やはり俺の日常はまちがっている。 (黒甜郷裡)
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番外編 きっと比企谷小町はいつまでたっても寂しがり屋である

 

起きるとお兄ちゃんに包まれていると錯覚するほどにお兄ちゃんの匂いがした。どうやらここはお兄ちゃんの部屋らしい。そういえばいつもみたいにお兄ちゃんに気絶させられたんだった。ちゃんと小町をベッドに寝かせてくれるのはポイント高いけど小町を選んでくれないのは小町的に超ポイント低いよ。小町ポイント大暴落だよ。

 

 

小町は実の兄のことが大好きです。それはもう兄妹の関係では収まりきらず、お兄ちゃんと結婚したいと思うぐらいに。

あーあ。小町とお兄ちゃんも作品の都合上義理の兄妹になったりしないのかなぁ。千葉の兄妹なんだからそれくらい許してくれてもいいのに…。

やっぱり監禁しちゃうしかないのかなぁ。小町的にはお兄ちゃんの意思で選んでもらいたいけど、うかうかしてると他の女にお兄ちゃんを取られちゃいそうだしなぁ。

 

 

そういえば、いつから小町はこんなにお兄ちゃんのことが好きなんだろうと考える。そりゃあ兄妹なんだから昔から仲は良かったけど普通は兄妹を異性として好きになることはないみたいだし。

 

うーん………、あ、そうだ。あの時だ。あの時から小町はこんなにもお兄ちゃんが大切で、愛しくって、愛されたいと、ずっとずっと一緒にいたい存在だってづいたんだ。

 

 

*****

 

 

その知らせは突然だった。お兄ちゃんが交通事故に遭ったとお母さんから電話があったのだ。小町は学校が終わるとすぐにお兄ちゃんのいる病院へと向かった。早くお兄ちゃんのところへ行かないと…。その頃の感情は、きっとまだ純粋に兄妹として、妹としてお兄ちゃんを心配しているだけだったと思う。

 

 

病院に着くと受付にいる女の人からお兄ちゃんの病室を聞く。どうやら四階の個室にいるみたい。個室にするには結構なお金がかかると以前どこかで聞いたような気がした小町は不思議に思ってしまう。小町を溺愛している両親がお兄ちゃんにそこまでするとは思えなかったから。

 

 

病室に入るとお兄ちゃんは眠っていた。やっぱり寝てるとお兄ちゃんはイケメンさんだね。普段のお兄ちゃんとは違って見えるよ。あ、今の小町的にポイント高い!

そのままお兄ちゃんの方へ歩いていくと突然ノックの音がした。きっとお母さんだ。お父さんはわざわざここまで来ないだろうし、お兄ちゃん友達いないし。…なんか小町まで悲しくなってきたよ。

 

「どうぞー。」

 

小町が扉に向かってそう言うと、し、失礼しまーす。と言って可愛らしい女の子が入ってきた。高校生ぐらいだろうか?もしかしたらお兄ちゃんのお嫁さん候補になるかもしれない!

 

「あの…。お兄ちゃんとはどういう関係でしょうか?」

 

お兄ちゃんと違ってコミュ力のある小町はキョドることなく話しかける。

 

「あの…。あたし、由比ヶ浜結衣って言います。総武高校の生徒で…。その…比企谷君にサブレ…、うちの犬を助けてもらって…。」

 

由比ヶ浜さんの話を聞くにどうやらお兄ちゃんはこの人の飼い犬を庇って事故にあったらしい。ほんっとにこのお兄ちゃんは…。小町は嬉しさと悲しさの入り混じったような気持ちだった。

 

「そうなんですね。わざわざありがとうございます。うちのお兄ちゃん友達とかいないんで由比ヶ浜さんみたいな可愛い人が来てくれたって知ったら泣いて喜ぶと思いますよ。」

 

「そうかなぁ。……そうだといいんだけどなぁ。」

 

おお、これは脈アリかな?お兄ちゃんにもついに春が来たんだね。小町的にもこれはポイント……。…高いのかな…?高いはずなんだけどなあ…。なんなんだろうこの気持ちは…。

 

その時に感じた胸の痛みと寂しさが何なのか、小町にはまだ分からなかった。

 

 

*****

 

 

由比ヶ浜さんが帰った後、お兄ちゃんと適当な会話をしてから家に帰ってきた。ただいまと言っても返事はない。お父さんとお母さんはまだ会社から帰ってきていなくて家にはカーくんと小町しかいなかった。

 

ご飯を食べ終わるとテレビを見ながらカーくんとじゃれていた。しばらくすると飽きてしまったのかカーくんは部屋から出ていってしまった。

リビングには小町だけになった。

すると不意に寂しさを感じてリビングを見渡してしまう。

 

…この家ってこんなに広かったっけ…?

 

普段は馬鹿なことを馬鹿みたいに言ってくるお兄ちゃんがいないだけで、小町は寂しくてたまらなかった。

そういえば小さい頃も1人で家にいるのが寂しくて家出をしたことがあったなぁと思い出す。

小町を見つけてくれたお兄ちゃんはそれから毎日小町よりも先に家に帰ってきてくれるようになった。あの時からずっとお兄ちゃんは小町が寂しくないようにしてくれてたんだ。

 

部屋に戻っても寂しさは消えなかった。普段1人で使っているはずの部屋でも家の中で1人ぼっちだと思うと不安な気持ちになってしまう。

人肌が恋しくなった小町はお兄ちゃんの部屋に入ってベッドに潜りこむ。お兄ちゃんの香りに包まれているととても安心する…。なんか小町変態さんみたいだなぁと思いながらもやめられない。そのまましばらくお兄ちゃんのベッドにくるまっていた。

さすがにお父さん達が帰ってくるまでここにいたらきっと心配をかけてしまう。そう思って慌てて自分の部屋に戻る。部屋に戻るなりベッドに潜り込むが寂しさは消えなかった。それどころかどんどん悲しい気持ちが溢れてきて、気づけば涙が溢れていた。

 

「うっ…う……。おっ…にいちゃん……。…こまち……さみしいよぉ…。」

 

1度涙が流れ出すともう止めることはできなかった。

こんなにもお兄ちゃんの優しさに小町は救われていたんだ。お兄ちゃんはいつだって小町に優しいからそれはいつだって小町の周りにあって当たり前のものだと思っていた。お兄ちゃんがいなくなっただけでこんなにも泣き虫になってしまうなんて。今更ながらにお兄ちゃんが小町の心のこんなにも大部分を覆っていたことに気づいたんだ。

 

 

*****

 

 

「ん…」

 

どうやら泣き疲れて寝ちゃってたみたいだ。寂しくて泣いちゃうなんて小さい子みたいで恥ずかしいなぁ。それに、きっと今は酷い顔になっちゃってるんだろうなぁ。…顔洗ってこないと。

 

洗面台で顔を見ると思った通り目元が赤くなっていた。顔を洗ったついでにそのままお風呂に入る。

いつもなら念入りに洗う髪も今はそんな風に洗う気にもなれなくて適当に髪と体を洗うと浴槽に浸かる。

 

「お兄ちゃん…。」

 

無意識のうちに声が漏れてしまった。お兄ちゃんによくシスコンって言ってるけど小町もそんなこと言えないなぁ。そう思うと自然に口元が緩んじゃう。きっと小町はまだまだお兄ちゃん離れなんてできないなぁ。…したくないなぁ。

 

 

お風呂から出るとパジャマに着替えてベッドに倒れこむ。さっき寝てしまっていたせいかお風呂に入っていたせいなのかなかなか寝つけない。

眠れないでいるとまたお兄ちゃんのことを考えてしまう。

不意に病室で出会った女の子のことを思い出した。……名前なんて言ってたっけ…。

多分あの人はお兄ちゃんのことが好きなんだと思う。そしたらお兄ちゃんとあの子が付き合うなんてこともあり得る。…あのお兄ちゃんに彼女ができるとは思えないけど。

 

…お兄ちゃんは彼女ができても小町のことを今みたいに大切にしてくれるのかな……。あのシスコンのお兄ちゃんのことだから小町のことを適当に扱ったりはしないと思いけど、やっぱり彼女の方を優先しちゃうよね。

それは……なんかやだな。 お兄ちゃんの1番は小町がいい。ううん、小町じゃないと嫌だ。

でも…どうしたらいいんだろう。どう頑張っても小町は妹だからお兄ちゃんと結婚することはできない。そうするといずれお兄ちゃんは誰かと結婚して、その人を1番に愛するだろう。結婚できるかどうかは置いといてね。捻くれてるけど優しいお兄ちゃんだから、それはきっと間違いない。なら、お兄ちゃんの1番になるには……どうし……いい…………。

 

 

*****

 

 

その後小町はお兄ちゃんが退院するまで頻繁にお兄ちゃんのベッドに潜り込んでいた。お父さんたちが帰ってこれない日はお兄ちゃんのベッドで寝ていた。それでも日に日に薄れていく匂いに小町は耐え切れなくなっていた。

毎日病室で話しているといっても家に帰ると1人ぼっちなのは変わらない。お兄ちゃんに心配をかけたくない小町は病室では必死でいつも通りを演じてた。お兄ちゃんの様子を見るときっとうまく騙せてたと思う。

その頃にはカーくんとじゃれあう気も起きなくなっていた。

 

 

*****

 

 

今日でお兄ちゃんは退院だ。お兄ちゃんが帰ってくる。それだけで小町の気持ちは最高潮に達していた。早く会いたい。お兄ちゃんに抱きしめてほしい。いっぱい構ってほしい。そんなことを考えながら学校からの帰り道を走って帰った。

 

家に帰ると靴も適当に脱いでリビングへ向かう。扉を開けるといつものように目を腐らせながら本を読んでいるお兄ちゃんがいた。

 

「お兄ちゃん…。おかえりなさい。」

 

 

「今帰ってきたのはお前だろ…。…まあ、なんだ……、その…ただいま。んでもっておかえり、小町。」

 

「うん…。お兄ちゃん、ただいま‼︎」

 

そう言うとお兄ちゃんに抱きつく。お兄ちゃんの匂いだ…。無意識のうちに匂いを嗅いでしまっていたが小町は変態さんじゃない。これはお兄ちゃんの匂いがいい匂いなだけだから。…だめだ。理由になってない…。

 

「小町を心配させた罰としてこれからいっぱい構ってもらうからね。覚悟しといてよ。」

 

「怖えよ。何する気だよ。まあ俺からしたら小町を構うのは罰ってよりご褒美だし、何より俺はお兄ちゃんだからな。いくらでも構ってやるよ。」

 

このお兄ちゃんは…。どこまで小町のことを喜ばせたいんだろう。そんなこと言われたら小町抑えきれなくなっちゃうよ。嬉しくて、それでいてちょっと恥ずかしい。……顔赤くなってないかな…。

 

 

*****

 

 

そうして小町はお兄ちゃんとの時間を1年間堪能していた。お兄ちゃんがいるだけであの2週間が嘘のようにように感じられ、満ち足りた気分になった。これが依存っていうものなのかな。でもお兄ちゃんがいない生活なんて今のは小町には耐えられない。

 

いつものように家に帰るとお兄ちゃんに声をかける。でもお兄ちゃんからの返事はなかった。

 

「ちょっとー!小町からのただいまを無視するなんて小町的に超ポイント低いよー?」

 

そう言いながら扉を開くと返事が帰ってこないわけに気づく。

誰もいなかった。もちろんカーくんはいたけど心を満たしてくれたお兄ちゃんの姿はどこにも見えなかった。

 

しばらくしてお兄ちゃんが帰ってきた。これはいっぱい文句を言ってやろう。そんなことを考えているうちにお兄ちゃんはリビングに入ってきた。

 

「お兄ちゃん。どこ行ってたの?小町心配したんだよ?」

 

「ああ、悪いな。連絡の一つぐらいすればよかったな。」

 

