亡国機業は今日も平和です。 (ジト民逆脚屋)
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予告です!

どうも、あなたの隣にそっと寄り添う混沌、逆脚屋です。

シリアスです!


亡国機業、それは有名なテロ組織である。裏の住人なら一度は聞いたことのある、その名は何十年に渡り裏の世界を支配する。

 

これは、そんな組織の内にある日本支部のお話をシリアス100%でお送りします!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい!オータム、マドカ!早くスズキの車に乗り込め!」

「違うぞジンク!それホンダだ!」

「バカかオータム!トヨタだよ!」

「どっちでもいいわ!はよ乗れ!」

「大将!前!前!」

「んだよ?フェイゲン!」

「チフユ!チフユが出た!」

「「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」」」」

 

IS 学園に潜入し、見事に見つかり修羅に追いかけ回されるエージェント共。

 

 

 

 

「あれ?あれあれ?」

「どうした、アヤイチ?」

「見てください!この車、ご覧の通りなんと!インキーされてます!」

「マジで!」

「誠に申し訳ありませんでした!」

「はい!彼女がインキーウーマンの!」

「私がインキーウーマンのぉ!スコール・ミューゼルです!」

「どうすんだよアンタ!これしか移動手段ねぇんだぞ!」

「まあまあ、落ち着きましょう。ホテルの部屋に戻って・・・」

「おい!誰か部屋のカギ持ってねぇか?」

「え?フェイゲン持ってないの?」

「おい、スコール?」

「」

「なんか言えし」

「またか?またインキーか!」

 

これだからセレブは・・・

 

 

 

「おおい!織斑くぅん、パイ喰わねぇか?!」

「え?いや、アンタら誰?」

「俺はぁ、君の友人を次々とぉ!お見舞いしていくぞぉ!」

「や、止めろ!皆に手をだすな!」

「あぁ!選べよ。巨乳か!まな板か!」

 

寮に浸入し、テロを行うテロリストの鏡

 

 

 

 

「アヤイチ、それは光っているのか?」

「ええフェイゲン、ギンギラギンだ。そして、さりげない」

「何?何なの?」

「ライスのウエストとはいったい何なのだ?」

「それを今考えているんだろう?」

「いや何?ライス?ウエスト?」

「まったく・・・・」

「ミステリアスな米だ」

「「コシヒカリ」」

 

お前ら、何言ってんの?!

 

 

 

「なあ、フェイゲン」

「なんだ?大将」

「シールドバリアって、どうやって消すんだ?」

「あぁ、そこの基盤をイプシロンして、アルファがベータをカッパらったら、そのカッパをカップラーメンに浸けて5時間待ったら完成だ」

「よし、わかった!」

『ねぇ、二人とも』

「なんだ?スコール」

『カップラーメンって何?』

「おい、大将、そこのカッパをイプシロンしろ。それでアリーナが消し飛ぶ」

「任せろ」

『ちょっと待って!今のノーカン!ノーカン!』

 

金持ち死すべし!慈悲はない。

 

 

こんな感じでシリアスにお送りします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ナイスシリアス!


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キャラ設定

どうも、あなたの生活を真摯に見つめる混沌、逆脚屋です。
今回は、キャラ設定です。

無理があるとか、言わないで!





問題
以下の文に続く共通の言葉を答えなさい
壁に耳あり障子に
槍を揉んだら



フェイゲン

 

身長 180cm

体重 80kg

性別 男

職業 テロリスト

機体 スプリンガルド

 

この作品のオリ主の一人、モデルは作者のモンハン等ゲームのアバター

世界で最初にIS を動かした男の一人

オリ主三人の中でも一二を争うキチガイ、何をやらかすかわからない奴。

任務中でも突然居なくなったり、別の事をしたりと、かなり自由な奴

これでも、亡国機業アジア方面の最高戦力の一人

 

スプリンガルド

武装

大型銃剣付アサルトライフル『アカシア』

対IS 用重ショットガン『サンパギータ』

背部マウント型チェインガン『レインオブサンディ』

近接用大型ナイフ等

モデル ACFA より作者の機体、見た目は頭以外リザ、頭がアンビエント

 

フェイゲンの機体。フランスから強奪したラファールを改造し、逆関節にしている。

脚部に特殊なAIC を組み込んでおり、空間を固定する。これにより空中を自由気ままに跳ね回る。

機体名の由来はこの動きである

 

 

ジンク

身長 170cm

体重 75kg

性別 男

職業 テロリスト

機体 ファランクス

 

この作品のオリ主の一人、モデルは作者達の纏め役の人物のアバター

世界で最初にIS を動かした男の一人

オリ主三人の被害担当、キチガイ二人を纏めている筈、たぶん、きっと、メイビー

優秀な指揮官でもあるが、部下にあたる二人が自由なキチガイのため・・・

アジア方面の最高戦力の一人

 

ファランクス

武装

対IS 用ガトリング『グレディッツィア』

対IS 用バズーカ『ブラインドボルト』

スナイパーライフル『ザミエル』

グレネード『雄琴』

モデルはACFA よりアルドラの旧標準機ヒルベルト

 

ジンクの機体。ドイツから強奪した実験機を改造した機体

重火力の支援機であり、近接戦は苦手かと思ったらそうでもない。

改造の結果、拡張領域が馬鹿げた容量を誇っており、歩く武器庫と化している。小国の軍隊なら瞬間的に蒸発させる事ができるらしい(スコール談)

 

アヤイチ

身長 175cm

体重 ??

性別 女

職業 テロリスト

機体 ナイチンゲール

 

この作品のオリ主三人の一人、モデルは作者達の自由枠の人物のアバター

オリ主三人のもう一人のキチガイ担当、何をやらかすかわからない奴その2

大体ジンクが被害を受ける。

アジア方面の最高戦力の一人

 

ナイチンゲール

武装

ブレードエッジ装甲『月光』

近接用大型ブレード『陽炎』

アサルトライフル『マーヴ』

モデルはACFA よりアリーヤ

 

アヤイチの機体。イタリアから強奪したテンペスタを改造した機体

装甲を改造し、武器が無くとも戦うことができる。その反面、防御力が低い

出力を上げたブースターを増設しており、直線速度なら世界最速

名前の由来は、強奪時に機体についていた小夜啼鳥のエンブレムから、今は剥がしている。

 

 

 

 

 




なにこれ?


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ほら、あれやって!な、わかるやろ!そうそうそうそう!それ!

どうも、貴方に寄り添う混沌、逆脚屋です。
今回より本格スタートとなります「亡国機業は今日も平和です。」時間軸はクラス代表戦の少し前になります。
尚、タイトルと内容は関係ありません。




前回のこたえ
壁に耳あり障子に
槍を揉んだら

「あの野郎、ゆるさねぇ」でした


ここは、日本。世界でも有数の平和な国である。豊かな自然や気候に恵まれ、そこに住まう人々も比較的穏やかな気質を持っている。比較的、ね。何と比較してるのか知らないけど

そのためか、治安も良く重大犯罪がこれまた比較的に起こりづらい。

だが、この国はある問題?を抱えている。それは、この世界に存在する超兵器『インフィニット・ストラトス』通称『IS 』である。

このIS 、非常に厄介極まりない物で通常兵器がまともに効かないわ、超火力だわ、空飛ぶわ、女にしか使えないわと、男にとって厄介という言葉に姿形を与えたような物だ。

まあ、いいんだけどね。殺れない訳じゃないし、IS スーツはエロいし、なんかパイロット連中は皆美人だしね。

 

それで何が問題かと言うと、そのIS の制作者である『篠ノ之束』が只今絶賛行方不明中で、その責任を何故か日本が取らされて、専門の教育機関である『IS 学園』を全額自腹で作らされて、その上データや利権を寄越せと、言われたい放題のやられたい放題なのである。他にも色々あるが、よしとしよう。

 

話が逸れたが、何が言いたいかと言うと、この日本という国は平和ボケしてる癖に治安関係が他国に比べ、とても良い。

俺らみたいなテロリストには住みづらい国だ。

つまりだ、ここに潜伏してる俺達はエリートという訳だ。

 

あ?なんだよフェイゲン、話が長い?巻け?今良いところなんだから邪魔すんなよ。

現実逃避はいいから、早くサイコロ振れ?わかったよ!振ればいいんだろ!振れば!

 

「おらよ!」

 

ジンクと呼ばれる短髪の男がサイコロを振る。これだけであれば何も問題は無かった。

場所が人で賑わう朝の駅構内でなければ、周りで五人の女と男がはしゃいでなければ、何もおかしくない光景であった。

 

「何が出るかな?何が出るかな? おぉう・・・」

「おいフェイゲン、何が出た?」

 

小さい丸いレンズのサングラスをかけたフェイゲンが軽快な音頭を取りつつ、ジンクの投げたサイコロを追い掛け、出た目を確認する。

 

「6だ!この大将、6出しやがった!」

「はあ?!6!ふざけんなよ!」

「落ち着けオータム」

「落ち着けるか!マドカ、スコールが持ってるボード見てみろ!」

 

6という数字に激昂するオータムという女とそれを宥めるマドカという少女がスコールと呼ばれた女の持つボードを見る。

 

「どうしたの?二人とも」

「おい、見てみろあの顔とボードを」

「ああ、実に憎たらしい顔とボードだ」

「そんなことないわよー」

「なんだよその棒読み!アヤイチもそのカメラはなんだ?!」

「どーも、バズーカアヤイチです」

 

バズーカみたいなレンズをつけたカメラを持った女アヤイチが騒ぐ一同を撮影していた。

 

「いやあ、良い顔ですねぇ。皆さん」

「この野郎!」

「んで6って、何だっけ?」

「フェリーで九州行き10時間の旅」

「「「ふっっざけんな!」」」

 

スコール以外のメンバーが激昂する。

 

「またか?また九州か!?」

「大将!なんで6出したんだよ!」

「だったら、まともなサイコロ用意しろや!なんだよ、サイコロキャラメルの空き箱って?!」

「やっと九州から出られたと思ったら、これかよ!」

「しかもまたフェリーですか・・・」

「皆、頑張ってね」

 

スコールが応援するも、逆効果であった。

 

「うるせぇよ!」

「明後日にはIS 学園の近くに居ないといけないのに、どうすんだよ!?」

「こうなったら、スコールの金で九州で豪遊しようぜ!」

「「「「「それだ!」」」」」

 

これでも、こいつらは亡国機業のアジア方面の最高戦力共である。こんなんでもな!

 

「もういいから、フェリー乗り場に行くぞ!」

「深夜バスよりマシだ」

「もう時間無いわよー」

「おい、急げ!」

 

六人の男女がフェリー乗り場に向け、一斉に走り出す。

 

「もう任務とか、どうでもよくね?」

「バカ、フェイゲン。スコールとジンクの顔を見てみなさい」

 

アヤイチに促され、二人の顔を見るフェイゲン。

 

「うはははははははははは!なんだ?その顔!」

「うるせぇ!お前らが好き勝手やり過ぎて、こちとら、マジで怒られたんだからな!」

「そうよ!二人してマジで怒られたのよ!」

「ザマァ!」

「おい、チケット買え、もうすぐ出るってよ!」

「「「うーい!」」」

 

チケットを購入し、フェリーに乗り込む六人。

さあ、六人は無事にIS 学園にたどり着けるのか!?




いかがでしたでしょうか?
どうでしょう感がほとんど無いどうしよう

次回予告
「なんだ?オータム、スズムシみてぇな脳ミソしやがって」
「んだと、こらぁ!」
突然始まるケンカ

「またかよー!」
「しかも今度は東北かよ!」
一向に近づかない目的地
そして、とうとう

「この!ダメ人間!」


それではまた次回お会いしましょう



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このダメ人間!!!

どうも、フェイゲンです。「亡国機業は今日も平和です。」第2夜です。

それでは始まります!「亡国機業は今日も平和です。」お楽しみください!


感想欄でありました、配役についての質問のことです。

スコール ふじやん
ジンク ミスター
アヤイチ うれしー
フェイゲン、オータム、マドカ 大泉洋 やすけん リーダー

となっております。またこの配役は絶体では無く、変動がございます。


スコールがウィリー事件
ジンク経由大地行き、等

境ホラネタは兎が出るまでお待ちください。

何かリクエストが御座いましたら、活動報告にどうぞ



○月×日朝 九州行きフェリー内ロビー

 

ちょっとした騒動が有ったものの、フェリーに乗り込むことの出来た我々亡国機業。

10時間に及ぶ船旅はあの男を退屈はさせるには充分な時間であった。

 

「あえぁー、オータムまだ着かんのー?」

 

フェイゲンが情けないうめき声をあげながら、オータムに問い掛ける。

 

「まだに決まってんだろ、つーかさっき乗ったばっかだろ」

「飽きたんだよー、右見ても左見ても海しかねぇし」

「大人しくしてろよ」

「むりー、もうこの船沈めよーかなー?」

 

突拍子も無く、物騒なことを言い出す丸グラサン男フェイゲンを、白い目で見ながらジンクに声を掛けた。

 

「おいジンク、バカがなんか言い出したから何とかしろ」

「うぇろろろろろろろろ!」

 

ジンク! 船酔い!

 

「何船酔いしてんだ?!」

「ねぇねぇ、今どんな気持ち?自分で出したフェリーの旅で船酔いするって、どんな気持ちなんですか大将?アヤヤヤヤヤ!」

「お前も何煽ってんだ、アヤイチ!?」

「誰がバカだ!?オータムこの野郎!」

「今さらかよ!?」

 

中々にカオスな事になってきた船内、奇跡的に他の乗客が居ないことがせめてもの救いであろう。

 

「うぇっぷ、はい復活・・・」

「目ぇ、メッチャ泳いでますよ大将」

「ダイジョブダイジョブネ、オータム、フェイゲンなら煙草か酒を渡せば、大人しくなる」

「分かった、おい、フェイゲン・・・って居ねぇし、どこ行きやがった」

 

ロビーを見渡しても、丸グラサンが何処にも居ない。

 

「マジで何処行きやがった?」

「どうしたの?オータム」

「スコールか、フェイゲン見なかったか?」

「フェイゲンなら甲板の方にフラフラと歩いて行ったわよ」

「サンキュー、スコール」

 

礼を言い、煙草を自販機で買い、甲板へと向かう。

 

「居やがった。おーい、フェイゲン」

「んあ?何だオータム?」

「煙草持ってんじゃねぇか、せっかく買って来てやったてのに」 

「おっ、マジで!丁度切れたのよ。助かるわぁ」

 

空になった箱を握り潰し、ごみ箱へ投げ捨てる。

 

「ほらよ、後で金払えよ」

「サンキュ、しかも俺の好きな銘柄!オータム愛してる」

「うるせぇよ、買って来てやったんだから、私にも寄越せ」

「ほい」

 

煙草の箱を指で叩き、一本だけ出し、オータムがくわえたのを確認し、火を点けてやる。

 

「ん・・・ ふー、マッズ。なんでこんな銘柄が好きなんだよ?」

「ヒデェな、良いじゃん『煙鳥』」

「メンソール系が一番だよ」

「え~、俺メンソール系苦手」

「見つけたぞ、二人とも」

 

マドカ、襲来

 

「お~、マドカじゃん。探検はもう良いのか?」

「子供扱いするな!フェイゲン」

「それは良いから、なんだよマドカ?」

「お?何だオータム、偉そうだな?」

「んだコラ、マドカこの野郎」

 

どうしてコイツらはこうなんだ?このままだと埒があかないので、マドカに煙草の煙を吹き掛ける。

 

「ゲホッ、何をするんだ!?フェイゲン!」

「なんか用があるんだろ?」

「スコールとジンクが呼んでる」

「スコールと大将が?」

「ああ、では先に行ってるぞ」

「なんだろね?行こうぜ、オータム」

「おう」

 

煙草を灰皿に押し付け、ロビーへオータムと向かう。

 

「うーい、大将、スコール。」

「来たか、二人とも」

「どうしたんだ?スコール、まだ到着じゃねぇだろ」

「ええ、まだよ。ただね、少し予定が変わったのよ」

「予定変更か、どう変わるんだ?」

「それは、俺から説明する」

 

船酔いから復活したジンクが口を開いた。

 

「我々は、フェリーを下船した後!」

「した後?」

「深夜バスに乗り、高知県に向かいます!」

 

は?!

