持ってお願いをしているだけなんだ!

プライド?プライドで生きていけるか‼︎

 

 

 

 

リゼのメイド服姿を見れるのはもう少し先のことであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

ココア、チノ、そしてリゼの制服がリニューアルされた。

 

……フリル付きで。

 

「せっ先輩⁉︎すごくプリティです‼︎」

 

「仕事終わったら直すから何も言うな……!」

 

リゼも恥ずかしくて顔が真っ赤だ。

でも直すのはなんかもったいない気がするなぁ。

まぁいいや、カメラ持ってきたし。

 

「なっ何を撮ってるんだケイト‼︎」

 

「えっ、可愛いリゼを………かっ返せ俺のカメラ‼︎」

 

それには今撮った可愛らしいリゼの写真が‼︎

やっやめろー‼︎投げるフォームなんてしちゃいけない‼︎

 

 

 

バギッ‼︎

 

 

 

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ(号泣)

 





つい先週、とある部活に 文化祭でやる劇の助っ人を頼まれました。

リゼも劇の助っ人やってたんで勿論即決でした!

……でも、なんの劇やるか決まらないんスよ(T ^ T)

異能とか無しで男女比良さげな作品って、なかなか思いつかないね。


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35話 リゼと行く!シャロの恐怖の現場

いつも通りリゼと帰宅中、シャロが相談に乗って欲しいとやってきた(リゼの元に)

なんでも、シャロの家で怪奇現象が起きてるらしい。

 

①家中から変な物音

 

②帰ると部屋に葉っぱが盛られてる

 

 

何というか◯リエッティあたりが借り暮らししてそうだが、まぁそんな訳もないし2人で解明しに行くことになった。

 

「家に来てくれるんですかリゼ先輩…⁉︎」

 

「得体の知れないのがいたら嫌だろ」

 

「……なんで来るんですかケイト先輩」

 

この扱いである。

真顔で言ってるから笑えない。

先輩は柄じゃないけどもう少し優しくなって欲しいよ。

 

「なっ泣くなケイト!私は嬉しいぞ、お前がいてくれたら心強い!」

 

ヤバい、リゼが優しすぎて泣ける。

リゼのためなら幽霊にも悪魔にも立ち向かうことが出来そうだわ。

 

だからシャロはその親の仇を見るような目をやめてほしい。目線で人殺せたら10回ぐらい死にそうだから。

 

「よし!親父に頼んで相応の武器を持ってきてもらおう!」

 

 

とりあえず幽霊VS軍人の戦争を止めた俺はちょっとした英雄だと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャロの家に着くと、隣の甘兎から千夜が血相を変えて飛び出してきた。

 

「シャロちゃんどうして私を頼らなかったの⁉︎」

 

「自分の着信履歴見てないでしょ‼︎」

 

着信履歴を見せてもらうと、何十件もあったからシャロの必死さが伝わる。

てか千夜気づけよ。

 

兎にも角にも千夜を加えた4人でシャロの家にお邪魔する。

 

シャロはお茶を用意してくれてるが、ナチュラルに俺の分のカップ用意してくれないのはヒドイ。

…よし ちょっとからかうか!

 

「あっ!あんなところに幽霊が‼︎」

 

適当に奥の方を指差すと、3人の目が点になった。

あれ?なんか思ってた反応と違う。

なんでかなと3人から視線を逸らすと、

 

 

俺の指差す方向で ポルターガイストが起きてた。

 

 

開いた求人雑誌が勝手に動いていた。しかも2冊。

い、いやたぶん幽霊じゃない。動く何かに雑誌が覆いかぶさってる感じだ。

 

 

「これで潜入のつもりか⁉︎笑わせる!」

 

 

リゼが雑誌1冊を取ると、 ウサギがいた。

右頰に十文字傷があって、いかにも不良といった風だ。何かの草を咥えてる。

たぶんこのウサギが件の幽霊だろう。屋根裏にでも住み着いてたんだな。

 

「じゃあこっちは?」

 

もう1冊の雑誌を取ると、うちのウサギがいた。

なんでや⁉︎うちん家で姉さんといるはずだろ⁉︎

ま、まぁそれはあとで姉さんに問い詰めるか。

 

不良ウサギは、シャロに何かの草を差し出した。

 

「もしかして…家賃の代わり?」

 

「義理堅い不良だ!」

 

いるよね、義理人情に厚い不良って。

不良ウサギに感心していると、徐にシャロが涙を流した。

 

「これ…私が庭で育ててたハーブ…っ」

 

これはヒドイ。

 

 

 

 

受け取れないと不良ウサギに話すと、何故かうちんアミがおねだりするような目を向けてきた。

どうやらアミはこの不良ウサギと仲が良いみたいだ。たぶんもう少し考えてほしいと思ってるのかな。

 

「この際仲良くしてみたらどう?」

 

「うさぎへのトラウマを克服するチャンスかも!」

 

「このままじゃウサギがかわいそうだし」

 

「ドウシテコンナコトニ⁉︎」

 

本当にトラウマを克服するために、ウサギと触れ合ってみることになった。

シャロファイト!

 

「何だか子供を見守る親みたいね」

 

「俺が父親?」

 

「リゼちゃんがお母さんね」

 

「わっわわ私がお母さん⁉︎」

 

リゼがお母さんと言われて恥ずかしいか顔が真っ赤になってる。でも、満更でもなさそうな顔だ。

 

…シャロ、俺の足ゲシゲシ蹴るのやめて。地味に痛い。

 

 

「この子に名前つけてあげたら愛着がわくんじゃない?」

 

「そっそう?じゃあ……エリザベス……ベアトリクス……ヴィクトリア…」

 

シャロは結構真剣に名前を考える。でも正直高貴な名前は不良ウサギには合わない気がする。

あと千夜、ネーミングセンスがアレだなって顔やめい。お前さんが言えた口じゃないだろ。

 

「ワイルドギースはどうだ?潜入技術は未熟だけど立派な兵士になるぞ!潜入技術ならケイトから教わればいい!」

 

どうやらリゼのなかで潜入技術の高い兵士にされてるらしい。どっちかていうと忍者じゃね?

 

まぁとにかく、ワイルドギースか。何処となく強さとクールさを持ってる不良ウサギにピッタリだな。

 

「ねぇ、灰色だからゴマぼたもちはどう?」

 

「「喫茶店のメニューに付けろ!」」

 

千夜のネーミングセンスは本当にズレている。

そこに痺れる憧れることはけしてない。

 

 

 

 

「…よろしくね ワイルドギース」

 

「シャロちゃんがうさぎへさに微笑んで…っ」

 

「みっ見間違いよ!」

 

ワイルドギースの名前が正式に決まり、真面目に飼うことにしたシャロ。仲良くなれるといいな。

うちのアミもいい感じに収まったからか嬉しそうな顔をしてる。

 

 

 

 

「よかったなアミ。友達に家族が増えて」

 

「こいつもケイトに似て、本気で大切な人と向き合ってるんだな」

 

別にいいだろ。

 

大切だから 本気で向き合う。

 

それ以上に理由なんて いらないんだしな。

 




予定より早いけどゴッドイーターの二次創作始めました。
気が向いたら読んでみてくださいm(_ _)m


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36話 ケイトの気持ち

この話だけはどうしてもやりたかった第3弾。

1弾はお泊り。
2弾はその次


学校もバイトもない休日。

 

俺は当たり前だけど、姉さんと家にいた。

俺はダラダラTVを見てて、姉さんはウサギのアミを撫でてる。

 

 

「少年ってさ〜、リゼちゃんとどんな関係?」

 

 

「なんだよ藪からスティックに」

 

 

俺も姉さんも互いに顔を向けるどころか、TVもナデナデも止めずに会話を始める。

顔を合わせるまでもなく会話するのは、むしろ仲の良い証拠だ。

 

 

「リゼは大切な親友、そんだけだ」

 

 

「ふぅ〜〜〜〜ん」

 

納得のいかないって感じの反応だな。

マジで親友って名前の関係だし、一体どう答えろってんだよ。

 

 

「じゃあ〜〜、彼女はいないの?」

 

 

「いねぇよ。友達だって学校じゃリゼぐらいだし」

 

 

学校には特待生の男子は俺だけだし、クラスのみんなも俺とリゼには何故かアンタッチャブルだし。

『二人はワンセットでほっとくのがルールですし』なんて笑顔でO野さんに言われたし。意味わかんねえよイジメかよ。

 

 

「あー二人じゃそうなるよねー」

 

 

なんで納得すんだよ。うんうんって頷いてる姿が後ろ見なくても目に浮かぶよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……じゃあ、リゼちゃんと付き合っちゃえば?」

 

 

「ブフォッ⁈ ゲホッゲホッ‼︎」

 

 

いいいいきなり何言ってんだ姉さんは⁈思わずブフォッってなっただろ‼︎

俺が咳き込んでるのも御構い無しに姉さんは話を続ける。

 

 

「リゼちゃんスッゴイかわいいし、仲良いし、絶対学生時代に付き合わなかったこと後悔しちゃうでしょ!青春に戻りたいって思っちゃうでしょ!」

 

姉さんはまるで過去の自分を戒めるかってぐらい真剣だ。

ってか、このままじゃ姉さんが俺とリゼをくっつけそうだ。

 

 

 

 

 

 

「…リゼが俺と付き合うわけないだろ。

 

リゼのように軍人でもない、何か特別な事ができるわけでもない。

 

……ただそこにいることしかできない俺を、だれがすきになるってんだよ」

 

 

 

 

自分でも寂しいことを言ってるのはわかる。

 

でも、なんの取り柄もなく、友達の作り方もわからない俺じゃ、そこまで大切な人間になんてなれるとは思えない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……それが、なんだってのよ」

 

「…ハ?」

 

 

 

「なんであんたはそう自分を低く見るのよ!もっと自信を持ちなさいよ!

 

それに 人を好きになるのに理屈なんてないでしょ‼︎

 

 

大切な人間になるんじゃなくて

 

大切な人間であろうとしなさいな‼︎」

 

 

姉さんは 本当に強いな。

 

バカみたいに綺麗事言って、かといって現実を追い求めて…

他人のために自分の想いを本気で伝えて、曲げようがないぐらいまっすぐで…

 

すごく カッコイイ姉さんだよ。

 

俺には こんなカッコイイ人間にはなれない。

 

 

 

 

 

 

「それに、 少年はリゼちゃんのことをどう思ってんのかなぁ?」

 

 

 

「俺? 俺………は…………っ?」

 

 

あれ、 なんで……言葉に詰まるんだ?

 

 

わからない

 

 

……俺には 俺がわからない

 

 

 

俺は結局、最後の質問に対して、答えを出す事ができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

昨日の話をリゼにできるわけもなく、一つだけリゼに質問をした。

 

『ただそこにいることしかできない俺が、何か出来ると思うか?』

 

 

正直、なんでこんなバカなこと聞いたのかって一瞬後悔した。

でも……

 

 

『ケイトは何度も私の目をまっすぐ見て、本気で向き合ってくれた。誰でもできるわけじゃないことを、お前は充分できてるじゃないか!

 

それに私は、ケイトがそばにいてくれて……

 

 

…その

 

 

 

 

……… スゴく嬉しいぞ (ボソッ) 』

 

 

 

 

…これは なんてことはない

 

勝手に落ち込んで 勝手に救われて…

 

バカな俺のバカみたいなお話だ。

 

 

 

 




もう少し経ったら『小説家になろう』で投稿始めます。

その時はツイッターにリンク貼るんで、気が向いたら読んでみてくださいm(_ _)m


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37話 リゼのお見舞い


割と受験勉強忙しいから、どうしても量描くには時間が足りない
m(_ _)m

…けしてグレンラガンを見てるからではない



捻挫でバイトを休んだリゼのお見舞いに来た。

よくよく考えてみたらリゼん家に行くのは初めてだな。逆はあるけど。

友達がいなかったから友達ん家に行くことさえ初めてだけど、まぁなんとかなるだろ。

 

 

 

 

「あなたがケイトさんですかい」

 

「ですかいですかい」

 

家にボディガードがいるってなんだよ。ってかボディガードまで俺を知ってるってなんだよ。

すごく紳士的だったけどいきなり不安になったわ。

 

 

 

 

 

「軽い捻挫だから心配しなくてもよかったのに」

 

「少し心配だったしな」

 

「リゼちゃん家にも来てみたかったしねー」

 

部屋にはリゼと、先に来てたココアとチノちゃんがいた。

リゼが怪我したって聞いたら絶対シャロもいると思ってたけどいない。バイトなのかな?

 

「お茶をお持ちしました」

 

ノックの音がすると、メイドさんが2人入ってきた。

 

……シャロと千夜だけど。

 

「来てたの⁈」

 

シャロは俺たちが来てるのを知らなかったのか、見られてビックリしてる。

メイド服ぐらい慣れてるだろうに。

 

「メイドさんがいました!」

 

「ここでもバイトしてたんだー」

 

「ええ ついに天職を見つけたみたいなの」

 

「おバカーッ!罪滅ぼしよ!」

 

罪滅ぼしっても限定アイス買いに行くの止めなかったってだけだし、リゼの自業自得だろ。

まぁシャロの天職だってのはあながち間違ってない気がするけど。

 

 

うん、やっぱメイドはロングスカートだな。ミニスカじゃなくて。王道って感じだわ」

 

「おい、声に出てるぞ」

 

「……男だししゃあない」

 

男にとってメイドさんのくるりんを見るのは一つの夢だし。夢だよね?

 

 

 

…と思ったら、ココアとチノちゃんまでメイド服着ることになった。

望遠鏡倒しちゃったからかわりに働くみたいだ。

リゼは安物だから気にするなって言うけど、絶対高いやつだもん。そりゃ気が済まないだろ。

 

「しっかし壮観だなぁ。メイドさんが4人もいるなんて」

 

「とうとう隠さなくなったな」

 

とうとうってほど遅くはなかったけどね。むしろ早い方か。

このままリゼん家(=お屋敷)のお掃除に行くかと思ったら、ココアが異議を唱えた。

 

「なんでケイトくんはそのままなの?」

 

「いや、なんでそのままじゃダメなの?」

 

「確かにケイトだけ何もしないのは変だな」

 

「じゃあアレか?男の俺がメイド服を着れってか」

 

俺がメイド服とか誰得だよ。

俺含む全員が想像したのか顔を青くしている。そりゃそだ。

 

「じゃあ俺はゆっくりとくつろいで……」

 

「あっ、執事服もあるはずだぞ」

 

 

 

 

 

 

 

どうしてこうなった。

なんで友達ん家に行ったら執事になってんだよ。

 

「……カッコイイな」

 

「…サンキュ」

 

しかも自分でも似合ってるって感じだから複雑な気分だ。

みんな(何故か特にリゼ)から好評だし。

仕方ない、ここは素直にお掃除大会に参加するか。

 

「ではお嬢!私たちに命令してみて♪」

 

「じゃあ一列に並べ」

 

「リゼそれじゃ教官だ」

 

ダメだ。リゼだとなんかお嬢様って感じがしない。

これじゃなんか執事としてモチベが上がらない。

 

「もうっ仕える身なら言葉遣いから直しなさい!解雇するわよ!」

 

「「「はいっお嬢様‼︎」」」

 

「何で⁈」

 

シャロのお嬢様力に俺とココア、しかもチノちゃんまで跪いた。

本物のお嬢様よりお嬢様らしいってマジでパナいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

モチベも上がったことで掃除をしてると、入り口にいた人とは違うボディガードさんに話しかけられた。何人ボディガードいるんだろ?

 

「ケイトさんですね。お話があるので、こちらに来てください」

 

「わ、わかりました…」

 

よくわかんないけど、用事があるんなら断るわけにもいかないしついていく。

 

ついていくと、どこか重厚な雰囲気の扉の前に来た。

 

「では中でお待ちしてるので、お入りください」

 

「は、はぁ……」

 

若干失礼な返事だったけど、状況がわからず混乱してるから勘弁してほしい。

部屋は派手ではなく落ち着いた感じで、それでいてどれもお高い物だってわかる。

 

 

そして部屋の奥には、眼帯をした男性が座っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「 ……君が ケイトくんだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ、まさか リゼの父親?

 

 





俺自身どうしてこうなったかわからない(困惑)


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38話 リゼのお見舞い 後編

今日俺は、怪我をしたリゼのお見舞いに来たはずだ。

適当なところで帰るつもりだった。

 

だけど、だけどどうして……

 

 

「………君が ケイトくんだな」

 

「は、はい…」

 

リゼの親父さんと2人きりになるんだ⁉︎

 

おかしいおかしいおかしい‼︎なんでいきなり友達の父親に呼ばれなきゃいけないんだ⁉︎

ってか親父さんのオーラがヤヴァイ‼︎

 

アレか?姉さんと同じで俺とリゼが付き合ってるとか思ってんのか⁉︎それならこの鬼気迫るオーラがにも納得だけど‼︎

何か、何かこの状況を打破できる行動はないのか⁉︎

 

 

 

▶︎逃げる

 

逃げる

 

逃げる

 

 

ダメだ、コマンドが『逃げる』しかない‼︎

いや逃げるは逃げるで問題だけど‼︎

 

「ケイトくん」

 

「ひゃっひゃい!」

 

思いっきり上ずった声が出たけど、親父さんは気にすることなく言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「 ありがとう 」

 

 

「へっ?」

 

 

いきなり感謝の言葉を言われて思考がフリーズした。

正直『娘にまとわりつく虫め ◯ね!』まで想定してたから意外過ぎた。

親父さんは謎のオーラに似合わない微笑みを浮かべて話を続ける。

 

「うちの娘は変に不器用でな、今まで心から信頼できる友人がいなかったんだ。

でも、君はそんなリゼの大切な人であってくれた。本気で向き合ってくれた。おかげでリゼは毎日が楽しそうだ!

バイト仲間とも仲良くなれて、よく君たちとの事について話してくれてるよ。

親の私が、少し嫉妬するぐらい。

 

……いや、すまない。娘の友人と話すなんて初めてで、柄にもなく緊張してしまう。戦場ならもう少し自然体になれるんだが……

 

とにかく

君のおかげで うちのリゼは明るくなれた。

 

 

娘の側にいてくれて 本当に感謝している」

 

 

親父さんは頭を下げて、本気で俺に感謝してる様子だ。

 

自分の娘の事を本気で思っている親父さん。

親父さんの顔は、紛れもなく『父親』のそれで、誰よりもかっこよかった。

 

 

「…娘にとっての大切な人にとして、末永く側にいてやってほしい」

 

「は はい。喜んで」

 

俺は悩むまでもなく答えた。

親父さんの真剣さには若干慣れないが、俺だってリゼの側にいてやれるならいたいから。

むしろ俺が頼むようなことだしね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……末永く?

