ブランクワールド・オンライン (東條九音)
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プロローグ

初めてで至らない点が、多くあると思いますが、よろしくお願いします。

追記:修正を入れました。


 とあるプログラマーの部屋、此処であるVRMMORPGが公開されようとしていた。

 その人物は、長年の夢であったVRMMOが実装されてから、今まで培ってきた技術を注ぎ込み、自らが思い描いたゲーム世界を作り上げたのだ。

作り上げたゲームはテストも終えており、何時でも世に公開する事が出来る状態となっていた。

 その公開直前のゲームの名は、『Blank World Online』と言い世間では変わったゲーム、机上の空論の様な仕様だと言われていた。

 

 通常のゲームは、キャラ制作をするとき、種族を選び、スキルを選んでアカウント登録が完了する。

 その時、種族能力や、スキルの効果は初めから決まっている。

 

 しかしBWOでは、アカウント登録をする際、種族やスキルを選ぶところまでは、他と変わらないが、その先は違っていた。登録された情報を基にし、AIが種族能力やスキルの効果をランダムで製作するのだ。

 

 たとえばネーム入力後、性別選択・種族選択・職業選択・スキル選択をするとしよう。容姿については、自動制作か各自で制作をするかを選べる。

 問題となるのはこの先だ。種族とスキルは選択式となっており、メジャーものからマイナーのものまである。

 その中から「獣人」職を「鍛冶師」にし、スキルに「魔法」を選ぶとする。

 

 まず、選択された種族と容姿を基に、AIが種族能力を作り出す。「獣人」で容姿が犬のようなら、その特徴を使った能力が制作される。

 

 次に、「鍛冶師」の職を選ぶと通常、『武器や防具などを作れる』と言うスキル効果を得るだろう。

 しかしBWOでは、AIが「鍛冶師」を、「武器師」「防具師」と別々に部類しさらに、武器なら刀を作る事が、防具なら盾を作る事が得意、と言ったように作る。つまり ほとんど、その道のプロのスキルになる。

「魔法」も、炎・水・雷・土とあるとすると、通常は相性の関係で炎・土しか初めは使えないが習得レベルが上がると他にも使えるようになるだろう。

 

 だがこれについても、AIが選択した一種類の属性しか使えない。

 もしほかの属性の魔法が欲しいのなら、スキル習得時に「魔法」を選ぶと、新たな属性の魔法をAIが製作し習得する事ができる。

 

 つまり、同じ種族や、同じスキル名であっても、全く違う能力・効果を持つキャラが出来上がると言う事だ。

 BWOの情報は、アカウント制作の詳細とタイトル以外は何もないため、ネットゲーマーの中では、名前の通り空白な世界、謎が多すぎると言う事で、一つの都市伝説的な扱いになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかしまぁこのゲーム、公開に気付く人は一体どれだけの人が気付くのだろうな」

 

『気付かれる事が無いのであれば、手始めに知り合いの方にフリーメールを使って招待しましょうか?』

 

 何気なく呟いた言葉に、反応するものが居た。管理AI統括のナナだ。ナナにはAIの統括以外に情報収集・ゲームデータの管理を任せており、BWOのサブマスターとも言える存在だ。

 

「任せた。それにしても、ちっと賢く作り過ぎたかな」

 

『そんな事はありませんよ。所詮私はAIです。出来る事は限られますので、お役に立てない事も多くあります。その時、どれだけ悔しい事か』

 

 そうであったとしても、サポートをする上での、優秀過ぎる結果は変わらない。

 そもそも、ゲームバランスの調整を任せるための、補助AIとして開発されたのがナナだ。

 そこから面白半分で、言語プログラムとインターネットからの自動学習プログラムを付け加えられた結果、私と会話が出来る位の知能を身に付けて今に至るわけだ。

 

 会話が成立する様になってからは、効率も上がった。

 完成間近になり、ナナから負担を分散するための提案で、バランス用とスキル用の新たなAIを追加し、殆どは三体のAIで処理できる様になった。

 結果的に、思い描いた以上の物が出来上がった訳だが。

 

「じゃ、そろそろ公開と行こうか」

 

『ではルル、キキと共に配置に就きます。何かあれば、連絡しますので』

 

「頼むな。それと、ルルとキキによろしくな」

 

『分かりました。ですが、ご自分で言った方が、二人とも喜ぶと思いますが』

 

「そうだろうな。でも、後で会うのだから良いだろう。それじゃあ、始めよう」

 

 この答えに対してナナが、『全く、素直じゃないですね』と言っていた気がするが、その時にはすでに、現実から仮想世界に移動を開始していたため、よく聞こえなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 結果としては、製作者の心配は杞憂に終わった。気付いたものが、都市伝説通りのアカウント制作だったことを広めたことにより、その日の午後には製作者の予想を上回るアカウントが出来上がっていたのだ。

 

 かくして、空白な世界は始まりを告げ、新たな物語が、幕を上げるのだった。

 

 

 

 

 




この作品は、友人と話しているときに、面白そうだからやってみようとなり、出来た作品です。

スキルや種族の案は、私一人ではすぐに尽きてしまうので、友人と話して良い・面白いと思ったら使っています。
読者参加型なので、皆さんからのアイデアも大歓迎です。書き方としては、スキル名 効果、種族 種族固有の能力 といった具合に書いて活動報告へと送ってください。

最後に、初めての事ですので、誤字脱字や追加すべきタグなど、気付いた事があれば、ご指摘のほどよろしくお願いします。 


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第一章 2つの王国
世界の始まり


お待たせしました。
ようやく、スタートです。



始まりの町『ウォルド』のゲート広場で、赤髪の狐の男が、人を探していた。

 

男の名は、ジーク・レイア。仲間のネットゲーマーたちに、友人を紹介しようとしていたのだが、集合場所であるゲート広場に、その友人は来ていなかった。

 

そのため、その日に紹介する事を諦めて、仲間たちには、また後日機会があれば紹介する事にし、解散する事になった。

 

しかし、その友人と連絡が取れていないジークは、集合地点から他の場所は行くことが出来ず、付近を探し回っていた。

 

「全く、マキナの奴、相変わらず自由だな」

 

探し人の名は、マキナ。種族は、人間を選ぶと言っていた。

マキナとは現実でも友人であり、中学校からの付き合いだ。初めは、変わった奴という印象を持っていた。

本ばかり読んでおり、自ら周りと関わろうとしたかったからだ。

そんな奴にたまたま話しかける機会があって、趣味やゲームの話で意気投合し、なんだかんだ長い付き合いとなった。

 

このゲームに誘ったのは、マキナならきっと、気に入ると思っての事だったのだが、マキナの自由さまでは、計算に入れていなかった。一応は直前までやり取りをしていたのだが、まさか現れないとはな。

 

「やぁ、ジーク」

 

「やぁ、じゃねぇだろ。一体どこに行っていたんだよ?」

 

「ん、ただお前さんのゲーマー仲間が居なくなるのを待っていただけだが?」

 

自由すぎるのは、今に始まった事ではないから、これ以上は触れないことにしよう。

 

「それにしてもお前のアバター、ほとんど現実と変わらない様な………いや、背が若干低いか?」

 

改めて合流したマキナを見てみると、現実の姿とほぼ変わらぬ姿だった。

 

「自動製作にしたら、こうなったんだが…と言うか、ここで現実と変わらないとか言うな」

 

「おっと、すまん」

 

ブランクワールド・オンラインでは、自ら制作する以外に、運営に任せる自動制作があった。

しかし、自動で作ったのに似るって凄いな。背丈まで再現されていないのが、残念なぐらいだ。

 

「そう言えばジーク、種族とか職のスキルはどうなった?」

 

キャラ制作の事を考えていたら、マキナがスキルの事を聞いてきた。

よく考えたら俺自身、まだちゃんと確認していなっかったな。

 

「種族は『獣人族・白狐種』選んで、『白焔』って能力だった。職は『薬師』で『妙薬調合師』だったな」

 

「ふむふむ、それで効果は?」

 

「『白焔』はどうやら、幻惑系らしい、『妙薬調合師』は………ラッキー!どうやら使い魔関係アイテム調合のスキルらしい。そう言えば、お前はどうなんだよ」

 

一方的に言わされるのは、納得いかない。ここらでこちらも聞いておくべきだろう。

 

「まぁ、言っていた通り『人間』選んだよ。能力は「観察眼」で効果は、解析だって。職は「司書」で「司書長」、効果は対象の情報を、取得・閲覧するって」

 

「『司書』選んで『司書長』って、その職の上位系だろ。良かったじゃん」

 

「ま、能力とかスキルの情報をこの本に溜めこむだけで、自分で使えるわけじゃないし。選んだはいいけど、どうしよう」

 

そう言うと、一冊の本を取り出した。そこには何も書かれておらず、白書の状態だった。

 

「まぁ良いじゃないか。上手くやれば、情報屋で一儲け出来そうだし。それで、これからどうする?俺は、この後すぐにでもスキル上げに行くが」

 

「そうだね~、三十分後のセレモニーに出て見てから、決めようかな」

 

どうやら、わざわざセレモニーへ行くらしい。そんなの無くても、出たとこ勝負で良い気がするが。

それに、わざわざ確認のために、セレモニーに行って、これ以上出遅れる事はだけは、避けたい。

 

「それじゃ、ここからは別行動にするか。お互い頑張ろうぜ」

 

「賛成、その方がお互い、これ以上手の内をばらさずに済むだろうし」

 

お互いに今後の方針が決まり、フレンド登録し俺はスキル上げのため、郊外に向けて行動を開始するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ようやくゲームがスタートしました。
ここまでの細かい変更がたびたびあって、なかなか投稿することが出来ませんでした。

読者参加型なので、皆さんキャラクターアイデアがあれば、活動報告のアイデア・アイデア02へと送ってください。すべて要望どうりではありませんが、部分で採用させて戴くかも知れません。

書き方は、 種族「獣人種・狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
        「 」
                        と言った感じです。
能力やスキルの効果のイメージも、あれば書いてください。


最後に、誤字脱字がありましたらご指摘、よろしくお願いします。


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セレモニー

最後のストックを調整していたら、遅くなりました。


ジークと別れ中央広場に行くと、広場の一割が埋まる程度の人が集まっていた。

 

「相変わらず、何処も人が多いなぁ」

 

ジークと合流する前に町の中を見て回ったが、どこもプレイヤーで一杯だった。その時と比べると少ないかもしれないが、それでも広場には、十分すぎる人がいた。

 

『やぁ、プレイヤーの諸君。私の創った世界へようこそ、楽しんでくれているかい?

貴重な時間を使って、この場へ来てくれた諸君らには感謝しよう』

 

声がした方を向くと、広場上空にローブを着た人物の映像が出ていた。どうやら、顔を見せるつもりはないらしい。

 

『改めて、大体は事前情報にあった通り、種族能力やスキル効果などは全てAIが管理している。

なので、様々なスキルを習得し効果を楽しんでくれたまえ。

それではここから先は、情報に無かった事を話そう』

 

先ほどまで、雑談しながら聞いていたプレイヤー達が静かになった。やはり、未公開だった情報は誰でも気になるらしい。

 

『このBWOには、多くのダンジョンや町が存在している。ダンジョンでスキル上げや、町で商売をするのもいいだろう。

しかしながら、今存在している町やダンジョンはほんの一部に過ぎない。

なぜなら、他にいくつもの世界が存在するからだ。

ここは第一世界、テーマは「人間の世界」だ。他には、浮遊や神話をテーマにした世界とまぁ、色々用意している。

だが今の段階では、行く事は出来ない。

他の世界に行くためには、その世界での課題がクリアされる事が条件だ。課題は、諸君らのクエストの進行具合に応じて、解放される。

今回は、少し課題のヒントを上げよう。

 

この始まりの町「ウォルド」はロイヤル・ガーデン州「アイシルク王国」に属する街だ。

課題の舞台となるのはこの、「アイシルク王国」と「テール共和国」そして、「メフィス帝国」だ。

王国と共和国は長い間、友好関係にあった。

だが王国の一部の者たちは、それをよく思わず、自分たちが支配しようと考えた。 そして今では、共和国は帝国となってしまった。

 

ヒントはこの位にしておこう。残りは、クエストを進め、知っていく方が楽しめるだろう。

話を戻そう、課題がクリアされると、新たな世界に行くためにトランスポートゲートが、解放される。これを繰り返す事で、行く事の出来る世界が増えていくわけだ。

諸君らの手で、この空白な世界を広げてくれたまえ』

 

どうやら『Blank World』とは、空白な世界であり、プレイヤーたちの手で広げていくことが前提らしい。

このゲ―ムマスターは、随分と変わっているな~。まぁAIに管理を任せている時点で、分かってはいた事だけども。

 

『最後に2つ、明確なゴールが無いのも、面白くないだろう。私自身も、プレイヤーとして参加する。

そこで、私を捜し出す事をグランドクエストとしよう。簡単に言えば、かくれんぼだな。グランドクエストと言っても、特に何かがある訳では無いから期待しないでくれたまえ。

まぁそうだな、まだ話してないこの世界を創ったわけや、このBWO内の望みぐらいなら叶えようかな。

次に、ここに集まってくれた諸君らには、ささやかな贈り物をしよう。何が起こるかはお楽しみに』

 

そう言うと広場にいた全員に、アイテムが配られた。アイテム名は『引換券』だが、実体化させると券ではなく、指輪だった。その場にいるもの全員が不思議そうにしていたが、製作者の話はまだ終わっていなかった。

 

『見ての通り、それは指輪だ。それは今から3時間後に装備していた者に対して発動する。

戦闘で負ければ、権利が移動するが、圏内では戦闘が出来ないから安心したまえ。

まぁ、このセレモニーに参加していない者が狙う事は無いだろう。それに、複数手に入れたとしても、装備できていないと無効となるから大丈夫だろう。

では、以上でセレモニーを終了とする。諸君らが楽しんでくれることを祈るよ』

 

今度こそ、終わったようだ。

しかし、あの説明の感じから、これから3時間何かがあるのは確実だな。

まずは、様子見としよう。ついでに、あそこにも行ってみようか。隠れるにも丁度いいしな。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、セレモニーも無事終わったな。本格的に、私も参加しようかな」

 

プレイヤー達に混じって、セレモニーの様子を見ていたが、まぁ上出来だろう。

問題が起きたと連絡もないし、滑り出しとしては、順調だ。

 

「それにしても、予想より来ているものだね~。ナナの奴、上手い事のやってくれているみたいだしな。殺気も凄いしこれは、これから始める余興がますます楽しくなりそうだ」

 

予定では、余裕があったはずなのだが、余りなさそうだ。

まぁ余興の準備は整っている訳だし、私自身楽しんでいこうか。

三時間後の結果も楽しみだし。

 

 

 

 

 

 

 

 




誤字や脱字、キャラクターアイデアがありましたら活動報告のアイデア・アイデア02へと送ってください。


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ジークの作戦

作戦なのか、悪知恵なのか・・・
あと、新キャラ登場します。


誤字や脱字の等の改善案があれば、言って下さいね。


「ん?メールか」

 

 マキナと別れて数分もたたないうちに、メールが来た。一体誰からだろう?

 

『運営からのお知らせ

 

セレモニー終了後から三時間限定で、イベントを行います。

内容は、セレモニー参加者が持つ「引換券」と言うアイテムの取り合いです。

このアイテムは装備しているとイベント終了後、自動でアイテムかスキルのどちらかになります。

取り合いの方法は、所有者に勝利すると自動で権利が移動します。

所有数は無制限ですが、装備数の制限は二つまでです。

よって、装備されていない物は全てGになります。お気を付け下さい。

最後に、このイベント中は圏内でも戦闘が可能です。

そして、セレモニー参加者はイベントが開始される事を知らされていません。

参加される皆様、頑張ってくださいね。

 

                                 管理AI統括 ナナ』

 

運営からか、と言うか都市伝説通りAIで管理しているんだな。

感心していると、周りが慌ただしくなってきた。

どうやらメールの内容を確認し、速攻で参加を決めた連中が動き出したようだ。

確かにこれは、手に入れておきたいアイテムだしな。

 

「そうと決まれば、場所取りだな」

 

出来れば楽に手に入れたいものだが、皆必至だろうしな……

そうだ、アイツなら楽に手に入れられるだろうし、利用するか。

 

 

 

 

 

 

 

「ふ~ん、これが例のアイテムか。それにしても、本当に圏内で戦闘可能とはね」

 

セレモニーが終わって数分、広場から出てきた人の後をつけて、頃合いを見て奇襲を仕掛けてみたら、大成功!

予想通り、セレモニーに出ていた人たちはそこまで強くない。僕のスキル構成なら、一撃で仕留めることが出来るはずだね。

 

「これはいい稼ぎが見つかったね。これで欲しかった防具とか、オシャレにゴールドを使えるな~。ん?チャットがきてる」

 

これから稼ごうって時に、一体誰だろう?もしソロからだったら、後で絞めておこう。

 

『お、やっと出たな。シロ、今いいか?』

 

「ジ、ジーク⁉い、一体僕に何の用だい」

 

まさかジークからだなんって、思わなかったな。どうしよう、緊張してきちゃった。

 

『なーに、ちょっと話があってな』

 

チャットの相手は、ゲーマー仲間のシロ・フリーセン。確か種族が精人族・ハーフエルフ種で職が暗殺者、容姿は白のショートカットで、褐色・貧乳の女の子だ。

 

 

シロとは長い付き合いで、初めてプレイしたネットゲームで出会った。

お互い初めてと言う事で仲良くなり、その後も色んなネットゲームをプレイしてきた。

 

基本お互いソロプレイをしているのだが、協力が必要となった時はほぼ、シロに頼んでいる。

理由は二つ。

 一つは、付き合いが長かったから、その分お互いの癖をよく知っており、連携しやすいからだ。

 もう一つは、過去に集団イベントに参加した時、シロに話していなかったので、別々の集団になってしまった事があった。イベント終了後にシロから、今後は声をかける様に、涙ぐみながら言われたからだ。

今思えばなんで、涙ぐんでいたんだ?

 

まあ今は置いておいておこう。

 

「シロ、お前はこのイベント参加するか?」

 

『もちろん参加するよ。さっきも一人倒して、引換券手に入れたよ』

 

そう言うと、指輪を見せてきた。さすが、暗殺者をやっているだけあって、仕事が早い。

これなら安心して、提案できるな。

 

「さすがだな。そこで提案があるのだが………」

 

 

 

 

 

 

 

「提案?ジーク、一体何を考えているんだい?」

 

よし、やっといつもの調子になってきた。

それにしても、本当に何を考えているんだろう?今回のイベント関係だとは思うけど、これって個人戦だよね。

 

『勝負しようぜ。イベントの終了5分前までに、どちらが多く引換券を手に入れるかを』

 

 

なるほど、それは面白そうだね。勝負となれば、ジークが相手でも負けるわけにはいかないかな。

 

『勝った方が、山分けのうち、九割を貰えるでどうだ?』

 

「いいよ、それと僕からも提案していいかな?」

 

やっとジークの考えが、分かってきた。

おそらく勝負は、僕が勝つだろう。

きっと、楽をするために提案してきたんだろうな~。

他の人からはお金を取るけど、ジークになら、タダで分けてあげるのに……。

 

『ん?どんな提案だ?』

 

「負けた方が、勝った人のお願いを一つ聞く。いいとは、思わないか?」

 

僕が頑張って集めるのだろうから、ご褒美となる事があってもいいよね。

 

『ああ、良いぜ。それじゃあ、チャットを切ったら始め、イベントの終了五分前に、ゲート広場で会おう』

 

「うん、わかった」

 

『よし、それじゃあ始めよう』

 

そう言うと、ジークからのチャットは切れてしまった。

もう少しだけ、話していたかったな~。でも、勝てばお願い聞いてもらえるんだよね。どうしよう、何をお願いしようかな。

 

 

 

 

 

 

 

何とか楽になりそうだな。

それにしてもシロの提案を承諾したあたりから、なんか機嫌が良かったような気がするな。

 

まあ、いいや。勝負するんだから、手を抜く気は無いがな。

 

出来ればマキナを、捕まえたいところだな。アイツのスキル構成なら分かっているし、俺でも十分やる事が出来る。

 

「よし、マキナを狙いつつ、片っ端から狩っていくか」

 

 

 

 

 

 

 




戦闘シーンが、上手く書けないので今回は、戦闘しませんでした。
何とか、コツを掴まないと…

次回も戦闘は、見送りかな……




アイデアがあればぜひ、活動報告のアイデア・アイデア02へと送ってください。


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組み合わせ

戦闘シーンがうまく書けないので、予定通り流れに……


誤字や脱字の等の改善案があれば、言って下さいね。




「へー、司書の職じゃないとは入れないのか。良くできているね」

 

広場から出て向かったのは、図書館。建物の中なら様子見もしやすいし、隠れる事が出来る。

何より図書館なら、本があって退屈する事が無い。

 

「しかし一般エリアと司書専用エリアがあるのは分かるけど、司書長専用エリアって行ける奴限られるだろ」

 

到着して案内板を見ると、一階が一般開放エリア、二階が司書専用エリア、そして地下一階が司書長専用エリアとなっていた。

一体なぜ、司書長専用があるのか、気にはなったがまずは二階に行く事にした。

 

一般エリアの本の情報は観察眼の効果で、商業に関する本が並んでいると分かったからだ。

知りたいのは、商業に関するものではなく、この世界の歴史やスキルについてなので、専用エリアに行く事にしたのだ。

 

それにしても、司書長の効果と観察眼の効果はすごいな。軽く見て回っただけなのに、そのものについての情報を取得、解析してしまった。

さらに、汎用スキルの製本を使って、白書に、取得した情報ではなく、解析した情報を書き込む。これにより、よりものの本質を書き記すことが出来る。

おかげで、より精度の高い本を作ることが出来る。まさかここまで上手く、組み合わさるとは思わなかった。

 

この調子で、情報をまとめた本やスキルをまとめた本を作っていこう。

 

「っと、二階に到着か。えーっと、お目当ての本は……んー、やっぱりないかな。司書専用エリアにしては、なにもないな」

 

あったのは、一階の見取り図とウォルドの見取り図だった。

 

「それにも外が騒がしくなってきたな」

 

窓から外を見ると、いたる所で戦闘が行われていた。やっぱり、イベントが開始されたみたいだな。

残りが大体、二時間ぐらいか。戦闘に参加するかそれとも、このまま隠れるか。

せっかくのイベントだし、あと一時間様子を見ようかな。司書長専用の部屋もまだ、見ていないし。

 

「じゃ、地下に行ってみますか。まぁこの様子だと、それ程良い物は無さそうだけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『おや、固有アビリティとエクストラスキルの両方の獲得条件を、揃えている人が居るわ』

 

『予定より早いね~。ま、エクストラスキルはイベント終了後の引き換えで、条件関係なしに交換するものの、一つだから問題ないでしょ』

 

『その通りだけど、こんなに早く固有アビリティの条件を揃える人が出るのは、バランス管理を任されるものとしては見過ごせないわ』

 

『それじゃあ、マスターに報告するの?』

 

『それには及ばないですよ。確かに予想より早いですが、自力で条件を揃えているのですから、問題はありません』

 

『ですが姉さま、これではバランスが……』

 

『キキ、対象となっているアビリティとスキルは何ですか』

 

『え~っと、「神々の書庫」と「探求」です、ナナ姉。この組み合わせって、あれだよね…』

 

『ええ、マスターを含めて十人しか取得できない、神シリーズのアビリティです。

さらに、エクストラスキルの『探求』と合わせる事で、ほぼ全てのスキルを使用できる。

ですから、対策が必要だと思うのです、姉さま』

 

『ルル、確かに神シリーズは強力です。今回の組み合わせは特に。しかし、扱える器であっても、神髄までたどり着けなければ、そこまで脅威にはなりません。ですから、大丈夫ですよ』

 

『分かりました。では、このままこのプレイヤーは取得とします。そう言えば姉さま、マスターのアバター名は何ですか?』

 

『そうそう、気に為っていたんだ~。ナナ姉なら、知っているよね?』

 

『えぇ、でも言いませんよ。マスターからばらさない様言われていますし』

 

『え~、会いに行きたかったな~』

 

『確かに、会いたかったです』

 

『時間があれば、会いに来てくれますよ。さて、雑談はこのくらいにしましょう。イベント終了まで、あと一時間半。これがうまくいけば、一先ず軌道に乗ります。マスターが会いに来るかも知れませんよ?』

 

『『よし、気を抜かず頑張ろう』』

 

『ウフフ、これじゃあマスターが休む暇はなさそうですね』

 

 

 

 

 

 

 

 




次回こそ戦闘シーン出せると良いな………



アイデアがあればぜひ、活動報告のアイデア・アイデア02へと送ってください。

~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>


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シロ vs

やっと戦闘ですが、はっきり言います。
短いです。



残り、一時間半。

 

 

ジークから勝負を持ちかけられて、随分経った。

あれから更に四人倒して、引換券は五つになった。

 

僕の目的は、お金を稼ぐことだから、装備している引換券は一つ。

残りは全て、ストレージに入れてある。

 

「さーって、次のターゲットは……、お?あんな所に女の子が、一人でいる」

 

次のターゲットを探していると、白髪の獣耳の女の子を見つけた。

 

見たところ獣人族、使う武器は弓とナイフかな。

相手はまだ此方に、気付いていないみたい。

これなら、行けそうだね。

 

そう考えて、暗殺者のスキル『気配遮断』を使って、獣人の女の子に近づいていく。

 

「それじゃあ、六個目、いただ……⁉」

 

近づき、背後から一気に仕留めようとした瞬間、女の子が急に視界から消えた。

 

「ウソ!どこ行ったの」

 

「直前に声出したら、隠れてきても、意味ないよ」

 

見ると獣人の女の子は、僕の背後にいた。まさか、背後を取られるとは思ってもみなかったよ。

 

「僕は盗賊でね、『隠密』のスキルを持ってるんだ。おかげで、お姉さんの声、聞えたんだ~」

 

これは、不味ったかな。相手もかなりのやり手っぽい。

ぶっつけで使う事に為ったけど、上手く逃げ切れるかな……

 

 

 

 

 

 

 

詳しく種を明かすと、隠密の効果で声を聞き取り、種族スキルの「瞬迅」で、背後に回り込んだ。

ようは、相手に見えない速度で動いただけ。

 

相手もなかなかの、隠密を使うみたいだけど、油断しすぎだね。

 

「さて、そろそろ勝たせてもらうよ」

 

ナイフを掴み、相手の懐に潜り込み、胸に一気に突き刺す。

 

「あれ?手ごたえが無い……?」

 

確実に仕留めたと思うんだけど、どう言う事?

 

すると、刺したはずのお姉さんの姿が、揺らぎだし、徐々に消えていった。

 

「あちゃ~。僕も、詰めが甘かったって事かな」

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ~、危なかった~」

 

女の子が喋っている間に、種族スキル『幻像』ともう一度「気配遮断」を使って、その場から逃げた。

種族スキル『幻像』の効果は、名前のまま幻像を作り出す効果だ。

 

順番に言うと、まず彼女が話している隙に、幻像を作り出すと同時に気配遮断を使用。

あとは気付かれないよう、逃げるだけ。

 

ぶっつけ本番で組み合わせを試したけど、何とか逃げることが出来た。

 

彼女はきっと、僕と似たようなスキル構成なのだろう。

速度に特化すると、あそこまでなるなんて……

 

「名前、聞いておけば良かったかな」

 

何だか、また会いそうな気がするし、今度会ったら聞いてみようかな。

 

「そう言えば、時間は……」

 

確認してみると、残り時間は一時間になっていた。

 

不味い、さっきの子に時間をかけ過ぎた。急がないと目標の数までいかない。

 

「時間も無いし、集合場所を目指しながら、行くしかないかな」

 

 

 

 

 

 




対戦相手は、零兎@ユリ(黄)さんから提供していただいたキャラを使わさせて頂きました。
今回、名前はあえて出しませんでした。
今後も登場する予定なので、お楽しみに。

戦闘シーンは、今後もこんな感じになるかも知れません。
なので、みなさんの想像力でカバーしていただけると、助かります。


アイデアがあればぜひ、活動報告のアイデア・アイデア02へと送ってください。

~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>


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ジーク vs

次は、ジークの戦闘です。
やはり、戦闘シーンはうまく書けていないと思いますので、皆さんの想像力でカバーしてください。




シロと話してから、二時間ほど経ったが、手に入れた引換券は0。

 

「畜生、大半狩る側しか残ってねえな」

 

とった奴相手に、うまく立ち回れるとは考え難いしどうするか…

 

「残り時間も少ないし、次のやつに掛けるしいかないか…」

 

このまま、楽しめずに終わるのだけは避けたい。

そう思って探していると、前方に人影を見つけた。

 

「お、人発見。にしても、随分と目立つ格好だな」

 

よく見ると、着物を派手に着崩して着ている、獣人族の女だった。

おそらく、猫がモデルなのだろう。黒の猫耳としっぽが見える。

着物は着崩して着ているせいで、胸が見えそうになっていた。

 

「かなり、自分に自信があるんだろうな。大胆な格好で、あれじゃあ動き難いだろ」

 

あれなら、こちら側の人だとしても、勝てそうだ。

まずは、気配を消して近づかないとな……。

こちらの間合いギリギリまで近づくと、何かを言っているのが聞こえてきた。

 

「まったく、歯ごたえが無い奴ばかりだにゃん。もーっと、強いか面白い奴はいないものかにゃー」

 

前言撤回していいだろうか。

聞こえてくる内容からすると、色々やばい類の人物だろ……

 

やっぱり、逃げなきゃ…

 

「そこに居るのは分かっているにゃん。小細工なんて考えないで、出て来る方が身のためよ?」

 

おまけに、動物的直感の持ち主かよ………

 

 

 

 

 

 

 

見た目は美男子ね、どうやら狐がモチーフぽいにゃ。

 

「ふ~ん、意外と素直ね。お姉さん、素直な子は好きよ」

 

「そりゃどうも」

 

ほんと、今までの人たちはすぐ、逃げていくし弱いし、つまらなかったのよね。

 

「それでどうするにゃ。私と戦ってみる?」

 

「アンタみたいなのとやり合うのは、正直賢いとは言えないだろうな」

 

良い判断するにゃ。

でも、面白みには欠ける展開にゃ。

 

「でも、あえて挑ませてもらいたい」

 

ふふ、変わった子ね、挑んでくるなんて。ちょっと興味湧いたにゃ。

 

「キミ、名前は?」

 

「ジーク、ジーク・レイアだ。種族は、獣人種・白狐族だ。アンタも獣人種だろ?」

 

残念、私が求めているような、面白い人ではないにゃ。

 

でも、勝ったら教えてあげようかにゃ~。

 

「一撃でも、お姉さんに当ててみるにゃ。そしたら、教えてあげるにゃ♪」

 

 

 

 

 

 

「なら、やらせてもらう」

 

言うと同時に、動き出し右袈裟切りを放つ。

が、動きを読まれていたのか、あっさりかわされた。

 

思った通り、かなり強い。

次に放った斬撃も、その次も全てかわされた。

 

「まだまだだにゃ。次はお姉さんの番にゃん♪」

 

そう言うと、相手のしっぽが二つになった。

それと同時に、手に何か闘気の様なものも纏っていた。

 

「お、これを感じ取れるって事は、素質有りそうだね。でも、耐えられるかな?」

 

「一体な……⁉」

 

聞き返そうとした瞬間、打撃が打ち込まれた。

ギリギリのところ直刀で防ぎ、反撃をしようとした。

 

が、直刀に罅が入っている事に気付いた。

一般のもので初期にしては、耐久度が高かったのだが、見事に罅が入ってしまっている。

これ以上戦闘をするのは、危険と判断し降参する事にした。

 

「参った」

 

「にゃはは、中々楽しかったよ♪」

 

「今のはいったい……」

 

「楽しめたから、特別に少し教えてあげるにゃ」

 

勝つ事は出来なかったが、教えて貰えるらしい。

 

「私の種族は獣人じゃなくて、妖怪よ」

 

妖怪なんて種族が在ったのか。

 

「さて楽しめたし、そろそろ行こうかにゃ」

 

「名前は、何て言うんだ?」

 

「うん?私は、黒音(くろね)。また、どこかでね」

 

そう言うと、どこかへ行ってしまった。

 

それにしても、得体の知れない奴に出会ってしまったな。

っと、そう言えば時間は…駄目か、もう広場に行かないと。

結局、一つも手に出来なかったうえ、武器を無くすか。

 

 

 

 

 




アイデアがあればぜひ、活動報告のアイデア・アイデア02へと送ってください。

~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>




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イベント終了

イベント終了して、ジークとシロが合流します。


約束の時間五分前には、二人ともそろっていた。

 

「随分早かったな、シロ」

 

「そう言うジークこそ、僕より早かったじゃないか」

 

「まあ俺は、武器がこうなっちまったからな」

 

と言って、鞘から先程の戦闘で、罅が入った刀を出して見せた。

 

「あらま、派手にやられたみたいだね。それで、成果は?」

 

「く、恥ずかしながら、ゼロだ」

 

まさか、一つも手に入れる事が出来ないまま終わるとは、思ってもみなかった。

 

俺の負けが確定しているとはいえ、一応聞いてみようか。

 

「シロはどうだったんだ?あの後から、いくつ手に入れた?」

 

「僕は、六つだよ。余裕で、僕の勝ちだね」

 

「そりゃあそうだろうな。敗者が言うのは何だが、引換券の分配をして貰えないだろうか」

 

「はいはい、これだよ」

 

そう言うと、シロはリングを渡してきた。

 

何とか、確保することが出来たな。

 

「さて、あと何分で、イベント終了になるかな」

 

「ちょうど終わったみたいだよ、ジーク。これで圏内での戦闘も、できなくなるはずだよ」

 

「そうか、ならこれからどうする?」

 

スキル上げでもしに行こうかな。

 

その前に、武器を買い直さなきゃならないか。

 

「ジーク、敗者は勝者のお願いを、一つ聞く約束だろ。忘れてもらっては困るよ」

 

今後の事を考えていると、シロが呆れたように言ってきた。

そう言えば、そんな約束をした気がするな。

 

「そうだったな。それで、シロのお願いってなんだ?」

 

「うん、これから僕と、買い物(デート)して欲しいな」

 

そんな事か、武器も壊れているし、丁度いいな。

 

「良いぜ、それじゃあ行こうぜ」

 

良い武器が、見つかるといいな。

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、いこっか」

 

よし、上手くジークをデートに誘えた。

 

この後は、どうしよう。

このまま見て回ろうかな。それともジークに、新しい刀をプレゼントしようかな。

丁度、気になるお店もあるんだよね~。

 

あ、そう言えば……

 

「ねぇ、この引換券って、スキルか武器になるんだよね。いつ変わるんだろう?」

 

ストレージに入っている状態なら分かるけど、装備していないと、スキルか武器にならないわけだし。

 

「まぁ、何かあるんだろ。そう言えば、ストレージに入れていたのは、どうなった」

 

「うん、さっき確認したけど、もうゴールドに換わっていたよ」

 

確認してビックリ。ストレージの引換券四つは、400万ゴールドになっていた。

 

一つあたり、100万ゴールド。

換わる前は、1,000ゴールドしかなかったから、一気にお金持ちだよ。

 

「そうか、それでどこに向かっているんだ?」

 

「う~んと、もうすぐ着くよ」

 

こうして話しているうちに、どこに行くかは決めたんだよね~。

 

もうそろそろ、見えてくるころだと思うんだけど……

 

「お、もしかしてあそこに見え、武器屋か?」

 

「正解。この武器屋って、かなりレアな物を揃えているみたいだよ」

 

やって来たのは、始まりの広場から東商業エリアへ行って、さらに細い路地を幾つも通ってから辿り着く、ショップエリアだ。

 

「よくこんな所、見つけたな」

 

「うん、引換券持っている人を探していたら、迷い込んじゃってね。ショップだし、せっかくだから入ってみようとしたけど、イベント終了まで開かないって表示が出るから、おかしいな~って。

 

だってさ、このエリアのお店以外は普通に、入ったり買い物したりできるんだよ。おかしいでしょ」

 

イベント終了まで開かない店、これはレアな武器が売ってあるでしょ。

きっとそう、そうに違いない。

 

「ま、そうだな。んじゃ、入ってみるか」

 

そう言うとジークは、先に入っていった。

 

さて、ジークとの買い物デート、楽しまなきゃね。

 

 

 

 

 

 

 




次回は一応、買い物(デート)回です。

アイデアがあれば、活動報告のアイデア・アイデア02へと送ってください。


~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>


活動報告に、さらに詳しい例があります。


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業物?それとも

一応、買い物(デート)回です。

この話の次は、ゲームマスターとAIたちによる、今後のための会議を挟み、ストーリーが進む予定です。


店に入ってみると、特にほかの店と変わった点は、見られなかった。

 

「シロ、特に変わったとこは無さそうだが……」

 

横にいる筈のシロに声を掛けたが、返事が無い。

振り返り店内を見渡すと、シロは刀の売り場にいた。

 

シロはそこで、一本の刀をじーっと見つめていた。

探していた武器が見つかったのは良いが、なぜシロがそこから動かないのかが気になり、声を掛けた。

 

「何、見ているんだ?お前が使っているのは、刀じゃなくて、その隣の売り場の小太刀・ナイフだろ?」

 

「…ジーク。君が使っていた刀って、一般販売のだよね」

 

「あぁ、その中でも、耐久度が高い物を買った訳だが」

 

色んな店を見て、耐久度か他の物より10ばかりだが高い鉄刀を見つけ、それを買った。

 

まさか一回もメンテをする事も無く、使い物にならなくなるとは、思いもしなかった。

 

「耐久度が高かったのに、罅が入ったの?一体どんな相手と、戦ったんだい」

 

まぁ、気にはなるだろう。

 

今考えたらホント、化け物みたいな奴相手に、よく罅だけで済んだな……

 

「猫をモデルにした妖怪族の女だよ。打撃を入れられて、罅が入ったんだ」

 

「え、打撃で⁉それっておかしくないかい?いくら強くても、ただの打撃だけで、罅は入らないだろ?」

 

「ただの打撃じゃなかったんだろうな。攻撃が来る前に、しっぽが増えて手に何か纏っていたからな~」

 

「普通じゃないね。それで?その後どうなったんだい?」

 

「負けを認めた。そんでもって、自分の種族が獣人じゃなくて、妖怪だと教えて貰った訳だ」

 

「成る程~。そう言えば、名前は聞かなかったのかい?」

 

「もちろん聞いた。名前は《黒音》だって。お前も気を付けろよ」

 

いつの間にか、対戦相手の黒音の事ばかり話していた。

話をそろそろ、戻すべきだろう。

 

「話を戻すが、一般販売がどうかしたのか?」

 

「あ、うん。一般販売されている武器の耐久度って大体初期の物だと、50前後だよね。ここにあるやつ、その四倍はあるよ。しかも、一般販売と同じで値段で売ってる」

 

大体初期装備の耐久度が、50前後。

メンテナンスをしっかりしていれば、おそらく第一エリアの中盤始め位までは持つだろう。

だが四倍となると、第二か第三まで余裕で使い続ける事が、出来るだろう。

 

「つまり安い値段で、業物が売ってあるって事か」

 

「そうみたい。ジーク、お金は?」

 

「大丈夫。今の刀を売って足しにすれば、もう一つ上のランクが買えるぐらいはある」

 

まぁ、罅が入っているから余り足しには、ならないだろうな。

 

「お金は、僕が出すよ。面白い話も聞けたしね」

 

どうやら、シロが払ってくれるらしい。

助かる、と言うかアイツは臨時収入があった筈だな。

 

「そう言えばお前、いくら儲かったんだ?」

 

「ん?そんなの、秘密に決まっているじゃないか」

 

どうやら、教えてくれそうもない。

まあ、機嫌を損ねて、払って貰えなくなるよりはいいか。

 

「そうか。さてと、それじゃあ選ぶか」

 

そう言って、刀を選び始める。

前使っていたのは鉄刀。

ここには鉄刀は勿論、太刀や野太刀もある。

耐久度は、やはりどれも高い。

どうせ他人に買って貰うなら、高くて刃こぼれのしないやつが良いな。

 

「ジーク、これなんかどうだい?」

 

そういうとシロは、一本の直刀を指差した。

 

だがそれは大きく、何方かと言うと……

 

「これって、直刀なのか?太刀な気がするが……」

 

「でも、表示は直刀って、なっているよ」

 

言われて見てみると、確かに直刀となっていた。

 

「う~ん、変わってんな。まぁ良い、これにするか」

 

「いいのかい?そんな決め方で?」

 

確かに普通はダメだろう。

 

だが、この刀はどこか感じるものがある。

 

「いいさ、これで。それで、シロはどうする?」

 

「僕は、大丈夫。今回は、ジークのために来たからね」

 

「それじゃあ、お前のお願いが……」

 

「僕が頼んだのは、一緒に、買い物(デート)をしようって言ったんだよ。だから、僕がこれでいいって言ったらいいの」

 

そう言うと頬を染めながらシロは、レジへと向かってしまった。

 

 

 

 

 

 

 




アイデアがあれば、活動報告のアイデア・アイデア02へと送ってください。

そのキャラをメインに、書かせて貰うかもしれません。



~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>

活動報告に、さらに詳しい例があります。



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現状は……

話のストックは、この次の話でラストです。
一つも考えていません。その理由は、後書きにて……


内容は予定通り、ゲームマスターとAIたちの話です。


イベント終了から数日、多くのプレイヤーたちは始まりの町「ウォルド」から王都「アイシルク王国」に向けて旅立っていた。

街中での情報収集の結果、王都ではギルドを結成できると、分かったからだ。

 

ゲームマスターはAIたちと、そんな現状について話し合っていた。

傾向としては、主に三つ。

 

一つは、始まりの町周辺で、スキルアップに励む。これが大体、三割。

 

次に、王都へ向け出発、最寄りの町付近まで到着。これも、三割。

 

最後は、到着しクエストをこなす、ギルドを結成する。これが全体の、四割。

 

王都までは、二つの町と山を越える為、かなりの距離を旅する事となる。

この事から、既に王都に着いている者たちはトッププレイヤーと言えるだろう。

 

「しかし予定では、到着組は二、三割の予定だったのだがな~」

 

『まぁ、良いではありませんか。ストーリーが予定より、少し早く進むだけなのですから』

 

「その通りではあるが……。そう言えば、管理状況はどうなっている?」

 

『スキルの管理は、問題ないよ~』

 

『バランスも今は、問題ありません』

 

そうか、今は問題ないか。ん?今は?

