戦姫絶唱シンフォギア〜とある戦士の物語〜 (かもめカメ)
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プロローグ
1) 過去の話/誕生


これから起こる前の話をしよう。

其れは、突然の出来事だった…

 

ーーーーーー

今から1000年いや、2000年?ううん…其れよりも前の事だ…

 

そこの人々は時に争い、時には共闘・共存していた世界。

そんな彼等の行動を踏み躙る存在が現れた…

不気味な姿をした存在だった。

これが後に認定特異災害とも呼ばれる存在『ノイズ』との邂逅であった。

ノイズ達は人間に触れると、己自身と共に、人間を炭へと変える炭化能力が備わっていた。

其れを見た人々は可能な限り、ノイズに対抗しようと奮闘するも、結果は目に見えていた…完敗だった。

なす術が無く、未曾有の危機に晒された人類。

しかし、神は彼等を見捨てなかった…

 

 

神は数多の次元世界に存在する歴戦の勇者を呼び寄せ、ノイズ達に立ち向かわせた。

 

ある者は、剣や魔法と言ったファンタジー溢れる力でノイズを倒し、

 

ある者は、機械の身体・鎧、そしてあまつさえロボットまで用いて、ノイズと立ち向かう者もいれば、

 

ある者達は、数多の武器を掲げながら、立ち向かう歴戦の勇者もいた。

 

 

そしてノイズが滅び、人々は歓喜に満ちた。

 

人々はその歴戦の勇者達を象徴するかのようにある者を作り始めた。

 

其れはその人物達の特徴を最大限に書き記した石板だった。

 

勇者達は最後に人々に対してこう告げた。

 

『不気味な存在が完全に無くなったとは言い切れない。

もしかしたら、近い内にまた現れるかもしれない。

だが、臆するな。

新たなる光の希望が、俺達を導き、そして勝利へと誘うだろう。

その時までは暫しの平穏を約束する。

そして、その希望が現れたのなら、その者に尽力して欲しい』

 

其れが勇者達の最後の言葉であった。

 

其れから勇者達は人前に姿をあらわす事は無くなった。

 

人々は勇者達の事を、『英雄』と呼ぶようになった。

 

そして、彼等の行動を記した石板を【英雄の軌跡を記した石板】と呼ぶようになっていった。

 

 

ーーーーーー

其れから2000年もの間、ノイズ達は人前に姿をあらわす事は無く、

人々は其れを退治し、信仰していった『英雄』も忘れてしまっていた。

 

 

そんなある日の事だった…

 

ノイズが再び、2000年の時を超えて再び地球に観測されたのは…

 

そんな時に1人の女性が1人の赤ん坊を出産した…

 

「オギャ!オギャー!」

 

元気一杯に泣く男の子だった。

 

「産まれて来てくれて…ありがとう…」

 

この日、1人の女性が母親になった瞬間であった。

 

「これからよろしくね…憑友(つくも)

 

女性は赤ん坊に対して、その子の名前を言った。

どんな存在だろうと分け隔てる事なく接して欲しいと言う思いが込められた名前。

 

「ウキャ!アゥ〜」

 

名前が気に入ったのか、少年は嬉しそうに笑っていたように見えた。

 

こうしてこの世に1人の男の子が誕生した。

 

そして12年前。

その子…憑友が3歳になった頃。

とある研究施設にて、1人の少女の歌が、ある物を起動させた。

 

これが後に『ノイズ』達を相手に戦える人類の最後の希望…

 

通称『シンフォギアシステム』の誕生の瞬間であった。

 

 

物語の下準備は間も無く終える…

 

さぁ、誰も知らない『戦姫絶唱』の始まり…

 

 

 

 

その時はもう間も無くだ。



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2) 救済

今回は時系列を飛ばして一気に本編から6年前までスキップする事に。



『シンフォギアシステム』が誕生して、早くてもう6年の時が流れた。

 

彼…人絆(じんさい)憑友(つくも)は9歳になっていた。

彼は今、家族揃ってとある場所にて旅行に来ていた。

 

因みに彼の家族構成はと言うと、

 

「もうすぐしたら、目的地に着くぞ〜」

 

そう言いかけるのは、憑友の父親にして一家の大黒柱・人絆玄也(げんや)

口調こそは男っぽいのだが、顔付きがあまりにも女顔な為なのか…

いつも1人で外出する時は逆ナンされてしまうと言うコンプレックスの持ち主である。

その血が流れているであろう憑友に至っても同じ事が言えたのは言うまでもない。

 

「そうね〜。アウトドアも楽しまないとね〜」

 

そう言い返すのは、母性溢れるいや、訂正。溢れまくって、収まらない母性の持ち主は憑友の母親・人絆ジャンヌ。

本名は、ジャンヌ・カデンツァヴァナと言っていた。

カデンツァヴァナの家系の1人である。

 

2人が結婚した理由?…両方、一目惚れだそうです。はい…。

 

その後、父親の玄也がプロポーズして、ジャンヌは其れを了承。

交際期間?…そんな物は2人には存在しませんでした。

スピードや電撃よりも疾い光速結婚でした。

え?字が違う?いいえ、事実ですから…。

 

其れ以来、2人はいつもこんな風に毎日イチャラブな生活を送っていてる。其れは自分の息子の前でも当たり前にしているのは言うまでもなく、そうなってしまった為か。

憑友はこの歳でブラックコーヒーを最低3杯飲まないと寝付けないぐらいにまでゲンナリとしていたのである。

 

そして、そんな彼等に付き合ってられないと言った存在がいるのもまた事実で…

 

『やれやれ。困ったご両親だな。こっちの事も考えて欲しいものだな?そうだろ?憑友』

 

そう言ってきたのは1つの電子機器だった。

名はライド。正式名はライド・グラップラー。

かつては1人の人間としてこの世に生きて来たそうなのだが、

自身を実験台にして、『その人の魂を電子機器に宿らせたら、どうなるか?』と言う題材の実験をしたのだが、

運悪く、その時に特定認定災害『ノイズ』がライドの研究所を襲い、

電子に繋がれた状態のライドの身体を炭化させてしまったのだ。

その際肉体的には死亡したが、脳のスキャニングを実行、その精神体である魂は、その電子機器内に留まる事に成功したのであった。

その後に、玄也に発見され、現在では彼の家族として生活をしているのである。

因みに兄弟姉妹がいるそうなのだが、あまりその事に関しては喋りたがらないようで、逆に兄弟姉妹でありながら、共に競い合ったライバル関係だと自負している。

因みにライドは機械工学が得意なようで、他の兄弟姉妹は其れとはまた違った部門が得意だとか…。

 

と、そんな事を言ってる間に目的地に到着したようだ。

 

「さぁ、アウトドアを楽しもう!」

 

「おー!」

 

父の発言に母が応える。

 

『はぁ〜…こっちの事も考えて貰いたいものだな…』

 

「あはは…」

 

そんなラブラブな両親を前にライドは呆れてしまい、憑友は苦笑いを浮かべていた。

そんな時だった。

 

 

ドガァァンッ!

 

「「⁉︎」」

 

「な、何⁈」

 

突如、遠くの方から爆発音が聞こえた。

其れを聞いた憑友の両親は驚き、憑友は動揺していた。

 

すると、父・玄也はライドと話をしていた。

 

「ライド!この先で何かあったのか⁉︎」

 

『分からない。けど、こういう場合、大抵は碌な事にしかならないのがオチだろうな。…行くのか?』

 

「…ああ」

 

そう言うと、玄也は車の中に備え付けてあったある物を取り出し、そしてそ場所へと向かおうとした。だが、

 

「憑友⁉︎」

 

「っ!」

 

「⁉︎あの馬鹿息子が!」

 

向かおうとした時、憑友が勝手に爆発が起こった場所へと走り出したのだ‼︎

それに気付いたジャンヌは呼び止めようとするも既に遅く、玄也はすかさず後を追う事にした。

 

しかし、流石の子供だ。体力が衰えてしまった玄也よりも速いスピードで駆け抜けていったのだ。

 

「っく!こんな所で息子の成長ぶりを知らしめられるとはな…!」

 

だが、そこは親としての意地なのか、玄也も憑友の後を必死に追いかけていった。

 

ーーーーーー

 

そしてその頃、先を走っていた憑友は何かを見つけたのか、そこで足を止めた。

 

「⁉︎…女の子?」

 

そこには髪がオレンジ色の1人の少女が倒れていた。

 

「大丈…夫?…⁉︎」

 

少年はその女の子を抱き、そして気付いた。

女の子の口と瞳から…赤い液体が流れている事に。

 

「⁈…!しっかり‼︎」

 

憑友はこれがすぐに血だと分かった。

それにより憑友は急いで応急処置を施す事にした。

その時だった。

 

「‼︎憑友!」

 

「!お父さん!」

 

そこに漸く追いついた父・玄也は、憑友の隣に血が流れている少女を見た。

それに気付いた玄也は彼女の胸に耳を添えた。

 

…ドクンッ!…ドクンッ!…

 

「!まだ生きてる…私が担ぐから、憑友は先にお母さんの所に行きなさい。そして、治療道具を用意する様に頼みなさい!良いね?」

 

「!…うん!」

 

そう言うと憑友は一目散に来た道を逆走した。

それを見届けた玄也は、ライドを呼んだ。

 

「ライド。彼女の容態は⁈」

 

『これはかなりの出血だ。助かる可能性が見出しきれない。

けど、ジャンヌなら可能かもしれない。

兎に角、今は私がその可能性を断ち切らせるのを防ぐ。

私共々彼女を運んでくれ』

 

「分かった!」

 

そう言うとライドの機器から、医療用道具が現れて、彼女に繋げた。

それを見た玄也はそっと彼女を背負い、急いで家族の元へと走り出した。

 

 

「助けてやる。だから…死ぬんじゃねえ!」

 

ーーーーーー

 

其れからしばらく経ち、彼等は現在、近くの総合病院へと駆け込んでいた。

彼女…ジャンヌはこう見えて医者でもある。

それも総合医療に関しては随一の実力を誇る女性で、これまでに彼女に救われた生命は約1万を超した程だと言う。

そんな彼女が病院に赴けば勿論、看護師や医師は彼女に憧れを持っているのは事実で…

 

「‼︎ジャ、ジャンヌ様よ‼︎」

 

「⁉︎本当か‼︎ジャンヌ様ーー‼︎」

 

と、看護師や医師達が押し寄せる勢いで来たのは言うまでもない。

いつもなら誰とでもフランクに接する彼女なのだが、

今回ばかりは苛立っていた。…邪魔だからである。

 

「貴方達!急患がいるのに…邪魔したい訳?」

 

と、その一言で、皆は直ぐに恐怖し、直ぐに道を譲り受けた。

その道を走りながら駆け抜けるジャンヌは譲り受けた皆に対して『ありがとう♪』と気軽に接していて、

その時の玄也は、

 

「(こ、怖っ⁉︎あの姿…俺には一度も見せた事無いんだけど…。

口に言わずにしておこう…)」

 

と、察して口にして言わずにそのままにしておこうとしたが、

 

「聞こえたわよ…あ・な・た♪」

 

「⁉︎ご、御免なさい‼︎だから、生命までは〜⁉︎」

 

「そこまでする必要は無いけど…。後でゆっくり、O☆HA☆NA☆SIしましょうね〜♪」

 

「は、はひぃ〜⁉︎」

 

と、完全に尻に敷かれていたのであった。

それを見ていた憑友とライドはと言うと…

 

「『(仕事のON/OFFが激しいなぁ〜…)』」

 

と、違う意味で母親の事を思っていたそうな…。

 

その後、ジャンヌの計らいで緊急手術を行う事にした。

 

これから先はジャンヌにとっては戦いである。

患者を助ける…生命を救う為の治療と言う名の戦いを。

 

 

 

「お父さん…御免なさい。勝手な事をして…」

 

ジャンヌの手術中に憑友は父・玄也と2人きりで会話をしていた。

因みにライドさんは少女に繋がったままなので、ジャンヌに預けた。

 

自分の息子が反省しているのを見た玄也はそっと彼の頭に手を置いた。

 

「確かに、勝手な判断で先走ったのは歪めないな?」

 

「うっ…」

 

たが、そこは父として、しっかりと説教をした。

それを聞いた憑友はシュンとまるで小さくなったかのように身を縮ませた。

しかし玄也はそんな息子に対して次に取った行動は…頭を撫でた。

 

「…え?」

 

「驚く事は無いだろ?お前が見つけてくれなかったら、きっと今頃、あの子はこの時に死んでいたのかもしれないんだぞ?

その子を見つけたお前は、その子を救える可能性を見出したんだ。

今はジャンヌが治療にあたってるけど…

元を正せば、お前が見つけたから、ジャンヌが今、その生命を救おうと頑張っているんだ。だから…誇りに思いなさい。

誰かを救えたと言う事に…な?」

 

「‼︎…うん!」

 

玄也の言葉を聞いた憑友は嬉しくなった。

自分が見つけたから救える生命があると言う事に。

 

そして、手術中のランプが消え、そこから母親のジャンヌがやってきた。

手にはライドも所持していた。

 

「ジャンヌ。彼女は?」

 

答えは…

 

「バッチリよ♪貴方」

 

安否は確認が取れ、生存する事が出来た。

その時のライドは後にこう語った…

『あれは最早、神の域そのものだったな〜』と。

 

「一時はどうなるかと思ったけど、外部の方の傷が無かったから、後は内部の方の手術に専念出来たわ。

ただ、何か後頭部を強打した後があってね…もしかしたら、記憶喪失になっている可能性があるの」

 

しかし、それに伴う代償も判明された。

後頭部の強打で記憶が欠落している可能性があるという事に。

 

「それで、考えたんだけど…良いかな?」

 

するとジャンヌはある事を考えたので言おうとしたら…

 

「どうせなら、我が家に住ませようって根端は見え見えだよ?」

 

「あれ?バレちゃった?」テヘ☆

 

そこは玄也であった。

出会って間もないのに、もう奥さんの考えを読み解くとは…

恐るべしラブパワー(愛の力)…。

 

「…いいよ。何となく予想はしていたんだ。俺が言える事は何も無いよ。憑友は如何思う?君が助けた少女を我が家に住まわせるのは?」

 

「う〜ん…分かんない!

けど、楽しくなりそう!」

 

「ははは!そうかいそうかい!だってさ」

 

「りょうか〜い☆それじゃあ、あの子の所に行きましょ♪」

 

そう言うと、憑友達はまだ眠っている少女の元へと行った。

 

ーーーーーー

それから一週間が経ったある日の事。

 

「…う、う〜ん……こ、こは…?」

 

少女が目を覚ました。

少女は自分が何処にいるのか分からなかった。

 

「おはよう。具合は如何?」

 

突然聞こえてきた声に少女はその方に顔を向ける。

そこには1人の女性もといジャンヌが付きっきりで少女を看病していた。

 

「…貴方は?」

 

「私はジャンヌ。こんな格好だけど、こう見えてもお医者さんなのよ?」

「…貴方のお名前…憶えてる?」

 

ジャンヌからの質問に少女はこう答えた。

 

「…セレナ…セレナ・カデンツァヴァナ・イヴ。それが私の名前」

 

「…そっか」

 

少女…セレナは自分の名前を言った。

それに思い当たる事があったのか、ジャンヌは動揺するも、すぐに思考を通称・仕事モードにシフトする。

 

「他に憶えてる事ってある?貴方が彼処まで酷い怪我を負った原因を」

 

「…憶えて無い。

家族もいたのか如何かも分からない。もしかしたら、1人だったかもしれない…」

 

ジャンヌの質問にセレナは話す度に段々と暗くなっていくのを感じたジャンヌはすぐにその子を抱きしめた。

 

「え?」

 

「今は無理にでも思い出さなくていいわ。ゆっくり時間を掛けて、思い出して。それにもし、1人なら…

 

私の家族になっちゃいなさい♪」

 

「…え?…えぇぇぇ⁈」

 

ジャンヌの言葉により落ち着いたセレナだったが、彼女の爆弾発言に今度は逆に驚いてしまった。

 

「大丈夫よ♪愛しのダーリンと可愛い息子も了承したから!だから…

辛かったよね。うんと泣いていいから」

 

ジャンヌの囁きにセレナは泣いた。

何故かそうでもしないと、心が落ち着けなかったかのように。

 

それからは彼女・セレナは、ジャンヌ達に引き取られた。

それと同時に性名もジャンヌの夫・玄也の性・人絆に改めて、

 

人絆セレナと名乗るようになった。

因みに歳は13であった為、義理の姉と言う形で保護したのであった。

 

こうして憑友の家族に1人の少女が家族になった。

 

本来の史実に沿わない存在がいるという事に。

 

物語は別の所でも動き始めていた。

 

脈を放つ石の板に導かれるかのように…



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3) 胎動

新たなキャラの登場…


さて、無事にセレナを救った憑友の家族。

それとはまた別の場所で起こった事を話そう。

 

それは少し遡って、2年前になる。

本編から8年前だと換算しても構わないだろう。

 

そこで運命に翻弄されし2人の少年少女の物語が始まろうとしていた。

ーーーーーー

 

「もうすぐ着くぞ」

 

そう声を掛けるのは1人の男性。

名は雪音雅律。当時の世界では有名なヴァイオリニストである。

 

「クリスは大丈夫?」

 

「うん!」

 

そんな彼と共に付いてきたのは、彼の妻のソネット・M・ユキネと、

彼女との間に生まれた娘・クリスだった。

そして、もう1人…

 

「…」

 

「?如何したの?ロック?」

 

「…何でもない…」

 

ソネットの問いに対して、ドライに接する少年の名はロック・アイル・ユキネ。

彼は戦争孤児で、つい最近まで戦争に駆り出されていた悲劇の少年だった。

そんなロックを見つけた雅律達は彼を養子として迎えた。

昔は本当に口が堅く、笑いさえしなかった。

しかし、この家族と一緒にいたおかげである程度緩和されているようだ。

しかしそれでもやはり目付きは本当に鋭かった。

けれど、そこに優しさがある事もこの家族は知っていたのは言うまでもなく、ロックは少しこしょばゆい感じになっていた。

 

そんな彼等一家は現在、NGO活動で家族総出で南米はバルベルデにやって来ていた。

 

歌で戦争をなくしたいという願いのために…

 

しかし、それはこの地に来た時に消滅する事になるとは…

まだ、この時の家族は知らない……

ーーーーーー

 

あれから1週間。

彼…ロック・アイル・ユキネは身動きを封じられていた。

両方の手首足首を鉄の錠でがっちりと固定され、身動きすら出来ない状況になっていた。

 

 

「まさか此奴があの【冷眼のロック】とはな?へへっ!」

「数年前に俺らテロリストを脅かしていた存在がまだ10歳も満たねえガキンチョとはな‼︎ゲヘヘッ!」

 

「………」

 

【冷眼のロック】

それは、かつてロックが雪音一家に出会う前に貰った異名であり、二つ名であった。

幼いながらも、各地に蔓延るテロリスト達を殺してきた。

普通の人から見れば人を殺した殺人者だが、

弱き者達から見たら正義の象徴として捉えられており、

テロリスト達から言わせれば脅威としか成りえない最悪の存在だった。

 

しかし、その名は1年前に忽然と消えた。

理由は簡単だ…その時に雪音一家と出会ったからだ。

その影響があったのか、今の彼はテロリスト1人相手するのにもかなり苦戦させられ、終いには身包みを全て剥がされ、拘束されていた。

雪音一家と出会った為か、身体能力が大きく低下してしまっていた。

 

「(あの時…自分の技量を怠ったばかりに…

クリス…ごめん…)」

 

「あぁ?此奴、死んでるんじゃねえか?」

「そんな訳ないない!死んだら電気ショックが自動的に流れて無理やり蘇生させるんだからよ!」

 

ロックは心の中で悔やんだ。

自分が守ってやりたいと思えた存在の2人…クリスの両親でもある存在、雅律とソネットロックは力を失ったばかりに結果的に見殺しにしてしまった事に。

守ってやれなかった後悔の念に立たされていた。

 

「(こんな俺の事はいい…自由になって欲しい…クリス…)」

 

自らを戒めにかけた少年。

それは奇跡を生む切欠を作ったのかもしれない…

 

ーそれがお前の望みか?ー

 

「(…え?)」

 

突然、頭の中に聞こえてきた声にロックは周りを見渡す。

幸いな事にこの時、テロリスト達は元の配置場所へと戻っていたので、ロックの不可解な行動を見る事は無かった。

 

そんな中、辺りを見渡したロックは、近くに光る物を見つけた。

 

「…おま…え…なの…か…?…俺…に…話し…かけ…た…の…は…?」

 

それはひとつの石の板だった。

ただそこには無数の文字が書かれていた。

だが、あまりにも難しい字で書かれていて、分からなかった。

すると、ロックの言葉に反応したのか、

石の板…石板は突如宙に浮いたのだ!

 

「⁈」

 

当然、それに驚くロック。すると…石板が光を発し、点滅をしたかと思ったら…

 

ーそれがお前の望みなのかと聞いているー

 

「⁉︎…しゃ…べっ…た…だと⁈」

 

なんとその石板から喋ったのだ!

驚いて当然なのである。

 

ー私の力を貸してやらなくも無いぞ?ー

 

石板の声の持ち主は皮肉げに語り出した。

それを見ていたロックは少し苛立っていた。

ぶっ壊そう…そう考えていた。

だが、

 

「…」

 

しかし、それを実行に移す力を持っていなかった。

かなりのダメージで、肉体も精神もやられていたからだ。

 

ー…黙秘は肯定と取っても良いのだな?ー

 

それを聞いたロックは悔しくも首を縦に振った。

それを見た石板は浮いたまま、彼の手の方にやってきた。

 

ー私はご覧の通り、ただの石板だ。

だが、君が願えば、それは現実と化すかもしれないな?ー

 

「…頼む。…クリスを…

俺の義妹(いもうと)を…助けてくれ…」

 

彼の必死の訴えにその石板はこう答え返した。

 

ー助けてやるのは構わないが…

 

テロリスト達を倒しても別に構わないだろ?ー

 

「⁉︎…っ!」コクッ!

 

ーでは、石板()に触れたまえー

 

「っ!」

 

そして青年はその石板に触れた…!

その時、ロックは石板に刻まれた文字を見てそのまま書いてある事を言った…!

 

「『その者はかつては人間だった。

 

愛する者含みし少数を犠牲に多数の命を救おうとした愚かな存在。

 

やがてそれは《守護者》と言う名で呼ばれ、穢れ仕事をやらされん。

 

運命の夜の日、彼は1人の少女の元に現れん。

 

彼女の赴くままと同時に、人間だった頃の己を殺すと言う矛盾を行わん。

 

しかし其れは成す事は無かった。

 

其れを改めさせる機会を自ら生み出したから。

 

やがて男は自ら呼び出した少女にあの日の己を託し、この世を去らん。

 

しかし、彼の顔は笑顔であった…

 

その運命に彼は後悔しなくなったから…』」

 

石板に書かれていた事をありのままに喋ったロック。

すると石板は光り輝き、目を開けた瞬間にそこに1人の男がそこにいた。

 

白いマントと赤の外套を纏い、白髪で、肌が黒い男が、

先程の石板を左手で持っていながら目の前に現れたのだ。

 

「⁈…お前は…一体…」

 

「案ずるな、仮の契約者(マスター)。貴様の願いは聞き届けてやる。その証拠として先ず手始めに…」

 

と、男が言おうとした時、

 

パキィンッ‼︎

 

「⁉︎」

 

「手枷足枷を壊しておいた。これで多少は信用してくれるかね?」

 

瞬時にロックを捕まえていた枷が全て破壊された。それも皮膚に傷一つ付けない精巧な技術で。

 

身体の自由を得たロック。すると、男は白いマントをロックに羽織らせた。

確かに今のロックは身包み一つも無い。裸同然だ。

 

「風邪を引いては此方も参るのでな。

…貴様の妹は何処にいる?」

 

「…分からない。何処で何をされているのかも分からない…」

 

「…そうか。

手当たり次第探すとしよう。

仮の契約者(マスター)は此処で英気を養いたまえ」

 

そう言うと男が瞬時に消えたので、ロックは驚く。

騙されたのか⁈と。しかしそれは杞憂する事になる。

 

『だ、誰だ貴様は⁉︎』

『構わん!撃て‼︎』

 

近くで銃撃戦が行い始めた。

 

『う、嘘だろ⁉︎なんでこの弾丸の雨を避けられるんだ⁉︎』

『お、おい!待ってくれ⁉︎生命だけは…ぎゃぁぁぁ⁉︎』

 

「‼︎」

 

ロックは驚く事ばかりな現状にもはや思考も追いついていなかったのであった。

 

ーーーーーー

その頃、ロックが助けたかった少女、雪音クリスはと言うと…

同じ戦争孤児の皆んなと同室で1人だけ隅っこで丸まっていた。

 

「(もう、誰も来やしない…

お父さんも、お母さんも死んだ…

頼りになるロック義兄(にぃ)も今じゃ何処にいるのかさえ分からない…私はどうすれば…)」

 

1人という今の状況で彼女の心は折れそうになっていた。

すると、

 

『だ、誰だ貴様は⁉︎』

『構わん!撃て‼︎』

 

近くで銃撃戦が行い始めた。それに気付いたクリスは、耳音を立てた。

 

『う、嘘だろ⁉︎なんでこの弾丸の雨を避けられるんだ⁉︎』

『お、おい!待ってくれ⁉︎生命だけは…ぎゃぁぁぁ⁉︎』

 

クリスはこの時感じた。

テロリスト達よりも相当の実力者がこの場所に来たのだと言う事に。

 

このまま今度はそいつの下で扱かれるのかと思うと、この世の中に嫌気を感じ始めたクリス。

 

すると…

 

『ふむ。此処か…』

 

近くで声が聞こえた。男の声だった。

すると壁越しから男はこう告げた。

 

『この声の近くにいるなら離れておけ。

下手をすれば…死ぬぞ』

 

「⁈」

 

そう聞こえたので、クリスはすぐにその近くにいた孤児達を反対側の方へと押し退ける。

 

『…ふむ。賢明な判断、感謝しよう。

…はぁっ!』

 

中の様子が分かっているかのような話し方をしたのか、

男が言うと壁が一瞬で文字通りバラバラに…

()()()()のだ。

 

「はぁ⁉︎」

 

クリスはそこで初めて口を開いた。

銃や爆発物で壁を壊すと思っていた行動が、まさかの斬撃で壁を斬り刻んだと言う行為に。

 

そして現れたのは、赤い外套を羽織った白髪で黒い肌の筋肉質の男だった。

 

「雪音クリスとやらはどいつだ?」

 

「⁉︎」

 

男が自分を探していた事に激しく動揺するクリス。

それを見たのか、男はすぐにクリスの元にやって来た。

しかし、クリスは警戒を怠らなかった。

もしかしたら、此奴も違うテロリストの仲間なのだと。

だが、それは男の一言によって杞憂になる。

 

「…ロックという奴がお前を探していた」

 

「…え?」

 

それを言うと男はすぐに孤児達の方を向く。

 

「此処にいるテロリスト達は気絶している。だが、いつ覚ますか分からない。だから、急いでこの場から離れろ。

脱出ルートは確保してある。その道に突き進むが良い。私が保証しよう」

 

そう言うと孤児達は急いでそのルートへと走って行った。

クリスはそのまま男の方に顔を向けた。

 

「…あんた、名前は?」

 

クリスの問いに男はこう言った。

 

 

 

「…アーチャー。それが私の名だ、お嬢さん」

 

と、ギザな口調でそう語った。

 

ーーー

一方、ロックはとある部屋へとやって来ていた。

周りには大量の石の板があった。と言っても、7.8枚程度しか無いが。

 

「此処は…」

 

その部屋を見ていたら、

 

『この部屋に何の用だ?少年』

 

「⁉︎」

 

突然聞こえた声にロックは動揺し、辺りを見渡す。

しかし誰もいない…影すら存在しない。

 

『此処だ。少年』

 

「?…は?」

 

仕方がないと思ったのか、その声の持ち主は自分の居場所を教えた。

ロックはその方向を見ると、其処には人…では無く、電子機器があった。

 

まるでディスプレイのような形の電子機器にロックは啞然としつつも、それを手に持つ。

すると突如、ディスプレイが点滅し、

 

『ふぅ…ようやく見つけたか』

 

「⁉︎」

 

ガシャンッ!

『痛っ⁉︎乱暴に扱うな‼︎』

 

なんと其処から声がしたので、ロックは慌て、それを落としてしまい、電子機器は悲鳴を上げた。

 

「って言うか、お前、誰だよ⁈」

 

『人に物を尋ねる時は先ず自分から名前を名乗るのでは無いのかい?』

 

「…生憎、そう言う常識を教え込まれる前に蒸発したんでな」

 

それを聞いた電子機器は軽率だったと後悔したのだが、もう遅い。

後悔先に立たずである。

 

『…そうか。なら、今回のみ許そう。だが、次は無い。

私の名はソウル。ソウル・バレッツ。

かつては人だったのだよ、これでも。

だが、この電子機器に魂を移す実験をしていた時、『ノイズ』に襲われて、今ではすっかり体を無くし、魂はまるで付喪神のように電子機器に取り憑いた有様だ。

さて、私の事は話したから、次は君の番だよ?』

 

電子機器の名はソウルと言った。

如何やらライドと同じ実験の時にノイズに襲われてしまってライドと同じ状況になってしまったのかもしれない。

 

「俺は…ロック…ロック・アイル・ユキネ…

それが俺の名だ」

 

『ロック…成る程。さて、先の騒動がなんなのかはわからないが、私はこう言う身でな。

此処にある石板…『英雄石板』を探して見つけては、それを解読する事を夢見ている…単なるロマン馬鹿だと思ってくれ』

 

ソウルは自らをロマン馬鹿と自覚していた。

其れ程までにロマンスを大事にするような性格の持ち主であると自他共に認めていた。

それを見たロックはこの施設で初めて口から笑みが零れた。

 

「…ロマン馬鹿か。それよりも、早く此処から出たい。大切な義妹を救いたいんだ。

如何すれば良いのか…教えてください」

 

『…最低限の礼儀作法は教わっていたようだな。それなら大いに結構だ。

なら、私を使うといい。その方が確実に君の今の願いを聞き届けられるぞ?』

 

それを聞いたロックはソウルを持つ。すると、ソウルはロックの左腕に某OCGの専用ディスクのような形に変化した。

 

『既に此処にある石板は解読済みだ。だが、持っておいて損なことは無い。寧ろ、まだまだ価値がある物だ。

私をその石板達の方に向けてくれ』

 

「…こうか?」

 

そう言うとロックはディスプレイ画面を石板の方に向けた。

 

『上出来だ』

 

ソウルがそう言うと、なんと石板達がデータに変換され、最後は吸収してしまったのだ‼︎

 

『これでこの施設を放棄しても構わないだろう。

後は…これを使え、ロック。君に相応しい物だ』

 

そう言うとディスプレイ画面からフォルダらしき物が現れ、腰に装着され、更にそのフォルダから一枚のカードが現れた。

 

そのカードを手に取るロック。

 

「このカードは?」

 

『これから先、君が守りたい物を守れる力だ。

これを悪の為に使うな。それだけは約束してくれ…

さて、話を戻そう。

そのカードをこの電気機器・《ソウルアブソーバー》に装填してくれ』

 

「…ああ…こうか?」

 

そう言うとロックはディスプレイ画面を起こし、その機械の間にカードを差し込んだ。

 

『良し。次に関節辺りに付いているレバーを手の甲の方に持っていく。たったこれだけで君は成れる…英雄に導かれし存在に』

 

「英雄に導かれし存在?」

 

『細かい事は後程。今は此処から脱出しよう。先程からかなり荒れてきている。』

 

そう言っていると、天井が崩落し始めてきた!

 

「っ!」

 

ロックはすぐにそのレバーを手の方へと引いた!

 

『では、参ろうか!』

 

それは新たな存在の誕生の瞬間だった…!

 

ーソウル!フォーム…フォーマル!ー

 

そう言うとロックの身体が全身スーツボディに変わった。

更にディスプレイから青が主体の謎の物体が浮遊していた。

それを見たロックは慌てるが、

 

『大丈夫だ。危害を加えるつもりは無い。あいつの存在を受け入れるんだ。大丈夫、君なら扱いきれる!』

 

ソウルの励ましでそれを身に纏った!

 

ーお前らの魂!オレが頂く‼︎ー

 

謎の発声音と同時にその姿は露わになった。

 

蒼き外套を羽織った、新たな存在に。

 

「…!これは…!」

 

『それが君の新たな姿…水魂導師(スイコンドウシ)・ソウルだ』

 

「スイコンドウシ…!」

 

そう言いながらも彼はそのまま走り抜ける。

途中、壁などが崩れて行けない道のりも、ソウルの力を得た彼には単なる障害物でしかなく、

彼が通った後の道は障害物が何一つ無かったと言う。

 

ーーー

そして長い道のりを経て、無事に外に出る事が出来たロック。

途中でクリスに会う事も無かった彼にとっては、急いで探そうとしたが、

クリスは先に脱出しており、赤い外套を羽織った男・アーチャーの手によって、保護されていた。

 

「!クリス!」

 

「!その声…ロック義兄(にぃ)⁉︎」

 

クリスの驚き顔を見て、自分が今、変わった姿をしているのを思い出し、ソウルに話かけた。…小声で。

 

「…なぁ。これ如何やって?」

 

『心配はするな。レバーを元の位置に戻して、カードを抜けば元に戻る。…言うのを忘れていた。済まないな』

 

「いや、あの時に言う暇なんか無いのは重々知っているから…」

 

「何の話してんだ?」

 

と、不意にクリスが話しかけてきたので、ロックは慌てつつも、冷静に対処した。

 

「…いや、何でも無い。

今、元に戻るから…」

 

そう言うと、ロックはレバーを元の位置に戻し、カードを抜き、最後にディスプレイを元に戻した。

すると元の姿に戻った。

白いマントを羽織った、傷だらけの姿に。

 

「⁉︎しっかり!」

 

その後、2人はアーチャーの手により、一先ず安静にしていける場所を確保し、そこで生活をした。

その後、国連軍の介入により、その土地のテロリスト達は鎮圧化した。

それを見届けたアーチャーは、2人に別れを告げ、そのままカードになった。

だが最後にこう言っていた。

 

「案ずるな、私自身がこの世にいる時間が限界に達してしまっただけの事だ。

カードになれば、そこから意志が生まれる謂わば精霊みたいなものに成るだけだ。

お前達の傍から離れる事は無いさ。

お前達が私を持っている限りはな?」

 

それは謎の発言のように感じた2人だったが、それが現実に化した時は、本当に嬉しく感じていたそうだ。

 

そして2人は国連軍により、帰国された。

しかし、それは同時に物語の歯車が動き出す時でもあった。

 

ーーー

2人が見たのは保護施設というよりももっと言い方を悪く言えば、調教するようなまさに拷問とでも呼べるような場所だった。

そんな雰囲気に嫌気がさした2人はそれから行方不明になった。

 

そんな2人を見つけたのは…

 

「付いてきなさい…」

 

後にそれが世界を絶望へとかえる女性…

 

 

《フィーネ》との出会いであった。

 

 

さぁ、物語は確実に整って来ていた…

この先にあるのは、希望か、絶望か。

それとも…そのどちらとでも無い…何かなのだろうか…

 

それを知る者はこの世には存在しない…

 

そう…()()()()()…ね。



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4) 邂逅

この時から運命の歯車が動き出した瞬間でもあったのかもしれない…


それは本当に唐突な出来事であった…

 

セレナを家族として迎えた人絆一家。

彼等は今は長い世界旅行から日本に帰国して、

現在は東京の中でも、都会に近いながら自然と向き合える場所に家を持ち、そこで生活していた。

自然と調和した都会的なシンボル。そんな感じな場所に家がある。

 

ここは交通のアクセスが都会に次いで便利で、

更に通信環境も整っているまさに生物にとってのユートピアとなっていた。

その為か、この場所は「自然都会」と言う名で知られているのである。

 

 

 

ーーーーーー

さて、そんな話は置いておいて。

今は9月の始まりであった。

この日から憑友は学校へと勉学に励んでいる。

 

今日も片道10分ちょいの電車に乗り、学校へと向かっていた。

そして、学校に近付いてくるとお決まりのパターンがやって来るのである…

憑友にとってはこれが毎回うんざりさせられているのである。

それが…

 

 

 

 

「憑友〜‼︎」

 

ドバァッ!

 

「うぉっ⁉︎」

 

ゴテンッ!

 

憑友の後ろを思いきり抱き付き、

憑友は踏み止まろうとしたが、

運悪く、小石につまづき、憑友はそのまま顔面強打した。

 

「⁉︎ご、御免⁉︎…大丈夫?」

 

それをやった自覚があるのか、こっちに顔を向けるのは1人の少女だった。

 

髪が少し黄土色で、少し幼げな少女がいた。

すると、そんな少女の後ろからまた違う声が聞こえた。

 

「もう…駄目だよ。

憑友君は此処最近まで世界を周って来たんだから。

体力がきついんだよ?…大丈夫?憑友?」

 

そうやって、少女に注意しながらこちらを見るのは1人の女の子だった。

 

先程の少女と違い、ビリジアン(深緑系)の色合いの髪を白いリボンで纏めていて、少し母性がある少女だった。

 

その2人を見た憑友は話しかけた。

 

「痛たた…。と、兎に角…おはよう。響。未来」

 

「うん!おはよう!」

 

「おはよう♪」

 

黄土色の髪の子は響、白いリボンの子は未来と言っていた。

 

ーーこれが『シンフォギア』の主人公の立花響と、彼女の幼馴染の小日向未来の2人その者である。ーー

 

実はこの3人は共に仲が良く、いつも「仲良し3人組」と学校内では人気者になっていた。

 

「と、その前に…」

 

と憑友が言うと、響のおデコに…

 

パチンッ!

 

「痛っ⁉︎」

 

デコピンをした。

された響は痛そうにしていたが、

それをやる前にもっと酷い事をした(貴方)が悪いのは言うまでもなく、

 

「さっきの抱きつきのお返し♪」

 

「酷いよ〜⁉︎」

 

「これは流石に響が悪いんだからね?」

 

「未来まで⁉︎…私、呪われてるかも…」

 

こればかりは自業自得であるのだが…。

 

と、何時もこんな感じで話をするのである。

3人は共に仲が良く、絆で得た何かと思わせるような物を持っていたのであった。

 

そんな中、

 

ーピチョンッ…ー

 

「?」

 

憑友は何かを感じとったのか、辺りを見渡した。

 

「?如何したの?」

 

「如何かしたの?」

 

それを見た2人は憑友を心配していた。

 

「…御免。何でも無いや…さ!行こう行こう!」

 

「ああ、ちょっと⁉︎」

 

「ちょっと、憑友⁈」

 

そう言うと憑友は右手で響の左手を、左手で未来の右手を握るとそのまま走ったのだ!

響と未来はそんな憑友に勢いで流されながらも楽しく今日も過ごしていた。

因みにその時の2人の顔が少し赤くなっていたのは言うまでも無い。

 

 

すると、彼等のいた場所から1人の青年が何処からともなく現れた…!

まるで、幽霊の様に。

 

「彼奴が…人絆憑友か…」

 

そう言うと、青年はすぐに消えてしまった…!

まるで、そこには何も無かったかのように感じながら…

 

 

ーーーーーー

一方、此処は憑友の家の一角で、父・玄也の仕事場であった。

 

「あんまり無茶し過ぎると、憑友が心配しますよ?お義父さん?」

 

「ははは…面目無い。」

 

そこには玄也の妻・ジャンヌによって生命を救われ、現在は養子となった憑友の義姉・セレナと、父・玄也がいた。

因みに、デスクワーク上にはライドもいたりする。

 

玄也が仕事に没頭しているのを見たセレナはお茶を持ってきて、休憩を促した。

それに気付いた玄也は苦笑いをしつつも、しっかりと反省していた。

 

「…本当に学校に行かなくて良かったのかい?」

 

玄也はセレナにそう質問してきた。

本来なら彼女の年齢だと、中学校で通って、友達を作り、彼氏が出来たり、勉学・部活動に積極的に取り組んだり等、思春期真っ只中にいるのであるが…

 

「勉学なら心配しないで。こう見えて、頭は冴えてるんですよ♪

身体は軽いジョギング程度しかしないので…本当は身体を動かさないといけないんですけど、運動音痴で、あんまり好きにはなれないかな…。

友達の作り方も知らないから…。

それに…彼氏と呼べる存在は今の所居ないから…」

 

「…そうか。

…なら、無理矢理って言うのは良くないしね。

行きたいと思えるようになったら、言いなさい。

セレナは私達にとって、かけがえのない家族だからね」

 

「!…はい!」

 

『うん。セレナも家族の輪に入れて、私としても実に喜ばしい限りだ♪』

 

「ありがとう♪ライド。貴方が応急処置して無かったら、今頃私…」

 

「ネガティブな話は無〜し、だったよね?」

 

「あ…えへへ。御免なさい☆」テヘッ☆

 

と、そんな風に今日も一日、元気に過ごしていた。

するとセレナが玄也の机にあった一枚の石の板を見た。

 

「?そう言えば、お義父さん?この石板みたいなのは?」

 

セレナの問いに対し、玄也はこう答えた。

 

「?…ああ。これかい?これはね…

【英雄の軌跡を記した石板】と昔の人達がそう呼んでいた物で、今では略称名として『英雄石板』と呼ばれている物だよ。

世界に少なくても100枚は必ずあると言われている歴史遺産なんだ」

 

自信満々に言う父・玄也の話にセレナは釘付けになった。

すると、玄也はこんな話をし始めた。

 

「現在、都市伝説で『シンフォギア』と呼ばれる戦士達がいるのは聞いた事あるかな?」

 

その問いにセレナは首を縦に振る。

 

『シンフォギア』とは、今現在において現れた『ノイズ』に対抗しうる力を持った戦士達の事。

都市伝説なので、本当にいるのか如何かは分かってはいない状況なのだが、こういう噂話で出て来ているくらいだから、半信半疑なのは仕方のない事だった。

 

 

「その『シンフォギア』達と同じいや、それ以上の力で、ノイズを倒したって、とある場所の壁画に描かれていたんだ」

 

「そんなに前からノイズが⁉︎」

 

玄也の発言に驚くセレナ。

無理もないのも頷ける。

 

今、巷で大量発生中の認定特異災害『ノイズ』が昔、その壁画に描かれていた時代にも現れていた事に。

 

「ああ。だが、驚くのはまだはやいぞ?

先ず、『シンフォギア』と呼ばれる力を持つ戦士達は、歌を歌わなければ、力を発揮する事が出来ない。と、都市伝説内で聞いたんだ。

だが、この石板に書かれている戦士達。…ここでは、総称して『英雄』として考えておこうか?」

 

そう言うと玄也は近くに置いてあるソファにセレナを座らせると、近くに置いてあったコーヒーをセレナに渡す。

セレナはそれを受け取ると、後ろを見ながら、ゆっくりとソファに腰を下ろして、話を聞く事にした。

因みにライドも、ソファ間の机に置いた。

 

「さっきも言った通り、『シンフォギア』の戦士達は歌を歌わなければ、その身の力を発揮する事が出来ない仕組みがあるらしくてね。

都市伝説内のビデオを見ても、やはり歌を歌って攻撃している事が分かったんだ。

何故、唄を歌いながら攻撃しなければいけないのかは、流石の僕でも、それは専門外なんだけどね。

 

だが、英雄達は歌を『歌わない』存在が殆どだったという事。

つまり、元からノイズ達を圧倒する力を持っていたんだ。

それも…下手をすれば…

この地球を消滅するぐらいの力を、彼等はしていたんだ」

 

「⁉︎」

 

その話を聞いたセレナは驚愕した。

其れ程の実力者達が『ノイズ』と激戦を繰り広げたという事に。

 

「僕はね、この石板に書かれている『英雄』達の軌跡を読み、そして解き明かしたいんだ。

『英雄』達が行ってきた数々の偉業をね」

 

話を聞き、玄也の目標を聞いたセレナは衝撃の言葉を言い放った。

 

 

「…ねぇ、お義父さん。

それ…私にも出来るかな…?」

 

「え?」

 

それは、唐突だった。

なんと、セレナが玄也の手伝いをしたいと言ってきたのだ。

本来なら、そこで反対し、幸せな人生を歩んで欲しいと思っているのが大半である。

玄也もそう考えて言おうと思ったが…

セレナの瞳の奥に眠る小さな小さな揺るがない精神に…負けた。

 

「…はぁ〜…

…本当にそれで良いのかい?

もしかしたら、開いてはいけないパンドラの箱かもしれないんだぞ?」

 

「それでも…良い。

私も、興味と同時に真剣になりたいものを見つけたいから!」

 

「…はぁ〜…

こう言う所は、ジャンヌに似てきたかもな…

…分かった。完敗だ。俺の負け。

セレナの好きな様にしなさい」

 

「!本当⁈「但し!」?」

 

「危険だと思うものには触れるな。これだけは約束してくれ。

良い?」

 

「…はい!」

 

そう言うとセレナと玄也は指切りをした。

それは同時に、大切な約束事でもあった。

命の危機にまた直面して欲しくない、娘に対する父の親心でもあった。

 

 

すると、それに反応したのか、デスクワークに敷かれていた約10枚程の石板の内の一つが、光り輝いたのだ!

 

 

「「⁉︎」」

 

もちろん、それを見たセレナと玄也、ライドも驚いた。

 

玄也は慌てて、その石板を見て、ソファ間の机に置いた。

 

「これは一体…何が起こっているんだ…⁉︎」

 

玄也は動揺しながらも不思議がっていた。

すると、セレナはその石板に少し触れた…その時だった。

 

「…!え⁉︎何これ⁈…」

 

それを感じとったセレナ。すると、石板に書かれていた文字を見るや、

 

「(え?嘘…読める⁈…読んでみよう…)」

 

なんと、それが読める事に驚いていた。

そこで、セレナはそれを試してみた…!

 

「『その者 肌の色を除いて全てを黒に染めん。

 

ある時は人の姿をして、二振りの剣で全てを斬り伏せん。

 

ある時は背中に羽を生やし、妖精の姿となりて、空を制し、巨大な剣で戦わん。

 

またある時は、髪を伸ばし、銃と光り輝く剣を用いて、数多の弾丸を薙ぎ払わん。

 

そしてその全てを得た力は、愛する者達を守る剣とならん』」

 

「⁉︎…読める…のか⁈」

 

『何っ⁉︎』

 

すると、突然、光が強くなり、部屋全体を覆った!

セレナ達は光の眩しさに、目を閉じ、腕で防ぐ。

 

すると同時に、そこから「スタッ」と、足音が聞こえた。

 

そして光が消え、そこでセレナは目を開けた。

そこに居たのは…1人の青年だった。

 

髪が黒く、黒色のコートを羽織っており、これまた黒のズボンを履いた青年だった。

そして、背中には黒と水色の剣のが備わっていた。

 

「くぅ〜!よく寝た〜…って…ここ何処だ?」

 

「…あ、あの〜…」

 

「ん?…あんたは?」

 

それが初めての出会いだった。

 

「私、セレナって言います!貴方は?」

 

「俺か?…俺は…キリトって言うんだ。宜しくな」

 

キリトと名乗った青年。

これが、後の運命に大きく動くとは、まだこの時の皆は…知らないのであった。

 

 

ーーーーーー

 

一方、憑友はと言うと、学校が終わり、響と未来と帰路についていた時だった。

 

ーピチョンッ…!ー

 

「(…まただ。今朝も感じたこの感覚…一体…)」

 

「それでね〜…?って、聞いてる?憑友!」

 

「⁉︎…はへっ?」

 

今朝と同じ事が先程起こったので、憑友は考えていたら、響によって悉く阻害させられたのである。

おまけに変な発音までする始末である。

 

「『はへっ?』じゃないよ〜!話聞いてた?」

 

「…ゴメンなさい。聞いてませんでした…」

 

「むぅ〜!」

 

「今日一日、上の空だったよ?如何かしたの?」

 

憑友が自分の話を聞いていなかった事に、顔を膨らます響。

それと同時に、未来にまで心配させられる始末であった。

 

「あはは…ゴメン。

それで、何の話してたっけ?」

 

「今、話題のユニット『ツヴァイウイング』の事だよ!」

 

憑友はこれ以上は無意味だと判断して、響の話に専念した。

すると響は今、音楽業界にて人気を博しているユニット『ツヴァイウイング』の話にシフトした。

 

「あの2人の声って、癒されるんだよね〜」

 

「でも、憑友も中々の歌上手なんだよね♪」

 

「はいはい。照れるような事言われても、俺は照れないからな〜」

 

実は、憑友も実は歌が上手い。

何気に鼻唄交じりで授業中歌っていたりしているので、常に赤っ恥をかく程、彼にとっての黒歴史なのだが。

 

其れ程にまで、歌が上手いのである。

因みに彼の母・ジャンヌも歌上手である。

彼女が歌っただけで、軽い怪我が治ったとか言う患者もいたりする程…。

歌で怪我が治るとか何処かのアニメのような事を起こすな…憑友(あなた)の母親様は‼︎

 

「寧ろ、憑友君のは癒すというよりも…人の心を熱くしてくれる何かがあると私は思うな〜」

 

「あ、未来もそう思った?私も!」

 

「相変わらず仲がよろしいようで…」

 

そんな2人のテンションを見た憑友は帰り際に購入したコーヒーゼリー(ブラック100%)を3個同時に口の中に頬張った。

 

「もちろん、憑友もだよ!」

 

すると響が放った言葉に、憑友はコーヒーゼリーを瞬時に呑み込み、

 

「…ったく。ほら行くぞ、『太陽』、『陽だまり』」

 

そのまま2人よりも先に前を歩いた。

それを見た2人はお互い顔を見るや、クススと笑っていた。

 

「待ってよ〜!『月光』!」

 

「置いて行かないで〜」

 

そんな中でも、3人は今日も一緒に帰って行った。

 

そして、それを見ていたのは今朝に現れた1人の青年だった。

 

「…後、3年…か…」

 

そう言うと青年は人混みの中へと消えていった…

まるでそこには何も無かったかのように…

 

 

ーーーーーー

 

一方、此処はとある場所。

 

「〜♪」

 

そこには2人の女の子がいた。内、1人は歌を歌っていた。

1人は髪とスーツらしき物が青で統一された少女で、

もう1人は逆に髪が少し赤みのかかったオレンジで、スーツらしき物がオレンジの少女の2人だった。

歌を歌っているのはその内の前者の方(青の少女の方)だった。

2人の女の子がある者と戦っていた。それは…

 

『○☆□◇▽△』

 

今、世界が震撼していた認定特異災害『ノイズ』だった。

 

「はぁ…はぁ…ったく。どうしたもんかな…。翼…まだ戦えるか?」

 

「はぁ…はぁ…大丈夫…奏となら、何処までも!」

 

「ははは…心中だけは御免だからな…はぁぁぁ‼︎」

 

そう言うと『奏』と呼ばれた少女は自ら持っていた槍で、数多の敵を薙ぎ払っていく!

そして『翼』と呼ばれた少女もまた、己が持っていた刀で、ノイズ達を斬り伏せていった!

 

だが、いつにも増して、かなりの数のノイズに流石の2人もスタミナが切れかかろうとしていた。

 

そしてそれが隙を生んでしまう…

 

「⁉︎奏!」

 

「⁉︎」

 

奏が少し鈍らせてしまい、背後からノイズが攻撃を仕掛けてきていた!

此処までか、奏がそう思って、目を瞑った。

 

が…一行に襲ってこない。

 

「……え?」

 

目を開けてみた奏は驚いていた。

ノイズが瞬時に、炭へと化していた事に。

 

呆然とする奏に、後ろから声が聞こえてきた。

 

「よっしゃー!俺様、ナイスファインプレー!」

 

「!…民間人⁈」

 

「!此処から離れろ!死にたいのか⁉︎」

 

そこにいたのは1人の青年だった。

緑の髪と、アクティブ系なボーイッシュスタイルが特徴の少年だった。

 

2人はその青年を避難させようとしたが、青年はそれを人差し指を立てて、指を振った。

 

「チチチチッ!甘く見ないでくれよな?都市伝説の存在・『シンフォギア』装者様?

俺はこう見えて…場数には慣れてんだよ…

行くぜ!スピリット!」

 

『こっちの準備は万端よ!』

 

そう言うと青年の懐から電子機器ーー《スピリットアブソーバー》と言うーーが現れて、青年はそれを左腕に装着した!

そして、画面を起こし、腰にあったフォルダの中から一枚のカードを取り出した!

 

「カッコよく決めるぜ!」

 

すると青年はそのカードを電子機器の画面の間に挿し込み、そして…

 

「…変身!」

 

そう言うと肘の関節部に備え付けられていたレバーを手の方へと引いた!

 

ースピリッ()!フォーム…オリジン‼︎ー

 

そう言うと、彼の腕に付けられていた電子機器のディスプレイから羽を生やした何かが現れた!

 

そしてそれを青年は纏ったのだ!

 

ー精なる魂、私に刻め!ー

 

そして現れたのは、その何かを纏い、羽根を生やした…正に、妖精のような姿をした青年がそこにいた!

 

「!」

 

「お前は一体…」

 

その姿を見た2人は驚いていた。

そんな2人に青年はこう答えた。

 

「俺の名はスピリット。風の魂を導く師者。

風魂導師(フウコンドウシ)・スピリットだ!」

「さぁ、ノイズ共!今度はこの俺の暴風を…止めてみやがれ!」

 

そう言うと青年…スピリットはすかさず前に出た!

そしてノイズに向けて拳を突き出した!

 

「「⁉︎」」

 

それを見た2人は驚かされた。

その拳で…ノイズを倒したから。

 

「まだまだこんなもんじゃないぜ!

ミドリ!力を貸してくれ!」

 

そう言うと青年の腰にあったフォルダらしき物から突如、カードが現れた!

青年はそれを取ると、すかさずスピリットアブソーバーの画面を起こし、先程装填したカードを取り出し、左手に持っていたカードを装填した!

 

ースピリット!フォーム、ミドリ‼︎ー

 

そう言うとディスプレイから今度はロッドと呼ばれる両手棍を持った緑のパーカーを着た何かが現れた!

 

そして、それを青年が纏った!

 

ー聖なる扉!風の咎人‼︎ー

 

そこには、先程その何かが使用していたロッドを持ち、緑のパーカーを羽織った青年がそこにいた。

 

「この風は、生涯止むこと無し!

風を纏いし少女の魂!ミドリフォーム、見参!ってな!」

 

そう言うと青年はその両手棍を自由自在に操って見せた!

まるで、風と共に踊っているかのように。

 

それを見ていた2人は驚きつつも、美しく感じていた。

 

 

「これでラストだ!」

 

そう言うと、青年は左腕に装着されたアブソーバーに備わっているスイッチを拳で叩いた。

 

『スピリット・ミドリ!フルドライブ‼︎』

 

「はぁぁぁぁあ‼︎」

 

そう言うと彼の周りに大量の風が徐々に視界に捉え切れるほどの膨大な量を生み出し始めた…!まるで、小さな台風のように。

 

「行っけぇぇぇぇ!"エアリアル・ドラゴン"‼︎」

 

そう言うと青年はノイズに向かって、その風の塊を投げつけた!

 

ノイズ達はそのまま飲み込まれ、そして…

 

 

ドガァァァ!

 

暴発で、一掃されたのであった。

 

「ふぅ…1丁あがり♪」

 

そう言うと彼はアブソーバーを起こし、先程使用したカードを引き抜いた。

 

すると、彼は元の姿に戻った。

それを見た奏と翼の2人は驚きながらも、接触した。

 

「あんた、やるね。一体、何者なんだ?」

 

「俺は風の向くまま気のむくままに行動する流浪人。

だが、まぁ…この場所も悪くはないな。

俺の名は精妖 霊風(せいよう レフ)。幽霊の霊と風で、霊風(レフ)。よろしくな!」

 

奏の言った一言を青年・霊風はその明るさで自己紹介した。

 

「私は『天羽奏』。んで、こっちは私のパートナーの『風鳴翼』だ」

 

「って、ちょっと奏⁉︎なんで民間人に名前教えるのよ!」

 

「ふ〜ん?奏と翼ねぇ…んじゃ、よろしくな!」

 

それもまた運命に近づく為の邂逅だった。

 

彼・霊風との出会いを果たした翼と奏。

あの後、霊風は2人と共に特異災害対策機動部二課ーー通称・特機部二ーーに配属された。

『シンフォギアシステム』以外で『ノイズ』と立ち向かう青年の存在は、後に新たな運命を招き寄せる事になった…

 

全てはあの…2年前のライブが運命を起こした事だったかもしれない…



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5) 兆し

時の流れは新たな時を生み出す…


それは時が進み、2年前。

あの後、家に帰ってきていた憑友は、見慣れぬ顔を見て、驚かされた。

また、1人…しかもいつの間にか、家族が増えてると言う感情に。

 

しかし、話を聞いた限りでは、

肝心のその1人の名はキリトと呼ばれていて、別世界に存在する『英雄』の1人だと、言ってきたので、「嘘だぁ〜」と、言い返そうとしたが、セレナ本人がその真実を知っており、その話を聞いて憑友は一瞬、時間が止まったかのように動きを止め、そこからうって変わって、パニック状態になったのは言うまでもない。

 

しかし、時間の流れは人の本質を変える事が出来るようで…

時間が経つにつれ、それが当たり前のように感じていた。

 

ーーーー

そんなある日の事だった。

 

「え?俺から剣術を学びたい?」

 

「お願いします!師匠(せんせー)!」

 

何故こうなったのかというと、事の発端は先週の日曜の事だった。

 

その頃からすっかり家族として受け入れた憑友はキリトと共にとある山中で、アウトドアを堪能していた。

 

そんな時に熊が襲いかかってきて、憑友はパニック状態になった。

すると、キリトが背中に背負っていた黒い剣で、熊を斬り伏せたのだ!

それを見た憑友はキリトの事を憧れるようになり、

 

そして今に至るのである。

 

「俺の剣技はあんまりお勧め出来ないんだけど…」

 

そう言いながら、ぽりぽりと頬を掻くキリトを他所に憑友は完全に目が覚悟を持っていた。

 

「…はぁ。分かったよ。やりゃあいいんだろ⁉︎」

 

流石のキリトもこれには降参した。

 

因みにこう言う行為は憑友自らの物では無く、義姉セレナから教え込まれた方法だった。

つまり、キリトはセレナの覚悟の仕方に負けたのである。

…英雄としては少しみっともないである。

 

けど、いざ練習をしてみると如何だったか。

キリトの実力を前に、憑友はキリトに一撃すら与えられなかったのである。

 

「良し。今日は此処まで。明日もやるぞ」

 

「お、押忍…」

 

それからほぼ毎日。

土日祝日は予定が無い時と飯時以外は朝から夜まで、

平日は帰ってきてから夜までの時間を要した。

 

そして…

 

「はぁぁぁぁあ!」

 

ガキィン!

 

「んな⁉︎」

 

キリトの剣技を教わった憑友はあっという間にキリトに1本を取ったのだ!

 

「マジかよ…」

 

それを悟ったキリトは苦笑いを浮かべながらも、嬉しく思っていた。

かつて、自分の剣技を教えたキリトにとってかけがえのない相棒に。

 

「(ユージオ。お前、今日から兄弟子だな…)」

 

そう感じていると、キリトの身体が透け始めた!

 

「へ?…!キリト⁉︎」

 

キリトの身体の変化に気付いた憑友はキリトの所にやって来た。

 

「如何して⁉︎」

 

「あはは…。…如何やらお別れみたいだな」

 

「え?嘘…嘘だよね?…お願いだから、嘘だって言ってくれよ!」

 

あまりの出来事に憑友は追いつけなかった。

何せ、つい最近まで一緒に生活していた人が突然消える事が、どれだけ辛い事なのか。

 

しかし、それはキリトも同じである。

 

「俺は、昔、14の時に人生を大きく変えられた。信頼に足る存在、大切な仲間やフレンド、相棒、そして愛する人。

俺はそんな人生の中を生き抜いて来た。

だから、お前も頑張ってみてくれ。

心配するなって。俺は…いつでも、お前の…傍に…いるから。

お前が…憑友が…持って…いる…か…ぎ…り…な……」

 

そう言うとキリトは光となって消えてしまった…

残っていたのは、キリトの顔写真が載ってるカードだけだった。

 

「うわあぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

その日、憑友は泣いた。

まるで涙が雨のように流れ、そしてそれは枯れる事になった。

 

ーーーーーー

「…成る程。

大丈夫みたいだ。彼はこの世界での顕現していられる時間が無くなってしまったんだろう。

だが、今は彼はこのカードの中に眠ってる。

何れまたひょっこりと声を出して、目を覚ますさ」

 

「そうなんだ…良かった…」

 

その後、玄也の調査の結果を聞いたセレナは一先ず落ち着いていた。

彼女もまた、キリトに対して仲良く接してきた存在だったから。

セレナはこの事を憑友に言おうか如何か考えていた。

 

「大丈夫。憑友は君の事を信頼している。それにこの事も本当だから、直ぐにでも報告した方が良いよ」

 

「!…はい!」

 

その後、セレナから話を聞いた憑友は嬉し泣きをしていたと言う。

彼が死んだ訳では無く、カードとなって、今後も居続ける事になると言う事に。

それに伴って、ライドがフォルダケースを作成し、憑友はいつも肌身離さず持ち歩くようになったのだとか。

 

ーーーーーー

それから1月経ったある日の事だった。

それは学校の昼休みの時だった。

 

「え?『ツヴァイウイング』のライブ?」

 

「うん。響も誘ったから、後は憑友君だけなんだけど…良い?」

 

「う〜ん…日時を教えてくれないか?」

 

突然、未来から今、日本を代表する有名アーティスト『ツヴァイウイング』のライブ会場に行かないかと誘われてきたのである。

ちなみにもう響とは既に連絡済みで、快く了承していた。

 

「えっと…☆月○日だけど…その日って、開いてる?」

 

そのライブの日時を聞いた憑友はスマホを弄った。

 

「ん〜…この日は父さんと義姉さんと一緒に最近発見された石板の回収と解読の日時だな…」

 

と、生憎予定が詰まってしまっていた。

その事を聞いた未来は残念そうにしていた。

憑友も同じなようだ。

 

この時から憑友は『ツヴァイウイング』の、それも『天羽奏』の大ファンになっていた。

彼女の歌には自分と同じパワフルなボイスに魅了されて、ファンになったんだと。

 

残念そうにしていると、突然スマホから着信が来た…都合が良すぎやしないかい?

 

それに気付いた憑友は受信先を見た。

そこには「父・玄也」と書かれていた。

それを見た憑友は未来に断りを入れて、通話をした。

 

「もしもし?」

『やぁ!今は大丈夫かい?』

「別に…今は昼休みだから構わないけど…都合良い時に電話掛けてくるね?」

『あはは…。学校の流れ的な用紙を見て、時間を見たら、ちょうど昼休み時だったから掛けたんだ。

と、話を逸らす前に…

前に話していたろ?☆月○日の()()

「ん?確かその日は義姉さんと父さんと一緒に石板の回収と解読の日じゃ無かったっけ?」

『その事に関して何だけど…

☆月*日に変更になったんだ。だから、その日は特に何も無いから。それだけ言おうと思っていたんだ。

それじゃ、学校の方…お節介かもしれんが、念の為。

勉強はしろよな。以上!』ガチャッ!

ピッ!「…都合が良すぎるな、おい…」

 

なんとも都合が良すぎる内容だった。

まさかの日時変更に憑友は呆然としつつも、若干嬉しかった。

 

「如何かしたの?」

 

と、今まで黙っていた未来が話しかけてきたので、先程の電話の内容を話すと、未来は大いに喜んでいた。

憑友も同じだったので、未来からそのライブチケットを貰ったのであった。

 

ーーーーーー

そしてその日の夜、家族揃っての食事時に昼間の事を皆に話すと、皆は快く了承してくれた。

ただ…

 

『そのライブ会場。私も連れて行ってくれないか⁈』

 

「ど、如何したのライドさん?」

 

ライドのあまりのテンションに流石の皆は引いていたのだが、

セレナがその話をした。

 

「実は、ライドさんね。そのライブ会場内にもしかしたら、『英雄石板』があるかもしれないって言ってるの。

だから、連れて行って欲しいんだけど…?」

 

「へぇ〜、『英雄石板』がね〜。

分かった。但し、キリトのカードも一緒に連れて行くからね!」

 

『それに関しては問題無い!寧ろ、持っていてくれ!』

 

こうして、憑友の初めてのライブ観覧はライドとカード化したキリトと同行する事になった。

 

ーーーーーー

そして迎えた当日!

 

憑友はライブ会場に足を運んでいた。

黒のジーンズと、鮮やかな炎をあしらったシャツを着て、その上に、薄地で黒のコートを羽織っていた。

すると、

 

「…あ、おーい!」

 

「ん?あ、おーい!響!こっちだ、こっち!」

 

遅れて、響がやって来た。けど、それでもまだ開演1時間前である。

 

しかし、憑友は違和感を感じる。

そしてそれはすぐに分かった。

 

「あれ?未来は?」

 

「え?先に来ていないの⁉︎」

 

そう…肝心の誘った本人・未来がまだ会場に来ていなかったのだ。

 

「何やってんだよ…全く」

 

すると憑友はスマホを取り出し、未来に連絡を掛けた。

 

ーーpipipi…pipipi…prrrrr…prrrrr…ガチャッ!ーー

『はい、小日向です』

 

如何やら繋がったようで、憑友は話をした。

 

「憑友だけど、今ライブ会場に居るんだけど、何かあったのか?」

『それが、盛岡のおばあちゃんが体調を崩して、これから家族総出で行かなくちゃ行けなくなったの…』

「…分かった。近くに響がいる。変わるから、ありのままの事を話せよ?」

『うん…』

 

そう言うと憑友はスマホを響に渡した。

響は未来の話を聞いた時、「えええええ⁉︎」と、大声で喋ったので、憑友は慌てて周りの人達に、響の代わりに謝罪していた。

と、同時に響が通話を切って、スマホを返してきたので、憑友はそれを受け取り、ジーンズのポケットに入れた。

 

「私…呪われてるかも…」

 

と、かなりショックしていた。

其れ程までに未来と憑友と3人でこのライブを楽しみたかった様だ。

それは憑友も同じだった。

 

そしてライブ会場に入った時、憑友は響に話さないと行けない事を思い出し、その話をする。

 

「あ、そうだ。今日はライドさんも一緒に来たんだ」

 

そう言うと憑友はコートの内ポケットからライドを取り出した。

 

『うむ!久しぶりだね〜♪ミス・響!』

 

「ご無沙汰してます!」

 

実は、響は憑友の家に遊びに来た事があり、その時は未来も一緒だった。

その時に、セレナとライドの2人と出会った。

以来、2人とは顔見知りな歓迎になった。

セレナに至っては恋の相談役まで買って出たぐらいに、セレナによく2人揃って可愛がられていた。

 

…と、話が逸れたので、本題に入ろう。

 

2人と1つ(?)はその後、売店等で必要なアイテムを手に入れて、ライブ会場の方へと入って行った。

その時に、

 

『憑友。少し話がある』

 

と、ライドがシリアスな面持ちで話しかけて来たので、

響に断りを入れて、一旦会場の席から離れた。

 

そして、離れた憑友とライドは話をした。

 

「話って?」

 

『うん…

以前、前に私には兄弟姉妹がいると言ったのは、憶えているか?』

 

ライドの話を聞いた憑友は首を縦に振った。如何やら憶えていたようだ。

だが、それとこのライブ会場に何の関係性があるのかと尋ねてみたら、

 

『うん…先程から、私と同じ存在を感知したのでな。

もしかしたら、私と同じ実験をした兄弟姉妹の誰かと言う可能性があるのだ』

 

「…分かった。兎に角、今はライブを楽しもうぜ!」

 

『ああ!その通りだな!』

 

しかし、時の流れは時に残酷な時間を与える時もある…

 

これが憑友にとって平和な世界での、最後の会話になろうとは…

 

さぁ…運命の扉が開く時、それは絶望の始まりか。

それとも希望の始まりか…

それを知るものはこの世にはいない…

 

そう…()()()()()ね。




※本当は此処にはちょっとした解説なんかを書くのだが、
取り敢えず言わせてくれ。

水樹奈々さん!ハッピーバースデー‼︎


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6) 運命

原作第一話冒頭部分。


一方、此処はライブ会場のステージ裏。

そこにはたくさんのスタッフと一緒に、2人の男性が念入りにチェックしていた。

 

「では、此方で…」

 

「はい。お願いしますね」

 

「んじゃ、よろしく〜!」

 

スタッフの受け答えを丁寧に返したのは、緒川慎二と言う男で、このライブのメインであり、現在人気を博している有名アーティスト『ツヴァイウイング』の1人・風鳴翼のマネージャーである。

そして、それとは逆にフレンドリーに話すのは、依然『シンフォギア』装者を救った青年・精妖霊風であった。

彼もまた緒川と同じく『ツヴァイウイング』の1人・天羽奏の専属マネージャーとなっていた。

実はこの男、アシスト系の仕事が得意で、それによって、今ではすっかり彼女達は勿論、スタッフの皆とも親しみやすい存在になっていた。

謂わば「フレンドリーマネージャー」とでも言っても過言では無かった。

 

それを見ていた緒川は溜め息を零す。

 

「はぁ…霊風さん。少しは真面目にやって下さいね」

 

「そんな事言われてもよ?寧ろこう言う性格(やつ)程、カリスマ性に長けているって知らないか?

誰とでも気軽に話せるような…それこそ、奏みたいな存在が今のご時世には必要だし!」

 

「…はぁ。貴方と言う人は、全く…」

 

流石の緒川もこればかりはさらに溜め息を零さずにはいられなかった。

2人の性格が何処となく似ていたのは分かっていたが、此処まで来れば最早、双子みたいな感覚しかなかった。

 

「んじゃあ、俺は彼奴らの所に行って来ますんで♪後は、よろしく〜♪」

 

「って、ちょっ⁉︎…はぁ。…まぁ、こればかりは良いですかね…」

 

そう言うと霊風は後の事を全て緒川に一任させて、何処かへ行ってしまった…

それを見た緒川は止めようとするも時遅し。しかし、思考を変えて自分の仕事をし始めた。

 

ーーーーーー

さて、そんな霊風はある所に来ていた。

 

「お?いたいた。…って、頭は掻くなよ。女の髪は肌よりも大事なんだからな?奏」

 

「お?誰かと思えば、霊風じゃないか!」

 

「…あ…」

 

そこにはライブで楽しもうとしていて、さっきからうずうずしている奏と、体育座りで少し暗い雰囲気を醸し出している翼がいた。

 

「ほら、差し入れ」

 

2人はそれを見て受け取る。

そこにはクッキーとカフェオレがあった。

 

「悪いな、霊風。お前のクッキーって、本当に美味しんだよな〜♪」

 

「はいはい」

 

実はこのクッキーは霊風お手製である。

この男、趣味がスイーツ作りで、それを用いてはいつもスタッフや特機部ニの皆にお裾分けしていたのだ。

その甲斐もあってか、今では、某人気ランキング番組にて、「親しみやすいマネージャーランキング」で、初登場1位を獲得するや、そこからは王者のように防衛しているのだ。

こう言う気配りが出来る奴ほどモテるのである。

 

「…翼ちゃんは大丈夫かい?」

 

「…うん。大丈夫…」

 

「(…な訳ないか…)」

 

霊風は少し暗い感じの翼を心配した。

それに対し、翼は笑顔を向けて答えるも、霊風は完全にお見通しであった。

しかし、そこは敢えて言わず、違う話をする。

 

「…そっか。まぁ、大人の事情は大人に任せて、お前らはステージでド派手に暴れて歌って来い!

ステージに立つ、お前らが楽しんでないと、会場のオーディエンス達も楽しくなくなるぜ?」

 

「…うん…」

 

「流石、霊風!それでこそ、私のマネージャーだね〜!」

 

霊風は翼を激励した。

それによって、先程よりもマシになった。

それを見た奏は「やっぱり、私のマネージャーは最高だね〜♪」とでも言わんばかりの顔と発言をした。

少し過大評価しすぎではないかと思った。

 

すると、

 

「奏、翼、此処にいたのか」

 

会話の途切れるタイミングを図ったかの様に響いた革靴の音と、耳を打つダンディ・オブ・ダンディな渋い声音。

一聴すれば間違えようもない程に印象深く、そして威厳に満ち満ちた男の登場に、霊風の隣いた翼から「司令っ」という声が洩れた。

 

「こりゃまた、弦十郎のダンナ」

 

「いらしてたんですか、風鳴のおやっさん」

 

風鳴弦十郎(かざなりげんじゅうろう)

翼の叔父であり、霊風や翼、奏の所属する“特異災害対策機動部二課”ーー通称・特機部ニーーの司令官を務めている。

前身である“風鳴機関”共々、所属している身の上でこんな事を言うのもなんだが、胡散臭い事この上ない組織だ。

 

「今回は…言わなくても分かっているよな?」

 

「もちろん、分かっていますよ!弦十郎のダンナ」

 

「そうか。だが、霊風(此奴)に先を越された様で癪だが、俺が言える事は1つ…

思いきり楽しんで来い。ただ、それだけだ」

 

「司令…はい…!」

 

流石、弦十郎氏だ。彼のこう言う粋な配慮が彼の心の器の象徴なのかもしれない。

霊風も彼の寛大さにはいつまで経っても、頭が上がらなかった。

 

「もし、心配なら、このカード。翼に託すよ。

『翼』を羽ばたかせるには『風』を纏わせる必要がある。

これはその奇跡の一枚をな!」

 

そう言うと霊風は腰元に備わっているフォルダケースから一枚のカードを取り出し、それを翼に渡した。

翼が貰ったカードには緑の髪とこれまた緑のパーカーを羽織った1人の少女のイラストがあった。

そしてその下には、【風を纏いし少女 ミドリ】と書かれていた。

 

「良いの⁉︎こんなカード…私は…」

 

「受け取っとけよ。翼」

 

翼は否定して、返却しようとした。かつて、自分達と初めて出会った時に使用したカードで、此処までに彼の主力として使っていたカードだからだった。

しかし、それを奏が征した。

 

「翼の心配事を無くすにはこれが良いと言う霊風の考えを受け取ってくれないか?私のマネージャーはお前の事も気掛かりなんだよ。きっと」

 

 

「―――分かった、直ぐに向かおう」

 

そんな話をしていると、如何やら弦十郎氏は電話が鳴って、通話をしていたようだ。

相手は恐らくいや、間違いなくあの人・櫻井了子だろう。

 

霊風はそう感じていた。

何せ、2人の傍に居ながらも、電話越しとは言え、此処まで地味に声が届いていた事に…。

すると弦十郎は携帯をポケットに戻す。

それを見た奏は、

 

「ステージの上は、任せてくれ!」

 

と、弦十郎にサムズアップのポーズを決めた。

 

「んじゃ、俺も裏方に徹しますかね〜」

 

そう言うと霊風も又、軽い足取りで、その場から立ち去った。

 

「うん。では、頼んだぞ」

 

そう言うと弦十郎氏は自分の仕事をする為に、此処まで来た道を引き返した。

 

もうすぐライブが始まると言う緊張感。

 

会場席には大勢のファン達が自分達の曲を聴く為に来てくれていた。

勿論、その中には、今日このライブ楽しみにしてやって来た響と憑友の2人もいた。

 

「さて! 難しい事はダンナや了子さんに任せてさ、アタシらはパーっと……」

 

大きく伸びをしながら奏は言うが、未だに翼の表情は晴れない。どころか、時間が近づくにつれて更に不安な色が滲みでてくる始末。

 

そんな中でも、霊風は物陰に潜んでいた。

 

「(あんなんで、本当に成功するのかな…今回の計画(ライブ))」

 

霊風がそう考えていた。

実は今回のライブは表面上は『ツヴァイウイング』の単独ライブなのだが、

裏では、弦十郎が率いる特殊チームによる『完全聖遺物』と呼ばれる遺物・《ネフシュタンの鎧》の起動実験が進行していたのだ。

 

詳しい内容は霊風本人はあまり知る必要が無いと判断したので、忘れたが、重要な事が一点だけ。

それは、

今回のライブで、完全聖遺物を起動する事が出来れば、人類に希望の未来がやって来ると言う事だけ。

 

人類の未来だとか、世界の命運だとか…………兎角、そんな御大層な見えない重圧に押しつぶされそうになる(コイツ)を、果たして誰が真実“見て”やっているのだろうか?

 

答えは、翼を後ろからギュッと抱きしめてやっていた。

 

「ッ…………」

 

「マジメが過ぎるぞ、翼? あんまりガチガチだと、そのうちポッキリいっちゃいそうだ」

 

「奏……」

 

家族にも言えない重圧がある。

家族“だからこそ”言えない事が、翼にはいっぱいある。

 

小さい頃から戦姫として戦う事を余儀なくされてきた翼にとって、今や唯一の肉親である司令は二課の責任者。

そんな司令の立場を考慮して―――コイツはずっと、一人でその重荷を背負い込み続けてきた。

だが、そんな翼を奏は変えてくれていた。

 

肉親である司令にも、出来なかった事を、霊風がマネージャーを務めている相棒・奏はやってのけた。

奏のマネージャーである霊風にとっては、嬉しく思っていた。

 

「アタシの相棒は翼なんだから……翼がそんな顔してると、アタシまで楽しめない」

 

手を握り、互いの温もりを確かめ合う様にしながら翼が口を開く。

 

「……私達が楽しんでいないと、ライブに来てくれたみんなも楽しめないよね?」

 

「分かってんじゃねぇか」

 

「――――――奏と一緒なら、何とかなりそうな気がする!」

 

仲良き事は美しき哉、とは誰が言ったのやら…

 

「(……やれやれ、杞憂過ぎたな)」

 

何だか良い雰囲気になっている二人の邪魔をするのも何となく無粋な気がしてならなかったので、霊風はそのまま、緒川のいる所へと向かった。後は2人に任せよう。そう信じて。

 

去り際、後ろ姿だけではあったが確認した――――――手を握り合い、大空へと飛び立つ決意を固めた二人の雄姿にエールを送りながら。

 

 

しかし、それが平和な世の中の出来事の最後になろうとはこの時の彼等は知らなかった…

 

すぐそこまで、ノイズ(災厄)が迫ってきている事に。

 

 

ーーーーーー

そして、会場にいる響と憑友はこの周りを埋め尽くす人の賑わいぶりに感化されていた。

 

もし、開演でもしたら、如何なるのだろうか?と。

 

しかしそんな2人の疑問は、やがて照明が落ち、ステージに光が灯った瞬間に興奮と共に飛び去った。

 

 

前奏が始まった瞬間、巻き起こる歓声に数瞬とまたずに会場のボルテージは一気にMAXとなる。地上に人々のオレンジ色の光が溢れたかと思えば、天上から降りしきるのは純白の輝きと無数の白い羽。その中を飛ぶ様にして降り立つ二人の少女――――――風鳴翼と天羽奏の姿に、観客の興奮は極限まで高まった。天使の様に優美な姿は会場中央の十字路の真ん中へと降り立ち―――そして、“歌”が響き渡る。

 

それは、単純に1+1から導き出される従来の二重奏(デュエット)を遥かに超えた歌声。世界を創造した天壌の女神にも似た輝きが、歌声と共に耳から、目から、口から――――――五感はおろか、細胞の一つ一つに至るまで突き立てる様な音の力となって襲い来る。

躍動(ビート)は天をも衝かん程に高鳴り、駆ける二人がメインステージを背にした瞬間、音が消える。

 

――――――天井に奔る無数の光が空を割る。

 

違う、割れた先に出ずる夕陽の輝きこそが本物の天空(ソラ)。割れた天井はそのまま翼の様に広がり、少女達の羽となって輝いた。

逆光の夕陽は世界を照らし、少女達を祝福するかの様に雄大な輝きを放つ。翼を広げ舞い踊る二人は、手に手を携えて遂に羽ばたく。

 

それはまるで壮大な叙情詩の様であり、であれば天に祈る様な二人は差し詰め御伽噺の主人公、といった所だろうか。

 

時間にすればたったの数分。

しかしその数分の内に響の中を駆け巡ったのは、荘厳な神話の創生から終端に至るまでの永い物語。女神の誕生から翔躍へと向かう、余りにも美しく力強い詩(うた)。

 

「(ドキドキして、目が離せない……!)」

 

周囲の遍く観客が未だに興奮冷めやらぬ中、響はステージの上に立つ二人にジッと見惚れていた。

 

「(凄いよ……これが“ライブ”なんだ!!)」

 

初恋にも似た感覚。

激情の様に押し寄せるそれに酔いしれて、気づけば響は二人の―――“ツヴァイウィング”のファンになっていた。

 

それは憑友も同じだった。いや、彼は更にその上を行っていた。

 

「(すげぇ…すげぇよ!こんなにも胸を焼き焦がすような熱いビート!俺の魂が今すぐにでも、叫びたいと騒いでやがる‼︎

俺、あんた達の歌が好きだ‼︎1番好きだ!)」

 

更なる高揚とと共に、一曲目が終わった。

 

「まだまだ行くぞーーーッ!!」

 

観客の興奮に応える様な声に、響と憑友は腹の底から興奮が込み上げてくるのを感じた。

 

滾るそれを抑える必要も意味もない。

思いっきり、今という時間を楽しもう。

 

 

――――――それが、幸福な“日常”の終わりであろう事など、今の彼女と彼は知る由もなかった。

 

悲劇の扉は開かれてしまったから…



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7) 悲劇/死

サブタイは悲劇/(と)死と呼ぶ。


会場の雰囲気が最高潮に達したその時だった…

 

突然、中央の模型が爆発を起こした!

それを見た観客達は慌て出した。

 

それは勿論、憑友と響も同じであった。

 

「なに…?」

 

「サプライズにしては、派手じゃないか…?」

 

観客の慌てぶりに動揺する響と、

こんな時に限って、ボケをかます憑友。

 

『⁈レーダー感知⁈…⁉︎『ノイズ』だと⁈』

 

「「⁉︎」」

 

ライドの機能の1つのレーダーにまさかのノイズが感知していた。

 

「憑友…」

 

響は怯えていた。憑友も本当は怯えていたい。けど、彼は逆に響の手を握った。

 

「先ずは此処から走ろう!」

 

「う、うん!」

 

そう言うと2人は急いで会場を後にしようとした。

 

しかし、上空から何かが降ってきて、2人行く手を阻んで来た。

それがまさかのノイズだと気付いた2人は急いで来た道を逆走しようとしたが、直ぐ後ろにもノイズが来ていたのだ。

最早、絶対絶命だったその時だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Croitzal ronzell gungnir zizzl…」

 

 

憑友はその詠を聞いた。

するとステージ側の方から何かの光が現れて、そこから無数の槍が降る光景を見た。

すると、

 

「伏せろおぉぉぉ!」

 

「っ‼︎」

 

「うぇっ⁉︎」

 

突然の出来事に、憑友はすかさず響を自分の方へと寄せて身を屈ませた。

それに対して、何がなんだか分からない響は動揺を隠せなかった。

 

すると、此方の方に数多の槍が降り注いで来た!

 

ーSTARDUST∞FOTONー

 

その攻撃で、ノイズ達が消滅した。

 

するとその槍が降ってきた方向から1人の女性が現れた。

服装がステージ衣装からボディスーツと機械的な装備を身に纏った女性だった。

 

「速く逃げろ!」

 

その女性が叱咤が飛び、憑友は急いで離れようとした。

その時、それを言った本人を見て驚いていた。

 

「え?…奏さん⁈」

 

なんと、つい先程まで歌を歌っていたアーティスト・奏だった。

 

「今はそれよりも速く!」

 

そう言うと奏は再びメインステージの方へと赴く。

そこには青い髪と水色のスーツボディを(いつの間にか)着用していた翼もいた事に驚いていた2人。

 

「これって…」

 

憑友はそう言うと、ライドが話しかけてきた。

 

『あれが都市伝説にもなっている『シンフォギア』を纏いし者達か⁉︎まだうら若き少女達ではないか⁉︎』

 

確かにライドの言う通りである。

まさか、日本が誇れる有名アーティスト『ツヴァイウイング』の2人が、まさか都市伝説として語られている『シンフォギア装者』だという事に。

この時の2人はただ、そればかり眺めていた…

 

ーーーーーー

そんな2人を他所に、翼と奏の2人は『ノイズ』を殲滅していた。

しかし、それでもやはり、無力な民間人が炭化されて行くのを見ると、正直辛いに越した事が無かった。

 

「きゃぁぁあ‼︎」

 

そうしていると、1人の女性が悲鳴をあげていた。

その視線の先にはノイズがいた。

 

2人はそこまで行こうとするも、他のノイズ達に足止めを食らってしまっていた。

しかも、よく見てみると、女性のお腹が少し膨らんでいた。

まさかの妊婦であった…!

このままでは、お腹の子供まで死んでしまうかも知れない状況だった。

最早、絶対絶命!その時だ!

 

シュッ!グサッ!

 

『☆○⁉︎』

 

「⁉︎」

 

突然、自分を襲おうとしたノイズが自ら炭化して、消えた事に驚いた。

すると、後ろから駆ける足音がして、そこから2人の男が彼女の元にやって来た。

 

「大丈夫ですか⁉︎」

 

「は、はい…」

 

「緒川さん!俺は彼奴らの援護に行きます!」

 

「気を付けて!」

 

「あいよ!」

 

すると、もう1人の男が今ノイズと戦っている奏達の方へと走って行った!

 

それを確認した緒川は女性をお姫様抱っこするや、其処からすかさず高速移動した。まるで忍者のように。

 

緒川はこう見えて、元は忍の者で、代々翼の家系である「風鳴家」に仕えて来たのだ。

その身のこなしにより、急いで離れることにした。

 

そんな中、もう1人の男・霊風は戦場と化したメインステージにスーツ姿で現れた。

すると、霊風は懐から電子機器・スピリットアブソーバーを起動させた…!

 

ノイズ共(お前ら)!俺が来たからには、容赦はしないぞ‼︎」

 

流石の「フレンドリーマネージャー」でも、これには怒りを露わにしていた。

此処までに多くの人々が炭化されていったのを見て、怒りを抑えられていなかった。

 

すると、霊風の後ろから何かが現れた…幽霊のように。

 

「あまり無茶はしないで下さいね?」

 

そう言って来たのは1人の青年だった。

群青色の髪、白いローブ、木で出来た杖を持っていて、まるで賢者のような存在だった。

 

「分かってるよ、シロエさん。貴方なら、この先の未来で、勝利をする事が出来ますか?」

 

霊風はそう言ってきた。

青年の名はシロエと言っていた。

すると、シロエは自身が身に付けている眼鏡を動かした。

 

「勝率ははっきり言って、上手くいっても半分以下。最悪0になり兼ねないぐらいにまで此方としては劣勢ですね。

ただ、予想外な事をすれば…」

 

「おい、それって、2人の内の何方かが"絶唱"を使えってしか聞こえないぞ!それで得た勝利はいらねぇよ!」

 

シロエの戦略に霊風は叱咤した。

 

「僕は"絶唱"と言うワードは使っていませんが…兎に角、今は彼女達を救う事が最優先です。行きます」

 

「…あぁ…」

 

そう言うと霊風は右腰に備えてあったフォルダケースから一枚のカードを取り出した。

そこには先程の幽霊と同じような格好をしたので青年のイラストがあった。

 

「行くぜ!スピリット!」

 

『それじゃ…Are you ready?』

 

そう言うと霊風は左腕にアブソーバーを装着し、画面を起こした。

そこに先程のカードを装填し、

 

「変身!」

 

そしてレバーを引いた!

 

ースピリット!フォーム…シロエ‼︎ー

 

そう言うとディスプレイから杖を持った白いローブを羽織った者が現れ、霊風はそれを纏った。

 

ー屈指の参謀、腹黒眼鏡!ー

 

そう言うと霊風は白いローブと眼鏡を掛け、杖を持っていた。

 

「"見つめる先は30秒先の未来"、腹黒眼鏡・シロエ推参ってな!」

 

そう言うとそこから杖を前方に突き出した。

 

「"アストラルバインド"‼︎」

 

そう唱えると、ノイズ達が光の楔で身動きを封じられた!

 

それを見た奏達は一斉に攻撃をする!

 

「サンキュー!霊風!」

 

「マネージャーとして言わせるなよ!「あまり無理はすんなよ」って」

 

「分かってる分かってる!」

 

「そう言う時のお前は分かってない!」

 

「た、確かに…」

 

「って、翼⁉︎それ、あんまりすぎるんじゃない⁉︎」

 

「さっさと終わらせるぞ!棘の楔に朽ち果てろ!

"ソーンバインド・ホステージ"‼︎」

 

そう雑談を繰り返しながら、数多の敵達を薙ぎ倒す3人。

 

すると、ノイズの1体が3人とは違った方向に行っているのを見て、3人は視線を追った。

そこには、

 

ドガァァァ!

 

「きゃぁっ‼︎」

 

「⁉︎響ぃ‼︎」

 

なんと響と憑友の2人がまだそこにいたのだ!

 

しかも、それに気付いたのか、ノイズ達は一斉にそちらの方へと向かって行く!

しかも、響は先程の落下で、足に怪我をしてしまった!

 

それを見た奏は急いでその場へと駆け抜ける…だが!

 

「!…っち!時限式は此処までかよ‼︎」

 

そうぼやきながらも、急いで響の方へと駆け付ける!

 

奏の言っていた時限式とは、装者とその聖遺物の謂わば強制共鳴装置の事である。

しかし、これはあまりにも危険で、かなりの精神力と体力を削ぐ謂わば"呪いの力"であった。

 

それでも、奏は自分の人生を狂わせたノイズを憎んでいた。

そしてそれは自ら纏ったシンフォギアが応えてくれた。

 

奏の纏っているシンフォギアの名は『ガングニール』。

神話に出る神・オーディンが使用した槍・「グングニル」が元になっている聖遺物だ。

 

故に彼女はその力を発揮させていた。

 

「!あの馬鹿!」

 

そう言うと霊風はアブソーバーからシロエのカードを取り出し、フォルダに戻すと同時に今度は別のカードを取り出した!

赤い槍を持った青いボディスーツを纏った青髪の男のイラストだった。

すると、今度はそのカードを装填し、レバーを引いた!

 

ースピリット!フォーム・ランサー‼︎ー

 

そう言うと今度は前方を塞ごうとノイズ達が足止めをしていた。

だが、それは瞬く間に炭へと化した。

何故なら、先程装填したカードを呼び出したからだ。

すると、今度はそれを纏った。

 

ークランの猟犬!光の皇子!ー

 

そこには、先程とは一風かわって、青い姿をした霊風がそこにいた。

 

「邪魔だ!どけぇぇぇ!」

 

荒々しい口調を言いながら、ノイズを薙ぎ倒し、奏の後を追う霊風。

 

「これでも喰らえ!

てめぇらの心臓(コア)…貰い受ける!」

 

そう言うとディスプレイに付けられていたドライブボタンを拳で叩いた。

 

『スピリット・ランサー!フルドライブ‼︎』

 

そう言うと動きながら、姿勢を下に落としそこから一気に詰め寄り、

 

刺し穿つ(ゲイ)死棘の槍(ボルク)‼︎」

 

一気に突いたのだ!

そのおかげで、前方範囲のノイズ達は一掃された。

そこから槍を巧みに扱って、奏の所までやって来た!

 

「あんた、槍も扱えるのかよ⁉︎」

 

「長柄系統武器なら何でも♪っと、んな事よりも言ってる場合じゃねぇ…手を出せ!」

 

そう言うと霊風は左手を出した。それを見た奏はそれに気付き、すかさず手に取る。

すると霊風が奏の前に出たと思ったら、急停止と同時に、奏を飛ばしたのだ!

 

「行って来いやー!」

 

「うぉぉぉ!」

 

それをすると奏は響に襲いかかろうとしたノイズ達を防ぐ事に成功する。

奏は急いで後ろにいた響に、「走れ‼︎」と叱咤し、響もそれでハッとなって走り出す。

 

「響!彼処から回って来い!」

 

近くにいた憑友も響の後を追った。

 

しかし、此処に来てノイズ達が特攻を仕掛けてきたのだ‼︎

それを見た奏はすぐに槍を回転させて盾のように扱った。

しかし、それと同時に身に纏っている機械部分に傷が付き始めてきた!

 

すると追い打ちを掛けるかのように大型ノイズがヘドロに似た何かを吹き出した。

其れを奏は防ぐが、そこにもう一体の追撃が襲いかかって来た。

それでも、守ろうと必死になった。

そしてその衝撃で、下半身の機械部分が壊れて、吹き飛ばされた。

しかし、それが仇となった…

 

…グサッ…‼︎

 

「…ぇ…?」

 

「⁉︎…響ぃぃぃ‼︎」

 

「⁉︎」

 

それはあまりにも酷い不運だった…

 

奏が纏っていた機械の一部が、後ろにいた響が此方に振り向いた時、胸元に刺さってしまったのだ…

 

それを見た憑友は叫びながら、響の元へと走り抜ける。

そしてそれは奏もそうだった。

 

「響!しっかりしてくれ!」

 

「おい!しっかりしろ!目を開けてくれ!

 

生きるのを諦めるな!」

 

2人の声が聞こえたのか、響はゆっくりと目を開けた。

だが、その瞳にハイライトは灯されていなかった。

 

生きてるのを確認した奏はすぐにその連れであろう少年にこう言った。

 

「ごめん…私がいながら…」

 

「?…奏さん?」

 

「だから、あんたも聞いて欲しいんだ…私の最後の曲を…」

 

「え?」

 

そう言うと奏は近くに置いてきていた槍を取り、ノイズ達の方へと歩み寄った。

 

「いつか…心と身体を空っぽにして、歌いたかったんだよな…」

 

そう言いながら、徐々に場を縮める奏。

 

「今はこんなに沢山の連中が聞いてくれるんだ。だからあたしも出し惜しみ無しで行く」

「取って置きのをくれてやる。絶唱を!!」

 

すると奏は持っていた槍を掲げて、詠い出した…

 

ーGatrandis babel ziggurat edenal…ー

 

「この詠…まさか⁉︎」

 

『絶唱するつもりなの⁉︎奏ちゃん‼︎』

 

ーEmustolronzen fine el baral zizzl…ー

 

「力強い…なのに、悲しい曲…」

 

『これは…まさか自爆するつもりじゃないだろうな⁉︎』

 

「⁈」

 

ーGatrandis babel ziggurat edenal…ー

 

「いけない!奏!歌ってはダメぇぇぇ‼︎」

 

「………歌が……聞こえる?」

『そうさ。命を燃やす最後の…歌さ』

ーEmustolronzen fine el zizzlー

 

そうして、奏は禁忌とされた力・絶唱を放った。

すると、奏の周りから白い炎のような物が現れると、そのまま鎧が弾け飛び、衝撃波がノイズ達に襲いかかった。

 

「うわぁ⁉︎」

 

それにより、憑友は響を庇いながら、その衝撃を耐えた。

 

そして見た光景は、先程までいた数多のノイズが消え、そして中心部に奏が倒れており、翼と霊風が奏を介抱していた…

 

「嘘だろ…」

 

だが、それはあまりにも残酷だった…

3人の所に来た憑友は奏の姿を見て、吐き気に襲われた。

 

奏の身体はもうボロボロで、眼も既にハイライトが届いていなかった。

更によく見てみれば、声さえ聞こえていないようだった。

 

それを見た憑友は酷く悲しんでいた…

 

ーーーSIDEto憑友

 

何でだよ…

 

何で、あんたって人は、こんな事を平然としやがる…

 

ついさっき自分から言っていたじゃないかよ…

 

『生きるのを諦めるな!』って。

 

それなのに、言った本人が生きるのを諦めたら…意味無いだろが!

 

そう感じていると俺は無意識に奏さんの手を取っていた…

すると、奏さんは俺の方向を向いた。

 

「…あの子を大事にしてくれよ…あの子はお前の事…」

 

分かっている。分かっているさ。

俺はあいつとは親しい仲さ。けどな…

 

「それは…出来そうに無いかな…」

 

「…え?」

 

何でか分からなかった。けど、今の俺の中に眠りし何かが今まさに産声を上げようとしていた…

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」

 

ーーーNO SIDE

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」

 

突然、憑友は雄叫びを上げた。

するとそれを見ていたスピリットが何かを感知した!

 

『⁉︎い、異常反応⁈先ずい!霊風!急いでその子から翼ちゃんと共に離れて‼︎今すぐ‼︎』

 

「っ⁉︎…!」

 

「⁉︎霊風⁈離して!」

 

スピリットの真意を知らない霊風はそのまま従い、翼を無理やり抱き抱え、その場から離れた。

 

すると、それと同時に、憑友の身体のあちこちから…

 

 

ボォォォォオオオンッ‼︎

 

何と、灼熱の炎が出て来たのだ!

 

「⁉︎奏…奏ぇぇぇぇ‼︎」

 

それを見ていた2人は驚きようが無かった。

 

ーーー

一方、その灼熱の炎の中心部にいた憑友ともはや風前の灯火となっていた奏。

すると、彼等の前に巨大な存在が現れた…

 

「お主の願いはなんだ?」

 

それは一羽の鳥だった。

羽根が炎のように舞い上がるその光景に憑友は心を奪われた。

 

「お主の願いはなんだ?と言っておる。我の問いに答えろ少年」

 

「え…あ」

 

その光景から呼び戻したその者は憑友に質問をしていた事に気付いた。

人では無いのに、どうして気付かなかったのかは置いておきたい。

 

「我が名はエンシャン。お主の願いはなんだ?」

 

その鳥ーーエンシャンと名乗っていたーーの質問に憑友はこう答えた。

 

「俺は…この人を救いたい‼︎」

 

「そうか。なら、救ってみせようぞ」

 

「⁉︎本当に⁈」

 

するとその鳥が憑友の願いを叶えると言ったのだ。

だが、

 

「但し、条件がある」

 

そう簡単に行く訳がないのは事実であった。

憑友はその話を聞いた。その内容が…

 

「これを使うにあたり、お前の命と引き換えにこの女子(おなご)を救う事が出来る。但しそれ即ち、お主の命が無くなると言う事だ。

それでも良いのだな?少年?」

 

あまりにも理不尽すぎる内容だった。

今、命を散らそうとしている人の命を自分の命と交換して、自分が死ぬ代わりに、彼女を生き返らせると、エンシャンがそう言ってきたのだ。

しかし、この男はすでに決まっていた。

 

「…お願いします。彼女を…天羽奏を救って下さい!

俺が命を捨てる事で彼女が救える事が出来るなら、それが本望です。

ですから、お願いします!彼女を生き返らせてくれ‼︎」

 

憑友の覚悟を見たエンシャンは更に追い打ちをかけるような事を言い放つ。

 

「さすれば、彼女の辛い人生を全て受ける事になるぞ?それでも良いのだな?」

 

「俺の覚悟はもう決まってる!こんな程度でへこたれてる場合かよ!」

 

それを見たエンシャンは憑友の覚悟を確かに受け止めた。

 

「お主の覚悟、見させてもらった!良かろう!お主の命を頂く代わりに、この女子を蘇らせようぞ‼︎

 

はぁぁぁ‼︎」

 

そう言うと鳥は左の羽で、奏の身体をみるみると回復させていった。

対して、

 

「⁉︎…うがぁぁぁぁ⁉︎ぐはぁぁぁ⁉︎あ…がぁぁぁ⁉︎」

 

憑友には今まで奏が受けてきた痛みが今、まさに一斉に襲いかかったのだ。

 

そして、全てが終わった。

 

「お主の願いは確かに叶えたぞ」

 

そう言うと鳥は周りの炎と共に消えていった…

 

そこには、聖遺物が完全に消えて、元のライブ衣装に戻っていた奏と、

まるで奏が受けてきていた全ての痛みを受け、完全に命の灯火となった憑友だけだった。

 

それを見た2人は急いで奏の所へとやって来た。

 

「奏!奏!」

 

必死に彼女の名を言う翼。

霊風も、彼女と同じような事を言う。すると…

 

「…っく…う…此処…は…?」

 

「⁈…奏‼︎」

 

奏が目を開けた。それもちゃんとハイライトも灯して。

 

「翼…か?…あいつは…⁉︎」

 

そして、奏は横を振り向いた。

そこには、先程まで無傷だった筈の少年・憑友がまるで自分の体の痛みを全て受けたような姿をしていた。

 

「おい!しっかりしろ!」

 

「…良かった…元気に…なったん…ですね。

良かった…」

 

「良くねえよ!なんでお前が!お前が私の分の痛みを⁉︎取り敢えず、喋るな!良いな!絶対に喋るな‼︎」

 

「なんで…?…簡単…です。

…俺は…あんたの…ファン…だからですよ…」

 

「⁉︎」

 

「俺は…貴方の…声を聞いて…彼処まで…熱い曲を…歌ってる…貴方が…私は…好きでした。

だけど…それも…今日で…終わり…みたいです。

すみませんが…彼奴…響の事を…お願い致します。

彼奴もいなく…なると…大事な…幼馴染が…おかしくなりそうなので。」

 

そう言っていると、徐々に彼の右足が炭へと化している事に気が付いた!

 

「⁉︎喋るな!まだ助かる方法がある!だから…「もう…無理ですよ」…え?」

 

「俺は…貴方を救う代わりに…己の命を…捨てました。

だから、此れからは響の事を…お願い…します。

後は…家族に言って下さい…御免なさい。今日から…我が家に帰れそうにないって」

 

すると、今まで黙っていたライドが口を開かせた!

 

『逝くな!憑友!お前が居なくなれば、私は今後どうすれば良いんだ‼︎

憑友と言う大事な場所を得た私は今では君と共に行動しないと意味が成さなくなっているのだ!

だから、死ぬんじゃない!お願いだから…逝くな!』

 

「あはは…我儘な…電子機器だな。…でも、御免な、ライドさん。

俺は…もう…長く生きそうに…ないや」

 

ライドの必死の抵抗も結局無意味となった。

 

すると最後の力を振り絞り、憑友はフォルダのカード内に入っていたカードと、ライドを外して、奏の手にそれを渡した。

 

「響が目を覚ました…ら…コレを…こいつらを…お願いします。

必ず…渡してくださいね…」

 

「‼︎おい、それはお前がやる事だろ!だから、死ぬな!生きるのを諦めるな!」

 

「へへへ…最後の最期で、奏さんに…怒られるなんてな…

ようやくスッキリした…父さん…母さん…義姉ちゃん…ライドさん…未来…そして、響…

楽…し…か…っ…た…よ…」

 

そう言うと憑友の身体は全身炭と化して、そして風と共にこの世から消えた…

その後、憑友の死を家族に聞かせたら、セレナや玄也が落ち込み、ジャンヌに至っては、その日以降、手術をするのを恐れてしまい、医者としての実力を失ってしまった…

 

ーーー

天羽奏と言う本来の史実(原作)では死ぬ運命の者が、

人絆憑友と言う違う史実(イレギュラー)によって変えられた。

 

この日、『ノイズ』の被害者数が過去最大となった。

そして、その中には、奏の命を救い、この世から去った憑友もその数にいた。

 

そして響は、治療室にて、摘出手術を受けていた…

 

「…生き…て…る……」

 

ーーー

そして、奏を救い、代わりに死んだ男・憑友はと言うと…とある場所に着いていた。

 

「痛てて…此処は?」

 

そこはなにもない真っ白な空間だった。

すると、

 

「此処は天国と地獄の狭間謂わば境界線の間柄と言う場所だ」

 

そう言うと1人の若い男が歩いてきた。

 

そして此れが後の世の始まりだと、この時の憑友は知る由も無かった…




いよいよ次回でようやくプロローグ終了。


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エピローグ) 物語の始まり

プロローグ編終了。…長い。


ーーーSIDEto憑友

「痛てて…此処は?」

 

俺は周りの様子を見てみた。

あれから痛みが全く感じられない所を見ると、如何やら死んでしまったようだ。

けど、此処は一体…?

 

「此処は天国と地獄の狭間謂わば境界線のようなものだ」

 

と、後ろから声がしたので、振り返ると、そこには如何にも神ですと言う風貌を醸し出している青年がそこにいた。

 

「風貌とはなんだ、風貌とは!此れでも歴とした神なんだよ!」

 

あれ?俺、声出してたっけ?

 

「安心しろ。お前の心の声は筒抜けだ」

 

全然安心出来ねぇ⁉︎と言うよりも…

「人の心の声を盗み聞きするんじゃねぇ⁉︎」

 

「はいはい。そんな事はほっといて、話を進めるぞ〜」

 

そこでスルーするか⁉︎なぁ!

 

「先ず、お前の事なんだが、単刀直入に言うと、またあの世界に帰れ!良いな?」

 

・・・はい?

「それ、如何いう訳?」

 

「お前にはあの世界でやって欲しいことがあるんだよ。

その為にまた、元の世界に戻してやると言っているんだ。

本来なら、そんな事は異例に反しているんだが、急務なのでな。特別に許可してくれたんだよ」

 

はい〜そうなんですか〜?

と言うか、俺の身体もう無いんですけど?

 

「棒読みで読んだのは歪めるが、今はそれどころじゃないので割愛させて貰おう。

それと、肉体の方は半分幽霊…まぁ妖みたいな者だと、そう思えば良い。その肉体を使用する。

見た目はお前そのものだし、拒絶反応もしないぞ?」

 

なんですか、そのチート性能…

「んで、そんな俺にやって欲しい事って?」

 

しかし俺はすぐに思考を切り替えた。

もう場の空気で分かっちまったから。

これ、否定権が無いなと言う事に。

 

「別に案ずるな。お前にはとある物を集めてきて欲しい。

お前の世界で言うところの『英雄石板』に関するものだ」

 

「⁉︎」

英雄石板だって⁉︎なんであんたが⁉︎

 

「お前にはその『英雄石板』の内に入っている"9つの石板"を集めて欲しいんだ。

そうすれば、お前は元の世界で元の肉体に戻り、普通の生活に戻れる事を約束しよう」

 

…それマジ?

 

「ああ。それと、お前が元の世界に戻るにあたって、お前が立派に任務を遂行しているか如何かを見る為にお目付け役をくれてやる」ブンッ!

 

そう言うと神は何処からともなく1人(?)のお目付役を無理やり投げてきた…

投げるって、なんだよそれ…。

 

「何すんだよ〜⁉︎」

 

おまけに喋ってるし…あ、いや喋ら無いと意味無いか。

と言うより…

 

「…ユルいな…この幽霊…」

 

そう。まさかの幽霊っぽい奴がお目付役だった。

 

「ユルいとか言うな‼︎俺様の名はユルセンだ‼︎」

 

「え?許せん?赦せん?」

 

「何方ともアクセントと発音違ーう!ユ・ル・セ・ンだ‼︎」

 

名前はユルセンと言うらしい…

え?【幽霊ライダー】にも同じ名を持っている奴がいる?

まぁ、見た目も…似てると思うけど…多分、別人だと思う…うん。

 

「因みに、期限は2年と半年だ。それ以上居続ければ、悪霊みたいになる。良いな?」

 

2年半…長いようで以外と短いな…

 

「大抵そんなものだ。と言う訳だから、ユルセンの事頼んだぞ?」

 

そう言うと神の近くから紐がいつの間にか降りて来ていて、神はすぐにそれを引っ張った…え?

 

ガシャンッ!

 

…あれ?足元が何も感じない…え?

 

「じゃ、行ってら〜」

 

「嘘だろ〜⁉︎」

 

このまま真っ逆さまに落ちてしまったのであった…

まだ聞きたい事山程あったのに〜〜⁉︎

 

「因みに夢の中でなら、何時でも逢えるからな〜」

 

んじゃ、絶対に覚えてろ〜!

そう言うと俺はそのまま地上へと落ちて行った…

 

ーーーNO SIDE

一先ず、彼・憑友を現実の方へと送った神。

するとそこに1羽の鳥がやって来た。エンシャンだった。

 

「お前はこれで良かったのか?」

 

「さあね。彼奴の運命は彼奴自身が決める事だ。

俺はそれの手伝いに過ぎん」

 

そう言うと神は何処かへと消えた。

 

「…お主の活躍…期待しておるぞ…」

 

そう言うと1羽の鳥は翼をはためかせ、飛翔したのであった…

 

ーーー

さて、一方の憑友はと言うと、なんとか地上へと戻ってこれたのだ。

 

「流石に痛い目にあった…でも、サンキューな。ユルセン」

 

「応よ!」

 

憑友が地上へと落ちる際に、ユルセンのアドバイスを聞いて、なんとか無事に地上へと降りてこれたようだ。

 

「此処は…「自然都会」か?」

 

そして憑友は辺りを見渡すと、そこは如何も自分にとっては懐かしい風景の「自然都会」の場所だった。

 

「因みになんだけどさ?」

 

「?」

 

「今の時間はお前が死んで約2週間過ぎた辺りだぜ〜」

 

「に、2週間⁈」

 

それは唐突であった。

ユルセンが今のこの時間を調べてくれてたらしい。

如何やらあのライブ会場の悲劇から2週間が過ぎたばかりだったようだ。

 

それに驚いていたら、

 

「別に構わないんじゃ無いかしら?」

 

「…は?」

 

後ろから声が聞こえたので、振り返るとそこには1人の少女がいた。

黒いストレートヘアーと、黒と白を基調とした服装を着た少女だった。

 

「…あんたは?」

 

「ほむら。暁美ほむら。それが私の名前」

 

少女・ほむらはそう言った。

 

「それよりも、今は貴方の帰るべき場所に行ったら如何?」

 

「帰るべき場所?…あ」

 

ほむらの言われた事を考えた憑友はすぐにその答えを出した。

此処は「自然都会」。

此処には自分の家があると言う事に。

 

 

ーーー

そして憑友は2週間ぶりとなる我が家の前にやって来ていた。

 

「…」

 

しかし、憑友は中々勇気が出なかった。

無理も無い。いきなり死んだ身なのに、半分妖怪みたいな姿になって帰って来たら、誰だって近寄りたく無いと思うに違いない。

 

「貴方の家族はそんな程度の愛しかないの?」

 

「え?」

 

「貴方の両親からもらった愛情はそんな程度じゃ無いはずよ。

信じなさい。貴方の家族を」

 

しかしそんな事はほむらの一言で全て流されていった。

憑友は軽く頷くとインターホンを鳴らした。

 

ピンポーン…

 

「はぁい!」

 

「!」

 

声からして、セレナであった。

するとドアが開き、そしてセレナが顔を出してきた。

 

「どちらさ…ま…で?」

 

そこでセレナは、驚いていた。

何せ、今目の前には2週間前に死んだ筈の義弟そっくりな少年がいたから。

 

「え、えっと…その〜…」

 

憑友はしどろもどろで何か言おうとしたのだが、セレナはそんな憑友をほったらかしにして、憑友の周りを見る。

そして、

 

「…憑友…なの…?」

 

「…うん。…遅くなり過ぎたけど…ただいま、セレナ()()()()

 

「‼︎…憑友ー‼︎」

 

「うわあ⁉︎」

 

これによりセレナは確信した。今目の前にいるのは紛れもなく自分の義弟の憑友だと言う事に。

 

それを遠くから見ていたほむらは少し笑顔を見せていた。

そんなほむらの所にユルセンがやって来た。

 

「本当に良かったのか?」

 

「ええ。彼は英雄達を導く存在だから。それに…彼にはなって欲しく無いのよ。…(私みたいに)

 

「?」

 

最後に言った一言をユルセンは聞き取れなかったが、今はこの嬉しい事を見守る事が必要だと言う事なのだろう。

 

 

ーーー

その後、玄也とジャンヌも家に帰って来て、2人はセレナがあまりにも笑顔を振りまいていたので、その真意を問うと、セレナはそのまま2人を居間へと連れて来させられた。そしてそこにまさか自分達の息子である憑友がいた事に驚きつつも、感動の再会を果たした。

 

そして憑友は今の自分の置かれている立場をありのままに家族全員に話をした。

 

「そんな…!」

 

「それじゃあ…貴方はまだ半分死んでいると言う事なのね?」

 

「そうか…」

 

上から、あまりの出来事にショックするセレナ。

哀しみよりも、冷静が勝った母・ジャンヌ。

そしてただ一言で済ませてしまった玄也の3人が其々そう言った。

 

「ただ、可能性があるんだ。

今、父さんと義姉さんが携わっている『英雄石板』の中から9つの石板を探さないといけないんだ…」

 

「9つ⁈今ではもう300もある石板の中から特徴も知らない9つの石板を探さないといけないの⁉︎」

 

「しかも、それを2年半の内に全て探さないといけないのか…」

 

あまりにも無謀に等しい事だった。

すると、玄也は携帯を取り出すや否や、とある場所に連絡を入れた。

 

ガチャッ!

「あ、もしもし。玄也だけど…うん。久しぶり。

うん…実は如何しても早急に調べ無いといけないんだ。

…うん。コピーさえ貰えればそれで充分だ。

…うん。ありがとう。それと同時に俺の我儘を聞いてくれないか?

…うん。…うん。分かった。じゃ今度の土曜、お邪魔するから。(ピッ)憑友。今度の土曜日は私と共に来なさい。

先程、私の親友に連絡を入れたんだ。

彼なら、憑友の今の状態を教えても大丈夫な信頼に足る男だから」

 

玄也の行動の速さは異常のものだったが、それに感謝しつつ、今回はこれっきりとなった。

因みに食事時に憑友はライドがいない事に気付いて聞いてみた所、如何やら今は響の所に自身の剣術の師匠(せんせー)でもあるキリトと共にそちらの方へと行ってしまったようだ。

忘れ形見としてはいけ好かないデザインだが、それでも大事に持っている事に内心嬉しく思っていた。

 

ーーー

そして土曜日。

とある場所へとやって来た。

 

そこには立札があり、「風鳴」と堂々とした威厳のある風格が漂う立札が飾っていた。

 

「…父さん?此処は?」

 

「まぁ、詳しくは後で」

 

そう言うと玄也は扉に備わっている鉄の輪を持ち、それを使い、戸を叩くや、

 

そこから大きく吸うと、

 

「頼もぉぉぉぉぉ‼︎」

 

「うわぁ⁉︎」

 

と、何処かの携帯獣のような爆音を発した。

近くにいた憑友はそれにより、軽い混乱状態に陥る。

すると、

 

「そんな大きな声で出さなくても良いだろ⁉︎」

 

と、そこの家主らしきダンディな男が現れた。

ただ、あまりにも似つかわしく無い。

家の構造ははっきり言って和風な家。なのに現れたのはダンディな面持ちを持つ50(歳)手前の男が現れたのだ。

それを遠くから見ていたほむらとユルセンもこれに驚いていた。

 

「…普通ああ言う人って、洋風な家に住むものだけど…」

 

と、ほむらがそうぼやいていたのは気の所為にしておきたい。

 

さて、話を戻して、男をみた玄也は手を振った。

 

「いやぁ〜久しぶりだね〜弦ちゃん♪」

 

「お前も相変わらずだな…玄也」

 

その男・弦十郎は玄也の態度に半ば呆れていた。

そんな玄也の態度に憑友は思わず目を見開いた。

 

「と、その前に、この子の事を紹介したくてね」

 

そう言うと玄也は近くにいた憑友を自分の方に寄せてきた。

憑友の顔を見た弦十郎は何かを思い詰める。

 

「ん?…君は確か…」

 

弦十郎が憑友の顔を見て、何かを思い出そうとした時だった。

 

「この子は私とジャンヌの息子で、2週間前に君の所で保護している少女『天羽奏』を救った代わりに命を捨てた者・憑友だ」

 

「何だと⁈」

 

玄也の言った言動に弦十郎は思い出した。

あのライブ会場での悲劇の後に奏が翼に抱きついて大泣きしていた。

その理由が、とある1人の少年が自分の命を蘇らせ、そしてその少年が代わりに死んでしまったと言う事を。

 

そして今、その少年が目の前にいるのである。

驚くのも無理は無い。

 

「此処では何だし、中に入れて貰えないかな?」

 

玄也に言われ、弦十郎は家の中へ2人を入れた。

その時にユルセンやほむらも霊体化して、侵入した。

 

 

 

 

 

 

 

そして、事の発端を聞いた弦十郎は何から何まで困惑するばかりだった。

 

「だが、そんな事例は聞いた事が無いぞ」

 

「確かにね。でも、『英雄』はあったみたいだよ」

 

流石の弦十郎もこれには何をすれば分からなかった。

しかし、玄也は『英雄石板』の話をした。

弦十郎はそれを聞いて唖然としていた。

そんな中でも、玄也は話を進めた。

 

「かつて、『英雄』の中に、成る前に一度死んで、そこから幽霊となって戦った英雄がいるんだ。これがその石板の写真だ」

 

そう言うと弦十郎と憑友に写真を手渡す。

 

「…コレがその石板か?」

 

「まぁね。これは【幽霊の仮面被りし者の軌跡】と書かれていてね。

セレナ曰く、この英雄は一度死んだ時に、英雄の力を授かったと記してあると言われたんだ。

数多の偉人・英雄達の力を使い、眼が特徴の悪魔を祓ったと言う伝説が記されてあった」

 

まるで今の自分だなぁと思った憑友。

すると玄也は話をまたし始めた。

 

「今の憑友はそれに近いいや、そのものだと考えても良い。

けど、憑友はこの戦士とは違う存在になるかもしれない。

そこで、昨日の電話でも話した通り…

 

この子に鍛練を積ませて欲しいんだ」

 

「・・・・・・はい⁉︎」

 

まさかの玄也の発言に、間が空いて驚く。

 

「この子はこう見えて、格闘術が得意だ。

まぁ、以前は剣術も習っていたから大丈夫だろうけど…」

 

「それで、昨日の電話で、俺の所で修業させて欲しいと言う事になったのか…はぁ。お前という奴は…」

 

玄也の自由っぷりに流石の弦十郎も頭が痛かった。

それは勿論、憑友も言えた事だった。

 

だが、弦十郎は憑友の顔を見て話をした。

 

「こんな馬鹿な奴だが、頭は賢く冴えてる奴だ。

俺の修業…君は耐えられるか?憑友君」

 

その威厳とした発言に憑友は真剣になる。そして、

 

「俺のこの力は、誰かを守る為にあるんだと思います。

今はこれだけしか言えません。けど!

俺はもう!大切な者を捨てたく無いんです!」

 

憑友の力強い言葉で、弦十郎は見直さなきゃなと、彼の覚悟を改めさせるきっかけをつくった。

 

「…因みにアクション映画とかは好きか?」

 

「はい!…え?」

 

言って来た言葉に思わず返事してしまった憑友は悪く無い。

それを聞いた玄也と、近くの木陰に潜んでいたほむらとユルセンが同時にズッコケたのは言うまでもない。

 

それからはと言うと、弦十郎の家に住み込み、日々1人で修業に明け暮れていた。

 

いない所を見計らって、ほむらの攻撃方法も教わりつつ、修業に明け暮れていた。

 

そして、ある日。

自分の身体から炎が突然出てきたのだ。

 

そして、それは新たな力となった。

 

"熱き炎の魂を導く師者"・炎魂導師(エンコンドウシ)の誕生でもあった。

 

その力で、数多のノイズ達を焼き祓ったのであった。

 

そして、長い年月がかかり、

 

あのライブ会場の悲劇から2年後。

 

物語は動き出した…

 

さぁ、物語の下準備は全て整った。

間も無く始まる…

 

歌で世界を救う少女達と、

魂を纏いし少年達の物語…

 

 

 

始まります。




次回

覚醒の前触れ


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第1章 無印〜ルナアタック編〜
プロローグ


本当ならこれが一番始めの話だったんだと今思って、投稿する。
プロローグなので、投稿字数ギリギリセーフ。

と言う訳で、始まります。


雨が激しく降る中、屋根の無いバス停に、1人の少女が花束を持って、激しい雨の中を、バスをただひたすら待っていた。

バスが現れるや少女はバスに乗りある場所へと目指す…

 

ー八千八声 泣いて血を吐く ホトトギス

それ守らんは 身を持たざれんー

 

雨に打たれた服は雨水に滴り落ちており、彼女自身は其れを拭こうともしなかった。

やがてバスが少女の目的地に着くと、少女は下車した。その時、雨は降るのを止んだ。

しかし、空の模様は快晴に非ず、寧ろ曇天のような雲行きだった。

 

少女の目的地は墓場だった。

数多の人達の墓場が有る中を、少女は歩く。

多くの墓があった。

中には、墓石に名が刻まれていない墓石が殆どだった。

数多の人達が死んだのに、その名前すら刻まれてはいなかった。

 

そんな中、少女は立ち止まった。

そこには、2人の男女の顔が載った写真と墓石があった。

ただ、この墓石にも先に述べた通り、名前が刻まれてはいなかった。

 

少女の瞳は写真の方に向いていた。そこに映し出されていたのは、

黄色のショートヘアーをした少女と、

クリムゾンカラーのショートヘアーの少年の姿だった。

2人とも、顔に泥が付いていた。

すると少女は膝をつき、花束を持っていた手を滑らせた。

 

「会いたいよ…もう会えないなんて…嫌だよ…」

 

少女は涙を流した。

 

「私は嫌だよ…響…憑友…」

 

少女は写真に写っている少女と少年の名前を言った。

しかし、それを答えてくれる者は誰1人としていない。

その代わりに無情の雨が降り注ぎ始めた。

 

まるで哀しき雨のように。

 

その日、少女は涙を流し続けた。

 

彼女の親友が命を散らした事に。

 

彼女はもう二度と自分の目の前から居なくなってしまった2人の親友に。

 

もう二度と会えなくなってしまったと言う悲しい現実に。

 

これは後に始まる熾烈を極めた物語の末路の話。

 

 

 

彼女の親友である少女は、歌を歌い、そして血を流し、それでも最後まで諦めなかった。

 

ーー少女の歌には、血が流れているーー

 

 

彼女の親友である少年は、その身を器にし、数多の存在に肉体を明け渡した。

 

ーー少年の身体は、魂の器となりて、憑依せん…ーー

 

 

如何にしてこのような悲劇が生まれてしまったのだろうか。

 

何故、こんな結末になってしまったのだろうか。

 

どうして彼女の親友2人がこの世から去らなければならなかったのだろうか。

 

如何して彼女の親友である2人の男女は彼女だけを置いてこの世から去ってしまったのであろうか。

 

それを知る者は今の所、存在しない。

 

さぁ、物語を動かしていこう。

 

 

 

 

 

これは、とある出来事を機に、戦う力を身につけた1人の少女と、

 

とある出来事を機に、その肉体の変化に気付き、それを使い立ち向かった1人の少年。

 

2人の物語を…始めよう。




次回

覚醒の前触れ


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第1話 覚醒の前触れ

サブタイ変更して申し訳ない。
今回は1話目の話の部分と、とある者の無双話…


ライブ会場を襲った悲劇から早2年。

あの時の生存者にして、その時に奏の代わりに死んだ憑友の幼馴染・立花響は高校生になっていた。

 

私立リディアン音楽院。それが今の彼女の学校だ。

基本的には女子校であるが、メインが音楽関連の授業が殆ど。

それ故に、就職先は専ら音楽に関連した職に進む子が多い。

アイドル、ミュージシャン、歌手等実に多岐に渡るのである。

 

そんな学校なのだが、

 

「立花さん…」(^ - ^#)

 

「あ、ははは…」

 

響は入学初日にまさかの遅刻をしていた。

あの悲劇の後、響は人助けと言う趣味が生まれた。

そしてそれからと言うもの、いつもこんな感じの毎日を送っていた。

 

「た・ち・ば・な・さ・ん‼︎」

 

「は、はい‼︎」

 

…とまあ、いつもこんな感じである。

それをいつも見守っているのは、彼女の幼馴染・未来であった。

それともう1人(?)…

 

『はぁぁぁ…全く、響は自分の事を棚に上げるのは良く無い事だとあれ程言っていたのに…』

 

ライド・グラップラーだった。

何故、此処にいるのかと言うと、ただ単に、特許を得ただけの事である。

そんなライドに話しかける未来。

因みに全員、この事は承知済みである。

 

「それは仕方ないよ、ライドさん。響はあの日から少し変わったから…」

 

未来が言うあの日とは、あのライブ会場の悲劇の時だった。

あのライブ会場で、響とそして未来(じぶん)の大切な幼馴染の憑友が、命を落とした事を。

 

あの後、響は涙を流していた。

それ以来、響は憑友がやった行為を何故かし始めた。

まるで、その罪を忘れないように。

 

そして漸く授業が終わり、響は未来と同じ部屋に来た。

響と未来は現在、リディアンが用意した寮部屋でルームシェアしているのである。

とは言え、幼馴染が同部屋になるのは、些か怪しいのだが…。まぁ、そこは置いといておこう。

 

「ぷはぁ〜、疲れた〜。

入学初日からクライマックス100連発だよ〜

私…呪われてるかも…」

 

「半分は響のドジだけど、残りはいつものお節介でしょ?」

 

「人助けって言ってよ〜」

 

『君のその人助けは、逆に度が過ぎているな。

憑友でも、其処までお人好しでは無いぞ』

 

「お人好しじゃなくて、人助け!」

 

「『はいはい』」

 

「2人揃って言わないでよ〜⁉︎」

 

そう言いながら、2人と1つは何気無い会話をしていた。

すると響は机に置かれた冊子の裏を見た。

 

「お〜!CD発売は明日だっけ〜

ひゃあ〜。やっぱりかっこいいなぁ〜翼さんは!」

 

そこには、現在、単独でライブをしている少女・風鳴翼が写っていた。

如何やら明日、新曲を出すらしい。

 

すると未来が響がこの学院に入学してきた理由を話した。

 

「翼さんに憧れて、リディアンに入学したもんね」

 

響にとっては進学するには充分な内容だった。

 

『それは憑友も同じだったさ。尤も彼は奏のファンだったがな。

今頃、彼女は何をしているのだろうか?』

 

「確かに…あれからもう2年が経つけど、今は何処で何をしているのか、分からないね」

 

ライドも憑友が好きだった少女・奏の事を心配していた。

 

あの悲劇からすぐに、奏は表から顔を現さなくなった。

真意は不明で、それを知るのは恐らく相棒である翼だけ。

しかし、その翼もだんまりと決め込んでいたのであった。

 

そんな話をしていた2人とは裏腹に響は自分の胸にあった傷を見た。

その傷はフォルテの形をしていた。

 

そして、自分の胸を見た響は着直すや、今度は左胸にあった一枚のカードを取り出した。

そこには髪と服が黒、剣が黒と水色の二刀流を持った青年のイラストが描かれていた。

そしてその下には、【黒の剣士 キリト】と書かれていた。

ライドと共に響に渡った憑友の忘れ形見であった。

 

「憑友…」

 

「響…」

 

憑友の事を思った響。そして、そんな響を気遣う未来。

 

『…』

 

そんな2人を見ていたライドは何も言えなくなったのであった…

 

ーーー

そんな中、とある場所では『ノイズ』が侵攻していた。

 

 

「っく!撃てぇぇぇぇ‼︎」

 

自衛隊がそんなノイズ達に攻撃を仕掛けるも、全く効果が無かった。

 

すると上空からヘリが現れた。

 

「Imyuteus amenohabakiri tron…」

 

ースピリット!フォーム…オリジン‼︎ー

 

 

そこから1人の少女と、1人の青年が降りてきた!

 

すると、少女はみるみると来ていた服が変化した。

そして青年の方は羽の生えた何かが現れ、自衛隊に近づいていたノイズを一掃し、青年がそれを纏った。

 

ー精なる魂、私に刻め!ー

 

纏った2人は地上に降り立った。

そう言うと、翼が勝手に前に出た為、霊風が仕方なく後を追った。

 

(挿入歌「絶刀・天羽々斬」水樹奈々)

 

数多の敵を前に一汗もかかない翼。

そして、そんな彼女の無茶に付き添う霊風。

 

しかし、何時にも増して、数があまりにも多かった。

 

まるで、あのライブ会場の悲劇を思い出すかのように。

 

「っち!翼!「はぁっ!」って少しは人の話を聞け⁉︎」

 

翼は防人としての使命を全うしていた。しかし、そんな翼は指図を受けないと言わんばかりの行動をしていた。

そんな翼を見ていた霊風は、溜め息混じりながらも、一枚のカードを取り出した。

 

「仕方ない…やるか!」

 

そう言うと、カードをアブソーバーに装填し、レバーを引いた。

 

ースピリット!フォーム…マカ&ソウル‼︎ー

 

すると、ディスプレイから2つの霊らしき者が現れるや、男の魂の方が武器種・鎌へと変貌し、それを少女の霊が扱いノイズ達を切り刻んでいた!

 

そしてそれを、霊風が纏った!

 

ーお前の魂、頂くよ‼︎ー

 

スピリット・マカ&ソウルフォームの誕生である。

 

「行くぜ‼︎」

 

(挿入歌「resonance」T.M.revolution)

 

そう言うと、霊風は鎌を巧みに操りながら、翼が待つ大型ノイズの所まで駆けて行った。

その時に、人型ノイズが前方を塞いで来た。

 

それを見た霊風はドライブボタンを叩いた。

 

『スピリット・マカ&ソウル、フルドライブ‼︎』

 

「魂の共鳴!」

 

そう言うと姿勢を低くし、構えた。すると、鎌が瞬時に光の大鎌へと変貌した。

 

「喰らえぇぇぇぇ‼︎"魔女狩り"ーーー‼︎」

 

そう言うと水平のように薙ぎ払った。

 

それと同時にノイズは真っ二つとなり炭へと化した。

 

そしてそのまま直行し、翼と合流した。

 

「翼!…無茶をしてたら、スイーツ抜きにしてやるからな!」

 

「そんな脅しは必要ない!」

 

そんな翼を前に、霊風は翼をこちらに向けて、すかさず平手打ちをした。

本来ならこの行為自体が許されざるものだが、今はそれどころでは無かった。

 

「奏の代わりとして、俺が出て来てるんだ。

あいつの代わりなんか、俺には出来ないさ。

けどな、ちっとは俺の事を頼れ!

(あいつ)もお前の事を頼ったようにな!」

 

「…分かりました」

 

取り敢えず、宥める事に成功した霊風は残っている大型ノイズを協力して倒そうとした…その時だ!

 

ボォォォォォオオオオオ‼︎

 

『○☆□◇◇○☆⁉︎』

 

「「⁈」」

 

突然、2人とノイズとの間から火柱が発生したのだ!

2人は発生した場所に顔を移す。

そこには1人の青年が拳でストレートを放ち、そこに居合わせていた。

但し、青年の顔には仮面が被っていた。炎をモチーフにした仮面を。

 

「…ノイズある所に、『英雄石板』あり。

灼熱の炎は死して得た力。

今宵の俺は燃え滾る業火の如く、焼き尽くす…」

 

仮面を被りし青年はそう言うとノイズの方へと歩んで行く。

しかし、何処からどう見ても、私服姿な彼はノイズに触れれば、それこそ命を落としかねない存在だった。

 

「危ないから、早く逃げっ…‼︎」

 

翼が何かを言おうとした時、ノイズがその青年を叩き潰してしまった…

それを見た2人は息を呑んだ…

絶望に浸ろうとしたその時だった…!

 

ボォォォォ…ボォォォォォオオオオオ‼︎

 

『◇○☆○☆⁉︎』

 

「「⁉︎」」

 

なんと、先程叩き潰した筈のノイズの手の下から炎が噴き出て、そしてそのまま、ノイズの手を燃やし尽くしたのだ!

 

それを見た2人は驚愕した。

何故なら、そこに青年が平然と立っていたから…!

 

「おいノイズ共…俺に触れたら…火傷じゃ済まねえぞ?」

 

そして青年の身体からなんと炎が噴き出て来たのだ!

それを見た2人は驚愕する…!

 

すると、青年は腰に付けてあったケースから一枚のカードを取り出した。

髪がピンクで、黒のチョッキを着たマフラーを巻いていた青年の姿のイラストだった。

すると、少年は自らの炎でそのカードを燃やしたのだ!

 

すると、そこから1人の魂が現れた…先程描かれていた青年だった。

 

「行くぞ…ナツ」

 

青年はそう呟いた。

 

ーフォーム…ナツ‼︎ー

 

すると何処からか電子音が聞こえたが、そのままスルーし、青年はその魂を纏った!

 

ー炎で滅せ、竜滅者‼︎ー

 

すると少年はその青年の姿に早変わりした。

 

「一気に決める…」

 

そう言うと、青年はそのまま跳躍!

大型ノイズを簡単に飛び越えたのだ!

 

そして…

 

「"火龍の"…"鉄拳"‼︎」

 

そのまま相手の後頭部にめがけて、拳を打ち付けたのだ!

そしてそのまま大型ノイズはノックダウンし、その衝撃で、周りの小型ノイズ達が消滅してしまったのだ…

 

「⁉︎…何と言う力だよ…」

 

「これは最早、人知を越えているとしか言いようが無い…!」

 

そんな青年の力を見た2人はそれぞれの感想を述べた。

 

すると、ノイズの頭から何かが見えた。

 

「『英雄石板』発見。これより回収にあたる」

 

すると青年はすかさずノイズの後頭部まで駆け上がり、そしてノイズが唯一持っていた石の角っこを持った。

そして引っ張ろうとするも、中々離さなかった。

すると、青年はすかさずもう片方の手に炎を纏わせ、

 

「"火龍の鉄拳"!」

 

もう一発をお見舞いさせた。それにより少し緩み、取れそうになるも、やはり抜けなかった。

そこで、青年はすぐに飛び退き、姿を元に戻した。

すると、無数に散らばった光が1つとなりて、カードになった。

如何やら、再生能力があるようだ。

でも、それは普通ではありえない事である。

基本的にカードは燃やされたら、灰となって消えてしまう…

しかし、このカードはその常識を逸脱していたのであった。

 

すると青年はそのカードを腰に備わったケースに入れ、代わりに一枚のカードを取り出した。

そこには、赤い髪と赤いシャツ、水色のジーンズを履いた機械的な腕を纏った少年がイラストになっていた。

 

「頼むぜ…アカネ」

 

そう言うと再びカードを燃やした!

 

ーフォーム…アカネ‼︎ー

 

すると今度はイラスト通りの少年が現れた。

そしてそれを青年は纏った!

 

ー聖なる扉、炎の咎人‼︎ー

 

すると再び石板の方へと赴き、そしてそのまま左てで石板を持って引っ張ると同時に、残った右手に力を加え始めた!

 

「うぉぉぉぉ!"イグナイト"ーーー‼︎」

 

そう言うと先ず一発ぶん殴る。そして振り上げ…

 

「"セカンド"‼︎」

 

また一発…

 

「"サード"‼︎」

 

また一発…と、徐々に火力が大きくなっていた…

 

「"ホムラ"‼︎そして…」

 

そして最後に大きく振り上げ…

 

 

「"イグナイト"…"リート"ーーー‼︎」

 

最後に渾身の一発をぶつけた!

 

それにより、ノイズは完全に息絶え絶えの状態。

と、同時に石板を剥がすことに成功した!

するとそのまま石板を腰に備わっていたボックスポーチへと収納した。

 

「『英雄石板』回収完了。…了解」

 

何処かに連絡した青年は最後に右手にありったけの力を加え始めた…

 

「これで…終わらせてやる…!

 

"フレアリィ"…"エルプション"‼︎」

 

そしてその一撃を大型ノイズに浴びせた…!

大型ノイズはそのあまりの熱により、炭へと化した。

 

そして戦いが終わり、青年の身体から出ていた炎は鎮火されたのであった。

 

それを翼と霊風の2人は傍観せざるを得なかった。

 

そして、青年が立ち去ろうとした時、翼はハッとなって、彼を止めた。

 

「!待ちなさい!」

 

「…」

 

「貴方は一体何者なの⁉︎」

 

翼の質問に青年はこう答えた…

 

「…早くても明日、分かる事さ…」

 

「え?…‼︎」

 

そう告げると同時に彼の周りから炎が柱となって現れ、そして柱が消えたと同時に、彼の姿はもうそこにはいなかったのであった…

 

ーーーSIDEto⁇

先程の炎の柱のおかげで上手く巻いた青年。

すると、彼は胸からロケット(写真を入れるペンダントの方)を取り出すと、蓋を開けた。

そこには、2人の少女と青年の若い頃の写真があった。

黄土色の少女とビリジアン系の色合いで白いリボンが特徴の少女と仲良く3人でくっ付いて撮った写真だった。

 

「いつか…会えるよな…響…未来…」

 

そう言うと青年はその場から瞬時に去った…

 

後で、地元の住民から、流れ星とは明らかに異なる動きをした光があったと。

それがまさか青年の事だとは、思いもしないだろうとは。




憑友「今回からはこの後書きにて、『英雄石板』にて記されし者達通称・『英雄』達の事を紹介して行くぞ!」
「今回は、俺の剣術の師匠(せんせー)・キリトを紹介しよう!」

キリト /カード名【黒の剣士 キリト】
属性/闇・人間・斬・剣

数多の攻撃を片手直剣と呼ばれる武器カテゴリで戦い抜いた歴戦の勇者。
トップクラスの反射神経の持ち主で、その影響で、《二刀流》を使用する事が可能になっている。

憑友「昔は俺が持っていたんだけど、今はライドさん共々、響が所有しているみたいだ。だけど、こんな所で終われるような人じゃない!」

次回

覚醒せし少女

憑友「次回も見てくれよな!」


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第2話 覚醒せし少女

漸くまともに動き出した…
そして原作第一話のラスト部分です。
そして他と違って、キリが良かったのか、短い。


昨夜の出来事から一夜明け、今はお昼休み。

響は未来とライドと共に、食堂に来ていた。

すると、未来はスマホを弄り、ニュースを見ると、昨夜の情報が入って来ていた。

 

「『自衛隊、特異災害対策機動部による避難誘導で、被害は最小限に食い止められた。』だって」

 

『うむ…場所を見る限り、この場所から相当近いようだな?』

 

「うん。後、1人の青年が大型ノイズ相手に素手で挑んで、勝利したっていう事も記事に挙げられてるよ?」

 

「その人、強いんだね〜」

 

『だが、普通では考えにくいな。

本来、ノイズは触れれば自ら共々相手を炭化させる能力を持っている筈。だが、その青年はそれが通じていない処か、自らの肉体で、ノイズと戦ったと言う事になってしまう。これはあまりにも矛盾している言動なのだよ』

 

「そっか〜…」

 

と、そんな雑談をしていると、急に食堂が騒ついてきた。

それに気付いた2人はその方向を見ると、そこには響がこの学校にやって来た意味である存在・『風鳴翼』がいた。

その時、翼が響達の方へと歩み寄ってきたので、響は立ち上がり翼と話をしようとしたが、逆に色々と恥ずかしい思いをした響がそこにいたのは言うまでもなかった。

そして、そんな響を見て、ライドと未来は2人揃って頭を手で押さえ込んでいたのは言うまでもない。

 

ーーー

そして放課後。

響は未来の課題を待とうとしようと思っていたが、未来から逆に

「CD売り切れちゃうんじゃないの?」と示唆され、響は慌ててCDが販売されているショップへと、走り出した。

 

「はぁはぁCD!はぁはぁ特典!…」

 

『急ぐのは構わないが、私を置いて行かないでくれ給え』

 

「あはは…御免なさい」

 

因みにその時に響は未来によって、ライドを忘れそうになっていた。

そんな響は苦笑いしつつ、謝っていた。

そして、コンビニの角を曲がって、一息つこうとした時、異変を感じた…

すると、それに感づいたのか、ライドが響に注意を促した。

 

『響!ノイズだ!ノイズが近くにいる‼︎』

 

「!…ノイズ…!」

 

すると、遠くから女の子の声が聞こえ、響はカバンを置いて、急行した。

因みにライドは響の制服のポケット内に入れられている。

勿論、憑友の忘れ形見であるキリトのカードも一緒に。

 

ーーー

一方、此処は特異災害対策機動部。

そこに、先程授業を終えて、そのまま直行した翼がそこにいた。

 

「状況を教えて下さい!」

 

翼の一言で、スタッフが粗方の状況を教えられると、翼は苦虫を噛んだ。

そしてそれは、後ろで腕を組み、壁に背を預けていた奏の専属マネージャーこと霊風も同じだった。

するとスタッフの1人が、

 

「!近くに昨夜現れた青年と同じ反応を捕捉!防犯カメラから映像を出します!」

 

すると、其処には昨夜、大型ノイズを相手に戦った青年が其処にいた。

 

「…高みの見物…と言う事かしら…」

 

それを見ていた翼はそう呟いていたが、それは違っていた。

 

映像は次の瞬間、青年がノイズと戦っている映像を捕捉したのだ!

 

「⁉︎」

 

「如何やら、彼奴はノイズを敵として捉えてるようだな。俺達と同じで…」

 

霊風の言った一言で、機動部のスタッフも張り詰めた緊張感を解した。

 

「…」

 

そんな中、弦十郎は青年の事を少し気掛かりにしていた。

 

「?如何かしたの?弦十郎君?」

 

「…いや、何でもない」

 

其処を隣で座っていた櫻井了子に感づかれるも、何とかその場を誤魔化していたのであった。

 

ーーー

一方、先程女の子の悲鳴を聞いた響は現在、その女の子と共に、ノイズから必死になって、逃げてきていた。

 

『響!その先は水道だ!』

 

「そんなの今は関係ない!」

 

「おねぇちゃん!」

 

女の子を担ぎ、ライドをしっかりとポケットの奥にやると、響は左右を見た。

するともうすぐ其処までノイズが迫って来ていた…!

響は女の子の顔をしっかりと支え、そして…飛び込んだ!

 

そのまま反対岸の方まで泳ぐと、先に女の子を先に上げ、そして上がると同時に走った!

 

かなりの距離を歩いてきたのか、流石の女の子も限界になっていた。

それに気付いた響は、女の子をおんぶして背負い、また走り出したのであった。

 

そして、やっとの思いで振り切ったと思ったその時だった。

 

『⁉︎響!』

 

「え?…⁉︎」

 

ライドの注意を受けた響は驚愕した。其処には先程いなかったノイズ達がもう其処にいたから。

せっかくの行為が全て無駄だった。

女の子もそれに気付き、響の腕にしがみつく。

 

絶対絶命のその時だった…

 

「(私に出来る事を…出来る事が絶対にあるはずだ…!)生きるのを…

 

 

諦めないで‼︎」

 

そう言うと彼女の思いが呼応したのか、響は詠を歌った…聖詠を。

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron…」

 

すると、響の身体が光りだしたのだ!

 

『響⁉︎』

 

それに気付いたライド。そして其処には…

 

オレンジと黒、白が基調としたタイツにも似たスーツを纏い、所々に機械的なパーツを纏った響が其処にいた!

 

ーーー

一方、機動部の方では新たな反応を感知していた…

 

スタッフが位置を特定し、照合パターンを検知していた。すると、櫻井了子が、

 

「まさかこれって…アウフヴァッヘン波形⁈」

 

そして画面には【GUNGNIR】と書かれていた。

 

「ガングニール…だと⁉︎」

 

弦十郎の言った一言で、翼と霊風は驚愕させられた。

それはかつて、奏が使用していた聖遺物だったから。

 

ーーー

一方、別の場所で、光の柱を見た者がいた。

 

「…」

 

其処の周りには、大量のノイズの死骸の跡である炭が山積みになっていた。

 

「…この感じ…響…お前なのか…」

 

そう言うと青年はその場所へ行こうとした。

すると、突然通信が入った。

青年はそれに応える。

 

「もしもし」

『大変だよ!響ちゃんが!』

「⁉︎…場所は⁈」

『このままの方向に行って!大至急よ!』

 

そう言うと青年は通信を切り、急いで行った。

それと同時に、一枚のカードを取り出した。

其処には青と白を基調とした服装に茶色のサイドポニーに纏めた髪、

そして金の鉾先になっている槍を前方に構えた女性のイラストが描かれていた。

すると青年はそのカードを燃やした!

 

ーフォーム、ナノハ‼︎ー

 

するとまた何処からか電子音が聞こえるや、燃やした方の手から先程のイラストの女性らしい魂が現れ、青年はそれを纏った。

すると、青年の腰は女性が履いていたロングスカートから、青のジーンズと、白のフォールドマントに変更された。

 

ー全力全開!エース・オブ・エース!ー

 

それを纏った青年はそのまま跳躍した。

すると、なんとそのまま空中を飛んだのだ!

 

「あの光は…お前なのか?…『太陽』…」

 

そう言うと青年は光の柱が発生した方向へと向かっていったのであった。




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回はあの霊風(風使い)が使用していたカードの一枚、ミドリを紹介しよう」

ミドリ/カード名【風を纏いし少女 ミドリ】
属性/風・人間・打・棍

聖なる扉〈ディバインゲート〉を目指している少女。
風と纏ったその威力は他の風使いとはまた違った力を持つ。

憑友「カードの特徴である両手棍型の武器《フォンシェン》を扱う事が出来れば、巧みに扱える事間違い無し!」

次回

仮面被りし青年

憑友「次回も見てくれよな!」


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第3話 仮面被りし青年

これも運命なのかもしれない。


少女を護ろうとした響は無意識に聖詠を唱えた事により、かつて自分を救ってくれた女性・奏が纏っていた聖遺物・"ガングニール"を纏っていた。

 

(挿入歌「撃槍・ガングニール」悠木碧)

 

「ふぇ…えぇぇぇ⁉︎」

「なんで…私、どうなっちゃってるの⁈」

 

『それは私も同じだ⁉︎その姿は嫌でも思い出す!何故君がそれを纏っているのだ⁉︎』

 

戸惑う響と、困惑と嫌な思い出を出したかのように苛立ちを隠さないライド。

ライドにとっては、自分のパートナー・憑友が自らの命と引き換えに、救った女性・奏が着ていた装備だったから。

だからなのか、ライドは奏に関するものに対して怒りに満ちているのかもしれない。

 

"何故、憑友を救ってくれなかったのか"と。

 

それを本人に言わせてやると思った矢先に、奏が表舞台から姿を消してしまったのだ。

故にライドはその時の当事者である翼にこの事を話したかったのだ。

その為に、響と共にリディアンに入ったのだ。

 

「おねぇちゃん、かっこいい!」

 

すると、少女がそう呟いたので、響は手を出して自分の近くに持っていくと、下に置いたままのライドをその少女に手渡した。

 

「ちゃんと持っててね?お姉ちゃんの大事な人の形見だから」

 

「…うん!」

 

そう言うと女の子は必死になって、ライドを手放さないようにしっかりと持った。すると響はそのままお姫様だっこの形で、少女を担ぐ。

すると響はジャンプした…したのだが…。

 

「ふえ⁉︎…えぇぇぇ⁉︎」

 

人よりも遥かに逸脱したその跳躍により、空中で思いきり体勢を崩してしまうが、なんとか持ち堪え、そのまま足で着地した。その時に少しクレーターが出来たのはほっといて欲しい。

すると、響は上を向く。すると直ぐ様、ノイズ達が自分達の所まで降りかかってきた。

そしてすかさず前方に回避するが、まだ自分の力に振り回されて、着地には失敗するものの、少女を守り続けていた。

 

 

そんな響の様子を影から見守る存在がいた。

 

「…響。お前なんだな…」

 

その存在は響の事を知っていたのであった…

 

 

ーーー

一方、機動部から許可を得て、バイクで現場に急行する翼と、そんな翼の横に、普通に颯爽と走っている青年がいた。霊風だ。

なんとバイクと同等のスピードで走っていた!

 

すると、翼はヘルメットに内蔵されてある小型のマイクとイヤホンを機動させ、隣の霊風にバイクを動かしながら話をした。

 

「なんで、バイクと同等のスピードで走れるの⁈」

 

すると、霊風は左腕を見せた。

其処には霊風がいつも使用しているフェイバリットカード【風を纏いし少女 ミドリ】が装填されていた。

 

「こいつの風は速いんだよ。それはまさに疾風の如くってな!んじゃお先に!」

 

そう言うと霊風はアブソーバーのドライブボタンを叩いた。

 

『スピリット・ミドリ!フルドライブ‼︎』

 

すると、先程まで同等のスピードで走っていたのが、徐々に霊風の方がスピードを上げていった!

 

「行くぜ!"ドラゴン・アクセル"‼︎」

 

そう言うと青年の走る速度がスピードカー並みに速くなり、先に行ってしまったのだ!

それに気付いた翼は「⁉︎ま、待ちなさい!」と言って、後を追っていた。

 

そしてそんな様子を見ていた1人の男がいた。それは憑友を現世に半幽霊もとい妖として蘇らせた張本人である神だった。

 

「…ふっ。相変わらずのマイペースぶりだ。《フレンドリーマネージャー》そして《防人嬢》…

あの馬鹿共に格の違いと言うのを見せておけよ…」

 

そう言うと神は再び天界へと消えてしまったのだった。

ーーー

 

そんな中、響は女の子とライドを担いだまま、必死になって避け続けていた。

 

しかし、やはりまだ自分の力に振り回されっぱなしになっていた。

 

すると、一体のノイズが響の方へと襲いかかってきた!

 

響は咄嗟に、腕を振り回した。

すると、ノイズは瞬時に炭となって消えた…!

 

「(!…私が、やったの…?)」

 

『これは…!何か来る!』

 

すると、ライドの言った通り、ノイズの大群を物ともせずに突き進むバイクが向かって来ていた。すると、バイクの搭乗者がヘルメットを脱いだ…そして素顔を見て、ライドは驚かされた。

それはなんとアーティスト『風鳴翼』だった。

 

すると、すぐにすれ違うや、巨大ノイズにバイクを特攻させ、自分は後方へと大きく跳躍しながら…

 

「Imyuteus amenohabakiri tron…」

 

聖詠を唱えた。

 

すると翼は響の前で見事に着地に成功した。

 

「惚けない。死ぬわよ」

 

「!」

 

「貴方はその子を守ってなさい」

 

そう言うと翼はノイズへと走っていった。

 

「翼…さん?」

 

「悪いね〜お嬢ちゃん?」

 

「ひゃあ⁉︎」

 

すると、後方から声が聞こえ、吃驚する響。

其処には、武器《両手棍・フォンシェン》を担いだ霊風がいた。

 

「え⁈れ、霊風さん⁈あの《フレンドリーマネージャー》として有名な⁉︎」

 

「おぉ〜これはこれは凄い有名人扱いになったもんだな。俺、モテ…「霊風!貴方も手伝いなさい!」ったく、分ったよ!と、話はまた後でな♪」

 

そう言うと霊風は仕方なく翼の後を追った。

 

(挿入歌「絶刀・天羽々斬」水樹奈々)

 

すると、翼は数多の技で敵を薙ぎ払っていく。

対して霊風はその得物を最大限に活かした攻撃を行う!

 

まさに2人の息はピッタリだった。

そして、あっという間に全てのノイズが倒されたのであった。

 

「ふぅ〜終了終了『ストップ!まだ何かいるわ!』え?」

 

「⁉︎な…」

 

「「「?…⁉︎」」」

 

『な、なんだこの大きさは⁉︎』

 

すると、先程まで響がジャンプして届いた場所を優に越す身長を誇ったノイズが現れたのだ!推定30mもあった!

 

「っく!あの高さでは、『天ノ逆鱗』は届かない!」

 

翼の屈指の技でも届かない事に響は諦めかけたその時だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒュー♪ヒュ〜ルル〜♪

 

 

 

 

 

「…?これ…口笛?」

 

突然、遠くから口笛の音が聞こえた。

響が聞いたのを機に、翼と霊風、そして女の子とライドが全員耳を澄ませた。すると、

 

 

ヒュー♪ヒュ〜ルル〜♪

 

「この音楽…何処かで…」

 

『これは…憑友が口癖で吹いていた口笛の音色と同じだ!』

 

そんな会話の時、

 

スタッ!スタッ!スタッ!スタッ!

 

と、此方に近付く足音がした。

 

ーーーSIDEto響

そしてその私も含めた4人はその足音の鳴った方を見る。

すると1人の青年が此方にやって来ていた。

 

「‼︎貴方は昨日の!」

 

其処で翼さんはその特徴を見て、突然現れた青年の事を知っているのだと確信する。

すると青年が話をしだした。

 

「だから昨日似たような事を言ったろ?…『早ければ明日、にでも分かる』ってな?」

 

「え?…この声…」

青年が話した事で、私は疑惑を感じ始めた。

この声は知っている声だ。

だけど、その声の持ち主はもうこの世にはいない…

じゃあ、この人は一体誰なのか?と。

 

色々と頭の中がごちゃごちゃになっていると、青年が私の方に顔を向け、

 

「久しぶりだな?響いや、『太陽』」

 

「⁉︎嘘…なんで?」

私はさらに困惑した。

今、確かに自分の名前を言い当てた。まだ名前すら言っていない…翼さんは別としてもだが。

それに、先程言った『太陽』と言う言葉に私はさらに困惑した。

何故ならそれは、未来だけが私に対して言う親しみのある言葉だと…?未来だけ?

…いや、違う。この言葉を言うのはもう1人いるじゃないか。

 

…憑友だ。

でも、彼はもう2年も前にこの世から亡くなっている。お墓もある。

じゃあ、今目の前にいるこの青年(ひと)は一体誰なの?

 

すると、青年さんが耳を手で覆うと何処かと話をし始めた。

 

「もしもし。俺です。現在、大型ノイズと接触。

同時に、『シンフォギア』の装者・風鳴翼と、『精魂導師(セイコンドウシ)』の1人・精妖霊風、そして立花響の3人と接触。

………了解。任務を続行する。

必ず帰るからね…セレナ義姉さん(・・・・・・・)

 

「…え?…今、セレナ義姉さん(・・・・・・・)って…」

 

『まさか⁉︎』

 

私はその言葉で衝撃となった。

この青年の話し相手が、セレナさんだったからだ。すると、青年は手を下ろし、そして仮面を外しながら話しかけてきた。

 

「ずっと、お前に会いたかった。

本当は未来にも会いたかった。けど、今は仕方ないかな。こんな緊急時に会おうと言う方がおかしいからな」

 

嘘…この人…未来のことまで知っていた…なんで?

すると、青年の言った一言で私は確信に変わる。

 

「それに…ライドさんも元気そうで何よりだよ」

 

ライドさん。

それを言うのはもう決まっている。

ライドさんが居候していた「人絆家」の人達で1人、そして私と未来の3人だけ。

しかし、今ここに居るのは私とその1人のみ。

つまり…

 

「貴方…もしかして…」

 

恐る恐る聞いてみたと同時に仮面が取れたようで、私達に顔を見せた。

 

「久しぶりだな…響」

 

その顔は忘れもしない顔だった。

私は思わず、涙を流していた。

一方の翼さんと霊風さんは驚愕していた。

当然だもんね。何せ、今私達の目の前にいるのは…

 

「俺の事…憶えてるか?」

 

「…勿論だよ…憑友!」

 

かつて奏さんを救って、自分の命を落としたかつての少年にして、私と未来の数少ない男友達にして、かけがえの無い幼馴染…

 

《人絆 憑友》がそこにいた。




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー。
今回もあの風使い・霊風が使用していたカードの一枚・ランサーを紹介しよう」

ランサー/カード名【クランの猟犬 ランサー】
属性/風・英霊・突・槍
ランサーと言う名は偽名。変身時と必殺技(フルドライブ)発動で、正体がバレる。
真名は、ケルト神話の英雄・クーフーリン本人。

憑友「彼の敏捷さはトップクラスに入る実力の持ち主。
魔槍《ゲイボルグ》で突き刺す攻撃は心臓をも穿つ!」

次回

襲名

憑友「次回も見てくれよな!」


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第4話 襲名

またサブタイ変更してしまった。許して欲しい。


響が奏の聖遺物《ガングニール》を纏い、女の子を守っていると、翼と霊風が現れ、2人でノイズ達を殲滅したかに見えた。

だが、其処に新たに30mは下らない大型ノイズが現れたのだ。

そんな3人の前に仮面の青年が現れた。

すると青年が仮面を外すとなんと、かつて奏の命を救う代わりに命を落としてこの世から亡くなった少年・人絆憑友が成長した姿で現れたのであった‼︎

 

ーーー

3人は未だに驚きが隠せなかった。

 

翼と霊風は昨日出くわした青年がまさか2年前に奏を救い、そしてその命を散らせた少年だったと言う事に。

そして響はと言うと、2年前に自分達から消えた少年に涙が零れて来ていた。

 

それに気付いた青年・憑友は響に寄り、涙を指で掬った。

 

「涙を流すなよ。俺が泣かせたみたいになるじゃねぇかよ…」

 

「だって…本当の事だもん…」

 

「まぁ、否定しないけどな」

 

そう言うと、憑友は響が抱いている女の子を見て、女の子の頭を撫でた。

 

「心配しないでね。お兄ちゃんがあの怖い怖いをこの拳でギャフンと言わせてやるからな!だから、このお姉ちゃんから離れちゃ駄目だよ?後、その電子機器、実はお兄ちゃんのなんだ。返してくれたらいい有難いな〜?」

 

「…はい」

 

「…うん。有難う♪」ナデナデ

 

「!…うん!」

 

こう言う扱いに長けてる憑友は何れ一級フラグ建築士になるのが確実だと思わせるのであり、こう言う所が地味に発揮されているのである。いや〜将来が楽しみになってきましたな〜ヌフフ。

 

「後でしばくぞ?」

 

「誰に言ってるの…?」

 

「ナレーション」「?」

 

ドキッ⁉︎…ゴホンゴホン。さ、それは兎も角…「(スルーしたな?)」

…え、ええと。と、兎に角!

それを言うと憑友は久しぶりにライドと会話をした。

 

「久しぶりだな、ライドさん」

 

『憑友…本当に、君なのだな…⁉︎』

 

「当たり前だろ?長年、連れ添って来た存在の顔をもう忘れたのか?認知症は困るなぁ〜全く」

 

『私はまだ認知症な年頃では無い‼︎』

 

「だろうな。…兎に角、ただいま」

 

『!…あぁ。お帰り。憑友〜〜‼︎』(T○T)

 

「泣くなよ‼︎涙脆くなってないか⁉︎」

 

と、そんな会話をしていたら、

 

『☆○☆○◇▽□‼︎』(#)

 

大型ノイズが「俺の事忘れてないか‼︎」と怒りに満ちた声を上げたので、4人はその方向を向くと、憑友が言った。

 

「あ、御免。忘れてた」

 

『☆○☆○◇▽□‼︎』

 

如何やら「ふざけるな‼︎」と言っていた。

それを見た憑友は話をした。

 

「ライドさん。俺な…自らの身体に炎を纏えるようになったんだ…」

 

『!…それはまさか…』

 

「あぁ…でも、やっぱりまだまだ暴走しちゃうんだ…」

 

それを聞いた翼は驚いていた。

何せ、昨日の夜はおろか、まだその力に振り回されていると言うのだ。

そして霊風はそんな憑友の会話に気がかりな事を思っていた。

 

「(暴走?…なら、何故此奴は昨日『英雄石板』から生み出されるカード【ヒーローカード】を燃やして、そしてその力を扱いきれる事が出来たんだ?)」

 

霊風の言う通り、もし暴走していたとなると、そのカードは基本的には使いこなせない。

現に霊風は昔は()の力を扱いきれず、暴走した過去を持っていた。

けど、その時はスピリットがそのブレーカーとなっていたのだ。

今ではこうして扱いきれるようになり、

英雄の力を扱いきれているけれど、

自分(これ)憑友(それ)とは訳が違っているのである。

 

憑友は自ら使いこなせない炎の力を暴走させていながら、更にその上でヒーローカードを燃やしてまで使う事に違和感いや、矛盾点を感じていた。

 

「だから、ライドさん。俺と共に戦ってくれないか?ライドさんがいれば、百人力さ!」

 

『憑友…良し!分かった!君の為なら、なんだってしてやろうでは無いか!』

 

「サンキュー!ライドさん!…それじゃあ…

襲名式と行きますか!」

 

そう言うと大型ノイズの方を向いた憑友。

そして、ライドを左腕に装着した!

 

『OK!Areyouready?』

 

すると、憑友は腰に付けてあるカードケースから一枚のカードを取り出した。

そこには灼熱の炎を纏った者のイラストが描かれていた!

 

「響、見ててくれ。これが…俺が得た…新たな力だ!」

 

そう言うとライドのディスプレイ画面を起こした。

すると、真ん中が真っ二つに枝分かれした!そしてカードを装填し、

 

「変身‼︎」

 

そしてレバーを関節から手の甲へと引いた。

その際に、画面もカードをサンドされるようにセットした!

 

ーライド‼︎フォーム…オ・レ‼︎ー

 

そして、憑友はライドいや、電子機器ライドアブソーバーを天に向けて放った。

するとそこから灼熱の炎を纏った衣を羽織った魂が現れ、憑友はそれを纏った!

 

ー英雄の魂、オレに宿れ‼︎ー

 

そして姿が現れたと同時に灼熱の炎が大地を炎の海へと変貌させた!

 

そのあまりの暑さに響達は手で覆い隠していた…

 

ーーー

一方、憑友の変身は機動二課の方にまで知れ渡っていた。

 

「新たな数値を確認!これは…昨夜、翼さんと霊風さんが邂逅した青年と同じ波形です!」

 

「…やはり、お前なのだな…」

 

「?弦十郎君?昨日から考え込んでるけど…もしかして、あの青年君とお知り合い?」

 

「…あ、ああ。…とは言え、約一年と半年の間は見ていなかったがな…」

 

「ふ〜ん…まぁいっか!」

 

「この波形は…間違い有りません!霊風さんと同じ『精魂導師』の力です!」

 

「嘘⁈」

 

「やはりか…(お前なのだな…憑友…)」

 

 

そこには、少し笑みを浮かべていた弦十郎氏が居たとか。

ーーー

そして響が次に見たのは、驚くべき姿だった。

そこには、

 

赤と炎をあしらった外套を羽織り、灼熱と彷彿させるような籠手を纏った憑友がそこにいた!

 

「この熱き魂は地獄の業火から譲りし力!

その身の炎で、相手を焼き尽くす!

炎の魂を導く師者。『炎魂導師(エンコンドウシ)』ライド‼︎

本日付けで襲名させてもらいます。ってな!」

 

そう言うと、憑友は拳同士を打ち付ける。

すると、装備してある籠手がほんのりと赤く輝いた。

 

「行っくぞ〜〜‼︎」

 

そう言うと、炎魂導師となった憑友はそのまま太腿をバネの容量で縮めると、そこから一気に跳躍したのだ!

その高さはなんと、30mを優に超えていた!

 

それを見た3人は驚いてしまっていた!

 

「うぉぉぉりゃぁぁぁ‼︎」

 

そう言うと憑友はなんとそのまま拳をノイズに鉄拳を食らわせたのだ!

それによりノイズはものの見事に喰らい、そしてそのまま地べたに顔面強打した。

 

するとそこから一気に急降下すると同時に、足からも火が出て、そのまま蹴りを決め込んだのだ!

 

それにより、ノイズは更にもがき苦しんでいた!

そんな時だった…

 

ーーーSIDEto憑友

 

良し!これならライドさんと共に立ち向かえるぜ!

 

ピロピロピロリン♪ピロピロピロリン♪

 

ん?こんな時にセレナ義姉さんから?なんだろう?

 

ピロピロピロリン♪ピロピロ…ガチャッ!

 

「もしもし?如何したの?」

『あのね、憑友。そのノイズなんだけど…』

「まさか、石板とか無いとか言わないだろうな?」

『違う!寧ろ、その逆!こいつは石板を二枚も飲み込んでいるのよ!』

「はぁ⁉︎んじゃどっちかしか手に入れられないじゃんか!」

 

すると、セレナ義姉さんが何か言おうとした所へ玄也(父さん)が代わった。

 

『聞こえるか、憑友。私だ。今そこに風魂導師の霊風君がいるんだよね?』

「ん?…いるけど、如何したの?」

『彼にも手伝って貰いなさい。それで石板を回収したら、後は翼ちゃんも加えて3人で戦いなさい!思いっきりね。響ちゃんはまだ装者になったばかりだから、戦闘力は皆無に等しい。彼女には女の子の方を守る事に専念させて欲しい』

「!…了解!」

 

そう言うと俺は通信を切り、急いで霊風の所へと向かった。

 

ーーーNO SIDE

そのあまりの光景に3人はただ傍観していた。

いやだってさ?

一回のジャンプで30mは跳ぶし、

そこからノイズに向かって一気に鉄拳食らわせるし、

しかもその時に通信が入って来ていたのか、普通に避けながら話しているのはあまりにも異常であった。

 

尤も、翼と霊風はそれとよく似たような光景を取ってもおかしくないような存在を知っていたりするのだが…。

気の所為にしておこうと2人は内心思っていたそうな…。

 

ーーー

「…へっくしょん!」

 

「⁉︎だ、大丈夫⁈弦十郎君?」

 

「も、問題ない。…誰か俺の噂でもしたのか?それとも、本当に風邪なのか?」

 

因みにその時に弦十郎がくしゃみをした事に内心吃驚していた機動二課のメンバーがいたのは言うまでも無かった。

 

ーーー

さ、気を取り直すとしようか。

そんな風に思っていると、憑友が突然霊風の所にやって来た。

そしてセレナの話をありのままに伝えた。

 

「え⁉︎俺もやるのかよ⁉︎俺、お前みたいな芸当出来っこ無いんだけど⁉︎」

 

しかし、霊風はそんな事は一切知らない謂わば素人同然だった。

しかし、話を聞いてみると、如何やらノイズの中には時々、『英雄石板』を呑み込んで、急成長するノイズがいるのだとか。

それ故にそれらを憑友は「特異型ノイズ」と定めていた。

昨日、翼達の前に現れたのは、その特異型ノイズがそこにいた為であった。

そしてこの特異型ノイズはそのまま倒す事も可能だが、中に入っているのは世界遺産に登録された品物『英雄石板』であると言う事で、倒すのが極めて困難なノイズの一種であった。

こいつらの特徴は大きく分かれて3つあると言う事。

 

①体内に『英雄石板』を呑み込んでいる事。

これは先に言ったので割愛させて貰おう。

 

②このノイズ達は普通に質量兵器でも倒す事が可能。

但し、中に入っている『英雄石板』にもダメージを受けてしまうと言うデメリットがあった。

 

③『英雄石板』を取り出すには、『精魂導師』と言う者達になりし者がそれらを取り出せる事が出来る。と言う事だった。

 

今の所、詳しい内容は分かってはいないのだが、『精魂導師』と言う者達にはそんな力が宿っているらしいとの事だった。

 

大まかな話を聞いた霊風は渋々了承した。

そして憑友は通信相手であるセレナと話をした。

如何やら今回は前回と同じ後頭部と、更に今回は人間で言う所の心臓部あたりにあると言う事が判明した。

 

それを聞いた霊風は、

 

「んじゃ…心臓部を狙うわ」

 

と、心臓部の方を狙う事にし、憑友は逆に後頭部を狙う事にした。

そして、翼に回収完了と共に3人で倒すと言う事を伝えると、翼はそのまま無言のまま頷いた。

そして憑友は響の方へとやって来て、「今回は、その子を守る事だけに専念してくれ」と言い、響はそのまま頷いた。

 

 

そして準備運動をし始める憑友と霊風。

 

「頼りにしてますよ、先輩!」

 

「回収はお前の方が先輩だけどな?」

 

「…言えてます」

 

そう言うと2人はそれぞれ構えた。

霊風は両手棍を前に突き出す構えを、

そして憑友は拳を構えた。

ただ、その構え方を見た翼と霊風は何かに感づく。

 

「?…憑友のその構え…何処かで?」

 

「?この構えですか?風鳴弦十郎と言う人から教わりましたけど?」

 

「司令が⁈」「風鳴のおやっさんがか⁉︎」

 

「?お2人の知り合いか如何かは分かりませんけど、あの人は俺の師匠ですよ?」

 

「「師匠⁈」」

 

憑友のカミングアウトに翼と霊風は勿論、それを聞いていた機動二課のスタッフも全員驚いていた。

 

「あの馬鹿が…秘匿だとあれ程言っていただろうが…」

 

と、弦十郎が言っていたのは言うまでも無かった…。




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー!」
「今回は、俺が使用していた力の1人・ナツを紹介しよう」

ナツ/カード名 【炎の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー) ナツ】
属性/ 炎・人間・打&魔・拳
滅竜魔法と呼ばれる特殊な魔法を扱う。
炎属性又はそれに関連した属性なら全てを吸収する性質を持つ。

憑友「ナツの繰り出される炎はまるで人間に憑依した火龍の如く、驚異的な力を発揮してくれる!」

次回

再会

憑友「次回も見てくれよな!」


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第5話 再会

いよいよ原作2話の部分。4話から続けて読んで欲しい。


そんな事よりも、と憑友はノイズの方に集中した。

 

「荒れまくるぜ〜‼︎」

 

そう言っていると、響の胸から何かが光となって出て来た!

 

「⁈ふぇ⁈何⁈」

 

あまりの出来事に響は驚いていると、その光はそのまま憑友の方へと移動してしまった。

 

憑友の前に現れたその光は憑友が取る事で、その光は消え、そこにあったのは、

 

「‼︎師匠(せんせー)‼︎」

 

憑友が剣術を教わった存在・キリトのカードだった。

 

「!…そっか。師匠(せんせー)とも、久しぶりだったな。

師匠(せんせー)。俺と一緒に戦ってくれますか?」

 

すると、

 

「ああ!」

 

と、声が聞こえた…キリトの声だった!

 

「お前があれからどれだけ成長したのか、見せてくれ!」

 

「!…よっしゃ!これで俺は百人力いや、千人力だ!行くぜ!ライドさん!」

 

『OK!では、参ろうか!』

 

そう言うと憑友はレバーを元に戻し、カードを引き抜くと手元に来た憑友の剣術の師匠(せんせー)【黒の剣士 キリト】のカードを装填し、

 

「変身‼︎」

 

そして、レバーを引いたのだ!

 

ーライド!フォーム…キリト‼︎ー

 

そう言うと、そこから黒の装備を纏った魂が現れ、憑友はそれを纏った!

 

ー黒剣、双閃、アメイジング‼︎ー

 

そこには黒のコート、黒と水色の双剣を背中に携えた憑友がそこにいた!

 

ライド・キリトフォームの誕生である!

 

(挿入歌「crossing field」LiSA)

 

するとノイズが流石に苛立ったのか、ヘドロらしき物体をなんとマシンガンのように撃ってきたのだ!

 

それを見た翼は響達の前に出て、

 

ー天ノ逆鱗ー

 

空中から巨大な大剣を顕現させ、防ぐ。

そして霊風は霊風で、両手棍を巧みに回転させて、上手く防御していた。

だが、憑友は違った!

 

「…!はぁぁぁぁ‼︎」

 

憑友はなんとそのままあの弾丸の雨を掻い潜り抜けたのだ!

それを見ていた響と女の子、翼と霊風は驚いた。

しかし、驚くにはまだ早かった。

 

その弾丸が憑友に襲いかかろうとした!

絶対絶命のその時だった!

 

「っ!はぁ‼︎」

 

なんと、そのヘドロの弾丸を…斬ったのだ…!

 

『⁉︎』

 

それを見ていた全員が驚愕していた。

しかし、当の本人である憑友はと言うと…

 

「流石、師匠(せんせー)だぜ!こんな物朝飯前ですもんね!

以前は確か、本物の銃弾を剣で見事に真っ二つにしてましたもんね!」

 

と、キリトの武勇伝を豪語していた。

それを聞いた皆はこう思った。

 

『その『英雄』…化け物じゃないのか?』と。

 

しかし、そんな降りしきる弾丸の雨を剣で斬りつけながら近づいていく憑友。

 

「本来なら剣では斬れない筈の魔法すらも斬ってしまうんですから、本当にせんせーは凄い人です!」

 

と、やたらキリトを豪語しまくる憑友を他所に、他の皆は一斉に言った…

 

『それ、最早化け物だろ⁉︎』と。

 

そう言っているとあっという間に足元までやってきた!

すると、背中に担いでいたもう1つの剣を取ると、ライドに着いていたドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・キリト!フルドライブ‼︎』

 

「はぁぁぁぁぁ‼︎」

 

すると、2つの剣が青く光り輝き始めたのだ!

それを見た響は、

 

「!…綺麗…!」

 

と、目をキラキラして見ていた。

 

すると、足元を中心に一発、

 

ザクッ!

 

また一発、

 

ザクッ!

 

そしてそれを連続で斬り尽くし、そして、

 

「これが師匠の力だ!"スターバースト・ストリーム"‼︎」

 

最後の一撃を2つの剣で同時に斬りつけたのだ!

計16連撃の奥義にして、キリトの十八番・"スターバースト・ストリーム"が決まった!

 

それにより、ノイズの右足が完全に破壊され、ノイズはそのまま頭から地面に叩きつけられた。

 

「よっしゃ!行くぜ!」

 

そう言うと霊風も腰からカードを取り出し、装填されていたカードを入れ替えてレバーを引いた!

 

ースピリット!フォーム…ランサー‼︎

 

クランの猟犬、光の皇子‼︎ー

 

すると2年前に使用した、青の配色が多い姿へと変身した!

 

そしてそのまま心臓部の方へとやって来た!

すると、少しだけ明らかにノイズとは別の異物を見つけた。

すると憑友が後頭部にやって来たので、話をする。

 

「おい!このイボイボみたいなのは?」

 

「それが『英雄石板』ですよ」

 

憑友の言った一言に霊風は何処かのギャグマンガのようなポーズになっていたのは言うまでもない。

 

すると、憑友は腰に付けていたカードケースから一枚のカードを取り出し、レバーを肘関節の方に戻し、キリトのカードを抜くと今度はそのカードを装填し、レバーを引いた!

 

ーライド!フォーム…ナツ‼︎ー

 

そして現れた魂に、翼と霊風は驚いていた!

何故なら、昨夜憑友がその身の炎で燃やして呼び出した魂がまた現れたのだから。

そんな2人はほっといて、憑友はそれを纏った!

 

ー炎で滅せ、竜滅者‼︎ー

 

するとそこにはマフラーを巻いて、紺のチョッキを羽織った姿へと変わり、黒髪だった憑友の髪の一部がピンク色に瞬時に変わった!

 

「うぉぉぉりゃぁぁぁ!"火竜の鉄拳"‼︎」

 

それを合図にノイズの後頭部を殴る憑友。

それを見た霊風は槍と化した長柄武器で石板の周りのノイズの細胞を薙ぎ払っていく。

 

「今です!」

 

そう言われ、霊風は石板を引き抜く!しかし、中々引き抜けない。

 

すると憑友も同じ事をしていたので、まだ攻撃しないとと言おうとした時、

 

「"炎龍王の"……"崩拳"‼︎」

 

先程よりも更にその上を行く爆炎でノイズを殴った!

すると同時に、石板を引き抜き始める。

すると先程よりもスルリと抜けやすくなったのだ!

 

それを見た霊風は気付き、連続で槍を連続で突いた!

そして引っ張ってみると、スルリと抜け易くなった!

 

そして、

 

 

「これで!」

 

「終わりだ!」

 

そしてそれぞれ最後の一発を与え、石板を引き抜く!

それにより、石板は両方引き抜かれたのであった!

 

すると、ノイズが少し縮んだように見えた。

憑友と霊風は共にそこから離れる。

 

そして憑友は後ろ腰に備えられたポーチに石板を収納した。

因みに霊風が取った石板は近くにいた響にそのまま手渡され、

響が「私、お荷物係じゃないですよ⁉︎」と言っていたのは言うまでも無かった。

 

「最後はド派手に決めますか!」

 

そう言うと憑友はライドに付いているドライブボタンを叩いた。

それに気付いた霊風もスピリットに付いているドライブボタンを叩いた。

 

『ライド・ナツ!フルドライブ‼︎』

『スピリット・ランサー!フルドライブ‼︎』

 

「「はぁぁぁぁぁ‼︎」」

 

 

そうすると2人は気溜めに入り、翼はそれに気付くと瞬時に上空へと跳び、自身が持っていた刀を握りしめる。すると、刀が巨大な大剣になり、雷が纏わり付いた!

 

そしてそれを相手にぶっ放した!

 

ー蒼ノ一閃ー

 

翼の放った斬撃波と同時に、霊風も上空へと跳躍するや、持っていた槍を投げ槍の用量で持ちそして、

 

「喰らえぇぇぇ…

"突き穿つ(ゲイ)"…"死翔の槍(ボルク)"‼︎」

 

その槍をぶっ放したのだ!

 

2つの攻撃にノイズはそのままダメージを食らう。

そしてそれを待っていたかのように、憑友は自身の手を燃やして待っていた!

 

「竜を滅する力を刮目せよ!

 

"滅竜奥義・不知火型"…

 

 

 

 

"紅蓮鳳凰剣"‼︎」

 

そう言うと炎を全身に…特に、頭の部分を激しく燃やしてそのまま頭突きを繰り出したのだ!

 

そしてそのままノイズを貫通、ノイズはそれにより爆散したのであった。

それを見届けた響以外の3人は変身を解除したのであった…

ーーー

その後、自衛隊が駆け付け、其々の後処理に負われていた。

 

そんな時に、響が守っていた女の子の母親が現れて、女の子は無事に再会したのであった。

 

それを見ていた響に、

 

「暖かい物、どうぞ」

 

「あ、暖かい物どうも」

 

スタッフの1人・友里からコーヒーの差し入れを貰い、響はそれを口にする。

それによりホッとしたのか、自分が纏っていたスーツが消失し、響がその反動で後ろに転びそうになった…その時、

 

「よっと!」

 

誰かに助けられ、響が後ろを見てお礼を言おうとしたら、

 

「⁉︎憑友!」

 

それが憑友だと知り、内心ホッとしていた。

 

「あんまり無茶すんなよ。このバカ響♪」

 

「むぅ〜!それ如何言う意味よ!」

 

「あん?そのままの意味だよ〜だ!」

 

「酷いよ⁉︎」

 

そんな雑談をしていた2人に先程戦っていた翼と霊風が此方にやって来たのだ。

 

「…」

 

「よ!メラメラハートの色男!」

 

「め、メラメラ?もしかして…俺の事?」

 

「他に誰がいるかよ?」

 

「ですよね〜…」

 

そんな会話をしていると、翼が憑友の所へとやって来た。

 

「君はあの時、奏を救ってくれたのよね?」

 

「…はい。間違い無いです」

 

憑友がそう答えると、翼がなんと頭を下げてきたのだ!

芸能界で人気のアーティストであるあの『風鳴翼』が頭を下げて来たのだ!

それに困惑する憑友。

するとその真意を聞いた。

 

「奏を救ってくれて…ありがとう。

貴方が居なければ、奏はもう…!」

 

すると、それを察知したのか、翼の肩に手を置く憑友。

それに気付いた翼は頭を上げた。

 

「良いんですよ。あれくらい。

俺は天羽奏(あの人)のファンなんです。

好きな物の為に命を燃やすのは、良いじゃ無いですか!

だから、気にしてません」

 

憑友の言葉で翼の目から涙が零れた。

それを見た憑友は慌てだした!

 

「って、ちょっ⁉︎泣かないで下さいよ⁉︎俺が苛めたように思われるじゃ無いですか⁉︎」

 

「ぐすっ…」

 

そんな2人に霊風は首を突っ込む。

 

「違う違う。これは嬉し泣きなんだよ。なぁ?翼♪」

 

「っ⁉︎な、泣いてなんか…」

 

霊風の悪戯じみた言葉に翼は反論するも、顔が真っ赤になっていたのは言うまでも無かった。

そんな中で、響はそのまま帰ろうとした。

しかし、其処に黒服姿の男達に囲まれてしまった。

それを見た憑友も、苦笑いしていた。

 

「え?」「…如何してもか?」

 

すると、翼が先程までの態度をガラリと変え、

 

「貴方達をこのまま返すわけにはいきません」

 

と言ってきた。

 

「如何しても〜?」

 

「悪いな…如何してもなんだよ」

 

憑友が苦笑いしながらそう言うも霊風が変わりに受け答えをした。

それにより、憑友は肩をガックリと落としていた。

 

「特異災害対策機動部二課までご同行願います」

 

それでも翼はブレていなかった。

それを見た憑友は「(仕事のON/OFFがきっちりしてるなぁ…ん?あれ、これ何処かでやったような…)」とデジャヴを感じていたら、

 

2人とも手錠を掛けられてしまっていた!

 

響が慌てていると、隣にいた男の人が話しかけてきた。

 

「すみませんね。貴方達の身柄を拘束させて頂きます」

 

そんな話をした男に対して、憑友は話しかけた。

 

「因みにさ?俺の手錠(これ)って、特別製だよね?緒川(・・)さん」

 

「勿論ですよ。憑友君」

 

「サンキュー」

 

そんな2人の会話に3人は驚かされた。

何故、2人が知っているのかを。




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー。
今回は霊風が使っていた内の1人・シロエを紹介しよう」

シロエ/カード名【腹黒眼鏡 シロエ】
属性/闇・人間・魔・杖

姿はハーフアルヴと呼ばれる種族の姿を持っているが、中身は歴とした人間。
アシスト系の魔法に長けた職業・付与術師(エンチャンター)の能力を持っている。

憑友「謙虚な姿勢を持っているが、全ての戦闘指揮を執る実力を持つ戦略軍師。
彼の瞳には30秒先の未来が視えているのだとか…」

次回

人類守護の砦

憑友「次回もお楽しみに!」


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第6話 人類守護の砦

今回は重要要素ありあり回。


そして車で連行されていく響と憑友。

すると、とある建物が見えてきた。

憑友は全く分からない場所だったが、響とライドは良く知っている場所だった。何故なら…

 

「なんで、学院に?」

 

「?此処知っているのか?」

 

「此処、私が通ってる場所だけど…」

 

「…へぇ〜。馬鹿でも入学出来るんだな〜」

 

「余計なお世話だよ⁉︎」

 

『憑友。響はこれでも、ちゃんと勉学に励んで入学したんだぞ?』

 

「余計な事言わないでよ⁉︎ライドさん!」

 

「ふ〜ん…でも、それなりに出来るのは分かったよ」

 

そんな2人の雑話を聞いていた翼と霊風、そして緒川の3人は三者三様の反応をしていたのであった。

 

そして、2人と1つは学院内の1つである、講師達がいる中央棟へとやって来ていた。

 

「あ、あの〜…此処、先生達がいる中央棟ですよね…なんで?」

 

響はそう言うも、その答えを言う者は少なくてもこの場にはいなかった。

 

すると、エレベーターと思わしき物に入って行く。

 

すると翼と霊風はエレベーターに入るや、奥の方へと入り、手すりらしき物に手をやる。

 

それを見ていた響に、緒川が話しかけて来た。

 

「さ、手すりに掴まって下さいね?」

 

「へぇ?」

 

そう言うと響に手すりを持たせた。

すると緒川は今度は霊風に話しかけた。

 

「霊風君は、憑友君の手錠をしっかり持ってて下さい」

 

「なんで俺な訳?」

 

緒川に言われ、霊風は嫌々ながらも仕方なく憑友の手錠をしっかりと持ち、手すりに掴まった。

 

「あ、あの〜危ないって…」

 

響が言おうとした時、エレベーターが急降下し…

 

「「ぎゃあぁぁぁぁああああ⁉︎」」

 

そのまま憑友と共に絶叫したのであった。

因みに、憑友を持っていた霊風は憑友がそのまま浮いてしまい、それを必死に持っていたせいで自分の身体が浮き、そして巻き込まれたのは言うまでも無い。

その後なんとか収まり、響が苦笑いをしたのだが、翼から「愛想は無用よ」と言われ、軽くショックしていた。

 

すると、ガラスの先の景色が変わった。

まるで壁画に色を塗ったかのような風景が見えた。

 

「これから先に微笑みなんて無用よ」

 

翼からそんな言葉を言われた響は緊張する。が、

 

「本当は歓迎会の準備でもしてんじゃないの?」

 

「へ?」

 

憑友の言った一言に響が間の抜けた声を上げた。

 

「で、でも流石にそれは無いんじゃ…」

 

そう言って、憑友の言った事に否定した響なのだが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パァンッ!パァンッ!

 

 

「ようこそ!人類守護の砦!特異災害対策機動部二課へ!」

 

「…へ?」

 

憑友の言う通りになっていたので、惚けていた。

しかもご丁寧に歓迎会ムード一色で、近くには目玉が塗られていないダルマや、色々とパーティー会場のような体勢になっていた。

更に上を見てみると

 

〔熱烈歓迎‼︎立花響さま☆人絆憑友さま‼︎〕

 

と何故か自分達の名前入りで熱烈に歓迎されていた。

 

それを見た響とライドは惚け、翼は頭を抱え込み霊風のバディであるスピリットと共に呆れ、

緒川と憑友は苦笑いをして、霊風はケラケラと笑っていた。

すると1人の女性が響と憑友の方に近づいて来た。

 

「さあさあ、笑って笑って!

お近づきの印にスリーショット写真♪」

 

「えぇ、嫌ですよ⁉︎手錠をしたままの写真だなんて、きっと悲しい想い出になっちゃいます!」

「それに、初めて会うのになんで皆さんは私と憑友の事を知ってるんですか⁉︎」

 

「我々二課の前身は大戦時に設立した特務機関なのでね。

調査などお手の物なのさ!」

 

「とか言いながら、ちゃっかり人の持ち物を漁って、個人情報を得ようなんて…それはあんまりなんじゃないの?」

 

「へ?」

 

すると先程写真を撮ろうとしていた女性が鞄らしき物を持ってきた。

それを見た響は、

 

「あぁ⁉︎私のカバン‼︎

何が『調査はお手の物』ですか⁉︎憑友君の言う通りじゃ無いですか‼︎」

 

勿論、怒った。プライベートに関するモノを漁っていたのだから当然である。

しかし、響は此処で疑問に思った。

 

「あれ?…んじゃ、なんで憑友君の事を知ってたんですか?」

 

そう言うと、響に代わり、憑友が前に出た。

そして、赤いシャツを着た男の人と面と面で向き合うや、

 

「ふぅ…取り敢えず一言。

 

お久しぶりです。師匠」

 

「お前もな。憑友君」

 

「え?…えぇぇぇぇ⁉︎」

 

まさかの知り合いに響は驚いた。

 

「1年と半年ぶりだな?」

 

「まぁ、色々とありましたから。さて、それじゃ…」

 

そう言うと、憑友は大きく背伸びをして、軽く意識を統一した。

すると手錠を付けた両手を上に掲げた。そして…

 

「…ふっ‼︎」

 

そのまま勢いよく真下へ降ろす。

それと同時に、軽く膝を曲げて、そして手錠の間を正確に狙って…

 

 

パリィィィンッ‼︎

 

『⁈』

 

なんと、たったそれだけで手錠が壊れたのだ!

 

そしてそのまま手錠を解除し、手首を捻った。

 

「うむ。修行時代よりも精進していたんだな」

 

「当然です。1年と半年の間、戦場に赴いては、戦争の火種を無くそうと努力して来たんです。それと同時に、『英雄石板』を探し回って来たんです。あの時よりも精進し無いと生き残れませんしね?」

 

弦十郎は成長した弟子を見て、感心した。

それに対して憑友は自分の成長譚を語ったのであった。

 

「?ねぇ?ちょっと良いかしら?あ、私の名前は…」

 

「櫻井了子。『シンフォギア』を基となった物、『聖遺物』に関する記述を提唱した理論。通称【櫻井理論】を掲げた人。だと、母さんが言っていました」

 

すると女性・櫻井了子が疑問に感じ言おうとする前に自己紹介しようとしたら、憑友には無用だった。

 

「そ、そうなの…。?母さん?その人って、私の知ってる人かしら?」

 

「ジャンヌって言う人はご存知ですか?」

 

「ジャンヌ…⁉︎まさか…」

 

「そのまさかです。自分はそのジャンヌの息子です」

 

「oh…orz」

 

櫻井の今までに見ない行動に全員が驚愕していた。

勿論、弦十郎も櫻井の行動に驚いていた。

 

「…。お前の両親は化け物だな?」

 

「貴方に言われたくは無いですよ師匠」

 

そんな2人の対応に響達は惚けていた。

翼はそれに対して、緒川に問い詰める。

 

「…貴方も知っていたの?」

 

「あ、あはは…。…はい」

 

緒川は苦笑いしながら逸そうと思ったが、翼の鋭い剣幕に降参した。

すると、突然ドアが開いた。

 

「なんか、随分と騒がしいな?何があった…んだ…?」

 

そこには、ラフな格好をした女性がそこにいた。

その声に気付いた響と憑友はその声の方に振り向くと、その女性の顔を見た。

響にとっては、かつて自分を救ってくれた存在であり、

憑友にとっては、自分が命を燃やし尽くしてまで救った存在…

 

天羽奏がそこにいた。

 

奏は2人を見て、すぐに涙が零れた。

そして2人に近づき、響にはハグをした。

 

「生きてたんだな。…ありがとう。生きてくれて!」

 

「!…奏さん…!」

 

奏の嬉し涙に響もハグを返した。

因みに弦十郎と憑友との会話の最中に緒川により手錠を外してある。

 

そして奏はそのまま視線を憑友の方に向けた。

 

「あんたも、生きてたんだな。ありがとう。あんたのおかげで、今の私は生きてる。本当にありがとう」

 

「奏さん…」

 

奏の涙を見た憑友は視線を逸らした。

それを見た奏は不思議そうに見ていた。

 

「如何したんだよ?」

 

そして憑友はこの場を借りて告白した…

 

「俺、実は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

半分死んでます…」




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー。
今回は俺が1話で使用していたもう1つのカード。
アカネを紹介するぞ」

アカネ/カード名【炎を灯せし少年 アカネ】
属性/炎・人間・打・拳
自身の身体に炎の属性を持つ少年。
亡き父の思いを胸に、走り続ける。

憑友「拳型の武器《炎拳 イグナイト》を装着して立ち向かう。ナツと同じスタイルの少年。
必殺技(フルドライブ)"フレアリィ・エルプション"で自身の周りの敵を燃やし尽くす…!」

次回

死したる肉体

憑友「次回は俺の身体の事を紹介するぞ。
次回もよろしく!」


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第7話 死したる肉体

オリジナル回。と同時に、新たな戦いの予感。


「俺、実は…半分死んでます(・・・・・)

 

憑友の言った一言に、皆は驚いていた。

唯、弦十郎と緒川は冷静になって。

 

「え?…如何言う…事…なの?」

 

奏にハグしていた響は手を離し、憑友の方に向く。

そしてそれと同時に、奏もハグをやめ、憑友の方に向けた。

 

「…う、嘘はやめてくれよ。だって、此処に居るじゃないか。私達の目の前に居るじゃないか。冗談はやめてくれよな?」

 

奏が冗談だろ?と言った口調で話しかけるも、憑友は首を縦には振らず、寧ろ横に振った。否定したのだ…

そしてそれに追い打ちをかけるかのように憑友は話しだした。

 

「俺は、嘘は死んでも言いません。…って、もう死んでたんだっけ。

俺が今まで嘘を言った事ってあるか?響」

 

そう言うと憑友は響を見るや、響に質問する。

憑友の問いに響は俯向く。

奏は「冗談だよな?」と響に示唆するが、

響は首を横に振りながら、

 

「憑友は確かに、これまで一度も嘘をついた事はありません。幼馴染の私だから良く知ってます」

 

『因みに私も、憑友と共に行動して来たが、彼が一度も私達の前で嘘を言った事は1つとしてない。これは紛れもない事実だ』

 

響の答えと、憑友が所持していたライドが揃ってそう答えたので、奏はそれが本当なので知り、膝をついて泣き出した。

 

「なんだよ…それ…

じゃあ、此処に居るのは幻なのかよ⁉︎私がただ単に具現化した幻影なのかよ⁉︎」

 

そんな奏の涙に、憑友は奏の瞳から流した涙を掬って見せた。

その行為に気付いた奏は咄嗟に「へ?」と、惚けた声を出した。

 

「確かに俺は死んでます。けど、同時に生きてもいます。

今の俺は半分幽霊みたいなものです。言うなれば、化け物と言われても可笑しくはありません。

幽霊みたいに透明化や、すり抜けも出来ますし。

人間みたいに誰かに触れる事や食べたり、飲んだりする事も出来ます」

 

憑友の言葉に皆、驚いていた。

半分幽霊な存在などこの世に存在するのかと言う疑問に。

皆が疑心暗鬼のようにしていたので、憑友はライドと話をした。

 

「ライド。〈メディカルモード〉って使える?」

 

『まぁ、久しぶり感があるが、使えるので問題はない!』

 

そう言うとライドを電子パッドのように操作して、そして1つのアプリを起動させた。

 

すると、それを響に渡し、憑友は説明した。

 

「響。ライドさん(これ)を心臓の部分に翳してくれ。その後、奏さんに渡してくれ」

 

「う、うん…」

 

そう言うと響は心臓部にライドを翳した。すると、

 

ドクンッ!…ドクンッ!…

 

『‼︎』

 

なんと、電子パッドから心臓音が鳴ったのだ!

すると憑友は説明をした。

 

「今のは、響の心臓の鼓動音です。次に奏さんにも響と同じ事をお願いします」

 

「あ、ああ…」

 

そう言うと響に渡された奏はそれを心臓部に翳した。すると…

 

ドクンッ!ドクンッ!…ドクンッ!ドクンッ!

 

此方も響とは少しテンポが違うがちゃんと鳴っていた。

 

「今のは奏さんの心臓音です。何方も当たり前ですね。しかし…俺は違います」

 

そう言うと奏からライドを返却し、今度は憑友自身が心臓部に翳した。

 

…………………………………………

 

しかし、いつまで経っても心臓音がしなかったのだ。

 

憑友はその状態のまま話をし続けた。

 

「今、ご視聴頂いた通り、俺の心臓音は出てません。

寧ろ、動いてすらいないのです。

普通、喋ったり、運動したりすれば心臓の音は若干速くなります。

自分の精神状態でも同じ事が言えます。

けれど、今の俺はそれでも心臓の鼓動音はこうして話している今でも、鳴っていません。

それはつまり、肉体は死んでいると言う事になります。

心臓が動かないと全身に酸素が送られてきませんからね」

 

その話を聞いた一同は目を見開いた。

弦十郎と緒川を除いて。

 

「しかし、俺には代わりとなるものが存在します」

 

すると、憑友は上着をこの場で脱ぎ始めたのだ‼︎

 

それを見た一同は驚愕し、女性達に至っては目を閉じたり、手で隠したりとかした。

そして服を脱ぎ捨てた憑友を見た一同は驚愕した。

 

ボォゥッ!…ボォゥッ!…ボォゥッ!…

 

なんと憑友の左胸に青白い炎が出ていたのだ!

一同は急いで、水で冷やそうとした。それに気付いた弦十郎と緒川と憑友は、慌てて宥めさせる。

 

「お、落ち着いて下さい⁉︎コレは今の俺にとっては大事な命なんですから‼︎」

 

それを聞いた皆は『え?』と声を上げたのであった。

 

「この炎は、〔命の灯火〕と言いまして、俺の今の心臓なんです。

此処に水を掛けられたりでもしたら、俺は逆に皆さんで例えて言うならば、"心臓を抉りながらゆっくりと取られていく感覚"だと思ってくれても構いません」

 

その話を聞いた一同は目を見開き、そして青ざめた。

もしさっきの行動をやっていたら、間違いなく憑友を殺していたのかもしれないと。

 

「?という事は…弦十郎君はこの事、知っていたの?」

 

「緒川さん…貴方も?」

 

すると、櫻井は弦十郎がこの事を知っていて皆を止めさせたのかと問いかける。

翼も自身のマネージャーである緒川に迫った。

 

「ああ。こいつの修行をする時に知らされたのだ。こいつの父にして、俺の親友にな」

 

「僕は弦十郎さんと憑友君本人の口から直接聞かされていまして…」

 

「もしかして、その時に?」

 

「はい。ただ、その時は2人から口止めをされていたので、話せなかったのですけどね」

 

2人が何故、憑友の事を知っていたのか、そして彼の身体の構造を知っていたのかに合点がいった皆。

翼はそれに加えて何故、自分のマネージャーである緒川と憑友が知り合いだったのかの経緯も分かったのであった。

 

すると、そんな時に弦十郎の胸ポケットから携帯が鳴り、弦十郎は通信相手を見た。そこには、

 

『玄也』

 

と書かれていたので、弦十郎は電話をかけた。

 

「もしもし。こんな時になんだ?」

『こんな時にとはひどいな〜』

「現に今、お前さんの息子。自分の正体バラしたぞ?」

『あ、それは良いんだよ〜』

 

しかし、どうも今の玄也はかなり陽気な性格だった…

 

「良くないだろうが⁉︎この場には彼の幼馴染の響君もいるのだぞ!」

『どうせ、彼奴は自分から直接話そうとしていたんだ。そのタイミングが今日だっただけなんだよ。

と、話が逸れる前に本題に入るよ』

 

と、思いきや今度はシリアスな一面を出してきた。まるで二十面相みたいだ。

 

「…お前のそのコロコロと変わる性格はなんとか出来ないのか?」

『堅苦しい性格じゃないのは、知ってるだろ?』

「…はぁ。…それで?要件はなんだ?」

『はいはい。んじゃあ要件を話すね〜』

 

そう言うと憑友の父・玄也は本題の方に入った。その内容が…

 

『明日から、憑友をリディアンに通わせておいてね〜♪』

「はぁ⁉︎」

 

まさかの展開に弦十郎は大声で叫んだ。

その為か、皆は吃驚していた。

其れを見ていた憑友は、

 

「(あの様子…如何も話し相手は父さんだな。

しかも、相当何か悪巧みを思いついて、其れを師匠に話したようだな)」

 

と、心の中でそう呟いていた。

憑友よ…君のその心の声はあながち本当のようだぞ。

 

すると、話が漸く纏ったのか、弦十郎は電話を終え、携帯をしまった。そして、憑友に近づくや。

 

「済まんが、明日から、この上…リディアン音楽院に憑友君。君を編入する事が決まった」

 

「へ?」

「は?」

「なっ⁉︎」

「え?」

 

上から響、奏と翼、そして憑友が目を見開くや否や…

 

「「「「はぁぁぁぁあ⁉︎」」」」

 

と、4人揃って絶叫したのであった。

一体、何が有ったらそうなったのかはこの時の皆は知らなかったのであった。

 

ーーー

一方、日本から遠く離れた場所。

そこでは、戦争が勃発していた。

テロリストと自衛隊の激しい攻防戦だった。

 

「撃てぇぇぇ!」

 

激しく燃える火の海。

そんな中で、多くの子供達が親を亡くしてしまっていた。

最早此処までかと思われていた。

 

 

「?…誰だ貴様は!」

 

そんな時に突然、戦車の前に立ち尽くす1人の青年がいた。

 

「お前らがいるから戦争は終わらないんだ…」

 

「ふっ!青二才のくせに!」

 

「お前らよりかはもうちょっとマシな方なんだけどな?」

 

「何⁈言ってくれたな!構わねえ!撃てぇぇぇ!」

 

そう言うとテロリスト達は青年に向けて大量に発泡した。

 

それにより、たくさんの砂煙が舞い、テロリストの1人が手を挙げ、撃つのをやめさせた。

 

「ふっ!ざまぁ見やがれ!」

 

と、テロリストはそう言った。

とりあえず、テロリストの人はこれだけは言わせてくれ。

それ、死亡フラグだから。

 

すると、

 

ーソウル!フォーム…グレイ‼︎ー

 

突然、電子音が聞こえ、砂煙の中から青白い光が現れるや、なんと砂煙が一瞬で凍り、そしてそのまま地面に落ちてしまったのだ!

 

『⁉︎』

 

ー氷で凍てつけ、悪魔狩り〜!ー

 

そこには先程の青年が着ていた服とは全く違う服を着ていた。

すると青年はなんと、その上着を脱ぎ捨てたのだ!

 

『何故そこで脱ぐ⁉︎』

 

テロリスト達は一斉にそう言った。

すると、青年は左手で拳を作り、右手の掌に打ち付けた。

 

「"アイスメイク"…」

 

すると彼の手の間から冷気が発した。

そしてそのまま前方に向けて放った!

 

「"(フロア)"!」

 

すると、彼前方範囲の床がスケートリンク場のように固まってしまった。その範囲内にいたテロリストはその反動で、足元を掬われる。

 

「続けて喰らいな。"アイスメイク・牢獄(プリズン)"‼︎」

 

それにより今度はテロリスト達を1つの牢獄の檻へと閉じ込めた!

 

「な、何だこれは⁉︎」

「冷めた⁉︎何だよこれ⁉︎」

「それにさっきから寒くねぇか?」

「はぁ?そんな訳…⁉︎まさか…⁉︎」

 

「そのまさかだよ…喰らうが良い。お前らの所為で大切な家族を失った餓鬼共の復讐の牙を!」

 

そう言うと青年は左腕に装着した電子機器に付いているドライブボタンを叩いた!

 

ーソウル・グレイ!フルドライブ‼︎ー

 

「お前らはこれでおしまいだ…」

 

すると青年の身体から黒い模様が浮かび上がった!

 

「喰らえ。"アイスメイク"…」

 

そしてそのまま前方に向けて掌を突き出し、放った…

 

 

「"銀世界(シルバー)"」

 

その一撃で、テロリスト達は瞬時に凍結されてしまった。

 

そして青年はその場を後にした。

 

「まだ。終わらない…火種であるテロリスト達を無くすまで」

 

そう言うと次のポイントに向かった。

そこで、彼はまた違う姿を見せた。

 

「⁉︎お前は!」

 

「俺の事を知ってるのか?だが、生憎俺はお前らテロリストに容赦しない!」

 

そう言うと青年は左腕に装着されていた電子機器からカードを取り出し、新たなカードを装填し、

 

「変身」

 

そしてレバーを引いた。

するとディスプレイから新たな魂が現れた。

青の服と、金色の髪、そして水の刀を持つ青年の魂が現れたのだ!

 

ーソウル!フォーム…アオト!ー

 

そして青年はそれを纏った。

 

ー聖なる扉、水の咎人ー

 

「一気に決める…!」

 

そう言うと青年はそのままドライブボタンを叩いた!

 

ーソウル・アオト!フルドライブ‼︎ー

 

「水と氷でその罪を洗い流せ…"フリーズグレイス"‼︎」

 

『うわぁぁ‼︎』

 

青年は刀を二本持ってそこからX型の衝撃波を相手に当てた。

その際に、氷と水の波状攻撃がテロリスト達を襲った。

そのたった一撃で、テロリスト達をやっつけた青年。

そして生き残ったテロリストの1人がこう言った。

 

「やはり、お前は…俺達…テロリストの敵だったんだな…!

 

【冷眼のロック】‼︎」

 

「うるさい。そのまま気絶でもしてろ」

 

そう言うと青年はその場を後にした。

その後、そのテロリストは気絶したと言う。

 

「俺は単なる《掃除屋》だ。蔓延る悪を間引きする《正義の掃除屋》だ。全ては戦争で親を無くした子供達の為…

たった1人の妹の為だけに…俺は生きていくんだ…」

 

そう言いながら青年は、その戦場をたった1日で全て崩落させた。

自衛隊が駆け付けた時には、そこにはテロリスト達が全員やられていたと言う。

 

 

彼の名はロック・アイル・ユキネ。

テロリスト達を脅かす者であり、同時に『英雄』達の力を扱う事が出来る者。

 

"水の魂を導く師者"《水魂導師》の異名を持つ男。

 

そんな彼は今日もテロリスト達がいる戦場を駆け巡る。

 

全ては自分と同じような思いをしている子供達の笑顔を守るため。

 

全ては、たった1人の義理の妹の笑顔を見たいが為に。




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー。
今回は霊風が使用していた力、マカ&ソウルを紹介しよう」

マカ&ソウル/カード名【死武専コンビ マカ&ソウル】
属性/闇・人間&武器・魔・鎌

死武専と呼ばれる学園の生徒で、コンビな二人。
魔女の魂を集めて相棒を最強の武器にする目的を持つ。

憑友「鎌の扱いに長けた極めて珍しいタイプ。
必殺の魔女狩りで範囲内の魂を根こそぎ刈りとる」

次回

英雄石板

憑友「次回もお楽しみに!」


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第8話 英雄石板

今回は『英雄石板』に関する話。
そしてあの男再び…!


翼と霊風によって特異災害対策機動部二課ーー通称・特機部ニーーへと連行された憑友と響。

そこでは弦十郎達がすっかり歓迎ムードに漂っていた。

そこで2人は奏と再会する。

そして、憑友は自分の今の肉体の状態を説明した。

それと同時に、憑友の父・玄也に電話していた弦十郎からリディアンに通うように示唆されたのであった…

 

ーーー

その後、2人の健康状態を見たいと言ってきた櫻井氏に無理やり連れられ、メディカルルームへと連行させられた2人。その際に、

 

「取り敢えず…脱ぎましょうか?」

 

「「え?…なんで〜⁉︎」」

 

こんなやり取りがあったのは言うまでもない。

 

〜数十分後〜

 

そして無事にメディカルチェックを終えた2人。

 

「お疲れ…様…?」

 

「クタクタ〜」

「な、なんなんだよ…あの櫻井とか言う人は。

身体中触りまくりやがって…」

 

そんな2人を霊風がお出迎えしてくれたのだが、2人はそれ所ではなかった。

 

「あはは…。相当やられたみたいだな。

俺も初めて来た時に受けたけど、それ以上にやられたみたいだな。

と、2人の事なんだけど…

これから奏の部屋に来て欲しいんだけど…来るか?」

 

霊風の言葉に2人は耳を傾け、2人とも大きく頷いた。

そして、霊風の案内により、奏の部屋へとやって来た。

 

すると霊風はドアをノックした。

 

「奏?俺だ。霊風だ。2人を連れて来たぞ?」

 

『ああ!入って来て良いぜ!』

 

相手からの了承を得たので、霊風はカードキーでドアを開け、中へと入って行った。それを見た2人も続いて入る。

そこには、沢山のアクセサリーや、ぬいぐるみが彩りよく飾られたお部屋を見つけた。

するとソファの所で、奏が手を振っていた。

 

2人は奏の方へと近付いて、そしてソファに腰掛けるように示唆されたので、そのまま腰掛けた。

因みに霊風は奏が座っているソファの近くにある壁にもたれ掛かっていた。

 

「取り敢えず、先ずはお疲れ♪」

 

「もうあればかりは懲り懲りだな…」

 

「あはは…」

 

そんな奏を見て、憑友は奏の事を知りたくなり、この場を借りて話す事にした。

 

「そう言えば、奏さんは2年前に忽然と芸能界から姿を消したって、父さんや義姉さんから聞いたんですけど…

あのライブ会場の悲劇から何があったんですか?」

 

「それも含めて今から話すよ」

 

そう言うと奏は話をし始めた。

 

「あの日、憑友(あんた)に救われた私はあの後から歌を歌う事が出来なくなったんだ。所謂、拒絶反応見たいな奴でね。

それ以来私はアーティストと言う道を諦めてしまったんだ。

両翼揃ったツヴァイウイングはこの時に事実上の解散となったんだ。

それから数週間が経ったある日かな…

霊風が時々、私に『英雄』達の軌跡が記された石板をよく見せてくれたんだ。あの時は私に興味を示せる物が無いのか、当時の霊風は必死になってたな」

 

その話を聞いていた霊風は少し頬を掻いた。少し照れくさかったようだ。

 

「そしたらさ、『英雄石板』だったかな?憑友が言っていたのは。

あれには沢山の古代文字が使われていて、なんて書いてあるのかすら、当時の私は読めなかった。

しかしいつしか見ていく内に、ある日突然、それが読めるようになったんだ」

 

「「⁉︎」」

 

奏の言葉に2人は耳を疑う。

普通の人なら先ず読めないであろう文字で書かれている筈の『英雄石板』を奏が読める様になったという事に。

 

「それからと言うもの、私はアーティストと言う活動の場から、霊風が所持している石板の解読と言う新たな趣味を持つ様になったんだ」

 

「…成る程。じゃあ、彼処にある機械はその為の奴だったんですね」

 

奏の話を聞いた憑友はある場所に指を指した。

そこには高度な技術の塊とも呼べる機械が設置されていた。

 

「ああ。私はそれを使って、時々霊風が持って帰ってくる石板を解読してるんだ。

可笑しいよな。2年前までは私が表舞台に立って、霊風が裏方に徹していたのに、今では私がその霊風の裏方に徹してる。立場が逆転してしまったけどな…!」

 

そう言うと奏は笑った。醜いだろと言わんばかりに。

しかし、2人は笑わなかった。

 

「でも、それって逆に言えば今までの恩返しみたいな事なんじゃ無いですか?

話を聞いた限り、霊風さんは奏さんの専属マネージャーだった。いや、今でもそうかもしれない。

だとしたら、これまで自分を支えてくれた存在の手助けができると言う事は逆に素晴らしいんですよ。だから誇りに思って良いんですよ」

 

それを聞いた奏は、「ありがとう」と言って感謝の言葉を放った。

 

「?て事は…此処で石板の解読が出来るという事か。良し!やってみるか!」

 

そう言うと憑友はいきなり席から離れるや、その機械が置かれたデスクに腰掛けた。

 

それを見た響はその様子を見たいと思い、憑友の所へと赴く。

奏と霊風も同じ気持ちだった。

 

すると憑友は腰に備わっているポーチから英雄石板を取り出した。それも4枚。

 

「えっと、一昨日と昨日、そして今日の二枚。

響。これを解読する事が出来れば、『英雄石板』からカードが現れるんだ。そしてそれは俺や霊風さんが変身する戦士『精魂導師』にとって無くてはならない力となるんだ」

 

「ふぇ〜」

 

「さて、解読でもしますか!」

 

そう言うと機械を弄りながら、解析に取り掛かる憑友。

因みにライドもケーブルに繋げてサポートしてくれていた。

そして開始してから僅か3分で、1つ目の解読が成功したのだ…‼︎

 

「早っ⁉︎そんなに解読が終わっちゃうの⁈」

 

「俺のはまだ遅い方だぞ?

俺の父さん・玄也はこれを遅くても3分以内で解読完了しちゃうんだ。だけどもっと驚いたのが、セレナ義姉さんかな。あの人、解読に要する時間は全て1分以内で終わらせちゃうんだもん。

速いのもなんのそのだよ」

 

それを聞いた3人は間が空きつつ惚けた。

すると、憑友は先程分析が完了したばかりの石板に手を翳し、そして解読して得た古代文字を詠唱した。

 

「詠唱開始。

 

『その者は不運に見舞われし青年なり。

 

しかし、其れでも相棒と呼んだ少女の為に、

 

並行した世界を壊し続けん。

 

やがて其れが大いなる野望だと知っても、

 

其れでも、青年は少女の為にその野望を打ち壊さん。

 

そして青年は少女を守る為にその身を消し、少女に願いを託さん。

 

一族から伝わりし歌をその少女に託して…』」

 

すると、石板が光輝き、それが一点に集中し、そしてその光が消えると同時に一枚のカードが現れた。

 

「解読完了。えっと…【審判を超えし槍 ルドガー】ね。

これで1枚目の石板の解読は終了っと。

こんな風に、

 

①石板を回収する。

 

②その石板を解析する。

 

③解析から得た古代文字を詠唱する。

 

④そこからカードが現れて、それを回収する。

 

この一連の流れを繰り返しながら、英雄石板を解読してるんだ」

 

「へぇ〜そうなんだ〜」

 

英雄石板の大まかな流れを聞いた響。

そして憑友は石板があった場所について話す。

 

「これまでに世界のあちこちを回ってきたんだ。

ある時はエベレスト。ある時はピラミッド内部。

またある時は戦場真っ只中の場所で、俺は石板を回収し続けていたんだ」

 

「お前…まさか、その時から自分の身体の暴走を抑制しつつ、押さえ込んでいたのか?」

 

「はい。そうですけど?」

 

「精神的に強えぇ…」

 

それと同時に自身の身体を抑制していた事に霊風は壁に寄りかかり、意気消沈していた。

そんな霊風は放っておいて、憑友は2枚目の方に取り掛かった。

そして、コツを掴んだのか、先程よりも早く解析が終わった。

そしてまた同じ動作をし、詠唱した。

 

「詠唱開始。

 

『その者は右眼を幼き頃に捨てた。

 

だが、其れは同時にその者を龍へと駆り立てん。

 

いつしかその者を『独眼竜』と呼ぶようになった。

 

その若きカリスマ性で一国を収める長へと登り詰めた。

 

そして青年の前に立ちはだかるのは、天涯孤独と言われた男にとって、

 

刃を交えて成す『甲斐の若虎』と呼ばれし好敵手の存在。

 

『竜の右眼』と言う背中を託せし者と共に、彼の物語は突き進む…

 

婆娑羅な物語へと…』」

 

するとそこからまたカードが現れた。

 

「カード名…【奥州筆頭 伊達政宗】か。中々良いのを引き当てたかな」

 

そこで響は疑問に思った事をぶつけた。

 

「ねぇ?その伊達政宗って言う人って、戦国時代にいた武将の名前だよね?そんな人達も英雄になれるの?」

 

「確かに俺が言った【伊達政宗】はこの世に存在した武将の1人だ。

けど、これに描かれている【伊達政宗】は、この世界とは異なる世界・パラレルワールドと呼ばれる平行世界上で名を馳せた人物なんだ。

このように、『英雄』達の中にはこの世界でも知られている有名な存在がいるのもまた事実なんだ。

ただ、彼等は全員、この世界の出身では無く、神によって遣わされた平行世界上の人間達が殆どなんだ」

 

「それを俺達《精魂導師》はその力を使って、ノイズ達を倒している…という事なのか?」

 

「はい。『英雄石板』に記されし者達は今の所は皆友好的です。

けど、中々言う事を聞かない人達がいるのもまた事実ですけどね…」

 

そう言うと手際よく次の作業に入る。

 

そしてあっという間に3枚目の解析を終えて、再び詠唱を始めた。

 

「詠唱開始。

 

『その青年は目の前で家族を失った…

 

其れを境に彼は大事な家族を奪った者に復讐を抱かん。

 

大いなる人を相手に小さき己は刃を向けてその者達を刈り殺す。

 

そこにあるのはただひたすらに復讐の心のみ。

 

やがて青年は己が刈り殺し続けた者達の力を得ん。

 

其れでも、彼はその者達を倒し続けん。

 

一生涯燃え尽きぬ事のない《復讐》と言う名の紅蓮の炎を掲げて…』」

 

すると3枚目も解読に成功すると同時にライドに一任していた4枚目の石板の解析がし終えたので、その石板を手元に持ってきて、続けて詠唱を始めた。

 

「詠唱開始。

 

『その少年は最初は弱かった。

 

数多の強豪、手強い好敵手達、悪しき野望を生み出す組織。

 

其れでも、彼は初めて出会ったかけがえの無い相棒と共に勝利を飾ってきた。

 

今宵もまた、その相棒と共に旅に出らん。

 

まだ見ぬ者達と出会いと別れを繰り返しそして、新たな仲間と共に…

 

今宵も彼と相棒は旅に出らん…

 

己が掲げた目標の為に…』」

 

すると4枚目も無事に終わり、これで石板の解読は終了した。

 

「…ふぅ。お〜わった。…今回の解読完了〜」

 

「凄…?…って、始めてから30分も経ってない⁉︎」

 

ほっと一息つく憑友。

そんな憑友に響は感化した。そしてふと部屋に置かれていた時計を見て驚かされた。

 

なんと石板解読をし始めた時間から30分以内に終わらせてしまっていたのだ。響はそれにより驚かされたのであった。

すると奏が話を切り出した。

 

「これから先、色々と大変になるだろうと思うから、これからこの部屋も自由に使って構わないからな。

此処は元々倉庫だった所を改修したんだ。時間帯があるのが歪め無いけど、その間なら自由に使ってくれても構わないからな!」

 

「因みにその時間帯ってのは?」

 

「朝は8時から夜は12時まで。その間なら自由に使ってくれても良いぜ」

 

「はぁ…お前と言う奴は。

…こんな俺の相方だけど、これからもよろしくな」

 

「「はい!」」

 

その話を聞いた2人は今日はその日に解散となった。

 

〜〜

 

その後の帰り道。憑友と響は一緒に帰っていた。

 

「なんか、色々と大変な目に遭ったよ〜」

 

「そうだな。と、忘れるところだった!はい、これ」

 

そう言うと憑友は響にある物を渡した。

 

「?…あ!翼さんのCD!」

 

「帰り際に緒川さんに遭ってな。その時に渡されたんだ。

響は翼さんのファンだからって言う事で。今回のお詫びと言う事と口止め料みたいな物かな。

あと…はい、これ」

 

そう言うと今度はライドとキリトのカードを響に渡した。

 

「え?」

 

「お前が持っとかないと、いけないんじゃ無かったか?明日までは2人の事を頼んだよ」

 

「あ…そっか。…うん!分かった!」

 

「それじゃ、俺はこれで」

 

「またね!憑友」

 

そう言うと2人はそれぞれの道へと帰って行った。

 

その後響とライドは未来に、憑友はセレナにこっ酷く怒られたそうだ(怒られている理由は2人とも別々なのだが)。

それでも、2人と1つは再会したと言う興奮が勝っていたのは言うまでも無かったのであった。

 

ーーー

一方、此処は戦地真っ只中の場所。

 

そこでロック・アイル・ユキネはたった1人で戦地を動かしていたテロリスト達を相手に次々と倒して行っていた。

 

「ひぃ⁉︎ま、待ってくれ!頼むから命だけは!」

 

そんな中、1人のテロリストがロックに命乞いをしていた。

周りには彼によって倒されたテロリスト達がいた。幸いなのは皆、気絶していたと言う事だけだった。

 

「お前の仲間は気絶するだけで充分な連中ばかり。お前の部下はよっぽどお前に忠誠でも立ててたんだな?けど、それもこれまでだ。

お前の今の顔を見たら、部下はどんな顔を見せるんだろうな?」

 

そう言うとロックは電子機器・ソウルアブソーバーを左腕に装着させて、腰に備わっているカードケースから一枚のカードを取り出し、装填し、

 

「変身」

 

そしてレバーを引いた。

 

ーソウル!フォーム…タツヤ!ー

 

するとディスプレイから2丁拳銃を構えた青年の魂が現れた!

 

それをロックは身に纏った!

 

ー悪魔の右手! 神の左手!ー

 

其処には白の服に緑のストライプラインが刻まれた服を着たロックの姿がいた。

 

ソウル・タツヤフォームである。

 

「お前には借りがあるからな…消えてもらう」

 

そう言うと右手に持った拳銃を構えた。

 

「ひぃ⁉︎お、お願いだから!命だけは…」

 

「黙れ」

 

そして拳銃の引き金を引いた。

 

そしてその瞬間、テロリストは蒸気となって露散した。

 

「…次の場所に行くか…」

 

そう言うとロックはその場を後にした。

 

後で目を覚ましたテロリスト達は自分達が信仰していたボスがいなくなった事に気付きら探し回るも、結局見つかる前に自衛隊の手により捕捉されてしまったのであった。

その後、彼等のボスの行方を知るのは誰1人として居なかった…

 

対峙した存在・ロック以外は。




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー。
今回はまだ出会っていない男・ロックが使用していた物の1つ、グレイを紹介しよう」

グレイ/カード名 【氷の滅悪魔導士(デビルスレイヤー) グレイ】
属性/氷・人間・魔・拳
顔つきもさる事ながら、肉体美を持つ青年。
しかし冬でも服を脱ぐ悪い癖を持つ。

憑友「氷を使った創成魔法が得意で、亡き父から授かりし悪魔を滅する魔法・滅悪魔法で悪魔を葬りさる。その冷気は正に極寒の一言で充分な程」

次回

転校生

憑友「次回は俺が響の学校へ!」
「乞うご期待!」


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第9話 転校生

其れは久しぶりの再会…


翌日。

響は今日も今日とて遅刻をしたのである。

理由?人助け以外何があると思いますか?無いですよね…。

あるとすれば、寝坊以外無いと思う。

そして、

 

「立花さん‼︎」

 

「は、はい…」

 

今日もみっちり先生から有り難〜いお灸を据えられていたのは言うまでも無かった。

それを見ていた未来とライドは半ば呆れていた。

しかし、今日はそれだけで済んだのだ。

 

「今回のみ、このくらいで済みますけど、また遅刻でもしたら…」

 

「は、はい…」

 

そう言うと先生に席に座るよう促されて、響は未来の隣に座った。

そして授業が始まろうとしたその時だった!

 

バタンッ!

 

「す、すみません!遅くなりました!」

 

突然、ドアが勢いよく開いて、其処から男の子の声が聞こえて来た。

それを見た生徒達は驚いていた。

其処には1人の男の子が息を乱しながらこの教室に入って来たからだ。

しかも、自分達と同じリディアンの制服を着て。

しかもよく見れば、存在すらしない筈の男性用に仕立て上げられた制服だった。

皆の反応はともかく、響や未来もそれは同じだった。

唯、2人はそれ以上の反応だった。

 

「遅すぎですよ!転校生君!」

 

『え⁉︎』

 

先生の一言で、皆は驚愕した。

なんとこの学院で初めての男子生徒だったからである。

 

「何処で道草食ってたんですか!」

 

「すみません。父親の書類整理を手伝っていたら、思いきり遅刻しました」

 

「親孝行するのは構いませんけど、遅刻は良くないので、以後気をつけるように!」

 

「はい。すみません」

 

そしてようやく話をし終えたのか、先生が皆の視線を集めた。

 

「静かに!今日、この学院始まって以来、初の男子生徒を紹介したいと思います。それでは転校生君。自己紹介を」

 

先生に示唆された生徒はみんなの前に立ち、そして自己紹介をした。

 

「皆さん、初めまして。俺の名は人絆憑友と言います!

人の絆と書いて、人絆(じんさい)

憑依の憑と友と書いて憑友(つくも)と言います!

音楽にはあまり自信が無いので、皆さんから教えて貰えると有り難いです。

こんな俺ですが、よろしくお願いします!」

 

それを聞いた皆は、黄色い歓声を送っていた。

まるで可愛気のある弟ポジションだと。

 

それを見ていた憑友とライド、響の3人は苦笑いをしていた(響とライドは心の中でだが)。

しかし、未来は少し険悪なムードを漂わせていた。

 

「それでは、人絆君は立花さんの隣の席へ」

 

「あ、はい」

 

そう言うと憑友は響と未来の席に座った。

そして近くにやってくるなり、響は耳打ちをした。

 

「まさか、同じクラスになるなんて…」

 

「仕方ないだろ⁉︎俺も今朝、親父から言われたんだから⁉︎」

 

「んじゃ、それが遅刻した本当の理由なの⁈」

 

「それ以外に何がある⁈」

 

「響?」

 

「「(ドキッ⁉︎)」」

 

するとそんな耳打ち会話に未来が首を突っ込んできた。

 

「この人と知り合い?」

 

「あ、あぁ〜えっと〜…それは⁉︎」

 

響の慌てっぷりに憑友が助け舟を出す。

 

「昨日、この子がノイズが発生していた現場近くで見つけてね!俺も咄嗟に彼女を連れて逃げていたんだよ!

その後はなんとか逃げ延びる事が出来たんだよ!な、響ちゃん⁉︎」

 

「え?…!そうそう!そうなんだよ〜‼︎いや〜でも、まさかこの学院にやってくるなんて思わなかったよ〜あはは!」

 

「(⁉︎大声出すなよ響‼︎)」

 

響の発言に、憑友はアイコンタクトを取ろうとしたが時既に遅し。

 

「立花さん!人絆君‼︎」

 

「「は、はい‼︎」」

 

「それ程までに2人は私の授業がつまらないと言うのですかね〜?」

 

「「す、すみませんでした‼︎」」

 

先生に見つかり、2人は有り難〜いお灸を据えられたそうな。

 

〜数時間後〜

午前の授業が終わり、漸く昼休みの時間になった。

響は未来を連れて食堂へと移動しようとしたが、憑友に声を掛けられた。

 

「あの〜もし良ければ、屋上で食べませんか?

自分、料理が好きで。よく作り過ぎてしまうんです。如何ですか?」

 

それを聞いた未来は響の方を見る。未来の行動に響は目が泳ぎながら、憑友の方を見ると、憑友がアイコンタクトをして来たので、響は仕方なく彼と一緒に行動した。

 

ーーー

そして屋上に着くなり、憑友はお弁当を並べた。

タッパーに入れられていた料理を見て、未来と共にはしゃぐ響。

そして一口。

 

「!美味しい〜♡」

 

「美味しい!本当に貴方が?」

 

「ええ。家で料理が作れるのは俺と義理の姉さんだけなんです。

母さんは海外出張なんかで、殆ど家を空けていて、

父は父で目を離した隙に何処かに旅立っている様な存在なので…」

 

未来の答えに憑友はありのままを話す。

実際に言えてる事だったので否定出来ないのである…。

しかし、憑友はやはりこう言う言い方に違和感を感じまくっていた。

何せ、話しているのが自身が死ぬ前にいつも側にいた幼馴染の未来だったから。

すると、未来の箸を動かしていた方の手が止まり、

憑友の方を向いて話しかけてきた。

 

「…貴方は、私の知ってる憑友なの?」

 

ーーーSIDEto憑友

 

「…貴方は、私の知ってる憑友なの?」

 

未来からの言葉に俺は箸を動かしていた手がピタリと止まった。

 

「2年前のライブ会場の悲劇で、私と響の前から居なくなった…

幼馴染の憑友なの…?」

 

「未来…」

 

追い打ちをかける未来に、響は名前以外何も浮かばなかった。

良いんだよ、響。俺は自ら選んだ道でこんな事をしたんだ。

説明しないといけないのは事実だ。

 

「私、貴方が死んだって聞いて嘘だって思っていた。

けど、もう其処には骨の欠片すら残ってなくて…」

 

話を聞く内に未来の瞳から涙が零れ始める。

そうだよな…いきなり大事な幼馴染が急に死にましたってなると、誰だって泣きたくなる。

 

「もう二度と会えなくなるかもって思って…」グスンッ

 

そんな顔を見せてくれるなよ。未来。

 

ガサッ

 

「え?」

 

「御免。陽だまり(・・・・)いや、未来(・・)

今の今まで…

未来だって響と同じくらいに俺の事を思ってくれていたんだよな?

遅れて御免な。こんなにも寂しい思いをさせてしまって…」

 

気付けば、俺は未来の顔を自分の胸に抱きしめていた。

やっぱり俺って不器用なんだなぁ…

こんな行為でしか女の子の涙を受け止めきれないんだから。

 

未来も、今目の前にいる相手が自分と響にとって大切な幼馴染だと知って、俺の胸の中で、大声で泣いた。

その涙は、嬉しかった方なのか。はたまた寂しかった方なのかは、知る由も無いし、知りたくも無かった。

こんなにも迷惑を掛けた俺にそんな権利は無いに等しいから。

 

その後、なんとか宥めて、

俺は自分がまだ死んでいる事と、新たな都市伝説を生み出している存在《精魂導師》の1人という事を俺は伏せて、残りはありのままに話した。

先の2つを話さないのは単に、これ以上未来の顔から涙を零して欲しくなかった事と、これ以上未来を危険な目には合わせたく無かっただけである。

けど、其れだけあれば充分だと思っている。

大切な者を守る為には時に真実を隠さなければいけないと言う事に。

 

この日、俺は初めて嘘をついた。意味がある言葉だった。

本来なら、顔に出ても可笑しくは無いのに、何故か顔に出なかった。

でも、其れでも良かった。

今の未来の顔には笑顔が見れたから。

 

そして食べ終わった俺達は急いで教室の方へと戻っていった。

 

さぁて!午後の授業も乗りきるぞ〜!おー‼︎

 

「うー…!あ、憑友君!」

 

「?先生?」

 

転校初日に俺何かしでかしたか?

 

「其れに立花さん達も一緒ですね。好都合です」

 

「はい?」

 

「私達にも何か用ですか?先生」

 

俺達に関係している事?なんの事だ?

 

「大変言いづらいのですが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これから3人は同部屋になります。今日から」

 

・・・え?

 

「へぇ?」「え?」

 

 

「「「えええええええええ⁉︎」」」

 

 

 

 

待て待て待て待て待て待てゴラァ⁉︎

何が如何なったらこうなるんだよ⁉︎

なんで響と未来と同部屋なんだよ⁉︎

そりゃあ、俺達は幼馴染だから親近感はあるが、其れはさすがに不味過ぎるんじゃねえのかよ⁉︎

 

「ちなみにこれは学院長からのご指示なので。

も、勿論!最初は私こそ貴方達と同じ反論はしましたよ⁉︎

ですけど、学院長が『世界のトップ直々のご命令だ』と訳の分からない言葉に押されてしまったらしく…」

 

あぁ〜…色々と…

 

「「「ご愁傷様です…」」」

 

見事にハモったよ俺達…。

 

「兎に角、3人はこれからルームシェアと言う形でお願いしますね。

後、ベットの件なんですか…」

 

「お気遣い無く。布団と毛布さえ支給して下さればなんとか」

 

「そうですか。では、頼みましたよ」

 

そう言うと先生はこれからその準備に取り掛かるらしく急いで行った。

「初日からとんだ1日になったな…」

 

「うん、そうだねぇ…。はぁ〜…私、呪われてるかも…」

 

「今回ばかりは私にも呪われてるかもね…」

 

「いや、俺が1番に呪われてるからな⁉︎」

 

そう言うと俺達はもう直ぐ次の授業をハッと思い出し、急いで教室の方へと戻っていった。

 

ーーー

一方、此処はまたしても戦地の一角。

そこではやはり、戦争で多くの人々が死んでいっていた。

其処にはやはりと言わんばかりか…

 

「ひゃはぁぁ!やっちまえ‼︎」

 

テロリスト達がうじゃうじゃと居座っていた。

そんな戦地に1人の青年・ロックが歩いてきた。

 

「?誰だてめぇは?」

 

「この土地の人間は、【冷眼のロック】は知られていないらしい。

なら、思う存分に堕とし甲斐がありそうだな」

 

そう言うと青年は腰にぶら下げていたカードケースから一枚のカードを取り出し、左腕に装着されていた電子機器・ソウルアブソーバー

を起動させ、カードを装填し、

 

「変身」

 

そしてレバーを引いた。

 

ーソウル!フォーム…ミツナリ!ー

 

するとディスプレイから黒と紫が映えたスリムな甲冑を纏った男の魂が現れ、ロックは其れを纏った。

 

ー君子殉凶!凶王三成!ー

 

そしてそこには刀と鞘を手に持ち、空気の抵抗を極力減らしたかのような甲冑に身を纏ったロックがいた。

更に彼の髪の色が、通常の金交じりの黒から紫の色が少し混じった白へと変色し、そして前髪を一点に集めた。

 

すると、瞬時にテロリスト達の前へとやって来たのだ!

其れも…0.001秒と言う速さで。

 

「な⁉︎」

 

「斬られろ…その身を以てな」

 

そう言うと抜刀した。と同時に納刀した。

その瞬間だった。

 

ジャキキキキキキキキキキィ‼︎

 

「⁈うごぉぉぉぉ⁉︎」

 

「な、何が起こったんだ⁉︎」

 

「み、見えなかったぞ⁉︎」

 

瞬時に無数の斬撃がテロリストの1人を蝕むかのように襲いかかった。

其れを見た男の仲間は何が起こったのかよく分からずにいた。

 

"懺悔"

前方範囲の敵達を瞬時に無数の斬撃で斬り尽くす技。

ロックが今使用している武士・【君子殉凶 石田三成】が最も得意な技である。

 

すると、ロックはアブソーバーからカードを取り出すや、また違うカードをカードケースから取り出し、其れを装填させ、レバーを引いた。

 

ーソウル!フォーム…リヴァイ!ー

 

すると今度は茶色の服を着た魂が現れ、ロックは其れを纏った。

 

ー人類最強、兵士長!ー

 

すると今度は腰に機械の装置が装着され、

そしてそこからケーブルが現れその先にはグリップらしき物が付いていた。其れをロックは手に持ち、腰についた装備にそのグリップを差し込み、引き抜くと、そこから鉄で出来た刃が現れた。

見た目はカッターで使われている刃物に良く似ていた。

 

すると、グリップを握るや、其れを操作すると、腰の装置からワイヤーが現れ、ワイヤーが何かに引っ掛かると、そこに向かうかのように飛んだ!

 

「な、何⁉︎」

 

「なんだよあれ…」

 

其れを見た皆は驚きを隠せなかった。

と同時にその行為を繰り返すロック。

 

いつしかその速さがあまりにも早くなり、皆は必死になって、目でおいかけようにもあまりの速さに照準が定めきれなかった!

 

すると1人のテロリストが目で追うと、いつの間にかロックが消えた時、後ろから刃物で斬られたような衝撃と痛みが襲いかかった。

 

「其れでいい…動いたら、削げねえからな」

 

背後にはロックがいて、そのブレードでテロリストを斬ったのだ!

 

すると、ロックはアブソーバーからカードを取り出し、

そしてまた違うカードを取り出した。

 

「最後は頼むぞ…アーチャー」

 

するとロックはアブソーバーにそのカードを装填し、レバーを引いた!

 

ーソウル!フォーム、アーチャー‼︎ー

 

すると今度は赤い外套を羽織った魂が現れ、ロックは其れを纏った。

 

ーUnlimited Blade Works‼︎ー

 

すると青年の姿はかつて幼き頃の青年と義理の妹を助けた英雄の姿と瓜二つとなった。

 

「一気に決める…」

 

すると、ロックは、テロリスト達の影を狙って、短剣を連続で投げた。

其れにより、テロリスト達は身動きが取れなくなった!

 

ー影縫いー

 

するとそこからロックはソウルについているドライブボタンを叩いた。

 

ーソウル・アーチャー!フルドライブ‼︎ー

 

すると青年は自身の胸に左腕を翳し、詠唱を始めた!

テロリスト達はこれを好機と見て攻撃をしようにも、忍者の技ー影縫いーにより、身動き1つ取れなかった。

 

体は剣で出来ている。(I am the bone of my sword.)

 

 

血潮は鉄で 心は硝子。(Steel is my body, and fire is my blood.)

 

 

幾たびの戦場を越えて不敗。(I have created over a thousand blades.)

 

 

ただの一度も敗走はなく、(Unknown to Death.)

 

 

ただの一度も理解されない。(Nor known to Life.)

 

 

彼の者は常に独り 剣の丘で勝利に酔う。(Have withstood pain to create many weapons.)

 

 

故に、生涯に意味はなく。(Yet, those hands will never hold anything.)

 

 

その体は、きっと剣で出来ていた。(So as I pray, unlimited blade works.)

 

詠唱が完了すると同時に周りの景色が砂地から荒野へと変わり、テロリスト達は驚く。

するとロックは右手を人差し指を指して上へと向けた。

 

"上を見ろ"

 

そう言っていたかのような行動をした。

其れを見たテロリスト達は口を開けて、目を見開いていた。

 

そこには数多の数の剣や斧、槍等が今か今かとテロリスト達を襲おうと飢えていた。

 

するとロックは右手を宣誓時に用いる形に変え、そして手を前方にはらった。

 

すると其れを合図に一斉に武器達がテロリスト達を襲った!

 

『うわぁぁぁぁぁ‼︎』

 

そして其れをまともにくらったテロリスト達。

すると周りの景色が消え、そこには大量の血を流したテロリスト達と、無傷のロックただ1人が立っていた。

 

そして其れを見たロックは変身を解除した。と同時に電話が掛かってきたので、電話に出た。

 

「what'sup?(誰だ?)」

『私よ』

「…あんたか。フィーネ」

『随分と荒らしまくってるわね』

「余計なお世話だ。俺にとってテロリスト達は対象に過ぎん。

そんな事よりも、義妹(いもうと)に手を出して無いだろうな?」

『心配は無用よ。彼女は無事よ。

其れはそうと、貴方にも手伝って欲しい事があるのよ』

「…お前が苦労する相手が来たというのか?」

『ええ。2週間の内に日本に来れるかしら?』

「2週間の内に日本?笑わせるな」

『?』

「2時間でお前のアジトに着いてやる」

『…ふっ。余裕があるわね。期待してるわ』

 

そう言うとフィーネの方から通信を切り、

ロック通信を切るなり、ソウルアブソーバーを左腕に装着して、カードケースから一枚のカードを取り出した。

すると、そこから1人の女性の幽霊が現れた。

金髪で、黒のリボンで纏めた女性だった。

 

「私を呼んだって事は、何処か行くの?」

 

「ああ。この世界の日本まで一気に飛びたい。力を貸してくれ」

 

「分かった。あまり無茶しちゃ駄目だからね?」

 

其れを聞いたロックはありがとうと言うとその幽霊はカードに入り、

ロックはそのカードをアブソーバーに装填し、レバーを引いた。

 

ーソウル!フォーム…フェイト‼︎ー

 

すると先程の髪型の女性の魂が現れ、ロックは其れを纏った。

 

ー疾風迅雷!雷光一閃!ー

 

「最速で駆け抜けるぞ」

 

そう言うとロックはなんと空を飛び、そのままその場を後にした。

 

 

その後、フィーネはロックが時間通りにやって来た事に驚きと感心をしていたそうだ。




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回は俺の所にいつの間にかいた存在・ほむらさんの事を紹介しよう」

ほむら/カード名【銃の魔法少女 暁美ほむら】
属性/闇・人間&魔物・魔&射・銃

とある世界で大切な存在を救いたいが為に禁忌を犯した少女。
特殊な力があるようだが、今の所は扱えない。

憑友「ほむらさんにはまだ何か隠している事が有るかもしれないけど、俺は其れでもほむらさんの事を信じてる!」

次回


不協和音

憑友「次回も見てくれよな!」


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第10話 診断結果

本当に済まない。またやってしまったよ、サブタイ変更。
今宵は2人の診断結果が題材となっている。
次回こそはサブタイ通りにしたいと思う。
誠に済まない。


学校の時間が終わり、漸くかと思った響と憑友。

すると、

 

「ビッキー!」

 

おそらく響の事を呼んでいるであろうその名を呼んだ少女達3人と未来がやってきた。

 

「?…響ちゃんのお知り合いですか?」

 

実は憑友はその少女達3人と会った事が無かったのだ。

未来や響とは小学校からの幼馴染だが、3人の事は実は知らなかったのだ。

 

それもその筈だ。

2年前のライブ会場の悲劇に憑友が死んだ後、

響には多くの罵声を浴びてきたのだ。

そんな幼かった響に手を差し伸べてきたのが、未来であり、彼女達もそんな響を見ては支えてやって来た存在なのだ。

 

「あ、そっか。自己紹介して無かったね。

私は安藤創世。私は響の事を「ビッキー」って呼んでいて、未来には「ヒナ」って呼んでるんだ♪これから宜しくね「ツッキー」!」

 

「つ、ツッキーですか…あはは…(響のネーミングのパロディだよね…これ…)」

 

「私は寺島詩織と言います。皆さんと一緒に美味い物巡りをする事が趣味です。よろしくお願いしますね♪」

 

「美味い物巡りか〜。基本外食とかしない派だから、今度良い店があったら、周って見ましょうね!」

 

「んで!私は板場弓美!私、アニメが好きなんだ〜!良かったら今度色んな話をしようよ!」

 

「アニメですか。自分はポ○モンの事しか知らないので、それ以外の話も是非お願いしますね♪」

 

3人の少女達・創世と詩織と弓美の自己紹介を聞いた憑友は自分も自己紹介した。

 

「さて。では今朝も言いましたけど、改めて。人絆憑友と言います。

人の絆と書いて人絆、憑依の憑と友と書いて憑友と、難しいかもしれませんが、よろしくお願いします。

趣味は…『英雄石板』の鑑賞かな?」

 

「『英雄石板』⁉︎それって、世界遺産に登録されている凄く価値のある逸品だよね⁉︎それの鑑賞って、凄いよ〜!」

 

「へ、へぇ〜(そんなに凄いものだったんだ…全然、知らなかったよ〜)」←因みにこれは響の呟きである。

 

「まぁ、父親が勝手に回収してはそれの解読等をしてるんで、自然と身についたんですけどね…」

 

「へぇ〜」

 

そう言う会話をしていると、憑友が創世達が話そうとしていた内容に話を軌道修正させた。

 

「そう言えば、創世さん達は響ちゃんと何か予定でも?」

 

「あ、そうだった。

実は今から近くのお好み焼き屋の「フラワー」に行かないかなって思って。憑友も一緒に来て欲しいんだ。そこで歓迎パーティーしたくて」

 

それを聞いた憑友は今すぐに行きたいと思った。

けど、そこは敢えてグッと堪え、断りの言葉をかけた。

 

「そうなんだ。でも、御免なさい。

今日は久しぶりに母さんが家に帰って来る日なので。そこを逃したら、次いつ会えるのか分からなくなるんで。折角のご招待をして下さってくれた事には感謝していますが、先ずは母さんと久しぶりに色々と話をしたいので」

 

それを聞いた3人は少しがっかりしていた。

でも、3人には憑友の第一印象は好評価だった。親孝行者だなと。

未来も顔には出さないが、それでもやはり3人同様、寂しいのかもしれなかったのか、少しがっかりしていたように見えた。

 

「んじゃあ、ビッキーは?」

 

「ごめん。この後用事が入っちゃってて」

 

「また呼び出し?あんた本当にアニメみたいな生き様しちゃって」

 

「そっか〜。じゃあしょうがないか…また今度誘うね」

 

「……」

 

その日はそれで終わり、詩織達と未来はそのお好み焼き屋へと向かっていった。

その時の未来の顔を見て、響は胸が苦しかった。それは憑友も言えた事だった。

 

そして、荷物の整理をして、響は自分の不幸さにがくりと肩を落として憑友がそんな響の肩に手を置き、同情していたが、すると響がハッと何かを思い出したのか、鞄の中を漁り、その中にあったライドとキリトのカードを憑友に返却した。

 

「今日からは憑友が持っててよ!」

 

「ああ。ありがとな。…でも、まさか同部屋になるとは思わなかったな」

 

「うん。それは確かにそうだよね…」

 

そう話していると、響はふと何かを感じ、廊下側のドアの方を見たので、憑友も釣られて顔をその方向を見ると、そこには響と同じリディアンの制服を着ていた翼がいた。

 

「翼さん?」

 

「重要参考人として再び本部の方へご同行願います」

 

そう言われるや、

 

ガシィン!ガシィン!

 

「へ?」

「またかよ…」

 

 

そしてエレベーターでまた本部の方へと連行された2人であった。

その際に、響が「なんでぇぇぇ⁉︎」とエレベーター内で叫んでいたのは言うまでも無く、その際に憑友から「少しは黙れ」と言いながらチョップされていたのであった。

 

ーーー

そして本部へ着くなり、メディカルルームへと連れてこられた2人。

そして2人は近くのソファに座らせられるや否や、手錠が外され、

 

「それでは〜

先日のメディカルチェックの結果発表〜♪」

 

了子から前回受けた身体検査の調査結果が行われたのであった。

 

了子の発言に憑友は溜息交じりで呆れていたが、

 

「(コーヒー欲しい…)」

 

内心では凄く胃がムカムカしていたのであった。

すると了子は電子画面から響と憑友の身体検査のパラメータらしき物を画面に出力させ、先に響のパラメータを先に大きくさせた。

如何やら先に響の結果から発表するようだ。

 

「初体験の負荷は若干残ってはいるものの、身体に異常はほぼ(・・)見られませんでした〜」

 

…何とも呆れた口調だと思った憑友。

それに感づいたのか、了子が指示棒の先っちょで正確に憑友の頭を叩いた。

それに悶絶する憑友は今回ばかりは相手が悪かったのであった。

 

それを苦笑いで見ていた響は、了子の発言に会った"ほぼ"と言う言葉が気になっていた。

 

「あはは…。でも、ほぼですか…」

 

「そうよね。貴方が聞きたいのはそんな事じゃあ無いわよね?」

 

「教えて下さい。あの力の事を!」

 

そう響が聞いてきたので、了子の隣で聞いていた弦十郎は後ろにいる翼に目を向けた。

すると翼の首元から赤いクリスタルのような物が出て来た。

 

「天羽々斬。翼が持つ《第1号聖遺物》だ」

 

「《聖遺物》?」

 

すると隣で悶絶していた憑友が話をし出した。

 

「《聖遺物》ってのは、『英雄石板』とよく似た物だと親父から聞いた事がある。

《伝承》や《伝説》に出てくる武器や防具の一部の欠片を基に生み出された異端技術の事だって言っていたな。

 

例えば、アーサー王伝説って言うおとぎ話に出てくる聖剣《エクスカリバー》や、

ケルト神話で有名なアルスターの英雄・クーフーリンが使用していた魔槍《ゲイボルク》も、

その《聖遺物》というカテゴリに分類されているんだ。

分かりやすく言うなら、みんなが知っているようなあまりにも有名な武器や防具。その一部の欠片の事を此処の人達は総称して《聖遺物》と呼んでいるだ。…でしたよね?弦十郎師匠」

 

「概ね正解だ。勉学も怠ってはいないようだな?」

 

「あそこ迄にムキになって熱く語る親父に言って下さい。毎日軽く小3時間ノンストップで聞くこちらの身にもなって欲しいものです」

 

それを聞いたこの場の者達は取り敢えず心の中で、

 

『(お気の毒に…)』

 

と、憑友に対して情けをかけていたのは言うまでも無い。

 

「…!兎に角、概ねの事は先程憑友君が言っていたような物だけど?世界各地の遺跡から発掘されているのよ?」

 

そう言うと了子に主導権が握られ、講義をした。

まぁ、当然ながら響には、

 

「全然分かりません」

 

「だろうね…」「だろうとも…」「だろうと思った…」

 

右からあおいさん、藤堯さん、そして霊風の3人が連続でそう言った。

それを見ていた憑友は呆れて、手で頭を押さえていた。

 

「それじゃあ次は憑友君の番よ〜!」

 

「っ!」

 

そう言うと、響は憑友の隣に座り、壁際に突っ立っていた霊風があおいと藤堯よりも前、弦十郎の右横にやって来て、手摺に腰掛けた。

 

「憑友君の場合は、響ちゃんの力とは全く異なる力を持っているの。これは流石の憑友君自身も知っているよね?」

 

「ええ。まぁ、色々と紆余曲折な出来事があったものなので…」

 

「憑友君の力はかつて、この『英雄石板』に描かれていた時代の頃に、その『英雄石板』に刻まれた『英雄』達と共に邪悪なる根源と言う存在に立ち向かった者。

通称《精魂導師》と呼ばれる者達の力を宿しているのよね〜♪

そして憑友君もそうだけど、此処にいる霊風君もその中の1人だと思ってくれても構わないわ〜」

 

「《精魂導師》…

親父から聞いた話の通りですね」

 

「そうなの?…まぁ、それは良いとして。

本来なら先程の話にも出た『シンフォギア』の力を持った者達にしか倒す事が出来ない認定特異災害《ノイズ》と戦えるもう1つの存在。それが《精魂導師》なのよ。…って言っても、それはもう実感しているから分かってるわよね?」

 

「は、はい。現に昨夜、ボコボコに殴ってましたし…」

 

その微妙な空気に皆は苦笑いしかしなかった。翼を除いて。

すると、了子は本題の方へと入った。

 

「問題は、憑友君のバイタルの方なの」

 

「バイタル…身体系ですか」

 

「そうなの。

やっぱり貴方の心臓は止まっていたわ。

だから、貴方の言っていた事は本当になるわ。

それにより、以前まで貴方に宿っている《精魂導師》の力に振り回されていた。

けど、昨夜の件に関してはそれが見受けられなかったの。

一昨日と昨日の間に何が起こったのか、教えてくれるかしら?」

 

「え、えぇ〜と…」

 

了子の気迫に流石の憑友もタジタジに成ろうとなっていたら、急に憑友の服が引っ張られたので、憑友はその方を見ると、そこには霊風がいた。

 

「悪りぃね。了子さん。此処からは俺の管轄なんだわ。響ちゃん。憑友を借りてくぞ。心配するな。別に殺したりとかそんなんじゃなくてな。これは男と男の会話なんだ。

風鳴のおやっさん。憑友を借りてくから、後はよろしくな」

 

「へ…へ?ちょっと待って⁉︎痛いから⁉︎首きついから⁉︎」

 

そう言うと霊風は憑友を連れてメディカルルームを後にしたのであった。

 

ーーー次回へ続く。




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回はロック(あいつ)が使用していた英雄の1人・アオトを紹介する」

アオト/カード名【水を留めし少年 アオト】
属性/水・人間・斬・刀

聖なる扉《ディバインゲート》を目指している少年。
その視線はあまりにも冷たく、殆ど感情を表に出さない。

憑友「水の力をその身に留めかせた少年。刀型武器《ワダツミ》を使用する。時に二刀流も使い、必殺の"フリーズグレイス"で前方範囲を氷と水で攻撃する」

次回

不協和音

憑友「今回のサブタイ変更は俺からもお詫びを言わせてくれ。大変申し訳ない」
「次回も見てくれよな!」


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第11話 不協和音

危うくサブタイトル詐欺になる所だった。
今回は響の視点の話。
ざっくりとしていますので悪しからず。


「そうね。…貴方と私…

 

 

 

 

 

 

 

戦いましょうか」

 

「…ふぇ?」

 

それは唐突だった。

後ろでは爆炎が渦巻いている中、翼は響に刃を向けたのであった。

 

響は思った。何故こんな事になってしまったのかを…

 

それは1、2時間前に遡るのであった。

 

ーーーーーー

あの後、憑友と霊風がメディカルルームから退室し、今は響と翼、了子と弦十郎、藤堯とあおいさんの6人しかいなかった。

そして響は何故、自分に『シンフォギア』が纏えたのか疑問をぶつけた。

本来ならば、『シンフォギア』を纏いし者《適合者》には、翼が身につけている《《聖遺物の欠片》が入っているペンダント》が何よりも必要な筈。だが、響にはそれを持っていない。

それなのに、何故纏う事が出来たのか未だに分かってはいなかった。

すると了子は画面にある画像を写した。

響はそれを見て、何かを感じた。

自分の身体内部のレントゲン写真だった。

すると弦十郎から話を切り出して来た。

 

「これが何なのか、君にはわかる筈だ」

 

それを聞いた響は確かに身に覚えがあった。

 

「あ、はい。2年前の怪我です。私と憑友もあの場所にいました!」

 

それを聞いた翼は目を見開く。

すると、了子が重大な事実を翼に告げた。

 

「心臓付近に食い込んでいる為、手術でも摘出不可能な無数の破片。

調査の結果…これはかつて、奏ちゃんが身に纏っていた《聖遺物・ガングニール》の砕けた破片の欠片である事が判明したわ」

 

「‼︎」

 

その事実に翼は驚愕し、そのまま顔を手で覆いながら部屋を後にしてしまった。

かつては自分の隣で戦っていた(片翼)

しかし、あのライブでの悲劇後に、奏が生き返ると同時にその聖遺物のペンダントは砂塵となり消滅した。

そして今ではそれが、見ず知らずの(女の子)に譲渡された形で現れた事に翼は眩暈や吐き気に襲われたのであった…

 

そして翼が退室したと同時に、響は弦十郎にある事を聞いてみる事にした。

 

「あの…」

 

「ん?如何した?」

 

「この力の事を…他の誰かに言っては駄目なのでしょうか…」

 

響は心苦しかった。

自分が特異災害である《ノイズ》を倒せる存在である事を。

 

現に、未来に対して響は嘘をついた。

大切な親友だからこそ、彼女は本当に心苦しかったのだ。

もし、この事を誰かに話せたら、少しは気が楽になるのかなと思ったから。

だが、現実は甘くは無かった。

 

「…君が《シンフォギア》の力を持っている事を他の誰かに知れ渡ったら、君の周りにいる人達にも危害を加え兼ねない。

霊風や憑友君達も同様の事は言えるんだ。《精魂導師》も、《シンフォギア》と同じで特殊な力を持っているんだ。

だから、公に公表する事が出来ないんだ。

幸いなのは、彼…憑友の家族はその事を知っている事だ。

彼等の一家になら、話しても大丈夫だ。俺が保証しよう。

ただ、それ以外の場合だと、下手をすれば命に関わる事にもなり兼ねない」

 

「命に…関わる…!…」

 

そこで響はふとフラッシュバックが発生する。

未来の事を、大切な親友がもしかしたら自分の所為で最悪の場合、死んでしまうんじゃ無いのかと。

 

「響君の気持ちも分からなくは無いが、如何か我慢してくれ。

憑友も本来なら今の自分の状態を君の親友にありのままに話したいと言っていた。けど、それを実行すれば、今の響君がやろうとしている事に繋がり兼ね無いんだ。

憑友はそれにプラスして、自分にまで悪影響を及ぼし兼ねない立ち位置に奴はいるんだ」

 

「憑友も…!」

 

そこで響はふと思い出した。

確かに憑友はこの場所以外で自分が死んでいる事を公表していない。

もし公表でもしたら、憑友の周りの人達は勿論だが、

それにプラスで、最悪の場合、憑友がモルモットのような生活を送られる羽目になる事を知ってしまったのであった。

 

「俺達が守りたいのは機密では無い。人の命だ。

その為にも、この事は隠し通してはくれないだろうか?」

 

「貴方に秘められた力はそれだけ大きな物だという事を分かってちょうだい」

 

それは響にとってはあまりにも辛い現実だった。

 

「人類は《ノイズ》には打ち勝てない。それに触れる事も出来ない。

触れるという事は(即ち)人が炭となって消えるという事を意味している。

ただ2つを除いてそれはその限りでは無い。

1つは《シンフォギア》を纏いし戦姫と、

もう1つは憑友や霊風が変身する《精魂導師》の力だけしか《ノイズ》に対処する事が出来ないんだ」

「日本政府"特異災害対策機動部二課"として改めて協力を要請したい。本当なら君の前にまず憑友に言わなければならないのだが…」

 

「え?…なんで憑友の名前が出てくるんですか?」

 

響の疑問に弦十郎はこう答えた。

 

「あいつ…憑友は君や君の親友に対する感情の起伏があまりにも激しいと自談していた。本当は自分1人で事の対処に当たりたかったんだろう。君や親友達には《ノイズ》達が蔓延る世の中でも、平和で暮らして欲しかったんだろう」

 

弦十郎の話を聞いた響は憑友が自分や未来の事を気遣っている事に気が付いた様だった。

しかし、それでも響は自らが宿した力に向き合い、そしてこの力で誰かを助けられる事に誇りを持っても良いと2人に示唆され、戦場に出る決意をした。

 

その後、翼の所へ赴いた響は今の自分の事を話した。

けれどそれでも翼は聞く耳を立てる事は無かった。

 

すると突然、照明が暗くなると同時にアラームが鳴り響く。

それを感じた2人は急いでブリーフィングルームへと向かった。

そして着いた時にはそこには弦十郎達と今まで何処にいたのか、憑友と霊風もそこにいた。

すると藤堯が、

 

「ノイズの出現を確認!」

 

と言っていた。そして座標を見てみると、此処からそう遠く無い場所にノイズが現れた。

それを見た翼は急いで現場に急行し、霊風も慌てて後を追う。

それに釣られて響も後を追おうとすると憑友に肩を握られ、抑え込まれていた。

 

「!離して!」

 

「良いのかよ!もしかしたら、今日でお前の命が無くなるんだぞ!」

 

「そんなの関係無い!今は自分の力を信じたいだけ!それに、憑友と同じように…」

 

「命を粗末にするんじゃねえ‼︎」

 

その一言で、響と周りのスタッフ達は憑友の方へと振り向く。

 

「…!…ごめん」

 

そう言うと憑友は響の肩に乗っけていた手をどかした。

 

「…こっちこそ御免。…でも、私に宿ったこの力で誰かを助けられる…誰かを守られるんだったら…!」

 

そう言うと響は翼や霊風の後を追っていた。

 

ーーー

その後、ノイズを相手に苦戦を強いられた2人に加勢して、なんとかこの場を脱したのであった。

すると、響が翼の方へとやって来て話をし始めた。

 

「翼さ〜ん!

私、今はまだ足手まといですけれど、一生懸命頑張ります!だから、一緒に戦って下さい!」

 

それを聞いた霊風はこれで少しは大丈夫かなと思って足を動かそうとした。だが、身動きが取れなかった!

 

なんでだと思い、後ろを振り返ると、そこには翼がいつの間にか仕込んでいた短剣が影に刺さっていたのだ!

 

「⁉︎影縫い…だと⁉︎」

 

霊風は翼に文句を言おうとするも、思うように口が大きく開かない。相当深く刺し込んでいた。

すると翼は響に対してこう告げた。

 

「そうね…貴方と私…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いましょうか」

 

「…え?」

 

すると翼は響に刃を向けたのであった。

 

それが冒頭の部分であった。

 

響は何が起こっているのか分からなくなった。

 

「え、そ、そう言う意味じゃなくてですね…

私は翼さんと霊風さん。それに憑友君と共に立ちm…」

 

「分かっているわそんな事」

 

「⁉︎だったら…如何して…」

 

「私が貴方と戦いたいからよ」

 

「え?」

 

そう言うと翼は響にこう告げた。

 

「私は貴方を受け入れられない。

力を合わせ、共に戦う事など…

 

『風鳴翼』が許せるはずが無い。

 

…貴方もアームドギアを構えなさい」

 

翼の発言で少し怯える響。

 

「それは常在戦場の意思の体現。

貴方は何者をも貫き通す一振り《ガングニール》のシンフォギアを纏うのであれば…

胸の覚悟を構えてごらんなさい!」

 

あまりにも無茶苦茶な発言で、響は頭の中がパニクっていた。

 

「か、覚悟とかそんな…

私、アームドギアなんて分かりません。

分かってないのに構えろだなんて…

それこそ全然分かりません!」

 

それを聞いた翼は刃を向けるのを止め、響から離れていく。

 

そしてある場所で止まるや、

 

「覚悟を持たずに遊び半分で戦場に来た貴方に…

奏の…

 

奏の"何"を受け継いでいるの‼︎」

 

「⁉︎」

 

その一言で響は怯む。

 

それを見た霊風は急いで響に示唆する。

 

「!響ちゃん!そこから離れろ‼︎」

 

しかし、それよりも先に翼が持っていた刃を天に投げるや、そこから刃はあまりにもでかい剣に成り、翼はそのままその剣の柄の部分を蹴りながら響に特攻した!

 

ー天ノ逆鱗ー

 

万事急すと思ったその時、

 

『protection!』

 

 

 

 

 

「はぁぁぁぁ!」

 

「⁉︎」

 

響はその声により目を開けると、そこには、白と青を基調とした服装を纏い、左手に金の穂先が付いた槍らしき物を持った憑友が右手で桜色の魔法陣らしき物で防いでいたのであった!




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回もあのロック(水使い)が使っていたカードの1枚・タツヤを紹介しよう」

タツヤ(本名 司波達也)
カード名【魔法科高校の劣等生 司波達也】
属性/闇・人間・射&魔・銃

"魔法大学第1附属高等学校ー通称・魔法科高校ー"に在籍している高校2年次。
魔法の素質はあるものの、あまり無闇に使用せず、体術を得意としている異例型。

憑友「2丁拳銃で戦うが基本的には右手で対処する事が多く、魔法を使用する際は発動後には相手は跡形もなく消えてしまう…」

次回

会合

憑友「次回は俺と霊風先輩がその間に何をしていたのかを話すぜ。
それじゃあ次回も見てくれよな!」


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第12話 会合

今回は憑友と霊風のカード達が集合です。
因みにまだ出てきていないキャラも含みます…なんだと…⁉︎


翼が響に刃を向ける数時間前にまた遡る。

 

ーーー

憑友は霊風によりメディカルルームから強制退室され、現在憑友は霊風によりまだ引き摺られていた。

流石にもう何度言っても言う事を聞いてくれないのを見たのか、憑友は離してくれる事が無いと思い諦めた。

そんな憑友を引き摺ってきた霊風はとある一室へと足を運んでいた。

突然、足を止めた霊風に憑友がその扉の上に、

『霊風の部屋』と堂々と書かれていたので、冷や汗をかいていた。

 

すると、

 

「入れ」

 

霊風の発言で、お邪魔する事になった。

そして部屋に入るや否や、

辺りを見渡す霊風。そして部屋の一室にあるベットの毛布を払った。

するとそこには、

 

「…あ」

 

「は?」

 

「何やってんだよ…奏」

 

なんともあまりにもラフ過ぎる格好をした奏が霊風のベットを占拠していた。

 

「いや〜。偶には良いかな〜ってな!」

 

「開き直るな!こっちの事も考えろ、駄肉‼︎」

 

「何だよ!それ!」

 

そう言うなり、2人が喧嘩しようとしていた。憑友は止めようにも止めきれないと分かってしまった。そしたら、憑友のカードケースから1枚のカードが勝手に出て来ては具現化するなり、

 

「2人とも…O☆HA☆NA☆SIしようか?」

 

「「⁉︎」」

 

「あ、なのはさん…」

 

そこから現れた女性・なのはの言葉で物の見事に2人は喧嘩を辞めた。

その時の2人は後にこう語った。

 

『あの女性の後ろに魔王の気配を感じた…』と。

 

そして、そんないざこざが有りつつも、現在は奏にラフ過ぎる格好からパーカーを羽織らせた事で一応落ち着き、そして話の本題へと話を進めた。

 

因みにテーブルを挟んで、

 

霊風 奏

 

テーブル

 

憑友

 

この様に座っていた。

 

「さて、先ずは先の健康診断はまぁ、大丈夫だと言う事は大いに分かったから。今回はこの話は無し。

本題は、今現在、俺達が所有している『英雄』の力を宿したカード【ヒーローカード】が幾つあるのかをお互い確認したくてあの時、連れて来させたんだ。

…まあ、此処に関係無い奴が1人…」

 

「それは酷いんじゃねえ⁉︎私はこう見えて、あんたが回収した石板の解析をやってるんだから、参加する権利はあるっての!」

 

「まあまあ。落ち着いて下さい。奏さん。俺は別に居て貰っても構わないので」

 

そう言うと、霊風は腰に備わっていたカードケースを手に持って、カードを全て取り出した。

それに釣られて憑友も霊風と同じ事をした。

 

「お前さん…憑友は、カードでも、英雄達の魂を呼び出す事は知ってるか?」

 

「え?…うん、まぁ。多少なりですけど知ってます」

 

「なら、始めるぞ」

 

そう言うと、2人は共にカードの裏面にあったマークをタッチして、それを全て表向きにしてカードを並べる。

 

そして全て置いた時、カード上からホログラムが現れ、そこにはたくさんの人達がカードの上に現れたのだ。

 

『はぁ〜…良く寝た…』

 

『よっしゃあ!燃えてきたぞーー!』

 

『にゃははは…。あ、さっきはごめんね☆』

 

『貴方、一体何をしたのよ…』

 

『なんか良く分かんねぇな…こんな状況になn『あ、アカネ!』ん?んお⁈ミドリ⁉︎』

 

『ったく、何だよ!俺と関係ある奴いねぇじゃねえかよ‼︎』

 

『まあまあ。でも、楽しそうだよね。ソウル♪』

 

『そうか?俺は別に関係無いな…』

 

『うぉぉぉ!政宗殿!貴殿とまたお会い出来た事に、某は熱く燃え滾りますぞ‼︎』

 

『OKOK!そうじゃなけりゃ俺のrivalじゃねえからな‼︎』

 

『何だかワクワクして来たな!ピカチュウ!』

 

『ピカチュウ!』

 

『あはは…。色々な人が居るんだな…』

 

『…そうだな』

 

『お前、其れだけかよ…』

 

『でも、意外といけますね』

 

『…な、何だか怖いです…』

 

『ちょっと!収集つかないじゃないの、これ⁉︎』

 

…取り敢えず一言。

 

混沌(カオス)になったな…これ…。

 

そう思いつつも、皆は其々自己紹介を簡単にした。

先ずは憑友の方のカード達からで、

最初は全身黒のコーデをした青年からだった。

 

『先ずは俺からか。俺の名はキリト。

皆からそう呼ばれてる。憑友に剣術を教えてる。宜しくな』

 

次に自己紹介したのは、ピンク髪でマフラーを巻いていた青年だった。

 

『俺はナツ・ドラグニル!