 

 

親父さんと一通りお話ししたあと、広くて迷いそうなので親父さんにリゼのいる部屋まで案内してもらった。

色々なモデルガンのあるコレクションルームに入ると、メイド服を着たココアたちと……

 

 

メイド服を着たリゼがいた。

 

 

「あ…………いぁ………これは………!」

 

思わず、腰の前で腕を引きながらガッツポーズした。

THE・メイド の姿のリゼを見れたんだし当然の反応だと思う。

親父さんも仲良くやれてるリゼを見れて超嬉しそうだ。

 

 

「……見られた」

 

リゼはしばらくの間、真っ赤な顔のままだった。

 

 

 

 

数日後

 

リゼが復帰しました。

リゼがいないとなんか調子狂うしな、よかったよかった。

 

「メイドさんごっこ楽しかったね〜」

 

「千夜さんのお嬢様役がとても似合ってました」

 

メイド服を拝ませてもらった後、俺たちは王様ゲームのお嬢様版をやった。

一向に俺が王様(お嬢様)の役になれないなか色々な命令がだされたけど、それは割愛させてもらおう。

 

何故かって?それは……

 

 

「リゼちゃんに膝枕してもらってたとき二人とも顔真っ赤だったよね〜」

 

 

「「………忘れてくれ」」

 

 

だって超恥ずかしかったもん、千夜の命令。

アウトにならないギリギリのラインをついてきてかなり恥ずかしい状態になったよ。

それについて語る余裕はありましぇん。ご想像にお任せしやす。

 

 

「そういえばチノちゃん うっかり使用人さんにねー…」

 

「ココアさん!」

 

天然のココアの色々な恥ずかしエピソードで顔を真っ赤にしてると、客がやってきた。青山さんだ。

 

「いらっしゃいま……」

 

「お帰りなさいませお嬢様!」

 

……裏で体育座りしてるリゼをなだめるのにしばらく時間がかかったのは、言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

「確かにお前の言う通り 真っ直ぐな男だったよ、タカヒロ」

 

「ケイトくんなら、いつまでもリゼくんと本気で向き合うだろうね。愛くんのように」

 

「当然ですよ、私の弟ですもの!」

 

「にしても黄金が数年ぶりにこの街に来てるとは思わなかったな。一体どんな気まぐれだ?」

 

「いえいえ〜純粋に弟のことが気になったからですよ。実際もう少し経ったら仕事に戻りますし」

 

「そうか。寂しくなるね、愛くんがいなくなったらバーの常連さんもさぞ悲しむだろう」

 

「今度は何年も間を空けずに顔を見せに来い。今度は街に来たの歓迎するぞ」

 

「あっはっは〜善処しますね。

 

……これからも、バカな弟のことを見てやってください。あぁ見えて寂しがり屋ですし、大人の目があると安心ですし」

 

「あぁ、任された」

 

「うちの娘も大いに世話になってるからな」

 

 

他に客のいないバータイムのラビットハウス。

旧友たちは、今日も明日も大事な人たちのことを想う……

 




もうすぐ夏か〜。友達とどっか遊びに行きたいな〜。

ケイト「そんな仲のやついないのに?」

うわぁあああああああああああああああああ‼︎

ケイト「しかも夏の講座で割と苦行なのに?」

やめろぉおおおおおおおおおおおおおおおお‼︎

受験生の夏休みは勉強ばっかです(当たり前だ)


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39話 ケイトの気付いた気持ち

「すまないね、遅い時間に手伝ってもらって」

 

「大丈夫ですよ、たまには夜更かしも悪くないですし」

 

 

今日の俺はバータイムの時間の仕事を手伝っている。

たまにバーの手伝いをしてるけど、学生だから給料は貰ってない。ど深夜だし。

まぁたまには真夜中の空気を吸うのも悪くない。

 

 

「にしても今日は珍しく客がこないのう。普段は誰かしらいるもんじゃが」

 

「喫茶店の時間よりも客が来ますよね」

 

「余計な事を言うんでない!」

 

 

何回かバーを手伝って知ったが、どうやらティッピーはチノちゃんのおじいちゃんらしい。腹話術だと思ってた声がそうだ。そりゃ何か変だなぁって思ってたけど…。

知った理由?俺が何気なくティッピーに愚痴ったら、うっかり返事をしてしまった って感じ。

最初はともかく今は不思議現象ってことで気にしてない。

 

「にしても、ケイト君がこの町にきてから早半年か」

 

「時間の流れは早いですねぇ」

 

「年寄り臭いのぉ」

 

「本物の年寄りが言いますか」

 

 

気付いたらこの町にきてもう半年。来るまではメチャクチャ不安だったけど、すぐに初めての友達もできて案外なんとかなった。

持つべきものは友達ってやつだな。

 

 

「おぬしは来たばかりからもうリゼと一緒にいたのう」

 

「本能的に側にいたいと感じたんでしょうね、俺が」

 

「確かにリゼ君と仲が良いね。ケイト君は彼女と付き合っているのかい?」

 

「アハハ、付き合ってませんよ」

 

 

少し前に姉さんに同じ事を聞かれて動揺したけど、もう動揺することはない。

あの日は色々考えたけど 何、付き合ってないってだけだ。考えてみれば動揺する必要はないじゃないか。

 

 

「でもおぬしは、少なからずあの娘のことを想っているのではないか?」

 

 

 

「少なからずどころか、普通に大好きですよ」

 

 

「「………」」

 

 

おっと、さすがに2人とも言葉を失っている。

 

 

姉さんに聞かれた次の日にリゼの言葉に救われて、俺は気付いた。

 

俺は リゼのことが好きだ。

 

初めて分かり合えた人だとか

顔が心理的に好みだったとか

ちょいと刺激的な出会いだったとか

慰められた俺ちょろいんじゃね?とか

 

キッカケはよくわからないが、気付いたらリゼのことが好きだった。

 

 

クールで凛としたリゼが好きだ。

乙女なリゼが好きだ。

恥ずかしがるリゼが好きだ。

素直になれないリゼが好きだ。

たまに軍人気質になるリゼが好きだ。

 

 

ただ この気持ちが恋だと気付いてなかっただけだ。

 

 

「青春 してるね。きっとアイ君も喜ぶさ」

 

「姉さんなら多分とっくに気付いてますよ。いつだって俺の心配をしてくれてますし」

 

「アレは元々人の気持ちには敏感じゃったしな」

 

「まぁ、アイツが娘のことが好きな男がいると知ったら、一体どんな反応をするんだろうな」

 

「ああ見えて娘思いじゃからな」

 

「たまに娘に口聞いてもらえないって酒飲みに来るしな」

 

「……それはあまり聞きたくなかったです」

 

 

アイツってのは多分リゼの親父さんだろう。2人は共に戦場で戦った仲間らしい。

……確かにあの鬼気迫るオーラをだせる親父さんだ。もしお見舞いに行ったとき口を滑らしてたら何が起きるか考えたくない。

 

 

「君はリゼ君に想いを伝えるのかい?」

 

「もちろんしたいとは思いますが、いかんせん恥ずかしいので」

 

「焦りすぎもダメじゃが、思い出は少しでも多く作った方が良いぞ。ワシの息子も色々な思い出を作ってたもんじゃ」

 

「………」

 

「泣くな息子よ」

 

 

確かにいつか想いは伝えなきゃいけない。

でも、なんだかんだ今の関係が好きな俺がいるのも事実だ。

 

 

「まだ今の関係で過ごした時間も長くないですし、もう少し今の状態を楽しみます。

大好きなリゼとの思い出は これからもゆっくり作って…」

 

 

「こんばんはー」

 

「どぅわぁああああああああああああああああああああああああああ⁉︎」

 

「⁉︎」

 

 

狙い澄ましたようなタイミングでリゼがやってきた。

……聞こえてないよな?な?

 

 

「おや、この時間に来るのは初めてだね」

 

「親父に『たまにはバーの時間に顔出すのも悪くないぞ』って言われたので」

 

 

どうやら恥ずかしい言葉は聞こえてないな。よかった。タカヒロさんは目立たない程度に俺とリゼをチラチラ見ている。絶対内心面白がってるな。

 

 

「にしてもこんな真夜中に外出歩くなよ」

 

「不審者程度なら5秒あれば十分だ。それにケイトだってそうだろ」

 

「俺は男の子だからいいんだよ。あと5秒は早すぎだろ」

 

「早い?早くはないだろう(真顔)」

 

「……マジかよ。ま、まぁせっかくだしデザート1個なら奢るよ。俺手作りのコーヒーゼリーとかどうだ?」

 

「コーヒーゼリーなんて作れるのか⁉︎」

 

「おうよ。一人暮らしで身に付けたんだぜ」

 

 

あぁ、やっぱりリゼといるのはいい。

他に客も来ないし、ゆっくりリゼとお話するか。

 

 

……いつか必ず伝えるからな。俺の言葉で

 




彼女がいること自体じゃなくて
好きな人が彼女なのが大事だと思う(小並感)

俺?彼女いない歴=年齢ですよ(涙)

恋に恋する受験生です。


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40話 一時の別れ

「あたし、明日から仕事戻るわ」

 

「随分急だな」

 

バータイムのお手伝い中、客としてきた姉さんにいきなり仕事に戻ると言われた。

まぁいつか戻るのは当たり前だしそんな驚かないけど。

 

 

「元々あんたがうまくやってるか見に来ただけだしね。初日であたしの目的は達成してるわけ。できることもやったし」

 

「できることって?」

 

「あんたの気持ち、あたしがいなかったらまだわかんなかったでしょ」

 

「………その節はどうも」

 

 

それについてはマジで感謝してます。

あのまま気付かなかったらと思うとゾッとするし。

 

 

「感謝の気持ちはコーヒーゼリーとして受け取るけど、自分の恋に気付かないなんてアホすぎでしょ」

 

「だって……人を好きになったこと無いからわかんねぇし」

 

「……わかる。私もそんな時期あったもん」

 

「姉さんもかよ。 ほい、コーヒーゼリー」

 

「サンキュ。そりゃ初恋なんてそんなもんじゃない」

 

「確かに。いつだったかリゼに相談されたし」

 

「……えっ?」

 

 

いやなんでそんな反応すんだよ。

デザート好きな姉さんが手止めるとか明日天変地異起きんのかよ。

 

 

「リゼちゃんが、あんたに、初恋の相談……?」

 

「初恋気付いてなかったけど」

 

「………」

 

 

なんでそんな遠い目をしてる。

そして天を仰ぐな。周りの客も気になってるじゃん。

 

 

「別に俺が初恋の相手じゃなくても、最終的に勝てば良かろうなのだって話だろ」

 

「どこの究極生命体よ。……ったく面倒くさいわねどっちも」

 

「なんで『どっちも』だよ?」

 

「気にしなくていいにゃー」

 

 

姉さんはもはや手遅れだって顔でコーヒーゼリーを食べる。なんか心外だ。

 

 

「ていうかリゼちゃんの初恋の相手聞いてないでしょ?」

 

「聞くわけにゃいかんだろ」

 

「あんたの目と耳くり抜いていい?」

 

「どうしてそうなる?」

 

「もぅ、なんでアホな弟と漫才なんてしなきゃいけないのよ」

 

「俺のセリフだ」

 

 

ていうか姉さん絶対この漫才楽しんでるだろ。

昔から姉さんは飄々としてて、弟なのに正直なのはわかるけど真意は掴めない。

たまにはわかるように話してほしい。

 

 

「じゃああたしは仕事に戻るわ。コーヒーゼリーあんがとね」

 

「他の面子にお別れは?」

 

「今日あんたが部活助っ人してる間にした」

 

「ほんと用意周到ですこと」

 

 

確かに今日は演劇部の助っ人してたけど。なんで話してなかったのに知ってんだよ。

 

「姉としてあんたにアドバイス。

 

 

 

 

 

自分の気持ちに嘘はついちゃダメよ。

あんたのためにも、あんた以外のためにも」

 

 

 

 

 

「俺『以外』?何を言ってんだ?」

 

「いつかわかる時が来るわよ。

ていうか、嘘つかないのは問題ないのね」

 

「俺を誰だと思ってんだよ。姉さんの弟だぜ?」

 

「……嬉しい事言ってくれるじゃない」

 

 

当たり前だ。俺の知ってる誰よりもバカ正直で、本気で想いを貫く姉さんの背中を見て育ったんだ。

姉さんがいたから俺は今の俺になれたんだ。

好きなリゼを好きになれた俺に。

 

 

「じゃあね アホケイト」

 

「じゃあな バカ姉貴」

 

 

姉さんは一度背を向けると振り返る事なく、店から出て行った。

 

 

……寂しいな。しばらく会わないとなると。

まぁ、姉さんは仕事楽しむし、俺も俺がやりたいようにやるか。

 

 

 

 

 

 

 

「ごめん。ゼリー代払い忘れちゃった☆」

 

「……台無しだよ」

 

やっぱり姉さんは バカな姉貴だ……。

 





昨日から始まった夏休み。
三者面談さえ存在しなければどんなに夏休みになって嬉しかったか……。

受験生で夏期講習忙しいので、投稿ペースは変わりません。
m(_ _)m


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41話 リゼたちのスニーキングごっこ


ツイッターでは話しましたが、三者面談関係で多忙となり遅れてしまいました。
マジでスミマセンでしたm(_ _)m
31日はちゃんと更新します。


「ケイト、何か視線を感じないか?」

 

「奇遇だな。俺も同じこと思ってた」

 

 

いつも通りリゼと一緒に下校してると、誰かにつけられていた。……気がする。そりゃそうだ。誰かにつけられてるなんて、厨二病の妄想ぐらいでしかないだろ。

でも、最近忘れてきたけどリゼは軍人の娘だ。もしかしたら戦争絡みの何かがあるかもしれない。

 

 

「これって、とっちめた方がいいかね?」

 

「わからないが、このまま尾行されるわけにもいかない。とりあえず捕まえるか」

 

「とりあえずで捕まえるって軽いな……。まぁストーカーは気に入らないけど」

 

「とっちめようとしたお前も軽いがな。あと、護身用にこれを貸しとく」

 

「……これは?」

 

「言っとくがモデルガンだぞ」

 

 

学校にモデルガン持ち込んでる時点でおかしいと思うのは、どうやら俺だけらしい。

 

とにかく、俺たちは謎のストーカーを捕まえることにした。

しかし、2人でカッコよく「出てこい!」なんて言ったて出てきたのは……。

 

「気づくなんてさすがアニキとリゼー!」

 

「…なんだ、マヤか」

 

小説のようなカッコイイ展開を期待してた自分が恥ずかしい。

ま、まぁ危ない奴じゃなくて結果オーライだ。

 

そう納得しリゼの方を見ると、別の方向を向いてた。

マヤに気付き視線を向けると、見事に顔が真っ赤になってる。

 

「なっ………あっ……⁉︎」

 

これは俺よか恥ずかしい。

……とりあえず、あとでアイス奢るか

 

 

 

 

 

 

 

マヤの尾行ごっこは、リゼの提案で青山さんに標的が変わった。壁際で2人が隠れてるのを、俺は近くのベンチで観察してる。

けしてストーカーではない。この尾行を第三者の視点で観察してるのだ。

人数が多いと言って別行動をとったが、これは『ある』視線を感じたからだ。

 

 

「(マヤちゃんだっけ、リゼ先輩と仲いいのかしら…)」

 

視線の正体はシャロだった。たぶん↑の感じに思ってる気がする。

青山さんを尾行しているリゼ&マヤを尾行しているシャロ…。カルガモ親子の行進みたいだ。親(青山さん)に着いて行く子たち(リゼ&マヤ、シャロ)ってね。

 

「あれ、ケイトさんではないですか」

 

「……こんちは、青山さん」

 

やっちまった。2人の尾行対象と合流してしまった。

尾行の列を眺めるのに夢中になりすぎだった。

 

 

『何やってるんだケイト!』

 

『ゴメ。会話で謎解くから刑罰は勘弁』

 

『するかバカ!』

 

とりあえずハンドシグナルで弁明して、俺は単独で青山さんの不思議を読み解くことにした。

 

「腕を振ってどうしたんですか?」

 

「あっ、えっと虫が付いてたんで…。それより青山さんは何をしていたんですか?」

 

「私ですか?私はあそこにいるシャロさんを見守ってます」

 

「……なにゆえ?」

 

「新作を描くためにも、シャロさんの一挙一動を観察するためです」

 

……青山さん、それ完全にストーカーっす。

 

とにかく、これじゃ尾行が1回転してて誰も動かない。日が暮れてしまう。なんなんこの三角関係。

リゼもハンドシグナルで動かない理由聞いてくるし、どうしようか考えてると、均衡が崩れた。

 

 

「ババババイトがっ…!私のバカーっ‼︎」

 

「あっシャロさんが!ではケイトさん、また今度!」

 

「ちょっ青山さん!完全に不審者になってます!」

 

「待ってよ青ブルマー!」

 

「その略称だけはやめろ‼︎」

 

「あっコケた!」

 

バイトに向かったシャロを追いかける青山さんを追いかけると、青山さんがコケてしまった。

リゼ&マヤと合流して青山さんを起こすが、何故か青山さんはどことなく真剣な顔をしてる。

 

「はっ早くシャロさんを追ってください!」

 

「それより絆創膏貼らないと!」

 

「でも、早く追わないと!

私が見守るシャロさんがっ

 

 

最近ストーカー被害に遭ってるらしいんです‼︎」

 

 

「「お前だよ」」

 

「えっ?私はネタを探してるだけで……」

 

「「それだよ」」

 

いつか青山さんが逮捕されないか不安でしょうがない。そう俺とリゼは思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇアニキ、リゼ。友達と進む学校違ったら、もう親友じゃなくなるのかな」

 

3人で適当なベンチで休憩してると、いつになく真剣な顔のマヤに問いかけられた。

 

「チノとメグ3人で高校どこ行くか話してたら、行こうとしてる学校が違っててさ。本当は3人で同じ高校に行きたかったんだ。そう考えてたら、いてもたってもいられなくなっちゃったんだ」

 

どうやら、チノちゃんとマヤはココアと千夜のいる学校を考えてたけど、メグちゃんは母親に別の学校、リゼにシャロに俺の通う学校を勧められてるらしい。

「マヤは別々の学校になったら、2人と友達やめるのか?」

 

「やめるわけないじゃん!ずっと親友だよ!」

 

「そう思えるなら、違う学校になっても関係ないだろ。本気で親友て思うなら学校が違っても、それこそ大人になってもずっと親友だろ」

 

「私がよく会ってるやつらは学年も学校も違うけど、それはそれで楽しいぞ。楽しかったら、学校の違いなんて些細なことだ」

 

「…そっかぁ。私もリゼにアニキと遊べて楽しい!」

 

 

実際友達関係なんて、続けたいと思い合ってりゃずっと続くもんだ。

逆に、どっちかでも忘れていいって考えてたら続かない。だから俺は、今まで転校しても変わらない友達はいない。

 

 

 

「リゼは大人になっても、ずっと一緒にいてくれるか?」

 

「ななななんだいきなり!それじゃプロポーズじゃないか‼︎」

 

「……ゴメン。他意はない」

 

俺もリゼも、リンゴぐらい真っ赤になった。

本当、俺はバカだ。深く考えずこっぱずかしいこと言っちまうし。

でも……

 

 

「まぁ、これから先も よろしくな。ケイト」

 

「……あぁ、よろしく。リゼ」

 

 

バカだからこそ、俺はリゼと分かり合えたんだ。

 

 





メグ「マヤちゃ〜ん!」

チノ「そんな事考えてたなんて!」

千夜「リゼちゃん、ケイトくん…っ!」

ココア「私達ズッ友だよー!」

リゼ&ケイト「お前ら何なんだ‼︎」


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42話 リゼがいたから 俺は前を向ける

夏休みなのに忙しい(涙)

この受験期間を乗り切った大学生以上の人たちが、最近神々しく見えます


本日は 卒業式

俺にリゼは2年生なので、卒業せずとも式には参加した。

タイムスリップ?先月バレンタイン経験したし、そんな事はない。

 

 

残念ながら俺には、卒業を祝う仲の先輩はいない。

部活の助っ人で関わる事はあったが、逆に言えばそれしか関わる理由がなかった。

だから、精一杯祝ったり泣くほど悲しんだりはせず、かといって礼儀はちゃんとして……

 

 

ようするに 退屈だった。

 

 

花束を持った卒業生を見送った後、在校生は帰る。

睡魔に襲われ足元がおぼつかないなか、俺はリゼと校舎を出ようとしてた。

 

 

「………Zzz」

 

「寝るな。進級祝いでみんなとお茶するんだぞ」

 

「…眠い。頬つねって」

 

「こうか?」

 

「イダダダダダッ‼︎」

 

 

俺たちは、高校生5人でお茶する約束をしてる。ココア&千夜の学校も卒業式で早く下校だし、午後の時間をみんなで過ごすのも悪くない。

卒業式と違って退屈しないなと思ってると、急に後ろから声をかけられた。

 

「黄金くん、ちょっといいかしら?」

 

「ん、どったんだ?」

 

「実は、先輩があなたに来てほしいと…」

 

「俺に?まぁいいけど」

 

声をかけてきたのは、同級生で演劇部の子だ。

てことは先輩ってのは、演劇部の部長さんの事だろう。誰でもいいけど。

 

「じゃ悪いけど、リゼは先行っててくれ」

 

「……わかった」

 

俺は言われた場所に向かうが、そのときのリゼはどこか不満そうな顔をしていた。

これは早めに合流した方が良さそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

来るように言われた場所は、体育館裏だった。

体育館は普段はバスケ部あたりが部活してて騒がしいが、今日は流石に休みだ。

何故かそんなところで、先輩である部長さんと2人きりだ。

 

部長さんの印象は、普通にいい人だ。

助っ人として演劇部に参加してる時も、一から演劇たるものを教えてくれた。先輩は才能あるって言ってくれたが、いつかのオペラ座の怪人で上手くやれたのは、部長さんのおかげだと思ってる。

だが、部活以外で関わったことは当然ない。人としてダメかもだが、卒業して悲しいと思うかって聞かれたら、答えはNOだ。部活以外で顔をあわせるのさえこれが初めてだ。

 

 

 

 

 

「……私は 、 あなたの事が好きです!」

 

そんな部長さんに、告白された。

 

「あなたはいつだって優しくて、演劇の準備で困ってる人がいても、必ず手を差し伸べていた。 誰よりもいい人な君を見て、私はあなたが好きになりました。

わっ私と、付き合ってください!」

 

 

何を言えばいいか分からないのか、どこか不安げに喋る部長さん。緊張と初めての経験のコラボだし当然と言えば当然か。顔中を真っ赤にし、俺をじっと見つめ続けている。

 

 

でも、俺の頭はこの通り やけに冴えていた。

告白されるのなんて初めてだし、もちろん嬉しい。

だが……

 

「……ごめんなさい。俺は、あなたと付き合えません」

 

 

俺はこの告白を受け入れる事は できなかった。

だから俺は、残酷かもしれないが、ハッキリ断るしかなかった。

 

「そっか……そうですよね。ごめんなさい、どうしても最後に伝えたくて……」

 

「…いえ、俺も嬉しかったんですが、付き合う事は……

あっ!けしてこれはあなたに魅力がないとか嫌いだとかそういう訳では……!」

 

 

「…あなたは、本当に優しいですね。

ありがとうございます。これで私は、前に進めます」

 

 

部長さんは凛とした顔で、そして涙を隠しながらお別れした。そんな顔を見て俺は、罪悪感に飲まれそうになった。

 

 

 

 

 

 

 

「…で、そこに隠れてるのはリゼか?」

 

「わ、悪い。何かあると思って見に来たら、その……」

 

何となく気付いていたが、こっそりリゼが話を聞いていた。流石に告白だとは思ってなかったか、少なからず動揺してる。

 

明らかに当事者である俺が動揺してなく、違和感を感じたリゼは、俺に「なんでそんな落ち着いているんだ?」と聞いてきた。

 

 

 

「俺は、最低だな」

 

部長さんは俺を好きになってくれてた。

でも、俺はどうだ?