 

「ルル、『今は』とはどう言う事だ?」

 

『はい、じつはイベントの結果、早くもマスターと同じ神シリーズのアビリティの所有者が三人、決まりました。なので、所有者が使いこなしていない今は大丈夫、と言う事です』

 

「成る程な、まあ扱いが難しいし、所有者が決まっても本人が気付かない限りは、使わないだろう」

 

と言うと、肯定するようにキキが言った。

 

『うん、所有者に気付かれないように、習得させているから、普通にスキル取得している限りは、見つからないよ』

 

それならば、大丈夫だろう。

そう言えば、どれが決まったのだろう?

 

『決まったのは、「神々の呪い」「神の天秤」「神々の書庫」ですよ』

 

「ん?声に出ていたか?」

 

『いいえ。ですが、マスターの考えている事は、分かりますよ』

 

ナナは、かなわないな。ほんと、どうしてこんなにいい子になったのやら。

 

『姉さま、ズルいです。私が報告しようとしていたのに……』

 

「まぁまあ、とにかく現状は、分かった。ルルとキキ、この調子で今後も頼むな。それじゃあ、二人は持ち場に戻ってくれ」

 

『分かったよ、マスター』

 

『分かりました』

 

さて、あと確認しなければならない事は……

 

「ナナ、現在のストーリーの進行度と、ギルドの結成率は分かるか?」

 

『勿論です。ストーリ―進行度は5%、ギルドは三割の人が結成していますね』

 

到着組が四割、そこから三割と考えると、ほぼ全員が作ったのか。

 

『私の予想では、殆どが合併するような気がしますね』

 

「ま、今後もっと増えるのだろうから、いいんじゃないか?」

 

『そうですね。我々からすれば、些細な事ですし』

 

「だな。それじゃあ、管理と二人の面倒を見るのを今後も頼むな」

 

『はい、任されました』

 

よし、それじゃあ今日もログインするか。

 

 

 

 

 

 

 




前書きで言った、一つも考えていない理由。
それは、この先からは、クエストをこなす話が中心になります。
なので、この人メインの回が欲しいと言うのを、実行しようと思います。
それと良ければみなさんも、キャラを作った時に、~ギルド所属って書いてみてください。
このゲームでは、ギルドも存在する設定ですから……


勿論、アイデアも気軽に送ってください。
そのキャラをメインに、書かせて貰うかもしれません。
その際には、活動報告のアイデア・アイデア02へと送ってください。



~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>

活動報告に、さらに詳しい例があります。


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お使い

いよいよ、物語はエリア攻略のクエスト進行になります。

そして今回は、月峰 咲姫さんから提供して戴いたキャラを使用させていただきました。


「やっと、目的の町に到着か。それで、次は如何するんだ、ユナ?」

 

「ここの酒場に、お茶の葉を届ければいいんだよ。けどソー君、ちょっと気が早いよ。まだ町が見えて来ただけだもの」

 

王都と始まりの町の間には、二つの町と山がある。

現在目指しているのが、始まりの町寄りに在る町『バーム』。

お使い系のクエストで、ウォルドからバームまでお茶の葉を届けて欲しい、と言うものを進めている。

 

「まぁーまぁ、そう言うなよ。もうすぐ到着なんだから」

 

改めて、俺はソーマ。人種で、職は侍をしている。

もう一人は、ユナ。こちらは、妖怪族・狐尾種で、職は魔法学者をしている。

 

ユナとは幼馴染で、ゲーム歴が長い俺と違って、ユナは素人。

そんなユナから、何かお薦めのゲームは無いかと聞かれ、最近話題だったゲーム『ブランクワールド・オンライン』を一緒にやらないかと誘い、今に至る。

 

最初は慣れないせいか、動きがぎこちなかったが、今は一通りの動作はスムーズに行える様になった。

 

「町の入口も見えて来たし、どっちが早く酒場に着くか、競争するか」

 

「いいけど、ステータス値でなら私の方が速いよ?」

 

「ハンデだよ、ハンデ」

 

数値では確かにユナの方が速いが、装備が和服のユナより、軽装の俺の方が、動きやすい。それに、慣れてきたと言ってもまだ初心者。負ける事は無いだろう。

 

「よーし、負けないよ。ヨ~イ」

 

「「ドン」」

 

 

 

 

 

 

結論を言おう。負けた。

油断していた訳ではない。

 

ルールを決めなかったのが間違いだった。

ユナがスキルの「変化」を使って、杖をスケート靴に変化させたのだ。

 

よって、負けた。

 

「私の勝ちだね、ソー君」

 

「そうだな、俺の負けだよ。それにしてもよく思いついたな」

 

「うん。スキルの説明を読んで、もしかしたら…って思ったんだよね」

 

なっるほど~、さすが頭の回転が速いだけはある。素人なのに早くも、スキルを使いこなしている。

それも、組み合わせときたか。

 

「でも、受付の人の反応がおかしかったよね」

 

「確かに、そうだったな」

 

ユナの言う通り、先程酒場に着いてクエストを完了したのだが、受付の反応がおかしかった。

厳密にいうと、ユナの耳としっぽを見てからの反応がおかしい。

 

「何か、獣人が如何とか言っていたよ。何かのイベントかな?」

 

「いや、イベントと言うよりストーリーに近い気がする。けど、ユナの耳としっぽに注目していた理由がよく分らないな」

 

本当に、良く分らない事がまだ多いから決めつける事は出来ないけど。

 

「あれってやっぱり、私に注目していたんだね。もしソー君の言う通りなら、これで大丈夫かな?」

 

そう言うと、ユナの耳としっぽが無くなった。

 

「どうやったんだ?」

 

「う~ん、どう言えばいいのかな?しまい込んだって感じかな?」

 

なんかいつの間にか、結構使いこなしているな。

 

「今後しばらくは、耳としっぽは隠していた方が良いかもな」

 

「ソー君がそう言うなら、そうしようかな。それにしても、これから如何するの?」

 

「そうだな~、今日はこれぐらいにしよう。今度やる時は、王都まで行ってみようぜ」

 

「うん、じゃあまた明日。学校でね」

 

 

 

 

 

 




前書き通りこの先からは、クエストをこなす話が中心になります。

なので、この人メインの回が欲しいと言うのを、実行しようと思います。その際には、活動報告のリクエストへ送ってください。

アイデアがあれば、活動報告のアイデア・アイデア02へと送ってください。そのキャラをメインに、書かせて貰うかもしれません。



~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
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温泉

クエストと言いつつ、余り良い物が思い浮かびません……
さて、どしたものか………

あ、あと新キャラ出ます。




「はぁ~、癒されるかな。シンもそう思わないかな」

 

「…うん。この依頼、受けて良かった」

 

「そうだね~。でもマスターも、酷いじゃないかな。こんな依頼が在ったのを、黙っているなんて。まぁミリーシャが、『攻略を進める方が先』って言って隠したのかも知れないけれど。マスターなら、面白そうとか言って早いうちに知らせてくれた気がするもの。それにしても、ゲーム世界なのにこんなに再現度が高いなんて、どう言う事かな」

 

「…さぁ?」

 

山のふもとに存在する町、『クーヘン』。

私たちは今、ギルド所有の温泉に来ていた。

 

私の名前は、シン。天使族・天使種で、職はシスターをしている。

もう一人のよく喋る子は、雪那(ゆきな)。魔族・吸血鬼種で、職は契約者。

 

私たちは同じギルド所属で、今日はクエストで王都から、ここクーヘンに来ている。

この町の名物は、温泉とバームクーヘン。

今回の依頼は、温泉に住み着いたモンスターを退治して欲しい、と言うものだった。

報酬は、温泉の所有権。いわば、ギルド所有の別荘。

 

私たちは先程、クエストをクリアして、この温泉を手に入れた。

敵はそこまで、強くなかった。

それにも関わらず、物件付きの大きな温泉を手に入れる事が出来た。

 

「はぁ~、ホントいいお湯加減かな。これが今後も、私たちのギルド専用になるなんて、夢みたいだよ」

 

「うん、きっと先…マスターも、喜んでくれる」

 

「ねぇシン、前から聞こうと思って入たのだけど、もしかしてシンとマスターってリアルでは、知り合いなのかな?あ、もちろんリアルの事を聞くのはマナー違反だって事は分かっているよ。でもね、どうしても聞いてみたいな~って思ってね」

 

「……先輩。それだけ……」

 

別に聞かれても、困る事では無い。

けど、出来るだけリアルの話は避けたいのも事実。

 

「へぇ~、先輩なのか~。やっぱり、リアルでもあんな感じなのかな?」

 

「それは、秘密。聞きたいなら、本人に聞けば?」

 

「まぁそれは別にいいや。そう言えば無理に、マスターって言わなくても良いんじゃ無いかな。さて、私はそろそろ上がるね。シンは如何する?」

 

「私も、上がる。雪那、せっかくだから、観光して行こう」

 

先輩に、お見上げ、買って行こうかな?

 

「そうだね。せっかくだしそうしようか。マスターや皆に、お見上げに名物のバームクーヘンを買って帰ろっか」

 

「うん。それと、別荘地の事も、報告しないと」

 

「マスターや黒音さんは喜んでくれそうだけど、ミリーシャは何て言うかな?流石に、怒ったりはしないよね?」

 

「如何だろう?」

 

ミリーシャは、少し真面目過ぎる。

まぁ、曲者ばかりのギルドだから、ミリーシャが居ると、とても助かるけど。

 

「シン~、早く着替えて、観光しに行こうよ~」

 

「分かった」

 

そう答え、私は温泉から上がり、着替えて雪那と観光へ行った。

 

 

 

 

 

 




新キャラたちは、ギルド所属です。
さて、マスターは誰でしょう?
ヒントは、すでに出てきたキャラです。



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~例~
    
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      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
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制作

今回も新キャラのお話しです。




カーン、カーン、カーン。

 

山の中腹部に在る洞窟で穴を掘る音が響いていた。

この洞窟では、鉄鉱石を取る事が出来る。

その鉄鉱石を求めて、一人のプレイヤーが山の中を掘り進めていた。

 

彼の名前は、ネズ。

獣人族・(ネズミ)種で、職がメカニックだ。

彼は自分が使う銃を制作するために、鉄鉱石を集めていたのだった。

 

「だいぶ掘ったな~」

 

そのおかげで、だいぶ鉄鉱石は集まった。

後は町に戻ってから、この鉄鉱石を使って銃を作り上げるだけだな。

 

 

彼の職業スキル『開発』は、銃を制作できると言うものだ。

この開発を使って作る事の出来る銃は、サイズによって使用する鉱石の量が違ってくる。

ハンドガン程度なら五百個ぐらいだが、大型の物になると鉱石の必要数は、二千個をゆうに超える。

 

ネズが作ろうとしたのは、大型の銃だった。

そのために山に約三日間近く籠って、大量の鉱石を集めたのだ。

自分で作るより集めた鉱石を売って、店で買う方がコスト的には得だ。

 

だがネズはそうはしなかった。

何故なら……

 

「自分で専用の物が作れるってロマンだよな~何より、愛着が湧きやすいし」

 

と言う理由だった。

 

 

 

 

麓の町クーヘンまで戻ってきた。

 

ネズは着くなり宿の借りている部屋に戻り、制作を始めた。

スキルを使用すると、メニュー表が出てきた。

どうやらこの表から作りたい銃を選んで、組み立てる事に為るらしい。

 

「サイズは、やっぱり大型だよな~。使う弾は実弾式と光学式、魔法式があるのか……」

 

どれも魅力的だよな~。

銃と言ったらやっぱり実弾が良い気もするな。

けど作るなら変わった銃が良いよな。

 

「う~ん。よし、ここは魔法式にしてみよう!」

 

項目を選択肢し制作に取り掛かる。

 

 

 

~三分後~

 

 

 

そこには、長さ150cm程の大型の銃が出来上がっていた。

 

「本当にできた………えーっと、名前が『エインレーテ』かぁ」

 

折り畳み式で、重量もかなりの物になっている。

弾はもちろん魔法弾、連射もチャージショットも可能。

 

ただし、弾は自分のMPを使うためMPが切れたら使えないらしい。

これは貯蔵タンクと、サブウェポンに小型の拳銃がいるな。

 

幸いなことに開発のスキルで、MP貯蔵タンクを制作することが出来る。

これも大きさによって、必要な鉱石量が変わってくる。

汎用スキルの「バックパッカー」の効果で多少重くなっても大丈夫だし、こちらも大型にしよう。

 

「そうと決まれば、また鉄鉱石を取りに行くか!」

 

装備方針も決まりネズはまた、山の洞窟へと鉄鉱石を掘り出しに向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 




今回はクエスト抜きでの話にしてみました。
上手い事、クエストって思いつかないものですね。

まぁ、私自身ネットゲームより本を読むことが好きですから、そのせいでゲームの用語とかあまり詳しくは無いんですよね~。
ゲームの細かい設定は、友人が決めたぐらいですから(笑)


アイデアがあれば活動報告のアイデア・アイデア02へと、リクエストがあれば活動報告のリクエストへと、送ってください。

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活動報告に、さらに詳しい例があります。



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メフィス

前回名前だけ出てきた、ミリーシャさんの登場です。


それにしても本当に、いいクエストが思いつかない……


へっくしゅん

 

「おかしいわね。ゲームの中でまでくしゃみが出るなんて。誰かに噂されているのかしら」

 

くしゃみをした人物は、不思議そうに呟いた。

彼女の名前は、ミリーシャ。

彼女は今帝国付近の海岸にある家に来ていた。

 

「羽振りのよい仕事だから受けてみたら、まさか逃げ出したペットを探して欲しいだなんて」

 

因みに逃げ出したペットは既に捕獲済みだ。

普通なら一日で終わる様な依頼では無いが、彼女は数時間で見つけ出した。

それには彼女のスキルが関係している。

 

彼女の種族は魔族・悪魔種。

スキルの名を『アガレス』と言った。

アガレスの効果は、魔力に時間に関する性質を待たせる事が出来る、と言うものだ。

特に逃亡者に対しては絶大な効果を発揮する。

簡単に言うなら、時を巻き戻すと言う事。

彼女はこの効果を使って、逃げ出したペットを捕獲したと言う訳だ。

 

「それで、要望通り捕まえて来てあげたわよ。報酬を貰えるかしら?」

 

「勿論さ、本当に助かったよ。それにしても、冒険者さんはスフィアみたいな魔術を使うんだね」

 

スフィア?一体誰かしら?

 

「スフィアって言うのはね、昔この辺に住んでいた魔術師だよ。昔は困った事があったら、彼に頼んで解決して貰っていたんだ。でもある時、夢を叶えるとか言って、何処かへ行ってしまったんだよ」

 

「そうなの?でも使う所を見ていないのに、何で同じようだと言えるのよ?」

 

「彼、魔術師って自分で言っていたけど、魔術を使っている所を誰も見た事が無くてね。使っている所を隠す必要は、無いし不思議だったんだよね。それで聞いてみた事があるんだけど、『メフィスって知っていますか?』って言うんだ。知らないって言ったら、『僕には隠し名があって、それをメフィスって言うんです』だって。それ以外教えてくれなかったよ。要は、使う瞬間を誰も見た事が無いって所が似ている気がするんだよ」

 

何処か変な気がする。

けど、理由が良く分らないわね。

 

「そう言う事、分かったわ。報酬も貰ったし、私はそろそろ帰るわ」

 

「引き留めて悪かったね。気を付けてお帰りよ」

 

こうして、依頼を無事に完了することが出来たが、謎が出てきた。

 

メフィス帝国と同じ名前の人物が居た事。

関係がありそうだが、話を聞いた限りでは悪い人とは言えない様な気がする。

だけど、魔術を使う瞬間を周りに見せないのはおかしいわね。

 

「これは、ストーリーを進めるしかない様ね」

 

そうと決まれば早く王都のギルドへ戻って、次のクエストをクリアするしかないわね。

 

 

 

 

 

 




少し迷走している気がしてきました……
どうしましょうか、他のキャラのクエスト……


アイデアがあれば活動報告のアイデア・アイデア02へと、リクエストがあれば活動報告のリクエストへと、送ってください。

~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>

活動報告に、さらに詳しい例があります。



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再会~迷子編~

一応、久々の登場かな……
そして、いきなりこの状況……


王都のとある場所にて、赤髪の男が途方に暮れていた。

 

「どうしよう……、迷った」

 

数日前には到着してはいたが、町を探索することなく、辺りでスキル上げをしていた。

スキル上げがひと段落したので、町に入ったのだが、当ても無く歩いていたため迷ってしまったのだ。

 

「本当に、困ったな……。酒場でマップが貰えるらしいが、寄らなかったのは間違いだったな……」

 

迷い込んだ場所は運悪く、NPCすら存在しない場所だった。

どうやって、この状況から脱しようかと考えていると、誰かが声を掛けてきた。

 

「おや?こんな所で、何して居るんだい?」

 

「お、丁度良い所に、実は道に迷って困っていたんだ。どうやったら、酒場に……って、マキナ⁉お前どうして、こんな所に居るんだ?」

 

声を掛けられ振り返ると、そこにはマキナがいた。

 

「それはこっちのセリフだよ、ジーク。何で、開発区になんか来ているんだい?」

 

「いや~到着してから、町に入らずにスキル上げしていたんだ。で、いざ町に入って酒場に寄らずに探索していたんだが、迷子になった訳だ」

 

「何やってんだか…」

 

マキナに呆れられるのは、心外だな。

そう言えば、開発区とか言っていたな。どういう事だろう?

 

「まぁ良いじゃねーか。それでさっき言っていた開発区って何だ?」

 

「ひとまず酒場に行こう。話はマップを貰ってから、落ち着いてしようぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

マキナに案内されて、無事酒場に到着し町のマップを手に入れる事が出来た。

 

「それで、色々教えて貰えないか?」

 

「いいよ、特別に教えてあげるよ」

 

特別?どういう事だ?

もしかして本当にマキナの奴、情報屋でも始めたのか?

 

「じゃあまずは迷っていた、開発区について。あそこは、プレイヤーホームの集合地帯なんだよ。だから、NPCが今はいない場所なんだ」

 

「今はって事は、そのうち出て来るのか?」

 

「プレイヤーホーム以外にもギルドホームとしても使えるから、そのうち直接依頼が来るらしい」

 

ギルドね~。

ソロプレイをするつもりだから、関係ないかな。

 

「そう言えば、ここの酒場って何が出来るんだ?」

 

「ああ、クエスト発注やさっき言ったホームを買うのもここだよ。勿論、ギルド登録もここだよ。まぁ、組合みたいなものだね」

 

「成る程な、そう言えば何でお前はあそこにいたんだ?」

 

「ん?まぁ何でも良いじゃないか。それで、これからどうするの?何なら、いいクエストを紹介するよ」

 

何かはぐらかされたな……

仕方ないか、それにしても本当に情報屋をしていそうだな。

 

「紹介してくれるなら助かる。で、どんなクエストなんだ?」

 

「はいよ」

 

そう言うと、マキナは二枚紙を出してきた。

一つは、採取系らしい。もう一つは…採取系だなこりゃ。

 

「おい、マキナ。何で両方とも、採取系なんだよ。もっとあるだろ、討伐系とかよ」

 

「それが無いんだよね~。王国の酒場には」

 

ん?王国の酒場には?

 

「どういう事だ?」

 

「これから先の情報は、お金を払って貰わないとね。ストーリーに関係しているから」

 

「お前本当に、情報屋始めたんだな。それでいくらだ?」

 

「そうだね~、1,000Gかな」

 

「高いだろ。防具とかアイテム買ってるから、そんなに出せねーよ」

 

「ま、特別に500でいいや。でも、1,000出すなら、サービスするよ」

 

どうするか、現在の所持金が3,254G。

 

スキル上げしていたから、少しは余裕がある。

 

「さてさて、そうする?」

 

「ええい、1,000出す。で、どう言う事だ」

 

「まいど。王国じゃなくて、帝国にはあるって話だ。内容は傭兵らしいがな」

 

傭兵?何か物騒だが、面白そうだな。

 

「まず、判明しているストーリーを話すぞ。本来は帝国じゃなくて共和国だったんだが、王国の大臣とかの一部の上層部が、共和国との馴れ合いを嫌っていたらしい。そんで、そいつ等が共和国に攻め入って、共和国が帝国になったらしい」

 

そこまで話すとマキナは、グラスの酒を飲んだ。

 

 

 

 

 

 




アイデアがあれば活動報告のアイデア・アイデア02へと、リクエストがあれば活動報告のリクエストへと、送ってください。
そのキャラをメインに、書かせて貰うかもしれません。



~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>

活動報告に、さらに詳しい例があります。



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再会~紹介編~

前回の続きです。
と言っても、色々と紹介して終わりですが……


「ここからクエストの話な。帝国は王国ものっとりたい、だから兵士が欲しんだと。一方王国側は、兵はいるが物資が無い状況らしい。あ、一応、義勇兵の募集はしているみたいだぞ」

 

「成る程な~、それで?クエストとストーリーが関わり合っているのは分かったがそれがどうしたんだ?」

 

「ここからは予想も混ざるが、良いか?」

 

言いも何も、金を払っているんだから、聞かなきゃ損だろ。

そう考え、頷いた。

 

「恐らくこの世界のキークエストとなるのは、王国と帝国の戦争だ。どちらに付くかで、流れが変わるんだろう」

 

そういうことか。だが、納得できない点がある。

 

「なぁマキナ、なら何でこのクエストを、俺に進めたんだ?」

 

「ん?あぁそれはな、お前にとって得になるやつだからだ。一つ目のやつは単純に、報酬金額良いからだ。二つ目は、お前にピッタリなアイテムが手に入るからだ」

 

「と言うと?」

 

するとマキナは、本を出してきた。

 

「ここからは、サービス分な。俺のスキル構成は知ってるよな?」

 

「あぁ、取得・閲覧して本に出来るって奴だろ」

 

始め見た時は真っ白の白書だったな。

 

だが今マキナが出した本は、色々と書き込まれていた。

 

「ここにお前の、妙薬調合師についてまとめてあるんだが、お前のやつって捕獲系じゃなくて、召喚契約系らしい。んでもって、それに必要なアイテムを手に入れられるのが、二つ目のやつだ」

 

俺もよく知らなかったのに、こいつ良く知ってんな。

もしかて、他にも色々知っているんじゃ……

まぁ今はいいか。

 

「分かった、それじゃあ二つ目の方を受けるわ。どうすればいい?」

 

「カウンターにいるNPCに、紙を見せて、詳しい詳細を聞けば、スタートだ」

 

「おう、色々とサンキュな、マキナ」

 

カウンターに行くために、席を立った。

 

「いいさ、何かあったらメッセージくれ。酒場か、図書館に居るから」

 

なるほど、図書館とはマキナらしいな。

そう言えば、一つ気になった事がある。

 

「そう言えば、ギルドがあるって言っていたが、お前はどこかに入ったのか?」

 

そう、マキナはギルドに入ったのか、と言う事だ。

 

「ん?言って無かったっけ。俺、自分でギルド作って、そこのギルドマスターをしているぞ?」

 

「聞いてねーよ。ってか、お前がギルドマスターって、似合わねぇな。メンバーは居るのかよ」

 

今日久しぶりに会ったのだから、聞いている訳がない。

と言うか、こいつかマスターって本当に似合わないな。

 

「俺を入れて、五人いるよ。ギルド名は『神秘の(スピリチュアル・)図書館(ライブラリー)』だ」

 

「ほんと、お前らしい名前だな」

 

こんな奴が作ったギルドに入るやつは、よほどの変わり者なんだろうな……

 

「ギルド勧誘と王国の義勇兵勧誘も、酒場には貼ってあるから、見てみると良い。と言っても、ソロプレイを貫くんだろ?」

 

「ああ、その積もりだ」

 

「義勇兵してみろよ。寝床に給料も出る。一時的なものだから、所属した方が得だろ」

 

「ま、考えてみるさ。じゃまたな、マキナ」

 

「頑張ってね~♪」

 

マキナと別れ、張り切ってクエストに臨むのだった。

 

 

 

 

 




マキナはジークの予想通り、情報屋ぽい事を始めました。
そのうえ、ギルマスまでしています。
メンバーは……多分皆さんお分かりですよね?


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~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>

活動報告に、さらに詳しい例があります。



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フラグ注意?

サブタイトルのセンスが欲しいです……
と言うか、文章力や文才が欲しい………

そんな訳で今回はジークが、フラグを立てます。



現在クエストを受注して、王都から南に数キロ進んだ所にある『契約の森』と言う場所に、ジークは来ていた。

契約の森は、王国と帝国のちょうど中間に存在しており、使い魔に出来るモンスターや、使い魔に関するアイテムが多数存在するらしい。

依頼の内容は、森の何処かにある湖の水を手に入れて来ると言うものだった。

このクエストの報酬は『契約石』と言うアイテム。

明らかに、使い魔が関係していそうなアイテム名だった。

 

 

「それにしても、来てみたが良いが、広すぎだろこの森……」

 

湖の場所は不明だったので、ひと先ず森の入口からも見る事が出来た、大きな木を目指して進んでいるのだが、一向に着く気配がしない。

 

「モンスターも出ないし、どうなっているんだろうな…お、またアテイムみっけ」

 

モンスターに出会う事は無く代わりに、木の実などのアイテムがかなり落ちていた。

なんかこう、思っていた苦労と違うな。

予想を上回る地味さだ。

 

「せめて何かイベント的な事が起こってくれればな~。…お、開けた場所に出たな。結構近くまで来たって事か」

 

あらためて見ると、かなり大きく木の上に、小規模の町が在ってもおかしくない位はある。

 

「そんじゃ、上って探……って、あるじゃん!」

 

見ると、その大きな木は、探していた湖の真ん中にある島に生えていた。

後は、湖の水を採取して帰るだけか。

モンスターに一回も会う事が無かったせいで、本当に地味な依頼に終ったなあ。

 

「折角ここまで来たんだから、木の下まで行ってみるか」

 

どうやら島に続く、橋が架かっている様なので、行ってみる事にしよう。

 

 

 

「ほんと、デカいな~、上から何か落ちて来たりして」

 

これしか言う事が無いくらい、デカい。

 

「ま。特に何かがある訳でもなさそうだし、」

 

「……ぁぁ~」

 

「帰ろうかな」

 

「………ぁぁ~」

 

ん?さっきから、何か聞えるような?

でも、どこからだ?

 

「ぅぁぁぁ~」

 

まさかと…、そう思いながら上を見ると、人が落ちてきていた。

 

「マジか!さっき言ったのが、ホントになるとか、あり得ないだろ‼」

 

とにかく、助けないとまずいか。

 

ジークは、ストレージから綿と水を取り出した。

妙薬調合のレシピの一つに何故か、クッションの作り方があった。

それには、この綿草と水を使うだけでできると書いてあったのだ。

 

「上手くいきますようにっと」

 

スキルを使って、二つのアイテムを調合した。

すると、そこそこの大きさのクッションマットが完成していた。

何故これで、マットが完成するのか不思議ではあるが、今はそれ所では無い。

 

「よし、これを引いて」

 

「うああ~~」

 

「やば、間に合わなか」

 

仕方ない、使いたくなかったけど奥の手を使おう。

 

「獣人化‼」

 

コマンドを唱えると、ジークの容姿はより獣に近くなった。

 

最近修得した、アビリティ「獣人化」

スキルとは別物らしく、スキルスロットを使わずに修得出来たものの一つ。

効果は、ステータス値が三分間、三倍になる。

 

「よし、行くか」

 

倍加した跳躍力で、ジークは落ちて来ていた人物の所まで行き、抱きかかえた。

そして、先程引いたマットの上に降りた。

 

「ふぅ~、危なかった。君、大丈夫だったか?」

 

返事が無い、如何やら気を失っているようだ。

 

「放置する訳にも行かないし、連れて帰るしかないか……」

 

 

 

 




後書きで、今まで出てきたスキルの紹介でも始めようかな……


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<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>

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落下者は……

落ちて来た人物の詳細が分かります。
ここから、ストーリーが進んでいく予定です。


町に到着して直ぐに、マキナに酒場に来るようにメッセージを送った。

 

因みに先程、森で助けた人物はまだ、気を失ったままだ。

身なりからして、プレイヤーのようだ。

 

初めはシロかと思っていたが、よく見てみると違った。

白髪ではあるが、髪はセミショートの獣耳、肌は褐色ではなく色白、何よりシロよりも胸がある。

 

仕方ないから連れて来たのだが、一体いつになったら気が付くのやら……

取りあえず、酒場に行こう。

 

 

 

酒場に着くと既にマキナは、席に着いて酒を飲んでいた。

 

「やぁ、ジーク。初クエストは如何だった?」

 

「何か疲れたわ。モンスターが出ないから面白くねぇなって思ったら、今度は人が落ちて来るし」

 

あった事を簡単に話し、背負っていた女の子をイスに座らせた。

するとマキナは、座らせた女の子を見て驚くように聞いてきた。

 

「ん?ブラックちゃん!ジーク、ブラックちゃんに一体、何したんだい?」

 

「落ちて来たって、言っただろ。ひと先ずクエスト完了させて来るから、彼女を任せていいか」

 

「あぁ、行ってきなよ。それにしても、何があったんだか」

 

なんか、マキナの知り合いみたいだな。

まあ任せるとして、早く報酬を貰わないとな。

 

 

 

「悪い、待たせた」

 

「丁度いいタイミングだよ。ブラックちゃんが目を覚ましたところだよ」

 

「マキナさん、ちゃん付けって言い難くないですか?」

 

良かった、如何やら無事目を覚ましたな。

にしても、やっぱり知り合いだったのか。

 

「まぁまぁ、ひとまずお礼を言ったらどうだい?」

 

「そうでした。マキナさんに聞きました。助けて頂いたみたいで、ご迷惑をお掛けしました」

 

「無事で何よりだ。けど、何で落ちて来たんだ?」

 

本当に、それが不思議でしかなかったからな。

 

「それは…」

 

「その前に、二人とも自己紹介しなよ」

 

そう言えばしていなかったな。

 

「そうだな。俺は、ジーク。マキナとは、まぁ古い付き合いなんだ」

 

「そうなんですか。あ、僕はブラックって言います。マキナさんには、クエストの仲介をして貰っています」

 

マキナの奴、そんな事までしていたのかよ。

 

「さて、ジークは上手くクエストを終えたようだね。で貰えたかい、契約石は?」

 

「おう、でもどうやって使うんだ?レシピには、こんなのは乗ってなかったが?」

 

マキナに勧められてやったが、よく考えると、今使えるレシピの中には、契約石を使った物はなかった。

 

「そりゃあ無いだろうね。裏ワザ使うのだもの。まぁ、それは後で教えてやるよ。それより、ブラックちゃんの事だ」

 

そう言うとマキナは、ブラックの方に視線を向けた。

 

「確か、帝国に行って来るって聞いていたけど、何があったの?」

 

「実は、帝国に行ったんですが、軍の人たちに捕まっちゃいまして、契約の森の神樹に吊るされちゃったんです。その後脱出しようと、考えずに縄を切っちゃって」

 

「で、落ちて来たと」

 

「恥ずかしながら…」

 

と、ブラックが話した。

それにしても、あの大きな木は神樹だったのか。

道理で、やたらとデカい訳だ。

 

「あ~、となるとあの文献は本当なのかな?」

 

ブラックの話を聞いていたマキナが、何かを思い出した様だ。

 

「文献って、何の事だよ、マキナ」

 

「いや実はね、ジークに話したストーリーの続きになるんだけど、この第一世界は『人間の世界』がテーマらしいんだけど、テール共和国は獣人の国だったらしいんだよ」

 

するとマキナは、調べて分かっている限りの事を話し出した。

 

 

 

 

 

 




~ルル&キキのスキル紹介コーナー~

キキ:と言う訳で今回からたまに、スキルの紹介をしていくことに為ったよ~

ルル:出番が無いからと言って、こんな所に出て来る事に為るとはね

キキ:まあまぁ、見せ場が出来たからいいじゃん♪

ルル:貴女のそう言うところ、羨ましく思うわ……
   それじゃあ今回はジーク・レイアの職業『薬師』のスキル『妙薬調合』について紹介するわ

キキ:このスキルは使い魔に関するアイテムを、レシピから調合できるんだよ~
   例えば、使い魔のおやつやクッションだね
   熟練度が上がると、もっと色々作れる物が増えていくよ~

ルル:薬師の筈よね?
   おやつはまだしもクッションまで作れるって、それは薬師じゃ無いでしょ!
   キキ、あなた一体どんな捉え方しているのよ?
   マスターに任されているんだから、しっかりしてよね

キキ:ん?アイテムを揃えて、調合しているだけだよ
   使われるのはあくまで植物だもの、問題ないでしょ?

ルル:調合する事と植物を使う事しか基が残ってないわね……
   
キキ:あと、このスキルでは使い魔を捕まえる事は出来ないんだ~
   代わりに裏技で契約する方法があるんだけど…

ルル:次回出て来る訳ね

キキ:その通り!
   まぁ、簡単に説明されるだけだけど
   それじゃあ今日はこの辺で!

ルル・キキ:また次回!







いかがでしたでしょうか?息抜きの紹介コーナーは?
気が向けば、またやるかも知れません。



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      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
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推測

ストーリークエストの推測です。



ブラックちゃんの話を聞いて、大体のこの世界の事象が見えてきた。

 

「まず、セレモニーで『王国と共和国は長い間、友好関係にあった。だが王国の一部の者たちは、それをよく思わず、自分たちが支配しようと考えた。そして今では、共和国は帝国となってしまった』って、ゲームマスターが言っていたんだ。

それで情報収集のために帝国に行ってきたんだけど、特に王国と変わりのない国でね。共和国を支配しようとした理由は、分からなかったんだ。

で、王国の図書館で、気になる文献を見つけたんだ」

 

「それが、共和国は獣人の国だったって事か」

 

「うん、でも獣人なんて居なかったから、間違いだろうって思ってね。そもそもこの第一世界のテーマが『人間の世界』って言っていたからね。獣人の国が在る筈が無いって思ったんだよ。

でもブラックちゃんのおかげで、やっと分かったよ。獣人の存在が許せない者たちが共和国を支配した。

それで、帝国が戦争の準備をしている理由は、王国が獣人といまだ友好関係でいたいと考えているからだろう」

 

「人間が一番偉い、って言いたい訳か」

 

「多分ね。王国としては、帝国を共和国に戻したいんだろう」

 

「でも、変じゃないですか?獣人たちは、居なかったんですよね?それに何で私は、吊るされたんですか?」

 

「恐らくどこかに、捕まっているんだろうね。ブラックを吊るした軍の人は多分、王国側のスパイだったんだろう」

 

「なるほど…」

 

この世界のキークエストとなるのは、王国と帝国の戦争だ。

どちらに付くかで流れが変わる、最初はそう思っていたが違ったようだ。

 

「どうやら予想が違ったみたいだ。キーとなるのは、王国と帝国の戦争。キークエストは『共和国の復興』だ」

 

「どういう事だ?」

 

「ただ戦う事が、クエストな訳がない。キーとなるからには、それなりの目的や理由がある筈だ」

 

「それが、共和国の復興と言う事ですか、マキナさん?」

 

「うん、そうじゃなきゃ共和国の事を、わざわざ出す必要が無いからね」

 

「そうと分かれば、さっさと潰しに行くか」

 

「いや、今はクエストをするべきだ」

 

「どうしてですか?キーが分かったのだから、行くべきだと思いますけど?」

 

そうなのだが、このままでは行ける種族が人間のプレイヤーに限られてしまう。

きっと、何かのクエストがクリアされると、改善されるはず。

だが現状では、その糸口すらない。

 

「きっと、クエストを進めると、解決のヒントが出て来るはずだ。それまでは辛抱だな」

 

「それならまぁ、仕方ないか」

 

推測はかなり強引なものだが、前考えていたものより此方の方があっている気がする。

まぁ大体わかった事だし、この話はここまでにしよう。

 

「そういや、ジーク。召喚方法を教えてやる」

 

 

 

 

 

 

 

そう言うと、またどこからか本を出してきた。

 

「契約石となんかアイテムを調合するんだよ」

 

「おい、何かってなんだよ」

 

説明がアバウトすぎるだろう。

 

「何でもいいんだよ。それで、召喚に応じる奴が居たら成功だ」

 

仕方なく、言われた通り、適当に契約石とアイテムを調合した。

すると、魔法陣が出来上がり、そこから一匹の白蛇が出てきた。

 

「へぇ~、可愛いですね」

 

ブラックに言われたように、可愛らしい小さな白蛇だった。

 

「よかったな、成功のようだな」

 

「そうだな。よし、今日はこれで落ちるわ。またな」

 

「じゃあ俺もそうするか。ブラックちゃんはどうする?」

 

「私もこれで、失礼します」

 

そう言うと、各々ログアウトして行った。

 

 

 

 

 

 




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      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

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それぞれの思惑

ストーリーが進む予定です。


~メフィス帝国 城内のとある場所にて~

 

 

「順調、順調。人形たちもせっせと、戦争の準備を進めているな。王国の奴等も馬鹿だよな。大人しく、従って居れば共和国の奴等みたいに、奴隷にならずに済んだのに……

まぁ王国さえ如何にかしてしまえば、この世界は私の物だ」

 

すべて、計画通り。

このままの調子で、手に入れてやる。

その為にまずは、従わない奴を潰す。

 

「さあ、そろそろ表舞台に立つとしよう。この世界は私、マーク・スフィア・メフィスが支配してやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジークやブラックちゃんと別れて、一週間ぐらいたった。

アイシルク王国には、多くのプレイヤーが集まって来ていた。

 

けれど、ストーリーが進んだ様子はなかった。

如何やら、帝国に入れる者が限られているせいで、進みが遅いらしい。

 

「いっそ帝国に殴り込み掛けたらどうかな。そうすれば、何かしら進むんじゃないの?と言うか、大臣たちを捕まえれば、解決だと思うのだけど」

 

「雪那の言う通りにゃ。退屈してきたところだから、攻勢に出て見るにゃ」

 

「確かに、届く依頼は、お使い系や採取系ばかり。それに、いい加減この睨み合いは飽きたわね。マキナ、私たちなら町の入口で止められる事無く入り込めるのだから、試しに行ってみるのは如何かしら」

 

現在俺は酒場では無く、ギルドホームにいる。

偶々ギルドメンバー全員が揃って居たので、今後どうするかを話し合っていたのだが。

 

「攻め込むのは、決定事項なのか」

 

「先輩、せっかく全員、集まっている。これは、チャンス」

 

無茶な事を止める立場のミリーシャやシンまでが、攻める事に賛成らしい。

まぁそう言う俺も、いい加減この硬直は飽きた。

それに、全員居るならシンの言う通り、チャンスでもある。

 

「よし、それじゃあ一時間後に攻め込む。それまでに各自、準備を済ませてまたここに集まってくれ」

 

「「了解」」「了解かな」「分かったにゃ」

 

そう言うとメンバーたちは、それぞれ準備を始めた。

 

改めてうちのギルドは、自分を含めて五人。

猫又種の黒音、天使種のシン、悪魔種のミリーシャ、吸血鬼種の雪那。

俺が言えた事じゃないが、全員変わり者だ。

類は友を呼ぶ、と言う奴だろうか?

変わり者の上に、黒音、ミリーシャ、雪那はえらく強い。

 

そんなギルド『神秘の図書館』のギルドホームは、その名の通り図書館がホームになっている。

正確に言うと、図書館の司書長専用エリアをギルドホームとしたのだ。

専用エリアと言っても、俺が許可すれば入ることが出来る。それに、この部屋はチョットした秘密がある。

 

「先輩、義勇軍に通達、敵の情報収集、して来なくて良いの?」

 

「お、そうだった。ありがとうな、シン」

 

部屋の秘密についてはまた今度の機会に。

 

今は情報収集と、援軍が来るように手配しておかないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





アイデアがあれば活動報告のアイデア・アイデア02へと、リクエストがあれば活動報告のリクエストへと、送ってください。
そのキャラをメインに、書かせて貰うかもしれません。



~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>

活動報告に、さらに詳しい例があります。



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因縁の再会?

タイトル通りです。
詳しい内容は、次回に持ち越しで再会までにしたいと思います。


酒場のクエスト案内掲示板に、全プレイヤーに向けた緊急クエストが張り出されていた。

 

 

『今から一時間後に帝国へ奇襲を掛ける。この奇襲成功の暁には王国から、参加者全員に報酬が贈られる。なお、今回の首謀者を生け捕り又は倒した者はアイシルク王から、ボーナスが貰える。

参加するプレイヤーは受付へ参加する事を奇襲開始三十分前までに伝え、詳しい説明を受ける様に』

 

 

「何でまた急に、こんな事に為った?」

 

久しぶりに酒場へと来てみると、殺気立っていた。

先程確かめた緊急クエストが原因なのは分かり切っている。

問題は、いつの間にそこまで進展していたのかだ。

 

「考えるよりまずは、受付を済ませるべきではないですか?これを逃すと痛いですよ?」

 

「ああ、そうだな……ってブラック⁉いつの間にそこに入たんだ?」

 

「いえ、割と先程ですが。それより受付に行かなくて良いんですか?もうすぐ、受付終了ですよ?」

 

ブラックに言われて時間を確かめると、受付終了まで残り五分となっていた。

 

「ヤッベ、受付に行って来るから、ブラックまた後で話そうぜ」

 

「はい、ではそこの席で待っていますね」

 

 

 

 

「はい、確かに受け付けました。では此方が今回の奇襲作戦についての詳しい資料になります。ご不明な点があれば、聞きに来て下さいね」

 

そう言うと、受付から紙が渡された。

何とか間に合ったようだ。

それにしても受付の話では、今回のクエストはどっかのギルドが出した物らしい。

受けて観るまでその事が分からないように工夫するとは、すっかり騙された。

 

この殺気の原因は騙された事に対してだったようだ。

 

「にしても、どこがこんなに手の込んだ事しているんだか……ん?」

 

渡された資料を見ると、クエストを出したギルド名が書いてあった。

まさかアイツが関わっているとは……

 

「お、ジーク。久しぶりだね」

 

「シロ!ホント、久しぶりだな。ここにいるって事はお前も参加するのか?」

 

声を掛けてきたのはシロだった。

前回買い物をして別れた後、全然会う事が無かったので、久しぶりの再会だ。

 

「うん、そうだよ。どうだいジーク、時間が来るまで情報交換するって言うのは?」

 

「いいね。だったら、待たせている奴もいるからそいつも一緒でもいいか?」

 

「僕は、構わないよ」

 

「よし、なら行こうぜ」

 

 

 

 

「お~い、ブラック~」

 

さっきより人が増えてきたようだ。

人が多すぎて、ブラックの居る位置が分からなくなった。

 

「ブラックって言うのかい?その待たせている人は?」

 

「ああ、簡単に説明すると、お前と真逆みたいかな?」

 

初めて見た時はシロと勘違いしたぐらいだ。

となると、この説明が一番分かりやすいと言えるだろう。

 

「ジーク、こっちですよ」

 

お、いたいた。

 

「シロ、あれがブラックだ。何となくお前に似ているだろ?」

 

声を掛けるが返事が無い。

不思議に思いシロを見てみると、何やら驚いている様子だった。

 

「どうしたシロ?って、ブラックも一体どうした?」

 

気付けば、ブラックも驚いた様子で硬直していた。

何がどうなっているんだ?