 

「「「「なんっっでだよ!」」」」

「何故!Why ?!」

「バカか?いや、バカだ!」

「もうそのままIS 学園で良いじゃないですか!?」

「大将、スコール、時間無いの分かってんの?!」

 

上から順に、オータム、マドカ、アヤイチ、フェイゲンである。

 

「いやね、さっきジンクがサイコロ振ったら高知行きの目がでてね」

「またか?また大将か!」

「なにやってんですか大将?!」

「もういい加減にしてくれ!」

「お前はあれか?サイコロの神かなんかか?!」

 

カチッ 

 

「んだとオータム!このすずむし!」

「アアン!?」

「お?なんだ悔しかったら鳴いてみろよ!チンチロリンってよぉ!」

「うるせぇよ!このかぶとむし!」

「おおん!」

「てめぇが、かぶとむしみてぇな脳ミソしてるから、こんなことになってんだろ!」

「ああ!やんのか!」

「おお!やってやらぁ!フェイゲンそこの窓開けろ!このかぶとむし、そっから放流してやる。来年の夏に出直して来やがれってんだ!」

「上等だごらぁ!アヤイチ虫籠持って来い!このすずむし、きゅうりの輪切りと一緒に虫籠に入れて、チンチロリン鳴かしてやる!」

 

突如勃発した『すずむしかぶとむし戦争』、この戦争は戦争途中でカメラが破損したアヤイチと、飲もうとした酒を割られたフェイゲンの二人により粛正という名の元鎮圧された。

 

 

 

 

 

 

 

 

○月■日朝 高知県 高知駅にて

 

『すずむしかぶとむし戦争』が終結し、無事に九州から高知へと到着した我々を待ち受けていたのは、想像以上のダメージを負ったメンバー達の姿であった。

 

「おはよーございます」

「「「「「おはよーございます」」」」」

「昨日はどうだった?よく眠れたかしら?」

「いやなスコール?分かってて聞くの止めようや」

「あら、どうして?」

「寝れないんだよ!」

「もう俺達、バスの中で寝れないんだよ!」

「フェイゲンなんてアレですよ、すごい夢見たんですよ!」

「ケツの肉が取れる夢を見たんだよ!」

「ウソでしょ?」

「ウソじゃねぇよ、ボロボロ取れてくんだよ!」

 

予想以上のダメージを負いながらも、高知県に辿り着いた我々亡国機業

そして、我々の運命を決めるサイコロが振るわれる。

 

「さあ、ここで1~3を出せばIS 学園行き!4~6を出せば九州に逆戻り!」

「頼むぞ、大将!」

「任せろ!」

 

サイコロを持ち、不思議な動きをするジンク、それに合わせて騒ぎ出す5人組。

 

「何が出るかな?何が出るかな?」

 

運命のサイコロが、今、天高く放られた。

 

「タララララン、ララララン!どうだ?!アヤイチ!」

「6です!6?!」

「嘘だろ、アヤイチ!」

「6・・・です、6なんです」

 

6・・・一般的なサイコロにおける、最大の数値。今回の場合は絶望の数値

 

「ジンク!お前マジでなんなん?!」

「え?何こっから九州行って、IS 学園行くの?」

「間に合わねぇって!」

「大将・・・」

「なんだ?フェイゲン」

 

フェイゲンが徐に口を開き、魂の叫びをあげた。

 

「この!ダメ人間!!!」

「すんまっせんしたー!」

 

 

この後、改めて時間を計算したところ、どう頑張っても間に合わねぇとなり、諦めてIS 学園へ向かうのだった。




いかがでしたでしょうか?

次回予告
IS 学園へと向かう亡国機業を待ち受けていたのは

「コンクリートジャングルを彩る夜景が、小林製薬の糸ようじ」
「なん・・だ・・・それ!」

そしてついに

「ぎゃははははは!見てたよルーキー共!なかなかやるじゃない?!ちょーっと時間かかりすぎだけどね!」

IS 学園襲撃


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小林製薬の糸ようじ

どうもアヤイチです。「亡国機業は今日も平和です。」第3夜です。今回はIS 学園襲撃までをお送りします。

それでは始まります「亡国機業は今日も平和です。」お楽しみください!




○月△日 夜 ホテルサヴァラン

 

亡国機業の系列組織が経営している高級ホテル、その最上階にあるスウィートルームに奴等は居た。

 

「んで、スコール、ジンク。どうやるんだ?」

 

オータムが上役の二人に問う。

 

「プランは、一撃離脱だ」

「ええ、一気にアリーナに浸入、そして無人機もしくは、そのコアを奪取するわ」

「スピード勝負か」

「そうだな、だとすると・・・」

 

スコールとジンクの答えに、マドカとオータムが呟き窓に張り付いている二人、フェイゲンとアヤイチを見た。

 

「お~、スカイツリーだぜ。アヤイチ」

「スカイツリーですね、フェイゲン」

 

どうやら、窓から見えるスカイツリーを見ているようだ。

 

「おい二人とも、ちょっと此方来い」

「なんだよ、大将」

「なんです、大将」

「襲撃役、お前ら二人な」

「ん~、オッケオッケ!どんな感じでやんの?」

「一撃離脱」

「じゃあ、私が突っ込んで・・・」

「俺が引っ掻き回すか」

「そう、それで頼むぞ」

 

その様子をスコール、オータム、マドカの三人が聞いていた。

 

「それじゃ、私達はサポートにまわるわよ」

「そうだな」

「それがいいな」

 

 

 

作戦会議、終了!!

アホ二人のスカイツリーリポートをお楽しみください。

 

「スカイツリーですね」

「光ってるな」

「アリーシャ・ジョセスターフのモノマネやります」

「おっ、どんなの?」

「おう、これナ。この夜景ナ、100万ドルの夜景って呼ばれてるのサ。」

「おお、それっぽいそれっぽい」

「あのビル全部エッチデーデー入ってるのサ」

「うはははは、エッチデーデー入ってるのかよ」

「しかも、全部地デジにしといたからナ」

「ひひひっひひ!地デジも入ってるのか」

 

フェイゲンのモノマネ

 

「スカイツリーが彩るコンクリートジャングルの夜景なのサ」

「おお?似てますか?」

「これはもっと似てるぞ?」

「なんです?」

「小林製薬の糸ようじ」

「んっふ!なんで糸ようじ?」

「スカイツリーが彩る夜景が小林製薬の糸ようじ」

「ふひひひひひ!」

「スカイツリーが糸ようじ」

「止めて、貴方それ言いたいだけでしょう」

 

アホ二人のスカイツリーリポート終了!!

 

 

 

 

 

○月●日 朝 IS 学園アリーナ

 

クラス代表戦が行われているIS 学園アリーナ。だが、招かれざる客が来たようです。

そして・・・

 

 

「一夏!そのぐらいの敵に勝てずに何とする!」

 

何故?放送室の機能は死んでいる筈なのに、何故スピーカーから私の声が聞こえる?!

ピット内で一夏にかけた声が何故?

無人機が大口径の砲が内蔵された右腕を此方へ向ける。

 

「箒ー!!」

 

来ないでくれ一夏、その状態ではお前が死んでしまう。

無人機の砲にエネルギーが収束し放たれるのが分かる、これが死ぬ直前の景色か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところが、ぎっちょんちょん!」

「「は?」」

 

突如アリーナに飛び込んできた黒いIS が無人機の右腕をもぎ取っていた。否、斬り落とした?どうやって?見たところ刀剣等の武装を持っていないのに

いずれにせよ、あの先鋭的な装甲を持つ黒い機体が無人機の右腕を斬り落としたのは事は事実だ。

 

「。? !!!」

 

無人機が残る左腕で黒い機体を攻撃しようと動きを見せるが、黒い機体は避けようともせず、自分が斬り落とした右腕をブラブラと弄りながら観察していた。

 

「ぎゃはははははははは、見てたよルーキー共!なかなかやるじゃない?ちょーっと時間かかりすぎだけどね!」

 

攻撃しようとしていた無人機に、哄笑と共に弾丸の雨が降り注ぐ。

弾丸の主である機体。明るい緑色の流線形の装甲と特徴的な逆関節の脚を持つ機体が黒い機体の隣に降り立つ。

 

「しかしAよ、はえぇよお前。ちったぁ待ってくれても良いんじゃね?」

「Fが遅いんですよ。それに待つ気はありませんね」

「ぎゃはは、ひっでぇ!」

「それより仕事をしましょう、F 」

「ああ、そうだな、A 」

「お前ら一体何者だ?!」

 

一夏が謎の二人組に問う。

 

「俺達か?少年、俺達は・・・」

「「ただの通りすがりのテロリストだ!」」




いかがでしたでしょうか?分かりにくい部分は作者の描写力不足です。感想欄で思いっきり罵ってあげましょう。
クラス代表戦、誰か忘れてる気がするけど、気のせいだな!!!間違いない!

次回予告

IS 学園を襲撃した謎の二人組、その正体は?!

「あ?なんだスコールこの野郎、俺はお前の肉親を次々とお見舞いするぞ!?」

突如始まる仲間割れ?

「選べよ、お前の家かぁ?!それとも、IS 学園に居るお前の姪かぁ?!」

次回「おい、パイ食わねぇか?!」お楽しみに!



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おい、パイ食わねぇか!

どうせ、アヤイチです。「亡国機業は今日も平和です。」第4夜です。さあ、いよいよ襲撃です!

それでは始まります「亡国機業は今日も平和です。」お楽しみください!

次回から境ホラネタが入り始めます。


○月●日 朝 IS 学園アリーナ

 

とうとう、IS 学園に亡国機業が誇るキチガイがセットで降り立った。

さあ、何をしでかすのか?!

 

 

 

さぁて、どうしますかね?単純な数は2対3で此方が不利だが、あっちは死にかけが3、こっちは余裕綽々が2、はっきり言って勝負にならんね。つまらん

 

「アヤイチー、お前無人機、俺専用機で、どう?」

「専用機は二人?一人?」

「両方貰う」

「じゃ、それで」

 

打合せ終了。さあ、遊ぶぞ!久々に大将とスコールの監視も、オータムとマドカも居ない。

やりたい放題の遊びたい放題だ、深夜バスとフェリーで溜まったストレスを発散させてもらおうか。

ブースターを吹かして、少年に接近し銃口を突き付ける。

 

「はろー、少年」

「え、あ!この!」

「一夏!」

 

遅いなぁ、銃口突き付けられてやっと反応するなんて、まだまだだね。

ツインテのまな板ちゃんが来てるけど、これも遅い。機体その物の機動性が高くないとか、そんなんじゃなくて、単純にパイロットが悪い。

はい、少年のビームサーベルを横薙ぎに振るって来たから、それを避けて、ライフル『アカシア』をフルオートで叩き込んでから地面に向けて蹴り飛ばす。

 

「ぐあっ!」

 

はい、少年終了。随分呆気ないな、ガッカリだよ少年。

さて、次は~

 

「まな板ツインテちゃん、君だ!」

「ダレガマナイタジャァァァァァ!!!」

 

おぉう、地雷源でタップダンス踊っちゃったかな?凄い顔だ、正確に言うと凄く面白い顔だ。

もっと正確に言うと、乙女の悩みを真っ正面からドストレートにぶち抜かれて恥ずかしさやら殺意やらなんやかんやなサムシングを混ぜて、レンジで3分チンしたものが此方です。みたいな顔だ、ヤバイ、笑える!

 

「ぶっは!ちょっ、おまっ、その顔は反則だろ!ひひひひひひひひ!」

「アアアアアアアッ!ツブス、ツブスツブスツブスツブスツブスツブスツブスツブスゥゥゥゥッ!」

「待って、マジで待って!ひひひひひひひひ!ぎゃはははははははは!」

 

ヤベェ!笑い死ぬ!このまな板ツインテ、反則だろ!

おや?なんかまな板ツインテの後ろにある棘付き鉄球が、こちらを向いて・・・

 

 

 

 

コロス!コロス!コロス!コロス!コロス!コロス!コロス!コロス!コロス!コロス!コロス!コロス!コロス!!!

アノミドリイロヲコロス!!!ダレガダレガマナイタジャァァァァァ!!!ツブス、ツブスツブスツブスツブスツブスツブスツブスツブツブス、ツブスツブスツブスツブスツブスツブスツブスツブス!!!

 

あの空中で笑い転げてる機械音声の緑色の逆脚を殺す!!!誰がまな板だ!誰が!少しぐらい有るし!0じゃないし!

双天牙月を緑色に向けて投げ、攻撃に回せるエネルギーを龍砲にフルチャージし放つ。

どちらに逃げても龍砲か双天牙月のどちらかが当たる!

 

「シネェェェェッ!」

 

割りとマジで死ね!と殺意を込めた攻撃を放つが、緑色が避けない。

まさか!と思った次の瞬間、緑色が『跳ねた』。何もない空中を『蹴って』、真上に『跳ねた』のだ。

 

「はあ?!」

 

なんで跳ねたの?どうやって?!IS の機動は『跳ねる』では無く『翔ぶ』だ。けっしてあんな風に空中を蹴って『跳ねたり』はしない。どうなってんの?!

 

「あぶね!」

 

龍砲を避け、双天牙月も簡単に避けたけど、残念!双天牙月は戻って来るのよ!

 

 

 

 

あぶねーな!あのまな板ツインテちゃん、殺意がみなぎってやがる。

あの棘付き鉄球から打ち出されたのは「衝撃砲」かな?鬱陶しいもの積んでやがる。

あの段平もめんどくせぇ、どうせ、ブーメラン宜しく戻って来るんだろ?あんな投げ方で誤魔化せると思ってるのかね?

 

案の定、戻って来やがった。ので、重ショットガン『サンパギータ』で撃ち落とす。

 

「はい、さよーならー」

 

そして、まな板ツインテちゃんをついでに背部チェーンガン『レイン・オブ・サンディ』で落とす前に!

 

「んな、不意討ちが効くかバカ!」

「うぐぅっ!」

 

不意討ちにきた少年に振り返って散弾を叩き込む。意外と丈夫だな、あの白い機体。

 

「一夏!」

「はい、ではまな板ちゃんも、さよーならーってか!」

「え?あ!きゃああああ!」

 

こちらの取り分は終了。呆気ないなホント。

さて、アヤイチはどうしてるのかな?

 

 

 

 

遅いですねぇ、この無人機。なんでこんなに遅いんでしょう?

 

「ほらほら、此方ですよ」

 

そっちじゃないですって・・・もういいです。

 

「さよなら、遅い人」

 

予めコアの近くに入れておいた切れ込みに向かって、貫手を射し込みコアを抜き取る。無人機が抵抗しようともがきますが、遅いです。

 

「はい、此方も終了です」

 

こちらの取り分が終了したので、フェイゲンに合流しましょうか。

 

 

 

「あらら、あっさりだわさ」

 

まあ、無人機が相手になるとは思ってないけど随分とまあ、あっさりだわ。

 

「オーイ、A 終わった?」

「ああF 、終わりましたよ」

「んじゃ、帰るか?」

「そうですね、帰りましょう」

 

「待て!お前ら、お前ら一体何者だ?!」

 

おや、少年じゃないか?機体も丈夫なら本人も丈夫だな。

 

「言ったろう、ただの通りすがりのテロリストだ」

「そんなんじゃねぇ!」

 

めんどくせぇな、おっ?!

 

 

「一夏さん!鈴さん!」

「ほら、少年。パツ金縦ロールのお迎えが来てるから、大人しくしとけ。そんじゃな!」

「待てよ!」

「待てと言われて待つバカは居ねぇよ!」

 

一気にアリーナから飛び立つ、さあて、仕事は終了。スコールと大将に連絡しますか。

 

『スコール、大将、終わった』

『こちらでも確認した、ご苦労さん』

『フェイゲン、コアは?』

『アヤイチが持ってるが、どうした?』

『その・・・コアね・・・使えないのよ』

 

は?使えない?

 

『何言ってんの?お前』

『今ね、篠ノ乃博士から連絡があってね、そのコア使えないって・・・』

『ふっざけんな!』

 

は?何?使えない?フザケンナ!

 

『フェイゲン、落ち着いて!』

『なんだスコールこの野郎!こうなったら俺はお前の肉親を次々とお見舞いするぞ!』

『待って待って!お見舞いするぞって、まさか・・・』

『選べよ、お前の家か、IS 学園に居るお前の姪かぁ!』

『やめて!あのパイはやめて!』

『どぉもぉ!姪ちゃん!おい、パイ食わねぇか!』

『逃げて!レイン、超逃げて!』

『逃がしません!』

『アヤイチまで!』

『姪ちゃぁん、今行くぞぉ、パイを届けにねぇ!』

『レイン、逃げてぇぇぇ!』

 

その後、IS 学園でパイをお見舞いされた生徒が居たとか居ないとか

 

 

あっ、ワンサマーは思いっきりお見舞いされたそうです。




いかがでしたでしょうか?
戦闘描写が難しすぎる!禿げる!

次回予告

使えねぇコアを手に入れ、パイをお見舞いしたバカ共が次に絡むのは!

「束様、それはプリンうどんです」

プリンうどん!?

「束様、こちら生ドーナツに対抗して作りました、ドーナツ生です。」

ドーナツ生!?

それではまた次回をお楽しみに!