特に気にした様子もなく小町の隣に座り小町の頭を撫でるお兄ちゃん。これは……小町的にポイント複雑…。

 

「んで?なんで今日はこんなに遅かったの?お兄ちゃん友達いないし遅くなる理由なんてないでしょ?」

 

言っておいてなんだけどなかなか酷いことを言ってるなぁ。まあ事実なんだからしょうがないよね。

 

「そのキラーパスはお兄ちゃんちょっと受け取れないな…。学校の先生に捕まってな。奉仕部ってところに強制入部させられた。」

 

お兄ちゃんが部活に入った。それは本来なら喜ぶところなんだろう。あのぼっちのお兄ちゃんが部活に入るなんて…。でも…。

 

「ふーん。よかったね、お兄ちゃん。んで?他の部員はどんな人なの?」

 

「なんでちょっと不機嫌なんだよ。おこなの?…国際教養科の雪ノ下ってやつだ。見た目は良くて本人曰く美少女だ。でも内面が終わってんな、あれは。」

 

「ふーん…。女の人なんだ…。へー…よかったね…。」

 

「なんだよ…。まあ、悪い奴ではないんだろうけどな。俺はああいう裏表ないやつはけっこう好きだぞ。」

 

「っ…。」

 

「おい、小町?どこ行くんだよ。」

 

お兄ちゃんの口から知らない女の子に対しての好きという言葉が出たことに耐え切れず、お兄ちゃんの前から逃げ出してしまった。そんな意味じゃないと分かっていても耐えられなかった。お兄ちゃんの声を振り切るように自分の部屋のベッドに飛び込んだ。

 

 

*****

 

 

知らない場所にいた。

そこには小町とお兄ちゃんがいた。2人だけの空間。寂しくない。あったかい時間。小町とお兄ちゃんだけの世界。幸せだ…。ずっとここにいたいよ…。

 

突然そこに病室の女の子がやってきた。顔も知らない女の人もやってきた。2人はお兄ちゃんと何かを話した後、お兄ちゃんを連れて行ってしまった。

私は必死でお兄ちゃんを追いかける。

待って、行かないで、小町を1人にしないで!

その思いも届かないようで3人との距離はどんどん開いていく。お兄ちゃんはその女の子たちに笑いかけている。とても幸せそうだ。

お兄ちゃん!小町を見て!小町にはお兄ちゃんしかいないの‼︎

どれだけ早く走っても少しずつ離されていき、その距離が縮まることはなかった。

 

 

*****

 

 

「お兄ちゃん‼︎」

 

目に映ったのはいつもと変わらない小町の部屋だった。

あれ…じゃあ……今のは夢…?それにしてはリアルな夢だったな…。…本当に夢だよね…?

まだあの映像は小町の目にしっかりと焼きついている。お兄ちゃんがあの女の子たちとどこかへ行ってしまうシーン。どれだけ走っても追いつけない恐怖。

 

嫌だ…。

嫌だ…嫌だ、嫌だ、嫌だ!お兄ちゃんが他の誰かに優しくして小町を見てくれないなんて嫌だ。小町だけを見ていてくれないと嫌だ。小町だけに優しくしてくれないと嫌だ。ずっと一緒にいてくれないと嫌だ。小町にはお兄ちゃんしかいないんだ。小町はお兄ちゃんがいてくれればそれだけでいい。お兄ちゃんが他の人と一緒にいるところなんてもう見たくない!小町は…小町にはお兄ちゃんが必要なんだ。

…でも、お兄ちゃんは小町を必要としてるのかな。

お兄ちゃんは小町に色んな優しさをくれたけど小町は何かをあげれてたのかな…。ごはん作ったりとか掃除したりとかそういうことじゃなくて、比企谷小町として、比企谷小町にしかできないことでお兄ちゃんに、比企谷八幡に何かをあげれていたんだろうか。

そう考えると何も思いつかない。

何も思いつかないことがとても怖くなった。このままじゃいつかお兄ちゃんは小町の元からいなくなってしまう。そんな恐怖が小町を襲ってきた。

それとともに小町はお兄ちゃんがさっきの人たちと愛しあっているところを想像してしまう。お兄ちゃんが他の誰かに触れている。お兄ちゃんが他の誰かを求めている。そんなことが小町は許せなかった。しかも、小町が求めても妹だからお兄ちゃんとはそんな関係にはなれない。その事実が小町をさらに苦しめる。

だったらどうすればいいの……?

 

そうだ…。誰かがお兄ちゃんを盗っちゃう前にお兄ちゃんを小町のものにして、小町をお兄ちゃんのものにしてもらえばいいんだ。

お兄ちゃんにあげられるものがないなら小町をあげればいい。その代わりにお兄ちゃんからもお兄ちゃんの全てをもらうんだ…。そうすれば小町とお兄ちゃんはずっと一緒。

ずっとずっとずっとずっと、死ぬまで一緒にいられるんだ。

その時にはもう自分がどんな風になろうとどうでもよかった。

 

 

お兄ちゃんさえいれば他に何もいらないと心の底からそう思えるようになっていた。

 

 

*****

 

 

回想を終えると空は暗くなっていた。

お兄ちゃんはまだ帰ってきていない。

小町はあの事故をきっかけにこの気持ちに気づけたんだ。お兄ちゃんを傷つけたことは許せないけどその点では結衣さんに感謝しなきゃね。

でもお兄ちゃんは小町のものだから。

結衣さんだろうと雪乃さんだろうとお兄ちゃんは渡さない。

だから雪乃さんを見過ごすなんてのはもってのほかだ。

でもここからじゃちょっと間に合わないかな…。

小町はしぶしぶ陽乃さんに電話をかける。

 

「あ、もしもし陽乃さん。小町ですー。実はー」

 

お兄ちゃん、すぐに助けてあげるからね。

だから………これからもずっと小町だけを見ててね。

 

 

 

 




皆様あけましておめでとうございます。
戸塚だと思った?残念小町でした‼︎まさに外道‼︎
とまあこんなことは置いといて新年1発目は番外編です。
今までで1番の文量ですね。
なんか小町の時だけモチベーションがやばいです。
まじっべーです。
戸塚をお待ちの皆様はもう少しお待ちください。

投稿の頻度は落ちていくと思いますが皆様今年度もよろしくお願いします。
最後に、皆様にとって素敵な1年になりますように…。


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設定

設定

 

比企谷八幡

 

今作の主人公

無意識のうちにヤンデレハーレムという世にも恐ろしいフラグを立てる一級フラグ建築士

1度自室の扉を破壊されてからというもの夜も不安で気が休まらない

初めての向けられた愛情、立ったフラグが全て病んだものであった

1度目の監禁未遂の際雪乃に印を刻まれる

自分に対しての好意だと思うとヤンデレを憎みきれないお人好しなところがある

現在小町、雪乃、結衣、いろは、彩加の5人をヤンデレだと認識している

 

 

比企谷小町

 

八幡の妹

八幡が入学式の日に交通事故に遭ったのをきっかけに八幡に依存する

その当時はまだ依存にとどまっていた感情が八幡が奉仕部に入ったことをきっかけに思いが溢れ八幡に必要以上に迫るようになる

自分を兄に女として受け入れてもらいたいという欲求を持つ

八幡を積極的に襲おうとするが急な反撃には弱い

基本的に八幡の嫌がることはしない

八幡の携帯に1時間毎に自動で位置情報と辿った道を自身のパソコンに送信するように細工している

 

 

雪ノ下雪乃

 

八幡の所属する奉仕部の部長

八幡が入部した際自分を初めて受け入れてくれた存在だと認識して依存する

結衣と八幡が話している際に自分以外の異性に八幡の意識が向いていることに対して自身の思いを抑えきれなくなる

そのため八幡が他の異性と関わることを極端に嫌い、その度に物理的な制裁をしばしば加える

八幡が自分のことを好きだと信じて疑わない

1度気持ちが昂ぶると暴走してしまう

八幡の部屋の扉を破壊した張本人

1度平塚先生に見つかった際に奉仕部内では八幡に対しての愛情表現を規制される

 

 

由比ヶ浜結衣

 

八幡の所属する奉仕部の部員でありクラスメイト

飼い犬のサブレを助けられた際に八幡に対して強い依存の感情を持つ

1年生の頃は時々話しかけたり下校風景のストーキングをする程度のヤンデレだったが奉仕部での雪乃とのやり方を見て自身の思いを抑えきれなくなる

八幡を自分だけのものにするため監禁したいという欲求がある反面八幡を傷つけたくない、嫌われたくないという気持ちがあるためしばしば葛藤に悩まされる

作中で八幡に1番うまくあしらわれちゃう子

 

一色いろは

 

八幡の通う総武高校の生徒会長

八幡に依頼をした際、生徒会長に仕立て上げられ仕事を手伝ってもらっているうちに依存する

偶然外出の際小町と八幡が買い物をしているところに遭遇し思いが決壊し八幡に迫るようになる

他の女のものなってしまう前に既成事実を作ろうと八幡に対して主に性的に迫る

社会的な立場を駆使してやや脅迫まがいのやり方をとることもしばしば

ただし一線を超えることだけは八幡の意思を尊重して八幡から襲うように仕向けている

 

 

雪ノ下陽乃

 

八幡に自分の本性を見破られ戸惑いながらも自分のことを唯一理解してくれる存在だと思い依存している

しかし行き過ぎた行為を八幡の目の前ではしないため八幡はそのことには気づいておらずただの苦手な人と認識されている

しばしば我儘のような要求をしては八幡を困らせるとともに自分の気持ちを再確認している

八幡の家に監視カメラと盗聴器を仕掛けているが八幡はそのことには気がついていない

他の女をわざと野放しにして八幡に恩を売っている

 

 

戸塚彩加

 

小さい頃から女の子みたいだと言われ、それをコンプレックスに感じていたがある事件ををきっかけに八幡の存在を知り、1人ぼっちでも自分を貫いている姿に憧れる

2年生になり交流を持つと八幡の結婚してくれ宣言をたびたび聞き、次第に八幡のことを同性ながら意識してしまうようになる

八幡にずっと友達でいてくれと言われ、八幡のそれが本気で無かったことに気がつき病んでしまう

陽乃との交渉により八幡の部屋、リビング、風呂場にそれぞれ盗聴器とカメラを仕掛けている

八幡の周りに女が近づいているかがなんとなく分かる(自分もいる場合)

男というハンデはあるが色々画策する上に行動力もあるため下手したら作中で1番厄介なタイプである

八幡のために性転換しようかを真剣に悩んでいる

 




今更ながらの設定です。
あくまで今現在決まっている設定ですのでヒロインが増える可能性もありますので設定は随時更新していきたいと思います。
また、本章を書いた後で設定を作ったため矛盾などが生じているかもしれません。
本章との矛盾や気になる点など何かありましたら感想欄にお願いします。
1/4 設定を更新いたしました。


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その1 比企谷小町

今日も今日とて朝日は昇り部屋を少しずつ暖めていく。だが所詮冬の寒さの前では焼け石に水である。

俺は暇つぶし機能付き目覚まし時計のアラームの音に悪態をつきながらも目を覚ます。時刻は午前5時。せっかくの休日、本当は2度寝と洒落込みたい所であるが、布団の誘惑を押しやって周りを確認する。大丈夫、自分の部屋だ…別に知らない天井だとかそんなことはない。1度は言ってみたいが実際に起きたら絶対テンパるよねあれ。

……部屋に異変はない。

どうやら今日は大丈夫なようだ。

いつから俺の日常はこんなホラーチックになってしまったんだ…思わず溜息が出てしまう。

扉に鍵がかかっていることを確認すると少しだけ気が楽になった。

どうして俺がここまで自分の部屋でにいるのに周りを警戒しているか、それは……

 

気がつけば俺の周りはヤンデレばかりになっていたからである。

 

 

まずは比企谷小町。

俺の最愛の妹であり、俺の周りのヤンデレっ子の1人である。

昔からブラコンではあったがそれでも普通より仲の良いごく普通の千葉の兄妹といったところだった。

それが俺が高校に入ってからというもの、家では常にくっついてくるし、外出しようものなら彼女のように振舞ってくる。極め付けには夜に部屋に入ってきて、隙あらば俺を襲おうとしてくる始末である。

 

ガチャガチャ

 

突然何者かがドアを開けようとする。

「……お兄ちゃん、なんで鍵かけてるの…?