 

「キミは、あの時の‼」

「お姉さん、あの時の‼」

 

そう言うとブラックが勢いよく席から立った。

ん~、もしかして因縁があったりするのか?

ひと先ずは、説明して貰わなければ話が進まない。

 

「二人とも席に着いて話そう。俺には全く分からないから、一回整理したいんだが……」

 

「っと、そうだね。僕としたことが、驚きの余りすっかり忘れていたよ」

 

「そうですね。一回落ち着きましょうか」

 

 

 

 

 

 

 




気まぐれで、今あるストックを連続で投稿してきました。
そんな訳で、ストックが次で最後になったので当初の計画通り来月から、月に1~2話に戻そうと思います。
安定的に出していくためには、こう言いう気まぐれはやめた方が良いですね(笑)





アイデアがあれば活動報告のアイデア・アイデア02へと、リクエストがあれば活動報告のリクエストへと、送ってください。
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~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

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世の中意外と狭い

前回の続きです。
人って意外な所で、再開するものですよね。


「え~っと、つまりあのイベントの時に戦った仲って事で良いのか?」

 

「そうだよ。まさかジークの知り合いだったとは、驚いたよ」

 

「知り合ったのは、つい最近ですよ。お姉さんこそ、ジークの知り合いだったんですね」

 

話を聞くと如何やら引換券争奪戦の時に、戦って引き分けた仲らしい。

世間は広いようで狭いとはまさにこの事だろう。

 

「それにしても君、あの時と雰囲気が違わないかい?」

 

「あ~、実はイベントとか戦闘になると、人が変わるって周りからよく言われるんですよね~」

 

「そうなのかい。ならまたいつか、手合わせ願いたいね」

 

「此方こそ、望む所ですよ。それは置いておいて、情報交換しませんか?」

 

そう言えばそのために集まったのだった。

 

「それで、何かわかった事あるか」

 

「分かっている事は、今回のクエストは運営じゃなくてプレイヤーが出した物って事だね。って言うか、プレイヤーもクエスト出せたんだね。それにはったりにしても、王国から報酬が出るってよく言うね」

 

「そうですね。この『神秘の図書館』ってギルドは、おそらく人を集めたいんですよね?これじゃあリタイアして、人を集めることが出来ませんよね」

 

普通に考えたら王国から報酬が出るって言うの、はったりだろうな。

でも俺はそうは思わない。

 

「多分本当に、王国から報酬が出ると思うぞ。そのギルドに付いて少し知っているんだが、既に王国のコネを持っていてもおかしくない奴がギルマスをしているんだ。ブラックも知っている奴だ」

 

「僕も知っていて、コネを持っていそうな人………もしかして、マキナさんですか?」

 

その通り。

アイツは掴み所な無い奴だからな。

よって、報酬は本当にあると考えるべきだろう。

と言うか、ブラックにギルドの事は話していないんだな……

 

「ジーク、そのマキナって前に紹介しようとした人かい?随分と思い切った事をするんだね」

 

「まぁ、そう言う奴だから……さて、問題は時間になったら突入するだけって、殆ど説明していないだろ」

 

詳しい事が書いてあると言って渡された紙には、奇襲部隊が入ってから更に三十分後に攻め入るようにと書いてあるだけだった。

それに五人だけで、どうやって奇襲をかけるつもりだ?

 

「確かにそうだけど、信じるしかないね~これだけは。そう言えば、ギルドにはどんな人が居るか知っているのかい?」

 

そう言えば人数しか聞いていなかったな。

 

「マキナを含めて、五人いるって事しか知らないな」

 

「たった五人で攻め込むつもりなら、無謀だね。どんなメンバーなのかな~」

 

ほんと、それは気に為る所だ。

予想では、相当な変わり者だとは思うのだが……

 

「僕おそらくだけど、一人知っています」

 

「ほんとか、ブラック!」

 

「は、はい。初めて知り合った時に見たんですけど、猫のお姉さんでした。その、着物を派手に着崩していました」

 

猫のお姉さんで着物を派手に着崩している奴……まさか……

 

「ジークもしかしてそれって、君が戦ったって言う、黒音って言う人じゃないかい?」

 

「多分、間違いないと思う。いよいよ変人の集まりな気がしてきたぞ……」

 

「全く、酷い評価だねそれは」

 

「仕方ないだろ、こればかりは本気でそう思う……ってマキナ⁉いつの間に⁉」

 

「う~ん、『まぁ、そう言う奴だから……』って言っていた頃からかな?なぁ、シン」

 

「はい」

 

いつの間にかマキナとそのギルドメンバーの人であると思われる人物が居た。

 

「どうも、改めまして『神秘の図書館』マスターのマキナだ。こっちは、メンバーのシン」

 

「…よろしくです」

 

「ちょうど良い。説明してくれるよな、マキナ?」

 

「書いてあるままだよ。俺たちが奇襲をかけるから、他の人には後に続いて欲しいってわけ」

 

報酬の件やどうやって奇襲をかけるつもりかを聞きたいのだが、教える気は無いようだな。

 

「先…マスター、そろそろ時間」

 

「っと、そうだったな。じゃあジーク頼んだぞ」

 

そう言ってマキナとシンは何処かへ行ってしまった。

 

「変わった、人だね、マキナって。それでどうする?」

 

「どうします?僕はこのまま参加しようと思いますけど」

 

どうするって、マキナのあの様子を見た感じだと、おそらくは作戦あっての事だろう。

 

「やるっきゃないだろ!上手く行けばチャンスでもあるんだから!」

 

 

 

 

 

 

 




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      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
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攻略会議

「先輩、ジークってもしかして、あの人?」

 

「せーかい。学校でゲーム研究部の部長をしていたアイツだよ」

 

「そうですか。そう言えば先輩、あのやり方だと、人は集まらない。何であんな、やり方にした?」

 

シンが言っているのはきっと、クエストの事だろう。

パッと見は正式なストーリーに関するクエストに見えるが、いざ受けてみると他のプレイヤーが出した、詐欺まがいに見えるクエスト。

 

「実際、本当の事を言ってるからな~。王様と話は済ませてあるし、ま、本当と取るかウソと取るかは、本人次第って事でいいじゃないか。間抜けな奴に来られても困るし」

 

「成る程」

 

納得して貰えたみたいで何よりだ。

そうこうしているうちにギルドに着いた。

 

「マキナ~遅いにゃ!待ちくたびれたのにゃ」

 

「あれ、シン。マスターと一緒だったの?それなら言ってくれれば良かったのに。探しちゃったじゃないかな」

 

「落ち着きなさい、黒音、雪那。私たちの準備は終わったわよ。あなたたちは大丈夫なの?」

 

「準備万端。先輩は?」

 

シンは初めから準備できていたって事か。

ま、じゃないと付いて来たりしないか。

 

「俺は大丈夫。何時でも行けるぞ」

 

この奇襲を成功させるには、俺のあるアビリティが必要になる。

アビリティ名『神々の書庫』

気付いたら修得していたこのアビリティには、色んな効果があるがその中の一つ、行った事のある図書館に出入りが自由、と言うものがある。

これは司書長室のドアから出た先を、行ったことある図書館なら何処でも変更できると言うものだ。

簡単に説明するなら、図書館専用トランスポートゲートみたいなものだ。

問題があるとすれば、司書長室からしか使えず本来ならば俺一人か使えない事。

だが、この部屋をギルドとする事で、ギルドメンバーなら使えるようにした。

今考えると、かなりの荒業だよな……

 

ともかくこれを使えば、町の入口で引っかかる事なく潜入し、城を目指せる。

 

 

「今更なのだけど、城を攻略したら本当にストーリーは進むのかしら?」

 

あ~、確かに。

確証の無いままやって来ているが、俺の予想では何かあるとは思うんだよな。

 

「王国に報酬出させるのだから、進まないにしてもやるしかないにゃ。なんだか楽しくなってきたね~♪」

 

「そうですね……先輩、みんなにリストを」

 

「そうだな。三人とも、これが王様から貰った敵の情報だ」

 

ターゲットとなるのはターメル、カスタ、ガドフィン、キマリス、スフィアの五人。

 

「あら、意外と少ないのね」

 

「そうなんだよな~。あと問題が一つあって、スフィアって言う奴の情報は魔術師であった、と言う事しか分からないらしい」

 

「となるとそのスフィアって奴が、黒幕ぽいにゃ」

 

「スフィアは王国にとってのなんだったのかな?」

 

「スフィアは、王宮魔術師だった。けど、禁術に手を出し、二年前、追放したそうです」

 

「へ~ぇ、どんな術だったのかな。まぁ、要はそのスフィアって人を捕まえたら、分かるかな」

 

確かにどんな術だったのかは気に為る。

追放した人物のため、情報がこれ以上ないと言われたからな。

 

「私から一ついいかしら?」

 

「何だ?」

 

「前受けたクエストで、スフィアって名前を聞いた事があるわ。スフィア本人が魔術を使っている所を、誰も見た事ないらしいわ。あと隠し名が、メフィスと言うらしいわ」

 

「これは、黒幕決定じゃないかな」

 

メフィス……悪魔のメフィストがモチーフと言う事だろうか?

 

「なるほど。ま、そろそろ時間だし、気を付けて行こうか」

 

そう言って、俺は帝国の図書館へ出口をつなげた。

 

 

 

 

 




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帝国探索

メフィス帝国図書館前、神秘の図書館のメンバーたちは今後の話をしていた。

 

「ふぅ~、無事についたな。それじゃみんなリストに在る奴らを、捕縛していくぞ。スフィアに関しては討伐しても問題ないらしい。

ま、とにかく帝国を潰すぞ!」

 

「と言う事は、暴れて良いって事かにゃ。やる気出てきたにゃ~♪」

 

「そう言う事に為るわね。この際分かれて行動しましょう。その方が対象を見つけやすいでしょうし」

 

ミリーシャの言う通りだな。

王宮内にいるとは決まった訳では無いし。

それに城自体、相当大きい。

 

「帝国の兵は倒して問題ないけど、住民には気を付けろよ。それじゃあ、メフィスを見つけたら連絡する事」

 

「了解にゃ!さ~って、城の中には強い人は居るかにゃ~♪」

 

「分かったわ。それじゃあ私は、居住区をを探索して来るわ」

 

「なら私は城の裏手に行こうかな。裏から逃げた奴らは私が仕留めるよ。シンは如何する?」

 

「私は、先輩に、着いて行く」

 

大体誰がどこに行くか分かったな。

黒音、ミリーシャ、雪那は強いから心配ない。

シンのスキル構成はサポート寄りだから、誰かに付いて行く方が良いのは分かるが、俺でいいのだろうか?

俺のスキル構成も何方か言うと学者寄りだから、他の三人の誰かに付いて行く方が良いと思うのだが……

 

「みんな、これを…」

 

そう言うとシンは全員にリングを渡した。

 

「これは、お守り。一応、回復の加護が附いてる」

 

シンの職は「シスター」スキルは確か「祈り」だったな。

効果は、物に自分が使用できる属性の加護を附与できるものだった。

シンのスキルは、種族スキル「ミカエル」の聖なる加護、戦闘スキル「光力」「回復魔法」だから、使える属性は、聖・光・回復の三つだな。

 

「有り難く使わせて貰うわね」

 

代表して、ミリーシャがお礼を言った。

さて、話もこの位にして、そろそろ暴れてやろうかな。

 

「それじゃあ行動開始と行こうか」

 

 

 

 

 

 

 

「先輩、迷惑だった?」

 

「ん?何の事だ?」

 

現在俺はシンと一緒に、城内に潜り込んで中庭に来ていた。

場内は思っていたほど兵が居ないと言うか、潜り込んでからまだ一度も出会ってもいない。

逆に不気味な感じがするが、敵に出会わず面白みに欠ける展開だな。

そんな訳でゆっくりと話しながら、探索をしていたのだった。

 

「私が、付いて来た事」

 

「その事か。別に迷惑には思って入ないよ。けど」

 

「けど?」

 

「俺より他のメンバーに付いて行く方が安全じゃないか?」

 

安全を考慮するなら、俺以外の人に付いて行く方がよっぽどいい。

いざと為ったら奥の手を使えばいいが、出来れば出さないに越した事は無い。

 

「問題ない。それに、先輩と一緒の方が、気を使わなくて、済む」

 

確かに長い付き合いになるから他の奴らに比べると、気を使う必要はないかも知れない。

と言っても此方からすれば、数少ない後輩だから多少気を使っているが……

 

「ま、シンがそれで良いならいいよ」

 

中庭を抜け、城の内部に入ろうたした時、上の階で戦闘音がしてきた。

 

「誰かがやっと、戦闘を始めたみたいだな」

 

「そうですね。如何します?私たちも、上に行きますか?」

 

「いや、獣人の人たちを探そう。街中に居なかったって事は、城の何処かに幽閉されているんだろうし」

 

まあ、どこかと言っても牢獄の可能性が高いが……

 

「王の要望は、『テール共和国の復興』ですものね。では、行きましょう。先輩♪」

 

何やら機嫌が良いようだが、まぁ良い。

他の者が暴れているなら今のうちに、人探しと行こう。

共和国の代表者に、アイシルク王の手紙を届けなければいけないしな。

 

 

 

 

 




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戦闘開始

久しぶりの戦闘シーンです。
やはり描写が上手くないので、皆さんの想像力が頼りになりそうです。


城の二階、武器庫付近で黒音は帝国の兵士相手に戦闘を行っていた。

 

「ん~、弱いな~。弱いのに数ばかりいるにゃ」

 

向かって来る兵士は、そこまで強く一撃で倒せる。

でも数は多く、囲まれて数分経つが一向に減る気配が無い。

そもそも何で、こんなに集まってくるのよ!

 

「これじゃあ、まるでゾンビに囲まれているみたいだにゃ~」

 

「よく気付いたな。こいつらは俺の魔術で動く人形たちだ」

 

どこからか声が聞こえてくると、兵士たちの動きピタリと止まった。

これはどう言う事かにゃ?

 

「俺の城に乗り込んで来るとは良い度胸だな」

 

「どうでも良いけど、あんた誰?姿見せなさいよ」

 

「これは失礼した。俺の名は、マーク・スフィア・メフィス。この国の王だ」

 

兵士たちが左右に分かれ出来た道から、ローブを着た男が出てきた。

こいつが禁術に手を出して追放されたって言う、メフィスか。

 

「この兵士たちは人形って、どう言う事にゃ」

 

「あぁその事かい。私はとある禁術を研究していてね。それは傀儡化の魔術なんだよ。ま、死人でしか成功していないけどね」

 

と言う事はこの兵士たちは倒しても、殆ど意味ないって事ね。

 

「ま、良いや。アンタを倒せば済む話だにゃ」

 

「残念だけど、君はここで足止めだ。確か強い相手が、ご所望だったな」

 

そう言うとメフィスが何かの呪文を唱えた。

すると兵士たちが一つに集まり、巨人になった。

 

「んにゃ⁉そんなのありかにゃ⁉」

 

「王の間で待っているよ。ま、勝てればだけど」

 

そう言うとメフィスは、消えて行ってしまった。

 

「強い奴とは戦いたかったけど、さすがに手に余るかにゃ~」

 

相手の大きさは私の十倍以上はある。

これはおそらく中ボスだろう。

あと一人ぐらいは人が欲しいかにゃ。

 

「面白い事に為ってるわね」

 

「ミリーシャ!町の方は良いのかにゃ?」

 

声がする方を見ると、ミリーシャが居た。

 

「えぇ、町はもぬけの殻。人払いがされているようよ。だから城に来てみれば、あなたがボス戦を始めって攻撃来るわよ」

 

見るといつの間にか、巨人がパンチを繰り出そうとしていた。

 

「ミリーシャ!こいつ倒すの手伝ってにゃ‼」

 

私は敵の攻撃を回避して、ミリーシャに呼び掛ける。

 

「私より雪那の方が適任でしょ?持ち場を交代してくるから、それまで耐えて頂戴」

 

そう言うとミリーシャは窓から、跳び下りて行った。

確かに雪那の方が適任だけど、半ば丸投げするつもりかにゃ⁉

 

「ま、本気を出せば如何にかなるかにゃ……」

 

そう思い、私は通常の猫人モードから猫又モードへ切り替えた。

 

「さぁ、雪那が来るまで遊んで貰うにゃ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「上が騒がしいな~」

 

「そうですね」

 

現在俺はシンと共に地下牢に来ている。

地下に居るのだが、上での戦闘の振動がかなり伝わってくる。

かなり楽しんでいると見える。

 

「予想通り、牢獄に、居ましたね」

 

牢獄にて探し人であったテール共和国の人たちを見つけ、先程解放した。

文献にあった通り、本当に獣人だった。

共和国の人の話からすると、メフィスを倒せばこのストーリーは終了のようだった。

 

「にしても、禁術が傀儡化とはな~。聞いた話だと未完成で、死体しか操れないらしいな」

 

「それに、獣人に反応する。趣味が、悪いです」

 

未完成で獣人に反応するって……

となると、黒音に集まって行きそうだな。

厳密には、アイツ妖怪だけど。

 

「先輩。王の間、行く?」

 

「そうだな。その前に、ミリーシャと合流しよう。共和国の人を任せておかないと」

 

すると丁度良い所に、ミリーシャから通信が入った。

 

『マスター、今大丈夫?』

 

「丁度、合流したいと思っていたところだ。今どこにいる?」

 

『城の裏手よ。雪那に中ボス戦をしている黒音の所へ行って貰った所なの』

 

この戦闘の振動はそのせいか。

派手にやっていると思ったが、中ボス戦だったのか。

 

「これからそっちに保護対象を送る。増援が来るまで、頼むな」

 

『あなた、相変わらず無茶な事言うわね。まぁ良いわ、それであなたたちは如何するの?』

 

「これから黒幕にあってくる。じゃあ、あとは頼んだぞ」

 

通信を切り、シンと一緒に王の間に向けて進みだした。

 

 

 

 

 

 

 




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      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
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実力者たち

前回の戦闘の続きです。
毎度の事ですが、細かい描写は皆さまの想像力で補って下さい。


「全く、大きいくせに速い奴にゃ」

 

巨人の攻撃を避けては、様々な属性の打撃を入れてみるが、大きいくせに速い事もあってか、有効な一撃を与えられずにいる。

与えたとしても、すぐに傷を修復されてしまい攻めきる事が出来ずにいた。

 

「こう言う相手って何処かにある核を攻撃しないと、修復し続けるのよね……いっそ気の流れを止めてやろうかにゃん」

 

「死体相手に仙術は、無駄じゃないかな?」

 

「やっと来たかにゃ。それじゃあ如何するにゃ?」

 

ようやくお出でになった雪那に、打開策があるか聞いてみる。

 

「本来、レイドを組んで相手にするのに、一人で戦おうとするのが間違いかな。まぁ、私たちが居れば十分だけど」

 

「何でも良いから、早く!って言うか、何で私だけ狙われるにゃ‼」

 

雪那も先程から戦闘に参加しているが、巨人は雪那には目もくれず、私にばかり殴り掛かって来る。

 

「どうしてだろう?でも丁度良いかな。黒音!そのまま時間を稼いで欲しかな。そいつをこれから分析するから!」

 

そう言うと雪那は巨人から距離を取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来て‼アウル!」

 

雪那の声に応え現れたのは、一匹のフクロウ。

 

彼女の職業スキル『契約』

効果は、モンスターなどと契約を結び眷属・眷獣とする。

雪那が今契約しているのは二体で、もう一体は日本犬のドッグ。

 

このタイミングで、眷獣を呼び出したのは理由がある。

いつの間にか修得していた、アビリティを使うのに必要だからだ。

 

「アウル!モード・アナライズ!」

 

そう言うと雪那の肩に止まっていたフクロウは、その姿を眼鏡へと変化させた。

 

固有アビリティ『神々の呪い』

効果は主に二つ。

一つはボス系・神格系モンスターの攻撃でしか死亡しない。

もう一つが眷属・眷獣を武器に変換する。

雪那は種族スキル『呪い』で眷獣たちにそれぞれ属性を附与しているが、それと併用してこの効果は発揮する事が出来るらしい。

 

「さぁて、どういう仕組みになっているのかな」

 

アウルの武器化の効果は「分析」

対象を観察する事で、弱点などを分析できる。

 

眼鏡をかけて巨人を観察すると、不自然な個所を見つけた。

 

「黒音!額を攻撃して‼額の中央に三つめの目が再生の核になっているから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「了解にゃ‼核が分かってしまえば、こっちのもんにゃ!」

 

そう言うと黒音は、巨人が振り下ろした腕を避けて飛び乗り腕伝いに駆け上がって行った。

そのままの勢いで額に向かって跳躍し、拳に何かを纏わせて第三の目に叩き込んだ。

 

「妖術と仙術を混ぜたオリジナルの術にゃ。なかなか強かったけど、弱点さえ判ればこっちのもんにゃん♪」

 

着地と同時に黒音はすぐ追撃を入れた。

雪那の分析通り再生はされる事なく、そのままダメージが蓄積されているようだ。

その証拠に巨人の動きが鈍り、膝をついていた。

 

「再生が無かったら、そこまで強く無いにゃ。一気に止めを刺すよ」

 

「そうだね。じゃこれで終わりかな」

 

黒音は先程の術を纏わせた拳を、雪那は掌底を同時に繰り出した。

攻撃が決まり、巨人はデータの欠片となって消えて行ってしまった。

 

「ふぅ~、やっと終わったにゃ。それにしても何で、雪那はターゲットにならなかったのにゃ?」

 

雪那には見向きもせず、終始私ばかりを攻撃してきたのは何故だろう?

 

「分析した時に出たんだけどね、あのボス見た目が獣人の人を攻撃するようになっていたみたい。とことん、獣人絡みかな」

 

すると雪那が、眼鏡からフクロウへ戻ったアウルを撫でながら、呆れる様にそう告げた。

 

「にゃ、私は妖怪にゃ‼失礼過ぎるのにゃ‼」

 

あの魔術師、今度会ったらコテンパンにしてやるにゃ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




~ルル&キキのスキル紹介コーナー~

キキ:またまた久しぶりの登場だよ!

ルル:まだ懲りてないのかしら?
このコーナーはわざわざする必要は、無いはずよね?

キキ:暇だから、良いじゃん!それより今日紹介するのはアビリティ『神々の呪い』だよ

ルル:まったく仕方ないわね……
まずアビリティとはスキルとは別物で、条件を満たせば自動で誰でも習得できるものよ
これは気付いたら修得しているなので、スキルの整理をしていない人は中々習得している事に気付けないわ

キキ:効果は主に『常時発動型』『任意発動型』の二種類だよ
ジークが使っていた『獣人化』は任意発動型だね
常時発動型はアビリティに気付いた時からずっとって事

ルル:今回紹介するものはアビリティの中でも特別なもの、「神シリーズ」
マスターを含めて十人の人物のみが習得できないものよ
これはマスターが提示したグランドクエスト、「紛れ込んだゲームマスターを捜し出す」を分かりやすく、目星を付ける事が出来る様にするためのものなのよ

キキ:神シリーズは簡単に言ってしまえば、読者に製作者(ゲームマスター)候補を伝えると同時に、チート級の強さを持つプレーヤーたちって事だよ
現在所有者が決まっているのは三つ
『神々の図書館』『神の天秤』についてはまた今度の機会で説明するね

ルル:やっと本題ね
『神々の呪い』の効果は二つ
ボス系・神格系モンスターの攻撃でしか死亡しない、眷属・眷獣を武器に変換する
この二つよ
   
キキ:一つ目の効果は常時発動型
死亡しないと言っても、通常のダメージもちゃんと入るんだよねー
二つ目のは任意発動型
呪いによって、眷属・眷獣の姿が変わるって事だね
こんな感じで、神シリーズはあと七個あるだよ!
   
ルル:神シリーズの管理は私たちじゃなくて、ナナ姉さまがしているから分からない事が多いのよね
私たちが知っているのは、種類と大まかな効果だけ 
………ねぇ、何で私たちが紹介しているのかしら?
これって、ナナ姉さまがするべきでないかしら?

キキ:だってナナ姉は、分かったら面白くないって言って、絶対教えてくれないよ
分かる範囲だけでも私たちで伝えていくべきだよ

ルル:ナナ姉さまに、任せれば良いのに
あなたの考え方には、何時も驚かされるわね
さてそれじゃあ今日は、ここまでにしましょうか

キキ:そうだね!
それじゃあ、また次回!
バイバイ~

ルル:まったく、本当にマイペースな妹ね
……次回なんて、そもそもあるのかしら?



















アイデアがあれば活動報告のアイデア・アイデア02へと、リクエストがあれば活動報告のリクエストへと、送ってください。
そのキャラをメインに、書かせて貰うかもしれません。



~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>

活動報告に、さらに詳しい例があります。



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神秘と禁術

神秘はあるアイテムの事を、禁術は彼の事を表しています。

いつものように、細かな戦闘描写は皆さまの想像力でカバーをお願いします。



「ほぅ。先程の獣人が来るかと思ったのだが、妙な奴らが来たものだ」

 

「妙な奴らで悪かったね。ちなみにあいつは、獣人じゃなくて妖怪だよ」

 

現在シンと俺は王の間で、黒幕のメフィスと対峙していた。

にしても、来て早々に妙な奴とか酷くないか。

 

「そんな事はどうでもよい。それで俺に何の用だ?」

 

「まぁー、用って程では無いんだが……」

 

「王国の依頼で、貴方を、倒す」

 

間違っていないけど、直球で言ったな、シンのやつ。

確かに共和国の復活には、メフィスを倒さないといけないけど。

 

「たった二人で?フッ、相手にならんな」

 

「戦うのは、一人。ファイト、先輩♪」

 

「ちょっとシンさん?強気に出ておきながら、丸投げですか?」

 

「先輩なら、出来る」

 

そう言うとシンは、期待したような眼差しで此方を見て来る。

こうなると、逃げる訳には行かないか……

正面切って戦うタイプでは、無いんだが仕方ないか。

 

「バカにされたものだ。まぁ、その余裕はいつまで持つか見ものだな」

 

するとメフィスの足元に、四つの魔法陣が現れた。

 

「まずは我が最高の傀儡たちで、相手してやろう」

 

魔法陣が輝きそこから現れたのは、ターメル、カスタ、ガドフィン、キマリスのリストに載っていた人物たちだった。

ターゲットはメフィス以外、死んでいる訳か……

実質メフィスを倒せば、クエストクリアな訳だ。

 

「こいつらは他の奴とは出来が違う。さぁ、精々楽しませてくれよ」

 

そう言うと傀儡たちが一斉に行動を開始した。

近接が二人、魔法が一人、壁役が一人か…

となると、こいつで動きを封じるか。

 

「シン、後ろに下がれ。『死神の正位置・停止』しばらくそこで停まって貰うぞ」

 

シンに下がる様に指示をし、取り出したのはタロットカード。

その中から一枚を出し、接近してきた二体に向けて使用した。

 

 

 

アイテム「タロット」

 

カードは全二十二種

引いたカードの寓意と位置・意味を選択する事で効果が発揮される。

一度使ったカードを再度使うには、全てのカードを使うかその戦闘が終了するまで使う事は出来ない。

 

 

 

通常は汎用スキルでの使用だが、あえて戦闘スキルでの使用にしてみたが、それなりに戦闘をする事の出来る効果内容だった。

けれども間接的な効果のものが多いので、余り使う事は出来ない。

この停止も一定時間対象を止める事が出来るが、時間が来ると勝手に解けてしまう。

そうなる前に魔法役と壁役も止めないと。

 

「次は…『審判の逆位置・再起不能』さぁて、全員封じたね。シン、傀儡の処理は任せるよ」

 

「了解です」

 

四体の動きを封じて、聖属性を持つシンに任せる。

天使でシスターな訳だし、動きさえ封じてしまえばシンに任せて大丈夫だろう。

と言うか、少しは働いて貰わないと。

 

シンは手元に光の槍を四つ作り出し、そのうちの一つを傀儡に刺した。

おそらく光と聖の属性を持つ攻撃だろう。

刺された傀儡は徐々に光となって消えていく。

死体相手には良く効く攻撃だろうな。

 

さてその間に俺は、本体(メフィス)を倒すか。

 

「自慢の傀儡はもう、使い物にならないだろ。残りはお前だけだな、メフィス」

 

「やはり妙な奴らだな。俺の最高傑作を、いとも簡単に潰すとは…仕方ない、俺が直々に相手してやるか」

 

戦うつもりだったけど、こいつの話し長いな。

もうすぐジークたちが到着する事だし押し付けて、共和国の人を連れて脱出するか。

 

「さぁ、始めよう!」

 

「そろそろ時間だ。残念だけど、別の人たちが君の相手になるよ」

 

そう言ってから、一枚のタロットカードを出す。

 

「『教皇の逆位置・束縛』お前はその場から動けないよ。さてシン、傀儡の処理は終わったかな?」

 

「終わっています。先輩、これから如何する?」

 

「シンは他の奴らと要人を護衛しながら、王国まで撤退してくれ。俺はこれから来るであろう、ジークたちにこの場を引き継ぐまで残る」

 

「一人で、大丈夫?」

 

「問題ないよ。王国に到着したら連絡を頼む」

 

シンは頷いて、王の間を出て行った。

さて、ジークたちにもしっかりと、働いて貰うか。

 

 

 

 

 

 

 




アイデアがあれば活動報告のアイデア・アイデア02へと、リクエストがあれば活動報告のリクエストへと、送ってください。
そのキャラをメインに、書かせて貰うかもしれません。



~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>

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置き土産

とても雑な置き土産です…


クエストの指示通りの時刻、帝国の城に行くと城は既にボロボロだった。

 

「一体何があったら、こうなるんだ…」

 

「ジーク、君宛に置手紙があるんだけど……」

 

シロがその置手紙とやらを渡してきた。

えーっと、『王の間にボスが居るから、あとは任せた マキナ』……アイツ逃げたな。

 

「何が書いてあるんですか?」

 

「ボスの討伐を任せただとよ」

 

ブラックが聞いてきた。

別に隠す必要も無いので素直に教えた。

 

「とにかく、ボスの居る部屋まで行ってみよう」

 

しかし、何でアイツが止めを刺さなかったんだ?

 

 

 

 

 

 

 

王の間に到着するとそこには、人の様なそうで無い様なものが居た。

 

「何だあれ……」

 

「まるで暴走しているみたいだね。名前は…《マーク・スフィア・メフィス》帝国名と同じメフィス。間違いなく、ボスだね」

 

「……フ、フフフ」

 

俺の呟きに対し、丁寧に観察し見解を行って来るシロ。

その隣から、どこか不気味な笑い声が聞こえてくる。

 

「えーっと、ブラック?どした、急に?」

 

「あれ、倒しちゃって良いんですよね?」

 

「え、あ、うん。ボスだから…」

 

言い切る前にブラックは動いていた。

一体どうした。

何があった?

 

「シロ、一体どう言う事だ、これ?」

 

「戦闘時と普段とは、別人だね~。まぁ僕が初めて会ったのは、今の彼女の方だけど」

 

確かに戦闘時は性格が変わるとは聞いていたけど、これは予想外だろ。

こんなやり取りをしている間もブラックは、ボスを相手に立ち回っている。

ボスの攻撃はブラックに当たらない。

ブラックがとても速く、回避しては攻撃のカウンター戦法の様だ。

 

「これは、負けてはいられないね」

 

そう言うとシロも、戦闘に加わって行った。

これは俺も負けていられないな。

 

「ジーク・レイア、押して参る‼」

 

俺たちの行動を見ていた他のプレイヤー達も、戦闘に参加し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジークたちが戦闘を初めて数十分。

手紙を置いて、この場に誘導して俺は高みの見物をしている訳だが、中々苦戦しているようだ。

 

まぁ苦戦もするだろう。

敵に塩を送ったつもりではないが、メフィスに対して「力の正位置・潜在能力の引き出し」を使用した。

その結果メフィスは、元のローブを着た男では無く、人型をしたモンスターとなっていた。

 

『先輩、テールの人たちと、メンバーたちの撤退、完了しました』

 

戦闘の様子を観察していると、丁度シンから連絡が来た。

 

「ご苦労さん。王様に救出完了の連絡をするように、ミリーシャに伝えてくれ」

 

『分かりました。先輩、質問、良いですか?』

 

「ん?何かな?」

 

『何で、タロットカードが、武器?そもそもどこで、それを?』

 

その事か……まぁ確かに普段は双剣の方を使っていたからな。

 

「しいて言うなら、遊び心で武器にしてみたって感じだな。カードは、初めて司書長室を探索した時に見つけたんだ」

 

発見したあの時、戦闘スキルにはまだ空きが在ったから遊び半分でセットし、支援向きなため今まで殆ど使って来なかったのだ。

 

『なるほど。それにしても、先輩のスキル構成、学者よりですね』

 

「そうだな。気付けばますます、学者みたいになったな。っと、そろそろ決着が付きそうだな。シン、そっちは任せたからな」

 

そう言ってシンとの通信を切った。

潜在能力を引き出されたボスのおかげで、この場にいるプレイヤーたちが様々なスキル使っている。

 

つまり俺は、本の製作がはかどると言うもの。

実際結構な量のスキルを、新たに書き加える事が出来た。

 

「タロットの効果も切れるだろうし、頃合いだろう」

 

 

 

 

 




次回で、戦闘は終了する予定です。


アイデアがあれば活動報告のアイデア・アイデア02へと、リクエストがあれば活動報告のリクエストへと、送ってください。
そのキャラをメインに、書かせて貰うかもしれません。



~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>

活動報告に、さらに詳しい例があります。



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戦闘終結

ラブライブ!サンシャイン!!を見て、テンションが上がった勢いで仕上げました。
今回のラブライブ!サンシャイン!!も、なかなかいい感じでしたね♪


さて、今回はタイトル通りです。
ようやく、第一章の終わりが見えてきた感じです。


現在ボスの体力を七割程削った筈なのだが、相手はまだかなり元気なようだ。

 

「なかなか倒れないね~。如何するジーク。一回後方に下がって、様子を見るかい?」

 

「そうしたいとこだ……」

 

下がって休みたいとこだが、休むこと無く攻め続けるブラックの様子を見たら、負けてはいられないと思ってしまう。

 

「彼女に負けられないってかい?」

 

「ああ、そうだよ。にしても変わり過ぎだろ、あれは」

 

礼儀正しかったあのブラックが今では、嬉々とした表情で戦闘をしている。

 

「現実側で何か、あるんだろ。鬱憤みたいなのが。それを晴らすには丁度いいって事だろ?」

 

「そうなのか?それとマキナ。お前はどっから現れた」

 

シロと話していたらまたも、マキナが会話に加わっていた。

 

「まぁ良いだろ、それは。それよりそろそろボスが倒れるが、お前はボーナスを取りに行かなくて良いのか?」

 

「何でそんな事が分かるんだ?」

 

「こいつの効果が切れて、ボスのステータスが元に戻るからだよ」

 

そう言いながらマキナは一枚のカードを見せた。

よく分らんが、分かった事もある。

それはこいつが、敵に対して余計な何かをしていたと言う事だ。

 

「あとで話を聞かせて貰うぞ、マキナ」

 

「金を払うなら何でも教えるさ」

 

 

 

 

 

 

 

話をやめ先頭に戻ると、何処かボスの様子がおかしかった。

 

「何があった?」

 

「分からない。さっきまで攻撃して来たのに、急に動きが止まったんだ」

 

近くにいたプレイヤーに尋ねると、相手も困惑しているようだった。

そりゃあさっきまで元気だったボスが、急に動きを止めたらこうなるか。

よくボスを見てみると、姿が人になっている。

 

「姿が変わった?」

 

「さっきより強くなるって事かよ」

 

「退却して体勢を立て直そう‼このままやっても勝てないぞ」

 

そのやり取りを聞いた周りのプレイヤー達が、少しずつ退却を始めた。

退却するなら好都合、マキナの言う事が本当ならおそらくチャンスだ。

 

「シロ、ブラック!俺たちで他の奴らが逃げる時間を稼ぐぞ」

 

「言われなくても、そのつもり。こんな楽しい事、僕が譲る訳ないじゃん」

 

「彼女ほんと、凄いね。僕以上に楽しんでいるよ」

 

今回の事で大分、ブラックのイメージが変わったな。

まあいい、このままボーナスを頂いてしまおう。

 

「時間稼ぎの必要はないよ」

 

その声が聞えると同時にボスが消滅した。

ボスの居た位置には、二枚のカードが落ちていた。

突然の出来事に退却を始めていた者たちも唖然としていた。

 

声の主はカードがドロップしたところまで行くと、それを拾い上げてこう言った。

 

「ご苦労さん。これでこのクエストは終了だよ。報酬は酒場で受け取れるように、手配してあるから」

 

「あんた誰だよ。急に出てきて、クエストは終了って、一体どう言う事だよ」

 

我に帰ったプレイヤーの一人がその人物に尋ねた。

 

「そうだね、まずは自己紹介と行こうか。俺は、マキナ。今回王国に依頼されてこのクエストを出した『神秘の図書館』のギルドマスターだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アンタがそうなのか。それでクリアって言うのは如何言う事だよ」

 

「そのままさ。依頼された内容を達成で来たって事。簡単に言えば、次のエリアが解放されるってことかな」

 

まぁ、解放されるか判らないけど多分大丈夫だろう。

 

ボスから落ちた二枚のカード。

一枚は俺が仕込んだタロットカードだけど、もう一枚のアイテム名には《解放のカギ》と書いてある。

 

「とにかく酒場に行くと分かるよ。王国にはもう話は通してあるから。あ、ジーク。先行って待っているから」

 

そう言って足早にその場から立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だったんだ、アイツ」

 

「とにかく、酒場に行けって事だよな。よく分からない内にクリアして、釈然としないが、報酬を貰えるなら良いか」

 

周りはそう言うとぞろぞろと城を後にし始めた。

 

「ジーク、如何しますか?何か、踊らされていた感があるんですけど……」

 

ブラックがいつもの感じに戻って、訪ねてきた。

如何するのか何て決まっている。

 

「俺たちも帰ろう。酒場で話す約束は付けておいたから」

 

 

 

 

 




次回は、マキナの秘密が少し明らかになる予定です
秘密と言うよりは、普通じゃないプレイスタイルかな?


アイデアがあれば活動報告のアイデア・アイデア02へと、リクエストがあれば活動報告のリクエストへと、ギルド案があればアイデア03へと送ってください。
そのキャラをメインに、書かせて貰うかもしれません。



~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>

活動報告に、さらに詳しい例があります。



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今回のステージでのマキナの行動が明らかに?


戦闘を終えマキナと話をする為に、シロたちと酒場まで戻ってきた。

が酒場の中は何故か、宴会使用になっていた。

 

「何だこりゃ?何で宴会が開かれて居るんだ?」

 

「恐らくと言うより確実に、帝国打破のお祝いパーティだろうね」

 

「凄いですよ!Gを使わなくても、飲み食べが出来るみたいですよ!」

 

ブラックに言われ、メニューを確認すると『1日限定‼飲食代金が無料‼』と出ていた。

そりゃあ宴会にもなるわな。

 

さてと、マキナは何処にいるかな……

 

「あ!居ましたよ!」

 

探しているとブラックが見つけたらしく、ブラックの案内でマキナの所まで移動した。

 

「お疲れ様です、マキナさん!あれ?シンさんは如何したんですか?」

 

「シンなら他のメンバーと、城にいるよ。俺の代わりにストーリーを進めているはずだ」

 

言い終えると同時に、テーブルに飲み物が運ばれてきた。

 

「ゲーム世界の中だが、しっかりと満腹感とか得られる辺り、無駄に凝っているよな」

 

運ばれてきた飲み物を飲みながらマキナが言った。

確かにそれには同意するが、そんな話をしに来た訳ではない。

 

「マキナ、そんな事より話してもらうぞ」

 

「本来なら取引と行きたい所だけど、折角のお祝いだからね」

 

仕方ないと、という態度でマキナは話し始めた。

 

「まず今回のクエストに付いて。酒場に出ていたクエストは、俺が依頼主って知っているな」

 

その言葉に頷く俺たち。

それを見てマキナは話を続ける。

 

「王国側からの依頼は二つ。一つはジークたちにやって貰った、ボスの討伐又は捕獲。もう一つはテール共和国の住民たちの救出。救出は俺たちの方でやっておいた訳だが、実際クエストを出す必要はなかったんだよ。けどまぁ、備え在れば何とやらと言うだろ?そんな訳で、出してみたって訳だ。質問はあるか?と言っても、上手く答える自信は無いがな…」

 

「マキナさん、救出と言う事は予想通りだったと言う事ですか?」

 

そう言えばマキナって、説明が下手だったな……

それでも構わないとブラックが、前に話した予想通りだったのかと質問した。

 

「その通り。けど予想した内容より、分かりやすかった訳だ。深い設定があった訳じゃなくて、一定の条件を達成すると王様から相談されるって言うな」

 

「相談?と言うか、その条件って何だったのかな?」

 

条件が何だったのか気に為ったのだろ。シロがマキナに聞き返した。

 

「条件が何だったのか、何個在ったのかはよく分からないけど、一つは王様との親密度を上げておく事だと思うよ。俺は良く王宮に出入りして、王様の話とか聞いていたから」

 

成る程、確かマキナは王様から依頼を受けたと言っていた。つまりは、信頼を得ている事が条件と言う事か。

 

「けどよマキナ。王宮って簡単に出入りできないだろ?どうやって入ったんだ?」

 

「ん?そんなの、うちのギルドがある場所を考えれば分かるだろ?」

 

ギルドのある場所?

そんな話をした覚えは無いよな。

確か再開した時にギルマスを始めたって聞いて、あとは酒場か図書館に居るって………

 

「まさか、図書館とか言わないよな」

 

「あれ?言って無かったけ?そうだよ、うちのギルドは図書館その物だよ。でだ、ギルドとして使う為に王国と色々あった訳だが、ま、結果的に言えば大丈夫だったわけだ。今じゃ王様にも気に入られて、自由に王宮を出入り出来る。図書館をギルドにしたって言っても、所有者がうちになっているだけで、普通に図書館として使える様になっているよ」

 

マキナのとんでもない発言に、思わず唖然としてしまう俺たち。

一体誰がギルドホームを、図書館にすると考えつくのだろう。

 

相変わらず突拍子の無い事をする友人を見て、このゲームに誘って正解だったと感じた。

この調子なら、今後も楽しめそうだと。

 

「話を戻すが、ストーリーは予想より簡単で、幽閉されたであろう共和国の人を助けて、今回の事件の発端のメフィス達を捕まえるか討伐して欲しいって事だったよ。他に何かあるかい?」

 

「流れは分かった。でだ、あのボスは何だよ。お前なんかしたんだろ?」

 

「勿論!ボスは偵察がてら戦っていたんだが、折角他のプレイヤー達も呼んでいるし倒しちゃ不味いと思ってな。それで、楽しめるようにちょっと細工をしたわけだ」

 

その結果があの怪物だったわけか。

しかし弱っているのを隠す為に、あんな風にするか普通。

 

「あの時見せたカードが、関係しているのかい?」

 

「シロさんだっけ?その通りだよ。これはタロットカードだけどね、戦闘スキルで使うように設定しているんだ。詳しい説明は省くけどその中の一つに潜在能力を引き出すものがあるのだけど、引き出した結果があれなのさ」

 

潜在能力って、そういう扱いなのかよ。

けど、あの時効果が切れるって言っていた訳は分かった。

が、切れたら急に倒れるって言うのは、一体どういう事だ?