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プリンうどんです

どうも、オータムだ。「亡国機業は今日も平和です。」第5夜だ。今回は前回の続きからになる。

それでは始まるぞ「亡国機業は今日も平和です。」楽しんでくれ



作者からのお知らせ

今回は、どうでしょうネタがありません。どうでしょうネタを楽しみにされていた方々には、大変申し訳ございません。



○月●日 昼 ホテルサヴァラン

 

 

学園からホテルに帰ってきたフェイゲンとアヤイチが見たのは、ホテルの部屋で写真を胸に抱き泣き崩れるスコールであった。

 

「ご免なさいレイン・・・貴女を守れない弱い叔母を赦して・・・」

「「うわぁ・・・」」

 

ドン引きするキチガイ二人

 

「スコール!気をしっかり持て!」

「スコール、姪は死んでないからしっかりしろ!」

 

泣き崩れるスコールとそれを支えるオータムとマドカを尻目にジンクに話し掛ける。

 

「ウース、大将。どしたの?これ」

「いや、お前らがパイをお見舞いしたからだろ?」

「そうなんですか。あ、これ役に立たない玉ッコロです」

「まだ根に持ってんのか?」

「当たり前だろうが。あんなめんどくさいだけの仕事、二度とやんねぇからな!」

「まったくです。」

「そう言うなって、報酬はかなりのもんなんだから」

「じゃあいいや」

「それならいいです」

「よくないわよー!」

 

復活のスコール・ミューゼルが現れ、二人の胸ぐらを掴んできた

 

「あの娘が!レインが何をしたって言うのよ!返して!あの娘を返してよー!」

「落ち着けスコール、死んでないから」

「殺してねぇから、落ち着け!」

「そうです落ち着いてください。死にかけてるのは少年です!」

「それはそれで大問題じゃないのー!」

 

 

そのころのIS 学園

 

「一夏!しっかりしろ!死ぬな!」

「気を確かに!一夏さん!」

「死ぬんじゃないわよ!一夏!」

「先生、織斑の・・・一夏の容態は?!」

 

学園付の医師が口を開く。

 

「安心してください、ただの食中毒です。」

「食中毒、ですか」

「ええ、原因はこの『ブルーチーズのパイ(ブルーチーズ不使用)』ですね」

「なぁにそれぇ」

 

以上、IS 学園からでした

 

 

 

 

時間は飛びまして

○月◇日 夜 ホテルサヴァラン内レストラン

不思議の国のアリスと妙齢の美女が食事をしていた。

 

「それで、篠ノ乃博士。あのお話考えて戴けました?」

「ん~?あの話って~?」

「IS コアを創って頂きたいのですよ」

「アハハハ、それか~!嫌に決まってんじゃん」

 

あっさりとスコールの頼みを断るアリス『篠ノ乃束』『インフィニット・ストラトス』の生みの親である。

 

「そこを何とか、御願いできませんか?」

「イ~ヤ~だ~ね~」

「これでも、ですか?」

 

スコールが合図を送るが、店の奥からはジンクしか出てこない。

 

「え?何、どうしたの?」

「いやな、あのクロエとかいう娘となあいつらが・・・」

「あいつらが?」

「くーちゃんに何をした!」

 

途端、束が二人に詰め寄る。

 

「束様」

 

長い銀髪を持ち、両目を閉じた少女、クロエが抑揚の無い声で束に話し掛ける。

 

「くーちゃん!大丈夫?なにもされてない?!」

「私は大丈夫です。束様、これでも飲んで落ち着いてください」

 

クロエが湯呑みを束に差し出す

 

「なになに?」

「ささ、グイッと一息にどうぞ」

 

クロエから湯呑みを受け取り、一気に煽る束

 

「新メニューのプリンうどんです」

 

瞬間、束が停まる。

 

「篠ノ乃博士?」

 

スコールが声を掛けるが、束は待てと手を突きだし、背を伸ばして喉を真っ直ぐにし、湯呑みから口に流れ込んできたモノをングッとも、ムゴッともつかぬ声を出し、一息に飲み込む。

 

「・・・くーちゃん、これは?」

「プリンうどんです」

 

束の問いに抑揚の無い声で答えるクロエ

 

「これは、プリン?うどん?どっちなの?」

「おやおや、束様ともあろう御方がそんなことも解らないとは、『天災』の名も地に堕ちましたね」

「うおおおお!くーちゃんからの煽りが凄まじいぜ!」

 

一人勝手に盛り上がる束を尻目に、スコールとジンクに話し掛けるクロエ

 

「お初にお目にかかりますスコール様、ジンク様。私、束様の身の回りの御世話をさせて頂いております。クロエ・クロニクルと申します」

「亡国機業日本支部支部長、スコール・ミューゼルよ」

「同じく、副長のジンクだ」

「宜しくお願い致します。では、申し訳ありませんが私は厨房の方へと戻ります」

 

すると、厨房に戻ろうとするクロエを束が呼び止める。

 

「待ってくーちゃん、厨房で何をしてるか、束さんにちょっと言ってみない?」

「思わぬ出会いに、新メニューのアイディアが止まらないだけですが、何か?」

「待って!新メニューってあれだけじゃないの?!」

「おやおや、どうしたのですか束様。まさか怖いのですか?」

「こ、怖くなんかねーし!超余裕だし!」

「ふっ、私のセンサーには『へっへっへ、この兎怯えてやがるぜ』と出ていますが?」

 

これまた、無表情で抑揚の無い声で告げるクロエに、厨房から出てきたオータムが声を掛ける。

 

「おーい、クロエ。次の料理の準備できたぞ」

「承知いたしました、オータム様。では私はこれで」

 

さっさと厨房に戻るクロエを見届けた束は、スコールとジンクを見る。

 

「二人とも、くーちゃんが飽きるまで付き合って」

「「アッハイ」」

 

スコールとジンクは語る。その顔は悲哀に満ちていた、と。




いかがでしょうか?

今回から、境ホラネタがちらほら入り始めます。後は、AC ネタも入れないと

次回予告

交渉を続けるスコール達に襲い掛かる、新メニューの数々

「高菜チャーハンです。チャーハンのチャーは紅茶のチャーです」

紅茶のチャー!?

「生ドーナツに対抗して作りました。ドーナツ生です」

そして、キチガイ共が哀れな兎に牙を剥く

「これ、亡国のじゃね?」
「ほら、マドカが盗られたっていう」
「これ、亡国のだな」
「くーちゃん、助けてー!」

次回
「これ、亡国のじゃね?」
お楽しみに!


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キチガイクッキング&パンツフェスティバル

どうも、マドカです。「亡国機業は今日も平和です。」第6夜です。今回は、前回の予告から若干の予定変更があります。なので、どうでしょうネタは次回になります。

それでは始まります!「亡国機業は今日も平和です。」お楽しみください!

原作最新刊で亡国側に就いた三人の扱いについて、何かご要望が御座いましたら、活動報告の「リクエスト募集のコーナーですよ!改」にお願い致します。


○月◇日 夜 ホテルサヴァラン内レストラン

 

キチガイ共の宴が始まる。

 

 

 

「お待たせいたしました、こちらギョー定とチャー盛りになります」

 

クロエが運んできた料理だが、油断はできない。あのキチガイ共が作った料理なのだが、それ以前に、オカシイのだ。

 

「スイーツを頼んだ筈なのだけど・・・?」

「ええ、こちらは当店自慢のスイーツです」

 

スイーツ!?何処に!?

 

「ギョー定、チャー盛りです。大盛りでどうぞ」

 

 

 

 

 

オカシイ、ナニカガオカシイ。束は差し出された二品を見た。

 

(普通の餃子定食と高菜系のチャーハンだよね、しかも大盛り・・・)

 

見た目も匂いも、食欲をそそる餃子定食と高菜チャーハンなのだ。

だが、先程スコールとジンクの三人で頼んだのは、食後のスイーツだ。間違っても、目の前のガッツリ系のメニューではない。

だが、少しばかり食べたりない気がしていたのだ。小皿に一緒に運ばれてきた酢醤油を注ぎ、湯気のたつ一口餃子を浸し口へ運ぶ。

 

「焼きプリンです」

 

クロエの爆弾発言に口に箸を突っ込んだまま固まったスコールと束を眺めながら、もしやと思ったジンクはスコールの小皿にある酢醤油を指にとって舐める。

 

(カラメルだ!これ)

 

なんと言うことを。ややあって、ゆっくりとしたぎこちない動きで、二人が茶碗を手に取り盛られた白飯を掻き込んだ。

 

「勿論のことですが、スイーツとの御注文でしたので、砂糖水で炊き上げました。如何でしょう」

 

二人が目を剥いて固まった。

 

再起動し、白飯に『酢醤油』をぶっかけ始めた二人を横に、ジンクは目の前のチャーハンを見た。

 

(どう見ても、チャーハンだよな?)

 

匂いもチャーハンだ。だが、一応は

 

「これ、砂糖水で炊いてないよな?」

「ジンク様、いくら職業テロリストといっても常識を捨ててはいけません。当店はレストランです」

 

いや、どういうこと?常識とは一体?職業軍人なら聞いたことはあるが、職業テロリストとは?いやまあ、職業 テロリストだけど、繋げて言うだけでここまでの威力を持つとは・・・

真っ正面から畳み掛けられてどうしたものか、だが、いくらあのキチガイ共でも、チャーハンに仕込みは出来まい。念のため、レンゲでチャーハンを崩し確認する。

 

(よし、普通の高菜チャーハンだ)

 

確認作業を終え、レンゲで掬い口に運ぶ。

 

「そういえば、くーちゃん。チャー盛りのチャーって何?」

「はい、紅茶のチャーです」

 

セイロンとダージリンのブレンドだった。

 

スコールは機能を停止した同僚に『酢醤油』を差し出した。

 

「使いなさい・・・」

 

ジンクが右手をゆっくりと突き出した。すると、クロエがすまなそうに告げる。

 

「私としたことが、申し訳ありませんジンク様。レモンとミルクと砂糖を忘れておりました。どうぞ」

 

ジンクは口の中のモノを飲むために、添え物のスープを口にする。

 

「いかがですか、茶葉もしっかり炒めた当店自慢のチャー盛りは。そちらはホット砂糖水になります」

 

ジンクが吹いた。

 

 

 

 

 

アヤイチ「トラブルが発生がしたため、暫くお待ちください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまでのハイライト 

キチガイクッキング

 

 

自らの部下に軽い謀反を起こされたりしたが、何とか完食した三人は、本来の目的であるIS コアについての交渉を行う。

 

「それで、篠ノ之博士?コアは準備して頂けますか」

「有るけど、あ~げ~な~い」

「何故?」

「嫌だからだよ、凡人共」

 

一気に険悪なムードになるが、スコールが切り出した。

 

「博士、コアは本当に有るのですか?」

「どういう意味だ?」

「いえね、それほどまでに準備を渋られているのですから、用意なんてしてないと思いましてね」

「はっ!これだから凡人は、いいかい?私は篠ノ之束だよ。コアの一つや二つ、このとおり用意してやるさ、あげないけど」

 

 

 

 

 

 

 

スコールとジンクは内心冷や汗を流しながら、交渉を行っていた。

(おい、スコール。あまり出過ぎるな、相手は篠ノ之束だぞ)

(だからこそよ、それに急がないと、奴等がキッチンから出てくるわよ)

 

しまった、相手は篠ノ之束だけでなく、今はキッチンに居る4キチガイ共も居るのだ。ん?

 

(いや、スコール。あいつら味方)

(そうだったわね)

 

失念していた、奴等が味方だということを。

 

 

 

 

「コアの一つや二つ、このとおり用意してやるさ、あげないけど」

 

束がポケットからコアを取り出した、その時である。

スコールとジンクの二人は、キッチンへ続く通路の出入口を見た。見てしまった。

 

調理を終え、片付けまで終わらせたキチガイ共が、こちらを見ていることを。

フェイゲンとオータムがニタリとした笑みを浮かべ、マドカが目を輝かせ、アヤイチがそれをビデオカメラで撮影して、クロエが無表情に立っていた。

 

(ヤバイ!)

(マズイわね)

 

何がマズイかというと、キチガイ共が獲物を見つけた獣の目をしているのだ。

 

キチガイ共の目線の先には、哀れな兎が一羽。その後ろからフェイゲンとオータムとアヤイチとマドカとクロエがサイレント髭ダンスを踊りながら迫る。

 

「あれあれ~?どうしたのかな~?ビックリしすぎて声も出ないのかな?」

 

兎がテーブルに乗り、自慢気に声をあげる後ろから迫り来るキチガイ共。

 

(ヤバイヤバイ!アイツら何をするつもりだ?)

(お願い、ヤメテ!)

 

兎の両横から狩人と蜘蛛が、背後から鴉が、その後ろで踊る蝶と銀糸

 

「「はい!ご開帳!」」

「え?」

 

フェイゲンとオータムが束のスカートの裾を掴み、一気に引き下ろす。

 

「おおう、紐パンか」

「なかなかやるな、この兎」

「え、あ?!ひにゃあああああああああ!」

 

自分の現状を理解し、暴れだす兎。だが、狩人と蜘蛛はそれを許さない。

 

「オータム!この兎、糸で取っ捕まえろ!」

「よっしゃ!任せろ!」

 

オータムが『アラクネ』のエネルギーネットで束を拘束する。束はスカートを上げることも、逃げることも出来ずに紐パンを晒し続ける。

 

「離せ!離せー!」

 

蜘蛛の糸に捕まりもがく束の前に、アヤイチがビデオカメラとデジカメを持って現れる。

 

「アヤヤヤヤヤヤ!なかなかセクシーな下着着けてますね、この兎」

「ヤメテよー!離せよー!」

「アヤヤヤ!天災のセクシーサービスイタダキデスヨー!」

 

ビデオカメラを回し、デジカメを連写する。

 

「ヤメロー!撮るなー!」

 

キチガイの宴は続く、どこまでも。哀れな兎を犠牲に・・・




いかがでしたでしょうか?

次回予告

キチガイ共の宴は最高潮を迎える。

「これ、亡国のじゃね?」
「そうだよな、亡国のだよな?」

いや、違うから

「助けて!くーちゃん!コイツら話が通じない!」

まあね

次回
これ、亡国のじゃね?

お楽しみに!


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これ、亡国のじゃね?

どうも、クロエ・クロニクルです。「亡国機業は今日も平和です。」第7夜です。
今回はキチガイ共が大人しい?です。キチガイ共は

それでは始まります!「亡国機業は今日も平和です。」お楽しみください!


七沢またり様著『死神を食べた少女』面白いですよ!オススメです!
シェラ様万歳!シェラ様に勝利を!シェラ様万歳!シェラ様に勝利を!


○月◇日 夜 ホテルサヴァラン内レストラン

 

キチガイフィーバー

 

 

 

「ヤメロー!何でこんなことするんだよー!」

 

何とか蜘蛛と狩人の拘束を振りほどき、スカートを履き直した兎はキチガイ共に叫ぶ。

因みに、アヤイチによる映像記録は確りと保管されています。欲しい方は、私まで連絡してください

 

「何でかって?それはな・・・ なあ、オータム。何でだ?」

「なんとなくじゃね?フェイゲン」

「なんとなくですね」

 

そう言い、蹲る束の周りを囲み回り始めるキチガイズ。

 

「ヤメテよー!もうヤダヨー!」

「囲め!囲めー!」

「ヒャッハー!」

「くーちゃん、助けてー!」

「皆さん、落ち着きなさい。束様は拗ねると面倒なのです」

「ちっ!しゃーねーな、はい全員撤収、ずらかるぞ!」

「それでは束様、私共はこれで」

 

はよ、巣に帰れバカ共が

 

 

 

キチガイフィーバー終了

 

 

 

クロエがキチガイ共を諌め、別室へと移動した後、再度始まる交渉

 

「あの、篠ノ之博士大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫に決まってるじゃあないか!」

 

涙目で言われても困る。

 

「それで、その~コアは譲って頂けるのでしょうか?」

「あれだけのことをしておいて、よく言えるよね。そのセリフ」

「あれはノーカンでお願いしますわ」

 

ノーカン・・・ ダメだ、この二人もあいつらと同類だ

 

「博士、奴等のすることにいちいち腹を立てていたら、キリがありませんよ」

「そんなになの?!」

 

うん、そんなになのよ。奴等は

 

「けど、なんでそんなにコアが欲しいのさ?君らの戦力なら追加は要らない筈だろ」

 

やっぱり、そこを突いてくるか。

 

「戦力はいくら有っても困りませんわ」

「それでもさ、いくらなんでも過剰戦力じゃあないかな?」

 

マズイな、これは

 

(スコール、もう話した方が良いぞ、これ)

(だけどね、ジンク)

(このまま、ご破算なるよりましだ)

(それもそうね、仕方ないわ)

 

ジンクが溜め息をつき、話し出す。

 

「つい先日、イギリスのBT 試験機の二号機を強奪したのですが、ガワだけで肝心のコアが入って無かったのですよ」

「なので、篠ノ之博士にコアを準備していただきたいと思いまして・・・」

 

ここまでの内容を聞いた束は、笑いを堪えきれなかった。

 

「プッ!ハハハハハハハハハハハハハハ!なにそれ、オッカシイ!機体だけ奪ってコアが無いなんて!アハハハハハハハハハハハハハハ!マヌケにも・・程が、ハハハハハ あるよ!」

 

あれだけ自分を小バカにしていた奴等が、こんなマヌケだったのだ、束が笑うのも無理はない。だが、束は肝心のことを忘れていた。忘れてしまっていた。

 

「そんなマヌケ共には、コアはあげられないなぁ、ハハハハ、オッカシイ!アハハハハハハハハハハハハハハ!」

「し、篠ノ之博士!もう少し静かに!」

「落ち着いてください、博士!」

 

忘れているのだ、目の前にいる兎は。自分がどんな目に遭ったのかを。

その証拠に勝ち誇った様にテーブルに足をのせ、手の中にあるコアを弄んでいる。

 

「アハハハハハハハハハハハハハハ!マヌケが私に口答えするなよ!アハハハハハハハハハハハハハハ!マヌケマヌケ!アハハハハハハハハハハハハハハ」

 

哀れで愚かな兎は笑う。目の前の二人の道化を笑い続ける。

己が絶対的な優位に立っていることを疑わず、笑い続ける。だが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これ、亡国のじゃね?」

「へ?」

 

そんなことはない。いくら天災といっても、所詮は兎(天災)。捕食者達(キチガイ共)の前では無力である。

 

どういうことか分かりやすく説明しよう。

 

キチガイフィーバーリターンズだよ!