今日の卒業式、あの人を心から祝えなかった。卒業を悲しめなかった。

俺には、その程度にしか感じられなかった。

 

最低だ。俺は、全然いい奴なんかじゃない。

 

 

気付いたら、涙が流れていた。俺がフられた訳でもないのに。

自分自身のどうしようもなさに、胸の内を抉られた。

 

 

 

「…お前は 最低なんかじゃない!」

 

「何を言って……」

 

 

「お前は 残酷に手を振り払った自分に後悔している。涙さえ流している。

自分を好きになった人の手を握らないで、そんなに傷つく奴が最低なわけがないだろ!

 

だから、泣かないでくれ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もういいのか?」

 

「もう大丈夫、充分泣いた。みんなでお茶すんのにメソメソしてらんねぇだろ」

 

「そ、それはそうだが……」

 

「ありがと、リゼ。おかげで立ち直れたわ」

 

「……そうか。ならよかった」

 

 

俺がフッてしまったのに、そのことをウダウダと考えて。そんでバカみたいに悩んで傷ついて。

 

実を言うとまだ割り切れない部分はあるが、そうすぐには変われない。

ゆっくり、ゆっくり自分の中で折り合いをつけよう。

 

1人だったら、融通も効かず心が折れるだけだった。

でも、リゼがいてくれたから、俺は前に進める。

 

 

 

ごめんなさい 部長さん。

 

俺は、弱い自分を見てなお手を差し伸べてくれる、リゼのことが好きだから……

 




告白したこともされたこともないので、地味に大変でした。
こんな感じに悩んで悩んで悩んで、自分の中で折り合いをつけるのは、青春の醍醐味の1つだと思います。


あれ?俺ってまともな青春過ごせてないんじゃ…
(考えたら負け)


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43話 ケイトとチマメ隊




 

「お待たせー」

 

「ワリィ、待たせた」

 

 

アレがあった30分後、予定通り進級祝いにお茶しに集まった。

泣いた跡を誤魔化せるか心配だったけど、ココアが卒業式に感動して泣いてたから特に問題はなかった。その感受性が羨ましい。

ココアたちに会ったらしくチノ、マヤ、メグちゃんたちもいたし、せっかくだし誘うか。人多い方が楽しいだろうし。

 

 

「3人もお茶して行くか?」

 

「ラビットハウスからも卒業するの?」

 

「違うよ‼︎」

 

マヤの発言はたまに肝を冷やす。もちろんラビットハウスから卒業する気はない。

 

とにかく、チマメ隊(この呼び方ワリと好き)を加えた8人でお茶することになった。

……そういや男俺しかいないな。まぁ学校も似た比率だし慣れてるけど。

 

 

 

 

 

 

 

「現在混んでいまして、離れた席に座ってもらいますが大丈夫でしょうか?」

 

喫茶店に行くと、微妙に混んでいた。全員座れはするが、4人ずつに離れた席になってしまうらしい。

高校中学組に分かれるのはいいとして、高校組から1人中学組に混じる案で話はまとまった。

 

 

「「「「「じゃんけんぽん!」」」」」

 

「ストレート負け…。まぁ、俺いくわ」

 

「3人の子守りはちゃんとできるのか?」

 

「俺たちを何だと思ってんだリゼ」

 

「私の妹を取らないでね!」

 

「取らねぇしココアのじゃねぇから」

 

だったら最初からココアが行けよ。進学祝いだからギリギリ高校組に残るって決めてたけど。

 

 

 

 

 

「私もアニキたちのように大人っぽくなりたいなー」

 

「大人っぽい…ですか?(チラッ)」

 

「チノちゃん、何で俺見て首傾げんの?」

 

「気にしないでください」

 

 

チノちゃんの俺に対する印象を改める必要があるらしい。

 

 

「さっきのアニキのように、後輩にお茶していこーぜって誘うのカッコイイよな!」

 

「私もナチュラルに誘えるかなー?

 

きっ君かわいいね〜 一緒にお茶していかない?」

 

「「「怪あやしいナンパだ(です)」」」

 

「そうだ、アニキも今のやってみて!」

 

「何で警察に睨まれそうなことやんなきゃいけねぇんだよ⁉︎」

 

「面白そうじゃん!」

 

「マジかよ」

 

 

結局俺は断れず、リゼに今のナンパをすることになった。知らん奴にやったら捕まりそうだし。

……リゼの親父さんいないよな?

 

 

「ん、どうしたんだケイト?」

 

「いや〜かわいいねリゼ。俺と2人でお茶していかない?」

 

「いっいきなりなんだお前は‼︎」

 

「いやマヤにナンパしてって頼まれてな。だから関節技はやめて!

てかリゼも俺と同じで顔真っ赤(ボキッ)ァアアアァアァアアアアアアアアアアアア

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、なんとかはまった」

 

「アニキの顔 傑作だったな!」

 

「せめて反面教師として受けとれよ」

 

 

当たって砕けた(外された)俺がはめ直すと、何故かスタンドを持った店員がやってきた。

 

 

「こちらアフタヌーンティーセットです」

 

「えっ?頼んでませんけど」

 

「あちらのお客様からです」

 

『ぐっ☆』byココア

 

 

いつからここはバーになった。

大方姉として行動した結果だろう。

 

まぁせっかくだし食べるか。

 

 

「ありがとココアー!いっただきまー…」

 

「待って!これって食べるのに順番があるって聞いたことがあるよ」

 

「マジで⁉︎つまりこれを優雅に食べれなきゃ…」

 

「大人のレディーになれない」

 

「シャロさんたちを真似れば…」

 

「ホットドック食べてるな」

 

「私たちにはこんなよくわからないものを!」

 

 

ちなみに正しい順番は

 

下段のサンドイッチ

真ん中のスコーン

上段のペストリー(ケーキ)だ

 

まぁ絶対遵守じゃないし、楽しむのが1番だけどね。

教えるのもいいけど、自分で考えるのも大切だしもう少し様子を見るか。

 

同じ物が来たココアたちは、食べる前に会話を楽しんでた。相対性理論だとか般若心経って聞こえたけど、たぶん気のせいだろう。

 

「よくわからないけど、食べる前におしゃべりを楽しむらしいね」

 

「大人っぽい会話…えーっとえーっと」

 

「この前初めてうちのアニキをパシリに使ったよ」

 

「それは大人じゃねぇよ」

 

「こっ今度ラビットハウスのバータイムにお邪魔しちゃおっかな」

 

「よっ夜更かししちゃおっかな」

 

「お姉ちゃんは許しませんよー‼︎」

 

「「「「聞かれてる⁉︎」」」」

 

たまにココアが怖く感じる。

 

 

「大人……アニキって彼女いないの?」

 

「いねぇよ」

 

「じゃあ告白されたことはありますか?」

 

「……………あるよ」

 

「マジかよ超大人じゃん‼︎」

 

なかなかどうして鋭いっつうか……。

ここでその話にきたか。

 

「大人かはともかく、告白されてもいい事ばっかとは限らねぇぞ。告白断ったときの罪悪感とかかなりヤバイし」

 

「……すっごい大人ですねー」

 

「うちのアニキも見習って欲しいよ」

 

「若い頃を思い出すおじいちゃんの顔です」

 

おじいちゃんみたいな顔って……。まだ1時間前の事なのに。

 

「まあ誤魔化したりよりはいいんじゃね?」

 

「未練が残るのもあまりねー」

 

「ケイトさんの意思を言ったなら、それが正解だと思います」

 

「………そっか」

 

ちっちゃいとはいえ女の子だし、この手の話は男の俺よか聡いな。

今までより少しだけ、3人がおっきく見えるな〜。

 

 

「あっリゼがどっか行った!」

 

「ついていかなきゃ!」

 

「まっ待ってください!」

 

カルガモ親子のように後ろを歩く3人は、やっぱりまだちっちゃく見えた。

 

さて、1人は寂しいしついてくか。

 

 

 

 

「こういうのは楽しく食べればいいんだよ。マナーなんて互いが楽しむためのものなんだから」

 

「教官の教え、心にしみるよ……!」

 

何故チマメ隊は敬礼してんだよ。

ヒエラルキー俺が1番下なのか。

 

 

 

 

 

 

「あっ戻ってきた」

 

「席くっつけてもらったんだ」

 

5人で戻ると、高校組と中学+α組の席がくっつけられてた。

 

「初めからこうしてみんなで食べればよかったわね」

 

「まぁこれからみんなで楽しめばいいだろ」

 

 

 

 

「妹たちが遠い……」

 

「席くっついてるんだから凹むなよ」

 

厳正なくじ引きの結果チマメ隊が端っこで、ココアが反対側と妹たちから1番遠い席になった。

ちなみに俺はリゼの正面。

 

 

「そういえばケイト、何かいい事あったのか?」

 

「ん?そんな顔してたか?」

 

「なんていうか、胸のつかえが取れた顔だな」

 

「……まぁ、その通りだな」

 

「前は、向けそうか?」

 

「あぁ、ちゃんと歩ける」

 

たぶん、アレで正しかったんだと思う。俺の本気の意思だったし、嘘を言うわけにもいかない。

喜びも後悔も全部背負って、歩き続けるしかないんだよな。目を逸らし、歩くのを止めるのが、1番恐れるべき事なんだと思う。

 

 

だから、今は今を楽しもう。

 

 





もうすぐごちうさ5巻の発売……!
発売日に買わねば!


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44話 リゼたちとココアの成長

夏休みもあと1週間か……
(シドーの学校は22日から学校です。23日だっけ?どっちか)

勉強しか思い出せません(当たり前だ受験生)


「「ココアの様子が変?」」

 

春休みのバイト中、チノちゃんから相談を受けた。

実際ココアは、窓を拭く動きやティッピーの撫で方がいつもより機敏だ。

 

 

「ココアいつもよか頑張ってるし……」

 

「働けケイト」

 

「へいぃぃぃ……」

 

 

春眠暁を覚えずって言うし、ココアが頑張る分寝たかったんだけどなー。

いや、心地良く眠るのは夜だしちょっと意味違うか。

 

 

「そういえばいつもと分け目が逆です」

 

言われてみれば、髪飾りがいつもと反対側にある。

 

「本当だ!偽物かもしれない」

 

「だったらいい手があるぞ」

 

チノちゃんには部屋からウサギのぬいぐるみたち、リゼには適当なロープを用意してもらった。

(リゼがロープ持ってた事にツッコんだら負け)

 

こうして出来上がったのが…

 

「なんだこのモフモフづくし」

 

「本物なら抱きつくだろ」

 

チノちゃんとぬいぐるみの即席モフモフづくしだ。

本物なら抱きつくはずだ。関係ない俺もモフりたいし。

 

「ま、真面目に仕事しなきゃダメだよ!(プイッ)」

 

「なぜか分かりませんがすごく悔しいです」

 

「地味にショックだな」

 

まぁ、若干モフりたい衝動に駆られてるし、偽物ってことはなさそうだな。

 

 

「にしてもなんで急に真面目になったんだ?」

 

「私に聞くな。どうせチノにいいとこ見せたいとかだろ」

 

「それもそうだな。気を張りすぎて熱出さなきゃいいけど…」

 

 

むぎゅっ

 

 

ん?今なんか踏んだような…

 

「ってココア⁉︎」

 

「言った矢先に!」

 

いつの間にかココアは倒れていた。

体力が切れるの早すぎだろ。バイト始めて30分経ってねえぞ。

 

「しっかりしろー!」

 

「どうしてこんなになるまでっ⁉︎」

 

「あ…明後日、 お姉ちゃんが 来るんだ よ……」

 

「それとどう関係が⁉︎」

 

「衛生兵!えいせいへーーい‼︎」

 

 

 

 

 

 

「つまり、しっかりしている所を姉に見せたかったのか」

 

「惜しかったなリゼ」

 

「言ってろ」

 

「ココアさんのお姉さんって厳しいんですか?」

 

「安心して!すごく優しいよ。お兄ちゃんも二人いるんだけど、躾けて従えてる姿がかっこいいんだー」

 

「調教師か」

 

姉の尻に敷かれる兄たち……兄妹って大変だな。

 

「調教…私これ以上何されるんですか…?(震)」

 

「怯えてしまった!」

 

「調教……リゼ……ゴクッ」

 

「おい、今何考えていた?」

 

「いやいやいやけしてやましい事は考えていませんよ!」

 

そこから10分ほど記憶がない

思い出そうとしたら身体が震えるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

空白の10分の間に千夜とシャロも来て、ココアのお姉ちゃん修行に付き合うことになった。

 

「この1年で成長した姿を見せたいんだけどなー」

 

「リゼちゃん達が少しドジな姿を見せたらしっかりして見えるんじゃ……」

 

「逆転の発想!」

 

しかし、やっぱりやらなあかんのかねぇ。あとココア、そんな上目遣いで見つめられたら断れないから。

リゼさんや、何か別のアイデアありませんかね。

 

「わ……分かった…やってみる」

 

「えっマジでやんの⁉︎ドジっ子を⁉︎」

 

需要はあると思うけど。主に俺。

 

「協力すると言った以上やるしかないだろ!」

 

「俺言ってないッスよ‼︎」

 

「協力……してくれるよな?」

 

「ウィッス(震)」

 

協力するから、その怖い顔やめてください。

……俺完全にリゼの尻に敷かれてるな。

まぁ、好きな子の尻ならまだ心地いいか

 

 

 

「注文お願いしたいんだけど…」

 

「私コーヒーの区別がつかないので…」

 

「ココアー!助けてー!」

 

「( ˘ω˘ ) スヤァ…」

 

「わ 私算数苦手ですから間違ってコーヒー豆1トン注文してしまいました」

 

「ココアー、パンって火炎放射器でも焼けるかなー?」

 

「( ˘ω˘ ) スヤァ…」

 

「こんな3人見てられないよー!うわぁぁぁん!」

 

「お前のためだぞ!あとケイトは起きろ!」

 

「おはようございま( ˘ω˘ ) スヤァ…」

 

あぁ、今日はひたすら眠い。

目の前には鬼の形相のリゼが……えっ?

 

 

 

 

 

「お姉ちゃんパンが食べたいなー」

 

「私は宿題手伝ってー」

 

「ふふふあとでね♪」

 

チマメ隊が妹のノリでココアに甘えている(いつも通り)

ふぅ、今日も平和だなぁ。……俺の頭にたんこぶがなけりゃ完璧なのに。

なんでだろう、ココアが仕事に関わる形で頑張ると、その分俺がポンコツになってる気がする。

 

「あれいつまで続くんですか」

 

「ココアが無意味と気づくまで……」

 

「じゃあ一生無理くね?」

 

「いやそんなことは………あるかもな」

 

一寸先に光が見当たらないでいると、ココアがみんなにカフェラテを作ってくれた。

 

「今日はみんなありがとね。ほんの気持ちのカフェラテだけど……」

 

「これ……っ ココアが描いたの⁉︎」

 

何事かとシャロの元に集まると、飲もうとしてたカフェラテを見せてきた。

カフェラテには、ココアが描いた可愛らしい花のラテアートがあった。

 

「初めてもらった時からすごくうまくなってる!」

 

「ずっと見てきたから気がつきませんでした…!」

 

「ちゃんとした成長の証があるじゃないか」

 

とにかく、これで姉に見せる成長の証は決まったな。よかったよかった。

 

「よーし今もっとすごいもの振る舞うからね〜!」

 

「私3Dラテアートってやつ見てみたい!」

 

 

「…店員として成長してても、姉としてはまだまだです」

 

「そうか?」

 

「妹のように無邪気だしな」

 

まぁ、妹の目線を知ってるからこそ、一緒に成長できる姉になるかもな。 いや、もうなってるか。

 

「できたー!3Dラテアート♡」

 

「「「ただのティッピー‼︎」」」

 

いつかのデカイカップに入った、ご飯なティッピーがそこにいた。

……姉としても、成長してるよな?

 

 

 

 

 

「そういえば、ケイトは1年で成長したのか?」

 

「おっとー、聞いちゃうかー。それ聞いちゃったかー」

 

それには触れないでほしかったなー。マジで。

 

とりあえず、ラテアートをしてみた。

 

「……雲かな?」

 

「……綿菓子?」

 

「水溜り?」

 

ティッピーです。目がうまく描けなかったティッピーなんですよ。

 

「き、きっと思いつかないだけで何かあるはずだ!だからそんなに凹むな!」

 

「。゜゜(´□`。)°゜。ウワァァン!!」

 

「抱きつくなぁぁぁぁあ‼︎」

 

つい抱きついた俺がCQCでねじ伏せられたのは、言うまでもない……

 

 

きっと 俺も成長してるよね。 ね?




成長は自分では案外気付かないものですよね。

ケイト「シドーは成長したか?」

……してるといいなぁ。
同じ穴のムジナって奴だよケイト君(/ _ ; )


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45話 リゼたちとやってきたモカさん


ごちうさ五巻、来週発売ですね。
五巻のおかげで夏期講習に屈しない気力が湧きました。


本日はココアの姉さんが来る日。

ココアは緊張で固まってるが、ラテアートが失敗しないよう何度も練習をした。準備万端だ。

 

……時間になってもこないんだけどね。

 

「ココアの姉さんだし、ポンコt ……そそっかしいから迷子になったとかじゃね?」

 

「ココアの話を聞く限りそんな事はないと思うが…」

 

まぁ時間になってもこないんじゃ、迷子になったと考えるのが妥当だな。

ココアの姉さんは機会が苦手なので、携帯を持ってない。おかげで連絡を取る事もできない。

 

「私 お姉ちゃん探してくる!」

 

「あっおい!」

 

「言っちゃったか……」

 

姉さんが心配になったココアは、仕事を放り出して探しに行ってしまった。

 

「ココアの奴、仕事を放り出して…」

 

「姉さんが心配ならしゃあないだろ。俺もココアの立場なら探しに行くし」

 

「それもそうか。なら、戻るまではココアの分の仕事もするか」

 

にしても、最初は道に迷いまくってたココアが、あんなに頼もしくなるなんてな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『かわいいうさぎ見つけた!』

 

前言撤回

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいま……せ」

 

ココアからメールが届いた5分後、ラビットハウスに怪しい女性がきた。

サングラスとマスクをして素顔を隠し、トランクケースを持ってる。

 

「ご、ご注文は…」

 

「じゃあこの''ココア特製厚切りトースト”で」

 

怪しい女性は、格好とは裏腹にごく普通に注文してきた。

 

「あの風貌…スパイか運び屋か?」

 

「ここで取り引きやって、最悪交渉決裂からの戦闘……リゼ、武器貸してくれ」

 

「コンバットナイフでいいか?」

 

「やめてください二人とも!芸能人とか花粉症とかって考えないんですか!」

 

戦闘準備しようとしたら、チノちゃんに叱られてしまった。高校生二人が中学生に叱られる……悲しいかな。

 

 

なんて真面目にバカやってると、いきなり怪しい女性が大声を出した。

 

「このパン!もちもちが足りない!」

 

女性が勢いよく立ち上がると、拍子にケースが開いた。中身は謎の白い粉だけだ。

 

「って白い粉⁉︎」

 

「やっぱり運び屋だったじゃないか!」

 

「この小麦粉で本当のパンの味を教えてあげる!」

 

「Qui êtes-vous ⁉︎(お前は誰だ⁉︎)」

 

「慌てすぎだケイト!あと誰だ!」

 

「私です!」

 

「「「本当に誰⁉︎」」」

 

ココアの姉さん 保登モカさんでした。

 

 

 

 

 

 

「モカさん、このパンおいしすぎて涙が…」

 

「俺が今まで食べたパンはなんだったんだ…」

 

「さすが姉妹」

 

「三人の話は聞いてるよ、写真も見たよ♪」

 

モカさんが取り出した写真は、俺をジャイアントスイングして失敗したリゼや、ブレたチノちゃん&ティッピーのような、いわゆる面白写真がほとんどだった。

ちなみに写真の俺は、すぐ後に顔に擦り傷を負った。あれは痛かった。顔だけじゃなく全身。

 