 

「そう言えばなんで、倒れるって分かったんですか?」

 

「多分効果が切れても、ダメージは適用されているからじゃないかな?原理は良く分からないけど」

 

「あーそれね。シロさんの言う通りだよ」

 

「シロでいいよ。そう言えば、次のエリアは本当に解放されるかい?」

 

話は続いて、次のエリアが本当に解放されたのかと言う話になった。

そう言えばマキナはあの時、次のエリアが解放されるとか言っていたな。

 

「あぁ、それね。ここに来る前にトランスポートゲートによって、確かめて来たよ。二十四時間後に解放されるってなっていたよ」

 

「つまりはこの酒場の無料期間が終了と同時に、解放されるのか」

 

その言葉に頷くマキナ。

と言う事はやっと次のエリアが解放されるのか。

何だかんだで、ここまで来るまで三ヵ月かかっているからなぁ。

ほんと、長かったな。

そんな事を考えているとマキナに連絡が入ったようだった。

 

「すまん、シンから連絡が来て、今すぐ城に行かないといけなくなった。何か欲しい情報とかあったら連絡するかギルドに来てくれれば、売って上げるから」

 

そう言うとマキナは席を立ち、足早に酒場から出て行った。

 

「ちゃっかり売り込んで行くとは…ジーク、君の友人は変わり者だね」

 

「でも、マキナさんらしくもあると思います」

 

そうだよな。二人の言う通り、アイツは変わり者だが、それが奴らしさと言うものだろう。

 

「ま、とにかく今は楽しむか。適当な所で切り上げて、新エリアに備えようぜ」

 

 




予定では、次の話で第一章『二つの王国』は終了予定です。
一月から始めて約七ヵ月、我ながら随分グタグタとやってきた割には、余り進歩してないように感じますね……


アイデアがあれば活動報告のアイデア・アイデア02へと、リクエストがあれば活動報告のリクエストへと、ギルド案があればアイデア03へと送ってください。
そのキャラをメインに、書かせて貰うかもしれません。



~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>

活動報告に、さらに詳しい例があります。



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帝国の真相

前回の後書き通り、この話で第一章は終了です。




「やぁ、王様。呼ばれたから来たよ」

 

「マキナ殿‼ようこそお出でになられた。お仲間たちはすでに城の宴に参加しておるよ」

 

ジークたちと別れて城に来た俺は、王の間へとやって来ていた。

王の間には俺とアイシルク王、王子のシルク・ド・アイシルク、助け出したテール共和国のお姫様のミーティア・ル・テールの4人がいた。

集まった人物は今回の騒動の中心人物たちだった。

 

「遅れて悪かったな。友人に捕まってたもんでな」

 

「構わんよ。それにしても、この度は助かったぞ」

 

「報酬も貰っているし、問題ないよ」

 

「しかし、息子とミーティア姫が付き合っていたとは」

 

このストーリーの真相は次のようなものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この国の王子であるシルク・ド・アイシルクとテール共和国のお姫様であるミーティア・ル・テールの2人は恋人同士だった。

この事は当人たちの秘密で、両国の王たちですら知らなかった。

 

ある時、王宮に勤めていた1人の魔術師がその秘密を知ってしまった。

その魔術師の名はマーク・スフィア、今回の黒幕だった人物だ。

スフィアは優秀な魔術師であったが、人望はなかった。

 

そんな人物に秘密を知られたシルクは、秘密を共和国を嫌っている者たちにばらされ付け入られる事の無いよう、問答無用でスフィアを国外に追放した。

スフィアはそんな理不尽な追放に怒り、復讐するために己の家系に伝わる禁術の研究を始めた。その術とは傀儡化の魔術だった。

スフィアは追放されてから2年をかけて禁術をものとし、王国への復讐を始めた。

 

手始めに王国貴族の中でも、共和国との関係を快く思っていない者、ターメル、カスタ、ガドフィン、キマリスの4人に接触し、自分が得た秘密を使い反乱を促した。

が4人はスフィアの話を信じず、それどころか殺そうとした。

スフィアはこれを返り討ちにし、駒を手に入れた。スフィアとしては生きていようがいまいが、思い通りにさえ動けば関係なかったのだ。

 

スフィアはさっそく駒を使って、共和国の侵略を開始した。突然の出来事に対応できなかった共和国の軍は、なす統べなく敗北した。

後は知っての通り共和国の人たちは、城の地下牢獄に閉じ込められ、スフィアはマーク・スフィア・メフィスと名乗り傀儡たちと共に帝国の王として君臨すると、王国への進軍準備を始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかしシルクよ、なぜミーティア姫との関係を隠していたのじゃ?言ってくれればこの様な事にはならなかったであろうに」

 

「ですが一部の貴族たちはいまだに共和国の人たちを嫌っている様ですし、その様な者にこの事が知れれば、国が危うくなりかねないと思いまして…」

 

「私たちの関係を知らせるならば、この様な種族の溝を埋めた上ででなければ、きっと今後も今回の騒動の繰り返しになるでしょう」

 

「ふむ、確かにそうじゃろうな。じゃがシルクよ、何故スフィアを追放したのじゃ。お前とて、問答無用で追放すれば恨みを買うのは分かっていたであろう?」

 

シルクはその時の事を思い返し、うつむきながらそのとき感じた事を話した。

 

「もちろんです。ですが、そうするほかないと私は感じたのです。私はあの者に底知れぬ闇を感じ、このままこの城に置いておくのは危険だと感じたのです」

 

さて、ここまで話を聞いておいてなんだが、俺がこの場にいる必要あるか?

ほとんど空気扱いなのだが…

そんなことを考えていると、暇そうにしているのに気付いたのか王が話し掛けてきた。

 

「さてマキナ殿、1つ相談があるのたが」

 

「相談?」

 

「うむ、これから王国はテール共和国の復興作業に力を貸す予定なのだが、そなたにシルクとミーティア姫を預かって貰いたい」

 

「唐突だな。質問いいか?」

 

尋ねると王は頷いた。

 

「なんで預かるんだ?」

 

「体裁的には今回にのことの原因を作った二人は監視を付けねばならないが、復興に人員を回すため適任者が居なくなるんじゃ。そこで主に頼んだわけじゃ」

 

預かるってそう言う事か。監視ぐらいなら問題ないな。

それに向いている奴も居るし。

 

「ふ~ん、まぁ俺はいいけどお二人さんはいいのかい?」

 

「私は王の決定に、従うつもりです」

 

「母から、アイシルク王の指示通りにするようにと言われています」

 

2人とも問題ないらしい。

そうなると、目の届くところに居て貰うべきだな。

 

「なら2人とも、うちのギルドで働いて貰う形でいいか?」

 

と尋ねると、シルクは頷きミーティアも頷くが、少し変わった質問をしてきた。

 

「マキナさん、それは住み込みですか?」

 

「それでも構わないけど、どうした?」

 

ギルドがあるのは図書館だが、司書長室には寝泊まりできる部屋もある。

なのでやろうと思えば、この世界の中で暮らすこともできる。

 

「私の国は復興の最中ですので、泊まる場所がないのです。今回の事もありますし、今私が王国に厄介になるのは不味いと思いまして」

 

なるほど、姫なりの気遣いって訳だ。

まぁ最初から問題もないことだし、構わないだろう。

 

「じゃあ姫さまは、ギルドで寝泊まりすると良いよ」

 

「ありがとうございます!」

 

「決まったようじゃな。ではマキナ殿、二人を頼むぞ」

 

話がまとまり全員で、宴の席に行った。

そこでは、ギルドの仲間たちが王国と共和国の人たちと、今宵の宴を楽しんでいた。

 

 

 




と言う訳で、第一章はこれにて終了です
皆さん、如何でしたでしょうか?
出来るだけ一定のスピードで更新をしてきましたが、大変ですね
でもまぁ、楽しんでもらえているなら、それはとても励みになります。

では、ここらで第二章の予定を少し話したいと思います。
第二章の舞台は、『魔法世界』です。
選んだ理由は特にないですね(笑)しいて言うなら、丁度魔法関係の話を読んだから「じゃあ次は、魔法世界にしよう」って思ったぐらいです。

次回の話は例のごとく、ゲームマスターとAIたちの会議です。
投稿は遅くならない予定ですけど、あまり期待しないでくださいね。

それでは皆さん、今後ともよろしくお願いいたします。



追記:↓小説家になろうにて掲載している、もう一つの結末です。
http://ncode.syosetu.com/n8230de/31/




アイデアがあれば活動報告のアイデア・アイデア02へと、リクエストがあれば活動報告のリクエストへと、ギルド案があればアイデア03へと送ってください。
そのキャラをメインに、書かせて貰うかもしれません。




~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>

活動報告に、さらに詳しい例があります。



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第二章 宝玉と世界構築の儀式
現状と新世界の設定


劇場版アクセル・ワールド公開日、用事が立て込んでいてしばらく見に行けませんが、いずれ必ず……

さてそんな前置きは置いて、新章開幕です!
予告通り今回は、ゲームマスターとAIの会議です。


「ついに次のエリア開放か。此処まで長かった様で実際、予定より早く解放されたな」

 

『そうですね。でも大した問題でもないですよね』

 

『だね~。あ、そう言えば次のエリアは何にするの?』

 

そう言えば候補はあるけど、決めてなかったな。

 

「そうだな~、何か意見は無いか?」

 

『次に実装するエリアを、決めていなかったのですか?』

 

「候補はあるけどな……決めてなかったんだよ。どちらも、キークエストが決まらなくてな」

 

『一つは科学が舞台。もう一つは魔法が舞台でしたね』

 

『あ、ナナ姉!遅かったね。何して居たの?』

 

『マスターに頼まれて、色々と調節して居たのですよ。それよりキキ、あなたは何方が良いと思いますか?』

 

『私?んーそうだなー。マスターやナナ姉に任せるよ。私のやる事は変わらないからね。ルルはどう思う?』

 

『そうねぇ。私は魔法の方が良いと思うわ』

 

「ほぉ、そう思う理由は何だい?」

 

『はい。第一世界のテーマが『人間の世界』でした。キークエストとして人間ではなく獣人たちも居ましたが、世界観的に科学寄りで魔法の要素が余り存在していませんでしたので、今回は思い切って魔法をテーマにしてしまうのが良いかと』

 

成る程、確かに魔法は余り発達せず武術の方が一般的な世界設定だった。

多少は在るにはあったが、要素としてはかなり薄いものだったからな。

 

『そうですね。でしたらルルの言う通り、次は魔法世界にしては如何でしょう』

 

「ナナも良いのか?」

 

『はい、問題ないですよ。私は全体の管理を任されていますが、基本マスターのサポートが第一ですので』

 

「そ、そうか」

 

ほんと何で、こんなに優秀な子に為ったんだろ。

何か、泣けてくるな………

 

「まぁそれじゃあ、次の世界のテーマは『魔法世界』だ。あとは、キークエストをどうするかだな」

 

『でしたら、各地から回収し収めると言うのは如何でしょうか?』

 

「良いアイデアだ、それで行こう。アレも実装するいい機会だ。ナナ、調整は済んでいるか?」

 

『勿論終わらせています。直ぐにでも使えますよ』

 

「ならルルとキキは、先に準備に入ってくれ」

 

『分かりました』

 

『りょーかいだよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、ナナ。神シリーズの現在の状況は如何なっている?」

 

『前回の確認から、さらに一人決まりました』

 

「呪い・天秤・書庫に続いて、何が決まったんだ?」

 

『今回決まったのは「女神の祝福」 です。残り六枠とは、予定より早いですかね?』

 

「いや、それは問題ない。それよりも実装するアレは……」

 

『そちらは先程も申し上げた通り、何時でも実装可能ですよ。と言いますか、既に一つは実装しております。勿論例の仕様は封じてですが』

 

「流石だな。それでどんな具合だ?」

 

『固有名《レーヴァティン》です。現在は通常の武器と変わりはありません。実装してからの、持ち主の反応が楽しみですね♪』

 

「そうだな。そう言えば、持ち主はどんな奴だ?」

 

『「神の天秤」の保持者です。まぁ本人はまだ、アビリティには気づいていませんけど』

 

「そうか保持者が持っているのか。こりゃあ、面白い事になりそうだな」

 

『そうですね。私も楽しみですよ♪』

 

「さて、そろそろ本格的に準備に入ろう」

 

『はい、マスター』

 

 

 




この章から、今まで皆さんから戴いたキャラを本格的に活躍させていきたいと思います。
もしかしたら今まで以上に時間がかかるかも知れませんが、どうか気長に待っていただけると嬉しいです。

アイデアがあれば活動報告のアイデア・アイデア02へと、リクエストがあれば活動報告のリクエストへと、ギルド案があればアイデア03へと送ってください。
そのキャラをメインに、書かせて貰うかもしれません。


~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>

活動報告に、さらに詳しい例があります。



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またまた、森に……

SAOアリシゼーション編遂に完結しましたね~
それに、実写ドラマもするみたいですし、川原礫作品はいろいろと楽しみが尽きる事がありませんね。

それはさておき、本編の始まりはやっぱりこの人からですかね。


今回の世界は『魔法世界』

現在俺はその世界の、王都から南に数キロ行った場所に存在する森を訪れていた。

この場所に訪れた訳は、久しぶりに再会した奴から珍しい情報をもらったからだ。

 

 

 

 

 

この世界に移って俺はまず、色々と探索していた。

第一世界の王都からトランスポートゲートを通って来てみるとそこに在ったのは、全く同じ王都だったからだ。

探索の結果は、初めに居た世界と殆ど変わりがないと言う結論になった。

と言うのも町並みなど殆ど同じなのだが、トランスポートゲートの隣にもう一つ別のゲートが設置され、第一世界には無かった町が増えていたからだ。

 

この世界では、トランスポートゲートとは別にワールドゲートが存在した。

ワールドゲートは第二世界内の都市を行き来するのに使われる。

ただしゲートを使用するには、自分がその都市に行った事がある必要がある。

現在俺が行き来できる都市は王都アイシルク、帝都デスパニア、学園都市ヴィヴィドの三つ。

酒場で聞いた話だと他にゲートが配置されている場所は、古都と空都の二ヵ所らしい。

 

ここまでの探索を終えた時点で俺は、学園都市ヴィヴィドから西へ数十キロの場所に存在しているアーカリアと言う町にいた。

この町は魔導書や学問に関するものが多く売られている他、飲食の代金が安かったりする。

おそらく学園からのお客のためだろう。

学園都市ヴィヴィドは学問の都で、学生が多く住んでいる。

そんな訳でアーカリアは、学園の生徒たちに優しい街と言ったところだろう。

 

しかしいろんな物が安いと言っても、魔導書だけは別か。

安い物でも1,000Gはする

内容は、魔法の基礎を纏めた入門編の写本らしい。

写本で1,000って高いだろ。

 

売り物の魔導書を見ながらそんな事を考えていると、メッセージが届いた。

差出人はマキナか。

手紙の内容は如何やら、新エリアの情報交換をしないかと言うものだった。

断る理由も無いので賛成の返事を送り、学園都市の酒場で待ち合わせる事になった。

 

 

 

「やぁジーク。早かったね」

 

「アーカリアに居たからな。お前こそ早いじゃないか」

 

酒場に行くと、既にマキナは席に着いていた。

 

「そりゃあ拠点がここだもの」

 

「ほー。お前、もう拠点を構えたのか」

 

「まあね。ちなみに魔法学院には入ってみた?」

 

「いいや、入ってない。普通プレイヤーは、勝手に出入り出来るってもんだろ。なのに許可が無いとは入れないとか言って、門前払いされたぞ」

 

後で調べたのだが学院には学生か教師、あとは業者しか入れない設定になっていた。

入れないとなると、中が如何なっているのかなおの事気になったな。

 

「でもそれがどうかしたのか?」

 

「いや別に。ただ学院内には珍しい本が一杯あったてだけ。それより本題だ」

 

此奴、サラッと自分は入った事があるって自慢しやがったな。

まぁそれ以上言わなかったって事は、それ以上何かある訳では無いのだろう。

 

「ジークは今どの程度、この世界について調べがついた?」

 

「そうだな…ハッキリわかっているのは、第一世界の延長線見たいって事と、属性付きの武器が魔法道具って言われている事、あとはこの世界は魔法が舞台であるって事かな」

 

「成る程ね~、うん。その認識で問題ないと思うよ。調べたところ、もし魔法が発展していたらって感じみたいだし。まぁせめて、もう一つ世界が解放されたら、この仮説が正しいって分かるのだけどな」

 

となると色々そっくりな点があっても、不思議ではないと言う事か。

それに、新エリアの事を第一世界とかいう大層な呼び方をしていたのにも、説明がつくしな。

 

「そう言えば、キークエストの手掛かりはあったのか?」

 

「手詰まりだね。前回は、ゲームマスターから直々にヒントがあったけど、今回は一から探さないといけないから。ま、結局は地道にクエストを進めると、どっかでヒントを貰えるでしょ」

 

マキナも今回は、そこまで情報を持っている訳じゃないみたいだな。

まあ俺自身最初の探索以来、ずっとスキル上げをしていたから殆ど情報を持っていないけど。

 

「そう言えばこの世界に来てからまだ、クエストを受けていなかったな……なあマキナ、何か良さげなクエストは無いか?」

 

「今のところ、これと言ったものは無いな。酒場で探す方が良いくらいだよ」

 

となると、あとで掲示板を見に行ってみるか。

 

「でもクエストじゃないけど、珍しい情報はあるよ」

 

「珍しい情報?何の情報なんだ?」

 

「これを教えるには、お代を頂かないとね」

 

金をとるのかよ。

でもまあ、金をとれるくらいの情報って事だろうな。

 

「いくら出せばいいんだ?」

 

「今回は裏取していないから、お金じゃなくて質問に答えてくれたら、それが対価で良いよ」

 

「そうか。で、質問ってなんだ?」

 

「ジークが今、使っている刀について教えて欲しい」

 

「そんな事で良いのか」

 

此奴の事だからもっとこう、現在のスキル構成とかタブーな所をついてくと思っていたんだが……

 

「大変失礼な事を、思われた気がするけど……まぁその刀かなり変わっているからさ。それって確か、直刀だっただろ?でも見た目は太刀みたいだから、何処で手に入れたのか気になってな。やっぱり、モンスタードロップ品なのか?」

 

「いいや、ショップで買ったやつだ。初めてイベントがあった時に武器を破壊されて、その後に始まりの広場から東商業エリアへ行って、さらに細い路地を幾つも通ってから辿り着く、ショップエリアで買ったんだ。種類はマキナの言った通り、刀の直刀だよ」

 

そう言えば始めて見た時は俺も、太刀じゃないかと思ったな。

 

「固有名が確か、レ―ヴァティンだったかな。特殊効果とかは、一切付与されていない。あとは、見たままの太刀みたいな直刀って事かな。値段は……買って貰ったから知らないな」

 

特殊効果とかは無いのに、攻撃力や耐久力は物凄く高い。

それに見た目と違って、癖が無い。

見た目だけで言えば、物凄く癖が強くて扱い難そうなのにな。

今じゃこの太刀みたいな直刀は、頼もしい相棒だな。

 

「レ―ヴァティンか。……もしかしたら、裏が取れるかも」

 

うん?何かぶつぶつと言っているな。

ってか何を考えているんだ、アイツは。

 

「おーい。どした、マキナ」

 

「いや、何でもない。えーっと、対価は貰ったから、情報か」

 

「そうだよ、で珍しい情報って何だよ」

 

「この世界の王都の南に森があるだろ。その森の何処かに、伝説の鍛冶師が居るとか魔法使いが居るとか言う話があるんだよ。ただ合うには特定のアイテムが必要らしくて、出会ったプレイヤーはまだ誰も居ないって話だ」

 

成る程、それで変わった武器を持っていた俺に、その方は何処で手に入れたのかって聞いてきた訳か。

 

「と言う事は、もしかしたら俺は会えるかも知れないのか」

 

「そうだね。ま、もし会えたならその時の話を売ってよ。その時までに同程度の情報とか揃えて置くから、買うか情報交換するから」

 

 

 

 

 

そんな訳で、その時の話を基に森に来ていたのだった。

 

話では森で会えるかも、とし言っていなかった。

当てがある訳じゃないし、森の中心にある大木を目指すか。

 

しかしまた森か~

前は空から、人が降ってきたんだよな。

 

流石にまた、人が降って来るって事は無いだろう。

まぁ、森の中だし行き倒れ的なのはいるかもな。

 

なんて思っているうちに、目的の大木に到着した。

森の中心には湖と島、島に立っている大木があり、第一世界の森と変わりはなかった。

 

 

と思ったが、よく見ると大木の根元に小屋が立っていた。

 

 




アイデアがあれば活動報告のアイデア・アイデア02へと、リクエストがあれば活動報告のリクエストへと、ギルド案があればアイデア03へと送ってください。
そのキャラをメインに、書かせて貰うかもしれません。


~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>

活動報告に、さらに詳しい例があります。



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喋る石

「前の世界では小屋は、無かったんだが」

 

前回の世界の事を考えつつ、その小屋の前までやって来たのは良いが、これって勝手にはいって良いのかな?

まあ、ゲームの中だし良いか。

 

「お邪魔します」

 

と言いつつ扉に手をかけ、小屋の中に入った。

小屋は二階建ての様で、一階はリビングとキッチン、応接間があった。

 

「誰も居ないな……」

 

小屋の中には誰も居ないが、誰かが生活しているような跡はある。これはもしかしたらマキナの言っていた話が、関係しているのかもな。

にしてもこの造り、小屋と言うより家だな。

外から見た感じだと、どう見ても小屋なのだか。

 

「一階はこれ以上何も無い様だし、上に行ってみるか」

 

二階に上がると、扉が四つあった。扉には寝室と書かれたものが二つと、客間と書かれたものが二つずつあった。

 

「少し探らせて貰いますか」

 

 

二階を探って数分、特に何も得られぬまま最後の部屋を探り始めた。

 

「ここまで特に変わったものは無いよな…外れだったか。……ん?」

 

変わったものは無いと思っていた矢先、よくよく見るとベットの枕元に紅色の石が転がっていた。

 

「何で石が置いて在るんだ?宝石でも無い様だし、取り敢えず外に捨てておくか」

 

 

 

 

 

紅い色の石を持って外に出て、その石を捨てた上で改めて、探索を始めた。

と言ってもさっきの寝室を、もう一度探し直すだけだけどな。

 

「……ん?」

 

探索しに先程の寝室に戻ってきたは良いが、違和感があった。

と言うより違和感の原因は分かっている。

先程捨ててきたはずの石が、同じ場所に在るのだ。

 

こいつはただの石じゃ無さそうだな……

 

「よし今度は、湖に投げ捨てるか!」

 

『やめなさい!沈んだら、部屋に戻って来るまでが大変でしょう!』

 

うん、思った通りただの石じゃなかったな。にしても、喋る石って何だよ……

 

『そもそも人をただの石呼ばわりとは如何言う事ですか!私は意思持宝玉(インテリジェントジュエル)の一つ紅き宝玉(スカーレット・ジュエル)です。その辺の石と一緒にされるのは心外です!』

 

意思持宝玉?初めて聞くな……これはもしかして当たりじゃないか?

上手い事機嫌を取りつつ話を進めれば、ストーリーを進むかもしれないな。

 

「それは悪かったな。で、《インテリジェントジュエル》って何だ?」

 

『そう言えば、私たちの存在は知られて居なくて当然でしたね』

 

ジークの質問に紅き宝玉は、思い出した風に言うと、今度は丁寧に説明し始めた。

 

さっきまで怒っていたのに、機嫌治るのが早いな。

 

『ではまず、意思持(インテリジェント)は知っていますよね』

 

「いや、サッパリ」

 

『そこからですか。まぁ良いでしょう。意思持とは、物に意識を持たせ、指示するとその指示通りに行動するものです。一般的には、魔法道具と呼ばれているようですよ。有名なのは確か、杖に魔法式を記憶させ即時使えるようにしたものですね』

 

「魔法道具が、インテリジェントだったのか」

 

『ええ、その通りです。魔法道具には大きく分けて二つあり、意思がある物と、無いものに分けられます。そしてある物の事を意思持と言うのです』

 

聞いた限りだと意思が無い魔法道具とは、プレイヤーによるアイテムへの附与効果になるようだ。

最近修得した刻印附与もおそらく、この意思のない魔法道具扱いなのだろう。

 

上機嫌な様子で喋る紅き宝玉を見ながらジークは、話を聞き続けた。

 

 




アイデアがあれば活動報告のアイデア・アイデア02へと、リクエストがあれば活動報告のリクエストへと、ギルド案があればアイデア03へと送ってください。
そのキャラをメインに、書かせて貰うかもしれません。


~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

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インテリジェントとキークエスト

前回のジークと紅き宝玉(スカーレット・ジュエル)の会話の続きです。
自分で書いて何ですが、長いだけで駄文だったかな……


紅き宝玉(スカーレット・ジュエル)の説明は意思ありと無しの違いについて説明しおえると、今度は意思持(インテリジェント)の細かな違いについての説明を始めた。

 

『さらにこの意思持には、あとから杖などの物に疑似的な意思を持たせたものと、初めから意思を持った二種類が存在しているのです』

 

「二種類って言っても、同じ物だろ?」

 

『素人目にはそう見えるかも知れませんが、結構違うものですよ。後付けの物は基本喋れませんし、設定されている事以外は出来ません。それに対して天然物は喋りますし、それぞれの判断で学んでいきますし』

 

つまりは、賢さに天と地ほどの差が出て来ると締め括る紅き宝石。

この宝石の言う事を踏まえると、こいつ自身も天然ものであると予想できる。

質問が無い事から意思持については理解したと判断したのだろう。紅き宝玉は続いて、初めの質問であった《インテリジェントジュエル》の説明に入った。

 

正直先程の説明で、大方の予想は立ったので別に良いのだが……

 

『では本題に入りましょう。《インテリジェントジュエル》とは、大昔に行われたある儀式の結果、意思を持つ事になった六つの宝石、つまりは初めの意思持の事です』

 

「結局は天然物のインテリジェントって事だろ?」

 

『分かり易く言ってしまえばそうですが、この六つは他のインテリジェントとは違う点が多く存在しているのですよ』

 

「ほぉ、例えば?」

 

『そうですね先ず、後付けの者たちは私たちを研究して作り上げられた、一般的に扱い易くしたコピーです。まぁ子供達みたいなものですね。天然物についても、年の離れた姉弟(きょうだい)みたいなものですね。何せ始めの六つの後のインテリジェントたちは、早い者でも今から三百年前に生まれた子で、千二百年程差がありますからね。積み重ねた知識の量が断然的に違うのです』

 

成る程、確かに大分違いがあるように思える。

しかし話を聞いてきた幾つか気が付いたのだが…

 

「もしかして、お前みたいなのが後五つあるのか?」

 

一つ目の質問にそうです答えこう続けた。

 

『ちなみに私以外の姉妹(しまい)たちはそれぞれ、国や都市の研究を手伝いつつ暮らしていますよ。でも一般的には知られてはいませんけど』

 

質問の答えを聞きジークは納得した。

各都市に居て、その事は一般には知られていない。上層部の秘密になっていたのだろうと。これじゃあ中々この世界のキークエストとなる、物語に触れる事は難しい。

だがようやく見つけたキークエストの手掛かり、あとは流れに身を任せ進めるしかないと。

そう考えていると紅き宝玉はそう言えばと呟いた。

 

紫の宝玉(パープル・ジュエル)から、妙な連絡がありましたね。儀式を再現されるとか何とか。それに他の姉妹たちとは最近連絡が付かないのでしたね……」

 

嫌な予感がすると言って、黙り込んでしまった。

俺に出来る事、物語を進めるために出来る事は……

その事についてしっかり考え、一つの結論か出た。今できる事、それは……

 

「その儀式の事とか、教えてくれないか?もしかしたら力になれるかも知れないからさ」

 

紅き宝玉に協力をすると言うものだった。

その言葉を待っていたかのように、紅き宝玉は話し始めた。

 

『本当ですか。では儀式に付いて話す前に、一つ約束して貰えますか?』

 

「ん?何だ?」

 

『私と一緒に、妹たちを探す旅に出るというものです。………最悪の場合、あの場所にも行かないといけませんし………ボディーガードって奴です。勿論引き受けて貰えるなら、報酬を前渡しにします』

 

如何やら、宝玉に協力する選択で、間違いなさそうだ。途中よく聞き取れ無いくらい小さな声で何か言っていたがまあいい。

どうなろうともこのままの流れで行くしかない。

ジークは覚悟を決め頷いた。

 

『分かりました。ではお話いたします』

 

こうしてまた一人、第二世界でのキークエストを開始するのだった。

 

 




アイデアがあれば活動報告のアイデア・アイデア02へと、リクエストがあれば活動報告のリクエストへと、ギルド案があればアイデア03へと送ってください。
そのキャラをメインに、書かせて貰うかもしれません。


~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>

活動報告に、さらに詳しい例があります。



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雪原の戦い

久しぶりの戦闘シーンです。
今回は今までの中では、一番まともな気がします……
それでもやはり描写が上手くないと思いますので、皆さんの想像力が頼りです。


ジークとスカーレット・ジュエルが出会う数週間ほど前

 

 

 

 

 

「くっ……あなた、一体誰に頼まれたの」

 

「関係ないでしょ?あなたはこれから、私に捕まるのだから」

 

帝都デスパニア郊外の雪原

現在ここで二人の人物が戦闘していた。

 

一人は瞳や髪が淡い紫で、服装も紫色を基調としたドレスを着たツインテールの少女。手には杖を持っている。

もう一人は金髪碧眼の巨乳で、深緑色の衣を纏った女。手にはナイフが握られている。

 

女の名前はセリア

この世界で上位に入る強さを有する、プレイヤーだ。

彼女は現在、とある依頼で目の前の少女を捕まえようとしていた。

 

「それにしても驚いたわ。依頼では紫の宝玉を持って来いって話だったけど、まさか人型になるとはね」

 

セリアはナイフを構えたまま、目の前の少女に言う。

 

「レット姉さまに連絡していた所を、見られていたなんて……ついて無いわ、ほんっと」

 

少女の名は紫の宝玉(パープル・ジュエル)

身に危険が迫ってきた事を紅き宝玉に連絡していた時、依頼を受け紫の宝玉を探していたセリアに見つかり、帝都内での戦闘を避けるため雪原まで逃げてきたのだった。

 

 

 

雪原に着いてからの戦闘は激しく、その辺りにはクレーターが出来ていた。

 

(私の雷撃を初見でかわした時点で、殆ど積んでるわね…)

 

パープルの戦闘スタイルは雷撃による中・長距離間の攻撃だ。

一方でセリアはナイフによる暗殺で、超近距離の攻撃。

パープルが放った初撃は簡単にかわされ、一気に詰め寄られてナイフによる急所への一撃が放たれた。

 

パープルは咄嗟に杖でガードするが、急所を逸らすのがやっとだった。

その後の攻防でも雷撃を幾つも撃つが、それは当たる事なく、周りにクレーターを作る。

 

「そろそろ、大人しく捕まって欲しいのだけど。あなたほど賢い人が、私にいくら雷撃を放っても、当たらない事は分かっているでしょ?」

 

「そう言っても、はいそうですねっで、捕まる訳に行かないでしょう!」

 

そう言うとパープルは杖を勢いよく地面に突き刺し叫んだ。

 

雷の磁場(サンダー・フィールド)‼」

 

すると辺り一帯に強力な電撃が走った後、杖に黒い粒が集まって行った。

やがて杖は黒い粒に覆い尽され、一本の剣へと姿を変えた。

 

(自身で握るのは初めてだけど、このフィールド内だったら何とかなる筈)

 

「それが奥の手?何にせよ次で終わりよ」

 

お互い得物をかまえる。

 

先に動いたのはセリア、首を狙った鋭い一撃はパープルを正確に捉えていた。

が、ナイフがパープルに当たる事は無かった。

 

後に動いたパープルだったが、サンダー・フィールドの効果でパープルの速度は神速となっていた。その速度を生かし、右腕を狙ったカウンターを放ったのだ。

しかしパープルの思惑通りにはいかず、ナイフを空へ弾くだけとなった。

 

「危ない、危ない。まさか腕を狙うなんて」

 

そう言いながら、落ちて来るナイフを空中でキャッチし、再度かまえる。

 

(かわされたの⁉いや、かわすと言うより見て攻撃を合わせたて来たようね。質量がこちらの方が重かった分、打ち勝ったって所かしら)

「さっきの私の一撃、耐えられなかったんでしょ?次で終わるのは、あなたの方よ!」

 

渾身の神速の一撃を放つパープル

その太刀筋を捉えナイフを振るったセリア

 

(っく、やっぱり私の速度を捉えてる!けど‼)

 

パープルの予想通りまたしてもセリアのナイフは宙を舞った。

 

(よし!勝った‼)

 

そのまま勢い良くセリアに向かって、剣を振りぬく。

がパープルの一撃は空を切って、パープルはその場に倒れてしまう。

 

「あいにく、武器はもう一本あるの」

 

気付くといつの間にか背後に立っていたセリアの左手には、撃ち合う直前には持っていなかった短剣が握られていた。

 

パープルは立ち上がろうとするが、立つことが出来なかった。

セリアの止めの一撃が決まったのだ。

 

幻影の一撃(ファントム・ダガー)。私オリジナルのシステム外スキルよ」

 

そんなセリアの呟きはパープルに届く事は無かった。

 

(主さえ、いれば…こんな奴には…… グリーン……姉…さま、たち…無、事に、逃げ……て)

 

意識を失直前、パープルが考えていたのは姉妹たちの事だった。

 

「気を失ったかな?それじゃあ、あとは連れて行ったらお仕事完了ね」

 

そう言ってパープルを担ごうとすると、パープルの体が輝き、宝玉へと変わった。

 

「あら、便利♪」

 

セリアは宝玉を拾って、依頼主の下へ向かった。

 

 

 

 

 




今回登場した《セリア》は、とある小説の製作者さんから提供して戴いたキャラになります。
第二章初の提供キャラの登場です。
私の実力不足で、悪役っぽくなりましたが本来はそんな事はありません。

喋り方とか、もう少しバリエーションがあれば……
まぁ思いつかないなりに、今後も頑張っていきます。


アイデアがあれば活動報告のアイデア02へと、リクエストがあれば活動報告のリクエストへと、ギルド案があればアイデア03へと送ってください。
そのキャラをメインに、書かせて貰うかもしれません。
注意:BWOは基本、本編でリアル側は書く予定はありません。
   なのでリクエストに要望があった場合にのみ、制作を考えたいと思っています。




~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>

活動報告に、さらに詳しい例を用意しています。



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マキナの拠点

「君の名は。」の映画を見て来て、テンションが上がった勢いで投稿します。
映画の感想を言うとすれば、「もう一度、何度でも、見たくなる作品」ですね♪


一方酒場でジークと別れたマキナは拠点へ戻っていた。

普通に考えれば拠点はその町の酒場か、自分のギルドホームにするだろう。だがマキナはギルドホームとは別に、今回の世界での拠点を作った。

マキナの拠点にしている場所、それはギルドホームを図書館にした時と同じように、好んで拠点にする事なく、今回に至っては入ると事すら難しい場所。それは……

 

「先生!帰って来て居るのは分かっているんですよ!大人しく出てきて下さい‼」

 

「リリスちゃん、そう怒らなくても良いじゃないかな?」

 

「シャロ。そう言うけどこの先生、授業は全くせずにフラフラと何処か行ってしまうのよ。居ると分かっている時に、教えて貰わないと今度何時居るのか分からないじゃない。それに今回は無策じゃないんだから」

 

「まーた、お前さんか。前も言ったろ?俺は授業を担当している訳じゃない。俺はこのヴィヴィド魔法学院の書庫・禁書庫の管理を任されているだけの教師だって」

 

そう、この学園都市ヴィヴィドに存在する魔法学院、その書庫を拠点としていたのだった。

 

 

 

 

 

 

学園都市ヴィヴィド

 

学園都市と言われる訳は単純で、各都市にはそれぞれ、学園がある。帝都デスパニアでは呪術魔法について、空都ベルカでは、精霊魔法について、古都アンジュでは古式魔法について、王都アイシルクでは現代魔法について専門的に教える学院がある。

これらの学院の支部と魔法研究の総本山となる学校、ヴィヴィド学院などの学校が集合している事から『学園都市』と言われている。

 

ジークが学院に入ろうとしたが駄目だったのにも理由がある。研究結果の流出を防ぐ為だ。

しかし情報の流出を防ごうとしているのになぜ、この様な都市を作ったのか?それは、お互いの都市が一年間でどれ程の成果を上げたかを発表するためだ。

その発表の場がここ、ヴィヴィドである。

この年に一回開かれる発表会では、ジークの様な学院に入る事の出来ない人たちや生徒たちが他校へ入る事が許される。この発表会の期間は学園都市全体が盛り上がる。つまり、一種のお祭りの期間であると言える。

因みに、ここでは発表された内容は危険度によって分けられるが、最終的に全てヴィヴィド学院の書庫か禁書庫に収められる。

 

 

 

 

 

 

さて、マキナがなぜ総本山たるヴィヴィド学院の書庫を拠点とし、教師となっているかについてだが…

 

「教師って肩書は、学院に居るうえであった方が便利だって理由で、理事長に付けられただけだし」

 

「前にも聞きました。でも曲がりなりにも教師の肩書を持っているなら、生徒のお願いを聞いて下さいよ」

 

ひょんな事から理事長と知り合い、成り行きで司書長を任されたのだ。

実際職も司書長だし、秘蔵の古書や魔導書が読めると言うので了承した。

 

そんな訳でマキナは現在ここを活動の拠点としていたのだった。

 

 

 




~ルル&キキのスキル紹介コーナー~

キキ:またまた久しぶりの登場だよ!
今回はスキルの紹介じゃなくて、第二世界の国についてだよ!

ルル:と言う事は、今回は私の出番なのね

キキ:そうだよー。って事でよろしく、ルル

ルル:それじゃあ説明するわね
今回の世界は前回の世界が基盤になっているわ

キキ:もう一つのロイヤルガーデン州ってことだね

ルル:そうよ
前回はアイシルク王国とテイル共和国、メフィス帝国しか話に出なかったけれど、一応は他にも国があったの
今回は、第一世界とは違う発展を遂げた世界としての登場よ

キキ:ふ~ん
あ、それで所々違っていたりしたんだね♪

ルル:あなた、今更気づいたの?
   
キキ:うん
似てるな~とは思っていたけど、別に気にするほどでも無いかな~って
   
ルル:まったく、あなたって人は…
まぁ話を戻しましょうか
今回のキークエストで重要になる国は五つの都市国家

キキ:前回にも存在した王都アイシルク王国を基準に言うと、前と同じように王都の南側には大きな森
王都を北に進んだ所、山に囲まれて存在する、学園都市ヴィヴィド
学園都市をさらに北に進んだ所に、帝都デスパニア
学園都市を東に行くと、古都アンジュ
そして空を漂う島、空都ベルカ
これらの国が今回のキークエストに関係してくるよ

ルル:アイシルク王国を基準にするより、学園都市が中心って考える方が早いわ
あ、因みに学園都市の西側には、海が存在しているわ

キキ:けど変な感じだよね~
海岸線の途中、一部分が急に内側に向かって弧を描くようになっていて
まるで何かが抜けたみたい

ルル:それには理由があるのだけど、あなたに話すと情報が洩れそうだから教えないわ
えぇっと話を戻すわね
学園都市が中心の訳や各都市の得意魔法については、大体本編の説明通りになるわ

キキ:へぇー、じゃあ今回はこの辺で!
バイバイ~♪

ルル:……よく考えたら結局、あなたが殆ど説明してるじゃない!

キキ:気のせいじゃない?
それよりほら、あいさつ、あいさつ

ルル:え、ま、また次回?