 

 

 

「なあ、これ亡国のだよな?」

「そうだな亡国のだな」

「いや、ちょっ・・・」

「ほら、これマドカが無くしたヤツですよ」

「そうだ、私のだ。返せ、兎この野郎!」

「待って!マジで待って!」

 

誰が待つか、バーカ!

 

「おい、返せよ。兎この野郎!」

「だから!これは私のコア!」

「証拠はあがってんだ!返せ!それともなにか?もう一回パンツ撮影会やるか?!」

「やんないよ!」

「カメラオッケイですよ!」

「だからやんないって!」

 

蜘蛛が構え、狩人が追い立て、鴉が退路を塞ぐ。兎は部屋の隅にいつのまにやら追い詰められ震えることしかできない。

 

「よしオータム!糸用意!」

「よっしゃ!今度はM字開脚だ!」

「いいですねー、動画も撮りましょう!」

 

ジリジリと迫り来るキチガイ共に限界が来たのか、兎は助けを呼ぶ。

 

「イヤー!くーちゃん、助けてー!コイツら話が通じない!」

 

よりによって、もう一人のキチガイを

 

「止めてあげなさい、束様はコミュ障なのです。撮影会は後日、改めて開催します」

「くーちゃん!?」

「ちっ、しゃーねーな」

「仕方ありませんね」

「はい、撤収!」

「はよ、巣に帰れ!バカ共が!」

 

 

蹲り震える束に、スコールとジンクとクロエが歩み寄る。

 

「大丈夫ですか?篠ノ之博士」

 

「大丈夫だもん、大丈夫なんだもん、私は天災だから大丈夫なんだもん、コミュ障じゃないもん」

 

「「うわぁ・・・」」

「ふっ」

 

引くジンクとスコールと無表情で鼻で笑うクロエであったが、クロエが鼻で笑った瞬間束が顔を上げた。

 

「くーちゃん!なんで鼻で笑ったの!?」

「束様、撮影会の衣装は此方で用意しますので、思う存分撮られてきてください」

「なんで?!なんでくーちゃんまで、あいつら側なの?!」

「ああ、どんな衣装にしましょうか?巫女?Oバック一枚?手ブラジーンズも良さそうですね」

「くーちゃん?」

「最後は、全裸M字開脚でフィニッシュ・・・ふむ、束様、撮影会の日取りですか?」

「違う!違うよくーちゃん!そうじゃない?!」

「では、衣装ですか?」

「そうだけど、そうじゃない!」

 

クロエはふむ、と思案するように顎に手を当てる。

 

「ああ、コアのことですか、良いじゃないですか。コアの一つや二つ、PONと差し上げたらどうです?」

「そうだねコアの一つや二つ・・・うん?」

「そうと決まれば早速、撮影会の準備を始めましょう。そして、世の青少年の新しい扉をぶち抜いてやりましょう束様」

 

無表情でグッとサムズアップするクロエに対し、束は

 

「違う!違うんだよくーちゃん!」

「? ああ、これは失礼を。『青少年』ではなく『性少年』ですね、この場合」

「そうだけどそうじゃない!」

「では、何なのです?」

「あの~篠ノ之博士?」

「なにさ?」

「スコール様、申し訳ありません。コアは早急に用意させますので」

「くーちゃん!?」

「え、あ、あの、宜しいので?」

「構いません、いい加減に働くべきなのです。束様は」

 

天災ニート疑惑発覚!

 

「篠ノ之博士、貴女・・・」

「博士、それはダメですよ・・・」

 

非難するテロリスト二人

 

「なんで私はニート扱いされてるの?!」

 

クロエは束の両肩に手を置き、語りかける。

 

「束様、働きましょう。まずは、スコール様の元で社会復帰です」

「この二人、テロリストだよ?!」

「束様に今さら、まともな社会復帰が出来ると?」

「出来るし!超出来るし!」

「では束様、コアと撮影会の件宜しくお願い致します」

「よし、バッチ来い!・・・あれ?」

「スコール様ジンク様、私共はこれにて失礼致します。此方が私共の連絡先です」

「あ、これはどうも」

 

ジンクがクロエから連絡先を受け取り、外堀を埋められていく束

 

「待ってくーちゃん!私まだ造るって言ってないよ!」

「造りなさい、撮られなさい。良いですね?」

「アッハイ」

「では、失礼致します」

 

クロエがスカートの裾を持ち、綺麗なお辞儀をすると二人の姿は幻の様に消えた。

 

「スコール・・・俺、もう疲れた」

「私もよ、ジンク・・・呑みに行きましょうか?」

 

疲れきった顔でレストランを後にする二人、この後、スコールオススメのbarに行ったそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キチガイ共?巣に帰った後、ソッコで呑み屋に行ってます。




いかがでしたでしょうか?

クロエ無双でしたね。そして、キチガイ共はソッコでサボりました。

次回予告

クリスマス特別編!

お楽しみに!

投稿は今年中を予定していますが、作者がクリスマス商戦と年末商戦で生き残れば、の話です・・・


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クリスマスパーティー!前編!

どうも、スコールよ。「亡国機業は今日も平和です。」第8夜になるわ。前もって言っておくけど、今回のキチガイ共は本当に大人しいわよ。

それでは始まります!「亡国機業は今日も平和です。」お楽しみください!

また、特別編は少し未来のお話になっており、原作最新刊で出てきたキャラが出てきます。


作者の新連載「穴掘り少女は今日も行く」もよろしくお願い致します。具体的にはコメントとか(露骨な宣伝)


クリスマスだよ!全員集合!つーことで、特別編だ!コラー!

 

「はい、と言うわけでクリスマスパーティーです!」

「「「「「「イエアアアアアアアアアア!」」」」」」

 

亡国機業日本支部に集まったメンバーは、皆一様に色めき立っていた。

無理もない、常日頃から過酷な任務に就いているのだから・・・

こら、そこ!過酷な任務に疑問を持つんじゃない!あのキチガイ共が例外なの!

他はまともだから!マトモダカラ!

では、そんなキチガイ共のパーティーを覗いてみよう!

 

「おい、オータム!それ俺の鶏!」

「良いじゃねぇかフェイゲン、ほらこの酒やるから」

「おっ!山崎の25年か!良し、それで手を打とう」

 

鶏と酒の物々交換が成立、オータムがローストチキンにかぶり付き、フェイゲンがウイスキーを呑む。

 

「いやぁ、たまにはこういうのも良いな」

「まったくだ、最近の仕事は暇でしょうがねぇ」

 

言うほど仕事してないだろ、とか言ってはいけない。キチガイ共の餌食になるからだ。

すると、長身の女が話しかけてきた。

 

「やあやあ、お二人サン。呑んでるかイ?」

「おう、アーリィ。お前もどうだ?」

「いいネ、貰おうカ」

 

長身の女、アリーシャ・ジョセスターフがフェイゲンからグラスを受け取り、一気に煽る。

 

「くハハ、効くネェ。ウイスキーもたまにはいいネ」

「そりゃ良かった。しかし、アーリィよ、今日は着物じゃないんだな?」

 

アリーシャはいつも着ている着物ではなく、真っ赤なドレス姿であった。

 

「ん~?なんだイフェイゲン、着物の方が良かったのカ?」

 

アリーシャがニヤニヤしながら聞いてくる。

 

「ああ?珍しくめかし込んでるから、不思議に思ったんだよ」

「ひどいのサ、オータムこのグラサンひどいサ!」

「落ち着けよアーリィ、フェイゲンはこんなヤツだろう?」

「なんだよ二人して、ヒデェな」

 

フェイゲンが苦笑しながら酒を呑み、オータムとアリーシャが話していると、不意にカメラのフラッシュが焚かれた。

 

「ん、おおアヤイチか。どうした?」

「アヤヤ、我等が亡国機業の主戦力の三人揃っての場面ですからね、撮らなきゃ損ですよ」

「いつでも撮れるじゃねぇか」

「いえいえ、オータム。こんな絵はなかなか撮れませんよ」

「そうか?割りといつも通りだろ。そうだアヤイチ、これ食うか?」

「せっかくですから、いただきましょう」

 

アヤイチとオータムが話しながら食事をしていると、アリーシャがアヤイチに質問をした。

 

「そういえば、アヤイチ。マドカはどうしたんダ?」

「マドカですか?それなら、ほらあそこに」

 

アヤイチが指差した先には、バイキングコーナーで様々な料理を山の様に積み上げたマドカの姿があった。

 

「何やってんだアイツ?」

「大方、普段あまり見ないような食いもんがあるから、欲張って積み上げたんだろう」

「ああやって見るト、マドカもまだまだ子供なのサ」

「そうですね、あ、折角ですから一枚撮っておきましょう」

 

アヤイチがカメラのシャッターを切るとマドカが此方に気付き、えっちらおっちらと歩いてきた。

 

「おいアヤイチ、写真を撮ってないで手伝え」

「アヤヤヤ、積みすぎですよマドカ」

「マドカ、アーリィの隣が空いてるぞ」

「む、そうか。すまんアーリィ、少し寄ってくれ」

「いーヨ、あっそのカルパッチョちょうだイ」

「ほれ、ついでにこのローストビーフも分けてやろう」

「ありがとなのサ」

 

マドカがアリーシャの小皿にカルパッチョとローストビーフを取り分けるその横で、オータムとフェイゲンがなにやらキョロキョロと辺りを見回し始めた。

 

「どうしたのサ?二人とも」

「いやな、大将とスコールが居ないと思ってな」

「フェイゲン、レインとフォルテも居ないぜ」

「あの人達なら、別室でやってる幹部会に出てますよ」

「「ああ、そうだそうだ、そうだった」」

「スコールとジンクは分かるが、何故あの二人も一緒なんだ?」

「ほらマドカ、レインはスコールの親類ですし、フォルテはレインのパートナーですから、その関係でしょう」

「なるほどな、そういうことか」

「そういう訳だからサ、今日は好きにできるのサ」

 

いつも好き勝手やってるとか言ってはいけない。あなたのお家にキチガイ共がやって来るぞ!

 

キチガイ共の大人しい宴は続く




いかがでしたでしょうか?

クリスマスはもう過ぎてる?知ってるよ!この世界ではクリスマスだよ!クリスマスなんだよ!

次回予告

あのキチガイ共がおとなしく出来るわけもなく

「ジンク!いいからエビ焼けエビ焼け!」

エビを焼かされるジンク

「おいそれ、レイン入ってんだろ」
「入ってないッス」
「フォルテかよ?!」

新入り、キチガイ共の洗礼を受ける

「天災兎のパンツ写真!5000から!」

突然始まるオークション

キチガイ共は聖夜だろうがおとなしくしない!

次回
クリスマスパーティー!後編!

お楽しみに!


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クリスマスパーティー!後編!

どうも、アリーシャサ。「亡国機業は今日も平和です。」第9夜になるサ。今回はキチガイ共がキチガるのサ。

それでは始まるサ。「亡国機業は今日も平和です。」お楽しみください!


友人にヒロインは居ないのか?と聞かれたので、一応聞きます。ヒロイン要りますか?

要るという方は、○○と○○でと、要らないという方は、要らねぇよ!このバカ脚屋!と、いつもの『リクエストコーナー改』にお願い致します。


ヒロイン居なくても、ヘロインなら要るのになぁ・・・



流石のキチガイ共も、酒が回ってきたようで、過去にあった仕事の話で盛り上がっています。

 

「ギャハハハハハ!そうそう、それそれ!」

「確かにあん時のアイツらの顔は傑作だったな!」

 

すでに、ウイスキーを五本、ワインを三本、その他諸々アルコールを山の様に積み上げながらバカ笑いをし、まだ増える空き瓶と空き缶達。それを積み上げるキチガイ筆頭組の二人

 

「いいかイマドカ、あんな大人になるんじゃないヨ」

「う、うん」

「まったく、あの二人は・・・」

 

お前らが言うなとか、もう出遅れじゃね?とか言わない!

 

「あ~、オータムよ~」

「なんだ~、フェイゲン~」

「暇だな!」

「ああ、暇だな!」

 

なんか言い出した。

そして、辺りを見回し手持ちの酒瓶を振る。

 

「酒も切れたな」

「切れたな」

「どうする?」

「どうするか?」

 

おい止めろ!誰か止めてくれ!

 

「スコールと大将達は幹部会だったな」

「そうだ、幹部会だ」

「酒有るよな」

「ああ、とびきり上等な奴がな」

「行くか?」

「行くしかないな!」

 

誰か止めろ!

 

「「よっしゃ!行くぞ!」」

「待てヤ、二人とも」

「待ちなさい、二人とも」

 

さすがに、ストップをかけるアリーシャとアヤイチ。我関せずの態度で食事を続けるマドカ

 

「それハ、止めておくサ」

「今日ぐらいはおとなしくしてましょうよ」

「そんなことより、おうどん食べたい」

 

二人の制止に、眉をひそめるキチガイ筆頭二人組。どうやら、何故止められたのか理解できない様子

 

「「何故?!」」

「何故?じゃないノサ!」

「クリスマスなんですよ?今日ぐらいはじっとしてましょうよ」

「「嫌じゃー!酒が呑みたいんじゃー!」」

「蕎麦でも良い。いや、ラーメンか?」

 

キチガイ筆頭二人組とキチガイ比較的正常組が喚いている頃、幹部会に参加しているスコールとジンク及び新人組はというと

 

 

 

 

 

 

 

キチガイ組が『隔離』されている会場など、お話にならない程に豪奢に飾り付けられた部屋に四人は居た。

その内の三人、ジンク、レイン、フォルテは会場の端、所謂、壁の花を決め込んでいた。

 

「なあ、ジンクさん。オレ達は何時までここに居れば良いんだ?」

「そう言うな、これも大事な仕事だ」

「チッ、オレもオータムさん達の方が良かったぜ」

「そうッスね、私達凄い場違い感がするッスから・・・」

 

レインがジンクに愚痴ともいえる質問をし、フォルテがそれに賛同する。

 

「ハア、良いかレイン。お前はスコールの親類、『ミューゼル』の家系なんだ。いい加減自覚しろ」

「いや、分かってんだ、ただ、このヒラヒラした格好がなぁ」

「どうにも、落ち着かないッス」

 

二人の格好は、どう見てもスコールの趣味全開としか言い様のないものだった。

体の線がはっきりと出るタイトなデザインで、その上、背中が丸見え、胸元もバックリと開いており、この場におけるジンクの頭痛の種であった。

 

(スコールの奴め、趣味に走るのは良いが、これはやりすぎだろう・・・)

 

「ジンクさん、どうしたッスか?」

 

思わずこめかみを押さえていると、フォルテが覗き込んできた。

 

「ああ、気にするな二人共」

「どうしたんだよ?ジンクさん」

「アイツらの居ない状況が、ここまで平和とは思わなかっただけだ・・・」

「でもさ、そろそろ何か起きそうな気がするのは、オレの気のせいかな?」

 

怖いことを言うな。

 

「そうでないことを、祈るよ・・・」

「そッスね、祈りましょう・・・」

 

二人で祈っていると、挨拶回りを終えたスコールが戻ってきた。

 

「お待たせ。さ、帰りましょう」

「もう良いのか?」

「ええ、大体は回ったからもう良いわ」

「んじゃ、帰るか。二人共、帰るぞ」

「「ウース」」

 

四人は会場を後にし、キチガイ共が居るもう一つの会場へ移動する。

 

「アイツら、おとなしくしてるわよね?」

「してる筈だ、たぶん・・・」

「そうだといいッスね」

「そーかぁ?騒いでた方が、あの人達らしいけど」

 

隔離部屋に向かう四人。そこにあったものとは

 

「「ピストルフェイタムへようこそ!撃ち抜くぞー!撃ち抜くぞぉー!」」

 

シェフの格好をし、カセットコンロを持ったオータムと両手にエビを大量にがっしりと鷲掴みにしたフェイゲンが四人を出迎え、アリーシャが全身タイツで『BO』と書かれた被り物を被り、ワインを呑みながら煙管を吹かし。その横で、マドカがドーム状に膨れ上がったパスタを食べ、アヤイチがその様子を撮影していた。

 

「何やってんの?お前ら」

 

ジンクのの問いに、五人は力強く答えた。

 

「「「「「クリスマスだ!!!」」」」」

 

クリスマスだそうです

 

「いや・・・クリスマスか?」

 

ジンクが疑問するが、キチガイ共に正論は通じない。

 

「んなこたぁいいから、ジンク。とっととエビを焼くのサ!」

「なんでだよ?!つーか、その格好は何だ!」

「いいからエビ焼け!エビ焼け!」

 

ジンクがアリーシャに捕まり、エビを焼かされ

 

「アヤヤヤヤ!いやぁ、お二人とも中々にセクシーぶちかました格好ですねぇ!」

「待て待て!アヤイチさん、撮るな!」

「止めて欲しいッス!」

「アヤヤヤヤ!無理ですな。良いですよー、その顔いただきです!」

 

レインとフォルテがアヤイチにドレス姿を激写されている、その横では

 

「えっと、マドカ。何を食べているのかしら?」

「パスタだ」

「パスタ?ドームみたいに膨れているけど・・・」

「手順を間違えたんだ。スコール、お前も食え」

「・・・・・・ このパスタ、餅に近いわね」

 

そして、キチガイ筆頭二人組が通りすがりの常人にエビチリをお見舞いする。

 

「「どぉーだぁー!」」

「コクが無く、ただただ後味辛い・・・」

「「残さず食えよぉー!」」

「なんで俺、誕生日の真夜中にこんなもん食わされてんだ・・・」

 

以上が、亡国機業日本支部のクリスマスパーティーです。

 

 

 

後日、アリーシャと通りすがりの常人君がエビアレルギーを発症、飲酒喫煙による亡国機業のマスコット『BO ちゃん』のイメージダウン等により、スコールとジンクは始末書を書かされた。

 

 

今回の教訓

 

キチガイ共を半端に隔離すると余計に危ない




いかがでしたでしょうか?