炎の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)だ!宜しくな!』

 

そう言うと今度は白と青の服装をして、先程2人をこっ酷く叱った存在だった。

 

『次は私だね。

高町なのはと言います。こう見えて魔法少女やってます。…って言うのは良いけど、この姿って、『魔法少女』のカテゴリに入るのか、其れが悩みです。宜しくね♪』

 

その時の霊風と奏(さっきなのはにこっ酷く怒られた2人)は内心ではこう思った。

 

「「(いや、其れを言われても分かりませんから…)」」と。

 

すると今度は赤髪の少年が喋りだした。

 

『俺の名はアカネ。そこに居るミドリとは一応幼馴染だ。宜しくな』

 

すると今度は白と紫の服を着ていた女の子が話しかけてきた。

 

『暁美ほむら。憑友に護身用として銃に関するいろはを教えてるけど、彼の師匠になった覚えは無いからそのつもりで』

 

そう言うと今度は三日月の兜を被った男が前に出て喋った。

 

『OK!次は俺の番だな。

俺の名は奥州筆頭 伊達政宗。そこに居る真田幸村とはrivalの関係だ。宜しく頼むぜ、maybe?』

 

すると今度はこの中で異彩を放つ青年が喋りだした。

 

『あはは…と、次は俺だな。

俺の名はルドガー・ウィル・クルスニク。

こう見えて料理は得意なんだ。宜しくな』

 

そう言うと続け様に1人の青年が話しかけて来た。格好は何処かの軍に所属しているかのような服装をしていた。

 

『エレン・イェーガー。其れが俺の名だ。

後は何も無い。其れだけだ』

 

そう言うと最後は待ってましたと言わんばかりの少年と1匹の兎?っぽい奴が喋りだした。

 

『俺、サトシ!こっちは相棒のピカチュウ!』

 

『ピカピカチュウ!』

 

そのサトシと名乗った少年に霊風と奏の2人は目を見開いた。

実はサトシと名乗った少年と憑友の声が似ていたからであった。

 

其れを見ていた憑友は苦笑いしていたのは言うまでも無かった。

 

すると今度は霊風のメンバーから自己紹介をして来た。

最初は、緑のパーカーを着た女の子からだった。

 

『んじゃ、先ずは私からだね!

私の名前はミドリ!アカネとは同じ世界出身で、幼馴染なんだ♪宜しくね!』

 

そう言うと次はやっとかと言わんばかりの雰囲気を出していた全身青タイツの男だった。

 

『俺の名はランサー。まっ、これは偽名だけどな。

真名を聞きたければ、其れなりの実力を見せてくれないと教える訳には行かないからな。

そんな訳で、宜しくな』

 

すると今度はツインテールの女の子とギザギザヘアの頭の男の子のコンビだった。

 

『私は鎌職人のマカ=アルバーン。んで、こっちは相棒のソウル!』

 

『ソウル=イーターだ。クールに行こうぜ?』

 

『これから宜しくね』

 

そう言うと今度は眼鏡と白いローブを羽織った青年だった。

 

『えっと、次は僕ですね。

初めまして、付与術師《エンチャンター》のシロエと言います。

住んでいた世界ではギルド《記録の地平線ーログ・ホライズンー》のギルマスをしていました。

この中では屈指の参謀役を担っています。宜しくお願いしますね』

 

そう言うと今度は赤髪の女の子が話をし出した。

 

『私は佐倉杏子。そこにいるほむらとは同じ世界出身で、『魔法少女』に分類されている。因みにほむらも『魔法少女』だからな。

宜しくな』

 

すると次はなんとも熱苦しい熱気をホログラムになっても発揮させている男が話しかけて来た。

 

『某は真田源次郎幸村!

其方の仲間である政宗殿とは生涯屈指の好敵手として、相見える事もありますので、何卒宜しくお願いします‼︎』

 

因みにその際に憑友は「緒川さんがキャラ崩壊したら、こうなっていたのかも」と言っていたが、所持している側の霊風はその通りだと言わんばかりに首を縦に振っていたのは言うまでも無かった。

 

すると今度は金髪の女性と青髪の女の子が前に出た。

ただ、金髪の方の腰に鞭があったので、憑友は

 

「(まさか、ドSの女王様なのか…」

 

そう感じていた…が、

 

『はいそこ!言っている事がダダ漏れしてるから!』

 

完全に聞かれていたようだった。

 

『はぁ。…兎に角。自己紹介から先よね。

私ルーシィ!ナツとは同じギルドの仲間なのよ。

んで、こっちの少女はレヴィアタン。

大事な友達を探しているの』

 

『えっと…お願いします…』

 

取り敢えずは此処にいる全員は自己紹介を終えた。

その後、霊風や憑友達も英雄達に自己紹介をしたのであった。

 

その後は、英雄達をカードケースの中に戻しながら、雑談話で盛り上がっていた。

 

 

 

 

すると突然、照明が暗くなると同時にアラームが鳴り響く。

それを感じた2人は急いでブリーフィングルームへと向かった。

そして着いた時にはそこには弦十郎が被害の状況に苦虫を噛んでいた。

入って来て数分後に翼と響も漸く来た。

すると藤堯が、

 

「ノイズの出現を確認!」

 

と言っていた。そして座標を見てみると、此処からそう遠く無い場所にノイズが現れた。

それを見た翼は急いで現場に急行し、霊風も慌てて後を追う。

それに釣られて響も後を追おうとすると憑友に肩を握られ、抑え込まれていた。

 

「!離して!」

 

「良いのかよ!もしかしたら、今日でお前の命が無くなるんだぞ!」

 

「そんなの関係無い!今は自分の力を信じたいだけ!それに、憑友と同じように…」

 

「命を粗末にするんじゃねえ‼︎」

 

その一言で、響と周りのスタッフ達は憑友の方へと振り向く。

 

「…!…ごめん」

 

そう言うと憑友は響の肩に乗っけていた手をどかした。

 

「…こっちこそ御免。…でも、私に宿ったこの力で誰かを助けられる…誰かを守られるんだったら…!」

 

そう言うと響は翼や霊風の後を追っていた。

 

ーーー

その場に残ってしまった憑友はひどく落ち込んでいた。

生まれて初めて響に怒りを孕んだ声を出したのは。

今の今まではそんな事はしなかった。なのに、感情の起伏があまりにも激しく感じていた。

 

すると、それを見たのか。弦十郎が憑友の肩に手を置きそして話をした。

 

「辛いだろうが、響君の決めた事なんだ。自分の運命は自分で決めなければいけないんだ」

 

「分かっています…とは言えないかな。

結局、あいつは人助けをする事に生き甲斐を持っていましたから」

 

それを見た弦十郎は1枚の物を憑友に手渡す。

 

「?…これは?」

 

「これは調査の結果、『英雄石板』である事が判明した物だ。

此処の創設時に地層深くに埋まれていたんだ。これを君に託す」

 

そう言われ、憑友は弦十郎から1枚の英雄石板を受け取るや、近くのソファで解析し、そしてライドと共に解析した結果、僅か1分で解析完了して即座に詠唱を始めた。

 

「…詠唱開始。

『その者は、《憤怒》の怒りで国を1つ滅ぼし、罪人となった。

 

だが、それは同時にその者を聖なる騎士へと成りあげた。

 

その者の身体には《魔神》の力を宿しながらも、その力で《魔神》を葬りさらん。

 

己に持ちし《反撃》の力と、その《獄炎》の黒き炎にて、その者は守り続けん…

 

大事な存在の生き写しである姫君を守る為に…』」

 

すると『英雄石板』が光り輝くや、そこから1枚のカードが現れた。

そこには金髪で、少し小さいながらもその身体から大きなオーラを宿した少年のイラストが描かれていた。

 

「【憤怒の罪(ドラゴン・シン) メリオダス】…!」

 

憑友がそう呟いていると、弦十郎が慌てていた。

 

そこには、ノイズを倒した形跡と同時に、翼が響に刃を向けていた場面だった…!

しかもご丁寧に霊風は翼により"影縫い"を仕込まれていたのであった。

 

「っく!こんな時に限って…⁉︎憑友は何処いった⁉︎」

 

弦十郎が止めに行こうとした時にソファをみると、そこには『英雄石板』だけしか残っておらず、

憑友の姿を見失っていたのであった。

 

ーーー

そしてノイズが倒され、響は安堵するも、翼に刃を向けられていたその頃、憑友は急いでライド左腕に装着し、腰のカードケースから一枚のカードを取り出し、アブソーバーに装填して、レバーを引いた。

 

ーライド!フォーム、ナノハ‼︎ー

 

そして走りながらその英雄の魂を纏った。

 

ー不屈の心、エース・オブ・エース!ー

 

すると憑友は軽く跳躍するとなんと足の踝辺りから翼が生え、そのまま飛行したのだ!

 

「飛ばす…!」

 

そう言うと響の元へと急行した憑友は状況を目の当たりにした。

 

翼が刀を投げ、その刀が大きくなるや、翼がその刀に蹴りを加えて特攻を仕掛けていた。

 

ー天ノ逆鱗ー

 

その技を使用し、響に襲いかかろうとしていたのだ!

其れを見た憑友は響と翼に入るや右手を前方に突き出した!

 

『protection.』

 

「はぁぁぁぁ‼︎」

 

そして其れは受け止められ、翼は目を見開いていた。

自分の身の丈を優に越す巨大な剣を魔法陣らしき物体で止められた事に。

 

そして巨大な剣は粒子となって消え、翼は新しい刀を腰から出して、今度は憑友に刃を向けた。

 

「貴方は私の邪魔をしたいの?」

 

「…じゃねえよ」

 

「?」

 

「そんなんじゃねえって言ってるんだよ!

なんで協力してノイズに立ち向かわない!」

 

「彼女に…立花響に…奏の…

 

奏の何を受け継いでいるのか、確かめるだけよ!」

 

「嘘つき‼︎

お前…俺の眼の前で人を、其れも…

大切な(幼馴染)を平気で殺そうとしていただろうが!」

 

『⁉︎』

 

その一言で、皆は驚愕した。

響は自分が本気で殺されそうになったと初めて気付き、息遣いが荒くなり、過呼吸になろうとしていた。

其れを見た霊風は力づくで、影縫いの束縛から解放するなり、響に寄り添い、手当をする。

 

「すみません。霊風先輩。

響の事、お願いします…」

 

「…分かった。あいつの目を覚ましてくれ」

 

そう言うと霊風は被害に遭わないように少し遠くの場所まで行った。

憑友は其れを見届けると、翼の方へと向き直り、話を続けた。

 

「俺はあんたを許さない。

例え、神様、仏様、奏様が許しても…

 

俺はあんたを許さない!」

 

そう言うと憑友は一枚のカードを取り出した。

そこには先程解読に成功したばかりのカードがそこにあった。

 

「俺の怒りは《憤怒》し、そして…国を滅ぼす…!

タイマンやろうぜ…SAKIMORIさん?」

 

そこにはもう怒りに狂った憑友と刃を向けていた翼しかいなかった。

 

次回へ続く。




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回もロック(彼奴)の使っていた英雄の1人・ミツナリを紹介しよう」

ミツナリ(本名 石田三成)/カード名 【君子殉凶 石田三成】
属性/闇・人間・斬・刀

史実にて有名な合戦【関ヶ原の戦い】にて、徳川家康と相対した軍の長。
その身に猛りし斬撃は、瞼を閉じた瞬間に斬られている…!

憑友「此奴の俊敏さに対応できる奴がいるのか、今の俺でも分からない。
もしかしたら師匠と互角いやそれ以上の力を持っているのかもしれない…」

次回

防人VS炎/ルームシェア

憑友「次回もよろしくな!」


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第13話 防人VS炎/ルームシェア

今回は前回の続きと、
憑友、幼馴染と同部屋になるの巻。
そしてあの男再び…!


その宣言と同時に、2人は身を構える。

 

「行くぜ、ライドさん。試運転だけど付き合えよ?」

 

『…あまり感情に身を委ねるなよ。憑友。彼女は屈指の実力者。分かってるだろ?』

 

「ああ。だから、立ち向かわないといけないんだ…

もう二度と目の前で大切な存在(ヒト)が命を散らすのを(見たくないから)…」

 

そう言うと憑友が所持していたカードから1人の男が霊体となり、憑友の後ろにやってきた。

 

「貴方の力…お借りします。憤怒の罪(ドラゴン・シン)

 

「俺の力は相手の攻撃をそのまま跳ね返す力だ。

自分から手を出すタイプじゃない事を分かった上で、使用してくれよ」

 

「…はい」

 

そう言うと霊体はカードの中へと入り、憑友はそのカードをアブソーバーに装填し、

 

「変身…」

 

レバーを引いた。

 

ーライド!フォーム…メリオダス‼︎ー

 

すると、そこから黒のチョッキを羽織った金髪の少年の魂が現れ、憑友は其れを纏った。

 

ー七つの大罪!憤怒のドラゴン‼︎ー

 

そこには先程の魂の姿と同じ姿をした憑友がそこにいた。

其れを見た翼は刃を構えた。

 

翼は目にしていた。憑友の背中に龍をあしらった装飾品を。

背中に携えているという事は、剣に分類される何かがあると言う事に。

すると、憑友はその装飾品を引き抜くと、翼は凝視した。

 

それは、剣なのに…刃が折れていた(・・・・・・・)のだ。

 

「っな⁉︎…っく!私を侮辱するつもりか!」

 

「侮辱?何の事だ?これはこの英雄の持ち物に過ぎない。

強いて言うなら…"刃折れの剣"と言う所かな。

あんたとタイマンしよう(やり合う)とは言ったが、殺しあう(・・・・)とは一言も言ってねえぞ?

其れに俺はこの剣であんたのそのプライド()をへし折ってやる!」

 

そう言うと憑友は刃を後方にして、武器を構えた…!

其れにより翼は苛立ちが募ったのか、刀から両手剣へと変え、そこから雷の斬撃を放った!

 

ー蒼ノ一閃ー

 

しかし、その攻撃を憑友はそのまま受け、砂煙が舞った。

其れを見た翼は目を見開く。

振りの速度を落として、スピードを緩めたにも関わらず、奴は…憑友は其れを真面に受けたと言う事に。

すると、砂煙が露散するや、そこにはやはりダメージを受けた憑友がいたが、刃から物凄いオーラを纏っていた!

その行動で、翼が少し怯んだ。

 

「「その判断が命取りだ!」何⁉︎」

 

するとその刃を振りかぶった!

 

「"限反撃(リミット・カウンター)"‼︎」

 

何とその一振りで大地が抉れたのだ!

其れを見た翼は咄嗟に刀で防御する…!

賢明な判断だった。

 

「如何した?こんなもんかよ?」

 

憑友の挑発に翼はまんまと引っかかる。

すると翼は上空へと跳ぶと、そこから大量の光の刃を憑友に向けて降り注ぐ…!

 

ー千ノ落涙ー

 

すると今度は自分の前に剣を構える憑友。

流石のこの数では防ぎきれまいと思っていた翼だが、その判断こそが過ちだったという事をこの時はまだ知らなかった。

 

すると憑友はアブソーバーについているドライブボタンを叩いた。

 

ーライド・メリオダス!フルドライブ‼︎ー

 

そう言うと同時に翼の技が憑友に襲いかかった。

其れを真面に受けた憑友。しかし、彼から異質なオーラを纏っていた。

そして着地した翼は驚愕した。

何と剣を構えてはいなかったのだ…!

つまり、あの猛攻をノーガードで受けたのだ…!

すると憑友が喋った。

 

「全て受ける事により、この技は威力を増さん。

これが俺の…

 

 

 

《リベンジ・カウンタァァァァァ》‼︎」

 

「⁉︎うわぁぁぁぁぁ‼︎」

 

憑友が放った一閃で、翼はものの見事にくらい、シンフォギアも其れに耐え切れなかったのか、強制解除された。

 

そしてそこには、アスファルトで固められていた道路が完全に剥き出しにされ、地面に完全に地に伏した翼と、ボロボロの状態ながらも立ち続けていた憑友がそこに居たのであった…

 

"リベンジ・カウンター"

憑友が現在憑依させている相手・メリオダスの最強反撃技。

自分自身に数多の敵の攻撃をノーガードで受ける事により、その力を吸収、最大まで溜めきった後に最大級の一撃を放つ技。

 

 

翼はこの時、思った…

あの時の判断ミスでこうなってしまったのか、と。

 

するとそんな翼の所へ憑友が変身を解除してやって来るなり、翼に手を差し伸べてきたのだ!

 

「⁉︎な、何を⁉︎」

 

「これに懲りて、俺の幼馴染を傷付けないで下さい。

貴方も体感しましたよね。俺の怒りの炎。

今回は『英雄』の皆さんに宥められて抑え込まれましたけど、

次は容赦しません。其れだけは分かって下さい」

「彼奴…響にはまだ覚悟が出来てません。アームドギアが出せる訳無いじゃないですか。

もしかしたら、彼奴の手には武器を持たない方が良いのかもしれませんけどね」

 

「…其れでも、私はまだあの子に心を開くつもりは無いわ…」

 

「其れで良いんです。今は其れで」

 

そう言うと更に手を差し伸べて来た。

其れを見た翼は手を出し、そして憑友に引っ張られる形で立ち上がったのであった。

 

その後、憑友が霊風や奏にこの事を伝えられ、翼はその話を聞いた2人にみっちりと扱かれたそうな。

一方の響はと言うと、過呼吸の影響もあって、心配していたが、何とか元に戻る事が出来た様だった。

 

その後、今回の任務は終了し、皆は其々の住む場所へと帰宅した。

 

 

 

 

ーーーーー

そして、憑友は現在響が住む寮部屋へとやって来た。

因みにその際に通信越しだが、母親と久方ぶりの会話をした。

相も変わらず元気にやっていたのでホッとしていたが、毎回電話に出る時は決まって当の2人はイチャラブ状態だったので、

 

「(何でいつもイチャラブ状態の時に電話するんだろう、俺って…)」

 

と、憑友の内心がそう思っていた。

そして響の部屋へとやって来るなり、響は「ただいま〜」

と、疲れきった声を上げていたので、憑友が冷や汗を掻いてると、

 

「あ、響!今まで何してたの⁉︎さっきまで避難警報発令していたんだよ!」

 

と、未来がばっちり起きていた事に憑友は内心惚けていたが、よくよく考えてみれば、警報は確かに発令していたなと思い出していた。

 

すると未来が憑友の顔を見て、

 

「憑友も憑友で、かなり長い時間ジャンヌさんと話していたんだね」

 

と示唆された。

其れを聞いた憑友は放課後そう言っていたなと思い出していた。

 

「そう言えば、夕方頃に配達員の人が来たよ。憑友のお荷物だって」

 

「?俺に荷物?」

 

そう言うと部屋へと招かれるや、そこに一つだけ段ボールがあった。

そこには憑友の義姉が描いたであろう絵が描かれていた。

 

「(間違いなく、俺のだよな…。

何を入れてきたのやら…)」

 

内心そう言いつつ、中身を開けてみると、パソコンや、奏の部屋に置いてあった物と同じ機材、

更に2枚のカードが一緒に入っていた。

其れを見た憑友は早速準備に取り掛かって、あっという間に部屋の隅っこに自分の重要スペースを組み立てたのであった。

 

「おぉ〜。凄いですな〜」

 

「良し。これで、何時でも『英雄石板』の解析が出来る」

 

「でも、課題もあるから、やれなくない?」

 

「そこは抜かりは無い。このパソコンで課題をする事も出来るみたいだから。後は出力させて、提出すればそれだけで良いみたいだしな。

まぁ、音楽や体育、家庭科の方は実技だから、何とかしないとな」

 

そう言いつつも、憑友は段ボール箱の中にあった2枚のカードをよく見た。

1つは赤い髪の青年で、顔にフェイスペイントらしきものが刻まれており、手には双剣のような物を持っていた。そして右側には何かのマークらしきものが半分だけ刻まれていた。

もう一つは金の癖っ毛のついた髪に青いドレスを纏った女性が描かれており、そこには金色に輝く剣が携えられていた。

そして、そのカードの左側に先程見たカードとよく似たマークが左半分だけ刻まれていた。

 

「【剣製の魔術師 衛宮士郎】と【剣の英霊 セイバー】?

兎に角、明日も早いし寝ますかね〜」

 

そう言うと寝ようとしたのだが、

 

「?あれ?未来は?」

 

二段ベットの下は未来が使用していると響と未来本人が言っていたのだが、探してもいなかった。すると、

 

「此処にいるけど?」

 

「なんで上にいる⁈」

 

なんと上で響と一緒に寝ていたのであった!

何で上で寝ているのか聞こうとしたら、

 

「何時もこんな感じだよ?」

 

「えぇ〜…」

 

響があっさりと言ってきたので、憑友は冷や汗をかいた。

 

「だから、下の方使って良いからね♪」

 

「え?…はい⁉︎いやちょっと未来さん⁈幾らなん…でも…って」

 

未来のカミングアウトに憑友は敢えてはっきりと言おうとして、ベットの上に上がって猛抗議しようかと思ったのだが、諦めた。

何故ならそこには2人の寝顔があったから。

響はまだしも、未来もよっぽど疲れていたのだろうか。

2人共ぐっすりと寝ていた。

 

其れを見た憑友は溜め息交じりで手を抑えつつ、結局その案を呑む事になったのであった。

 

「これからが楽しみになりそうだな…!」

 

そう言うと憑友も明日の為に寝たのであった。

 

ーーーーーー

一方、とある山間部の邸宅。

そこには1人の女と1人の青年が話をしていた。

 

「あんたから聞いて会得したあの…"影縫い"だったか。

あれは大いに役に立った。お陰でアーチャーの力を最大限に発揮された」

 

「そう…さて、そんな事の為に呼んだんじゃ無いから、本題の方へと始めましょうか」

 

「…そうだな」

 

2人が話を進めようとした時、ふと扉の音が聞こえてきたので、2人は警戒するが、すぐに解除した。

 

「⁉︎ロック義兄ぃ!」

 

何故なら、青年…ロックの義理の妹・クリスが顔を出してきたのだ。

其れを見たロックは微笑んでいたのだが、すぐに何故か青ざめてしまっていた。

 

何故なら、クリスの姿があまりにもアレだったから…⁉︎

 

ロックはすぐに顔を俯くや否や、何処から取り出したのか、一枚の上着をクリスに投げた。

 

「?何だよ…これ?」

 

「幾ら、フィーネと一緒に居たからって、其れはあんまりだとは思わないのか⁉︎」

 

「は?…⁉︎////」

 

その一言で、クリスは羞恥心に駆られた。

 

「へ、変態兄貴‼︎」

 

「お前に言われたく無い‼︎さっさと服着ろ‼︎」

 

「言われなくても着るっての‼︎」

 

「ふふふ。相変わらずウブな事ね」

 

「あんたもあんたで喧しい!」

 

…取り敢えず一言言わせてくれ。

 

此処も混沌(カオス)になってたんだな…。

 

そして漸く上着を着たクリスと共にロックはフィーネの話を聞く事にした。

 

「それで?俺を呼んでまで何を得たい?」

 

「そうね…」

 

ロックの質問にフィーネは少し考え、こう述べた。

 

「『英雄石板』の力を持つ赤髪の少年・人絆憑友の確保と、

今までに確認されてこなかった異色の(サンプル)

《ガングニール》適合者・立花響の確保を貴方達にお願いするわ」

 

すると小さなカードをフィーネは2人に手渡すや、そこからホログラム画面が現れた。そしてそこには憑友の顔と、響の顔が映し出されていた。

 

「…理由は問わない。此奴らさえ捕まえてくればそれでいいのだろ?」

 

「話が速くて助かるわね。流石【冷眼のロック】と言われた男ね」

 

「そんな昔の名は此処では禁句だ。フィーネ」

 

「ふふっ。そうね…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《水魂導師》ソウル」

 

そう言うとロックは席を立ち、その場を後にした。

 

「…良いのかよ、あんなので」

 

「心配する事は無いわ。あの子は受けた任務は必ず成し遂げる男よ」

 

そう言いながら、フィーネはクリスと共にのんびりとティータイムをとる事にした。

 

「…それにしても、あの子の紅茶は何故此処まで美味いのかしらね?」

 

「言えてるけど、あたしは知らねえよ。つぅか、この味付け、あの白髪野郎と同じ味付けじゃないかよ…」

 

そう言いつつも、2人はその紅茶を絶賛していたそうな。

そんな中でロックは1人、冷蔵庫の中身を漁るや、使えそうな食材を探しては、調理し始めていた。

すると、そんな彼の隣から髪が水色の女性が現れた。

 

「また、変な我儘に付き合わされてるんじゃ無いでしょうね?」

 

「それは無いが、先ず一言言わせてくれ。

フィーネが近くにいるみたいな感覚になるから、あんまり顔を出すな。【氷の狙撃手】さん?」

 

「…はぁ。あんまりヘマをやらかすんじゃ無いわよ!」

 

そう言うとロックと話していた女性はすぐにカード内に消えた。

 

「…全ては準備が大事。"用意周到"、"備えあれば憂いなし"。

クリスの両親の故郷の言葉には中々良い意味を持っているな…」

 

そう言いながら、ロックは料理を作り上げていくのであった。

そうしていると、今度はカードケースからメガネを掛けた男性が現れるや、

 

「トマト「冷蔵庫に毎日あると思うなトマト眼鏡」ガビーン…」

 

何かを言おうとした時にバッサリと物申されて、一瞬キャラ崩壊しそうな雰囲気を醸し出しながら、カードケースへと戻っていったのは気の所為にして欲しい。

 

因みにその料理を食べた二人は感涙していたのは言うまでも無く、

その2人を見たロックは頭に何故か?マークを付けていたのであった…。




憑友「《英雄》達を紹介するこのコーナー。
今回は俺が今回変身した存在・メリオダスを紹介しよう!」

メリオダス/カード名【憤怒の罪(ドラゴン・シン) メリオダス】
属性/闇&炎・人間・斬・剣

相手の攻撃を跳ね返す《反撃(カウンター)》と魔族をやり合う際に発生する力《獄炎(ヘルブレイズ)》を得意としているタイプ。

憑友「相手の攻撃を受け止めてそのまま返すカウンターヒッターのスタイルが得意。
獄炎と反撃の力であとはもう何も残らない…!」

次回


すれ違い/共鳴

憑友「次回も見てくれよな」


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第14話 すれ違い/共鳴

今回は結構、サブタイ通りの話がちらほら出て来てる。
後、強いて言うならこの話でアニメ3話の前半部分までとなっていたりする…


翼が響に刃を向けたあの一件から一ヶ月。

 

相も変わらず、響と翼との関係はギクシャクしていた。

その映像を見ていた弦十郎は頭を抱えていた。

 

「一月経っても…噛み合わんか…

少しは霊風と憑友を見習って欲しいものだ…」

 

弦十郎はそう呟きながら、次に憑友と霊風の映像を見た。

彼の言う通り、翼と響との関係ははっきり言ってダメダメなのに対して、今見ている憑友と霊風の戦闘記録では、2人は其々の得物を最大限に活かしつつ、パートナーの隙を確実に埋めていた。

阿吽の呼吸とも呼べるぐらいに。

 

「霊風は誰に対してもフレンドリーに接し、

憑友は自分が未だ未熟である事を知っているからこうなっているのかもしれないな。

はたまた《精魂導師》同士だから息が合っていると言うべきか。

真意は定かでは無いにしろ、翼や響君には彼等に対して見習うべき所だな…」

 

ーーーーーー

一方、翼は学院近くに設立された和風の建物の一室にて、正座をしつつ、瞑想をしていた。

 

そして、彼女はあの出来事を思い出していた。

 

それは、かつて2年前に起こったライブ会場の悲劇だった。

そこで翼はかつての片翼である奏が禁忌とされた力・《絶唱》を使い、後はもう死ぬだけの運命だった奏に必死になって、生きて欲しいと願っていた…

だが、そこへ奏が救おうとした子供のうちの1人が涙目を流しながら、奏の手を握っていた。

翼はあの時の子供が憑友だと言う事を思い返していた。

 

「(あの子がいなければ、今頃奏は死んでいたのかもしれない。

けど、その代わりにあの子が死んでしまった…

だけど、2年という歳月の中で、あの子は青年となって私達の目の前に再び現れた…)」

 

そう心の中で言う翼。

あの出来事は全て無かったんだと思った。

しかし、現実は甘くは無かった。

それはあまりにも辛い現状だった。

自分達の前に現れた青年は、半分幽霊の謂わば日本で言うところの《妖怪》に似たものに彼はなっていた。

姿はごく普通の人間なのに、死んだだけで妖怪や幽霊扱い。

翼はそれがあまりにも残酷すぎた。

漸くお礼が言えると思ったのに、彼は半分死んでいたのだ。

非常に辛い現状だった。

それを聞いた奏はその後、哀しき涙を流していた。

それを翼はただ見守る事しか出来なかった…

 

「(ほんの少ししか会わなかったけれど、彼は自分の命を簡単に投げ出してまで大切なモノを守る力を持っていた。

あの時、私もそこまで至っていたら、奏も、あの子…憑友も、死なずに済んだのかもしれない…

奏は言ったよね…"翼は泣き虫で、弱虫だ"って。

確かに私は今も昔もおそらくこれからもそんな状態になるのかもしれない…

私はそれでも、あの子の…憑友の為に出来る事をやるまで…!)」

 

そう心の中で呟くと、翼は目を見開き、刀を瞬時に抜刀する…!

 

そして近くにあったろうそくを寸での所で止めた!

 

「(全ては…私の弱さが引き起こした出来事だ…)」

 

そう言うと刀を鞘へと納刀し、部屋を後にした。

 

ーーーーーー

翼が和室にて瞑想をしていた時、霊風は未だに石板の解析をしていた。

この1ヶ月の間に、かなりの数の石板が特異ノイズ達から回収してきた。

あれから霊風も憑友には及ばないものの、それでも1人で石板の回収に成功出来る程の実力を持ち始めていた。

それから奏に色々と教わって今はなんとか1人で石板解析が出来るようになっていた。

だが、やはりまだまだ時間がかかるようで、一枚で約30分も時間をかけていたのであった。

 

と、そうこうしていると、石板の解析が完了したのか、

霊風は石板に手を置き、もう片方の手で先程出力したばかりの文字を詠唱した。

 

「詠唱開始。

『その者は、槍を携えた女の騎士なり。

 

彼女は身分の低い皇族であり姫でもあるが、それ故に民の声を直に聞く事も容易かった。

 

そんな彼女がある日、1人の青年と出会わん。

 

青年の活躍により、その地に蔓延る悪しき闇は取り除かれるも、

 

姫君は青年に再び会いたいと思うようになる。

 

そして彼女は再び槍を携え、かつての仲間と共に、青年を探す。

 

そしていつしか、彼女には『槍の姫騎士』と呼ばれるようにならん…』」

 

するとそこから一枚のカードが現れた。

そこには槍を後ろに携えながら、身を構える1人の少女の姿が描かれていた。

 

「【姫騎士 アリーシャ】か。

っと、ふぅ〜これで全部だな。はぁ〜疲れた〜」

 

「やっと終わったのか?」

 

霊風はやっとこの一ヶ月で集まった石板の解析を完了し、一息つくと奏がやってきて、コーヒーを渡してきた。

 

「サンキュ〜」ゴクゴクッ

「ぷはぁ〜!美味いな〜」

 

「その飲み方は無いんじゃ無いのか?」

 

「んなもんは関係無いよ。飲み物はこうやって飲むのが一番なんだからよ!」

 

「…後でたっぷりと躾直さないとな…」

 

「なんか言ったか?」

 

「なんでも。それよりも明日も早いし、早く寝たら?」

 

「…そうだな。そうする。奏も夜遅くまで起きておくなよ?

"夜更かしはお肌の天敵"って、聞いた事無いか?」

 

「無い…事も無いか。んじゃあ、私も寝ますかな」

 

そう言うと2人は其々の部屋に行き、そして就寝した。

 

ーーーーーー

一方、憑友と響の2人は未来も加えた3人でレポートを完成しようとしていたが、今その課題に集中していたのは響だけであり、未来はパソコンを使って動画を見ていて、

憑友は相変わらずライドと共に石板の解析をしていた。

すると、響の端末からアラーム音が聞こえ、響は内容を見てみると、

 

『二課で定例ミーティング 17:30〜』

 

「うぁ…」

 

ミーティングのお知らせで、響は苦虫を噛んだかのような表情を見せた。

すると憑友と共に行動していたライドが憑友の肩に乗り、ヒソヒソと話しかけてきた。

 

『憑友。如何やらミーティングの知らせのようだ。私のところにも来たぞ?』

 

(マジかよ)…(ミーティングかよ…行きたくねぇ〜)」

 

憑友はその事で内心うんざりしていた。

この1ヶ月の間に軽く10件あったら、そりゃうんざりします。

すると未来が響に話しかけてきた。

 

「何?まさか、朝と夜を間違えてアラームセットしたとか?」

 

「え?あぁ〜いや〜…」

 

「こんな時間に用事?」

 

未来はそう言い放つ。

確かに、今の時間帯は夜の6時あたり。

こんな時間に用事をするものなんて大抵限られている。親か兄弟姉妹か友達の誰かだ。

…尤も響や憑友はその限りでは無いのだが。

 

しどろもどろの響を見たのか、憑友は助け舟を出した。

 

「いや、最初に未来が言った通り、アラームを朝と夜に間違えただけさ」

 

「…そう。なら、良いけど。

でも、もし用事とかだったら言ってよね?」

 

「は、はい…」

 

「(あれ?未来いつの間に母性が出始めたんだ?)」

 

未来の一声で、憑友は目をパチクリと動かした。

 

「夜間外出とか、門限とかは私でなんとかするけど…」

 

「う〜…ごめんね」

 

そう言いながら響は憑友の方を向くや、アイコンタクトで"ありがとう"とジェスチャーすると、憑友もそれに気付きアイコンタクトで、"アラーム音は極力避けてくれよ"とそうジェスチャーしたのであった。

 

すると未来は自分が見ていたパソコンを2人に見せてきた。

 

「2人とも、こっちの方は何とかしてね」

 

「?」

 

「あ」

 

それを見た憑友は頭の上に?マークが付き、響はすっかり未来が前に言っていた事を今になって思い出していた。

 

「一緒に流れ星を見ようって約束。憑友にはまだ言っていなかったんだけど、響は憶えて貰わなくちゃ困るよ。

それに山みたいに抱え込んだレポートじゃ、それも出来ないでしょ?」

 

「うん!何とかするから!ごめんね!」

 

そう言うと響がなんと此処で服を脱ぎ始めたのだ‼︎

それを見た憑友は慌てるも時既に遅く、後から未来に何も言わずにビンタを食らったのは言うまでも無い。…ラッキースケベめ。

 

そう言いつつも、未来は響の着替えを手伝う。

 

「ほら…バンザイして」

 

未来にそう言われ、響はバンザイをする。

すると響は何かを呟き始めた。

 

「…私、このままじゃダメだよね…」

 

「?」

 

「しっかりしないといけないよね…

今よりも…ずっと、きっと、もっと…」

 

「…」

 

響の呟きに先程ビンタをくらい、頬に赤い紅葉が出来ていた憑友は悲しい目をしながらその事を聞きながら、作業をしていたのであった。

 

そして手を止めた。

 

 

「…良し。完成!」

 

「「?」」

 

着替えを終えた響と未来は憑友の方へとやって来た。

そこには小さな装置で、カードが一枚漸く入れられるようなスペースの隙間しかなかった。

 

「名付けて、"現界ブースター"!

これに『英雄石板』によって解析が完了したカードを差し込むと、なんと!その『英雄』が現世に召喚されるのだ!」

 

「おぉ〜!凄い〜‼︎」

 

「でも、ネーミングがイマイチかな」

 

「ぐはっ‼︎そこは突かないで欲しかったよ、未来さん…」

 

「ん?そう言えば、如何したの?その顔?」

 

「何でも無いので、はい…」

 

そう言うと憑友は早速一枚のカードを差し込んだ。

すると、そこから光の粒子が形作り、そしてそこから1人の青年へと変わった。

 

髪は黒の毛が前髪に少しで、後は全て銀髪の青年が現れた。

 

「後は頼んだぜ!ルドガー!」

 

「ああ」

 

そう言うと未来とそのルドガーを置いて2人は足早に玄関を開けて、出て行った。

未来も何か説明して欲しいと思ったのだが、今は他にあても無く、近くにいるルドガーと呼ばれた青年に話しかけた。

 

「あ、あの〜…」

 

「?…ああ。君が憑友が言っていた『小日向未来』ちゃんだね?

俺はルドガー。ルドガー・ウィル・クルスニク。

…取り敢えず、何か食べる?」

 

「え?…は、はい…」

 

そう言いながらルドガーはキッチンを借りて、料理をし始めたのであった。

その後、未来はルドガーの料理を絶賛する事になろうとはこの時の未来自身は知る由もなかった…




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回はロックと言う男が使用していたリヴァイについて紹介しよう」

リヴァイ/カード名 【人類最強兵士長 リヴァイ】
属性/闇・人間・斬・剣

《調査兵団・リヴァイ班》を統率している兵士長。
高度なワイヤー技術で敵を斬るが、それ以外は殆ど潔癖症。

憑友「1人で千人にも及ぶ力を持つ存在を相手に余裕で勝利するその実力ははっきりと言って、人の人智を超えているとしか言えない…」

次回

ミーティング

憑友「次回も見てくれよな」


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第15話 ミーティング

今回はグダグダ回になってしまった…!
そして最後には久方ぶりのあの子(?)の登場回。


そして、寮部屋から出て来た2人は急いで二課の方へとやって来た。

 

「遅くなりました!」

 

「本当にすみません」

 

そう言いながら、2人は弦十郎達にお詫びをした。

すると、弦十郎が憑友の顔を見て驚いていた。

憑友の顔には未だ未来によって付けられた赤い紅葉がまだ浮き出ていた。

 

「?…憑友、その顔…如何した?」

 

「何でもありません!」

 

「?」

 

憑友はこれ以上聞いて欲しく無いかのように、弦十郎の質問を即答したのであった。

それを見た響以外の女性陣はたったそれだけで理解し、冷たい視線を憑友に浴びせていたのは言うまでも無かったが、

櫻井がすぐに話を始めた。

 

因みに今此処に居るのは、

 

憑友と響、翼、緒川、櫻井、弦十郎、友里と藤堯、そして下層にいるスタッフの面々だった。

 

憑友はふと見てみて、奏と霊風が居ないことに気が付いた。

 

「あれ?霊風先輩と奏さんは?」

 

「2人にも連絡をしたんだが、如何やら爆睡してるみたいでな。

仕方が無いから今回は不参加と言う形を取ったんだ。

今の今まで、真面に休んでいなかったからな。偶には良い骨休めでもなるだろう」

 

「そうですか。分かりました。お待たせしました。ミーティング始めましょう」

 

そう言うとミーティングを始めた。

するとホログラムディスプレイにマップが現れた。

黄色の大きい点が一つと、そこを周辺に無数の赤い点とその周囲を囲うかのような薄い赤の膜が張ってあった。

 

すると弦十郎は響に質問した。

憑友は画面を見て前屈みになっている。

 

「如何思う?」

 

「…いっぱいですね」

 

「」ズコッ!

 

響の直感すぎる質問に憑友は前のめりにズッコケ、テーブルに顔面強打した。

 

「痛てぇ…響!もうちょっと何か感じなかったのかよ⁉︎」

 

「いや、だって他に思いつくもの無いんだもん!」

 

「そこで自己主張する事はないだろ‼︎」

 

「落ち着け、2人とも」

 

弦十郎により2人はすぐに話を元に戻した。と言うより戻された。

 

「取り敢えず…

これは此処1ヶ月にて出現した『ノイズ』の発生地点だ。」

 

「『ノイズ』…この一ヶ月の間に其れ程まで…!」

 

「そして…」

 

そう言うと弦十郎の合図と共に、赤い点の場所に今度は青いマークが付いた。

 

「この青いマークは憑友や霊風にとって必要な力『英雄石板』を体内に宿した『特異ノイズ』の発生地点だ」

 

「こんなにも出ていたのか…!」

 

その数はざっと見た限り20は確実にあった。

 

「この『特異ノイズ』は皆全て憑友君や霊風が回収したおかげで、何とか対処する事が出来ている。現にこちらの戦力としては実に偏りを見せてきていると思っても構わない」

 

すると弦十郎はこの話を切り上げ、響に向かって再び説明した。

 

「さて、この話は此処までにしよう。

『ノイズ』について…響君が知っている事は?」

 

「えっと…テレビのニュースや学校で教えてもらった程度ですが…」

 

すると響は『ノイズ』について説明をした。

 

「先ず、『無感情で機械的に人間を襲う事』。

そして、『襲われた人間は炭化されてしまう事』。

『時と場所を選ばずに突然現れて、周囲に被害を及ぼす《特異災害》として認定されている事』」

 

「意外と詳しいんだな?」

 

「えへへ…」

 

「学校のレポート課題で調べただけだろうが」

 

「うぐっ…」

 

弦十郎に褒められた響だが、憑友にいたいところを突かれたのであった。

 

「それに、お前、まだ『特異ノイズ』の事も話していないぞ?

俺はそのまま特異種と呼んでいる奴等の事だ。

『特異ノイズ』は通常の『ノイズ』達とは明らかに異なり、

『近代兵器で倒せる』と言う事と、これは最近知った事なんだが、

『人を襲うが通常種特有の《炭化能力》を備わってはいない』と言う事が最近の活動で分かった事。

この2点に先程言った『時と場所を選ばずに突然現れて、周囲に被害を及ぼす《特異災害》として認定されている事』の3つが『特異ノイズ』の最大の特徴と言う訳だ」

「だが、特異種達には体内に世界遺産にも登録されている歴史遺産『英雄石板』をその身に宿している。

つまりその特異種の撃破=歴史遺産『英雄石板』の損失にもなり兼ねないと言う事になるんだ」

 

「な、成る程…」

 

「それに対応出来るのは《精魂導師》と呼ばれる者達だけ。

悔しいけど、《シンフォギア》を纏いし戦姫達には大変言い辛いけど、特異種相手にははっきり言って、足手まといにしかならない。

逆に言えば、通常種相手だと俺達《精魂導師》は《シンフォギア》の戦姫達の足枷にしかならない。霊風先輩は通常種相手でも、完全に立ち回れていますけど、俺はそうじゃありませんので」

 

「…そう…」

 

憑友の発言に答えたのは翼だけだった。

 

「さて、話を戻すとしましょうか!

『ノイズ』の発生が国連の議題に挙がったのは13年前だけど、

観測そのものはずーっと前からあったのよ?それこそ世界中の太古の昔にね?」

 

「『英雄石板』に記されていた時代からもっと前にノイズは現れた。って、親父が言っていました」

 

「そうなのよ。憑友君や霊風君が使用している『英雄』達が存在した太古の昔からノイズは観測されていたとされる書物や壁画があるのよ」

 

「世界の各地に残る神話や伝承等の数々の偉業は、『ノイズ』由来のものが多いだろうな…」

 

「でもね、『ノイズ』の発生率は其れ程高くは無いのよ?」

 

「…何?」

 

櫻井が言った一言で、憑友は目を疑った。

何故なら、自分が行ってきた場所の殆どでノイズと出くわしたからである。

 

「この発生件数は誰が如何見ても明らかに異常。だとすると…」

 

「誰かが作為を働かせてノイズ達を使役している…?」

 

「それって、誰かがノイズを操っていると言う事⁈」

 

その事実に響は憑友を見てそう叫んだ。

 

「確率的には低いが、決して0じゃ無いのが歪めない。

否定的に捉えたいけど、それを証明する根拠があるのが事実…」

 

そう言うと憑友はライドを弄り、ホログラム画面を起動させて、テーブル上に置いた。

 

そこには杖なのか、はたまた弓なりの様な形をした物が描かれていた。

 

「これは?」

 

「これはソロモンの杖。弦十郎師匠や二課に配属されている皆さんなら一度は聞いた事がある筈です」

 

憑友の問いに二課の面々は頷いていた。

そして憑友は話を戻す。

 

「"ソロモンの杖"

玄也…親父が『英雄石板』に関する壁画のところにあったものだと言っていた壁画から解析して、それをイメージとしてホログラムで再現した物です。

これは『ノイズ』達を使役し、呼び出す事が出来る代物だと壁画から解析して分かりました」

 

『⁉︎』

 

その一言で、周りの皆は驚愕した。

だが、其々の心境は別々である事はまだ知らない。

 

「それに、此処にはアレ(・・)が保管されているんでしょ?師匠」

 

「…いつ気付いた?」

 

「ついさっき」

 

「?何の話をしてるの?」

 

すると憑友が何かに気付いたのか、弦十郎に例の物の話をした。

それを聞いた響は何が何だかさっぱり分からない状態だったが、

いち早く気付いた翼が2人の話の中心になっている物を話した。

 

「おそらく2人が話しているのは、サクリストD《デュランダル》の話をしている所よ」

 

「デュランダル…?」

 

すると今度は友里が代弁し始めた。

 

「此処よりも深い最下層通称《アビス》と呼ばれる場所にて保管していて、日本政府の管理下の下、我々二課が研究している聖遺物…それが《完全聖遺物・デュランダル》よ」

 

友里の説明が終わると今度は藤堯が説明に入った。

 

「翼さんの《天羽々斬》や響ちゃんの胸の内にある《ガングニール》のような欠片は、装者が歌って《シンフォギア》として再構築させないとその力を発揮する事は出来ないけれど…

完全状態の聖遺物は1度起動させれば、その後は100%の力を常時発揮し、更には装者以外の人間でも使用出来るであろうと研究結果が出てきているんだ」

 

「それが!私が提唱した「『櫻井理論』ね」うぐっ…良い所を持って行かれたわ…お、ホン。

だけど、完全聖遺物の軌道には相応の《フォニックゲイン》が必要なのよ」

 

「?」

 

櫻井の言葉から出てきた《フォニックゲイン》という言葉に、響はチンプンカンプンになっていたので、憑友が少しわかりやすく説明する事にした。

 

「RPGとかで、魔法とかよく聞くだろ?

あの時に必要なのは魔力の源とも呼べる大気の物質が必要なんだが、此処では総称して『マナ』と呼ぶ事にしよう。

その『マナ』こそが、先程櫻井氏が言っていた《フォニックゲイン》と似て非なる物なんだ。

何故、似て非なるのかは、『マナ』は大気中に至る所で確認されている事から、自然によって成り立っているのに対し、

《フォニックゲイン》はそれが無い。

つまり、自然によって作られているんじゃ無いんだ。

その代わり、自然とは程遠い物ほどそれが多く形成されていっているんだ。

例えて言うなら…人間だな。

人間には未知なる可能性を無限に作れる生物。

故に"自然の摂理"・"森羅万象"に異を唱える事が可能。

《フォニックゲイン》はそこから生まれた余剰エネルギーだと思っていても良いんだ」

 

「へ、へぇ〜」

 

「…頭パンクしてたな?」

 

「ごめんなさい…」

 

その後、ミーティングをしていると後ろに突っ立っていた緒川が話し込んできて、弦十郎は其れを察したのか、翼をミーティングから上げさせた。

 

何が何だか分からない響だったが、緒川から色々と事情を話してくれたので、何とかパニクる事は先ず無かった。

 

 

 

そして、ミーティングが終わった響と憑友は帰路につこうとした。

 

「しかし、憑友って、どうしてそこまで詳しく知ってたの?」

 

「前に言ったろ?『弦十郎師匠の所にお邪魔した事がある』って。その時に遊び心で閲覧禁止のやつを見てしまったんだよ…機密系のな。

それが何故か頭から離れられなくて、結果的にレポートで纏めていたら、綺麗さっぱり忘れる事が出来たが、反面、逆に余計に後処理が面倒くさくなってしまったけどな…」

 

「あはは…?レポート?…ああ!レポート!まだ書き残したままだった⁉︎」

 

そう言うや、響はダッシュで走って行ってしまったのであった。

後を追おうとした憑友だが、何かを感じたのか、ライドと少し話をして、ライドはそのままスリープモードになり、憑友は感じた方向を見ると、そこにはいつも陰ながら憑友の事を見てくれていたゆるキャラ幽霊のユルセンが辺りを見渡していた。

 

「何やってんだ?ユルセン?」

 

『うわぁ⁉︎…って、なんだよ〜お前かよ〜憑友〜』

 

「如何したんだ?そんな顔をして?

なんか思い出がある様な目で周りを見ていたぞ?」

 

『⁉︎そ、そんな事は無いよ〜だ!其れよりも早くあの子を追ったら如何なんだよ〜?』

 

「へ?…あ⁉︎彼奴いつのまに⁉︎待てよ〜!響〜‼︎」

 

そう言うと憑友はそのまま響の後を追って行った。

 

其れを遠くから見ていたユルセン。

 

『…』

 

すると誰も居ないことを確認したユルセン。

するとユルセンの身体から光が放たれ、そして光が消えたと同時に、ユルセンのいた場所に1人の女性が立っていた。

顔つきがまるで響に似ていた。まるで双子みたいに。

だが、女性の髪は銀髪で響の髪よりも長く伸びていた。

尤も、翼や奏には劣るが。

 

『思えば…この時から私の運命が変わったんだっけ…』

 

そう言いながら、周りを見渡すユルセンと思わしき女性。

 

『此処の経験があったから、あの堅い絆を生み出したのかもしれない…』

 

そう言いながら、周りを再び見渡す女性。

 

『今はゆるキャラ幽霊みたいな姿に成っちゃったけど、

私は私で、やるべき事をやるしか無いよね…』

 

そして今、この女性が=ユルセンだと言う事が分かった。

そしてユルセンはある者の名を呟いた

 

『私、こんな姿になっても、頑張るからね…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…未来』




憑友「『英雄』達を紹介するコーナー」
「今回はロック(あいつ)が使っていたカードにして、あいつの相棒とも呼べる存在・アーチャーを紹介しよう」

アーチャー/カード名【錬鉄の弓兵 アーチャー】
属性/炎・英霊・斬&射&魔・剣&弓

遠距離から攻撃する事が出来る弓兵でありながら双剣による白兵戦を好む存在。自らの力で伝説上の武器等を贋作する能力を持つ。

憑友「異色の力を持っていながらもその力を発揮する事が出来る屈指の実力者。
必殺技無限の剣製(Unlimited Blade Works)は彼の代名詞であり、周りを荒野へと変え、そこから大量の武器を降り注がせる…!」

次回




憑友「次回もよろしくな」


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第16話 溝

これでやっとアニメ3話分を書き終えた〜疲れた〜
でも、まだまだやるしか無いよね…うん。
あ、今回は憑友君、大量変身回!


ミーティングを終えてから数日。

響と憑友は現在、音楽の授業を受けていた。

 

「憑友君。貴方、中々良い声をお持ちね」

 

「え?…う〜ん…」

 

すると歌声を聞いた先生からお褒めの言葉を貰った憑友。

しかし、自分にはそんな自覚は無いと思っていた。

 

「母親譲り?」

 

「其れはあり得るかも…」

 

「憑友君のお母さん、歌が上手いもんね♪」

 

そんな話をしていると、響はある方向を注視していた。其れを見た憑友はその方向に一瞬だけ見た。

 

「(今のは、翼さんか?そりゃ、あの人もこの学院の生徒だけど…こんな時間に何を…って、響。そのまま見続けていると…)」

 

響がそのまま翼の方を見続けていたので、アイコンタクトをとろうとしたまさにその時。

 

「立花さん‼︎」

 

先生からの怒声に響は変な声を上げて、未来に心配されてしまったのであった。

其れを見た憑友は頭を抑え込んでいたのは言うまでも無い。

 

そして昼休み。

憑友は響と未来とそして響の友達である創世達と共に芝生のある所で昼食を食べていた。

因みに今回の料理は憑友が呼び出した存在・ルドガーのお手製料理であった。

 

因みに響はまだレポートの途中であった。

 

「人類は呪われてる!寧ろ、私が呪われてる!」

 

そう言いつつ、創世と弓美の2人に弁当を食べさせてもらいつつ、レポートを書いていた。

 

「行儀悪い事するなよな…自称呪われボディ」

 

「ほら、お馬鹿な事やってないで。レポートの提出は今日の放課後よ」

 

「だはら、こふひて、へんはぁいにいとぉむでりゅんだひょ(だから、こうして限界に挑んでるんだよ)」

 

「食べるか、話すか、その何方かにしろよな」

 

そう言うと響は一気に喉の奥まで口の中に入れていた食べ物を飲み込んだ。

 

「ふぅ…そう言う憑友は如何なのよ⁉︎私よりも多い癖に!レポート間に合うのかな〜?」

 

「生憎、俺の分のはこれは1年次分のレポート分全部だぞ?」

 

『・・・え?』

 

その言葉に憑友以外の皆が唖然としていた。

 

「定期的に出しているからな。

後はもう1月分からのレポートを書けば其れで終わり」

 

「嘘〜⁉︎いつも一緒にいるのに、如何してそこまで出来るの⁈」

 

「さあな〜?」ヒュー♪ヒュルル〜♪

 

「今完全に見下したよね⁉︎」

 

そう言っていると、創世達が弁当を食べ終えて、その場を後にしようとした。

話の内容から屋上でバトミントンをする予定だそうだ。

そして未来も3人に誘われたが、未来は響のレポートの手伝いをする事になっていた為、そう言うと響が涙目になっていた。

其れはもうまるで仲良しという度合いを過ぎていた。

 

「んじゃ、憑友は?もうそこまでレポート終わってるなら…」

 

「あははお気持ちはありがたいんだけど、このレポートを書き終えなきゃいけない理由がこの馬鹿に関連してるので、如何しても…」

 

「其れって、私の事⁈」

 

「他に誰がいる‼︎」

 

「うう〜…私呪われてるかも…」

 

「いや、俺が呪われてるから…」

 

そうこうしつつも、放課後。

未来と憑友は響を待っていた。

すると響がようやく職員室から出て来たので、

2人は如何だったのか聞いてみる事にした。

 

「先生はなんて?」

 

「壮絶に字が汚すぎるって」

 

「そうじゃなくて、提出出来たのかって聞いてるんだけど?」

 

「時間過ぎてたけど、レポート受け取って貰えたの?」

 

2人にそう言われた響だが、

 

「今回だけは特別だって!」

 

「んじゃあ、次回からはちゃんとやりなさいと言う事だな」

 

「うぐっ…痛い所突かないでよ〜。

…でも、お疲れ〜!」

 

そう言って、響は2人にハイタッチしようとしたが、先生に怒られたのは言うまでも無かった。

すると、未来がカバンを取りに行ってくると行って来たので、憑友も同行する事にした。

 

1人だけになった響。しかし、そんな世の中も

 

pirororo♪pirororo♪

 

「⁈…(ピッ!)はい」

 

その電子音で無残にも崩壊する事になろうとは…

 

ーーーーーー

一方、未来と一緒に教室に来た憑友の方にも連絡が来た。

 

「…!…未来。ごめん」

 

「ん?如何かしたの?」

 

「これから急用が出来てしまったんだ」

 

「…そっか」

 

「ごめんな。響と未来と3人一緒に流れ星見たかったな…」

 

「仕方ないよ。今はそっちの方に専念してね」

 

「…ありがとう。未来って、見ない内に綺麗になったな」

 

「え⁉︎/////」

 

「あ⁈やべ⁉︎…じゃあな!」

 

そう言うと憑友は自分のカバンだけを持ってその場を後にした。

その後、未来はすぐに思考を戻し、響のいる職員室の方へやって来たが、

 

「?……響?」

 

其処にはもう響は居なかった。

 

そんな様子を見ていた存在が1人(?)。

 

『…』

 

其れは憑友の事を陰から見守っていたゆるキャラな幽霊・ユルセンだった。

 

『…ごめんね、未来』

 

ユルセンはそう言うと、未来から離れた。

 

『…思えばこの時から既に未来との間に溝を作り始めたんだよね…

やっぱり何回も味わいたくないや…』

 

そう言いながら、ユルセンは憑友の後を急いで追った。

其れを見ていた青年と少女がいた。

 

「…あれで良かったのかな…」

 

そう言うのは高身長の青年。名はルドガー。

そしてもう1人。

 

「分からないわ。でも、其れがあの子の為に成るんなら、私達は手出しは出来ないわ」

 

そう言うのは、黒髪のストレートの女の子。名はほむら。

 

「…だな。…行こう」「ええ」

 

そう言うと、2人は急いで憑友の後を追っていった。

 

ーーーーーー

 

未来は結局、響に会えず、1人で寮の部屋へと帰宅した。

そして其処にはやはり響は居なかった。

すると未来の携帯から着信が掛かり、未来は其れを見ると響からだった。

未来はすかさず通話をした。

 

「響!貴方…」

『ごめん。急な用事が入っちゃった…

今晩の流れ星、一緒に見られないかも…』

「っ!…また大事な用なの?」

『…うん』

「分かった。なら、仕方ないよ。

部屋の鍵開けておくから、あまり遅くならないでね」

 

ーーーーー

「うん。ありがとう…ごめんね」

 

そう言うと響は電話をきった。それを待っていたかのように、近くに憑友がライドを既に左腕に装着させて待機していた。

 

「…行こう。響」

 

「…うん。…‼︎」

 

そう言うと2人は地下鉄の階段にいた大量の『ノイズ』を見て、怒りを抱いていた。

 

「お前らが来るから…お前らさえいなければ‼︎」

 

『あまり無茶はするな!憑友!響君!』

 

「「分かってる‼︎」」

 

そう言うと響は聖詠を歌い、憑友は右腰のカードケースから一枚のカードを取り出した。

其処には、宙を舞いながら、剣と言うよりカッターの刃物に近い形状の剣で何かを斬ろうとしている青年のイラストがあった…!

そしてそれを装填し、

 

「変身‼︎」

 

レバーを引いた。

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron…」

 

ーライド!フォーム…エレン‼︎ー

 

そして響はガングニールを纏い、憑友はカードから現れた存在を纏った…!

 

ー反撃の狼煙、怒りの戦士‼︎ー

 

(挿入歌「激槍・ガングニール」悠木碧)

 

そして憑友は纏うと同時に響に右手を差し出す。響はその手を掴むと、

 

「てめぇらの相手は…俺達だ‼︎」

 

そう言うと憑友は残った左手にグリップらしき物を持つと、そのトリガーを押した。すると、腰についてあった装置からワイヤーが現れるや、そのまま一直線へと飛んだのだ!

 

「此処は任せたぞ‼︎」

 

そして憑友は一旦、響を投げ飛ばしたのだ‼︎

そして投げ飛ばされた響は尻餅をつきそうになるが、なんとか踏みとどまった。

 

そして響を置いていった憑友は奥にいるノイズ達の方へと今現在纏っているエレンの能力《立体機動》を用いて急行して行った。

 

そして急行するや否や、其処から回転斬りで一掃すると、その場に停止。

そしてアブソーバーからカードを引き抜くや、カードケースからまた一枚のカードを取り出し、装填した。

 

「お前らさえ…来なければ…!」

 

すると、そんな怒りに満ち溢れていた憑友に、

 

「待ちな、boy」

 

と、声をかけられ、憑友は後ろを向くと其処には奥州(現在宮城は仙台周辺)を束ねた男・伊達政宗がいた。

 

「何の用だ!」

 

「今のてめぇに、俺は扱えないぜ?

扱えたけりゃ、少しはcooldownしろよな?」

 

「………フゥ。…落ち着け。俺…」

 

「ふっ。さ、ド派手なpartyの始まりだぜ!

Areyouready?」

 

「Yes.understand‼︎」

 

「OK!奥州筆頭・伊達政宗…推して参る‼︎」

 

そう言うとアブソーバーの中へと入り、憑友はレバーを引いた!

 

ーライド!フォーム…マサムネ‼︎ー

 

そして、前方にアブソーバーを構えると、其処から六本の刀を同時に持った伊達政宗がノイズ達を切り刻む。

そして憑友に近付き、憑友はそれを纏った…!

 

ー奥州筆頭!Let'sParty(レッツパーリィ)!ー

 

其処には三日月文様の兜と、青き衣を鎧の上に羽織り、腰に六本の刀を携えた武士の格好をした憑友がいた…!

 

すると、憑友は腰の六本の刀を指と指の間に挟み、そして一気に抜刀きた…!

 

「"WAR DANCE"‼︎」

 

そして其処から大量の雷が迸るや其処から無数の斬撃でノイズ達を消滅させていった!

まるで龍の鉤爪のように。

 

そして、憑友はライドアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・マサムネ!フルドライブ‼︎』

 

すると六本の刀を一旦、一本に戻した。

 

「龍の逆鱗に触れたが、オチだぜmaybe?」

 

そう言うと周りのノイズ達を連続してで斬り付けまくる…!

その度に徐々に一本、また一本と、刀を持って抜刀して行く…!

 

そして最後はすべて抜刀して、

 

「"HELLofHEAVEN"‼︎」

 

全方位に特大の雷が降り注がれた…!

 

すると憑友はすぐに新たなカードを取り出した。

此処一ケ月の内に手に入れたカードだった。

それをアブソーバーに装填、レバーを引いた!

 

ーライド!フォーム…イチカ!ー

 

するとアブソーバーから白い機体らしきものを纏った青年の魂が現れ、憑友はそれを纏った…!

 

ー武士道精神、白式一閃!ー

 

すると、背中から白い翼を模したバックユニットと、手に白い刀らしき武器が所持された。

 

「一気に決める…!」

 

そう言うと憑友はアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・イチカ!フルドライブ‼︎』

 

すると、白い刀からエネルギーが放出され、光り輝き始めた!

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!これで終いだ!

 

"零落白夜"‼︎」

 

縦に一閃したその威力に前方のノイズ達は一掃され、

気が付けば、ノイズはもういなかった。

 

急いで響の所へ向こうとしたら、突然爆発が起こった。

何事かと思って見てみると、明らかに葡萄の様な姿をしたノイズが現れるや、その後、そのノイズが来た場所から衝撃音が聞こえた…!

 

「あんた達が…誰かの約束を犯し…!」

 

「響…⁉︎」

 

其処には響が手を壁に叩きつけていた。

その際に衝撃音が聞こえたのだ。

しかも、亀裂と同時にその壁も凹んでいた…!

 

「嘘のない言葉を…争いのない世界を、」

 

「⁉︎」

 

その時、憑友は感じてしまった。明らかに響では無い何かが其処にいるという事を。

そんな時、

 

「悪い!遅くなった!」

「ごめんなさい。遅くなって」

 

「!ルドガーさん。ほむらさん!

お願いします!」

 

すると憑友は2人をカードケースに入れると、ルドガーの方のカードを取り出し、自身が変身していた姿を解除し、ルドガーのカードを装填、そしてレバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、ルドガー‼︎ー

 

そう言うと双剣でノイズを切り裂く青年の魂が現れるとそのまま憑友は纏った!

 

ー銃剣槌士、審判の槍!ー

 

「行くぞ!はあっ!」

 

そう言うと双剣を逆手に構えてアクロバティックな攻撃を連続で繰り出していく…!

 

「"一迅"!"鳴時雨"!"舞斑雪"!」

 

双剣の攻撃が見事にクリーンヒットしていた。まるで確実にダメージを与えるかのように。

そう言うと今度は腰から2丁拳銃を取り出した!

 

「"エイミングヒート"!"タイドバレット"!」

 

2丁拳銃の弾丸から炎と水が吹き出て、ノイズ達は更に一掃すると、今度は何処から取り出したのか、ハンマーを振り回し始めた。

 

「"アッパー・ブレイズ"!"エオリエーネ"!」

 

豪快なハンマー攻撃で、ノイズ達は吹っ飛ばされ、

そしてすかさずアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・ルドガー!フルドライブ‼︎』

 

そう言うとまず拳銃を上空へと投げた!

そして其処からすかさず、ハンマーを振りかぶった!

 

「槌で叩かれ、」

 

するとすぐに剣を逆手に持ち、一閃。

 

「剣で切り裂かれ、」

 

そして回帰一閃。

戻ってきた処を拳銃をキャッチして、乱射した!

 

「銃で撃ち抜かれろ!

 

 

祓砕斬!零水(アヤミ)‼︎」

 

それにより、周りのノイズ達は消えると、其処には響が手で爆発物を防ぎ、なんとか理性を取り戻していた。

 

「⁉︎大丈夫か!」

 

「憑友…!あ、待ちなさい!」

 

「!あの馬鹿!」

 

2人は急いで葡萄の姿をしたノイズを追った。

 

しかし、ノイズはいつの間にか地上へと続く道を作り上げていた。

 

それを見ていた響と憑友。

すると、其処から流れ星が見えてきたのだ!

 

「流れ…星?」

 

「いや、違う…あれは…!」

 

そう言いながら2人は急いで地上へと上がっていった!

 

(挿入歌「絶刀・天羽々斬」水樹奈々)

 

そして2人が地上に這い出てきた頃には、既にノイズは翼の手によって、倒されていた。

それを見た響は、翼に訴えた。自分の中にある何かを。

 

「私だって、守りたいものがあるんです!

だから…!」

 

そう言うと翼が再び刃を向けようとした。そんな時だ…!

 

 

 

「だから?んで、どうすんだよ?」

 

「⁉︎」

 

「誰だ⁉︎」

 

突然、此処にいる皆とは明らかに違う声が聞こえた。

それを聞いた皆は辺りを見渡す。

そうしていると、憑友の隣にユルセンが現れた。

 

『憑友!彼処だ!彼処!』

 

「え?…!」

 

そう言うと、憑友は構えをとった。

そして、2人も憑友の視線の先を見た。

其処には確かに誰かがいた。

しかし、闇夜に紛れて分からなかった。

 

そして月の明かりが照らされ、其奴は現れた。

そしてそれを見た翼は驚愕した…!

それはかつて、自身が弱かった故に起こった引き金の存在…

 

「《ネフシュタンの鎧》…⁉︎」

 

 

完全聖遺物・《ネフシュタンの鎧》を纏った少女が其処にいた…!




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回は俺が今日の話で最初に変身した存在・エレンを紹介しよう」

エレン/カード名【反撃の狼煙 エレン】
属性/炎・人間・斬・剣

巨人に対して怒りを持った執着心がある。
目付きが悪く、近寄りがたいが、友好的に話せば自然と向き合ってくれる。

憑友「自身に備わっている"立体駆動装置"を用いる事で、まるでジャングルの猿のように自由自在に動き回る事が出来る。
うなじを狙った一撃は、まさに鬼神の如く!」

次回
ネフシュタンの鎧

憑友「次回も見てくれよ」


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第17話 ネフシュタンの鎧

更新が遅くなって済まない。色々と急務だったのでな。
今宵はネフシュタンの鎧を纏った少女との戦いだ。


ーーーーSIDEto憑友

「《ネフシュタンの鎧》…⁉︎」

 

翼さんは確かにそう言った…

 

ネフシュタンの鎧?あの女の子が纏っている鎧みたいな奴のことか?

 

すると、

 

『憑友!弦十郎氏から通信が入ってきた。繋げるぞ』

 

「!分かった」

 

ライドさんから弦十郎師匠からの通信が入ってきたとの知らせを受け、俺はそのまま繋げて貰った。

 

『憑友!今からお前達の現場に急行する!

何ととしてでも、《ネフシュタンの鎧》を確保して欲しい…!』

 

確保か。何か訳あり見たいだけど、やるしか無いよね…!

 

「了解!」

 

そう言うと俺は通信を切って、鎧の少女に向いて構えた…!

 

 

ーーーーーーNO SIDE

憑友が弦十郎と通信をしていた頃、

翼達の前に完全聖遺物《ネフシュタンの鎧》を纏った少女が佇んでいた…

翼が目を開いていると、そのネフシュタンの鎧を纏った少女が口を開けた。

 

「へぇ〜。って事はあんた、この鎧の出自を知ってるんだ〜?」

 

「2年前、私の不始末で奪われた物を忘れぬものか…何より…

 

私の不手際で奪われた命を忘れぬものか!」

 

そう言うと翼は思い返していた。

 

奏が死んでしまうと思った時に、彼…憑友が奏の手を取ると、奏が今まで受けてきた呪いとも呼べる力の代償をその身一つで全て受け止め、奏の命を救ってくれた。

だが、代わりに憑友が実際に死んで、今は半分幽霊となって、現れたという事に。

そう言うと翼は大剣サイズとなっていたアームドギアを再び構え始めた…!

 

それに準じて鎧を纏った少女の方も、右手に弓なりの形をした杖を持って、鎧に付いている鞭らしき物を持って構えた!

 

「(奏を救ってくれた憑友の死という事件の原因と、奏があのライブ会場で置いていった《ガングニール》のシンフォギア…

時を経て、再び揃って現れるという巡り合わせ…

 

だが、この残酷は私にとって心地いい…!)」

 

すると、其処に響が翼の腰に抱きついた!

 

「止めて下さい!翼さん!相手は人です!人間なんですよ⁉︎」

 

「「戦場で何を馬鹿な事を!…⁉︎」」

 

そんな響の反論に、鎧の少女と翼が同時にハモりながら響の反論を否定した。

 

「寧ろ、貴方と気が合いそうね?」

 

「だったら、仲良くじゃれあうかい…!」

 

そう言うと鎧の少女から攻撃を仕掛けて来た!翼は咄嗟に響を後方へと離し、上空へと逃げ延びる…!

そして、2人のいた場所に鞭らしき物が振られて衝撃波が発生した。

それを合図に2人は熾烈なる攻防を繰り広げ、響はその余波を諸に食らった。

 

そして響は何とか立ち上がると、近くに憑友がいた。

 

「!そうだ!憑友!」

 

「言われなくても!」

 

響は憑友と一緒に2人の戦いを止めようと言おうとしたが、憑友はそれを予知していたのか、返事をするなり、2人は構えた。

響はまだまだ戦闘経験が浅い為か、自身の構え方はいまいちの体勢だった。

対して憑友は、掌を相手の方に向けて、腰を深く落とした構え方をした。

其れだけで、今の憑友からオーラのような気配を漂わせていた。

 

すると、憑友は響に「お先!」と言うなり、瞬時に鎧の少女の懐へと踏み込んでいた…!そして、

 

「ふんっ‼︎」

 

「⁉︎…がはっ⁉︎」

 

「「⁈」」

 

すかさず拳の形をするなり、見事に腹部にクリーンヒットした…!

其れにより、鎧の少女は腹を抑え込んだ。

同時に少女は悟った…

 

憑友(この男)に、今の自分は勝てないという事に。

 

ーーーーーーSIDEto鎧の少女

何だよ…こいつ…!

めちゃくちゃ強すぎじゃねぇかよ⁉︎おまけに速ぇ…!

たった一発しか受けてねぇのに…此奴の相手なんて…死んでも嫌になって来やがった!

 

ピピピッ!ピピピッ!

 

⁈こんな時に誰だよ!

仕方ない…とにかく、通信を…!

 

『遅くなった。今から援護する。先ずはそのままゆっくりしゃがめ。必死に腹を抑え込んでいる様にな』

 

っち…!そう言う事ならやるしかねぇか…!

 

ーーーーーーNO SIDE

 

鎧の少女は通信相手の言う通り、腹を必死になって抑え込みながら蹲る。

そんな中、憑友は、「大人しくその鎧を渡してくれないか?」と言いながら手を差し伸べようとした…その時だった!

 

 

グサッ!

 

「がはっ⁉︎」

 

先程、青年が放った矢となった剣が憑友の心臓部にクリーンヒットした。

それをチラリと見た鎧の少女は直ぐに鞭を使い、憑友を薙ぎ払いながら後退した。

其れを見た翼と響は辺りを見渡す。だが、何処にいるのか分からなかった…!

 

そして憑友はというと、心臓部に命中したものの、元から死んでいる身なので、平気であった。

そしてそのまま無理やり矢を引き抜く。

そして胸に手を当て、辺りを見渡した。

 

「(痛てぇ…何処から撃って来やがった⁉︎…弓矢だから、かなり近い場所に居るはず…なのに、気配が全く感じねぇ…と、そろそろか)」

 

「憑友!」

 

すると不意に翼が憑友の方へとやって来た。

其れに合わせて響も憑友のほうへとやって来た。

憑友はその2人を見て、心臓部を抑えていた手をゆっくりと退かした。

すると、そこには矢で貫かれた筈の心臓部が完全に修復されていた!

 

それを見た2人は目を見開く。

 

「ふぅ…なんとか大丈夫だな。

…積もる話もあるが、今はあの鎧を取り返す…だろ?」

 

憑友に示唆された2人は頷くや、鎧の少女の方へと向き直る。

 

「⁉︎マジかよ…なんで、傷が塞がってやがる⁉︎」

 

「さあな?なんででしょうか?it'sthinkingTime♪」

 

「なんでそこだけ英語⁈」

 

最早お馴染みとなった憑友のボケを響が見事にツッコむ。

それを見た翼は呆れ半分になりながらも、武器を構えて、少女の方へと駆け抜ける!

 

憑友が続けて行こうとした時、

 

「待て、憑友!」

 

「!師匠(せんせー)⁉︎」

 

突然、カードケースからキリトが現れて、憑友を呼び止めた。

 

「何も言わずに俺の力を使え!」

 

「いきなり過ぎですよ⁉︎」

 

キリトの意味が全く分からなかった憑友だが、有無を言わさずにそのままキリトのカードを取り出すや直ぐにアブソーバーに装填し、レバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、キリト!

黒剣、双閃、アメイジング!ー

 

キリトの魂を纏った憑友。

そうするや、急いで翼の後を追う!

すると、その時。

鎧の少女の後方にある高層ビルの屋上から何かが光った。

 

「!…うぉぉぉ!」

 

それを見た憑友は直感で感じた…翼が危ないと。

 

すると、キリトの能力を用いて、一気に加速する…!

その時に、ジェットエンジンのような音が聞こえた…!

 

そして翼と鎧の少女に割り込み、そして…

 

 

ヒュゥゥゥン‼︎

 

ジャキィンッ‼︎

 

「「⁉︎」」

 

遠くからおそらく狙撃したであろう銃弾がキリトの魂に刻まれている武器《エリシュデータ》によって、真っ二つに割れ、それぞれ地面にめり込んだ。

 

それを見た翼と鎧の少女の2人はその間合いから直ぐに後退する。

そして憑友は、狙撃してきた場所に剣を構えた。

 

「そんな高みの場所で見物とは、大層腰抜けなんだな!」

 

憑友は屋上にいるであろう相手に向けて、挑発を繰り出す。

 

すると、月夜の光に照らし出されたシルエット。

憑友たちのいる場所からでは如何しても小さく見えるが、人である事は確かであった。

すると、少しジャンプの動作をしたと思えば、その場所から消えた。

 

そして、憑友は気配を感知したのか、鎧の少女の方へと向き、剣を構えた!

 

「ようやくお出ましか?」

 

「…」

 

そこには1人の青年がいた。

 

それを見た翼と響は驚いていた。先程までいなかった筈の青年がいきなりこの場に現れたのだから。

 

そう言うと青年は腰からカードを取り出した!

 

「⁉︎それって、まさか…⁉︎」

 

憑友はそれの正体に気づくも、青年はそのカードを前から装着していた左腕のアブソーバーに装填、そして…

 

「変身」

 

レバーを引いた!

 

ーソウル!フォーム、フォーマル!ー

 

すると左腕のアブソーバーから青と水をあしらった魂が現れ、青年はそれを纏った!

 

ーお前らの魂、オレが頂く!ー

 

「せせらぐ水の裁き…"水の魂を導く師者"…

 

 

《水魂導師》ソウル。この場に馳せ参上した」

 

それは憑友達にとって、全く見た事が無い…

 

新たな《精魂導師》の存在だった…




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回は現界ブースターにて初めて現界に成功し、俺にも力を貸してくれた優しい男・ルドガーを紹介しよう」

ルドガー
カード名【審判を超えし槍 ルドガー】

属性/闇・人間・突&射&打・剣&銃&槌&槍

双剣・双銃・ハンマーそして力を解放時に使う槍と、幅広い性能を持っているオールラウンダー。
特に槍の攻撃は凄まじいの一言に限る…!

憑友「彼の実力は折り紙付きだが、まだ俺は槍の力を扱えない。
だが、必ずその力を解放してみせる!」

次回

水の魂を導く者

憑友「次回も見てくれよな!」


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第18話 水の魂を導く者

憑友達の前に現れたのは1人の青年だった…
そして、青年は《水魂導師》ソウルに変身した…!

序盤は彼…青年の視点から始まるので注意!


先程少女に通信を寄越してきた相手は現在、皆がいる場所から約1000m以上も離れた場所にいた。

 

彼は双眼鏡を見て、今の状況を確認した。

 

「…やはり凄まじいの一言に限る…今日は頼んだぞ、アーチャー。【氷の狙撃手】さん?」

 

「…善処するとしよう。無理な行動は慎みたまえ」

 

「遠距離なら任せて。それと…普通にシノン(・・・)って呼びなさいよね!」

 

「とは言っても、フィーネと大差ない声してるからどうしようも…すみません。言い過ぎましたから。

だから、拳銃を使って零距離射撃だけは勘弁して下さい」

 

青年と話していた2人はそれぞれ返答すると、カードケースの中に入り、青年はその2人のイラストのカードを取り出した。

そう言うと彼は先ず、アーチャーと呼んでいた男のイラストが描かれたカードを左腕のアブソーバーに装填、

 

「変身」

 

そして、レバーを引いた!

 

ーソウル!フォーム、アーチャー!

Unlimited Blade Works!ー

 

するとその力を纏った彼は右手を前方に突き出すや、

 

同調開始(トレース・オン)

 

そう唱えると其処から黒く塗られた弓が現れ、更に一振りの剣が現れた。

青年はその剣を持つと、

 

我が骨子は捻れ狂う(I am the bone of my sword.)…」

 

そう言い放つと、剣がみるみると捻り始め、終いには一つの矢となっていた…!

そしてそれを弓に番え、そして集中して正確に…

 

「偽りの螺旋の剣。その身を矢となりて、穿たん…

 

 

 

偽・螺旋剣(ガラドボルグⅡ)

 

放った…!

 

ーーーーーー

 

グサッ!

「がはっ⁉︎」

 

ーーーーーー

 

それを双眼鏡で確認した青年は、不敵な笑みを浮かべた。

 

「…次へと参ろうか…」

 

そう言うと今度はもう一枚のカードを取り出して、アブソーバーに装填していたカードを入れ替えて、レバーを引いた!

 

ーソウル!フォーム、シノン!ー

 

すると今度は髪が水色で迷彩色に近い色合いの服を着た女性の魂が現れ、青年はそれを纏った!

 

ー氷の狙撃手!敗北の弾丸!ー

 

「…照準準備」

 

すると青年は静かに銃を固定し、うつ伏せ状態になって、女性の愛機である狙撃銃《ウルティマラティオヘカートⅡ》のスコープに顔を覗かせた。

 

其処では、翼と自分の味方である鎧の少女が対峙していた!

そして、近くを見てみると、憑友が立っていた…!

 

「⁉︎馬鹿な⁉︎彼奴の心臓部に確かに狙った筈だ!なのになんで生きてる⁈」

「…いや、今はそれどころでは無いな」

 

そう言うと直ぐに冷静になり視線を元に戻し、狙いを定める…!

 

「"敗北を告げる弾丸の味…その身を以て味わうと良い…"」

 

そう言うと翼にロックオンしたと同時にドライブボタンを叩いた!

 

『ソウル・シノン!フルドライブ!』

「"ブレイジング・トリガー"」

 

そう言うと青年は引き金を引いた!

 

そして弾丸は見る見ると翼の方へと放たれ、そして…

 

 

ジャキィンッ!

 

斬られた(・・・・)

 

「⁉︎何⁈」

 

予想をはるかに超えた斜め上の事態に凝視する青年。

スコープから覗いてみると、射線上に憑友が黒一色のコーデで、これまた黒い片手剣で、銃弾を斬ったようなポージングをしていた!

 

「この距離からの狙撃を…斬っただと⁈」

 

青年は理解不能に陷っていると、隣から現在自分が使用している『英雄』【氷の狙撃手 シノン】が現れた。

 

「彼奴に私の弾丸は効かないわ」

 

「何⁈」

 

「彼奴と言うのは、彼が今変身している『英雄』の事よ」

 

「…知り合いなのか?」

 

「知り合い?笑わせないで。彼奴とは一応、仲間なのよ。

それに、私の弾丸を至近距離でものの見事に真っ二つに斬り落とした唯一の男なんだから…!」

 

そう言うと青年の隣にいた『英雄』・シノンはすぐに消えた。

 

「…相性は最悪と言っても良いか…?」

 

青年がそう呟きながら、スコープを覗いていると、憑友がこちらに黒の片手剣を構えていた。

 

『そんな高みの場所で見物とは、大層腰抜けなんだな!』

 

憑友はそう言い放っていた。その口の動きを見た青年は銃を背中に背負い、一息ついた。

 

「…バレたか。なら、クリスの元へ行くとしよう…」

 

そう言うと、青年は変身を解除するなり、そのビルから瞬時に消えて…

 

ーーーーーー

シュンッ!

 

直ぐにクリスの後ろへとやって来た!

 

「ようやくお出ましか?」

 

「…」

 

憑友の挑発を悉く受け流す青年。

すると青年はカードケースから一枚のカードを取り出した。

 

「⁉︎それは、まさか…⁉︎」

 

憑友が何かに気付くも既に遅く。

青年は直ぐにアブソーバー内のカードと入れ替え、そして…

 

「変身」

 

レバーを引いた!

 

ーソウル!フォーム、フォーマル!ー

 

すると其処から青のカラーリングと水のマークをあしらった魂が現れ、青年はそれを纏った!

 

ーお前らの魂、オレが頂く!ー

 

そして其処に現れたのは、水の力を宿した《精魂導師》…

 

「せせらぐ水の裁き…"水の魂を導く師者"…

 

《水魂導師》ソウル。この場に馳せ参上した」

 

《水魂導師》ソウルの参上だった…!

 

ーーーーーー

 

新たに現れた《精魂導師》の存在を凝視する憑友達。

 

すると青年は、右手から水を作り出すや、其処から弓の形へと変形させた!

 

「俺の名はロック。ロック・アイル。

お前の名はなんだ?《炎魂導師》」

 

「「「⁈」」」

 

すると突然、自己紹介をして来たので、3人は吃驚した。そして、自分の事を聞かれたので、憑友は冷静になって、自己紹介をする事にした。

 

「…人絆憑友。人と絆と書いて人絆(じんさい)

憑依の憑の字に友と書いて、憑友(つくも)

それが俺の名だ…!」

 

「憑友…良い名だ」

 

「え?…⁉︎」

 

そう言うや、なんといきなり弓矢で攻撃して来たのだ!

 

「いきなりは無いだろ⁉︎」

 

「惚けてたお前が悪い」

 

「翼さん!」

 

「⁉︎」

 

避けていると響の声が聞こえて来たので、その方向を見ると、其処では翼と鎧の少女がやり合っていた!

 

すると、少女はそんな響を見たのか、

 

「お呼びでは無いんだよ!

此奴等でも相手してな!」

 

そう言うや鎧の少女は腰に携えていた弓なりの形をした武器を響に向けて放った!

すると其処からノイズが操られて響の元に現れた!

 

「あれは…ソロモンの杖⁉︎…!」

 

「余所見を見る暇があると思ったか?」

 

それを見た憑友は助けようとしたが、ソウルの射撃によって安易に合流出来なかった!

そしてそのまま響はノイズに捕まってしまった!

 

「っち!ならば!」

 

そう言うや、憑友はカードを取り出してはアブソーバー内のカードと入れ替え、レバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、オ・レ!ー

 

すると其処から赤のカラーリングと炎をあしらった魂が現れ、憑友はそれを纏った!

 

ー英雄の魂、オレに宿れ!ー

 

そして纏った憑友は拳同士をぶつけ、其処から炎を吹き出した!

 

「その炎は灼熱のプロミネンス!

"炎の魂を導く師者"!

《炎魂導師》ライド!見参!」

 

そう言うや拳を構える憑友。

それを見た青年…ロックはすぐに弓矢の射撃攻撃を連射した!

 

それを見た憑友は拳で全て叩き落とした!

 

「…ほぅ…少しはやるようだな?

水で潔く鎮火されれば良いものを」

 

「生憎、そんな程度の水温じゃ、俺の火力ではすぐに蒸気となって消えるのがオチだぜ!」

 

そう言うと、それぞれ自分の得物を構えた!

 

炎魂導師と水魂導師。

同じ師者が戦う異例の展開が始まった…!

 

続く!




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回は遂に初邂逅した男・ロックが今回使用したカードの1人・シノンを紹介しよう」

シノン/カード名【氷の狙撃手 シノン】
属性/氷・人間・射・銃&弓

アーチャーよりも劣るが、それでも屈指の実力を誇っており、
その冷たい視線から【氷の狙撃手】と呼ばれるようになった狙撃手(スナイパー)の少女。

憑友「彼女もまた屈指の実力を誇っていても過言では無いな。
それにキリト師匠(せんせー)の事を知っていたようだけど…?」

次回

炎の魂VS水の魂

憑友「次回は変身オンパレード祭りだ!
次回も見てくれよな!」


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第19話 水魂VS炎魂

お待たせした。今回は憑友とロックのガチバトル!
ロック勢では新キャラ登場!
では、どうぞ!


そして2人はそれぞれの得物を構え、そして…動いた!

 

「はぁぁぁぁ!」

 

「ふっ!」

 

憑友が拳で攻撃する。が、ロックの弓矢の攻撃で、中々手が届かない。

対して、ロックの方も狙った場所を憑友の拳で悉く防がれていて、共にジリ貧状態へと発展する。

 

「…ならば!」

 

そう言うと、ロックはすかさず後退するや、1枚のカードを取り出した。

 

黒髪で、青い服装をしていて、手に奇妙な形をした剣と黒く塗られていた小刀を持った少年のような出で立ちの男のイラストが描かれていた。

 

「!…なら、こっちだって!」

 

それを見た憑友は咄嗟に、以前翼の攻撃を全て反射させた実力を誇る『英雄』【憤怒の罪(ドラゴン・シン) メリオダス】をケースから取り出した。

 

そしてそれぞれのアブソーバーに入れていたカードを交換し、レバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、メリオダス!ー

ーソウル!フォーム、リオン‼︎ー

 

すると、それぞれのアブソーバーから憑友の方にはメリオダスの魂と が、ロックの方にはマントを羽織った少年剣士の魂が現れ、2人はそれぞれ纏った!

 

ー七つの大罪、憤怒のドラゴン!ー

ーランド・ザ・ソーディアン!運命の闇!ー

 

すると憑友は背中に携えしメリオダスの愛剣"刃折れの剣"を取り出した。

するとロックも、腕に忍ばせていた小刀"滅鬼丸"と、鞘に収めていた剣を引き抜いた!

 

「この剣の名はシャルティエ。俺が纏っている者が最後まで使用していた剣だ。それは最早相棒とでも呼べる代物だ。お前にはあるか?そう言う愛着のある剣が…」

 

シャルティエ。ロックは確かにそう言った。

本来、『英雄』達はそれよりも少し上にあたる存在。通称【英霊】と呼ばれる者がいるのだが、彼等は自身の使っている愛着のある武器や防具などを総称して【宝具】と呼んでいるのだが、

この【宝具】は発動と同時に、その【英霊】達の本当の名前『真名』を晒すと言う欠点を持っている。

その下位の存在である『英雄』も例外ではない。

数多の戦士達の武器や防具の名を知れば、それだけ自分に不利になりかねない事へも繋がるからだ。

 

ロックはそれでも、その剣の名を言った。

余程自信があると言う事になる。

 

「…悪いな。俺は剣術(こっち)の方は護身用なんで。

拳闘術(こっち)が得物なんだよ」

 

そう言うと、憑友は拳を前へと突き出した。

 

「そうか…なら、これで決めてやろう!」

 

そう言うと、ロックはすかさず懐へと入り込んだ!

それを見た憑友は剣で防ごうとする。

 

「無駄だ。"月閃光"!」

 

そこからまるで月を描くかのような動きに憑友の体勢が崩れた!

 

「なっ⁉︎(なんだ、今の攻撃⁉︎一振りなのに、まるで連続で斬られているかのような感覚は⁉︎)」

 

「"月閃虚崩"!」

 

「⁉︎」

 

更に其処から今度はその動きにプラスした動きについに憑友が所持していた剣が弾かれた!

 

すると其処から瞬時にロックの姿が消えた…と同時に後ろから斬撃を食らわされた憑友。

 

「終いだ…"崩龍斬光剣"!」

 

「ぐはっ⁉︎」

 

それと同時に空へとぶっ放されるや、其処から無数の連撃に襲われた。しかし、負けじと憑友も力を振り絞った!

 

「なんの…!

"全反撃(フルカウンター)"‼︎」

 

「何っ⁉︎ぐわぁ!」

 

相手の攻撃をそのまま跳ね返す技"全反撃(フルカウンター)"がロックに炸裂した。

それにより、ロックは吹き飛ぶが、なんとか体勢を立て直した。

 

「…少しはやる様だな?だが、これはどう避ける!」

 

そう言うとロックは左腕のアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『ソウル・リオン!フルドライブ!』

 

そう言うとロックが持っていた2つの剣から紫色の炎が噴き出した!

 

それを見た憑友は咄嗟に剣を構える。

すると、隣にメリオダスが現れた!

 

「俺のもう1つの力を使うのを許す。それで止めろ!」

 

「!はい!行くぜ!」

 

そう言うと憑友はライドアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・メリオダス!フルドライブ!』

 

「はぁぁぁぁあ!」

 

そう言うと憑友が所持している剣から黒い炎が現れた!

 

「良い気になるな!"塵も残さん!"奥義!」

 

それを見たロックはすかさず懐に入り、そして…

 

「"浄破滅燃闇"!」

「"大獄炎(デッドリー・ヘルブレイズ)"!」

 

互いの技が炸裂し、周りの草木が燃やされるかの様な灼熱の地獄絵図の様な光景が出来上がっていた。

 

そしてそんな中で、憑友とロックは互いに距離を離した。

 

「…やっぱ、すげぇな。あんたは」

 

「…なら、次だ」

 

「おう!」

 

そう言うとお互い、カードを取り出し、また新たなカードと交換し、レバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、ナノハ!ー

ーソウル!フォーム、フェイト!ー

 

すると其処から憑友側は白の衣装を纏った女性の魂が、

ロックからは黄色のストレートで、黒の衣装を身に纏った女性の魂が現れ、2人はそれぞれ纏った!

 

ー全力全開!エース・オブ・エース!ー

ー疾風迅雷!雷光一閃!ー

 

そして憑友は白を基調とした服装で、髪の色がクリムゾンから、茶色に変わり、女性のスカート部分は代わりに青が基調となったズボンと腰にフォールドマントを羽織らせた。

対してロックは黒を基調とした動きやすい服装に変わり、髪の色が黄色に変わり、そして黒のマントを羽織った!

 

すると、憑友の方ではそのモデルになった『英雄』・なのはが幽霊状態で現れるや、

 

「如何しても戦わないといけないんだね…()()()()ちゃん」

 

「え?」

 

そう言ってきたので、誰のことなのか聞こうとしたら、ロックの傍から今度は黄色の髪が特徴の女性がその髪をたなびかせて現れた。

 

「ごめんね…()()()。本当はなのはとは私だって戦いたくない。けど…」

 

「ううん。こればかりはしょうがないよ。それに、今は其々の立場があるから。でも、今度会ったら、また仲直りしようね♪」

 

「なのは…うん♪」

 

そう言うとお互いの魂は元に戻った。

 

「…拒絶しそうになったが、なんとかなったか…」

 

ロックがそう呟いていたが、憑友はそれを聞くことは無かった。

 

「さぁ、行くぞ!」

 

そう言うとロックは所持していた武器であり、先程の女性・フェイトの愛機(デバイス)・バルディッシュを構えた。

それを見た憑友もなのはの愛機(デバイス)・レイジングハートを構えた!

 

そして、

 

「"ハーケンセイバー"!」

「"マルチシューター"シュート!」

 

「"プラズマランサー"!」

「"アクセルシューター"シュート‼︎」

 

互いに魔法を用いた戦闘が開始された。

 

憑友が変身した『英雄・なのは』は、ありとあらゆる場所に蔓延る魔力の素・マナを自分の場所へと寄せ集める希少能力・『魔力収束』を持っている。その為、持久戦になれば、それだけ有利になる。

 

一方、ロックが変身した『英雄・フェイト』は、魔力をそのまま『雷』の属性へと直に変換する事が出来る希少能力・『魔力変換素質・電気』を持ち合わせている。その為なのか、その分だけ速く移動する事が出来るスピードアタッカータイプ。

 

互いの事を分かっているのか、2人の戦いは中々均衡を崩す事が無かった。

 

「…なら、これで終わりだ!」

 

「ふっ…来い!」

 

すると2人は共にアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・ナノハ!フルドライブ!』

『ソウル・フェイト!フルドライブ!』

 

そう言うと2人は互いの得物をそれぞれ構えた。

 

憑友は杖の先端を矛先のように形作り、

ロックは斧の形からビーム状になった大剣を構えた!

 

「"全力全開"‼︎」

「"雷光一閃"‼︎」

 

「"スターライト"…"ブレイカー"ーー‼︎」

「"ジェット"…"ザンバー"ーー‼︎」

 

そして其処から憑友は前方に魔法陣が現れて、それを矛先で突き、

対してロックはその大剣を振りかざした!

すると魔法陣から大魔力のビームが、

大剣から特大の斬撃の衝撃波がぶつかった!

 

ドガァァンッ‼︎‼︎‼︎

 

それにより、爆煙が発生する。

そして煙が晴れ、其処にいた2人。しかし、まだまだ余力があった…!

 

「なら次だ!」

 

そう言うと憑友は今度はルドガーのカードを取り出し、そしてアブソーバー内のカードを交換、そしてレバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、ルドガー!

銃剣槌士!審判の槍!ー

 

そして憑友はルドガーの魂を纏った。

すると、ロックも憑友と同様にカードを取り出した。其処に描かれていたのは、

茶髪て眼鏡を掛けており、そして白衣らしきものを羽織った男が双剣を逆手に持って、特攻している場面のイラストだった…!

 

そうしていると、ロックはアブソーバーの中に入れてあったカードをそのカードと交換し、レバーを引いた!

 

ーソウル!フォーム、ユリウス!ー

 

すると先程のイラストの通りの好青年の男の魂が現れた。

それを見て、

 

「まさか⁉︎」

 

「?如何したんだ?ルドガー?」

 

ルドガーがその魂を見て、驚愕していた。

それを見た憑友は首を傾げていると、ロックはその魂を纏った!

 

ー兄の覚悟は、弟想い!ー

 

すると、ロックの横から茶髪で眼鏡、そして白衣のような羽織っている男が現れた。

 

すると男はルドガーの方を見て、話をし始める。

 

「随分と、成長したようだな?ルドガー」

 

「…兄さん」

 

「はい⁉︎」

 

なんとルドガーの兄と言う衝撃の言葉に、憑友は何処から声を出したのか、気になるような声音を発した。

 

「…お前が言っていた弟なのか?」

 

「ああ」

 

ロックは逆に冷静になり、ユリウスに質問すると、ユリウスは首を縦に振りながら、そう答えた。

 

「だが、今は…お前が何処まで成長したのか、見せてくれ!」

 

「兄さん…ああ!」

 

そう言うとルドガーとその兄であるユリウスはその場から消えた。

 

するとその2人を纏っている2人は同じ双剣を逆手に持って、攻撃を仕掛けた!

 

「"蒼破刃"!」

 

「"魔神剣"!」

 

先ず手始めに牽制をすると、其処から一気に間合いを縮めると、互いの剣技がぶつかりあった!

 

「"鳴時雨"!」

 

「"アサルトダンス"!」

 

「"轟臥衝"!」

 

「"雷封刃"!」

 

「「"双針乱舞"!」」

 

どちらも互いの技を見切っているかの様に、悉く防いだ!

 

「中々だ…なら、これで終わりだ!」

 

そう言うとロックはアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『ソウル・ユリウス!フルドライブ!』

 

そう言うと、ロックは逆手に持った剣を広げて構えた!

 

「"その覚悟、試させてもらうぞ"!」

 

そう言うとすかさず回転しながら切り刻まれた!

あまりにも咄嗟な状態に、憑友はそのまま受けてしまう…そして、

 

「"祓砕斬(ばっさいざん)十臥(じゅうが)"‼︎

 

 

こんなものか…」

 

最後に十文字の斬撃が炸裂した。

 

それを食らった憑友だが、すかさずドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・ルドガー!フルドライブ!』

 

「んな訳無いだろうが!そらよぉ!」

 

そう言うとすかさず腰に付いていた2丁拳銃を上空へと投げるや、其処からハンマーで一撃を加える!

 

「槌で叩かれ、

剣で切り裂かれ…」

 

更に其処から双剣を一閃、おまけに回帰時に一閃。

そして上空へと投げた2丁拳銃をとるや、其処から乱射した!

 

「銃で撃ちぬかれろ!

"祓砕斬(ばっさいざん)零水(あやみ)"‼︎」

 

「ぬぉっ⁉︎」

 

その攻撃を食らったロック。

そして、其処から倒れた。

 

「はぁ…はぁ…やったのか?…」

 

それを見た憑友…だが、よく見てみると…

 

『残念』と書かれた案山子が置いてあった!

 

「忍者かよ⁉︎…?て事は…⁉︎」

 

「遅い!」

 

何かを感知した憑友は咄嗟に後ろに振り返った。すると其処には新たな姿へと変わったロックが小刀で、襲いかかろうとしたので、咄嗟にアブソーバーを盾にして防いだ!

 

「くっ…!大丈夫か、ライドさん!」

 

『ああ。私は大丈夫だ!しかし、奴は一体いつの間に変身をしたのだ⁉︎』

 

そう言うと憑友は再び構えた。

そしてロックも再び構えた。その時だった。

 

『Gatrandis babel ziggurat edenal…』

 

「?翼さんの声?」

 

『この歌。前にも何処かで…』

 

「⁉︎ひとまずここは保留にさせて貰おう…」

 

そう言うとロックは瞬時に消えてしまった!

それを見た憑友は「あ、待ちやがれ⁉︎」と言いながら急いで、翼と響のいる場所へと走って行った。




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回はこの話にて、ロックが変身した二刀流使いの1人・リオンについて紹介しよう」

リオン/カード名【運命を冠する裏切り者 リオン】
属性/闇&地・人間・斬&突&魔・剣

本来なら『英雄』とは呼ばれる様な事はしていないのだが、それでも、最後の最後の活躍が認められて『英雄』になった異色の経歴の持ち主。

憑友「彼自身が元々持っている〔闇〕の属性と、剣に宿っている魂が持つ〔地〕の属性。2つの属性を巧みに扱える事が出来る双属性の持ち主。
剣と短剣を使用した二刀流の斬撃はまるで舞を舞っているかの様に看取られる…!」

次回

絶唱

憑友「次回も見てくれよな!」


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第20話 絶唱

やっと第4話前半だよ〜!

だけど、最後はちょっと弄ってやったぜ!

憑友「基本的には駄目だからな?」

分かっていま…ッて⁉︎なんで此処にいる訳⁈

憑友「こんな阿呆作者ですが、俺から一言。
感想待ってるぜ!
この人、感想ないと捗るタイプじゃないんで」

余計な事を言うな〜⁉︎

憑友「それでは、どうぞ♪」

前振りは俺の担当〜⁉︎


憑友とロックが戦闘を開始していた頃、

翼と響は鎧の少女を相手にしていた。

だが、鎧の少女は腰に携えていた弓なり状の杖ー名称《完全聖遺物》ソロモンの杖ーを使う。すると、響の所にノイズが操られて現れたのだ!

それを見た響は逃げる事にした。今の自分では、あまり戦う力が無いから。

しかし、ノイズ達が特殊な粘液を吐いた。

それに触れた響は身動きが取れなくなってしまった!

 

それを見た鎧の少女はさっさと撤退しようとするも、

 

「その子に構って、私を忘れたか‼︎」

 

翼が剣でそれを妨害し、更に足による追撃をするも鎧の少女はそれを腕のみで防ぐや、怒りとも呼べる様な声音を発すると、そのまま翼の足をガッシリと掴むや、其処から投げ、更に翼の頭を踏ん付けた!

 

「のぼせあがるなよ、人気者!

誰も彼もが構ってくれる等と思うんじゃねぇ!」

 

「くっ!」

 

すると鎧の少女は自分が何故此処に来たのかを話し始めた。

 

「この場の主役と勘違いしているなら教えてやる…

狙いは端から此奴と、あの格闘馬鹿を掻っ攫う事だ!」

 

と言いながら、鎧の少女は響と、向こう側にいた憑友の2人に指を指した。

それを聞いた響は自分と憑友が狙われているとは思いもしなかったのか、驚きの表情を見せた。

 

「鎧も、仲間も、あんたにはすぎてんじゃねぇのか?」

 

鎧の少女はそう言い放つ。

 

「繰り返すものかと…私は誓った…!」

 

そう言うと翼は剣を上空に掲げた。すると、その剣の先にある空から大量の剣が降り注いできた!

 

ー千ノ落涙ー

 

それを見た少女はすかさず跳び退き、翼も技を発動した後に身体を動かし、その場から回避した。そして同時に2人は響の元から離れるや、そこから爆発が何回も起こった!

 

それを見ていた響。すると、ノイズが瞬時に炭となって消えたので、何が起こったのか見ると、

 

「大丈夫か⁉︎」

 

「霊風さん!」

 

そこには2つの槍を持った赤い衣を纏い、赤いハチマキを巻いた霊風がそこにいた。

 

「悪りぃ、此処へ来る際に別のノイズ達を相手に対峙していたんだ。それよりも…《ネフシュタンの鎧》とはな。厄介な事この上無いな」

 

霊風は先程の鎧の少女が身に纏っていた鎧を見て、頭を掻き毟りながらそう語るので、響はどう言う事なのかと聞いてきた。

 

「《ネフシュタンの鎧》

あれは、《完全聖遺物》と呼ばれている代物だ」

 

「完全…聖遺物…⁉︎」

 

「如何やら、風鳴のおやっさん達から話を聞いていたようだな?

その通りだ。《完全聖遺物》は数多の聖遺物よりも太古の昔にあったにも関わらず、一度起動すれば以降は100%の力を発揮し、適合の資格の無い者達にも扱える可能性がある代物だ。

但し、それはあくまでそれを扱う者が〔善者〕の場合だ。

〔悪人〕が使えば、それだけで世界を支配する事も不可能では無い実力を誇っている。

そんな完全聖遺物を、あの少女が身に纏っているという事か。なんともいけ好かねえ気分だ」

 

それを話した霊風は苦虫を噛むかのように表情を歪ませていた。

 

「…ところで、憑友は何処に?」

 

「え?…あ。さっき、あっちの方へ…」

 

それでもやはり、冷静に戻ると、憑友の事を聞くと、響が指を指した方向を見ると、そこには紫の炎と黒い炎が草木を燃やしいて、その中で憑友ともう1人の存在・ロックが激しい攻防を見せていた。

 

すると近くから強烈な光が襲いかかって来たので、そちらを見渡すと、

 

「!翼さん!」

 

「うっ!ぐはっ!」

 

鎧の少女と戦っていた翼が鎧の少女が放った中心が黒い雷を発している白い光球ーNIRVANA GEDONーを食らって、地面に伏していた。

 

「!翼!」

 

「⁉︎ちっ!こんな時、新手か⁉︎」

 

すると少女は腰に携えていたソロモンの杖を取り出すや、ビームを放つ!

するとその場所から数多のノイズが大量発生した!

 

「⁉︎ちっ!邪魔するなぁぁぁぁぁ!

甲斐の若虎の実力、思い知れーーーー!」

 

そう言うと霊風は2つの槍を前方に構えると、そこから連続で突き始めた!

そう、彼が今その身に纏っているのは、

戦国武将の1人にして、この現世に史実とはまた違う異なった戦国時代に生き抜いた武将であり、

憑友の所にいる武将・【奥州筆頭 伊達政宗】の永遠の好敵手…

 

【天覇絶槍 真田幸村】の魂を宿していた!

 

すると常人では到底不可能な速さで槍を動かした!

 

「"烈火"!」

 

そしてそこから間を開けると、今度は更にスピードを上げた!

 

「"大烈火"ーーーー!」

 

そして最後に大きく踏み込み突きするや、2つの槍を繋げるや、そこから足の脚力でまるで独楽のように回り始めた!

 

「"紅蓮脚"!そして…"大紅蓮脚"ーーーー!」

 

するとまたしてもスピードを上げて、ノイズを一掃し始めた!

 

すると今度は腰に装備してあるカードを取り出し、アブソーバーに装填されていた幸村のカードを取り出すや、すかさずそのカードを入れ、レバーを引いた!

 

ースピリット!フォーム…キョウコ!ー

 

そう言うとアブソーバーから赤い髪をポニーテールで結った、ワインレッドの服装をし、槍を持った女の子の魂が現れ、霊風はそれを纏った!

 

(つるぎ)に答えし、多節な槍!ー

 

すると霊風の髪がポニーテールに纏められ、手には一振りの槍へと持ち変えていた。すると遠くのノイズを狙って槍を薙ぎ払うと、持ち手の所がパカッと割れるやその隙間からチェーンが見え、そしてそれが徐々に長くなり、終いには遠くにいたノイズ達までも薙ぎ払いの範囲に入り、一掃された!

変身のモデルである杏子の得物・《多節棍槍》を使った芸当とも呼べる豪快なやり方だった!

 

「次だ!」

 

そう言うと今度はまた違うカードを取り出し、そしてカードを入れ替えレバーを引いた!

 

ースピリット!フォーム、レヴィアタン!ー

 

すると今度は青い髪をストレートにして、その頭には竜の翼を模したアクセサリーのようなものを身につけている少女の魂が現れ、霊風はそれを纏った!

 

ー絶対防衛!水竜姫!ー

 

すると霊風の髪がポニーテールからストレートになり、腰辺りから翼が生えてきた!

 

「えぇ⁉︎」

 

「ふっ!」

 

それを見た響は驚いていると、今度はなんと上空へと飛翔し、辺りを見渡す。

 

「…!彼処からなら!」

 

そう言うと、先程とはまた違い、杏子の時に使用していた多節棍槍から三叉槍に持ち替えていた。

すると今度はその槍をとある場所に向けた。

しかし、向けた場所にはノイズがいなかった。

 

それを見た響は首を傾げるが…次の瞬間、目を見開いた。

 

何せ、槍の矛先から水が大量にこちらの方へとやって来たのだ!

そしてその水は霊風の上空に集まって、水の塊を作り上げた!

 

「一気に決める!」

 

そう言うと、アブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『スピリット・レヴィアタン!フルドライブ!』

 

「食らえ!"ハイドロ・カッター・レイン"‼︎」

 

するとその水の塊から水の斬撃刃が形成し、それを雨のように降らした!

 

それによりノイズが一掃されたのであった!

 

ーーーーーー

さて、場面を少し巻き戻すとしよう。

憑友がロックと、霊風は響を守りながらノイズを鎧の少女が呼び寄せたノイズを相手に闘っている時、

 

「彼奴…中々やるなぁ〜?

それに比べて…あんたはまるで出来損ないだな!」

 

そう言いながら、翼を見ていた鎧の少女。

 

「確かに…私は出来損ないだ…」

 

「ぁ?」

 

「この身を一振りの剣として鍛えて来た筈なのに…

あの日、無様に生き残ってしまった…

出来損ないの剣として、恥を晒し続けてきた…!

だが、それも今日までの事…!

奪われた《ネフシュタンの鎧》を取り戻す事で…

この身の汚名を削がせて貰う!」

 

そう言いながら、剣を杖のようにして立ち上がる翼。

 

「そうかい。なら、脱がせるものなら脱がせて…何?」

 

そう言うと鎧の少女が動こうとしたが、何故か身体が動かなかった!

何故だと少女は思っていると、ふと足元の影を見た。

そこには翼が先に投擲した小刀が影を刺し、地面に刺されていた!

 

ー影縫いー

 

「⁉︎これは…!」

 

それを見た鎧の少女は一瞬だが、何かを思い出す。

すると、翼は月を見ていた。そして、今の現状を見て、少女はまさかの展開が頭によぎる。

 

「お前…まさか…」

 

そう言おうとしたら、翼は月を見ながらこう言った…

 

「月が覗いている内に…決着を着けましょう…」

 

そう言いながら、翼は覚悟を持った目付きで少女を見た。

それを聞いた少女は、その身を青ざめさせた。

 

「歌うのか…《絶唱》を…⁉︎」

 

「翼!」「翼さん!」

 

少女の言った言葉に霊風と響が翼の名を叫ぶ。

すると翼は響に顔を向けた!

 

「防人の生き様…覚悟を見せてあげる!」

 

そう言うと剣を響の方へと向けて話し続ける。

 

「貴方の胸に…焼き付けなさい!」

 

「やめろ!翼!」

 

すると今度は霊風が翼を止めようと必死になっていた。

だが、

 

「御免なさい、霊風さん。

奏の事…お願いします…」

 

「おい…ふざけんじゃねぇ…ぶざけんな〜‼︎

お前がいて、奏がいるから俺がいるんだ!

お前がいなくなれば、俺もそうだが、何よりも奏が悲しむだけじゃねぇかよ!

これ以上、彼奴に負の感情を与えるんじゃねぇ‼︎」

 

それでも必死になって、翼の行為を止めさせようと奮闘する霊風だが、翼はそれでも少女の方へと向き直りそして…

歌い始めた…『絶唱』を。

 

『Gatrandis babel ziggurat edenal…』

 

ーーーーーー

 

その翼の声を聞き、遠くにいた憑友とロックは耳を澄ましていた。

 

「?翼さんの声?」

 

『この歌…前に何処かで…』

 

「⁉︎ひとまずここは保留にさせて貰おう…」

 

そう言うとロックは瞬時に消えてしまった!

それを見た憑友は「あ、待ちやがれ⁉︎」と言いながら急いで、翼と響のいる場所へと走って行った。

 

ーーーーーー

『Emustolronzen fine el baral zizzl…』

 

「やめろ!翼ーーーー!」

 

絶唱を歌い続ける翼。それを必死になって止めさせようと示唆する霊風。だが、それでも翼は歌い続けた。

 

『Gatrandis babel ziggurat edenal…』

 

そして徐々に少女の方へと近づく翼を見て、少女は影縫いに縫られた身体を無理やり動かし、ソロモンの杖を使って、ノイズ達を盾にしようとしたが、外してしまい、それと同時にもう直ぐ目の前まで来ていた…!

そして肩を持たれ、最後の詠唱を…

 

『Emustolronzen』

 

シュンッ!

 

『fine el zi…』⁉︎」

 

言い切れなかった。

 

何が起こったのか分からない皆、すると其処から声が聞こえた。

 

「…無駄な血は流したくはないのだがな?」

 

その声を聞いた皆はその方を向く。

そこには黒塗りの弓を持った赤い外套を羽織った青年・ロックがいた。

 

「そんな…」

 

響は絶望した。彼と戦っていた憑友がいないからだ。

するとそれを察したのか、ロックは話し始める。

 

「そこのアマ。まだ奴は生きている。現に…!」

 

「はぁぁぁ!」

 

言い切ろうとすると其処から憑友が拳を構えて殴り掛かった。

それを気配で察知したロックはすかさず上空に回避し、鎧の少女の方まで跳んで行った!

 

そして着地するなり、また話を続けた。

 

「このように、まだ俺の事をしつこく狙ってきているしな?」

 

「お前!翼さんに何をした!」

 

そう言うと憑友は拳を構えて警戒態勢に入った。

 

「⁉︎(こ、声が…出ない⁉︎…!身体は⁈…!動けない⁉︎)」

 

一方、翼は何が起こったのか分からず状態だった。

しかもおまけに、身体が言う事を効かない。

声が出ないと言った状態に陥ってしまっていた!

 

すると何が言いたいのかが分かったのか、ロックは翼に対してこう告げた。

 

「?…ああ。案ずるな防人嬢。

貴殿は"影縫い"という技を御存知か?」

 

「‼︎」

 

影縫い。それは忍びの技。

 

忍びのいた時代では、それが大きな戦力としても捉えきれていた。

翼も忍びの家系として生まれてきた緒川から教わって会得した技だった。

だが、彼も扱えるという事に目を見開く。

 

「俺のはそれの発展系でな。

狙った部位に該当する影の所を狙う事で、その部位の内部及び外部の器官を封じる効果が付与されている。

この場合は、喉や口を狙ったから、発声器官が封じられたのだろう。

名付けるなら…

 

"影縫い・発声殺し"とでも名付けようか」

 

「⁉︎」

 

「案ずるな、影に刺さっている矢をどかせば影縫いと同様に自由になる。なので、この場は退かせて貰う…ではな?

人絆憑友…貴殿との勝負を持ち越すのを許し給え…」

 

「⁉︎ちょっ⁉︎おま「撤退だ。指図は受けんぞ」…くそっ!」

 

そう言うと少女に刺してあった小刀を抜き、そのまま空へと消え去ってしまった…

 

追撃しようと思ったが、憑友はその拳を構えるのを止め、そして翼の影に刺さっている矢を退かせた。

 

「!はぁ…はぁ…はぁ…」

 

それにより、声もちゃんと出ていて、尚且つ身体が動く事が出来るようになった翼。

だが、

 

「⁉︎ゲホッ!ゴホッ⁉︎」

 

「翼さぁぁぁぁん!」

 

『絶唱』を最後の最後で妨害されてはいたものの、それでもやはりほぼ全て歌っていた為か、口や鼻から大量の血を吐き出した。

 

そしてそれと同時に、現場に弦十郎が現れ、憑友達は急いでリディアンの近くに設立してある病院へと急いで搬送した…

 

そしてその場所に1つの石板があったという事をこの時の彼等は知らなかった…




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回は、前回ロックが使用していたもう1人の双剣士・ユリウスについて紹介しよう」

ユリウス/カード名【クラウンエージェント ユリウス】
属性/無・人間・斬・剣

双剣を逆手に持って戦うスタイルの持ち主。
実はルドガーの義理の兄さんで、大のトマト好き。
特にルドガーのトマト料理には目がない…

憑友「内容はコミカルだけど、けど剣の腕は確かで、その腕前はルドガーよりも勝る程…!」

次回

帰省

憑友「次回は俺…実家に帰る⁈
意味が分からないままだが、兎に角次回も見てくれよな!
あと、感想よろしく!」


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第21話 帰省

遅くなって済まぬ。
今回は憑友、家に帰るの段!

憑友「忍○まのサブタイトル風に喋るな‼︎」

いつの間に⁉︎

憑友「泥棒入られても知らねぇぞ?
と言う事で、スタートだ。
あ、因みにキャラ設定の方も見てくれよな!」


あの後、病院に搬送された翼は医師達の手術を受ける事になった。

その時、弦十郎が頭を下げていた。

 

その後、弦十郎は近くにいた黒服の男達に憑友達が戦った2人の存在と《ネフシュタンの鎧》の捜索を言い渡し、弦十郎はまた地下深くの二課の方へと戻っていった。

 

現在、待合室には憑友と霊風の《精魂導師》の2人とこの中で唯一の《シンフォギア》の装者である響、そして翼のマネージャーである緒川の4人だけだった。

ライドやスピリットはメカ故に、翼の手術のサポートを任されたので、現在は端末内にはおらず、手術室の電子機器内に入り込み、手術の手伝いをしている。

 

すると弦十郎と入れ違いなのか、奏が憑友達の前に現れた。

 

「翼は⁉︎」

 

「…すみません。俺がいながら…!」

 

「落ち着け。一応、命の危険性は低いと医師は言っていた。

だが、それでも崖っ淵に立たされているのは確かだ…」

 

「…そっか…」

 

翼の安否を気にしていた奏だが、憑友は自分の不甲斐なさに申し訳が無いと思っていた。

対して霊風は今の翼の容態を言うと、奏は逆に安心しきっていた。

 

すると、そんな憑友達の方から足音が聞こえた。

その独特の足音に何処かで聞いた様な気がしてきた憑友と響。

そしてそれは現実と化す。

 

「♪〜♪〜…?…あら!憑友〜!」

 

「!か、母さん⁈」

「憑友君のお母さん⁈」

 

「「はぁぁ⁉︎」」

 

なんと憑友の母・ジャンヌがやって来たのだ!

久しぶりの我が子を見てその場で抱きつくジャンヌ。

 

「久しぶり〜♪元気にしてた〜?」

 

「ちょっ⁉︎く、苦しい…(色んな意味で死にそう…あ、いや俺もう半分くらい死んでるんだった…)」

 

そのあまりにもデカイ胸に押し付けられて、窒息死になりそうな憑友だったが、自分は半分死んでいたと思い返していた。

 

そんな2人の関係を見て、霊風と奏は目をパチクリしながら呆然としていて、

響と緒川の2人は苦笑いをしていた。

 

すると、ジャンヌは「はっ⁉︎忘れてた!」と言うなり、手術室の方へと赴いていた!

それを見た奏と霊風は止めようとするも、

 

「大丈夫♪こう見えて、お医者さんなのよ♪」

 

と言うなり、手術室の方へと入っていった。

それを見た憑友は、

 

「あ、これ確実に生き返るな…」

 

と100%自信を持っていた。

そしてジャンヌが入室して僅か5分以内に、手術中のランプが消え、

現れたのは担当の医師とジャンヌが現れた。

 

「本日はお忙しい中、態々来てくれてありがとうございました」

 

「いいえ〜♪寧ろ、大事な息子の友達なら、尚の事救いたいと思っていたので♪」

 

そう言うと2人は握手し、そして担当の医師は再び手術室の方へと入っていった。

それを見た憑友達はジャンヌの方へ駆けだし、そしてジャンヌの口から、

 

「私にかかれば、こんなのは朝飯前よ♪」

 

その言葉を聞いた憑友と響はホッと一安心していた。

 

するとジャンヌは再び憑友に抱きついた!

 

「がはっ⁉︎く、苦しい…⁉︎」

 

「えへへ〜♪久しぶりの我が子との再会なんだから〜♪

少しは我慢しなさいよね〜♪」

 

「な、尚の事キツい〜⁉︎」

 

それを見ていた奏と霊風はまた呆然としていた。

 

するとジャンヌは憑友を抱きついたまま、今度は響の方に視線を向けた。

 

「響ちゃんも久しぶりだね♪」

 

「は、はひぃ!ご、ごぶしゃたしていましゅ⁉︎」

 

響はちょっといやそれどころか、カミまくりだった。

そんな響を見た2人はこれまた呆然としていた。

そんな2人を見て緒川は相変わらず苦笑し続けていた。

 

「えっと…貴方達が天羽奏ちゃんと、精妖霊風君ね?

私はジャンヌ。憑友の母親で〜す♪」

 

「「・・・・・・はい⁉︎」」

 

まさかのカミングアウトに2人は息ぴったりに驚いていた。

見た目は如何あっても20歳のこの女性が憑友の母親だと言う事に違和感ありありだったのだから。

すると、ジャンヌの視界の下から手が出てきたので、その先を見ると…

 

「く…苦しい…ギブ…!」

 

「あ」

 

憑友がジャンヌの胸に押さえつけられたままだったと言う事を今更ながら思い出した。

それに伴い、開放するなり、憑友はぜはぁぜはぁと息を荒くしていた。

 

「ごめんね〜♪」

 

「だったら、そんな事するなよ⁉︎アラフォーのくs(ゴツンッ!)あ痛っ⁉︎」

 

憑友が反論すると問答無用にジャンヌから鉄拳制裁をくらった。

それを見た皆は『(禁句だな…絶対に…)』と全員の心が一致していた。

 

「うわぁ〜ん!憑友が見ない内に反抗期迎えてる〜!

お母さん寂しいよ〜!うぇ〜んうぇ〜ん!」(つД`)ノ

 

「息子に対して拳骨しておいて嘘泣きするなよ…」

 

「…(ちっ)

 

「今、『ちっ』って舌打ちしてたよな⁉︎」

 

その場は一瞬で混沌と化した。

これには流石の4人も呆然としていた。

すると、ジャンヌは話を変えてきた。

 

「あ、そうだ!憑友!リディアンに通ってるのよね!」

 

「あ?…うん。まぁ通ってるのは確かだけど…」

 

「未来ちゃんともう会った?」

 

「いや、会ったと言うよりも、俺、今は響と未来の寮部屋でルームシェアしてるんだけど?と言うより、なんでそんな事母さんが知ってる訳⁈」

 

「あら♪そうなの!良いわね〜♪両手に花なんて♪そう言う三角関係も有りよね〜♪」ジー…

 

「はあ⁉︎と言うよりも話を逸らすな!」

 

「⁉︎/////」

 

ジャンヌの爆弾発言に、

憑友は病院なのに思わず叫んでしまい、

響は顔を俯き耳まで顔を真っ赤にしていた。

憑友は余程鈍感と見た。

そんな響を見た奏と霊風はなんとなくその気持ちを察していた。

そう言うと憑友はさっさと話を変えてきた。話を自ら逸らすなと言っておきながら。

 

「…それで、本題は何?こんな事の為に来たんじゃないだろ?」

 

「あら?バレちゃった?」

 

「翼さんの事は恐らくもののついでだろ?」

 

「翼ちゃん…さっき手術を受けた女の子ね。

あの子の場合は、ただ単に救ってやりたいと思っただけよ?」

 

「へ?…あ、そう…」

 

「私はお医者よ?それも格が違う名医師なのよ?

人の命、ましてやまだ若い青春真っ盛りな女の子を見す見す見殺すような女に育った憶えは更々ございませ〜ん♪

さて、話が逸れちゃったから、本題の方はざっくりといきま〜す!

憑友!今度の週末…

 

響ちゃんと未来ちゃんを連れて…

 

家に帰省しなさい!」

 

「・・・・・・・・・・・・・はい⁉︎」

 

またしてもジャンヌの爆弾発言に憑友はまた大声で叫んでしまい、その際に医師達に怒鳴られてしまった。

 

「因みに拒否権は無いので、よろしく〜♪」

 

「…一言言わせろ…

 

 

 

 

不幸だぁぁぁぁ⁉︎」

 

 

ーーー数日後(と言う事で)

 

ーーーーーーSIDEto憑友

 

はぁ〜。なんでこうなるんだよ…全く。

あれから俺は翼さんのお見舞いに行った。

今の所は大丈夫そうで、後は奏さんや霊風さんに任せて来たのだが、

 

「へぇ〜、その時にジャンヌさんに会ったんだ?」

 

「そ、そうなの!その時に言われたんだ〜」

 

「呑気に話している場合か、お前らは…?」

 

今、俺は未来と響と一緒にモノレールに乗っては、俺の実家がある「自然都会」の方へと向かっていた。

その時、俺はふいに窓の外を見た。

そこには「自然都会」に向かって飛んでいく小さな虫達の群れが見えていて、その都会から大量の鳥が一斉に飛び交っていた。

 

「?なんだあれ?」

 

「如何かしたの?」

 

「…いや、何でもないや」

 

取り敢えずそう言うと俺達はモノレールを下車し、目的地である「自然都会駅」に到着した。

 

此処は他の区域とは違い、

 

①車などの自動車やエンジン搭載車は運転による敷地内への侵入禁止。

(但し、自転車や徒歩、電動工具や家庭用品はその限りでは無い)

 

②野生の動物達もいる為、狩猟や捕獲・密輸の禁止。

 

この2つを守って生活さえしてくれれば、後は何も文句は言われない場所である。

因みにこの駅はギリギリ敷地外なので、その効果範囲外である。

 

そう言うと俺達は徒歩で自宅の方へと歩いて行った。

だが、異様な光景を見た。

 

それは…虫の数だった。

 

「自然都会」でも、これ程の数の虫を見た事が無かった。

しかも、よく見てみれば、見た事無い虫がいっぱいいた。

 

「凄〜…(パチッ!)痛っ⁉︎」

 

「大丈夫⁈」

 

とか言っていたら、響が早速その虫に触れると、虫に触れた方の手に痛みが来たのか、響はびっくりしながらそう言い、未来はそんな響の手を心配しながら、絆創膏を貼っていた。

 

だけど、今のは静電気か?いや、でも彼処まで怪我はしない筈なんだが……んじゃ何なんだ?

 

そんな事を考えつつ、歩いていたら、あっと言う間に自宅が目と鼻の先に見えた。

それを見た響はまっすぐ走りだしたので、未来と俺も急いで後を追った。

その時だった…

 

「グルルルルルル…」

 

「「「⁉︎」」」

 

 

まるで何かに飢えているかのような鋭い視線に俺達はすぐに身を寄せて、固める。

そしてそいつは現れた。

 

碧の色合いをし、所々に白い毛が生えたまるで竜の鱗を纏った狼に。

 

その姿に、俺は響と未来を背中の方にやり、拳を構えた。すると、

 

「わぁ〜い♪」

 

「へ?」

 

なんとその狼の上に黒髪ストレートの小さな女の子がその狼の上で眺めていやがるときた!

危ない!と、そう言おうとしたら、カードケースが勝手に開いて、そこからなんと俺の剣術の師匠・キリトが現れた。

それに気付いた響と未来も驚いていた。

如何やら今は誰でも見えるようだ。

そしてキリト師匠はその子を凝視して、そして一言…

 

「ユイ⁉︎」

 

「あ!パパ!」

 

・・・・・・・・・え?

 

「え?」

「へ?」

 

 

「「「えぇぇぇぇぇ⁉︎」」」

 

またしても爆弾発言を投下された俺達であった。

すると、その声を聞いたのか、自宅の方から誰かがこっちに来た。

 

「あ、憑友!それに響ちゃんに未来ちゃん!」

 

「あ、義姉さん」

 

「「憑友君のお姉さん‼︎」」

 

何事かを聞こうとしたら、近くにいる狼を見て納得していた…いや、俺達にも説明してくれ…。

 

すると義姉さんはこう告げた。

 

「この狼はオウガって言うの。種族名はジンオウガって言うんだって。憑友がリディアンに通い始めた頃に解析した『英雄石板』から出て来た謂わば歴とした歴戦の猛者よ?」

 

「いや、明らかにモンスターだろ⁈」

 

「そうだけど?」

 

「いや、そこは否定しろ⁉︎」

 

それでも次の話をするセレナ義姉さん。

人の話をスルーするな!

 

「んで、オウガの上にいる黒髪の女の子は『ユイ』って言う名前で、実はとある『英雄』の娘さんらしくて、誰なのかさっぱり分からなかったんだけど…如何やらその心配は無くなったみたいね」

 

「え?…あ」

 

そうしてさっきの女の子…ユイだったな。

その子の事でセレナ義姉さんはここ最近心配していたそうだったが、視線の先には、キリト師匠とその女の子・ユイちゃんがまるで親子のように幸せムードを醸し出していた。

 

「まさかキリト君の娘さんだなんてね♪…あれ?

確かキリト君って、16.7歳くらいじゃなかったっけ?」

 

…確かに。確か『英雄石板』に記されている『英雄』達はその時の自分達の全盛期(・・・)の頃の姿で現れるって、言っていたな。

だとなると…あれ?色々と計算が合わなくなってきたぞ。

 

「えっと…如何いう事?」

 

「ああ。英雄達は皆、全盛期の頃の姿で俺達の世界に記されていて…ん〜駄目だ。やっぱりややこしくなるから、響に教えても無意味になるな」

 

「私そこまで馬鹿じゃないよ⁉︎」

 

「字が下手な奴の何処が馬鹿じゃないだ⁉︎いつもレポート三昧のくせに!」

 

「人の心を抉るような言い方しないでよ〜⁉︎」

 

「取り敢えず、2人共落ち着け」

 

そう言うとセレナ義姉さんは俺と響にW脳天チョップを食らわせた。

 

痛い…かなり痛い。

「痛いです〜セレナさん〜」

 

「まぁ、それは良いとして、早く中に入りなさい。

ごめんね、オウガ。この子は私の義弟なの。

そしてこの子達はその義弟の幼馴染なの。

貴方のテリトリーにおそらく入っちゃったのかもしれないけど、それでも許して貰えないかしら…」

 

「グルルゥゥ……」

 

そう言うとオウガと呼ばれた狼はすぐにお座りの姿勢になった。

するとオウガの頭の上にいたユイちゃんがオウガの背中を滑り台のように滑走していった。

…てか、その背中、よく滑るね…見た目ゴワゴワしてるのに。

 

そう言うとオウガは何か鳴き声を鳴いた。

 

「クオォォォォォ〜」

 

その鳴き声に誘われてやって来たのは、先程響が痛い目にあったあの虫だった。

すると虫達はその狼の周りに集まって、その身体にひっつく。

そして、

 

「グォォォォォ‼︎」

 

その雄叫びと共に、身体のあちこちに生えていた毛が逆立った!

 

それを見た俺達は驚愕していた。

 

虫を纏いながら、その身体の体毛がまるで怒りに満ち溢れていた。

するとオウガは、セレナの方に近付いて、セレナの顔を舐めた!

 

「ちょっと!くすぐったいってば〜♪」

 

「」ペコリ

 

そう言うと狼はすぐにその場を去っていた。

 

「…は!な、何今の⁈義姉さん、あの狼を手懐かせたの⁈」

 

「ううん。全然♪強いて言うなら、あの子の気持ちを弁えた上で話し合いしたからそうなってるのかもしれないな〜

さ、家に入りましょ♪ユイちゃんもお腹すいたもんね〜?」

 

「はい♪」

 

「「可愛い〜♡」」

 

ユイちゃんの言った一言で響と未来はもうメロメロ状態になっていた。

各言う俺もそうであるのだが…

だが、それ以上に、

 

「師匠〜?」

 

「ギクッ⁉︎」

 

「色々と話して下さいね♪」

 

「あ、ああ…」

 

如何いう事なのかはっきりと説明するまで、返さないからな!




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回はノイズ退治の際に活躍したマサムネについて紹介しよう」

マサムネ(本名 伊達政宗)/カード名【奥州筆頭 伊達政宗】
属性/雷・人間・斬・刀

英語混じりの日本語を話す戦国武将。
その実力とその隻眼から《独眼竜》とも呼ばれている。

憑友「腰に携えし6本の刀で相手を斬る《六爪流》の使い手で、その攻撃はまさに龍の鉤爪の様に相手を切り裂く…!」

次回


新たな仲間

憑友「次回は新たな力が俺の手に…!
また見てくれよな!」


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第22話 新たな仲間

またまた新キャラ登場!
ユイちゃん可愛い過ぎ〜〜〜♡♡♡♡

憑友「こりゃ、作者もメロメロ状態になったか。
兎に角、スタートだ!」


前回の話

かつて、二課が研究していた完全聖遺物《ネフシュタンの鎧》を纏った少女と、《水魂導師》の名を持つ青年が憑友達の前に現れ、憑友はその青年ことロックを相手に互角に渡り合っていた。

だが、その時に翼が絶唱を放とうとする。

だが、対峙していた相手…ロックの"影縫い・発声殺し"により絶唱を歌い損ね、そしてロックと鎧の少女はすぐに撤退した。

その際にかなりの負荷(バックファイア)が翼を襲い、病院に搬送された。

その病院で、憑友は母・ジャンヌと久しぶりの再会をしていた。

そしてその母親の命令で、響と未来を連れて憑友は実家の方へと久しぶりに帰宅すると、そこに居たのは碧色の鱗を纏った狼と、黒髪で白いワンピースを着ていた女の子がいた。

そして一悶着あったものの、現在は自宅の方へと足を踏み入れ込んでいた。

 

ーーー

 

「…で、あれは一体何だよ⁉︎親父!」

 

「いや〜『英雄石板』だから人しかいないと思ったら、案の定あんな事になるなんてね〜」

 

「あんたの今の説得力皆無だからな⁉︎」

 

今現在、憑友は父・玄也に理由を問うていた。

何故なら、家の前であんなにもデカい狼がいる時点で、もしやと思って、聞いてみたら、まさかの「『英雄石板』の解析から出た結果」によるものだと判明したので、説明を求めていた。

その間、隣で座っていた響と未来は、のんびりジュースを飲んでいたりする。話がついていけないからである。

そして未来の膝の上では先程の黒髪の女の子・ユイが座り込んで、ミルクを飲んでいた。

 

玄也の答えに何も意味が無い事を知ると、憑友はかえって手で頭を抑えていた。

 

「まぁ、でもね?

あのユイちゃんや、ジンオウガも『英雄』と呼ばれる由縁が少しだけ分かったのは事実かな」

 

「え?如何言う事?」

 

玄也が言った言葉に首を傾げる未来と響とユイ。ユイは特にその首を傾げる仕草でその2人が心癒されたのは事実だが…。

そんな中でも憑友はもう訳が分からなかった。

すると玄也はその話を始めた。

 

「まず、ユイちゃんの方から。

ユイちゃんは寂しいとか悲しい、怒り等の謂わば『負の感情』には敏感なのか、その人の所へ行くなり、その人の精神面を回復させる力があるみたいなんだ。キリト君は知っているみたいだから、彼から直接話を聞かせてくれないか?」

 

そう言うと憑友は今回の帰省の際にリディアンの寮で完成させた『現界ブースター』を取り出して、キリトのカードを差し込んだ。

 

すると光の粒子が形成し、黒の服装の姿をしたキリトが現れた。

 

すると、先程まで未来の膝上で座っていたユイがキリトに抱きついた。

それを見た響と未来はユイの仕草にまたメロメロ状態になっていた。

それを見た憑友は苦笑を浮かべていた。

 

「さて、ユイちゃんの事だけど…包み隠さず話して欲しいとは言わないよ。けど、この子は他の子達よりも人の感情を敏感に捉えている。

それだけが知りたいんだ。

教えてくれるかい?」

 

「…良いか?ユイ。お前の事を言っても…」

 

「はい。この人達は大丈夫です」

 

「…分かった」

 

そう言うと、キリトは近くのソファに座り、ユイはそのキリトの隣に座りキリトの膝に頭を置いた。俗に言う膝枕をし、キリトは話をした。

 

「ユイは…人工知能《AI》なんだ」

 

「え?」

「人工…」「知能…」

 

キリトのカミングアウトに憑友と響、未来は驚いていた。

その後も話をし続けたキリト。話を纏めるとこうなった。

 

先ず、ユイはキリトの娘だが、人工知能《AI》と言う存在な事。

そして、ユイはそのなかでも特に人の感情能力を察知し、そしてそれをケア…つまり対処する為にいる存在《メンタルヘルスケア》のプログラムを持っている電子体だと言う事に。

 

だが、キリトが英雄になる切欠を生んだ事件で、ユイはその時に大量のエラーを蓄積し、遂には自分の名前以外の事を全て忘れてしまった悲しい女の子となった。

その時にキリトは出会ったそうだ。

以来、キリトと共に行動していたユイはすくすくと成長した。

見た目は変わってなくても、キリトはユイは大事な娘だと言いきるまでにユイの事を娘のように今でも可愛がっていると言う事に。

 

「…そっか。ありがとう、キリト君。そこまで話してくれて」

 

「いや。此処まで話さないと、ユイの事を話すには必要だったからな。それはそうと、ユイはこの後如何なるんだ?」

 

キリトは心配になっていた。もしかしたら、ユイをこの家に預ける事になるかもしれないと。

けど、それは杞憂となった。

 

「だったら、私達で面倒見ようよ!」

 

「未来?」

 

なんと、未来が名乗りを上げたのだ。その目を見た玄也は、意を決心したのか、

 

「それじゃあ…お願いしても良いかな?」

 

「はい!」

 

「…ありがとう」

 

玄也は未来にお願いしたのであった。そしてキリトも軽くだが、頭を下げたのであった。

それを見た憑友は頭を抑え込み、響はしどろもどろになっていた。

すると玄也は次の話題へと切り替えた。

 

「それじゃあ、ユイちゃんに関する話は此処までにしようか。

次はあの狼…《雷狼竜》ジンオウガの事について話すとしようかな」

 

そう言われて、憑友達は話を聞いた。

 

「彼に関する事はそのあまりにも凄まじいの一言に限るね。

セレナ曰く、

『自然と共に行動していた』と言っていた。

そしてそれは石板にも詳しく書かれていたんだ。

それがこのジンオウガの石板だよ」

 

そう言うとソファの横に置いてあったジュラルミンケースを机に置き、そしてケースを開き、そしてその石板を憑友に渡した。

それを受け取った憑友は、じっくり見て、解析した。

 

「【無双の狩人と呼ばれし狼の竜の軌跡】?」

 

「それがジンオウガの『英雄石板』だ」

 

そう言われて、憑友は文章を読んだ。

 

「『その者は人に非ず。己を狼に化けし竜なり。

 

身体に虫を纏わせ、共に過ごさん。

 

数多の力で幾万の狩人と呼ばれし者達を薙ぎ倒して来た。

 

故にその者、【無双の狩人】と呼ばれる様にならん。

 

その身に宿りし雷で、多数の敵を世に葬って来た。

 

その意味も兼ねて、その者に雷纏いし狼の竜…《雷狼竜》と呼ばれる様になった。

 

今宵も彼は、己の領土にて、浸入せし者達を薙ぎ倒さん。

 

全ては自分のかつての領土を奪った嵐の力宿りし龍に復讐する為に…』

…これが…ジンオウガの…」

 

「ジンオウガは元々、『英雄』としては相応しくない存在だった。

けど、それを上回る程の実力を誇っていたのは事実」

「もしかしたら、この石板に刻まれた時代に、ノイズ達が現れて、それらが自分の領土(テリトリー)に入って来て許さなくなって、ノイズ達を相手に戦っていたのかもしれない」

「其れを見た人々から『英雄』として認められたのかもしれないね」

 

ジンオウガの話を聞いた3人は其々の感情を抱いていた。

響は先程の狼がそれ程までに強かったと言う事に。

未来は逆に恐怖よりも、頼れる存在と言う事に。

そして憑友は、その実力に感化されていた。

すると、ドアがガチャリと開く。

そして1人の青年が歩いてきた。

 

「ただいま戻って参りました…?お客様ですか?」

 

「おかえりジン君。あ、そうだ。まだ話してなかったね。

この子は僕の息子の憑友だ」

 

そう言うとジンと呼ばれた青年は憑友の所に来て、手を差し伸べてきた。

 

「海道ジンです。今は僕の大切な親友を探す為に貴方のお父様の所に居候しています」

 

「改めて、憑友です。んで、こっちの2人の女の子は、幼馴染の…」

 

「響です」「未来です」

 

そう言うと憑友はジンと握手を交わし、そして響と未来を紹介した。そしてキリトの事も紹介した。

 

「そして、こちらの黒服の人はキリト。俺の剣術の師匠なんだ」

 

「宜しくな」

 

そう言うとキリトはジンに手を差し伸べて来たので、ジンも握手を交わす。と、ジンの口から予想だにしない言葉を聞いた。

 

「初めまして。貴方が【黒の剣士】ですね?」

 

「⁉︎」

 

『?』

 

その異名を聞いたキリトは目を見開き、

憑友達は首を傾げた。

 

「なんで、俺の二つ名を…」

 

「僕もこう見えて二つ名持ちなので。

 

【秒殺の皇帝】はご存知ですか?」

 

「【秒殺の皇帝】…‼︎まさか、お前も…!」

 

「ええ。貴方と同じ…『英雄』です」

 

『⁉︎』

 

その一言で、周りの空気は一変した。

何せ、今目の前にいるこの青年が、キリトと同じ『英雄』なのだから。

 

そう言っていると、玄也が説明をした。

 

「この子は『英雄石板』の内の一つ

【皇帝の名を持つ青年の軌跡】から生み出された存在なんだ。

彼自身の戦闘力はそこまで大した程じゃないんだけど、

《LBX》と呼ばれる掌サイズのロボットを使用する事で戦うプレイヤーらしい」

 

すると今度はジンが話を始めた。

 

「LBXとは、僕がいた別次元の地球でブームとなっている一種のホビーゲームの一つだ。

プラモデルとして飾っているコレクターもいれば、僕みたいに実際に楽しむプレイヤーもいる。

更には、そのLBXを飛躍的に育成させる学校も設立されているんだ」

 

「凄っ…‼︎」

 

「だけど、それは当時に起こったある出来事で、一時は使用禁止にまで追い込んだんだ。

僕の今の姿はその当時の時の姿だ…おそらく中学1.2年の時だけど」

 

『まさかの中学生⁉︎』

 

そう言うと、ジンは再び話し始めた。

 

「当時の僕は『英雄』と呼ばれる程の存在じゃなかった。

何せ、『英雄』達に仇なす敵側の方に着いていたから。

 

けど、そんな僕に手を差し伸べてくれた人がいるんだ。

真っ直ぐな目をした存在で、僕にとってはかけがえのない親友になった。

先程言った居候している理由がその親友なんです」

「それ以来、僕は彼と共に行動する事が多くなった。

その時から『英雄』に選ばれたのかもしれない。

それから幾多の苦難をその親友と、仲間達と共に立ち向かったんだ」

「これが僕が『英雄』になったお話であり、此処にいる経緯でもある」

 

「そっか…!ならさ!俺の所に来いよ!

もしかしたら、見つかるかもしれないぜ!あんたの親友!」

 

「え?」

 

憑友の言った台詞に目を見開くジン。

玄也が何かを呟こうとしたら、セレナの声がした。

如何やら響と未来と一緒に料理を手伝って欲しいという内容だった。

なので、響と未来はセレナのいるキッチンへと向かった。

その時にユイも手伝うと言って、3人でキッチンへと向かった。

 

そして今、この居間にいるのは玄也と憑友、そしてキリトとジンの4人だけになった。

すると玄也は先程呟こうとしていた事を言いだした。

 

「憑友はこう見えて、『英雄』達の力を扱える者、

《精魂導師》の力を持っている戦士なんだ。

だから、もしかしたら、君の親友の石板も見つかるかもしれないよ?」

 

それを聞いたジンはその方が確実に会えると言う結論に至り、

 

「…こんな僕だけど、宜しく頼む」

 

「ああ、こちらこそ!」

 

そう言うと再び握手をしてこの話は終えた。




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回はノイズ達を一掃する時に使用した『英雄』・イチカについて紹介しよう」

イチカ(本名 織斑一夏)/カード名【白き鎧纏いし者 一夏】
属性/無・人間&機械・斬・刀

『IS』と呼ばれるスーツを纏って戦う戦士。
背中に付いてるスラスターを用いる事で空中戦も得意とする。
恋愛に関しては非常に鈍感。

憑友「彼の技から放たれる必殺技"零落白夜"は自身の稼働時間を減らす代わりに強力な一撃を放つ。それはまさに諸刃の剣の如く…!」

次回

修行開始

憑友「次回からまた原作通りになる予定。
見てくれよな!」


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第23話 修行開始

危うくサブタイ詐欺になりかけたので、いっその事、サブタイトルを変えた事を許してほしい。

では、どうぞ。


ジンとの話を終えると、玄也は憑友に話しかけてきた。

 

「さて、『英雄石板』の話はこれで全部だよ。

さて…本題に入るとしようか、憑友」

 

「…はい」

 

如何やら今回の話には本題があったようだ。

すると玄也は話を始めてきた。

 

「つい最近の出来事で、響ちゃんに変化を感じなかったかい?」

 

内容はまさかの響だった。

しかし、憑友は逆に冷静になっていた。いや、寧ろ何かに危惧していたような表情を浮かべていた。

 

実は此処に来る前に、憑友は父・玄也に密かに電話をしていたのだ。

その時は一息ついた時に話そうと思ったのだが、母・ジャンヌの思いもよらないサプライズ登場と同時にその母親からの強制執行が相まって、あまり落ち着いていられなかった。

すると憑友は玄也に語り始めた。今の響の現状に…

 

「響は、基本的には皆と一緒にいる時は、いつものあの響のままなんだけど…

俺と同じ…感情の起伏(・・・・・)が激しくなってきたと感じてます」

 

感情の起伏

それは、憑友のように、『特定』の人や物に対して感情的になりやすい現象の事である。

憑友の場合は、『立花響』と言う存在と、『小日向未来』と言う存在の2つの引き金(トリガー)があり、片方の引き金を引けば強制的に感情の起伏が激しくなる。

憑友はこの事を『感情機動(Emotion Drive)システム(通称EDシステム)』と言っている。

 

そのEDシステムは、一度トリガーを引けば、後は感情の赴くままに動き出す。代わりに、自身の生命を著しくだが、低下させる機能を持っている。

 

憑友自体は一度死んでるから大丈夫だろ?

 

そう思った貴方はそう感じてはいけない。

 

憑友にとっては大事な生命線でもある〔生命の灯火〕の事を忘れてはいないだろうか?

 

〔生命の灯火〕は謂わば、ありとあらゆる非科学的事象を集めた産物。

尤も適切に言うなら、〔生命の灯火〕は擬似心臓に変わりは無いという事である。

 

即ち、何が言いたいのかと言うと…

 

そのEDシステムを使用する事=〔生命の灯火〕の縮小

つまり、憑友自身がこの世に長く留まる時間がそれだけ短くなると言う事である。

 

なので、憑友は極力この力を使わないようにしてきたが、やはり響や未来とは親しみがあった訳で、2人の事になると発動しやすくなっていたのだ。

 

 

さて、話が大まかに逸れたので、戻すとしよう。

 

憑友はついこの間のノイズ騒動の時の響の感情があまりにも怒りに身を任せていた事を玄也に話した。

 

「…響ちゃんは確か、あのライブ会場にて、数少ない生存者の1人として今まで過ごしてきた。

だけど、会場の関係者遺族や、クラスメイト達から罵声が相次いでいたようだ。

そのせいで、響ちゃんの父親は現実逃避して、失踪してしまった。

そんな響ちゃんなんだけど、傷口に塩を塗るかのように、憑友…君がこの世から亡くなったと言う事により、当時は本当に心苦しかったよ」

「勿論、僕やジャンヌ、セレナもそして今日一緒に来てくれた未来ちゃんもあまりの出来事にその日から時間が止まってしまったかのように感じていた。

けどね、響ちゃんはそれを遥かに上回る程の負の感情を背負ってしまった」

「その日から響ちゃんは学校にも行きたく無いと言っていた。

食欲も湧かなくて、何よりも1人でいる時間が多くなったと当時の響ちゃんのお母さんが言っていたんだ。

下手をすれば、響ちゃんも憑友の後を追おうとしていたくらいに。

それからはと言うもの、僕達も微力ながら遠くからその手伝いをして、響ちゃんはなんとか立ち上がって、今の生活に戻れたんだけど、

けど、それ以来今日まで響ちゃんは僕達の家に来る事から遠ざけてきていたんだ」

 

「…」

 

玄也の話を聞いた憑友はそれを聞いて哀しんだ。

自分が大切だと思っていた少女がまさか自分の死で、そこまで暗くなってしまった事に。

 

「もしかしたら、響ちゃんも『未来ちゃん』や『憑友』と言う2つのトリガーがあるから、そうなっているのかもしれない。

それに、響ちゃんの場合は、心臓部近くに天羽奏さんの聖遺物《ガングニール》の欠片が埋め込まれているんだろ?

もしかしたら、その影響なのかもしれない…」

 

「え?」

 

玄也の言った台詞に憑友は声を上げた。

それを聞いていたジンとキリトも玄也の話を聞く耳を立てた。

 

「本来、《聖遺物》は赤いペンダントを介して、適合者に装着される。

それは、様々なセーフティが必要だから。

けど、響ちゃんはそのペンダントが無く、代わりに自身の心臓部に埋め込まれている…この意味は分かるかい?」

 

それを聞いた憑友はある1つの過程に辿り着く。

 

「…響にはそのセーフティが掛かっていない?」

 

「その通り。

それはつまり、聖遺物と《融合》していると言っても過言では無い」

 

『⁉︎』

 

その一言で、3人は目を見開く。

 

「響ちゃんのケースは、

メリットとしては、"適合係数が高くなる事"、"素手でもノイズを倒せる事"、後は"不老長寿"と言う事。

でも、それに伴う対価もある。

それは…"人では無く、物として捉えられてしまう事"、

"暴走を引き起こす事がある事"、そして…

 

"不老長寿故に、致命傷以外での死は無いと言うある意味、ゾンビのような存在になってしまう事"」

 

『⁉︎』

 

玄也の話を聞いた3人は、今の響の置かれた立場に胸を痛み付けられた。

 

「まぁ、今はそんな事は無いに等しいから大丈夫だと思う。

けど、これがいつ起こっても不思議では無い状況なのは変わりは無い。

くれぐれも最新の注意を払ってくれ」

 

「…了解」

 

そう言うと話は終わった。

 

すると、窓がカタカタと揺れた。

それを聞いた玄也は何かを察した。

 

「?お、珍しいのがやって来たか。

憑友、こっちに来なさい」

 

「?」

 

そう言うと憑友達は窓の向こうを見て、憑友は驚いた。

其処には、赤い鱗を纏った翼竜らしき者と、それと同じ姿をした翠の鱗を纏った翼竜が庭先に来ていた!

 

「⁉︎わ、ワイバーン⁈」

 

「紹介しよう。

ジンオウガと同じ世界の存在で、屈指の実力を誇る猛者…

《空の王者》リオレウスと《陸の女王》リオレイアだ」

 

それを見た憑友は驚愕した。

あまりに迫力があったから。

すると、リオレウスと呼ばれた赤き翼竜が此方を見つけ、そして顔を近づかせる。

すると玄也はその顔を撫でたのだ!

 

「⁉︎」

 

「ははは!そんなに怯えるな。

如何したんだ?レウス?奥さんと共に此処まで降りてくるなんて?」

 

「グォォォ…」

 

「…そうか。態々ご足労掛けたね。ありがとう」

 

そう言うと、レウスと呼ばれた赤き翼竜は、レイアと呼ばれた翠の翼竜と共に飛び立ち、共に「自然都会」の奥地へと消えた。

 

(如何やら、)(ただ単に、)(憑友達の事を見に来ただけじゃ無いようだ)…」

 

「?なんか言ったか、親父?」

 

「…ううん。なんでも無いさ。

さ、ご飯でもするとしようか!

ジン君との和睦も兼ねてね!」

 

「何故そこで政治的発言をしたんだよ…?」

 

そう言いながら、4人はセレナ達のいる部屋へと移動した。

 

その後、響達の方からもばっちりと先程の2体を見て、驚いていた。

最も、ユイちゃんとセレナの2人は見慣れていたようだったのは、言うまでも無い。

 

そして、夕飯時はとても大いに楽しめた。

響は久しぶり感が出て緊張しまくっていたが、未来は如何やらそうでも無かった様だ。

何故?と、憑友はセレナに聞いたら、自分と入れ違いの形で、ちょくちょく顔を出してきていた様だ。

ただ、此処まで入れ違いするとは予想だにもしなかった憑友がいたのは言うまでも無い。

何せ、2年もずっと入れ違いを受けていたのだから。

 

 

その後、響と未来は憑友の家に一泊し、そして憑友の家から寮部屋へと帰って来た。

その間はユイは現界し続けていたので、響と未来と一緒に親子繋ぎのようにして、道を歩いていた。

憑友はそんな3人の隣で溜め息を吐きつつも、微笑ましく見ていた。

 

そして帰って来た頃にはユイちゃんはぐっすりと眠っていて、憑友におんぶされていた。

 

「まるで、親子みたいだね」

 

「いや、寧ろ響と未来(お前ら)の方がよっぽど親子みたいで、俺は蚊帳の外だったぞ…」

 

「え〜?そうだったかな〜?未来〜」

 

「うふふ。意外とそうだったりしてね」

 

そうしていると、ユイの身体が光り、そしてすっと消えた。

背中に感じていた重みが無くなった憑友は慌てて振り返るとカードがゆらゆらと揺れながら地面につこうとしたので、慌てて手を取った。

 

「えぇ〜と…【黒と白の娘 ユイ】か。

?この『黒』って言うのは、キリト師匠(せんせー)で間違い無いとして、この『白』って言うのは、誰なんだ?」

 

そう思いつつも、結局誰も分からず、憑友はユイのカードをケースの中に閉まった。

え?キリトに聞かなかったのかって?教えてもくれなかったそうです。

 

その日の深夜、

 

響はこんな夜中に何故か目が覚めた。

如何やら中々寝付け無いようだ。

すると、下の方から音がしたので、下を見ると、

 

「…あ、起こしちまったか」

 

「何、してるの?」

 

憑友が色々と作業をしていた。

すると、憑友は響に耳を貸せと示唆し、響は耳を傾け、憑友は話をした。

 

「実は、緒川さんから響にビデオレターがあるんだよ」

 

「ビデオレター?」

 

すると響はゆっくりと未来から離れて、二段ベッドから降り、

2人はそっと玄関を開けて、そそくさと屋上手前の階段の所までやって来た。

憑友は周りに誰も居ない事を確認すると、響にイヤホンを装着する様に促し、響はその通りに従った。

そして、響は緒川が編集したと思われるビデオレターを見た。

其処には、こんな内容が刻まれていた。

 

 

2年前のライブの時に奏が『絶唱』を発動し、もうすぐ死にそうになった事。

 

その時に、響の幼馴染である当時の憑友が自分の命と引き換えに、奏を救った。

しかし、それを境に奏は歌に対して壮絶な拒絶反応を示す様になり、

奏の要望により、『ツヴァイウイング』は解散となった事。

 

それと同時に戦う術を失い、最早何も出来なくなった奏。

そんな奏の分まで翼は己の身を剣へと変えてきた事。

 

それ以来、翼は時に1人で、ある時は霊風と2人で、ノイズを殲滅して来たと言う事。

 

そして、以前現れた《ネフシュタンの鎧》の奪還と言う、剣としての責務を死ぬ覚悟で果たそうとしていた事を。

 

ありとあらゆる内容がそのビデオレターに詰まっていた。

 

それを聞いた響は涙を流していた。

自分にも守りたいものがあるのに…

 

奏の代わりになるなんて言ってしまったばかりに…

 

そう溢れてくる涙を憑友はただ、自分の方へと引き寄せ、涙を流させた。

憑友はただそれだけの事をする事しか出来なかった…

 

 

そして、涙を流し終えた響は、憑友と共に、自分達の部屋へと帰宅し、就寝した。

 

ーーーーー

そして数日後。

響は学校の屋上に居た。

それからの響は自分が何をしたらいいのか分からずじまいだった。

 

すると、憑友がやって来て、ジュースが入ったペットボトルを渡してきた。

 

響はそれを受け取り、そして蓋を開けて、少し飲んだ。

対して憑友は響の隣に来ては豪快に飲んだ。

 

「はぁ〜。…まだ、あの事を考えているんだな」

 

「…うん」

 

響は緒川のビデオレターの内容を聞いて、改めさせる気分になっていた。

すると、

 

「響。憑友」

 

「…未来」

 

大切な存在である未来がやって来た。

 

「最近、憑友と2人きりでいる事が多くなってるよ?」

 

「言っておくけど、恋愛感情なんて抱いてないからな?」

 

「はいはい」

 

憑友が物申すも未来に簡単に丸められて、逆に何も言えなくなってしまった。

 

響はなんとか場の空気を変えて、誤魔化そうとしたけれど、未来の手が自分の手に触れて、誤魔化しきれない事を悟った。

 

「…やっぱり、未来には隠し事出来ないね」

 

「だって響、無理してるんだもん。憑友もそうだよ」

 

「…男は無理と言う程熱くなる時があるのさ。

…って、俺らしくもねえな」

 

「そんな感じ」

 

すると響が2人の会話を挟む様に話を変えてきた。

 

「…うん。でも、ごめんね未来。

こればかりは私だけで考えなくちゃいけないんだ…」

 

「…そっか」

 

「(そうだ。今のお前にはそれが良いのかもしれない。

…俺もいつか必ず話さないといけないな…未来に今の俺の本当の事を…)」

 

すると未来は立ち上がるや、響を陰ながら応援すると言う言葉を投げかけた。それにより、響は先程よりも笑顔を見せたので、憑友は今はこの人生を謳歌する事にして。

すると未来が、

 

「そうだ。こと座流星群見る?動画で撮ったんだ♪」

 

「!見る見る!」「お、俺にも!」

 

すると2人は未来が撮った動画を見てみた。

 

「あ、あれ?」

 

「…おい。何も映って無いじゃんか?」

 

けれど、何も映っていなかった。

 

「うん、光量不足だって…」

 

「「駄目じゃん⁉︎」」

 

「「「…ぷっ。ぷははは!」」」

 

けれども、この何気無い日常を響は壊したく無いと改めさせ、

憑友は自分の残りの人生の為に多く残していきたいと願った。

 

そして響は同時に大切な事を未来から教わったのだった。

 

「(私は…私のままで良いんだ…!)」

 

その瞳に宿りし魂を見た憑友は、それを見て一安心したのであった。

 

 

 

ーーーーー

そして、響は憑友を無理やり連れて、とある場所に来た。

そこに着いた憑友は頭を押さえ込んでいた。

何故なら馴染みのある場所だったから。

 

すると、響は大きな声で、

 

 

 

「頼もぉぉぉ‼︎」

 

「うわぁ⁉︎な、なんだいきなり⁉︎…って、憑友君⁈なんで君まで⁉︎」

 

「取り敢えず(この馬鹿)の話を聞いて下さい。弦十郎師匠」

 

そう、そこはかつて、自分が修行をした場所・弦十郎の家だった。

 

何故、響が知っていたのかというと、憑友に無理やり聞いたからだそうです。

すると響が衝撃の言葉を口にした。

 

 

「私に…戦い方を教えて下さい!」

 

「…この俺が…君に?」

 

なんと弦十郎の特訓を受ける事にしたのだ!

それを聞いた憑友はまた頭を抑えていた。

 

「弦十郎さんなら、きっとすごい武術を知っているんじゃないかなと思って!」

 

「(いや、過大評価し過ぎだって…)」

 

「…俺の修行は厳しいぞ?」

 

すると弦十郎の一言で、受けると申し出た!

 

「それで、憑友は響君のアシストかな?」

 

「『原点回帰』って、知ってますよね?師匠。俺はその為に来たんです」

 

「『原点回帰』か。成る程な。初心を忘れるべからずか。良いだろう。特別にまた教えてやる!」

 

「押忍!」

 

すると響に対してはこんな台詞を言った。

 

「時に、響君…

 

 

 

 

 

 

君は、アクション映画とか嗜むかね?」

 

「…え?」「あ、デジャヴ…」

 

弦十郎の言った一言で、響は呆然とし、憑友はデジャヴを感じていたのであった。

 

ともあれ、今日から響は弦十郎の教えを請い、憑友は『原点回帰』をしつつ、新たな力を取り入れる特訓を開始したのであった…!




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回は魔法使いでもある女性・なのはさんを紹介しよう」

なのは/カード名【エース・オブ・エース なのは】
属性/光・人間・魔・杖

幾多の困難を乗り越え、成長するうら若き女性。
見た目とは裏腹に、すごく家庭的な一面を持つ。

憑友「この人の笑顔は正に凶器そのもの。
その笑顔は時に優しく、時に鋭く狙いを定める…!」

次回
修行/魔術師と騎士達の王

憑友「次回は運命の名を冠する2人が登場!
次回も見てくれよ!」


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第24話 修行/魔術師と騎士達の王

最新話が予想よりも早く出来上がったので投稿する。
では、どうぞ


それから響は弦十郎の元にて日々、稽古に励んでいた。

対して憑友はその間、自ら作成したアイテム『現界ブースター』を使用し、響が自分の力の半分の所まで到達する間だけ、『英雄』達…それも、キリトやルドガーなどの剣術を使用する相手と木刀を用いた模擬戦をする事にした。

 

偶に皆んなと思いきり楽しんだりと、青春を謳歌したりもした。

 

そんな中で、未来は某スポ根漫画のように、憑友と響をこっそりと陰から見守っていたりしていた。

 

ーーーーー

ある日、未来は近くに響が居ない事に気付き、辺りを見渡すと、響の枕元に置き手紙が置かれていた。

そこには

 

『修行!

 

ガッコー、お休みします』

 

と、書かれていた。

 

「何なの、これ?」

 

訳が分からなかった未来は下にいるだろう憑友のベッドを調べた。

だが、そこには憑友の姿が無く、響と同じで置き手紙と、ユイちゃんのカードだけ置かれていた。

 

そしてそこには、

 

『未来へ

起きたら連絡して下さい』

 

と書かれていたので、未来は直ぐに電話を掛けた。

 

prrrrr…prrrrr…prr…ガチャッ!

 

『もしもし?』

「おはよう、憑友」

『おはよう』シュッ!パァンッ!

 

未来は電話越しに聞こえてきた音に疑問を抱きつつ、憑友と話を続けた。

 

「響、見てない?」

『響?近くにいるけど?』

「置き手紙で『学校、お休みします』って書いて有ったから。

何か、訳があるの?」

『…響にはこれからも未来の事を守って欲しいから』

「え?」

 

すると憑友は話をしだした。

 

『俺、残りの余命があと1年しかないからさ。

もし、その後で響や未来が酷い目に遭ったら、元も子もないからさ。

俺が響に稽古付けたんだ。

未来には戦うと言うよりも、ずっと側で見守っててあげて欲しいんだ。だから…』

「…分かった。どれくらい掛かりそうなの?その修行?」

『…俺にも分からない。ただ、響は吞み込みが早い。早くて2週間の内にはマスター出来るさ。…と、これ以上は流石に厳禁だな。

それじゃあ!

あ、そうそう、ユイちゃんのカード。これは未来に預かっててくれ。キリト師匠(せんせー)もその方が良いって言っていたから』

「そっか、分かった。じゃあ、あまり無理しちゃ駄目だからね。響も憑友も」

『ああ。道中は気を付けろよ』

 

そういうと会話は此処で終わり、未来は学校の方へと身支度を済ませる事にした。

 

ーーーーー

一方、電話相手である憑友は通信を切った。

 

「はぁ…はぁ…誰から…?」

 

「未来」

 

「ふぇ⁉︎なんで⁉︎」

 

「俺が『朝起きたら連絡するように』って言う置き手紙を書いていたから」

 

「…だからって、私の攻撃を全て捌きながら電話しないでよ〜⁉︎

今の私じゃ、憑友に勝てないよ〜⁉︎」

 

「いやいや、忘れたか?俺は一応半幽霊だぞ?妖怪だぞ?こんな事は朝飯前だから…

寧ろ、今の響に敵う奴なんているのか?」

 

「」ジー…

 

「…なんだ、その目は」

 

「はぁ…私、呪われてるかも…」

 

実は先程まで憑友は響とスパーリングしていたのだ。

それなのに、響は1発たりとも憑友に当てる事が出来なかった。

紙一重の所までは行けたが、それでもやはり全て躱すか、腕でガードしていた。

 

そのあまりの堅牢さに響のメンタルはズダボロになっていた。

そんな中で、2人の師匠である弦十郎は縁側で2人の様子を見ていた。

すると、

 

「料理が出来ましたよ」

 

「ん?ああ、済まんな。セイバー君」

 

そこに1人の女性が現れた。

髪型は非常に整っているが、前髪に癖っ毛が生えていた。

それでいて、ブロンド風の衣装を身に纏っていた。

名前はセイバーと呼ばれていた。

すると、そこへまた1人現れた。今度は青年だった。

 

髪は赤くてショート、長袖長ズボンを履いた青年だった。

 

「おーい、響、憑友!朝食出来たぞ!」

 

「!朝食‼︎」

 

「食いつくな!」

 

「早く食べましょう!シロウ!」

 

「いや、あの2人より食欲出てねえか?セイバー」

 

すると、セイバーはその青年の名前を言った。

 

彼の名は衛宮士郎。

別の次元の世界にてセイバーと共に戦いに身を投じた青年だった。

 

「む、心外にも程があります」

 

「ま、なにはともあれ、飯にするか!」

 

弦十郎の一言で、皆は朝食を摂る事にした。

士郎の作る料理は殆どが日本人好みの和食がメイン。

故に、皆の反応は良好だった。

その勢いは留まる所を知らなかった。

 

 

「ご馳走様でした」

 

「お粗末様でした」

 

そして食事を終えて、憑友は士郎と共に食器洗いをした。

其れに対して響はセイバーと共に稽古に励む事にした。

 

「いつもすみません。士郎さん」

 

「気にするなよ、元からお人好しな(こんな)性格だからさ」

 

「其れでも、やっぱり凄いですよ。

セイバーさんと共に『英雄』と呼ばれるのは伊達では無いですね」

 

そうなのだ。

実は士郎とセイバーは共に『英雄』と呼ばれる存在にだった。

更に強いて言うなら、セイバーはその『英雄』よりも上の存在『英霊』に分類される謂わば神的存在なのだ。

 

「しかし、驚きましたよ。

まさか、セイバーの正体があの騎士王アーサーだなんて」

 

憑友はそう呟いた。

 

セイバーの正体…それは、かの《アーサー王伝説》に出てくる有名な存在・《騎士王アーサー》だったから。

しかし、見た目が大きく異なっていた。

 

先ず、性別が全く違っていた。

其れに名前も違っていた。

 

「まぁ、この世界の史実も、俺のいた世界の史実も、関係無いさ。

俺にとってあいつはセイバーで変わりは無いんだからな」

 

「…デキテル〜」

 

「⁉︎う、うるさいな‼︎」

 

すると、突然、物騒な音がしたので、嫌な予感がしたので、見てみると、そこには木剣を構えたセイバーと、地面に倒れて目を回している響がいた。

 

「きゅ〜」

 

「何処からそんな声出してるんだよ…」

 

「す、すみません。つい調子に乗ってしまいました…」

 

「幾ら何でもやり過ぎだ!」

 

そのあまりの光景に其々の対処に追われる事になったのであった。

そしてその場を片付けた面々は、現在今でのんびり寛いでいた。

そして、響の頭には何故かタンコブが出来ていて、憑友は逆に手をぶらぶらと振っていた。

 

誰がやったのか薄々気付いているので、割愛とさせて頂こう。

 

 

「…さて。セイバーさんは、響と交えた感想をお願いします」

 

憑友から改めてセイバーの感想を聞いた。

 

「はい。先ず、ヒビキははっきり言って、まだまだと言った所です」

 

「うぐっ…」

 

最初の一言なので、かなり落ち込む響。しかし、セイバーは"まだ話は終わってませんよ"と示唆した。

 

「その代わり、対処する時の能力に長けているのが特徴ですね。

私も使いたくは無かったのですが、不意打ちを数回に分けて攻撃したんですけど、ほぼ全て躱したり、受け止めたりはしてました。

こう言う状況判断能力の高さは確固たる物ですので、それをしっかりと伸ばして下さい」

 

「!…はい!」

 

セイバーの話を聞いた響は笑顔になった。

 

飴と鞭だな…

 

憑友と士郎はそう感じていた。

 

「む?今、何か私の悪口を言いましたか?」

 

「「言ってないから⁉︎」」

 

「(まさか此処で『直感』が発動するとは…恐るべし騎士王アーサー)」

 

そう言うとセイバーは今度は士郎を無理やり連れて、弦十郎の敷地内にある道場へと足を運んで行ったのであった。

その時に、士郎が思いきり耳を引っ張られて行ったので、2人は呆然としていた。

 

「…でも、何とかなりそう!」

 

「だな」

 

するとカードケースから一枚のカードが出て来た。

そこにはなのはのカードが描かれていた。

 

「?なのはさん?」

 

すると、なのはのカードの裏をタッチした。すると、カードの上にホログラム上になったなのはが現れた。

 

『やっほー』

 

「何処からそんな台詞を吐いた⁉︎」

 

『それよりも、響ちゃんの力になれそうな存在…心当たりあんだけど?』

 

「え?本当ですか⁈」

 

如何やら、響と同じ格闘系の存在に心当たりがあるようだ。

実は響は性質上にて、『英雄』達の属性に例えると、

 

光・人間・格闘・拳

 

と言う分類になっており、この力を持っている者は『英雄』達の中ではほんの一握りしかいないと言う事だった。

格闘系の『英雄』は憑友が所持しているが、共に〔炎〕の属性で、中々定められなかった。

だが、今回のなのはは響と該当する『英雄』の存在に心当たりがあるという事なので、憑友は早速、その『英雄』が眠る石板を探す事にしたのであった。

 

一方、取り残された響だが、弦十郎が買い出しから済ませて来たので、そのまま稽古に励む事になった。

 

…因みに士郎はセイバーにみっちりと鍛え直されていたりする…。




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回は霊風さんが使用していた英雄・レヴィアタンの事を紹介しよう」

レヴィアタン/カード名【水竜姫 レヴィアタン】
属性/水・竜・魔・槍

見た目は人間に見えるが実は別世界にいる竜そのもの。
少し臆病な性格だけど、勇気を振り絞って立ち向かう。

憑友「実は霊風先輩が初めて出会った『英雄』なんだ。
だが、あまり戦いをしたがらないので、今まで平穏に暮らしていた。
けど、今回のノイズ騒動で勇気を振り絞って立ち向かう決心をしてくれたんだ」

次回

修行/不屈の心の娘

憑友「次回はなのはさんが…⁉︎
次回も見てくれよな!」


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第25話 修行/不屈の心の娘

今日はなのはさんの娘登場の巻!


ーーーーsideto 憑友

「んで、心当たりのある人って何なんですか?」

 

『私の娘だよ♪』

 

俺は今、なのはさんの案内で響と同じ属性を持った『英雄』を探そうとしていた。

しかし、突然のカミングアウトに俺はポカーンと言う音が出るくらい呆然としていた。

 

今、なんて言った?この人。自分の娘?

 

「…すみません…もう1回聞きます。

その心当たりの人って誰ですか?」

 

『何度も言うけど、私の娘だよ♪』

 

「orz…」

 

まさかの解答に俺は色々と頭を抑え込んでいた。

幾ら何でもスパーリングの相手に自分の娘を紹介するか、普通…。

 

そしてやって来た場所に、俺は見開いていた。

そこはつい先日、翼さんが『絶唱』を発動しようとしていた所であり、

《ネフシュタンの鎧》を纏った少女と、《水魂導師》と呼ばれていた男・ロックとの邂逅をした場所だった。

そして、俺はそんな中を歩いてみると、そこに1人の男が立っていた。

 

髪は水色でストレート、水色と群青色のパーカーを羽織っていた。

 

するとその男が俺に気付いたのか、此方に振り向いた。

その顔を見た俺はすぐに拳を構え、戦闘態勢に入った…!

 

何故なら、その男こそ…

 

《水魂導師》ソウルの変身者…ロックと顔がそっくりだったからだ。

 

「…まさか、此処でまた逢えるとはな?《炎魂導師》いや、人絆憑友」

 

「お前…ロックか。何しに此処へ来た!」

 

俺はそう言うとロックが何かを投げて来たので、俺は慌ててそれを空中でキャッチした。

そして手に入れた物は、なんと『英雄石板』だった!

 

「⁉︎…如何言うつもりだ?」

 

「…お前の餞別品さ。」

 

「何?」

 

そう言うとロックは話し始めてきた。

 

「俺はこの世界に蔓延る悪を根絶やしにしなければならない。

俺にとって大切な物を奪い尽くした者達にな。

だが、それを止める正義の味方がいるのもまた然り。

今此処で俺を止める事も不可能ではないぞ?」

 

ロックはそう言ってきた。

まるで挑発みたいな台詞だな…

すると、それを察したのかロックはそのまま俺に背中を向けて、去ろうとした!

 

「⁉︎おい、待てよ!」

 

「…悪いが、この後用事があるのでな。

それは此処にあった物。だが、俺はその力を使うつもりは毛頭もないから、貴様にくれてやる。

今度会った時は、互いの事を理解したいものだな…」

 

そう言うとロックはその場を去ろうとしたら、急に何かを思い出したのか、俺に2枚のカードをちらつかせた。

 

「言い忘れたが、お前に見せていない姿は()()()()()()でこの2枚。

俺の住処にあと10枚の計12枚。

まだお前に見せていない姿があるから楽しみにしておけよ」

 

そう言うと今度こそその場を後にしてしまった。

何なんだよ、彼奴。

敵として戦っておきながら、何で彼処まで俺の事を過剰な期待を込めるのだろうか…

何故、『英雄』達の力を宿したカード…通称【ヒーローカード】の枚数を言ったのか…

 

俺は何1つ分からないまま、余計に謎を増やしたのだった。

そんな時になのはさんがカードケースから現れた。

何なんだ?こんな時に…

 

「?如何したんですか?」

 

『これだよ!この石板!この石板の中に娘がいるんだ〜♪』

 

「へぇ?…えぇぇぇ⁉︎」

 

まさかの爆弾発言に俺は大声を発していたのであった…。

 

ーーーーーNO SIDE

それから数時間後。

 

弦十郎の家に帰って来た憑友は、弦十郎にパソコンが無いか聞いてきたので、弦十郎が少し大きめのノートパソコンを持ってきた。

すると憑友は、今回持ってきていたリュックサックを漁り、

そして、『英雄石板』を解析する為の装置…

通称《HeroTraceMachine》をそのノートパソコンに繋げ、更にUSBを用いてライドとノートパソコンとの間とも繋げて、そして解析をし始めた。

 

 

「…相変わらず、凄いな」

 

「憑友らしいですけどね」

 

その憑友の姿を見た弦十郎は流石、玄也の息子だと感心していた。

すると憑友が準備に取り掛かった。

如何やら、解析が完了したようで、そのまま詠唱準備に取り掛かった。

因みにこの場には弦十郎と響、そして現界したなのはの3人が、その様子を見ていた。

 

「解析完了。詠唱開始。

『その子はかつては弱かった。

 

あまりの衰弱さと、親がいないと言う事実の中で、1人で生きてきた。

 

そこへ現れしは桜色の光を纏った1人の女性。

 

その子は以来、その女性を母親のように感じた。

 

しかし、突きつけられる自分の存在理由。

 

己の正体。己の経歴。

 

果ての先では、その子は母親のように感じた女性に牙を剥けん。

 

されども、女性はそれでも大切な娘の為に己の身体を傷つけてまでその子を助けた。

 

その心に触れた子は、女性に助けを請い、女性は子の助けを受けて、それを助けん。

 

以来、その子はその女性と、女性の親友の元ですくすくと成長していく。

 

鮮烈なる青春の物語へと進む為に…』」

 

すると、詠唱が終わると、そこから一枚のカードが現れた。

そこには金色の髪で、小さな女の子が元気そうに今にでも動き出しそうな程、生き生きとした姿が描かれていた。

 

そして何よりも…その子は眼の色が左右別々だった。

 

右側の眼は赤く、対して左側の眼は緑の眼をしていた。

 

 

「えっと〜…【不屈の心の娘 ヴィヴィオ】か。

取り敢えず、現界させてみよう」

 

そう言うと憑友は『現界ブースター』を取り出し、

先程のカードを挿入した。

 

するとブースターから光が放出、同時にそれがみるみると人の形に形成していく。

そして光が消え、そこにいたのは先程のイラストに描かれた通りの少女が現れたのだ。

 

「…?此処は?」

 

「ヴィヴィオ〜」

 

「⁉︎なのはママ⁉︎って、ちょっ…」ムギュ!

 

するとなのはがその子に抱き付いたので、女の子は何が起こったのか訳が分からないままなのはに抱き付かれてしまった。そのおかげで、現在なのはがその子に対して離さないと言わんばかりの言動を見せていた。

それを見ていた憑友と響は呆然としていて、弦十郎は何か察したのか、豪快な笑い声を出していた。

 

 

そして漸く落ち着いたのか、なのはは女の子から離れて、現在皆に説明をしていた。

 

「…それで…この子が、なのはさんの娘さんですか?」

 

「うん♪」

 

そう言うとその女の子が自己紹介をした。

 

「初めまして!なのはママの娘、高町ヴィヴィオです!

一応、この世界だと小学4年生です」

 

「4年生⁉︎」

 

まさか自分よりも下の存在とスパーリングするとは思ってもいなかった響は吃驚していた。

すると、ヴィヴィオの隣から小さなうさぎの人形がピョコッと出て来たので、響は驚き、憑友は警戒し、弦十郎は目を見開いていた。

それに気付いたヴィヴィオはその人形を手に取ると、その人形も紹介した。

 

「この子はセイクリッドハート。愛称はクリスって言うんです!

私にとっては大事なパートナーです!」

 

そう言うとクリスが宜しくとでも言っているかのような行動を示したので、憑友は警戒を解き、皆も軽い挨拶をした。

 

「だが、まだ小学生のそれも10歳にも満たなさそうな女の子に、高校生の響君の相手は務まるのか?」

 

弦十郎の一言に憑友と響は確かにと言いながら頷いた。

するとなのははこんな事を言って来た。

 

「じゃあ…表に出て確かめてみます?」

 

 

ーーーーー

なのはに言われたまま、3人は庭の縁側に座り込み、

ヴィヴィオは庭の真ん中に立った。

 

「なのはママ…本当に"あれ"やっても良いの?」

 

「大丈夫だよ。私も派手にフェイトちゃんとやり合ったから、この子達は理解してくれるよ〜」

 

「なのはママ⁉︎今、フェイトママとやり合ったって言わなかった⁉︎」

 

「言ったよ〜」

 

「なんで⁉︎」

 

「それは後で♪さ、早く早く〜」

 

なのはの口から思いもよらない発言にヴィヴィオは文句を言おうとしたけど、なのはの言動に流石の娘でも頭を抑えていた。

 

そして流石にもう呆れたのか、ヴィヴィオはすぐに思考を変え、うさぎの人形《クリス》を手に取った。

 

「行くよ、クリス。

セイクリッドハート!セット、アップ!」

 

するとヴィヴィオの周りを虹色の光が包み込んでいく。

 

それを見ていた3人は眩しくて目を塞いでしまった。

それでも、なのはだけはしっかりと娘を見ていた。

 

そして光が収まり、憑友達はヴィヴィオの方を見た。すると其処には、

 

ヴィヴィオと金髪のサイドポニーをし、瞳の色と配置がヴィヴィオと同じで、背丈がかなり長く、そして胸もかなり大きめの女性が其処にいた。

 

「だ、誰⁉︎」

 

3人を代表して憑友がそう叫ぶと、なのははニコニコしながらこう言った。

 

「大分、良くなったね♪

 

 

 

 

 

()()()()()♪」

 

「へ?」「は?」「え?」

 

なのはの口から思いもよらない言葉が発せさられたので、

響、弦十郎、そして憑友の3人は、それぞれ別々に言うと…

 

「「「なんです(だ)と〜〜⁉︎」」」

 

最後は同時に叫んでいたのであった。

 

「あはは…。やっぱりこうなるんだね…」

 

一方、ヴィヴィオは矢張りかと言わんばかりに苦笑していたのであった…

 

 

 

 

因みにその後、

ヴィヴィオは響とスパーリングを行なったのだが…

 

 

 

「はぁ!」

 

「ぎゃふんっ⁉︎」

 

ご覧の通り、響はボロ負けしているのである。

響からすればさらに精神的ダメージも半端じゃあない。

何せ相手は一応変身して、急成長しているとは言え、自分よりも下の小学生である。

 

その小学生に高校生である筈の自分がボロ負けしたら、そりゃ誰だって、精神的ダメージがきてもおかしくは無いのだから。

 

「つ、強すぎる〜〜」

 

「何言ってんだよ…まだ良い方じゃねえのか?」

 

「戦って無いからそんな事言えるんだよ!」

 

「じゃあ、ナツやアカネと変えてやろうか?

ノイズみたいに消し炭になっても知らねぇけど…」

 

「すみませんでした…」

 

憑友と響の会話を見たヴィヴィオは相も変わらず苦笑いをしていた。

けれど、此処まででもうかなりの数のスパーリングをして来た響。

 

「そろそろ…かな…」

 

そう憑友は呟いていた。




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回はなのはさんの親友にして、ヴィヴィオちゃんのもう1人のママのフェイトを紹介しよう」

フェイト/カード名【迅雷の執務官 フェイト】
属性/雷・人造人間(クローン)・魔・杖

人の手によって生み出された人造人間。
でも、なのはと出会った事で、人としての人生を楽しんでいる。

憑友「本来ならなのはさんと共に平和な暮らしをしたかった様で、今回の件に関しては非常に辛い思いをしているらしい。
早くこの時間を終わらせたいものだぜ…!」

次回

複雑な気持ち

憑友「次回は霊風の正体が判明⁉︎
次回も見てくれよな!」


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第26話 複雑な気持ち

今回は霊風の正体が判明する!

そして、あまりにも短い繋ぎ回的な何か!


憑友と響が弦十郎の元で修行(憑友は原点回帰)をしていたその頃…

 

 

霊風は奏と共に翼の容態を見ていた。

ジャンヌが救ったとは言え、未だに意識不明の状態に変わりは無かった。

 

「zzz…」

 

「…はぁ。またか…」

 

霊風は溜め息交じりに横を見た。

其処には奏が翼の手を握ったまま、寝ていた。

奏は翼が目を覚ましたくて、あれから一睡もしていなかった。

霊風はその事を知っていたので、何も言わずながらも、奏に予備の毛布を掛けた。

 

そして霊風は奏と翼を病室に置いて、1人その場を後にした。

 

 

近くにある自販機で缶コーヒーを選んだ霊風は、そのまま一気飲みした。

 

「…ったく。少しはこっちの身の事を考えて欲しいものだな…」

 

そう言いながら、霊風はカードケースから8枚のカードを取り出した。

どれも、自分が使っていたカードでは無かった。

 

それは、翼の『絶唱』を発動する前の1ヶ月の間に、霊風が憑友と共に手に入れた石板を奏が解析して得た新たな『英雄』達だった。

 

「蓄電の竜に迅翼の竜、杖と本の少女2人、魔槍使い、大剣使いに剣を使う女剣士…

何れも俺の力になってくれる『英雄』達か…」

 

霊風はそう感じていた。すると…

 

 

piropiropiroring♪piropiropiroring♪…

 

霊風の端末から電話が掛かってきたので、霊風は相手を確認すると、電話を掛けた。

 

「…もしもし」

『相変わらずだな。その態度は…』

「んな事はどうでも良いんだよ…それで、俺になんか用か?

 

 

 

 

()()

 

なんと霊風の相手はまさかの神様だった!

すると神様は話を続けた。衝撃の言葉を放ちながら…

 

『如何だ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()は?』

「すこぶる悪いね。誰かさんの所為で(#)」

 

神様はそう言った。

霊風の正体、それは…()()()だったのだ。

 

『とは言え、あんたの願いを確かに聞き届けた筈だが?』

 

そう神は告げた。

霊風はこの世界に転生する際に、条件として『ごく普通の生活をくれ』と言う何とも無欲な願いを神にお願いしていた。

しかし、結果は如何だ?

己は戦いの身に投じた事で、奏と翼…『ツヴァイウイング』の2人と出会う事が出来た。

だが、自分が加わったくらいで原作を変える事が出来なかった。

ましてや、たった1人の少年が死んだ事で、原作が改変された事に霊風は憤慨していた。

 

「とは言え、俺は誰しも『主人公』になりたいとか言った憶えは無い事を憶えてくれたのは助かったな。

俺に『主人公』と言う肩書き(称号)はあまりにも荷が重すぎるからな…後は全く聞き届けていないがな?」

『うぐっ…其処を突かれるとは…。

さて、お前にはまだ特典を…「要らねえよ、そんなもん」なんだと⁈』

 

神様は直ぐに特典の話をしたが、霊風によって即却下された。

とことん無欲な男である。

 

「俺はもうこれ以上、転生特典(その力)を使用してまで誰かの命を助けたいとか考えたくないんだよ…じゃあな…

出来る事なら、あんたとの会話はこれでお終いにしたいけどな…」

 

そう言うと霊風は通信を強制的に切った。

 

「俺が転生しても、世界が呪われていくだけなのかもしれないな…」

 

そう言うと、霊風は缶コーヒーを全て飲み干し、そしてまた奏と翼がいる病室へと向かって行った…

 

「(俺がいる限り、俺の周りは不幸になる…

ならば、潔くそして、儚く散りたいものだな…

だけど…同時に俺は…彼奴らの事を見過ごせないのかもしれない…)」

 

 

霊風の心境はそう語る。

それは、早く自分はこの世から去りたいと言う思い。そして…

 

大事な存在を置いていっても良いのかと言う疑問…

 

彼のたった2つの欲が、霊風の心境を苦しめていた。

その者を知る者はこの世にはいない…

 

そう…()()()()()ね。




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回は霊風に仕える『英雄』の1人にして、ほむらさんの仲間…
杏子を紹介しよう」

杏子/カード名【多節棍の魔法少女 杏子】
属性/炎・人間&魔物・突&打&魔・槍

ほむらと同じ世界出身の魔法少女。
本来なら《風魂導師》の力を持つ霊風とは相性が悪い属性だが、それとなく扱いきれる様になっている。
翼に対して、自分の仲間と重ねる傾向がある様で…?


憑友「多節棍に加わえて、先端に槍の穂先が加わった武器を使用する。
孤独な人を見つけるとほっとけない性格の持ち主で、とても優しいんだ」

次回

神との邂逅

憑友「次回は翼さんの視点をお送りするぜ!
また次回!」


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第27話 神との邂逅

今回は我らがSAKIMORIさんの話。
そして、神様登場回!

此処で、憑友が探さなければならない石板のヒントが!


響と憑友が弦十郎の元で修業に励んでいた頃、

翼は生と死の狭間と言う名の海を漂い続けていた。

 

ーーーーーSIDEto翼

 

私…生きてる…?

 

いや、違う…死に損なっただけ。

 

《ネフシュタンの鎧》…

 

あれさえ取り戻す事が出来たら、どれだけこの身が安らぎに満ちて来れたのだろうか…

 

 

 

 

 

 

「真面目が過ぎるな…防人の華よ」

 

…え?

 

私は何者かの声が聞こえ、その方を見て見ると、

青白いショートヘアで、

 

白いローブを身に纏った男の人がそこにいた…

 

「貴方は…?」

 

「取り敢えず、話をしようか」

 

そう言うと指でパッチンッ!と鳴らした。

すると、辺りが深海から、あのライブ会場そのままの姿になった。

 

「⁉︎こ、これは…」

 

「これは俺の心像現象で見せている謂わば結界だ。

『英雄』の中には、この様に周りの風景そのものを変質して戦う戦士がいると言う。

さて、そんな話をする為にあんたを呼んだんじゃ無いのでな。

話すなら、それ相応のマナーが必要だよな?」

 

そう言うとまた指を鳴らした。

すると今度は何処からともなく風が吹いてきた。

少し荒々しい風だった。

 

すると、風は見る見ると形を作り始める。

終いには風は1つの椅子を作り上げていた…

しかも、ご丁寧に視認する事も出来るとは…!

その思いもよらない行動に惚けていると、その男は私から少し離れ、また指を鳴らした。

すると今度は地面から大量の炎が吹くと、それも形を変えて、此方も椅子を作り上げていた。

すると男はその椅子となった炎の上に腰掛けたのだ!

 

「⁉︎」

 

「何を突っ立っている?早く座れ」

 

…正直、心配事でしかならない。

男が座っている椅子…熱くないのだろうか?

 

「心配するな。熱くも痒くもないから」

 

な⁉︎ま、まさか口に出していたのか⁈

 

「いや、口に出してなんかいねぇよ。お前さんの心の声が嫌でも聞こえてくるんでな?

ま、無理もねえか。此処は、結界を張っているとは言え、お前さんの心の中だからな?」

 

…まさか心の声が読まれていたとは。防人t…

 

「『防人として不覚を取った』とか思うなかれ」

 

「⁉︎」

 

「あんたはあんただ。それは変わりはないんだよ…

ほら、さっさと座れ」

 

男はそう示唆してきたので、私は渋々その風の椅子に座った。

すると、先程まで、誰1人として座らせるものかと言っていたのかもしれない荒々しい風が瞬く間に落ち着き、まるでそよ風の様に椅子でありながら、ふかふかとしていた。

 

「さて、話をしましょうか?防人嬢?いや、

風鳴翼さん?」

 

そう言うと私は彼と話をする事にした。

色々と聞きたい事があるからな。

 

「先ず、俺は何者か?これを先に言わねえと、意味がないからな?

 

 

 

 

 

俺は神様だ。

ま、経歴が浅い若き神様だと思えば良い」

 

私はその一言で、目を見開いた。

目の前に神様がいると言う事は、やはり私は死んでしまったのかと思うから。

 

「また、心の声がダダ漏れだぞ。それに、お前はまだあの憑友とか言う奴と違って、外面的な肉体と精神は健在している。

ただ、内面的な肉体の方に支障が出ていただけだ。」

 

その一言で、私は何故かホッとしていた。

…と言うよりも…

 

「…私の心の声を聞いて、それに答えるのはいくら神でも止めて下さい」

 

「そう言う愚痴っぽいものが嫌でも聞こえてくるからそれは却下な。

あ、でもプライバシーに関する事は聞こえてはいないから安心しろよ」

 

「ご都合主義者か貴様は…!」

 

「最高の褒め言葉をどうも」

 

…なんだろう、この神。性根が少し腐ってる…。

 

「さて、こんな話をした所為で、喋る時間が短くなったな。

本題に入るとしよう」

 

それを聞いた私は渋々、神様の話を聞く事にした。

 

「あんたは、奏と言うとても大事な存在がいる。

 

故に、この心像現象の風景には戸惑いがあるんだろう…

だが、俺にとっては此処は俺と言う神が生まれた最初の分岐点(ファーストターニングポイント)に過ぎん。

と、こんな時にまで話す必要は無いな。」

「お前さんは、防人としての使命に捉われ過ぎだ。

あんまりその状態が長引くと、本当に死ぬぞ。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()ってね」

 

「え⁉︎」

 

何故、貴方が…その台詞を⁉︎

 

「お前はまだ生きろ。お前の帰りを待ってる奴がいるだろ?

現にお前の左手からその者の鼓動を感じないか?」

 

そう神様が言って来たので、私は自分の左手を見た。

見た目はなんの変わらないただの私の左手だけど、

確かにそこから温もりを感じる…

そうだ…この温もりは…

 

 

奏の温もりだ。

 

奏が私が帰ってくるのを、待っている…

 

「さて、手短になったが、如何やらお前さんとはこれっきりだな」

 

「⁉︎待って!」

 

「?」

 

私はすぐにその場から離れようとしていた神にある事を言った。

それは今後の私にとっても、大事な話だった。

 

「貴方が、憑友が言っていた神様なら、教えて下さい!

あの子…憑友が蘇る為に必要な『英雄石板』の特徴を!」

 

そう。私は憑友から聞いた話を思い出していた。

彼は…憑友は神様から『英雄石板』を探してこいと言ってきた。

だが、現在分かっているだけでも、300枚以上存在する『英雄石板』の中から、今目の前にいる神はどの石板が欲しいのか、詳細はおろか、ノーヒントの状態で、彼をまた現世に戻した。

私としては彼…憑友にはまだまだ人生を楽しんでもらって欲しいから。

基本的に不器用である私でも、これだけは絶対に譲れなかった。

すると神は、頭を掻きながらも私の方を見て話をしてきた。

 

「…彼奴を蘇らせるヒントを、あんたに免じて教えておこう」

 

如何やら話が通じたようだ。

それに私にだけ免じたと言う事は、あの子が話しても、一切口を開かなかった筈。

そう言うと神は告げ口のように答えた。

 

「《竜を滅する剣》

 

《魔を穿つ弓》

 

《銀の腕》

 

《女神の慈愛受けし《鎌》と《鋸》》

 

《2振りの槍》

 

《女神の盾》

 

《歪んだ鏡》

 

そして…《槍の名を冠する『拳』》

 

 

それが、憑友を蘇らせるヒントだ。」

 

《竜を滅する剣》と《魔を穿つ弓》に《銀の腕》…

《女神の盾》に《女神の慈愛受けし《鎌》と《鋸》》…

《歪んだ鏡》と《ふた振りの槍》そして…

《槍の名を冠する『拳』》?

 

何かのキーワードなのか?

…駄目だ。なんの事だがさっぱり分からない…

 

「悪いが、これ以上は教えられん。

ただ強いて言うなら…

 

 

 

お前たちの身近にあるものだと思えば良い…」

 

そう神が言うと、徐々に私の視界がぼんやりとしてきた…!

待って!まだ貴方には色々と話が!

 

「これ以上長く居座れば、魂を失う。さぁ、行け。

…響の事…宜しく頼むな」

 

「え?」

 

その一言を最後に私の意識は元の身体の方へと戻って行った…

神は何故、憑友ではなく…響と言ったのか?

響と言われて思い付くのは、奏の《ガングニール》を継承した立花響の事なのか?それとも、違う存在の響なのか…

 

駄目だ。意識がそう持たないときたか…

ならば、残りは元に戻った時に考えるべきか…

 

ーーーーーSIDEto神

 

…我ながら、とことん甘くなったものだ。

あまりにもお人好し過ぎたな。

 

後は頼んだぞ、防人嬢いや、風鳴翼。

 

竜を滅する剣(天羽々斬)》を纏いし歌姫よ。

 

そして、霊風よ。

 

お前なら、彼奴らを導いてくれる事を、俺は信じてる…

 

何せ、あんたは…俺の先輩なんだから…

 

ーーーーーNO SIDE

 

神との邂逅を果たした翼は自分の左手を動かした。

それを見た医療スタッフ達は急いでメディカルチェックを行った。

一方、その時の翼はこう感じていた。

 

「(生き…てる…

不思議な感覚…

まるで、世界から切り離されて、

私だけの時間が遅く感じている気分…)」

 

そう思っていると、近くにある窓の先に自分が通っているリディアンを見た。するとそこから歌が聞こえてきた。

 

それは、校歌だった。

自分が通っているリディアンの校歌が翼は聞こえていた。

 

「(そうか…私、仕事でも、任務でも無いのに、学校を休むのは初めてだったな…

精勤賞は絶望的か…)」

 

そう感じていた翼。すると、

 

『響の事…宜しく頼む…』

 

先程まで精神世界にて対話をした相手、神様との話を思い出していた。

 

「(あの子がもしそうなら、私は改める機会を見出さないとね。

それともう1つ…)」

 

すると今度は憑友に関する話を思い出す。

 

「(《竜を滅する剣》、《魔を穿つ弓》、《銀の腕》…

《女神の盾》と《女神の慈愛受けし《鎌》と《鋸》》…

《2振りの槍》、《歪んだ鏡》…

そして…《槍の名を冠する『拳』》…

憑友をこの世に戻せる唯一の手掛かりなら…

私は探してみせる…あの子が生きて行ける為に…!)」

 

ーーーーー

翼の意識が回復した日の夕刻頃。

ノイズの被害にあった廃墟付近を3台の黒い車が移動していた。

そこには、日本の防衛大臣である広木 威椎が乗車していた。

車内では、彼がシンフォギアの事を厳しくながらも、それでもその優しさに溢れる内容を零していた。

そんな彼の乗った車がトンネルに入り、出ようとした時だった。

突然、トラックが道を塞ぎ、車が玉突き事故を起こすと、トラックから武装したテロリスト達が現れ、そして…

 

この日、広木防衛大臣は射殺されたのであった…

 

そしてテロリスト達は彼が所有していた物を取り上げ、そして退散しようとした時、妙に肌寒かった。

 

「随分と、人を殺したいみたいだな?テロリスト共」

 

『⁉︎』

 

その声を聞いた皆は目を見開いた。

 

そこには、1人の青年が、彼等の道を塞いでいた。

 

そして、テロリストの1人がこう述べた。

 

「き、貴様は…【冷眼のロック】⁉︎」

 

「ふっ。なら、話が早いよな?」

 

そう言うと、ロックは左腕に相棒である電子機器・ソウルアブソーバーを装着し、腰のカードケースから1枚のカードを取り出した。

 

そこには、

紫と白が交互に交じっており、紫のマフラーと、茶色の服を着ている…

タロットカードを手に持っている男のイラストが描かれていた。

 

「お前達のカードは"死神(デス)"の正位置。

意味は…終焉、消滅等の死に直結する物だ。

…行くぞ」

 

そう言うとロックはそのカードをアブソーバーに装填、そしてレバーを引いた!

 

ーソウル!フォーム、ダイキ!ー

 

すると、そこから黒い顔をしたピエロのような姿をした何かが現れると、ロックはそれを纏った。

 

ータロット・マジック!ボックス・マジシャン!ー

 

するとロックの姿が狂ったピエロのような仮面をし、

そして手から背丈を優に越す鎌が現れた。

それを見たテロリスト達は一斉に射撃を繰り出す!

 

しかし、

 

「無駄だ」

 

ロックの一言は現実と化した。

 

なんと、瞬時にロックが1人から3人に増えたのだ!

それを見たテロリスト達は驚愕した!

 

「これで、ジ・エンドだ」

 

するとロックは3人同時に一斉にソウルのドライブボタンを叩いた!

 

『『『ソウル・ダイキ!フルドライブ!』』』

 

「「「"必殺ファンクション"」」」

 

すると3人のロックはすぐに上空へスピンしながら跳躍すると、持っていた鎌を同時に薙ぎ払った!

 

「「「"デスサイズハリケーン"」」」

 

その言葉で、周りのテロリスト達は一掃され、そこには身も完全に切り刻まれ、見るのもあまりにも無残な姿と化したテロリスト達と、

無傷で立ったままのロックがそこにいた。

 

するとロックはある場所へと連絡を掛けた。

 

「此方、ロック。任務は達成した。

これより例の物を持って帰還する」

 

そう言うとロックはテロリスト達が取り上げようとした物を携えて、その場を後にしようとした。

するとカードケースからフェイトが現れたので、ロックは話をする事にした。

 

「…あんたは一応、警察みたいな仕事をしてるんだ。

今なら俺を現逮する事も不可能じゃないぞ?」

 

「…ううん。今の私はそんな力は無いよ。さ、急いで妹さんの所に帰ろう?」

 

「…いつもすまない」

 

そう言うとロックはフェイトを装填し、レバーを引き、フェイトの魂を纏うと、そのままその場を後にした。




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回は霊風さんが使用した熱血魂を持つふた槍使い・幸村を紹介しよう」

幸村/カード名【天覇絶槍 真田幸村】
属性/炎・人間・突・槍×2

2つの槍を巧みに扱う戦国武将の1人。
伊達政宗とは永遠の好敵手として相見える事もある。
女性の露出に対してかなりウブ。

憑友「本来《風魂導師》は〔炎〕と相性が悪いのだが、霊風先輩はそんなの全く感じさせない。
その2振りの槍で数多の武士達を薙ぎ倒す…!」

次回

異常と怪しさ

憑友「次回も見てくれよな」


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第28話 異常と怪しさ

今回は憑友、探偵紛いな事をするの巻!


時は約5時間前に遡る…

 

此処最近修行をしていた響と憑友。

現在はリディアンの真下に設立された特機部二の司令室にいた。

 

「はぁ〜…朝からハード過ぎますよ〜」

 

「ば〜か、あ〜ほ、響〜」

 

「バイ○ンマン風に言わないでよ⁉︎」

 

2人は現在、休憩中であったりする。

此処に来る前までに響は随分と力を蓄え、成長していた。

 

「でも、あれはあんまりだよ〜」

 

そう響は言いながら、とある日の事を思い出していた。

 

ー回想ー

 

その日も弦十郎の元で修行に励んでいた響と憑友。

尤も、憑友は現在、弦十郎が飼っている鯉の餌やりをやっていたりする。

 

響がサンドバッグで練習していた。が、中々上達しなかった。

 

「そうじゃない。

稲妻を喰らい、雷を握り潰すべし!」

 

「言ってる事、全然分かりません!」

 

「安心しろ、俺も同じだから…「でも、やってみます!」あら?」

 

弦十郎の言った一言に、響が全く分からないと言い、憑友も同意見を述べようとしたら、響がチャレンジしてみると言いだしたので、その思いもしない言葉で、憑友はズッコケた。

 

そして精神を集中し始める響。

そして、心臓の音が鼓動したまさにその時、

 

「はぁっ!」

 

その1発のパンチで、サンドバッグが吊るされた木の枝が簡単に壊れた。

 

やったと思ったら、ヤバイ展開になってしまった。

 

なんと、その前方方向に憑友がいた!

 

「⁉︎憑…友…!」

 

響は避けてと言おうとしたが、それは杞憂に終わる。

 

「ふっ!」

 

時計回りに振り向いた瞬間に左手でフック攻撃をお見舞いさせたのだ!

その力で、威力を相殺された。

そうしていると今度は少し上へと向けると、右手でストレートを放った!

するとサンドバッグはそのまま何処かへと飛んで行ってしまった…!

 

「嘘⁈」

 

響がその光景を目の当たりにした時、縁側にいた人物が話をし出した。

 

「今の技は、僕の戦友が得意としていた技"炎崩し(ほむらくずし)"。一度捕まれば最後、渾身のストレートにやられる技だ」

 

「思いつきでやったけど…意外とデメリットが多い技だな、これ」

 

縁側にいた人物はつい先日憑友の仲間になった『英雄』海道ジンだった。

ジンはお茶を啜りながらそう話すと、お茶を置いて此方へとやって来た。

 

「君にはまだまだこれから先の事も考えて欲しいからね。勿論、響さんもですけど」

 

「あ、はい…」

 

「そうとなれば…!」

 

そう言うと弦十郎は手にボクシングをする際に使用する相手の攻撃を受け止めるアイテムを装置した。

 

「此方もスイッチを入れるとしようか…!」

 

そう言うと響は返事をしたので、そのまま修行に励んだ。

 

「…君の師匠は色々と可笑しいかもね」

 

「それだけは口に出して欲しくなかったよ、ジン…」

 

そんな響と弦十郎の修行を見た2人はそう話していたそうだ。

 

ー回想endー

 

思い返しただけでも、凄かったとしか言い切れなかった。

完全に不意を突かれても可笑しく無いのに、それを見切ったと思ったら、そのまま威力を相殺、更にはそのまま星の彼方にまでぶっ飛ばしのだから、尚の事怖い。

 

「ははは、まぁ何はともあれ…頑張れよ、明日のチャンピオン!」

 

「響を何の大会に出させるつもりですか?師匠は」

 

そう響が感じていたら、弦十郎の言った一言に憑友が物申した。

 

「下手したら此奴、本当に優勝してしまいますので、止めて下さい」

 

「それ如何言う事⁈」

 

…訂正。洒落にもなっていなかった。

響が反論しようとすると、

 

「弦十郎の修行を受けたお前なら、拳だけでそのまま全てをK.O.をしても、おかしくないって言ってるんだけど。

申し開きは?」

 

「うぐっ…私、呪われてるかも…」

 

憑友の言葉に会えなく撃沈した響。

するとそんな2人の所に友里がスポーツドリンクをお裾分けして来たので、2人は快く貰った。

すると貰った飲料水を飲んでいた響がこんな事を言って来た。

 

「ぷはぁ〜。

あの〜、自分でやると決めた癖に申し訳無いんですけど…

何もうら若き高校生に頼まなくても、他にノイズを倒せる武器って無いんですか?…外国とか?」

 

「その答えはNOとだけ言っておく」

 

「え?」

 

響が言った事に対して憑友は否定した。首を傾げた響を見たのか、憑友は弦十郎にアイコンタクトをし、弦十郎はそれに気付いたのか、話を始める。

 

「功績には無いな。

日本だって、《シンフォギア》は最重要機密として完全非公開されている。

だが、《精魂導師》はその限りでは無い」

 

「え?何で?」

 

すると今度は憑友が話をし始めた。

 

「元々《精魂導師》は一種のおとぎ話に出てくる架空の存在としてしか認知されていない。

故に非公開する義務なんか無いんだよ。

ただ、変身者等のプライバシーやプライベートに関する事は《シンフォギア》と同様で、機密事項になっているらしいんだと」

 

「へぇ〜…あ」

 

憑友の説明を受けた響は納得したのか如何かも怪しい雰囲気を出していたので、憑友は頭を抱えると、響は何かを思い出したかのように喋り始めた。

 

「そう言えば、私…あんまり気にしないでやらかしたかも…」

 

すると友里が「情報封鎖も二課の仕事だから」と言い始めると、今の特機部ニの現状を響に分かりやすく説明したのであった。

その話を聞いている響を見た憑友は、

 

「(此奴…話の内容があまりにも詳細し過ぎて、全然脳に入って来てないな…)」

 

と思ったそうだ。

 

するとメインドアから誰かが入ってきたので、憑友はその音に反応して、振り向くとそこには霊風がニコニコ笑顔でやって来た。

 

「おはようさ〜ん!…て、風鳴のおやっさん?何そのジャージ姿?」

 

「おはよう、霊風君。これはつい先程まで響君と憑友の修行をしていたからな。今は休憩時間なのさ!」

 

「はいはい「あの、霊風先輩!」ん?如何した?憑友」

 

弦十郎と話をしていた霊風の所に憑友が現れ、憑友はある物を霊風に渡した。

そこにはカードが一枚入るスペースがある何かを読み取らせる機能がついた機械があった。因みにカラーは緑で、風のイラストが描かれていた。

 

「これは?」

 

そう言うと憑友は自分の腰に付けていたある物を取り出した。

自分が先程渡されたアイテムと同じ形状を持っていたが、此方は赤のカラーリングと炎のイラストが描かれていた。

 

「?…似てるな?これと」

 

「これは『現界ブースター』と言って、これに挿入した『英雄』達を顕現化させる力を秘めたアイテムです!

カラーリングはそれぞれの《精魂導師》の名前からイメージさせて頂きました。

霊風先輩のは、緑のカラーリングと風をモチーフにしたイラストを描きました。

これを使えば、戦場でも日常でも、『英雄』達が直接戦闘を補助したり共闘する事が出来たり、別行動したりする事が出来ます!

ただ、ブースターに差し込んでいる間は、その『英雄』の力は纏う事が出来ないのがデメリットですけど…」

 

「…いや、サンキューな。おかげで良い物を貰えたよ」

 

そう言うと霊風は憑友の髪をワシャワシャと掻き乱していた。

それを見ていた他の人達からは、まるで兄弟みたいな光景だと思ったそうな。

 

すると、霊風は辺りを見渡すと誰かがいない事に気づく。

 

「?…あれ?了子女史は?」

 

そう、櫻井女史だった。

霊風に言われて、初めて気づく響と憑友。

すると弦十郎が話し始めた。

 

「長田町さ」

 

「「長田町?」」

 

「またお偉いさんに呼び出されたのか?」

 

霊風に言われて、弦十郎は小さく頷き、そして話を続けた。

 

「本部の安全性及びその防衛システムについて、

関係閣僚達に対して説明義務を果たしに行ってくれている」

 

すると弦十郎はそれに付けと加えてある者の名を教えた。

 

「この世界の何処かにいると言われる財政を一任されていると言われている男…

 

 

 

"キングorカイザー"にも説明をしに言っているらしい」

 

「「キングorカイザー?」」

 

すると、この中でマネージャー稼業をしている霊風がそんな2人の疑問に答えた。

 

「『キングorカイザー』ってのは、シンフォギアシステムが生まれた直後に現れた謎の存在の事で、

ありとあらゆる手を使ってこの世の中の流れを変えた《革命者》であり、《独裁者》でもある。

その為なら、自分の立場を無理やり酷使させる力を持っている謂わば《職権乱用王》とも呼ばれている。

ただ、《独裁者》の様な自分主義者じゃないらしい。

《職権乱用》も、あったとしてもほんの数回程度で、基本的には何もしていないが、子供達には優しいらしい。

 

現に戦争孤児や、修道院育ちの子供達やシスター達に援助をしている謂わば《偽善者》のようなやり方をする者だと言う事が判明している。

 

ありとあらゆるプライベート情報及びプライバシーに関する者が一切無いと言われていてな。

まるで都市伝説のような存在だと言われているんだ」

 

「現に、了子君は彼と話す際は、基本的には電話での対話がほとんどらしいと了子君本人が言っていた」

 

霊風と弦十郎に言われた言葉に響は疑問に感じたので、質問してみた。

 

「その『キングorカイザー』さんって、何でそんな事をしてるのに、何で都市伝説のようなウワサ話までにしか留まってるんですか?

そんな行動したら、かえって目立つと思うんですけど?」

 

「彼の顔を見た者がいないからだ」

 

「え?」

 

「キングorカイザーは基本的に人との接触を拒んでいる。

先程霊風が言った援助は名前は書かれてあっても、在籍してる場所が無く、殆どが仕送りのようなケースが殆ど。

故に彼の顔を見た者はいないという事らしい」

 

そうしていると、弦十郎話を話を脱線した事に気付き、すぐに話を元に戻そうとし、時計の時間を見てみると、

 

「…了子君の帰りが遅いな?」

 

「どうせ、長く掛かってるんなら、俺はこの辺で失礼するぜ。

今回は了子女史と話がしたかった為に来たのに、肝心の本人が居ないんじゃね?

立花と憑友。おやっさんの修行、頑張れよ〜」

 

そう言うと霊風はささっと司令室から立ち去って行った。

 

「彼奴も何気に忙しいみたいだな。

奏の面倒と翼のフォロー…『ツヴァイウイング』の2人の面倒事を彼奴はやりこなしているからな」

 

「⁉︎…凄ぇ…」

 

 

そんな霊風に対して、寛大な人だと憑友はそう思ったそうだ。

 

ーーーーーSIDEto憑友

数時間後、リディアンの制服に着替え終わっていた俺と響。

だが、司令室は騒然としていた。

何故ならつい先程、防衛大臣である者・広木氏が何者かに銃殺されたと言う報告が出されたのだ。

 

それを見た俺と響は嫌な予感しかしなかった。

するとそんな時に、

 

「大変、長らくお待たせしました〜♪」

 

「あ」「!」

 

「了子君!」

 

櫻井了子が本部に帰還して来たのだ。

弦十郎師匠は広木防衛大臣が殺害された事と、犯行声明が出されている事を言うと了子さんは驚いていた。

だけど、俺はこの時、何かが引っかかる様な気がしたが、それは頭の隅に置いておく事にした。

すると響は心配していた事を言った。当然だ。

だって、メールを送ったり、電話も掛けたのに一向に音沙汰無しなのだから。

その事を伝えると、了子さんはポケットの中に潜めてた端末を取り出し、調べた…が。

 

「壊れてるみたい♪」

 

「駄目じゃん⁉︎」

 

…最近、こんな小さなボケでもツッコミしたくなって来たのは如何してだろう…。

 

「心配してくれてありがとう。でも、それはそれとして…」

 

そうすると了子さんは持ってきていたアタッシュケースらしき物をソファに置き、そしてケースの中身を取り出した。

そこにはチップらしき物が入っていた。

 

「政府から受領した機密資料も無事よ」

 

その一言を聞いた弦十郎と響はホッとしていた。

だが、俺は何か怪しいと感じていた。

 

何故かこんな近くから血の匂いがして来たからだ。

 

いくら、俺が人外じゃないにしろ、此処まで敏感になるのは如何しても…

 

『気になるか〜?』

 

「(…いきなり過ぎるぞ、ユルセン)」

 

『まあ、そんな事は後々!それよりも少し移動して見ろよ。何か面白い物が有りそうだぜ?』

 

…しゃあないか。

そう言うと俺は近くに置いてある水を汲み、そして飲む。そしてチラとアタッシュケースの方を向いた。

 

「⁉︎」

 

そこで俺は見てしまった。

アタッシュケースの淵に、血の跡が残っている事に。

 

「(まさか、了子さんが広木防衛大臣を⁉︎…いや、先程のリアクションを見れば、それは無い。だとすれば一体…?)」

 

「?如何したの?憑友」

 

すると不意に響から声を掛けて来たので、危うくコップを落としそうになった。

 

「とりあえず、先ずは今後の作戦について話し合おう」

 

弦十郎師匠の一言で、皆はブリーフィングルームへと移動した。

 

…怪しい。

 

俺はこの時、そう感じていたのであった。




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回は、俺の元にいる赤髪のお人好しこと士郎を紹介しよう」

士郎/カード名【剣製の贋作者(フェイカー) 士郎】
属性/無・人間・斬&射&魔・剣&弓

オリジナルと見た目そのままの贋作を作れて、しかも永久に存在し続ける力を持つ魔術を持つ青年。
常にセイバーと言われている女性と行動を共にしている。

憑友「彼の作った剣は、折れるまで永久に消えない。
ロックに付いてるアーチャーとは何か関係があるようだ…」

次回

作戦会議/移送開始

憑友「次回はいよいよ第5話の核心へと迫るぜ!
また見てくれよな!」


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第29話 作戦会議/移送開始

いよいよバトルシーンが近づいて来たー!
俺の本領発揮だぜ!

という訳で今回のお話をどうぞ。
あ、因みにオリキャラ登場します。


憑友は急いでブリーフィングルームへと入室すると、そこには多くの二課のスタッフが既に待機していた。

何処に座ろうか迷っていると、

 

「あ、此方です!」

 

と、声が聞こえたのでその方を見ると、1人の女性スタッフが手を振っていたので、急いでその場所へと向かい、確保していたであろう席に座った。

 

すると先程の女性スタッフが耳打ち程度に話しかけてきた。

 

「響さんが心配してましたよ?」

 

「あはは…。彼奴にも言っておきます。

それはそうと、ありがとうございます。えっと…」

 

牧藁牛乳(まきわらミルク)よ。

実家が牧場経営で、こんな名前になってるの」

 

「そうですか。では改めて…ありがとうございます。牛乳(ミルク)さん」

 

「如何致しまして♪…と、如何やら始まるみたいよ」

 

「!」

 

そう言うと憑友は前を向き、そして会議の内容を聞いた。

 

その内容とは先ず、

 

ノイズが頻繁にリディアン周辺に現れているのは、特機部二の更に真下、通称《アビス》に眠りし完全聖遺物【デュランダル】を狙っているという可能性があると言う事。

そこで、二課はこの聖遺物を永田町最深部の特別電算室《記憶の遺跡》への移送を計画する事案が成されたという事。

そしてその執行時間が翌日の明朝5時との事だった。

後の内容はチップに記載されてあり、後で配布するとの事だった。

 

上の意向には流石の弦十郎も逆らえなかった様だ。

 

 

そしてその日は解散となった。

 

すると憑友は先程の女性スタッフ・牧藁の所へと赴いた。

 

「あの…今度、牛乳(ミルク)さんのご実家に行っても良いでしょうか?

何事も先ずは試せというのが性分なんで」

 

「ふふっ。変わった子。でも良いわ。この騒動が終わったら、連絡してみるわ」

 

「!ありがとうございます!」

 

そう言うと響が待っていたらしく、憑友は牧藁に一礼すると響と共に了子の所へと赴いて行った。

 

そして響と憑友は了子がデュランダルを回収する作業を見ていた。

回収している間は、響が時々喋っていたが、憑友はあんまり浮かない顔をしていた。

 

「(…何か嫌な予感しかしない…何故なんだろうな…)」

 

『まぁた、いつもの推理タイムか?』

 

すると彼の横からユルセンが現れたので、憑友は話をした。

因みに前回も今回も響達には聞こえてはいない。

何故なら、なのはから教わった方法《念話》を用いて話しているから。

尤も、話し相手であるユルセンは幽霊なので、普通に喋れるのだが…。

 

「(んで?お前は今日は此処に何しに来たんだ?)」

 

『…あんまり、あの剣に響を触れさせるなよ?』

 

「(はぁ?何の…って、いねぇし…)」

 

ユルセンが何かを呟いたので、憑友は何かを言い返そうとしたが…そこにはもうユルセンはいなく、憑友は頭を掻いていた。

 

「?如何したの?」

 

「…いや、何でもない」

 

響がそんな憑友を見て話しかけてきたが、憑友は何事も無かったかのように、回収作業の続きを見た。

 

「ほぇ〜…彼処がアビスですか?」

 

「東京スカイタワー3本分を誇る長さで、1800mぐらいの長さになるのよ♪」

 

「長過ぎじゃねぇか⁉︎」

 

了子の言った一言に思わず憑友はツッコミを入れた。

しかし、当然ながらスルーされるのであった。

それを見た憑友は軽くorz状態になっていたのは言うまでもない。

 

 

すると了子が2人に暫くの仮眠を取るように促してきたので、憑友はすぐに立ち直るや、了子のご厚意に甘える事にした。

 

そして寮に着くと案の定、未来がいたのだった。

 

「ちょっと、響!憑友!朝から何処行ってたのよ!

いきなり修行とか言われても…」

 

「ああ、いや〜その〜」

 

未来の言葉に響は目を泳がせながら、憑友に弁明の余地をお願いしようとしたら、憑友の様子が変だった。

まるでウトウトしていた。

 

「(やばい…眠くなってきた…)響…行くぞ〜」

 

「え⁉︎ちょっ!ちょっと待って⁉︎」

 

あまりの睡魔にこのままでは此処で爆睡しかねないと思った憑友は最後の力を振り絞って、響の腕を掴むとそのまま全速力で寮から出て行った。

 

「ああ、ちょっと…」

 

未来がそんな2人を止めようとしたが、結局2人を止める事が出来なかった。

 

「…心配もさせてくれないなんて…」

 

ーーーーー

そして、響は憑友と共に、二課のロビーにて寛いでいた。

 

だが、それは憑友だけで、響は溜め息をついていた。

何故なら、

 

「zzz…zzz…zzz…」

 

肝心の憑友が爆睡してしまったからだ。

まぁ、その他には先程の未来の事も兼ねていたのだが。

 

そんな響の所に緒川が現れた。

響はこの前のビデオレターの件の感想を直接緒川に言うと、緒川は安心したかのように、一安心していた。

すると緒川は翼の容態が安定した事を響に伝えると、響は良かったとホッと一安心していた。

 

そして緒川のだが話を聞いて、響は気が楽になり、憑友を起こそうとしたが、緒川が面倒を見ると言ったので、響はその厚意に甘えて、1人先に行った。

それを確認した緒川は呟きながら、憑友に顔を向けた。

 

「翼さんも響さんみたいに素直になったら良いのにな…

そう思いませんか?憑友君」

 

「…いつ気付いた、忍びさんよ?」

 

そこには半目状態の憑友がソファ全体を使って、呑気に寛いでいた。

 

「僕が翼さんのことを喋り始めた時からですよ」

 

「…お前、やっぱり怖いよ…色々と」

 

「何の事でしょうね?」ニコッ

 

「…いけ好かねえ…と。んじゃあな」

 

そう言うと憑友はソファから立ち上がり、響の後を追った。

それを見た緒川は相変わらず、笑顔を振りまきながら、2人を見送っていたのであった。

 

 

ーーーーー

そして翌日の明朝…

 

多数の黒い車と、ピンクの車が並び、その近くにはヘリが一機ある中、

 

黒スーツを纏ったまるで○走中に存在するハ○ターのような格好をした男達と、響と憑友が整列していた。

 

すると弦十郎が話をし始めた。

 

「防衛大臣殺害犯を検挙する名目で検問を配備、

《記憶の遺跡》まで一気に駆け抜ける!」

 

その話を聞いた憑友と響は真剣の表情を見せた。

 

「名付けて、『天下のオーライ!独り占め作戦!』」

 

「では…出発だ!」

 

その一言を合図に皆は出発したのであった…!




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回は前回の士郎のパートナーである女性・セイバーの事を紹介しよう」

セイバー/カード名【騎士達の王 セイバー】
属性/光・英霊・斬・剣

士郎と共に行動する女性。
剣の腕は相当の実力者。
そしてかなりの高燃費で、皆から『腹ペコ王』と呼ばれている。

憑友「コミカルな面を持ちつつも、其処はやはり英霊らしく、
数多の敵を一掃する実力を持っている。
その一振りで、城を崩壊させる程…!」

次回

移送作戦/修行の成果

憑友「次はお待ちかねのバトルシーンが登場だ!
次回も見てくれよな!」


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第30話 移送作戦/修行の成果

ラストで遂にバトルシーンだ!
よっしゃぁぁぁぁ!此処からが俺の見せ場だぜーー‼︎


車は出発した。

 

ピンクの車を中心に、四方を黒の車で固めていた。

ピンクの車の車内には運転席には所持者である了子が、

助手席には響が、そしてその後ろには完全聖遺物《デュランダル》が入ったアタッシュケースが、

そしてその《デュランダル》の隣には憑友が足と腕を組みながら、瞑想をしていた。

 

弦十郎はヘリに乗り、上空から様子を見ていた。

そして橋に入った時、響は窓を開けて前後を見てみると、

 

「…前方注意」

 

「え?…‼︎」

 

憑友が言った一言に響は前をみると左前方に亀裂があると思った瞬間!

その亀裂が崩壊した!

 

「了子さん!」

 

「!」

 

すると了子はすかさず車を右へと回した!

その際に瞑想していた憑友はそのままアタッシュケースに頭を強打した!

 

「あ痛っ⁉︎」

 

「憑友⁈」

 

いくら半分死んでいる身でも、やはり痛いものは痛かったようで、頭を大きく抱えていると、

 

「しっかり捕まっててね。私のドラテクは凶暴よ〜」

 

「え?」「げ⁉︎」

 

するとスピードを上げ、そして橋の先のゲートを通ると弦十郎から通信が入ってくる。

了子と響はナビから、憑友は端末のライドからその通信を聴いた。

 

『敵襲だ!座標は確認出来ていないが、恐らくノイズだろう!』

「この展開…想定していたよりも、早いかも!」

 

そう言って響達が乗ったピンクの車がマンホールを通過したと同時に、後ろの車が吹っ飛ばされた!

 

「な⁉︎…まさか…ライドさん!」

 

『言わなくてもリサーチ済みだ!

奴らは地下水から奇襲をかけている!気を付けろ!』

 

ライドの話を聞いた皆。

すると今度は前の車が吹っ飛ばされた!そしてそのまま此方に向かってきた!

 

「了子さん!」

 

するとすかさず了子はハンドルを左に回す!

そして勿論、今度は窓に頭を強打される憑友がいたのは言うまでもない。

 

「痛い〜…頭、響みたいな馬鹿になりそう…」

 

「酷いよ⁉︎」

 

すると了子はそんな状況をほっといて、弦十郎と通信をし始めた。

 

「弦十郎君?ちょっとヤバいんじゃない?

この先の薬品工場で爆発でもしたら、《デュランダル》が…」

『分かっている!』

 

するとライドが説明をしてきた。

 

『護衛車を的確に狙ってくるノイズ…憑友。君はどう捉える?』

 

「…ノイズを操ってる奴がいると言う事だな」

 

「⁉︎」

 

「先日のあの子かしら?」

 

「ええ」

 

『憑友。その可能性があると言うのなら、もしかしたら…』

 

「…彼奴もいると考えなければな」

 

憑友はライドの話からある予想を立てた。

もしかしたら、あの子…《ネフシュタンの鎧》を纏った少女がこの近くにいる可能性があると言う事。

そして、もしかしたら、《水魂導師》ソウルことロックが、そこにいるかもしれないと言う可能性へと辿り着いた。

 

その話を聞いた響は、浮かない顔をしていたが、すぐに吹っ切れたようだ。

 

ーーーーーSIDEto憑友

響が俺の話を聞いた時は浮かない顔をして心配したけど、どうやら杞憂だったようだ。

 

「それで、勝算は⁉︎」

『思いつきを数字で語れるものかよ!』

 

如何やら了子さんと弦十郎師匠の話は纏まっていたようだ。

敢えて危険地帯に進む事で、人々の軽減を減らす寸法のようだ。

そうしていると前方の護衛車にノイズが襲いかかり、護衛車内の男達はすぐに走行中の車から降りて、車は爆発した。

 

そしてそれと同時に、薬品工場の近くまで来ていた。

響は歓喜を上げているけど、そう簡単に終わるつもりは無いらしいな。

現に…

 

ガタンッ!

 

「あ」

 

「やっぱりか…」

 

了子さんの車の片輪が浮き、その勢いのあるスピードに乗ったまま、車は見事に反転し、スピンをした。

 

うぐっ…気持ち悪ィ…

 

そうしていると、響と了子が車から脱出したので、俺も急いで、シートベルトを外し、デュランダルを担いで脱出した。

 

するとそこには既に大量のノイズ達がうじゃうじゃと群がっていた。

 

「っち!(こう言う時に、限って…デュランダルが重たすぎる!)」

 

流石に肩に担いでいるとは言え、あまりにも重い。動きが思いきり阻害されても可笑しく無い…!

 

俺は辺りを見渡すと、とある一角にあの子…《ネフシュタンの鎧》を纏った少女が高みの見物をしていた。

 

「了子さん。これいくら俺でも、重く感じるんですけど…」

 

「だったら、いっそのこと此処に置いて私達は逃げましょ?」

 

はあ⁉︎何言ってるのあんた⁈

 

「そんなのダメです!」

 

「それもそうよね…」

 

分かってるのなら、最初から言うな⁉︎こっちの身が持たないよ!特に肩が⁉︎

 

そうしていると、ノイズ達が身体を変化させ、特攻してきた!

それを見た俺達は瞬時に車から離れた!

それと同時に車が爆発した!その影響で、思いきり吹き飛ばされた!

 

なんとか俺は衝撃を和らげて、なんとか回避に成功したけど、やはりまだ響には回避する事が難しいのかもしれない。その所為で、一瞬気絶してしまった。

 

『憑友。如何やら、弦十郎氏はこの車の黒煙で、こちらの視界を捉えきれていないらしい』

 

「だったら、録画機能開始!」

 

『分かった!』

 

そう言うと俺はライドさんに備わった機能の1つ・録画機能を使用した。

 

するとまたノイズが特攻して来た!

くっ!変身すると先程の録画機能は完全停止してしまうから…使えない!

如何すれば…!

 

そんな時、了子さんが手を前に出した。

するとそこから紫色のバリアが!

 

俺達を守ってる…?了子さんが⁈

 

いや、それよりも、あんな芸当は常人なら使えない!

 

「了子さん?」

 

すると響がようやく目を覚ました。俺は響の方を見た後、了子さんに話をした。

 

「了子さん…それは一体?」

 

「出来る女の嗜みよ♪」

 

「…これ以上ツッコまないようにしよう」

 

如何せスルーするなら、いっそツッコまないようにすれば良いんだ。

…と言うか、なんで今まで気付かなかったんだろう。

 

「それはそうと、貴方達のやりたい事を…やってみなさい」

 

「「!…了解!」」

 

すると俺はライドに録画機能を取り消し、そして左腕に装着し、カードを装填、そしてレバーを引いた。それと同時に響は聖詠を歌った…

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron…」

 

「変身!」

 

ーライド!フォーム、オ・レ!

英雄の魂、オレに宿れ!ー

 

すると俺達の姿は《炎魂導師》ライドとガングニールのシンフォギアを纏っていた。

 

俺はすかさずあの少女の周りを見た。けれど、彼処に彼奴はいない…

すると響がまっすぐ突っ込んでいったので、止めようとしたけど、如何やら地面に露出していた鉄パイプに引っかかり、転倒するも、すかさず立ち上がる。

 

「(ヒールが邪魔だ!)」

 

すると響は足のヒール部分を取り壊した!

ふっ…お前らしいよ。全く。

 

そして其処からは響の土壇場だった。

ノイズの猛攻を意図も簡単に倒していく。

確実に弦十郎師匠の修行が身についていた。

 

俺も負けてられないと思い、戦闘態勢に入ると、カードケースからヴィヴィオちゃんが現れた。如何したんだ?

 

「すみません!今すぐ私のカードを使って下さい!」

 

「⁈…訳は後で聞く事にして、今はそうするか!」

 

そう言うと俺はすかさずカードケースからヴィヴィオのカードを取り出して、アブソーバー内のカードと交換、そしてレバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、ヴィヴィオ‼︎ー

 

すると其処からヴィヴィオの通称『大人モード』の時の姿が現れ、俺はそれを纏った!

 

ー幼き聖王!不屈の娘!ー

 

そして俺のヘアースタイルはショートからサイドポニーに変わり、

服装も黒タイツと上に白いジャケットを羽織った姿をした。

そして俺は目を開けた。

其処には、赤と緑の異彩眼(オッドアイ)がくっきりと描かれていた。

 

俺はすかさず集中する。

 

神経を研ぎ澄ませ…

 

 

 

俺はすかさず自分の後ろに振り返り、そして渾身の右ストレートを放った!

 

「其処だーーーーー!」

 

するとその攻撃に気付いたのか、その存在は姿を露わにし、俺の攻撃を防いだ。

 

「…何故、此処にいると分かった?」

 

そうだな…敢えて言うなら…

 

「魔力がダダ漏れ。殺気出まくり。微妙な足音。そして…

ガーリック臭い事くらいだな?」

 

「…お前は犬か」

 

「お前に言われたくないよ!ソウル‼︎」

 

そうだ。俺の放った場所にいたのは、《水魂導師》ソウルことロックが其処にいたのだ。

 

確かに今の俺は常人の人よりも敏感だけど、犬呼ばわりして欲しくない!

寧ろ、お前みたいに上の存在にみすみす命令を受けて実行しているお前の方が犬呼ばわりされても可笑しくねぇっての!

 

「それもそうか。ならば!」

 

そう言うとロックはカードケースからカードを取り出す。

其処には水色の髪で少し洋風な雰囲気を纏った同じ形の剣を使用する少女が描かれていた。

するとロックはそのカードを装填し、レバーを引いた!

 

「変身」

 

ーソウル!フォーム、サヤカ!ー

 

するとアブソーバーから、先程のイラストの少女の魂が現れ、ロックはそれを纏った!

 

ー槍に答えし、無限の(つるぎ)!ー

 

その姿を見た俺は警戒をする。するとカードケースからほむらさんが現れた。

 

「まさか…さやか、貴方なの⁉︎」

 

「え?」

 

まさか、同じ世界出身かよ⁉︎

そう言うと、ロックは剣を掲げた。

 

「お前との戦いに、ノイズは邪魔でしかならないからな。

結界の中へ、一名様ご案内」

 

「は?…!うわぁぁぁぁぁ⁉︎」

 

そうすると彼奴の周囲から禍々しい力が含まれた黒い球体が現れ、そして瞬時に巨大化した!

それを真面に受けた俺はそのままその結界の中へと連行されてしまった。

 

…しゃあないか。やるだけやってやらぁ!




憑友「…取り敢えず一言。
前書きの作者の暴走を何卒お許し下さい。
さて、本題に入るとしよう。
『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回は、俺が今日変身した少女・ヴィヴィオを紹介しよう」

ヴィヴィオ/カード名【不屈の心の娘 ヴィヴィオ】
属性/光・人造人間(クローン)・打&魔・拳

赤と緑のオッドアイが特徴の女の子で、なのはの義理の娘。
だけど、家族のように愛されている。
兎型のデバイス『セイクリッドハート(愛称クリス)』を使用する事で、急成長した大人モードの姿になる。

憑友「《ストライクアーツ》と呼ばれる格闘技を持っており、その実力は響を簡単に打ち負かす程。
虹色に輝く魔力光は未来へと導く架け橋とならん…!」

次回

結界内の攻防

憑友「次回は今作初の前後編!
乞うご期待!」


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第31話 結界内の攻防 前編

この作品では初めての前後編!
後編は今日19時に投稿予定。

ではどうぞ!


ーーーーーSIDEto憑友

俺は結界内に無理やり入れ込まれたが、なんとか着地に成功する。

でも、なんか気味悪い所だな…まるで闇が全てを覆い尽くしているかのような結界だ。

 

例えて言うなら…深海。そんな感じのする結界だった。

 

すると上空からロックがゆっくりと降りて、着地した。

 

「此処は魔女の結界と呼ばれるものだ」

 

「魔女の結界?」

 

んじゃあれか?自分は魔女ですとでも言っているのか?

 

「正確には、俺が纏っている魂の経緯が生んだ結界(もの)だと考えろ」

 

そう言うとロックはアブソーバーからカードを外し、そして新たなカードを装填し、レバーを引いた!すると其処から金髪で、腰に鞘を携えた青年の魂が現れ、それをロックは纏った!

 

ーソウル!フォーム、アオト!

聖なる扉!水の咎人!ー

 

電子音を聞いた俺はふと何かを思い出す。

 

聖なる扉…?何処かで聞いた事あるな。えっと〜

 

「俺を早く出せ!」

 

「うわぁ⁉︎脅かすなよアカネ…!」

 

考え事をしている最中にアカネがカードケースから無理やり出てきて来たので、驚いてしまった。

ん?アカネって確か…!そう言う事か!

 

「そうとなれば話は早い!」

 

そう言うと俺はすかさずカードを取り出し、アブソーバーのカードと交換し、レバーを引いた!

交換したカードは【炎を灯した少年 アカネ】…先程会話したアカネのカードだ。

此奴となら…!

 

そう考えると俺は瞬時にアカネの魂を纏った!

 

ーライド!フォーム、アカネ!

聖なる扉!炎の咎人!ー

 

するとロックの方から1人の青年の魂が見えた…!

 

「アカネ…⁉︎」

 

「おい!アオト!これは如何言う事だよ!なんでお前がそっち側に付いてるんだよ!」

 

え?まさかのお知り合い⁈

 

「俺達はミドリと同じアカデミーからの同級生だ」

 

マジかよ⁉︎

と言うか、此処まで関連者が多いのは凄すぎなんだけど⁈

 

なのはさんとフェイト?さん。

 

ルドガーとユリウス?さん。

 

ほむらさんとさやか?さん。

 

そしてアカネとアオト?だっけ?

 

これだけ関連している組み合わせがあるのはある意味凄いことだな。

 

 

「"ワダツミ"!」

 

「!"イグナイト"!」

 

そう考えていたら、ロックがいきなり刀で攻撃をして来やがったから、俺は無理やり拳をぶつけた!

 

…くぅ〜…手が痛い〜

 

「なら、これは如何だ!」

 

そう言うとロックの左腕に装着されていたアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

必殺技か!そんな事、させるかよ!

 

「燃やし尽くせ!"メギド・フレイム"‼︎」

 

俺はすかさず両手の拳で大火力の炎をお見舞いさせた!

いくら必殺技と言えど、詠唱含む溜め時間(チャージ)が必要なのが弱点!ならば、通常技を受ければそれだけ相手に隙が生まれる!

これならば…

 

 

そう思っていた時もありました。

けれど、奴は違った。

 

 

『ソウル・アオト!フルドライブ!』

 

「⁉︎」

 

俺の攻撃を全て受けたのにも関わらず、彼奴の身体には傷1つついていなかった!

何故だと思っていたら、相手が説明をし始めた。

 

「技の名は、"アブソリュート・シン"。

如何なる技を受けても、どんな状態異常をも全回復させる回復特化型の必殺技だ」

 

「な、何⁉︎」

 

回復型の必殺技だと⁉︎

それじゃあ、彼奴に勝てる策がねぇ!

 

「水よ逆巻け…!"アブソリュート・ゼロ"」

 

!しまった!

 

「ぐわあ⁉︎」

 

くっ!かなり痛い。…そうだった。今の俺は〔炎〕を纏っているから、彼奴の〔水〕にはめっぽう弱かったんだ…!

 

「くそ!」

 

落ち着け俺。こんな所で怒りに身を任せたら、それこそ埒があかねぇ。

 

「だったら、次はこれだ!」

 

そう言うと俺はすかさずカードを取り出し、交換、そしてレバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、エレン!ー

 

此奴の機動力を活かせば!

 

ー反撃の狼煙!怒りの戦士!ー

 

俺は調査兵団と言う部隊に所属する青年・エレンの魂を纏った。

 

「ふっ。まさか()()も同じやつを持っているとはな?」

 

え?()()も?如何言う事だ⁉︎

 

するとロックはカードを取り出し、俺と同じ行動を取った。

 

ーソウル!フォーム、リヴァイ!

史上最強、兵士長!ー

 

すると其処には、エレンと同じ制服を纏ったロックが其処にいた!

 

「⁉︎馬鹿な!」

 

「行っただろう?お前に出来て、俺に出来ないものは無い。と」

 

…くっ!ますます、怒りに身を任せてしまいそうだ!

 

「其方が来ないのなら、此方から行かせて貰う!」

 

そう言うとロックは腰についてある機動装置を使い、結界内を縦横無尽に駆け回りはじめた!

 

不味い!此処にいたら、却って的になるだけ!

だったら、俺も彼奴のスピードに追いつけばいい!

 

そう言うと、俺はエレンの力を借りて、すぐに機動装置を機動させ、縦横無尽に動き回る!

 

そして其処から無数の斬撃を与える空中戦を行った。

 

けど、圧倒的に強すぎる!

 

差が歴然だった。まるで、キャリアが違うと感じたぐらいだ。

 

俺はすぐに地上に着地すると、今度はほむらさんのカードを取り出して、交換、そしてレバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、ホムラ!ー

 

其処には銃と盾を持った黒がメインカラーの少女の魂が現れ、俺はそれを纏った!

 

ー時間の叛逆!無限に連なれ!ー

 

「っ!」

 

そう言うと俺は辺り一帯を攻撃をした!

数撃ちゃ当たるって言うしな!

 

「くっ!」

 

その内の1発が掠ったのか、ロックはすぐに地上に着地した。

 

後は、このまま追い詰める!

 

「…変身」

 

するとロックはすぐに新たなカードを取り出し、交換してレバーを引いた!

 

ーソウル!フォーム、クルミ!ー

 

すると其処から目の色が赤と黄色のゴスロリ姿の魂が現れた!

…⁉︎いや、よく見たら、黄色の眼には時計のようなものが刻まれてるだと⁉︎

 

それを見ていた俺の隙をつき、ロックはすぐにその魂を纏った!

 

ー時の精霊、ナイトメア!ー

 

其処にはゴスロリ柄の衣装を身に纏ったロックが其処にいた。

そして、長針のような銃と短針のような銃の2つを構えた。

まるで、10時10分を示しているかのように。

 

「時間を叛逆する者同士…何方が上か、やってみるか?」

 

そう言うとロックはすぐに銃を此方に向けて撃って来やがった!

 

俺はすかさず左腕に装着されていた盾で防ぐ。

因みにその盾の内側にライドさんがいたりする。

 

俺はすかさず右手に銃を構えて放った!

けど、やはりそう簡単には当たってくれない!

 

「くっ!」

 

『落ち着きなさい、憑友』

 

!ほむらさん⁈何処から⁈

 

『一応、貴方の魂の中にいるわ。

それよりもよく聞きなさい。

私は確かに貴方に銃の扱い方を教えたわ。

けど、私の魂を使っても、それは無意味に等しいわ』

 

⁉︎如何言う事ですか!

 

『私の力は『時間操作』の能力が主よ。

攻撃力ははっきり言うと駄目よ。もちろん自覚してるわよ』

 

くそっ!

 

「如何した?そんな程度か?」

 

…不味いな。完全に相手のペースに乗ってしまっている…!

こんな時、如何すれば…

するとカードケースから1枚のカードが現れた。

 

このカードは…!

すると俺はすかさずそのカードを手に取った!

そのカードはつい最近仲間になった相手のカードだ。

 

戦ってくれるのか?

 

「ああ。共に行こう!憑友君!」

 

良し!それじゃあ!反撃だ!

 

そう言うと俺はすかさずアブソーバーのカードと交換、そしてレバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、ジン!ー

 

するとアブソーバーから紫色を主体とした角が生えたマントを羽織ったような戦士の魂が現れ、それを纏った!

 

ー瞬殺!秒殺!皇帝降臨!ー

 

黒い甲冑を身に包み、そして身の丈ど同等の長さを誇るハンマーを掲げた戦士に俺はなった!

 

名付けるなら…《炎魂導師》ライド・ジンフォーム。

 

又の名を…《秒殺の皇帝》の再来!

 

すると俺はすかさずその身を動かした!

 

!速い!

 

「⁉︎何っ⁉︎ぐはっ!」

 

動くスピードが速い!

ハンマーって言えば、それこそ重たいイメージがあるのに、これはそんなの関係ないくらいにまで全く影響していない!

 

ならば!一気に決める!

 

「"必殺ファンクション"!」

 

俺がそう叫ぶと、ライドアブソーバーから電子音が聞こえた!

というより…微妙なネーミングだよな…これ。

 

ー"アタックファンクション"!

 

"インパクトカイザー"!ー

 

すると俺は大きく振りかぶり、そのままハンマーを地面に叩きつけた!

すると其処から炎柱が発生し、ロックはその攻撃を真面に食らった!

 

よし!手応えあり!

 

「くっ!ならば!」

 

すると今度は別のカードを取り出してレバーを引いた!

 

ーソウル!フォーム、タツヤ!ー

 

するとアブソーバーから白い服に身を包んだ変わった銃口の形をした2丁拳銃を携えた青年の魂が現れ、それを纏った!

 

悪魔の右手(demonright)神の左手(divineleft)!ー

 

⁉︎なんだこの感覚!…まるで何か嫌な予感しかしない!

すると今度は、

 

「大丈夫か⁉︎憑友!」

 

師匠(せんせー)

 

俺に劍術を教わったキリト師匠(せんせー)だった!

 

「すみません。せんせーの力をお貸し下さい!」

 

「よっしゃ!任せろ!」

 

そう言うとカードが現れ、俺はすかさず取ると、ジンのカードと入れ替え、そしてレバーを引き、現れた魂を纏った!

 

ーライド!フォーム、キリト!

黒剣、双閃、アメイジング!ー

 

すると、ロックの側から1人の青年の魂が見えた!

彼奴がロックが変身している魂の存在か。

 

「2丁拳銃と二刀流…悪くは無いな」

 

「生憎、こっちも同意見だけどな!」

 

そう言うと俺は背中に携えた剣を双方持って構え、

ロックも懐から2丁の拳銃を取り出し、構えた。

 

 

静けさが蔓延る中、お互い先ずは様子を見る。

少しずつ、そして着実に狙い定める!

 

そして、俺の額から汗が滴り、地面に落ちた。

 

それを合図に攻撃が開始された。

 

ロックは拳銃を巧みに操って、魔法陣を発生させて、攻撃しようとしていた!

けど、俺のキリト師匠にそんなもんは通用しない!

 

「っ!」「はぁっ!」

 

ジャキィィン!

 

その掛け声と砕けた音を聞いたロックは凝視した。

自分で作った魔法陣を()()()()()誰だって驚くもんさ。

 

キリト師匠の能力『破壊(ブラスト)』の能力が発動したからだ。

 

この効果は、相手の攻撃属性が、〔拳闘〕〔守護〕〔回復〕以外の属性なら、破壊する事が出来る能力であり、これはキリト師匠だけしか扱えないとまさに唯一無二の能力だ。

 

だから、負けられないんだよ!

 

相手も必死に攻撃をするも、数多の魔法陣を斬って行くその勇ましさは相変わらず凄いとしか思えないぜ!

 

「ふっ、ならば…!」

 

そう言うと今度はまた別のカードを取り出し、入れ替えてレバーを引いた!

 

ーソウル!フォーム、アーチャー!ー

 

するとロックのアブソーバーから赤い外套を羽織った男の魂が現れ、ロックはそれを纏った!

 

ーUnlimited Blade Works!ー

 

そしてすかさず腕を臍を隠すかのように交差すると、

 

同調開始(トレース・オン)

 

其処から1組の短剣が現れた。

白と黒の剣…まるで夫婦のような剣だった。

 

「はぁっ!」

 

「⁉︎くっ!」

 

!いきなりかよ!距離にして数十m先にいた筈なのに、此処まで来るなんて!

しかも…強い…!

 

「この魂は俺が初めて出会った『英雄』の力だ。お前に負けるつもりは無い!」

 

「そうかよ…!だけどな!俺だって、この姿になったからには、負けるつもりはねぇ!」

 

何故なら…あんたと同じで…

 

キリト師匠(せんせー)は俺が初めて出会った『英雄』だからだ!

 

こんな所で負けられないんだよ‼︎

 

「ふっ!」

 

「!」

 

そう言うと俺はすかさず吹き飛ばした!

それを見たロックは瞬時に後退する。

そして互いに剣を構える。

 

そして…一気に!

 

ガキィン!

 

ガキィン!

 

ガキィン!

 

激しくぶつかり合う剣と剣。

 

しかし、ロックの方の剣は罅が入ってきていた!

 

「はぁぁぁぁあ!」

 

パリィィィン…!

 

その一撃で、剣は破壊された!

其処から一撃…!

するとロックは小声で、

 

同調開始(トレース・オン)…」

 

と言った。

 

その瞬間、

 

ガキィン!

 

…え?

 

俺は目を見開いた。

だって、先程使用していた剣が…罅1つも無い…完璧の状態で、元に戻っていたから!

 

 

「はぁっ!」

 

「⁉︎ぐわぁ!」

 

その攻撃で俺はおもいきり吹っ飛ばされた!

 

くっ!何が起こったんだよ…!

 

「無駄だ。こいつの能力『剣製』の前には、幾ら強力な武器で挑もうと思っても、こちらは"贋作"で挑んでいる…

言うならば、此方には無限に同じ武器で戦えると言う訳だ」

 

⁉︎なんだよ…それ…⁉︎

そんなんだと…勝ち目が無いじゃ無いか!

相手の武器が無限に同じ物を作れると言うなら、如何したら…

 

その時だった。

またカードケースから1枚のカードが現れた。

 

「あまり無茶するなよ」

 

「…衛宮さん」

 

現れたのは、魔術師と呼ばれる存在・衛宮さんだった。

 

「俺と変わってくれ」

 

「…了解です」

 

本当ならキリト師匠で決着を付けたかったけど…仕方ない。

 

すると俺はキリト師匠のカードと衛宮のカードを入れ替え、そしてレバーを引いた。

 

ーライド!フォーム、シロウ!ー

 

するとアブソーバーから赤髪で白と紺の服を着ている魂が現れ、俺はそれを纏った。

 

ー剣製魔術師、トレース・オン!ー

 

ーーーーーSIDEtoロック

 

ーライド!フォーム、シロウ!

剣製魔術師、トレース・オン!ー

 

彼奴が纏った魂に俺は余裕な態度を示していた。だが、

 

『気をつけろ。仮のマスターよ』

 

俺と同体化しているアーチャーからそんな事を言われた。

アーチャーが危惧する理由が分からない。

 

すると彼奴…憑友は臍の所で腕を交差させ…

 

同調開始(トレース・オン)

 

そう言うとその手には、アーチャーと同じ武器『夫婦剣 干将・莫耶』が握られていた!

 

馬鹿な⁉︎あの武器はアーチャーの武器の筈!

何故、彼奴がそれを出せる⁉︎

 

「行くぞ…赤き弓兵‼︎」

 

tobecontinued…




現在、憑友君はロック君と激闘中の為、『英雄』紹介はお休みとさせて頂きます。

では次回はいよいよ後編!
マニアックなアニメキャラも登場しますので、ご了承下さい。


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第31話 結界内の攻防 後編

後編です。

結構、マニアックなアニメキャラ出てきてますのでご了承下さい。

…あれ?これ前回の後書きにも言わなかったっけ?


ーーーーーSIDEtoロック

何故、彼奴からアーチャーの武器『夫婦剣 干将・莫耶』が現れたんだ⁉︎

そう考えていると、憑友はその夫婦剣を投げてきた!

 

そう言えば、『干将・莫耶』には同時に投げる事でブーメランのような性質が付加する事が出来るって、前にアーチャーが言っていたな。

ならば!

 

「ふっ!」

 

俺も同じ手でやるだけ!

 

そしてすかさず《黒弓フェイルノート》を取り出し、そして同調(トレース)したのは、かの有名な聖剣のモデルにもなったと言われる螺旋の剣。

 

俺はすかさず詠唱をする…

 

我が骨子は捻り狂う(I am the bone of my sword.)…」

 

今こそ穿たん…螺旋の剣の矢よ!

 

偽・螺旋剣(ガラドボルグⅡ)!」

 

これなら…⁉︎

 

「はぁっ!」

 

俺はそいつの行動に驚かされた…

 

俺が放った矢を…彼奴は受け止め、そして…斬った…!

 

馬鹿な⁉︎彼奴の剣は確かにブーメランの状態で、今は俺の後ろに飛ばされている筈なのに…?

 

すると俺はそいつの行動に疑問を感じた。

何故か、彼奴の攻撃パターンは何処かで見た事が有るような…

 

そうだ。アーチャーだ。

アーチャーと同じ戦闘スタイルを持っているんだ。

だけど、彼奴の使った【ヒーローカード】は全くの別物。

なのに、何故此処までアーチャーの武器を巧みに扱える⁈

 

そう感じていると、彼奴の手はまた交差し、そして詠唱した。

 

同調開始(トレース・オン)

 

そして、そいつの手から身の丈を優に越す、石で作られた巨大すぎる大剣が現れた!

なんだよ…あの武器は⁉︎

 

するとその大剣を持ったまま、懐へ…⁉︎

あの重たい武器を軽々と持っていながら、少なくても30mは離れていた場所を瞬時に来るなんて⁉︎

 

そう言うと9回、俺の急所を狙ってきやがった!

 

「ぐはっ‼︎」

 

あまりのスピードに俺は何も出来なかった。

 

是・射殺す百頭(ナインライブズ・ブレイドワークス)

 

彼奴…《炎魂導師》は確かにそう言った。

 

くっ!相手がそう来るなら…!此方はその伝説を壊してやる!

 

そう言うと俺は新しいカードを取り出し、アーチャーと交代、そしてレバーを引いた!

 

ーソウル!フォーム、イズナ!ー

 

するとアブソーバーから黒を基調とした鎧を身に纏った青年の魂が現れた。

しかも、後ろには竜を冠する程の威圧も持っていた。

俺はすかさずそれを纏った。

 

ー伝説粉砕!黒き稲妻!ー

 

その姿はまるで竜の鎧を纏いし竜使いとでも呼んでも可笑しくない格好になっていた。

 

そのまま俺に先程の大剣をぶつけて来る憑友。

だが…

 

 

バリィィィンッ!

 

「⁉︎」

 

幾ら堅い大剣でも、この鎧には傷一つ付かないとは…!

己自身も驚いている。

 

ただ、気力の消費が半端じゃない…!

こうしているだけでも、かなりの精神力を削がれて行っているとは…!

 

「何だよ…それ、ありかよ⁉︎」

 

ありだから仕方ない。

 

「これは『伝説を砕きし者《ガイストクラッシャー》』と呼ばれた者の1人が装着する姿で、名は"ライトニング・ドラグーン"。

黒き雷を生み出す黒龍の力を宿した鎧だ。

だが、これだけで終わる訳が無いのでな!」

 

そう言うと俺は全身で気を貯め始める。そうでもしないと、気力を持っていかれてしまうからな。

 

…良し。今だ。

 

そう言うと俺はアブソーバーのディスプレイを見た。

そこには、パネルボタンが3つあり、うち左側のパネルボタンは少し暗くなっている。

そこで俺は右側のパネルボタンを押した。

 

ーフォームチェンジ!ウェポンフォーム‼︎ー

 

電子音からそう発声されると俺の体に身に纏った鎧が飛散し、そして右手に紫水晶(アメシスト)の輝きが集まりだすと、そこから1つの槍が現れた。

 

「はぁぁぁぁ!」

 

「なぁ⁉︎」

 

そう言うと俺は両手でその槍を巧みに操る!

そのあまりの早さにさすがの《炎魂導師》も避けるだけしか出来ないとは…!

そう考えていたら…

 

「なぁ?此処に軽く1時間ぐらい居るんだけど?まだやるつもりなのか?」

 

…何?

 

ーーーーーーSIDEto憑友

 

俺はロックの槍の攻撃に必死になって避けていた。

最初こそは驚いていた。鎧から武器に変化するなんて考えてもいなかったからな。

けど、俺はそんな事は前々からやって来ていた動体視力のおかげで苦にならなかった。

それよりも…この結界に入ってから、違和感を感じまくっていた。

 

何故だろう…この結界に入ってから、時の流れが速く感じる様になっていた。

 

そこで俺はロックの攻撃を避けながら、こう告げた。

 

「なぁ?此処に軽く1時間ぐらい居るんだけど?まだやるつもりなのか?」

 

「…何?」

 

如何やら、相手は全く知らないらしい。

俺はこの間までに少なくても5回は『英雄』達の力を使い、変身をして来た。

けど、それは全て10分毎に変身を繰り返してきたんだ。

え?如何やって測ったかって?

ライドさんを甘くみすぎだな。

ライドさんには通称『如何でも良い機能』を付けているのだ。

以前見せたペースメーカーの他にも、ナビゲーターやカメラ等、戦闘時では多いに役立たない機能を豊富に付加されているのだ。

録画機能もその一つで、変身する際は強制解除されてしまうのが欠点だけど。

 

さて、話を戻すとして。

変身を繰り返した回数は今のこの姿で6回目。

つまり10×6=60。

60分=1時間と言う計算に基づく。と言う訳である。

 

すると、

 

「なら、此奴の力を倒せたら、この結界が解けるかもな?」

 

そう言うとロックはカードを交換、そしてレバーを引き、アブソーバーから現れた魂を纏った。

 

ーソウル!フォーム、サヤカ!

槍に答えし、無限の剣!ー

 

それはこの結界に送った際に使用していたほむらさんの世界の仲間の姿だった。

するとロックはすかさずアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『ソウル・サヤカ!フルドライブ!』

 

「はぁぁぁぁあ‼︎」

 

するとロックの姿が見る見る変化していく…!

 

その姿を見て、俺は吐き気に襲われそうになった。

だって、あんなにも()()()()姿()()()()()()を見たら、それこそ気分が悪くなっちまう!

 

『これを相手にお前は何処まで戦えるかな!』

 

…完全にキャラが変わってやがる。

先程までの冷静さは微塵も無く、代わりに超が付く程の熱苦しい性格になったかの様な性格になっていた。

 

だけどな…

 

「俺だって、負けたくないんだよ!」

 

俺は心の声と実際に言い放った声が一致した。

そうしていると、俺はカードケースから1枚のカードを取り出すと、それをアブソーバーに装填、そしてレバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、カケル!ー

 

するとアブソーバーからなんと真っ赤なスポーツカーが現れた!

俺はすかさずその車の上に乗り、

それを拳で叩いた!

 

するとそのスポーツカーは瞬く間に俺に纏わりついた!

 

ー赤き稲妻、ライバード‼︎ー

 

 

真っ赤な鎧を身に纏った戦士に俺は変身した。

 

…かっけええ…

 

「ゼツボー的にかっけええ!」

 

『…使い方違くないか?その言い方』

 

あれ?そう言えばそうだ。なんで言ったんだろう?

 

まぁいいか!そんな事は関係ないぜ!

 

そう言うと俺は何処から取り出したのか、変わった形状をした剣を取り出した。

そして俺は動き回る!

そのスピードにロックは驚き、そして最初の斬撃を与えた!

 

「ぐっ!」

 

そこからロックは所持していた剣を使い攻撃を仕掛けてくるが、

俺はそれを剣で防ぐ。

 

そして俺は防ぎながら、アブソーバーを見てみると、

ディスプレイにパネルボタンがあった。

 

2つのパネルボタンがあって、うち右側のパネルボタンは少し暗くなっていた。

そこで俺は防いでいた剣で押し返すと同時に、左側のパネルボタンを押した。

 

ーチェンジ!ビークルモード!ー

 

電子音からそんな声が聞こえると俺はすかさずバク宙をすると同時に俺は先程アブソーバーから現れた赤いスポーツカーに変化していた!

 

ト○ンス○ォー○ーかよ⁉︎

 

でも、中々良いぜ!

 

そう言うと俺は結界の周りをその姿で駆け回る!

 

ロックは逃すまいと、剣を無限に作り出して、攻撃を仕掛けてきたが、全て当たる事は無かった。

 

まだまだ行くぜ!…と思ったけど…

 

 

…如何やってさっきのロボット姿になれるんだ?

 

おれはそれに自問自答した。

するとライドさんが念話で話しかけてきた。

 

『(憑友。イメージしてみろ。この状態ではそれが一番良い方法だ)』

 

イメージ…?

 

兎に角今は…!

 

俺はイメージしてみた。

ビークルモード(この状態)からロボット(あの姿)に戻るイメージを…

すると、電子音が聞こえてきた。

 

ーチェンジ!ゼッターモード!ー

 

すると俺は元の姿に戻った!

 

良し!これで一気に決めてやる!

 

すると俺はライドアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・カケル!フルドライブ!』

 

すると俺は一気に跳躍!

ロックはそこが狙い目だと思ったのか、無限の剣を此方に放って来たが、関係ないぜ!

 

俺はそのまま背中のブースターを使い、相手に特攻していく!

 

そして軽く1捻りを加えて…!

 

「伝家宝刀!"ライトニングスラッシュ"‼︎」

 

 

すれ違う瞬間に斬撃を与え、そして俺は華麗に着地に成功した。

 

『ぐはぁ⁉︎』

 

その攻撃を受けて、ロックは元の姿に戻った。

それと同時に、結界に罅が入りそして、飛散した。

 

俺もそれを見届けると、カードを取り出し、《炎魂導師》のカードを入れて、レバーを引き、そして纏った。

まだ戦いは終わっていないからな。

 

「憑友!」

 

すると響がこっちにやって来た。

周りにいたノイズは結界に入る前よりもかなり少ない。

戦っていたのは響1人だから、響がノイズを殲滅していたんだな。

如何やら、1人でもノイズと戦える様だな。

 

そう感心していると…

 

「中々やるな…憑友…!」

 

「⁉︎」

 

ロックの声に俺は鳥肌を感じた。

いや、こんな時期なのに…寒く感じる…だと⁉︎

 

「寒っ⁉︎」

 

如何やら響も感じている…!

 

するとロックはカードケースから1枚のカードを取り出し、装填、そしてレバーを引いた!

 

ーソウル!フォーム、グレイ!ー

 

するとそこから白いコートを纏った男の魂が現れ、そしてロックはそれを纏った!

 

ー氷で凍てつけ、悪魔狩り〜!ー

 

纏った瞬間に更なる寒気が襲われた…!

 

くっ!なんだよこの力…!まるで化け物じゃねえか!

 

「続きと行こうぜ?」

 

くっ!ならば、そっちがその気なら…!

 

俺はすかさずカードを取り出し、カードを交換、そしてレバーを引いた。

入れたカードは【炎の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー) ナツ】

 

何故、このカードを入れたのかは分からなかったけど、今はこれが妥協なのかもしれない。

 

するとそこからナツの魂が現れ、俺はそれを纏った!

 

ーライド!フォーム、ナツ!

炎で滅せ、竜滅者!ー

 

「さぁ…

 

 

燃えてきたぞ…!」




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回は俺が最後に使用していたカケルについて紹介しよう」

カケル(本名 轟駆流)/カード名【赤き稲妻 カケル】
属性/雷&炎・人間&機械・斬・刀

ライバードと呼ばれる赤いスポーツカーに乗る小学生ドライバー。
ゼツボー的が口癖。

憑友「このカードは霊風先輩との1ヶ月の間で手に入れた新しい力だ。
必殺技"ライトニングスラッシュ"は彼の代名詞とも呼べる技でもある…!」

次回

火竜VS氷魔

憑友「次回はFAIRYTAILファン必見の激闘を見せてやる!
じゃあまたな!」
↑メタ発言したのに気付いていない。


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第32話 火竜VS氷魔

お待たせしました。
今回はFAIRYTAILのキャラに変身したロックと憑友の激闘回です。

そして、同時にこの話で漸くアニメ5話が終わりました。
…うん。長い。急いで次の作品を投稿しないと。


前回の話

薬品工場にて激闘を繰り広げていた響と憑友。

憑友はノイズ達の事を響に任せ、己は《水魂導師》ソウルことロックと激闘を繰り広げていた。

数多の変身を繰り返しながら、そしてロックが発生させた結界を生ませた存在の『英雄』を倒し、結界が崩壊。

憑友も無事に響と合流するも、

ロックから発生されて来る寒すぎる冷気を感じた憑友。

そこには『英雄』の1人【氷の滅悪魔導士(デビルスレイヤー) グレイ】を纏ったロックがいた。

憑友はそれに対して【炎の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー) ナツ】を纏ったのであった。

ーーーーーーNO SIDE

 

「さぁ…燃えてきたぞ…!」

 

そう言いながらハニかむ憑友。

その姿は首に鱗模様のマフラーを巻いて、袖なしのチョッキを羽織っていた。

響はこの姿を今回ので2度目なのだが、以前は夜だったので、どんな姿なのか、あまり分かっていなかった。

けれど、改めて見て思った事…

 

「…って、上チョッキ以外着てない⁉︎」

 

そう…チョッキ以外上着は()()()()()()()のだ。

 

そうするとロックの側から男の魂が現れた。

 

「随分と久しぶりだな…ナツ」

 

すると憑友の隣からナツの魂が現れた。

 

「お前こそな!グレイ!」

 

如何やら知り合いの様だ。

 

「とことんやってやらぁ!」

 

「上等じゃねぇか!」

 

そういうと2人は消えて、憑友は拳同士を打ち付けた。

 

「派手に行くとしますか!」

 

「ふん…そうするとしようじゃないか!」

 

するとロックは自身の上着に手を置くと、それを…

 

 

放り投げた。

 

 

「え⁉︎」「・・・はぁ⁉︎」

 

それを見た響は驚き、憑友は間が空いてからようやく理解し、

 

「「何故、服を脱ぐ⁉︎」」

 

同時にハモった。

 

しかもご丁寧に上着の下には何も着ていない…裸だ。

 

上半身裸になりつつも、その肉体美はまさに男の憧れそのものだった。

 

それを見ていた了子は呆然としていて、鎧の少女は頭を抱えていた。

するとロックは左手をパーにし、右手をグーにして左手に垂直に立てた。

 

「"アイスメイク"…"(フロア)"!」

 

そしてその手を地面につけた。

すると一瞬で周りがスケートリンクそのものになってしまった。

 

そして周りにいたノイズ達…特に人型のノイズ達はそのせいで、かなり足場が悪くなってしまったのか、立つ事も困難になっていた。

それは勿論、憑友や響も同じなようで、

 

「うわぁ⁉︎」「うぇぇ⁉︎」

 

なんとか脚が揺れる中でも足で踏ん張る憑友と、思うように立てない響。

 

するとロックはそこを狙った!