「「「ロクなのがない!」」」

 

「みんなかわいい…♡」

 

「「「どこが⁉︎」」」

 

微妙にズレてる感性に、ココアとの血の繋がりを俺たちは感じた。

 

「さて!妹が帰ってくるまでお手伝いしようかな」

 

「お、お客さんにそんなことっ!」

 

「お姉ちゃんに まかせなさい♪」

 

今までココアの微妙な姉っぽさを見てきたからだろうか。モカさんから、後光が見えるほどの頼れる姉オーラを感じ取った。

そして俺たち三人の思考は完璧に一致した。

 

『いつものココア(さん)が 茶番のようだ』

 

 

 

 

「中学生でお仕事なんてすごいねー」

 

「マスターの孫として当然です!」

 

当然と言いつつも、どこか誇らしげなチノちゃん。

 

「ケイトくんはカッコイイねー」

 

「あ、ありがとうございます…」

 

ならなんでチノちゃんと同じように頭撫でんだろ。

あと一瞬殺気を感じたのは多分気のせいか。

 

「リゼちゃんもかわいいねー」

 

「高3ですが…」

 

「私から見たらかわいいの!真っ赤になるのもかわいいなぁ♡かわいいかわいい♡」

 

モカさんにかわいいと言われながら撫でられ、リゼの顔はすっかり真っ赤だ。超かわいい。

……いいなぁ、モカさん。

 

「ち 近寄るな!」

 

「つかまえた♪」

 

「脅しが効かない⁉︎」

 

リゼは銃で脅したが、それも気にせずモカさんはリゼに抱きついた。

……本当にいいなぁ。

 

「ケイトくんもリゼちゃんもふもふしない?」

 

「しません!」

 

「えー遠慮しなくていいんだよ」

 

「………いい、リゼ?」

 

「ダメだ‼︎」

 

「(´・ω・`)」

 

まぁ駄目元だったけどね。

 

「満足満足♪」

 

「わっ私がもふもふされるなんて……」

 

「リゼ、カム」

 

「くるか‼︎」

 

両手を広げてcomeしても、リゼが来ることはなかった(そりゃそうだ)。

 

 

 

 

 

モカさんが仕事を手伝い始めて少し経つと、やっとココアが戻ってきた。

 

ただし茶色の帽子とコート、サングラスにマスクとちょっと?グレたスタイルで。

 

「おかえりー」

 

「ちゃちゃっと仕事戻れよー」

 

「あ、うさぎかわいかったです」

 

「あれ?」

 

格好にツッコまないからか不思議そうにしてる。

気にするだけメンドイし。

 

「ココア⁉︎その変装は…ダサい‼︎」

 

おい さっきグラサンマスクできた客。

 

「とにかく……久しぶりココア。元気そうでよかった♪」

 

「おっ…おねぇちゃーん‼︎」

 

ココアはモカさんに抱きついた。一年ぶりの再会なんだ、嬉しいに決まってる。

みんな(窓の向こうに千夜とシャロがいた)で感動の再会を見てると、急にココアは何かに気付いたように抱きつくのを止めた。

 

「みみみみんなの前で恥ずかしいよ!しっかり者の姉で通ってるんだから!」

 

それはない

 

 

 

 

 

ずいぶん長かった気がするが、やっとココアのラテアートをモカさんに披露した。

 

「すごい…!お客さんのために練習したんだね」

 

「ココアさんの成長の証です」

 

ココアの成長に、モカさんも思わず目尻に涙を浮かべてる。

 

「それか日向ぼっこしてるかどっちかだったもんな」

 

「仕事の方はなかなか上手くいかないしな」

 

「ココアーーーー!!?」

 

うっかりこぼした俺とリゼの問題発言に、モカさんも絶叫するしかありませんでした。

 





自分は三兄弟の長男なので、兄か姉は羨ましいです。

青山さんみたいな姉が欲しい……!


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46話 ケイトのピクニック


ごちうさ5巻買いました。
リゼが可愛くてツライです。


俺たち(モカさん含む)は今 ピクニックを楽しんでいる。

モカさんとココアが、チノちゃんのために小麦粉4kg分のパンを作ったのがキッカケだ。

大勢で外でのんびりした事はなかったし、インドア寄りの俺も案外楽しんでいる。

 

「それじゃあパン大食い対決はっじめるよ〜!」

 

「爽やかな雰囲気が台無しだ」

 

リゼの言いたい事は分かるが、このメンツで爽やかさを感じるなんて期待はしてない。

まぁリゼも含めて、この和やかな雰囲気を楽しんでるので、イヤな気分はこれっぽっちも感じちゃいない。

 

「ただしこの中にひとつマスタード入りスコーンが!」

 

「ゴフッ⁉︎」

 

あっ、ティッピーがむせた。

 

「奇遇です!私もロシアンルーレット牡丹餅持って来たの!」

 

「「最悪の意気投合‼︎」」

 

和やかな雰囲気が一瞬で台無しになってしまった。

アレか?俺が和やかイイねなんて考えたのがフラグだったのか?

 

「千夜、ハズレの牡丹餅って何が入ってんだ?」

 

「ハズレらしくワサビをたっぷり入れたわ」

 

「具体的にはどんくらい?」

 

「………………」

 

「おい、目逸らすな」

 

冷静に考えると引くぐらい入れたのか。

寿司のひとつまみ分あるワサビでツーンてくるんだ。例えば牡丹餅の中にパンパンにワサビがあったら………。

 

その先を考えるのを止めた俺は、ちゃちゃっと牡丹餅を取ることにした。

うん、誰かには悪いが俺もできたらイヤだ。早めに取ればハズレの可能性は低くて済む………

 

「何ボーッとしているんだ。取ってないのはケイトだけだぞ」

 

「…マジかよ」

 

どうやら考える間に、残りは俺の分の一個しかなくなった。ディア◯ロか?キング◯リムゾンか?

…いやいや、すでに誰かハズレを引いたんじゃないのか?ハズレが最後まで残るなんて展開そうあるはずが…。

 

「ケイト、トイレはあっちだからな。……その、根性だ!気合いで食べるんだ!」

 

リゼの優しくも力強い言葉で、俺は全てを受け入れた。

 

 

 

 

 

 

この日、公園に怪獣顔負けの絶叫が響いた。

 

 

 

 

 

「口が……舌の感覚が……水切れた…」

 

「だ、大丈夫かケイト?ほら、私の分の水も飲め」

 

「サンキューリゼ。ってこれ間接キスじゃん」

 

「うわぁああああああああああああ‼︎」

 

「ちょっリゼ水がっ息できっ……!」

 

喪失と水攻めに襲われながらも歩いてると、ボート乗り場が目に映った。

 

これ、リゼと2人でボート乗るチャンスじゃね?

 

「そういえば私、ボートって乗ったことないです」

 

「じゃあ、くじ引きで4組に分かれてあの岸まで競争ってどう?」

 

まさかのチャンス到来。ありがとうチノちゃん、モカさん。

 

さっきの悲劇も、ここで幸運を掴む為の致し方ない犠牲だったんだ。そうに決まってる!

地球のみんな!オラにちょっとだけ運気を分けてくれ‼︎

 

「何両手を上げてんだ?」

 

「願掛け」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「地球滅べ」

 

「何世界の全てを恨んでる顔で物騒なこと言っとるんじゃ」

 

数合わせで人数に入ってたティッピーとペアになりました。

うん、呪詛吐くのも仕方ない。なんでダンディなウサギとボートに乗らなきゃいけないんだ。さっきの悲劇はなんだったんだ。

 

「ほら、1位は何でも命令できるんじゃろ?だったら頑張ればいいじゃろ。ワシの孫に不埒な事を命令したら許さんぞ」

 

「ロリコンじゃねえぞ落とすぞ」

 

「やっやめんか!この身体で泳ぐのは大変なんじゃぞ‼︎」

 

お年寄りにこんな事をするのはイヤだが、ロリコンという汚名は絶対に受けたくないからしゃあない。

けしてムシャクシャしてやってるわけじゃない。

 

「そもそも、勝つつもりも命令するつもりもありませんよ」

 

「ん?なんでじゃ?」

 

「いや、無理やりは趣味じゃないだけですよ。あくまで同意の上でじゃないと気分が乗らないんです」

 

この街に来るまでまともに人と関わりを持たなかったせいか、どうも今でも相手の気持ちを過剰に気にする節が俺にある。惚れる前からリゼに対して真剣でいたように。

 

本気で嫌がる顔を見たくないし、させたくないんだ。

 

……1位取ったら、つい調子に乗ってしまうかもしれないし。

 

「勝てば同意の上で命令できるってことだと思うんじゃが」

 

「まぁ、気分ですよ」

 

「めんどくさい奴じゃな」

 

何かを察したのか、俺の誤魔化しを追求することはなかった。

 

 

それはともかく、最後の言葉がちょっと癇に障ったので、とりあえず湖で泳がせた。

悪気はあったが反省はしていない。

 

 

 

 

 

 

「千夜ちゃんまでとられたよー!」

 

のんびり漕いでみんなと合流すると、千夜がモカさんにモフモフされていた。あとで聞いたが、千夜だけモフモフされなかったのを気にしてたらしい。

俺?最初に会った日にモフモフされました。思春期の男子には毒でした。

 

「リゼ、モフモフしても?」

 

「…ダメだ!」

 

一瞬間があったのが気になるが、同意は得られなかった。

……やっぱ1位目指せばよかったかなぁ。

 

 

 

 

 

翌日

 

「昨日の競争、千夜が勝ったとはいえモカさん早かったな」

 

「なんだかんだリゼよか早かったしな」

 

日頃パンを作っているから、腕とか力がついていたのかね。

俺が真面目に参加してても勝てるかはわからなかった。

 

「ココアの姉なのに、弱点がないって感じだったな」

 

「あ、あ〜、弱点ね……」

 

「なんだその反応?」

 

「あっいや、昨日の夜なんだけど……」

 

 

 

 

 

 

ラビットハウス バータイム

 

「マスタ〜、ケイトくん〜、なんだかココアが冷たいよぅ……」

 

「は、はぁ。そうですか」

 

夜中のバータイム、モカさんが来たかと思うといきなり泣き出した。

どうやらココアが昔のように甘えてこないらしい。

 

「まぁきっとココアにも姉離れの時期が……いや本気で泣かないでくださいよ」

 

「ケイトくん!牛乳おかわり!」

 

「飲み過ぎですよ」

 

その後モカさんは、お腹を壊した。

 

 

 

 

 

「「……弱点はココアか」」

 





明後日テストなので遅れました。
スミマセンm(_ _)m

ケイトも大概ですが、運が悪いってツライですね。
自分も先日、塾の模試で自分だけ問題用紙が違ってて終了が遅くなりました。一瞬塾辞めることを考えましたよ。辞めませんが。
これぐらいの不幸が2日に1回はあるから笑えない。


みんな!オラに運気を分けてくれ‼︎


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47話 モカさんとの別れ


おばあちゃんの誕生日パーティーで遅れました。
こんな感じの理由がなければ夕方あたりに投稿します。


「お姉ちゃん入っちゃダメ!」

 

「チノちゃんのお友達だよね?私も一緒に……」

 

「ダメなの!いい?入っちゃダメ!」

 

ココアに部屋に入れてもらえず、モカさんが項垂れている。ショック受けすぎだ。

見てる俺とリゼも反応に困る。

 

「妹の姉離れが深刻だよ……」

 

「深刻なのは姉の方だな」

 

「ココアはなんか忙しいみたいですし、俺たちが街案内しますよ」

 

「う、うん……」

 

詳しい事はわかんないけど、このままじゃ見るに堪えない。ここは俺たちで少しは気を紛らわせよう。

 

 

 

 

 

 

3人で甘兎庵に向かってるnow。

同級生と大人の女性の3人で歩いても、あまり気になんない俺って凄いと思う。

むしろ、モカさんと若干距離を置いてるリゼの方が気になる。

 

「リゼちゃん、エスコートしてくれるという割にはちょっと距離が…」

 

「モ、モフモフ対策で…」

 

「まあ、リゼちゃんの後ろ姿も可愛いから良しとしますか」

 

「たまにはリゼの後ろ姿もアリだなぁ」

 

「おっ、なかなか話がわかるねケイトくん!」

 

「やっやっぱり後ろはダメだ!ていうか近づくなぁあああああああああああ‼︎」

 

「「案内放棄⁉︎」」

 

顔を真っ赤にしたリゼはどっかに走り去ってしまった。

 

まぁ、律儀だし甘兎に逃げたんだろう。

リゼには悪いが甘兎に連れてく約束だし、俺1人ででも案内しよう。

 

 

 

 

 

「どっどうしたんですかリゼ先輩⁉︎」

 

「命までモフられる!」

 

甘兎に辿り着くと、リゼはシャロの後ろに隠れてしまった。

シャロがガードしてるけど、そこって俺がいるべきポジションじゃね?(んなことない)

 

「千夜ちゃん!その制服イケてる♪」

 

「本当ですか⁉︎シャロちゃんの働いてる制服もミニスカでかわいいんですよ!」

 

「行ってみたいなぁ」

 

その時は俺もご同行させていただこう。

メイド服の店に1人で入る男って、明らかにダメな奴に見られるもん。

 

「私もまだまだミニスカで働けるかな?どう思うシャロちゃん?」

 

その時俺は、シャロの目線がモカさんのモフモフした胸元に向いてたのを見逃さなかった。

そして不可抗力だが、俺の目線がモカさんの胸元に向いたのをリゼは見逃さなかった。

 

「やめましょう…トラウマになる子もいるんですよ…」

 

「トラウマ?」

 

「ケイトは今どこを見ていた?」

 

「あれは不可抗力で……あったまにはフルールの制服着てほしイダダダダダッ!」

 

下心はなかったから勘弁して欲しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

「サプライズパーティー?」

 

「ココアから聞いてなかったのか?」

 

ラビットハウスに来るよう言われて来たら、俺の知らないところでパーティーが企画されてたらしい。

なんでも、モカさんが元気ないのが気になったので、今日帰るモカさんのために何かしようとのこと。

 

「とりあえずクラッカーぐらい持て。もうすぐ2人がくるぞ」

 

俺だけ何も知らなかったのは気になるが、気にしたら負けだ。今までの引っ越しでさよならパーティーなんてなかったし、企画に参加できるだけ十分幸せだ。

 

 

 

 

 

「サプライズパーティーの」

 

「始まりだよー♪」

 

モカさんと奇妙な兎の被り物をしたココアが入ってくると、マヤとメグちゃんの言葉を合図に、一斉にクラッカーを鳴らした。

 

「モカさんが元気ないから励まそうってココアちゃんが」

 

「お別れパーティーをしようって」

 

「ココアじゃないよ!この街のマスコットキャラのキグミンだぴょん!」

 

この街のマスコットに謝っていただきたいが、その前にモカさんが、ココアに思いっきり抱きついた。

 

「元気ないのはあんたのせいでしょー‼︎」

 

パン作りで培われたパワーで思いきり抱きつかれて苦しそうだ。

 

あぁ、平和だなぁ。

 

「どうしたケイト、何かを悟ったような顔をして」

 

「いやぁ、俺が今まで引っ越ししたときはお別れパーティーなんてなくて、この光景が眩しくて……」

 

「泣くな」

 

元ぼっちにパーティーの類は、どうしても複雑な気分になってしまう。控えめに言ってバカみてぇだ。

 

「お前はもう少し素直に楽しめないのか?」

 

「いやいやこれでも超楽しんでるぜマジで」

 

「盛りすぎだ」

 

この後タカヒロさんの手伝いをするつもりだったけど、楽しんでるのはマジだ。

控えめな性格なんだよ。

 

 

微妙に空気を読めないでいると、マヤメグに抱きついてたモカさんがやってきた。

 

「ケイト君もプレゼントとして貰っていこっかな?私弟も欲しいなーって思ってたの」

 

「ケイトくんも違うよー‼︎」

 

背中からモカさんに抱きつかれて、モフモフしたアレがヤバイ。青少年には猛毒だ。

まだポーカーフェイスは保ててるが、これ以上は理性が砕ける。暴走はしないが義弟もありかなってなってしまう。

 

自分の中の悪魔と争ってると(この間0.5秒)、リゼに引っ張られてモフモフから解放された。

俺の腕にしがみついたリゼは、妙に真剣な顔だった。

 

「ケイトはダメです!こいつは、その……」

 

「あらあら〜、ゴメンねリゼちゃん。リゼちゃんのケイトくん取っちゃって♪」

 

「ななななんでそうなるんだ⁉︎」

 

「そうですよ⁉︎なんで逆じゃないんですか‼︎」

 

「お前は何を言ってるんだぁああああああ⁉︎」

 

「待って今のは冗談だから‼︎」

 

つい本音を漏らしてしまった俺は、真っ赤になったリゼにボコボコにされた。

でも、真剣な顔で俺を引き止めてくれたのは、冗談でも凄く嬉しかった。

 

リゼのものでもアリだなっては思ったけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

ボコボコにされて微妙にパーティーに参加できなかったが、まぁ楽しんだし問題ないか。

なんて考えながら最後にモカさんに挨拶しようとすると、不意にモカさんが耳に口を近づけ小さな声で喋った。

 

「さっきはゴメンね。あと頑張ってね、リゼちゃんのこと」

 

……なんでそれを。

ほんと、姉という人種は鋭くて困る。

 

「じゃあねケイト君。ありがとね♪」

 

最後の見送りのココア、チノちゃんと一緒にモカさんが去ると、リゼがさっきの内緒話について聞きに来た。

 

「おい、さっきは何を話してたんだ?」

 

「あぁ、リゼがかわいいって話ィダダダダダダダダッ!」

 

「誤魔化すな!」

 

「いやいやリゼマジでかわいイダスギィイイイイイ‼︎」

 

 

俺はまだ、今のリゼとの関係を楽しみたい。

でも、一歩を踏み出す勇気が、少しだけ湧いてきた別れだった。





テストやっと終わったぜ(無事とは言ってない)

現代文以外はなかなか点が上がらないッス。
現代文以外は、何かしら覚える必要があって苦手。

みんな!オラに記憶力を分けてくれ‼︎
(ネタの使い回し)


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48話 リゼ率いる振り回され隊(仮)

何かがあると普通に遅くなってまう。
何もないとラノベや漫画読んで遅くなってまう……

七つの大罪面白いんだお(^ω^)


「あのココアと千夜がケンカか」

 

「それケンカか?」

 

「困ったものです」

 

何故かシャロに、リゼやチノちゃんと一緒にフルールに集められた。

なんでも、千夜がクラス替えが不安だって話したら『私すごく楽しみ!』って満面の笑みで言われたらしい。

まぁ少し頬を膨らませただけでケンカはなかったからマシだけど。

 

「ココアさんは天然でしでかすんです」

 

「前もパズル完成させちゃってたよな」

 

「千夜もそういう所あるわね。ココアと波長が合うぐらいだし」

 

「あの二人はマイペースお騒がせコンビですね」

 

「じゃあ私たちは振り回され隊だな」

 

「カッコ悪いな」

 

入隊は拒否させてもらうとして、天然は悪気がないからタチが悪い。おかげで怒るに怒れないし、日常が濃くなってしまう。

後者は感謝しかないか。

 

「クラス替えって運なんですか?中学にはないので…」

 

「うちもよ。学力や特性で決めるって聞くけど…」

 

「でも俺が転校してきた学校は、今の所以外運だったな。参加はできなかったけど」

 

「運だったらチマメ隊が解散して新チームが結成してたかもな」

 

「それは困ります‼︎」

 

「でも、私ちょっと運には自信あるんです。商店街のくじ引きで当てたハズレのボールペン、使い心地バツグンだったんです!」

 

「運がいいのか悪いのか⁉︎」

 

使いやすいなら運良かったんじゃね。

結局認識の問題だと思う。人の不幸は蜜の味なんて言葉があるぐらいだし。

 

「そういえば、ケイトさんって運悪いですよね?」

 

「……そこにきちゃったかー話の流れ」

 

「前もロシアンルーレット牡丹餅ハズレ引いたよな」

 

「なんか変なんだよ。昔は普通だったのに」

 

何故かこの街に来てから俺の運がどこにも見当たらないんだよ。

ジャンケン10連敗には慣れたし、10連続で二択問題外すし、ロシアンルーレット牡丹餅や饅頭は基本俺がハズレを引いてしまう。

 

 

アレか、リゼに出会った幸運で運が尽きたのか?

 

 

「…ケイト、今なにか恥ずかしい事考えなかったか?」

 

「うんにゃ」

 

俺って顔に出やすいのかな?