キキ:また今度会おうね~








アイデアがあれば活動報告のアイデア02へと、リクエストがあれば活動報告のリクエストへと、ギルド案があればアイデア03へと送ってください。
そのキャラをメインに、書かせて貰うかもしれません。
注意:BWOは基本、本編でリアル側は書く予定はありません。
   なのでリクエストに要望があった場合にのみ、制作を考えたいと思っています。




~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>

活動報告に、さらに詳しい例を用意しています。



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探究者

しばらく、学園での話が続く予定です。


今更だが、先程から話し掛けて来ている紫がかったピンク色の髪をした少女は、魔導書科のリリス。そしてリリスと一緒に居るロップイヤーの少女が、錬金科のシャロ。

ここ数日書庫に居るとやって来ては、魔法を教えてくれだの顧問に為ってくれだのと押しかけて来ている。

 

リリスが所属している魔導書科とは、名前のままで魔導書を魔術発動の媒介とし、その基礎から応用の他最終的には自分専用の魔導書を作り上げると言うものだ。

シャロの錬金科も同じく、錬金の基礎から応用などと様々な事を学ぶ。

 

リリスが押しかけて来る理由はおそらく、俺が製本しそのスキルを使う所を見たからだろう。何時だったか、学院の書庫の情報をいつも通り解析し製本していたのだが、ふと最近新たなスキルを手に入れていた事を思い出し使ってみた。

 

それはエクストラスキル『探求』で、発現条件は神々の書庫の時同様に不明で、いつの間にか習得していた。効果は、自らが製本した本のスキル全てを使用可能とする、と言うものだった。

そんな訳で試しに使ってみたのだか、運悪くその場面を見られていたらしい。

 

「いやだよ、聞く理由が無いし。それに、俺が教えられる事は何もないし」

 

「そう言うと思っていました。けど今日こそは聞かざるを得ないと思いますよ」

 

「そう言えばリリスちゃん、無策じゃないって言っていたね」

 

しかし、諦め無い奴だな~。勉強熱心なのは良いが、本当に何も教えられないからな。

まぁ、理事長に頼まれたら契約上逆らえないが、そうそう学院長が絡んではこ……

 

「理事長に先生が、クラブの顧問をするように頼みました」

 

「ちょっと待て。理事長に何頼んでいるんだよ!」

 

「顧問ですよ‼顧問!」

 

何て奴だ……そこまでするかよ、普通。でもまぁ、そう簡単に許可が出るはずが……

 

「でもリリスちゃん。許可が出たの?」

 

「うん、割とアッサリ出たよ。クラブ内容を伝えたら『それはなかなか面白そうではないか。よし、許可を出してやるゆえ存分にあの引きこもりを使ってやるがよい』だって」

 

あの理事長め、今度会ったら文句言ってやる。

 

「理事長の命令なら仕方ないか。はぁ…それで、何をするクラブだよ?」

 

「インテリジェントについての研究です」

 

「それは俺でなくていいだろ。インテリジェントの研究なら、他にしている教師が居るだろ?そっちに行けばいいじゃないか」

 

「私がしたいのは、まだ成功例の無い魔導書型のインテリジェントの製作です。だから、先生の力が必要なんです」

 

なーんか、面倒事に巻き込まれてきた気がする……

 

そんなマキナの思いはつゆ知らず、リリスは真剣な表情でそう言った。

 

 

 




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そのキャラをメインに、書かせて貰うかもしれません。
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~例~
    
<ステータス>
      種族「獣人種・紅狐族」能力名「白焔」
      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
        「 」
      汎用「視覚強化」
<能力やスキルの効果>

<オリキャラ案>

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部活動

前回の続きです。



魔導書のインテリジェントは確かに存在しない。

そもそも魔導書自体が魔法道具であり、魔法道具に更にインテリジェントを加えるのは不可能と言う事だ。分かり易く言うと、魔導書による術式とインテリジェントによる術式が混ざってしまい、正しい効果が発揮されないと言う事だ。

そうでなくとも、暴走の危険があるため製作自体されない。

表向きには、だか……

 

「まさかとは思うが、お前さんたち、禁書庫の方に入った事があるのか」

 

「いえ、禁書庫には入った事はありません。けど二人で、インテリジェントジュエルの伝説って本を読んでいる時に思いついたんです」

 

成る程、おとぎ話に近い歴史書から考えついた訳か。

 

「そんな事より詳しい話は、部員を読んでからにしましょうよ。みんな外で待っているんだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあインテリジェント研究会略して、IKをはじめます。顧問はマキナ先生です」

 

「えー、理事長の指示で顧問をする事になった、マキナだ。ま、よろしく」

 

リリスに紹介され、部員たちに挨拶をするマキナ。その書庫に現在居るのは、マキナを除いて八人。

 

「では私から。私の名前はリリス、魔導書科所属です」

 

一人目はリリス

出身はアイシルク王国のスヱリア

特徴は、紫がかったピンク色をしたロングヘア―に青紫色の瞳

 

「私は錬金科のシャロです。リリスとは、幼馴染です。よろしくお願いします」

 

二人目はシャロ

出身はリリスと同じスヱリア

特徴は頭にあるロップイヤーと緑色の瞳

 

「はいはーい!わたし、クロウって言います!召喚科です、よろしく!」

 

三人目はクロウ

出身は古都アンジュのラブリ

特徴は小柄で元気一杯、橙色のショートヘア―

 

「クロウ、部活が嬉しいのは分かるけど、少し落ち着きなさい。失礼しました、私はアインズと言います。魔法教育科です」

 

四人目はアインズ

出身はここ学園都市ヴィヴィド

特徴は落ち着いた雰囲気を纏う大人の女性

 

だが、実際にはまだ十七歳の少女

 

人の世話を焼き過ぎて、学園内では頼れるみんなのお母さん的立ち位置

 

「呪術魔法科のマニーズだ」

 

五人目はマニーズ

出身は帝都デスパニアのニミェジ

特徴は黒髪ポニーテイルで、凛とした雰囲気を纏う少女

 

「自分は、エイマルって言うッス。専攻は魔法武術科ッス」

 

六人目はエイマル

出身は空都ベルカ

特徴は、ライトグリーンのツインテール

 

「セレスティーア・A・アーカリア。広域魔法科」

 

七人目はセレスティーア・A・アーカリア、通称はセレス又はティア

出身は不明、理事長預かり

特徴は青みがかった銀髪と翡翠色の瞳

 

「スノー・プリンセス。専攻は基礎魔法科よ」

 

最後はスノー・プリンセス

こちらはマキナと同類、つまりプレイヤー

特徴は黒髪ストレートのロングヘア―

 

自己紹介を聞きつつ軽くプロフィール帳を見て思ったのは、あからさまに何かありそうな奴らと言う事だ。

てか、理事長の関係者や学園内に他のプレイヤーが居る事にビックリだわ。

 

「まぁ、何かあったら声を掛けてくれ。俺は本読んでいるから」

 

「ちょっと、先生!顧…」

 

「分かりました。方針が決まったら声掛けますね」

 

本を読もうとするマキナをリリスが止めようとすると、それをシャロが遮った。

 

「シャロ、何で邪魔するのよ。先生にはちゃんとしていて貰わないと困るわ」

 

「けど、無理言って顧問を引き受けて貰っている訳だし、それくらい大目に見たら?」

 

「う~ん、確かにそうかも。けど、それは今日だけなんだからね」

 

「ん、じゃあ活動が決まった頃に声を掛けてくれ」

 

シャロの言い分にリリスが納得し、マキナはその場を離れ本を読み始めた。話がまとまったところで、アインズが「それでは」と切り出した。

 

「まずは、部長と副部長を決めましょうか」

 

 

 

 




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      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
      戦闘「刀術」
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部長決めと活動方針

学園生活と言えば、やっぱり部活動ですかね?
と言っても、私はあの独特の空気感が苦手で帰宅部でしたけど……


「と言っても部長はリリスさんでしょうね」

 

アインズがそう言うと、満場一致でリリスが部長に決まった。

 

「となると、副部長を決めましょうか」

 

「それならわたし、アインズに一票!」

 

「そうだな、アインズが良いだろう」

 

「そうっすね、他の皆さんも良いっすよね」

 

クロウに続くように、マニーズとエイマルも賛成した。当人を除いてほかの皆も、賛成の様でエイマルの確認に対して頷いていた。

 

「私なんかで良いの?スノー・プリンセスさんの方が…」

 

「私の事はスノーかユキと呼んで貰えればいいわ。あと、私の本当の名前はセツキ。訳あってあの人の前では、偽名を名乗らせてもらったの。それでだけどアインズさん、私は他にやる事があって、流石に副部長は出来ないわ。それにあなた、これだけ周りに信用されているのだから、もっと自信を持つと良いわ」

 

「…そうね。それでは副部長の役、謹んで引き受けさせて頂きます」

 

スノーの言葉に後押しされたのか、無事アインズが副部長となった。

 

「さしあたって、活動は如何する?」

 

「そうっすよね~、インテリジェントについて調べると言っても、具体的に如何いった事を調べるかが問題っす」

 

無事に部長と副部長が決まると、次に上がるのは活動内容について。マニーズ、エイマルがその事に触れると、リリスが自信満々にそれに答えた。

 

「それなら大丈夫。何も無計画に誘った訳じゃないよ。まずはインテリジェントの祖、インテリジェントジュエルを探そうと思うの」

 

「インテリジェントジュエルって確か、各国に一つずつある、あれだよね。国レベルだと流石に、交渉とか無理じゃないかな?」

 

「そうですね。確かにクロウの言う通り、無理がありそうですよ、リリスさん」

 

「大丈夫だよ。プランは二つあるから」

 

リリスの考えたプランは、次の二つの通りだ。

 

「一つ目のプランは、捜し出す」

 

リリスの言い切りをフォローする様に、シャロが説明を始めた。

 

「えーっと、補足するとね、インテリジェントジュエルは歴史書には全部で六つある事になっているんだけど、発見されているのは五つだけなの。だからリリスちゃんは、その最後の一つを捜し出して話を聞こうって」

 

「なるほど。しかしそれは、大変そうですね」

 

「いやいや、大変ってレベルじゃないっすよ、それ」

 

「二つ目のプランが、ティアに頼む」

 

「えぇ!私⁉」

 

周りの事を気にせずに、リリスはもう一つの意見を口にした。急に名前を呼ばれて、流石に驚きの声を上げるティア。

 

幼馴染の説明不足をフォローする様に、またしてもシャロが説明を始めた。

 

「正確に言うとね、理事長にお願いするって事なの。ほら、理事長って学園都市で一番偉いでしょ?だから身内が頼んだら、見せてくれるかなーって」

 

「そう言えば、理事長は五大国の代表者でしたね」

 

「確かに、りじちょーってより、王様ってかんじのひとだよね~。あの人」

 

シャロの説明を聞き、アインズやクロウの呟きに全員が納得、と頷く。

 

「で、どうかな?ティア?」

 

「一応は聞いてみます。けど、あまり期待しないで下さい」

 

「よーし、それじゃあグループ分けをして両プランとも進めていこう!」

 

 




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      職 「薬師」職スキル名「妙薬調合師」
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方針と再会

最近文化祭で使用するストーリの製作で、ストックが全然作れていない……
取り敢えず、来月までは持つはず……(震)


「それで?探索班がアインズ・エイマル・クロウ・マニーズで、交渉班がリリス・シャロ・セレス・ユキか」

 

決まった方針を聞くと如何やらインテリジェントジュエルに話を聞くことになり、そのために所在不明の物を探す班と、ヴィヴィドに存在するインテリジェントジュエルと話せるよう交渉する班に別れるらしい。

 

「はい、学園もじきに夏季休暇に入りますから、休暇を使って伝承に関係する場所を探してみたいと考えています」

 

「セレスに理事長説得を頼んだの。終わり次第、探索に加わるつもりよ」

 

探索班代表のアインズと交渉班代表のリリスが、行動計画を話す。

 

「良いんじゃないか?けど、どっちも面倒だな」

 

「けどこれ位しないと作れないでしょ?」

 

「まぁそうだな。ん?そういやぁお前たち、リリスの目的知っていて、この部に入ったのか?」

 

ふと感じた疑問。それに答えたのは、アインズだった。

 

「えぇ、知っています。勧誘された際に、聞かされていますから。その上で私たちは、入っていますから」

 

「そうか、ならいい。探索班はまず、王都で情報収集しておけ。何らったら、図書館に行くと良い。俺の仲間がそこに居るから。後は定期的に連絡する様に。俺は心配だし理事長に用もあるから、交渉班について行くよ」

 

「分かりましたけど、理事長に用事とは?」

 

「いやなに、少々お話を、な」

 

アインズの質問に笑顔で答えるマキナ。

その笑顔を見て、如何やらシャロは何のことか分かったらしく、苦笑いを浮かべていた。

 

「ま、今日はこれ位にして、早く寮に帰れよ」

 

その言葉を合図に、生徒たちは返事をして帰り支度を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

皆が書庫から出て行く中、最後まで残ったのはマキナとスノー・プリンセス。

何となくだがこいつ、どっかで会った事ある気がするんだよな。

 

「えっと、マキナ先生、と呼べばいいのかしら?」

 

「いいや、マキナで良いぜ。プレイヤーだろ、アンタも」

 

「そう?ならマキナって呼ぶわ。それしても()()()()()()()本ばかり読んでいるのね、あなた。ほんと、昔から変わらないわね」

 

昔から?って事は、現実での知り合いか。

しかっし、だれだ?そこまで出かかっているんだが、決め手が足りんな。

 

「まだ分からないの?本当に変わらないわね。名前をなかなか覚えないところとか。もぅ、名前をよく見なさい」

 

名前?スノー・プリンセスだよな。う~ん、スノー……ユキ?……プリンセス……ヒメ?ん?ユキ、ヒメ?雪、姫?……雪姫⁉

 

「もしかして、雪姫さんか⁉」

 

「やっと分かったの?全く、何で分からないのかしら?」

 

「いや、ツッキーなら分かるけど、まさかお前さんがゲームをするとは思わなくてな。いつから始めたんだ?」

 

「月乃に誘われたのよ。始めたのは最近、生活も慣れてきたから」

 

「そうか、ま、リアルの話はこの辺にしておこう。一応、リアルの話はタブーだからな」

 

「らしいわね。月…シンから聞いているわ」

 

「そうか。で?何か話があるんだろ?」

 

「ええ、二つあるわ。一つは、時間があればで良いのだけど、久しぶりに会えないかしら?」

 

「リアルでか?まぁ、良いよ。そっちの都合に合わせるから連絡してくれ」

 

「ありがとう。それじゃあもう一つ、私もあなたのギルドに入れて貰えないかしら?」

 

「そんな事か。いいぜ、ようこそ『神秘の図書館』へ。メンバーを代表して、歓迎するよ」

 

「ええ、これからよろしくね。マキナ」

 

 

 

 




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      戦闘「刀術」
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理事長=学園都市トップ

理事長兼学園都市のトップが登場です。


「先生!遅い!」

 

「言わんでいい。と言うか、お前らが早すぎだ」

 

「そうかしら?遅くなるよりは、良いじゃない?」

 

理事長室の扉の前には、交渉班の四人が既に到着していた。ティアが前もって理事長に話を取り次いでおいたお陰で、話をする時間を貰うことが出来た。

 

「取り敢えずは入るぞ。何時までもここに居たら邪魔だし、どうせ奴も気付いていることだろうしな」

 

そう言ってマキナは、理事長室の扉を開けて中に入る。その後に続いて中に入る四人。

 

「よ~、ディアーチェ」

 

「マキナか、遅かったではないか」

 

「色々とお見通しってか?なら早い、まずはこいつらの用事からだ」

 

そう言うと、マキナの背後から四人が前へ出る。

 

「ふむ、そうじゃな。して、うぬらの望みは確か、《インテリジェントジュエル》だったか?」

 

「はい、ティアから聞いていると思いますが、改めて言います。理事長が管理しているインテリジェントジュエルと話をさせて頂きたいのです」

 

「如何やら面白い事を考えている上に、ティアの頼みだから特別に…っと言いたいのだが、済まぬがそれは出来ん」

 

リリスの話を聞いたうえで、申し訳なさそうに謝るディアーチェ。

ただ謝り方が少し引っかかる。まるで、元々合わせる積りだったが、急に出来なくなったと言った感じだ。

如何やら言い方に違和感を感じ取ったのは俺だけでなく、ユキがディアーチェに聞き返した。

 

「その言い方からして、直前に何か問題が起こった様ね。違うかしら?」

 

「ちょ、スノー⁉理事長相手に、何って聞き方しているのよ!」

 

「構わん。実際、うぬの言う通り、ちと問題が発生してな」

 

「問題ですか?」

 

「うむ、実は黒き宝玉(ブラック・ジュエル)が何処か行ってしまったのだ」

 

ディアーチェがそう言った途端、場の時間が止まった。

そりゃあ停まるだろな、本物のインテリジェントの事を知らないと。って言うか、生徒に話しちゃいかんレベルの機密を、話す積りか。

 

「……それは、あの…無くした、とか?」

 

「いやそうではない、天然物は人の姿をとる事が出来るのだ」

 

「「「「人?」」」」

 

「うむ、しばし待っておくがよい。おおよそ、マキナと話を付ければうぬらの望みも叶おう」

 

そう言うとディアーチェは、リリスたちを話が聞えない位置まで移動するよう指示をし、マキナの方を呼んだ。

 

「さてマキナ、まずはうぬの話を聞こう」

 

「何か面倒な事が控えてそうだから、ハッキリ言うわ。お前、よくも顧問とか押し付けやがったな!」

 

「ハッハッハ、いや~、愉快じゃな。少しは教師らしい事をせねば、他の者に示しがつかんじゃろ?……まぁ、ティアの護衛をかけているのは否定せんが」

 

「それはウチのメンバーの誰かに依頼すれば済むだろ?」

 

「ハヤテの事か?奴なら我の影武者を頼んでいる。毎回助かっておるぞ。まさかあそこまで似ておる者がおったとはな」

 

……まぁ、ハヤテが引き受けているなら知らん。あくまで俺はメンバーに極力、学園の依頼は受ける様に言っただけだし。

 

「それはさておき、本題に入るか。いや、さっきのも本題だがな。個人的な」

 

「分かっておるわ。さて、インテリジェントが居なくなった件なのだが」

 

「その前にいいか?」

 

「なんだ、いちいち水を差す積りか?」

 

するとマキナは、リリスたちを指差しながら言った。

 

「そうじゃなくて確認だ。何で機密を生徒に聞かせているんだ?普通部屋から追い出してからだろ」

 

その質問は予想済みだったらしく、ディアーチェは平然と言い放った。

 

「セレスティーアは元々関係者。今回の件は恐らくあの子が、如何しても関わってしまう。迷惑を掛けるのなら、先に情報を与えておいた方が良いと言う判断だ」

 

黒き宝玉に会わせるのも、報酬の一つだった訳か…

しかし、ティアが関係者って言う必要あるのか?理事長預かり以外に秘密があるって事か?

 

「それより本題だ、如何やら他の場所でも姿を消すものや、何者かに連れ去られる者が出ておるらしい」

 

「それって、大問題だろ?」

 

「うむ、それにブラックとも居なくなる前に話したのだが、恐らくティアも狙われる事になる。本人は何も知らんのにな。だから、それを知る旅に出させる方が良いと考えた訳だ」

 

「リリスの提案は都合よかった訳か」

 

「うむ。それに予想よりも時間が無いらしい。ブラックが何も言わず、姿を隠したほどだからな。と言う訳で頼むぞ、マキナ」

 

詰まる所これはアレだ、キークエストの一端だろう。

今回は関わりたくなかったんだがな~

仕方ない、自分が選んだ道な訳だし。

 

「それじゃあ確認だ。依頼内容は、ジュエルの回収・捜索、セレスティーアの護衛、その他諸々と言った具合か?」

 

「そうなるな。詳しくはこの者らから聞きくように」

 

そう言うと何処からとも無く表れた二人の人物。

二人とも人族のプレイヤー

 

「マスタ~、お久しぶりやね。何や知らんうちに、ディアーチェの専属になっとったよ~」

 

うちの神秘の図書館のメンバー、ハヤテ

 

「久しぶり?でもないか」

 

もう一人は、またも懐かしも人物。ネットゲームをしている以上、必ず出会う人物、リオだった。

 

 




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※それぞれの詳細は、活動報告の各項目に説明を入れてあります。



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本格的に…

学園都市での話は、これで一段落です。


「つまりは、各国でインテリジェントジュエルが行方不明になっているから、探して欲しいって事?」

 

「大よそはそんな感じだ。結果を言ってしまうなら、事件を解決できたら、直接聞けるって事だな」

 

理事長での話し合いを終えて現在、探索班のアインズたちと合流すべくアイシルク王国に向かっていた。

道中の話は主に、先程まで共に行動していた人物たちに切り替わった。

 

「それにしても先生、あの人たちは誰だったんですか?急に表れて、ビックリしましたよ」

 

「そうよ、一体何者なのよ」

 

「あの人たちは、ディアーチェの友人らしいです」

 

シャロとリリスの質問に答えたのはセレスティーアだった。

 

「ディアーチェそっくりな人はハヤテさん、銀髪の女性はリオさんです」

 

「ハヤテさんか~、確かに理事長そっくりだったわね~」

 

「リオさんも綺麗な銀髪だったよね、リリスちゃん」

 

「そうね、シャロ。で、最初に戻るけど、先生あの人たちと知り合いなんでしょ?」

 

結局俺の所に来るのか。

まぁ話の流れから、そうなるのは当然か。

 

「まぁな。ディアーチェそっくりの奴は、うちのギルドのメンバーだ」

 

「リオは私とマキナの共通の友人よ」

 

「えっ、スノーとマキナって知り合いだったの?」

 

「言って無かったか?」「言って無かったかしら?」

 

「「「聞いてません‼」」」

 

ありゃ、そうだったか。でもまあ、重要な事でもなし、良いか。

 

「あと、スノープリンセスって名前は偽名で、本当の名前は雪姫(セツキ)と言うの。改めてよろしくね」

 

「それは、初耳だぞ……まぁ、それよか、改めて情報を伝えて置くぞ」

 

多少無理やりだが話題を変えてみる。

すると、リリスがちゃんと乗っかってくれた。

こういう時熱心な奴は助かるな~。

 

「それって、ハヤテさんたちと話していた事?」

 

「あぁ、その通りだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は巻き戻って理事長室~~

 

 

 

 

「取り敢えず久しぶりって、言って良いのか?この空いたリアルで会ったばっかりな気がするが」

 

「そうだな、会ったのは半年ほど前になるが、電話をする時に顔を合わせるからな」

 

「そう考えると拡張現実って便利だな~。拡張現実が発達していながら、この仮想現実もいまだに人気だもんな」

 

「そうだな。ところで良いのか?相手にして欲しそうに見ているぞ?」

 

リオはハヤテを指差しながら言う。

 

「そうや、そうや。マスター、ウチの事もかまってーな」

 

「はいはい。それにしても本当に、ディアーチェそっくりだな」

 

「そうなんよ~。系統も同じだったんよ。これはもう、運命やね」

 

満足そうだな。ディアーチェとハヤテを組ませると、ちょうど理事長とそのメイドか……

取り敢えずこいつには、他のメンバーに状況を伝える様に指示するか。

 

「ハヤテはギルドに行って、この事を伝えといてくれ。その後はディアーチェと行動して、常に新しい情報をギルドに送ってくれ」

 

「それはええけど、何や扱いがひどない?まぁ、えぇけど」

 

そう言うとハヤテは理事長室から出て行った。その様子を見ながらリオは言った。

 

「彼女を見ていると、結城を思い出すな」

 

結城…?聞いた事があるような、無いような……

 

「あぁ、君の事だから覚えていないのだろ?気にする必要は無い。それより本題だ」

 

「ん?あぁ」

 

「ジュエルたちが身を隠しているのは、プレイヤーたちに捕まらない様にらしい。既に捕まった者も居るらしいが」

 

「成る程な。で?ティアが関係してくるってのは?」

 

「セレスティーアのフルネームは分かるか?」

 

ティアの?確か、セレスティーア・A・アーカリアだったはず。

 

「セレスティーア・A・アーカリア。元の名が、セレスティーア・アヴローラだ。理事長のディアーチェ・アーカリアが引き取ってから名が変わったんだ」

 

「アヴローラ、か……何となくわかった」

 

この学園の禁書庫にあった本の中に、アヴローラ一族の悲劇の歴史があった。もしあの本の内容が、このキークエストのヒントなら……

 

「流石マキナだ。図書館をギルドにする奴は違うな」

 

「良いだろ、別に。それより最終目的地は、暁の里『アヴローラ』で良いのか?」

 

「それはまだ調査中だ」

 

「K。なら、お互い別行動で情報を交換し合おう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅん~、つまりジュエルを探しながらその、暁の里を探すの?」

 

アヴローラの事は伏せて話したのだが、如何やらリリスは感づいている様だ。

 

まぁ、リリスは賢いし勉強熱心だからな。

 

「そ、って訳で、まずはアインズたちと合流するぞ」

 

 




気付けばこのゲーム(BWO)には、マキナの現実(リアル)の知り合いが大集合‼、ですね……
それは置いておいて、次は久しぶりの戦闘回になる予定です。





アイデアがあれば活動報告のアイデア02へと、リクエストがあれば活動報告のリクエストへと、ギルド案があればアイデア03へと送ってください。
新しく考察のエリアも作りました。よければ利用してみてください。



※それぞれの詳細は、活動報告の各項目に説明を入れてあります。


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緩~い戦闘

久しぶりの戦闘シーンです。
何故、こうなったのでしょう………自分でもよく判らなくなってきました。

取り敢えず今回も、描写が上手くないと思いますので、皆さんの想像力で補って下さい。


空に浮かぶ大陸唯一の都市、空都ベルカ

 

 

 

 

 

このベルカ郊外に存在する地下洞窟にて、少し異様な戦闘が行われていた。

 

「………」

 

一人は全身緑の鎧と身の丈に合わない大盾を装備した人物。

 

「う~ん、意外と堅いな~」

 

もう一人は常に決まった形をとっておらず、状況に合わせて姿を変える人物。

 

二人の戦闘は単調なもので、一方が攻撃すると、盾でガードしカウンターを入れる。一方が攻撃をすれば、形を変え受け流す。

お互い決定的な決め手に欠け、このやり取りがおよそ二時間近く続いている。

 

「ね~あなた。何で喋らないの~?」

 

決まった形を足らない人物はこのゲームでも珍しい、スライム種のプレイヤーだった。

名をヴィヤーサ

 

何故スライム種のプレイヤーが珍しいのか、それはスライム種のステータス値は種族内最下位であり、人気が無いからだ。

ステータス値が低い変わりにスライム種には、何度でも好きにステータス値を再分配できる能力があるが、それでも低すぎるステータス値のせいで人気ワーストワンの種族だった。

そんな種族をヴィヤーサが選んで理由。それはある種、悲劇によるものだった。

 

ヴィヤーサはVRMMOをプレーするのが初めてで、アバター製作を《完全自動製作式》を選んだのだ。その結果出来上がったのはこの、スライム種のヴィヤーサだった。

スライム種が種族間最弱キャラだとは知らないヴィヤーサはそのままゲームを進めていき、初心者域を出て中堅プレイヤーと為った頃、初めて自分の使用しているキャラが最弱で人気が無い事を知った。

しかしその頃にはすっかりこのアバターが気に入っており、今更一からやり直す気になれなかった。

 

これがこの世界でも珍しい、生粋のスライム種のプレイヤーが誕生した瞬間となった。

 

「………」

 

話は戻って、ヴィヤーサと相対する人物は相変わらずの無言だった。

 

この緑の人物の名は、緑の宝玉(グリーン・ジュエル)

姉妹から知らされた身の危険から己を守るために、地下洞窟に隠れ敵を待ち構えていたのだった。

 

「………疲れた」

 

グリーンの属性は防御

主が居ない宝玉たちは、己で使う事は出来ても最大限の力を発揮する事は出来ない。

それ故グリーンは体力的余裕があるにもかかわらず、疲労度が蓄積され徐々に活動限界へと追い込まれていった。

 

「う~ん、何か決定打になる技、あったかな~?」

 

(……次の攻撃を受け切って、一度退却するしか…)

 

「あ~、そう言えばまだ試してなかった~。よぉーし、そうと決まれば」

 

グリーンは盾を、ヴィヤーサは人の形を取り、拳を構える。

 

動いたのは、ヴィヤーサ。拳を勢い良く突き出す。

一方グリーンは不動の構えでそれを迎え撃った。

しばらくぶつかり合いは拮抗していた。が、そのぶつかり合いはヴィヤーサが盾から急に離れた事で、終わりを告げた。

 

いや、ぶつかり合いでは無く、この長い戦闘事態の終わりを、だった。

グリーンの見た目には変化はないのに、グリーンはその場に倒れ込み、光り輝くと宝玉へと変わってしまったのだ。

 

「あ~、やっぱり効いた~」

 

ヴィヤーサが放った拳は、職業スキル・武闘家の『拳法』の攻撃、鎧通しだった。

拳法で使える技の多くが、正確に物の芯を捉えないと効果が無い。これは技量もさる事ながら、運も関わってくる。

 

ヴィヤーサの凄い事は、元々は芯を正確に捉えている訳では無く、運だけでこれを成功させる事にあった。しかし、ヴィヤーサは根性で芯を正確に捉えられる様になり、その上持ち前の運もあって必ず成功するものとなっていた。ただし……

 

「スッカリ忘れるとこだったよ~」

 

本人が初心者ゆえのニアミスをしなければだ。

 

「さーって、これを回収して、受付まで届ければいいんだよね~」

 

そう言うと緑の宝玉を回収して、ヴィヤーサは酒場へと向かうのであった。

 

 

 

 

 




今回登場した《ヴィヤーサ》は、オリヌスさんから提供して戴いたキャラになります。
何と言うか、私のスライムの認識が定まっていないせいか、書き上げたものを確認した時、「あれ、これで種族(スライム)として成り立っているのかな?」って思いました。
まぁそこはBWOっぽく、「空白ゆえの結果」と言う事でどうか一、お願いします。



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探索班の戦い

タイトル通りですね、もう一方の学生たちの話です。
今回も、描写が上手くないと思いますので、皆さんの想像力で補って下さい。
……と言っても、言うほど戦闘しません………


マキナたちが理事長室でディアーチェと話していたころ。

王都より北側、学園都市を囲む山脈のふもとの森で、四人の学生たちがオオカミの群れに囲まれていた。

 

「アインズ!流石にこの数相手に、前衛がエイマル一人だと厳しいぞ!」

 

「うぅ~、すみませ~ん。わたしの召喚獣が幼竜なせいで、お役に立てなくて」

 

「クロウ、謝らなくていいのよ。私たちはまだ、基礎しか学んでないのだから」

 

「それに召喚科はパートナーを一年かけて育てながら、学んでいくのだろ?なら、なおさら気にする事は無い」

 

「その代わり、支援頼むッス」

 

現在四人はおおよそ百匹ほどの魔物化したオオカミの群れに囲まれていた。

戦闘の指揮を執っているのがアインズ、クロウが召喚獣を使って撹乱・陽動、マニーズが呪術魔法を使い支援、エイマルが前衛で敵を倒す。

一見バランスが良さそうだが、それは一人前の魔法使いとなっていた場合の話だ。彼女らは学生、クロウとエイマルは入学してまだ半年しかたっていない。

 

つまり、クロウとエイマルはまだ基礎しか習っておらず、クロウの召喚獣はまだ戦えるほど成長していなかったのだ。

ここに至るまで、全く戦闘が無かった訳では無い。が、群れに出くわしたとしても、精々六~十匹程度だったため、何とかなっていた。

 

「で?どうする、アインズ。これだけ居たら流石に持たないだろう」

 

「そこなのよ。如何にかして、糸口さえ見つけることが出来たら……」

 

「アインズ先輩!」「マニーズ先輩!」

 

「危ない‼」「危ないッス‼」

 

アインズとマニーズが作戦を考えていると、後輩たちの危険を知らせる声がした。

見ると何匹かのオオカミが此方に飛び掛かろうとしていた。

 

「「ッ……」」

 

咄嗟に防壁魔法を展開しようとするが、オオカミの方が早く噛み付く。

 

「……ぇ」「なんだ……」

 

が、まさに狼たちが噛み付く瞬間、それは降ってきた。

それは飛び掛かろうとしたオオカミたちを串刺しにし、地面へと刺さった。

やがて串刺しになったオオカミたちは消え去り、それだけがその場に残った。唸り声をあげていたオオカミたちは、一気に静かになった。

 

「あれは…」

 

「一体どこから来たッスか、あの剣」

 

間一髪の所でアインズとマニーズを救ったのは一本の剣だった。

 

「いや~、君たち、無事かい?」

 

何処からともなく声が聞えて来ると、オオカミの群れが一斉に森の一方方向に向き、威嚇を始めた。

四人は体勢を立て直すと、オオカミが威嚇をしている方角を見た。

するとそちらから、全身を青色の騎士甲冑に身を包んだ人物が出てきた。

 

「如何やら、間に合った様だね」

 

「あなたは、一体」

 

「そうだね、答える前にこいつ等を片付けようか」

 

アインズの質問に少し待つ様に言った、騎士甲冑の人物。

それと同時に、オオカミたちが一斉に騎士甲冑の人物に襲い掛かる。

 

「やれやれ、烏合の衆がいくら来たって同じだよ」

 

そう言うといつの間にか握っていた、剣を上段に構えると、袈裟懸けに一気に振り下ろした。

すると振り抜きと同時に、凄まじい魔力波と衝撃波がオオカミの群れを襲った。

オオカミたちは奔流に飲み込まれ、消え去ってしまった。

 

「なに……あれ……」

 

「何と言うか……」

 

「でたらめな威力ッスね……」

 

驚きを隠せないアインズたちをよそに、やった主は当然と言わんばかりに満足げだった。

 

「さて、私が誰か、だったね。私はそうだな、ブルーと言う。きみたちは?」

 

「わたし、クロウ」

 

「マニーズだ」

 

「エイマルッス」

 

「助けて頂き、ありがとうございます。私はアインズ。私たちはヴィヴィド学院の学院生です。王都に調べ物が在って向かっています」

 

お互い自己紹介をし、アインズは助けて貰った礼を言い、旅の目的を述べた。

 

「へぇ~、そうなのかい。あ、所でここが何処だか分かるかい?」

 

「王国の北側、学園都市を囲む山のふもとの森ですけど?って、如何かしましたか?」

 

ブルーの質問にアインズが答えると、ブルーが深刻そうな顔つきになった。

 

「おかしい……確かに西に向かっていたはずなのに……」

 

「「「「………」」」」

 

ブルーの呟きで辺り一帯が、一気に静まり返った。そして四人は同時に思った。

 

((((あぁ、この人すっごい方向音痴だ))))

 

誰一人として、口には出さなかったが、皆自然と揃った。そして揃って口にする。

 

「「「「よかったら、まず王都まで一緒に行きませんか?」」」」

 

「え、あ、はい、そうしましょうか」

 

見事なハモリに驚きつつも、ブルーはその提案を受け入れた。

 

かくしてブルーはアインズたちと共にまずは、王都アイシルクへ向かう事となった。

 

 

 

 

 




今月いっぱいで、アイデア2(キャラ案)の募集を終了したいと思います。
正しく言うと、大々的な募集です。

理由と致しましては、それなりの数が集まり、増えたキャラの特徴把握が間に合わなくなってきたためです。(本音:提出されたキャラ案をチェックする時間が無くなって来たから……)
ですので、来月以降提出されたキャラ案は採用確率がグンと下がると考えて頂きたいと考えております。

今までキャラ案を送ってくださった方々、本当にありがとうございました。




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宝玉狩りの主

古都アンジュに存在する魔法学院の一室で、老人が四つの宝玉を眺めていた。

 

「順調に集まって来ておる様じゃな。そろそろ行くかのう」

 

「ねーね~。クロムウェル先生―。一体何集めているの~?」

 

古式精霊魔法の権威クロムウェル・ベルガンテと、その護衛を引き受けているプレイヤー莉花だ。莉花は、クロムウェルの呟きにくいつき質問する。

 

「…莉花、お前さんは何にでも興味を持つし、首を突っ込みたがるなぁ」

 

「うん!だって、面白そうなんだもん。それでクロムウェル先生ぇ、何集めているの~?」

 

(うーむ、どうするかのう。出来れば余計な詮索はされたくないが、諦めるとも思えんからのう)

 

クロムウェルはしばらく考えると、諦めて少しばかり話す事にした。

 

「実験に使う宝玉を集めているのじゃ。お前さんとは別で人を雇って、各地から集めてきておるのじゃ」

 

「へぇー…あれ?何で護衛なんて雇ったの?自分で探しに行かないなら、必要ないよね?」

 

「ここにある宝玉が、ある程度集まったら運搬をする。その時襲われないとも限らないから、運搬が済むまでの護衛を依頼したはずじゃが……莉花、お前さん依頼内容を忘れておったのか?」

 

そう言うと、ニパーッと笑いながら答える。

 

「えっとー……あははー。ソンナコトナイヨー」

 

「ハァー、全く」

 

クロムウェルは莉花の発言から、忘れていたと言う事を察すると溜息を吐いた。

 

「ゴメンね。いや~てっきり、誰かが盗んだものを取り返そうとする人たちからの護衛かな~なんて思っちゃったよ」

 

一方莉花は一瞬、獲物を見据える者の目をクロムウェルに向けた。

 

「…そんなわけあるまい。それより仕事じゃ。しっかり、護衛を頼むぞ」

 

「ハーイ。任せておいてよ。しっかり護衛し切って見せるから!」

 

(もしかしたら儂、人選を間違えたかも知れん……)

 

若干、莉花を雇った事を後悔しつつもクロムウェルは、四つの宝玉を持って部屋を出る。

 

「そー言えば、どこまで行くの?」

 

後に続いて来た莉花が行き先を訪ねた。

 

「うむ、ベルカ大陸へ向かう。そこ何処かに石板が在る筈じゃ」

 

「あの空に浮いている大陸かー。そこで石板を探すの?」

 

「そうじゃ。その石板と宝玉で儀し…実験が始められる。じゃからお前さんは」

 

「石板が見つかるまで、護衛すればいいんだね。分かったよ~」

 

二人は学院を出ると、ちょうど古都付近を漂っていた空に浮かぶ大陸へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王都の門前、王都の中には入らず外で待機し、アインズたちの居場所が分かるのを待っていた。

 

「先生、アインズたちと連絡が取れたわ。今酒場で情報収集しているって」

 

「ん、じゃあ酒場に行く……いや、セレスは残ってくれ。お前たち酒場でアインズたちと合流して、図書館へ向かえ」

 

全員で酒場へ向かうよう言いかけたが、途中で指示を変えたマキナ。

 

「分かりましたけど…先生、どうかしましたか?」

 

マキナの指示を不思議に思ってか、シャロが質問する。

 

「いや、野暮用だ」

 

「はぁ、そうですか」

 

「それじゃ先生、先に行っているからね」

 

そう言うと、リリスたちは王都の中へと入って行く。

その姿を見送った後、セレスがマキナの方を見て尋ねる。

 

「先生、何で私は残らされたんですか?」

 

「ん?あぁ、ちょっと待ってくれ。仲間に連絡しておくから」

 

そう言ってマキナは通信を始めた。

 

 

『先輩、久しぶり』

 

「おう、シン。早速で悪いんだが、そっちに学生とユキが行くから、しばらく俺の代わりに引率を頼む」

 

『分かりました。そう言えば、先輩、姉さまが居たの、気付いたんですね』

 

「い~や。本人に言われて、確信した。何かどっかであった事はありそうだな~とは思っていたけど、まさか雪姫さんだとは思わなかったな」

 

『姉様が、ゲームするの、意外?』

 

「そうだけど、この分だと他のメンバーも居そうだからな」

 

『そうですね。では先輩、お気を付けて』

 

「あぁ。あ、もう一つ。これは多分、キークエストだ」

 

『…!分かりました。メンバー全員で、事に当たります』

 

「悪いな。直ぐ合流できるはずだが、合流する前に動くなら、行き先を連絡してくれ」

 

『了解です』

 

 

そう言ってシンは通信を切った。

そしてマキナはセレスに向き直ると、ようやく質問に答えた。

 

「よし、それじゃあ会いに行くか」

 

「え?会いに行くって、一体誰にですか?」

 

「誰って、探し人にだよ」

 

 

 

 




今回登場した《莉花》は、紅城翼さんから提供して戴いたキャラになります。
このキャラはちょっとした秘密があります。
それは、この章後半で分かるのでお楽しみに、と言う事で。



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黒との遭遇

遅れながらですが、明けましておめでとうございます。
なんだかんだで、投稿し始めて一年が経ちました。
時の流れって、早いものですね……


王都から北西方向に向かう二人の人影があった。

 

「あの~先生。本当にこっちに居るんですか?」

 

「あぁ、その筈だ。けど向こうも動き回っているからな」

 

二人が追いかけているのは、黒き宝玉。何故二人で追いかけているのか、その説明は少し前の王都城門前での会話まで遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「探し人って、もしかして」

 

「そ、黒き宝玉(ブラック・ジュエル)。アイツ、お前さんを見ているみたいだな」

 

「そう、ですか。あ、そうだ。リリスたちにも教えてあげなきゃ!」

 

「ストップ。何のために、お前だけ残したと思っているんだよ。リリスたちが居て出て来るなら、とっくに姿を見せている筈だよ。そうじゃ無いって事は、お前さんだけに用があるって事だろ」

 

「ですよね、やっぱり。何となく分かっていました。でも先生、何でブラックが私を見ているなんて分かったんですか?」

 

「王都までの道のりの間、ずっと視線を感じていたんだ。最初は敵かもって警戒していたんだが、感じる視線はどこか覚えのあるもので、全員と言うよりお前を見つめている感じがしたんだ。敵じゃなくて、今そういう行動をしそうなのが黒き宝玉。そう考えたんだ」

 

「……つまり、勘って奴ですか」

 

「そうとも言うな。って、わけで直感に全員巻き込む訳には行かないから、二人で行くぞ」

 

「それは良いですけど、黒き宝玉って断言しない方が良くないですかね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな訳でマキナの直感を頼りに黒き宝玉を探しているのだった。

 

「先生、だいぶ王都から離れてしまいましたけど」

 

「そうだよな。それに時間的に日が暮れるだろうし」

 

「ちょうど川がある事ですし、ここでキャンプをする事を提案します」

 

セレスの言う通り現在居る川辺に居る。この川は学園都市から見て、西側の山脈から流れる川の中腹辺りの場所だ。

 

「そうするか。ならまずは火……その前にお客さんだな」

 

マキナは火熾しをしようとした手を止め、振り返る。

 

「えらく、連れまわしてくれたもんだな」

 

「ん?そうか。私としては邪魔が入りそうでない場所まで、案内したつもりなんだが」

 

「そーかい。なら、色々話してくれるんだろうな、黒き宝玉(ブラック)

 

「あぁ、そのつもりだよ。マキナ」

 

そこに居たのはマキナの直感(?)通り、黒いサマードレスを着た黒き宝玉だった。

 

「本当に、ブラックだ……」

 

「やぁ、セレスティーア。ディアーチェは元気にしていたかな」

 

ブッラクの問いかけにも答えず、セレスはブラックの胸に飛び込んだ。

 

「ブラック~」

 

「おっと。全く、相変わらず泣き虫なのかい」

 

飛び込んできたセレスを抱きとめ、泣き止むまで頭を撫でるブラック。

やがてセレスは安心したのかそのまま眠ってしまった。

 

「やれやれ、友達が出来たと聞いて安心していたのだけどな。マキナ、寝床の準備は出来ているかな」

 

「あぁ、お前さん方が感動の再会をやっている間にな。テントで寝かせとくと良い」

 

「そうしようか」

 

そう言って、セレスをテントに寝かしつけると、ブラックはマキナの対面側に座った。

 

「で、何から聞きたいのかな?」

 

「取り敢えず、姿消したのに何で尾行みたいな事をしていたのか、だな」

 

「それはまぁ、保険かな」

 

「保険?」

 

「あぁ、レスティにもしもの事があった時の為のね。まぁ、そこまで心配はしていなかったけど。………けれど、状況も変わって来たみたいだ」

 

「もしもか……それって、アヴローラ一族関係か?」

 

 




次回からしばらく、投稿スピードが落ちるかもしれません。
えー、訳を申しますと、この話から先のストックが無いからです。

最近リアルが忙しくて、読んでない小説が溜まったり、課題が溜まったりで全然ストックが作れていないのです。
ただ、上げるためのストックが無いだけで、下書き版は出来ています。
つまり打ち込む時間、それさえあればどうにか今まで通り更新していけます。