 

「!はぁ!」

 

「⁉︎きゃぁ!」

 

「響!」

 

ロックは軽やかに滑りながら、響を効果範囲外に吹き飛ばした!

憑友はそれを見て、怒りを露わにするが、逆に好都合でもあると感じた。

 

もしかしたら、このまま響を守りながらの戦いだったのだから。

 

するとロックは再び構えを取る!先程と同じ構えだ!

 

「"アイスメイク・槍騎兵(ランス)"‼︎」

 

すると今度はロックの前方から大量の氷の槍が放たれた!

それを見た憑友は瞬時に両手から炎を噴き出し、

 

「"紅蓮火竜拳"ーーーー!」

 

その連続攻撃で、沢山の氷の槍が四散していった。

 

だが、それでもロックは再び構えを取り、今度は水平上に持って行くと、

 

「"アイスメイク"…"戦斧(バトルアックス)"!」

 

今度は氷の斧が現れ、薙ぎ払いを仕掛けてきた。それを憑友は初見で躱した!

 

「まだだ!」

 

するとロックはアブソーバーのパネルボタンを押した。

 

ーデビルスレイヤー…!ー

 

するとロックの左腕にタトゥーが入り込まれた。

 

すると、

 

「"氷魔"…」

 

何かを言おうとした時、憑友の目の前にロックが現れた!

 

「!しまっ⁉︎」

 

「"零ノ太刀"!」

 

「ぐはぁ⁉︎」

 

その攻撃で憑友は大きく吹き飛ばされた。

 

 

ーーーーSIDEto憑友

 

ぐはぁ…!

くっ!相性最悪のカードを引いてしまった…!

 

只でさえ〔炎〕と〔氷〕は相反するものとして、忌み嫌われてるのに、相手には更に〔滅悪〕の効果付きかよ!

 

俺、一応〔妖怪〕みたいなものだから、通常の人達よりも、かなり痛い…!

〔滅悪〕属性は相手の属性が、

〔悪魔〕〔妖怪〕〔幽霊〕なら…

与ダメージが上がる効果を持っているって、前にナツさんがポツリと呟いていたのを思い出していた。

 

つまり、今の俺にとって、相性最悪とも言える『英雄』と言う事になる…!

 

「如何した?そんな程度か?」

 

…言ってくれるじゃねえかよ…!

だったら、とことんやってやらぁ!

 

俺はすかさず立ち上がる。

そしてライドさんを見てみると、そこにはやはりパネルボタンがあった。

パネルボタンは3つあり、その内の左側のボタンは少し暗くなっていた。

今まで使って来なかったけど、今は使うしかねえや!

 

そう言うと俺は真ん中のボタンを押した!

 

ーモード!雷炎竜‼︎ー

 

すると何処からか黒い雲が上空から現れると、其処から俺に目掛けて雷が降ってきた!

 

「!…憑友ーー‼︎」

 

響の声が聞こえてくる…心配させてばっかだな、俺は。

だけど、この雷は…『勝利への片道切符』だ!

 

すると俺の周りから炎と雷のオーラが纏わりついた!

 

「行くぞ…悪魔狩り」

 

「⁉︎」

 

俺の姿を見たロックは驚いていた。

俺自身もナツさんにこんな力があるなんてびっくりしてるんだから。

 

「!…憑友!」

 

「嘘⁈あの雷を⁉︎」

 

「!真面に食らって平気でいやがるだと⁉︎」

 

そう考え込んでいたら、上から響、了子さん、そして鎧の少女がそれぞれのリアクションを見せてくれた。

うん。普通ならこれで人間は死んでるからね。

 

だけど、俺や『英雄』達はその限りではない。

 

俺は元から死んでる身。だから、この雷を食らってもまだ生きている。

『英雄』達の中にはその〔雷〕の属性を持っている奴等もいれば、それに耐性があるものもいるから。

さて、話を戻そう。

 

 

俺は瞬時にロックの懐に入り、

 

「"雷炎竜の撃鉄"‼︎」

 

「ぐはっ‼︎だが…⁉︎ぐわぁぁぁぁ‼︎」

 

ロックが何か言おうとしたけど、それは上空からの雷で封じられた。

 

"モード雷炎竜"

ナツさんが使用している魔法の中で、特殊な力。

ナツさんの仲間に〔雷〕の属性を使う奴がいて、その人の力を飲み込んだ事で得た力だってナツさん本人が言っていた。

 

そのおかげもあってか、この力には〔炎〕の他に、〔雷〕の追撃効果も発生されている。

 

『〔水〕は純度があるとそれだけ〔電気〕を通しやすくする』と理科の授業の時に言っていたな。

 

「〔水〕VS〔雷〕か…あ、いや正確には

〔水〕と〔氷〕VS〔炎〕と〔雷〕の方が正しいのか」

 

そう言うと俺は拳同士を打ち付けた。

 

「くっ!…ならば!」

 

 

其処からはロックと俺とのガチンコ対決だった…!

 

「"氷欠泉(アイスゲイザー)"!」

 

「"火竜の翼撃"!」

 

「"アイスメイク・魔王の前腕甲(ヴァンブレイス)"」

 

「"火竜の握撃"!」

 

「"氷雪砲(アイスキャノン)"!」

 

「"火竜の煌炎"!」

 

「"氷魔剣(アイスブリンガー)"!」

 

「"火竜の砕牙"!」

 

…面白くなってきたぜ!

そう感じているとロックは空気を吸い込み始めた。

俺も負けられねえ!

 

俺はすかさず大きく空気を吸い込む。そして…

 

「"雷炎竜の"…」

「"氷魔の"…」

 

 

「「"咆哮"/"激昂"ーーーー‼︎」」

 

俺の口から灼熱の炎が、ロックの方からは極寒の冷気が放たれた!

 

ーーーーNO SIDE

憑友とロック。ナツとグレイ。

お互いの技は周りにいた者達に衝撃波となって、襲いかかった!

 

その衝撃の余波で、周りにいたノイズ達が一気に葬られ、

 

響と鎧の少女はその衝撃で、軽く吹き飛ばされ、

了子は先程憑友達を守った時に使用したバリアを張るも張った瞬間に罅を入れられて、了子は驚いていた。

 

そしてその中心点にいた憑友とロックは、共にアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・ナツ!フルドライブ!』

『ソウル・グレイ!フルドライブ!』

 

するとロックは右手を前方に翳し、

憑友は両手から炎と雷のオーラが纏った!

 

「"滅竜奥義・改"!」

 

「"全ての世界よ…氷結せん"」

 

そしてそれぞれの技が炸裂する…!

 

「"紅蓮爆雷刃"‼︎」

 

「"アイスメイク銀世界(シルバー)"‼︎」

 

其々の攻撃で先程よりも激しい攻撃を見せていた!

 

響はそれによりまたもや飛ばされそうになるが、流石にもう2回目の事だったので、其処は踏ん張りを掛けた!

 

一方の鎧の少女も《ネフシュタンの鎧》についている鞭を地面に突き刺し、なんとか堪える…!

 

了子は了子で、先程の威力を身を以て知ったので、今度は両手でバリアを張るも、またもやすぐに罅が入ってしまっていた!

 

そうしていると、後ろにあった《デュランダル》の入ったケースの電子ロックが解除された事に気づき、そして…ケースをぶち破った!

 

「⁉︎覚醒⁉︎起動⁈」

 

それに気付いた鎧の少女は《デュランダル》を取ろうと手を伸ばす!

 

けど、其処へ響のタックルが炸裂!

 

「渡すもんかーー!」

 

すると響は《デュランダル》を持った。

 

その時、周りの空気が一変した。

 

ーーーーーーSIDEto憑友

 

はぁ…はぁ…

 

結局、まだ決着が付けていねぇのかよ…!

 

「はぁ…はぁ…くっ⁉︎」

 

ロックの方は地面に膝をつかせた。

俺もようやく立てるくらいだ…

 

そんな時だった。

 

周りの空気が一変した。

 

また彼奴が他のカードを使って…?

 

「⁉︎」ブルブルッ…!

 

いや、違う?ロックまで身震いしている…だと…?

 

そう言えば、先程から感じるこの空気の乱れは…後ろから?

 

そう思った俺は後ろを振り向くと、其処には鎧の少女と《デュランダル》なのか?

全身を黄金のように光り輝く聖剣を持った響がいた。

 

いや、なんだか響の様子が…変だ!

 

そう感じていると、カードケースから1人の女性が現れた。

青いブロンド姿をした女性・セイバーさんだった!

 

「せ、セイバーさ…」

 

「話は後で!今は早く私の力を!このままでは彼女が!」

 

「⁉︎了解!」

 

俺はようやく立てる足に無理やり鞭を打ち付け、走った。

 

痛い…死んでいるのに痛い。けど…

 

響の方が痛いと言うのなら…こんなのは苦にはならないんだよ!

 

そんな思いで走りながら、無我夢中にセイバーさんのカードをナツと交代、そしてレバーを引いた!

 

「変身!」

 

ーライド!フォーム、セイバー‼︎ー

 

するとアブソーバーから青い服を纏った女性の魂が現れ、俺はそれを纏った。

 

ー騎士王見参!聖剣降臨!ー

 

そして俺はすかさずドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・セイバー!フルドライブ‼︎』

 

走りながら俺は詠唱を放つ…

セイバー(この人)の代名詞とも呼べる愛剣の名を放つ一撃を…!

 

ーーーーーーSIDEtoロック

 

俺はその時、彼奴が駆け出していきながら、新しい力を纏った。

其れを見ていると、隣にはアーチャーの姿が…!

 

「何故だ…」

 

え?

 

「何故、彼女が彼奴の元に⁉︎」

 

アーチャーが動揺している…?

 

「彼奴…憑友が変身したのって…一体…」

 

するとアーチャーはその答えを教えてくれた。

 

「あの男がなった者の名はセイバー。

本名、アルトリア・ペンドラゴン。

 

 

私のいた世界では…《騎士王アーサー》としても知られている『英雄』であり、

私と同じ…『英霊』と呼ばれる者だ」

 

⁉︎《騎士王アーサー》だと⁉︎

 

ーーーーーーNO SIDE

 

響の唸り声に鎧の少女は怯み、ソロモンの杖を使って、ノイズを出現させるも、その唸り声と共に、剣を振り下ろした!

 

それを見た鎧の少女は回避しようとしたが、衝撃で飛ばされてしまった。

 

このまま行くと、薬品工場の大部分である中心施設を襲いかねなかった!

すると、その範囲内に憑友が近づいていた。両手には響の持っている剣《デュランダル》と同じ様に光り輝く聖剣を持っていた。

 

そして憑友は詠唱を言い始める。

 

「"束ねるは星の息吹。輝ける命の奔流。受けるが良い"…

 

(響、行くぞ)

 

 

 

 

 

"約束された(エクス)"…

 

 

 

 

 

 

…"勝利の剣(カリバー)"‼︎」

 

そう言うと憑友が所持していた剣の光が、響が所持していた聖剣《デュランダル》の光と真っ向から激突した…!

 

その勢いにより、薬品工場全体に衝撃が襲いかかった!

 

ロックも、鎧の少女も、その衝撃で吹き飛ばされてしまったのであった。

 

「⁉︎《デュランダル》と同等の力だと⁉︎」

 

そう言いつつ、了子はバリアで守りながらそう呟いていた。

 

そして光が収まった時には、響は既にシンフォギアを解除し、

憑友は持っていた剣が光の粒子となりて消え、

そして憑友は意識を失ったのであった…




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回はロックが使用していたほむらさんの仲間、さやかについて紹介しよう」

さやか/カード名【剣の魔法少女 さやか】
属性/水・人間&魔物・斬・剣

ほむらさんや杏子さんと同じ世界出身。
何処からともなく剣を生み出し、無限に作れる。
但し、アーチャーのように多岐に渡れる物ではなく、武器は1種類のみで、それを無限に作れるだけ。

憑友「特殊な必殺技"魔女化"を使用する事でターゲット集中を受ける代わりに、能力面が1ランクアップする。
それはまさに鬼に金棒の如く…!」

次回

兆しの行方

憑友「次回も見てくれよな」

2016年2月19日現在
作者の活動報告に報告有り。


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第33話 兆しの行方

取り敢えず一言…待たせたな!

今回からまた再投稿するぜ!

そして此処からアニメ第6話になります。

時間に余裕が出来次第投稿していくので、四露死苦!

「グレた⁉︎
…って言うよりもどうぞ!」


薬品工場での件から数日。

 

山奥にひっそりと佇む廃墟のような屋敷。

そこの一角にある泉の桟橋にて、鎧の少女…雪音クリスは先日の騒動を思い返していた。

 

「(【完全聖遺物】の起動には相応の『フォニックゲイン』が必要だとフィーネは言っていた。

あたしがソロモンの杖を起動するのに半年も掛けたのに、(彼奴)はあっという間に成し遂げた)」

 

【完全聖遺物】はクリスの思っている通り、

相応のフォニックゲインを必要としている。

だが、響はまだ2カ月かそこら辺でなったばかりの経歴が浅すぎる少女だ。

そんな少女が【完全聖遺物】の1つ《デュランダル》を起動させたのだ。

驚かない方が可笑しいのである。

 

だが、クリスはそれだけでは終わらなかった。

 

ーー

『"束ねるは星の息吹。輝ける命の奔流。受けるが良い"!』

 

約束された(エクス)勝利の剣(カリバー)‼︎』

 

ーー

それは先日、響に向けて放った憑友の一撃だった。

 

「(あの男…ロック義兄と戦って、まだあんな力を持っていた…

そして…エクスカリバーとはっきり言った。

エクスカリバー…『アーサー王伝説』に出てくるあまりにも有名すぎる剣…それをあの男ははっきりと言っていた。

 

彼奴も、あの男も…)両方、化け物め…!」

 

クリスの顔は苦虫を噛んでいた。

 

「この私とロック義兄に身柄を確保させるくらい、フィーネは彼奴らにご執心と言う訳かよ…!」

 

「そしてまた、私は…」

 

するとクリスは誰かが桟橋に来たのを察し、後ろを振り向くとそこにはフィーネがいた。

 

「分かっている。自分に課せられたものくらい…!

ソロモンの杖(こんな物)》に頼らなくても、あんたの言う事くらいやってやらぁ!」

 

そう言うとクリスはソロモンの杖をフィーネに投げ飛ばした!

フィーネはそれを簡単に受け止めた。

 

「彼奴等よりも、あたしとロック義兄が優秀だって事を証明してやらぁ!」

 

そう言うとクリスは足早に立ち去ってしまった。

 

フィーネはクリスがいなくなった泉の桟橋で突っ立っていた。

 

「…私の目的の為ならば、貴方達は捨て駒なのよ。

それなのに、貴方は何故、私の命令に背かない…

【冷眼のロック】」

 

フィーネがそう呟くと、フィーネの影が変化し、そして其処からロックが現れた!

 

「…」

 

「貴方には前にも言った筈よね。

それなのに、何故貴方は此処まで私に尽力してくれているのかしら?」

 

すると口を閉ざしていたロックは口を開いた。

 

「…居場所」

 

「なに?」

 

「俺にとっても、クリスにとっても、あんたは俺達の事をこき使おうとも、それでも帰ってこれる居場所を与えた。

それならばこの身、お前の手となり、足となり、従順な犬にでも成り下がろう」

 

そう言うとロックはまた影の中へと入って消えてしまった。

 

「…素直じゃないわね」

 

フィーネの呟きには誰も答えてくれなかった。

 

ーーーーーー

一方、病院にて。

生死の狭間から生還し、意識を回復した翼は、松葉杖をつきながらだが、それでも前へと歩んでいた。

 

するとそんな時、医師と看護婦が1人の患者を運んでいく様子をとらえた。

そしてすれ違った。

其処で翼はその患者を見て、驚かされた。

 

その患者が、憑友だったからだ。

 

そのまま医師と看護婦は憑友を病室の方へと入れられていた。

 

その一部始終を見ていた翼。

すると、翼の名前を言いながら、奏と霊風の2人がやって来た。

 

「奏!…今の…」

 

「あぁ。(あたし)もさっき見たんだけど、あれは間違いなく憑友だ。でも、何があったらあんな事になるんだよ…」

 

「全くだよな。ったく、先輩として俺は彼奴に何も出来ないのかよ…くそ!」

 

憑友の状態を見ていた奏は落ち込み、霊風に至っては、壁に拳を打ち付けるくらい悔しい思いでいっぱいだった。

 

「…あの子は?」

 

「響の事か?

彼奴なら…ほら、彼処」

 

「?」

 

翼は響が来ない事に気付き、質問すると奏が指を指して来たので、その方向を見てみると、其処には響と、響と憑友の幼馴染である未来がグラウンドを走り込んでいた。

 

その様子を見ていた翼達。

すると、

 

『貴方達!此処は立ち入り禁止の場所ですよ⁉︎』

 

『うるせぇ!友達(ダチ)が重症を負ったって言われて、黙っていられるかよ!』

 

『さっさと行かせろ!』

 

近くから声が聞こえて来たので、霊風は先に奏を先行させる事にした。

奏はその事に頷くと先に行き、霊風は翼を支えながら、後を追った。

 

 

 

 

そして、其処にいたのは警官が4人かがりで羽交締めしても、それでも暴れ回る2人の青年がいた。

 

1人は前髪の部分だけ赤で、後は真っ黒で、

クリムゾンカラーのコーデをしており、

もう1人はサイドヘアの所だけ青く、後は茶髪で、

此方はネイビーカラーのコーデをしていた。

 

「何があったんだよ!」

 

「!霊風さん!」

 

すると霊風の存在に気付いた警官により、その2人も暴れるのをやめ、霊風の方を見て、驚いた。

 

何せ、自分達の前に《フレンドリーマネージャー》と言う異名を持っている男・霊風がいれば、そりゃ驚くも無理はないし、

更に其処にはあの有名アーティスト《ツヴァイウイング》の天羽奏と風鳴翼がいれば、それは勿論驚くのも無理もなかった。

 

すると霊風は2人と話がしたいと言ってきたので、警官達は2人の身柄拘束を解いた。

 

「まず、お前達の名前は?」

 

霊風の質問にそれぞれ答えた。

 

「俺の名は浅岡逝都です。んでこっちは…」

 

「一走馬燈です。俺達は憑友に用があって来たんです!」

 

「何?憑友にだと?」

 

クリムゾンカラーの青年は浅岡逝都と名乗り、

ネイビーの方は一走馬燈と言った。

そして2人はつい先程運ばれた憑友に用があって来たと言って来たのだ!

 

「…如何言う関係なんだ?」

 

霊風はその2人と憑友の関係を聞いてみた。

そして出た答えは…

 

「「彼奴は俺達の友達(ダチ)だ!」」

 

と言いながらハモったのであった。

 

霊風は勿論、奏と翼の2人も半信半疑だった。

 

すると霊風の近くからランサーが現れた。しかもご丁寧に霊風だけが見える様に細工まで施している程にまで。

 

誰にも気付かれない様に霊風は憑友に付いてる『英雄』の1人・なのはから教わった念話で話を始めた。

 

「(如何したんだよ、ランサー)」

 

『まぁ、色々な。

だが、此奴らは本当の事しか言っていないみたいだな』

 

「(何故、そう言いきれる?)」

 

『伊達に多くの戦場の空気を吸ってきたんじゃねぇよ。

目利きには自信があるんだよ』

 

そう言い残すとランサーはじゃあなと言いながら手を振って消えてしまった。

霊風は溜め息を吐くと、2人にこっちに来いとジェスチャーを送ると、2人は霊風と同行する事にしたのであった。

 

奏と翼も3人の後を追う事にしたのであった。

 

 

 

 

そしてついた場所は病室だった。

そして其処には、「人絆憑友様」と書かれた立て札があった。

 

そして、霊風はノックをすると、「誰だ?」と渋い声が聞こえて来たので、霊風は、「俺です。風鳴のおやっさん」と言うと、入って来いと言ってきたので、霊風は自分の後ろにいる4人を入室させた。

 

其処には無数の線が憑友の体に付いており、

その隣には、弦十郎が様子を見ていた。

 

「…その子達は?」

 

「2人曰く憑友のダチだと言っておりますが?」

 

「何?」

 

弦十郎はその2人を見つめながら、半信半疑になっていた。

憑友はこんな友達がいたのかと。

 

「…まぁ、それは本人が言うまでは保留にしておこう。

現在はご覧の通りだ。かなりの疲労で現在は安定している」

 

「そっか。…だそうだぜ?お2人さん?」

 

その言葉を聞いた2人は安堵する。

だが、弦十郎は不思議に思っていた。

この2人は本当に憑友の知り合いなのかと。

 

憑友は実質1年半前にこの世から亡くなり、そして〔半幽霊〕もとい〔妖怪〕の身となっているので、人目を避ける様にしていた筈。

だが、この2人は憑友の事を知っている…一体何故なのか。

 

と、そんな時だった。

 

「…う…ぅぅ…

…此処…は…?」

 

憑友が目を覚ましたので、霊風と弦十郎が声をかけようとしたら、

 

「憑友!」「無事か!」

 

「?…⁉︎ゆ、逝都⁈それに、馬燈も⁉︎なんでこんな所に⁉︎ってか、痛い痛い⁉︎」

 

憑友が2人が此処にいる事に驚いていると、憑友の肩を思いきり掴んだり、背中を容赦無く叩いて来たので、憑友は痛い思いをする事になってしまったのであった。

 

因みにその様子を見ていた奏と翼、霊風と弦十郎は呆然としていたのは言うまでも無かった。

 

ーーーーーーSIDEto霊風

 

まぁ…何はともあれ。なんとか無事で良かったよ。ったく…迷惑掛けんじゃねぇよ、後輩。

 

「それはそうと…憑友。この2人とは知り合いなのか?」

 

と、風鳴のおやっさんがそう言ってきたので、思い出してみた。

確かに、俺も話を聞いてみたけど、それでもまだにわかには信じ難いもんな。

逝都と馬燈(この2人)が憑友の友達なのか?

 

「あ、はい。知り合いでは無く、本当の友達で、俺の数少ない理解者なんです。

現に俺の今の状態も知っていますし」

 

…は?

ちょっと待て。今此奴なんて言った?

 

自分の状態を知っているって言わなかったか?

 

だとしたら…

 

「憑友が半分幽霊だと言う事もか?」

 

「当たり前だろ?」

 

「そんな事も知らないのなら、ダチとは言わないぜ!」

 

おい!憑友!

幾らなんでも、言って良い事と悪い事の区別くらい出来るだろうが⁉︎

 

「あはは…」f^_^;)

 

「お前な…」(¬_¬;)

 

「…」(¬_¬;)

 

苦笑いで誤魔化すんじゃねぇよ!おまけにそのダチまで痛い視線送られてるじゃねぇかよ!

 

「…穴があったら入りたいです」

 

「入る前に捕まえてあげるから安心しろ♪」

 

「嫌だ〜〜⁉︎不幸だーー⁉︎」

 

とか言いながら、ムンクの叫びのような顔を出すんじゃねぇよ⁉︎

 

…はぁ。仕方ないか。

 

「まぁ、それは兎も角として…

如何します?風鳴のおやっさん。

此処だと…」

 

「ああ。そうだな…

済まないが、2人は憑友の事をお願いする。

俺達は俺達で今後の活動の事を話さないといけないのでな」

 

「分っかりやした!」

 

「俺達は憑友のダチだ。安心してくれ」

 

やれやれ。憑友も憑友で、頼れる仲間がいたんだな。

 

そう言うと俺達は部屋を後にした。

その際に…

 

「…復帰次第、稽古し直すからな」

 

「えぇぇぇ⁉︎あんまりですよ、師匠⁉︎」

 

「「師匠⁉︎」」

 

弦十郎と憑友の関係を知ったダチはその後、たっぷりと憑友に質問責めをしてきたと憑友本人が言っていたのは言うまでも無いけどな。




響「ええと…!こ、こんにちは!立花響です!
今回は憑友に代わり、私が『英雄』達を紹介するこのコーナーをやらせて頂きます!では、早速いってみよう!」
「今回紹介するのは、《水魂導師》…憑友はロックって言っていたけど、気にしない!
そんな導師が憑友と激闘を繰り広げた際に使用していた黒雷の『英雄』イズナさんを紹介します!」

イズナ/カード名【伝説を砕きし黒雷 イズナ】
属性/雷・人間・突&打・槍

黒雷の力を宿した鎧を身に纏いながら戦う戦士。
その雷が通り過ぎるとそこの野原は焼け野原と化す…!

響「うひゃ〜…聞いてただけでも驚きの連続だよ〜…
えっと…資料では…
『イズナさんには仲間がいて、その仲間達と共に伝説や神話上の存在と相対してきた。
彼の雷は彼自身の怒りの象徴でもある…!』と。
…怖いじゃん⁉︎」

次回

(くさり)に入りし罅

響「次回は…え?私に関連した出来事⁈
なんだろう…?
と、兎に角またね〜‼︎」


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第34話 絆《くさり》に入りし罅

今回はいよいよ第6話の最後まで飛ばすぜ!


一方、響はと言うと、未来と共に身体を動かしたので、現在は風呂に未来と一緒に入浴していた。

 

入浴後は未来からお好み焼き屋『ふらわー』で食べようと約束して来たので、響は驚きながらも、約束を交えたのであった。

 

ーーーーSIDEto響

 

私は未来との約束をした後、外出する事にした。

 

私が《デュランダル》を扱えなかった所為で、憑友があんな状態になってしまったから。

 

そんな今の私はネガティヴな状態のまま、公園のベンチに座っていた。

 

「お前は…《ガングニール》の装者」

 

「え?…!《水魂導師》⁉︎」

 

私の所に《水魂導師》ソウルが私服姿で現れた!

なんでこんな所に⁉︎

 

私は咄嗟にベンチから離れて、徒手空拳の構えをする。

だけど、彼は逆にベンチに座った。

 

「お前とやり合うつもりは無い。

と言うより、女を傷付けるような性格じゃないのでな。」

 

そう言いながら、私にベンチに座れと示唆して来たので、私は少し警戒しながらも端っこ側に座った。

 

そしてソウルは何処から取り出したのか、ジュースを私に渡してきた。

だけど…毒とか入ってそうな気がする…。

 

「…毒を入れる暇は無かったよ。

現にこれ…そこの自販機で買ったばかりの奴だ」

 

と言いながら、自販機のある所を指差した。

そう言う事なら飲んじゃおう!

 

そう言うと私はそのままジュースを受け取り、そして飲んでいく。

するとソウルが開口一番…

 

「お前…憑友の事、好きなのか?」

 

「⁉︎」ブシューーーー⁉︎

 

の、の、の、飲みながらそんな事言わないで〜⁉︎////

 

た、確かにそれは憑友の事は友達や幼馴染としてでは無くて、異性としては…その〜…あの〜…」////

 

「(此奴、途中から話がダダ漏れしてるって気付いているのか?)

…まぁ其れは良いさ。

今度会ったら決着を付けよう。そう伝えておいてくれ」

 

「え?あ!ちょっと待って…て、もう居ない…」

 

気付いた時にはもうその人は何処かに消えて行ってしまったのであった。

 

と言うか…

 

「私のさっきの時間返してーーーー⁉︎」

 

羞恥していた分の時間返してよ〜〜⁉︎

 

うぅ〜…私、呪われてるかも…。

 

そう言いながら私は寮部屋の方へと帰宅したのであった。

 

ーーーーーー

そして翌日。

いつも通りの何気無い日常の中、私は端末からの着信に気付いた。

 

相手は緒川さんだった。

私はそのまま電話に出た。

 

内容は、今日如何しても外せない用事が出来てしまったので、代わりに翼さんの見舞いに行って来て貰えないかと言う事だった。

 

私は勿論そのまま了承した。

だって、その病院には憑友もいるから。

 

そうして話が纏まると思った時…

 

不意に足音が聞こえて来たので、見てみるとそこには未来がいた。

 

私は話を終わらせて、電話を切って、今度は未来と話をした。

 

…先に結果的に言うと私はその未来の誘いを断ってしまった。

 

未来は私と一緒に買い物をして、その後お好み焼き屋の『ふらわー』で食べようと考えてくれていたけど…ごめんね。未来。

 

そして私は花束を購入して、翼さんの病室に来た。

そして意を決して入ろうとすると、

 

「あれ?響?」

 

「あ、憑友」

 

憑友が車椅子に乗りながら此方に来ていた。因みにライドさんは膝の上に置かれていたりする。

よく見ると、其処には2人の男の子も一緒だった。

 

ん?何処かで…?

 

「あ!立花‼︎」

「何故、お前が此処にいる⁉︎」

 

え?もしかして…

 

「逝都に馬燈…なの?」

 

「「其れ以外に誰が憑友(今の此奴)の面倒を見る⁉︎」」

 

「変わりすぎにも程があるよ⁉︎」

 

その2人はまさかの馬燈君と逝都君の2人だった。

 

この2人は私と未来、そして憑友が小学5年生の時にやって来た転校生だった。

その時の憑友は私と未来と一緒にいた所為で、いじめっ子からよく虐められていた。

私や未来も其れを止めようとしたけど無理で何も出来なかった。

そんな時にこの2人は憑友の事を助けてくれた。

 

喧嘩でも強くて、其れでいて憑友にも私と未来にも優しかった。

 

それ以来私達(特に憑友)のいじめはなりを潜めて、この5人でいつも一緒に通学したりする様になったっけ…

 

けど、私達が中2になった時に、家庭の事情で2人とも日本の裏側にある国ブラジルの方へと行ってしまった。

それから数ヶ月後にあのライブの悲劇が襲ったんだっけ。

 

2人は憑友が幽霊だと言うのを知ってるんだろうか…?

 

「おーい響〜?」

 

「ふぇ?…な、何?」

 

「顔に出ていたから敢えて言うけど、この2人は俺の事は知ってるからな?」

 

「嘘⁈」

 

「何方の意味でだよ…」

 

どっちもだよ⁉︎

顔に出ていた事と、2人が憑友の今の状態を知っていると言う事の2つの意味でだよ⁉︎

 

「ん?…ああ〜。なるへそ〜」

 

すると突然、憑友が何かを見て勝手に納得していた。勝手に納得しないでよ〜⁉︎

 

「まぁ…取り敢えず入ろうぜ?

俺もちょくちょく会ってるけど、何分この身なんでね」

 

確かに…。

と言う事で私は憑友と逝都と馬燈の3人で部屋に入室した。

 

私は翼さんの名前を言おうとして部屋の中を見て、驚愕した。

それは勿論憑友達もそうだった。

 

すると、

 

「何をしているの?」

 

「!翼さん!」

 

後ろから翼さんが!

 

「おいおい!大丈夫なのかよ⁉︎」

 

「心配しましたよ!俺達!」

 

 

「?何を訳の分からない事を…」

 

 

「だって…これ!」

 

そう言いながら私は翼さんの病室を指差した。

其処には派手にめちゃくちゃになった部屋が其処にあった。

 

「あ…///」

 

心配したんですよ!誘拐されたんじゃないかって思って…!

 

「奏さんも霊風さんも今日は来れないって言っていたから、其処を狙われたんじゃないかと思ったんですよ!」

 

「…///」

 

「こんな状況だったらと思うと本当に心配したんですよ!有名アーティスト『風鳴翼』が誘拐されたとなったと知れたら…」

 

「///」

 

兎に角無事でよかった〜

 

「…取り敢えず…」

 

スパンッ!パシンッ!ゴドンッ!

 

「あべしっ⁉︎」

「だわばっ⁉︎」

「ぎゃふんっ⁉︎」

 

痛いよ〜⁉︎憑友!なんで私達が!しかも最後のは私だけど、明らかに2人よりも威力が高かった音がしたよ⁉︎

 

「なんで⁉︎」

 

(お前)のは木製ハンマーで打ったから。

それはそうとして…」

 

スルーしないで〜⁉︎それと地味に痛い物で叩かないで〜⁉︎

 

「お前ら、これ以上翼さんを恥ずかしい思いさせて如何するんだよ?」

 

「え?」「はぁ?」「ふぇ?」

 

憑友に言われて改めて翼さんの顔を見ると其処には完全に顔が真っ赤になった翼さんがいた。

 

それを見た私達はようやく納得して…苦笑いしたのであった。

 

「…取り敢えず。

響は下着類、馬燈は雑誌等の整理、逝都はゴミ掃除等を頼むな?」

 

私達3人は憑友に示唆されて、部屋の片付けをする事にしたのであった。

 

いや〜まさか、翼さんが整理が出来ないとは思いもしませんでしたよ〜はい…。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーNO SIDE

 

そして粗方部屋の片付けが終わりつつ、なんとか住める環境にまで住める様になると、憑友は近くに設置されてあるテーブルにライドを置き、ベッドで座っている翼と話を始めた。

 

「それにしても、意外でしたよ。

翼さんが此処までとは…」

 

「///…こう言う事にまで気が回らなくて…」

 

「ははは…。自分でもそれは良くわかります。昔の自分も、良く部屋を散らかし放題でやらかしてましたので。

けど、此処にいる響や逝都、馬燈のおかげで今ではちゃんと整理整頓が出来る様になりました。

本当に彼奴らには頭が上がりませんよ」

 

そう言いながら、懸命に残った作業をしている3人を見る憑友と翼。

 

「…それで、如何ですか?響に対する件に関しては」

 

「…それを今から話そうと思うわ。けど…」

 

そう言いながらまた3人を見る翼。

憑友は如何やら逝都と馬燈がいるので如何しても話せないと感じたようだ。

すると憑友は2人を呼び、2人におつかいを頼みこむ事にした。

幸いな事に、この病院では飲食の持ち込みが可能だと言う事を思い出し、その旨を伝えると、2人は真っ直ぐ何処かへと走り去ってしまったのであった。

それを見届けた憑友は翼にアイコンタクトを取った。

翼はそれに気付き、アイコンタクトで『ありがとう』と返してくれた。

そして翼は響の方を見てみたら、響は手をはたいて、

 

「お終いです!」

 

「ありがとう。響」

 

響は残りの分をし終えたので、憑友は翼の代わりにお礼を言うと、ニコニコ笑顔でピースをしたのであった。

それを見た憑友は苦笑いしつつも、翼に目を通す。

 

そして翼は響に関しての事を改めて話し合った。

 

ーーーーーーSIDEto憑友

 

まぁ、結果から言うならば、無事に翼さんと響との和解はする事が出来たのが何よりの誤算だったな。

まぁ、これで次からはお互い協力し合えると思うな…

 

『…うん?』

 

「?如何した?ライドさん」

 

突然、机上に置いてあったライドさんが何かを見つけたので、話してみた。

 

『…いや。先程、向かい側の図書室でミス.未来がいた様な気がしたが…

…気の所為だろう』

 

「ふーん。まぁ良いか」

 

そう言うと俺は辺りを見てみた。

 

あれ?なんか変だな?

 

「(ユルセンが…いない?)」

 

辺りの視界をくまなく探しても、ユルセンが何処にもいなかった。

 

彼奴…何処行ったんだろ…?

 

ーーーーーーNO SIDE

一方、

 

つい先程ライドが言っていた事は本当の事だった。

 

図書室から未来が出てきては、先程の光景を思い出していた。

 

それは、響と憑友が翼と話をしている所だった。

 

その光景を目の当たりにした未来はそのまま帰ろうとしていた。

 

そんな様子を遠くから見ていた者がいた。

 

『…未来…』

 

それは憑友のアドバイザーとして活躍しているゆる〜い幽霊キャラことユルセンだった。

ユルセンは今の未来を見て、激しく後悔していた。

その理由を知る者は此処にはいなかった……。

 

そんなユルセンはその後悔の念を持ったまま未来の後を追ったのであった。

 

 

 

 

その後、未来はそのまま『ふらわー』に寄って、お好み焼きを食べていると、

入り口の戸が開いたので、見てみると、

 

「おばちゃん!豚玉2つと、広島風の特大を2つお土産で!」

 

「!逝都⁉︎それに馬燈君⁈」

 

「⁉︎小日向!」「なんでお前が⁉︎」

 

なんと逝都と馬燈の2人が来店して来たので、驚いていた。

3人は憑友を介して知り合った仲である。

もちろん、響も一緒に入っているが。

 

 

その後、未来は今の2人に自分と憑友と響の今の事を話すと…

 

「…取り敢えず、あの馬鹿2人の事を心配してるのは良く分かった。

けど、それを伝えるのはお前自身だぜ!未来」

 

「俺達は憑友にとって唯一の男友達だからな。彼奴は俺達に力を貸して欲しいと思ってるんだろう。

けど、響や未来はそれとは別さ。

命を燃やしてでも守らないといけない…

自分の命よりも大切な者だと、憑友(あいつ)は言っていた。

だから、お前は逆に憑友の事を見守ってくれれば良いんだよ」

 

「2人とも…ありがとう」

 

「応よ!」

「同じあの馬鹿2人の心配組の仲さ。頼ってくれよ」

 

そう言うと2人は手土産を持って、店を後にしたのであった。

 

その後、未来はそんな2人のために見守る事を決意するのであった。

 

ーーーーーー

その頃、二課では怪しい雰囲気を発していた。

なんと、《ネフシュタンの鎧》を纏った少女が市街区に出没したのだ!

 

「周辺軸の区域に避難警報を!そして響君に連絡を!」

 

だが、この時二課は知らなかった。

この鎧の少女の近くにもう1人の存在がいる事に。

 

ーーーーーーSIDEto響

またしても、あの子がこの近くにやって来ている…!

師匠からの連絡を聞いた私は急いでその場所へ向かおうとした。

その時だった…

 

「!響!」

 

「未来⁈」

 

まさか、未来とこんな場所で出会うなんて…!

 

「お前はーーーー!」

 

⁉︎未来が!

 

「来ちゃ駄目!此処は…⁉︎」

 

叫ぼうとした時に、あの子の攻撃が未来を…!

 

「⁉︎しまった!彼奴の他にもいたのか!」

 

鎧の少女はそう言っていたけど、私は近くにあった車が、吹き飛び、そして…未来の方へと落ちようとしていた…!

 

嫌だ…!此処で、未来を…失いたくない‼︎

 

私はなんの躊躇いも無く…聖詠を、唄った…

 

 

未来の前で。

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron…」

 

私は瞬時に《ガングニール》を纏って、そしてすかさず未来に襲いかかる車を拳で食い止めた。

 

「⁉︎…響⁈」

 

「…ごめん…未来…」

 

私はそれだけ言って、あの子の元へと駆け抜けていった…。

 

ーーーーーーNO SIDE

未来は響の今の姿を見て、訳が分からなかった。

そんな時、

 

「未来ーー‼︎」

 

後ろから声がし、振り向くと其処には車椅子に座った憑友と、それを押しながら急行した逝都と馬燈の3人がやって来た。

 

「憑友!響が…!」

 

「⁉︎…(彼奴)…⁉︎この反応…

悪い。未来。俺はあの馬鹿を止めてくる」

 

「⁉︎何言ってるの⁈早く此処から…⁉︎」

 

未来が憑友を制止しようとすると、逝都に止められてしまった。

馬燈は逆に懐から黄色いドリンクを憑友に渡してきた。

すると憑友はそれをイッキ飲みした。

 

「ぷはぁ…!不味い!」

 

「我慢しろ。無茶を承知で動かしてるんだ…!」

 

すると憑友は車椅子からすかさず立ち上がり、ライドを左腕に装着した。

 

『良いのか?憑友。此処でやれば…!』

 

「それでも…あの馬鹿を連れ帰らなければならないんだ…!」

 

そう言うと憑友は腰のカードケースから1枚のカードを取り出し、そしてライドアブソーバーに装填し、

 

「未来…今まで黙ってて御免」

 

「憑友…?」

 

「逝都、馬燈。未来の事頼むぞ」

 

「…ああ」「無茶はするなよ」

 

2人からの答えに憑友は頷き、そして…

 

「変身‼︎」

 

レバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、オ・レ‼︎ー

 

するとアブソーバーから炎の魂が現れ、憑友はそれを纏った…!

 

ー英雄の魂!オレに宿れ‼︎ー

 

そして未来は驚いていた。

其処には都市伝説としてここ最近見かける様になった存在…

 

《炎魂導師》ライドの姿をした憑友が其処にいた…!

 

「今行くぞ…響‼︎」

 

そう言うと力強く跳躍してその場から離れていってしまったのであった…!

 

「響…憑友…」

 

2人の変身した姿を見た未来はそれ以上何も言えなかった…

 

「「…」」

 

憑友の正体を知っていた2人にとっては、そんな未来に対して何も答えられなかったのであった…




憑友「くそ…病み上がりなのに…と。
お久しぶりだな。さて、早速本題に行かせて貰うぜ。
『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回はロックが使っていた『英雄』の1人にして、ほむらさんと同じ『時』と『銃』の扱いに長けた存在・狂三を紹介しよう」

狂三/カード名【時の精霊(ナイトメア)の少女 狂三】
属性/闇・人間&精霊・射・銃

時計の針みたいな銃を二丁構える女性。
右目が赤、左目が黄色という左右非対称のオッドアイで、その内の左目の方には時計のような模様が刻まれている…!

憑友「彼女の能力により他時間軸に存在する自分を呼び寄せる効果を持つと言われているらしいのだが、そんな力あったら流石の俺でも苦戦を強いられるぜ…!」

次回

弓と水と槍と炎

憑友「次回のラストは俺、パワーアップだぜ!」

作)ネタバレしないで〜⁉︎


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第35話 弓と水と槍と炎

今回は第6話を跨いで第7話まで行くぜ!


ーーーーーーSIDEto響

(挿入歌『私ト云ウ 音響キ ソノ先二』悠木碧)

 

走りながらあの子の存在を感知した私。

 

「とんくせぇのが一丁前に挑発するつもりかよ…!」

 

鎧の少女も後を追って来た。

そして市街地からある程度離れて、私はその子を振り向いた。

 

するとその子は振り向き様にネフシュタンに付いている鞭を使い、攻撃して来た!

如何して、そんな事するの⁉︎

 

「とんくせぇのがやってくれる!」

 

「とんくさいとか言う名前じゃない‼︎」

 

「⁉︎」

 

私はそんな名前じゃない‼︎

 

「私は立花響!15歳!誕生日は9月13日で、血液型はO型!」

「身長はこの間の測定で157センチ!体重は…もう少し仲良くなったら教えてあげる!」

「趣味は人助けで、好きな物はごはん&ごはん!

後は…

彼氏いない歴は年齢と同じ‼︎」

 

「な、何をとち狂ってやがるんだお前…」

 

今、この場ではっきりと言わないと!

この場で話さないと…いけないんだ‼︎

 

「私達はノイズと違って言葉が通じ合える!

だから、ちゃんと話し合いたい!」

 

ーーーーーーSIDEtoクリス

 

とち狂ってやがると思いきや、今度は偽善者ぶりかよ‼︎

 

「悠長な!この後に及んで…!」

 

そう言うと私はネフシュタンの鞭を使い先制するも、簡単に避けやがった…⁉︎

 

この短期間の間に、彼奴は…急成長してやがるだと⁉︎

 

「話し合おうよ!人間は言葉が通じ合えば…」

 

っく!あたしは…そんな言葉が嫌いなんだよ‼︎

 

「うるせぇ!分かり合えるかよ人間が!

そんな風に出来ているものか!」

 

そんな風に出来ていたなら…なんで私のパパとママが殺されなけりゃならないんだよ‼︎

なんで、ロック義兄だけ、拷問や調教等の地獄(あんな酷い目)に遭わされなければならないんだよ‼︎

言葉が通じ合わなければ、何れこうなるんだよ‼︎

 

「分かっちゃいる事をペラペラ喋ってんじゃねぇ‼︎」

 

もう我慢出来ねえ!

フィーネからは引きずってでも連れて来いって言われたけど、もうそんな事は知ったこっちゃねぇ!

お前の全てを…粉々にしてくれてやる‼︎

 

「!私だって、負ける訳にはいかないんだもん!」

 

「うるせぇ!」

 

これでも喰らいやがれ!

 

ーーーーーーNO SIDE

 

そう言うとクリスは以前、翼の時に使用した技…

 

ーNIRVANA GEDONー

 

を放った!

 

それを見た響は瞬時にその攻撃を腕で防ぐ!

 

「持ってけ、ダブルだーー‼︎」

 

すると少女はもう片方で同じ技を放ったのであった!

 

激しい爆発により、少女はやったのかと思ったが、

其処には、エネルギーを集めようとしている響の姿がいた!

 

「この短期間の間でアームドギアを手にしようと言うのか⁉︎

…させるかよーー‼︎」

 

「(こんなんじゃ駄目だ…!

翼さんの様にギアを固定出来ない…!

エネルギーは有るんだ…!

形成されないなら…!)」

 

そう言うと鎧の少女は再び鞭で攻撃しようとする‼︎

 

「(その分のエネルギーを…この拳でぶつけるだけ‼︎)」

 

そう響が思っていたら、腕のガントレット部分が変化を見せた…!

 

なんとガントレット部分が稼働し、ガントレット部分のパワージャッキが伸びたのだ!

 

「(雷…握り潰す様にーーーー‼︎)」

 

そしてそのまま鞭を握った響は、そのまま鞭を引っ張る!

もちろん、その反動で鎧の少女は響の方に引っ張られた!

すると響は瞬時に背中のブースターを点火し、そして鎧の少女に向かって特攻した!

 

「(最速で、最短で、真っ直ぐに、一直線に!

胸の響きを、この思いを…

伝える為にーーーー‼︎)」

 

そして特攻した響は拳を鎧の少女の腹に正確に狙い撃ち、そしてそのパワージャッキのパワーをぶつけた!

 

その威力はそのまま鎧の少女に衝撃波を与えたのであった…!

 

その威力で、なんと《ネフシュタンの鎧》に罅が入ったのであった!

 

その威力を感じた少女は危惧したが、響はノーガード状態で向かい合っていた!

 

「っ‼︎馬鹿にしてんのか!この雪音クリスを!」

 

すると少女…クリスは自分の名前を打ち明けた。

 

「そっか…クリスちゃんって言うんだ…!(あれ?でも、この名前…何処かで聞いた様な…?)」

 

響はそう言いながら戦いを止めさせようとしていた。けれどクリスはその話を否定した。

大切な者を失った彼女にとって、根絶やしにしないといけない物があったから。

 

そして、今の響の言う事を聞く気にはなれなかった。

するとクリスは響に猛攻を加えていく…!

対して響はそれでも懸命に話し合おうとする…!

 

クリスは自分の纏っている鎧が再び自分の身体の力を吸収しつつ、再生して行く事と、響の諦めない不屈の心にうんざりしたのか、

 

「ふっ飛べよ!アーマーパージだーー‼︎」

 

そう言うとクリスはなんと《ネフシュタンの鎧》を壊して、散弾のように周囲に散乱させた!

 

ーHAMMER PUNCHERー

 

そしてクリスは唄った…聖詠を。

 

「Killiter Ichaival tron…」

 

その歌と共にクリスの身に新たな鎧が纏った…!

 

赤のイメージカラーで、腰にはウイングの様な物を模したものをつけていた。

 

彼女の力で、かつて消失したとされた『第2号聖遺物』…

 

《魔弓・イチイバル》のシンフォギアだった!

 

ーーーーーー

 

「!…響…

今行くからな!」

 

先程の爆発を見た憑友は急いで急行していた。

だが、思うように身体が動けずにいた…!

 

「くっ!(やっぱり、あんなドーピング剤で無理やり身体を動かしたから…如何しても身体に支障が来てるのか…‼︎

でも…諦めてたまるかよーーーー‼︎)」

 

すると先程までの足取りが一気に軽やかになり、一気にかけ走っていた!

 

「(俺が生きている間は…

 

俺が響と未来を守るんだーーーー‼︎)」

 

その心の叫びを心の中で言いながら、憑友は急行して行くのであった…

 

ーーーーーーSIDEto響

(挿入歌『魔弓・イチイバル』高垣彩陽)

 

クリスちゃんが歌を歌った…私はそれだけで驚いていた。

完全聖遺物だと歌を歌わなくてもノイズを倒せるいや、それ以上の力を秘めている。

けど、クリスちゃんの歌った歌に私は思わず驚いていた。

 

「…せたな」

 

「え?」

 

何か言った?

 

「私に歌を…歌わせたな‼︎」

 

わ⁉︎な、何⁉︎いきなり過ぎだよ⁉︎

 

「私はな…歌が嫌いなんだよ‼︎」

 

じゃあなんで歌を歌うの⁉︎

 

そう思っていたら、腕の手甲の部分が変化して、クロスボウのような形になって、撃って来た⁉︎

避けないと‼︎

 

私は一生懸命に避けまくっていた。

だけどその隙を突かれて、クリスちゃんから跳び蹴り貰ってしかもおまけにクロスボウが変化して…って…

 

なんでガトリング⁉︎しかも2つも⁈

 

そう思っていたら、連射して来た〜⁉︎

 

避けまくらないと…

 

ザクッ!

 

 

⁉︎か、身体が…動かない⁉︎なんで⁈

 

そう思って後ろを見てみると、其処には一本の矢が⁉︎

これって、まさか…⁉︎

 

「済まないな、《ガングニール》の装者。2対1という卑怯な手を使って」

 

声がした方を見ると、《水魂導師》ソウルの姿が!

 

「てめぇ!何を勝手に…「好い加減にしろ!クリス‼︎」…ロック義兄…⁉︎」

 

え?ロックにぃ?…まさか、兄妹⁉︎

 

「義理のだがな。」

 

「へぇ〜…て、なんで聞こえてるの⁈」

 

「心の声がダダ漏れだ」

 

「勝手に聞かないでよ⁉︎」

 

と言うか、これ本当にピンチだよ⁉︎

1人で漸くなのに、2人相手だと私勝ち目ないよ〜⁉︎

本当に何も出来ないよ〜⁉︎

 

すると、クリスちゃんが私にガトリングを向けて来た!

 

「悪く思うなよ!」

 

悪いと思ってるなら、やめてよ〜⁉︎

 

そう思ってると撃って来た!

もう駄目だ…そう思った。

 

 

「はぁぁぁぁあ‼︎」

 

 

すると私とクリスちゃんの間に誰かが割って入って来て、弾が鉄などに当たる音と同時に多数の弾丸が撃ち落とされていた!

 

私はその方向を見て驚いた。

其処には…憑友がいたから!

 

ーーーーーーSIDEto憑友

 

「!憑友!」

 

全く、世話の焼ける奴だな、響は。

とは言え、この数多の弾丸を如何に捌ききれるかが問題だ。

 

「あの野郎!私の弾丸を!」

 

くっ!幾らキリト師匠(せんせー)の過去の話を基にやって見ても、この弾丸の雨をキリト師匠は剣1本で後ろにいた仲間を守りながら撃ち落としたって言うんだから、驚きようが無いよ。

 

「いや、それ以前にお前の方がハードル高いからな?」

 

うわぁ⁉︎吃驚した⁉︎

ってか、心の中にまで出て来ないで下さいよ!キリト師匠⁉︎

 

「悪ぃ悪ぃ。

それよりも、お前は拳の振りが大まかになってる…

それをどう改善するか?分かるか?」

 

…確かに。俺のこの拳はこんな人間離れした芸当じゃ成し遂げられねえ。

だけど、このモーションはキリト師匠の演舞をアレンジしたモノ。

 

…?キリト師匠の演舞って確か…剣の演舞だよな?

 

なら、それを拳でやる俺って…案外馬鹿⁈

 

だけど…この方がしっくりと来ている!

ならば、剣のような鋭さと…

拳のような身のこなしを併せ持つ武器が必要だ!

 

だけど、そんな武器あるのか⁈

 

…!いや、ある‼︎

手甲の裏に潜めし隠しナイフを突き出して出現させる…そんな武器が‼︎

 

ならばそれを、炎で形作って、イメージするだけだ!

 

「ふっ。後はおもいきりやってみろ!」

 

アドバイスありがとうございます!キリト師匠!

良し!そうとなれば…!俺のこの思いを…

 

 

形となれーーーー‼︎

 

ボォォォォ‼︎

 

ーーーーーーNO SIDE

 

数多の弾丸を撃ち尽くしていくクリス。

そんな彼女は今自分の攻撃を受け流している憑友に違和感を感じていた。

 

「(なんだ、此奴⁈さっきよりもスピードが劣ろえねぇばかりか、寧ろさらに増してきてやがるだと⁉︎)」

 

そしてロックはそんな違和感をクリスと同様に感じていた。

 

「(この力は…まさかあいつ…"サブウェポン"を出すつもりか⁉︎)」

 

"サブウェポン"…それは、《精魂導師》達の主力の武器に必要とされる武器の事。

 

幾多にも及ぶ武器の中から選び、そして主力のメインウェポンと同様に使える事ができる武器の事である。

 

ロックこと《水魂導師》ソウルは、

メインウェポンは弓と二丁拳銃の性能を併せ持つ特殊武器で、

サブウェポンは二刀短剣である。

故にロックの戦闘スタイルは遠近対応型の戦闘スタイルに特化している。

 

霊風こと《風魂導師》スピリットは、

メインウェポンが槍、鎌、斧、杖etc…様々な長柄武器を扱える事が可能な両手棍(ロッド)型の武器で、

サブウェポンは格闘術を用いていた為に籠手を使用する。

中距離や防御時にはロッドを使い、不意打ち程度に格闘技を取り入れた戦士(ファイター)タイプなのである。

 

 

だが、憑友の場合は少し違った。

メインウェポンこそ今の戦闘スタイルの拳を用いた格闘戦なので、籠手を使用するが、

今の今までサブウェポンを使用する事は無かった。

…いや、訂正しよう。

 

()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

この日まで憑友はメインウェポン1つで戦って来たのだ。

 

いくら数多の武器を扱える『英雄』達の力とて、それは『英雄』達の所有物に過ぎず、

憑友は自分にもメインを代替出来る程の屈指のサブウェポンを持ってはいなかったのだ。

 

しかし、それも今日までの事。

憑友の願いが《炎魂導師》に新たな力を授けた…!

 

 

ザシュッ!

 

突如聞こえてきた()()()

 

その音を聞いたクリスはガトリングを撃ちやめ、ロックはそんなクリスと共に目を見開く。

 

 

其処には両手の甲から一本の赤みを帯びた刺突状の剣を具現化させた憑友が其処にいた!

 

「これが俺の"サブウェポン"…《刺突刃》だ‼︎」




翼「えっと…風鳴翼だ。
今回は出番が無かったから、憑友が代わりにこのコーナーを託された。
不束者だが、よろしく頼む」
「さて、今回紹介する『英雄』は、憑友が以前結界内での攻防戦で使用していた『皇帝』の名を持つ青年・ジンの事を紹介しよう」

ジン(本名 海道ジン)/カード名【秒殺の皇帝 ジン】
属性/闇・人間&機械・打・槌

数多の戦いにおいて僅か1桁の秒数で瞬殺してきた実力者。
故にカード名に記載されている異名【秒殺の皇帝】の名が付いた。

翼「あんなにも重たい武器を軽々と持つだけでなく、それを用いて相手を瞬殺させるその実力…侮れない相手だ。
必殺技"インパクトカイザー"で、前方の敵に衝撃を与える…!
私もうかうかしてられないな…!」

次回

導師の《歌》

翼「次回は憑友と水の導師。2人の戦いに決着が付く!
そしてこのサブタイトルの意味とは一体…?
兎に角、次回も見ておいてくれ」


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第36話 導師の《歌》

今回はサブタイトル通りの展開!そして、憑友VSロック…
導師の対決に決着の時!

それでは、スタートだ!


クリスが所持していた《聖遺物》の1つ《イチイバル》の力と、

《水魂導師》ソウルことロックの妨害により、

響が絶対絶命の時、間一髪で助けに入った憑友。

そして憑友は自分の願いを込める事で、新たな力・"サブウェポン"を獲得したのであった。

 

ーーーーーーNO SIDE

 

「これが俺の"サブウェポン"…《刺突刃》だ!」

 

そう言うと憑友はその刺突刃の剣を薙ぎ払った!

 

すると其処から熱波を帯びた真空波が発生し、クリスとロックは間一髪で避けた!

 

その隙に憑友は後ろにいた響の影に刺さっている矢を抜いた。

それにより、響は身動きが取れやすくなり、「ありがとう!」と言い、憑友はそんな響に注意をしつつ、相対する2人を見つめた。

 

「憑友…」

 

すると不意に響から声が聞こえたので、振り向くと、響は憑友が来る前の事を話した。

 

鎧の少女の名は雪音クリスという名前である事。

《水魂導師》ソウルことロックはそんなクリスの義理の兄であるという事。

そして、ロックがこの戦いで決着を付けると言っていた事をありのままに話した。

 

「…分かった。」

 

憑友はそう言うと、ロックの方に振り向く。

ロックもそれに気付いたのか、憑友の方を向く。

 

「ロック!お前の望み通り…此処で決着を付けてやる!」

 

「…感謝する」

 

そう言うと2人はそれぞれの得物を出した。

 

憑友は"サブウェポン"の《刺突刃》の刃を収納し、拳同士を打ち付け、

ロックは左手から水を形成し、弓を作り、背中に矢筒を形成させた。

 

そして響とクリスもそんな2人を見て、構え直した。

 

「響。こう言う場合はな…」

 

憑友が何か言いかけたので、響は耳を傾けた。

そして、憑友はこう告げた。

 

「戦って、無理やり話を聞かせれば良いんだよ」

 

「・・・⁉︎って、それ暴力紛いになってるよ⁈」

 

「それ以外にあるかよ⁉︎」

 

「他にも色々あるでしょう⁉︎」

 

「例えばなんだよ!」

 

「お話すればそれで良いでしょ⁉︎後はジャンケンだとか…にらめっこだとか…!」

 

 

…何故こうなった…。

 

憑友と響の対話を聞いていた2人はポカ〜ンと言う音が出てもおかしくない程、今の2人に対して呆然としていた。

 

何がしたいんだ…この2人は…?

 

「…と、そう言う場合じゃないな。

(お前)クリス(あの子)の相手を頼む

こっちは漢と漢の喧嘩をしないとな…行くぜ、ロック!」

 

憑友が改めてそう示唆すると、響はさっきの話は何処へやらとすぐに思考を変えて、クリスの方を見る。

 

そして響と憑友の2人は同時に拳を打ち付け、同じ構えをとった。

ただ憑友は響の構え方の反転版である。

 

すると憑友は此処にいる全員にこんな事を呟いた。

 

「知ってたか?

《精魂導師》にも…

 

 

 

()()()()っていう事を…」

 

「え?」

 

「何?」

 

「何だと⁈」

 

憑友の発言に上から響、ロック、クリスの3人が其々言い放った。

 

すると憑友は歌を歌った…!

 

(挿入歌「タイプ:ワイルド」松本梨香)

 

すると憑友のスピードが速くなり、ロックが気付いた時にはもう既に腹に鉄拳を食らっていた!

 

「がはっ⁉︎(ば、馬鹿な⁉︎あまりにも…速すぎる⁈)」

 

ロックはそう思った。以前とは比べ物にならない事に。

 

本来、《精魂導師》達に歌は必要ではない。

《シンフォギア》の装者とは違い、簡単に変身する事が出来るから。

 

だが、《精魂導師》達がひとたび歌を歌うと、周りの空気が一変する。

 

それは、周りの味方の士気を上げたり、癒しを与えたり、

身体能力の強化を生んだり、様々な追加効果を生んだり等…

実に多岐多様に渡る程の物である。

 

「はぁぁぁぁあ‼︎」

 

すると憑友は今度は"サブウェポン"《刺突刃》を展開させ、身体を動かしながら攻撃していく!

 

その攻撃はまるで戦場に居ながら、舞を踊っているかの様に。

 

「くっ!」

 

「…」

 

自分の攻撃ペースを乱されたロックは焦りを始めて、

そんなロックを憑友は攻撃しながらじっくりと観察していた。

そして歌を歌い終わると同時に即効で後退し、話しかけた。

 

「…お前ってさ…歌は好きか?」

 

「・・・何?」

 

憑友の言った一言でロックは焦りから呆然とした態度を見せた。

 

「聞いてみたいんだよ。ライバルの歌を。その声を。

歌に思いを乗せて歌ってみろよ。

きっと世界観がガラリと変わるからさ!」

 

「!…」

 

憑友の言った言葉にロックは感化されていた。

ロックは時々鼻歌を口ずさむ事が偶にあった。

その時は大概クリスが近くにいて、クリスの心情を変化させてきた。

もし今此処で歌えば、多少は元のクリスに戻ってくれるのではないのかと思うとロックは歌いたくなってきた。

 

そしてそれを聞きたいと言ってきた憑友(自身のライバル)

そんな思いを胸に、ロックは…歌った…!

 

(挿入歌「DREAM FIGHTER」宮野真守)

 

歌の出だしからその熱い想いを感じた憑友は笑顔を見せて、右手の拳をロックに向けた。

 

「それでこそ、俺のライバルだぜ!

そしてそんなお前を…俺は、勝ってみせる!」

 

「!…ふっ…なら、掛かって来い!」

 

「行くぜーー‼︎」

 

そう言うと2人の戦いに幕が上がった。

それを合図に響とクリスもそれぞれの目の前の存在と相対した!

 

クリスはそんなロックの歌に合わせて数多の弾丸を響に向けて放つ!

しかし、響も負けじとその弾丸の雨を避けたり、受け流したりしながら、自分の想いを届けようとしていた。

 

そして憑友とロック…2人の戦いは最初からクライマックス状態だった!

 

「はぁぁぁぁぁ!」

 

「ふっ‼︎」

 

互いのメインウェポンとサブウェポンを切り替えながら、互いの攻撃を悉く防いでいた。

 

「(凄いな…ロック…!

魅惑のあるスゥィートボイスでありながら、まるで応援されているかの様な熱いエール…!

これが…お前の《歌》なんだな…!)」

 

「(俺はこれ程までに彼奴の事を期待していたのか…

ならば、今の俺に為すべき事を為すまでだ!)」

 

そう言うと2人は互いのアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・オレ!フルドライブ‼︎』

『ソウル・フォーマル!フルドライブ‼︎』

 

「「はぁぁぁぁぁ!」」

 

すると2人の得物をそれぞれ…

憑友の拳から炎が噴き出て、

ロックの弓から水が形成されていく…!

 

「これで終いだ…!」

 

そう言うとロックは弓を構え、矢を弦に番え、そして…

 

「奥義…"アビス・ブラスター"‼︎シューーート‼︎」

 

そして一本の矢を放った!

その矢に大量の水が付加されて…!

 

しかし負けじと憑友は右手の拳に炎を纏わせた!

 

「シンプルイズネーミング!」

 

憑友はそう叫んだ。

直訳すると"単純な名前"と言う意味を表していた。

その名は…

 

 

「"超…

 

 

 

 

熱・血・弾"ーーーー‼︎」

 

そう言うと憑友はその右手を前方に向けて特攻した!

まるで顔がア○パ○のあの御方そのものの必殺パンチの様に特攻したのだ!

皆を代表して一言言わせて欲しい…

 

 

単純過ぎにも程があるだろ⁈

 

そう感じていると憑友の右手の拳と、ロックが放った一矢が激突した!

 

その激突で更に光と爆発が起こった!

 

ロックは確信した…勝ったと。

だが、その油断が命取りとなる事をこの時の彼は知らない…

 

何故なら…

 

ジュゥゥゥ…

 

「?この音は…⁉︎」

 

ロックは奇妙な音を聞いた。

まるで水が()()()()()()()()()()が聞こえた。

 

そして目の前の光景を見て、ロックは驚愕する…!

 

其処には、己の拳で、ロック自らが放った矢を受け止めただけでなく、それを水蒸気の様に水を沸騰させている憑友が其処にいたのだ!

 

「負けてたまるかぁぁぁぁ‼︎」

 

すると憑友は未だ勢いのある水の矢を受け止めずつ、なんと前へと前進し始めたのだ!

 

「⁉︎(馬鹿な!何処にそんな力があるんだ⁉︎あれ程の高火力で、何処まで進むつもりだ⁉︎)」

 

「俺は…まだ…諦めねぇぇぇぇぇ‼︎」

 

そう言うと憑友が受け止めていた矢を拳で撃ち落としたのだ!

 

それを見て脅かされたロック。憑友はその隙を見逃さずにそのまま特攻して、そして…

 

 

ドガァァッ!

 

「⁉︎ぐはっ⁉︎」

 

「っ‼︎」

 

その拳で、ロックの顔面にヒットさせた憑友が其処にいた。

 

顔面ヒットを食らったロックはそのまま木々を薙ぎ払いながら、吹っ飛ばされたのであった。

 

ーーーーーーSIDEtoロック

はぁ…はぁ…やはり…強いな…あの男は…!

 

「はぁ…はぁ…ヤベェ…もう力が…!」

 

如何やら相手の方は真面に動けないか…だが。

この勝負は俺の負けだ。

 

あんな攻撃を悉く受け止めた上に、この威力ははっきり言うと反則物に等しいな。

 

そう感じていると、

 

遠くの方から剣の形をした何かが爆風を防いでいた。

如何やらクリスの方には相手側の増援が来た様だな。

 

そう感じていると…

 

「何やってんだよ、この馬鹿後輩!」

 

「あはは…。…ごめんなしゃい。霊風先輩」

 

如何やらこの前の風の導師がやって来たみたいだ。

 

「如何する?此処で俺が代わりに相手をしてやっても良いぜ?」

 

…それもまた一興。だが…

 

「…いや、来る前に決着が付いてる。これ以上戦う理由が何処にも無い」

 

「…そうかよ」

 

そう言っていたら…

 

ヒュー…!

 

『⁉︎』

 

ノイズだと⁉︎

 

「うぉ⁉︎」

 

「!やべ…!動け…ない…!」

 

ぐっ!こんな所で俺のライバルをみすみす殺されてたまるか!

 

そう感じた俺はすかさずアーチャーのカードを取り出した。

 

「アーチャー!力を貸してくれ!

俺は…あいつを助けたいんだ‼︎生涯のライバルを!」

 

すると俺の隣からアーチャーが現れて、一言言ってきた。

 

「…ふっ。何を言い出すかと思えば…

そんなのはお前の自由さ。

…救いたいと言うのなら、救ってみせろ‼︎」

 

!アーチャー…

いつも、俺達を見守ってくれて…ありがとう。

これからも頼む…!

 

「ふっ…了解した。マスター」

 

そう言うとアーチャーが消え、俺はすかさずアブソーバーに装填し、彼奴の元へと高速移動しながらレバーを引き、すかさずアーチャーの魂を纏った!

 

ーソウル!フォーム、アーチャー!

Unlimited Blade Works!ー

 

そして俺はすかさず手を交差して、アーチャーの愛剣『夫婦剣 干将・莫耶』をすかさずトレースして、ノイズの猛攻から憑友を…ライバルを助けた!

 

「!…ロック…」

 

「俺とお前はライバルだ。こんな所で死なせてたまるか!」

 

「‼︎」

 

「良いね〜青春だね〜♪なら、俺もそんな2人の青春を応援しますか‼︎」

 

そう言うと風の導師もノイズ達を相手に攻撃をしてきた!

 

だが、こんな所でノイズが来るのは大抵彼奴が彼処にいるしかいない…!

そう思いながら、俺はすかさず後ろにいた憑友を担ぎつつ、攻撃をいなして行くと、いつの間にかクリスと《ガングニール》の装者と《天羽々斬》の装者といつの間にか合流していた…!

いや、合流していたんじゃない…合流させられたのか⁉︎

そう感じていると…

 

『命じた事も出来ないなんて…

貴方達は私にどれだけ失望させれば気が済むのかしら?』

 

⁉︎この声は…

 

 

そして俺は上空にいる空中型ノイズ達が徘徊している場所の真下にいる日の入り間近の海岸近くに佇む1人の金髪の女を見て驚愕した。

 

何故、お前が此処にいる…⁉︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「フィーネ!」」




奏「よっ!みんな元気にしてたか?天羽奏だ。
原作では私は殉職した身だけど、このお話では生きてるからな!」「さて、翼が前回このコーナーをやってたけど、私の所にまで来るとは思ってもいなかったよ。
さ、そんな事よりも今日の『英雄』紹介コーナーは私が担当するからよろしくな!」
「それで、今回の『英雄』は…え?マジで?
今回は憑友が初めて出会った『英雄』・キリトの娘、ユイの事を紹介するぞ」

ユイ/カード名【黒と白の娘 ユイ】
属性/光・機械・無し・無し

『英雄』と言うよりもその『英雄』達を支えるサポートキャラの役割を担っている少女。
キリトの事を『パパ』と呼んでいる。

奏「…初めて見るけど…何これ…可愛い過ぎだろ…⁉︎
こんな子が憑友の『英雄』の娘となると、この子の母親ってよっぽど美人なんだな…」

次回

亀裂

奏「次回は憑友と響にとっては深刻な問題が発生する話か。
私には如何する事も出来ないからな…
2人とも頑張れよ!」


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第37話 亀裂

さぁて、此処から第7話の見所なんですが!
申し訳ありません。オリ主の憑友君の視点のみとなってしまいました。すみません。

それと、このお話の原作『戦姫絶唱シンフォギア』なんですが、
なんか第4期制作決定と言う噂が此方にも流れ着いてきました。

嬉しいのやら、悲しいのやら…
とにかく、頑張って、三期までは7月中に書き上げる!

『ガンバレ〜〜』

皆んなに応援されたけど、何故そこを棒読みで読むんだよ〜〜⁉︎

「と言う訳で、せーの!『スタート!』」

話聞けやこの〜〜!

p.s.
28日に5期制作決定だと…⁉︎調子狂うでは無いか⁉︎


ーーーーーーSIDEto翼

 

「「フィーネ‼︎」」

 

水の魂の使い手と《ネフシュタンの鎧》を纏っていた少女は同時にソロモンの杖を持っていた女性を見てそう告げた。

 

フィーネ…それは終わりの名を持つ者の事だが…一体…?

 

「へぇ〜此奴等を影から操っていた本体…謂わばボスキャラ登場か?面白いね〜♪」

 

霊風さんの様子が少し変に思えてきた私。

色々とアタマが痛くなりそうだった。

 

「っ!」

 

そう感じていたら、鎧の少女は自分をノイズから庇った立花を押し退け、立花は私の腕に収まった。

 

「こんな奴がいなくたって、戦争の火種くらい、私とロック義兄が全て消してやる!」

 

戦争の火種⁉︎まさか、此処にいる2人は戦争孤児なのか⁉︎

 

「そうすればあんたの言う様に、人は呪いから解放されて、バラバラになった世界を元に戻るんだろ⁉︎」

 

⁉︎そんな事があり得るのか⁉︎

もしそれが可能ならば、何故それが今の今まで出来なかったのだ⁉︎

 

『…はぁ…

もう貴方達には用は無いわ』

 

「⁉︎」「…」

 

⁉︎貴様…!

 

「よせ!翼!」

 

私が前に出ようとしたら、霊風に止められた。

何故、止めるんだ‼︎

 

「よく聞け、翼!

悔しいけど、この中のメンバーでおそらく古参な俺だとしても、彼奴に敵う事なんて無理に等しいんだ。そんな俺が駄目なら当然ながら、お前や憑友、響ちゃんだって敵う筈がねぇだろ…」

 

私は霊風さんの言葉を聞くと霊風の方を見た。

其処には苦虫を噛んだかの様な悔し顔を晒け出している霊風さんの顔を見た。

…くっ!私はこれまで一度たりとも霊風さんから一本も取れてない。

 

そんな私が霊風さんが危惧している程の実力を相手にあの女に勝てる見込みなど無い…!

しかも、此方には疲弊した立花と、病み上がりな上にさらに悪化させた憑友が此処にいる…

この2人を守りながら戦うのは幾ら霊風さんと私でも至難の業だ。

 

そう考えていると、フィーネと呼ばれた女の右手が青白く光ると、近くから粒子が集まりだした!

 

そして回収し終わるとソロモンの杖を使って、ノイズを指揮してきただと⁉︎

 

「っ!やらせはせん!

 

来い!ラギア‼︎」

 

すると水の導師が海に向かってそう叫ぶと、

 

 

「グォォォォォーー‼︎」

 

『!』

 

海から凶暴なワニの様な顔つきをした何かが現れた‼︎

それを見た霊風さんから

 

「ら、ラギアクルスだと⁉︎」

 

と、そう告げた。

ラギアクルス?それがあの怪物の名前なのか…?

 

と、そう思っていたら、その怪物は口から電撃を帯びた弾丸をノイズに向けて放った!

 

その攻撃で、ノイズは瞬時に炭化して、消えた…!

 

なんと言う威力なんだ…!

そう感じていたら、フィーネと名乗った女は此処から立ち去ってしまった…!

 

「待てよ…フィーネーー‼︎」

 

すると鎧の少女は直ぐに後を追って行ってしまった。

それを見た水の導師はラギアに命令し、ラギアと呼ばれた怪物は海へと入っていった。水の導師も海の方へと行こうとしたが、直ぐに立ち止まり、私の方に顔を向けて話してきた。

 

 

「19537」

 

「…え?」

 

「憑友に伝えろ。やり方は簡単だ。其処に電話を繋げるだけだ。

…また会おう。

…今度は敵としてではなく、ライバルとして…」

 

そう言うと水の導師もその場から立ち去ってしまった…!

 

『聞こえるか、翼』

 

…叔父様。

 

『フィーネ及び2人の行方は完全に不明(ロスト)した。

霊風と共に憑友と響君を連れて帰還してくれ』

 

「…了解しました」

 

通信をきると私は霊風さんに叔父様の話した内容を話し、2人でこの場を立ち去った。

 

ーーーーーーNO SIDE

一方、3人の反応をロストしてしまった二課。

だが、その代わりに2つの情報を集める事に成功していた。

 

藤堯がその情報を映像に出した。

其処には一面の記事と一緒に小さな女の子の顔と、

 

また違う一面の記事と一緒に小さな男の子の顔が写し出されていた。

 

弦十郎はその内の少女の方に見覚えがあった。

 

「あの少女だったのか…」

 

「雪音クリス。現在16歳。

2年前行方知れずとなった、過去に選抜されたギア候補者の1人です」

 

藤堯が鎧の少女…クリスの説明をすると今度はもう1つの記事の方を拡大させて説明をした。

 

「そして、此方の男の子。名前は、ロック・アイル。

彼がまだ5歳の頃に両親をテロリスト達に殺されて以来、たった1人でテロリスト達に反旗を翻したとして噂されていたテロリスト達の脅威的で、異名(コードネーム)は…

 

「【冷眼のロック】…」

 

⁉︎司令、ご存知だったのですか⁈」

 

司令はこの男の子の事をまた知っていた。

その理由を今度は弦十郎自ら説明した。

 

「憑友がごく偶に連絡をしてきた時があってな。その際に相手をしていたテロリスト達からちょくちょく耳にしていたと言っていた…

まさかこんな歳でもう戦場で数多の死線を潜って来ていたとは…」

 

弦十郎の言葉に藤堯と友里も少し浮かない顔をしながらもその記事を纏める事にしたのであった。

 

そしてオペレーターの席についてあったモニターには未来と逝都、そして馬燈の3人が黒服のSP達に守られていたのであった…

 

ーーーーーーSIDEto憑友

 

…此処は…?

 

真っ暗で何も見えない…

 

まるでその身だけで深海まで深く潜られてしまったかの様な感覚…

 

だけど…心地良いなんて。

 

もしかして、かなりの多様化でもう死んでしまったのだろうか…?

 

「何考えてやがるんだ…お前はよ…」

 

「…神…様?」

 

なんで此処に?

 

「一枚も俺が欲しい石板を持って来ないとはな?

まぁ良い…ほら、手を出せよ。今回だけだからな?」

 

そう言いながら、神様は右手を出してきた。

俺も右手を出した。すると、神は俺の右手を引っ張ると、そのままの勢いで上へと押し戻されていく…!

 

「取り敢えず、自分の分くらいはきっちりやって来いよな〜?」

 

そう言いながら手を振りながら、俺を見送る神。

 

そうだよな…俺にはまだやるべき事が残っているんだからな…!

 

そう言うと俺はそのまま光のある方へと手を伸ばした…!

 

ーーーーーー

そして目が覚めると其処には俺の手を握ってくれていた響がベッドの上に頭を乗せてそのまま寝ていた。

 

此奴にはいつも迷惑掛けっぱなしになったな…

 

「う、う〜ん…あれ?私…此処で…⁉︎憑友⁈」

 

「取り敢えずうるさい」

 

ゴドンッ!

 

「あ痛っ⁉︎うぅ〜⁉︎酷いよ…」

 

此処、病室だろ?少しは静かにしてくれよ。

 

「うぐっ…はぁ〜い」

 

素直でよろしいです。

 

「それは兎も角、心配したんだからね⁉︎1週間も寝てばっかりだったし!」

 

⁉︎い、1週間⁈そんなに俺の意識は無かったのかよ⁈

 

「と、それは良いとして…私、翼さんに認められたよ!

まだまだ半人前な私だけど、友に戦ってくれる大事な仲間だって!」

 

!…そっか。ふふふ…」

 

「?如何したの?」

 

「あ、声に出してたか。いや、あの一件以来、翼さんは響の見る目が変わったなって思って…

変わったのか、変えられたのかやら…」

 

「?」

 

「なんでも無い」

 

「そっか!」

 

そう言いながらも響はニコニコと笑顔を、俺に見せてくれる。

けど、俺はそんなお前の顔を見て、少し苛立っていた。

 

さて、その理由を話すとしようかな。

 

「…時に響。今、俺はお前に対して非常に苛立っています。心当たりがあるのなら正直に答えなさい。答えれば、お咎め無しにします」ニコッ(#)

 

俺はそう言いながら、眉間に皺が出来るほど眉毛を引き寄せつつも、顔は朗らかな顔をして見せた。

すると響はありのままの事を話した。

 

結果から言うと今回の件が原因で未来と喧嘩してしまった様だ。

 

あの後、寮へと帰った後、未来が響に拒絶の姿勢を見せ、そして俺が現在使用しているベッドの方へと身を疼くまり、そしてそれ以来、未来は一切話を聞いてくれなかったと言う事らしい。

 

それを聞いた俺はひとまずその怒りの矛先を収めて、落ち着かせた。

 

確かに俺と響、未来、逝都、馬燈の5人の中で未来は仲間外れ的なものだからな。

逝都や馬燈は俺が直接話して、男の約束として誰にも言わない様にしてきたけれど、未来はその限りでは無い。

 

だからだろうな…未来は響に拒絶を見せたのは。

 

響だけじゃ無い。俺もそうだな。

おそらく帰って来ても、未来は俺に対しても拒絶の態度を見せるだろうな…

 

俺と響と未来。

俺達3人は超が付くほど仲良し3人組だった。

だからかな…今はこの心が逆に痛かった…

辛かった…こんなにも身近な存在と喧嘩した時の後悔に俺は何も出来なかった。

辛い…辛すぎるよ…

 

そして未来はそれよりももっと辛い中を生きてると言う事を改めて知れた。

 

未来は俺と響の事を心配してくれていたんだ。

なのに、俺達は…くそっ!

 

俺がそう感じていると、響はメモ帳に何かを書いて、部屋から出て行こうとした。

問おうとしたら、この後学校の授業がある様で、今日の内にも未来に謝りたいと言って、響は病室から立ち去ってしまった。

俺は響の書いたメモ帳を見てみた。

 

けど…

 

相変わらず…字が汚い⁉︎

 

だけど良く見てみると、其処には…

 

『19537。

翼さんがロックさんから聞いた話だって!

其処に電話を掛けて!』

 

俺は響の書いたメモを便りに端末の番号を押して、そして電話を掛けた。

因みに今は病室ベッドから屋上に来ている。

 

purrrr…purrrr…purrrr…purr…ガチャ!

 

『…ようやくかかって来たか?』

「お前が俺に番号を送るなんてな?ロック」

 

話し相手はロックだった。

するとロックは今から其方に来ると言って電話を切った。

 

今からって…此処からどのくらいかかると思ってr…

 

「待たせたな?」

 

「うわぁ⁉︎」

 

ど、ど、何処からやって来た⁉︎

 

「驚かすなよな⁉︎ってか、何処から現れた⁉︎」

 

「その事に関しては詫びよう。で何処からかと言われたら、お前の影を探して、そして其処から移動してきただけだ」

 

いや、それ何⁈もはや忍者の偉業を軽く超えちゃってるよ⁈

 

「それよりもお前に大事な話があるんだ。

フィーネ…奴の正体を」

 

⁉︎何だって⁈




弦十郎「ん?今回は俺が憑友のやっているコーナーを担当するのか?」ゴホンッ…
「それでは本日の『英雄』紹介、いってみよう!」
「今回は、霊風が以前解析していた『英雄石板』内にいた通称【槍の姫騎士】ことアリーシャを紹介しようではないか!」

アリーシャ/カード名【槍の姫騎士 アリーシャ】
属性/無・人間・突・槍

《グリンウッド》と呼ばれる大陸にある国にて地位の高い身分を持つ正真正銘のお姫様。
だが、その身分は何方かと言うとあまり高くない。
けど、そのおかげで、民の声を直に聞く事が出来る為、民からの信頼は厚い…!

弦十郎「翼や奏と大差変わらないくらいの年齢で王としての責務を果たすとは…!
大人の立場としてはあまり嬉しく思いたくない世の中もあったものなんだな…」

次回

義兄と義妹の歌

弦十郎「次回は…何?俺達二課の出番が無いだと⁉︎」
「しかも今回の話の間に起こった出来事だと⁈
…兎に角、次回も見てくれ」


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第37.5話 義兄と義妹の歌

えーと…まずひと言言わせてくれ…


『戦姫絶唱シンフォギア』

祝!第4期&第5期制作決定おめでとう‼︎

新たな歴史の快挙となるのか!乞うご期待!

てなわけで、このハイテンションのまま、レッツゴー!

『何処に⁉︎』


響が未来に嘘をつき、未来と喧嘩してしまったその日の夜…

 

あの戦いの後の夜、クリスは1人近くの公園を彷徨いていた。

夕方相見えた少女、響の言った言葉が如何しても頭から離れられなかった。

 

「(私の目的は戦いの意思と力を持った人間を倒して、戦争の火種を少しでも無くして、ロック義兄の負担を減らしたいのに…)」

 

クリスがそう考え込んでいると、女の子の泣いてる声がしたので其方に顔を向けると、其処には小さな男の子と女の子がいて、女の子はベンチに座って泣いていた。

 

それを見たクリスは男の子に言いながら拳を振り上げようとしたが、

ガシッ!と言う音が聞こえた為、苛立ちながら後ろを振り向くと其処には…

 

「女が拳を振り上げるものじゃ無い。クリス」

 

「⁉︎ロック義兄⁈」

 

なんとロックがいたので、クリスは驚いてしまった。

そんなクリスをほっといて、ロックは男の子と女の子の方に同じ目線になって話しかけた。

 

「如何かしたのか?」

 

「迷子になったの〜」シクシク

 

「迷子かよ…だったら最初から言えっての…」

 

「拳を振り上げるような奴に言われる筋合いは無いと思うが?」

 

「んな⁉︎よ、余計なお世話だ!」

 

「兎に角、迷子になったのか…良し。

だったら、俺とこのお姉ちゃんが一緒に探してあげるよ」

 

「ほんとう⁉︎」「良いの⁉︎」

 

「ああ。勿論さ」

 

ロックの話を聞いていたクリスはその会話を見て、自分の事を思い出してみた。

 

ーーーーーーSIDEtoクリス

思えば、ロック義兄は本当に小さな時から子供達の事を良く見ていたし、私の時もそうだった…

 

ー回想ー

まだ自分が小さくて、ロック義兄が義兄になったばかりの頃の話だった。

 

『うぇ〜ん!』

 

あの頃の私は時々、パパとママから離れていた為にすぐに泣いていた。

そんな時に私の事を第一に考えていたのがパパでもママでもなく、

 

『…』

 

ロック義兄だった。

 

『ほら!』

 

あの頃の私はロック義兄は本当に自分の兄だと錯覚していたくらいに家族として好きだった。

だけど、何時からだろう…ロック義兄は私の為に自分の事なんか二の次に考えるようになって…

パパとママが居なくなったあの日からそれは更に加速していったな…

 

今こうやって思い返してみれば…

 

『下手くそだけど、気に入ってくれてよかったよ』

『味に自信が無いけど、美味しそうに食べてくれてありがとうな』

『美味いじゃないか!その調子だよ!』

『妹を守るのは常に兄としての役目だからな』

『俺はクリスの両親の分まで生きて、クリスに幸せな生活を送ってみせるからな』

 

ー回想endー

 

思えば、私はロック義兄に甘えてばかりになっていた。

だから今度は私がロック義兄を守る番なんだ!

 

「?如何かしたのかクリス?」

 

「え?」

 

「俺の顔をチラチラ見ていたから。…何か付いているのか?」

 

「⁉︎//な、なんでもねぇよ…‼︎」

 

言えねえよ、ぜってぇに‼︎

 

 

ーーーーーーNO SIDE

そして男の子と女の子の親を探す為、2人は子供達と共に街中を歩いていた。

 

因みに、

 

ロック 男の子 女の子 クリス

 

こんな風に並びつつ、手を握っていた。

傍から見たら、まるで家族みたいと思えていた人達が多かったそうで、

その視線に気付いたクリスは顔を真っ赤に染まりそうになるのを敢えて堪えて、気を紛らせる為だったのか、それとも無意識のうちにだったのか…鼻歌を歌っていた。

 

「…」

 

「…?な、なんだよ…」

 

「…クスクス…!」

 

「⁉︎笑う事も無いだろ⁉︎」

 

女の子が見ていた事に気付いたクリスは答えるように示唆すると今度はロックが小声で笑みを浮かべていたので、今度はクリスが顔を真っ赤にしながら反論を述べた。

するとロックはこう言ってきた。

 

「あはは…いや〜久しぶりに聞いたよ。クリスの鼻歌♪」

 

「其処だけ強調すんじゃねぇ⁉︎」

 

そうすると今度はロックも鼻歌を歌った。

曲名は「光射す場所」のオルゴール版だった。

 

その歌を聞いていた子供達は目をキラキラしていた。

対してクリスは先程の羞恥心が何処へ行ったのやら…

そんなロックの鼻歌を聞いて、心地よい気分になっていた。

 

 

そして4人が交番あたりにさしかかろうとした時、1人の男性が現れた。

すると手を繋いでいた男の子と女の子が一斉にその男性の元へと走った。

如何やら父親らしい。

 

「うちの息子達がお世話になりました」

 

「いや、別に気にしてはいないので。寧ろ、この子達のおかげで、この場所の事が良く分かりました。

良かったね、お父さんと再会できて」

 

「うん!」

「お兄ちゃん、ありがとう!」

 

「如何いたしまして」

 

3人の会話を聞いていたクリス。

それをちらりと見たロックは何かを察したのか、クリスが言いたい事を代弁した。

 

「そうだ。2人は如何して其処まで仲良しでいられるのか、教えてくれないかい?」

 

「え?う〜ん…分からないや。

時々喧嘩もしちゃうし」

 

「喧嘩はするけど、それでも仲良しになるの〜!」

 

「あはは…!そうか。ありがとう。おかげで良いアドバイスを貰えたよ」

 

そう言うとロックは男の子達の父に会釈をするとそのまま立ち去ってしまったので、クリスはお辞儀をするとロックの後を追いかけていった。

 

 

「なんで、あんな事言うんだよ…迷惑だ」

 

「いつもの事だろ」

 

「いつもじゃねぇ!」

 

そう言いながら、2人は夜の街を歩き続けながら、

そしてそのまま先程いた公園にやって来てしまっていた。

 

するとロックはベンチに座って、クリスに座るようにジャスチャーを出すと、クリスは渋々それに従った。

 

「何故、俺があんな事言ったのか分かるか?」

 

突然の出来事にクリスは頭の上から?マークが付きそうなほど、首を傾げた。

 

するとロックはその理由を教えた。

 

「お前には友達やら彼氏なんかを作って欲しいと思ってるんだ」

 

「…はぁ⁉︎」

 

ロックの一言に驚かされるクリス。当然である。

いきなり何を言い出すのかと思えば、友達を作れだとか現を抜かした言動を言ってきたので、驚かされるのも無理はなかった。

 

「もしかしたら、クリスを幸せにする前に俺がこの世から居なくなってしまうからな。

俺はライバルの1人か2人くらいいればそれで良いんだ。

だけど、クリスの場合はそうはいかないんだ。

お前の事を大事な存在だと思ってくれる人と一緒に居てくれた方が俺にとっても幸せなんだよ…」

 

「ロック義兄…」

 

ロックの台詞を聞いたクリスはそれ以上何も言えなかった。

 

ーーーーーー

ロックが憑友の所へ行っている間、クリスは1人でフィーネのアジトに向かった。

 

其処には電話越しに会話をしているフィーネの姿がいた。

 

 

クリスは必死になって反旗を翻すも、フィーネは電話を切り、そしてソロモンの杖からノイズを出してクリスを包囲させると同時に、彼女の手から光が具現化し、そしてフィーネは纏った…

 

完全聖遺物《ネフシュタンの鎧》を。

 

そしてフィーネはソロモンの杖を使い、ノイズ達に命令した。

 

クリスを襲えと。

 

クリスは泣き叫びながら、街の方へと走り去ってしまった…

 

 

{数多の流れは近い内にいずれ邂逅し、やがて1つとならん…}

 

そしてこれはその1つになろうとする前触れなのかもしれない…




次回

陽だまりの翳り


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第38話 陽だまりの翳り

アニメ第8話の内容です。



あくる日の事。

雨が降りしきる朝、未来は1人先に起きて、身支度をして、朝早く学校の方へと向かった。

 

ふいに何かに気付いた未来はその方向を見ると、

大量の炭と共に1人の女の子が横たわっていた。

 

ーーーーーーSIDEto響

今日は朝から師匠の電話が来たので、私は電話を掛けた。

内容は今朝方にてノイズと交戦した跡が見つかったと言う事だった。

 

幸いなのは今朝方未明だったので、人が炭化した形跡が無かったのは救いでもあった。

 

だけど、私はその時まで寮部屋に居て、翼さんも病み上がりだからあまり無茶出来ない。

霊風さんは今日は奏さんのところに行ってるって、師匠よりも前にメールで来ていた。

憑友はまだベッドの上で回復に専念している。

となると、交戦した相手はある程度目処がついている…

 

クリスちゃんとロックさんの2人だけだ。

 

そう思っていたら如何やらその仮説は本当のようで、

師匠から《イチイバル》の波形パターンを検知していた。

 

つまり、クリスちゃんがノイズと戦っていた事になる。

 

けど、その肝心のクリスちゃんは居ない。

 

それに、それだけなのかと聞いたら師匠からはそれだけしか検知されていないらしい。

つまり、今クリスちゃんにはロックさんがついていないという事になる。

 

如何してそうなってしまったんだろう…

 

これは最早呪われたレベルを通り越しているとしか言いようが無いよ…

 

そう思いながら、この後授業が始まるので、私は師匠との通話を切り、教室に入った。

 

そして私の机を見てみると、未来が来ていなかった。

 

「ビッキー」

 

すると私の元に創世ちゃん達がやって来た。

 

「小日向さん、お休みなんですか?」

 

「私よりも先に登校した筈なのに…」

 

如何してなの…未来…

私は…このままなんて…嫌だよ…

 

ーーーーーーNO SIDE

降りしきる雨の中、憑友は病室のベッドで読書をしていた。

なにぶん今の自分の身体にダメージが残ってしまっているので、とてもじゃないがまともにやり合う体力が全快していないのである。

 

『大量に本を読んだとしても、何を調べているのだ、憑友?』

 

「彼奴…ロックが言った事に関する情報を少しでも多く蓄積しないと攻略する事は出来ないからな」

 

憑友は読書ではなく、ある物を独自に調べていた。

それはつい先日、憑友の前に現れたロックがフィーネの正体とそれに関する重要なワードを教えてくれたのだ。

 

「『カ・ディンギル』…

天をも穿つ塔いや、天を貫く魔塔か…」

 

そう呟きながら、憑友は懸命にそのワードに関する情報を模索していたのであった。

 

そんな憑友はふとある事に思い出していた。

 

「?(そう言えば…ユルセンは何処に行ったんだ?)」

 

ーーーーーー

その憑友が探していたユル〜い幽霊ことユルセンはとある場所にやって来ていた。

 

「…」

 

その場所は時々、みんなと一緒に食べに来るお好み焼き屋『ふらわー』であった。

ユルセンはその店の中へと霊体となって入っていった。

 

そして店の奥には未来がクリスの面倒を見ていた。

 

「(未来…クリスちゃん…)」

 

ユルセンはそんな声を発するもその声を2人には届かなかった。

 

ーーーーーーSIDEto未来

雨が降りしきる中で倒れていた女の子。

私はそのままにする訳にも行かずに、『ふらわー』のおばちゃんのお家にお邪魔して介護していた。すると、女の子が目を覚ました。

 

目を覚ましたのは良いけど…

 

下の方は流石に…//

 

「⁉︎」バサッ!

 

そう言うと女の子の方も気付いた様で布団に包まってくれた。

 

そうしていると、

 

「如何?お友達の具合は?」

 

『ふらわー』のおばちゃんが洗濯物を持ってこっちにやって来た。

 

「ついさっき目が覚めた所なんです。ありがとうおばちゃん」

 

そう言うと私はおばちゃんが持っていた洗濯物を持って、洗濯物を干す事にした。

 

ーーーーーー

 

そして私は女の子の背中を水で軽く拭いてあげた。

その際に、大量のアザがあったけど、私は気にしてはいない。

…ううん。それよりも気にしちゃう事があっただけの事。

 

響の胸の上にフォルテの形をした傷跡がある事。

 

そして薄々気付いていたんだけど…

 

憑友が生きていないと言う事に。

 

いつ知ったのかって?

それはつい先日の時に、私がウトウトと眠気に襲われた時に、憑友が肩を貸してくれたの。

その時に心臓が聞こえて来なかった。

実は意外にも肩に顔を置くと耳元から少ないけど心臓の音が聞こえて来るそうなんだけど、憑友からは感じられなかった。

 

だから、私はこの時に半信半疑になっていた。

憑友が実は半分幽霊みたいな存在じゃないのかって。

 

今はその半信半疑の状態に私はいるけれどね。

 

私はそれでも2人のために心配事をしていたけど、2人は私に心配を掛けさせまいとしていた。

 

仲良し3人組としてまるで除け者にされたような気分に今の私は顔には出さなかったけど、やっぱり落ち込んでいる事に関しては自覚していた。

 

「…何にも、言わないんだな…」

 

そう思っていたら、女の子がそう呟いてきたから、私は「うん」と言いながら、彼女の背中を拭きながら話をした。

 

「私、そう言う事は苦手みたい…

今までの関係を壊したくなくて…なのに…

一番大切な物を2つも壊してしまった…」

 

2人にはなんて言えばいいんだろう…

またいつもの何気ない日常に戻れるのかな…

いや、これは我がままなのかもしれない。

2人との関係を壊したくなかったのに、2人の関係を壊したのは結局私なんだ。

私は2人との関係を…憑友と響との関係を自分から壊してしまった。

だから、私はもう…

 

そう考えていたら、女の子はいつの間にか着替えをしていた。

外を見てみたら、いつの間にか晴れていた。

考え事してるとやっぱり時間の流れは速いんだね…

 

「喧嘩か…私にはよく分からないな」

 

「?友達と喧嘩した事無いの?」

 

「…友達居ないんだ。いるのはたった1人の義理の兄だけなんだ」

 

そう言うと女の子は話を始めた。

それは、彼女の壮絶な人生の出来事だった。

 

この場所の裏側に位置する場所にて女の子の両親は殺されて、

たった1人の家族だった兄も容赦なく痛めつけられて、

そして女の子自身はその幼かった自分がまるで奴隷のように扱き使われていた事を話してくれた。

 

彼女の話を聞いた私。

私はそれでも、彼女の事が心配になってきていた。

すると彼女は私の今の現状を打開する話へと切り替えてきた。

 

「お前さ。その子達に1発ぶん殴ったら如何だ?」

 

「ふぇ⁈」

 

い、いきなり過ぎだよ⁉︎

 

「どっちが強いのか示したらそこで終わり。

後はまた仲良くすれば良いだろ?」

 

…そう簡単に言って来れるけど…私には無理だよ…

 

だけど…

 

「ありがとう」

 

「あん?私は何もしてねぇよ」

 

それでも言いたかったんだ。

 

「気遣ってくれてありがとう。えっと…」

 

「…クリス。雪音クリス。それがあたしの名前だ」

 

そっか。クリスって言うんだ。

だからなんだろうか?こう言う言葉が出てきたのは…

 

「私は小日向未来。もし良かったら…

私と友達になってくれる?」

 

「⁉︎…良いのかよ、それで…」

 

「うん」

 

私にとっても、貴方にとっても大事な友達で居たいから。

 

そうしていると突然サイレンが…⁉︎

 

外を見てみるとそこには大勢の人達が避難していた…!

 

こんな事になるのは大抵決まってる…ノイズしかいない…!

 

ーーーーーーSIDEto響

 

私は今、翼さんとお話をしていた。

自分の事をありのままに話した。

すると翼さんも自分の事を話してくれて、なんだか心が少し落ち着いていた。

そしたらいきなりサイレンが鳴り響いてきたので、私は翼さんと共に師匠と連絡をした。

 

「翼です。立花も一緒です」

『ノイズを検知した!相当の数だ。未明に感知したノイズ達と関連性が高い!

幸いにもつい先程、憑友が完治したとの情報が入った。

だが、彼奴は病み上がりな状態だ!

響君は憑友共にそのノイズの駆除を頼む!』

「⁉︎何故、私はもう…『メディカルチェックの結果が出てない者を出す訳にはいかない!』ですが…!」

 

大丈夫です、翼さん!

私と憑友がやればあっという間です!

 

「!…だが…「そ・れ・に!」?」

 

「霊風さんが先に行ってノイズを倒してくれている筈です!

私と憑友はそのお手伝いをしに行く様なものですよ」

 

「…そうか。

だが、あまり無理はしないでくれ」

 

「はい!」

 

そう言うと私は急いで現場の方へと向かっていった…!

 

ーーーーーーNO SIDE

響が現場に向かう時、未来とクリスがいる『ふらわー』周辺では大勢の人達が一斉に逃げていた。

中には子供が泣きながら親に手を引っ張られて走っている光景もあった。

そんな様子を見たクリスはその光景に驚いていた。

 

「おい、一体なんの騒ぎだよ…⁉︎」

 

「何って⁉︎ノイズが現れたんだよ!」

 

未来の言った一言でクリスは目を見開き、そして気付いた。

この騒動を引き起こしたのは自分だと言う事に。

 

未来が『ふらわー』のおばちゃんと共に避難しようとしたら、クリスが反対の方向へと行ってしまい、未来は止めようとしたが、止める事が出来ず、仕方なくおばちゃんだけでもと思い、避難する事にしたのであった。

 

ーーーーーーSIDEtoクリス

 

くそっ!何やってんだよ、あたしは…!

 

私のせいで関係のない奴等にまで…!

 

畜生ーーーーーー!

 

私がしたかった事はこんな事じゃない…!

けど、何時だって私のやる事は…何時も何時も…!

 

私は泣いた。私のやり方だと何も変える事なんか出来ねぇのかよ!

そう感じていたら、ノイズ共が私のところにやって来た…!

 

私は此処だ…

 

だから、関係ない奴を巻き込むんじゃねぇ!

 

そう言うとノイズ共は私に向かって特攻してきた…!

 

私はすかさず聖詠を歌った…

 

「Killiter…ゲホッゲホッ!」

 

だけど、思うように唄えない…!

その隙に上空からノイズが…!

このまま死ぬのか…?

 

「ふんっ‼︎ハッ‼︎」

 

すると突然やって来た男が足でアスファルトをくり抜き、壁を作ってそこから拳1発でノイズを圧倒していた…!

 

「ったく…かなりの数だな…ならば致し方ないか…!」

 

そう言うと男はポケットからカードが一枚入るくらいの機械を取り出して、何処から取り出したのか、一枚のカードをその機械に入れた。

 

するとそこから光の粒子が舞い、それが形成して行っていた…!

 

そして現れたのは全身鎧に身を包んだ巨漢の男だった…!

 

「悪いが力を貸してくれないか…?」

 

「応よ!任せとけ祭りだぜ!」

 

そう言うと男はノイズの方へと向かって行っただと⁉︎

 

「彼奴1人に任せる訳にも行かないか…ふっ!」

 

そう言うと男はまた違うカードを機械に差し込んだ!

そして現れたのは、ピンクのポニーテールを着飾った1人の女剣士だった。

 

「上の敵を頼む…!」

 

「承知した。我が主の恩師の為、この【烈火の将】いざ参る!」

 

そう言うと女剣士はすぐに上空へと飛びやがった!

なんだよそれ⁉︎有りかよ!

 

そう考えていると隣にいた男はまたしても違うカードを入れた。

そして現れたのは男よりも更にデカい巨漢の男が立っていた…!

 

「こう言うのはいけ好かないのはわかるが…」

 

「それ以上言わなくても良い。王たる役目を果たしに行くだけの事!」

 

そう言うと男が右手を前方に構えるとそこから2匹の牛と共に荷車が現れた!なんだよそれ⁉︎

 

「では行くぞ!"遙かなる蹂躙制覇(ヴィア・エクスプグナティオ)"!」

 

男がそう叫ぶと牛達が豪快に動き回り、ノイズ達を殲滅していた…!

圧巻に浸っていると、空からノイズの炭が降ってきたので上を見ると、

 

「はぁぁぁぁあ!"紫電…一閃"‼︎」

 

女か所持していた剣から火が噴き出し、そして上空のノイズを殲滅していた!

更にそのまま鎧の男の方を見て見ると、

 

「"クロススラッシュ"‼︎」

 

独特の剣技でノイズを殲滅していた!

 

そうしていると私の近くにいた赤髪の男が私を抱いて近くの建物の屋上まで跳躍した…!

何者なんだよ、あんたは⁉︎

 

「大丈夫か?」

 

「っ‼︎」

 

私はすかさずその男から離れた。すると其処へノイズが!

 

ヒュンッ‼︎

 

ザクッ!

 

その音と共に私の前にいたノイズ達が一斉に炭化して行った。

まるで矢で撃ち抜かれたかのような印象だった。

 

「大丈夫かクリス!」

 

「⁉︎ロック義兄!」

 

撃ってきた方向を見てみるとそこからロック義兄がやって来て…

 

ゴツンッ‼︎

 

「あ痛ッ⁉︎うぅ〜…何すんだよ!」

 

「それはこっちの台詞だ!どれだけ迷惑させれば気が済むんだ!」

 

私はこの時、知った…ロック義兄が私をずっと探していた事に。

ロック義兄の一言により、私は何も言えなかった。

 

するとロック義兄が私の近くにいた男と話をしていた。

 

「義妹を助けて頂きありがとうございます」

 

「こう言う時に大人が出ないと意味がないからな。

とは言え、俺は大人でありながら無力に等しい。

数は少ないが、心強い仲間を出しておいた。

彼等が共に戦ってくれるだろう」

 

「…ご協力感謝します。

行くぞ、クリス。俺達のやって来た事は俺達で罪を滅ぼすんだ!」

 

‼︎…ああ、そうだな…それしかねぇんだよ!

 

「Killiter Ichaival tron…」

 

そして私は聖詠を歌い、ロック義兄はソウルを左腕に装着させ、腰のカードケースから一枚のカードを取り出して、ソウルアブソーバーに装填し、レバーを引いた!

 

「変身」

 

ーソウル!フォーム、アカツキ!ー

 

するとそこから紫髪のポニーテールをした少し小さなクノイチが現れて、ロック義兄はそれを纏った。

 

ー地平線上、クノイチアサシン!ー

 

そこには私と身長の差が10センチ近くあったロック義兄が今では私と同じ身差へと変わらないくらいにまで変化していた。

 

「いざ参る…!」

 

…ふっ!そうこなくちゃな!




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー…なんだが…。
なんだよこの散らかり様は⁉︎」

ドンガラガッシャーン!

憑友「…翼さんだな。これ絶対に翼さんの仕業だろ⁈
…兎に角片付けるか…はぁ、やる前に疲れてきたよ」




ーしばらくお待ち下さいー





憑友「ふぅ。なんとか片付けたと。さてと、気を取り直して…!

今回紹介するのはロックが今日の話のラストで変身した『英雄』アカツキの事を紹介しよう」

アカツキ/カード名【クノイチ暗殺者(アサシン) アカツキ】
属性/闇・人間・斬・刀

キリトと全く同じ属性を持っている少女。
だが、実年齢はキリトよりも上だというので驚きようである。

憑友「資料によると、
『忍として生きていくのに必要な身体能力を持っており、いずれもトップクラスの実力を誇る。
上空から攻撃する必殺技"アサシネイト"はまさに死と言う名の銅鑼を鳴らす一撃を与える…!』か。
マジでえげつな⁉︎
因みに、この姿は以前俺がロックと初めて戦った時にもその姿で戦おうとしていたんだけど、その時に翼さんの『絶唱』が放ったから中断せざるを得なかったんだよな」

次回

風と水の共闘

憑友「次回は霊風先輩とロックが大活躍だぜ!」
「…あれ?俺の出番は?…無いだと⁉︎」
「主人公なのにあんまりじゃないか⁉︎」


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第39話 風と水の共闘

"今日の敵は明日の友"

風と水。2人の導師が今日…共闘す!


(挿入歌『魔弓・イチイバル』高垣彩陽)

 

2人は弦十郎から離れるとすぐに別行動を開始した。

 

クリスはまず空中にいるノイズ達を相手にガトリングや小型ミサイルで撃ちまくっていた。

その際に危うく女剣士の方に当たりそうだったが、

 

「!レヴァンテイン!」

 

『Schlangeform.』

 

女剣士の持っていた剣が長剣から連結刃へと変えて、自分の周りをその連結刃を高速回転させて防いだ!

 

「…少しは敵味方の区分をして貰いたいものだな」

 

女剣士はそう言いながら冷酷な目をクリスに向けた。が、

 

「へ!私の射線上にいたあんたが悪りぃんだよ!」

 

と、クリスは反論を述べたのである。

 

「つうか、てめえ何者なんだよ⁉︎普通人間が何もしないで空を飛べるのかよ!」

 

「生憎今は魔力で浮いているのでな。この方が動き易いから…な!」

 

そう言うと女剣士が連結刃をクリスに向けて放ってきた!

それを見たクリスは抵抗しようとしたが、連結刃の切っ先はクリスの顔を避け、後ろへと向かっていた。

 

クリスは後ろを振り向くとそこにはノイズが奇襲をかけようとしていた形跡があり、女剣士はその隙を見逃さなかった…!

 

「⁉︎」

 

「余所見をしている暇があるなら…⁉︎」

 

女剣士がそう言おうとしたら今度はクリスがその女剣士に向けてクロスボウを放った!

だが、それは女剣士から反れ、その先にノイズがその女剣士を襲おうとしていた…!

 

それに気付いた女剣士はすかさずそこから飛び退く。

 

「これで貸し借りは無しだ!」

 

「…少しはやるようだな」

 

すると女剣士はクリスに顔を向けて自己紹介した。

 

「私の名はシグナム。【烈火の将】の名を持つ騎士だ」

 

「…雪音クリス。それが私の名前だ…」

 

「クリスか…中々似合ってる名だな」

 

「んな⁉︎」

 

そう言うと女剣士…シグナムは剣と腰に携えていた鞘を連結させた。

 

「レヴァンテイン!」

 

『Bogenform.』

 

するとその連結させた剣と鞘が大きな弓へと変化させた!

 

「《魔弓・イチイバル》…

その実力…私に見せてくれ」

 

「!…ふっ。だったらあんたも、どれ程強いのか見せてくれよな!」

 

「ふっ…ならばその目で確かめてみる事だな。

行くぞ、レヴァンテイン!」

 

『ja.』

 

そう言うとクリスは3連4門のガトリング2砲を構え、

そしてシグナムは弓を構えながら、魔力で練った矢を番える…そして、

 

「これでもくらえーー!」

 

クリスはガトリング2砲による弾丸を雨のように降らせた!

 

ーBILLION MAIDENー

 

そしてシグナムは目を閉じて精神を統一し、そして目を開くと同時に開口一番…!

 

「"翔けよ、隼‼︎"」

 

『Sturmfalken.』

 

そして矢を放った…!

その矢から炎が迸り、やがてその炎が隼のように翔け巡り、そしてその範囲内にいたノイズ達を焼き尽くしたのであった…!

 

ーーーーーーSIDEtoロック

空の様子を見ていたが、凄まじいの一言に限るな…!

 

そう感化していたら、カードケースからフェイトさんが現れた。

 

「シグナムがやってくれたんだ…!」

 

「…お知り合い…ですか?」

 

「うん。昔は敵同士だったけど、今では頼れる仲間であり、共に切磋琢磨しているライバルなんだよ♪」

 

そう言いながらかなりご機嫌が良いフェイトさん。

まぁ、この前の《炎魂導師》との決着以来、彼奴…憑友側に付いているフェイトさんの友人と戦う事も無くなったから、心の迷いが消えたのだろうな。

 

そう考え込んでいると、

 

「そこでボォーッとしてるなら、少しは手伝えよチミッ子!」

 

「チミッ子では無い!」

 

…そう言えば俺の近くにはあの白い鎧を纏った男がいるのを忘れてた…

と言うよりも何故、こんな奴のところに来たんだろうか?

 

そうすると今度はフェイトさんの代わりに俺が今変身している『英雄』が俺の隣に現れた。

 

「んな⁉︎アカツキ⁉︎」

 

「何⁈」

 

この男、俺が変身している者の名を何故知ってるんだ⁈

 

「当たり前だ。私と彼奴は同じギルドの仲間だからな」

 

…いきなりすぎて驚きの連続になって来た。

 

突然俺の隣から、俺が変身している『英雄』

地平線の暗殺者(ホライズン・アサシン) アカツキ】

がそこにいた。

 

「それは良いとして、お前さんの妹のおパ…」

 

ガシャンッ!

 

「ギャフンッ⁉︎」

 

…何だ今の動きは⁉︎

自分でやってないのに身体が勝手に動いて、鎧の男の顔面に飛び蹴りをクリーンヒットさせたのだが、一体如何言う原理なんだ⁈

 

「済まないな。何分、此奴に対する処置がまさか癖になるとは思ってもいなかったのでな…」

 

そう言いながらアカツキさんが謝罪してきた…俺だけに。

 

「ってか、俺に謝罪は⁈」

 

「如何せ碌な事しか考えていないのだろ?直継は」

 

「そりゃご尤もで〜」

 

…なんだこの漫才のようなコントは。

 

『ぷっ…意外に受けるぞ、これは…クスクス…!』

 

ソウルもソウルでいきなり話しかけてくるな⁉︎

そしてさっきのコントの何処に笑う要素があった⁉︎

 

「それはそうと、厄介事だけは勘弁してくれよな…あのおっさんみたいにな」

 

そう言いながら鎧の男(アカツキさん曰く名は直継と言っていた)が指を指した。その方向には牛二頭を豪快に乗りこなしている巨漢の男が牛に命じながら、己は己で豪快に剣を使ってノイズ共を一掃していた。

…一言言わせろ…

 

豪快にも程があるだろ⁈

 

そう思っていたらノイズに囲まれていただと⁉︎

 

「うぉ⁉︎やべぇじゃねぇか!」

 

「直継は"あの技"があるから大丈夫なのでは無いのか?」

 

?あの技?

 

「馬鹿野郎!"あれ"は使ったら5分間は再使用に時間が掛かる故に発動しても10秒しか持たねえよ!ってか、お前はそれ知ってるだろうが⁉︎」

 

何を言ってるのか訳が分からない!

 

如何すれば…

 

「"アストラル・バインド"‼︎」

 

すると一部のノイズ達が光を帯びた楔によって身を封じられた!

一体誰がこんな事を…!

 

「⁉︎この技は…!」

「間違い無い…主君の技だ!」

 

如何やら2人は知ってる存在みたいだが、一体…

 

「やれやれ、ノイズの群れがいるから見てみりゃ…

お前、この間の《水魂導師》じゃねぇかよ…」

 

そう言って来た者に俺は見た。

お前は…風の導師!

 

そう思っていたら、その男が俺達の前に現れた。

 

「まぁ、言いたい事はわかるけど、今は此奴らの掃討を手伝えよ?

自称《炎魂導師》のライバルさん?」

 

ムカッ!今此奴はなんと言ったか?

 

()()《炎魂導師》のライバルだと言ったか…!

 

俺は…俺は…‼︎

 

「俺も憑友(彼奴)も自他共に認めるライバルだ!」

 

そう言うと俺はいつの間にかノイズ達に八つ当たりにも似た様な行動をしていた。

 

「そうでなくちゃ、彼奴のライバルになんかなれねぇよ!俺も交ぜろ!」

 

そう言うと風の導師も一緒になって戦ってくれた…!

もしかして、俺の殻を破る手伝いをしていたと言うのか?

 

…余計なお世話だが…ありがとう。

 

「行くぜ!これが俺の新たな『英雄』の力だ!」

 

そう言うと風の導師はカードケースから白い大剣を片手に持った青年のカードをアブソーバーに装填して、レバーを引いた…!

 

ースピリット!フォーム、バサラ!ー

 

するとそこからイラストに書かれた青年の魂が現れ、風の導師はそれを纏った…!

 

ー勇者の一族!(かぞく)を守れ!ー

 

すると風の導師から白い大剣が現れた…!

 

「俺の名は霊風。彼奴…憑友の先輩的存在だ。

お前の名前は?」

 

大剣を構えながら、そう言ってきた風の導師いや、霊風。

敵が名乗ったのに、俺が名乗らないと言うのはいけないよな。

 

「…ロック。ロック・アイル・ユキネだ、風の導師いや《風魂導師》の霊風」

 

「…ふっ。良いぜ。なら、お前さんと俺の2人でこの数のノイズを殲滅してやろうぜ!勿論、お前さんの妹さんと、風鳴のおやっさんが呼び出した『英雄』達も一緒だぜ!」

 

ああ…!やるだけやってやるだけだ!

 

そう言うと俺は憑友にはまだ見せていない姿をするカードを装填してレバーを引いた…!

 

ーソウル!フォーム、ラウラ!ー

 

するとアブソーバーから銀髪のストレートで、左目がアイパッチで隠した少女の魂が現れ、俺はそれを纏った…!

 

ー大胆不敵な、ブラック・ラビット!ー

 

さぁ、ノイズ共…俺のレールガンは荒れるぞ…!

 

そう言うと俺は右側に装備されていたレールガンを取り出し、そして撃った…!

 

その一撃で大半のノイズが炭化していった…!

 

「うぉっ⁉︎怖っ⁈けど、負けられねぇ!」

 

そう言うと霊風はアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『スピリット・バサラ!フルドライブ!』

 

すると霊風は大剣を両手に持って高く掲げてそして、

 

「決まれ…!

 

"無次元の執行(バニシング・シフト)"ーー‼︎」

 

そのまま縦斬り一閃をした。

すると斬った空間が歪みを発生させた…!

 

それにより、近くにいたノイズ達が一斉に吸い込まれて最後は歪みが消えてしまった…!

 

す、凄すぎる…

 

「ほらほら!まだまだ始まったばかりだぜ?へこたれるなよ!」

 

…ふっ。言ってくれるじゃないか。

やってやろうじゃないか!

 

そう言うと今度は2人揃って新たなカードを取り出し、先程のカードを入れ替えて、レバーを引いた!

 

ーソウル!フォーム、バン!ー

ースピリット!フォーム、キング!ー

 

するとそこから俺の方からは白髪で赤い服を纏った男が、

霊風の方は逆に槍を持った少年のような出で立ちの姿をした魂が現れ、それぞれ纏った…!

 

ー七つの大罪、強欲のフォックス!ー

ー七つの大罪、怠惰・ザ・グリズリー!ー

 

 

「一気に決めるぞ!」

「…委細承知」

 

そう言うと2人揃ってドライブボタンを叩いた!

 

『ソウル・バン!フルドライブ!』

『スピリット・キング!フルドライブ!』

 

そう言うと霊風は槍を前方に構えた。

その際に槍が勝手に動いていたのは気の所為にしておこう。

 

そして俺は手に持っていた四節棍を振りながら、敵に特攻して行き、そして一気に放った…

 

「"バニシング・キル"!」

 

その攻撃により、俺が通ったノイズ達は殲滅した。

けど、まだ沢山いるが心配する事は無かった。何故なら…

 

「"霊槍シャスティフル・第四形態"…浄化しな、雑音共。

 

"サン・フラワー"!」

 

すると霊風が所持していた槍が向日葵のような形態になると、そこから光線が放たれた。俺も巻き添えを食らわせて。

 

だが、攻撃を食らったのにも関わらず、俺の身体はみるみると再生して行った。

 

伊達に【不死身(アンデッド)()バン】と言う異名を持っている訳では無いようだ。

 

俺が使用したカード【強欲の罪(フォックス・シン) バン】には特殊な体質の持ち主で、なんでも魂を抜かれない限りはその身は不死身なんだそうだ。

 

「悪りぃ、捲き込んじまって」

 

すると霊風が俺の所までやってきた。

 

「いや、こうやって共に戦えるのはとても大切な事だからな」

 

「…はっ。イイね。そうこなくちゃ!

…背中託すから、お前の背中、俺に預からせてくれ…」

 

「!…ああ!」

 

さぁ、まだまだノイズは山程いる。

此処かからが本当の正念場だ!




ロック「『英雄』達を紹介するこのコーナー。
今回は俺が紹介する事になった。よろしく頼む」
「今回は俺がこのお話で変身した『英雄』ラウラの事を紹介しよう。
それと今回から『英雄』紹介をリニューアルしてみたぞ」

ラウラ
本名 ラウラ・ボーデヴィッヒ
カード名【黒き独眼兎(ブラック・ワンアイ・ラビット) ラウラ】
属性/闇・人間&機械・射・剣&銃

20歳にも満たない年でドイツ軍の小隊長を務める実力を誇る少女。
常に左目に眼帯をしている。
誰に対しても冷徹な性格だが、大胆な事をしでかす事もある。

ロック「ラウラは遠距離でも近距離でも素っ気なく熟る実力を誇る日本タイプ。
だが、時々予想に反する事を起こすので、こちらの身としては気苦労が絶えない」

次回


絆が生んだ奇跡

ロック「次回はこのお話の主人公、憑友と《ガングニール》装者こと響の出番のようだな。期待して待っててくれ」


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第40話 絆が生んだ奇跡

と言うわけで最新話投稿だ!

「これ確実に5月までに終わらせきれないな」

死亡フラグっぽい事言わないで⁉︎


数多のノイズ達がクリスと霊風、そしてロックの元へと駆け抜けていく。

 

その時に響は取り残された人達の救助をしていた。

すると、

 

『きゃあぁぁぁぁ!』

 

「‼︎」

 

遠くから悲鳴が聞こえてきたので、響は急いでその場所へと向かった。

 

響が向かった場所はとある廃ビル内であった。

響はそのビルの中へと入っていった。

 

ーーーーーー

一方、同時刻の別の場所で憑友は病み上がりな身体を無理やり酷使して避難から遅れた人達を探し回っていた。

 

「くっ…!」

 

憑友は焦りを感じていた。

今の所は大丈夫そうだが、もしもと言う嫌な予感しかしていなかった。

 

「おーい!憑友!」

 

「!逝都!馬燈!」

 

憑友が考え込んでいると、逝都と馬燈の2人が駆けつけた。

 

「ここら辺区域の人達は避難が完了してるぜ!」

 

「そっか!ありがとう!」

 

「気にするな。友達だろ?」

 

「!…ああ」

 

2人が此処に来るまでに避難を完了させていた事に憑友は感謝していた。

すると逝都から耳を疑うような発言をした。

 

「なぁ…未来は?」

 

「え?」

 

「彼奴、近くのシェルターにいなかったんだ。他の場所も確認してみたんだが、何処にもそんな子はいないって…」

 

「っ‼︎…くっ!」

 

2人の発言を聞いた憑友は病み上がりな身体を更に酷使して2人から走り去ってしまった…!

 

「⁉︎お、おーい⁉︎待てよ〜〜⁉︎

…行っちまいやがった。如何する?馬燈」

 

「…悔しいけど、彼奴には力がある。だけど俺達にはそれがない。

今は彼奴の勝手に委ねる事しか出来ないなんてな…」

 

そう言うと2人はそれでもと言いながら、憑友の後を追った。

 

ーーーーーーSIDEto響

 

私が向かったビルはとても人が働くスペース等なくて、不良達の溜まり場のような場所だった。

 

「誰かー!誰かいm『ghoooo!』⁉︎」

 

誰かいないのかと思って叫んだら、上から攻撃がしてきて、私は咄嗟に下へと華麗に着地した。

ここ最近の私って…ある意味人じゃなくなって来ている⁈

 

と、それは良いとして。

私はその上を見ると、其処にはタコ型のノイズがいた。

 

「!…⁉︎」

 

私は喋ろうとしたら、突然私以外の手が私の口を塞いだ。

手の出ている方を見てると、其処には…

 

「」しー

 

未来⁈なんで此処に⁈

 

そう思っていたら、未来がポケットから携帯を取り出して、何かを弄ると私に見せてきた。

 

『静かに

あれは大きな音に反応するみたい』

 

すると未来はまた新しい文を書いて私に見せてきた。

 

『あれに追いかけられて、『ふらわー』のおばちゃんと此処に逃げ込んだの』

 

「!」

 

私は《シンフォギア》があるから、ノイズを倒す事が出来る。

けど、今此処で変身したら、未来やおばちゃん達に被害が出てしまう…!

《シンフォギア》は歌わなければ纏う事が出来ない…!

 

如何すれば…

 

私がそう考えていたら、未来がまたメールの内容を見せた。

それを見た私は驚愕した。

此処で喋るとノイズに見つかってしまうから、私も未来と同じメールの内容を見せ合った。

 

そして未来とやり取りをし続けると未来が私の耳元で呟いた。

 

「私…響に酷いことをした。勿論、憑友にも…

今更2人に許して貰おうとか思ってない。

それでも…2人と一緒にいたい。

私も戦いたい…!」

 

駄目だよ…未来…!

 

「如何思われようと関係ない。

響と憑友の2人に背負わせたくない…!」

 

そう言い終えると私の耳元から顔を離して、未来は立ち上がり、そして…

 

「私…

 

 

もう迷わない!」

 

『‼︎』

 

そう言うと未来はノイズをひき連れて私とおばちゃんから離れていった。

私だって…未来と憑友と一緒にいたいんだ…!

 

私は聖詠を唄った…大事な親友。ううん…私と憑友にとって…

 

 

 

かけがえのない『陽だまり』の為に‼︎

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron…」

 

そう言うと私は《シンフォギア》を纏い、おばちゃんを抱えてすぐにビルから去った。

 

(挿入歌「私ト云ウ 音響キ ソノ先二」悠木碧)

 

「響さん!」

 

すると其処には緒川さんがいて、緒川さんにおばちゃんを頼むと私はすぐに未来を追った!

その際に緒川さんが私の名前を呼んだけど、そんなのは今は如何でも良かった…!

 

何処にいるの…未来…!

 

私は先程の未来とのメールでの会話を思い返していた…

 

ー回想ー

『響、聞いて。

私が囮になってノイズをの気をひくから、その間におばちゃんを助けて』

 

『駄目だよ!そんな事、未来にはさせられない!』

 

『元陸上部の逃げ足だから何とかなる』

 

『何ともならない!』

 

 

『じゃあ、何とかして』

 

『⁉︎』

 

『危険なのは分かってる。

だからお願いしてるの。

わたしの全部を預けられるの…

 

響と憑友だけなんだから』

 

ー回想endー

 

戦っているのは私と憑友だけなんじゃない…!

 

「響!」

 

すると後ろから声が聞こえてきたので、振り向くと其処には憑友が《炎魂導師》ライドの姿になっていた。

 

「何があったんだ⁈」

 

返事をしたいけど、歌を歌わないと《シンフォギア》は解除されてしまう…!

 

「…!忘れてた。お前、歌を歌わないと解除されるんだったな。

だったら…!」

 

と言うと憑友は私にカードを見せた。

其処には白いドレスを纏った女性がいた。

私も少なからずお世話になった『英雄』

なのはさんのカードだった。

すると憑友はそのカードをライドさんに装填して、レバーを引いた。

 

ーライド!フォーム、ナノハ!ー

 

すると憑友はなのはさんの魂を纏った!

 

ー不屈の心、エース・オブ・エース!ー

 

すると憑友は私と同じ速度を保ちながら、私の頭に手を置いた。

 

(これで良いだろ?)

 

うわぁ⁉︎頭の中から憑友の声が聞こえてきた⁉︎なんで⁈

 

(念話と呼ばれるモノで俗に言う『テレパシー』の様な物だ。

詳細は後日。それよりも、何があったんだ⁉︎)

 

未来がノイズに追われてるの!

 

(なんだって⁉︎)

 

だから…お願い!未来を探して!

 

(…却下だ)

 

なんで⁉︎未来の危険な状態なのに⁉︎この分からずや!

 

(探すんじゃないだろうが!)

 

⁉︎

 

(3人一緒に()()!だろ?)

 

!…そうだよね。うん!3人一緒に帰ろう!私達の居場所に!

 

(ああ!)

 

そう言うと憑友は私の頭から手を退き、そして今度はその手を私に差し向けた。

私はその手を取ると、憑友が一気に急上昇した…⁉︎ちょっと、いきなり過ぎだよ〜⁉︎

 

「ライドさん!未来の生体反応を探してくれ!大至急だ!」

 

『何⁈いきなり過ぎだ!しかもおまけにこんなありんこにも見える人々の中からミス.未来を探せだと⁉︎無謀にも程と限度があるだろ⁈』

 

「グタグタ言ってんじゃねぇ‼︎」

 

!憑友が…怒った…⁈

 

「俺はもう目の前で、大事な人の涙なんかもう見たくないんだよ!

大事な人が居なくなるのは…

 

 

もっと御免なんだよ‼︎」

 

その声により、私は憑友がどれだけの覚悟を持っていたのかが分かった。

そうだよね…私だって…!

大切な人がこの世にいなくなるのだけは絶対に嫌なんだーー‼︎

 

「ヴォォォォォ‼︎」

 

ーーーーーーNO SIDE

2人の魂の叫びに呼応したのか、

2人の元に何かが接近してきた。

 

その気配に感知した2人は咄嗟に戦闘態勢を構える。が、其処に現れたのは…

 

「ヴォォォォォ‼︎」

 

「「⁉︎」」

 

何と以前、憑友の実家がある区域「自然都会」で出会った赤い鱗を纏った竜…

 

 

 

 

リオレウスだった!




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回は、以前ロックが変身していた『英雄』ダイキを紹介しよう」

ダイキ/カード名【箱の中の魔術師 ダイキ】
属性/闇・人間&機械・打・鎌&杖

両手系の武器で相手を殴る鈍器殴打な戦闘スタイルを持つタイプ。
常にタロットカードを持ち歩いている。
分身を使った攻撃が得意!

憑友「鎌を用いた攻撃や、最大3体まで繰り出せる分身攻撃も凄いけど、必殺技"デスサイスハリケーン"はまさに死神の鎌で薙いだ嵐の如く、多数の命を狩りまくる…!」

次回

友情復活

憑友「次回はいよいよ未来との和解の回だ!」
「見逃すなよ!」


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第41話 友情復活

アニメ第8話ラスト部分!
張り切った結果、空回り〜ガクシッ!
そんな訳でどうぞです。


ーーーーーーSIDEto憑友

 

「ヴォォォォォ‼︎」

 

俺と響の前に現れたのは、以前俺達が「自然都会」にて出会った赤い鱗を纏った龍…リオレウスだった!

 

《お前らの友情…俺の所にも届いてきたぜ!》

 

「え⁉︎喋った⁈」

 

マジかよ⁈俺と響の前でこのドラゴン…喋ったのか⁉︎

そう考えていると、レウスが少し下に降下して、俺達に話掛けてきた!

 

《話は後だ!俺の背中に乗れ!大事な友達を助けるんだろ!》

 

「‼︎…うん!」

「…そうだよな!」

 

こんな所で立ち止まる訳にはいけない!

そう言うと俺と響はレウスの背中に乗った。

するとレウスは咆哮をあげるとそのまま上空を徘徊し始めた!

 

するとレウスは何かを見つけたのか、その方角に顔を向けていたので、俺と響はその方向を見るとそこには青いタコ型のノイズと、

それから逃げているいや、先程の響の内容から囮となっている未来がそこにいた!

 

それを見た響はレウスの背中からすかさず…お、降りた⁉︎

 

あの馬鹿!地上から4000mは下らない程の高さからシンフォギアを纏っているとはいえ、パラシュート無しで落ちやがった⁉︎

 

《あの嬢ちゃん、肝が座ってるな〜♪さて、俺も負けてられねぇな!

しっかり掴まっとけよ!》

 

レウスが唐突に喋って来たので、俺は渋々背中に生えている鱗を掴んだ。

 

すると、レウスはいきなり急降下した‼︎

 

なんでさ〜〜⁉︎

 

気持ち悪い〜〜⁉︎

了子さんと同等ぐらいに気持ち悪すぎる〜〜⁉︎

 

《ほら!行って来いやーーー‼︎》

 

そう言うとレウスは背中にいる俺に顔を向けてきた。

 

ってか、首…意外と長っ⁉︎

 

そう思っていると、そのままレウスは口で俺の背中を持つと、そのまま俺を放り投げとばした…!

なんで、いつもこうなる〜〜⁉︎

 

そう考えていたら、ノイズを拳で粉砕した響が、すぐにパワージャッキをブースターにして、未来を助ける場面に遭遇していた。

 

だけど、あのままだと間に合わない!

 

待ってろよ!

 

そう言うと俺はすかさずナツさんのカードを装填してレバーを引き、それを纏った…!

 

ーライド!フォーム、ナツ!

炎で滅せ!竜滅者‼︎ー

 

すると俺は両手を空の方に向けて、そこから炎をブースターのように吹かした!

 

そして近くにまでやって来て、

 

「響!未来!掴まれ!」

 

「「‼︎」」

 

そう言うと2人は其々、

響は俺の左手を、未来は逆に右手の方をしっかりと握ると、俺はそこから2人を引き寄せて、着陸態勢に入った…!

 

そして、見事に着地してやったぜ!

 

「良っしゃ…」

 

コテッ!

 

「あら?」

 

「え⁈」

「ちょっ、憑友⁉︎」

 

まさかの石ころにつまづき、

俺達は着地した場所から思いきりコケた。

しかも着地した場所がまさか傾斜がある事に気付かず…

しかもその先には川が流れていた…って⁉︎ヤバい⁉︎

 

そう思った俺はすかさず2人を離すとそのまま川に…

 

ザバァンッ!

 

「「憑友⁉︎」」

 

まさか川に落ちるとは…トホホのホ〜…

 

ズキンッ!

 

 

 

「⁈痛ったぁぁぁぁ⁉︎」

 

痛い〜〜⁉︎水なのに染みる〜〜⁉︎なんで〜〜⁉︎

 

・・・‼︎忘れてたーーー‼︎

 

俺、〔半幽霊〕だから、"水"と、"火"と、"塩"が駄目だったんだ〜〜⁉︎

今頃気付くなんて、俺とんだ馬鹿者じゃないか〜〜⁉︎

 

「ちょっ⁉︎大丈夫⁈」

「何処か痛いの⁉︎」

 

そう言いながら2人が来るけど、

 

コテッ!

 

「え⁉︎」

「なっ⁉︎」

 

「嘘でしょ⁉︎」

 

響の馬鹿が足を踏み外して、そのまま未来を巻き込んで、俺の方に倒れてきただと⁉︎

踏ん張れよ!響!それと、耐えて!未来‼︎

 

しかし、結果的にそれは儚く散り、俺はそのまま2人の下敷きになってしまった。

 

ーーーーーーSIDEto未来

 

まさか、響が石ころでつまづくなんて予想もしなかった私はそのまま響に押し倒されて、おまけに憑友の上に乗っかる形で川に落ちてしまった。

 

「あ痛たた…大丈夫?未来」

 

「私はなんとか…」

 

服が濡れただけだから、大してなんとも無かったよ。

 

「おい…俺を忘れるなよ…ってか、痛い痛いから!上からも下からも痛いから!」

 

「「あ」」

 

訂正。憑友以外は無事でした。

 

あの後、私と響で憑友を川のほとりの方にまで引っ張って来る。

因みに響と憑友はノイズと戦っていた時の姿では無くて、私と同じリディアンの制服に戻っている。

 

すると憑友は咄嗟に服を脱ぎ始めた⁉︎

 

「ちょっと、憑友⁈此処で⁈」

 

「仕方ないだろうが⁉︎こうでもしないと俺、致命傷になり兼ねないんだから!」

 

そう言うと憑友は上半身裸になった。

そして私は憑友の左胸を見て目を見開いた。

 

其処には、淡い赤色を発している火が灯されていた。

 

「⁉︎憑友…それ…!」

 

私は咄嗟にそう告げた。

すると憑友は自分の上半身を見て、納得したのか、私に説明をしてくれた。

 

内容は私が半信半疑になっていた事を確信へと至る結果になっていた。

 

憑友に灯されている火は憑友にとって大切な火である事を教えてくれただけで無く、自分自身の今の現状を打ち明けてくれた。

 

「今迄黙っててごめん。話したかったけれど、話せばきっと俺達の戦いに巻き込む可能性があったんだ。ごめんな未来」

 

「ううん。心配はしたけど、こうやって話してくれたのは嬉しかったよ。勿論響もね♪」

 

「うん…そうだね…」σ(^_^;)

 

「何冷や汗掻いてんだか。どっちみちこうなる運命だったんだよ。

さて…帰ろう。俺達の居場所に」

 

「「うん!」」

 

そう言いながら私は憑友と響…

大切なものを再び取り戻す事が出来た。

 

帰り際に憑友の顔が変だと話を変えると、憑友が響も変だと言って、響は私の顔も変だと話していたので、帰り際に3人一緒に証拠の写真を撮ってみた。

そして撮った写真を見た私達は驚きつつも、なんだかんだで3人一緒に笑いあった。

こんな日が続いていけたら良いな…

 

ーーーーーーNO SIDE

 

その後、事後処理に当たっていた弦十郎と再会した憑友と響は未来を連れて事情説明をした。

それを聞いた弦十郎は頭を掻きながらも、2人の弟子の説得と、一緒に行動していた霊風の説明を受け、弦十郎は未来を()()()()()として、二課への出入りを許してくれた。

それを聞いた憑友は、

 

「出来れば、逝都と馬燈も未来と同じ外部協力者として二課の行き来をしてくれませんか。彼奴らも未来と同じで避難誘導していたそうなんです」

 

と、弦十郎にそう話した。

その話を聞いた弦十郎はその話をしようとしていたようで、その話をした。

 

 

 

結果から申し上げるとその話は許可すると言う事で、逝都と馬燈の2人も二課の外部協力者として出入りを許可する事になったのであった。

 

その話を逝都と馬燈に連絡すると2人は大はしゃぎしていて、憑友は苦笑いしていたのは言うまでも無かった。

 

話が済むと弦十郎から帰宅するよう促されたので、3人一緒に寮部屋へと帰宅した。

 

そして、入浴や食事をした3人は2段ベッドに入っていった。

勿論、憑友は下のベッドで、響と未来は前と同じ上のベッドで寝る事になった。

 

「お休み〜」

「お休み」

「お休み」

 

「zzz…」

 

「「早っ⁉︎」」

 

3人一緒に挨拶を交わすと真っ先に響が寝たので、2人が驚くと、響が「にししし!」と言って笑ってきたので、未来はそのまま響とイチャつき始めたので、憑友は蚊帳の外だなと感じて、そのままベッドの方へと入っていった。

 

『然し、3人がまた仲良くなってくれて私は嬉しく思うぞ。憑友』

 

「ありがとう、ライドさん。

『英雄』の皆さんもいつも助けてくれてありがとう。

今回は特にありがとうございます。

これからもよろしくお願いしますね」

 

『おう!(うん!)』

 

 

そう言うと憑友はベッドの枕元に置いてある写真立てを見た。

 

其処には先程3人一緒に撮った写真が飾ってあった。

因みにあの時響と憑友を乗せて来た火竜・リオレウスはそのまま「自然都会」の方へと帰って行ったのは言うまでも無い。

 

ーーーーーー

場所は変わり、此処は二課内部は奏の部屋。

 

「…」

 

奏は今、自分の目の前に置かれている物に手を触れようとしていた。

置かれている物はかつて自分が歌を歌う時に不可欠だったマイクだった。

 

奏は必死になっていた。自分のファンである憑友があんなにも頑張っているというのに、自身はあの日から歌を歌う事に拒絶し続けてきていた。

奏はそんな奴の為にもう一度マイクを握ろうとしていた。

 

ただひたすらがむしゃらのように。

 

そしてようやくマイクを持てた。

だが、其処から手が滑り、マイクを落としてしまった。

 

「!…くそ…!」

 

奏はマイクを持てなかった事に泣いていた。

 

「(憑友(彼奴)が彼処まで頑張っているのに、私は…!)」

 

そう言い、そう思いながら、奏は再びマイクを持つ事に時間を注いでいた。

かつての自分を、《ツヴァイウイング》として翼と共に活躍したあの時の片翼(自分)を取り戻す為に…




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回は弦十郎師匠が呼び出していた英雄の1人、直継を紹介しよう」

直継/カード名【地平線の(ホライズン)守護騎士(ガーディアン) 直継】
属性/無・人間・斬・剣&盾

屈指の鉄壁力を誇るが、かなりのエロガッパ。
しかしその実力は本物で、ノイズ達でも炭化させる事が出来なかった程…!

憑友「頑丈な鎧に鉄壁の技…
まさに"動かざる事山の如し"の様だ!」

次回

防人とデート⁉︎

憑友「次回は…え⁉︎翼さんとデート⁉︎
しかも、話長いだと⁉︎
…これは大活躍な予感…!
次回も見てくれよな!」


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第42話 防人とデート⁉︎

果たして今回、翼さんは誰とデートするのだろうか⁉︎
原作通り、響と未来なのか⁈
はたまた、憑友達の男組の誰かか⁉︎
其れとも…⁈
とにかくスタートだ!


ーーーーーーSIDEto憑友

未来との和解を済んでノイズ達もこの1週間は何も音沙汰無しとなったとある日の後日。

俺と響は未来と逝都と馬燈の3人を連れてリディアンの地下にある二課本部を案内していた。

因みに今日は日曜日で、学校の先生達に事情説明をするのに手こずらせたが、なんとか誤魔化して此処までやって来た次第である。

 

逝都と馬燈の2人は俺とは違う高校に入学している。

とはいえ、2人とも実は歌が得意な方である。

 

小学校の頃はよく響と未来と3人で2人の歌をよく聴いていた。

週1のペースで聴いていたぐらいだからな。

 

2人の歌はロックに溢れた歌を歌うので、俺はそんな2人の曲が好きだ。

 

…と。何気に話が脱線してしまったな。戻すとしよう。

 

そんな2人の通っている高校はリディアンには劣るものの、それでも屈指の名門音楽学校なのである。

此処の真上・リディアンは新しいけれど、それでも有名な音楽学校として名を連ねている名門校である。

だけど、此処は俺以外全員女子と言うその名の通りの女子校である(俺が来る前まではな)。

それに比べて2人の通っている学校は両立で、歌に関連した職業につける学校として常にNo.1として君臨している名門校なのである。

なのでこういう他の学校の視察とかには凄く興味があったのか、リディアンに着くなり、2人は目を輝かせていたけどな…。

 

「?憑友に立花か」

 

「!翼さん!」

 

そう考えていたら、休憩室辺りで翼さんとそのマネージャーの緒川さん。そして藤堯さんの3人が其処にいた。

なんだろうこのスリーショット…微妙。

 

「…なんか俺が邪魔だなぁって顔をしてるぞ、憑友」

 

「サァ?ナンノコトデショウカネ〜?ジブンハサッパリシリマセンヨ〜?」

 

「じゃあどうして片言なの?」

 

うぐっ⁉︎痛い所を突いてきたよ、未来さん。

地味に痛いです。精神面が特に痛い。

 

「…まぁそれは良いとして」

 

「よく無いですよ⁉︎」

 

そうしていると翼さんが話を変えようとすると藤堯さんがツッコミを加えた。けど、やっぱりツッコミ役としては10点かな。

 

「其方の子は?」

 

そう言って翼さんは未来を見つめる。

未来もそれに気付いたのか、自己紹介をした。

 

「初めまして。小日向未来です」

 

「私と憑友の幼馴染です!」

 

そんな未来の自己紹介にえっへんと胸を張って威張る響。

取り敢えず…

 

「威張るのはよせ」

 

ゴツンッ!

 

「あ痛っ⁉︎」

 

「立花⁉︎」「響さん⁈」

 

俺は取り敢えず少し威張っている響に空手チョップを繰り出した。

その拍子で響は頭を抱え込み、

それを見た翼さんと緒川さんが響を心配している。

 

「相変わらずなんだから響も憑友も」

 

「相変わらずのマイペースぶりだな…この2人」

 

「こいつらは常にこんなもんだからどうしようも無いだろ?」

 

上から未来、逝都、馬燈の3人がそれぞれそう言った。

うん。これだけは譲れないのだよ。如何してもな。

 

その後、翼さんと未来が響を介して意気投合していて、響ははぐらかされた事により顔を膨らませていた。

 

 

あの後、外部協力者になった未来と逝都と馬燈の3人なんだが、実は裏で弦十郎師匠が手を回してくれたので、頭が上がらないのである。

と、そんな事考えていたら…

 

「あれ?そう言えば師匠は?」

 

響がその肝心の弦十郎師匠を探すも辺りには弦十郎師匠がいなかった。

 

「私達も探してはいるのだが…」

 

「ま、そのうちなんとかなるっしょ!」

 

「お前は本当にお気楽だな…」

 

翼さんも探してはいる様だけど、逝都の奴は相変わらずのんびりと構えてるし、馬燈は逆に疲れきってるな…

 

「あ〜ら、良いわね〜♪ガールズトーク♪」

 

「と言うより、普通のフレンドトークなんじゃないのか?」

 

すると遠くから了子さんと霊風先輩がやってきた。

 

「霊風先輩!了子さんと一緒って、珍しいですね?」

 

「まぁな。色々とメディカルチェック等を受けてるんだよ。

ま、それよりも…なんか1人増えてないか?」

 

「あ…あはは…。…すみません。込みいった諸事情があって…」

 

「…ま、良いか。そういう堅苦しい話は無しにして。改めて…

ようこそ!特異災害対策機動部二課へ‼︎

風鳴のおやっさんの代わりに俺が代わりに歓迎してやろう!宜しくな!」

 

「よ、宜しくお願いします」

「宜しく頼むぜ!霊風先輩!」

「押忍」

 

うん。全くブレてないや。流石「フレンドリーマネージャー」と言われるだけの事はある様です。

 

「そう言えば、了子さんは大人の恋の話ってあるんですか⁈」

 

そう思っていたら、隣にいた響が了子さんに対してそう言い放った。

いきなりなんでそんな展開になるのやら。と思っていた。

すると了子さんは、「モチのロン!」と言ってきた。

え?有るの?

 

「私の恋話100物語を聞いたら、夜眠れなくなるわよ〜」

 

何処の怪談話だよ…」

 

「あはは…」

 

「了子さんの恋話⁉︎きっと、おっとりメロメロおしゃれで大人な銀座の恋物語〜!」

 

…取り敢えず一言。

よく噛まずに言えたな⁉︎早口で!

 

そう考えていると、翼さんは頭に手を当てていた。

多分俺の考えている事は多分違うのは百も承知だ。

 

「そうね…遠い昔の話になるわね。

こう見えて呆れちゃうくらい一途なんだから〜」

 

「「おー!」」

 

「意外だったぜ…」

「意外だな」

 

「意外でした。櫻井女史は恋より研究一筋だと思っていました…!」

 

うん。意外だよな。でも、俺はそんな事はどうでも良かったんだけどな。

100物語なんて言うけれど、強ち間違ってはいないと思うしな。

 

「命短し恋せよ乙女と言うじゃない!それに、女の子の恋するパワーは凄いのよ〜!」

 

うん。それはまぁ確かに嘘ではない様な気がする。多分。

 

()()()ですか…」

()()()ねぇ…」

 

ドオンッ!キィンッ!

 

「ぐはっ⁈」「なんで…俺だけ…ココ…なん…がはっ⁉︎」

 

そう言うと緒川さんは見事に顔面を裏拳でノックアウトして、

霊風先輩は逆に男にとって大事な部分を蹴り上げられた。

それを見た俺、逝都、馬燈、藤堯さんは全員彼処を隠していた。

読者諸君。特に男性諸君!この痛み分からなくは無いだろ⁈

 

男にとって彼処は大事な部分だ。故に悶絶し兼ねないんだぞ。

 

そう読者諸君に言っていたら、了子さんが話を戻していた。

 

「私が《聖遺物》の研究を始めたのもそもそも…!」

 

「「うんうん!それで⁉︎」」

 

おいおい…さっきから話聞いてれば、響と未来…完全に了子さんの話を聞いてるじゃないか…。でも、やっぱりこう言う事は男は疎いしな。経験豊富な人から話を聞けばなんとかなるでしょうよ。

 

「…ま、まぁ私も忙しいから。此処で油を売ってられないわ♪」

 

「「話をして来たのはどっちだよ(ですか)」」

 

そう言うと緒川さんの顔面に蹴りを加え、そして霊風先輩には拳骨をくらわせた。

 

藤堯さんもそれに気付いて、「緒川さん⁉︎霊風⁈」と言っていたのは言うまでもなく、そして了子さんは手を振りながら、来た道を逆走していったのであった。

 

「聞きそびれちゃったね」

 

「うーん。ガードは堅いか…」

 

「いや、そもそも焦らされ多様な気がしないんだけど…」

 

それはそうと…2人とも大丈夫かな…。特に霊風先輩は…。

頭が凹むくらい拳骨をくらっていたけど…大丈夫なんだろうか。

 

ーーーーーーSIDEtoロック

あの後、行く宛の無い俺とクリスはとあるマンションの一室で料理を食べていたのだが、肝心の食糧がもう底をついてしまった。

フィーネからの支援金ももう無い。

 

「…」

 

おまけにクリスも下を向いたまま一言すら話しかけてくれない始末。

…困ったものだな。

こう言う時に歌を歌ってやりたい気持ちも今ではすっかりその気が起きていない。

 

「…あまり無理はしないで下さい」

 

…ありがとう。ユーリさん。

 

今、俺と話してるのは1人の女性。

名はユーリ・フロストル。『英雄』の1人だ。

フェイトと同じ、《空戦魔導師》でもあるが、フェイトとは違う世界の者同士の様だ。

彼女は剣を扱えると自慢げに言っていたが、アーチャーから教わった俺の剣術を前に会えなく撃沈。

だが、その代わり槍を扱い方にはアーチャーよりも長けていたので、槍を扱う時に力を貸してくれている。

 

と、話が逸れてしまったな。

 

このままだと如何しようも無いな…困ったものだな。

 

ガチャッ…

 

「「「⁉︎」」」

 

ドアノブの音⁈

確かに此処は鍵が掛かっていなかったから、勝手に入ってしまったのは否めないが、誰かが此処に来る事なんてまずありえない…!

一体誰が!

それに気付いたのか、近くにいたユーリが霊体化を使って先行していき、そしてすぐに戻って来て報告してくれた。

 

「髪とシャツが赤で、黄色のネクタイをしている男が来てます…!」

 

髪とシャツが赤で、黄色のネクタイ?…!まさかこんなにも早く来るとはな…!

 

そう言うと俺はすぐに警戒を解いた。

それを見たクリスは驚くと、クリスと俺の間にビニール袋がどさっと割り込んできた。

ビニール袋を持って来た男は俺達の目の前まで来ると、クルリと回って俺達の方に顔を向けた。

 

「応援は連れて来てない。俺1人だ」

 

以前、クリスを助けてくれたOTONA…風鳴弦十郎だった。

 

ーーーーーーSIDEtoクリス

 

「…どうせならば、憑友を連れて来て欲しかったな。

あんたには多少なりとも信用しているが、憑友には劣るからな」

 

「あいつの格闘技の師匠であっても…揺るがない訳か…」

 

そう言いながら、2人だけで話をしてやがる…!

なんだよ…私だけ置いてけぼりじゃねぇかよ!

ふざけんな!

 

「と、差し入れだ。毒なんか盛っちゃいない」

 

そう言うとロック義兄が毒味をして来た!

何やってんだよ!彼奴の言葉に嘘ついてるかもしれないってのに!

 

「…うん。大丈夫そうだな」

 

そう言うとロック義兄は私に自分が口に入れ込んだあんパンを私にやって来た。

 

私は渋々それを受け止り、そしてあんパンを食べた。

すると、いつの間にかまた2人で話をしていた。

 

「今となっては俺だけになってしまったがな」

 

「…俺達の保護だな」

 

「ああ」

 

保護だと…!

私はもうあんな所には行きたくねえよ!

 

「ヴァイオリニストの雪音雅律と、声楽家のソネット・M・ユキネが難民救済のNGO活動にて戦火に巻き込まれて死亡したと言うのが8年前。

 

かつて、自分の事など後回しにして、多くの子供達を救って来たまさに正義の味方とも呼べる夫婦…

黒鉄スチルと、アイス・アイルが同じく戦火で奇襲を受けて、そのまま死亡したのが10年前。

 

それぞれ、雪音一家には1人娘が、アイル家には1人息子がいたそうだが、戦火での後の行方は両者揃って不明のままだった。

その後、国連軍の介入によって現地に囚われていた娘と息子は、2人だけで暮らしていた所を見つけて日本で保護した」

 

そう言うと今度は私に牛乳を渡してくる。今度はロック義兄でなく、男が口をつけたから大丈夫だ。

それにしても、

 

「良く調べたものだな。

雪音の両親は《シンフォギア》装者にとっては都合がいい格好の餌だと思っていたが…」

 

「伊達に元情報機関だと名乗ってはいないからな」

 

私のパパとママが格好の餌⁉︎如何いう事だよ…!

 

「《シンフォギア》は《歌》を歌う事で真価を発揮する。

歌うと言う事はそれだけ歌の音程や絶対音感等、音に関するものが重要視されてきていたんだ」

 

…嘘だろ…それ…!

 

「…」

 

「…クリスに関する話は此処までにしておこう。どうせ話を最後まで聞いても反吐が出るとか言って勝手に逃げ出すしな」

 

そう言うとロック義兄は私から目を背けて、あのおっさんと話し合いをし始めた。

 

「それで、なんで俺の家族の事も知ってるんだ?

俺はクリスには勿論、クリスの両親にも一切合切話はしていないが?」

 

「それに関しては、憑友が調べてくれた。

今のお前はまるで自分の両親の後を継いだ様に思えるからな」

 

「…そうか。だが、俺は両親とは違う。

俺は自分の目の前にいる者の事だけを守る事しか出来ていない。

俺は自分が3歳の頃、物心つく頃には既に両親はいなかった。

だが、両親のやっていた事は俺のかつての住む場所にあったから良く覚えていた。

昔は誰でもよかった。誰か守れたのならそれで良かった。

けど今は違う。

今の俺はクリスを守る事だけに集中している。

クリス()()を守る騎士(ナイト)に」

 

ロック義兄…

 

「そうか。ならば俺が此処に来た目的…分かるか?」

 

そう言うと赤髪のおっさんがそう喋ってきた。

 

「単純明解すぎる」

 

そしてその問いの答えはロック義兄が言った。

話が見えすぎていると言う事なのか?

 

「俺達を保護しにきたんだろ?」

 

「それが、()()としての責務だからな」

 

‼︎なんだよ、それ…今更過ぎるじゃねぇかよ!

 

「クリス?」

 

大人大人って、私達の事を何も知らない癖に!

 

ーーーーーーNO SIDE

そう言うとクリスは牛乳を飲み終えるとそのまま投げ捨てると同時にガラスを割って、そのまま落下し始めると同時に、

 

「Killiter Ichaival tron…」

 

クリスは聖詠を歌い、そして《イチイバル》を纏いながら、そのまま別の場所へと向かってしまった。

 

それを見ていたロックは弦十郎の方を見て話をした。

 

「彼奴は大人嫌いな奴なんです。

自分の事なんか眼中に無いと思っているんでしょう。

それでも、クリスの事を頼みます」

 

「…君は如何するのかね」

 

「俺は…」

 

弦十郎の質問にロックは弦十郎に漸く聞けるぐらいの音量で話をした。

そして弦十郎に一礼するとそこから一気に加速してジャンプし、そしてカードケースから1枚のカードを取り出して、アブソーバーに装填、そしてレバーを引いた。

 

ーソウル!フォーム、ユーリ!ー

 

するとそこからツインテールの女性が現れて、ロックはそれを纏った。

 

ー石化の槍の、ブリューナク!ー

 

するとロックはそのまま空中を自由に飛び回ると、クリスの後を追って行ってしまったのであった。

 

弦十郎はそんな彼らを見て何も言えなかったのであった…

 

ーーーーーー

遡る事数分前。

 

了子と別れた一同は弦十郎の帰りを待っていたのだが、

 

「そろそろ次の仕事の時間が迫ってきてますね」

 

緒川の言った一言で響は驚いていた。

つい最近まで身体に負担が掛かっていたのに、復帰してまだそう経ってもい無い中でアーティスト活動に取り組んでいるのだから。

 

「あまり無茶はしないでくれよ。

奏の奴、翼の事心配していたからな」

 

「ありがとうございます。霊風さん」

 

「礼を言う相手が間違って無いかい?」

 

「!…そうですね」

 

霊風と翼の会話を聞いた皆はニヤニヤしていたが、未来以外の全員に何処から取り出したのか、ステッキを持ってモグラ叩きの要領で見事に全員の頭にクリーンヒットして、痛そうにしていたのは言うまでも無い。

 

「…でも、今は慣らし運転のつもりですので」

 

「という事は、今までみたいな過密スケジュールじゃないんですよね⁉︎」

 

「え、ええ…」

 

すると翼の言った言葉に食いついて来た響は質問すると、翼は流石に怯んでしまった。

それを見ながら、憑友と逝都と馬燈の3人はお茶を飲むと、

 

「だったら、デートしましょう!」

 

「で、デート?」

 

「「「⁉︎」」」ブシューー‼︎

 

響の爆弾発言で3人はものの見事に口に含んでいたお茶を噴き零し、そして不幸な事に、3人の目の前には霊風が居座っていて、文句を言う前に3人の頭がまた少し凹んだ事は言うまでも無かった。

 

 

ーーー

数日後。

 

結果的に翼はそのデートの約束をしたのだが、

自分よりも先に逝都と馬燈が先に集合場所に集まっていたので、軽く話をしていた。

因みに今回のデートの参加者は、

 

響,未来,翼の女性3人と、

憑友,逝都,馬燈の男性3人の計6人のデートである。

いや、デートでは無く、最早一種の修学旅行気分と考えても良かった。

 

「それにしても…あの子達何してるのかしら」

 

そう言うのは翼であった。

逝都と馬燈も翼の気持ちも分かってはいた。

 

集合時間になっても残りの3人が来ていないのだ。

すると、漸く遠くから「すみませ〜ん!」と声が聞こえてきたので、顔を向くと、響と未来と憑友の3人が漸くやってきたのだ。

 

響が謝罪し、未来が説明して顔を上げると、そこには渾身の力作と呼べるに相応しい程、着飾った翼がいた。

 

「時間が勿体無いわ。急ぎましょ」

 

そう言うと翼は他の5人よりも先に行こうとした。

 

「…まるで〜えっと…」

 

「すっごく楽しみにしていた人みたい」

 

「うん。それだ」

 

響と憑友はそう話していると、翼が5人の方に振り返ると、「誰かが遅刻した分を取り戻したいだけだ!」と言いながらも、頬を染めていたのは言うまでも無かった。

それにしても…SAKIMORIイアー恐るべし…!

それを見ていた男達は心の中で、『やっぱり女の子なんだなぁ』と改めて実感していたそうな。

 

そんなこんなでショッピングモールにて色々な事をやっていく一同。

映画を観に行った際は逝都と馬燈が泣けるシーンのところを思いきり寝ていたので、憑友に問答無用で目覚ましビンタを食らわせられたり、

試着時は皆んなでミニファッションショーを開いたりしていた。

クレーンゲームの時は響の大声がやけにうるさかったのか、憑友に無言のチョップを貰った響がそこにいて、未来はそんな響にとっておきの場所へと案内した。その場所は…

 

 

「なんだか久しぶりに来たな…カラオケ」

 

そう!憑友の言う通り、カラオケなのである!

 

「うおー凄い!凄い!」

 

「何が?」

 

響がハイテンションになったので、憑友が代わりに聞いてみると、

 

「だってだって!トップアーティストと一緒にカラオケをしてるんだよ‼︎」

 

「言われてみればそうだな…」

 

響の言った事に一理あると思った憑友。

翼は日本に住むものなら有名なトップアーティストなのだから。

それを良く良く考えてみれば確かにそうだと思っていたら、

 

『?』

 

突然演歌の歌が流れ始めた。

 

「?逝都か?」

 

「いや、俺じゃねぇよ」

 

「んじゃ馬燈?」

 

「俺、まだ決めてない」

 

「響と未来?」

 

「ううん」「違うよ」

 

じゃあ一体誰がと思っていたら、翼が前に出て、皆んなの前でお辞儀をした。

 

「一度こう言うの、やってみたかったのよね」

 

そう言うと翼は歌を歌ったのであった。

 

(※此処から先は歌のタイトルが出るので、その歌を所持している人はその歌を聴くことを推奨します。

そうでない方はそのまま先に進んでもらっても構いません。)

 

(挿入歌「恋の桶狭間」水樹奈々)

 

ー歌略ー

 

そして翼が歌を終える頃には、皆は拍手を送っていた。

けど、それと同時に皆の心は、

『上手いけど、渋い⁉︎』

と共感していたのは言うまでも無かった。

 

すると次はあの有名なカードゲームのEDにもなった曲が流れてきた。

 

「お!次は俺だな!翼さんには劣るけどやってみるぜ!」

 

「頑張れ!逝都!」

 

どうやら次は逝都の様で先程の翼の歌を聴いてかなり緊張しながらも、歌を歌い始めた。

 

(挿入歌「WakeUpYourHeart」 KENN)

 

ー歌略ー

 

そして歌い上げると翼は拍手を送っていた。

 

「中々上手いな…!」

 

「いや〜ありがたいです。翼さんにお褒めの言葉を貰うとは…!」

 

すると今度はまた違った曲が流れて来た。今度は未来らしく、未来は皆んなの前で歌を歌い始めた。

 

(挿入歌「陽だまりメモリア」井口裕香)

 

ー歌略ー

 

歌を歌い上げると、未来はそのまま席に戻って顔を手で隠していた。

 

「は、恥ずかし〜」////

 

如何やら、相当きている様で、流石の皆は苦笑いをしていた。勿論、あのトップアーティストである翼でさえも。

憑友は心の中で「(じゃあ、なんで歌うんだよ…)」と思っていた。

 

すると今度は馬燈が代わりに前に立って歌を歌う準備をした。

 

「新曲か?」

 

「まぁな!俺の歌聞いてみなって!」

 

そう言うと馬燈は歌を歌い始めた…!

 

(挿入歌「Integrity」小西克幸)

 

ー歌略ー

 

歌い終わると皆んなから拍手喝采を浴びた!

 

「やっぱりお前らしい曲だったな!」

 

「まぁな!」

 

そう言うと憑友と馬燈はジュースの入ったグラスで乾杯した。

すると今度はまた違った曲が流れて来た。

 

「この曲は…次は響か?」

 

「勿論!」

 

そう言うと今度は響が歌を歌い始めた!

 

(挿入歌「サンクチュアリ・アリス」悠木碧)

 

ー歌略ー

 

そして響の番が終わると響はVサインを出した。

すると今度は憑友にとって身に覚えのある曲が流れて来たので、憑友が席から立ち、皆の前に出た。

 

「いよっ!」

「待ってました!」

「大本命!」

 

「煽てるな‼︎」

 

上から逝都,馬燈,響の発言に憑友は苛立つ。

そんな様子を見た翼は首を傾げていると、未来が翼の隣に座って話をし始めた。

 

「実は憑友はああ見えて、歌上手いんですよ。

母親譲りだって言ってますけど、多分違うと思うんですよ」

 

「そうなのか?…始まるな…」

 

そうしていると、憑友は歌を歌い始めた。

 

(挿入歌「ライバル」松本梨香)

 

ー歌略ー

 

そうして歌い終わると、翼は目を見開いていた。

 

「凄いな…!あんな風に歌えるとは思ってもいなかった」

 

「えっへん!…?」

 

翼の発言に威張る憑友だが、次の曲が流れて来ていた。

しかも、良く聞くと、

 

「おい⁉︎俺また歌うの⁈」

 

なんと次の曲は憑友が2曲目に選んだ曲だった!

 

「誰1人、割込予約しなかったな⁉︎」

 

『だって、歌上手いんだからしょうがないよ』

 

「シンクロ率高っ⁉︎」

 

他の面々が歌うと思っていたのが、まさかの展開に憑友は頭を抑えつつ、歌を歌った。

 

(挿入歌「OK!」松本梨香)

 

ー歌略ー

 

そして無事に歌いきった憑友だが、その後も皆と一緒にカラオケを歌っていたのだが、席を外して、手洗い場の方へと向かった。

そして手洗い場にやって来た憑友は近くに1人の男がいたのでその隣に立ちながら手洗いをしながら、隣の男に対して話をし始めた。

 

「…だからって、こそこそしなくても良いんじゃないですか?霊風先輩」

 

「ギクッ⁉︎…いつ気付いたんだ…」(^_^;)

 

なんと憑友の隣にいたのは霊風だったのだ!

 

「ショッピングモールを周っていた時からですけど何か?」

 

「あはは…こりゃ、緒川の所で修行のやり直しかな…」

 

そう言うと霊風は憑友に後を託して、そのまま店の外へと出て行った。

 

「…なんか怪しいな…霊風先輩」

 

憑友の呟きには誰も答えてはくれなかった…




憑友「…結果的に翼さんと一緒にデートと言うより、もはや修学旅行気分でぶらぶらしていただけだったな…
だから、あのサブタイトルは間違いだ。すまないな。
作者に代わり、俺が謝罪します。ごめんなさい」
「さて、そんな訳で、今回の『英雄』紹介コーナーなんだが、
ご覧の通り、作者が張り切り過ぎた所為で、こっちは完全に手抜きになってしまっている。
此方も謝罪しよう。ごめんなさい」

と言うわけで、

次回

防人の想い

憑友「次回は急展開話が登場するぞ!」
「また見てくれよな!」


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第43話 防人の想い

SAKIMORIこと翼さんと、片翼・奏さん。
今回はそんな2人をメインにしたお話です。


ーーーーーーSIDEto翼

「翼さ〜ん!早く早く〜!」

 

「お前な…」

 

立花と響がそう言って私の事を待っていた。

カラオケに行った後、色んな所を周って来て、最後は憑友と立花が時間を見て、「ぜひ来て欲しい場所がある」と言って連れて来たけれど、流石に階段が長くて、私は直ぐにバテてしまった。

それに対して私以外の5人はあっという間に1番上まで登りきっていたのは正直驚いている。

 

「どうして5人はそんなにも元気なんだ?」

 

私は上にいる皆にそう聞いてみると、

 

「翼さんがへばり過ぎなんですよ!」

 

と、立花が言って、

 

「今日は慣れない事ばかりでしたもんね」

 

と、此方は小日向が言っていた。

 

「ま!俺達は日々の鍛錬を怠らないぐらいにメキメキと蓄えてますからね!」

「おうよ!」

 

小日向の後を続け様に浅岡と一走がそう言った。

そして肝心の憑友はと言うと、

 

「皆、全員が同じと言う訳じゃないんですよ」

 

そう言いながら、私に手を差し伸べて来たので、私はその手を掴むと、憑友が手を引っ張ってくれた。

 

「誰にだって得意不得意があるんですよ。

(あのバカ)は身体を動かすのが取り柄な脳筋タイプ。

未来は皆んなにとっての大事な居場所。

逝都と馬燈は、頼り甲斐のあるダチで、

俺は…まぁ、化け物と呼ばれても可笑しくない変な人だと思ってくれても良いかな〜なんて」

 

そう言いながら、頭の後ろに手を回しながら頭を掻く憑友。

そうか…誰にだって、得意不得意はあるものね。

私だって、歌を歌うのはどちらかと言えば好きだけど、

整理整頓や料理はどうしても苦手だからな。

それに、防人としてこの身を剣として鍛えあげたのだが、今回のデートでは何分勝手が違ったのかもしれないな。

 

「お!見ろよ!」

 

と、私が1番上にあった場所を見ていたら、浅岡が展望台の方を向いて呼んでいた。

なんなのだろうかと思っていたら、立花に連れて行かれて、私はその光景を見てみた。

 

そこには、海と山と、紅く染まった夕焼け空と、

多くの人達が住む都市、そして…

2年前に行われた《ツヴァイウイング》のライブ会場が目に映った。

 

様々な色のコントラストが冴えていた。

すると立花がその街並みの光景に指をさした。

 

「彼処が、皆んなと待ち合わせした場所です。

皆んなと遊んだ所も、そうでない所も、ぜーんぶ!

翼さんと霊風さんが救って来てる世界なんです!」

 

「私と霊風さんが…⁉︎」

 

「そうですよ」

 

そう言うと私の右隣に憑友がやって来て、話を続ける。

 

「翼さんや霊風さんだけではない。あのライブ会場前までは奏さんも一緒になって救って来ていた世界なんです。

だから、知らないなんて言葉…言わないで下さいね♪」

 

憑友…ありがとう。

 

「でも、出来れば…奏さんにもこの光景を見せてやりたかったな〜!

これから色んな出来事が起こるかもしれない…

それってワクワクしませんか⁉︎」

 

ワクワク?

 

「『英雄』達だって、大切な者がいたから、『英雄』になれたんです。

自分もいつか、その『英雄』達を導く師者としてではなく、

『英雄』として、呼ばれたいなぁ〜て、思ってるんです!」

 

『英雄』達を導く…のでは無く、自ら『英雄』として前に立ちたいか…

憑友らしいな。

 

「ふっ」

 

「あ⁉︎今、笑いましたね⁉︎」

 

「す、済まない」

 

「あぁ〜あ…憑友がトップアーティスト『風鳴翼』を苛めた〜!」

 

「って、ちょっと待てよ!逝都!」

 

「世界中の翼ファンが黙っちゃいられないぞ〜」

 

「馬燈まで⁉︎」

 

「と言う訳で、代表として響ちゃん!1発ガツンとお見舞いさせてやれ!」

 

「よぉ〜し!」

 

「って、ちょっと…⁉︎響?」

 

「翼さんのファンとして…1発殴られろ〜!」

 

「ジャイ○ンか⁉︎お前は⁉︎ってか、手を振り回しながら追いかけてくるな〜⁉︎ってか、なんでさ〜⁉︎」

 

そう言うと立花が憑友を追いかけまわしていた。

あんなので良いのだろうか…」

 

「大丈夫ですよ。いつもの事ですから。響も憑友も、逝都と馬燈も、勿論私も皆んないつもと変わりませんから」

 

そう言いながら、小日向が私の隣にやって来た。

 

「…本当にほっといて良いのか?」

 

私が目にしたのは、完全に女の子の力とは思えない程の威力で、ガンガンと地面にクレーターを作っていく立花と、それから必死になって逃げる憑友の様子と、

それを遠くから見ている一走と浅岡の4人がいたが、

 

「大丈夫ですよ…多分」

 

多分か…。…まぁ、大丈夫だろうな。あの2人なら…

叔父様の所で修行していたのだから、大丈夫だろう。

…色んな意味で。

 

 

でも、この景色が奏と霊風さんが見てきた世界だと。

2人と私が救ってきた世界なんだと言う事を初めて知れたのかもしれない…

 

ーーーーーーNO SIDE

一方、憑友達の元から立ち去った霊風は二課本部へと帰ってきていた。

そして霊風は今、とある部屋の前にやって来ていた。

 

「…」

 

コンコンッ!

 

『?誰だ?』

 

「俺だ。奏」

 

そう…奏の部屋だった。

霊風に気付いたのか、奏は「少し時間をくれ」と言うと部屋の中からごちゃごちゃした音が流れた。

そして其れが終わったと同時に、ドアがガチャリと鍵が外れる音がして、奏が顔を出してきた。

 

「…取り敢えず、待たせたな」

 

「お前は何処ぞの【伝説の傭兵】さんか?

…取り敢えず邪魔するぞ」

 

そう言うと、霊風は奏の部屋へと押しかけた。

奏の部屋へと入った霊風は見た目は其れなりに綺麗にしているなと思いつつも、()()()を見て、奏が何をしていたのかをすぐに見破った。

すると、鍵をかけ終わった奏が来たので、霊風は話をし始めた。

 

「奏。お前…此処で何をしていたんだ?」

 

霊風はそう質問してきた。

 

「別に?何もしてねぇよ。強いて言うなら、此処最近本当に散らかしていたままだったからさ。霊風が来たから慌てて片付けたんだよ」

 

「…そうか」

 

そう言うと霊風はソファに座った。

奏は一応安堵の息を心の中で零していたのは言うまでも無かった。

 

そして奏はソファ近くに設置してあるベッドにダイブした。

すると、霊風は先程の話の続きを言い放った…

 

「…ならさ。

なんで…デスクの引き出しの所から…

 

()()()()が出っぱなしなんだ?」

 

「⁉︎」

 

霊風に言われ、奏は『英雄石板』の解析装置が設置されているデスクの引き出しを見てみると、そこには、オレンジと青、緑の三色の糸で編んであったミサンガが端っこだけ顔を出していた。

 

「お前、あれ付ける時はいつも、ライブ会場だったり、レコードスタジオだったり…

歌を歌う時以外は全くつけないからな」

 

霊風はそう言い放った。

 

実は奏は霊風と出会い、霊風から16歳の誕生日の時にプレゼントとして先程のミサンガを貰ったのだ。

その三色の色は其々、

オレンジが奏、青が翼、

そして緑が霊風の3人をイメージしたカラーリングであった。

 

更に言えば、霊風お手製であった為、奏は霊風と出会ったきっかけである物として、

歌を歌う時以外は全くつけないようにしていたのだ。

逆に言えば、レコーディングやライブ等、歌を歌う時は必ずと言っても付けていたのだ。

勿論、2年前のライブ会場の時も付けていたのだ。

ただその時はライブ衣装以外の物を身に付ける事が出来なかった為、自分の手元に忍ばせていたのだ。

 

その話を聞いた奏は少し顔を俯いた。

 

「…別に俺がとやかく言うつもりはねぇよ。

寧ろ、歌って欲しいんだ。翼の為にも…そして、お前の為にもな」

 

「霊風…」

 

「憑友の奴、言ってたぜ?『いつか自分も奏さんみたいな人の心を熱くするアーティストになってみせる!だから、その間までに歌を辞めないで下さい』ってな」

 

「!」

 

霊風の言った言葉に奏は涙を流していた。

自分はこんなにも迷惑を掛けているんだなと。

そして、そんな自分を信じてくれている人がいると言う事に。

 

「俺もさ。お前と翼の曲…

また聴きたいんだ」(^∇^)

 

そう言いながら、奏に向かってハニカミスマイルを見せる霊風。

其れを見た奏は意を決して、自分のすべき事を成し遂げようとしていたのであった。

 

奏の様子を見た霊風は蚊帳の外になりそうだと感づくと、そのまま部屋をこっそりと抜け出して行った。

 

ーーーーーーSIDEto霊風

奏も、これで漸く歌と真剣に向き合ってくれるだろうな。

最も、彼奴は元から真剣に向き合っていたけれど、今回はそれ以上の真剣さが見れてよかったよ。

 

「…」

 

…何だよ。無口のまま現れやがって。

お前のそう言う性格、俺は嫌いなんだぜ。エルエルフ。

 

「…お前に言うつもりはないからだ。其れだけは忘れるな」

 

そう言うとエルエルフはカードケースの中へと消えた。

 

エルエルフ

奴は、自分が『英雄』になる前に自身の中で唯一とも呼べる大切な「友達」を失った者。

かつてはその「友達」を自分にとって都合のいい「駒」か「犬」のように扱っていたと言っていたが、その存在の最期の時に「友達」と呼んでいたそうだ。

以来、奴はその友達の事を唯一の友達として存在し続けているそうだ。

 

こう言う青春ものは涙脆くて泣けるんだよな…( ; ; )

 

と、其れは良いや。

 

俺は奏の部屋を抜け出して次に向かって来たのは…

 

「随分と遅かったわね♪」

 

「…うるせぇな。そんな物、俺の勝手だろ?櫻井女史」

 

俺は櫻井女史のいる研究部屋へと足を踏み込んでいた。

そして櫻井女史の目と鼻の先には、響と憑友の写真が山程貼ってあった。

 

「…で?いつ()()を動かすんだ?」

 

「近い内にね」

 

「…そうかよ」

 

そう言うと俺は此処へ来る際に自販機で購入した缶コーヒーを机に置いて、そのまま部屋を後にした。

 

もうすぐ動き出すのか…

 

なら、最後くらいは彼奴らと歌いたいな…

 

翼と奏と3人で…

 

ーーーーーーNO SIDE

 

「え⁉︎復帰ステージですか!」

 

学校の昼休みの時間、響はそう言った。

実は翼から響と未来と憑友の3人を呼び出したので、何かあったのかと思っていたら、翼が10日後に開催されるアーティスト達の祭典

通称【アーティストフェス】に急遽参加する事が決まったのだ!

この【アーティストフェス】が翼にとってあの日以来の復帰ステージとなったのだ。

 

「だから、俺達にチケットを…!翼さん此処って…」

 

そう言いながら憑友は裏面を見てみると、見た事のあるライブ会場を見て、響も裏面のチケットを見て目を見開いていた。

憑友は翼の方に目を向けると、翼は其れを察し話をした。

 

「立花にとっても辛い場所だな。憑友に至ってはあまりにも辛い場所だな」

 

「…ありがとうございます翼さん」

 

「?」

 

「響?」

 

「響…」

 

翼の言った一言に、響は逆に感謝していた。

其れを聞いた残りの3人。

すると響が話をし始めた。

 

「いくら辛くても、過去は絶対に乗り越えていけます!」

 

「…そうだよな…!

俺だって、いつまでも過去に囚われている訳じゃ無いんです!

過去の積み重ねがあるから、未来への道があるんです!」

 

「立花…憑友…ありがとう。

 

私もそうありたいと思っている…!」

 

響と憑友の話を聞いた翼は自分の目標の為に、今新たな一歩を踏み出した…

 

片翼でも飛べるように…何処までも…!




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回は霊風先輩がロックと共闘した際に変身した青年の魂、
刄更を紹介しよう」

刄更/カード名【神速剣術使い(インフィニットスレイヤー) 刄更】
属性/闇&光・人間&魔物・斬・剣
光と闇。相対属性を両方持っている『英雄』
人間と魔物、両方の血が流れているが、基本的には温厚。
だが、妹の為ならその手を血で染める事も躊躇わない。

憑友「妹想いの『英雄』か。なんか良いな…
俺もそう言う大切な者を守れる『英雄』になりたいな…!」

次回

"逆光のフリューゲル"

憑友「このサブタイトルって…まさか⁉︎
と、兎に角また次回!」


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第44話 "逆光のフリューゲル"

今回はサブタイ詐欺疑惑な話。
え?何故、疑惑かって?

微妙だから、分かりにくいのである。

と言う訳でどうぞ。


ーーーーーーSIDEto翼

「リハーサル、良い感じでしたね」

 

ええ。

私は今、ライブ会場の裏手にて今回のライブのリハーサルを終えてきた。

結果は好調。これなら安心出来そうだ。

緒川さんもそう感じてくれた様だ。

 

 

パチッ!パチッ!パチッ!パチッ!

 

?拍手の音?何処から…?

 

「!トニー・グレイザー氏⁉︎」

 

そう言うと緒川さんの向いた方向に1人の男性がやって来た。

私はその人の事を知らなかったので、緒川さんが私に説明してきた。

 

「メトロミュージックのプロデューサーです。以前、翼さんの海外進出展開を持ちかけてきた人です」

 

そうですか…

私としては奏となら何処までも行きたい。

けど、今回()私のみをスカウトしに来たと言う事ですね。

グレイザー氏はあのライブ会場での悲劇の後に私の所にやってきたそうです。

彼の所にまで聞き及んでいたと言う事に当初は驚いていた。

けれど、話を聞けば、私のみをスカウトしに来たという内容ばかりだった。

防人として生きている私だが、欲はある。

 

"奏と一緒に何処までも歌いたい"と言う欲が。

 

それに、この日本が頻繁にノイズの被害に遭っている事は分かっていた。

当初の私は奏がもう歌えないと言われたショックが逆流して、自暴自棄になっていた。

今思い返せば、あの頃から、歌えなくなったけれども奏にいつも心配させられていた。もちろん霊風さんにも。

だから、それを察したのか、緒川さんがその話を何度も何度も断っていたそうです。

 

「中々首を縦に振ってくれないのでね。直接交渉をしに来たのだよ」

 

「その話ちょいと待ってはくれないか?」

 

「「「⁉︎」」」

 

そう思っていると、グレイザー氏が話をしていると別の方から声がしたので、私達はその方を見るとそこには霊風さんがいた。

 

「これはこれは《フレンドリーマネージャー》の精妖霊風では無いか?

今日はまたどんな内容で?」

 

「そいつの人生のレールを踏みにじる様な事はしたくは無いけどな…これだけは言わせろ。

 

今日のライブであんたの考えは変わるぜ?」

 

?如何言う事なんだ?

そう考えてると、霊風さんは「じゃあな!」と言って、そのまま私達から立ち去った。

今日のライブで、グレイザー氏の考えが変わる?

一体如何言う事なんだろう?

 

「…さて。彼の言ってた事はこの際、少し外そう。

先程の質問の答えは聞かせてくれるかい?」

 

「…やはり霊風さんと同じで、今回のライブ会場を見ない限りは」

 

私の答えは其れしか思い浮かべなかった。

 

「そうですか。では良い返事を期待しているよ」

 

そう言うとグレイザー氏は私と緒川さんの元から離れて立ち去った。

 

prrrrrr!prrrrrr!…

 

?電話?こんな時に?

 

そして私はその相手を確認すると、『奏』と書かれていた。

私はすかさず電話をかけた。

 

「もしもし奏?如何かしたの?」

『悪いな、翼。今回のお前の『復帰ステージ』来れなくなった』

「…そう…なんだ…」

 

其れは奏が今回のライブ会場に来れなくなったと言う事だった。

 

奏にはいつも甘えてきたから。

だから、今の私を間近で見て貰いたかったのだが…

 

『ごめんな。翼』

「ううん。大丈夫だよ」

『堅苦しいのは嫌いだって前に言ったよな?』

「う、うん…」

 

奏はそう話をすると、こう纏めた。

 

『私はいつだって翼の隣にいる事を忘れるなよ』

「…ありがとう。奏」

 

そう言うと奏は如何やら本当に外せない用事だった様で、用件を済ませたのか、すぐに電話をきった。

 

ずっと隣にいる…か。

私にとっても、奏は私にとって大事な片翼だから…

 

そう思いながら、私はライブの準備をする為に控室に行った。

その際に、隣の控室に明かりが灯してあった事をこの時の私は知らなかった…

 

ーーーーーーSIDEto憑友

「折角チケット貰ったのに、開演に遅れちゃう〜⁉︎」

 

「未来と逝都と馬燈の3人を先に行かせて正解だったよ…ったく」

 

俺は今、猛スピードで走っていた。

理由か?響の居残りだ。

今回はライブがあったから、未来には先に到着している逝都と馬燈と先に席の確保をお願いさせた。

 

あのチケットには俺の方には3枚渡されたのだが、翼さん曰く「一走と浅岡の分だ。2人にも是非聴いて欲しいんだ」と言う想いがあったので、その日の帰りに出会って、2人に手渡したんだ。

その時の2人は凄く喜んでいた。

何せ、ステージを真近で見られる特等席だそうだからな。

 

なんて、そう考えてると、

 

pirrrr!…pirrrr!…

 

こんな時に電話?誰からだ?

 

そう思い電話をかけると、

 

『憑友か!』

 

声を聞く限り、弦十郎師匠だな。

 

「如何したんですか?弦十郎師匠。そんなに慌てて?」

『ノイズの出現パターンを検知した!』

「え⁉︎ノイズ⁈」

 

「!」

 

それを近くで聞いた響は電話で二課へとアクセスした。

 

『これから翼と霊風にも連絡を』

「待って下さい!師匠!」

 

響?

 

「現場には私と憑友の2人でお願いします。

翼さんは自分の戦いに臨んで欲しいんです。

あの会場で、最後の最後まで歌いきって欲しいんです…!」

 

…変わってないな。響は。

そう言うお人好し…嫌いじゃないぜ。

 

「俺からもお願いします。弦十郎師匠!

翼さんにとってはこの日が思い入れのあるライブにして欲しいんです…!」

 

『…分かった。2人の事を尊重しよう。座標は響君には友里が、憑友には藤堯が教える!

無茶はするなよ!』

 

「「了解!」」

 

そう言うと俺と響は人目のつかない所まで行き、そしてそれぞれ変身した。

 

「行くぜ!ライドさん!」

 

『OK!では参ろうか!

AreYouReady!』

 

そう言うと俺はこの間の石板で解析した新たなカードを取り出して装填し、レバーを引いた。

 

「変身!」

 

するとアブソーバーから黒い刀を持った少し茶髪が交じった黒髪の好青年が現れて、俺はそれを纏った。

 

そして響も聖詠を歌った。

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron…」

 

ーライド!フォーム、イッキ!

最弱にして、無冠の剣王!ー

 

俺はそれを纏うと一気にアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・イッキ!フルドライブ!』

 

「全開放!"一刀修羅"‼︎」

 

そう言うと俺の周りが一気に変わった。

そのまま俺は《シンフォギア》を纏った響に手を差し伸べると響がその手を掴む。そして、一気に跳んだ!

 

ビルの屋上へと着地するやそこから一気にノイズの方へと向かった!

 

俺達の楽しみを壊した罪…贖って貰うぞ!ノイズ共!

 

ーーーーーーSIDEto未来

ライブ会場で逝都と馬燈の2人と出会った私はそのままライブ会場に足を運んで、1番良く見える席に座っていた。

けれど、流石の私も緊張しちゃって。

それに気付いた2人が、「此処は俺達が確保してくから、今の内に手洗い済ませて来いよ」と言ってきたので、私は2人の言葉に甘えてそして手洗い場へとやって来ていた。

 

するとそこで出会ったのは…

 

「…?奏さん?」

 

「」ドキッ⁉︎

 

なんと奏さんだった。なんでこんな所に⁈

 

「あ〜あはは…」

 

なんとか誤魔化そうとしているのを見ると、何か隠しているみたいです。

 

なので、私は「誰にも言いませんよ。もちろん翼さんにも」と言うと、呆気に取られた様な顔を見せると、そのまま話をしてきた。

 

「私…翼のお荷物になってるんじゃあないかなって思ってな。

彼奴のためにもと思っていたんだけど…やっぱり翼の事を良く知ってるのは私だけなんだと思ったんだ。

でも…」

 

「大丈夫ですよ」

 

「え?」

 

だって…

 

「翼さんの事を真近で見て来たんですよね。

だったら、翼さんの心の拠り所になれば良いんですから」

 

「…そんなものなのか…」

 

「そんなものですよ」

 

私だって、私を拠り所にしている響と憑友がいて、私もそんな2人を心の拠り所としているんですから。

 

「…そっか。ありがとな。小日向ちゃん」

 

「未来で良いですよ」

 

「それなら、私の事も奏って呼んでくれよ。

でも、本当にありがとな。おかげで肩の荷が下りた様な気がしてきたよ」

 

そうですか…よかった。

 

そう考えてると外から歓声が上がってきていた。

 

「そろそろ翼の出番だな。

彼奴を応援してくれよな」

 

「…はい!」

 

そう言うと奏さんが手洗い場から立ち去っていった。

その時、私は奏さんの格好を改めて見た。

そこにはローブで隠していたとは言え、今日翼さんが着る予定の服装のオレンジ版で、鏡で反転したかの様な格好をしていた。

 

頑張って下さい。奏さん!

 

ーーーーーーNO SIDE

 

そしてライブ会場では会場のオーディエンス達が黄色い歓声を上げていた。

何故ならステージ上にて風鳴翼が現れたからだ。

 

それを見た観客達のテンションはヒートアップしていた!

 

そんな歓声の中、未来は如何にか席に戻ってこれた。

 

「遅かったな?」

 

「何か問題があったのか?」

 

「ううん。けど、響と憑友、間に合わなかったね」

 

そう言いながら、未来は隣空いた2つの席を見ていた。

響と憑友が座る予定の席だった。

 

「なら、彼奴らの分まで騒ごうぜ!」

 

「お前らしいったらありゃしないな…!」

 

そう言うと2人はすぐにライブの盛り上がりの波に入った。

 

「もう…」

 

未来はそんな2人を見ながらもそれもそうだと腹を括り、翼のライブを観ることにした。

 

そして翼はと言うと、観客に新曲を披露した。

 

(挿入歌「FRIGHT FEATHERS」水樹奈々)

 

その歌を聞いた皆はテンションが更にヒートアップしていた。

 

翼は今の自分の気持ちをありのままの感情に流して。

 

例え、片翼をもがれても、それでももう片翼を切り落とす様な事はしない…

絶望に染まっても、それは自分にとっては希望であり、心の拠り所であると。

 

そんな心のこもった歌声を聞いた皆は知らない。自分の想いなど。

だけど、其れを聴いて心の底から思ってる人にその歌が届けたら…と、翼はそう思った。

 

そして歌が歌い終わり、翼は観客の皆に自分のありのままの事を伝えた。

 

「ありがとう皆!今日は皆んなの前で歌を歌えて本当に気持ちよかった!」

「こんな想いは久しぶり…忘れていた。

けど、思い出した…!こんなにも歌が好きなんだって…!」

 

『ならば、その歌でこの俺を感化させてみろ!』

 

「え?」

 

すると突然、ライブ会場の中央から徐々に光が消えていき、

唯一の光が観客達のペンライトだけとなっていた。

 

「これは…一体…?」

 

『ならば、この俺が!お前の歌を聞いてやろうではないか!』

 

するとライブの中央地点のオブジェクトがカラフルな虹を描き始めた…!

 

するとそのオブジェクトの真上に誰かがいた。

 

『我は数多の次元を飛び越え、両翼が奏し歌に惚れた者。

ならばこそ、その内の片翼をもぎ取る事も厭わない…!

我が名はレフ!レフ・スピリットなり!』

 

なんとそこには不気味な仮面を被った男がそこにいた!

するとそんな男に対して、

 

『ちょいと待ちな!』

 

「⁉︎この声…」

 

『ほう…来たか。もう1人の片翼よ』

 

すると男が見た方向にライトが照らされた。

そこにはローブを纏っていて、顔を隠した謎の存在がいた。

すると謎の存在はそのままライブ会場内へとダイブした!

 

そしてそこからワイヤーアクションでくるくると回転しながら、翼の隣に降り立った。

 

「!」

 

するとローブを纏った謎の存在がすかさずそのローブを外した!

そして翼は目を見開いた…!

 

『両翼の歌が聞きたいなら聴かせてやる…!

風鳴翼と…

 

 

天羽奏と言う…

 

 

《ツヴァイウイング》の歌をな!」

 

それは翼にとってはかけがえのない存在、

 

 

天羽奏がそこにいた!




クリス「なんだよ…此処は?」

(カンペ)

クリス「んあ?『英雄』達を紹介するコーナー?
…はぁ⁉︎今回はあたしがその役⁈ふざけんな!このコーナー、降りてやる!」

(カンペ)

クリス「んだよ…?『クリスさんのお兄さんである、ロックさんについてる『英雄』達を教えてくれ』だあ?…しゃあねえな…今日だけだからな‼︎」
「今回はロック義兄が使用していた『英雄』バンの奴を紹介してやらぁ!」

バン/カード名【強欲の罪(フォックス・シン) バン】
属性/無・人間・打・拳&棍

その欲の深さにより大罪を犯した元盗賊にして、《七つの大罪》の1人。
聖なる泉の水を浴びた事により、身体の魂を抜かれない限り、その身体は驚異の再生力を見せる…!

クリス「…ぶっ飛んてやがる…。
こんなのが『英雄』って言うのが、いけ好かねえよ!」

次回

両翼を導く風

クリス「あたしの出番、終わりかよ⁉︎ってか、暴れたりねぇよ⁉︎」

作)次回も見てね〜♪って、ちょっとこっちにまで、ミサイル撃ってこないで〜⁉︎


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第45話 両翼を導く風

遅くなりましたが、投稿いたします。


謎の男、レフ・スピリットの出現と消息不明だった《ツヴァイウイング》の片翼、天羽奏のサプライズ登場に会場は一気にざわつき始めた。

 

翼はピンマイクとマイクの電源を落として、奏に色々と質問した。

因みに奏はピンマイクを装着していないので、マイクの電源だけ落とした。

 

「なんで奏が此処に⁉︎」

 

「そんなのは決まってる。私も歌を歌いたいからさ」

 

「今迄拒絶反応があったんじゃ…⁉︎」

 

「憑友とその友達のおかげさ」

 

「え?」

 

そう言うと奏が説明に入った。

 

「私は今のままで良いと思ってた。

けど、彼奴らに逆に励まされちゃったんだ。

歌を歌いたい。

この歌で、たくさんの人を救いたいって。

そう言う感情を出してくれた憑友と響には感謝しないとな」

 

「立花と憑友が…」

 

「それに霊風にも言われたんだ。

『お前と翼の歌、2人が一緒に歌う所をまた聴きたい』ってな」

 

「霊風さんも…⁉︎」

 

『もう良いか。流石に苛立って来たぞ!』

 

そう言うと翼と奏は中央にいたレフ・スピリットに顔を向けた。

すると奏は翼の耳元で呟いた。

 

「あれ、霊風なんだけど…彼奴、厨二病なんだよな…」(-。-;

 

「厨二病?何かの病気なの?」

 

「あ、いやそうじゃなくて…」

 

奏がそう言っていると、

 

『この肉体はあの《フレンドリーマネージャー》と呼ばれている男、精妖霊風の身体を乗っ取っている。だが、お前達2人の歌を聴けたなら、私はすぐにこの男の身体からすぐに立ち去り、そして成仏してやろうではないか!』

 

完全に役にハマっている霊風がそこにいた。

それを見た奏は溜め息を零しながら呆れていた。

 

「兎に角、私達の歌を聴かせればそれで良いから」

 

「ど、如何やって⁉︎」

 

「大丈夫さ…私と翼。

両翼揃った《ツヴァイウイング》は何処までも飛べるだろ?」

 

「!…うん!」

 

そう言うと2人はマイクの電源を付けて、マイク越しに観客に話しかけた。

そして奏は自分が如何して今の今まで表舞台から姿を消したのかを話し始めた。

 

「私は2年前のあの日、自分のファンの1人によって命を救われた。

けど、それを代償にそのファンはこの世から逝ってしまった…

私はその後悔の念に囚われて、今の今までマイクを持つ事すら出来なかった…!」

 

それを聞いた皆は驚きを隠せなかった。

観客にいた未来,逝都,馬燈の3人はその事情を知っていたので、真剣に話を聞いていた。

 

「だけど、私はそのファンの親友と名乗る女の子と、そのファンの家族に言われたんだ…

 

『貴方が歌ってくれていた方が良い』って。

『その方が、あの子の為にもなるから』と言って来た。

だから、私はその言葉を聞いて、私はその子の為に歌う事にした!

こんな私だけど、赦してはくれないだろうか⁉︎」

 

奏の話を聞いた皆は沈黙が続いていく。

 

しかし、1人の拍手が聞こえて来た。

それを境に、1人、2人、4人、8人と、徐々にその拍手をする人が多くなり、終いには

 

「お帰りなさい!奏さん!」

「貴方と翼さんの歌をもう一度聴かせて‼︎」

 

と、奏を歓迎する声が聞こえて来たのだ。

それを聞いた奏からは涙が溢れてきていた。

 

『(奏…お前には居場所があるんだ。こんなにもお前の事を待ってくれている人が居るのだから…!)』

 

レフ・スピリットになりきっていた霊風は心の中でそう呟いた。

 

『(さぁ…ショータイムだ!)さぁ!この歓声の中で、この俺の心に響く歌を歌ってくれ給え!

風が鳴りし翼と天へと奏でる羽よ!

その2つの《ウイング》で、この俺の心を響かせてくれ!』

 

そう言うと霊風は手元に持っているスイッチを押した…!

 

するとそこから2人にとっても、観客の人達にとっても懐かしい曲が流れてきたのだ!

 

「おい⁉︎この曲って…!」

 

「ああ!間違いない!」

 

逝都と馬燈の2人はこの曲のイントロを聞いて、すぐにこの曲が何かがわかり、未来は目を輝かしていた。

 

そして奏と翼の2人はその曲を聞いて、顔をあわせると頷きそして、マイクを握って、歌い出した!

 

曲名は"逆光のフリューゲル"…翼と奏、《ツヴァイウイング》の代表曲であった…!

 

(挿入歌「逆光のフリューゲル」ツヴァイウイング)

 

そして会場のオーディエンス達が曲を聞き始めるや、其処から一気にヒートアップしていた!

 

「!」

 

それを見ていたトニー・グレイザーは驚きを隠せなかった。

これ程までに観客と一体となったライブを見た事が無かったのだから。

 

その歌を聴く霊風は、

 

『(お前らはやっぱり2人で一緒に飛ばないと意味がないんだよ。

俺はお前達を支えてきたのは何故か分かるか?

 

俺はお前ら《ツヴァイウイング》のファンだからさ。

だから、俺はお前達の事を献身的にサポートしてきたんだ…

お前達は2人揃って《ツヴァイウイング》なんだぜ!)』

 

そう心の中で呟いていると、あっという間に歌が終わっていた。時間の流れはあっという間だった。

 

そして歌が終わったと同時に、霊風はそのまま闇夜に紛れると、すぐに仮面やローブを外して、ステージの上に戻って来た。

 

「皆んな!ありがとう!皆んなのおかげで、あのレフ・スピリットとか言う奴は俺の身体から抜け出て、そのまま成仏していった!

これも《ツヴァイウイング》の歌と、そして何よりも観客のオーディエンス達の応援で起きた奇跡にありがとう‼︎」

 

そう言いながら霊風は会場の観客達に手を振る。

するとそこから観客から

「兄貴ーー!」

「霊風様ーー!」

と、黄色い歓声が上がっていた。

 

「お詫びも兼ねて!この俺からお前達に熱い歌をプレゼントしてやるぜ!」

 

その一言に会場が揺れるほどの大盛況を見せた!

 

すると霊風は手元のスイッチを押した。

 

(挿入歌「ignitedーイグナイテッドー」T.M.Revolution)

 

霊風の歌を聴いた皆は先程までの応援を遥かに越すテンションを上げて、ライブ会場全体を揺らす程にまで、ヒートアップした!

 

そして霊風は歌いながらステージ上へと上がり、そしてステージで2分も満たない内に歌いきってしまった。

それでも、観客達のテンションは上がり、終いには

 

「アンコール!アンコール!」

 

観客達からのアンコール節が炸裂した。

 

「良いね良いね〜!そうこなくちゃ!

じゃあ、アンコールは特別な歌を聴かせてやるぜ!もしかしたら、今夜限りのタッグ!

《ツヴァイウイング》とこの俺、《フレンドリーマネージャー》こと精妖霊風のコラボソング…聴かせてやるぜーー‼︎」

 

霊風の一言で観客達は最高潮に高まっていた!

だが、急な展開に奏と翼は困惑していた。

何せ、急に3人で歌える曲など作ってもいないから。

 

すると霊風がマイクの電源を切って、2人に話をした。

 

「憶えてるか…?

俺と出会って、ある程度余裕が出来た時の事を…」

 

そう言うと、3人はその時の出来事を思い返した。

 

ー回想ー

その日も無事にアーティスト活動と共にノイズの掃討もし終えた3人。

 

『ふぅ〜!今日も絶好調だったな!』

 

『うん。そうだね』

 

『つれないな〜翼〜』

 

『ちょっ⁉︎奏⁈』

 

相も変わらず2人はいつも通りの展開となっていた。

するとそんな2人の近くで鼻歌を歌っている存在がいた。

 

『♪〜♪〜♪〜』

 

『?何の歌なんだ、霊風?』

 

それは霊風であった。

 

『ん?あぁ…

俺がいた世界で俺が特に好きだった歌手の歌なんだ…

その人は、様々な歌を歌っていながら、喜怒哀楽を表現したような歌を歌っていたんだ』

 

『へぇ〜…!どんな人なんだ?』

 

『…居ないよ』

 

『『え?』』

 

霊風の衝撃発言で2人は驚愕していた。

当然だ…霊風は元を正せばこの世界の人間では無い。

以前、霊風の話をしたが、霊風は転生者《リターナー》である。

故に前世の記憶を持っており、その時の記憶からその歌手の歌を歌ってみせたのだから。

 

だが、霊風が転生者である事をこの時の奏と翼は知らない。

もちろん、現在ライブ会場にいる今の2人にも未だに明かしていない。

なので、その歌の持ち主がいないと言う事実を霊風は正直に言っただけなのである。

 

その話を一部抜粋して本当なら霊風は話した。

 

『ならさ…あたいと翼と霊風。3人の組曲作ろうぜ!』

 

『え⁉︎』

 

すると突然、奏の口から発した言葉に霊風は驚いていた。

翼の方も、うんうんと首を縦に振っていた。

 

『…しゃあねぇな…!やってやろうじゃねぇかよ!』

 

『そうこなくちゃな!』

 

こうして3人は暇を見つけてはその歌の歌詞作りに翻弄した。

そして数ヶ月かけてようやく完成し、歌に必要な音色や音程も無事に完了した。

そしてそれを本当ならあの日…2年前のライブ会場で皆にお披露目しようとしていたのだ。

 

だが、結果的にノイズがそのライブ会場を襲撃、

奏が『絶唱』を放って、虫の息となった所を憑友によって蘇る代わりに憑友が死に、

そしてその負の感情に呑まれた奏はマイクを握る事は勿論、歌を歌う事が出来なくなり、その歌詞は御蔵入りとなってしまったのだった…

 

ー回想endー

 

その思い出を思い出した2人はまさかと目を合わせた。

それを察した霊風は、

 

「そのまさかさ!」

 

と言うと手元のスイッチを押した!

 

すると会場のライトが彩りの色を見せながら独特のリズムを発し始めた!

そしてそのイントロを聴いた2人はすぐにマイクの電源を入れ、霊風も同様にマイクに電源を入れると、2人の間に割り込み、そして歌った!

 

(挿入歌『Preserverd Roses』

T.M.Revolution&水樹奈々&高山みなみver.)

 

3人の歌声が聞こえてくると、会場のテンションは大きく響いた!

まるでその歌声だけで、今自分達がいるライブ会場を崩壊させる事が出来るかもしれないほどの黄色い歓声が飛び交っていた!

 

そして歌のサビ部分に入ると、中央のオブジェから大量の火花と共に紙吹雪が舞った!

 

そして歌はラストを歌い上げ、あっと言う間に歌いきってしまったのであった。

 

「サンキュー!」

 

「皆んな、ありがとう!」

 

「皆んなの応援を、これからもよろしく頼むぜ〜‼︎」

 

そう言うと今回のライブは大成功を納めたのであった。

 

 

ーーーーーー

そして、ライブ会場を後にしようとしていたトニー・グレイザー。

するとそこへ「Mr.グレイザー!」と声が聞こえ、振り返るとそこには翼のマネージャーの緒川がいた。

 

「君か。今夜は早々にこの場から離れて、準備をしないといけないのだ」

 

その言葉の真意を聞こうとすると、それを察したのかトニー・グレイザーはこう語った。

 

「私の目は如何やら節穴の様だ。

こんなにも観客達の心を鷲掴みにする()()()()()()()()()をみすみす逃すとはな…!」

 

「‼︎それって…」

 

2()()の為の準備をしなくてはな…!」

 

そう。トニー氏は今までの自分の方針を変える一言だった…!

今までは翼ばかりにスカウトしてきたが、このライブにより、奏も一緒に面倒を見ると言って来たのだ!

それを聞いた緒川は、「ツヴァイウイングの2人を…宜しくお願いします!」と深々とお辞儀をし、トニー氏は最後に「《フレンドリーマネージャー》にもそう伝えておいてくれ」と言うと、そのライブ会場を後にしたのだった。

 

 

ーーーーーー

さて、時を遡る事数十分前の出来事へと戻ろう。

 

そこには、響と憑友と…

 

クリスとロック。

 

2人の《シンフォギア装者》と、同じく2人の《精魂導師》が、ノイズ達と激闘を繰り広げていた…‼︎




今回の『英雄紹介』はお休みです。

次回

赤と紅と橙と青/4人の共闘

次回は憑友と響が活躍します!
そしてついにあの少年の『英雄』の力が発動します…!

乞うご期待!


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第45.5話 赤と紅と橙と青/4人の共闘

貯めていた奴を投稿します。
今日はあと1回投稿する予定です。


翼と奏、そして霊風のライブが開催されていた時、

憑友と響はノイズの発生場所へと移動していた。

 

そのノイズの場所では、

 

「くっ!このー‼︎」

 

ガトリングで攻撃を繰り出しているクリスと、

 

「魔神剣!魔神剣・双牙!」

 

『英雄』リオン・マグナスの魂を纏ったロックがノイズ達を殲滅していた!

 

するとロックはすかさずドライブボタンを叩いた!

 

『ソウル・リオン!フルドライブ!』

 

するとロックが所持していたリオンの武器、《湾曲剣・シャルティエ》と《短刀・滅鬼丸》から紫の炎が現れ、そしてそれをノイズに向けて薙ぎ払った!

 

「"塵も残さん!"奥義!

"浄破滅焦闇"‼︎」

 

そして薙ぎ払った場所にノイズはいなかったが、それでも数が多かった!

そうしていると、

 

「きゃあ!」

 

「⁉︎クリス⁉︎」

 

大型のタンク型ノイズの攻撃を喰らい、クリスが絶対絶命になっていた!

助けに行こうにも、他のノイズに邪魔されて、ロックは焦り始めた!

 

そしてノイズがクリスに弾丸を放った!

 

「っ⁉︎」

 

絶対絶命のその時だった!

 

「たぁぁ‼︎」

 

響がクリスに襲いかかろうとした弾丸を倒した。

そして着地と同時に、ガントレット状にしているパワージャッキを伸ばして、高速移動しながら、ジグザグ走行した響。

するとそこから一気にノイズが殲滅していた!

 

其れを見たロックは呆気に取られていると、真後ろからノイズが奇襲をしようとしていた事に気付いた。と同時に、

 

「そぉらぁ!」

 

今度は憑友がロックを助けたのだった!

 

「大丈夫か⁉︎」

 

ーーーーーーSIDEto憑友

「済まない…!助かった!」

 

なんとか間に合ったか。

と、そんな事言ってる場合じゃねえな。

 

「⁉︎」

 

と、響が危ないと思ったが、クリスが助けてくれた!

 

「これで貸し借りは無しだからな!」

 

「!…うん!」

 

あっちは大丈夫そうだな。

 

「憑友…共に戦うぞ」

 

「元からそのつもりだぜ!ロック!」

 

そう言うと俺はなのはさんのカードを、

ロックはなのはさんの親友、フェイトのカードを取り出して、それぞれのアブソーバーに装填し、レバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、ナノハ!ー

ーソウル!フォーム、フェイト!ー

 

そして俺たちはそれぞれの魂を纏った!

 

ー不屈の心、エース・オブ・エース!ー

ー疾風迅雷!雷光一閃!ー

 

そして俺たちが纏うと俺の右隣になのはさんが、ロックの左隣にフェイトさんが現れた。

 

「なのは!」

 

「やっちゃおう!フェイトちゃん!」

 

「うん!」

 

そう言うと姿を消して、俺達は共に空から攻撃を仕掛けた!

 

「"アクセルシューター"シュート‼︎」

 

「"プラズマランサー"‼︎」

 

俺とロックの行動は流石と言えるべきだな。

 

pipipipi!pipipipi!

 

ん?こんな時に通信?しかもこの通信音は確か…

 

そう言うと俺は通信を掛けた。

 

「もしもし?」

『あ、憑友!久しぶり』

「セレナ義姉さん?」

 

うん、本当に久しぶりだね。

何か用かな?

 

『実は今目の前にいるノイズなんだけど、そいつの中に『英雄石板』が3枚確認されたわ。

幸い皆同じ場所にあるから1人でも取り出せるわ。

けど、相手の装甲は付け焼刃だと簡単に折れるわ』

 

成る程な。

押してダメなら引いてみるか!

 

そう言うと俺はセレナ義姉さんとの通信をきって、ロックと話をした。

 

「2人で一点突破をするだと…⁉︎

…出来るのか。そんな事…」

 

内容は2人で同じ場所をピンポイントで狙って、そして俺がその際に特攻して、石板を引き抜くという荒くれた内容だ。

 

ロックの言う通り、そう簡単にはいかないさ…けど、

 

「俺とロック…俺達が今なっている『英雄』が何者なのか。

それさえ分かればなんとかなるんじゃないのか?」

 

俺の一言にロックは首を傾げるも、すぐにその意図が分かったようだ。

 

「なら、同時にやれば良いんだな?」

 

ああ!

「やってくれるか?」

 

「フッ…当然だ」

 

そうこなくちゃな!

そう言うと俺とロックは共に上空に上がると、相対していた特異型ノイズに照準を構える…!

 

そして、

 

「行くぜ!」

 

「これが俺達の…」

 

「「ダブルブレイクだ!」」

 

そう言うと俺はノイズの方に顔を向け、ロックはそれに対して背中を向けるとそれぞれの左腕に装着されているアブソーバーをくっつけ、そして俺はライドさんの、ロックはソウルのドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・ナノハ!』

『ソウル・フェイト!』

 

『『デュアル・フルドライブ‼︎』』

 

そう言うとアブソーバーを離して、すかさず俺とロックはチャージを開始、

そして両方同時に放った…

なのはさんとフェイトさんのコンビネーション魔法を…!

 

『全力全開‼︎』

『疾風迅雷‼︎』

 

するとなのはさんとフェイトさんの声がアブソーバーを介して発した…!

 

「中距離殲滅!」

「コンビネーション魔法!」

 

「「"ブラスト・カラミティ"‼︎」」

 

そうすると範囲内の雑魚ノイズ達はその光で一掃され、特異型ノイズはその身体に風穴が出来た。

そしてよく見ると、そこに3枚の『英雄石板』があった。

俺はすかさずそれの回収に成功した。

 

その内の一枚をロックに渡した。

 

「?如何言うつもりだ?」

 

「お礼なんだから、受け取れよ」

 

「…お言葉に甘える」

 

…何だよ。なんかあんまりしっくり来ないな…。お前の口調…。

 

さて、残りをやっちゃいますか!

 

そう言うと俺の思考を察知したのか、ロックが頷いた。

話がわかる奴は嫌いじゃないぜ!

 

そう言うと俺とロックは新たなカードを取り出して、それをアブソーバーに装填、そしてレバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、サトシ&ピカチュウ!ー

ーソウル!フォーム、アラン&リザードン!ー

 

そう言うと俺のアブソーバーからサトシさんと相棒のピカチュウが現れ、

ロックの方からは青い炎のようなマフラーを羽織った青年と赤みを帯びたオレンジ色のドラゴンが現れ、俺はサトシさんの方を、ロックはその青年の魂を纏った…!

 

ー幾多の冒険、黄金コンビ!ー

ー絆、最強、進化を超えろ!ー

 

すると俺はすかさずアブソーバーにパネルにある項目を見た。

そこには6つの項目があり、それぞれサトシさんが腰につけているボールのような形になっていた。

そしてそのボールには数字が書かれていた。

俺はすかさずその項目の中から『⑥』のパネルボタンを押した!

 

ーカロス・スタイル!ー

 

すると俺が纏っているサトシさんの服装が青色に変わった!

 

そして俺はすかさず腰についてるボール…【通称 モンスターボール】を投げた!

 

そして現れたのは、

 

「ッチャブルォ‼︎」

 

覆面を被っているプロレスラーのような姿をした存在だった…!

 

すると俺の隣からサトシさんが半透明の姿で現れた。

 

「彼奴はルチャブル。格闘技が得意なポケモンだ!

俺達ポケモントレーナーはポケモンを使ってバトルするのが基本戦略だから、俺達トレーナーは戦闘力が皆無だから気をつけてくれよ!」

 

了解!

そう言うと俺はそのルチャブルと言うポケモンに指示を出す事にした。

 

…でも、如何やって?

 

「こう使うんだ」

 

すると近くにロックが来た。隣には先程の青年の魂と共に現れたドラゴンーーリザードンと言うらしいーーと一緒だった。

するとロックはそのドラゴンにアブソーバーに搭載されている赤外線レーダーを照射すると、そこから瞬時に読み取り、そしてアブソーバーに4つのボタンが現れた…!

 

「ポケモン達の指示する際は技名を言わなければならない。

技名は先程スキャニングした時にアブソーバーに表示される様になっているから、それを見て参考にしろ」

 

「成る程…サンキュー!」

 

そうとなれば、話が早い!

俺はすかさずルチャブルにレーダーを照射、そしてアブソーバーに4つのパネルボタンが表示された!

ん?よく見れば、下に別の形のボタンがあるけど…?

 

「これは一部のトレーナーにしか無い能力なんだ。

俺の場合はそれを使えば、俺のスタイルが変わるスタイルチェンジの能力があるんだ。効果はスタイルに合わせたポケモンを使用する事が出来るんだ」

 

「へぇ〜!」

 

面白いな…!

 

「一気に決めるぞ!」

 

するとロックがそう言って来たので、俺は「応!」と言うとすかさずパネルボタンを見て、そして技名を言い放った!

 

「ルチャブル!"フライングプレス"‼︎」

「リザードン!"ドラゴンクロー"‼︎」

 

「チャブーー‼︎」

「ヴォォォォォンッ‼︎」

 

そう言うとリザードンは腕の爪から緑色の発光体を纏って、ノイズを切り裂いた!

凄え…!と思っていたら、

自分のルチャブルが回転してそしてそのままノイズ達にプロレス技の一つ、"フライングボディプレス"にも似た技をお見舞いした!

 

その威力が半端じゃなかったよ…。

プレス発生場所から半径5m以内のノイズ達まで巻き添えを食らってそのまま灰となって消えたのだから。

ありえないぐらいにやりすぎだ〜⁉︎

 

「これでトドメだ!」

 

「俺達もやるぞ!」

 

と思っていたら、ロックが王手をかける。そしてサトシさんの一言で、ルチャブルに代わって、ピカチュウが戦闘に出た!

 

「ドライブボタンで一気に決めろ!」

 

サトシさんに言われた俺はすかさずピカチュウにレーダーを照射した後、そのままドライブボタンを叩いた!

 

そしてロックもドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・サトシ&ピカチュウ!フルドライブ!』

『ソウル・アラン&リザードン!フルドライブ!』

 

これでトドメだ!

 

「ピカチュウ!"ボルテッカー"!」

「リザードン!"ブラストバーン"‼︎」

 

「ヴォォォォォンッ‼︎」

「ピッカ!ピッカピッカピカピカピカピカピカピカ…」

 

そう言うとリザードンは腕に、全体重を乗せて地面にぶつけた!

するとその先から地面が割れ、そこから爆発した!

 

対してピカチュウは走り始めると、徐々にイナズマのような素早さと共に威力が加速していた!

 

そしてそのままノイズ達を過ぎ去るとそこにはもうノイズ達の後は無かった…‼︎

 

凄え…凄えよ!サトシさん!それにピカチュウ!

 

 

 

と、そうこうしている内に向こうの方も如何やら終わっていたようだ。

 

「…ではまた会おう。今度は…」

 

「共に切磋琢磨する"ライバル"として、な!」

 

「!…あぁ…!」

 

そう言うとロックはクリスと共にその場から立ち去った。

 

俺は響の所へと行くと、2人揃って変身を解除した。

 

「遅くなっちまったな…」

 

「でも、クリスちゃんと一緒に戦えたから!」

 

…そうだな。

最初は敵でも、いずれ味方になる。

 

昨日の敵は今日の友!…ん?

今日の敵は明日の友?

 

まぁ…いっか!

 

そうしていると、アブソーバーから音が聞こえた。

 

『?これは…ミス.未来に忍ばせておいた盗聴器からか?

会場がやけに騒がしいな?

まさか、ノイズが⁉︎』

 

ライドがそう言っているけど、違う。

この盗聴器の先から微かにだけど、3人の歌声が聞こえてきてる。

 

1人は翼さんの声。1人は霊風先輩の声。

もう1人は…これは…奏さんの声か⁉︎

 

…そうか。奏さん。また歌えるようになったんだな…!

 

そんな俺の顔を響が見ていたが、俺はスルーし、響はその時に「スルーしないでよ〜⁉︎」と言っていたけれど、それでもこんなひと時で入られて俺は凄く嬉しく思っていた。

 

俺がこの世に入られる時間はこの日を以って…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あと5ヶ月を切っていた。




憑友「『英雄』達を紹介するこのコーナー」
「今回は今の今まで参加する事が無かったが、ついに俺が変身した『英雄』
サトシとピカチュウを紹介しよう」

サトシ&ピカチュウ/カード名【黄金コンビ サトシ&ピカチュウ】
属性/雷&全・人間&獣・打・〔武器属性〕無し

他の『英雄』達と違い、武器を所持していない『英雄』コンビ。
己の身体能力だけで『英雄』になった。
サトシは高電圧の電気にも耐性を持っている。

憑友「サトシさんのピカチュウは言わば相棒そのもので、
様々な世界を共に歩んできた。
2人の鎖を断ち切る事は不可能。
故に【黄金コンビ】と名付けられているのかもしれない…!」

次回

運命が動き出す時

憑友「次回は翼さんと俺。
クリスとロックに関連した話なのか…
次回も見てくれ!」


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第46話 運命が動き出す時

ここ最近…と言っても、1週間しか経っていないのだが。

それでも、ノイズが出現していない中で、

何時もと変わらぬ日常を謳歌していた憑友。

 

今日は朝から先生の許可を貰い、陸上部員達と共にランニングをしていた。

陸上部員と言えど、流石に女子校なので、メニューはやはり少なく感じていた。

なので、憑友はそのメニューの1.5倍の量を自分だけにすると黙々とそのメニューをこなしていた。

 

そして、最後のメニューが終わると近くのベンチに腰掛けた。

すると、

 

ピチャッ⁉︎

 

「ひゃあぁ⁉︎」

 

なんとも恥ずかしい声を上げた憑友。それを仕掛けた本人の顔を見てみると、そこにはなんと翼がいた。

 

「ご、ごめんなさい⁉︎なんというか…その…」

 

そう言いながら、翼の目が泳いでいる事に気がつくと、憑友は「良かったら、どうぞ」と何気なくベンチに座るように促すと、翼は俯きながらも、憑友の隣に座り、そして先程、顔に近づけさせた元凶の物、スポーツドリンクを手渡すと、翼は話をしだした。

 

「私が以前、入院していた事は知っているわよね?」

 

「?…まぁ…同じ病棟にいたんだからそうでしょうね」

 

「治療している時に私は、神様に出会ったんだ」

 

「⁉︎」

 

ーーーーーーSIDEto憑友

翼さんの一言で、俺は驚いていた。

このリディアンに入ってから、俺が九死に一生を得た時以外は全く以って話し合う事すら出来なかった神様が、『絶唱』を未遂とは言えど発動した翼さんと会ったと言う事に。

 

「その時、神様はお前を生き返らせるヒントとなる『英雄石板』の特徴を教えてくれた」

 

「!本当ですか⁉︎」

 

翼さんの一言で俺はまた驚かされた…!

神様は俺にはノーヒントで探せと言っていたからな。

すると翼は首を縦に振り、そして神様が言った俺が探さないといけない『英雄石板』の特徴を話してくれた。

 

「《竜を滅する剣》

《魔を穿つ弓》

《ふた振りの槍》

《銀の腕》

《女神の盾》

《女神の慈愛を受けし『鎌』と『鋸』》

《歪みし鏡》そして、

 

《槍の名を冠する『拳』》

 

それが、神様が言った憑友が探さないといけない『英雄石板』の特徴らしい」

 

全部で九つ。

 

《竜を滅する剣》

 

《魔を穿つ弓》

 

《ふた振りの槍》

 

《銀の腕》

 

《女神の盾》

 

《女神の慈愛を受けし『鎌』と『鋸』》

 

《歪みし鏡》

 

そして…《槍の名を冠する『拳』》…

 

駄目だ。さっぱり分からない。

一体誰の事を指しているのかすら分からない…!

 

だけど、おかげでかなりの数の『英雄石板』の数が除外された。

 

俺の手元にいる皆さんは全く以って関係が無いものが多い。

そして最後に言った特徴…

 

《槍の名を冠する『拳』》

 

これに心辺りはある。けれど…それは『英雄』になどまだ呼べない存在の筈。なんで神様はそれを欲しているんだろうか?

 

「!…済まない。今日はこの後、記者会見を開いている」

 

そう言うと翼さんが席を立った。

記者会見?何の?

 

「奏と一緒に《ツヴァイウイング》が世界進出をするので、その記者会見がこの後あるんだ」

 

!そうですか。

 

「おめでとうございます。

これで、ようやくと言った所ですね」

 

「後は、憑友が()()として戻ってくれたら、何もかもがハッピーエンドだがな」

 

「ははは…。…善処します」

 

そう言うと翼は少し小走りながら、その場を後にした。

 

()()としてか。

 

確かにな…尤も、それはあと4ヶ月と少しの後にその結末が分かる事なんだろうな。

 

そう思っていると、学校の校歌が聞こえてきた。

この学校の歌は好きだな。卒業したとしても、つい口ずさんでしまうかもしれない程の歌だな…

 

尤も、その間までに俺は神様の依頼を完了しないといけないんだけどな。

 

そう考えをつくと、俺は陸上部の顧問の先生に話をして、今日の所はこの辺で終わりにした。

 

ーーーーーーNO SIDE

憑友がランニングをし終えていたその頃、フィーネが根城を立てていた場所に向かっていたクリスは、その屋敷内の光景を見て、驚愕していた。

そこには無数の兵士が見るも無残な姿へと変貌を遂げていた。

そしてその内の1人の兵士の腕には米国の腕章があった。

如何やら米国兵の者達のようだ。

 

「一体、此処で何が…⁉︎」

それを見ながらクリスが屋敷を歩くと、後ろの扉からガトンと言う如何見ても可笑しい音が鳴ったので、後ろを振り向くとそこには超人すぎるOTONAこと風鳴弦十郎がいた。

 

「違う!私じゃない!やったのは…!」

 

クリスは弁明を試みようとするが、現れたSP達は自分の事など無視して、周りの状況を確認し始めた。

それを見たクリスの頭を弦十郎は手を置き、そしてこう語った。

 

「誰もお前達がやったなどとは思ってはいないし、疑ってもいないさ。

お前さんも、もちろん君のお義兄さんもな」

 

「‼︎」

 

「そして、この状況をやってのけたのは、俺達の傍にいて尚且つ、君達の傍にいた()()の仕業だ」

 

「え…」

 

「風鳴司令!」

 

するとSPの1人が妙な置き手紙を発見した。そこには

 

『Iloveyou.SAYONARA』

 

と書かれていた。

 

そしてSPの1人がその紙を取った。

すると何処からか奇妙な音が聞こえた。

まるで、何かの起爆装置が作動したかのように…!

 

「‼︎」

 

ーソウル!フォーム、アーチャー‼︎

Unlimited Blade Works!ー

 

熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)‼︎」

 

 

 

 

突然の爆発に弦十郎は咄嗟に近くにいたクリスを庇う。

 

SP達は咄嗟の判断ミスをしてしまい、大惨事になろうとしたが…

 

「⁉︎」

 

「怪我はないか?」

 

アーチャーの姿を借りたロックに助けられた。

 

そしてクリスは今の状況を確認し、そして弦十郎から離れた。

 

「なんでギアを纏えない奴が私を守るんだよ!」

 

「…俺がギアの有る無しに関係なく、

お前さんよりも少しばかり、()()だからだ」

 

「大人…」

 

そしてクリスがムキになって猛抗議を唱えていると、

 

「クリス」

 

「んだよ⁉︎こんな時…‼︎」

 

パシッ‼︎

 

『⁉︎』

「⁉︎」

 

突然、ロックがクリスの顔をビンタした。

突然の出来事に弦十郎達二課のスタッフも、

そして何よりクリスもまさか自分の義理の兄からビンタを貰うとは思ってもいなかった。

そう言うとロックはこう語った。

 

「お前が言ったその言葉は、こう捉えてるとも考えがつくぞ。

 

『私は自分のお父さんやお母さんの事も嫌いだ』って」

 

「‼︎」

 

そしてクリスと顔を向け、そしてクリスのおでこと、ロックのおでこがぶつかると目と目を合わせてロックは大声でこう語った。

 

 

 

「お前は自分の両親の事も否定するのかよ‼︎」

 

「⁉︎」

 

その一言。たったその一言だけで、クリスの目元から涙腺が溢れてきていた。

 

「クリス。俺はお前の義理の兄だから、こんな事言って腹が立つのは分かってる。けどな…それでも俺はお前の家族と一緒にいて、お前の事を少しばかり分かってるんだ。

お前は雅律義父さんとソネット義母さんの2人の事が大好きだって事は。

他の大人は嫌いだと思ってくれても構わない。

だけど、これだけは言わせろいや、言いやがれ…

 

『だけど、両親だけは大好きだ』と」

 

「⁈…うぅ…‼︎」

 

そう言いながら、クリスはロックにその身を委ね、ロックはクリスを自身の胸へと引き寄せた。

そしてクリスは泣いた。

どれだけの時間を要したのかは分からない。

けれど、それでもクリスが泣き止む頃には既に正午を迎えようとしていた。

 

「(私…やっぱりパパとママの言葉…大好きだよ…!)」

 

クリスの心の中はそれで一杯だった。

 

ーーーーーー

そして弦十郎達は現場を後にしようとした。

 

「やっぱり私は…」

 

「…来られないか。まぁ、それも良いだろう。

お前さん達はいつも2人ぼっちと言うわけでは無い。

いずれその道が俺達の道と交わるさ」

 

「ふっ…案外もう交わっていたりしてな」

 

「何?」

 

「俺と奴…人絆憑友は互いに認めたライバルであり、戦友だ。

それに変わりは無いさ」

 

「…ふっ。憑友の奴、俺が中での指揮を執ってる間に何処まで情報を集めているのやら…」

 

「憑友に会ったら、こう伝えてくれ。

『以前、話した情報の内、《カ・ディンギル》の方を教えても良い』とな」

 

「…用意周到なんだな」

 

「テロリストキラーたるもの、無計画でやりあう程、無謀な事はしない主義でな」

 

そう言っていると、2人は弦十郎から端末を受け取った。

曰く「限度額内なら、公共交通機関が利用でき、自販機にも適用されている」との事らしい。

因みにこれを受け取った時の霊風は、「(ta○poとS○icaの合体版かよ)」と心の中で呟いていたのは言うまでも無い。

 

「(『カ・ディンギル』…不気味な音が聞こえ始めてきたな。)後手に回るのは終いだ。此方から撃ってでる!」

 

そう言うと弦十郎達は来た道を逆走し、屋敷跡から立ち去った。

 

「…行くぞ。クリス」

 

「?何処にだよ…」

 

2人きりになったロックとクリス。すると突然ロックがクリスの手を握り、屋敷跡から立ち去った。

 

「…頼むぞ。達也」

 

そう言うとロックは霊風と憑友が持っていた『現界ブースター』と同型の奴を取り出し、腰のカードケースから達也のカードを挿入した。

 

するとブースターから光の粒子が現れ、それが形作り、そしてロックについてる『英雄』の1人、司葉達也が現れた。

 

「俺に用か?」

 

「あの屋敷を跡形もなく消してくれ」

 

「…分かった」

 

そう言うと達也は懐から愛機の拳銃・《SH(シルバーホーン)・トライデント》を取り出すと屋敷に向けてトリガーを引いた。

 

すると一瞬で、屋敷跡が何も無いさら地へと変貌を遂げた。

まるでそこに何もなかったかのように。

 

役目を終えた達也は「またな」と言い残すとそのまま消えた。

 

「これで、此処を訪れる者にとっては居心地が良くなっただろう。

俺達の居場所はこんな豪華な場所は嫌いだ。

寧ろ、あの狭いマンションのような場所が俺は好きだ」

 

「…変わってる…」

 

「お前も人の事が言えないだろ。この期に及んでまだ俺が作ったうさぎのぬいぐるみを持ってるんだから」

 

「⁉︎…そ、そ、それとこれとは話が別だろうが⁉︎」

 

「…あんなにもボロボロなのに、まだ持っていてくれていると言うのが可笑しいんだがな」

 

「べ、別に良いだろうが、そんな事⁉︎」

 

「はいはい」

 

そう言いながら2人は街の方へと歩いていく。

そこに待つ運命は、絶望のカウントダウンか。

それとも希望の始まりなのか…

 

それを知る者は此処にはいない。

 

 

そう…()()()()ね。




次回

情報


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第47話 情報

遅くなって相済まぬ。
理由か?
この作品…スマホで投稿しているのだ、実は。
そしてここに来てまさかのデータが遅延すると言う事態。
マジで腹が立っている。
だけど、これ…

5月までに《シンフォギアG》までいけるのか?

いや、いけるのか?ではない…

やるしかない!

と言う訳で、変な前書きはこの辺で。

今回はサブタイ通りの展開です。


ーーーーーーSIDEto憑友

久方ぶりに未来と響と3人で寮まで帰っていると、

 

「おーい!」「憑友‼︎」

 

「?…!逝都に馬燈?如何したんだ?」

 

逝都と馬燈の2人が俺達の方にやって来た。

 

「久しぶりに『ふらわー』のお好み焼き食いに行こうぜ!」

 

「おー!それ賛成!」

 

はぁ〜…やっぱり食いついてきたよ。この馬鹿響は。

だけど今日はそうはいかないのだ!

 

「ごめんね。今日は響の課題の手伝いだから、早めに帰宅したいんだ」

 

「え?マジか?」

 

「ドキッ⁉︎」

 

「ふーん…ならしゃあ無いか。またな!」

 

「ああ!」

 

そう言うと2人は足早に『ふらわー』の方へと走って行った。

それを見た響は「私も連れてって〜⁉︎」とか言っていたが、無視!

 

そのまま俺は響を引き摺る形で寮へと帰ろうとすると突然、ライドさんの端末から連絡が入ってきた。

 

「?弦十郎師匠?」

 

「?」

「もしかして…」

 

うん。未来の言う通りになるかもしれないな。

そう思いつつも、俺は弦十郎師匠と連絡をつけた。

 

その際にフェイスチャットと呼ばれる機能を使って話をする事にした。

 

「もしもし。憑友です」

『憑友か。連絡して済まないな』

「いえ、もう放課後なので、今の所は大丈夫ですけど…?」

 

…これは…何かあったな?

 

そうするフェイスチャットが4分割に割れた。

弦十郎師匠が映っている映像の隣では翼さんが、そしてその下には、奏さんと霊風先輩が移り込み、そして弦十郎師匠の下には響が入っていた。

 

「所で…俺になんか用ですか?」

 

すると弦十郎師匠がこう語った。

 

『カ・ディンギルについての情報を教えてくれ』

 

《カ・ディンギル》…ロックと会ったのか。

 

「本当にごく一部でしか分かりませんでしたが?」

『其れでも構わん』

「では…」

 

そう言うと俺は独学で手に入れた情報を皆に話した。

所謂"情報共有"と言う様なものだ。

 

「《カ・ディンギル》とは、

かつての地球にあった魔の力を宿した塔である事が分かりました。

ただ、古代の文明はやはりそのものが聖遺物と同等クラス。なので、秘匿情報が多すぎたが故に、これ以上の権限では立ち回れませんでした。

強いて言うなら、《バラルの呪詛》から人々を救う塔だと言い伝えられている事なんですけどね」

『《バラルの呪詛》…それが奴の目的か』

 

…如何やら弦十郎師匠も薄々気付き始めている様だな。

 

『所で、了子君は?』

 

?…そう言えば見かけていないな。

ここ1週間もの間、一切合切現れなかった…

 

何かを企んでいるのか?

 

「大丈夫ですよ!了子さんなら!」

 

お前な…。何故そう言い切れるんだよ…

 

「何が来たって、私を守ってくれた時の様にドカンとやってくれます!」

 

え?そうだっけ?…!薬品工場の時か。確かにあれは凄いとしか言えない。何せ、手を翳しただけで、ノイズをも退けるバリアを張るんだもん。

一体、何処ぞの魔法使いか?

それともどっかにいるビームを張り巡らせた盾を持ってるロボットなんだろうか?

又は世界一のサッカーバカが気力で作った異次元のバリアウォールなのか?

それかそれか、何処ぞの携帯獣達が持っている技の一つにある緑のバリアなのか?

若しくは剣と魔法のRPGにでてくる光の結界か何かか?

 

そう考えていたら、

 

『いや。戦闘訓練を碌に受講していない櫻井女史にその様なことは…』

『確かに無理だな。あの人、研究員として二課に配属されたって聞いていたし』

『そうなのか?』

 

上から翼を広げさんと霊風先輩がその考えを否定した。

奏さんは頭に?マークが出ていた。

 

「うぇ?師匠や了子さんって、人間離れした特技とかあるんじゃないんですか?」

 

うーん…流石にそれはな…。

弦十郎師匠は完全なる物理的法則に該当するものだけれど、

了子さんのは明らかに魔法や気力なんかの非科学的現象に該当するもの…

全く以って異なっているのである。

 

 

そう考え事をしていると4分割の間から『SOUND ONLY』の文字が現れた。

 

『やっと繋がった〜!ごめんね、寝坊しちゃった♪』

 

声の主からして、了子さんだった。

なんか色々と言い訳をしている様だけど、今回ばかりは許す事にしよう。

そう…今回だけはな。

 

『そっちに異常は無かったか?』

『寝坊して、ゴミを出せなかったけど…如何かしたの?』

 

それを聞いた響と霊風先輩、奏さんがホッとしていた。

翼さんも言葉には出ていないが、顔を見る限り、如何やらホッとしている様だ。

 

『それよりも了子君に聞きたい事がある』

『?何かしら?』

 

『…《カ・ディンギル》

…この言葉が意味しているものは?』

 

その話を聞いた了子さんは先程とはうって変わって、その話をし始めた。

 

『《カ・ディンギル》とは、古代シュメールの言葉にて、『高みの存在』転じて『天を仰ぐ程の塔』と言う意味を持っているわ』

『何故、そんな物を我々は気付かなかったのだ?』

 

…確かに一理ある。

だが、それと同時に俺は以前了子さんが言っていた事を思い出していた。

 

『(このエレベーターシャフトは東京スカイタワー3本分の長さを誇るのよ〜♪)』

 

だとすると、天を仰ぐ程の塔と言う意味…まさかとは思うけど…

 

二課の本部そのものが…《カ・ディンギル》なのか?

 

俺の思考が活性化していたら、何故か俺を除いて他の皆だけで今後の会議を開き、そして気付いた時にはもう既に遅かった。

 

「あれ?もしかして…さっきの話し合い…

…聞いてなかった?」

 

「聞いてる訳ないだろうが〜〜⁉︎」

 

如何してこうなるんだよ〜〜⁉︎

 

ーーーーーーNO SIDE

憑友達との作戦会議を開いた弦十郎率いる二課の面々は、ほんの些細な情報でも良いと言いながら、必死に作業をしていた。

 

すると、藤堯と友里の座る席よりも下にいるスタッフの席の一角にて仕事をしていた牧藁がその席から話しかけてきた。

 

「あの〜…ひとつ言っても良いですか?」

 

「?如何かしたのか?牧藁君」

 

「あ、いや。本当に大した事じゃ無いんですけど…

毎回、エレベーターシャフトを使わないと二課本部から地上へ出る最短ルートが無いなぁと思って。

まぁでも、他に非常用階段があるので、私は気にしていませんけどね。

 

でも、私、エレベーターシャフトの向こう側に描かれている壁画っぽい絵でしょうか?あんまり好きにはなれません」

 

「如何してだ?」

 

「だって…()()()()()()()()()()()()()()と言う感じにしか思えないんです…」

 

「古代の文明に囚われ過ぎてる?…まさか!」

 

弦十郎が牧藁の言った台詞で何かを感じたと思ったその時!

 

突然警報が鳴り響いた!

 

「如何した⁉︎」

 

「飛行タイプの超大型ノイズが三体…いや、更に三体確認!合計六体確認‼︎」

 

ーーーーーー

「合計6体…直ぐに向かいます!」

 

「行くんだな」

 

「…うん」

 

翼は急いで準備をしていると奏から話しかけられた。

つい先程まで一緒に居たのだ。

すると奏は翼を自分の方へと引き寄せて、耳元でこう言った。

 

「…必ず帰ってこいよ。

お前の居場所は、私が守ってやるから」

 

「奏…うん!」

 

そう言うと、翼は直ぐに緒川からヘルメットを貰い、ノイズの元へと向かっていった。

 

「緒川っち…奏を頼むぜ」

 

「はい」

 

「霊風…」

 

「何、辛気くせえ顔してんだよ。大丈夫さ。翼と共に帰って来るさ。心配するなよ!

 

 

…行ってくる…!」

 

そう言うと霊風も翼の後を追った。

 

ーーーーーー

一方、響と憑友の方にも連絡は届いており、その詳細を聞いた。

 

「響…憑友…」

 

すると、その話を聞いていた未来が心配して2人の方を向いた。

 

「平気!私と翼さんと霊風さんと憑友でなんとかしてみせるから!」

 

そう言うと響は未来にこの周辺の人達をリディアンの地下シェルターへの避難誘導を行なって欲しいとお願いした。

 

すると憑友が付け加えて、逝都と馬燈の2人と出会ったら、2人にもお願いして欲しいと頼むと、未来は了解した。

未来を巻き込んだ2人は後悔の念に立たされようとしていた。

そんな2人に対して未来はこう話した。

 

「私がリディアンに戻るのは、響と憑友の居場所を守る為だから」

 

「「!未来…」」

 

そう言うと2人は共に未来の手を取った。

響は未来の右手を、憑友は左手の方を握った。

 

「小日向未来は私にとっても、憑友にとっても掛け替えのない『陽だまり』なの」

 

「そしてそれは俺達にとっても絶対に帰って来る場所なんだ」

 

「これまでもそうだし」

 

「これからだってそうさ!だから…」

 

「私は!」「俺は!」

 

「「絶対に帰って来る!」」

 

2人の話を聞いた未来はうんと首を縦に振り、そしてリディアンの方へと走り去った。

 

「さて、俺達も一仕事しますか!」

 

「うん!」

 

そう言うと響は走り、憑友はライドアブソーバーを左腕に装着する。

そして腰のカードケースから引き抜いたカードを見た。

 

「!…まさかあんたが手伝ってくれるなんてね…!

行くぜ!《黒の剣聖(クロノス)》!」

 

そう言うと憑友はアブソーバーにそのカードを装填し、レバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、カナタ!ー

 

するとアブソーバーから黒髪で紺色のコートを羽織った青年が現れ、憑友はそれを纏った!

 

ー黒の剣聖!空戦教官!ー

 

すると憑友の隣からホバーボートのような形の物体が現れ、憑友はそれに乗ると、そのホバーボートはそのまま速度を上げた!

すると前方に響がいたので、腕を引っ張って、そのまま後ろの座席に座らせた!

 

「うぇ⁉︎何これ⁈」

 

「ん?言わなかったか?」

 

「?何を?」

 

「幾ら空戦魔導師と言えども、中には魔法の消耗を抑える為にこんな風にして空を飛ぶ輩がいるって事を」

 

「!…聞いてないよ‼︎」

 

そう言いつつも、憑友は上空へと飛行したのであった!

 

だがこの時の彼らは知らない…

 

数時間後に、今迄よりも類を見ない激闘の幕が上がる事に…




未来「えっと…初めまして。小日向未来です。
憑友の代わりに今回は私が『英雄』を紹介しますね」
「今回は響と憑友の師匠である弦十郎さんが呼び出した『英雄』の1人にして、
【群雲の騎士《ヴォルケンリッター》】と呼ばれる者達の主将、
シグナムさんを紹介したいと思います」

シグナム/カード名【烈火の将 シグナム】
属性/炎・人工生命体《プログラム》・斬・刀

刀と鞘を使って攻撃する炎の騎士。
刀身を伸ばす事で連結刃に、
鞘と繋げる事で弓へと多機能変化する愛機のデバイス、
《レヴァンテイン》を持っている。

未来「えっと、資料によると…
『見た目はグラマラスなボディの持ち主だけど、
超が付く程の戦闘狂(バトルジャンキー)と呼ばれるぐらいに好戦的な性格。
彼女の通った後の場所は地面が灰で覆い被さっている…』
…ちょっと怖いね…
でも、それさえふまえれば後は大丈夫だね」

次回

3人の装者/3人の導師

未来「次回は響と憑友の活躍みたいだね。
私は2人の帰る場所を守ってみせるから…
皆んなは、2人の応援をよろしくね♪」


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第48話 3人の装者/3人の導師

遅くなった。
バトル展開があるけれど、薄味気味。


あの後、弦十郎から通信が入って来た。

如何やら6体の飛行機型ノイズは東京スカイタワーがある第24区域に侵攻して行っているという情報が入った。

なんでも、スカイタワーには二課の活動時の電波管理等を統括していると言うのである。

つまり敵はこのスカイタワーを狙う事で、二課のシステムを麻痺させて、混乱に乗じて何かをしでかそうとしているという事らしい。

 

憑友と響は一足先にスカイタワーの上空へと急行した。

そしてそこで目に付いたのは、6体の飛行機型ノイズが円を描きながら、スカイタワー上空周辺を漂っていた。

 

「三体は色彩判断からして、恐らく青…」

 

「それって、『英雄石板』が入っていると言う事?」

 

「ああ」

 

憑友は特殊なスコープを覗いて、ノイズの色を判断した。

 

実は特異型ノイズ達には共通点がある。

 

それは、『体色が真紅のような赤と蒼海のような青、そして黄金のようなような黄色』の三色しか存在しないと言う事であった。

要するに、ノイズの体色がその三色の内の一つを有しており、

その一つの色で、身体全体を覆っているのだ。

強いて言うなら、その三色以外は存在しないと言う事である。

 

それを聞いた響はその三体の始末をする事が出来ない事を悔やむが、

 

「その三体は俺と霊風先輩がやる。

響は残りの三体を…⁉︎」

 

「?如何し…⁉︎」

 

憑友は何かに気づいたのか、それ以上何も喋らなかった。

それを見た響きは、憑友の向いてる方を向くと、そこにはなんとさらに飛行機型ノイズがまた三体増えたのだ‼︎

そして飛行機型ノイズ達は一斉に地上に大量のノイズを降らし、

更に背中からもノイズを排出し始めた!

 

「合わせて9体…!

くっ!地上の奴らも含めても、この数を如何やって「憑友!」何だ!」

 

「あのノイズ達の上に回って!」

 

「ノイズの上だと?…分かった」

 

響の提案を飲み込んだ憑友は、そのままノイズ達の上空を飛んだ。

 

そしてそのままノイズの上に辿り着くや、響はなんとそこから飛び降りたのだろう!

 

「⁉︎」

 

憑友は響の行動を見て目を見開くが、響はそんな憑友に対して、笑みを浮かぶ。

そして歌った…《聖詠》を。

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron…」

 

(挿入歌『私ト云ウ 音響キ ソノ先二』悠木碧)

そして《シンフォギア》を纏った響は落下と同時にパワージャッキを伸ばし、そしてそのまま飛行機型ノイズの一体を倒した。

 

その様子を見た憑友は近くからバイクに乗ってきた翼と、その後を高速移動して来た霊風が駆けつけてきていた。

 

「なら、俺も派手に行きますか!」

 

そう言うと憑友はアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・カナタ!フルドライブ!』

 

そう言うと、アブソーバーから大剣クラスの武器が顕現し、憑友はそれを握った。

よく見てみると、剣の腹の部分はリボルバーのような形をしていた。

 

そして憑友はそのまま己のエネルギーを《魔力》へと変換、

するとそのリボルバーが四回動きながらチャージし、

そして前方に剣の先を向け、そして…

 

「喰らえ!"ストライクブラスター"‼︎」

 

『英雄』なのはの"スターライトブレイカー"に勝るとも劣らない程の砲撃魔法を繰り出した!

しかし、射程距離の関係か、大型ノイズの所まで届く事が出来なかった。

 

「!…ヤバっ⁉︎」

 

憑友が失敗に終わったと悟っていると、変身前の姿へと強制解除され、憑友はそのまま落下してしまった‼︎

 

カナタ・エイジ。憑友が変身していた『英雄』は…

空戦魔導士でありながら、自立飛行があまり出来ない(完全に0だとは言っていない)と言う矛盾したような存在。

先程憑友が載っていたホバーボートは《ホウキ》と呼ばれるカナタが空を飛ぶ際に欠かさない愛機である。

 

しかし、カナタは欠点として、極度の魔法量の少なさが影響している。

現に、先程の大技"ストライクブラスター"は1発撃つだけで、かなりの魔力を持って行かれる代物。

それを使用すれば、それだけかなりの精神力を削ぐのである。

自立飛行があまり出来ないのはその為でもある。

それを打開する案として、

 

『"ストライクブラスター(この技)"は、1度変身して放ったら、その後は強制解除され、再使用には半日必要』

 

だと、憑友はカナタ本人から話を聞いていたのだ。

 

「落ちる〜⁉︎」

 

さて、これらを踏まえた上で、憑友の現在の状況を理解して頂けただろうか?

 

要約するなら、

 

①憑友はカナタのフルドライブ(必殺技)を発動した。

②その反動で、変身は強制解除される。

③憑友は魔導師では無くて、元の一般人に戻っている。

 

つまりは落下しながら、地面へと真っ逆さまに急降下しているのである。

 

そんな憑友の慌てぶりに本当にお久方ぶりのゆる〜い幽霊キャラことユルセンがやって来た。

 

『お前さ?自分が何者なのか分かってねぇだろ?』

 

「はぁ⁉︎俺は歴とした人間…じゃなかった…半分幽霊だったんだ」

 

『んじゃあ後は分かるよな〜?』

 

「え?…!そう言うことか…」

 

そう言うと憑友は足を地面の方へと向けると、そのまま何かを念じ始める…!

 

するとみるみる落下スピードが減少していき…

そして、地面すれすれの所で止まり、そして着地した。

 

「(そう言えば俺…半幽霊だったんだ…)」

 

自分の今の現状を改めて感じた憑友は先程口にしていた事を思い出すと羞恥心に囚われたのであった。

そうしていると、

 

「憑友!」

 

「!…翼さん!霊風先輩!」

 

そんな憑友の所に天羽々斬のシンフォギアを纏った翼と《風魂導師スピリット》に変身していた霊風、

そして遅れてガングニールのシンフォギアを纏った響がやって来た。

 

 

「くっ!相手に頭上を取られる事がこうも立ち回りにくいとは…!」

 

「憑友が使っていた『英雄』を使えば…!」

 

「いや、その考えは却下だ。さっき使っていた『英雄』…カナタさんのは、1度"フルドライブ"を発動すれば、半日は使用不可だ」

 

「嘘⁉︎…!だったら、なのはさんは⁉︎」

 

「あの人は単独飛行特化型だから無理」

 

「俺のパートナーのレヴィアタンも基本的に腕力足りてないから無理だな。

この間手に入れたタバサも、使い魔の風竜《シルフィード》がいないからほぼ不可能だな」

 

憑友達の話を聞いた響は「呪われてる…!」と最早口癖のように喋って来たのであった。

因みに霊風が言ったタバサとは、『英雄』の1人で、

【トリステイン】と呼ばれる世界で魔法を行使する歴とした魔法使いである。

以前、1人でノイズを殲滅する際にこっそりと使用したのだが、

魔法を行使する事が出来ても、肝心の奴がいなかった為、思うように立ち回れなかったと言う。それは…

 

"使い魔"の有無である。

 

タバサのいる世界では、魔法学校があり、その昇格試験で使い魔を召喚するのである。

その内のタバサの友人の1人が、霊風と同じ人間を呼び出した時もあったと言っていた。

対してタバサは風の力を宿した竜…風竜《シルフィード》を召喚した。

そしてそのまま儀式を執り行った事で、タバサとその風竜は主従関係を結んだと言う。

 

だが、霊風はそのタバサの【ヒーローカード】を使用し、そして使い魔を呼び出す魔方陣を形成して、発動したのだが、

その風竜が全く出なかったのだ。

それで、話を聞いてみると、如何やら離れ離れになっていると言うのだ。

 

サトシとピカチュウ、

アランとリザードン、

マカとソウル、

 

この英雄達は皆"2()()1()()"で一枚のカードになっている。

実はタバサも上の3組と同じケースにあたるのだが、

その肝心の使い魔がいないので、如何することも出来なかったのであった。

 

さて、脱線し過ぎたので、話すを戻すとしよう。

 

そんな話を憑友達がしていると、ノイズが憑友達に襲いかかって来たので、

憑友達はそれを躱し続けた。

 

だが、

 

コテッ!

 

「んな⁉︎」

 

なんとこんな時に憑友は顔面から地面に思いっきりズッコケてしまったのだ!

 

ーーーーーーSIDEto憑友

 

あ痛っ⁉︎

なんでこうなるんだよ〜⁉︎

 

「…なんか」

「いろいろと…」

 

「「ごめん…」」

 

いや、そこでなんで謝るんですか⁈士郎さん⁈ルドガー⁈

 

「「運の低さが半端じゃないから…」」

 

あ、才ですか…。

…響もそうだったな〜…?て事は…

 

俺って、不運持ちと一緒にいる事になっていたのか⁈嫌だよそれ⁉︎

生涯不運のまま死にたくねぇ⁉︎

 

…あ、俺1度死んでたんだった。

 

「憑友!」

 

響?…!やべえ!

 

そうしていると上空からノイズが俺目当てに攻撃してきた!

ヤバい⁉︎このままじゃ!

 

ズドドドドドッッッ‼︎

 

そうしていると、横から弾丸の雨と矢の雨がノイズと俺の間を通り、矢は全てノイズ達に命中し、弾丸も半分以上がヒットしていた。

 

俺はその方向を見ていると…

 

「⁉︎クリスちゃん!」

 

「ロック…⁉︎」

 

「遅くなって済まない。クリスがピーチクパーチク喧しかったから、無理やり連れてきた」

 

「なんでそんな言い方しやがるんだよ⁉︎」

 

「人に対しての接し方がなってないぞ」

 

そこには2人の少年少女…雪音クリスと、ロック・アイル・ユキネがいた!

 

「如何してこんな所に⁉︎」

 

「勘違いすんなよ!あたし達はお前らの助っ人で現れてきたんじゃないからな!」

 

そう言いながら、クリスが反論してるんだけど…

 

『助っ人だ。到着に少々時間が掛かったみたいだがな』

 

「⁉︎////」

 

はいそこで、弦十郎師匠の一言炸裂!

?ってか、何処から声が聞こえてるんだ?

 

「?お前ら…それ。

二課の端末機じゃないか⁉︎なんでお前らが⁈」

 

『俺がやった。文句は後で聞くとするが?』

 

「いえ、滅相もございません‼︎」

 

霊風先輩がそう言いながら、端末機を取り上げようとしたら、その端末機を介して弦十郎師匠の声が聞こえ、更に自分がやったと自供したのか、霊風先輩の身体が一瞬縮んだかのように見えたのは気の所為なのかな?…気の所為で会って欲しい。

 

「何はともあれ…今この場には、

『剣』『弓』『槍』を扱いし歌姫達と…

〔炎〕〔水〕〔風〕に長けた魂の師者が此処にいるんだ。

怖いものなど何もないだろ?」

 

そう言いながら、ロックはギザな態度で話しかけてきた。

 

確かにロックの言う通りだな。

 

『剣』の使い手の翼さん。

 

『弓』の射撃手、雪音クリス。

 

『槍』の拳闘士である響。

 

3人の《シンフォギア》装者と、

 

〔水〕の魂を導く師者、ロック・アイル・ユキネ。

 

〔風〕の魂を導く師者、精妖霊風先輩。

 

そして…〔炎〕の魂を導く師者である俺…

 

3人の《精魂導師》が此処にいるんだ!

 

なら、やってやるしかないだろ!

 

そう言うと俺は通常時の姿であるカードを取り出した。

それを見た霊風先輩とロックも、自分達の基礎スタイルであるカードを取り出し、

 

3人同時にカードをアブソーバーに装填、そして…

 

「「「変身‼︎」」」

 

3人同時にレバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、オ・レ!ー

ーソウル!フォーム、フォーマル!ー

ースピリット!フォーム、オリジン‼︎ー

 

そして俺達はそれぞれの魂を纏った!

 

ー英雄の魂!俺に宿れ!ー

ーお前らの魂、オレが頂く!ー

ー精なる魂、私に刻め‼︎ー

 

さあ、ノイズ共…

 

「人間…舐めるなよ!」

 

此処からが俺達《精魂導師》の者達と、《シンフォギア装者》による…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鎮魂歌(レクイエム)の始まりだ!




響「うぇ⁉︎また私ですか⁈…て言うか、憑友は⁈」
(カンペ)
響「え?…うぇ⁉︎作者と話し合い⁈なんの⁈」
翼「それは良いとして、今回は私達2人でナビゲートをして欲しいとの事よ?」
響「翼さんと一緒に⁉︎」
翼「さ、早く始めましょ?私も忙しい身だからね」
響「は、はい!
それじゃ今回は、霊風さんが使用した『英雄』の1人にして、
憑友についている『英雄』メリオダスさんの仲間、
キングさんを紹介しま〜す!」

キング/カード名【怠惰の罪(グリズリー・シン) キング】
属性/風・妖精・突&魔・槍

本名はハーレクイン。
元は《妖精の森》を統べていた妖精王。
現在はメリオダスが団長を務める騎士団《七つの大罪》のメンバーとして活躍している。

響「へぇ〜…意外ですね〜」
翼「そうね。
えっと、手元の資料によると、
『基本的な姿は少年のような姿をしているが、
正装時の姿を見せる事がある。
その際はヒゲを生やしたデブになる』と…」
響「…そのままの方が良いと思うんですけど…」
翼「でも、場を弁える心を持っているという事は礼儀正しい性格と言う事。それに関しては素晴らしいと思うわ」
響「それは…そうですね…!」

次回

《自由》と《正義》と《運命》

翼「次回はこのサブタイトル通りの話をしつつ、スカイタワー防衛戦よ」

響「はい!でも、このサブタイトルに関連してるのって一体誰なんだろう?
まさか『英雄』なのかな…?
兎に角また見てね!」


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第49話 《自由》と《正義》と《運命》

このワードで思った人達は本当に凄いとしか言えないよ…うん。
相当その作品のファンだと言う事を思い知らされます。
そんな訳で、今回はサブタイトル通りの展開です。

それじゃどうぞ。


ーーーーーーSIDEto憑友

さぁ〜て…勢いで言って見たものの…

 

あのノイズの群れを如何やって掃討しないといけないのか…

 

あ、因みに俺がこんな考え事している際、

響の奴がクリスにがっつり抱きついていたり、霊風先輩がロックに牙を向けたので、翼さんが代わりに宥めていたりしているのである。

 

うーん…カオスだなぁ…

 

と、現実逃避しないしないと。

さて、改めて周りを見てみるか…

 

視界に捉えている数だけでも約3000ものノイズの大群が地上を徘徊、

上空を見渡せば、それの半分くらいの数の飛行型ノイズがうじゃうじゃ…気持ち悪りぃ。

 

そしてやっぱり目が行くのが、大型のジャンボ機クラスの大型ノイズ6体…いや違うか。響があの時、そのうちの1体をパンチ1発で貫通してそのまま爆散したから5体だ。

それと同時に同系統の特異型ノイズ3体。

 

計8体の親玉クラスのノイズが東京スカイタワー周辺を徘徊しているときたもんだ…さて、如何すれば…

 

「待て!クリス!」

 

?ロック?

そう思いながら、ロックの向いてる方を見るとそこにはクリスが勝手に1人でノイズを殲滅しようとしていた。

 

大方予想がついた。

 

あの娘、響と翼と一緒に戦おうとは思ってもいない様だな。

 

ん?…いや、違うな…?

あの様子…まさか1人で罪滅ぼしとか考えてねぇだろうな?

 

『お前の言う通りだ。ライドの相棒さん?』

 

「うわぁ⁉︎吃驚した⁉︎」

 

そう考えていたら、ライドさんが入っているアブソーバーから全く違う人の声がしたので、画面の中を見てみると、そこにはライドさんの代わりに青い髪の青年がそこにいた。

 

「貴方は?」

 

『俺はソウル・ショット。ロックのパートナーで…

ライド・グラップラーの兄だ』

 

んな⁉︎ライドさんのお兄さん⁈

なんで此処に⁉︎

 

『詳しい話はまた次の機会で。

君の考えている事は予想通りだ。

クリスはノイズを自分の手で呼び寄せた。

だから、クリスはその為に今までの自分の罪を無くす為に1人であんな事をしたんだ。

ああなった以上、義理の兄であるロックでさえ、止められない』

 

くっ!如何すれば…!

 

そんな事をしていると、クリスと翼さんがぶつかった。

何か揉め事をしていたが、その時に響がその2人の間に入って、それぞれの手を握り、こう語り出した。

 

「如何して私にはアームドギアが無いんだろうって、ずっと考えてた。

憑友でさえ、《刺突刃》って呼ばれる武器を持っている。でも私はそんな武器を持ってはいない。

半人前は嫌だなって。

 

…でも、今は思わない。

今はこの手に何も持っていないから…

2人とこうやって手を握りあえる。

仲良くなれるからね♪」

 

そう言うと翼さんもクリスの手を掴む。

クリスはその動作に顔を紅くしていた。

 

それを見ていた俺の隣にロックが来た。

 

「あの少女…立花響は一体何者なのだ?」

 

響は一体何者なのかか…そんなの決まってる。

 

俺と同じ…

 

「人助けが生き甲斐の馬鹿だけど、まるで『太陽』のような明るい存在…」

 

そして何よりも…

 

「俺にとってはかけがえの無い…幼馴染だ」

 

「…そうか。

立花響…クリスにとって、かけがえの無い友達になって欲しいな…」

 

!…まさか、ロックからそんな言葉が出てくるなんてな。

 

「そう言う奴なんだよ…立花響と言う嬢ちゃんは…!」

 

霊風先輩…そうですね!

 

俺がそう思っていると、ロックのカードケースが勝手に開き、そこから俺達の前にそのカードが現れた!

 

「!お前達…!手伝ってくれるのか⁉︎」

 

⁉︎これはすごいな…!

 

「…そうか。わかった。

2人は目の前のカードを使ってくれ。俺もこのカードで奴等を叩き落とす…!」

 

そうとなれば、話は早い!

 

そうしていると、響達もこっちに近づいてきた!

 

「憑友!」

 

「響!」

 

「あの子が上空のノイズを殲滅する案を出してくれた。だけど、その間は無防備になってしまう…だから「皆まで言うなよ、翼」霊風?」

 

 

「俺たちも手伝わせろ。

蚊一匹すら通れない程の包囲網…張ってやるさ!」

 

!…そうですね!

 

「良し。では…行くぞ!」

 

「応!」「押忍!」

 

そう言う通り俺達は目の前のカードを手に取り、そして左腕に装着されていたアブソーバーにそのカードを装填、そして…

 

「「「変身‼︎」」」

 

3人同時にレバーを引いた…!

 

ーライド!フォーム、シン‼︎ー

ーソウル!フォーム、キラ‼︎ー

ースピリット!フォーム、アスラン‼︎ー

 

すると其々のアブソーバーから機械の様な身体をした魂が其々現れた。

 

俺の方からは幻想的なオーロラをした赤い翼が、

ロックの方は8枚の青い羽が、

霊風先輩方はディープカラーなワインレッドを模した翼が其々現れた。

 

そして俺達は其々の魂を纏った…!

 

ー怒りの激昂!運命の翼!ー

ー青き翼!自由の剣!ー

ー真紅の翼!無限の正義!ー

 

それを纏った俺達はそのままノイズの方に顔を向く。

 

「俺達は上空を抑える。2人は地上の方を頼むぜ!」

 

「うん!」「了解した!」

 

そう霊風先輩が言うと響と翼は其々の方へと向き直り、ノイズを掃討し始めた。

 

俺達も急いで其々の方へと駆け抜ける…!

そしてクリスは歌を歌った。とっても優しい暖かい歌を。

 

(挿入歌『繋いだ手だけが紡ぐもの』高垣彩陽)

 

 

俺は響のいる場所の上空にいるノイズ達を蹴散らしていく…!

 

数が多い…ならば、これなら如何だ?

 

そう言うと俺が纏っている英雄の左の翼から緑のレールガンタイプの狙撃砲が出てきて、俺はそれを左腕で担ぐと、そのまま狙いを定め、そしてぶっ放した!

 

 

ズドドドドド…!

 

 

すると一直線上にいたノイズ達が跡形も無く灰となった…!

すげえ…!っと!ふぅ…危ねえ。

迂闊だった…ついさっきノイズの奇襲にあう所だったぜ…

 

でも、如何やって倒そうか…

 

「う〜ん…⁉︎」

 

そう考えていたら、今度は右の翼の方から剣の持ち手らしき物が目に映り込んだ。

 

はは〜ん?成る程…!これで斬れと言う事ですか…!

 

そう言うと俺はすかさず右手にその剣の持ち手を取った…!

 

ガシンッ!

 

うぉ⁉︎かなり重い…⁉︎けど…

 

キリト師匠(せんせー)の双剣を両方持っているかよりかはまだマシか!

 

そう言うと俺はその剣を両手で引き抜いた!

 

良し抜けた…って、長っ⁉︎そりゃ重たい筈だ!

しかも、よく見れば刃物の部分からエネルギーが消費しているんだけど…⁉︎

 

は!これはもしや…

あの有名すぎるロボットアニメに出てくるビー●サー●ルなる物なのか⁉︎

それとも、あの有名すぎるSF映画シリーズの有名な剣、●イトセ●バーなのか⁈

 

それは良いや。兎に角先ずは…

 

「一閃‼︎」

 

ザクッ!ジュゥゥゥ‼︎

 

うぉ⁉︎ノイズが灰にならずに斬られた!そしてようやく灰となった‼︎

 

何この現象⁈マジですげえ!

 

「憑友、後ろ‼︎」

 

するとふいに下から響の声が聞こえたので後ろを振り返る兎に角もうそこまでノイズが‼︎

 

「左手を出せ!」

 

⁉︎誰今の⁈…いや、そんな事より!

 

「うぉぉぉ‼︎」

 

今はやってみるだけ!

 

そうして謎の声に従い、俺はそのまま左手を出した。すると左手から奇妙な光が発生すると共に、奇襲をかけたノイズを掴むとノイズが消滅した…

 

⁉︎消滅⁉︎手を出して掴んだ。たったそれだけで⁉︎

 

「今の技は、"パルマフィオキーナ"

 

零距離で真価を発揮する攻撃技であり、俺の必殺技だ」

 

へぇ〜…てか、吃驚した⁉︎つうか、あんた誰?

 

「俺の名はシン・アスカ。

お前が今なっている『英雄』だ」

 

⁉︎マジですか⁈

 

ーーーーーーSIDEto霊風

 

さて、まさかロックから貰った『英雄』がよりにもよって、

 

『ガンダムSEED』に出てくる主人公の1人、

アスラン・ザラとはな。

 

俺は転生者だから、此奴の事はアニメでよく知っていた。

昔はよくアニメ見ていたっけ?

 

「俺が言う事も無さそうだな」

 

まぁ、ぶっちゃけそうなんだけど。

 

そう言うと俺は背中の翼を射出、そしてその上に乗った!

 

そしてそこからビームライフルでノイズを一体一体確実に仕留めていく!

 

途中見逃しがあったけど、ビームサーベル二本を連結した丙剣形態でバッサバッサと薙ぎ倒す!

 

ノイズ共、相手が悪かったな…?

 

「俺は長柄武器が…お得意なんだよ!」

 

さぁて、一丁おっ始めるか!

 

ーーーーーーSIDEtoロック

 

達也の分析のおかげで得た『英雄』達。

 

シン・アスカ

 

アスラン・ザラ

 

そして…俺の持っているこのカードもまたその2人と同じ世界出身の者

 

「邪魔するなよ」

「お互いにな」

 

俺はクリスに背中を預け、そして腰に携えていた二丁のライフルを使い、クリスの前方と俺の前方のノイズを掃討していく。

 

けど、やはり多いな…

 

「だが、これなら…如何だ!」

 

そう言うと俺は背中の翼から8枚の羽を射出した…!

するとその羽が自動で動き、そしてノイズ達に的確に狙いを定めつつ、高速移動しながらノイズにヒットしていく…!

 

この『英雄』…キラ・ヤマトの力の一つ…

 

対多戦用主兵器・スーパードラグーンの力だ!