小町を入れてくれないの……?小町のこと、嫌いになっちゃったの……?」

 

件の妹である。

小町よ、鍵をかけてる理由は主にあなた方なんですがねぇ。

そうでなくてもプライバシーってものがあるだろう。俺のプライバシーなんてあってないようなもんだけど。

 

いつも通りなら部屋に来るということは、まず間違いなく俺を襲いにかかってくるはずだ。

とりあえず小町の興奮を落ち着かせるために俺は声をかける。

 

「い、いや、俺は小町こと大好きだから「だったら開けてよ。小町を受け入れてよ。」…それはあくまで妹としてだ。」

 

間髪いれずに食いついてくる小町。なんでこんな冷たい声が出るんだよ。怖い。あと怖い。一色といい、冷たい声は女の子の標準装備なの?雪ノ下も冷たい眼差しを向けてくるし、俺の周りの女子はみんな氷タイプなの?

 

 

「どうして……?どうしてお兄ちゃんは小町を受け入れてくれないの?…兄妹でも小町たちは千葉の兄妹だから大丈夫だってお兄ちゃんいつも言ってたよね?

それに今、いろはさんのこと考えてたよね?雪乃さんもかな?いろはさんがいるから駄目なのかな?雪乃さんが邪魔なのかな?じゃあ2人がいなくなったら……そしたらお兄ちゃんは小町を受け入れてくれるのかな?」

 

底冷えのするような声で小町は言う。そうか、小町が氷タイプ最強だったのか……

それと、俺たちは千葉の兄妹でも健全な方だ。

 

マジで洒落にならん。

こうなっては小町が行動を起こすのは時間の問題だ…

 

ガチャ

 

俺は意を決して鍵を開ける。

するとすぐに扉が開き、

 

「やっと小町を選んでくれたんだね。小町的にポイント最高だよ、お兄ちゃん。」

 

と、先ほどまでとは打って変わって明るい声の小町が部屋に入ってくる。

その手には黒い鉄製であろう手錠が握られている。

 

「こ、小町、とりあえずその手に持ってる手錠を置こうか。な?」

 

なんとかしてあの手錠を小町の手から遠ざけようとなるべく平常通りの声色で話しかける。

 

…だが、

 

「駄目だよ。お兄ちゃんはちょっと目を離すとすぐに他の女のところに行っちゃうんだから。お兄ちゃんは優しいからすぐにいろんな子を助けちゃって…。お兄ちゃんの魅力は小町が、小町だけが知っていればいいのに…。……こんなことなら部活なんかすぐに止めさせればよかったかなぁ。そうすれば、あんな泥棒猫達にお兄ちゃんとの時間を奪われることもなかったのに…。ぽっと出のくせにお兄ちゃんに媚び売って……。」

 

俺の妹がこんなにヤンデレなわけがない。

と、頭の中で現実逃避を試みるもハイライトの消えた小町の目によってすぐに現実に引き戻される。

 

とりあえずはなんとかして小町を無力化しなければ。

 

「小町、ちょっといいか?」

そう言い俺は小町に抱きつく。

 

「お、お兄ちゃん?あ、あのヘタレなお兄ちゃんが急に、だ、抱きついてくるなんて…」

 

煙が出るほど顔を真っ赤にして狼狽える小町。

 

そう、何を隠そうこの妹。自分からは嬉々として襲いかかる癖に、咄嗟の反撃なんかには免疫がないようでいつもこれで気絶してしまう。

 

「……………」

 

…やったか?

フラグじゃないよね?

 

「さ、流石に毎日反撃にあえば耐えられるよ。」

 

顔を真っ赤にしながらも意識を手放さない小町。

やっぱりフラグでしたね。説明すると確実にうまくいかないのは某カードゲーム然りこの世の真理なんですかねえ?

 

なんて言ってる場合じゃない。

このままでは俺は千葉の兄妹エンドになってしまう。

どうするどうするどうする。

 

……あまり気は進まないがやるしかない。

 

「小町」

 

抱きついた姿勢のまま耳元で囁く。

 

「んっ…なっ…なにかな、お兄ちゃん。漸く小町のことを「小町」ひゃっ⁉︎」

小町の言葉を遮るようになるべく低い声を出すことを心がける。

案の定小町は動揺している。

今しかないっ‼︎

 

「小町……愛してる。」

 

…どうだ?

 

「にゃっ…なっ…………ふみゅう……」

 

 

ふぅ、なんとかなったようだ。

流石、CV江口拓也は伊達じゃないな。コポォ?そんなものはなかったんだ。

 

とりあえず小町を俺のベッドに寝かせる。それとなく同時に時刻を見ると、まだ5時半を示している。

 

まだこれは俺、比企谷八幡の日常の一部であり、小町とのやりとりは俺の1日の序章に過ぎない。

 

 

 

 

 

 

 




初投稿になります。
文章を書くのって難しいですね。
不定期の更新になると思いますが、よろしくお願いします。
誹謗中傷は書かないで頂けると幸いです。


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その2 由比ヶ浜結衣

小町との一悶着を終えた俺は部屋のベッドに腰掛け小町の顔を見る。

…寝てるとこんなに無邪気な顔をしているのにな…。

そういえば俺もよく目を閉じているとイケメンだと言われるな。流石兄妹。いや、俺のはただ目が腐ってるだけですね。はい。これがギャップってやつか。

などと他愛もないことを考えながらベッドから腰を上げ、寝衣から着替える。

ちゃんと部屋から出てだよ?小町の前で着替えるなど恐怖しかないからな。突然目を覚ましたらと思うと気が気でない。

 

身支度を整え携帯を手に取り家を出る。はぁ…

中学の頃は1日中部屋でごろごろできていたというのに、俺がこんなに健全な生活を強いられるようになろうとは…。

ん?まさかこれが雪ノ下の更生の効果なのか?なんだよこれがリア充になるってことなのか?

そうか…俺はいつのまにかりリア充になっていたのか……。

いや、違うな。だって友達いないし。ぼっちだし。

QED証明完了。

 

 

その2 由比ヶ浜結衣

 

家を出て少し歩くと見知った顔が現れる。

 

「あー、ヒッキーだー。」

 

早速お出ましか…。

 

ヤンデレっ子その2由比ヶ浜結衣。

俺と同じクラスであり、奉仕部のムードメーカー的存在である。奉仕部に入ったのをきっかけに俺にやたらと絡んでくるようになった。危害を加えてくるかどうかという面では1番安全な部類に入るだろう。

 

「…ッキー、ヒッキー‼︎聞いてるの?」

 

っと。思考の海に潜っていると由比ヶ浜が不満を顔に滲ませながら問いかけてくる。どうやらサブレの散歩の途中らしい。…お前んちこっち方面じゃないだろう。散歩ってこんな遠くまで来んの?

 

「お、おう。悪いな、ちょっと考え事してただけだ。」

「…目の前にわたしがいるのに、一体何を考えてたの?わたしっていう赤い糸で結ばれた相手がいるのに「お前のこと考えてたんだよ。」へ?……」

 

…嘘は言ってないからな。

 

「……なぁんだ。てっきりわたしのこと無視してるんじゃないかと思ったよそうだよねヒッキーは優しいからわたしのことを無視したりなんかしないよねそうだなぁ…わたしは将来はヒッキーのためなら料理だって頑張るよあぁでもヒッキーが専業主婦になりたいっていうならわたしはそれに従うよだってヒッキーのためだもんヒッキーのためならわたしはなんだってできるんだから。」

 

ちょっと⁉︎息継ぎなしで長文やめて。ほんと怖いから。

そう、こいつの中ではすでに俺たちは将来を誓い合った仲らしい。思考がエスカレートするのはヤンデレでは当たり前のことかもしれないがどうしてそうなった。

あとハイライトさんちゃんと仕事して‼︎俺は働きたくないけど。働いたら負けだ。

 

「ちょ、ちょっと落ち着けって。な?サブレの散歩中みたいだし、俺はもう行くか「まって。」…なんだよ。」

 

早いところこいつから離れて誰にも見つからないところに行きたいんたが。

 

「じゃあ一緒に散歩しようよ。その方がサブレも喜ぶし、わたしももっとヒッキーといたいし。」

 

「い、いや。ほら、俺は今日アレがアレだから。」

 

咄嗟とはいえなんだこれ。

こんなので誤魔化せるか?

 

「……ヒッキー、何言ってるの?ヒッキーに予定なんかないじゃん友達いないしあぁ別にこれはヒッキーのことをバカにしてるとかじゃないんだよ傷ついてたらごめんねこれはただヒッキーがそういう時は決まって用事がないしわたしをおいて女の子と遊びに行くわけがないしそれにもしそうだとしたら「と、戸塚だよ。今日の朝早くから一緒にテニスしようってなってんだよ。」…へぇ。」

 

こっわ。

いくらなんでも戸塚を引き合いに出せばこいつも納得せざるを得ないだろう。

 

「……わたしにそんなウソつくんだね。知ってる?彩ちゃんは今日の朝から家族で旅行に行くから遊ぶのは無理なんだよそんな風にウソをつくなんてわたしのことが嫌いなの?そんなわけないよねだってわたしがヒッキーのことを好きなのと同じくらいヒッキーもわたしのことが大切なんだもんでもウソはだめだよねウソをつく悪いヒッキーには罰を与えないとねあぁ心配しなくても大丈夫だよわたしはヒッキーが怖がることはしないからヒッキーを傷つけたりなんかしないよこれはわたしたちのために必要なことなんだから。」

 

やっばい。このままだと確実に何かされる。由比ヶ浜の性格上暴力的なことはないだろうが暴走したらどうなるか分からない。

ほら由比ヶ浜、そのどす黒いオーラ抑えて。サブレ超震えてるから。

っていうか戸塚旅行行ってるのか…いいなぁ。俺も戸塚と旅行行きたい。

 

「な、なあ由比ヶ浜。その、嘘をついたのは悪かった。でも、お前のことが嫌いってわけじゃなくて。その……なんだ。お前可愛いから一緒にいると恥ずかしいからというか…。とにかく、そういうことだ。」

 

どうだ…?

 

「ふぇっ⁉︎えへへ、ヒッキーが可愛いって言ってくれた…。…そっか、恥ずかしかっただけなんだね。ならしょうがないかな。ヒッキーは恥ずかしがりやさんだなぁ。」

 

よかった…なんとかなったよう「でも。」ん……嫌な予感が…

「ウソはだめだよね…。ってことで一緒に散歩してくれたら許すよ。」

 

やっぱりただではすまんか…

まあそれぐらいで済むのならいい方だろう。

 

「はぁ…分かったよ。一緒に行けばいいんだろ?」

 

「よしっ。じゃあ行こう‼︎サブレ、待たせてごめんね?お詫びに今日はヒッキーが散歩に連れていっくれるよ。」

 

そう言って由比ヶ浜は俺にリードを差し出してくる。

流れるようなその動作に俺は思わずリードを受け取ってしまう。

 

「おい、ちょっと待て。一緒に行くとは行ったがなんで俺がリードを…って由比ヶ浜さん⁉︎とっ、いきなりなにしてんの⁉︎そんなはしたない子に育てた覚えはありませんよっ⁉︎」

 

あろうことか俺がリードを受け取ったことを確認すると由比ヶ浜が抱きついてきた。当たってる。その立派なメロンが当たってるから。べっ、別に柔らかいなぁとか考えてなんかないんだからねっ!