 

 

 

 

 

 

 

シャロのバイトが終わったあと、俺たちはとある文房具店にやってきた。

チノちゃんがマヤ達と見つけた穴場で、流行の文房具がいっぱいらしい。

まぁ俺は流行はよくわかんねぇけど。

 

「これは機能性に優れてるみたいだ」

 

「お父さんが使ってるやつみたいです」

 

「えっ⁉︎」

 

「おっ、これガンダムのペンじゃん」

 

「子供が使いそうなデザインですね」

 

「マジかよ」

 

「二人はもっと中学生の目線になるべきですね」

 

「少し歳が離れただけで…」

 

「中学生以上だってロボはロマンだろ…」

 

「チノちゃん、これコーヒーミル型の鉛筆削りらしいわ」

 

「素敵です!とても渋みがあります!」

 

「「中学生なのに渋みって」」

 

俺だって持ち物に渋みなんて求めないのに……

喫茶店の娘はここまでクールになれるのか!

 

 

 

「みなさん、買うもの見せ合いませんか?」

 

「ん?ええよ」

 

「じゃあ せーので」

 

 

四人が見せたのは、それぞれ色違いのウサギをテーマにしたペンだった。

 

受けがいいかなって最初に見せたけど、まさか同じ種類のペンを選んでたとは思わなかった。

男の俺がウサギ?名前に兎があるから愛着湧くんだよ。

 

 

「以外と趣味が似てるんですね」

 

 

「あとは…アンゴラうさぎの下敷き」

 

「手榴弾型消しゴム」

 

「ラプラスの箱型ペン立て」

 

「お徳用ノート……本当によくかぶったわね」

 

全くである。

男の俺はしゃあなしだけど、女子でもだいぶ好みが違ったな。

リゼも相変わらずだし。

 

 

 

 

 

 

 

文房具を買ったあと、ココアと千夜が心配で、話し合うという公園にやってきた。

 

「あ…みんな……」

 

公園のベンチには、正気を失ったような千夜がいた。

黒いオーラが見えて怖い。そのままお化け屋敷で活躍できるレベルだ。シャロもビクッ!ってしたし。

 

「みんな…ココアちゃんから果たし状が…」

 

 

 

 

 

 

 

果たし状

 

夕刻4時半、公園にて待つ

飾る言葉などいらぬ

覚悟と心意気の身持ち来れ

 

 

あ、お菓子はあるからね

 

 

 

 

 

「帰っていい?」

 

「ダメだ」

 

なんだろう、すごくやる気がでない。

気にしてなくはなかったけど、あんな遊び心満載のメールみたら杞憂じゃねえのって思うわけだよ。

 

 

「えーーっっ‼︎クラス替えあるの⁉︎」

 

「「今知った⁉︎」」

 

杞憂だった。

やっぱりココアは天然だ。

 

「千夜ちゃん 良い先輩(おねえちゃん)になれるか不安だったのかと‼︎」

 

「ひでぇ勘違いだ」

 

「そっちも心配した方がいいかしら‼︎」

 

「しなくていい」

 

まぁクラス替えのこと知らないなら、何の心配もしないわけだ。

ココアたちの学校は明日らしいけど、運が良ければいいな。

 

「というわけで、ティッピーのコーヒー占いで明日の運勢を占ってもらいます!」

 

「心読むな。あと準備早いな」

 

「ふむ、明日の二人は……

 

今までの行いの報いが来るじゃろう」

 

「わっ私たちの強運なめてもらっては困るわ!」

 

そういって千夜は、どこかからロシアンルーレット饅頭の箱を出した。

もうそのマジックにはツッコマないぞ。

 

 

 

 

 

「く……口の……っかんかくが」

 

「ちやちゃ……いきて……ガクッ」

 

「バ、バカな!ケイトも参加してるのに二人がハズレを引くなんて!明日は天変地異が起きるのか⁉︎」

 

「俺を何だと思ってんだよ⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

「「「春休みの宿題忘れてた⁉︎」」」

 

「明日までに提出しないと進級早々補習なの!」

 

「初日提出じゃなくてよかったな……」

 

「ティッピーの占いは当たりですね」

 

宿題を手伝ってほしいと泣き疲れたお嬢様高校組は、心を鬼教官にして勉強を教えてる。

ついでにチノちゃんの予習も手伝ってる。

自称お姉ちゃんとはエライ違いだな。

 

「ここの解答!」

 

「間違ってる!」

 

「だからってすぐ解答に頼らない!」

 

「鬼教官が三人!でも頼もしい!」

 

結局俺たちは振り回されるのか。こりゃあ振り回され隊に入るのも致し方ないか。

はぁ……振り回す側にはなれないけど、振り回されるのはそれなりに疲れるな。

 

「そういや、二人のクラスってどうなったんだ?」

 

「千夜ちゃんと同じになったよ!」

 

「…そっか。よかったな」

 

 

 

 

 

 

「あれ、なんで四人とも同じペンなの?」

 

「ひみつの絆です」

 

「??」

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに翌日

 

「まぁなんだ。今年もよろしくな、リゼ」

 

「あぁ。よろしくな、ケイト」

 

うちの学校にクラス替えはないが、俺たちは再び隣同士の席になった。

 

 

俺の運は 案外まだ尽きてないらしい




ジャンケン10連敗は作者の実話。
50%の確率でスキルレベルアップすんのに、12連続スカもあった。(4096回に1回起きる確率のはず)
黒ひげやワニが噛み付くアレも基本負けてしまう。
そんな不幸が笑えるぐらいには慣れたった。

おかしいなぁ、まだ胸ときめく出会いないのに…。


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49話 リゼたちとチマメ隊改めアヒル隊

創作ダンスの発表はツライよね〜
ちょうど俺ん学校でも(リーダーが)創作ダンス作ってるし。

男子にダンスはどうかと思う。


とある日のバイト

 

「今日は景色が高い気がするのぅ」

 

「今日は爪先立ちで仕事します」

 

爪先立ちをしたチノちゃんは普段より背が高く見え、ココアも驚いていた。

なんでも、チマメ隊のみんなで創作ダンスの練習をするらしい。それもバレエをだ。

 

「私、バレエを始めるんです!」

 

「転ばない程度にガンバレ」

 

「まさか!ワシの喫茶店捨てられるの⁉︎」

 

ねぇよ。あともう少し隠そうとしろよ。

 

「ここの仕事ばっかりだったチノが習い事なんてな」

 

「若いうちに色んなことやってみたほうがいいよな」

 

「若造が何を言っておる!ワシの半分も生きてないじゃろ!」

 

「たまにチノは面白い冗談言うよな」

 

おじいさんがピリピリしてるなか、ココアだけ何故か会話に参加していない。

青ざめた顔でどうも千夜に電話してるようだ。

 

「もしもし千夜ちゃん⁉︎チノちゃんの身長がきゅきゅ急に伸びたの‼︎……ううん何も悪いモノは食べてないと思うけど……」

 

「……ま、まぁチノちゃんはバレエ頑張りな。バイトない日は差し入れ持ってくるぞ」

 

「…ありがとうございます」

 

ココアをツッコまないのかって?

するだけ無駄やわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

チノちゃんがバレエを始めた数日後

 

ティッピーを落ち着かせるのに苦労した数日だったが、今日はバイトはない。

というわけで、同じくバイトのないリゼと差し入れを持っていく事にした。

 

「悪いなリゼ、付き合ってもらって」

 

「構わないよ。私も誘うつもりだったし」

 

下校も基本一緒だけど、ラビットハウス以外の同じ目的地に向かうのは珍しい。

と言っても、普段と変わらない他愛ない会話をしてるけど。

 

 

「こんちわー」

 

「チマメ隊!差し入れ持ってきたぞー」

 

途中で買った菓子を持って練習部屋に入る俺とリゼ。

中にはバレエらしい衣装で練習してるチマメ隊の三人……あれ?マヤの隣の子に見覚えが……

 

「「ココア⁉︎」」

 

「あっリゼちゃんにケイトくん!メグちゃんのお母さんがぜひ体験してって言ってくれたのー!」

 

な、なるほど。楽しんでるようでなによりだ。

ちなみにメグの母さんはバレエ講師とのこと。

 

「………楽しそう(ボソッ)」

 

「やってみるか?」

 

「ななななぜわかった⁉︎」

 

いやだって聞こえたし。あとチマメ隊やココアんことキラキラした目で見てたし。

にしても顔真っ赤で狼狽えるリゼかわいいな〜。

 

「…ケイトは、私がバレエをやってるとこ見てみたいか?」

 

「超見たい」

 

「即答か…。ま、まぁ見てみたい奴がいるならやってもいいか」

 

「そこは俺のため的なこと言って欲しかったなー」

 

(無言の腹パン)

 

「グハッ‼︎いっいきが……!」

 

キツイ腹パンをされたが、リゼのバレエやってるとこ見れるなら安い代償だ。

計画通り(新世界の神顔)

 

「彼氏さんもやってみる?」

 

「あっ俺は見学します。あと彼s……」

 

「こいつは彼氏じゃありません‼︎(腹パン2打目)」

 

「何で俺ボグゥッ⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ケイト君が起きたわ」

 

「意外と早いお目覚めですね」

 

目がさめると、千夜とシャロもバレエに参加していた。

どうやら1時間ほど俺はボロ雑巾になっていたようだ。まぁまだ練習はあるし大したことはない。

 

気を取り直して見ると、リゼもシャロも初めてとは思えないぐらいバレエが上手い。最初は見てないがスゴイ上達ぶりだ。

チノちゃんがショックを受けてるから本当にスゴイんだな。

 

「すでに私よりうまい…」

 

「こっちの先輩もいいとこ見せてよ!」

 

「合点承知よ!」

 

「最高のパ・ド・ドゥをお見せするよ!」

 

「「アン・ドゥ・どっこいしょーー!(ガンッ‼︎)」」

 

流れるような動作でココアの頭が床に叩きつけられてしまった。

 

「ココアたちはこうやりたかったのか?」

 

リゼとシャロのペアは、頭が叩きつけられる事なく華麗に決めた。

男の俺がいるべきポジションな気がするが、バレエはこのまま見学する。

 

「2人ともキレイ〜」

 

「白と黒の白鳥かよ!」

 

「キ、キメるぞシャロ!」

 

スゲェ、シャロがドリルかってぐらい高速回転してい……あっ倒れた。

 

でもめっちゃ幸せそうだ。

 

 

 

 

 

「ありがとなケイト。背中押してくれて」

 

「やったのはリゼだろ。見たいのはマジだし」

 

「…最後のがなかったらカッコイイのに」

 

「マジかよ」

 

ちくしょう。ここがカッコイイアピールできるチャンスだったか。

軽くショックを受けてると、マヤコーチから教わってるココアから声をかけられた。

 

「みてみてー、後ろに滑りながら歩けるようになったよー!」

 

「バレエってすごいわ!」

 

「それムーンウォーク!」

 

「マイケル・○ャクソンなら俺だって!」

 

「…何ボーッとしているんだ?」

 

「ライブ・イン・ブカレスト オープニングのモノマネ」

 

「立ってるだけか⁉︎」

 

目玉お○じより楽なモノマネ。

 

 

 

 

「あははははっもうなにがなんだかだよ〜」

 

「俺のモノマネでウケたか!」

 

「それはない」

 

「(´・ω・`)」

 

「でもここであんなに楽しそうなメグ久しぶり」

 

「そうなんですか?」

 

「人前で踊るの恥ずかしくなって以来やめちゃってたからさ。あがり症だし」

 

「でも…バレエしてるメグさんはすごく素敵です」

 

「だな。バレエ自体は楽しんでるし」

 

「これなら本番もきっと上手くいくな」

 

チマメ隊のダンス発表は明日らしいけど、きっと大丈夫だろう。

 

……はて、何か違和感が?

 

「そういやチマメ隊はどんなダンス考えたんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……振り付け決めるの忘れてたぁああああああああ‼︎」

 

 

翌日の発表、バレエ自体は上達してたのでなんとか形になったらしい。

俺が言わなかったらどうなってたことだか……。





リゼ「そういえばケイト、何でバレエやろうとしなかったんだ?」

ケイト「い、いやだってその……男性の衣装は下半身がアレだから笑えないぐらいお見苦しいモノが目立って……」

リゼ「別に専用の衣装を着る必要はないぞ。バレエ教室によってはいるかもだが」

ケイト「……やりたかった。リゼと鮮やかなパ・ド・ドゥ。俺はなんて勘違いを(泣)」

このあとメチャクチャパ・ド・ドゥした(嘘)
少し制服姿でだけどやりました。


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50話 リゼシャロと行く部活戦線 前編


長くなったので、前編後編に分けます。

話数稼ぎ?……アーッ、聞こえないなー!
忙しいんや。うん、忙しい。m(_ _)m


とある日の放課後

 

「リゼ先輩の蹂躙走行よー!」

 

「私も蹴散らしてー!」

 

バスケ部の助っ人をしてるリゼが、男顔負けの勢いで攻めている。

観戦スペースでは、ぎゅうぎゅうになるまで入った女子たちの黄色い声援が止まない。おかげで耳が割れそうだ。

反対側にいるシャロも、人と柵に挟まれていて大変そうだ。

 

あっ、3ポイントシュート決まった。

 

 

 

 

 

翌日

今度はテニス部の助っ人をしてるらしい。

もちろん見る以外の選択肢はない。

 

「リゼ先輩の核ミサイルスマッシュ炸裂よ!」

 

「先輩の爆風感じるー!」

 

テニスコートに来ると、ちょうどリゼが試合をしていた。

リゼの運動神経もすごいが、黄色い声援はさらに凄まじい。

人も多いので、シャロもジャンプしながら観戦している。

 

一応リゼに一緒にやろうと誘われてたが、男は流石にゲームバランスが崩壊するから俺は参加していない。

でも、観客だと試合が見づらいし、せめてマネージャーとしてもっと近くで観戦させてもらおっかな。

 

ジャンプのしすぎでバテたシャロを見ながら、そんな事を俺は考えた。

 

 

 

 

 

 

さらに翌日

 

「シャロ?確かにいたけど、それがどったんだ?」

 

「いや、あんまり熱心に見ていたから気になって…」

 

ラビットハウスで、昨日一昨日のシャロが気になったリゼの話を聞いていた。

 

「それは絶対!シャロちゃんも部活で青春の汗を流したかったんだよ!」

 

「えっ…あっそうね!」

 

ココアの解釈に、客の千夜が一瞬言い淀んだ。

 

(千夜、たぶんリゼを見たかったからだよな?俺と同じで)

 

(最後のはともかく、絶対リゼちゃんを見てたわね)

 

やっぱりそうか。

バラすわけにはいかないから小声で話したけど、第三者としてはもうちょい察してほしい。

 

「やっぱりか…バイトばっかりだったもんな…」

 

「私も部活入ってみたかったなー」

 

ココアの言葉に、チノちゃんの顔がかすかに歪む。

確かに、学校の方針で居候先の手伝いをすることになってる。だからって、それでチノちゃんが負い目を感じる必要はないのではないか。

そんな事を言おうとしたが…

 

「ラビットハウスで部活動を始めては?」

 

「そっかぁ!」

 

「仕事してください」

 

青山さんの提案で笑顔(遊ぶ気)が湧いたココアを前に、チノちゃんの顔には哀愁さえ漂っていた。

まぁ、負い目よりはマシか。

 

 

 

 

 

 

 

 

またさらに以下略

 

リゼとシャロ、オマケの俺が集まり、これから部活の助っ人をする。

今日は文科系の部活もあるから、男の俺も参加できる。

 

「そういえば先輩、今日はポニテなんですね」

 

「みんな凛々しい方がらしいって言うから」

 

助っ人のときのリゼは基本ポニテだ。

髪型の違うリゼもありだな。

 

「それに、部員を蹴散らす荒れ狂う黒馬と対峙するみたいで気合が入るって」

 

「練習ですよね?」

 

「荒れ狂う黒馬……ハッ!黒王号か!」

 

「それはやめろ‼︎」

 

ポニテにする理由にリゼはあまり納得してない顔だったが、眼福だし問題ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いくぞシャロ!」

 

俺の投げたボールが、見事に空へ打ち上げられる。

 

「はいっ先輩!」

 

シャロが必死にボールに食らいつく。

しかしボールはさらに遠くへ行き……

 

 

 

 

 

 

 

 

「いくぞ シャロ〜♪」

 

探偵の衣装を着たリゼが、何故かバットを持ったまま劇に臨む。

 

「はい 先輩ー♪」

 

ワトソ……某助手らしい衣装のシャロも、何故かグローブを着けたままだ。

「そういえば部長さん、俺の役は?」

 

「あっそうでした。 これを持ってください」

 

「………血塗れのナイフ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「特売というのは、特別なあなただけに売るという意味で……」

 

「いけるかシャロ⁉︎」

 

「奴ら はき違えてます先輩」

 

意味不明な解釈をしているお嬢様たち。

そんな彼女らを影から見つめる二人の探偵と俺…

 

「ケイト、何スマホを見ているんだ?」

 

「グー◯ル大先生」

 

 

 

 

 

 

 

「ていうか詰め込みすぎー!私が管理します!」

 

「悪いなシャロ!」

 

馬に乗った二人は馬に怖がることなく、会話をする余裕さえある

 

「動くなよ!絶対動くなよ!」

 

「乗り手が怖がると、馬にも伝わって余計危なく……」

 

「ちょっ待って動かないで!高くて怖いから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……疲れた」

 

「なんだ、もう根を上げるのか」

 

「いやだって予定詰め込みすぎなんだよ!」

 

すでに俺らはソフトボール部・演劇部・庶民研究部・乗馬部と色々な部活の助っ人をした。男の俺も体育会系の部活にだって参加した。

これでもリゼと出会う前よかだいぶ鍛えられたが、慣れないこの量はキツイ。会社だったらブラック認定不可避だ。

 

「ケイト先輩、馬が高くて震えてましたよね」

 

「うっせえ高い所が苦手なんだよ!」

 

「降りた後も生まれたての子鹿みたいだったな」

 

ぶっちゃけ乗馬部が1番キツかった。高いの怖いし。

 

「そういえば、部活巡りしてる私とリゼ先輩を見て、部活の子達から『ある人』みたいって言われるんですよ」

 

「リゼとシャロが?」

 

「はい。何でも神出鬼没!過去に多くの部活を適当なアドバイスで勝利に導いたという……その名は‘‘ミス・エメラルド”!」

 

何だろう。勝利に導いたってのはスゴイけど、適当なアドバイスって所で急に胡散臭くなった。

 

 

「ついでにその人の情報も集めてみませんか?」

 

「うん シャロが楽しめるならいいよ」

 

「? はいっ!」

 

 

 

 

 

「何だか、リゼがシャロの姉に見えたな」

 

「そうか?」

 

「リゼ先輩が……姉…」

 

シャロの顔が赤い。

 

普段は普通に友達って感じだけど、どことなくお姉さん的な雰囲気を感じた。

 

 

 

 

とにかく、三人で次の部活へと向かう。

高い所がない部活であることを願って…。

 

「「それはお前だけだ(です)」」

 

「あれ口に出てた⁉︎」

 

何かを切実に願う顔が出てました。

 





昨日メガネデビューしました。

後編やったら、次はケイトのメガネ回書こうかなーって思ってます。
その時は、ケイト君には近視になってもらいましょう。

ケイト「解せぬ」


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51話 リゼシャロと行く部活戦線 後編

この話まで読んでくれた心優しい方は、シドーの活動報告を一度読んでください。

割と大切な話なので


リゼとシャロ、おまけの俺は、部活の助っ人をしながらミス・エメラルドについての情報を集めることにした。

 

モチベが上がるならこういうのも悪くない。

実際、適当かはともかく勝利に導いたのはスゴイ。どんな人か気にならないといったら嘘になる。

 

けしてリゼが乗り気だからってだけじゃない。だけじゃない。

大事なことなので2回言いました。

 

 

 

そして今助っ人してるのは被服部だ。

 

裁縫は慣れないが、単純作業はそこそこ好きだ。

ハイスペックなリゼや裁縫の機会が多いシャロは、動きがとても早い。

 

…俺いらないな。

いや、せめてエメラルドについて聞くか。

 

「ミス・エメラルドの情報?タダで教えても面白くないわね…」

 

「なら、どうすれば情報譲ってくれるのかな?」

 

「それなら……どちらがリゼさんに相応しい服をコーディネートできるか勝負よ!」

 

「なぜ私⁉︎」

 

「リゼ、これも情報のためだ。頼む(笑)」

 

「ニヤニヤ顔はやめろ!」

 

いや〜、だってリゼのコーディネートが見れるんだぜ?勝ち負け関係なく俺得じゃん。

 

「異存はないわね」

 

「ないな」

 

「私の意見は⁉︎」

 

「じゃあ始めようか。

 

 

 

 

シャロ 頼む!」

 

「「なんで私(シャロ)が⁉︎」」

 

だって初心者ができるわけないし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある程度時間が経って

始めに、被服部の作品をリゼが着る。

 

なんだかんだリゼもシャロも引き受けてくれた。

 

「先輩すてきー!」

 

「薔薇と爆薬の番人降臨ね!」

 

被服部が作ったのは、リゼらしい軍人風の衣装だった。

リゼの凜とした部分と可愛さが見事にマッチしていて素晴らしい。

 

「ディティールに差がありすぎる……戦う前に負けました……」

 

「そっか……よく頑張ったなシャロ」

 

「先輩が巻き込んだじゃないですか…」

 

「そだっけ?(目を逸らしながら)」

 

「……。あと、なんで先輩まで軍人の衣装着ているんですか?」

 

「貸してくれた」

 

ちなみに、リゼの隣の俺も軍人の衣装を着てる。確かパンツァーヤッケと言う部隊の軍服だったか。

 

「どうだリゼ、カッコイイか?」

 

「言わなきゃカッコよかった」

 

なん……だと……!