 

そう言うとあっという間にノイズを葬り去った…!

 

 

「行くぞ、クリス!」

 

「んなもん分ってるよ!」

 

「「託した‼︎」」「「いけぇぇぇ‼︎」」

 

クリスに合図を言うとクリスは返事をし、

そして俺達を守ってくれていた憑友達の返事を聞いた俺達はそれぞれ、

クリスはあらゆる兵装を一斉に展開した。

俺もソウルのドライブボタンを叩くと同時に『英雄』の力を一斉展開し、技をぶっ放した。

 

『ソウル・キラ‼︎フルドライブ‼︎』

 

俺の周りにいたビット型支援兵器"スーパードラグーン"が集まり、そして一斉照射した!

 

「"ハイマット…フルバースト"ーーー‼︎」

 

 

キラの必殺技(フルドライブ)"ハイマット・フルバースト"

その技は二丁のライフルと、8基のドラグーンに

背中腰に携えていたレールカノンと、腹に装着されていた荷電粒子砲を一斉照射する豪快な技。

射線上に入れば最後、身体は全て蜂の巣に変えられるのがオチだろうな。

 

 

そう思っているとクリスも技を放った…!

 

ーMEGADETHQUARTETー

 

その一斉照射で、上空のノイズが殲滅した。

勿論、親玉のノイズ達も特異型ノイズも同様だ。

 

「よっと!回収完了!」

 

如何やら『英雄石板』の方も無事に回収できたようだ。此処での戦いは終わったな。

けど、まだ落とし前をつけなけりゃいけない相手がいる…

 

フィーネ。お前との決着をつける時だ!

 

ーーーーーーNO SIDE

こうして無事に東京スカイタワー防衛戦を切り抜けた響、憑友、霊風、翼、クリス、ロックの6人。

皆はそれぞれ合流して、そしてクリスを見た響がすぐに抱きつく。

 

「やった〜!やった〜!」

 

「やめろ馬鹿!何しやがんだ⁉︎」

 

「お〜?熱いですな〜?「茶化す場面では無いと思いますけど?」

お前そう言うのに疎いよな〜…」

 

「済まない。俺達のけじめを押し付けてしまって」

 

「何そんな風に言ってんだよ!俺達は仲間だろ!それに仲間でも、ライバルになれるさ!」

 

「憑友…ああ。そうだな」

 

それぞれの気持ちが交錯していく中、響の端末から連絡が入ってきた。

 

「はい?」

『響⁉︎』

 

「未来?」

 

その声を聞いた憑友はその相手を瞬時に判断した。

如何やら話し相手は未来のようだ。

けど、何かがおかしかった。

 

『学校が…!リディアンがノイズに襲われ…』プツンッ!

 

その話を聞いた憑友は最悪の出来事が起こった事に後悔した…!

 

「リディアンが…」

 

その言葉を聞いた憑友は負の感情に押し潰されそうになった。

だが、そんな憑友の肩に手を置く存在がいた。

 

「憑友…俺に考えがある」

 

「ロック…?」

 

ロックだった。するとロックは驚愕の行動を言った…!

 

「俺が…フィーネを止める!」




クリス「ったく、つい最近やったのにまた呼ばれるなんて…」
未来「まあまあ。なにはともあれ今回は私とクリスの番だよ」
クリス「…ったく、しゃあないな!やってやるよ!」
未来「クリスもやる気出したみたいだから、今回の『英雄紹介』始めるね。
今回はロックから憑友に渡った『英雄』シンさんを紹介するね♪」

シン/カード名【運命の翼 シン】
属性/炎&光・人間&機械・斬&打・剣&拳

『英雄』の中では異例の双属性を多数持っている。
自身の化身であるロボット・"MS・デスティニー"と共に駆け抜ける。

クリス「おいおいかなりぶっ飛んでやがるな⁉︎」
未来「うん。流石の私もこれには驚いたよ…」
クリス「ん?…マジかよ。
こいつの資料によると、
『このシンは過去で両親と妹を戦争によって亡くした。
なので、彼は戦争を嫌っている』
…良くロック義兄の元について来てくれたよ、まったく…」
未来「あはは…そうだね…」

次回

不吉な音色が渡りし時/軍師総長と聖女

クリス「おいおい…なんか話が急展開になって来たな」
未来「もうすぐ決戦だからね。
次回も見て下さいね♪」


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第50話 不吉な音色が渡りし時/軍師総長と聖女

時はほんの数分前までに遡る。
未来のいるリディアンではノイズ達が学校を襲撃していた…

それと同時に今回の主謀者が動きし時…
あの男が動き、ムードメイカーは最強の軍師に、
そして【聖女】の名を持つ女性がついに戦陣へと駆け抜ける…!

と言うわけで、今回は上の3人のOTONA達が動き出します!

え?1人しか分からん?本編みれば分かるから!



響と憑友達がスカイタワー防衛戦をしていた頃、リディアンはノイズ達に襲われていた!

幸いなのはその場には特異型ノイズがいなかったと言う事だった。

 

そんな中、自衛隊員の導きにより、リディアンの生徒や先生達は急いでシェルターへと避難していた。

 

そんな中、未来は自衛隊員の人達と共に先導を行っていた。

しかし未来の心は複雑だった。

 

響や憑友にとっての帰る場所がノイズに襲われたと言う事に。

 

そんな中で未来は友達の創世達と出会う。

 

未来は3人に避難するように促すと、そのまま足早に他の生徒の避難が遅れていないのか探し回った。

 

「誰かー!他に残っている人はいませんかー!」

 

すると地響きが未来のいる校舎の方へと響き、未来はその方角を見ると其処にはノイズによって無残な姿へと変えられた校舎があった。

 

「学校が…!響と憑友が帰ってくる場所が…!」

 

すると突然近くの窓ガラスが割れて、未来はその方を見ると其処にノイズが三体現れた!

そしてノイズが三体とも未来に襲いかかろうとしたまさにその時!

 

「危ねえ‼︎」

 

その声と共に誰かに押されてなんとか一命を取り留めた。

 

そして未来は目の前にいる存在に目を見開いた。

 

それはなんと奏だったのだ!

 

「緒川のあんちゃん!」

 

「分かっています!」

 

そう言うと緒川は拳銃を用いてノイズ達のほんの少ししか無い影を正確に狙った!

 

ー影縫いー

 

「急いで下さい!影縫い(あれ)は本当に数秒単位でしか足止めできません!」

 

そう言われた未来は奏に起き上げられる形で急いで二課のエレベーターシャフトへと駆け込んだ。

 

そしてなんとか一命を取り留めた3人。

 

緒川は急いで弦十郎に報告する為に通信をし始めた。

 

「…はい。以前、ノイズのリディアン侵攻は被害を拡大しつつ継続しています」

 

「大丈夫か、未来ちゃん」

 

「はい」

 

奏は緒川の代わりに未来の心情を癒やす。

そんな中、緒川は弦十郎にある報告をした。

 

「…それよりも指令」

『?』

 

「《カ・ディンギル》の正体が判明しました」

『なんだと⁈』

 

「《カ・ディンギル》の正体が分かったのか!」

 

「物証はありません。けれどもし、この事を憑友君が気付いてくれていたらと思うと…」

 

ドオンッ‼︎

 

「「「⁉︎」」」

 

すると突然エレベーターの上から何かが落ちてきたような音がした!

 

そして何者が其処から侵入し、そしてそのまま緒川の首を締め付けた!

 

ーーーーーーSIDEto弦十郎

 

『きゃあぁぁぁぁ!』『てめぇ!』

 

『ぐぁぁあ‼︎』

 

「⁉︎如何した!緒川‼︎」

 

くっ!一体何があったんだ!

 

「指令!」

 

⁉︎牧藁君⁉︎

 

「此処は私達に任せて、指令は緒川さん達の所へ!

大丈夫です!私は伊達にこの場のムードメイカーじゃないんですから!」

 

「牧藁…」

 

牛乳(ミルク)ちゃん…」

 

…そうするとしようかな。

 

「後は頼んだぞ…牧藁!

 

指令総長(コマンドマスター)の実力…期待しているぞ」

 

「了解です!」

 

『⁉︎コマンドマスター⁉︎』

 

?言っていなかったか?

牧藁は俺よりも長く軍の指揮を任せられていて、

階級は俺よりも高いぞ?

 

『言ってない‼︎』

 

「因みに武道では俺と同等だぞ?」

 

『化け物⁈』

 

「テヘペロ☆

と言う訳で、皆さん!ガンガンやっちゃいますよ〜!」

 

「この性格とのギャップが激しすぎね…」

 

「それに関しては同感だ…」

 

まぁ、何はともあれ…牛乳!後は頼むぞ!

 

「ラジャー!」

 

「…責めてどっちかに言ってくれないか?」

 

「それは無理な話なのです!」

 

はぁ…駄目だなこれは。

そう思いながら俺は緒川達の元へと急いだ。

 

ーーーーーーNO SIDE

一方、緒川達の乗っているエレベーターシャフト内では危機的状況に置かれていた…!

 

緒川が首を締め付けられ、奏は未来に危害を及ばぬように懸命に未来を守っていた。

 

そしてそんな緒川に首を締め付けている本人…フィーネが話し始めた。

 

「こうも早く悟られるとは…

 

何がきっかけだ?」

 

「塔なんて目立つもの…そんなものを目立たずに建設するには、地下へと伸ばすしかありません…!

そんな事が行われているとすれば、特異災害対策機動部二課のエレベーターシャフトこそ《カ・ディンギル》!

そして…それを可能とするのは…!」

 

「漏洩した情報を逆手に上手くいなせたと思ったのだが…」

 

そうこうしてるとエレベーターが止まり、ドアが開いた!

そして緒川はすかさず忍びのような動きで拳銃を取り出すと弾丸を数発フィーネに浴びせる…!

 

しかし、フィーネは現在クリスが以前二課の前に現れた時に来ていた完全聖遺物《ネフシュタンの鎧》を身に纏っていた。

しかも、クリスは白銀のような色だが、フィーネは逆に黄金色に輝いていた!

 

するとフィーネは鎧についている鞭で緒川の身体を拘束させ、上空へと吊るした!

 

「やめろーーー!」

 

「ふんっ!」

 

「がはっ⁉︎」

 

「「奏さん⁉︎」」

 

するとフィーネの後ろにいた奏がパンチをしようとしたが、鞭に捕まり、そのままエレベーターから緒川のいるフロアへと放り出された。

 

「お前には本当に良いものを貰ったよ。

立花響と、人絆憑友と言う異色の症例を持つ者を2人も私に貢がせてくれたのだからな」

 

「ふざけんじゃねぇ…ふざけんじゃねぇー!」

 

そう言うと奏はそのまま立ち上がった。

しかしフィーネは逆に奏に対して、更に鞭を自由に動かしながら奏を部屋の壁や天井、床に叩きつけていく…!

 

「がはっ⁉︎」

 

「奏さん!」

 

そしてフィーネはそのまま緒川を投げ飛ばすと、そのままとある部屋の前に来た。

その部屋にはかつて、響と憑友が護送任務の時に搬送していた物…

 

《完全聖遺物"デュランダル"》が眠っていた。

 

フィーネはその部屋を入ろうとするが、それを緒川が阻止。

そしてフィーネはそんな緒川に対して攻撃しようとしたその時だった。

 

「待ちな、了子」

 

「?」

 

すると2人の間の天井から亀裂が入るや其処から一気に何かが落ちてきて、其処から砂煙と共に何かが現れた!

 

それを見ていた未来、緒川、奏の3人はその姿を見て、目を見開いていた!

 

それは二課の指令であり、翼の叔父であり、

そして、響と憑友の格闘技の師匠…

 

風鳴弦十郎だった!

 

「私をまだその名で呼ぶか!」

 

フィーネは弦十郎を見てそう言った。

フィーネの正体…それは二課の研究員である女性、櫻井了子だったのだ。

 

「女に手を挙げるのは気が引けるが…

3人に手を出すのなら…

 

お前をぶっ飛ばす‼︎」

 

「指令…!」「ダンナ!」

 

風鳴弦十郎と櫻井了子もといフィーネ。

今の今まで仲間だった者が今相対する…!

 

ーーーーーーNO SIDE

一方、東京スカイタワー防衛戦を終えた一同とはまた違う場所。

其処では1人の女性がその危機に察知していた。

 

「…じゃあ、行ってくるね♪ジル君」

 

「お気を付けて、お嬢様」

 

すると女性は近くにいたセバスチャンかSPのような格好をした男性と話し合いを終えるとそのままある場所へと歩み始めた。

 

しかし、その先にはノイズがまだ残っていた…!

 

「雑音は嫌いだから…さっさと逝け」

 

すると女性は瞬時にその間合いを詰め、そしてそのままノイズ達を素通りした。

するとノイズ達が一瞬で灰と化した…!

 

「フィーネ…ううん。了子ちゃん。貴方の思惑…

【聖女】の名を持つ私…

 

 

 

ジャンヌ・カデンツァヴァナが止めて見せるからね!」

 

そう言うと女性、ジャンヌ・カデンツァヴァナもとい人絆ジャンヌは前へと歩み始めた。

人絆憑友の母・ジャンヌ…

 

今、戦場に立つ!




次回

漢よ、吼えろ!


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第51話 漢よ、吼えろ!

弦十郎の活躍…かと思ったんだけど…

と、とりあえずどうぞです…(¬_¬)




二課内部、それは櫻井了子もといフィーネの手によって作られた天を穿つ魔塔《カ・ディンギル》そのものだった。

そしてフィーネは最終調整を施そうとしたその時、

二課の超人すぎるOTONAこと、風鳴弦十郎が、

かつての同胞を止める為、

仲間を傷つけた報いを晴らす為…

 

フィーネの相手をしていた。

 

「何時から気付いていた?」

 

「調査部だって無能じゃあない。

それに此方には勝手に突き進む猪突猛進な男弟子がいるものでな。

米国政府のご丁寧な道案内で、了子(お前)の行動にはとっくに気付いていた。

後は燻り出す為に、敢えてお前の策に講じて、装者達と導師達を全員、動かしたと言う訳だ」

 

「…陽動に陽動をぶつけて来たか。…くえない男だ。

だが、この私を止められるとでも!」

 

「おうとも‼︎

一汗掻いた後で話を聞かせてもらおうか!」

 

そう言うと弦十郎とフィーネの格闘戦が始まった。

 

フィーネは自らが纏いし《完全聖遺物"ネフシュタン"》に備わっていた鞭で攻撃を仕掛ける。

しかし、弦十郎はそれを難なく躱していく…!

巨漢な弦十郎だが、見た目とは裏腹にそのスピードは侮れなかった…!

 

そして弦十郎が1発お見舞いさせようとするが、それをフィーネは避けた。

だが、その衝撃波に鎧の一部が掠った。

すると掠った場所から罅が入る…!

 

それを見たフィーネは目を見開きながらも、すぐに冷静になり、今度は両方の鞭を同時に放つ…!

しかし、それを弦十郎は手で止めるや、そのまま引っ張り、そしてフィーネの腹めがけてアッパーカットを繰り出した!

 

「くっ!…完全聖遺物を退ける…!

如何言う事だ⁉︎」

 

「映画見て、飯食って、寝る!漢の鍛練はそいつで充分だ!」

 

…いやいやいやいや⁉︎普通それだと怠けて、身体が鈍るのが普通だから⁉︎

弦十郎の言葉を前に未来、緒川、そして奏の3人はそう心の中で思っていたそうな…。

うん…弦十郎はある意味化け物である。

その人から教わった響と憑友(2人)って…やっぱり化け物⁈

 

「為れど、人の身である限りは!」

 

そう言うとフィーネはもう一つの完全聖遺物《ソロモンの杖》を取り出した!此処でノイズを繰り出すつもりだ!

 

「させるか!」

 

すると何処からか声が聞こえたので、皆は辺りを見渡す。しかし何もいない…と思ったその時!

 

「はっ!」

 

「何⁈」

 

フィーネの背後から奇襲を仕掛けた存在が瞬時にソロモンの杖を天井へと吹き飛ばし、ソロモンの杖は天井に突き刺さった!

 

「お前は…⁉︎」

 

「【冷眼のロック】何故貴様が此処に⁉︎」

 

それはつい先程までスカイタワー防衛戦にて戦っていた筈の男、ロック・アイル・ユキネであった。

するとロックはすかさず弦十郎の隣にやって来る。

 

「お前の影を探して正解だったよ。フィーネ」

 

「なんだと⁈」

 

その一言を聞いた皆は驚いていた。

するとロックは付け加えてこう告げた。

 

「俺はほんの少し未来からやって来たロック・アイル・ユキネだ。

俺の独学で得た力、

"影這い・過去行き(すぎりし)"の力によって俺は数分後の未来からやって来た」

 

ロックの言っている言葉に未来達は全く分からなかった。

そこで、

ちんぷんかんぷんな貴方達に噛み砕いてご説明するとしよう。

 

それは前回の話にて、嘆こうとしていた憑友にロックはある提案をした。

 

それはロックの周りに装者と導師を配置し、

そしてその真後ろに『英雄』シロエが呼び出した発光系魔法を配置、

そして同時に発光させた。

するとロックの足元が影だけになると、ロックはそのまま影の中へと入り、そしてフィーネの影を見つけるや、そのまま背後から奇襲をかけたと言う事である。

その際に時間の流れも変える事が出来、過去へ行ったり、未来へ向かったりする事も出来ると言うのであった。

 

今回のケースは未来からやって来た=過去へと飛んできた。

のであった。

 

「未来の出来事は話せないのがルール。言ってしまえば俺はこの時間軸から強制退去してしまうからな。

それはそうと、此処からは俺が相手をしてやる。フィーネ!」

 

「…遂には反逆を構えて来たか!」

 

そう言うとフィーネは鞭を巧みに動かしながら、ロックへと攻撃を仕掛ける…!

 

ロックはすかさずそれを避けながら、カードを取り出し、アブソーバーに装填、そして…

 

「変身!」

 

レバーを引いた。

 

するとアブソーバーから黒と紫をあしらった服装いや、甲冑らしき物を纏った『英雄』が現れるや、ロックはそのままその魂を纏った…!

 

ーソウル!フォーム、ミツナリ!

君子殉凶!神速抜刀!ー

 

するとすかさず手に持っていた三成の愛刀、"無銘刀 白"を鞘から抜刀するや其処から目にも見えぬ速さでネフシュタンの鞭を悉く防いでいく…!

 

「消えろ!」

 

「それはお前の方だ!」

 

そう言うとフィーネは鞭を同時に放つが、三成の魂を纏ったロックは瞬時に間合いに入り込むとそのまま鞘から抜刀するとそのまま納刀した。

すると時間差で連続の斬撃が襲いかかった!

 

"懺悔"

 

「ぐあっ⁉︎」

 

するとその攻撃を食らったフィーネは後退した。

それを見たロックは刀を抜き、そしてフィーネの顎をすかさず掴むや地面に寝そべらせ、首元に刀を向けた。

 

「完全に融合体になっていたか。

だが、脳内パルスの信号が途絶すれば、聖遺物も無となる」

 

「ふっ。殺したければ殺せば良い!」

 

「ああ、そうさせてもらう…お前と言う()をな!」

 

そう言うとフィーネの首元めがけて刀を振り下ろ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グサッ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「⁉︎…がはっ⁉︎」

 

 

…されなかった。

 

代わりにロックが地に伏した。

 

 

背中から一つの槍を貫かれて。

それを見たフィーネ以外の一同は目を見開く。

 

「⁉︎何が…「大丈夫か?」…この声は…」

 

皆を代表して弦十郎が何か言いたそうにしていると、後ろから声が聞こえた。

それは緒川達も同じで、後ろを振り返ると、其処にはロックがこの時間軸ではスカイタワー防衛戦に参加していて、一緒に参加している筈の男…

 

 

精妖霊風がいた。

 

「いや〜間に合った間に合った♪」

 

「霊…風…なのか?」

 

それを見た奏はそう呟くと、霊風はそのまま奏を横切り、未来も横切り、緒川にさえ横切ると、弦十郎の隣を過ぎさる。

そして、フィーネとロックの元に近づくや、

 

「ふん!」

 

「がはっ⁉︎」

 

なんとそのままロックを蹴飛ばした。

更にそれだけではなく、

 

「相も変わらずですな〜?巫女殿は?」

 

そう言うとフィーネの手を無理やり掴んで立ち上がらせたのだ!

 

するとロックがその光景を見て、ようやく理解した。

 

「まさか…お前が…フィーネの…言っていた…

 

《騎士》…だったとは…‼︎」

 

「《騎士》か…良くもなければ悪くもないな…」

 

そう言うと霊風は手に持っていた槍をなんと弦十郎に向けた!

 

「⁉︎如何言う…」

 

「知らなかったなんてな?

俺はこの女…()()()()()()()だと言う事に!」

 

「な⁉︎」

「嘘⁉︎」

「そんな⁉︎」

 

突然のカミングアウト…

それは、精妖霊風が…

 

フィーネの仲間だと言う事に。

 

「…嘘だろ…?」

 

奏の言葉に今は誰も応えてくれなかった…




次回

裏切り



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第52話 裏切り

二課の内部にてフィーネと弦十郎が激闘を繰り広げる中、ロックがその場に出現し、フィーネに牙を向けた。

そしてフィーネにトドメを刺そうとしたが、何処からか飛んできた槍に貫かれて、ロックは絶命寸前へと陥った。

そんなロック達の元に、霊風が現れるが、霊風はロックをそのまま蹴飛ばすだけじゃなく、なんと敵であるフィーネを立ち上がらせたのだ!

そして皆は驚愕させられた…

 

霊風が実は、フィーネの仲間であったと言う事に…!

 

ーーーーーーSIDEtoロック

がはっ⁉︎…くっ!まさか、霊風(あの男)がフィーネの言っていた『懐に潜みし《騎士》』だったとは…!

なんと言う演技力だ…!

感情を最大限に活かした芸当でまさか俺がこんな目に遭うとは…!

いやそれよりも…

 

「くっ!何故お前が此処に⁉︎」

 

「簡単な話だ。

お前が潜った影の中をこっそりと後を追って来たんだよ。

その後は、何処かの影になりそうな場所を適当に探して、お前が出る前に出るだけで良いんだからな?」

 

くっ!いつの間にそんな事が起こっていたんだ⁉︎

 

「ならば…何故此処に⁉︎」

 

「さぁな?でも、俺は今の人生は好きじゃないからな」

 

「如何言う事ですか⁉︎」

 

SP姿のキラとよく似た声をした青年が言うと霊風はある言葉を放った。

 

 

「"転生者"って、知ってるか?」

 

「"転生者"だと?」

 

転生者?

…前に一度そう言うのを聞いた事がある。確か意味は…

 

「それって…『前世の記憶を持ったまま、別の世界に転生する』って言う…二次創作物の話の事か?」

 

「流石、奏!その通り!」

 

「それで…何が言いたいんですか⁉︎」

 

そう言うと白のリボンを付けていた女の子がそう言うと霊風は驚愕の事実を告げた…

 

「俺が…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その転生者だからだよ」

 

 

⁉︎な、何⁈

 

『⁉︎』

 

皆は驚愕の色に染まる。

ただ1人、フィーネは口元を歪め笑みを浮かべながら、その限りでは無かった。

すると霊風は更なる事実を突きつけた!

 

「俺は昔、この世界とは違う、別の次元に存在する平行世界上の地球出身者だ。

そして俺は同時にこの世界で転生を果たした。

俺はこの世界の事を知っていた…

何故なら…

 

この世界は俺のいた世界では、()()()即ち()()()()()()の世界だった」

 

⁉︎そんな馬鹿な⁉︎

 

「そして俺はこの先の事も知ってる。

響の嬢ちゃんが《ガングニール》を纏うと言う事も。

8年前に行方を眩ましていた雪音クリスがまだ生きていて、《聖遺物"イチイバル"》と共にいると言う事も。

翼が《絶唱》を放った事も、みんなよく知っていた。

しかし、此処でイレギュラーが起こった…

 

 

天羽奏…お前の存在と、

 

人絆憑友…

 

2人の存在がな!」

 

「⁉︎」

 

そう言うと霊風は先程まで弦十郎氏に向けていた槍の矛先を奏と呼ばれた女性に向けた!

 

「あ、私と憑友が⁉︎なんで⁉︎」

 

「お前はこの時点で既に殉職している!

2年前のあのライブ会場の悲劇でな!」

 

「‼︎」

 

「俺はあのライブ会場から全てが始まる…そう思っていた。

だけど!お前は今日この日まで死なずに、逆に生きていた!

それだけじゃない!

たった1人の少年(モブ)が、その歴史を狂わせた!

お前はあの時、殉職して、防人嬢は1人でその身を剣へと変え、

そして(あの格闘娘)の人生は大きく変わる筈だった…だが!

その歴史は、たった1人のモブ…

 

人絆憑友の手によって狂わせられた!

 

翼は俺の想定していた翼よりもなりを潜めた。だが!

響ちゃんの人生は想定外の崩壊を起こさせた!

もしあの時、奏が《絶唱》を放ってそのまま塵となって消えていれば…

あの時、憑友がその行為を止めていれば…

 

こんな歴史は歩まなかった!」

 

「!…だからって!」

 

「ああ、そうだよ!そんなのは好都合さ!俺にだってよく分かるさ!」

「でもな…俺はこの力を持つ故に今の今まで人に嫌われていた。

自らの力すら扱えきれない、"化け物"としてな!」

 

…この男…目から涙が流れている…!

 

「そんな俺を、フィーネ(この女)は利用した。

事の計画を順調に進めるためにな」

 

計画だと…⁉︎

 

「…(で良いのかよ)

 

「あぁ?」

 

「!お前はそれで良いのかよって言ってるんだよーーー‼︎」

 

「⁉︎奏さん⁉︎」

「奏⁉︎」

 

 

「…何が言いたい?」

 

霊風がそう言うと奏と呼ばれた女は話し始めた。

 

「確かにあんたが何者なのか。それは付き合いの長い私でさえ知らなかった。

あんたが2度目の人生を送っていると言う事に。

だけど、それがどうしたんだよ‼︎」

 

「…」

 

「私にとって、あんたは無くてはならない相棒だ!

それはこれまでだって、これからだってそうだ!

私はあんたを取り返す!

フィーネに仕える犬(その女の下僕)では無くて、

『天羽奏』と言うアーティストを導く()として!

あんたを取り返す!フィーネの手から!」

 

!天羽奏…なんて、大胆な女だ…!

 

「…ふっ。それはそれで結構だ。

だが!」

 

そう言うと霊風は奏に槍を向けた!

 

「"てめぇの命…今度こそ尽き果てな"」

 

そう言うと霊風は左腕のアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『スピリット・オリジン!フルドライブ!』

 

「穿ち、抉れ!"ストーム・ボルグ"‼︎」

 

そしてそのまま奏に向かって槍をぶっ放してきた!

 

やめろーーー‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシィンッ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「…⁉︎」」」」

 

…え?

 

 

「がはっ⁉︎」

 

俺は目を開き、そして目をさらに大きく見開かせた。

他の皆も同じだった。そこには…

 

 

 

 

 

 

槍によって、鎧諸共、身体に穴を開けられたフィーネと…

 

 

 

 

 

その槍を携えた霊風がいた…‼︎




次回

寝返りと告白


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第53話 寝返りと告白

前回まで

フィーネと弦十郎の激闘の最中、"影這い・過去行き(すぎりし)"を用いてやってきたロックが乱入し、ロックとフィーネとの激闘を繰り広げる…だが、

ロックの腹を槍が突き刺す!

そして、そんなロック達の所に霊風が現れた。

霊風は転生者《リターナー》でフィーネの手下だった!

そして奏に槍を向けて、技を放とうとした。

だが、その技は逆にフィーネの鎧を抉ったのであった…!


ーーーーーーSIDEtoロック

「馬鹿な…⁉︎如何やって向きを変えた⁉︎」

 

…フィーネの言った通りだ。

 

霊風の後ろにはフィーネがいた。

そして霊風の槍の矛先は奏と言う女の人に向けていた…!

 

なのに、何故フィーネにその槍を向け直したんだ⁉︎

そして何故貫けたのか⁉︎

いや、そもそも…如何やってあのスピードから180度向きを変えたんだ⁉︎

少なくとも俺の視認したのは推定でも、時速80kmは下らない…!

普通そんなスピードで、急カーブすれば、間違いなく遠心力の因果で横転するのが目に見えている…なのに何故⁉︎

 

「生憎、俺は脳筋じゃなくて…テクニシャンなんだよ。手先が器用なんだよな〜」

 

「霊風!」

 

「お前の声が聞けて良かったよ。奏」

 

「え?」

 

そう言うと霊風はフィーネに槍を突き刺したまま話を始めた。

 

「お前と翼と初めて会った日。

お前って本当に男みたいな大胆な性格だったな…」

 

「⁉︎よ、余計なお世話だ!」

 

そう言いながらも、奏と言う女の頬が赤く染まる…

よっぽど恥ずかしい思い出なんだろうなぁ。

 

「だけど、俺はその性格が好きだ。()()()()()()()()()な」

 

「⁉︎////」

 

「!…大胆…‼︎」

 

「此処でそれ言いますか…⁉︎」

 

?何の事だろう?まぁ良いか。そう思っていると霊風は再び話を始めた。

 

「…本当はお前を死んで欲しくは無かった。

だけど、俺は《運命》を変える事が出来なかった。

だけど、あのモブいや、彼奴…憑友のおかげでお前がこの日まで生きてくれた。

正直悔しかった。あの子に奏が助けられるなんてな。

 

だからもう決めたんだ…あのライブ会場の後から…!

 

"天羽奏の専属マネージャーと同時に、

奏を守る…騎士になる"ってな!」

 

「‼︎////…もう…馬鹿野郎…////」

 

そう言うと霊風は持っていた槍を引き抜くや、そのまま槍を高跳び棒を応用して、槍を地面に付けるとそのままフィーネに蹴りを加え込んだ!

 

「ぐっ!何故、私に歯向かう!」

 

「俺は今の今までお前の犬だった…下僕だった…

だけど今は違う!

 

俺は天羽奏の専属マネージャーと同時に!

 

奏を守る存在…

 

()()()()()()()だ!」

 

ーーーーーーSIDEto霊風

ったく…俺も俺で馬鹿な奴だよな、全く…

俺の事を思ってくれていた奴に俺はなんで気付かなかったんだろう…

でも、おかげで肩の荷が下りたみたいだ。

 

「ふっ。漸くか…遅すぎるな」

 

「それに関しては俺も同感だ」

 

エルエルフ…刄更…

 

「俺達もいる事も忘れるなよ!」

 

「常に前を見据えろ、我々の主よ」

 

ゼクス…ナルガ…へへっ。やっぱり俺はこうでなくちゃな!

 

「くっ!おのれぇぇぇぇ!」

 

「かかって来いよ!終わりの名を持つ女!」

 

そう言うと俺はアブソーバーからカードを取り出し、そして装填の直後にレバーを引いた!

 

ースピリット!フォーム、アリーシャ!ー

 

「あらよっと!」

 

そしてアブソーバーからベージュ色のサイドポニーと白のバトルドレスを身に纏った女性の魂が現れ、俺はそれを纏った。

 

ー導師の従者!姫騎士の槍!ー

 

俺はすかさずアリーシャの愛槍、"フォージスピア"の穂先を地面に突くとそのまま身体を独楽のように周り始める…!

 

「櫓独楽!」

 

「んなっ⁉︎」

 

その内の蹴りの1発をフィーネの腹にクリーンヒットし、フィーネはそのまま壁へと衝突し、そのままめり込んだ。

 

俺は動作をやめるとすぐに憑友から貰った『英雄』達を顕現するアイテム…『現界ブースター』を取り出し、そしてカードを装填した。

 

そしてブースターから光の粒子が放出すると、

そこには俺が初めて出会った『英雄』であり、

《水竜》を冠する名を持つ少女…

 

 

レヴィアタンが現れた。

 

「今まで俺の無茶ぶりに付き合ってごめん」

 

俺はそう言いながらレヴィアタンに謝罪する。

レヴィアタンには本当に色々とお世話になっていた俺。

 

彼女は争い事はしたくない性格。

それに、彼女には大事な親友と再会させる約束までした。

 

だけど、俺はそれを前者は否定して後者は二の次、三の次へと先延ばしにして、無理矢理にでもレヴィアタンを酷使し続けていた。

本来なら、手元から去る事もあったはずなのに、今日までずっと傍にいてくれた。

 

そんな俺の言葉を聞いたレヴィアタンは俺の方に向くと話をし始めた。

 

「例え、貴方がどんな人だろうと…

大事な友達を探してくれるという約束は本物だった。

だから、私は貴方の事を信じ続けてきた。

私は争う事はしたくない。けど、それでも私と同じ歳の女の子達が一生懸命に今の人生を生きているのなら、私はその子達の為にも、

貴方の為にも、頑張ってみせるから」

 

レヴィアタン…ありがとう。

 

俺はそう心の中で呟くと、直ぐにレヴィアタンに指揮をした。

 

「レヴィアタン!ロックの治療を頼む…!」

 

「はい!」

 

そう言うとレヴィアタンはロックの元へと向かい、治療を始めた。

それと同時にフィーネが壁から這い出てきた。

 

「何故、私に牙を向く⁉︎」

 

んぁ?そんなの…決まってるよ!

 

「今の今まで俺の事をこんなにも心配させてくれた仲間がいる、友達がいる、そして…相棒がいるんだ…!

そんな奴等の叫びで漸く目が覚めたんだ…!

だから、お前のやり方…

 

"月を穿ち、《バラルの呪詛》を解き放つ計画"は…

 

 

 

 

 

シンフォギア装者と精魂導師(おれたち)が阻止してやる‼︎」

 

そう言うと俺の目の前に一枚のカードが現れた…!

 

「…今のお前になら、俺が使えそうだな。

…頼んだぞ…【風魂導師】」

 

!…ああ!

 

そういうと俺はそのカードを手に取り、アブソーバーのカードと交換、そして、

 

「変身!」

 

レバーを引いた。

 

ースピリット!フォーム、エルエルフ!ー

 

するとアブソーバーから白髪でこれまた白を基調とした軍服を着た青年の魂が現れ、俺はそれを纏った!

 

ー知性参謀!世界を(あば)け!ー

 

エルエルフ…本名ミハエル。

《革命機》と呼ばれるロボットを操るまだ20歳にも満たない未成年達を導いた青年。

 

エルエルフ本人は頑なに自らを英雄視される事を嫌っている。

理由はおそらく…"友達"の死が関連していたりする。

本来ならエルエルフは自分ではなく、自分にとって唯一の"友達"が『英雄』にならなければいけない存在だった。

だが、『英雄』になる直前で、その友達はこの世から去った…

 

神(俺が転生する際に出会った若い神とは別の神にあたる存在)が、エルエルフの友達の代わりにエルエルフを『英雄』として昇格させたのだろう。

 

転生者《リターナー》の俺はその事情をよく知っている。

彼もまた俺のいた世界では"アニメの中の世界の人物"の1人に過ぎないから。

 

でも、だからこそ俺はエルエルフいや、ミハエルの言いたかった事が今になって漸く分かった。

 

"俺みたいな歴史を歩むな。お前にはまだ仲間がいる、友達がいる、そして…相棒がいる"と。

 

それに気付いた俺を見たエルエルフは俺に力を貸してくれたんだな。

…ありがとう。

 

「…ふっ。何に変身したかと思えば、お前の得物である長柄武器を持たない戦士に成ろうとはな!」

 

「勘違いするなよ、フィーネ」

 

「?」

 

俺の得物は確かに長柄武器だ。

 

槍、両手斧、斧槍(ハルバード)、長杖、狙撃銃etc

両手で一つの武器を持つバトルスタイルは俺の得意分野だけど…

 

だからと言って、他の武器が不得手とは限らないんだよ!

 

「それにあんたには見せてないけど、奏は俺が初めて出会った時の事、憶えてるか…?」

 

「初めて出会った時の事…?」

 

ーーーーーーSIDEto奏

初めて出会った時の事…?

 

私は霊風にそう言われて記憶を頼りに思い出していた。

 

そうだ…あいつ…徒手空拳を使用していた…!

 

「その顔だと思い出してくれた様だな?」

 

ああ…でも、如何やって…?

 

すると霊風はフィーネと向き合うと、

 

「緒川っち!」

 

「!」

 

「拳銃貸してくれ!」

 

「え⁉︎…!」

 

いきなり何をと思ったら、緒川のあんちゃんが直ぐに拳銃の弾を高速リロードさせて、その拳銃を霊風に投げた!なんで⁉︎

対して霊風はその銃を左手で華麗にキャッチすると、右手から何処から取り出したのか、コンバットナイフを逆手に持った!

 

「サバイバル術で勝てる程、甘くは無い!」

 

「だろうな」

 

フィーネの言い分に霊風は逆に冷静に、そして口元から不敵な笑みを零すと、

 

拳銃とナイフによるラッシュ攻撃を繰り出していく…!

 

近づければナイフで斬られ、

遠くに行けば弾丸で撃たれる…まさに遠近を征する攻略法だ。

 

だが、フィーネの纏っているのはあの完全聖遺物《ネフシュタンの鎧》だ。

近代技術で生み出された拳銃とナイフと、

古代の異端技術であるネフシュタンの鎧。

 

異端技術の方が圧倒的に不利になる筈…そう思っていたら、

 

「ったく、神様も何勝手に特典を追加しやがって…」

 

と、霊風がそう呟くと、そのまま眼を閉じ、そして一気に開眼させた!

 

「っ‼︎」

 

「?…何のつm(グサッ!)り⁉︎」

 

フィーネが何か言おうとしたが、それは出来なかった。

何故なら、

いつの間にか霊風がフィーネの懐へ入るなり、そのままナイフでフィーネの鎧に亀裂を生んだ…!

それによく見てみれば、霊風が纏っていた服装が、

白から赤へと変わっていた。

 

「な…何が…⁉︎」

 

「『英雄・エルエルフ』の能力…"クイックチェンジ"。

発動時、エルエルフのカードから別の【ヒーローカード】に高速変身させる能力だ。

そして、今俺がなっているのは…」

 

そう言うとそこで発生音が聞こえた。

 

ースピリット!フォーム、両儀式!

空の境界、直死の魔眼!ー

 

「"その眼を開けば、あの世へと逝かせる『魔眼』の持ち主"

 

…【魔眼の境界者 両儀式】の力だ」

 

そう言うと霊風はナイフと拳銃の持ち手を入れ替えた。

先程までは、拳銃が左、ナイフが右の逆手で持っていたが、

今度は逆の手で持ち替えた。

 

「…"直死"!」

 

そう言うと霊風はアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『スピリット・両儀式!フルドライブ!』

 

そう言うと霊風は瞬時にフィーネの懐へ入り込むなり、そのままナイフで一閃し、剣道で言う所の『残の構え』をした。

 

「"俺の前に立つんじゃねぇ…!"」

 

「⁉︎ぐはっ‼︎」

 

するとフィーネが纏っていた鎧から傷口が3つ開いた…!

 

?いや、ちょっと待て。

霊風の奴…一閃しかしてないよな?

何で3つも傷口が広がるんだ⁈

 

「くっ!おのれ…!」

 

そうしていると、フィーネの動きが止まった。

まるで何かによって縛られているかの様に。

 

「ハァ…ハァ…無駄だ」

 

その声を聞いた私達はその方へ向くと、そこにはロックとか言う《水魂導師》が霊風のパートナー英雄であるレヴィアタンに支えられて、何かを投擲した様な動作をとった後をしていた。。

そしてその手の先には一本の短剣が、フィーネの影に刺さっていた!

 

ー影縫いー

 

翼が緒川のあんちゃんから教わった技だ。

なのだが、まさかあいつも使えるなんて…!

 

「悪いなレヴィアタン。それにロックも済まなかったな」

 

「謝るのは後だ。先ずはフィーネ()を止める!」

 

「そうだな…!」

 

そう言うと霊風は私の所に来て、緒川のあんちゃんの拳銃を渡してきた。

 

「俺とロックでフィーネ諸共、デュランダルを壊す!

そうすれば、フィーネの目的が防げる…!」

 

⁉︎

 

「だが、死ぬつもりは無え。

お前の所に必ず帰ってくる…約束する」

 

そう言うと霊風は私のおでこと自身のおでこをくっ付けると同時にそのまま…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?

今のって…

 

 

 

 

 

 

き、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

き、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キス⁈////

 

「おやっさん。緒川っち。奏と憑友の友人ちゃんの事、頼んだぜ」

 

そう言うと霊風はロックの隣に立ち、2人が同時に頷くや、身動きが取れないフィーネを勢いよくタックルするなり、そのままデュランダルが保管されている部屋へと強行突破していった。

 

とは言え、あんな場面でキス(それ)をするかよ⁉︎

 

私のファーストキスなんだぞ‼︎

 

帰って来たら、責任取らせてやるーーー‼︎

 

「…取り敢えず行きましょう。奏さん」

 

あ、はい。

 

未来ちゃんに言われるなり、私はダンナと緒川さんと一緒にその場を後にした。

その時の未来ちゃん…本当に冷静過ぎていたのは言うまでも無かった…。肝が据わっているわ〜未来ちゃん…




次回

水+風=(ストーム)


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第54話 水+風=嵐《ストーム》

奏の思いを聞いた霊風はフィーネに仇なす…!
かつての主人に牙を向けるロック!

今、かつてのフィーネの駒として生きていた2人は、
フィーネに反旗を翻す…!


ーーーーーーNO SIDE

奏達が司令室へと向かい、ロックと霊風は2人でフィーネと激闘を繰り広げていた。

 

因みに現在、霊風は『英雄』の1人、【魔眼の境界者 両儀式】の魂を纏い、

ロックも同じく『英雄』の1人、【運命を冠する裏切り者 リオン】の魂を纏って、2人でフィーネを相手にしていた。

 

「くっ!ちょこまかと!」

 

「そう言う性質なもんでな!」

 

フィーネの呟きに霊風はそう言い返す。

フィーネにとってはかなりの痛手である。

自分が利用していた輩2人が手を組んで、己を相手にしているのだから。

しかも、今2人が纏っている『英雄』は共に俊敏さや小回りが利きやすい謂わば"クイックタイプ"の『英雄』である。

 

『英雄』にも、自分が得意としている分野がある。

個々の差があるけれど、大きく分けて主に5つの《ポジション》と呼ばれるものに分かれている。

 

攻撃力の高さが随一を誇る"パワーモード"

 

手先の器用さや手数の多さ等の特殊な行動が取れる"テクニックタクティクス"

 

圧倒的な堅牢力を誇る"ディフェンススタイル"

 

尋常じゃない程の耐久性能とバランスの良いステータスを誇る"タフネスマルチ"

 

そして、高い俊敏力と小回りの利きやすさに長けた"クイックタイプ"

 

この5つのポジションに大きく分かれている。

 

其々、

 

パワー》テクニック》スピード》ディフェンス》パワー

 

と言う風に有利になっている。

タフネスバランスは相性の有利不利は無い。

 

其々の『英雄』達はその中の一つに少なくても必ず入っている。

但し、例外として複数のポジションを持つ『英雄』達も少なからず存在している。

 

例えば、憑友についている『英雄』キリトは、

手数の多さと、それに見合わない程の攻撃を生むポジションの持ち主

と言う事から、

 

"テクニック"と"パワー"の2つのポジションを同時に所持している。

 

さて、話を戻そう。

そんな2人が変身している『英雄』は共にスピードに長けている為、

それにより、フィーネは逆に苛立ちを隠せなかった。

 

「此処で終わるつもりは無え!」

 

そう言うと霊風はアブソーバーのパネルを見た。

そこには、

 

〔殺〕〔剣〕

 

その二文字が書かれてあり、その内の〔殺〕の文字は灰色になっていた。

霊風はそのまま〔殺〕…では無く、〔剣〕の方のパネルボタンをタッチした!

 

ー式、顕現!空の境界!ー

 

すると霊風の格好が、赤の服装から着物へと変わった…!

更に腰には、脇差らしき刀が添えられていた…!

 

「「これで決める!」」

 

そう言うと2人は同時にアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『ソウル・リオン!フルドライブ!』

『スピリット・両儀式!フルドライブ!』

 

すると霊風はその刀を持ち、瞑想をする。

その隙に、ロックがフィーネの懐に入り、一閃すると、

 

「"いい気になるな! 目障りなんだよ!"

"俺の目の前から・・・消えてしまえ! "

 

魔神!煉獄殺!! 」

 

「ぐはぁ⁉︎」

 

「"貴様らに何が分かる!"」

 

 

そうするとロックはリオンの必殺技(フルドライブ)…"魔神煉獄殺"を繰り出した。

 

それにより、フィーネは宙へと浮かばせられ、そして地面に着く直前、直ぐ目の前に着物を着ていた霊風が懐へと忍び込み、

 

「"全ては夢…"」

 

そして一閃をした…!

 

 

霊風が変身している『英雄』両儀式のもう1つの人格から成せる必殺技(フルドライブ)…"無垢識・空の境界"が炸裂した…!

 

 

「ガハッ⁉︎」

 

それを受けたフィーネはそのまま地面に倒れ伏した。

 

それを見た2人は急いで、《デュランダル》が保管されているケースを壊そうとするが、《ネフシュタン》の鞭によって身動き1つ取れなくなってしまった!

 

「な⁉︎」「ぐっ⁈」

 

「ハァ…ハァ…もう流石に遊びの時間は此処までだ…!」

 

そう言うとフィーネは拘束した2人をそのまま地面に叩きつけた!

 

その威力はビル10階程の高さから真っ逆さまに転落したぐらいの威力を誇っていた。

 

それを受けた2人は地面にぶつかると、そのまま意識を手放し、変身が強制解除された。

 

「ふっ…他愛もない」

 

そう言うとフィーネは《デュランダル》が保管されているケースの真下にあったコンソールを弄り始めた。

 

そして操作し終えると、そのまま地上へと移動した。

その際に、霊風とロックを引きずって…

 

フィーネの野望を止める事は出来るのだろうか⁉︎

 

次回へ続く…!




ロック「随分とお久しぶりだな…。
と、其れは良いか。
初めまして、ロック・アイル・ユキネだ。
今日はおr「ちょっと待て〜‼︎」?」
霊風「勝手に話を進めんじゃねぇ!
と其れは置いといて…
よ!読者の皆!《フレンドリーマネージャー》こと精妖霊風だ!
今回は俺達2人で『英雄』達を紹介するぜ!」
ロック「話がまとまったので、本題に入ろう。
今回は、俺が防衛戦の時に使用していた『英雄』キラについて紹介しよう」

キラ/カード名【自由の翼 キラ】
属性/無・人間&機械・射・銃

類稀なる才能を持つ存在。
その身に宿りし力で戦争を止めてきた正に『英雄』と呼べる逸材。

霊風「性格的にも、緒川っちとよく似てるんだよな〜これが…!」
ロック「数多の敵を一掃する実力は計り知れないな」
霊風「当然だろ?何せ、あいつ1人で艦隊クラスの一個部隊を葬り去るんだから」
ロック「なん…だと…‼︎」
霊風「ま、後は本人に直接聞く事だな!」

次回

伊達ではない…!

霊風「…おい作者!
何かってにパクってんだよ⁉︎」
ロック「?霊風は誰に向かって喋っているのかはほっといて、
また次回会おう」


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第55話 伊達じゃない!

今回は短い。
あと、2時間置きにあと2本連投します。
それではまず1本目。


ーーーーーーSIDEto奏

そして指令室本部内では予想外な出来事が起きていた。

様々な回線不具合やシステムエラーなど、

二課の機能の半分が麻痺していた。

 

「!司令!ご無事で何よりです!」

 

「牧藁!これは一体如何なってるんだ⁉︎」

 

すると牧藁さんが話を簡単に纏めてくれた。

 

「簡潔に述べるなら、機能の半分以上が麻痺してます。

唯一繋がれるのは音声電話のみという最悪の事態です。

システムトラブル等は私自ら率先して解消していますが、それを上回る程の大量のバグデータが侵攻しています。

もしこの場に『英雄石板』等の貴重品が保管してあったら、確実に首が飛ぶ所でした。悪い意味で」

 

「《ツヴァイウイング復活ライブ》の後で逝都君と魔燈君の2人を介して、玄也に預けておいて正解だったな」

 

凄い用意周到ぶりだな…!

 

確かに『英雄石板』は貴重な物だ。世界遺産にも登録された逸品達だ。

だけど、それの損失が過去に1件だけあった。

 

たった1枚の『英雄石板』の消失で、その家系は一瞬で崩壊した。

 

たった1枚で()()()()なら、もし全ての『英雄石板』が消失したら…この世の全ての人類は消滅してもおかしくないのかもしれない…!

 

其れほど迄に『英雄』達はそんな偉業や功績を成し遂げたんだと改めて実感された。

 

と、そんな事を考えていると、緒川のあんちゃんが響達に連絡を入れてくれた。

それを聞いた未来ちゃんは響達に連絡した。

 

「響!学校が…!リディアンがノイズに襲われてるの‼︎」

 

そう言うと突然、電源が強制的に落ちた!

何が起こってるやがるんだ⁉︎

 

「如何したの⁉︎」

 

「何者かが二課の機能を完全にジャック!」

「此方の指示を全く受け付けません!」

 

「くっ!此処で来るとは!」

 

「響…憑友…」

 

皆んなの顔から笑顔なんてものは無かった。

私に至っては悔しい顔でこの事態にいるのだから。

 

「司令…」

 

「皆まで言うな、牧藁君。

…君の言いたい指示はなんだ?」

 

「…」

 

そうしていると、牧藁さんとダンナが話をしていた。

そして牧藁さんは未来ちゃんの隣に立ち、未来ちゃんの肩に手を置く。

其れを見た未来ちゃんは牧藁さんの方を振り向く。

そこにあったのは、牧藁さんの笑顔だった。

 

場の空気を知らない、謂わばKY過ぎる牧藁さん。

だけど、今回に限ってはその限りではない。

 

「二課のスタッフ全員に通達!

今日この時間を持って、我々二課は本部そのものを放棄します!」

 

『⁉︎』

 

その一言で、ダンナと緒川のあんちゃん以外の人達が驚愕した。

もちろん、私もだ。

そう言うと牧藁さんは話の内容を付け加えた。

 

「放棄するのは二課全てではありません。

まだ稼働できるものがあるのなら、其れを活用しつつ、この場から撤退、そして避難者の人達がいるシェルターへと移動。

二課のスタッフ全員はそのシェルター内にいる人々の安全確保に重点、同時に、ノイズなどの情報を風鳴司令若しくは緒川さん又は私に逐一報告して下さい!」

 

其れを聞いた皆は、『はい!』とその一言を済ませると、その場にあった必要最低限な情報だけを纏め、そして避難者達のいるシェルターへと向かっていった!

 

「司令、僕達も」

 

「ああ」

 

「さ、響ちゃんと憑友君達に無事を知らせよう」

 

「!…はい!」

 

凄いな…牧藁さん。カリスマだ…!

 

「奏さんも速く行きましょう!」

 

「!あ、ああ」

 

そう言うと、私は皆の後を追った。

 

無事に帰って来いよ…霊風。




憑友「皆、久しぶりだな。
『英雄紹介』のコーナーだ」
「今回は、ロックに手元にいて、霊風先輩が使用した存在、
アスランさんを紹介しよう」

アスラン/カード名【正義の翼 アスラン】
属性/炎・人間&機械・突・剣

『英雄』の中では珍しく、剣を扱うが、刺突攻撃をする事が出来るタイプの持ち主。
背中の翼、"ファトゥム-01"は射出だけでなく、上に搭乗する事も出来る…!

憑友「俺がロックから渡されたシンさんの上司で、ロックが使用していたキラさんとは幼馴染と言う間柄の存在なんだ。
だけど、その2人とは相対した事もあるんだ。
だけど、それが有ったから、今に至るのかもしれないな」

次回

決戦の時/聖女来る

憑友「次回も見てくれよな!」


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第56話 決戦の時/聖女来る

2本目です。


ーーーーーーNO SIDE

スカイタワーの防衛戦を終え、ロックを未来達のいる二課の方へと飛ばした憑友達一行。

その際に、霊風がいなくなった事に疑問を抱きつつも、

 

翼、クリス、響そして憑友の4人は急いでリディアンの方へと向かっていた。

《シンフォギア》や《精魂導師》の力を使えばひとっ飛びだろと思ったそこの読者諸君!君達は甘い!

 

憑友達が何故走ってるのかと言うと、

 

これから先の事態を予感して、そのまま纏ったまま向かうのには限界があると言う事と、最低限のインターバルが必要だったと言う事である。

憑友に至っては、前に使用していた『英雄』の1人、【カナタ】の力の消耗分の回復がまだだった為、止むを得ず響達と一緒に走っているのである。

 

そして4人がリディアンの元へと来るなり、驚愕した。

 

そこはもう学校と呼べる建造物では無く、ただの瓦礫の山と化した廃物件の様な光景だった。

 

「未来ーー!皆んなーー!」

 

響は未来達の安否を確認するかの様に、声を出すが、帰ってくるのは静寂のみだった。

 

「リディアンが…!」

 

翼がそう嘆こうとして、上を見上げるとそこには1人の女性が佇んでいた。

 

「櫻井女史…?」

 

其れは櫻井了子であった。

しかし、服の右腹の部分には破れた跡と血の跡が白衣を纏っていたとはいえ、見え見えであった。

 

櫻井を見たクリスは櫻井女史のもう1つの名を言った…

 

「フィーネ!お前の仕業か!」

 

その一言で翼は驚愕した。

自分の仲間である存在が今回の騒動の黒幕だと言う事に。

 

「ふふふ…ははは‼︎」

 

其れを聞いた櫻井もといフィーネは天高く嘲笑う。

 

「…やっぱりあんたが真犯人か…!」

 

憑友はそう言い放つ。

憑友は以前、ロックと病院は屋上で出会った。

その際にフィーネの正体を聞かされていたのだ。

 

その時は半信半疑だった…いや、少し違うな。

正確には信3:不信7の割合で疑いをかけていた。

アタッシュケースの件があった為、憑友は櫻井女史を疑っていたのだ。

 

すると櫻井は眼鏡を取り、髪留めを外す。

すると青白い光が彼女の周りを包み込んだ…!

しかも、よく見てみれば、その光はかつて、クリスのネフシュタンを回収した際の手の発行色と同じだった。

 

そして光が消え、4人は目を見開く…!

そこには、黄金色に染まった《ネフシュタンの鎧》を纏い、

髪がベージュに近い金髪ヘアーの女・フィーネが、そこにいた。

 

するとフィーネは鎧についてる鞭を使うと近くにいる()()を持ち上げた。

 

其れを見た4人は驚愕した!

 

そこには血が流れ、かなり不安定な状態になっている…

 

《水魂導師》ソウルことロック・アイル・ユキネと、

《風魂導師》スピリットこと精妖霊風の2人が拘束されていた。

 

そうするとフィーネはそのまま2人を4人方へと投げ飛ばした。

 

そして2人はそのまま地面に激突、かなりの痛手で、まるで産まれたての4足歩行生物の赤ちゃんの様に、立つ事が困難にまで疲弊していた。

 

そんな2人を見た翼とクリスは其々の所へと向かい、2人に話しかけた。

 

「霊風さん!霊風さん‼︎」

 

「返事してくれよ!ロック義兄!」

 

「…ぅ…ぁ…」

 

「…ぐ…ぁ…」

 

2人がまだ息がある事を見た翼とクリスは安堵する。

 

「霊風先輩…ロック…く!

…フィーーーーネーーーー‼︎

 

よくも、2人を‼︎」

 

「ふん。お前よりはまだマシな方だがな。

 

《幽霊症例》」

 

そんな2人のやり取りの中、響はフィーネと変わった櫻井了子に話しかけた。

 

「…嘘ですよね?そんなの嘘ですよね⁉︎

だって了子さん、あの時私と憑友を救ってくれました!」

 

其れに対してフィーネは、

 

「あれはデュランダルを守っただけの事。

希少な完全状態の《聖遺物》だからな」

 

と、響の答えを簡単に否定した。

其れでも話しかける響。

しかし、それ以上の言葉でフィーネは響の質問を悉く受け流す。

 

其れを聞いていた憑友は流石に業を煮やした。

 

「ふざけんじゃねえ…

ふざけんじゃねえーーーー‼︎」

 

「憑友…」

 

「まるで過去へと蘇る亡霊…!」

 

「ふっ。其れならば、お前達の仲間が実証済みの筈だがな?」

 

「「え?」」

 

「如何言う事だよ?」

 

フィーネの突然の発言に翼と響は疑問を浮かべ、

クリスに至っては何の事だかさっぱりだった。

そういうとフィーネはそんな3人に話しかけた。

 

「《ガングニール》と《天羽々斬》の装者は知ってると思うが、

そこにいる人絆憑友こそ"過去から蘇った亡霊そのもの"ではないか。

2年前…《ツヴァイウイングのライブ会場での悲劇》の際に、お前という存在はこの世から灰となって消えた。

だが、今この場にいる。

正に"地縛霊"とでも呼べる存在だ。

日本ではそんな輩を〔妖怪〕という妖の類を付けているそうだが…

人絆憑友は今までに類を見ないケース…

 

"半幽霊"と言う半分が幽霊の身体となっている存在が、お前達の目の前にいる事を忘れたか!」

 

フィーネの内容を聞いた2人は其れを聞いてハッと思い出した。

今の今までごく普通に生活していたが、よくよく考えてみれば、

憑友は2年前のライブにて、奏の命を救って、その後、己を死滅させた存在だったと言う事に。

 

その話を聞いたクリスは驚愕していた。

そして隣にいた憑友の顔を見ると、憑友はクリスに顔を向けず、そのまま、「…フィーネの言う通りだ」と肯定するかの様に俯いてしまった。

その際の憑友は先程までの怒りと言う感情は無く、逆に今まで言えなかった悔いの感情が出ていた。

 

そんな中でもフィーネは「それにだ」と言って、話を付け加えた。

 

「精妖霊風は元々()()()()()()()()()()()

 

それを聞いた皆は意味が分からなかった。

だが、フィーネは話をし始める。

 

「精妖霊風…奴は、

 

"別次元の世界にて死に、記憶を持ったままこの世界で転生した者"…

 

 

転生者《リターナー》だ」

 

「転…生…者…?」

 

「要するに、奴はこの世界の今までの出来事も、これから先の出来事も知っていると言う事だ」

 

『⁉︎』

 

フィーネの言った一言で皆は驚愕する。

それはもはや予知と言う範囲では無いのだから。

 

「私はそんな奴を、ツヴァイウイングと出会う前に接触を図り、そして奴は私の僕になった。

だが、ついさっき反旗を翻してくれた…!

たった1人の片翼()の為に、私の首元を噛み殺そうとしたがな!」

 

それを聞いた皆は驚愕したかのように、顔色を変える。

しかし、翼だけは顔色1つ変える事は無かった。

寧ろ、凄まじい程のオーラが翼の身体に纏っているかのように感じ始めると、翼はフィーネにこう告げた。

 

「例え、霊風さんがそんな存在だとしても…

 

 

()()()()()()()()()()

それ以上でも、それ以下でも無い‼︎」

 

「…茶番はお終いにしよう」

 

そう言うとフィーネは何処からかある物を取り出した。

それも…3枚も。

それを見た憑友は驚愕した。

 

 

「!それは…『英雄石板』⁉︎」

 

そう、フィーネはなんと『英雄石板』を3枚も所持していたのだ!

 

するとフィーネにその石板を空中に投げると、

腰に携えていた物…

 

《完全聖遺物》であり、ノイズを呼び、使役し、

そしてノイズ達の住まう地、『バビロニアの宝物庫』を開く鍵…

 

《ソロモンの杖》を取り出すや、そのまま杖からビームを石板に向けて照射した!

 

そしてそのビームを浴びた石板が変化していき、

 

なんと人の姿へと変えたノイズが三体現れたのだ‼︎

 

青い髪で女顔のような出で立ちの青年と、

 

黒い髪で、背中に3つのイボが出ている青年と、

 

白髪で、肌黒く、そして何よりロックについてる『英雄』アーチャーが羽織っている服装とよく似た服装をしている女の子。

 

その姿をした三体のノイズが現れた!

 

「『英雄石板』の力を最大限に発揮させたノイズ…

融合ノイズを相手に何処まで立ち向かえるか?

因みにだが、『英雄石板』を取り込んだ融合ノイズ達は、その『英雄』達の力を扱えるがな」

 

 

そうフィーネが言うと青い髪の青年は何処からともなく黒いカードを取り出すや、

 

「ライド…」

 

「え?」

 

その一言に憑友は目を見開く。

すると同時に、そのノイズの周りから光が発生し、

 

そしてノイズが、()()()()()()()を纏い、そして携えていた。

 

「"ブラスター・ブレード"」

 

そうノイズが呟いた。

 

そこには中世の時代にいた騎士のような出で立ちを醸し出していた…!

 

するともう1人の青年の方の姿をしたノイズも身体の方に変化が生じ始める…!

 

身体がまるで機械いや、ロボットのような姿へと変わり始めたのだ!

 

そして現れたのは、まるでロボットであり、人間のようなフォルムを持つ正に半々な姿をした何かに変わっていた。

 

さらに女の子の方も両手を臍の部分でクロスさせるや、

 

「トレース・オン」

 

と呟いた。

それを聞いた憑友とクリスは驚愕した。

何せその言葉は、

 

剣製の魔術師(エミヤシロウ)赤き弓兵(アーチャー)の戦闘時の言葉だったから。

 

すると少女の手に2振りの小剣か握られていた。

それを見た2人はまた驚愕する…!

 

女の子の手に持つ武器の名は…《夫婦剣 干将・莫耶》

 

衛宮(しろう)エミヤ(アーチャー)の愛剣であったから。

 

「…やれ」

 

フィーネが言うと同時に、三体のノイズが4人に襲いかかる…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「"我が神はここにありて…"

 

リュミノジテ・エテルネェル‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな声が聞こえるや、ノイズ達は吹き飛ばされた。

それを見ていた4人は何が起こったのか、分からなかった。

フィーネも同じだったが、すぐに冷静になった。

 

「…お前が邪魔をするとはな…」

 

フィーネはそう呟くと、

憑友達は後ろから足音が聞こえて来て、憑友達は後ろを振り返る。

そこに居たのは…

 

白衣を羽織り、紺色の服を着て、

 

旗らしき物を片手槍のように持ち、

腰に剣を携えた1人の女性が現れた。

 

それを見た憑友と響は目を見開き、そしてその者の正体であろう名前を口にした…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「憑友君のお母さん⁉︎」

「母さん⁈」

 

 

それを聞いたクリスと翼の2人は目を見開いた。

現れた女性の正体が、

憑友の母親にして、《完璧なる医師(パーフェクトドクター)》の名を持つ女性…

 

 

 

 

人絆ジャンヌであった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりだね…了子ちゃん。

ううん…フィーネ」




霊風「よ!今回は俺が紹介するぜ!
それと…読者の皆んなにも詫びしないとな。
すまなかったな。あんな出来事を起こして。
おかげで今は目が覚めた!今は、奏や皆んなを守る風に、俺はなる!」
「さて、今回は俺が変身した『英雄』の1人で、
【知性参謀】と呼ばれる男、エルエルフを紹介するぜ!」

エルエルフ/カード名【革命を導く参謀長 エルエルフ】
属性/風・人間・打・体

元は『英雄』にはなれない存在で、彼の唯一の友達が『英雄』になる筈だったが、その友達の死により、神により、格上げされた異色の『英雄』

霊風「今思えば、エルエルフの言っていた事が身を以て染みてきたぜ…」
次回

終わりの女と聖なる乙女/再会と邂逅

霊風「次回も俺が紹介するぜ!」


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第57話 終わりの女と聖なる乙女/再会と邂逅

3本目。
それと、fate/ファンの皆様へ。
今回は何故か彼女達が出ます。



ーーーーーーSIDEto憑友

如何言う事なんだ…?

 

俺は今、脳内のパラメータが混乱状態に陥っていた。

 

了子さんの正体がフィーネだと言う事は知っていた。

母さんと了子さんは昔は呉越同舟の間柄だったと言う事も勿論知っていたのだが、

 

母さんが了子さん…いや、今はフィーネと言っていたな。

そのフィーネを相手に話し合いをしている事に未だに驚きようが無かった。

 

「久しぶりだね、フィーネ。あの日以来かしらね。

貴方が了子ちゃんの身体を自らの物とした時以来に」

 

「そう言うお前は、まだこの世に既存し続けていたか…」

 

「フィーネには言われたくないな〜?

貴方の中の遺伝子そのものに自分の情報を押し込んで、

鍵となる力を手に入れて、何度でも蘇る人には言われたくないよ。

私はちゃんと輪廻転生を繰り返しながら、今日まで生きているんだから」

 

…話が見えて来ない。

ジャンヌ(母さん)も、了子さん(フィーネ)も、何を話しているのかさっぱりわからない。

 

「…意味わかんねぇ」

 

あ、クリスもそう思った?俺もそうだよ。

 

「私が生まれた時代の後から産まれて来て、何故私に構う…!」

 

「人の負の感情を、そのまま放置にする程、私は聖女と言う名で呼ばれた憶えは無いから!」

 

その話を聞いたのか、フィーネは歯を噛み締め、

そして鞭で母さんに攻撃⁉︎

母さん!

 

「ふっ!」

 

そう思っていたら、母さん…凄っ⁉︎

 

え?何が凄いのかって?

 

迫ってくる鞭を、腰の剣と、槍のような物を巧みに使って、阻止したから!

 

いくら俺でもそこまでいかないよ⁉︎

何、我が家の母親…怖いんですけど⁈色んな意味で⁉︎

 

「チッ!…これだから、裁定者は好きでは無い!」

 

「それは良い褒め言葉として受け取っておくよ〜♪」

 

あ、母さんの語尾に♪マークがついた…はっきり言って、ヤバい‼︎

ああ言う言い方をする母さんは、

なのはさんのO☆HA☆NA☆SIモードとなんら変わら無いぐらいの威圧感が発せられているからだ。

 

とは言え…さっき、フィーネは母さんの事…『裁定者』と言っていたな…如何いう事なんだ?

 

「ふぅ〜…こんな事する為に私は来たんじゃ無かったわ。

はぁ…」

 

と言いながら、母さんは武器を下ろした。

すると母さんはロックと霊風先輩の元へ行く。

そして2人の頭頂部に、カードを置いた…?カード?

 

「"我が裁定者の名に於いて命ずる…

汝らの力よ。我を通じて、彼の者達へと力を与えん…"

グラン・バルトロス!」

 

そう言うと母さんは手を地面につかせた。

すると霊風先輩とロックの身体が光輝き始めた…!

 

一体何が…⁉︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーSIDEtoロック

 

…此処は…?

 

「目が覚めたか?仮のマスターよ」

 

アーチャー?

 

俺は確か…フィーネを相手に霊風と言う名の男と共に相対していた筈。

 

「その考えは間違ってはいない。

だが、不意を突かれ、そのまま意識を手放したのだ。2人揃って」

 

…そうか。

これから如何したものか…?

 

「そんな事をわt「決まってるじゃない!」は?」

 

するとアーチャーが何かを言おうとした時に、俺の後ろから声がしたので、俺は振り向いた。

そこには、黒髪で、アーチャーと同じ色合いの赤い服装を着ており、ミニスカ?みたいなのを履いている女がいた。

それを見たアーチャーは目が仰天した。

 

「凛⁈何故此処に⁉︎」

 

リン?それがあの女の名か?

 

「初めまして。アーチャーの2()()()マスターさん」

 

?2代目?如何言う事だ?

 

「私は遠坂凛。そこに居るアーチャーの()()魔術師(マスター)よ」

 

⁉︎初代だと⁉︎

 

「とまぁ、そんなのは後回しよ。アーチャー、久しぶりね」

 

「なんでさ⁉︎」

 

「あら、久しぶりに貴方の口癖を聞いた気分ね〜?」

 

「ぐっ…」

 

…凄い雰囲気だ。

これが憑友が言っていた『カオス』と呼ばれる場面なのだろうか…。

 

「今はこんな不安定な場所は逆に貴方を危険な目に遭わせるわ。

私が貴方の居場所へと戻すから、ついて来なさい」

 

そう言うとリンと呼ばれた女は俺の手を取り、そして走りはじめた。

おい!そんなに手を引っ張るな!

アーチャー!なんとかしてくれ!

 

「…済まぬが、凛には如何しようもできないからな」

 

…つくづく予想していたが、案の定の結果を出してきてくれたな。

 

でも、俺にはまだ帰る場所があるんだ…!

 

待ってくれる仲間がいる…

 

クリスを…1人ぼっちにさせたくないんだ…‼︎

 

ーーーーーーSIDEto霊風

…此処は一体…?

 

「目が覚めましたか?」

 

…レヴィアタン?

なんで君が此処にいるんだ?

 

「私にもさっぱり分かりません…」

 

そうなのか。

それはそうと、此処は何処なんだ?

他の『英雄』達の姿が見えない…何処なんだ?

 

「確かに…」

 

「此処は深淵の魔境『影の国』だ」

 

 

レヴィアタンが何か言おうとしたら、何処からか聞こえてきた女らしき声が聞こえてきたので、振り返ると、そこに居たのは、

タイツらしきボディスーツを着た女性がいた。

居たんだけど…

 

なんであんたが此処にいる訳⁉︎

 

「ほぅ?私の事を知っているとはな」

 

「貴方は一体…?」

 

そんな事よりも話をしよう。このままだと埒があかない。

 

「ふむ…それもそうだな。

 

 

私の名は…言わなくても分かるだろ?お前は私の事を知ってるだろ?」

 

「ああ…そうですね。

 

 

『影の国』の女王…()()()()

 

スカサハ

俺が言った通り、『影の国』を統べる女王にして、

ランサーこと《光の皇子》と呼ばれている男…クー・フーリンが、

セタンタと呼ばれていた幼名時代の時の槍術の師でもある。

 

クー・フーリンが持つ槍、《魔槍ゲイボルグ》は元を正せば、スカサハ本人の武器だ。

それをスカサハは弟子であるクー・フーリンに授けたと言われている。

 

そんなスカサハが何故こんな場所に…いや、違うな。

何故、俺達がスカサハが統べる『影の国』にやって来たのだろうか?

 

「それはひとまずだ。

この場はお前さん達が来る場では無い。

私の先へ行けば、間違い無く今のお前達はあの世逝きだ。

回れ右して、この場から立ち去れ。

お前達はまだ叶えたい物があるのだろ?」

 

!…確かにそうだな。

俺はまだこんな場所に来るところでは無い…!

レヴィアタンの仲間を探す為に…!

仲間達がまだ諦めていない…!

 

そして何よりも…

 

奏の想いを…まだ言って無いからな!

 

「霊風さん…!」

 

「ふっ。なら、お前にはこれを授けるとするか…」

 

そう言うとスカサハは俺の肩に手を置いた。

 

!…凄い…!

スカサハからまさか力を与えてくれるなんて…!

 

「さぁ、行け。お前達の仲間の為にな」

 

それを聞いた俺とレヴィアタンは同時に頷き、そしてスカサハの元から走り去る。

 

待ってくれよ、お前ら!

 

ーーーーーーNO SIDE

ジャンヌがやった神秘を目の当たりにした憑友、響、翼、クリスの4人と、

それをただ高みの見物で見続けているフィーネ。

 

すると神秘の光が消えると、そこには完全に傷が癒えたロックと霊風がおり、

 

2人が目を覚ました!

それを見たクリスはロックに抱きつき、翼は霊風を安否した。

やりのけたジャンヌはそのままくったりしたので、憑友は話しかけた。

 

 

「大丈夫?母さん」

 

「うん。でも、後はごめんね。

私とフィーネの関係は後でゆっくり話してあげるから…

今は…休ませて…ね?」

 

「…うん。お休みなさい」

 

そう言うとジャンヌは目を閉じた。

幸いにも、息はしているので、疲れただけのようだ。

 

憑友は響と一緒に、衝撃避けが出来る場所に移動した。

 

そして戻って来ると、ロックと霊風は既に全快になっていた。

 

そして6人は同時に頷いた。

 

「フィーネ…お前は俺達が止めてみせる!」

 

そう言うと、響達《シンフォギア》装者は聖詠を歌った…!

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron…」

 

「Imyuteus amenohabakiri tron…」

 

「Killiter Ichaival tron…」

 

そして、憑友達《精魂導師》は、アブソーバーを左腕に装着させ、

憑友は【炎の魂を導く者】

ロックは【水の魂を導く者】

霊風は【風の魂を導く者】

 

それぞれの基本(ベーシック)フォームのカードをアブソーバーに装填させ、そして…

 

「「「変身‼︎」」」

 

3人同時にレバーを引いた…!

 

ーライド!フォーム、オ・レ!

英雄の魂、オレに宿れ!ー

ーソウル!フォーム、フォーマル!

お前らの魂、オレが頂く!ー

ースピリット!フォーム、オリジン!

精なる魂、私に刻め!ー

 

そして6人はそれぞれ構えた。

 

ソウルは水の弓を、クリスはクロスボウを、

翼は剣を、霊風は身の丈を超える風の槍を、

そして…憑友は炎を発している刺突刃を出し、響と共に拳を構えた…!

 

激闘の幕が…今!

 

 

 

 

 

「はぁぁぁぁあ!」

 

 

切って落とされた!




霊風「よ!前回に続いて、俺が紹介するぜ!」
「今回は、エルエルフの後にて変身し、
『直視の魔眼』の持ち主、両儀式を紹介するぜ!」

両儀式/カード名【魔眼の境界者 両儀式】
属性/闇・人間・斬・刀

キリトと同じタイプだが、此方は完全にスピード重視。
見た物を殺せる『直視の魔眼』の持ち主である。
ナイフを扱う〔殺の識〕と、剣を扱う〔剣の式〕の2つの顔を持つが、何方も其々の記憶しかない。

霊風「式はこんな台詞を残していたな。

"生きているのなら、神様だって殺してみせる"

その実力はまさに折り紙つきだぜ」

次回

精魂導師VS融合ノイズ

霊風「次回はそれぞれの戦いを見てくれよな!」


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第58話 精魂導師VS融合ノイズ

お久しぶりです。
今回はオリ展開の話。

霊風さんチートぶっ放します。

憑友とロックは平常運転な話です。
しかしラストで…!


其々、《シンフォギア》を纏った響達と、《精魂導師》に変身した憑友達は其々の戦う相手へと立ち向かった。

シンフォギア装者達は3人でフィーネを、

そして精魂導師は融合ノイズ達と1対1(サシ)で戦い始めたのだった!

ーーーーーーSIDEto霊風

さて、無事に精神の世界から戻って来て早々、融合ノイズ?みたいな奴等の相手をする事になった俺。

 

ノイズとは言え、融合ノイズは今までの特異型ノイズと大きく違う事がある。

特異型はただ単に、ノイズの体内に『英雄石板』が入っているだけ。

衝撃を加えるなりして、取り除けば後は普通のノイズに変わる。

けど、融合型は見た感じどうも違うな…

 

見た目がノイズじゃない…

他の2人の融合ノイズも同様だ。

 

ロックと相対しているのは、俺の偏見だと恐らく"クロ"だろう。

 

クロエ・フォン・アインツベルン

 

士郎やセイバー、アーチャー達の住む世界とよく似た世界にいる女の子の内の1人。

能力は士郎やアーチャーと同じ、『無限の剣製』の使い手。

だが、彼女のケースは他の2人のような、

"物の見方"に対する考え方が少し劣っている。なので、ロックにとっては、相性は少し有利に動くだろう。

だが、油断は禁物だ。

相手は女の子で、アーチャーと同じ力を持つ者。

そう簡単に勝たせてはくれない筈だ。

 

そして、憑友と相対しているのは…間違いないな、騎士団を統べる"先導者"だ。

 

先導者…先導アイチ。

彼のいる世界ではカードゲームが勝敗を握っている。

 

"ヴァンガード"

 

その世界での意味は、"先導者"。

"ユニット"と呼ばれるモンスターを用いて、そのユニットに己の魂を憑依《ライド》させて戦うシュミレーションにも似た戦略的カードバトルが盛んな世界出身の『英雄』だ。

 

その中でも、アイチは、

 

高貴なる白き騎士団《ロイヤルパラディン》

 

闇を纏う黒き騎士団《シャドウパラディン》

 

そして

その2つの勢力の力を併せ持つ騎士団《ゴールドパラディン》

 

この3つの騎士団を統べる実績を誇る先導者として、『英雄』になっているのか。

 

それをノイズが喰らい、融合したのか。

然もおまけに、あのノイズの姿は間違いない…!

 

"ブラスター・ブレード"アイチの分身とも呼べる切り札…!

 

それだけに此処からでもすごい威圧感だ…!

 

それを真っ向から戦う憑友は正直凄いの一言で片付けられねぇな。

 

くっ…!俺も先輩としての意地を見せてやりますか!

 

そう言うと俺は、自身が相対している融合ノイズを見た。

 

まさか、阿頼耶識(アラヤシキ)システムの相手と相対するとはね!

 

俺が戦う融合ノイズが取り込んだ相手…

名は三日月・オーガス。

 

鉄の華の団と書いて、『鉄華団』に属する少年にして、

 

融合ノイズの姿のモデルにもなったロボット…

 

 

"ガンダムバルバトス"のパイロット。

 

無口で愛想ない性格な奴だが、仲間想いな奴。

 

そんな奴の『英雄石板』があるとは思ってもいなかったし、

何よりも、それをフィーネが()()()()()と言う事になるのか。

 

でも良いさ。俺には俺なりのやり方で…

 

バルバトス(悪魔)を倒す!

 

「はぁぁぁぁあ!」

 

「!」

 

そう言うと俺は風の槍で、攻撃をし始める!

それに対して、ノイズは初期武器のメイスを軽々しく振り回す…!

 

ぐっ‼︎やっぱり強え…!

 

まるで俺の槍が小枝の様で、あのメイスが大樹の幹の様に、一撃が重たい…!

 

「!」

 

「⁉︎やべっ!」

 

シュンッ!

 

…危ねぇ⁉︎ヤバかった〜。

そう言えば、あのメイスの先端部分は"パイルバンカー"の様な射出機構が施されていたんだったな。

危ねぇ危ねぇ…

 

「…!」

 

すると今度はそのメイスを捨てて、何処から取り寄せたのか、ハサミみたいな形をしたハンマーにもよく似た武器を取り出してきやがった…!

 

ちっ!レンチメイスか!厄介な事、この上ない!

 

レンチメイス

 

アニメの終盤から三日月もといバルバトスが使用していた特殊機構のメイスだ。

 

メイスの部分は先端部の開閉機構と特殊チェーンソーを施されている。

謂わば電動ハサミとでも呼べる代物だ。

そんなものに挟まれてみろ…簡単に真っ二つだ!

 

それだけは絶対に避けないとな!

 

そう言うと俺は、【怠惰の罪】を背負いし『英雄』のカードを取り出し、アブソーバーに装填、そしてレバーを引いた!

 

ースピリット!フォーム、キング!ー

 

そして現れた魂を俺は纏った!

 

ー七つの大罪、怠惰のグリズリー!ー

 

そして俺は直ぐ様、攻撃を仕掛けた!

数撃ちゃ当たるってな!

 

「霊槍シャスティフォル・第5形態"増殖(インクリース)"」

 

それにより、槍が無数の小さな槍へと増殖した。

そしてそのままその槍達を無数に放つ!

 

しかし、その攻撃はノーガードで受けた。

受けたのに、傷一つ付いていないとは…恐るべし!

なら、これで如何だ!

そう言うと俺はドライブボタンを叩いた!

 

『スピリット・キング!フルドライブ!』

 

するとシャスティフォルは元の槍に戻るなり、そのまま形を変えて、向日葵の形を形成していく!

 

そして放つ!

 

「霊槍シャスティフォル・第4形態"光華(サンフラワー)"!」

 

そして融合ノイズにダメージを…

あ…やっぱり駄目だったか。

 

あのソー●ー●ーム似の技を簡単に耐えてくれるなんてな…凄えな、融合ノイズ。

だったら!

 

 

そう言うと今度はランサーのカードを取り出し、アブソーバーに装填、そしてレバーを引き、そして纏った!

 

ースピリット!フォーム、ランサー!

クランの猟犬!光の皇子!ー

 

そしてすかさずドライブボタンを叩いた!

 

『スピリット・ランサー!フルドライブ!』

 

「"てめぇの心臓、貰い受ける!"」

 

そしてすかさず懐に入り込み、穿つ…!

 

刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)!」

 

グサッ!

 

「⁈」

 

良し、手応えありだ!

ん?良く見てみれば、石板がある…!

ならば!

 

「おうらぁぁぁぁぁぁ!」

 

「‼︎⁉︎⁈」

 

俺はその石板を引き抜く!

そしてそれに抵抗する融合ノイズ。

だが、生憎俺は筋力は伊達じゃないんだよ!

 

と、言ってる内に石板ゲットだぜ!

…って、これはサトシの台詞だな。俺には似合わない台詞だ。

なら言う言葉はこれかな…

 

「おめぇの石板(心臓)確かに頂いたぜ?」

 

「⁈」

 

さて、フィナーレといきますか!

 

そう言うと俺はレヴィアタンのカードを取り出し、ランサーのカードと交換、そしてレバーを引いた。

 

ースピリット!フォーム、レヴィアタン!ー

 

これで終いだ!

 

ー絶対防衛!水竜姫!ー

 

そして俺はすかさずドライブボタンを叩いた!

 

『スピリット・レヴィアタン!フルドライブ!』

 

そして俺はイメージする…スカサハ(魔槍の使い手)が放つ一撃を…!

すると俺の手に、レヴィアタンの形見の槍がもう一本現れた。

 

「"刺し穿ち、突き穿つ…!"」

 

行くぞ!レヴィアタン!

『はい!』

 

スカサハ直伝!

 

「『貫き穿つ死翔の槍(ゲイボルグ・オルタナティブ)‼︎』」

 

「‼︎⁉︎」

 

その一撃を喰らい、融合ノイズは灰となって消えた。

 

ふぅ…スカサハさんは強いな。まったく…

レヴィアタン。ありがとう。

 

『はい!』

 

とは言え、流石にクタクタだ。少し休憩しないとな。

次の戦いの為にも…!

 

ーーーーーーSIDEtoロック

俺は今、融合ノイズと戦っていた。

だが、融合ノイズが取り込んだ『英雄』がまさか女の子だとは…!

くっ!思うような動きが取れない!

 

それに何より、その取り込んだ『英雄』の()()()が気にくわない!

 

何故、アーチャーと同じ戦闘方法なんだ!

弓を番えて矢を放つ、

夫婦剣を取り出すや、そこから斬撃へ…

 

まるでアーチャーが女の子になったらと言うIF?みたいな設定の相手に俺は非常に戦い辛かった。

 

「だが、こんな所で負ける訳にはいかん!」

 

すると俺はそこから一枚のカードを取り出し、アブソーバーに装填、そしてレバーを引いた!

 

ーソウル!フォーム、タツヤ!ー

 

そして俺は其奴を纏った!

 

悪魔の右手(demon right)神の左手(divin left)!ー

 

「はっ!」

 

そう言うと俺は達也の愛機であるCAD『S・H(シルバー・ホーン)トライデント』を両方の手に其々持ちながら、正確に狙い撃つ!

 

だが、ノイズはそれを見るや、そのまま手を前に翳す。

そして攻撃が…効かなかった。

 

くっ!良く見れば、あれはアーチャーの最大の防御系宝具…

 

熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)じゃないか!

 

益々アーチャーのような奴だ…ん?アーチャーのような…?

 

んじゃあ…彼奴も弱点らしいものがあるのか?

 

ならば…!

 

そう言うと俺は大罪人が1人、【強欲の罪】を持つ彼奴をカードケースから取り出し、そしてアブソーバーの達也のカードと交換、そしてレバーを引き、そして纏った。

 

ーソウル!フォーム、バン!

七つの大罪!強欲のフォックス!ー

 

そして俺はパネルボタンを押した。

 

ー聖棍!クレシュース!ー

 

するとアブソーバーから3つに分かれた多節棍が現れ、俺はそれを手にし、そしてドライブボタンを叩いた!

 

『ソウル・バン!フルドライブ!』

 

すると俺はすかさずノイズの懐へと入った。

それを見たノイズは凝視した。

だが、その油断が命取りだ!

 

「はぁぁぁぁあ‼︎」

 

そう言うと俺は多節棍を豪快にぶん回す!

その一撃一撃はまさに大岩を何度も食らわせられてるかのような痛みが襲いかかっている…!

 

これでもくらえ!

 

「"死神の一薙(アサルトハント)"‼︎」

 

そして最後に一閃すると、融合ノイズはそのまま廃墟と化した学校だった建造物に埋もれた。

 

俺はそのままノイズの元へ向かうと、ノイズの腹から『英雄石板』が露出していた。

俺はすかさずその石板を引き抜いた。

特異型よりもスルリと抜けたな…呆気ないものだ。

 

そして俺はまだ生きているノイズに対して、

俺は情けは無用になった。

 

そして俺はアーチャーのカードを取り出し、すかさず交換して、レバーを引き、そして纏った。

 

ーソウル!フォーム、アーチャー!

Unlimited Blade Works!ー

 

「…さらばだ」

 

そう言うと俺はドライブボタンを叩いた。

 

『ソウル・アーチャー!フルドライブ!』

 

「"偽りの螺旋の剣よ。今こそ矢となりて、目の前を立ち塞がる壁を貫け…"

 

"偽・螺旋剣(ガラドボルグⅡ)"」

 

 

そして俺はガラドボルグの矢をノイズに放ち、

そしてノイズはそのままその矢を飲み込んだ。

だが、それで良いのさ。

 

「飲み込んだのが仇になったな…」

 

そう言うと俺はそのまま数歩歩いて、去り際に…

 

「"壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)"」

 

そう言って、指パッチンした。

 

すると、ノイズは自分の身体に何か異変を感じたのか、俺に命乞いをして来た。

だが、お前たちは多くの人を殺してきたんだ…

 

報いを受けろ…

 

それを最後にノイズは灰となりつつ、露散していった…

 

『すこし休憩した方が良い。まだフィーネ(親玉)がいるからな』

 

ふっ。相変わらずのお人好しだな。

若しくはオカンだな…アーチャー?

 

『オカンでは無いのだが…』

 

「いや、言動の時点でオカンなんだけど…?」

 

兎にも角にも、今はこの身を少しでも休ませておかなくては…!

 

ーーーーーーSIDEto憑友

俺は今、目の前の融合ノイズと相対している。

けれど、やっぱり強い…!

 

剣の太刀筋も良し、それを実行に移せる言動力も良し。

こんな『英雄』がいたなんて、思いもしなかった…!

 

「ぐっ!」

 

見た感じに剣の使い手だと分かる…!

けど、何故こんなにも違和感が!

 

考えても埒があかない!

 

「一気に行く!」

 

そう言うと俺はメリオダスさんのカードをアブソーバーに装填して、レバーを引き、そして纏った!

 

ーライド!フォーム、メリオダス!

七つの大罪、憤怒のドラゴン!ー

 

そして俺は今まで使っていた愛剣、"刃折れの剣"を抜かずに、

腰に携えていた剣を引き抜く!

 

「無闇に勝手に使ってすみません。けど今は…!」

 

『いや、今のは良い判断だ。

刃折れの剣でやりあおうとしたら、確実に死ぬぞ。

今はそれの許可を許す!』

 

!はい!

そう言うと俺はメリオダスさんの真なる愛剣を持ち、ノイズに構えた。

 

真なる愛剣…"魔剣ロストヴェイン"

 

メリオダスさんが騎士団時の時に使用していた武器。

使い方は分かってる…ならばやるのみ!

 

そう考えた俺はすかさずドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・メリオダス!フルドライブ!』

 

「はぁぁぁぁあ!」」」」」

 

すると俺の近くに4()()()()がいた。

 

これが魔剣の力…実像分身の力だ。

 

これは自分の力量を減らす事で、忍者で言う所の"影分身"を作る事が出来るという事。

但し、一体一体の力量は低いのが最大の欠点。

故に俺は4体までしか今の所は作りきれない。

メリオダスさんはこれの10倍は朝飯前どころか、寝てても出来ると思っている!

 

『なんか、過大評価し過ぎてねぇか?』

 

ソンナコトナイデスヨ〜!

 

『(じゃあ、なんで片言なんだよ…)』

 

それよりも、今は全てに懸ける!

そう言うと俺はドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・メリオダス!フルドライブ!』

 

「行くぜーー!」

 

そう言うと俺はいや、()()は、ノイズをフルボッコしていく…!

 

「⁉︎」

 

これでもくらえ!

 

「「「「「"全突撃(フルストライク)"!」」」」」

 

その一撃必殺の5方向同時攻撃に流石のノイズもこれには参った筈…だった。

 

「‼︎」

 

「「「「「⁉︎」」」」な‼︎」

 

なんとノイズの奴、触手のようなものを出して、分身達を消しやがった⁉︎

なんてやつだよ⁉︎

 

ならば!次は貴方の力を借ります!

 

そう言うと今度はセイバーさんのカードと入れ替え、レバーを引き、魂を纏った。

 

ーライド!フォーム、セイバー!

騎士王見参!聖剣降臨!ー

 

そして俺は壁に隠れて、聖剣をセイバーさんの能力『風王結界(インビシブル・エア)』で隠すと、そのままノイズの元へと突き進む!

 

「?…!」

 

ノイズも今の俺の攻撃で自分が斬られるとは思っていなかったようで、肩に傷を負わせた!

 

そしてそのままノイズの腹に剣を打ちかます!

 

そして、そのまま反動として回転する。と同時に、ドライブボタンを叩いた。

 

『ライド・セイバー!フルドライブ!』

 

「"束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流。受けるがいい!"」

 

一気に決める!

 

約束された…勝利の剣(エクス…カリバー)‼︎」

 

そして俺はかつて響が《完全聖遺物"デュランダル"》を振り回した時よりも威力をぐっと抑えたセイバーさんの技を融合ノイズに放った。

 

あの威力だったら、融合ノイズに入っている『英雄石板』が壊れてしまいかねないからな。

 

そうしていると、融合ノイズは地面に寝そべっていた。

そして良く見てみると、頭から石板の一部が出てきていた。

俺はすかさずその上に跨り、そしてそのまま石板を引き抜いた。

…意外とあっさり抜けた…!

 

しかも、融合ノイズは普通のノイズに戻ってる…!

なら、後はいつも通りに終わらせますか!

 

頼みます!キリト師匠(せんせー)

 

そう言うと俺はキリト師匠のカードと入れ替えて、レバーを引き、そして纏った。

 

ーライド!フォーム、キリト!

黒剣、双閃、アメイジング!ー

 

それを見たノイズは立ち上がるや、俺に向かって特攻してきた。

だけど、

 

『ライド・キリト!フルドライブ!』

 

こんな所で…終わる訳にはいかないんだーー!

 

ザシュッ!

ザシュッ!

ザシュッ!

ザシュッ!

ザシュッザシュッザシュッザシュッザシュッザシュッザシュッザシュッザシュッザシュッザシュッ!

 

「"スター…バースト……ストリーム"‼︎」

 

15の連撃から最後の一閃を受けたノイズはそのまま切り刻まれた後、灰となって消滅した。

 

ふぅ…なんとか終わったな。

 

「おーい!憑友!」

「憑友!」

 

あ、ロック!それに霊風先輩!

 

「こっちも終わr「憑友‼︎」?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グサッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?

 

 

 

「「⁉︎」」

 

「「⁈」」

 

「!…憑友ーーーー‼︎」

 

 

 

 

俺…何が起こったんだ…?

 

 

駄目だ…力が…入らない…なんで…?




次回

魔塔降臨そして…


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第59話 魔塔降臨そして…

今回は11話のラストまで一気に行く!


前回、何故あんな事があったのか?

それは少し数分前に遡る…

 

 

憑友達はフィーネとそして融合ノイズを相手に激闘を始めようとした。

 

その際に、憑友等《精魂導師》は融合ノイズ達の相手をする事にし、

そして響達《シンフォギア》装者達はフィーネと相対する事になった。

 

そんな響達の攻撃はフィーネには何一つ傷を負わせる程度のダメージはおろか、フィーネに一回もダメージを与えられていなかった。

 

そんな中でも、響はフィーネに何か言おうとした。

そんな響が偶然にも、フィーネの纏っている鎧についてる鞭の内の一本が先程から全く攻撃してこない事に気付く。

フィーネはその間まで一本の鞭で凌いでいたのだ。

響は辺りを見渡すと、その鞭が憑友の真後ろにあった。

 

「!憑友ーー‼︎」

 

響の掛け声を聞き、振り向く憑友。

だが、それが命取りとなり、今に至るのであった。

 

ーーーーーーSIDEto響

そんな…私のせいで…憑友が…⁉︎

 

「ふぅ…さて、そろそろ動かすとしよう…

天を突き、宇宙(そら)にある『月』を穿つとしよう…」

 

そうフィーネ(了子さん)が言うと、地面が揺れ始めた…!

 

そしてノイズ達によって廃墟と化していた学校が完全に崩壊されて、

そこからエレベーターシャフトの模様と同じ色合いの塔らしきものが現れた。

 

「これぞ、『月』を穿つ魔塔!

荷電粒子砲、《カ・ディンギル》!」

 

《カ・ディンギル》…!

 

「『月』を穿つだと⁉︎」

 

「何の為に⁉︎」

 

するとクリスちゃんとロックさんがフィーネに話しかける。

確かに、何故『月』を狙うの…?

 

「…《バラルの呪詛》かよ」

 

霊風さん?

 

「『月』こそが《バラルの呪詛》の源。

ならばこそ、それを穿つ事で、かつての自分の時代にあった《統一言語》の復元と、

あんたが同じ高みに昇りたいと思った相手に会う為か!

答えろ!フィーネ!」

 

「…ふっ。お前は超能力者か、何かか?」

 

霊風さんの言っていた事に対して、フィーネ(了子さん)は肯定した。

 

「だからって…なんで、憑友を!俺達の仲間を、なんで⁉︎」

 

すると霊風さんの質問に対して、フィーネ(了子さん)はこう言った…

 

「あの《幽霊症例》には初めて会った時のドックの際に埋め込んでおいたのだ…

《カ・ディンギル》の起動キーをな」

 

『⁈』

 

そんな…じゃあ、最初からこの計画は始まっていたの…⁉︎

 

「私自身が使えば済む問題だったがな…

《幽霊症例》の起動源〔命の灯火〕から特殊な磁場を発している事が分かったのだ。

だから私は、それをギリギリまで待って…」

 

「そこを付け狙った。って訳か…

ふざけやがって!」

 

「憑友は俺にとって仲間であり、ライバルだ。

そんな奴を…お前はーー‼︎」

 

そう言うとロックさんと霊風さんの2人はカードケースからカードを取り出して、アブソーバーに装填して、そしてレバーを引いた。

 

ーソウル!フォーム、ミツナリ!ー

ースピリット!フォーム、ユキムラ!ー

 

すると、ロックさんからは白い髪でスマートな甲冑を着込んだ青年の魂が、

霊風さんからは赤がトレードマークの双槍使いの青年の魂が現れて、それぞれ纏った!

 

ー君子殉凶!凶王三成!ー

ー天覇絶槍!六文銭!ー

 

するとロックさんがフィーネ(了子さん)との間合いを瞬時に縮めて、一気に抜刀した!

 

「"懺悔"」

 

そう言うと同時に、無数の斬撃がフィーネ(了子さん)に襲いかかった。それを余裕で受け止めるフィーネ(了子さん)

しかし、そこへ赤い姿へと変わった霊風さんが来て、攻撃を仕掛けた!

 

「"烈火"!"大烈火"!」

 

目にも留まらぬ速さで2つの槍を連続で突く霊風さん。

流石のフィーネ(了子さん)でも止められなかった。

だけど、不敵な笑みを浮かべていた…なんで?

 

すると《カ・ディンギル》の方から音がし始めてきた…

 

…音?

 

「⁉︎まさか、てめえ!」

 

「そのまさかだ」

 

霊風さんは何かを察した。

すると《カ・ディンギル》が輝き始めた…!

 

ーーーーーーNO SIDE

 

輝きを増す《カ・ディンギル》を前にした霊風は前世の記憶を漁る。

 

そうしている間にも、響以外の全員で攻撃を仕掛けるも、フィーネは悉く受け流されていく。

 

そんな最中、ロックは辺りを見渡していた。

 

「(クリス…?クリスがいない⁉︎)」

 

それを感じ取った霊風はロックの動揺で何かを探しているのに気付く。

そんな2人を見たフィーネは攻撃をしようとしたが、翼によって妨害させられた。

 

「!クリスちゃん⁈」

 

と、ふいに響が上を向いて言ったので、残りのメンバーは上を見ると、

クリスがミサイルに乗って、《カ・ディンギル》上空へと飛んでいた。

 

「《カ・ディンギル》は誰にも止められない!」

 

フィーネはそう言っている間に、《カ・ディンギル》のエネルギーはチャージされ続けていた。

 

ーGatrandis babel ziggurat edenal…ー

 

「この詠…まさか⁉︎」

 

すると突然の歌を聞いた皆は目を見開く。

それは『絶唱』の歌詞だったから。

 

ーEmustolronzen fine el baral zizzl…ー

 

上空へと到着したクリスは尚も、『絶唱』の歌を詠う…

 

ーGatrandis babel ziggurat edenal…ー

 

この時、クリスは感じていた…

自分は自身の父親と母親の事が大好きなんだという事に。

 

ーEmustolronzen fine el zizzl…ー

 

「クリスーー‼︎」

 

「⁉︎」

 

と、歌い終わると同時に聞こえてきた声にクリスは驚く。

 

そこには義理の兄であるロックがクリスの元へと急いで来ていたのだ!

 

「ロック義兄⁉︎なんで」

 

「お前1人で先に行くな。

俺はお前を守りし騎士だ。お前を守らなかったら、

俺は生きたまま死んでいる生活を送らないといけない。

そんなのははっきり言って御免だ。

そんな廃人みたいな生活(ライフ)を送るよりか…

 

お前と一緒の方がマシなんだよ」

 

「⁉︎////」

 

ロックの突然過ぎる発言に、クリスは顔を一気に茹で蛸のような顔を見せた。

 

「…一緒に止めるぞ…クリス!」

 

「!…おうよ!」

 

そう言うとロックはベーシックスタイルであるフォーマルへと変わり、そして水の弓を取り出し、そしてドライブボタンを叩いた。

そしてクリスも二丁の特大ライフルへと型物を変え、それを1つの電子砲へと合体させた。

 

『ソウル・フォーマル!フルドライブ!』

 

「行こう…クリス…」

 

「…うん」

 

そう言うとクリスは引き金を引き、ロックは弓の弦を引っ張りそして離した。それも2人同時に…

 

「"ハイドロ・アビス・ブラスター"ーー‼︎」

 

ロックの技とクリスの『絶唱』で生み出されたエネルギーが同時に放たれた!

 

それと同時に地上の方では《カ・ディンギル》から特大のエネルギー粒子砲が発射された!

 

そのまま激しく激突をぶつける両者の攻撃。

 

だが、『絶唱』を受けたクリスのシンフォギアは徐々に罅が入って来ていた。

そしてロックもまた、先程まで激しかった水の勢いが徐々に減少していっていた…

 

するとクリスは隣に立っているロックに手を差し伸べてきた。

それを見たロックは弓を持ったまま、もう一方の手でクリスの手を握った。

その際に2人の後ろからオーラのような物が見えた。

 

まるで…

 

"荒ぶる海を征した王者の竜"がそこに居るかのように。

 

そしてやがて2人は《カ・ディンギル》が放ったエネルギーの光に…

 

 

 

 

 

 

ドガァァァ‼︎

 

 

 

 

飲み込まれた…

 

ーーーーーー

そんな様子を見ていた響と翼、霊風の3人。

 

フィーネは結果を見て動揺する…!

 

「⁉︎し損ねただと⁉︎」

 

彼女の仕掛けた《カ・ディンギル》の攻撃は2人の活躍により、一部欠けたとは言え、月の完全破壊を食い止めたのだ。

 

だが、同時に月が見える地点から、2人は意識を無くしたまま、そのまま近くの森の中へと落ちていってしまった…

 

それを見た翼と響。2人の結末を見た響の瞳からハイライトが消えてしまっていた。

 

「!…ぁ…ぁぁ…ああぁぁぁぁ‼︎」

 

 

その悲鳴を聞いたのか、ここに来て、憑友が目を開けた。

 

 

「…ロック…」

 

ライバルであり、同時に仲間を失った憑友。

 

立て!憑友!

世界はまだ君を求めている…!

 

次回へ続く…




次回

暴走再び


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第60話 暴走再び

今回は少しアニメ準拠から少し弄ってます。


雪音とロックの活躍により、《カ・ディンギル》の第1射は月の完全破壊を食い止めた。

だが、その代わり、クリスとロックの2人はそのまま森の中へと落ちていってしまった…

 

その一部始終を見た響は泣きながら、地面に膝を着かせた。

 

ーーーーーーSIDEto響

 

せっかく仲良くなれたのに…こんなの…嫌だよ…嘘…だよ…

 

ドクン…

 

もっとたくさんお話ししたかった…

話さないと、喧嘩する事も、

今よりももっと仲良くなれるなんて事も出来なんだよ…

 

ドクンッ!

 

クリスちゃん…夢があるって。

でも、私、クリスちゃんの夢。まだ聞けてないよ…

 

「自分達を殺して、月への直撃を阻止したか。

ハッ!無駄な事を」

 

無駄な事だって…!

 

「見た夢も成せないとは…とんだ屑だな?」

 

ドクンッ‼︎

 

ーーーーーーNO SIDE

 

フィーネ(てめぇ)…!人の尊厳を侮辱しやがって!」

 

「笑ったか…!

生命(いのち)を燃やして…大切な者を守り抜く事を…!」

「お前は無駄とせせら嗤うか‼︎」

 

「おめぇ…!人の命をかってに弄んだ故に罵声をかけるか!

人に化けし化け物が‼︎」

 

そう言うと翼と霊風の2人はフィーネに其々の得物である、剣と槍の矛先をフィーネに向けた。

 

…ドクンッ‼︎‼︎…

 

「それが…」』

 

「「⁉︎」」

 

『「夢ごと命を踏み躙った人の言う事かーー‼︎」』

 

すると2人の間にいた響が立ち上がった。

だが、その姿はあまりにも変わり果ててしまっていた。

 

目が赤で、後は全て真っ黒に染まっていた。

 

かつて、《デュランダル》を護送した際に起きた"暴走"がここに来て発動してしまったのだ。

しかし、今回は以前とは違い《デュランダル》を所持していない。

つまり、響の負の感情によって、"暴走状態"が発動されたのだ。

 

それを見たフィーネは不敵で尚且つ妖麗な笑みを浮かべる。

フィーネにとってはそれは計算通りの展開だったのだ。

 

「響ちゃんを実験材料にしやがって!」

 

「⁉︎」

 

霊風の言った言葉に翼は目を見開く。

 

「実験?なんの事だか?」

 

「惚けんじゃねぇ!

《聖遺物》の欠片を体内に宿している響ちゃんの身体を、お前は実験材料にしたんだろうが!

それを利用して、お前は《ネフシュタン》と一心同体になったくせに!」

 

「⁉︎」

 

霊風の発言を聞いた翼はフィーネに向ける。

そんなフィーネの態度は妖麗で且つ不敵な笑みを浮かべていた。

それ即ち、肯定と言う意味でもあった。

 

『「Ugaaaaaaa‼︎」』

 

そう言っていると、響がフィーネに向かって怒涛のラッシュを叩き込んでいく!

だが、肝心のフィーネはそれを悉く受け止め、さらには反撃まで仕掛けてきた。

響はそれをまともに受けながらもそれでもフィーネに向かってラッシュを繰り広げていく!

その威力で2人のいた地点の地面に亀裂やら衝撃が襲いかかる…!

 

そしてそれを見ていた翼と霊風の2人はその衝撃をまともに浴びながらも、響を宥めるように言葉をかける。

だが、その響に2人の声は全く以って聞こえていなかった。

…いや、()()()()()()

 

すると響はそんな2人に顔を向けると、其処から一気に2人の間合いを縮めては、2人に猛獣の爪と化した手を挙げたのだ!

それを見た2人は響の暴走を止めるように動きまわる。

 

「最早人に非ず。人の姿をした『破壊衝動』に過ぎん…!」

 

フィーネはそう言いながら、そんな3人の戦いを高みの見物のように見ていた。

それに苛立ちを隠せない翼と霊風。

 

そんな2人に響は己の拳を振り上げる!

 

激しい激闘が2人の体力をじわじわと削っていく…

 

今の響の感情は最早絶望に染まった者そのものであった。

 

フィーネが身体を抉った事で憑友が倒れ、

クリスとロックの義兄妹が月の破壊を防ぐと同時にその命を落とした…

それ以前に、未来がいるであろうこの場所に肝心の未来や学園の生徒達の安否が分からない始末。

 

彼女が生まれながらにして持っている『呪われ体質』も此処まで来れば最早"不幸"と言うにはあまりにもデカ過ぎる結末。

 

そんな彼女の心境を分からなくは無い翼と霊風はそれでも響に問いかける。

 

そうしていると、再び《カ・ディンギル》から膨大なエネルギー反応を感じた2人。

 

2人は《カ・ディンギル》の方を見るとなんとチャージし始めていたのだ‼︎

 

「まさか…!」

 

「くっ!…フィーネ(てめぇ)!」

 

「《カ・ディンギル》がそう如何に最強の兵器でも、それがたった1発しか撃てないのなら、それは最早欠陥も同然。

必要ならば何発でも撃てる。

その為に、エネルギー炉心には不滅の剣《デュランダル》を取り付けてある…!」

 

「…それさえあれば永久に撃ち放題って訳か。ロマンの欠片もありもしねぇ…」

 

フィーネの発言を聞いた霊風はそう愚痴を零す。

すると翼はフィーネに刃を向けた。

 

「だが、お前を倒せば…!」

 

そう言うと霊風は得物である槍の矛先をフィーネに向けた。

 

「操作する者がいなくなる…そう言いたいんだよな?」

 

「!…ああ」

 

そう言っていると、2人とフィーネの間にいた響が呻き声を上げながら、立ち上がる。

 

「立花…

 

私はいや、私と霊風さんの2人で、《カ・ディンギル》を止める

だから…」

 

 

 

翼がそう言っていると響が2人の元へと駆ける…!

 

そして翼は得物の剣を地面に刺した。

 

「?」

 

その様子を見たフィーネは何をしようとしているのか分からなかった。

 

そして響が翼を攻撃しようとしたその時だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドサッ!

 

 

 

 

 

 

 

「…⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グシャッ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…⁉︎」

 

「な、何⁈」

 

翼の立っていた場所で、翼に向けて振り下ろされた響の手は何者かの手によって止められた。

 

そして翼はと言うとその何者かによって、横へと吹き飛ばされ、吹き飛ばした本人を見た響以外の3人はその姿を見て驚愕させられた。

 

そして響も自分が放った手を受け止めた存在の温もりを感じて気付かされた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ……はぁ…はぁ……」

 

其処にはフィーネによって胸の部分が完全に空洞と化していた存在…

 

 

 

 

 

 

 

憑友が其処にいた。

 

響はそんな憑友の空洞と化した胸に手を貫通させていた。

響はそれを離そうとするが、逆に憑友に引っ張られた。

 

そして同時にその状態のまま、憑友に抱かれた。

 

「…らしく…ねぇじゃんか…響」

 

憑友は荒い息使いながらもそう話していく。

 

「『この…拳は…誰かと…手を繋ぐ…為の物』…だろ?…

 

そんな…力を…暴力…の為に…使うなよ。

 

その…力を…託した…奏…さんの…想いを…無駄に…しない…で…くれ」

 

そう言いながら、憑友は左手で響の頭を撫でる。

そして同時に、右腕に装着されていたサブウェポン《刺突刃》から刃物の刀身が全て抜けた。

まるで細身の剣のような形状をした刺突刃の刃物を、憑友は右手でキャッチするや、そのまま響の影に向けて放ち、その剣で影を刺した。

 

"影縫い"

 

元は翼のマネージャーである緒川と、その緒川から教わった翼、そしてそれとは別の経由ー今思えば、それはフィーネの策略だがーによりロックが使用する相手を動けなくする特殊な技法。

 

憑友は緒川本人と、ロックから密かに教わっていたので、それが可能になっていたのだ。

 

そうしていると、響の頭を撫でるのをやめた憑友はそのまま響から離れ、フィーネの方へと足を引き摺りながら胸を左手で抑えながら前へと出る。

 

「…まだ生きていたか。《幽霊症例》」

 

「へへっ…伊達に…2年間も…成仏…出来て…ないんでね…!」

 

フィーネがそう言うと憑友は笑って誤魔化す。

 

そう言うと憑友は抑え続けている心臓部から手を離した。

 

「はぁぁぁ……」

 

すると憑友は気溜めを始める。

 

すると身体のあちこちから火の粉が憑友の周りから飛び散り出していた。

 

「何をするつもりだ?」

 

「…さぁな…

俺に…とっては…これが…運…命の…選…択…だからな」

 

そう言いながら息使いが更に荒くなっていく憑友。

 

すると憑友から放たれていた火の粉がまるで意思を持つかのように、

翼と霊風にその火の粉がやって来ていた。

 

「後は…たの…み…ま…す……」

 

そう言うと憑友は膝から地に落ち、そして身体の全てを地面に預けるかのように地に伏した。

 

それと同時に翼と霊風の身体から炎が纏った…!

 

「憑友…ああ…!」

 

「この想い…無駄にはしない!」

 

そう言うと2人はそれぞれの得物を携え、フィーネにその矛先を向ける。

 

すると翼が持っていた剣の刀身が真っ赤な炎を煽り、

霊風が使用していた槍の矛先が紅蓮のような赤みを帯びた…!

 

「"風と炎。1つに交わりし時…"」

 

「"その強さ…『熱風』へと変わらん…!"」

 

2人はそう言うとそのままフィーネにその矛先をぶつける。

だが、その俊敏さが尋常じゃなかった…!

 

 

 

 

カスッ!

 

「⁉︎(この距離を…瞬時にだと…⁉︎)」

 

30…それは翼と霊風からフィーネまでの距離。

それを2人は僅か1秒でフィーネの懐までやって来たのだ…

 

まるで2人の背中にジョットエンジン並みの出力を持ったブースターを取り付けられているかのように。

 

その後も、翼と霊風はフィーネに向かって、猛攻を仕掛ける…!

だが、フィーネも負けじと反撃に出る…!

 

しかし、2人はそれを紙一重で全て避ける…!

 

すると翼が両手に剣を出し、足に付いてる刃を開かせるとそのまま飛翔した!

 

「これを、剣と見て取れるか‼︎」

 

「何を…⁉︎まさか!…っ‼︎」

 

翼はそのまま《カ・ディンギル》の方へとその身を羽ばたかせる…!

フィーネは翼が何をしようとしているのかを気付くと、鞭を使って、攻撃する…!

だが、その攻撃は翼の元へと届かなかった…!

何故なら…

 

「何⁈」

 

「俺を倒してからにするんだな!フィーネ!」

 

其処には熱風へと変わった槍を携えた霊風がいた。すると霊風はその槍を槍投げの様に用いると、そのままフィーネに向けて放った!

 

「"熱風の槍、決めてやる…!"

 

 

"フレアリィ・ドリル・ランサー"‼︎」

 

すると槍の矛先は螺旋の形状になるや、そのまま炎を上げながら回転しながら、フィーネに放つ!

 

フィーネは咄嗟に鞭を使って障壁を作り上げた。

 

ーASGARDー

 

そしてその炎の螺旋槍()鞭の障壁()が激突した。

 

その威力は壮絶な物だった。

だが、その対決は威力が切れた槍がそのまま地面に落ちた事により、盾が勝った事を意味し、

それは同時にフィーネの守りが堅いと言う事も分かった。

 

だが、フィーネはその対決が無駄だと言う事に今更ながら気付かされた。

何故なら、(1人)は空を剣で飛び…

 

霊風(もう1人)は塔を跳びながら上へと目指していたから。

 

「俺達の想いをーー‼︎」

 

「此処で終わらせない!目を覚ませ!」

 

「立花ーー‼︎「響ーー‼︎」」

 

そう言うと翼の剣の炎が更に燃え、霊風のなけなしの拳から迸る雷が発生する。

その時、フィーネは見た…

 

 

霊風の背中から、"雷の力を携えし狼の竜"の姿が…!

 

それにより、2人は同時に攻撃をした。

 

 

そして沈黙から一転…膨大な程の爆音と共に、魔塔《カ・ディンギル》の砲台が完全に壊された。

 

これにより、もう2度と月を破壊される事が無くなったのである。

 

「そんな…⁉︎」

 

フィーネは落胆する。自分の計画が此処で潰えたと言う事に。

 

だが、その代償があまりにもデカかった…

 

それ以降、翼と霊風の姿が全く以って無くなったのだ。

 

反応…ロスト。

 

それ即ち…生存不明と言う事でもあった。




次回

仲間の声/シンフォギア


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第61話 仲間の声/シンフォギア

とことんぶっ飛んでます!
そして次回から作者の得意なバトル回!


翼と霊風…2人の活躍により、フィーネの計画の中枢を担っていた建造物《"魔塔"カ・ディンギル》は崩壊した。

だがその代償として、翼と霊風の姿がそれ以降全く見えなくなってしまっていた…

 

響は先程までの暴走状態から理性を取り戻したのも束の間、悲しみの絶望へと叩き落とされていた。

その証拠として、彼女の瞳に光が灯されていなかった…

 

憑友を結果的に自分が殺したと言う深い挫折を…

翼と霊風、ロックとクリスが命を賭けてまで未来へと繋いで去った事を…

そして何よりも…

未来達の安否がまともに取れていない事に…

 

彼女の不幸は何処まで続けば気が済むのか知れたものじゃない。

 

 

そんな響に対してフィーネは自分の計画を狂わされた事に憤慨し、その怒りの矛先を響に向けた。

 

激しい罵倒が彼女の身体に突き刺さってくる…

 

しかし、響の心は此処に非ずと言った感じで、何者の声すらも聞こえていなかった…

 

そして幾多もの罵声が飛び交った…その時だった…

 

 

(♪〜♪〜♪〜)

 

 

微かに…だが、同時に聞こえてきたのは…

 

学校(リディアン)の校歌だった…

 

そしてその校歌を歌っているのは…リディアンの生徒や教諭達の声が聞こえていた。

そしてその声の中に…未来の声があったのだった…

 

ーーーーーー

一方、数時間前。

未来は奏と弦十郎等二課の面々と共にシェルターへと移動していた。

 

その際に、天井が崩壊。その瓦礫が未来と奏に襲い掛かろうとした際に弦十郎の咄嗟の判断により、2人はなんとか守られたが、その際に、弦十郎は突然の態勢により、背中と頭から血を流すという事態になった。

 

そんな中で未来達はシェルターの一室に到着した。

 

そこには未来と憑友そして響のクラスメートの創世達がいた。

 

事態を飲み込めていない創世達に血を流していた弦十郎が友里の手当てを受けながら、今回の事態を噛み砕いて説明した。

 

その話を聞きながら、電子機器を弄る藤堯と牧藁の2人。

 

如何やら通信が可能のようで、2人はその映像をこの場にいた皆に見せた。

 

そこには、憑友と響の2人と、本性いや、化けの皮を剥がしたフィーネこと櫻井了子が相対していた。

だが、憑友の変わり果てた姿を見た未来達は口を塞いだ。

憑友の心臓部が抉れていたからだ。

 

しかも、その映像には翼と霊風、ロックとクリスの2人が映っていなかった。

 

クリスとロックの2人は月の破壊を防ぐ為…

 

翼と霊風は《カ・ディンギル》破壊の為に、その身を燃やしていた…

 

そんな中で、憑友と響がその現場にいた事に未来が気付くと、創世達が話しかけて来たので、未来はありのままの事を話した。

 

それを聞いた3人の内の1人、板場弓美が己が持っていた疑問をありのままにぶつけた。

だが、それを未来は自分

 

そんな中、シェルターの方からドガッ!ドガッ!と何かを"壊す"ような音が聞こえてきた。

それを聞いた皆はその音のする方…未来達が入って来ていたシェルターとは全くの正反対の方を見る。

そこには棚があり、そのスペースには非常食があるのだが、

先程の音からカタカタッ!と言う音が聞こえており、それが更に増していっていた。

そうしていると…

 

 

シュパァンッ!ドガァァァッ!

 

なんと、その棚が設置されていた壁が、棚ごと()()()()()()()()()()のだ。

 

すると、未来はその壁の方を向くとそこにいたのは…

 

「⁉︎逝都⁈それに馬燈君⁈」

 

「ん?…あ、未来っち?」

「よっ!」

 

なんと憑友と響と未来の幼馴染の浅岡と一走であった!

しかも、2人の後ろにはたくさんの人がいた。

如何やら2人はシェルター内の人達を探し回っていたようだ。

 

そして未来達が入って来た方からは緒川が現れ、彼の後ろにも避難者がいた。

すると、緒川の近くにいた女の子が藤堯が見せている映像を見て、

 

「あ!ママ!かっこいいお姉ちゃんとかっこいいお兄ちゃんだ!」

 

と言って、画面内の映像の方まで来ていた。

実はこの女の子は響が学校初日で、初めて《シンフォギア》を纏った日と共に、

響と憑友が再会した日に、2人が救った女の子だったのだ。

 

その話を女の子の母親から聞いた未来達。

未来に至っては、響と憑友らしいと言ってその光景を見た。

 

「ねぇ。あのかっこいいお姉ちゃん達に応援しよう!」

 

そう言って来た女の子。

しかし、現状では如何することも出来ない事を藤堯が説明する。

しかし、未来は女の子の言った『応援』になにか閃いた。

それを弦十郎に説明する。

 

「此処から響や憑友達に私達の声を…無事を知らせるには如何すれば良いんですか⁉︎」

 

その話を聞いていた藤堯が、「学校の施設が無事なら、此処から声を届かせられます!」と言った。

そう言うと、逝都と馬燈は準備運動を始めた。

何をしてるのかと思って、聞いてみたら…

 

「んなもん決まってらぁ!」

 

「道中で"ノイズ"と遭うかもしれないのに、戦う力を持っている俺達が守らないで如何するんだよ!」

 

その言葉を聞いた未来達は口から笑みが零れていた。

逝都と馬燈も憑友や響(ダチ)を見殺しになんかしたくないのだと。

 

そして未来達は緒川の先導によりその設備が設置されている場所へと急行した。

 

そこには大人が入りきれず、子供がようやく入れるくらいの大きさの狭い扉しかなかった。

それを見た馬燈はすぐに懐に携えていた刀で十文字斬りを放つ!

 

すると十文字斬りを受けた箇所がスパンッ!と斬られ、未来達はそのまま中へと進行していく。

しかし、それでも大人の類には入っている緒川では、ぎりぎりアウトだった。

だが、未来、創世達、逝都と馬燈の6人はなんとか入れた。

 

そしてそのまま逝都と馬燈が膝を曲げて、背中を踏み台にすると、その上に創世と詩織が乗り、逝都と馬燈と同じ態勢にすると、今度は未来が乗り、4人と同じ態勢にすると、その上に弓美が乗り、そのまま一気にジャンプして、設備のブレーカーを起動させた!

 

ジャンプした為か、そのまま一気に崩れ落ちたものの、それでも成功した事を実感した6人は急いで弦十郎達のいるシェルターへと戻る。

 

 

無事に戻って来た未来達は、ある意味で憑友と響が帰る場所を…自分達がまだ生きている事を知らせる為に、ある曲を歌った…

それこそ…先程響が聞いた曲…

 

リディアンの校歌であった。

 

「(響…憑友…私達は無事だよ…!)」

 

ーーーーーーSIDEto響

 

歌が…聞こえる…?

 

暖かくて…私と憑友が帰る場所の歌が…聞こえる!

 

「ッ!耳触りな…何が聞こえている⁈」

 

この歌を…耳触りだと…言うな…

 

「ん?」

 

暖かくて…とても優しくて…心が落ち着けて…

そして、どんな事でも…立ち上がれるこの歌を…

 

耳触りだと言うなーー!

 

 

 

ピカーーーンッ‼︎

 

「⁉︎まだ戦えるだと⁉︎何を支えて立ち上がる⁈

何を握って力へと変える⁈鳴り渡る不快な歌の所為か⁉︎

…そうだ。お前が纏っている物はなんだ…⁉︎

心は確かに折り砕いた筈…⁉︎

…なのに、何纏っている…⁈

それは私が作った物なのか⁈

お前が纏うそれは一体なんだ⁈」

 

そんなのは分からない…判らないですよ。

でも…これだけは言える…!

 

これはみんなの思いで作り上げた…

 

 

 

 

シーンーーフォーギアーーーーーー!」

 

ーーーーーーNO SIDE

 

朱き月が降り、暁の太陽が日の出と共に動き出すと共に、3筋の光が空へと駆ける…

 

青き光に導かれるは、《竜を滅する剣》

 

紅き光に導かれるは、《魔を穿つ弓》

 

そして天にも届く程の黄色き光に導かれるは、《槍の名を冠する『拳』》

 

その3筋の光が消えると同時に、それを纏いし少女達が、

 

奇跡の翼と共に、舞い上がる…!

 

そしてそれと同時期に、3つのポイントから3つの生命が動き出していた。

 

 

深き海溝の果てに居座る物は、その光に反応し、ワニのような口を開かせ、目を輝かせつつ開け、そして海の中でも響く咆哮を繰り出すや、そのまま深海とは真逆の、海上へと進行していく…

 

 

また、ある平野では、多数の蟲達が騒ぎ立てる。

それを感知したのは、その蟲と共に共存する狼。

その蟲の騒動を見た狼は、空を見る。

そこには、一部が欠けた月と、暁に照らされし太陽。

そして、3つの光だった。

 

それを見た狼は、その場からその強靭な脚でその元凶である場所へと赴く…

 

 

そしてまた別の地点では、雲海が流れ込む地にて、つがいの竜がその光景を目の当たりにしていた。翠の竜と朱き竜だった。

朱の竜は翠の竜の目を見る。

翠の竜は何も言わずに微笑む。

それを見た朱の竜は、自身の顔と翠の竜の顔へと擦り寄せ、そしてその場へと急いだ…大きな翼を羽ばたかせて。

 

 

 

3つの光により、新たな3つの生命が呼び寄せられていた。

 

決戦の時は…もうすぐだった…!




次回

狩猟魂


作)今回のラストに出てきた奴等…分かりました?
次回予告がヒントです。


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第62話 狩猟魂

予告
この無印編も残すところ今回も含めてあと4話になって来た。
このままG編まで行くのでよろしくお願い致します。


暁に照らされし太陽の下、3つの光が空へと駆ける…!

 

そこには《シンフォギア》を纏った3人の女の子達が空を飛んでいた…!

 

シェルター内にいた未来達はその映像を見て歓喜していた。

 

そんな中、フィーネは不快な気持ちになっていた。

自分が作った《シンフォギア》には、空中遊泳や、色彩変化(そんな機能)などは取り付けていないと。

しかし、それをクリスや翼は否定した…テレパシーで。

 

それを聞いたフィーネは更に不快に感じさせた。

そんな中でも、響と言う女の子は話し合いを持ちかける。

 

しかし、フィーネはそれを拒むばかりか、《ソロモンの杖》を取り出すや、そのままノイズを召喚させた。

ノイズはそのまま3人に特攻を仕掛けるものの、3人は空中を自在に飛びながら避ける。

 

しかしフィーネは杖を真上に向け放った!

 

その瞬間、リディアンもとい《カ・ディンギル》周辺に位置する住宅街等で、ノイズが大量発生されたのだ!

 

その数…実に10000!

 

その数を見た3人は狼狽えてしまっていた…

 

そんな光景の中で、フィーネは嘲笑う。

だが、そんなフィーネの周りに()()がうようよしていた。

 

「?…っ!なんなのだこの蟲は⁈」

 

その正体は、蟲だった。

だが、その蟲から特殊な磁場が発生していた。

 

それはもちろん、上空にいる響達の所にもやって来ていた。

 

「なんだ?」「これは一体?」

 

クリスと翼はその蟲を見て疑問詞が出る。

対して響はその蟲を触った…その時…

 

バチッ!

 

「っ⁉︎」

 

「!立花⁉︎」

 

「おめぇ、大丈夫かよ⁉︎」

 

その蟲を触った瞬間に、響は痛みを感じたのか、その蟲を握った右手を離した。

そして響はこの蟲達が何者なのかも分かった。

 

「もしかして…」

 

そう響が呟こうとしたその時だった!

 

 

 

 

ウオォォォォォォ……

 

 

何処からともなく聞こえてくる咆哮にこの場にいた4人が耳を立てる。

 

 

 

ウオォォォォォォンッ‼︎

 

 

『⁉︎』

 

そして声のした方向を見ると其処から1匹の狼らしき存在が此方へとやって来ていた!

 

しかも、その存在が走って来た場所にいたノイズは…全滅していた!

 

 

「なんなのだ⁈」

「狼⁉︎しかもデケェ⁉︎」

「走っただけでノイズが死滅⁈」

 

上からフィーネ、クリス、翼が其々言う。

すると響はその狼を見て、思い出す…!

 

それは自分がまだ未来に《シンフォギア(この事)》を伝える前、

憑友の家にお邪魔した際に出会ったあの狼であるという事に。

 

「オウガ⁉︎」

 

「ウォォォォォン!」

 

響の問いに軽快に答える狼いや、彼には名前がある。

 

 

"無双の狩人"とも呼ばれている地上を徘徊する狼の姿をした()

 

 

"雷狼竜 ジンオウガ"と言う立派な名前が。

 

 

そうしていると、ジンオウガは一棟のビルの屋上に華麗に着地した。

すると今度は、呻き声を発していく。

 

すると、先程までうようよしていた蟲…雷光虫達がジンオウガの方へと集まり始めたのだ…!

 

そして全ての蟲達がジンオウガに集まった瞬間、

 

 

「ヴォォォォォォォォォォォン‼︎」

 

 

先程よりも最早、咆哮に近い声を轟かすと同時に、ジンオウガの毛並みが全て逆立ちしたのだ!

 

ジンオウガの特殊状態"超帯電状態"の姿だった!

 

するとジンオウガは呻き声を発する。

 

そしたらなんと、ジンオウガの立つビルの周辺にいるノイズ達に特大の雷が無数に放たれた…ジンオウガの背中から。

 

そして雷が咆哮をするかのような声を発すると全身から雷を放ち、

ジンオウガの周囲に存在していたノイズ達が一斉に灰となった…上空にいるノイズ達にも。

 

 

その様子を見たフィーネは不快な顔を出す。

だが、それを更に不快へと誘う…

 

 

 

 

「ヴォォォォォォォォォォォ‼︎」

 

 

「⁉︎」

 

突然聞こえてきた轟めく咆哮。

その声を聞いたフィーネは辺りを見渡す。

そしてその声を聞いたジンオウガはほかのノイズ達の事を完全スルーするや、そのまま海面がある方角を向いていた。

それを見ていた3人はジンオウガと同じ方向を向いた。

 

すると突然、海の底から光が発生して、其処からノイズ達に攻撃を仕掛けていた!

そしてその光の正体が、まさかの雷であった!

すると海面が上昇すると、其処から地上へと何者かが現れた!

 

それを見たクリスは驚愕した。

 

「!…ラギア⁉︎」

 

そう。かつて、憑友とロックの決着後に現れた海を征するモンスターにして、種を代表して"海竜"と呼ばれている存在…

 

 

"海の王者 ラギアクルス"が地上に現れたのだ!

 

するとラギアは迸る雷を全身に浴びると、そのまままるで槍の突進のような行動で、直線上にいたノイズ達を葬り去った!

 

そしてラギアはそのままクリスがいた場所へと向かって行った。

其処にはクリスの義兄…ロックがいた。

 

 

フィーネは更に顔をしかめていると、先程のジンオウガが此方に向かって来たので、慌てて躱すとジンオウガはフィーネの事など眼中にないと言わんばかりに、そのまま過ぎ去る。

そしてそのまま崩壊した《カ・ディンギル》の頂上へと登り詰める…

其処には翼と共に《カ・ディンギル》を破壊した存在…霊風がいた。

 

 

フィーネは嫌な予感を感じたのか、鞭を使って、ジンオウガを攻撃しようとした。が、

 

 

 

「ヴォォォォォォォオオオ‼︎」

 

今度は遥か上空から聞こえてきた声に4人は驚く。

 

「上から何かが来る⁈」

 

「一体何が来るってんだよ⁉︎」

 

「ちっ!またしても!」

 

「この声…まさか⁉︎」

 

翼、クリス、フィーネは動揺を見せる。そして響はこの声に身に覚えがあった。

 

それはジンオウガと出会った日と、

そして憑友と共に未来を助ける際にも聞こえてきた声だったから。

 

 

すると1つの雲が赤く染まり出す…と思いきや、

 

 

ドガァァァ‼︎

 

なんと其処から火球が出没し、そのままノイズ達に攻撃し、ノイズはその威力により灰となって消えてしまったのだ!

 

そしてその正体が上空から舞い降りてきた…!

 

赤い鱗と甲殻、強靭な脚、針らしき物が付いてる尻尾、

そして羽ばたかせ続けている強靭な翼。

 

その正体は、飛竜と呼ばれる存在達を代表する存在にして、その強靭な翼で世界を飛び回れる実力から"空の王者"とも呼ばれる存在…

 

 

"火竜 リオレウス"が現れたのだ!

 

 

ジンオウガ、ラキドクルス、そしてリオレウス。

 

今この場に3体のモンスターがノイズを倒していく…!

 

全ては、自分達の絶対領域(テリトリー)に侵入した者を…抹殺する為に。

 

 

すると、レウスはそのままフィーネの方へと滑空するや、そのまま脚でフィーネを攻撃する。

しかしフィーネはそのままヒラリと躱す。

だが、レウスの目的は其処ではなかった。

 

レウスはそのまま火球を連発させ、フィーネを後退させていく!

だが、フィーネは避けるばかりか、そのままレウスに向かって来た。

しかし、レウスは寧ろ計算通りとも言えるような顔を見せた。

 

するとそのままレウスは全身を半回転させた!

 

フィーネは何をしようと関係ないと思ったが、其処が命取りとなった。

 

 

ドガッ!

 

「ぐはっ⁉︎」

 

フィーネは何かに当たって、吹き飛ばされた…いや、当たったのではない…()()()()()のだ。

 

レウスの尻尾に。

 

するとレウスは《カ・ディンギル》の方を向くと、ジンオウガが此方を見る。

そして森の方へと顔を向けると今度はラギアが此方を見る。

それを悟ったレウスはそのままレウスの脚元にいる何かを小突く。

 

その何かを見た響は…目を見開いた。

 

それは…憑友だったから。

 

するとジンオウガも脚元にいた存在…霊風を小突く。

 

そしてラギアも自身の目と鼻の先にいる存在…ロックを小突く。

 

すると小突いた3体は、口を開けるや、そのまま…

 

 

咥えた。

 

 

すると3体は顔を上に向けるとなんと3人を…

 

 

 

丸呑みをし始めたのだ!

 

『⁉︎』

 

「何をしようと言うのだ…?」

 

その様子を見た響達は目を見開き、動揺する。

それに対してフィーネは嫌な予感を感じていた。

 

そして3体は3人をそのまま噛まずに丸呑みにした。

すると3体の身体が光り輝く…!

そして3体はそのまま上空へとジャンプした!

それと同時に彼等の身体が光の球体へと変化し始める。

まるで、"その力を取り込んだかのように"。

 

するとその光の球体から亀裂が入る…!

 

そしてガラスが砕ける音と共に、其処には鎧や兜で覆われ、背中から光の粒子で出来ているであろう翼を生やした3人の戦士が上空で立っていた…!

 

すると3人の戦士は其々の兜のマスク部分を上部へと上げた。

 

その顔を見た4人は驚いていた。

勿論、シェルター内にいた皆も驚いていた。

 

其処にいたのは…

 

 

「まさか、ジンオウガの力が出てくるとはな!」

 

「ラギア…お前が俺を助けてくれたんだな」

 

「ありがとう…レウス。俺に力を貸してくれて」

 

其処には先程まで瀕死の重傷を受けていた筈の憑友,ロック,霊風…3人の《精魂導師》が、レウス,ラギア,ジンオウガの特徴を持った装備に身を包んでいた。それも全快状態で

 

「フィーネ!」

 

「…⁉︎」

 

フィーネはその一部始終を見て、呆然としていると、憑友の一言で我に返る。

 

「お前の暴動…俺達が止めてやる!」

 

「…ふっ。どうやってだ?武器も持たずにどうやって止める?」

 

確かに。

憑友達には今、自分の武器達を所持していない。

しかし、それでも憑友達は冷静になって、左腕に装着されたままのアブソーバーを見るとパネルボタンが軽く10個存在し、その内の1つを其々押した。

 

ーChargeAxー

 

ーLongBowー

 

ーDualBladesー

 

すると、憑友の背中から巨大な盾と剣が、

ロックの左手に機械的な弓が現れ、

霊風は短剣サイズの剣を両手に1つずつ携えた。

 

 

/炎斧アクセリオン/

 

/ハイボルトアロー/

 

/王牙双刃【土雷】/

 

3人が先程手にした武器の銘である。

 

すると憑友と霊風はノイズの方へと突撃する。

 

ロックはその場に留まるや、懐からビンを取り出した。

するとそのビンを弓に取り付けたのだ。

するとそのまま腰に付いてる矢筒から矢を右手で持ち、そしてそのまま弓に番えると、溜めを始め…そして、矢を放った!

 

すると、その矢が放った瞬間に矢が一気に拡散していき、そのまま広範囲にノイズを射抜いてみせたのだ!

 

その間に霊風は手に持っていた剣をまるで舞の如く踊りながらノイズ達に斬り裂いていく…!

 

一方、憑友は剣で攻撃しつつ、盾でガードと言う立ち回り方をしていた。

 

すると剣が斬り裂いていくと刀身が黄色へと光り出した。

そのまま斬り続けると、今度は赤に変わった。

すると憑友はその剣を盾に納めると、盾が変化と共に、《何か》がチャージされた。

すると大型のノイズが憑友に攻撃を仕掛けてきた!

憑友は盾で防ぐが、その猛攻に苦しみ出す。

 

しかし憑友は逆にニヤけていた。まるで不敵な笑みのように。

 

すると憑友は盾でノイズを押し退けると、剣と盾を1つにした。

すると盾が回転しながら、そのまま斬り付けた…!

その姿はまるで《斧》そのものであった!

 

その光景を見ていた《シンフォギア》装者達はその光景にただ目を奪われていた。

 

「行くぞ!」

 

「はい!」「ああ!」

 

霊風の掛け声に憑友とロックが応える。

すると3人は同時に言い放つ…!

 

『狩技、発動!』

 

すると憑友は斧を剣と盾に戻すや、そのまま剣を盾に突き刺した。

すると盾からビームで構成された剣が現れた!

 

「喰らえぇぇぇぇ!」

 

そしてそのまま空中に飛び上がると同時に、そのビームの剣を振り上げた!

その瞬間に、ビームの範囲内にいたノイズ達は真っ二つになるや、そのまま灰となって消えた!

 

"エネルギーブレイド"

 

憑友が所持している武器の種類『チャージアックス』の狩技である。

先程チャージした物…『チャージビン』をチャージした数だけ消費する事で放てる技。

その威力は、チャージした『ビン』の数に比例する。

最大で約1km離れた敵にも当てられるのが利点であるが、

『ビン』が1本もチャージされていなければ、ビームすら出ないのが欠点でもある。

 

そんな憑友の攻撃を合図に、ロックと霊風は構えを取る…!

 

ロックは二本の矢を同時に持つと、そのままワイヤーのような物で、二本の矢を結び付けた。

そしてそのまま矢に番え…放った!

 

すると二本の矢の間にワイヤーが張られ、そのままノイズ達を真っ二つにした!

 

ロックが使用している武器の種類『弓』の狩技…

 

"ブレイドワイヤー"が炸裂した!

 

本来なら射撃に属する『弓』には〔斬〕の属性が存在しない。

しかし、この"ブレイドワイヤー(狩技)"を使用すると、遠くに離れてても、相手を()()事が出来るのである。

 

 

一方、霊風の方は剣を構えて周りの気を集めると、そのまま解き放った!

すると霊風の全身からドス黒いアメジストのようなオーラと共に、暴走した響と同じ顔へと変貌した!

 

それを見た憑友とロック以外の4人は驚くが、此方は理性がある様で…

 

「"獣宿し【餓狼】"」

 

と霊風がそう言っていた。

 

"獣宿し【餓狼】"

 

霊風が現在使用している武器の種類『双剣』の狩技である。

 

するとノイズが攻撃を仕掛けて来た!

しかし、霊風はそれをタイミングよく躱す!

その瞬間に瞬時に反撃に移るかのように、瞬時に攻撃してきたノイズの背後へと瞬間移動し、そして連続で切り刻んでいく!

まるで、()()()()()()2()()()()()()()()()に。

 

手数の多さが特徴の『双剣』の長所を更に伸ばしたのが、

この"獣宿し【餓狼】(狩技)"である。

 

連続で斬り裂いただけで、相手にとっては非常に堪える技なのである。

 

そうしていると、3人の元に響達が駆けつける。

話したい事が色々とあるようであったが、今はそれどころではなく、

6人は其々の視界に入っているノイズ達を一掃し始めたのだった…!

 

 

ーーーーーー

 

そして、街を埋め尽くしていた10000体のノイズ達は6人ノイズ活躍により、あっという間に1000体と10分の1にまで減少していた!

 

 

そんな中、憑友はある方向を見た。

それに釣られ、皆も憑友の向いてる方向を見ると、

其処にはフィーネが、なんと《ソロモンの杖》を自らの肉体に…

 

 

 

グサッ!

 

 

突き刺したのだ!

 

 

すると杖から緑の光が発生すると、その光が周辺に散布、

それと共にその光がフィーネの方へと集まる…

そして、彼等が目にしたのは、

 

もはや異形の物へと成り果てたフィーネの姿…

 

 

"黙示録の赤き竜"であった。

 

「でけぇ…」

 

皆を代表して、憑友がそう言った。

 

ーーーーーーSIDEto憑友

此処までデカイとは…!

 

「この姿…"黙示録の赤き竜"を前に、貴様らは終わるのだ!」

 

うわぁ〜…ベタな台詞だ〜…

《ネフシュタンの鎧》と《ソロモンの杖》、

更におまけに《デュランダル》…

 

《完全聖遺物》を全て装備して、更に悍ましい姿へと変わり果てやがって…!

 

そう感じていると、シェルターがあった場所から人が出てきた。

 

⁈未来⁈それに馬燈に逝都⁈

 

「…!」ニヤッ

 

?…フィーネ?

 

「お前達さえいなければーーーーーー‼︎」

 

そう言うとフィーネが《デュランダル》から白と黒の色が混じったエネルギーの球をぶっ飛ばした!

 

「逃げろーー!」

 

しかし、この距離だと間に合わ…

 

「うぉぉぉぉ!」

 

…霊風先輩⁈

 

そうしていると、霊風先輩がカードケースからある物を取り出していた…

 

ーーーーーーSIDEto霊風

 

フィーネの野郎!許さねぇ!

絶対に止めてやる!

 

"エンドを守る"んだーーーーーー‼︎

 

そう感じた俺はすかさずカードケースからある『英雄』のカードを取り出した。

まだ、憑友やロックにも見せてもいないカードだ。

 

お前の鉄壁の力…俺に貸してくれ‼︎

 

そうすると俺はすかさずそのカードをアブソーバーに装填した。

 

すると先程までの装備…ジンオウSシリーズが強制解除された。

憑友が着ているのはレウスSシリーズ、

ロックはラギアSシリーズだったがな。

 

…と、今はそんな事は関係ない!

 

俺はそのままレバーを引いた!

 

 

ースピリット!フォーム、エンドウ!ー

 

そして俺はすかさず民間人とフィーネが放った光球の前に立ち塞がる…!

そして其処から迸る雷と共に土煙が充満し始めた…!

 

ー鉄壁守護神!サッカーバカ‼︎ー

 

ーーーーーーNO SIDE

光の球と未来達の間に割って入った霊風。

そしてそのまま光の球が霊風を飲み込んだ…

 

空から見ていた5人は驚愕していた。

 

フィーネは高らかに声を上げていた。

だが、それが命取りになるとは思ってもいないだろう…

何故なら…

 

 

「…⁉︎何⁈」

 

フィーネは先程までの表情を一変する。

 

其処には、オレンジのバンダナを頭に巻き、

 

オレンジとビリジアン系のユニフォームを着ていた霊風が其処にいたからだ。

 

 

「さあ!

 

 

 

 

()()()()()()()()!」

 

 

超次元のサッカーを繰り出したサッカーを愛する熱血馬鹿にして、

世界の頂点に立った鉄壁の守護神…

 

 

今、彼の地にて…

 

 

 

 

キックオフ‼︎




次回

守護神・爆熱・氷嵐


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第63話 守護神・爆熱・氷嵐

何故かあっと言う間に書き上げたので投稿します。

何気にこのアニメ作品、厨二病要素全開ですね…。


ーーーーーーSIDEto霊風

「さあ!サッカーやろうぜ!」

 

やっべぇ…こいつの口癖が移ってしまったよ…うん。こんな場所で呑気にサッカー?とか言う視線をお願いだから皆さん見せないでくれ〜!

 

とは言うものの…やっぱり強かったよ…円堂。

 

俺が今、変身してるのは、【イナズマイレブン】と言うアニメから生まれた最強のサッカーバカにして、鉄壁の守護神…

 

"円堂守"

 

その人物の魂を俺は纏っている。

 

『英雄』達の中では異例の"防御特化型"である。

 

これがもし『聖杯戦争』だったら、十中八九いや、もうほぼ確定で、

盾兵の英霊《シールダー》に分類される程、尋常じゃない程の鉄壁を誇る最強のゴールキーパー…!

 

そう感じていた俺はカードケースから2枚のカードを取り出すと、憑友とロックに目を向けた。

2人は俺が何をしたいのか分かったらしく、そのまま俺の所にやって来た。

 

フィーネが何かしようとしたが、翼とクリスのおかげで時間稼ぎになった。

 

そう感じていると、ロックと憑友がやって来たので、俺は手元にあるカードを2人に手渡し、説明した。

 

「これを使って、フィーネを追い詰めたい…

2人の力を貸してくれ!」

 

「…はい!」「…当然だ」

 

…ありがとう。

 

そう言うと2人もアブソーバーにカードを装填した。

すると2人の装備…レウスSとラギアSの装備が消えた。

 

やって見て思った事は、モンスター達はまだ俺達の体内に宿っている。

現に、俺の身体の中にジンオウガの魂がまだ宿っている事を感じている。

 

そう感じていると、ロックと憑友は俺が手渡したカードに変身した。

 

ーライド!フォーム、ゴウエンジ!ー

ーソウル!フォーム、フブキ!ー

 

すると2人のアブソーバーから、憑友の方は逆立った白髪と肌黒の青年が、

ロックの方は逆に銀髪で、白い肌が特徴の青年が其々現れ、

それを2人は纏った。

 

ー妹想いの、炎の渦!ー

 

ー氷結の狼!熊殺し!ー

 

其処には円堂と同じ、心からサッカーを愛する炎のエースストライカーと、氷のエースストライカー…

 

"豪炎寺修也"と"吹雪士郎"の姿をした憑友とロックが其処にいた。

 

「凄い…脚に力が湧き上がってる…!」

 

当然だ。2人は共にサッカープレイヤーだ。

それも、得点を挙げるポジション"FW(フォワード)"として活躍したんだ。

サッカーはゴールキーパー以外は脚のみで挑むスポーツ。

脚に力が入るのは当然だ。

 

そうしていると、俺の隣に小さな男の子が現れていた。…いつの間に…

 

「…これ!」

 

「!」

 

そう言って俺に渡して来てくれたのは、サッカーボールだった。

…これを俺に?

 

「良いのか?」

 

「うん!」

 

…ありがとうな。

そう言うと俺はその子から大事なサッカーボールを預かった。

 

そして軽くリフティングをすると、2人も全身の筋肉をほぐすかのように、軽めのストレッチをする。

 

「こうやってストレッチするのは久しぶりだな」

 

「確かに言えてるな」

 

そして俺はそのままボールを高く蹴飛ばした!

 

すると憑友が時計回りに回転しながら、左脚から炎を上げた!

 

「"ファイアーー……トルネード‼︎"」

 

 

灼熱の炎の脚で蹴ったボールを相手のゴールに向けて放つ豪炎寺の十八番…"ファイアトルネード"がフィーネに向けて放つ!

 

だが、そう簡単に倒されてはくれないらしく、翼のような部位により、簡単に弾き返しやがった。

まるで壁によって弾き返されるボールのように…って、打ったのは確かにボールだけどな。

でも、其処を今度はロックが両足で軽くキャッチするとそのままボールを脚の力で横回転させる。

すると周りから冷気が現れて、それがボールを包み込む…!

 

「凍てつけ…!

"エターナル…ブリザード"!てやぁぁぁ!」

 

そう言うとロックは右脚に力を込めて、そのまま凍てついたボールを蹴った!

 

"エターナルブリザード"

 

白恋中のキャプテンにして、イナズマイレブンの主要キャラの1人、

"吹雪士郎"の十八番の技である。

それにしても…うん。やっぱり吹雪本人が蹴ってるような臨場感が出てるのはなんでだろう…中の人ネタ?…作者(あのバカ)ならやりかねないか。

 

しかし、それも簡単に受け止めるフィーネ。

そしてそのままボールを弾き返した…倍の力で…!

 

「なっ⁉︎」「しまった!」

 

2人がそう呟く。無理もない。

何せその弾き返されたボールが威力をそのまま俺の方へと向かって来ていたのだから。

だが、こんなシュートカウンターに負けるような『英雄』じゃねぇんだよ!

 

すると俺は野球アニメでよく見かける"足を高く上げてボールを放つシーン"を模した行動をする。

 

この体勢で出す技は大きく2つあるが、内1つはジャンプしてから今のポージングをとって発動する技だ。

しかし俺はジャンプなどしていない。

ならばもう1つの技がここで左右される。

 

右手に捻りを加えて一気に…殴る!

 

「"正義の、鉄・拳!"」

 

そう言うと俺の腕から巨大な拳の形をしたエネルギーが回転しながらそのボールに食い込む…!

 

こんな所で負けねえんだよ!

 

バシィィッ!

 

「何⁈」

 

「今だ!」

 

俺はそう言うとロックがすぐにそのボールの着地点にまでやって来る。

 

そして一気に右脚に力を込めた!

 

「てやぁ!」

 

するとそのボールに爪で斬り裂く動作が現れ、そのままボールの前にロックが立つと雄叫びを上げる…!

 

「"ウルフレジェンド"‼︎」

 

そしてそのまま反時計回りに回転して、右脚でボールを蹴り込む!

 

フィーネはそれを鞭によって作り上げた技"ASGARD"を三重に掛けた。

良い判断だが、甘いな…

 

「ふっ…造作m「はぁぁぁぁあ!」何⁈」

 

全部のスイーツを一緒くたにしてもまだ甘い考えだったな。

この『英雄』達の最大の特徴を見逃すとはな…!

 

"ドライブチェイン"…憑友がやろうとしている行為だ。

 

読んで字の如く。

仲間が放った技の威力を後押し…すなわち加速(ブースト)させる行為だ。

尤も、俺達が今なってる『英雄』達はこの行為を、"シュートチェイン"と呼んでいるかな。

 

通常、『英雄』達は個々の技で放つのが全体の過半数を占めている。

 

だが、円堂達のような『英雄』の技の威力を増加させる『英雄』も少なくはない。

 

キリトやシノンの"スイッチ"や、サトシ達のポケモンの技にある"誓い系"の技もこれに該当される。

 

さて、話が逸れたから戻すか。

 

そうしていると、憑友は左脚を天へと高く上げる。

 

顔を前に出し、左脚を後ろにやって…

 

すると左脚から剣の形をした炎が噴き出る!

 

この技は…間違いない…!

 

「"マキシマム…ファイア"ーー!」

 

"マキシマムファイア"

 

アニメでは使用する事は無かったが、劇場版第1作で豪炎寺が放った最強シュート。

確かにあの技も"シュートチェイン"の1つだったな。

 

「ぐわぁ!」

 

流石のフィーネもこれには驚いたろうな。

相手の技にさらに加速させる攻撃をして来たんだから。

 

「ぐぬぬ…ふざけるなーー!」

 

…って、ちょっとそれあかんやろ⁉︎

 

サッカーボールを"NIRVANA GEDON"にして、打つかよ⁉︎

 

仕方ねえ!この場合は…止めるんじゃなくて…

 

 

「受け流す!」

 

すると俺は右手に力を込めてジャンプし、そしてそのまま右手を地面に叩きつける!

 

「"イジゲン・ザ・ハンド"‼︎」

 

すると俺と後ろにいる未来ちゃん達の周りに黄色のドーム型のバリアが張られ、ボールはそのまま左に沿っていく!

 

本来なら、このバリア…"イジゲン・ザ・ハンド"は発生したら、そのまま上へと受け流されるのが特徴なんだが、

この技は力加減によって、自由に受け流せる事が出来るのが、後に円堂から教えてくれたんだ。

 

だが、俺は受け流すだけに留まらない!

 

ボールはバリアに張り付いたまま一周した!

 

そしてそのままボールは威力を殺され、憑友とロック(2人)の方へと流れ込む…

 

今こそ放て!豪炎寺と吹雪(2人のエースストライカー)の必殺技を!

 

 

「うぉぉぉぉ!」

 

「はぁぁぁぁ‼︎」

 

すると2人はボールの着地点に向かって一気に掛け走る!

 

憑友の身体から赤い炎が、

ロックの方からは青白い炎が其々オーラとなりて現れた。

 

そして2人が交差と同時にボールが一回バウンドし、そのまま2人は其々の脚でボールに蹴り放つ…同時に。

 

 

 

「"クロスファイア"‼︎」

 

 

2人で放つ同時シュート技"クロスファイア"がフィーネの身体を貫通させる…!

 

そしてボールは空高くに飛んでいた響ちゃんが無事にキャッチしてくれた。サンキュー!

 

ーーーーーーNO SIDE

 

響はそのまま霊風の方へとやって来て、サッカーボールを渡してきた。霊風はそのボールを受け取る。

するとフィーネはそのまま雄叫びを上げた。

 

上を見上げると、ノイズ達がまるで巨大な球体状の塊になって権限していた。

如何やら、その塊を自らを引き換えにこの星ごと滅ぼそうとしていた…!

 

挿入歌(「立ち上がリーヨ!」T-Pistonz)

 

そしてそのままフィーネはそのノイズの塊を響達へと襲い掛かる!

 

響は皆んなを守る為に前へ出るが、霊風が手を前に出して、制止させる。

 

「俺に任せてくれ…」

 

たった一言。だが、それだけで霊風が何かしようとしていると悟った響は霊風の後ろに下がり、皆んなを守る体勢に入る。

 

徐々に近づいていくノイズの塊…

 

そして霊風は左腕に装着されているアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『スピリット・エンドウ!フルドライブ!』

 

すると右手が光り輝き始めた…!

 

「お前の野望…俺達が止める!」

 

そう言うと霊風は右手を大きく動かし、そして掌を太陽に向けて掲げた。

 

するとそこから手の形をしたエネルギーが現れた…

それも…特大の大きさで。

 

 

『でかっ⁉︎』

 

皆んなの心の声が聞こえたような気がするが気の所為だろう。

 

すると霊風はそのまま一気にエネルギーが発している右手を前に出す!

 

「"オメガ・ザ…ハンド"‼︎」

 

円堂の最強の技の1つ…"オメガ・ザ・ハンド"が、ノイズの塊を受け止めた!

だけではなく、なんとそのまま一気に握り潰したのだ!

 

そしてそこからエネルギーが放出された。

その際に光が閃光のように輝いたので、皆は目を伏せる。

 

そして皆が目を開かせた時には、

 

円堂の姿をした霊風と、その周辺に巨大なクレーターの跡だけが残っていた。

 

すると霊風は響から受け止ったボールを今度は自身でドリブルしながら、フィーネへと駆けていく!

 

その光景を見たフィーネは終始呆然としていたが、近づいて来ることを察知し、すぐに我へと返る。

 

「ふっ…何度来ようと…!」

 

フィーネが何かを言おうとしたが、その言い分は途中で途切れた。

 

何故なら、霊風の隣をロックと憑友が同じスピードで走っていたから…!

 

 

すると霊風が急に止まり、ボールを軽く蹴り飛ばす。

 

そしてボールの着地点に3人が其々120度の間隔でスペースを開けると、一気に3人同時にドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・ゴウエンジ!』

『ソウル・フブキ!』

『スピリット・エンドウ!』

 

『『『トライドライブ‼︎』』』

 

「「「はぁぁぁぁあ‼︎」」」

 

すると3人は同時に脚に力を込めて…そしてボールを3人で同時に高く蹴り上げると、そのまま3人も同時に跳んだ!

 

そして3人同時に小さいボールの面積に向かってキックを放った!

 

 

「"ジ・「「アース"‼︎」」」

 

円堂,豪炎寺,吹雪の3人で放つ地球名を持つ技…

 

"ジ・アース"がフィーネに炸裂した!

 

 

「ぬっ⁉︎小癪な…⁉︎」

 

そうフィーネが言うと、目の前に憑友が現れたのだ!

 

「はぁぁぁぁ!」

 

グサッ!

 

「ぐはっ⁉︎」

 

そして憑友はそのままフィーネの鎧を手で貫かせた!

 

そしてそのままフィーネの鎧から手を引き抜くと両手にはなんと『英雄石板』が握られていた!

 

「『英雄石板』…確かに頂いたぜ。そして…これもな?」

 

「⁉︎」

 

そう言うと憑友はそのままフィーネの元から離れるや、そのまま空中にあるものを投げた…

 

「あれは…⁉︎」

 

「《デュランダル》⁈」

 

そう…完全聖遺物の1つ…《デュランダル》であった!




次回

"synchrogazer"/"XILLIA"


《XILLIA》

それは、〔人〕と〔精霊〕と〔世界を壊す者〕の物語…


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第64話 "synchrogazer"/"XILLIA"

今回はサブタイトル通り、バトル回が終わります。
そして、テイルズファンの方々…お待たせしました。

彼等の登場です!


フィーネから《デュランダル》を強奪した憑友はそのまま空中へと投げた!

 

挿入歌(「synchrogazer」水樹奈々)

 

フィーネは咄嗟に自身の身体に纏わりついたノイズ達を触手に変え、《デュランダル》を取り戻そうとするが、

その触手に翼と霊風がその行為を妨害すると同時に、剣と槍で《デュランダル》を突き放す!

 

更にそのままクリスとロックが正確に狙い撃ちながら、《デュランダル》はまた空中に飛んでいた響の元へ…!

 

そして響は《デュランダル》をキャッチした…!

 

 

すると《デュランダル》が発せられる破壊衝動にまた全身が黒く染まり始める響。

 

「諦めるなーー‼︎」

 

すると近くにいた憑友が響に声を掛けた!

 

それを合図にシェルターから出て来た皆も一斉に声を掛けていく!

そしてそれをアシストするかのように翼とクリスが、響の元へとやって来て、そして響を支える…!

 

「「響ーーーーーー‼︎」」

 

そして憑友と未来の声が戦場に響いた…!

 

「(そうだ…!

今の私は…私だけの力じゃない…!)

そうだ…この衝動に…

 

塗りつぶされてなるものかーー‼︎」

 

その声を聞いた響の身体は徐々に黒から元の色へと戻った!

 

それと同時に《デュランダル》の刀身が黄金の輝きを見せたのだ!

 

「その力…何を束ねた⁉︎」

 

その様子を見たフィーネは動揺を見せる…!

そしてその問いの答えに響はこう告げる…!

 

「"響き合う"皆んなの歌声がくれた…

 

 

《シンフォギア》だーーーーーー‼︎」

 

そう言うと翼とクリスと共に、響は《デュランダル》を振り下ろした!

 

ーsynchrogazerー

 

その攻撃をまともにくらったフィーネの身体は徐々に崩壊をし始めた…!

 

「(如何した⁉︎ネフシュタン!再生だ‼︎)」

 

「無駄な足掻きだな?フィーネ?」

 

「⁉︎」

 

すると響達が斬り裂いた場所から憑友達《精魂導師》が降りてきた。

 

崩壊が始まる中で、憑友は後ろのベルトバックからカードを取り出す。

 

フィーネ(あんた)がネフシュタンに入れていた『英雄石板』…

使わせて貰うぜ」

 

そう言うとその2枚を霊風とロックに手渡す。

 

2人はそのままアブソーバーに装填し、レバーを引いた。

そして憑友も、右腰に装着されているカードケースからルドガーのカードを取り出し、そしてレバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、ルドガー!ー

ーソウル!フォーム、ミラ!ー

ースピリット!フォーム、ジュード!ー

 

すると其処からルドガーと髪が黒髪の少年っぽさを感じる青年と、金髪で剣を所持している女性が現れ、そのまま3人は同時に纏った!

 

ー銃剣槌士!審判の槍!ー

ー四大使役!精霊の主!ー

ー人と精霊、絆の架け橋!ー

 

それを見たフィーネは驚愕した。

自分が《ネフシュタン》を纏う際にに組み込んでいた『英雄石板』が今、この場で相対しているという現状に。

 

挿入歌(「song 4u」浜崎あゆみ)

 

すると憑友は隣にいた霊風に左拳を放つ!

対して、霊風もまた憑友に左拳を放つ!

しかし2人の攻撃は空振る。

しかし…2人の目的はそれではなかった。

 

ガチャッ‼︎

 

「行くぞ!憑友!」

 

「はい!」

 

そう言っていると、なんと2人のアブソーバーがドッキングしていたのだ!

 

すると2人同時にドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・ルドガー!』

『スピリット・ジュード!』

 

『『ツインドライブ‼︎』』

 

そう言うとアブソーバーのドッキングが解除されると、憑友はルドガーの兄・ユリウスの形見にして、ルドガーの愛剣"カストール"を手に持つと、霊風と共に構えそして一気にフィーネを追い込む!

 

「行くぞ!憑友!」「はい!」

 

ザシュッ!ザシュッ!

 

「飛べ!」「翔けろ!」

 

ダンッ!ダァンッ!

 

「風、織紡ぎ!」「嵐となりて!」

 

ザシュッ!ダァンッ!

 

「大地を!」「穿つ‼︎」

 

「「天昭、風縛刹‼︎」」

 

 

2人の変身している『英雄』…ルドガーとジュードによる"合体秘奥儀"…

 

"天昭風縛刹"がフィーネに炸裂する!

 

更にそのまま憑友はロックの所へ向かうなり、2人揃って、先程と同じようにアブソーバーをドッキングさせて、同時にドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・ルドガー!』

『ソウル・ミラ!』

 

『『ツインドライブ‼︎』』

 

そう言うと今度は2丁拳銃に持ち変える憑友。

 

「始めるぞ!」「お互いにな!」

 

そう言うとロックは詠唱を始めた!

 

「"再誕を誘う…終局の雷"‼︎」

 

「"リバース!」

 

「「クルセイダー"‼︎」」

 

そう言うと2人の上空から雷雲が発生し、其処から大量の雷がフィーネに降り注いだ!

 

するとロックはそのまま霊風の元へと合流するなり、憑友がやった行為…ドッキングをした!

 

「これでフィニッシュだ!」

 

霊風がそう言うと2人揃ってドライブボタンを叩いた!

 

『ソウル・ミラ!』

『スピリット・ジュード!』

 

『『ツインドライブ‼︎』』

 

そう言うと2人のアブソーバーはドッキングを解除させると、

 

「一気に!」「決める!」

 

そう言うと、2人同時に駆ける!

 

「人と!」「精霊の力!」

 

途中からロックが飛翔するかのように、空へと舞うと、霊風は瞬時にフィーネの背後に回った!

 

その事に気付くフィーネだが、既に遅し。

 

「その刹那!」

 

そう言うと霊風はフィーネに拳を叩き込む!

するとフィーネの身体がノイズの融合体"黙示録の赤き竜"から離れたのだ!

 

そして霊風の拳でアッパーを繰り出されたフィーネの先にロックが剣を掲げていた。

 

「天に合する!」

 

そう言うと剣でフィーネを斬り裂き、フィーネを地面に落とさせる!

 

それと同時にロックはフィーネの元へと駆け抜ける!

 

フィーネは体勢を変え、迎撃しようとしたが、なんと背後から霊風がジャンプして来ていたのだ!

 

「これが!」「俺達の!」

 

 

そして最後は2人同時に…

 

「「虎牙破斬・咢‼︎」」

 

 

その攻撃をくらったフィーネはそのまま地へと落ちていった…!

 

2人が為せる"合体秘奥儀"…"虎牙破斬・(アギト)"が炸裂したのであった。




次回

無印編最終回…


そして…

物語が終わりし時…それは新たな物語の兆しが見える時…


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最終話 そして…/エピローグ

遂にやっと無印編が完結!
それと同時に新たな物語が動き出す…!



激しい激闘は、

《精魂導師》の3人のコンビネーションと、

《シンフォギア装者》である響達の一撃、

 

更には《完全聖遺物》同士による対消滅により、

フィーネの完敗となって、この激闘は終わりを告げた。

 

街はすっかりあと一歩で荒廃寸前の域にまで被害が出ていたが、

幸いにも、住民の人々は全員シェルターに避難していたので、人的被害は0だと言う事が唯一の救いである。

 

そんな戦いにて大奮闘した響と憑友は、

完全に力を使い果たしたフィーネをそれぞれの両脇を抱えて、皆の所へと歩ませる。

 

「お前達……何を、馬鹿な事を…」

 

フィーネは途絶え途絶えながらもそう語る。

 

「このスクリューボールが…」

 

「お人好しの鑑だな…お前達は…」

 

上からクリスとロックは2人にそう言う。

すると響はフィーネを岩の椅子へと座らせながら話しかける。

 

「みんなに言われます。親友からも『変わった子』だって。

 

…もう終わりにしましょう。了子さん」

 

「…」

 

「…」

 

その様子を見ていた憑友と霊風はただ黙り込んでいた。

 

霊風は転生者。それも、この世界の事を知っている存在。

故に、この先の出来事が何があるのかを知っているのである。

 

そして憑友は、ただ、予感と言う範囲でしかないが、フィーネは最後の最後で何かを仕掛けるのではないかと危惧していた。

 

「私は、フィーネだ」

 

「了子さんは了子さんですよ」

 

自分の事を主張するフィーネだが、響の前ではそれは意味なんてなかった。

彼女は彼女なのだから。

 

「きっと私達…分かり合えます」

 

そう言うとフィーネは立ち上がりながら何かを訴え始める。

 

「ノイズは…先史文明期の人間達が作り上げたもの。

統一言語を失った我々は、『手を繋ぐ』よりも、『相手を殺す』ことを求めて…

そんな人間が分かり合えるものか…」

 

「…人が、ノイズを…」

 

「だから、私はこの道しか選べなかった…!」

 

そう言うとフィーネはネフシュタンに付いてる鞭を握り締めた。

 

それを見たクリスが何かを言おうとしたが、翼が制止させる。

 

そして実際は短い時間が長い静寂を感じさせる…

 

すると響の近くにいた憑友が、フィーネに向けて話す。

 

「人が言葉よりも強くなる事を…俺達が分からないとは思ってないですよ」

 

「…」

 

「それに…日本(この地)にはこんな四字熟語が存在します。

 

…"十人十色"。

 

みんな違って、みんな良いんです。

例え、性格や個性が違っても、言葉や能力が違っても、体型や声が違っても…

遺伝子の根本から違っても…

 

それで良いんです。

 

たった1つの事が統一されれば、それだけで色々と変化してしまいます。

全てバラバラの組み合わせだからこそ…

 

俺達はみんな違って。それでいてみんな良いんです」

 

その話を聞いたフィーネは目を閉じた。そして開眼と共に、鞭を振り上げた!

 

それを見た響は瞬時に躱してフィーネの懐の所で拳を寸止めする。

その際に衝撃波を放って。

 

そして憑友はと言うと一瞬躱したが、鞭の方向を見た瞬間に嫌な予感が察知し、なんとそのままフィーネの鞭に捕まって、そのまま鞭ごとその場所まで向かっていった!

 

それを見た霊風は急いでその鞭を弾き返そうとしたが、

 

ガキィンッ!

 

「⁉︎最後の悪あがきか⁉︎」

 

最後の力を振り絞ったのか、鞭はそのまままっすぐとある場所へと向かっていく!

 

それを見た皆もその先を見ると、その先には欠けた月があった!

 

「私の勝ちだ‼︎」

 

「!」

 

その言葉を聞いた響もその鞭の先…月を見た。

 

そのままシュルルと鞭は伸びていき、終いには月の欠片に刺さった!

 

フィーネはそのまま、全神経を全て使って、月を地球へと落とし始めた!

 

月の欠片と言えど、そのまま地球に激突すれば、ノイズでの人災被害の比ではない!

 

憑友は真っ先にそれを直感だけで見切ったので、鞭を掴んで、月を食い止める為に動いたのだ。

 

 

「月の欠片を落とす!」

 

その言葉を聞いた皆は全員後ろを振り返る。

そこではもう既に、月の欠片が地球へと迫ってきていた!

 

「私の悲願を邪魔する禍根は此処で纏めて叩いて砕く!

この身は此処で果てようとも魂までは耐えやしないのだからな!」「《聖遺物》の発するアウフヴァッヘン波形がある限り、私は何度だって世界に蘇る!

何処かの場所、何時かの時代…

今度こそ世界を束ねる為に!

私は永遠の刹那に存在し続ける巫女、フィーネだーー!」

 

月の欠片が迫ってきている中、フィーネは高らかに発していく…

だが、その声は唐突に止んだ…

 

 

 

 

…響の拳が、フィーネの胸に軽く当てた事で。

 

「うん。そうですよね。

何処かの場所、何時かの時代。

蘇る度に何度でも。

私の代わりに皆んなに伝えて下さい!

 

世界を1つにするのに力は必要ない事を。

言葉を超えて、私達は1つになれるって事を。

私達は未来にきっと繋げられる事を」

「私には伝えられないから。

フィーネ(了子さん)にしか伝えられないから!」

 

その言葉を聞いたフィーネは、響のやろうとしている事に気付く…

 

「了子さんの為にも…

私が現代(いま)を…守って見せますね!」

 

フィーネは響の話を聞き、そして彼女の眼を見た。

そこには、守りたいモノがあると言う勇ましい眼を開かせていた。

 

それを見たフィーネは溜息と共に、口調を変え、瞳の色を変えた…

 

巫女(フィーネ)から研究者(了子)へと。

 

「本当にもう…ほうって置けない子なんだから」

 

そう言うと響の胸に指で小突く了子。

 

「胸の歌を…信じなさい…」

 

それを言ったフィーネは砂煙となって、その生涯に幕を下ろした。

 

それを見ていたクリスや翼、奏は涙を浮かべる。

 

霊風やロックは捨て駒扱いされていたとは言え、それでもやはり仲間であった者が亡くなるのはよっぽど辛かった。

 

その後、藤堯が月の欠片の軌道計算を予測するも、完全に地球内へと入ってきていると示唆する。

 

その月を見ていた皆んなは恐怖になっていた。

 

しかし、突然藤堯が画面を見て眼を見開いていた。

 

「⁉︎軌道計算上に…高エネルギー反応⁈

しかも…月の欠片のすぐ側で⁉︎」

 

「っ!司令!」

 

「まさか…憑友が⁉︎」

 

この場にいない者…憑友が何かを仕掛けていたのだ!

 

「月の欠片の質量が微量ですが、減少しています!」

 

すると響が月を見ながら前へと出る。

それを見た未来が呼びかける。

 

「響…」

 

「なんとかする。

 

…ちょ〜っと、行ってくるから。

それに…

迎えに行かないとね♪

だから…

 

『生きるの、諦めないで』」

 

「!」

 

「…響ちゃん…」

 

そう言うと響は助走を付けて、飛翔した!

 

その言葉を聞いた未来は空へと飛んだ響に涙を流し、奏は響がしたい事を察した。

だが、それを言う事は無かった。

その覚悟を決めた眼を開かせた響の思いを無駄にしたくないから。

 

ーGatrandis babel ziggurat edenal…

 

Emustolronzen fine el baral zizzl…

 

Gatrandis babel ziggurat edenal…

 

Emustolronzen fine el zizzl…ー

 

空からその詠が聞こえた…

詠の名は『絶唱』…《シンフォギア》を見に纏う装者達にとっての諸刃の剣であった…

 

 

ーーーーーーSIDEto憑友

 

はぁ…はぁ…ちっ!流石月の欠片だ。『英雄』達の力を発揮させても、微量でしか、削りきれねぇ…!

 

セイバーの宝具"約束された勝利の剣(エクスカリバー)"

 

ルドガーの秘奥儀"祓砕斬(ばっさいざん)零水(あやみ)"

 

カナタの魔導戦技"ストライク・ブラスター"

 

なのはさんの魔法"スターライト・ブレイカー"

 

その娘さんであるヴィヴィオの魔法格闘技"セイクリッド・ブレイザー"

 

ナツさんの滅竜魔法"滅竜奥義・紅蓮爆炎刃"

 

シンの握撃技"パルマフィオキーナ"

 

政宗の婆娑羅技"HELLofHEVEN"

 

一夏の技"零落白夜"

 

アカネさんのアクティブスキル"ラヴァノヴァ"

 

駆流のロボ・ライバードの技"ライトニングスラッシュ"

 

メリオダスの禁断奥義(デッドリーシンズ)"全突撃(フルストライク)"

 

豪炎寺の技"マキシマムファイア"

 

ジンの必殺ファンクション"インパクトカイザー"

 

その他にも『英雄』達の力を発揮させてやって来たけど…それでもまだ0.5%しか削れていない。

もう残されているカードはあと一枚。

 

キリト師匠(せんせー)のカードだけだった。

 

此処までなのか…そう思っていた。

 

ーGatrandis babel ziggurat edenal…ー

 

…この詠は…

 

ーEmustolronzen fine el baral zizzl…ー

 

絶唱…?

誰が歌っているんだ?

 

ーGatrandis babel ziggurat edenal…ー

 

翼さんとも、クリスの声じゃない…

 

ーEmustolronzen fine el zizzl…ー

 

奏さんはもう纏えない…まさか…

 

そう思い、俺は音が聞こえてきた方向に顔を向ける。

そこに居たのは…

 

「えへへ」

 

「…なんでお前なんだよ。響」

 

紛れもない立花響…俺の幼馴染だった。

 

「来なくて良いのによ」

 

「この地球を守るって決めたんだもん!

それに、憑友がいない地球…私は嫌いだから」

 

…ふぇ?

 

「それに…未来に言ったんだ。

『迎えに行ってくる』って」

 

…そうかよ。

 

「…勝手にしやがれ」

 

「…ツンデレだね〜」ニヤニヤ

 

「ちょっ⁉︎お前な⁉︎」

 

全く…こいつと一緒にいると、毎日飽きないな。

 

『そんなにイチャイチャしたいのなら、さっさとどけよ!』

 

「「?」」

 

その声を聞いた俺達は響が来た場所を見ると、そこには、

 

クリスと翼の《シンフォギア装者》が、

霊風とロック…2人の《精魂導師》を手で繋いで此方へとやって来たのだ。

 

ーーーーーーNO SIDE

 

「翼さん…クリスちゃん…」

 

「一生分の歌を歌うにはちょっと、多すぎる気がするけどな」

 

「…それもそうだな。だが、それがまた良いのだろう」

 

「俺達《精魂導師》を舐めるなよ?」

 

「歌を歌わずしてこの力…ならば、歌姫と共に奏でる歌はどれ程の物なのか…検討も付かないがな」

 

「霊風先輩…ロック…」

 

そう言うと翼とクリスは響の手を取り、

霊風とロックは憑友の手を取る。

 

「此処からが俺達の!」

 

「新たなステージだ」

 

霊風とロックの2人からの発言に響と憑友は同時に頷いた!

 

挿入歌(『FirstLoveSong』悠木碧,水樹奈々,高垣彩陽+松本梨香,宮野真守,西川貴教)

 

3人の歌姫と、三人の《導師》の歌声が宇宙と言う名のそらへと響き渡る…!

 

するとロックはアーチャー、

霊風はレヴィアタン、

そして憑友はキリトのカードを取り出し、アブソーバーに装填、そしてレバーを引き、そして三人は纏った。

 

それぞれが初めて出会った『英雄』達と。

 

そして三人は共にドライブボタンを叩いた。

 

『ライド・キリト!フルオーバードライブ‼︎』

『ソウル・アーチャー!フルオーバードライブ‼︎』

『スピリット・レヴィアタン!フルオーバードライブ‼︎』

 

すると三人は其々の得物を持ち寄る。

 

「トレース・オン…オーバーエッジ‼︎」

 

するとロックは手元からアーチャーの愛剣『干将・莫耶』を取り出すや、そのまま刀身が一気に伸びた!

 

「うおおお‼︎」

 

そして霊風はレヴィアタンの形見の槍を頭の上で回し始めた。

すると本来ならこの場にはない筈の〔水〕が何処からともなく現れて、更には霊風の頭上に集まって来ていた!

 

「はぁぁぁぁあ…!」

 

そして憑友はキリトの愛剣『エリシュデータ・ダークリパルサー』を両手に其々持つと、力を溜め始める。

すると刀身が青へと変わる…だが、憑友はそれを解き放つ事は無く、寧ろそれでもまだ溜める!

 

「はぁぁぁぁぁ‼︎」

 

すると刀身が青から黄色へと変わった!

 

そして歌姫達も、其々の得物を解放させていく…!

 

クリスは全身から大量のミサイルを、

翼は剣の長さをもはや地球を一刀両断するぐらいの大きさを誇る大剣へと変え、

そして響は腕を大きくし、そして腕と脚についてるバンカーユニットを限界突破を超える程、大きく伸ばす…!

 

「俺達の!」「この歌は!」

 

「例え何で有ろうとも!」「思いをきっと!」

 

「これが私達の!」

「これが俺達の!」

 

『歌の力だーーーーーー‼︎』

 

そう言うと霊風は頭上に集めた水を針のように先端を尖らすとそのまま月の欠片へと発射する!

その威力はまさに水龍の如く…!

 

そしてロックは双剣で無数に斬撃を飛ばす!

その一振り一振りからアーチャーの得物『干将・莫耶』が無限に作り出されていき、それが月の欠片に突き刺さる!

 

そして翼はその身の大剣で一刀両断を繰り出し、

クリスは大量のミサイルを撃ちはなつ!

 

そして4人の攻撃と共に、響と憑友の攻撃が月の欠片へと響き渡る…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドガァァァァァッッッ……………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、地球で青白い光が輝き、そして…

 

《シンフォギア装者》と《精魂導師》の消息が途絶えた。

 

 

大量の流星群が降り注ぎながら…

 

 

 

 

 

そして話はプロローグへと戻るのであった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーSIDEto未来

あれから3週間の月日が経ち、

響や憑友達の捜索が打ち切られる事になりました。

 

 

弦十郎さんからは、『作戦行動中の行方不明』から『死亡』扱いをする事になった。

元から死んでる身である憑友は、そのリストには加えられていない。

 

郊外にお墓が建てられますが、そこに2人の名前は有りません…

外国政府からの追及を逃れる為と言っていますが、私には分かりません。

 

奏さんは玄也さんの計らいで、現在は憑友の家に住んでいるそうなのですが、あれから"とある場所"に行く時以外は、1歩も動かない状態が続いているとの事です。

逝都と馬燈の2人は住宅街の修復作業を雨の日も嵐の日も、休む事なく、たった2人で作業を進めています。

憑友と響が守った大事な街…

 

無言の帰宅になるかもしれないが、それでも綺麗にして出迎えたい。

 

2人はそう言っていました。

けど、その時の発言や表情で、私はこの2人も私と同じ気持ちなんだと思いました。

 

それでも…響と憑友が帰って来ない事は変わりはありませんでした。

 

 

そして私はお墓に辿り着きました。

 

一時止んだ雨も、私が流した涙により、再び雨が降りしきる。

 

そんな中、私の身体が突然雨に打たれなくなって、上を見上げると、そこには白の傘が広げられていて、

持ってる方の手を見ると、

 

「風邪ひくからやめてくれよ…響ちゃんと憑友に頭が上がらなくなるから」

 

そこには奏さんと逝都、馬燈の3人がいた。

 

奏さんの時に言っていた"とある場所"とは、此処の事です。

 

私は奏さんに抱きついて、涙を流した。

忘れたくない存在…その大切な人が、なんで私の前から消えたのか…

涙を流したい…けど、それだと、私はあの2人の事を忘れてしまう…

 

私の想いを何処にぶつければ良いのか、分からなかった。

 

そんな時だった。

 

 

『きゃぁぁぁ‼︎』

 

「「「「‼︎」」」」

 

此処からそう遠くない所で悲鳴が聞こえた…!

雨の音でかき消されるかと思った声が聞こえて来るのだから、近くにいる!

 

「逝都!馬燈!」

 

「分かってる!」

 

「」コクッ

 

そう言うと逝都と馬燈の2人が先に現場に急行した。

 

「未来ちゃん…」

 

「…行きます。響と憑友の想いを…無駄にしたくないんです!」

 

それを聞いた奏さんは私の手を引っ張ると、私は奏さんと共に2人の後を追った。

 

 

そして2人の後を追って見ると、そこには1人の女性と、3人の子供がいて、その前に逝都と馬燈が、ノイズを遠ざけていた!

 

私はその隙をついて、女性の方を引っ張る。

奏さんは1人の子供を抱き抱えた。

それを見た逝都と馬燈もほんの一種の隙をついて、残りの子供達を抱き抱えて、みんなで走り始めた。

 

ーーーーーNO SIDE

何も言わないまま、未来達はその女性と子供達と共に走る。

いつの間にか雨も止んでいた。

 

先程の墓の道を通り抜け、私たちは反対側の道路へと駆け走る。

 

そして坂のある道路へと差し掛かったその時に、女性が疲れてしまった。

それを見た子供達は皆でその女性を見て、心配する。

 

そんな中、ついにノイズ達が前からも後ろからも囲まれてしまった。

 

 

「ちっ!此処までかよ!」

 

逝都が舌打ちしながらそう叫ぶ。

 

「諦めないで!」

 

未来はそう女性に言い聞かせるが、女性はそのまま倒れ込んでしまう。

 

それを見た子供達も女性の方へと駆け寄る。

 

奏も今の自分では何も出来ないと悔しがる。

しかしそれでも未来は皆の前に出て通せんぼをする。

これ以上進ませないという意思の現れのように。

 

ノイズが近づくにつれ、奏達は必死になって、子供達を庇う。

 

そしてあと少しでノイズが触れると思ったその時だった…

 

 

 

ドガァァァッッッ‼︎

 

『□☆□○⁉︎』

 

「!…‼︎」

なんとノイズ達が衝撃で、全て消滅したのだ。

そして未来はその衝撃と共に、何かの気配を感じて、上側の坂の方を見ると、そこには3つの光と、炎と水と風が巻き起こされていた!

 

そしてその光等が消えるとそこに居たのは、

 

翼と霊風,ロックとクリスそして…

 

憑友と響がそこに居た。

 

「翼…霊風…!」

 

「おいおい…」

 

「本当…なんだよな…!」

 

「!…」

 

上から奏,逝都,馬燈,未来がその光景を見て其々そう言う。

未来に至っては瞳に涙が出る寸前であった。

 

「ごめん。いろいろ機密を守らなくちゃいけなかったから…」

 

「これで、未来に何回嘘ついたんだろうな。俺達…」

 

そう言いながら、2人…響と憑友は未来にそう言ってきた。

 

「遅れてやって来るのが、『真打』って奴だと、俺は思うんだけどな〜?」

 

「そんな要素は1つ足りとも要らない。寧ろ直ぐに助けるのが当たり前だろうに…」

 

霊風のふざけた台詞も、ロックの前では完全に受け流せし+カウンターの言葉が炸裂する。

 

そんな中で、未来は涙を流しながら、2人に抱きついた。

 

その時にそのまま憑友は脚元がズレて、そのまま響と共に未来に押し倒されてしまったのは言うまでもない。

 

「「ただいま!」」

 

「おかえり…響!憑友!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして後に《ルナアタック》と呼ばれる事変は幕を閉じたのだった。

 

その後、未来と響と流れ星を見た憑友は、この世界事の為に、今を生き抜く事を誓っていた。

 

 

そして、空港では、奏が1人だけ先に世界を周ると言い出し、

霊風は奏の意見を尊重させて、旅へと行かせた。

その時に、2人の()()にと()()()()が嵌められていたのは気の所為では無いだろう。

 

 

ロックとクリスはあの事変の後、二課に配属となり、

ロックはスパイとして、活躍する様になった。

 

翼は奏が先に世界へと行った際に、自分も奏と同じ様に何れ世界へと翔ばたかせると意気込んでいた。

 

 

ノイズの被害はまだ尽きる事は無い…何故ならまだノイズ達が出入りしている場所"バビロニアの宝物庫"がまだ開いたままだから。

 

それでも彼等は前へと尽き進む…

終わる事の無い…戦いの為に。

 

 

だが…時の運命は…彼等を戦いへと誘うのであった。

 

 

 

 

 

ーーーーーー

とある場所…

そこでは、久しぶりに憑友と再会した憑友の義理の姉・セレナが買い物の為にまだノイズの被害の爪痕が残る住宅街の中を歩いていた。

 

 

しかしセレナはそれをスキップしながら軽々とお買い物気分に味わっていた。

 

そしてそんな彼女の前から黒い帽子と、サングラスをかけた、ピンクの髪が出ている女性が歩いてきた。

 

そしてそんな2人が交差した。

 

するとサングラスをかけていた女性は不意に立ち止まるや、そのまま何かを見たかのようにサングラスを外した。

 

そこに映し出された瞳は、淡い青を連想させるような瞳だった。

 

「…セレナ…なの…?」

 

その瞳の持ち主であるピンク髪の女性はそう言った。

 

そんな彼女が発した言葉にセレナは気付かないまま、住宅街の方へと闇夜のように消え去った…

 

これが後に関わる事件へと大きく動く前触れなのかもしれない…

 

 

 

 

そして、また別の場所。

 

「…」

 

全体を見渡せる展望台の所から1人のローブを纏った者がいた。

その風格からあまりにも不気味なその存在…

 

「…此処の核を取り除けば…

 

世界は創世の再誕(リセット)できる。

 

その為には…【四英雄】を見つけるか」

 

そう言い残しながら、ローブを纏った男は闇夜に瞬時に消え去った…

 

 

これから始まる物語は、果たして絶望が覆う未来か。

はたまた、世界を照らす希望への道筋か。

 

それを知るのは…貴方なのかもしれない…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無印編〔ルナアタック編〕

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーFinーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

キャスト

 

人絆憑友(オリ) 松本梨香

サトシ

 

 

立花響 悠木碧

ユルセン

 

 

ロック・アイル・ユキネ(オリ) 宮野真守

吹雪士郎

 

 

風鳴翼 水樹奈々

フェイト・T・ハラオウン

 

 

雪音クリス 高垣彩陽

 

 

精妖霊風(オリ) 西川貴教

 

 

天羽奏 高山みなみ

 

 

小日向未来 井口裕香

 

 

風鳴弦十郎 石川英郎

 

 

緒川真次 保志総一朗

真田幸村

キラ・ヤマト

 

 

櫻井了子/フィーネ 沢城みゆき

シノン(朝田篠乃)

ミラ・マクスウェル

 

 

藤堯朔也 赤羽根健治

 

 

友里あおい 瀬戸麻沙美

 

 

ライド(オリ) クリス・ペプラー

 

 

ソウル(オリ) 櫻井孝宏

ナルガ

 

 

スピリット(オリ) 洲崎綾

 

 

人絆玄也(オリ) 小山力也

 

 

人絆ジャンヌ(オリ) 田村ゆかり

高町なのは

 

 

人絆セレナ/セレナ・カデンツァヴァナ・イヴ 堀江由衣

 

 

浅岡逝都(オリ) KENN

 

 

一走馬燈(オリ) 小西克幸

 

 

牧藁牛乳(ミルク)(オリ) 竹達彩奈

 

 

キリト(桐ヶ谷和人) 松岡禎丞

黒曜イズナ

カナタ・エイジ

 

アーチャー(エミヤ) 諏訪部順一

 

レヴィアタン 早見沙織

 

メリオダス 梶裕貴

エレン

 

ナツ・ドラグニル 柿原徹也

アカネ

 

グレイ・フルバスター 中村悠一

司馬達也

東城刃更

 

ルーシィ・ハートフィリア 平野綾

 

ユイ 伊藤かな恵

ミドリ

 

ランサー(クー・フーリン) 神奈延年

ゼクス

 

シロエ 寺島拓篤

 

直継 前野智昭

 

アカツキ 加藤英美里

 

ジュード・マティス 代永翼

先導アイチ

 

仙道ダイキ 勝杏里

 

バン 鈴木達央

 

時崎狂三 真田アサミ

 

エルエルフ 木村良平

 

シグナム 清水香里

 

キング(ハーレクイン) 福山潤

 

ライダー(イスカンダル) 大塚明夫

 

リオン・マグナス 緑川光

 

アスラン・ザラ 石田彰

 

シン・アスカ 鈴村健一

 

カケル(轟駆流) 井上麻里奈

ラウラ・ボーデヴィッヒ

 

ユーリ・フロストル 種田梨沙

 

暁美ほむら 斎藤千和

クロエ・フォン・アインツベルン

 

ルドガー・ウィル・クルスニク 近藤隆

 

ユリウス・ウィル・クルスニク 大川透

 

ピカチュウ 大谷育江

 

アラン 小野賢章

 

リザードン 佐藤健輔

 

アリーシャ・ディフダ 茅野芽衣

 

海道ジン 小田久史

 

アオト 斎藤壮馬

 

石田三成 関智一

 

リヴァイ 神谷浩史

 

織斑一夏 内山昂輝

ソウル=イーター

 

マカ=アルバーン 小早川千明

 

佐倉杏子 野中藍

 

セイバー(アルトリア) 川澄綾子

 

衛宮士郎 杉山紀彰

 

高町ヴィヴィオ 水橋かおり

 

タバサ いのくちゆか

 

黒鉄一輝 逢坂良太

 

三日月・オーガス 川西健吾

 

両義式 坂本真綾

 

円堂守 竹内順子

 

豪炎寺修也 野島裕史

 

遠坂凛 植田佳奈

 

スカサハ 能登麻美子

 

レウス(リオレウス) 小畑伸太郎

 

レイア(リオレイア) 新田恵海

 

オウガ(ジンオウガ) 千葉進歩

 

ラギア(ラギアクルス) 中田譲治




この後、貴方は何方の道を進みますか?



①セレナが出会った女性の道…

②ローブを纏った者の道…




①を選んだ貴方は、設定集を跨いで、『ルナアタック』から『フロンティア』へと誘う事でしょう。

②を選んだ貴方は、その間に起こった事件を垣間見る事になるでしょう。

何方へ転ぼうとも貴方の思う様な結末があるとは思わない事を先に言っておきます。

それまで、首を長くして待っていて下さい。

先に①の話を作りたいと思いますので、ご了承願います。

では、またお会いしましょう。


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CM 無印編

番組が終わった後に流れる
Blu-ray発売用 CM
通称『様子がおかしいシンフォギアCM 』
があるじゃ無いですか。

あれを原作通りの進め方をしつつ、オリキャラも交えたらどうなるのかと言うのを書き記しました。

因みに台詞は台本形式。各台詞の上には原作の話数と同じになります。



1

憑友「遂に始まったオリジナル要素満載のシンフォギア。

だけど、まさかのいきなり死亡とか、正直きつすぎる…!

主人公がいきなり死ぬバトルものなんて聞いたことが…

え?仮面ライダーにいる?しかも元ネタ?

おのれ、●ィ●イ●!

え、その人とは無関係⁈」

 

 

2

奏「天羽奏だ。原作では一期1話のAパートでまさかの退場したが、この作品では私はまだ生きてるぞ!

ところで、話が変わるけど、なんで私が死なければいけなかったんだ?

中の人はすこぶる有名なのに、酷い仕打ちじゃねえかよ!

え?あの人のせい?

バーローーー!」

霊風「おい奏!それは中の人ネタだ!本編では言うなよ‼︎絶対に!」

 

 

3

響「この物語の主人公・立花響です!

いきなり歌を歌ったらまさかの展開!

翼さんには剣を向けられるわ、未来とは中々都合が付かなくなるし…

 

ああーもうー!

ウガァァァァ‼︎」

憑友「そんだけの為に暴走するなよ⁉︎」

 

 

4

ロック「…何?番宣?

…興味が無いな。

…まぁ、それなりに活躍してやる。

…戦姫絶唱シンフォギア 〜とある戦士の物語〜

俺もといクリスの活躍を期待してくれ。ではな」

 

 

5

翼「風鳴翼です。原作では奏が死んでしまったけど、この物話では生存…!流石作者だ。それに比べて原作者は何を巫山戯てるのだろうか…今度直談判をせねば!」

霊風「おい、双翼はここまでノンストップな奴等だったか⁈全く違うんだけど⁉︎」

 

 

6

霊風「やっと俺の出b…

未来「などと言っていたけど、今回はまさかの展開!

色々とあるけど、最早作画が違う意味で崩壊手前に…!

響〜私も出たいよ〜」

って、俺の話が〜⁉︎」

7

クリス「はぁ?私が番宣?巫山戯んじゃねぇ⁉︎

大体、あのバカが主人公だろうが⁉︎

何?私も?んなもん台本には無かったじゃねえか!

?後付け?全部乗せしてんじゃねえ‼︎」

 

 

8

源十郎「今回の出番は俺・達!」

緒川「原作でもよく一緒に組みますね」

源十郎「まぁ、ゲームでは共に『達人』扱いだからな!」

緒川「今後とも宜しくお願いします」

源十郎「では、俺の」

緒川「稽古は自分なりに頑張りますので」

源十郎「何だ…と⁉︎」

 

 

9

霊風「きょろきょろ…

誰もいないよな?

漸く俺の話が回って来たぜ!

何から話そうかな〜…って!もう終わり⁈

話す暇すらなかったぜ…!」

 

 

10

玄也「私がこの場にいるのは場違いが気がするが…」

ジャンヌ「いいじゃない!皆んながいればそれでハッピーになるんだから!」

セレナ「お義母さん。最後の台詞は此処だけで話してね。それ、他人の台詞だから」

玄也「何はともあれ、今後とも憑友と響ちゃん達の活躍を見ててあげてね」

 

 

 

11

フィーネ「どうだ?真の黒幕は味方の中にあるというのはさぞかし滑稽な話だろ?

何?元からそれをやった奴がいる?

ほう…なら、私がそいつを倒せば済む話ではないか…!」

 

 

12

キリト「ここに来ての大進撃!」

レヴィアタン「私達のパートナーも一気に活躍してます!」

アーチャー「作者魂に火が付いたのだろう。バトルものに関しては特にな」

キリト「憑友!」

レヴィアタン「霊風さん!」

アーチャー「ロック!」

「「「頑張れ!」」」

 

 

13

逝都「月が欠けたものの、何とか無事に皆が帰って来れたのはいいけれど…

この後からずるずる引っ張っていくとなると辛いものだな」

馬燈「何言ってるんだ。あんなのまだ良い方だぞ?7割吹き飛ばした奴がいるらしいからな?」

逝「…最早人では無いだろ。その所業」

馬「暗殺に長けた人だったと付けておくがな」

 

 




とまぁ、こんな感じです。


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無印編 キャラ設定集
キャラ設定 主人公サイド


haveabreaktime。
?意味?…ちょっとひと休みだよ?
憑友「曖昧かもしれないので、一応プロフィール紹介的な何かだと思ってくれ」

因みに一部の『英雄』達も紹介するぞ。


人絆(じんさい)憑友(つくも)

イメージCV:松本梨香

(ポケットモンスター サトシetc)

 

生年月日 1月27日生

血液型 O型

趣味 機械弄り/石板解析

好きな物

某携帯獣の電気鼠さん/芋けんぴ

嫌いな物

ドーピング剤

 

プロローグ1 誕生→5歳

プロローグ2 9歳

ラストプロローグ 13歳

本編〜 15歳

 

この物語の主人公にして、オリ主。

 

プロローグ1にて誕生した男の子。

プロローグ2にて、死ぬ間際のセレナを見つけ、彼女を救う切欠を作り、記憶喪失になったセレナを家に住みつかせる切欠を作った。

ラストプロローグでは、天羽奏を救いたいと願ったあまり、自分でも知らない力が発動して、エンシャンと名乗る鳥と契約をして奏を救う代償として命を落とし死亡した。

しかし、あの世にて神様と名乗る青年によって咎められ、再び現世へと舞い降りた。

その時に自分だけが見えるゆる〜い幽霊キャラ『ユルセン』も一緒にやって来た。

事情を知った両親とライドは彼の成長を暖かく見守る事になった。

プロローグ4の時では既に『シンフォギア』の主人公・響と親友の未来とは幼馴染な関係であり、

セレナは年が離れてるけど、支えてくれる良き姉と言う印象を持っている。

ツヴァイウイングは片割れ『天羽奏』のファン。

響の事を『太陽』、未来の時は『陽だまり』と、時々そう言う事がある。

お人好しな性格。因みに料理は得意で、アレンジ料理もこなせる。

弱点は塩(故に食事時も塩分0のメニューばかり)と水(清水以外は大丈夫)と火(己自身のは例外)と『聖』と付くもの又はそれに関連したもの(聖書とか十字架とか)…って、ほとんどお祓い時に用いられる物ばかり!しかも何気に弱点多っ⁉︎

あ、『英雄』達の力は弱点対象外なので、普通に使える。

ーー

【炎魂導師 ライド】

憑友がライドを左腕に装着し、【炎の魂を導く師者】のカードを装填し、レバーを引く事で変身する憑友の戦闘時の姿。

全身を赤や橙色のカラーリングと炎のマークを着飾った姿をしている。

基本的に相手を素手で殴る拳闘士(グラップラー)タイプ。

偶に、トンファーやヌンチャクを用いる事も可能。

パートナー英雄であるキリトの教えもあってか、炎を剣の形状にして戦う事もできる。その分、消費量は激しいけど…。

炎の魂を導く師者は伊達では無く、

『英雄』達の属性が〔炎〕の場合、その属性を持つ『英雄』達の力を増幅させる機能を持っている、正に《炎のカリスマ》。

但し、〔水〕の属性を持っている『英雄』達の力は扱えきれない。

その他の属性の場合は、通常通り使える。

ーー

 

 

人絆セレナ(本名 セレナ・カデンツァヴァナ・イヴ)

CV:堀江由衣

 

生年月日 8月21日生(非公式なので要注意)

血液型 AB型

趣味 ガールズトーク/石板解析

好きな物

可愛い系なら何でも(キモカワ系もあり)

義弟(憑友)特製オムライス

嫌いな物

特になし

 

プロローグ2 13歳

ラストプロローグ 17歳

本編〜 19歳

 

原作では故人の存在。

この作品では、憑友によって見つけられ、ジャンヌの救済を持って、一部の記憶が無くなる代わりに存命する。

フォニックゲインを大量に消費していたので、シンフォギアを纏う事は出来無いが、時間の流れと共に徐々にだが、取り戻しつつある。

現在は憑友にとっての義理の姉として振舞っている。

と同時に、玄也が進めている『英雄石板』に関する研究の手伝いをしている。

家事はどちらかと言うと得意な方だが、レシピ通りに作らせないと…いかん。これ以上は絶対に言えないから!

響や未来にとってはいろいろと相談出来るお姉さんポジ。

 

 

 

人絆玄也

イメージCV:小山力也

(テイルズオブヴェスペリア デューク・バンタレイ

fate/zero 衛宮切嗣

名探偵コナン 毛利小五郎(2代目)etc)

 

生年月日 10月7日生

血液型 A型

趣味 英雄石板の発掘及び石板解析

好きな物

家族(憑友=セレナ=ライド≦ジャンヌ)

リンゴ

嫌いな物

タバコ・酒

 

憑友の父にして、セレナの義父。

ある日に出会ったジャンヌに一目惚れして、即プロポーズをかけた所、相思相愛だった事に気づき、即結婚し、僅か3年も満たない内に憑友の父になった。

 

元は古代文明の研究者で、

プロローグ4にて発見した『英雄石板』を解読しようと奮闘中。

 

本編では、ジャンヌと共にセレナと憑友の事を気にかけている。

因みに弦十郎とは小学時代から高校時代までの旧知の仲。

ライドとは研究繋がりの関係である。

だが、彼にはまだ憑友やセレナも知らない顔があるようで…。

 

 

 

 

人絆ジャンヌ

イメージCV:田村ゆかり

(NARUTO テンテン

魔法少女リリカルなのはシリーズ 高町なのは

インフィニット・ストラトス 篠ノ之束etc)

 

生年月日1月6日生

血液型 B型

趣味 ランニング/観光巡り

好きな物

家族(憑友=セレナ=ライド≦玄也)

憑友とセレナが調理した料理全般

嫌いな物

火(憑友の《炎魂導師》や〔灯火〕は大丈夫)

 

憑友の母親にして、セレナの義母。

旧姓はジャンヌ・カデンツァヴァナで、セレナとマリアの実母とは姉妹の関係。

ある日に出会った玄也に一目惚れ。そこを玄也からのプロポーズを快く了承し、即結婚。

しかもそのままの勢いで、3年足らずで憑友を身籠り、出産し、一児の母となる。

玄也とは常にイチャラブで、憑友とセレナ、ライドの3人からは呆られている。

本業は医者で、全ての医療に秀でたまさにパーフェクトドクター。

その名は医療界ではまさに神扱いをしている。

ジャンヌはジャンヌで、フレンドリーに接する性格を持っているので、誰とでもフレンドリーである。

 

本編では玄也と共にセレナと憑友の事を遠くに居ながらも気にかけている。

後は(中の人関連で)歌うまだが、料理が絶望的な為、いつも息子の憑友にお世話になりっぱなしである…。

 

因みにB/W/Hはそれぞれ90/45/78と言うまさに理想体型であるが、逆に悩みであり、コンプレックスでもあるそう…。

 

 

ライド

イメージCV:クリス・ペプラー

(仮面ライダードライブ クリム・スタインベルト etc)

 

人絆一家に居座っている電子機器。

本名はライド・グラップラー。

 

かつては機械工学の革命者と呼ばれていた程、機械にめっぽう強い。

自らの研究テーマ『人間の魂を電子機器に宿らせられるか』と言うなんとも無茶ぶりなテーマを考えていたそうで、その実験を自ら被験体になってやっていた際にノイズが研究所を襲撃し、そのまま肉体は炭化してしまった。

のだが、奇跡的に電子機器内にその魂を宿す事に成功した。

その後、偶々研究所へやって来た玄也に発見され、そのまま居候の身になった。

 

電子機器に宿らせているので、食事は必要無いが週1のペースで充電しないといけ無い程の高燃費持ち。

 

 

 

ユルセン

CV:悠木碧

 

某【幽霊ライダー】に出て来たあの目玉幽霊そのまんまな格好をしたゆる〜い幽霊。

憑友と『英雄』達以外に視認することが出来ない存在。

いつも、憑友がピンチの時に助けてくれるのだが、その真意は不明なまま。

時々、響と未来…特に未来に対しては特別な感情を抱く事がある。

尚、幽霊なので基本的には何も食べずに過ごせるが、お好み焼きの匂いだけは敏感に反応する癖がある。

前世がもしかしたらお好み焼きが大好物だったのかもしれない。

 

ーー憑友側に付いている『英雄』達ーー

 

キリト

CV:松岡禎丞

 

本名は桐ヶ谷和人。

カード名は【黒の剣士 キリト】

片手剣で戦う全身黒ずくめの服装を装備している剣士。

《二刀流》や《破壊(ブラスト)》を使用する事が出来る。

 

憑友の剣術の師匠である。

目を離した隙に昼寝をする悪癖あり。大の辛党。

 

 

ーーー

ナツ

CV:柿原徹也

 

本名はナツ・ドラグニル。

カード名は【炎の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー) ナツ】

その身から炎を出す事が出来る青年。

ギルド【妖精の尻尾(フェアリーテイル)】に所属している荒くれ者だが、仲間に関しては非常に大事にする仲間思いの熱い奴。

乗り物酔いが起きやすく、乗っている間、大人しくなるだけでなく本当に酔っている。

 

 

ーーー

アカネ

CV:柿原徹也

 

本名はアカネ・ドッグス。

カード名は【炎を灯せし少年 アカネ】

聖なる扉《ディバインゲート》を目指して、日夜修行の日々を送っている。

ナツとは同じ攻撃方法と同じ属性の為か、意気投合している。

大好物は冷やしトマト。

 

 

ーーー

ほむら

CV:斎藤千和

 

本名は暁美ほむら。

カード名は【銃の魔法少女 ほむら】

憑友が再び現世にやって来た時に側にいた不思議な存在。

憑友の幼馴染である響の事を大事な誰かと重ね合せる傾向が見られる。

憑友に銃術を教えた存在。師匠扱いされることを毛嫌いしている。

 

 

ーーー

なのは

CV:田村ゆかり

 

本名は高町なのは。

カード名は【エース・オブ・エース なのは】

槍と砲撃系魔法を得意としている女性。

憑友の印象は面倒見の良い母親的ポジション。

教導官としての実績もあり、憑友にサバイバル術を教えていた。

O☆HA☆NA☆SIの時の笑顔を見て以来、憑友をトラウマにさせた過去を持つ。

大事な娘がいると言う事なのか、憑友の母であるジャンヌとは気が合う。

 

ーーー

ルドガー

CV:近藤隆

 

本名はルドガー・ウィル・クルスニク。

カード名は【銃剣槌士 ルドガー】

銃と剣とハンマーそして、力を解放した際に現れる槍を巧みに扱う実力を持つ戦士で、顔がイケメンで更に料理も得意と言う完璧超人。

だが、不運に遭いやすさが半端じゃない程、運が非常に低い。

憑友にとっては良い良父ポジション的に捉えられている。

料理の中で特にトマトを使った料理が得意。

 

 

ーーー

政宗

CV:中村和哉

 

本名は伊達政宗。カード名は【奥州筆頭 伊達政宗】

奥州(今で言う宮城は仙台辺り)を統べた戦国の武将の1人。

腰に6本の刀を持ち、それを全て引き抜いて相手を斬る《六爪流》の使い手。

英語交じりの日本語で話す。名月に酒を飲む事が趣味。

自分にとっての好敵手(rival)がいるようで、ごくたまに緒川にちょっかいを出す事がある。

 

ーーー

サトシ&ピカチュウ

CV:松本梨香&大谷育江

 

本名はそのまま。

カード名は【黄金コンビ サトシ&ピカチュウ】

異世界の地で旅をしながら成長していった少年。

腰についているボールで様々な相手とバトルをする。

ピカチュウ達ー総称名《ポケモン》ーに愛されている。

但し、自身は超が恋愛面では付くほど鈍感な持ち主で、相棒のピカチュウからいつも呆れられている

 

 

ーーー

メリオダス

CV:梶裕貴

 

本名はそのまま。

カード名は【憤怒の罪(ドラゴン・シン) メリオダス】

ウェイターのような格好をしている。

料理は見た目が美味そうなのに、味が残念。

ただ、酒に自信はある。

背中に刃が折れた剣を背負っているが、あくまで相手を()()()()()()()で、本命の武器がある模様との事だそうだが…?

政宗とは酒で宴を交わす仲。

 

 

ーーー

エレン

CV:梶裕貴

 

本名はエレン・イェーガー。カード名は【進撃の巨人兵士 エレン】

腰に備わった機動装置で自由自在に飛び回り、

ブレードと呼ばれる〔刀剣〕カテゴリの武器を使った斬撃が得意。

メリオダスと声が似ている為か、サトシや憑友にいつも間違われる。

基本的には友好的だが、目付きが怖く、近寄りがたい印象を持つ。

巨人クラスのサイズ等を見た瞬間に怒り狂う事がある。




ちょっとしたひと休みは楽しんでくれたか?
また次回お会いしよう。


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キャラ設定 霊風サイド

今回は霊風サイドのメンバー紹介。
とはいえ、殆ど知ってる存在ばっかなのをご了承願いたい。


精妖霊風(せいようレフ)

イメージCV:西川貴教

(機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ハイネ・ヴェステンフルスetc

T.M.revolutionとして大活躍中)

プロローグ4 17歳

プロローグ6〜エピローグ 20歳

本編〜 22歳

 

今作のオリキャラの1人にしてメインキャラの1人。

プロローグ4のラストにて初登場。

《精魂導師》内では大人の分類。

電子機器・スピリットとの邂逅、

《精魂導師》になった経緯、等々

《精魂導師》に関わる経歴が謎に包まれていて、本人は決して人前で話す事は無い。

今作では『ツヴァイウイング』の片翼・天羽奏の専属マネージャーとして活躍する様になる。

しかもそのフレンドリーな性格でお菓子作りと言う趣味がある為か、

某人気ランキング番組内にて『親しみやすいマネージャーランキング』部門にて初登場1位を獲得。それ以来、皆から《フレンドリーマネージャー》として皆の人気者になっている。

…マネージャー職なのに、目立って如何する…。

プロローグ時までは奏と翼のスリーマンセルの体制だったが、

本編では、奏が戦線離脱を余儀なくされ、戦場に立てなくなった奏に代わり、翼のフォローをするマンツーマンの体制として活躍する。

 

両手斧・両手剣・槍・鎌・両手棍・杖等の

両手で持つ長柄武器を得物としている。

 

自炊も出来る万能マン。

だが、苦手な物があるようで…?

 

ーーー

【風魂導師 スピリット】

霊風がスピリットを左腕に装着し、【風の魂を導く師者】のカードを装填し、レバーを引く事で変身する霊風の戦闘時の姿。

全身を緑やビリジアン系色のカラーリングと竜巻と風のマークを着飾った姿をしている。

基本的に風の塊で作った両手棍を用いて打突攻撃をする戦士(ファイター)タイプ。

両手棍を形状変化させて、大剣や槍、鎌や斧などに変化させる事が出来る中距離万能型。

風の魂を導く師者は『英雄』達の属性が〔風〕の場合、その属性を持つ『英雄』達の力を増幅させる機能を持っている、正に《風のカリスマ》。

更に、類似属性である〔雷〕の属性を持っている『英雄』達の力も少しだが、増幅させる事も出来る。

但し、〔地〕や〔炎〕の属性の『英雄』達とは相性が悪い。

その他の属性の場合は、通常通り使える。

ーーー

 

天羽奏

CV:高山みなみ

プロローグ4 14歳

プロローグ6〜エピローグ 17歳

本編〜 19歳

 

御存知『シンフォギア』のキャラで、原作では故人の存在。

プロローグまでは原作通りで、絶唱を放つも、

憑友によって命を救われた。

代わりに憑友は自分が殺したと思い込むようになり、

以来、歌を歌う事に拒絶反応が起こり、それ以来戦線離脱を余儀なくされてしまうだけではなく、翼とのユニット『ツヴァイウイング』もこの時期に事実上の解散となった。

それからは霊風が持って来ていた『英雄石板』の解析という新たな趣味を見つけ、現在はかつてのマネージャーであった霊風を支える存在となっている。

だが、やはり自分の家族を殺したノイズに対する怨念はまだ如何しても残ったままである。

憑友が再び目の前に現れた際、嬉し涙を流していたが、真実を聞かされた後は1人部屋に籠って、そして悲しみの涙を流していた。

なので、憑友との接し方に躊躇いがある模様。

 

 

 

風鳴翼

CV:水樹奈々

プロローグ4 12歳

プロローグ6〜エピローグ 15歳

本編〜 18歳

 

御存知『シンフォギア』のもう1人の主人公で誰もが知るSAKIMORIさん。

原作では奏が死んだ事で、響に対する感情は怒りを孕んでいた。

けど、今作は奏は生きているので、そう言う感情は多少なりにだが潜めている。が、やはり響に関する感情は良好とは言い切れない。

自信が弱かったばかりに憑友をこの世から亡くしてしまったと言う自負の念に囚われている為か、響に対する者とは違い、憑友には逆に躊躇いを生じやすい。

基本的には原作通りの展開をする人だが、奏に揶揄われる事がちょくちょくある。

 

『天羽々斬』

御存知SAKIMORIさんが使用するシンフォギア。

原作同様なので、割愛させて貰うが、まだ使い道があるようで…?

 

 

 

スピリット

イメージCV:洲崎綾

(暗殺教室 茅野カエデ

アイカツ! 夏樹みくる

バトルガールハイスクール 星月みきetc)

 

霊風と一緒にいる電子機器。

本名はスピリット・LR(ランスロッド)で、ライドの姉。

 

かつては美食の料理人と呼ばれていた程、食材の良さが分かり、料理には絶対の自信があった。

『人間の魂を電子機器に宿らせ、そしてその味覚が感じられるか』と言うライドの研究テーマに似たようなテーマを考えていたそうで、その実験を自ら被験体になってやっていた際にノイズが研究所を襲撃し、そのまま肉体は炭化してしまった。

のだが、奇跡的に電子機器内にその魂を宿す事に成功した。

その後、偶々研究所へやって来た当時の霊風に発見され、そのまま彼の元に就く事にした。

 

電子機器に宿らせているので、食事は必要無いが如何しても美味しい物に目が無い様で、今の自分に本当に後悔してるんだとか…。

 

 

 

風鳴弦十郎

CV:石川英郎

 

御存知『シンフォギア』の超人すぎるOTONA様。

憑友に格闘術の基本を教えた為、憑友とは師弟関係を持つ。

後は原作通り。憑友達を遠くから指揮しつつも、やはり大人としての責務なのか、憑友達を気にかけている。

因みに憑友の父・玄也とは小・中・高校時代からの旧友。

かつては2人揃って『知の玄也、武の弦十郎』とまで言われた程の実力者。

下手すればノイズ相手でも倒せるんじゃね?と思っていたが、そこはやはりフラグ修正されたのか、ノイズに対してはやはり対処出来ない。

憑友とスパーリングする事もあるが、師弟なのに容赦無しで、自分の家の一部を壊しかねないくらいにまでやり合う事も…。

これを他の次元に住みしものはこう呼ぶであろう…『殴り愛』と。

 

なので、止めようにも手の施しようが無いのである。

それなのに、家は半壊どころか、傷1つつかないとか、どんだけの頑丈な家に住んでいるのか…。

 

 

 

櫻井了子

CV:沢城みゆき

 

御存知『シンフォギア』のミステリアスレディ。

櫻井理論の提唱者など原作通りの展開を見せてくれる。

響のケースと、憑友のケースに興味を持っているようで…?

 

因みに憑友の母・ジャンヌとは犬猿の仲でありながら呉越同舟の間柄。

 

 

 

緒川慎次

CV:保志総一朗

 

御存知『シンフォギア』のエージェントにしてNINJA様兼翼のマネージャー。

今作では憑友の正体を知っていた数少ない存在。

基本的に翼のマネージャーをする等、基本は原作通り。

 

 

友里あおい/藤堯朔也

CV:瀬戸麻沙美/赤羽根健治

 

御存知『シンフォギア』における優秀なオペレーター2人。

2人一緒にいる事が殆どなのは気の所為にして欲しい…。

原作通りの立場を担う。

 

 

 

ーー霊風側に付いてる『英雄』達ーー

ミドリ

CV:伊藤かな恵

 

本名はそのまま。カード名は【風を纏いし少女 ミドリ】

憑友についているアカネと、ロックについているアオトとは、同じ世界出身で、アカデミーの同級生。

霊風が出会った英雄の中で、霊風にとっては無くてはならない相棒であり、主戦力。

元気で活発な性格だが、響を見た時に、自分の大切な親友と声が似ていた為、何故か響には敬遠しがちになる。

大好物はキュウリ…カッパか‼︎

 

ーーー

ランサー

CV:神奈延年

 

本名はクー・フーリン。

カード名は【アルスターの英雄 ランサー】…ネタバレし過ぎ!

《魔槍ゲイボルク》を使う槍使い。

《クランの猟犬》や《光の皇子》とも呼ばれている程、有名な戦士。

ロック側についているアーチャーとは二度相対した者同士。

いつも自由奔放で、目を離した隙に何処からか竿を持ってきては海まで釣りをしに行く奔放さを持っている。

だが、人を見る目はしっかりとしていて、ミドリの次に霊風が使用する主戦力な存在。

他人の家に勝手に入り、飯を食べてはさっさと帰る食い逃げ常習犯。

 

ーーー

マカ=アルバーン/ソウル=イーター

CV:小早川千明/内山昴輝

 

本名はソウルの方はソウル=エヴァンス。マカはそのまま。

カード名は【死武専コンビ マカ&ソウル】

 

憑友側にいるサトシ&ピカチュウと同様に2人で1つのカードに入っている。

ソウルは武器に変換する体質の持ち主で、マカはそんな彼のパートナーである。

常に目の前の仕事をテキパキと片付ける仕事人。だが、マカは音痴な為か、歌や踊りがダメダメで、ソウルは勉強不得意の凸凹コンビ。

だが、それ故に魂を共鳴し合える仲を持つ。

 

ーーー

シロエ

CV:寺島拓篤

 

本名は城鐘恵。

カード名は【腹黒眼鏡 シロエ】

 

異世界《エルダー・テイル》と呼ばれる所で住んでいた英雄。

ギルド《記録の地平線ーログ・ホライズンー》のギルドマスター。

戦略における仕事の早さはまさに屈指の参謀とも呼べる実力の持ち主。

ただ、偶に腹黒い事を言う事が偶にある。

今作ではそれは潜めているが、やはり如何しても出てしまう事がある模様…。

 

ーーー

杏子

CV:野中藍

 

本名は佐倉杏子。

カード名は【槍棍の魔法少女 杏子】

憑友についているほむらとは同じ世界出身の英雄。

常に何処から調達して来たのか、食べ物をいつも手に持っていて、お裾分けしてくる事が殆ど。

特にリンゴとたい焼きはほぼ毎回のように持ち歩いていたりする…。

 

多節棍の先端に槍の穂先を付けたような武器を使う。

強力な技を持っていないけれど、それを補って広範囲のリーチを獲得している。

 

ーーー

幸村

CV:保志総一朗

 

本名は真田(源次郎)幸村。

カード名は【天覇絶槍 真田幸村】

憑友側についている政宗とは互いが認める好敵手関係。

2つの槍を炎を出しながら巧みに操る技量の持ち主。

露出が高い女子を見て、『破廉恥な⁉︎』とか言う程、結構ウブ。

緒川さんがキャラ崩壊(メタ発言!)をしたら、間違い無くこうなっていても可笑しくない。

因みに『殴り愛』を教えたのも此奴。

 

ーーー

ルーシィ

CV:平野綾

 

本名はルーシィ・ハートフィリア。

カード名は【星霊に愛されし者 ルーシィ】

 

憑友側についているナツとは同じ世界出身でギルド仲間。

〔星霊〕と呼ばれる種族を使役し、共闘する戦闘スタイルを持つ。

霊風が現在唯一持っている長柄武器を持たない(・・・・)英雄。

代わりに、腰に携えている鞭で、女王様気取りに使用すr「そんな事の為に使うな‼︎」…嘘です。ちゃんとした理由で使います。

ただ、〔星霊〕達の中にそれが該当しているのがおり、専らそれ頼りで、ルーシィの活躍があまり出ない。

「なんで⁉︎」いや、知らんがな⁉︎

 

ーーー

レヴィアタン

CV:早見沙織

 

本名はそのまま。

カード名は【水竜姫 レヴィアタン】

 

見た目は普通の女の子だが、実は竜の名を冠する通り、竜の力を体内に宿している。現状として、自分の耳と腰から竜の翼らしき物を戦闘時に露骨し、尻尾も生えてくる。

非戦闘時はしまっているので、見た目は人間の女の子そのものであるが…。

その為、ナツとは如何しても仲間になりきれない。

だが、嫌いでは無く、体質故に滅龍魔法に耐性を持っていないだけなのである。本人も友達になりたいと思っていたぐらいだし。

昔はかなりの控え目だったそうだが、彼女の友達のおかげで、今は多少なりともみんなとは打ち解けている。

その肝心の友達と離れ離れな為、霊風にお願いしていた。

実は霊風が1番最初に出会った英雄。

 

ーーー

アリーシャ

CV:茅野愛衣

 

本名はアリーシャ・ディフダ。

カード名は【姫騎士 アリーシャ】

 

別次元の世界では第三皇女として存在していた正真正銘のご令嬢。

槍術を使いながら、戦う。

 

《精魂導師》のやり方を見て、かつての自分の仲間の事を思い出す節がある。

幸村みたいなやり方をする事もある為か、意外と意気投合している。

彼女には槍術を教わった師匠なる存在もいる様だが…?

 

槍を自由自在に扱える技量の持ち主だが、個性が翼とよく似ている。



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キャラ設定 ロックサイド

今回はロックサイドのメンバー紹介


ロック・アイル・ユキネ

イメージCV:宮野真守

(テイルズオブヴェスペリア フレン

ポケットモンスター ベストウィッシュ デント

ウルトラヒーロー ウルトラマンゼロetc)

プロローグ3 9歳

本編〜 17歳

 

今作のもう1人の主人公的ポジションにしてオリキャラ。

元は戦争孤児で、テロリスト達に酷い仕打ちをされて来た為、テロリスト達に関しては怒りを露わにする。

その為に様々な暗殺術を身に付けた実力者へと僅か7歳の時になった。

その実力は大人顔向け当たり前。野生の猛獣達をも恐怖に陥れた程。

それ故に、その冷たき視線に恐れをなしたテロリスト達から【冷眼のロック】として呼ばれる様になった。

プロローグ3の時に、クリスの家族に出迎えられ、1年ばかりだが、共に暮らした。その影響で【冷眼のロック】がその世から消え失せたと思った。

だが、バルベルデに来た際に、テロリスト達相手に今までの鍛錬を怠った所為で、クリスの両親を助けられずに見殺しにしてしまう。

その為、彼はクリスが幸せになるまで彼女の傍から離れない様に誓いを立てた。

 

テロリスト達に囚われていた際に、石板に封じてあった英雄・アーチャーと出会い、その後に電子機器・ソウルと出会った事で、《水魂導師》の力を得た。

その後、国連軍の介入によりクリスと共に保護されたが、本編開始2年前にクリス共々行方を眩ます。

その時にフィーネと出会い、クリスと共にフィーネのアジトに住む事になった。

以来、戦地に赴いてはテロリスト達を一部を除いた者達を気絶にまでする実力を持つ様になり、

抹殺対象者は容赦無く倒して行った。

 

《炎魂導師》の名を持つ憑友と初めて戦った時に、彼の実力を認め、自身の好敵手(ライバル)として認めている。

料理は得意で、素っ気なくこなし、射撃においての命中精度は屈指の実力者。おまけにソウルから教わった学習能力も相まって、憑友と同じ完璧超人になったのだが、注射が大の嫌いだとか…。

 

ーーー

【水魂導師 ソウル】

ロックがソウルを左腕に装着し、【水の魂を導く師者】のカードを装填し、レバーを引く事で変身するロックの戦闘時の姿。

全身を青や群青色のカラーリングと雫と波のマークを着飾った姿をしている。

基本的に水で作った弓や銃を用いて射撃・狙撃をする狙撃手(スナイパー)タイプ。

だが、相手が接近された場合は二刀短剣を用いた白兵戦をする事も可能な遠近対応型。

水の魂を導く師者は『英雄』達の属性が〔水〕の場合、その属性を持つ『英雄』達の力を増幅させる機能を持っている、正に《水のカリスマ》。

更に、類似属性である〔氷〕の属性を持っている『英雄』達の力も少しだが、増幅ささせる事も出来る。

但し、〔雷〕や〔風〕の属性の『英雄』達とは相性が悪い。

その他の属性の場合は、通常通り使える。

ーーー

 

 

雪音クリス

CV:高垣彩陽

プロローグ3 8歳

本編〜 16歳

 

御存知『シンフォギア』の皆んなの愛人さん。

基本的には原作同様だが、ロックと言う存在がいる為、原作よりも更にツンデレになりやすい。

多少の料理が出来るが、義兄であるロックには敵わない模様。

だが、当のロック本人からお墨付きを貰っているのをまだ気付いていなかったりする…。

食事のマナーは相変わらず駄目駄目で、ロックから毎回指摘されているも治す気配が一向に無い。

歌を歌う事を嫌ってはいるものの、ロックの歌声を聴く事に関しては嫌いでは無い様で…?

他の奴の事を名前で呼ばない癖は相変わらず。

だが、ロック側に付いている『英雄』達の一部のみは名前で呼ぶ事がある。

 

 

 

フィーネ

CV:沢城みゆき

 

御存知『シンフォギア』無印編のラスボス。

今作では時折キャラ崩壊を起こす事がごく稀にある。

その殆どがロックと居る時が多いのは気の所為にして欲しい…。

基本的には原作同様の展開をする。

ロックやクリス(特にロック)を弄る悪癖がある。

 

憑友の母親であるジャンヌとは何か関係がある様で…?

 

 

 

ソウル

イメージCV:櫻井孝宏

(コードギアス 反逆のルルーシュ 枢木スザク

トリコ ココ

PSYCHO-PASS-サイコパス- 槙島聖護etc)

 

ロックと共に行動する電子機器。

本名はソウル・バレッツ。

 

かつては魂魄理論を唱え、精神論の異端者と呼ばれていた程、精神論にめっぽう強い。が、同時に自称【ロマン馬鹿】と呼んでいる程、自分がナルシストだと自覚している。

『人間の魂を電子機器に宿らせられるか』とライドと同じテーマを考えていたそうで、その実験をライドとはまた違った方向から自ら被験体になってやっていた際にノイズが自らの研究所を襲撃し、そのまま肉体は炭化してしまった。

だが、ライドと同様に奇跡的に電子機器内にその魂を宿す事に成功した。

その後、研究所へやって来たテロリスト達に発見され、軟禁生活を余儀なくされていた時にロックと出会い、彼に《水魂導師》の力を授けた後、ロックと共に行動している。

 

電子機器に宿らせているので、食事は必要無い。

あまりにも無口な為、此処ぞと言う場面以外は滅多に喋らない。

意外とお笑い好き。

 

 

ーーロック側に付いている『英雄』達ーー

 

アーチャー

CV:諏訪部順一

 

本名はエミヤシロウ。

カード名は【錬鉄の弓兵 アーチャー】

 

皮肉屋でキザな性格の青年。

ロックが初めて出会った英雄だが、

英雄よりも少しだけ上の存在『英霊』と呼ばれる種族の1人。

誰もが認める万能家政夫。(本人は頑なに否定中)

ロックやクリスの面倒も見ていた。

 

ーーー

グレイ

CV:中村悠一

 

本名はグレイ・フルバスター。

カード名は【氷の滅悪魔導士(デビルスレイヤー) グレイ】

 

仲間を大切にする好青年。だが、服を脱ぐ癖を持つ残念な人。

右胸に自身が働いていたギルドの紋章を掲げている。

憑友側にいるナツとは喧嘩が絶えない分、仲間であり、ライバルであると自他共に認めている仲。

いつロックに就いたのかは不明。

 

ーーー

アオト

CV:斎藤壮馬

 

本名はそのまま。

カード名は【水を留めし少年 アオト】

 

憑友側にいるアカネ、霊風側についてるミドリとは同じ世界出身で、アカデミーの同級生。

刀型の武器(ドライバ)《刃刀 ワダツミ》を所持している。

常にネガティブな性格で、暖かい物を食べる事が無い。

大好物はサバ寿司。

 

ーーー

ユリウス

CV:大川透

 

本名はユリウス・ウィル・クルスニク。

カード名は【クラウンエージェント ユリウス】

 

憑友側にいるルドガーとは異母兄弟であるが、兄弟の様に仲が良かった。

『英雄』になる前にルドガーと相対し、そして彼から引導を渡された。

そしてこの世界でもまた剣を交える関係になってしまうが、昔よりも穏やかで、ルドガーの成長ぶりに期待している。

仕事はきっちりとやりこなす主義の持ち主。

大好物はトマト料理で、トマトに目がない。

 

ーーー

シノン

CV:沢城みゆき

 

本名は朝田詩乃。

カード名は【氷の狙撃手 シノン】

 

憑友側にいるキリトとは仲間であり、超えたい存在だとライバル視している。

フィーネと何処と無く声が似てる為、ロックからいつも間違えられている。

《ウルティマラティオ・へカートII》と呼ばれる対物ライフルの狙撃銃が愛機で、遠くからの狙撃が得意。

逆に近接戦闘ではアーチャーよりも劣っている為、アーチャーにライバル心を出す事がある。

 

ーーー

リヴァイ

CV:神谷浩史

 

本名はリヴァイ・アッカーマン。

カード名は【調査兵団兵士長 リヴァイ】

 

憑友側に付いてるエレンとは同じ世界の住人で、エレンの上司にあたる存在。

素早い動きを最大限に活かした攻撃をする事が出来、またグレイと同じ仲間想い。

大の潔癖症な為、フィーネのアジトに戻って来るなり、すぐに掃除してしまう癖が身に付いてしまった…。

 

ーーー

フェイト

CV:水樹奈々

 

本名はフェイト・テスタロッサ・ハラオウン。

カード名は【迅雷の執務官 フェイト】

 

憑友側に付いてるなのはとは最初の友達であり、大切な存在。

再びなのはと戦わなければいけないと苦悩するも、なのはの一言で吹っ切れ、今は早くこの事態を収束させて、なのはと一緒にいたいと思っている。

 

ーーー

リオン

CV:緑川光

 

本名はリオン・マグナス(真の名はエミリオ・カトレット)。

カード名は【運命を冠する裏切り者 リオン】

 

短剣と片手剣と言う異色の組み合わせの二刀流を巧みに扱う少年剣士。

〔闇〕と〔土〕の2つの属性を扱える双属性の持ち主。

片手剣《ソーディアン・シャルティエ》を愛剣としている。

常に冷静に対処する性格。反面、大の甘党で、スウィーツにはツンデレながらも目がない。

 

ーーー

アカツキ

CV:加藤英美里

 

本名は羽根静。

カード名は【地平線の暗殺者(アサシン) アカツキ】

 

霊風側にいるシロエとは同じ世界出身で仲間。

シロエの事を「主君」と時折そう言っている。

アーチャー以外の皆と同様、いつ仲間になったのかその経緯が分からない。

ロックの中ではアーチャーの次に頼りにされている存在。

追跡者と言う能力を使って追跡する程、忍者のような身のこなしを持つ生粋のクノイチ。

「第19話」の最後にロックが変身していたのも実はこの人の魂。

 

ーーー

達也

CV:中村悠一

 

本名は司波達也(真の名は四葉達也)。

カード名は【魔法科高校の劣等生 司波達也】

 

2丁拳銃を用いた魔法演算術式が得意。

だが、処理速度は低いのが欠点。

その代わり、即死クラスの攻撃を受けても直ぐに自動再生する能力が付加されている。

 

常に1人で機械と向き合っている為か、ソウルとは気が合う。

ロックに代わり、『英雄石板』の解析を一任されている。

 

ーーー

三成

CV:関智一

 

本名は石田三成。

カード名は【君子殉凶 石田三成】

 

政宗と幸村と同じ世界の者で、豊臣秀吉率いる覇王軍の忠実なる右腕。

相手を惨殺する事を躊躇わない性格の持ち主。

常に1人でいる事が多い。

ロックに抜刀術を教えた存在。

だが、師匠と言われるのを嫌っている。

ある男に対して復讐の炎を纏っている。そのある者とは…?



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主人公サイドvol.2

主人公サイドについている人達を紹介しよう


立花響

CV:悠木碧

 

御存知『戦姫絶唱シンフォギア(以下シンフォギア)』の主人公。

基本的に原作同様。

だが強いて言えば、憑友とのスキンシップが半端じゃない事が唯一とでも言える。

未来とは相変わらずの仲良し。

憑友と3人で一緒にいる時は、「仲良し3人組」とでも呼ばれていて、凄く仲が良い。

憑友の事は友好と言うより、好意を持っていたりする描写がある…!

 

プロローグ7の後、九死に一生を得るも、憑友がこの世から去ってしまったと言うあまりにも残酷な現実を突きつけられ、更にライブ会場の悲劇での生存者故に、遺族や友人達からの罵声に苦しみ、

『傷口に塩を塗る』かのように父親の失踪も相まって、かなりの精神的被害を受けてしまった。

その影響で、憑友の家族とはそれ以来会わなくなってしまう…

 

しかし、ルナアタック第3話で憑友との運命の再会に歓喜したものの、

憑友の現状に泣きそうになるも、それでも憑友の為と思いながら、奏から託された《聖遺物・ガングニール》のシンフォギアを使う事を決意する。

 

後は基本的に原作通りの展開を見せる。

 

『ガングニール』

響が使うシンフォギアの聖遺物。原作通り心臓近くに破片が残っていて、本来の『槍』としての性能を持たず、『拳』としての性能を発揮させている。

原作では、技があまり無かったので、今回は憑友と『英雄』達の技を会得しようと努力する事になった。

 

ーーーーーー

小日向未来

CV:井口裕香

 

此方も御存知『シンフォギア』において響の幼馴染兼正妻ポジの女の子。

原作同様に響の事を心配しながらも暖かく見守る(序盤はな…⁉︎)。

憑友の事は響と同様に密かに好意を持ちつつも、仲良し3人組としていつも一緒にいた。

 

プロローグ7の後、憑友の死を聞いて響と共に泣き崩れた。

その後は、響よりかはマシだが、それでもやはり憑友の家族の所に行く事を躊躇っていた。

憑友の代わりにライドの愚痴をしっかりと受け止める役目を持っていたりする描写が至る所にある。

 

ルナアタック編第9話の際に憑友との再会に喜んでいた。

それ以降はリディアンに通いだした憑友と3人仲良く通学するようになる。

が、まだこの時の未来は憑友がどんな存在なのかまだ知らない。

 

憑友が作った『現界ブースター』で呼び出した『英雄』達と何故か仲良くなってしまっていると言うある意味凄い能力を持っていたりする…。

 

ーーーーーー

安藤創世・寺島詩織・板場弓美

CV:(創世)小松未可子

(詩織)東山奈央

(弓美)赤崎千夏

 

御存知『シンフォギア』にて、響と未来の友達。

今作では憑友の友達にもなる。

創世は憑友の事を「ツッキー」と呼んでいる。

いつも3人一緒にいる事が多い。

憑友の趣味『英雄石板の解析』に3人とも興味がある。

 

 

ーー憑友側に着いている『英雄』達part2ーー

セイバー

CV:川澄綾子

 

本名はアルトリア・ペンドラゴン。

カード名は【剣の英霊 セイバー】

別次元では《騎士王アーサー》としても有名な存在。

青い騎士服を身に纏いながら戦う。

憑友がリディアンに通う際に届けられた段ボール箱の中に、下記の士郎と共に入れられていた。

何よりもすぐにお腹が空くので、よく食べる。

故に憑友や響達から「腹ペコ王」と呼ばれていたりする。

 

ーーー

士郎

CV:杉山紀彰

 

本名は衛宮士郎。

カード名は【剣製の魔術師 士郎】

セイバー…アルトリアにとっては大事な存在で、それは士郎も同じである。

憑友がリディアンに通う際に届けられた段ボール箱の中に、上記のセイバーと共に入れられていた。

料理の腕には自信があり、特に和食が得意。

殆どキッチンを独占しているが、稀に機械類を点検する事もある。

料理と自身の運のなさに共感したのか、ルドガーとは親しい。

憑友と同じお人好し。

 

ーーー

一夏

CV:内山昂輝

 

本名は織斑一夏。

カード名は【白のIS操縦者 織斑一夏】

女性にしか使えないパワードスーツ《IS》を起動させてしまった少年。憑友の立場に同情している。

尚、相変わらずの朴念仁。

料理が得意なので、ルドガーや士郎とは何気に切磋琢磨している仲。

本編では第24話時点でほんの少ししか出ていないある意味不運な男。

 

ーーー

ジン

CV:小田久史

 

本名は海道ジン。

カード名は【秒殺の皇帝 海道ジン】

小さなロボットを用いて戦うプレイヤー。

その動きの速さから【秒殺の皇帝】として恐れられた。

現在は、自身の親友を探す手立てとして憑友の家に居候していたが、

憑友と行動を同じにする事で、親友を早く探す事が出来るのではないかと言う事に至り、同行する事になった。

 

ーーー

ユイ

CV:伊藤かな恵

 

本名はMHCP(メンタルヘルスケアプログラム)No.001 CN(コードネーム) ・Yui。

カード名は【黒と白の娘 ユイ】

キリトの娘で、精神を落ち着かせるメンタルヘルスケアカウンセリングとハッキングが得意。その正体は人工知能(AI)で、ノイズに触れても炭化しない性質を持つ。

今までは電子内にいたのでその為なのか、現実世界を見てはしゃぐ姿を度々見る描写がある。

実家に帰省時に憑友一家に下記のオウガ達と共に居候していた。

キリトには「パパ」と呼んでいて、憑友には「パパの付き人(キリト同行時)」又は「憑友さん(キリト不在時)」と呼んでいる。

 

ーーー

オウガ

イメージCV:千葉進歩

(銀魂 近藤勲

テイルズシリーズ ウィル・レイナードetc)

 

本名はジンオウガ。

カード名は【無双の狩人 ジンオウガ】

太古の昔に存在していた狼の姿をした竜《牙竜種》の一体。

通常は本来の姿である狼の姿をしていて、戦闘時はその姿をあしらった鎧を身に纏う。時と場合によっては擬人化する力を持つ。

帰省時にユイと共に居候していた。

ユイの面倒を見ていた為か、ユイに懐かれている。

 

狼の性質と雷の属性を持つ竜と呼ばれていた事から《雷狼竜》とも呼ばれており、そして虫と共存出来る能力を持つ。

其処で繰り広げれる状態強化《超帯電状態》を用いて自身の領土内(テリトリー)に侵入した者を懲らしめる。

実はそれよりももっと凄い能力を持っていると言っているが、それを扱う事が非常に難しい為、あまり使用する事がない。

 

ーーー

レウス

イメージCV:大畑伸太郎

(流星のロックマン 牛島ゴン太

フューチャーカード バディファイト

ドラムバンカー・ドラゴンetc)

 

本名はリオレウス。

カード名は【空の王者 リオレウス】

ジンオウガとは同じ世界で生き、そして絶滅したと思われる種族で、《飛竜種》と呼ばれる種族で、種を代表する屈指の実力者。

翼を広げて、上空から攻撃を仕掛けてくるその様はまさに空を制する王そのもの。

口から炎を吹き出す事から《火竜》と言う異名を持っている。

オウガのような特殊能力が無い分、火力ではこちらが圧倒的。

水や雷に弱く、飛翔時に目眩しを食らうと、思うように行動できない。愛しの彼女がいる。

オウガと同様、時に擬人化する能力を持つ。

 

ーーー

レイア

イメージCV:新田恵海

(ラブライブ 高坂穂乃果

カードファイト‼︎ヴァンガードG 安城トコハetc)

 

本名はリオレイア。

カード名は【陸の女王 リオレイア】

上のレウスの彼女で、母性を醸し出している。

レウスとのコンビネーションは破格の力を誇る。

尻尾に猛毒を宿しており、他のものが触れないように、寝る時は常に自分の身体の中に仕舞い込んで寝る。

憑友の帰省時にレウス共々、憑友達と出会って以来、憑友達とは仲良くなっている。

レウスと一緒にいる時は常にレウスに甘えている。

そうじゃ無い時は基本的に面倒見の良い姉御肌。

レウスやオウガと同じで擬人化する事が出来る。



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ロックサイド&霊風サイド〔Vol.2〕

ロック側に付いている『英雄』達

 

ラウラ

CV:井上麻里奈

 

本名はラウラ・ボーデヴィッヒ。

カード名は【ドイツの代表候補生 ラウラ】

憑友についている『英雄』一夏の事を我が嫁にせんと考えている少女。

見た目は少女だが、一個小隊の少佐を務める実力を誇る正真正銘の軍人。

ロックのやり方に異義を思っているものの、それを押し留めながら見守り続けている。

軍人気質な性分の持ち主だが、乙女的言動をとる事もしばしばある。

 

ーーー

狂三

CV:真田アサミ

 

本名は時崎狂三。

カード名は【精霊《ナイトメア》 狂三】

憑友についている『英雄』ほむらと同じ"時間"と、"銃術"に長けた存在。

ただ、ほむらよりも格段に上で、数多の敵を前に立ち向かえる技量を持っている。

時間に関する概念を超越し過ぎている為、扱うのに苦労すると言われている。

それに加え、対価を要求してくるので使う機会が限られている。

 

ーーー

イズナ

CV:松岡禎丞

 

本名は黒曜イズナ。

カード名は【伝説を壊せし雷龍 イズナ】

《ガイストクラッシャー》と呼ばれる伝説や神話の存在を倒す者達の1人。

かつては大切な姉がいたが、その《ガイスト》と呼ばれる者達によって殺され、以降は《ガイスト》を倒す為に戦い続けていた。

ロックとは立場が違えど、其れなりに気にかけており、

クリスの場合は、なんだかんだで妹のような存在として接している。

 

ーーー

ダイキ

CV:勝杏里

 

本名は仙道ダイキ。

カード名は【箱の中の魔術師 ダイキ】

常にタロットカードを持ち歩いている。

凄腕のプレイヤーで、その芸当からカード名にも書かれている異名【箱の中の魔術師】という名が知られている。

犬猿の仲とも呼べる存在がいるというのだが…?

ロックとの経緯は不明だが、ロックに加担している。

最も自分勝手なので、手を貸す事もあればそうで無い時もあるとか…。

 

ーーー

バン

CV:鈴木達央

 

本名はそのまま。

カード名は【強欲の罪(フォックス・シン) バン】

不死身の(アンデッド)バン》とも呼ばれておる故なのか、どんな事をされても、すぐにその身を再生する体質能力を持っている。

憑友についているメリオダスとは同じ騎士団の中で、

「団ちょ♪」とそう呼んでいる。

語尾にいつも♪マークがつくのが特徴。

キングが毛嫌いしているのを気付いてはいるが、普通に接してくる。

 

ーーー

ラギア

イメージCV:中田譲治

 

本名はラギアクルス。

カード名は【海の王者 ラギアクルス】

 

オウガ達と同じ世界出身で、海を徘徊する《海竜種》の一体。

種を代表して、《海竜》とも呼ばれたり、レウスと違い、海を征している事から《海の王者》とも呼ばれている。

ロックの事を見守る父親的存在で、海を徘徊する際は頼られている。

 

ーーー

ユーリ

CV:種田梨沙

 

本名はユーリ・フロストル。

カード名は【空穿の閃光(ブリューナク) ユーリ】

石化の槍《トリシューラ》を愛機とする少女。

律義で義理堅いのか、クリスには嫌われている。

ロックとは性格が似ているのか、普通に接している。

剣も使えると自負していたのだが、ロックの剣戟の前にあっさり敗北を喫し、以来は槍使いとして信用されている。

 

 

ーーーー

霊風に付いている『英雄』達

 

 

ゼクス

イメージCV:神奈延年

 

本名はライゼクス。

カード名は【電竜 ライゼクス】

オウガ達と同じ世界出身で、レウスとレイアと同じ《飛竜種》に属している竜。

各部位には蓄電器官が備わってあり、そこから強力な電気を放出する事から《電竜》とも呼ばれている。

飛竜種の中では非常に好戦的で、テリトリーに入っては自分が強いと豪語するような性格。

翼を使って腕のように攻撃する特徴を持っている。

下記のモンスターと一緒になって、霊風に中々心を開いてくれない。

だが、それには訳があるようで…?

 

ーーー

ナルガ

イメージCV:櫻井孝宏

 

本名はナルガクルガ。

カード名は【迅竜 ナルガクルガ】

オウガやレウス、ゼクスにラギア達と同じ世界の出身で、素早い身のこなしが最大の売りとしている。

四肢で行動する生態系を持っているが、レウス,レイア,ゼクスと同じ《飛竜種》に属している。

腕についてる翼は捕食をする際にも使われており、それはまさに鋭き刃のように獲物を一撃で葬りさる…!

上記のゼクスと同じで、霊風に中々心を開いてくれない。

ゼクスと同じで、何か訳があるようで…?

 

ーーー

シグナム

CV:清水香里

 

本名はそのまま。

カード名は【烈火の将 シグナム】

長剣、連結刃、弓を巧みに扱う剣士にして、なのはとフェイトの仲間の1人。

特にロックについているフェイトとは切磋琢磨するライバルであり同志の間柄。

非常に好戦的で、時折ゼクスとやりあったりする。

他にも仲間もとい家族がいるのだが、現在は皆離れ離れになっている。

 

ーーー

キング

CV:福山潤

 

本名は《妖精王》ハーレクイン。

カード名は【怠惰の罪(グリズリー・シン) キング】

憑友に付いてるメリオダスの仲間で、正真正銘の妖精。

かつては《妖精の森》と呼ばれる自分の故郷を守っていたのだが、その怠惰により滅亡寸前にまで追いやった罪を背負っている。

メリオダスとは同じ騎士団として名を馳せている。

通常は子供っぽい姿をしているが、式典などの催し物の際はおっさんのような出で立ちの正装へと変わる事が出来る。

同じ騎士団のバンの事を毛嫌いしている。

 

ーーー

刄更

CV:中村悠一

 

本名は東城刄更。

カード名は【神速剣術使い(インフィニットスレイヤー) 刄更】

《勇者の一族》と呼ばれる血族の者で、魔族に仇なす者達に属していたが、幼い頃に現在の自分の所有する愛剣を引き抜いた事でその一族が住む里が崩壊寸前にまで追いやり、父親と共に里から追い出される。

その後、魔族の血を引く義理の妹を守る為に剣を振るう事を誓っている…!

現在はその妹達を見つける為に霊風に力を貸しているが、霊風の事をあまり信用していないようで…?

 

ーーー

タバサ

CV:いのくちゆか

 

本名はシャルロット・エレーヌ・オルレアン。

カード名は【雪風の魔法学園生 タバサ】

《トリステイン魔法学院》と呼ばれる学院に通っている魔法使い。

言葉を交える事が苦手で、あまり喋りたがらない。

趣味は読書。

小柄なのに大食いなので、憑友についている『英雄』セイバーと意気投合していたりする…⁉︎

水と風の魔法が得意で、そこから併せた氷属性の魔法が大得意。

使い魔を召喚する事もできるが、肝心の使い魔が現在行方不明なので召喚する事が出来ない。

 

ーーー

エルエルフ

CV:木村良平

 

本名はミハエル。

カード名は【革命を導く参謀長 エルエルフ】

《ドルシア軍》と呼ばれる次元世界上に存在する機関のエージェント。

聡明な状況把握能力と一瞬で大多数の相手を殲滅するほど高い戦闘能力を持ち合わせている。

基本的には霊風の意見には賛同もしなければ、反対もしない中庸の立場を取っている。

「友達」と呼べる存在を己が『英雄』になる前に死んだと供述している事から、「自分がその友達を殺した」と言う後悔の念に立たされている。

そう言う経緯がある為か、あまり霊風に己の力を貸す事が無い。

刄更とゼクス、ナルガと同様で霊風の事をあまり信用していない。

だが、理由があるようで…?



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主人公サイドVol.3

多分無印編に登場した『英雄』達はこれで全部だと思う。


浅岡逝都(あさおかゆくと)

イメージCV:KENN

(遊戯王GX 遊城十代

マジンボーン 竜神翔悟

宇宙兄弟 南波日々人etc)

 

今作で憑友と仲良しの男の子でオリキャラ。憑友と同い年。

憑友の良き理解者である。

実はヤンキーで、憑友とはどうも不釣り合い過ぎてコンプレックスを抱えているのだとか…。

だが、持ち味の前向きさでそれをこなし続けている。

意外とファンタジー系の映画が好きというギャップを持っている。

 

ーーーーーー

一走馬燈(いっそうまとう)

イメージCV:小西克幸

(テイルズオブシンフォニア ロイド

FAIRYTAIL ZERO ユーリ・ドレアー

ガイストクラッシャー ロック・ボルカンetc)

 

逝都と同じ憑友の親友にしてオリキャラ。

憑友の事を、逝都と共に理解しながらも、それでも暖かく見守る。

《走馬燈流派》と呼ばれる抜刀剣術の使い手であり、数々の抜刀流派の者達を相手に全戦全勝を上げている。

だが、それはあくまで公式によるもので、非公式試合などでは互角の戦いが多い。

 

ーーーーーー

牧藁(まきわら) 牛乳(ミルク)

イメージCV:竹達彩奈

(ソードアート・オンライン リーファ/桐ヶ谷直葉

ディバインゲート ヒカリ

デート・ア・ライブ 五河琴里 etc)

 

二課に勤務している明るい女性スタッフ。

実家が牧場経営をしている為、こう言う名前になった。

二課に勤務するようになった理由は自分でも分かってない模様。

まわりの皆を明るくするムードメイカーポジション。

憑友の事を弟のように可愛いがる素振りを見せている。

 

 

ーーーーーー

憑友達についている『英雄』達

 

カケル

CV:井上麻里奈

 

本名は轟 駆流。

カード名は【赤き稲妻のドライバー カケル】

憑友よりも身長が低いがそれはまだ小学生である為。

一つ上と同い年の幼馴染がいて、現在はその幼馴染と仲間を探している。

《ライバード》と呼ばれる赤い車に乗って、そこからロボットへと変形させて戦う戦士。

憑友についている『英雄』の中では年少グループに分かれている。

「ゼツボー的に○○」が口癖で、それは憑友が纏っても同じ様に言ったりしている。

 

ーーー

シン

CV:鈴村健一

 

本名はシン・アスカ。

カード名は【運命の翼 シン】

他の次元世界でMS(モビルスーツ)と呼ばれるロボットを使用して戦った少年。

己が『英雄』になる前に両親と妹を失っており、ロックの事を自分と同じ道を歩んでほしく無いと願っている。

格闘戦においては無類の強さを誇るが、ロックとの相性では最悪の数値を叩き出されてしまい、ロックには使用する機会が無かったが、

ロックから憑友に手渡された後は憑友の『英雄』として共に戦っている。

尚、憑友との相性は最高値を叩き出している。

 

MSの名前はデスティニーで、「運命」の名を冠していて、

格闘戦、近接戦、遠距離砲撃の3種類をバランスの良い機体構成になっているが、ロックの時は砲撃ばかりで、憑友の時は逆に近接及び格闘戦が専らである。

 

ーーー

キラ

CV:保志総一朗

 

本名はキラ・ヤマト。

カード名は【自由の翼 キラ】

上記のシンと同じ世界出身。

シン同様MSと呼ばれるロボットを扱い戦場を生き抜いてきた。

大切な親友と幾度となく敵対してきたが、後に和解し、共闘した。

その後も自分の思いを胸にひたすら世の中の戦争を無くそうと努力している。

ロックの理想と共感しており、ロックを助力している。

 

MS名はストライクフリーダムで、「自由の祈り」とも称されている。

ロックとの相性は最高で、全方位の敵を一掃する対艦戦闘並みの力を持っている。

銃撃においては凄腕の実力を誇る。

 

ーーー

アスラン

CV:石田彰

 

本名はアスラン・ザラ。

カード名は【正義の翼 アスラン】

キラとシン…2人と同じ世界出身で、キラの親友にしてシンの上官。

キラとシンのブレーキ役であるため、2人に関しては悩みの種となっている。

だが、戦闘指揮能力は高く、連携して攻撃をする事が出来るだけでなく、近接及び遠距離砲撃をバランスよく扱えている。

キラ,シンと共にロック側についていたが、東京スカイタワー襲撃戦時にロックから霊風へと手渡された。

 

MS名はインフィニットジャスティスで、「正義への改変」と称されている。

こちらは逆に霊風の長柄の扱い方が影響している為か、霊風との相性は最高値を叩き出している。

その他の攻撃方法も素っ気なくこなせている。

 

ーーー

カナタ

CV:松岡禎丞

 

本名はカナタ・エイジ。

カード名は【空戦魔導教官 カナタ】

キリトとよく声が似ているが、こちらは地上戦よりも空中戦が得意。

ホバーボートを使って空中を高速移動する。

愛剣が2つあるが、両方同時に出す事は無い。

 

ロックについてる少女、ユーリ・フロストルとは同じ世界出身であり、上司と部下の間柄と同時に先輩後輩の間柄。

言葉を省略する癖がある。

 

ーーー

アラン&リザードン

CV:アラン)小野賢章

リザードン)佐藤健輔

 

本名は2人ともそのまま。

カード名は【メガシンカ使い アラン】

 

サトシと同じ世界出身で、《カロス地方》と呼ばれる土地の出身トレーナー。

相棒のリザードンとはサトシとピカチュウのように、固い絆で結ばれている。

 

ロックについてるが、己の力を発揮する事がまだ出来ていない為、使用を控えるように促している。

 

ーーー

ライダー

CV:大塚明夫

 

本名はイスカンダル…彼の征服王その者である。

カード名は【『征服』の騎乗兵 ライダー】

霊風が所持していたが、弦十郎に護身用として持たされている。

何気に弦十郎とは親しく、背中を預けているため、弦十郎のパートナー『英雄』と勝手に言い始めた。

 

ーーー

一輝

CV:逢坂良太

 

本名は黒鉄一輝。カード名は【一刀修羅 一輝】

剣術としては腕があるが、魔力が低い為に、最弱の烙印を押された戦士。

 

憑友と共に行動するが、自らの力を発揮する事が出来ずに葛藤している。

 

ーーー

両義式

CV:坂本真綾

 

本名はそのままだが、赤と青の組み合わせの服装時は、両義"織"となる。

カード名は【直死の魔眼 両義式】

 

霊風が所持していた『英雄』にして、神をも殺しにかかる程の眼『直死の魔眼』の持ち主。

高速で攻撃する事が可能なタイプ。

 

冷たい物が苦手だが、ハーゲンダッツのストロベリーだけは食べる。

 

ーーー

アイチ

CV:代永翼

 

本名は先導アイチ。カード名は【パラディンヴァンガード アイチ】

騎士達の先導者《ヴァンガード》を指揮する存在。

切り札は自らの分身"ブラスター・ブレード"

 

ノイズに融合されたが、憑友が回収に成功と同時に彼の元に就く。

 

ーーー

クロエ・フォン・アインツベルン

CV:斎藤千和

 

本名はそのまま。カード名は【もう一つの人格 クロエ】

3枚一組のカードだったのだが、フィーネによって無理矢理引き剥がされた。

 

ノイズに融合されたが、ロックが回収し、以降は彼の元に就く。

燃料補給の件は後程分かる。

ーーー

三日月

CV:川西健吾

 

本名は三日月・オーガス。カード名は【鉄華団の悪魔 三日月】

元は鉄華団のメンバーの1人。

フィーネによって保管されていた。

 

ノイズに融合されたが、霊風が回収して、彼の元に就く。

相変わらず食事は非常食以外食わない為、霊風はいつも手を焼いている。

ーーー

ジュード

CV:代永翼

 

本名はジュード・マティス。カード名は【絆の拳 ジュード】

フィーネの策略により、下記のミラ共々ネフシュタンに飲み込まれていたが、憑友が両方を回収した後、霊風の手に渡る。

以降は医療関係では皆からお世話になっている。

 

ーーー

ミラ

CV:沢城みゆき

 

本名はミラ・マクスウェル…精霊達の主である。

カード名は【若き精霊の主 ミラ】

フィーネの策略により、上記のジュードと共にネフシュタンに飲み込まれていたが、憑友によって回収した後、ロックの手に渡り、以降は彼の所でお世話になる。

化け物クラスの食漢で、体型が崩れない。

セイバーとタバサとは気があうが、3人よってしまうと後が大変になるのは言うまでも無い。

 

ーーー

円堂

CV:竹内順子

 

本名は円堂守。カード名は【鉄壁のゴールキーパー 円堂】

世界一にも輝いた超が付くほどのサッカーバカ。

実は霊風がこっそりと下記の豪炎寺と吹雪と一緒に隠し持っていた。

最強のゴールキーパーと言う事もあってか、どの攻撃も全て受け止める最硬の持ち主。

 

ーーー

豪炎寺

CV:野島裕史。

 

本名は豪炎寺修也。カード名は【炎のエースストライカー 豪炎寺】

サッカーを心から愛している青年。

円堂と同じサッカーバカ。

霊風がこっそりと隠し持っていた後、憑友の方に手渡され以降は彼の元に就く。

炎の蹴りで全てを燃やす…!

ーーー

吹雪

CV:宮野真守

 

本名は吹雪士郎。カード名は【氷のエースストライカー 吹雪】

上の円堂と豪炎寺と同じ世界の出身で、共に世界一にもなった実力者。2人と同じサッカーバカ。

相手の動きを封じるディフェンスと、攻撃のオフェンスと、2つの力を持ち合わせている。

霊風がこっそりと隠し持っていた後はロックの方へと渡る。その後はロックの元に就く。



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嘘予告?

エイプリルフールネタ?


それはあくる日に起きた出来事だった…

 

「これって一体⁉︎」

 

「何が起きているんだ!」

 

響達《シンフォギア装者》と、

憑友達《精魂導師》の前に突如として現れた、

 

"ノイズとは異なる存在"達…!

 

「ギャォォォーー‼︎」

 

「フォフォフォフォフォフォ…!」

 

自分達よりも遥かに上回る身の丈を誇る怪獣・宇宙人…

 

「「やれ‼︎」」

 

『ギャガャガ‼︎』『イーッ‼︎』

 

自分達よりも多い多数勢力と、それを仕切る異形と呼べる怪人達。

 

「ネガー‼︎」

 

完全な闇に覆われている不気味な存在達。

そして…

 

 

「この星を…リセットする!」

 

この星を無かった事にしようとする謎の敵!

 

絶対絶命のピンチ!

その時!

 

 

「行くぞ!」

 

1人の青年が50mを超す"光の巨人"に変身する事なれば、

 

 

「「「変身!」」」

 

3人の男達が腰に、腕にベルトやブレスを装着し変身する"仮面の超人"になれば、

 

「この地球(ほし)を…舐めるなよ!」

 

1人の人間と、4人の異種族が変身して戦う"凄腕チーム"になれば、

 

「私達は!」

 

「大いなる闇を」

 

「「取り除く!」」

 

妖精を引き連れた2人の女の子達が変身する"伝説の戦士"が駆けつける!

 

そして…

 

 

「俺達の住むこの星は…

 

 

 

「「俺達が守る‼︎」」」

 

《精魂導師》覚醒の時!

 

 

 

 

 

劇場版(風)

戦姫絶唱シンフォギア〜とある戦士の物語〜

 

ーIgnitionForceー〔四英雄の絆〕

 

 

近年投稿開始!

 

続報を待て…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、済みましたか?」

 

ん?何が?

 

「あんな嘘予告言ってるんじゃないですよ!」

 

え〜?

 

「『え〜?』じゃない!

だいたい如何するんですか⁉︎

 

あんた、まだG編にすら行ってないんですから!

さっさと投稿して、無印編もとい《ルナアタック編》を終わらせて下さいよ⁉︎」

 

は〜い。

 

…ところで、今日は何の日か知ってる?

 

「エイプリルフールでしょ?嘘ついても良い日だよな?

嘘ついたらいけないんだからな!」

 

それって何月何日?

 

「4月1日でしょうが!」

 

んじゃあ、今日の投稿日見た?

 

「は?…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4月…2日…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

は?」

 

4月1日が嘘ついても良い日だよね?

 

んじゃあ、その日以降は?

 

「…嘘ついちゃいけない日だ…⁉︎」

 

 

もう気付いても遅いもんね〜!

 

「まさか…⁉︎」

 

そのまさかだ!

 

この嘘予告を聞いた奴等、まんまと騙されたな!

 

そうだ!この嘘予告は本当にやるつもりだぜ!

 

「マジかよ⁉︎」

 

大マジだぜ!

 

と言う訳で、響ちゃん達の活躍は勿論だが!

 

今回は憑友達《精魂導師》の活躍に乞うご期待だぜ!

 

「マジでやるのかよ…orz」

 

だって、その方が面白いじゃんか!

 

最近のはこう言うシチュエーションがありありなんだぜ?

 

某特撮系のはテレビ版後に直結した映画が主流なんだから!

 

「だからって、俺達を巻き込むな〜⁉︎」

 

安心しろ。君の周りには呪われ体質がごまんといるんだ。

 

「ふざけんな〜〜⁉︎」

 

と言う訳で、この嘘予告は本当の予告!

いつ投稿するのかは分かりませんが、極力早めに皆様方にお見せしたいと思いますので、お楽しみに〜〜!

 

後、感想送って〜〜⁉︎たった数件なんてあんまりだから⁉︎




もう一度言う。本気でやりますので!


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第2章 G編〜フロンティア事変〜
#プロローグ


お待たせしました最新話です!
今回はあの子の視点のみですが、よろしくお願いします!


それは突然として始まる物語…

貴方は今日、またこの世界へと帰って来ました。

再び描かれるのは、3人の歌姫と、3人の導師が描いた軌跡。

その世界のとある人の夢から、この物語は始まるのであった…

 

 

ーーーーーSIDEto??

此処は何処?

私はなんでこんな場所にいるんだろう…?

 

色が見えず、ただ白と黒と灰色の謂わばモノクロのような光景。

 

そんな中で、周りは火の海になっていた。

 

そして瞳から…血が流れていた…

 

『■■ナーー!』

 

…誰かが私の名前が聞こえてきた。

私は振り返ると、そこには1人の女の子が私の名前を呼んでいた。

だけど、私はその人の事を…知らない。

 

知らない筈なのに…何かが引っかかる。

 

私の事を…知っている人なのかな…?

 

でも、私はその人の名前を知らない…

 

そう考えていたら、天井が崩壊しながら此方に迫ってきていた。

 

怖かった…けど、足が動かない…!

まるで金縛りに遭っているかのように。

 

すると私の天井もとうとう崩れてきた。

もう此処までなんだ…そう思っていたら、何かに引っ張られた。

 

『大丈夫か!■■ナ!』

 

男の声だった。私はその人の事を知らない筈なのに…心が安らかになっていた。

よく見ていたら、かなり身長が短いけど、目先は私とほぼ同じ。

何方かと言うと男の子と言う感じが一番適当だと思う。

 

だけど、その人の名前を私は知らない…

 

すると男の子が私の手を握り、一緒に歩かせる。不思議と拒絶反応が無い。やっぱり私はこの人の事を知ってるんだ…身体の方が。

だけど、神経や脳ではそれは知らないと主張していた。

そんな気分だった。

すると男の人の前方で天井が崩壊した。

周りはもう火の海。逃げ場なんて無かった。

 

だけど、男の子は私をそのまま身体の方へと引き寄せると、そのまま男の子は私を崩壊した天井の抜け道らしき物に指を指して、私をその中へと入れさせる。

 

『貴方はどうするの⁉︎』

 

急に発したのは…意外にも自分の声だった。

 

『後で必ず追いつく!