時間の都合で入れることの出来なかったネタが、多数有ったことが心残りですが、作者の構成力ではこれが限界です。誠に申し訳ございません。

また、この作品の今年の投稿はこれが最後になります。
次回からは時系列が戻り、原作2~3巻あたりのお話しになります。

それでは皆様、良い御年を



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キチガイセカンドシーズンスタート

どうも、メリー明けましておめでクリスマス!貴方の隣にそっと寄り添う混沌、逆脚屋です。

今回から、キチガイセカンドシーズン『ドイツフランス編』です。
また、今回から真庭猟犬様よりリクエスト頂いたオリキャラ『ナイトメア』ちゃんが登場します!
真庭猟犬様、アイディアありがとうございます!

ここで、オリキャラ三人のイメージを

ジンク 「ヨルムンガルド」よりレームのオッサン
フェイゲン 「みえるひと」より先代明神もしくは、「ヨルムンガルド」よりワイリ
アヤイチ 「東方project」より射命丸文

これらはあくまでも、イメージです。皆様のお好みのキャラで補完してください。お願いします!

バケツのオッサンシリーズも宜しくお願い致します(露骨な宣伝)


此処は、亡国機業日本支部。実質的にアジアの裏社会を支配している者達の居場所である。

様々な理由があり、ここに所属するエージェントは腕利きばかりである。 キチガイドモノセイジャナイヨ

 

 

 

 

 

その亡国機業日本支部の地下、様々な重要区画が混在するその廊下を一人の男が歩いていた。

 

「はあ、ここはどうしてこう、ごちゃごちゃしてるんだか」

 

溜め息混じりに歩いている男の名はジンク、キチガイの元締めであり、世界で最初にIS を動かした男である。

 

「ああ、ここだここだ。オーイ、『ナイトメア』居るか?」

 

行き着いた先、『整備室』と書かれた扉を開き呼び掛けると、中から猫耳付のパーカーに身を包んだ少女が顔を出した。

 

『どうしたの?ジンク』

 

ナイトメアと呼ばれた少女が、ペンとスケッチブックを取りだし返事を書き上げる。

 

「機体の整備状況を聞きに来たんだよ。どうだ?」

『特に問題無し、磨耗した部品を交換するだけでいい』

 

ナイトメアが整備の結果を報告すると、ジンクは整備室に並んだ五機のIS とナイトメアを見る。

 

『どうしたの?』

「いやな、次の仕事はかなりキツイことになりそうだから、お前にも出てもらうことになりそうなんだわ」

『やっぱり、そんなにキツイの?』

「ああ、キツイ」

 

ジンクが溜め息と共に吐き出す。

 

「仕事内容はそれほどでも無い。だが、ヨーロッパの連中が問題だ」

『ああ、あの屑共か』

「お前もか?」

『アイツらは嫌い、あの面倒見の良いオータムとスコールが見放すのも当然』

「アレとこっちのアイツらが協同出来る訳が無いのに、なんで上はそれが分からんのだ?」

『さあ?なんでだろう』

 

これより待ち受ける『地獄』に一人胃を痛めるジンクと何処吹く風のナイトメアである。

実際、ヨーロッパ支部の連中の腕は悪くない。ただ、思想が問題なのだ。

『女尊男卑』IS が登場してから一部の人間に、急速に広まった思想だ。

IS に乗れる女が尊く乗れない男は卑しいなんて、訳の分からん考え方だ、大体、IS なんざやりようによっちゃ、民間人にだって落とせる代物だ。

その程度の物なのに彼処まで持ち上げて、集団によっては篠ノ之束と織斑千冬を神格化してるらしい。

ホント、何がしたいんだか?

それだけでも胃が痛いのに、ヨーロッパ支部の連中と家のキチガイは相性が壊滅的に悪い。

目と目が合う瞬間、殺し合いなんて当たり前にやらかしてくれる。

 

「特に問題なのは、フェイゲンとオータムだ」

『出会い頭に、顔面ショットガンとか顔面装甲脚とかやりそう』

「そうなんだよ、しかもあの二人、妙にコンビネーション良いから余計に厄介だ」

『それなら、マドカとアヤイチも』

「ああ・・・ どうして、頭のおかしい奴に限って戦闘能力が高いんだ」

 

ジンクの嘆きが整備室に流れるが、ここの主ナイトメアは、ジト目でジンクを見ていた。

その目が持つ意味は[お前が言うな]である。

そんな風に、見られているとは知らないジンクは溜め息を吐き、ナイトメアに質問をした

 

「そういえば、ナイトメア。アイツらは何処行った?」

『マドカならクロエとアヤイチと買い物、スコール付きで』

 

ああ、財布かスコール・・・

 

『フェイゲンとオータムは、一緒に来たヒキ兎捕まえて呑み屋に行った』

 

世界最高の頭脳を財布扱いするキチガイの鏡

 

『因みに、私もスコールからお小遣い貰った』

 

ナイトメアが取り出した封筒は厚かった。

因みに、ここの連中はマドカやクロエ、ナイトメアの幼年組に甘い。異常に甘く、兎は供物

 

「スコールめ、叔母さん根性丸出しだな」

『溺愛してる姪に会えないから、仕方ない』

 

その姪は、キチガイにお見舞いされたがな・・・

 

「それじゃあ、街にでも行くか?」

『コトブキヤの[ガンヘッド]買いたいから行く』

「んじゃ、アキバか」

『そう、アキバ』

 

ジンクも例外無く幼年組に甘い。

ナイトメアを連れ立ってアキバへ向かうジンク、目的を達成した瞬間に、ダメ兎を引き摺り昼間から酔っ払ったキチガイ筆頭に見つかり事案発生を叫ばれるまで、あと・・・




いかがでしたでしょうか?

兎はこの後、三日酔いになりました。キチガイ筆頭は平気で次の日も呑んでます。

ジンクは逃げ切りました。

次回予告

さあ、キチガイ供はヨーロッパに行くのか?!

「シンドイ」

え?

「おい、テレビ見てみろ!ドイツの奴がスゴいことになってる!」

おい?ヨーロッパは?

「知るか!」

次回
ドイツの科学力は世界一

お楽しみに


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ヨーロッパに行こう! 前編

どうも、逆脚屋です。「亡国機業は今日も平和です。」セカンドシーズン第2夜です。
今夜は、ヨーロッパ編の導入前編になります。

それでは始まります!「亡国機業は今日も平和です。」お楽しみください!
今回出てくるネタは、境界線上のホライゾンネタになります

後、この話にヒロイン要ります?要らないと思う作者です。


亡国機業日本支部のとある一室に一人の男が居た。その男の名はジンク、亡国機業実行部隊「モノクロームアバター」の副長である。

その男ジンクは自室にあるモニターに照らされながら頭を抱えていた。

 

「はあ、ホントに上は何を考えているんだ?」

 

亡国機業本部から、送られてきた指令が問題であった。

以前送られてきたヨーロッパ支部との合同任務、これに関してはジンク本人は文句は無い。

だが、内容が問題だった。ヨーロッパ圏におけるIS 強国の内の二国、フランスとドイツ、この二国の中枢に関わりかねない内容であり危険度も計り知れない。

自分とスコール、部下であるあのアホ共だけなら、いつも通りバカやりながら平然とこなすだろうから構わないが、『合同任務』これが問題なのだ。

 

「いったいどうして、ヨーロッパ連中と関わらなきゃならんのだ」

 

本日何度目か分からない溜め息をつき、机の上に置いてあった煙草に手を伸ばし火を着け、ゆっくりと紫煙を吐き出す。

 

「『クィーン』と『ネクロス』だけで良いじゃねぇか、何だって家のアホ共を引っ張り出す?」

 

アヤイチやマドカ、スコールなら構わない、だが、フェイゲンとオータムそれにナイトメアが問題だ。

亡国機業内でも派閥は存在するし、それに伴う争いも存在する。争いといっても殺し合いになるようなものにまで発展することは極稀だ。貴重な人材を無意味に減らすことになるからだ。

だが、あの四人。『クィーン』『ネクロス』『フェイゲン』『オータム』はそれをやった。

 

「あれの再現をしたい訳じゃあるまいが、狙いが分からん」

 

ナイトメア絡みの事柄で、あの四人はヨーロッパ支部に壊滅的なダメージを与え、亡国機業にも小さくないダメージがあった。それの再現は組織としては回避したいはずだ、なのに何故、『合同任務』等という自殺行為に等しい指令を送ってきたのか

 

「考えても始まらんか」

 

煙草を灰皿に押し付け揉み消し、部屋を出る。向かうはあのアホ共が居るであろう部屋だ。

確か、IS 学園で開催されるタッグマッチトーナメントの中継を観るとかなんとか言っていた筈だ。

 

「おとなしくしてると良いんだが、無理だろうなぁ」

 

だって、もうなんか聞こえるもん。

 

 

雪の上 足跡つけて 夜空の下を 我は行く

浪漫夢見て 腕を振り 十重と二十重の 敵陣に

奇声あげれば 突撃だ

どいつもこいつも 叩き伏せたら ウォッカの刑

尻に突っ込む 六十度

どーだ粘膜 カザンが見えるか 見えても 意味無し コサックダンス

 

ハラショー ハラショー ハラショー ハラショー

 

塔の先 狙いをつけて 祭りの中で 我は行く

褒美夢見て 馬を駆り 八重と九重 白刃に

馬をぶち当て 接近戦

どいつもこいつも 殴り倒して ピロシキの刑

尻に突っ込む 香辛料

どーだ直腸 見えるかタタール 見えたら

今夜は タルタルソースだ

 

ハラショー ハラショー ハラショー ハラショー

 

 

なんだこれ、いや知ってるけど『敵陣徒競走』だろ。何だったか、『ドラグーン衛門』とか言うドラマの歌だった様な気がする。

確か『あんあんあん、こんなの初めてドラグーン衛門』とかやって、一発で放送禁止になったんだったか?

つーか、中継観てるのになんでカラオケやってんだ、アイツら。

 

「おーい、お前ら仕事だ」

「うぇー、休みで良いじゃねぇかジンク」

「オータム、本部からの指令だ」

「本部から、ですか大将」

 

ジンクの言葉にアヤイチが反応する。

 

「ああ、本部からだ。内容は・・・」

「おい、そんなことよりテレビ見ろ!テレビ!」

 

先程までなんか歌ってたフェイゲンがテレビを指差すので、その場にいるジンク、アヤイチ、オータムがテレビを見る。

因みに、スコールは幼年組を連れて買い物である。

 

「あれって確か、ドイツの」

「そうそう、転入初日で少年にビンタかました奴」

「ああ、学園にいるスパイが言ってた娘ですか」

「あれは、『VT システム』か?!」

「大将、何よそれ?」

「ドイツが織斑千冬のコピーを、創ろうとして失敗した欠陥システムだ」

 

その証拠に、画面ではパイロットを飲み込み自らの内に記録された姿へとその身を変え、記憶された動作で動く『人形』があった。

 

「お~、見ろよオータム、アヤイチ。『金のかかった立派な人形』の出来上がりだ」

「アヤヤ、フェイゲンそれは間違いです。あれは『金だけがかかった哀れな人形』です」

「そーだよなー、あれだけ金かけてあの程度だもんなー。お、ガキが勝ったぞ」

「マジだ、カーコイイ。しかし、あの少年ホモなんだよな」

 

フェイゲンが爆弾をぶちこんだ。

 

「おい、マジかよ?フェイゲン」

「マジマジ!アイツ、あれだけの別嬪に囲まれて反応が無いらしいからな」

「マジですか、・・・ エロゲ贈りますか?」

「ホモエロゲか」

「それなら丁度此処に、『テーバイ真性隊VS. スパルタホモ軍団・300人切り 女なんかいない!正気になれ!』てのがあるぞ」

「なにそれ?お前が正気になれ」

「それだったら此方の、『今川さんを夜這い 朝駆け桶プレイ』が良いんじゃないですか?」

「今川義元何されてんの?」

「まあまあ大将、史実でも似たようなものでしょう?」

 

ちげぇし、全然違う!

 

「両方贈るか、少年名義で少年の部屋に」

「やめてやれよ!」

 

後日、少年こと織斑一夏に様々な嫌疑が掛けられるが知ったことではないキチガイ共でした。




次回予告

ヨーロッパに向かうキチガイ共を待ち受けるのは?!

「顔真っ白じゃねぇか、お前ら!」

顔真っ白なキチガイ

「だから、こっち見んなって言ってんだろ!」

真っ白なキチガイがジンクを見る。

そして

「良いかぁバカ共!よく聞け!ここをキャンプ地とする!」

次回
ヨーロッパに行こう!後編 お楽しみに!


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幕間

どうも、貴方の暮らしを真摯に見つめる混沌、逆脚屋です。
今回は、ちょっとしたネタ回です。いつもネタ回だって?そんなこと言わないでくださいよ~

それでは始まります!「亡国機業は今日も平和です。」お楽しみください!

今回は、真庭猟犬様よりのリクエストキャラが本編より先にちょっとだけ登場します。
真庭猟犬様、ありがとうございます!