 

「んー…?ヒッキーに抱きついてるだけだよ?ほら、わたしもくっつけるしヒッキーも柔らかいでしょ?うぃんうぃんってやつだよ。」

 

そう言いながら俺に身をすり寄せてくる由比ヶ浜。実際その通りだから反論できねぇ。悔しい、感じちゃう。…俺がやってもキモいだけだな。

 

「えへへー。ヒッキーヒッキー♪」

 

こいつらヤンデレ集団はみんながみんな可愛いからタチが悪い。この可愛さに何度騙されたことか。

っていうか由比ヶ浜さん。近い。超近い。なんか匂い嗅いでるし。ええい。離れろ柔らかいいい匂い.

 

「クンクン。ヒッキーのにお……い?

 

突然黙り込む由比ヶ浜。急なテンションの落差についていけず思わず狼狽えてしまう。

 

「ど…どうした?由比ヶ「ヒッキー?どうして女の子の匂いがするの?朝から一体何をしてたの?あぁ、そうか小町ちゃんか いくら兄妹だからってさすがにベタベタしすぎだよ?そろそろシスコンもなんとかしたほうがいいよ?…小町ちゃんなら結婚できないからって思ってたけどヒッキーを襲わないとは限らないし…やっぱりヒッキーを監禁しなきゃいけないのかな?でもヒッキーの嫌がることはしたくないし…。」

 

なんか後半はボソボソ言ってたけどこの距離だから全部きこえちゃってるんですよねぇ。

なんで匂いとか分かるんだよ。犬なの?いや、確かにガハマさんは犬っぽいけども。

っていうかやっぱりってなんだ。監禁とかマジで怖いからやめてください。普段からこんなこと考えてんの?

 

このままこうしているとさすがにまずい。そのうち小町も俺がいないことに気がつくだろうし。他のやつに見つかっても傷害事件になりかねん。別にもう1人の俺がどうとかそういうわけではない。…本当だよ?

 

「な、なぁとりあえず散歩行こうぜ。サブレが可哀想だ。あと、俺が恥ずかしいからくっつくのは無しだ。」

 

「うー……。まぁヒッキーが嫌がることはしたくないし…。それじゃあいこっか?ごめんね?サブレ。」

 

俺が言うと由比ヶ浜は俺から離れる。サブレよ、ごめんな。今からちゃんと散歩するからな。

……願わくば、せめて散歩の間は誰にも出会いませんように…

そう祈りながら俺は歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




2話目になります。
ヤンデレになっている気がしない…
ガハマさんは無邪気な感じなのでどうにも書きづらいです。早くいろはすやゆきのんを出したいですね。
年末年始はあんまり投稿できない気がします。


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その3 一色いろは

由比ヶ浜との散歩を終え彼女を家まで送り届ける。

やっと終わったか。何も知らない近所の方々の視線が妙に生暖かったな…。

 

「っと。家着いたな。んじゃあ俺帰るわ。」

 

よしっ。あとはこのまま別れるだけだ。

 

「うーん…あ!そうだ!ヒッキー、朝ごはん食べていかない?ママの作ったごはんになっちゃうしホントはわたしの作った料理を食べてもらいたいんだけどきっとヒッキーは恥ずかしがってたべてくれないだろうから。あ、もちろんヒッキーがわたしの料理食べたいんなら今から作るよ?心配しなくてもわたしだってヒッキーに喜んでもらえるように日々努力してるんだからね。隠し味は愛情だよっ‼︎」

 

本当こいつらヤンデレの長文はなんとかならないの?早すぎてあんまり聞き取れないし怖いのでやめていただきたいものだ。

 

「…ごめんね?ヒッキー、迷惑だったかな…?嫌だったら言ってね?わたしだってヒッキーの嫌がることはしたくないから。」

 

俺の不満が表れていたのか突然謝りだす由比ヶ浜。いや、まあそうなんだけども。

…なんか悪いことしてないのに罪悪感で胸がいっぱいなんだが…。別にこれは由比ヶ浜の持っているものとは関係ないからな。

 

「その…なんだ…?嫌ってわけじゃないぞ?まあ恥ずかしいけどさ…そうじゃなくて今日はお前、三浦達と出かけるんだろ?だったらその準備しなきゃならんだろうし「そんなの断ればいいよ。優美子も姫菜も応援してくれるだろうからさ。」…そうか。」

 

…手詰まりか?

待てよ…由比ヶ浜は基本的に俺の嫌がることはしない。

なら…

 

「はぁ…。本当のことを言うと俺は由比ヶ浜の料理が食べた「なら!」…最後まで聞けって。俺は由比ヶ浜の料理なら喜んで食べるんだが…その、お前とはゆっくりと距離をつめていきたいというか…。そう、ここで1度各自別れることはお互いのために必要なことなんだよ。」

 

どうだ、これぞ必殺お前とのことをちゃんと考えての行動だ作戦。

…こいつが病んでるからとはいえ、普通に考えたら俺ただの女たらしだな…。

 

「わたしはすぐにでもヒッキーと1つになりたいけど…。…でも、ヒッキーがそういうなら……わかった。わたしたちのためだもんね。今日は我慢するよ。じゃあね。ヒッキー、また明日。」

 

そう言うと由比ヶ浜は家の中に入っていった。よかった、なんとかなったようだ…。

ちなみにこの間サブレはもちろん外にいる。こんな寒空の下ごめんな?今度いっぱい構ってやるからな。

 

 

 

その3 一色いろは

 

 

 

由比ヶ浜との長い長い散歩をようやく終えた俺は1度家に帰りシャワーを浴びる。由比ヶ浜の匂いがついた状態であいつらに会うと絶対俺にとってよくないことが起こるからな。

着替えを用意する際に小町を見たがまだ眠っているようだ。よだれ垂れてんぞ小町。かわいいなこいつ。

目を覚まされても面倒なため再び家を出て歩きだす。早いとこ遠くに行きたいため電車に乗る。通勤ラッシュの時間と異なる時間といえど、休日なので人の数にはあまり差はないだろう。その時間に乗ったことないからよく知らないけど。

そうして電車もとい人の波に揺られているとこれまた見知った人物が乗り込んできた。

…この場所であいつかよ。

 

一色いろは。総武高校の生徒会長にしてあざとい後輩…だと思っていたがこいつはある意味では1番相手にしたくない。ヤンデレなんてみんな相手にしたくないけど。

 

彼女は主に俺の理性を削ってくる。具体的にいえば小町のような感じで肉体的な接触をしてくる。だが小町のように無理矢理襲ってくるようなことはない。どちらかといえば俺に身体をくっつけて俺から襲うように画策してくる。

 

こんなところであいつに迫られるのは非常にまずい。

幸い俺とは距離があるしこの人の量だ。注意して見ていれば…ってあれ?一色のやつどこに…「せーんぱい?なにしてるんですか?」

 

怖い。いろはす怖い。ってかどうやって。いつの間に背後に来たんだ?

 

「こんなところでも会えるなんてやっぱりこれは運命なんですね。んっ…はぁ…せんぱぁい…やっぱりいい匂いですね…。気持ちいいですか?興奮してますか?…っはぁ…わたしはいつでも大丈夫ですよ…?電車の中であろうとどこであろうとせんぱいがしたいならいつでもわたしを襲ってくれていいんですからね…?」

 

ちょっと⁉︎一色さん⁉︎やめて!身体擦り付けてこないで!あとその妙に色っぽい声も。もう1人の八幡が進化しちゃうから。

 

「お、おい⁉︎一色⁉︎色々とやばいから離れてくれっ‼︎」

 

「えー…いいんですかぁ…?ここでわたしが…んっ…せんぱいのことを痴漢って言ったらぁんっ…せんぱい刑務所行きですよ? それにっ…この人の量なんですから離れるなんて無理です。ごめんなさっ…い。」

 

ぐ…。こいつのタチの悪いところはここだ。自分が女であることを最大限利用してくる。ただでさえ目の腐った俺だ。裁判沙汰になればまず勝ち目はないだろう。

それと喘ぎながら喋るのやめて。いやまじで。

 

「それは勘弁してくれ…。でも俺は次の駅で降りるからな。」

 

動揺を表に出さないように言う。

次の駅に着くまであと3分とかからないだろう。早く着いて‼︎このままだと本当に襲いかねない。

 

「へー…そうなんですかぁ。はぁ…はぁ…でもぉ着くまでは思いっきりせんぱいを堪能できるってわけですよね…んっ…。」

 

今までも十分堪能してたでしょうが⁉︎はぁはぁ言ってるし怖いんだけど。どんどん変な気分な気分になってきてるんだけど。

頑張れ俺の理性。あと少しだ。

 

「せんぱぁい…こっち向いてくださいよぉ…」

 

背中越しでさえやばいってのに正面だと⁉︎

 

「ことわ「いいんですかぁ…?声あげちゃいますよぉ?」…ぐっ…」

 

お縄につきたくない俺は仕方なく振り返る。この人の量だと振り返るだけでも辛いな。

 

「ほら…。これでいいだろ…って一色さん?なんで俺の手を…っておい⁉︎」

 

突然一色が俺の手を掴んだと思ったら自身の胸に手を押しつける。

あ…柔らかい。

 

「どうですか…?…ひゃんっ⁉︎せんぱいもやっぱり男の子なんですね…。…はっんぅ…ぅ…うれしいですよ…せんぱいがこうしてわたしに触れてるだけでわたしは幸せですよ…。…んっ…どうですかぁ…?降りずにこのまま…わたしといいことしちゃいませんか?」

 

無意識の内にその柔らかい塊を揉んでしまったらしい。やばい。だめだってわかってるのに手が止まらない。なんだよこのいろはす。もうえろはすに改名した方がいいんじゃないの?

 

「だ、だめだって。ほら、お前だってこんなところが初めての場所なんて嫌だろ?」

 

なんとかして手を離し言う。

言っておいてなんだが理由としてはなかなかに苦しいなこれ。まあ、大切なことだと思う。うん。っていうかこれだと場所が変われば大丈夫ってことにならないか?

 

「あはっ……せんぱいは一体何を想像したんでしょうねぇ…。…まぁ、どうせするんならもっとロマンチックなところがいいですしね。せんぱいに胸も触ってもらえましたし…。」

 

よしっ。

とりあえずはなんとかなりそうだ。

言及もされてないしな。

 

「それに…。」

 

ん?

 

「わたしとすること自体は嫌じゃないってことですよね?やっぱりせんぱいは捻デレさんですねぇ。責任を取ってわたしを孕ませて幸せにして

くれないと嫌です。ごめんなさい。」

 

助かってねえ‼︎

 

そうこうしている内に電車は駅に着く。今しかねぇ。そう思い俺は電車から降りようとしてふと気づく。

このまま降りたらこいつ、ついて来るんじゃないか?

そうなると逃げる上で非常にまずい。

…危険だがやるしかないか。

 

なんとかして一色の意識をそらして扉が閉まる直前で降りる。

これしかない!