だから、それまで…生きててくれよ』

 

そう促すように言われ、私はそのまま先に行ってしまっていた。

そして抜け道から出られたと同時に、抜け道が完全に塞がれてしまった。

 

『!■■ーーー‼︎』

 

それは先程の男の子の名前なんだろうか。

そんな中でも私はその施設から抜け出し、

そして施設から抜け出て約300mを歩いた所でそのまま倒れた…

 

 

「…はっ‼︎」

 

如何やら、夢の様だ。

だけど、あんな夢を見たのは初めてかもしれない。

 

何時からそうなったのだろう…駄目だ。全然思い出せない。

 

そう考え込んでいると、

 

コンコンッ

 

突然、ドアのノック音が聞こえて来た。

私はそのノックに対して返事をすると、そのドアの向こう側にいる人物が話しかけてきた。

 

「あ、セレナ義姉さん?起きてた?」

 

「憑友…う、うん。ついさっき」

 

如何やら、話の相手は私の義理の弟にして、私が住んでいる家に住む家族の息子…

そして、月の欠片の衝突《ルナアタック事変》と呼ばれる事件を終結させた『英雄』の1人である。

 

「そう…こっちの部屋にまで魘され声が聞こえていたから心配したよ?」

 

そう言いながら、憑友はドア越しに話しかける。

そっか…憑友には迷惑かけちゃったな。

 

「うん。ごめんね」

 

私はそう返事をすると、憑友は何事も無かったかのように雑談へと話を変えた。

 

如何やらこの後、二課からの依頼で、憑友の幼馴染で『英雄』の1人の響ちゃんと一緒に護衛任務に就くとの事で、早めに朝食を食ったそうだ。

 

とは言ったものの、私は時計を見るとそこにはまだ明け方の3時過ぎである事をアナログ式の目覚ましがお知らせしていた。

 

「帰りは?」

 

「今日はその依頼が終わればまっすぐ翼さんのスペシャルライブに観に行くんだ!」

 

そうだった…私とした事が、うっかり忘れてしまっていた。

 

私も今日は憑友と響の幼馴染である未来ちゃんや馬燈君たちと一緒に、翼さんのスペシャルライブ『QueenofMusic』を見る予定があったんだ。

 

「…気をつけてね」

 

「ああ…行ってきます」

 

そう言うとドア越しから感じたオーラが消えた。

憑友は居なくなったと言う事かもしれない。

 

そして話をし終えた私は改めて自分の身体を見てみた。

 

明らかに尋常じゃない程の汗が出ていた。

ベトベトしてる…仕方ない…こう言う時は天然の方に行こうかな。

 

そう言うと私は身支度を済ませると、とある場所へと向かった。

 

 

ーーー??→セレナーーー

とある場所に着いた私。格好は汗でベタ付いていた寝間着姿のままで此処まで来ていた。

そして左手にバスケットを持ってきているが、その中には私の私服が入っている。着替え用である。

 

こんな時間に誰か入って来る事はまず無いだろう。

 

…いや、1人だけいるか。

1人?一体?どう捉えれば良いのか分からないけど。

 

そう言うと私はそのまま服を脱ぎ、産まれた時の姿へと変え、

バスローブを身に纏って、その場所に行く。

 

そこにあったのは、濁り湯と呼ばれる『温泉』の一種だ。

 

此処は天然の露天風呂で、お肌がスベスベになったりできる。

しかもこれは実は源泉から直接持ってきているから、暖かい。

そして近くに置いてある桶を持って、湯浴みを掛けてると、

 

「如何かしたの?セレナちゃん」

 

「あ、如何も。レイアさん」

 

私の所へ1人の女の子がやって来た。

 

緑の髪で、瞳は髪よりも深い翠色の目をしている。

2つに分かれた立派な双丘をたわわに実っている(羨ましくないです。絶対に…多分)女の子…

だけど、背中には無数の小さな棘が付いてて、よく見ると腰の辺りから尻尾が出ていた。

 

彼女の名前はレイア。

 

本名はリオレイア。

その身は翠色の鱗と甲殻を纏っており、

翼と爪が一つに合わさっている翼竜タイプのモンスターである。

そして何よりも、その強靭な毒仕込みの尻尾と、脚力の持ち主で、

【陸の女王】とも呼び声が高いドラゴンである。

尤も今は『擬人化』して人の姿に変わっているだけなんだけど。

 

そんなレイアさんが何故、此処で温泉に浸かっているかと言うと、

旦那さんが帰って来て、1人でいられる時間がこの時間帯だけだと言う事らしい。

レイアさんはこう見えて子持ちだ。それも一度に6人の子供を産んだ凄腕ママさんドラゴンなのだ。

三男三女の6人兄弟姉妹である。

それにみんなそれぞれ特徴を持っている。

 

長男は銀の鱗と甲殻を持っている冷静沈着のソル

次男は青い鱗と甲殻が特徴の豪快な性格のリソウル

三男坊はクリムゾンカラーの甲殻と鱗が特徴で、甘えん坊だけど2人の兄にも負けない強さを誇るコクエン

 

長女は金の鱗と甲殻を持っていて、美貌すぎるルナ

次女は桜色の鱗と甲殻で、天真爛漫なリハート

三女は母親似だけど、臆病で怯えてしまうと母よりも強い猛毒を放ってしまうのが玉に瑕のシドク

 

そんな個性豊かな兄弟姉妹を彼女は昼間たった1人で世話しているのである。

そしてその旦那さんはと言うと、その間に様々な肉を調達してはそれを奥さんにあーんと言いつつ口移しして食べさせていたりする程熱々カップルである。

しかもこれがまた生粋のイケメンときた。

 

…話が逸れたから戻さないと。

 

そんな理由で今この時間帯は基本的にレイアさんが『擬人化』した姿で風呂と言う名の温泉に浸りに来ているのだ。

 

 

「悩み事?」

 

「…今朝夢を見てて」

 

レイアさんからの言葉で私は今朝の夢を話した。

 

 

するとレイアさんは、

 

「…それはもしかしたら忘れていた記憶だったりするかもね」

 

「記憶…ですか?」

 

そう言ってきた。

 

記憶…

 

確かに、私は元は此処の家族の1人じゃない。

私の元の名前はセレナ・カデンツァヴァナ・イヴ。

だけど、

 

カデンツァヴァナのセレナとしての記憶が…私には無い。

 

あるのは、自分が『人絆セレナ』としての記憶しか今は無い。

 

義理の母親であるジャンヌ義母さんから話は聞いていた。

私は一体、何者なのだろうか。

 

その感情しか今の私には無かった。

 

「何はともあれ、その夢は憶えて置いて損は無いから」

 

そう言うとレイアさんが上がっていった。

もう少し教えて欲しかったけど、これは自分の問題だ。

けど、分からなくなったら、皆んなに聞いてみよう。

 

きっと、私の記憶が戻る方法があるかもしれない…!

 

 

ーーーーーーNO SIDE

 

これから始まる物語は、果たして何が待っているのだろうか。

 

貴方はこの物語の目撃者になるのかもしれません…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦姫絶唱シンフォギア

〜とある戦士の物語〜

〔G編・フロンティア事変編〕

 

 

 

 

 

 

《シンフォギア》VS《シンフォギア》

《精魂導師》VS《精魂導師》

 

 

果たして、その戦いに意味はあるのだろうか?

 

次回へ続く…!




次回

ガングニールの少女 炎の導師


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#1 ガングニールの少女 炎の導師

フロンティア編本格始動!


数多の宇宙には『地球』と呼ばれる星がある。

だが、それはまた別の次元で可能性が秘めていたりする。

 

恐竜がまだ絶滅していない地球

 

超常現象が相次ぎ、人が住めない地球

 

怪獣・宇宙人・怪人・化け物が徘徊する地球

 

何事も無い平和な地球

 

 

これだけ挙げてもまだほんの1部であるが、それ故に地球と言う星は無限の可能性を秘めていた。

 

そしてこの物語の地球では地球の衛星である『月』が大きく関係していた。

 

その月は…()()のような姿になっていた。

 

別に土星の様に大きいのでは無い…

 

土星のように、月の周りに小さな粒子が周りをくるくると回っているのである。

 

此処はそんな世界で生まれた6人の少年少女達の物語…

 

 

ーーーーー

 

激しい豪雨が降りしきる中、一台の列車が路線を走る。

 

しかし、その列車の上空では大量の不気味な生物が列車を襲おうと今か今かと待ち構えていた。

 

列車は搭載してある兵器で迎撃しようとするが、

生物には全くもって有効打にならなかった。

 

 

生物の名は《ノイズ》。

 

別名【認定特異災害】とも呼ばれるこの生物は、人を殺す事に特化した謂わば殺人兵器である。

 

 

するとノイズ達は一斉に列車に襲いかかった!

そのまま車内の従業員達をなんと灰へと化えた!

 

彼等に触れた者は彼等諸共灰となってこの世から消えてしまうのである。骨の欠片を1つも残さずに。

 

すると列車が爆発を起こした。

 

「きゃっ!」

 

「大丈夫ですか⁉︎」

 

それにより白衣を着た男性の近くにいた女性が倒れた。

男性は安否を確認するが、女性はそのまま立ち上がる。

 

「平気です!それよりもウェル博士は車両の前方へ避難して下さい!」

 

女性がそう言うと白衣を着た男性…ウェルは頷く。

するとウェルの後ろのドアが開いて、そこから4人の男女が現れた。

 

「大変です!凄い数のノイズが追って来てます!」

 

「連中…明らかにこっちを獲物として定めてやがる…!」

 

「まるで何者かに操られている…そんな感じしかしないな」

 

上からオレンジ髪の少女…響。

白い髪の少女…クリス。

そして蒼海の髪と青い瞳の少年…ロックがそう言う。

 

するとただ1人だけ黙っていた少年が少女達とウェルの間に立つ。

 

見た目はクリムゾンカラーの髪と、ルビーのような瞳を持つ少年だった。

 

「兎に角、今は前の車両へ行きましょう」

 

そう少年は促すと、皆は同時に頷くとそのまま前の車両へと移動し始めた。

 

少年の名は人絆憑友。

 

かつてこの世界の地球で起こった《ルナアタック》を阻止した『英雄』達を導く師者…

 

《精魂導師》の1人である。

 

 

ーーーーーーSIDEto??

 

「第71チェックポイントの通過を確認。

岩隈の米軍基地はもう間もなくです。ですが!」

 

「このままだと基地にまで被害が及び兼ねない…如何します?司令」

 

うん…敵の狙いがおそらく《ソロモンの杖》の強奪を考えているとしか言いようが無い。

 

このまま如何したものか…

 

「!通信です!相手は…人絆玄也さんからです!」

 

玄也から⁉︎

「…出てくれ」

 

そう言うとオペレーターである藤堯が通信をした。

 

『相変らず厄介な案件に巻き込まれてるね…』

 

「何処かでのんびりと発掘調査している奴等と一緒にしないでくれ」

 

『…怒ってるなら誤るよ。

それよりも、此方も小型カメラ搭載のミニヘリで確認した。

かなりの被害だな』

 

「ああ…」

 

全く…お前は何処から監視し続けているのやら。頭が思いやられる。

 

『とりあえず、憑友達の方にラギアとレウスが向かって行った。

彼等に伝えておいてくれ。

今回はなんとしてでも敵の手に渡って欲しくないんだろ?

顔に出てるぞ』

 

な⁉︎

「余計なお世話だ⁉︎と言いたいが…今回ばかりは感謝する」

 

そう言うと玄也は通信を切った。

…全く。お前は本当に自分の息子には甘すぎるんだからな。

 

「司令。第73チェックポイント付近の上空から高エネルギー反応が2つ確認」

 

「言ったそばからもう来たか…

牧藁!憑友達に通信を!」

 

「りょ〜か〜い!」

 

今回は如何なるのやら…

 

お手並み拝見とさせて貰うぞ…《精魂導師》

 

ーーーーーーSIDEto憑友

雨が降りしきる中、俺は車内にて手持ちのカードを確認した。

今手持ちにある『英雄』達のカードは…

 

 

《ルナアタック》後に回収した『英雄』上条当麻

 

かつての相棒を探すドラム・バンカー・ドラゴン

 

瞬間移動が得意の黒鉄一輝

 

ハンマー攻撃とランチャーの攻撃が得意の海道ジン

 

かつての大事件で敵の手元にいて、こんな雨の日(こう言う時)に限って役立たずの無能な錬金術師のマスタング大佐

 

そしてこの俺のパートナー『英雄』キリト師匠(せんせー)

 

…少ない。大誤算だった。

 

なんでこんな時に限って、空を飛べるのが1人しかいないんだよ。

ミスった〜…

まさか、その他の奴等全員家に置いてくるなんて…ユイちゃんやヴィヴィオちゃんがいないのは良かったけど、他の人達がいないのは結構痛い。

 

『落ち込んでいても仕方ないだろ!それよりも早く動くぞ』

 

…ああ。そうだな…ライドさん!

 

「はい…はい…多数のノイズ達の中に高速で移動するパターン⁉︎」

 

高速で移動するノイズがいるのか?

 

そう考えていたら、白衣を着た男性…ウェル博士が話し始める。

 

「3ヶ月前に世界に衝撃を与えた《ルナアタック》。それを景気に、日本政府が開示した『櫻井理論』。

そのほとんどが未だ謎に包まれています」

 

確かに…

でも、この博士は知らないんだろうな。

俺達がその1ヶ月後に起こった事件の事を。

…いや、知らない方が良いのかもしれない。

嫌な予感しかしないから。

霊風先輩もこのウェル博士の事は如何も嫌いなようで、警戒を怠るなと言われていたけどな。

転生者である霊風さんだからこその考えだな。

 

「ですが、この完全聖遺物(アークセプター)《ソロモンの杖》を解析し、世界を脅かす認定特異災害・ノイズに対抗しうる新たな可能性を模索する事が出来れば…!」

 

「そいつは…《ソロモンの杖》は簡単に扱っちゃいけねぇんだ…」

 

…クリスさん。

 

「クリス…」「クリスちゃん…」

 

クリスの言っている事は間違いとは言えない…説得力がある。

 

「尤も…私がとやかく言われる筋合いは無いんだけどな」

 

…否定したいけど、否定出来ない。

かつて、クリスさん自身がその《ソロモンの杖》を使っていたから。

 

だけど…そんなのは関係無い。

 

そう思っていると響がクリスさんの手を握った。

 

「⁉︎うわぁ!ちょっお前!」//

 

「大丈夫だよ」

 

「〜〜〜〜‼︎⁉︎//////…お前、本当の馬鹿…」

 

あはは…流石、響だな。クリスさんがデレたようん…。

…?如何した?ロック?

 

「…これが百合と言う奴か」

 

おいちょっと待て⁉︎何処からそんな言葉が出て来た⁉︎

 

「了解しました!」

 

「!…出番みたいだな!」

 

クリスさんの答えに女性…友里さんが頷きながら、拳銃のリボルバーを回した。

 

すると俺達の頭上からノイズが降り注ぎ始めた!

 

すると友里さんは拳銃で撃ちながら、俺達の方を向くと話しかけてきた。

 

「貴方達は今現在、此方にラギアとレウスが急行してるから彼等の力を!」

 

「「了解!」」

 

「行きます!」

 

そう言うと俺とロックは自身の基本スタイルであるカードを取り出し、ライドさんとロックのデバイス・ソウルを左腕に装着させ、そしてカードを装填し、レバーを引く!

 

「「変身」!」

 

ーライド!フォーム、オ・レ!ー

 

ーソウル!フォーム、フォーマル!ー

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron…」

 

そして俺とロックの周りを炎の魂と水の魂が駆け巡る…!

 

そして響とクリスも徐々にその格好を戦闘時の姿へと変えていく…!

 

そして最後に魂を俺とロックはその身に纏った!

 

ー英雄の魂!俺に宿れ!ー

 

ーお前らの魂!俺が頂く!ー

 

そう発生音声が聞こえると同時に響とクリスも戦闘時の姿へと変わった。

 

そして開口一番に響が拳で天井を開けて、地上へと顔を出す。

 

挿入歌(『正義を信じて、握り締めて』悠木碧)

 

「針雀がうじゃうじゃと…」

 

「どんな敵がどれだけ来ようとも、訓練してきたあのコンビネーションがあれば!」

 

「…取り敢えず」

 

ボコンッ!

 

「あ痛⁉︎なんで⁈」

 

そう言うと俺はそのまま響にゲンコツをお見舞いさせた。

なんで?んなもん…

 

「そう言うのは温存しておくのが一番。という事だろう」

 

…そう言う事だ。

ってか、勝手に人の台詞取るなよ、ロック。

…それはそれとして。

「分かったか?」

 

「はぁ〜い…」

 

やれやれ…

 

チョンチョン

 

ん?

「如何した?」

 

するとロックが俺に手をやると指を指す。

 

そこにはラギアの背電殻を爪の脚力だけで持ち抱えていたレウスがいた!

へっ!あおいさんの言う通りだったな。

だったら一丁、派手にやりますか!

 

「来い!ラギア!」

 

「来てくれ!レウス!」

 

そう言うと俺とロックの元へラギアとレウスが急行し、そのまま2体は俺達の体へと吸収された。

 

「「狩猟解禁!本能解放‼︎」」

 

そう言うと俺とロックの周りをレウスとラギアのオーラが包み込む…!

 

そして包み込んだ時、俺達の姿は変わった。

 

ロックは海竜と呼ばれしドラゴン…ラギアクルスの装備を、

俺は火竜と呼ばれしドラゴン…リオレウスの装備を其々纏った。

 

そして左腕のアブソーバーに其々のパネルボタンを押した!

 

ーーLight bow gunーー

 

如何やら今回は一緒のようだ。

すると俺とロックの手元に『軽弩』と呼ばれる武器"ライトボウガン"が現れた。

其々

 

憑友のは/火竜砲/

ロックのは/雷砲サンダークルス/

 

そして今回の俺達のやり方(スタイル)は…空中戦(エリアル)

 

そして俺達は其々の弾をリロードする。

 

「喰らえ!」

 

そう言うと俺は弾を撃つ!

その弾はそのまま連続で3発連続でノイズ達にヒットするやそのまま火を起こした!

 

俺のこの武器/火竜砲/には、"速射対応・火炎"が発揮されている。

これは俺が撃った弾の種類が、『火炎弾』なら1発放つだけで、規定回数の弾をその後に連続で撃ってくれる代物である。

 

いや、正確には俺とロックが身につけてるこの武器種『ライトボウガン』にはその"速射対応"のボウガンが多く存在するとの事。

 

現に、俺が撃っている間にロックも自分の武器で連続で弾を撃ちまくっていた。

 

/雷砲サンダークルス/は"速射対応・貫通Lv2"が備わっている。

此方は逆に『Lv2貫通弾』と呼ばれる弾丸を使用する事で、相手をそのまま貫通させる効果を持つ弾丸を連続で放てると言う物だ。

 

しかし…このままだと埒が明かないな。

 

響達の方も順調に数を減らしていっている。

 

あれ?…あのノイズ…色が違う…?

 

「あれって、まさか…」

 

「『特異型』⁉︎」

 

うわっ、マジかよ⁉︎特異型⁈此処に来て⁉︎

 

…しょうがない。借りよう。

え?使える奴がいるって?

確かにそうだけど、ロックの『英雄』達とは違って、俺の『英雄』達は一度使ったら、再使用出来るのが、最低でも1時間掛かるんだ。

ほら、俺一応死んでる身だから。

 

「御免、ロック」

 

「…ほら」

 

そう言うと俺は俺にカードを手渡してきた。

え?俺の顔に書かれてた⁈

 

「あまりにも軽装だったから怪しいなと思っただけだ」

 

ありがとう!ロック!

 

「さ、始めるぞ」

 

「おう!」

 

そう言うと俺はロックから借りたカードをアブソーバーに装填して、レバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、フェイト!ー

 

フェイト…なのはさんの親友だったな。今日は宜しくお願いします。

 

そう心の中で言うと俺はその魂を纏った!

その際にレウスが体から排出され、レウスは元の竜へと戻った。

 

ー疾風迅雷!雷光一閃!ー

 

そしてロックの方もカードをアブソーバーに装填し、そのままレバーを引いた。

 

ーソウル!フォーム、ユーリ!ー

 

するとロックはラギアを列車の上に排出させると、ラギアはそのまま『擬人化』と呼ばれる能力を用いて、列車の上に立った。

 

そしてロックはカードから現れた魂を纏った。

 

ー石化の槍の、ブリューナク!ー

 

変身したロックは俺の隣にまでやって来る。因みに俺達2人は共に空中だ。

 

「一気に仕掛けるぜ!」

 

「ああ!」

 

そう言うと俺共にロックは同時にドライブボタンを叩いた。

 

『ライド・フェイト!フルドライブ!』

 

『ソウル・ユーリ!フルドライブ!』

 

そう言うと俺が所持するフェイトの愛機(デバイス)"バルディッシュ・アサルト"が二刀流に別れた!

 

『RiotZamber・Stinger.』

 

「一気に決める!はぁぁぁぁあ!」

 

そう言うと俺は『特異型』に無数の斬撃を連続で斬り掛かる!

 

そして最後の斬撃を与えた後、俺の周りに大量のスフィアが準備されていた。

 

無数の斬撃を加えつつ、その時に得たエネルギーをスフィアへと返還させて、待機させていたのだ。

その数は30発。これで蜂の巣だ!

 

「"フォトンランサー・ファランクスシフト"‼︎」

 

その合図と共にスフィアが針の形になって、そのまま『特異型』へと襲い掛かる。

 

その間にロックはユーリさんの三叉型の愛槍"トリシューラ"を槍投げの用に構えた…!

 

「"穿たれし者に、聖なる神の加護と共に、その身を衝撃で割れる物へと還ろ"…貫け!"トリオン・ゴルゴン"!」

 

そう言うとロックはそのままユーリさんの愛槍を投げた!

 

そのまま真っ直ぐ飛び、そのまま『特異型』にヒットした!

そして徐々に貫かれた部分から石のように硬くなり始めた!

おれはそこを見逃さず、すかさず突き出ていた『英雄石板』を取り出した!

 

『英雄石板』

それは、俺達《精魂導師》が無くてはならない物にして、世界遺産にも認定されている物である。

 

現在分かっているだけで、その数は400種類は既に確認されている。

 

その『英雄石板』に書かれている文字を解析する事で、俺達が使っているカード【ヒーローカード】が顕現されるのである。

 

【ヒーローカード】は、簡潔に言うならば『英雄』達の魂が入ったカードの事である。

そのカードを使う事で、俺達はその魂達の器となって、その力を発揮させているのである。

故に、その魂に宿っている存在が消える事は無い。

勿論、俺達自身も消えたりはしないのだがな。

 

と、そんな事していると、一枚の『英雄石板』が現れた。

と同時に、ノイズが石化したのを確認すると、俺は突き刺さったままのトリシューラを引き抜いて、その場から離れた。

 

そして列車の上に着陸と同時に、ノイズは地面と衝突、粉々に砕けた。

 

「『英雄石板』回収完了!」

 

そうすると、ロック,クリスさん,そして響の3人がやって来た。

如何やら其方の方も粗方片付いていたようだ。

けど、まだまだ多いな。

それに、まだ一際動きが速い奴がいやがるな…

あおいさんが言っていた『高速移動するノイズ』の様だ。

おまけにあいつがこのノイズ達の取り巻きの様だ。

 

「やってくれるぜ!」

 

「うん!…って、ちょっとクリスちゃん⁉︎」

 

ん?如何したひび…き…って⁉︎やべぇ⁉︎

 

「あ?」「如何した?」

 

何ボォーとしてるんだよ⁉︎ったく!

この先トンネルだってのに⁉︎

 

「響!」「勿論!」

 

そう言うと俺の右腕に装着されていた武器《刺突刃》が出現すると響と同時にそのまま列車の天井部分を殴った。

因みに俺達はまだ列車の上にいる。つまり、天井を叩くと言う事は…

 

下に落ちるという事である。

 

俺はそのまま近くにいたロックの手を握る。

対して響はクリスさんをそのままお姫様抱っこした⁉︎

 

「ふはぁ〜。ギリギリセーフ」

 

ギリギリすぎてこっちの寿命が縮んだじゃねぇかよ!

あ、俺死んでたんだった〜♪

 

「…そのノリはやめた方が良いぞ」

 

「はい、そうします」

 

「何はともあれ助かったぜ!」

 

如何いたしまして!

 

「くそっ!攻めあぐるとはこう言う事か!」

 

「…それ、言葉として成り立ってるのか?」

 

「そうだ!」

 

「何か閃いたのか⁉︎」

 

「まさかのスルー…」

 

…嫌な予感しかし無いのは何でだろう…。

それとドンマイ、ロック。

 

「師匠の戦術マニュアルで見た事ある!」

 

あれ?もしかして今の考え…フラグだった?

 

「こう言う時は、列車の連結部を壊して、ぶつければ良いって!」

 

弦十郎師匠⁈

あんた、なに響に変なものを見させてるんだ〜〜⁉︎

帰ってきたらフルボッコだ〜〜‼︎

 

ーーー

「へっくしゅん‼︎」

 

『⁉︎』

 

「司令…大丈夫ですか?」

 

「何か嫌な寒気がして来た…」

 

『(それ死亡フラグ⁈)』

 

その頃、弦十郎達の方ではそう言う事が起こったのは言うまでも無かったりする…。

 

ーーー

 

「おっさんのマニュアルってのは面白映画だろう…」

 

「それに、ノイズ達は位相差障壁のおかげで、簡単にすり抜けられるぞ?列車をぶつけた所で意味が無いぞ?」

 

「フッフッフ〜ン♪ぶつけるのはそれだけじゃ無いよ!」

 

…逃げても良い?

 

「憑友にも手伝って貰うからね☆」

 

「はい、巻き込みフラグ確定〜!」

 

「うわぁ…「メタだぁ…」」

 

そんな目で俺を見るな〜〜⁉︎

俺の身にもなりやがれ〜〜⁉︎

 

 

結局、俺はその響の提案に巻き込まれたのである。

 

そして計画通りに進めて行く。

 

既に基本形態に戻った俺とロック。

ロックとクリスさんの射撃で、連結部が壊されるや、響はその間に割って入る。

 

「憑友も手伝ってよ!」

 

「あーもう!分ったよ!」

 

そう言いながら、俺も一緒に引き離した。

 

「2人一緒なら、平気へっちゃらだよ!」

 

「…ったく。お前の口癖は幾つあるものか…

でも…悪くは無いな」

 

そう言うと俺と響は共に右手を構えた。

 

そして響のアームドギア〔GG(ガングニール)ナックル〕が巨大化し、ブースターが火を噴き始めた。

 

そして俺もアブソーバーのドライブボタンを叩いた。

 

『ライド・オレ!フルドライブ!』

 

そう言うと俺は響の隣に立ち、左腕に全ての炎を凝縮させる…!

 

 

そして列車からノイズの一部が出てきた!

 

「アシスト全開!

"ブースト・ノヴァ"‼︎」

 

そう言うと俺はすかさず響の後ろに回るや、そのまま響の背中にエネルギーを集めた左手をはっけいの様に構えてそして全エネルギーを響に送る!

 

すると響のブースターの火が更に燃え盛り、そしてそのまま響はノイズに拳をぶつけた!

 

その際に爆熱の炎を相手に浴びせていた…!

 

ブースト・ノヴァ

 

アシスト専用技で、アシストを受けた者の火力を上げるだけでは無く、追加効果として、〔炎〕の属性と〔火傷〕の状態異常を負わせる事が出来るのである。

 

その一撃を食らったノイズ達は一瞬で跡形も無く消え去った…

 

それと同時に明けの太陽が昇っていた。

 

ふぅ…漸く依頼終了だな。

 

ーーーーーーSIDEtoクリス

閉鎖空間で相手の機動力を封じた上で、遮蔽物の向こうから重い一撃…更にその攻撃を加速させるかの様な爆熱の炎がアシストした…

 

彼奴等…一体何処まで進化し続けるんだよ…

 

「…可笑しい」

 

え?如何したんだよ?ロック義兄。

 

「あれくらいなら憑友と共に放てば良ければ良いものを、彼奴は立花に全てのエネルギーを与えていた…何故なんだ?」

 

そんなのはあたいの知った事じゃねぇ。

 

でも…嫌な予感しかしねえのは何故なんだ…?




3.2…!
憑友「皆んな!久しぶり!人絆憑友だ!」
「今回からまた『英雄』達を紹介していくぜ!」
「今回の復活記念第1号は、火竜の名を持つモンスター、リオレウスだ!」

リオレウス
カード名【空の王者 リオレウス】
属性/炎・竜・打&射・体

【モンスターハンター】シリーズの代表格にして各シリーズ皆勤モンスター。
口から吐く火球は瞬く間に炎の海へと化える…!

憑友「途轍もない炎も脅威だが、爪に含まれてる猛毒も侮れない…!
空を自由自在に飛ぶ事が出来る為、【空の王者】とも呼ばれているんだ…!」

次回

Queen'sofMusic

憑友「また見てくれよな!」


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#2 Queen'sofMusic

今回は第1話の残り全てです。

…くそ長げぇ…。


その後、漸く今回の護衛任務を終えた憑友一行。

 

友里が契約書にサイン代わりの印を押して今回の任務は無事に終了した。

 

それを聞いた皆も漸く気を休めたが、

その時にウェル博士が何か言おうとしたら…

 

 

「グォォォォ!」

 

「?…あ」

 

憑友はその声を聞いて上を見るとそこからレウスが現れたのだ。

それを見た米国軍人達は怯えてしまったが、

憑友はそんな事はお構い無しにレウスの方へと近付く。

するとレウスは口に咥え込んでいた物を憑友に渡してきた。

憑友はそれを見ると、そこには憑友の元に就いてる『英雄』達のカードだった!

 

するとレウスはそのまま顎で憑友の頭に拳骨?をかました。

 

ゴテンッ!

 

「あ痛⁉︎」

 

「〔忘れるとは良い度胸だな!

今度忘れたら黒焦げにしてやるからな!〕」

 

そう言うとレウスは元来た場所の方角へとそのまま飛翔して飛び去ってしまったのであった。

 

「…なんて言われたんだ?」

 

「…『今度忘れ物したら黒焦げにしてやる』って。

自業自得とは言え、かなり痛いよ…」

 

そう言いながら涙目になる憑友。

それを見ていたウェルは改めて4人に向かって話をしだした。

 

「確かめさせて頂きましたよ」

 

「「?」」

 

「…ふん」

 

「…」

 

「皆さんが《ルナアタックの英雄》と呼ばれている事が伊達ではないという事をね」

 

その話を聞いた響はそれに釣られて天狗に成ろうとしていたので、憑友はそのまま響にデコピンし、響は地味に痛がっていたのは言うまでも無い。更にそのままクリスから拳骨を貰ったのも言うまでも無い。

こんな時でも響の不幸が発動するとは…恐るべし、響の呪われボディ…。

そんな中でも、ウェルは話を進める。

 

「世界がこんな状況だからこそ、僕達は『英雄』を求めている。

そう!誰からも信奉される…偉大なる『英雄』を!」

 

その言葉を口にしたウェルに違和感を感じ始める友里。

ロックに至っては馬耳東風の様に軽く受け流していた。

しかし、そのウェルの話に首をつっこむ者がいた。

 

「…そんなの『英雄』じゃないね」

 

「?」

 

「憑友?」

 

それは憑友だった。

すると憑友は話を始めた。

 

「さっきから黙って聞いてりゃ、『英雄』『英雄』と連呼しやがって…!

そう簡単に『英雄』になれるもんかよ!

『英雄石板』を1つ足りとも解析出来なかったあんたに…

 

『英雄』達の何が分かるってんだよ!」

 

その言葉から怒りがこみ上げていた。

ウェルの話は憑友から言わせれば、傍迷惑な話にしか聞こえなかった。

『英雄』達の中には進んでなった者はいない。

周りからの信頼を得て初めて『英雄』になれる。

だが、この男は、まるで生贄を捧げられし者が『英雄』だとそう言う風に捉えられたから。

ある程度の話をした憑友は皆を連れて帰る。

そして帰り際にウェルに対してこう発言した。

 

「『英雄』になる者は、

自らの命を投げ売ってでも、護りたいものがあるんだよ…

ウェル博士…あんたの発言は『英雄』達への冒涜として捉えさせてやる…!」

 

そう言いながら冷たい眼を向けた憑友はそのまま響達の方へと歩み始めたのであった。

 

ーーーーーーSIDEtoロック

あの一悶着が終わった後、《ソロモンの杖》を託した俺達。

 

「やっと任務が終わった〜…」

 

…前々から言いたかったのだが、

何時になったらその口調を止めてくれるのだろうか。

もう少し女の子らしい言動を取ってほしいものだ…。

 

…でも、それ以前に気がかりな事がある。

 

憑友…お前の身体…様子が変だ。

何があったんだろうか…?

ここ最近のお前の活躍は、ほとんど俺達の力を加速させていくアシスト行動ばかり目立っていやがる…

以前の様なあの威勢の良かったお前は何処に行ったんだ…

 

「?…俺の顔になんか付いてるか?」

 

「!…いや。…何でも無い」

 

「?変なロック…」

 

この感情が杞憂だと有難いんだがな。

そうしているとクリスと立花がウキウキしていた。

そう言えばこの後、防人嬢…風鳴翼のステージがあったな。

今回は一緒に歌う相手がいたな…

因みに言っておくが、片翼である天羽奏ではない。

 

彼女は今、世界各地を転々と移動しながら、ボランティア活動をしていると言う。

昨日届いた手紙では、アルゼンチンの方にいた。

あっという間に日本の裏側の方に居たという事になる。

今、彼女が何処にいるのかは、彼女のマネージャーであり、俺達《精魂導師》の1人でもある男…精妖霊風でも知らないらしい。

何でも自由奔放なんだそうだ。

 

話が脱線したから戻すとしよう。

今回のステージで防人嬢と一緒に歌う相手は確か…

 

マリア・カデンツァヴァナ・イヴ…だったな。

 

僅か3ヶ月の間に世界のトップスターに昇り詰め、

皆から《世界の歌姫》と呼ばれている人物だ。

言動はクールで高貴な貴族な雰囲気を出していると俺は解釈しているが、

歌っている間の彼女の曲には微妙にだが、悲しみに暮れている。そんな感情が歌声と共に流れ込んで来ているのである。

楽しく歌を歌っていない。と言うよりも、無理矢理歌を歌わされている。そんな感じしかしなかった。

 

と、そう考えていたら、

 

「4人が頑張ってくれたから、司令が東京までヘリを出してくれるそうよ」

 

「マジっすか!」

 

友里さんの話を聞いた立花はハイテンションになっていた。

それを見た憑友は頭を抱えた…分からなくも無いがな。

 

 

ドガァァァ‼︎

 

⁉︎爆発⁉︎

しかも…ノイズだと⁉︎

 

「マジっすか⁈」

 

「マジだな!」

 

「マジ以外何がある‼︎」

 

そう言うとクリスが先に行き、憑友,立花が後を追う。

 

俺も行くしか無い!

 

頼むぞ…シノン!

 

「任せなさい!」

 

そう言うと俺は走りながらすかさず左腕にソウルアブソーバーを装着、そしてシノンのカードを取り出すとアブソーバーに装填して、レバーを引いた。

 

ーソウル!フォーム、シノン!ー

 

するとそこから水色の髪と長距離対応のスナイパーライフルを担いだ少女が俺と共に同じ速さで駆け抜け、そしてそのまま俺と同調したかのように俺はシノンの魂を纏った!

 

ー氷の狙撃手!敗北の弾丸!ー

 

そして俺はそのままアブソーバーに付いてるパネルボタンを見た。

 

3つのボタンがあり、そのうちの真ん中のボタンは灰色になっていた。

 

俺はその中から右側のボタンを押した。

 

ーコンバート!モード〔ALO〕!ー

 

そう言うと俺の身体に変化が生じた。

 

腰辺りから猫の尻尾が現れたのだ。

しかもおまけに耳も遠くの音まで聞こえてきた。

 

そして憑友達に近付くと憑友が俺の身体を見て開口一番。

 

「…お前、そう言う趣味があったんだな…」

 

と言いながら、何故か引いていた…なんでだ?

 

そう言うと憑友はライドの機能を弄ると、俺にライドを向けた。

そこに映っていたのは…俺?

しかも…なんでだ⁉︎

 

「何時の間に猫耳⁈」

 

如何してだ⁉︎

おい!そこの立花とクリス(2人)‼︎

こっち見た瞬間に憑友と同じ目をしながら必死に笑いを堪らすな!

こっちが恥ずかしいんだからな⁉︎///

 

『諦めなさい。これは猫妖精《ケット・シー》の基本姿なのよ』

 

なら、なんであんたはそれを選んだ⁉︎

キリトのように他の妖精もあっただろうが⁉︎

 

『そうかしら?《ケット・シー》はアラン達トレーナーのような存在でもあるけど、視力と聴覚は他の妖精達よりも逸脱しているのは知ってたかしら?』

 

それ初耳なんだが…

 

『私の力を活かせる妖精はこれしかないのよ。諦めなさい』

 

「…取り敢えず、よろしく…な!」

 

そう言うと憑友は俺の身体から生えた尻尾を握った!

 

「ふがっ⁉︎」///

 

「あれ?」

 

 

こんの…何やってやがる!

 

ボコッ!

 

「あべし⁉︎」

 

『言い忘れてたけど、その尻尾。感覚が共有されてあるから触られたらかなりヤバイから』

 

と言いながらニヤニヤするな!

そしてそれを先に言いやがれ!

 

「うわぁなんだろう…この混沌と化した場所…」

 

「こう言う時は、ほっといた方が身の為なんじゃねぇのか?」

 

「うん。そだね〜…」

 

2人も2人で、この状況をノイズと戦いながらだからそこは100歩譲ったとしても、納めてくれよ!

 

と、そうこうしながらノイズ達はと言うと立花とクリスの2人が多く倒して今回は終わった。

しかし、多くの米軍兵が灰となってしまったのは辛かった。

 

そしてその中にDr.ウェルの姿も、《ソロモンの杖》が居なくなっていた。

 

ーーーーーーNO SIDE

此処は響や憑友達のいる基地とは違った場所。

 

『Queen'sofMusic』のライブ会場である。

 

そこでは今でもせっせせっせと会場のリハーサルや設置作業に勤しむスタッフ達がいた。

 

「♪〜♪〜♪〜」

 

そんな中、ライブ会場の客席の1つに座っていた1人の女性が鼻歌を歌いながら、その様子を見ていた。

するとそんな彼女の所に1つの足音が聞こえてきた。

女性が振り向くと、そこには緑の髪と、翠色の瞳、そして毛色とは違って、身を引き締めたような紺のスーツ姿の男が現れた。

 

「貴方が来るなんてね…《フレンドリーマネージャー》」

 

「《世界の歌姫》にまで及んでいるとは光栄極まれりですな〜?」

 

スーツの男はそう言いながらニコニコと話をしだす。

 

男の名は精妖霊風。

《フレンドリーマネージャー》という異名を持つ凄腕のカリスママネージャーにして、

かつて終わりの名を持つ巫女《フィーネ》のスパイとして暗躍していた男。

それと同時に彼女が起こした事件

《ルナアタック》を食い止めた『英雄』の1人。

そしてその正体は、『英雄』達の魂を導く師者…

《精魂導師》の1人にして、前世の記憶を持つ転生者…

 

《リターナー》である。

 

「…それで?私に何か用かしら?」

 

そう言うと女性はそう話し始めると、霊風からある物を手渡された。

 

「?…これは?」

 

「今後ともよろしくと言う意味でのプレゼントさ。

それと…」

 

そう言うと、その女性の耳元まで顔を近付けるとこう呟いた。

 

「変な騒動を起こせば只じゃ済まないからな。

マリア・カデンツァヴァナ・イヴ」

 

「⁉︎」

 

その一言を言うと後は何も無かったかのように霊風は女性…マリアの後を去って行った。

 

ーーーーーーSIDEtoマリア

『変な騒動を起こせば只じゃ済まないからな』

 

あの男…精妖霊風は一体何者なんだ…

それに…このプレゼントも先程言った台詞で怪しくなった。

でも、開けてみないと分からない事も有るわね。

 

そう考えた私は蓋を開けた。

そこには青とピンクとオレンジの三色の糸で編まれたミサンガがあった。

 

何がしたいというのだ…あの男は…ん?

 

私はミサンガの下に敷いていた紙に目が通り、そのまま紙を開いた。

そこにはこう書かれていた。

 

『いつか、あんたと翼と奏。3人のライブを見てみたい。

故にこのミサンガを贈る。

3人に聖なる加護があらんことを…』

 

…全く。あの男は何気に欲深いと言う奴なのか。

 

prrrrr…!prrrrr…!

 

…来たわ。

 

ピッ

 

『此方の準備は完了。『サクリストS』が到着次第、始められる手筈です』

 

…ぐずぐずしてる時間は無い。そう言う訳ね。

 

OK、マム。

世界最後のステージの幕を上げましょうか。

 

ーーーーーーSIDEto霊風

 

賑わってる賑わってるな〜。

全世界生放送ライブ。凄い物だな…

 

…お?いたいた。

 

「おーい、翼。緒川っち!」

 

「!霊風さん!」

 

「はぁ…貴方という人は…何処で油を売っていたいたんですか…?」

 

ははは…悪りぃ悪りぃ。

 

俺が来たのは今回のステージライブのメインの1人にして、俺の仲間であるアーティスト、風鳴翼とそのマネージャーの緒川であった。

と、それは良いとして…

 

「緒川…お前また()()モードになってるぞ?」

 

「⁉︎」

 

緒川には悪い癖がある。

マネージャーの時は眼鏡を付けるんだが、二課に関連してる場合は眼鏡を外す癖があるのだ。

 

「それ、私もつい先程言いました」

 

あ、やっぱり?

それと同時に翼にも物申す。

 

「そして、その緒川っちの笑顔で簡単に言い包められたと言う訳か?防人嬢?」

 

「⁉︎///ちょ、霊風さん⁉︎」

 

ウブだね〜(ニヤニヤ

 

「さて、さっきからスタッフが呼んでたから行った行った!」

 

「うぅ…」

 

そう言いながら、俺を睨み付ける翼。

だけど…瞳に涙を溜めるようなら睨むなよ…こっちが逆に痛くなる…あっちの方で。

 

そう思いながら、翼を見送った俺と緒川。

 

「さてと…俺も準備するから。緒川っちも何時でも行けるようにお願いするぜ?」

 

「はぁ…分かりました。

それと貴方も()()モードになってますよ」

 

え?俺の何処が仕事モードだ?

 

「口調でバレバレです」

 

「…改善…出来ないからこのまま行くか…」

 

「改善する努力をしましょうよ⁉︎」

 

そんなの知った事か!

そう言うと俺はステージの方へと歩んで行った。

 

ーーーーーーSIDEto??

 

へぇ〜。此処で翼が歌を歌うのか…

 

3ヶ月の間に成長してんのかな〜?

 

『…それ程までにその"風鳴翼"と言う者の為にわざわざこの日本の地にやって来たのか?我が主』

 

ああ。

あたいにとっちゃ、翼は私にとってかけがえの無い片翼なんだよ。

私がいるから翼は飛べる。

翼がいるから私は飛べる。

 

それが私達の『両翼』なんだから。

 

『…そうか。我が主は良い仲間を持っているのだな』

 

何言ってんだよ?

 

『?』

 

お前も大事な仲間だぜ!()()()()

 

『!…その言葉、感謝する…!

この身は今後とも我が主の為の一番槍としてご期待に添えよう!』

 

ああ、頼むぜ!

 

そう言うと私は会場内へと入っていった。

 

髪型もあれから大幅に変わっているから簡単に私だと誰も気付かなかったな。

 

そう思いながら、私は会場の中へと入っていった。

 

ーーーーーーSIDEto??

 

会場内はマリアの歌で大盛況ですね。このままで…

 

ピピピッ!ピピピッ!

 

…来ましたね。

 

ピッ!

 

『あ、もしも〜し!久しぶりだね!マム!』

 

ご無沙汰ですね。

貴方の方は相変わらずの生活を?

 

『まぁ〜ね♪』

 

そうですか。

それで…私に何か用件があって電話を掛けて来たのでしょ?

 

『うん。そうだよ。

…マムは一体今回の件…何を企んでいるの?』

 

企む?そんな大それた事はしませんよ。

 

『…そう。

でも、もしもの事があったら…その時は私に頼ってよね!』

 

…ふふ。えぇ。そうするとしましょう。

では。

 

『今度、何か奢らせてね!』

 

貴方は全く…でも、会えたらですけれどね。

 

『会えるよ!』

 

 

『私の運はこう見えて強いんだよ〜?』

 

…そうでしたね。

では。

 

『うん!またね〜♪』

 

ガチャッ!

 

ふぅ…あの子もあの子で、相も変わらずと言った所ですね。

 

「マム…今の人は?」

 

「誰だったんデス?」

 

貴方達よりも前にいた…

「元F.I.S.の女の子です」

 

「「⁉︎」」

 

と言っても、聖遺物をまともに起動も出来ず、終いには《シンフォギア》の1つ《アイギス》を強奪して、脱獄した泥棒猫ですけどね。

 

「…じゃあ…なんで?」

 

「なんでそんな人がマムに電話掛けたんデス⁈」

 

「…あの子は、私の命を繋ぎ止めてくれているからですよ」

 

「「え?」」

 

私の命を、自分の立場など関係なく最優先に行動していた。

その手は誰かを殺すのではなく、誰かを助ける為の神の手のような持ち主。

私はその子が戦う姿を見たくないと思ったのか、

研究材料の1つである《アイギス》を彼女に渡して、脱獄の手助けをした。

先程言った泥棒猫はあれは彼女を守る為に言ったもの。

 

昔はかなり後悔をしましたが、今となっては良い思い出なのかもしれませんね。

 

それに、彼女は今、そんな彼女を守る旦那さん(騎士)がいる。

その間に生まれた子と幸せに暮らしていると聞きました。

 

それがおよそ15,6年前の出来事。

その時は私もその子の子供と面識をしました。

 

その子供は今から2年前にこの世から去ってしまいましたけれど。

 

しかし、彼女も当時は余りの出来事で、医療に携わるのを拒んでいた。

 

だけど、その2週間後には元の生活に戻った…

 

なにがあったのかは知りませんが、

今の私達には目的があります。

 

出来る事なら、この事態を終息した後で、楽しみたいものですね…

 

 

ジャンヌ・カデンツァヴァナ。いや…

 

 

 

 

 

人絆ジャンヌ。

 

 

私の信頼者である少女よ…

 

ーーーーーーNO SIDE

 

一方、会場内では大いに盛り上がりを見せていた。

それはステージ上でマリアが歌を歌い終えていたから。

 

それを聞いた大観衆は一斉にマリアコールを発生する。

 

そんなライブ会場内の特別室には5人の少女と2人の男の子達が生で観戦していた。

 

響と憑友の友人である創世、弓美、詩織。

幼馴染である逝都と馬燈と未来。

そして、憑友の義理の姉であるセレナも此処にいた。

 

「おお〜!流石、マリア・カデンツァヴァナ・イヴ!

生の迫力は違うね〜!」

 

「全米チャートに登場してからまだ数ヶ月なのに、この貫禄は無しです!」

 

弓美と詩織がそう言いながら、観戦していると、

いびきをかく音がしたので、横を見ると、そこにはこの部屋でたった2人の男の子、逝都と馬燈の2人が爆睡していた。

 

「「zzz…」」

 

「…ね、寝てる…」(゚д゚U)

 

そんな2人を見た創世は苦笑していた。

すると、

 

「もう…」

 

そう言いながら、2人の隣にいた未来が2人が寝てる席の後ろをゴソゴソと何かを探し始める動作をするなり何かを取り出した。

 

それは…まさかのハリセンだった。

 

「え?」

 

「せーのっ!」

 

そう言うと未来はそのハリセンをそのまま…

 

パシンッ‼︎

 

「あべし⁉︎」

 

パシンッ‼︎

 

「くわばらっ⁉︎」

 

「⁉︎」Σ(゚д゚lll)

 

そのまま2人の顔面にクリーンヒット。

2人はその反動でそのまま後ろに倒れ、頭から地面に激突。

そのまま2人の目が渦を巻き、頭の上に星々が輝いていた。

…俗に言う気絶である。

それにしても…どこにハリセン(そんな物)を隠し持っていたのでしょうか…。

つい先程まで無かった筈なのに…色々と可笑しいのであった。

それを見た創世は未来に対して、あまりの対応にビビりまくっていたのは此処だけの話である。

 

そう思いながら未来は左手首に着いてる腕時計を見た。

それに気付いた創世は未来と話しかける。

 

この2人…何気に男の子達をほったらかしている…ある意味残酷な2人である。

 

「…ビッキーやツッキー達からまだ連絡が来てないんだね」

 

「うん」

 

「もうすぐメインイベントが始まっちゃうよ?」

 

「大丈夫よ。あの2人の事だから」

 

すると今の今まで黙っていたセレナが2人の話の間に入ってきた。

 

「それにいつもの人助けや、お人好しが影響してるのかもしれないしね」

 

「セレナさん…そうですね。そうだと良いんですけど…」

 

そう言うと詩織と弓美もその話を聞いて話しかけると、周りのライトが一斉に消えた。

それに気付いた5人はステージの方へと目を向けていた。

 

「あ痛たた…って⁉︎もうそんな時間かよ⁉︎

‼︎おい、起きろよ馬燈!始まっちまうぞ!」Σ(゚д゚lll)

 

「うぅ……なんとか…大丈…夫じゃねぇ⁉︎

もう間近じゃん⁈」Σ(゚д゚lll)

 

そう言いながら、2人はあたふたしてるとそれに気付いた弓美が2人の分のペンライトを渡したので、2人はそれを受け取ると、ステージを見た。

 

そんな中、ただ一人…セレナだけは浮かない顔をしていたのであった。

 

「(マリア・カデンツァヴァナ・イヴ…

私の本名と同じ性名(ファミリーネーム)を持つ人…

彼女と私には何か関係があるのかしら…

今は、このステージを観よう。その方がもしかしたら、記憶が早く蘇るかもしれないと信じて…!)」

 

そう思うとセレナはステージの方に顔を向けた。

 

 

ーーーーーー

するとステージの映像パネルから今回のライブタイトル『Queen'sofMusic』のロゴが現れるとそのままそのロゴの文字が変わり、

『Maria×Tubasa』の文字が現る。

それと同時に、ステージ上に2人のシルエットがステージの下からエレベーターのように現れた!

 

するとスポットライトがピンク髪の女性…マリアに当てられた。

 

「見せて貰うわよ。

戦場に咲い、剝き身の貴方を」

 

それと同時に今度は翼にスポットライトが当てられた。

そして今度は同時にスポットライトに当てられた2人は共に歌を歌い始めた!

 

挿入歌(『不死鳥のフランメ』水樹奈々×日笠陽子)

 

圧倒的な2人の歌声を聞いた大観衆はあっと言う間の時間を長く感じさせていた。それ程2人の歌声がライブ会場にいる観衆達、そして全世界の首都にも多大な影響力を誇っていた。

 

そして歌が歌い終わると、あっと言う間に会場のオーディエンス達が一体と化していた。

 

それは勿論、特別室にいた未来達も同様である。

 

するとステージで手を振っていた2人の内、翼が前へと歩み皆に話しかける。

 

「ありがとう皆んな!」

 

すると翼の声を聞いた皆から黄色い歓声が上がる。

そして翼は話を続ける。

 

「私はいつも…皆んなから、たくさんの勇気を分けて貰ってる。

だから今日は…私の歌を聞いてくれる人達に少しでも勇気を分け与えてあげられたらと思っている!」

 

その翼の声を聞いた大観衆はまた黄色い歓声を上げる。

すると今度は翼の隣にいた存在にして、【世界の歌姫】と呼ばれる女性…マリアが話し始める。

 

「私の歌を全部、世界中にくれて上げる!

振り返らない!全力疾走だ!

ついてこられる奴だけ、ついて来い!」

 

その威勢のある言動はあっという間に周りの空気を独占して見せた。

カリスマに長けていると言っても過言では無かった。

 

「今日のライブに参加出来た事を感謝している。

そして、この大舞台に日本のトップアーティスト『ツヴァイウイング』の1人・風鳴翼とユニットを組み、歌えた事を光栄に思う。

本来ならば、もう1人の存在・天羽奏にも共に歌いたかったが、

彼女は現在、世界を股にかけたボランティアに出ているとの事で、今回のライブでは参加する事が出来なかった。

だが、私としてはこれはこれで良い思い出にもなった」

 

「私も素晴らしいアーティストに巡り会えた事を光栄に思う。

この場に奏が居ないのは残念だけど、それでも彼女も同じ気持ちだとそう思っている…!」

 

そう言いながら、2人は共にステージの真ん中で観衆達に握手を交わす。

すると、会場の雰囲気が最高潮になる…!

 

「私達が世界に伝えて行かなくちゃね。

 

()()()()()()()って事を」

 

するとその話をステージ裏で聞いていた1人の者が疑心を持った。

奏のマネージャーにして、《風魂導師》…霊風であった!

 

「…始めるつもりか…【世界の歌姫】さんよ?」

 

そう言いながら、ステージ裏でステージの方を見る霊風。

ステージの方では如何やら翼も同じ様な事を言い終わった後であり、

そして握手をやめたマリアは数歩翼に背中を向けながら歩く。

そしてマリアは告げる…

 

「そして…もう1つ」

 

「?」

 

そう言うとマリアは腰に着いてるスカーフを上へと上げる…!

するとステージの周りに…

 

 

 

ノイズが現れたのだ!

 

それを見た観客達は一斉に先程までの黄色い歓声が、瞬く間に悲鳴へと変わり始めたのだ‼︎

 

その光景を目の当たりにした翼は目を見開く。

 

「!やっぱりか‼︎」

 

そう言うとステージの裏に隠れていた霊風が直ぐに翼の前に出る!

 

「!霊風さん⁉︎」

 

「お前は兎に角、隙を見つけて《ギア》を纏え!俺からの命令はそれっきりだ!いいな⁉︎」

 

その話を聞いた翼はそのまま頷く。

すると、その悲鳴を聞いたマリアは呟いていた。

 

「…(うろたえるな)…」

 

そしてマイクに向けて叫んだ…

 

「狼狽えるな‼︎」

 

ーーーーーーSIDEto弦十郎

「ノイズの出現パターン感知!」

 

「場所は…⁉︎『Queen'sofMusic』会場!翼ちゃんと緒川さん。そして霊風君が居る場所です!」

 

「なんだと⁉︎」

 

彼処にはたくさんの観客達がいる…!

しかも、翼のシンフォギアの情報は秘匿したままだ…!

映像が流れている限り、翼は《ギア》を纏う事出来ない!

!そう言えば…

 

「響君達は⁉︎」

 

「現在、ライブ会場の方へとヘリで急行させています!」

 

「先程あおいさんに連絡を入れた所です!」

 

…三連戦になるが…頼んだぞ!響君達!

 

ーーーーーーSIDEto霊風

ちっ!やり辛い事この上無い!

今このステージには、マリアと翼とそして俺。

 

それ以外には沢山のオーディエンス達がノイズに襲われそうになってやがる…!

 

…?襲われそう…?

 

いや、今の所ノイズ達は観客達に被害を及ぼしていない…

何が狙い目なんだ…マリアは。

 

いや…この後の展開は、知っている筈。

なのに…なんで俺はこんなに警戒してるんだ?

 

俺は前世の記憶を持った転生者《リターナー》だ。

特に俺はこの世界の事を知っている筈…

それは勿論、この後の展開も予想が付く筈だ。

なのに…なんで⁈

 

もしかして…記憶が欠落し始めてきているのか⁈

 

「私達は《ノイズ》を操る力を以ってして、この地球(ほし)の全ての国家に要求する!」

 

⁉︎考え事してる間に戦線布告⁉︎

 

「そして…」

 

そう言うとマリアが持っていたレイピア型のマイクが上に放り投げられた!

 

…まさか…⁉︎

 

 

 

 

「Granzizel bilfen gungnir zizzl…」

 

 

 

そう言うとマリアの服装がかつての奏が着ていた《ギア》へと変わっていた…!

その色を黒く染めて…

 

「私は…私達はフィーネ。

 

終わりの名を持つ者だ‼︎」

 

やっぱり着やがったか…

 

 

 

烈槍(黒の)》ガングニール‼︎




次回

《烈槍》纏いし独奏


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#3 《烈槍》纏いし独奏

今回は第2話の途中まで。
そしてラストで…


会場に現れたノイズに怯える観客達。

それは勿論、特別室にいた未来達も同様である。

 

そんな中、憑友と響達が乗り込むヘリはそのままライブ会場の方へと急行していた。

 

「了解です。装者2名並びに導師2名計4名にて、状況並びに介入まで40分を予定。事態の終息にあたります。

聞いての通りよ。気を抜かずの三連戦になるけど、お願いね」

 

「「!」」コクッ!

 

「了解した」

 

「…」

 

「…如何した憑友?」

 

そう言うと響とクリスはそのまま頷き、ロックが了解の意を告げる。

しかし、憑友が何も言わないので、ロックが話しかけると、ロックを退かせ、なんとヘリのドアを無理やり開けたのだ‼︎

 

それを見た一同は驚愕する!

 

すると、憑友は左腕にライドを装着させた!

 

「40分だと⁉︎ふざけるな!その間にどれだけの命を失わせるんだよ!

俺はもうそんなのは見たくないんだよ!」

 

そう言うと憑友は右腰に付いてるカードから2枚のカードを取り出した。

するとロックにその内の1枚を投げ渡す!

 

「ロック!お前もそのカードで変身して、クリスと共に来い!

響はそのまま此処からダイブだ!」

 

「…ふぇ⁉︎」

 

あまりの発言に響は目を見開く。

 

その発言を聞いた他の2人も同様だ。

その真意を聞こうとするが、なんと憑友はそのまま身を投げだしたのだ!

その光景を見た一同は下を向いた。

 

ーーーーーーSIDEto憑友

こんな所で、俺は負けたくないんだよ!

ノイズが人を殺すマシーンなら、

俺達はそれを止める希望の光なんだーー!

 

そう思った俺はそのまま既に降下する前にカードを装填していたアブソーバーのレバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、カナタ!ー

 

そして俺はそのままその『英雄』の魂を纏った!

 

ー黒の剣聖!空戦教官!ー

 

空戦魔導士の若き教官にして、《黒の剣聖(クロノス)》の称号を持つ男…カナタ・エイジ

俺はその力を使って、空中から彼の専用ホバーボート《ホウキ》を呼び出し、その上に乗った。

 

ーーーーーーNO SIDE

 

憑友が先程の行動を見た一行。

すると響は憑友が何かしたいのかが分かり、そのまま助走を付けて飛び降りたのだ!

その光景を見た一同だが、そこを憑友が見事にキャッチして、彼の後ろに乗った!

 

「…ふっ。流石俺のライバルだ」

 

そう言うとロックはそのまま憑友に渡されたカードを自分のアブソーバー・ソウルに装填させる。因みに憑友が飛び降りた時に既に左腕にアブソーバー本体は装着されている。

 

するとロックは友里の方を向く。

 

「友里さん。俺と憑友のアブソーバーにライブ映像を転送しておいてください。先行して行きますので」

 

「!…え、ええ。分かったわ!」

 

そう言うとロックはそのままクリスの右手首を左手で持つ。

 

「行くぞ」

 

「え?何処にだぁぁぁぁ⁉︎」

 

そう言いながらクリスはそのままロックと共にヘリから落ちたのだ。

 

するとロックはクリスの方に身体を向けるとそのままアブソーバーのレバーを引いた!

 

ーソウル!フォーム、イチカ!ー

 

するとロックのアブソーバーから白い機械の身体を纏った青年の魂が現れるや、そのままロックの身体に纏った!

 

ー武士道精神!白式一閃!ー

 

そう言うとロックは憑友側に付いてる『英雄』の1人、

【白き鎧纏いし者 一夏】へと変身した!

 

するとそのまま各部に付いてるスラスターでクリスを受け止めた。

 

「助かっ…た⁉︎////」

 

「如何した?」

 

「なんでこんな体勢なんだよ⁉︎」////

 

「?…兎に角、憑友の後を追うぞ」

 

「他にねぇのかよ⁉︎この体勢以外で!」

 

「無い」

 

「即答すんじゃねぇ⁉︎」

 

クリスはなんとか助かったものの、今の体勢に羞恥心を抱いていた。

クリスが今どんな状態かと言われると…

 

背中と太ももをロックが腕を使って抱き抱えていた。

 

…俗に言う…お姫様抱っこである。

 

しかしそんなクリスの態度に全く理解していないロック…

 

ロック…お前、まさか一夏の性格が移ったのか?朴念仁になってるぞ?

 

その光景を見ていた憑友はそう心の中で言っていたそうな。

因みにその時に響はクリスにからかっていたので、完全に後から叩きのめされる事になるのはもう少し先の話になる。

 

そう思っていると、アブソーバーから映像が流れてきた。

それを見た憑友はそのまま腰を下ろして、映像を見た。

それに気付いた響もその状況を見る為に憑友の肩に頭を置いて、映像を見た。

そこには、黒いガングニールを纏ったマリアとステージ衣装の翼、

そして紺のスーツを着た霊風がステージの上にいた!

 

「‼︎このフォルム…!」

 

「黒い…ガングニール…⁉︎」

 

「まさか…はっ!急ぐぞ!」

 

「ふぇ?」

 

そう言うと憑友はそのままカナタのホバーボート《ホウキ》の上に再び立ち上がると、そのままスピードを上げていく!

 

響は必死になって憑友の脚にしがみつく。

そして響は先程憑友が言っていた発言に疑問を持ち、それを憑友に伝えると、

 

「この映像が流れてる間は、翼さんは《シンフォギア》を纏えない…!

プライバシー関連の情報以外は全て公開したと弦十郎師匠が言っていたんだが、響やクリス、翼さんのような《シンフォギア》装者のプロフィール等だけは秘匿したままだ!

つまり…」

 

「翼さんが映像が流れてる間にギアを纏うと…!」

 

「そうだ。

其れだけで翼さんがシンフォギア装者である事が公の場に晒される。

其れに今回は全世界生放送で流れている…!

自分達は公開するつもりでも、日本政府のお偉いさん達は其れは出来ないという一点張りだ。

無闇やたらに動けないのが現状だ」

 

「そんな…ん?

じゃあ憑友達も?」

 

そう言うと響がそんな質問をして来たので、憑友はその答えにNOと答え、その理由を話す。

 

「俺達《精魂導師》は、謂わばお伽話の存在。

プライバシー等に関しては全く持って関係無い。俺以外はな」

 

その最後の答えに響の頭上から?マークが飛び出てきた。

その疑問を付け加える形で解説する。

 

「俺は2年前のあのライブ会場から、今でも『死亡』扱いされている。

公の場ではいつも偽名を使わせられているから気が気では無い。

故に弦十郎師匠は俺が《精魂導師》の1人には換算してくれていない。

巷では、『炎を纏った謎の存在』として、都市伝説になっているからな」

 

その話を聞いた響はそのまま口を塞ぎこんでいた…

 

ーーーーーー

一方、ライブ会場ではマリアが世界に向けて要求をしていた。

 

「我々、武装組織『フィーネ』は世界各国に要求する。

そうだな…差し当たって、国土の割譲を求めようか!」

 

マリアの発言に世界は震撼された!

割譲でもすれば、其れだけで多くの人々の行き場を無くしてしまうのだ。

其れが国土が大きい国ほどその被害は尋常では無い…!

大きな国であるロシアやカナダ、ブラジルにアメリカ、中国に至ってはその被害は最早1%の割譲でさえも苦しい状況に追い込まれる物である。

しかも、話を聞いてると、24時間…つまり明日までに要求に応えなければ、世界の主能都市がノイズによって完全に崩壊すると言ってきたのだ!

 

「世界を敵に回すと言うのかよ…!」

 

その発言に霊風は苦虫を噛むかのように苦痛の表情を浮かべていた。

額には汗をも流しながら。

 

そしてマリアの発言に疑問を持っていた翼。

その問い掛けにマリアは平然とした雰囲気で話した。

 

自分達の楽土の為だと言うマリアの発言に霊風の右手の拳から血が流れ始めた…!

 

其れを見た翼は反論し、即座に聖詠を詠おうとするが、耳に付けられていたインカムから緒川によって制止させられる。

しかし其れでも歌おうとしたら、今度は霊風がその握力で流れていた右手の拳で制止させられた。

 

其れを見たマリアは次にありえない事をした…!

 

「会場のオーディエンス諸君を解放する!

ノイズには手出しさせない!

速やかにお引き取り願おうか!」

 

そのマリアの発言に翼と霊風は凝視する。

言動の違いに困惑する2人。

其れでも、着々と人々は避難を始めていた。

其れは勿論、特別室にいた未来達も同様であった。

 

ーーーーーーSIDEtoマリア

私のステージに必要なのは人では無い。

其れは理解している。

しかし…何故かこのステージの何処かで何かを感じるのは一体…

 

そう考えていると私はステージ会場の奥にある特別室を目を通り過ぎた。

 

?…何、今の感覚…?

 

そう思い私はもう一度その部屋を見ると…そこには、妹のセレナがいた。

 

⁉︎セレナ⁉︎どうして貴方が其処に⁈

 

だけど、私の表情に彼女は答えてはくれなかった…

其ればかりか、私の事などまるで知らないと言う雰囲気を出していた…如何して?

如何してなの…セレナ…!

 

ーーーーーーNO SIDE

 

特別室を見たマリアの顔が先程のような独裁者のような風貌など微塵も残されていなかった。

代わりにあったのは、寂しさと言う感情のみだった。

 

そうしていると、霊風が翼とマリアの間まで歩き、そして叫んだ。

 

「お前達なんかに…世界を明け渡せるものかよ!」

 

霊の発言を聞いたマリアは直ぐに先程の顔へと戻した。

 

「…ほぅ。勇ましいわね?

そう言うの…嫌いじゃ無いわよ」

 

「俺はあんたのその態度で苛立ってるんだけど…な!」

 

そう言うと霊風は懐から風のエンブレムがあしらったカードリーダーを取り出す…!

 

其れは憑友がこの3ヶ月の間に完成させ、更にアップデートさせたアイテム『現界ブースターα』であった。

 

そう言うと霊風は左の内ポケットを漁ると、そこから1つのカードケースが現れ、霊風はそのまま右腰にやるとそのまま手を離した。

 

するとカードケースは霊風のベルトに自動装着された!

 

「ノイズから人々を守る為には…これだ!

頼むぞ!」

 

そう言うと霊風は右腰に自動装着されたカードケースから二枚のカードを取り出すと、その二枚のカードを新型の『現界ブースターα』にスキャンした!

 

ーコール・オブ・直継!ー

ーコール・オブ・円堂!ー

 

すると霊風はそのままブースターを拳銃のように持ち替えると、なんと拳銃の形へと変わり、そのままノイズ達に向けて2発撃ち放つ!

 

すると、2つの弾丸は徐々に弾から姿を変えて、到達する頃には2人の青年に変わっていた!

 

「おらよ!」「はぁ!」

 

そう言うと2人はそのままノイズの一体を其々倒す!

 

「⁉︎」

 

「最新式の『現界ブースター』だ。

勿論、彼奴らは『英雄石板』から解析された凄腕の『英雄』達だぜ?」

 

マリアはその光景に目を見開くと霊風が解説をした。

 

「昔のは非戦闘時に重宝されていて、戦闘時でも僅か5分しか戦えなかったが、最新式のは、最低10分…最高1時間までの戦闘を可能としてる。

如何だ?中々の逸品だろ?」

 

「…だから如何したと言うのだ?」

 

「なに?」

 

そう言うとマリアは懐からある物を取り出した。

そこには黒く染まっているが、紛れもなく今現在霊風が所持している『現界ブースターα』そのものであった!

 

「何⁈」

 

「貴方達だけの専売特許では無くてよ?」

 

そう言うとマリアは何処からともなく二枚のカードを取り出し、其れをスキャンした!

 

ーコール・オブ・にゃん太!ー

ーコール・オブ・鬼道!ー

 

するとマリアは、自分の足元近くにその弾丸を2発撃ち放つ!

 

するとそのまま姿が変わり、

1人は猫の顔をしたレイピアの双剣を携えし紳士が、

そしてもう1人はドレッドヘアーを1つ縛りにして、ゴーグルをかけて、マントを羽織っていた…!

 

其れを見た『英雄』2人は驚愕した。

何故なら…

 

「!班長⁈」「鬼道⁈」

 

自分達の仲間であったから。

其れを見ていた霊風と翼も其々別々の反応だが驚きの顔に包まれる…!

 

其れを感じ取った霊風はそのままカードケースから…ではなく、胸ポケットから一枚のカードを取り出し、そのままブースターにスキャンした。

 

ーコール・オブ・ランサー!ー

 

そして頭上へと銃口を向けると、そのまま引き金を引く!

すると弾が変化し、人の形になりて、

そしてそのまま地面に着地した。

 

「サーヴァント・ランサー!召喚に応じたぜ?」

 

そう言いながらランサーことクー・フーリンは愛槍《魔槍》ゲイボルグを相手に向けた。

 

「サーヴァント…なら、貴方にはこれがお誂え向きかしらね」

 

そう言うとマリアは再びカードを取り出すと、そのままスキャンした!

 

ーコール・オブ・バゼット!ー

 

「「何⁈」」

 

その電子音が発した名前に驚愕する2人。

するとそのままマリアはランサーに向けて撃ち放つ!

 

するとそのまま弾から人の姿になった。

そこには1人のスーツを着た女性がランサーに拳をぶつけようとした!

 

其れを見たランサーは一瞬の隙を生んだが、そのまま槍で受け止める。

 

「ちっ!おめぇとだけは殺りたくねぇんだけどよ…バゼット(マスター)!」

 

「其れは此方とて同じです。しかし、私としても私なりの立場があるので!」

 

そう言うとランサーごとステージからそのまま下りて行くバゼット。

 

其れを見た霊風はそのまま視線をマリアの方に向き直る。

すると突然耳に付けてるインカムから通信が入ってきた。

霊風はマリアの方を向くと、マリアはそのまま手を出した。まるでお先にどうぞとでも言わんばかりに。

其れを見た霊風は通信相手と話しかける

 

「…もしもし」

 

『霊風さん。緒川です!現在放送室の方へと向かっています。その間までに翼さんの護衛をお願いします。

変身許可は先程司令から了承を得ました。

其れとあと20分の間に憑友君や響さん達がやって来ます!』

 

「…了解した。これより任務を遂行する」

 

そう言うと霊風は右側の内ポケットを漁ると、そこからアブソーバーを取り出した。

そしてランサー以外の2人の『英雄』に向けてこう告げた。

 

「直継!円堂!」

 

「「!」」

 

「にゃん太と鬼道は俺が相手をする。

2人はそのままノイズを迎撃してくれ!」

 

「任せとけ祭り!」

 

「ああ!」

 

そう言うと2人はそのままノイズ達を相手に戦い始めた!

其れを見た霊風は右の内ポケットを漁ると、今度はipadサイズのディスプレイが出てきた。

 

其れを左腕に装着した。

 

「⁉︎まさか…!」

 

マリアはもしやと思っていたら、霊風の顔から不敵な笑みが零れる…嫌な予感が的中したようだ。

 

すると霊風は翼からマイクを奪うと電源をつけて喋りだした!

 

「テレビを前のご覧の皆さん!初めまして!

日本が誇るアーティスト!『ツヴァイウイング』の片翼・天羽奏のマネージャーにして、《フレンドリーマネージャー》としても名高い存在…

 

精妖霊風のお出ましだ!」

 

すると霊風はそのまま話をしだした。

 

「だが、其れはあくまで()()の顔。

()の顔を今日、世界の皆様方にお披露目しよう!」

 

そう言うと、胸ポケットからカードを1枚取り出すと、そのまま左腕に装着されたアブソーバーに装填し、

 

「変身!」

 

そしてレバーを引いた!

 

ースピリット!フォーム、オリジン‼︎ー

 

するとアブソーバーのディスプレイから風の魂が舞い、其れが霊風の身体に纏った!

 

すると霊風の身体が緑主体のボディスーツへと変わり、

そして、風で出来た槍《ウィンドルロッド》を振り回す…!

 

「".風の魂を導く師者"

 

《風魂導師》スピリット!見参ってな!」

 

そう言うと手持ちの槍の矛先をマリアに向けた。

 

「詳しい話を聞かせて貰うとしようか。

世界の歌姫…マリア・カデンツァヴァナ・イヴ!」

 

そう言うと霊風はすかさずマリアに攻撃を仕掛ける!

しかし、マリアはそのままマントで防御する!

 

ガキィンッ!

 

「な⁉︎」

 

「無駄な足掻きね。其れに今の私は貴方では無く、あの子に用があるのよ。

貴方の相手は彼等が務めるわ!」

 

そう言うとそのまま槍の柄部分を握るとそのままステージ上から落とされた霊風。

そのまま華麗に着地する。

 

そして霊風の視界には数多のノイズがうろちょろしていた。

 

「ちっ!気持ち悪りぃったらありゃしないぜ…って、ん?」

 

そう言うと霊風は視界の中に茶色のローブを纏った存在を発見した!

 

「まさか…逃げ遅れ…!」

 

そう思い、近付こうとした時、ステージ上から音が聞こえ聞こえたので、その方を見ると、なんと翼がギアを纏っているマリアにギアを纏えないまま防戦一方を繰り広げていた!

 

其れを見た霊風は先程のローブから目を離し、翼の方へと行こうとするが、ノイズ達に進路を妨害されてしまう。

 

「…邪魔するなーー‼︎」

 

そう言いながら、霊風はカードケースから1枚のカードを取り出すと其れをアブソーバーに装填し、そしてレバーを引いた!

3ヶ月の間に入手した新しいカードで。

 

ースピリット!フォーム、ユキナ!ー

 

するとディスプレイから槍を携えた女の子の魂が現れ、霊風は其れを纏った!

 

ー剣巫の監視者!『雪霞』の槍!ー

 

そして霊風はその『英雄』の力でノイズ達を一掃していく…!

 

霊風がなった『英雄』の名は…姫柊雪菜。

 

『ストライク・ザ・ブラッド』のヒロインである。

常識に疎い反面、屈指の槍と学習能力を持つ凄腕の『英雄』である。

 

そして到達しようとしたその時だった。

 

ステージの裏へと周ろうとした翼だが、運悪く履いていたヒールが折れてしまったのだ!

 

「貴方はまだステージから降りる事は許されない…!」

 

そう言うとマリアが翼をステージの方へと蹴り飛ばしたのだ!

そのままステージの方へ…通り過ぎ…なんとステージの場外へと飛ばされたのだ!

しかもその先にノイズ達が!

 

「っ!勝手な事を!」

 

「⁉︎翼ーー‼︎」

 

ーーーーーーSIDEto翼

くっ…このまま私は何も出来ずにノイズに殺されてしまうのか…

私はもう…みんなと…奏に会う事も出来ないのか…

 

シュルルルル〜〜〜〜〜‼︎

 

ならば最後に私はこの身を剣と変えて…戦う!

 

そう思って私は目を閉じ、聖詠を…

 

ガサッ!

 

…え?

 

私は咄嗟の出来事に動揺した。

地面に落ちる感覚がしない…いや、寧ろ…誰かに抱き抱えて…

 

「…」

 

私は誰かによって助けられていた。

茶色のローブを纏った存在だった。

男なのか、女なのかも分からない…でも、まずはお礼を言わないと!

 

「…!あ、ありがとうございます」

 

「…ぷっ、ははは!私だよ、翼」

 

え?その声…

 

そう感じると、ローブを纏った女性はローブのフードを外した…そこに居たのは…

 

「⁉︎何故お前が此処に居る⁉︎」

 

「嘘だろ…いつの間に⁉︎」

 

マリアが、霊風さんが叫んだ。私も同じ気持ちだった。

そして私はその存在に目を奪われた…

 

 

 

 

 

 

「奏…⁉︎」

 

 

 

 

私を助けたのは、私のパートナーにして、

『ツヴァイウイング』の片翼…

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりだな。翼」

 

天羽奏だった。




天羽奏 再び戦場へ…!

次回

『片翼』奏でし《2振りの槍》

次回…奏、新たなギアを纏う…!

ヒントは…『fate/zero』?


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#4 『片翼』奏でし《2振りの槍》

前回

マリアの世界に向けての宣戦布告。
それを良しとしない霊風は彼女に猛攻を仕掛けるが、悉く受け流され、あろう事か護衛対象の翼を絶対絶命のピンチに陥らせてしまう。
そんな翼を助けたのは、

翼のパートナーにして、『ツヴァイウイング』の片翼…
そして、霊風の相棒…


天羽奏だった。

ーーー
と言うわけで、今回、奏さんが戦場に立つ!
そして、新たなシンフォギアを纏う!


「久しぶりだな。翼」

 

そう言いながら、ローブを纏っていた女性…天羽奏は自身の片翼であり、現在お姫様抱っこさせている少女・翼にそう言った。

 

するとステージへと霊風が駆け付けてきた!

 

「大丈夫か、翼!」

 

「私は大丈夫です。でも…如何して奏が此処に⁉︎」

 

そう言うと奏は手を振った。

そんな事は後々と言いながら…

 

すると奏は翼を霊風に預けると、そのまま立ち上がり、黒いガングニールを纏った女性…マリアに視線を向けた。

 

「取り敢えず自己紹介だな…『ツヴァイウイング』は片翼、天羽奏。

翼が色々と世話になったな?」

 

そう言いながら奏はマリアを睨みつける。

しかし、マリアは其れでも平然としていた。

すると奏は話をし始める。

 

「あの宣戦布告は中々だな…私には真似出来ないや。

真近であんな光景を見て驚かされちゃったぜ!」

 

そう言いながらハニカむ奏。

 

「そう…だが、貴方が来た所で何が変わるのかしら?」

 

「さぁな?私自身も知らねぇよ」

 

その一言を聞いた3人は呆然とした。

何しに来たんだと思ったのかもしれない。

だが、奏は話をし続ける。話題を変えながら。

 

「時に、お前のそれ…ガングニールだよな?」

 

「…ええ。そうね。

…そう言えば貴方は『元』ガングニールの《シンフォギア》装者だったわね?

如何?貴方が手放した物が他の誰かが勝手に使う事に?」

 

「私は知らないね」

 

「…は?」

 

奏の一言で完全に出鼻を挫かれたマリア。

 

「確かに其れは本物のガングニールだ。

だけどよ…私は其れを1人の女の子に託したんだ。

私はその子に何も出来ずにノイズ達が倒されるのをただひたすらに我慢していた。

 

だが…其れも今日までの事!」

 

そう言うと奏はローブを外した!

そこには、元の髪型に戻り、かなりのラフさが目立つボーイッシュな格好をした奏がいた。

 

そして奏は首元からある物が出て来て、奏は其れを左手で持って、3人に見せた。

 

其れを見た3人は驚愕した!

 

「聖遺物のコンバーターだと⁈」

 

代表してマリアがそう叫ぶ。

 

マリアは叫んだ事で中継が入っていると思っていた。

だが、奏の顔から不敵な笑みを浮かべながらある事を言った。

 

 

「因みに私が翼を助けたと同時に、中継は全〜部シャットダウンされてるみたいだぜ?」

 

そう言うと奏は右手で中継がされているであろう映像ディスプレイの方に指を指す。

マリアはそれを見ると、そこには何も映ってはいなかったのだ!

 

「いつの間に⁉︎」

 

「さあて…翼を可愛がってくれた分は、きっちり返して貰うとするかね…」

 

そう言うと奏は軽くストレッチを始めた。

其れを見た翼と霊風は奏に離れろと示唆するが、今の奏は馬耳東風,馬の耳に念仏であった。

 

そう言うと奏は聖遺物のコンバーターを握りしめた。

 

「この一戦…無駄にはしない…!」

 

そう言うと奏はコンバーターをマリアの方に向けた!

 

「行くぞ!…オディナ‼︎」

 

『我が槍…味わうと良い‼︎』

 

『⁉︎』

 

突然聞こえてきたその声に3人は驚愕した。

すると奏は聖遺物のコンバーターを用いて聖詠を…歌い始めた…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Croitzal gaedearg gaebuidhe zizzl…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると奏の周りに光のオーブが張り巡らされていく!

 

すると奏が所持していた聖遺物のコンバーターから1人の青年のようなシルエットが現れたのだ!

 

するとシルエットはそのまま分散し、奏の身体に纏い始めた!

 

そして全てが纏い終わると、背中にXのような形をしたバックユニットが装備され、奏は《シンフォギア》を纏ったのだ!

 

ーーーーーーSIDEto弦十郎

 

「アウフヴァッヘン波形感知!」

 

「照合完了!聖遺物名は…!」

 

そう言うと映像から

 

【gaedearg gaebuidhe】

 

と書かれていた。

 

ゲイ・ジャルグ…ゲイ・ボウ?

そんな聖遺物あったのだろうか?

 

そう感じた俺はすかさず奏に連絡をした。

 

すると奏は直ぐに連絡に応じてくれた。

 

『もしもし?』

「俺だ。弦十郎だ」

『お?弦十郎のダンナ〜!久しぶり〜!』

 

…相変わらず暢気かつ大胆だな…お前は。

 

「お前が持っている聖遺物…俺達は初めて聞いたぞ!」

『其れは勿論でしょう!私だって最初こそ驚いたんだから!』

 

奏も初めて出会った聖遺物…それを一回の聖詠で物にしたと言うのか!

 

『ガングニールよりは劣るけど…あたしの力はまだまだこれからだぜ』

 

そう言うと奏の方から電話が切れた。

…あまり無茶はするなよ。

 

ーーーーーーSIDEto霊風

ゲイ・ジャルグに…ゲイ・ボウだと⁉︎

 

それはケルト神話の1つ『フィン物語群』に描かれている騎士団…

 

『フィアナ騎士団』の1員であり、一番槍…

 

 

 

 

ディルムッド・オディナの愛槍だぞ⁉︎

 

 

ディルムッド・オディナ。

『輝く貌』とも呼ばれている男にして、

ゲイ・ジャルグ,ゲイ・ボウと言う名の槍2つと、

モラルタ,ベガルタと言う二本の剣を所持していた凄腕の実力者!

 

 

その内のゲイ・ジャルグとゲイ・ボウ…その2つの聖遺物の欠片が奏のあのコンバーターの中に眠っているのか⁉︎

 

「何なの…その姿⁉︎」

 

確かにマリアの言う通り、それは俺も驚いている。

見た目は2年前のライブ会場時に見せたあのギアそのものだけど…

背中にバックユニットが装備されているのが決定的な違いだった。

だが、何故そんな物を…?

 

「ふぅ〜…!

お前とこうやって共闘できるのは凄えな!」

 

そう奏が言うとコンバーターが淡いピンクを発光させながら点滅した!

 

『今の私は貴方の一番槍である。

故に貴方の事を思って考えている。

全ては主を守る為!』

 

「堅苦しいのはよしてくれよ、オディナ」

 

『…申し訳ない』

 

そう言いながら、奏は自分の胸上に備え付けられているコンバーターと話をし始めていた。

 

なんでコンバーターから人の声が聞こえるんだ?

…分からない。一体何が…

そう感じていると、奏は手に何も持たずにマリアの方へと歩み寄る。

マリアはその行為を無駄に見るつもりもなく、マントで攻撃した!

だが、その攻撃は…

 

 

 

ビギィッ!

 

その効果音で、()()()された。

 

「「「⁉︎」」」

 

「生憎、今の私に魔力等は効かないぜ?」

 

そう言うと奏は翼の方に顔を向けた。

対して翼はいつの間にかシンフォギアを纏っていた…てか早いよ⁈

 

そう言うと奏は背中のバックユニットに手を添えた。

するとユニットから二本の槍が現れ、奏はそれを手にした!

 

赤くて長い槍と、黄色くて短い槍の2つを。

 

そう言うと奏はそれを両手で自由自在に振り回す…!

 

まるで踊っているかのように。

 

すると奏はこんな事を口にした。

 

「翼の曲…借りるぜ」

 

「え?」

 

そう言いながら奏は歌を歌いながら、マリアに攻撃を仕掛けてきた!

 

挿入歌(「FRIGHT FEATHERS」高山みなみVer.)

 

それは3ヶ月前の翼の単独ライブの時に歌っていた曲だった…!

 

「⁉︎他人の曲で、戦うだと⁈」

 

「私のギアは特別製だぜ!」

 

そう言うと奏は右手に持っていた赤い槍を高速回転させて、竜巻を起こした!

 

ーLAST∞METEORー

 

如何やら、《ガングニール》を使用した時に使っていた技はそのまま使えるようだ。

 

するとマリアはそのまま躱す。

そして後ろにいたノイズ達が一斉に炭と化した。

 

だが、そのままマリアは再びマントを使って奏に攻撃を仕掛けてきた!

しかも今度はマントを独楽のように自身の周りを駆け巡るかのように!

 

あんなの喰らったら…!

 

「これなら…」

 

「悪りぃけど、それは無理だな!」

 

そう言うと奏は赤い槍の方をマントに刺した…その時だった!

 

 

 

ビギィッ!

 

バサッ!

 

「なに⁉︎」

 

なんと独楽のような動きをしていたマントが、あっと言う間に只のマントに戻ってしまったのだ!

 

 

これって…まさか…

 

「ゲイ・ジャルグは、"相手の魔力を無効化する"【破邪の槍】として有名なんだとよ」

 

「⁉︎」

 

それって…『宝具』の力か⁉︎

 

『宝具』

『英雄』達の上位にあたる存在『英霊』達の必殺技。

 

基本的には使用する事自体無い。

何故なら、宝具発動時に自分の愛武器達や成し得た偉業が宝具になったりするからだ。

それ即ち、自分の正体に気付かれる可能性があると言う訳だ。

尤も、ロックに仕えているアーチャーことエミヤは、贋作を作る存在…贋作者(フェイカー)である。

自分の愛武器なぞいとも簡単に破棄できるキチガイ『英霊』の1人だ。

 

話を戻そう。

 

今回のゲイ・ジャルグには、

 

"相手の能力強化を全て無効化させる"

 

そう言う効果を持っている。

 

「私なりに言うならこの技は…

 

"DEARG∞COMET"

とでも呼ぼうかな…そして!」

 

そう言いながら奏はすかさず今度は左手に携えていた黄色の槍でマリアの足元を狙った!

マリアはその隙を突かれ、すかさず回避するが、僅かに足元のアキレス腱にその槍が一瞬だが、突き刺さった。

 

「くっ!」

 

そうするとマリアは回避し、立ち上がろうとするが…

 

「…⁉︎」

 

立ち上がる事が困難になっていた。

すると奏は左手に持っていた黄色の槍…ゲイ・ボウを担ぎながら、マリアの方へと歩み寄る。

因みにだが、歌はもう歌い終わっている。

 

「対して、このゲイ・ボウには、

"相手に呪いを付与する"【呪いの槍】として呼ばれてるぜ?

例えて言うなら…

 

"BUIDHE∞COMET∞DUST"だな」

 

そう言いながら奏はマリアの方へと手を差し伸べる。

 

「何がしたいのか、私達に話してくれないか?」

 

そんな奏をみた俺は心の中で溜息を零しながら、心の中で愚痴を言っていた。

全く…お前は何処かの立花響(人助け馬鹿)人絆憑友(超が付く程のお人好し)に影響されたんじゃないだろうかと。

 

そして手を差し伸べようとしたその時に、歌が聞こえてきた。

 

…上から?

…まさか!

 

そう思い俺は上を見るとそこには2人の女の子と、2人の男の子達が一斉に攻撃を仕掛けて来たのだ!

 

「!」

 

それに気付いた奏はすかさず俺と翼の所へと後退させた。

 

「大丈夫デス⁈」

 

「…マリアに何したの」

 

そう言いながら、マリアの近くに2人の女の子が降りてきた。

金髪で緑のギアを纏った女の子と、

ピンクのギアを纏った黒髪の女の子だった。

 

名前は確か…

 

金髪の方が、暁切歌。

黒髪の方が、月読調だったな。

 

「このくらい平気…とは行かないわね」

 

そうマリアが言うと、切歌が俺達に手に持っていた武器いや、アームドギア《イガリマサイス》を振り上げ、

調も髪に付いてるギアから大量の小型鋸を何時でも射出出来るように構えていた。

 

そんな中、俺は2人の男の子に目を向けていた。

切歌と調と同じ金髪と黒髪であった。

そして彼等の左腕には、俺達《精魂導師》が使うアブソーバーが装着されていた。

 

「5対3…数は此方が有利だけど…

姉貴が負傷してるとなると、かなりきついな」

 

「…ああ。…そうだな」

 

そう言いながら2人はそれぞれ武器を構えていた。

 

黒髪の方は、切歌と同じ鎌を持って、

金髪の方は…鎖を扱ってきた。

 

鎖だけではない…

左腰には剣も備えられている。恐らく関連するなら、鎖と剣の性質を併せ持つ特殊武器《蛇腹剣》があるし、

反対側には鞭も用意されている…!

彼奴はきっと中距離対応型の戦士という事か。

 

鎌を持っている奴もそうだな…

腰のベルト辺りに何かを収納しているケースがある。

クナイや手裏剣のような投擲物なのだろうか…

 

「《光魂導師(コウコンドウシ)》タマシイ!お前等の魂、縛り付けてやる!」

 

「《闇魂導師(オンコンドウシ)》コア。

肉体ごと切り裂く覚悟は出来たか?」

 

ほぅ…光魂導師に闇魂導師ねぇ…なら俺も名乗るとしましょうか。

 

「"荒ぶる風の魂を導く師者"!

《風魂導師》スピリット!

俺の風…乗りこなせるかい?」

 

そう言うと俺は得物の長柄武器《ウィンドルロッド》を振り回す。

 

槍,杖,両手棍,薙刀,関節棍等の中距離制圧型の俺のメインウェポンを彼等に向けた。

それに薄々気付いていたんだ…

 

彼奴等が来るって事に。

 

「5対3か…まぁ確かにそうなるな。

 

()()()()()()はな」

 

俺の言った台詞に向こうの4人は警戒しつつも疑問を向ける。

その答えは…上にある。

 

そう言うと俺は分かるように、指を上へと差し向ける。

 

それを見た4人は上を見ると…

 

 

「「はぁぁぁぁ!」」

 

『⁉︎』

 

そこから俺達の仲間…

 

 

憑友と響ちゃんが、

拳を掲げてライブ会場に特攻していた!

 

それを見た4人はそのまま散開、うち切歌と調の2人はマリアを担いでの回避だったが。

 

そう感じていると、気配が感じたから後ろを振り返ると、白い鎧を身に纏っていたロックと…

お姫様抱っこされて、顔を茹で蛸のように染めていたクリスがいた。

 

…取り敢えず、帰ったらコーヒー飲みたい。ブラックで。

 

「炎の魂を導く師者…

《炎魂導師》ライド!見参!」

 

これで、5対7だな。形成逆転だ。

さぁ、大人しくしてくれよ…武装組織『フィーネ』いや…

 

 

 

 

F.I.S.の子供達!




次回

トリガードライヴ


ーーー
と言う訳で、奏さんが使用していたギアは、
史上初!

()()()()()()()()として扱う聖遺物…


ゲイ・ジャルグ&ゲイ・ボウでした!

魔を無に帰す赤き槍と、呪いを生み出す黄色の槍。

ヒントの『fate/zero』は、
この話に出て来るキャラクター…ランサー/ディルムッド・オディナの愛槍の事だったのです。

でも、コンバーターと会話するっていう事は…?

伏線が多い中、遂に《精魂導師》同士、《シンフォギア》同士の戦いが幕を開ける!

そして新たな力がカイガンする!

…あ、ネタバレしちゃった…ま、いっか!

と言う訳でまた!


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#5 トリガードライヴ

今回から数話に掛けてオリジナル展開多数ありです。


翼のピンチを救った奏は、新たな聖遺物《ゲイ・ジャルグ&ゲイ・ボウ》と言う異色の2つで1つの聖遺物のギアを纏って『フィーネ』を名乗る人物・マリアを相手に有利に進め、そして追い込んだと思ったその時に、マリアの仲間である少女2人と少年2人が合流、そして交戦となるが、その直後に遅れて憑友達がライブ会場にやって来て、再び戦況が逆転されたのであった…

 

ーーーーーー

「止めようよ!こんな戦い!

今日出会った私達が争う理由なんて無いのに!」

 

響はそう言いながら、マリア達に説得を試みるが…

 

「…そんな、綺麗事を…!」

 

「綺麗事で戦う奴の言う事なんて聞いてられるかデス!」

 

ピンクのギアを纏う少女・調と、ビリジアン系色のギアを纏う少女・切歌がその説得を拒絶した。

 

「おうよ!俺達『フィーネ』はそんなお前さん達のような奴等が気にくわねぇんだよ!」

 

「…邪魔をする奴は…容赦しない…!」

 

そう言いながら、《光魂導師》タマシイと名乗った少年と、《闇魂導師》コアと名乗った少年が其々の得物を向けた。

「…綺麗事か…」

 

その際に、憑友がそう呟いていたが、その言葉を聞き取れた人は1人を除いて誰もいなかった…

 

「…憑友…」

 

憑友のライバル…ロック以外は。

 

ーーーーーーSIDEto憑友

綺麗事…

 

確かにそうかもしれないな。

こんな事をして、俺達…何がしたかったんだろう…

今の俺達の力って…

 

「話せば分かり会えるよ!戦う必要なんて…」

 

「偽善者」

 

「⁉︎」

 

偽善者…響が…?

 

「この世界には貴方のような存在(偽善者)が多すぎる!」

 

…はは…ははは…ははははは…

 

心が狂って来た…

 

 

この際だ…もうあと一ヶ月でこの世から亡くなる俺の…

悪あがきと行こうかな…

 

 

…トリガー…告げる(セット)

 

ーーーーーーNO SIDE

 

「ははは…ははは…」

 

『?』

 

「…憑友…?」

 

「憑友?…おい、何をそんなに笑っ…⁉︎」

 

憑友の突然の事態に周りの状況が変化し始める。

ロックは憑友の肩に手を置こうとするが、本人がそれを拒んだ。

そして響よりも前に出て、マリア達に指を向け、告げた。

 

「偽善者…だと…ふざけんな!

そう言うお前達も同じ『偽善者』だろうが!」

 

『⁈』

 

「!…てめえ!」

 

憑友から言われた一言で、タマシイはそのまま鞭で攻撃を仕掛けてきた。短気な性格のようだ。

 

だが、憑友はその鞭を簡単に受け止めるだけではなく、そのまま鞭を離さなかった!

タマシイは強引に鞭を引っ張るも、憑友の身体はビクともしなかった!

 

その鞭を持ったまま憑友は話を続ける。

 

「てめえらに…てめえらに、響の何が分かる‼︎」

「響の事を何も知らないお前達に、響の事を『偽善者』呼ばわりしてんじゃねぇ!」

 

そう言うと手に持っていた鞭を豪快に上へと掲げた。

すると鞭の所有者であるタマシイ自身が鞭と同じ、上へと飛ばされたのだ!

 

それを見たコアはすかさず右腰についてるカードケースからカードを取り出し、そしてアブソーバーに装填させ、レバーを引いた。

 

ーコア!フォーム、ユカリ!ー

 

するとそこから紫が主体としたコーデとカーディガンを羽織り、そして機械的な鎌を持った女の子が現れ、コアはそれを纏った。

 

ー聖なる扉、闇の魔女王!ー

 

するとすかさずその鎌で憑友を刈り取ろうとするが、憑友はヒラリとその鎌の上を通り越すと同時に、カードをアブソーバーに装填させ、レバーを引いた。

 

ーライド!フォーム、アカネ!

聖なる扉!炎の咎人!ー

 

そして地面に着地と同時に、アカネのドライバ『イグナイト』から炎を噴き出す…!

対して、コアの方も、鎌の先から闇の瘴気を纏わせて、一撃を放つ…!

 

「"メギド・フレイム"」

 

「"ナイトメア・パレード"‼︎」

 

赤き〔炎〕と、黒き〔闇〕が激突する…!

しかし、その攻撃は…

 

 

「…何⁉︎」

 

コアの闇の一撃が簡単に押し退かせられた結果になった。

とどのつまり、憑友に軍配が上がったのだ。

 

すると上空にいたタマシイはそれを見逃さずに、カードをアブソーバーに装填させ、レバーを引いた。

 

ータマシー!フォーム、ウェンディ!ー

 

するとタマシイのアブソーバーから青髪のツインテールの女の子が現れ、それを纏った!

 

ー風で吹き飛べ!竜滅者!ー

 

するとタマシイはそのまま空気をこれでもかと吸い込み、そして口を開けた!

 

「"天竜の…咆哮"‼︎」

 

まるで風のブレスとも呼べる技を憑友はそれを見た瞬間に、腕でガードした。

 

それを見たタマシイは驚愕させられた。

何せそこには腕でガードしたのにも関わらず、キズ1つ着いていない憑友がそこに居たから。

 

その様子を只々見ていた《シンフォギア》の装者達と、ロックと霊風。

 

すると憑友はカードを取り出し、アブソーバーに装填させ、

 

「そんな程度か。本物の『咆哮(ブレス)』をお見舞いしてやろう…」

 

憑友はそう言いながら、レバーを引いた。

 

ーライド!フォーム、ナツ!ー

 

するとアブソーバーからピンク髪で、マフラーを巻いた青年が現れ、それを憑友は纏った!

 

ー炎で滅せ!竜滅者!ー

 

すると憑友はタマシイと同じ動作をして、そのままお返しの攻撃を仕掛けた!

 

「"火竜の咆哮"‼︎」

 

その一撃で、タマシイ達は緊急回避をした。

 

そして皆は後ろにあったメインパネルに驚愕した。

 

そこには完全に焼け溶け、最早原型を留めていないメインパネルがそこにあったのだから。

 

そんな激闘を繰り広げていると、何処からか緑のビームが、会場の中央に照射され、そこからスライム型のノイズが現れたのだ!

 

それを見た翼,クリス,奏,ロック,霊風の5人はすかさず戦闘体勢に入った…その時だった。

 

 

ドサッ…

 

「!憑友⁉︎」

 

響の声が聞こえ、もう一度振り返ると、そこには完全に先程まで戦っていた筈の憑友が地べたに完全に倒れていた。

それも、変身も強制解除されて。

 

響が憑友に近付こうとしたが、

 

「させねぇよ!」

 

タマシイが、得物の1つである鎖で、響をそれ以上行かせないようにした。

するとマリアが憑友の所まで近付くと、そのまま担ぎあげたのだ。

 

「!憑友を返して!」

 

「この男にはまだ利用価値がある。特に私にはな」

 

そう言うと、いつの間にかマリアの手には、アームドギア《ガングニール・スピア》が携えてあり、マリアはそのまま先程出現したスライムノイズに、砲撃技"HORIZON†SPEAR"をぶっ放した!

 

するとスライムノイズは更に急成長したのだ!

 

それを見た翼達はこの状況を打開させる為に、被害を抑えようと奮闘し始めた。

するとマリア達はそのまま逃亡したのであった…憑友を攫って。

 

「憑友ーー‼︎」

 

響の声が会場に響く…

目の前で、大切な存在を連れ去られた事に。

 

その光景を見ていた皆は黙り込みながら、それでも湧き上がるノイズ達を殲滅し始めたのであった。

 

「立花!」

 

そんな響に翼が話しかける。

 

「今、立花がここで諦めたら、誰が憑友を連れて帰る⁉︎

憑友を連れて帰るのは、いつも憑友の側にいた立花だけだろ⁉︎」

 

「おめぇにとって、あの馬鹿はそんな程度かよ‼︎」

 

翼の声と、クリスの声を聞いた響は、それでハッとなった。

 

そんな響の隣に奏が立つ。

 

「彼奴はそんな柔な奴じゃない…今はまだだけど、必ず連れて帰ろう…な?」

 

「奏さん…はい!

憑友だったら…絶対そうしますから!」

 

それを聞いた響は皆んなと共に、スライムノイズを倒して行くのであった。

 

その後、響は翼とクリスとで生み出した『絶唱』を用いたコンビネーションアタック"F2CA・トライバースト"と、

奏の"DEARG∞COMET"、ロックの新技"スパイラル・アロー"と、霊風の新技"タイフーン・スピア"で、スライムノイズを倒したのであった。

 

その際に、虹の竜巻を起こして…

 

ノイズを倒す事に成功した一同。

しかし、その代償があまりにもデカかったのであった。

そして現場には、憑友が使用していたカードケースがいつの間にか落ちており、それを見つけたロックは、カードケースを拾い、響に渡すと、響はそれを胸の方へ寄せると同時に悲しい現状にただただ涙を流すばかりであった…

 

ーーーーーーSIDEto憑友

 

此処は…何処だ…?

 

俺…確か…あの時…

 

黒髪の女の子から響の罵声を聞いて、その後…トリガーを起動して…

駄目だ。思い出せない…

 

あの後…一体なにが起こったんだろう…?

それに此処は一体…

 

「…目が覚めたようね。人絆憑友」

 

…マリア・カデンツァヴァナ・イヴ。

…今の俺の敵。

つまり此処は彼女達のアジトか。

 

それによく見てみると、ビーム状の格子に囲まれている…

俺は捕虜になったという事か。

 

「…抵抗して来ないのね」

 

「…何しに来たんだ…こんな捕虜相手と話し合おうなんざ…変わった歌姫な事で」

 

そう言うと、マリアは俺の近くにまで来て、毛布をくれた。

 

「此処は少しばかり冷えるからこれで暖まりなさい。

それに、これも貴方に返しておくわ」

 

そう言って、マリアが毛布と共にやったのは、俺の相棒であるライドさんと、キリト師匠のカードだった。

 

…他のカード達が見当たらない。

 

「…他のカードは?」

 

「其処までは知らないわ。

ただあのライブ会場で私にも気付かずに、カードケースごと落としたのかもしれないわね」

 

「…話を変えても良いですか」

 

「…タメ口で構わないのに」

 

年上に対してタメ口?そんなの今のご時世では通用しねえんだよ…これが。

 

「…何故俺に此処まで接してくる…?

敵に塩を送って、何がしたいんだ?」

 

俺の真意はそれだった。

あの場にいた彼女達は俺を元から狙っていたような目をしていた。

そして俺はそのままそれに気付かずに、奴等の掌で踊らされていた。

もう一度だけ言う…本当に気付いてなどいない。

今此処に来て、初めて気付いたのだ。

 

するとマリアは格子の近くにあったディスプレイを弄る。

するとビーム状の格子が消えた。

 

今なら逃げられるぞ!

 

俺の思考や、皆はそう感じている事だろうが…

 

「…これでも動かないなんてね」

 

「…れたから」

 

「え?」

 

「疲れたんだ…何もかも」

 

今の俺には何もかも疲れたんだ…摩耗していたんだ。

 

俺の余命はあと持ってして1ヶ月を切っている。

 

しかも、今回は《トリガードライヴ》を発動した事で、更に拍車がかかったんだ。

 

トリガードライヴ

己の中に眠る"特定物や特定者に対する感情"を引き金に起こす能力。

 

《精魂導師》に成れる物は少なくても1つはその感情の引き金が入っている。

ロックは義理の妹であるクリスさん、

霊風さんは、翼さんと奏さんに対する引き金(トリガー)がある。

だが、俺は特質だった…

 

翼さん、奏さん、クリスさん、霊風さん、ロック、二課の皆…

 

創世,弓美,詩織等の学校の皆んな…

 

親父,お袋,ライドさん,セレナ義姉さんのような家族や『英雄石板』の皆んな等、

とにかく俺の中に眠る引き金(トリガー)はあまりにも多いのだ。

その中でも特に…

 

響,未来,逝都,馬燈。

 

俺にとって掛け替えのない幼馴染達に関するトリガーは他のトリガーよりも圧倒的にデカかった。

 

この四つの存在のどれかが関連していると、最早自分の命を簡単に投げ出さないといけない…それ程までに俺の心に深く浸透してしまっているのである。

その代償こそが…"余命の削減"。

 

とどのつまり…命を削る事である。

 

今回はそれが大きく影響してしまった所為で、俺の身体はあと数週間でこの世から消えてしまう事も、自分自身実感していた。

 

まだ神が与えた課題を終わらせていないままなのに…

 

《竜を滅する『剣』》,《魔を穿つ『弓』》

《銀の『腕』》,《女神の『盾』》

《女神の慈愛を受けし『鎌』と『鋸』》

《2振りの『槍』》,《歪みし『鏡』》

そして…《"槍"の名を冠する『拳』》

 

結局ルナアタックから3ヶ月経った今でも未だに収穫は0のままだった…

 

「…少し隣良いかしら?」

 

そうマリアが言ってきた。それに気付いた俺はそのままどうぞと取れるジェスチャーをした。

それを見たマリアは「隣、座るわね」と改めて言い直して、俺の隣に座った。

 

一体何をしたいのやら…この歌姫さんは。

 

「貴方を此処に連れてきたのは大きく2つ。

と言っても、どっちも私の話なんだけどね」

 

 

「1つ目は、私達の仲間を蘇らせて欲しい事」

 

…俺は神になったつもりはないんだがな。

 

「もう1つは…」

 

どうせ碌な事j…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「セレナ・カデンツァヴァナ・イヴについてよ」

 

 

…セレナ義姉さんの事だと…?




翼「皆さんお久しぶりです。風鳴翼だ。今回は「ちょっと待ったー!」え?」
奏「今回は私も参加させて貰うぜ!」
翼「か、奏も⁈」
奏「憑友が居ない代わりに私達が紹介していくぜ!」
翼「て、ちょっと先に行かないで⁉︎」
奏「今回は霊風がフィーネとの最終決戦の際に私達を守った『サッカーバカ』にして、【鉄壁の守護神】の異名を持つゴールキーパー・円堂を紹介するぜ!」

エンドウ(円堂守)/カード名【世界一のサッカーバカ 円堂守】
属性/地・人間・打・拳

サッカーに関しては超がつく程、愛してる熱血少年。
ゴールキーパーとして、様々な奇跡を掴んできた最強のゴールキーパー。

翼「えっと、資料によると…
『祖父である大介さんのノートを機に、様々な技を編み出した。
その中でも、この『英雄』は相手の攻撃を受け止めたり、受け流したりする防御技が最も得意である』って、書いてあるわね」
奏「こっちにも資料あるぜ?
えっと…『時々、攻撃に参加する為、リベロ(サッカー用語で自由と言う意味)として参加した事もある』って。
よっぽどサッカーの事が大好きなんだな」

次回

残りの余命

翼「次回は憑友視点が多いオリジナル話のようね?」
奏「みたいだな。
次回も見てくれよな!」


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#6 残りの余命

今回もオリジナル話。


憑友は困惑していた。

それはマリアが、自分の義理の姉であるセレナの事を話に出したから。

 

「…俺とそのセレナとか言う人と関係が在るとでも?」

 

「調べは付いてるのよ。

貴方の義理の姉・人絆セレナの本名が、『セレナ・カデンツァヴァナ・イヴ』だと言う事を」

 

「…」

 

「教えて。セレナは元気にしているのかを」

 

憑友はマリアの顔を見た。

そこにはまるで長年生き別れた存在と出会って、それでもまだ寂しい想いに浸っている者が出る顔をしていた。

 

それを見た憑友は、マリアによって支給された毛布をマリアに掛けた。

 

その憑友の行動に戸惑うマリアを余所に、憑友は自分の命を削りながらも話をし始めた。自分の義姉・セレナの事を。

 

「セレナ義姉さんは、俺がまだ9歳かそのくらいの年に、全身に傷や火傷等を負って、倒れていた所を俺が見つけたんだ。

一緒に居合わせていた親父と母さんの状況判断のおかげで、命に関わる峠は無事に乗り越えた。

けど、代償として…

自分の名前以外の事を全て忘れてしまっていた…」

 

「!」

 

憑友の話を聞いたマリアは目を見開かせていた。

其れをみた憑友はそのまま話をし続けた。

 

「その後、セレナ義姉さんを俺達家族が養子として迎えたんだ。

その時のセレナ義姉さんは涙を流していた。

…貴方がセレナ義姉さんの姉なら、なんで迎えに行ってあげられなかったんだ…」

 

憑友から発せられた言葉にマリアはそのまま憑友に顔をも向けずに、俯いてしまった。

その様子を見た憑友は、何も言い返さず、代わりにこう告げた。

 

「今のセレナ義姉さんは貴方の事なんて、憶えていないのかもしれない。でも…

貴方がセレナ義姉さんと一緒に暮らしたいと言うのなら、俺は何も言い返しません。

その代わりに、こんなテロ行為を辞めて、自首して下さい」

 

憑友はそう発しながら告げるが、マリアは首を縦…では無く、横に振った。答えはNOとも言える行動だった。

その理由をマリアは告げた。

 

「私にはまだやるべき事があるの。

この星を…人々を救う為に…」

 

そう言い残すと、マリアは自分に掛けた毛布を今度は憑友にかけて、ビーム状の格子をまた憑友の周りに張り巡らせた。

そしておやすみの挨拶をするとマリアはその部屋から立ち去ったのであった。

 

それを見た憑友はマリアの悲しい表情に胸が苦しくなりながらも、本当の事を言った自分は何が出来るのであろうかと自問自答しつつ、その日は就寝した…

 

 

そして、そんな憑友を見た1つと1枚ことライドさんと『英雄』キリトは、

 

「…これで良かったんだろうか…」

 

『それは、私にも分からないさ。

ただ、憑友の命は持って数週間と言う事だけだろう』

 

「…」

 

『出来る事が憑友の残りの余命を…見守る事しか出来ないと言う事なのか…』

 

「…ああ」

 

『…しんみりした話は此処までにして、今日はもう眠ろう…』

 

「そうだな…(また何時しか会えるよな…アスナ…)」

 

2人はそのままスリープし、その日は就寝したのであった。

 

ーーーーーー

一方、此処はリディアン女学院。

かつては山の頂上に設立されていた学校だが、

先史文明期の巫女・フィーネが極秘裏に建造していた荷電粒子砲《カディン・ギル》にて、その場所は禁止区指定されていた。

そして現在、リディアンは都市部の一角にある草花達と共生している建物に移し替えて、リディアンの生徒達は今日も元気のいい朝を迎えていた。

ただ1人…響を除いて。

 

「…」

 

何時もなら明るくて、五月蝿い性格の彼女があまりにも深刻した顔を見せていた。

 

「響…」

 

その様子を隣に座っている響と憑友の幼馴染にして親友の未来が心配していた。

 

そんな2人の様子を廊下側に座っていた2人の生徒が見ていた。

2人の生徒の学生服は他の生徒達と明らかに異なっている服装を着用していた。

 

「彼処まで深刻だと、今度の学園祭…響ちゃん欠席する可能性があるな…」

 

「ああ…」

 

2人の生徒の名は、浅岡逝都と、一走馬燈。憑友の唯一の男友達である。

 

本来、リディアンは、講師を除いて皆、女性と言う謂わば女子校なのである。

なのに何故、男であるこの2人が此処に通学しているのかと言うと、

 

自分達が通っていた学校を夏休み前まで通って、その後は、二課の司令にして風鳴翼の叔父・弦十郎の手により、この学院に特別編入されたのである。

2人とも見た目もさる事ながら、学力や身体能力も高かった為、リディアンの生徒達から黄色い歓声を貰ったのだが、現在はなりを潜めている。

 

そんな2人の座っている席の前には、先日のライブ会場で未来とともに居合わせた3人の女の子…創世,弓美,詩織の3人が座っていた。

 

「ビッキーが彼処まで沈むなんて…」

 

「憑友君が居なくなった事に影響が出ているんですね…」

 

「まるでドラマやアニメじゃない…」

 

「長距離恋愛だと言いたいのか?」

 

「そうは言ってないけど…私達もやっぱり心配するわよ…」

 

そう言いながら、5人は響と未来が座っている席を見る。

響きと未来の座っている席は3人まで座れる席であり、その端っこには本来座るべき存在であろう憑友(人物)はそこには虚空となりて、存在しなかった。

 

ーーーーーー

夜が明けた頃、憑友は1人ただ闇雲に何かをしている…と言う訳ではなく、残りのエネルギーもとい余命を温存する為に、格子の奥の壁側に毛布に包まれながら、ただひたすら仮眠をしていた。

 

彼は実は一度死んでいる。読者諸君は気付いているだろうか?

彼は2年半前に起こった『ツヴァイウイング』の《ライブ会場の悲劇》で、奏の命を救う代わりに、その身を灰へと化し、この世から一度去っているのだ。

その後、この世界の神様に生き返らせる条件付きで再び現界したのだ。

その際に、自身の身体は幽霊のような特徴を持ち合わせたハイブリットボディ、通称〔半幽霊〕として今も尚、現界し続けているのである。

 

…さて、私が言いたいのは何かと言う事なのだが…

 

幽霊は壁でも何であろうと、"すり抜け"られると言う特徴がある。

これは他の者達で言う所の"霊体化"と言う能力が大きく影響しているのである。

 

幽霊の特徴を併せ持つ憑友にとって、それは造作もない事だ。

 

つまり…何故、"霊体化"しないで、ずっとマリア達のアジトに長居し続けているのかに疑問を持っている者は居ないだろうか?

 

その理由は簡単だ。"霊体化"を使用する際にも、自身の命を削っていたからだ。

と言っても、ほんの1、2時間程度の消費なのだが、今の憑友の状態ではそれすらも惜しいのである。

 

そんな中、憑友が収監されている牢屋のドアが開いた。

それに気付いた憑友はその方に顔を向ける。

 

「…起きてたデスか…」

 

「…ついさっき」

 

「…これ」

 

そこには金髪の女の子・暁切歌と、黒髪ツインテールの女の子・月読調がお盆を持って来ていた。

如何やら朝食のようだ。

 

そう言いながら、2人は慎重に憑友の周りのビーム状の格子を解除させ、2人はそろ〜りと、お盆を憑友の方にやった。

いつ襲われる(両方の意味で)かもしれない状況での対応な故に油断すら出来ないのであった。

 

だが、それを見ていた憑友は溜め息を零していた。

 

「…お前ら2人共…食べてるのか?」

 

「もちろんデス!」

 

「今日は250円」

 

「食費250円…食べ盛りにしては酷え話だ」

 

そう言うと憑友は自分のポケットから何かを漁り始める。

切歌と調は何かをすると思ったのか、ギアのペンダントを取り出すが、憑友が手を前に翳した。

 

"待て"のジェスチャーをして。

 

「…有った。ほら。これであの2人と共に何処かで食べに行って来い」

 

そう言うと、憑友は2人の足元に向かってある物を投げた。

それは…憑友の財布だった。

実は憑友はポケットマネーよりも現金派で、常に懐に仕舞い込んでいるのである。

 

「⁉︎いくら敵でも、こんな物は受け取れないデスよ⁉︎」

 

「…如何して…?」

 

それを見た2人は動揺する。それも当然だ。

敵とはいえ、何故ここまで気遣うのかを。

 

すると憑友は語り始めた…

自分が響と再会する前の自分の話を…

 

「2年前…俺は世界を股にかけて、ノイズを…人々の戦争を止める『偽善者』紛いな事を繰り返してきた。

その時に、小さな子供達しかいない場所を見つけた。

そこでは、食糧はおろか、水すらも手に入れられないような場所で、生きている子供達がいた。

 

子供達の気持ちに俺は可能な限りの物資をその子達に届け続けた…

 

だけど…俺は結局その子達を救う事は出来なかった。

その土地には活火山があって、それが活発、噴火した。

 

そこの土地にいた子供達は俺が助けようとしたが、時既に遅かった…

 

溶岩で固まった土地からは骨の一本すら残っていなかった…

 

その時は自然災害だったが…

これが戦争等の人的災害や、ノイズのような特異災害の場合だったらと思うと…

 

俺はそんな事態に陥った世界が嫌いだった。

それにその子供達は、君達のような若い子達ばっかりだった。

 

…だから俺はそんな事態に陥って欲しくないから、君達に渡したんだ」

 

憑友の話を聞いた切歌と調は自分達のやって来ている事が偽善なのか如何かも怪しくなったのであった。

 

そして話を聞いた切歌と調は、憑友の財布を持って、牢屋を後にした。因みに格子はまた張り巡らせている。

 

そして2人が持って来たメニューを憑友は一口付けた。

 

「…美味いな」

 

そう言いながら、少し微笑んでいた。

 

 

 

ーーーーーー

そして食べ終えた憑友は再び眠りに就こうとしたが、牢屋のドアが開いて来たので、眠るのをやめた憑友はその方を振り向くと、其処にいたのは、

 

「おやおや、ご就寝の時間でしたか」

 

「…Dr.ウェル」

 

先日、行方を眩ませていたウェル博士が、同じく消失したと思われていた"完全聖遺物"『ソロモンの杖』を携えていた。

 

「…こんな(化け物)相手を観察する為に来るなんて、よっぽど暇なのか、はたまた行き詰まったのか」

 

憑友はそう言うと、ウェルは不敵な笑みを浮かべながら話しかけた。

 

「如何ですか?新しい住処は?」

 

「…なんなら、変わってやろうか?」

 

「いや、遠慮しておきましょう」

 

そう言うとウェルは咳こむ動作をすると、本題に入った。

 

「それよりも、貴方には実験に手伝って貰いますよ。

我々『F.I.S.』が所持している"完全聖遺物"『ネフィリム』の進化実験にね」

 

「F.I.S.…武装組織『フィーネ』の本当の名か。

それと…『ネフィリム』ね…

…だが、進化実験するなら、其れなりの経験が『ネフィリム』には必要なんじゃないのか?」

 

「…と言いますと?」

 

「その『ネフィリム』に様々な戦闘を見せれば、良いアドバンテージになるんじゃないのか?」

 

「…成る程。では、貴方がそれを見せてはくれませんか?」

 

「生憎手持ちにあるのは、格闘術と剣術使いの師匠(せんせー)の力だけだ。

他のは全てあのQueen'sofMusic(ライブ会場)にケースごと落としたみたいだからな」

 

「そうですか…ならば、それを探す為に動くとしましょう」

 

そう言うとウェルは不敵な笑みと不気味な笑いをしたまま、そのまま牢屋から出て行った。

憑友は漸く落ち着けると思って、寝ようとするとまた部屋のドアが開いたので、憑友はかなり苛立ちながら視線を向けると、

そこには発展した技術を持った車椅子に乗っている眼帯をかけた女性がやって来ていた。

しかもご丁寧に、お盆まで持って来ていた。

 

「…」

 

「すみませんね。こんな時間になって」

 

そう言いながら話しかけてきた女性の言った台詞を聞いた憑友は女性の後ろに掛けられていた時計を見た。

時間は19時を回っていた。

 

「…ついさっきまで少女達から昼飯貰って食って、食べ終わったと思えばウェル博士が来て何かを言ったと思えば、今度は貴方が来ていつの間にか夕飯時とは…俺の体内時計もとうとう可笑しくなって来たのやら」

 

そう言う憑友に対して、女性・ナスターシャは格子を解除させて、車椅子に搭載されているメカアームで、夕飯を憑友に渡した。

 

それを受け取った憑友は食事を進めながら話をし始めた。

 

「…お久しぶりですね。ナスターシャさん」モグモグッ

 

「叔母さんとはもう呼んでくれないのですね」

 

「…貴方があの子達に何をしたいのか…何を成したいのかの真意が分からない。

現にあの宣戦布告の猶予である24時間はとっくに過ぎたばかりか、此処1週間何もしないなんて…」

 

「貴方の事は、彼女に()()伝えてあります。それ以上は言わないと…」

 

「…そうですか」

 

そう言うと憑友は手を添えて「ご馳走様でした」と感謝をした。

そこには質素だった夕飯の飯は何1つ残ってはいなかった。

俗に言う完食である。

 

「…如何して俺を軟禁なんか…こんな化け物、さっさと成仏させれば良いのに」

 

そう言いながら、憑友は話をし始めたが、

ナスターシャはそうはいかなかった。

 

「今宵、このアジトを放棄させます。

いつでも向かう準備は出来ています。貴方を除いて」

 

如何やら、今現在住んでいるこのアジトを放棄する算段のようだった。

そして残されたのは、憑友自身の準備だけだった。

 

「…要は俺が最後と言う訳か」

 

「マリア達の方はもう既に動いています。

貴方の身体の容態が悪化しているのは、彼女から充分に承知しているのです」

 

「…母さんめ…」

 

憑友はそう愚痴を零す。

 

実は憑友はナスターシャ教授とはこれが初めてでは無い。

寧ろこれで3回目なのである。

 

1回目は憑友がまだ産まれたばかりの頃に、母親であるジャンヌと、父親である玄也に抱っこされた時に、3番目に抱かれたのがこの女性・ナスターシャ教授だったのだ。ただ、その頃はまだ記憶が皆無で、あまり覚えられなかったのだが…。

 

そして2回目の時は、母親・ジャンヌと共に、ナスターシャ教授に成長した姿を見せる為に顔を合わせた。その頃に漸く顔を憶えた。

 

ジャンヌとナスターシャとの関係は前々から知っていた憑友だが、今回の件に深く関わっていた事には驚かされていたのだ。

 

「もう直ぐこのアジトに、貴方の仲間が来ます。

しかし、此処で貴方を返すわけには行かないのです。

貴方…仲間にすら、自分の()()()()()を言っていないのでしょ?」

 

「…顔に書いてたか」

 

ナスターシャの言い放った言葉に憑友は肯定した。

実は憑友は、響や二課のメンバーにはあと1年しか生きられないと、()をついていたのだ。

 

ただ、2年前から会っていた弦十郎と緒川の2人は本当の事を知っているのは事実だが…。

響達《シンフォギア》装者や、霊風,ロックの《精魂導師》達には『あと1年しか生きられない』と()をついていたのだ。

 

…大事な事なので、2回言わせてもらう。

 

「すみませんが、貴方にも同行して貰います。

終わった際にはかならずあの子達の元へお返ししましょう」

 

ナスターシャの言った台詞を聞いた憑友は、黙り込むが、すぐに思考を変えて、

 

「分かった」

 

ただそれだけ言うと、憑友は今の今まで使う事が無かった脚を…動かした。




次回

奏とオディナの出会い

次回はその間の二課の話。


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#7 奏とオディナの出会い

お待たせした。
今回は、奏とオディナが出会ったきっかけの話と、3話の途中まで。


憑友が決意した話から1週間前に戻そう。

それは奏が二課に戻ってきた時の話に戻る…

 

ーーーーーー

奏を始めとした《シンフォギア》装者とロックと霊風は響の精神状態が安全では無い事を悟ると、響を未来の所に送った。

その際に、響はユイのカード以外をカードケースごとロックに手渡し、響は未来と共に自分達が住んでいる学生寮へと帰って行った。

 

その後、霊風が用意した車に乗った残りのメンバーは、現在二課が活動拠点としている場所へと向かっていた。

 

そこは…「自然都会」だった。

本来なら自動車などの人口物は一切合切立ち入りを禁止されている場所なのだが、霊風が用意した車は特別に進入の許可を得た所謂"特別車"であり、平然とその奥地へと向かっていった。因みに時刻は現在午後10時である。

道中、【雷狼竜】の異名を持つモンスター・ジンオウガと共生している蟲…雷光虫達が光を出しながら美しい幻想的な光景を見せてくれていた。

 

そして車はとある施設の所までやって来て、駐車した。

 

「此処が「自然都会」…初めて来たぜ」

 

「私や霊風さん達は奏が3ヶ月の間に何度も来たけれどね」

 

そう言いながら、施設の中へと移動する一同。

長いエレベーター(と言ってもカディンギルのようなエレベーターシャフト程ではないが)を下りた先には、作戦指揮を執る指令室が備わっていた。

 

そして奏が一歩前に出ると、それに気付いた弦十郎が奏の元へと歩み始める。

 

「…無事に帰って来て何よりだ。奏」

 

「まぁな!」

 

そう言いながら2人は握手を交わす。再会の暁の瞬間であった。

それを見た二課のスタッフも一同に奏の元へと集まっていた。

 

雑談に花を咲かせていると、弦十郎が奏に話を持ちかけた。今回の一件についてを。

 

「取り敢えず、話をしよう。翼達も聞いておいて損は無いだろう」

 

そう言うと、弦十郎は藤堯と友里、牧藁と緒川以外のスタッフを指令室で待機させつつ、現場の仕事をやるように示唆するとスタッフは全員満場一致で自分達の仕事に取りかかった。

 

そして弦十郎達は長い廊下をエスカレーターで移動していく。

そして弦十郎が立ち止まった場所で奏達は目を見開いていた。

そこには、

 

【英雄石板保管室】と書かれた一室だった。

 

弦十郎はそこのドアのロックを解除すると、

そのまま皆を中に通す。

そして内部には壁一面にたくさんの『英雄石板』が保管されていた。

 

その数…300枚は下らなかった!

 

すると奏はある場所を見つめた。

 

「?…此処に積まれてるのは?」

 

見つめた先にあったのは、大量の『英雄石板』の山であった。

30枚程度が、まるでピラミッドのように連なっていた。

奏に言われ、それを聞いた弦十郎は話を進めた。

 

「あの『英雄石板』等は、詠唱を行ったものの、肝心のカードが無かったのだ。つまり、誰かが先に解読そして詠唱を行った事で既にもぬけの殻と化していたんだ」

 

その話を聞いた奏は近くにあったテーブルに納められてた椅子に座った。

奏を筆頭他のメンバーも席に着き、そして弦十郎が席に着いたのを機に話を始めた。

 

「さて…話というのは他でも無い。

奏…お前のそのギアは一体如何言う事なんだ?

2つの聖遺物が1つになっているなど、俺には想像し難い現象が起こっているのだが…」

 

『その話は私が言おう』

 

すると突然聞こえてきた声にこの場にいる全員が警戒する。

すると奏が所持していたコンバーターであるギアペンダントが奏から離れ、テーブル中央に滑り込んだ!

 

それを見た一同は目を向け、視線を当てると、なんとギアペンダントから映像が出て来たのだ!まるでホログラムのように。

 

そしてその映像には顔付きがイケメンで、右目の下辺りに黒子があった。

 

それを見た瞬間に声を上げた存在が約1名…

 

 

「てめぇ!ランサーじゃんか⁉︎」

 

「ランサー⁉︎貴方なのですか⁉︎」

 

訂正。"転生者"霊風(1人)『英雄』セイバー(1枚)であった。

 

その光景をみた他の皆はその声の高さに吃驚していたのは言うまでも無かった。

 

そこから数分後には元に戻り、そのまま話を進めた。

 

 

「…それで、君の名は?」

 

すると青年は自身の名を告げた…真名を。

 

『我が名は、ディルムッド・オディナ。

"フィオナ騎士団"の一番槍であり、

同時に我がマスター…天羽奏の身を守る騎士なり!』

 

「ディルムッド・オディナ…確か、"騎士団長"フィン・マックールと共に戦場を駆け巡った存在…!」

 

「?では、何故セイバーがそのディルムッドと知り合いなのだ?」

 

ペンダント…オディナがそう言うと、緒川が軽い解説をした。

するとロックがそのオディナとセイバーの関連の話を聞くと、

 

「私はシロウと出会う前に、ランサー…この場ではオディナと申しておきましょう。

そのオディナと戦って、時には共闘もした存在なのです。

謂わば彼は私や、アーチャー、もう1人のランサーと同じ『英霊』即ち使い魔《サーヴァント》の1人でもあるんです」

 

その話を聞いた皆は真剣に話を聞いた。

すると霊風が話を変えた。

 

「んで…オディナと奏はいつ出会ったんだよ?」

 

そう聞くと、奏がその説明に入った。

 

ーーーーーーSIDEto奏

〜回想〜

 

あれは私がアイルランドで旅をしていた頃の話になる…

 

そこではある噂が流れていた。

 

麗しい美青年によって、女性達が見る見ると行方不明になっていくという不可思議現象に。

 

面白半分でその話を調査する事にした私はとある森にその美青年がいる事を突き止めて、私はその場所まで向かったんだ。

 

長い森の中を、食糧や水を切らしつつ、歩いていた。

だけど、幾つもの困難を乗り越えてもその美青年を見つける事が出来なかった。

そして、食糧や水が尽きたその時、私の近くでノイズが発生したんだ。

 

「っ!まずい!」

 

そう思った私はすぐに逃げる事に専念した。聖遺物のペンダントすら持っていなかった私はただひたすら逃げる事だけに専念した。

だけど、途中で石の出っ張りに気付かずに、踏み外して転んでしまった。

 

そして後ろにはノイズがもう目の前に迫ってきていた。

 

「(此処までなのかよ…!)」

 

私はそう思った。けど、その時に響ちゃんや憑友が言った言葉を思い出していた。

 

『『生きるのを…諦めないで(めるな)!』』

 

元を正せば私があの子達に言った言葉なのに、私が逆に元気付けられたんだ。

そして、私は心の中で決意して言ったんだ。

 

「生きるのを…諦めるか‼︎」と。

 

そしてノイズが私の所まできた瞬間、

 

 

グサッ‼︎

 

『□○□△○⁉︎』

 

私の目の前までやってきたノイズが貫かれたんだ。

 

…赤い槍で。

 

「ふっ!」

 

そう言うと、槍の所持者であろう存在が、そのままノイズを薙ぎ倒し、ノイズは灰と化した。

灰となったノイズの先にいたのは、緑のタイツ姿に、赤くて長い槍と、黄色で短い槍、そして背中腰に2つの剣を携えていた青年がそこにいた。

 

「怪我は無いか?」

 

それが私とオディナとの出会いだった。

 

その後、オディナはたった1人でノイズを殲滅して見せたけど、

オディナの様子が変だと気付いた私はこの目で驚愕した。

 

オディナの身体が…消滅仕掛けていた事に。

その理由をオディナに聞いたんだ。

 

オディナは、私に説明をしてくれたんだ。

 

つい最近、誰もいない森の中で召喚?のような事をされて、途方に暮れながらも、自分と団長フィンが守ったこのアイルランドの地を守り抜いてきた。

だが…そろそろ限界が来ている事を彼自身が知っていた。

 

私は何か出来る事が無いかと思って、悩みに悩んだ。

そしてふと私は胸ポケットの中にあった物を取り出した。

それはまだ『聖遺物』の欠片が入れられていない所謂"ブランク"と呼ばれていたギアペンダントだった。

 

え?ペンダントを持っていなかったじゃないかって?

勿論、持っていなかったさ…()()がな。

 

そうさ。私が所持していたのは『聖遺物の欠片』が()()()()()()ただのアクセサリ用のギアペンダントだけなのさ。

 

私はそのまま彼の額に押し付けたんだ…何故か知らないけど…。

 

すると光が発生して、私とオディナは目を瞑ってしまったんだ…

 

そして光が収まったので、目を開けるとそこにはもう既にオディナはいなかった。

間に合わなかったと思ったんだけど…

 

『何故いきなりあんな事を…って、なんだこれは⁉︎』

 

「ペンダントが喋った⁉︎」

 

〜回想END〜

 

「…そう言う経緯があって、オディナは今現在、私のギアペンダントに入っているのさ」

 

『話が滅茶苦茶だ⁉︎』

 

そんな事言われてもよ…。

私だって咄嗟の判断で引き起こしたんだから、知らねぇよ…。

 

『とは言え、そのおかげで私は今こうやって無事に生きているのだがな。

ペンダントになったのは痛手だが、(マスター)の槍として仕える事に誇りを持っている…!』

 

オディナ…へっ!言わせてくれるぜ。

 

「だけど、奏は私や雪音とは違い、後天性適合者。

LINKERを使用しないと戦えないんじゃ…」

 

…翼の言っている事には一理ある。

 

確かに私は『ガングニール』を使用していた時は、了子さんーー今となってはフィーネだったけどーーから処方したLINKERを投与して戦ったっけ…

 

『…そのLINKERの事は我は知らないが、その件については心配はしないで頂きたい。

奏の槍として、最大限のパフォーマンスで戦場に立つ事を約束しよう。我が槍は(マスター)の為に!』

 

「…だそうだぜ」

 

それを聞いた皆は先程とはうって変わって周りの空気がガラリと変わった。

…ありがとな。オディナ。

 

『(当たり前の事をしたまでだ。

マスターの槍たる者、マスターの仲間も同じなのだ。

だから、これからもよろしく頼む…!)』

 

ああ、よろしくな!オディナ‼︎

 

『(御意…!)』

 

ーーーーーーNO SIDE

それから1週間が経った。

響は正に、"心、此処に非ず"と言った雰囲気で、上の空になっていた。

 

そんな中で、学院では学校行事が迫っていた。

 

秋桜祭…俗に言う『学園祭』である。

響達のクラスを始め、多くの生徒がせっせと作業に勤しんでいた。

 

…ただ1人…クリスを除いて。

 

クリスは未だに学校に慣れていなかったのだ。

そんな中、クリスは誰かと勢いよくぶつかった。

ぶつかった相手は今日は完全にオフだった翼であった。

 

翼はクリスが何をしているのかと質問するとクリスが意味深な答えを言い出した。

そんなクリスはまだ知らない…

 

「…此処で油売るとはな…クリス」

 

「」ギクっ⁉︎

 

クリスはそぉ〜と後ろを振り向くと、其処には、リディアンの制服(男性用)を着ていたクリスの義理の兄・ロックがいた。

何故此処にロックが居るかと言うと、クリス共々弦十郎の計らいで、

翼と同じ学年で学業に励む事にしたのだが、完全に授業自体が彼の独学についてこれないという現状であった。

その影響から、クラスの女子達から好評を博しているのは言うまでもない。

…因みにロックも、逝都と馬燈と同じ黄色い歓声をまともに浴びて被害を受けた1人であるのはこの際如何でも良い話である。

 

さて、話を戻そう…

ロックを見つけたクリスはかなり怯えていた。

 

「ろ、ロック義兄…」

 

今雪音が遭いたくなかった存在の1人であったからだ。

 

「お前は如何して友達を作りたがらない?

俺は前に言ったよな?『お前にはたくさんの友達を作って欲しい』って。

その友達から逃げ回って、何がしたいんだ?」

 

「そ、そんなの私の勝手だろ⁉︎」

 

そう言うとクリスが逃げ出そうとしたが、翼に完全に頭を抑えられた。すると翼が「暫く雪音を預からせてくれ」と言って来たので、ロックは翼に後の事をお願いした。

するとロックの後ろからロックのクラスの女子達が来たので、ロックは翼にクリスの事を託すと、そのままクラスメイトと共に、校外の方へと出歩いて行った。

…敢えて言おう。ロックと翼は別々のクラスである。

因みにロックのクラスの出し物は…カフェだそうだ。

 

そしてそのまま翼はクリスと2人きりで学校の話をしていると、翼のクラスメイトが来て、一緒に準備に勤しんでいたのであった…

 

 

 

そしてその日の夜、彼等は弦十郎から任務が掛かり、現場に急行した。

 

ーーーーーーSIDEto翼

私と奏、雪音兄妹と霊風さん…そして立花。

私達は現在、とある廃病棟に来ていた。

情報によれば、マリア達"武装組織『フィーネ』"が此処にいるとの事だそうだ。

 

「響ちゃん、大丈夫か?」

 

「…はい!大丈夫です!」

 

そう言いつつも、やはり立花は先日のライブの一件が大きく影響しているか…

 

たとえ敵が仕掛けた罠だとしても…私はううん…私達は臆する事など無い。

彼女…マリア達の真意と…

 

憑友を取り戻す為に!

 

この身を剣と鍛えた私は何であろうと、仲間を取り返す!




次回

望む者 臨む者

次回は霊風とロックが新たな力を開放する…!

それは、5()0()()()()()徐々に増え、戦い続ける『戦士たち』の力…

※今年で50年,45年,40年を迎える奴等とと言えば…?


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#8 望む者 臨む者

2016年…

今から50年前、我々人類の前に赤と銀の巨人が現れ、人の身の丈を優に越す存在と相対した…

45年前、1人の青年がバッタの力を宿した超人となり、悪の組織を壊滅へと追い込んだ…

40年前、何処の誰とも知らないたった5人の戦士が、強大な敵の組織を壊滅させた…

それから時が流れ13年前…2人の女の子達が闇を浄化する力を手に入れ、闇を浄化させた…

後に彼等に新たな世代が生まれ、そしてその度に数々の地球を救ってきた。

その力が今…精魂導師(新たなヒーロー)達に受け継がれた…!




如何でも良い前振りはこのくらいにして、お話の始まりです!
新たな力…とくと見よ!


ーーーーーーSIDEto牧藁

「《シンフォギア》装者、並びに《精魂導師》の2人。

共に進行開始しました」

 

「…」

 

今回ばかりは慎重に行って欲しいと私はそう思った。

何せ、こんな都市郊外の廃病棟に彼女達…武装組織『フィーネ』がいるのだから。

そして、もしかしたら…憑友君もそこに居るかも知れないから。

敵の手の内にいる限り、人質になっても可笑しくはない。

 

…気を付けて。皆んな…

 

ーーーーーーSIDEto霊風

 

…進行して早数分。

 

『○☆□○☆□!』

 

…早速お出ましと言う事か。

 

「一気に行くぞ!」

 

「おうよ!」「承知した」

「行くぜ!翼!」「ええ!」

「はい!」

 

そう言うと俺とロックはアブソーバーを左腕に装着、其々のカードを取り出して装填し、

 

「「変身!」」

 

そしてレバーを引いた。

 

他のシンフォギア装者達も代表してクリスの聖詠が聞こえた。

 

「Killiter Ichaival tron…」

 

すると全員がシンフォギアを纏い、

 

ーソウル!フォーム、フォーマル!

お前らの魂、俺が頂く‼︎ー

ースピリット!フォーム、オリジン!

精なる魂、私に刻め‼︎ー

 

俺達も《精魂導師》に変身した。

 

(挿入歌『Bye-Bye Lullaby』高垣彩陽)

 

…で、変身したのは良いんだ…良いんだけどよさ…

 

「♪挨拶無用のガトリング!

ゴミ箱行きへのデスパーリィー!」

 

…相変わらず荒い歌を歌いやがるな…クリスの奴…。

「…おい、ロック。もうちょっとマシな選曲なかったのか?」

 

「それを俺に言った所で彼奴が変わると思うか?」

 

…うん。思わな…(シュンッ!)…。

 

「悪りぃ悪りぃ。ノイズが居るかと思ったぜ」

 

「いや、明らかにワザとだろ⁉︎」

 

しかし…この赤い煙が厄介だな…

 

「⁉︎」

 

そう考えていたら、ノイズ達が復元されていきやがる…!

 

「はぁ…はぁ…!」

 

「…何でこんなに手こずるんだよ⁉︎」

 

「はぁ…はぁ…ギアの出力が…落ちている…⁉︎」

 

 

…やっぱりか。

この赤い霧状の煙…A-LINKER(アンチ・リンカー)か!

何とかしない…と……⁉︎

 

「がはっ⁉︎…はぁ…はぁ…⁉︎」

 

「くっ⁉︎…まさか…俺達にも…だと⁉︎」

 

何がどうなってやがる⁉︎

この霧が発生している間は、《シンフォギア》装者のフォニックゲインが減少していくように仕向けられている様になっているのに…

 

如何して、()()()の全員が同じ状態になるんだ⁉︎

 

ーーーーーーSIDEto奏

翼が…クリスが…響ちゃんが…!

ロックに、霊風まで…

私以外の皆の息が荒くなってやがる⁈どうなってんだ⁉︎

 

『マスターには私が付いている。

私はこう見えても『英雄』の1人だ。

それも《シンフォギア》としての加護で、マスターだけがこうして無事に居るのかもしれません』

 

くっ!そうは言っても、如何すれば…!

 

「か、奏…!」

 

「!如何した霊風⁉︎」

何か閃いたのか⁈

 

「この赤い霧を…吹き飛ばしてくれ…!

そうすれば…俺達…全員…また…元に…戻る…!」

 

赤い霧?…此処に入ってから出てきているこの霧か!

「分かった!行くぞ!オディナ‼︎」

 

『御意!』

 

そう言うと私は2つの槍でノイズを倒しつつ、プロペラのような形にして、扇風機の様に周りの霧を吹き飛ばした。

 

名付けるなら…

 

"TORNADO∞PRIME"

 

とでも名乗るとするかな。

 

しかも範囲は"LAST∞METEOR"よりも広範囲だから、

その竜巻でノイズ達も倒せて一石二鳥だぜ!

 

ーーーーーーSIDEtoウェル

A-LINKERを霧状に散布して早3分。

こうも簡単に攻略されるとは…

 

今は只のもぬけの殻であるこの場所。

いるのはこの僕と、我々『F.I.S.』が極秘裏にしていた"聖遺物を喰らう完全聖遺物"…

 

『ネフィリム』だけですけどね…!

 

さあ、行きなさい!ネフィリム!

 

楽しい楽しい…『食事』の時間ですよ‼︎

 

ーーーーーーSIDEtoロック

奏嬢がこの赤い霧を吹き飛ばしてくれたお陰で、今ではすっかり元に戻る事が出来た!

 

そう感じていると、奥から何かが高速で移動して来て、立花に向かって、襲って来た!

 

「‼︎」

 

立花はすぐに拳で対処するが…

 

「炭化しないだと⁉︎」

 

「それに、こんなノイズ居るのかよ⁉︎」

 

「何なんだよ、あの化け物⁉︎」

 

上から、(防人嬢)と、クリス、そして奏嬢の3人が言ってきた。

 

すると霊風が皆の前に立った。

 

「気を付けろ!彼奴は"完全聖遺物"…『ネフィリム』だ!」

 

その話を聞いた俺達は驚愕した。

あのノイズ紛いな奴が、"完全聖遺物"だと⁉︎

それに如何して霊風がその事を知ってるんだ⁈

 

「ロック!()()()()の力を使うぞ!」

 

そう思っていると霊風はカードケースから一枚のカードを取り出し、俺の方を向きながら話しかけた。

カードには人のイラスト…ではなく、十字型の形に、その先っぽには円しか描かれていなかった。

だが、俺は霊風が何がしたいのか分かった。

俺はそのまま頷くと、霊風と同じカードを取り出した。俺もそうだが、憑友…我がライバルも同じカードを持っている。

すると俺達2人はそのカードをアブソーバーに装填した。

 

するとアブソーバーが強制解除され、俺達2人はそのまま左手にアブソーバーを持ち前方に翳すと、そのまま上,右,下,左の順番に手を動かし、そして俺は右を、霊風は上の方にアブソーバーを動かした。

 

ーアブソーバー・スパーク!ー

 

ーアブソーバー・ドライバー!ー

 

すると霊風の所から1つのスティックが現れ、霊風はそのままアブソーバーとそのスティックをドッキングさせた!

対して、俺の方には腰に巻くベルトが現れた。

俺はそのままアブソーバーをそのベルトとドッキングさせ、そして腰にベルトを巻いた。

するとベルトが自動的に装着されたのだ。

 

「行くぜ!」

 

「これが俺達の…」

 

「「新たな力だ!」」

 

そう言うと俺と霊風はアブソーバーのディスプレイに映っているパネルボタンを其々押した。

 

ースピリット!フォーム、ギンガ‼︎ー

 

ーソウル!フォーム、ドライブ‼︎ー

 

すると霊風の周りに青のクリスタルが全身に散りばめられた鉄仮面で赤と銀色のスーツをした戦士が、

俺の方では、上が赤、下が黒、そして何故かタイヤをタスキ掛けしている戦士の魂が現れた。

そう言うと霊風はアブソーバーをそのまま上へとやり、

俺はベルトのレバーを左から右へと移動させ、

 

「変身!」「ギンガーー‼︎」

 

変身した!

 

ー未来の戦士!銀河の覇者!ー

 

ーStartYourEngine!トップギア!ー

 

そう言うと俺達の体が変化した。

霊風さんは鉄仮面を被り、そして胸に青い光を帯びた球が装着された。

対して俺はヘルメットを被り、そしてタイヤがガチャンとタスキ掛けの形になって嵌まったのだ!

 

俺達が変身したのは、特別な存在…

 

『光の巨人』と呼ばれる『英雄』の1人、

 

【銀河の覇者】ウルトラマンギンガ。

 

『乗り物で駆ける超人』と呼ばれる『英雄』の1人、

 

【刑事のライダー】仮面ライダードライブ。

 

俺達が変身したのは特殊な『英雄』達。通称…

 

『四英雄』

 

凄腕の実力者達の力である。

 

 

2ヶ月前に起きた事件《四英雄事変》

 

その時に、俺達《精魂導師》と《シンフォギア》装者が共に戦ったのが、先の『四英雄』だった。

 

『光の巨人』ウルトラマン

『バイクで駆ける超人』仮面ライダー

『チーム性No.1』スーパー戦隊

そして『伝説の戦士』プリキュア

 

そんな彼等の力を1つに合わせたのが、俺達が先程アブソーバーに装填したカード…

 

『アドバンス・フォース』のカードだ。

 

《ルナアタック》よりも過激だった《四英雄事変》…

だが、世間はその事を全く知らなかった。

 

理由は、彼等がこの世界の人々の記憶を改竄したから。

自分達の存在は幻の様なものだと言うと、其々の世界へと帰って行った…

もちろんその後に、撮られていた映像も全てフィクションである事を世間に言うと、世間はその流れにそのまま従い、あっという間にこの事変は世間の知らない存在になった。

その戦いの記憶が残っていたのは、その時に『四英雄』と共に戦った俺達『特異災害対策機動部二課』ー通称『特機部二』ーのメンバーと、憑友と立花の幼馴染である、小日向と浅岡と馬燈の3人だけであった。

 

その後、俺達は新たな力を手にし、立花達は新たなギアを纏う様になっていったんだがな。

 

…と、そんな事よりも彼奴をなんとかしないとな。

そうしていると、霊風は腕を前に出してクロスさせた。

すると全身に散りばめられていたクリスタルが白く輝く!

すると右手から白い剣が現れた。

 

「"ギンガセイバー"‼︎」

 

そう言いながら、ネフィリムと呼ばれた怪物にその剣を振りかざす!

 

しかし、ネフィリムはそれを簡単に躱しただけではなく、腕のような部位で簡単に真っ二つに折れたのだ。

 

「パワーが強い。それに加えスピードも申し分ない。

ならば!」

 

そう言うと俺はベルトに付いてるアブソーバーのパネルボタンを押した。

 

ードライブ!タイプ…ワイルド!ー

 

そう言うと俺の身体が赤と黒から、黒と白のアメフト選手の様な格好をした姿に変わった。タスキ掛けしてあったタイヤは右肩に装着されていた。

 

ドライブ・タイプワイルドの姿だった。

 

すると俺は再びパネルボタンの1つを押した。

 

ータイヤコウカーン!フッキングレッカー!ー

 

すると右肩のタイヤが変わり、レッカー車のクレーンのような物が取り付けられたタイヤに変わった。

俺はそのままクレーンをネフィリムに投げつけた!

 

するとネフィリムはそのまま捕まった!

 

必死に抜け出そうとするのがよく分かるが、生憎生半可な火力だと簡単には解けない仕組みになっている。

 

「霊風!」

「言われなくても!」

 

そう言うと俺はベルトに装着されたアブソーバーのドライブボタンを押した。

対して霊風はスティック状の物…アブソーバー・スパークに取り付けたアブソーバーのドライブボタンを叩いた。

 

『ソウル・ドライブ!フルドライブ‼︎』

 

『スピリット・ギンガ!フルドライブ‼︎』

 

ーーーーーNO SIDE

 

するとロックはそのままクレーン付タイヤをネフィリムにぶつけ、空へと跳ぶ!

そして霊風は腕を前に出して、クロスさせると、全身のクリスタルがさらに青く輝く!

そのまま陰陽を描く動作をさせ、水平になった所をすかさずL字に変えた!

 

「はあぁぁぁぁ‼︎」

 

「"ギンガクロスシュート"‼︎」

 

仮面ライダーの十八番"ライダーキック"と、

ギンガの必殺光線"ギンガクロスシュート"がネフィリムに炸裂した。

 

やったかと思ったのも束の間だった…

 

なんとネフィリムには風穴すら開いていなかったのだ!

 

「っ!頑丈にも程があるだろ⁉︎」

 

霊風がそう愚痴ると、何処からか拍手のような音が響き渡って来た。

聞こえてきた方を見るとそこにいたのは1人の白衣の男性だった。

 

それを見た響とクリス、ロックは目を見開く。

奏は誰なのか分からなかったのか、頭の上から?マークが出てきていた。

 

するとウルトラマンギンガの力と姿を借りていた霊風は変身を解除し、皆の前に立って、白衣の男性と話をし始めた。

 

「…随分と荒い事しやがるじゃねぇか…

ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス。

いや…マッドDr.ウェル」

 

「マッドとは心外ですね。これでも僕は只のDr.ですよ?」

 

「どうせその化けの皮はすぐに風化して、脆くなって、最終的には剥がれ落ちるのがオチさ。…オチだけにな」ニヤッ

 

そう言うとDr.ウェルはそんな霊風の親父ギャグを無視して話をし続けた。

 

「とは言え、この僕でも計算外の事も起こりました。

何と言っても、精妖霊風。そしてロック・アイル・ユキネ君。

君達2人のその力は何だ?

僕の調べた資料でも、そんな物を所持していると言う情報は有りませんでしたよ?」

 

「お生憎様とだけ言っておくぜ?

ちゃんと隅々まで調べたのかどうかも怪しいぜ」

 

そう言うと霊風は『アブソーバー・スパーク』を上に投げた。

するとスパークは瞬時に何処かへと消えてしまった!

そして霊風は再び上,右,下,左の順番で動かし、真ん中にアブソーバーを持っていくと、今度は左の方にアブソーバーを動かした!

 

ーアブソーバー・フォン!ー

 

すると何もない空間から画面が無いガラケー型のアイテムが現れた。

 

すると霊風はアブソーバーをそのガラケーとドッキングさせた!

そこには完全に少し大きいぐらいに感じるガラケーがあった。

 

すると霊風はダイヤルを押した。

 

0・0・4・0・0・4と。

 

すると電子音が聞こえた!

 

ースピリット!フォーム、ジュウオウ…エレファント‼︎ー

 

すると霊風はガラケーを閉じ、そこに以前使用したアイテム『現界ブースターα』とドッキングしたのだ!

まるで単発銃のような形をしていた。

すると霊風はそのまま左から右へとその銃を動かすとそのまま上に向かって威嚇射撃のように引き金を引いた!

 

「変身!」

 

ー本能覚醒!森林の王者!ー

 

すると霊風の身体が黄緑のボディスーツを着ていた!

そして胸には象のペイントが施されていた。

 

「森林の王者!ジュウオウエレファント!」

 

霊風はそう高々と名乗った。

 

霊風が変身したのは、『チーム性No.1』として《四英雄》の仲間に入っているスーパーチーム…

 

総称名…『スーパー戦隊』の力であった。

その中でも霊風が変身したのは、そんな『スーパー戦隊』で、

記念すべき40組目のスーパー戦隊…

 

"動物戦隊 ジュウオウジャー"の力で、

 

嗅覚…鼻の能力が逸脱している戦士・ジュウオウエレファントの力へと変身したのだ。

 

そしてロックは再びベルトに装着されてあるソウル・アブソーバーに目を通すと、そのまま器用な手つきで、今の姿・ドライブフォームを解除した。

するとロックの身体は黒と青をベースにしたボディスーツになっていた。

仮面ライダーに変身する際の素体・トランジェントである。

 

するとまた別のボタンを押した。

 

ーソウル!フォーム、スペクター!ー

 

するとロックの周りにパーカーを羽織った青い幽霊が現れた!

ロックはそのままその幽霊と一心同体になった!

 

ーレディゴー覚悟!想いを繋げろ!ー

 

すると全身が黒のスーツと各部にプロテクターが装着され、

顔が画面で覆われ、そして頭部から二本の角が現れたのだ。

 

ソウル・『仮面ライダー』スペクターフォームの姿である。

 

するとロックは再びアブソーバーに付いてるパネルボタンを見た。

そこには5つのボタンがあったが、内1つは灰色で、もう1つは鎖のような画像でガッチリと固定されていた。如何やらまだ使用不可能の状態らしい。

 

するとロックはその内の紫のボタンを押した!

 

ーカイガン!ノブナガ‼︎ 我の生き様!桶狭間!ー

 

するとアブソーバーから紫のパーカーの幽霊(通称パーカーゴースト)が現れ、ロックはそれを纏った!

 

するとアブソーバーから青い手?のような形をした銃が現れ、ロックはそれを両手で携える。

 

仮面ライダースペクターの主兵装・ガンガンハンドである。

 

するとロックはその銃をウェルの方へと差し向ける。

 

それを見た霊風は何処から取り出したのか、青と赤のキューブ型の銃を取り出した。

 

ジュウオウジャーの主兵装武器・ジュウオウバスターであった。

 

2人はそのままウェル博士に銃口を向けた。

それを見たクリスもすかさず霊風達と同じようにアームドギア《イチイバル・クロスボウ》を向けた。

 

「あんたと話してる暇は無い。

俺達が来た理由はただ1つ。

人絆憑友(俺達の仲間)を返して貰おうか!」

 

「…やれやれ…

その答えとしましてはNOとでも言いましょう。

彼にはまだ貴方達の元には帰らせる訳には行かないのでね…!」

 

そう言うとウェルは懐に隠し持っていた《ソロモンの杖》を取り出し、ノイズを出現させた。

更にポケットから黒い拳銃を取り出したのだ。

それを見た霊風とロックは驚愕した。

 

「何⁈」

 

「『現界ブースターα』だと⁈」

 

それは、自分達《精魂導師》の強化型アシストアイテム・『現界ブースターα』だった!

 

「言い忘れてましたけど、僕はこう見えて『英雄石板』の解析にも力を注いでいるのですよ。

現に貴方方が出会った2人の少年…

《光魂導師》タマシイと《闇魂導師》コアが使用していた『英雄』達も私の手で解析したのですからね…!」

 

するとウェルは懐からカードを取り出し、そのまま黒い『現界ブースターα』にスキャンさせた!

 

ーロード・トゥ・バーサーカー!ー

 

「⁉︎」

 

その電子音を聞いた霊風は怯んでしまう。

 

するとウェルは足元に向けて弾丸を放つ!

 

すると弾丸が見る見ると人の形になっていく…!

そして人の形になると、そこから真っ黒の剣を携えた全身を黒い鎧に包まれた戦士が咆哮を上げた!

 

「Arrrthurrrrrr!‼︎」

 

「そっちで来たか⁉︎(いや、寧ろこっちで良かったのか⁉︎)」

 

そう霊風は考えていると、ウェルはもう1枚のカードを取り出し、そしてスキャンした!

 

ーロード・トゥ・バーサーカー!ー

 

「へ?」

 

するとウェルは今度は上に向けて弾丸を放つ。

すると弾丸は見る見るとデカくなっていく…!

 

そして遂にはその巨体が地面の着地と共に振動を与える…!

 

「■■■■■ーーー!」

 

「嘘だろ〜⁉︎」

 

「バーサーカー…狂戦士?…霊風!あの2人も『英雄』なのか⁉︎」

 

「『英雄』所の問題じゃねぇ!

セイバーやランサー,アーチャーと同じ『英霊』…つまり《サーヴァント》だ!」

 

そう霊風はロックにツッコむと、そのまま後ろへと振り返り、そのまま翼と奏を脇に挟め、そのまま後ろへとジャンプする!

それを見たロックはクリスと響を担ぎ、ジャンプした!

 

「■■■■■ーーー!」

「Gaaaaaaaaa!!」

 

そう言うと2体の『英霊』は周りを見境い無く壊していく…!

 

「!逃がすかよ!」

 

すると霊風は奏を担ぐと、そのままジュウオウショックで、ウェルの足下を正確に狙った!

それを見たウェルはそこから一歩も動けなかった!

だが、ウェルは不敵な笑みを浮かべていた。

それを感じたロックはふと上を向くと、そこには先程自分達が苦戦していた相手である『ネフィリム』が、気球型ノイズで何処かへと連れて行く場面だった!

 

それを見たロックは皆に指示を出す。

 

「立花はクリスと共にウェルを確保してくれ!

防人嬢と奏嬢はあのネフィリムの確保を!」

 

「ですが…!」

 

「心配するなよ!俺達は簡単にはやられねぇよ!」

 

「…分かった。行くぞ、翼!」

 

そう言うと奏は先行して行く!翼も後の事を頼み、急いでノイズの方へと走り抜ける…!

 

「俺達も一気に決めるぞ!」

 

「委細承知!」

 

すると2人は其々カードを取り出した!

 

「頼むぞ、アーチャー!」

 

「今回はお前さんの力を借りるぜ…セイバー!」

 

すると2人は元の《精魂導師》の姿に戻る。

その際にアブソーバーであるソウルとスピリットは左腕に装着し直されている。

すると、其々のカードをアブソーバーに装填し、そしてレバーを引いた!

 

ーソウル!フォーム、アーチャー!ー

ースピリット!フォーム、セイバー!ー

 

すると2人の周りを赤き英雄と青の騎士王の魂が駆け巡り、其々纏った!

 

ーUnlimited Blade Works!ー

ー騎士王見参!聖剣降臨!ー

 

すると2人は其々の得物を構えた。

しかしロックは霊風が持った物を見て目を見開いた。

 

騎士王の得物は、【聖剣】との呼び名が高いあまりにも有名な剣・エクスカリバーなのだが、

霊風が持っていたのは明らかに…槍だった!

 

「聖剣じゃない…だと⁉︎」

 

「言い忘れたけど、槍()使えるんだぜ?」

 

そう言うと霊風はその槍を前に出しながら構えた。

 

「叛逆の騎士を討った槍…ロンゴミニアド。

騎士王さんのもう1つの得物武器さ!」

 

そう言うと霊風はそのまま鎧の方のバーサーカーへと立ち向かう…!

 

対してロックはすかさず手をクロスさせた。

 

「(彼奴の武器は前に一度、憑友が見せてくれた。

あれがオリジナルと言う事ならば…出来る!)

同調開始(トレース・オン)

 

そう言うと手に石で出来た巨大な大剣が現れたのだ!

それを見た筋肉質の方のバーサーカーは目を開かせ驚いていた。

 

「言わなかったか?

俺はこう見えて贋作者(フェイカー)だという事を!」

 

そう言うとロックはすかさず左腕に装着されたアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

それは霊風の方も同じだった!

 

『ソウル・アーチャー!フルドライブ!』

『スピリット・セイバー!フルドライブ!』

 

すると2人はすかさず2体のバーサーカーに力を解放した!

 

是・射殺す百頭(ナインライブズ・ブレイドワークス)‼︎」

 

そう言うとロックは筋肉質のバーサーカーを相手に連続でその石の大剣を振り回す!

その際に近くにいた鎧バーサーカーの方も巻き添えを食らわせる!

 

「"突き立て、喰らえ!十三の牙!"」

 

そうしていると霊風は何かの詠唱を始めた!

それを聞いた2体のバーサーカーはまさかと言う顔を表現させていたが、時既に遅し。

ロックの斬撃が終わると、すかさずロックはそのまま大剣を置いて上へと跳んだ。

その瞬間!

 

「『最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』‼︎」

 

その槍から途轍もない程の威力を持った一撃が2体を襲った!

 

その攻撃を受けたバーサーカーは元のカードになった。

それをすかさずロックは回収した。

 

その瞬間、近くの海から奇怪な音が聞こえた一同はすぐにその場へと移動した。

 

そこには、海上に出ていた潜水艦とその潜水艦の上にいる奏と翼と、渦の中心に槍を添え、更にその槍の上には《烈槍・ガングニール》を纏ったマリアが、ネフィリムの入っているケージを持っていた。




『アドバンス・フォース』

【光の巨人 ウルトラマン】
【バイクで駆ける超人 仮面ライダー】
【チームで戦う戦士達 スーパー戦隊】
【闇祓う伝説の戦士 プリキュア】

世代交代を繰り返す『英雄』達…
『四英雄』の力を1つにした力。

その力で、《精魂導師》は、全てのウルトラマン,仮面ライダー,スーパー戦隊,プリキュアの力が扱える。
だが、それだけでは無いようで…?


次回

幻影の弾丸(ファントム・バレット)

次回はロックに就いてる『英雄』の1人が大活躍!

…この話になってから、憑友がハーレムを形成していってるように感じている作者。
しかし!憑友はハーレムを作るという考えは微塵も無いのだ!
多分…。

と、兎に角⁉︎憑友がハーレムを作る事は無いことを了承してくれ!


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#9 幻影の弾丸《ファントム・バレット》

お待たせしました。最新話です!
え?待ってない?寧ろ速い?
こうでもしないと取り返しつかないので。
それとまだ4話の途中なんですよ?
あと1ヶ月の間にG編を終わらせて、そのままGX編行かないとヤバいので。
そう言う訳でお話始まり始まり〜(パチパチッ!


ロック達がバーサーカーと対峙していた際、奏と翼の『ツヴァイウイング』コンビは完全聖遺物『ネフィリム』が入れられたケージを運んでいた気球型ノイズの所まで急行していた。

翼のギアは元から機動力に長けていた。

奏の場合は、コンバーターに入っている存在・オディナのクラス補正の影響がそのままギアに影響していた。

 

オディナや、霊風に就いてるクー・フーリンは『槍兵の英霊《ランサー》』のクラス補正が適用されている。

 

クラスには、其々の得物に影響した能力が存在する。

基本的な項目は、

 

体力や防御を現す『耐久』

物理攻撃力を現す『筋力』

特殊攻撃力を現す『魔力』

クリティカル等の不確定要素に影響を生む『運』

自身の真名を晒す代わりに強力な技を放つ必殺技もとい『宝具』

そして、素早さに影響を与える『敏捷』の6つで構成されている。

 

その内、ランサークラスの『英霊』達は共通して、『敏捷』の値が高い。

 

ランサーの力を持っているオディナはその『敏捷』が高いのである。

それが、今の奏を、ギアを通じて影響しているのである。

つまり、何が言いたいのかと言うと…

今の奏の敏捷力は『英霊』達…それもランサークラスの『敏捷力』を獲得しているという事である。

故に今、翼と同等いや、若干速く移動しているのである。

 

「まずいぞ、翼!この先海だ!」

 

「⁉︎」

 

奏はこの先の地形を思い出したのか、翼にそう告げる。翼もこれには驚きようが無かった。

するとそんな2人に通信が入ってきた!

 

『翼ちゃん!奏ちゃん!そのまま海へと跳んで!』

 

相手は牧藁だった!

意味深な答えを聞いた奏と翼はそのまま海へと跳んだ!

すると2人の先の海から突如として潜水艦が現れたのだ‼︎

二課の面々の仮設本部でもあった!

 

すると2人はそのまま同時にその潜水艦を踏み台にして、ジャンプした!

すると奏はそのまま翼の前に出ると、海に背を向け、脚を出した。

それを見た翼は目を見開くが、奏は何も言わずにその視線だけを翼に伝えた。

それを見た翼はそれを確認すると、そのまま奏の脚を踏み台にして空を跳んだ!

 

奏がした事は俗に言う踏み付けジャンプと言う動作となんら変わらなかったのだ!

そして翼はそのまま斬撃でノイズを倒すと、ケージを掴もうとする…だが!

 

シュンッ!

 

「うわぁ‼︎」

 

突然、槍が飛んで来て、翼はそのまま海へと…

 

ガサッ!

 

落ちなかった。

 

「大丈夫か⁉︎翼!」

 

「奏…!」

 

なんと奏が水上を高速移動して、翼の元までやって来て、翼をキャッチしたのだ!

先述に述べた通り、奏の敏捷さは『英雄』達の上位存在『英霊』クラスそのものだ。

故に人間よりも遥かに逸脱しているのである。

とどのつまり…チートと言わざるを得ないと言う事だ。

 

そして奏はそのまま潜水艦の方へとバク宙しながら後退すると、その槍の上に《烈槍"ガングニール"》を纏ったマリアがその槍の上に『ネフィリム』のケージを持って立っていた。

 

それと同時に海岸沿いでは霊風達が到着していた。

暁の太陽が照りだされる中、確保されていたウェルが衝撃発言をした。

 

「時間通りですね。『フィーネ』」

 

『⁉︎』

 

ーーーーーーSIDEtoロック

フィーネ…だと⁉︎

 

「終わりを意味する名は我々組織の象徴であり、マリア(彼女)の【二つ名】でもある」

 

「そんな…じゃあ、まさか…⁉︎」

 

新たに目覚めたと言うのか…フィーネ‼︎

 

ーーーーーーSIDEto弦十郎

「…つまり、異端技術を使う事から『フィーネ』の名を組織になぞらえているのでは無く…」

 

「蘇った『フィーネ』その者が組織を統率しているというのか…!」

 

またしても…先史文明期の亡霊が俺達の前に立ちはだかるというのか…!

 

「…弦十郎さん…」

 

また俺たちの前に立ちはだかると言うのか…了子君…

 

「…」

 

ーーーーーーSIDEtoマリア

ネフィリムを取り戻したのは僥倖。

だが、このままDr.とソロモンの杖を救いつつ、此処から離脱する時間が欲しいわね…そう考えていたら…

 

ガチャッ

 

「動くな」

 

「「⁉︎」」

 

…まさか…貴方が動くなんてね…

 

「立花!雪音!」

 

「ちっ!ローブで正体が分からねぇ!」

 

ローブで隠していて、尚且つ声帯も変えるとは…あの子…仲間を裏切るつもりなのかしら?

それにDr.を助けるなんて…彼から言わせればそれは否な筈…

 

「Dr.ウェルとソロモンの杖を此方に渡して貰おうか?下手に動けば、《シンフォギア》装者や《精魂導師》でも、ひとたまりも無いぞ」

 

そう言ってると彼の行動のおかげで、Dr.とソロモンの杖は取り戻せた。

だけど、何故貴方がそこまでするのか分からないわ…

自分の味方に銃を向けるなんて…

 

「…まさか君が僕を助けてくれるとは」

 

「勘違いするなDr.ウェル。俺はいつだってお前を殺せるんだ。大人しくしておけ」

 

そう言うと彼は所持していた拳銃を剣へと変えた。

そしてその2人に向けて斬撃を飛ばしてきた!

 

「うわぁ⁈」「てめぇ!」

 

「俺は()()()()()()()()()としか言わなかったぞ。

撃どうだろうが、斬りつけようが、関係無い事だ!」

 

そう言うと彼はウェルを持つとそのまま上空へとジャンプした!

わたしはそれを見ると、先程から睨みつけてきている双翼に対して、何か一撃を与えようとしたが、

 

『(止めておけ。此処での目的は終わった。無闇に争うのは得策では無い)』

 

彼の念話もといテレパシーが聞こえてきたので、私はそのまま上空へと跳んだ。

 

するとそこには既にマムが用意していた飛行機…オスプレイと呼ばれているけどね。

そのオスプレイに私と彼は搭乗した。

 

「!待って!憑友を返して!」

 

すると私達の行動に気付いた《融合症例》が訴えて来たけれど、私は何も言わないまま、そのまま上空へと去ろうとした。

 

ーーーーーーSIDEtoロック

彼奴ら…空から逃げるつもりか⁉︎

 

「逃がすかよ!」

 

そう言うとクリスがアームドギア《イチイバル・クロスボウ》をスナイパーライフルに変えた。

 

狙撃攻撃技"RED HOT BLAZE"だった。

 

そうしていると、

 

「!…ロック!私を使いなさい!」

 

すると突然、カードケースからシノンのカードが出て来て、精霊化して俺の前に立った。

…なにか訳ありみたいだ。

 

そう言うと俺はそのままカードを持つと、アブソーバーを装填して、レバーを引くと、そのまま魂を纏った!

 

ーソウル!フォーム、シノン!

敗北の弾丸!氷の狙撃手!ー

 

すると俺の身体が勝手に動いた。如何やらシノンが勝手に動かしているようだ!

 

そう考えていると、

 

「ソロモンの杖を…返しやがれ!」

 

そう言うとクリスが照準を構えた!

そこを俺を操っているシノンは見逃さなかった!

 

『敗北の弾丸はこんなもんじゃ無いわよ!』

 

そう言うとすかさず愛銃である《ウルティマラティオヘカートⅡ》を地面に固定して、照準を構えた!

 

そしてクリスが先に捉えたのか、撃とうとした瞬間…!

 

シュンッ…!

 

「⁉︎何⁈」

 

消えた…ステルス機能だと⁉︎この状態じゃ、俺の方も狙えきれな…『私を甘く見過ぎよ!』…シノン?

 

『私の弾丸は…

 

幻影(ファントム)をも殺せる弾丸(バレット)なのよ‼︎』

 

そう言うとシノンの照準が捉えた!

すると照準の先から赤いレーザーラインが現れた!

すると、それはそのまま途中で光が屈折した!

シノンはそのままトリガーを引いた!

 

幻影の弾丸(ファントム…バレット)ーーーーーー‼︎』

 

そう言うとシノンの銃口から火が噴いた!

そして弾丸はそのままその場所へと放たれた!

 

そしてそのままマリア達『フィーネ』が乗った飛行機は消えていってしまった。

 

「…くそ!何も出来なかった…!」

 

「…ふぅ。取り敢えずこれで良いわ」

 

何処がだ!憑友を取り返せなかっただけでなく、

ウェル博士とそしてソロモンの杖まで!

お前、それでも『英雄』なのかよ!

 

「私に『英雄』と呼ばれる筋合いなんか無いわよ‼︎」

 

⁉︎…シノン…

 

「…私だって勿論、他の『英雄』達だって…

…好きで成ったんじゃ無いんだから…それだけは…忘れないで」

 

…済まない。カッとなってしまった。自分じゃ無いようだ。

あんな事言って…ごめんなさい。

 

「…反省してるのならそれで良いわ。

それと、私が撃ったのは…ステルスをも無効にするマーキング弾よ。現にソウルのアブソーバーに位置情報が示しているから。

…後は勝手に探しなさい」

 

そう言うとシノンは疲れたのか、そのまま消えてしまった。

…?マーキング弾?

位置情報を示した…?

 

…まさか、シノンが狙っていたのはコレだったのか⁉︎

 

「ふっ。彼女のそう言う能力の高さには私ですらも凌駕しているのだよ。人選を間違えたら確実にアウトだったな」

 

そう言いながら、俺の隣にアーチャーが現れた!

 

「良いか?私は彼女に無い物を持っているのならば、彼女は私には無い物を持っているのだよ。

故に使い方と対応を充分にしておいてくれ」

 

そう言うとアーチャーはそのまま目を閉じると同時にカードケースに入った。すると立ち替りのように今度は違うカードが精霊化して俺の前に立った。

その人物は、黄色で前髪が少し緑で癖っ毛のある剣を携えし女性だった。

 

「次は私がその場所までのルートを確保するようにしておこう」

 

その者の名はミラ=マクスウェル。

憑友のルドガーと、霊風のジュードと同じ世界の出身にして、

自然の摂理を司る属性…地水火風を其々統一している『四大精霊』を滑る存在…

 

元素の精霊『マクスウェル』の名を継ぐ女性だった。

 

それを聞いた俺はすかさず頷くと、カードを手にして、そのままアブソーバーに…ではなく、憑友が開発した強化型アイテム『現界ブースターα』にそのカードをスキャンした!

 

ーロード・トゥ・ミラ!ー

 

そして俺はそのままアブソーバーを上に向けて、弾丸を放った。

するとそこから人の形になりて、1人の女性が降りた。

先程言った女性・ミラ=マクスウェル本人の登場である。

 

「お願いします」

 

「わかった。行くぞ!イフリート、シルフ、ノーム、ウンディーネ!」

そう言うとミラの真後ろから四精霊と呼ばれる存在達が一斉に四方に飛ぶと、ミラもそのまま違う方向に飛んで行った…

 

待っていてくれ…憑友…お前を必ず、取り戻してみせる‼︎

 

俺は日の出の太陽に向かってそう心の中で誓った…!

 

ーーーーーーNO SIDE

一方、此処はオスプレイ内。

そこには先程響とクリスに斬撃の衝撃波をお見舞いさせたローブを羽織った者が壁に背を預け、下半身を床に伏せていた。

 

そんな彼の所にガングニールを解除したマリアがやって来た。

 

「何故あんな事を…自分の仲間だろ⁉︎」

 

第一声が其れだった。

 

「何故…如何して…「死にたいから」…え?」

 

するとその相手の返答にマリアは呆然とした。

ローブを羽織った者はそのままフードの部分をとった。

そこには、赤い髪と紅の瞳がハイライトを今にも失いそうな眼をしていた。

 

ローブの者の正体…それは、マリア達が敵対している組織のメンバーで、相対していた響の幼馴染で尚且つ…

《ルナアタック》の英雄の1人である"炎の魂を導く師者"《炎魂導師》ライドこと…人絆憑友だった。

 

「自分の本当の余命を言わずに彼奴らの前から消えてなくなるなら…俺は彼奴らを裏切って、そして彼奴らの手で殺されて、彼奴らの手の中で逝きたい…」

 

憑友はそう言いながら、顔を俯かせてしまった。

それ程の覚悟を持っているのに気付いたマリアは、憑友の隣に座って、彼の肩に頭を乗せた。

マリアの行動に驚かされた憑友は一瞬だが吃驚するも、そのまま何も言わずにただ何もしなかった…

 

「…彼奴…」「…」

 

そんな様子を見ていた2人の男の子達はそれ以上何も言わずにその場を後にした。

 

だが、この時の彼等はまだ気づいていなかった…

この飛行機に、幻影の弾丸(ファントム・バレット)と呼ばれる追跡弾(マーキング)が施されている事に…

 

 

ーーーーーー

一方、二課の方では1人の行方を捜していた。

不明者の名はロック・アイル・ユキネ…クリスの義理の兄だ。

彼はあの後、1枚の紙を残して、去って行ってしまっていたのだ。

紙には何かが書いてあった。

その内容は…

 

『憑友を連れて帰る。1人で探しに行く。』

 

それだけしか書かれていなかったのであった。

 

「なんで…私の前から…」

 

クリスはそう言いながら、懸命に捜していた。

自分の事を知っている数少ない存在…それが居なくなれば、誰だって探しに行きたいのである。

しかしその日は朝で、しかもこれから学校である…

クリスは涙を流しながら、翼と響の2人に連れられて、学校へと向かうのであった。

 

それを見た奏と霊風は2人に何か出来ないのか模索する事にしたのであった。

だが、それは学園祭当日まで何も成果を得られない事を今の響達は知らない…




次回

『英雄』達と未来

次回は…え?未来ちゃんが主役⁈

と、兎に角どうぞ!

…未来ちゃんファンの人…ヤッタネ!


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#10 『英雄』達と未来

えー…未来ちゃんファンの方、お待たせしました。
何気に凄い未来ちゃんの登場です。何気に凄い未来ちゃんの登場です。

…大事な事なので先に言いますよ!それも2回も同じ事をいいましたからね⁉︎

それと何気に『英雄』の1人が…

…ネタバレになるのでこの先はどうぞ。


憑友が完全に連行(響達の思い込みなんだが)されてから、響は未来と一緒の部屋にいた。

《ルナアタック》までは、学生寮に憑友と同じ部屋で住んでいたのだが、

霊風とロック、そして憑友が新たな力を得た事件《四英雄事変》の際に、その学生寮は跡形も無くなってしまったのであった。

では、その2人は今何処で暮らしているのかというと、

実は意外にも「自然都会」から目と鼻の先のマンションに暮らしていたのだった。

そのマンションは主に被害を受けた人達が暮らせるように、賃金等がかなり低いのである。

その他にも、冷暖房完備に、防音や防犯なんかも万全である為、理想形とでも言えるマンションなのである。

そんなマンションには、響や未来以外にも多くのリディアン生徒が住まっているのである。

 

「…ただいま…」

 

「あ、響!」

 

そんな中、響が帰ってきたので、未来が響を迎える。

しかし、そこにはいつもの明るい顔の響では無く、

何処か暗い顔をした響がそこに居た。

 

「…何か、あったの…?」

 

「…うん。…だけど、ゴメンね未来。私、今日なんだか疲れちゃったから…学校休むね…」

 

そう言うと響は未来に霊風から預かった憑友のカードケースを渡すと、その格好のまま、ベットにダイブして、そのまま寝息が聞こえてきた。如何やらもうそのまま寝てしまった。

それを見た未来は響を心配しつつも、自分は玄関から居間に行き、そして近くのテーブルの方についた。

そのテーブルには、ドールハウスの形をした物体が置かれていた。

ただ、そのドールハウスには明らかに要らない筈の機械的な装置がドールハウスの外庭部分に設置されていた。

 

すると未来はその装置に、カードケースから4枚のカードと、胸ポケットからカードを1枚取り出すと、それをその装置に全て入れた。まるで押入れに入れる洋服のように。

 

因みに入れたカードの『英雄』達は、

 

【炎の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー) ナツ】

 

【炎の咎人 アカネ】

 

【剣士の英霊 セイバー】

 

【エース・オブ・エース なのは】

 

【黒と白の娘 ユイ】の5人のカードである。

 

するとドールハウスから1/20スケールで、そのカードに描かれていた5人が現れた。

 

「お?よっ!久しぶりだな!」

 

「お久しぶりですナツさん。それに皆さんも」

 

すると真っ先にナツが未来に話掛けて来たので、未来も皆んなに挨拶する。

実は未来…憑友が夏休みの暇な時間に密かに作ったドールハウス…『ヒーローシェアハウス』を作ってから、未来はいつも『英雄』達の相談役として、『英雄』達とのスキンシップが影響したのか、今ではすっかり『英雄』達と交流を深めた何気に凄い存在になっていたりする…未来さん凄いです。色んな意味で…。

 

「つうか、久しぶりって言っても、1週間経つか如何かのもんじゃねぇのか?」

 

するとアカネがそう言うと、セイバーもドールハウス内の和室でユイを膝の上に置きながらアカネの言った事に肯定しながら頷く。

 

「確かにそうね。それは良いとして、セイバーちゃん!」

 

「せ、セイバーちゃん⁉︎//」

 

するとなのはがそんなセイバーに動揺させる一言を言いつつ、セイバーの顔まで自分の顔を持って来る!

それを聞いたセイバーは頬を少し赤らめながら、なのはの急接近に驚く。

 

「貴方だけ今回この中で唯一、霊風君達と戦っていたよね?

その時の事を教えてくれないかな?」

 

「私も気になります!パパが元気だったのかも!」

 

するとなのはの一言がセイバーを激しく動揺し、ユイが更に後押しと言う名の追撃もとい笑顔をくらったセイバーは白旗を上げて、その時の話をし始めた。

…何やってるの…セイバー…。

【騎士王】の肩書きは何処に行った⁈

 

「そんな物は今は必要ありません!」

 

「ど、如何したのセイバーさん⁉︎いきなり大声出して…」

 

「あ、いえ…申し訳有りません…何か悪い事を言われたような気がしたので。気にしないで下さい」

 

…意外に侮れないぞ…この『腹ペコ王』…。

 

そうしていると、セイバーは先程までの時間に起きた事を此処にいる皆に話をした。

 

「…そうですか。憑友が…」

 

「申し訳有りません、ミク。私の力を以ってしても、ツクモを取り返す事が出来ませんでした。

剣である私が何1つ出来ませんでした…

ただ、ツクモとキリトの2人は無事である事は現段階では確認出来ています」

 

「そう…ありがとう、セイバーさん」

「ありがとうございます!」

 

そう言うと未来とユイが2人揃ってセイバーに感謝の言葉を言った。

その際に、セイバーはユイのその愛くるしい笑顔を見て思いきり抱き締めていた。

その際にユイが苦しそうにしていたので、なのはとアカネが助けに入っていたのは言うまでも無かった。

そんな様子を見ていた未来は苦笑いをしていた。

そんな未来の所に、挨拶以外何も言わなかったナツがやって来た。

 

「心配すんなよ!俺達が必ずあの2人を助けてやるからよ!

俺とグレイは仲が悪いけどよ、それでもギルドの仲間(かぞく)を売るような奴じゃないからな」ニッ

 

「ナツさん…憑友の事をお願いします!」

 

「おう!

依頼の報酬は、お前の笑顔を見せる事だ!」

 

「!…はい!」

 

その2人のやりとりを聞いた皆はナツを弄る皆。

その際にナツが"火竜の咆哮"を繰り出そうとしたが、なのはの拘束魔法"レストリストロック"で完全拘束されていたのは言うまでも無かった…

 

「(響が頑張ってる…私も憑友の帰りを待ってあげなくちゃ!)」

 

未来はそんな『英雄』達のいざこざを見ながら、心の中でそう呟いていた。




…何気にナツさんカッコ良い台詞を言ったよ。

『ギルドの仲間(かぞく)を売るような奴はいねぇ』

…かっこよすぎです。ナツさん。
それに加えて、暴れ回る性格が改善されれば文句無いんですけどね…。


次回

学園祭

次回はついに学園祭開催です!


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#11 学園祭

今回はキリトの能力の1つが登場です。
…ただ単なる嫌がらせじゃないだろうか、心配だ…。


ーーーーーーSIDEto憑友

「潜入?」

 

「そうデーース!」

 

「…うん」

 

…いきなりで済まなかった。

何でこんな事になったかと言う前振りが必要だな。

それはほんの2.3時間前の事だった。

 

ー回想ー

 

何時も通りの朝を過ごしていた俺。

あれからちょくちょくマリアさんや金髪と黒髪の女の子ーー名前が確か黒髪ツインテールの方が調で、金髪イタ娘が切歌と言うらしいがーー2人が俺の所にやって来ては、飯の用意をしてくれていた。

自分達の分まで削ってまで俺の事を気遣ってくれているようだ。

それと、ライブ会場に現れた2人の男の子の名前もこの時に知った。

 

陰陽・闇邪怨(えんじゃおん)と、陰陽・光聖希(こうせいき)と言う名前だった。明らさまに2人とも兄弟であった。しかも双子ときた。

それと同時に『F.I.S.』によって管理された存在…

"新たなフィーネ降臨のための器として観測していた子供達の総称"…

『レセプターチルドレン』でもあった。

 

邪怨の方は〔闇〕、聖希の方は〔光〕の属性を持つ魂を導く師者…

《光魂導師》タマシイと《闇魂導師》コアになれるそうだ。

その時に使っていたアブソーバー…タマシイとコアは、ライドさんの7人兄弟の三男と三女であった。

因みに、ライドさんの兄弟は3人兄弟と、4人姉妹の計7人の兄弟姉妹になっているそうだ。

 

ソウルが長男で、ライドさんは次男、そしてスピリットさんは長女と言う事らしい。

そして俺はふと思った…次女と末っ子の四女は?と。

ライドさん曰く、『四女はおそらく今でも元気に過ごしているさ。我々兄弟姉妹(きょうだい)全員が誰よりも愛していた存在だからな。

しかし、次女の行方は分からない…タマシイとコアは何か知っていそうなんだが…』との事らしい。

あまり詳しく知らないけど、ライドさんの家系の事はあまり深く踏み込んではいけないような気がして、俺はそれ以上言わなかった。

 

…あれ?いつから話が逸れたんだ?…兎に角話を戻そう。

 

そんな俺がそうやって思考を順繰り返していると、牢屋のドアが開いてきたので、視線を見せると、そこには調と切歌、そして闇邪怨と光聖希のちびっ子4人組がやって来たのだ。

因みにあの後に切歌から財布を返してくれたが、

1万円残して後は空っぽって…まぁ、それは良いんだけどな。

 

そうしていると調が俺に紙を渡してきた。

そこには、

 

『リディアン音楽院 秋桜祭』と言うタイトルが書かれていた。

 

「…何がしたいんだ?」

 

「…聖遺物を奪う」

 

聖遺物を奪う…つまり、翼さんとクリスさんのギアペンダントを奪うと言う事か。

奏さんはおそらくスケジュール的にはその日の朝は九州で仕事があるって、前にマネージャーである霊風さんから聞いてたな。

仕事が終わる頃にはおそらく学園祭が後少しで終わるという時間帯になるだろう。

だが、響のギアペンダントは…無い。

何故なら、彼奴の胸の中にある。それも摘出不可能までに。

故に最新技術を持ってしても、最高の医師の手によっても、又その両方を用いても恐らく響の中に混じってる《ガングニール》は取り除けないとの事だそうだ。

 

…また話が逸れた…此処最近そんな事ばっかりだ。

 

「其処で!潜入をするんデス‼︎」

 

「潜入?」

 

ー回想ー

 

…という訳である。

 

でも、俺が行くと逆に生徒に見つかるから無理な話だ。

 

「おーい…」

 

ローブを羽織れば間違いなく怪しまれるのがオチだしな…

 

「おーい」

 

後は、声を変えればなんとかなるかもしれないけど、響達にモロバレするのがオチだし…

此処は一層の事同行しない方が…

 

「人の話を聞けーー‼︎」

 

「うわぁ⁉︎」

 

ゴツンッ‼︎

 

痛ってぇ⁉︎何すんだよ⁉︎キリト師匠(せんせー)⁉︎

 

「こう言っちゃなんだけど…俺の力使うか?」

 

え?如何いう事?

 

『?』

 

キリト師匠の言った一言で、俺とこの場に居合わせた4人は何が?と言う顔をしている。

するとキリト師匠は俺にアブソーバーを装着してくれと示唆したので、俺はそのままアブソーバーを装着した。

するとキリト師匠のカードが勝手に動いて、そのままアブソーバーに装填し、そして勝手にレバーが引いた!

 

ーライド!フォーム、キリト!ー

 

え⁉︎まさか此処で変身⁈

 

ー黒剣、双閃、アメイジング!ー

 

…マジで、この場所で変身したよ…

 

するとキリト師匠が俺の脳内に直接話しかけて来た。

 

『(あんまり使いたくなかったけど…其処のパネルボタンに、[GGO]と書かれたボタンがあるだろ?それを押してくれ)』

 

[GGO]?…あ、あった。これを押せば良いのか…えい!

 

そうした俺はそのままアブソーバーのパネルボタンを押した。

 

ーコンバート!モード…ガン・ゲイル!ー

 

すると俺の身体全身から閃光が発せられた!

それを見た4人も目を塞いでしまった。俺もだ。

 

そうして、閃光が消えた。

けど、何が起こったのかさっぱr「貴方、誰デスか⁉︎」え?

 

「⁉︎嘘…⁉︎」

 

「うわぁ⁉︎いつの間に⁈」

 

「人質がすり替えられただと⁉︎」

 

はぁ?言ってる意味が分からん。

一体何を…って、其処からペンダントとアブソーバーを装着しようとするな⁉︎此処お前達の移動拠点だろうが⁉︎

 

『はぁ…やっぱりそうなるのか…使いたくなかったんだが…』

 

いや、だから師匠(あんた)師匠(あんた)で何がしたかったんですか⁈

 

『…取り敢えず、誰か鏡を持って来てくれ』

 

「え?…あ、ああ…」

 

一体何が起こってるんだよ…それに鏡って…?

なんだ?俺の視界から黒くて長いのが垂れてきた…?

 

そう思った俺はそのままそれを触る。…感触からして…髪の毛?

 

まさか…

 

ーーーーーーNO SIDE

そんな憑友はこの後に、吃驚して数十分の間気絶していたのは言うまでも無かった。

理由?後で分かるから。

 

そんな憑友達とはうって変わって、リディアンの方では学園祭が大いに盛り上がりを見せていた。

 

そんな中に、肌色に近いオレンジ髪のショートヘアの女の子…響は何か呆然としていた。彼女の心理的要素から学園祭当日は来ないかもしれないと思っていた彼女だったが、リディアンには来ていたようだ。

 

そんな中、響の側に寄る1人の女の子がやって来た。

ビリジアン系の色合いを見せる黒髪に白のリボンをつけた少女で、この場にはいない憑友と、呆然としている響の幼馴染・未来であった。

 

「ひ〜びき!」

 

「未来?如何したの?」

 

「如何したの?じゃないよ。これから板場さん達と逝都達の番だよ?」

 

それを聞いた響は驚き、そして未来はそんな響の手を繋ぎ、急いで会場である体育館へと急いだ。

その時、未来の顔がほんのりと赤くなったのは言うまでも無い。

そんな2人を1人の女の子が通り過ぎた。

 

見た目は黒髪のストレートだが、服装はどちらかと言うと軽装に近い格好だった。

ただ、その少女は酷く溜め息を零していた。

 

「なんで、こんな事になるの…師匠の馬鹿野郎…」

 

『仕方ないだろ⁈俺だって好きでこんな格好になったんじゃ無いんだから⁉︎』

 

「これじゃあ、男の子じゃなくて…男の娘じゃないですか⁉︎」

 

実はこの少j…いや、訂正。この人物…実は憑友であった。

この姿…実は憑友のパートナー『英雄』キリトの影響でもあった。

 

キリトには戦況に合わせて姿を変える能力がある。

これが某光の巨人に例えるならば俗に言う『タイプチェンジ』と表記しても可笑しくは無かったのだ。

 

キリトは主に、

 

二刀流の手数と、耐久性を活かした『SAO』

 

妖精になって、空を飛び回る『ALO』

 

そして、今現在憑友がなっている…

女性の容姿になり、銃の攻撃を可能とする『GGO』

 

以上の3つの姿を自由自在に変えられるのだ。

その中でも、『GGO』は敵の目を誤魔化しやすい性能を持つ。

相手を奇襲にかける事も造作も無いのである。

 

だが、その容姿があまりにも女性の顔付きだったので、今の憑友は恥ずかしいと言う感情しかなかったのである。

 

「しー」

 

「しーデス…!」

 

そうしていると、2人の女の子…調と切歌が自身の唇に指を当て、静かにしてとジェスチャーしてきた。

それを見た憑友はまた溜め息を吐いた。

 

「…はぁ…おまけになんで()が…」

 

「…僕」

 

「え?」

 

すると突然すぎる調の発言に憑友は呆然とする。

 

「…()じゃなくて、()ならOK」

 

「いや、するかよ⁉︎」

 

「…怪しまれるのがオチ」

 

「ぐぬぬ…正論突かれて、何も反論出来ない…!

つうか、彼奴らは何処に行った⁉︎」

 

「…」「…と、兎に角行くデス!」

 

「はぐらかされた⁉︎

ってか、彼奴ら変な所に寄ってないだろうな⁉︎」

 

「…」「…と、兎に角行くデス!」

 

「今ので、2回目だぞ⁉︎それも連続で⁉︎」

 

…なんとも言えない雰囲気となっていたのは言うまでも無い。

この作品の代名詞『混沌(カオス)な場の空気』が出現したのであった。

 

 

ーーーーーー

そんな中、体育館内では、板場達のステージが終わって、次は憑友の唯一の男友達である逝都と馬燈の2人であった。

 

「先輩方!並びにクラスメイトの皆んな!」

 

「俺達のライブ…聞いてくれ!」

 

そう2人が言うと音楽が流れた。

 

(挿入歌『Believe in Myself』EDGEofLIFE(KENN&小西克幸ver.))

 

2人の音楽が聞こえ、2人が歌い出して僅か数十秒の内に女子生徒たちから黄色い歓声が上がりまくっていた。

 

それを聞いた響と未来は両手で耳を塞ぎこんだが、あまりの歓声の高さに塞いでも耳が痛くなった。

そんな中、2人の近くにクリスと翼が耳を塞ぎながらやって来た。

 

それを近くで漸く感じた未来が2人と会話しようとすると、誰かいない事に気が付いた。

 

「(あれ?…ロックさんがいない?)」

 

そうなのだ。

実はロックは今日の学園祭に()()()来ていないのだ。

未来の思惑を読み取ったのか、クリスが未来の耳元で声を出した。

 

「ロック義兄の奴、未だに学校にすら現してねぇんだ…」

 

クリスの言った一言で、未来は少し驚いていた。

クリスの住む場所でロックは1枚隔ててるとは言え、同じ部屋をシェアしてるのである。

…世間から言わせるならそれは同棲と言うのだが…ロックはそういう事に疎いようだ。

1枚とは言ったが、カーテン1枚で隔てているのだ。

女の子であるクリスにとっては、それは教育上的にあまり良く無いのである。クリスが翼と同い年ならなんとかなるのだが、生憎クリスは翼より1つ下だ。まぁ、未来や憑友、そして(バカ)に対しては上だが。

 

そう話していると、あっという間に2人のステージが終わっていた。

評価は意外にも高得点で、周りの観客達も賑わいを見せていた。

 

 

ーーーーーー

 

そんなステージとは裏腹に、学校に潜入している調と切歌、そして女の子と大絶賛に間違わられている憑友はと言うと、ステージ周辺の屋台を散策しつつ、たこ焼きやら綿あめなどを食べ歩きしていたらのである。勿論、憑友が全部自腹を切っています。

しかし、憑友は寧ろ2人の楽しそうな笑顔を見て、少し微笑みを浮かべていた。

 

「?如何したデス?」

 

「…気持ち悪い」

 

「悪かったですね…如何せおr「じー…」…ゲフンゲフン。僕はそう言う顔しか出来ないんですよ!」

 

「…合格」

 

そう言いながら調がOKサインを出していた。

実はこの数分の間に、めちゃくちゃに叩き込まれたのであった。

その為か、憑友は予想以上にしんどかったそうだ…ご愁傷様である。

 

そんな時に、不意に「おーい!」と声が聞こえたので、3人が振り返ると、其処には闇呪怨と聖光希の2人がやって来た。

 

「今まで何処行ってたデス⁉︎」

 

「悪りぃ悪りぃ!」

 

「…此処の生徒に完全に足止めされてしまっていた」

 

「納得」

 

如何やら先まで2人は玄関の門の所で女子生徒たちに巻き込まれたそうだ。それを聞いた憑友はそんな2人を理解していた。

 

「いや、それ理由になって…」

 

「俺もこの学院に入った時は、全校女子生徒たちから逃げ回ったな〜」

 

「…信じるデス…。」

 

すると切歌がそれは嘘だという発言をしようとするが、此処に在籍中の憑友の証言により、嘘とは信じ難い物になったので、切歌は2人の話を信じる事にした。

 

そんな2人は、憑友の顔を見ると、心の中で、

 

「「(ナイス!フォロー‼︎)」」

 

とそう叫んでいたのは言うまでも無い。

 

すると憑友が業を煮やしたのか、本題の方に入った。

 

「それはそうと、如何やって《シンフォギア》装者のペンダントを奪うつもりだ?」

 

そう言うと今度は調が一枚のチラシを憑友に渡してきた。

それを受け取った憑友はそれを見た。其処には、

 

『ステージにて、歌うま合戦開催!

優勝者はどんな願いも1つ叶えられる!

当日参加・飛び入り参加も可能!』

 

と書かれていた。

 

「…成る程…んで、お前らが参加するのか?」

 

『…』

 

「…え?何?」

 

すると何故か全員が憑友に視線を向ける。

それに動揺する憑友。すると調が話をし出した。

 

「…私と切ちゃんが歌う。けど、あまり自信が無い。貴方は保険」

 

「…相分かった。断る」

 

その話を聞いた憑友はそれを断る。だが…

 

「決定デ〜ス!」

 

「なんでさ⁉︎」

 

切歌のトンデモ発言で、まさか自分に就いてる『英雄』衛宮の口癖が出てくるとは思いもしなかっただろう。

 

しかもそのまま4人のテンションが高くなったので、憑友は完全に腹を括りつつ、今の自分の状況に諦めた。

 

ーーーーーー

 

そうして5人がステージにやって来ると其処ではクリスがステージ上に立って歌を歌おうとしていた。

 

「(お手並み拝見と行きますか…?

良い歌、聞かせてくれよ…サラブレッドさん?)」

 

憑友はそう感じながら、クリスは歌を歌い始めた。

 

(挿入歌『教室モノクローム』高垣彩陽)

 

その歌声を聞いた憑友はまるで意表を突いたかのように目を見開いた。

 

「(…やっぱり、皆んなに愛されてるな〜)」

 

と、同時にそう考えていたそうだ。

するとクリスの歌が済んだのか、評価が下された。

 

結果は文句無しの高得点。

 

それを見た観客達は皆、クリスに盛大な拍手が鳴り響いた。

 

「勝ち抜きステージ!新チャンピオン誕生!

さぁ!次なる挑戦者は⁉︎飛び入りも大歓迎ですよ!」

 

と、このステージを仕切っていた司会者がそう言って来たので、切歌が即座に手を上げようとすると、

 

「次はわたs「僕が歌います‼︎」デス⁈」

 

するとその声を聞いたのか、スポットライトはその声がした方に向けると、其処に立っていたのは1人の少女だった。

自身の肌の色を除いて、全てが黒に包まれた存在だった。

 

「彼奴は一体…?」

 

「それじゃあ、お名前を教えてくれませんか!」

 

「僕の名前は…キリカ。

 

桐ヶ谷憑歌(きりがや つきか)です!」

 

そう名乗った少女は司会に促され前へと行く。

その際に4人に先程の自分達の作戦が全然違うと言いだそうとしたが、憑歌はこう答えた。

 

「ああ言う歌に影響されれば、誰だって歌いたいものですよ…真剣に。

それにこの際だから、一曲歌いたい」

 

それを4人に聞き取れる声で言うと、憑歌は前に出た。

 

「それでは、憑歌ちゃん!

歌は何を歌いましょうか‼︎」

 

すると司会の女子生徒がそう言うと憑歌は、

 

 

「…『Alive A life』をお願いします」

 

「⁉︎…わ、分かりました〜!」

 

そう言うと司会は憑歌にマイクを手渡す。

 

「それでは歌って頂きましょう!

伝説のアーティスト、リカさんが歌った一曲…

『Alive A life』です!」

 

すると周りの観客達が一斉に目を見開いた。

 

リカ。

それは声優としても活躍し、尚且つ歌を歌うアーティストと言う二面の顔を持つと言われる女性。

その曲はカバーソングもあるものの、常にトップ圏内に入る実力を誇っていたのだ!

 

するとスポットライトを除く全ての照明が消され、スポットライトを浴びた憑歌は歌を歌い始めた。

 

(挿入歌『Alive A life』松本梨香)

 

すると周りの観客達は皆、憑歌が歌う曲に鳥肌が立ち、

調や切歌達も凄いと絶賛していた。

その中でただ1人だけ…響だけ憑歌の顔を見ていた。

 

「…」「響?」

 

「…似てる」

 

「え?」「?如何した、立花?」

 

響の呟きに未来と翼が考えていると、あっという間に歌が終わってしまった。

 

そして評価は…奇しくもクリスの高得点には及ばなかった。

けど、その差は僅か1点の差だった!

 

「残念!またの挑戦をお待ちしてますね!」

 

「あ、はい。…もう此処には来れないかもしれないけど…」

 

「え?」

 

「…あ、いいえ。今度は必ず倒してみせますよ!」

 

「…」

 

その憑歌に対して、真近にいたクリスは疑問に感じた。

そして司会が次のチャレンジャーを指名すると今度は切歌達が手を上げたのだった!

 

それを見た《シンフォギア》装者達は驚かされたのであった。




次回

大海の逆鱗


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#12 大海の逆鱗

今回は視点が変わりまくりな回。
そしてラストは…

続きは読んで見てからのお楽しみ!


《シンフォギア》装者達が切歌達の姿を捉える数分前。

その頃、とある工業地帯に多数の防護服に身を包んだ組織が1つの廃倉庫へと向かっていた。

 

そこにはマリア達『フィーネ』が搭乗する飛行機が格納されていた。

 

ーーーーーーSIDEtoマリア

調や切歌が私の代わりに、ギアを探してくれている。

闇呪怨と聖光希も。

そして、私達の敵である筈の憑友まで調達の保護者として行ってしまった。

私達はもう誰にも止める事すら出来ない。

 

私はただ1人、近くにある培養液が入ってるカプセルに向けてそう考えていた。

そこに居たのは、1人の青年だった。

 

無頼零(ぶらいゼロ)。私の妹…セレナの大切な人。

彼もまた私達と同じレセプターチルドレンの1人で、闇呪怨と聖光希から「兄貴」として懐かれている存在。

 

無口であまり喋らない性格。だけど、それに見合わぬ程の行動力を持つ男。

そんな彼にセレナは恋に堕ちたのかもしれないわね。

現に私もそうだから。だけど…私はこの道を歩み始めた。

貴方を救う為に…セレナともう一度会いたいが為に。

 

セレナが生きている事に私は嬉しく思った。

けど、記憶を無くしていた…自身の名前以外。私の妹である事も。

そうなると必然的に無頼の事も知らない。

 

だけど、私は彼を助けたい…!

彼が6年前、セレナを助ける代わりに自らの命を落としかけた。

その際に一命を取り留めたものの、6年経った今でも未だに起きてこない。

心肺などのバイタルは平常になっているのだが、如何して目を覚まさないのかが分からなかった。

このままでは、彼の生命もあと僅かだと言う事も知らされていた。

だけど、責めて彼にもう一度、セレナが生きている姿を見せて欲しい。私の願いはそれだけだった。

 

私には『英雄』達が入ってるカードケースを握っている。

だが、彼等は全員…元を正せば無頼の元に就いてる『英雄』達だ。

 

保護者役のエギルさんとタケシさん。

以前、『現界ブースターα』で出現させた鬼道ににゃん太、それにバーサーカー2体。

馬鹿力が取り柄の女の子・ヨルムンガンドと、

馬鹿魔力の多さが特徴のミソラ・ホイットテールと成瀬澪。

灼熱の炎剣を持つ皇女、ステラ・ヴァーミリオン。

ステラとはまた違う炎の剣を使う少年・アリババ。

黒い機体を纏う少女・鳳鈴音。

妖精女王の名を持つ魔導士・エルザ。

エルザとは違う素質を持つ魔導師・はやてとヴィータ、シャマルにザフィーラ。

そんな彼女達の部下・ティアナ。

ドリル状の剣を持つ男・ハガン。

拳銃を使った格闘術が得意な里見。

詰替用のブレードを装着しているミカサ。

 

他にも様々な『英雄』達が存在しているが、その中でも彼…無頼が初めて出会った『英雄』だけは異質だった。

 

【無の英雄 ギンジ】

やりたいことも無く、全てに無関心で無為な日々を過ごしていた青年。

そんな彼と波長が合ったのか如何かは定かじゃないけど、少なくても彼…無頼の側に片時も離れなかった存在だ。

 

そんな彼…ギンジはただ1人、カプセルの中にいる自分の相棒に目を通していた。

 

「…何時まで…こんな事しなくちゃいけないんだろうな…」

 

「…」

 

ギンジの台詞を聞いた私はそのまま黙り込んでしまった。

あの時、私が速く彼を見つけたので、彼の生命は取り留めている。

けど、あと1秒でも速く彼を見つけていたら、それだけで彼は早くに目を覚ましていたのかもしれない…

私はその事で苦悩していた。

 

「…別にお前を責めてるわけじゃねぇ。寧ろ零を見つけて救ってくれた事に俺は感謝の言葉しか思い浮かばないんだよ」

 

そう言いながら、彼は話を始めた。

 

「俺が彼奴のパートナー『英雄』なのに…俺は何も出来なかった。

悔しいんだ…相棒を助けたかったのに、何も出来なかった自分に…」

 

そう言いながら彼は力いっぱいに自分の拳を握り締める。

その際に、ポタポタと血が流れ始めた。尋常じゃない後悔が滲み出ていたのであった。それを見た私はそのまま俯いてしまった…

 

 

ーーーーーーNO SIDE

そんな中、調や と切歌がクリスに向けて宣戦布告をし、ステージに立って、歌を歌った。

 

(挿入歌『ORBITAL BEAT』南條愛乃,茅野愛衣ver.)

 

そんな歌を聞いていた皆も真剣にその歌に感化していた。

それは、『ツヴァイウイング』の曲でもあったから。

それを聞いた翼と響は目を見開いていたのであった。

 

すると憑歌と名乗った女の子は急いでその場を後にした。

その様子を見ていた未来は響達に「手洗い行ってくるね」と言うと、響達はそのまま頷き、そして未来は急いでその憑歌の元へと急ぐ。

 

 

ーーーーーーSIDEto未来

 

あの子…憑歌ちゃんの様子が変だった。

何かを隠しているかのように。

 

すると私は咄嗟に壁の方へと体を寄せた。

その視線の先には憑歌ちゃんがいたから。

 

すると彼女は誰も見られていない事を分かったのか、左腕を前に出すと、即座に彼女の周りからポリゴンのような形をした光を発した。

そしてその姿を見た私は驚愕し、思わず口から声が出そうになり、慌てて塞いだ。そこに居たのは…憑友だった。

先程の少女…憑歌ちゃんの正体が、憑友だった。

 

「ふぅ……隠れてないで出てきてくれ」

 

⁈バレてる…⁉︎

でも…行って聞きたい!

如何やって、あの人達から抜け出せたのかを。

 

「…憑友…」

 

私は決意を固め、憑友の所へと歩み始めた。

 

ーーーーーーNO SIDE

憑友はその時、既に後ろから誰かが後を追っている事に気づいていた。

だが、何故人目の付かない所でキリトの能力を解除したのか。

そう疑問に思っている者がいるかもしれないが実は…

ただ単に、エネルギーの問題であった。

能力を使う度に憑友の生命エネルギーは消費されていくのである。

 

生命エネルギー…憑友にとってそれは、『生命』に関するものだった。

 

故に、彼は使い続ける度に自身の身体がまるで毒に侵されるかのような激痛を走っていたのだ。

先程歌を歌っていたが、それでも生命の消費は免れていない。

そんな中で憑友は歌を歌っていたのだ。

凄まじい程の耐久力である。

 

そんな中、憑友は後ろを振り返るとそこには自分の幼馴染である未来がそこに居た。

 

「未来…」

 

「憑友…良かった。無事だったんだね」

 

そう言いながら彼の元へと来る未来。

だが、彼はそのまま手を前に出した。待ったの合図で。

 

「憑友?」

 

「…ごめん。未来…俺はまだ帰れない。2人の所に」

 

「…如何して?」

 

憑友の発言を聞いた未来はしばし困惑する。

憑友も憑友で、何か言いたい事を言いたかったようだが、

 

「…」

 

自分の今の立場では如何する事も出来ず、俯いてしまった。

だが、そんな憑友を見たのか、未来は彼の手を握った。

 

「…!」

 

すると未来は彼の手を握ったまま話を続けた。

 

「何も言えないのならそれで良い。

だけど、必ず話せる機会があれば、必ず話してね♪」

 

そう言いながら最後に未来は憑友に暖かい笑顔を見せつけた。

それを見た憑友は顔を赤く染めつつも、「…ああ。必ず!」と約束したのであった。

 

そうしているとライドから通信が入ってきた。

憑友はそれを見た。相手はナスターシャだった。

 

「もしもし…はい。…はい…了解したマム。必ず連れて帰る…」

 

そういうと憑友が電話を切ると、未来は憑友がなにかしようとしているのかが分かったのか、先程まで握っていた手を離した。

 

「…今度は元気になって帰ってくるから…!」

 

「…気を付けてね!」

 

「ああ…!」

 

そう言うと憑友は急いでかけ走って去って行った。その際にまたポリゴンのような形をした光に包まれ、またあの少女の姿へと変わっていった。

 

「(元気になって帰ってくる…

まさか、憑友には誰にも言っていない事を隠しているのかもしれない。

…今度、弦十郎さんに聞いてみないと…)」

 

そう思った未来は響達の元へと向かって行った。

 

 

未来に正体がバレたものの、未来の心の器の大きさに涙を零しながら、憑歌いや憑友は走っていた。

また、未来に嘘をついてしまったから。

 

ーーーーーー

一方、今から数分前の事。

武装組織『フィーネ』のアジトを見つけた米国軍はそのまま倉庫内へと突入していた。

 

そんな様子を遠くの電柱の上で偵察もとい高みの見物している者在りけり。

 

 

「…」

 

名はロック・アイル・ユキネ…雪音クリスの義理の兄である。

 

そんなロックの隣には、彼のパートナー『英雄』である存在…アーチャーがいた。

 

「此処に奴がいるのか?」

 

「…分からない」

 

「なに?」

 

アーチャーの質問に対し、ロックは不明と答える。

 

「あの時は咄嗟の判断でやっただけだ。座標ではこの廃れた倉庫の中を位置しているが、そこに憑友がいるとは限らない。空中を飛行中なら分かるのだが…」

 

「…地上に降りてしまえば骨折り損になり兼ねないか…」

 

そうアーチャーに示唆されたロックはそのまま頷いた。

その時だった!

 

 

 

ドガァァァ‼︎

 

「「‼︎」」

 

突然の爆発を聞いたロックとアーチャー。

アーチャーは魂をカードにして、ロックの右腰についてるカードケースへと戻る。

すると、倉庫から黒煙が空へと昇りはじめたのだ!

ロックは中で何が起こっているのか気がかりになっていると…

 

「凄い音がしたのって此処?」

 

「!」

 

なんとその場に野球少年達が来たのだ!

するとそんな野球少年達の会話の時に、1人の兵士がノイズに襲われた…!

それを見たロックは更にその後にやって来た存在に見開いた。

 

それは、先日廃病棟にて存在が確認されたウェル博士だった。

 

するとロックのカードケースから1人の青年が具現化した。

黒髪で、紫に近いピンクのマントを羽織った青い服を着用している青年だった。

 

「ちっ!…彼奴!あの子達に仕掛けようとしてる!」

 

「⁉︎リオン!行くぞ!」

 

「ああ!」

 

そう言うと青年…リオンはカードになり、ロックはすかさずアブソーバーを左腕に装着し、リオンのカードを装填、そしてレバーを引いた!

それと同時に、ウェルが手に持っていた『ソロモンの杖』からノイズ達が現れ、野球少年達に襲いかかる!

 

 

ーソウル!フォーム、リオン!

ランド・ザ・ソーディアン!運命の闇!ー

 

ーーーーーーSIDEtoウェル

 

こんな所にやって来るとは…行儀のなっていない子供達ですね。

さっさと、帰りなさい…永遠にね!

 

さぁ!行きなさい!ノイズ‼︎

 

『○☆□○☆□‼︎』

 

「「「うわぁぁぁぁぁ‼︎」」」

 

ははは…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャキィン…!

 

 

 

ジャキィン…!

 

 

ジャキィンジャキィン‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

ははは…は?

 

「「「…!」」」

 

「…此処から早く逃げろ!ノイズは俺が食い止める!」

 

そう言うと少年達は逃走した。

そして私の前に現れたのは、青い服、ピンクのマントを羽織った、黒髪姿で、両手に片手剣と短刀を持った戦士がそこにいた。

そして何よりも…左腕に、アブソーバーが付けられていた…!

 

 

「…」ギロッ‼︎

 

 

⁉︎な、な、な、何故貴様が此処にいる⁈

 

 

 

 

 

「…Dr.ウェル。

…俺は今…

 

 

 

 

 

逆鱗に触れられて、苛立ってるんだよーー‼︎」

 

ロック・アイル・ユキネ…!

何故貴様が此処に⁈

 

そう思ってると、ロックは以前、廃病棟の時に使用したカードをアブソーバーに装填した!

するとアブソーバーが装着を解除するとそれを持ち、前方に向けると上,右,下,左の順に動かすと、そのまま上の方にアブソーバーを動かした!

 

ーアブソーバー・スパーク!ー

 

「海の怒り…思い知れ!」

 

そう言うとスパークと呼ばれたアイテムと、アブソーバーをドッキングさせて、アブソーバーのパネルボタンを押した!

 

ーソウル!フォーム、アグル‼︎ー

 

するとそのままロックは上へとドッキングさせたスパークを掲げた…!

 

「アグルーー‼︎」

 

ー地球の光!海の巨人!ー

 

くっ!なんて光なんだ⁉︎

 

ーーーーーーNO SIDE

そうして光が収まり、ウェルは顔を向けるとそこには、

 

青い身体、鉄のような仮面を付け、そして、互角形の形をしていながら、その中に逆三角形の形を青白い光が胸に付いている戦士が立っていた。

 

 

海の力を宿せし光の巨人…『ウルトラマンアグル』

 

地球の光の1つ『海の力』を体現化させた戦士に、ロックは変身したのだ。

 

するとアグルに変身したロックは右手を前に出し、挑発の構えをとった。

 

「…掛かって来い」

 

そう言いながら、挑発を仕掛けるロック。

挑発と言う行為はロックはするタイプでは無い。

したとしても、それは自身が怒りに満ち溢れている時にしかしないのだ…

 

とどのつまり…

 

今の彼は猛烈に激怒していたのであった…!

 

まさに…『大海の逆鱗』の如く…!




次回

為すべき事


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#13 為すべき事

このままレッツゴー…


一方、ウェル博士と『ウルトラマンアグル』に扮したロックが戦闘を開始していた時、ナスターシャは憑友達に自分達の居場所が突き止められた、所定のポイントにて合流すると示唆された。

それをステージ上にいた調と切歌、観客席に居座っていた陰陽兄弟、

そして未来と話をしていた憑友はその話を聞いた。

 

そして道中で彼等5人は再会し、そのまま入口である門の方へと向かうも、其処へイベントで使用したであろう大道具を運ぶリディアン生徒に阻まれてしまった。

そして漸くと思ったのも束の間だった。

彼等の全方には翼が先回りし、

そして後ろからはクリスと響が行く手を阻ませた。

 

調は今の状況を打開しようと何かを言おうとしたら、憑歌によって止められた。

 

「…貴方も『フィーネ』のメンバーなのか?」

 

「…ええ。…と言っても、僕はこの子達のお守りですけど」

 

そう言いながら、憑歌は今の状況を考えていた。

早くこの子達をナスターシャの所へ先に行かせるように。

 

「…」

 

そんな中、響だけが、憑歌に違和感を持っていた。

 

「詳しい話をして貰えないだろうか?」

 

「…それを言った所で、信じてくれるとは思えませんけどね。

其処にいる立花響(超が付く程のお人好し)以外はね」

 

「え?」

 

突然、自分の事だと思った響は驚いた。

その隙を憑歌は見逃さなかった。

 

トンッ!

 

そうすると、憑歌は調達の背中にくるりと回り、手で彼女達を押した。

あまりの行動に驚く皆。

しかし、憑歌の目を見た調はそのまま切歌の手を握って、この場を後にした。

 

「…2人の事を頼む」

 

「…分かった」「…帰って来いよ」

 

そう言うと2人の少年達もその後を追った。

それを見届けた憑歌に声がかかる。

 

「如何して…?

なんで私の事を知ってるの?」

 

響が憑歌に向かってそう言うと、響の胸ポケットから1枚のカードが現れ、光を帯び始めた!

すると見る見ると姿が変わると、手の平サイズの妖精になった!

すると妖精を見た憑歌は冷や汗を掻き始めた。

 

すると妖精…ユイちゃんが憑歌の事をこう呼んだ。

 

「パパの力を使ったんですね…

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()」と…

 

 

そのユイちゃんの質問を聞いた3人は驚愕した。

何故なら、今目の前にいる髪の長い女の子が、憑友だと言われたから。

 

ーーーーーーSIDEto響

 

目の前にいる憑歌ちゃんが…憑友?

…嘘はついちゃいけないよ…ユイちゃん!

 

「私は本当の事しか言いません。

如何してパパの『GGO』の時の姿で、皆さんの前に現れたんですか?」

 

「…」

 

ユイちゃんの質問に憑歌ちゃんは黙り込んだ。

それって…本当の事なの…?

 

「それに、パパの苗字『桐ヶ谷』も使用しています。

『桐ヶ谷』と言う姓名はそう簡単にはいません。

私がその姓名で聞いた事のある人達は、パパとリーファさんと、パパの方のおじいちゃんとおばあちゃんだけです!」

 

…それだけしかいないとなると…結構ヤバいよね⁉︎

でも、リーファ?誰の事なんだろ?

 

「…為す為に」

 

え?

 

「…為すべき事を成すまで、僕はううん…俺はまだ響達の元には帰れない…ごめん…」

 

そう言うとそのまま走って、学校から出て行ってしまった!

 

如何してなの…憑友…!

 

そんな私の心の叫びに答えてくれる者はいなかった…

 

翼さんやクリスちゃんが何か言っていたような気がするけど、今の私には何も耳に聞こえていなかった…

 

 

ーーーーーーSIDEto憑歌(改め)憑友

ユイちゃんの所為で、正体がバレてしまった。

そして、響に心の傷を付けてしまった…

 

大切な幼馴染なのに、傷を付けてしまった。

これじゃ、以前の未来と全く同じ事をしているようなものだ。

だけど…今の俺には、響達の手を借りる訳にはいかないんだ…

 

もう1ヶ月(ひとつき)を切った…

俺の残りの生命時間は672時間…日数に例えると28日。

…つまりはあと4週間しかこの場に留められない。

 

それに、俺が《炎魂導師》になればなる程…俺の身体全体に毒が回り込んでくる。

 

()()()()()』と言う名の猛毒に。

 

神様は俺をこの世界で2年と半年の間に、9つの『英雄石板』を探すように言い渡された。

翼さんが神様と出会ったおかげ(無印編 第27話参照)で、探す石板のヒントを手に入れたけれど…

 

《ルナアタック》の時と《四英雄事変》の際に変身し過ぎた所為で、俺の身体にその毒が回り始めた。

 

2年半の活動エネルギーを消費し過ぎると、自分の身体が悪霊になると言っていた。

 

それはつまり、残りの生命時間があっても、活動エネルギーが無い。

故に、列車での護衛任務の際に、エネルギーを響にすべて託したんだ。

エネルギーを溜める事が困難になっていた俺だが、相手にそのエネルギーを渡す事は可能だった。

それ故に響にエネルギーを譲渡する事が出来たのだ。

 

…話を戻そう…キリが無い。

もう1ヶ月を切ったこの肉体も、後はこうしてのんびりとした時間しか設けられていない。

 

もう二度と響達と一緒に戦えない…

 

辛いけれど…

 

 

 

ごめん…響…

 

そう心の中で言いながら、俺はリディアンから離れて行った。

 

 

ーーーーーー

その後、調達との合流ポイントに来た俺が見たのは、

激しい疲労に見舞われているマリアと、白衣に斬られた跡が所々に出ているDr.ウェルの姿がいた。

何事かと一緒に居たであろう存在…ナスターシャさんに聞いた所によると、

米国政府が自分達の居場所を突き止めただけではなく、

ロックがその場にやって来て、ウェル操るノイズと交戦を繰り広げたそうだ。

その際に、ウェルは濃いめの青い身体で胸元に青いクリスタルをしていたそうだ。そのクリスタルは変身してから2分で赤の点滅へと変わったと言っていた…

恐らくロックは『四英雄』の一角"『光の巨人 』"の力を使ったんだろう。それも、『海』の力を宿した戦士"アグル"の力で戦ったんだろう。

そういう事なら、ウェルのボロボロの白衣にも説明が付く。アグルは光の剣を作れるのが特徴だ…斬撃も得意分野だから。

青い身体の『光の戦士』は他にも存在する…

 

『慈愛の勇者』コスモス

『光の国の研究員』ヒカリ

 

他にもウルトラマンの故郷には多くの青い身体の『光の戦士』が多くいる…

状況に合わせて能力を変える《タイプチェンジ》や《モードチェンジ》も含むのならば、

 

『宇宙開拓の英雄』ダイナの"ミラクルタイプ"

『英雄の息子』ゼロの"ルナミラクルゼロ"

『絆の戦士』ネクサスの"ジュネッスブルー"

『地底の守護神』ビクトリーの"ビクトリーナイト"

 

この4人も青の戦士としてカウントされるだろう。

その中でも、アグルは()()()()青いウルトラマン達の先駆けだと霊風先輩が言っていたな。

え?ダイナが先なんじゃ無いのか?いや、そもそもティガは?

前者はさっき言ったでしょ?

後者は…あれは青じゃなくて、紫…だよね?

 

 

と、そんな戯言はこの際、置いておこう。

そうしていると、話が纏ったようで、俺は何も言わずに元の牢屋の方に戻ろうとすると、突然俺の裾が掴まれた。

俺はそのまま裾の方に振り向くと、そこには調と切歌が俺を止めていた。

 

「如何して、私達を逃す手助けをしたんデスか⁉︎」

 

「…あの時、私達をそのまま連行する方が最善の筈…何で?」

 

ああ…そう言う事か。なら、答えは既に出尽くしている。

 

「…どうせなら、最後は裏切られて、最後は仲間の手の中で逝きたいから」

 

「…!」

 

 

 

 

パシンッ‼︎

 

 

 

 

⁉︎

 

「な⁈」「⁈」「調⁈」

 

「‼︎」「ほう…」「し、調⁈」

 

 

 

ビンタ…なんで…

 

 

「…自分自身の命…粗末にしないで‼︎」

 

そう言うと調はそのまま部屋から飛び出した。

それを見た切歌達はそんな調に動揺しつつも、調の後を追っていった。

 

…頬が赤くて痛い…ビンタなのに…心が痛かった…

 

「…ごめんなさい。調…普段はあんな事しない性格だから」

 

「…知ってる。彼女達と話をした時も、基本的に大人しそうな性格だったから」

 

そう言いながら、マリアが先程の調の行為を代わりに謝罪してきた。

だけど、俺はもう…誰も救えないのかもしれない。

そう言うとマリアも切歌達の後を追って行った。

…さっきのビンタ…やはりまだ胸に突き刺さったようだ…さっきから力が出ない…怒る力なんか全く無かった…

 

「…先程の調の行為で取り乱してしまいましたが…

憑友…貴方に渡しておきたい物があります。私の部屋に来なさい」

 

そう言うとナスターシャは電動車椅子を使って、俺を呼びかけた。

俺はそれを聞くと、そのままナスターシャの部屋へと案内された。

 

数々の電子機器に無数のディスプレイが展開されている中、

その一角にある物を俺は見た。そこにあったのは…義腕だった。

ただ、右腕の部分しかなかった。それに、やけにリアル感が半端じゃなかった。

そしてもう1つは剣が取り付けられたグリップだった。

その剣の形は俺の師匠であるキリトさんの左手用の剣"ダークリパルサー"と形がよく似ていたが、色合いが赤みの橙色と黒で構成されていた。

 

するとナスターシャは自らの手で、その義腕を取り、俺に説明をし始めた。

 

「これは貴方の生命エネルギーを活動エネルギーとして活用するものです。非戦闘の時はそのエネルギー変換の機能はロックがかかります。戦闘時のみ、その変換機能が発揮され、右手首から《刺突刃》のように、剣先が出る仕様に組み入れました。

貴方専用に調整を施しましたので、拒絶反応は恐らく無いでしょう。

 

但し、これを使い続けると、貴方の身体は完全に消滅します。

活動エネルギーとして使えるとは言え、結局は貴方の生命を喰らう物です。

 

使うかどうかは貴方次第です」

 

…そうか。それだけでもありがたい。

俺もようやくまともな戦闘が出来ると言う事か。

 

「…俺に戦う力を戻してくれるなら…俺はそれを受け取って、戦う。

皆んなを守る為に…」

 

「…そうですか…」

 

俺の発言の意味はYES…つまり、義腕を受け取る事にした。

その理由を聞いたナスターシャは酷く落ち込んでいた。辛い気持ちは分からなくは無い。だけど、これは俺が生きた道なんだ…最後の最後まで戦場で戦いたい。大切な人の背中を守る為に…大切な人の隣に立つ為に。

 

 

…決めた。決行しょう…

(兄弟子)(妹弟子)

 

お互いの事を理解するには…

 

 

この拳で分かり合う為に…!

そう思った俺はそのまま自分の右腕を消去させ、そしてそのまま右腕を身体に取り付けた。

手の感触がある…しかも、腕自体が軽い。まるで本物みたいだ。

 

 

「…そして、これは貴方に」

 

そう言うとナスターシャさんから先程の義腕の所にあった剣を持ってきた。

 

「これは貴方と共にいた『英雄』キリトが持つ剣"ダークリパルサー"のデータを基に貴方用に改良を重ねた手の甲の剣と書いて…

 

《手甲剣》と呼ばれる武器の1つ…

 

『手甲剣"Dフレアリパルサー"』と言います」

 

Dフレアリパルサー…

フレアは『熱』、リパルサーは確かキリトさんの武器では、『祓うモノ』と言う…

直訳するなら…『熱を祓いし物』と言う事か。

でも、"D"ってなんだ?

そんな疑問を察したのか、ナスターシャさんが話をしてきた。

 

「Dとは『闇,暗黒』と言う意味を表す…"Dark"の頭文字(イニシャル)です。

フレアは『熱』、そしてリパルサーは『英雄』キリトの武器になぞられて、『祓うモノ』。

そのまま直訳するなら…

 

『悪しき闇を纏いし熱を祓う物』と言う意味が込められているのです」

 

『悪しき闇を纏いし熱を祓う物』…悪くは無いな。

 

「これは剣の持ち手の部分にグリップが付いた形になっていますが、剣とグリップの脱着も可能。

更に連結させる事で、逆手持ち,順手,腕盾剣(アームシルード)の形態が可能です」

 

逆手,順手,手甲剣…コレは恐らく攻撃時の際に使用する事が多いか。

でも…

「アームシルードって?」

 

そんな言葉は聞いた事が無い。どんな物なんだ?

 

「アームシルード…

『腕』に付く『盾』の役目を持つ『剣』と言う意味を表しています。

…要するに、盾の役目を果たす剣の形態と言う事です。

言い換えるなら、"剣自体が盾の役目になる"と言う事です」

 

…成る程…

 

攻撃は最大の防御と言うが、まさか本当にそうなるとはな…。

 

(攻撃)盾役(最大の防御)になるなんて。

 

「貴方にしてあげられるのがこれだけと言うのが非常に辛いだけです」

 

「…ナスターシャさん…」

 

そんなにも悲しい顔をしないで欲しい。

俺はもう充分生きてきたんだ。

名残はあるけど、でも…それが俺の人生だから。

 

「…今日はゆっくりお休みなさい」

 

そしてナスターシャは俺の事を察したのか、俺にそう言うと、そのまま部屋を後にした。

そのまま牢屋に帰ろうとした時、俺はふと何かを感じ、ナスターシャがいた場所を見た。

 

其処には血の跡があった。匂いもまさにそれそのものだった。

 

…まさか、ナスターシャ博士は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死期が迫って来ている…?




次回

響の大特訓‼︎


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#14 響の大特訓‼︎

と言う訳で響ちゃんの修行回開始!


憑友と再会したのも束の間、憑友は『フィーネ』の元へと行ってしまった。

その後、響はなんとか無事にいつも通りの生活を送っていた。

だが、このままだと何も出来ない…そう感じた響。

 

「(このまま、憑友に縋り続けるのは良くない…

なら、やる事はただ1つ!)」

 

そう言うと響は制服姿に着替える。

すると、その着替える時に、未来が起きてきた。

 

「響…」

 

「!…未来。

…ちょぉぉ〜と、修行して来るね♪

大丈夫!私は1人じゃない!未来がいつも傍に居てくれてるから!」

「…うん。ちゃんと帰って来てね」

 

そう未来が言い残すと、響は未来に笑顔を見せて、そのまま玄関を開け、出て行った。

 

「…憑友と一緒に帰って来てね」

 

そう未来が言うが、その返事に答える物はいなかった。

 

ーーーーーー

さて、そんな響はと言うと、現在…

 

「お願いします‼︎」

 

「いきなり過ぎだろ⁈ってか、頭上げろ⁉︎土下座するな⁉︎」

 

「しかし、なんでまた…?」

 

二課の保持する仮設本部の潜水艦にて、霊風とロックに対して土下座をしていたのだ。

はなから見れば、霊風とロックに何かされたんだなと思ってしまうような感じだが、2人の言動を見るとそうでは無いらしい。

 

実は2人は今日は朝早くから出現したノイズ達を迎撃していたのだ。

それもまた新たな『特異型』が発見されたので、2人でそれを回収していたのだ。

 

『特異型ノイズ』

《認定特異災害"ノイズ"》の中で、この世界にとっての国宝クラスの世界遺産『英雄石板』を取り込んだノイズの総称。又の名を『特異型』とも呼ばれている。

取り込んだノイズ達は、近代兵器でも倒せる事は倒せるのだが、

倒したら、『英雄石板』に傷が付いてしまうのである。

だが、《精魂導師》と呼ばれる物達はそれを取り除く力を所持している。

その力を使えば、『特異型』は普通のノイズに戻り、あとは自分達の手で倒せると言うのだ。

 

そんな『特異型』から石板を回収した2人はそのまま この二課の中で唯一、その解析が出来る存在にして、《ツヴァイウイング》は翼のパートナー・奏のところに預け、そして疲れを取ろうと寝室に向かおうとした際に、響と出会った。

そしていきなり廊下のど真ん中で土下座をして、今に至るのである。

 

すると響は顔を上げて、2人に向けてこう言い放った。

 

「私、このままだと憑友と共に戦えない!

だから、憑友と共に戦っている2人に修行を付けて貰いたいんです!」

 

「…霊風。この馬鹿は本当にやるつもりなのか?」

 

「…この態度…

マジでガチで、マジガチもんだな…」(ーー;)

 

響の決意の固さに霊風とロックは如何したものかと思った。

すると、そんな微妙な会話な空気の中、

 

「…やらせるだけやらせてみればいい」

 

「うぉっ⁉︎エルエルフ⁈」

 

なんと突如として、霊風の元に就いてる『英雄』エルエルフが現れた。それに気付いた霊風は何処ぞのギャグマンガのようなポーズをして、驚いた。

 

(この女)は格闘の能力が高い。ならば、近接戦で発揮する奴等を集めれば良いだけの事だ」

 

「…対象は?」

 

エルエルフの説明を聞いた一同。代表として、ロックがそれに該当する者達が誰なのかをエルエルフに問う。

そしてエルエルフは以下の名前を言った。

 

「ナツ,アカネ,サトシ,ヴィヴィオ,司波達也,黒曜イズナ,バン,円堂,ジュード,そして俺の10名が此奴の面倒を見る。

その方が効率が良い」

 

「お、おう…」

 

そう言うと霊風は、ジュードと円堂とエルエルフ自身のカードを、

ロックは、達也とイズナとバンのカードをエルエルフに渡した。

響は憑友のカードケースからナツ,アカネ,サトシ,ヴィヴィオのカードを取り出し、残りのカード入りケースは霊風に渡した。

するとエルエルフはそのままついて来いと示唆してきたので、響はそのまま彼の後について行く事にした。

 

「…大丈夫かな…響ちゃん…」(ーー;)

 

「…大丈夫だろう。弦十郎(おっさん)を師にしている奴だ。そう簡単には…」

 

2人の会話が弾もうとしたその時だった…

 

「ぎゃぁぁぁぁ⁉︎

ぐほぉぉぉぉ⁉︎ぐへぇぇぇぇ⁉︎

なんでぇぇぇ⁉︎」

 

「「⁈」」

 

あまりのデカい叫び声に思わず2人は身震いした。

 

「「(大丈夫だろう…多分…)」」

 

2人は心の中で同時にそう呟いていたのである…。

 

 

ーーーーーーSIDEto響

つ、強すぎる…

 

「如何した?そんな程度で、憑友の隣に立とうだなんて、100年以上先になりそうだな」

 

私は今、エルエルフさんを相手に修行を付けて貰ってるんだけど…

正直に言うと強すぎる…!見た目とは裏腹過ぎるよ⁉︎

サバイバル術に長けた存在だとは言え、明らかに軍人クラスだよね⁉︎

 

「頑張れ〜」

 

ヴィヴィオちゃんに応援されてるけど、逆にプレッシャーを掛けられてるから⁉︎

 

「あはは…」f(^_^;)

 

「頑張ってくれ」

 

ジュードさんからは苦笑いされるし、達也さんに至っては普通に接しているけど…

 

「そんなんで憑友の隣に立つ事自体間違いなんだよ」

 

「俺達に勝てれば、彼奴の隣に立てるかもな!」

 

うぅ…。言い方が荒いよ、ナツさん。アカネさん。

 

「頑張れよ〜♪」

 

「…話にならん」

 

バンさんはお気楽過ぎ!イズナさんは冷た過ぎる⁈

 

「気合いだ!」「根性だ!」「ピカピカッチュウ!」

 

サトシさん,円堂さん,ピカチュウ(そこの2人と1匹)は暑苦しいよ⁉︎

 

 

…だけど、頑張る!

私は今度こそ…憑友を守る為に!

 

 

 

 

 

 

 

 




次回

決闘〜響VS憑友⁈〜


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#15 決闘〜響VS憑友⁈〜

今回はサブタイ通りの展開。
そしてラストで…

今回は憑友が『アドバンスフォース』を発動します!
そして気になる変身先は…⁉︎

そして何気に今回で投稿100回目…この数ヶ月でだよ⁈可笑しすぎるでしょ⁈

…と、それは置いといて、どうぞです。


ー荷電粒子砲『カ・ディンギル』(=元二課本部兼『リディアン』)跡地ー

 

かつて、フィーネが起こした"月を穿つ計画"《ルナアタック》が行われた場所。

其処に翼、響、クリス、奏、ロック、そして霊風はその場所へと赴いていた。

 

「決闘を臨む場としてはお誂え向きな場所と言うわけか…」

 

「…此処に憑友がいると言うのか?」

 

彼等が此処にいる理由は、1時間半前にやって来たノイズの出現パターンから、場所を特定した。

しかし、その場所がまさか、『リディアン』と『二課本部』がかつてあった場所と同時に出現させた荷電粒子砲…

『カ・ディンギル』の跡地であった事に驚愕していたのであった。

 

 

「分からねえ…けど、何を仕掛けてくるのか自体は予測済みだ!」

 

そう言いながら、頂上へと登る一行。

するとそんな彼等の前に2人のシルエットが見えた。

 

それを見た一同はその内の1人を見て、驚愕する。

 

「ウェル博士⁉︎」

 

「彼奴が…!」

 

「此処で貴方達の英雄譚もお終いですね」

 

そう言うと、ウェルは自ら所持している『ソロモンの杖』を起動させ、ノイズを発生させたのだ!

 

それを見た一同はそれぞれ変身する…!

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron…」

 

《シンフォギア》装者達からは代表として、響が聖詠を詠い…

 

「行っくぜぇぇぇ!」

「いざ!」

 

そう言うと2人は揃って、左腕に其々のアブソーバーを装着、そしてカードを装填し…

 

「「変身!」」

 

レバーを引いた!

 

ーソウル!フォーム、フォーマル!

お前らの魂、俺が頂く!ー

ースピリット!フォーム、オリジン!

精なる魂、私に刻め!ー

 

そう言うと2人は其々の姿に変身した。

その様子を見たウェルは自分の隣にいる存在に向けて話しかけた。

 

「…良いのですか?」

 

「喋るな。お前の吐いた空気を吸いたくない」

 

ウェルの返答に聞こえてきたのは男の声だった。

するとその者は真っ直ぐそのまま響の方へと間合いを詰め寄った!

 

「くっ!」

 

「立花⁉︎」「響ちゃん⁈」

 

響の緊急事態に、皆は一斉に響の方へと赴くが、ノイズ達がまるでこの先へは行かせないと、通せん坊をするかのように、道を塞いでいた!

 

「彼等の邪魔はしないで貰いたい」

 

「ちっ!性根が腐ってやがる!」

 

そう霊風が舌打ちしながらも、皆は周りのノイズを殲滅する事だけに集中した。

 

ーーーーーー

そんな中で、響は己が相対している男に違和感を感じまくっていた。

 

「(この感覚…)」

 

響は男の動作がどうにも自分と同じ…いや、それでもやはり違和感を感じていた。

 

「はっ!」

 

そう言うと男はいきなり"はっけい"を繰り出してきた!

その対応に響はそのまま真面に喰らった!

更に男はそのまま響に蹴り,殴打,頭突きにチョップ,投げにスイングなどを連続で繰り出して行く!

そのコンボに響はただ黙って受けようとは微塵も思っていない!

 

「はぁぁぁぁ!」

 

そう言うと、響は地面に拳をめり込ませた。そのおかげで、スイングのスピードが遅くなった。そして響はそのまま自らの脚を利用して、男の手をガッチリと絡ませる…!

 

「⁉︎」

 

するとなんと脚だけで、男を軽々と持ち上げ、そしてそのまま巴投げの様にして相手を投げた!

 

そして響は拳を引き抜くと、そのまま高速でダッシュすると、そのまま男にストレートをぶつけた!

 

「行っけぇぇぇ!」

 

そして其処から更にアッパーをぶつけたのだ!

 

ヴィヴィオの技"アクセルスマッシュ"を響は憶えたのだ!

 

「まだまだーー!」

 

そう言うと、響のアームドギア《GG(ガングニール)K(ナックル)》から火が噴き出して来たのだ‼︎

 

そしてそのまま男に向かって右手のストレートをぶっ放した!

その時に、響の右手が龍の様に見えた…

 

ナツの技"火竜の鉄拳"である…!

 

更にそのまま今度は左手の炎から放射状の炎を噴き出させ、男に襲いかかった!

 

アカネの技"メギド・フレイム"である…!

 

そうすると響は連続で先程のお返しとばかりに男に連続攻撃を仕掛けていく!

エルエルフのサバイバル術と達也の体術を組み合わせて出来た芸当だった!

 

その攻撃に対して、男は見切ったのか、攻撃を受ける瞬間にカウンターを繰り出すが、既に其処に響の姿はいなかった!

辺りを見渡すも、何処にもいない。

穴を掘った形跡も見当たらない。

だが、男はすぐにその答えに辿り着いたのか…上を見た。

 

「おうりゃぁぁ‼︎」

 

「…甘い」

 

そう言うと男はそのまま響が落ちてくるポイントから離れた。

すると響がそのポイントに着地と同時に、周りの地面が隆起した!

 

「…("フライングプレス"を応用したのか…)」

 

そう男は心の中で言うと、響の顔を見るなり、また戦闘態勢に入った。

 

そしてそのまま男は拳を響の顔面にぶつけようとした…だが!

 

「!」シュッ‼︎

 

ドガァッ!

 

「何⁉︎」

 

なんと響は瞬時に男の背後に回ってカウンターを入れたのだ!

 

実はこの戦い方をする存在に作者は心当たりがある。

 

 

ジュード・マティス…『人と精霊の架け橋になった青年』とも言われる存在だ。

そんなジュードには特殊な能力が備わっている。

これは、ジュードの世界と共に生きてる存在…ルドガーとミラも該当する事なんだが。

ルドガーの場合は、状況に応じて…〔双剣〕〔2丁拳銃〕〔ハンマー〕の三種類に分けて戦える『ウェポンシフト』と呼ばれる能力を持っていたり、

ミラは状況に応じて術の詠唱無しで放てる『魔技』と呼ばれる能力が使える。

 

…さて、本題のジュードは?と言うと…

敵の攻撃をバックステップで回避し、その敵の後ろに回り込む…

 

『集中回避』の能力を持っているのである。

 

つまり何が言いたいのかと言うと…

 

響はジュードの『集中回避』を会得しちゃった。と言う事である。

…?て事は…?

 

そう考え込んでいると、響は手の甲を地面擦れ擦れにまで接すると、其処からなんと衝撃波が放たれたのだ!

 

"魔神拳"

 

ジュードを始め、『テイルズ』シリーズの作品にて登場する『英雄』達…『テイルズ石板』に分類される者達の殆どが憶える技の一つである。

 

さて、此処でだが、少し話を逸らそう。

 

『英雄石板』には其々のシリーズがあり、転生者で『英雄』達の事を知ってる霊風の指示の下、分類される。

例えば…

 

アカネやアオト,ミドリのような〔聖なる扉《ディバインゲート》〕を目指す者達が関連する『ディバゲ石板』

 

士郎やセイバーのような〔聖杯戦争〕に関連する『fate石板』

 

レウスやラギア、オウガのような〔狩猟魂〕を宿している者達『モンハン石板』

 

キリトやシノン,ユイのような〔VRMMOによる死因〕に関連する『SAO石板』等、多岐に渡っている。

 

ナツやカナタのような"魔導士"達や、

なのはやフェイトのような"魔導師"達等、発音が同じでも、実際には少し違う存在には更に事細かく分類されているのである。

 

ジュードやルドガー,ミラは〔剣と魔法のRPG〕に関連する『テイルズ石板』として分類されているのである。

 

さて、話を戻すとしよう。

 

まさかの攻撃で男の身体が少し掠れた。その際に男が被っていた仮面に罅が入った!

 

それを見た響は攻撃を止めた。

その訳は…

 

「…如何して、こんな事しないといけないの…憑友…」

 

響が戦っていた男が…憑友だったから。

だが、男は自分の正体に気付かれたにも関わらず、そのまま右腕を軽く振る。

すると、シュッ!と腕から刃渡りが20cmくらいの剣が現れた。

 

更に今度は左腕を軽く振ると、其処から赤みの橙と黒の色合いを見せている刃が現れたのだ。

それを見た響は直ぐに警戒した。

その刹那…

 

 

ジャキィン!

 

「ぐっ⁈」

 

「…下らん」

 

瞬時に懐に入った憑友の斬撃で、響は吹っ飛ばされた!

 

更に其処から無数の斬撃に響は後ろに押し退けられていた。

 

「そんなんで、俺の隣に立とうと思っていたのか…?

…ガッカリだ…」

 

そう言うと憑友は左腕に付いてる手甲剣を逆手にして、十字型のマークが入ったカードを彼の左腕に装着されている愛機(アブソーバー)・ライドに装填した。

するとアブソーバーが左腕から離れると、そのまま手に持つと、

上,右,下,左に動かして前方に構えるとそのまま下にアブソーバーを動かした!

 

ーアブソーバー・コミューン!ー

 

すると憑友の髪が伸び、そのままアブソーバーと『アブソーバー・コミューン』と呼ばれたアイテムをドッキングさせた!

 

すると憑友はアブソーバーの液晶画面に出ているパネルボタンの内の一つを押した!

 

ーMax Heart!ー

 

すると其処から3人の女の子のアップ画面が現れた。

オレンジのショートの女の子、

黒髪ストレートの女の子、

そして黄色のツインテールの女の子の顔が有った。

 

憑友はその内、オレンジ髪の女の子のアップが描かれたパネルボタンを押して、そのまま上に掲げた!

 

ーライド!フォーム、キュアブラック!ー

 

すると憑友の服装が見る見ると変わっていく…!

 

黒が主体のコーデをした姿に…

そして、アブソーバーは左腰に装着された!

 

ー黒だ!浄化だ!光の使者!ー

 

「!何だよ…あれ…⁉︎」

 

それを見た奏はその様子に凝視した。

それに気付いた皆も響の方に視線を向けた。

それと同時に、皆は響と戦っていた相手に驚愕させられた。

 

「如何して…⁉︎」

「なんでだよ⁉︎」

「こんな事が有ると言うのか…⁉︎」

 

 

其々の声が飛び交う…

だが、その声に憑友は耳を貸さなかった。

 

「…始めるぞ…!」

 

そう言うと憑友はそのまま一気にジャンプするやそのまま響に格闘攻撃を繰り広げる…!

 

その怒涛の猛攻に響は悪戦苦闘を強いられる…!

するとそのまま憑友は一気に懐に入るやそのまま響の手を掴み、空へと投げ飛ばした!

 

響はなんとか空中で姿勢制御をすると、そのまま着地した。

だが、既に憑友は元の姿に戻っており、アブソーバーとドッキングさせていた『アブソーバー・コミューン』は既に無くなっていた。

すると憑友はそのまま上にアブソーバーを掲げる!

 

ーアブソーバー・スパーク!ー

 

するとそのまま以前、霊風が使用したのと同じアイテム『アブソーバー・スパーク』を持つや、そのままライドアブソーバーとドッキングさせた。

 

すると憑友はアブソーバーのパネルボタンから一つを選択した。

 

ーライド!フォーム、ティガ!ー

 

そして憑友はスパークを前に構えると、そのまま腕を十字にクロスさせると陰陽を描くような動作をし、そしてスパークを上に掲げた!

すると、其処から赤,紫,銀のカラーリングをした鉄仮面の戦士が現れ、それを憑友が纏った!

 

ー光と闇!『3』つの顔!ー

 

そして現れたのは、金のプロテクターと、赤,紫,銀のカラーリングを施し、そして額に透明のクリスタルが嵌め込まれた鉄仮面に、

胸に楕円型の青いクリスタルが輝く戦士…

 

『超古代の光の巨人』ウルトラマンティガに変身した!

 

そうするとティガに扮した憑友は、そのまま腕を額のクリスタルの所でクロスさせた。

因みにクロスさせた際にクリスタルから、()()()()が発光していた。

 

「ン〜…ハァッ!」

 

その掛け声で、腕を下ろしながら開かせた。

 

 

すると、体の色が先程の三色トリコロールから、紫と銀のカラーリングを施したスマートな戦士に変わった!

 

ティガの能力《タイプチェンジ》の一つ、

 

空中戦及び速攻戦仕様の『スカイタイプ』に変わった!

 

すると憑友はそのまま腕を上に出すと同時に空を飛んだ!

 

響は視線をその方に動かすが、その動きに目が追いつけて居なかった。

当然だ。スカイタイプは、ティガのタイプの中で、1番のスピードを誇るタイプ。

 

するとティガに扮した憑友は右手を左腰に添えると同時に、右手から光線を放った!

響はその攻撃を避けようとしたが、既に遅し。

 

「⁉︎凍ってる⁈」

 

なんと、響の足が凍り付いたのだ!

スカイタイプの技"ティガフリーザー"が炸裂した!

 

「ハァッ‼︎」

 

すると其処を憑友はそのまま上空から響に向かってキックをぶつけた。

 

"ティガ・スカイキック"である。

 

その攻撃をまともに食らった響は意識が持っていかされそうになるが、踏みとどまり、逆に意地と根性で脚の周りの氷を粉砕させた。

 

それを見た憑友は再び額のクリスタルの所で腕をクロスさせた。その際に今度はクリスタルから赤い光が発光した。

 

「ン〜…ハァッ‼︎」

 

すると今度は紫のスマートな体から、赤くてゴツい体へと変わった!

 

ティガのもう一つの姿…

格闘戦と水中戦が得意な姿『パワータイプ』へと変わった!

 

そうすると2人は一気に間合いを詰め、白熱の攻防を繰り広げ始めた!

 

響の拳や蹴りが憑友の顔や身体のあちこちにヒットするならば、

憑友の拳や蹴りを響の腕や脚にヒットさせていく…!

 

「俺の隣に立とうとする事がそもそも行けないんだ!」

 

「如何して!私が憑友の隣に立ってちゃいけないの⁉︎」

 

激しい口論と共に、憑友の拳と響の拳がぶつかり合う…!

 

「お前には、未来を守り続けて欲しいんだよ!」

 

「それと今の状況は関係無いじゃん!」

 

「関係大有りだ!」

 

憑友の怒号に響は先程の威勢が完全に殺された。

 

「うぉぉぉ!」

 

そう言うとすかさず憑友は拳を振り上げた!

 

「!…はぁぁぁぁ!」

 

響もその行動を見て、瞬時に拳を構えた。

そして2人の拳がそのままクロスし、そのままパンチが…

 

 

ドガァァァ‼︎

 

…ヒットした…!

 

"クロスカウンターパンチ"

 

tその結果は…

 

「…如何して…なの…」

 

「…幼馴染に…手を…上げる…か…よ…」バタッ

 

 

響の拳がヒットし、憑友の拳は響には当たらなかった…

響の拳を食らった憑友はそのまま響にもたれかかるように姿勢を崩した。

その際に憑友の変身は強制解除された。

響はまさかの憑友の今の状態に顔を赤らめるが、それよりも今は憑友を取り返せた事に安堵した。

 

だが…

 

「立花‼︎」

 

翼の声が聞こえたので、響は憑友の無事を言おうとしたその時だった…

 

「後ろだ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガブリッ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…え?」

 

 

響は後ろを振り向くと、其処にはネフィリムがおり、

響の左腕を…食ったのだ。

 

「うう…うわぁぁぁぁぁ‼︎」

 

「…ひび…き…⁉︎」

 

突然の響の悲鳴により、憑友は目を覚ますが…自分の身体から異臭が放っていた。嗚咽を誘う臭い…身体から少しベタつく赤い液体に…。

 

…?赤い…液体…?

 

その液体に手を触れた憑友は、それを指の間で掬うとそのまま開かせ、そして気付いた。…これは"血液(ブラッド)"だと言う事に。

 

憑友は血液が何処から現れたのか辺りを見渡すと、目の前の響の左腕が忽然と無くなっている事に気が付いた。

そして後ろを振り向くと、其処には何かを吟味してる完全聖遺物《ネフィリム》がいた。そしてそのネフィリムの口元には、赤い液体が垂れていた。

 

「(まさか…響の左腕を…⁉︎)」

 

最悪の予測を立ててしまった憑友。

その瞬間、彼の中に眠りし引き金(トリガー)がプチンと切れた…

そしてその余波は近くにいた響にまで影響を受けた…!

 

 

「(…許さない…)」

 

 

 

 

ーティガダーク…!ー

 

 

 

「(許さない…!)…(ネフ)ィリムーーーー‼︎」

 

その瞬間に2人の周りに黒い霧がドーム状となりて形成していく…!

 

それを見ていた翼達はその光景に只々嫌な予感と共に2人を救出しようにも、その黒い霧から発せられる威圧感に足が竦んでしまっていた。

 

そして黒い霧が晴れ、中から現れたのは…

 

「グルルル…!」

 

以前、《デュランダル》を使用した際の暴走状態の響と、

 

「……」

 

全身が黒の身体をしたウルトラマンティガの()()()姿()

 

『ティガダーク』に扮した憑友が…其処にいた…!




『トリガードライヴ』
《精魂導師》に成れる者には少なくても一つ存在する感情の引き金。
発動時は、攻撃や耐久性等のパラメータが上がる代わり、怒りを露わになりやすく、感情的になりやすい。
《聖杯戦争》におけるクラススキル"狂化"と似た性質を持っている。
『F.I.S.』メンバーである陰陽兄弟は各1つ、
霊風,ロックは2つ所持している。
だが、憑友はそれを上回る…5個のトリガーを所持している。
(内訳
響,未来,逝都,馬燈と言う『幼馴染』の引き金。
玄也,ジャンヌ,ライド,セレナと言う『家族』の引き金。
霊風やロック,翼や奏,クリス,弦十郎等の『仲間』の引き金。
創世や弓美,詩織等の『クラスメイト』の引き金。
そしてキリトやナツ,なのは達『英雄』達への引き金。)

数が多ければ多い程、トリガーは発動しやすい分、エネルギーを消費しやすい。
今回の『暴走』へと繋がった最大の要因の1つはそれに該当するのである。

次回

月下に吼える『暴走』


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#16 月下に吼える『暴走』

前回は、

《カ・ディンギル》跡地に赴いた二課一行。
其処にはウェル博士と謎の戦士がいた。
謎の戦士は響と一対一(サシ)での勝負を仕掛けた。
その時に響は戦士の正体が憑友だと気付く。
そしてその攻防は響が勝利し、憑友を取り返せたのも束の間、
響の背後からネフィリムが響の左腕を食らったのだ。
其れを一瞬見た憑友が感情の引き金(トリガードライヴ)を反転発動し、そして現れたのは、
闇に堕ちたティガ『ティガダーク』に扮した憑友と、
暴走状態の響が其処にいたのだった…

と言う訳で投稿します。
今回は霊風とロックが力を合わせて戦います!


ーーーーーーSIDEtoロック

なんなんだ…あの姿は…⁉︎

かつて、《完全聖遺物"デュランダル"》を使用した時の立花の姿だ…

だが、それを除いたとしても…我がライバル、憑友のあの姿はなんなんだ⁈

『光の巨人』である存在、ティガが如何して『闇』を象徴する()()姿()になったんだ⁈

 

「…ちっ!『ティガダーク』かよ…厄介な事この上無いぜ…!」

 

ティガ…ダーク…?

「…知ってるのか?」

 

俺は霊風にそう問うと、霊風は頷くと同時に話し始めた。

 

「『ティガダーク』…ウルトラマンティガが『闇の力』を持った姿にして…

 

ティガの()()()姿()だ」

 

ティガの元々の姿?

 

「…要するに、ティガはかつては『闇の戦士』だったと言う事だ。

それよりも厄介なのは…その闇の力そのものだ」

 

闇の…力…?

 

「闇のティガは、途轍も無い程の力を秘めてる…

しかもおまけに、憑友の精神が安定していない。

不安定な状態で闇の力を酷使し続ければ…」

 

…その闇の力に…飲み込まれる⁈」

 

「そう言う事だ…行くぞ!」

 

そう言うと霊風は先行して、ティガダークに扮した憑友の元へと向かう…!俺も止めなくては…!

 

そんな中で、俺は気付かなかった…

憑友に気を取られ過ぎて、翼達がノイズに身動きを封じられている事に…!

 

「!…今助けて「あたい達の事より、あのバカ2人を止めろ‼︎」クリス⁈」

 

「あたい達をナメんなよ!ロック義兄!」

 

そう言いながら、威張るクリス。

…ふっ。イチイバルだけに、威張るとはな…!

 

…分かった。必ずあの2人を取り戻す…!

 

「!よせ!憑友!立花!」

 

⁉︎

 

俺は防人嬢が言い放った方向を見た。其処には、

 

「ウガァァァァ‼︎」

 

暴走状態の立花が、ネフィリムの攻撃を物ともせず、猛攻を繰り広げる様子があった…!

しかも、良く見てみれば…先程食われた筈の左腕が再生してるだと⁈

そしてその猛攻でネフィリムは空へと吹き飛ばされた…

 

「ハァッ‼︎」

 

「グォフォ⁈」

 

そんなネフィリムを相手に、ティガ扮する憑友が追い打ちを掛けていた…!

 

圧倒的すぎる…!

そうしていると、響がネフィリムの体内から奇妙な形をした何かを抉り取り、そして引き千切った…!

その行動で、ネフィリムは完全に機能を停止していた。

如何やら、さっきのは心臓のようだ。

そんな中でも、憑友の拳はネフィリムの身体を跡形も無くしようとしていた。

 

あんな姿を見せられたら…俺でも恐怖に狩られる…!

だけど…負ける訳には行かない!

憑友を元の姿に戻す為に…!

 

そう言うと俺はすかさず『アドバンスフォース』のカードを左腕に装着されているアブソーバーに装填し、レバーを引いた。

するとアブソーバーが左腕から離れ、そのまま左手に持つ。

その時に、霊風も同じ動作をした。

そして俺と霊風は即座に頷くと、そのまま…

上,右,下,左そして真ん中に持ってくるとそのまま同時に下に掲げた。

 

ーーアブソーバー・コミューン!ーー

 

 

すると、光の球が現れ、そのまま1つのアイテムになった。

そしてそれと同時に、俺と霊風の髪が少し伸びた。

 

「あの子達の力を使うぞ!」

 

「ああ!」

 

そう言うと俺と霊風は同時にそのアイテム…『アブソーバー・コミューン』とアブソーバーをドッキングさせた…!

するとアブソーバーの液晶画面から幾つものパネルボタンが現れた…!

俺と霊風は同時に同じ所のボタンを押した…!

 

ーーSplash☆Star‼︎ーー

 

すると其処に2人の女の子のアップが描かれたパネルボタンが有った。

俺はその内…左側の女の子を。

霊風は逆に、右側の女の子のパネルボタンを押した!

 

ーソウル!フォーム、キュアブルーム!ー

ースピリット!フォーム、キュアイーグレット!ー

 

そう発声音がすると俺と霊風はそのままアブソーバーを上に掲げた!

 

ー花鳥風月!花のブルーム!ー

 

ー花鳥風月!鳥のイーグレット!ー

 

そう言うと俺と霊風の姿が一瞬で変わった…

 

赤紫色の服をした俺の姿と、

白銀色の服を着た霊風の姿に。

 

俺と霊風はそのままアイコンタクトで、同時に憑友を相手にし始めた。

それに気付いた憑友はギリギリで回避すると、標的を俺と霊風に変えた。

そのまま憑友相手に2対1と言うあまり公平的に(フェア)とは言えない状況だが、それでも今の憑友を抑えるにはこれしか無い。

 

そう思いながら、俺達の動きで憑友は翻弄されていた。

 

そしてほぼ同じ位置に立った俺達。

すると霊風が俺に右手を出してきた。

 

「こう言うのはしたくは無いんだけど…浄化させるにはこれしか無いんだよ…」

 

その言葉で俺は察した。

 

『四英雄』の一角にして、『伝説の戦士"プリキュア"』は相手を倒す技を持ってはいない。

だけど、相手の闇を()()()()技なら数多く憶えている。

霊風がやりたい事に俺は感づいた。

 

「…奇遇だな。俺もそうだったから」

 

「…へ!なら、さっさと終わらせますか!」

 

「ああ!」

 

そう言うと俺と霊風は手を握った!

 

「大地の精霊よ!」「大空の精霊よ!」

 

俺達は言い放つ…彼女達の技の合図を…詠唱を…!

 

「プリキュアの力託されし俺達に!」

「奇跡の力を分け与え給え!」

 

すると俺達の手を握っていない方の手に力が収束され始めた…!

これで…決める!

 

『ソウル・キュアブルーム!』

『スピリット・キュアイーグレット!』

 

『『ユニゾン・フルドライブ‼︎』』

 

届けーーーー!

 

「「"ツイン・ストリーム・スプラッシュ‼︎"」」

 

「⁉︎」

 

スプラッシュスターの必殺浄化技・"ツイン・ストリーム・スプラッシュ"が、憑友にヒットした…!

 

…何?技名の前に何故『プリキュア』を付けないのかだと?

見た目は女の子でも、中身は男のままだ。…女の子だったらまだしも、男でそれを言うのには抵抗力が激しすぎる…と言うよりも、恥ずかしいのだ。それは勿論、霊風も一緒だ。

だが、憑友は平然と言っている辺り、彼奴は本当に何の隔たりが無いのだろうと思えてくるのだけど…と、そんな話は置いておいてだ。

 

技をくらったものの…やはりそう簡単には闇を取り除きれないらしい。

 

そう感じた俺は霊風の方に顔を向けた。

霊風もそれに同感していたようだ。

そこで俺達はアブソーバーと『アブソーバー・コミューン』を分離させると、そのまま後ろに『アブソーバー・コミューン』を放り投げた。

その瞬間に、『アブソーバー・コミューン』は光となって消滅した。

それと同時に俺達の姿は元の男の姿になった。

うん…やはりこの方が落ち着く。

 

そして俺達2人は左手に所持していたアブソーバーを同時に上に掲げた。

 

ーーアブソーバー・スパーク!ーー

 

すると俺達の所にスティック状のアイテムが現れ、そのままドッキングさせ、俺はアブソーバーに移し出されている液晶画面から以前変身した『アグル』よりも澄み渡る青空のような色合いの身体を持つ戦士のパネルボタンを押した。

 

ーソウル!フォーム、コスモス!ー

 

一方の霊風は

 

「お前がそれを選ぶなら…俺はこいつだ!」ポチッ

 

ースピリット!フォーム、ゼロ!ー

 

そう言うと俺達は其々の変身の構えをした。

俺はアブソーバー・スパークを顔の横まで持って来て、

霊風はスパークを顔の前に持って来させた…

 

「ジュアッ!」

 

「コスモース!」

 

そう言うと俺は天高くスパークを掲げ、霊風はスパークをそのまま目に覆い被せた。

それと同時に俺達の周りを光が包み込む…!

 

ー癒しの戦士!慈愛の勇者!ー

 

ー若き隊長!セブンの息子!ー

 

優しき光を生み出す『慈愛の勇者』ウルトラマンコスモスと、

熱い魂を持つ『超越の戦士』ウルトラマンゼロに…

俺と霊風はなった。

 

すると霊風はすかさず左手首に付けられていたブレスレット『サーガブレスレット』を叩いた!

すると霊風の周りから炎が揺蕩いながら、その身の色を変えた…!

その際に、エレキギターのような音が流れた。

 

「ストロングコロナ…ゼロ‼︎」

 

そう言うと霊風は猛ダッシュで、憑友に向かう…!

憑友はそのまま攻撃をするが、ゼロに扮した霊風に簡単に受け止められただけでは無く、そのままカウンターを食らい、体勢を崩された。

そして霊風は体勢が崩れた憑友を掴むと…

 

「ウルトラ…ハリケーン‼︎」

 

そう言うとそのまま憑友を上空へと飛ばした…!

すると霊風はまたブレスレットを叩く。すると今度は青き光が霊風の周りを包み込む…!

それと同時にハープのような音色が流れた。

 

「ルナミラクルゼロ…シュアッ!」

 

「ハァッ!」

 

上空へと飛ばされた憑友の所に俺と霊風は挟み撃ちになるようにして憑友の周りを飛ぶ。

 

「一気に決めるぞ!」「ああ!」

 

そう言うと俺は天に向けて手を上げ、そして胸の所まで持ってくる。するとそこから光が溢れてきた。

霊風はそのまま右手に光を集め、そして同時に放った…癒しの力を。

 

「フルムーンウェーブ…!」

 

「フルムーンレクト!」

 

「ジュアッ⁉︎」

 

双方向からの癒しの光を憑友は真面に浴びた。

先程の『プリキュア』の力も相まって、闇を浄化されてきている…

 

そして地面に着地と同時に、光が憑友を包み込み…

そして光が消えると共に其処には元のカラーリングとなったティガがいた。

そしてそれと同時に変身が強制解除され、憑友はそのまま膝からゆっくりと倒れた。

それを見た俺と霊風は変身を解除し、元の姿に戻り、憑友の様子を見た。

 

「zzz…zzz…」

 

如何やら、余程のエネルギーを持って行かれたのか、スヤスヤと眠っていた。

 

「ははは…。疲れ過ぎて眠っちまってやがるよ…ったく。こっちはお前を戻すのに精一杯だったのによ…」

 

全くだな…

…立花の方は如何したんだろうか…?

 

「響ちゃんは…ふっ。無事みたいだぜ?」

 

そう言いながら、指を指すと其処には防人嬢とクリスによって担げられ、気絶している立花が其処にいた。

…ん?確か、立花は左腕を食われた筈…なのに、何故元に戻ってるんだ?

 

「こりゃあヤバいかもしれないな…」

 

そう言いながら、霊風は憑友を担いだ。

俺も反対側の方の腕を持って、担いだ…なのに、なんなんだ…この感覚…

 

右腕がまるで機械のように冷たい…

 

憑友の身に何があったんだ…?

 

…だが、今はこの瞬間は喜びに浸ろう。

大切な仲間を取り戻せたのだから。

 

そう思いながら、俺達は二課の方へと戻って行った。




『アブソーバー・コミューン』
『プリキュア』の力を宿したアイテム。
アブソーバーとドッキングする事で、『プリキュア』の力を使えるが、『プリキュア』以外の力を使う事が出来ない。
その代わり、『プリキュア』のキャラなら自由に変身が可能になる。

例)
キュアブラック→セイバー✖︎(変身先が『プリキュア』では無い為)
キリト→キュアソード✖︎(変身前が男性の為,『アブソーバー・コミューン』を介していない為,変身元が『プリキュア』では無い為)
キュアルージュ→キュアサニー○(変身先(元)が『プリキュア』の為)

闇を浄化するのに特化している事と癒しの力を含んだ攻撃が得意。
因みに、使用する時は髪が伸び、声が女声になるが、憑友は全く持って変化なし(中ネタの為)

霊風
西川貴教→坂本真綾
ロック
宮野真守→栗林みな実

脳内イメージボイスではそう変わっているのでご了承下さい。

次回

君が君で…俺が俺で居られる間に


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#17 残酷な宣言/会合と罵声

すみません。
前回のあとがき…サブタイ詐欺になってしまいました。申し訳ございません。
しかも、次回もサブタイ詐欺です。本当に申し訳ございません。

それではどうぞ。
予め言っておきます…駄文デス。


憑友がティガダークになってから既に1週間が経とうとしていた。

 

そんな中で、霊風は病室にてずっと待機していた。

 

「…くそ…彼奴の先輩なのに…」

 

霊風は悔しさに浸っていた…

自分という存在がいながら、後輩である憑友を闇の底まで堕としてしまったのかを。

 

そんな様子を近くで見ていた少女…奏は落ち込んでいた。

奏もまた、響に自分のガングニール(かつての愛槍)を託した事への責任感に浸っていた。

 

「…此処に居たか」

 

そう2人が意気消沈していると、咄嗟の声が聞こえたので、2人は顔を上げた。

其処にいたのは、響と憑友の武道術の師匠にして、自分達が所属する二課の司令・弦十郎であった。

 

「風鳴のおやっさん…」

「弦十郎のダンナ…」

 

「…此処に向かってほしい。お前達に会いたいと言ってる人がいてな…」

 

そう言うと2人に地図が書いてあるメモを渡すと、弦十郎は「これから調べ物があるのでな」とそう言うと、響と憑友の様子を見ずにそのままくるりと元来た道を引き返して行った…

2人の師匠でありながら、その2人の様子を見もせずに立ち去ると言う事に霊風は苛立ちを隠し通せなかったが、弦十郎から発した気力《オーラ》がそれを抑え込んだ。

 

オーラから感じ取ったのは…《悔しさ》と《無能さ》と《悲しみ》

…何れも人間の『負の感情』だった。

 

 

2人はその様子を見届けると、そのままメモの方に目を向けた。

そして2人は眼を見開いた。

 

「此処って…」

 

「"自然…都会"…?」

 

何はともあれ、2人はそのままメモに従い、病院を後にした。

 

ーーーーーー

そして2人は憑友の実家が据えられている場所、「自然都会」にやって来た。

 

「自然都会」は、都会に位置していながら、その区域はまるで自然のような風景を醸し出す場所になっている。

自然の力によって生み出されたまさに幻想のような光景が、視界に入り込む。

だが、一歩その区域から外れると周りは全て都会になる。

それ故に都会の中にある自然と言う事で、「自然都会」とそう名付けられている。

 

さて、そんな「自然都会」に踏み込んだ2人はそのままメモの通りの道を進んでいく。

そして目に付いたのはウッドハウスの二階建ての一軒家がポツンと建っていた。

メモに記された地図から見ても、このウッドハウスで間違い無いようだ。

 

そうすると霊風は、その家の玄関であろうドアを(コンコンッ)軽く叩いた。

すると家の中から返事が返って来たので、そのまましばらく待つとドアが開いた。

 

「あら、奏さんに霊風さん!」

 

「やぁ…セレナちゃん」

 

出迎えてくれたのはこの家の娘・セレナであった。

そしてセレナは2人の声や表情で察したのか、入るように促す。

2人はその言葉に甘える事にして、家の中へと入って行った。

 

そしてセレナはリビングへと2人を通す。

すると其処にはこの家の主である男にして、憑友の父親・玄也と、

その彼の奥さんにして、憑友の母親のジャンヌ。

そしてそんな2人の向かい側には、かつての敵で、今の戦友であるロックが其処に居合わせていた。

 

「⁉︎お前もなのか!」

 

「まぁな。ただ俺の場合はクリスを置いて、此処に来たがな」

 

そう言うとセレナに座るように示唆されたので、2人はそのままロックの隣に座った。

 

其れを見た玄也は、セレナに顔を向けるとセレナはそのままキッチンに行き、そして3人と母であるジャンヌに麦茶を提供し、セレナはそのまま軽いお辞儀をするとそのまま二階の方へと行ってしまった。

 

それを見届けた玄也は3人に顔を向け直す。

その行為に3人は改め直した。

 

「さて、君達の事は憑友から良い意味で聞き飽きたぐらいによく聞かされてるよ。

憑友の事に関しては感謝しよう…ありがとう」

 

「…いきなりすぎるな。我がライバルの父よ」

 

「…ああ。そもそも何で()()()()なんだ?」

 

「君達だからこそ、憑友の事を頼みたいんだ」

 

「…言ってる意味が全く掴み取れん」

 

「ロックの言う通りだ。憑友のおやっさん」

 

そう言うと玄也はそのまま目を瞑りながら、話をし始めた。

 

「そもそも今回の件…君達は気付いているだろ?