「それでは裁判を開始する。被告人は前へ」

 

この言葉から始まるのは、『織斑一夏ホモ疑惑並びに特殊プレイ愛好家疑惑』にまつわる裁判である。

ことの始まりは数日前、タッグマッチトーナメントでの騒ぎが落ち着きを見せ始めた時期に起こった。

いつも通りの空気の学園の寮の一室で起きた痛ましい事件、原因は休日に織斑一夏の部屋を訪ねたF.Rが見つけたある小包であった。

 

 

 

「一夏、いる?っていないじゃない。なにこれ?」

 

そこにあったのは、織斑一夏名義の小包であった。

普段であれば他人の荷物を覗き見る、という行為をする様なことはない。

だが、その日の少女は冴えていた。冴えてしまっていた。なにか嫌な予感が少女の頭をよぎり、小包を開けるとその中には

 

「何よ・・・これ?どうして、一夏?嘘?え、なに?」

 

『テーバイ真性隊Vs. スパルタホモ軍団・300人切り 女なんかいない! 正気になれ!』と『今川さんを夜這い朝駆け桶プレイ』と銘打たれたエロゲが入っていた。

 

「なんなのよ!これはー!!!」

 

少女の叫びは寮だけでなく、学園中に響き渡った。その叫びは、恋する相手がホモで特殊プレイ愛好家かもしれないという、やりきれない思いが籠った叫びであったという。

 

その少女の叫びを聞き付けた友人達が集まり、少年名義のエロゲを目撃、それだけでなく少年の部屋に力なく崩れ落ちる少女まで居たのだ。

裁判に発展することは自明の理であった。

 

「被告人、なにか言い残すことはありますか?無いですね、では、刑を執行します」

「待て待て待て!俺は何も知らない!」

「見苦しいですよ、おとなしく裁きを受けなさい」

 

裁判官が手を鳴らすと、軍用犬を連れた少女と油性マジックを持った少女が現れた。

 

「やってしまいなさい!」

「すまんな、嫁よ。これもお前の為だ」

「ゴメンね、一夏。でも、一夏が悪いんだよ、一夏が私達を見ないから、ねぇ一夏、どうして私達を見てくれないの?どうして?あんなものを買ったの?ねぇ、どうして?一夏が望むなら桶プレイぐらいしてあげるのに、ねぇ、どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして? ねぇ、一夏」

 

   「ドウヤッタラボクヲミテクレルノ?」

「「「「ヒィッ!」」」」

「では、執行!」

「あんた、ブレねぇな、ホント!」

 

その日、IS 学園を騒がせた一連の騒動は少年の犠牲により幕を閉じた。

腹に『エロゲ男爵』と書かれ、パンイチで軍用犬数頭に追いかけ回されて・・・

 

「俺は無実だー!」

 

 

 

 

 

少し前の亡国機業だよ

 

「ぬぅ!」

「フェイゲンさん!」

「くっ、体が・・・」

「しっかりしてください!」

「ぐぅっ!」

「オータムの姐さんまで!」

「まさか、これ程までとは・・・」

「くそっ、やっぱり無理だったんだ!」

 

丸いグラサンをかけた男と茶髪の女が倒れ付し、その二人に赤髪の少年が呼び掛け、悲壮な顔をし項垂れる。

 

「無理だったんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この二人に禁酒なんて!」

 

 

 

 

 

「いや、それはそいつらがおかしいだけだからな『ペイル』」

 

そんな赤髪の少年『ペイル』に黒いスーツの男が突っ込む。

暫くして、酒(ウィスキー三本 瓶ビール一ケース)を補給した酒キチガイ二人が復活した。

 

「あ~」

「生き返った」

 

それぞれにポーズをとりながら、復活をアピールしてくる酒キチガイ二人にジンクが叫ぶ。

 

「だから、なんで一日禁酒したぐらいで死にかけるんだ!」

「旦那、今の惨状を見てなかったんですか、次は二人の命に関わりますよ」

「なんで禁酒で命の危機になるんだよ!」

 

このあとメチャクチャ酒呑んだ酒キチガイ二人であった。




書いててなんですが、なにこれ?

後、友人からのヒロイン催促が激しくなってきました。どうすべか?
○○と○○みたいなアイデアがあれば誰かお願いします。
フェイとタム、くっつけるかな?


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ヨーロッパに行こう! 後編

更新遅れてごめんなさい更新遅れてごめんなさい更新遅れてごめんなさい更新遅れてごめんなさい更新遅れてごめんなさい更新遅れてごめんなさい更新遅れてごめんなさい更新遅れてごめんなさい更新遅れてごめんなさい更新遅れてごめんなさい更新遅れてごめんなさい更新遅れてごめんなさい更新遅れてごめんなさい更新遅れてごめんなさい更新遅れてごめんなさい更新遅れてごめんなさい更新遅れてごめんなさい更新遅れてごめんなさい更新遅れてごめんなさい更新遅れてごめんなさい更新遅れてごめんなさい


×月▽日 ヨーロッパ

 

夜のヨーロッパ某所をひた走る黒のワゴン車、その車内は剣呑な雰囲気に包まれていた。

 

「あー、メンドクセエ。大将、帰ろうぜ」

 

黒丸レンズのグラサン男が、気だるげな声と共に自分の前の座席を蹴りつけ蹴りつけられた座席に座る大将と呼ばれた男が口を開く。

 

「喧しい!お前、さっきからそればっかじゃねぇか」

「だってよぉ大将、結局は連中の尻拭いなんだろ?やる気出ねぇよ」

「確かにな、何で私らが連中の尻拭いなんだよ、ジンク」

「オータム、フェイゲン。これも仕事だ、『割り切れ』」

 

大将、ジンクが二人を割り切れと宥めるが、やはり納得がいかない顔をしている。

だがそれは、この二人に限った事ではなかった。車内にいるメンバーほぼ全員が同じ気持ちであった。

 

「割り切れと言われても、簡単にはいきませんよ。大将」

「そうですよ、旦那」

「お前らもか、ペイル、アヤイチ」

 

運転席に座る赤髪の白人少年ペイルと後部座席に座る黒髪の日系の女アヤイチが口を揃えて不満を吐き出し、それに辟易した様にジンクが対応する。

 

「いいか、これも仕事だ。さっきもバカ二匹に言ったが『割り切れ』、いいな」

「「へーい」」

 

納得はしていない様だが、仕方ないか。この面子はヨーロッパ支部の連中に対して良い印象を抱いていない。

今までの仕事でのミスや不祥事、奴等がやらかしたことを揉み消した事を数えたらキリがない。

先代の時代は良かった。ミスや不祥事を起こしても、自分達で処理していたし、その能力があった。

だが、今のヨーロッパ支部は違う。ISが出てきてからと言うもの、 はっきり言って無能の集まりになってしまった。否、まだ『まとも』なメンバーも残っている。あの『二人』もそうだし、今回の仕事の協同相手もその『まとも』な連中だ。

それに、今回の『仕事内容』を聞けばコイツらも納得するだろう。

 

「いいから貴方達、静かにしなさい。マドカとナイトメアが起きるでしょう」

「ん?ああ、すまん」

 

車内の最後席に座るスコールがマドカとナイトメアのアジア支部幼年組を寝かし付けながら愚痴る。

 

「まったくもう、まだホテルに着かないの?」

「「「あ?」」」

 

その瞬間、運転席に居たペイルが急ブレーキをかけ、夜の道を走るワゴン車が前のめりに止まる。

その反動で車内は一時混乱するが、直ぐに収まる。その際に、マドカとナイトメアがスコールの隣から放り出されるが、アヤイチがそれをキャッチ。オータムが身を乗り出しアヤイチの隣にある機材を退け、フェイゲンが機体の拡張領域からクッションを二つ取り出し、アヤイチがそのクッションに二人をそっとシュート。

そして、睡眠用癒しの音楽をセットしたヘッドホンで睡眠を促進、この間僅か二秒足らずである。

 

「なあ、スコール」

「何かしら?ジンク」

 

ジンクが目頭を押さえながら、スコールに問い掛ける。キチガイ共は大人しくしているが、爆発寸前だ。

ここは一つ、バカ共を刺激しないように確認をしなければならない。

 

「状況を整理しよう。俺達は仕事で、ヨーロッパ支部に向かっている」

「ええ、そうね」

「だが、移動に時間がかかる為、途中で宿を取ることにした」

「その通りよ」

 

よーしよーし、この調子でいこう。この調子なら、バカ共は大人しくしている筈だ。

 

「しかし、俺達の予約したホテルはヨーロッパのバカ共の嫌がらせにより、一時的に営業停止になっていた」

「まったくもって、腹立たしいわね」

「確かにな、それだけなら良かった」

「あら、まだ何かあったかしら?」

 

はい、本題。

 

「ここからが、本題だ。お前はその後、次のホテルを捜しに街に出た」

「ええ、そうよ。それの何が問題なのかしら?」

 

問題、だらけなんだよなぁ。

 

「その時、何故かマドカとナイトメアを連れて買い物まで始めたよな」

「そうね、だからどうしたのかしら?」

「はい、バカ共ー。せーの」

 

「「「「オメーのせいだよ!」」」」

 

「はあ?何がなのよ」

「スコールゥ、お前がホテルを捜すよりも二人の買い物をしてたのが、そもそもの原因じゃねーか!」

 

そうなのだ、本来であれば今はホテルで休みながら仕事の予定を組んでいた筈なのだ。

それをヨーロッパの無能共に邪魔され、代わりのホテルを捜さなければならないのに、何を思ったのかこの女は幼年組を連れて買い物に出ていたのだ。

シーズン的にも時間的にも、急なチェックインは自分達では少々厳しいものがあり、『ミューゼル』の名の偉大さを改めて実感し、各々が好きなように酒を呑んだり装備のチェックをしたり、関係機関に根回ししたりと過ごしていた。

そんな訳で、てっきりスコールが代わりのホテルにチェックインを済ませているかと思ったら、そこに現れたのは両手には小物類や服がギッシリ入った袋を抱えたスコールとクタクタに疲れ果てたマドカとナイトメアであった。

そして、合流しての開口一番の台詞がこれである。

 

「あら、代わりのホテルは?」

 

この台詞を聞いた瞬間、アジア支部副長ジンクは次の街への移動を決意、先程まで浴びる程酒を呑んでいた癖に更に追加で酒を呑もうとするオータムとフェイゲンを車に放り込み、アヤイチにもしもの為の食料品を買わせペイルに指事を出しつつルートの誘導をして、次の街で代わりのホテルを捜すが、ここでもヨーロッパ支部による嫌がらせを受けチェックインは不可能。

その次の街も、そのまた次の街でも陰湿な嫌がらせに逢いながら街を出た。もし、実行犯の姿が小指の先でも見えたなら、こちらのバカ共をけしかけて黒幕を引きずりだしてやったものを、口惜しや。

 

「しかし、どうします旦那。こっから先、街なんて無さそうですよ」

「はぁ、しょうがない。全員、外出ろ」

 

ジンクの指示で車外へと出るアジア支部の面々、徐に煙草を吸い出すフェイゲンとオータム、夜空を撮りだすアヤイチと機材の補佐をするペイルとマドカとナイトメアを抱き抱えたスコールに向けてジンクは言い放つ。

 

「いいかぁバカ共ぉ、よぉく聞けぇ!ここをキャンプ地とぉするっ!」

「「「えーっ!」」」

「うるせぇ!いいかぁ!これからは、飯より買い物よりも宿だ!」

 

不満を漏らすキチガイ共だが、中でもスコールは特に不満そうだ。

 

「なんだスコール?不満そうだな」

「いえ別に、今回は私が悪いもの。文句なんてないわよ」

「よし、もう一回言うぞ。ここをキャンプ地とするっ!」

「「「うぇーい」」」

 

ジンクの指示で車に積んであった簡易テント張り出すメンバーだが、テントに入るには二人溢れるということが分かり已む無くジンクとフェイゲンが車に残ることになった。

そして翌朝、この判断がある悲劇を生むことになる。




次回

とうとう明らかになる仕事内容その内容とは

「貴方方には、我がヨーロッパ支部の粛清を行って頂きたいのです」

次回
国家代表『で』遊ぼう

お楽しみに!


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ホテルに行こう!

予定変更して、はい、ホテルに行きます。



ヨーロッパ某所 朝

 

数々のトラブルに見舞われヨーロッパ某所にて、キャンプをすることにした亡国機業日本支部の面々。

静かで爽やかな朝、その悲劇は起きた。

 

「おい、アヤイチ。見てみろ、アレ」

「体育座りしてますね」

「あいつ、まんじりともせず起きてたみたいだぞ」

 

マドカとアヤイチが指差す方向には自分達が乗ってきたワゴン車があり、中には盗難防止の為に二名のメンバーが残っていた。

一人はジンク、一人はフェイゲンだ。ジンクは運転席にフェイゲンは後部座席にいた。

その運転席で、ジンクは体育座りで理不尽な寒さに耐えていた。

 

「なあ、ペイル。何で鍵持っていった?」

「サーセン、旦那」

「しかも、窓ちょっと開いてるしよ。凍死するかと思ったんだぞ!」

「マジサーセン!ところで、フェイゲンさんは?」

「アイツなら、ほれ」

 

溜め息混じりにジンクが指差す先には、大量の酒瓶と共にイビキをかきながら眠るグラサンがいた。

ビール、ウィスキーウォッカ、焼酎日本酒、様々な酒が空けられているが、何故かワインだけは無い。

この酒呑みグラサン、ありとあらゆるアルコールを呑むが何故かワインだけは呑まない。呑んでも祝い事等で一瓶空けるか空けないかだ。

 

「フェイゲンさんは、ブレないッスね」

「昔からこうだよ、こいつは」

「この野郎、私に内緒でこんな良い酒呑みやがって!」

 

オータムが寝こけているグラサンから乱暴に酒を奪うと、豪快に喉を鳴らして呑み始める。

 

「朝っぱらから、よく呑めるわね・・・」

 

スコールの呆れ半分の言葉も何のその、一瓶を瞬く間に空けると次の酒へと手を伸ばしニヤリと笑う。

 

「酒は百薬の長って言うだろ?」

「理由になってないわー」

 

全くもって理由になってない言葉を口にし、三本目を空け始めるオータムを尻目に、ナイトメアがスケッチブックを取り出す。

 

『で、これからの予定は?』

「先の街にあるホテルに向かう、そこで仕事の打ち合わせだ」

「そのホテル、大丈夫なんですか大将?」

 

アヤイチが疑問をぶつける。それも仕方ない事だろう、ヨーロッパに入ってからバカ共から妨害を受けまくっている。だが、心配は無用と言うばかりにスコールとジンクが口を開く。

 

「それは、心配要らんぞ」

「『オールド』が用意したホテルよ。それに妨害出来たら、逆に奴等を褒めてあげたいわね」

「『オールド』が用意したなら安全ですね、奴等も邪魔は出来ないでしょう」

 

アヤイチが一先ずは安心と言う風に煙草に火を点け紫煙を吐き出す。

それを見たペイルが首を傾げながらジンクに問う。

 

「旦那、その『オールド』って人は信用出来るんですか?」

「ん?ああ、お前は会ったこと無いんだったか。『オールド』は俺とスコールの同期だ」

「そうね、私達と同期で私とジンクを裏方に特化させたのが『オールド』よ」

 

ヨーロッパ支部がまだ組織の体を保っているのには、『オールド』というメンバーと、ある二人による功績が大きい。

ISの普及と共に急速に浸透した女尊男卑思想による女性権利団体の横行、それは何も表社会だけのことではなく裏社会でも起こっていた。

ヨーロッパ支部の先代はこれを危惧し、策を講じていたが、それは女尊男卑社会になる前で通用する策であり、現在の社会では組織の腐敗を寸でのところで食い止めるのが精一杯であった。だが、先代の側近でもあった『オールド』とその側近と二人のメンバーにより完全な腐敗は免れている。

 

「『オールド』かー、懐かしいなぁ、おい」

「オータム、お前とフェイゲンは世話になってるんだ」

「わーってるよ、大人しくしとくって」

「分かってるなら良い、ペイルそろそろ行くぞ」

「うーす」

 

昨日と同じ席順で車に乗り込み、一路合流先のホテルを目指す日本支部の面々。

車が動き出して暫くすると、酒呑みグラサンが起き出した。

 

「んあっ!ぐむ?朝か」

「いや、朝かじゃなくて、起き抜けに酒呑むの辞めましょうよ」

「アヤイチ、知ってるか?酒は百薬の長だぞ」

「理由になってないですわー」

 

酒呑み蜘蛛と同じ事を言い出す酒呑みグラサン、ウィスキーの瓶それを片手に呑み始めると、あることに気付く。

 

「あ!おい、オータム!それ、俺の酒!」

「あぁ?良いじゃねぇか、一人でこんな良い酒呑むんじゃねぇよ」

「その酒、それで最後なんだよ!また『クィーン』の奴に頼まねぇといけねぇじゃねぇか!」

「『ネクロス』は、どうなんだよ?」

「アイツは、ワイン派だ」

「お、おう・・・」

 

グラサンの悲痛な声を聞き、黙る蜘蛛。だが、何故かは分からないが、突如として運転席と助手席を見ると、何かを話始めた。

 

「おい、オータム。アレ、あったろ?」

「あるぜ」

「やるか?」

「やるさ」

 

座席の影に隠れてゴソゴソ蠢き出すキチガイ共、暫しの後にジンクとペイルが見るバックミラーに二人が写った。

 

「ブッフォ!何してんスか、二人共!」

「お前ら、顔真っ白じゃねぇか!」

 

そこには、顔面どころか首まで真っ白に染まったバカが二匹写っていた。

それも、真ん中ではなく端からそっと覗き込むように映りこんでいた。

 

「見てみろよ、これ。何か知らねぇけど70って書いてあるぜ。この日焼け止め」

「何が70なんだ?」

「知らね」

「知らね、じゃねぇよ!こっち見んなよ!」

「見えてるかい?」

「見えてんですよ!オータムの姐さん、もうちょい端に寄ってください!」

「こうか?」

「そうそう、そうだ、って、次はお前かフェイゲン!」

 

オータムが見えなくなったら、フェイゲンが見えた。そして、後ろでアヤイチもゴソゴソし始めた。

 

「アヤさんまで、真っ白になってるー!」

「テメーら、いい加減にしろ!」

「アヤヤヤヤヤ!」

「おーい、ペイル。前見てみろ、対向車線に出てるぞぅ」

「ウオワアアアアッ!」

 

急ぎハンドルを切り対向車線から脱出するワゴン車、その最後部では

 

『ねぇ、スコール』

「ダメよ」

『まだ何も言ってない』

「ダメったらダメよ、マドカも大人しく座ってなさい」

「この揺れで、大人しく座れるか。スコール、ナイトメア、尻尾切った」

『ナイス、マドカ』

「ナイスよ、マドカ」

 

モンハンしてました。




ホテルに行けなかったよ・・・

次回
「久し振りねぇ、皆」
「おーぅ、クィーンにネクロス」

とうとう合流してしまう、キチガイ

「まったくもう!ほら、ちゃんとネクタイ直す!」
「やめろ!カーチャンみたいな動きで近づくんじゃねぇ!」

キチガイに弱点発覚


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会議!会議だよ!会議!・・・・・・・・・・・・・・・多分・・・・・・

初めまして、ナイトメアです。久々の『亡国機業は今日も平和です。』始まります。
と言うか、今回私の出番、ここだけ?