 

 

 

 

「じゃあシャロ、罰ゲームも頼む」

 

「…プライドはないんですか?」

 

「あっても損するしね」

 

「……まぁ、カッコイイリゼ先輩を見れましたので良しとしましょう」

 

結局シャロは罰ゲームを受けてくれた。ありがとう。

 

内容は、不思議の国のアリスの衣装だ。

まぁフルールと大差ないからシャロもあまり抵抗はなかったけど。

…シャロはシャロでかわいいな。

 

ハッ、もしこの衣装をリゼが着たらどうなるんだ!

シャロが作った衣装もシンプルな可愛さがあってイイ!

これは着てもらうしかないじゃないか‼︎

 

「リゼ、ちょっちお願いが〜」

 

「着ないぞ」

 

「そこをなんとか(土下座)」

 

「プライドを拾ってこい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

舞台は変わって吹き矢部

 

青山さんは文芸部と迷った部活だが、正直言って意味不明。

全国の高校探しても吹き矢部なんてそうそうないだろ。初めて見たし。

 

とりあえず、エメラルドについて聞こう。

 

「ミス・エメラルドの話?ゲームに勝ったら教えよっかな〜」

 

勝負好きだなお嬢様。

 

まぁいい。やったことはないけど、吹き矢なら裁縫よかマシだろう。俺でも戦える。

リゼにカッコイイとこ見せられる!

 

「リゼ〜うちらが勝ったら入部してよ」

 

「わかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わ、私にこんなチカラが…⁉︎」

 

「すごいぞシャロ!特殊部隊に推薦できる腕前だ」

 

「嬉しいけど遠慮しておきます!」

 

「それに比べてケイトは……」

 

「な、なんだよ!点数としてはリゼとあんまし変わんないだろ!」

 

「お前と違って私は一発的に当たっているぞ!」

 

結果から言うと、俺とリゼは惨敗、シャロはまさかの全発ど真ん中だった。

リゼは三発中一発的の端に当たり、二発はギリギリ当たらなかった。

俺にいたっては勢いのつけすぎで、一発も刺さらなかった。

ダーツは勢いあると刺さらないが(個人の感覚)、吹き矢もなかなか力加減が難しい。

 

シャロは最初は自信なさげだったが、何故か最高得点を叩き出した。

ここは男の俺がカッコイイとこ見せる場面だるぉ……。

 

 

ま、まぁいい……一応チームとして勝ったしエメラルドについて教えてもらおう。

 

「翠さんについてでしょー」

 

翠さん?……あぁ、エメラルドの本名か。

 

「ふらふらする彼女を唯一連れ戻せる文芸部の後輩がいたそうだよー」

 

「そんな人が…」

 

文芸部の後輩…。ということは、エメラルドは文芸部だったということか。

 

「それよりもう一吹きしていかない?」

 

「よし リベンジだ!」

 

「得るべき情報は得ました!これ以上の戦闘は無意味です!」

 

そう言ってシャロは、リゼの手を取り部室から出て行ってしまった。俺をおいて。

 

「あの二人、どこか翠さんたちに似てるかも〜」

 

「ふぅーん。…写真とか残ってんの?」

 

「ちょっと待ってね〜」

 

そう言って彼女は吹き矢部のアルバムを出してくれた。

写真の一枚はまさにさっきのリゼシャロのように、外に連れ出されてる写真もあり、つい顔がほころぶ。

 

見覚えのある顔に感じ、書かれていたフルネームを見てみると……。

 

 

 

 

 

 

 

 

後日

ココアの提案で、ラビットハウスのバータイムで吹き矢が催されている。

 

「なんでダーツじゃないんじゃ……」

 

「人気なんでいいじゃないですか」

 

ティッピーの言いたいこともわかるが、事実客も売り上げも増えてるから結果オーライだ。

 

「それでケイト、ミス・エメラルドを呼んだのは本当なのか?」

 

「マジマジ。俺ぁ嘘つかねぇぜ」

 

せっかく吹き矢が催されてるので、エメラルドさんとリゼも誘った。

まぁエメラルドさんを探すのは骨が折れたけど。

 

「そういえばリゼ、今はポニテなんだな」

 

「あぁ。

 

 

…なぁ、ケイトは普段の私とポニテの私、どっちの方が似合うと思う?」

 

「どっちもアリ(即答)

ツインテでかわいいリゼも、ポニテで凛々しいリゼ、どっちもリゼは似合うし好きだ」

 

「す、好きって……お前はよく平然とそんな事を言えるな…。それに、シャロと同じような事を言うし」

 

まぁ、ある意味似通った部分があるしな。

 

 

 

 

「それよかエメラルドさんも来たし、吹き矢のリベンジマッチでもやろうぜ」

 

「ミス・エメラルドが来てるのか⁉︎そもそも一体誰なんだ⁉︎」

 

見る方が早いと俺はリゼの手を引き連れて行く。

 

リゼの反応、リベンジマッチの盛り上がりを考えると、つい顔がほころんでしまう。

 

 

 

やっぱり リゼといるのは楽しい




予算と時間の都合で見れなかったがっこうぐらしを初めて見ました。
……予想以上にシリアスで焦った

あと今日から始まるガンダムが超楽しみ

視聴後追記 : 仮面の男ェェ……


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52話 リゼたちと山へお泊まり!

執筆中 部屋にゴキの野郎が侵入してきました。
真夜中に女の子な悲鳴あげるとこでした。

男だけど、蚊も潰せないんだよぉ……。


現在普段のメンツ+チマメ隊の二人は、車に乗っている。

泊まりがけで山に遊びに行くのだ。

 

ココアがお誘いの手紙を見忘れたハプニングがあったが、それはさほど問題ない。

 

 

「俺は まだ……死にたく、ない!」

 

「お前は何を言っているんだ?」

 

そう、真に問題なのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…吐きそう」

 

「死を連想するほどかよ」

 

車酔いである。

 

 

俺の知る限り、車酔いには車の揺れか、ガスの匂いで酔う二パターンある。

俺の車酔いには、ガスの匂いが当てはまる。初めて街に来た時は電車だったが、揺れでは酔わないのですぐにラビットハウスでバイトする余裕があった。

しかし電車が大丈夫な分なのか、車には10分で酔った。

 

あぁ、本当、マジで最っ低な気分だ!

 

 

「ほら、背中さすってやるから、もう少し耐えてくれ」

 

そう言って隣に座るリゼは、窓に寄っかかってる俺の背中を優しくさすってくれる。

 

 

前言撤回

マジで最っ高の気分です!

 

なんかこれだけで今までの酔った俺が報われた気がする。

……いや、それはないか。

 

 

「…あ、ヤバイ。何か出そう」

 

「うわぁあああ こっち向くなぁ‼︎」

 

「待って殴ったらアウt……ウップ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

くぁwせdrftgyふじこlp

(イメージ音)

 

 

道中のトイレまで耐えました。

 

車の中で出さなかっただけ褒めてほしい。

 

 

 

 

 

山に着きました

 

 

「生きて辿り着けた!俺は勝ったんだ!」

 

「一度出してハイになってるな」

 

出した後は気分が良くなる。

車酔いのあるあるだ(と思う)。

 

「この雰囲気!実家に帰ってきたみたい!」

 

「「「実家ってこんな山奥だったの⁉︎」」」

 

今みんながいる森は、泊まるコテージ以外人の手が加えられた形跡が見当たらない。大自然そのものだ。

ココアの実家もこんな大自然の中にあるらしい。

歳をとったら、こんな場所で余生を過ごすってのも魅力的だな。

 

「す…すごいです!まさに大自然の驚異です!」

 

「自然の醍醐味は美味しい空気だよ!」

 

「じゃあ空気をお土産にしましょう!」

 

そう言ってチノ、あとメグは空のペットボトルに空気を入れる。お土産にありそうなやつだ。

 

 

うん、空気が美味しい。

病みあがりのツライ身体を癒してくれる。

 

 

 

 

 

コテージに入ると、みんながすぐ中を見て回った。

割と広いしコテージ探検だけで楽しいだ。

俺?まだ身体がツライからソファで横になってます。

 

家の物よりフカフカなソファでつい寝そうになると、何故か焦った様子のリゼが飛び出してきた。

 

「大変だ!どういうわけかクーラーボックスが空だ!」

 

「……えっ、食べ物ないの?」

 

「食料は現地調達になった‼︎」

 

「急にサバイバルに⁉︎」

 

あとリゼ、どっからサバイバルナイフ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんとかなるよ!実家の大自然に鍛えられた私と!」

 

「しっ食費のやりくりに鍛えられた私がいれば!」

 

「一人暮らしで料理慣れした俺もいるぜ!」

 

「私もできます。あと先輩は安静にしててください」

 

「辛辣か優しいのかわかんね」

 

「ハイハイ私釣りやってみたい!」

 

「私は山菜採りに行ってみたいな〜」

 

「じゃあお供させてもらおうかしら」

 

一同集まって現地調達の件について話し合うが、割とみんな前向きだ。

ぶっちゃけ最初のリゼが一番焦っていたな。

 

「たくましい小隊を持てて嬉しいよ」

 

「いつ小隊になったの⁉︎」

 

「あとそんな事で泣くな!」

 

「リゼちゃーん。チェーンソー見つけたんだけど、持って行った方がいいかしら?」

 

「何を刈るつもりだ⁉︎」

 

案外狩りに行くのかもな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会議の結果、千夜とメグが山菜採り(チェーンソーは無し)、他のメンツは釣りをすることになった。

俺は体力的に歩き回るのは不安だし、やったことないから釣りに参加する事にした。

どんくらい体力使うかはわかんねぇけど、歩き回るよかマシだろう。

 

「よーし、この中で釣りの経験者は?」

 

……………………………………

 

「お前ら任せろって言ったじゃないか!」

 

「なんとかなるって言ったよ!」

 

「魚をさばくくらいなら…」

 

「食べるのなら任せろ」

 

「働け‼︎」

 

まぁ街に釣りできるスポットはなかったししゃあないだろ。

 

「なんだ素人集団かよ」

 

「先が思いやられます」

 

「お前らも初めてだろ」

 

 

そんなわけで、ほぼ素人たちによる釣りが始まりました。

 

「どっちがいっぱい釣れるか勝負だよ!」

 

「なんでよ……あっ かかった!」

 

「あっ私もだ!」

 

ココアとシャロが釣竿を引っ張ると、図らずも二人同時に釣り上げた。

 

「一緒に釣れるなんて私たち息が合いすぎだよ〜♪」

 

「ぐ、偶然よ! あっまた…」

 

「私もまたきた!」

 

再び二人が釣り上げると、またしても同時に魚を釣り上げた。

ただしそれぞれ相方の顔に向かって。

勢いのついた魚が顔にクリーンヒットした様は、ただただ痛そうとしか感想が湧かなかった。

 

「「か、顔が痛い……」」

 

「さっきから仲がいいのか悪いのか…」

 

仲悪くはないだろ。

 

 

二人がバカやってると、今度はマヤの釣竿にかかったようだ。

 

「リゼどうしようヤバい助けて!」

 

「落ち着けー」

 

リゼの言葉で多少落ち着いたマヤは、すぐに助けを借りる事なく一人で釣り上げた。

 

「人生で初めて釣った魚だよ!写真!こいつと一緒に写真撮って!」

 

「わかったわかった」

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅー、大満足。もう釣りはいいや」

 

「おい!撮ってあげたんだから私も撮れよ!」

 

「あーいいよいいよ俺が撮るから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10分後

 

「ケイトー、魚釣れたか?」

 

「まだヒットしないな」

 

「まぁ最初はそんなもんさ」

 

その割にはココアにシャロ、マヤは釣れたよな。

ま、まぁそろそろ釣れるよな俺も。

 

 

 

 

 

さらに10分後

 

「ケイトー、調子はどうだー?」

 

「………(プルプルプル)」

 

「あぁ…だいたい察した」

 

「場所が悪いのかねぇ…」

 

「じゃあ私と一緒にやるか?私も何回か釣れたし」

 

「お願いするわ」

 

釣れなくてラッキー♪

 

 

 

 

 

 

 

もうさらに10分後

 

「……(´・ω・`)」

 

「なんでだ!なんでケイトがやると魚が釣れないんだ⁉︎」

 

「あぁ、魚もまだ見ぬ男友達も俺から離れていく……」

 

「凹みすぎだ」

 

なんだろう。俺って嫌われてるのかな?魚にも、周りにも。

 

 

なんて黄昏れてると、とうとう人生初ヒットがきた!

 

「キタキタキタァアアア!ってこれってどうすればいいんだ⁉︎」

 

「手伝うから落ち着け!」

 

どうするかわからずジタバタしてると、リゼが背中から俺の釣竿を握った。

後ろから抱きつく感じになって、リゼのふくよかなアレが背中にムギュ〜って当たってとにかくもうヤバイ!

肉体的には落ち着いたけど、頭は人生トップクラスぐらい暴走してて脳が焼き切れそう。

 

だけど、なんとかギリギリ意識を無にして、魚を釣り上げることができた。

 

「やったなケイト!人生で初めて釣ったんだろ!」

 

「あ、あぁ!根気よく待った甲斐があった!」

 

二重の意味で。

でも正直すぐにはリゼの顔見れない。

さりげなく魚見て顔逸らしてるけど、今の俺の顔は絶対真っ赤だ。

 

 

ほんと、女の子はこういうのズルい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?さっき釣ったやつはどこだ?バケツに入れたはずなのに」

 

「お、俺は……俺は魚ノ介を食べることなんてできない‼︎」

 

「逃したのか⁉︎」

 

 

俺が必死になって言い訳をしてると、視界の端でチノちゃんが泳いでるのが見えた。

 

「友であり師の魚太郎を食べるなんて……あっ、チノちゃんが泳いでる」

 

「名前違うし何が師だ……お、確かに泳いでるな」

 

よく見るとチノちゃんが進む先には、被ってたはずの帽子があった。

なるほど、珍しくアクティブだと思ったら、飛んでった帽子を取りに行ったのか。

 

あっ 手を振ってる。

 

「なんだ、私に来いってか?」

 

ノリノリなリゼがチノちゃんの元へ泳ごうとしたが、どうも違和感がある。

 

やけに激しく手を振ってるし、なんか鬼気迫る的な顔をしてるし……

 

って あれ溺れてんじゃね⁉︎

 

「どうしたケイト、そんな急いで?」

 

リゼが何か言った気がしたが、説明する余裕もなく急いでチノちゃんの元に向かった。

さほど距離はなかったので、すぐにチノちゃんの元に辿り着き、底の浅い場所まで連れてく。

 

間に合って良かった……のはよかった。

 

 

「ケ、ケイトさんありがとうございま……ケイトさん‼︎大丈夫ですか⁉︎」

 

車酔いのせいで多少朦朧とした意識。

さらに、さっきまで長時間日向で釣りをしていた。

 

おかげで俺の身体は、体感以上に疲れを引きずっていたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ、ようするに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

倒れた。溺れた。

 

バタンキューだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫かケイト‼︎私がわかるか⁉︎」

 

「……あれ、俺 どうなって?」

 

確か俺は、溺れてたチノちゃんを助けようとして……

あぁ、ミイラ取りがミイラになったのか。

 

「よかったですケイトさん!」

 

「大丈夫⁉︎生きてるよね⁉︎」

 

「うん、生きてるっぽい」

 

なんか沈んでた記憶が微かにあるけど、ほんとラッキーだった。一人だったら間違いなく逝っていた。

 

「ほんとよかったよケイトくん!リゼちゃんが人工呼吸してめなかなか起きなくて心配したんだよ‼︎」

 

「うわぁああああ それを言うなぁ‼︎」

 

「………えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

……人工呼吸?……えっ

 

 

それってつまり……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…マジで?

 

 




活動報告を読んでくれたかはわかりませんが、たぶんあと2話で一旦更新終了です。

ある程度日にち経ったら5巻の内容執筆しますが、それまでは不定期でオリジナル更新するかもって感じです。


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53話 そういう関係


今まで以上に原作の雰囲気を壊したくない人は、読まないこと推奨。
ていうか書いてて悶え死にそう。





 

 

みんなが寝ているであろう真夜中

 

俺は寝ていなかった。

 

 

いや、けして夜這いだとかタチの悪い事をする気は無い。

ただただ眠れず、気晴らしに星を見ているだけだ。

 

眠れない理由は、昼のアレだ。

記憶には無いが、リゼは溺れた俺に……その…人工呼吸をしてくれた。

もちろん感謝はしている。

だけど、リゼへの申し訳なさと、こんな事態を招いた自分への憤りが胸の奥から溢れ出ている。

頭の中が整理できず、目が以上に冴えているんだ。

 

 

 

 

 

 

今いるのは、釣りをした川辺。

息をするのが怖いくらいの静寂に包まれ、みんながいるところ以外で一番星がよく見える。

 

 

星自体は好きじゃないが、見る分には落ち着く。

 

 

 

 

悶々としながら星を見ていると、背後から草が擦れる音がした。

振り向くと、今この時だけは会いたくない人がいた。

 

リゼだ。

 

「……よぉリゼ。寝ないのか?」

 

「お前だって寝てないだろ。足音がしたと思ったら、何処かに歩くお前がいたし」

 

「慎重に歩いたのによく気付いたな。……眠れないから、一人でのんびりできるとこに来たんだよ」

 

一人で って言葉をだしたとき、少しだけ悲しむような顔をリゼはした。

本当に一瞬だったけど、確かに俺の目に映った。

 

「……邪魔だったかな、私は」

 

「いや、そろそろ寂しくなってきたとこだ」

 

残念ながら、ここで女の子、しかも好きな子を突き放せるほど容赦無くはなれない。

それに会いたくないとか考えながら、少しだけ嬉しかった自分がいた。

選択肢なんて、あって無かったようなもんだ。

 

「じゃあ、私も一緒に見ていいかな?」

 

「もちろん」

 

リゼは俺に了承を得ると、俺から少し、二人分ぐらいの間をとって腰を下ろした。

 

結局、リゼと二人で星を見ることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会話がない。

10分経ったけど会話が一切ない。

リゼの方から声はなく、かといって俺は心情的に話題を出すなんて無理だ。

一緒にと言いながら、個と個が同じ場所にいるだけの状況になっている。普通に気まずい。

 

やっぱりこれはよろしくない。お節介だとしても何か話題を出さないと。って言うか俺の精神が保たない。

 

「「あ、あの……」」

 

被ってもうたぁあああああ……。

互いに表情は暗くなり、空気さえも重くなる。

俺はなんでこんなに間が悪いんだ。

 

「……さき、どうぞ」

 

「わ、わかった…」

 

ゴタゴタ考えても仕方ない。とりあえず会話はリゼに譲ろう。

どうせ俺の話そうとした内容なんて、今の混乱で忘れるぐらいしょうもない話なんだし。

 

「ケイトは、星が好きなのか?こうして見にくるぐらいだし」

 

「見るのは好きだけど、星自体はあんまし好きじゃないな。

 

なんちゅーか今見てる星の光って、何千何万年も昔に放った光じゃん。

 

怖いんだよ。見てる星が、実はもう消えてたら。

できることはできるうちにやらなきゃ後悔するって、そう暗示してるみたいで。

 

そんな印象があるから好きにはなれないけど、見てると何かが変わりそうで、よく見るんだよ」

 

「ロマンチストだな、ケイトは」

 

「俺はペシミストだよ。いつだって」

 

ついつい捲し立ててしまった。

たぶん、ずっと言いたい事だったんだろう。自分でも気付いてなかったけど。

 

今までずっと一人で星を眺めていた。それこそ姉さんにも内緒で。

親がいなくなって、孤独を紛らわすこともできなくて。

そんな穴を星を眺めて、別の何かで埋めようとしていたけど…。

 

やっぱり 一人は寂しかったんだな。

 

 

 

「ところでケイトは、何を話そうとしてたんだ?」

 

「おっ俺⁉︎」

 

「なんで驚く」

 

自分自身の気持ちに腑に落ちたと感じてると、リゼに先ほど切り出そうとした話題を聞かれた。

正直ここで出そうとした話題の話題になるとか思ってなかったし、さっきも言ったけど忘れてる。

 

おかげで俺は、つい地雷を踏み抜いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「人工呼吸はキスに入らないよな?」