 

「着きましたよ、せんぱい。降りないんですか?…それともやっぱりしたくなっちゃいましたか?どうしてもって言うな「いろは。」とっ、突然名前で呼ぶなんてどうしたんですか。そんなことしても既に幸せでいっぱいなのでこれ以上好感度は上がりませんよ。ごめんなさい。」

 

よし。やっぱり突然の抱擁プラス名前呼びに慌ててるな顔が真っ赤ですよ。なんだそれお前可愛いなオイ。

っていうかさっきからなんで最後振られてんの俺。

 

多くの人が降り、人の少なくなった車内に車掌のアナウンスが響く。

今だっ‼︎

 

駆け出して降車する。

一色はまだ余韻に浸っているようで赤面しながらも幸せそうな顔をしている。

どうでもいいけど駆け込み乗車は聞くけどその反対はなんなんだろうか。駆け下り降車とでも言うんだろうか。

 

そんなことを考えながら俺は駅員に捕まらないように走り出した。

 

ええ。もちろん駅員に捕まって怒られましたとも。




やっと出てきたいろはす‼︎
どうしてこうなった…。
3話目になります。
なんかただの痴女みたいになってますね。さすがえろはす。前半がやたら長い気がしますが気にしないでください。
次回は恐らく1番病んでいるであろうあの子を登場させるつもりです。
感想などお待ちしております。
誤字などありましたらお手数ですがご指摘お願いします。
それでは。
今後ともよろしくお願いします。


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その4 雪ノ下雪乃

 

 

一色からの猛攻と駅員からの説教を聴き終えた俺は近場の公園に入る。

ちょっと。お母様方、俺は不審者じゃありませんよ。

朝から立て続けにヤンデレと遭遇したため俺の精神は疲弊しきっていた。恐らくいつも以上に目が腐っているように見えるのだろう。

小町は日に日に狂気が増しているな…そろそろ風呂や部屋の鍵を強化した方がいいかもしれん。

由比ヶ浜はグイグイくるが1番実害がない。俺を傷つけることはしないみたいだし現状まだ放っておいても大丈夫だろう。

一色は…あの感触は…思い出すとまた変な気分になってくるな。うん。思い出しちゃだめだ。ただ、あいつからのアプローチも日に日にエスカレートしている気がする。

俺が誰か1人を選べばいいのだろうが、それはそれで事件が起きそうだな。1度誰かに相談した方がいいのだろうか?…まあ相談する相手なんかいないんだが。

メールが来る。

どうせ迷惑メールだろうと思い開くことなくそのままゴミ箱へ移動させる。

…変な誤解を生んでも嫌だしマナーモードにでもしておくか。

ベンチから立ち上がり公園を後にする。

…決して通報されたからとかじゃないからな。

 

その4 雪ノ下雪乃

 

 

しばらく歩くと大きなホールが目に入った。

どうやらここで東京わんにゃんショーのような動物との触れ合い体験をやっているらしい。

…猫。いや、まさかな。いくらあいつでもこんなところにいるわけが……。ってなんだよフラグだったのか。目が真剣そのものですね。さすが猫大好きフリスキー。

それにだれかを探しているようにも見える。

 

まぁいい。わざわざ死地に赴く必要もない。このまま離れてフェードアウトするのが最善策だ。じゃあな雪ノ下。この散歩は1人用なんだ。

 

そのまま元来た道に戻ろうとすると突然携帯が鳴る。

知らない番号だ…。

普通ならなんてことない表示でもヤンデレに囲まれて生活していると、とても恐ろしいものに見える。

知らない人について行ってはいけないようにこの番号にも出ないほうがいいだろう。お、切れた。なんだ、ただの間違い電話か。

 

再び携帯が鳴る。番号は先ほどの表示と同じ。

……ふぅ。意を決して電話に出る。

 

「もしもし?比企「どうしてすぐに出ないのかしら?私からの電話よ。いつから貴方はそんなこともできなくなってしまったの?」…雪ノ下?」

 

なぜ雪ノ下が…。あいつの番号は昨日再び着信拒否にしておいたはずだ。

…まさか。

 

「お前、また携帯変えたのか?」

 

「ええ、そうよ。前の携帯では貴方に繋がらなくなってしまったもの。そんなことよ」

 

あまりの恐怖に通話を切る。

また機種変だと⁉︎一昨日変えたばかりじゃないのか?こんなことのためだけに携帯を買い替えるなんて普通じゃないだろ。…そういえばあいつら、もれなく全員普通じゃねえよ。

 

「貴方も大概普通ではないけれどね。」

 

「いいんだよ。英語でいえばスペシャルだ。って…。」

 

ナチュラルに思考を読んで話しかけてきた雪ノ下に今更ながら気づく。

え?あの短時間であそこから?

…そういえばこいつ完璧超人だったな。

 

「あまり褒めないで貰えるかしら。まあ、事実なのだけれど。」

 

「だからナチュラルに思考を読むなっての。んで?お前そこの猫を見に来たんじゃないの?早く行った方がいいと思うんだが。」

 

事実、人はどんどん増えている。結構大きな規模のもののようだ。

 

「あら、ごめんなさい。あまりにも考えてることが分かりやすかったものだから、つい…ね。…そうね。そろそろ行きましょうか。」

 

「おう…って。え?」

 

聞き間違いでなければ今のこいつのニュアンスからはまるで俺と雪ノ下が一緒に行くように聞き取れる。

ちょっと。突然手を握らないで。

こいつの手、すべすべして…って違う。

 

「は、離せって。それに、俺はそんなこと聞いてないし行く気もないぞ。」

 

「何を言っているのかしら?貴方は私からのメールを見たからここに来たのでしょう?」

 

なん…だと…⁉︎

 

慌てて携帯を確認するとそこには先ほど迷惑メールだろうと思い破棄したものと同じメールアドレスからで、複数のメールが届いていた。

 

「貴方の様子から察するに私からのメールを見ていなかったようね。私のメールを無視するなんて…。これはまた調教が必要かしら?」

 

それを聞いた途端、背筋がゾッとした。

雪ノ下の言う調教。以前部屋に連れて行かれた際にそれは行われた。危うく監禁されるところだったが雪ノ下の部屋にカメラを仕掛けていた雪ノ下さんによって助けられそれには至らなかった。

…あの人シスコン過ぎでしょ。妹の家にカメラ仕掛けるとか正気の沙汰じゃない。

いや、独り暮らしを心配しての行動なんだろうけど。

あれ?あの人が1番ヤンデレっぽくないか?まあ俺に被害がないし1度助けてもらってるから強くは言えないが。

 

「いつまで貴方は姉さんの事を考えているのかしら?」

 

だ か ら 思考を読むなっての。

って、こんなこと言ってる場合じゃねえ。

見るからに雪ノ下は不機嫌になっている。

 

「…すぐにでも調教しなければ…いえ、すぐにでも監禁してしまいましょうか。」

 

俺別に難聴スキルとかないから!聞こえてるから!

このままでは確実にBAD ENDになってしまう。

 

「な、なぁ。悪かったって。ここにいるのもなんだし、猫でも見に行くか?」

 

「…そうね。元はと言えばそのためにここに来たのだし、行きましょうか。…調教は後でも出来るものね…。」

 

駄目だ。助かってない。

終わったら速攻で帰ろうと思いながらも雪ノ下とともにホールへ向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




4話目になります。
ゆきのんです。
まず初めに思ったよりも長くなってしまいそうだったので話を分けたいと思います。ごめんなさい。
ゆきのんがヤンデレを発揮するのはここからです。
お楽しみはこれからだ‼︎ってやつですね。
次の投稿までしばらく時間がかかりそうです。
続きを待ってくださっている方には申し訳ありませんが今しばらくお待ちください。
感想をくださった方々、ありがとうございます。
今のところ戸塚、めぐりん、さーちゃんは出そうと思っております。出番までもうしばらくお待ちください。
応援のメッセージがとても励みになっております。
長くなりましたが今後ともよろしくお願いします。


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その5 雪ノ下雪乃

 

ホールの中に入って行くと

ブースごとに様々な動物が所狭しと並べられている。

犬や猫なんかはもちろんのこと、鳥類や爬虫類のブースもあるようだ。

まあ、こいつと行動を共にする以上向かうブースは一箇所しかないんだがな。

 

 

その5 雪ノ下雪乃

 

 

猫のブースに着いた途端、子猫をもふり始める雪ノ下。

たしかアメリカンショートヘアっつたか?あの種類。

あれだけ真剣に猫を愛でる人間が他にいるだろうか?いや、いない。(反語)

 

「ねこ…ねこ……。…にゃー……。」

 

あっ、鳴いた。今この子鳴きましたよ奥さん。猫よりもこいつの方が可愛いと思うのは俺だけか?

 

雪ノ下と子猫に癒されていると、後ろから声をかけられる。

 

「すいません…。ひっ⁉︎あっ…と、その…ここにアメリカンショートヘアっていますか?」

 

俺の目に驚いたのか悲鳴を上げた女性。

ちょっと?話しかけといて悲鳴をあげるってどういうことだよ。そんなに俺の目は腐ってんのかよ。

 

「あぁ、それならちょうど今こいつが…」

 

そう言いながら雪ノ下を見るとラストスパートに入ったようで、これまで以上に熱を入れて猫をもふっている。そんなにもふったら猫怒るぞ。

だが、猫にはその気力も残っていないようで、されるがままになっている。

 

ふと女性を見ると、案の定引きつった笑みを浮かべていた。

そりゃあこんだけ真剣に猫をもふってるやつを見たら誰でも引くわな。

雪ノ下がこういうやつだと知っている俺でさえ未だに引いてしまう。

一切の妥協を許さない雪ノ下。

流石雪ノ下!俺たちにできないことを平然とやってのけるっ

そこにシビれる!あこがれるゥ!

 

このまま放置すると流石に猫が気の毒だと思い、雪ノ下に声をかける。

 

「おい、雪ノ下。その辺にしとけよ。お前の次にもその猫見たいって人がいるんだから。」

 

そう言うと正気に戻ったのか雪ノ下はしばらく逡巡した後、立ち上がりこちらに向かって歩いてくる。

…なんか雪ノ下の目が怖い。猫に癒されてきた者の目とは到底思えないんだが。

 

「待たせたわね。すいません。つい熱中してしまって。私たちはもう帰りますので。」

 

そう言って軽く頭を下げると雪ノ下は俺の手を取り歩き出す。

 

女性は突然の雪ノ下の身の変わりようについていけないようでしばし惚けていた。

 

その間俺は別の事を考えていた。

…雪ノ下が猫を前にして帰るだと?

まぁ帰れるに越したことはないが。

 

そう思い雪ノ下に連れられていくとどう見ても入り口とは逆方向の人気のない方に進んで行く。

…どうやったら一本道で来たのに逆方向行っちゃうんだよ。

 

「おい、雪ノ下。そっちに行っても帰れないぞ。」

 

「いいえ、こっちで合っているわ。」

 

「は?そっちは入り口とは逆方向だろ?」

 

恐ろしく美しい笑顔を浮かべる雪ノ下。一体どういうつもりなんだ…?

 

直後、後頭部に衝撃が走る。

地面に倒れ振り返ると視界には黒服の男が映る。

どうやら俺はその男に背後から襲われたらしい。

 

「雪ノ…下。…これは…。」

 

雪ノ下は尚もその表情のまま佇んでいる。

薄れゆく意識の中、その狂気を滲ませた美しい笑顔だけが俺の頭から離れなかった。

そうして俺は完全に意識を手放した。

 

「ご苦労様。彼を車に乗せてくれるかしら。ふふふ…。やっと貴方とふたりっきりになれるわね。貴方はすぐに他の女に尻尾を振ってしまうのだから…。貴方と私の2人だけの部屋で、私なしでは生きられなくなるまで、私の全てを使って愛してあげるわ…。」

 

彼女の狂気に満ちた言葉は周りの喧騒によってかき消された。

 

 




5話目です。
2話連続してゆきのんです。
想定していたよりも早く投稿できました。
場面転換の都合上、次回もゆきのん回になりそうです。
他のキャラが見たいという方々。
申し訳ありませんが、もうしばらくお待ちください。

やっとヤンデレらしくなってきました。
狂気全開のヤンデレをこれからも書いていきたいと思っております。
今後ともよろしくお願いします。


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その6 雪ノ下雪乃

知らない天井だ…。

目を覚ますと俺は知らない部屋にいた。

一体何が起きたんだ?

思い出そうにもうまく思考は働かない。

ついでに言うと手足も動かせない。

なんだ?