 

この間のライブでの騒動から、憑友の様子が()()()()()()と言う事に」

 

「…如何言う事だ?」

 

玄也の問い掛けに奏は首を傾げた。

それは霊風もまた然りだった。

だが、1人だけ…

 

「…そうだな」

 

先に察知していたロックを除いて。

 

「心当たりがあるようだね」

 

玄也がそう言うとロックは「ああ」と言いながら、以前の護衛任務の事を皆に話した。

 

「先日のライブ前に憑友と立花とクリスと四人で、Dr.ウェルと《ソロモンの杖》の護衛任務をした時だ。

彼奴は自分の力をそのまま響に譲渡していた。

まるで自分の力を相手にそのまま与えるように」

 

「…そうか。其処まで衰弱して来てるのね…」

 

ロックの話を聞いたジャンヌは口を開かせながら、落ち込んでいた。

それを感じた霊風。

 

「(この様子だと…何か隠しているのか…?」

 

「…ああ。その通りだよ」

 

「⁉︎」

 

「声…出てたぞ…」

 

「〜〜〜〜〜〜⁉︎」

 

まさか自分の心の声が駄々漏れしていた事に霊風は声にならない声で顔を手で覆い隠した。やっちまったと。

しかし、それが好機だったのか…

玄也は3人に衝撃の事実を伝えた…

 

 

「憑友にはもう時間が無い。

残りの時間はあと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1週間しか無い」

 

 

『⁉︎』

 

 

それはあまりにも突然すぎる発言だった…

 

ーーーーーー

一方、その頃。

 

翼は自分の叔父であり、二課の司令である弦十郎と2人きりで話をしていた。

翼の手にはシャーレ(又はペトリ皿)と呼ばれる物があり、その中には何かの結晶の欠片が有った。

 

「これは…?」

 

翼はシャーレの中身を見て、弦十郎に疑問を問い掛けた。

すると弦十郎はこう告げた。

 

「メディカルチェックの際に採取した響君の対組織の一部だ」

 

「胸のガングニールが…⁉︎」

 

そう言うと弦十郎は次にとある人間の身体であろうレントゲン写真を光に当てた。それを見た翼はそのレントゲン写真が響の物だと気付くと、弦十郎は話を続けた。

 

「…『身に纏う《シンフォギア》』として、エネルギー化と再構成が繰り返してきた結果…

体内の侵食震動が進んだんだ」

 

「生体と聖遺物が1つに溶けあって…」

 

「適合者を超越した響君の爆発的な力の源だ」

 

それを聞いた翼はこのまま行けば響きは如何なるのかを弦十郎に聞いた。

弦十郎からの答えは…あまりにも残酷な宣言だった。

 

「最悪の場合は死に至らせる。

良くても、それが()()()()呼べる存在なのか…」

 

その話を聞いた翼はその前黙り込んでしまおうとした。

だが、翼にはまだもう1つの疑問を持っていた。

 

「…じゃあ、憑友は如何なるんですか?」

 

「…何?」

 

翼の口から憑友に関する話を耳に入れた弦十郎は驚きを隠せなかった。何故いきなりそんな事を口に言うのか。

すると翼はそのままその根拠を言った。

 

「憑友はあの『四英雄事変(フォースカルト)』以降から戦う度に息が荒くなっています。

それに雪音から話を聞いたのですが、以前のウェル博士の護衛任務の際には立花に自分の力をそのまま明け渡して勝利したと言っていました。

彼の身にも何か有るのですか⁉︎」

 

「…」

 

「これは、『シンフォギア装者』の私、『防人』としての私、『ツヴァイウイング』としての私では無く、

『風鳴翼』と言う一個人としての話です。

話せないのであれば、それで良いです」

 

その話を聞いた弦十郎は、溜め息を零しながら頭を掻くとそのまま先程の響のレントゲン写真とはまた違ったレントゲン写真を取り出した。

 

「…それは?」

 

「これは、憑友のレントゲン写真だ」

 

弦十郎はそう告げると、翼に憑友のレントゲン写真を手渡した。

それを受け取った翼は光を写真に当てた。

 

「…左胸の位置が白いのは…」

 

「憑友の今の心臓位置である〔生命の灯火〕の場所だ」

 

そう言われ、翼はそのままレントゲン写真をくまなく調べる。

すると翼は何かに気付いた。

 

「これは…⁉︎」

 

その場所は先程の〔生命の灯火〕に有った。

其処には、10桁を上回る数字が刻まれていた。

 

「それは…

 

憑友がこの世界に居られる…

 

 

 

 

 

タイムリミットだ」

 

「⁉︎」

 

この場でもまた、憑友の現状に驚愕させられる者がいた…

 

 

 

この残酷すぎる結末を…誰が止められるのだろうか。

 

答えを知る者は…この場に…いや…

 

この場は勿論…

 

神様ですら…知らないのであった…。

 

ーーーーーーSIDEto憑友

…此処は…?

あの時の…2年前の…ライブ会場…?

如何して、俺は此処に…?

 

確かあの時…俺は…

響との決闘をして、負けて、その後…!ネフィリム!

そうだ…!ネフィリムによって響の左腕が無くなったんだ!

早く戻って、彼奴を懲らしめて…

 

「止めておけ。それにもうその件に関してはもう終わってる」

 

…え?

 

俺は突然すぎた声を聞き、顔を振り向けると其処にいたのは…

 

夕日をバックにして、人のシルエットの形をした何者かが、

あの時のライブ会場で開かれた羽根型のドームの天井を翼のように見立てながら存在していた。

 

つい先程までいなかったのに…!

 

「そうだろうな?だって、ついさっき着たばかりだしな」

 

そう言いながら皮肉な態度を見せる存在。

俺はその口調で、何者なのか分かった。

 

「…今更なんのつもりだ…神様」

 

そう、俺をこの世界に再び(と言っても、半幽霊の状態だが…)生きる時間をくれた神様だった。

 

「まぁ、ゆっくり話そうぜ?」

 

そう言うと神は指パッチンをした。

 

すると何処からともなく木が生えて、其処から形が変わって自然の椅子が出来上がった。

 

「取り敢えず座れ」

 

そう言いながら、神は近くに設置した椅子に座った。

それを見た俺もそのまま隣にあった椅子に座り込んだ。

 

「さて、此処からゆっくり話そうぜ?時間は余裕であるからな」

 

そう言いながら神は話をし始めようとした。

俺の時間はもう残されてはいないんだ。

こんな所でのんびり出来るか…!

 

「そう言ってもな。お前さんの感情の引き金《トリガードライヴ》の反動が此処に来て襲いかかったんだからな。自業自得だと思うんだけどな?」

 

「ぐぬぬぬ…」

 

「それに、感情が昂ぶり過ぎて、お前はとうとう《ゲッシュ》を犯したんだからな?」

 

…ゲッシュ?」

 

「ケルト神話に於いて、『禁忌』と言う意味を持っている。

誰かを守る為の力…それはそれで大いに結構だ。

だが、闇を生み出すまでの力を欲するのは良くないんだからな?」

 

…確かに…

 

「…さて、積もる話は山程ある。

反動とすれば、最低でも一週間はこの状態だ。

ゆっくり話そう…今後の事も含めてな」

 

そう言うと俺と神様…2人だけの話になった…

今後の事か…

 

…俺はあと何日生きていけるんだろう…

 

ーーーーーーNO SIDE

憑友が神様と話をしている時、世界の時間は1週間が経過していた。

そんな時に、響は目を覚ましていた。

だが、響の身体に変化し始めている事に響はまだ気付いていなかった。

 

その後、無事に学校に戻れた響だが、浮かない顔をしていた。それもその筈だ。

憑友を取り戻せたと思ったら、今度はその彼が植物にも似た状態が続いているのだから。

そんな中でも、響は作り笑いをしながらクリスと翼にご迷惑を兼ねた謝罪を言うが、

翼が咄嗟に左腕を強く握って来たので、響はその握力で思わず痛みを感じた。

翼は自分のやった事に気付き、そして謝る。

だが、翼はそんな響に対して罵声を浴びせたのだった。

それを間近で聞いたクリスは翼に反論を述べようとしたが、浴びせられた響本人によって止められた。

そして翼はそのまま響に対して無用だと言いきるとそのまま響の元から去ってしまい、それを見たクリスも流石に苛立ち、翼の元へと行きながら後を追っていった。

 

取り残された響。そんな響の前に1人(?)の存在が現れた。

 

「…なぁ?」

 

「…ユルセン?」

 

それは憑友のサポートの役割を持つゆるキャラ幽霊ことユルセンだった。

何故、響が幽霊であるユルセンが見えるのか。

実は先の事件『四英雄事変(フォースカルト)』の時に初めて出会い、以来シンフォギア装者と精魂導師、そして未来,逝都,馬燈はユルセンが見えるようになったのだ。

 

「…今日は皆んなと帰ったら如何なんだ?そんなんじゃ、憑友が悲しむぞ?」

 

「…そう…だね。今日は学校終われば、皆んなと一緒に帰ろう」

 

「…じゃ、またな!」

 

そう言うとユルセンは響から離れるなり、いきなり消え去った。

 

それを見届けた響は自分の胸の痛みを押さえ込みながら、授業を受ける事にした。

…まぁ、結局はいつも通りの展開になるのは別の話。

 

 

ーーーーーー

一方、ネフィリムとの死闘が繰り広げられえていた場所《カ・ディンギル》の跡地では、ウェルがソロモンの杖をそのまま杖のようにして歩いていた。

先の戦闘での憑友のティガダークが生み出された負の感情の引き金…名称《マイナストリガードライヴ》(又の名を《闇堕ち》)と響の『暴走』によりすっかり怯え狂っていた。

 

だが、そんなウェルはある物を見つけ、その怯えは見る見ると笑い狂ったかのような顔をしたのであった。

 

見つけたのは…《ネフィリム》の心臓。

 

この力が後の運命を大きく動かす事になろうとは、まだこの時、誰も知らない…




《アブソーバー・ドライバー》
《精魂導師》達が新たに得た力で、『"乗り物を扱う超人"仮面ライダー』の力が集約している。
見た目はベルト型で、ライド達《アブソーバー》とドッキングする事で、『仮面ライダーの力』が使える。
其々のタッチパネルを押す事でそのライダーの力が使える。
変身中は『仮面ライダー』以外の『英雄』達の力が使えない代わりに、『仮面ライダー』の力を自由に使える。


次回

主治医/『生命の拳』


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#18 主治医/『生命の拳』

次回から真面です。
そして今回のでG編6話分が終了。
此処から物語が一気に傾き出す…!
それは絶望へのカウントダウンか。
それとも、希望への前触れなのか。

…言い忘れてましたけど、憑友君当分出番ありません。

憑友「俺、一応この作品の主人公だよね⁈」ナンデサ⁉︎

え?…うーん…話が書きにくいから!

憑友「すっごいメタ発言…」

と言う訳で、本編どうぞ。


ウェルが何か企んでいた頃、響は皆んなと一緒に帰っていた。

創世と詩織に弓美の3人組と、未来,馬燈,逝都の6人で帰っていた。

 

相も変わらず響は顔には出してはいなかったが、それでもやはり落ち込んでいたのに変わりは無かった。

そんな響の為に、未来は今回の件を創世達に話した。

すると皆はお好み焼きパーティーで響を元気付けようと考え、今はそれを実行している最中だった。

 

 

ーーーーーー

そんな響達とは別の地点では、調と切歌,陰陽兄弟の4人が街を徘徊していた。

実はつい先日の響の『暴走』と、憑友の『闇堕ち』の際にナスターシャの身体の傷が広がっていたのだ。

4人は如何しようも出来ないと嘆いていた。

仲間の内の1人であるウェルが入ればなんとかなるとは思えるが、先の案件等で既に4人はウェルに対して険悪していたのだ。

 

しかし、彼等の仲間にして、今回の騒動を引き起こした『張本人』マリアに探すように命じられて、彼等は仕方なくウェルを探す事になった。

 

 

そんな中、マリアとナスターシャがいる飛行艇に1人の存在が歩み寄っていたのを、この時の彼女達はまだ知らない…

 

ーーーーーーSIDEtoマリア

マムの傷は広がりつつある。

応急処置でなんとか止めて、『英雄』の1人に換算する存在で、医療系が得意な存在…

 

【ポケモンドクター タケシ】と【風の癒やし手 シャマル】

 

彼等2人のおかげで一命を取り留めたけど、それでも傷は深い…

 

私は一体如何すれば…

 

そう考えていたら、ドアが開いた。

私はその方に振り向くとそこには零のパートナー『英雄』であるギンジがそこにいた。

 

「…表に女性が来てる。バックみたいなのを担いでな。

俺が代わりに見張ってるから、相手を頼む」

 

「…分かったわ」

 

こんな場所に?…一体誰が?

 

そう思った私は入り口の方へと向かう事にした。

 

 

そしてその入り口のゲートを開くと、

其処にいたのは清楚な人で、とても近づき難い存z…

 

「あ、如何も♪」

 

…訂正。フレンドリーすぎる人が其処にいた。

 

「ナスターシャ教授…元気にしてますか?」

 

そう女性は問い掛けて来た。

マムの事を知ってる…?

 

「…貴方には関係無いk「主治医だとしても?」え?」

 

「こう見えても、ナスターシャ教授の主治医をしているんだよ?」

 

そう言うと「お邪魔しま〜す♪」と言って、勝手に入って行った…

って、ちょっと待って⁉︎勝手に入らないでよ⁈

 

「あ、此処だね♪」

 

いや、なんで今マムが寝ている場所を1発で当てたの⁈

もう滅茶苦茶よ⁉︎

 

そう思いながら、女性はマムの部屋へと入って行った。

私も後を追いかけると、其処ではギンジが呆然としていた。私は女性

の方を見ると、

 

「久しぶりだね。マム♪」

 

「良くこの場所が分かりましたね」

 

「えっへん!」

 

其処には女性とマムが和やかな雰囲気を醸し出していた…なんで?

 

「…マリア。この2人って、如何いう関係なんだ?」

 

「私も知りたいわよ…!」

 

兎に角、この人は誰⁈

それに今更だけど、如何してマムの事を知ってるの⁈

さっき主治医って言ったわよね⁈

 

「…まだ自己紹介すらしていなかったのですか?」

 

「だって、マムの身体が心配だったんだからね!」

 

そう言いきると、女性は此方に顔を向け、自己紹介をした。

 

「マムから話は聞いてるよ。

私の名前は人絆ジャンヌ。ナスターシャ教授の主治医をしています」

 

そう言いながら、私に名刺を渡してきた。

其処には確かに『人絆ジャンヌ』と書かれていた…ん?

人絆?…つい最近聞いたような…

 

そう思っていると、マムから衝撃な言葉が飛び交った…

 

「この人は、『人絆憑友』の母親なのですよ」

 

………………………………………え?

 

「えへへ〜」

 

この人が憑友のお母さん⁈

「まだ20にしか見えないのは気の所為⁈」

 

「奇遇だな…俺もそう思った」

 

「実はもう三十路過ぎてま〜す♪」

 

そしてまさかのアラサー⁈…ありえない。

 

…この人が…?

 

「さて、マムはゆっくり休んでて。私が治して見せるから!」

 

そう言うと私とギンジをそのまま部屋の外へと追い出されてしまった。

彼の母親と言う事は…セレナの事も知っていると言う事なの…?

 

「…一体何なんだよ、あの人は…?如何したマリア?」

 

え?

 

そう言うとギンジは私の顔に指を添え、そして何かを掬った。

 

「涙…出てたぞ」

 

その一言で私は漸く今の自分の状況に気がついた。

涙を流していたのだ。涙を流す理由はおそらく…

 

マムを元に戻せるかもしれない…

セレナの居場所が分かるかもしれない…

 

いや、その両方なのだとこの時知った。

 

そしてそう考え込んでいたら、ドアが開き、其処から先程の女性・ジャンヌが現れた。

 

「あまり無茶は駄目なんだからね!」

 

「分かっていますよ」

 

「本当に〜?」

 

「本当です」

 

「…そっか。じゃあね〜!

…と、2人もナスターシャ教授の事をお願いするね♪」

 

そう言うとジャンヌさんは手首に着いてる腕時計を見るなり急いでその場から立ち去って行った…

 

結局、何も言い出せなかった…セレナが無事なのかを。

 

「あ、そうだ!」

 

…ジャンヌさん?

そう言うとジャンヌさんは私に向けてこう言った…

 

 

 

 

「セレナちゃんは記憶が曖昧だけど、大丈夫!

私が必ず治して見せるから!」

 

‼︎

 

「じゃあ、またね!」

 

そう言うと今度こそ、彼女はその場を後にした。

 

最後に言ったあの言葉…

 

『必ず治して見せるから!』

 

あの言葉に私は期待をしてしまっていた。

その後、マムの容態を見てみたら、思いのほか元気になっていた。

たった数十分の時間しか無かった筈なのに、マムの身体が回復するなんて…

 

あの人は一体…あれ?

 

如何して?…私の頭の中の記憶からあの人に似てる人が思い浮かべてきた…

 

私はあの人の事を…知っている?

 

ーーーーーーNO SIDE

ジャンヌがマリア達と出会った後、ナスターシャは直ぐに調達がいない事に気付き連絡をした。

その事で、吃驚する切歌達4人。

説教じみた事は言ったものの、自分の為に動いてくれた4人に対して、ナスターシャはお咎めはしなかった。

そしてナスターシャは4人にウェルの捜索を改めてお願いしたのであった。

 

まさかの通信相手がナスターシャに通信を終えた4人は脱力が襲いかかった。それもその筈だ。

相手は自分達の事を大切に育ててくれた謂わば母親的存在。心配するのは至極当然の事だ。

自分達が今なにをしてるのかで、遠回しだが確実に心配してくれていたのだ。

 

「はぁ…。まさかマムが出るとは思ってもいなかったデスよ」

 

「全くだよナ…」

 

「…でも、本当に良かった」

 

「…そうだな」

 

そう話をしていると切歌の方から腹の虫が鳴いた。如何やらお腹が空いているようだ。

こう見えても彼等はまだ成長期の真っ最中。食べ盛りに変わりは無いのだ。

以前は憑友が、彼等にお金を渡して、それを使って食べ物を食べて来たが。

今回は憑友は既に仲間の元へとやり方が違えど返した。

それに、今の彼女等には自分達が所持している程度のお金しか存在しないのである。

 

「彼奴って、本当にお人好しだったよな…」

 

「…そうデスね。だけど、悪く無い人だったデス」

 

「…まるで、自分の事なんて考えてすらいなかったな」

 

「…他の偽善者達よりも、彼が1番に偽善者ぶってだけど…けど、とても優しかった」

 

憑友の話をした4人は何故か心の中に虚しさを感じていた。

 

「まるで『兄貴』のような人だったな…」

 

そう闇呪怨が言うと皆んなもそう感じていた。

彼等が『兄貴』と呼んでいる存在…名を『無頼零』

…此処にはいない…セレナの想い人だ。

 

彼もまた『F.I.S.』によって連れて来られた『レセプターチルドレン』の一人であった。

そんな中でも彼は『レセプターチルドレン』の中で特別な存在だった。

その名に反して、仲間が傷ついたら、例え大の大人であろうと容赦しなかった。

料理も得意で、誰とでもフレンドリーに接してくれていた。

調や切歌,陰陽兄弟もそんな彼の性格に惹かれた存在の1人である。

 

調には、友達のつくり方を教えてくれた。

切歌には、ファッションに関する事を教えた。

陰陽兄弟には守る為の術を教えてくれた。

 

それ以来、4人は零の事をまるで自分達のお兄ちゃんのようになっていったのだ。

 

「…と、兎に角!今はウェル博士を探そうぜ!飯はその後でたらふく食ってやろうぜ!」

 

光聖希がそう言うと皆もそうしようという考えに至り、調と切歌は手を繋いで、陰陽兄弟はその2人の後を追うかのように走って行った。

 

 

ーーーーーー

一方、響達はと言うと学校帰りにお好み焼き屋『ふらわー』の方へと向かう事になっていた。

理由は前回少し述べたのだが、響を元気づけようと言うのが最大の理由と言っても過言では無かった。

 

その主催をしたのが意外にも未来だと言う事を聞いた響は驚いてたのは言うまでも無い。

そんな時、3台の黒の車が響達を通り過ぎて行った。

そして次の瞬間…!

 

 

ドガァァァ‼︎

 

「⁉︎」

 

なんと突然、爆発音が聞こえたのだ!

 

「今の…⁉︎」

 

「まさかじゃないだろうな…!」

 

「それ以外に何がある…!」

 

そう言うと逝都と馬燈が先行して皆よりも先に走る…!

その後ろを未来達が追いかけるのだが…

 

「…響ちゃん⁈」

 

「⁉︎そんな馬鹿な⁉︎」

 

なんと2人よりも後ろにいた筈の響が2人を追い越して行ったのだ!

 

そして皆が到着すると其処には、灰となった人達の残骸と、無惨な姿になった車と、大量のノイズと、それを操る《ソロモンの杖》と何かを持っていたウェルが不敵な笑みを浮かべながら其処にいた。

 

「誰が追いかけって来たって…こいつを渡すわけには…!」

 

そう言いながらウェルは左手に持っていた何かを見ていた。

そんなウェルに対して響は呟く。

 

「ウェル…博士…!」

 

「な、なんでお前が此処に⁈」

 

そう言うとウェルは《ソロモンの杖》でノイズに命令を下した!

 

「マズイ‼︎」

 

逝都と馬燈は未来達を守るように懐からカード型のアイテムを取り出した。だが、それよりも先に響が前に出て、そして聖詠を詠った…

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron…‼︎」

 

そう言いながら響はなんとそのままノイズに拳をぶつけたのだ!

それを見た一同は驚愕した!

 

そしてそのままシンフォギアを纏い、そしてノイズを粉砕した!

 

「⁉︎ひ、人の身で…ノイズに触れた…⁉︎」

 

「嘘…だろ…⁉︎」

 

「マジかよ…⁉︎」

 

響の行動に上からウェル,馬燈,逝都がそう言い放つ。

 

本来、人の身の状態でノイズに触れればそれは勿論()()()()()()()

だが、響はその人の身の状態で、()()()()()()()のだ。

普通ではあり得ない出来事が、彼女の身体に着実と変化をもたらしていた。

 

「この拳も!生命も!

 

…シンフォギアだ‼︎」

 

その変化は、幸福を掴む為の力なのか。

はたまた死へと追いやる猛毒となるのか…

 

 

tobecontinued…




《アブソーバー・フォン》
《精魂導師》の新たな力で、『"凄腕チーム"スーパー戦隊』の力が使用可能になるアイテム。
《アブソーバー》とドッキングする事で使用可能になる。ドッキング後はガラケー型の変身アイテムになる(○○チェンジャーみたいな物だと想定してくれれば幸い)。
他の『アドバンスフォース』よりも変身プロセスが異なっており、
6桁の数字を打ち込む事で、それに対応した『スーパー戦隊』の力が使える。
他の『四英雄』同様、『スーパー戦隊』の力を自由に使える反面、それ以外に変身する事は出来ない。

次回

君がキミで…俺がオレでいられる前に


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#19 君がキミで…俺がオレで居られる前に

…お待たせしました。
同時にアニメ7話のラストまでを書き上げました。

いや〜…酷いんですよこれが。遅れた理由。
ログボを受け取り、尚且つ仕事もしていると如何しても時間が足りなくなるのが現状なんですよ。

それと今更ながらなんですが、
『ウルトラマンオーブ』見たいな〜。
で、おもった事が1つ。
オーブの姿の1つ"ハリケーンスラッシュ"なんですが…これ意外と共通点あると思うんですよね?

ゼロ「何がだよ?」

ジャック「私とゼロの共通点とは?」

ええとまずは、『ブレスレット』所有者でしょ?

ゼロ「まぁな?」

次にその『ブレスレット』を授けた存在が両方セブン。

ジャック「間違いでは無いな。だが、それだけか?」

後は…技!

ゼロ「技?」

ジャック「私とゼロに共通する技って…あっt」

"ウルトラ…ハリケーン"‼︎

ゼ・ジ「「…あ‼︎」」

だから、オーブの形態の"ハリケーンスラッシュ"は共通点があると言うんですよね。

ゼロ「…って⁉︎前書き長えよ!早く本編へ進めよ⁉︎」

あ、はい…。
では、どうぞ。


(挿入歌「正義を信じて、握り締めて」悠木碧)

 

「この拳も!生命も!

 

…シンフォギアだ‼︎」

 

そう言うと響の身体は輝き始めた。

それを見た一同の内、逝都と馬燈は別の反応を示していた。

 

「な、なぁ…馬燈…。

響の奴、様子が変じゃないか?」

 

「ああ…」

 

2人は響に対してそう言う態度を見せていた。

2人は今の響から感情が露わになっている事に気付いていた。

 

「(力が…漲る…!)」

 

一方の響はその力に対して傲慢していた。

すると響の横を一枚の葉っぱが落ちてきた。

そしてその葉っぱは響に触れた瞬間…

 

ボオッ!

 

「ヒィッ⁉︎」

 

『⁉︎』

 

なんと葉っぱが燃えて、消滅したのだ!

そう感じながら、響はそのままノイズを撃破し始めた…!

それを見た2人は明らかに響の様子が可笑しいと思うと懐から逝都は菱形の形をしたアイテムを、

馬燈は刀を模したアクセサリを取り出した。

 

「ニンキョウ・ゴクドー!」

 

「抜剣納刀!」

 

「「スタンバイ!アクティベート!」」

 

『YES.sir.of the…set UP.』

 

そう言うと逝都の靴と手から機械のブーツと金属をあしらったグローブが嵌め込まれ、

馬燈は腰に刀と剣を其々鞘に収められた謂わば納刀状態の腰巻を装着していた。

すると逝都はそのまま拳同士をぶつけて、

馬燈は左腰にセットしていた刀を鞘ごと引き抜いた…!

 

「憑友がくれたこの力…!」

 

「大切な者を守る為に…戦う!」

 

そう言うと2人もなんとそのままノイズに向かって突撃したのだ!

響の接近に加え、無知の少年2人もそのまま此方に来ている事にウェルは《ソロモンの杖》を使ってノイズを呼び出し、そしてバリケードのようにして、3人の行く手を阻ませる…だが。

 

「はぁぁぁぁあ!」

 

響は自身の格闘術を用いて、ノイズを葬りさる!

ウェルはその様子を見て愉悦に浸る。

3人の内の2人は何れも《シンフォギア装者》でも《精魂導師》でも無いから。

生身の身体に何が出来ると思うかと、そう思っていた。

だが、現実はそうでは無かった。

 

「おらおら!」

 

そう言いながら逝都は響と同じ格闘術で(強いて言うなら脚を使った攻撃が主なんだが…)ノイズを撃破していた…!

一方、馬燈は刀と鞘で、時には抜刀術を使い、時には帯刀状態で、

剣を使った双剣状態でノイズを葬りさっていたのだ!

 

そんな様子を見たウェルは更にノイズを増やすも、それを響のガングニールで木っ端微塵となり、そしてそのままぶつかろうとしたその時だった…!

 

 

カンッ‼︎

 

「⁉︎盾⁉︎」

 

響とウェルの間に黒い物が盾の役割になって、ウェルを守っていた…!

 

「…なんと鋸」

 

「調ちゃん⁉︎切歌ちゃん⁉︎」

 

そしてそれがいつの間にか来ていた調と切歌によるものだと知った響。

しかし、響の攻撃に調と切歌の2人係で漸く保って入られていた。

すると突然、

 

ジャリリィィィィ‼︎ガギィンッ!

 

「な⁉︎」

 

突然響の身体を無数の鎖が封じ込み始めたのだ!

 

「一丁上がり!」

 

「こういう手で使う事を許し給え…!」

 

すると調と切歌のそばに《光魂導師》タマシイこと陰陽光聖希と、

《闇魂導師》コアこと陰陽闇呪怨の陰陽兄弟が現れていた。

しかも光聖希の手から無数の鎖が地面や空中等にバラ撒かれていた。

 

そしてその鎖の行き着く先には響がいた。

つまり、先程の鎖はタマシイの仕業だったのだ!

 

そう言うとコアはすかさず右腰に備えていたカードケースからカードを取り出すとそのまま左腕に装着していたアブソーバーにそのカードを装填、そしてレバーを引いた!

 

ーコア!フォーム、ガジル!ー

 

するとコアの周りに黒服で顔に釘のような物を埋め込んでいる男の魂が現れ、それをコアは纏った!

 

ー鉄で砕け!竜滅者‼︎ー

 

そう言うとコアはそのまま左腕を後ろに引かせるとそのままその腕の拳を響にぶつけた!

 

「"鉄竜棍"‼︎」

 

「がはっ⁉︎」

 

「響!」「立花‼︎」

 

響がダメージを受けると同時に未来と逝都が響の心配をする。

それを見たタマシイはそのままコアと同じ動作をした。

ただ1つ…カードに描かれている『英雄』を除いて。

 

ータマシイ!フォーム、ユーノ‼︎ー

 

そう言うとタマシイの周りにマントを羽織った少年の魂が漂い、そしてそれを纏った!

 

ー魔法の鎖!結界魔導師!ー

 

するとそのままタマシイは今度は緑の魔法陣を自身の前に出し、そして手を入れた。

するとすぐにその魔法陣から緑色の魔力が練られた鎖が出現!

それと同時に響を拘束し始めた!

 

 

「うぐっ⁉︎」

 

必死に逃げようとする響だが、思ったよりも力が出せないでいると、

タマシイがアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『タマシイ・ユーノ!フルドライブ!』

 

「くらいな!"アレスター・チェーン"‼︎」

 

 

「がはっ⁉︎」

 

そう言うと自身の前に設置してある魔法陣から手を引き出すと、そこには響を拘束している鎖と同じ形状の鎖が顕現、そしてそれを思いっきり引っ張った!

 

するとその魔法陣から魔力が流れ、そのまま響にダメージを与えた!

それと同時に、魔法で出来た鎖は消滅した。

 

 

 

「偽善者はそのまま朽ち果てろーー‼︎」

 

そう言うと今度は2人揃ってカードを取り出し、アブソーバーに装填するなり、同時にレバーを引いた!

 

ータマシイ!フォーム、ロディ!

時空を超えし、蛇腹の使い手!ー

ーコア!フォーム、ハヤト!

金剛鳥人!基準はゴールデン!ー

 

そう言うと2人の姿が変わった。

タマシイは軽装の姿で尚且つ、腰には剣と短剣が差してあった。

そしてコアの方はと言うと闇と言うイメージとは裏腹に金の装飾が施された装備を纏っていた…!

 

そうするとコアは両手を上に挙げた。

するとコアの周りの鎧が変化して、2振りの鎌が出現した!

 

「俺のパートナー『英雄』の力…受けてみろ!」

 

そう言うと、コアは2振りの鎌で響を切り刻もうと動き出した!

それを見た響はすかさず避ける…!

しかしその隙にタマシイは腰に携えていた剣を響に向け放った。

それと同時に刀身が長く伸びた!まるで蛇腹剣のように。

 

タマシイが変身した『英雄』の名は、ロディ。

本名…ロンドリーネ・E・エッフェンベルク。

 

ルドガー,ミラ,ジュード,リオン,ユリウスと同じ…

『テイルズ石板』に属する者であった。

彼女は特に蛇腹剣を使う事に重視した立ち回りが得意なタイプで、タマシイと相性が良かったのだ。

 

そうすると響の足にその蛇腹剣が絡まり、そのままタマシイの方へと引き寄せられ、そしてタマシイから強烈な蹴りを食らった響。

するとタマシイはそのままアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『タマシイ・ロディ!フルドライブ!』

 

「"貫け!槍よ!"」

 

そう詠唱するとタマシイの後方から大量の闇に覆われた魔力で練った槍が無数に出現して、そのまま空中で態勢が取れない響に連続で食らわせ、そして特大の槍で…

 

「"デモンズランス・レイン"‼︎」

 

そのまま貫かせた!

響はその攻撃でそのまま地面に激突…

 

 

ザクッ!

 

「がはっ⁉︎」

 

出来なかった。

 

「地面に付くにはまだ早過ぎる…!」

 

そう言うと今度は、コアが2振りの鎌の連続攻撃で響に大ダメージを与えていく…!

そして鎌の攻撃で、響は再び上空へ飛ばされた!

その間に鎌から元の派手な鎧を身に纏った姿になったコアもとい闇呪怨はアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『コア・ハヤト!フルドライブ!』

 

「"金剛鳥人拳奥義!黄金、旋・風・掌"‼︎」

 

突風と共に無数の風の刃のようなものを飛ばして攻撃を放つ技にして、コアのパートナー『英雄』【風を纏いし『伝説粉砕者』 金剛寺ハヤト】の必殺技…

 

"黄金旋風掌"が響にダイレクトにくらったのであった!

 

金剛寺ハヤト

 

ロックの元についてる『英雄』…イズナと同じ…

神話を模る金属生命体『ガイスト』を壊す者…

『ガイストクラッシャー』の1人であった。

 

その攻撃を食らった響は今度こそ地面に激突した。

 

「はぁ…はぁ…やったぜ…!」

 

「はぁ…はぁ…そう…だな…!」

 

響を倒した事に感化する2人。

しかし響はなんと立ち上がろうとしていた!

それを見た兄弟は驚きの表情を見せた。

 

だが、響はすぐに胸のフォルテの傷跡に手を添えて、悶え苦しみ始めた…!

それを見たウェルは調と切歌の2人に、緑の液体が入った注射器を…

 

プスッ!カチャッ!

 

「「⁉︎」」

 

なんと投与したのだ!

それを見た陰陽兄弟は、

 

「!てめぇ!」

 

「勝手なことを!」

 

と言いながら反論を述べようとすると、ウェルは今度は黄色の液体が入った注射器をその反論している2人に無理矢理投与させた!

すると反論を述べていた兄弟は響と同様に悶え苦しみ始めた!

 

「!2人に何しやがるデス⁉︎」

 

「それ以上は止めて!」

 

そう言うと先程の液体の影響で身体のコンディションが整えきれていない2人が2人に投与した薬をやめさせるように示唆するが、そんな事は関係なしにウェルはペラペラと喋り始めたのだ!

 

「LINKERの連続投与であの《融合症例》を相手に対等に渡り合えるのですよ!それも、『絶唱』使い放題!

それにプラスして、2人に投与した『glycerigger(グリセリガー)』の効果で、《トリガードライヴ》連発!

それに、この僕が居なければ、あのナスターシャ(オバさん)の容態が安定する事も無い!

僕を救う価値は有りだと思いませんか⁉︎」

 

それを聞いた四人は苦虫を噛んだような苦痛の表情を捉え、そして…

 

「…やろう。切ちゃん。呪怨。聖希…!

マムの所にドクターを連れて行かないと…!」

 

「…くそぉがぁぁぁぁ!」

 

「…やるしか…無いのか…!」

 

「さぁ!ユー達唄っちゃいなよ!纏っちゃいなよ!今なら《トリガードライヴ》も、『絶唱』も、歌い放題!発動し放題‼︎」

 

「…ぃわないです…デェェェスッ‼︎」

 

そう言うと陰陽兄弟は胸ポケットからカードを取り出し、そしてアブソーバーに装填、そしてレバーを引いた!

 

ータマシイ!フォーム、チェイン‼︎ー

ーコア!フォーム、ブラッディ‼︎ー

 

そう言うとタマシイの方から光の鎖を身体全体に帯びた魂が現れ、

コアの方からはフード付きローブを纏った大鎌を持った魂が現れ、2人は其々纏った!

 

ー天への魂!私が縛る!ー

 

ー獄への魂!俺が裁く!ー

 

そして現れたのは…

 

光の鎖が全身に結ばれている格好をした《光魂導師》タマシイと、闇のオーラを纏った大鎌と死神のような服装をした《闇魂導師》コアがそこに居た。

それは2人の《精魂導師》の…其々の基本の姿(ベーシックフォーム)であった。

 

「「トリガー…告げる(セット)‼︎」」

 

『『トリガードライヴ‼︎』』

 

そう言うと2人の装甲が変化し始めた!

タマシイは全身の鎖が尻尾のような形へと形成し始めた。

その数…9本。

 

そしてコアは得物である鎌が大きくなるのは勿論のこと、

そこから更に、肩,背中,両腕,両足の踵から鎌のような形をした刃物が現れたのだ!

 

ーーGatrandis babel ziggurat edenal…ーー

 

「⁉︎まさか…この歌って…『絶唱』⁉︎」

 

歌の出だしを聞いた響は2人の歌に気を取られた。

 

『絶唱』

《シンフォギア》を纏う者達が使用できる力の1つにして、諸刃の剣。

多大な負荷が後で襲う代わりに、一時的に出力を上げる謂わば禁忌に近い力…

 

Emustolronzen fine el baral zizzl…

 

「駄目だよ…LINKER頼りの『絶唱』は、装者の命をボロボロにしてしまうんだ!」

 

響の説得も彼女達2人には届いていなかった…

 

Gatrandis babel ziggurat edenal…

 

Emustolronzen fine el zizzl…ーー

 

そして切歌と調の2人は歌いきった…『絶唱』を。

 

その瞬間に、2人のギアに変化が生じ始めた。

 

調のギアは武装の殆どが変化、特に腕のパーツから鋸が出現させた。

切歌の方は得物である鎌が巨大化だけでは無く、ブースターまで付き始めたのだ。

 

そしてそのまま攻撃をしようとした…その時だった。

 

ーGatrandis babel ziggurat edenal…

 

Emustolronzen fine el baral zizzl…

 

Gatrandis babel ziggurat edenal…

 

Emustolronzen fine el zizzl…ー

 

「⁉︎…エネルギーレベルが、『絶唱』発動前と…変わらない⁉︎」

 

「減圧⁈」

 

2人の『絶唱』の力が突然発動した『絶唱』により、効果が減少したのだ。

 

「っ!」

 

それをした張本人…響が2人に向けて気合いの入った言動をする。

まるで威圧感に浸っているかのような顔を見て、調と切歌は勿論のこと、陰陽兄弟も攻撃のタイミングを外してしまった…!

 

「セット!ハーモニクス‼︎」

 

そう言うと響の『絶唱』の特性を使い、2人の『絶唱』と自らの『絶唱』の力を1つに収束するなり、アームドギア《GG・K(ガングニール・ナックル)》を1つにするとそのまま上空へと撃ち放った!

そして撃ち放った『絶唱』のパワーは、かつてライブ会場にて撃ち放たれた虹の嵐を生み出しながら、『絶唱』の力が消失した。

 

その力の反動で響は動く事が出来なくなった。

身体温度がオーバーヒートになっているからでもあるが、既にこの時点で、ギアの出力が不調をきたしていた。

 

「今なら…!」

 

「やれる…!」

 

その響の行動に放心状態だった陰陽兄弟はすぐに我に戻って、響を倒せるまたとないチャンスをと思い、2人が攻撃しようとした…だが、

 

 

「…⁉︎な、なんだよこれ⁈」

 

「身体が…動かない…⁉︎」

 

2人はその場から一歩も足が動けなかった。

その理由を探る2人だが、その理由を知る前に謎の衝撃が2人を襲った!

 

2人は視線を見せるとそこには青い髪の青年がそこに立っていた。

それを実感した2人よりも、ウェルがその存在に気付くなり、先程までの威勢が嘘と思えるような怯え状態になっていた。

 

「久方ぶりだな…Dr.ウェル」

 

「テ、テテ、テテテ…テロリストキラー⁉︎」

 

それは『武装集団殺し(テロリストキラー)』と謳われた存在にして、《水魂導師》の名を持つ者。そして《イチイバル装者》クリスの義理の兄…

 

 

ロック・アイル・ユキネが、そこにいた。

 

 

ーーーーーーSIDEtoロック

4対1でよくもまぁ派手にやってくれたもんだ。

浅岡と一走がなんでノイズに触れても戦えるのかは後にして、

立花をこれ以上傷付けたら、俺以上に厄介な奴がお前達の首を吹き飛ばしかねないぞ。

尤も、その厄介な奴が現在も意識不明の重体なんだがな。

 

「如何した?《光と闇の精魂導師》?

お前等なら俺が仕掛けた"影殺し"…意図も簡単に解けるのでは無いのか?

《光》で照らせば影が薄れて動けるだろうに?

《闇》を地面に撒けば、影という概念が消えるから動けるだろうに?」

 

「んな⁉︎」「ふざけやがって…!」

 

ふん。学習能力は平均並みで感情的だな。

…そろそろか。

 

ブォンッ‼︎

 

「なぁっ⁉︎」「っと…!」

 

効果が切れて良かったな?

そう思っていると上空からオスプレイが降りてきた。『フィーネ』の足か。ならば、此処で壊せば…!

 

「止めとけ。ロック」

 

「っ⁉︎霊風!」

 

そう思っていたら、いつの間にか霊風がやって来ていた。

何故だ!

 

「…今は響ちゃんの事が最優先だ。

何れ決着を付けられる…」

 

…くっ!

そうしていると4人が(その内の1人がウェルを担ぎ)オスプレイに乗ってこの場から去ってしまった。

 

その後、小日向が駆けつけ、立花の元へ行こうとするが、遅れてやって来たクリスと奏嬢の2人に抑えられていた。その時、バイクで駆けながら遅れてやって来た翼の"騎刃ノ一閃"で立花の近くにあった貯水タンクに切れ込みを入れ、立花の身体をクールダウンさせた。

その際に何か防人嬢が呟いて、クリスがそれを聞いたのか、防人嬢にいちゃもんを付けていた。

 

 

〜〜

その後、俺とクリス、そして小日向は弦十郎から立花に関する話を聞いた。

このままだと立花の身体が聖遺物に侵され、最終的には死に至る又は人ならざる物へと変わってしまうと言う衝撃の事実を告げられた。

 

そして弦十郎はそんな中で、小日向が唯一立花の近くにいてくれる抑止力だと言う事を伝えると小日向は了解した。

 

その後、小日向は立花と、彼女と同室にした憑友の様子を見る為に司令室から去って行く。

それと入れ違いに防人嬢と奏嬢と霊風の3人が司令室に入って来た。

 

その際に、防人嬢はうかない顔をしていた。

つい先程、すれ違った小日向に今の立花の状況を黙っていた事に。

だが、小日向はそのまま何も言わずに作り笑顔を見せて去って行ったそうだ。

 

「…それで、私達に何か用が?」

 

「正確には、翼とクリス君にも耳を通して欲しい案件だ」

 

そう言うと司令は2人にある書類を見せた。

それは俺達の手元にも寄せられている。

 

「?…これは?」

 

防人嬢は疑問を浮かべる。

書類には黄色と緑の棒グラフが描かれているが、黄色よりも緑が短かった。

そしてよく見てみると、黄色の欄には『平均値』と書かれていた。

つまり緑は、『個人値』と言う事だろう。

俺には分かった。このグラフが誰の物なのかを。

それに気付いたのか、司令は俺の顔を見るなり、まるでお前が喋っても構わんと言う態度を示してきたので、俺は喋った。

 

「これは…憑友のバイタルですね」

 

「そうだ」

 

それを聞いた防人嬢とクリスは目を凝視した。

何故なら、この書類に書かれているバイタルはどれも、憑友と同じ学生の平均を大きく下回る数値を叩き出していたからだ。

更に弦十郎司令は2人に憑友の今の状態を伝えた。

それを聞いた2人。

クリスは机を盛大に叩くなり、そのまま司令室から去ってしまった。

一方の防人嬢は先程の書類を握り潰していた。

それを間近で見ていた奏嬢は黙って、防人嬢を自分の胸元まで寄せた。それに気付いた防人嬢は奏嬢にしがみつきながら号泣したのであった。

 

立花の状態と憑友の残りの余命…

 

似た者同士でお似合いな奴等が既に死と隣り合わせにいた事に…俺は何も出来ずに悔しむ事しか出来なかった…

 

ーーーーーー

病室では、響の容態は安定し、そして響は覚醒した。

それと同時に響は辺りを見渡す。

すると右隣に憑友がまだ寝ている事に気が付いた。

響は可能な限り、右手を出して、憑友の左手を握ろうとした。もしかしたら、憑友が目覚めてくれるかもしれないと思って。

そして触れようとした…その瞬間だった。

 

「…⁉︎」

 

突然、身体を巡るかのような記録が響に襲った。

 

それはあまりにも残酷すぎる展開だった。

 

「憑友が…この世から…消える…?」

 

ーーーーーー

一方、響の元から立ち去った調達は買い出しに来ていた。

 

そして買い出しが終わった一行は少し疲れたので、休憩する事にした。

 

だか、休憩した場所自体が誤りだった。

4人が休憩したのは建築途中だったと思われる場所だった。

普段はバリケードなどで立ち入る事さえ出来ないのに、今日に限ってそれが開いていたのだ。それを4人はそのまま入って行ってしまったのだ。

そのまま休憩に入った一行。

だが、切歌は隣にいた調の様子が変だと言う事に気が付いた。

よく見ると額や頬から汗が出ていて、少し熱を出していた!

 

「⁉︎ずっとその調子だったんデスか⁉︎」

 

切歌は調の容態が良くない事に気が付き、切歌の台詞を聞いた陰陽兄弟もそれを聞いて調を気遣う。

 

「…大…丈夫だよ…」

 

「なにが大丈夫だよ‼︎赤くなってんじゃねえかよ!」

 

「少し待ってろ…!」

 

そう言うと2人で袋に入ってる日用品からタオルと水を取り出そうとするが、調はそのまま立ち上がって歩こうとした。

安静にしろと光聖希が言うもそれを聞かずに歩く調。

そしてそのまま近くに置いてあったパイプを倒し、調自身もそのまま倒れてしまった。

切歌が起き上がらせようとすると、嫌な音が上から聞こえてきた。

 

3人は上を見ると、そこから体力の鉄パイプが調と切歌を襲おうとした!

倒れてしまった調では、何も出来ない。

切歌だと調を守ろうと必死になるが、調と共に鉄パイプの餌食になりかねなかった。

それをみた2人は切歌と調を守る為に、身を庇う。

 

だが、庇ったは良いが、その後の行動が出来なかった。怯えたからだ。

 

此処までなのか…

 

3人は目を伏した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………

 

 

「…?」

 

だが、一行に鉄パイプが襲って来ない事に違和感を持つ切歌。

そして徐々に目を開けると、そこにはピンクで無数の六角形が1つに集まって出来たバリアが…張られていた。

 

それを見た切歌は何がどうなっているのかと困惑し、それを見た兄弟も困惑せざるを得なかった。

 

 

そしてそれと同時刻。

 

「自然都会」の方でも…ある変化が起きていた事を…

 

この時の『フィーネ』並びに『二課』の面々は知らない…




《アブソーバー・スパーク》
『ウルトラマン』の力を宿したアイテム。
アブソーバーとドッキングする事で、『ウルトラマン』の力を使えるが、『ウルトラマン』以外の力を使う事が出来ない。
その代わり、『ウルトラマン』のキャラなら自由に変身が可能になる。
変身する際は其々の変身アクションも必要になる。
(ギンガ,ビクトリー,エックスは変身時のみ彼等のスパークドールズ(半透明版)も出現して、それをスキャンさせて変身しなければならない。※尚、劇中ではその表現はしていない)

体長は50mクラスの巨人になって、大型の敵や宇宙人を倒す事に特化している。
様々な光線技や格闘技を覚える。中には超能力や武器を使って攻撃をする者もいる。
『平成ウルトラマン』達は《タイプ(モード)チェンジ》や《パワーアップ》,《フュージョン》を使用する者がいるが、現段階では《タイプ(モード)チェンジ》のみしか使用できない。

次回

繋ぐ手と手…/記憶の欠片


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#20 繋ぐ手と手/記憶の欠片

アニメ8話部分とラストはオリ展開。


あれから目を覚ました調と一緒に、切歌はなにがあったかを調に悟られないようにした。もちろん陰陽兄弟も切歌に口止めをくらって。

そうしながら4人はマリア達のいるヘリへと戻り、現在いる場所からステルス機能を使って飛行し飛び立った。

 

そして今はマリアがヘリの操縦を行っており、その隣の席では零のパートナー『英雄』であるギンジが座って得物である斧型ドライバ《ヤシャヒメ》を抱えながら瞑想していた。

 

「……」

 

一方、マリアはヘリを操縦しながら昼にナスターシャに言われた言葉を思い出していた。

 

「自分はもうフィーネを演じる必要はない」という言葉、それは一体どういうことなのか……。

 

彼女は少しだけ数か月前の出来事を思い出していた。

 

〜回想〜

 

それはシンフォギアを纏い、訓練をしている時のこと……、マリアはガングニール、切歌はイガリマ、調はシュルシャガナを装着し、陰陽兄弟は其々の基本時の姿(ベーシックフォーム)に変身し、ホログラムで出来た夜の街でウェルの出したノイズと戦っていた。

 

(挿入歌『鏖鋸・シュルシャガナ』南條愛乃)

 

調はツインテールのアームドギアから小型鋸を大量に射出して攻撃する技

"α式 百輪廻" を放ってノイズ達を切り裂き、マリアと切歌もガングニールとイガリマでノイズを切り裂くが……マリアは背後に気配を感じて振り返りざまにアームドギアを振るうとそれがノイズから逃げ惑っている男性に当たってしまい、男性は苦痛の表情を見せた。

 

「っ!?」

 

マリアはその出来事に一瞬戸惑いを見せてしまう。

 

また、陰陽兄弟の方では其々の得物でノイズを一瞬で炭化させつつ、光聖希は更に得物である鞭や鎖で、逃げ惑う人々を確実に救い出していた。

 

その時、ナスターシャからマリアの耳についた発信機から連絡が入り、マリアは先ほど攻撃してしまった男性を庇うために襲いかかってきたノイズをアームドギアで貫く。

 

『マリア、この通信はあなただけに繋いでいます。 調と切歌の2人には声は届いていません』

 

「またあの話? 私にフィーネを演じろと……」

 

どこか呆れたような声を出すマリアだが、ナスターシャ曰く「私たちの計画遂行にはウェルの助力が不可欠、彼をこちらに引き入れるにはマリアの中にフィーネの魂が再誕したことにし、自分達こそが異端技術の先端を所有していることを示さなければならない」のだという。

 

「無理よ! 私達は『セレプターチルドレン』…

フィーネの魂が宿る器として集められた孤児だけど、現実は魂を受け止められなかった! 今さら無理よ!!」

 

マリアがそう叫ぶと同時に彼女はアームドギアを振るって襲いかかるノイズを切り裂き、咄嗟にアームドギアの砲身部から高出力のエネルギー砲撃を放つ技

 

"HORIZON † SPEAR"

 

それをノイズに向けて放った。

 

ノイズに放ったつもりだった……、だが、マリアの狙いが外れ、砲撃は一般男性に直撃しその男性が消滅してしまい、それにマリアは見開いた。

 

そこで訓練が終了し、ホログラムも解除されて周りは元の空間に戻る。

すると近くにて瞑想をしていた『英雄』ギンジが、すぐさまマリアの元に駆け寄る。

 

「マリア…」

 

「っ、ごめんなさい……」

 

暗い表情を浮かべるマリア。様子を見ていたギンジはどう声をかけようかと考えている時、そこに拍手をしながらウェルが踏みより、彼が切歌と調の2人が立つ後ろに回り込むと切歌の肩に彼は手を乗せ、切歌と調は不満そうな顔でウェルを見る。

 

「シンフォギアシステム、素晴らしい力だ。 そして適性の薄い君達に力を授ける僕の改良したLINKERも、この力を持ってすれば英雄として世界を……くふふふふ!」

 

切歌の肩と調のツインテールを撫でながら不気味な笑顔を浮かべるウェル……、そんなウェルにマリアも切歌と調同様に怪訝そうな表情を浮かべ、一緒に特訓をしていた兄弟に至っては…

 

「汚ねえ手で嫌らしく切歌と調に触ってんじゃねえぞ、テメー!」

 

「今度はお前の身体を鎖で縛り付けて、首を刈り取るからな!」

 

激しい憎悪に満ちた目で兄弟はウェルを睨みつけ、ウェルは僅かながらそんな兄弟に対して「おー、恐い恐い」と言いつつも、警戒を上げなかった。所詮はただの餓鬼の言いがかりだと、ウェルはそう思っていない。

だが、これ以上やれば間違いなく自分になにかされる。

そう思ったウェルはさっと切歌と調から手を離し離れた。

 

〜回想END〜

 

そして時は戻り、現在……マリアはあの時ナスターシャはああ言ったのに、なのになぜ今になってフィーネを演じる必要がないと言ったのか疑問で仕方がなかった。

 

「(『シェンショウジン』と『ネフィリムの心臓』、『フロンティア』起動の鍵が揃った今、どうしてマムはこれ以上嘘をつく必要がないと言ったのか……?)」

 

「……マムの言ったことか?」

 

不意にギンジがマリアにそう尋ね、自分の心を読まれたことにマリアは驚きつつもギンジのその言葉に頷いた。

 

「Ms.ナスターシャにもなにか考えがあんだろ。 あんまり深く考えなくてもいいんじゃねぇのか?」

 

「でも……!」

 

「それより…Dr.ウェル(あの野郎)、切歌と調にLINKER使った2人に異常がないか検査してたよな? それに兄弟の方も試薬品を使っていたな。

ウェル(あの野郎)が何かやらかさないようにちょっと見張ってくる」

 

それだけを言い残してギンジは瞑想をやめ、ヤシャヒメをボール型のアイテムに変化させると彼は立ち上がってこの場をマリアに任せ、マリアの呼びとめも聞かず彼はそそくさとその場を立ち去って行った。

 

「もう少し話を聞いてくれてもいいじゃない…」

 

頬を膨らませてほんのちょっとだけぶーたれるマリアだったがすぐに彼女は気持ちを切り替えてヘリを操縦することに専念した。

 

ちなみにウェル達の元に向かっている途中、ギンジは……。

 

「(そういえば…

あの検査って切歌や調の事とか丸分かりなんじゃ…

…一回ぶん殴っとくか。あ、いや…斧で両断した方が早いな。

あの兄弟の為にも…。

それと…零の様子も、見に行くか…)」

 

その頃、丁度検査の終えた切歌は……、あの時自分の発動したバリアについてのことで思い悩んでいた。

 

「(あれは、私のしたことデスか? あんなこと、どうして……!?)」

 

そしてそんな切歌の様子をただ2人は何も言わないまままるで自分達の出来事のように苦悩していたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

その頃、二課の治療室では目を覚ました響に、弦十郎は彼女の身体が今どのようになっているのか、これ以上彼女を戦わせないためにもクリスを含めて響の身体の中の現状を教えることにしたのだった。

 

そして今この場には弦十郎を含め、響,クリス,翼,霊風,ロック,奏が集められ、弦十郎から響のガングニールの話を聞くことになった。

 

「これが、響くんの身体のスキャナー画像だ。 

体内にあるガングニールがさらなる侵食と増殖を果たした結果、新たな臓器を形成している……」

 

「前に見た画像よりも、酷くなってるな……」

 

ロックがぼそりと呟き、それに対して弦十郎も「その通りだ」と頷いた。

 

「これが響くんの爆発力の源であり、命を蝕んでいる……」

 

「っ……」

 

それを聞いたクリスはどこか悔しそうな表情を見せながら顔を俯かせるが、その時響は少しだけ笑った。

 

「なははは……、つまり、胸のガングニールを活性化させるために融合してしまうから今後はなるべくギアを纏わないようにしろと……あははは……」

 

「立花……!!」

 

無邪気に笑っている響に翼は怒鳴るように彼女の腕を掴むが……翼よりも先に霊風が口を開いた。

 

「立花響!! 自分の命をもっと大切にしろ!! 

ギアをなるべく纏わないようにだと…? 

違う、少なくともこの現状をどうにかしない以上ギアを纏うなと言っているんだ!! 

お前にもしものことがあって悲しむ人のことを考えろ!!」

 

「霊風さんの言うとおりだ!! 

なるべくだと? 寝言を口にするな!! 

今後一切の戦闘を禁止すると言っているのだ!!」

 

霊風と翼が響を怒鳴りつけ、翼に至っては尻眼に涙を浮かべて彼女は必死に響に訴えた。

 

「このままでは死ぬんだぞ!? 立花!!」

 

そこでクリスとロックが響と翼達の間に入って仲裁に入った。

 

「そんくらいにしときな!! 2人とも落ち着け!!」

 

「立花、霊風も(防人嬢)もお前を心配して言ってるんだ。 

2人の言ってること、分かるよな?」

 

ロックが心配そうに響に言い、響は眉を寄せて顔を俯かせながらもロックの言葉に無言で頷き、クリスは翼に「このバカだって分かってやってるんだ!」と翼に言い、翼は顔を響とクリスから背けて部屋の外へと出て行った。それを見ていた相方の奏は響を元気付けるとそのまま翼の後を追っていった…。

その後、苦虫を噛んだかのような態度で霊風も部屋から退室した。

 

「医療班だって無能ではない。 

了子くんが残したデータを元に対策を進めている最中だ」

 

「師匠……」

 

弦十郎は響に笑みを向けながら彼女の頭に手を置く。

 

「治療法なんてすぐに見つかる。 

その僅かな時間ゆっくりしてても罰は当たるものか! 

だから、今は休め!」

 

「分かり…ました…」

 

戸惑いつつも響は玄十郎にそう返事を返した。

 

 

 

 

だが、響以外の皆はそれと同じ悲しみをもう1つ既に知ってしまっていた…

 

 

 

 

自分達の仲間…人絆憑友の余命があと1週間しか生きられないと言う事に。

 

その事を、響と未来,逝都と馬燈の4人に知らせる訳には行かなかった…

 

 

彼等にとって、憑友は…掛け替えのない…

 

 

 

 

 

《幼馴染》だから…

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

同じころ、マリア達の乗っているヘリは目的地の座標ポイントに到達し、操縦席には操縦を行っているマリアは勿論、ウェル,ナスターシャ,切歌,調,ギンジ,陰陽兄弟…全員(内1人は『英雄』)が集められていた。

 

そこでナスターシャが「マリア、お願いします」とマリアに伝えるとマリアは頷き、ヘリからプロペラのついた物体「シャトルマーカー」が幾つか射出されてまるでなにかを囲むように並んでいく。

 

「ステルスカット、神獣鏡(シェンショウジン)のエネルギーを収束」

 

ナスターシャがそう言うとヘリはステルス機能を解除する。

 

「長野県『皆神山』より出土した神獣鏡(シェンショウジン)とは鏡の聖遺物、その特性は光を屈折させて周囲の景色に溶け込む鏡面明細と古来より魔を払う力…

…聖遺物由来のエネルギーを中和する神獣鏡(シェンショウジン)の力を持ってしてフロンティアに施された封印を解除します」

 

とどのつまり、この海の底に沈んでいる「フロンティア」と呼ばれるものを呼び出すために、「神獣鏡(シェンショウジン)」と呼ばれる聖遺物のエネルギーをあのシャトルマーカーに向けて放ち、そのフロンティアを起動させるためのエネルギーを増幅させ、フロンティアを呼び起こそうというのだ。

 

そしてナスターシャがそのエネルギーを発射するためのスイッチに手をかけた時、ウェルがナスターシャの腕を掴んだ。

 

「フロンティアの封印が解けるということはその存在を露わにするということ。 すべての準備が整ってからでも遅くないのでは?」

 

「心配は無用です」

 

そうしているとギンジはウェルの首根っこを掴んで引っ張り、彼をナスターシャから引き離す。

 

「ほら、邪魔だ退け」

 

「あなたはいつも……!!」

 

マリア達と違っていつも自分をぞんざいに扱っていながらも、自分が憧れていた『英雄』の1人・ギンジをウェルは睨みつけるが、ギンジは知らん顔で…と言うより興味のきょの字さえも湧き上がってこないギンジはウェルと顔を合わせようとしなかった。一発くらい殴ってやろうかと思ったがマリア達の力が自分にも必要なことは事実なため、ウェルは我慢して気を静めた。

 

そしてナスターシャはエネルギーを発射し、フロンティアを起動させようとする。

 

「ふふっ、これで……フロンティアに施された封印が解けるぅ……。 と・け・るぅ~♪」

 

しかし、実際はフロンティアはほんの少し動いた程度で後は泡立てただけで止まってしまい、フロンティアの封印が解けることはなかった。

 

「解け……ない……?」

 

これはナスターシャが今の自分たちにはフロンティアを起動させることができないことをウェルに知らしめるためであり、ナスターシャ曰く「機械的にエネルギーを増幅しただけでは封印は解けない」とのこと。

 

それを聞いたウェルは歯をギリギリで噛みしめてかなりの不機嫌そうな表情を見せていた。

 

「いいいいいい!! ぐいいいいいい~!!?」

 

『(((ぷっ、変な顔)))』

 

そんなウェルの顔を見て密かに心の中で笑う兄弟と調だった。

そしてギンジも冷静でいながら地味に笑いを堪える顔を見せていたのは言うまでもない。

 

一方、二課ではオペレーター達の調べによりウェルの言っていたそう遠くない未来に月が落下してくることがほぼ確実に近いということが判明していた。

 

 

 

 

ーーーーーー

 

翌日、東京スカイタワーにてマリアとナスターシャは米国政府のエージェント達とある取引をするためにそこへと向かっていた。

尚、今回はボディーガードとして、

狼の姿をした『英雄』…

【鋼の守護獣 ザフィーラ 】も同伴している。

因みにスカイタワーに進入した際は人間体で入り、人目が無いエレベーター内で馴染み深い狼の姿になっていた。

 

マリアはナスターシャの車椅子を押しながらマリアはナスターシャに「フィーネを演じる必要がない」とは一体どういうことなのかを尋ねていた。

 

「言葉通りの意味です。

私達がしてきたことはテロリストの真似ごとにすぎません。

真に成すべきことは月がもたらす最悪の被害をいかに抑えるか。

……違いますか?」

 

「つまり、今の私たちでは世界は救えないと?」

 

そしてナスターシャとマリアが取引先の部屋に入るとそこには黒服でサングラスをかけた数人の男性達が立っており、このことをマリアは知らされていなかったのか少しだけ戸惑ってしまう。

 

ナスターシャは「講話を彼等に持ちかけるために召集した」とマリアに説明した。

 

「Dr.ウェルには既に話しています。 

さあ、これからの大切な話をしましょう」

 

そんな2人の会話をザフィーラはただ付き添いながら黙っていた。

 

ーーーーーー

その頃、同じくスカイツリーを訪れていた響は、未来と一緒に今は水族館を一緒に見て回っていた。

因みに今回はそれに加えて、セイバーとヴィヴィオの2人も同伴していた。

2人の場合は未来の制止を振り切ってまで行こうとする響の更なるブレーキ役としているのだが、セイバー(彼女)魔術師(マスター)である「士郎」と、ヴィヴィオ(彼女)の母親である「なのは」から許可を得ているので、実質お休み同然のような物だった。

因みに何故現界し続けているかと言うと、未来にも『現界ブースター』を所持しているから。

ただ此方のは、霊風

今は未来は飲み物を買いに行き、響は水槽の前で1人考え事をしていた。

 

そんな響の様子をセイバーとヴィヴィオが少し落ち込みながらその様子を見ていた。

そしてそんな3人の様子を影から見つめる2人の人物…ロックとクリスがいた。

 

「おい、ロック義兄!

なんであたし達がこんなコソコソとしなくちゃいけねえんだよ? 

あのバカを見張るんだったらもっと堂々と……!」

 

「いや、俺達も行ったらどちらかと言ったら邪魔になるだけだ。 

立花は小日向と2人っきりにした方がきっと良いと思った事。

それにセイバーとヴィヴィオは立花達にとっては頼れる存在だ。 

そっちの方が立花だって落ち着ける筈さ」

 

今にも響のところへと飛び出して行こうとするクリスをそう言ってロックが抑え、クリスは不満そうにロックを見つめてそんな不機嫌な顔をするクリスにロックはほんのちょっとだけ戸惑った。

 

「…如何したクリス? そんな不機嫌そうな顔して…」

 

「別に、なんでもねーよ! ただ、あいつ等のこと…よく知ってるなと思って……」

 

クリスはそう言いながらそっぽを向き、ロックはそんなクリスに失礼だと思いながらもついつい笑ってしまった。

 

「な、なに笑ってんだよ!?」

 

「いや、クリス…もしかして()()()()…なのか?」

 

「なあ!!?////」

 

ロックに図星を突かれてしまい、顔を真っ赤にしてしまうクリス、当然そんなことを言えばクリスが怒るかもしれないとロックは思うが…

実際はまた違う方向にクリスは顔を真っ赤にしていたのはまた別の話。

 

「あいつ等のことをよく知ってる方には当てはまらないさ。

よく考えてみろ?

俺とクリスが憑友達と出会ったのはほんの数ヶ月前のあの邂逅からだろ。

…憑友がよく喋ってくれていたんだ。

彼奴の自慢話を聞かされる身にもなって貰いたいぐらいに憑友は立花と小日向の事をよく知っていた。幼馴染と言うレベルを越してるぐらいにな」

 

「…そう…なのか…」

 

そんなやり取りをコウマとクリスがしているとはつゆ知らず、響は翼に言われた「このままでは死んでしまう」という言葉を思い出していた。

 

「(死ぬ、戦えば死ぬ……。考えて見れば、当り前のこと……。

でも、何時か麻痺してしまってそれはとても遠いことだと錯覚していた……。 

戦えない私って誰からも必要とされない私なのかな…)」

 

そんなことを考えていた響の頬に突然ひんやりとした感触が伝わり、「うひゃああああああ!!!?」とついつい大きな声を出してしまい、その影響で周りのお客さん達が響にびっくりした。

尚、その際に2人が危うく尾行がバレそうになったことはまた別の話。

そんな響に未来から注意された。

 

「だだだだ、だってこんなことされたら誰だって声出ちゃうって!?」

 

「響が悪いんだからね」

 

「えっ? 私?」

 

「だって、折角4人で遊びにきたのにつまらなさそうにしてるから」

 

不満な顔をして未来は響にそう言い、そしてその残りの2人であるヴィヴィオとセイバーも不満な顔を見せていた。特にヴィヴィオに至っては頬を膨らませてまるでフグのような顔付きまでしていた。

そのことに響は「ごめん」と申し訳なさそうにして謝る。

 

「心配しないでぇ! 

今日は久しぶりのデートだもの! 

楽しくない筈がないよ!」

 

『((あっ、やっぱりそういう仲なんだなあの2人…))』

 

それを遠くから見ていたロックとクリスは2人同時に同じことを思ったそうだ。

因みにもしこの場に逝都がいたら、「翼さんの時もデートって言っていたな…まぁ結局は合コン紛いな結末になったけど」と言っていたかもしれない…。

 

「デートの続きだよ! 

せっかくのスカイタワー!…丸ごと楽しまなきゃ!」

 

そう言って響は笑顔を未来に向け、彼女の手を取って2人は歩き始めた。その後をセイバーはヴィヴィオと手を繋いで2人の後を追った。

セイバーは一応こう見えて王様である。

そしてヴィヴィオは聖王と呼ばれた少女の複製体(クローン)

一方が幼馴染同士なのに此方は謂わば『王』と『姫』そのものであった。

 

「さて、俺達も立花がギアを纏わないように見張らないとな。

行くぞ。クリス」

 

「あ、あぁ……」

 

クリスはロックに手を差しのべられて彼女は戸惑いつつもその手を取ると、ロックの先導で響と未来の後を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

一方でとある森の中にヘリを止め、調は出来たカップ麺を味見する。

 

「うん、思った通りの味が出た」

 

カップ麺で思った通りの味ってなんだ……と思うかきっとなにか工夫かなにかしたんだろう。

近くにいた光聖希はそう感じたそうな…。

 

また、ヘリの外では切歌が膝を抱えて座っており、彼女は自分の中にいるかもしれないフィーネの魂について思い悩んでいた。

 

「(もしも私に、フィーネの魂が宿っているのだとしたら……私の魂は、消えてしまうのデスか? 

あっ、ちょっと待つデス! 私がフィーネの魂の器だとするとマリアがフィーネというのは……)」

 

「…切歌、そろそろ飯…あっ…////」

 

そろそろ昼ごはんの時間なのを教えにきた闇呪怨は不意に顔を反らし、いきなり顔を反らしたりして一体どうしたのかと首を傾げる切歌。

 

闇呪(エジュ)? なんで顔を背けるデスか?」

 

「お前…膝を抱えたらスカート…///」

 

「スカート?……っ!!?////」

 

切歌は闇呪怨に言われて慌ててスカートを抑え、彼女は顔を真っ赤にして「み、見たのデスか?////」と問いかけると闇呪怨は全力で首を横に振った。

 

「いやいやいや! 見たと言っても一瞬っていうか…」

 

「結局見たんじゃないデスか!! 

まあ、でも今回は許してあげるデス……」

 

「…あぁ、すまな…って。切歌?」

 

そんな時、闇呪怨は切歌の様子がなにかおかしいことに気づき、切歌はそれにドキッとして慌てて「な、なんでもないデス!!」と誤魔化すが…正直言って闇呪怨から見てなんでもないようには見えなかった。

と言うよりも、彼自身も今の切歌の心境に心当たりがあった。

 

「(…先日のあのバリアの件を引きずってるのか…)」

 

先日、切歌が調を救おうとした時に発生したピンクで六角形の形が無数に集まって出来たバリア。

切歌はその事できっと悩んでいると闇呪怨は考えた。

すると闇呪怨は切歌の肩にそっと手を置いて、話しかけた。

 

「俺だけじゃない、調やマリア,ギンジさんに聖希,マムだってお前の悩みならきっと真面目に聞いて力になってくれる筈だ」

 

「…ありがとうデス、闇呪(エジュ)。 けどこれは……」

 

顔を俯かせ、口ごもってしまう切歌、そんな切歌を見て闇呪怨はよほど言い辛いことなのだと感じた。

 

「まあ、慌てることじゃないんなら…

お前の決心がつくまで言わなくていいさ。

俺はお前の事を大切にしているから」

 

「心配してくれてありがとうデス、闇呪。 

少し気が楽になったデスよ」

 

「そっか」

 

闇呪怨と切歌はお互いに微笑み合った。

その様子を木の上で昼寝をしていたギンジは微笑んでいた。

尚、やはりまた得物である斧型ドライバ《ヤシャヒメ》を展開してそれを抱き抱えるかのように太い木の枝の上に居座っていた。

 

そこに調が昼ごはんの準備が出来たことを2人に知らせにきた。

 

「ありがとデス! 

なにを作ってくれたデスか?」

 

「298円……!」

 

「御馳走デス!!」

 

それを聞いた瞬間、ギンジは一瞬、姿勢が崩れ、危うく落ちそうになるがなんとか踏み留まり、口元を押さえて尻眼に涙を浮かべた。

 

「(こいつ等にいつかちゃんとしたもの食わせてやりたい…!

と言うよりも、憑友とか言っていた奴の配慮がまだ良かったかもしれない⁉︎)」

 

 

そう心の中で呟いていた事をこの時の皆は知らなかったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

場所は戻り、スカイタワーのマリア達のいる部屋では……。

 

異端技術の入ったチップをエージェント達にマリアが渡し、ナスターシャが次の話題に移ろうとしたその時、エージェント達は突然拳銃を取り出してマリア達に銃口を向けた。

それに気付いた『英雄』ザフィーラは「グルルルゥゥ!」と唸り声を上げて威嚇し始めた。

 

「マム!!」

 

「あなたの歌よりも、銃弾は遥かに早く、躊躇なく命を奪う」

 

「初めから、取引に応じるつもりはなかったのですか?」

 

ナスターシャの言うとおり、米国政府のエージェント達は最初から取引に応じるつもりはなかった。

 

「必要なものは手に入った。 

後は不必要なものを片付けるだけ……」

 

そんな時、窓に飛行型のノイズが何体も飛んでいることにエージェント達は気づき、窓をすり抜けて部屋に侵入したノイズがエージェント達へと襲いかかる。

 

「う、うわああああああ!!!?」

 

このノイズ達はスカイタワーから離れた場所でウェルがソロモンを使い、ノイズを呼び出して操っているもの、

マリアはすぐさま聖詠を詠った…!

 

「Granzizel bilfen gungnir zizzl…」

 

そしてマリアはガングニールを纏うとを口ずさみながら槍型のアームドギアで邪魔なノイズ達を一気に一掃し、ナスターシャを抱えてすぐにここから脱出した。

 

その際、エージェントに渡したチップを破壊して。

そしてマリアの行動を察したザフィーラはマリアの後を狼の姿で後を追いかけた。

 

(挿入歌『烈槍・ガングニール』日笠陽子)

 

またスカイタワーの展望台に来ていた響,未来,ヴィヴィオ,セイバー,クリス,ロックもノイズが目の前で飛行しているところを目撃し、人々は逃げ惑う。

 

未来は走りだそうとする響の腕を掴み、彼女を行かせないように引き止める。

 

「待って!! 行かないで響!!」

 

「未来……だけど行かなきゃ!!」

 

「この手を離さない!! 

響を戦わせたくない! 

遠くに行って欲しくない!!」

 

そう必死に響に訴える未来。

 

「ミク!貴方はヒビキを止めて置いて下さい!」

 

「私達が助けに行くから!」

 

するとそんな2人の所に礼装を纏ったセイバーと既に大人モードになっていたヴィヴィオがやって来た。そこに泣きながら歩く子供の姿が響達の目に入り、響は未来と向き合う。

 

「胸のガングニールさえ使わなければ大丈夫なんだ! このままじゃ!」

 

そう言って響達はあの子供を追いかけて走り出した。

 

「クリス! 俺達も……!」

 

「あぁ!!」

 

だがその時、飛行ノイズ達が一斉にあの子供とその子の元に行こうとする響と未来に向かって真っすぐと襲いかかってきた。

ロックはこのままではまずいと悟ったのか、すかさずカードを二枚と『現界ブースターα』を取り出して連続スキャンした!

 

ーロード・トゥ・シグナム!ー

ーロード・トゥ・フェイト!ー

 

するとロックはすかさずノイズに向けて弾丸を2発放った!

すると弾丸は徐々に姿を変えて、2人の女性へと変わった!

 

「はぁぁぁぁ!」

 

「はぁっ‼︎」

 

2人は其々の得物…前者は斧型の杖で、後者は刀でノイズを斬り伏した!

 

「フェイトママ!シグナムさん!」

 

「此処は任せて!」

 

「自分のやるべき事を全うしてくれ!」

 

「はい!」

 

【迅雷の執務官 フェイト】と【烈火の将 シグナム】

 

2人は共に同じ世界出身で、ヴィヴィオにとっては知り合い(フェイトに至ってはもう1人のママである)。そして共に空戦魔導師…

即ち、空中戦は得意分野であると言う事である。

2人に言われたヴィヴィオはそのまま響達と共に行動を開始した。

 

「空中のノイズをクリスと共に!」

 

「分かりました!」

 

「了解した」

 

そう言うとロックはすかさず響達の後を追い、クリスは既にシンフォギアを纏っていた。

 

「あんまり動くんじゃねぇぞ!」

 

「…ああ言っているが、フェイトは如何したい?」

 

「ふふ。大丈夫だよ、シグナム。

あの子、ちゃんと考えて撃っているから」

 

「そうか。なら、お構い無しに動くとしよう!」

 

そんな2人の会話にクリスがツッコミを入れていたのだが、2人は全く聞く耳すら立てていなかったのはこの際如何でも良い事である。

 

 

そして響と未来は先ほどの子供の少年を連れて少年を励ましながら親を探し回る。

 

「ほらほら、男の子が泣いてちゃ、みっともないよ?」

 

「みんなと一緒に避難すればきっと会えるからきっと大丈夫だよ?」

 

そこに係員と思われる人物が少年を抱きかかえ、響と未来も避難するように言って係員と少年はすぐにその場から離れ、少しだけ遅れて響と未来も避難しようとするがその時ノイズがビルを突き破って天井が崩壊し、未来は慌てて響を突き飛ばした。

 

「響!!」

 

 

その頃、マリアは上の階に逃げている途中、軍隊の人間と思われる者達からの攻撃を受け、マントで銃撃をナスターシャを庇って防いでいたが……それに一般人も巻き込まれ、それにマリアを目を見開きながらマントを伸縮自在に操って軍人を叩き飛ばす。

 

マリアは銃で撃たれて死んだ一般人達を見つめていた。

 

「……私のせいだ、全ては、フィーネを背負い切れなかった……私のせいだああああああああ!!!!」

 

そう叫びながらマリアはマントで軍人を吹き飛ばし、アームドギアで軍人を叩きつけた。

その様子を見ていたザフィーラは人々を守る為に人型の姿になるなり、防御魔法で一般人に被害を及ばさない様に動き始めた。

 

それを見ていた生き残っていた一般人達は……恐怖のあまり「助けてえええええええ!!!!」と叫んでしまう。

 

「うろたえるな!! うろたえるな、行け!!」

 

「は、はいいいいい!!」

 

あの時、ライブ会場でも言ったその言葉は……自分に向かって叫んだ言葉だった。

 

マリアはナスターシャを抱えてアームドギアを天井に向けて掲げる。

 

「もう迷わない!! 一気に行って見せる!!」

 

アームドギアを回転させてマリアは跳びあがり、一気に最上階まで彼女は進んでいく。

その後を、ザフィーラは防御魔法を駆使しつつ、2人の跡を追った。

 

また、響と未来はどうにか助かることが出来、響は助けてくれた未来にお礼を言う。

 

「ありがとう、未来、助かったよ」

 

「うん、あのね! 響……」

 

未来がなにかを言おうとしたその時、突然彼女たちの足場が強く揺れてそこでバランスを崩した響が崩壊した壁から落ちてしまう……だが寸前のところで未来が響の腕を掴んだ。

因みにあの騒動の際に、セイバーとヴィヴィオは共にタワーへと侵入してきたノイズ達を相手にしていた為、其方に手が伸ばせずにいた。

 

「未来!! ここはもう持たない!! はやく手を離して!!」

 

「ダメ!! 私が響を守らなきゃ!」

 

「未来……。 

いつか、本当に私が困った時、未来に助けて貰うから…

今日はもう少しだけ、私に頑張らせて」

 

必死に腕を掴む未来に響は微笑んでそう伝えるが、未来は涙を流しながらも必死に腕に力を入れて響を掴む。

そしてそれと同時にセイバーとヴィヴィオがノイズの掃討を終えるなり、直ぐさま2人の元へと急行した!だが、

 

「私だって……守りたいのに……! 

響いいいいいいい!!!!」

 

そして……響の「左腕」はするりと未来の右手から抜け落ち、響は地面へと落下していく。ノイズに時間を取られ過ぎたのだ。

そして彼女…響は聖詠を口ずさみ、ガングニールを纏って地面に着地した。

 

「未来!! 今行く!!」

 

その時、未来のいた場所が煙をあげて大きな爆発を起こし、それを見た響は眼を見開いて未来の名を叫んだ。

 

「未来うううううううううううう!!!!!!」

 

響の虚しすぎる絶叫がスカイタワー周辺に響き渡っていた。

 

ーーーーーー

スカイタワーが爆発する前。

 

此処は「自然都会」に位置する憑友の実家。

其処ではセレナが部屋の掃除をしていた。

 

そしてリビングでは、セレナの義父であり、憑友の実父…玄也がニュースを見ていた。

 

『速報です‼︎

つい先程、東京スカイタワー周辺に大量のノイズが確認されました!

スカイタワー周辺にお住いの皆さんは速やかにシェルターへと避難して下さい!繰り返します!速やかにシェルターへと避難して下さい!』

 

「…」

 

ニュースの内容を聞いた玄也。その顔からは悔しい思いで一杯だった。

 

そんな中でセレナは、次の掃除場所として、自身の義母にして、憑友の実母…ジャンヌの部屋を掃除していた。

 

意気揚々と楽しく掃除をするセレナ。

すると不意に書棚の隙間から一枚の写真がはみ出ていたので、それを取ったセレナはその写真を見た。

 

其処に写っていたのは、今となんら変わりはしないジャンヌと、紅い瞳と蒼い瞳と言うオッドアイの女性と、紺色で右眼をアイパッチで覆った女性の3人と、ピンクの髪の少女とオレンジ色の髪をした少女2人。計5人が写っている写真であった。

 

それを見たセレナは最初、不思議そうな顔をしたが、突然…

 

ピキンッ!

 

「あぐっ⁈」

 

何かに刺激されたか、突然の頭痛に頭を抑え始めたセレナ。

 

「セレナ〜!ただいま…⁉︎セレナ⁉︎」

 

その直後にジャンヌが帰宅し、部屋に入ると其処にはセレナが頭を抑えながら、悶え苦しんでいる様子を目の当たりにした。

ジャンヌは直ぐに容態を確認した。それと同時にセレナの近くに置いてあった写真を見て、ジャンヌはまさかと言う予感を感じさせた。

 

「この写真を見たからなの…⁉︎」

 

ジャンヌの問いに答える者は居なかった。




次回

セレナ・カデンツァヴァナ・イヴ

次回…セレナの話。と同時に伏線回収回


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#21 セレナ・カデンツァヴァナ・イヴ

最新話にしてオリ展開?いや、ご都合主義な話。


ーーーーーーSIDEtoセレナ

うぐぅ…あ、頭が…痛い…‼︎

 

あの写真を見てから、息も苦しくなって来た…‼︎

 

たった一枚の写真で…如何して⁈

 

『…レ……ナ!…セレ…セレナ!』

 

⁉︎私の名前を呼んでいる?

⁈此処は何処⁈

 

私は混乱していた。其処は全く知らない筈の場所だから。

 

そうしていると、

 

『起きて、セレナ!』

 

不意に聞こえてきた声に私はその声がした方向…後ろを振り返る。

 

其処には先程の写真に載っていた2人の少女がいた。

ピンクの髪の少女が、オレンジ色の髪をした少女に話しかけていた。

如何やら起こしているようだった。

 

『う〜ん…あともう少し…zzz…』

 

『駄目よ。セレナ。もう直ぐお母さんがやって来るわよ』

 

セレナ?…私の名前? あの子は私の事を知ってるの…?

 

そうするとオレンジ髪の少女がこのまま寝続けるのを諦めたのか、目を擦って起き上がった。

そしてその子はピンク髪の少女にこう言った…

 

『むぅ〜…まだ寝足りないよ〜…

 

 

 

()()()()()()…』

 

マリア…姉さん?

 

容姿は、あの歌姫『マリア・カデンツァヴァナ・イヴ』と同じ。敢えて言うならそのまま小さくなっていたような姿をしていた。

 

 

すると突然、周りの景色が真っ暗になった。

何が起こったの⁈

 

『大丈夫だよ。私』

 

え?

そして不意に聞こえて来た声に私は辺りを見渡す。しかし其処は何も無い、黒で染められた無の世界…

すると何かの気配を感じた私はそのまま後ろを振り返ると、其処には先程のオレンジ髪の少女が其処に立っていた。

それと同時に頭の痛みもすぅ〜…と消えていた。

 

「貴方は…」

 

『まだ記憶が思い出せていないんだよね。もう1人の私』

 

もう1人の私…それだけで、彼女が私自身である事を悟っていた。

そしてそれが幼い頃の自分だと言う事も。

私はその事実を突き付けられて、何故か「ごめんなさい」と謝っていた。

だけど、其処にいたもう1人の私は首を横に振った。

 

『大丈夫だよ。仕方が無いもの。

でも、貴方と言う存在を取り戻せるのが今しか無いの。

だから…よく見てて欲しいの。

貴方が無くしてしまった記憶を…思い出を…!』

 

そう言われた少女は私の隣に来た。

するとまた今度は別の視点からの思い出を見せてくれた。

其処には先程の写真に載っていた紅と蒼のオッドアイをした女性と

幼い頃の私が言ったマリア姉さんなる存在と一緒に楽しい食事をしていた。

そしてそんな3人の所に1人の女性がやって来た。

その女性には私も見覚えがあった…ジャンヌ義母さんだった。

私はジャンヌ義母さんの事は知っていたので、代わりにあのオッドアイの女性の事を知ろうとした。

 

「あのオッドアイの女性は?」

 

『ソロ・カデンツァヴァナ。私…この場では貴方もだけどね。

それと、マリア姉さんの本当のお母さんだよ。

そして、貴方がの義理の母であるジャンヌさんの…妹なの』

 

そうか…その人が私の本当のお母さんなんだね。

そしてジャンヌ義母さんは、実は私にとっては叔母さんで、ジャンヌ義母さんにとっては私は姪っ子だった。謂わば親戚同然の関係だったんだ。

私はそう思っていた。けど、隣にいたもう1人の小さな私は深刻な顔をしていた。

 

「…如何かしたの?」

 

その問いに幼い私はどう説明すれば良いのか、困惑していた。

だけど知りたい。何故、自分の実の母親を見て、なぜそんな顔しかしないのかを。

すると意を決してくれたのか、幼い私は口を開けた。

 

『…お母さんは、私が10歳の時に…亡くなったの』

 

亡くなった…?

だ、だって、まだ記憶の中ではあんなに活き活きとしているじゃ無い⁉︎如何して⁈

 

『当時流行りの不死の病にこの時から既に侵されていたの。

その頃の私は全く知らなかったの』

 

…そうだったのね。

不死の病か。もしこの場にジャンヌ義母さんがいたら、どれだけ心強かったのか。

 

『マリア姉さんはこの事を知っていた。

だから、お母さんとの別れの際に、私を抱き寄せて一緒に泣いてくれたの。自分が無力だったばかりに。それは私も同じ事だったんだけどね』

 

そう言われながら、周りの景色はいつの間にかその母親の埋葬が行われていた。

因みにこの際に父親が誰なのか聞いたら、『憶えていない』と言われた。なんでって聞いたら、『自分を産んだ直後に、戦争地に赴いて、帰らぬ人になってしまった』と、幼き頃の私がそう告げた。

つまり、当時の私とマリアさんは両親が居ない…身寄りの無い孤児になってしまったと言う事であった。

 

そして周りの景色はまた別の場所へと映し出されていた。

其処には先程の風景よりも何やら機械的な施設内にいた。

其処には少し背丈が大きくなった幼い私とマリア姉さん。そして、写真にも写っていたアイパッチをした女性が、電動車椅子に乗って、話をしていた。

 

『彼女はナスターシャさん。お母さんとジャンヌさんの事を娘のように可愛がってくれた存在。そしてそれは私達姉妹にも愛情を注いでくれた人…』

 

ナスターシャ。小さい私はそう言ってくれた。

そうか…この人が…

そう思って横に目を向けると、其処には私がいるのだが…何故だろう。やけに大きくなったのではと錯覚していた。

 

『あ、これ?

周りの景色と同じ時系列の体型にしないと、私維持できなくなるから』

 

と、言ってきたので私は何故か納得した。何故だろう?

それは兎も角、私は景色の様子を見た。

そしてとある日の風景にて、ナスターシャさんが私に赤いペンダントを渡された。

 

「あれは…聖遺物のギアペンダント?」

 

それは翼ちゃんやクリスちゃんが持っているギアペンダントだった。

 

『うん。貴方も昔は、響ちゃん達と同じ《シンフォギア》装者だったんだよ。それも先天性のね』

 

そう言う中で、景色の中の私は聖遺物を起動する為のパスワードなる物…聖詠を詠った。

 

『Seilien coffin airget-lamh tron…』

 

そしてそれと同時に幼い私は聖遺物を纏った。

 

『アガートラーム。私の力を最大限に発揮できる聖遺物。

尤も、今は手持ちには無いんだけどね』

 

そう言う中で私はその様子をじっくり見ていた。

そして今度はあくる日の様子が映し出されていた。

其処には大勢の男の子が小さい私を相手に虐めをしていた。

マリアさんはその時は不在だった。

 

『今の私にしては可笑しいかもしれないけど…この日、私は運命と出会ったの』

 

…運命…Destiny…響きは良いかもしれないけど…不安でしかない。

そう感じて俯いて居たら、先程までの暴力していた男の子達の1人が私の足下に飛ばされてやって来た。

其処で顔を上げると、其処には1人の少年が私を庇って、そして拳から血が流れていた…!

 

『お前等!レディーファーストって言うのを知らないらしいな?

だったら、俺が教え込ませてやる…掛かって来いよ』

 

その少年の挑発をまんまと掛かった男の子達は一斉に拳を振り上げた。

だけど、少年は動じる事も無く、寧ろ全ての攻撃を受け止めて、そしてそのまま反撃した。

それを見た私は胸が焼ける様な痛みをし始めた。

ううん…この感覚…前にも味わっている…

 

…そうだ…この時からだ。

 

すると男の子を退治した少年はそのまま、懐に忍ばせていた絆創膏で小さかった頃の私が受けた傷口に張った。

 

『あ、ありがとう…///』

 

『気にするなよ。『漢たる者、弱き者を救え』なんだよ』

 

少年が言った台詞…私はその言葉で摩耗していたであろう記憶が磨かれていた…

そうだ…この子だ…この子は私にとって、初恋の相手だったんだ…

 

そう思っていたら、当時の私がその子に自己紹介した。

 

『私…セレナ。セレナ・カデンツァヴァナ・イヴ』

 

『俺の名は(レイ)無頼零(ぶらい レイ)!よろしくな!セレナ!』

 

『⁉︎///…うん!』

 

そうだ…あの子の言動、態度。…そして何よりもその笑顔に私は惚れたんだ…

 

その日を境に虐めは無くなっていた。

実は彼はこの施設内の男の子達を統率する兄貴のような存在だった。

だから迂闊に手を上げられなかったんだ。

 

その後、マリアさんと零が出会って、賑やかな生活になって行った。

そしてそんなある日、彼は1枚の石で出来た板を持ってきていた。

そうだ…あれは間違いない。『英雄石板』だ。

当時の私の時から『英雄石板』は貴重だったんだ。

 

すると零はその石板に触れて、感じたのか…詠唱を放った。

その『英雄』の軌跡をなぞった物語を。

 

『「詠唱開始。

 

『その者は全てにおいて興味を持たない少年だった。

 

それ故にその者の中に眠りし力は『無』の力となる。

 

やがて大いなる野望が訪れた…

 

少年は自らの幼馴染である存在…

 

赤き炎を灯した少年,青き水を留めた少年,翠の風を纏う少女と共に、その野望を打ち壊さん。

 

しかし、悪戯し神の仕業により、『英雄』と言う名の鎖に繋がれん。

 

しかし少年は幼馴染を、仲間達を守る為に行動せん。

 

その身に『無』の力が有り続ける限り…』」

 

…はっ⁉︎俺は何を言って…⁉︎うわぁ⁈』

 

すると、石板が光輝き、それが一点に集中し、そしてその光が消えると同時に一枚のカードが現れた。

それを見た零はそのカードに手を触れた。

その瞬間に眩い閃光が襲いかかった。それは記憶を巡っている私達も同じだった。

やがて光が消え、零はカードがあった場所を見て凝視した。

其処に居たのは、

焦げ茶色のフード付きダウンジャケットに、黒のズボンを履いた…

銀と黒が交じった髪を生やした少年だった。

 

『お前は一体…?』

 

『ギンジ。そう呼ばれている』

 

それが零と『英雄』ギンジとの出会いだった。

まるで義理の弟の憑友とキリトのような関係になっていた。

そしてその日から時間の流れが過ぎて行った。

時間の流れが速くなったのは私にとっては逆に良かったのかもしれない。

当時の私はそれを見て欲しく無いとの事だったけど、時間の流れを速くしている際に一瞬だけ見た景色を見て、それは納得してしまった。

 

たくさんの子供達がこの施設に入ったのは良いが、この施設から出て来た者は1人もいなかった。何故なら其処で何かの実験をしており、私達はその実験のサンプルになっていたから。

それをみた私は当時の私が見て欲しく無い理由も分かった。

確かに今の私ではその光景を見れば、そのまま嗚咽や吐き気に襲われてしまうからだ。

只でさえかつての私でさえも苦しんだのに、記憶が欠けていた私がその光景を見れば間違い無く精神的にも体力的にもどっちも持って行かれる事に変わりは無かった。

 

そして最悪の日が訪れた。

研究者が実験にしていた物…『"完全聖遺物"ネフィリム』と呼ばれていた存在が暴走を始めたのだ。

これは『歌を介さず、強制的にネフィリムを起動させてしまったせい』だと当時のナスターシャさんが言っていた。

 

それを聞いた当時の私は、『私、歌うよ』と突然言い出していた。

 

その一言で今の私は気づいた。それは人体にかなりの負担をかける『絶唱』と呼ばれる《シンフォギア》の切り札を使おうという事に。

 

『やめて、セレナ! 

下手をすれば絶唱は命にも関わるかもしれない!』

 

当然、マリアさん…ううん。マリア姉さんは私を止めようとした…、しかし、私は…。

 

『私の絶唱でネフィリムを起動する前の状態にリセットできるかもしれないの!』

 

『そんな賭けみたいな! 

もしそれでネフィリムを抑えられなかったら……!』

 

『…その時は、マリア姉さんと此処には居ない零がなんとかしてくれる。 

『F.I.S.』の人たちがなんとかしてくれる。 

私だけじゃない、だから、なんとかなる! 

ギアを纏う力は、私が望んだ力じゃないけど、この力でみんなを守りたいと望んだのは、私なんだから…』

 

私はマリア姉さんに向けて微笑み、それでも姉さんは私の腕を掴んで引きとめた。

 

『心配してくれて有難う。 

でも、ここにいる人たちを、救うためだから。 

みんなが死ぬのは、嫌だから…。 

だから、大丈夫だよ?』

 

『…っ』

 

私は今にも泣き出しそうな姉さんの頬を撫で、そして近くには零とのパートナー契約を果たしたばかりの『英雄』ギンジさんが立っていた。

 

『必ず、生きて帰ってきてくれ。お前の事を待ってくれている人がいる。お前の帰る場所が此処にはあるんだから』

 

ギンジさんがそう言ってきたので、私は頷きつつ必ず帰ってくる事を約束し、私はそれに笑顔で頷くと“白銀のシンフォギア"である聖遺物『アガートラーム』を纏ってネフィリムのもとへと向かった。

 

そして私は歌った、ネフィリムを止めるために『絶唱』を……。

 

ーGatrandis babel ziggurat edenal…

 

Emustolronzen fine el baral zizzl…

 

Gatrandis babel ziggurat edenal…

 

Emustolronzen fine el zizzl…ー

 

その歌は力強く…同時に悲しい気持ちになる唄だった…

 

結果、『絶唱』の力でネフィリムは起動する前に狙い通りリセットされた。

だけど、『絶唱』の威力で周辺が破壊され、私の周りには炎が巻き起こっていた。

 

『『セレナ……!!』』

 

マリア姉さんとギンジさんがセレナのもとへと駆け寄ろうとするが、炎で中々近づくことができなかった。

 

マリアは助けを求めたが、研究者たちは『貴重な実験サンプルが自滅したか!』『実験はただじゃないんだぞ!』『無能共め!!』と心無い言葉しか吐かず、ギンジそんな研究者たちを睨みつけた。

 

『どうしてそんなこと言うの!! あなた達を守るために血を流したのは私の妹なのよ!!』

 

『お前達の方がよっぽどの屑じゃねえかよ‼︎ふざけんじゃねぇ!』

 

 

そんな中、私は目や口から血を流しながらマリア姉さんの方へと振り返り、マリアとギンジは私の元へと行こうとするが、瓦礫が2人の元に降り注ぎ、それをナスターシャが身を呈して庇った。

 

色が見えず、ただ白と黒と灰色の謂わばモノクロのような光景。

そんな中で、周りは火の海になっていた。

そして瞳から…血が流れていた…

 

『セレナーー!』

 

…マリア姉さんが私の名前を言ってきた。

そうだ…これはあの時の悪夢だ。

 

そう考えていたら、天井が崩壊しながら此方に迫ってきていた。

 

怖かった…けど、足が動かない…!

まるで金縛りに遭っているかのように。

 

すると私の天井もとうとう崩れてきた。

もう此処までなんだ…そう思っていたら、何かに引っ張られた。

 

『大丈夫か!セレナ!』

 

男の声だった。心が安らかになっていた。

よく見ていたら、かなり身長が短いけど、目先は私とほぼ同じ。

何方かと言うと男の子と言う感じが一番適当だと思う。

 

それは私が惚れた存在…零だった。

 

何故零が此処に居たのかは定かでは無かった。

そう考えていたら零が当時の私の手を握り、一緒に歩く。

悪夢では拒絶反応が無かったけど、今思い返せばそれは当然の事だったんだ。

私はこの人の事が…好きだったから。

すると零の前方で天井が崩壊した。

周りはもう火の海。逃げ場なんて無かった。

 

だけど、零は私をそのまま身体の方へと引き寄せると、そのまま私を崩壊した天井の抜け道らしき物に目を向けて、私をその中へと入れさせる。

 

『貴方はどうするの⁉︎』

 

『後で必ず追いつく!

だから、それまで…生きててくれよ』

 

そう促すように言われ、私はそのまま先に行ってしまっていた。

そして抜け道から出られたと同時に、抜け道が完全に塞がれてしまった。

 

『!…レイーーー‼︎』

 

私は愛している人の名前を叫んだ。

もう会えなくなったなんて…嫌だった。

 

そんな中でも私はその施設から抜け出し、

そして施設から抜け出て約300mを歩いた所でそのまま倒れた…

そして…

 

『女の…子?…⁉︎

…血が出てる!』

 

其処にはまだ幼さが残っていた私の義理の弟…憑友が其処にいた。

 

そして時の流れが消え、周りが黒くなった。其処から先は『セレナ・カデンツァヴァナ・イヴとしての記憶』としてでは無く…

『人絆セレナ』としての記憶になっていたから。

 

『…これが貴方が今の今まで無くしていた記憶の欠片…

ごめんなさい。もう1人の私。

本当はもっと速く教えておかないといけないと思ったのに…!』

 

そう言いながらもう1人の私は涙を流していた。

それを見た私はそっともう1人の私を胸に引き寄せて抱き寄せた。

そして言いたかった…

 

「ありがとう」って。

 

『……え…?』

 

「昔の私が今の私に教えてくれた事は決して無駄じゃないから。

そのおかげで、今の私と昔の私が結び付いたんだよ。

それに今の今まで私はずっと1人だと思っていた。

だけどそれは間違いだった。

マリア姉さんと言う大事な家族がいる。

私の事を娘のように可愛がってくれた人がいる。

私はずっと1人ぼっちだと思っていたけど、そうじゃない…

私の周りにはちゃんと私の事を大事にしてくれている人達がすぐ目の前に居たんだって」

 

『もう1人の私…』

 

「だからこれだけは言わせて?

これからは一緒に歩もう。

セレナ・カデンツァヴァナ・イヴ!」

 

『‼︎…うん‼︎』

 

そう言うとすぅ〜と『人絆セレナ』である今の私の魂と、

『セレナ・カデンツァヴァナ・イヴ』である幼い頃の私の魂が1つになっていった…!

それと同時に光が入り込んだ…

彼処に私の帰る場所がある…!

今度はもう置いて行かないよ。もう1人の私…!

 

そう言うと私はその光の先へと走って行った。

 

ーーーーーーSIDEtoジャンヌ

突然倒れたセレナを見た私はすぐに居間の方へと向かい、寛いでいた彼…玄也に頼んで、ソファにセレナを寝かせた。

そして激しい頭痛のような痛みに悶え苦しむセレナに私は何も出来ないかと思っていた。

けど、如何やらそれは杞憂に終わってしまった。

何故ならその後、セレナの容態は安定して、そして目を覚ましてくれたから。

私はそれだけで嬉しかった。

するとセレナを抱き締めていた私にセレナは耳元でこう言った。

 

「私…記憶が戻ったよ…」と。

 

その一言を聞いた私はその発言に対して、嬉しさ半分、寂しさ半分になっていた。

記憶が戻ったと言う事は、この子はあの子…ソロの娘であり、マリアの妹に戻ったと言う事を意味していたから。

 

その後、詳しい話を聞いた私。

セレナもやっぱり大変な目にあっていたと言う事が何よりも知れたし、何故発見当初にあんな大怪我を追っていたのかもこれで理解が出来たから。

そして今の自分はジャンヌが義理のお母さんである事を誇りに思っていると言ってくれた事に私は涙を流していた。

それに気付いたダーリンはさりげなく懐からハンカチを渡してきて、私はそれを受け取ると涙を拭いた。ソロ…貴方の娘はちゃんと成長しているよ。

 

それとさりげながらも、セレナの瞳の奥底には、「誰かを守りたい」と言う強い意志を見せてくれた。

それを感じたのか、私のダーリンである玄也は、「2人で話し合いなさい。僕は尊重するから」とやや投げやり的言動にちょっとイラつくも、彼なりの気遣いであると言う事は確かだったからそれは有難く受け止めた。

 

そして玄也が居なくなり、居間には私とセレナの2人きりとなった。

 

そして私はこうなる事を予感していたのかもしれないと思うと、そのまま胸から赤いペンダントを取り出し、セレナに手渡した。

 

「…これは…」

 

「ナスターシャ…マムが私を逃す為に託してくれた聖遺物《アイギス》が入ったペンダントよ。

尤も、私はその力を上手く扱えなかったんだけどね」

 

《アイギス》

 

又の名を《イージス》とも呼ばれる"女神の盾"の代名詞。

その性質は『防御』…要するにこの聖遺物は他の聖遺物にはあまり無い機能()()()()()()()()()()()()として重宝されている。

 

マムの話では、セレナはヌアザが使用していた聖遺物《アガートラーム》を『防御』として使っていたと言っていた。

なら、この生粋の『防御』を誇る《アイギス》はまさにセレナにとって不足は無いのである。

 

「…アイギス…

心の底からこの子の聖詠が聞こえてきた…!」

 

!…そっか。そんな時期になったのね。

そう言うと私はマムが今度行くであろう場所が描かれた地図を作り、それをセレナに渡す。

 

「…行って来なさい」

 

「え?」

 

貴方のその瞳から私は感じたよ。

 

「貴方の思い…マリアちゃんに届かせて!」

 

その言葉を聞いたセレナは涙を浮かべながらも必死に堪えてそして元気いっぱいに、

 

「はい!」

 

と返事をするとすぐに身支度を済ませて、玄関に立った。

 

「行ってきます」

 

「気をつけてね」

 

「うん。…必ず帰ってくるね!

憑友と一緒に!」

 

 

そう言うとセレナはそのまま玄関のドアを開けて出て行ってしまった。

 

…ごめんなさい。セレナ…

憑友の命はもう…

 

ーーーーーーNO SIDE

玄関から出たセレナはそのまま走ろうと思ったら、そのまま風が吹き、セレナは髪を抑えると上空から翠の竜が降りてきたのだ!

 

「!レイアさん!」

 

それは憑友のピンチに助けてくれる火竜・リオレウスの妻にして、セレナの相談役である者…

 

リオレイア…又の名を【陸の女王】がセレナの元へとやって来たのだ!

するとレイアは翼を地面に付けた。

 

「〔乗って!ダーリン程じゃないけど、飛ばして行くわよ!〕」

 

「ありがとう!」

 

そう言うとセレナはレイアの背中に生えている棘よりも上…首根っこの所に跨がる。

そしてレイアはそのまま助走を付けて飛翔した!

 

セレナはそのまま地図に書かれていた場所・フロンティアへと目指すのであった。

 

その間に事件は一刻と過ぎていた。

 

セレナはまだ気付かない…

 

己が…3日も眠っていた事に…




記憶を取り戻したセレナが向かう先…
そこに赴いた時、彼女の顔から浮かび上がるのは…

喜びか、悲しみか…

希望か、絶望か…


次回

英雄故事

セレナ(彼女)が記憶を取り戻している間に起こった出来事が、後の運命を狂わせる…


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#22 英雄故事

まんまな回…駄文だな…うん…。


ーーーーーーNO SIDE

「未来……」

 

スカイタワーの未来のいた場所が爆発し、それを唖然と見つめている響……。

 

そんな彼女は、未来の名前を静かに呟きながら彼女との思い出……喧嘩してしまった時のことや、ルナアタック事件が終わった後に、一緒にようやく流れ星を見た時のことを思い返していた。

 

響はその場に膝を突いてしまい、ガングニールの装着を解除し、その場で彼女は泣き崩れてしまった……。

 

「なんで……こんなことに……うぅ、ひっく……」

 

そんな時、飛行ノイズの何体かが響目掛けて襲いかかり、間一髪のところでシンフォギアを纏った駆け付けた翼とクリスと奏,《精魂導師》の姿の霊風がノイズを撃ち抜き、切り裂き、貫いた。

 

「立花!!」

 

「そいつは任せた!!」

 

響のことを翼に任せたクリスと奏はノイズ達へと戦いを挑む。

 

すると不意に奇襲を仕掛けてきたノイズに2人は隙を突かれそうになるが、それは霊風にカバーされた。

 

「何体か『特異型』が混じってる!俺の所に集めてくれ!」

 

それを聞いた2人は即座に頷きながら飛行ノイズ達に撃ち放つ。

 

挿入歌(『Bye-Bye Lullaby』高垣彩陽)

 

クリスは腰部アーマーを展開し、追尾式小型ミサイルを発射する"CUT IN CUT OUT"を地上にいるノイズ達へと撃ちまくる。

 

(少しずつなにかが壊れて狂っていきやがる……! あたしの居場所を蝕んでいきやがる!! やってくれるのは……どこのどいつだ!!)

 

そしてそんなクリスとは対称的に奏は二本の槍を巧みに操りながら、赤い槍を空へと向け放つ!

すると同時に大量の槍へと変わり、そのまま無数のノイズが炭になっていく…!

 

ーSTARDUST∞PHOTONー

 

「お前かああああああああああ!!!!!?」

 

さらにそこへクリスがガトリングに変形したアームドギアから発射される銃弾でノイズ達は反撃する暇もなく、クリスにガトリングの銃弾を直に喰らって炭になって行った。

クリスはそのままノイズの殲滅に集中し、ガトリングでノイズ達を次々と撃ち抜く。

 

(どうして……あたしがソロモンの杖を起動させちまったばっかりに……!! 

なんだ、悪いのはいつもあたしのせいじゃねーか。 

あたしは……!!)

 

そう、クリスはずっと感じていた……、ソロモンで呼び出されたノイズの被害はずっと自分のせいだと。

自分ではなく、他人が使い、ノイズによる被害を出したからと言ってもソロモンの起動させしなければ被害は起こることはなかった。

全部……自分のせいであるとクリスは感じていた……、ずっとずっと自分のせいであると……。

 

「っ……!!」

 

クリスはギアから大型ミサイル2基を生成し、砲撃を行う"MEGA DETH FUGA"を2体の巨大飛行ノイズへと放ち、直撃を受けたノイズは撃墜し、それで全てのノイズをクリスは全滅させた。

 

「はぁ、はぁ……」

 

その様子を見た奏は何も言わずにただクリスの様子が変だと言う事を口には出さずに気付いたのであった。

 

その後、ロックがシグナムとフェイトに支えられて来た。だがロックは何も言い返せ無かった。

その理由は未来達を救おうと奮闘したものの、助けようとした直前で爆発が起きて、未来達を助けられなかった事を悔やんでいた。

そう言ういざこざの最中、二課の弦十郎や緒川といった二課のメンバー達が現場での調査を行い、響は二課の車の中で顔を俯かせながら座っていた。

 

(絶対に離しちゃいけなかったんだ……。 

未来と繋いだこの手だけは……!)

 

響は未来と握っていた左手を見つめながら、あの時未来の手を離してしまったことをずっと後悔していた。

そして自分の事を少なからず助けようとしてくれた『英雄』…

セイバーとヴィヴィオも未来と一緒だった。

 

『英雄』と言えどもその根本は紛れも無い人間である。

例外にサトシと共にいるピカチュウ達のような不思議な生物と共存している者がいれば、

レウスやドラムのような特殊な環境で育ったモンスターも少なからず存在している。

だが、それを除いたら『英雄』達の殆どが人間である事に変わりは無い。

あの爆発をくらえばその結末は…目に見えていた。

 

「温かいもの、どうぞ」

 

そんな響の元に二課のオペレーターのあおいがコーヒーを持って響に差し出し、あおいは響に優しく微笑みながら彼女にコーヒーを渡し、響はそのコーヒーを受け取った。

そしてコーヒーを受け取った響は遂に我慢ができなくなったのか、彼女は涙を流し、泣きだしてしまった。

 

「でも、私にとって1番温かいものは……もう……ひっく、ふう……」

 

 

そんな響の様子に響の近くにあった2枚のカードはそんな響に何も言わなかった。

 

「…セイバー…」

 

「ヴィヴィオ…」

 

アルトリア(セイバー)魔術師(マスター)にして贋作者(フェイカー) 衛宮士郎。

 

ヴィヴィオ(聖王)のママにして、空戦魔導師…高町なのは。

 

そんな2人が見据えた先に2人が大事にしていた者が居るかどうか…分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

一方、『F.I.S.』のメンバーの乗るヘリの中では……

あの時、スカイタワーで何人かの兵を手にかけてしまったマリアは、そんな自分に怒りを覚えて拳を窓に強くぶつけた。

 

「この手は血に汚れて…セレナ、私はもう…! 

うわああああああ!!!!」

 

そのことに、マリアは悔しさと悲しさの気持ちでいっぱいとなり、彼女は大声で泣き出してしまう。

 

そんな彼女を心配し、皆を代表してギンジが声をかけようとしたがナスターシャがギンジの腕を掴み、首を横に振った。

 

「なにがあったんだ? マリアに……」

 

「それは僕からお話しましょう!」

 

そこにウェルが現れてギンジ,陰陽兄弟,切歌,調に一体なにがあったのかをウェルはなにも知らない5人に話し始めた。

 

「ナスターシャは10年を待たずに訪れる月の落下より1つでも多くの命を救いたいという私達の遂行なる理念を……米国政府に売ろうとしたのですよ!」

 

「マム?」

 

「本当なのデスか!?」

 

ウェルの話を聞いた調と切歌はナスターシャに確かめようと尋ねるが、ウェルの話は続き、彼は「それだけではありません」と今度は切歌と調にマリアの器にフィーネの魂が宿ったというのもデタラメであることを切歌と調に話し、マリアは切歌と調に振り返らないまま窓を向いたまま2人に謝罪した。

 

「ごめん……2人とも……ごめん」

 

マリアの表情はギンジ達からは伺えなかったが、恐らくはきっと泣いている……5人はそう感じた。

 

「マリアがフィーネじゃないとしたら、じゃあ!!」

 

「僕を計画に加担させるためとはいえ、あなた達まで巻き込んだこの裏切りは……あんまりだと思いませんかぁ? 

折角手に入れたネフィリムの心臓も……無駄になるところでしたよ」

 

ウェルは笑みを浮かべながらそんな風にマリアとナスターシャを責めるように言うが……ギンジは「だからなんだ?」といった感じで表情1つ変えなかった。

 

「まあ、俺は別に気にしないけどな。 

結果的にこっちの情報は渡らなかった。

マムもなにか考えがあったんだろ?」

 

「はああ? あなたは人の話を聞いてたんですかぁ? 

これは立派な裏切りだと言ってるんですよぉ!!」

 

「でも失敗したら元も子もないだろ。 

勝手に言ってろボケメガネ。 

それでマリア、このボケメガネの言ってることは……本当……なんだな? 一応は」

 

ギンジの問いかけに窓の方を向いていたマリアは振り返り、彼の問いかけにマリアは「本当よ」と頷き、切歌と調には自分がフィーネではないことを話し、人類救済の話も一時棚上げしようというのもすべて本当であると話す。

 

「マムは、米国政府にフロンティアに関するデータを渡して協力を仰ごうとしたの」

 

「だけど、米国政府とその協力者は自分たちだけが助かろうとしているって……」

 

「それに、切り捨てられる人達を少しでも守るため世界に敵対してきた筈デス!!?」

 

マリアの言葉を聞いて切歌と調はナスターシャに訳を聞こうとしたが、ナスターシャはそれには答えず、代わりにウェルの言葉に対する言葉を返すことに。

 

「あのまま講話が結ばれてしまえば私達の優位性は失われてしまう。 

だからあなたはあの場でノイズを召喚し、会議を踏みにじってみせた」

 

そんなナスターシャの言葉にウェルは不気味に口元だけ笑みを浮かべさせる。

 

「やだな~、悪だつな米国の連中からあなたを守ってみせたというのに……このソロモンの杖で!」

 

ウェルはソロモンの杖をナスターシャに向け、切歌と調は身構え、兄弟は懐に忍ばせていたアブソーバーを取り出し、そしてギンジは銀のボール型アクセサリを取り出すが…

…そこにマリアが両手を広げてギンジ達がウェルに手出ししないよう、彼女はウェルを庇ったのだ。

 

「マリア……どうしてデスか!?」

 

「ふ、ふははははは! そうでなくなっちゃ!」

 

「偽りの気持ちでは世界を守れない! 

セレナの想いなんて告げやしない! 

全ては力……力を持って貫かなければ正義を成すことなどできやしない!! 

世界を変えていけるのはドクターのやり方だけ!! 

ならば私はドクターに賛同する!!」

 

このマリアの行為は、ギンジ達にとっては意外なものであり、真っ先に調がマリアの言うその「ウェルの考え」に否定的な自分の意見を述べてきた。

 

「そんなの嫌だよ……。 

だってそれじゃ力で弱い人達を抑え込むってことだよ?」

 

またナスターシャはマリアの言葉に「分かりました」と言い、それがフィーネではなくマリアとしての選択ならばと言い、それ以上はナスターシャは咳きこんでしまってなにも言うことができなかった。

 

「あとのことは僕に任せて、ナスターシャはゆっくり静養してください。 

さて、計画の軌道修正に忙しくなりそうだ、来客の対応もありますからねー」

 

ウェルはそれだけを言い残すとギンジ達のいる部屋から出て行き、自分の仕事を行うことに。

 

一方、ヘリの中のとある場所では……檻の中に閉じ込められている未来とセイバー,ヴィヴィオの姿があった……。

 

「……響……」

 

そしてそんな未来に対して…

 

「セイバーさん…」

 

「大丈夫ですよ…(今の私では…シロウ…信頼しています。必ず助けに来てくれる事を…)」

 

セイバーとヴィヴィオもまた未来の気持ちを察したのか、それ以上言う事は無かった。セイバーはその内なる願いを、今はいない最愛の人に向けてそう心の中で助けを求めたのであった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

夕方頃、クリスは翼と奏,霊風とロックを誘い、店(と言ってもファミレスなのだが)でクリスはスパゲッティを頼んで食事をしていた。

 

「なんか頼めよ、奢るぞ?」

 

クリスは口の周りをスパゲッティで汚しており、ロックはそんなクリスの顔を見て呆れていた。

 

「クリス、いい加減食べ方をもう少し治せ。

レディーとしての対応も出来ていない」

 

「はあ!? 余計なお世話だっての⁉︎」

 

「そうやってすぐカッとなる所もアウトだ。

…此処はファミレスだ。

親子連れが多いんだ。少しは弁えろ」

 

「うぐっ…」

 

 

そして翼はというと顔を窓の方に向けて横を向き、先ほどのクリスの申し出を断った。奏も手を振りながら苦笑いしながら遠慮していた。

 

「生憎、夜9時以降は食事を控えている」

 

「私も…今日は流石に…食欲湧かないんだ」

 

「そんなんだから……そんなんなんだよ」

 

「あー、なるほど。 

そう言えばクリスちゃんって、ロックが太るって注意してるのも聞かないで夜遅くになんか食べたりしてるんだよな?」

 

「…ああ。何度言っても言う事を守らんじゃじゃ馬だ」

 

「でも太らないのは全部そっちに行っちゃってるからなのか……」

 

夜遅くに食物を食べても太らないクリス、その原因は全部今霊風が見ているクリスの胸が原因であると考え、それに気づいたクリスは「どこ見てんだコラぁ!!///」と顔を真っ赤にして霊風の顔面を殴ろうとしたが、

霊風は風の使い手…風の軌道だけでひょいっとクリスの拳を避ける事など造作も無いのである。

だが、ロックの不意打ちチョップだけは何故か真面に食らっていたのは此処だけの話。

 

「っというか雪音、貴様はなにが言いたい!? 用がないなら帰るぞ!!」

 

怒って翼は立ち上がり、帰ろうとする。

それに気づいた奏が翼を抑えようとするが、全く持って効果が無かった。

それを見たクリスは翼を眼で見上げながら「怒ってるのか?」と問いかける。

 

「愉快でいられる道理がない! 

『F.I.S.』や、立花に憑友…

…そして……仲間を守れない私の不甲斐なさを想えば……」

 

翼は両手をテーブルに「バン!!」と強く叩きつけ、顔を俯かせ……そんな翼を見てクリスはそこでようやく翼を呼んだ要件を言うことに。

 

「呼びだしたのは、一度一緒に飯を食ってみたかっただけさ。 

腹を割って色々と話し合うのも悪くないと思ってな。 

あたし等何時からこうなんだ? 

目的は同じ筈なのにてんでバラバラになっちまってる……もっと連携をとって」

 

そこまでクリスが言いかけたところで翼が「雪音」と彼女の名を呼んでクリスの言葉を遮った。

 

「腹を割って話すならいい加減名前くらい呼んで貰いたいものだ……」

 

「はあ!? そ、それはお前……////」

 

「そーいやぁ、クリスは中々名前で呼ぶ事はしないよな?

…なぁ、ロック。もしかしてクリスって人の名前を呼ぶのって苦手なのか?」

 

「…確かにあるな。

俺の場合もロック義兄(・・)と呼んでいるからな。名前だけで呼ばれる事は無いな」

 

実際に、クリスは人のことを響の場合は「バカ」と呼んだり、それ以外の人も「お前」や「アンタ」と呼ぶことが多い。ロックはまだその限りでは無いが、如何せんロックは自分の義理の兄と言う感覚が根強いせいか、未だに呼び捨てでは無いのだとか。

ロックも知っている限りではクリスが人のことを名前で呼んだのはフィーネとアーチャーくらいしか知らなかった。

まぁ尤もアーチャーは真名では無く、仮名なので対象外なのだが。

因みにミラとシノンに対しては『フィーネ擬き』と言っており、ミラは首を傾げているが、シノンはそれに憤慨しているのだとか…。

 

そして翼はそのまま立ちあがってバイクのヘルメットを手に持ち、クリスの制止の声も聞かずにそこから立ち去って行ってしまった。

それを見た奏はクリスに詫びを入れるとそのまま翼の後を追った。

 

そして霊風はロックと男同士で話したい事があると言うと、そのままレシートを持って、クリスを置いてそのまま店を後にした。

結果的に今の状況はクリスが先程言った通り、『バラバラ』に散ってしまったのだった。

 

「結局話せずじまいか……。 

でもそれで良かったのかもな……」

 

そう呟いたクリスは置いてあったコーヒーを飲み、「苦いな……」と呟くのだった。

 

ーーーーーー

そして店から出てきた翼はそのままバイクに跨がり、この場から去ろうとした。

 

「おい、待てよ!翼!」

 

すると後を追って来た奏に止められた。

 

「奏…」

 

「翼の事は大体の予想は付く。けど、あの態度は良くないんじゃないのか?」

 

奏の口から聞いた言葉に対して翼は、

 

「済まない奏。

…だけど、仲間を護れない者に《防人》としての私が許されないんだ。

…ごめんなさい…奏」

 

そう言うとバイクのエンジンを掛け、そのまま翼はバイクで店を後にした。

 

その様子を奏は何も言い返せなかった。

そんな2人の亀裂を感じた奏のペンダントにして、ゲイ・ジャルグ&ゲイ・ボウ(2つの聖遺物)の使い手…オディナは…

 

『(この状態が続けば…)』

 

そう不安を煽るような言葉しか浮かべられなかった。

 

ーーーーーー

一方、霊風とロックもまたファミレス近くのコンビニにてたむろしていた。

 

「現状は最悪。『F.I.S.』が月の公転軌道を修正しようにも、どう対応すれば良いのか…!」

 

「…フロンティア」

 

ロックが自分達の現状に痛手を負っていた。

響の戦線離脱、憑友の意識不明、『フィーネ』を名乗った武装組織(テロリスト)の考え。

そんな思考が行き交う中、霊風の言った一言に「何?」と呟き返した。

すると霊風はロックに話した。

 

「フロンティア。

前世の記憶を頼りにしている俺が得た最善策だ。

この事は風鳴のおやっさんにすら話していない事だ」

 

そう言うと霊風はロックにその「フロンティアに関する情報」を与えたのであった。

 

 

 

 

 

ーーーーーー

翌日、二課の司令室に呼び出された憑友以外のメンバー。そこには勿論馬燈と逝都もいる。彼等は既に先日のスカイタワーの件はニュースを聞いて、響が未来を助けられ無かった事に対して、2人は響を咎める事はしなかったものの、それ以来響と会話はおろか視線すら遠ざけていた。

そんな中、響は弦十郎から1つのトランシーバーを手渡され、弦十郎はそれが調べたところ、間違いなく未来のものであることを話した。

しかもその発見場所はスカイタワーから離れた場所……つまり、あの爆発には未来は巻き込まれていないという証拠であり、未来が生きている証拠だった。

 

「だが、何者かによって連れ出され、拉致されていると見るのが妥当なところだな」

 

「師匠!! それってつまり!!」

 

「こんなところで呆けている場合じゃないってことだ!!」

 

弦十郎は響達の方へと振り返って笑顔を見せ、未来が無事なことが分かった響は嬉しそうに笑顔を見せた。それを見た逝都と馬燈(幼馴染2人)は今までの冷戦のような喧嘩はなんだったのかと思えるぐらいに少し朗らかになった。

そんな響の笑顔を見て奏は彼女に「よかったな、響ちゃん」と声をかけた。

 

「はい!! 良かった……未来……」

 

「だが、まだ安心はできないぞ、立花。 

彼女…小日向を助け出さなければ……」

 

「えぇ、絶対に未来を助け出します!!」

 

それから弦十郎の提案で気分転換に身体でも動かそうということになり、ロック,霊風,馬燈と逝都,クリス,翼,響,奏,弦十郎は先ずは走ることにした。

 

ただその中で1人…いや、訂正。2人…クリスと奏だけは既に物凄く疲れた顔をして1番走るのも遅く、若干ロックがクリスを心配したりしていたが。

 

「大丈夫かクリス?」

 

「あ、あぁ……」

 

 

このままではクリスが自分たちから離れてしまうと思い、ロックはクリスが離れないようにしっかりと彼女の手を握り締めた。

 

「な、なにを!?////」

 

「クリスが、置いて行かれそうだからな…」

 

そう言われたクリスの顔は俯いていたが、茹で蛸の様になっていたのは言うまでも無い。

一方、奏の方には霊風が付き添っていた。

実はこの2人…前にも言ったかもしれないが、婚約済みである。

え?何時したのかって?

詳しくは無印のエピローグで!

 

「(今一瞬、メタな発言が聞こえて来たような気がしたが…ま、いっか。それよりも…)久々のトレーニングだから苦労してるのか?」

 

「かもな…!だけど、翼や響ちゃん達が頑張ってるのに、私が黙っているのは可笑しいから…な!」

 

霊風の問いに対して奏は諦めようとは思ってもいなかったようだ。

それを心配しそうに見ていた霊風は杞憂で良かったとそう思った。

 

因みに…特訓指導者である弦十郎は走りながら「英雄故事」という曲を歌っており、それにすかさずクリスがツッコミを入れる。

 

「なんでおっさんが歌ってんだよ!? 

っていうかこれなんの歌だ?」

 

クリスがそう言うのも仕方がないのかもしれない、なにせ歌詞が全部中国語なのだから……。

 

「『英雄故事』ねぇ…

またカンフー映画の見過ぎじゃないだろうな?風鳴のおやっさん…。(そう言えば風鳴の声って、暁の1人と、斧と剣のソーマ使いに似てる気がする……

…違和感有り有りだな…これ)」(ーー;)

 

霊風はそんなことを思いながら、弦十郎の声を思い出していたがすぐにそんなどうでもいいことし、考えのをやめた。

そして響はどうやって未来を助けるかを考えることにした。

 

(そうだ! 俯いてきゃダメだ! 

憑友がいない今は…

私が未来を助けるんだ!!)

 

そこから笑顔の戻った響も弦十郎に合わせて同じ歌を歌い出し、色々な運動をすることになったのだが……やはりクリスと奏だけが1番疲れた顔をしていた……他のメンバーは殆ど顔色1つ変わってないにも関わらず。

 

(どいつもこいつもご陽気で……あたしみたいな奴の居場所にしては、ここは……暖か過ぎんだよ)

 

全ての運動が終えたクリスは、そんなことを考え、感じていた。

 

(私はまだ…立ち上がれるんだ…

今はこの2振りの槍…仲間を助ける為に!)

 

そう思いながら、奏はクリスとは逆の思考を巡らせていた。




次回

残酷と再会と目覚め…

二課を襲う悲劇…
その悲劇を前に、あの男は何を考える…?


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#23 残酷と再会と目覚め…

これもまた1つの『運命』なのかもしれない…
その『運命』を引き起こしたのが…
『愛』だと言う事を…

さて、こんな前振りは置いといて…

今回では新たな『英雄』が登場です。
…って言うより、その子は『英雄』として加えても良いのだろうか?

そんな存在です。

そしてラストであの子が登場します。
…失敬。

()()()()です。


ーーーーーーNO SIDE

「(マリアがフィーネでないのなら、きっと私の中に……怖いデスよ……)」

 

その頃、『フィーネ』側の方では、

切歌と調、兄弟の4人は干していた毛布などを籠に入れており、切歌は洗濯物を入れながら自分の中にいるかもしれないフィーネの魂に怯え、不安な表情を見せていた。

 

そんな時、『英雄』の1人がそんな切歌の様子に気づき、「どうかしましたか?」と切歌に問いかけた。

 

「えっ?」

 

「何故か元気が無かったみたいでしたので……」

 

話しかけられた『英雄』の名は、マシュ・キリエライト。

 

セイバーやアーチャー,ランサーにバーサーカーと同じ『英霊』の1人であり、

 

防御特化型のクラス…盾兵の英霊《シールダー》の力を宿した女の子であった。

尤も自分自身が『英霊(サーヴァント)』の中で中途半端な存在…『デミ・サーヴァント』と言う存在の為、まだ思うように力を発揮する事は出来ていない。だが、その防御力は闇に染まった聖剣の攻撃すら耐えられる程の頑丈さを誇っている。

 

それにマシュと言うのは実を言うと自分の本当の名前である。

 

本来なら『シールダー』と呼ばれる異なる名前"異名"(コードネーム)で呼ばなければならないのだが、本人は寧ろ名前で呼んで欲しいと言う本人の希望で皆からそう呼ばれている。

 

そんなマシュに問いかけられて切歌はどうにか誤魔化そうとするが、そんな時調が静かに「マリア、どうしちゃったのかな」と呟き、切歌達は調の方へと振り返った。

 

「私は、マリアだからお手伝いがしたかった。 

フィーネだからじゃないよ」

 

「あっ、うん、そうデスとも!」

 

「俺もマリアの姉御だから、彼処まで戦えたんだ…!」

 

「俺達も調と同じ気持ちさ」

 

「『英雄』の立場として言います。

彼女は私達の事も考えてくれていました。私も彼女が"フィーネ"という存在では無く、"マリア"と言う女性だからこそ、私達は彼女の元で動きたいと思っています」

 

「身寄りがなくて泣いているばかりいる私達に優しくしてくれたマリア、弱い人達の味方だったマリア……なのに……」

 

それなのにマリアがあんなことを言ったのか、調には全く分からず、彼女はマリアの言葉に今でもまだ困惑したままだった。

しかし、切歌はそれとは別にもう1つだけ気になることがあった……、それは……フィーネの魂のことについて……。

 

「調は怖くないんデスか? 

マリアがフィーネでないのならその魂の器として集められた私達がフィーネになってしまうのかもしれないのデスよ!?」

 

「……よく、分からないよ……」

 

切歌の問いかけに調はそれだけしか答えることができず、切歌は「それだけ!?」と驚きにも似た声をあげ、そんな切歌に調は一体どうしたのかと目を見開いて問いかけるが……。

 

「っ……」

 

切歌は持った毛布を抱えたまま、逃げるようにそこから離れて行き、調と兄弟は顔を見合せて3人は首を傾げた。

 

(…?ちょっと待て下さい……フィーネの魂が切歌さん達に……?……!!)

 

マシュは自分の持っていた毛布を調に渡し、「ちょっと切歌さんのところに行ってきます!」と伝えた後、彼女はすぐに近くに置いてあった自分の武器である大盾を背中に担ぐとそのまま切歌の後を追いかけ、ヘリの中に戻った切歌は自分の部屋へと一直線に向かい自分の部屋の中に閉じこもろうとしたが……部屋に入る直前にマシュが切歌の腕を掴んで引きとめた。

因みにあの大盾は背中に担ぐと何故か縮小するというちょっと変わり種な機能を持っているので、余裕で動けたりする。

 

「ま、待って下さい!切歌さん…!」

 

「…マシュ…さん…?」

 

「貴方のお部屋、入っても大丈夫ですか?」

 

マシュは切歌に優しく微笑みかけ、切歌は戸惑い、少し考え込んだ後静かに頷いてマシュを部屋に招きいれて2人はベッドの上に腰をかけた。

 

「切歌さん……貴方が悩んでるのってその……

フィーネの魂……についてなのですか?」

 

そう尋ねてくるマシュに切歌は驚きの顔を浮かべ、切歌はマシュの言葉を聞いて先ほどの自分の言葉で大体のことをマシュは悟ってしまったのだと思い、切歌は言うべきかどうか悩んだが……。

 

「言いたくないのなら、良いです。でも、私も一介の『英霊(サーヴァント)』。貴方達の為にこの盾で救ってみせます。

それと…先程の話で察しました。フィーネの魂が宿っているのだとしたらなにか解決策を見つめるためにも……」

 

「そんな方法を見つける時間なんてないデスよ……」

 

「最初から諦めてどうするんですか!?」

 

そう言いながらマシュは立ち上がって切歌の前に立ち、彼女の両肩を掴んで「貴方が貴方でいられるための方法を考えましょう」と切歌に伝えるが……切歌は暗い表情を見せたまま首を縦には振ってくれなかった。

 

「ありがとう、マシュさん…。 

マシュさんは優しいデス。 

でも、魂なんて……本当にどうすることも……」

 

「切歌さん、貴方の魂が塗り替えられるんですよ? 

それは、死ぬってこと。

貴方は……死ぬのが怖くないのですか?」

 

「っ、そ、それは……」

 

「切歌さんには、好きな人たちがいますよね?」

 

切歌は答える前にマシュがそうやってすぐに話を切り替え、切歌は「話を纏めて欲しいデス」と文句を言うが、マシュ自体は話を切り替えたつもりはなかった。

 

「死んでしまうと、好きな人と何時までもいられなくなるんですよ……?」

 

「……」

 

「私は少なくても、好きな人達といられなくなるのは…

…辛くて嫌いです。 

貴方といられなくなるのも嫌です。

貴方は……いなくなって欲しくないんです。 

それは此処にいる皆んなもそう思っています……」

 

切歌はマシュの顔を伺うとその目は今にも泣き出しそうな目をしており、切歌はマシュがどれだけ自分の心配をしているかが伝わり、切歌は立ち上がると彼女はマシュに抱きつき、その切歌の行動に驚いた。

 

「怖いに、怖いに決まってるじゃないデスか!! 

自分でいられなくなるなんて……死ぬなんて、怖いに決まってるじゃないデスか!! 

うえええええええ!!」

 

切歌は遂にはマシュの胸の中で泣き出し、マシュは切歌を抱きしめた。

 

「大丈夫です、必ず、必ず助けます。貴方を……!」

 

しかし、切歌は首を横に振り、「きっともうそんな時間はないデス」と言い、マシュから離れた。

 

「だって、つい最近フィーネの力の一部が発動したんデスよ? 

もう、時間はないデス。 

だから、だからなにか……せめて私が、大好きなみんなに覚えていられるようにしないと……」

 

「切歌さん。少しお話しても良いですか?」

 

そう言うとマシュは切歌に真剣の眼差しを見せてきた。

それを見た切歌は首を縦に振った。

そしてマシュは語り始めた…自分という存在が生まれた理由を。

 

「元々私は、切歌さん達と同じ人間です。尤も、魔術師と呼ばれる魔法とは似て非なる存在の1人だったんですけどね」

 

その出だしを、聞いた切歌は驚いていた。

マシュは実は自分達となんら変わりない存在だと言う事に。

 

「そこで私は大切な人に出会いました。私が信頼している先輩であり、マスターと呼ばれる者でした。

それが後のFATE(運命)でした」

 

次に出てきたのは、マシュにとっての大事な人の話だった。

マシュはその他にも様々な事を切歌に教えた。

そしていよいよ本題に入った…!

 

「ある日、自分達の住む場所が爆発して、私はあと少しで死ぬと言うまさに死の淵に立たされていました。

そんな私に差し伸べたのは、私に『盾兵の力(この力)』を与えてくれた《英霊》でした。

名前は全く知りませんでした。」

「けれどその英霊と一体化した事で、今の私が存在します。

魂を宿すとは逆のパターンを私は経験しています。

ですけど、これをした事により、その英霊は消滅してしまいました…

魂の存在である『英霊』が、『人間』であった私に力を全て託して、そのまま消えていってしまったんです」

「私はその時は我武者羅でした。

何故、私にあんな力を…。

何故、死ぬ筈だった私が生きて、力がある筈の英霊が消えてしまわないといけないのか、全くもって分かりませんでした。

けど、英霊の思いは受け継いでいます。

英霊は、『大切な者を守れるように』と言うのが信条だった様です。

その思いは私の中に今も根強く生きています。

思いを持ち続けて下さい!フィーネのタマシイすら勝てる思いを!」

 

それを聞いた切歌は涙を拭き、そして「はいデス!」と元気いっぱいの笑顔を見せてくれた。その表情にマシュからも笑顔が飛び交っていた。

そんな2人の様子を見に、ギンジが駆けつけようとしたが、部屋に入る前に聞こえた楽しそうな声を聞いたのか、それ以上は何もしないで、ただ単に扉の横の壁に背中を預けた。ギンジは「如何やら杞憂みたいだったな」とそう呟きながら、背中を壁に預けたまま、また瞑想をしたのであった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

それからヘリは目的地であるフロンティアに行くことになり、操縦席ではナスターシャ以外のメンバーが終結し、ナスターシャは今はベッドで寝込んでいた。

 

「マムの様子はどうなのデスか?」

 

切歌はマリアにナスターシャの容態がどうなっているのかを聞き、マリアが言うにはナスターシャは疲労に加えて病状も進行しているのだと話した。

以前やって来たジャンヌの力を以ってしても、ナスターシャの容態変化には至らなかったようだ。

 

「そんな……」

 

「つまり! のんびり構えていられないということですよ! 

月が落下する前に、人類は新天地にて結集しなければならない! 

その旗振りこそが僕達に課せられた使命なのですから!!」

 

妙にハイテンションな声で言うウェルだが、ギンジ達はただウェルの話を聞くだけでなにも答えなかった。

 

そんな時、ヘリの警告音が鳴り響き、モニターを映すとそこには米国政府の艦艇が映り、切歌達はそのことに驚きの声をあげるがウェルは冷静に「こうなることは予想済み」と余裕の態度を崩さなかった。

 

「せいぜい連中を派手に葬って世間の目をこちらに向けさせるのはどうでしょう?」

 

「……そんなのは弱者を生み出す強者のやり方……」

 

「そんな事して、何になるんだよ‼︎」

 

ウェルの意見に調と光聖希は反対しようとしたがマリアはウェルの意見に賛同し、調と光聖希は不満そうにマリア(光聖希はそれに加えて姉御)の名を呼ぶが……。

 

「私は…私達はフィーネ。 

弱者を支配する強者の支配構造を終わらせる者。 

この道を行くことを恐れはしない」

 

「でも、マリアこれは……!」

 

「明らかに言葉と行動が矛盾してるじゃねえかよ!」

 

ギンジとマシュも調と光聖希と同じ意見だったのか、彼等もまたマリアのこの行動には納得いかないところがあった。

 

 

その頃、この近くにいる二課の本部でもある戦艦はというと……、司令室にてノイズがマリア達の乗ったヘリの近くにあった艦隊をノイズが襲っているという報告を受け、真っ先に翼が出撃準備をするために司令室から走り出した。その後を、奏と霊風の槍々コンビも出撃する為に走り出した。

 

「私も!」

 

そう言いながら響も出て行こうとしたのだが、クリスとロックが響の肩を掴んで引きとめ、響の制服のネクタイをクリスが、響の頭をロックが掴むなり撫でてきた。

 

「死ぬ気かお前! ここにいろって! なっ?」

 

「立花。お前はここから、いなくなっちゃいけないんだ。

お前が居ないといけない奴がいるから…な?」

 

「……うん」

 

「頼んだからな?」

 

「…司令。此奴と憑友を頼みます」

 

クリスは優しく響に微笑みかえ、響は戸惑いつつも頷いて大人しくここにいることになり、ロックは響に「俺も行くから心配するな」言い、彼もまたクリスと一緒に出撃準備に入った。

 

 

場所を戻し、ソロモンの杖によって呼び出されたノイズは艦隊の軍人たちを次々に襲い、そのことにマリアは黙ったままだったが……彼女は唇を血が出るくらいに噛みしめていた。

 

「こんなことが、マリアが望んでいることなの? 

弱い人達を守るために、本当に必要なことなの?」

 

「っ……」

 

調の問いかけに、マリアは答えなかったが……次の瞬間、調はヘリの扉を開き、そのことに切歌は驚いて「なにやってるんデスか!?」と調を引きとめようとしたが……。

 

「マリアが苦しんでいるのなら、私が助けてあげるんだ」

 

「調!!」

 

 

切歌の制止も聞かず、調はヘリから飛び降りた。

それと同時に「歌」を口ずさもうとしたら、「ちょっと待てぇぇ‼︎」

と言う声が聞こえたので、上を見るとそこには光聖希も一緒に来ていた。

 

「!聖希!」

 

「お前ばっかり負担は掛けさせねえよ!

…俺にも手伝わせろよ。調」

 

「…うん…!」

 

そう言うと切歌は再び歌を詠った…聖詠と言う名の「歌」を。

 

「Various shul shagana tron…」

 

そして聖希は懐から憑友達《精魂導師》達が使用する変身アイテム…マルチアブソーバーを取り出した。

 

「俺の我儘に付き合って済まねぇな、タマシイ」

 

『大丈夫!私は何時でも、貴方の為になら頑張れるんだから!

行こう!』

 

「ああ!」

 

そう言うと光聖希はタマシイと呼ばれたアブソーバーを左腕に装着するなり、右腰に備えていたカードケースからカードを取り出し、装填し、

 

「変身!」

 

そう言いながらレバーを引いた!

 

ータマシイ!フォーム、チェイン‼︎ー

 

すると光聖希の周りを身体全身に鎖を縛られた戦士の姿が現れるや、それを光聖希は纏った!

 

ー天への魂!私が縛る!ー

 

そして変身した光聖希はシンフォギアを纏った調に向けて鎖を放つ。その鎖は意志があるかのように、調を巻き付けるや、そのまま光聖希の方へと引き寄せて、2人揃って艦艇の上に降り立つ。

 

「調……!」

 

「聖希!」

 

調を心配する切歌と光聖希を心配する闇呪怨。

だが、そこにウェルが切歌と闇呪怨の肩を掴み、「連れ戻したいのなら、良い方法がありますよ?」と彼女達に提案するが、ギンジがすぐさま切歌を掴むウェルの手を弾いた。

 

「切歌達に触るな」

 

「おやおや、怖い怖い……」

 

「……なあ、マリア、調や光聖希の言うとおりだ。 

これがマリアの本当にやりたいことなのか? 

こんなことしたら、お前…」

 

しかし、マリアはなにも答えてはくれず、一方で調は自分の「歌」を口ずさみながらノイズと戦い合っていた。

 

(挿入歌『鏖鋸・シュルシャガナ』南條愛乃)

 

調はツインテールのアームドギアから小型鋸を大量に射出して攻撃する"α式 百輪廻"を空中から放ち、ノイズを次々と切り裂き、今度は靴に装備されている車輪を動かして高速で動き、大量のノイズのいる場所まで行くとアームドギアを巨大な回転ノコギリに変形させて調は回転しながらノコギリでノイズを切り裂く。

その間、光聖希は奇妙な行動を取った。

なんと、先程調が放った"α式 百輪廻"の内の一部を自分が嵌めていたメインウェポン…《チェーンリング》の先端のチェーンと結合させたのだ!

それをし終えるなり、まるで荒れ狂うヨーヨーのような動きで、正確にノイズ達を葬り始めたのだ!

そしで光聖希はそのままヨーヨーと化した鋸を自分が立っている場所に回転しながら置いていく…!

するとその鋸が摩擦を起こし、炎が噴き出してきたのだ!

そしてその数が10本…指の数だけ存在していた。

すると光聖希はそのままダッシュし始めたのだ!

ダッシュと同時に、直線上にいたノイズはその炎によって瞬く間に灰燼と化した…!

 

突然だが、ヨーヨーの技に『ウォーク・ザ・ドッグ』と呼ばれるトリックがある。

実はそのトリック…上級版が存在しているのだ。

1人の『英雄』の手によって。

 

『英雄』の名は…『斗陸キメル』

 

ハイパーヨーヨーの再ブームを巻き起こした存在であった。

その『英雄』が繰り出した技の中に、先程光聖希が出した攻撃とよく似た者があった。

それは、『ウォーク・ザ・ドッグ』の体勢になるなり、じーっとその場で待機させ、摩擦熱からの炎を噴き出してから一気に爆走するトリックがある。

その技を彼…キメルはこう名付けた…

 

『ダッシュ・ザ・ケルベロス』と。

 

光聖希はそのトリックを繰り出したのだ。

尤も、基本的には1.2個しか使わない筈のヨーヨーを、彼は10本も使用した。それなのにヨーヨーをまるで自分の身体のように扱っていたのだ。

 

そんな時、調の隙をついて背後からノイズの一体が襲いかかって来て、光聖希が駆け付けようとしたが、自分の後ろにもノイズがまだ生き残っていた事に気付いた。もう駄目なのかと思ったその時、そこに駆け付けたシンフォギアを纏った切歌が鎌のアームドギアを投げつけてアームドギアは調を襲おうとしていたノイズに突き刺さり消滅した。

そして光聖希の方では逆にノイズが左と右と半分ずつにスパンと切れ、灰になると同時に、そこには光聖希の双子の闇呪怨がそこにいた。

 

「切ちゃん! ありが……」

 

そこまで言いかけた時、ウェルが以前、切歌と調の首に打ち込んだLINKERと似たようなものを、切歌は調の首に打ち込み、調はその場に倒れそうになってしまう。

 

「⁉︎しら…べ…⁉︎」

 

「…ごめん。聖希」

 

そして調の元へと行こうとした光聖希だが、闇呪怨もまた切歌と同じような物を持っていた。それは先程切歌が調に与えた奴とは違い、青い色素を施した液体が内蔵されていた。

 

切歌が調に打ち込んだものは「Anti-LINKER」と呼ばれるものであり、これは適合係数を引き下げる効力があり、調のシンフォギアは強制的に解除されてしまった。

そして闇呪怨が光聖希に打ち込んだのは、「Anti-glycerigger(グリセリガー)」と呼ばれる品物で、「Anti-LINKER」の《精魂導師》対応版であった。

 

「私、私じゃなくなっちゃうかもしれないデス! 

そうなる前に、なにか残さなきゃきっと忘れられちゃうデス!!」

 

切歌はそう言って調に手を差し伸べ、調は切歌がなにを言っているのかがよく分からなかった。

 

「例え私が消えたとしても世界が残れば、私と調の思い出は残るデス! 

だから私はドクターのやり方で世界を守るデス、もう……そうするしか……!」

 

だが、切歌の言うように本当に時間がないのだとすればなにかを残すためにはこんな方法しかないのは事実……。

闇呪怨は切歌のために例え納得のできないものだとしても彼女に協力もしたい、しかし切歌もこんなことは間違ってると説得したいという2つ想いが闇呪怨の中でぶつかり、闇呪怨は自分は一体どうすればいいのか、もうなにをすればいいのかが彼は分からなかった。

それでも彼は切歌達を守る為に、己の力を使う事を決意していた。

 

そんな時、海から翼とクリスと奏が飛び出して現れ、更に反対側から水の色合いの服と緑の服を纏ったロックと霊風が現れ、翼は切歌にアームドギアを振るい、クリスは調を捕まえる。

 

翼と切歌は剣と鎌のアームドギアをぶつけ合わせ、切歌は「邪魔するなデス!!」と文句を言うが翼は聞く耳を持たず、アームドギアを振るう。

 

「おい、ウェルの野郎はここにいないのか!? 

ソロモンの杖を使うあいつはどこにいやがる!?」

 

やがて翼は切歌の首筋にアームドギアを突きつけた。

それと同時に、光聖希はロックに背後を取られ、拳銃を頭に押さえつけられた。それと同時にタマシイが変身を強制もせずに解除された。

先程闇呪怨によって打たれた「Anti-glycerigger」の効果が此処に来てやって来たのだ。

その隙をロックは見逃さずに、光聖希に拳銃を頭に向けたまま身柄を拘束させた。

そして闇呪怨もまた霊風の槍捌きにより、得物である鎌を落とされ、拾おうとした矢先に霊風の槍の矛先が自身の顔に迫られた。

状況は二課の方が有利であり、それを見かねたウェルが……用意していた「助っ人達」を呼び出すことにした。

 

「ならば傾いた天秤を元に戻すとしましょうよ? 

できるだけドラマティックに、できるだけドラマティックにぃ!」

 

「まさか、あれを……!

あの子達の内、2人はまだ少女よ⁉︎」

 

「その内の2人は『英雄』本人でしょうが‼︎」

 

 

するとマリア達の乗るヘリから「誰」かが一斉に飛び降り、聞き覚えのある声が「歌」を詠っていた…

 

 

「Rei shen shou jing rei zizzl…」

 

その声を聞いた者達は動くのを止めた。

それと同時にその者は翼達の前に降り立った。

 

そこに立つのは……。

 

「ま、まさか……!」

 

「ちっ!相性最悪じゃねえかよ!」

 

「てめぇ…ふざけんなーーーーー!」

 

上からロック,霊風,光聖希がそれぞれを口にした。

 

其処にはシンフォギア……「神獣鏡(シェンショウジン)」を身に纏った小日向未来だった……。

 

「……そんな……、未来……?」

 

当然、モニターからそれを見ていた響も驚きの声をあげるしかなかった。

 

だが、それだけでは無かった…

 

突然、ロックは後ろを見やると其処には金髪のサイドポニーの少女が既に拳を構え、そのままロックをアッパーカットで殴ったのだ!

 

「!ロック義兄!」

 

「⁉︎冗談だろう…⁉︎」

 

その姿を見た霊風はそう言うと今度は自分の横からのドス黒い気配を感知するなり、そのまま緊急回避をした。それは闇呪怨も同じだった。

 

そして2人が戦っていた場所は何者かの爪の跡を残したような風景しか残らなかった。

 

「下らん」

 

「…」

 

その声を聞いた霊風は目を凝視した。

其処には…

 

黒いバリアジャケットに身を包み込んだ大人モードのヴィヴィオと、

 

黒く塗りつぶされた鎧を見に纏う堕ちし『騎士王』…セイバー〔黒化版(オルタ)〕が其処にいた。

 

そんな様子を響と共に見ていた『英雄』2人…

 

「セイバー…」「ヴィヴィオ…!」

 

衛宮士郎と高町なのはは驚愕していたのであった…

 

 

それと同時に、病室では1人の少年が目を覚ました。

 

「…あと少ししか…ない…」

 

そう言うと少年は自分に繋がれていた医療機器を全て千切り、そのまま部屋から抜け出していた。

 

そしてアラームがなる頃には、彼の姿はその病室はおろか、その周辺にすらいなかった…

 

「俺の最後の力…死ぬ気で…出す‼︎」




翼達の前に現れたセイバー,ヴィヴィオ,そしてシンフォギアを纏った未来。
彼女達を助ける為に行動しようも思うような結果が生まれない。
そんな最中で、響は最後の力を振り絞って、未来達の前に現れた…
そしてそんな最中に2人と馴染み深い者が現れん…

次回

最後の力


英雄(ヒーロー)』の加護受けしその者は遅れてやって来る…


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#24 最後の力

タイトル詐欺です…はい…。


ーーーーーーNO SIDE

「シェンショウジンをギアとして、人の身に纏わせたのですね」

 

F.I.Sのヘリの操縦席に外の騒ぎに気づいたナスターシャがそこに現れ、ナスターシャは睨みつようにウェルを見つめる。

 

だがマリアはナスターシャはまだ寝ていないとダメだと彼女を心配したがナスターシャはマリアに言葉は返さず、神獣鏡(シェンショウジン)を纏っている未来とマイナストリガードライヴこと《闇堕ち》した『英雄』…セイバーとヴィヴィオの方に目を向ける。

 

「アレは封印解除に不可欠なれど、人の心を惑わす力。 

それに加え、あの子の友人達に『glycerigger(グリセリガー)』まで…

あなたの差し金ですねドクター……!」

 

「使い時に使ったまでの事ですよ。

尤も、あの『英雄』のケースは無理やりでしたけれどね!」

 

ナスターシャはウェルを睨みつけたがウェルは鼻で笑ったとぼけたような口調ではぐらかし、ウェルは未来をどのように神獣鏡を纏わせた時のことを話し始めた。

 

〜回想〜

 

それはウェルが檻の中に閉じ込められている未来の前に現れた時、彼は未来に優しい口調でこう伝えた。

 

『そんなに警戒しないでください。 

少しお話でもしませんか? 

きっとあなたの力になってあげられますよ』

 

そのウェルの告げ口に未来は首を傾げながらウェルを見上げた。

 

『私の、力……?』

 

『そう、力です……』

 

『ミク!この者の話を信用しては行けません!』

 

『未来さん!』

 

そう言ってセイバーとヴィヴィオは未来を止めようとしたが、ウェルは未来に神獣鏡のシンフォギアを渡し、ウェルは未来がリディアンに通う生徒達はシンフォギアに適応が見込められた奏者候補達の1人ということで彼女の身体をシンフォギアを装着できるように処置したのだ。

 

『貴様!』『許さない!』

 

『お二人は…無理やりでも動かしますか…ね‼︎』

 

『『⁉︎…うぁぁぁぁ⁉︎』』

 

そして激しく抵抗した『英雄』2人にウェルは以前、陰陽兄弟に使用したglycerigger(グリセリガー)を2人に無理やり投与したのだ。

 

実はこのglycerigger(グリセリガー)…2つの欠点が存在するのだ。

 

①《精魂導師》②『トリガードライヴ』

 

上の2つの条件を満たしていなければ悪性が発動すると言う非常に危険な代物だったのだ。

それは『英雄・英霊』なども例外ではない。

 

それにより、2人は以前憑友がティガからティガダークに『闇堕ち』したような姿へと変わってしまったのであった。

 

〜回想END〜

 

 

「つまりあの娘はあなたのリンカーに、『英雄』2人はglyceriggerによってなにも知らずに…そして無理やりに……」

 

「んっんっんー。ちょっと違うかなー。 

リンカー使ってホイホイとシンフォギアに適応できれば誰も苦労しませんよ。 

装者量産し放題です。

glycerigger(グリセリガー)も、《精魂導師》と『トリガードライヴ』さえ所持してれば誰だって慣れるのですよ?

まぁ、『英雄』には効果が無いのは聞くまでも有りませんがね…!」

 

ならばどうやって未来に神獣鏡を纏わせることができたのか疑問に思ったナスターシャは「ならばなぜあの娘は?」とウェルに問いかけるとウェルは物凄い剣幕で高らかに叫んだ。

 

「『愛』!! ですよ……!!」

 

「なぜそこで『愛』!?」

 

「リンカーが『これ以上旧友を戦わせたくない』という思いを神獣鏡に繋げてくれたのですよ!! 

やばいくらいに麗しいじゃありませんか!!」

 

そう言ってまた顔芸を披露しながら叫ぶウェルだが……、むしろヤバいのは今のお前の顔だと言いたい。

それを聞いたギンジはウェルに向かって拳を振り上げようとしたが、それよりも先にウェルに体当たりし、そしてそのウェルの首を絞めた!

 

「ふざけるな!」

 

「ザフィーラさん⁉︎」

 

それはヴィヴィオの知る者にして、狼の姿になれる【守護獣】と呼ばれる漢…ザフィーラであった。

 

「彼奴は…ヴィヴィオやあの子達を道具として使うな!」

 

「ひ、ひぃぃぃ⁉︎」

 

その威圧をも超えた剣幕にウェルは怯えたのであった…

普段は大人しく、物事を冷静に捉える性格であろうザフィーラが此処まで怒りに満ちていた事にこの場にいる『英雄』2人はおろか、一緒にいたマリアでさえも驚かされたのであった。

 

 

「…で、ですが、もう既に遅い!ご覧なさい!」

 

そう言いながら、ウェルはモニターを指した。

 

其処には既に『光』から『闇』に堕ちた『英雄』2人と、

『歪鏡』の誘惑に堕ちた未来の姿しか映していなかった。

 

 

 

ーーーーーーー

 

「うおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

そして戦艦の上で翼,クリス,ロック,奏,霊風の前で雄たけびのように叫ぶ神獣鏡を纏った未来。

そしてその両隣には黒い鎧を身に纏ったセイバー〔オルタ〕と、

『聖王』と呼ばれた存在になったヴィヴィオが其処にいた。

 

 

今の未来を見てここにいる全員が驚きの表情を浮かべ、闇呪怨は自分達の乗っていたヘリを見上げ、「あのクソメガネ……!!」と悪態付き、闇呪怨は未来を見つめる。

 

「あの発狂メガネ、関係ない奴を巻き込みやがって‼︎」

 

「お前……」

 

そして霊風はそんな闇呪怨を見てやはり彼は根っからの悪い人間ではないということを実感し、クリスもなぜ未来がシンフォギアを纏えるのか分からず困惑していると不意に彼女に腕で拘束されている調が口を開き、説明をした。

 

「あの奏者はリンカーで無理やり仕立て上げられた消耗品。 

私たち以上に急ごしらえな分壊れやすい……」

 

クリスはそれを聞いて怒りを露わにする。

 

「ふざけんな……!!」

 

「クリスの言うとおりだ。小日向!! 

今すぐそのシンフォギアを解除しろ!!」

 

ロックも未来に解除を促すも、彼女に声はまるで聞こえていなかった。

彼女との付き合いが最も長い者は、残念ながら今のこの場にいはいない。

 

 

「(やっぱり響や憑友達じゃないとダメなのか…当然かもしれないけど……)」

 

また翼は未来の姿を確認し、二課に未来達のことを「行方不明となっていた小日向未来の無事を確認。ならびにセイバーとヴィヴィオの無事を確認。……ですが……」と報告するがそれにクリスは「無事だと!? あれを見てあの立花(バカ)や、なのはと士郎(彼奴らの信頼者)になんて説明すればいいんだよ!!」と叫ぶが……既にこのことを二課の戦艦からモニターで見ていた響達に伝わっており、やはり彼女達も唖然とそこに立ち尽くしていた。

 

「どう説明する? 無事じゃない……? 

確かに『今』はそうかもしれない……。 だがな、クリス…

だったら無理やりにでもあの《シンフォギア》を引き剥がして…

…連れて帰って立花の前に出せば良いだけの話だ!!」

 

そう言い放つと同時にロックは未来へと突っ込んでいき、未来はシンフォギアに装備されているバイザーを装着して飛行する。

それを見逃さないと悟ったロックはそのまま跳躍して、上空から攻撃を加えようとした…が、

 

「はぁぁぁぁぁ‼︎」

 

ドガァ!

 

「ぐはっ⁉︎」

 

瞬時にその間に割って入ってきた《闇堕ち》ヴィヴィオいや、『聖王ヴィヴィオ』がそのままロックにアッパーカットを今度はロックの腹にヒットさせた!

それを見たクリスは調の拘束を解いてボーガン型のアームドギアを手に持ち、ロックと共に未来の追撃に向かう。

 

「こういうのはあたしの仕事だ!! ロック義兄は下がってろ!!」

 

「断る!クリスが初めて出来た友達ならば、俺にとってはお前の大事な友達なんだ!こんな所で引っ込んでいられるか!」

 

クリスの言葉にそう返すロックに彼女は思わず笑みを零し、小さくため息を吐くと戦艦の上でロックと立ち並ぶ。

 

「……へっ、全くロック義兄って奴は……だったら……」

 

「あぁ、だったら……」

 

「「一緒にやればいい(って)だけの話だ!!」」

 

そう言うとロックはアブソーバーから自分のパートナー『英雄』…『アーチャー』のカードを取り出すなり、そのままアブソーバーに装填、そしてレバーを引き、そのまま纏った!

 

ーソウル!フォーム、アーチャー‼︎

Unlimited Blade Works!ー

 

そう言うとロックはすかさず左手に彼がご自慢する愛弓『黒弓 フェイルノート』を持つと、そのまま無数の剣を作り、そのまま矢の形に形成するなり、それを番える…!

それを見た未来は手に持っている、折り畳み式の扇形のアームドギア《シェンショウジン・オウシャク》から紫の光弾を発射するがそれをロックは両手で構えた弓矢を放つ事で相殺し、その後ロックは両腕を広げるとロックの肩を踏み台にクリスが高くジャンプ。

 

そこから《イチイバル・ボーガン(クリスのアームドギア)》から複数のエネルギー矢を高速連射する技"QUEEN's INFERND"を未来に放つが未来は俊敏な動きでクリスの攻撃を避けていた。

 

その隙に『聖王ヴィヴィオ』はそんな2人の隙を突き、攻撃をしようとしたが、霊風がその攻撃を中断させた!

その攻撃により、ヴィヴィオは後退した。

 

「悪いな、ヴィヴィオちゃん。なのはちゃん(あんたのお母さん)じゃなくて、俺が止めに来てやったぜ」

 

「…」

 

そんな最中、奏は1人、黒化したセイバー…セイバー〔オルタ〕と相対していた。

 

セイバーの異様な姿を見て、奏のペンダントの中にいる『英雄』ランサーのディルムッドは驚愕していた。

 

『何故なのだ⁉︎セイバー!かつてのお前は何処へ行った⁉︎』

 

「…消えろ」

 

「⁉︎ヤベェ!」

 

ディルムッドの必死の説得もオルタと化したセイバーの前では無意味だった。

たかが3人…されど3人…

それだけで士気と言う名の天秤を傾けるのは充分過ぎたのであった。

 

そんな中、ロックは「単独行動」と言う『アーチャー』のクラス補正を利用して、戦艦から戦艦へと高速移動を素早く行ないながら未来の背後に遠回りながらだが、回り込むと彼女の腕を掴むが未来はどうにかロックの手を振り払い、廻し蹴りを喰らわせる。

 

しかしロックもその蹴りを右腕で受け流し、もう1度未来を捕まえようとするが彼女は上空に跳びあがって避けられてしまった。

 

また、切歌が翼の一瞬の隙を突いてそこから逃げだそうとしたがそれよりも早く翼がアームドギアを切歌に突きつけ、再び彼女の動きを封じた。

 

「隙あ……り……じゃ、ないデスね……」

 

「切歌!!」

 

ロックとクリスが未来を止めに行ってしまったため、闇呪怨は切歌を助けに行くことが可能となり、闇呪怨は一瞬で翼の目の前にまで迫ると両手にいつの間にか2振りの鎌を振り上げ、彼女を斬りつけようとするがそれよりも素早く翼はそこから離れた。

 

「助かったデス、闇呪……!」

 

「うるさい黙ってろ」

 

「……えっ……」

 

突然の闇呪怨の予想外の厳しい言葉に切歌は驚いた。

 

なぜなら彼はいつも自分やマリア達に優しく接してくれて気にかけてくれており、自分たちを守るためならどんなことだってする闇呪怨……、だが今の闇呪怨からは全くそういったものが感じられず、切歌はオズオズとした様子で闇呪怨に声をかけようとしたが……。

闇呪怨は自身のパートナー『英雄』…【風を纏いし『伝説粉砕者』 金剛寺ハヤト】のカードを装填した。

 

「……んでだ……」

 

「闇…呪?」

 

 

「なんでこんなことに手を貸そうとする切歌ァ!!」

 

いきなりの闇呪怨の怒鳴り声に切歌は「ビクッ」と肩を震わし、彼女は闇呪怨に対して若干の怖ささえ感じ、眼尻に涙を溜めこんでしまう。

その隙に闇呪怨ことコアはレバーを引いて現れた『英雄』の魂をその身に纏った!

 

ーコア!フォーム、ハヤト‼︎

金剛鳥人!基準はゴールデン!ー

 

すると彼はすかさず両手を広げると、身に纏った鎧が砕け、それがクリスタルと化し、そのまま両手に集まり、そして2振りの鎌へと形成した。

それと同時に、上空のオスプレイからマシュが降り立った!

 

「切歌さん!どうしてこんな事をするんですか⁈」

 

それを聞いた切歌は、語り始めた。

 

「そ、それは……マシュさんは、私のことを励ましてくれたけど……それでもやっぱり不安で不安で仕方ないんデス!! 

マシュさんや闇呪にはきっと分からないデス!! 

自分を失いそうになる恐怖が、不安が、悲しさが!! 

マシュの言葉を全く信じていない訳じゃないんデス。 

それでも、もしもって思うと…

…だから、この世界で私が生きた証をせめて残したいんデス……」

 

「だからって……

 

 

 

 

 

だからって間違ったやり方で良いと思ってんのか!!?」

 

「思ってなんていないデスよ、でも、でも……!!」

 

遂には切歌は泣き出してしまい、泣きだしてしまった切歌は溢れだす自分の涙を手で拭いまくる。それを見たマシュは切歌の元に赴き、彼女を抱き締め、それを見た闇呪怨はオロオロとし始める。

 

状況が状況なのでまさか泣いてしまうとは思わなかったのかもしれないが、こちらの空気を呼んで今まで黙っていてくれた翼達二課の女性陣から「女の子を泣かせるなんてサイテー」とでも言いたげな視線が闇呪怨に突き刺さっていた。

 

「な、なんだよ⁉︎その目は!!?」

 

「話はよく分からんが女子を泣かせる男子というのは関心せんな」

 

代表して翼から冷ややかな目で見られて困惑する闇呪怨ことコア。一方、未来は飛行して海の上を走り、クリスは戦艦の上を走りながらボーガンから変形した4門の3連ガトリング砲からの一斉掃射する技"BILLION MAIDEN"を放ち、未来に幾つか弾丸が直撃したが未来はまるで痛みを感じていないかのようにアームドギアから光弾をクリスに向けて放つ。

そしてその隙にロックが攻め込んだ…!

 

だが光弾が発射、アーチャーに扮したロックは彼の愛剣『干将・莫耶』を用いてその攻撃を弾かせ、ロックは未来に真っ直ぐ突っ込んで行こうとするがその時、

ロックに突然ビームらしきものが直撃し、ロックは海に落下する。

 

「ロック義兄!?」

 

一体なにが起こったのか、クリスがビームが飛んできた方向を見るとそこには白い身体と2丁拳銃を携えた明らかに人間では無い存在と、オレンジ髪で仮面舞踏会等で見かけられる仮面を被った片腕がサーベルのような物をつけた此方も明らかに人間では無い存在がいた!

 

「…ったく、あのいけ好かねぇ奴からのご命令だとイライラしかしないな」

 

「そう言うなよ、おやっさん!この仕事さえ終われば、旦那を探しに行けて、その間の分の金が手に入るんだから一石二鳥だぜ!」

 

「あれは…⁉︎」

 

それを見たクリスはその姿をした存在に見覚えがあった。

 

【分身宇宙人 ガッツ星人】

【サーベル暴君 マグマ星人】

 

かつての『四英雄事変』の際にその姿を見たのだ。

その宇宙人2体と非常に酷似していた。それもその筈だ。

彼等は『宇宙人』の類に入っている者…名は其々、

 

【ガッツガンナー ガルム】

【マグマスター マグナ】

 

2人はそう呼ばれていた。

2人は今は訳あって、ウェルに渋々協力しているのである。

 

そう言いながら白い奴…ガルムはクリスに照準を向けるが……海の中から青い光が放たれ、2人はそのまま緊急回避した。そして海から『アグル』にいつの間にか変身したロックが立ち塞がった!

 

「クリス!! お前は未来の相手をしていろ!! 

俺はこの2人を相手をする!!」

 

アグルに扮したロックの言葉にクリスは頷き、ロックは2人の宇宙人に向き直るとアグルは手から発射する光弾"アグルスラッシュ"を2人に喰らわせようとするが、悉く躱された。

 

「ちっ!やってくれるじゃねえか!」

 

「まさか、『ウルトラマン』の力を使ってくるなんてな!ワクワクするな!」

 

「此奴等…『ウルトラマン』の事を知ってる⁈」

 

2人が『ウルトラマン』の事を知ってる事に驚くロック。無理も無い。彼等の同族は『ウルトラマン』達に滅ぼされたと言っても過言では無いのだから。

 

そう思いながらロックは空中へと飛行し、ここではクリス達の方に被害が出てしまうと考えたロックはここから離れようと別の場所に空中から移動する。

それを見た2人の内、ガルムだけがロックと相対し、マグナはそのまま残りのメンバーの方へと赴いて行った!

それを見たロックは皆に注意するよう呼びかけるが、マグナは皆の元へとやって来てしまっていた。

圧倒的劣勢の状態…だが、

マグナはそこからサーベルを収納するや、そのまま胡座をかいて座り込んでしまった!

 

『⁉︎何をしてるのですか⁉︎さっさとやってしまいなさい!』

 

するとウェルが通信して来て、攻撃せよと命令して来たが、

 

「お断りだ!」

 

『な⁉︎』

 

ウェルの命令を悉く拒否したのだ!

 

「てめぇとは元々気が合わなかったんだよ!

 

俺だって、ガルムのおっさんだって、此処にいる奴等から言わせれば『宇宙人』だ。それは認めてやる。だがな…!」

 

そう言うとマグナは右腕をサーベルに変えて、そのまま右手を真っ直ぐ伸ばした!

そしてそのまま右手側に居た戦艦にビームを放ったのだ!

其処には、ノイズに襲われそうになっていた米国兵が居た!

そしてそのビームはそのまま…なんとノイズ達に貫通ヒットし、ノイズが炭化した!

 

 

 

「こう見えても俺達は『英雄』として呼ばれてるんだ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

守るべき物が有るのなら、

 

それを守るのが筋ってもんだろうが‼︎」

 

その話を聞いた此処にいる全ての男はこう感じた…

 

『此奴…漢だ!』と。

 

「かっ!ヒヨッコの癖に…カッコ付けやがって…!」

 

それを聞いたもう1人の『宇宙人の英雄』ガルムはそう愚痴っていたのは此処だけの話。

そんな中でもクリスと未来との抗争はまだまだ熾烈になっていた。

 

またクリスと未来の戦いを見ていたウェルは……。

 

「脳へのダイレクトフィードバック によって己の意思に関係なくプログラムされたバトルパターンを実行!! 

流石は神獣鏡(シェンショウジン)のシンフォギア!! 

それを纏わせる僕のLINKERも最高だ!!

そ・れ・に〜?

僕の作ったglyceriggerを使えば、幾ら『英雄』達でもこの有様!

僕こそが『英雄』なのだーーーーーー‼︎」

 

「それでも偽りの意思ではあの奏者たちには届かない。勿論、『英雄達を導く者』達でさえも」

 

ウェルの言葉にナスターシャがそう返したがウェルは特に気にした様子はなく悪な笑みを浮かべており、マリアはこの惨状からつい目を反らしてしまう。

 

確かにナスターシャの言うとおり、未来は次第にクリスに押されていき、それをモニターから見ていた響は「ごめん、ごめんね」と未来に誤って顔を俯かせる。それをなのはと士郎は黙り込んでいた。

 

そんな時、弦十郎が響の頭に手を乗せ、響は弦十郎の顔を見る。

 

「師匠……」

 

 

また響から少し離れた場所では皆には見えないように透明になっている幽霊のユルセンがモニターに映る翼達の戦いの様子を見て、

 

「(俺っちは……なにもできないのかよ……。 

響のガングニールの侵食を食い止める方法も未だに見つけられない、未来を助けることもできない。 

憑友のお世話係の筈なのに、憑友の容態は最悪…

俺っちは一体……)」

 

ユルセンは幽霊であるが故になにもできない自分を悔しく思っていた。

 

「(くっ、やり辛れぇ!! 幾ら助けるためとはいえあの娘はあたしの恩人だ!!)」

 

そして翼達のいる戦艦の上にクリスは未来を撃ち落とし、クリスは急いで未来の元に駆け寄って未来に触れようとするが……。

 

「やらせはしない」

 

「なっ⁉︎」

 

すかさず近くに来ていたセイバーが、黒い槍でクリスを貫こうとしたが、即座に霊風がそれをいなすなり、クリスを抱えて、未来から遠ざかる!

 

 

その時、ウェルの声が未来の纏うシンフォギアから流れた。

 

『女の子は優しく扱ってくださいね?

乱暴にギアを引き離せば接続された端末が脳を傷つけかねないので』

 

とウェルはクリス達に忠告した。

 

そんな時だ、未来は急に立ち上がり、立ち上がると同時に未来はクリスにアームドギアの扇を鏡のように展開し、複数のビームを同時に放つ「閃光」を放つ。

 

「避けろ雪音!霊風さん!」

 

「くっ!」「マジかよ⁉︎」

 

クリスと霊風は翼に言われた通り未来の攻撃を避け、すぐさまそこから飛び退いて翼の元にまで戻ってくる。

 

「まだそんなちょせーのを!!」

 

そして遂に未来は「歌」を口ずさみ始め、脚部装甲から円形のミラーパネルのような物を形成し、腕から伸びるケーブルと接続することで極太の破壊ビームを放射する技"流星"を放とうとする。

そしてそれと同時に未来の両側を、右手側にヴィヴィオが、左手側に剣を携え直したセイバー〔オルタ〕が力を溜め始めたのだ!

 

(挿入歌『歪鏡・シェンショウジン』井口裕香)

 

「鳴け、地に堕ちる時だ」

 

するとセイバー〔オルタ〕が詠唱のような物を口ずさみ始めた…!

 

「卑王鉄槌。極光は反転する…」

 

その詠唱を聞いた霊風は顔を青ざめた。

それと同時にヴィヴィオも己の拳に虹色の魔力光を溜め始めた!

 

それを見た霊風は一斉にその場にいた全員に回避を命じるが、クリスは自分の後ろにギアを纏っていない無防備な状態の調がいることに気づき、下手に動くことができなかった。

 

「調!!」

 

同時に光聖希も調がいるためクリスが未来の攻撃を避けることができないということに気づき、調を助け出そうとするがそれよりも先に未来の破壊ビームが発射され、クリスはシールドピット「リフレクター」を展開する。

すると、近くにアグル扮するロックが変身を解いてすかさずやって来るなり、再びアーチャーの姿をし、クリスと共にその攻撃を防ぐ為の布石を放つ!

 

体は剣で出来ている(I am the bone of my sword.)

 

 

 

 

 

熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)‼︎」

 

するとロックとクリスの前に、7つの花弁をあしらった盾が顕現した!

 

「だったらぁ!! リフレクターで!!」

 

するとそんな2人の元に、先程まで切歌を抱き締めていた存在・シールダーのマシュが2人の隣にやって来た!

 

「私も受け止めます!大丈夫、こう見えても『盾兵の英霊』として呼ばれているんです!守る事に関しては得意分野です!」

 

そう言うとマシュは背中に背負っていた大盾を持つと、

 

「真名…偽装登録…行きます!」

 

そう言うとありったけの魔力が大盾に宿し始めた!

だが、それと同時に未来,ヴィヴィオ,そしてセイバーが一斉に放つ…!

 

「光を呑め!

 

約束された勝利の剣 (エクスカリバー…モルガーン)!」

 

「はぁぁぁぁ‼︎」

 

するとそのまま3人同時に高威力の"流星"(ビーム)"インパクトキャノン"(射撃魔法)、そして『宝具』をぶっ放して来た!

 

2人はそれを見て、更に警戒する。

するとマシュは自分の『宝具』を…『真名解放』を行った…!

 

「宝具…展開します!

仮想宝具!

 

擬似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)‼︎」

 

すると2人を覆い隠す程の巨大な盾の形をしたエネルギー体が張られ、そのまま3人の攻撃を3人で抑え始めた。

 

「聖希!! 調をそこからすぐに離れさせるデス!! 

切り捨てられる前に!!」

 

切歌が光聖希に向かって叫び、光聖希は頷くと彼女を抱え、翼は先ほどの切歌の言葉を聞いて「いったいどういうことだ?」と疑問を口にする。

 

一方で未来の攻撃を防いでいるクリスはというと……。

 

「イチイバルのリフレクターは月をも穿つ一撃をも変更できる。 

そいつがどんなシンフォギアか知らねえが今更どんなのぶっこまれた所で……! 

なのに、なんでこっちが押されてんだ!?」

 

そうこうしている内にクリス体射出されたピットに罅が入り始めた。それも1つや2つとかそんな物では無く、10,20とその数が増え始めた!そして終いにはピットが消滅し始めたのだ!

 

「ぐっ!この威力は…!」

 

そしてロックの方も熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)で防いでいくも、クリスのピットが罅が入る度に、此方は逆に一枚、また一枚と削られていく…!

それに対して、攻撃側の技は衰えるどころか、更に威力が上がってきていた!

するとセイバー〔オルタ〕はその間に、今度は先程クリスを後退させた黒くて異形すぎる槍を構えた!

 

「!やべぇ!」

 

それに気付いた霊風は、皆の元へと駆け抜ける…!

だが、その間にもセイバーは詠唱を口ずさむ…!

 

「聖槍、抜錨」

 

そしてその槍を頭上に掲げ、『真名解放』を…『宝具』を放った!

 

「突き立て、喰らえ! 十三の牙!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最果てにて輝ける槍 (ロンゴミニアド)!」

 

その槍での一撃も加わるや、その勢いにより、そのまま3人を襲いかかる!

 

「無垢にして苛烈、魔を退ける輝く力の本流。 

これが神獣鏡(シェンショウジン)のシンフォギア……」

 

「呑気に説明してる場合か!!」

 

クリスの後ろにいる調がなぜクリスのリフレクターが押されているのか理由を語るが、ハッキリ言って意味が分からない。

そうしていたら、光聖希にツッコまれて調は彼に抱えられてその場から離れ、光聖希はもうクリス達に逃げても構わないと伝えるが……流石にもう逃げられないところまで彼女は押されており、そこから脱出することができなかった。

 

「(くそ、逃げたいのは山々だが……!!)」

 

「(技を防ぐだけで…身体のエネルギーが持ってかれてしまう…!)」

 

「ぐっ…(このままだと、2人が…!)」

 

その時翼が巨大化させた大剣のアームドギアを戦艦に突き刺して盾にして防ぎ、クリスの首根っこを掴む。

それと同時に、霊風もまたロックの首根っこを掴むと、素早くそこから離れる。

それを見たマシュは最後までやろうとするが、「此処で死なせる訳には行かねえ!」といつの間にか奏が現れ、マシュを担ぎ、そのまま先頭を走っていた2人に追いつかせる。

すると霊風と奏は翼が展開していたレッグブレードに同時に乗った!

まるでサーフィンをするかのように。

其れを見た翼はそのまま更に加速させていく!

 

しかし巨大な剣を発生する技"天ノ逆鱗"を盾にして攻撃を防ぎ、クリス達を救ったのは良かったもののアームドギアはすぐに破壊され、翼は空から何重にも大剣を突き刺して盾にしながら未来の光線から真っ直ぐ走って逃れようとする。

 

ちなみになぜ横に逃げないのかというとそれは減速してしまい、攻撃に巻き込まれる危険性があるためである。それに翼のレッグブレードには必死にその上に乗っている霊風と奏がいるので、迂闊に旋回する事が出来ないのである!

 

すると翼は前方に大剣のアームドギアを出現させ、それに気付いたクリスは「とんずまり!?」と驚きの声をあげるが翼は「喋っていると舌を噛む!!」と言い放ってクリスを黙らせ、翼はアームドギアの上を靴のブースターでなぞるように上り其処に霊風の《風魂導師》の力で更にブーストさせ、上空へと飛びあがって未来達の攻撃を完全に避けた。

 

 

「やめるデス!! 調は仲間!! 

私達の大切な……!!」

 

『仲間と言いきれますか?』

 

切歌は調を巻き込むような攻撃をやめるように未来に訴えるが、未来の代わりにウェルが返答して切歌にそう問いかけた。

 

『私たちを裏切り、敵に利する彼女を、月読調を仲間と言い切れるのですか?』

 

「っ、違う……! 私がちゃんと調に打ち明けられなかったんデス! 私が、調を裏切ってしまったんデス!!」

 

肩を震わせて今にも泣き出しそうな切歌の背中を見つめる闇呪怨、彼は静かに「切歌……」と彼女を心配し、切歌の名前を呼んで闇呪怨は彼女の元に駆け寄ろうとするが……。

 

「切ちゃん!! ドクターのやり方では、弱い人達は救えない!!」

 

「あんな奴の言う事はデタラメだ!」

 

それよりも先に調と光聖希はそう切歌に訴えかけ……、闇呪怨も調と光聖希の意見に同意する。

 

「顔芸一人祭り野郎が好き勝手してもいいのかよ!?この発狂メガネ!

俺達の目的は、こんなことじゃなかった筈だろ!!」

 

『全くあなたは何時も言ってくれますね。 

ですが私のやり方では……というのは確かにそうかもしれませんね。 

何せ我々は降りかかる災厄に対してあまりにも無力ですから。 

《シンフォギア》と『聖遺物』、《精魂導師》と『英雄石板』に関する研究データはこちらだけの占有物ではありませんから、アドバンテージがあるとすれば、せいぜいこのソロモンの杖!』

 

するとウェルはソロモンの杖を使って全ての戦艦の上に大量のノイズを召喚し、戦艦の上にいた軍人たちはどうにかノイズに攻撃するが普通に攻撃してノイズが倒せる筈もなく次々と軍人たちはノイズによって炭化されていき、そのさまはまさに「地獄絵図」と呼ぶに相応しい光景だった。

 

「ノイズを放ったか!!」

 

「くそったれが!!」

 

「⁉︎待て!クリス!」

 

クリスは駆けだしてノイズの殲滅へと向かう。

 

「(ソロモンの杖があるかぎり、バビロニアの宝物庫は開けっ放してことか!?)」

 

そう考え込んでいたら、彼女の隣をマシュも走り、クリスはマシュがこちらに来たことに驚きを隠せないでいた。

 

「お前……!」

 

「こうなったのは私達の責任!! 私にも手伝わせて下さい!

盾=防御ではありません!!」

 

「へっ、勝手にやってろよ!!」

 

『へっ!そう言うと思ったぜ、嬢ちゃん!』

 

すると2人の会話の最中に何者かの声がインカムに流れてきた。

すると2人がいたノイズに何処からともなくビームが放たれ、ノイズは瞬時に炭へと化した!

照射された方向にクリスはバイザー越しで見ると、其処にはガルムがスナイパーライフル型のビーム銃で狙撃していた!

 

それを見てクリスは確信した…此奴も『英雄』だと言う事に。

そう思ったクリスは空中へと飛びあがり、腰部のアーマーとガトリング砲に変形させたアームドギアで回転しながら放ち、空中ノイズを撃破していく。

 

「やあっ!」

 

またマシュは地上に残っているノイズ達に向けて盾を地面に思いきり叩く!するとそのまま衝撃波となり、ノイズ達に炸裂し、遠くの場所からガルムがライフルからビームを照射して、ノイズ達を撃ち抜く。

 

そんな最中に、先程まで胡座をかいていたマグナがクリスとマシュのいる艦の上に降りてくるなり、右腕をサーベルに変えて、そのままノイズ達を薙ぎ払った!如何やら彼も相当、ウェルの言動に苛立ちを見せていたようで、仮面越しでも戦ってやると言うオーラが滲み出していた。

 

『前を見ろ、ヒヨッコ!』

 

「?…なぁ⁉︎」

 

だが、ガルムの掛け声で前に視線を戻すとノイズが目の前まで来ていた。近くにいた2人でさえ今走っても、撃ったり、しても間に合わない…!

 

 

 

 

偽・螺旋剣(ガラドボルグⅡ)‼︎」

 

すると何処からともなく螺旋を描いた矢がマグナに迫ろうとしたノイズを射抜く!

それを見たマグナはすかさず後退する。

 

ノイズが炭へと化したと同時に、その先にはアーチャー扮するロックが弓を構えていた!

 

そしてギザな態度を見せると、マグナは逆に燃え上がったようで、何やら賭け事みたいな事をほざいていたのはこの際如何でも良い話。

 

「倒せられるか?宇宙人さん?」

 

「甘く見るなよ!」

 

「ふっ…では、始めよう。

 

同調、開始(トレース・オン)

 

ーーーーーー

 

一方、切歌はというと……彼女は鎌のアームドギアを振るって翼を攻撃し、翼はアームドギアで攻撃を防ぐ。

 

「こうするしか……!! なにも残せないんデス!!」

 

『そうそう、そのまま抑えておいてください』

 

ウェルがそう言うと未来はどこかへと飛んで行き、その後をセイバー〔オルタ〕とヴィヴィオも未来の護衛なのか、その後をついて行く。

その際に何処からとも無くおぞましい姿をした馬が現れ、それをセイバーが騎乗、そしてその後ろにヴィヴィオを乗せる形で馬がなんと水上を駆け抜けたのだった。

其れを見た奏はすかさず後を追った。

 

そのすぐ後に、丁度ノイズに襲われている軍人たちを非難させるために二課の戦艦も現れ、同時になぜか海の中から緒川も飛び出してきた。

 

「緒川さん!?」

 

「人命救助は僕達に任せてください!! それよりも翼さん達は未来さんの捕捉を!!」

 

「頼んだぜ!緒川っち!」

 

それだけ伝えると翼は緒川に「頼みます!!」とだけ返し、彼は調を抱えて、光聖希は担いでその場を去って行った。

 

海の上を普通に走って……。

それを見た一同はこう思った…

 

『(SINOBI…恐るべし!)』と。

 

そのまま切歌は調を気にしつつも「やるべきことがある」と言って翼と戦いを繰り広げ、翼と切歌は対峙し、翼は一体切歌はなにがしたいのかと問いかける。

 

「私がいなくなっても調には忘れて欲しくないんデス!!」

 

その間に2人…霊風と闇呪怨は何故か戦おうとはしなかった。

闇呪怨自身が戦う意志が無かったから。

 

 

 

ーーーーーー

 

その頃、二課では未来の纏うシンフォギアの解析並びに闇堕ちした2人の『英雄』の分析が完了し、彼女…未来の纏うギアより発せられたエネルギー波は聖遺物由来の力を『分解』する特性が見られるとの報告があり、つまり《シンフォギア》では未来の攻撃を防ぐことができないということである。

そして《闇堕ち》した『英雄』達も同様で、此方は逆に『英雄』の力を宿す者達に効果が見受けられるとの事だった。

 

それが先ほどクリス達の防御を突破した理由であり、弦十朗はこれを「シンフォギア殺し」「英雄キラー」と称し、これをどうすれば止められるのか弦十郎は悩んだ。

 

「(私に……できること……。 

私は、未来を助けたい……!! 

でも、今の私じゃどうすることも……!! 未来……!)」

 

響は悔しそうに唇を噛みしめ、拳を強く握りしめ、彼女はその瞳から一粒の涙を流した。

 

しかしそんな時、調を保護してきた緒川が何時もとは違いかなり慌てながら司令室へとやって来た!

 

「大変です!」

 

「如何した⁉︎」

 

「先程、病院からの連絡が来て…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

憑友君が…病室に居ないとの報告が!」

 

「なんだと⁉︎」

 

その話を聞いた皆は驚愕していた。

病院にてまだ眠りに就いている筈の憑友が何者かに誘拐されたのかと。

 

ーーーーーーSIDEto奏

嘘だろ…憑友が…行方不明…?

 

『こんな事…有るのかよ‼︎』

 

『ならば今、彼の居場所を特定する事は⁉︎』

 

『そんな事はとっくの昔に済んでます!』

 

『ちっ!彼奴の身体は〔半幽霊〕の身体。機械的な奴を中に入れ込んだとしても、すぐに地面に落としてしまう…!

半幽霊故の欠点が、まさかこんな時に…!』

 

くそぉぉぉぉぉ‼︎

 

ーーーーーーNO SIDE

 

そして二課の戦艦は未来達の立っている戦艦の付近にギリギリで接近し、二課の戦艦の上には響が立っていた。

しかし響は先程の報告を聞いて、深刻そうにしていた。

 

「一緒に帰ろう、未来」

 

(BGM「陽だまりのメモリア」)

 

響はそれでも目の前の事に集中し、未来にそう呼びかけるが未来はバイザーを解除し、「帰れないよ、私にはやらないといけないことがあるんだもの」と答えて拒否した。

 

 

「やらなきゃならないこと?」

 

「このギアが放つ輝きはね、新しい世界を照らし出すんだって。 

そこには争いも無く誰もが穏やかに笑って暮らせる世界なんだよ」

 

「争いのない世界?」

 

響は未来の言葉に首を傾げる。

 

「私は響や憑友にこれ以上戦って欲しくない。 

だから私は響や憑友が戦わなくていい世界を作るの」

 

と未来は響に説明したが響は周りの惨事を見つめ、未来の考えを否定した。

 

「だけど未来、こんなやり方で作った世界は暖かいのかな? 

私が一番好きな世界は未来がそばにいてくれる暖かい陽だまりで、

憑友と一緒の世界が好きなんだ」

 

「でも、響や憑友が戦わなくていい世界だよ?」

 

未来がそう問いかけるが響は首を横に振る。

 

「例え未来と戦ってでも……そんなことさせない!!」

 

「私は響や憑友を戦わせたくないの……!!」

 

「ありがとう、だけど私……戦うよ…

憑友との約束を守るために…!!」

 

そう言って響は聖詠を口ずさもうとしたその時だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く……世話のやける幼馴染2人だな」

 

 

 

 

 

「「え?」」

 

 

 

 

突然の声が聞こえ、2人はその声がしたであろう方向…上を見上げた。

 

其処には雲がかかっていたが、その雲が徐々に紅く染まって、そして終いには其処から何かが現れた!

 

 

「ヴォォォォォオオオ‼︎」

 

尻尾の先から火が噴き出し、翼と、そして二本の角、3本の爪、強靭な足腰が特徴の生き物の上に誰かが乗っていた。

 

 

「よっ。響、それに未来」

 

「「憑友(?)!」」

 

その正体は、現在『英雄』の1人、サトシの姿を借りた《炎魂導師》ライド…

 

 

人絆憑友がやって来たのだった!

 

すると憑友は生き物の上から降りて、響の隣に立った。

 

「ありがとな、リザードン」

 

「ヴォォォォンッ!」

 

そう言うとリザードンと呼ばれた生き物は粒子となって、消えた。

それと同時に憑友もサトシのカントー・ジョウト時代の服装から元の私服に戻った。

 

「響。あれ…持ってる?」

 

「ふぇ?…あ、うん」

 

そう言うと響は『英雄石板』によって取り出されたカード…

【ヒーローカード】が入っていたカードケースを憑友に渡した。

憑友の言ったあれとはこのカードケースの事であった。

 

憑友の手持ちには、己自身の力である【炎の魂を導く師者】のカードと、

自身の剣術の先生【黒の剣士 キリト】のカード。

そして先程まで変身していた【黄金コンビ サトシ&ピカチュウ】のカードしか持ち合わせて居なかったのだ。

だが、それも此処で終わり。

カードケースを受け取った事で、憑友は再び『英雄』達と共に行動する事が出来るのだ!

 

そうすると憑友は懐からスキャナー型のアイテムを取り出すや、そのまま拳銃のように持ち替えた。

するとスキャナーも拳銃型のアイテムへと早変わりした。

そして憑友は右腰に既に装着させたカードケースからすかさず、2枚のカードを取り出すや、そのまま拳銃の上…リロード部分の所にある凹みに向けてスキャンさせた!

 

ーコール・オブ・シロウ!ー

ーコール・オブ・ナノハ!ー

 

すると憑友は響の隣に向けて1発、そして自身の真横に1発放った。それは光を放つ弾丸だった。

すると其処からみるみると形を変え、終いには2人の戦士が立っていた!

 

「…」

 

「助けに来たよ…ヴィヴィオ!」

 

『聖王』へと堕ちたヴィヴィオを救うために、高町なのは(彼女の母親)が降り立ち…

 

 

「…貴方と相対するとはな…シロウ」

 

「お前を取り戻す。セイバー!」

 

〔オルタ〕へと堕ちた『英霊』には、彼女のマスターにして、彼女が愛した者…衛宮士郎(彼女の鞘)がセイバーを取り戻す為に動く…!

 

 

「4対3だが、お前を救う為ならこの命…全てをぶつける!」

 

「私は絶対に…」

「俺は絶対に…」

 

 

「「未来を助ける‼︎」」

 

2人は未来を、セイバーとヴィヴィオを救う事が出来るのか⁈

次回を待て!

 

tobecontinued…




次回

其々の戦い

堕ちし3人を…4人が救う…!


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#25 其々の戦い

オリ展開ありきな話。
そして…何気にまだ10話の後半入った所にいる現状…。

そして今回は戦闘開始の合図です。


未来とセイバーとヴィヴィオ…

響,憑友,なのはと士郎…

 

其々が其々の為すべき事を成す為に…動き始めた。

憑友はなのはと士郎を見る。

2人の瞳には其々の思いが滲んでいた。

それを察した憑友は何も言わずにただ2人に向かって頷いた。

其れを見た2人は『ありがとう』と同時に言うなり、士郎はセイバーの方を、なのははヴィヴィオの方を見た。

 

「やはり貴方が立ち塞がるか、シロウ」

 

「当たり前だ。俺はセイバーの魔術師(マスター)であり、お前の家族だ。闇に飲まれた家族を放って置く奴なんか何処にもいない。

俺はセイバー…お前を救って、取り戻してみせる!」

 

「…ふっ。人間如き…愚かな」

 

すると士郎はすかさず足に強化の魔術を施すなり、未来達の戦艦よりも少し遠くにある戦艦の方へと水走りで駆け抜ける!

其れをセイバーは、愛馬であるラムレイに乗ったまま、水上の上を駆け抜けて行った…!

 

「…」

 

「ヴィヴィオ…」

 

その頃、なのははヴィヴィオと話をしようとしていた。

だが、ヴィヴィオは出現した時から此処まで、技を放つ際に発する気迫以外、全くの無言を貫いていた。

 

そうしていると、なのはに向かって魔力弾を放ったのだ!

其れを見たなのははすかさず愛機のデバイス『レイジングハート・エクセリオン』でその攻撃を弾き飛ばす。

そして弾き飛ばされた魔力弾はそのまま海に落ちたと同時に物凄い威力の爆発音と津波を発生した。

 

だがなのはは、先程の攻撃を受け流した事で、ヴィヴィオの状況が分かったのだ。

 

「(まさか…自分の身体の言う事が利かないんじゃ…?)」

 

そう思ったなのはは目を閉じ、ヴィヴィオに向けて念話をし出した。

 

「(ヴィヴィオ。なのはママだよ)」

 

するとヴィヴィオの身体が一瞬、驚いたような体勢になった。その訳は至ってシンプルだ。

 

「!(なのはママ‼︎)」

 

身体は毒によって乗っ取られようだが、『心』まで乗っ取る事は無かったようだ。

自分の愛娘の念話越しの声を聞いたなのはは一安心したような顔を見せ、ヴィヴィオと念話をし始める。

 

「(ヴィヴィオ。今の自分がやってる事分かる?)」

 

「(うん…)」

 

「(やめて欲しいと思っているんだけど、そうも行かないんだよね?)」

 

「(うん。身体が乗っ取られたみたいな感覚で、こうしている間でもママは敵だって、身体が言う事利かないの!)」

 

「(そっか…分かった。

後はママに任せて!ヴィヴィオ!)」

 

ヴィヴィオは確信した。なのは(自分の母親)が絶対に今の自分の状態を助けてくれるという事に。

 

そう言うとなのはは士郎とセイバーが行った方向とは逆の方の戦艦の方へと高速飛行する。それと同時にヴィヴィオもまたその方向へと赴いて行った。

 

そしてこの場に残っていたのは3人だけ。

 

「未来。お前の目指している世界…理想郷みたいな世界。

俺はそれはそれで良いと思ってる。だけど…

俺はそこには行けない」

 

「…如何して?」

 

「だって、それだと…

 

未来が遠くに行ってしまいそうだから。

俺は未来…お前が側にいて、響が側にいる。そんな世界が好きだ。

先輩達や、仲間、クラスメイトや、幼馴染と、

皆んなが近くに居てくれているそんな世界が好きなんだ。

後は何もいらないんだ」

 

「憑友…」

 

「お前が…未来が遠くに行っちゃうのは辛いんだ。だから…

 

意地でもお前を救って、側に居させてやる‼︎」

 

「…そう」

 

そう言うと未来はアームドギアを構えた。

 

「行くぞ…響。

2()()()未来を救うんだ!」

 

「うん!」

 

そう言うと憑友はアブソーバーに『アドバンスフォース』のカードを装填するなり、アブソーバーを上,右,下,左,真ん中の順で動かし、そして上に動かした!

 

ーアブソーバー・スパーク!ー

 

すると上から棒状のアイテム『アブソーバー・スパーク』が現れ、すかさずライドとドッキングさせる!

 

「響。お前がギアを纏える時間は?」

 

「2分40秒。それしかないよ。

だけど、『ウルトラマン』達って3分間も戦えるんだよね」

 

そう言いながら響は今の自分に残された時間を説明した。

 

2分40秒…それが響がギアを纏える残り時間であり、

そして…響が響でいられる最終通告(タイムリミット)でもあった。

 

『アブソーバー・スパーク』はウルトラマン達の力を宿した専用ツールであり、それを用いる事で『ウルトラマン』達の力が使えるのである。

だが先程、響が行った通り、1度『ウルトラマン』の力を使ったら、

1度変身したウルトラマンは、3分間が過ぎたり、他のウルトラマンに変更したりすると、変身する事が出来ない。

但し、『アブソーバー・スパーク』を解除し、また手元に戻してからまた同じウルトラマンの力を使う事は不可能ではないのである。

 

たかが3分、されど3分…響はそれが羨ましかった。

 

「…いや、一部を除いてな」

 

だが、憑友はそう言うとアブソーバーの液晶パネルボタンからとあるウルトラマンのボタンを押した!

 

ーライド!フォーム…レオ‼︎ー

 

そう言うとアブソーバー・スパークとドッキングした所からリング状の突起物がアブソーバーの下から現れ、憑友はそれを嵌めた。

するとスティックパーツが腕の形に沿うように形つくる!

 

「行くぞ」

 

そう呟く憑友。

すると憑友は腕をクロスさせ、そして大きく弧を描くと、そのまま手を水平にさせ、そしてリングを嵌めた方の手…左手を未来の方に向けてそして叫んだ!

 

「レオーー‼︎」

 

するとアブソーバーから光が発した!

 

ーレグルスの戦士!炎のキック‼︎ー

 

すると憑友の身体が赤の身体つきをした戦士にして、宇宙拳法を会得した格闘ウルトラマン…

そして…ウルトラマンゼロの師匠…

 

【しし座のウルトラ戦士 ウルトラマンレオ】に変身した!

 

『俺がこの姿でいられるのは偶然にも2分40秒だ。

響が消える…未来が遠ざかると言うのなら…

俺はこの世から去って逝きたい』

 

「憑友…⁉︎」

 

「如何して…如何してそんな事まで!」

 

憑友の驚きの言動に響と未来は其々のリアクションを見せた。

だが、憑友の意志は固く…決して揺るがなかった。

 

『未来を救えない…響を救えない…

それだけで嫌なんだ。

だから、俺は未来を救う為に、戦う!響と一緒に!

3人で一緒に帰ろう…あの輝きがあった当時の俺達のように!』

 

「憑友…うん!」

 

そう言うと響は聖詠を詠った…

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron…」

 

今、『未来(彼女)を救う』。たったそれだけの為に…

自分の命を燃やす憑友と響(少年と少女)が…そこに居た。

 

ーーーーーー士郎 SIDE

憑友と響が未来を救おうと動き出したその頃、

士郎は今、闇堕ちしたセイバー…セイバー〔オルタ〕と相対していた。

 

だが、セイバーは闇に染めた聖剣だけでは無く、聖槍まで使用して、士郎を追い込む。

 

彼女の持つ聖槍の名は「ロンゴミニアド」

アーサー王がかつて、自分を中心とした組織「円卓の騎士」の中にいた者の1人にして、アーサー王の不義の子・モードレットを貫いた槍の名である。

 

「くっ!…〔オルタ〕になれば槍も有りかよ…」

 

そう言いながら、普段の彼…士郎とは思えないような愚痴を零した。

彼が知っているのは、「聖剣」を持つセイバーの姿しか知らなかった事。だが、彼女『セイバー』の真の名は…アルトリア・ペンドラゴン。かの「アーサー王」である。

アーサー王ならば当然、有名な剣『エクスカリバー』を持っているイメージが強い。

だが、彼女は槍も扱える。聖なる槍『ロンゴミニアド』もまた、「アーサー王」が使用した槍なのだから。

 

すると槍を携えたセイバー〔オルタ〕は自身の愛馬・ラムレイと共に、士郎の前へとやって来るなり、槍の矛先を士郎の顔に向けた。

 

「まだ続けるか、シロウ」

 

「…まぁな」

 

そう言うと士郎は不敵な笑みを零した。

それを見たセイバー…アルトリアは理解出来なかった。

だが、それは唐突に感じた「直感」で悟った。

 

「!」

 

アルトリアはすかさず馬に乗りながら後ろを振り向きざまに槍を薙ぎ払う!

するとどこからとも無く1本の矢が襲いかかってきていたのだ!

それを弾き返したのも束の間、その間に士郎は間合いを離す事に成功した!

 

「今のは…アーチャーの『赤原猟犬(フルンディング)』。

まさか…」

 

「そのまさかだよ、セイバー!」

 

実は士郎はこの戦況になる事を予め予想していた。

なので、此処に来る前にアーチャーの弓での戦い方を用いて、矢を既に天に向けて放っていたのだ!

そしてそのまま、危機的状況に追い込まれた際の布石として用意していたのだ!

 

そう言うと士郎は自分の胸を拳で叩くなり、詠唱を始めた…!

 

I am the bone of my sword.(体は剣で出来ている。)

 

Steel is my body, and fire is my blood.(血潮は鉄で 心は硝子。)

 

I have created over a thousand blades.(幾たびの戦場を越えて不敗。)

 

Unknown to Death.(ただの一度も敗走はなく、)

 

Nor known to Life.(ただの一度も理解されない。)

 

彼の放っている詠唱を聞いたアルトリアは冷酷さから一変、急に青ざめるや、ラムレイ(愛馬)と共に士郎の方へと駆け走る!

だが、その間にも彼の詠唱はクライマックスを迎える…!

 

Have withstood pain to create many weapons.(彼の者は常に独り 剣の丘で勝利に酔う。)

 

Yet, those hands will never hold anything.(故に、生涯に意味はなく。)

 

 

 

So as I pray, unlimited blade works.(その体は、きっと剣で出来ていた)ッ‼︎」

 

そして最後の詠唱を言い終わるなり、その胸に当てていた拳をすかさず戦艦の上に叩きつけた!

 

すると地面に魔術回路が形成され、その範囲をアルトリアの所まで範囲を広げた!そしてその範囲に入ってしまったアルトリアと共に、士郎は結界を形成した…自分の中に眠る…『心象風景』の世界へと誘った。

 

そして目を開けたアルトリアは驚かされた。

そこには無数の剣と、それに突き刺さった荒野の姿しか映されていなかったから。

衛宮士郎の固有結界魔術にして、自身の宝具…

 

『無限の剣製』が発動したのだ。

 

実はこの固有結界…ロックに就いてる『英雄』アーチャーも使えるのだ。

理由は至ってシンプルなので此処では割愛させてもらう。

(ネタバレなので、教える訳には行かない!

知っている奴等はそのままGO!

知らない奴等は色々調べてみてくれ!)

 

 

 

「半端者が、真の使い手相手に勝てる見込みなんか0に近い」

 

すると突然聞こえてきた声にアルトリアは後ろを振り返る。そこには、自身の魔術回路27本を全て開放させ、尚且つ…

概念礼装と呼ばれるアイテム「魔力殺し(マルティーン)の聖骸布」と白いマントを羽織った衛宮士郎がそこに居た。

 

「セイバー。お前が『剣士の英霊』と言うのなら…

 

俺のこの無数の贋作の剣を全て斬り伏せて見せろ」

 

士郎の驚愕の一言に対し、アルトリアは「上から目線とは…」と言いつつも、やりたそうな目をしていたのは此処だけの話。

 

「行くぞ、騎士王。

お前の真作の剣で全て斬り伏せるのが先か、

俺の贋作の剣で騎士王を斬り伏せるのが先か…今此処で!」

 

「決着…か。…良かろう。足掻いて見るがいい」

 

そう言うとアルトリアは闇に染まりし聖剣を携える。

 

そして士郎は「同調開始(トレース・オン)」と言い放つ!

すると士郎の手に現れたのはいつもの愛剣『干将・莫耶』…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「⁉︎」

 

 

セイバーは驚愕させられた。

士郎が今持っているのは、『干将・莫耶』と同じ2振りの剣だった。

 

だが、剣の形状は先の双剣では無いのだ。

 

1つは黒く染まっている片手剣。

もう1つは澄み切るような水色の片手剣だった。

 

士郎がトレースしたのは、憑友のパートナー『英雄』にして、

【黒の剣士】として有名な二刀流の剣士…

 

 

 

 

キリトの二刀流…

『エリシュデータ・ダークリパルサー』だったのだ!

 

 

 

「何故?貴方のいつもの武器では無い」

 

「偶には、他の奴の剣を扱いたいものさ」

 

そう言いながら、士郎は片手剣二本を構えた。

 

『英雄』キリトの構えをして。

 

実は士郎はこの数ヶ月の間、セイバー以外の剣士達の武器を見ては、それをトレースさせ、この固有結界の中に保存していたのだ。

キリトの剣は勿論、

一夏の『雪片弐型』のような近代的武器や、

メリオダスの『刃折れの剣』のような最早、剣としての機能すらないような武器もトレースして、この結界の中に保存しているのであった。

 

そう言いながら2人の剣が金属音と共にぶつかり合った…!

 

ーーーーーーなのは SIDE

 

一方、なのははヴィヴィオと相対していた。

念話を閉じ、なのはは自分の愛娘を助ける為に、動き出す。

だが、かつて自分のいた世界にて、ヴィヴィオは今と同じ状況に堕ちた事があった。

今回はまだ念話で話せるのでまだ良い方だが、

前回はそれ以上に酷かった。

 

自分に後遺症と言う名の傷跡を残した張本人にして、

なのはの親友、ヴィヴィオのもう1人の母・フェイトにとっての因縁の相手によって無理矢理動かされていたのだ。

その時は自分の後遺症が完全に発症させてまでしても、ヴィヴィオを取り戻す事に成功、以降は自身とフェイトの手ですくすくと成長させたのだ。

 

今回はその辛い思い出が蘇ってしまったのだ。

しかも、それをやったのがまさかのマッドサイエンティスト。

 

尚の事、今と過去の思い出が重なってしまったのだ。

 

だが、そんな程度で【不屈の心】【エース・オブ・エース】と呼ばれている魔導師・高町なのはでは無かった…!

 

「ヴィヴィオ。今、助けるからね…!」

 

そう言うとなのはは、自分の愛機(デバイス)『レイジングハート』を携え、対して身体の自由が言う事を聞かないヴィヴィオは勝手に身体が動き、そして格闘技の構えをした。

 

そして、ヴィヴィオの拳がなのはを捉え、なのはは杖で受け止めると同時に、救う為の戦いが始まった…!




次回

2分40秒(タイムリミット)


その時間で、少年・少女の運命が変わる…


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#26 2分40秒《タイムリミット》

未来VS憑友&響

セイバー〔オルタ〕VS士郎

ヴィヴィオ『聖王のゆりかご』VSなのは

それぞれの戦いが始まり、そしてそれぞれの戦いが終わる時、
また新たな運命が襲いかかる…


ーーーーーー響&憑友 SIDE

響と憑友は2人で未来を助ける為に動き出す…!

 

憑友はすかさず未来に向かって特攻を仕掛ける。

だが、未来はアームドギア《シェンショウジン・オウシャク》を鏡のような円形の形に展開するなり、そこから光のビームを出した。

クリスと霊風を襲った技"閃光"を放つ…!

だが、憑友はすかさず左腕に備え付けられていたアームブレスレットを展開させるとそこから銀色の傘が現れ、その猛攻の中を、潜り抜ける…!

 

"レオブレラ"

 

それはレオが伝説のウルトラマン…『ウルトラマンキング』から授かったアイテム…『ウルトラマント』を変化させた武器だった!

 

そして攻撃が止んだと同時にレオに扮する憑友はそのまま正拳突きを未来のアームドギアにぶつけた!

 

それを見た未来はアームドギアを手放し、後退。

それと同時に、アームドギアは粉々に粉砕された。

だが、未来の手には既にアームドギアのストックが用意されていた。

そしてまた同じ攻撃を繰り出してきた…!

 

すると憑友は先程のブレスレットを展開するなり、そのままなんとヌンチャクの姿になり、それを振り回しながら接近し続けた!

 

"レオヌンチャク"

 

それを動かしながら、憑友は未来のアームドギアを振り落とすなり、そのまま未来の肩に手を置くなりそのまま巴投げをした!

 

 

そこには『ガングニール』を纏った響が拳を構えていた。

 

「(熱い……! 身体中の血が沸騰しそうだ……!)」

 

『(やはり響の身体を…これ以上やらせない!)』

 

すると憑友はすかさず未来の後ろに向けて、レオのチョップ技"ハンドスライサー"を響の拳と共にぶつけるが、未来は直ぐにそれを回避、2人の攻撃は不発に終わった。

 

 

ーーーーーーSIDEto憑友

 

響はガングニールの危険を冒してまでギアを纏った。

それを俺は知っている。

何故なのか、それは此処に来る時にユルセンと出会って、ありのままの状況を教えてくれたから。

と言うよりも、ユルセンが見た光景・記憶を俺は見るような感覚でそれを見た。

 

 

ー回想ー

それが数分前の出来事……。

 

響は未来の纏うギア《神獣鏡(シェンショウジン)》のエネルギー波を利用し、未来のギアを解除しようと提案した。

 

そのことに弦十郎師匠は驚き、響を引き留めようとしたがその肝心の響は……。

 

「翼さんもクリスちゃんも奏さんも、ロックさんも霊風さんも戦っている今、動けるのは私だけです。 

死んでも未来を連れて帰ります!!」

 

「死ぬのは許さん!!」

 

「じゃあ、死んでも生きて帰ってきます!! それは絶対に絶対です!!

だって、まだ憑友を探さないと行けないんですから‼︎」

 

そうしていると藤堯さんと友里さんが響のガングニールを解析した結果を報告していた。

 

「過去のデータと現在の融合深度から計算すると、響さんの活動限界は2分40秒になります!!」

 

藤堯さんからの報告を聞いて唖然となる弦十郎師匠。するとそこで友里さんが響の前に駆け寄り……。

 

「例え微力でも、私達が響ちゃんを支えることが出来れば、きっと」

 

友里からそう伝えられ、響は頷いて見せる。

それを見た牧藁さんもそれに頷いていた。

 

「オーバーヒートまでの時間はごく限られている。勝算はあるのか?」

 

そう弦十郎が言うと響の言葉に俺は驚いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「思いつきを数字で語れるものかよ!!」

 

 

「なっ……!」

 

まさか昔…と言っても3ヶ月前に師匠が言ったことを響に言われるとは思ってもいなかった弦十郎師匠。俺もこれにはお手上げだった。そしてその発言をした響は「へへ」と不敵な笑みを浮かべ、そして弦十郎師匠は響に出撃の許可を出した。

 

ー回想ENDー

 

そして今に至るのである。

 

そして俺はすかさず響のタイムリミットに関する情報を試行錯誤して、ある存在の事に気付いた…それがウルトラマンレオだった。

 

レオは地球上では2分40秒しか活動する事が出来ないウルトラマン。

響のタイムリミットと同じでそれがどのくらいの長さなのかを計る為に俺は変身したんだ。

俺がレオの姿で居られ無くなれば、それは響の敗北にも繋がる。

それだけは絶対に死守しないとな…!

 

ーーーーーーNO SIDE

2人が未来を救おうとした時に、響のインカムから通信が入ってきた。

 

『胸に抱える時限爆弾は本物だ。 

作戦時間超過、その代償は確実な死であることを忘れるな!!』

 

 

通信機を通して弦十郎の声が響に伝わる。

 

(死ぬ、私が……死ぬ? 

そんなの…死ねるかあああああああ!!!!!)

 

響は未来の攻撃を押し返して膝蹴りを彼女に叩き込み、2人は空中へと飛び立つ。それを見た憑友も空を飛ぶ!

 

未来は響に「混沌」を繰り出すが響はガングニールのブーツの効果を使って、憑友はレオの宇宙拳法を用いてビームを蹴って未来に接近していき、同時にタイミングを見計らったマリアはヘリからシャトルマーカーを射出する。

 

「戦うなんて間違っている。 

戦わないことだけが本当に温かい世界を約束してくれる。 

戦いから開放してあげないと」

 

その時、響の身体のガングニールの侵食が急激に進み、彼女の身体からガングニールの結晶が生えてきて響は苦痛に表情を歪める。

 

「うぐっ、うう……!?」

 

そしてそれと同時にレオのカラータイマーが点滅し始めた!

それと同時にレオ扮する憑友も胸に手を掴みながら苦しみ出した!

 

それを見た未来は……。

 

「違う!! 私がしたいのはこんなことじゃない! 

こんなことじゃ、ないのにいいいいいいい!!!!」

 

そこでようやく未来は完全に正気に戻ったのだが、彼女の意思とは関係なく、神獣鏡(シェンショウジン)は響と憑友に攻撃を続ける。

 

『「(誰が未来の身体を好き勝手にしているんだ!!)」』

 

そして響は未来に掴みかかって彼女に抱きつき、その上を憑友が更に抱きつき、未来は2人に対して自分を離すように必死に訴える。

 

「嫌だ!! もう離さない!! 

もう二度と離さない!! 絶対に、絶対にいいいいいいいいい!!!!!」

『未来が…響が居ない世界なんて…

 

 

俺は大嫌いなんだよーーーーーー‼︎』

 

「憑友ぉぉぉぉぉ!響いいいいいいい!!!!」

 

響は腰のブースターを使い、憑友と未来を巻き込みシャトルマーカーが作っている光の輪の中へと向かっていく。

 

「そいつが聖遺物を消しちゃうって言うなら、こんなの脱いじゃえ!! 未来ーーーーーーーー!!!!」

 

そして最後は3人にシャトルマーカーから放たれた光線が未来と響、憑友に直撃し、光線はそのまま海の中にあるフロンティアへと届いた…

そしてその光を浴びた結果…

 

『⁉︎がはっ⁉︎」

 

レオの変身が強制的に解除され、更にはダメージまで受けた憑友!

 

今の神獣鏡の力はありとあらゆる事を『無』にしてしまう能力を持っていた。

例え…非科学的な物であっても。

それは憑友も例外ではない。

彼の身体は〔半幽霊〕…半分が非科学的な身体で作られている。

故に憑友の身体にダメージが食らったのだ。

 

しかし、それでも彼は意地と気合いと根性と言う名の気力だけで、先程の衝撃でギアを解除され、並びに気絶した響と未来の2人を両脇に挟めながら、

 

「うおおおおお‼︎」

 

そう叫びながら、海上から姿を現した。

だが、その身体からは光の粒子が少しずつ飛び散っていた…!

 

そして憑友は二課の戦艦の上に着地するなり、2人を下ろした。

そして憑友はふらふらになり、肩で息をしながらも、『現界ブースターα』を取り出すやそこに自身のパートナー『英雄』…キリトのカードをスキャンした。

 

ーコール・オブ・キリト!ー

 

すると憑友はブースターの引き金を引いた。

すると光の弾丸は姿を変え、キリトの姿に変わった。

それと同時に気が抜けたのか、そのまま倒れ込もうとした所をキリトによって抱えられた。

 

「おい⁉︎しっかりしろ!」

 

キリトが憑友の安否を確認すると憑友はそのままキリトの耳に向けて「行きたい場所がある」と呟くと、キリトはそのまま憑友の口許に耳を傾け、そして憑友はその場所を指定した。

 

「何処に行けばいい?」

 

「あ…そ…こ…」

 

そう言いながら憑友は指を指し、キリトはその視線の先を向けた。

 

そこには海中から巨大な古代都市のようなものが出現していた。

 

キリトはそれを見るなり、「コンバート。モード〔ALO〕」と言うとキリトの姿が変わり、キリトは憑友の手を引き寄せ、肩を組むようにして、その場から立ち去ってしまったのであった。

 

未来を助ける事に成功した響と憑友。

だが、憑友の命はもう残り僅かだった…

 

ーーーーーーSIDEto士郎

 

今のは…!

 

 

「…如何やら、ミクはあの2人によって救われたのか」

 

「ああ。その通りだな」

 

本当に良かった。

だけど、俺は俺の為すべき事をやらないといけない…!

 

「これで終いだ…!」

 

そういうとセイバーの剣から黒い魔力が溢れてきていた…『宝具』を放つつもりだ!

だから、俺はイメージし、そして撃鉄を…打つ!

 

投影開始(トレース・オン)ッ‼︎」

 

イメージするのは聖剣を納めし偉大なる鞘にして、聖剣の使い手が目指した理想郷の名を持つ物。そして…

 

衛宮士郎(俺と言う魔術師)セイバー…アルトリア(彼女と言う英霊)を結ばせてくれたアイテム…それを向ける…!

 

「卑王鉄槌。極光は反転する。光を呑め!」

 

今しか…無い!

 

「『 約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガーン)』‼︎」

 

此処で止めるだけだ!

 

お前を取り戻す…最強の防具を…‼︎

 

「はぁぁぁぁ…‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全て遠き理想郷(アヴァロン)ーーーーーー‼︎」

 

 

「⁉︎」

 

その一言で、セイバーの『宝具』の攻撃は消え、更に一瞬怯んだ…!

その隙を…俺は見逃さない…!

 

そしてそのまま懐に忍ばせておいた形状が不変則な短剣をセイバーの心臓に刺し、そして叫ぶ…!

 

 

破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)‼︎」

 

「ああああぁぁぁぁあ⁉︎」

 

俺が投影したのは、かつて自分のミスでセイバーを奪われた相手…

 

魔術師の英霊《キャスター》が俺とセイバーの関係を絶ち切らせた忌々しい短剣。

だが、今回はそれが有効打になった。

 

この短剣は絶ち切る事だけに特化して等いない。

この短剣に突き刺された者達は幾ら強化していようが、全てリセット(解除)される代物だ。今回はそれに目をつけたんだ。

 

 

そしてそのまま行き倒れるセイバー。

そしてその容姿が変わってきた。

黒かった鎧と衣装も、青と銀のメイルであしらった元の服装に戻り、

白みがかかった髪と顔も色がつき、そして癖っ毛もピョコンと出てきた。

結果は成功だった。

 

「はぁ…はぁ…

 

…ありがとう。シロウ」

 

そして俺に御礼を言ってくるセイバー。

 

そして俺はセイバーに告げた。

 

「おかえり」と。

 

そうしていると、結界が崩れていく。

それと同時に俺とセイバーの身体から光の粒子が飛び散り始めた。そうか…もう時間なんだな。

それを察したのか、セイバーは俺の胸の方へと身を寄せた。

 

「貴方と一緒で…良かった…!」

 

「ああ。俺もだよ…セイバー…!」

 

ーーーーーーNOSIDE

 

そう言うと士郎とセイバーはキスをして、そしてそのまま光となって消えた…

そして2人が戦った戦艦の上には、士郎とセイバーの【ヒーローカード】しか置かれていなかった。

 

次は少し話を数分前に戻し、なのはとヴィヴィオの戦いに戻そう。

 

ーーーーーーSIDEtoなのは

 

私はヴィヴィオの動きを止めつつ、戸惑いを隠しきれていなかった。

ヴィヴィオがまた『聖王』へと堕ちた事に。

 

前回も同じ出来事を巡り合わせたと言うのに。

 

だけど、今回と前回では大きく違う。

 

まず1つ目は、ヴィヴィオの精神状態。

前回は精神も完全に操られていた。

だけど、今回は精神は操られていない。それは先程の念話で実証済み。

 

2つ目は、クリスもといセイクリッドハートと融合したままの状態であると言う事。

前回はまだセイクリッドハート…ヴィヴィオの愛機(デバイス)がまだ所持していなかった。

だけど今回は既にクリスとは既に融合している状態であると言う事。故にヴィヴィオはあそこ迄耐えているのかもしれない。

 

3つ目は、これがもはや決定的かもしれない。

それは…年齢差。

 

前回は私がまだ機動六課としての仕事をした時で、当時のヴィヴィオは6歳だった。まだまだ甘えたがりなお年頃だった。

だけど今回は10歳…精神が少し成長した状態でもあった。

 

もし、ヴィヴィオがまだ6歳のままだったら…

もし、クリスが近くに居なかったら…

もし、精神まで乗っ取られていたら…

 

そう言う最悪の事態を回避しただけでも私は嬉しさと同時に、やり辛い感情を出していた。

 

それでも私は…ヴィヴィオを助ける!

 

そう決めた私は『レイジングハート』と話をつける。

私が言った言葉に対して、彼女(レイジングハート)は『貴方と共に』と言い返してきた…ありがとう、レイジングハート。

それを聞いた私はすかさず、拘束魔法"レストリストロック"を発動し、ヴィヴィオの身動きを封じる…!

 

そしてすかさず杖にありったけのエネルギーを注ぎ込む…!

 

「"全力全開"…!」

 

放つ技は私と言う存在の代名詞である砲撃魔法…

 

『StarlightBreaker.』

 

「スターライト…ブレイカー‼︎」

 

ーーーーーーNO SIDE

 

 

ドガァァァ‼︎

 

その力を前に爆発が起きた。

 

"スターライト・ブレイカー"

なのはの代名詞とも呼ばれる砲撃魔法。

 

 

そして煙が立ち込めていく中、なのははその煙の先にいる存在に目を向けた。

そこには、黒の衣装から白と紺のスーツを着た…大人モード状態のヴィヴィオが漸く立っていると言う状況だった。

 

そしてなのはは直ぐにヴィヴィオの元に赴くとヴィヴィオが倒れそうになり、なのははそれを支えるようにして抱きしめた。

 

「ありがとう…ママ…!」

 

「ヴィヴィオ…良かった…!」

 

そう言うと同時に2人の身体も士郎とセイバーの時と同様に光の粒子が飛び散り始めた!

 

「帰ろう。ヴィヴィオ」

 

「ママ。ありがとう!」

 

「どう致しましてなの♪」

 

そう言うと2人は寄り添い、そして光となって消滅した。

 

そしてその場にはなのはとヴィヴィオのカードが置かれていた…

 

ーーーーーー

それぞれの戦いが終わったのも束の間、

海上に現れた古代都市を前に、戦艦の上で切歌と戦っていた翼と切歌達はこのことに驚き戦いを思わず中断してしまった。

 

「いったいなにが……?」

 

そんな時、翼の背中を誰かが銃弾で撃ち、翼はその場に倒れこんだ。

 

「っ!?」

 

翼は自分を撃った人物を確かめようと倒れながらも顔を後ろに向かせるとそこに立っていたのは……敵である切歌でさえ驚く人物だった。

 

「雪……音……?」

 

「クリス!? お前なにして……!?」

 

そう言いながら、霊風が近づこうとしたが、突然、首に衝撃が来て、そのまま倒れ込んでしまった。

霊風は後ろを振り返るとそこにはなんと、ロックが手刀をした動作を構えていた。

 

「済まない…。

これは、俺とクリスが抱える十字架だ」

 

「ぐっ、クリス!!ロック‼︎」

 

そう言いながら、奏は動こうとしたが、いつの間にかロックの"影縫い"で身動きが取れなかった。

 

 

「……さよならだ」

 

そう言うとクリスとロックは切歌と闇呪怨と共に『フィーネ』のヘリへと乗って行ってしまった…

 

物語は佳境へと誘う…

 

そしてそこで待つのは、果たして…

 

tobecontinued…




次回

ディスティニーアーク

其々の想いが…ぶつかり合う…



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#27 ディスティニーアーク

此処で報告。
活動報告にて、『○○と言えば、何を思い浮かぶ?』と言うのを書きました。
興味のある方は是非ともご投稿お願いします。

さて、いよいよ物語の佳境が見え始めました。
其々の想い…思考が戦慄する中、1つの命が消えかかろうとしていた…

アニメ11話部分です。では、どうぞ。


ーーーーーーNOSIDE

 

 

二課の基地でもある潜水艦にて、ある部屋で調と光聖希は緒川と一緒におり、緒川は調のシンフォギア『シュルシャガナ』のペンダントと光聖希の変身アイテム『タマシイアブソーバー』を、預かることになった。

 

「申し訳ありませんが、これは預からせて頂きますね」

「……お願い、みんなを止めて……」

 

調のその言葉に緒川は「えっ?」と首を傾げると……彼女はどこか悲しそうな表情をしながら「お願い、助けて……」と呟くのだった。

それを見ていた光聖希は何も言わなかった。

 

また、司令室ではF.I.Sが目覚めさせた巨大な島のようなもの……「フロンティア」について調べており、弦十郎も「これがF.I.Sが求めていた……フロンティア!?」と驚きの声をあげていた。

 

さらに新たな米国政府の艦隊がフロンティアに向かっていることが牧藁から伝えられ、弦十郎は「乗り込むつもりか?」と小さく呟いた。

 

一方……二課のとある医療室では……神獣鏡(シェンショウジン)の力を完全に消失した未来がベッドの上で座っており、そこに元気いっぱいの響が未来の元へと訪れ、彼女は未来に抱きついた。

 

「未来~!!」

 

そこには頭に包帯を巻いた翼と霊風、軽い怪我で済んだ奏とスタッフのあおいも訪れており、翼は友里(以下あおい)に未来の容態は大丈夫かどうかを尋ねたがあおいによればどこも異常なところはないらしい。

 

「よかった~! ほんとによかった~!」

 

響は完全に未来が無事であると分かり、とても嬉しそうに笑顔を見せるが……未来は響の頬が怪我していることに気づき、それが自分のせいであると分かると未来は今にも泣き出しそうな表情を浮かべる。

 

「私の……私のせいだよね……!」

 

「うん、未来のおかげだよ♪ ありがとう、未来♪」

 

「えっ? 響?」

 

しかし、響はそんな未来の言葉を笑い飛ばし、未来は少し唖然とした様子で響を見つめる。

 

「君は守ることができたんだよ。大切な親友を守ることが」

 

「そうそう! 私が未来を助けたんじゃない。 

未来が私を助けたんだよ!」

 

すると響の肩に霊風が手を置きながら未来に説明した。

 

するとあおいがその詳細を教えてくれた。

あおいの説明によるとあの未来の纏っていたシンフォギアの力には聖遺物由来の力を分解し無力化する効果があったらしく、響と未来のシンフォギアのみならず響の身体を蝕んでいたガングニールの欠片も除去されたというのだ。

 

「つまりは、未来ちゃんの『響を守りたい』という強い想いが響を死から救ってくれたんだ」

 

「私が困っている時、やっぱり未来は助けてくれた! ありがとう!!」

 

響は笑顔で未来の両手を握りしめ、それを知った未来は眼尻に涙を溜めつつも「自分が響を救うことができた」という喜びに笑みを浮かべるが……、未来はそれがつまり「響のガングニールは完全に消滅した」ということを意味していた。

だが、それと同時に周りを見渡すと、そこには居なくてはいけない存在が欠けていた。

 

「…憑友は?」

 

未来から言った一言で皆は先程までの明るい空気が一転、暗い空が漂い始めた。

未来はその事を響に説明を促す。そして響から言われたのは…

 

「憑友…今、何処にいるのか…分からない」

 

ただそれだけだった。

あおいと翼は霊風と奏の顔を見た。

2人はそれに察したのか、首を縦に振り、頷いた。

 

「だけど、F.I.Sは遂にフロンティアを浮上させたわ。 

本当の戦いはこれからよ」

 

「F.I.Sの企みなど私と奏,霊風さんの3人で払って見せる。 

心配は無用だ」

 

しかし、未来は翼の言った「3人」というキーワードを耳にし、なぜ「雪音クリス」「ロック・アイル・ユキネ」の名前が入っていないのか首を傾げ、その疑問を未来が問いかけると翼と響はどこか言い辛そうな顔を浮かべていた。

 

それもその筈…

その肝心な2人は今…敵側に寝返ったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

その頃、フロンティアの地に降り立ったマリア,ナスターシャ,切歌,闇呪怨,クリス,ロック,ウェル。

そして『英雄』達であるギンジ,マシュ,ザフィーラの3人がいた。

マシュはナスターシャの車椅子を押しており、

そして、ギンジとザフィーラはある物を引っ張っていた。そこには培養液でタール漬けされている1人の人間があった。

それを見たロックは、「邪魔になるのでは?」と言い返した。それを聞いた闇呪怨はすぐに激昂するがマリアによって制止され、そしてマリアからは「大事な人なの。1人にはしたくなかったから」と言ったので、ロックはそれを聞いたのか、闇呪怨に謝罪をした。

そしてクリスは話の区切りを見極めたかのように「こんなのが海中に眠っていたとはな」と呟き、それに対してウェルは「あなたが望んだ新天地ですよ?」と言葉を返した。

 

「……」

 

クリスはフロンティアを見つめながら翼を裏切り、マリア達の仲間になった時のことを思い出していた。

 

『仲間を裏切り、あたしたちに付くと言うのデスか!?』

 

『こいつが証明書代わりだ』

 

クリスの足もとには倒れこんだ翼がおり、それが証拠だと切歌に言うクリスだが……そう簡単に受け入れられる筈がなかった。

 

『力を叩きつぶせるのはさらに大きな力だけ。

あたしの望みはこれ以上戦火を広げないこと。

無駄に散る命を1つでも少なくしたい』

 

『……』

 

クリスのその言葉を聞き、それには切歌自身も同じ想いだったため、クリスが嘘をついているようにも見えなかったので切歌は頷いて彼女を受け入れたのだ。

そしてそれは闇呪怨とロックの方も同じだった。

ただロックの場合はそれに加えて、

 

『それに俺は…クリスには平和な世界で幸せに生きてきて欲しいんだ。あいつの分の罪も俺が全部背負ってやる。それがクリスの兄である俺の役目だ』

 

『お前…』

 

闇呪怨は光聖希の双子の兄。

そしてロックはクリスの義理の兄。

同じ兄としての想いに共感したのか、闇呪怨はロックを受け入れたのだった。

 

そしてクリスとロックはマリア達と共にフロンティアの奥へと進み、マリアはクリス達に「本当に私達と共に戦うことが戦火の拡大を防げると信じているの?」と問いかけ、クリスはマリアを後ろから少し見つめて微笑した。

 

「ふん、信用されてねえんだな。 

気に入らなければ鉄火場の最前線で戦うあたしを後ろから撃てばいい」

 

「それに此方には『現界ブースターα』がある。カードもかなりある。お前らに預けても構わないぞ?」

 

「勿論、そのつもりですよ。 

ですが『英雄石板』のカード達と『現界ブースター』は遠慮しておきます。 

なにせそれを動かせるのは貴方ですから宝の持ち腐れです」

 

クリスとロックの言葉にウェルがそう返し、やがて一同は「ジェネレータールーム」と呼ばれる巨大な球体のようなものがある場所に辿り着き、ウェルはその球体に近づいて「ネフィリムの心臓」を貼り付けた。

 

すると球体がオレンジ色に輝き出し、それと同時にフロンティアには草木が生え始める。

 

「心臓だけとなっても聖遺物を喰らい取り込む性質はそのままだなんて、いやらしいですねぇ。 ふひひひ……」

 

「エネルギーが、フロンティアに行き渡ったようですね」

 

それからウェルは「フロンティアのブリッジ」に向かうと言い、ウェルはナスターシャには「制御室でフロンティアの面倒をお願いしますね」とだけ伝え、彼はその場を去っていくのだった。

 

また、切歌は球体の光を見つめながら調と光聖希の「ドクターでのやり方じゃ弱い人達は救えない」「間違ったやりかたでいいと思ってんのか」という言葉を思い出していた。

 

「そうじゃないんデス、フロンティアの力でないと誰も助けられないんデス。 調だって助けられないんデス!!」

 

クリスはそんな切歌を見つめながら、「あいつも色々と背負いこんじまってるんだな……」と心の中で呟き、彼女は隣にいたロックの顔を見ながら思い浮かべた。

 

「(わりぃ、ロック義兄。 こんな我侭な私を…)」

 

そんな悲しい顔をした義理の妹を見たロックは、

 

「(クリス…)」

 

クリスの名を心の中で呟いた。

 

ーーーーーー

その頃、ウェルはマリアと共にフロンティアのブリッジに辿り着くとブリッジの中央にある巨大な紫の球体のようなものがある場所まで歩き、ウェルはLINKERを取り出してそれを自分の腕に打ち込もうとする。

 

「それは?」

「LINKERですよ。 

聖遺物を取り込むネフィリムの細胞サンプルから生成したLINKERですぅ♪」

 

ウェルは不気味に笑いながらそのLINKERを自分の左腕に撃ち込むとウェルの左腕は異形な形へと変化し

、その左腕で球体へと触れると球体が輝きだしはじめ、その球体に複数の艦隊がフロンティアに接近してきている映像が映った。

 

「早く動かしたいなー。 

ちょっとくらい動かしても構いませんよねマリア?」

 

「っ……!」

 

マリアはウェルがなにをしようとしているのか気づき、同じころ制御室でナスターシャは落下する月を阻止するための装置を探していたが……その時ウェルの声が音声としてナスターシャのいる制御室で響き、さらに彼女の前にはこちらに接近してきている艦隊の映像も映りだした。

 

「これは……!?」

 

『1つに繋がることでフロンティアのエネルギー状況は伝わってくる……! これだけあれば十分にいきり立つ……!』

 

「早すぎます!! ドクター!!」

 

しかし、ウェルはナスターシャの制止を聞かずフロンティアの力を起動させ、フロンティアの鉄片から金色の光が放たれ月へと向かっていき、やがてその光が左手の形となり、その左手は月を掴むと一気に地球まで引きずり降ろそうとする。

 

「どっこいしょおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

「加速するドクターの欲望! 

手遅れになる前に私が信じた異端技術で阻止して見せる!!」

 

そしてフロンティアは空中に浮こうと空を飛び立ち、艦隊はそんなフロンティアの姿を見て危険と思ったのか攻撃を開始したが、フロンティアには艦隊の攻撃など一切通用しなかった。

 

「楽しすぎて眼鏡がずり落ちそうだぁ!」

 

するとフロンティアの下部が輝き出し、周りにあった艦隊は空中に浮かばせて全て押しつぶされ、破壊される。

 

その光景にウェルは心底楽しそうに不気味な笑い声をあげ、マリアは冷や汗をかいて「本当にこれが人類を救済する力なのか?」と疑問に思えて仕方がなかった。

 

「手に入れたぞ!! 蹂躙する力を!! 

これで僕も英雄になれる!! 

この星のラストアクションヒーローだぁ!!!!! 

ひひひひひ!!! やったあああああああ!!!!!」

 

さらにウェルは「月の落下を早めちゃいましたよ」とワザとらしく言い、マリアはウェルを押し退かしてフロンティアを制御しようとする。

 

「月の落下を早めたのか!? 救済の準備はなにもできていない!! これでは本当に人類が絶滅してしまう!!」

 

だが、フロンティアはマリアの操作を全く受け付けず、ウェルが言うにはLINKERが作用している限りは制御件は自分にあるのだというのだ。

 

しかもウェルは「人類なんか絶滅しませんよ、僕が生きている限りはね」と嫌らしい笑みを浮かべ、ここでマリアはようやく分かった、お互いの人類救済の違いに……。

 

「こいつは自分さえ生き残ればいい人間」ことを目的としたウェル、自分達は「多少の犠牲を払ってでも多くの人達を救う」ことを目的とした者達、それがマリア達とウェルの違いだった。

 

「これが僕の考えた1番確実な人類救済の方法です!!」

 

「っ、そんなことのために私は悪を背負ってきた訳ではない!!」

 

マリアはウェルに掴みかかろうとしたがウェルはマリアの頬を左手で弾き、マリアは床に倒れこむ。

 

「今ここで僕を手にかけても月の落下は変わらない事実だろう!? 

ダメな女だなぁ! フィーネを気取っていた頃でも思いだしてそこで恥ずかしさに悶えてなぁ♪」

 

ウェルはマリアを指差して見下したような眼で見つめ、マリアは涙を流して「セレナ……」と実の妹の名を何度もつぶやくことしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな中で、一筋の光がそのフロンティアへと降り立った。

 

「有難う…キリト師匠」

 

「…お前…やっぱり…」

 

それはつい先程まで未来との戦闘を終えたばかりの憑友と、そんな彼を支えてきたパートナー『英雄』キリトであった。

しかし、キリトの身体からは士郎とセイバー,なのはとヴィヴィオと同じように、身体の至る所から既に光の粒子が飛び散り始めていた…!

 

「なんで、そうやっていつも1人で抱え込もうとしやがる⁉︎」

 

キリトはこの日、初めて憑友に叱咤した。

今の今までは苦笑いやお茶目、羞恥する顔を憑友に、その仲間に見せてきたキリト。

だが、その怒りを孕んだ顔を見たのは憑友は始めてだった。

 

「俺達がいるんだ…響達がいるんだ…家族がいるんだ…なのに…

 

なんで、仲間の力を借りないで、1人で抱え込もうとしやがる⁉︎」

 

それは今の今までキリトが黙って見てきた鬱憤を晴らすような言葉だった。

だけど、彼の身体はもう既に半分、半透明になっていた。

 

「だって…俺はそれしか取り柄が無いから…」

 

そう言うと憑友はキリトの手を取った。

 

「今の今まで…ありがとう…」

 

「憑友…くそぉぉぉ…」

 

そう言いながら、キリトは涙を流しながら姿が消え、そして憑友の手にはキリトのカードが存在した。

そして憑友の手に付いた涙もまた光の粒となって露散した。

 

そして憑友は這い上がり、そして歩いていく…

 

此処で自分の生涯を終える為に。




次回

想いをこの手に

其々の戦いが始まろうとしていく中…

憑友の身体の容態は最悪となる…


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#28 想いをこの手に

物語は遂に核心へ。
そして…1人の命が散ろうとしていた…


フロンティアが起動していた頃、響達二課の面々は、自分達の戦艦で飛行してどうにかフロンティアの真上に侵入することができた。

 

いよいよ本番が近付いていると分かった霊風は光聖希と一緒に司令室へと入り、そこには響と未来、既に出撃体制に入っている翼と奏がいた。

 

「翼、奏、行けるか?」

 

「無論です」「準備は万端だぜ!ダンナ!」

 

弦十郎の言葉に翼と奏はそう答え、彼女はバイクの置いてある場所へと向かおうとするが響が心配そうに翼の名を呼んだ。

 

「案ずるな、1人で立つステージには馴れた身だ」

 

「1人じゃないだろ?私と翼、そして霊風の3人のステージだろ?」

 

「…そうだったわね」

 

「何はともあれ、行きますか。

ついでに憑友も連れて帰るさ!」

 

翼達は笑みを浮かべて響にそう言い残して立ち去って行った。

 

そして外に出た3人は、此方に向かってノイズが迫ってきていた。

 

「行くぞ!あの人の言葉を借りるなら…

 

『此処からは俺達のステージだ!』」

 

そういうと霊風はすかさず『アドバンスフォース』のカードをアブソーバーに装填して、レバーを引いた。そしてアブソーバーが左腕から離れ、それを右手でキャッチするなり、そのまま上,右,下,左,真ん中の順で動かしそして最後に右に動かした!

 

ーアブソーバー・ドライバー!ー

 

そして空中からベルト型アイテム『アブソーバー・ドライバー』が表れ、霊風のアブソーバーとドッキングさせた!

そして霊風はすかさずアブソーバーのパネルボタンを見た。

そこには、30人をも超える程の仮面ライダーの顔アップの画像が貼付されたパネルボタンがあり、その中の1人を押し、そしてベルトを巻いた!

 

ースピリット!フォーム、鎧武‼︎ー

 

「変身‼︎」

 

そしてすかさずアブソーバーについてるレバーを左から右にスライドさせた!

 

すると霊風の真上からオレンジが落ちてきて、そのまますっぽりと顔に嵌った!

それを見た奏は眼を凝らした!

そしてそのままオレンジがパカンッと割れ、そしてオレンジの皮が甲冑へと変化した。

 

ーフルーツ、甲冑、オンステージ‼︎ー

 

そしてそこにいたのは、

 

『四英雄』は一角、『仮面ライダー』の1人…

 

【フルーツ纏いしライダー 鎧武】に扮した霊風が其処に立っていた。

 

すると霊風は腰に携えていた剣『無双セイバー』と既に手にしていた専用武器『大橙丸』をドッキングさせ、ナギナタのように振り回した!

それをノイズにぶつけるとノイズは真っ二つに両断し、そして炭と化した!

 

そしてそのまま霊風はベルトのパネルボタンの隅っこにあったボタンを押した!

 

すると霊風の後ろの空間からなんとファスナーが出現し、其処から一台のバイク『サクラハリケーン』が現れ、そのまま霊風はそのバイクに騎乗する。

その瞬間に翼が先陣を切るかのようにして、"騎刃ノ一閃"を繰り出しながら先行した。

そして霊風はバイクを起動するなり、そのまま奏に手を差し伸べた。

 

「行くぜ!奏!」

 

「…ふっ。荒っぽいハネムーンになりそうだ…な!」

 

そう言うと奏はすかさず霊風の腰に手を巻き付き、そして霊風はエンジンを吹かしながら、翼の後を追った。

その際に翼が取り零したノイズ達を相手に、霊風は鎧武のアームズチェンジ能力を駆使して、戦場を駆け抜けていくのであった。

 

ーーーーーー

 

一方、二課の司令室ではこの3人でも十分今のところ上手くやれているが……、以前《カ・ディンギル》出現時に憑友達が戦った…

『英雄石板』の力を宿したノイズ…『融合ノイズ』が出現する可能性も低くはなく、そうなった場合は霊風1人でしか闘いを強いる事になる。

それは翼と奏…『ツヴァイウイング』の2人にも同様である。

あまりうかうかしてられないのである。

どう立ちまわればいいのか、緒川は疑問に思ったが……。

 

「いいえ、シンフォギア奏者は1人じゃありません」

 

「ギアのない響くんを戦わせるつもりはないぞ。 

『英雄』達が側にいてもだ」

 

確かに、あの力があればノイズと戦うこともできる…。

『英雄』達が側にいたら戦う事も出来る…。

 

しかしまだ響には身体のダメージが残っている。

それに、『英雄』達の大半は響の手元にいるが、それだと響自身が荷物になり兼ねない筈……流石に病み上がりの状態で戦わせる訳にはいかないと弦十郎は響に言う。

 

「戦うのは、私じゃありません」

 

その響の言葉の意味はつまり……「調に協力してほしい」ということだった。だが、響は更に皆を驚愕させた。

 

「それに、調ちゃんには心強い騎士も一緒ですから!」

 

それを聞いた一同はこう捉えた…

「光聖希にも協力して欲しい」と。

 

そして司令室に呼ばれた調と光聖希は手錠が外され、彼女は「捕虜に出撃要請ってどこまで本気なの?」と響に問いかけた。

その返答次第では、容赦しないと言える態度で光聖希は怒りの矛先を響に向けた。

 

「勿論全部!!」

 

だが響は笑顔でそう言ってのけた。

それを聞いた光聖希は先程まての怒りを孕んだ形相は何処に置いてきたと思えるように呆然としてしまった。

 

「あなたのそういうところ好きじゃない。 

正しさを振りかざす偽善者のあなたは……」

 

「私、自分のやっていることが正しいだなんて、思ってないよ……。 

以前、大きな怪我をしちゃった時家族が喜んでくれると思ってリハビリを頑張ったんだけど私が家に帰ってからお母さんもおばあちゃんもずっと暗い顔ばかりしてた。 

それでも私は、自分の気持ちだけは偽りたくない。 

偽ってしまったら、誰とも手を繋げなくなる」

 

響は自分の両手を見つめ、真剣な眼差しで調を見つめながらそう言い放ち、調は「手を繋ぐ? そんなこと本気で思っているのか」と思ったが、響は調の右手と光聖希の左手を握りしめる。

 

「調ちゃんにも、光聖君にも、やりたいことをやり遂げて欲しい! 

もしもそれが私達と同じ目的なら力を貸してほしいんだ……!」

 

「「私の(俺の)……やりたいこと?」」

 

そこへ響と調,光聖希の間に緒川が立ち、彼は調に「あなたのやりたいことは、暴走する仲間たちを止めること、でしたよね?」と確認し、調に話しかける。

 

「っ、みんなを助けるためなら、手伝ってもいい」

 

その調の言葉に響と未来は笑顔を見せるが、調は「だけど信じるの? 敵だったのよ?」と不安そうに尋ねるが、光聖希のカードケースから1枚のカードが具現化した。

其処には白色のツインテールでユイちゃんのような小さな妖精の姿をした明るい女の子が居て、その『英雄』は調にこんなことを言ってみた。

 

「昨日の敵は今日の友だよ!」

 

「だったらまだ一日も経ってない」

 

「あ、そっか!へへへ」

 

そう言い残したらその『英雄』は直ぐ様に光聖希のカードに入って行った。

 

「ありがとな。シロップ」

 

「どう致しまして♪」

 

彼女の名はシロップ。

 

霊風の元に就いてる『英雄』レヴィアタンの大事な仲間であった。

 

するとそこに弦十郎も立ちあがって調達の元まで歩み寄る。

 

「敵とか味方とか言う前に子供のやりたいことを支えてやれない大人なんてカッコ悪くて敵わないんだよ!」

 

「師匠!!」

 

弦十郎はそう言いながら調に彼女のシンフォギアのペンダントを返し、そして光聖希にアブソーバーを返した。

そして弦十郎は「こいつは、可能性だ」とだけ調に伝えると調は眼尻に出ていた涙を拭い、弦十郎の顔を見上げる。

 

「『相変わらず』なのね……」

 

「甘いのは分かっている……んっ?」

 

「(弦十郎も気づいたのか、今、調の奴が気になるようなことを言ってたな〜…)」

 

弦十郎と近くで霊体化していたユルセンは調が今言った『相変わらず』という言葉の部分……

ユルセンは弦十郎と調は以前会ったことがあるのだろうかと思ったが、お互いに今までそんな様子はなかった。寧ろこれが初めてである。

ならばなぜ調は弦十郎に対して「相変わらず」などという言葉を使ったのか、ユルセンにはよく分からなかった。

 

「ハッチまで案内してあげる!」

 

響は調達をハッチまで案内しようとしたがその前に響は未来を見た。

 

響はにっこりとした笑顔で未来に向けると、未来は響の笑顔を見て、少し顔を赤らめていた。

それを見たスタッフは、『(あ、やっぱり付き合ってるんだ…)』と誤認していたのは言うまでもなく、それに気付いた友里と牧藁の2人にこっ酷く怒られたのは言うまでも無い。

因みにその際に何もしていない…寧ろ無実である筈の藤堯まで被害が飛び火したのは如何でも良い話である…。

 

それから響は調をハッチまで案内し、調はシンフォギアを纏い、

そして光聖希は《精魂導師》に変身して、アームドギアから巨大な円状の刃を形成し、内側に乗り高速で走らせる「非常Σ式 禁月輪」でハッチから発進し、光聖希は調の腰に向けて鎖を絡めるなり、足元のシューズをスケボーのような形に変えて、調に引っ張られる感じに発進するが……調の後ろには、響が立っていた。

 

それを見た未来、弦十郎は驚きの声をあげ、弦十郎は「なにをやっている!!? 響くんに戦わせるつもりないと言った筈だぞ!!」と通信で響を怒鳴るが響は笑みを浮かべたまま……。

 

「戦いじゃありません!! 『人助け』です!!

それに、憑友を連れて帰るんです!絶対に‼︎」

 

笑顔で答える響だが、弦十郎は必死に響を呼び戻そうとする……だが……。

 

「弦十郎さん、行かせてやってはくれませんか?

人助けは……1番響らしいことですから!」

 

笑顔で未来はそう言いながら弦十郎に頼み、それを見た弦十郎は「はあ」とため息を吐き出し、「こういう無茶無謀な役割は俺の役目なんだがな」と呟き笑みを零した。

 

ーーーーーー

 

「弦十郎さんも!?」

 

「子供ばかりに、良いカッコさせてたまるか!!」

 

同じころ、響と調と光聖希も出撃したことを弦十郎達は通信で翼達に伝え、翼達は最初こそそれに驚いたが……翼は自然と笑みを浮かべていた。

それにつられたのか、隣で並走していた霊風と奏のカップルも笑みを浮かべていた。

 

「(ふっ……想像の斜め上すぎる……)」

 

するとその時、空から赤い矢が大量に降り注ぎ、翼はバイクから飛び退いてすぐさまその攻撃を回避し、翼は矢が降ってきた方向を見つめるとそこには崖の上に立つシンフォギアを纏ったクリスの姿があった。

 

「どうやら誘い出されてきたみたいだな! そろそろだと思っていたぞ、雪音!!」

 

それに気付いた霊風達もバイクから降りた。

それと共に霊風は何かに気付いたのか、奏を突き放すなり、霊風はすかさず自分のいた場所を軽く跳躍した。

すると自分達の影からなんとロックが剣を突き刺す動作をしながら現れたのだ!

 

「やっぱりてめえか。ロック!

ダークヒーローになったつもりか!」

 

「ダークヒーロー?…ふっ。

俺は元から影や闇の中に生きる存在だ。

たった1人の存在を守る為に存在するんだ。

ダークヒーローなぞ端から成っている…!」

 

そう言いながらロックは水の弓《オーシャンボウ》を構えた。

それを見た霊風は自分の武器である風の変化棍《ウインドルロッド》

と、現在変身している鎧武の得物《大橙丸・ナギナタモード》を両手で振り回しながら、2槍流の様に扱っていた。

 

「奏!此処から先はお前が行け!」

 

「私達は私達のやるべき事をする!」

 

それを聞いた奏は「無茶すんなよ…!」と言い残すと、自身の足で高速移動した…!

 

そして翼と霊風(2人)クリスとロック(2人)を相手に、戦いの幕を上げた…!

 

 

 

一方、調と光聖希,響は翼の後を追いかけていたがその途中で調は響を降ろして光聖希と共に立ち止まった。

 

響が一体どうしたのかと光聖希と調に問いかけるが、2人が答える前にある崖の上に切歌と闇呪怨が立っていることに気づき、2人が止まった理由が分かった。

 

 

そして切歌は聖詠を詠った…!

 

「Zeios igalima raizen tron…」

 

そして闇呪怨はアブソーバーを装着し、それと同時に1枚のカードを装填、そしてレバーを引いた。

 

「変身!」

 

ーコア!フォーム、ブラッディ!ー

 

すると其処から死神を彷彿させる姿をした魂が現れ、闇呪怨はそれを纏った!

 

ー獄への魂!俺が裁く!ー

 

切歌は「歌」を口ずさんでシンフォギアを纏い、鎌型のアームドギアを手に持って構え、切歌は調にどうしても自分達の邪魔をするのかと問いかけた。

 

 

「ドクターのやり方ではなにも残らない!!」

 

「ドクターのやり方でないとなにも残せないデス!! 

間に合わないデス!!」

 

「切歌……このバカタレが!

兄さんも兄さんだ!なんで切歌を止めなかった‼︎」

 

「お前に俺の何が分かる‼︎弟の分際で‼︎」

 

言い争う切歌と調、闇呪怨と光聖希。

そんな4人に響は

 

「みんな落ち着いて話し合おうよ!!」

 

と訴えかけるが…

 

「「「「戦場(いくさば)でなにをバカなことを!!」」」」

 

と4人が同時に怒鳴り、その光景を見ていた憑友に就いてる一部の『英雄』達はデジャヴを感じたとか。

…まぁ、デジャヴと言えばそうなんですけどね。

今戦っている翼とクリス(あの2人)も前に言ってましたしね…。

 

 

「あなたは先に行って。 

あなたならきっとマリアを止められる、手を繋いでくれる!」

 

「調ちゃん……」

 

「私とギアを繋ぐリンカーにだって限りがある。 

だから行って……。 

 

 

 

 

『胸の歌を、信じなさい』」

 

「俺はこいつを…調を守るって決めたんだ。

調を傷付けるなら、例え調と仲良しの切歌でも、

兄さんでも…容赦しない!

だから立花響!

 

 

 

 

『この世界を頼んだぞ』」

 

調が微笑みを響に向けて、光聖希は右手でサムズアップをしながらその言葉を伝えると、響はかつてフィーネが最後に「櫻井了子」として響に伝えた言葉と、

かつて自分達のパワーアップとと憑友達に『四英雄』の力を授かるきっかけを生んだ存在を思い出し、響は強く頷き、彼女は先へと進んでいく。

響は先へと進み、響を先に進ませないようにと襲いかかろうとする闇呪怨と切歌だったが調は切歌にアームドギアから小型鋸を大量に射出して攻撃する「α式 百輪廻」を放ち、光聖希は瞬時に鎖を呼び出すなり、響を守る蛇の様な動きを見せ、響を闇呪怨と切歌の手から防がせた!

 

切歌はアームドギアを回転させて調の攻撃を防ぎ、闇呪怨は鎖を鎌で防ぐとそのまま切歌の隣に立った。

 

「調!! 聖希!! なんであいつ等を……!? 

あいつ等は2人が嫌った偽善者と夢語りじゃないデスか!!」

 

「でもあいつは、自分を偽って動いてるんじゃない、動きたいから動くあいつが眩しくて羨ましくて……少しだけ信じてみたい」

 

「俺は今でもあいつは嫌いだよ、今でも俺はあの人を否定する。 

俺はあくまでお前等を止めるために戦う。

調を守る騎士なんだ。ただそれだけで充分なんだよ!!」

 

「……際デスか。 

でも、私だって引き下がれないんデス!! 

私が私でいられる内になにかを残したいんデス!! 

調やマリア、マムが暮らす世界と私がここにいたって証を残したいんデス!!」

 

調は切歌に「それが理由?」と問いかけると切歌は「これが理由デス!」と言い放ち、切歌は跳びあがるとアームドギアの刃を3枚に分裂させ、ブーメランのように飛ばして左右から挟撃する"切・呪リeッTぉ"を放ち、調はツインテール部分のアームドギアを伸縮可能なアームとして扱い、2枚の巨大鋸を投擲する"γ式 卍火車"を2人同時に自分の持ち歌を歌いながらお互いに放ってぶつけ合わせる。

 

そして光聖希と闇呪怨も、2人の得物でぶつけ合う…!

光聖希はその鎖で、闇を捕まえる"バインド・オブ・シャイン"を闇呪怨に放つが、

闇呪怨はその鎌で、光を裂く"judgment・Death"でその鎖を切り裂いた…!

 

「俺だって…此処で負けるものかーーーー‼︎」

 

其々の得物同士の戦いに均衡を崩す時は来るのだろうか…

 

 

「「この胸に!!」」

 

「「ぶつかる理由が!!」」

 

「「「「あるのならああああああ!!!!!」」」」

 

ーーーーーー

 

また翼とクリス,霊風とロックも激しい戦闘を開始しており、翼は剣のアームドギアを振るいながらクリスに斬りかかるがクリスは翼の攻撃を避けながらハンドガンのアームドギアで翼を何度も撃つ。

 

だが翼はそれを避けて何度もクリスに斬りかかり、クリスは翼から一度離れてハンドガンの弾を素早く装填し、ジャンプしながら銃弾を翼に放つが翼はそれを難なく避ける。

そして霊風とロックはこれ以上やったら埒があかないと判断したのか、懐から『現界ブースターα』を取り出す。

 

「考えてる事は同じか!」

 

「ならば、常に考える事も同じ!」

 

そう言うと霊風とロックは其々のパートナー『英雄』…

レヴィアタンとアーチャーを取り出して、そしてブースターにスキャンした!

 

だが…

 

 

ーerror…!ー

 

ーerror…!ー

 

「「何⁈」」

 

なんとスキャンさせた筈の『現界ブースターα』がエラー表示を起こしたのだ!

 

またその様子を少し離れた場所で双眼鏡でウェルが不気味な笑みを浮かべながら笑っており、フロンティアのブリッジでは調達の戦いの様子がモニターに映されていた。

 

「どうして……仲のよかった調と切歌まで…兄弟喧嘩すらしていなかった呪怨と聖希まで…。 

私のせいだわ……! こんなものを見たいが為ではなかったのに!!」

 

マリアは膝を突いてその場で泣き出してしまうが……そんな時、ナスターシャからの通信が入り、ナスターシャはマリアの名を呼ぶ。

 

『マリア、今、あなた1人ですね? フロンティアの情報を解析して月の落下を止められる手だてを見つけました。 

最後に残された希望……それには、あなたの歌が必要です』

 

「私の……歌?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふひひひ……もうすぐだぁ。 フロンティアだけじゃない、僕は支配者になるんだぁ♪ ふはははは!!」

 

同じころ、ウェルは自分の左腕を彼は見つめていた。

その力がどれ程危険な物なのか…彼は一生知らないままになるだろう。

 

 

 

 

ーーーーーー

そんな中で、響は1人、マリアの元へと突き進む。

 

するとふと見つめた先に誰かいる事を確認した響は、その方へと赴く。

 

そして其処にいたのは、

 

「!憑友!」

 

なんと、憑友であった。

 

響は「良かった〜!無事で!」と言いながら、彼を担ごうとした。

 

だが、響の手は…

 

 

スルリ…

 

「…え?」

 

憑友の手を取れなかった…

 

それと同時に、憑友の身体はみるみると黒い何かが侵食を始めていた。

 

「何…これ?」

 

それを見た響はタダそれだけしか言えなかった…




次回

さよなら


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#29 さよなら

其々の戦いが加速していく中、
1人の命が燃え尽きようとしていた…

衝撃回…どうぞ。


響は憑友を連れて帰ろうとした。だが、憑友の身体に触れる事すら出来なくなっていた。

 

「うっ…ゔ…」

 

するとその本人である憑友が目を開いたので、響は憑友の名を言った。

そしてその声に気付いたのか、憑友は響の顔を見た。

 

「憑友!」

 

「良かっ…た…響が…響のま…まだ…」

 

その声を聞いた憑友はホッとしていた。

だが、響は今の憑友が可笑しい事に気が付く。

 

「⁉︎喋らないで!助けを求めるk…」

 

「ごめんな…響」

 

「え?」

 

響は助けを求め様としたが、突然憑友が響に向けて謝り出したのだ。

 

すると憑友は今までの自分がしてきた事を話した。

 

「憶えて…いる…か?

俺が…前に…言った…

『あと1年しか生きられない』って…言う…言葉に」

 

それを聞いた響は思い出した。

それはまだ二課に入ったばかりの頃に、憑友が言っていた事だった。

だが、それまでにはまだ半年以上も存在するのである。

だけど、響は嫌な予感しか感じなかった。

そして響の予感は的中してしまった…

 

「本当は…今日まで…だったんだ…」

 

その予感が的中して、響の瞳から涙が溜まり始めた…

 

 

ーーーーーー

そしてそれは響を監視していた二課の者達にも知れ渡った。

そしてそれと同時に、ノイズや『聖遺物』を発見した際に生じるアウフヴァッヘン波形感知のサイレンとは違うサイレンが鳴り響いた。

すると映像から1人の生体図が投写された。

其処の上部には、

 

『Tukumo Jinsai』と名前が出ていた。

それは、人絆憑友のバイタルチェックの画面だった!

 

「これは…憑友君の…なんでいきなり…!

まさか…弦十郎さん!貴方、最初から知ってたんですか!

憑友君の生命活動時間が、本当はあと半年だったって言う事に!」

 

『⁉︎』

 

それを聞いた二課の面々と未来は弦十郎を凝視する。

すると弦十郎は、「…済まない」と言うと説明した。

 

「この事は、憑友自身から口封じされていた。

仲間に…特に、響君や未来君には絶対に言うなときつく言われていたんだ」

 

「そんな…」

 

それを聞いた未来は口に手を添えて、涙が流れ始めた。

そしてこの事を弦十郎が知っていると言う事はつまり、

 

「緒川さん!貴方もですね!」

 

「すみません。僕からも憑友君に口止めをされていました」

 

緒川もまた弦十郎と同じタイミングで憑友の存在を知っていた人物であった。

 

 

「じゃあ…憑友は…」

 

「彼は先の未来君を救う為に全ての力を出したのだろう」

 

弦十郎に言われた言葉で未来から流れている涙が更に激しさを増す。

だが、現実は酷かった。未来は弦十郎が「それに…」と加えると弦十郎は衝撃の事実を決定付けた。

 

「神獣鏡には、

『悪しき闇を祓う力』を備えられていた。

そして憑友の身体は、〔半幽霊〕…つまりは〔闇〕に関連していた…」

 

その話を聞いた未来は自分がやって来た行為に悔しながら涙を流した。あまりにも残酷すぎる事実だったのだ。それは…

 

未来は響が纏う『ガングニール』を消去し、彼女を救える事に成功した。

だが、〔半幽霊〕の身である彼…憑友を自分が、直接では無いにしろ…自分の手で殺したと言う現実を突き付けられたのだった。

 

 

ーーーーーー

響は憑友の言った言葉で、目からハイライトが消えていた。

 

「嘘…冗談だよね?…ねぇ?…ねぇ!」

 

「…」フルフルッ

 

「そんな…⁉︎」

 

あまりにも残酷すぎる結末を聞いた響はその場に立ち尽くしてしまった。

そしてそれと同時に、彼の身体が衣類諸共灰へと化していた!

 

「響…最後に…俺の…我が…儘…聞いて…く…れ…ないか…?」

 

その話を聞いた響は憑友の口に耳を添える。そして憑友は響にだけ聞こえるような声で言うと、響は「嫌だよ!そんな事!絶対に助けるんだから!」とそう反論するが、憑友は「頼む…!」と言いながら響にそう言った。

そして響は憑友の目を見た。憑友の目から涙が出ていた。

 

「本当は…まだ…生きたい…!

だけど…俺は…結局…神が探して欲しい…石板を…

集めきれなかった…

だから、俺は此処で無くなるんだ。

だから…

 

未来の事を頼んだよ…」

 

そう言うと憑友の身体はとうとう灰へと化し、

最後に響に笑顔を向けると、そのまま全身が灰になり、そして風と共に崩れさって行った…

 

「ううううぅぅ…

 

 

うわぁーーーーーーーーーーーー‼︎

 

 

憑友ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー‼︎」

 

戦場と化した場に、1つの命が散った…

それはあまりにも残酷すぎる絶望だった…

 

それでも…涙を止め、そして立ち上がる響。

 

「…私…やってみるよ…

 

 

 

 

 

 

 

 

皆んなを守る為に…!憑友の分まで!」

 

その彼女は言った。

憑友の想いを無駄にしない為に…

 

ーーーーーー

 




憑友は灰燼となりて、この世から逝った…
遺された者達に与えたのは絶望だけ。

だが、彼女…響は立ち上がる…!

憑友との約束の為に…!

次回

鳴と音,水と風

※活動報告の方も是非お願いします。
説明文は〜火炎編〜にあるのでお読み下さい。


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#30 鳴と音,水と風

物語は進んでいく…主人公が消えたとしても。
其々の思いを…
為すべき事を為すために…!