 

そう言った瞬間、リゼの顔は真っ赤になった。

そして地雷原にダンスしに行ったと気付いた俺は、迷わず川の深そうな所に向かった。

 

「なんで川に向かうんだバカ‼︎」

 

「こんなこんにゃくより柔らかい口は塞がないといけねぇんだよ!」

 

「そっちに行ったら永遠に塞がるだろ‼︎」

 

リゼに羽交い締めと説得をされ、なんとか太宰さんの背中を追うことはなかった。

背中に感じた双丘で現世に戻ったわけだ。

 

 

 

「ケイトはどう思うんだ、人工呼吸?言ったら答えてやる」

 

「えっ、言わなアカン?」

 

「バカなことしたんだ。これぐらいの話は聞け」

 

それを言われたらぐぅの音も出ない。

 

「俺は形だけだし入らないとは思う。

思うけど……やっぱり意識せずにはいられないな」

 

「意識せずには、か…」

 

正直覚えてないのは悔しい。

あの時まで時間を戻せるなら、寿命10年までは躊躇いなく悪魔に払える。

いや、覚えてたら脳が焼き切れるか。

 

「俺は言ったんだしリゼも言えよ。ここで言わないとか無しだぞ!俺は超恥ずかしかったんだし!」

 

「わかったわかった。言うから落ち着け」

 

俺は深呼吸して落ち着くと、リゼも深呼吸をしてから、話してくれた。自分の考えを。

 

 

 

 

 

「結局のところ、相手によるな。

純粋な善意ならキスじゃないし、少しでも気があったらキスだと意識してしまう。

私はそう思うんだ」

 

「えと〜リゼさん、それ俺に言ってんの?」

 

俺が意識しちゃう言った後に、気があったら意識するって。

 

 

「ハァ……お前はまだわからないのか?」

 

「何がスか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「意識してなかったら、私があんなに狼狽えるわけがないだろ!」

 

 

「………………えっ?」

 

思い出したのは、ココアがつい人工呼吸のことを話した時のリゼの狼狽え方。

先ほど地雷を踏み抜いた時の真っ赤な顔のリゼ。

 

自分のことで頭いっぱいだったけど、リゼも俺と同じで気にしてて、恥ずかしがっていた。

 

でもそれだとリゼは、少なからず意識してるってことで。

それじゃあまるで、リゼは俺に気があるなんて信じられないことがあるみたいで。

 

ペシミストの俺にはそれ以上を考える事はできなかった。

 

「まだわからないのか‼︎

 

もうこの際だからハッキリ言うぞ‼︎」

 

フリーズした俺に痺れを切らし、リゼは意を決する。

立ち上がり、真っ直ぐ俺を見てその言葉を口にする。

 

リゼの顔はまるで、恋する乙女のような……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は お前が好きなんだ!」

 

 

 

 

「いつかに恋愛な相談されたのは」

 

「お前のことだ」

 

「バレンタインで本命あげた相手は」

 

「お前だよ!」

 

「……マジか」

 

今の俺は冷静に見えて冷静じゃない。

頭がついていけなくて、一周回って落ち着いただけ。ようは限界突破した。

 

今までの俺の勘違いを潰していき、最終的に俺は土下座をしていた。

 

俺が恋を自覚したのは10月あたり、例の相談が5か6月だから、俺が無自覚のころからリゼは想っていて。

俺が自覚してから半年以上経っても、すれ違ってばっかで。

 

姉さんが言っていた『自分に嘘をつくな』は、このことだったのか。俺の気持ちも、リゼの気持ちのためにも。

本当姉さんは食えない人だ。尊敬に値するほど。

 

 

「それで、お前はどうなんだ。ハッキリ言ってくれ」

 

俺は土下座の態勢をやめ、立ち上がりリゼを見つめる。

リゼの顔には期待と不安が入り混じり、足は僅かに震えている。

 

恋愛どころか人との関わりさえ経験不足の俺には、100点の解答なんてわからない。

だけど、俺は迷わず、リゼを優しく抱きしめた。

 

 

「…俺も、 えと………好きです」

 

「あ…………」

 

俺の行動と言葉に体の震えは止まり、リゼは俺の胸に顔をうずめた。そしてぐりぐりと頭を擦りつけてくる。

 

普段じゃ考えられない、甘えるようなリゼの姿が、たまらなく愛おしく感じる。

 

 

 

 

「その、これって…そういう関係になるってことでいい……よな?」

 

「……一つだけ、条件」

 

「条件?」

 

「…私はしたんだ。

今度は、ケイトからキスしろ」

 

顔は隠れてるがリゼの耳は真っ赤だ。そして、たぶん今の俺の顔は引くぐらい赤い。

恋愛力ゼロだし仕方ない。

 

「キスを……するのか?」

 

「人工呼吸じゃなくて、ちゃんとした形でしたい」

 

「俺から、ですか?」

 

「私だって恥ずかしかったんだぞ‼︎

それに、お前はイヤなのか?」

 

「イヤなんてことは断じて絶対ない!むしろ嬉しい!

ただ恥ずかしいだけで……」

 

「だったら………」

 

俺には、選択肢なんてない。

 

 

自分の想いを行動で示せる。

 

 

なにより、

受け入れてくれて、嬉しかった。

 

 

 

 

リゼに顔を近付ける。

頬は紅潮し、瞳が潤む。でも、目は離さない。離したくない。

今まで こんなに顔を近付けたことはない。

恥ずかしい。恥ずかしいけど、止まれない。

 

 

俺からといいながら、互いが引き寄せられるようにして、どちらからともなく唇が近付く。

 

 

 

 

そしてーーーー

 

 

 

 

 

 

俺とリゼは 『そういう関係』になった。

 






自分でも笑える。
高校生でこんな感じの書くとか、恥ずかしいっちゅうか痛い気さえする。
憧れはするけど。

ペシミストに恋愛は難しい


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54話 これから始まり

 

キャンプから帰ってきた翌日

 

俺はリゼん家にやってきた。

なんでもリゼの親父さんが、久しぶりに俺に会いたいらしい。

……なんだろう。昨日『あんなこと』があっただけあって、正直気が向かない。

まぁ、断るわけにもいかないし、考えてみたら断る理由もないからやってきたわけだけど。

 

 

「ようこそいらっしゃいましたケイトさん」

 

「どうぞこちらへ、足元にお気をつけください」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

家に入るときはいつも2人の門番?の紳士的な対応に戸惑いを隠せない。

言っちゃ悪いけど顔が怖い。

…マジでリゼの親父さん、なんの仕事してんだろ?家は立派だし、常時門番がいるし。

 

 

家の中に入ると、疑問はさらに膨らむ。

城の中ではないかと錯覚する内装には、いつまで経っても慣れる気がしない。

軍属らしき人の絵画の存在意義も全くわからないけど、考えるだけ無駄だろう。

 

 

考えるのも馬鹿らしいと親父さんの部屋に向かうと、途中でリゼに会った。

 

「……ケイト、大丈夫なのか?」

 

最初にリゼの口から出たのは挨拶じゃなく、心配の言葉だったけど。

 

「ま、まぁよからぬ事じゃないだろうし、大丈夫……だよな?」

 

「私に聞くなよ」

 

「いやだってさぁ、いきなり親父さんと顔合わせることになったんだぜ⁉︎昨日『あんなこと』があっただけあって……」

 

『あんなこと』と言った直後リゼの顔は一気に真っ赤になり、後を追うように俺の顔も真っ赤になった。

自分でもイタイとか恥ずかしいとか思うし仕方ない。

 

「さすがに昨日の今日で親父が知ってるはずないし、単なる気まぐれだろ」

 

「そっそうだよな!そうに決まってるよな!よっしゃとりあえず逝ってくる!」

 

「不安丸出しじゃないか!」

 

しょうがない。さっきからフラグが立てられてるのだもの。

某ラノベキャラのようにフラグが見えるわけじゃないのにわかるレベルだもん。

 

「まぁ、顔出し終わったらFPSでもやろうぜ」

 

「芋スナはやめろよ」

 

「善処します」

 

「それ結局やめないやつだろ!」

 

バレたか。

俺は誤魔化すようにさっさと親父さんのいる部屋に向かう。

命の危険があるわけもないし、大丈夫だろう。

 

「ケイト……骨は拾ってやるからな」

 

そこは助けてほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リゼと付き合っているんじゃないか、ケイトくん?」

 

フラグ回収お疲れ様ッス俺。

 

なんで昨日の今日で把握してるんだよ親父さん!実は服に盗聴器でも仕掛けてたのか⁉︎いやそれよりもここは黙っていた事を謝罪するべきだろうか?いつか話すつもりだったけど、俺もリゼもまだ黙るつもりではあったし、親父さんに話さなかった事は素直に謝罪するべきか。そりゃ一日でバレてその話題してくるとは思わなかったけど!嫌な予感はしてたけど!

 

(この間0.5秒)

 

「えと……その………はい」

 

「やはりそうだったか。薄々気付いてはいたが」

 

「黙っていてスミマセンm(_ _)m」

 

「謝る必要はない。言いづらい気持ちもわかるしな」

 

俺の予想とは裏腹に、親父さんの物腰は柔らかい。

ケイトくん光明を見出すの巻。

 

「いつかは話すつもりでしたが、タイミングがわからなくて……アハハ」

 

「娘もまだ話してないし、最初はそんなもんさ。ただ、もう少し早く話してくれてもよかったんだが…」

 

 

「いやいや昨日の今日の話ですし、もっと早くなんて…」

 

「半年近く気付いてないフリするのも、親として複雑な気持ちに……」

 

「「………あれ?」」

 

会話が微妙に噛み合ってない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…つまり、娘と交際を始めたのは、まさに昨日の事なのか?」

 

「はい」

 

「……本当にか?」

 

「マジです」

 

「…マジか。どっちもらしい雰囲気だから、付き合って半年は経っているものと……」

 

「いえ、半年前から想いを伝えられない的な感じだったんで、的外れというわけでも……」

 

どちらが悪いわけじゃないだけあって、どうにも重苦しい空気が晴れない。

さすがに、半年は前から交際してると勘違いしてるなんて、思いもしなかったけど。

 

「まぁ、この話はやめよう。このままじゃ本題には入れない」

 

うん、気にしない方が互いのためですね。

 

ところで本題とは?

 

「なに、大した話じゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日のピクニックの話だが、娘と不純な事はなかったか?」

 

「何言ってるんですかあなたは⁉︎」

 

サラっと核レベルの爆弾放ったぞこの人‼︎

 

「て言うか交際始めたの昨日ですし、そんな光すら凌駕する速さで事が進むはずないですよ‼︎」

 

「そうか?戦場では全くない話ではないんだが」

 

「俺は普通の高校生です!明日の生き死にがわからない生活送ってません!」

 

そうだよこの人リゼの親父さんじゃん。軍方面に考えズレた子の親父だし、大元の親父さんがズレてないわけないじゃん!

 

「そもそもその手の事って普通親が止めたり怒ったりするもんじゃないんですか⁉︎」

 

「娘が選んだ男なら何も言うつもりはない。それに俺自身、君になら娘を任せても構わないと思っている」

 

「そ、それはものすごく嬉しいですが…」

 

さすがに任せるだとかの話は高校生にする事じゃないだろ。

でも身に余るほどの信頼をされると、なかなか反論しづらいっちゅーか、ねぇ。

 

 

 

「娘はああ見えて寂しがり屋だ。親である私でも踏み込める限界はある。

でも、君は違う。

これから先、娘の隣にいてほしい」

 

「そりゃあもちろん。むしろ俺から許可もらいたいことですし」

 

「そうか、ならこれ以上言う事はない。娘のこと、頼むぞ」

 

「さ、さすがに親父さんにはまだ敵わないですよ」

 

「君なら大丈夫だ。まぁ、もしも娘を苦しめたら絶対許さないがな」

 

「絶対しないんで、その目はやめてください」

 

目だけで人を殺せたら軽く100回は死んでしまいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事に親父さんへの顔出しが終わり、今はFPSをやってる。

 

「ケイト、本当に芋スナはやめろ」

 

「芋スナ否定すんのは中級者以下の奴だ。ガチの戦場じゃ芋スナが常識だし、それに打ち勝つ上級者がいるから最高にゾクゾクするんだ」

 

「銃使うゲームにいらないレベルの近接戦闘しながら言うな」

 

俺だって芋スナに立ち向かうの好きだし問題ない。

本気で勝ちを取りにいくから燃えるんだよ。

 

 

「それよりケイト、親父とは何を話したんだ?」

 

「あぁ〜〜、娘を頼むって言われた」

 

「なんでそんな話をしてるんだ⁉︎」

 

「いや親父さん付き合ってるの気付いてたし流れで…」

 

あ、話に気を取られて死んだ。

ちょうどいいと、ゲームする手を止める。

 

「……親父は、反対しなかったのか?」

 

「頼む言ってる時点でわかるだろ?」

 

「そっか、ならよかった」

 

なんだかんだ俺と親父さんの話を心配してくれてたリゼは、胸を撫で下ろした。

もし反対されたらどうしようとか考えてたのだろうか。

 

「…やっぱり俺たちって『そういう関係』になれたんだな」

 

「正直、夢の中のいるんじゃないかって思うけどな」

 

「俺もそうかもって思う。まぁそのときは、覚めたら俺が告白するよ」

 

「お前はまた、そんな恥ずかしい事を……」

 

 

 

 

「まぁ、これからよろしくな ケイト」

 

「こちらこそ リゼ」

 

これは始まりなんだ

俺とリゼの 新しい関係の

 

 

 

 





今までありがとうございます。
完結ではないですが、原作的にここで一旦投稿は極端に遅くなります。
さすがに発売から間もない5巻の内容するわけにゃいかんので…


重ねて 今まで読んでくれて

本当にありがとうございます!


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55話 リゼのお見舞い ある雪の日の翌日

中間テストがなければ昨日出してた(言い訳)

東京住まいの俺には、11月の初雪は軽く衝撃的でした。




昨日 日本中がアホみたいに寒かった。

 

都心では54年ぶりの11月初雪、積雪に至っては明治8年の統計開始以来初めてのことらしい。

 

 

 

木組みの街も当然寒波に襲われ、都心同様雪が降った。

子供とココアは外ではしゃいでたが、昨日より10°Cは気温が下がってるので体調を崩した人も少なくない。そこんとこは子供とココアも逞しい。

 

 

でも普通に考えて女子の制服、というかスカートは耐寒性ゼロだと思う。

男子の制服は基本長ズボン(小学生除く)だからいいけど、女子って太ももが出てるじゃん。ロマンのカケラもないけど、ジャージの下ぐらいは履いた方が良いと思います。見てるこっちも寒くなる。

 

 

すでに察してる方もいるだろうが、そろそろ本題に入りましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リゼが風邪をひいた

 

 

 

 

 

「悪いなケイト。わざわざ見舞いにきてくれて…」

 

「お付き合いさせて頂いてる方が風邪ひいたんだ。来る以外ないだろ」

 

「……ありがとな」

 

「どういたしまして」

 

 

場所は当然リゼん部屋

学校が終わった後、すぐさま見舞いに来た。

もう少し時間が経てば、いつもの面子も見舞いに来るだろう。

 

 

「熱はまだあんのか?」

 

「まだ少し。でも、明日には治るさ」

 

「そいつは良かった。まぁ、学校帰りに雪だるま作るのはやめような」

 

「うぐっ……せっかく積もったんだし、作らないと勿体無いし…」

 

「だからって制服はダメだろ。スカートだからしゃがんだらパン…ん゛ん゛っ余計冷えるし」

 

「……見たのか?」

 

「………」

 

「答えろ」

 

「……不可抗力でした」

 

「あ゛あもう〜〜‼︎私のバカッ‼︎」

 

 

狙ったわけではないが、少しだけ元気になった気がする。

もうちょいマシな言葉ないのかよって感じだが、あいにく男として人としてそこまでできていない。

 

 

「良かったよ。十分元気そうで」

 

 

だから俺は邪な気持ちのない、純粋な安堵の気持ちを口に出す。

本当に心配だったから。

 

 

 

 

 

 

まぁどう足掻いでもボコられますがね!

 

 

 

 

10分ほど後、ココアとチノがやってきた。

ラビットハウスの方は、タカヒロさんがいるので問題ないらしい。

 

「ケイトくんもう来てたんだね!」

 

「……何でリゼさんより重症、というより重傷そうなんですか?」

 

「事情を語り切るには2こち亀ぐらいの時間がかかる」

 

「その単位は知らないけど教えてほしいなぁ」

 

「自業自得」

 

「一言でしたね」

 

 

さすがに詳しい内容は言えないけど、幸いそこまで聞かれる事はなかった。

 

二人はラビットハウスの仕事があるし、見舞いのメロンパンを渡して今日は帰るらしい。

風邪の菌もらうわけにもいかんし仕方ないか。俺は看病のためにのこるが。

えっ、使用人さんがいるからお前いる意味無いって?

使用人さん及びリゼの親父さんには許可をもらいました。(むしろ頼まれた)

 

 

「私たちは早めに帰りますが、ケイトさんは残るんですね」

 

「今日バイトねぇし、急いで家に帰る理由もないからな」

 

「ケイトくん、リゼちゃんのことは頼むよ!」

 

「お前は私の親父か‼︎」

 

「任されました」

 

「お前も話に乗るな!」

 

 

まぁリアル親父さんに比べたら月とスッポンだよ。

 

リゼの事を頼まれると、ココアが何か飲み物を用意してくれた。

チョコ系統の甘い匂い……ココア(飲み物)か。

 

 

「フランスでは風邪ひいたとき、暖かいココアを飲むってテレビで見たよ!これで風邪をやっつけよう!」

 

「ホットチョコだったろ。それに熱いシャワーを浴びた後な」

 

「まあまあ細かい事は気にしな……あっ‼︎」

 

 

俺たちはココアの鈍くさ……おっちょこちょいの事を忘れていた。

何も無いところで躓くココア。当然トレイに乗せてたココア(飲み物)は宙を舞う。

 

熱いココア(飲み物)はリゼの方向に向かってる。このままじゃリゼがココア(飲み物)を被るのは明白だ。

 

 

 

瞬間的にリゼの危機を理解した俺は、咄嗟にココアとリゼの間に入っていた。もはや神速のインパルスに匹敵する反射神経だ。

距離が近いおかげで手遅れになる前に割って入れた。

 

 

 

 

この後何が起きるかはわかってる。

 

後悔はない。

 

 

でも、すぐ起きる出来事を思うと少しだけ怖い。

 

 

 

だから俺は 静かに眼を閉じた……

 

 

 

 

 

「……何で執事服でメロンパン食べてるんですかケイト先輩?」

 

「服が汚れた」

 

「手に包帯巻いてるのは何でかしら?」

 

「名誉の勲章」

 

 

ココアとチノの入れ違いで来た千夜とシャロに、二言で事情を説明した。

着替えは普通にないので執事服を借り、患部には包帯も巻いてる。軽い火傷とはいえ処置は大切だ。痛みも抑えられるし。

 

 

何で看病しに来たのに怪我してんだろ俺。

 

 

「ごめんなケイト、私のせいで……」

 

「いんや、リゼは何も悪くないだろ。大した事ないし結果オーライだ」

 

「うぅ……」

 

実際掛け布団でガードする手もあったし、むしろ心配させた俺の方が問題だ。軽い火傷だし本当良かったけど。

メロンパンは多かったから俺も頂いてる。

 

みんなでのんびりメロンパンを食べてると、何かを思い浮かべた千夜が口を開いた。

 

 

「ケイトくんって、執事の格好が似合ってるわよね」

 

「……そうかしら。目つき悪いし」

 

「生まれつきだし仕方ないだろ」

 

「案外、リゼちゃんの執事として働くのもアリじゃないかしら?」

 

「いやいや、ケイトだって他にやりたい事あるだろうし、それはさすがに…」

 

「リゼちゃんは満更でもなさそうね。イヤとは言わないし」

 

「そっそういうわけじゃない‼︎ただケイトにだって将来やりたい事があると言いたいだけで……!」

 

「……執事………アリだな!」

 

「何でケイト先輩も満更じゃない顔してるんですか⁉︎」

 

 

冗談だ冗談。さすがに一時の軽い気持ちで将来決める度胸はない。

 

将来の夢が、ハッキリと見えてるわけではない。

でもやってみたい、学びたい事はある。

 

 

 

……将来か。

 

 

 

 

 

 

少し先 ほんの2、3年後

 

俺とリゼは 今みたいな関係でいるのだろうか…

 

 

 

 

何て事が、かすかに頭をよぎった。

 

 

 

 

 

 

執事服で帰るわけにもいかず、外が真っ暗になってもまだいる。

リゼと楽しく会話したり、俺の手作りお粥を振る舞ったりして、今迄の怪我もチャラになるぐらい充実した時間だ。

怪我するのがおかしいが。

 

 

「ん〜、まだちょっと熱いなおデコ。何かしてほしい事あるか?」

 

「じゃあ、もう少しだけ……おでこに手を置いてくれ」

 

「そんなんでいいのか?」

 

「あぁ。ケイトの手が冷たくて気持ちよかったんだ」

 

「冷却シートならまだあるぞ?」

 

「………これがいいんだよ」

 

「そっか。ゴメンな」

 

冷たい俺の手を、リゼのおデコに置く。

冷えてるはずだけど、リゼの顔はむしろ赤くなってる。

さすがに風邪の症状じゃないのはわかる。ってか、俺の顔も多分赤い。

 

 

しばらく無言で手を置いてると、唐突にリゼが口を開いた。

 

 

「なぁ、さっき将来の話をしたよな。ケイトが執事も悪くないって」

 

「それもアリかもな。お嬢様」

 

「そういうわけじゃないっ!その、ちょっと恥ずかしいんだが……

 

 

2年や3年後とかも、こんな関係でいられるかな?」

 

 

それは 俺が考えていたのと同じ内容だ。

 

少しだけかもだが、俺たちは似ている。

自分というモノは持ってるが、大切な部分で自信が持てない。

 

 

だから俺は、本心を言う。

俺だったら、それが一番嬉しいから。

 

「俺はそうありたい。正直俺が聞きたかったぐらいだ」

 

「そっか。………よかった。お前もそう思っててくれて」

 

「まぁこれからもよろしくな。お嬢様」

 

「お嬢様はやめてくれっ!恥ずかしい!」

 

 

俺もリゼも、どこか自分に自信が持てない。

 

あるいは それゆえに惹かれあったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると、朝日が昇っていた。

どうやら寝落ちしていたらしい。土曜で学校がなくて助かった。

固い床で寝てたせいか、ところどころ身体が痛い。

火傷の包帯を外すと、跡は残ってない。処置が早いのが功を奏したようだ。

 

 

さすがに帰る準備をしようと立ち上がるが、ついリゼの顔を覗いてしまう。

 

リゼの寝顔を見るのは初めてだが、可愛らしい顔だ。

普段は仏頂面とまでは言わないが、キリッとした顔をしてる。だが今はそれも緩んで、軍人の娘だと忘れるぐらいだ。

 

 

 

 

魔が差したというべきか。

というか『そういう関係』な事をしたかったからか。

 

 

寝ているリゼのおデコに唇を近付け……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わかってたが、メチャクチャ恥ずかしい。ピクニックの時にもしたとはいえ、恥ずかしくなくなる事は一生ないだろう。

緩む頬を叩き帰る準備をする。

 

 

そこで俺は気付いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リゼの顔が真っ赤だ。

 

つまり、まぁ、そういう事だ。

 

 

 

 

考える事をやめた俺は、二度寝と洒落込んだ……

 

 








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56話 バレンタインバースデー

お ひ さ


 今日は2月14日 いわゆるバレンタインデーだ。

 といっても、俺にとってはリゼの誕生日という大切な日だが。

 まぁバレンタインを無視する理由もないし、俺も手作りチョコを作るつもりだ。

 

 

 えっ、なんで男が手作りチョコ作るんだよって?