「よお、久しいな。ジンク、スコール」

 

『ホテルカリオン』の最上階の窓の無い一室、ジンクとスコールを出迎えたのは、ヨーロッパ支部最高幹部『オールド』であった。

縁の黒い眼鏡をかけ髪を緩く七三に分けた優男、着ているスーツも相まって、一見ごく普通のサラリーマンに見えるが、この男はそんな生易しいものではない。

権謀術数が渦巻き暴力が幅を利かせる裏社会で、優しげな薄い笑顔で辣腕を振るい、冷酷にヨーロッパ支部を支えてきた男だ。

 

「ほんとにな、オールド」

「あら?『メフィスト』は居ないのかしら」

「『メフィスト』なら、『クィーン』と『ネクロス』の迎えに出した」

「そうか。で、なんで『俺達』を呼んだ?」

「そうね、貴方なら私達抜きで事を運べた筈よ」

「まあまあ、込み入った話は座ってからにしよう」

 

そう言って、さっさとテーブルにつくオールドと遅れてそれに続くジンクとスコールの二人。

心無しか、疲れ気味である。

 

「積もる話は役者が揃ってから、それまでは世間話といこうじゃあないか」

「役者、ねえ」

「ああ、役者だ。家からは『メフィスト』『クィーン』『ネクロス』の三人だ」

「家からは全員かしら」

「豪華出演陣だな」

「相手からすれば、達の悪い悪夢だろうに」

「悪夢か、違いない」

 

達の悪い悪夢、常識を丸めて溝に捨てた後、溝ごと焼却処分した様な連中が見せる悪夢など録なものではない。

これからどの様な演目が提示されるかは不明だが、相手にすれば悲劇、こちらにすれば喜劇だろう。

 

「そう言えば、ナイトメアはどうしてる?」

「ナイトメア?家のバカ共と騒いでいるぞ」

「大丈夫なのか?いじめられたりしてないか?」

 

始まった。ジンクとスコールはそう感じた。オールドは確かに有能な男だ。しかし、ある特徴があった。

 

「大丈夫だ、家のバカ共は子供に甘いからな」

「なんだかんだ言って、よく面倒見てるわよ」

「本当か!本当なんだな!」

 

何と言うか、親バカなのだ。『クィーン』『ネクロス』の迎えに出ている『メフィスト』とナイトメアの二人を自分達の娘と言って憚らない。

ナイトメアがアジア支部に移籍する際にも、オールドはナイトメアから離れなくないあまりに、あの手この手で妨害してきたが、空飛ぶ酒呑みキチガイグラサンとか酒呑みキチガイ蜘蛛とか超高速シャッターチャンス小夜啼鳥などのキチガイ連携がキチガイした無駄の無い無駄に洗練された無駄な無駄な行動により、全て無駄に終わった。

因みに、キチガイ共はナイトメアの移籍に関しては何も知らず、オールドとジンクとスコール達が何か面白そうな事をやっていたから自分達も交ぜろと、勝手に介入してきただけだったりする。

 

「酒とか呑まされたりしてないよな?!」

「そこら辺は、流石のバカも厳しめだからな」

「小遣いとかはちゃんとしてるな?!」

「それは私が管理してるから、大丈夫よ」

「友達は出来たのか?!」

「最近は、秋葉原で友達が出来たって言ってたな」

「秋葉原?!大丈夫なのか?いじめられたりしてないか?!」

「うるせぇよ!ループすんな!」

 

親バカのあまりにループし始めるオールドとその顔面に右ストレートを打ち込むジンクだが、テーブル越しなのでいまいち威力が出なかったようだ。

復活した親バカがまた騒ぎ出そうとした、次の瞬間である。

 

「た!たたたた、大将!助けて下さい!」

「あ?どうした、アヤ」

 

超高速シャッターチャンス小夜啼鳥ことアヤイチが、息も絶え絶えに飛び込んできた。

その慌てようは尋常ではなく、普段の飄々とした態度は何処へやら、手足をバタつかせながら喚いていた。

 

「ま、まままままま!!」

「落ち着け、いったいどうした?」

「まー!」

「何があったの?敵襲?」

「ま、まままままままままままま!『マザー』が!」

「「『マザー』?」」

 

『マザー』裏社会でも老舗の亡国機業の中で最も古株の女傑であり、ヨーロッパ支部の先代支部長の妻でもある。

その名の通り、世話好きで慈母の如き慈愛を持つ。持つのだが、その内面はゴリッゴリの武闘派だったりする。

ジンクやスコール、オールド達が亡国機業に在籍する遥か以前から機業に所属しており、機業の勢力圏が確立していない地域で圧倒的武力を持って勢力を確立させたり、逃げた機業への反逆者を冬のシベリアの森からアマゾンの秘境のその更に奥地に至るまで、徹底的に追い回し1人残らず始末したりしている伝説の女傑である。

因みに、実年齢は不明だが十代前半の時から見た目がまるで変わっておらず、ロリオカン、ロリババアの異名で呼ばれたりしている。

 

「ああ、そう言えば『マザー』も来てたな」

「それで早速、家のバカ共が見つかったという訳か」

「大将、助けて下さい!このままでは私も!」

「見つけたわよ!アヤイチ!」

「ヒィッ!」

 

その言葉と共に現れたのは、外ハネの癖毛をショートボブに纏めた身長150㎝に届くかどうかという少女であった。

外見だけを見れば、近所の子供が迷い混んだ様に見えるがこの少女こそ、何を隠そうキチガイ共が最も苦手とする相手『マザー』である。

 

「ほら、オールド達のお仕事の邪魔をしないの!大人しく、部屋でお利口にしてなさい」

「ヤヤヤ!堪忍してくださいよ、マザー」

「ダメよ!三人はお仕事してるんだから、貴女達は私と一緒に居なさい!」

「助けて下さい!大将!スコール!オールド!」

「こらっ!お仕事の邪魔しちゃダメって言ってるでしょ。まったく、貴女達は子供の時から変わらないんだから」

 

序でに言えば、キチガイを始めとした主力組はほぼ全員が、幼少期にマザーに拾われ生き抜く術を叩き込まれている。

なので、現在の主力組は誰もマザーには敵わない。

 

「ほらもう、ネクタイが曲がってるじゃない!」

「ヤヤヤ!やめて!カーチャンみたいな動きで近付かないで下さい!」

「何言ってんの、私が貴女達の母親よ!ほら、シャツもちゃんとズボンに入れなさい」

 

無駄な抵抗を続けるアヤイチを見ながら、ジンクとスコールは割りと真剣にマザーがアジア支部に移籍してくれないかなと考えていたが、マザーは既に第一線からは身を引いている為、無理だよなぁという結論に至っていた。

 

「そう言えば、他の連中は?」

「さっき部屋に行った部下によれば、マザーに鎮圧されたらしいな」

「マザー、家に来てくれないかしら?」

「オールド、まだ会議が始まる迄時間があるの?」

「え、ええ、まだメンバーが揃ってないので時間はありますが、いったい何を?」

 

オールドが怪訝そうに聞き、マザーはさも当然とばかりに言い放った。

 

「もうすぐ、ご飯の時間でしょ。準備するから、待ってなさい」

「あ、いえ、マザーがその様な事をしなくても」

「いいのよ?もっと、私に頼りなさい!ほら、アヤイチ。フェイゲン達を起こして手伝いなさい」

「ヤヤヤ、イエスマム」

 

完全に久々に実家に帰って親にこき使われる子供であった。

後に、三人はそう語ったとか語らなかったとか。




毎度役に立たない次回予告

マザーの襲撃に全滅したキチガイ組!だが、奴等は死なない。必ず復活する!

多分・・・・・・


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会議!会議だよ!会議!・・・・・・・・・・・・・・・今度こそ?・・・・・・

はい!逆脚屋です!

話が進まない!どうしたら良いんだ!
今回、真庭猟犬様より戴きましたリクキャラ『クィーン』『ネクロス』『メフィスト』の三人が登場します。
真庭猟犬様、誠にありがとうございます!





というか、マザーのキャラが濃すぎる・・・
あの野郎、厄介なキャラを持ってきやがって!


Δ月Θ日 ホテルカリオン

 

豪奢なホテルの一室に、三人の男女が現れた。1人は紅髪と同じ紅色のパーカーの美女、1人は長身のスーツの男、1人は群青色の髪の魔女。とても濃い面子である。

 

「それで?メフィ、あいつらは何処に居るのかしら?」

「さあ?ボクはここに居るとしか聞いてない」

「あらら?どうしましょうか」

 

誰も居ない部屋を前に途方に暮れる三人、その内の1人紅色の美女クィーンのパーカーの裾を引っ張る小さな影があった。

 

「あらぁ?ナイトメアじゃない。久しぶりねぇ」

『久しぶり、クィーン、ネクロス』

「おやおや、久しぶりですね。ナイトメア」

「ナイトメア、オールド達は?」

『パパ達は隣の部屋、フェイゲン達はお母さんに捕まって、厨房に連れて行かれた』

 

猫耳パーカーの少女ナイトメアがスケッチブックを取り出し、素早く文字を書き返事をしていく。

このナイトメア、クィーン達に出会う以前に実の母親から虐待を受け、言葉を発する事が出来なくなってしまっていた。

この母親も亡国機業所属のエージェントだったのだが、当時ヨーロッパ支部に所属していたフェイゲンとオータム、クィーンとネクロスが関わった事件により、裏切者であると判明し上記の四人により、チームごと殺害されている。

その際に、クィーン達に救出されオールドに保護されたのがナイトメアである。

その関係で彼女はオールドをパパ、マザーをお母さんと呼んでいる。

 

「マザーに、ですか」

「それは、御愁傷様ねぇ」

「ボクはお腹が空いた」

『お母さんが準備してるから待ってて』

 

群青の魔女メフィストが空腹を訴え、ナイトメアがそれを待つ様に伝える。

このメフィスト、小柄な見た目に依らずかなりの健啖家である。マザーがキチガイ組を手伝いとして連行したのは、1人では調理が間に合わない可能性があるからだ。

後は、自分の育てた子供達の近況を聞くという目的もあるが。

 

『それじゃ、こっちの部屋でパパ達と話ながら待ってて』

「そう言えば、ペイルは?」

『ペイルも手伝い、フェイゲンとオータムにズボンを掴まれて半ケツでお母さんに三人仲良く引き摺られて行った』

「「「Oh・・・」」」

 

マザーに無駄と知りつつ抵抗したキチガイ1号2号だが、自分達に技術を叩き込み育て上げたマザーに敵う訳がなく、意図も簡単に捕縛された。

その際に、せめてもの道連れとしてペイルのズボンを掴み、半ケツの犠牲者を産み出した。

 

「変わらないわねぇ、あいつらも」

「逆に変わったら、怖いですけど」

『禁酒するとか言い出したら、どうする?』

「それは無い」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホテルカリオン 厨房

 

「ほい、エビチリ上がり」

「アイスヴァイン出来ましたよー」

「シーザーサラダ上がりましたー」

 

普段であれば、ホテルお抱えシェフが忙しなく働く厨房だが、今は機業の小さな母親とその子供達が忙しなく働いていた。

 

「ほらほら、ペース上げなさい。今日はメフィスト達も居るんだからね」

「「「「うえーい」」」」

 

マザーの指示に大人しく従うキチガイ組だが、1号2号3号の頭にたんこぶがある事から、幾らか反抗した模様。

そして、その反抗は無駄に終わり現在に至る模様。

 

「鮃のカルパッチョ出来上がりー」

「ボロネーゼとアラビアータ上がりー」

「誰か、ポトフ鍋持ってけー」

 

悪戯を仕込む間もなく、ただひたすらにマザーの指示の元、料理を作り続けるキチガイ組であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホテルカリオン 会議室(宴会場)

 

ヨーロッパ、アジア支部協同任務の打ち合わせ、その為の会議である筈が、マザーのせいなのかなんなのかただの家族会議の様な何かになってしまっていた。

 

「ペイル、その青椒肉絲取って」

「はいッス、マドカ、メフィさんに回して」

「ん、オータム。青椒肉絲だ」

「ありがと。何で肉入ってないの?」

「アヤさん曰く、肉無し青椒肉絲だそうです」

「それは青椒肉絲と呼べるの?」

「アヤ、ポトフを頂戴」

「アヤヤヤ、はいどうぞ」

 

否、これは食事会だ。

皆が思い思いの料理を食べ、好き勝手な話をする。会議は何処に行った?ベガスか?アカプルコか?はたまた、ベトナム縦断か?

そんな食事会で1人否二人、食事というよりは飲酒をしている者が居る事をマザーは見逃さなかった。

 

「コラ!フェイゲン、オータム、お酒ばっかり呑んでちゃダメでしょ!」

「うっせぇよ!クソババァ!部屋来るなり、ライフル乱射かましてくる奴が常識説いてんじゃねぇ!」

 

実はマザー、自分の手を離れた子供達の成長が見たいからとオールドが用意したキチガイ隔離部屋に入るなりライフルを乱射している。

キチガイ共もそれに即座に応戦したが、アヤイチの投げナイフは当たらないわ、ペイルの即席爆弾を瞬時に無力化するわ、至近距離でオータムのマシンガンとフェイゲンのショットガンの弾幕を避けて銃身をナイフが斬り落とすわで、あっという間にキチガイ組は鎮圧されている。

アヤイチは、投げナイフが当たらなかった時点で部屋から脱出したが、結局捕まった。

 

「散弾を至近距離で避けるとか、人間辞めてんのか!クソババァ!」

「そうだそうだ!マシンガンも避けるとか人間辞めてるぞ!」

 

喚くキチガイ1号2号だが、肝心のマザーは何処吹く風と態度を変えない。それどころか、キチガイの身のこなしに対する説教が始まった。

 

「長年、鉄火場に居れば当たり前の事よ。それよりも!貴方達の動きは何なの?ペイルは我流だからこれからとしても、貴方達は・・・」

『お母さん、カルボナーラあるよ』

 

マザーの説教は長い、それはもう長い。始まると終わりが見えない程に長い。

そんな長い説教を始められては堪らないと、ナイトメアがマザーの好物を差し出す。

しかし、このカルボナーラがある騒動を引き起こす事になる。

 

「あら、ありがとうね。ナイトメア」

『どういたしまして』

 

ナイトメアからカルボナーラが盛り付けられた小皿を受け取るマザー。お互いの背丈や容姿も相まって姉妹にしか見えないが実際のところ、親と子供、下手をしたら曾孫と曾祖母並の年齢差があったりする。

 

「カルボナーラ、『ジョージ』も好きだったわね・・・」

「あ・・・」

「これ・・・」

『やっちゃった?』

 

では、マザーについてもう1つ。前回もちらっと書いたが、マザーは既婚者である。そして、未亡人でもある。

マザーの亡き夫『ジョージ』とは、ヨーロッパ支部の先代支部長の事だ。

マザーが第一線を退いてから結婚した見た目事案発生を叫びそうになる夫婦であったが、とても仲睦まじくその様子を見た女尊男卑主義者が度々発狂していた。

しかし、三年前にその先代支部長が癌により無念の病死遂げた。

それからと言うものの、事あるごとに

 

「どうして死んでしまったの!ジョージィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!」

 

泣きながらジョージの名前を叫び出す様になった。

テーブルに突っ伏し、オイオイと泣き叫ぶ見た目幼女の超熟女、それに対し周りがとる対策は・・・

 

「メフィストォ!」

「おk」

 

メフィストがジンクの叫びと共に、目と口の形の穴がある特徴的な魔女帽子の口に手を突っ込み、ハンドパペット『ジョージ君二世』を取り出し、先代の声真似をしつつマザーをあやす。

 

「泣かないでマザー、ボクはここに居るよ~」

「そこに居るのねジョージィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」

 

ヨーロッパ支部恒例の行事である。

 

「ここにも居るよ~」

「ここにも居るよ~」

「ジョージが増えたわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

ハンドパペット『ジョージ君三世』と『ジョージ君四世』でマザーあやしに参加するクィーンとネクロス。

取り敢えず、早く復活させないと面倒なので、『たっぷりジョージ君作戦』を発動した模様。

それを見ながら、ジンクとスコールはオールドに切り出す。何故、自分達アジア支部をヨーロッパに呼びつけたのかを。

 

「で、なんで俺達を呼びつけた?」

「そうね、クィーンにネクロスとメフィストまで居て、引退しているとは言えマザーも居る。私達は必要無いでしょう?」

「それはなぁ・・・」

 

頭を掻きながら、面倒臭そうにオールドが語った。

 

「知ってるだろうがドイツとフランスがやってくれたろう?それで、亡国機業はその二国から一時的に撤退する事にした」

「それはまあ」

「仕方ないと言えば仕方ないわね」

「そこで厄介事がある、その二国の国家代表が機業の息が掛かった者で、女尊男卑団体の関連なんだわ」

 

だから、そいつら皆殺しにしてくれ。キチガイ達による最上級の面倒事が始まった。




次回?