フロンティアの上ではそれぞれの場所で翼とクリス,切歌と調,闇呪怨と光聖希,そしてロックと霊風の戦いが繰り広げられていた。

 

翼はクリスに向かって大剣のアームドギアを振るって青い斬撃"蒼ノ一閃"をクリスへと放つがクリスはそれを上へと飛びあがって避ける。

 

クリスは空中からハンドガンで翼に銃弾を放つが翼はアームドギアでそれらを全て弾く。

 

「なぜ弓を引く雪音!?」

 

翼がそうクリスに問いかけるがクリスはなにも答えようとはせず、翼は「その沈黙を答えと受け取らねばならないのか!?」とクリスに言うがやはり彼女はなにも答えてはくれなかった。

 

翼はアームドギアをクリスの放つ銃弾を避けながら接近し、アームドギアでクリスに斬りかかるがクリスは右手に持っているハンドガンでそれを防ぎ、左手に持っているハンドガンで翼を撃つが翼は素早くそれを避ける。

 

「なにを求めて手を伸ばしている!?」

 

「あたしの十字架を……他の誰かに背負わせる訳にはいかねーだろ!!」

 

「っ……」

 

その時、翼はクリスの首になにか装置のようなものを付けられていることに気づき、そのせいで反応が鈍ってしまいクリスの放った銃弾が当たりそうになったが翼はアームドギアでどうにか防いだ……、しかし上手く防ぎきることができなかったため吹き飛ばされてしまう。

 

そして霊風とロックは先程、『現界ブースター』を用いて、其々のパートナー『英雄』を呼び出そうとしたが、突然のエラー発生に驚愕していた。

 

「何故⁉︎」

 

ロックは如何してそうなると言わんばかりの態度を顔から露わにしていた。

そしてそれは霊風も同じだった。

 

そもそも、この『現界ブースター』は憑友の手によって作られた物だ。

『現界ブースター』は実は、

使用すれば使用者の命…つまり寿命を縮めてまで『英雄』達を現界と言う名の召喚を施すアイテムである。

だが、憑友は「ロックと霊風のは特別製!」とか云々と言っていた。

なんでも、憑友にとっては、2人は仲間である故の配慮であると言う事を…

其処で霊風はふと思い返した。

自分とロックの『現界ブースター』は普通に使えるのに、

何故、憑友の『現界ブースター』だけは対価が激しいのかを…

 

「俺達が何をしたって…

ん?…ちょっと待てよ。

この『現界ブースター』は本来は使用者である俺達の寿命を縮める筈…⁉︎」

 

其れを思った霊風は「まさか⁉︎」と呟いた。

 

「だが、それは憑友が配慮してそうしてくれたと…」

 

「其れこそが間違いだったんだ‼︎」

 

それを聞いたロックは「何?」と返答すると、霊風はこう説明した。

 

「この『現界ブースター』は、俺達の寿命を対価として、『英雄』達を呼び出す代物。

だが、憑友はそれを取り除いてくれた…其れこそが間違いだったんだ…」

 

それを聞いたロックは何を言ってるんだ?とでも言うような顔付きを見せた。それを見た霊風は衝撃発言をした。

 

「もし、その対価が…憑友の命を削り取っていたら?」

 

「そんな事あr…!」

 

霊風の言った発言にロックは反論しようとしたが、

よくよく思い返してみれば、あの憑友は他人の命の危機まで勝手に背負い込む超が付く程のお人好しである事に。

 

「…じゃ、じゃあ…俺達が今まで『現界ブースター』を使って来た分のツケが…」

 

「全部、憑友に払わせていたんだよ…寿命(いのち)を」

 

其れを聞いたロックはブースターを落とし、そして衝撃が走った…

 

 

ーーーーーー

 

「切ちゃんが切ちゃんでいられる内にって……どういうこと?」

 

「あたしの中にフィーネの魂が……覚醒しそうなんデス」

 

場所は変わり、調と切歌のいる場所では切歌がとうとう調に自分の中にフィーネがいるということを打ち明け、切歌曰くそもそも自分達はフィーネの魂が宿る可能性のある者達が集められた、だからこうなる可能性はあったと調に話す。

 

「だったら……私は尚のこと切ちゃんを止めてみせる」

 

「……えっ?」

 

「これ以上、塗りつぶされないように大好きな切ちゃんを守るために」

 

「っ、大好きとか言うな!! 

あたしの方がずっと調の方が大好きデス!!」

 

調と切歌がそんなやり取りをしている中、闇呪怨と戦い合いながらも光聖希は調と切歌の方を気にしており、光聖希はなぜあんなことをお互いに言えるほど仲のいい2人が戦わなければならないのか……光聖希はそう考えどこかやるせない気持ちになった。

 

「戦いに集中できてないようだなお前は!!」

 

そこに闇呪怨が光聖希の腕を掴み上げて背負い投げを繰り出し、地面に倒れこむ光聖希、闇呪怨は倒れこんだ光聖希に向かって鎌を振り下ろそうしたが、光聖希はすかさず自分の指にはめていたチェーン付きの指輪《チェーンリング》を振り上げて闇呪怨の鎌を絡めて、そのまま左に動かすと鎌も左の方へと持って行かれ、その隙に危機を脱しながら立ち上がる。

 

「うぜぇ……!

そう言う兄さんの方こそ戦いに集中出来てないじゃないか‼︎」

 

「!」

 

「うぉぉぉ!」

 

「はぁぁぁぁあ!」

 

闇呪怨は今すぐにでも切歌の元へと行きたかった。行って切歌を自分も止めたかった……。

それは光聖希もまた同じであった。2人は双子故にそれぞれの思惑も同じだった。

どちらも調と切歌に声をかけて……どうにかして安心させてやりたいと思った……、だから自分の前に立ちはだかる自分の兄(弟)にかなり鬱陶しく感じていたのだ。

 

そして切歌と調の方では……2人はお互いにアームドギアを構えて対峙しており、どちらも今にも互いに跳びかかりそうな勢いだった。

 

「だから、大好きな人たちがいる世界を守るんデス!!」

 

「切ちゃん……」

 

ギアの鋸をヘリコプターのローターのように上下に展開し、空中を飛行する"緊急Φ式 双月カルマ"という技を調は発動し、肩部プロテクターを展開し、それぞれの先端に鎌を装備させて自在に操る"封伐・PィNo奇ぉ"を切歌は発動する。

 

「調……」

 

切歌と調がお互いの名前を呼んだ後、2人は空中へと跳びあがってそれぞれの武装で攻撃を激しくぶつけ合わせる。

 

「「大好きだって……言ってるでしょおおおおおおお!!!!!!」」

 

 

そして翼とクリス,霊風とロック,調と切歌,闇呪怨と光聖希。

4人が同時にぶつかり合うその時だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『憑友ーーーーーーーーーーーー‼︎』

 

 

 

『‼︎⁉︎』

 

 

突然聞こえてきた響の声に、8人は寸での所で動きを止めた。

一体何が起こったのか、そう思っていると、

二課の面々には弦十郎が、F.I.S.メンバーにはナスターシャがそれぞれ言った。

 

『皆、悲報が入った…』

 

『心して聞きなさい…』

 

 

 

 

 

『俺たちの仲間…憑友が…』

 

『あの子…人絆憑友が…』

 

 

 

 

 

『『この世から消えた(ました)』』

 

それを聞いた8人は、驚愕し、そして目を見開く者がいれば、

悔し文句を言いながら、地面に伏しそして地面に向かって己の拳を叩きつける者がいた。

あまりにも悲しすぎる出来事に皆は意気消沈寸前に陥ってしまっていた。

 

ーーーーーー

同じ頃……マリアはフロンティアの中から生放送でTV中継を行っており、マリアは先ず最初にテレビを見ている人々に対して月落下の真実を語っていた。

 

一体なぜそんなことをする理由があったのか……それはナスターシャがマリアの歌が月の落下を止めてくれるかもしれないと言われたからだった。

 

もしも成功することができれば月を公転軌道上に戻すことが可能であり、しかしそれはマリア1人では不可能であるため多くの人々の中のある「歌」が必要だというのだ。

 

「すべてを偽ってきた私の言葉、どれほど届くか自信はない。 だが、歌が力になるというのならこの事実だけは……信じてほしい!!」

 

そしてマリアは自分のギアの聖詠を口ずさむ。

 

「Granzizel bilfen gungnir zizzl…」

 

黒い『ガングニール』を纏う…!今テレビを見ている人々に対してマリアは強く呼びかける。

 

「私1人の力では落下する月を受け止め切れない!! だから貸してほしい!! 皆の歌を、貸してほしい!!」

 

マリアは「歌」を歌い始めるとマリアのガングニールの赤いクリスタル部分が発行し始め、マリアは「セレナが助けてくれた私の命、誰かの命を救って見せる。 

それだけがセレナを報いられる私の贖罪」という想いで彼女は力の限り歌を歌う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

一方、フロンティア近海には1体の竜がフロンティアへと近づいていた…!

 

「待っててね…マリア姉さん!」

 

翠の竜・リオレイアに跨る女の子・セレナはそう言いながら、フロンティアへと急行した。

 

 

 

 

全ては…

大切な姉・マリアの元へと行きたいと言うその感情だけで。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

また、響はフロンティアのマリアがいるブリッジへと向かって必死にかなりの高さを誇る階段を走って登っていた。

 

「(誰かが頑張っている!! 私も負けられない!! 

進むこと以外、答えなんてある訳がない!!)」

 

そんな響はふと目をした場所に何かがある事に気が付いた。

響はその場所まで戻り、そしてそれを見た。

其処には1人の男の子が培養液に浸りそしてタール漬けされていた。

そんなタール漬けにされた男の子を見た響はそれに触れようとした。

その時だった。

 

 

「勝手に触るんじゃない」

 

「⁉︎」

 

つい先程まで人の気配すらしなかった筈なのに、響の後ろに1人の青年が立っていた。

黒混じりの銀髪で、茶色のダウンと緑がかった黒のズボンを履いた青年が其処に立っていた。

 

「あなたは一体?」

 

そう響が言うのと同時に、青年はポケットから丸い金属製のボールを取り出した。

それを見た響は「アカネさんのと同じ⁈」と口にした。

そして青年はそのボールを握り潰した!

するとそのボールが変化し、ボールから金属製の斧が現れた!

 

それを見た響は先程までとは一転して、警戒する。

だが、青年はその斧を地面に付けた。

 

「…早く行け」

 

「え?」

 

それはあまりの出来事故に警戒していた響は呆然とした。

すると青年は響に告げる。

 

「俺だって一介の『英雄』だ。

…マリアの事を頼む」

 

それを聞いた響は「うん!任せて!」と言って走り去ろうとしたが、急に立ち止まり、その青年に自己紹介をし忘れていた為に、この場で自己紹介した。

 

「私、立花響!誕生日は9月13日生まれ!好きな物は…」

 

「自分のプロフィールは極力隠せよ、馬鹿」

 

「ば、馬鹿⁈クリスちゃんならまだしも、赤の他人にまてバカって言われた⁉︎」

 

そう嘆いていると青年は名前を言った。

 

「…ギンジ」

 

「え?」

 

「ギンジ。それが俺の名だ」

 

そう言った青年…ギンジは、「早く行け」と促した。それを見た響は頷くとそのままマリア達の元へと急ぎ出した。

 

そしてギンジはタール漬けにされている男の子のカプセルに手を触れた。

 

「お前を必ず取り戻す。他の者達もな」

 

ーーーーーー

 

また、翼とクリスの戦いでは……翼はクリスの撃つ銃弾を悉くアームドギアで弾いて防いでおり、中々決着をつけることができなかった。

 

そんな時、クリスが耳につけている通信機からウェルの声が聞こえ、「ちゃっちゃと片付けないと、約束の玩具はお預けですよ?」と言われてクリスはそれに対してなにも答えなかったが明らかに怪訝そうな表情を浮かべていた。

 

「(ソロモンの杖の力なんて……人がもってきゃ、いけないんだ!!)」

 

さらに翼はクリスの首についてある装置……その装置がクリスを何者かが従わせているのではと予測しており、それを前提に翼はクリスに話しかける。

 

「犬の首輪をされてまでなにをなそうとしているのか!?」

 

「汚れ仕事は居場所のない奴がこなすってのが相場だろ? 違うか?」

 

クリスの言葉に対して翼は口元で笑みを浮かべる。

 

「首根っこひこずってでも連れて帰ってやる! 

お前の居場所、帰る場所に!」

 

「へっ……」

 

翼にそう言われてクリスは翼から顔を反らし、またクリスはもう二度と会わないと思って今まで忘れていた……というよりも忘れようとしていた事に胸が締め付けられるような感覚を覚えた。

 

「お前がどんなに拒絶しようと、私はお前のやりたいことに手を貸してやる。 

両翼は今、持たない…

片翼では飛べぬ私に……先輩と風を吹かせるものの使命だ!!」

 

翼はそう言い放ちながら自分の相棒……「天羽奏」の姿を思い浮かべる。

 

「(そうだったよね、奏……)」

 

『(そうさ、だから翼のやりたいことはあたしが、周りのみんなが助けてやる!)』

 

そう呟いていると奏が遠くからそう言う言葉を言ったような感覚に翼は不思議と笑みを浮かべた。クリスは翼に対し「その仕上がりでえらそーなことを!!」と怒鳴るが……眼尻には涙が見え隠れしていた。

 

そんな時、ウェルからの通信が入り、「何をしているんですか。そっくびのギアが爆ぜるまでもうまもなくですよ」という報告が入り、クリスはそれを聞いてなにかを決意したかのような表情を浮かべる。

 

「……風鳴……先輩」

 

ぎこちない様子ではあったが初めて自分の名前を呼んでくれたことに翼は一瞬驚いたような顔を浮かべる。

 

「次で決める! 昨日まで組み立ててきたあたしのコンビネーションだ!!」

 

「ふっ、ならばこちらも真打ちをくれてやる!!」

 

翼とクリスはお互いに不敵な笑みを浮かべており、銃弾をクリスはハンドガンを構えて翼に撃つが翼はそれを避けて空中へと飛びあがり、蒼ノ一閃を放つがクリスもそれを寸前のところで避け、ハンドガンをクロスボウに変形させて矢を翼に向かって放つ。

 

その矢は幾つもの矢に分裂して翼に降り注ぐが翼は大剣のアームドギアを盾にして使い攻撃を防ぎ、腰部アーマーから小型ミサイルを一斉に発射する"MEGA DETH PARTY"をクリスが、空間から大量の剣を具現化し、上空から落下させ広範囲を攻撃する"千ノ落涙"を翼が放ち、空中で激しくぶつかり合い、大きな爆発が起きた。

 

「うわあああ!!!?」

 

「くわあああ!!!?」

 

その爆発に翼とクリスは巻き込まれてお互いの姿は爆発の中に消えてしまう、それを見たウェルは立ち上がってテンションの高い声で叫びをあげる。

 

「いやっほー! 願ったり叶ったりぃー!!!! してやったりぃ~!!!!」

 

 

そんなウェルの近くには既に《精魂導師》の2人…

《風魂導師》スピリットの精妖霊風と、

《水魂導師》ソウルのロック・アイル・ユキネが、地面に倒れていた。

 

 

「《シンフォギア》装者と《精魂導師》は、僕の統治する世界には不要。 

そのためにぶつけ合わせたのですが、こうもそうこうするとは実にチョロすぎるぅ♪」

 

相変わらずいやらしい笑みを浮かべるウェルだが、ウェルは自分の前にクリスとシンフォギアが解除されている翼の姿が目に映り、ウェルはそのことに驚きを隠せず「はぁ!?」と素っ頓狂な声をあげた。

 

クリスのシンフォギアは所々が破損しており、彼女はウェルの方へと振り返ってウェルに約束通り二課の《シンフォギア》装者を倒したため、その代わりとしてソロモンの杖を渡すように言う。

 

「こんなまま事みたいな取引にどこまで応じる理由があるんですかねぇ」

 

しかし勿論ウェルはその要求を飲むつもりなどさらさらなく、ウェルはあるスイッチ……クリスの首につけてある「爆発」の装置を起動させようとスイッチを押すが……爆発する気配はなく、クリスは首の「壊れた」装置を取り外した。

 

「な、なんで爆発しない!?」

 

「壊れてんだよ。 

約束の反故たぁ悪役のやりそうな事だ」

 

クリスはウェルに迫ろうと歩き、ウェルは完全にビビってその場に座り込んでしまうが彼はソロモンの杖からノイズを呼び出してクリスに差し向け、クリスは舌打ちしつつもアームドギアを展開しようとするが……アームドギアはなぜか展開することができなかった。

 

「っ!?」

 

「Anti-LINKERは、忘れた頃にやってくるぅ!」

 

実はこの辺り周辺にはウェルがいつの間にか病院の時と同じシンフォギアの出力を下げるガスをまき散らしており、この状態ではクリスはアームドギアを出すばかりかまともに動くことすらできなかった。

 

「チッ、ぶっ飛べ!! アーマーパージだ!!」

 

するとクリスは自身のシンフォギアのアーマーを全て吹き飛ばして取り外し、取り外して吹き飛んだアーマーは何体かのノイズを撃破し、ウェルは悲鳴をあげて咄嗟に岩陰に隠れる。

 

ウェルは砂煙があがる中恐る恐る辺りの様子を確認するが、煙の中からクリスが飛び出して杖を奪い取ろうとするがミスしてしまい杖はどこかに飛んで行き、そのせいでウェルのコントロールを受け付けなくなったノイズ達は一斉にクリスとウェルに迫ろうとしてきていた。

 

「杖が!?」

 

「ひ、ひいいいいい!!!!?」

 

そしてクリスは咄嗟にある人物の名を呼んだ……自分の先輩達と、自分に生き甲斐をくれた義理の兄の名前……。

 

「先輩……! 霊風……!ロック義兄……!!」

 

そんな時、空間から大量の剣を具現化し、上空から落下させ広範囲を攻撃する"千ノ落涙"がノイズ達に降り注ぎ、クリスとウェルの周りにいたノイズ達はそれを喰らって一斉に消えさる。

 

だが、その中を一体だけ切り抜けたノイズがクリスへと跳びかかってきたが……それはクリスの前に現れた水色の戦士が白と黒の夫婦剣で切り裂いた。

そしてもう一体がクリスの背後を狙おうとしたが、真横から赤い槍がそのままノイズを貫通させ、ノイズは灰と化した。

 

クリスの危機を救ったのは……ギアの出力を抑えたエクスドライブモードになる以前と同じ形をした『天羽々斬』を纏った翼と、

『英雄』ランサーの力を纏った霊風と、

パートナー『英雄』であるアーチャーの力を纏ったロックだった。

 

(挿入歌『絶刀・天羽々斬』水樹奈々)

 

「Anti-LINKERの負荷を抑えるためにあえてフォニックゲインを高めず出力の低いギアを纏うだとぉ!? 

そんなことが出来るのか!?」

 

「できんだよ、そういう先輩だ」

 

翼は剣のアームドギアで次々とノイズ達を切り裂き、次に逆立ちと同時に横回転し、展開した脚部のブレードで周囲を切り裂く"逆羅刹"を繰り出してノイズ達を消し去る。

 

「一緒に積み上げてきたコンビネーションだからこそ、目を瞑っていても分かる。 

だからかわせる、かわしてくれる。 

ただの一言で通じ合えるから。 

あたしのバカにも、付き合って貰える!」

 

実はクリスの首に付けられていた装置は翼が既にアームドギアで傷をつけて破壊していたりするのだ。

 

翼は巨大化させたアームドギアから放つエネルギー刃"蒼ノ一閃"を放ってノイズ達を切り裂き、ウェルは翼がノイズと戦っている隙にそそくさをソロモンを置いて逃げて行ってしまった。

 

すると翼はまたノイズ達がクリスを囲もうとしているのに気付いたが……。

 

「クリスに手ぇ出そうとしてんじゃねえ!!」

 

ロックは跳びかかってくるノイズ達を左右の夫婦剣『干将・莫耶』を用いてたったの一振りでノイズ達を一瞬で切り裂いたのだ!

 

「馬鹿め!」

 

ウェルはそう言う。

するとロックはそのまま膝を地に付けてしまった。

今、この場にはAnti-LINKERの《精魂導師》対応版…

Anti-glycerigger(グリセリガー)も同時に散布されていたのだ!

 

それにより、一気に体力を奪われたロック。

それを霊風は肩に担ぎ、そしてロックをクリスの所へと運ぶなり、「後は任せろ」と言って、霊風は翼の隣に立った。

 

「久方ぶりに…あの曲。

歌ってやりますか!」

 

「奏がいない分は、2人で!」

 

霊風は翼の問いに「応とも!」と勢いのある返答をすると、霊風は1枚のカードを取り出した。

それは、ロックの基本の戦闘時に使うカード…

【水の魂を導く師者】のカードであった!

 

「な、何を⁉︎」

 

「こう使うのさ!」

 

すると霊風はそのままカードに装填し、そしてレバーを引いた!

 

「変身!」

 

ースピリット!フォーム、フォーマル‼︎ー

 

すると霊風の周りに水とそして弓を番える戦士の魂が現れるや、そのまま纏ったのだ!

 

ーお前等の魂!私、頂く!ー

 

其処には、水の弓を構えた霊風が其処にいた。

己が持つ《風魂導師》の力と、

ロックの《水魂導師》の力が1つになった姿…

 

水と風は合わせる事で災害を生む自然現象『嵐』が生まれる…

 

今の霊風はその2つの力を持つ《精魂導師》…

 

《嵐魂導師》トルネイドに融合変身した。

それを見たウェルは「ひ、ひぃぃぃ⁉︎」と言いながら尻餅をついた。

 

「さぁ〜て。

可愛い後輩を可愛いがってくれたんだ…

対価を払う覚悟は出来たか、マッドサイエンティスト!」




《嵐魂導師》トルネイド
《水魂導師》の力と《風魂導師》の力を合わせた力。
変身する際は以下の組み合わせでないと発生しない。

スピリットアブソーバー×【水の魂を導く師者】

ソウルアブソーバー×【風の魂を導く師者】

上は霊風、下はロック専用の変身プロセスである。

発生音は其々のカードと同じ音声が流れる。

〔水〕と〔風〕,そして2つを合わせた属性〔嵐〕の技を使用する事が出来る。

次回

Preserved Roses

次回は翼と霊風大活躍の巻!

※活動報告の方も宜しくお願いします。


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#31 Preserved Roses

可愛い後輩を好き勝手に扱ったウェルに、
(防人)霊風(マネージャー)の2人は制裁を与えん…!

と言う訳で、翼さんと霊風さん大活躍の回。
なのに字の少なさ…短過ぎる。


《風魂導師》と《水魂導師》の力を合わせた存在…《嵐魂導師》トルネイドへと融合変身した霊風は、左手に毒物である可変棍《ウインドルロッド》と、右手に持った弓《オーシャンボウ》を携えていた。

 

「な、何故貴様等が生きている⁈」

 

ウェルは其処までして漸くロックと霊風が何故生きているのか、何故あんなにもピンピンとしているのかに。

 

するとクリスに抱き抱えていたロックは指パッチンをした。

 

するとウェルの近くにいた霊風とロックの倒れた存在は、そのまま煙を発生し、そして其処には「残念!」「ハズレだよ〜」と紙に書かれた木になった。

それを見たウェルは驚愕した。

 

「変わり身の術。…中々面白いだろ?」

 

そう言いながらロックはしてやったりと言った表情を見せた。

実は翼とクリスの激突の際に、ロックと霊風はすかさず変わり身の術で入れ替わり、そして自分達は"影這い"を用いて、影へと潜み、機会を伺っていたのだ。

 

「だ、だが!Anti-glycerigger(グリセリガー)が発生している間は、貴様等の力は抑えられる!」

 

ウェルはそう言った。

Anti-glycerigger(グリセリガー)は『英雄』達の力を使う《精魂導師》の力を抑える様に設定されている。

だが、

 

「ふん。そんな事か」とでも言うかのような態度で霊風は鼻でウェルをおちょくる。

そうすると、ロッドを槍に変えるなり、そのまま弓に番え、

そして撃った!

 

シュンッ!

 

バンッ!

 

「…⁉︎ひ、ひぃぃぃ⁉︎」

 

霊風の行動で即座にウェルは怖じ気付いた。

何せ、Anti-glycerigger(グリセリガー)の効果が全く持って無意味になっていたのだ!

 

すると霊風は翼に顔を向ける。

翼も霊風が言いたい事が分かった様で、

翼はアームドギア《アメノハバキリ・ブレード》を上段の構えで構え、

霊風は《オーシャンボウ》をウェルに向け、《ウインドルロッド》を後ろにやりながら構えた。

 

「俺達の歌…聞きやがれ!」

 

すると霊風と翼は「歌」を口ずさみ始めた…阿吽の呼吸で。

 

(挿入歌『Preserved Roses』T.M.revolution×水樹奈々)

 

2人はそれを皮切りに周りのノイズ達を殲滅し始めた!

 

翼は出力を抑えたギアでありながらも、その技量は劣ってはおらず、寧ろ磨きがかっていた!

そして霊風はロッドで叩く、貫く、薙ぎ払う、刈り取ると言った動作で動かしながら、動作途中でロッドを上に投げるなり、弓で射抜いたり、2丁拳銃にして連射した!

すると複数のノイズが合体して巨大化し、巨大ノイズは口から液体のようなものを吐き出す。

 

それに気付いた霊風はロッドを回転させて攻撃を防ぎ、液体をそのまま押し返してノイズにダメージを与える。

 

翼と並び立ち、2人同時に頷きあい、ロッド〔サイスモード〕とアームドギアを構え、2人は同時に跳びあがり、2人同時にアームドギアとロッドを振りかざしてノイズを縦に切り裂く。

 

全てのノイズを倒し終え、翼はシンフォギアを解除し、霊風は変身を解除して元の姿へと戻り、霊風はクリスの方へと振り返るが……。

 

「ってこっちみんなバカァ!!/////」

 

今のクリスはシンフォギアのアーマーを飛ばしたため一糸纏わぬ姿となっており、彼女は自分の裸を隠すようにうずくまり、それを見た霊風は顔を真っ赤にしたが、突然、肩に違和感を感じ、見てみると其処には手が置いてあった。

そしてその先を見て、霊風は青ざめた。

 

「男に二言は無いよな?…」

 

其処にはロックが『干将・莫耶』を既にあと1㎜で当たる所まで迫ってきていた。

 

霊風は「ご、誤解だって⁉︎

…って言うか!お前もクリスの裸見ただろうが⁉︎」と言い返すと、ロックは顔を真っ赤に染まって、先程までの威勢はどこへ置いていったのやらと呆れていたのであった。

そこでふと2人はあることに気がついた、それは先ほどまでウェルがいたということは……つまり、ウェルもクリスの裸を見たことになる訳で……。

 

「あのくそ野郎クリスの裸見やがったのかあああああああ!!!!!!」

 

今度会ったら絶対ぶん殴ってやろうと思うロックだった。

 

それからクリスは学校の制服の姿へと戻り、翼はソロモンの杖をクリスに渡した。

 

「回収完了、これで一安心だな」

 

「っ、勝手に飛び出して……ごめんなさい//」

 

「申し訳有りませんでした」

 

「(こんなしおらしいクリスとロックは初めてだ)」

 

 

少し照れくさそうに謝るクリスとロック。

そんなクリスに翼は「気に病むな」と声をかける。

 

「私も、1人ではなにもできないことを思い出させた。 

なにより、こんな特殊な雪音を知ることができたのは僥倖だ」

 

「////そ、それにしたってよ、なんであたしの言葉を信じてくれたんだ」

 

「雪音が()()と呼んでくれたのだ。 

続く言葉を斜めに聞き流す訳にははいかんだろ」

 

クリスは「それだけか?」と問いかけると翼は「それだけだ」と返し、クリスはそれを聞いて「全くどうかしてやがる」と思った。

 

「(だからこいつらの傍は、どうしようもなく、あたしの帰る居場所なんだな……)」

 

クリスはそう感じた。

そしてそのそんなクリスの顔を見たロックは自然と笑顔になっていた。

 

「(やっぱり、2人はそんな笑顔が素敵だな…)」

 

そんな2人を見て、霊風はあらためて実感した。

早くこの事態を終わらせなければと言う感情に。

 

「…そう言えば、奏からの連絡がまだ来ていないんだが?」

 

すると翼はそう問いかけた。

それに気付いた皆は確かにと感じていると…

 

 

ドガァァァンッ!

 

『⁉︎』

 

突然近くから大きな爆発音が聞こえたのだ!

 

「まさか…行くぞ!」

 

「ああ!」

 

そう言うと霊風達はその爆発が起きたであろう場所へと向け、走り出したのであった。

 

其処に待ち受けるのは一体…?




翼達の戦いが終わる前、
FISの戦いも終止符を打つ…

そして其処に現れるは…

次回

魂の行方

その魂は何を為すのか…?


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#32 魂の行方

あの方登場回。
そしてアニメ12話までの部分です。
次回はいよいよクライマックスへ!



翼達が奮闘していた頃の『F.I.S.』組はと言うと…

 

切歌と調は互いに歌を口ずさみながら戦闘を行っており、切歌は肩部のアーマーの鎌で何度も調に斬りかかっているが調は鋸のアームドギアでそれらを全て弾く。

 

調は一度切歌から距離を取るとアームドギアから巨大な円状の刃を形成し、内側に乗り高速で突進する"非常Σ式 禁月輪"を切歌に繰り出し、対する切歌は2本に分裂させたアームドギアをハサミのように合体させ、対象を挟み切る"双斬・死nデRぇラ"を発動する。

 

そして切歌と調のアームドギア同士がぶつかり合い、調は切歌から飛び退くように離れて空中に跳びあがるとアームドギアから小型鋸を大量に射出して攻撃する"α式 百輪廻"を切歌に向かって放つ。

 

しかし切歌は2本のアームドギアでそれら全てを弾き飛ばし、切歌も空中へと飛びあがって空中で激しく激突した後、2人は地上へと同時に降り立つ。

 

「切ちゃん……どうしても引けないの?」

 

「どうしても引かせたいというのなら、力づくでやってみると良いデスよ」

 

切歌はそう言ってLINKERを取り出して調に投げ渡し、切歌は自分の首筋にLINKERを押し当てて中の液体を注入する。

 

「ままならない思いは力づくで押し通すしかないじゃないデスか」

 

「切歌!! やめろ!! 絶唱は身体に相当の負荷が! 

特にLINKERを使ってる奴は…最悪、死ぬんだぞ!

其れなのに…兄さんはなんで止めないんだよ!!」

 

「お前に俺の何が分かる‼︎」

 

光聖希は切歌が『絶唱』を使おうとしていることに気づき、光聖希は切歌を止める様に促すも肝心の本人は歌おうとしていた。

それを見た光聖希はいつも側にいた兄・闇呪怨にその怒りの矛先を向けた。

 

闇呪怨は切歌とはなんだかんだでいつも一緒にいたりする。

闇呪怨が怪我をした時は、切歌が手当をしてくれて、

切歌が虐められていた時は、闇呪怨が切歌を守る為にその虐めを止めたり…

ほんの一部だが、それ以上に切歌と闇呪怨は仲が良かった。

それは切歌の事を良く知る調も、兄の事を良く知っている光聖希が嫉妬するぐらいに。

まぁ、尤もその調と光聖希も仲が良いのは言うまでも無いが、

闇呪怨と切歌がそんな2人に嫉妬している事をこの時の調と光聖希(2人)は知らない。

 

そんな中で、双子は其々の得物、

《蛇腹剣・チェーンブレイド》と、《両刃鎌・デモンズサイス》を振りかざす…!

其々のぶつかり合いに金属音が発生する。

其処に光聖希は鎖を飛ばすが、闇呪怨は肩のプロテクターから投擲用のカッターナイフをぶつけ、相殺させる。

 

 

そうしていると光聖希の想いも空しく切歌は『絶唱』を歌い、同じく調もLINKERを自分に注入して『絶唱』を歌い、『絶唱』を歌い終えると切歌のアームドギア《イガリマサイス》が超巨大化する。

 

「『絶唱』にて繰り出されるイガリマは、相手の魂を刈り取る刃! 

分からず屋の調からほんの少し負けん気を削れば!!」

 

また調はシンフォギアの両手両足が変形して長くなり、調は「分からず屋はどっち!!?」と切歌に怒鳴りあげる。

 

「私の望む世界は切ちゃんがいなくちゃ駄目。 

寂しさを押し付ける世界なんて欲しくないよ!」

 

切歌は巨大化したアームドギアに跨って空中を飛行して調に接近するが調は右手の鋸で切歌の攻撃を弾き、切歌は涙を流しながら必死に調に訴えかける。

 

「私が調を守るんです!! 

例え、フィーネの魂に私が塗りつぶされることになっても!!」

 

彼女はそう叫びながら切歌は高速回転して調に向かって行くが、調はその攻撃を今度は左手の鋸を回転させて弾いて防ぐ。

 

「ドクターのやり方で助かる人達も、私と同じように大切な人を失ってしまうのよ! 

そんな世界に生き残ったって私は二度と歌えない!!」

 

調もまた涙を流し、切歌に必死に訴えかけるが切歌は「でも、そうするしかいデス!! 例えわたしが調に嫌われてもおおおおおお!!」と叫ぶと同時に切歌はアームドギアを振るい、調は防ごうと両手の鋸を構えたがそれを切歌は遂に破壊してしまい、切歌はそのまま調に一直線に向かって行く。それに気付いた光聖希は調の方へと向かい、その後を闇呪怨が襲おうとしたが……。

 

「切ちゃん、もう戦わないで!! 

 

私から大好きな切ちゃんを奪わないでえええええ!!!!」

 

調は咄嗟に両手を前にかざすとかつてフィーネが響と憑友の『デュランダル護送作戦』の際に使っていたバリアと同じものを調は張り巡らせ、バリアは切歌のアームドギアを弾き飛ばし、調は唖然とした表情で自分の両手を見つめた。

 

「なに……これ?」

 

「へっ……?」

 

「なっ⁉︎」

 

「まさか…⁉︎」

 

切歌は調から離れ、切歌は「信じられない」といった顔を浮かべて唖然としていた。

 

「まさか……調デスか? 

フィーネの器になったのは……調なのに、あたしは調を……?」

 

「切ちゃん?」

 

「調に悲しい想いをして欲しくなかったのに、できたのは調を泣かすことだけデス」

 

切歌は調を結局はただ悲しませてしまっただけという事実に、彼女はショックを受け、切歌は涙を流しながら右手を横に伸ばすと弾き飛ばされていたアームドギアが輝き、それが輝き、地面から刃が抜けるとアームドギアは高速回転しながら切歌の背中目指して向かって行く。

 

「あたし、本当に嫌な子だね……。 

消えてなくなりたいデス……」

 

「ダメ、切ちゃん!!」

 

顔がと目が真っ赤になるくらい切歌の瞳から大量の涙が流れ落ちており、それに気づいた闇呪怨と光聖希の陰陽兄弟は必死に切歌に呼びかけた。

 

「「やめろおおおおおおお!!!!! 切歌ああああああああああ!!!!!」」

 

陰陽兄弟は切歌の元へと駆け出そうとしたが、実は先程の攻撃の際に足を痛められてしまってしまい、2人揃って地面に倒れこむ。

 

「切歌!! 切歌ああああああああああ!!!!!」

 

闇呪怨はその状態のまま必死に彼女に手を伸ばすが……その手が届くことはない……、そしてアームドギアは切歌を…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グサッ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…切歌を庇った調の背中に突き刺さった。

 

「調……? 調ええええええええええ!!!!!?」

 

「調……! 調ええええええええ!!!!!」

 

切歌と光聖希が調の名を叫ぶように呼ぶが、

大好きな人を失ってしまったことで切歌はもはやもうなにがなんだか分からなくなり悲鳴をあげ、

光聖希は調の元に来るなり、そのままアームドギアを取り除き、そしてそのまま抱擁しながら涙を流した。

そんな様子を見た闇呪怨はただ悲鳴をあげながら、

 

「こんな事をしたいんじゃなかったのに…うわぁぁぁぁぁ!」

 

そう叫びながら、地面を叩きつける事しかできなかった。

 

同じころ……マリアは丁度歌い終えていたのだが……月を軌道上に戻すにはまだまだエネルギーが足りず、彼女は眼尻に涙を溜めてその場に跪く。

 

「私の歌は……誰の命も救えないの……!! セレナ! う、うぅ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「調……目を開けて、調! 起きてください!!」

 

切歌は涙を溢れださせながら目を開けようとはしない調に必死に呼びかけるが、なんの反応もなかった。

あの後、光聖希に変わって、調を抱き上げていた。

調が死んだと言う事で、先程までのいざこざは何もかも無くなっていた。

 

しかし、調には「意識」は事態はまだ生き残っていた。

 

調の意識は深い闇の中に沈もうとしていたが……

調は自分の隣に誰かが立っていることに気づき、「あなたは?」と問いかけたがその人物は「どうだっていいじゃない、そんなこと」と返されてしまう。

 

そこにいたのは、かつて響達と憑友達と激闘を繰り広げた『先史文明期の巫女』…櫻井了子いや、…フィーネだった。

 

「どうでもよくないよ。 

私の友達が泣いている」

 

「そうね、誰の魂も塗りつぶすこともなくこのまま大人しくしているつもりだったけど、そうはいかないものね。 

魂を両断する一撃を受けてあまり長くはもちそうにないか」

 

その言葉は魂を消し去る切歌のアームドギアの刃を調の代わりにフィーネが受けたということを意味しており、調はどうして自分の代わりにそんなことをしたのかとフィーネに問いかけた。

 

「あの子達に伝えて欲しいのよ」

 

「あの子達?」

 

「だって数千年も悪者やってきたのよ。 

 

いつかの時代、どこかの場所で今更正義の味方を気取ることなんて出来ないって。 

今日を生きるあなた達でなんとかなさい。

それに彼にはまだ生きて貰わないと困るしね」

 

フィーネはそれだけを伝えると彼女はすでに身体の殆どが粒子となって消滅し、調は誰にそれを伝えればいいのかが分かった。

 

「立花……響。

人絆…憑友。

だけど、彼はもう…」

 

「いつか未来に人が繋がれるなんて事は亡霊が語れるものではないわ。

それに私は彼に興味が有る。

…もう2度と会う事も無いでしょうね」

 

それだけを言うとフィーネが完全に消えさり、現実の世界では調の傷が完全に塞がっており、泣きじゃくる切歌は「目を開けてよ、調……」と小さく呟くと……。

 

「開いてるよ、切ちゃん」

 

「へっ? えっ、身体の、怪我が!」

 

「じー」

 

「調!!」

 

 

切歌は調が起き上がってくれたことが嬉しくてつい彼女に抱きつくが、だがどうして調が生き返ったのかが切歌は分からなかった。

そんな時、

 

「調…!」

 

「!聖希…!」

 

光聖希が近づいてきて、調は彼の愛称を言うと光聖希はそのまま調にハグした。

その時に、調は少し顔を真っ赤に染めた。

その時に闇呪怨も近くにいて、調が生き返った事に嬉しさがこみ上げてきていた。

 

「もう離さない!絶対に!

調がいない世界なんて…!」

 

「…ありがとう///。

でも、大丈夫だよ」

 

それを聞いた光聖希達は頭に?マークを浮かべ、首を傾げる。

すると調は、

 

「たぶん、フィーネに助けられた」

 

「フィーネが、デスか?」

 

そう言うと調は切歌と光聖希に抱きつき……。

 

「みんなが私を助けてくれている。 

だから切ちゃんの力も貸して欲しい。 

一緒にマリアを救おう」

 

「うん。 今度こそ調と一緒にみんなを助けるデスよ!……」

 

「ああ!俺は調が側にいてくれるだけで!百人力になってやる!」

 

「迎えに行こう。マリアを!零の兄貴を!」

 

それを聞いた皆は踏み進めようとしたその時だった!

 

 

ヴォォォォ……!

 

何処か遠くから怪物の様な声がしたので、その声がした方角をみようとした瞬間に、切歌達の上空を飛んでいった何かが素通りした。

 

何事かと行こうとしたが、

 

ドガァァァァァァァ!

 

『⁉︎』

 

「今のは…向こうからだ!」

 

今度は遺跡よりも違う場所から爆発音が聞こえた。

それを見た一同は急いでその場所へと向かって行った!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

一方、ブリッジでは泣き崩れるマリアに対し、ナスターシャは月遺跡の再起動を促していた……。

 

「無理よ、私の歌で世界を救うなんて!!」

 

『マリア、月の落下を食い止める最後のチャンスなんですよ!』

 

そこにウェルが現れ、マリアもそのことに気づいて立ち上がるが……ウェルはマリアを殴って押し退かす。

 

「きゃあ!?」

 

「月が落ちなきゃ、好き勝手できないだろーが!!」

 

『マリア!』

 

そこで通信でナスターシャの声が聞こえてウェルはナスターシャに「やっぱり余計なことをしていたのはあのおばはんか」と思い、呆れたような顔を浮かべる。

 

『聞きなさいドクターウェル。 

フロンティアの機動を使って収束したフォニックゲインを月へと照射し、バラルの呪詛を司る遺跡を再起動できれば月を元の軌道に戻せるのです!!』

 

「そんなに遺跡を動かせたいのなら! あんたが月に行ってくればいいだろ!!」

 

ウェルはそう叫びながらフロンティアのあるスイッチを押すとナスターシャのいる場所の遺跡が空へと飛びあがり、マリアは「マム!!」と彼女の名を呼ぶが彼女からの返事はなかった。

 

「有史以来、人類が数多の英雄が人類支配を成しえなかったのは人の数がその手に余るからだ!! 

だったら支配可能なまで減らせばいい、僕だからこそ気づいた必勝法!! 英雄に憧れる僕が英雄を越えてみせる!! 

うはははははは!!」

 

「っ、よくもマムを!!」

 

そこで遂にウェルに対する怒りを爆発させて槍のアームドギアを出現させるが……。

 

「手に掛けるのか!? この僕を殺すことは全人類を殺すことだぞ!!」

 

「殺す!!!!!」

 

結局ウェルの言葉はマリアに聞き入られず、マリアはウェルに向かって駆け出してウェルは悲鳴をあげるが……ウェルを庇うように響が現れて彼を庇う。

 

「そこをどけ、融合症例第一号!!」

 

「違う!! 私は立花響16歳!! 

融合症例なんかじゃない!! 

ただの立花響がマリアさんとお話したくてここにきている!!」

 

響はそう言い放つがマリアは「お前と話すことなどない!!」と言って彼女と話す気などさらさらなかった。

 

「マムがこの男に殺されたのだ!! 

ならば私もこいつを殺す!! 

世界を守れないのなら私も生きる意味は無い!!」

 

そう言い放ってマリアはアームドギアをウェルに向かって放つがそれを響は片手で掴み上げて受け止め、その手からは血が溢れているが……響は笑みを崩さなかった。

 

「意味なんて、あとから考えればいいじゃないですか! 

だから…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『生きるのを諦めないで!』」

 

すると響はガングニールを纏う時の「歌」を口ずさんだ…聖詠を。

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron…」

 

響の聖詠が…なんとマリアのガングニールを強制解除させ、辺りが光へと包まれる。

 

「何がおきているの? こんなことってありえない!! 

融合者は適合者ではありえないはず。 

これはあなたの歌? 胸の歌がしてみせたこと!? 

あなたの歌ってなに? なんなの!?」

 

同じころ、二課の戦艦の中のモニターでこの様子を伺っていた未来は……。

 

「行っちゃえ響!! ハートの、全部でぇ!!」

 

そして響は……マリアの問いに答えるかのように叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「撃槍・ガングニールだあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

そしてそんな激動が繰り広げられている中、

セレナはマリアがいるであろう場所へと向かって行く。

すると先程まで響が立ち止まった部屋へとやって来た。

 

そしてセレナは其処に眠りし者を見て、目を見開いた。

 

「零…レイなの…⁉︎」

 

それを見つけたセレナはそのまま零と呼ばれた男の子が入ったタールに触れた。

 

 

「やっと会えた…レイ…!」

 

それは生き別れてしまった恋人を想うような顔をしていた。

いや、セレナにとっては自分が愛した存在なのだ。

その存在とはもう2度と会えないと思っていたのが、此処に来て意識が無いけれども再会したのだ。泣かないはずは無いのである。

 

「やっぱりお前だったんだな」

 

「⁉︎」

 

すると突然、聞こえてきた声に後ろを振り返ると其処には零のパートナー『英雄』ギンジが其処にいた。

 

「ギンジさん。私…」

 

「おかえり」

 

「え?」

 

そうギンジが言うとなんといきなりギンジは土下座をしたのだ!

 

「今はマリアを頼む…

彼奴を止められるのはもう俺達では無理だ。

セレナ!お前がマリアを救ってくれ‼︎」

 

そう懇願してくるギンジ。

だが、セレナはそんな事は端からのつもりだ。

 

「私が必ずマリア姉さんを助ける…!

ギンジさん…レイの事をお願いします!」

 

そう言うとセレナは急いでマリアのいる方へと急いだ。

 

「…レイ。

お前の大切な人が…帰って来たぞ」

 

ーなら、俺も覚まさないとな…ー

 

「え?」

 

セレナと出会った事で、今…奇跡が起きようとしていた!

 

 

「(マリア姉さん…

私が必ず助けてあげるから!)」

 

 

ーーーーーーSIDEto⁇

…此処は…?

 

そうか…俺、完全に亡くなったんだ…

 

「そうだな」

 

…やっぱりあんたなんだな。神様。

 

「はぁ…

お前には期待していたんだけどな?」

 

「なら、なんで2年半前に探して欲しい石板を言ってくれなかったんですか?」

 

「簡潔に述べると、お前を蘇らせる程の量を持つ『英雄石板』が存在していなかっただけだ」

 

あ、そうですか…ちっ。

 

「今、舌打ちしたよな?」

 

「さぁ?」

 

「…まぁ良い。さっさと来い。お前を今から…な⁉︎」

 

?如何した…⁈

 

ザバァァンッ‼︎

 

な、な、波⁈なんで〜⁉︎

 

 

 

ーーーーーーSIDEto⁇

くそっ。まさか、憑友を連れて行かれるとは…

しかし、何故彼奴が…?

 

「随分とやられたものだな?」

 

「思いきりな」

 

まさか憑友を無理やり連れて行くとはな…

 

だが、この先に待ち受けるのは希望か、絶望か。

ふっ…楽しみになってきやがったな。

 

「全く…お前はそれでも一介の神だぞ?

楽しんで如何する⁈」

 

「そんなの俺の勝手さ」

 

「な⁉︎」

 

ふっ。派手に暴れて行けよ…人絆憑友。

 

「…だけど、リセットまでして良いのかよって話だな…ったく」

 

余計な書類整理しないといけなくなっちまったな…ったく。

 

あまり無茶すんじゃないぞ!

 

ーーーーーーSIDEto憑友

 

あ痛たたた…。

 

波に飲み込まれて…

なんで、俺がこんな所に…

 

 

 

 

 

 

「まさか、私がお前を救うとはな…」

 

 

「この声…⁉︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…フィーネ⁉︎」

 

なんでお前が此処にいるんだ⁈




次回

『槍』と『拳』〜ガングニールシスター〜

それは絶望の始まり?
いや、希望と言う名の連続花火…


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#33 『槍』と『拳』〜ガングニールシスター〜

いよいよ今回からアニメ最終回部分です。
それと同時にオリジナル展開多数有りです。

感想と活動報告の方、お願いします。


「ガングニールの……適合だと!?」

 

マリアのガングニールは響のものへと変わったことにマリアは驚きを隠せず、目を見開いていた。

 

それを見たウェルは「このままでは自分の計画が台無しになってしまう」と危機感を抱き、ウェルは情けない悲鳴をあげながら急いで階段を下って響とマリアから離れようとするがその途中に足を滑らせてしまい、階段を転がって下の床へと倒れこむ。

 

「こんなところで……こんな、ところで! 終われるものかあああああああ!!!!!」

 

ウェルはその場の床に左手を叩きつけるようにして手を置くと床に穴が空き、丁度そこに緒川と弦十郎が駆けつけたがウェルはその穴を通ってどこかへと行ってしまった。

 

「ウェル博士!! くっ、間に合わなかったか」

 

「響さん! そのシンフォギアは?」

 

緒川が失った筈の響がガングニールを纏っていることを疑問に思い、そう問いかけると響は「マリアさんのガングニールが、私の歌に応えてくれたんです!!」と返し、その直後に響は倒れそうになったマリアを支える。

 

そんな時、フロンティアが突然上昇を始めて宙へと舞い上がり、マリアは「今のウェルは左腕をフロンティアと繋げることで意のままに制御できる」と響に説明し、一方そのウェルはフロンティアの壁を触りながらとある場所に向かって歩いていた。

 

「ソロモンの杖がもうなくとも、僕にはまだフロンティアがある……」

 

 

場所は戻り、響達のいる場所ではマリアがフロンティアを止める方法を響達に教えており、その方法とはマリア曰く「フロンティアの動力はネフィリムの心臓。 それを停止させればウェルの暴挙もフロンティアの動きも止められる」とのことだった。

 

「……お願い、戦う資格のない私に変わって……お願い……!」

 

膝を突きながら頭を下げてそう響に頼むマリア、すると響は「調ちゃんや光聖君にも頼まれてるんだ」とマリアに声をかけ、マリアは少し「えっ?」とでも言いたそうな表情を浮かべる。

 

「マリアさんを助けてって! だから、心配しないで!」

 

マリアは顔をあげるとそこには自信に満ちた笑顔を浮かべている響がおり、その時弦十郎が床を殴って床に巨大な穴を開ける音が聞こえた。

 

「師匠!」

 

「ウェル博士の追跡は、俺たちに任せろ!! だから響くんは……」

 

「ネフィリムの心臓を止めます!!」

 

笑顔でガッツポーズを決める響、そんな時だった。

 

 

ドガァァァァァ!

 

 

『⁉︎』

 

突然の爆発音に、ブリッジにいた全員が驚く。

すると弦十郎の端末から連絡が入ってきた。

弦十郎は「如何した⁉︎」と言うと、通信してきた相手…牧藁が普段の彼女とは思えないような慌てぶりを見せていた。

 

『た、た、た、大変です〜⁉︎』

 

「少しは落ち着け!俺よりも階級が上の君がパニックになったら、元も子もないぞ!」

 

『そ、そうでした…!

すぅ〜はぁ〜…!

大変です!

フロンティア中央部にて、謎の未確認反応を感知!その数、20!

それに伴って、奏ちゃんがたった1人で応戦しています!』

 

「なんだと⁉︎」

 

それを聞いた響は弦十郎に顔を向けた。其処にはすぐにでも助けにいける覚悟をした目をしていた。

 

「…奏の事を頼む!」

 

「勿論です!」

 

響は笑顔を見せてウィンクした後にサムズアップし、それを見た弦十郎と緒川は床の穴の中へ、響とはネフィリムの心臓があるという場所からフロンティア中央部へと向かって行くことになった。

 

「待ってて! ちょーっと行ってくるから!」

 

それだけを言い残してブリッジから外へと出るとシンフォギアを纏っている翼とクリス、変身を解いているロックと霊風達と合流を果たし4人の元へと駆けつける。

 

「翼さん!! クリスちゃん!! ロックさん!霊風さん!!」

 

「立花!」

 

「もう遅れはとりません!! だから……!」

 

そこで翼は響が言いきる前に彼女は頷き、「あぁ、一緒に戦うぞ!!」と響に声をかけ、響は「はい!!」と勢いのある返事を翼に返した。

 

その時、響はクリスがソロモンの杖を持っていることに気づき、響はクリスの両手を握りしめる。

 

「やったねクリスちゃん!! きっと取り戻して帰ってくると信じてたよ!!」

 

「お、おう、ったりめーだ!!」

 

「流石は俺の妹だな」

 

「ったく、お前相当のシスコンだな?」

 

 

「?シスコンとはなんだ?」

 

「あ、そうだった。こいつ知らなくて良い奴は本当に知らなかったんだ…」

 

クリスの頭に手を置いてワシャワシャと彼女の頭を撫でるロック、そんなロックに霊風は呆れつつどこか嬉しそうな声で「全く……」と言った態度で言うがロックの耳には聞こえてはいたものの、理解していない事に頭を抑えてしまっていた。そして未だにクリスの頭を撫でていた。

 

「ええい、何時まで撫でてんだよ!?////」

 

「?嫌だったか?」

 

心底残念そうな顔をするロックだが、「今こんなことやってる場合じゃねえだろ!!」という正論でロックは黙り込むことになった。

 

そこに丁度弦十郎からの通信が入り、オペレーター達がネフィリムの心臓部分がどこにあるか突きとめたことをロック達に報告した。そして弦十郎達はネフィリムの心臓があるという場所へと急いで行くことにし、翼達には奏の応援を要請した。

 

「行くぞ!! この場に槍と弓、そして……剣を携えているのは私たちだけだ!!」

 

「んっ? あれ?「俺達は?」」

 

『忘れられているな』 『ドンマイ♪』

 

クリスが弓、響が槍、翼が剣で例えられるのなら自分達はなんなのだろうかと思う霊風とロック、しかしそんな2人の疑問は翼は華麗にスルー、無論こんな状況なので霊風とロックも特に追及することはなかった。

だが、2人のアイテムであり、相棒のソウルとスピリットからのダメ押しは流石にきつかったのは此処だけの話だった。

 

するというそんな彼等の所に「おーい」と言う声が聞こえて来たので、振り向くと其処には先ほど共に共闘した宇宙人、

 

ガルムとマグナが駆けつけて来た。

 

「ガルム?それにマグナ?

なんでお前らが此処に?」

 

「それよりもほらよ」

 

そう言いながらガルムは4枚のカードを手渡してきた。

それを見たロック達は驚いていた。

それは先の戦闘で反応がロストした筈の自分達の仲間の『英雄』

 

士郎,セイバー,ヴィヴィオ,そしてなのはのカードだった!

 

「吹き飛ばされる前に回収して置いたんだよ!

俺達だって『英雄』の一人だ!

仲間の『英雄』ぐらい助けてやんねぇとな!」

 

「ガルムさん…マグナさん…ありがとうございます!」

 

 

響はそうお礼を言うと、ガルムはロックの手を持ち、

マグナは逆に霊風の手を取ると、そのまま2人はカードになった!

 

「俺達も手伝ってやる!」

 

「このヒヨッコがお前さん等の事が気に入ったらしくてな」

 

「それを言うならガルムのおっさんだって!」

 

「口答えすんじゃねぇ!」

 

「…こんなので良いのか?」

 

「大丈夫大丈夫。どうせいつもの事だから」

 

そう言いながら、ガルムとマグナはカードになってもやはり口喧嘩を起こしていて、ロックは止めなくても良いのかと言うと霊風はスルーしておけとも言わんばかりの態度で2人の事をスルーし、そして霊風はマグナのカードを、ロックはガルムのカードを其々のアブソーバーに装填、そしてレバーを引いた!

 

ースピリット!フォーム、マグナ!ー

 

ーソウル!フォーム、ガルム!ー

 

するとアブソーバーから先程の2人が現れるや、それを2人は纏った!

 

ー熱血、サーベル!紅きバーサク!ー

 

ー2丁拳銃、ビーム・スナイパー!ー

 

そして2人は翼達の方を向くと、翼達は頷き、響はガルムによって戻ってきた4人のカードをケースに戻す。

そして5人は奏のいる場所を目指すが……その様子はネフィリムの心臓部のある場所に来ていたウェルにモニターから見られていた。

 

「人ん家の庭を走り廻す野良猫めぇ! フロンティアを喰らって同化したネフィリムの力を、思い知るが良い!!!!!」

 

すると5人の前にあった地面が突然膨らみ始め、やがてそれは巨大な怪獣のような姿でどことなくネフィリムに似た……というよりもフロンティアが生み出した新たなネフィリムが現れた。

 

「どことなくゼットンに似てるような気が…うーん。でも『No.96 ブラック・ミスト』にも似てなくもないし……」

 

「?ゼットン?ブラック・ミスト?」

 

「ああ、いや何でもない…こっちの話」

 

霊風がそんなことを呟き、それを聞いたロックが疑問に感じたが、霊風は忘れてくれとでも言うかのように促してきたので、ロックは首を傾げていた。そんな中で、ネフィリムは気にせず背中からミサイルのようなものを放ち、霊風達は一斉に飛び退いてミサイル攻撃を避けた。

 

「あの敵!! 自律的完全聖遺物なのか!?」

 

「にしては張り切りすぎだ!!」

 

そこにネフィリムの放った火球がクリスに当たりそうになるが、ガルムに扮したロックが2丁拳銃の内、長身銃の方を構えてビームを発射させる技"ホークアイショット"でクリスに向かって行った火球をかき消し、ロックはクリスの前へと着地する。

 

「大丈夫か?」

 

「えっ……////あ、あぁ……」

 

「なんか何時もに増してカッコいい気がするな、ロック義兄…」とか思っていたクリスだが、それってぶっちゃけロックがイケメンだからそう見えるだけなのでは……と思えて仕方がない。

 

「ランデブーは後にしてくれよ!こっちは急いでんだ!」

 

と、霊風がそう言ってきたので、クリスは反論するが、顔が真っ赤にしていたので説得力は皆無なのは此処だけの話で、

そして霊風の言った「ランデブー」と言う言葉を聞いたロックは首を傾げていたのはこの際どうでも良い話。

…と言うより、ロック…あんた朴念仁ですか?

少しは義妹の動揺で察してくれませんか?

 

そう思っていたら、霊風が「さっさと片付けさせて奏の所へ行かせて貰うぜ!!」と言うと、

 

マグナに扮した霊風は右腕に装着されたサーベルで勢い良く貫く技"スティンガーサーベル"でネフィリムに攻撃を仕掛ける!

だが、ネフィリムの皮膚は以前とは比べ物にならないぐらいに頑丈になっていた!

一旦、体勢を立て直そうとしたその時だった。

 

カジャァア!

 

「うわぁ‼︎」

 

「⁉︎奏!」

 

突然、天井が吹き飛び、其処から奏が落ちてきたのだ!

それを見た霊風は己の俊敏力で華麗に奏をキャッチすると、皆の所まで瞬時に戻ってきた。

「何があったんだ⁉︎」と霊風が言うと、先程の天井の所に騎士や兵士、ソルジャーのような格好をしたノイズが少なくても30体が其処にいた!

それを見た霊風はそれに驚かされた!

 

「あれは…オーディーン⁉︎いや、オーディーンだけじゃない!

ハカイオー,フェンリル,パンドラ,アキレス(D9),ミネルバ,リュウビにジャンヌDだと⁉︎」

 

それを聞いたメンバーは首を傾げるが、響が持っていた憑友のカードケースとロックのカードケースから其々1枚のカードが具現化して驚愕した…

 

「バン君⁉︎それにみんなも!」

 

『英雄』の1人にして【秒殺の皇帝】と呼ばれる青年・ジンがそう叫ぶ。

そしてそれを見たロックの元に就く『英雄』の1人、【箱の中の魔術師】ダイキは何処からとも無くタロットカードを取り出した。

其処には悪魔のイラストが描かれていた。

 

「『悪魔(デビル)』の正位置。

意味は…邪心,束縛,そして…堕落」

 

そうしていると今度は鎧を纏った戦士が8人(うち3人は顔が出ている)と、黄色髪の長刀を持った少女と黒髪ストレートでタブレットの様なものを持っている少女,白髪ショートの少女と金髪ショートで逆手持ち二刀流を持つ少女達が現れたのだ!

 

それに気付いたのか、響とロックのカードケースから其々、

 

黒鉄一輝,司波達也,カナタ・エイジにユーリ・フロストル,黒曜イズナ,そしてキリトが現れた。

 

キリトは響が憑友との別れの際に響に手渡されていた。そしてその直後に憑友は灰燼と化したのだ。

 

そして4人の少女達を見た皆は其々の名を言った。

 

「やめてくれ!スグ!」

 

「おい、馬鹿なことは止めろ!白銀レッカ!」

 

「深雪!」

 

「レクティ!」「レクティさん!」

 

「元に戻ってくれ!珠雫(しずく)!」

 

それは自分達の知っている存在だったのだ。

しかし、彼女達はおろか、彼等の耳には声すら聞こえてはいない。

何故なら、彼等は既にネフィリムによって捕食されていた者達だったから。

 

するとネフィリムの咆哮と共に、一斉に攻撃を開始し始めた!

 

その内の一体…左腕に獅子の顔を模した盾を持った奴は何処か違う方へと向かって行った!それは先程響がやって来たブリッジへの道だった!

それに気付いたロックは行かせないと言わんばかりに弓を用いて動きを封じようとしたが、すぐにその場から後退する。

すると先程までいた場所を矢が真横から通り過ぎた。

それを見たロックは横に視線を移すと、其処には一角獣を模した弓を携えた青年が矢を放った行動をしていた。

 

すると其処から無数の攻撃が響達に襲いかかってきたのだ!

其処から防戦一方になる二課の面々。

そうしていると響がなんと足元を掬われ、そのまま尻餅をつきながら倒れてしまう。

そして其処を槍を携えた戦士が突き刺そうとした!

 

絶対絶命の時だった!

 

「はぁぁぁぁあ!」

 

 

ガキィン!

 

「!」

 

槍を携えていた戦士の槍の攻撃を誰かが受け流した!

響は視線を見ると其処には赤い槍が見え、そのまま視線を泳がせると、其処には奏が立っていた!

 

「奏!」「奏さん!」

 

 

「へへっ…待たせて済まないな」

 

そう言いながら、もう片方の黄色の槍で立ち上がる奏。しかし、その黄色の槍は既に半身に罅が入っていた。

この騒動の際に罅が入ってしまっていたのだ。

 

「大丈夫か⁉︎奏!」

 

そう言いながら霊風は奏を支える。

奏は首を縦に振る。そして奏は胸のペンダントにいる存在『オディナ』と話をした。

 

「オディナ…ごめんな。黄色の槍…こんなにもボロボロにしてしまって」

 

『別に構わない。私はマスターの為に動いているのだ。

マスターの槍としてとても有意義に過ごせたのだ。

…奏。私の言いたい事は分かるか?』

 

「ああ…なんと無くな」

 

それを聞いたオディナは『ならばやってくれ!』と言うと奏は両手で黄色の槍を持つと、そのまま膝に向けて振り下ろしそして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バキィィッ‼︎

 

 

『‼︎』

 

「奏…お前…」

 

「今はこの方が良いんだ…だよな?オディナ」

 

『その通りです。

私は…いや、私達には心強い存在がいると言う事を!』

 

 

それを聞いた皆、すると天井から声が聞こえてきたので、振り返ると其処には切歌や調、陰陽兄弟…『F.I.S.』の子供達が駆けつけてきたのだ!

 

それを見た皆の士気は高まり、反撃に撃って出た!

 

「響ちゃん!」

 

「?奏さん?」

 

すると奏は響を止め、響は奏に視線をやる。

 

 

「私とのライブ…一緒に歌ってくれないか?」

 

それは奏からのオファーだった!

その問いに対し、響は…

 

 

「はい!」

 

そう元気よく頷いた。それを見た奏は響の頭に手を置き、そして一本になってしまった槍を携えた!

それに合わせるかのように、響は徒手空拳の構えをとった!

 

そして2人は歌い合わせた…先程の翼と霊風のように。

 

(挿入歌『私ト云ウ音響キソノ先ニ』悠木碧&高山みなみver.)

 

そうすると奏の槍と響の拳がまるで阿吽の呼吸のように動き始めた!

まるで2人の思考が分かっているのか、その攻撃で戦士達を相手に優勢に動き出した!

するとネフィリムが先程とは違う咆哮で叫ぶとなんと地面からノイズが現れたのだ!

だが、響と奏の前にノイズ達はあっという間に殲滅されていく…!

それを見た翼は「私達も負けてられないな!」と言って、皆を引き連れながら、戦士達を相手に戦いを仕掛けていくのであった…!

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ブリッジにいたマリアはこの悲劇を前に涙ぐんでいた。

 

ーーーーーーSIDEtoマリア

 

「私では……なにもできやしない。 

セレナの歌を、セレナを……無駄なものにしてしまう……」

 

そう呟き、涙ぐむ私……

私のやって来た事は無駄だったと言う事なのね…情けないわ。

そんな時だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マリア姉さん」

 

 

私を呼ぶ声が聞こえ、顔をあげると……そこにはセレナがいた。

 

そうか…これは夢なんだ…

もう私は今の現状から離れても良いんだ…

 

「マリア姉さん?」

 

此処にいるのはセレナなの?

それとも私を嵌める為の偽物なの?

 

…如何でも良くなってきた。

 

「…」

 

そう思っていたら、セレナが私の肩に手を置いて、右手を平手にしてそして…

 

 

「目を覚ましなさいよ!

 

 

 

 

 

 

駄目駄目マリア姉さん‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

パシンッ‼︎

 

「痛ッ⁉︎」

 

へ?夢じゃない…?

じゃ、じゃあ…

 

「目が覚めた?私の事ばかり考えている

ドが付く程のシスコンのマリア()()()

 

本当に貴方なの…セレナ…!

 

その事に私は目を仰天させていた。




と言う訳で今回登場した戦士達は既にネフィリムによって捕食されてしまった『英雄』で、《闇堕ち》した状態と同等の実力を持っている。

そして今回登場した作品は、

『ソードアート・オンライン』リーファ
『魔法科高校の劣等生』司波深雪
『空戦魔導師候補生の教官』レクティ・アイゼナッハ
『落第騎士の英雄譚』黒鉄珠雫

その他の人達も其れなりのヒントを出しています。

次回

女神の『盾』

その身に宿す力で、護りたい者達を護れ…セレナ!

…あれ?何故かガンダムSEEDっぽいけど気のせい?


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#34 女神の『盾』

遂に彼女が立ち上がる…!
そしてそれと同時に、ある者も動き出す…!

共に大切な者を守る為に…!


ーーーーーーNO SIDE

涙ぐむマリア……だがそんな時、「マリア姉さん」と彼女を呼ぶ声が聞こえ、マリアは顔をあげると……そこにはセレナがいた。

 

「マリア姉さんが、やりたいことはなに?」

 

「っ……歌で、世界を救いたい。 

月の落下がもたらす最悪からみんなを助けたい」

 

するとセレナはマリアへと寄り添い、静かに彼女の手をとって握り締める。

 

「生まれたままの感情を、隠さないで?」

 

「セレナ……」

 

「私は此処にいる。マリア姉さんは私の大事な…

大事なお姉ちゃんなの…だから、

マリア姉さんのやりたい事…私はそれを支えるよ」

 

セレナはマリアにその言葉を伝えた後、静かに「Apple」という「歌」を口ずさみ、それを聞いたマリアもセレナの後を続けて歌を口ずさむと2人の周りに光が渦巻き、また彼女達の「歌」を聞いた人々の身体からも光が溢れだした。

 

 

ーーーーーー

 

同じころ、ウェルによって月へと飛ばされたナスターシャはというと……彼女は変形した車椅子を身体に纏い、自分に降り注いでいた瓦礫を払いのけて脱出し、マリアとセレナの歌によって世界中の人々のフォニックゲインが集まっていることに気づく。

 

「フロンティアを経由してここに収束している。 

これだけのフォニックゲインを照射すれば月の遺跡を再起動させ、月の公転軌道修正も可能……」

 

そしてナスターシャはフロンティアのブリッジにいるマリアに通信で話しかけ、マリアはナスターシャの声を聞いて驚く。

 

「マム!!」

 

『あなたの歌に世界が共鳴しています。 

これだけフォニックゲインが高まれば月の遺跡を可動させるには十分です。 月は私が責任を持って止めます。 

もう何もあなたを縛るものはありません。 

行きなさいマリア、行って私にあなたの歌を聴かせなさい』

 

「マム……」

 

そしてナスターシャは近くにいたセレナに向けて話を始めた。

 

『セレナ。貴方には辛い思いをしてしまいました。

あの時、私はマリアを救うだけで精一杯でした。

本当にすみません。

これからは貴方がマリアを支えて下さい』

 

「マム…

マリア姉さんを助けてくれてありがとう。

貴方の思い、無駄にはしない!」

 

それは、ナスターシャとはもう二度と会えないことを意味しており、それが分かったマリアとセレナは自分の口元を押さえて涙を流した……だが、マリアはすぐに決意に満ちた表情を浮かべて見せた。

 

「OK、マム!」

 

そしてマリアは涙を拭いさり、宣言する……。

 

「世界最高のステージの幕を開けましょう!!!!!」

 

 

 

そうしていると、何処からか爆発が起こり、それに気付いた2人は警戒した。

 

そしてその爆発から煙が起こり、そして其処には先程響達の元からこの場へとやって来たネフィリムによって堕とされた戦士がやって来たのだ!

それに気付いたマリアはセレナを庇おうとするが、その手をセレナは払い除けたのだ!

 

「セレナ⁉︎」

 

「マリア姉さん。私は戦うよ。

今度こそ誰1人も欠ける事なく…皆んなを救ってみせる!

 

私の歌は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()だから!」

 

 

そう言うとセレナは口ずさんだ…義理の母…ジャンヌから託された聖遺物の聖詠を…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「protecs aigis wel raizen tron…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

するとセレナの周りをシンフォギアの変身の際に発生するエネルギーバリアが展開され始めた!

そしてバリア()が消えると其処には、

 

両腕に半分に割れた盾らしき物を装着させたセレナが其処にいた。

 

誰かを守る為に生まれた『生粋の防御型』シンフォギア…

 

 

【アイギス】を纏ったセレナが立っていた!

 

「貴方の拳…私には絶対に届かない!

私の盾は、守る事に特化した盾なんだから‼︎」

 

 

 

ーーーーーー

一方、ナスターシャは月に存在する遺跡にて月の軌道修正を終えていた。

 

「後は、あの子達の今後ですね…」

 

するとナスターシャは制御盤を用いて、とある者の電話番号らしき物をタッチすると、そのまま通信を行った。

 

ーprrrrr…prrrrr…prrrrr…!ー

 

『もしもし?如何したの?』

 

「貴方に用があって連絡しました」

 

それを聞いた通信相手はナスターシャと話をし始めたのだった。

 

ーーーーーー

場所は戻り、フロンティアはブリッジ。

其処では今、セレナが盾を持つ戦士と相対していた!

 

(挿入歌『on my way』堀江由衣)

 

セレナは歌を歌いながら、盾持ち戦士と激突を繰り広げていた!

盾持ち戦士はまるでプロボクサーのような構えをしながら、全身の鎧でセレナへ向けてパンチを繰り出す!

しかし、セレナは両手についてる盾を使ってその攻撃を防ぐ!

しかし戦士の方は其処から更にラッシュを仕掛けてきた!

それに気付いたセレナはすかさず両手の盾を合体させて1つの大盾を作った!

 

"PARADIN ガーター"

 

その防御力を前に、盾持ちの戦士の攻撃は悉く防ぐ!

 

だが、戦士は何か閃いたのか、即座にバックステップを取ると、足のバネでなんと一気に間合いを詰めて強烈なパンチをお見舞いしたのだ!

その一撃でセレナの防御が簡単に崩れ、それによりセレナは体勢が崩れ、そしてその隙を戦士によって殴られた!

それを見たマリアは「セレナ!」と叫んだ。

 

しかし、セレナは戦士の猛攻で苦戦を強いられていた。

 

戦士の猛攻は尋常じゃないレベルの領域にまで発展し始めた!

 

「やめて!セレナにこれ以上しないで!」

 

マリアの声が響くが、そんなのは戦士の耳には届かなかった。

猛攻を前に、セレナは立ち上がるように這い上がようとしたが、

戦士はそのままセレナを踏み潰した!

 

それを見たマリアが戦士の所に向かって、「セレナから離れなさい」と言うが、戦士は盾がついた方の左手でマリアを殴ったのだ!

それを見たセレナは「マリア姉さん‼︎」と心配した。

すると戦士はトドメを刺すかのように、盾を拳に装着した。

その拳骨部分には獅子を模した盾が付いており、それをセレナに当てようとした。

 

「!セレナーーーーーー‼︎」

 

「(もうダメなの…?

嫌だ…死にたくない…!

折角、マリア姉さんと…零に会えたのに…!

此処で死にたくない!

誰か…助けて…

 

 

 

 

助けて…零ーーーー‼︎)」

 

セレナは心の中でそう叫んだ。

セレナの想いは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシッ‼︎

 

「⁉︎」

 

「!…嘘…⁉︎」

 

「(…襲って…来ない…なんで?)」

 

そう言うとセレナは恐る恐る目を開けた。

其処には盾を構えた戦士の動きが止まっており、

セレナとその盾の間には手があり、それを片手で受け止めていたのだ!

そしてセレナはその手の先を見て驚愕した…

それはセレナが愛した男…

 

 

 

 

「零……? レイ!」

 

 

無頼零が其処にいたのだった!

 

 

「随分と俺の彼女を可愛がってくれたな…

 

その対価…覚悟を持って償え‼︎」

 




【アイギス】

セレナが新しく見に纏う『生粋の防御』型シンフォギア。
その盾の護りは本気を出せば城壁の如き堅さを誇る…!

次回

蘇る『無の魂』

無頼零…守るべき者達を守る為に、その身を無に帰す…!


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#35 蘇る『無の魂』

此処から奇跡は始まる…!


「零!」

 

セレナは叫んだ。自分の大切な存在が今、目の前で過去の自分と同じように、自分を助けてくれた事に。

そして戦士の拳を振り払い、すかさず零は蹴りを戦士にお見舞いさせた。

その攻撃で戦士は吹き飛び、そのまま壁に激突したのだ!

つい先程までタール漬けにされていた者とは思えないその筋力にマリアは驚かされていた。

そうしていると零と呼ばれた青年はセレナに優しく抱き締めた。

 

「ごめんな、セレナ。

君を不幸な目に遭わせてしまって…」

 

自分の大切な者を不幸な目に遭わせた後悔。

それを謝罪する零。しかし、彼女は零を抱き締め返し、「ううん。私こそ」と言いながら、セレナは話した。

 

「本当はついさっきまで記憶喪失で、自分の本当の名前以外忘れていたの。貴方が謝る事じゃない。私がちゃんとしていたら、こんな事にならなかったのに…!」

 

そう言いながらセレナは零の肩の上で涙を流し始めた。

それに気付いた零はその涙を拭いた。

 

「これからは俺がお前の事を必ず守ってみせる…!」

 

「零…!」

 

2人の再会を見ていたマリアは密かに嬉し涙を流していた。

彼女にとって、かけがえのない存在が今ここに居て、蘇ったのだから。

そうしていると、先程壁にぶつけられていた戦士が立ち上がり、咆哮を飛ばしてきた。

それに気付いたセレナとマリアは警戒する。

するとその2人の前を零が立った。

 

「俺の彼女と仲間を可愛いがってくれた事…

 

 

覚悟と言う名の対価で払って貰うぞ!

『英雄』の1人、【レオのボーンファイター】ギルバート!」

 

そう言うと零はその戦士の真名…ギルバートの名を当てるなり、

懐から霊風達と同じアイテム…マルチアブソーバーを取り出した!

 

「行くぞホロウ!」

 

『久方ぶりの変身、しかも相当のブランクで大丈夫なのか?』

 

「心配するな!俺には大事な者がいるんだ…!負ける訳にはいかないんだ!」

 

『…ふっ。ならさっさと終わらせるぞ!』

 

「ああ!」

 

そう言うと零はホロウと呼ばれたアブソーバーを左腕に装着させ、そして右腰に付いてるカードケースから1枚のカードを取り出した。

其処には歯車の形をした物を背中に背負った戦士が描かれていた。

 

そうするとそのカードをそのままアブソーバーに装填し、そして…

 

レバーが引いた。

 

「変身‼︎」

 

ーホロウ!フォーム、ムニキス!ー

 

するとアブソーバーから先程のイラストと同じ戦士の魂が現れ、零はそのまま纏った!

 

ー無に帰す魂、私が紡ぐ!ー

 

其処にいたのは、背中にギアを背負い、

頑丈な銀のプロテクターを纏った戦士…

 

《無魂導師》ホロウに変身した零が其処にいた。

 

「これが俺の力だ。行くぞ!」

 

そう言うと零は背中から斧の形をした武器《ホロウアックス》を取り出した。

 

そしてそれを見た《闇堕ち》戦士…ギルバートは攻撃を仕掛ける!

だが、その攻撃は全て斧で相殺された!

相手は拳で攻撃をして来ているので、身動きが速い。

なのに零は、その全ての攻撃を斧で相殺しているのだ。斧は普段は動きが遅い武器の1つであり、全ての攻撃を相殺する事はほぼ不可能である。

だが、その全ての攻撃を無頼零(この男)はやっているのだ…。

驚かない方が可笑しいのである。

 

「はぁぁぁぁあ!」

 

そう言うと零はその斧を地面に付け、そのまま地面を這わせた!

すると其処から衝撃波が発生し、ギルバートを襲った!

 

"魔神衝波"

 

ルドガーやジュード達『テイルズ』シリーズの作品のキャラのほとんどが覚える技"魔神剣"の拡大版であった…!

 

更に零は斧を持ち、手元のグリップを回した。

すると斧からハンマーへと変化したのだ!

 

すると其処からアッパー、フック、叩きつけの連続攻撃を仕掛ける…!

それを受けた事で悶えるギルバート。

 

すると零はカードケースから1枚のカードを取り出した。

そこには、今まで自分達の事を見てくれていたギンジが描かれていた。

 

「俺のパートナー『英雄』…受けやがれ!」

 

そう言うと零はそのカードをアブソーバーに装填、そしてレバーを引いた!

 

ーホロウ!フォーム、ギンジ!ー

 

するとアブソーバーからギンジが己の斧型のドライバ(武器)『ヤシャヒメ』を携えて、そして宙を舞う。零はそのままギンジの着地点に立つと、ギンジは魂となり、そのまま零に纏った!

 

ー聖なる扉!無の英雄!ー

 

そして現れたのは、ギンジの姿をした零その者であった!

すると零はすかさず斧型ドライバ『ヤシャヒメ』を担ぎ、そして1回薙ぎ払う…!

 

すると其処から銀色のエネルギー弾が発生し、そのまま戦士・ギルバートにダイレクトに決まったのだ!

 

 

「一気に決めてやるぞ!」

 

そう言うと零はアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『ホロウ・ギンジ!フルドライブ!』

 

「はぁぁぁぁあ…!」

 

そう気迫の籠もった声を発しながら、斧を頭の上まで持ってきて振り回した!

 

数回振り回したと同時に、そのまま縦斬りをした!

 

「"ストラグル…ヴェイン"‼︎」

 

零はギンジの技"ストラグル・ヴェイン"を放ち、ギルバートはそのままダメージを負った。そしてそのまま地面に倒れると同時に、光となって散り、そして倒れた場所にはギルバートのカードが置かれていた。

それを取った零はカードケースに入れた。

 

やり遂げた感覚に満足する零は変身を解除した。

そしたらセレナがいきなり後ろから抱き付かれて、零は慌てて足元を崩しかねなかったが、なんとか踏み止まった。

だが、あと1歩動けば先程ウェルが落ちた穴へと真っ逆さまだったのは間違いなく、

それに気付いたセレナは慌てて後ろに下がって、深く反省していたが、零はセレナの頭を撫でるなり、いきなりまた抱きついたのだ!

 

「遅くなって、ごめん…

今度は絶対に離さないから…!」

 

それを聞いたセレナは「私だって、ごめんなさい! もう少し早く気付けば…」と此方も謝罪をして来たので、「(どっちもどっちなのよね。まぁ、それが良いんだけど)」とマリアがそう心の中で呟いたのは言うまでも無かった。

 

ーーーーーー

数分前、二課の方ではセレナのシンフォギアと、零の《精魂導師》の反応を感知した。

 

「アウフヴァッヘン波形、並びに《精魂導師》の反応を感知!」

 

「照合パターン検知!」

 

そうするとホログラム映像からは

【Aigis】と書かれていた。

 

「アイギス…女神の盾⁈」

 

「更に《精魂導師》の反応では…『無』?

『無』のエネルギー反応って…あるんですか?」

 

「ゲームで言うところの"属性の有利不利が無い属性"と言う意味での『無』だと思ってくれた方が良いわ。

と言う事は、この《精魂導師》は《無魂導師》と呼ぶのね。

私達の敵でなければ良いんだけど…」

 

そう思って欲しいと二課の誰もがそう思っているのだが、はっきり言っておこう…

安心して下さい…敵では無いですよ。

 

ーーーーーー

 

そんな中で、零は違和感を感じていた。

 

実は零が戦った『英雄』は心当たりがあったのだ。

 

それは自分が今の状態になる前…そう6年前のある日だった。

 

実は零は憑友達よりも前に『英雄石板』と言う存在を知っていた。

その為、憑友達よりも多くの『英雄』達を見つけたのだが、

零は自分のカードケースの中を見たが、手元にいたのは全体の10分の6(とどのつまり、半分ちょい)あたる…25枚(内1枚は自分の基本形態用のカードで、内1枚は先程のギルバートのカード、そして内1枚は自分のパートナー『英雄』ギンジ)しかなかった。

 

其処で零はふとカードケースの中を見てみると、

 

「無い…!

バン達【LBXプレイヤー】達に、

レッカ達【ガイストクラッシャー】、

翔吾達【ボーンファイター】のカードが存在しない…!

いや、それだけじゃ無い…!

リーファ,珠雫,レクティ,深雪のカードも存在しない…!

…⁈」

 

そうしていると零の肩に何か重みが感じ、肩の方に顔を見ると其処には手が置かれており、その先の方まで振り向くと、其処にはニコニコ笑顔(絶対に怒ってる顔)をしていたセレナがいた。

 

それを見た零は青ざめた。間違いなく殺されると。

 

「セレナ。

零が言ったのは全員『英雄』達の事よ」

 

しかし、其処にマリアが助け舟を出したことで、セレナは先程までのニコニコ笑顔が無くなって、ちょっと吃驚していた。

そして零は逆に助かったとマリアに向けて心の中でそう呟いていたのは言うまでも無い。そうしていると、

 

 

 

ドガァァァ‼︎

 

「なんだ⁉︎今の爆発は⁉︎」

 

突然の爆発に3人は驚く。

するとブリッジの所から突然、竜の顔が現れた。

それを見た零とマリアは吃驚するが、セレナは逆に冷静に対応した。

何せ、自分を此処まで連れてきた頼れる存在だから。

 

「レイアさん!」

 

「〔乗って!響ちゃん達を助けて!〕」

 

竜の言葉を聞いた2人は驚くが、セレナは躊躇いも無く、2人の手を握ると、そのままレイアの背中に向かって走り、そしてジャンプした!

それにより、2人はセレナによって無理やりレイアの背中に落っこちた。

 

「飛ばせますか⁈」

 

「〔問題無いわ!〕」

 

そう言ってレイアが飛翔しようとしたその時だった。

 

「〔俺を忘れるとは良い度胸だな?零!〕」

 

「⁉︎この声は…!」

 

するとセレナ達の元に一匹の竜が空から落ちてきた!

まるで虎の模様にも似た皮膚と鱗、剛力な爪を生やした翼が生えてる腕、ジグザグしている尻尾、

そして何より…顔つきがティラノサウルスによく似た竜が其処に現れた。

 

その竜の名は…ティガレックス。

又の名を【轟竜】と呼ばれし暴君の竜であった!

 

「レックス!無事だったんだな!」

 

「〔ふっ!俺を舐めるなよ、零!

【轟竜】と呼ばれている俺を!〕」

 

そう言うと零はティガレックスの愛称・レックスの背中へと移り、そのまま背中にくっ付いた。

するとレックスはそのまま地を這うようにしながら、そのまま爆発の起こった場所へと向かっていく…!

それに続いてセレナとマリアも、レイアの背中に乗って、後を追った…!




《無魂導師》ホロウ
『無』の力を卓越した戦士。
『属性』の有利不利が無い分、ゴリ押しで倒すパワーファイター。
メインウェポンは斧とハンマーが其々ついてる武器《ノンアクスハンマー》で戦う。持ち手を変える事でハンマーモードとアックスモードの2つを使用可能とするだけでは無く、半分にする事でシングルハンマーとワンハンドアクスの二刀流としても扱える。
サブウェポンは背中に装備してある大盾《シールド・オブ・スロウ》で、その身を覆い隠せる程の大盾であらゆる攻撃を防ぐ事が可能になる。
更にその他にも力がある様で…?

次回

『銀腕』の鼓動/発動『エクスドライブ』

遂にマリアが纏う…!そしてあの男が…!


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#36 『銀腕』の鼓動/発動『エクスドライブ』

マリアついに纏う…!


零,セレナ,マリアは其処で酷い光景を目の当たりにした。

 

8体の機械を模したノイズ,7人の鎧を纏った戦士,

金色で緑の羽根を生やした妖精,2刀短剣を逆手に構えた少女,

タブレットを所持した少女,そして小太刀を構えた少女が響達二課の面々と、切歌,調,陰陽兄弟をズタボコにしていた。

 

そしてその内の1機・オーディーンと呼ばれた戦士が調の頭を手だけで持ち上げた!それを見た切歌が「やめるデェェス‼︎」と言いながら助けようとするが、背後をパンドラと呼ばれた機体によって身動きを封じられてしまった。

すると今度は陰陽兄弟が助けに行こうとするが、

此方では地面から青い鮫のような姿をした戦士と、茶色でサイの姿をした戦士に吹き飛ばされてしまった。

そうしていると、調にオーディーンの槍『リタリエイター』が激しく発光し、そしてそのまま貫こうとしていた!

 

「!調ェェェ‼︎」

 

「「調ェェェェ‼︎」」

 

3人の声により、響達も助けに行こうとするが、他の戦士達に足止めされてしまっていて、思うように行けなかった。

 

そしてそのまま調に向けて槍を放とうとしたその瞬間だった!

 

ガジィィン‼︎

 

「⁉︎」

 

「…?…斧?」

 

調と槍の間に斧があり、その斧によってその攻撃は防がれた。

そして調を離し、オーディーンはすかさず後退する。

そしてその斧を取るかのように、1人の戦士が前に立った。

それを見た兄弟は,調と切歌は涙を流した。

 

「零…!」「零デェェェス‼︎」

 

「「兄貴ーーーー‼︎」」

 

「ったく、俺がいなくて、少しは成長したかなと思っていたら…

ふっ。やっぱりお前達はお前達だな」

 

 

 

ーーーーーーSIDEtoウェル

久方ぶりの登場だと言うのになんだこの不遇さは⁉︎

それよりも、あの男…無頼零…!

何故彼が、今頃になって蘇った⁉︎

あのタール漬けの中身は腐食液を入れておいたハズなのに、何故彼が蘇った⁉︎

 

まぁ…良いでしょう。

この世界に『英雄』など、僕だけいれば良いのだからーーーーーー‼︎

 

さぁ、やりなさい!ネフィリム!

その力で装者と導師を葬ってしまえーーーー‼︎

 

ーーーーーーNO SIDE

 

ウェルがそう言ったのと同時に、地面からフロンティアと一体化したネフィリムか隆起して来た。

 

それを見た霊風はかなりヤバイ事をこの時悟った。

何せ、今のネフィリムは自分の前世で見た容姿とはまったくもって似てもいなかったから。

 

ネフィリムの最終進化系…ネフィリム・ノヴァとは大きく掛け離れていたのだ。

ウルトラマン達を苦しめてきた怪獣"ハイパーゼットン"の胸体,

【社会化現象にもなった機体】の腕,

禍々しい9本の尻尾,

そして【怪獣王】と呼ばれた存在にも勝るとも劣らない程の足の筋肉を持ったネフィリムが誕生したのだ!

 

するとネフィリムが咆哮を上げた!

すると大地が亀裂を起こし、そこから一気に衝撃波を発生させ、響達に襲いかかろうとしたが、

そこにセレナが【アイギス】を纏って、そのまま腕についた盾を地面につけた!

すると地面に魔法陣が発生し、その攻撃は防がれた!

 

"protectionバリア"

 

だが、今度はネフィリムは腕から暴風と激流を放射して来たのだ!

それを見た霊風とロックはすかさず前に出るなり、『英雄』直継と円堂に其々変わり、防御技"キャッスル・オブ・ストーン"と"イジゲン・ザ・ハンド"で皆を守る…!

しかしネフィリムは口からレーザーを放ってきた!

更に同時にネフィリムの背中に生えていた翼から黒い鱗粉のようなものまで飛ばしてきたのだ!

 

それを見た陰陽兄弟はすかさず頷くと、そのまま2人の前に出て其々、カードを取り出し、そしてレバーを引いた!

 

ータマシイ!フォーム、ヒカリ!ー

ーコア!フォーム、ユカリ!ー

 

すると2人のアブソーバーから其々、黄色髪で剣を持った女の子と、紫髪で此方は鎌を構えた少女が出現し、2人は其々纏った。

 

ー聖なる扉、光妖精女!ー

ー聖なる扉、闇の魔女王!ー

 

すると2人は阿吽の呼吸でそのレーザーと鱗粉の攻撃を封じていく…!

 

そうするとネフィリムの腹がぱかっと開いた。

そこには赤いコアらしき物があり、そのまま何かを吸収し始めた…!

 

それを見た一同は何をしでかすのかと思っていたら、ネフィリムの口から徐々に火の球が形成し始めていた。

すると霊風は「まさか」と言う最悪の考えがよぎった。

霊風の前世の記憶ではこの時に、ネフィリムが放ったのは"1兆度の火球"と呼ばれる程の高火力の持ち主であった。

だが、それは()()()()()()で放っていたのを霊風は思い出した。

すると霊風は最悪の展開を予想してしまった…

 

もし、その1兆度の火球を()()()()()()()()()()()()という最悪の展開を。

徐々に膨れ上がる火球…

そんな中でも彼等は立ち向かおうとするが、ネフィリムについてる『英雄』達を相手だと思うように動きが取れなかった…!

 

すると零はカードケースからカードを取り出し、装填、そしてレバーを引いた!

 

ーホロウ!フォーム、はやて!ー

 

すると零の周りを黒の羽を生やした女性が徘徊すると、零に纏った!

 

ー夜天の主、ここに在り!ー

 

すると零は左腕を魔導書、右手で杖を持つと、その杖をネフィリムについた《闇堕ち》英雄達に向け、そしてアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『ホロウ・はやて!フルドライブ!』

 

「"響け…終焉の笛"…

 

 

 

"ラグナロク"‼︎」

 

その砲撃魔法と皆が一ヶ所に集めてくれたおかげで、残りの『英雄』達は倒れ、そしてカードになった…!

 

しかし、その間にネフィリムの火球はまるで擬似太陽となんら変わらないぐらいの大きさにまで膨張していた!

 

ーーーーーーSIDEtoマリア

皆んなの命が危ない…!

だけど、私に出来る事は…

 

セレナでも、他の『英雄』達でもあれを止める事は出来ない…例え力を合わせても…!

 

ーそんな程度か、貴様の覚悟は…!ー

 

え?

 

そうしているといつの間にか全く別の空間へと来てしまっていた…!

此処は何処なの⁈まるで雲の上に宮殿がある様な光景…

 

ー此処は俺の心象風景の中だー

 

「⁉︎」

 

後ろから聞こえてきた声に私は目にした。

そこにいたのは、椅子の上に座ったまるで王の品格を持つ戦士だった。

 

「貴方は…?」

 

ーふっ。この()()を見ても未だに知らぬとはな?ー

 

銀腕…!

それはまさか…

 

()()()()()()()

 

何故、聖遺物が完全状態に⁈

 

ーほぅ?アガートラームの事を知ってるのならば、俺が誰なのかも分かるだろ?ー

 

「まさか…ダーナ神族のヌァザ…⁉︎」

 

「如何にも」

 

ケルト神話に登場する神の1人にして、《アガートラーム》の使い手…!

 

ー時にお前さんは今、何を求めている?ー

 

「え?」

 

何を求めているのか?

私が求めているのは一体…ううん。そんなの決まっていた事じゃない。

 

「私は…私は…!

セレナを、切歌に調を、零と光聖希と闇呪怨、皆んなを守りたい!」

 

ーうむ。その覚悟、この先何があろうとも忘れるではないぞ!ー

 

そう言うと光輝いて、気付けば元の光景に戻っていた…!

 

今まさにネフィリムが放とうとしていた!

そしてネフィリムは火球を皆んなに放った!

それだけはなんとしてでも阻止してみせる…!

漸く取り戻せたこの風景…誰にも奪わせるものですか‼︎

 

「もう私は…迷わない!」

 

ーーーーーーNO SIDE

 

するとそこにウェルの指示を受けたネフィリムが巨大な火球を響達に向けて発射し、響達は爆発に巻き込まれたが……煙の中からマリアの「歌」…聖詠が聞こえた…

 

「Seilien coffin airget-lamh tron…」

 

そして煙が振り払われるとそこには英語の文字が書かれている光の球体の中にいる響達シンフォギア装者と、零達《精魂導師》がいた。

 

ネフィリムは更に追加で火球を響達に向かって放つが……響が前に出て腕のユニットを1つに合体させる。

 

「セット!! ハーモニクス!! 

S2CA!! フォニックゲインを力に変えて!!!!」

 

そして響はその拳でネフィリムの火球を殴って消し去る。

 

「惹かれあう音色に、理由なんていらない」

 

翼はそう言いながら調に手を差し伸べ、調は少し戸惑いつつも彼女の「手」を握り締める。

 

「私達だって…」

 

「この音色だけは忘れたくないね」

 

そう言いながら奏は翼と手を握り、

セレナは切歌の手を握る。

 

「あたしも、つける薬がないな」

 

「それはお互いさまデスよ!!」

 

クリスは苦笑しながらそんなことを言い、クリスの言葉に対して切歌はそう返してこの2人もまた手を握り締める。

 

「調ちゃん! 切歌ちゃん!」

 

最後に真ん中にいる響が調と切歌の手を「両手」で握りしめる。

 

「あなたの言ってること、偽善でないと信じたい。 

だから私に見せて、あなたの言う『人助け』、私達に」

 

「……うん」

 

調の言葉に力強く、けれども静かに頷く響、互いに笑みを見た後、再び歌を2人は歌い始める。

 

「(……繋いだ手だけが紡ぐもの……)」

 

「絶唱8人分、たかだか八人ポッチでしっかり背くきか!!!?」

 

ウェルはそう叫びながらネフィリムを操り、ネフィリムは火球を8人のシンフォギア奏者達に撃ち込むが、そこに5人の戦士が盾になる…!

 

「誰が8人ポッチだ‼︎マッドサイエンティスト!」

 

「俺達《精魂導師》もまたシンフォギア装者達と同じ、『歌を歌う者』達だ!」

 

「俺達に向けたこの一撃…!」

 

「俺達は止めてみせる…!」

 

「俺達は、絶対に…」

 

『諦めない‼︎』

 

すると霊風とロックのカードケースから『四英雄』の力を宿したカード『アドバンスフォース』が、光を放ち、そしてその光は『F.I.S.』側の《精魂導師》の元へと届けられた!

それを見た霊風は、「…へっ!」と口許から笑みを浮かべ、

 

「俺達の即席チーム…見せてやるぜ!」

 

それをきっかけに他の《精魂導師》は「応!」と言うと自分の前にあった光に手を触れた。するとその光は『アドバンスフォース』のカードになり、全員はそのままカードをアブソーバーに装填した!

そして左腕から離れたアブソーバーを右手で持つなり、全員で上,右,下,左,真ん中の順に動かすと全員で左の方に動かした!

 

ーーーーーアブソーバー・フォン‼︎ーーーーー

 

すると全員で一斉に変身アイテム『アブソーバー・フォン』を各々のアブソーバーとドッキングさせ、1つのガラケーになった。

 

すると霊風はダイヤルボタンを押した!

 

0・0・3・6・0・1と。

そして他のメンバーも一斉にダイヤルボタンを押した!

 

零が0・0・3・6・0・2、

ロックは0・0・3・6・0・3、

光聖希は0・0・3・6・0・4、

闇呪怨は0・0・3・6・0・5、

 

其々のボタンを押し、そしてケータイを閉じた!

 

ースピリット!フォーム、レッドバスター!ー

ーホロウ!フォーム、ブルーバスター!ー

ーソウル!フォーム、イエローバスター!ー

ータマシイ!フォーム、ビートバスター!ー

ーコア!フォーム、スタッグバスター!ー

 

すると5人の周りを赤,青,黄,金,銀の戦士の魂が徘徊し、そして全員が其々を纏った!

 

ー特命任務!スピード・チーター!ー

ー特命任務!パワー・オブ・コング!ー

ー特命任務!ジャンピング・ラビット!ー

ー特命任務!ゴールド・ビートル!ー

ー特命任務!シルバー・スタッグ!ー

 

 

ーウイルス・シャットダウン!レディー、ゴー!ー

 

「レッドバスター!」

「ブルーバスター!」

「イエローバスター」

「ビートバスター!」

「スタッグバスター!」

 

『特命戦隊、ゴーバスターズ!』

 

それは36番目のスーパー戦隊・【特命戦隊ゴーバスターズ】の姿になった霊風達が其処にいた!

 

「バスターズ!レディー…」

 

 

そう言うと皆は揃って駆けっこをするような体勢をとる。

そして、

 

「ゴー!」

 

霊風=レッドバスターの掛け声と共に戦陣をきった!

 

それを見たネフィリムは咆哮を放った。

するとネフィリムの足元から無数のノイズ達が具現化してきた!

だが、そんなのが如何したと言わんばかりに5人のコンビネーションは凄まじかった…!

 

霊風=レッドバスターは得意のスピードで翻弄した隙に斬撃を加え、

ロック=イエローバスターは高い所からの連続射撃で奮闘、

零=ブルーバスターは持ち味の怪力を活かしてノイズ達を一撃で葬りさり、

光聖希=ビートと、闇呪怨=スタッグは阿吽の呼吸で一網打尽にしていった!

 

 

 

 

 

 

 

その頃、球体によって一応受け止められたが……徐々に耐えきれなくなり、そのためか響、翼、クリス、切歌、調,奏,セレナのシンフォギアが破壊されて行く。

 

だが、響達は負けはしない、世界中の人々……未来や逝都に馬燈,創世,詩織,弓美等を始めとした「歌」と「光」が彼女達に力を与え続けている……そしてその人々の「光」は……新たなる「奇跡」を呼んだのだ。

 

「8人じゃない……私が束ねるこの歌は!! 70億の!! 絶唱だああああああああああああああ!!!!!!!」

 

響がそう叫びと……響達の身体から光が溢れだしてそれが柱となり、マリアはセレナが以前纏っていた白銀のシンフォギア《アガートラーム》を纏い、一同は新たな"エクスドライブモード"へとパワーアップしたシンフォギアを纏ったのだ。

 

「響き合うみんなの歌声がくれた!! シンフォギアだあああああああああああ!!!!!!」

 

響がそう叫び、8人が光の柱となってネフィリムへと真っ直ぐ突っ込むとネフィリムは身体を貫かれて爆発を起こした。

 

それを見た霊風以外の《精魂導師》も歓喜に包まれようとしていたが、

 

「まだだ!」

 

霊風の一言で警戒を見せた。

 

ーーーーーー

少し前の時間に戻そう…

 

フロンティア炉心部にてウェルはネフィリムがやられた事実が信じられず、「なん……だと?」と愕然とし、膝を突いていた。

 

「ウェル博士!! お前の手に世界は大き過ぎたようだな!!」

 

そんな時、影響を受けていなかった緒川と弦十郎が駆けつけ、それを見たウェルはコントロールパネルに手を触れようとしたが緒川が銃から銃弾をウェルの左腕の影に撃ち込み、動きを封じる"影縫い"を繰り出し、ウェルは左腕の動きを完全に止められた。

 

「なあ!?」

 

「あなたの好きにはさせません!!」

 

「ぐう、奇跡が一生懸命の報酬なら僕にこそ!!!!!」

 

ウェルはそう叫んで腕から血を噴き出させながら左腕を無理やり動かし、コントロールパネルに手を置くとネフィリムの心臓が突然眩い光を放つ。

 

「っ、なにをした!?」

 

「ただ一言、ネフィリムの心臓を切り離せと命じただけ!! 

こちらの制御を離れたネフィリムの心臓はフロンティアの船体を食らい、糧として暴走を開始する、そこから放たれるエネルギーは1兆度だぁ!!!! うふははははは!!!! 

僕が英雄に成れない世界なんて蒸発してしまえば……」

 

だがそこに弦十郎が拳一振りでコントロールパネルを破壊した。

だが……破壊したからと言ってどうにかなる状況でもなかった。

 

弦十郎と緒川はウェルを拘束した後、フロンティアが暴走を始めることを翼達に伝え、ジープで弦十郎達は急いで戦艦へと戻った。

 

「確保だなんて悠長なことを。 

僕を殺せば簡単なこと……」

 

そんな時、3人の乗るジープに向かって巨大な岩が降り注いできたがそれを弦十郎は拳1つで粉々に粉砕する。

 

「殺しはしない。 

お前を世界を滅ぼした悪魔にも、理想に殉じた英雄にもさせやしない。 

何処にでもいるただの人間として裁いてやる!!」

 

「……畜生ううううう!!!! 殺してくれぇ!! 

僕を英雄にしてくれ!! 英雄にしてくれよおおおおおお!!!!!」 

 

嘆くように叫ぶウェルだが……その願いは決して叶えられることはなかった。

 

ーーーーーー

さて、貴方達は今の今まで戦いの場面を見てもらいましたが、

1つきになる事は有りませんか?

 

この作品…主人公は誰なんだ?と言う事に。

 

主人公は既に死んでいます。

だけど、かの有名な【幽霊の仮面ライダー】のキャッチコピーにはこう書かれています…

 

 

英雄(ヒーロー)は、一度死んで蘇る…!』と。

 

 

この作品の主人公・人絆憑友は今、本来なら存在しない筈の人物にして、かつて《ルナアタック》を引き起こした元凶…

 

【先史文明期の巫女】フィーネと向き合っていた…!

 

憑友は「なんで、あんたが…」と言うとフィーネは「ただの気まぐれに過ぎない」と言い返した。

するとフィーネは今の現状を伝える為、憑友の肩に手を添えた。

 

すると憑友の身体に今の現状が鮮明に描かれ始めてきたのだ!

 

涙を振り絞り、マリアの『ガングニール』を己の物にした響。

 

数多の融合ノイズとネフィリムの猛攻に苦しむ二課の面々。

 

何もかも失い、なげくマリアの目を覚ますセレナ。

そしてそのセレナがシンフォギアを纏った事。

 

その後にセレナが愛した存在・零の完全復活。

 

ウェルの悪足掻きを前に苦戦を強いられる二課と『F.I.S.』の面々。

 

しかし其処に70億の人々の「歌」と「光」が生んだ力"エクスドライブ"を発動し、ネフィリムをついに倒した面々の姿が脳裏に焼き付いた。

 

「…今のが…」

 

「だが、ネフィリムはあんな程度でやられるような輩では無い。

彼奴の力は今、暴走を起こしている。

止められるのは恐らくお前だけだ。憑友」

 

フィーネの言った言葉。だが憑友は「だけど、俺にはもう…」と言いながら生きる為の力はもう残っていない。

するとフィーネが憑友に抱きついたのだ!

其れに気付いた憑友は急な対応だったので、驚かされた!

するとフィーネはこう述べた。

 

「なら、私の力を貸してあげる。

心配するな。お前を乗っ取るつもりは無い。

ただ、お前の事を放っておけなかっただけだ…」

 

「フィーネ…ありがとう」

 

「…では、行くぞ…

後はお前の意思を尊重しよう」

 

「これから宜しく頼むな…フィーネ」

 

其れを聞いたフィーネは終始驚くも、呆れながらも「此方こそな」と言って、憑友の身体の中にすうっ…と入って行った…。

 

「待っててくれよ皆んな…今、助けに行くぞ…!」




ヌァザ

史実にも記載されている存在。
クー・フーリンやディルムッド・オディナが描かれた神話『ケルト神話』の1つ・『神話サイクル』に登場する神にして、
過去にセレナ、そしてマリアが纏ったシンフォギア『アガートラーム』の本当の持ち主。

次回

その『炎』は不死鳥の如く…!


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#37 その『炎』は不死鳥の如く…!

あの男が、帰ってきた…!
新たな力を携えて、今再び蘇る…!


その頃、二課の戦艦も弦十郎達を乗せて無事にフロンティアから脱出していた。

 

そして……フロンティアはネフィリムの心臓を中心に変形し、先ほどよりも超巨大な……赤いや、最早紅蓮と化したネフィリムへと変化した。

最早原型すら辛うじて留める程度のその姿…

 

名付けるなら、ネフィリム・ノヴァ・オメガと名乗っておこう。

 

そんなネフィリムの腹の中にはなんとライドが捕まっていた。

それを見た霊風達は一瞬、隙をつけてしまった…!

 

それを見たネフィリムは響達の姿を見るとすかさず襲いかかってきた!其れに対抗してシンフォギア装者達と《精魂導師》は気を改めて一斉に攻撃を加え始める…!

 

調は武装の一部を分離して巨大なオートマタに再構成し、その頭部に騎乗し操作する"終Ω式 ディストピア"を発動し、3枚の刃が付いているアームドギアを振り回し斬りかかる"終虐・Ne破aァ乱怒"を発動させ、

陰陽兄弟は其々の基本的姿(ベーシックフォーム)になるなり、

光聖希は大量のチェーンで攻撃を仕掛け、相手の動きを完全に操る"ストリングマリオネット"を放ち、

其処に闇呪怨が闇夜に紛れた鎌の千連撃"サウザントサイス"をネフィリムに向けて攻撃を繰り出したが……。

 

「きゃあああああ!!!!?」

 

「うあああああ!!!!?」

 

「「うわぁぁぁぁぁ‼︎⁉︎」」

 

切歌と調から翠とピンクの光が溢れ出し、

陰陽兄弟からは白と黒の光が溢れ、その光をネフィリムは吸収し、2人は悲鳴をあげる。

 

「聖遺物どころか、そのエネルギーまでも食らっているのか!?」

 

「それだけに飽き足らず、《精魂導師》の属性力まで食らってやがるだと⁈」

 

「臨界に達したら地上は!?」

 

「蒸発しちゃう!?」

 

マリア,霊風,翼,響がそう言いながらなにか対抗策はないかと考えているとそこにクリスがソロモンを構えてバビロニアの宝物庫をネフィリムの背後にこじ開ける。

 

「バビロニア!! フルオープンだ!!」

 

XD(エクスドライブ)の出力でソロモンの杖を機能拡張したのか!?」

 

つまり、クリスはバビロニアの宝物庫を開き、その中にネフィリムを閉じ込めてしまおうと考えていたのだ。

 

「人を殺すだけじゃないって!! 

やってみろよ、ソロモオオオオオオオオオン!!!!!!」

 

そしてバビロニアの宝物庫を完全に開くことに成功したが、まだその穴は小さく、クリスはさらに穴を巨大化させようとしたが……その時、ネフィリムが腕を振るってクリスを弾き飛ばし、ソロモンの杖をどこかへと飛んで行くがそれをマリアが掴み取る。

 

「明日をおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

 

マリアはそう叫びながらソロモンを使ってバビロニアの宝物庫の入り口をさらに巨大化させることに成功したが、その時ネフィリムの出した触手に拘束されてしまい、マリアは動きを封じられてしまう。

 

「「マリア!!」」

 

そのままネフィリムはマリアと共にバビロニアの宝物庫へと落ちて行き、マリアは「格納は私が内部よりゲートを閉じる!! ネフィリムは私が!!」と言ってネフィリムと共にバビロニアの宝物庫へと入る覚悟をする。

 

「自分を犠牲にするつもりデスか!?」

 

「マリアーーーーー!!!!」

 

「やめて!マリア姉さーーん‼︎」

 

「マリアーー‼︎」

 

「こんな事で私の罪が償えるはずが無い。 

だけど、全ての命は私が守ってみせる。

零…セレナの事…お願いね。

セレナ…貴方にもう一度会えて…嬉しかった」

 

マリアはそう覚悟を決めるが……そんな時、マリアの隣に響が駆けつける。

 

「それじゃ、マリアさんの命は私達が守ってみせますね」

 

そして響と同様にマリアの元に奏、翼、クリス、霊風、ロック…二課の面々が駆けつけ、さらに其処から零達も駆けつけた。マリアは「あなた達……」と驚きの声をあげる。

すると零とセレナから思い切り拳骨を貰ったマリア。

その拍子に「あ痛っ⁉︎」となんとも彼女の口からとは思えない程の可愛らしい声が出たのはこの際如何でも言い話で、其れを見た一同は吃驚していた。

すると零とセレナが其々口にした。

 

「マリア!俺はセレナを護る事は最初から決めてんだ!

だけど、セレナの悲しむ顔は見たく無いんだよ!

マリア!お前はセレナの悲しむ顔を見たいのかよ!」

 

「マリア姉さんが居なくなったら、私…私…!」

 

「セレナ…零…ごめんなさい…!」

 

するとそんな会話の時に響はこう述べた。

 

「英雄でない私に世界なんて守れやしない。 

でも、私達、私達は……一人じゃないんだ」

 

その響の言葉に、マリアは笑みを浮かべる。

 

ーーーーーー

 

また、一方でその頃、ナスターシャはというと……。

 

「フォニックゲイン照射計測、月遺跡、バラルの呪詛、管制装置の再起動を確認。 月軌道アジャスト開始……」

 

ナスターシャは口から血を吐き出しながら月の落下を食い止めるための装置を起動させ、彼女はそこから映る地球を見つめる。

 

「星が……音楽となって……」

 

ナスターシャはそのままその場へと倒れこんでしまった……。

 

 

ーーーーーー

そしてそのままネフィリムを宝物庫内に入れようとしたその時だった…!

またしてもネフィリムが火炎弾をチャージし始めたのだ!

其れを見た一同は攻撃を仕掛けていくが、仕掛けいく分だけ、その力が活性化している事に気付いてしまった!

其れを見た一同は射線外へと避難させる。因みにマリアは既に触手の猛攻から抜け出せていた。

そして射線外へと避難しようとした時、触手が響の足を捕まえたのだ!

 

「立花!」

 

翼の声により、皆は助けようとしたが、火炎弾の高熱がシンフォギアや《精魂導師》のバトルスーツを超えて襲いかかって来た。それ故に何も出来ずにいた…!

 

ーーーーーーSIDEto響

まずい⁉︎このままじゃ私、炭となって消えちゃう…⁉︎

しかも物理的じゃなくて科学的に炭になっちゃう⁈

 

「くそっ!水が蒸発して、冷やしきれない…!」

 

「風を送れば余計に威力が上がってしまう…!」

 

「響ちゃん‼︎」

 

皆んな…私…もう死ぬのかな…

やっと呪いから解放されたのに…

 

『響!』

 

未来…ごめんね…

 

憑友…今度は私がそっちに行くからね…

 

そう思った私は目を閉じ、覚悟を決めた…

その時だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー勝手にこっちに来ても困るんだけどな?ー

 

 

 

 

 

 

え?

 

ーーーーーーNO SIDE

響は何者かの声に驚いているが、その間にネフィリムが今まさに響にチャージした火炎弾を放とうとしていた!

翼達はその光景を見て、絶望的に陥った。

 

そして火炎弾が放とうとしたその時だった。

 

 

 

 

カスッ…

 

 

 

「…え?」

 

『⁉︎』

 

なんと先程までの巨体な火炎弾が一気に鎮火され、その光景を前にネフィリムは何が如何なってやがると言った感じの表情を見せていると、ネフィリムが急に腹を抑え始めた…!

 

何事かと思った一同はその隙に響を助ける。

するとそれと同時に、ネフィリムが抑えていたお腹を離すと、そのお腹から炎が噴き出し、そしてお腹が破裂した!

それと同時に、お腹から『炎』の翼を持った鳥が現れ、そのまま天へと登ると、なんとソロモンの杖なしで、バビロニアの宝物庫から抜け出したのだった!

それを見た一同は驚きながらも、「あの鳥は一体…?」と思っていた。

 

そして肝心の鳥はそのまま月の遺跡へとやって来ていた…!

 

ーーーーーーSIDEtoナスターシャ

 

マリア…切歌…調…セレナ。

光聖希…闇呪怨…そして零。

 

貴方達を置いて逝く私をどうか許して下さい。

 

そして、幸せになって下さい。

 

 

ドガァァァ‼︎

 

…突然の爆発。だけど、それが私にとってはいい埋葬代わりになりそうですね。

 

「…帰りましょう。皆んな、貴方の事を待っていますから」

 

…え?

 

そう言って来た声に私はそのまま眠りにつきました。

しかし、死ぬ筈のこの肉体…何故かすごく暖かい…

とても暖かくなれそうです…

 

ーーーーーーNO SIDE

一方、二課では予想だにしない展開が発生していた。

それは先程、バビロニアの宝物庫から出てきた『炎の鳥』の動きを観察していたから。

 

「!上空より熱源反応感知!

近くの海岸へと移動中!時速マッハ10!」

 

「なんだと⁉︎」

 

普通の鳥では到底出せないスピードをこの『炎の鳥』は出していたのだ!

そうこうしていると近くの海岸にてその鳥は止まった。

すると今度は「Tukumo Jinsai」のバイタルチェック用のホログラム画像が展開してきたのだ!

 

するとその画像からは信じられないパターンが検知された…!

なんと、憑友の生体フォールド波が発生していたのだ!

 

その頃、炎の鳥はナスターシャを海岸へと下ろすとそのまま空へと向かって飛翔した。

すると体勢を徐々に小さくすると身体から炎を噴き出し、そしてそのまま空の彼方へと消えたのだ…!

 

ーーーーーー

その頃、バビロニアの宝物庫内では数多のノイズ達が溢れていた。

その中には、以前フィーネが憑友達を相手に戦った『英雄』達の力を扱うノイズ…通称『融合型』も存在していた。

だが、数があまりにも多く、その数は少なくても30は下らながった。

 

更に其処からネフィリムが咆哮を発生させると、其処から大量のノイズ達が一斉に響達に襲いかかってきたのだ!

周りはまるで四面楚歌の状態で、迂闊に動かせない状況…

万事休すかと思われたその時だった…!

 

彼等の周りにいたノイズ達が一斉に灰へと化し、更にその中に混じっていた『融合型』も灰となった。

呆気にとらわれていると、響の目の前に先程の炎の鳥が現れ、いきなり頭を突かれる響。

 

「痛っ⁉︎な、何するの⁉︎」

 

「(何するの⁉︎じゃねぇよ!この馬〜鹿!)」

 

「馬鹿じゃないもん!…って、その声…」

 

そうしていると炎の鳥は丸くなると、何処からとも無く口笛の音色が聞こえてきたのだ。

 

ヒュー♪ヒュ〜ルル〜♪

 

「「「⁉︎」」」

 

 

その音色を聞いたクリス達は首を傾げるが、

翼,霊風,そして響だけは目を見開いた。

それはかつて、自分達の前に現れた男が口癖でよく吹く口笛の音色だったから。

 

すると火の塊になっていた炎の鳥はみるみる姿を変えていく…!

炎から現れたのは、人の手足だった…!

 

「まさか…」「マジかよ…⁉︎」

 

「あ、あ、あ…」

 

徐々にその姿は露わになっていく。

鳥から人へと変えていく…

その中で先の3人は驚愕していた。

その姿を自分達が良く知っているという事に。

 

そして最後に顔を覆っていた炎が消えると同時にその者は顔を上げた。

それを見た零以外の人間は目を見開いた。

其処にいたのは…

 

 

「ただいま」

 

「…!

…おかえり…憑友‼︎」

 

響と此処にはいない未来,逝都,馬燈の()()()にして、

翼と奏,クリスにロック,霊風の()()であり、

セレナの()()()()

 

人絆憑友が今、蘇ったのであった…!

 

そう言うと響は憑友にカードケースを渡し、憑友はそれを受け取るとネフィリムの方を見やる。

ネフィリムも憑友を見たのか咆哮を発する。だが、憑友にとってその咆哮は無意味に等しくらしく、憑友は何処から取り出したのか綿棒を使って、耳を掃除し、そしてそれを終えると左腕に先程ネフィリムの腹の中にいたライドを装置させ、そして自分のカードをアブソーバーに装填させ、レバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、オ・レ!

英雄の魂、オレに宿れ!ー

 

そして拳を打ち付けた憑友は、ネフィリムに向けて一言…

 

「行くぞ、ネフィリム…

 

俺達の覚悟、その身に焼き付ける覚悟は出来たか?」

 

その瞬間、憑友の目が両目ルビーからルビーとゴールドのオッドアイに変わった…!

 

さあ、物語はラストへと近づいた…!

 

ラストバトルの幕が上がる…!




人絆憑友

この話の主人公は、1度死んだ。2度死んだ。
だが、彼は再び現世に帰って来た…!
その身に新たな存在と共に…!

次回

『FULL BURST IGNITION』


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#38 『FULL BURST IGNITION』

それは新たな『力』の胎動…!

※活動報告と感想をお願いします。
因みにこの回で投稿話数123回目です…なんだと⁈いつの間に⁈
と言うより、いつ100回目超えてた⁈キリが良いけど、あんまり過ぎる⁈

取り敢えずドシドシ感想と報告の応募を待ってます…!


拳を打ち付けた憑友。

それと同時にネフィリムが咆哮をあげるとノイズ達が一斉に憑友に襲いかかってきた!

それを見た響達は憑友を援護しようとするが、

 

「はっ…!」

 

憑友はなんとそのまま拳と蹴りだけでノイズ達を一瞬で葬らせたのだ!

その光景を見た二課のメンバーは

「前より強くなってやがる⁈」

「たった1撃で⁉︎」と声を上げ、

そしてマリア達『F.I.S.』の皆は

「あれがあの人の本当の強さ…!」

「凄すぎる…」と憑友の本当の強さを目の当たりにした。

 

そうすると残心を残す憑友はセレナの元に赴くとその近くにいた零に目を通した。

 

「あんたは?」

 

憑友は零に向かってそう言った。まだ憑友は零の事を知らないのである。すると2人の間にセレナが割り込んで来て、零の事を説明した。

 

「彼は無頼零。私が記憶を失う前に出会った人よ。

零、この子は人絆憑友。私の義理の弟なの」

 

「そうか…君がセレナを…ありがとう」

 

そう零が言って、頭を下げようとしたが、憑友は「待て」と言って、そのまま話をし出した。

 

「今度、セレナ義姉さんを悲しませるような事をしたら、今度は義弟である俺が許さねえ!」

 

「ああ!勿論だ!」

 

「…セレナ義姉さんの事…お願いします」

 

「応!」

 

零の事ばかりを聞いた憑友は笑みを浮かべる。

それを聞いたセレナは顔が耳の先まで真っ赤になってしどろもどろになってしまい、それを見たマリアは「(零には本当に弱いのね…)」と呆れ半分、可愛い気半分な眼差しで見ていたのは言うまでもない。

そして憑友はネフィリムの方に向き、そのまま口にした。

 

「今こそ我ら『英雄達の魂を導く師者』に『先史文明の力』を授けてくれ給え…フィーネ…!」

 

すると憑友の手の平から光が構成され、1つのカードになった。憑友はそのままそのカードを頭上に掲げると、そのカードから5つの光が発生し、その光の先は霊風達《精魂導師》のカードケースに入っていった…!

それを感じた霊風達はカードケースの中を見ると、其処に1枚だけ光輝くカードがあり、それを取り出すとその光からカードが形成された。

そして其処に描かれたイラストを見て、霊風とロックは驚愕した。

それが…

 

 

「「フィーネ⁉︎」」

 

かつて自分達を操り、《ルナアタック》を引き起こした存在・フィーネが描かれていたのだ!

それは『F.I.S.』の《精魂導師》達のカードも同じだった。

 

それを見た二課のメンバーも驚愕し、そして助けられた調もそのカードのイラストを見て驚いていた。何せ自分を助けた存在がそのカードのイラストに描かれていた…!

 

すると憑友はそのカードをアブソーバーにスキャンさせた…!

 

ーパワーアップ!ー

 

するとアブソーバーの形が四角のタブレット型に炎をあしらったフレームが現れた!

 

ーバーニング・ライド・アブソーバー!ー

 

すると憑友はそのままライドに手を合わせるとなんとアブソーバーをスライドさせたのだ!

するとその下にカードを置く場所があり、そこに先程のフィーネのカードを置き、そしてその下にはカードを入れるスペースがあり、其処に自分のベーシックフォームのカードを装填すると、アブソーバーを元の状態にスライドし直すとそのままレバーを構え、

 

「変身!」

 

そしてレバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、オ・レ!

 

 

『FULL BURST IGNITION』!ー

 

するとアブソーバーから灼熱の力を宿した戦士が現れ、憑友はそれを纏った!

 

ー英雄の魂!オレに宿れ!

灼熱、炎拳、バーニング・ヴォルケーノ!ー

 

そして現れたのは全身が炎をあしらった姿になった灼熱の戦士…

 

《爆炎導師》バーニング・ライドにパワーアップした!

 

「燃え盛る『炎』の魂!

バーニング・ライド!見参‼︎」

 

 

その姿を見た一同は驚愕した。

憑友の姿が灼熱の神を連想させる姿を見せていた…!

 

ーーーーーーSIDEto憑友

新たな力…バーニング・ライド…!

凄い、力が漲って来た…!

 

ーあまり無理はするなよー

 

ああ…行くぜ!フィーネ!

 

ーさっき言った言葉をもう忘れるとは…。

だが、それがお前らしいなー

 

さぁ、此処からは…

 

俺達の戦いだ!

 

ーーーーーーNO SIDE

 

そうすると憑友の拳から灼熱の塊が現れ、それを憑友は一気に拳でノイズにぶつけた!

 

"マグマ・ヴォルケーノ"

 

その威力でノイズ達をなんと1撃で葬り去った!

それを見た霊風達も自分達の力を出す為に…

己が守りたい物を護る為に…

 

フィーネのカードを使用した!

 

ーーーーーパワーアップ!ーーーーー

 

「俺達は!」

「誰かを護りたいんだ!」

「この想い…!」

「無駄にしたくはない!」

「俺達は…!」

 

 

『負けられないんだーーーー‼︎』

 

ーアビス・ソウル・アブソーバー!ー

ーハリケーン・スピリット・アブソーバー!ー

ーホーリー・タマシイ・アブソーバー!ー

ーダークネス・コア・アブソーバー!ー

ーインパクト・ホロウ・アブソーバー!ー

 

そして霊風達も憑友と同じ動作をし、そしてアブソーバーをパワーアップさせた!

そしてアブソーバーをスライドさせ、フィーネのカードを置き、そして其々のベーシックフォームのカードを装填、そしてレバーを構え、

 

『変身!』

 

そしてレバーを引いた!

 

ーソウル!フォーム、フォーマル!

『FULL BURST IGNITION』!ー

 

ースピリット!フォーム、オリジン!

『FULL BURST IGNITION』!ー

 

ータマシイ!フォーム、チェイン!

『FULL BURST IGNITION』!ー

 

ーコア!フォーム、ブラッディ!

『FULL BURST IGNITION』!ー

 

ーホロウ!フォーム、ムニキス!

『FULL BURST IGNITION』!ー

 

そう言うと其々のアブソーバーから、

水のバリアを張った弓使い,暴風を羽織った槍使い,

光の鎖を全身に縛った戦士,黒い死神衣装の鎌使い,

そして鉄のような身体つきをした斧使いの魂が現れ、霊風達に纏った!

 

ーお前らの魂、オレが頂く!

激流、海弓、アビス・ザ・オーシャン!ー

 

ー精なる魂、私に刻め!

暴風、烈槍、ハリケーン・ストーム!ー

 

ー天への魂、私が縛る!

聖天、縛鎖、ホーリー・シャイニング!ー

 

ー極への魂、俺が裁く!

極悪、断罪、ダークネス・エクリプス!ー

 

ー無に帰す魂、私が紡ぐ!

多機能、万能、インパクト・バランス!ー

 

すると皆の姿も装いも新たにパワーアップを果たした!

そして霊風はすかさず槍を前方に構え、そして突進すると、直線上のノイズ達は一掃され、

ロックは弓を携えるなり、矢を番い、そして撃ち放つと、其処からなんと矢が無数に枝分かれして、其処から更に水を帯びた矢が無数にノイズ達を射抜いていく…!

 

光聖希は鎖を用いて、ノイズ達を捕まえるなり、そのままハンマー投げの要領でノイズ達を振り回し、他のノイズ達にぶつけた!

その隙に闇呪怨がその群れを一刀両断した!

 

そして零は斧とハンマーを交互に使いながら、全てノイズ達を1撃で葬り去っていった…!

 

すると憑友はカードケースからアカネのカードを取り出した。

それに気付いた皆は其々、

ロックはアオト,霊風はミドリ,光聖希はヒカリ,

闇呪怨はユカリ,零はパートナー『英雄』であるギンジのカードを取り出した。

 

すると瞬く間に6人の周りに光が包み込んだ…!

 

ーーーーーーSIDEto憑友

アカネさんのカードを出して、他の皆もカードを取り出した瞬間に光が現れ、包み込んだ。

…此処は一体…?

 

「おい、あれ…」

 

そうしていると、実体化していたアカネさんに言われて振り返ると零風先輩,ロック,陰陽兄弟に零の奴がやって来た。

其々の隣にはアオトとミドリさんもいるが、残りの3人は知らない。

 

「ヒカリ!ユカリ!それにギンジ!」

 

「やっほー!」

 

「相変わらずね…」

 

「全く…」

 

アカネさんが知っているという事は、同じ存在だと言う事か。

 

そうしていると俺達の近くにいつの間にか扉が現れていた。

そしてその扉の近くに1人の少年が立っていた…

 

「貴方は…!」

「お前は…!」

「君は…!」

「おめぇは…!」

 

アカネ,ミドリさん,アオト,そしてギンジの4人が目を見開いていた…一体何者なんだろうか…

 

 

「《ディバインゲート》へようこそ!導かれし少年少女達、そして《導く師者》達♪」




憑友達《精魂導師》達とアカネ達《適合者》達が出会った少年…
その少年は新たな力を彼等に授ける…
覚醒せし力は再び覚醒する…!

次回

再醒進化

その力は《絶望》を生んだ後に生まれる《奇跡》…!


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#39 再醒進化

今回はスマホアプリならびにアニメ『ディバインゲート』のキャラが登場します。


「『鍵の精』…まさか君が俺達を呼んだと言う事か」

 

霊風はそう言いながら、皆の前に立った。

そして『鍵の精』と呼ばれた男の子は「うん、そうだよ!」と言いながら話をし始めた。

 

「君達は『絶望』を味わった。

"大切な仲間が消えた","愛する人を悲しませてしまった",

"掛け替えのないモノを失った"…

だけど、それ以上の『奇跡』を生み出したのも君達なんだよ。

だから、君達に僕から新しい力を授けるね!」

 

そう言うと『鍵の精』は自身の胸に手を添え、そして手を扇のように大きく手を動かすと、其処から赤,青,翠,黄,紫,銀色のクリスタルが現れ、その中に人らしきモノが入っていた。

 

それを見た霊風は目を見開いた。

 

「それは…『聖石』⁉︎」

 

『聖石』と呼ばれたクリスタルはそのまま其々の場所へと赴いた!

アカネと憑友の元には赤のクリスタル『火の聖石』が、

アオトとロックの元には青のクリスタル『水の聖石』が、

ミドリと霊風の元には翠のクリスタル『風の聖石』が、

ヒカリと光聖希には黄色のクリスタル『光の聖石』が、

ユカリと闇呪怨には紫のクリスタル『闇の聖石』が、

そしてギンジと零には銀のクリスタル『無の聖石』が近づいてきた…!

 

「新たな力と共に、君達の物語…見守ってるね!」

 

それを聞いた皆は頷く。

すると、アオトが『鍵の精』の元へと歩んだ。

 

「ありがとう」

 

その問い掛けに『鍵の精』は笑顔を見せた。

そしてアオトはロックの所に赴くと、そのまま光に包まれた…

 

 

そして光から解放された皆が目にしたのは、響達が"エクスドライブ"でノイズ達を殲滅している姿が其処に移し出されていた。

 

それを見た《精魂導師》達は一斉に頷くと、アカネ達《ディバインゲート》の少年少女達のカードを取り出し、そしてアブソーバーに装填した。

するとアブソーバーから先程『鍵の精』から授かった『聖石』が現れた。それを6人は同時に其々の石を持ち、そしてアブソーバーにセットし、そしてレバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、アカネ!ー

ーソウル!フォーム、アオト!ー

ースピリット!フォーム、ミドリ!ー

ータマシイ!フォーム、ヒカリ!ー

ーコア!フォーム、ユカリ!ー

ーホロウ!フォーム、ギンジ!ー

 

ーーーーーー再醒進化(リベレーション)!ーーーーーー

 

すると其々のアブソーバーから6人の少年少女達の魂が現れ、そして其処に先程セットした『聖石』がそんな彼等の魂に吸収され、そしてそのまま憑友達《精魂導師》に纏った!

 

ーーーーーー聖なる扉!ーーーーーー

 

ー炎の咎人!ー

ー水の咎人!ー

ー風の咎人!ー

ー光妖精女!ー

ー闇の魔女王!ー

ー無の英雄!ー

 

其処に現れたのは、『進化』を超えた力…

『再醒進化』を果たしたアカネ達《ディバインゲート》の者達の姿を模した憑友達《精魂導師》の姿が其処に現れた!

 

(挿入歌『ワンミーツハー』ヒトリエ)

 

すると憑友はアカネの再醒進化後の拳型装備《イグナイト:リート》を両手でぶつけるとそのままノイズ達の中へと進行すると、中心地点で爆炎の渦を放つ技"フレアリィ・エルプション"を繰り出す!

 

それに気付いたノイズ達は一斉にターゲットを憑友に変更し、迫ろうとしたが、其処をユカリに扮する闇呪怨が鎌型の武器《アビス:シャドウ》の切っ先から闇の波動を纏わせ、"カウンター:メア"と呼ばれる反撃技でノイズ達を一掃した。

だが、一部のノイズ達がその隙を突き、闇呪怨と憑友にダメージを負わせる…!

だが、2人は炭化する事は無かった。

 

今まで言っていなかったが、実は《精魂導師》達はノイズの炭化能力を無効化する特殊なバリアが全身にコーティングされているのである。

故に、憑友と闇呪怨は炭化する事は無いのだ。

尤もダメージ等は受けるので、体力的には痛かったりする…。

 

すると憑友と闇呪怨の頭上から少量の雨が降った。

すると2人の身体のダメージの跡が消えたのだ!

 

それを見た2人はそれをやったであろう存在を見た。

其処にはアオトに扮したロックが刀型装備《ワダツミ:ディーネ》を二刀流に構えて、瞑想をしながら、刀で周囲を薙ぎ払った動作をしていた。

アオトの技にして、回復技"メメント・ブルー"が発動した。

 

すると今度は霊風が先陣を切るかのように、棍型装備《シル:フォンシェン》を華麗に頭上にて振り回し始めると、其処から闇の瘴気が発生し、それをノイズ達にぶつけた!

 

"メルヘンペイン・ステージ"

 

そしてその後を光聖希がヒカリの再醒進化後の装備《リュミエール・ウィスプ》を頭上に掲げた!

すると周囲のノイズ達が光の洗礼と共に灰へと化した!

 

"ビューティ・ビューティ"

 

すると零以外の《精魂導師》達は其々の手から炎,水,風,光,闇の属性の塊を出現させると、そのまま一か所に向けて放った!

その属性達の先には零がギンジの再醒進化後の斧型装備《ヤシャヒメ:ゼロ》を構えていた…!

 

そしてその斧に炎,水,風,光,闇の順でその塊達が吸収され、そして零はその斧を振り下ろした!

すると扇状の形に配置されていたノイズ達が一斉に灰へと化した…!

 

"インフィニティ・リバース"

 

そして自分達の周りにいたノイズ達を倒した憑友達はパワーアップした姿に戻ると共に、響達の元へと向かった…!




『鍵の精』

アニメにて登場した男の子で、ツンデレ声優こと釘宮理恵さんが演じた役。
スマホでは『少年K』と言う名前で登場している。

その名の通り、聖なる扉《ディバインゲート》を開く『鍵』の役割を持つ少年。
此度はアカネ達《ディバインゲート》の者達と、憑友達《精魂導師》に『再醒進化』の力を持つ石『聖石』を託す。

『聖石』
アプリ内で登場する物で、『再醒進化』を秘めた存在でもある。

再醒進化(さいせいしんか)
究極の進化に行き着いた先にある進化の事。
自身の力を限界突破させ、更なる力を授けると言う。
但し、それ相応の覚悟と技量を持たなければならないとの事。

次回

Vitalization FULL BURST

次回ついにネフィリムとの…ノイズとの因縁に決着の刻…!


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#40 Vitalization FULL BURST

戦闘回ついにラスト!
そしてラストはオリ展開!

…あれ?なんかこの下り…デジャヴを感じる…。


「いっけえええええええええ!!!!!」

 

憑友達が再醒進化を果たした頃、響達はノイズを相手に無双を繰り広げていた…!

響は右腕に槍の装備を装着してノイズ達を一気に貫き、翼はアームドギアでノイズ達を切り裂き、クリスはビームやミサイルでノイズ達を撃破、切歌もアームドギアで襲いかかるノイズ達を切り裂きながらマリアを守っていた。

 

「調!! まだデスか!?」

 

「もう少し……でぇ!!」

 

調はディストピアの両腕の鋸でマリアを拘束しているネフィリムの触手を切り裂き、その際にディストピアは破壊される。

 

「マリア!」

 

「くっ、一振りの杖ではこれだけのノイズは制御は追いつかない!」

 

そこで響が「マリアさんは、その杖で宝物庫をもう一度開く事に集中してください!!」と叫び、それに対してマリアは「なに?」と首を傾げる。

 

「外から開くなら中から開ける事だって出来るはずだ!!」

 

「鍵なんだよ、そいつは!!」

 

翼とクリスにそう言われ、マリアは強く頷くとソロモンを構えてもう1度バビロニアの宝物庫の扉をこじ開けようとするが、中々思うように開けられない…!

するとそんなマリアの側にセレナが駆けつけた!

 

「セレナ!」

 

「マリア姉さんだけにその責任を押し付けさせない!

私も一緒にやるんだから!」

 

「…ありがとう。

行くわよ!セレナ!」

 

「うん!」

 

「「はぁぁぁぁあ‼︎」」

 

2人の姉妹の力でバビロニアの宝物庫をこじ開けることに成功した!

一同は急いでその出口に向かっていくが……ネフィリムがそれを遮る。

 

「チッ、迂回路はなさそうだ」

 

「ならば、行く道はひとつ!!」

 

「手を繋ごう!!!!」

 

「響ちゃんらしいな!みんな!」

 

8人はそれぞれの手をつなぎ合わせる。

 

「この手は、簡単には離さない!!」

 

 

 

『最速で! 最短で!! 真っ直ぐに!!!!!!』

 

響とマリアのシンフォギアの装備が外れてそれらが合体し、右手と左手を握り締めた巨大な「手」が完成する。

 

そしてそのままネフィリムに向けてその力を一気にぶつけた!

 

 

"Vitalization"

 

 

『一直線にいいいいいいいいいいいいい!!!!!!』

 

『■■■■■■■■ーーーーー‼︎』

 

だが、原作(オリジナル)よりもパワーアップしているネフィリムにはその攻撃が全く通用しない…!

火力が足りていなかったのだ!

万事休すかと思われた。だが、そんな時だった!

 

「諦めるなーーーー‼︎」

 

1人の少年の声が聞こえ、響達は後ろを振り向く。

すると其処から6人の少年達…《精魂導師》達が駆け付けたのだ!

 

すると6人は其々の場所へと赴く!

 

翼と奏の間に霊風が、クリスと翼の間にロックが、

セレナと切歌の間に闇呪怨、調と切歌の間に光聖希が、

セレナとマリアの間に零が、そして響と奏の間に憑友が其々配置についた!

 

そして配置についた導師達は皆一斉に「はぁぁぁぁあ‼︎」と叫ぶと彼らの後ろから、水,風,炎,無,闇,光の属性のエネルギーがブースターのように放出し始めた!

 

「これが、俺達《精魂導師》と!

響達《シンフォギア》装者達の…!

 

 

 

 

 

 

 

 

力だーーーー‼︎」

 

『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!』

 

今ここに8人のシンフォギア装者達と6人の精魂導師の力を結集した大技…

 

 

"Vitalization FULL BURST"

 

がネフィリムに決まった…!

 

『■■■■ーーーーー⁉︎』

 

 

そのまま出口を塞いでいるネフィリムの身体を貫き、響達は外の世界へと戻ってくるが……その勢いは止まらず地面に強く激突してしまう。

 

そのまま、響達、憑友達はその場にボロボロの状態で膝を突いていた。

 

しかもソロモンの杖は遠く離れた場所に突き刺さり、マリアはどうにか杖を取ろうとするが中々身体が上手く動かなかった。

 

 

「杖が……すぐにソロモンの杖でゲートを閉じなくては、まもなくネフィリムの爆発が……」

 

だがやはりマリアを含め、全員動ける状態ではなかった。

おまけに憑友達《精魂導師》達はノイズとの激戦と先の戦いでの消耗で変身が解除されてしまっていた。

 

「まだだ……」

 

「心強い仲間は、他にも……!!」

 

「俺達にとっての…」

 

「仲間はまだいる…!」

 

「仲間?」

 

そこで響と憑友は立ち上がり、こちらに向かって走ってくる自分達の「親友」を見つめる。

 

「私の…」「俺の…」

 

「「…親友だよ」」

 

それは勿論、響と憑友の親友である「小日向 未来」だった。

 

「(ギアだけが戦う力じゃないって響が教えてくれた……!

側にいるだけでも力だって憑友が教えてくれた……!)」

 

そして未来はソロモンの杖を掴み取る。

 

「私だって、戦うんだ!! お願い!! 閉じてえええええええええ!!!!!!」

 

未来はソロモンの杖をバビロニアの宝物庫へと強く放り投げる。

 

「もう響が、憑友が、誰もが闘わなくてもいいような……世界にいいいいいいいいいい!!!!」

 

その未来の想いが届いたのか、ソロモンの杖はバビロニアの中へと入り、バビロニアの扉は完全に閉じ、ネフィリムはその中で爆発を起こした。

 

この瞬間に、バビロニアの宝物庫は完全崩壊し、

現存していたノイズ達は、全て消滅した…!

 

 

その後、月は正常な位置へと戻っていくことが確認された。

だが、ナスターシャとの連絡は途絶えたままであり、マリア,切歌,調,陰陽兄弟の5人は月を見上げていた。

 

 

 

「マムが未来を繋いでくれた。 

ありがとう、お母さん……」

 

マリアは静かに笑みを浮かべてそうお礼を述べ、そんな時、響が「マリアさん」と彼女の名を呼び、マリアが振り返るとそこには待機状態のガングニールをマリアに返そうとする響がいた。

 

「……ガングニールは君にこそ相応しい」

 

だが、マリアはそう言ってガングニールを響に譲ったのだ。

 

「だが、月の遺跡を再起動させてしまった」

 

マリアはそう呟きながら月を見上げる。

月の遺跡を再起動させたと言う事は、

かつて憑友達が戦った相手《フィーネ》が忌み嫌う呪い…【バラルの呪詛】が復活したと言う事である。

 

「バラルの呪詛か」

 

「人類の相互理解はまた遠のいたって訳か」

 

それを聞いた翼とクリスはそう呟き、それを見ていたロックと奏は2人揃って落ち込んでいた。

しかし、響は笑みを浮かべて「平気、へっちゃらです!!」と言って退け、それによりマリア達は響の方へと振り返る。

 

「だってこの世界には『歌』があるんだよ!」

 

それを聞いて周りにいたみんなも自然と笑みを浮かべる。

それは憑友達《精魂導師》達と、『英雄』達も同じであった。

 

「そうだな、取りあえず難しい話は後回しってことで!!」

 

「単純に話があんまり理解できてないだけだろ、お前」

 

「いや、理解出来てるから⁉︎」

 

クリスは呆れたような目で霊風を見つめ、霊風はそれに対して苦笑しながら反論した。

それを見た奏は「はぁ…」と溜め息をつきながらも、その顔には不満の様子は無かった。

 

「歌、デスか」

 

「いつか人は繋がれる。 

だけどそれはどこかの場所でも、いつかの未来でもない。 

確かに、伝えたから」

 

調の言葉に、響は静かに頷く。

 

「立花 響、君に出会えてよかった」

 

マリアは笑みを浮かべて響にそう伝え、それに対して響は再び静かに頷く。

 

すると政府の人達が現れた。

それを見た憑友達はこのままで良いのかと疑念を感じた。

マリア達『F.I.S.』はどうしようも出来ないのかと。

テロリスト紛いな事をしでかした人材でもある彼女達。

だが、マリアは政府に対してこう発言した。

 

「セレナと零。2人は何もしてないわ。だから、彼女達には何もしないで」

 

其れを聞いたセレナと零は驚き反論しようとするが、憑友がセレナを、霊風が零の肩を叩きそして首を横に振った。

自分達では無力だと言う事を。

 

それを見たマリアは憑友に向かって、「セレナと零の事…お願いするわ」と清々しい発言をしたので誰1人として言い返す事が出来ず、マリア達は連行され始めた…その時だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ…

そんなのでよくもまぁ政府のお偉いさん達を護衛した存在だとは。

…片腹痛いね」

 

 

 

 

 

 

 

 

『⁈』

 

「貴方は…?」

 

マリア達とSP達の前に1人の男が通せん坊をしていた。

 

その姿を見た響,未来,セレナ,そして憑友は驚愕した…

 

「「憑友君のお父さん⁈」」

 

「お義父さん⁈」

 

「親父⁈なんで此処に⁈」

 

 

それは憑友の父でセレナの義父…人絆玄也だった。




原作よりも強くしてしまったネフィリムですので、8人の力でも貫通出来なかった…
なので、6人の導師達の属性の力を全開にして放つ14人の合体技とも呼べる技を考えました…!後悔は無い!
いや、寧ろこのお話を作る時に既に決めていた決定案であるのは此処だけの話である。

次回

キングofカイザー

…あれ?このワード…何処かで出したような…何処だっけ?


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#41 キングofカイザー

G編も残すところあと1回
このままGX編へと繋げよう…うん…!

それと今回はいろいろとご都合主義過ぎる話。


日本政府がマリア達を連行しようとしていると、なんと憑友とセレナの父・玄也が現れたのだ!

それを聞いた一同は驚愕していた。

 

人絆玄也とはどんな存在なのかと言われればそれは人の観点で多種多様とも言える…

 

二課の司令にして、翼の叔父・弦十郎にとっては彼の事は「小学時代からの親友」と言う見解であり、

一般人から言わせるなら、玄也は「『英雄石板』の発掘並びに解析者」という見解か多く取られるのが当たり前なのである。

 

セレナや憑友にとっては、「父親(セレナの場合は義父)」と言う見方を取り、響や未来,此処にはいない逝都と馬燈にとっては「幼馴染のお父さん」と言う見解だろう。

 

だが、彼の事を知らない人にとっては「このおっさん誰?」と言うのが大半だろう。

 

そんな玄也が何故この場所に来ているのかと疑問に感じていると、

SPの1人が玄也と話し始めた。

 

「いくらあの『英雄石板発掘解析者』である貴方でも、政府を相手にすると言うのですか⁈」

 

「う〜ん…確かに」

 

そう言いながら困った顔をした玄也。

それを見た響達は如何する事も出来ないのかと思った。

だが、憑友は気付いていた…父の()()()を。

 

「(ったく…また始まったよ…悪知恵)」

 

すると憑友は溜め息を零し、そして父・玄也の顔を見る。

それを見た玄也は不敵な笑みを憑友だけに見せた。

それを見た憑友は「(あ、やる気だ…悪知恵)」とそう考えながら、何をしでかすのか気が気では無かった。

 

すると玄也はSP達の顔を見てこう言った。

 

「確かに、僕の力では彼女達を如何こうする事はおそらく不可能だろうね。

 

……………………()()()ではね?」

 

『は?』

 

その一言で皆は不思議がる。

今この男はなんと言った?

 

()()()と言わなかったか?と。

 

「何を訳の分からないことw「お前らこそ、この者を何方と心得ているのか?」⁈」

 

SPの会話を遮る声が聞こえた。

すると玄也の後ろから、明らかに自分達よりも体格が違いすぎる黒サングラスに黒のSPスーツを着ていた男が前に出た。

それを見たSP達は「誰?」と声を掛けたり、またはその挙動を見せたが、「馬鹿者が‼︎」とSP達のリーダーが怒鳴り散らした。

 

「お、お、お、お久しぶりでございます…《パーフェクトSP》様…」

 

「ふっ。誰かと思えば、50番目の弟子では無いか。

日本政府のSPに付けるぐらいにまで成長するとはな。

師匠としてはお前の成長ぶりには感心してるぞ」

 

「め、め、め、滅相もございません‼︎」

 

と明らかにSPリーダーがその男に対しての挙動不審さと、そのリーダーの師匠が目の前にいる事に、他のSP達は目が飛び出る程に仰天していた。

 

すると《パーフェクトSP》と呼ばれた男は「今後も精進するようにな」と言って、そのリーダーの肩を叩くとそのまま憑友の元へとやってきた。

憑友は男を見て、明らかに警戒していたが、男が言った一言で変わった。

 

 

「ご無事でなりよりです。憑友()()()()

 

「坊ちゃん…え?マジで?」

 

そう言いながら男はサングラスを取り、憑友に素顔を見せた。

其処には目元に横に一本の傷跡と、目の上に縦線一本の傷跡が入ったゴロツキも逃げ帰るような強面の顔をした男がにこやかな笑顔を見せていた。

 

その笑顔を見た憑友はその男の名を言った…!

 

「ジル叔父さん⁈」

 

『叔父さん⁈』

 

男の名はジル・ド・レェイジ。

憑友の母・ジャンヌを守る盾騎士にして、

最強のスペシャルポリス…《パーフェクトSP》として、

常に政府トップの護衛任務にて失敗が無いと言われるほどの実力者である。

そして憑友にとっては叔父さんのような存在として、小さい頃よく遊んでくれた存在だったのだ!

 

するとジルは皆を軽く掃除させると、そのまま玄也の元へと駆け寄る。

 

「このお方は人絆玄也。『英雄石板発掘解析者』の称号を持つ人間国宝だ。

だが、それはあくまで()()()だ」

 

それを聞いた皆は先程玄也が言った()()()と言うワードに反応した。

するとジルは衝撃発言をした…!

 

()()()は、政府を相手に余裕の対応を見せる戦略の使者…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《キングofカイザー》様に在らせられる!」

 

 

それを聞いたSP達はまた目が飛び出る程の仰天を見せた。

 

勿論、二課のスタッフも装者や導師達も驚いていた。

そしてそれは憑友とセレナ…玄也の息子と義娘でさえも驚いていた。

 

 

キングofカイザー

 

この世の裏社会を牛耳る謎深き存在として、都市伝説になっている存在。

その行いはまさに【悪のカリスマ】,【独裁者】とでも呼ばれてもおかしくはない程の所業しかしていないのだ。

 

そんな存在がまさか自分の父親だとは誰が予想した事か。

 

「まぁ。僕がこの名を使う時は大抵、家族や友人の為だけにしか使わないんだけどね?

例えば…

 

憑友やロック君達を女学院であるリディアンに編入させたのは僕だし。

ロック君とクリス君の部屋を貸し与えたのもそうだし。

憑友に至っては響ちゃんと未来ちゃんの部屋をルームシェアするように仕向けたのも僕だしね♪」

 

「「………はぁ⁉︎」」

 

あまりの発言にロックと憑友はそう叫ばずにはいられなかった。

 

「今回はハニーの頼みで此処に来たんだけどね。

 

 

…マリア・カデンツァヴァナ・イヴ,月読調,暁切歌。

陰陽闇呪怨と光聖希。そして無頼零。

君達の身の保険を僕が預かる。その為に此処にきた」

 

それを聞いた皆は驚いた。

それは自分達の身の保証を証明してくれていたから。

 

それを聞いたSP達は猛抗議をしようとするが、インカムから雇用人であろう男からの連絡が入った。

 

「如何やら、そちらの案件はちと問題がある様だね。

僕としてはそれでも太刀打ちできる術を持っている事だけは伝えておくからね」

 

そう不敵な笑みを浮かべた玄也に、SP達は渋々マリア達を置いて撤退せざるを得ず、そのまま立ち去った。

尚、SPリーダーはジルと一勝負の申し込みをしていたのだが、ジルはこれを了承し、後日再戦したのは後の話。

 

そうしていると憑友は不意に後ろからの気配に感じ振り向くと同時に、誰かがのしかかってきたのだ。

その誰かと言うと…

 

「憑友〜!会いたかったよ〜〜!」(つД`)ノ

 

「か、母さん⁈ってか、きつっ⁉︎」Σ(・□・;)

 

なんと憑友の母親であり、《パーフェクトドクター》の名を持つ女性・人絆ジャンヌであったのだ。

 

「やれやれ。マリア君達を見捨てたくないって言ったのはハニーだからね。僕個人としては君達は十分すぎるほどの罰を与えなくてはいけなかったんだ。

だけど、ハニーの怒気には流石に敵わなかったよ…」( T_T)

 

そう言いながら何気に怯え泣きしている玄也を見た一同は、『(奥さんには弱いんだ…(−_−U))』と心の中でそう呟いていた。

 

するとジャンヌは、「ありがとね♪」と憑友に言ってきた。

「?俺、母さんに何かした?」と憑友はそう聞き返すと、ジャンヌは首を横に振って…

 

 

「貴方の事よ。…『フィーネ』♪」

 

 

 

とそう言った。

 

『…………フィーネ⁈』

 

ーーーーーーSIDEto憑友

あるぇ〜〜?なんでお母さんは自分の事知ってるのかな〜〜?

 

ー…代われ。彼奴には色々と話があるからなー

 

あ、はい…

 

そう言うと俺は了子さんもといフィーネに身体を貸した。

 

ーーーーーーNO SIDE

 

皆が驚愕の表情を浮かべていた。

特に二課の導師と装者、調は会っている故に驚きの顔しかしていなかった。

すると憑友は目を瞑り、そして開眼した。

其処には憑友の特徴であるルビーの目が金色の瞳に変わっていた。

 

『…いつ気が付いた?』

 

その口調を聞いた皆は目を見開いた。

だが、そんな事はお構い無しにジャンヌは話を仕切っていた。

 

「だって、私はこう見えても"レセプターチルドレン"だったのよ?

自分から産まれてくるだろう赤ん坊にもその血が流れている事なんてお見通しなんだから♪」

 

『…だが、確率の問題だろう』

 

「そうだね〜。でも、私は信じてたよ」

 

『何?』

 

「フィーネが憑友を助けてくれるって♪」

 

『…なんでもお見通しという訳か』

 

フィーネはそう呟く。ジャンヌはそんなフィーネに対してハグしてきたが、フィーネに悉く拒否られたのは言うまでも無い。

 

そんな混沌(と書いてカオスと読む)とした場の空気に皆は追いついていなかったが、終わり良ければ全て良しなのである。

え?何が言いたいかって?…要は結果オーライなのである。

 

 

その後は憑友の身体を借りているフィーネは今の自分の立場を話した。

今は乗っ取る事はせず、互いに共有していると言う事。

バリアなどフィーネの力の大半は無い状態。

それでも皆の役に立てる情報は保有していると言う事等を色々と話をしたのであった。

 

フィーネは奏に向かって謝罪した。それは皆神山での惨劇は自分がやったと言う供述だった事。

奏は皆神山での発掘調査員の最後の生き残りだったのだ。

だが、奏は

 

「謝る必要は無い。

今となれば、フィーネがいたから翼や響ちゃん達と出会った。霊風が側にいてくれた。

フィーネがやった罪は消えないかもしれないけど、それでも私は今のあんたの事は許すよ」

 

そう奏が言ったのを聞いたフィーネは「ありがとう」と涙を流していた。

 

 

するとジャンヌがマリア達の元に来ると、タブレットを見せた。

其処にはマリア達が一番に会いたかった存在・ナスターシャがベットでゆっくりと寝ていた。まるで永い眠りに入っているかのように。

 

「マムは憑友が連れ帰って来たんだよ」

 

それを聞いたマリア達は憑友に顔を向ける。

其処には既にフィーネの金色の瞳ではなく、ルビーの瞳をした憑友本人がいた。

 

「その後、レウスに乗って一足先に駆けつけた私が治療を施して、今はぐっすり安定しているわ。

少なくても10年は生きられるわよ♪」

 

それを聞いたマリア達は嬉し涙を流していた。 自分達を育ててくれたナスターシャとの別れをせずに済んだ皆は一安心したのであった。

 

その後、ジャンヌの計らいでマリア達『F.I.S.』は人絆家に身を置く事になった。勿論ナスターシャ教授もである。

 

彼女達の事は内密にそして穏便に済まされた。

 

『マリア・カデンツァヴァナ・イヴは月の落下を食い止めようとした英雄』という偶像を強いられるが、本人自らの意思であった。

原作では切歌や調,響達未成年を守る為の操り人形だったマリア。

だが、この話では其処までならなかった。

彼女にはキングofカイザー(最強の後ろ盾)がいるのだから。

だが、自分が引き起こした暴動は自分で償うという意思を彼女は見せたのだった。

 

尚、マリアはセレナと居るときは大抵妹であるセレナから弄り回されるのをこの時の彼女は知らないのであった…お姉ちゃんガンバ…。

 

切歌や調,陰陽兄弟は来年度春から高校1年生。

其処でリディアンの元に居合わせる方が良いとの事案が成されたのであった。

 

そしてセレナは家族との再会を機に、マリアのマネージャーとして生きる事を決意し、先輩である緒川と霊風に教わるような光景を度々お目に掛かる事があるようになったとか。

 

零はそんなセレナの後を継ぐかのように、玄也の助手として同席する形が多くなったそうだ。

そして憑友には「義兄さんって呼んでも良いぜ?」と茶化すようになったが、憑友はそれを玉砕したのは言うまでも無い。

 

ナスターシャはそんなマリア達の成長を見続けられる事に喜びを感じつつ、今日もシンフォギアの研究に勤しむ事になるのであった。

 

 

後に《フロンティア事変》と呼ばれたこの騒動は、原作(オリジナル)と大きくかけ離れた結末を迎えて幕を下ろしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが…

 

 

次なる戦いの準備は既に動き始めていた…

 

 

 

大いなる渦が呼び寄せし存在が蠢きを始めていた…

 

 

ーーーーーーSIDEto逝都

「終わったんだな…」

 

「ああ」

 

憑友が復活して、未来ちゃんや響ちゃんが無事に帰って来てくれた事にはホッとした。

 

だけど、同時に悔しかった…

 

 

俺達が"守る"と決めた奴等なのに…

 

結局俺達は…何も出来なかった。

 

それどころか、彼奴等ばかりに俺達が"守られてしまっていた"。

 

「もう俺達の役目は終わりなのかもしれないな…」

 

「…俺はまだ、彼奴等を守りたい…!」

 

「俺もだ…!だけど…

俺達に何が出来るんだよ…!」

 

 

彼奴等を…憑友や響達を…俺と馬燈は守りたい…!

 

 

「出来るわよ」

 

「「え?」」

 

不意に聞こえてきた声に俺と馬燈は振り向く。

其処には金髪のストレート&ツインテールで、白衣を纏った女性と、

碧と蒼のオッドアイを持つ青年の2人組が其処にいた。

 

「あんたは…」

 

「私の名はサモン。サモン・クリスチャーノ。

 

貴方達に助けを請う者よ」

 

「助けを、請う者…?」

 

「貴方達の力を貸して欲しいの…!」

 

ーーーーーー

 

今この場を持って、新たな戦いを生み出す火の粉は舞い始めた。

 

そしてその日を境に、逝都と馬燈の2人はそれ以降リディアンに顔を出す事は無くなった…




次回

エピローグ/次なる戦いの序章を添えて…

次回G編クライマックス!


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#FINAL エピローグ/次なる戦いの序章を添えて…

G編オリ展有りの最終回!
此処まで読んでくれた皆さん。本当にありがとうございます!
続きは後書きにて!
それでは本編…最終回…スタートです!



数日後、リディアン音楽院にて……。

 

「翼さーん!! クリスちゃーん!!」

 

未来と憑友と共に響は翼とクリスとロックに駆け寄ると翼はどこか不満そうな表情を浮かべて「聞いてくれ立花」となにか話しだす。

 

「あれ以来雪音が私のことを"先輩"と言ってくれないのだ」

 

「っ……////」

 

 

翼にそう言われてクリスは顔を赤くし、すると響はにやにやした表情を浮かべる。

 

「なになに~? クリスちゃんってば翼さんのこと『先輩』って呼んでるの?」

 

「ちょ、ちょっと響ったら!」

 

未来が止めようとするがすでに遅く、クリスは眉をピクピクと動かし、「いい機会だから教えてやる」と言って響の頬を鷲掴みにするクリス。

 

「あたしはお前より年上で、先輩だってことをぉ!!!!」

 

そんな響とクリスに翼と未来は呆れ、2人で響とクリスを止める。

 

「ねえ、響? 身体、なんともない? おかしくない?」

 

未来が心配して響に声をかけるが、響は「心配症だなぁ、未来は」と言いながら未来を響は抱きしめる。

 

「私を蝕む聖遺物はあの時全部綺麗さっぱり消えたんだって」

 

「響……」

 

「でもね、胸のガングニールはなくなったけど、奏さんから託された歌…思いは……絶対に無くしたりしないよ」

 

「全く、お前という奴は…

…ってか、その言い方だと奏さん死んでるような言い方しか聞こえないぞ」

 

「ふぇ⁈…あ」

 

「立花〜!」

 

「翼さん⁈ごめんなさ〜い‼︎」

 

それを聞いた憑友からの指摘で響はしまったと言う顔をするが既に遅く、奏のパートナーである翼が鬼気迫る表情をしながら響を追い回していたのを見て、未来や先程まで響に怒りの矛先を向けていたクリスと、頭を抱え込むロックと呆れ同然の表情の憑友が揃って苦笑いをしていたのは言うまでも無い。

 

 

それを見届けた皆はなんとか翼を宥めさせた。

そして皆揃って笑みを浮かべ、響は空を見上げる。

 

「それに、それは私だけじゃない。 

きっとそれは……誰の胸にもある、歌なんだ……」

 

それを聞いた憑友は空を見上げ、呟いた。

 

「誰の心にも『英雄』はいる。だがそれを使いこなせていないだけ。

それには『勇気』が必要なんだ…

『勇気』が俺達に力を貸してくれんだって…!」

 

 

 

 

 

さらに数日後、憑友は空港に立っていた。

あの後、憑友は逝都と馬燈が行方不明と言う事を聞き、憑友は学院での授業科目を全て取った。

 

もう既に2年次最後の分の評価を貰っており、後は3年次分だけと言う恐るべき思考であっという間に2年次分までのを修了させたのだ。

…因みに己の力で勝ち取ったものでフィーネは一切手出しはしていないと憑友本人とフィーネ本人が証言している。

…恐るべし。

 

と、話が逸れてしまったので戻るとしよう。

 

 

2人を探しに行くついでに世界にはまだ多くの『英雄石板』があるかもしれないと憑友はそう言うと玄也達の了承を得て、今日旅立つ事になった。

この事は響達には話してはいない。

話すと碌な事にならないから。

そう思いながら憑友はゲートを潜ろうとすると、「待って!憑友!」と声がしたので振り返ると其処には響と未来が駆けつけたのだ。

 

「響に未来?」

 

「勝手に行かないでよ!」

 

「私達、待ってるからね!」

 

「絶対に帰って来て!」

 

「お前等…ああ」

 

そう言うと憑友は其々の頭に手を置き、そして撫でた。

それを感じた2人は「あっ…///」と言いながら顔を朱く染めた。

 

ちっ…これだから女たらしは好きじゃ無いんだよ。

 

「今なんか言ったか?」

 

「?」「誰に言ってるの?」

 

「ナレーション」

 

「メタ〜…」

 

ドキッ⁈

…ゴフン。

まぁ兎に角、憑友はその動作をすると何かを思い出したのか、胸ポケットからある物を取り出し、未来に「後ろ向いててくれ」と示唆して来たので、未来は言う通りにし、そして憑友は未来のリボンに付け加えるかのようにある物を頭に付けた。

 

そしてそれを見た響は「未来、可愛い!」と言ってきたので、未来は何がなんだか分からなくなったのだが、

憑友がライドを取り出して、

"不便機能"ので1つ,ミラーモードでディスプレイを鏡のようにすると、それを未来に見せた。

 

其処には未来のリボンに加えて、カチューシャが付いていた。左耳の上辺りには小さなワンポイントアクセまで付いているのである。

 

 

「これって…」

 

「ちょいと早い誕生日プレゼント。

似合ってるよ」

 

そう言う憑友に未来は顔を真っ赤に染まっていた。

すると響は「あれ?私のは⁈」と聞かれたが、「お前のはまた今度、響が女の子らしくなればの話だけどな!」と憑友が茶化してので、響はムキーと言うも、すぐに笑顔を向けた。

 

「帰って来ないとただじゃおかないからね!」

 

「憑友の帰る場所はいつだって待ってるから!」

 

「ったりめえな事を言うなよ。

生きて帰ってくるさ!

 

じゃあ…行ってきます」

 

そう言うと憑友は2人に背を向けそしてガッツポーズで飛行機へと向かって行った。

 

 

「(俺が1人だと思ったら、それは違う。

俺の側にはいつも、『英雄』達がいて、頼れる『仲間』がいて、

大切な『家族』がいて、信じてくれている『友人』がいて、

そしていつも待っている『幼馴染』がいる。

それに今回からは『相棒』もいる。

俺の物語はまだ始まったばかりだ。

俺の旅路は此処から始まるんだ…!)」

 

そう言いながら、憑友は3枚のカードを取り出した。

 

1つは、己の中に眠りし『相棒』…フィーネ。

 

1つは、自身を育ててくれた剣の師匠で『英雄』…キリト。

 

そして最後の1枚は『自分自身』の力…ベーシックフォーム。

 

そのカード達を胸ポケットにしまい込む。

そして…憑友の旅路は此処から始まった。

 

 

 

ーーーーーー

その頃、大気圏外ではある異変が感知された…!

 

禍々しい程の奇妙な渦が発生していた。

そんな渦中に1人の人間が『考える人』のようなポージングで佇んでいた。

青く透き通るような肉体だが、眼が存在していなかった。

背中には8枚の羽らしきものが備えられていた…!

 

そしてその者が不敵な笑みを浮かべた。

 

物語は動き出す…新たな物語が展開され始めようとしていた。

 

 

ーーーG 《フロンティア事変》編 finーーー




まず一言。
G編まで見てくれてありがとうございます!

作者のかもめカメです。

今回のG編は時間との勝負でした。
いち早く終わらせる事が出来るのかと言う苦難と葛藤の間の中で製作していました。

まぁ、その結果なんですけど、登場させたキャラが少なかったと言う点に関しては申し訳ありませんでした。
この話に出てこれなかった『英雄』達はGX編にて大いに登場させる予定です!
…さて、ラストはまたかと思わせるような展開を見せました。
と言うより、登場させた存在…知ってる人はいるんじゃねぇ?と思えるような存在です。

さて、此処まで読んで頂いた皆様。
皆様が登場させて欲しいキャラっていましたか?
大体の人はこう言うでしょう…

「俺のオキニのキャラ誰1人として出て来てねぇじゃねぇかよゴルァァァァァ‼︎」と。

そういうのは大抵分かっています。

特に、超有名過ぎるあの方達が出て来ていませんね。

『友情』『努力』『勝利』が持ち味のキャラ達と、
アメリカ生まれの『スーパーヒーロー』に、
大手企業から生まれた『有名』過ぎるキャラ達etc…

何も言わなくても結構です。彼等は特殊なケースで登場させます。

そしてGX編で使用する事になるでしょう。
G編に登場した『アドバンスフォース』のような形として。

そして最終回目前にて行方を眩ませてしまった憑友君の幼馴染…

浅岡逝都君と一走馬燈君。

彼等の行方もGX編にて明らかにされるでしょう。

さて、いよいよ物語はGX編へと突入します!

原作(オリジナル)と大きくかけ離れた結果を迎えたこの世界…

キャロル達《錬金術師》を相手にシンフォギア装者と精魂導師はどう立ち向かうのでしょうか?

そして原作には存在しなかった第3勢力の存在…!

そして原作最終回ですらない予想だにしない結末…!

果たして、この先の未来はどうなるのか?
そして、憑友は神のお使いをこなし、元の身体に戻る事が出来るのだろうか⁉︎


期待を膨らませながら、GX編を乞うご期待です!


ご清聴ありがとうございました。


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設定集 G編

G編に登場したキャラをざっくりとしています。


人絆(じんさい)憑友(つくも)

イメージCV:松本梨香

(ポケットモンスター サトシetc)

 

生年月日 1月27日生

血液型 O型

趣味 機械弄り/石板解析

好きな物

某携帯獣の電気鼠さん/芋けんぴ

嫌いな物

ドーピング剤

 

プロローグ1 誕生→5歳

プロローグ2 9歳

ラストプロローグ 13歳

本編〜 15歳

 

この物語の主人公にして、オリ主。

 

プロローグ1にて誕生した男の子。

プロローグ2にて、死ぬ間際のセレナを見つけ、彼女を救う切欠を作り、記憶喪失になったセレナを家に住みつかせる切欠を作った。

ラストプロローグでは、天羽奏を救いたいと願ったあまり、自分でも知らない力が発動して、エンシャンと名乗る鳥と契約をして奏を救う代償として命を落とし死亡した。

しかし、あの世にて神様と名乗る青年によって咎められ、再び現世へと舞い降りた。

その時に自分だけが見えるゆる〜い幽霊キャラ『ユルセン』も一緒にやって来た。

事情を知った両親とライドは彼の成長を暖かく見守る事になった。

プロローグ4の時では既に『シンフォギア』の主人公・響と親友の未来とは幼馴染な関係であり、

セレナは年が離れてるけど、支えてくれる良き姉と言う印象を持っている。

ツヴァイウイングは片割れ『天羽奏』のファン。

 

G編では自分の寿命が尽きかけ、ついに死滅してしまうが、フィーネと共有した身体を得た事でリセットした状態になり、

更に《精魂導師》達にパワーアップ要素『FULL BURST IGNITION』と言う力が備わった。

そしてエピローグ後では幼馴染2人の行方を捜索するため、1人で日本を後に旅立つ。

その際に多くの『英雄石板』を持ち帰って来る事があるようになる。

 

 

精妖霊風(せいようレフ)

イメージCV:西川貴教

(機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ハイネ・ヴェステンフルスetc

T.M.revolutionとして大活躍中)

プロローグ4 17歳

プロローグ6〜エピローグ 20歳

本編〜 22歳

 

生年月日 9月15日生

血液型 A型

趣味 スイーツ作り

好きな物

ラーメン

嫌いな物

ゲスな奴

 

今作のオリキャラの1人にしてメインキャラの1人。

プロローグ4のラストにて初登場。

《精魂導師》内では大人の分類。

電子機器・スピリットとの邂逅、

《精魂導師》になった経緯、等々

《精魂導師》に関わる経歴が謎に包まれていて、本人は決して人前で話す事は無い。

今作では『ツヴァイウイング』の片翼・天羽奏の専属マネージャーとして活躍する様になる。

しかもそのフレンドリーな性格でお菓子作りと言う趣味がある為か、

某人気ランキング番組内にて『親しみやすいマネージャーランキング』部門にて初登場1位を獲得。それ以来、皆から《フレンドリーマネージャー》として皆の人気者になっている。

…マネージャー職なのに、目立って如何する…。

プロローグ時までは奏と翼のスリーマンセルの体制だったが、

本編では、奏が戦線離脱を余儀なくされ、戦場に立てなくなった奏に代わり、翼のフォローをするマンツーマンの体制として活躍する。

 

自炊も出来る万能マン。

だが、苦手な物があるようで…?

 

G編では自分の不甲斐なさが生んだ悲劇の連鎖に苦悩するが、それでも己の仲間の為にその槍を振るう…!

既に奏とは既に結婚しており、非戦闘時は常に左手薬指に婚約指輪を嵌めている。

だが、仕事中の時は手袋を着用しているので、二課以外のメンバーには見せてはおらず、戦闘時は胸ポケット若しくは緒川に預けている。

奏の戦線復帰により、翼と奏を守る騎士として装いも新たに奮闘する…!

 

 

ロック・アイル・ユキネ

イメージCV:宮野真守

(テイルズオブヴェスペリア フレン

ポケットモンスター ベストウィッシュ デント

ウルトラヒーロー ウルトラマンゼロetc)

プロローグ3 9歳

本編〜 17歳

 

生年月日 6月9日生

血液型 B型

趣味 特に無い

好きな物

クリスを愛でる事

嫌いな物

クリスを傷つける者、注射

 

今作のもう1人の主人公的ポジションにしてオリキャラ。

元は戦争孤児で、テロリスト達に酷い仕打ちをされて来た為、テロリスト達に関しては怒りを露わにする。

その為に様々な暗殺術を身に付けた実力者へと僅か7歳の時になった。

その実力は大人顔向け当たり前。野生の猛獣達をも恐怖に陥れた程。

それ故に、その冷たき視線に恐れをなしたテロリスト達から【冷眼のロック】として呼ばれる様になった。

プロローグ3の時に、クリスの家族に出迎えられ、1年ばかりだが、共に暮らした。その影響で【冷眼のロック】がその世から消え失せたと思った。

だが、バルベルデに来た際に、テロリスト達相手に今までの鍛錬を怠った所為で、クリスの両親を助けられずに見殺しにしてしまう。

その為、彼はクリスが幸せになるまで彼女の傍から離れない様に誓いを立てた。

 

テロリスト達に囚われていた際に、石板に封じてあった英雄・アーチャーと出会い、その後に電子機器・ソウルと出会った事で、《水魂導師》の力を得た。

その後、国連軍の介入によりクリスと共に保護されたが、本編開始2年前にクリス共々行方を眩ます。

その時にフィーネと出会い、クリスと共にフィーネのアジトに住む事になった。

以来、戦地に赴いてはテロリスト達を一部を除いた者達を気絶にまでする実力を持つ様になり、

抹殺対象者は容赦無く倒して行った。

 

 

G編では何も気付けずにライバルである憑友がこの世に消えてしまう事に頭を悩ませつつも、それでも今を生きていく。

今回の相手が武装組織=テロリストであった為、激情を燃やしていたが、霊風に止められたので我慢する事になった。

そしてクリスが敵に寝返ると同時に、自分もクリスの元へと着いて行った。

その後、霊風と翼によってそれは和解し、今では頼れる仲間と言う意味を持ち始めた。

更に憑友の復活により、今までの沈んでいた士気を取り戻し、事変後は普段通りの生活を送ると同時にそのままリディアンを卒業した。

その後は弦十郎の命によって動く特命忍として活躍する。

 

 

立花響

CV:悠木碧

 

御存知『戦姫絶唱シンフォギア(以下シンフォギア)』の主人公。

基本的に原作同様。

だが強いて言えば、憑友とのスキンシップが半端じゃない事が唯一とでも言える。

未来とは相変わらずの仲良し。

憑友と3人で一緒にいる時は、「仲良し3人組」とでも呼ばれていて、凄く仲が良い。

憑友の事は友好と言うより、好意を持っていたりする描写がある…!

 

G編では基本的に原作通りの展開を見せ、【《ルナアタック》の英雄】と呼ばれる様になる。

そして憑友の命が尽きた事で絶望に浸るも、それでも諦めない不屈の心でマリアから『ガングニール』を授かり、

そして憑友の復活により、以降は憑友にべったりになっているのは此処だけの話。

尚、それを見ていた幼馴染の未来から嫉妬の炎が出てきていながら、それを引き起こした事に全く気づかない残念な子と言うレッテルを貼られている事をまだ知らないのである…。

 

 

風鳴翼

CV:水樹奈々

プロローグ4 12歳

プロローグ6〜エピローグ 15歳

本編〜 18歳

 

御存知『シンフォギア』のもう1人の主人公で誰もが知るSAKIMORIさん。

 

G編では奏の戦線復帰と言う嬉しさが序盤にはあったものの、

響と憑友と言う2人の後輩の死と隣り合わせの現状に胸を痛めつきつつも、その身の「剣」としての覚悟を最後まで貫き通した。

その後は、ロックと共にリディアンを卒業して、現在は奏とマリアのユニットの1人として活躍する事になる。

 

 

雪音クリス

CV:高垣彩陽

プロローグ3 8歳

本編〜 16歳

 

御存知『シンフォギア』の皆んなの愛人さん。

基本的には原作同様だが、ロックと言う存在がいる為、原作よりも更にツンデレになりやすい。

多少の料理が出来るが、義兄であるロックには敵わない模様。

だが、当のロック本人からお墨付きを貰っているのをまだ気付いていなかったりする…。

 

G編では原作通りの展開を唯一見せたと言っても過言ではない程、安定していたとも言える存在であった。

事変後は相変わらず翼のことを先輩と呼ばないものの、先輩呼びしてくれる憑友に関しては響達よりも優しく指導してくれたりしているとの噂が…。

尚、彼女の部屋に専ら誰か1人が必ず来る事をこの時の彼女はまだ知らない。

流石、皆んなの愛人さんだ…恐るべし…。

 

 

天羽奏

CV:高山みなみ

プロローグ4 14歳

プロローグ6〜エピローグ 17歳

本編〜 19歳

 

御存知『シンフォギア』のキャラで、原作では故人の存在。

プロローグまでは原作通りで、絶唱を放つも、

憑友によって命を救われた。

 

G編では無印エピローグの旅を終えたと同時に翼のライブを耳にし、ライブ会場に足を運んだ。その時に宣戦布告を目撃、更に翼のピンチを目の当たりして、新たな力『ゲイジャルグ・ゲイボウ』と言う2つで1つの聖遺物を使用し、立ち向かった。

その後、フロンティア戦でも活躍し、『エクスドライブ』の力を受け、新たな力を身につけた。

他人の歌を歌って戦う事が可能と言う異色の能力を披露している。

事変以降は翼と敵であるマリアとユニットを結成して、チャリティーライブを開いて回るようになると同時に、

以前の翼のライブに現れたトニー・グレイザーの事務所に翼と共に所属した。

 

 

小日向未来

CV:井口裕香

 

此方も御存知『シンフォギア』において響の幼馴染兼正妻ポジの女の子。

原作同様に響の事を心配しながらも暖かく見守る(序盤はな…⁉︎)。

憑友の事は響と同様に密かに好意を持ちつつも、仲良し3人組としていつも一緒にいた。

 

G編では原作通り、神獣鏡の誘惑により、シンフォギアを纏った。

だが、憑友と響の必死の叫びに目を覚まし、そして元に戻った。

響を救ったのは確かだが、同時に憑友を殺していたと言う事実に涙を流していた。

 

そしてネフィリムと響達が戦っている時に憑友が復活した事に歓喜の涙を流していたのは此処だけの話。

バビロニアの宝物庫を開く鍵であるソロモンの杖を宝物庫に放り込み、ノイズ達の完全消滅を作った立役者になった。

 

事変後は普段通り、響達の帰る場所として心配しつつも待ってくれている。

因みにこの時点でヤンデレ化が本格的に進んでいる事を本人は自覚しておらず、憑友はそれをいち早く感じて怯える毎日を送っているのだとか…。

尚、響は鈍感故に気付いてない模様…駄目じゃん⁉︎

 

ーーーーーー

 

ライド

イメージCV:クリス・ペプラー

(仮面ライダードライブ クリム・スタインベルト etc)

 

スピリット

イメージCV:洲崎綾

(暗殺教室 茅野カエデ

アイカツ! 夏樹みくる

バトルガールハイスクール 星月みきetc)

 

ソウル

イメージCV:櫻井孝宏

(コードギアス 反逆のルルーシュ 枢木スザク

トリコ ココ

PSYCHO-PASS-サイコパス- 槙島聖護etc)

 

 

上から憑友,霊風,ロックと共に行動するアブソーバー。

身体は既に亡く、その身をデータに変えて、憑友達の変身アイテムとして共に行動する。

 

ーーーーーー

 

オディナ

CV:緑川 光

 

奏の聖遺物『ゲイジャルグ・ゲイボウ』の愛称。

その正体は、『Fate/zero』でセイバー(アルトリア)やライダー(イスカンダル)と時に戦い、時に共闘をした槍兵の英霊にして、ゲイジャルグ・ゲイボウの使い手…

 

"ディルムッド・オディナ"本人である。

 

『英霊』としての力も備わっている為か、『英雄』の力と聖遺物の力を併せ持つハイブリットとして存在している。

尤も、奏との邂逅時に消滅し欠けており、その際に奏に救われる形で彼女の槍として生きる事に誇りを持っている。

 

ーーーーーー

 

風鳴弦十郎

CV:石川英郎

 

御存知『シンフォギア』の超人すぎるOTONA様。

憑友に格闘術の基本を教えた為、憑友とは師弟関係を持つ。

後は原作通り。憑友達を遠くから指揮しつつも、やはり大人としての責務なのか、憑友達を気にかけている。

因みに憑友の父・玄也とは小・中・高校時代からの旧友。

かつては2人揃って『知の玄也、武の弦十郎』とまで言われた程の実力者。

G編では原作通りの展開を見せるOTONAの1人である。

憑友の余命を聞いていた為に皆から批判の声を受けたのは言うまでもなく、その時の彼も辛かったのは此処だけの話。

その後、憑友が無事に帰ってきてくれた事に師匠として心から嬉しそうにしていた。

 

 

 

緒川慎次

CV:保志総一朗

 

御存知『シンフォギア』のエージェントにしてNINJA様兼翼のマネージャー。

今作では憑友の正体を知っていた数少ない存在。

基本的に翼のマネージャーをする等、基本は原作通り。

G編では弦十郎同様に批判の声を受けたが、憑友の復活を機にその批判は無くなった。

 

 

友里あおい/藤堯朔也

CV:瀬戸麻沙美/赤羽根健治

 

御存知『シンフォギア』における優秀なオペレーター2人。

2人一緒にいる事が殆どなのは気の所為にして欲しい…。

原作通りの立場を担う。

 

牧藁(まきわら) 牛乳(ミルク)

イメージCV:竹達彩奈

(ソードアート・オンライン リーファ/桐ヶ谷直葉

ディバインゲート ヒカリ

デート・ア・ライブ 五河琴里 etc)

 

二課に勤務している明るい女性スタッフ。

実家が牧場経営をしている為、こう言う名前になった。

二課に勤務するようになった理由は自分でも分かってない模様。

まわりの皆を明るくするムードメイカーポジション。

憑友の事を弟のように可愛いがる素振りを見せている。

G編では弦十郎が司令として居続ける事が多いものの、

司令官としての実力は衰えておらず、弦十郎に的確な指示を繰り出す事もしばしある様子。

 

 

フィーネ

CV:沢城みゆき

 

御存知『シンフォギア』無印編のラスボス。

今作では時折キャラ崩壊を起こす事がごく稀にある。

その殆どがロックと居る時が多いのは気の所為にして欲しい…。

基本的には原作同様の展開をする。

ロックやクリス(特にロック)を弄る悪癖がある。

 

G編では原作通り調の魂の中で眠りに付いていたがイガリマの鎌の攻撃により、調の元から離れるが、今度は憑友に出会い、彼と1つの身体を共有する形で現界した。

響達と戦った事も勿論憶えているだけではなく、

憑友達《精魂導師》に自分のイラストが描かれたカード『FULL BURST IGNITION』のカードを授け、《精魂導師》達と一部の『英雄』達に宿る力"パワーアップ"のロックを解除させる役目を担う。

 

因みに身体を借りる際は憑友のルビーの瞳を金色の瞳に変える。

共有する際は左右どちらかの眼を金色に変える。

 

ーーーーーー

安藤創世・寺島詩織・板場弓美

CV:(創世)小松未可子

(詩織)東山奈央

(弓美)赤崎千夏

 

御存知『シンフォギア』にて、響と未来の友達。

今作では憑友の友達にもなる。

創世は憑友の事を「ツッキー」と呼んでいる。

いつも3人一緒にいる事が多い。

憑友の趣味『英雄石板の解析』に3人とも興味がある。

 

 

浅岡逝都(あさおかゆくと)

イメージCV:KENN

(遊戯王GX 遊城十代

マジンボーン 竜神翔悟

宇宙兄弟 南波日々人etc)

 

今作で憑友と仲良しの男の子でオリキャラ。憑友と同い年。

憑友の良き理解者である。

実はヤンキーで、憑友とはどうも不釣り合い過ぎてコンプレックスを抱えているのだとか…。

だが、持ち味の前向きさでそれをこなし続けている。

意外とファンタジー系の映画が好きというギャップを持っている。

G編では自分達の不甲斐なさに悔しさを込み上げていると、謎の女性が現れ、それについて行く形で馬燈と共に消息を絶つ…

 

 

一走馬燈(いっそうまとう)

イメージCV:小西克幸

(テイルズオブシンフォニア ロイド

FAIRYTAIL ZERO ユーリ・ドレアー

天元突破グレンラガン カミナetc)

 

逝都と同じ憑友の親友にしてオリキャラ。

憑友の事を、逝都と共に理解しながらも、それでも暖かく見守る。

《走馬燈流》と呼ばれる抜刀剣術の使い手であり、数々の抜刀流派の者達を相手に全戦全勝を上げている。

だが、それはあくまで公式によるもので、非公式試合などでは互角の戦いが多い。

G編では更に禁術とも呼ばれる抜刀剣術《陰陽抜刀術》と呼ばれる抜刀術を会得、皆伝したが、何も出来ずになってしまった。

逝都と共に不甲斐なさに浸っていると謎の女性が現れ、それについて行く形で逝都と共に行方を眩ました…

 

 

人絆セレナ(本名 セレナ・カデンツァヴァナ・イヴ)

CV:堀江由衣

 

生年月日 10/13

血液型 AB型

趣味 ガールズトーク/石板解析

好きな物

可愛い系なら何でも(キモカワ系もあり),零

義弟(憑友)特製オムライス

嫌いな物

特になし

 

プロローグ2 13歳

ラストプロローグ 17歳

本編〜 19歳

 

原作では故人の存在。

この作品では、憑友によって見つけられ、ジャンヌの救済を持って、一部の記憶が無くなる代わりに存命する。

フォニックゲインを大量に消費していたので、シンフォギアを纏う事は出来無いが、時間の流れと共に徐々にだが、取り戻しつつある。

現在は憑友にとっての義理の姉として振舞っている。

と同時に、玄也が進めている『英雄石板』に関する研究の手伝いをしている。

家事はどちらかと言うと得意な方だが、レシピ通りに作らせないと…いかん。これ以上は絶対に言えないから!

響や未来にとってはいろいろと相談出来るお姉さんポジ。

 

G編では自分が失った過去が蘇り、マリアを助ける為に再びギアを纏って、奮闘する。

その際に自分が好きだった相手・零との再会を果たした。

 

『アイギス』

ジャンヌがセレナに託した聖遺物。

元はナスターシャがジャンヌの逃走の際に与えた代物。

だが、ジャンヌは適合出来ないまま、それをセレナに渡した。

聖遺物の中では異質の『防御特化型』の聖遺物で、セレナにとっては相性が良い聖遺物である。

 

 

人絆玄也

イメージCV:小山力也

(テイルズオブヴェスペリア デューク

fate/zero 衛宮切嗣

名探偵コナン 毛利小五郎(2代目)etc)

 

生年月日 10月7日生

血液型 A型

趣味 英雄石板の発掘及び石板解析

好きな物

家族(憑友=セレナ=ライド≦ジャンヌ)

リンゴ

嫌いな物

タバコ・酒

 

憑友の父にして、セレナの義父。

ある日に出会ったジャンヌに一目惚れして、即プロポーズをかけた所、相思相愛だった事に気づき、即結婚し、3年目に憑友の父になった。

 

元は古代文明の研究者で、

プロローグ4にて発見した『英雄石板』を解読しようと奮闘中。

 

G編では自分が裏社会を牛耳る存在【キングofカイザー】として君臨している事を告げた。

だが、その称号を使う時は大抵、自分の家族の為だけにしか使わないとの事。

 

 

人絆ジャンヌ

イメージCV:田村ゆかり

(NARUTO テンテン

魔法少女リリカルなのはシリーズ 高町なのは

インフィニット・ストラトス 篠ノ之束etc)

 

生年月日1月6日生

血液型 B型

趣味 ランニング/観光巡り

好きな物

家族(憑友=セレナ=ライド≦玄也)

憑友とセレナが調理した料理全般

嫌いな物

火(憑友の《炎魂導師》や〔灯火〕は大丈夫)

 

憑友の母親にして、セレナの義母。

旧姓はジャンヌ・カデンツァヴァナで、セレナとマリアの実母とは姉妹の関係。

ある日に出会った玄也に一目惚れ。そこを玄也からのプロポーズを快く了承し、即結婚。

結婚3年目で憑友を身籠り、出産し、母となる。

玄也とは常にイチャラブで、憑友とセレナ、ライドの3人からは呆られている。

 

G編では自分がマリア達と同じレセプターチルドレンである事を公表する。それと同時にナスターシャの主治医でもあった…!

 

 

ユルセン

CV:悠木碧

 

某【幽霊ライダー】に出て来たあの目玉幽霊そのまんまな格好をしたゆる〜い幽霊。

憑友と『英雄』達以外に視認することが出来ない存在…だったのだが。

『四英雄事変』以降から響達二課の一部のメンバーにも視認されるようになった。

 

G編では自分が失いたくないものの為に動き回るも、原作通りの展開を突き付けられ、何も出来なかった。

それ以降、憑友達の前から姿を消してしまい、何処にいるのか見当もつかず状態にいる。

 

 

ーーー『F.I.S.』サイドーーー

 

マリア・カデンツァヴァナ・イヴ

CV:日笠陽子

御存知『シンフォギア』のオカンポジ。

原作通りの展開になりつつも、妹・セレナが生存していたと言う事実に喜び、そして涙を流していた。

原作と違う所は、セレナにいつも茶化され弄り回されると言う事。

その度にあたふたやオドオドしたりと原作の彼女とは思えないような言動を見せる…ぶっちゃけて言うなら一番キャラ崩壊が目立つ存在と言える…。

 

 

月読調

CV:南條愛乃

『シンフォギア』の大胆娘。

切ちゃん大好きなのは相変わらず。

光聖希に振り回される事もあるが、嫌いでは無いらしい。

 

 

暁切歌

CV:茅野愛衣

『シンフォギア』のデスデス娘。

調の事が好きなのはアニメでもご存知かと。

闇呪怨からいつもフードを掴まれては止められている。

 

 

陰陽 闇呪怨

イメージCV:柿原徹也

(FAIRY TAIL ナツ・ドラグニル

ディバインゲート アカネ

テイルズオブハーツ シング・メテオライトetc)

 

オリジナルキャラで、光聖希の双子の兄。

経歴が描かれていないので、詳しくは知らないのだが、零を兄貴と呼んでいるぐらいに慕っており、ライド達アブソーバー一家の3男・コアを用いる事で闇魂導師・コアになって戦う。切歌と同じ鎌を用いた戦い方を得意としている。実はまだこの時にはパートナー英雄はまだ見つかっていない。

 

 

陰陽 光聖希

イメージCV:小野大輔

(おそ松さん 十四松

マギ シンドバッド

デュラララ 平和島静雄etc)

 

オリジナルキャラで闇呪怨の双子の弟。

闇呪怨共々零を兄貴と呼んでいる。

いつも調を振り回しているお調子者。

アブソーバーの3女・タマシイを用いる事で光魂導師・タマシイとなって戦う。

指一本一本に鎖付きの指輪を嵌めており、その鎖を伸縮自在に操るだけでは無く、護身用として蛇腹剣を用いた戦いも得意としている。

闇呪怨と同じでパートナー英雄がまだ見つかっていない。

 

無頼零

イメージCV:梶裕貴〔幼少期 平野綾〕

(進撃の巨人 エレン・イェーガー

七つの大罪 メリオダス

ポケットモンスター シトロンetc

〔FAIRY TAIL ルーシィ・ハートフィリア

テイルズオブザワールド カノンノ・グラスバレー

涼宮ハルヒの憂鬱 涼宮ハルヒetc〕)

 

G編で最も賑わせた男にして、セレナの恋人。

『F.I.S.』の切り札と呼ばれる程に、強い。

実はセレナをあの地獄から救った張本人。

しかし、代償として重症+植物状態になってしまう。

その後、G編にてセレナが生きていた事を感じ取ったのか、復活を果たし、そのままホロウを用いて、無魂導師・ホロウとなってノイズを圧倒した。

双子から兄貴と呼ばれているが、内心では照れ臭く感じているとの事。

パートナー英雄であるギンジとはダチの間柄である。

 

 

ナスターシャ・セルゲイヴナ・トルスタヤ

CV:井上喜久子

F.I.S.を纏める女性。皆から「マム」と言われている。

原作に忠実で、最後は月で死ぬ所だったが、フィーネと一心同体となり、更にパワーアップした憑友によって地球へと帰還。その後、ジャンヌの手により、治療を施した後は、優しい存在になっていった。

因みに憑友からは「グランマ」と呼ばれているが、満更でも無いらしい。

 

 

ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス

CV:杉田智和

ご存知『英雄になるぅ〜!』なゲスい考えを持つ科学者。

…まぁ、一言で言うなら原作通りに進んでいった敵役である。

勿論、三期に登場した施設に後に幽閉されていくのであった。

 

 

タマシイ

CV:伊瀬茉莉也

(ポケモン ユリーカ

YES!プリキュア5 キュアレモネード/春日野うらら

テイルズオブエクシリア2 エル・メル・マータetc)

 

コア

CV:福山潤

(コードギアス ルルーシュ/ゼロ

ペルソナ5 雨宮蓮/ジョーカー

七つの大罪 キング/ハーレクインetc)

 

ホロウ

CV:ゆかな

(ふたりはプリキュア 雪城ほのか/キュアホワイト

インフィニット・ストラトス セシリア・オルコット

テイルズオブジ・アビス ティア・グランツetc)

 

上から光聖希,闇呪怨,零と共に行動するアブソーバー。

ホロウは零が復活すると同時に登場した。

ライド達とは兄弟姉妹の関係で、

長兄 ソウル

次兄 ライド

長姉 スピリット

次姉 ホロウ

三男(双子) コア

三女(双子) タマシイ

 

の順番になっている。

だが、彼等にはまだ秘密があるようで…?

 

ーーーパートナー英雄ーーー

キリト

CV:松岡禎丞

『ソードアート・オンライン』の主人公にして、憑友のパートナー英雄。

今期ではGGO編でのキリコちゃんヘアーが一番に目立つ結果になった。(数話しか出てないけど…)

バトル面では最後の最後ぐらいしか出なかった。ドンマイ。

三期ではめちゃくちゃ活躍するから。

 

アーチャー

CV:諏訪部順一

『Fate/Staynight』にて弓兵の英霊にして、ロックのパートナー英雄兼オカン。(オカンでは無い!)

…なんか聞こえてきたが気にしません。

今回はロックにアドバイザーとして色々接していた。…因みに裏ではめちゃくちゃ忙しかった模様。買い物行ったり、調理したり、洗濯物干してたり…完全にオカンですな。

 

レヴィアタン

CV:早見沙織

『絶対防衛!レヴィアタン』のヒロインの1人で、霊風のパートナー英雄。…なのだが、実はあまり出番が無かったと言う不遇な扱いを受けた今期。でも、心配するな。三期では活躍する場面作ってあげるから。

 

ギンジ

CV:吉野裕行

『ディバインゲート』の主人公の1人にして『無』属性の斧の使い手。

そして、零のパートナー英雄。

原作同様、基本はあまり口にしないが、やる事はきっちりやる仕事人間系な性格。

アーチャーと同じでカードから自由に出入りできる。



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第3章 GX編 〜魔法少女事変〜
♪プロローグ


お久です。それと同時にご都合展開過ぎる話です。


かつて、この世には未知なる存在がいた。

 

名は【ノイズ】

 

【認定特異災害】とも呼ばれた人造殺戮兵器の総称。

それに触れれば最後、人は炭化しそして死ぬ。

 

災厄とも呼ばれた兵器でもあった。

 

だが、そんなノイズ達はこの世界にはもういない。

 

彼等が居住していた場所…【バビロニアの宝物庫】はある日、

 

『ネフィリム』と呼ばれた『完全聖遺物』と、

 

《シンフォギア》と呼ばれる『聖遺物』の力を宿した戦士達と、

 

《精魂導師》と呼ばれる『英雄』達の力を宿した戦士達によって、

 

バビロニアの宝物庫は崩壊し、ノイズ達はその被害に遭い、そして消滅を迎えた。

 

 

その日からノイズ達は人々の前に姿を現わす事は無かった。

 

 

 

 

()()()はだがな。

 

 

 

裏では自分達の帰る場所を無くしたノイズ達もちらほらと目に映りこんでいたのであった。

 

 

ーーーーーー

此処はモンゴル。

其処では今、1人の青年が周りが森に囲まれた場所を一人で歩いていた。

だが、彼は喋りながら動いていた。

 

「なぁ?本当にこんな所にいるのか?」

 

『私が出鱈目を言っていると?』

 

「そう言っては居ないだろうが!」

 

そう言いながら青年はやはり1人でブツブツと1人会話をしていた。

 

すると青年は何かの気配を感じ、立ち止まる。

 

そして感じた気配の後を辿るかのようにその場所へと移動を始めた。

 

森の茂みを掻き分けていく青年。

そして見つけた先にいたのは、オレンジの体をし、そしてカブトのような角を生やしたこの世の生物とは思えない存在がいた。

 

「っ!やっぱりいたのか、ノイズ!」

 

青年はそう言うと、懐からタブレット型のアイテムを取り出し、左腕に装着した。

すると青年の声に気付いたのか、ノイズと呼ばれた生物は攻撃…

 

 

 

 

『‼︎』ブルブルッ!

 

…してこなかった。

 

「え?」

 

それを見た青年はキョトンとした。

本来ならノイズは人を襲う事を躊躇わないと言われている。

なのに、此処にいるノイズはそんな挙動をしないどころか、寧ろ完全に()()()()()のだ。

 

「なんで?」

 

『私にも分からない』

 

『何故、我々を襲って来ないのだろうか?』

 

『』ビクビクッ!

 

完全に戦う気がないノイズを見たのか、青年は左腕に装着していたタブレット型のアイテムを取り外して、懐に忍び込ませた。

 

すると青年はそのノイズに近づいたのだ!

 

先程も言った通り、ノイズに触れると炭化してしまう性質を彼等は所持している。

近づくと言う事はそれだけで死に繋がるのである。

 

そして青年は何かに気付いた。

それはノイズから緑色の血が流れていたのだ!

 

「⁉︎(如何言う事だ、フィーネ。

ノイズには血が流れてなどいないんじゃないのか?)」

 

『私もこの件に関しては初めてだ。何故こんな事が…』

 

『』ビクビクッ!

 

「(まぁ良い。それは後にしよう。それよりも…)

怪我していたのか。直してやるからな」

 

そう言うと青年は背中に背負っていたリュックサックから医療箱(メディカルケース)を取り出した。

それを見たノイズは首を激しく横に振った。

 

「大丈夫。ノイズにも効く薬だから」

 

それでもノイズは首を激しく横に振る。

 

「?…あ、もしかして…炭化するから?」

 

『‼︎』コクコクッ!

 

それを見た青年は「(このノイズ…優しい性格なんだ)」と改めてそう思えた。

そして青年は「大丈夫だよ」と言いながらノイズの身体から出てきている緑の血を拭き取り始めた。

その行動を見たノイズは驚愕した。

今、自分の身体に人間が触れていると言う事に。

 

「実は前に君みたいな心の優しいノイズに出会った事があってな。

心の優しいノイズには人間が触れても、炭化する事が無いんだ」

 

それを聞いたノイズは首を上にあげた。もし喋れてたら「えっ?」と言う言葉が飛び交っていた事だろう。

 

「君は優しいから人に触れても、人も君自身も炭化しないんだ」

 

『…』

 

「ノイズ達は皆、悪い物として忌み嫌われてきている。

勿論、俺だってそうだった。

けど、この旅をした時に気付かされたんだ。

ノイズ達の中には人間と共存したいと言う優しい性格のノイズ達もいるって。

だから…君は君らしく生きていてくれよ!」

 

そう言うと青年は笑顔をノイズに向けた。

そのノイズは青年の笑顔を見て、しばし沈黙すると、そのままぐったりとした。

ヤバいものでも配合しちまったのかと青年は慌てる。

だが、ノイズに変化が生じ始めた。

徐々に身体の構造を変えてきたのだ。

 

先程までは青年と全く変わらなかった身長を誇っていたノイズだが、

今ではすっかり幼気がある少女へと変わった。

 

「…アリガトウ」

 

「⁉︎…へへっ!」

 

そう言うと青年は少女に変わったノイズの頭に手を置きそして撫でた。

それを感じ取ったノイズは「アッ…」と言いながら顔を朱く染めた。

 

「名前は…?」

 

「?ナマエ?…アナタガクレルナマエガホシイ。

ワタシ…ナマエナイ」

 

「そっか…」

 

そう言われ、青年は少女の名前を考え始めた。

 

「…ミカン…だとありきたりだし。

オレンジ…は論外。

ノイズA…敵の雑魚兵かよ。

…あ、これが良いな」

 

そう言うと青年は少女に名前を与えた。

 

「君の名前は…ルオレ」

 

「ルオレ。…ソレガワタシノナマエ?」

 

「うん。オレはオレンジの身体だったからで、ルは君の性格の事を指しているんだ」

 

「…アリガトウ。エット…?」

 

「あ、そうだった…忘れてた」

 

そう言うと青年は少女…ルオレに自分の名前を教えてあげた。

 

 

「俺の名は人絆憑友!憑友で構わない!」

 

「ツ…ク…モ…?」

 

「ああ!」

 

「ツクモ…ツクモ…!」

 

そう言うとルオレは青年・憑友に抱きついたのだ…!

しかし、ノイズ特有の能力は発動しなかった。

 

「帰る所…無いんだろ?一緒に来ないか?」

 

その問い掛けにノイズだった少女は首を縦に大きく振った。

 

ーーーーーーSIDEto憑友

 

まさか、ノイズに好かれる体質に成ろうとは…我ながら恐るべしだな。

 

ー何はともあれだが、少し話があるー

 

話?一体なんだ?

 

ーこのノイズ…ルオレは既にノイズの力を失っている。

恐らく最後の希望として、人間になりたいとそう願ったのだろうー

 

…そうか。この子はもうノイズじゃないんだね。

だけど、『元』ノイズである事には変わりは無いけど、そんなの俺の知った事じゃない!

ノイズだって、優しい者達だっているんだ。

俺はそんなノイズ達にも生きていける環境を手に入れてみせる!己の手で!

 

ーだが、先ずは己の身体を取り戻す事だな?ー

 

はい、そうですね…。

 

うぅ〜…痛い所突かれて、心の中では号泣中です。( T_T)

 

ーだからって、私のスペースにまで涙を溢れさせないでくれ⁉︎

此方にまで被害が及んでいる‼︎ー

 

何はともあれ、この子をこのまま放っておく訳には行かないよな。

ノイズであった女の子か。

以前見つけた9つの『石板』の影響なのか。

はたまた、先日日本を襲った最悪の敵が引き起こした事件…

 

 

《亜空伝説事変》

 

それによるものなのだろうか。

真相は分からないけど、とにかく今はこの子の面倒をみないとな。

 

ーとか言いながら、ノイズをおんぶしているお前の身体が異常なのはこの際如何でも良さそうだな…もう呆れてしまっているしなー

 

俺の身体が異常なのは元からだ。仕方ない事さ。

 

さて、そう言ってる間に近くの村にやって来たぞ。

 

さぁて、如何するかな…ん?

 

 

ドガァァァァァァァァ‼︎

 

 

…はぁ⁈

 

 

山が縮んだ⁈なんでさ⁉︎

 

『憑友。如何やら二課のやり手のようだ。

先程『フォニックゲイン』の消費反応を感知した』

 

ったく、こんな時に限ってかよ全く…!

 

ヒュー♪

 

 

そう思った俺はすかさず口笛を吹いた。

 

すると、

 

ブルルゥゥンッ!

 

村の近隣に置いていた車が此処までやって来た。

そして俺は背中に乗せたノイズだった女の子を座席に座らせた。

 

頼んだぞ、ブランダル!

 

「…ドコヘ?」

 

「ちょっと案件な。大丈夫。必ず帰ってくるから」

 

「ウン…!」

 

「良し。良い子だ」

 

「エヘヘ…!」

 

この子がさっきまでノイズだったなんて誰が思うのだろうな。

 

そう思った俺はそのまま駆け出していった。

 

あの馬鹿達がやってるんだ…

 

久方ぶりに暴れましょう!皆さん!

 

『おお!/ああ!/ええ!/はい!』

 

行くぜ、フィーネ!

 

ー無茶ばかりして…少しは私の気持ちも考えろ!ー

 

はいはい。…じゃあ、行くぞライドさん!

 

『ああ!では参ろうか!』

 

 

此処から先は…

 

 

 

 

 

 

俺達の出番だ!」




ルオレ

憑友が保護した『元』ノイズ。姿が少女と言うよりも幼女そのもの。
ノイズとしては異例の人と共存したいと言う思考を持っている。
だが、人々はノイズとしての自分を嫌い続け、その身を守る『異症差障壁』がいつの間にか出なくなってしまった事を機に人々からの虐待を受け続けた。
其処を憑友に見つけられ保護した。
憑友が初めての人間だった為か、彼には甘えたがる。
撫でたり、抱っこされた時は顔を朱く染めながらも嬉しく思ってくれている。
人へと姿を変えた事で、以降はノイズの力を完全に失う。

…また、出してしまった。オリキャラ…。
しかも、かつての敵と言うおいコラ設定。

しかし、憑友はこの旅の間にノイズにも人と関わりを持ちたいと言う者がいる事を把握した為か、ノイズとも仲良くやっていきたいと言う変わり者に変わってきているが、本人はそんなのお構い無しなのはもはや知っている事である。

次回

奇跡を纏いし少女/奇跡を起こす青年

その身に纏う奇跡…貴方はそれを目にする…!



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♪1 奇跡を纏いし少女/奇跡を起こす青年

ご無沙汰と同時に遅くなりました。とついでに1話のオープニングの辺りです。


それは突然だった…

 

そこでは月の落下を阻止し、世界を救ったナスターシャ教授が回収して欲しいと依頼した『フロンティアの異端技術』を回収したスペースシャトルが地球へと向かっていた。

 

しかし、そのスペースシャトルはシステムトラブルが発生、後ろから炎をあげながら地球へと墜落していたのだ。

 

「システムの再チェック、軌道を修正しせめて人のいないところに!!」

 

「そんなの分かってますよ!」

 

 

シャトルのパイロットの男性2人はどうにかシャトルの軌道を修正し、せめて人のいない場所に向かおうとするのだが……その時、シャトルのレーダーにミサイルが2つ接近し、2人は自分たちを撃墜するために国がミサイルを撃ち込んだのかと思い、もう1人のパイロットは「致し方なしか……」と諦めの声をあげるが……。

 

『へいき、へっちゃらです! だから、生きるのを諦めないで!』

 

そんな時、1人の少女の声が聞こえ……パイロットの1人は驚きの表情を見せる。

 

(挿入歌『RADIANT FORCE』悠木碧,水樹奈々,高垣彩陽

feat.高山みなみ,宮野真守,西川貴教)

 

するとその時、4人の少女と2人の青年の歌声が宇宙へと鳴り響いた……。

 

そしてシャトルに向かっていたミサイルが分解され、中から4人の少女……「歌」を力に変える《シンフォギア》と呼ばれる物……

 

『ガングニール』を纏った「立花 響」

『天羽々斬』を纏った「風鳴 翼」

『イチイバル』を纏った「雪音 クリス」

『ゲイジャルグ・ゲイボウ』を纏った「天羽 奏」という少女達と、

 

『英雄』達の魂を導く師者…《精魂導師》の力を宿した者…

 

《水魂導師》ソウルこと「ロック・アイル・ユキネ」

《風魂導師》スピリットこと「精妖 霊風」が中から現れたのだ。

 

先ず、最初にクリスが巨大なミサイルを出現させてその上に響と翼が飛び乗り、クリスはミサイルを発射、続けて第二波にロックと奏を乗せて発射、そして第三波に自分と霊風を乗せてミサイルを発射すると同時に素早くその上に飛び乗る。

 

「まるで、雪音のようなじゃじゃ馬っぷり!」

 

「だったら乗りこなしてみて下さいよ、先輩!」

 

「いやっほー!」

 

翼の言葉にクリスが不敵な笑みを浮かべながらそう言い放ちながら、奏はまるでサーファーのようにミサイルをコントロールする。

そんな中、ただ1人…ロックだけは片足で立っていながら瞑想をしていた。

 

「相変わらず上手いな…ロック」

 

「これで乗りこなせないのであれば、クリスの義兄を名乗る資格は無い」

 

「余計な事を言ってんじゃねー⁉︎」

 

そう言いながら6人はシャトルに追いつくとシャトルの上に飛び乗り、響と翼はシャトルの前の方へと行くとギアのブースターを使い、クリスはミサイルを出現させて発射はせず、噴射だけをさせてシャトルの落下速度を減速させる。

奏は中央に立つと、そのまま2振りの槍を突き刺す。そしてロックは右手の赤い槍の方に手を掛け、

霊風は左手の黄色の槍に手を掛けると、

ロックのもう片方の手から水を連想させる翼を広げ、

霊風は逆に風を連想させる翼を広げた。

 

 

しかし、完全に減速させることはできず、このまま行けば山に激突……。

 

その様子をモニター越しに見ていた響達が所属する組織、超常災害対策機動タスクフォース『S.O.N.G.』の指令室にいた青年「緒川 慎次」はせめて中にいる乗員だけでも救出をと響達に言うが……。

 

響達はそれを拒否した。

 

「そいつは聞けねぇ相談だ!」

 

「人名と等しく人の尊厳は守らねばならない!」

 

「おい緒川っち!もっぺん同じ事を言ってみやがれ…今度は俺が鉄拳制裁を加えてやるからな!」

 

「大袈裟過ぎだが、一理ある」

 

「ナスターシャ教授からの依頼なんですよ!

こんな所で諦めません!」

 

「響ちゃんらしいな…ったく。

んじゃあ、行くぞ!オディナ!」

 

『御意!』

 

しかし、既に目の前には巨大な山が迫っており……このままでは激突、乗員だけではなく響達の身も……だがそこでクリスがすかさず行動し、響の元に駆け寄ると腰部アーマーから小型ミサイルを一斉に発射する"MEGA DETH PARTY"を発射し、山に大量のミサイルが降り注ぐ。

 

「ぶん殴れえええええええ!!」

 

「ええええ!?」

 

「ロック!」

 

「言われなくても!」

 

突然の無茶ぶりに驚く響だが、響は兎に角言われた通り飛んで山をぶん殴って山を貫通させ、霊風とロックはすかさず手を引っ込めると同時に展開されていた翼が消え、シャトルは響が殴って破壊した穴を通ってなんとか通り抜けることに成功する。

 

そのままシャトルは山を下ってどんどん物凄い勢いで森の中へと突っ込んで行こうとし、翼は剣型の武器……アームドギアを巨大化させて邪魔な木を切り裂こうとするのだが……そんな時だった。

 

ビュルル〜〜〜‼︎

 

『⁈』

 

突然、彼女達の目の前を猛吹雪が下から襲いかかってきたのだ!

それを受けた皆は目を覆い隠してしまう。

 

 

するとその猛吹雪の影響なのか、シャトルの動きが滑らかになっていくのを感じた響達。

何か起こったのか、霊風は下を見ると顔を青ざめながら驚愕した。

 

 

「な⁉︎底と地面が凍ってる⁈」

 

「何⁈」

 

「つまり…どういう事だ?」

 

「俺達がスケートリンクの上にいるようなものだ‼︎」

 

『⁈』

 

なんと、地面とシャトルの底の部分が完全凍結してしまい、まるで氷の上を滑るアイススケートの状態に自分達がいる事を告げた!

摩擦が有るからこそ、抵抗力が高くなる。だが、摩擦が少なければ少ない程、抵抗力が低くなる。

 

そしてこの先には村がある事も知っていた。

 

とどのつまり…このまま行けば村が壊滅してしまうのである。

 

すると奏は響に「代われ!」と言うと響のいた場所を乗っ取り、そのまま奏は槍を十字に構えてプロペラのように回転させて竜巻を発生する技"TORNADO∞PRIME"で前方に竜巻を発生させて、少しでも低減するように尽力するも、

上から下へと落ちる『重力』と、シャトル全体の『重量』が相まって、思うように出来なかった…!

 

霊風とロックはすかさず右腰のカードケースからカードを取り出そうとするが…

 

「しまった⁉︎肝心のカード…点検に出してたんだった⁉︎」

 

「如何⁈此方もだ!」

 

「何やってんだよ⁉︎馬鹿マネと馬鹿義兄⁉︎」

 

此処ぞの時に必要なカードをセレナに預けてしまっていた事に激しく後悔する2人。そしてその2人に突っ込むクリス。

 

炎ならばと思えたが、今現在2人の手持ちにこの氷を掻き消す程の炎を持つ者が居ないことを思い出し、2人揃ってorz状態になった…駄目じゃん⁈いつの間にポンコツになった⁈

 

諦めかけたその時だった…

 

 

 

 

「俺の出番だーーーーー‼︎」

 

「え?この声…」

 

響は声が聞こえてきたので、その方角に顔を向けると、其処には1人の青年が立っていた。

赤い髪に、オレンジのフードとクリムゾンカラーのパーカー、

ワインレッドのジーンズを履いた青年だった。

 

「!…憑友‼︎」

 

『⁈』

 

響の声を聞いた皆は響が視認している方向に顔を向けると、其処には確かに自分の仲間である憑友が立っていた!

すると霊風はすかさず「シャトルの底と地面を溶かしてくれ‼︎」と叫ぶと、それを聞き取った憑友は首を縦に振り、そして懐からタブレット…アブソーバーを取り出し左腕に装着する。

次に右腰についてるカードケースから2枚のカードを取り出した。

1つは己の基本の姿。もう1つは女性のバストアップイラストが描かれていた。

 

するとその内の1枚…女性の方のカードをアブソーバーに読み取らせると、アブソーバーから炎が発生した!

 

ーパワーアップ!

バーニング・ライド・アブソーバー!ー

 

パワーアップを果たしたライドアブソーバーを憑友は装備し、タッチパネルもといディスプレイ画面をそのままスライドさせると其処にはカードが1枚入るぐらいのスペースがあり、其処にフィーネのカードを置くとスライドさせた画面を元に戻し、そしてもう一枚のカードを装填するとレバーを構え、

 

「変身!」

 

そう叫びながら、レバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、オ・レ!

『FULL BURST IGNITION』!ー

 

するとアブソーバーの画面から爆炎を纏った戦士の魂が現れ、憑友はそれを纏った!

 

ー英雄の魂、俺に宿れ!

灼熱、炎拳!バーニング・ヴォルケーノ‼︎ー

 

そして変身が完了した憑友はそのままシャトルに向かって走り込んだ!

それと同時に「歌」を歌い始めた!

 

(挿入歌『ベストウイッシュ!』松本梨香)

 

その歌を歌い始めた憑友はそのままシャトルを両手で抑え、足元から炎を噴き出し始めた!

すると凍りついていたシャトルの底と地面が見る見ると溶け始めていく…!

しかし、その先には村があった!

だが、村から1km辺りで氷を溶かす事に成功した!

しかし、あと1kmしかない時、なんと響が憑友の隣にやって来た!

 

「1人よりも2人、だもんね♪」

 

「…ったく。ついて来いよ!響!」

 

「うん!」

 

そう言うと憑友と響の2人でシャトルのスピードを落とそうと奮闘し始めた!

 

それを見たロックはアンカーガンと呼ばれる銃型武器を用いて、即座にアンカーを後方に4発飛ばした。

 

するとシャトルの後ろに4つの碇が落ちてきて、それには鎖が結びつけられていた。

その鎖をロックが持つなり、奏,クリス,霊風にその鎖を渡す。

すると四人はロックが何かしたいのかが分かり、そのままシャトルとロケットの間を連結していた骨組みに鎖を巻きつけ、そして必死にしがみつく。

 

そして翼は足元のレッグブレードを後方へと起きつつ、翼を連想させるような形に展開させた。

 

そしてそのまま村へと突入した。

 

「くっ!このままに出来るか…!」

 

そう言うと憑友は危機的状況にありながら、なんと口笛を吹いたのだ!

 

ヒューーー‼︎

 

 

 

ブルルゥゥゥンッ‼︎

 

「⁉︎車…だと⁈」

 

翼はそう言った。

突然、自分達の前方に一台の車がやって来たのだ!

 

黒と赤が似合うワゴンだった…!

 

「ブランダル!ジャイロモード!」

 

憑友がそう叫ぶと突如、ブランダルと呼ばれたワゴン車から光輝き、

そしてなんとロボットの姿へと変わったのだ!

それを見た一同は呆気に取られていた。

霊風に至っては「トランス○ォーマー⁉︎」という始末である。

 

するとロボットに変形したワゴンもといブランダルがシャトルに手を付く。

 

「ロック!アンカーを外せ!」

 

すると憑友はロックに向かってそう叫ぶと、ロックは目を見開きつつも、クリス達に碇もといアンカーを繋いでる鎖を外すように言うと、そのままアンカーを放した。

 

するとシャトルの威力が少しだけ上がる…!

そのまま憑友は響とブランダルと共にシャトルを食い止め始める。

しかし勢いはそのまま、村へと進入。

さらに突き当たりには建物が…!

 

「行くぞ!持ち上がれーー‼︎」

 

そう言うと憑友は響とブランダルに指示しながら、3人(内1つはロボット)同時に豪快にシャトルを投げたのだ‼︎

 

そしてそのシャトル内の宇宙飛行士と、そのシャトル上に居合わせていた翼率いるシンフォギア装者達と、霊風とロックの精魂導師の2人も憑友と響(この馬鹿2人)の挙動には驚かざるを得なかった。

 

そして建物を超えたと同時にシャトルのエンジンを噴かせた。

その勢いを使って、シャトルは直立した。

 

「はぁ…」

 

「大丈夫か?霊風。ロック」

 

「問題無い」

 

「いや、問題大有りだよ‼︎」

 

「何はともあれ…

 

任務…完了しました」

 

こうして響達は近場の村にシャトルを犠牲者を出すことなく無事に着陸に成功させたのであった。

そしたな響は憑友と共に寝転がっていた。

 

「久しぶり!」

 

「久しぶり…なのか?俺には昨日のように感じてんだけど?」

 

「何言ってるの⁉︎軽くワンシーズン過ぎたんだからね⁉︎」

 

久方ぶりの弾む2人の会話。

すると、翼とクリス,奏,ロック,霊風が彼女の元へと駆け寄ると響は突然笑いだし、てっきりクリスは「おかしなところでもぶつけたか?」となぜ響がいきなり笑いだしたのか分からず首を傾げる。

 

「私、シンフォギアを纏える奇跡が嬉しいんです!」

 

それを聞いた憑友は吹き出し笑いをした。

 

それを見た霊風とロック(男2人)は「お前もか?」と此方も首を傾げる。

すると憑友は話した。

 

「だって、今生きているんだという事を実感を持てるんですから!」

 

それを聞いた翼達は半ば呆れ、半ば感心を持っていたりするのであった。

 

「お前ら本当に…馬鹿だよな」

 

すると憑友達の元に先程シャトルを豪快に投げ飛ばしたロボット・ブランダルが駆けつけた。

 

「ありがとな。ブランダル」

 

『♪』

 

如何やら「如何いたしまして」と言ってるようだ。

するとブランダルは元のワゴン車に戻る。

すると車の中から1人の少女が現れ、倒れこんでいる憑友に抱き付いた。

それを感じた憑友はそのままその少女に抱き返した。

その言動を見た一同は目を見開く。

 

「え⁉︎つ、憑友⁈その子誰⁈」

 

それを見た響が皆を代表してそう言った。

すると先程の少女は響の姿を見て、怯えた。

 

「おい、バカ。

お前のせいでこの子ビビッてんじゃねぇかよ!」

 

「ふぇ⁈私の所為⁈」

 

そう言うと翼と奏が少女に手を出してきたが、憑友にべったりと離れない。

それを見た『ツヴァイウイング』の2人はまさかのorz状態になったのは言うまでも無い。

「あたしが手本を見せてやる!」とクリスが言って、手を出すと、憑友の首を絞めるぐらいにまで怯えてしまった。

因みに少女なので力は無いので、其処まで苦しくは無いと思ったのは憑友本人談。

 

「…如何なってんだ?」「さぁ?」

 

「ま、まずは取り敢えず…帰りません?日本に」

 

憑友がそう言うと皆は同時に頷き、そして8人乗りのワゴン車に乗り、事後処理を政府に任せ、8人は村を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

そんな帰りの道中。

運転は霊風が運転している。

マネージャーとしての務めだそうだ。

 

勿論、今は災害や戦闘が無いので皆は普段通りの姿に戻っている。

翼と奏、ロックと霊風と憑友は私服、響とクリスはリディアンの制服だった。

そして響は憑友が居ない間に起こった事を大まかに説明し、その補足をクリスが行う形で話を聞いた。

 

 

フロンティア事変後、機動二課は解体され、

国連超常災害対策機動部…〔タスクフォース『S.O.N.G.』〕として再編成されたと言う事。

それに伴い、ノイズの存在が公の場に現れる事も無くなり、自分達は災害救助等をやる事になったと言う事だった。

 

 

「へぇ〜。

つまりは、響の趣味である『人助け』が『救助活動』と言う形で実現したんだな」

 

「うん!ところで…」

 

「」プルプル…!

 

「大丈夫だよ。此処にいるお姉ちゃん達は俺の事を知ってる人達でいつも助けてもらってるから…?

もしかして…ペンダントが嫌なの?」

 

「…ウン」

 

「なら、最初からそう言えば良かったんだよ。

と言う訳ですから、ペンダントをそこのケースに入れて下さい」

 

そう言いながら運転席と助手席の間にあるシフトレバーの後ろから一個のケースが現れ、シンフォギア装者達はペンダントをそこに入れた。

すると先程まで怯えていた少女は響にいきなり抱き付いた!

 

「うわぁ⁈…でも、可愛い♡」

 

「♪」

 

そう言いながら響は少女に頬ずりすると少女は響に頬ずりをした。

その動作を見た装者達はメロメロになったのは言うまでもない。

 

そしてその光景を霊風は苦笑いしていた。

 

「?何かあったのか?」

 

するとロックに指摘され、「う、うん…」と素直に答えた。

 

「その子、実はノイズでした〜!」

 

「え⁉︎」「霊風!」

 

すると突然霊風が軽いジョークを言ってきた。

それを聞いた響は驚き、そして奏はそんな霊風に注意する。

「冗談で言っていいノリではない筈なんだが?」

「それは私もそう思う」とロックと翼がそう話す。

 

「冗談だよジョーク、ジョーク!」

 

「「…」」

 

「ん?…如何した、お前ら?何『鳩が豆鉄砲食らったような顔』をして……」

 

そんな霊風は冗談だと言いながら謝罪するが、少女と憑友は無表情になっていた。

 

「…マジで?」

 

「マジです」

 

「ガチで?」

 

「ガチです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『嘘⁉︎』「嘘ぉ〜…」

 

 

 

 

その現実に装者と導師達は驚く事しか出来なかったのであった。




なんとか無事に任務を成功させた一同。
しかし、あの冷気は自然で出来たと言うことは到底思えないのであった。
しかし、何も分からぬまま、皆は憑友と共にとある場所へと移動した。其処で待っていたのは…

次回

調査結果

*次回からオリジナル要素が入って来ます。


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♪2 調査結果

オリジナル展開です。


憑友と少女の事実を聞いた響達は驚愕していた。少女は実は『元』ノイズであったという事に。

しかし先程の言動を見ても彼女がノイズであったと言うのは違和感がありまくりである。だが、確証はある。

 

シンフォギア装者達が纏う聖遺物には耐性が無い故に攻撃を受けたら炭化する。

 

つまり、先程シャトルを無事に着陸させた直後の響達が手を取ろうとしたのに少女は響達の所へ行かず、

今ペンダントを外した彼女達の場合、少女は響達の元へと一直線に行った。

 

それは聖遺物を纏うギアとそれを構成する為のペンダントもといコンバーターがあった為なのである。

 

謂わば聖遺物はノイズを払い除ける一種の魔除けと言う事なのだ。

 

それを聞いた翼達は少女に警戒をしだすが、響はそれでも手を差し伸べて来た。

 

「それでも構わない。憑友は前に『ノイズにも人と共に生きていきたい、優しい性格を持つノイズがいる』って言っていた。だから、私も貴方と一緒になれたらと思ってる!」

 

「!」

 

その話を聞いた翼達はそんな性格の響にいつも振り回されてきた。今までも。今この瞬間も。そしてこれからも。

そして今日も彼女等は半ば呆れつつも、「立花らしい」との一言で済ましたのであった。

 

そしてノイズ()()()少女…ルオレはそんな響の言葉と憑友の言葉を聞いたのか、涙を流したのだ…!

それは最早、ルオレが『元』ノイズであるとは思えず、寧ろ1人の女の子だと思わせる言動だった。

それを見た響と憑友はルオレの頭を撫でたり、ハグしたりしたのであった。

それを見た一同は『(ノイズであったにしても、この子はもう人間なんだ)』と思っていた。

 

その後、彼等は憑友が所持していたワゴン車に驚かされまくっていた。

まず、山の頂上に到達するなり、何処からともなく翼を展開させて、空を飛ぶわ、

タイヤを水平にして水上移動したりとあからさまにハイスペックすぎる機能を彼等は驚愕していて、それを優に扱える憑友は驚きを隠せなかった。

因みにその際に、響から「まだ運転できる歳じゃないよね?」と言った。

それもそうだ彼…憑友は響と同学年だ。響は未来と一緒で高校2年生…つまり16,7歳。

運転免許が交付される年齢は18歳。

とどのつまり…憑友はまだ運転できる年では無いのだ。

だが、

「翼さんがバイクを特許申請した時と同じで、俺も特許申請をしただけ」と憑友は自身満々に言った。

それを聞いた翼,奏,霊風は苦笑を浮かべていたのは此処だけの話。

そしてルオレはそんなハイスペックワゴン車の中から外の風景に目を奪われていたのであった。そんなので良いのか?

 

そうしていると憑友はS.O.N.G.がある移動本部を既に越してそのまま日本に到着するなり、そのままとある場所に向かっていた。

 

その場所とは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

「まさかのこの場所とはな…」

 

「此処は?」

 

憑友達がやって来た場所を見て、霊風は心当たりがあり、皆を代表してロックがそう尋ねてきた。

そして翼だけは苦虫を噛んだかのように、その場所に目を背けていた。

それを見たクリスと響は首を傾げつつも、翼の様子が可笑しい事に気がつく。

その光景を見た奏は頭を掻きながら溜め息をした。

 

「此処は、翼の実家だ」

 

霊風が言った一言で響とクリスは目を見開いた。

当然だろう。自分達の仲間の家などあまり行かないものなのだから。

 

だが、そんな実家である翼本人はと言うと家の方すら見ていなかった。それを見ていた奏と憑友は同じタイミングで「はぁ…」と溜め息を零したのは言うまでもない。

 

すると憑友はワゴンから降りた。ルオレも「イッショ二イキタイ!」と駄々を捏ねてしまったが、響とクリス、そして護衛という形でロックも同行すると言い出したので、憑友は仕方ないと思ったのか、奏と翼,霊風の3人だけをワゴンに残し、残りのメンバーだけで翼の実家…風鳴八紘の元へと向かって行ったのだった。

 

 

ーーーーーーSIDEto霊風

 

「なぁ、翼?まだ帰りたくないのか?」

 

「…ああ」

 

はぁ…参ったな。

原作通り翼の奴、親父さんの事に対して、未だに溝を作ったままか。

このまま行って和解してくればそれでそれで結構なんだけどな。

それにしても、この世界でまともな父親って、憑友の親父さんと未来ちゃんのお父さんだけだな…。

原作を見たけど、響ちゃんの父さんは周りの空気に押し潰されて、娘をほっといてどっかに出て行くし、

翼の父親は堅物で超が付く程の不器用人間。

切歌や調,マリアとセレナちゃんの父さんは蒸発もとい他界。

クリスとロックの父親に至っては両親揃って戦争に巻き込まれて死亡。

奏も皆神山の唯一の生き残り…つまり家族すらいない。

各言う俺の両親は物心ついた時にはノイズに殺されたって言われたな。尤も、それは隠蔽しているのでは無いのかと密かに思った事もあったけど、今は分からないな。

両親か…

俺の両親…特に父親は何をしていたのかな。

そこんところは俺を転生させた神すらも教えてくれなかったな。

 

『なんだ?親子喧嘩か?』

 

「⁉︎」

 

「フィ、フィーネ⁉︎」

 

いや、なんでお前が出て来る⁈

しかも、ホログラムと来たか⁉︎

「ってか、なんで此処に居るんだよ⁈」

 

『ざっと言うとこの車は私が改良させたんだ。その際にこの車に私の細胞組織を構成させるプログラムを作成したのだ。

本体は憑友とまだ共有中だが、この車に意識を飛ばす事も造作も無い事さ』

 

…もうなんでも有りだな…。キテ○ツか?

 

「…」

 

『…ふぅ。何時ものお前では無いな。

もう少し周りに頼れば良い。今の私は非力だが、それでもお前を助けてやれる事くらいは出来るさ』

 

「…ありがとう」

 

そういうとフィーネの眼差しはかつて響ちゃんに託したときのような瞳を出して、そのままホログラムを解除して、姿を消した。

 

1人で出来ないのであれば、誰かに助けを乞うのも有りだぜ、翼。

 

ーーーーーーNO SIDE

 

3人がフィーネと話をしていた頃、憑友達は翼の実家…八紘の家にお邪魔していた。

因みに憑友は右手にジュラルミンケースを所持している。

 

其処にはSPが家を厳重にしていた。

するとその内の1人のSPが憑友を目にした瞬間に憑友に会釈をした。

それに気付いた憑友も会釈をした。

それを見た響達も釣られて会釈すると、SPが案内すると言う動作をしたので、憑友はそのSPの後について行く。勿論響達も。

そしてとある一室に着く。

 

「八紘様。玄也様の息子様がお見えに参っております」

 

『通せ。連れも一緒なのだろう?』

 

「はい」

 

『なら、その者達も通せ』

 

「畏まりました。どうぞ」

 

「失礼します」

 

憑友は返事と共に部屋へと入った。

それを筆頭に、響達も一緒に入ってきた。

 

 

そして彼等が目にしたのは、一際威厳を感じるお偉いさんにして、翼の父親…そして弦十郎の兄…風鳴八紘が其処にいた。

 

「…此度の件は済まなかったな」

 

「構いませんよ。それよりも此方を」

 

そう言うと憑友は先程のジュラルミンケースを応接スペースに設置してある机に置いた。

そして八紘はそのまま「席に座っても構わん。長話になりそうだからな」と言われ、憑友達を席に座らせた。因みにルオレは憑友の膝上にちょこんと座っている。その仕草にクリスは内心、響は全体で「可愛い」という表現をしていたのは言うまでもない。

そうしていると八紘はジュラルミンケースを開けた。

其処には1つの茶封筒があり、その中身を紐解くと、そのまま八紘は書類と睨みっこし出した。

その中を響達はただ単に、「息苦しい…」と思えたのは此処だけの話…じゃあ何の為に来たんだよ…。

 

すると八紘は書類を読み漁り終えた。その時間は約3分。

カップ○か、ウルトラマンかよ…。

 

「…態々済まないな」

 

「こんな事しか出来ないのが悔しいですけど」

 

「それでも十二分過ぎる情報だ」

 

如何やら余程の重要案件だったようだ。

すると八紘は外にいるであろうSP達に声を掛けた。

するとドアから1人のSPが現れ、「例の物を持って来てくれ」と八紘から言われたので、SPは頷くと直ぐに例の物を取りに行き、そしてものの10秒以内に1つのジュラルミンケースを持って来たのだ…いや、速いから…!と言うか結構近場に有ったのね⁈

 

するとSPからジュラルミンケースを受け取る憑友。

憑友はすかさずそのケースの中身を確認した。

響達もその中身を見た。其処には9つの『英雄石板』があった。

 

「対価としては少ないかもしれないが…」

 

「いえ。寧ろ多いぐらいです。あの量でこれだけの『英雄石板』…寧ろ貴方の方が損をしているように思えますが?」

 

「なに…私としてはこの情報が高い価値を持っていると思っているさ」

 

そう言うと憑友と八紘は手を握った。交渉成立のようだ。

 

「次も頼むぞ」「当分先ですけどね」

 

それを見た一同は何とかこの場のやり取りが終わった事で一気に疲れが襲ってきたのであった。

 

精神的に疲れたのだろう。

それによく見てみると、ルオレは憑友の膝上に、憑友の身体に沿うかのようにぐっすりと眠りについていたのであった。

 

「さて、情報供給はこのくらいにして、此処からは敬語なしで行きます。

八紘さん。貴方何時まで翼さんの事を疎遠にしたままにするんですか?」

 

「っ…!」

 

するとまた場の空気が重くなった。

これには流石の響達も息苦しく感じてしまった。

 

「その様子だと、親父にもしつこく言われたみたいですね…。

はぁ…

俺が言う事は良く無いので言いませんけど、父親らしい事は少しはしてあげて下さいね。

それだけで翼さんの気持ちも全然変わりますから」

 

それだけを言うと憑友は「失礼します」と言って、先程受け取ったジュラルミンケースを提げて部屋を出た。

そしてそれに気付いた響達も慌てて部屋を後にしたのであった。

 

「…余計なお世話…とも言えないか…」

 

八紘の呟きに答える者はいなかったのであった。

 

 

ーーーーーー

そして憑友達は翼の実家を後にしようとした時に、1人の男性が神聖化されている岩の元にいた。

 

「?相沢さん?」

 

「ん?…ああ!憑友君!元気だったか?」

 

「ご無沙汰してます」

 

そう言いながら、憑友は相沢と呼ばれた人と握手をした。

すると、相沢は憑友の隣にいた少女・ルオレに向けた。

それに気付いたルオレは怯えてしまい、憑友の後ろに隠れてしまった。

 

「ははは…。やっぱりか」

 

「何が『やっぱりか』ですか。

この子の正体、分かってる癖に」

 

『え?』

 

「あはは…。まあ、色々とね」

 

そう言いながら相沢はルオレを見つめ始めた。

すると憑友はルオレと顔の目線を同じにして、ルオレの耳元で呟いた。

 

 

「相沢さんは、ルオレと同じ…『元』ノイズだったんだよ」

 

「⁉︎…ホント?」

 

「ああ。憑友君が言った事は本当だよ」

 

ルオレは驚いていた。此処にいる青年・相沢が実は自分と同じ存在だと言う事に。

そんな会話を見ていた響達は『?』と頭にクエスチョンマークを付けながら首を傾げた。響達には聞こえていなかったようだ。

 

するとルオレは相沢の前に近づき、そして手を恐る恐る差し出してきた。

それに相沢は応えるかのように手を差し伸べ、握手した。

相沢の気持ちを感じたルオレはそのまま相沢に抱きついたのだ。

それを見た響達は目を見開いた。何せ、ルオレが自分達以外の人にも積極的に抱きついていたから。

 

そうしている間に憑友はある人と連絡していた。

そしてルオレと相沢がハグを辞めたと同時にその通信を終えて、電話を切った。

 

「誰と連絡したの?」

 

「ん?未来だよ。久方ぶりに帰ってきたんだ。連絡の1つくらい良いだろうが」

 

「…そうだよね!」

 

そうすると憑友はそのまま相沢が傍観していた岩に向けて礼をすると、相沢と別れ、響達と共に一行はワゴンへと戻って行った。

その時にルオレが相沢に「マタアエル?」と言ったが、相沢は「何れ会えるよ」と言い返し、ルオレは笑みを浮かべながら憑友達の後を追った。

 

そして一行はそのまま『元』二課で、現名『S.O.N.G.』の方へと向かって行ったのであった…




相沢
オリキャラにして、ルオレと同じ『元』ノイズ。
憑友とは何回か会っているが、経緯は不明。
ルオレよりも長い時間を人間として暮らしているのか、人間と何ら変わりはない。
現在は、憑友から事情を聞いた八紘氏の雑務係として、八紘邸もとい翼の実家にお暇している。

次回

再会と『〔絶唱〕石板』

次回は前後編に分かれての投稿です。
そしてサブタイにて、謎が1つ解ける…!


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♪3 再会と『〔絶唱〕石板』前編

お待たせしました。
いよいよ長きに渡ってきた伏線を回収する回です。


一行は二課もといS.O.N.G.の移動本部である潜水艦へと進入し、そして現在、憑友は先程八紘から受け取ったジュラルミンケースと、もう1つ別のジュラルミンケースを左手に提げ、右手はルオレと手を繋いで司令室の方へと向かっていた。勿論、響達も同行中である。

そしてドアが開くと其処には頭一つ飛び出た赤いや、ワインレッドがトレードカラーのOTONAにして、響と憑友の師匠で、翼の叔父,先程出会った八紘氏の弟,そして憑友の父・玄也の幼馴染の弦十郎と、その隣には翼のマネージャーでSINOBIの緒川、そして響と憑友の幼馴染で親友の未来が其処にいた。

勿論、藤堯や友里,牧藁と言った二課のスタッフも健在しているのである。

 

 

「人絆憑友。只今、長期の旅もとい『石板』探しの旅を終えてきました」

 

「まぁ、なにはともあれ。よく生きて帰ってくれた、憑友」

 

「ご無沙汰してます。弦十郎師匠」

 

そう言いながら憑友はケースを地面に置くと弦十郎と握手を交わした。そしてその様子を見た未来を見た憑友は面と面で向かい合う。

 

「ただいま。未来」

 

「おかえりなさい」

 

そう言いながら憑友は未来の頭を撫で、未来は憑友のいきなりの行動に驚きつつも、顔は朱く染めていたのであった。

それを見た霊風は「コーヒー、コーヒー〜♪」と言いながら、翼達にコーヒーを渡してそのまま皆と共にコーヒーを飲んだのであった。

因みに響は逆に不貞腐れているのは此処だけの話。

 

すると憑友は未来の頭に何かを通す。

すると未来は憑友に通された物を見て、驚いていた。

それは響達がギアを纏うために必要なアイテム…ギアペンダントだったのだ!

 

「これって…」

 

「お守り。如何してもと言う時に使って欲しいんだ」

 

「憑友…ありがとう」

 

それを聞いた未来は憑友にそう返事したのであった。

そしてルオレは此処に来て、未来に怯えてしまった。

すると今度は憑友の元から離れて、何と弦十郎の肩に乗っかったのだ!

「おっと…!」と言いながら、突然の出来事を難なくこなす弦十郎。

 

『(…あんたやっぱり凄いわ…色んな意味で。)』

 

憑友達は心の中でそう呟いていたのは言うまでも無い。

 

「この子は如何した?」

 

「旅の最中に怪我をしていて、看病していたんです。

そしたら懐いてしまって。

しかも、両親はノイズによって…」

 

それを聞いた響達は心の中で『(うわぁ〜…出鱈目過ぎる嘘だ〜…)』と呟いていた。響達は少女・ルオレの正体を聞いたので、憑友の嘘がバレバレになるのではと思っていた。

 

「成る程な。…この子の面倒はお前が見れよ。金銭面は大人が務めてやる」

 

「すみません。突然の事で」

 

『(信じちゃった⁉︎)』

 

「なぁに、心配するな。弟子の頼みとあらば、断る道理も無いしな!」

 

『(おまけに壮大すぎた⁉︎)』

 

憑友と弦十郎の話を聞いた響達は改めて弦十郎の寛大な心の器の大きさを目の当たりにしたのであった。

…あんたやっぱりOTONAですね…弦十郎さん…。

すると皆が入ってきたドアから7人の少年少女達が現れた。

『元』F.I.S.のメンバー…

マリア・カデンツァヴァナ・イヴ,月読調,暁切歌,陰陽闇呪怨,陰陽光聖希の5人と、

マリアの妹で憑友の義姉・セレナと、その彼氏もとい恋人の零の7人であった。

 

憑友はセレナをみるとすぐにセレナの元へと歩んだ。

 

「セレナ義姉さん。ただいま」

 

「おかえり。でも、連絡はちゃんとしてね」

 

「は、はい…」

 

「頑張れよ、義弟君!」

 

「あんたに義弟と言われたく無いし、義兄さんとも呼びたく無い!」

 

「うぐっ…!結構心に響く…!」

 

そうしていると憑友は此処にいる全員の顔を見て、何かを思い出したのか、2つのジュラルミンケースを手に持った。

 

「弦十郎師匠。

遂に見つけました。俺が蘇るために必要な『英雄石板』を」

 

「そうか!」

 

「ただ、此処では何ですので、ブリーフィングルームに、此処にいる全ての《シンフォギア》装者と《精魂導師》と共に見て欲しいんです」

 

「…分かった。響君達もそれでいいな?」

 

「あ、はい!」

 

それを聞いた一同はブリーフィングルームへと移動した。

勿論、ルオレも一緒なのだが、ルオレは憑友に肩車をし、憑友はそのままルオレと共に移動し始めた。

 

「可愛いデス…!」

 

「…撫でたい…!愛でたい…!」

 

そう言いながら切歌と調はルオレを見た後からこのようにメロメロ状態であった。

 

「わ、私はその…」

 

「マリア姉さんは相変わらず初心ねぇ〜♪」

 

「ちょっ⁉︎せ、セレナ〜⁉︎」///

 

そうしながらマリアはセレナに弄り回されていた。

マリアの羞恥を見た一同。代表して響が「あはは…」と苦笑をしたのであった。

以前の凛としたマリアからは想像もつかない程、彼女は感情が出やすくなっているだろう。

以前はクールとした態度だったマリアも、生き別れたセレナとの再会以降からセレナに対しては非常に甘くなった。

それ故にセレナからいつも弄り回されていたのだった。

そのおかげか、今ではこんな羞恥を見せるマリアを度々目撃する事もあるのだとか。

ただ、それはS.O.N.G.内と、憑友の実家内だけの話。

外に出れば、マリア(彼女)は歌姫になり、セレナ(彼女)はそれを支えるマネージャーに早変わりするのである。

 

と、話が逸れてしまったので、元に戻すとしよう。

そうしていると皆はブリーフィングルームに到着し、それぞれ自由に席に着く。

座席は時計周りで、

憑友,響,未来,霊風,奏,翼,緒川,クリス,ロック,弦十郎,牧藁,切歌,調,陰陽兄弟,零,セレナ,マリアとなっている。

 

すると憑友は皆に一纏めにした書類を配る。

そして憑友はカーテンを閉め、そして映像を流した。

 

「今、皆さんの手元に渡った書類は、俺が現世に蘇るために必要な『英雄石板』が画像と共に記載されています。

其処に記載されているのは翼さんの証言により確定した石板です」

 

「これが、憑友を蘇らせる為の石板なのか」

 

「はい。では、響」

 

「は、はい⁉︎」

 

「1番最初の①の項目に書かれている石板の名称と、解読結果を読んでくれ」

 

「ふぇ?…う、うん…」

 

憑友は響を指定し、響に書かれている内容を見ながら、解読結果を読む。

 

「『槍の名を冠する『拳』』

 

『その者、ごく普通の少女だった。

 

だが、周りの人が死ぬ中で、唯一生き残る。

 

そして2つの年が過ぎし頃、少女は戦士になった。

 

最初は何もできずに逃げてばかりの少女。

 

しかし、守るべき者の為に。

 

その身に宿りし欠片の力を使い、月の破片の落下を食い止めん。

 

その後起こりし事変にて、少女は死の危機に瀕するが、少女の親友によりその危機は脱する。

 

そしてその身に再び槍を纏いて、喰らいし怪物を打ち倒す。

 

少女の想いはただ1つ…誰を守る『人助け』をする為に』

 

…これって…」

 

響が読み上げた文章を聞いた皆はその『石板』書かれている内容を聞いて、思い当たる存在を知っていた。いや、もう目の前にいるのだから。それは響本人もそうだった。何せこの内容は間違いなく…

 

「そうだ。これは…『槍の名を冠する『拳』の軌跡』…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…"響"の事が書かれている『英雄石板』だ」

 

 

『‼︎⁉︎』

 

その話を聞いた一同は目を見開く。

弦十郎に至っては「なんだと⁈」と言いながら、席から立ち上がる。

 

だが、それだけではなかった。

 

「そして、この『英雄石板』が発見された場所は此処です」

 

そう言うと背景に1つの風景が映った。

その場所を見た一同は此処は何処なのかと首を傾げるが、

響と翼,霊風,弦十郎と緒川,牧藁の6人は目を見開いていた。

何故なら其処は、響が初めて《ガングニール》を纏った場所だったから。

 

「まさか…此処に有ったと言うのか⁈」

 

霊風の質問に憑友は「ええ」と答えた。

そして話を聞く限り、憑友は此処で思い出に浸っていたら偶然、発見したのだと。

前まで存在してさえいなかったのにだ。

 

そして話を聞いていた翼は「まさか…⁉︎」と言う思考の元、他の書類にも目を通し始めた。それを見た一同も再び資料に目を通した。

 

ーーーーーーSIDEto翼

立花の事が書かれていて、もしやと思ったら…やはり有った。

 

『竜を滅する剣の軌跡』

 

其処にはこう書かれていた。

 

『その者は少女で歌を歌うことが好きだった。

 

だが、少女の存在に父は少女を見ぬふりをしてきた。

 

そしてその身を人間ではなく、『剣』として鍛えあげてきた…

 

そんな彼女の元に現れた槍の少女。

 

槍の少女の生き様に少女は惚れた。

 

そしていつしか共に歌いもしだした。

 

だが、それは儚き夢へと追いやられる…

 

そして2つの年に起きた身の回り。

 

1つは槍の少女の力を受け継いだ少女との出会い。

 

もう1つは黒く染まりし、槍を使う女性との出会い。

 

その2つの出来事を機に彼女の周りは変わる。

 

いや、変わったのは己自身。

 

いつしかその身が『剣』から『翼』になる事を信じて…』

 

 

…これは明らかに私自身の英雄譚。

 

神様は元から私が『英雄』だと知っていたのかもしれないな。

 

だが、まさか石板が発見された場所が、『天羽々斬』の起動実験をした場に有ったとはな…

 

ーーーーーーSIDEto奏

私は1つの項目に目が止まった。

 

『2振りの槍の軌跡』

 

内容はこう書かれていた。

 

『その者,幼くして家族を雑音達により失った。

 

失った果てに得た撃槍の力。

 

しかし、その力の扱いは欠けていた。

 

そしてその身を死滅させる歌を歌うも、とある少年が身代わりとなりて、九死に一生を得ん。

 

だが、その反動で歌を歌えなくなってしまう。

 

2つの年が過ぎし頃、彼女が助けた少女と彼女を助けてくれた少年が現れん。

 

歓喜に浸るもすぐに絶望の渦へと放り込まれん。

 

それでも彼女は立ち上がる。

 

そして、長き旅に出会った1人の青年の力を授かり、再び戦場へと降り立つ。

 

全ては守るべき者の為に…その2振りの槍を携えながら…』

 

どう考えても私の事だ。

それに最後の2行に至ってはオディナの事まで書かれていた。

 

そして見つけた場所は、かつて翼と歌ったあのライブ会場。

そのコンサートホールの下に埋められていたようだ。

 

其処はかつて、私が《ガングニール》を捨てた場所であり、

《ネフシュタンの鎧》が保管されていた場所だった。

 

何気に思い出がある場所だと私はそう思った。

 

ーーーーーーSIDEtoクリス

あたしが見た項目…其処にはこう書かれていた。

 

『魔を穿つ弓の軌跡』

 

そして内容は…

 

『その者は少女であり、幼き頃に父と母を亡くす…

 

味わし傷跡は、簡単には癒えん。

 

そして少女は世界を憎む。

 

大切な者を奪ったこの世界に。

 

だが、其処で出会いしはその手で誰かと『手を繋ぐ』少女。

 

そして、その少女にとっての『陽だまり』たる存在。

 

2人と出会い、少女の運命は変わる…

 

そして自分の事を信じてくれる『剣』の先輩。

 

大切な者達と共に、

 

少女は今日も人々を助ける為、

 

『銃』と言う概念になった魔を穿つ弓を携えん…』

 

…間違いねぇ…コレは私の事が書かれてやがる…

 

そして発見された場所はフィーネのアジト跡地。

 

フィーネと、そしてロック義兄と過ごした思い出深い場所だった。

 

ーーーーーーSIDEtoマリア

私が目を通した場所。其処にはこう書かれていた。

 

『銀の『腕』の軌跡』

 

内容はこう書かれていた。

 

『その者、小さき頃に大事な家族を助けられなかった。

 

だが、少女は挫けず。寧ろ世界を救う為に動き出す…!

 

彼女が纏いし物は黒き『烈槍』。

 

しかしその力は、『擊槍』を使っていた少女がその身に纏った。

 

戦う術を失う少女…

 

しかし、助けられなかった家族が所持していた力が奇跡を呼ぶ。

 

そして再び纏いしは少女の妹が使用していた『手』の特性を持つ銀の『腕』の名を持つ装備。

 

彼女は再び纏う…

 

その身に大切な者を守る者の為に…』

 

間違いなく私が体験した出来事だ。

尤も、内容は少し違っていた。

 

妹と言うのはおそらくセレナの事。

確かに助けに行こうとしたけど、出来なかった。

 

故に助けられなかったと言う解釈になるのだろうけど、

この文献ではセレナが死んだと言う意味合いが込められているかのように感じた。

 

そして、その石板が発見された場所は、ライブ会場。

其処はかつて、私と翼が一緒にライブした『Queen'sofMusic』の会場でもあった。

 

本当に偶然にしては出来過ぎているかのようだった。




後編は1時間半後に投稿予定


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♪3 再会と『〔絶唱〕石板』後編

前編の続きです。

ウルトラマンオーブの公式サイトを見た。

見る前
作)『スペシウムゼペリオン』だからって、必殺技の名前を合体して、『スペリオン光線』とかじゃ無いだろうな?

…続きは後書きにて。


ーーーーーーSIDEto調

私が見た項目…

 

名称は『女神の加護を受けし『鋸』の軌跡』

 

女神の鋸…間違いない。シュルシャガナの事だ。

 

内容はこう書き記されていた。

 

『その少女は、常に『鎌』の少女と共に在りけり。

 

身に纏いし『鋸』でその小さき身体で雑音を切り刻む…!

 

『手を繋ぐ』少女の事を『偽善』と呼び、険悪を見い出すも、その少女の思いは生粋のようだった。

 

そんな中で、『鎌』の少女との仲が崩れ始めん。

 

結果的にそれは誤解を生んだ…生ませてしまった。

 

命尽き果てようとした時に現れんは『先史文明期の巫女』…

 

少女の体内に宿っていた魂だった。

 

その魂が少女を救い、

少女は後に『鎌』の少女と和解を果たさん。

 

そして彼女はその力で誰かの為に戦わん…

 

その隣には常に『鎌』の少女と共に…』

 

…これは完全に私の事だった。

しかも、大半が『鎌』の少女…切ちゃん絡みの内容だった。

 

確かに切ちゃんとは常に一緒にいるけど、此処まで書く事あるのかな…?

 

そして発見された場所は、私達が集められた元『F.I.S.』の研究所内だった。

ただ、写真の下には、

 

『※尚、項目⑤と⑥は同じ場所にて発見した』

 

と書かれていた。

そして私はすぐに項目⑥の方を見た。因みに項目⑤はシュルシャガナです。

 

そこには『女神の加護受けし『鎌』の軌跡』と書かれていた。

鎌…イガリマの事?

…じゃあ、切ちゃんに関係する事なのかな?

 

ーーーーーーSIDEto切歌

で、デェ〜ス…。

 

…あ、どうも切歌デスよ!

 

と、誰に言っているんだろう…。

まぁ、それは良いとしてですけど…

 

『女神の加護受けし『鎌』の軌跡』

 

…間違いなくイガリマの事デスね…はい。

 

「」じー…

 

…さっきから調にジト目をくらっているデス…⁉︎何もしてないデスよ⁈

でも、めげないデスよ!

 

さて、憑友義兄さんが解読したのを見て見るデス!

えっと…内容は…あ、ちゃんとふりがなふってくれてるデス!

…あれ?これ良く見たら、手書きデス⁈

…あれ?マリアやセレナのには書かれていないデス…。

…もしかしてこれ、私だけの奴デスか⁈

気遣いは有難いですけど、恥ずかしいデス⁈

 

と、取り敢えず読んでみるですよ…!

えっと…

 

作)※皆様にはふりがなを振っていません。ご了承下さい。

 

『その者、魂を切り裂く『鎌』を所持する少女なり。

 

少女の隣にはいつも『鋸』を扱う少女と共におらん。

 

2人の仲は誰から見ても良いと言える…

 

だが、それは唐突に…それも亀裂を生み出した。

 

己が『先史文明の巫女』を宿しているのかと己自信を疑う少女。

 

それでも彼女は、隣にいる少女から自分との思い出を大切にした。

 

しかし、現実は違った。

『先史文明の巫女』の力は、少女ではなく、隣にいた『鋸』の少女に宿っていた。

 

誤解を生んだ自分…死にたいと感じた。

だが、その行為は、いつも側にいた少女が犠牲となりて、阻止をせん。

 

絶望に浸る少女…しかし、奇跡は起きた。

自分の身代わりになった少女が生き残ったのだ…!

 

其れを踏まえながらも、少女はその子と共にいる事を誓う…

 

もう2度と、大事な者を傷付けない為に…!』

 

…ぐすっ!泣きたくなってきたデェェェス!

あの出来事があったから、調とまた仲良くなれたんデス!

この石板に書いてある通り、私は二度と失ったりしないもんデス!

 

 

ーーーーーーSIDEtoセレナ

まさか自分の事が書かれている『英雄石板』と出会うなんて。

しかも、項目は全部で9つ。

此処にいるのは、

 

〔ガングニール〕の響ちゃん。

 

〔天羽々斬〕の翼ちゃん。

 

〔イチイバル〕のクリスちゃん。

 

〔ゲイジャルグ・ゲイボウ〕の奏さん。

 

〔アガートラーム〕のマリア姉さん。

 

〔イガリマ〕の切歌ちゃん。

 

〔シュルシャガナ〕の調ちゃん。

 

『元』〔神獣鏡(シェンショウジン)〕の未来ちゃん。

 

そして〔アイギス〕の装者である私の9人。

 

偶然にしては出来過ぎてる…

けど、『石板』の内容を見た限りだと、それがどうもみんなの事を指してるにしか思えなかった。

 

…さて、他の皆の石板の解読結果を見ている事だし、私も私の事を書かれている石板を見てみないとね。

 

えっと、タイトルは…

 

『女神の『盾』の軌跡』

 

…うん。(その)まんまだ。

 

内容は…

 

『その者は物心ついた時には既に家族は姉だけだった。

 

暴れる生きた聖遺物を前に、少女は、『銀の腕』の力を宿した力でこれを止める。

 

しかし、代償として、その身体を内部から崩壊させた。

 

そんな彼女の所に駆けつけんは、少女の愛しき人。

 

彼は少女を助けた代わりに、自身を植物状態へと変化させられ、

少女はそれ以前までの記憶を失ってしまった…

 

そしてそんな少女の元に少年が駆けつけ、少女を救うきっかけを作った。

 

時は流れ、少女は自分を救った少年とその家族の元ですくすくと成長した。

 

ある日、少女の記憶は元に戻る。

 

そして少女は、大事な家族の元へと向かう…

 

首に提げた『盾』の力と共に…』

 

間違いない。これは私の軌跡。

まさか、自分が『英雄』になるなんて…

 

そして発見された場所は、研究所跡地から数キロ先の場所。

 

其処は憑友が私を救った場所そのものだった。

 

ーーーーーーSIDEto未来

みんなが、真剣にそれぞれの項目に目を通しています。

ただ、読み上げた響だけは頭から?マークが無数に飛び交っているけどね…。

やっぱり響は変わった子。

だけど、私にとってはかけがえのない親友に代わりはないよ。

勿論、憑友の事もね。

私は憑友に配られた書類に目を通した。

そして項目の最後に書かれていた『石板』に目を通した。

 

『歪みし『鏡』の軌跡』

 

そして内容は…

 

『その者は、皆から〔陽だまり〕と呼ばれる者なり。

 

隣には、自らが〔太陽〕のような明るい少女が側にいた。

 

だが、その少女との溝を作ってしまった…

 

そしてその間に出会いしは、〔雪のような髪〕を持つ少女だった。

 

雪髪の少女の言葉を聞いた少女は、後に太陽の少女と絆を取り戻さん。

 

そして最後の最後まで、側にいた。

 

だが、それは長くは持たなかった。

 

太陽の少女の身体を蝕む〔撃槍〕の欠片。

 

少女はその抑止力になろうとするも、何も出来ず。

 

そして少女は闇に堕ちた…『歪みし『鏡』』の誘惑に。

 

少女は纏った…大事な存在が平和に暮らせる世界の為に。

 

だが、太陽の少女が前に立ち塞がる。

大切な親友を取り戻す為に。

 

溝を生んでまで得た絆に亀裂が走る…

 

だが、『歪みし『鏡』』の力を用いた事で、少女と太陽の少女が身に纏う物は消え去った。隅々まで。

 

彼女に戦う力は無い。

だが、彼女の所に帰ってくる者は大勢いる。

 

故に彼女は見守る…

親友達が帰ってくる居場所で居続ける為に…』

 

これが、私の軌跡…

…やっぱり響の事も書かれていた。

それだけじゃ無い。クリスの事も書かれていた。

…何だか、照れて来ちゃった。エヘヘ///

 

「「⁉︎(な、なんか寒気が⁈)」」

 

「?如何した?クリス先輩、響?」

 

「ふぇ⁈…な、何でも無いよ〜!ねぇ⁉︎クリスちゃん!」

 

「⁉︎あ、ああ…ってか、私はお前よりも年上だ!敬えよ!」

 

ふふっ。何だか良い事がおこりそうな予感…あ、そうだ。

 

憑友から手渡されたこのペンダント…。

見た目は響やクリス,翼さん達が所持しているシンフォギアのペンダントそのものだけど…これって一体…?

 

ーーーーーーNO SIDE

そうこうしている内に本日の会議はお開きとなった。

今回の会議にて出された『英雄石板』は、

 

『〔絶唱〕石板』として分類化された。

 

因みに現在分類化されている『英雄石板』は、

 

なのはやヴィヴィオ等の"魔導師"が刻み込まれている『〔リリなの〕石板』

 

アカネやアオト等、"聖なる扉を目指す者達"が刻まれている『〔ディバゲ〕石板』

 

ナツやルーシィ等のギルドの紋章を持つ魔導士『〔FAIRY TAIL〕石板』

 

士郎やセイバー等の"聖杯戦争"と関わった存在が居座る『〔fate/〕石板』

 

キリトやシノン等の"VRMMORPGでのデスゲーム"と向き合った『〔SAO〕石板』等。

 

その他にも此処には全て書き記す事が出来ぬものの、この数ヶ月の間に憑友は分類化してきた。

その際には、転生者《リターナー》であり、頼れる先輩・霊風の力添えもあったおかげで、今では大半が分類されていた。

 

さて、話が逸れたので、戻すとしよう。

 

そして皆が部屋から出ていく中、憑友は《精魂導師》全員と、緒川だけを招集して、何かを話し込んでいた。

その様子を見ていた緒川は「あはは…」と憑友達の考えている事に苦笑いを浮かべていたのであった。

 

それから数ヶ月は何も起きず、日常を謳歌する事になった。

 

そんな中、巷で噂が流れ込んでいた。

 

"ツヴァイウイングの後を追う若き6人組バンド"と言う噂が発生していた。

 

バンド名は、SRCHCS(ソルクフォクス)

 

其れが今後の展開を大きく動き出していた。

 

ーーーーーーSIDEto???

いよいよね…

 

…心苦しいわ」

 

「…そうだな」

 

本当はあの子達に、自分達の幼馴染を傷付けて欲しく無い。

 

だけど、あの子達は私の想いを最優先した。

ならば、責任は全て私が請け負おう…

 

「もう直ぐですね♪」

 

…また、貴方なの…セバスチャン。

 

「お前と言う奴は…!」

 

「まあまあ、落ち着いて下さいな。

何はともあれ、今は計画を止める事が最優先ですよ」

 

そうね…

 

キャロル・マールス・ディーンハイム。

 

彼女の起こそうとする計画…何としてでも死守しないといけない。

彼女の計画が起きれば、私が犯した禁忌が動き出してしまう。

 

ソウル兄さん,ライド兄さん,コア兄さん。

スピリット姉さん,ホロウ姉さん,タマシイ姉さん。

 

私が犯した罪を貴方達に背負わせる訳には行かない。

私が犯した罪は、私自らの手で償わせるから。

 

サモン・クリスチャーノ。

私に宿りしは"召喚"の力。

 

今こそ此処に蘇れ…『英雄』達よ!

 

ーーーーーーNO SIDE

 

此処から本格的な戦いが幕を上げる。

 

さぁ、心構えは出来たか。

 

誰も予想しなかった展開を貴方に。

 

扉は開かれた…!

 

オリジナル(原作)を逸脱したラストが待ち構える創作(if)が、君を待ち構えている…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦姫絶唱シンフォギアGX

〜とある戦士の物語〜

 

 

 

 

勃発(ヴァーサス)魔法少女事変(アルケミックカルト)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

始動!




前書きの続き。
『ウルトラマンオーブ』公式サイトを見た後

ウルトラマンオーブ〔スペシウムゼペリオン〕プロフィール

体長:50m
体重:5万トン
必殺技:()()()()()()()

作)・・・はぁ⁈マジ⁈

…と、そんな感じに起こった作者です。

さて、今回ので一応GX編のプロローグは終了です。
次回からいよいよ本格的に破茶滅茶なバトル展開をお見せするぜ!

荒れるぜ〜!止めてみな!

『其れはキョウリュウジャー‼︎』

皆からの一斉ツッコミを食らった!

いちげきひっさつ!

作者は倒れた。

作者の手持ちに戦えるポ○m「ポケモンとは言わせないぞ!」ガクッ!

「と言うわけで、次回予告!」

次回予告

久方ぶりの学校を満喫する一行。
そして皆が一同に見たかった翼・奏・マリアの3人のライブが披露していく中、そこへ乱入者が!
その中の1人を見た響と翼は目を見開いた…!

次回

Δウイング/SRCHCS

その歌は…奇跡か、絶望か…


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♪4 Δウイング/ SRCHCS

今回は翼さん達のライブ場面まで。そしてオリ展開。


先の石板の件から数ヶ月。

 

今ではノイズの脅威も去り、先の大戦…

 

亜空伝説(レジェンド)事変》の傷跡も有る中でも、人々は活気に満ち溢れていた。

其れは此処…私立リディアン音楽院(通称リディアン)でも同様に見られていた。

もうじき夏休みに差し掛かろうとしているその中、

1人、淡々とリディアンに通学する1人の少女がいた。

 

雪のような白く透き通る髪を持つ少女…雪音クリスは今日もまた1人、リディアンへと通っていた。

昨年度までは義理の兄である蒼のセミロングヘアの青年…ロック・アイル・ユキネと共に登下校を繰り返していたが、年度末の卒業式にて先輩であり、仲間である少女・風鳴翼と共に卒業したのであった。

彼がリディアンに通っていたのは僅か10ヶ月も満たないものの、其れでも学力は常にトップ圏内に入る実力を持っており、

全国一斉の学力検査ではなんと10位以内に入る実力まで示してしまったのだ。

それ故に、あっと言う間に卒業してしまったのであった。

 

さて、そんな中でもクリスはただ1人、学校に行こうとしていると「クリス先輩!」と後ろから男の声が聞こえて来たので、振り返ると、そこにはリディアンの男性用夏服を着ていた少年にして、かつての敵で今は仲間である憑友が手を振りながらやって来た。

 

「おめぇだけだよな。まともなのは」

 

「?」

 

「…わりぃ。こっちの話だ。

それよりも如何したんだ?あの(バカ)未来(あいつ)と一緒に来る筈のおめぇがここ最近はそういうのが無くなって来たな?」

 

そう言いながら話の内容を変えるクリス。

それに対して憑友は苦笑いしかしなかった。

 

憑友と響と未来は幼馴染だ。

いつもはその仲の良さを見せつけるかのようにやって来る3人組なのだ。

その光景はちょっと色々と危ない光景(恋愛方向での)を過ぎらせていたりするのである。

それは彼等の部屋に赴いても例外ではないのである。

まぁ、尤もその部屋に憑友は無理やり入れられた感じになっていた事を後に気づき、それを起こした元凶(=憑友の父)にガツンと一喝したのは此処だけの話。

しかし、ここ最近の憑友はそんな響と未来と一緒に下校する事はあるけれど、登校している姿を見かけなくなっていた。

すると憑友は周りをキョロキョロと伺うとそのままクリスに耳打ちをした。

 

「あの2人とは今、別居中なんですよ」

 

「はぁ?なんで?」

 

なんと、憑友は今、2人から身を離していた。

その真意を聞こうとすると、突然憑友の顔が真っ赤に染まってしまった。

それを見たクリスは、頭の上に?マークを付けて首を傾げる。

 

 

「…彼奴らから、童○を奪われるんじゃないかと思って」///

 

「…⁉︎〜〜〜っ‼︎///」

 

突然のカミングアウトで、クリスまで真っ赤にしてしまったのであった。

 

そしてしばし放心状態にしていると、すぐに我に戻ったクリスからお情けを貰ったのは言うまでも無かった。

そうしていると…

 

「ク〜リスちゃ〜〜〜ん!憑友〜〜〜‼︎」

 

と、噂をすれば何とやら…。

予想していたのか、2人は同時に溜め息を零すと共に、手提げカバンを勢いよくそのままやって来た存在…響にぶつけた。

 

「ぎゃふんっ⁉︎」

 

そのままもろに受ける響。

それを見ていた親友の未来と、いつの間にか来ていた調と切歌、陰陽兄弟が驚いていたのであった。

 

「お前な…。

此処でいちゃつくような性格じゃない事ぐらいお前が一番よく知ってるだろうが。それに、クリス()()な?」

 

「そうだ。私はお前よりも年上で学校では先輩!