突然の身体の異変に手足を見ると、どうやら手足をベッドに拘束されているようだ。

いや、気づけよ俺。

 

「あら、起きたようね。気分はどうかしら、お寝坊さん?」

 

そう言いながら雪ノ下が部屋に入ってきた。

…そうだ。思い出した。

 

「そうか…お前の…。とにかくこれを外「嫌よ。」……。」

 

俺の言葉は雪ノ下に遮られる。

 

「…どういうつもりだ、こんなことをして。一体何が目的なんだ。」

 

察しがついているとはいえ、聞かずにはいられなかった。

 

「ふふっ。大方は貴方の考えている通りよ。貴方はすぐに他の女に尻尾を振って…。貴方は優しいから他の女も寄ってきてしまうのでしょうね。由比ヶ浜さんも、一色さんも…本当に目障りね…。比企谷君は私のもので、比企谷君も私を愛しているというのに…。…貴方は私の、私だけのものなのだから、私の事を考えて、私だけを見ていればいいのよ。」

 

「っ…。」

 

恐怖のあまり言葉を発することができない。

 

だが、ここなら雪ノ下さんの監視カメラがあるはずだ。刺激しないように時間さえ稼げれば…

 

「それと。」

 

雪ノ下が俺の考えを見透かしたように言う。

 

「貴方の考えているような事は起こらないわよ。前もってカメラは撤去しているし、姉さんも今日は家の用事でパーティに行っているもの…。

例え気づいてここに来るとしても、どれだけ早くても1時間はかかるはずよ。

私、同じ失敗は繰り返さないの。」

 

なんだと…。

じゃあ、誰も助けには来ない…?

 

「私、言ったわよね?私の事だけを考えていればいいと。聞き分けの悪い子ね…。悪い子にはお仕置きが必要でしょう?多少痛くても我慢できるわよね。ふふっ、そんなに震えちゃって…。心配しなくても殺したりはしないわよ。それに、お仕置きの後には狂うほどに愛してあげるわ。」

 

俺は恐怖のあまり震えていたようだ。

思い出すのも恐ろしい。

以前雪ノ下の家を訪れた際に刻まれた、身体の"印"が疼く。

 

「お、おい。待てって…。お願いだ雪ノ下。考え直してくれよ。い、嫌だ!やめてくれ!」

 

「大丈夫よ…。痛いのは最初だけだから…。すぐに私の事しか考えられなくなるわ。」

 

雪ノ下が近づいてくる。

誰か、誰か助けてくれ‼︎

 

その願いが通じたのか俺の携帯が振動する。誰だ?いや、この際誰でもいい。電話にさえ出られれば…。

 

雪ノ下は俺から携帯を奪う。

 

「あら…。小町さんからね…。流石にこんな時間まで家に帰らなかったら不審に思うものね…。」

 

そう言うと雪ノ下は電話に出る。

 

「お兄ちゃん?今どこに「私の家よ。」…雪乃さん?…どうして雪乃さんの家にお兄ちゃんがいるんでしょうか…?」

 

「彼に今からお仕置きをしなければならないの。私というものがありながらすぐに他の女の所に行ってしまうのだから…。…そうだわ。お仕置きは後回しにして、貴方に私達が一つになる瞬間でも聞かせてあげようかしら?貴方が着く頃には全て終わっているでしょうね。それなら貴方も比企谷君の事をきれいに諦められるでしょう?私ったらなんて優しいのかしら…。」

 

「お兄ちゃんを……?…ふざけるな‼︎お兄ちゃんに手を出したら許さない!そんなことしたら絶対に殺してやる‼︎」

 

「ふふっ、そんなに吠えても何も変わらないわよ。妹は妹らしく、私達のことを祝福していればいいのよ。」

 

そう言うと雪ノ下は携帯をベッドの隅に置き、俺に覆い被さってくる。

 

「さあ、愛し合いましょう…。貴方のかわいい声を妹さんにも聞かせてあげて…?姉妹になるんですもの…。お零れぐらいは分けてあげないと可哀想だわ。」

 

ここまでか…?

俺は雪ノ下のものになってしまうのか…?

 

俺が諦めかけていると不意に扉が開いた。

 

「そこまでよ、雪乃ちゃん。」

「先輩から離れてください。」

 

この声は…雪ノ下さんと一色?

なんでここに…?

 

「姉さん…?どうして…。今日はパーティのはずじゃ…。」

 

「そのつもりだったんだけどね…。小町ちゃんから電話があったのよ。比企谷くんが危ないって。」

 

「そんな…じゃあ…さっきのは…」

 

「ただの時間稼ぎですよ。小町ちゃんが来るには時間がかかりすぎてしまう。だからああやって気を引いて、その間にわたし達が来たんです。」

 

なんだ…?一体どうなってんだ?

だが、どうやら雪ノ下さん達は俺を助けに来てくれたらしい。

 

「せんぱいを監禁したいという気持ちは大いに共感できますが、だからといって許すことはできません。」

 

「そうね、やりすぎよ。雪乃ちゃん。このことはお母さんにも報告するからね。」

 

俺が目を開くと雪ノ下が雪ノ下さんに拘束されていた。

雪ノ下さん強すぎでしょ。

 

「せんぱいっ、大丈夫ですか?こうやって縛られてるせんぱいもなかなかに煽情的なんですが初めてが他の女の家とか吐き気がするので責任を取ってせんぱいの家で初めてを貰ってくれないと嫌です。ごめんなさい。」

 

最後にぺこりと可愛らしく頭を下げると俺を拘束していた枷を外す一色。

だからなんでヤンデレにも振られてんの俺。

助かったという安堵からかこんなことを考える余裕も生まれたようだ。

 

 

*****

 

 

一悶着を終え、マンションの外に出る。

雪ノ下さんが家まで送ってくれたようで車を手配してくれるらしい。

 

「ありがとな、一色。それに陽乃さんもありがとうございます。」

 

「ううん、こちらこそ雪乃ちゃんが酷いことをしたね。1度ならず2度までも…本当にごめんね?」

 

「いえ、雪ノ下さんは何も悪くないじゃないですか。謝らなくていいですよ。」

 

「それと…雪ノ下のことなんですが……」

 

「ああ、それなら心配しないで。もうすぐ家の者が来るだろうし、そしたら「いえ、そうじゃなくて…。」…何かな?」

 

鋭い雪ノ下さんの目に怯んでしまう。

 

「まさか、雪乃ちゃんのことを報告するなとか言わないよね?…もしそうだとしたらきみはどれだけ優しいんだろうね…。あんなことをされて、その張本人を許そうだなんて。」

 

「…そうなんですか?せんぱい。やっぱり雪ノ下先輩に何か「違うんだ、一色…。」……何が違うんですか。せんぱいを見てたらそんな風には思えませんよ!だって、自分を監禁しようとした人間を許すなんて…。」

 

雪ノ下さんと一色は納得がいかないようで不満を撒き散らしている。

 

「その…なんていうか…。こいつは俺のことが好きでこんなことをしたんだろ?そりゃあ怖かったし、今もまだ恐怖が残ってる。「なら…」でも‼︎」

 

一色の言葉を遮り、俺は続ける。

 

「でも、俺なんかをこんなに好きになってくれた人間をどうこうしちまうなんて…俺にはできない。」

 

「…いいの?雪乃ちゃんを放っておいたら、また同じことをするかもしれないよ?今度はもっと周到に、誰もこない廃墟にでも攫われちゃうかもしれないよ?」

 

雪ノ下さんの言うことは最もだ。

自分でも甘い、馬鹿な考えだと思う。

雪ノ下を放置すればいつまたこんな目にあうかも分からない。

今回、前回は運良く助かったが、次は助からないかもしれない。

 

でもこれが俺の、比企谷八幡の本心なんだ。

だから、この気持ちに嘘はつきたくない。

 

「ええ、いいんです。それに…。」

 

 

 

「それに、もしまた何か起きても雪ノ下さんや一色たちがきっと助けに来てくれますから。」

 

きっと彼女達なら俺のことを助けてくれる。今回のように。

女の子に助けられるというのはちょっと癪だが。

 

「………あははっ。…そうかそうか。やっぱりきみは面白いね、比企谷くん。…うん。きみがそこまで言うなら…、今回は私からの厳重注意にとどめておくよ。」

 

良かった…。

雪ノ下さんの厳重注意とか超怖いけど罰だと思ってくれ。

 

「でも、油断しちゃだめだよ?次はガハマちゃんかもしれないし、ここの一色ちゃんがきみに同じことをしないなんて保証はないんだから。」

 

そんなこと…ないとは言い切れんな。うん。割と近いうちに起こりそうで怖い。

 

「そうですね…。肝に命じておきます。」

 

「それと…」

 

ん?まだなにかあるのだろうか?

 

「助けてあげたってことで今度お姉さんとデートしてね。」

 

…は?

 

「あっ、ずるいですよ、はるさん先輩。せんぱい、わたしともデートしてくれないと嫌です。…デートしてくれないと監禁しちゃいますよ?」

 

お前もかよ⁉︎

っていうかお前が言うと冗談に聞こえねえよ。…いや、冗談だよね?

 

「お兄ちゃーーん!」

 

ん?この声は…。

振り返ると思っていた通り小町がこちらへ向かって走ってくる。

 

え?この時間に家から走ってきたの?やだ、俺超愛されてる。

 

その勢いのまま俺に抱きついてくる。

…すっげえ痛いんですけど。

まあ心配かけちまったし、このくらいならなんてことないか。

 

「陽乃さんにいろはさん、兄を助けていただきありがとうございます。」

 

そう言って頭を下げる小町。

 

「でもこれとお兄ちゃんとは関係ありませんからね。

これにかこつけてデートなんて小町が許しません!」

 

あれ?まだその時小町いなかったよね?なんで聞こえてんだよ。

 

「はぁ…。小町。今回助けてもらったのは事実だし、1回だけなら俺は構わねえよ。」

 

そう言い小町の方を見る。

 

あれれー?おかしいぞー?小町からどす黒いオーラが見えるぞー?

思わず某名探偵の子どもみたいになっちまったよ。

 

「お兄ちゃんはこの人達を選ぶの…?小町のこと愛してるって言ったじゃん…。…あれは嘘だったの?」

 

ハイライトさん仕事して!

まだお前の仕事は終了してないぜ‼︎

 

…こうなったらやることはひとつしかない。2人の前でやるのは些か恥ずかしいが仕方ない。

 

「小町…。心配しなくても、俺はお前のことを世界で1番愛してるからな…。」

 

「あわわわわ…お兄ちゃ……ふみぃ…。」

 

八幡の全力攻撃!

効果はバツグンだ!

小町は倒れた。

 

「うわぁ…せんぱいが…。……小町ちゃんずるいなぁ…。」

 

「あの比企谷くんがこんなことするなんてねぇ…。」

 

なんか言われてるが気にしたら負けだ。

俺が何をしたかって?それは神のみぞ知る。いや、ここにいる4人は知ってるな。

 

 

こんなことをしているうちに陽乃さんの呼んだ車が来る。

2台呼んでいてたらしく小町を片方の車に乗せる。

 

「本当にありがとうございました。一色もありがとな。じゃあな。」

 

陽乃さんと一色に改めてお礼を言い、別れを告げる。

俺が乗ったのを確認すると運転手は車を出した。

 

やっと帰れると思うと、どっと疲れが押し寄せてきた。本当に長い1日だった。彼女達が助けに来てくれなかったらどうなっていたことか。

 

「お前もありがとな。」

 

寝ている小町に礼を言いながら頭を撫でる。

幸せそうに寝るなぁこいつ。うん。可愛い。

 

小町を撫でていると睡魔が襲ってきた。流石に体力が限界でうつらうつらと船を漕いでしまう。

 

 

ふと、頭に考えがよぎる。

そういえば、どうして小町は俺が雪ノ下の家にいることが分かったんだろうか。

 

限界を迎え、俺はそのまま眠りについた。

 




6話目です。
やっとゆきのんの話が終わりました。
書いている視点からだととても長かったように感じます。
感想ありがとうございます。
返信が遅れてしまい申し訳ないです。
次回もよろしくお願いします。


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その7 戸塚彩加

 

 

激動の土曜を終え、今日は日曜日。

いつものようにプリキュアを見ようと思っていたが昨日の疲労が想像以上に酷かったようで起きた時には10時を回っておりすでに後の祭りだった。

はぁ…不幸だ。

そういえば、昨日車の中で寝る前に何かを考えていたような気がする。うーん…思い出せん…。

まあ忘れてしまったということはそれほど重要なことでもなかったのだろう。

 

小町も昨日の今日で疲れているのだろうか珍しく起きてこない。

…たまには俺が作ってやるか。

まだ少し重い体を引きずりながら俺は台所へ向かい朝食を作り始める。

簡単なものでいいだろうと思いベーコンと卵を適当に焼き、皿に移し野菜を盛りつける。

4人分の食事を作り終え、自分の分の食事を食べる。自分で作ると嫌いなもの入らないからいいよなぁ。まあそれ以上に働きたくないんだが。

そういえば昨日は1日外出しててマッ缶を飲んでないな。

マッ缶を手に取り口に含む。

この甘さが五臓六腑に染み渡るぜ…。ただでさえ人生ブラックだってのにヤンデレへの心労のせいかいつも以上に美味しく感じるな…。マッ缶最高!