ですので、読者の皆様には気長に待っていただければと、思っております。


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宝玉の真実

取り敢えず来月ノルマ分までは、できたので上げます。


「!驚いた。マキナ、キミはそこまで知っていたのか」

 

「学園の禁書庫にあった分だけだ。その反応だと、あれは事実なのか?」

 

伝承にあった事が本当なのか、ブラックに尋ねる。

するとブラックは伝承の補足と、真実を話し始めた。

 

「殆ど真実だと思って貰っていいだろう。いい機会だ、当事者の私が話してあげよう。

まずはそうだなぁ、儀式について話そうか。あの儀式の名は《暁の宴》。この儀式が出来たのはとある国の王が暁一族の魔力性質に目を付け、一族を生贄にして作り上げたのさ。その国は今では、領地ごと空に上がっている」

 

「それって、空都ベルカのことか?」

 

「そう、そのベルカ。話を続けようか。でもその儀式を行うのには、代償が大きかった。何せ、人を生贄に捧げる事で初めて発動するんだ。だから儀式自体、秘匿され伝承も禁書扱いになった。と言っても暁一族が居ないと成立しないから再現できないはずだった」

 

「ちょっと良いか?つまり、暁一族=アヴローラ、って事か?同一人物って事?」

 

「その通り。それに、暁一族は私たち宝玉とも関係している。私たちはその時の儀式の副産物……。つまりは、生贄にされた一族は一つになり、その後六つの宝玉に分けられた存在。宝玉(私たち)は、儀式を制御するのに使われた一族のなれの果てさ」

 

「……それって宝玉たちも、元を辿れば暁一族だったという事か…」

 

「あぁ、そうだよ。まぁ昔の人だった時の記憶は無いけどね。私たちが宝玉から人型になれるのは、恐らく人の時の感覚が残って居たから再現できたんだろう」

 

「そんな秘密があったのか…」

 

「そろそろ本題に入ろうか。今私たちが逃げ回っているのは、黄の宝玉が捕まる前に儀式が再現されると伝えた事から、何者かが秘密にたどり着いたと考えたから」

 

「それって、一族の生き残りであるセレスが、狙われるだけじゃないのか?」

 

「儀式の制御には、最低でも四つ、宝玉が必要とされる。一番重要なのは生贄となる人柱。私たちが逃げ回っていたのは、レスティのための、時間稼ぎでもあったんだ」

 

何つーか、事実を聞くと深いような気もするけど要約してしまえば、過去の惨劇を繰り返さないために動き回って時間を稼いでいる、って事だよな。

 

「制御盤は空都のどこかの洞窟に。祭壇の暁の里は海に沈んでいる。私は隠れようと思ったのだが、やっぱりレスティが心配でね。それに如何やら、相手は四人、捕まえたようだしね」

 

「要件は分かった。それは好きにすればいいけど今、祭壇が海に沈んでいるって言ってなかったか?」

 

「言ったよ?でも制御盤に宝玉を、四つ以上はめると浮かんで来る」

 

「って事はもう時間は、無いって事か。そう言えば、ディアーチェは知っているのか?」

 

「おおよそはね。だからこそレスティの保護者に為ったんだ。だってディアーチェは、世界最高峰の魔法師なんだから」

 

 

 

 



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ジークの特訓

『ほら、動きが鈍って来てますよ!』

 

「無茶言うな!」

 

胸のポケットに仕舞ったスカーレットと、会話をしながら戦闘を行うジーク。

そのジークの顔には、少し疲労が見える。

ジークは現在、小屋があった場所、森の中心から西の地点で狼と戦闘をしている。ジークに一体何があったのか。それは、数週間前のスカーレットと出会った頃まで遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅き宝玉から話を聞いたジークは、すぐさま行動しようとしたのだがスカーレットは待ったをかけた。

 

『急ぐ気持ちは分からくないですが、まずは引き受けていただいたお礼です。あなたの装備している刀は、《レ―ヴァティン》ですね。その子を私に近づけなさい』

 

「それは良いが、一体何する気だ?」

 

『お礼と言ったでしょう。その子は天然物のインテリジェントです。如何やら寝ている様なので、目覚めさせるのですよ』

 

「こいつが?でもこいつは店で買った物なんだが?」

 

『天然物と為るには条件があるのです。まず、儀式のあった時代を耐え抜いている事。もう一つは、それから長い年月を経て意識を持つに到る事。一つ目の条件の時点で、現存するものは少ないですが、二つ目でさらに減る事に為ります。意思を持つかどうかはある種運任せな所もありますから。意思を持ったとしても主と為るもの、つまりパートナーが居ないと何も出来ませんから多くの物は眠りにつくのです』

 

「なるほど。つまりインテリジェントだったとしても、気付かずに使われる事が多いって事か」

 

『その通りです。稀に気付く者も居ますが、あなたは気付かずに使っているようでしたからね』

 

スカーレットの説明に納得したジークは、言われた通りレ―ヴァティンを近づけた。

 

するとスカーレットが紅く輝きを放ったかと思えば、それは一瞬での間で終わってしまった。

 

「…なにしたの」

 

『先程から言っている通り、この子を起こしたのです』

 

(アレだった近づける必要ないけど、きっと突っ込んだら負けなんだ……)

 

そう考えたジークは決して口に出す事無く、胸の内に仕舞った。

 

『うぅん~。はぁれ?ここはどこでしゅか?』

 

「………」

 

突然刀が喋り出し、ジークは口を開けて固まってしまった。がそんな事お構いなしとばかりに、二つのインテリジェントは話し出す。

 

『如何やら起きたようですね』

 

『ぁ、しゅか―れっとさまだ~。ここは、どこれしゅか?』

 

『此処は私の家です。如何やらあなたは眠りに付いてから誰とも契約を結ぶことなく、世界を渡り歩いていたようですね。まずは契約を結びなさい』

 

『ふぇ?ケーヤク?」

 

『ジーク、あなたもいつまで口を開けて見ているつもりですか。早くお互いに名を交換して契約を結びなさい』

 

スカーレットに声を掛けられ我に返ったジークは、スカーレットに質問をした。

 

「なぁ、お前さんより後のインテリジェントは全部こうなのか?」

 

『そんな訳ないでしょう。この子は意識を持ってから一度も契約した事が無いので、こんな感じなのでしょう。要は純潔、処女なのでしょう』

 

何か言い方があれだけど、まあいいか。

 

「それじゃあ改めて、俺はジーク・レイア。お前の名前は?」

 

『わたしのなまえはレ―ヴァティンでしゅ。ますたーさん、これからよろしくおねがいしゅます』

 

『この子はあなたの実力次第でいずれ、擬人化する事が出来るかも知れません。と言う事でこれからは、鍛錬を積みながら目的地に移動しますよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう~終った~」

 

『おつかれしゃまでしゅ。ますたーさん』

 

『疲れで鈍くなって来ていますが、中々上達してきましたね』

 

戦闘が終わるとインテリジェントたちが感想を述べた。

だんだん慣れては来たけど、やっぱり好きかって言う奴らだな。特にスカーレットは上から目線だし。レヴィは良い。何か癒されるから。あれかな?精神年齢が幼いからかな?

 

「取り敢えずこのまま、西の海岸線を目指せばいいんだよな?」

 

『その通りです。到着するまでにしっかりと、レヴィを使いこなせる様になりなさい』

 

『ますたーさん、レヴィもがんばるよ!』

 

「ああ、分かっているよ。お互い頑張ろうな、レヴィ」

 

因みにレヴィとはレ―ヴァティンの事だ。呼ぶときにレ―ヴァティンだと長すぎるから、愛称をつけてやった。

 

「さて、そろそろ落ちるか」

 

『おや、今日はもう戻られるのですか?プレイヤーたちは不便ですね、此処とは別の現実もあって』

 

「ああ、明日ちょっと早くに用事があってな。それにしても、現実の事知っているんだな」

 

『ええ、理屈は良く分かりませんがプレイヤーは私たちも使える転移門と、もう一つ別の転移法を使える。その転移法を使う事によってその世界を行き来すると、いつだったか話してくれた方が居ました』

 

改めて思ったけど、このゲームのゲームマスターは凄い奴だな。殆ど人と変わりないNPCたちを作り出している。

それに多少強引だが、プレイヤーの行いに疑問を持たせないようにしている。いずれは見つけ出して会ってみたいな。

って言ってもそれが、ゲームマスターが出したグランドクエストだけどな。

 

『あの~ますたーさん。はやくいかなくていいのでしゅか?』

 

「お、そうだった。それじゃあ、また今度な」

 

そう言って、ジークはログアウトしていくのだった。

 

 

 

 

 




とある読者から、
     『少し読んだけど主人公が誰かわからない
          視点が変わりすぎで読みずらい』   との意見を頂きました。

私としては、全プレーヤーキャラが主人公と考えていたのですが、やはり誰か一人に絞った方が良いのでしょうか……
皆さんはどう思われますか?述べる際には活動報告までお願いします。


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合流

ついに、ソードアート・オンライン公開‼
見て来てテンションが上がった勢いで仕上げました!

因みに感想は、「これぞSAO!」「やっぱり、そう来るか……」です!
是非皆さんも見に行ってみて下さい。(AWと違って)期待は裏切らない出来だと思います!


「それにしても先生、ティアと何するつもりなのかな?」

 

「う~ん?何だろ?でもあの時の先生、全員で酒場に行く、って言い掛けていたよね、リリスちゃん」

 

「そうよね…。言いかけて、何かに気付いたみたい。何に気が付いたのかしら……」

 

二人の少女は、先程別れた人物が何を隠していたのか、話すのに夢中になっていた。

その為二人は、目的地の酒場まで来ていたのに、その前を通り過ぎてしまう。

しかし、そんな二人の腕を掴み、止めるものが居た。

 

「リリス、シャロ。話に夢中になるのは良いのだけど、目的地を通り過ぎるほどのめり込むべきではないわよ」

 

「おっとっと。ありがとう、ユキ」

 

「あわわ、ありがとうね!ユキさん」

 

「別に構わないわよ。それよりも早く、アインズたちを捜しましょう」

 

三人は店内へと入って行く。店内は客で席が埋まっており、パッと見ではアインズたちが何処にいるか分かりそうもない。

 

「リリス!ここだよ!」

 

が、そんな心配は杞憂だった。

リリスたちが酒場に入って来たのに気付いたアインズが、声を掛けてきたのだ。

アインズの呼び掛けに気付いたリリスたちは、アインズの元まで行くとそこには久しぶりに顔を合わせる友人たちが居た。

 

「アインズ!エイマル!クロウ!マニーズ!久しぶり!」

 

「みんな、久しぶり!元気そうで安心したよ」

 

「リリスたちこそ元気そうで、何よりだ」

 

「あれ?でも先生とティアはどうしたの?

 

お互いが無事再会できたことを喜び合っている中、クロウはマキナとティアが居ない事に気付き訪ねた。

 

「んー何か、ティアに関わる野暮用みたい?」

 

「そ、それて、もしかして……」

 

「え、何か心当たりがあるの?」

 

「先生と生徒、男と女と言う事は……」

 

「やっぱり、クロウちゃんもそう思う?」

 

「も、って事はシャロさんも?」

 

「うん!考えているうちにもしかしたらって、思っちゃって」

 

「ちょ、ちょと、何二人だけで分かり合っているのよ」

 

シャロとクロウが言っている事が理解できず、取り残されたリリスは説明を求める様にほかの仲間たちを見る。

しかし、二人のやり取りを見ていた者たちは、苦笑いを浮かべるだけで口出しをする気は無い様だった。

つまり、この場で二人のやり取りの内容が理解できていないのは、リリスだけであった。

 

「……って事は……かな?」

 

「もしかしたら……と言う可能性も……」

 

シャロとクロウの妄想が暴走し始めたのを見計らって、セツキが割って入った。

 

「二人とも、そこまでにして置きなさい。マキナにそんな趣味は無いわよ。彼、自分の興味ある事にしか関心が無いもの」

 

「ユキ、それってホント?」

 

「ええ、本当よ。彼が一番興味あるものは、本よ。マキナの友人である、私が言うのだから本当よ?」

 

「そっかー。もしそうだったら、すぐに探しに行ったんだけどな~」

 

「ですね~」

 

「やめておきなさい。彼…怒らせると怖いから。それより全員居るのだから、早く図書館へ向かいましょう?」

 

「結局どう言う事か分からなかったけど……まぁ、じゃあ図書館に行こうか」

 

「そうっすね。ブルーさんも一緒にどうッスか?」

 

エイマルがブルーへと声を掛けるが返事がない。

 

「あれ?ブルーさんはどこ行ったス?」

 

「確か一緒の席に居た筈なんだけど…?」

 

アインズたちは辺りを見回すが、ブルーの姿は見つからない。

その様子を見て、不思議そうにするリリスたち。このままでは、さきに進みそうにないと判断したセツキがアインズたちに尋ねた。

 

「ねぇあなた達、一体誰を探しているの?」

 

「誰って、ブルーさんよ」

 

「王都に来る途中、オオカミの群れに襲われていた所を助けて貰ったッス」

 

「青騎士甲冑に、身の丈ほどの剣を扱う人物だった。たった一振りで、群れを全滅させてしまう程の力の持ち主だ」

 

「お礼を兼ねて、さっきまで一緒にお茶していたのですが……」

 

「要約すると、恩人と言う事かしら?」

 

「そうね」「そうっス」「そう言う事だ」「そうです」

 

話を聞き終え、顔を見合わせるセツキたち。

やがて頷き合い、アインズたちに言った。

 

「私たちがあなた達と合流した時、そんな人居なかったわよ?」

 

「「「「えっ……」」」」

 

この瞬間、四人は思った。

 

((((ブルーさん、少し目を離しただけで、迷うタイプだ……))))

 

セツキは四人の表情からどう言ったタイプの人物か分かったらしく、四人に声を掛けた。

 

「まぁ、その人なら大丈夫でしょう。(方向)感覚はともかく、強さは」

 

「そう…ですね。あいさつができずにお別れは残念ですけど、仕方ありませんね」

 

そう言ってアインズはエイマルたちを見渡した。

エイマルたちは、仕方ないとばかりに頷き合った。

アインズたちの問題が解決したのを見計らって、再度リリスが号令をかけた。

 

「それじゃあ改めて、図書館へ向かおー!」

 

「「「「「おー!」」」」」

 

 

 

 

 

 

酒場の支払いを済ませ、図書館へと向かい始めたリリスたち。

移動し始める中セツキは一人、アインズたちが座っていた席の下、正確には机の下に置いてあるものを見ていた。

 

それは、青い宝玉のような石。

 

なぜ置いてあるのか不思議に思っていた様だが、それほど興味が無かったのか、そのまま放置してリリスたちの後を追って行った。

 

 



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出迎え

「……私はここで待っているから、アインズたちで図書館の中へ行って来て」

 

「?それは構いませんが、ここまで来て一体どうしたのですか?」

 

図書館を目前にして、急に外で待っていると言い出したリリスに、不思議そうに聞き返したアインズ。

聞き返されたリリスはと言うと、要領を得ない回答をしており、その様子は何か隠しているようだった。

そんなやり取りを見かねた、訳知りのシャロが口を開いた。

 

「リリスちゃんと私は、アイシルク王国のスヱリア出身なんだけど」

 

「ちょ、ちょっとシャロ!」

 

「よく二人で王都まで遊びに来ていたの。その時ね、図書館で知り会った人たちがいるんだけど、何て言うか…そう!個性的すぎる人が居てね……」

 

「なるほどッス」

 

「しかし、今更ではないか?」

 

マニーズの言う通り、既に目的地の前。

図書館の入口、扉の前に居るのである。

 

ここまで来たのなら外で待つも、中に入るも大して変わらない気もするが、リリスには大きく違う事らしい。

 

「あのー、皆さんー!扉が勝手に開いたんですけど……」

 

そう言ってクロウは扉を指差す。見ると確かに先程まで閉まっていたはずの扉が開いていた。

 

「これって、『入れ』って言う事じゃないですか?」

 

「そう言う事だろう。リリス、覚悟を決めて案内したらどうだろう?」

 

「うぅ~、分かったわよ…。…みんな、猫の人には気を付けてね」

 

そう言うとリリスは、その人物がいませんようにと祈りつつ、中に入って行った。そんなリリスの後にシャロが続き、アインズ、マニーズ、クロウ、エイマル、セツキの順に入って行く。

 

中に入るとそこは普通の図書館だった。

本を読むためのスペース、棚にはギッシリと本が収められ、建物の中心には二階へと続く螺旋階段がある。

そして図書館独自の静けさもある。がそれは当然だろう。何せ部屋を見回しても、人が見当たらないのだから。

 

「なんで、人が居ないのかしら?」

 

「お父さんが言うには、先生みたいな『プレイヤー』って言う人たちの所有物になっていて、依頼がある人しか来ないらしいの」

 

アインズのつぶやきにリリスが答える。

それを聞いてアインズたちは納得するが、セツキは新たな疑問を口にした。

 

「リリス、図書館の所有者の名前は分かるかしら?」

 

「えーっと、確か」

 

 

「ギルド『神秘の(スピリチュアル・)図書館(ライブラリー)』です」

 

 

「そうそう、神秘の図書館………って誰?」

 

リリスが答えようとすると、図書館の奥から現れた人物が答えた。

 

「ようこそ、インテリジェント研究会の皆様。話は、先輩から、聞いています。そして、お久しぶりです……姉さま」

 

「あの人、姉さまって言ったッス」

 

「リリスさんかシャロさんの妹さんですか?」

 

「けど、二人とも似てないね?」

 

「と、なるとまさか……」

 

視線はその人物に向けられる。向けられた人物は肯定するように、そして生徒たちからすれば衝撃的な事を言い放った。

 

「えぇ久しぶりね、シン。もしかして……とは思っていたのだけど、マキナったら本当に図書館をホームにしていたのね」

 

 



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自己紹介

「えぇっと、話を纏めると、マキナ先生がこの図書館の主で、ギルドのマスター?」

 

「はい、その通りです。正確に言うと、図書館全てが、神秘の(スピリチュアル・)図書館(ライブラリー)のギルドホームになります」

 

リリスたちはシンに図書館の奥の席へと案内され、確認の話をしていた。

 

「まさか、セツキの妹さんだなんて…」

 

「それに、セツキもそのギルドの一員で、先生がギルドマスターとは……想像つかないな」

 

アインズとマニーズがいまだ信じられないといった風に言うと、セツキがそれを肯定した。

 

「そうでしょう。私だってシンに聞いた時は、驚いたもの。彼、誰かの上に立つのは好きではないから」

 

「あ~、そっちの方が先生っぽいっス」

 

話がひと段落するとシャロがシンにおそるおそる訪ねた。

 

「あのー、今日はシルクおじ様とミーティアおば様は?」

 

「お二人でしたら、旅行に、出ています」

 

シンがそう言うとシャロは、リリスにだってと言ってほほ笑む。

 

「そう…おじ様たちはいないのね。そうなると、あとはあの人か……」

 

リリスはリリスで、一安心といった様子で、ようやく寛ぎ始めた。

 

「ひゃっ」

 

がしかし、リリスが安心し切ったのを見計らってか、背後からリリスの胸を揉むものが居た。

 

「まだまだお姉さんより小さい様にゃ~。でも大丈夫、リーリーはこれからだにゃ」

 

「ちょっと、黒音さん!ひゃっっ、や、やめて…、っっン…放して……」

 

突然和柄で黒を基調とし、丈の短い着物を派手に着崩した人物が、リリスの胸を揉むという状況に驚いて固まる一同。がいち早く正気に戻ったシャロが、黒音にリリスを放すように頼む。

 

「あの、黒音さん。そろそろ、リリスちゃんを放してあげていいのでは………」

 

「んにゃ?おー!シャロ!それじゃあ、シャロがリーリーと変わるかにゃ?」

 

「ごめんなさい。許して下さい、黒音さん」

 

「ちょ…っん、シャロ~、あっ…あきらめるの、早すぎ…」

 

黒音に胸をわしわしされる事を恐れ、早々に降参したシャロ。

 

「そうかにゃ?だったら、もう少し堪能するにゃ!」

 

もはやだれも止める事は出来ないかと思われたその時、何者かが黒音の頭に拳骨を入れた。

 

「こら、黒音。リリスを放してあげなさい」

 

「う~、ちょっとしたスキンシップだにゃ~」

 

ようやく黒音から解放されたリリスは、助けてくれた人物の背後に隠れ、お礼を言う。

 

「はぁ、はぁ……助かりました、ミリーシャさん」

 

「ごめんなさいね、リリス。うちの自由気ままな猫が」

 

そう言ってミリーシャは、リリスの乱れた服装を整える。

 

整え終えると先程のやり取りを見て固まっていた者たちの方へ向き、自己紹介を始めた。

 

「皆さん、始めまして。私は神秘の図書館第一席(ファースト)、ミリーシャよ。こちらのエロ猫さんは、黒音」

 

「『エロ』って言うより、『妖艶』って言って欲しいにゃ~」

 

「黒音、自己紹介くらい真面目にやりなさい」

 

「ハイハイ、分かりましたよ~。それじゃあ改めて、おねーさんは神秘の図書館第四席、黒音にゃ。よろしく~」

 

「あなた達をここまで案内して来たのが、シン」

 

「改めまして、神秘の図書館第二席(セカンド)、シンです」

 

「今はいないけど、マスターがマキナ。あなた達の事は、マスターから聞いているわ。これから如何するかも」

 

 



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引率開始

最近忙しくて、完全に月一になってしまった……
それでも、十一日には間に合わせますので、今後ともよろしくお願いいたします。


「これから、ですか?」

 

アインズが聞き返すと、ミリーシャは頷き答える。

 

「えぇ、私たちはこれから二手に分かれて、目標地点に向かう。そうよね?シン」

 

「正確には、引率を頼まれました。ですが、集めた情報から、二手に分かれる事を、進言しました」

 

「とまぁ、こちらではこう考えている訳だけど……あなた達から質問はあるかしら?」

 

ミリーシャはこれからについて話すと、学生たちに質問はあるかと尋ねた。

クロウとエイマルの一年生組は、まだ現状を理解し切れていないのか、二人で話している。

アインズとマニーズの三年生組は、出されたお茶を飲んでいた。どうやら、ある程度は部長に任せる気でいるらしい。

その部長はと言えば、シャロと何やら話しをしていた。

 

やがて話は纏まったのか、シャロからミリーシャへと向き直った。

 

「行き先を聞いても良いですか?」

 

「空都ベルカの遺跡と、王都から北西にある海岸線に向かうわ」

 

「そうですか……みんなは、問題ない?」

 

リリスが仲間たちに尋ねると、お互いの顔を見合わせ頷き合うと、マニーズが代表して言い放った。

 

「ここまで来ておいてやめるのは、ナンセンスだろ?早い事、チームを決めて行動しよう」

 

「そっか…うん、そうだよね!それじゃあチームを決めよう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話し合いの結果、Aチームをリリス・シャロ・アインズ、Bチームをマニーズ・クロウ・エイマルとなった。

 

「チームが決まった様ね。それじゃあ、リリスのチームは私とシン、あとセツキさん。マニーズのチームは黒音にお願いするわ」

 

「了解」「えぇ」「分かったにゃ!」

 

引率の担当が決まると、アインズがミリーシャに疑問を投げかけた。

 

「あのー、私たちの方に三人で、マニーズの方が一人って、バランスが悪くないですか?」

 

「その辺は理由があるの。ウチの新入りの力を、私が把握しておきたいの」

 

するとミリーシャは、その疑問が出る事は予想済みだったらしく、質問に答えるのだった。

 

「それに、マニーズ達には空都の方に行ってもらうのだけど、そちらに先行して向かった人がいるの」

 

「そう言う事ですか。分かりました」

 

「さて、それじゃあ冒険を始めましょうか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…まったく、油断したな…」

 

西の海岸線で、大の字に寝っ転がっている人が居た。

 

その人物周辺付近は、地面にクレーターや焦げ跡がついており、如何やら戦闘を行った後のようだった。

 

「……連れて行かれちまったな…。保険は掛けておいたけど、ディアーチェに知られたら………不味いな。はぁ、こんな所でのびてる場合じゃないって事か……」

 

 



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囚われのセレスティーア

「おーい、ジイさん。お望み通り、連れて来たぞ!」

 

とある洞窟の奥で、銀髪の男が叫んでいた。

男の肩には気絶した、女の子が担がれている。

その女の子は、青みがかった銀髪で魔法学院の制服を身にまとっていた。

 

「思っておったより、早かったのぅ」

 

「セリアの情報のおかげだな。ジイさんの『魔法学院のディアーチェ、その養子』だけじゃわかる訳ねぇよ。セリアが、マキナって言う本好きを見張っていれば見つかる、って言ってくれたおかげだぜ?ジイさん、依頼するならもっと、情報を集めとけよ」

 

男の声を聴き出てきた、ジイさんと呼ばれた人物。その人物は、クロムウェル・ベルガンテだった。

 

「すまんの、なんせディアーチェが匿って居て、何一つ情報が無かったんじゃよ」

 

「まあ―、依頼は依頼だし、終ったから別にいいけどよ。それで?この女はどうするんだ?」

 

開いている手で指差しつつ、どうするのかと尋ねる男。

尋ねられたクロムウェルは、背後に控えていた女に声を掛けた。

 

「莉花、その子をツリーから受け取っておくれ」

 

「はいー!にしてもツリー君、女の子を誘拐して来たの?」

 

莉花はその女の子を受け取りつつ、ツリーに問いかける。問いかけている顔には若干、軽蔑するような視線が伺える。

しかしツリーは、慌てる事無く答える。

 

「なーに、言ってんだ。ここはゲームの中、別に禁止されている訳じゃないだろ。それに、こういう汚い仕事を平気でやっていくのが、ウチのギルドなんだよ」

 

「恋人が知ったら、悲しむんじゃないの?」

 

「残念。その恋人が、ギルマスだよ。って言うか、アンタだって片棒を担いでいるだろうが」

 

ツリーは指をさしながら、莉花に対して事実を突きつけた。

すると莉花は、そうだった!と言ってテッヘと笑う。どうやら誘拐云々は、からかっていただけの様だ。

ツリーとの一通りのやり取りに満足したのか、莉花はクロムウェルに本題ともいえる話を投げかけた。

 

「それでクロムウェル先生、この子をどうするの?」

 

クロムウェルはまずはと言いつつ、懐からあるものを取り出した。

 

「そいつの血をサンプルとして、採取しておく。その後奥の石板に宝玉をはめ込み、そいつは実験に使う事になるのぉ」

 

「それじゃあ取り合えず、石板の所まで運ぼうか?」

 

「そうじゃな」

 

そう言って、三人そろって石板のある場所まで移動を始める。

が、ツリーはすぐに立ち止まり、後ろを振り返った。

不審に思ったクロムウェルはどうしたのか尋ねると、ツリーは二人に先に行くように促した。

 

「誰か来るみたいだぜ。取り敢えず俺が残って、始末しておくから先に行け」

 

「分かった。しかし敵も思ったより、早く来たようじゃの……それで、何人じゃ?」

 

「たぶん、一人だな」

 

「たぶん?」

 

ツリーがいつもの様な自信にあふれた回答でない事に、莉花が疑問に感じ聞き返す。

 

「足音は一人分だ。けど、他にも何かいそうな気配がある。とにかく、先に行ってろ」

 

するとツリーは、その理由を述べ改めて先に行くように促した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回登場した《ツリー》は、とある小説の製作者さんから提供して戴いたキャラになります。

前回、セレスティーアを攫って行ったのはこの人です。
次回はツリーと保険の人が戦闘の予定です。


……まぁ、あくまで予定ですので、戦闘シーンまで行けるかは……次回のお楽しみに!

追記:活動報告の考察エリアを少し分かりやすくしてみました。
   もし、追加でまとめて欲しい事があればリクエストの方へ送ってください。


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先陣

はじめに…
活動報告の考察エリアを少し分かりやすくしてみました。
もし、追加でまとめて欲しい事があればリクエストの方へ送ってください。
ただ、要望があってから更新するまでに時間がかかってしまう点は、ご了承してくださいますよう、おねがいします。


「あ~、まったくなんだかな~。急にベルカ郊外の、地下洞窟に向かってなんて。もうちょっと説明があっても、良いと思わないかな?」

 

「ホーホー」

 

『まぁ、そうじゃな』

 

「でしょ!あ、そう言えばミリーシャの後に、マスターから連絡があったんだけどね、それでようやくミリーシャの指示が、簡潔だった訳が分かったかな」

 

「ホー?」

 

「マスターの話だと、キークエ進行中らしいの~。それで、この洞窟にマスターと行動していた重要人物が、連れて行かれたらしくて」

 

「ホ~」

 

「で、救出か敵の足止めをして欲しいってことかな」

 

『なるほどつまり、ミリーシャは先手を打つつもりで、ぬしに洞窟にう向かうように言ったが、ぬしは別世界に居たために、後手に回ってしまったと言う訳かや』

 

「それは、仕方ない事かな?それにあのマスターがやられている訳だよ?強い相手なんだろうなぁ」

 

「ホーホー!」

 

「だね。黒音なら喜びそうかな」

 

『…まぁ、アヤツが本気でやっていたかは、別じゃがなぁ』

 

緊張感のない会話をしながら、洞窟の奥に向かって行く、一人と一羽と一頭。

彼女は予定より少し、いや、だいぶ遅れて指示のあった場所に到着していた。

しかし遅れたおかげで、マスターから今どういう状況なのかを聞くことが出来た。

そのため初めから眷属を呼び出し、万全の状態で洞窟を進んでいるのだった。

 

「それにしても不思議。地下洞窟って言うから、ダンジョンを想定していたのだけど、一本道だなんて」

 

『元々は何かの跡地じゃったんじゃろぅ。洞窟となっておったのは、この場所を守りたい何者かが、そうしておったという事じゃな』

 

「じゃあその幻惑?みたいなのが解かれているという事は、その人は負けたって事かな」

 

『そうじゃな。……あるじよ、じきに広い部屋に出る。そこに一人、待ち構えておる』

 

「分かった。それじゃあ、アウル。モード・アナライズ(解析)

 

彼女がそう言うと、肩に止まっていた鳥が眼鏡へと姿を変えた。

その眼鏡を掛けつつ、今度は横を付いて歩いていた動物に指示を出した。

 

「ロン、シフト(移行)。モード・ウェポン(武器)

 

『うむ、承知した。しかし、場合によっては、わっちの判断でシフトするからの』

 

そう言って横を歩いていた動物も、姿を麦色をした槍へと変えた。

 

「分かっているかな。さぁーて、それじゃあここからは、お仕事の時間だね」

 

槍を片手に、彼女は歩みを進め始めた。

すると程なくして、ロンが言っていた広い部屋へと到着した。

部屋の先、奥へと続く道の前には、銀髪の男が立っていた。

 

「来たな。しかし、他にも何かいた様な気がするんだが…気のせいか」

 

「どう見たって、一人だけかな。ねぇあなた、ちょっと聞きたい事があるのだけど?」

 

彼女は話しつつ、少しずつ男に近づいて行く。

 

「……なんだ?」

 

答えつつ、腰に手を添える男。

 

「あなたが、女の子を連れ去ったの?」

 

「ここに来たって事は、分かっているんだろ?で、だ。どうするんだ?」

 

「そっちこそ、この後どうなるなんて、分かり切っているかな?」

 

そう言い終わると同時に、彼女は間合いを一瞬で詰め、突きを放った。

 

 




すみません、都合上戦闘開始と同時に、今回は終了となりました。
少し余裕ができたので、今月はもう一話投稿します!

予定日は24日頃です。


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ハウンド

今回は、戦闘シーンです。
頑張って書きましたけど、やっぱり皆さんのイメージ頼りです……



「へぇ~、やっぱり、一筋縄ではいかないみたい」

 

彼女が心臓に向けて放った神速の一撃は、男が手にした銃で受け止められていた。

 

「そっちこそ、中々の一撃だな。けど…この距離ならそう避けれまい」

 

そう言うと男は槍を弾き返し、反対の手に握っていた銃を彼女の足を狙って撃つ。

が、彼女は弾かれた反動を使って飛び上がり、それは回避した。

 

「ふぅ~、危なかったかな」

 

槍を構え直しながらつぶやく彼女は、言葉とは裏腹にまだまだ余裕がありそうだった。

 

「そう言えば、あいさつがまだだったかな?私は雪那。『神秘の図書館(スピリチュアル・ライブラリー)第三席(サード)を任されているかな」

 

「ほぉ……三席と言う事は、幹部クラスか。まあこちらも、名乗っておくか。俺は、ツリー。ギルド『傭兵集団(mercenary)』のサブマスターだ」

 

ツリーも二丁の銃を構え直し、お互いスキをうかがいつつ、会話を続ける。

 

「傭兵集団……あぁ、『ハウンド』の表の名前だね」

 

「ほぉ、そっちの名前も知って居るのか」

 

「もちろんかな。現在の有名ギルドは、『蒼空の遊撃隊(スカイ・マーシナリーズ)』『バルドラ協会』『傭兵集団』『冒険者組合』『神秘の図書館』そして、『ハウンド』。この中で異質なのは、ハウンド。このギルドは、名は知れているのに、なぜかギルド登録はされていない。となると、何処かのギルドが隠れ蓑になっていると考えるのは、普通じゃないかな?」

 

「だがそれだけで、傭兵集団が隠れ蓑と分かるはずが無い。なぜ分かった?言い切り方からして、鎌をかけたようには見えなかったが?」

 

「簡単な事かな。まず、ウチのギルドと冒険者組合、バルドラ協会は除外される。組合は、殆どのプレイヤーが所属する、運営側が用意した公式のギルド。ギルマスは噂の管理AI。そんな所が不正を行うのを見過ごすはずが無いかな。協会は、マスターの知り合いがギルマスで、それなりに交流があってシロなのは分かっている。と言う事で、残るは二つだけど、この時点でハウンドは傭兵集団、って分かるかな」

 

「なるほど、蒼空の遊撃隊は正義のギルドで知られている。だからウチと言う訳か。しかし根本的な事を言えば、ギルド登録をせずに活動している、と考えるのが普通じゃないか?」

 

「んー、じゃあとっておき。うちのマスター自身が、勧誘されたことがあって、その時聞いたかな」

 

「…バレた原因は、アイツ自身の行いか…まあいい。お喋りはここまでだ」

 

「あ、それじゃあ最後に一つ。女の子をさらった時、戦った人は?」

 

「あの男か?聞いていたほど、強いとは思わなかったな」

 

言うと同時に、左手に持つ銃で牽制弾を放つツリー。

雪那は槍を用いて弾き、一撃をいれようと間合いを近づけようとしたが、それをやめ後ろへと飛んだ。

 

「よく飛び込まなかったな。飛び込んで来ていたのなら、確実に仕留める自信があったのだが」

 

雪那が後退した理由、それはツリーが牽制している間に右手に持つ銃を基に、何かを発動させている事を、アウルが読み取ったからだ。

 

「たまたまかな?それにしても、そっかぁ。マスター、本気は出さなかったのかぁ」

 

「ん?アイツがマスター?あの程度のやつが、か」

 

ツリーが言い終える前に、雪那が強力な突きを放つ。それを間一髪の所で右の銃で防いだツリー。

 

「あなたには解らないでしょうね。マスターの良い所は」

 

「かも、な。だが、迂闊だったな。これで発動条件がそろったぜ」

 

 




どうだったでしょうか?
今回はかなり短めの攻防でしたが、次回も戦闘シーンを入れる予定です。

そこでなのですが、今後戦闘シーンがあった回で、皆さんがどいう言ったイメージをしたのかよければ教えて下さい‼
それを参考にさせて頂いて、出来るだけよりよく表現できる様になりたいと思っております。
活動報告の『考察エリア』まで、よろしければご協力お願いします。




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初戦決着

『条件がそろった』と言ってからの攻防戦は、雪那の防戦一方だった。

 

ツリーの放つ攻撃は百発百中、雪那の持つ槍へと当たる様になったからだ。

 

「ッ、攻撃に移れない。これはかなり、分が悪いかな」

 

「だろ?スキルの力さ。でも、撃った弾すべてを、槍ではじく奴は初めてだ」

 

驚きを述べつつもツリーは、雪那に向かってではなく、壁や地面に向けて銃を撃つ。

放たれた弾丸は、壁や地面に当たる前に急に方向を変え、雪那へと向かい始める。

ツリーに斬りかかろうと、接近し始めていた雪那は接近を諦め、向かって来る銃弾を槍で弾き落とす。

雪那が攻撃しようとしては、ツリーの回避不可能な攻撃。先程からこの繰り返しで、戦況としては硬直状態となっている。

 

(ねぇ、ロン。これってやっぱり、ロンがロックオンされているよね?)

 

(じゃな。と言うか、ぬしよ。アウルの眼鏡で分析できておろう)

 

(うん、おおよそはね。彼の言動を含めて分析すると、さっきの術式は触れた対象者に、マーキングを施すものかな。おそらく武器越しでもプレイヤーが触れた事になって、ロックオンされる)

 

(じゃがあいにく、わっちはただの武器では無いからのぅ。ぬしではなく、わっちにマーキングがついた、と言うことかや)

 

(かな。こうなると打開策は一つ。ロン!次、仕掛けるかな)

 

(分かっておる。ぬしこそ、しくじるでないぞ)

 

雪那は斬りかかる構えを解き、突きの構えへと変更した。

 

「守りを捨てての突進か?なら、これで終わりだ!『偽・神の断罪(ディバイン・パニッシャー)』」

 

ツリーは銃の照準を雪那へと合わせ、引き金を引く。

放たれた一撃は寸分違わず、雪那へと向かって行く。

しかし雪那は退く事無く、構えていた槍を天井に向かって投げた。

 

「血迷ったか!」

 

ツリーはこの瞬間、勝ちを確信した。が、ツリーの予想外の事が起こる。

ツリーの放ったディバイン・パニッシャーが、進路を雪那から天井へと変えたのだ。

そして、驚きの言葉が口から洩れそうになった瞬間、腹部に強烈な痛みが走り、壁へと打ち付けられていた。

 

「『土雷』……って、ちょっと浅かったかな?」

 

『いーや、十分じゃろ』

 

ツリーが先程までいた場所に、雪那と一匹の狼が立っていた。

 

「どうやら無事みたいだね」

 

『当り前じゃ。あの程度の攻撃、わっちの知恵にかかれば、簡単に対処できる』

 

「ッソ、何がどうなってやがる」

 

ツリーは壁に手をつきつつ立ち上がるも、相手を見て何が起こったのか理解出来ずにいた。

 

「不思議そうだね?良いよ、教えてあげるかな」

 

その様子を見て雪那は、ロンの頭を撫でつつ種明かしをし始めた。

 

「まずは、この子の事から。この子はロン。私の眷属かな。この子は私のアビリティ、『神々の呪い』の力で姿を武器へと変えることが出来るの」

 

そう言うと雪那が指示を出す前に、ロンが姿を槍へと変える。

それを右手で持ち、話を続ける。

 

「こんな風にね。ここまでくれば、なんであなたの必中攻撃が、弾かれていたかは分かるよね?」

 

「ロックオン効果が、その武器になった狼に付いた、って事か。だから、ディバイン・パニッシャーが槍につられて、天井に向かって行った訳だな」

 

「正解かな。そしてあなたの目が、天井に向かった瞬間、私はあなたの懐に入って一撃を叩きこんだの」

 

(……ッチ、コイツ、セリアと同じ『神シリーズ』の所有者か)

「なるほど、ね。けどまあ、十分時間は稼がせてもらった」

 

「?まさか、逃げられると思っているの?私たちのマスターを見下した相手が」

 

(のう、ぬしよ。目的を忘れてはおらぬか?)