「なんの思想も持たない男が!いい気になるな!」
「ハッ!思想だぁ?テロリスト風情が偉そうに、俺達は所詮はテロリストだ。殺すしかないのさ」

珍しく真面目?なグラサン

「良い的だぞ?貴様」

そして、やっと出てきたジンクの機体!























「おい、パイ喰わねぇかぁ!」

やっぱり、真面目は無理だよ。


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まったく、ミステリアスな米だ

はい、どうも。逆脚屋です。

え~、最近ですね。感想返信が出来たり出来なかったりしてますが、それには理由がありましてですね。

新しくきた上司が最悪で、何というか、使えない。
奴が通れば二度手間の嵐で、もう1人の上司と尻拭いの毎日で御座いまして、ストレスと体がヤヴァイ。
ふひ!

感想は全て読ませていただいております。皆様の感想が逆脚屋を動かす原動力でございます。

あ、後ですね、今回はとあるクトゥルフTRPG動画ネタがあります。まあ、タイトルで気付かれてると思いますけど

活動報告にちょっとした小ネタを書いたりしてます。


「国家代表を殺せ?」

「ああ、殺してくれ」

 

オールドからの依頼、それにジンクとスコールは難色を示した。

 

「ねえ、オールド。私達も結構長い付き合いよね?」

「ああ、そうだな」

「だったら、分かるよな?俺達が何を言うか」

「ああ、分かるさ」

「馬鹿になったか?オールド。女権団体だけならまだしも、国家代表だと?」

「厄介極まりないわね、第一に私達はそちらの女権団体の処理の為に遙々ヨーロッパにまで来たのよ?」

 

元々、アジア支部の面々は機業に有害になった女権団体の処理の為にヨーロッパ支部を訪れた。

飼い主の手を噛む飼い犬は要らない、利益よりも不利益が大きくなってきた団体を一つ秘密裏に処理する。

その為だった筈が、最大級のオマケが引っ付いてきた。

 

ジンクとスコールも、オールドからの依頼とあって何ならかの追加依頼があると踏んでいたが、これは予想外だった。

 

「知っているさ、俺が依頼したんだからな」

「だから、馬鹿になったかと聞いた。女権団体なら、幾らでも隠蔽は出来る。だがな、国家代表ともなれば話は別だ」

「一国の代表、それを殺すとなれば、それ相応の準備が必要よ。いきなりそんな事を言われても不可能よ」

 

二人の否定的な態度にオールドは、何処吹く風と余裕の態度を崩さない。

IS国家代表、自国の大統領を知らなくてもIS国家代表を知らない者は今の世の中に居ないと言われる程には有名な立場だ。

 

立場や名声、それにによる莫大な利益。国家にとって、IS国家代表とは金の卵を産む鶏を何羽も出荷する牧場であり金のなる木でもあるのだ。

それを殺すとなれば、生半可なものではない。

一介のスポーツ選手でありながら、国家の軍事力を象徴するシンボルなのだ。

 

「まぁまぁ、俺の話を聞いてくれや」

「何をかしら?」

「これ以上馬鹿話をするなら、俺達は帰るぞ」

「話は簡単だ、実にシンプルな話なんだよ。ドイツとフランスの国家代表とその取り巻きを殺してくれ」

「まんまじゃねぇか!」

「はぁ、オールド。あまりふざけるのも大概にして欲しいわね」

 

声を荒げテーブルを殴るジンクと形の良い目を細めながらオールドを睨み付けるスコール。

それに対し、オールドは変わらぬ様子で話を続ける。

 

「実はな、俺も身内の恥は身内で片を付けたかったが、そうもいかなくなってな」

「ああ?」

「あ~、もう良いか。恥ずかしい話、小金目当てで家の情報を売ってくれた奴が居てな、そいつと『腹を割って話』をした訳なんだが、そこで話が拗れたんだよ」

「どういう事かしら?」

「俺が依頼した女権団体の他に、その国家代表が絡んでる女権団体にも情報を売ってくれてた訳なんだわ」

「成る程、それでその二国から撤退する前に口封じをしたいと?」

「流石、話が早い。それでな、フランスはそっちの馬鹿に、ドイツはジンク、お前に任せたい」

「待て待て!まだ受けるとは・・・はぁ、もう良い。分かった、受けるよ」

「そりゃ助かる」

「私達二人は、ね」

「え?あ゙!」

 

オールドはスコールの言葉に一瞬だけ疑問を抱いたが、すぐに理解した。

アジア支部、現在の亡国機業において最大級の利益を算出している支部。

そのアジア支部の戦闘屋達、そいつらに興味を持たせないと話は進まないのだ。

 

「なあ?お前ら」

 

この依頼を受けるかと、オールドが声をかけようと奴等を見た。

 

「アヤイチ、それは光っているのか?」

「ええフェイゲン、それはもうギンギラギンです。そして、然り気無い」

 

あ?

 

「それは、いったいどういうウェストをしているのかしら?ネクロス」

「それを今、考えているのですよ。クィーン」

 

突如として始まった謎の問答、それにオールドは困惑を隠せない。

クィーンとネクロスがやらかしてくれた数々のアレコレで慣れていた筈だが、そんな事は無かった。

 

「洗わない奴も居るらしいぞ?」

「それは、汚くないのかしら?」

「入れすぎてビシャビシャになったやつよりは良い」

 

アジア、ヨーロッパの戦闘屋達は有るのか無いのか分からない頭を捻りながら問答を続ける。

 

「ボクは少し冷めた感じの方が好き」

「え?何?何の話してんの?お前ら」

「それで結局、ライスのウェストとはなんだ?」

「まったく、ミステリアスな米だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「コシヒカリ」」」」」

「いったい何の話ぃ!」

 

何か真面目に問答をしているかと思ったら、米の話をしていただけのようだ。

 

「どうした、オールド。何かあったか?」

「お前らが、その何かだ!いったい何だ、何の話してるかと思ったら米!米の話か!」

「それ以外の何かがあったかしら?」

「あったよねぇ!つか、クィーンは知ってるよねぇ!」

 

 

オールド説明中・・・

しばらくお待ちください・・・

 

 

 

「という訳だ」

「「「「ふ~ん」」」」

 

割りと興味無さげな反応、これからの亡国機業の経営にも関わってくる内容の筈なのに、このあっさりとした反応。

 

「で、受けるか?」

「ん~、大将が受けるなら良いんでないの」

「興味がないのか?」

 

ジンクがフェイゲンに問うと、どうでも良さげな答えが返ってくる。

 

「なあ、大将。俺達はたかがテロリスト風情だ、テロリストがやることなんて殺しだけだ」

「まあ、そうだな」

「なら、やるさ。身内だろうが、な」

「ただな、ジンク。マドカとペイルとナイトメアの三人は留守番な」

「あの三人には殺しは、ね」

「子供を戦いの場に出す国や組織は長続きしないわよ」

「分かってる、つかよ、そんな事してみろ。マザーに殺される」

「あいつらは、何時か日の当たる場所に戻さないとな」

 

ジンク、スコール、アヤイチ、フェイゲン、オータム、クィーン、ネクロス、メフィストの順に席を立ち各々で準備を進める。

 

「それじゃ、目標の説明するぞ。目標はフランスとドイツの国家代表、この二人にはジンクとフェイゲンに当たってもらう」

「あぁ?私らはどうすんだよ」

「オータム達には、女権団体の処理を。今回はお前ら二人向きの戦場じゃないからな」

「広いのですか?」

「ああ、フランスは高高度における高機動戦闘、ドイツは重装甲重火力に特化した機体だ。先ず、狭い場所には・・・」

「それさ、IS起動させる前にジンクが狙撃すれば終わるんじゃ?」

 

メフィストの言葉に、全員が固まった。

 

「大将、最長記録」

「最新のライフル使って二㎞、IS使えば十㎞だ」

「それ、寧ろ砲撃じゃね?」

「ジンク、貴方人間辞めてるわね」

「クィーン、お前に言われたくない」

 

兎に角だ、オールドが続ける。

 

「幾らなんでも、向こうも狙撃は警戒している筈だ・・・」

「オールド、自信無くさないでくださいよ」

「・・・国家代表はジンクとフェイゲン、他は全員がやる。で良いか?」

「「「異議無~し」」」

「場所はフランス郊外にある機業名義のホテル、そこに二日後奴等が集まる」

「そこを強襲する訳ですか」

「そうだ、スピード勝負になる。各員に期待する」

「お前ら」

「なんです?大将」

 

オールドの後にジンクが告げる。自分達のやり方を

 

「俺達がやるのは戦闘じゃない、只の一方的な虐殺だ」

 

それを忘れるな。

 

「はっ、大将。所詮は殺しだ、刺激的にやろうぜ。だろう?」

「ああ、精々刺激的にやれや」

「よぅし、そんじゃ特製パイをお見舞いするぞう!」

 

鉛のな。

 

キチガイ共が動き出す。ケタケタ笑いながら、バカやりに。




その頃の幼年組とマザー

「あ゙ー!マドカ、そこで赤甲羅は卑怯だろ!」
「油断する方が悪い」
『お母さん見て、ガンヘッド』
「まあ!凄いじゃない。ナイトメアが作ったの?」
『うん』

亡国機業は今日も平和です。


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常人と狂人の差を答えなさい 配点(切れ味?)

わぁい、首が痛いぞぅ!


郊外のホテルには、大人数の女達が居た。

 

「いい様よね」

「男がいい気になるから、こうなるのよ」

 

どうやら、自分達が貶めた男達の話で盛り上がっているようだ。

それを聞く一人の女が、誰にも気付かれぬように溜め息を吐き出した。

その女は、女尊男卑主義者であったが、どうにも今の風潮は好きにはなれなかった。女であれば誰でも偉い、男は誰であれ自分達より下、という分別の無い無差別な差別思想。

それが、女は嫌いだった。だが、それと同時に自分も同じ穴の狢だと言う自覚もある。

女は元々、女性権利向上団体に属していた。女の権利を向上し、男と同等若しくはそれ以上の立場になる。それが目的の団体だった。決して、無闇矢鱈に男を卑下し自分達が勝ち誇る団体ではなかった。

その筈だった。

なのに

 

先程から、考えが堂々巡りしている事に気付き、女は一度考えを止めた。

御高説を掲げ、大層な理念を語ったところで、結局は自分も同じ女尊男卑主義者に過ぎないのだ。

差別主義団体に係わらず、自分達思想団体というのは、その思想を誤るべきではない酔うべきではない。一度そうなってしまえば、今の自分達の様な愚か者の集団に成り下がる。

 

「これで、私達も」

「ええ、幹部よ」

 

馬鹿馬鹿しい、内心で吐き捨てた。結局、自分達の思想のの為ではなく、自分達の名誉欲で何人の優秀な男が犠牲になったのだ。

本当に馬鹿馬鹿しい。嘗ての思想は何処に消えたのか、否、最初から思想なんて無かったのかもしれない。

一度でも思想に酔ってしまえば、掲げた思想も只の下らない言葉遊びになってしまう。

ああ、なんて下らない。

こいつらを見下しても、結局は自分も同じだ。

抵抗する事もせずに、否、流されるままにこうなっているから、もっと酷い。

もう、どうにもなら無い処まで来てしまった。どうにもなら無いなら、せめて、この思想に殉じよう。

愚か者は愚か者らしく、愚か者として死のう。

 

 

女は、そう決めた。そう決め、女の頭が赤く咲いた。

 

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

 

「え~、それでは~、只今より『チキチキ女尊男卑団体潰しちゃお~大会&国家代表で遊ぼう!』を始めたい!」

「始めるじゃなくて、始めたいのか・・・」

 

丸グラサンの酒瓶片手開会宣言に黒スーツ埓外スナイパーが突っ込んだ。

だが、その突っ込みはまるで効果が無いようだ。

酒瓶の中身、琥珀色の液体を喉に流し込んで丸グラサンが続ける。

 

「あ~、あれだ。もう、大将がぶっぱなして真っ赤なお花が咲いたからな。そう言う事だ」

「あ~、咲いたなあ」

「咲いたわねえ」

「咲きましたねえ」

 

フェイゲン、オータム、スコール、アヤイチがジト目でジンクを見る。

それに、ジンクは何なんだろうなぁと思う。

言ってしまえば、先の狙撃もこいつらが「早く帰りたい」と言ったから撃っただけで、個人的には撃たなくても良かった一発だ。

それなのに、こいつらときたら、「え、マジで撃ちやがったこいつ・・・!」みたいな感じで見ている。

 

「いや、お前ら」

「いや、大将。俺らが言いたいのは、そうじゃない」

「あぁ?」

「マジで撃ちやがった、じゃなくて『マジで当てやがったこいつ・・・!』だ」

 

そっちかー、撃った事じゃなくて当てた事かー。

だって、丁度良く窓際で丁度良く良い角度で丁度良く無風だったから、そんなん素人でも当てるわー。

 

「こいつマジで当てやがった、3㎞」

「当てましたね、3㎞」

「頭おかしいわね、3㎞」

 

こいつら・・・!

 

「それでどうする?」

「何がだ?メフィスト」

「3㎞先の相手に、どうやって接近するの?」

「「「あ」」」

 

考えて無かったのか、こいつら。

 

「おい、どうすんだ。3㎞!」

「何とか言えよ、3㎞!」

「3㎞3㎞うるせぇ!潜伏してるネクロスとクィーンに連絡入れろ!中から攪乱して鴨打ちにするぞ!」

 

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

 

「ええ、了解です」

「ネクロス、どうしたのかしら?」

「急遽予定変更だそうで、内部から攪乱しろと」

「あらあら、仕方ないわねぇ」

 

全く仕方のない連中だと、思いつつも隠れている部屋で準備を進める。

 

「なんでも、当てやがった:大将:3㎞、との事らしいのですが」

「何をやってるのかしら?」

「さあ?」

 

やはりキチガイはやることが違うと、二人は考え部屋の外を伺う。

 

「どうかしら?」

「一人居ますが、向こう向いてますから、アヤイチに教わったアレを試してみましょう」

「あら、アヤから?」

「ええ、見ていてください」

 

言って、ネクロスは音も無く部屋から出ていった。

 

 

 

〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃

 

 

 

「あ~、メンドクセェなぁ」

 

男の警備員が、欠伸と共に悪態を吐き出す。

上では、綺麗ところが豪勢なパーティーをやっている頃だというのに、自分を始め男は地下か出入口の警備だ。

馬鹿馬鹿しくて、欠伸の一つや二つ出てくるというものだろう。

 

ふと、気配を感じた。

欠伸を吐き出し、胸の息を入れ換えた後に背後で何かが動く気配がしたのだ。

ここは地下だ。侵入路は二つ、エレベーターか階段だ。だが、その二つ共自分の視界内に納めている。

だから、そこからではない。

ならば、自分がここに来る前から居た奴が居ると言う事になる。

そうでないなら、ゴーストの類いだ。男はその手のモノを信じていない。ちょっと「お?」みたいな体験はあったが、信じていない。

なら、これは・・・

思案に入った男に衝撃が入った。

 

「隙たい!」

 

正確には、男の脚の間、体外に露出した内臓にダメージが入った。それはもう、綺麗に入った。再起不能である。

男は薄れていく意識の中で、声を聞いた。

 

「ネクロス、今のは何かしらぁ?」

「アヤイチに教わった日本の鍛練方法ですよ」

「日本人はクレイジーねぇ」

「ええ、まったく」

 

そして、それはお前らもだ、と思い、意識を失った。

 

「それでは?」

「上に行きましょうか」

 

 

キチガイパーティー開幕です!




隙たい(スキタイ)

日本の九州は薩摩隼人達の日常訓練
後ろから見て、隙のある輩には隙たい!と叫んでコーカン度上昇の蹴りを下からぶち込むというもの。
だが、再起不能の若者が増えすぎたので、島津家により禁止された。
代わりとして、示現流が広まっていった

出典
境界線上のホライゾンⅣ下



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