 

半分ほどマッ缶を飲むと机の上にマッ缶を置き書庫から幾つか本を見繕い再び椅子に座る。

本を読みながら適度にマッ缶を啜る。思えばこんな静かな時間も久しぶりだ。っていうかさっきからマッ缶って言い過ぎじゃない?俺。ゲシュタルト崩壊しちまうよ。

 

そんな俺の休息も長くは続かないようで、小町がリビングに入ってくる。

昨日と同じ手錠を持って。

 

「お兄ちゃん、おはよう。リビングに居たんだね。部屋に行っても返事がなかったからてっきり無視されてるのかと思っちゃったよ。」

 

おいおい、何を言ってるんだこのマイシスターは。俺がそんなことをするはずがないだろう。だからその手に持っているものをすぐに置きなさい。ポイッてしなさい。っていうかあれは昨日小町を気絶させた後に片づけておいたはずなんだが。

 

「お、おう小町。おはよう。俺がそんなことするわけないだろう?飯は俺が作っといたから勝手に食っとい「お兄ちゃん!食べさせて!」…はぁ…しょうがねえな。でもその手錠はどっか置いてこいよ。」

 

「あ、ごめんね。怖かった?昨日の事を考えたらすぐにでもお兄ちゃんを小町のものにしなきゃって思ったんだけど…。」

 

可愛い顔で何恐ろしいこと言ってんのこの子⁉︎そんな可愛い顔してもお兄ちゃんは監禁なんてされてあげませんからね!…ちょっといいかなとか思ってないからな。

 

小町は俺と食事を摂る時は必ず食べさせてもらおうとする。なので俺は普段からなるべく食事の時間を意図的にずらすようにしている。わざと時間をずらすことでこういった要求をされないようにしているのだ。

小町も親の前ではあの異常性を表に出さないしな。

 

「ほら、ここ座れ…って膝の上じゃねえよ。」

 

「小町はここがいいの!お兄ちゃんの温もりを感じながらごはんを食べられるなんて小町的に超ポイント高いんだからね!」

 

頭を擦りつけながら力説する小町。

八幡的には超ポイント低いけどな。

 

そんなこんなで小町に朝食を食べさせていると玄関のチャイムが鳴った。

 

「小町。友達でも来たんじゃないのか?」

 

「えぇ?今日はそんな予定はないんだけどなぁ……。…お兄ちゃんとの時間を奪う子なんて小町の友達にはいないしね。」

 

不満を垂れ流しながら玄関のモニターを確認しに行く小町。

最後の方はよく聞き取れなかったが。ほんとだよ?ハチマンウソツカナイ。

 

「あれ?戸塚さん?」

 

何?戸塚だと⁉︎天使が俺の家に‼︎

って、戸塚は今旅行中なんじゃないのか?

半信半疑の状態でモニターを見るとそこには確かに俺の天使もとい戸塚彩加が立っていた。

 

 

その7 戸塚彩加

 

 

気づいた時には走り出していた。小町の横を走り抜け、流れるような動作で鍵を開け扉を開く。

するとそこには…

 

「あ、おはよう八幡。」

 

天使がいた。

私服の戸塚かわいい。側から見たら本当に女の子にしか見えない。休みの日にも戸塚に会えるなんて最高だぜ。神様ありがとう。今日から超信じちゃう。

 

「おう。おはよう戸塚。今日は一体どうしたんだ?わざわざ家まで来るなんて…」

 

「突然ごめんね?今日は旅行のお土産を持ってきたんだ。それと、もしよかったら今から一緒に遊べないかなって思って…。」

 

由比ヶ浜の口ぶりから勝手に泊まりだと思っていたがどうやら日帰りの旅行だったらしい。

そんなことよりも戸塚からのお誘いだと⁉︎行くっきゃねえだろ‼︎

 

「そうか。ありがとな。すぐに準備するから中に入って待っててくれ。」

 

そう言って戸塚をリビングへと案内する。

リビングへ入ると小町が頬を膨らませていた。あざといなお前。

 

「小町。俺今から戸塚と出かけてくるから。」

 

「うー…………。……お兄ちゃんといちゃいちゃしたいけど戸塚さんとの仲を邪魔したらお兄ちゃんに嫌われちゃうかなぁ…。」

 

しばらく唸った後何やら小町がブツブツ言ってるが距離があるため何を言っているのかは聞こえない。

 

「うん、わかった。でも帰ってきたらいっぱい構ってもらうからね。」

 

意外にも小町は承諾してくれたようだ。小町が病んでなきゃ大歓迎なんだがなぁ…。

 

 

 

自分なりの最大限のお洒落をしてリビングへ戻る。センスがないと度々小町に言われる俺だが今日はかなり頑張ったと思う。風潮に乗っかって伊達眼鏡もかけてきたし。

 

「悪い、待たせたな。さあ行こう。今すぐ行こう。」

 

自分でも気持ち悪いぐらいに気分が高揚している。

大丈夫かな?戸塚に引かれたりしないかな?戸塚にまで距離を取られら俺は多分生きていけない。

 

様子を見ると、小町はぼーっとこちらを見つめていて、その顔は心なしか紅潮している。

 

「お兄ちゃん…その格好…。……うまく言えないけど、とにかくやばいよ。」

 

やばいのはお前の語彙力だ。大丈夫か受験生。っていうかやばいのかよ俺の格好。…なんか心配になってきたな…。

 

「戸塚…その……。おれの格好変じゃないか?」

 

ここで変とか言われたらきっと八幡泣いちゃう。

 

「うん。変じゃないよ。普段からかっこいいと思うけど今は知的な感じのかっこよさになってるよ。」

 

そう言って俺の方に歩み寄ってくる戸塚。戸塚はそのまま俺の顔に手を伸ばすと眼鏡を外した。

 

「でも、僕はいつもの八幡の方が好きだな。」

 

結婚しよう(迫真)。

なんなのこの子。俺の好感度もうMAXなんだけど。…もう戸塚ルートでいいよね。

 

「イケメンさんになったお兄ちゃん…。…だめだよ…。戸塚さんが見てるよ…。」

 

なんか赤面しながら体をくねくねさせている小町。あっ、倒れた。どうやら妄想でオーバーヒートしてしまったらしい。

しょうがない奴だな…。小町をベッドにソファに寝かせようとして気づく。

今の…戸塚に見られてるんだよな。

 

 

「戸塚…今のは…その……、ただの兄妹愛の延長であって決してやましいことがあるわけではないんだ。」

 

「え?……ぼくは気にしてないよ。小町ちゃんが八幡のこと大好きなのは知ってるし。やっぱり2人はとっても仲が良いんだね!」

 

天使は心まで天使でした。

純粋無垢ってのはこういうことを言うんだろうな…。

 

 

*****

 

 

小町を1人残して家を出る俺たち。

念願の戸塚とのデート。俺の物語はここから始まるんだ!

 

「そういえば八幡。昨日は大変だったんでしょ?」

 

「ん…まぁな。って、なんで戸塚がそのこと知ってんだ?」

 

「え?ええと…その…、由比ヶ浜さんからメールがあったんだ。由比ヶ浜さんは雪ノ下さんのお姉さんから聞いたみたい。」

 

あの人が…?妹が監禁未遂とかそういう世間体に関わることを広めるとは思えないが…。まあ由比ヶ浜には伝えておいた方がいいと思ったのだろう。つまり、悪いのは由比ヶ浜。どんどん拡散してんじゃねえよ。

 

「そっか。んで、戸塚はどっか行きたいところとかあるのか?」

 

「うーん…。ぼくは八幡と一緒にいられればどこでもいいんだけど…。」

 

嬉しいこと言ってくれるじゃねえか!あの病んだ子たちも戸塚を見習いなさい。

 

「じゃあ…。ぼくのお家はどうかな…?」

 

と…戸塚の家だと…⁉︎

 

「い…いいのか?」

 

「うん…ぼく…八幡なら……いいよ。」

 

何だろう。すっごく…うん。なんか変な風に聞こえちゃうな。それだけ俺の心が汚れてるってことか。

 

「じゃ…じゃあ行くか。」

 

「うん!…その……手を繋いでもいいかな…?」

 

とつかわいい。

ほんとなんで戸塚ルートないの?戸塚が男で女はヤンデレって。この世界バグってんの?待てよ…。戸塚も女だったらヤンデレになるのか…?

戸塚のヤンデレなら見てみたい気もするがやっぱり監禁はごめんだな。うん。

 

 

 




7話目です。
戸塚が出てきました。まだ黒い所はあまり見えませんね。
戸塚もゆきのんと同じように何話かに分かれそうです。
年内の投稿は恐らくこれが最後になります。
年始もいつ頃の投稿になるか分かりません。
というか年が明けたら一気に投稿ペースが落ちそうです。
先に謝っておきます。ごめんなさい。
最後にこの作品を読んでいただいているみなさま。これからもよろしくお願いします。
それでは、良いお年を。


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その8 戸塚彩加

 

家を出てから十数分が経過した。俺は相変わらず戸塚と手を繋ぎながら歩いている。緊張して手汗がすごいことになるかと思いきや、女の子と触れ合うこと(強制)があまりに多かった俺はそのような事態に陥ることはなかった。…多分。きっと大丈夫だと思う。

 

そのまましばらく歩くとある家の前で戸塚が止まった。どうやら家に着いたようだ。何だかここに着くまでやたらと曲がったり明らかに遠回りをしていたような気がする。戸塚は意外と方向音痴なのかな?なにそれかわいい。

 

「着いたよ、八幡。ここがぼくのお家だよ。」

 

戸塚の家は黒い屋根で白の壁にグレーのレンガを組み合わせた洋風のオシャレなもので、ザ二階建てという感じだった。俺も戸塚とこんな家に住んでみたい。

 

「ちょっと待っててね。今鍵を開けるから。」

 

そう言うと戸塚は鍵を取り出し扉を開く。そういえば田舎の方だとわざわざ鍵をかけたりしないんだよな。長崎の離島には鍵かけてても家に入り込んでくる小学生や中学生がいても問題にならないぐらいだからな。なんならそれが普通なまである。田舎すごい。

 

「ほら、八幡。どうぞお入りください。」

 

冗談めかして俺を促す戸塚。敬語の戸塚もいいな…。メイドさんとして雇いたいくらいだ。

…そうか。その手があったか。そしたら毎日戸塚と一緒にいられるしメイド姿の戸塚も見られるし動かなくてもいいし。おいおい一石何鳥だよそれ。

 

「お邪魔します。」

 