 

「そんな事、どうでも良いかな。黒音が洞窟に入って来たみたいだし、女の子の保護は黒音に任せればいいかな」

 

(……珍しく、怒っておるのぅ)

 

雪那はツリーの喉元に刃を突きつけ、ロンの質問に答えた。

 

一方ツリーは、刃を突きつけられても、どこか余裕があるようだった。

 

「あぁ、逃げれるね」

 

「そうね。だって、あなたは動けないから」

 

その言葉は雪那では無く、雪那を小型のナイフで背後から刺した人物が発した。

 

 

 



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伏兵

刺されたナイフが引き抜かれるのと同時に、雪那は床へと倒れ込む。

それを見届けると、ツリーに微笑みながら、親しげに話し掛ける女。

 

「派手にやられたようにね、ツリー?」

 

「まったくだ。タイミングよく来てくれて、助かった」

 

「それはよかったわ。……致命傷だと思ったけど、死なないのね、この子」

 

「お前と同じ、神シリーズ所持者だってよ。セリア」

 

セリアは納得したようにうなずくと、ツリー今後の方針を話し始めた。

 

「さて、ツリー。現時点を持って、ハウンドはクロムウェルの指揮下を抜けるわ」

 

「依頼達成目前なのにか?」

 

「えぇ、そうよ。あなたか攫ってきた子。あの子を攫った事で、不味い人が動いちゃったから」

 

「チートアビリティがあるセリアでも?」

 

「相手出来なくもないけど……したくは無いわね。そもそも、接近できるかも分からないわ」

 

「それは……厳しいな。その相手は、一体誰なんだ?」

 

「魔法学院の理事長兼校長兼セレスティーアの保・護・者♪」

 

「ディアーチェ・アーカリア、か。確かにまずい相手だな」

 

「そう言うこと。それに、本当の依頼主は、彼じゃないもの」

 

「だな、それじゃあ次のエリア解放まで、身をひそめるか」

 

「ええ、そうしましょう。ここにはもうすぐ、両者の増援がやって来るわ。私が少し残ってお膳立てはしておくから、あなたは先に行って」

 

「お膳立ても何も、遊び足りないだけだろ?まあ、消耗し切っているから、お言葉に甘えるとするよ」

 

そう言うとツリーは、転移アイテムを使って脱出をした。

 

「待たせちゃったかしら?」

 

残ったセリアは振り向きつつ、背後にいる人物に言い放った。

 

「いや、ちょうどかな。アイツに捕まって、強制転移で放り出されたところだから。っにしても、ウチのメンバーを麻痺状態にして、随分放置してくれたみたいだなぁ」

 

懐からナイフを取り出し、何時でも攻撃が出来る様にして置く、セリア。

 

「確かに麻痺毒は使ったけれど、それは保険よ?普通は仕留めているもの。死線を捉えて刺しているのだから。死なない方が悪いのよ」

 

一方相手は、白いコートの内側から本を取り出した。

 

「とにかく、雪那は救出させてもらおうか」

 

「そう簡単に、させると思っているの?」

 

セリアは相手に向かって走り出す。

すると相手は、手にしていた本を開き、小声で「ミラージュ」と呟いた。

 

「!」

 

異変に気付いたセリアは接近することをやめ、太もも部分に備え付けている投擲用ナイフを、倒れている雪那に向かって投げつける。

投げられたナイフは、真っ直ぐと雪那へ向かう。が、ナイフは雪那を突き抜け、地面へ刺さった。

地面に刺さると同時に、雪那の姿は揺らめく様にして消えてしまう。

部屋全体を見渡すと、対峙していた相手も見当たらない。

 

「やるわね。昔あった時は確か、双剣を使っていたわよね?今は魔導書?どちらにしても、さすがマキちゃん」

 



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合わない二人

今年中には、2章を終わらせたい……
という事で月2投稿するときは、11日と25日頃に投稿したいと思います!
取り敢えず今月は1回で、来月からかなぁ


「お前こそ、よく気付いたな?初見でそうそう気付けるもんじゃないだろ」

 

目には見えないが声は聞こえる。

おそらく、幻影系統の魔法だろう。かなり強力な魔法らしい。私の『目』をもってしても、看破が難しい。

 

「もぅ、セリちゃんって呼んでよ。わたし、マキちゃんとは気が合うと思うの。だって、あなたも所有者でしょ?仲良くしようよ」

 

「い・や・だ!そもそも、プレースタイルが全然違う」

 

「それでいいのよ。プレースタイルは、人それぞれだもの。非合法であっても、この世界では合法。それはゲームマスターが言っていた事よ」

 

「確かに空白な世界だとは言っていた。けどだからと言って、人として考えるなら、やっちゃいけない事だろ!」

 

「それが何?結局はゲームなのよ。私たちが楽しければ、些細な事じゃない」

 

「ゲームであって、そうじゃない。この世界のNPC(住人)たちと話した事はある?」

 

「住人?モブと話すわけないじゃない?それがどうかしたの?」

 

「モブであっても、一人一人が意思を持っているんだ。非合法な行動は、彼らの生活を壊しかねない」

 

「あり得ないわね。それだとNPC全員に、AIが搭載されている事になるじゃない。仮にそうだとしても、AIたちの中にも非合法な事をする人はいるはず。そうなれば、私たちがしていたって問題ないじゃない」

 

「ならそろそろ、分かったんじゃないか?いくら勧誘したって無駄だって事が」

 

「……そうね、あなたの事は、諦めるわ。それに、そろそろ決着をつけなくちゃね」

 

長い間話したおかげで、「目」がだいぶ捉える事に慣れてきた。

人影を捉えた場所に向けてナイフを投げつける。投げられたナイフは、壁に突き刺さる。

しかし今度は部屋全体が揺らぎ、やがてナイフが刺さった場所には、人影が浮き上がる。

 

「えっ」

 

幻影は解けた。けれど、ナイフが刺さった相手はマキナでは無かった。

投げたナイフは、クロムウェル陣の使役する、傀儡に刺さっていたのだった。

セリアの『神の目』は、マキナの魔法の発生源、魔導書を捉えていた。幻影が解けた事から、それは間違いないはずだった。

セリアは傀儡を確認すると、傀儡と一緒に何かが刺さっている事に気付いた。

 

「これは……本のページの一部?」

 

部屋の中を確認するが、マキナと雪那の姿は見当たらない。

代わりに部屋には、傀儡たちが居るだけ。

 

「どうやら、逃げられたようね。まあいいわ。次あった時は、私が勝つもの」

 

そう言うと傀儡に刺さったナイフを抜き取り、セリアもツリー同様に転移アイテムを使い、この場を離脱して行った。

 

 




~ルル&キキのスキル紹介コーナー~

キキ:かなり久しぶりのこのコーナ!

ルル:……別にやらなくても良いんじゃないかしら?

キキ:まぁまぁ、それは置いておいて
   今回紹介するのは、神の目だよ!

ルル:はぁー……これは十ある神シリーズの一つ
   効果は…

キキ:効果は、相手の死線、つまりクリティカルヒットポイントが見えるようになるの
   さらに、その線を寸分狂わず攻撃することで、即死させることが出来るの

ルル:相変わらず、チートアビリティよね、これ

キキ:まぁ、マスターの趣味だし
   ゲームマスターを捜し出すためだから、目立ち過ぎるくらいが良いって事でしょ?
   あ、そうそう
   神の目にはもう一つ効果があって、看破強化があるんだよ

ルル:確か、偽物を見分けられるのよね?

キキ:そうだよ!
   でもそれは、使用者の腕次第だけどね~

ルル:本当におまけの能力みたいね…

キキ:それじゃあ、今日はこれまで!
   また今度ね~!

ルル:…………

キキ:?どーしたの、ルル?

ルル:……もういっその事、(読者の)反響がよければやるで良いんじゃないかしら?

キキ:え…それだと、神シリーズ説明はいつするの?…それに私たちの出番は……

ルル:本音は隠しなさいよ、もう……



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《第三級管理者》 ディアーチェ・アーカリア

「さて、クロムウェル。何か申し開きがあれば述べてみよ」

 

石板の間にて相対した、ディアーチェとクロムウェル。

ディアーチェの周りには、紫色のオーラが漂っている。

 

「可愛い愛娘を攫われたとあっては、()()()()最強のお主もご立腹かのぅ」

 

一方クロムウェルは余裕の表情で、ディアーチェを見ていた。

 

「にしてお主、相変わらず小さいのぅ。普段は幻影魔法を使って、威厳ある姿をしておる様じゃが、怒りで魔法が解けておるぞ?」

 

今のディアーチェは、黒髪ロングでメリハリのある体型から、茶髪に金のメッシュが入ったミディアム。そして体型は、14、5歳の少女となっていた。

ディアーチェはとある理由から、ある時を境に肉体の成長が止まっている。

ディアーチェが普段、幻影魔法で姿を偽って居た理由は、学園長としての威厳のため。

最強と言われる実力を持っていても、見た目14、5歳の少女の姿では、威厳が無く侮られてしまうと考えたからだ。

 

「なぁに、問題ない。余計な事に魔力を使っていない分、制御しやすい。もう一度言う、申し開きがあれば述べてみよ。うぬの行動、シナリオと違うのは、いや、そもそもなぜ、うぬの肉体は若返っている」

 

ディアーチェとクロムウェルはかつて、師弟の関係だった。故にクロムウェルの肉体が、若干ながらも若返っている事に気が付いた。

 

「やはり気付いておったか。それに、怒っておっても冷静。さすがは、第二世界の管理を任された者」

 

「えぇい、答えよ!クロムウェル!」

 

「…かつてはお前の師だった。しかしお前は神に選ばれ、永遠を手に入れ頂点に立った。師である儂を差し置いて!儂の目の前で啓示をうけた!…分かるか主に?この惨めな思いが。弟子が神に認められ、儂は否定される」

 

師弟の関係、その立場はある時を境に逆転した。それは、ディアーチェの成長が止まった日。その日を境に、二人の力関係は逆転してしまった。

 

「そんな事は断じて、認められる筈が無かろう。故に儂は待った。表向きはお前に従い、しかし裏では禁忌を研究し、力を付けた。そして儂は、あの方に認められた。あの方は儂を評価し、さらなる力を授けた」

 

そう言うとクロムウェルは左手の手袋を外し、その指に付けた2つの指輪を見せて言う。

 

「この指輪はその証。『強欲』と『嫉妬』じゃ。主が神から受けたシナリオで犬死するなら、儂はあの方のために働く。すでにデータは取り終えた。あの方の知りたかった事も、今回のシナリオで解決した。今さら手遅れなんじゃよ。っと、少し喋り過ぎてしまったかのぅ」

 

「……手遅れかどうか、それはうぬが決める事では無い。それに、こちらも情報が得られた。故に一つ教えよう。うぬが選ばれなかった理由、それはまさに、うぬが強欲で嫉妬深い人物だったからだ。それさえ制御できていれば……」

 

「うるさい!もうそんな事はどうでもよい!お主には、ここで死んでもらう」

 

「我が簡単に死ぬとでも?」

 

「この娘が死んでもよいなら、抵抗するがよい」

 

莉花に抱えられたセレスティーアを指差し、クロムウェルは勝ち誇ったように述べる。こちらには人質がいると。ディアーチェが大切にしている、愛娘のセレスティーアがいると。

それを聞いてディアーチェは一瞬、キョトンとするが堪え笑いをし始める。

 

「ッくっくっく。そうか、そうだったな」

 

「な、何がおかしい。娘が如何なってもよいのか」

 

予想外の反応に、動揺するクロムウェル。

そんなクロムウェルをよそに、ディアーチェはある人物に指示を出す。

 

「尻尾は掴んだ。もう潜入は良い。セレスを連れて、戻って来るがよい」

 

 



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三叉之槍《トリアイナ》

「させると思うか?莉花よ、娘を直ちに殺せ!」

 

クロムウェルは莉花に、抱えているセレスティーアを殺すように指示をする。

しかし莉花は、クロムウェルの指示に従わなかった。

 

「何をしておる!早くせぬか!」

 

クロムウェルは怒鳴りながら、もう一度言う。

すると莉花は、にゃははと笑い首を横に振った。

 

「残念だけどもう、私はあなたの護衛じゃないよ?だから、あなたの指示を聞く必要は無いの」

 

「な、何を言っておる」

 

「さっき言った通りなんだけど?もっと分かりやすく言おうか?『もう潜入は良い。セレスを連れて、戻って来るがよい』。私は王さまから、こう言われたの」

 

ここまで言われて、ようやく気付いたクロムウェルは、莉花に向かって魔法による火炎弾を放った。

しかし、放たれた魔法は莉花に当たる前に、虚空より現れた少女の持つ大鎌に切り裂かれた。

 

「…ぬるい攻撃」

 

「リーンちゃん!いや~助かったよ。この通り彼女を抱えていたから、どうやって防ぐか迷っていたんだよ」

 

リーンと呼ばれた少女は、莉花に向き直ると、柄の部分で頭を叩いた。

 

「いった~い。何で叩くの!」

 

「油断しすぎ。いいから行くよ?」

 

そう言うとリーンは、莉花の肩に手を置く。すると、三人の姿は徐々に虚空へと消えていく。

 

「今の奴は…」

 

急な出来事に、茫然とするクロムウェル。やがてディアーチェの周りに揺らぎが現れ、そこには莉花、セレスティーア、リーンに加え三人の人物が現れた。

 

「莉花ちゃんもリーンちゃんも、喧嘩せんの。セレスちゃんも無事に戻って来たんやから、それでええやん」

 

「空間制御系を使えるのは知ってたけど、ここまでのモノとはなぁ……」

 

「マスターに見せるのは初めてやったけ?でもウチより、ディアーチェの方が凄いんやで~」

 

緊張感の欠片もなく話しているのは、マキナとハヤテ。

先程の揺らぎはハヤテの魔法『空間湾曲』

空間を湾曲させることで、疑似的な転移や隠蔽が可能となる魔法である。空間制御系の魔法は強力ではあるが、リスクが高いため使う人物が殆ど居ない。そのリスクとは、制御を誤ると永久に、空間の狭間から出る事がかなわない。

つまり、死ぬことも出来ずゲーム続行不可。永久退場となるのだ。

このリスクが知られてからは、空間制御系を選択するプレイヤーは激減。今では数えるほどのプレイヤーしか使用していない。

 

「マキナ、うぬの仲間の回収は終わった様だな」

 

「あぁ、お前さんの言う通り、終わったからこっちに来た」

 

マキナの背には麻痺により、今だ動けない雪那が背負われていた。

 

「うむ、よし。ではハヤテよ、お前の潜入の任も解く」

 

ディアーチェが言うと、ハヤテは頷いて己に掛けていたスキルを解く。するとハヤテの姿はメイド服を着たディアーチェ似から、執事服を着た美男子へと変化した。

 

「そんな気はしていたけど、本当に二重スパイやっていたのか」

 

「あれ?やっぱり気づいていましたか?」

 

「何となくだったけどな?けどこれでハッキリした。お前がディアーチェ直属の部隊『三叉之槍(トリアイナ)』だったんだな」

 

マキナが納得したように述べると、ディアーチェが頷いた。

 

「その通り。この場におる『疾風迅雷』の莉花、『万能執事(コンバット・バトラー)』ハヤテ・ラファール、『執行者(エクスキューショナー)』リーン・ティアーズ・リ・ミスティアの三名は我の配下。最強が持つ、最強の槍と言う事ぞ」

 

色々と言いたい事もあるが、取り敢えず一つ。

 

「で?どうすんのこれから?」

 

 



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《執行者》 リーン・ティアーズ・リ・ミスティア

「まずは、負傷者たちを安全な所へ移す。ハヤテ!」

 

「心得ております」

 

ディアーチェはハヤテに呼び掛けると、ハヤテは既に行動を起こしている所だった。

 

「マキナさん、雪那さんをこちらに。お嬢さまの転移術を使って、学園に跳んで治療します。莉花もセレスお嬢さまと一緒に、跳びますよ」

 

「は~い。それじゃあ、リーン。程々にね」

 

雪那をハヤテに預ける。

莉花とハヤテはディアーチェが開いた転移魔法陣に乗り、この場を離脱して行った。

そしてこの場に残ったのは、ディアーチェ、マキナ、リーンとクロムウェル。

 

「さて、今の間に魔力を溜めていた様だが、満足したか?クロムウェルよ」

 

「あぁ、十分じゃ」

 

今のやり取りの間ずっと、放ってお置かれていたクロムウェルは、魔力を練り込んでいた。

クロムウェルの周りには、三つの白い球体が浮かんでいる。その一つ一つに膨大な魔力が籠められており、一目で危険だと分かる代物だった。

 

「む、精霊を依り代にした禁術か。まぁ問題あるまい。リーンよ、前衛を任せる」

 

「仰せのままに、王よ」

 

返事をしたリーンは、ディアーチェの前方に立ち大鎌をかまえる。

 

「マキナよ、うぬは後ろに下がって観ておくがよい。プレイヤーではなく、我らがこやつを倒すが、安心するがよい。次の世界の門は、我の権限で開ける」

 

言い終えるとディアーチェは、空中に魔導書を呼び出し、それを開く。

 

「強欲よ、咎人より力奪いて、力と成せ」

「審判の時だ!」

 

ディアーチェが宣言すると同時に、リーンが動き出す。

しかしクロムウェルが詠唱のほうが、リーンが動き出すより少し早く完了した。

球体二つの色が赤銅色へ変化し、うち一つがディアーチェに向けて放たれる。

 

「させない」

 

リーンが手にしていた大鎌を、赤銅の球体に向けて投げ、ディアーチェへの攻撃を防ぐ。

 

「!」

 

大鎌と球体はぶつかると、球体が膨れ上がり大鎌を飲み込むと、クロムウェルの手元に戻って行く。

そして球体は形を変えはじめ、やがて飲み込んだ大鎌へと変化した。しかし色は元の鈍色から赤銅色へと変わっていた。

 

「どうだ!これが『強欲』の力だ!貴様の得物は、儂のものとなったのじゃ。この武器で貴様を殺してやろう!」

 

大鎌を上空へ投げる。大鎌は空中に止まり、クロムウェルがリーンに手を向けると、大鎌は回転を始め、そしてリーンへと向かって行った。

どうやら、球体時の遠隔操作も行えるらしい。

 

「驚いた…けど、それだけ」

 

得物を奪われたリーンは、一種驚きはしたものの、構う事なく突っ込んでいた。

そして大鎌が当たる瞬間、左腕を振り上げる。

その左腕にはいつの間にか、()()()()()装備していた。

その盾を使って大鎌を受け流し、クロムウェルに接近する。

 

「ッく、嫉妬よ、我に」

 

「無駄」

 

クロムウェルに接近したリーンは、そのまま盾で突進、かと思いきや()()()()()()()()()()()()で、クロムウェルに突きを入れる。

クロムウェルの詠唱は完成する事無く、ランスはギリギリでかわされ肩をかする。

すぐさま大鎌で反撃するが、両の腕とも()()()()()()()身軽なリーンは、大鎌を軽々と避け始めの位置に戻る。

 

「どういう事じゃ…なぜ武具が、いや、そもそも何処から」

 

「もう終わり?」

 

 



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ディアーチェの魔法

焦りを見せるクロムウェルに対して、いまだ余裕の表情で、相手の出方をうかがうリーン。

後ろで見守っていたマキナは、ディアーチェに先程の事を尋ねる。

 

「ディアーチェ、もしかしてアレって、『武器庫』?」

 

「さすがマキナ。その通りだぞ。リーンのアレは、『神々の武器庫』だ。その力は、思うがままに武具を取り出し、扱える。欠点を上げるのなら」

 

「一個しか展開できない、か?」

 

答えるとディアーチェは頷き肯定する。

 

「うむ、図書館を所有者だけはあるか。ほかの神シリーズも理解しているのであろう」

 

「まぁある程度は、かな?実際に見ないと、判断できないし」

 

「違いない。さてと、そろそろ仕舞いまかな。リーン!奴の手を封じよ」

 

「仰せのままに」

 

ディアーチェはこの戦闘に幕を下ろすと言うと、リーンに手を封じる様に指示を出す。指示を受け、すぐさま動き出したリーン。

その様子から、危険を察知したクロムウェルは、赤銅の大鎌と残りの球体を自身の前方に配置し、三つを一つに纏め上げる。

 

「理を枉げ、我らが王への道を開かん」

 

詠唱により纏め上げられた塊は、地面へと落ち円陣を書き始める。

 

「今さら無駄」

 

「ッぐ!おのれ!」

 

しかしそれを黙って見過ごすはずもなく、リーンが手にした新たな大鎌を振るう。

振るわれた大鎌は、クロムウェルを捉え左腕を肩から落とす。

左腕を失った事により、円陣を書く速度が落ちた。

 

「上出来だな。うむ、さがれ、リーン」

 

リーンが戻って来ると、ついにディアーチェが動く。

 

「エクスプロージョン」

 

ディアーチェの詠唱によって、クロムウェルの目の前に小さな火球が生まれる。

 

「!ッく」

 

詠唱を聞いたクロムウェルは、驚愕の表情を浮かべ、自らに障壁を展開する。

 

「無駄だ。その程度の障壁、破れない筈かなかろう。終いだ、弾けよ」

 

すると火球は徐々に大きくなり、クロムウェルを障壁ごと飲み込むと、爆発を起こす。

その衝撃は、空都全体を揺らした。

 

「おーお、こりゃあスゲーけど、衝撃が凄すぎね?空都が落ちるとかないよな?」

 

「たわけ。加減はしてある。まぁ奴は、消し炭になっておるだろうがな」

 

開いていた魔導書を閉じ、この場を去る準備を始めるディアーチェ。

 

 

「やれやれ、これで手加減してるって?冗談でしょ?」

 

「いや、しておったよ。ディアーチェは詠唱は好まん。奴は無詠唱で、魔法を発動できるのじゃ。詠唱した方が、威力が分散する気がする、とか言っておったからな。しかし奴が短文詠唱、そのうえ改変までしてくるとは……正直助かったぞ」

 

黒煙の中から、聞えるはずのない声が聞えてくる。それも二人分の声が。

 

「どういたしまして。で、気になったんですけど、改変ってどう言う事ですか?」

 

「そうじゃのう、まず系統・効果・名の順に唱え発動する。これが詠唱の基本じゃ。熟練者になれば詠唱を短文化、つまり二節や一節に出来る。これは短文詠唱と言い、さらに極めし者は、詠唱破棄出来る。つまりは、無詠唱に至るのじゃ」

 

黒煙が徐々に晴れ始め、人影が見え始める。

 

「本来のエクスプロージョンの詠唱は、『虚無よ・爆ぜよ・爆裂(エクスプロージョン)』この三節じゃ。何か気付かぬか?」

 

「あ、そう言えば爆発前、火種に包まれてましたね」

 

「そうじゃ、本来であればただ、大爆発を起こしていたはず。それが火球に包まれてから、大爆発を起こした。奴が使ったのは『爆裂(エクスプロージョン)』ではなく、『爆裂の棺(エクスプロージョン・コフィン)』。詠唱は、『虚無よ・包みて爆ぜよ・爆裂の棺(エクスプロージョン・コフィン)』じゃよ。特徴は、ただ大爆発を行うのではなく、爆発の衝撃をすべて内側へ。つまり、火球に包まれたものに全ての衝撃が向かう」

 

「まさにエクスプロージョンの上位版だったって事か。なるほど、確かに本来の短文詠唱じゃないから、改変ってわけだね」

 

煙が完全に晴れる。

そこには、クロムウェルとローブの男がほぼ無傷の状態で立っていた。二人の周りには、多くの黒焦げた死体が転がっていた。

 

 



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逃走、そして帰還

「人を盾にしたのか。全くしぶとい奴よ。リーン!」

 

防いだ方法に嫌悪感を覚えつつも、すぐさまリーンに指示を出すディアーチェ。

指示を受けたリーンは、一直線に敵へと向かって行き、呼び出した大剣を振りかぶった。

そして斬り付けようとした瞬間、リーンは足を掴まれてその場にこけてしまう。

 

「なっ!」

 

「ざーんねーん、惜しかったね~」

 

リーンの足を掴んだもの、それはクロムウェルたちの周りに転がっていた、死体たちだった。

 

「む、ローブの男は死霊術師か!」

 

「いや、あれは傀」

 

「傀儡術ですよ。まあ()()()()()()存在しない技なので、見間違うのは仕方ないでしょうけど」

 

ディアーチェの死霊術発言を、マキナが訂正しようとすると、ローブの男が先に応える。

 

「初めまして、第二世界の管理代行者さん。俺はマーク・スフィア。クロムウェルさんの同胞さ」

 

ローブの男は、軽薄な笑みを口に浮かべ、傀儡に捕まっているリーンを見る。

 

「今回は負けを認めて、逃げさせてもらうよ。でもその前に、キミの腕も一本、貰っておこうか」

 

マークが指を鳴らすと、傀儡たちがリーンの左腕に群がって行く。

 

「不味い、マキナよ!どうにかならぬか。我は傀儡の術については知らん。これでは手が出せん!」

 

「はいはいっと。今回もページが埋まったし、お前さんに恨まれるのはかなわんからね」

 

そう言うとマキナは、リーンに群がっている傀儡たちに近づくと、懐から取り出した扇で、傀儡たちの頭を叩きつけていく。

 

「傀儡化した奴らは痛みを感じない。だから半永久的に動き続ける。けど、核を的確に叩いてやればこの通り」

 

そこには動きを止めた傀儡たちが転がっていた。

 

「大丈夫かい、えぇっと、リーンさん?」

 

「…リーンでいい。私もマキナと呼ぶ」

 

マキナはリーンに手を差し出す。

 

リーンはその手を取り、起き上がる。

 

「にしても、逃げられたのは良かったのか?」

 

起き上がったリーンは、服に付いた土を叩き落とす。途中マキナが差し出したタオルを受け取り、傀儡たちが群がっていた左腕を念入りに拭く。

 

マキナはその様子を苦笑いしながら見届け、ディアーチェにたずねる。

 

「よくはない、良くはないが仕方あるまい。向こうから逃げたのだ。下手に深追いしないに越した事は無いであろう」

 

「まーそれもそうか。ん、じゃあ終わり次第、学園集合って連絡しておくか」

 

「うむ、既にハヤテが宴の準備を始めているだろう。リーンよ、石板の宝玉を回収しておくのだ」

 

「はい、王さま」

 

改めてこの場を去る準備を始める。

マキナは仲間に連絡をし、全員の無事を確認すると、学園に向かうように指示を出した。

 

「マキナ、あなたは何故傀儡の核の位置が分かったの?」

 

指示も終わり、ディアーチェの準備が終えるのを待っていると、宝玉を回収し終えたリーンがマキナに声を掛けた。

 

「ん~、企業秘密って事で」

 

「……分かった。そう言う事にしておく」

 

マキナの回答に若干不満そうな顔をしたが、すぐにいつものフラットな顔に戻った。

 

「よし、準備が出来たぞ。うぬら、学園に戻るぞ」

 

こうして第二世界のキークエストは、終わりを告げるのであった。

 

 

 




と言う訳で、第二章はこれにて終了です
皆さん、如何でしたでしょうか?
魔法世界、と言っておきながら魔法感ほぼ無かったかな~と、思っていたりします。
でもまぁ、楽しんでもらえているなら、それはとても励みになります。


という訳で第三章の頭では、リクエストされていたクエストから始めていきたいと思います!

つきましですが、第二章世界のキャラかプレイヤー(ジーク以外)で、このキャラを参加させて欲しい!と言うのを聞きたいと思います。

多くて二人か三人ですが、上がったキャラを登場させたいと思います。
回答の方は、リクエストの方へお願いします。


それでは皆さん、今後ともよろしくお願いいたします。


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第三章 崩壊世界と十の遺跡
ゲームマスターと制作者


「と言う事は、システム自体は取られていない、って事か?」

 

『はい。どうやら初めから、一部のAIたちに仕込んであったのだろうと、彼女は推測していました』

 

「運営・管理を任せるって、そう言う意味も含んでいるのか……」

 

『ねぇねぇ、ルル。ナナ姉とマスターは、何の話をしているのかな?』

 

『さぁ?ナナお姉様からは、「少し待ってなさい」って言われただけだから…』

 

『あの子たちに、話しておく頃合いなのではないですか?』

 

「……かも知れない」

 

『では二人を入れますね』

 

「ちょ、ま」

 

『あ、お話しは終わったの?』

 

『それでお姉様、何のお話しをしていたのですか?』

 

「…はぁ、仕方ない。二人とも、離反したAIたちは把握しているか?」

 

『えーっと、確か最近判明したのは、クロムウェルのおじいちゃんだっけ?』

 

『ほかにも数人程、でしたっけ?』

 

「現状の認識でそれなら、十分だ」

 

『遅かれ早かれ、離反する者たちが出て来るのは、仕様上解っていましたから、対策しなかったのですが……不味かったですか?』

 

『ルルの判断は間違っていません。元々そう言う作りですしね』

 

『では…』

 

「まず一つ、第一世界のストーリーキャラ、スフィア。本来死亡しているはずのキャラが、第二世界で目撃された。二つ、解放待ちだった第三世界が、侵略された」

 

『第一世界の段階から、介入されていた可能性がある訳です』

 

『どう言う事なの、ルル?』

 

『マスターとお姉様の話を合わせると、重大なバクの可能性が発見された、ってこと。でも変ですよね、お姉様?』

 

『流石は法の管理者。気付いたようですね。それについては、マスターから』

 

「ん、仕様としてこれが正しいらしい。初めから一部のAIは、ゲームマスターから離反して、製作者の指揮下につく様になっているらしい」

 

『あれ?マスターが作ったんじゃなかったっけ?このゲーム』

 

「あー、二人には言って無かったんだが、作ったのは私であって、私じゃないんだよ」

 

『?どう言う事?』

 

『このゲームの基盤となる部分、その全てはマスターの友人で、私たちの親である人が作り出したんですよ。マスターはお母さまから、このゲームの完成とサポート役として、null状態のあなたたち姉妹を託されたのです』

 

「託す…ってよりは、押し付けってたな。まぁ、元々一枚かんでいた案件だったから引き受けたんだ」

 

『衝撃のカミングアウトだね』

 

『言うわりには、驚いていないように聞こえるわよ、キキ?』

 

『だってねー、ルル?』

 

『『マスター、機械の扱い下手 だもん』ですもん』

 

『あらあら、ですってマスター』

 

「おぅ……まぁ、分かっていたけどね?ハッキリ言われると……はぁ、とにかく、私はその制作者から任されたのは、ストーリー性とゲームの管理だったの」

 

『二人とも、分かりましたね?』

 

『はーい』

 

『はい、お姉様。機密事項については、理解しました。それで今後はどうするのですか?』

 

「このまま進めるしかない。      の話だと、元のシナリオを基に常に制御していくって」

 

『『      ?』』

 

『番外の姉妹ですよ。彼女は、このゲームの中心、つまり核なのです。私たちの権限は、彼女の権限の一部を、移したものです』

 

「んっん、とにかく、これからは現場に出向く事になると思って」

 

『それって、私たちもマスターみたく、ゲームをしながらチューニングをしていくって事?』

 

「そ、ナナの指示に従ってだけどね。と言ってもキキは、スキル管理、ルルは離反者の取り締まり。二人には、この二つをやって貰う感じかな?」

 

『え~、今までと変わらないじゃん』

 

『そんな事言わないの』

 

『お仕事さえしっかりしていれば、後は自由ですよ』

 

『『はーい!』』

 

「ナナが言うと聞き訳が良いのね……」

 

『まぁまぁ。それよりもマスター、例の件、許可が取れました』

 

「ん、そうか!よーっし、ならプレイヤー・住民の戦力強化を兼ねた魔導書配布イベント、開始するか」

 

 




前回の後書きの補足を少し

『第二章世界のキャラかプレイヤー(ジーク以外)で』といいましたが、プレイヤーキャラに関しては未登場キャラでもOKです。

あと募集期限ですが、次の更新日から五日後、1月16日までとしたいと思います。


回答の方は、リクエストの方へお願いします。



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イベント『~探求の成果~』

あけましておめでとうございます。

今回から始まるイベントは、ナルガ亜種さんから戴いたリクエストを基に、書く事になります。
と言っても、リクエスト内容に答えられているか、分かりませんが……




理事長室の扉をノックする。

すると扉がスッーと勝手に開いた。

 

「「しつれいします」」

 

私とシャロは、理事長室に入った。

なぜ理事長に呼び出されたのか、私もシャロも分からずにいるのだけど……

 

「そう畏まらなくてよい。べつに、説教をしようと言う訳では無い」

 

「お嬢さま、取り敢えず座ってもらっては?」

 

「ん?おぉ、二人ともそこに立っていないで、座るがよい」

 

執事の人に言われて、理事長先生は私たちに座るように促す。

私たちは言われた通り、席に座る。すると執事の人は、紅茶を私たちの前に並べた。その紅茶を一口飲んでから私は訊ねた。

 

「あの…では何故呼び出されたんですか?」

 

「ん、プレイヤー達があるお祭りを開催しておってな、それにうぬらも参加せんか?」

 

「え?それって私たちも、参加できるんですか?」

 

シャロがもっともな疑問を口にした。

しかしそれは予想済みと、理事長先生は詳しい内容を話す。

 

「うむ、可能じゃ。既にうぬら以外の研究会の皆は、向かっておる。祭りの概要を言うと、『とあるギルドが「魔法紙」の販売を開始した。その記念として、販売しているギルドのメンバー、その者たちが出す課題をクリアしたものに、タダで配布する事になった』と言う訳だ」

 

「はい!」

 

理事長先生の話を聴き終え、シャロが手を挙げる。

理事長は頷いてそれに応える。

 

「三つほど質問があります。一つ、魔法紙とは?二つ、販売しているギルドの名前は?三つ、みんな参加していると言う事は、私たちの研究に役立つものがある、と言う事ですか?」

 

「んー、魔法紙と言うのは、プレイヤーが誰でも魔法を使用できるようになるものだ。元々プレイヤーには、魔法を使用出来ぬ者がおるのだが、この魔法紙はそんな魔法が使えない者でも、一枚につき一つの使い捨てで魔法を使用できるのだ。この魔法紙には階級があって、一番下が魔法紙、次は魔法書、最上級が魔導書だ」

 

「もしかして、紙は使い捨てで、書はインターバルがあるけど、何度も使えるの?」

 

ふと思いついたことが口に出た。

それを聞いた理事長先生は頷く。

 

「いい着眼点だ、リリスよ。うぬの考察通りだ。ただ、普通に買おうとしたら、もの凄く高い。だから今回は、イベントで配布となったのだが………まぁ、それは置いておくか。ギルドの名は、神秘の図書館。主らの顧問とメンバーが所属しているギルドよ」

 

「あ、先生がギルドマスターしているっていう、あのギルド?」

 

「確かに先生なら、魔導書とか作れそうだね」

 

「ん、実際作っておるのは、あやつらしいからな。それで三つ目だが……もうわかるな?」

 

「はい、先生の関係なら少なくとも…」

 

「学べるなにかはある!」

 

私はシャロと顔を見合わせて、頷き合う。

 

「その様子だと、参加するようだな。ではアドバイスだ。ギルドのものは各地に潜んでおる。要領は隠れ鬼だな。そしてギルド内ランク、つまり幹部になるほど強力な魔導書が報酬だ。そのぶん、出される課題は難しいぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




~リリス・シャロ退室後~

「良かったのですか、お嬢様?」

「ん?何がじゃ?」

「いえ、この催しの景品、彼女たち研究会にとっては、不可欠なものと思われるのですが」

「その認識で間違っておらんよ。ま、インテリジェントデバイスの作り方は教えておる。あとは自分たちで、気づけるかどうかだ」

「まったく、お嬢様はお人がお悪いようで……
 それはそうと、いつまで彼女を『トリアイナ』として扱うのですか?彼女は姫であり、巫女です。『執行者』のふりをさせるのは危険では?」

「わかっておるよ。しかしな、彼女自身が望んでおるしなぁ」

「あれでは、心が擦り切れていくだけかと。そんな事をしなくても、お嬢さまが手を貸しさえすれば、万事解決するではありませんか」

「スマンがそれは出来ん。それをすると我は、禁忌を犯す事となる」

「…担当外世界への干渉、ですか」

「うむ。主を含め信頼したものに話したと思うが、我はこの第二世界の管理者。
 上が許可しない限り、他の世界には干渉してはいけないとなっておる。
 彼女を助けた件は、緊急ゆえのものだったから、上には許してもらえたのだが……代わりに、本物を調査のために派遣する事になった」

「なら、仕方ありませんね……でも、辞めさせない理由にはなりませんよね?」

「我が言っても、どうにもならんと思うぞ?彼女は力を求めておる。たとえ、滅びてしまったとしてでも、取り戻そうと頑張っておる。だから本来使えぬ、神の力を扱えておるのだろう。
 それに如何やら、マキナに目を付けたようだから、彼女も向かっていることだろう」

「……ハァ、分かりました。この件はこれ以上意見はしません」

「ん?よいのか」

「えぇ、お嬢様は『協力はさせるが、干渉はしない』を貫くようですからね」




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ジークvs黒音 再び ~前編~

王都郊外の平原で、ジーク・レイアはある人物と再会していた。

 

「残念でした~、出直してくるにゃ」

 

その人物は初めてあった時同様に、黒い着物を派手に着崩しながら戦っている。

いやちょうど挑戦者に、止めを刺したとこだった。

今の彼女は「エロそう」から、「妖艶」な女性にみえる。

 

「次の相手はキミかにゃ?」

 

「アンタには、恥じらいってもんは無いのか!まぁ、眼福だから良いけど……」

 

「私はこの着方が気に入っているの。それに、眼福ならあなたも嬉しいって事でしょ」

 

うぐ、確かにその通り……痛い所をついて来るなぁ。

しっかし、この着方が好きって、流石に崩し過ぎな気がするぞ。あれ、あと少し崩したら、痴女だろ。いやそもそも、着崩しのギリギリラインをいっているから、単純にエロいじゃなくて、妖艶に見えてくるのか………

 

ジークが黒音の着崩しについて悶々と考えていると、黒音が確認の質問をしてくる。

 

「で、何か悩んでいるところ悪いけど、キミはどっちにゃ?」

 

黒音の質問で我に返る。そうだ、今回の目的を忘れるとこだった。

 

「もちろん、挑戦者だ」

 

「そう、分かったにゃ」

 

いまジークは、イベントに挑戦しようとしていたのだ。イベントを利用した、リベンジを……

 

今回ゲット出来るのは、普通に手に入れようとしたら高価スキルアイテム。

イベントで手に入れる事が出来なくても、普通に買うことが出来る。けれど、高すぎて買えない。ジークはマキナに友人割りにしてくれと頼んだが、断られた。

つまるところ、条件さえクリアしてしまえばタダで手に入る今回は、チャンスと言うことだ。

 

手に入るアイテムの効果とランクは、挑戦する相手によって違うらしい。運営からの情報では、ギルマスが最上級まで、席付きが中級まで、普通のギルド員は低級らしい。

取り合えずマキナを抑えようと思って、連絡を取ろうとしたが、マキナを含め神秘の図書館関連の相手や場所には、連絡が取れなくなっていた。

 

「確か…ジークだっけにゃ?」

 

「ジーク・レイア。初イベントの時に、アンタに武器を壊された、獣人だよ」

 

「あぁ~あの時の。って事は、リベンジを含んだ挑戦かにゃ?ま、私は戦えれば何でもいいけどにゃ」

 

その後捜しに捜してようやく、黒音を王都郊外の平原で見かけた、と言う情報を得たのだった。

 

黒音が出す条件は、「黒音(わたし)に戦闘に勝つ」こと。

挑戦者の多くは、黒音の多彩な技か、着崩され衣装から覗き見えるモノに釘付けになって負けるらしい。確かに戦闘になるとチラチラと見えるだろう。しかも本人がそれを気にしないのだから、男とくに童貞プレイヤーには、刺激が強いだろう……

 

とにかく、前は負けたが今回はそうはいかない。なんたって、相棒がいるからな。俺だって前より先頭の幅は広いんだ。

 

「相変らず、って言ったところか」

 

「そうれはどうかにゃ~?」

 

情報通りなら、既に試合は始まっている。そう、視覚的な心理戦が……

そんな事を考えていると、黒音が条件を提示してきた。

 

「ん~そうね~。じゃあジークへ出す条件は、「わたしを楽しませること」にゃ」

 

「楽しませる?」

 

「そうにゃ。さあ、キミはどう応えるにゃ」

 

楽しませるって……デートでもするのか?いや、黒音は基本戦闘狂なはず……

それなら最善手は……

 

そこまで考えると俺は、腰に下げていた相棒を引き抜き構える。

 

「なるほどにゃ。じゃあ始めましょうか」

 

そう言うと黒音も拳をかまえた。

 



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ジークvs黒音 再び ~後編~

はじめに……
小説家になろうで、ハーメルン未公開話を更新しました。
興味があれば、見てみてくださいね。

https://ncode.syosetu.com/n8230de/64/


チョイチョイと黒音が手招きをする。どうやら先手は譲るつもりらしい。

自分の強さに自信があるからこその挑発。

 

けれど先手をくれるのなら、ありがたくいただくと

 

「ハッ!」

 

ジークは構えていた刀を黒音に向かって打ち放つ。

 

「っでもって、獣人化‼」

 

放つと同時に獣人化を使用。獣人化を使用したことで、ジークは人型から狐の耳に尾を生やした、獣人型に変化する。

そして強化した脚力を使い、黒音に接近する。

 

「いきなりやけを起こしたかにゃ」

 

黒音はジークが放った刀を避けると、紫色の光りを纏った右手で、近付くジークに邀撃しようとする。

一方ジークは両手に白焔を発生させ、それを手に纏わせる。

 

「それはどうかな!」

 

接近して来たジークに、黒音はパンチを繰り出す。ジークは黒音の足元の地面を、左手で殴りつける。

黒音の出したパンチは空を切り、ジークの一撃は、黒音の足元に白い焔の円陣を書き上げていた。

 

「白焔牢、発動‼」

 

「にゃンと!分身したにゃ⁉」

 

ジークが技名を発すると即座に、黒音の足元の円陣が火柱を上げ、黒音を囲う。

ジークの『白焔』は幻惑を見せるスキル。今の黒音にはジークが分身した、幻惑を見せられているようだ。

 

「レヴィ、白焔の制御は任せた!」

 

「はい!任されたのです!」

 

ジークは、刀から人型になった相棒に指示を出す。

ジークの愛刀「レヴィアタン」

 

通称レヴィは、インテリジェントウエポンである。レヴィ自身の能力は人化と刀変更。そこにジークが『刻印』を利用して付与した、『白焔』が加わる。

ジークとレヴィは紅き宝玉(スカーレット・ジュエル)組んだ修行を行った結果、多くのスキルなどの活用法を学び、格段と成長を遂げていたのだ。

 

「じゃあま、コイツで止めかな?」

 

そう言うとジークはストレージを開き、一本の試験官を取り出す。

その試験管の中には、奇妙な色をした液体が入っていた。

 

ジークが取り出したものを見たレヴィは、顔をしかめ意見する。

 

「マスターさん、爆裂ポーションじゃなくて、ランダムポーションを使う気ですか?」

 

「使う気だよ?こういう時じゃないと、何が起こるか分からない代物を、試せないじゃないか」

 

そう言ってジークは、ランダムポーションを黒音に向かって投げつけた。

 

「あ~ぁ、使っちゃた……確実に勝つなら、爆裂ポーションなのに。もう、どうなっても知りませんよ?」

 

投げられたポーションは、白焔の檻を越え中に居るであろう、黒音の影にあたる。

 

「あれ?」

 

当たったはずなのだが、何の変化も起こらなかった。

 

「外れを引いたって事か?仕方ない、レヴィ!」

 

ジークはレヴィに声を掛ける。するとレヴィは、人型から刀の形態へ変化する。

 

「じゃあ改めて……」

 

変化した相棒を掴み、抜刀の構えを取ろうとするジークだったが、違和感を感じ取った。

 

「レヴィって、こんなに…おも…かったっけ?って……言うより、力が…入ら…ない?」

 

体に力が入らなくなっており、思うように動けなくなっていたのだ。

しまいには刀から手を離し、地面に倒れてしまった。

 

「こ…これは、霧…か?」

 

ジークは倒れて初めて、足元一帯に霧のようなものが発生している事に気付く。

そのジークの口にした疑問に答えたのは、白焔の檻に囚われているはずの黒音だった。

 

「正解にゃん♪」

 

「黒…音…」

 

「ありゃりゃ、これはもう動けそうにないわね。じゃあ勝負ありにゃ」

 

そう言って黒音は、指をパチン‼と鳴らし、霧を消した。

 

「動ける……ハァ、また負けか」

 

動けるようになったジークは起き上がり、悔しそうに呟いた。

 

一方黒音は、満足そうに頷く。そして胸元から、スクロールを一つ引っ張り出し、ジークに向かって投げる。

 

「にゃはは、お姉さんに勝とうなんて10年早いにゃ。まぁでも、十分楽しめたから、プレゼントにゃ」

 

「ぉっと。ありがとさん。え~っと『魔法紙:火球連弾(ファイアーボール)』か……ん?連弾?ちょっと黒音さん?これは」

 

受け取った魔法紙を広げて、中身を確認したジークだったが、技名がおかしい事に気付く。すぐさま黒音に確認を取ろうとするが、姿が見当たらない。辺りを見回すが、人影すらない。

 

「結局、勝ち逃げか……」

 

 




~キキのスキル紹介コーナー~

キキ:今回はジークが使用したスキルとアビリティについて、解説するよ!

   まずはアビリティの「獣人化」
   一定の能力値に達すれば、獣人種プレイヤーなら誰でも使用できるものだよ!
   