 

 

 あのなぁ〜、日本では女性が男性にチョコを贈るイベントだけど、西欧や米国じゃ女性どころからチョコの縛りもないから、男の手作りキモいは海外に喧嘩売る発言になるだろ。

 

 そもそもこの手の事は気持ちの問題だし、それなら贈っちゃダメな道理はない。むしろ推奨されてもおかしくないと思う。

 

 

 

 

 

 

 つまるところ 男でもチョコ作っていいじゃないかコノヤローー‼︎

 

 というわけで俺はリゼに贈るチョコを作る。不公平なのも良くないし、ココアチノに千夜シャロの分も作る。この意思はダイヤより固い。

 ……もちろんハンマーでも砕けないから。

 

 

 

 

 チョコとプレゼントを贈るだけなら、ぶっちゃけ去年と変わらない。あの時よか進展してても同じものは同じだ。それはそれで幸せだが。

 

 まぁ結論から言うと、良い意味で去年とはまた違ったバレンタインになった。

 

 それが何かと言うと………

 

 

 

 

「それでは指導お願いします、ケイト先生!」

 

「ばかもーん教官と呼べー!(裏声)」

 

「私のアイデンティティを取るなー‼︎」

 

「リゼさん べらは振り回しちゃダメです!」

 

「和菓子はいつも作るけど、チョコは初めてだわ」

 

「…ホントに材料持ってこなくてよかったの?」

 

 

 今年のバレンタインは、皆でチョコを作ります。

 

 

 

 

 ☆

 

 男子高校生の俺だが、料理は割とできる。

 と言っても、一人暮らししてるから当たり前だし、自慢できる事ではない。できなきゃ体に悪いだろうからな。

 

 朝昼晩の飯を作れると言うことは、料理の技術が身についている。そのおかげか、俺はたま〜に自分で菓子も作っている。

 クッキーやマフィンにスコーン、まぁ種類は多くないが作ったことあるし、それはチョコも例外じゃない。てかチョコ去年作った。

 

 

 

 そして今年もチョコを作ろうと材料を買ってると、たまたまココアに出会い…

 

『私もチョコ作ってみたい!作り方教えて!』

 

『え、いいよ』

 

 となった。

 

 あとはもう普段のメンツが集まったと言うか、ココアが誘ったと言うか。まぁ俺も誘おうとは思ったが。

 

 

「なぁケイト、本当に私たちも来てよかったのか?わざわざ材料まで用意してもらって……」

 

「どうせ作るつもりだし大丈夫大丈夫。(おこぼれぐらいは期待するけど) こういうのも楽しいし」

 

「そっか、それなら良かった。……でも不自然な間があったのは」

 

「気のせいです」

 

 女子の手作りチョコぐらいは俺だって期待する。その辺りの感情が無い男子は青少年やめてる。もしくはホm(ry 。

 

 

 

 

 

「それじゃあ最初は湯せんだ。チョコを刻んだらバターと一緒に湯せんにかけて溶かすんだ」

 

 

 基本中の基本だが、だからこそ大事な工程だ。

 沸騰したお湯だと熱が入りすぎて風味がとぶから、50〜55℃のお湯を使うのがベスト。

 そもそも使うボウルに水気や油分が残ってると、チョコを固める時にムラができてしまう。

 

 美味しいチョコを作るなら、初めから油断してはいけない。

 

 

「教官、湯せんがよくわかりません!」

 

 

  早いよココアさん。

 熱意は買うが、ちょっと内容が初歩的と言うか……

 

 

「……ケイト、しっかりココアを見た方がいい」

 

「俺もそう思ったとこ」

 

 

 よく考えたら、ココアは作れるのはパン限定だった。いつかのパン作りでは頼れる側だったから盲点である。

 ……もし知ったかぶりする性格だったら、チョコとお湯を混ぜた可能性あったな。

 

 

「なんか珍しいな、頼れるケイトって」

 

「いやいや俺ってそんな頼りない⁉︎」

 

「別に普段頼りないってわけじゃ………いや、頼りない?でもやるときは………」

 

「ごめんね、頼りない奴でごめんね(涙)」

 

「冗談だから泣くな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 見苦しいとこを見せたが、湯せんもかけたし次に

 

 

「教官チョコが溶けません!」

 

 

 ………詳しく言わなかったのも悪いが、チョコは大きさを揃えて細かく切るように。ダマにもなるし。

 オーブンの予熱をする時間も気にかかるべきだったか。

 

 

 

「次はこのチョコに卵黄とコーヒーを加えて混ぜる。せっかくなんで今日はラビットハウスのコーヒーを使います」

 

 

 チノちゃんに用意してもらったラビットハウスのコーヒーを加え、ハンドミキサーか泡立て器で混ぜ合わせる。

 

 料理ができるリゼやシャロ、日常的に和菓子を作る千夜は流石の手際だ。泡立て器の使いが手馴れてる。

 あとチノちゃんも意外と慣れてる様子なのは驚いた、まぁココアがくるまで、タカヒロさんとティッピーの二人+一匹暮らしだったから腑に落ちた。

 

 

「私たちは大丈夫だから、ケイト君はココアちゃんを見てあげて」

 

「ハンドミキサー持ってるココアがすごく危なっかしいし…」

 

「え〜私も大丈夫だよ!」

 

 千夜やシャロにもこの言われようである。

 

 

 

 

 

 

 

「次はメレンゲ作りだな。ボウルの卵白を30秒ほどしっかり混ぜたら20〜30gほど上白糖を入れ再び混ぜる。混ぜたら同じ量上白糖をもう一回入れ混ぜる」

 

 

 ココアのためにも皆の前で実演をする。若干こそばゆい感じだが、何度もやった工程だからミスはしない。

 

 

「綺麗なツヤが出て、うねりがでれば完成だ。こうなればツノが立つし、逆さまにしてもボウルから落ちない」

 

「「「「「おぉー‼︎」」」」」

 

 

 言葉通り逆さまにしてメレンゲが落ちないとこを見せると、皆目を開いて驚く。

 最初に自分で試した時も驚いたが、先生(教官)側で実演するとなんか誇らしい気持ちになる。

 

 

「私もそれやってみたい!」

 

「新しい器用意してくる」

 

「「「「ナイス判断(だ)(です)(だわ)(ね)」」」」

 

 

 なんだろう、すごく余計な事言ってしまった気がする。

 ボウルもう無いのになぁ……キャッチができりゃちょっとした鍋でいいか……ハァ(ため息)

 

 

 

 

 

 

 

「(新しい器のおかげで)無事にできたし次だ。

 1/3量のメレンゲをチョコに入れてさっくり混ぜ………ボウルの底が見えるぐらい、下から上に上下に入れ替えながら混ぜるんだ。ただし、べらの面で混ぜないように」

 

 

『さっくり混ぜる』は短時間混ぜると捉えられることがあるが、実際は違う。さっくりと切るように混ぜるという意味だ。……これで伝わるかなぁ?

 とにかく、面で混ぜるとダマができたりしてしまうので気をつけよう。

 

 

 ちゃんと具体的に説明したので、誰もさっくりを捉え間違えず混ぜられた。

 てかココアが一番手馴れてたのには幻覚を疑った。いや、そういやパン作りでも必要なときがある技術だったか。

 

 ……なんでパンは作れるのに、他の料理はからきしなんだ?いわゆる一点特化型の天才なのか?

 

 まぁいい、そろそろ終わりだ。

 

 

「薄力粉と粉末のココアを入れて混ぜたら、残りのメレンゲを加えてもう一度さっくり混ぜる。

 

 あとはマフィンカップに流して180℃のオーブンで25分ほど焼けば………」

 

 

 

 完成! 『大人のガトーショコラ』

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

「悪いなリゼ、片付け手伝ってもらって」

 

「いいよこれぐらい。皆でお菓子作りなんて初めてで楽しかったしな」

 

「たしかパン作りのときはシャロがいなかったっけ。そのうち全員でパン作りもしたいな」

 

 

 ガトーショコラも無事完成し、今はリゼと二人で道具の後片付けをしてる。

 他のみんなはラビットハウスで、リゼの誕生日パーティの準備をしてくれている。

 ……主役のリゼがパーティの準備を待つのは普通だが、千夜が待つのを提案したとなると、気を遣ってくれたとしか思えない。もち感謝しかないよ。

 

 

 

 

 

 

「準備もできたみたいだし、そろそろ行くぞケイト」

 

「あ、ちょびっと待ってくれ」

 

「ん?何か忘れ物でも………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッピーバースデー リゼ」

 

 そう言って俺は丁寧にラッピングした箱を、この日のために用意したプレゼントを贈った。

 

 

「えっこれって………」

 

「パーティで渡すのもいいけど、なんか皆の前だと恥ずかしくてさ。

 

 それに、二人でいるときに渡したくてな」

 

「あ、開けていいか?」

 

「もちろん」

 

 

 リゼが箱を開けると、中に入っていたのは、ウサギの刻印があるプレートペンダントだ。

 

 

「ほら、リゼって私服のときよくプレートペンダントしてるし、喜んでくれるかなって……」

 

「なんで自信なさげなんだよ!もうちょっと自信持てよ!」

 

 

 だって女の子に何をプレゼントしたら喜んでくれるかわかんないじゃん!努力はしてるが知識もないわけで。

 

 

「…じゃあ、お前が私にペンダントをかけてみろ」

 

「そんぐらいならいいけど……」

 

「普通こっちのほうが狼狽えるだろ……ぴゃっ⁉︎ 手冷たいな‼︎」

 

「洗い物した後だしな」

 

 

 でも『ぴゃっ』ってなったリゼ可愛かった。

 とにかくペンダントをかけてあげると、どこか満足気な表情をした。

 

 

「……良かった。すごく似合うよ、リゼ」

 

「なら不安になる必要なかっただろ?私だってすごく嬉しかったんだぞ!」

 

 

 

 

 「ありがとな ケイト」

 

 

 目に映るのは、嬉しさと恥じらいの入り混じった、あまりにも魅力的な笑顔。

 

 

 俺は この笑顔が見たかったんだ。

 

 

 やっぱり俺は リゼが好きなんだ。

 

 

 




3ヶ月ぶりですねスミマセン。
受験勉強頑張りましたスミマセン。
結果はまだだけど入試終わったし投稿しましたスミマセン。

次からは5巻の内容、遅くても今月中には投稿しますスミマセン。


私服リゼのプレートペンダント率はそれなりにある気ガス(漫画では)


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57話 リゼたちと夏服 前編

5巻の内容なので、夏に時期が遡ります。
54話の直後って感じ。



真夏の日差しが強い日

 

ラビットハウスの4人は、夏らしく浴衣に着替えてる。

ココアはピンク、チノは水色、リゼは紫の可愛らしい浴衣を着ている。俺は黒。

 

 

ウンザリするほど暑い日は、夏らしい格好で冷たいものを飲むに限る。

ほら、ラビットハウスにも冷やしコーヒーを求めて来たお客さんが……

 

 

「………浴衣? 甘兎庵と間違えました……」

 

「間違ってないよ!」

 

 

………やっぱり浴衣はダメだったか。

 

 

 

 

 

その後も甘兎庵と勘違いするお客さんが多発したので、結局いつもの格好に着替えました。

 

 

「浴衣は甘兎庵に買収されたと思われちゃうかぁ」

 

「それがなきゃ完璧だったのになぁ浴衣」

 

俺の眼福的にも。

 

「ティッピーは反対してました」

 

「ココアが千夜から借りてきたんだろ」

 

「でも夏になる度お客さんに『その服暑くない?』 って聞かれてきたよ⁉︎やんわりと!」

 

 

太リボンに長袖のシャツ、厚手のスカートとベストに、トドメと言わんばかりの黒タイツとブーツ。

暑くないかって?いいや、普通に暑いな。

俺の着るバーテンダーの服も、長袖のシャツに黒のリボンと厚手のベスト、女子組ほどじゃないが暑い。同じ格好で涼しい顔を保つタカヒロさんはすごい。

 

 

「リゼちゃんは何回言われた⁉︎」

 

「今年はまだ2回だ!」

 

「私 4回!」

 

「ケイトは何回だ⁉︎」

 

「7回。 何故か浴衣に着替えてから言われた」

 

「浴衣のほうが黒色率高いからだろ」

 

「その発想はなかった!」

 

 

俺のは参考にならないけど、やっぱり側から見ても暑そうらしい。夏はまだ続くし、この格好のままだとあと5倍は聞かれるな。

 

 

「わしは……23回……」

 

「ティッピーの優勝!」

 

優勝者のティッピーにはうちわを扇いであげよう。最悪死ぬし。

 

 

 

 

 

「上着とリボンを取ってみよう」

 

「最初からこうすればよかったですね」

 

「ちょっとかわいくないなー……」

 

「熱中症になるわくにゃいかんだろ。……みんな同じような格好だし、俺はアリだな」

 

 

スカートとズボンの違いはあるが、4人とも同じ感じの格好になった。

……女子3人は色違いの格好で、俺だけ別の格好なのが少し寂しかったりもする。それでスカート履くのは論外だが。

 

 

「……ケイトと、同じ格好………」

 

「顔を赤くしないでくれ……」

 

 

俺まで顔真っ赤で恥ずか死んでしまう。

 

 

ま、まぁこれなら良いクールビズになるはず…

 

 

「ココア達いなかったねー」

 

「ピンク水色紫黒じゃなかったよ〜」

 

「色で判断されてる!」

 

 

ダメだ、イメージカラーがなくてもラビットハウスと認識されない!(マヤメグ視点)

 

 

……しかし、これじゃクールビズができない。

どうすればいいか皆で悩んでると、ココアから案が出た。

 

 

「なければ作ればいいんだよ!ラビットハウスらしい夏制服!チノちゃんのお母さんのデザインに近いものを!」

 

 

なるほど。今の印象を崩さず、かつ夏でも暑くない制服……たぶんこれが一番いい案だな。

 

 

「私たちが作る……」

 

「今こそ4人の力を合わせるとき!」

 

「「「「涼しくするぞー‼︎」」」」

 

 

 

「いつものラビットハウ……なんかこの喫茶店あつくるしい!」

 

迷惑かけたマヤとメグには冷やしコーヒーを奢った。

 

 

 

そして4人はラビットハウスらしい制服を作るために、材料を買うことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

「ココアさん夏バテです」

 

「早くも燃え尽きたか」

 

「まだ何も買ってないんだけど」

 

ココアは最初から疲れてたが、揃ったことだし買いに行くか。

 

 

「ジュース買ってきたぞ」

 

「ぴゃっ!」

 

「……ケイトさん、最初はどこに行きましょう」

 

「そうさな………バーゲンしてる店が近いし、まずはそこに行くか」

 

「半袖シャツと薄手のスカート、ズボンは既製品でいいかな」

 

「ベストは作り直すので生地が必要ですね」

 

「よし、それじゃあ…ぴゃっ!」

 

ココアがさっきリゼにやられたように、冷たい缶ジュースを首に付けた。

ツインテと身体が跳ね女の子らしい可愛い声が出る。

 

 

「( ̄ー ̄)bグッ!」

 

「お前絶対元気だろ!ケイトも何やってんだ!」

 

気付いた時には、俺は良い顔でグッジョブしてた。

 

 

 

 

 

 

「調子悪いなら背負ってやるから乗れ!」

 

「やだそんなっチノちゃんの前で!」

 

割と辛そうなココアのために、リゼが背負おうとする。

俺が名乗り出ようと思ったが、同年代の女子を背負うのはなんかダメな気がする。ココアは一回背負ったけど。

 

「だめだよー恥ずかしいよー」

 

「って乗るのか。世話のかかるやつだなー」

 

 

言葉とは裏腹にアッサリ乗るココア。こういう光景を見ると、2人が仲の良い姉妹に見える。

……アレ?チノちゃんに手招きをして………あ、ココアの上に乗った。

 

 

「おっ重…!あついっ2人も背負えるかー‼︎」

 

そりゃそうだ、2人だと下手したら100kgはあるわけだし。

(真面目な話、中高生女子の体重は平均50kg前後)

 

 

まぁさすがにココアだけ背負ってバーゲンに向かったが、真夏のクソ暑い日なだけあり、途中でリゼもバテてしまった。

 

「リゼさんがバテてしまいました」

 

「私を背負ってくれたばかりに…!」

 

「しゃあない、俺が背負うから、ほら」

 

「い、いいのか⁉︎」

 

「そりゃなあ。置いてくなんてヤダし」

 

「じゃ、じゃあお言葉に甘えて……」

 

ちょっと恥ずかしがりながらも、素直に俺の背中に乗ってくれた。

 

 

 

 

背中に感じる柔らかい物、指を押し返す弾力、肌は疲労で熱を帯びている。

姉さんともココアとも違う、心を揺さぶるような感覚。

 

……正直舐めていた。というか多分これが正常な反応だ。リゼに出会うまでが鈍感過ぎたんだ。

 

 

「そういえば、ケイトに背負ってもらうのは初めてだな」

 

「だな、リゼはいつもしっかりしてるし」

 

「……その、たまにはいいな。こういうの」

 

「スゴくいいけど、思ったよか恥ずい。リゼは恥ずかしくないのか?」

 

「………バカ」

 

俺の顔が赤いのは、真夏の暑さとは関係ない。俺に身体を預けるリゼの肌はさっきより熱を帯び、俺と同じ心境だと容易に察した。

 

 

『そういう関係』らしい距離をなかなか掴めない。

でも、恥ずかしいけど、なんとなく幸せな気分だ。

 

 

 

 

 




2月中に出すとか言ったのに、本当に本当にスミマセンm(_ _)m
前の更新以降、色々ありまして……

・予定外の受験再開
・大学への進学手続き
・卒業式(高校3年なので)
・クラス皆んなでお疲れ様会
・モンハンの発売&即購入
・キノの旅再アニメ化やったぜ
・計58日で人理修復

後半ほど理由がクソなのは気のせいです。



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