そんなことはさておき家に入る。

久しぶりに言ったなこの言葉。最後に言ったのは一体いつだったか…。思い返してみると………2週間ほど前に断りきれず由比ヶ浜の家に行った時以来か。なんだよ、割と最近じゃねえか。

 

「ただいま。」

 

戸塚がそう言っても家の中からは応答がない。おいおいあの戸塚がただいまって言ってんだから返事しろよ両親。あ、両親も戸塚だな。つっても戸塚は両親に愛されてるみたいだし無視をしている訳ではないだろう。考えられるのは気づいていないのか、或いは…。

 

「なあ、戸塚。もしかして今両親って…。」

 

「うん。いないよ。実はお父さんもお母さんも急な用事ができちゃって。それでお泊まりするつもりの旅行が急遽日帰りになっちゃったんだ。だから…今日は八幡と2人っきりだね…。」

 

なに⁉︎

戸塚と2人っきりだと⁉︎

いや今までも2人っきりだっただろとか思うかもしれないがちょっと待って欲しい。室内と屋外じゃ全然気持ちの持ちようが違うだろ?密室で2人っきりって表現するだけでなんかエロく感じるのと同じだ。

 

「そうだな。彩加と2人っきりだな。」

 

さり気なく名前で呼んでみる。調子乗んなって?千葉なんだから調子に乗ったっていいだろ。実際には調子の方が乗っちゃってるけど。

 

「…嬉しい。また名前で呼んでくれたね、八幡。」

 

そう言って顔を綻ばせる戸塚。

おいおいなんだよ、まるで付き合いたての恋人同士みたいなやりとりじゃねえか。俺は誰かと付き合ったこととかないからよく分からないけどな。

 

「じゃあお部屋に案内するね。こっちだよ、八幡。」

 

そう言うと戸塚は階段を上って二階に上がって行く。階段を上り終えるとふた部屋あるうち右の部屋の前に歩いていきその扉を開ける。

 

「ほら、八幡。ここがぼくのお部屋だよ。」

 

戸塚の部屋は可愛らしいカラフルな家具で彩られていた。そこらの女子なんかよりよっぽど可愛い部屋なんじゃないだろうか。少なくとも雪ノ下なんかよりは絶対可愛い部屋だ。名は体を表すというが部屋まで表すこともあるんだな。

 

「八幡…。あんまりじろじろ見られると…、ぼくも恥ずかしいよ…。」

 

どうやら自分でも気づかないぐらいがっつり見ていたようだ。戸塚の部屋ならしょうがないよね。なんかいい匂いもするし。

 

「お、おう。すまん。」

 

「もう……。いくら八幡だからって恥ずかしいんだからね…。」

 

恥ずかしがってる戸塚もかわいいです。八幡的に超グッときます。ほんと戸塚は俺のオアシスだぜ……。

そうだ、戸塚にならあいつらの事を相談できるんじゃないか?

だが、天使をこんなことに巻き込んでいいのだろうか。

 

「じゃあぼく飲み物とか持ってくるから適当に座ってて。…勝手にクローゼットとか開けないでよ?」

 

俺が相談しようか迷っていると戸塚はジト目でそう言った後部屋から出ていった。可愛い子のジト目っていいよな。

 

 

 

戸塚の部屋に1人。初めての体験に俺はいつになく落ち着きがない。ガハマさんもびっくりなぐらいキョロキョロしてる。なんならそのうちクエクエ鳴きだしちゃうまである。

身の置き場の無い俺はそのまましばらくクエクエし、違う。キョロキョロしていると机の上のパソコンの電源が付けっ放しになっていることに気づく。ヘッドホンも繋ぎっぱなしだ。

マウスを動かすとモニターが明るくなり画面が表示された。どうやら何か音楽のアプリケーションが開いてあるようだ。

戸塚は普段どんな音楽を聴いているんだろう、好奇心からヘッドホンをつけ、表示されている3つの曲のうち適当に2Lというものをクリックする。…が、音楽は一向に流れてこない。パソコンには2L再生中という表示が出ているにもかかわらずだ。

 

「あれ?」

 

不思議に思い今度は1Rというとこをクリックしてみる。っていうかさっきから曲名が意味不明なんだが。目の前には三曲の意味不明な楽曲‼︎ちなみにもう一つのタイトルは3Bだ。金八先生かよ。一八先生はそろそろ怒られるぞ。

 

「…ちゃ…の……ド。……ち…きに……ント…いよ…。」

 

なんだ……?…喋り声か?それにしてもどっかで聞いたことあるような…。何にせよ音が小さくてよく聞こえないな。

そう思いボリュームを上げていくと

 

「はあ…はあ…。お兄ちゃんの制服…。小町の匂いが染み込んだ制服を着てお兄ちゃんが学校に…これはもうお兄ちゃんと一つになってると言っても…」

 

慌ててヘッドホンを外す。何してんだよ小町。なんか制服から甘い匂いがすると思ったらお前の仕業か。ってそんなことよりもなんで小町の声が…?

……俺の家に…?……だがどうして…。

……まさか戸塚も…。

 

「八幡ー、手が塞がってるから扉開けてー!」

 

戸塚の声ではっと我に帰る。慌ててモニターを元に戻して応答する。

 

「お、おう。今開ける。」

 

「ありがとう、八幡。…勝手に漁ったりしてない?」

 

戸塚がオレンジジュースとコップ、チョコレート菓子を乗せたお盆を持って入ってくるなり不審げな表情で俺を見る。

先ほどの衝撃が強すぎたせいか、疑いを持ったジト目と膨らんだ頬という普段の俺ならとつかわいいと思わずにはいられないコンボを前にしても俺の心は癒されなかった。いや、かわいいんだけどね?

 

「あれ…?八幡もしかしてパソコン触った?」

 

まずい。いくら画面を消しておいたとはいえ、丁寧に置かれていたヘッドホンは小町の声が聞こえた衝撃で外したため乱雑に置かれているのだ。気づかないわけがない。

 

「ねえ…八幡…。本当のことを教えて…?」

 

…何だろう。戸塚からすっごく黒いオーラみたいなのが見える。雪ノ下さんの黒さにも負けてないんじゃないかこれ。正直超怖い。

 

「あ、ああ。その…パソコンの電源が入ってたみたいで、つい気になってな。」

 

「ふぅん……。…何をしてたの?ヘッドホンを使ってたみたいだし何か聞いてたの?」

 

「…音楽のアプリが開いてあったから戸塚が普段どんな曲聞いてんのか気になってな。…それで、聞いてみたんだが何も流れてこなかったんだ。だからちょっと怖くなっちまって慌ててヘッドホンを外したんだよ。」

 

戸塚に真実を告げるのが恐ろしくなった俺は咄嗟にそんな嘘をついた。なんか俺浮気がばれた夫みたいになってんな…。

 

「そうなんだ…。ありがとね八幡。正直に言ってくれて。でも次からはこんなことしちゃダメだよ?誰にだって見られたくないものがあると思うし、八幡も勝手に秘密にしてるものとか見られたら嫌でしょ?」

 

「……そうだな、すまん。戸塚の言う通りだ。…親しき仲にも礼儀ありって言うしな。俺が悪かった。」

 

あの厨二病の頃のノートとか見られたら恥ずかし過ぎて死んじゃうだろうしな。

 

「うん。じゃあもうこの話はおしまい。飲み物とお菓子持ってきたから一緒に食べよ?」

 

やっぱり戸塚は戸塚だな。

一旦あの音声のことは頭の隅に押しやって戸塚との時間を堪能する。まだ恐怖は残っているが、それ以上に戸塚との時間を楽しみたいからな。

 

戸塚に注いでもらったオレンジジュースを一口飲む。…なんだ?変な味がするな…。市販品だろうし変な商品を売るとは思えないが…。

 

「なあ、戸塚。これ…」

 

その後の言葉を発することは叶わず、そのまま倒れ伏した。なんだ?身体が動かない。

……もしかして、ってかやっぱり戸塚もヤンデレなのか…?

戸塚のヤンデレとか最高じゃねえか。むしろ推奨しちゃうまである。

 

「どう?八幡。身体、動かないでしょ?少しの間身体が麻痺してるはずだよ。いつも八幡ぼくに結婚してくれって言ってたでしょ?八幡、ここで一生ぼくと一緒に暮らそう?でもその前に逃げ出せないように縛っちゃわないとね。本当はこんなことしたくないんだけど小町ちゃんの言うように八幡はすぐに逃げ出しちゃうから。大丈夫だよ八幡のお世話はぼくが一生見てあげるから。」

 

ごめん、やっぱりさっきのなしで。

戸塚ならかわいいからいいかなって一瞬思ったけど病んだ愛情と監禁とかはまじで無理なんですごめんなさい。

どうやら今までの経験から、俺にはまだあざとい後輩の真似をするくらいには余裕があるらしい。それとやっぱりさっきのあれは盗聴だったのか?小町との会話も筒抜けみたいだし。…いつの間に。

そんなことを考えているうちにも戸塚が手錠を俺の手足につけベッドに括り付ける。戸塚って腕立て伏せ5回しかできないんじゃないのん?よく俺を運べたな。っていうかそろそろ危機感持てよ俺。

まああのヤンデレ達だ。きっと誰かしら助けに…

 

「そういえば、ぼくのお家は誰にも教えてないから誰も助けには来れないよ。」

 

え?マジで?ちょっと戸塚きゅん用意周到すぎでしょ。ってまた俺心読まれたのかよ。うわっ…私の心情、読みやす過ぎ?

…あれ……なんかだんだん眠く……。

 

「…やっと薬が回ったみたいだね。あはは、寝ちゃってる。…普段はかっこいいけど、こうしてると可愛いね。猫みたいだよ、八幡。」

 

少年は拘束された少年に覆い被さるようにもたれかかると頭を撫でながら眠りについた。

 

 

 

*****

 

 

「んー…、つっかれたぁ……。」

 

お兄ちゃんの私物を一通り堪能し終えた小町は自分の机で受験勉強をしながらそう呟いた。

早く受験終わんないかなぁ…。お兄ちゃんとの学園生活のためにも勉強をしなくちゃいけない。そんなこと分かっててもやっぱり勉強は小町にとって苦痛なものだ。

…ちょっとお兄ちゃんの動向でもチェックしようかな。そう思いパソコンの電源を入れる。お兄ちゃんは今頃戸塚さんと何してるのかな…。

小町のパソコンにはお兄ちゃんの位置情報が1時間毎に更新されるようになっている。どこに居て、どこを通ってそこに行ったかまでバッチリだ。

あれ?位置が全然変わってない。戸塚さんの家にでもいるのかな?なんか嫌な予感がするけど…。

 

「まあ戸塚さんなら大丈…」

 

そこまで言いかけて考えてみる。

戸塚さんはお兄ちゃんのことが好きなはず。それは小町から見てもよくわかる。でもそれは友達として?それとも…。

 

「いやいや、だって戸塚さん男の人だよ。ありえないって。」

 

そんな風に言葉に出しても1度考えてしまうと嫌な方にばかり考えてしまう。それにお兄ちゃんの周りには小町も含めてありえないような人ばかりが集まってるんだよね…。

 

「…念のために行ってみようかな…。お兄ちゃんにも会えるしね。あっ、今の小町的にポイント高い!」

 

小町はそう言うと戸塚さんの家に向かった。

ヤンホモなんて小町は認めないからね、お兄ちゃん。

 

 




8話目です。
戸塚です。次ぐらいには終わるかなという感じです。
書いてる途中にちょっとしたハプニングが起きたりしましたがなんとか投稿できて一安心です。
ようやくキャラソンを買ってきて聞いている今日この頃。
いろはすがあざとかったり、安定の戸松さんだったり、
葉山の合いの手がいちいちかっこよくてイラっとしました。

次回の投稿は未定です。
多分センター試験が終わってからになると思います。
遅くなってしまいますが次回もよろしくお願いします。


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