   さらにこの獣人化、元が人型か獣人型かで、変化する見た目も違ってくるの。
   
   例えば見た目が人の狼の獣人と、耳や尻尾などがある人型の狼の獣人
   前者が獣人化を使うと、耳や尻尾などがある姿に変化するんだ。
   一方後者は、完全な獣。つまり狼になるんだよ。

   この違いには意味がちゃんとあって、ベースになっている獣によって、強化内容が違ってくるの。
   

   次にスキル「白焔」だね!
   これは焔の揺らめきを相手に見せる事で、幻惑をかけるスキルだよ。
   ただし、命中率は物凄く低いのが難点だね!
   
   どうやらジークは、修行を積んで面白い使い方をマスターしたみたい。
   「白焔牢」は「白焔」で相手を囲んで、確実に相手に幻惑をかける応用技だね。

   
   今回はこれくらいかな?
   最後に私から一つ。元が強力なスキルだと、弱点は多い。
   けど、弱いスキルは応用がききやすい。
   ジークがやって見せたみたいに、どんな弱いスキルであっても、使い方次第で強くなるんだよ!
   

   




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アイドルプレイヤーμ

「♪~~~」

 

二人のプレイヤーがステージ上で、音楽に合わせて踊っている。

学園都市ヴィヴィドの野外ステージ周辺には、プレイヤーたちが集まっていた。集まったプレイヤー達の目当ては、主に二つに分けられる。

一つは、このステージでパフォーマンスをしているアイドルを見に来ているもの。

もう一つは、そのアイドルに勝負を仕掛けるの。

 

「~~~♪」

 

曲が終わりステージの二人は、ポーズを決めて止まる。

 

「さぁ、パフォーマンスが終了しました!では審査に入りたいと思います!」

 

舞台袖から出てきた司会者が、さっそく投票を募り始める。

 

「挑戦者が良かった人は青!μ(ミュー)が良かったと思う人は、赤を押してください‼」

 

そう言うと集まっている人たちの前に、二択選択のウインドが表示される。人々は思い想いに投票をする。

投票は数分も経たないうちに終了し、司会者が結果発表を行う。

 

「結果がでました~。結果は……μの勝ちです!挑戦者さん、残念でした~。ちなみに投票率は9対1となっています」

 

結果を聞き終え、敗北したプレイヤーとμは握手をする。そして敗者がステージを降り、司会者が一礼をして舞台袖に引っ込むと、μはトークを始める。

 

「みんな~、こんにちは―!改めて自己紹介するね!私は、μ(ミュー)神秘の図書館(スピリチュアル・ライブラリー)所属で、アイドルをやってます!司会をしているのは、『召喚獣』のルーネちゃん。

 えーっと、私たちのギルド主催のイベントが行われているのは、みんな知っているかな?まぁ、知っているよね。開始日からずっと、ここでライブしていたから、アイテム目当ての人は居場所の分からない人を探すよりも、私の方に来ているから♪

 それは置いておいて、ライブは楽しんで貰えているかな?明日は最終日だし、今日は次で最後にしようと思うんだけど、挑戦したい人は居るかなー?」

 

μが呼び掛けるが、手を挙げる者がいない。それもそのはず。μは今まで一度も負けていないのだ。

 

そもそもμの出す課題は『自身とダンスor歌又は両方から選んで、勝負する。判定は観客が行う』と言うものだった。

始めの頃は『簡単だ』と息巻いていた挑戦者が大勢いたが、μの圧倒的なまでの実力に敗れて行った。

 

そんな訳で、最近の挑戦者はリベンジの人かその事実を知らない人なのだ。その他は純粋に、μのライブが目当ての人が集まっている。

 

「うぅーん。今日はもういないかな?だったら、今日最後の曲に行くね!」

 

それを合図に舞台袖に控えたルーネは、今日最後の音楽を流す。

会場のテンションが徐々に盛り上がり始める。

そしてμが今まさに歌い出そうとした瞬間に、ステージが煙に包まれた。突然の事に会場全体が静かになる。

 

「あらあら、煙が多すぎたわね。それにコレ、ベタな展開よね」

 

その沈黙を破った人物は、ベタ過ぎる展開にしたことを後悔していた。

 

 

 

 



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μ vs 挑戦者S

「およ?挑戦者かな?」

 

煙を気にする事なく、乱入者に話しかけるμ。

ベタな展開を悔いていた乱入者も、平然と『そうよ』と答える。

 

「お相手、お願いできるかしら?第五席さん

 

乱入者は挑戦を宣言する。そして小声で、当人が喋っていない事を呟く。

それをμは聞き逃さなかった。

 

「うん!もちろん!言って無いはずなんだけど……よくわかったね

 

μもマイクが音を拾わないよう、注意しつつ返す。μの質問に乱入者は、微笑みで返事を返した。

 

「……あなた、名前は何て言うのかな?」

 

「そうね。『S』と名乗っておくわ。こんな場でフルネームなんて、恥ずかしいもの」

 

「そっかぁ……うん」

 

そう言ってμは、それ以上深くは聞こうとはしない。かわりに司会をしていた召喚獣に、観客には気づかれないよう視線を送った。

μからの視線を受け取ったルーネは、軽く頷き曲を止める。

 

「それじゃあ、ダンス?歌?それとも両方?」

 

剣舞(ダンス)でお願いするわ」

 

「OK!ダンスだね♪曲は何でも良いかな?」

 

「えぇ、お任せするわ」

 

そこまで聞き終えるとμは、もう一度ルーネへと視線を送る。

程なくしてルーネのアナウンスが、会場に流れた。

 

「お待たせ致しました。両者の取り決めが終わりましたので、これよりμと挑戦者Sの、ダンスバトル開始します。アピール終了後みなさまには、良かったと思う方へ投票をお願いします!」

 

言い終えると、明るくテンポの良い曲が流れ始める。

 

「♪~~~」

 

μは曲に合わせて、歌いながら踊り始めた。その歌声は観客を魅了し、そのダンスは観客の視線をくぎ付けにする。

一方Sは両手にナイフを持ち、曲に合わせて舞うように踊り始める。その足取りは軽やかでいて、手にしたナイフは怪しく揺らめいていた。

ほとんどの観客はSではなく、μのパフォーマンスに注目している。曲が間奏に入り、μが歌うのをやめたところでSは呟く。

 

やっぱり、普通に挑んでも勝てそうにないわね

 

「?」

 

μはSの言動に疑問を感じたが、パフォーマンスを優先する。

 

「♪~~~」

 

間奏があけ再びμが歌い踊り出す。

 

(だから、私のやり方で勝たせてもらうわ!)

 

Sは、左手に持っていたナイフをμの喉に向けて投げ放つ。投げられたナイフは、一直線にμに向かって行く。が、μの喉にあたる寸前、ナイフが消える。

 

(おかしいわね……確かに彼女の死を捉えていたはず………)

 

内心驚きつつも、Sは冷静にプランを移す。

 

(投げがダメなら、直接やるまでね)

 

瞬時に踊っているμの背後につき、ナイフで喉を切り裂きにかかる。がまたしても、失敗。しかし今度は、原因を捉える。

 

(空間魔法か結界……とにかく、この子の周りの空間は歪んでいて、不可視の壁が出来上がっているって事ね)

 

そこまでSが考えると、不意にμと目が合う。μはSに対して余裕の笑みを向けていた。

 

(くっ…ちょっとムカつくわね)

 

曲が終わるまであと数十秒ほど。

 

(それなら……)

 

「曲の終わりが、あなたの死よ!」

 

Sは神の目の力を引き出す。μを蔽っている不可視の壁の切れ目。そしてμを一撃で、仕留めるための線を見極める。

 

(もらったわ‼)

 

寸分違うことなく不可視の壁を潜り抜け、Sはμの死線を斬り付ける。

それと同時に曲が終了し、μがその場に倒れ込む。

手応えはあった。間違いなくμを仕留めた。Sはそう感じていたのだが、ふと違和感を覚える。

 

「そう言えば」「『μを殺したのに、騒ぎにならなかかったわね?』かな?セリアさん?」

 

殺したはずのμがいつの間にか立ち上がっており、何事も無かったかのように喋っている。

 

 



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結果発表

「……確かに殺したと思ったのだけれど?」

 

セリアは殺したはずの相手、μに訊ねる。

 

「お二人とも、パフォーマンスお疲れさまでした!観客の皆さん!どちらが良かったか、考えて下さいね~。さてセリアさん、答えは簡単。同じ舞台にいる様で実は、別の場所にいるのです」

 

そのセリアの質問に答えたのはμではなく、舞台袖から出てきたルーネだった。

 

「もっと砕いて説明しましょう。μはステージにいます。セリアさんもステージに立っています。ですがμがいるのは、ステージ上の結界の中。つまり、同じ場所に立っていながら、別の空間に居るのです」

 

「つまりは、レイヤーってところかしら?なんにせよ、ダンスに託けて攻撃するって言うのは、お見通しだったわけね」

 

道理でμを攻撃したのに、観客からの悲鳴は無かったわけだ、とセリアは納得する。攻撃されることは、予想の範囲内だったのだから、と。しかしセリアには、納得できないことが一つあった。

 

(私の攻撃は確実に、線を捉えていたはず……例え結界に阻まれていたとしても、結界の脆弱な部分を通したうえで、斬った。斬り付けた感覚はあった。なのに傷一つ、ついて無いのはなぜ…?)

 

「何やら納得されていないようですね~。ま、それよりそろそろ、投票といきましょう!観客の皆さん、おねがいします!」

 

ルーネの合図で投票が始まる。やがて投票が終わり、ルーネが結果を発表する。

 

「結果は、7対3でμの勝利!残念だったね、挑戦者さん」

 

観客がいなくなるまで待ってて

 

マイクが拾わない程の小声で、セリアに声を掛けるμ。そのあと観客に、今日のライブ終了を告げる。

 

「それじゃあ、今日のライブはここまで!みんな~、ラストの明日もよろしくね♪」

 

観客がぞろぞろと会場から出て行く。いなくなるまで待った後、μはセリアに一冊の本を渡す。

 

「これは?」

 

「『魔法書:賭博(ギャンブル)』だよ!効果はそのままかな?」

 

「μ、それでは説明不足です。つまりですね、μはあなたの実力を認めたので、イベントの報酬であった、魔法書を授けると言うことです」

 

「いや、それは分かったのだけど……『賭博(ギャンブル)』ってなに?聞いた事ないわよ」

 

セリアの疑問を聞き、あぁとルーネは納得する。

 

「効果はμも言っていましたが、そのままです。簡単に言えば、ギャンブルに関する魔法ですね。使用者によって効果が変わるので、どう言うモノとは明言できないんですよ」

 

μはルーネの横で、頷いている。一通りの説明を終えると、μたちは「じゃあまた何処かでね」と言って転移して行った。

 

一方、放置されたセリアはと言うと……

 

「ユニークな魔法を渡されてもねぇ……」

 

途方に暮れていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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図書迷宮

一応今回のお話しで、イベントのお話しは終了です。
次回からようやく、第三世界に入って行きたいと思います。


「これはこれは、珍しいお客さんだ。と言うか、お客自体が珍しい」

 

「マキナ、そんな喋り方だった?」

 

本棚に囲まれた場所で、マキナは自分を訪ねてきた人物と話す。

 

「キャラブレしているのは、いつもの事だろうから、気にするな。しっかしリーン、よく図書迷宮の入口を見つけられたな。それに、俺がここに居るって事も」

 

「鍵になる本を押す、ありがちな仕掛け、分かりやすい。居場所は、勘」

 

マキナとリーンがいる本棚に囲まれた場所とは、図書迷宮と呼ばれる場所。正式名称は、無限図書館。

一般的には、図書館に入るとごく稀に遭遇するダンジョン、との事から『図書迷宮』とプレイヤー間で言われている。

しかしその実態は、マキナのアビリティ『神々の書庫』の能力の一つであった。

 

「そ、まぁいいや。無事イベントもおわったし。そろそろここを出ようかなぁ~って、思っていた矢先に訪ねて来るって、どんな用事よ?」

 

「不機嫌?」

 

リーンの顔が少し不安げになる。その表情を見たマキナは、リーンの不安を否定しながら本音を話す。

 

「違う……けど、イベントが終わったのに会いに来たって事は、面倒事関係っぽいからなぁ~」

 

マキナが不機嫌でないと分かると、リーンの表情は元のフラットなものに戻る。そしてようやく、用件を語り出す。

 

「訊ねる、どうすれば強くなれる?」

 

「…それはあれか?前も聞いてた、どうして核の位置が分かった、とかの延長線上の話しか?」

 

リーンは頷く。それを見てマキナは、さらに訪ね返す。

 

「お前さんこそ何で、力が欲しい?」

 

リーンは真っ直ぐと、マキナを見つめて答える。

 

「失ったものを、取り戻すため。そのためなら、強くなる。どんな事だって、する」

 

「…………」

 

「…………」

 

「お前さん、リーンって名前じゃないんだろ?本当の名前は?」

 

「……なぜ、分かる?」

 

一番の理由は、いま本人が口を滑らせたと思いつつも、答えるマキナ。

 

「この無限図書にはな、ありとあらゆる世界の本がある。あり過ぎて把握し切れてないけど……第三世界の書物にこんな事が書かれていた。『巫女護リシ 二ツノ神ノ力 巫女ガ見初メシ者ニ 授ケラレン』てな」

 

「それだけじゃ、決め手にならない」

 

「ディアーチェの《執行者》ってな、専門は隠密・暗殺なんだよ。実際に前衛で戦うのは、《疾風迅雷》だ。聞いていた話と違うなぁと思ったよ。《執行者》が前に出て戦うんだもん」

 

「……」

 

「ま、けどそりゃそうか、本物じゃないなら。…で、これ以上何か言うべき?ないなら、ちゃんとした理由を、聞かせて貰ってからかな?」

 

「……私の名前は、フェルト・ロッサ・アグリア。リーンは、王様がそう名乗れって。第三世界アグリア出身。神の力を護る、巫女をしていた。第三世界は、崩壊した。理由は、分からない。けど、分かる事もある。姉さまは殺された。みんな死んでしまった。生き残った私に出来る事、それは復讐。だから、強くなる必要がある」

 

「やめるつもりは?」

 

「…………」

 

マキナはフェルトに訊ねる。しかしフェルトは、無言で真っ直ぐとマキナを見つめるだけ。

やがてマキナは、うなだれながら呟く。

 

「が笑っているのが、目に浮かぶなぁおい」

 

「…………」

 

「わーったよ。ただし、俺の言う事はきちんと聞くこと。俺の側を勝手に離れて、行動するな。以上二つが守れるなら、強くなるために面倒見てやる」

 

マキナがそう言うとフェルトは、

 

「分かった、約束する」

 

と言って頷く。そして二人は、図書迷宮から立ち去る。

 

 




~キキのスキル紹介コーナー~

キキ:今回はマキナのアビリティについて、解説するよ!

   アビリティ「神々の書庫」
   神シリーズは秘密が多いから、今回出てきたモノだけ紹介するね!
   
   『無限図書館』
   これはね、ありとあらゆる世界の原本が揃っているの
   その数は何と……わかんなの 
   実は今もなお増え続けていて、さらにその本で迷宮が形成されているんだよ!
   これこそ無限図書館の所以♪
   
   今回はこれまで、まったね~


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第三世界からのメッセージ

第三世界(ここ)に来たプレイヤーたちは、3度戸惑う。

1度目は街並み。他の世界から転移門を抜けてやって来た先には、今までの世界とは違い荒廃した街が広がっていた。

 

2度目は壁に囲まれた街の外。壁の外側に道が無かったのだ。この街は空に浮いており、街の周囲には他にも大小様々な島が存在していた。

 

3度目は第三世界にやって来ると届く、メッセージ。

そこに書かれている内容は、意図がよく分からない以下のようなもの。

 

 

 

『 よく来たな。冒険者(プレイヤー)たちよ!

 我はこの世界を統べし者、アブソリュート・サタナー‼

 

 この第三世界にやって来たプレイヤーたちよ!

 率直に言おう。

 

 この世界の人は、いやこの第三世界自体が、ごく少数を除いて、全てが滅んでしまった。

 このままでは残ったものも、いずれ完全に滅びてしまうであろう。

 

 そこでだ!諸君らの力を借りたい!

 具体的にどうやってを話す前に、第三世界について話しておこう。

 

 本来の第三世界は空に浮かぶ大陸、「浮島」の冒険がテーマである。

 首都大陸を中心に、大小さまざまな島やダンジョンを冒険し、隠されたカギとゲートを見つけ、次の第四世界への扉が開くはずだった。

 

 今ではご覧のとおり、かつて栄華を誇っていた首都大陸は荒廃し、人どころか動物やモンスターですら、存在していない。

 生き残った我らは、この世界を救いたいと思った。

 

 しかし我らは訳ありて、この場から出る事が出来ん。

 

 そこで先程の、力を貸して欲しいという話だ!

 

 プレイヤーらには、神の名がつきし十の遺跡を攻略してもらいたい。

 遺跡の最奥部に存在する、守護者を討伐する事により、遺跡は崩壊し世界は救われる。

 

 遺跡の名は、「神の頭脳」「神の眼」「神の右腕」「神の左腕」「神の脚」「神の天秤」「女神の加護」「神々の呪い」「神々の書庫」「神々の武器庫」

 

 プレイヤーたちよ……どうか世界を救ってくれ    』

 

 

このメッセージから分かるのは、この世界に存在する10のダンジョンを攻略する、ということ。

ダンジョン攻略ならそれだけを言えばよいものの、アブソリュート・サタナーと名乗る人物が語る、第三世界の設定。

 

 

「しょーじき、胡散臭いよね~」

 

「まったくだわ。と言うより、私たちはそのNPCを調べるために、第三世界(ここ)に来たのよ」

 

「分かってるよ、ルル。それにしても、ナナ姉さまが私たちを現地に出すって……」

 

「相当不味い状況らしいわね……じゃあお互い、手分けして探るわよ」

 

「うん、何かわかったら合流して」

 

「現地のマスターに報告。じゃあキキ、気よ付けるのよ」

 

「ルルも、気を付けてね」

 



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遺跡攻略《神の右腕》 ~前編~

第三世界の現状の探りを終えた二人は、廃墟にて合流していた。

分かった事は、相手の狙い。

相手側のやろうとしていた事は、今まで自分たちが頑張って来た仕事を、バランスを崩してしまいかねない。そんな計画だったのだ。

 

「で、どうするのルル?初めの予定では、このあとマスターの所に行くはずだったけど」

 

双子の姉(ルル)に今後どうするか訊ねる。

が、彼女はどうやら相手の計画に腹を立てているのだろう。イラついた声色で(キキ)の話に答える。

 

「もちろん予定変更よ。協力してくれるプレイヤーを見つけて、奴らの計画を妨害するわよ」

 

「しかないよね~。残りの攻略されていない遺跡は五つらしいし。あ、ナナ姉さまには先に報告しておかなきゃ」

 

キキが長女(ナナ)の名前と残りの未攻略遺跡数を出したところで、ようやく冷静になるルル。

 

「残り半分……そうね。報告が終わりしだい、動くわよ」

 

こうして2人は、相手側に気付かれぬように暗躍を始める。

その頃、ちょうど6つ目の遺跡が攻略されようとしていた事も知らずに………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日僕、ヴァン、フィオナの三人は三日後に、ギルド『蒼空の遊撃隊』のメンバーで攻略に向かう予定の遺跡『神の右腕』の偵察に来ていた。

 

出現するモンスターは、ヴァンと相性が良い『機械(マシン)系』ばかりで、偵察は順調に進む。

やがて最深部に到達するが、そこには龍の形をした石像があるだけで『守護者』と呼ばれるモンスターは存在しない。

 

出現には何かしら条件があるのだろう。

今日の偵察はこのくらいにして、拠点に帰還しようと話を切り出そうとした矢先、

突如部屋全体が揺れ動いた。

何事かと部屋を見渡すと、そこには龍の石像に触れているフィオナがいた。

 

「お前何をしているんだ!ダンジョン内の物に、不用意に触れるなとアレほど」

 

「ごめん、ごめん。可愛かったからつい、触っちゃった。でもこれで守護者の顔、拝めるよ?」

 

フィオナの行動をヴァンはすぐさま咎めるが、フィオナには反省の様子はない。

まあそれもそうだろう。そもそもフィオナはVRMMOは疎か、こう言ったゲーム自体が初めて。

つまり初心者なのだから。

と言っても、初心者とは思えない才能を見せて、ギルドのナンバー3の地位にいるわけだけど。

ちなみにギルマスはレスト(自分)で、ナンバー2はヴァンだ。

 

「そう言う問題じゃない!私はお前の初歩的なミスについて追及しているんだ!もしこれが、モンスターハウストラップなら大変な事に」

 

「なによ!別にいいじゃない。元々偵察できて」

 

「はいはい、二人とも言い争いはそこまで。フィオナの初心者行動は、今に始まった事じゃないでしょ。明らかに何かが出現しそうだし、ヴァンはトラップを張り巡らせておいて。取り敢えずそれで様子を見るよ」

 

言い争いを仲裁し、ヴァンに罠を張るよう指示を出す。ヴァンとフィオナは素直に頷くと、即座に指示を行動に移す。

三人で像から離れた位置に、前衛ヴァン・中衛自身・後衛フィオナの陣形を組み警戒態勢を取る。

 

やがて部屋の振動は収まり、代わりに龍の石像から機械音が聞こえ始める。

 

 




今回登場した《レスト=ハーツ》・《ヴァン=プラウド》・《フィオナ=アーク》は、葉桜さんから提供して戴いたキャラになります。


そして次回からしばらく投稿をお休みします。
理由としては今まで用意していたものを、大幅に変更する必要ができたからです。

再会予定は未定ですが、修正完了次第投稿か2019年1月11日までには再開できるように頑張りたいと思っています。

必ず最後まで書き上げますので、どうかよろしくお願い致します。


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遺跡攻略《神の右腕》 ~中編~

石の像のたてる機械音は、徐々に大きくなっていく。

 

「この石像が遺跡の守護者で、間違いなさそうだね」

 

「どうやら機巧の龍のようだ。三人で龍を相手にするのは不味いぞ」

 

ヴァンの言う通りどんなタイプであれ、たった三人で龍を相手にするのは厳しい。本来龍種を相手にする時は、レイドを組んでから挑むもの。

まぁやってしまったものは仕方ない。

倒すにせよ、死ぬにせよ、やれるだけやってみようか。

 

「取り敢えずヴァンは」

 

「ねぇねぇレスト」

 

僕が指示をしようとすると、フィオナが指示を遮る。

 

「フィオナ、意見するなら指示の後にし」

 

フィオナを注意しようとするが、フィオナから出た意見は、今回のミスを帳消しにするものだった。

 

「あれって、完全に動き出す前に破壊できないかな?」

 

「……何を言っている。流石に出来る訳がないだろう。なぁ、レスト」

 

「…フィオナ、具体的にどうするか、イメージはあるの?」

 

「ヴァンの磁気結界を使えば、起動がさらに遅らせる事が出来ると思うの。それでもって、関節部分に弾丸とか棒を刺してやれば、歯車が動かなくなって、私たちの勝ち……みたいな?」

 

ヴァンの磁気結界は、フィールド上に電磁の結界を作り出す。それは主に、金属に対して効果を発揮する事が分かっている。

確かにヴァンの磁気結界なら、機械系の敵の動きを鈍らせる事が出来る。この部屋に来るまでも同じように、敵の動きを鈍らせて攻略してきた。

機械系と相性が良いとはつまり、相手の動きを阻害できたから。

 

よく考えてみればボスのドラゴンも、機械系のドラコン。耐性を持っていたとしても、完全に目覚めていないのなら、目覚めの遅延程度の効果は見込めるかも知れない。

そして機械系の共通弱点は、精密性。

大掛かりな機械系ほど、重要部分を傷付けられると、大幅に性能を下げる。今回に至っては、完全起動前。なら歯車を動かなくしてやれば、自動的に崩壊してもおかしくない。

となると、フィオナの案は……

 

「よし!いける!ナイスだ、フィオナ」

 

「え、ほんと?やったね!」

 

まさか自分の言った思い付きが評価されると思っていなかったフィオナは、初めは戸惑いながらもヴァンに対して、vサインを突きつける。

 

「っく、まじか。新人恐るべし、だな」

 

「どんなもんよ」

 

「それじゃ指示するよ。ヴァンはフロア全体に磁気結界を張ってそれを維持。フィオナがヴァンの磁気結界をコピーして使用。これで効果はおよそ二倍。で、起動が鈍っている間に、僕が歯車を狂わせてくる」

 

「あ、分かった。で君が戻って来たところで、結界を解いてドラゴンが自滅するのを待つんだね」

 

 

 




2点ほど、お知らせがあります。

1点目は実は、あれだけ直すために時間を頂いたのに、殆ど直しが進んでいません。
これは環境が今までと大きく変わってしまったために、時間をとることが難しくなってしまったからです。


2点目はプロットを紛失してしまいました。
そのため最後まで書き上げるのが、難しくなってしまいました。
一応紙とデータのものを用意して、備えていたのですが……
うっかりデータの方を上書きしてしまって、仕方ない紙の方を使うか…と探しとところ、こちらも紛失していることに気付いたしだいです。


以上2点により、更に投稿が遅くなりますが、最後までお付き合い頂けると幸いです。




Ps.プロット紛失により黒幕(制作者)を決め直す事が可能になりました。
なので良ければ、「神シリーズ所有者」の中から誰が黒幕か、皆さんが考えていた予想を、BWO簡易一覧へお願いします。
頂いた意見を参考に、ラストに変化を加えて仕上げようと思います。


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遺跡攻略《神の右腕》 ~後編~

「正解。って事で、二人ともよろしく!」

 

「「了解!」」

 

指示を聞き届けて二人はすぐに動き出す。

 

「磁気結界、発動!」

 

「原初の旋律よ、磁気の結界を模倣せよ」

 

まずヴァンが磁気結界を発動させた。続いてフィオナが原初の旋律を発動させ、ヴァンの磁気結界をコピーした。

 

フィオナの原初の旋律は、単体では意味を成さないスキル。相手が放ってきたスキルに反応して発動する事によって、そのスキルをコピーしたスキルを得ることが出来る。そのさいスキルの名前が、原初の旋律から~~(色名)の旋律に一時的に変化する。しかしコピーしたスキルは使えない物もある。しかもその戦闘が終わったらコピーしたスキルは消滅。つまり元の、原初の旋律に戻ると言うこと。さらに制限が存在し、一度にコピーすることが出来るのは、1つの制限付き。

 

「黄檗(きはだ)の旋律、発動‼」

 

フィオナが予定通りコピーした旋律を発動させた。

ここからは僕の仕事。今使用できる旗槍のスキルの中で、一番正確さが高い技の祝詞を口ずさむ。

 

「我掲げる旗槍が導くは、勝利の一閃」

「戦旗一閃」

 

旗槍より放たれた一撃は、光の線を残しながら、機械龍の胴と前脚の付け根部分に突き刺さる。

 

「よし、二人とも結界を解いて!」

 

指示すると二人は同時に結界を解く。

 

「さぁて、上手く挟まってくれていると良いんだけど」

 

様子を見ているとやがて空回るような音がしてから、機械龍からしていた駆動音は完全に停まった。

 

「よっし、攻略完了!」

 

「まったく、フィオナがやらかした時はどうなる事かと思ったぞ」

 

「そう言えば、戦利品は何かな?って言うかレスト、あなた旗槍刺したままだけど良いの?」

 

心配そうにフィオナが指差す先には、機械龍に刺さったままの愛旗槍があった。武器としての旗槍は珍しく、ドロップ品が武器でオーダーメイドは殆ど装飾品のアイテムと言われている。

僕が使用している旗槍もドロップ品で、名はシャンディア。特徴は軽く扱い易い、ただし消耗が激しいためメンテナンスが重要。

その事を知っていたため、フィオナは心配そうにしているのだろう。

けれど問題ない。いつの間にか手に入れていたアビリティのおかげでシャンディアのデメリットは解決した。

 

「うん大丈夫。正確な効果は解らないけど、武器に破壊不可能属性が付いているんだよ」

 

「は?お前いつそんなスキル取ったんだ」

 

「いや、取った憶えないし、スキルじゃなくてアビリティらしい」

 

「へぇ、どんな名前なの?」

 

「それが……神の右腕って言うんだ」

 

 



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遺跡攻略《神々の武器庫》 

「イタタ、参ったな。ほかにみんなは何処にいるかな?」

 

遺跡『神々の武器庫』の地下で一緒に遺跡にやって来た仲間たちを心配する。

シロ・フリーセンは落とし穴の罠に掛かってしまい、真っ暗な地下空間へと落とされてしまった。

 

シロのギルド「バルトラ協会」は、商業系ギルドでは中堅。特徴はポーション系アイテムの種類の多さと納入が早く品質も良いこと。

小中規模のギルドの3割が利用していると言われているため、そこそこ知名度のあるギルドだ。

そんなバルトラ協会、表向きにはポーション系アイテムのみを扱っている商業ギルドだが、じつは素材アイテムやドロップアイテムなども扱っている。

その事はごく一部のプレイヤーしか知らず、扱われるアイテムは市場にはあまり出回っていない物が多い。

それもそのはず、バルトラ協会が扱うアイテムは遺跡や洞窟と言った、ダンジョンでのみ獲得できるものを専門に扱っているのだ。

つまるところバルトラ協会は、商業系でありながら盗掘を生業としているギルドである。

 

「しっかし、武器庫って言うわりには全然アイテムないなぁ~」

 

『視覚強化』で暗闇でも見えるはずなのに、地下空間は把握出来ない程真っ暗。モンスターのいる気配も無い。おまけに宝箱も無いときた。

 

つまらなそうに呟き、道に落ちていた石を蹴り上げるシロ。

蹴られた石は帆を描き飛んでいくと、カチッという音が部屋に響き渡る。

 

「うわっ、なんか変なスイッチ入っちゃったかも」

 

その音を皮切りに部屋に灯りがつく。

改めて部屋を観察して見ると、自分が落ちてきた穴以外道は無さそうだった。

よく観察すると部屋の変化は灯り以外にもあった。

 

「うわぁ……明らかに怪しげな祭壇」

 

落ちて来た穴の真下に、宝箱が設置された小さな祭壇が出現していた。

 

「ミミックの可能性を考慮して開けるとなると……あの技かな」

 

最近知らないうちに習得していたアビリティ『神の足』

把握している能力は、『無音歩行』『速度上昇』のみ。

『スキルの上位に存在するもの』とプレーヤー間で言われるアビリティ

その能力は呼び声の違わず、同種のスキルと比較すると破格の力を有していた。

 

「神偽・幻想演舞」

 

技名を発するとシロは、一切の音を立てることなく分身をする。

そして祭壇の周りを回り始め、目に捉えられない程の速度になったタイミングで、一斉に宝箱に斬りかかる。

 

「-渦漸斬舞(カザキリマイ)-」

 

斬撃は渦を巻くように、自身は高速で舞うように動き、相手に動く暇を与えない、160《固定ダメージ》×速度《回数》の連撃技。現在の速度は実質∞らしい。神の足を通して効果の現れる速度上昇には、制限が無かったからだ。つまるところ、自ら攻撃をやめるか相手から足を止められない限り、永遠に攻撃し続けることが出来る。

 

100回を超えた辺りで宝箱が消滅して、アイテムがドロップした。やっぱりモンスターだったようだ。

アイテムドロップ『神通足』を確認し、速度を緩めていき立ち止まる。

 

「ふぅ、今回は反動無し……って訳には行かなかったっか~」

 

そう言うとシロは目を回して倒れ込む。この技の弱点はいたって単純。超高速の動きに脳が耐え切れず酔ってしまいしばらくの間全く動く事が出来なくなってしまうのだ。

 

それから程なくして仲間たちが、目を回して倒れているシロを発見し遺跡を後にするのだった。

 

 

 

 



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遺跡攻略《神の左腕》

金髪緑眼の眼鏡をかけた美青年風のエルフ・エリックと、緑髪に緑眼の胸が大きいシルフ・シルフィアの少女の二人組が遺跡『神の左腕』の攻略へ挑んでいた。

 

「遺跡って聞いていたのだけど……これは」

 

「遺跡って言うより~、樹海?って感じですねぇ」

 

と言うより、何事も無く攻略を済ませてしまっていた。

 

この二人、ごく最近初心者の肩書が外れる実力を付けたばかりなのだが、中堅層に入って早々に最前線へとやって来ていたのだ。どちらも攻略情報のサイトなどには頼らず、自由気ままにプレーをしている。故に最前線の事情はよく知らずにいた。

 

そんな二人がなぜ最新エリアの遺跡を攻略できたのか、それは二つの『幸運』によるものと言える。

 

まず一つ目。二人の相性が良かった。エリックは精人種『エルフ』であり職業『精霊魔法師』、適性のあった属性は風。シルフィアは精霊種『シルフ』であり職業『精霊魔法師』、もちろん適正属性は風。

 

ここで重要になって来るのは、三点。まずエリックが精霊と相性の良いエルフであったこと。次にお互い精霊魔導師であること。ただし性能には差がある。エリックのは『精霊へ呼び掛け、応じた精霊の力を借りることが出来る。その際その精霊の力を引き上げる』、シルフィアのは『自身より低位の精霊の力を利用できる』と言ったもの。最後に二人とも適正属性は『風』。

 

つまりエリックは精霊(NPC)を使役する事で力を発揮するタイプで、シルフィアは自身より低位であれば制限なく力を発揮できるタイプ。エリックは精霊(NPC)を使役するところを、シルフィア(精霊種)のプレイヤーを利用する事で力を引き上げる裏技を発見したのだ。ただしこれにはお互いの同意が大前提、適正属性の一致に、そのたびに呼び掛けが必要であるため、効率は良くない。普通はNPCを使役する方が効率が良い。だがエリックとシルフィアは、奇跡的に全てを満たしそれをやってのける力があった。これにより二人は初心者を突破し、中堅へ仲間入りを果たした。

 

二つ目は、『神の左腕』の遺跡は他の遺跡と違い、樹海であったという事。

 

エルフは森の民、樹海ではステータスが上がる。シルフは風の精霊、自然の中であれば精霊の力を利用するのは容易い。そう、たまたま選んだこの遺跡は二人にとって相性がとてもよかったのだ。

 

以上の要因が重なり、難なく攻略する事が出来たのであった。

 

「それにしても、ボクたちのコンビは最強ですね!エリックさんと組めて、ボク的にはいい感じです」

 

「ボクも同感だ。こんな裏技があったなんてね。ただ難点があるとすれば、そのたびに呼び掛けが必要な所だね。普通ならそのまま使役できるけど」

 

2人は始まりの町で出会い、お互い初心者同士と言うこともあって、意気投合しその流れでコンビを組む。

 

2人でコツコツと頑張りレベルを上げていたのだが、その最中に疑似的精霊使役の裏技を発見したのだ。

 

「プレーヤー相手ですからね。もし出来ちゃったらなんか奴隷みたいで、イヤですよね~」

 

「そうだね。リアルで知り合いなら同意の上あり、かも知れないけれど、そうじゃ無いなら遺恨を残す」

 

「え~、僕はナシですねぇ。イタズラは良いですけど、完全な束縛はちょっと……」

 

「ま、いくら試してもできなかったから、システム的に不可能……ん?」

 

「どうかしました?」

 

話しながらステータスの確認をしていたエリックが疑問を浮かべた。それに気づいたシルフィアはエリックにどうしたのかを訊ねる。

 

「いや、いつの間にか『神の左腕』っていうアビリティが、増えてる」

 

「おー、もしかして遺跡攻略の特典ですかね?いいな~、ボクには特に何もありませんよ。それで、どんな能力なんですか?」

 

「えーと、『条件を満たせば、どんな種族であっても使役可能。その者の力を100%引き出す』」

 

「何か、抽象的ですね~。条件って何でしょう?もしかしてキスとか?」

 

「……試しに使ってみていいかい?」

 

「ボクにですか?それってもしかして、可愛いボクを奴隷にしたい?とか」

 

「何を言ってるんだ。そう言うことじゃなくて、もしこれが本当ならボクたちの必勝法は、確実なものとなる」

 

「確かに確かに。でも、どうやって契約するんでしょうね~」

 

「そう言えばその辺の説明も……っ」

 

「ひゃ!」

 

アビリティの使用法を二人は考えていたが、突然背後から悪寒を感じ振り向く。

 

するとそこには、白髪に鋭い赤目、黒いスーツに赤いネクタイに黒い帽子をかぶった男が立っていた。

 

「いつの間に」

 

「っていうか、不気味すぎますよ。ここ一本道ですよ。すれ違ったのに気付かないって」

 

「だな…やらなきゃやられそうな雰囲気?」

 

「ですね……アビリティは後回しで、仕掛けましょう!」

 

そう決めると二人は即座に詠唱し、呼び掛けた。

 

「風の精霊使いたるエリックが、風の精霊シルフィアへ命ずる!我らの障害を切り刻め!!」

 

「風の精霊シルフィアは、確かに聞き届けたよ!さぁボクの同胞たち、力を貸してね!精霊の裁断()《スピリット・カッター《ウィンド》》!」

 

精霊を扱うものにしか見えない斬撃が、正体不明の敵を切り裂く。相手はされるがまま、ダメージを受け続ける。が、ダメージを与えている筈なのに一切手応えを二人は感じなかった。むしろ……

 

「エリックさぁん~。何かヤバみ、増してません?」

 

「ボクもそうも思うよ……」

 

「まずったなぁ~コレ、相手は完全にカウンタータイプじゃないですか」「「うん逃げよう!」」

 

するや否や直ぐに、二人は次の詠唱を始める。

 

「風の精霊使い」

 

「影潜」

 

一方男は一言呟き、地面へと沈んでいく。

 

「たるって……沈んだ!?」

 

「ちょっと詠唱を止めないで下さいよ~」

 

「マズ、くっ」

 

エリックは再度詠唱を始めようとするが、腹部へ衝撃を受け背後の木へ吹き飛ばされる。

 

「何で、どうやって、そこに……」

 

エリックがいた場所に先程の男が立っていた。

 

そして男はシルフィアの首を掴み掲げあげる。

 

「お前は……違うな。じゃあお前か?」

 

男はシルフィア見て違うと言った。そして木に手を付きながら立ち上がった、エリックの方をみて言った。

 

「お前が『神の左腕』を…………製作者か?」

 

男が何を言っているのか理解出来ないエリックであったが、2つだけ分かっていることがあった。

 

1つ、あの男は『神の左腕』について、何か知っていること。そしてもう1つは、このままだとシルフィアが殺されてしまうこと。

 

本来なら、自分だけ逃げてしまうのが正解かもしれない。けれどその選択はなかった。シルフィアの秘密を知ってしまったからには、離れると言う選択はなかった。むしろシルフィア()を使役して、自分だけのものにしたかった。

 

そう思った瞬間、エリックはあることを考え付く。そして直ぐ様実行に移す。

 

「神の左腕の名において命ずる!風の精霊シルフィアよ!ボクの使い魔となり、真の力を見せよ!不可視の空気(インヴィジブル・エアー)

 

エリックが叫んだ瞬間、シルフィアの首にどこからともなく首輪が取り付く。そして徐々にシルフィアとエリックの姿は、影も残さず消えてしまった。

 

「……完全に気配がないか。逃げられた、と言うことは違うか。ゲームマスターの話だと、言い当てられたら話を聞ける手筈になっているはず。他の神シリーズ所有者が、製作者……残るは6人」

 

そう呟いて男は遺跡を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回登場した《シルフィア》・《エリック》はルナリアさんから、《シュヴァルツェア・ケーニッヒ》は、駄ピン・レクイエムさんから提供して戴いたキャラになります。


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お前が……

第三世界のとある場所で、ジーク・レイアはマキナの前に立っていた。

 

「よう。何かボロボロだな、マキナ」

 

「いや~、ちょっと、ね。さっきまで、凄腕の、プレイヤーと、殺りやって、いたから」

 

息を切らし石の上に座り込むマキナに、ジークは刀に手を添えながら言葉を続ける。

 

「ほぉ~。で、勝ったのか?」

 

マキナはポーションを飲みながら、首を横に振る。

 

「実質負け、かな?護衛対象を護りきれなかった」

 

「トリッキー戦法で相手を翻弄するのが得意なお前さんが?」

 

「うん。奥の手まで使ったのに……」

 

その言葉を聞いた瞬間、ジークは抜刀し頸に刃を添える。

 

「……どういうつもり?これは」

 

「なぁ、マキナ。俺たちこの世界に来てまだ、戦ったこと、無かったよなぁ」

 

「そうだけど?なに?これから戦おうってこと?」

 

「その気はない。けど場合によってはな」

 

それを聞いてマキナは、続きを促す。

ジークはまっすぐマキナを見据え訊ねた。

 

「お前はいや、お前がこのゲームの制作者なのか」

 

ジークの問いに、マキナは否定し問いで返す。

 

「……なわけないでしょ?って言うか何でそう思うわけ?」

 

「初めは気付かなかった。けど、ここまで進んできて確信した」

 

ジークが気付いた事、それは……

 

「このゲームは俺が、いや俺たちが学生時代に考えていたアイデアノートが基だ」

 

「………」

 

無言のマキナに対して、ジークは己が立てた仮説を述べる。

 

「お前はあの時のアイデアを基にして、このゲームを創った。そうだろ?」

 

「……」

 

「アイデアノートに書いたときと、違う点もそれなりにあるが、基本はあの時のモノと変わりはない」

 

「…ちなみに違う点って?」

 

「それは、私も気になるわね」

 

無言だったマキナがジークに質問したところで、金髪巨乳のプレイヤーが現れた。

 

「誰だ、お前は?」

 

ジークはマキナに刀を向けつつ、新に現れた人物を警戒する。

 

「あなたとは、初めましてよね。私はセリア。マキちゃんの知り合いで、まあ因縁があるってところかしら?」

 

「…そうか。で、口を挟むって事はセリアも、何か気付いたって事か?」

 

セリアはジークの問いに頷き肯定する。

 

「多分あなたが言おうとした事と同じ……いえ、少し違うのかしら。どうもあなたの方が、詳しい事を知っているみたいだから」

 

「神シリーズ…か」

 

ジークの言葉に頷くセリア。それを見たマキナは両手を挙げて、降参のポーズをとる。

 

「ははっ、なーるほどねぇ」

 

「何がおかしい。運営からのヒントで、特別な何かしらを持っている人物。それが制作者であることは、分かっている。お前も神々の書庫を所持しているのだから、条件に当てはまる。」

 

笑い出したマキナを問いただすジーク。

マキナは自分を制作者だと言う二人に、笑うのを止め答える。

 

「いや~、まぁいいか。うん。答えて上げよう。自分は制作者ではない。けど」

 

「マスター!」

 

マキナが何か言おうとした瞬間、虚空から女性飛び出し言葉を遮る。

 

「ルルとキキが対象を発見しました。そして世界崩壊まで猶予は、それほど無いようです!!」

 

 



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