調と切歌,陰陽兄弟(こいつら)の前で示しつかねぇじゃねぇかよ」

 

「えへへ…」

 

「反省の顔色無しと見た…!」

 

「うぐっ…!」

 

そうしていると調と切歌がこんな真夏の中でも手を握っていたのを見た響と未来。

その理由を聞いていたら、いつの間にか未来が響といちゃつき始めたので、クリスは響に「そういう事は家でやれ!」と言いながら手提げカバンで天誅を下したのは言うまでも無かった。

 

そんな話をしていると、リディアンの門の前がやけにざわついていた。

憑友達はそのまま門の方へ向かうとそこにはなんとルオレがいた。

 

「る、ルオレ⁈」

 

「ア、ツクモ…!」

 

そう言うなりなんとルオレはそのまま憑友に抱きついたのだ!

それを見た皆んなから黄色い歓声が上がって来たのだが、この際は如何でも良い話。

 

「家でお留守番しないといけないじゃないか」

 

「ゴメンナサイ。

ダケド、ヒトリボッチハイヤダッタ。マタヒトリニナルノ、コワクテ…」

 

それを聞いた憑友は頭を掻きながらも、その理由を聞いたルオレをそのまま肩車した。

 

「しゃあないか。

先生に事情を説明するか」

 

「でも、如何やって?

先生達もそれぞれの事情があるから、無理には出来ないよ?」

 

そう言った憑友に未来がそう指摘すると、憑友はルオレの頭を撫でたままこう言った。

 

「基本的にルオレには俺か響か未来と一緒にいながら、今日1日大人しくして欲しい。

ルオレ…出来るか?」

 

「ウン!」

 

「んじゃあ決まりだな。

私も説明してやるから、行くぞ」

 

「ありがとうございます。クリス先輩」

 

「へっ。後輩を導くのも先輩としての務めだからな!」

 

そう言いながら、一行は登校したのであった。

その後は、クリスと共に事情を話した憑友。先生達は意外にも了承し、今日1日ルオレの面倒を見つつ、学校の授業を受けたのであった。

因みに憑友は既に2年次の分の授業内容分は既に終えているが、保健体育等は例外なので、それを受ける事にした。

因みに響は相変わらず授業中、居眠りばかりしたのであった。体育以外は。

その度に、憑友の空手チョップと、担当先生の説教という名の雷を食らっているのは相変わらずなのであった。

 

 

 

そして下校の時間となったのだが、そこに憑友はいなかったのだった。

憑友曰く「この後、親父の絶対命令で、ロンドンまで行かないと。

響達には御免だけど、ルオレの事頼んだぜ!」と言って、足早に空港の方へと向かって行ってしまったのであった…

そうしていると、陰陽兄弟の方も憑友と同じ道へと走り去ってしまったのであった…

 

そして夜になった。

響達はと言うと、響達のクラスメイトで親友の創世,弓美,詩織も含めたメンバーで、何故かクリスとロックの部屋へとやって来ていた。

クリスが「なんで、家なんだよ…!」と言う怒気を孕んだ声を上げるも、後輩達の言い分を聞いて、半ば呆れていたのであった。

一方、ルオレは今日初めて会ったばかりの詩織の膝上にちょこんと座って、お菓子を食べていた。

 

そうしていると、皆はテレビを見た。

そこには、

 

『Δウイング(Tubasa&Maria&Kanade)

"星天ギャラクシィクロス"』

 

とタイトルが現れた…!

そう、響達は今日…新たな夢へと向かっていく自分達の仲間、翼と奏の"ツヴァイウイング"の2人と、"世界の歌姫"マリア・カデンツァヴァナ・イヴとのユニット・Δウイングの初ライブを観戦しようとクリスの部屋に押しかけたのだった。

そうしていると、ライブが始まった…!

 

(挿入歌『星天ギャラクシィクロス』水樹奈々,日笠陽子,高山みなみ)

 

3人のシンフォニーが会場の雰囲気を一瞬で我が物へと変えたのであった。

 

ーーーーーー

一方、此処はそんなΔウイングがライブを行っている会場。

無事に歌い終わった3人はそのまま手を振っていた。

 

すると3人に当てられていたスポットライト以外のすべての照明が消えた…!

そんなサプライズは聞いた事がないと思った翼。

よく見ると、奏とマリアも同じ様だった。

するとバックステージから、1人の男の映像が流れてきた。

 

『ladie's & gentleman. boy's & girl's!

この度は風鳴翼,天羽奏,マリア・カデンツァヴァナ・イヴのユニット・Δウイングのライブを着てくれて。

そしてこのライブを見てくれているお茶の間の皆、誠に

thank you so mach!

3人の新たな夢へ目指す中、この者達がお祝いに駆けつけてくれたぜ!

COMEON!日本の若き6band's…

 

 

 

SRCHCS(ソルクフォクス)ーーーーーー!』

 

その一言を言うと突然、赤・青・緑・黄色・紫・銀色の光の柱が現れた!

そしてそこから6人のメンバーが、仮面を被って現れた!

 

「"魅惑のスゥィートボイス"アビス・ソウル」

 

「"荒ぶる兄貴分"ハリケーン・スピリット!」

 

「"情熱クールの矛盾野郎"ホロウ・インパクト!」

 

「"光の鎖の顕現者"タマシイ・ザ・シャイン!」

 

「"闇を掛ける執行人"コア・ダークネス」

 

「"燃え盛る炎の魂"バーニング・ライド!」

 

『日本から生まれたシックスバンド…

 

SRCHCS(ソルクフォクス)だ‼︎』

 

そう言いながら、6人は華麗に決め、観客達の勢いが激しさを増した…!

そんな中で、翼はバーニング・ライドと名乗った者の仮面を見て、驚いていた。

それと同時にお茶の間の響はその仮面を見た瞬間に飲もうとしていたオレンジジュースを吹きこぼし、それを創世が何もしてないのに、濡れてしまったのであった。

そんな2人の表情を見た皆は首を傾げた。

だが、2人は同じタイミングで喋った…!

 

 

「「憑友の仮面⁈」」

 

『‼︎⁉︎』

 

それはかつて、憑友が響と再会する前まで使用していた…

自分の身を隠すための仮面だったのだ!

 

そうしていると音楽が流れ出す!

そしてライドは手に持っていたマイクをスピリットに投げ渡す!

それと同時に、スピリットも肩に掛けていたギターをライドに投げ渡した!

 

「行くぞ!此処からは俺達のステージだ!」

 

『アニキーーーーーー‼︎』

 

「行くぞーーーーーー‼︎」『イェーイ!』

 

そういうとスピリットが歌を歌い始めた!

 

(挿入歌『DOUBLE-DEAL』T.M.revolution)

 

その荒ぶる歌声で、会場を一瞬にして掌握した…!

そして歌い終わると、今度はそのマイクをソウルに向けて投げ渡す!

それに気付いたソウルは肩に掛けていたベースをスピリットに投げ渡す!

そしてそのまま両者は綺麗にキャッチした。

 

「次は俺の出番だ。準備は良いか…可愛い子猫ちゃん達?」

 

『きゃゃぁぁぁ!ソウル様〜〜〜♡♡♡』

 

そういうと今度はソウルが歌を歌い始めた!

 

(挿入歌『BREAK IT!』宮野真守)

 

そうして歌い終わると、ソウルはマイクをライドに投げ渡す…!

それと同時に、ライドはスピリットから投げ渡されていたギターを今度はソウルに投げ渡し、共にキャッチした!

 

「最後は俺のライブだ!熱くなろうぜ!」

 

『ライドーーーーーー‼︎』

 

そう言うとライドは周囲の熱狂に応えるかのように、歌を歌い始めた!

 

(挿入歌『XY&Z』full ver. 松本梨香)

 

そうして歌を歌い終わると、観客の声援がヒートアップした!

そしてそれをライドが宥めると、そのまま手に持っていたマイクを使って話し始めた。

 

「今回は俺達の"ゲリラライブ"楽しんでくれたか⁉︎」

 

『イェーイ!』

 

「OK、良く分かった!

此度は、俺達よりも前に日本で大活躍したユニット・"ツヴァイウイング"の2人と、"世界の歌姫"マリア・カデンツァヴァナ・イヴのライブを盛り上げようと、何の予告も無しのサプライズを計画したぜ。

その他の世界でも今回を皮切りに"ゲリラライブ"を仕掛けていくから、宜しく!」

 

『イェーイ!』

 

そう言うと、今回のライブは凄まじいサプライズと共に幕を下ろした。

 

ーーーーーー

そして舞台が終わった3人。

マリアは一足先に控え室に戻ろうとしていると、1人のスーツ姿の少女がやってきた。

 

「お疲れ様。マリアさん」

 

「今からはプライベートだから、姉さんと呼んでも良いのに?」

 

「ふふっ。それもそうね♪マリア姉さん♪」

 

「ちょっ、いきなり⁉︎」

 

「うふふ♪」

 

「せ、セレナ〜〜⁉︎」

 

少女の名はセレナ・カデンツァヴァナ・イヴ。

マリアの実の妹であり、同時にマリアのマネージャーでもある。

ここ最近のマリアは活気に満ち溢れていた。

だが、セレナに弄られまくっている。そんなので、大丈夫なのか?姉としての威厳は何処行った…。頑張れ、マリア…。

 

そうしながらマリアは先程のライブについて、セレナと話し合う。

 

「セレナはゲリラライブ(この事)は知っていたの?」

 

「ううん。私も知らなかった。まぁ、ゲリラ(奇襲)と呼ばれるくらいだから、知っていたら水の泡だしね」

 

「それもそうね…

でも、あの子達は一体…」

 

そう深く悩みながら歩んで行くと、突然、風が吹いたのだ。

だが、此処は出口よりもまだ遠い屋内。こんな場所まで風が来るのは可笑しかった。

 

「風⁉︎」「誰かいるの⁈」

 

2人は叫ぶと、其処から声がしだして来て、2人に何かが襲いかかる!

すると2人はそのままジャンプで後退した。

 

そして2人がいた場所には1人の女性がフラメンコのような体勢と、右手に剣を携えて立っていた。

 

ーーーーーー

一方、その頃。

響達のいる日本にも影響が発生していた。

突然、燃料を積んだトラックが襲撃に遭い、炎上した。

その飛び火が近くの建物を巻き込み、火災が発生したのであった。

 

その情報を聞いた響とクリスは現場へと向かう。

調達も行こうとしたが、クリスに止められてしまったのであった…

 

そして現場へと向かう響とクリス。

 

すると響は何かを見つけたのか、足を止めた。

 

其処には、氷のような冷気を帯びた水色の髪を一纏めに結った仮面の男が立っていた。

 

響はその存在を見て、何かを感じ取ろうとしたが、「何やってんだ!」と、クリスに言われ、今の自分の事を考えて行動し直したのであった。

 

ーーーーーーSIDEto???

…俺はもう2度と彼奴を…憑友を失わせる訳にはいかない…!

例え、憑友が敵として俺達の前に立ちはだかろうとも…!

 

俺には新しい力を得たんだ。

 

さぁ…行くか。

 

 

ーアヤカシ!フォーム、ヤコウ!ー

 

俺達の…

 

ー百鬼よ、凍てつけ!僕が切り裂く!ー

 

…戦いの幕開けだ。




次回

自動人形(オートスコアラー)/雷の精魂導師

人形VS装者,導師VS導師の戦いの始まり…!


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♪5 自動人形《オートスコアラー》/雷の精魂導師

お待たせしました。続きです。


場所:イギリス・ロンドン『Δウイングライブ会場裏』

 

マリアとセレナの2人の前に1人の女性が剣を携え、そしてフラメンコのような体勢で立っていた。

 

するとフラメンコの女性がマリアに向けて「纏うべきシンフォギアを纏えないお前に用は無い」と言い出した。

それを聞いたセレナが「マリア姉さんを侮辱しないで!」と私情ながらもマリアの為に怒ってくれた。

 

だが、女性はセレナに対して「対して貴方は守る事に拘り過ぎてる。後ろからやられたら、ひとたまりも無いでしょうね」と言った次の瞬間だった…!

 

ガキィィン!

 

セレナ達の真後ろを誰かが庇った…!

 

そこには1人の男性と、自分達の仲間にして、『ゲイ・ジャルク,ゲイ・ボウ』のシンフォギアを纏った奏が、槍同士で鍔迫り合いをしていた!

 

「奏⁈」

 

「嫌な予感がして来てみれば、あんまりじゃねえかよ…!」

 

そう言いながら、奏は目の前の男を見て、違和感を感じた。

 

「(何なんだ、こいつは…

まるで、心が無い…人形みたいだ)」

 

そう感じていた。

すると先程の女性は奏と相対している男性を見ると、不敵な笑みを見せていた。

 

「今迄何処を歩いていたのですか?()()?」

 

その一言で、三人は目を見開く。すると今迄黙っていた男…王様が話し始めた。

 

「ふっ。この(オレ)自ら、槍を携えてやって来たのだ。

我が臣下にして、『剣』と『風』を司るお前が危うかっただけの事よ」

 

「流石、部下想いな王様ですわね♪」

 

「そう言いたい所だが、お主も隙を作れば命を落としかねんぞ」

 

そう言われた女性が後ろから気配を感じたのか、振り向くと同時に、そこから2振りの剣が目の前まで迫ってきていた…!

それをすかさず自分の所持する剣で相殺した。

すると剣が真っ二つに折れたと同時に、霞のように消え去った…!

 

すると其処から先程のゲリラライブを生み出したチーム・SRCHCSがやって来た。

 

「来おったか、『英雄を導く導師』共」

 

「え?」

 

その話を聞いた3人は目を見開く。

するとメンバー全員の仮面が剥がれる…!

 

「!皆んな⁉︎」

 

「ロック⁉︎それに…霊風⁈」

 

「零!それに…憑友!」

 

何と先程のライブで登場したのは、自分達の仲間で、『英雄石板』の力を扱える者…

 

 

《精魂導師》の皆だった!

 

それと同時に翼も変身を終え、漸く皆の所に駆け付けた。

 

すると霊風が開口一番にこう告げた…

 

「自動人形…《オートスコアラー》だな…!」

 

「オート…」「スコアラー?」

 

「《オートスコアラー》

…霊風が言った事が本当なら…」

 

そうしていると突然、屋内にも関わらず、雷の音が聞こえてきた。

 

「これは…」「ふん。漸くか」

 

すると自動人形(オートスコアラー)達がそう言うと、彼等の後ろから、とてっ…とてっ…と、足音が聞こえてきた。

その様子を見た翼達は警戒し始める…!

 

そして現れたのは、《オートスコアラー》とはまた違う…1人の人間がいた。

 

「…」

 

荒々しい稲妻の髪型、全身に雷のマークをあしらった服装を身に纏った青年が其処にいた。

 

「待ち兼ねたぞ。雷の()()()()

 

「雷の…魔術法師?」

 

すると青年は「はぁ…」と溜め息を零した。

 

「何で俺なんかねぇ…イラつく!」

 

すると目が合った瞬間に、一同にイナズマが走った…!

それを見た一同は一斉に戦闘態勢を構える。

その一睨みで、ヤバい奴だと言う事が。

 

「足掻いて見せろ、下種」

 

「俺は下種では無いぞ、傲慢王」

 

そう言うと青年は懐からある物を取り出した。

それを見た《精魂導師》一同とシンフォギア装者は目を開いた。

それは、《精魂導師》に必要なアイテム…

 

《マルチアブソーバー》だったのだ!

 

「行くぞ…」

 

そう言うと青年は《精魂導師》の変身プロセスを行う…!

 

ーアンデッド!フォーム、ボルテクス!ー

 

すると青年のアブソーバーから雷のマークをあしらった装備一式を纏った戦士の魂が現れ、それを青年が纏った!

 

ー神の裁き!雷鳴、轟く!ー

 

そして現れたのは雷の力を宿した《精魂導師》…

 

 

 

《雷魂導師》アンデッドが其処にいた。

 

皆が一気に警戒する中、アンデッドは突然、こう呟いた。

 

「今頃、日本では火災が起きてる頃合いだなぁ?」

 

それを聞いた霊風は頭の思考をフルに働かせた。

かつて前世で得た記憶でこの状況と同時に、日本では火災が発生している事を。

それと同時に、仲間の1人であるクリスの身が危ない事を思い出した。

 

「ロック!憑友と共に日本に戻れ!」

 

霊風はロックに指示する。

 

「分かった!憑友!」

 

「ああ。

頼みましたよ、霊風先輩!」

 

「応よ!SRCHCSのリーダーに言われちゃ、やってやりますか!」

 

そう言うと憑友はロックの隣に立つ。

すると光聖希が光の玉《フォトン・ボール》を発生させて、光を放つ…!

その瞬間に2人はロックの技の一つ"影這い"を使って、日本へと急行した。

 

影さえあれば、何処へでも行ける"影這い"

そしてそれは夜で真価を発揮する技でもあった。

光が無い場所が大きければ大きい程、その場所まで瞬時に行けられると言う優れ物である。

但し、一度に運べるのは発動者を除いて1人まで。運用性には欠けているのである。

今回は憑友を連れてロックは日本へと急行した。

ロックはクリスの義理の兄だ。クリスの身が危ないと感じたら、間違いなくそっちの方へと行く妹想いの存在だ。

霊風はそうなる前に、ロックに指示させたのであった。

そして、2人が日本に向かったと同時に皆は直ぐに変身を完了させ、《オートスコアラー》2人と、アンデッドを相対した。

 

「お前達の相手は俺達だ!」

 

「…」ピッピッ!

 

するとアンデッドは挑発を仕掛けた!

それを見た光聖希がすかさず鎖で攻撃を仕掛ける…!

 

だが、その攻撃をアンデッドはメインウェポンである杖型の武器《ライトニングスタッフ》から魔弾を構成させ、鎖の攻撃を全て弾き飛ばす!

その直ぐ様に闇呪怨の鎌攻撃が襲い掛かる…!

だが、今度はその杖で防御し、そのまま受け流した!

するとアンデッドは腰から1冊の本を取り出した。

 

俗に言う…《魔導書》である。

 

「"天翔る雷よ。

今我の願いを聞き入れてくれるならば…

その雷を川のように流れ給え…!"

 

"ボルテック・リバー!"」

 

するとアンデッドの杖に大量の雷が迸り、そのまま霊風達に向けると、其処から雷の光線が放たれたのだ…まるで川の流れのように。

 

だが、その攻撃は『アイギス』を既に纏っていたセレナと、『英雄』マシュの力を纏った零のディフェンスコンビネーションで受け止めた。

 

そして2人はそのまま横に回避するとその後方から翼と、後ろから霊風と奏が槍を携えて追撃するフォーメーションを構えていた!

 

「"風鳴る刃、輪を結び、火翼を以って、斬り荒ぶ。

 

月よ煌めけ"‼︎」

 

そう言うと翼はそのまま剣を持っていた女性目掛けて攻撃を仕掛けた!

 

"風輪火斬 月煌"

 

そして霊風は一気にアンデッドの懐に忍びこむ!

そしてすかさず連続突きを仕掛けていく…!

 

「"荒ぶる風は、やがて火力を得て、灼熱の熱風とならん"

 

唸れ!"熱波、千烈槍"‼︎」

 

霊風が『亜空伝説事変』の際に得た新たな風の力《熱風》

その力で生み出した新たな技"熱波千烈槍"をアンデッドにお見舞いさせた!

 

それと同時に奏がもう一体の《オートスコアラー》で自らを『王』と名乗った者に2つの槍を同時に上空に投げた!

すると其処から2つの槍が無数の槍に変化し、そのまま雨のように降らせた!

 

"METEOR∞STAR∞RAIN"

 

その攻撃を受けた3人はそのまま近くの小型コンテナにぶつかった。

 

その様子を見たマリアが「やり過ぎだ!」と言うが、3人は愚か、此処にいるマリア以外が全員首を横に振った。

 

「やり過ぎなものか…!

手合わせして分かった…!」

 

「こいつらはヤバいぐらいに…化け物だ!」

 

「そして、7人目の《精魂導師》も…最早チートクラスだ!」

 

そう言うと同時に、コンテナから3人が姿を現した…無傷で。

 

「ふん。こんな程度で殺られる我では無いわ!

そんなショボい歌…宴を挙げる曲としては最低すぎる曲だな」

 

「王様の言う通りですね。

こんな所で殺られてあげる訳には行きませんもの」

 

そう言って、2人の《オートスコアラー》が戦闘を始めようとした。

だが、そんな2人をアンデッドが制した。

 

「邪魔をするか、下種の分際で!」

 

「邪魔は貴様らだ。小童が!」

 

するとその雄叫びを聞いた2人も含め、今この場にいる皆が一斉に身震いした。

人形である彼等でさえ、たじろぐ威圧感…

アンデッド…本気でヤバいのであった。

 

するとアンデッドは右手を前に左手を後ろに構えて挑発した!

 

「かかって来いよ《精魂導師》。

お前等の相手は俺1人で充分だ」

 

そう言うとアンデッドは懐からある物を取り出した。

それはかなり薄いが、間違いなく《マルチアブソーバー》その物だった。

 

「⁉︎アブソーバーが…もう1つだと⁈」

 

「そんな程度で驚かれると今からなる状態だと発狂し兼ねないな…」

 

そう言いながら、アンデッドはそのアブソーバーを左腕にセット済みのアブソーバーの横にセットした。

其処には2枚のカードをセットできる形となったアブソーバーが存在した。

その姿は例えて言うなら…折り畳めば○DSその物であるかのようだった。

 

「『英雄』の数だけ、その組み合わせが存在する。

さぁ、かかって来いよ。

此処から先は俺のサンダーショータイムだ!」




《雷魂導師》アンデッド
〔雷〕の力を扱う事に長けた精魂導師。
杖と魔導書を用いた魔法や魔術を得意とする戦士。

だが、余りにも情報不足の為、書き記す項目がこれだけしか無い。

次回

奇跡の殺戮者/氷の精魂導師

連投します。


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♪6 奇跡の殺戮者/氷の精魂導師

1話と2話をくっ付けてます。
そして来たぞ、我らの主人公!
だが、其処に現れるのは〔炎〕と相反する属性の使い手…!



一方、響とクリス達がいる日本では1人の少女が一生懸命に走っていた。何かを抱えながら。

 

その様子を見ていた女性と少女がいた。

姿はまるでカジノのディーラーのような格好をした女性と、

バレリーナ衣装の少女が其処にいた。

 

「あぁん!流石、レイアお姉さま〜♡」

 

「私に地味は似合わない…!」

 

「そのクールさがまたエクセレントですわ〜♡

(ああ…もう、ゾクゾクしてきましたよ〜♡

このクールなレイアお姉さまと♡

母性溢れるファラお姉さまがイチャイチャして〜♡グフフ…!」

 

「…何を言ってるんだ、シィバ?」

 

「なんでもありませんわ〜♡」

 

…訂正。

このバレリーナ衣装の少女・シィバは百合好きの腐女子でした…

 

…なんでさ⁈

 

そんな彼等の様子を1人の仮面を着けた者が遠くから火災現場と共に見ていた。

 

「(これが、俺が決めた事。

悔いは…無いとは言えないか。

だが、この力さえあれば、俺は今後、彼奴をずっと守ってやれる…!)」

 

仮面を着けた者はそう心の中で呟いていると、インカムから連絡が入ってきた。

 

『シンフォギア装者が救助活動を開始した。

救助者の数を教えてくれ』

 

「現在、20。内1人が階段内にいる。

全員救助次第やってくれ。合図を送るまで待機」

 

『了解した』

 

すると通信が切れた。

 

「さて…此処から楽しみだな…ん?」

 

するとインカムからまた通信が来たので、何があったのかと思い、連絡すると先程の人物とは違った男の声が聞こえた。

 

『そっちにコードネーム《炎魂》及び《水魂》が向かっている。

到着は約1分だ。

それと同時に、()()の使用を許可する。

頼んだぞ、ボーン。アヤカシ』

 

「『了解』」

 

そう言うと通信が切れた。

 

「…暴れるとしようかね…砂漠の暴君さんよ」

 

そう言いながら仮面の者は地面に向かってそう呟いた。

 

ーーーーーー

途中でヘリに乗った響とクリスは現在の被害状況を弦十郎から話を聞き、目的地の火災現場の真上に到着するなり、響はヘリのドアを開けた。

 

「任せたぞ」

 

「任された!」

 

そう言うと響はヘリから降りた…救命道具も無しで。

すると響は歌った…助ける為に纏う…《シンフォギア》の『聖詠』を…!

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron…」

 

そして響は『ガングニール』のシンフォギアを纏った…!

其処には1年前の姿とは思えない程、成長を遂げた響の姿が其処にいた。

 

(挿入歌『限界突破 G-beat』悠木碧)

 

そして響はそのまま火災現場であるマンションへと突入した。

すると、シンフォギアのインカムを通して、友里が現場の状況を伝える。

そして響はそのまま友里の指示にしながら、取り残された人達の避難及び救助に勤しんでいた…!

 

ーーーーーー

響がマンションに突入したと同時に、とあるマンションの死角となっている影から2人の青年が現れた。

先程のライブ会場にいた青年・人絆憑友とロック・アイル・ユキネが日本に到着した。

すると憑友は通信を行った。繋げた相手は…

 

『如何した⁉︎』

 

「弦十郎師匠!俺です!憑友です!

現在、ロックと共に被害現場のすぐ近くにいます!指示を願います!」

 

彼等の上司にして心強いOTONA…風鳴弦十郎だった。

すると弦十郎は2人に事情を説明した。

 

『現在、響君がマンションに残されている住民の避難誘導にあたっている。もう間もなく完了する。

クリス君の方は被害状況を通達するように執り行っている。

ロックはそのままクリス君の元へ向かってくれ!

憑友は響君の方を!』

 

「委細承知」「了解!」

 

そう言うと2人は頷くとそのまま双方の方へと向かって行った。

 

その様子を遠くから見ていたのは、ゴスロリ衣装の少女と、騎士甲冑を纏った女性の2人だった。

 

「ガリィ。任務を遂行する為に、私は貴方の護衛をすれば良いのですね?」

 

「勿論ですよ〜♪ガリィちゃんはこれからお仕事をしないといけないのよ〜?(はぁ〜…面倒くさい…

幾ら『聖杯』のアルカナである私だからって、ご主人(マスター)酷すぎだっつうの!)」

 

「…(何も言わなくても良いですよね…。

顔に『面倒くさい』って、書かれている事に…。)」

 

そう2人が会話をしていると、火災が起きたマンションの屋上から何かが出てきた…!

 

それは、取り残された最後の救助者を助けた響だった。

 

「あれが…《シンフォギア》。

マスターの最優先対象…ですか」

 

「そんな所ね。さっ!私達はさっさと行動しましょう♪

後で怒られるのは嫌いですからね〜♪」

 

「了承した。では護衛の任に就きます」

 

そう言うと2人の自動人形(オートスコアラー)はそのまま闇の中へと消え去った。

 

ーーーーーーSIDEtoアヤカシ

『先程、ガングニール装者が最後の救助者を救出。

…頼んだぞ』

 

「了解」

 

さぁ、周りの穢らわしい炎の葬よ。

我が秘めたる抜刀術を前にして、全ての炎よ、消え去れ…

 

 

 

陰陽(インヨウ)抜刀術…1の型。

 

 

「"氷刃・刹華斬"!」

 

 

ジャキィン‼︎

 

ガチャッ…!

 

 

 

 

 

・・・・・キィィィーーーーーーン‼︎

 

 

ーーーーーーNO SIDE

アヤカシと呼ばれた者がした行動は唯1つ…

腰に携えていた刀で抜刀術を行い、それを火災が起きているマンションに向けて斬った。唯それだけである。

 

だが、納刀した直後、周りの火が消え、遂にはマンションそのものが巨大な氷結晶へと変貌したのであった!

 

「ふぇ⁈何が起こったの⁈」

 

響は近くのマンションに着地し、そして救助者を救急車へと搬送したと同時に、その光景を目の当たりにした。

その様子を見ていた他の地域住民も驚かされていた。

そしてそれはニュースでも取り上げられていた。

 

そんな中、1人の少女は先程の火災もとい現在氷の結晶塔へと変貌したマンションに目を向けていた。

其処にあったのは、何かを失った悲しい表情をした少女。ただそれだけだった。

 

その様子を響が見つけた。「大丈夫⁉︎」と心配をする声を発しながら。

それを見られた少女は、涙を拭いいきなり魔法陣を錬成して響を攻撃したのだ!

 

「キャロル・マールス・ディーンハイムの錬金術は、世界を壊し、『万象黙示録』を完成させる…!」

 

「世界を…壊す…⁉︎」

 

「おれが奇跡を壊すと言っているんだ…!」

 

そう言うと少女…キャロルは魔法陣を錬成させ、そこから突風を吹き飛ばした!

 

その行動の前に、何も出来ない響。

絶対絶命のその時だった…!

 

 

ボォォォォオオオ!

 

突然、響とキャロルの間に爆炎が吹いた!

 

響はその炎を見て、「この炎…まさか…」と呟く。

すると…

 

ヒューヒュルリ〜♪

 

何処からともなく口笛が聞こえてきた。

 

そして2人の間のマンションの隙間から1人の男がやって来た。

 

「お前は…」

 

「!」

 

姿は先程のライブ映像の時に着ていた服装そのものを着用していた青年だった。

紅い髪、頬に赤みを帯びた傷跡、そしてルビーのような瞳が印象の青年。

 

「随分と俺の幼馴染を可愛がってくれたじゃねぇかよ…」(#)

 

「憑友!」

 

その者の名は、人絆憑友。

立花響の幼馴染にして、『英雄』達の力を宿した戦士…

 

《炎魂導師》ライドが其処にいた。

 

ーーーーーーSIDEto憑友

ったく…初っ端から大ピンチとはな。

 

「憑友!来てくれたんだ!」

 

「はいはい」

 

「それに、歌も聞いていたからね!」

 

ドキッ⁉︎

 

「サァ?ナンノコトデショウネ〜?」ダラダラ〜

 

「バレてるから良いの良いの!」

 

「良くない!」

 

「お前ら…おれを忘れてるだろう⁉︎」

 

…ごめんなさい。忘れてました。

 

「」カチンッ!

 

って、いきなりかよ!

 

しゃあない!派手に行きますか!

 

『久方ぶりに行くとしようではないか!』

 

ああ!そうだな、ライドさん!

目には目を、歯には歯を。

錬金術師には錬金術師だ!

 

そう言うと俺はすかさずアブソーバーを装着させ、カードを装填、そしてレバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、マスタング!ー

 

そして現れたのは、特殊な模様が刻まれた手袋をはめた、青い軍服を着用した男が現れ、俺はそれを纏った!

 

ー部下を想いし、焔のアルケミスト!ー

 

そしてすかさず手袋越しに指パッチン!

 

ボォゥッ!

 

「⁉︎なんだと!」

 

「ふへぇ〜…凄え…」

 

指パッチンしただけで炎が出て来たよ⁈

 

流石、『焔』の錬金術師…絶大な火力だ。

…尤も、『雨の日は無能』と言われるだけあって、湿気が多かったり、水がある所では本当に役に立った事が無いのは否めないのだが…。

 

「くっ!まさか、お前も錬金術を⁈」

 

「残念ながら『英雄』の力(借り物)だ。

俺自身に魔法や魔術、ましてや錬金術なんて使えないごく普通の平凡ですよ」

 

「平凡なものか。気付かずに此処までやってくる気配を殺す実力…そんな者、人の領域が成せる者では無い!」

 

うぐっ…!結構痛い…精神的に。

 

ー仕方が無いでは無いのか。お前は私と共有してる今でも『半幽霊』のままなのだからな?ー

 

人の心の声を聞くんじゃない!フィーネ!

 

「…兎に角、なんでこんな事をする⁉︎」

 

「世界を壊し、『万象黙示録』を為す。それがおれの為すべき命題だ」

 

「そんなの命題とは言わない!

命題とは、『命の題』と書いて『命題』と読むんだ!

世界を壊す事は即ち、人の命を落とすも同義!

命題とは言わせない!」

 

そう言うと俺はすかさず指パッチンをし、火を噴かせる!

 

だが…

 

 

 

シャキィィー!

 

「な⁉︎」

 

「手が…」

 

「凍っただと?」

 

手袋ごと凍らされた⁉︎

手袋には錬金術の印が描かれている。

それがあるから、錬金術が使える。

だが、手袋ごと凍らされたら、錬金術が使えない…誰がこんな事を!

 

ジャキィンッ!

 

⁉︎納刀する時の音?何処から…?

 

そう思った俺は辺りをくまなく探す。

そして感じた…後ろにいる事に。

 

そして後ろを振り向く。

キャロルと呼ばれた少女と響もその方向に顔を向けた。

其処にいたのは…青年だった。

氷のような冷たいながらも、透き通るような髪。

腰には1本の刀を携えていた。

 

そしてなりよりも…()()を被っていた。

 

ーーーーーーNO SIDE

「…」

 

先程の仮面の青年は何も言わない。

ただ、その殺気にたじろぐ一同。

すると、青年は刀を抜刀し、そのまま一閃をする!

 

その攻撃方向には、憑友達がいた!

 

そしてその攻撃はまるで斬撃波のように3人に襲いかかる!

 

「うわぁ⁉︎」

 

響は先程のキャロルの攻撃で出来た窪みにそのまま入って避け、

 

「っ⁉︎」

 

憑友はその攻撃を間一髪で尚且つ紙一重のように躱した。

 

そしてキャロルはその斬撃波を魔法陣で受け止める…だが、魔法陣の様子が接触した瞬間に変化した…!

 

「な⁉︎」

 

「⁉︎凍り始めてる⁈」

 

「⁉︎」

 

そう…キャロルの錬金術の魔法陣がその斬撃波と触れた面から凍り始めてきたのだ!

それに気付いたキャロルはそのまま身体の軸を逸らして、受け流した。

この時のキャロルの状況判断は正しいとも言える行為であった。

その証拠として…先程の斬撃波はみるみる近くのマンションにぶつかり、そして…

 

 

 

 

 

キィィィン!

 

 

『⁉︎』

 

なんとマンションが凍ったのだ…!

 

「我が一閃は氷を生み出す刃…」

 

「!」

 

「その身で味わうと良い…氷の棺桶をプレゼントしよう…

 

3人分な…!」

 

そう言うと仮面野郎は懐から薄いアブソーバーを取り出した。

だけど、既に左腕にアブソーバーはセットされている…。

するとそのままセット済みのアブソーバーの隣にその薄いアブソーバーをセットした…!

何をする気なんだ…⁉︎




《氷魂導師》アヤカシ
〔氷〕の力を宿した精魂導師。
腰に携えた刀『白銀世界』を用いた抜刀術を行う。
抜刀術の名称は陰陽(インヨウ)抜刀術。
1〜12の型があり、その型で距離範囲(レンジ)と威力が変わる。

次回

ノイズ復活⁈/大地の精魂導師

またまた連投します。…3時間後に。


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♪7ノイズ復活⁈/大地の精魂導師

前回まで
ロンドンで、2体のオートスコアラーと《雷魂導師》アンデッドを相手にする霊風達《精魂導師》一同とシンフォギア装者の翼と奏とセレナ。
そして響の前に現れた1人の少女…キャロル・マールス・ディーンハイム。
其処に《炎魂導師》ライドこと憑友が駆けつけ、錬金術対決を繰り出すも、其処に現れた青年…
《氷魂導師》アヤカシによって、動きを封じられてしまうのであった…!

その2つの間にもう1つの事件が勃発していた…!


ーーーーーー

一方、時間を遡ること数分前。

ヘリから降りたクリスは近況を確認する為に周りを見渡す。

 

その瞬間、先程自分が送ってくれたヘリが ドガァンッ!と爆発した!

 

クリスはその光景を見て、そして近くに気配を感じたクリスは上を見上げた。

すると其処にはジ○ジョのような格好をしたディーラーの女性と、バレリーナ衣装の少女が近くにいた。

 

「あぁん♪流石、レイアお姉さま〜♡

あんなヘリ(小鳥)をコインで撃ち落とすその姿…私、ますます惚れちゃいます〜♡」

 

「この仕業はおめぇらの仕業か⁉︎」

 

するとクリスが2人にそう告げた。

するとバレリーナ衣装の少女がクリスに向かってニコッと笑顔を向くなり…

 

「あ"ぁ?なんじゃいてめぇは⁉︎

せっかくのお姉さまとのラブラブタイムに釘刺してくんじゃねぇぞゴルァァァァ!」

 

いきなり阿修羅へと変貌し、激昂を見せた。

その表情の移り変わりの速さにクリスは瞬時、怯む。

 

「その辺にしておけ。シィバ」

 

「あ、はぁ〜い♡レイアお姉さま〜♡」

 

…なんともコロコロと変わる存在である。

 

そう言うとシィバと呼ばれた少女はそのまま片足を天に向け、そのまま両手でその片足のつま先を掴むとそのままくるくると回転し始めた。

その間に、レイアは手持ちにコインを構えた。

 

「此方の準備は出来ている…」

 

「だったら、貸し借り無しでやらせて貰う…

 

後で吠え面掻くんじゃねぇぞ!」

 

そう言うとクリスは胸元からギアのペンダントを取り出し、そして『聖詠』を詠った…!

 

「Killiter Ichaival tron…」

 

そしてクリスは『イチイバル』のシンフォギアを纏って、攻撃を仕掛ける!

 

(挿入歌『TRUST HEART』高垣彩陽)

 

そしてクリスはすかさず攻撃を仕掛けるが、その攻撃を悉く避ける女性・レイア。

 

「(この動き…人間離れ所じゃねぇ!

人外そのもの…⁉︎

 

だったら…やり易い!)」

 

そう言いながらクリスは攻撃を仕掛けていく!

だが、レイアはその攻撃を相対するかのように、コインを取り出して、攻撃を相殺していく!

 

徐々に押されていくクリス。

だが、レイアの隙を見逃さず、そのまま腰部アーマーからミサイルを放つ技"MEGA DETH PARTY"を放つ…!

だが、その攻撃でもレイアには何1つ影響が無かった。

自分の効果がいまいちという状態に苦虫を噛むクリス。

 

『何があったの⁈クリスちゃん⁉︎』

 

「敵だ!敵の襲撃だ!」

 

友里からの通信にそう応えるクリス。

すると突然「危ない!」と何処からか声がした。すると影が濃くなっていくのに気が付いたクリスはそのまま上を見上げると其処にはなんと船が4隻も落ちてきたのだ!

絶対絶命のその時だった…!

 

ーソウル!フォーム、アーチャー!

Unlimited Blade Works!ー

 

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)‼︎」

 

ドガァァァンッ!

 

「!…ロック義兄!」

 

何処からともなく1本の矢が刺さり、そして爆発し、それが連鎖するように、他の船も上空で爆発して消滅した!

そしてクリスは矢が放たれた方向を見ると、其処には『英霊』アーチャーの姿を借りた《水魂導師》ソウルにしてクリスの義理の兄…ロック・アイル・ユキネが立っていた!

するとロックは瞬時にクリスの前にやって来た。

 

「大丈夫か?」

 

「まぁな!

…それにしても、派手にやってくれる…」

 

「大丈夫ですか?」

 

「「ああ…ん?」」

 

すると不意に聞こえてきた声に2人は同時に返事したので、何事かと振り向くと其処には女の子が何かを抱えて立っていた。

だが、容姿が余りにも大胆過ぎた。

故に…

 

ゴツンッ!

 

「あがぁ⁉︎」バタンッ!

 

クリスはそのままイチイバルのアームドギア《イチイバル・CB(クロスボウ)》でロックの頭部を思いきり殴り、ロックはそのままK.O.となった…って、何やってんだ⁈

そうしながらも少女と話し始めるクリス…完全にスルーですね…。

すると話を決め終わったと同時に、ロックが目覚めた。

と同時に、ロックは嫌な気配を感じたのか、クリスと少女の手を握ってその場で"影這い"を用いてこの場を撤退した。

 

「あぁん…しょんぼりですぅ〜。

レイアお姉さまの活躍が見られなくなりました〜」

 

「案ずるな。行き先は承知済みだ」

 

「流石、レイアお姉さま〜♡」

 

「シィバ。お前の力を借りるぞ」

 

「どうぞどうぞご自由に〜♪

私の力はマスターとそしてお姉さまと王様の為だけの力なのですから♪」

 

そう言うとレイアはシィバの身体に触れた。

すると2人はその場から消え去ったのだ…!

 

 

そして上手く逃げ延びた3人はこれからの事を話そうとするが、其処へ突如として、何かが降り注ぐ!

それを感知したロックはすぐに2人を抱えて緊急回避をする。

 

そして被弾した場所を見てみると、其処にはなんとも言えない光景が現れた。

そしてそれと同時に、なんとノイズが現れたのだ!

 

「ノイズだと⁈」

 

厄介な事、この上ない状況である。

だが、たかがノイズ…幾千ものノイズを葬ってきたロックとクリスにとっては造作もない。

 

すると突然、ノイズと3人の間から大地が隆起し、まるで砦のように分断した!

 

そしてそれと同時に徐々に地響きが3人の方へと向かってきていた。

徐々に近づくその振動…

それはやがて3人も立てる事すらままならない状況になっていく…!

 

「いゃぁぁん!レイアお姉さま〜!

シィバ、怖いです〜!」

 

「案ずるな。私が地味にいるだろ?」

 

「此処で地味と言っては駄目ですよ⁈

…でも、レイアお姉さま大好きです〜♡グヘヘ…」

 

そんな中でも、平常心を保つ自動人形(オートスコアラー)の2人。

やっぱり人外で人形なんですね…こいつら。

 

「やれやれ…勝手に人ん家の庭を荒くり回しやがって…」

 

そんな中、1人の男の声が聞こえてきた。

その声を聞いた一同は全員その声がした方向に目を向ける。

すると其処には…

 

学ラン姿、6つに割れた腹筋、一足の下駄を履いた者が其処にいた。

まるで"番長"とでも呼んだ方が良い風格を醸し出していた。

 

「これ以上やるってんなら…」

 

そう言うと男は背中を見せ、そして鋭すぎる眼光を見せた。

 

「俺が纏めて相手をしてやる…!」

 

そうすると男の手になんとロックと同じアイテム《マルチアブソーバー》が握られていた!

それを見たロックとクリスは共に、『精魂導師だと⁈』と同時に口にした!

 

そして男はそのまま全員に顔を向け直し、そしてアブソーバーを左腕にセットし、そしてカードを装填し、

 

「変身‼︎」

 

そしてレバーを引いた!

 

ーボーン!フォーム、ランド‼︎ー

 

すると男の周りから岩の槍が全方位を囲む!

それと同時に空から鋼鉄の肉体を体現化させた戦士が現れ、そのまま下へと向かった!すると岩の槍が瞬時に粉砕し、飛び散った破片はそのままノイズ達を粉砕した!

 

ー響く大地!我が魂!ー

 

すると男は拳をポキポキと指を鳴らした。

〔大地〕の力を司る『導師』…

 

《地魂導師》ボーンが此処に現れた!

 

するとボーンは、そのまま四股踏みをした!

するとその男の足でなんと地震が起きたのだ!

震度は3。人が「地震だ!」と全員が感知できるレベルだ。

 

更にもう一方の足を上げてまた四股踏みをするとその威力で3人とノイズ達が怯んだ!

 

震度は5弱。構造が脆い建築物だとこの時点から崩壊するレベルである。

それをこの男…番長は四股踏みしただけで起こしているのだ!

まるで"歩く地震起こし(マグニチュードメイカー)"だと、この時のロックはそう感じた。

 

「ほらよ!」

 

そう言うとボーンはなんと足蹴りを放った!すると其処から無数の岩が槍のように襲ってきた!

 

"STONE NEEDLE"

 

それを見たロックはすかさずアーチャーの投影宝具の1つにして、最強の防御技"熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)"を繰り出す。

だが、1つ入る度に一枚の花弁が散っていく!

だが、石の槍はまだまだ続く…いや、終わりそうにも無い!

 

 

「くっ!ならば!」

 

そう言うとロックはアーチャーのカードを抜くと同時に今度は別のカードを取り出した!

其処には緑の衣と、盾と剣を携えた青年が描かれていた!

ロックはそのカードを装填し、レバーを引いた!

 

ーソウル!フォーム、リンク!LEGEND〜!ー

 

すると其処から緑衣の剣士の魂が現れ、岩の槍を剣で相殺、盾で全て防ぐ!

 

その光景を見ていたボーンは攻撃をやめた。

それと同時に剣士の魂はそのままロックに纏った!

 

ー勇気のトライフォース!ハイラルの勇者!ー

 

するとロックの姿はアーチャーの赤い外套から緑衣の剣士そのものへと変わった!

そして背中に携えし剣を引き抜いた!

 

「『伝説の英雄(レジェンドヒーローズ)』の力を使わせてもらう!」

 

「へっ!そうこなくちゃな!」

 

そう言うとボーンは懐からなんともう1つのアブソーバーを取り出したのだ!ただ先程よりも薄いが。

するとロックは驚かれつつも、更に彼のした行動に目を奪われた!

 

ガチャンッ!

 

「なんだと⁉︎」

 

なんと2つのアブソーバーをドッキングさせたのだ!

 

その姿はまるで3○Sのような構造に、レバーがついたような感じのメカに変わったのだ!

 

それは先の戦闘で見せた《雷魂導師》アンデッド,《氷魂導師》アヤカシと同じ動作だった…

 

「さて、そんじゃあ…派手に行かせてもらうぜ!」




《地魂導師》ボーン
風格が"番長"そのもの。
武器を所持しないが、身体を使用した攻撃はどれも強力。
特に足を使った攻撃は他の《精魂導師》達を凌駕している。
現に歩くだけで地震を生み出しており、
劇中では、"歩く地震起こし(マグニチュードメイカー)"とまで呼ばれている。

次回

FUSION DRIVE/GAMEOVER

雷,氷,地の導師達が起こした行為が顕現する。
GAMEOVERそれ即ち、敗北…


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♪8 FUSION DRIVE /GAMEOVER

…まず一言。長い!無茶苦茶長い!
三区切りにしようと思ったけどやめた結果がこれですよ⁉︎

…なので、目薬持参でお願いします。

それではどうぞ。

※後書きで今回のキーパーソンを紹介します。


《雷魂導師》アンデッド

《氷魂導師》アヤカシ

《地魂導師》ボーン

 

彼等3人の所持するアブソーバーに更に別の薄型のアブソーバーがドッキングされた!

すると3人は場所が別々なのに、まるで以心伝心のように同じ言葉を同時に言い放った!

 

 

「「「"英雄と英雄。

2つの力。今こそ1つとなりて、新たな力を解き放て!"」」」

 

そう言うと3人は右腰のカードケースからなんと2枚のカードを取り出した!

それを1つに合わさったアブソーバーに其々装填し、そして折り畳むと同時にレバーを引いた!

 

「「「変身‼︎」」」

 

ーーーーーー

 

ーアンデッド!フォーム、アスナ!ー

 

するとアンデッドの右手側に白の服装をした細剣使いの女性の魂が現れた!だが、それだけではなかった!

 

ー&…アーサー‼︎ー

 

すると今度は左手側に黄髪で王冠を被った白服姿の男性が現れた!

 

それを見た霊風は驚愕した。

 

「【閃光】のアスナ⁉︎それに、【聖王】アーサーだと‼︎」

 

するとアンデッドは左腕と右腕を十字のように構えた!

 

「"聖なる剣の閃光よ、迸れ!"」

 

そして左腕をそのまま天に向けた!

 

ーFUSION DRIVE‼︎ー

 

するとアスナが細剣を頭上に掲げ、アーサーもまた大剣型ドライバ『エクスカリバー』を頭上に掲げた!

 

ーランベント・カリバー‼︎ー

 

そして光の柱が現れ、その光景に皆は目を背ける。

 

そして光が消え、視界が良くなり、皆はアンデッドを見て驚愕した。

其処にいたのは…

 

腰にフォールドマントを纏いつつも、肩に袖付きコートを羽織り、

頭頂部には王冠を被った戦士が其処にいた。

そして、先端が尖った大剣『ランベント・カリバー』を肩に掛けていた。

 

「【閃光】のスピードと【聖王】の火力を前に…跪け。

《精魂導師》!」

 

するとアンデッドは瞬時に霊風の懐に入り込んだ‼︎

その体躯から思いがけない速さに一同は驚愕する!

 

更に其処から無数の刺突攻撃をお見舞いし始めたのだ!

大剣とは思えない速さで!

 

「ぐがぁ⁉︎(なんだよ、この力…⁉︎)」

 

そして最後の一刺しを食らった霊風はそのまま壁にめり込まれた!

その様子を見た一同は驚愕した。何せ、速さが取り得の霊風が完全に後手に回ったのだから。

 

「次は…!」

 

そうアンデッドが言おうとするが、その場にシンフォギア装者達が既にいなかった。

 

「…成る程。まぁ…彼奴らは人形共にやらせるか。

俺はお前達さえ倒せばそれで良いしな」

 

そう言うと2枚のカードを取り出して、アブソーバーのカードを入れ替え、そしてレバーを引いた!

 

ーアンデッド!フォーム、キャスター!&…トーマ!ー

 

すると右手側に紫のローブを纏った女性が不敵な笑みを浮かべながら現れ…

左手側には銀髪で黒い衣装、そして不気味な模様が刻まれていた青年が現れた!

そしてまた十字のように構えた!

 

「"裏切りの魔女と魔導殺し。負の力を俺に解き放て!"」

 

ーFUSION DRIVE!

 

エクリプス・ブレイカー!ー

 

すると今度は闇の瘴気がアンデッドを包み、そして晴れたと同時に現れたのは、

左腕には戦輪のような形をした盾が、右手には剣と銃が一体となった巨大な大剣。

そしてそれを覆い隠す程のローブを纏ったアンデッドが其処にいた。

 

するとアンデッドは右手の大剣を振りかざした!

 

「"クリムゾンスラッシュ!"」

 

「なぁ⁉︎」「がっ⁉︎」「ぐぅっ⁉︎」

 

たった一撃でタマシイ,コア,ホロウの3人を退く威力!

アンデッドの力に屈する導師…戦況は圧倒的に不利であった。

 

ーーーーーー

一方、先の戦闘から離脱したマリア達シンフォギア勢は会場を後にしていた。

途中、エージェント達に拳銃を向けられ、行動制限を加えられようとするも緒川がすかさず弾丸で足止めする"影縫い"を行って、シンフォギアの皆を行かせたのであった。

そして車内では、マリアが運転し、翼が助手席。

翼の後ろに奏、そしてマリアの後ろにセレナが乗車していた。

 

翼は頃合いを見計らって詳しい事情を説明するようにマリアに促す。

マリア曰く、「剣の女性は翼を狙い、そして王と名乗った男は奏を狙っていた。

セレナには2人の盾として一緒に連れてきた」との事。

 

そんな表現をする中で、マリアはやはり不自由な立場に立っている事を痛感していた…翼に言われるまでは。

 

「!マリア!」

 

「!」

 

前方には先程振り払った筈の剣の女性…オートスコアラーが待ち構えていた。

更にその奥では王と名乗った男が金の杯を持ちながら、欠けた月を眺めていた。

 

「王様?少しは働いて下さらないかしら?」

 

「我が働くだと?それ以前にお主が全て横取りするのがいけないのだ。

まぁ…今回ばかしは我が仕込ませておいたがな」

 

意味深な言葉を口にする王に、剣の女性は首を傾げつつも、剣で車を斬ろうとしたその瞬間だった!

 

バキィンッ!

 

「な!」「嘘だろ⁈」

 

「なんで⁉︎」「いつの間に⁈」

 

なんとマリアが走行させていた車が一気に4分割にされていたのだ!

 

「これは…」

 

「だから言ったであろう?()()()()()()()()と」

 

だが、それでも翼はマリアを受け止め、奏はセレナを受け止め、そして『聖詠』を唄う…2人同時に。

 

「Imyuteus amenohabakiri tron…」

 

「Croitzal gaedearg gaebuidhe tron…」

 

そして車をが爆発、その頭上から離脱に成功した翼と奏は其々マリアとセレナを担いで着地し、そして2人を下ろした。

 

「セレナちゃんはマリアを頼む!」

 

「あ…はい!」

 

「行くぞ、翼!」

 

「ああ!防人として…『剣』としての意地を!」

 

そう言うと2人揃って歌い始めた!

本来なら戦闘向きの曲では無い…一曲を。

 

(挿入歌『ORBITAL BEAT』ツヴァイウイング)

 

久方ぶりに歌う2人の曲。

だが、その2人の行動はまるで阿吽の呼吸そのものであった。

 

だが、そんな中で相対していた2人は不満そうな顔をみせる。

王に至っては、「つまらん」と言葉まで発する始末。

 

「興が冷めた。ファラ、例の物を」

 

「分かりましたわ、王様」

 

そう言うとファラは何処から取り出したのか、ジェム状のアイテムを周辺にばら撒かせた!

すると其処からなんとノイズが現れたのだ!

 

「ノイズ⁉︎」「そんな⁉︎」

 

それを見た翼とマリア達は見開く。だが、翼と奏は其々の得物を構え、そして薙ぎ倒す!

 

「たかがノイズ!一気に蹴散らしてやるぜ!」

 

『⁉︎奏⁈』

 

そう言うと奏が先行してノイズを殲滅し始めた!

それに続いて翼もまた姉妹に近づけさせまいとノイズを殲滅し始める!

 

「貴方の剣、大人しく殺されて貰えると助かります」

 

「面白みも無いのぉう?我が剣・ファラよ」

 

「そう言う王様は逆にこの事態に楽しんではいませんか?」

 

「当たり前な事を言わせるでは無い。

特に我はあの槍使いの女が気に入った。

ならば、我自ら出向くのが礼と言う物であろう?」

 

「私はこの事態でも可能な限り温存しないといけないので」

 

そう言うと先程まで月見酒に浸っていた王が動き出した。

 

「其処の槍の女子!名をなんと申す?」

 

「あぁ?…天羽奏だ!そう言うあんたは!」

 

すると王は奏や此処に居合わせる者達に名を語る!

 

「我が名はレグルス・プライド。

文字通り、『傲慢にして、信念の王』その者なり!」

 

そう言うとレグルスは指パッチンをした。

すると何処からともなく赤い槍が現れ、それを軽く振り回し始めた!

 

「王たる者、常に得意の分野に精を磨くのではなく、

苦手たる物を扱えなくてはならぬ。

今宵は天羽。貴様の槍、我が槍の手により、直々にへし折ってくれようぞ!」

 

「へっ!やれるもんなら、やって見やがれ!」

 

そう言うと奏はレグルスと一騎打ちをし始める!

 

その間に翼は1人でノイズを殲滅し始める!

 

そして何体か倒して斬ろうとした時、一体のノイズの攻撃と剣の先をぶつけた。その時だった!

 

徐々に剣先がまるで消失するかのような事態になり始めた!

 

「!(剣が…!)」

 

そして進行を許してしまいそしてノイズが翼のギアペンダントに傷をつけたのだ!

 

すると翼の纏っていたギアが突然分解し始めたのだ!

マリアが「!翼ー!」と叫んだ事により、奏は翼の方を見て、驚愕した!

 

「⁉︎翼!」

 

「余所見をするとは、良い度胸だ…なあ!」

 

「!…ぐはぁぁぁ⁉︎」

 

「!奏さん‼︎」

 

先程の一撃を食らった奏はなんとか立ち上がる。

だが、

 

『ぐわぁぁぁあ⁉︎』

 

「!オディナ⁉︎…私まで⁉︎」

 

なんと先の攻撃で奏のギアにまで傷が付くと同時に奏のギアも分解され始めた!

 

そして2人は同時にギアを分解され尽くされた。

しかも、2人揃って生まれたままの姿へと変わり果ててしまったのだ!

その様子を見ていたマリアとセレナは2人の元へと駆けつける。

しかし、2人の意識は不明の状態になっていた。

 

すると、

 

「流石、自動人形《オートスコアラー》。

『剣』と『王』のアルカナを所持するだけの事はある」

 

「!この声は…‼︎そんな…⁉︎」

 

マリアはその声を聞いて振り返ると其処には4本の腕と思わしき機械の手と、白き翼を生やした《雷魂導師》アンデッドが上空に居座っていた。

そしてその4本の腕には、霊風達《精魂導師》達が頭を摑まれ、宙ぶらりん状態になっていた!

そしてそのまま4人をマリア達の方へと投げ飛ばした!

 

そしてそのまま地面にバウンドする導師達。

マリアが近づくと其処には息はあるが、放っておけば確実に死に追いやるものだった!

 

「俺の目的は済んだ」

 

そう言いながらアンデッドは懐から何枚かのカードをちらつかせる。

其処には導師と共に戦ってきた一部の『英雄』達のカードが其処にあった!

 

「!返しなさい!」

 

「断る。此奴等が使うと宝の持ち腐れだからな。

…シンフォギアに用は無いしな」

 

そう言うとアンデッドは背中の翼を広げて、急上昇してこの場から神速のように去って行った。

…白い羽根を落としながら。

 

「ふん。…帰るぞ、我が剣」

 

「よろしいので?」

 

「お主もあの女の音では不満であろうが。

果実を取るにはまだ早過ぎたと言う事だ。

熟れた奴が美味しいとも言えるからな」

 

「それはタイミングを逃さなければの話ですよ?

でも、それもそうですわね。

如何します?マスター?」

 

『放っておけ。任務を遂行し得たのなら、それで充分だ』

 

「では、その通りに。

…行きますわよ、王様」

 

そう言いながら帰るようにレグルスに示唆するファラ。

するとレグルスは奏に視線を向けて話しかける。

 

「何れまた会おう。その時はお前の歌を吟味し、そして我が喉越しを潤せる程の実力となって相見えようぞ…天羽奏。

この名は決して忘れんぞ。我が冷たき魂を溶かしてみせた槍よ」

 

そう言うとレグルスはファラの元へと近づき、そしてファラは先程ノイズを呼び出したジェムとは違うジェムを取り出し、地面に落とした。

すると2人の足元に錬金術で構成された術式が現れ、2人はその場から立ち去ったのであった…

 

「敗北では済まされない…くっ!」

 

「マリア姉さん…零…」

 

この場に漂う空気はただ2つ…

 

自分達の敗北と言う名の挫折と、

自分達が何も出来なかった事への後悔だけだった。

 

 

ーーーーーー

遡る事、数分前。

クリスとロックの方でも危険が迫ってきていた!

 

 

それは先の同時詠唱で放った後、ボーンと呼ばれた導師が2枚のカードを取り出し、それを其々のアブソーバーに装填するなり、畳むとそのままレバーを引いたのだ!

 

「変身!」

 

ーボーン!フォーム、ドモン!ー

 

するとボーンの左手側に黒タイツで赤いハチマキをした熱血青年が現れた…だが、それでは終わらなかった!

 

ー&…家康!ー

 

今度は右手側に黄色の派手な格好で、腕に手甲を嵌めた青年がフードを取りながら現れたのだ!

その様子を見ていたロックとクリスと少女。

そんな中、突如ロックのカードケースから三成が現れたのだ!

 

「家康!なぜ貴様が!」

 

「何⁉︎」

 

そうしているとボーンは十字のように腕を構えた!

 

「"人知を超えた神の力、東の虎と共に照らし出せ!"」

 

そう言うとそのまま左腕を天に向けた!

 

ーFUSION DRIVE!葵・オブ・ハート!ー

 

すると2人の『英雄』の魂も左腕を天に向けた!

すると2人の魂がボーンに取り込み、そして光が発生する!

 

その光を見た3人は目を背く!

そして光が収まり、其処に現れたのは、

背中に神々しい程のオーラを纏わせた輪廻と、

黄色のフード付きパーカーを羽織り、

そして尚且つ左が機械のような手で、右手が先程の戦士と同じ籠手が嵌められていた!

 

「番長と言えば、拳で戦うのが相場で決まってるんだよ。

さぁ、掛かって来な。《水魂導師》ソウル!」

 

それを聞いたロックは『英雄』の1人…

【緑衣の勇者】リンクの力と共に駆け巡る!

 

リンク。

それは常に伝説を生み出してきた青年。

ハイラルと呼ばれる地方で生まれ、その右手に宿る力の1つ《勇気のトライフォース》の力を携えた伝説の戦士。

退魔の剣『マスターソード』を携え、その一撃で邪なる者達を文字通り退ける力を宿している。

剣だけではない。

馬術に、ボマー、弓術に魔法、ハンマーや鎖など多種多様な武器を一目見ただけで完全に扱える技量を兼ね備えている。

そして何よりも…

 

彼は()()であった。

 

『リンク』と聞いて大抵の者はこの青年の事を知っているだろう。

あまりにも有名なのだから。

故に彼のカードを読み込ませた時に、音声からLEGENDと発声したのだ。

『英雄』や『英霊』よりも上で、『四英雄』と互角の力を持つ者…

それを皆はこう呼んでいる…

 

伝説の英雄(レジェンドヒーローズ)』と。

 

これに該当する者の条件は唯1つ…『認知度の高さ』である。

 

例えば、

『マリオ』と言えば…あの赤い帽子と青のオーバーオールを着用したジャンプが得意な配管工を思い浮かぶだろう。

『ソニック』と言えば…あの青い身体で高速に動き回るあのハリネズミの事を指すだろう。

『ルフィ』と言えば、仲間想いで有名なあの海賊達の王を目指す青年を思い浮かぶだろう。

 

…このように。その人物の名前を口にしただけですぐに特定出来てしまう存在達の事を、この世界では『伝説英雄(レジェンドヒーローズ)』と総称しているのである。

 

さて、話が逸れたので戻るとしよう。

リンクの力を得たロックはリンクの得意な剣術で攻撃を仕掛けていく!

だが、片手剣と盾の組み合わせはロックは今迄してこなかったのか、どうにも動きには不慣れであった。

その隙を作ってしまい、ボーンから一撃を貰ってしまった。

 

「…ならば此方は、此奴で行く!」

 

そう言うとロックは三成のカードを取り出し、アブソーバーに装填し、レバーを引き、そして纏った!

 

ーソウル!フォーム、三成!

君子殉凶!凶王三成!ー

 

そしてすかさず三成の愛刀『無銘刀 白』を用いて速攻戦を繰り広げようとするロック。

だが、その攻撃を悉く受け流される。

だけに留まらず、更にそのままカウンターを食らわされていく!

 

「ロック義兄!」

 

その様子を見ていたクリスが叫ぶが、「余所見をしている暇があるとでも?」とレイアからの指摘により、思うように動けなかった。

 

すると止めと言わんばかりにボーンは左腕のアブソーバーに描かれている2人の英雄の内、ドモンと呼ばれた青年が描かれていた方のパネルボタンを押し、そしてドライブボタンを叩いた!

 

『ボーン・ドモン!フルドライブ!』

 

すると左腕の機械のような手が光り輝き始めた!

 

「"俺のこの手が唸って光る、

 

お前を倒せと輝き叫ぶ"!」

 

そうするとボーンは瞬時にロックの間合いに入り込んだのだ!

 

「しまっ⁉︎」

 

「必殺!

 

 

 

 

"シャイニング…フィンガー"ーーーーーー‼︎」

 

 

「ぐはぁ⁉︎」

 

そしてそのままボーンの左手がロックの顔面を掴みそしてそのエネルギーをぶつけた!

 

そしてそのままダメージを食らったロック。

しかし、それでも立ち上がるロック。

早く倒してクリスの所へ向かいたいが為に。

 

「…仕方ない」

 

そう言うとボーンは右腕に力を溜め、そして一気に地面に叩きつけた!

すると地面が隆起し、そこから岩盤が現れ、それがロックに襲いかかった!

 

「"陽岩割り"‼︎」

 

「⁉︎うわぁぁぁぁ‼︎」

 

「!ロック義兄!…⁉︎」

 

クリスはロックの悲惨な光景を目の当たりにした。

だがその行動が文字通り命取りになってしまった。

 

そこへノイズが奇襲をかけたのだ!

その攻撃に気付いたクリスは慌ててガトリングにしておいた武器で防ぐ!

すると翼の時と同じように分解され始めたのだ!

 

そしてその衝撃により、クリスも意識を削ぎ落とされたのだった。

 

それを見たボーンはそのままロックの腰についてるカードケースを拝借し、何枚かのカードを取り出した。

 

そうしていると、気配を感じ、すぐに右手の籠手で防御した。

そして振り向いた先にはレイアがコインを構えて、撃っていた。

 

「お前の目的はなんだ?」

 

「第1にお前らのマスターを倒して、『万象黙示録』を止める事。

2つ目はシンフォギアを取り除く。この世から全てな。

だが、その為にはそれと同格である『英雄』の力が必要不可欠。

そこで3つ目にして、今俺達がやっている最優先事項…

 

"精魂導師から自分達に見合うカードを奪取する事"。

それが今の俺達…『リベレーション』が為す事だ」

 

「『リベレーション』…」

 

「マスターから話を聞いていたが、お前が…」

 

「そこまでデス!」

 

そう話をしていると上空から切歌が現れたのだ!

 

「成る程…かつての敵は今は味方と言う事か」

 

ボーンはそう言った。その言葉を聞いた切歌は驚きつつも、クリスとロックを助ける為…『聖詠』を詠った。

 

「Zeios igalima raizen tron…」

 

すると切歌はシンフォギアを纏った。

それと同時に、切歌は懐に忍ばせていた『英雄召喚型』デバイス…

 

《現界ブースターβ》を取り出し、そしてカードをスキャンさせた!

 

ーコール・オブ・ユカリ!ー

 

「お願いしますデス!」

 

すると切歌はデバイスをガンモードにして、近くの足元に撃った。

すると弾から人の形となり、そこから1人の少女が現れた!

 

【闇魔女王】ユカリ。闇呪怨に就いてる『英雄』であった。

 

「ユカリさん!ロック先輩をお願いするデス!」

 

「分かったわ」

 

そう言うと2人は其々行動に移す。

それを見ていたボーン。

するとユカリがボーンの前に立ちはだかる。

だが、それと同時に地面から2つの角を生やした竜が現れた!

 

「任務は完了している。用も無いしな」

 

ボーンはそう言うと、その竜の背中に乗ると同時に、そのまま地面へと潜り、この場からロストしてしまった…

 

そうしている間に調もやって来て、3人はこの場から撤退した。

 

「…予定外の闖入者。指示を下さい」

 

『追跡の必要は無い。帰投を命ずる』

 

「了解。シィバ。帰ろうか」

 

「はぁ〜い♡」

 

そう言うとレイアはシィバに触れるとそのまま消えた…

 

なんとか巻いた3人。

 

だが、クリスはこの事に悔しさだけが残っていたのであった。

 

 

そして憑友と響の方でも危機に立たされていた。

 

ーーーーーーSIDEto憑友

おそらく、響はキャロルのしたい事を話で解決しようとしている。その為にギアを纏う事はしないだろう。

だが、キャロルがしたい事が分からない。

 

だが、それ以前に…

 

あの〔氷〕使い…何処かで見た事がある。

だけど…思い出せない。何故なんだ?

 

そう思っていたら、いつの間にかキャロルが消えていた。

逃したか!…でもまだやらねばならない相手がいるな。

 

そうしていると、アヤカシと呼ばれた男はアブソーバーに2枚のカードをセットし、それを折り畳むとそのままレバーを引いた!

 

ーアヤカシ!フォーム、ユーリ!&アサシン!ー

 

すると俺から見て右側に黒髪ストレートヘアーの青年が、

左側に青紫のポニーテールを結った侍。

其々の魂が現れた!

そしてアヤカシは腕を十字のように構えた。

 

「"贖罪と共に、剣豪の腕を見舞いせよ!"」

 

するとアヤカシは己の左腕を天に向けた!

 

ーFUSION DRIVE!

 

ケンゴウ・ダークヒーロー!ー

 

すると光が発生し、そこから1人の戦士が現れた。

 

黒髪をポニーテールで結い、

下は袴、上が黒の服を羽織った剣士がそこに現れた!

 

「一気に終わらせる…"蒼破刃"!」

 

するといきなり青い衝撃波を放ってきた!

俺はその攻撃をなんとか避けた…

 

「"絶風刃"!」

 

「がはっ⁉︎」

 

な⁉︎まさか、追い打ちをしてくるとは!

なら、俺はこいつを使う!

行くぞ!ルドガーさん!

 

『ああ!』

 

そして…

 

「頼むぞ!フィーネ!」

 

ー無茶はするなよー

 

了解!

 

そう言うと俺はアブソーバーにフィーネのカードを読み取らせる!

するとアブソーバーから炎をあしらった強化型アブソーバー…

 

ーバーニング・ライド・アブソーバー!ー

 

に強化し、そのままアブソーバーをスライドさせ、フィーネを置いて、そしてまたスライドし直すと、ルドガーのカードを装填し、レバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、ルドガー!

 

『FULL BURST IGNITION』!ー

 

すると俺はルドガーの魂を纏った!

 

ー銃剣搥士、審判の槍!ー

 

そして俺はルドガーの姿に変わった。

 

「…銃剣搥士。そんな奴に負けるつもりは無いぞ」

 

「こいつの実力は今に分かるぞ」

 

「何?」

 

こいつの実力は…懐中時計に在り。

 

「うぉぉぉ!骸殻(がいかく)‼︎」

 

そして俺はルドガーの姿からまた別の姿に変わった。

身体の一部が黒く染まった姿…骸殻へと変わった。

 

今のこの状態は、ルドガー曰く「1/2(ハーフ)状態」と言う状態らしい。

そう言うと俺は槍を構える。

 

「…確か、ルドガーは〔2丁拳銃〕と〔双剣〕そして〔ハンマー〕を巧みに扱う戦士だと聞いたが?」

 

「この状態は槍を扱えるのに特化してるんだよ。

?…ってか、なんでお前がそんな事知ってるんだ⁈」

 

「生憎、此方はすでに情報把握済みなのだよ」

 

そう言うとアヤカシと呼ばれた男は左手に刀を肩に乗せて挑発の構えを取る。

何故、彼奴がルドガーの事を知ってるんだ?

…まぁ、それはともかく。

後悔すんなよ…刀使い!

 

ーーーーーーNO SIDE

そうすると2人は其々の攻撃を繰り出していく!

 

「"ヘクセンチア"!」

 

「"戦迅狼破"!」

 

「"絶影"!」

 

「"円閃牙"!」

 

「"エイミングヒート"!」

 

「"爪竜連牙斬"!」

 

「「"蒼破刃"!」」

 

だが2人の戦いは近郊を崩せない。

そしてアヤカシはそのまま先程放った風の刃"絶風刃"を放つ。

それを見た憑友は大分目が慣れたのか、あっさりと躱す。

だが、それがいけなかった!

なんとその先には響がうずくまっていたのだ!

 

「⁉︎…響!」「しまった!」

 

すると憑友はすかさず響を抱えるが、その隙に先の刃が憑友の背中に大ダメージを与えた!

 

「がはっ⁉︎」

 

「!憑友⁉︎」

 

その様子を見たアヤカシは追い討ちをせずに、そのまま刀を納刀する。

 

しかし、響を守れたのか、憑友は立ち上がる。

 

「まだ…まだ終わってねぇぞ!」

 

そう言うと憑友は槍をまるでヨーヨーのように回して放つ技"バドブレイカー"を放つ!

その隙に憑友はドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・ルドガー!FULL BURSTドライブ!』

 

「はぁぁぁぁあ!」

 

すると憑友は帰って来た槍を使い、円を描くとそこから無数の槍が現れ、その無数の槍をアヤカシに向けた投げ飛ばし始めた!

 

「"数多の槍よ、流星のように駆け巡り、そして一撃を!"

 

うぉぉぉーー‼︎

 

"マター・デストラクト"‼︎」

 

「ぐはっ⁉︎…やるな」

 

それをまともに受けたアヤカシ。

するとアヤカシは左腕に装着されていたアブソーバーからアサシンの英雄の魂が描かれたパネルボタンを押し、そしてドライブボタンを叩いた!

 

『アヤカシ・アサシン!フルドライブ!』

 

するとアヤカシは刀を抜き、精神を込めて一気に解き放つ!

 

「"秘剣…燕返し"‼︎」

 

ザクッ!ザキッ!ジャキィン‼︎

 

 

「⁉︎ぐはぁぁぁ⁉︎」

 

「憑友ー‼︎」

 

すると一瞬で同時に3回の連続斬りをまともに受けた憑友!

 

「まだ終わりでは無い!」

 

だが、アヤカシは追い討ちをし始めた!

 

そう言うと今度はユーリと呼ばれた青年のパネルボタンを押し再びドライブボタンを叩いた!

 

『アヤカシ・ユーリ!フルドライブ!』

 

すると一瞬の隙に憑友の懐へと入り込むと周りの時間が止まったかのようなハイスピードで連続で憑友に斬り始めた!

 

「"閃け、鮮烈なる刃!

無辺の闇を鋭く斬り裂き、仇なす者を微塵に砕く!"

 

決まれ…!

 

"漸毅狼影陣"‼︎」

 

「がはぁ⁉︎」

 

その攻撃を受けた憑友は口から血が噴き出し、そしてそのまま地面に背中を預けられて倒れた。

響は憑友の惨劇を見て、悲鳴を上げた。

その間に、アヤカシは憑友のカードケースから何枚かを奪うとカードケースを憑友に返し、そのまま帰ろうとしたが、響が通せん坊をする。

 

「邪魔をするか、『撃槍』よ」

 

「如何して、こんな事を!」

 

「お前には関係n「関係無くない!」(カチンッ!)お前に俺達の何が分かる!」

 

するとアヤカシは響の首を絞め、近くの壁にぶつける!

 

「俺達は大切な友を守る為に此処まで来たんだ。

なのに、その友は俺達に守られる事をしなくなった。

増してや、俺達を逆に守り始めた!

守ってやりたい者に逆に守られてきた俺達の気持ちなど…

お前だけには一生分かって欲しく無い!

 

この『偽善者』が‼︎」

 

「‼︎⁉︎」

 

「⁉︎…済まない…言い過ぎた。

今宵はこの辺にしておく…」

 

そう言うとアヤカシは吹雪と共にこの場から去ってしまった。

 

そして響は涙を流した。

 

「…やっぱり…

私のやってる事は…『偽善』なのかな…」

 

その問いに答える者はこの場には居なかった…

 

新たな敵『自動人形《オートスコアラー》』

そして第三勢力『リベレーション』

 

彼等の登場と圧倒的な力を前に、

シンフォギア装者と、《精魂導師》はなす術無く敗北した…

 

だが、彼等は知っている…

 

『英雄』達には"不屈の闘志"があると言う事を。

 

ならば、自分達もその闘志がある限り、何度でも蘇ると言う事に。




『FUSION DRIVE』
アンデッド,アヤカシ,ボーンの3人が使用したシステム。
アブソーバーとは別の薄型アブソーバー…名称《サブアブソーバー》とドッキングして、2枚のカードを装填させ、半分に折り畳み、そしてレバーを引く事で2体の『英雄』の力を融合させた戦士に変化させる!

…実はこれ。モデルがいます。『ウルトラマンオーブ』です。

彼は『ウルトラマン達の力を借りて合体変身(フュージョンアップ)する戦士』として書かれており…

作)ん?じゃあ…導師達が使ったらどうなるんだ?

と言う思考に至り、このような形で登場させました。

実は他にもモデルになった人達がいます!

フィーネの『FULL BURST IGNITION』

実はこれは『仮面ライダー龍騎』のライダー…

龍騎とナイトの強化形態…『サバイブ』

実はこれをモチーフとしています。
2人ともカードを翳す事でバイザーを変化させ、そして強化変身する所は、本作の『FULL BURST IGNITION』の要素でもあるのです!

さて、そんな訳で次回予告!

シンフォギア装者の大半が戦力を損なわれ、
精魂導師の皆までも戦闘の傷が治りきれていない中、

再び事件が動き出す。

次回

装者と導師の黄昏


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♪9 装者と導師の黄昏

アニメ3話後半部分です。


あの一件から、《オートスコアラー》そして《リベレーション》は姿を現さなくなった。

 

そんな中、空港から1人の女性が日本に降り立った。

 

「もう直ぐね…」

 

金髪のストレート&ツインテールで、白衣を纏った女性だった。

 

「ソウル兄さん。ライド兄さん。

スピリット姉さん。ホロウ姉さん。

コア兄さん。タマシイお姉ちゃん。

皆んなの顔が見てみたいわ!」

 

そう言いながら、女性は近くのタクシーに乗り、とある場所へと目指した。

 

「(全ては私の為に…!)」

 

 

その光景とすれ違うかのように、彼女とシンフォギア装者達がすれ違った。

 

そして響達はロンドンにてライブをしていた翼達『Δウイング』のお迎えに来ていた。

ただ、この場にロックは居なかった。

そして翼達の方も、霊風達残りの《精魂導師》達は居なかった。

 

あの一件からなんとか一命を取り留めた導師達。

既に半分死んでいた憑友は今は傷が完全に塞がり、今は療養中で、現在は実家の方の湯に浸かりながら傷ついた身体を癒している。

だが、残りの導師達の方はそうは行かなかった。

彼等は憑友とは違い純粋に生身の身体。

自然治癒と人工治療でも治るのに時間が掛かっていた。

 

 

そんな中、翼と奏の2人は浮かない顔をしていた。

夢が叶えられると思った矢先に先の事件。

再び戦場に出なければいけないこの状況…

2人はその夢をみすみす離すしか手は無かったのであった。

 

だがそれも、「翼さ〜ん!奏さ〜ん!マリアさ〜ん!セレナさ〜ん!」と言う自分達よりも快活な笑顔を見せてくれる(後輩)の声が聞こえた。

そしてよく見るとそこにはクリスに調,切歌も揃っていた。

それを聞いた翼は朗らかな笑顔を見せていた。

その様子を見た奏も内心、ホッとしたようだ。

だが、彼女の心はかなり抉られていた。

あの後から『オディナ』と会話すら出来なくなっていた。

恐らく、あの時の一撃が致命傷になったのかもしれない。

もしかしたら、もうこの世に居なくなってしまったのかもしれない…そう感じていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

そして一行は拠点である移動本部へと足を運んでいた。

 

そして指令室には弦十郎と牧藁、そしてナスターシャ博士が居合わせていた。

マリアとセレナは久方ぶりのマムとの再会に際してハグした。それを感じたナスターシャは微笑みかけた。

そんな和やかな雰囲気の中であるが、弦十郎が咳き込む事で本題に入る事になった。

 

「シンフォギア装者勢揃い…とは言い難いかもしれないな」

 

そう言うと弦十郎の後ろの液晶から3つのコンバーターが写し出された。

すると藤堯と友里が説明した。

 

「新型ノイズに破壊された…

『天羽々斬』『イチイバル』

そして『ゲイジャルグ・ゲイボウ』…愛称『オディナ』です。

コアとなる聖遺物の欠片は無事で、『オディナ』の方は流石『英雄』と言う事だけはあり、今の所はバイタル面でも安定しています。

ただ…」

 

「エネルギーをプロテクターとして固着させる為の機能が損なわれています」

 

それを聞いたマリアはかつてのセレナのギア『アガートラーム』のギアペンダントを取り出した。

今の3人のギアの状態は、『アガートラーム』と同じ状態だった。

 

するとクリスが「治るんだよな!」と言うが、ナスターシャが首を横に振りながら説明した。

 

「幾ら『櫻井理論』が開示され、異端技術が発展したとしても、現在の私達の手で治す事は不可能なのです。

フィーネ自らならばなんとかなる筈なのですが…」

 

「身体を共有している憑友君は現在療養生活を余儀されていて、監視の目があるから、思うように動けないのが現状なの」

 

その話を聞いた装者達は負の感情に晒されていた。

 

「現状…動ける装者は響君。ただ1人…」

 

「私…だけ」

 

すると調と切歌が猛抗議する。自分達も戦えると。

だが、弦十郎はそれを却下した。

その理由を、友里に代わり、牧藁が代弁した。

曰く、

 

「LINKERで適合係数の不足値を補なわないシンフォギアの流用は、どれ程身体の負担になっているのか。

3人に合わせたLINKERが無い以上…無理を強いる事は不可能」

 

と言う事だった。

その話を聞いた2人は後悔の念しか出していなかった。

 

だが、それだけで話が終わる事では無かった。

すると映像が変わり、そこには6つの棒グラフのデータが其々2つずつ並べて現れた。

 

「これは?」

 

響の問いに弦十郎が答える。

 

「これは、憑友達《精魂導師》の『英雄石板』の数を表したグラフだ。

右が先の事件直前までの所持数。そして左はその後の所持数だ」

 

『⁉︎』

 

弦十郎の説明に皆は驚愕した。

何故なら大半が喪失していたのだから。

 

「幸い、皆のパートナー『英雄』達は奪われる事は無かったようだ。

だが、それでも大半がおそらく彼等《リベレーション》の手によって奪われたと言う方が正しいだろう。

マリア君やクリス君、そして響君の証言を元にした結果…

 

彼等は憑友達の元についてる『英雄』達を強奪したと考えられる」

 

そう言いながら、皆に1枚の紙を手渡す。

そこには先の事件にて強奪された『英雄』達のカードリストだった。

 

そこには、

 

【腹黒眼鏡】シロエ,【格闘娘】花崎ラン

【電竜】ライゼクス,【直視の魔眼】両儀式

【君子殉凶】石田三成,【男性IS操縦者】織斑一夏

【一刀修羅】黒鉄一輝,【魔族の血を引く勇者】東城刄更

【騎士の魔導士】エルザ,【魔導師の娘】ヴィヴィオ

【幻想殺し】上条当麻,【ナックル・ストライカー】スバル

【炎竜妃】バハムート,【最強の流浪人】緋村剣心etc…

 

数えただけでもざっと100は喪失していた。

その中でも特に、憑友,ロック,霊風…

 

《ルナアタックの英雄》である導師達の元にいた『英雄』達のほとんどが奪われていたのであった!

 

更にそれだけでは無く、

つい今冬に襲いかかった敵と戦った際に立ち向かってくれた戦士達…

 

伝説英雄(レジェンドヒーローズ)

 

その者達の力の殆どが奪われてしまっていたのであった。

 

ーーーーーー

一方、キャロル陣営の方では青のゴスロリ衣装の自動人形が、赤くて縦ロールを持つ少女型の人形とキスをしていた!

 

するとその人形が動き出し、人形がへたり込んだ。

 

「最大戦力の一角であるミカを動かすだけの「想い出」を集めるには存外時間が掛かったな?ガリィ」

 

「嫌ですよ〜。これでも穏便に事を進めるのは大変だったのですから♪」

 

そうしていると、ガリィと呼ばれた少女の隣にいた騎士型の自動人形が『王』の称号を持つ唯一の男性型自動人形に赴いた。

 

「王。これが今回の献上品です。

質素な物で申し訳ありません」

 

「…いや、寧ろ今はこういう物を欲していた所だ。

礼を言うぞ。我が騎士・ジィスよ」

 

「っ!…はいっ!」

 

そうしていると金ドリルツインヘアの女性が彼等の元にやって来た。

 

「面白い物を持ってきてくれたわね。

私にも下さらない?」

 

「…お前と言う奴は。どこまで怠惰な奴なのだ…

『剣』に『硬貨』、『聖杯』に『小姓』、

そして(おれ)と『騎士』がマスターの為に動いていたのに、お前は何も動かず、ここでのうのうとしていたのだろうが…『女王』の分際で!」

 

「あら、人聞きの悪い。

『女王』とは常に、皆が帰りし場所を守る事が最優先事項。

此処から離れる訳には行きませんことよ?」

 

「正論だろうと、言い訳だろうと…

"働かざる者食うべからず"。

お前の強欲さでも、取ることは不可能だと思え!」

 

「言ってくれますわね…傲慢さの分際で!」

 

そう言うとなんとレグルスは槍を取り出して構え、対して『女王』とよばれた女性は扇を広げて攻撃を仕掛けようとした!

すると、「そこまでにしておけ」と言うキャロルの声が聞こえたのか、

女王と王は渋々武器を下ろした。

その光景を見ていた他のオートスコアラー達は人形でありながら冷や汗をかく羽目となった。

 

「レグルス。お前は傲慢で尚且つ、多彩の武器を扱えるのが最大の取り得。

だが、その矛先を仲間に向けるでは無い」

 

「…申し訳ありません。我が主よ」

 

その表情を見た『女王』は上から目線な体勢を取るが、キャロルに言われる。

 

「お前もだ、ジュエル。

レグルスの言う通り、何もしていないお前に献上品を貰う権利は無い。

欲しければ、自分の手足を動かして行動で示せ」

 

「は、はい…」

 

2人の説教を終わらせたキャロルは席に着く。

するとミカがうだうだ言ってきた。

キャロルは「如何した?ミカ」と質問すると…

 

「…お腹空いたゾ」

 

その話を聞いたレグルスとジュエルはズッコケた…同時に。

それを聞いたキャロルはガリィと呼んだあのゴスロリ少女に「想い出」回収と同時に一働きしてくれと頼んだのであった。

 

 

ーーーーーー

一方、キャロル陣営とも、S.O.N.G.陣営とは違う場所。

 

其処では3人の男達が壁に背を預けたり、ソファで寛いでいたり、

ベットにダイブしていた。

 

すると背を預けていた青年が残りの2人と話を始める。

因みにこの青年は仮面はしていない。

 

「…本当に良かったのか?

大切な幼馴染を守る為に、幼馴染を倒すなんて…」

 

「情は移さない方が良いぜ。

それに、俺達が成そうとしているのは…世界だ」

 

「このまま行けば、恐らく世界は滅ぶ。

キャロル…錬金術師を倒さない限り、この世界に平穏なんてあるものか。

今まで守られてきた分を今度はこっちが返す番だからな。

その為には少し仇で返す必要があっただけの事だ」

 

「…そうか」

 

そう言うと青年はその部屋から出て行こうとした。

 

「何処へ行く?」

 

「…ウロチョロするだけだ」

 

そう言うと部屋を後にした。

 

ーーーーーー

その頃、響達はクリスとロックが保護した少女で、

今回の首謀者・キャロルと良く似た顔を持つ少女・エルフナインと話をしていた。

 

キャロルの説明によると、

自分はキャロルに命じられるまま、巨大建造物の建築に携わったと言う。

だが、ある日その建造物のデータにアクセスした際に、その建造物は『世界を壊す為にある代物』と言う文献を見てしまい、その目論見を阻止する為に逃げ出してきて、そしてシンフォギア装者達にエルフナインが所持していた品『ドヴェルグ・ダインの遺産』…

 

通称『《魔剣》ダーインスレイフの欠片』が入った箱を届けにきたと言う事だった。

 

 

そしてエルフナインの調査結果を聞いた一同。

すると性別が無いと言う。

なんでも友里がエルフナイン本人から聞いた話では、

 

「ホムンクルスであり、決して怪しい者では無い」と。

 

だご、一同は心の中で、『(怪しすぎる)』と思っていたのは此処だけの話であった。

すると弦十郎の携帯から着信が来たので、弦十郎は応対した。

因みに皆にも聞いて貰う為に、テレフォン対応のスピーカーをセットした。

その相手は…

 

『やっほー!弦ちゃん!元気にしてたかな〜?』

 

「はぁ…お前だな、玄也」

 

憑友の父で、セレナ達『元F.I.S.』の義父にして、弦十郎の幼馴染。

そして『キングofカイザー』の名を持つ男性…人絆玄也であった。

 

『憑友の様子は頗る体調が良くなって、明日からは本格的に参加できるよ』

 

「本当か!」

 

その話を聞いた一同は嬉しく感じた。

そうしていると、玄也が弦十郎にこんな事を言ってきた。

 

『所で、今何処?』

 

「はぁ?」

 

『いやだから…今何処にいるの?』

 

如何やら場所を尋ねてきた。

弦十郎は藤堯にアイコンタクトを取ると、藤堯は自分達のいる場所の現在地を言った。

 

「現在は千葉県はいすみ市沖合にいます」

 

「…だそうだ」

 

『なら、近くの漁港まで来てくれ。これから先の戦いで重要になる存在と対面させてあげるから』

 

「?」

 

玄也の言われるまま、一同は艦を近くの漁港まで行く事になった。

 

 

そして浮上し、そして陸に上がると其処には玄也がおり、そして彼の隣には金髪ストレートでツインテールの白衣を羽織った女性がいた。

 

「玄也。この方は?」

 

「彼女はサモン。

僕と同じ『英雄石板』の解析者として研究に勤しんでいるんだ」

 

そう言うと玄也はサモンとよばれた女性と皆をご対面させた。

するとサモンは弦十郎に手を差し伸べながら自己紹介をした。

 

「初めまして。サモン・クリスチャーノです。

S.O.N.G.の救助活躍は此方にまで広まっていたので、力添えをしたくて、此処に参りました」

 

「S.O.N.G.司令の風鳴弦十郎だ。そして此処にいる少女たちの事はくれぐれも…」

 

「えぇ…分かっています。内密にと言う事ですね。

さて、あまり時間がありません。詳細は貴方達の艦でお話したいのです。

貴方達の前に現れた《精魂導師》…

 

CN.(コードネーム)アンデッド,アヤカシ,ボーンが使っていた力の事について」

 

「‼︎…分かりました」

 

そう言うと弦十郎はサモンを艦内へと収容する。

 

それを見た玄也は「此処から先は見守らせて貰うからね…」と自分がこれ以上何も出来ない事を悔いながらそう呟いていた。

 

ーーーーーー

そして部屋の一角の席に座ったサモンは、皆に説明をした。

 

なんでも、事の発端は数ヶ月前。

自分が『英雄石板』の研究の際に新たなる力を開発していた。

その時に、彼等が現れ、その力の結晶を盗まれたと言う。

それが、先の事件の時にアンデッド達が使用した力…

 

『FUSION DRIVE』であった。

 

2体の『英雄』の力を用いて、それを1つに融合させて戦う力だと言う。

組み合わせ次第では、特化や生粋型になったり、其々をカバーしたりする事も出来ると言う。

 

「…ごめんなさい。

私があの人達に奪われさえしなければこんな事にはならなかったの!

それに私はもう一度会いたかったの。()()()()()()や、()()()()()()()()達に!」

 

「え?」「如何いう事だ?」

 

するとサモンが言った言葉に引っかかる奏とクリス。

するとサモンは衝撃の事実を口にした。

 

「…ソウルとスピリットは、私の1番上の兄と1番上の姉です」

 

『⁉︎』

 

なんとサモンはソウルとスピリットの妹であると言うのだ!

…ん?ちょっと待て。

確かソウルとスピリットには下に弟と妹がいる。

 

次男のライド,次女のホロウ

三男のコア,三女のタマシイ…

 

…って事は…

 

「あのもしかして…ライドさんも?」

 

「はい!ライドは私の2番目の兄です!」

 

「ホロウは⁉︎コアは⁉︎タマシイは⁉︎」

 

「みんな、私の兄と姉です!」

 

なんとサモンは憑友達《精魂導師》と共にいる相棒…ライド達の妹だった!

そもそも、ライド達は皆、身体を亡くしている。ノイズの影響で。

ライドやソウル,スピリットはまさにその通りだった。

では、ホロウやコア,タマシイは如何なのか。

実は彼等もノイズによって身体を亡くし、データとして電子機器の中にいるのである!

 

つまり、生前のライド達の事を知る存在なのだ。

 

「彼等を倒すには彼等と同じ『FUSION DRIVE』を搭載させます!」

 

「だが、もしそれが可能だとしても、それを上回った場合は?」

 

「その為に彼等に奪われた直後に開発したシステムを搭載します!」

 

 

「その名は…『MONSTER DRIVE』!」

 

こうして憑友達《精魂導師》にも新たな力が携える事になった。

 

ーーーーーー

そして数日が過ぎたある日。

憑友はすっかり体調が良くなり、現在は響達と一緒に下校していた。

途中、未来の話に顔を赤らめた響を見て、憑友は首を傾げたのだが、

響の思考は完全に別の所に行っており、その理由を知るのはまだ先であった。

 

因みに憑友のアブソーバーは既に改修がなされており、

現状では唯一の《精魂導師》として存在していた。

 

そんな中、今日の授業の話になっている中、響は先日の騒動の話を思い返していた。

 

それはマリアが発した言葉が引っ掛かっていた。

 

憑友は響の今の状態に少しばかり知っていた。

憑友はその会話には交じってはいないのだが、

彼の身の回りの事を世話しているユル〜い幽霊ことユルセンがその時の話を霊体化して話を聞き、そして憑友にありのままの事を伝えていたのだ。

 

響の浮かない顔を見た憑友。

するとふと視線を逸らすとそこには白髪となりて、死んでいる人の姿を目撃した!

それに気付いた皆。

そして響は何かを感じたのか前の視線を見た。

其処には青のイメージカラーのゴスロリ衣装の少女…

 

オートスコアラーのガリィが其処にいた。

 

ガリィは響を戦わせようと翼達のギアを分解させたノイズ…アルカ・ノイズを生み出すジェムを放り投げ、そしてアルカ・ノイズを生み出した!

それを見た憑友と響は変身しようとするが…!

 

ー…ー

 

「‼︎変身出来ないだと⁉︎」

 

「唄えない…

胸に『聖詠』が浮かばない…!」

 

此処に来て最大のピンチが…2人に襲いかかった…!




《ランベント・カリバー》
アンデッドが見せた『FUSION DRIVE』のパターンの1つ。

SAOキャラにして、ヒロインの【閃光】アスナと、
ディバインゲートの中枢人物・【聖王】アーサー。
2人の『英雄』の力を宿している。
アスナのスピードと、アーサーの一撃の重さを兼ね備えた〔光〕属性の戦士。
先端が尖っている不思議な大剣…ランベント・カリバーを使用する事が出来、
グリップを回す事で、細剣モードと大剣モードの2つに切り替えられる。

次回

亀裂と罅


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♪10 亀裂と罅

お待たせしました。今回は4話前半部分です。
そしてボーンのパートナー『英雄』の力…権限です


その頃、マリアは1人で先の事変の事を思い返していた。

 

それは当時のマリアがセレナが死んだと思い込み、ナスターシャからお守り代わりとしてセレナが装着していた『アガートラーム』のギアペンダントを渡された時の思い出に浸っていた。

昔は死んだと思っていたセレナ。

しかし今はちゃんと生きている…自分の直ぐ近くで、着々と。

 

「強く…

 

…!」

 

すると突然、アラートが鳴り、そして近くの映像からアルカ・ノイズ出現の情報との報せが!

 

するとマリアの妹兼マネージャーのセレナが駆けつけた!

 

「マリア姉さん!」

 

「行くわよ、セレナ!」

 

「ええ!」

 

そして姉妹は指令室の方へと向かった!

 

ーーーーーー

場所を戻し、現在。

 

響と憑友は《オートスコアラー》の1人・ガリィと鉢合わせになる。

 

戦おうとするが、響は『聖詠』が、

憑友はシステムによって変身・装着する事が出来ない状態になっていた!

 

そんな2人の様子を、S.O.N.G.のメンバーは驚愕していた。

 

そんな中でもガリィ率いるアルカ・ノイズはそんな時間をくれる訳が…

 

『…』

 

「…襲って…来ない?」

 

…ありました。

 

そんな中でガリィは元からの性格であるその性根の腐った考えを示そうとするが…

 

「あぁ〜もう。まどろっこしいな!」

 

「⁉︎…詩織さん⁈」ビクンッ⁉︎

 

突然、詩織の発言にビビる憑友。

他の皆もその発言に驚く。

そんな中でも詩織はガリィと話をしだした。

 

そんな時だった!

 

「ガハハハッ!

お嬢様系のあんたからそんな言葉が出てくるなんてな!」

 

「!…お前は…⁉︎」

 

「?…あらまぁ♪」

 

其の場所に更にロックを倒した戦士・ボーンが現れた!

 

「それにしても…まさか対象が纏えない、唄えないとはな…。

俺としては大誤算だけど…そんな事は関係ないな。

此処は俺のテリトリーだ。

人様の庭で遊んでんじゃねぇよ、雑音擬き!」

 

そう言うとボーンは左腕にアブソーバーを装着し、そしてあるカードを装填し、レバーを引いた!

 

ーボーン!フォーム、牙王‼︎ー

 

するとボーンの隣から小学生くらいの身長の少年の魂が現れた!

それを見た憑友。

だが、それ以前にあるカードが憑友の前に現れた。

 

「牙王!お前なのか⁉︎」

 

「ドラム?」

 

それはドラゴンの姿をしたモンスター型の『英雄』…

 

【番長の相棒(バディ)】ドラム・バンカー・ドラゴンだった。

 

するとボーンはその少年の魂を纏った!

 

ー太陽番長!此処に在り‼︎ー

 

そして纏ったボーンはその学ランを反対に着用し始める!

 

「炎で闇を焼き尽くし、光で誰かの心を照らす…

 

 

 

太陽番長、此処に在り! 」

 

そしてその学ランの中心に太陽のマークが現れ、そして勇ましさを発揮した!

その姿はまさに漢の中の漢…番長そのものであった…!

 

「これが、俺のパートナー『英雄』…

【太陽番長】未門牙王だ!」

 

そう言うとボーンは左腕のアブソーバーからパネルボタンを押した!

 

ードラゴグレイブ!ー

 

するとボーンの目の前から龍の模様が刻まれた大剣が現れ、それをボーンは右手に持った!

 

するとボーンはそのまま響達の元を素通りするなり、

 

ザクッ!

 

『⁉︎』

 

なんとその大剣でアルカ・ノイズを斬ったのだ!

 

「!…如何して俺達を助ける…?」

 

憑友の言う通りであった。

弦十郎の話を聞いた際に、彼は敵であると言う結論が出たからだ。

現に、憑友のライバル兼仲間であるロックを倒した実力を誇っている。

そんな相手が何故自分達を助けるのか。

メリットなど無い筈と思っていた。

だが、ボーンはこう言った。

 

「弱き者を守らない。それは番長の暗黙のルールに反るからな。

力無き者の盾になり、矛になる。

それが番長の名を刻んだ者達の性って言うもんだ!」

 

そう言いながらボーンはそう言った。

その時、仮面越しではあるが、はっきりとそのものが朗らかな目付きをしていたのは間違い無かった。

番長の鑑そのものであった…!

 

そうしているとボーンが「此処は俺に任せろ」と言ってきた。

それを聞いた創世達が響達の手を繋いでこの場から去る!

 

「…ちっ。つくづくそう言うのが気にくわねえんだよ!」

 

ガリィはそう口答えする。ガリィとはこういう性格なのである。

短期で尚且つ性根が腐っているのである。

 

だが、そんなガリィは不適な笑みを浮かべた。

それを見たボーンは「何が可笑しい?」と言った。

それと同時に、響達の逃げた先から爆発音が聞こえた!

 

「⁉︎まさか!」

 

「私()()()()気を取られすぎじゃないですか〜?」

 

ガリィの一言でボーンは気付いた。

アンデッドの所にいたオートスコアラーは2人一組で来ていた。

そして先日の自分もオートスコアラーは2人一組。

 

つまり、この場にオートスコアラーが1()()()()()事など…最初から無かったのだ!

 

「…何処までも性根が腐ってやがる‼︎」

 

「お褒めに預かり光栄ですよ〜♪」

 

そう言いながらガリィは瞬時に水へと変化し、ボーンからすり抜けた!

 

「しまった!」

 

それを見たボーンは急いでガリィの後を追いかけた!

 

ーーーーーー

一方、先程の爆発音があった場所には憑友達が立ち往生していた。

何故なら前方にアルカ・ノイズを従わせた騎士甲冑姿のオートスコアラーが其処にいたから。

 

「此処から先へ通りたければ、シンフォギア装者と《炎の導師》を置いて立ち去れ。

さすれば、力無き者達を見過ごす事が出来る」

 

「…つまり、俺と響が此処に残れば、未来達に被害を与えない。と言う訳だな」

 

「左様。

私は『騎士』のアルカナを持つ者故、例え同胞であろうと、キャロル(マスター)であろうと、

我が"騎士道精神"の名に置いて、今此処で誓おう」

 

そう言いながら腰に携えていた剣の矛先を憑友達に向ける…!

 

「…お前も…《オートスコアラー》なのか?」

 

「如何にも。

我が名はジィス・パライスン。

先も言ったが、『騎士』のアルカナを所持するオートスコアラーだ。

だが、『騎士』としての加護を持っている。

私以外の姉君や妹君。そして我らが王とマスターは殺戮の限りを尽くす。

だが、私は儚い命を散らす事を拒んでいる謂わば欠陥品。

だから、私は他の皆からこき使われている。

だが、それでも…

生まれたばかり…育ち始めたばかり…成長し始めたばかりの命を落とすような事は決してしない!

それが我が生きていると言う証なのだから!」

 

「お前…

(このオートスコアラー…義理人情が厚い。まるで『英雄』達のようだ)」

 

そう思った憑友。だが、現実は甘くは無かった!

 

「駄目じゃないですか〜♪

勝手な事をするとマスターに叱られるのは私なんですから〜♪」

 

「ガリィ⁉︎」

 

「くっ!追いつかれたのか!」

 

そして周りには大量のアルカ・ノイズ。

左右を其々のオートスコアラーが囲まれたまるで柵。

 

するとアルカ・ノイズの一体が、響に攻撃を仕掛けた!

 

響はそれをギリギリで躱す…が、その反動でギアペンダントを遠くへ飛ばしてしまった!

更には憑友のアブソーバーも使用不可能。

手持ちにあるアイテム『現界ブースターβ』も所持していない。

絶対絶命の大ピンチ!

するとその近くの道路から一台の黒い車がスピンしながら止まり、其処から緒川が出ると、助手席側と後部座席側のドアが勢いよく開くと、其処からセレナとマリアが現れた!

 

「!セレナ義姉さん!」「マリアさん!」

 

「っ!」

 

するとマリアは響のギアペンダントをキャッチし、セレナとアイコンタクトをすると同時に『聖詠』を詠った!

 

「Granzizel bilfen gungnir zizzl…」

 

「Protecs aigis wel raizen tron…」

 

すると2人はギアを纏った!

マリアはかつて『武装組織"フィーネ"』として来ていた黒いガングニールをマントを取り除いた姿で。

セレナはその容姿とは裏腹に頑丈な鎧を纏った姿で現れた!

 

(挿入歌『烈槍・ガングニール』日笠陽子)

 

すると2人はギアを纏いながら、アルカ・ノイズを葬っていく!

 

アルカ・ノイズ達はまず先にセレナの方のギアを分解しようと触手を伸ばす!

その攻撃に対してセレナは両手でガードする!

すると腕に備えられていた半分に斬られていた盾型の籠手が1つとなって、巨大な一枚盾になった!

 

"PRADIN ガーター"

 

そしてノイズ達の攻撃が盾にヒットし、ガリィは不適な笑みを浮かべるが、何も起きていない事に驚愕する!

 

「何で分解されない⁉︎」

 

「セレナのギアは『生粋の防御特化型』シンフォギア。

生半可な攻撃じゃ、分解すら出来ないわ!はぁ!」

 

そう言いながらマリアは槍型アームドギア《GG(ガングニール)ランス》を巧みに動かしながら、アルカ・ノイズを葬って行く!

 

一方、その頃セレナは『騎士』のオートスコアラー・ジィスと相対していた。

 

「貴方の相手は私よ。

可愛い弟と、その幼馴染に手を出したんだから。それなりの覚悟をして欲しいんだけど…」

 

そう言いながらセレナの視線はジィスを捉えていた。

まるで家族を重んじる姉そのものであった。

だが、ジィスは剣を納刀し、槍を背中に取り付けた!

 

「逃げるの⁉︎」

 

「左様。騎士とは言え、家族の事を大事にする様な輩を、

家族の目の前で殺そうなどと毛頭も無い。

何よりも、私のこの騎士としての性を揺すぶる相手では無い」

 

その話を聞いたセレナは絶句した。

自分では相手にならないと。

するとジィスが「だが…」と言いながら付け加えた。

 

「貴殿の様に、"誰かを守る"と言うその行い…

敵である私だが、敢えてこう言おう…

 

"敵ながら天晴れ"であると」

 

「!」

 

それを言うとジィスは先日のファラが使用していたテレポートジェムを地面に落として、そして術式が現れるとそのまま一礼する。

その直後に消え去った…

 

結局セレナの戦いは事なきを得た。

そしてセレナはマリアの方を向くと、何とマリアが押されていた!

 

ガリィの攻撃が目の前に迫りそうになり、マリアはピンチになる!

すると、

 

「駄目ぇぇぇ‼︎」

 

何と盾をホバーボートのようにして高速移動する技"QUICK ドライブ"を用いたセレナがマリアを退ける!

それと同時に、セレナのギアに、ガリィが生み出した氷剣がダメージを与え…

 

 

キィィィンッ!

 

そしてセレナの纏っていたギアが分解を始め、そして終えると同時にセレナは裸体となり、そのまま倒れてしまった。

それに気付いたマリアだが、ガングニールの負荷に耐え切れ無くなり、そのまま変身が強制解除された。

だが、それでもセレナの所へ向かう!

 

「セレナーーーーーー!」

 

「ちっ。予定が狂ったけど…まぁ良い」

 

そこに遅れてやってきたボーンがその光景を目の当たりにした。

 

「!…遅かったか!」

 

「あら〜♪噂をすれば…!」

 

「!あれは…!」

 

そしてボーンの存在に気付いた緒川は拳銃を取り出し発砲しようとすると、詩織達に止められた!

 

「彼は私達を此処まで逃がしてくれたんです!」

 

「えっ⁉︎」

 

そんな会話の最中、ボーンは右手を握り拳のように握り潰していた。

まるでそのまま手の甲ごと指だけで貫通させるんじゃないのかと言われるぐらいの握力で。

 

「貴方には関係無い子t「黙れ」あ?」

 

「黙れって言ってんだろうがーーーーーー!」

 

するとボーンは左腕のアブソーバーから1つのパネルボタンを押した!

 

ーサンシャイン・ナックル‼︎ー

 

するとボーンの右腕が巨大な籠手に覆われた‼︎

手の甲には太陽のマークがあしらった装飾品が飾られ、

真っ赤に燃える様な赤いカラーリングだった!

 

「来い!【太陽番長】の新たなバディ!」

 

するとボーンは左腕を天に向けた!

 

ーコール‼︎ー

 

すると太陽の所から何かが落ちて、そして衝撃波が発生した!

 

そして其処には…

 

赤く煌めく6つの羽。猛々しい二本の双角。

所々に白い鎧があり、そして額にはゴーグルらしき物を着用した竜が其処にいた…!

 

「頼んだぞ!バルドラゴン!」

 

ボーンはそう言うと竜は雄叫び…

 

「頑張るバルゥゥゥ‼︎」

 

…喋ったのだ。

 

『ドラゴンが喋ったーー⁉︎』

 

その様子を見ていた創世達は驚きながら叫んだ!

弓美に至っては「アニメじゃないんだからー⁉︎」と最早お約束の台詞を言っていたのはこの際如何でも良い話である。

だが、憑友についている『英雄』にして、モンスター…ドラムバンカー・ドラゴンの顔は浮かなかった。

 

そうしていると、ボーンは左腕のアブソーバーについてるドライブボタンをその巨大な籠手で叩いた!

 

『ボーン・牙王!フルドライブ!』

 

「"必殺(ファイナル)フェイズ"!」

 

するとバルドラゴンの身体に変化が生じ始めた!

 

「頼むぞ!バルドラゴン!

 

 

"必殺コール"‼︎」

 

「バル!超頑張る‼︎」

 

するとバルドラゴンの身体に付いていた鎧が弾けとぶ!

 

すると頭上には既に鉄の塊らしき物体が滞空、するとバルドラゴンは胸に刺さっていた剣を抜くと、そのままその鉄の塊にその剣を刺した!

 

すると鉄の塊が巨大で長いハンマーへと変化した!

するとバルドラゴンはそのまま勢いよく回転し始める!

 

「いっけぇぇぇ‼︎」

 

「うおおおお!

 

 

 

"バル・バースト…スマッシャー"‼︎」

 

するとそのハンマーをそのままガリィに向けて放つ!

 

それを見たガリィは慌てながら、テレポートジェムを落として緊急テレポートでこの場から去った。

そしてそのハンマーの一撃はとてつも無い威力を発揮させた!

だが、対象がいなくなった為、衝撃波だけで事無きを得た。

だが、その衝撃波だけで、道路に亀裂が入り、下手をすれば崖を作りかねないぐらいの威力を誇っていたのは言うまでも無い。

 

するとバルドラゴンは対象がいなくなった事で元の姿…では無く、小さな姿…SDサイズでへたり込んだ。

 

「疲れたバル〜」

 

するとボーンが隣に現れ、バルの頭を撫でた。

 

「良くやったな、バル!

これからもよろしく頼むな!」

 

「!勿論バル!」

 

そう言うとバルドラゴンと呼ばれた竜は光の粒子となって消えた。

するとボーンはそのまま立ち上がり去ろうとするが、その前にセレナに来ていた上着を被せた。

 

「!セレナに触らないで!」

 

マリアはセレナに危害を加えようとしていると思ったが、「勘違いするな」とボーンに言われ、大人しくなる。

 

「こんな姿で辺りをうろちょろしてもらうのは好かねえんだよ。

今回はお前達を助けた。だが、勘違いするな。

俺は『リベレーション』…お前達で言う"第3勢力"その者だ。

そして俺達の目的は…

『英雄』の力を奪う事。シンフォギアを破壊する事。

そして…未来(あす)を導く事。

その事を忘れるなよ…!」

 

そう言うとボーンは立ち去る。その時、突然砂嵐が吹き、そして止む頃には其処にボーンは居なくなっていた…

 

 

そしてその場に残った一同の心境は浮かない顔だった。

 

セレナのギアは分解され、響は聖詠を唄えず、マリアは負荷の影響で内面的に傷付き、そして唯一の導師である憑友は何1つ役に立たずに地面に拳を叩きつけた。

 

そしてマリアは皆の元に歩き、怪我が無いか心配しつつ、響にガングニールを返そうとすると響が条件反射でそのままギアを取り上げる。

 

「私のガングニールです!」「響⁉︎」

 

「これは、誰かを助ける為に使う力!

私が貰った…私だけのガングニールです!」

 

「…」

 

その話を聞いた憑友は響の隣に立ち、そして肩に手を置く。

そして…響が憑友の方に振り向いた瞬間…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パシィンッ!

 

「…え?」

 

響の頬にビンタした。憑友の行動に驚く皆。

 

「女に手を上げたくは無かったが…」

 

そう言うと憑友は響の手にあるガングニールのギアペンダントをマリアに返したのだ!

 

「如何いうつもりだ?」とマリアが言うと憑友はこう言った。

 

「今の響はガングニールを持つ資格なんてありません」

 

「‼︎⁉︎」

 

「だったら、例え傷付いても、戦える人の方がガングニールは応えてくれる。そう判断した次第です。

今の響の状態に、ガングニールは応えてなどくれない。

寧ろ、拒絶されるのがオチ。

なら、マリアさんが使ってくれていた方がガングニールも安泰でしょう」

 

そう言いながらマリアの手を持つとギアを無理やり手渡す憑友。

すると憑友は響に向けてこう吐いた。

 

 

「この先、綺麗事でなんとかなるとか思うな。

そんなのは、『英雄』達が成せる業だ。

そんな甘ったるい事は今すぐに消しておけ。

そうしないと、お前…戦場で死ぬぞ」

 

「!」

 

そう言うと憑友はそのまま皆に一礼するとそのまま帰宅の途へとつく。

言い訳したかった面々だが、先の憑友の発言で思うように話せなかった。

 

「…憑友君」

 

「緒川さん。弦十郎師匠にもこの事をよろしくお願いします。

此方が許可するまで、響にガングニールを纏わせないでください」

 

「…分かりました」

 

それを聞き入れた緒川にも一礼すると、憑友はたった1人でその場を後にしたのであった…

 

そして響は憑友からビンタされた方の頬に手を添え、そして何故自分がこんな事になってしまったのかを考え込んでしまったのであった。

 

それ以来、憑友と響が会話する事は無くなった。

S.O.N.G.の方でも…学校の方でも…部屋にいても…

 

一言も会話する事は無かった。

 

…あの日までは。




【太陽番長 未門牙王】
ボーンのパートナー『英雄』で、憑友の『英雄』のドラゴン…ドラムバンカー・ドラゴンの『元』バディファイター。
義理人情に厚い性格で、誰とでも友達になろうとする小学生番長。
その身に宿りし熱き魂はまさに太陽の如く、誰かの心に光を照らし、闇を葬る炎を噴き出す…!

次回

『鏡』の力〜9人目のシンフォギア装者〜

少女は思う…大切な友を守る為に…!


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♪11 『鏡』の力〜9人目のシンフォギア装者〜

あの子…ヤンデレ娘さんが活躍します…。



その頃、緊急テレポートを行ったガリィは、キャロル達のアジトに戻ってきていた。

 

「ガリィ…」

 

「そんな顔しないでくださいよ〜!

碌に唄えない奴と、歌っても大した事無いんですから〜!」

 

「…だが、良くやった方だな。ジィスから報告を受けている」

 

「そう言えば…あの騎士道馬鹿!私を置いて逃げやがって!」

 

「逃げたのでは無い。戦略的撤退だ。性根腐ゴスロリ」

 

そんな2人の会話を割って入るかのように、唯一の男性型《オートスコアラー》…レグルスが現れた。

 

「げっ。会いたく無い奴が嫌がったよ…」

 

「ふんっ!『聖杯』の分際でよくもまぁその減らず口が叩けるものだな」

 

「そんな事よりもジィスはどこ行きやがった⁉︎」

 

「彼奴は休暇だ。欠陥故に息抜きも必要なのだ。

それに我が臣下を過労で倒れては困るのでな」

 

「マスタ〜」

 

「俺が自ら頼んだのだ。

彼奴はミカとは対照的に防御特化型の《オートスコアラー》

傷付いた身体を治すのに必要なエネルギーを賄う為には色々と手間がかかる。

だが、それ故にありとあらゆる戦況に置いては有利不利がない万能さを誇っている」

 

「ふっ。流石、我が神(マスター)。見事な采配ぶり。

趣味の1つでも合えば、喜びに浸りたいものよ」

 

「…ちっ。これだから、王様は嫌いなんだっつうの」

 

そう言っているとキャロルが次の命令を繰り出した。

それは、響のガングニールを分解せよとの事だった。

そして自分達の目的…"レイラインの解放"を進めよとの事だった。

 

するとキャロルはガリィに、「今回は戦闘特化型のミカを連れて行くと良い」と言ってきた。

 

「良いゾ!」

 

「そっちに言ってんじゃねぇ!」

 

「お待ち下さい、マスター」

 

「…ちっ。漸くかってんだ…ジィス」

 

するとキャロル達の会話の中、ジィスが現れた。

ガリィは先のジィスの行動に苛立ちを隠してはいなかった。

 

「ミカを連れて行くのなら、私もお役に立てるかと」

 

「…そうだな。ガリィ。2人を頼むぞ」

 

「…はぁ〜い…(私はお守りかよ…ちっ!」

 

「聞こえていたぞ。ガリィ」

 

「⁉︎…じょ、冗談ですよ〜もう〜♪」

 

「では、ミカ様。ガリィ様。行きましょうか」

 

「分かったゾ!」

 

そう言うと3人はアジトを後にした。

 

ーーーーーー

 

一方、響は憑友からのビンタを受けた事と、そして自分の不甲斐なさに心を痛めていた。

そんな中でもやはり響の側には彼女がいた。

 

「眠れないの?」

 

響と憑友の幼馴染…未来だった。

大事な存在。だけど、その関係を一度は壊してしまうも、仲直りして、

そして助けたいとそれぞれの想いが交錯と言う形で戦った事もあった。

けれどもやはり響にとっては未来は大切な幼馴染で、そして帰ってくる場所…『陽だまり』である。

 

未来に言われ、「うん」と言いながら響は今回の事を話した。

 

唄えない…

この手で誰かを傷付ける事がとても怖くて、自分の弱さで皆んなを巻き込んでしまったと言う事を。

そして、今を思えば、そんな弱い心を持ってしまった自分に見切られたのだろう。憑友がビンタと言う形で響との絆を断ち切られた。

 

そんな自分の事を悔やむ響。

そんな響の拳を未来は両手で優しく包み込む…

 

「私は知ってるよ。

響の歌は誰かを傷付ける物じゃないって事を…

きっとそれは1番近くにいる憑友もそれは1番良く知っているよ」

 

「憑友も…」

 

「うん。だって、憑友…『響の歌があるから今の俺がいるんだ。

響の歌は俺に生きる希望を与えてくれるんだ』って、前に言ってたんだ…」

 

「!…憑友が…」

 

「私と憑友は信じてる。

響の歌は、拳は、誰かと手を繋ぐ為の物だって事を…」

 

「未来…ありがとう」

 

そう言いながら、2人は就寝した。

 

ーーーーーー

そしてリディアンでは未来と創世達で昼食を取っていたが、そこに憑友と響の姿は無かった。

響は課題をしないといけないと言って、教室に残っていた。

普段は授業に追いつくだけでも一苦労で、「好きな食べ物はごはん&ごはん!」と言って良い程、花より団子な響。

そんな響が課題にのめり込んでいるとなると、先の戦いでは相当重症と見て、間違い無かった。

するとそんな彼等の所に憑友がやって来た。

 

「!ツッキー…」「憑友…」

 

創世達から言われる憑友。

すると未来にギアペンダントを渡してきた。

 

「これは…」

 

「ガングニールのペンダント。

…俺だって、あんな事はしたくは無かった。

けど、俺は今の彼奴から放たれる歌に、心が踊らないんだ。

今迄は彼奴の歌を聴いたから此処まで生きてこれた。活力を誰よりも多く貰えた。

けど、今の響の歌には俺の心には届かない…」

 

「…つまり、今の立花さんの歌では自分はもしかしたら…」

 

「恐らく…あの世だな」

 

そう言いながら響の事を話す憑友。

話を聞いた創世達は消沈する。

 

「だが、彼奴はすぐに見つけ出せるさ。

 

"己が唄う理由"をな」

 

「"響が唄う理由"…?」

 

「その鍵を俺は持っていない。

持っているのはただ1人…未来だけなんだ」

 

「私だけ…?

私が響が唄う理由を取り戻せる鍵なの?」

 

「」コクンッ

 

そう言うと憑友は席から離れて、手を振りながら後を立ち去った。

 

その日、憑友とリディアンで会う事は無かった…

 

ーーーーーー

一方、S.O.N.G.の方では、前回襲撃してきたオートスコアラーと、第3勢力『リベレーション』に関する情報が流れ、エルフナインとサモンが説明した。

因みにあの後、霊風達も回復し、今はこの場に憑友以外の導師達が全員いる。

 

「響さん達の前に現れ強襲したガリィとジィス。

クリスさんが戦ったレイアとシィバ。

イギリスにて翼さん達と相対したファラと唯一の男性型のレグルス。

そして未だ姿を現していないミカとジュエルの8体が、

キャロルのオートスコアラーになります」

 

「此処からは私が話を進めるわ。

第3勢力『リベレーション』の構成人数はたった3人。

私は無理やり開発研究に携われてしまい、彼等に『FUSION DRIVE』と言う、『英雄』2体の力を1つにしたシステムを構築するアブソーバーを作らされたわ。

 

…さて、経緯の話は此処までにしましょう。

 

まず、先の火災事件の際に記録された防犯カメラから映し出された映像から発見された映像には憑友君と水色の戦士が映っていた。

憑友君が戦った戦士は…

 

《氷魂導師》アヤカシ。

その名の通り、氷のような冷気をまとった攻撃を得意とするだけではなく、翼さんのような生粋の刀使いで、

『陰陽抜刀術』と呼ばれる剣技で、相手を斬る剣技を持ち合わせているわ。

それに加え、彼の元についている『英雄』達は皆、刀や剣などの生粋の剣士・侍型の『英雄』が多い事も分かったわ。

 

そして次に先の件にて憑友君が、

火災の件でロック君と相対したのは…

 

《地魂導師》ボーン。

此方は逆に己の拳で戦う拳闘士(グラップラー)タイプ。

それに、義理人情に厚い性格でもあるわ。

現に彼が監視に着いた時は色々とお世話になったわ。

そして彼のやり方は以前の憑友君と響さんの格闘データとよく似た戦い方をしてるのが特徴です」

 

「つまり、憑友君と響ちゃんと関係深いと言う事ですか?」

 

「恐らく。

 

…さて、最後の1人。

《雷魂導師》アンデッド。

 

…『リベレーション』のリーダーだと言っていました。

故にその実力は先のイギリスでも、証明しています」

 

そう言いながら、サモンはライブ会場内のカメラを見てみると、そこにはアンデッドが霊風と零,陰陽兄弟4人を相手に圧勝していた。

 

「彼の特徴は雷を扱う事と、"魔法"に関する攻撃系統には強いと言う事も分かってます。

彼が扱う魔法の殆どは"詠唱付き"ですが、その詠唱文は長くても2,3行ちょっとしかないだけの物ばかり。

大半は詠唱無しでバンバンと放ってくるので迂闊に間合いに入り込みにくいのが特徴です」

 

「此奴らが…」「俺達の敵…!」

 

「人形遊びに付き合わされてこの体たらくかよ…!」

 

「おまけに導師の名を持つ者同士が戦う羽目になるとは…!」

 

そんな話をしていると弦十郎がこんな事を言った。

 

「そこで、エルフナイン君とサモン博士から立案が出た」

 

その話を聞いた皆は2人に視線を向ける。

すると映像にはある文字が書かれていた…!

 

「プロジェクト・イグナイトと、イグニッション・カインドプログラムだ」

 

ーーーーーー

その頃、響と未来は2人きりで帰路へと着いていた。

 

だが、そこに7体目のオートスコアラー・ミカが現れ、2人は急いで人気の無い場所へと向かって走り出す!

 

そして逃げた先でアルカ・ノイズの攻撃を受けた階段が分解され、そこを渡っていた響は下に落っこちてしまう。

そんな中で未来は響を助けようと動こうとした時、突然後ろからの気配を感じて振り返るとなんと既にジィスが待機していた!

 

「…また貴方ですか。

私達はシンフォギア装者だけが目的でなので、貴方は此処から立ち去りなさい。

さもないと、アルカ・ノイズ達が貴方を襲いにかかりますよ」

 

そう言いながらジィスは未来をこの場から逃がそうとするが、

未来は「嫌です!」とはっきりと言い切りながら、述べ始めた。

 

「例え、シンフォギア装者じゃなくても、私は…

私は、響と憑友を守るんです!」

 

「…真性の愛が成せる業。

…そうか。私が欲していた存在は此処にいたのか」

 

そう言うとジィスは未来の喉元に槍を突き付ける!

 

「ならば、その愛を抱いて溺死しなさい」

 

ーーーーーーSIDEto未来

 

「⁉︎未来ーーーーーー!」

 

響の声が聞こえる。

私はこのままやられるの…

 

ううん。違う…!

私はまだ生きたい!

生きて、響と…憑友と…3人で明日を生きるんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーそれが貴方の愛なのですねー

 

 

 

 

 

え?

 

 

ピカァァァンッ!

 

「⁉︎なんだこの光は⁉︎」

 

「眩しいゾ〜⁉︎」

 

「未来⁈」

 

眩しい…!

 

ーーーーーー

 

…此処は?

 

「此処は禊の間です」

 

…貴方は一体…?

 

「かつて、貴方は歪みし鏡の誘惑に負け、そして後一歩の所で大切な親友を殺すところでした。

けれど、今の貴方は歪みし鏡の誘惑なぞ、全く持って通用しないでしょう。

そこには真性の愛があるから」

 

 

「貴方にならこの鏡を持つに相応しい。

かつての貴方の借り物の力。

だが、今度からはこの力は貴方と共にいます。

その愛を忘れないで下さい…小日向未来。

歪みし鏡…神獣鏡(シェンショウジン)のシンフォギア装者よ」

 

私が…神獣鏡の正統な適合者…

 

そう思っているとあたりがキラキラと光の粒子となって消え始めた!

 

 

!待って!貴方のお名前を!

 

「名乗る者でありませんよ♪

ただ、強いて言うならば…

私は一国を納め、女王として崇められた『倭の国の王』。それが私なのです。

 

 

小日向未来。貴方のその思い…忘れないで下さいね」

 

…はい!

 

ーーーーーーNO SIDE

 

そして光が収まり、そして未来は首にぶら下げていたある物を取り出した。

 

それはつい先日、憑友からプレゼントとして貰ったペンダントだった。

だが、それを見たジィスは目を見開いた。

 

「まさか、此処にもシンフォギアが⁉︎」

 

そうしていると未来は目を閉じ、そしてペンダントを握り締め、そして…『聖詠』を詠った…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Rei shen shou jing rei zizzl…」

 

 

 

 

 

 

 

そして光が放たれると、未来の身体を、シンフォギアが纏い始めた!

 

そして変身を終えると、そこにはかつてウェルの企みにより、操られていた時の未来の姿が現れた。

 

だが、その瞳のハイライトは消えてはいない…!

 

「っ!」

 

すると未来はすかさず下に降りて、響をお姫様抱っこの形でこの場から離れようとする!

 

「あ!待つんだゾ‼︎」

 

「まさか、あの少女もシンフォギア装者だったとは…‼︎」

 

ーーーーーー

一方その頃、S.O.N.G.の方では先の未来の変身の事も伝わっていた!

 

「アウフヴァッヘン波形を感知!」

 

「照合パターン…出ます!」

 

そして映像には『SHEN SHOU JING』と書かれていた。

 

「神獣鏡だとっ⁉︎」

 

「装着者は…未来ちゃん⁈」

 

「⁉︎」

 

なんと、未来がまたシンフォギアを纏っている事に驚く一同。

近くにいたナスターシャもこれには驚くばかりであった。

 

神獣鏡はフロンティアを浮上する際に必要な聖遺物。

だが、それはかつての自分達の起こした《フロンティア事変》の時に消失したと思っていた。

だが、未来が今…その神獣鏡のギアを纏っているのである。

 

そしてS.O.N.G.から離れ、とある場所。

其処では憑友がシンフォギアの鼓動を感じた。

 

『どうやら神獣鏡が起動したようだ』

 

「神獣鏡…未来なんだな。

…行かなきゃ!」

 

そう言うと憑友は急いでその場所へと急行した。




その身に纏いし力…かつてはその誘惑に負けたその心。
だが、彼女は今、その誘惑に負けない…!
胸の奥に宿りし『真性の愛』が鏡の力を引き出す事を信じて…!
by『倭の国の王』

又の名を…『卑弥呼』


次回

ガングニール再び/雷の裁き

連投するので、よろしく!


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♪12 ガングニール再び/雷の裁き

前回
新たなオートスコアラー・ミカと遭遇した響と未来。
さらに逃げ込んだ場所ではジィスが待ち構えていた。

そんな最中、未来は響を信じ、憑友からのプレゼントであるペンダントを握り締め、そして歌い…
神獣鏡(シェンショウジン)を纏ったのであった…!

今回

ガングニール…復活の時!
しかし、其処に現れるのは、雷の使い手…!


響をお姫様抱っこした未来は響に…憑友から手渡されたギアのペンダントを持たせる。

そして未来は響に話した。

 

「聞いて、響。

響の歌は誰かを傷付ける為の歌じゃ無いよ!」

 

「!」

 

「伸ばしたその手も、誰かを傷付ける為の歌じゃ無い事…私は知ってる!

私だから知ってるの!

だって私は、響と戦って…救われたんだよ!」

 

「‼︎」

 

「私だけじゃ無い。

響の歌に救われて、響の手で今日に繋がっている人はたくさんいるよ!

だから怖がらないで!」

 

「未来…!」

 

そうしていると、後ろからミカが強襲を掛けてきた!

それに対応するかのように、未来はアームドギア《シェンショウジン・オウシャク》を円型に変えて、そこからビームを放つ技"閃光"を放つ。

そんな未来の言葉を聞いた響。

その瞳の奥には魂が鼓動していた。

 

「未来。ありがとう」

 

「おかえり。響」

 

「うん!

 

…私、今なら歌える!」

 

そう言うと近くの地面に降り立ち、響を下ろす。

そして響は未来から託されたペンダントを握り締めて叫びながら…

 

『聖詠』を詠った…!

 

 

 

 

 

「Balwisyall Nescell gungnir tronーーーーー‼︎」

 

 

すると響の声に、ガングニールは応えてくれた!

その証拠として、ガングニールのギアが響の身体に纏ったのだ!

 

(挿入歌『限界突破 G-beat』悠木碧)

 

「ありがとう未来。

私…この力と責任から逃げてきた。

だけどもう迷わない…だから聞いて!私の歌を!」

 

「…うん!」

 

ーーーーーー

その頃、S.O.N.G.の方でも響が再びガングニールを纏えるようになった事に皆は歓喜していた。

 

「どうしようもねぇ、バカだな」

 

「バカ故に単純なんだろうな」

 

「ふっ。流石、響ちゃんだな…!

ガングニールの後継者はこうでなくちゃな!」

 

上からクリス,ロック,奏がそう言いながら響の勇姿に浸っていた。

 

 

 

その頃、未来達の元へと駆け出そうとしていた憑友も、フィーネの波形感知を介して、笑みを浮かべていた。

 

『…どうやら、響ちゃん。吹っ切れたようね』

 

「ああ。

俺達も頑張ら無いとな…!

幼馴染2人が戦っているんだ…

 

こんな所で挫けている暇なんて…無いんだからな!」

 

そう言うと憑友は左腕にアブソーバーを装着した。

 

「行くぞ!フィーネ‼︎」

 

『胸の炎…燃やしなさい!』

 

「応よ!」

 

すると憑友はフィーネのカードを取り出し、アブソーバーに翳した。

するとアブソーバーは見る見る姿を変え、炎をあしらったフレームがついたアブソーバーに変わった!

 

ーバーニング・ライド・アブソーバー!ー

 

そして憑友はアブソーバーをスライドさせ、その下にフィーネのカードを置き、またスライドし直し、そして基本の姿(ベーシックフォーム)のカードを装填して、レバーを引いた!

 

「変身!」

 

ーライド!フォーム、オ・レ!

『FULL BURST IGNITION』!ー

 

そして走りながらアブソーバーから現れた魂を纏った!

 

ー英雄の魂!オレに宿れ!

灼熱,炎拳,バーニング・ヴォルケーノ‼︎ー

 

するとそのまま憑友は跳躍し、背中から炎の翼を広げて飛翔し、響達のもとへと急いだ!

 

その様子をこんな雨模様の中で呑気に屋外で読書していた輩がいた。

 

「…ようやくと言った所か」

 

そう言いながら本に栞を挟んで閉じる青年。

トパーズのような瞳。黄色のちょっと変わった稲妻模様の癖毛が特徴で、

黄色のベストを着用していた青年。

 

「ひと暴れしますかね」

 

そう言うと青年は指を天に向けた。

すると突然そこへ雷が落ちてきたのだ!

そしてそのまま雷は青年に直撃した!

 

だが、青年の立っていた場所には青年は居なかった…!

そして地面にも雷で焦げ付いた跡は一切無かった…!

 

この青年…まさか…⁉︎

 

ーーーーーー

 

その頃、響と未来は同時に頷いて、激闘を繰り広げていた。

響は戦闘特化型のミカを、未来は防御特化型のジィスを筆頭としたアルカ・ノイズを殲滅していく!

 

そして2人は其々の相手と激闘を繰り広げる!

 

そんな中で未来はジィスと戦いやすい場へと移動し始めた。

そんな未来の行動を察したジィスはそのまま未来の後をついて行く。

 

そして2人が相対し出したのは、今いる場所の屋上だった。

 

「此処で貴方を打ち倒します!」

 

「っ!」

 

そう言いながら、2人の攻防は始まる!

だが、未来ははっきり言って戦闘経験は無いど素人。

相手の攻撃を受け流すだけで精一杯だった。

 

だが、それを察したジィスは敢えて得物である槍と剣,そして盾さえも放棄した!

その様子を見た未来は警戒する。

するとジィスは背後に手を回し、そこから一対の弓矢を構えた!

 

「私は、剣・槍・弓を扱う《三騎士》の力を持っています。

しかしながら、私は先程の行動の通り、接近して攻撃を繰り出す脳筋型。

弓矢を用いる事は無いです。

しかし、それでも…

私は貴方のその想いを込めた一撃を貰いたいのです」

 

「なら、今度はこっちが本気で行くよ!」

 

「臨む所です!」

 

そう言うと未来は接近しながら、アームドギアで連射し始める!

その攻撃をジィスは正確に射抜く!

その正確さは、ロックのパートナー『英雄』であるアーチャーや、憑友の『英雄』である衛宮と互角と言っても過言では無かった。

 

その間にも未来は接近し、その隙を作らせてしまったジィス。

そして一撃を与えようとした…その時だった…!

 

 

 

ビガァァァァァァ‼︎

 

 

 

「!きゃあぁぁぁぁ‼︎」

 

「⁉︎小日向殿⁈…うわぁぁぁぁ‼︎」

 

ーーーーーー

その声を聞いた響は戦いを中断し、上に行った自分の幼馴染(未来)に異変を感じたが、

 

「余所見は禁物だゾ!」

 

「!ぐっ!」

 

ミカがそれを阻止せんと動き出し、響は思うように動けなかった。

するとそんな2人の戦いの間に何かが落ちてきた!

 

それを察した2人はすぐにその場を飛び退ける。

そして衝撃と共に、砂煙が舞い、そして晴れるとそこにはなんと先程まで未来と戦っていたジィスが傷付いていた!

 

「!ジィス‼︎大丈夫なんだゾ⁈」

 

「ミカ様…気を付けて…」ガクッ

 

そう言うとジィスは気絶した。

そしてミカはジィスが落ちてきた方向を見ると、そこには1人の男が未来を担ぎ上げていた。

そして未来の方はギアを纏ってはいるものの、力が入らないのか、抵抗すらせず、微動だにもしていなかった!

 

「!未来‼︎」

 

「ふん。凄まじい程の魔力を感じて来てみれば、とんだクソ外れな装者と出会うとはな…」

 

そう言いながら男はそのまま未来を上空へと投げると、何処から取り出したのか、レイピアを使って、未来のギアに傷を付けたのだ!

 

その瞬間に未来が纏っていたギアが分解され、そしてそのまま未来は地面に倒れてしまった!

 

「!…未来ぅぅぅーーーーー‼︎」

 

「アルカ・ノイズの『分解』特性の加護を受けたこのレイピアは使い捨てな分、絶大だな」

 

そう言いながら男のレイピアは砕け散った。

そんな中でも未来の名を叫ぶ響。

だが、そんな響にも危機が迫っていた!

背後からミカが迫って来ていたのだ!

それに気付いた響はそのまま回転して拳をぶつけるが…

 

ジャボンッ!

 

「⁉︎」

 

「残念〜

それは水に写った"幻"」

 

そして響の真正面にはなんとガリィがいた!

ガリィは機会を窺いながら、この隙を生み出していたのだ!

 

そうしていると響の懐へミカが射出物を飛ばしてきた!

その一撃をくらった響。

それは勿論、胸に取り付けられているギアにヒットし、そして砕けた!

 

その瞬間、響のギアも分解され始めたのだ!

 

するとそのまま地面に落下した響。

 

2人のシンフォギア装者が倒れた瞬間でもあった。

 

するとオートスコアラーは目の前にいる男に警戒をし出した。

 

「…俺の事を知ってる訳か」

 

ーーーーーー

その頃、S.O.N.G.の方では青年の姿を見た霊風達は戦慄した。

 

「あの男は!」

 

「イギリスで会った《雷魂導師》!」

 

その話を聞いた弦十郎達は驚きに包まれる中、

ただ1人…サモンだけは怯えていた。

 

「サモン博士⁉︎」

 

「ライジン・V・エレクロニング。

彼には勝てない…!誰1人として…勝てない!

今迄1000を超える数の軍勢を相手にたった1人で勝利した実力を誇るのよ」

 

「けっ!たかが1000人程度だろうg「誰が1000人と言ったか!」は?」

 

「彼は、1000人程度の1つの軍勢を倒したんじゃない!

 

1()()()()()…その1()0()0()0()()()の各軍勢を相手にたった1人で勝利した男なのよ!」

 

『⁉︎』

 

その一言で皆は驚愕した。

 

たった1人で1つの軍勢を倒した実力を誇る者は多い。

それも『三国志』のような『英雄』達なら尚更強い。

 

だが、『英雄』と言えども…無数の軍勢を相手に立ち向かえる程の実力を誇る者はそう簡単にはいない。

 

だが、あの男…ライジンは人外だった。

軍勢の数…1000を相手にたった1人で挑んで、そして勝利したと言うのだ!

『英雄』の1人にして、『騎乗兵の英霊』である王の品格を持つ存在。

ライダー…又の名を【征服王】イスカンダル。人の身で王になりし猛者。

彼の必殺技もとい『宝具』…『王の軍勢(アイオニアン・ヘタイロイ)

文字通り、自らの軍勢を呼び出して、突撃する技。

それは読んで字の如く…軍勢そのものである。

 

だが、そんな『英雄』の宝具でも…きっと(ライジン)には届かないと言うのだ。

 

ーーーーーー

そんな中でオートスコアラーは男が何者なのかこの場のメンバーは知らなかった。

もし、この場にファラ又はレグルス。又はその双方揃っていれば、この者の正体は知っていたのだろう。

 

すると男はそのまま帰路しようとしたその時だった!

 

突然、上空から巨大な炎の塊が現れた。

そしてその炎はみるみると消え、そしてそこには…バーニング・ライドに強化変身した憑友が其処に立っていた…!

 

すると憑友は響と未来の姿を見て心を揺さぶられた。

 

「お前たちか…

 

お前たちが、響と未来をやったのかーーーーー‼︎」

 

その猛々しくそして荒々しい口調を言いながら絶叫する憑友。

 

それを見たミカが戦いたそうにしていたので、それをガリィが掴んで抑えつける。

そして其処に、先程傷を癒えたばかりのジィスも加わり、2人でミカを抑えつける。

今の自分達ではあの男達に為すすべは無い。

そう感じたガリィはすかさずテレポートジェムを取り出して、そのまま地面に投げ落として、そのままテレポートした。

彼等《オートスコアラー》の目的は先の戦闘で達成されたばかり。

これ以上やった所で何かが変わる訳も無かったのだ。

 

そんな中で憑友は男…ライジンに目を向けた。

 

「お前が…お前がやったのか…!」

 

「…たとしたら?」

 

「倒す!」

 

それを聞いたライジンは不適な笑みを浮かべながら、懐に忍ばせていたアイテム…マルチアブソーバーを取り出し、左腕に装着した!

 

するとライジンはベスト裏に忍ばせていた本から栞を抜き取った。

よく見てみるとそれは栞では無く、カードだった!

 

するとライジンはそのカードをアブソーバーに装填、そしてレバーを引いた!

 

「変身」

 

ーアンデッド!フォーム、ボルテクス‼︎

 

神の裁き!雷鳴,轟く‼︎ー

 

そして現れたのは、黄色で派手な雷の模様が刻まれたローブを羽織った杖と本を携えたライジンが其処にいた。

まるでファンタジー物語に出てくる魔法使いのような存在だった。

 

今まさに2人の戦いが切って落とされた!

 

この戦い…勝つのは憑友か。はたまたライジンなのか。

それとも…

 

 

次回へ続く。

 

tobecontinued…




激しさを増す両者の戦い。
だが、状況は憑友が劣勢に立たされていた…!
そして憑友の身体に異変が生じる…!

次回

黒キ炎VS白キ雷


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♪13 黒キ炎VS白キ雷

雨が降りしきる中、憑友は2人に上着を羽織らせ、そして雨に当たらず、尚且つ今から起きるであろう戦闘の激化に伴い、安全な所へと移動させた。

 

そして憑友は上半身裸のまま、《雷魂導師》アンデッド改め、ライジンと相対する。

 

「『先史文明の巫女』の技術と、己の炎。

更には《精魂導師》特有の感情の引き金《トリガードライヴ》をも発動しての応戦か。実に滑稽だ」

 

「ふざけんなよ!この力は、世界を救う為に使ってきた力なんだ!

それを侮辱するな!」

 

そう言いながら憑友は拳を振り上げながら、ライジンに攻撃を仕掛けていく!

 

だが、ライジンはその攻撃を悉く躱していく…!

そして同時に憑友にカウンターを与えていく!

 

だが、憑友はそれを軽く受け止める!

 

すると憑友はカードを取り出して、カードを装填、そしてレバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、アカネ!

聖なる扉!炎の咎人!ー

 

そしてアカネの力を纏った憑友はそのまま拳型ドライバ《イグナイト:リート》から灼熱の炎をぶつける!

 

だが、ライジンは本を開いて詠唱を始める!

 

「"来たれ、雷神の刃"…エレキスラッシュ!」

 

すると杖から雷の刃が放たれ、憑友の攻撃を相殺する!

 

その隙にライジンも憑友同様、アブソーバーにカードを装填し、レバーを引いた!

 

ーアンデッド!フォーム、アーサー!ー

 

するとライジンの隣から白い服装が目立ち、王冠と金髪で、大剣を担いだ青年の魂が現れ、ライジンはその魂を纏った!

 

ー聖なる扉!騎士達の『王』(ナイツ・オブ・キング)!ー

 

そしてライジンは大剣型ドライバ《エクスカリバー》を振りかざす!

それを見た憑友はすかさず炎のシールドを展開し、その攻撃を受け止めた。

何故回避をせずに、防御を選択したのか。

それは至極単純…その後ろに未来と響がいたから。

 

すると憑友はアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

それと同時に、ライジンもドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・アカネ!フルドライブ!』

 

『アンデッド・アーサー!フルドライブ!』

 

すると憑友の拳から灼熱の炎が噴き出し、

対してライジンは大剣から光が輝き始めた!

 

「"オース・ラヴァ"‼︎」

 

「"ホーリー・グレイル"!」

 

2人の『英雄』の必殺技(アクティブスキル)が激突した!

そして爆煙が晴れ、其処にいた2人はまだ余裕があった。

すると憑友はカードを入れ替え、すかさずレバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、サトシ&ピカチュウ!

 

幾多の冒険!黄金コンビ!ー

 

そのまま憑友はアブソーバーのパネルボタンを見た。

其処には①〜⑥までのボタンがあり、憑友は迷わず⑥のボタンを押した!

 

ーカロス・スタイル!ー

 

すると憑友は以前、ロックと共闘した際に着ていた姿へと変わった!

(詳細は無印編45.5話参照)

 

するとその姿を見たライジンは不適な笑みを浮かべながらそのままカードを入れ替え、そしてレバーを引いた!

 

ーアンデッド!フォーム…セレナ‼︎ー

 

「え?」

 

突然、アブソーバーの発生音から流れた名前に憑友は驚く。

自分の義理の姉であるセレナの名前を言ったのだから。

 

だが、アブソーバーから現れたのは自分の知るセレナでは無かった…!

 

「!セレナ義姉さんじゃない…⁉︎」

 

「?…ああ、そうか。

そっちの陣営には『セレナ』と言う『アイギス』のシンフォギア装者がいたな。

残念ながら、俺が呼んだのは、お前が今なっている『英雄』と親しい奴の方でな…!」

 

そう言うとライジンは隣に立っていたセレナと呼ばれた少女の霊を纏った!

 

ートライポカロン!ジャジャーンとオシャレ!ー

 

すると其処には赤を基調とした服装をしたライジンが立っていた。

するとライジンは腰からある物を取り出した…

それを見た憑友は目を見開いた。何故ならそれは…

 

 

「モンスターボール⁈」

 

サトシ達《ポケモントレーナー》の必須アイテム…

モンスターボールだった!

 

するとライジンはそのままボールを投げた!

そして現れたのは、狐と魔法少女のような姿をし、スカート部分に木の枝をつけたポケモン・テールナーを呼び出した!

 

「テナテナー!」

 

それを見た憑友は躊躇わずにあるポケモンが入ったボールを投げた!

そして現れたのは、蛙と忍者を合わせたかのようなスマートなポケモン…

 

「ゲッコウッ‼︎」

 

ゲッコウガを呼んだ!

 

「ポケモンバトルたるもの、

ポケモン同士を戦わせるのが流儀。

行くぞ!

テールナー!"かえんほうしゃ"!」

 

「テー…ナー!」

 

するとライジンの指示を受けたテールナーは木の枝を取り出して、その先端から火を放射してきたのだ!

 

「躱して、"かげぶんしん"!」

 

「ゲッコウッ!」

 

すると憑友の指示を受けたゲッコウガはそのまま上空に回避するなり、無数の分身を作り出した!

 

「"めざめるパワー"!」

 

「テ〜〜ナ〜‼︎」

 

するとテールナーの技"めざめるパワー"が分身ゲッコウガ達に命中していく!

そして本体も命中した!

 

「さぁ、どう動く?」

 

挑発を見せるライジン。だが、憑友は笑みを浮かべていた。

 

「これだから…バトルは面白いんだよな…!

なら!最後の最後まで!とことんやってやるぜー‼︎」

 

すると憑友のアブソーバーから光が放たれる!

 

「俺達はもっともっと強くなる‼︎」

 

するとなんと憑友の動きとゲッコウガの動きがリンクし始めた!

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」

 

その雄叫びと共に、ゲッコウガの身体に変化が生じ始めた!

それを見たライジンは、「なんだこの力は⁉︎」と驚愕の顔を見せたのだ!

 

そしてゲッコウガの姿は、先程よりも憑友が纏っている『英雄』であるサトシとよく似た姿になっていた!

 

ーシンクロ・ジェネレーション‼︎ー

 

それはサトシとゲッコウガ。

2人の『シンクロニティ』が成せる存在…

 

サトシゲッコウガに変身したのだ!

 

ーーーーーー

その様子を見ていたS.O.N.G.の面々はこの光景を見て驚きを隠せなかった。

ただ1人、霊風は冷静に判断していた。

 

「(1年前から使用していたサトシの力。

だが、サトシゲッコウガにはならなかった。

…いや、なれなかったのか。自分が当時はまだ弱いばかりに。

だが、『フィーネ』の力を得た事でそれを扱える技量を獲得したと言うのか…!

ふっ…憑友らしいな…ったく!)」

 

 

ーーーーーー

(挿入歌『XY&Z』松本梨香)

 

そしてサトシゲッコウガへと変化したゲッコウガにサトシに扮する憑友が指示を出した!

 

「ゲッコウガ!"みずしゅりけん"!」

 

するとゲッコウガは背中の巨大な水の手裏剣を持った!

その間になんと憑友がゲッコウガの動きを真似たのだ!

それも完全にシンクロしていたのだ!

 

「「ゲェェェ…コウガッ‼︎/うぉぉぉ…行っけぇぇぇ‼︎」」

 

するとその水の手裏剣はそのままテールナーにクリティカルヒットした!

 

「テナッ⁉︎」

 

「!テールナー!」

 

その手裏剣の一撃で、テールナーは目を回した。俗に言う戦闘不能である。

それを見たライジンはそのままテールナーをボールに戻し、そしてアブソーバーのカードを取り出した。

すると今度は違うカードを取り出し、装填、そしてレバーを引いた!

 

ーアンデッド!フォーム、純平!ー

 

すると隣から青と黄色を基調とした服装をした小太りな少年の魂が現れ、ライジンはそれを纏った!

 

ー「雷」、カブト、サイボーグ!ー

 

そして現れたのは、

青と黄色が特徴の巨漢なカブトムシの姿をした戦士が其処に立っていた!

 

するとライジンはそのままアブソーバーごと左の拳を地面に叩きつける!

 

「"ミョルニルサンダー"‼︎」

 

すると其処から雷が迸り、そのままゲッコウガがダメージをくらった‼︎

 

「ゲッコウガ!…がはっ⁉︎」

 

それと同時に憑友にもダメージが襲いかかった!

だが、アンデッドの攻撃は憑友のいる場所までは届いていない!

 

実は、サトシゲッコウガは、『シンクロしているパートナーにもダメージが与えられる』と言う物だったのだ!

 

それを今更ながらに気づく憑友。

だが、それでも彼は立ち上がる。

そしてシンクロしているゲッコウガも立ち上がる。

 

それを見たライジンは拳を構える。

すると憑友はボールを取り出して、ゲッコウガを元に戻し、そしてカードを抜き、元の炎魂導師の姿に戻る。

 

それを見たライジンは首を傾げるが、

憑友は今度はあるカードを差し込んで、レバーを引いた!

 

そのカードは…

 

ーライド!フォーム、タギル!ー

 

すると憑友の隣から青のインナーとゴーグルを着用した少年の魂が現れた!

だが、それだけでは無く、

なんと真反対の方から小さい生命体が現れたのだ!

 

すると憑友は魂の方を纏った!

 

ー熱血ヒーロー!デジモンハント!ー

 

そして現れたのは、青のインナーとゴーグルを着用した少年にして、"デジタルモンスター(通称デジモン)"と呼ばれるモンスターと共に立ち向かう力を持つジェネラルの少年。

 

【デジモンハンター 明石タギル】の力を宿した憑友が其処に立っていた!

 

すると憑友の隣に小さな生命体(デジモン)…ガムドラモンが前に立ち、

憑友はアブソーバーのパネルボタンを押し、そして叫んだ!

 

「ガムドラモン!"超進化"‼︎」

 

するとガムドラモンと呼ばれたデジモンの姿が見る見る変化していく!

 

そして現れたのは先程まで可愛さがあったデジモンから、勇ましくそしてかっこいいデジモンへと早変わりした!

 

「超進化!アレスタードラモン‼︎」

 

そしてすかさず憑友はアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・タギル!フルドライブ‼︎』

 

「行っけぇぇぇ!アレスタードラモン‼︎」

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」

 

するとアレスタードラモンの周りを無数の光が現れた!

そして一気に解き放った!

 

「"プリズムギャレット"‼︎」

 

その無数の光は相手に斬り進んで行く!

 

それを見たライジンもドライブボタンを叩いた!

 

『アンデッド・純平!フルドライブ!』

 

「決まれ!"トールハンマー"‼︎」

 

そう言うと2人の攻撃が衝撃となりて、爆発が起きた!

 

そして煙が晴れると、其処には、肩で息をするライジンと、

精神力をごっそりと削られて此方も肩で息をする憑友の姿がいた。

しかも、先の衝撃で2人ともベーシックへと元に戻されており、

アレスタードラモンと呼ばれたデジモンはその場から消えていた。

 

「はぁ…はぁ…(恐らく次が最後!

だか、相手はまだパートナー『英雄』を出してはいない!

ならば、此処で引きづり出してやる!)」

 

そうすると憑友は自身のパートナー『英雄』…キリトのカードを取り出して、アブソーバーに装填、そしてレバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、キリト!

黒剣、双閃、アメイジング!ー

 

そして憑友はキリトの魂を纏った。

するとライジンの口元がにやけた!

 

「なら、お前のその魂が最も恐れる者に俺はなってやろう!」

 

するとライジンは右腰のカードケースから一枚のカードを取り出した!

其処には、水色の刀身が細い剣…レイピアという武器ジャンルの一種を携えた白と赤を基調とした女性の剣士が描かれていた。

 

するとライジンはそのままアブソーバーに装填、そしてレバーを引いた!

 

ーアンデッド!フォーム、アスナ‼︎ー

 

『アスナだって⁉︎』

 

「⁉︎」

 

突然、キリトが憑友の隣に現れ、先の音声に目を見開く。

するとライジンのアブソーバーからそのアスナと呼ばれた女剣士の魂が現れ、ライジンはそれを纏った!

 

ー神速、閃光、副団長‼︎ー

 

それは、憑友のパートナー『英雄』…キリトの彼女にして、彼の娘・ユイの母親。

そして…【閃光】の名を持つ女性…

それがライジンが纏った『英雄』…

 

【神速の閃光 アスナ】なのである。

 

するとライジンは腰に携えていた細剣・ランベントライトを構えた。

 

憑友も二刀流で構えた…だが、異変が起こった!

 

「⁉︎…動けない…⁉︎」

 

なんと身体が言う事を聞かないのであった!

それを見たライジンは構えたまま「はぁ…」と溜め息を零し、そして憑友に語りかける。

 

「この『英雄』…名はアスナ。

お前が纏った『英雄』の彼女だ。

自分の彼女に武器を構える馬鹿が何処にいる?

もしもお前の相手が、彼女だったら?

武器を構えるか?違うだろ?」

 

「⁉︎…確かに」

 

「聞けば、お前が初めて出会ったパートナー『英雄』のようだな。

パートナー『英雄』は《精魂導師》との信頼の証。

それならば、その『英雄』の"相性"を考える事だな。

その『英雄』の話をよく聞いて、その『英雄』と相性の良し悪しを考えておく。それが《精魂導師》を襲名した者の務めであり、義務だ!」

 

「!」

 

そう言うとライジンは細剣を構え直しそしてすぐに懐に入り込んだ!

それに気付いた憑友!だが、そのあまりのスピードに攻撃を食らってしまった!

 

なんとか立ち上がろうとするが、立ち上がった瞬間に足を挫いてしまい、また倒れこんでしまった!

 

それを見たライジンはそのまま近づく。

 

なんとか立ち上がろうとする憑友だが思うように動けない。

まるで生まれたての子馬のようだった。

するとライジンは細剣を納刀し、そして憑友の顎を手で掴むと、そのまま目線を同じにする。

 

 

「お前に、《精魂導師》を名乗るには早過ぎたようだな。

とは言え、あと1.2年積めば、名乗っても可笑しくは無い位の所まで来ている。

だが、『英雄』の有利不利を理解しないと…

今後の戦いでは…死ぬぞ」

 

「生憎…この身は3年前のライブ会場で燃え尽きている…!

俺は半分幽霊だ。

だが、そんな俺でも側にいて欲しい奴がいるんだ…!

こんな所で負ける訳には…!」

 

「…そうか」

 

そう言うとライジンはカードを抜き取り、アブソーバーを脱着し、元の私服に戻った。

するとライジンは先程使ったアスナのカードを憑友になんと渡したのだ!

 

「!…何がしたい⁉︎」

 

相手の予想外すぎる行動に憑友は疑問を投げ掛ける。

するとライジンはこう語った。

 

「俺はこの人の願いを叶えただけだ。

キリト(大切な人)の所に連れてって』とな。

だから、そのカードはお前にくれてやる。

その人との契約は完了した。

…勝ち逃げの形になるかどうかはお前に判断しておく」

 

そう言うとライジンはそのままその場を去ってしまった…!

 

憑友はアスナのカードを持ち、そして…嘆きながら叫んだ…。

 

完全敗北。

それに加えて、相手に情けまで掛けられる始末。

 

そんな憑友の心を満たすのは…降り注ぐ雨だけだった。

 

 

ーーーーーーSIDEtoライジン

 

「…大丈夫ですか?」

 

…なんでも無い。

ただ…

 

「ただ?」

 

アスナさんが愛しい人の所に帰れた事を嬉しく思ってる。

ただそれだけだ。

 

「…ふふふ」

 

…何が可笑しい?

 

「なんでもありませんわ。

ただ、貴方はそう言う性格だったと思っていただけです♪」

 

…ふっ。お見通しと言う訳か。

 

「ええ。何せ、貴方のパートナー『英雄』ですもの♪」

 

…それもそうだな。

でも、お前の仲間の所へは必ず送り届けてやるからな。

 

【雷の巫女 姫島朱乃】

 

俺のパートナー『英雄』でありながら、

〔悪魔〕そして〔堕天使〕に分類される女性。

だが、彼女の教えを受けた俺はいつしか『雷の魔術法師』と呼ばれるようになっていた。

 

…尤もその教え方がドS級だったのは言わないでおこう…うん。

 

朱乃は俺にとってはパートナー『英雄』である前に、生きる術を教えてくれた師匠でもあった。

 

「それにしても、あの子…」

 

「《炎の導師》の事か?」

 

「ええ。あんなケースは私でも初めて見ましたわ」

 

…そうか。

〔悪魔〕と〔幽霊〕。非なる者とは言え、『闇』に分類される種。

共通する事があるんだろうな。

 

「あの子の身体は確かに私から見たら、間違いなく死んでいる身ですわ。

ですけど、人として認知されている幽霊として、現界し続けてます。

それに彼には鎖を掛けていますわね…

…己の力を封じる鎖を」

 

己の力を封じる鎖…

「…感情の引き金《トリガードライヴ》の事か。

だが、それは解放すれば良いだけの話では?」

 

「いいえ。それだけでは無いんです。

まるでその鎖を掛けておかないといけないような何かを抱えているとしか思えませんね」

 

「そうか…」

 

何はともあれ、今度こそは徹底的に倒すまでだ…!

 

pipipi…!pipipi…!

 

…こんな時に連絡…しかもこのダイヤル音は…

 

「出た方が良いのでは?」

 

「そのつもりだ」

 

ピッ!

 

「もしもし」

 

『此方の下準備は整えたわ。

現在地を送るから、そこを襲撃しなさい。

恐らくキャロルの陣営からも出てくると思うから、細心の注意を払いなさい』

 

「了解した。我が雷…汝の願いの為に」

 

ピッ!

 

さて、本格的な戦いが始まるか。

 

新たな力…『MONSTER DRIVE』

 

これの本当の使い方を教えるとしようか…!




圧倒的な状況の中で、情けをかけられ悔しがる憑友。
そんな憑友にとある者の記憶が入り込む…
その頃、S.O.N.G.では近況報告を受けていた。
そんな中、遂にキャロルが本来の目的へと本格的に動き始める…!

次回

復活と記憶の欠片



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♪14 復活と記憶の欠片

前回
ライジンの攻撃を前に完敗する憑友。
更には情けまでかけられ、悔し涙を流す。
圧倒的なキャリアを誇る相手。
でも、それでも憑友は立ち上がるのであった…



その頃、S.O.N.G.の方では、響と未来を搬送していた。

憑友は自分の足でなんとかここまでやって来ており、現在は牧藁から手当を受けていた。

 

しかし、憑友の心は此処に在らずのようで、他の皆は何か言った所で憑友には何1つ聞いてはいない事に薄々気づいていた。

無理も無いだろう。自分があと少し速く来ていれば、こんな事にはならなかったのだから。

 

そしてS.O.N.G.の方では新たなシンフォギアのシステム…『project・Ignite』と、新たな《精魂導師》のプログラム…『Ignition・Kind program』の近況報告に入っていた。

 

「エルフナインさんの代わりに、私が現在の近況報告をするわね」

 

そう言いながらサモン博士は現在のシステム及びプログラムの近況報告をシンフォギア装者ならびに精魂導師の皆に説明し始めた。

 

「先ずはエルフナインさんが手掛けている『project・Ignite』について。

此方の進捗状況は89%。

『旧』二課が保有していた『天羽々斬(第1号聖遺物)』ならびに『イチイバル(第2号聖遺物)』のデータとエルフナインさんの頑張りのお陰で改修は順調との事です。

ですが、『ゲイジャルグ・ゲイボウ』愛称『オディナ』の改修には悪戦苦闘中のようです。

何せ、『英雄』そのものがペンダントの中に入っているので、彼を傷付けずに『Igniteシステム』を導入するのには困難が掛かっているようです。

その他の聖遺物…『ガングニール』と『アイギス』、

そして『神獣鏡(シェンショウジン)』は急ぎ改修をしてもらっています。

それが終われば、『アガートラーム』の改修に入り、そして『イガリマ』と『シュルシャガナ』の改修に入るとの事です」

 

そう言うと次は自分の方の近況報告に移った。

 

「次は私のプログラムの方なんですが、予想よりも速く終わり、

後はそれぞれのアブソーバーがそれぞれのメンテナンスを行っており、それが済めば完了です。

なので自分はこの後、エルフナインさんの手伝いに行きたいと思います。

こう見えて、シンフォギアの改修作業を行った事もあるので、大丈夫ですので!」

 

それを言い終えるとサモン博士は一同に会釈するとそのままエルフナインの元へと向かって行った。

 

そして部屋から出ようとすると憑友とばったり会い、2人はそのまま会釈するとそのままそれぞれの道へと進んでいった。

 

「…大丈夫か?」

 

「えぇ…ばっちり!…とは言えませんけどね。

すみません。弦十郎師匠。

俺がいながら…」

 

「お前の所為とは言っていない。そこまで落ち込むな」

 

「…ありがとうございます」

 

ーーーーーー

その頃、とある廃ビル内。

其処では2人の男が其々の得物で稽古をつけていた。

1人は籠手とアンクレットのような武装を取り付けており、

もう1人は刀でその相手と稽古をしていた!

 

するとそんな2人の間に男が制止の構えを取った!

 

「其処までだ,ボーン。それにアヤカシ。

つい先程連絡が入った。

『2週間後、襲撃せよ』とのご命令だ」

 

「ちぇっ!これからが面白くなるってのに!」

 

そう言いながらボーンは籠手とアンクレットを外し、アヤカシは刀を納刀した。

 

「それで、肝心の場所は?」

 

そうアヤカシが言ってきた。

すると2人を止めた男…ライジンは"向こうを見ろ"とでも言っているかのような顔と動作をし、そして2人はその方向に振り向くと、其処には

「此方にございます」と言いながら、彼等のお世話をしている執事・セバスチャンが近くの机に地図を広げた。

 

そして3人はその地図に寄って集る。

 

「場所は…此処だ」

 

そう言いながらライジンはとある座標にピンを刺した。

 

其処は、現在…S.O.N.G.が停泊している港であった。

 

「面白くなりそうだな!」

 

「人は如何する?此処にもそれなりの従業員がいるようだが?」

 

「セバスチャン」

 

アヤカシの質問にライジンはセバスチャンを呼んだ。

するとセバスチャンは説明した。

 

「まず、此方側からの脅迫及び避難警告のメールをその日の早朝6時に一斉送信します。

その後、その近辺で災害を起こして信じこませ、人を立ち入れなくする。という寸法にございます」

 

「…それならば有難い」

 

「じゃあ、その災害役は誰がやるんだ?」

 

「モンスター達にやらせる。

此処最近、自分達の不遇さにストレスを抱えているのだろう。

この際だ。思い切り暴れさせてやろう」

 

「お?良いね〜!」

 

「ボーン!」

 

「冗談だよ、冗談!」

 

「はぁ…先が思いやられる」

 

ーーーーーー

 

それから2週間後。

 

あれから未来は元気になって、健康面でも問題ないとの事で、無事に退院した。

だが、まだ響の意識は戻ってはいなかった。

 

そんな中、エルフナインはすやすやと寝ていた。

それを見ていたサモン博士はエルフナインの分までせっせと仕事をし始めた。

 

現在の彼女は、奏のギアである『オディナ』の改修に当たっていた。

コンバーターの中に入っているのは、『聖遺物の欠片』では無く、『英雄』そのもの。

しかも、その上位互換の存在『英霊』である。

 

いくらエルフナインでも、"『英雄』を傷付けずに『Ignite』を組み込む"事はやはり難しいようだった。

だが、サモン博士はエルフナインに出来なかった事をやりきろうとしていた!

 

「目を覚ましない、『槍兵の英霊(ランサー)』。

貴方の事を心配している主がいるんだから!」

 

そう言うとサモンは懐から小ビンを取り出した。

其処には青い液体が入っており、それを一滴落とした。

 

するとそのコンバーターは光り輝き、そしてオレンジの色合いに変色した!

 

「よし!」

 

サモンがやった行為。

説明すると非常にややこしくて、非科学的な事が関与するので訳が分からない事になるので此処には書かないが、要約すると、

 

"青い液体を投与する事で、元の姿へと戻せるのか"と言う実験を行ったのだ。

 

『くっ…ぅぅ…!…此処は…?』

 

すると其処から声が聞こえた!実験は成功した!

 

「此処はS.O.N.G.の艦内よ。

そして初めまして。私はサモン・クリスチャーノ。

貴方のギアを蘇らせた存在よ」

 

『誠なのか…!

ありがとう…!これでまた奏の槍として振るって貰える!』

 

「でも、残念ながらそう言う訳にも行かないの。

強力なオートスコアラー。そして〔雷〕,〔氷〕,〔大地〕の《精魂導師》がいるわ。今のままだと恐らく勝てない」

 

それを聞いたオディナは「ならば」と言って、話をし続けた!

 

『ならば、私の()を使うときが来たようです』

 

「剣⁈」

 

『だが、その力を発現すると奏の身体に負担が掛かってしまう…如何すれば…!』

 

「なら、今現在行っているシステムを組み込めば良いわ!詳しくは今は寝ているこの子…エルフナインさんに聞いてね。

私は奏さんに貴方が蘇った事を知らせるわ」

 

そう言ってサモンはエルフナインを置いて、部屋を後にした。

 

ーーーーーーSIDEto憑友

 

…此処は…夢の中…?

 

だけど、こんな場所…俺は知らない…

それにこんなにもいっぱいの科学用の道具が置いてある部屋を俺は知らない。

これは一体…ん?あそこに居るのは…

 

『…』

 

あれは…あの時出会った…キャロル?

そして、奥の方には1人の男性…

 

『なあぁぁぁああぁぁ⁉︎』

 

ボォォォンンッ‼︎

 

うぉっ⁉︎吃驚した⁉︎危うく魂が抜ける所だった!

 

『⁈…パパ⁈』

 

え⁈ぱ、パパさん⁈

 

『…曝発したぞ…』

 

そう言いながら俺とキャロルに顔が黒焦げた素顔を見せてきた男性。

 

…プフッ!ハハハッ!

『プフッ!アハハッ!』

 

なんでだろう。すごく面白いよ。キャロルのパパさん。

 

あれ?そう言えば…さっきキャロルも笑ってたな。

なんだ。あの子…笑えるじゃねえかよ。

あんな無愛想な顔をして。

笑った時の顔…素敵じゃないか。

 

そうしていると、その焦げ付いた料理を食べるキャロル。

顔色を見ても一目瞭然。明らかにやっちまったパターンだな。

 

『…美味いか?』

 

『苦いし、臭いし、美味しくないし。

0点としか言いようにしかないし』

 

うわぁ…辛口だなぁ。まぁでも否定しないのは本当。

だって家の母さん…料理ダメダメだもん。

それこそ0点を超えて−100点取っても可笑しく無いぐらいに料理が全くのダメダメである。

何となくキャロルの言い分は理解している自分が此処にいたりするのである。

 

『はぁ…"料理"も、"錬金術"も、レシピ通りにすれば間違い無いんだけどな…

如何してママみたいに出来ないのかな?』

 

ん?錬金術?

そうか…此処はアトリエなんだ…!

でも、レシピ通りに上手くいくとは限らないんですよ、キャロルのパパさん。

 

ママみたいに出来ないのか。

 

それは至極単純なものだったりするんですよ。

そう思っているとキャロルが席を立つ。

 

『明日は私が作る!その方が絶対に美味しいに決まってる!』

 

『コツでもあるのか?』

 

『内緒♪秘密はパパで解き明かしてみて!

錬金術師なんでしょ♪』

 

『あはは…この『命題』は難題だ』

 

そうとも限らないさ。

錬金術も料理も…其処に『愛情』を注げば、その分美味しくなるんだよ。

 

『問題を解き明かすまで、私がパパの料理を作ってあげる!』

 

そう言いながらキャロルはニコニコとした笑顔を見せていた。

そうか…コレは俺の夢じゃない。キャロルの夢なんだ。

でも、なんで俺の夢の中に…

そう思っていたら、突然背景がガラリと変わった!

まるで漆黒のような光景…

 

『それが"神の奇跡"で無いのなら…

人の身に過ぎた悪魔の知恵だ!』

 

⁉︎なんだ…あれは…キャロルのパパさん⁈

 

『裁きよ!贖罪の炎で、イザークの穢れを清めよ‼︎』

 

なんだよこれ…!

キャロルのパパさん…イザークさんが木に包められた状態で磔にされ、しかも下には炎が…!

 

これじゃ…かつて太古にあった儀式…

"魔女狩り"そのものじゃないか‼︎

っ!…キャロル!

 

『パパ!パパ!パパーー‼︎』

 

待ってろよ!キャロル!今お前のパパさんを救ってやるからな!

 

そう言いながら俺はキャロルのパパ…イザークさんの元へと走りそしてイザークさんを助けようとした…が。

 

シュンッ!

 

すり抜けてしまった!

しまっ‼︎(ドガッ!)痛てぇ⁉︎

 

『キャロル…生きて…もっと世界を識るんだ』

 

『世界を…』

 

そうしているとまるで悪夢のような光景は消え、気がつけば俺は白い空間へとやって来ていた。

 

ー大丈夫か⁉︎ー

 

フィーネ?…此処は…まだ夢の中なのか…?

 

ーああ。まだ夢の中だ。

だが、お前の精神面が不安定になっていたから、呼び起こしたのだー

 

そっか…。ありがとう。フィーネ。

 

ーそれよりも、何を見たのだ?

お前が其処まで魘される程の悪夢とは一体?ー

 

恐らくキャロル…今回の首謀者の過去の出来事だと思う。

…そうか。あれはキャロルの"想い出"だったんだ…!

 

ー…干渉か?だが、そんな事、今迄のお前には無かった事では無いのか?ー

 

ああ。確かに。

そんな事は一切無かった筈なのに…

 

ーそれはそうと、今後は気をつけろよ。

干渉するにしても、お前の残りの寿命を払っている。

今回は初めての事のようだから、サービスだろう。

だが、干渉すればする程、寿命が減っていく事を頭の隅に憶えて置いておけー

 

うん。分かった。

 

そう言っていると身体が軽くなって来ている。

如何やら誰かに起こされているようだ。

 

ーあまり無茶はするなよー

 

言われなくてもな。

そういうと俺は目覚める事にした…

 

だが、この時の俺は知らなかった。

 

この時、既にS.O.N.G.がピンチに陥っていた事を。

 

 

ーーーーーーSIDEtoキャロル

…そろそろ頃合いか。

 

「いよいよと言う事か」

 

「…レグルス。ああ、そうだ」

 

最も、9つ目のシンフォギアがあるとは想定外だったが…

 

 

「そんな想定外な事では動じぬのは良く知っておるわ」

 

「…顔に書いていたのか」

 

「…済まぬの、我が神よ(マスター)

何せ、他人の気持ちを感じ取ってしまう呪いが付与されてる故」

 

「気にするな。元は俺が取り付けた出来心だ…」

 

「…赴くと言うのだな」

 

「ああ」

 

「…辛いものだな。

だが、マスターの決めた事を否定する訳にも行くまい。

…出来ることなら、生きて帰ってきて欲しいものぞ」

 

「そのお前の心遣いだけでもありがたく受け取っておく」

 

「マスター…」

 

さぁ…頃合いだ。仕上げと行こう。

 

ミカ。ジュエル…頼んだぞ。

他のオートスコアラーもしっかり頼むぞ。




【雷の巫女 姫島朱乃】
ライジンのパートナー『英雄』にして、悪魔。
その雷の力は魔族の中ではトップクラスを誇っている…!
ライジンに雷の魔術・魔法を教えた師でもある。

彼女の仲間を探す為に、ライジンと協力関係を結んでいる。

次回予告
着々と強化型シンフォギアの完成が近づく中、
遂にキャロルの襲撃が開始し始めた…!
そしてそれを止める為にメンバー内で最も若い4人が立ち向かう…!

次回

edge works


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♪15 edge works

遅くなりました、最新話です。

今日で「新ウルトラマン列伝」が最終回を迎えました…
前々から予告はしていたとは言え、やっぱり寂しいな…。
来月から始まる『ウルトラマンオーブ』
彼には頑張ってもらいたいものです…頑張れ!オーブ!

そんな本編とは関係ない話はここで終えて本編どうぞ。


その頃、S.O.N.G.の方ではアルカ・ノイズが出現したとの情報が入っていた。

そしてその座標はなんとS.O.N.G.が供給している発電施設とその周辺の発電施設だった!

 

その様子を高みの見物をしている3人の戦士…『リベレーション』

 

「危ねぇ、危ねぇ。危うく犠牲者を出す所だったぜ!」

 

「だが、これは予想外だったな。

まさか、アルカ・ノイズが出現するとは…!」

 

「それはつまり、近くに《オートスコアラー》がいると言う事だ。

ボーン。アヤカシ。3人で手分けして探すぞ」

 

「了解!」「承知」

 

すると3人はそれぞれ首元にぶら下げていた笛らしきアイテムを吹いた!

 

するとライジンの方に黒い毛で覆われた二本の角を生やしたゴリラのようなモンスターが現れ、

ボーンの方には以前の火災の件で出てきた二本の角を生やした地面に潜む竜・ディアブロスと良く似ているが此方は逆に鼻先に一本の角を生やした竜が現れ、

そしてアヤカシの方では空から一体の白いドラゴンが降りてきた。

顔はまるでパンサーのような姿をして、琥珀色の牙、そして綺麗に整えられた鱗が特徴の竜だった…!

 

3人は三匹に指示を出す。

すると三匹は理解したのか、白いドラゴンは再び空へと飛び立ち、

一角の竜は地面に潜り、

そしてゴリラのモンスターはビルからビルへと華麗にジャンプしながら、移動を開始し始めたのだった!

 

ーーーーーーSIDEto牧藁

 

「アルカ・ノイズの反応を検知!」

 

「座標絞り込みます!」

 

ドガァァァッ!

 

ぐっ!この振動…まさか近場⁉︎

 

「まさか、敵の狙いは…⁉︎」

 

緒川さんの思惑通り…此処周辺の発電施設みたいね。

 

…それはつまり、スタッフや従業員の方達がいるという事…

 

「!藤堯さん!友里さん!此処の発電施設ならびにその周辺の施設等で働いている人達の避難誘導は⁉︎」

 

「調べます!…⁉︎そんな!」

 

もしかして、遅かったと言うの⁈

 

「現在、襲撃を受けている発電施設等に従業員は居ません!

防犯カメラの映像を見て、3時間前から既に避難を終えています!」

 

3時間前から⁈誰がそんな事を⁉︎

 

「何はともあれ、発電施設にいるスタッフならびに民間人は居ないという事だな⁉︎」

 

「はい!」

 

でも、一体誰がこんな事を…?

まさか、予告していた?私達に気付かれないように?

でも、S.O.N.G.はこう見えて情報機密に長けたプロフェッショナル。

そんな事が可能なのかしら…?

 

ーーーーーー

そうこうしていると憑友達《精魂導師》と、翼達《シンフォギア》装者が指令室へとやって来た!

 

「何が起きてるデスか⁈」

 

「アルカ・ノイズがこのドッグの発電施設を襲ってるの!」

 

「それだけじゃないよ。他の周辺の発電施設も襲撃に遭ってるわ。

幸いなのは、民間人が既に避難を終えていると言う事よ」

 

切歌の発した台詞に友里と牧藁がそれぞれ告げる。

すると憑友は疑問を持った。

"なぜ民間人は既に避難を完了しているのか"を。

その疑問を口にはしなかったが、牧藁は口で簡単な説明もとい仮説を立てた。

 

「コレは私の仮説だけど、誰かが既にこの事態の起こる事を予測していて、それを発電施設にて働いている民間人のメールか電話で告知していたと思えるの。

そうじゃないと、発電施設にて働いている民間人をこんな事態になる前に避難を完了させるのは困難だからね。でも…」

 

「此処で電力の供給を絶つと、シンフォギアの改修は免れない!」

 

「それだけじゃねぇ。この艦そのものの内部電源もそう長くは続かない!」

 

「それじゃあ、響も⁉︎」

 

「!…そうだ…今はあのお人好しの生命維持装置にまで影響していたんだ!」

 

皆んなの顔が焦りの色を見せる中、憑友はふと視線を周囲に目を通す。

そして何かに気付いたのか、近くにいた陰陽兄弟に話しかけた。

 

「おい!聖希!呪怨!

調ちゃんと切歌ちゃんを探せ!」

 

「「え?…あぁ⁈いつの間に⁈」」

 

なんと先程いた筈の2人が居ないことに気付いたのだ!

そしてそれに気付いた兄弟は急いで後を追った。

そして調と切歌が居ない事を聞いたマリアは…

 

「あの子達…‼︎一体何処に行ったのよ!」

 

…かなりイラついていた。

 

「ま、マリア姉さんが怖い…」

 

「奇遇だな…俺もだ」

 

「なんか言った⁉︎」

 

「「いえ、なんでもありません‼︎」」

 

そんなマリアとセレナと零の会話を聞いた一同は、『(マリアはやっぱりオカンだな…)』とそう心の中で同時に呟いていたのは言うまでもなかった。

 

 

そんな中、そのいなくなった本人…調と切歌はS.O.N.G.艦内の廊下を走っていた…メガネ(曰く『潜入美人捜査官メガネ』)を掛けて。

切歌は「潜入美人捜査官メガネで飛び出して一体何をする気ですか⁉︎」と調に向けて言うと調はこう告げた。

 

「…時間稼ぎ」

 

「なんデスと⁉︎」

 

「…今大切なのは、強化型シンフォギアの完成までに必要な時間と、エネルギーを確保する事」

 

「確かにそうデスが、全くの無策じゃ何も…」

 

そう言いながら調と切歌はとある部屋の前へとやって来た。

 

「全くの無策じゃ無いよ、切ちゃん」

 

「…メディカルルーム?」

 

そこは現在、響が眠っているメディカルルームだった。

2人は中に入り、そして調はある物を探し始める。

そんな中で調は現在眠っている響を見た。

それを見た切歌は「だったら、だったで…助けたい人がいるなら、最初からそう言えばイイデスよ!」と言うと調から拒否られる。

その理由は彼女曰く「切ちゃん以外に私の恥ずかしい所は見せたく無い」との事のようで、それを聞いた切歌は今にでも調に抱きつこうとしていた。

まるで依然クリスと憑友に抱きつこうとした響のように。

だが、調はそれをあっさりと躱し、切歌はそのまま顔面から思いきり床に転げ落ちた。

受け止めてくれなかった調に違う意味で涙目になる切歌。

すると調は見つけた場所を見て、そしてそこに隠されているある物を取り出した。

 

「見つけた…!」

 

「此処にいたのかよ…全く!」

 

「⁉︎」

 

すると男の声が聞こえ、2人はすぐにその声を振り向くと、そこには陰陽兄弟が其々、光聖希は仁王立ち、闇呪怨は壁を背中にしていた。

 

「ち、違うんデスよ⁉︎これには事情が有って…⁉︎」

 

そう切歌が言い訳をしようとするが、闇呪怨はそんな切歌の肩を叩いた。

そうすると光聖希は仁王立ちをやめ、話しかけた。

 

「俺達も手伝ってやる…1人より2人。2人より4人だろ?」

 

「それを言うなら、『1人より2人。2人より3人』だ」

 

「小っちゃい事は気にするな!」

 

「「「それはワカチコ」」」

 

「ぐはっ⁉︎」

 

まさかの光聖希がボケをかまし、それを3人は同時にツッコんだのであった。

 

ーーーーーー

そんな中、4人は現場に到着した。

 

其処では自衛隊員が懸命にアルカ・ノイズを倒していた!

ノイズとは違い錬金術によって生み出されたアルカ・ノイズにはノイズ特有の《異相差障壁》が無いとの事で、ノイズ達よりもやりやすくなった事に自衛隊員達も奮起するが、それでもやはりアルカ・ノイズはその数で圧倒していた!

 

「見せてやろうじゃねえかよ!」

 

「行くデス!」

 

「さぁ…魂の選別の刻だ!」

 

「うん…」

 

そういうと兄弟は左腕にアブソーバーを装着させてカードを装填してレバーを引き、

切歌と調は其々のシンフォギアの『聖詠』を、代表して調が唄った…!

 

「Various shul shagana tron…」

 

「「変身!」」

 

ータマシイ!フォーム、チェイン!ー

 

ーコア!フォーム、ブラッディ!ー

 

 

ー天への魂、私が縛る!ー

 

ー獄への魂、俺が裁く!ー

 

(挿入歌『ジェノサイドソウ・ヘブン』南條愛乃)

 

すると調は無数の丸鋸を飛ばす技"α式 百輪廻"を、切歌はアームドギア《イガリマ・サイス》の刃を3枚に分裂させ、ブーメランのように飛ばして左右から挟撃する技"切・呪リeッTぉ"を繰り出し、

光聖希はチェーンリングから大量の鎖で叩きつける技"チェーン・スネーク"を、闇呪怨は漆黒の闇の瘴気を纏わせた鎌の一撃"ジャック・ザ・ナイトメア"でアルカ・ノイズを殲滅し始めた!

 

すると彼等に通信が入ってきた。相手は勿論…司令である風鳴弦十郎である。

 

『お前達!何をやってるのか…分かってるんだろうな‼︎』

 

「勿論デス‼︎」

 

「当たり前な事言わせるんじゃねえよ!おやっさん‼︎」

 

「俺達は俺達のやり方でやると決めたんだ…!」

 

「…今の内に強化型シンフォギアの完成をお願いします!」

 

そう言って4人は通信を切るとそのままアルカ・ノイズを殲滅していく。

その様子を高みの見物で眺めているのは2体のオートスコアラーだった。

1人は先日響のシンフォギアを破壊させたミカで、

もう1人は残りのオートスコアラー…

『女王』のアルカナを持つ者…ジュエルだった。

 

「ふーん…あれがマスターの最優先対象ですか?」

 

「そうだゾ。でも、ニコイチで漸くだゾ。

…ん?如何したゾ?」

 

「…いえ。別に…」

 

そう言いながら、ジュエルは所持していた扇子を開かせ、口を覆い隠す。

一見、冷静なジュエル。以前のような怠惰の存在では…

 

「(あぁ〜ん♡如何しましょう〜⁉︎

あんな可愛い子達がいるなんて〜♡

それに…あの子達もカッコいいじゃ無い〜♡

決めた!私が全部お持ち帰りしちゃいましょう‼︎)」

 

…訂正。やっぱりこいつもシィバ同様ただ者ではなかったようです…。

しかもこの様子だとロリコンなのは間違いなかった。

現にミカの縦ロールを右手で普通に触りまくっており、

ミカは「痛いゾ⁉︎何もしてないのに〜⁉︎」と言いながら離すように説得を試みているものの、完全に心此処に非ずなようで、触りまくっているのであった。

 

…こんな奴が『女王』って…大丈夫なのか?

 

 

「ギアの改修が終わるまで!」

 

「此処はやらせないデス‼︎」

 

「それが俺達の!」

 

「今の役目だ‼︎」

 

そう言いながら4人はアルカ・ノイズ達を殲滅していく…!

 

 

その頃、他の発電施設では深刻な事態に陥っていた!

なんと残りのオートスコアラーが追撃を仕掛けていたのだ!

 

破壊の限りを尽くすオートスコアラー。

 

レイアはコインを弾丸のようにして施設を破壊し、

ガリィはダムの水を使いながら水力発電施設を破壊し、

ファラは風を起こしながら、剣で供給ケーブルが付いている鉄塔ごと壊していく!

その頃、『小姓』のアルカナ・シィバと『騎士』のアルカナ・ジィス,そして『王』のアルカナ・レグルスは自衛隊と鉢合わせになっていた。

 

「報告書に上がっていたターゲットだ!敵は人形だ!構わない!撃てーーい!」

 

それを合図に自衛隊の集中放火が3人に襲いかかる!

 

「2人は下がって!此処は私g「お前は下がって良い。ジィスよ」王⁉︎」

 

するとジィスが前へ出ようとするとなんとレグルスが前に出たのだ!

するとレグルスは指パッチンをした。

だが、その隙に集中放火を、3人は浴びた…

 

「撃方やめーー!

…やったのか?」

 

そう言いながら自衛隊の面々は煙が晴れるのを待つ。

だが、敢えてこの場を借りて此処で言おう…

 

それはフラグですよ…自衛隊の皆さん。

 

 

「…流石は近代兵器と言う所かの」

 

 

「⁉︎馬鹿な⁉︎」

 

なんとそこには無傷の3人がそこにいた!

まるで花弁の装飾模様が刻まれている盾によって3人を守っていた…。

 

「さて、粋がるのも此処までだぞ…雑種共」




次回

『王』と『女王』と『杖』と『氷刀』

王の品格が自衛隊を襲う。

そして女王の実力、杖の道化師、そして氷の刀剣士が、
4人に襲いかかる…!


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♪16『王』と『女王』と『杖』と『氷刀』

お待たせしました。


「粋がるのも此処までだぞ…雑種共」

 

そう言うと『王』のアルカナを持つ唯一の男性型自動人形(オートスコアラー)・レグルスは指パッチンをした!

するとレグルスの背後から無数の金色の波紋が空中に浮かび上がってきたのだ…!

そしてレグルスはそのまま指パッチンした方の手でGOサインをした。

するとその波紋から大量の武器達がまるで弾丸のように射出して来たのだ‼︎

 

「「「「うわぁぁぁぁ⁉︎」」」」

 

その攻撃を食らった自衛隊。だが、これだけでは終わらなかった!

 

「人間としての意地を見せてみるが良い…雑種共」

 

そう言うと自衛隊の足元から波紋が浮かびそこからなんと鎖が現れたのだ!

 

そしてその鎖は瞬く間に自衛隊を拘束させていく!

 

「楽に死ねると思うなよ…雑種よ」

 

そう言うと鎖が徐々に自衛隊の方達を締め付け始めた!

それを見た王は口元を不敵な笑みで浮かべた!

 

「そろそろ頃合いだな…」

 

ーーーーーーSIDEto霊風

なんだよあれ…!あんなのがオートスコアラーだって言うのかよ…⁉︎

冗談じゃない!

あんなの…あんなやり方…!

 

まるでセイバー達が戦った最強の敵…

 

【英雄王 ギルガメッシュ】そのままじゃないか‼︎

 

あんなのがオートスコアラーだって言うのかよ‼︎

 

「え?…シュルシャガナとイガリマ。

装者2人のバイタル安定⁉︎」

 

「タマシイ並びにコア。

兄弟2人の精神状態が異様な不安定を示してる⁉︎」

 

「どういう事だ⁉︎」

 

⁉︎

 

あの4人…まさか…⁉︎

 

「先程の警報はそう言う事だったんですね。事後処理をして来ます」

 

そう言うと緒川っちは指令室を後にした。

やっぱりか。

前世の記憶を見た限り、あの2人…手元にLINKERを持ってやがるな…!

それも、かつて奏が使用していたLINKERを…

 

「『MODEL_K』の奴を持って行きやがったな!」

 

「『MODEL_K』⁉︎奏がかつてガングニールを使用していた時の⁈」

 

「ダンナ!あれはもういらないって前に言わなかったか⁉︎」

 

「そう言うわけにも行くまいて。

あれは言い方を悪く言っちまうと、データとしては良い実験材料だと前にフィーネが言っていたんだ」

 

ああ、そうさ。あまりにもデータとしては良すぎる代物だ。

良い言い方だと『魔法の薬』とも呼べるし、

悪い言い方をするなれば『麻薬ドラッグ』である。

 

そんな物を持って行ったんだ…後でたっぷりとお仕置きしないとな。

 

そうしていると映像でミカともう1人…ジュエルの攻撃を受けて、4人が吹き飛ばされた!

 

「調!切歌‼︎」

 

「光っ!闇ぃっ‼︎」

 

「このまま見ていられるか‼︎」

 

「おい待て!クリス‼︎」

 

ああくそ!あの馬鹿者が‼︎

と思っていたら、奏と翼が止めてくれた。ナイスだぜ!

 

「待てよ!2人とも!」

 

「今の私達に何が出来る‼︎」

 

「黙って咥えてろってのか⁉︎」

 

「『昨日の敵は今日の友』

ならば、俺達の味方では無いのか!

助けなければいけないだろうが!」

 

確かにそうだ。けど…!

 

「今の私達に何が出来るっ!」

 

!奏…

 

「!…済まない」

 

「…悪りぃ」

 

このまま足踏みだけでは…そう思っていたら…

 

「翼さん,奏さん,クリスさん,ロックさん,霊風さん」

 

…エルフナイン?

 

「皆さんにお話したい事があります」

 

ーーーーーーNO SIDE

そんな中でレグルスは攻撃をやめた。

 

「うむ。あまり余の武器を射出するのは良くないものだ。

《聖槍ロンギヌス》,《竜滅剣バルムンク》,《聖弓シェキナー》…

数多の武器が有るなれど、余の心を潤してくれたのはあの女子のみ。

 

《2振りの槍の使い手》天羽奏。

やはり我はあの女子と激闘を繰り広げたいものだ」

 

そう言いながらレグルスは現在の光景を見て僥倖した。

そこには大量の自衛隊の骸が連なっていた。

 

「さて次は如何いたしめようか…」

 

『其処までで良い』

 

「…マスターか?」

 

すると突然、自分達のマスターであるキャロルが通信をしてきた。

「今は良き時間だったのだがな?」とそう言いながら内心怒りを孕んだような声をあげるレグルス。

だが、キャロルはそれをスルーして話をする。

 

『ファラ達が目的を達成した。

お前達の任務も終了だ。お前達がやってくれたおかげで、スムーズに行えた』

 

「…気に食わぬな。

…行くのであろう…己自らの手で」

 

『ああ。

…お前が生きている事を信じているぞ』

 

「だと良いのだがな…」

 

そう言うとキャロルの方から通信を切った。

それを聞いたレグルスはジィスとシィバを連れて帰投したのであった。

 

 

 

一方、場所を戻し、調達の方ではピンチになっていた!

アルカ・ノイズとの激闘の最中に最強のオートスコアラー・ミカが乱入してきたのだ!

 

そんな中でも切歌と調の2人はギアからの負荷(バックファイア)を受けてはおらず、寧ろ響達先天性適合装者達と同じ立場に立っていた。

 

「行くぞ!光!」「行くぜ!兄さん‼︎」

 

すると陰陽兄弟は己の手を心臓部に持ってくると、そのまま己の胸を掴む!

 

「「"導師たる者…

いつ如何なる精神を持ってしても、為すべき事の為に動かん!"

 

感情の引き金(トリガードライヴ)…オン‼︎」」

 

すると2人の眼は光聖希は黄色と金色を混ぜたような瞳に、

闇呪怨は紫と金色を混ぜたような瞳を開眼させ、ベーシックフォームのスーツに付属されているプロテクターが黒く塗り潰されていく!

 

そして現れたのは、《精魂導師》が扱う感情の引き金…《トリガードライヴモード》へと変化した!

 

「へっ…行くぜ!俺達の!」

 

「パートナー『英雄』の力を!」

 

すると2人はそれぞれ自分のパートナー『英雄』のカードを取り出し、アブソーバーに装填して、レバーを引いた!

 

ータマシイ!フォーム、チャイカ‼︎ー

 

ーコア!フォーム、ハヤト‼︎ー

 

するとタマシイからは赤の服装をした白髪の少女の魂が、蛇腹剣を振り回して現れ、

そしてコアは金色の鎧を身に纏った翠髪の少年の魂が現れ、2人はそれぞれ纏った!

 

ー蛇腹で剣士! 紅のチャイカ‼︎ー

 

ー金剛超人!基準はゴールデン!ー

 

そして纏った瞬間に闇呪怨は突撃を繰り出す!

しかし、ミカの圧倒的攻撃力を前に簡単に吹き飛ばされる。

だが、その間に光聖希はチャイカの得物《スネークブレード》を展開させ、ミカに一撃を与えようとした!

ミカはその攻撃に気付いたが、もう既に目の前に来ていた!

 

万事休すかと思われたその時だった!

 

キィンッ!

 

「!誰だ⁉︎」

 

蛇腹剣の攻撃を誰かが割って入り、所持していた扇で弾き返したのだ!

その攻撃を見た光聖希は蛇腹剣を元の剣に戻し、それに気付いた調達は光聖希の元に集まる。

そしてミカの前に立っていたのは、銀髪でツンドリルヘアの女性が現れたのだ。

 

ーーーーーー

その頃、調達が相対していた存在を見た霊風は焦っていた。

 

「(あの容姿…

髪の色こそ違えど…間違いない。

 

遠坂の嬢ちゃんと犬猿の仲である存在・ルヴィアゼリッタと全く同じ容姿とはな…。

 

そう言う風にしているのか、はたまた知らずに作ったのか…。

まぁ、どっちにしろ、あの関節部分を見て確信した。

 

彼奴も…《オートスコアラー》だ)」

 

そう思わせながら霊風は映像に集中する。

 

その頃、キャロルの方では着々と進んでいた。

全ては『万象黙示録』を成す為に。

 

 

そして、戦いが激化する中、1人の存在が不敵な笑みを浮かべた。

 

「準備は整ったわ…

私もそろそろ動くとしましょうか」

 

そう言うとその者は部屋を後にした。

そしてそんな様子を…

 

「…」

 

緒川がしっかりと見ていた。

すると緒川はその者の後を慎重に追っていく事にした。

 

緒川は既にこの時、感じていたのだろう…

 

その者が…『敵』であると言う事に。

 

 

ーーーーーー

さて、場所は調達の方へと戻る。

調達とミカの前に現れた女性は扇を開かせながら甲高い声で笑いあげた。

 

「おーほほほっ!実に良い宴ですわ〜!」

 

「誰だお前は⁉︎」

 

光聖希の言葉に、女性はこう答えた。

 

「身分を弁えない家畜共に名を名乗る事はしたくはありませんが、仕方ありませんね。何せ私だけ今の今まで戦闘に参加していなかったのですから。では名乗らせて貰いましょう。

 

私の名はジュエル・カーミラ・バートリー!

 

『女王』のアルカナを持つ《オートスコアラー》でしてよ」

 

そう言うとジュエルは扇を振り翳す。

すると扇から蛇腹剣へと変化した!

 

「可愛い坊や達を甚振る事が生き甲斐なのですのよ♪

調教しがいがありますわ〜!」

 

それを聞いた4人は身震いした!

明らかにヤバい奴だと言う事がこの時点で良く分かったから。

 

そうこうしていると、2人のオートスコアラーが同時に攻撃を仕掛け始めた!

 

バラバラの攻撃で絶対にコンビネーションとしては最悪の筈の2人の連携攻撃。

だけど、4人はその攻撃を避ける事が困難に感じていた…!

 

「如何してなんだ⁉︎」

 

「こんなコンビネーションダメダメな奴等の攻撃なんか…

なのになんで避けられないんだ⁉︎」

 

そう言いながら、4人は其々の得物で攻撃を捌く方向にシフトした。

それでも、劣勢に立たされている事に変わりは無かった。

 

すると闇呪怨が「こうなったら…!」と言うと、力を溜め始めた。

それに気付いた光聖希は闇呪怨の分まで攻撃を捌き続けた!

そして闇呪怨は大きく叫んだ!

 

 

「"フォームチェンジ‼︎《エクストリームフォーム》‼︎"」

 

ーExtremeForm!ー

 

すると闇呪怨の身体がクリスタルに覆い隠されていく!

徐々に全身を覆いそしてそのままクリスタルの中にいる闇呪怨の身体のシルエットが巨大な鳥を彷彿させるシルエットへと変化し、そしてクリスタルが砕けると其処から現れたのは…

一対の翼を生やし、金色の身体と羽を持つ鳥の獣…

 

「グァァァァァァ‼︎」

 

鳥獣型ガイスト『ウインド・ガルーダ』へと闇呪怨が変化した!

 

すると闇呪怨は2人の攻撃をまともに受けながらも2人に向かって突進を仕掛けた!

 

それを見たジュエルは懐に隠し持っていたもう1つの扇を今度は開かせて、盾を作り、そしてその攻撃を防ぐ!

 

だが、その隙に光聖希の蛇腹剣がジュエルの蛇腹剣型の扇を奪い取った!

 

「蛇腹二刀流ってのも、悪くはねぇよ…な!」

 

そう言うと蛇腹剣を二刀流のように構え、そして鞭のように振るい始めた!

 

その攻撃をまともに受けるミカとジュエル。

だが、その攻撃をガルーダへと変身した闇呪怨を盾にして、そのまま投げ飛ばしたのだ!

その影響で範囲上にいた調達をも巻き込んで、全員吹き飛ばされた。

 

その衝撃で、闇呪怨は変身が解けてしまい、光聖希はジュエルから奪い取った蛇腹剣を落としてしまい、再びジュエルの手元に戻された。

そんな中でも懸命に立ち上がる4人。

 

「うっ痛たっ…」

 

「…簡単には行かせてはくれない…!」

 

「みたい…だな…」

 

「けど…それで負ける…俺達じゃない…!」

 

そう言うと4人は立ち上がる。

 

「ジャリンコ共!私は強いゾ!」

 

「この私の顔に泥を塗ってくれたのです。

それ相応なりの覚悟を決めなさい!」

 

そう言うとジュエルは扇を展開させ、肩から糸が現れ、その糸はそのまま扇の「骨」と呼ばれる部分に取り付けられた!

するとそれをまるでバイオリンを弾く時の構えを取り、そしてもう1つの扇を閉じてそのまま弾いた…!

 

♪〜♭〜♭〜♪〜!

 

「うわぁ⁉︎」「ぐぁぁあ⁉︎」

 

「耳が痛いデェェェス⁉︎」「…うっぐっ⁉︎」

 

その音色はまるで哀しみを生み出す負の旋律そのものであり、その音を間近で聞いた切歌達は耳に手を当てながら悶絶しながら苦しみだしたのだ!

 

その隙を突いてミカが切歌に迫ったのだ!

 

「!切ちゃん⁉︎」

 

「っ⁉︎」

 

「バイバーイ‼︎」

 

そう言って攻撃をしようとした…その瞬間だった。

 

 

ガキイィィン‼︎

 

「…え?」

 

『⁉︎』

 

「お?」

 

切歌は目を開け、そして見開いた。

そこにはミカの真っ赤に染まっている宝石とは打って変って氷のような冷たき刀を携えた男が割って入っていた。

 

攻撃を受け止められたミカは一時後退した。

そして男は刀を腰に携えていた鞘に納刀した。

先の火災にて憑友と相対した〔氷〕の力を持つ戦士…

 

《氷魂導師》アヤカシだった!

 

「噂はレイアと王様から伺ってはおりますが…

貴方…『リベレーション』の一員ですわね?」

 

「…ああ。だからこそ…」

 

そう言うとアヤカシは上の2枚を脱ぐとそのままその2枚は別れ、其々調と切歌の頭上に落ちてこようとしていた。その時だった…!

 

 

ジャキィン!ジャキィン!

 

「「「「…え?」」」」

 

するとなんといつの間にか、調と切歌のギアが…壊され、分解をし始めたのだ‼︎

 

「俺達の目的でもあるからな」

 

そう言うとアヤカシは2人のギアを斬った武器を見た。

するとその武器は一瞬の内に塵となった。

 

そしてギアを分解された調と切歌は生まれたままの姿になってしまい、そのまま倒れ込んでしまった。

だが、幸いなのは、その上に先程アヤカシが投げ捨てたコートが其々掛かるようになっていた。

それを呆気にとられていた闇呪怨は直ぐに思考を元に戻した。

 

「…っ!…よくも…よくも切歌をーー!」

 

そう言うと闇呪怨は得物である鎌で刈り取ろうとするが…!

 

 

「"陰陽抜刀術7の型"…」

 

するとアヤカシは先程納刀したばかりの刀に手を伸ばしそして闇呪怨に一閃した!

 

「"凍連斬(とうれんざん)七氷(ななつごおり)"」

 

するとその一閃を食らった闇呪怨の身体はたすき掛けの形でそこから氷が現れ、なんと7()()()()()()()()を斬られた!

その攻撃を食らった闇呪怨は苦痛を浮かべた。

だが、アヤカシは攻撃をやめなかった!

それを見た光聖希は動き出した!

 

「!やめろーー!」

 

「ならば、お前から先に頂く」

 

そう言うとアヤカシはなんと『英雄』のカードを取り出した!

そのままアブソーバーに入れ、そしてレバーを引いた!

 

ーアヤカシ!フォーム、アスベル‼︎ー

 

するとアヤカシの隣に白を基調とし、腰に刀の形状をした剣を携えた青年の魂が現れ、アヤカシはそれを纏った!

 

ー抜刀の騎士!閃く刃!ー

 

するとアヤカシはそのまま剣を納刀するとすかさず抜刀術を繰り出した!

 

「"烈空刃"!」

 

するとその刃から空気の斬撃波が発生し、その攻撃をまともに受けた光聖希。

だが、これだけで終わる存在では無かった!

 

「終わらせてやる…!」

 

そう言うとアヤカシは自らのアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『アヤカシ・アスベル!フルドライブ!』

 

するとアヤカシは先程抜刀したばかりの剣を納刀するとそのまま光聖希の懐に入りすかさず抜刀した!

 

「"全てを切り裂く!"

 

 

獣破!轟衝斬‼︎」

 

すかさずの居合切りからの斬り上げを繰り出す…

アヤカシの『英雄』【抜刀騎士 アスベル】が得意とする必殺技もとい『秘奥義』…

 

"獣破轟衝斬"が、光聖希に大ダメージを与えた。

 

その攻撃を食らった光聖希はそのまま瓦礫と化した建物の方へと高く吹き飛ばされた。

 

「聖希ーー‼︎」

 

「…他愛も無い」

 

するとアヤカシは闇呪怨に峰打ちをし、闇呪怨を気絶させた。

その間にカードケースから数枚のカードを抜き取り、そして一部取ったカードケースを投げ捨てると、今度は遠く飛ばされた光聖希の方の元へと行き、同じようにカードケースからカードを漁った。

 

「…2人には勿体無い代物ばかりだったな」

 

そう言うとアヤカシはそのまま撤退して行った。

 

アヤカシが今回やって来た目的は2つ。

 

"シンフォギアの破壊"と、"カードの強奪"が目的だったのだ!

 

だが、撤退しようとするとアヤカシの前にミカが現れた。

 

「お前、何者なんだゾ?」

 

「…さあな?俺達は唯の第三勢力『リベレーション』。

それ以上もそれ以下でもないのさ」

 

そう言うとアヤカシを覆い隠すかのように吹雪が発生し、そして晴れた時には既にアヤカシが消えてしまっていた!

 

 

「…まっ、いっかだゾ!」

 

そう言うとミカはありったけのジェムを放り投げた!

ジェムとはキャロル達の所有するノイズ…アルカ・ノイズが凝縮されてる代物。

当然、アルカ・ノイズが出現するのである。

 

だが、4人の方は既に戦闘不能であった!

光聖希と闇呪怨は奮闘するも、先程現れたばかりのアヤカシを相手に刀一本だけで圧倒されてしまい、現在失神状態。

調と切歌に至っては、先のアヤカシの使用した禍々しい武器の攻撃でシンフォギアを破壊・分解され、生まれたままの姿を曝け出されていた。

幸いなのは、その攻撃前にアヤカシがコートを2人の方に羽織らせておいたと言う事だった。

 

そんな中、アルカ・ノイズは4人の中で最も低い調を狙ってきた!

 

「「!調ーー‼︎」」

 

もはや此処までなのか…そう思ったその時だった…

 

アルカ・ノイズ達を横切るかのように、2つの光線がアルカ・ノイズ達を葬った…だが、それだけでは無かった!

よく見てみると、ノイズ達の中には腕を斬られた者、心臓部を抉られた者、そして身体のあちこちに弾丸が貫通されたかのような痕を残すノイズ達が他にもいた。

 

 

「待たせて済まないな!」

 

「遅れてやって来るのが、真打ってもんだろ?」

 

「かなりピンチに変わりは無いがな」

 

「誰がだなぁんて、連れねぇ事言うなよな?」

 

そして調は自分の近くに一本の剣があった。

 

「剣…?」

 

「ああ…

"振り抜けば風が鳴る『剣』"だ…!」

 

そしてノイズ達が一斉に露散すると、そこに現れたのは…

 

強化型シンフォギアへと強化された翼とクリスと奏の3人と、

 

新たな力を携えた《精魂導師》…霊風とロックが現れたのだった!

 

さぁ…反撃の時だ!

 

ーーーーーーSIDEtoアヤカシ

回収には成功したが、まさかここまでとは驚きを隠せないな。

 

pipipi…!pipipi…!

 

通信?こんな時にか?

 

…もしもし?

 

『俺だ、アンデッドだ。

お前はそのまま待機だ。俺達も直ぐに向かう。

…あの力が完成したようだ』

 

…そうか。了解。

 

そう言うと俺は通信を切り、そして仮面を外した。

 

「いよいよだな。

これが俺達が為さねば成らない事なんだ。

悪く思うなよ…憑友」

 

何せ俺とボーンは、お前の力になりたいからよ。




憑友は再びキャロルの「想い出」の中へと干渉する。
そしてそれと同時にとある人物の「想い出」も干渉する。

その頃、翼達の方は最悪の方へと動き出していた…!

次回

「想い出」/殺戮者と『リベレーション』


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♪17 「想い出」/殺戮者と『リベレーション』

連投です。


ーーーーーーSIDEto憑友

『パパ。何処へ向かうの?』

 

『この先で採れる「アルニム」という薬草には高い薬効があるらしい。

その成分を調べて流行り病を治す薬を使うんだ』

 

これは…キャロルの「想い出」?

またなのか…"干渉"が。

前回はサービスで見せてくれたようなものだけど、今回からは己の生命活動時間を対価として払わされないといけない。

おそらく、この先もキャロルの「想い出」を干渉するんだろうな。

でも、なぜキャロルの「想い出」ばかり見るのだろう…?

 

『見てごらん』

 

そう言われ、キャロルのパパさん…イザークさんはある場所に顔を向けた。それにつられて、キャロルも、そして俺もその光景を見て目を奪われた。

自然豊かで、湖畔が綺麗に輝く美しき絶景とも言える光景だった。

 

『パパはね…世界の全てを知りたいんだ。

人と人とが分かり合う為にはとても大切な事なんだ…』

 

…イザークさんの言う通りだ。

バラルの呪詛で統一言語を失われた人類。

人と人とが分かり合える…イザークさんはそんな思想を抱いていたんだな。

 

そう感じていると今度は場面がガラリと変わった。

そこには1人の女性が赤ん坊を抱き抱えていた。

その近くには1人の男性と6人の少年少女達が其処にいた。

今度は何なんだ?

 

『オギャァ!』

 

『ああ…可愛い私の娘』

 

『よく頑張ったね。エレメ。

君がこの子達を産んでいる時…

僕は何も出来なかったけど…』

 

『リダラ。ありがとう。

貴方が側に居てくれただけで、どれだけ心強かった事か…』

 

そう言いながら2人は仲の良さをアピールさせていた。

この2人はとっても幸せそうだな…ん?リダラとエレメ?

 

…何処かで聞いた事が…

 

『母さん!妹触らせて!』

 

『あ、ライド兄さんズルい!』『ズルい!』

 

え?ライド?…まさか…

 

『そうだぞ、ライド。最初は俺からだぞ』

 

『もう、ソウル兄さんったら…』

 

『そう言うホロウちゃんは妹を愛でたいのよね〜♪』

 

『ちょ、そんな事言わないでよ〜スピリット姉さん⁉︎////』

 

『うふふ。順番ずつよ』

 

そう言いながら、産まれてきた子供を順番に抱き抱える。

あの姿…幼いけど間違いない。

 

『ようこそ。俺達の家族へ』

 

あの冷静そうな性格…おそらくロックのアブソーバー…ソウルだろう。

 

『これからよろしくな!俺達の妹!』

 

この如何にも主人公ぶりを見せる性格…間違いなくライドさんだ。

 

『もう…うふふ。可愛いね♪食べちゃいたいくらい!』

 

あのどストレートな性格は霊風先輩のアブソーバー…スピリット。

 

『あ…宜しくね///』

 

あの恥じらう性格は零のアブソーバーであるホロウだろう。

 

『次は俺達!』

 

『可愛い!』

 

あれは双子の兄妹だな。

おそらく陰陽兄弟のアブソーバー…

男の子の方はコア。女の子の方はタマシイだろう。

 

つまりこれはライドさん達の「想い出」なんだ。

 

『アゥ〜!』

 

『これからよろしくね…サモン』

 

『僕達の7番目の子供。君を幸せにしてあげるからね』

 

『アゥ〜!ウキャ〜!』

 

…そうか。これはおそらくライドさん達の「想い出」なんだろう。

これを見ていると幸せになれる気分になるな…

 

そう感じていたら、また場が変わった。

其処には先程のサモン博士以外の家族が髭を生やした存在と話をしていた。

あれ?サモン博士は何処に?

 

『…如何してもなんですか…』

 

『済まぬ。お前達の意見を最優先にしたのだが…』

 

『そんなの酷いよ!』

 

『漸くサモンがこれからだって時に‼︎』

 

…如何言う事なんだ?

 

『仕方が無いのだ。

我々はかつて起こった《英雄大戦》の末裔じゃ』

 

《英雄大戦》

 

確か、キリトさんやなのはさん達『英雄石板』に刻まれし『英雄』達が強大な敵を前に戦った伝説。

この《英雄大戦》が有ったから人類は今はこうして平穏に暮らしている。

そう考え込んでいたら、髭を生やした存在が話を続けた。

 

『我が屋敷の奥底で封印されてきている存在…"魔神王"を封印する役目を持つ資格が有るのは代々6人と決められておる。

先代のお決まりでな。

だが、言い伝えでは、

 

"7人目の子 呪いを解く力を身につけん。

故に、封印されし存在の務め 一切を全うさせん"と書いておる。

 

もしも、7人目の子であるサモンが本当に封印を解いてしまったら、それこそ本末転倒じゃ』

 

それって、サモン博士を仲間外れにしようとしているのか⁉︎なんでそんな事を⁉︎

 

『…サモン⁈』

 

『⁈』

 

『…パパも…ママも…お兄ちゃん達もお姉ちゃん達も…

私を仲間外れに…』

 

『違うんだ‼︎これには訳が…』

 

『皆んな大っ嫌い‼︎』

 

そういうとサモンが家を飛び出して行った!

 

『サモン‼︎』

 

…サモンにとっては聞いてはいけなかった事なんだな。

その後の光景は所々と変わっていた。

おそらく幼き日のサモン博士を探していたんだろう。

だが、結局誰1人として見つけられなかったのか…

 

その間、サモン博士は今の今まで見つけられなかったのか…

 

そうしていると急に身体を動かされた。

如何やら現実の方に戻らないとな…

 

ーーーーーー

 

「…も…つ…も…!憑友!」

 

「未来?…!響!」

 

「無事で良かった〜‼︎」

 

「ぐはっ⁈」

 

ゴツンっ⁉︎

 

あ痛ぁぁぁぁ⁉︎

帰って来て早々にこれですか⁈ヒドすぎ‼︎

 

「あ、ごめん…」

 

ごめんで済むなら警察要らねえよ‼︎

 

ゴツンっ‼︎

 

「あ痛っ⁉︎なんで⁉︎」

 

「『なんで⁉︎』じゃない!いきなり押し倒しやがって‼︎」

 

「大丈夫か、憑友⁉︎」

 

あ、弦十郎師匠。

此処は…メディカルルームか。

 

「いきなり倒れたから驚いたぞ」

 

「ご心配おかけしました。でも、大丈夫です。

寧ろ、今身体を動かさないと鈍ってしまうぐらいです」

 

「それは頼もしいな。

さて、そんな憑友なんだが…早速やって貰いたい事がある。響君と共にな」

 

…ピンチなんですね。翼さん達が。

 

「響…」

 

「大丈夫!へいき、へっちゃら!」

 

…ふっ。お前らしいよ、響。

 

「…弦十郎師匠。状況は?」

 

「はっきり言って最悪の展開だ。

翼達がオートスコアラーの相手をしていたら、首謀者である錬金術師自ら出向いてきただけではなく、

『リベレーション』が全員集合してしまっている。

勝算ははっきり言って絶望的だ。如何する?」

 

「なら、師匠の言葉を借りて一言…」

 

「?」

 

 

「"思いつきを数字で語れるものかよ‼︎"」

 

「んな⁉︎」

 

「へっ。前に一度言って見たかったんだよ、この言葉!」

 

「…ったく。一本取られたか。

…行ってこい!」

 

「はい!響…頼むぜ!」

 

「うん!任せて!」

 

「未来…」

 

「気を付けてね」

 

「ああ!」「うん!」

 

「「絶対に帰って来るから!」」

 

!…へへっ。まさか此処まで響と似てきたとはな。

…さぁ、此処からが俺達の戦いだ!

 

ーーーーーーNO SIDE

憑友が突然と倒れ込み、メディカルルームへと搬送する15分前に遡る。

その頃、翼達の方はオートスコアラーの2人と相対していた。

 

「さて…如何してくれる?先輩」

 

「反撃…程度では生温いな」

 

「んじゃまぁ…逆襲と行きますか!」

 

「ふっ。愚問だな。

…端からそのつもりだ!」

 

「それじゃあ…いっちょ派手にやりますかね!」

 

そう言うとロックと霊風は「フィーネ」のカードをアブソーバーに翳した!

するとロックのアブソーバーを水が覆い、

霊風のアブソーバーを風が纏った!

 

ーアビス・ソウル・アブソーバー!ー

 

ーハリケーン・スピリット・アブソーバー!ー

 

すると2人はアブソーバーをスライドさせた。其処には一枚分のカードを入れられる窪みがあり、其処に先程翳した「フィーネ」のカードを入れて、スライドさせ、

そしてカードケースから『アドバンスフォース』のカードを取り出し、装填させ、レバーを引いた。

それと同時にアブソーバーが左腕から離れ、2人はそれを左手に持つと、

上,左,下,右,真ん中の順にアブソーバーを動かしそして霊風は上へ、ロックは右にアブソーバーを動かした!

 

ーアブソーバー・スパーク!ー

 

ーアブソーバー・ドライバー!ー

 

すると2人は其々のアイテムをアブソーバーとドッキングさせ、

其々のアブソーバーに描かれている戦士達のバストアップ写真が描かれているパネルボタンを押した!

 

ースピリット!フォーム、ギンガ‼︎ー

 

ーソウル!フォーム、スペクター!ー

 

ーー『FULL BURST IGNITION』!ーー

 

すると2人は其々の戦士の変身プロセスを行いそして変身した!

 

「ギンガーー!」

 

「変身!」

 

ー未来の戦士!銀河の覇者!ー

 

ーレディーゴー!覚悟!想いを繋げろ!ー

 

すると2人は其々の戦士…『ウルトラマンギンガ』と『仮面ライダースペクター』に変身した。

だが、其れだけでは終わらない…!

 

「行くぜ!」

 

そう言うと霊風はアブソーバーを左腕に装着させ、スパークのグリップ部分を捻りそして外した!

そしてそのまま霊風はアブソーバーのパネルボタンに付いてる赤と青のパネルボタンの内、赤の方を押した!

 

『今こそ、1つになる時…!』

 

するとアブソーバーから音声が流れた!

それを聞いた霊風はアブソーバーのパネルに写し出されている映像に対して横にスライドさせ、先程捻って外したスパークグリップを刺した!

 

"ウルトラマン…タロウ!"

 

『ギンガに力を…!

 

 

ギンガストリウム‼︎』

 

すると霊風の身体の一部が変化していく…!

それはギンガの変身者…礼堂ヒカルがかつて変身して見せた姿。

ウルトラ6兄弟の力を1つにし、それをギンガが使用する強化変身…

 

"ギンガストリウム"に霊風が変身したのだ!

 

霊風だけでは無い…!ロックもまた変化していた!

 

ロックもアブソーバーのパネルボタンを見た。

其処には鎖が掛けられているパネルボタンがあった。

だが、見た瞬間にその鎖が断ち、解放されたのだ!

それを見たロックは躊躇いなくその鎖に縛られていたパネルボタンを押した!

 

ーダイブ・トゥ・ディープ!ー

 

そうするとロックはアブソーバーのドライブボタンを押した!

 

「変身!」

 

ーゲンカイガン!ディープスペクター!

ゲ・キ・ゴー!覚悟!ギ・ザ・ギ・ザ!ゴースト!ー

 

するとロックもまた変化が起きた…!

 

スペクターの変身者…深海マコトが得た「友を守る為の力」であり、

スペクターの強化形態…

『ディープスペクター』へと強化変身したのだ!

 

すると霊風はギンガの武器・「ギンガスパークランス」を、

ロックはディープスペクター専用武器・「ディープスラッシャー」を其々携える!

 

元は2人の今の姿には普通は成れない。例え『四英雄』の力でも、基本の姿でしか使えないから。

だが、「フィーネ」の力『FULL BURST IGNITION』の力を使用する事で一部の『英雄』達の強化変身した姿を使用する事ができるのである。

 

そうしているとミカが大量のアルカ・ノイズのジェムを放ってきた!

当然其処からアルカ・ノイズが現れる!

 

「久方ぶりに『四英雄』の力を使うんだ…

肩を暖めらせてくれよな!」

 

「鈍ってなければいいがな…行かせてもらう!」

 

「慣らし運転がてらに片付けるぞ!」

 

「綺麗に平らげてやるよ!」

 

「新車で初乗りだぜ…ひとっ走り付き合いな!」

 

そう言うと5人は一斉に駆け抜ける!

 

(挿入歌『BAYONET CHARGE』水樹奈々,高垣彩陽)

 

歌は2人に任せ、一気に駆け抜ける!

 

「ショォウラァ!」

 

霊風はギンガスパークランスで己の得意な槍捌きを華麗に決めていく!

 

そして霊風はそのままアブソーバー内に映し出されているアイテム…『ストリウムブレス』を見て、ディスクを回転させて、レリーフを回転させた!

 

『ウルトラマンの力よ!』

 

そう言うとそのままランスを高く投げ、敵に向けて腕を十字に構えた!

 

「『"スペシウム光線"‼︎』」

 

すると右手から青白い光線が放たれ、その攻撃を食らったアルカ・ノイズは一斉に露散した!

そしてそのまま落ちてきていたランスを取り、構え直す。

 

だが、まだアルカ・ノイズは山程いる。

けれど、"光がある限り"諦めないのが『ウルトラマン』の(さが)

 

霊風は続けてパネルボタンを押した!

 

『ウルトラセブンの力よ!』

 

すると霊風はランスを地面に刺して、今度はL字に構えた!

 

「『"ワイドショット"‼︎』」

 

すると今度は黄色の光線が放たれ、再びアルカ・ノイズを粉砕していく!

 

「俺達の戦いはここからだ!」

 

その頃、ロックもディープスペクターの状態で確実にアルカ・ノイズを倒していく!

すると何かに気付いたのか、ロックはディープスラッシャーの剣先を180度動かす。

すると剣の形から銃の形へと変化し、そのまま弾丸を撃つ!

 

そして放たれた場所を見るとクリスの背後にノイズが襲おうとしていた!

 

「!悪りぃ、ロック義兄!」

 

「借りは俺よりもスコアを多く稼ぐ事だ。行くぞ!」

 

「応よ!」

 

すると2人は其々の方に向き直り、走り抜ける。

 

その際にロックはスペクターの武器・「ガンガンハンド」を取り出し、2丁拳銃のように撃ち放ったのだ!

 

火縄銃型の「ガンガンハンド」と、ピストル型の「ディープスラッシャー」。

本来なら何方か片方しか使えない武器だが、ロックはそんな事はお構い無しである。

伊達に狙撃銃や弓、ショットガン等の銃火器の扱いに長けた《精魂導師》では無いのだ!

 

するとロックはドライバーに装着されているドライブボタンを叩いた!

 

『ソウル・スペクター!フルドライブ!』

 

「はぁぁぁぁ…はぁっ!」

 

そう言うとロックは銃口にエネルギーを溜め、そして一気に解き放った!

 

その攻撃を食らったアルカ・ノイズは消えさったのであった。

 

そしてそうこうしているうちにアルカ・ノイズ達は翼達の分も含め全て散り、残すはミカとジュエル…2人のオートスコアラーのみとなった。

 

「一気に仕掛けるぞ!」

 

「ああ!」

 

そう言うとロックと霊風は其々の武器を構えて攻撃を仕掛けていく!

 

「おっさんはさっさと退場なさい!」

 

するとジュエルの口から思いもがけない言葉と共に扇を剣の形に変えて、そのまま2人の攻撃をいなしていく!

 

だが、その瞬間に、霊風はディスクを回転させて、レリーフを回転させた!

 

『ウルトラマンAの力よ!』

 

すると霊風はランスを再び地面に刺すと、そのまま身体を大きく動かしそしてL字に構えた!

 

「『"メタリウム光線"‼︎』」

 

霊風の光線が放たれるが、ジュエルは仕込み扇を元の扇に戻して、2つの扇を合わせた。

すると其処から銀の盾のような形に変わり、そのまま攻撃を受け止められた。

 

「甘すぎですわ!」

 

そう言うとジュエルは扇を使って、風の斬撃波…"鎌鼬"を繰り出した!

 

それを見た霊風はすかさず皆の前に立ち、ディスクを回転させ、そしてレリーフを回転させた!

 

『ウルトラマンジャックの力よ!』

 

そう言うと霊風は腕を水平に動かした!

 

「『"ウルトラバーリヤー"‼︎』」

 

すると霊風の前に光の壁が現れ、鎌鼬の攻撃を全て塞いだ!

その間にロックはスペクターの能力「眼魂チェンジ」を用いた!

 

ーカイガン!ツタンカーメン!

ピラミッドは三角〜!王家の資格〜!ー

 

するとロックはスペクターの専用武器「ガンガンハンド」を取り出した。

すると其処へスペクターのアイテム「コブラケータイ」が現れ、そのまま「ガンガンハンド」に装着し、サイスモードになった!

 

そしてそのまま攻撃を仕掛けるロック!

 

だが、ジュエルはその攻撃を仕込み扇を笏の形にして、相殺していく。

 

けれど、ロックは不適な笑みを浮かべる。

 

「?…!」

 

「貰った!」

 

ロックはすかさずバック宙をする。するとなんと奏が2振りの槍を真っ直ぐに構えて特攻していた!

その攻撃に気付き攻撃を躱そうとするが、奏のスピードはそれ以上のもので、ジュエルに大ダメージを与えた…!

 

槍の高速突進攻撃"COMET∞STRIKE"が決まった!

 

一方、ミカを相手にしていた翼とクリスもそれぞれの攻撃を仕掛けた!

翼はX字の青い斬撃を居合いのように飛ばし、対象を斬り裂く技"蒼刃罰光斬"を放つも、ミカはそれを余裕で躱す…が!

その着地点目掛けてクリスが大型ミサイル2基を生成し、砲撃を行う技"MEGA DETH FUGA"が着地と同時にヒットした。

 

「ちょせぇ!」

 

クリスはそう言う。だが、翼が「いや待て!」と言われて再び警戒する。それは明らかに様子がおかしかった。

煙の中から術式が浮かび上がっていた。

 

「面目無いゾ」

 

「マスター…お手を煩わせてしまい申し訳ありません」

 

「いや、手ずから凌いでよく分かった…俺の出番だ」

 

そこには今回の首謀者…キャロルが居り、2人を守っていた!

 

「気を付けろ…!

敵の頭の登場みたいだぜ…!」

 

「ラスボスのお出ましって訳か…!」

 

そう言いながら5人は其々の得物を構えた。

 

すると突然、雷が霊風達目掛けて襲いかかってきた!

それをいち早く感知した霊風は回避を命令すると全員をその場から回避させた。

なんとか攻撃を躱せたのだが、立っていた場所はコンクリートで出来ているのに、焼き焦げてしまっていた…!

 

「この攻撃…まさか!」

 

それに気付いた霊風は辺りを見渡す。

すると…見つけたのだ。

 

「…」

 

《雷魂導師》アンデッド…ライジンを。

だが、彼だけでは無かった!

 

「派手に俺のテリトリーをやってくれたな〜?」

 

「…両者を…討つ」

 

彼の仲間…地魂導師ボーンと氷魂導師アヤカシも居たのだ!

 

今此処に3つの陣営が揃ったのだ!

 

そうしていると、ミカとジュエルはテレポートジェムを使って逃げた!

 

「…お前は1人でやると言うのか?」

 

「ふん」

 

そう言うとキャロルの手元に竪琴が現れた!

それを見た霊風はいち早く気付いた。

 

「あれは…!」

 

「霊風、知ってるのか?」

 

「あれは…竪琴型の聖遺物『ダウルダブラ』だ」

 

「聖遺物だって⁉︎」

 

するとキャロルはその竪琴を弾いた!

するとキャロルの身体をその竪琴型聖遺物『ダウルダブラ』が纏わせていく!

そして現れたのは、先程の幼い姿であったキャロル…では無く、成長促進したかのような冷徹な女性の姿へと早変わりした!

 

「これくらいあれば、不足は無かろう…はぁ!」

 

そう言うとキャロルがすかさずピアノ線を使った攻撃を全体に使用してきた!

それを見た霊風達は一斉に回避した。

だが、『リベレーション』達は全く動かない!

何故なら、その必要が無いから。

 

「"アース・アッパー"!」

 

そう言いながらボーンが地面に向けて拳を突き立てた!

すると目の前に岩の壁が現れ、キャロルの攻撃は防がれたのだ!

 

「さあて…始めますかな!」

 

ボーンがそう言いながら拳同士を打ち付けた。

それと同時にアンデッドが杖を構えながら本を開き、

アヤカシは腰の刀に手を添える!

 

戦いは三つ巴の戦いへと発展する…!




激化していく最中、憑友はボーンが言った一言に驚愕し、そして挫折した。
しかし、そんな彼の手を差し伸べたのはやはりあの子だった…!

そして翼達は遂にあの力を発動しようとしていた!

次回

『負』と『獣』

闇を抱え、獣となれ…


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♪18 『負』と『獣』

今回は最初のシーンにご注意下さい。本編にも書きますけど、
憑友君が「想い出」を干渉する1()5()()()の時間軸に一時戻りますのでご注意を。


ーーーーーーSIDEto憑友

はっきり言うと戦闘が滅茶苦茶だった…

 

ロックと奏さんの攻撃を前にボーンとアヤカシがそれを悉く相殺し、アンデッドの攻撃を霊風先輩が槍を巧みに扱いながら受け流していく。

そして翼さんとクリス先輩は成長したキャロルを相対するけれど、キャロルの錬金術を前に悪戦苦闘だった。

 

「歌う訳でもない…なのにこんなエネルギー…いったい何処から⁉︎」

 

確かに。

シンフォギアを纏っているのであれば、歌を歌わなければその真価を発揮する事は不可能に近い…

なのに歌を歌わずしてこの威力…如何して?

 

「"想い出"の焼却です」

 

「想い出?」

 

…如何言う事なんだ?エルフナイン。

 

「キャロルやオートスコアラーの力は『想い出』と言う脳内の電気信号を変換錬成した物です…」

 

エルフナインがそう言った。

まだ日が浅いオートスコアラー達は消費するだけの想い出の量を所持していないとの事なんだが、じゃあ如何やったらあんな凄まじい威力を誇ってるんだ?」

 

「それは、恐らく唯一の男性型オートスコアラー…レグルスが行ったのかもしれません。憑友さん」

 

…あれ?俺いつ頃から声を出していたんだ?

…まぁ、そんな事は良いか。それよりも先の発言で気になった事がある。

 

「レグルスがオートスコアラー達に想い出を与えていると言うのか?」

 

「ええ…///」

 

そう言うとエルフナインがモジモジしだした…何コノ子、愛デタインデスケド⁈

 

…いかん。完全に理性がどっか言っていた。

エルフナインがこんな動作をする事はただ1つ…

…レグルス…据え膳なんちゃらって奴だよな。これは間違いなく…

 

「…取り敢えず後は言わなくて良いからね」

 

「はぅ〜…ずびぃま"ぜん〜!」

 

だから泣かないで⁉︎俺が泣かせたみたいになってるじゃないか⁈

…って、なんか冷たい視線が…⁉︎

 

『…』ジー…

 

うわぁぁぁぁ⁉︎女性陣達から冷たい眼つきの応酬だよ⁉︎

響〜!未来〜!助けt…って、お前らもか〜い⁉︎

 

…ああ〜もう嫌だよ〜⁉︎誰か変わって〜⁉︎

 

『…』

 

ハイ、変わる気0!知ってましたけどね!(−_−#)

 

『そんな程度かよ!』

 

「⁉︎この声…」

 

するとふと映像から音声が聞こえてきたので、振り返ると、其処にはロックが《地魂導師》ボーンと呼ばれる相手と戦っていた。

ロックはアーチャーと同じ力を持つ『英雄』…【贋作の少女 クロエ】を使用していた。

え?なんで分かるのかって?…お腹に模様が付いてあるからです。

アーチャーにはそんなのは無いしね。それにおへそ出すような人では有りませんし。え?露出して無いのかって?…してますけど、そんなの言わなくても良く無い?だって、変身者…男だよ?

 

と、そんな事は良いか。

そう思っているとボーンは衝撃の言葉を発した。

 

 

 

()()()()…舐め過ぎなんだよ!』

 

「⁉︎()()()()…⁉︎」

 

そんな…⁉︎

 

「?如何したの憑友?」

 

「憑友?」

 

嘘だ…嘘だ…!

 

「⁈憑友⁉︎落ち着いて!」

 

「こんなの嘘だーーーーーー‼︎」

 

そう言うと俺はそのまま指令室を出て行った。その際に調達とぶつかったけど、この時の俺はそれに気付かなかった。

だって…だって…!

もし、ボーンが彼奴だったら…動揺するしか無いじゃないかよ!

 

如何してお前が其処にいるんだよ…!

いや、お前だけじゃ無い!

 

アヤカシ…お前がもしもそうなのであれば…お前もなのか⁈

 

如何して、俺達の前に立ちはだかるんだ‼︎

 

 

ーーーーーーNO SIDE

憑友は廊下を走って行く。

すると角付近で誰かとぶつかった。

 

「あ痛っ⁉︎」

 

「っ…!す、すみません!サモン博士⁉︎」

 

それは憑友を含む《精魂導師》達に新たな力を開発していたサモン・クリスチャーノだった…!

憑友は先の衝撃でサモン博士を吹き飛ばしたのだ。

しかしサモン博士は「大丈夫だよ」と言って、なんとか立ち上がる。

するとサモン博士は思い出したかのように、懐からライドアブソーバーを取り出して、憑友に渡した。

 

「!これ…ライドさん!」

 

「私の役目は終わり♪後はみんなに任せるわ♪」

 

そう言うとサモンはその場を立ち去って行った。

憑友は廊下の片隅に蹲り、そして涙を流した。

それに気付いたライドは話しかけた。

 

『如何かしたのか?』

 

「…俺。ボーンとアヤカシに立ち向かえないかもしれない」

 

『如何言う事なんだ?』

 

すると憑友は先の映像から発した声と、そしてボーンが名乗った()()()()の事を話した。

その話を聞いたライドは驚愕していた。彼もまたその者の存在を知っていたから。

 

だが、ライドはこう語った。

 

『もし、ボーンとアヤカシがその2人ならば…憑友。お前がその2人を救ってみれば良い!』

 

「俺が…?」

 

『君の事を思っている2人なんだ。

だったら、彼等の心に響かせれば良い。

"自分はもう守られるだけの存在じゃない!"ってな!

彼等に守られていた頃の自分はもういない。

だが、彼等の隣に立てるぐらいの力を身につけたんだ!

彼等の背中を守れるように成長したんだ。私が保証する!』

 

「ライドさん…ありがとう」

 

「憑友」

 

すると不意に声が聞こえてきたので、顔を上げると其処には響が立っていた。

 

「響…」

 

「さっきの映像で何が起こっているのかを話して欲しいとは思っていないよ。

だけど、いつか必ず教えてね!」

 

「響…ああ」

 

そう言うと響は手を差し伸べて来て、憑友はその手に掴まり、そして立ち上がった。

 

「師匠から出撃許可が出てるんだ。私と憑友。2人で!」

 

「…分かった。俺も本気を見せないとな!」

 

「それこそ憑友だね!」

 

そう言いながら響の笑顔を見た憑友。

憑友はそんな響の〔太陽〕のような笑顔に先程まで泣いていた自分が馬鹿らしくなり、そのまま響の頭を豪快に搔きむしる。

 

「ちょっと⁉︎」

 

「さぁ、行こうぜ!」

 

憑友の言葉と顔を見た響。

其処には先程まで背負っていた荷が降りたかのような憑友の顔があった。

響はそんな憑友に「うん!」と返事をするとそのまま翼達が戦っている戦場の方へと向かうのであった。

 

それから3分も待たずに憑友は急に倒れ込んでしまい、メディカルルームへと搬送されていたのであった。

 

ーーーーーーSIDEtoサモン

作戦は順調ね。

兄さん達、姉さん達に再会出来た事は嬉しい限りね。

尤も、まさかアブソーバーと言う電子機器に変貌してしまったのは残念だけど、私の計画としては寧ろ合格だった。

さて、そろそろ私も行きますかね…⁉︎

 

「動か…ない?」

 

「すみませんが、ご同行をお願いします」

 

「…緒川…さん?」

 

くっ…流石、S.O.N.G.専属のエージェント。既に私の事は情報収集済みという訳ね。

 

「貴方は一体、何を企てようとしてるんですか?」

 

そう言いながら、銃を女の人に構えないで欲しいわね。

 

…貴方の背中を狙いやすくなっちゃうんだから?

 

「⁉︎…ぐはっ⁈」

 

シュュュュンッ!

 

…!動けるようね。

 

「い、今のは…⁉︎」

 

私の名はサモンよ?

「サモンは英語でなんて呼ぶでしょうね?」

 

「サモン…召喚…まさか⁉︎」

 

気付いてももう遅いわよ。

お願いするわ…【灼眼の剣士】ちゃん♪

 

「!うわぁぁぁぁぁ⁉︎」

 

…さて、私はもう此処に用は無いわね。

バイバイ♪S.O.N.G.の皆さん。

兄さん達…姉さん達…

 

今から私は…貴方達の敵になります。

ーーーーーーNO SIDE

S.O.N.G.内でそう言う騒動がある中、

戦場では完全に劣勢になっていた。

 

キャロル相手に翼とクリスが攻撃を仕掛けていくが、キャロルの前にはシンフォギアを強化しても劣勢に立たされていた。

キャロルは自らの記憶…「想い出」を焼却させて強力な力を発揮させているのである。

数百年の記憶を保有しているキャロルだからこそなし得る事だった。

そしてそれはアンデッド達『リベレーション』を相手にしているロック達の方も劣勢だった。

 

「クソッタレが…!」

 

「大丈夫か…クリス…翼」

 

「私はなんとかな」

 

「アレを試すにはギリギリ大丈夫ってとこかな」

 

 

「…そっちは如何だ?霊風」

 

「へっ。言わなくても分かってるだろ?」

 

「…ふっ。そうだな」

 

そう言いながら5人は立ち上がる。

 

「ふっ。タマを隠しているのなら見せてみろ。

俺はお前等の全ての希望をぶち砕いてやる!」

 

「そして俺達はそんなお前の野望を止めてやる。

勿論、シンフォギア装者…お前達もな」

 

そう言いながらキャロルは挑発を仕掛けるが、アンデッド…ライジンがキャロルとシンフォギア装者達に対してそう答えた。

 

するとクリスは翼と奏の2人に「付き合ってくれるか?」と言ってきたので、2人は頷きながら返答して、そして3人はアレを発動する!

 

「「「イグナイトモジュール…抜剣!」」」

 

そう言うと3人はそれぞれの胸のコンバーターの装置を起動させ、取り外した!

 

『『『Dainsleif』』』

 

するとコンバーターが手元から離れて、其処から光の突起物が出現、そして3人の胸部と首の間を目掛けて突き刺した!

 

それにより、声にも寄らない悲鳴を3人が悶えながらそれを受けた。

それを見たロックと霊風も両者が頷く。

 

「俺達も…!」

 

「彼奴らだけに重荷を背負わせて堪るかよ!」

 

そう言うと2人はアブソーバーのパネルボタンに手を添え、詠唱を始めた。

 

「「"己の中に眠りし『獣』よ。

今こそ此処に解放せん!"

 

『MONSTER DRIVE』

 

ビースト・オン!ザ・イグニッション!」」

 

そう言うと2人はそのままアブソーバーを力強く翳した!

 

ーー『MONSTER DRIVE』!ーー

 

するとアブソーバーから匂いが発してきた…それも視認できるぐらいの濃いピンクの臭いが。

 

「⁉︎あっ…がぁ…⁉︎」

 

するとなんと霊風とロックはその匂いを嗅いだ瞬間に翼達と同様、悶え始めたのだ!

 

「何だ…この匂いは…⁉︎」

 

「駄目だ…目に焦点が…⁉︎」

 

2人が吸った匂い。実はこれ、人としてはあまりにも危険な代物だった。

 

事の発端は、翼達と共にエルフナインの話の最中まで遡る。

 

ー回想ー

エルフナイン曰くproject・IGNITEは『シンフォギア』に搭載されている決戦機能を扱う為のものとの事だった。

決戦機能は主に3つ存在している。

 

己の身体を傷つけてまで放つ諸刃の剣…「絶唱」

 

相当量のフォニックゲインを束ねて起こす奇跡の力「XD(エクスドライブ)モード」

 

そして今回のシステム「IGNITE」の3つが存在するのである。

だが、実はこの「IGNITE」…翼達は既に目にしているのである。

それは…響の「暴走」であった!

 

エルフナインから言われた事で翼とクリス、奏は憤慨する。

響の「暴走」が今回のシステムの根本だと言う事に。

だが、それを聞いた霊風とロックはエルフナインに突っかかっていた奏とクリスを引き離して、話をし続けた。

 

曰く「『暴走』を制御し、純粋な戦闘力へと変換錬成し、キャロルへの対抗策とする。

それが『project・IGNITE』の目指す所」との事だった。

そしてエルフナインは続け様に霊風とロックに話をし始めた。

サモンから聞いた『MONSTER DRIVE』の使用する際の注意点だった。

 

 

①使用する際、アブソーバーから匂いが発する。その匂いを嗅ぐ事で変身プロセスが開始される。

だが、その匂いはあまりにも強烈で、一般人がこれを嗅げば間違いなく悶え死ぬぐらいの臭いを発するとの事。

 

②それを乗り越えた先に待ち構えているのが、理性の崩壊。

己の身体と脳内の電気信号のミスマッチ…つまり身体の言う事が聞きにくくなる。

だが、それに打ち勝てば、理性の崩壊は無くならず、身体の言う事も聞けるとの事。

 

③そしてそれを乗り越えた先にあるのは身体の変化。

それには相当の苦痛が襲いかかるとの事。

だが、それに打ち勝てば、『MONSTER DRIVE』は発揮する。

その段階中は常に己の中の獣を扱わなければいけない。

 

そうエルフナインはサモンから聞かされていたようだ。

それを聞いた霊風とロックは驚愕した。

もしも、その経過途中で己の中の獣を扱いきれなかったら…

おそらく、自分達は二度と人間には戻れないかもしれないという崖っ淵の状況に追い込まれるとの事だった。

 

ー回想ENDー

 

「うぅ…あぁ…ああーー‼︎」

 

「がぁ…はぁ…うわぁぁぁぁぁ!」

 

「ぐっ!…はがぁ…!ぎゃぁぁぁ‼︎」

 

「げほっ…!がぁ…⁉︎…うがぁぁぁぁ‼︎」

 

「うぅ…がぁはっ…⁉︎…がはぁぁぁぁあ‼︎」

 

そんな中でも5人は必死に悶え苦しむ。

 

モジュールのコアたるダインスレイフは"殺戮の魔剣"とも呼ばれており、人の心の中に潜みし闇を増幅させる力を持っているとの事。

そして霊風達の嗅いだ匂いは己の中に眠りし野性の獣の魂を呼び起こし、それを増幅させる機能を持つとの事。

だが、その力を克服、そして乗り越える事が出来れば、キャロルや『リベレーション』達と対等に戦えれる。

 

だが、その力は凄まじく、霊風達はその力に飲み込まれそうになってしまう…!

遂にはS.O.N.G.の方でも危険信号まで出てしまう!

このまま終わるのかと思ったその時だった。

 

ガシッ!

 

「…霊風?」

 

奏の手を…今にも獣へと生まれ変わろうとしていた霊風が手を掴む。

そしてもう片方の手で翼の手を掴んだ。

 

「こんな…所で…終わって…たまる…か…よ…

 

『生きるのを…諦める…ものかよーー‼︎』」

 

それを聞いたロックは力ずくで闇に飲み込まれようとしているクリスの手を掴んだ!

 

「!…ロック…義兄…⁉︎」

 

「このまま…お前だけを…置いて逝くかよ…

『守って見せるんだーー‼︎』」

 

それを聞いた装者達は手を出し合う。

 

「1人だと…寂しいから…な…!」

 

「危うく…底なしの沼へと…堕ちそうだった…のでな」

 

「お陰で、良い気付けに…なったぜ…」

 

そう言うと5人の身体から光が放たれ、元の状態に戻った。

だが、5人ともボロボロになってしまったのだ。

 

「不発?」

 

それを見たキャロルはしけたツラを見せた。

逆に、アンデッド達『リベレーション』は何故かホッとしていた。

 

「ふぅ…取りあえずは良いか」

 

「尽きたのか、それとも折れたのか、それとも堕ちずに這い戻って来たのか。

…何れにせよ、俺が立ち上がる力くらいくれてやろう!」

 

そう言うとキャロルはアルカ・ノイズを生み出すジェムを上空に投げ放った!

 

するとそこからキャリア型のアルカ・ノイズが現れ、そこから無数の飛行系小型のアルカ・ノイズを出現させ、なんと街へと放たれたのだ!

それを見たアンデッド達はキャロルに怒りを込み上げた!

 

「何時までも地ベタに膝をつけていては、

市街の被害は抑えられまい」

 

「キャロル・マールス・ディーンハイム‼︎」

 

「貴様だけは…絶対に許さない!」

 

そう言うとなんとボーンとアヤカシがキャロルに牙を剥く!

だが、キャロルはそんな2人をピアノ線を使った攻撃で拘束させた。

 

翼達はこの状況の中でも立ち上がる。

だが、アルカ・ノイズ達を倒せる力がもう無くに等しい状況。

絶対絶命…!

 

 

その時だった!

 

「はぁぁぁぁあ‼︎」

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」

 

「⁉︎まさか…!」

 

上空から2つの雄叫びが聞こえし時…

双方は現れん…

 

「キャロルちゃん!」

 

その手で掴まされし者達に〔太陽〕のような暖かさを放つ少女…立場響と、

 

「"燃え盛る炎の魂"…《炎魂導師》ライド、見参!」

 

その心に有るは〔灼熱〕の魂の持ち主…人絆憑友。

今2人が戦場に降り立つ!




次回

抜剣/ビースト・オン・ザ・イグニッション

装者よ負を乗り越えろ!
導師よ、その身を獣へと化せ!


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♪19 抜剣/ビースト・オン・ザ・イグニッション

如何なる負の瘴気が漂いて入ろうと…
〔月光〕がその闇夜を彩らせ、〔太陽〕がその闇を照らす…!

お待たせしました。最新話です。


キャロルと『リベレーション』の前に、響と憑友が現れた。

2人の様子はというと、絶好調のようだ。

ただ、憑友はボーンとアヤカシを見た瞬間に浮かない表情を見せていた。

事実、それに気付いた霊風に指摘を受けられていた。

 

「憑友。お前…なんでそんなにも浮かない顔をしているんだ?」

 

「…なんでもない…とは言えません。

けど、ボーンとアヤカシ。あの2人と自分はある意味因縁以上に深いのかもしれません」

 

「え?」

 

そう言うと憑友は拳同士を打ち付け、響を見やる。

それに気付いた響は憑友の顔を見て、やる気の表情を見せた。

 

「…今は、ただ1つ。

『MONSTER DRIVE』と『IGNITE』の力を扱う事を最優先にする事!」

 

「だが、今の俺達では…」

 

「未来が教えてくれたんです」

 

憑友は新たな力を扱う事を最優先にしようと策を出すが、皆を代表してロックが不安を煽るような言葉を発した。

だが、それを響が割って入り込み、話をしだした。

 

「自分はシンフォギアによって救われたって。

この力が本当に誰かを救う力なら、身に纏っている私達だって救ってくれます!」

 

「それは一概にも《精魂導師》も同じなんです。

誰かを救う為にこの力がある。

ならば、まず第一にこの力を扱う者達を守る事が救う事になるって!」

 

「だから信じるんです!ダーインスレイフの呪いを打ち破るのは…!」

 

「己の中の獣を操る為には…ただ1つ!」

 

それを言われた皆は其々の相棒達に目を向ける。

 

天羽々斬,イチイバル,ゲイジャルグ・ゲイボウ,スピリット,ソウル…

そして、ガングニールとライドを。

 

「馬鹿2人に乗せられてカッコつけねぇけどよ…」

 

「そんな馬鹿2人に俺達の人生を変えられたのは否めないけどな」

 

「へへっ。流石、私のファンと私が救えた子だな」

 

「さぁて…休憩はこのくらいにしようじゃないか!」

 

「もう一度行くぞ!」

 

翼の合図を機に響達《シンフォギア装者》達は胸のコンバーターに手を添え、

憑友達《精魂導師》達はアブソーバーに手を添えた。

すると何処からともなく上空から炎が、海から雷が、更に陸地には光り輝く蟲達が集まりだした…!

 

「?なんだ?この蟲共は…」

 

「これは…」「まさか…‼︎」

 

キャロルがその蟲を払い除けようとするとボーンとアヤカシはまるでこれで2度目のような光景を見たかのような言葉を発した。

すると上空,陸地,海上から3つの雄叫びが発してきた!

 

その声を聞いた霊風達は視線をその咆哮が響いてきた方へと視線を移す。

すると視線の先から、

 

【空の王者 リオレウス】

 

【海の王者 ラギアクルス】

 

【無双の狩人 ジンオウガ】

 

彼等のモンスターが現れたのだ!

 

「一気に行くぞ!」

 

すると憑友達は其々の新たな力を発動する!

 

「イグナイトモジュール!」

 

『抜剣‼︎』

 

『『『『Dainsleif』』』』

 

響達《シンフォギア装者》達はコンバーターを使用して、「イグナイト」を発動し、

 

「「「"己の中に眠りし『獣』よ。

今こそ此処に解放せん!"

 

『MONSTER DRIVE』

 

ビースト・オン!ザ・イグニッション!」」」

 

そう言うと3人はそのままアブソーバーを力強く翳した!

 

ーーー『MONSTER DRIVE』!ーーー

 

するとアブソーバーから匂いが発し、憑友達はそれを吸い込んだ!

 

激しく襲いかかる激痛と闇の瘴気に飲み込まれるシンフォギア装者。

そして意識が朦朧しながらも、力強く踏み止まる《精魂導師》

 

「未来が教えてくれたんだ…

力の意味を…背負う覚悟を…!

この衝動に…塗り潰されて…!」

 

「己が己で無くなろうとも…!

この身に魂がある限り…!

獣なんかに…!俺の身体を…使わせて…!」

 

『なるものかーー‼︎』

 

すると響達はその衝動を乗り越え、黒き装甲を纏った!

 

シンフォギア…イグナイトver.の誕生だった!

 

そして憑友達の方では驚くべき変化が起きた!

 

憑友達の身体を、其々のモンスター達が包み、そして憑友達と溶け合ったのだ!

そして現れたのは、其々のモンスター達の姿を模した姿だった!

しかも、その瞳にはしっかりとハイライトが映し出されていた…意識がある証拠だった!

これこそが本当の『MONSTER DRIVE』の力だったのだ!

 

(挿入歌『RADIANT FORCE (IGNITED arrangement)』

悠木碧,水樹奈々,高垣彩陽,高山みなみ

松本梨香,宮野真守,西川貴教)

 

それを見たキャロルは不適な笑みを浮かべながら,地面にアルカ・ノイズが入ってるジェムを放り投げ、アルカ・ノイズを発生させた。

 

その数…10000!

 

原作(オリジナル)よりも遥かに多い数であった!

 

それを見たライジンは2人に「高みの見物と行こうか」と言って、2人に攻撃をしないように命令した。

 

「「たかが10000!」」

 

そう言うと響はアームドギア《GGK(ガングニールナックル)》を巨大化させて、ノイズ達を瞬時に葬り去る!

 

しかし、その残りが響に近づこうとした瞬間、2つの剣が袈裟斬りをしながら、ノイズを葬った!

響はその光景を見て、驚いた。

そこにはなんと奏がおり、奏の手には2振りの槍…ではなく、2つの剣が携えていた!

 

ゲイジャルグ・ゲイボウの使い手…ディルムッド・オディナ。

その彼には2つの槍の他に、2つの剣を所持していると言う文献がある。

 

剣の名は、《大なる激情》モラルタ,《小なる激情》ベガルタ。

奏はオディナの剣を扱っていたのだ!

実はこれは奏のギアに入りし『英霊』オディナたっての希望でもあったのだ。

「イグナイト」を搭載する際にエルフナインに剣型の形状へと変更するようにお願いしていたのだ。

それにより、奏は剣を扱って戦うと言う、本来なら槍を扱う事に長けた彼女とは予想もしない事だった。

 

その頃、憑友は腕と脇腹の間に生えた翼で空高く飛翔する!

その上にクリスが乗った!

実は『MONSTER DRIVE』が発動した際に、憑友達の身体はモンスターの姿へと変わったのだが、体長が1.5倍の大きさになった。

それだけではなく、身体そのものの構造が吸収したモンスター達の身体構造そのものになっていたのだ!

まるで人間の身体にモンスターの身体構造をそのまま埋め込んだかのように。

そのため、クリスを立ったまま乗せる事が出来るのである!

 

「振り落とされないで下さいよ!」

 

「言われなくても!」

 

そう言うとクリスは憑友の上に立ち上がったまま、重火器を連射しまくる!

 

"MEGA DETH QUARTET"

 

そして翼も雷を帯びた斬撃波"蒼ノ一閃"でアルカ・ノイズ約200を一撃で葬り去る!

 

その間に奏はオディナの剣を使って、衝撃波を放った!

 

"BLADE∞STAR"

 

その間に霊風はジンオウガの力を発揮させていた。

すると、霊風の周りに大量の蟲が付着し始める。

そして雄叫びをあげた。

 

「帯電モード‼︎」

 

すると霊風の身体の毛が一気に逆立つ!

ジンオウガの力の象徴…『超帯電状態』を模したモード…『帯電モード』を発動した!

そしてそのままアルカ・ノイズ達を高速で素通りする。

すると素通りした場所にいたアルカ・ノイズ達が一斉に露散したのだ!

 

ジンオウガはこの『超帯電状態』の時、ごく稀にだが…走行時に雷を迸る事が有る。

霊風はジンオウガに関する情報を前世の時に知っていたので、それを利用したのだ!

そしてそのままアルカ・ノイズ達に雷の攻撃を仕掛けていった!

 

 

その頃、ロックは逆に自分の身体についてる甲殻や鱗の色が、

蒼から白へと変わっていた!

 

「亜種形態…"白海竜"!」

 

そう言うとロックは地面を滑り、その突進によりアルカ・ノイズ達を葬り去った!

 

『MONSTER DRIVE』の能力の1つ…移行(シフト)・亜種形態。

文字通り、取り込んだモンスター達の姿を色違いの姿へと変える力を持つ。

更に一部のモンスターは生態環境の影響もある事から、その影響も大きく受けていた。

 

ラギアクルスの別名は【海の王者】…その名の通り、海を征するドラゴンである。陸には本来上がりたがらない性分。

上がる時は大抵傷を癒す為か、水中で動き回りバテてきてしまい、スタミナ回復の為だけに上がるようなモンスターである。

 

だが、ロックが変化させた"白海竜"…ラギアクルス亜種は海だけでは無く、陸をも征する力を秘めたラギアクルスである。

亜種はこのように色が違うだけでは無く、生態環境に大きく変化しているモンスターも多くいるのである。

 

そうこうしている間にロックは雄叫びと共に周りを大量の電気が降り注ぐ!

その攻撃の余波で、アルカ・ノイズ達はあっという間に露散していった!

 

するとそれを見ていたキャロルが、攻撃を仕掛けて来た!

それに気付いた響達はその攻撃を躱した!

明らかに元の状態よりも身軽くなっていた!

 

するとキャロルのピアノ線の攻撃が響のアームドギアにまとわりつく!

しかし、響はそれを掴んで無理やり引っ張る!

それによりキャロルは体勢を崩すもなんとか踏み留まる…が、

 

「もう一丁!」

 

「な⁉︎」

 

なんと憑友が響の肩を鉤爪と化した足で掴みそのまま響ごと上空へと飛び上がった!

それにより完全に体勢を崩すキャロル。

その瞬間を見た一同は一斉に攻撃を仕掛けていく!

 

翼の斬撃波、クリスの矢、ロックの電撃玉、霊風の雷光蟲弾、奏の双刃による斬撃波がキャロルを襲う!

だが、キャロルはそれを残った右腕で防ぐ!

しかしそこへ上空から降りて来た響が憑友に身を委ねて特攻を仕掛けてきた!

憑友の竜の翼が大きく羽ばたき、そしてそのまま2人はまるで炎の弾丸のようにキャロルに攻撃を仕掛けた!

 

「ぐはっ⁉︎」

 

その攻撃を食らったキャロルはそのまま施設の方へと吹き飛ばされた。

憑友はそのまま響を上空へと足でぶん投げた!

 

「行っけぇぇぇ‼︎」

 

「うぉぉぉ‼︎」

 

すると響の足のアームドギアが巨大化し、そのままキャロルにぶつけようとした!

 

「!」「あいつ…!」

 

それを見た2人はキャロルの方へと向かおうとするが、ライジンに止められた。

 

「少しは待て。

もうすぐ面白い物が見られるぞ?」

 

そう言いながらライジンは不適な笑みを浮かべた。

 

そう言うと響がキャロルに向けてその蹴りをぶつけた!

その衝撃で、爆発が起きた。

 

ーーーーーーSIDEto弦十郎

やったのか…?

 

「現在解析中!」

 

「これで終わりですね!」

 

「勝ったの…⁉︎」

 

「デスデス…デェェェス!」

 

だと良いんだが…

 

「⁉︎間に合わなか…」バタンッ!

 

⁉︎…!緒川⁈

 

「!緒川さん!」

 

「如何した⁈この怪我は⁉︎」

 

「はぁ…はぁ…」

 

一体何が起きたと言うのだ⁉︎

 

 

「!サモン博士は⁉︎」

 

「⁉︎そう言えば…」

 

確か、部屋にいるのでは?

 

「はぁ…はぁ…サモン博士の正体が…判明…しました…」

 

サモン博士の正体だと?

緒川、しっかりしろ!

 

 

「サモン博士は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕達の…『敵』です!」

 

何?

 

「⁉︎なんだこの光景は⁉︎」

 

如何した、マリアく…ん…⁉︎

 

「嘘…」

 

「⁉︎如何して⁈」

 

「なんで…?」

 

「何やってんだよ⁉︎」

 

「これは一体⁉︎」

 

お前は…何がしたいんだ⁉︎…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

憑友ーーーーーー‼︎

 

ーーーーーーNO SIDE

弦十郎達の見た映像。それは驚愕のものだった。

そしてそれは間近にいた霊風達も同様だった。

 

そしてキャロルと1番近くにいた響はその光景を目の当たりにしていた。

何故なら、自分の足を誰かが止めていたのだ。

その誰かは弦十郎の発言で確定していた。

 

「…え?」

 

「なんで…憑友!」

 

なんと憑友が自分達の敵であるキャロルを庇ったのだ!

それを見たライジンは高々く笑いを上げる。

 

 

「グハハハッ!遂に起動したか!

『MONSTER DRIVE』の真の()()()()を!

その身に味わえ!《精魂導師》!」

 

 

ーーーーーーSIDEto憑友

なんで…⁉︎

なんで俺が…こんな事を⁈

 

ーなんだこのプログラムは⁈…がはっ⁉︎憑友!今すぐこのプログラムを解j…‼︎ー

 

フィーネ⁉︎一体何が…

 

ーイグナイト機能検知。

destroyermode強制起動します。

codename…『IGNITE KILLER』ACCESSー

 

イグナイト…キラー?

 

⁉︎ガハッ‼︎

 

眼…眼に焦点が…合わない⁉︎

 

「憑友!」

 

響!

 

うぅ⁉︎なんだ⁈これは⁉︎

 

殺せ…

 

殺せ…

 

コロセ…!

 

殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ…

 

やめろ…止めろ…!

 

 

止めてくれーー‼︎

 

ーーーーーーNO SIDE

その頃、憑友の身体に変化が生じ始めた!

身体は急に倒れ込み、いきなり血を吐いたのだ!

それも肉体の血液の3分の1を余裕で超える程の多量出血だった!

 

「まずい!憑友を!」

 

霊風がそう言って、憑友に近付こうとしたその時、

憑友が雄叫びと共にそのまま地面に倒れたのだ!

 

「…何が起こったのだ…?」

 

そう言いながら疲弊しながらも立ち上がるキャロル。

ボーンとアヤカシはその光景を見て、眼を逸らしていた。

そしてライジン…アンデッドは高々く笑いをあげた。

 

「例え、半幽霊であっても、やはり所詮は人間。

この日禍々しい力の前では抗いきれなかったか!

でも、これで実験は成功だな。

なぁ、そうだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サモン・クリスチャーノ?」

 

『⁉︎』

 

ライジンの言った方向に視線を向けるとそこには白衣を羽織ったサモン博士が何故かこの電力施設である戦場の中にいつの間にか立っていた!

 

「ええ。実験は成功よ。もうすぐ彼はいや、彼等は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方達の『敵』になる」




次回

罠/『IGNITE KILLER』


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♪20 罠…『IGNITE KILLER』

お待たせしました。最新話です。
今回はちょっと残酷すぎる展開です。
が、それを乗り越えるのもまた主人公なのです!キリッ!


「ええ。実験は成功よ。もうすぐ彼はいや、彼等は…貴方達の『敵』になる」

 

そう言いながらサモン博士は翼達S.O.N.G.のメンバーを素通りし、そのままライジンの方へと赴いたのだ!

 

「サモン博士…?」

 

響はサモンの行動に不可思議な状態になっていた。それは他のメンバーも同様だった。

するとサモンは甲高い声で笑いあげた。

 

「ハハハッ…!

いい気味ね?未だに私がついた()を信じてるなんて?」

 

「…え?」

 

するとサモンは皆に説明をした。

『MONSTER DRIVE』の…本当の姿を。

 

「『MONSTER DRIVE』は《精魂導師》達の新たな力を組み入れたプログラム…通称『Ignition Kind』プログラム。

又の名を『I・K』プログラムと私はそう呼んでいたわ。

けど、貴方達は私の話をよく聞いていたかしら?

私はいつも『I・K』、『I・K』って言っていたけど…

 

 

『Ignition Kind』とは()()()()()()()()()のよ?」

 

『⁉︎』

 

『IGNITION KIND』

憑友達《精魂導師》達の新たな力を組み入れたプログラムの総称名。

その力の中には、アンデッド達が使っていた『FUSION DRIVE』も組み込まれている。

そして今回使用した『MONSTER DRIVE』もそのプログラムの1つに組み込まれているのである。

 

だが、このプログラムの事は皆んなはフルネームで呼んでいた。

けれどただ1人…サモンだけはイニシャルで略し、『I・K』プログラムと言っていたのだ…

 

「『I・K』プログラムの『I・K』はね…」ニヤリ

 

そう言いながら不適な笑みをサモンは浮かべ、そして驚愕発言をしながら、響達に指を指した!

 

 

 

「貴方達の力「イグナイト」システムを殺す為だけに生まれたプログラム…

 

『IGNITE KILLER』プログラムが、このプログラムの本当の名前よ!」

 

それを聞いた響達や、その映像を見ていた弦十郎達も驚きに包まれていた。

自分達が使っているこのプログラムが、響達の纏う新たな力(イグナイト)を殺す為だけに生み出されたプログラムだと言う事を。

 

するとなんとロックの瞳から血が流れた!

更に霊風の爪先から血が流れた!

 

「ロック義兄⁉︎その眼⁉︎」

 

「え?…血?…がはっ⁉︎」

 

「おい、霊風⁉︎爪から血が⁉︎」

 

「え?…なんで…ぐはっ⁉︎」

 

そういうとロックと霊風が急に苦しみ出し、そして憑友と同じように口から多量の血を流したのだ!

 

「さぁ、目覚めなさい。貴方達の敵は目の前にいるわよ?」

 

ーーーーーーSIDEtoロック

なんだ⁈…いきなり血が流れて…しかも…こんなにも血が流れるなんて…⁉︎

 

「ロック義兄!ロック義兄‼︎」

 

クリス…

 

殺せ…

 

え?

 

殺せ…殺せ…!この女を…殺せ…!

 

何を言ってるんだ…?クリスを…殺せ…だと⁈

 

殺せ…殺せ…殺せ…殺せ…殺せ…

 

止めろ…!クリスは俺の義理の妹なんだ‼︎

 

殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ

 

止めろーーーーーー‼︎

 

ーーーーーーSIDEto霊風

苦…しい…!なんで…急に…⁉︎

 

この苦しみ…前に…見た事が…⁉︎

 

「霊風!しっかりしろ!霊風‼︎」

 

奏…それに翼…!

 

殺せ……殺せ…!

 

⁉︎なんだ⁈急に…頭から囁かれているこの声は⁉︎

 

殺せ…殺せ…殺せ…殺せ…殺せ…殺せ…!

 

そうだ…この苦しみ…

まさか…このプログラムのモデルって、まさか…⁉︎

 

殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ…

 

止めろ!止めてくれ‼︎

 

俺は愛する者を…殺したくないんだーーーーーー‼︎

 

ーーーーーーNO SIDE

 

サモンの言った一言。その一言が倒れこんだ憑友,ロック,霊風の体に変化を起こした。

 

3人の口から血が流れると同時に黒い瘴気みたいなのが吐いていた…!

すると憑友の身体がピクリと動いた。

それに気付いた響は憑友に駆け寄った。

だが、それが間違いだったと言う事をこの時の彼女は知らなかった…

 

「!憑友!良かった〜〜!無事なんだよn「■■■■■■■■ー!」ぐはっ⁈」

 

「⁉︎立花!」

 

響は憑友が立ち上がった事にホッとしたのも束の間、なんと憑友に首を掴まれ、そのまま持ち上げられたのだ!

 

ーーーーーー

それを見ていたS.O.N.G.の面々は驚愕していた。

 

「何が起こったと言うのだ⁉︎」

 

「分かりません‼︎ただ、この状態が続くと同士討ちになります!」

 

「サモン博士は…内通者だったという事…⁉︎」

 

S.O.N.G.内は戦慄に走っていた…

 

 

場所は再び戦場へ。

立花の異常事態に気付いた翼は「何をしている⁈憑友‼︎」と憑友に言い寄るが、

 

「■■■■■■■■■■■ー!」

 

その眼は真っ赤のような血の眼のようになり、そして瞳のハイライトは映し出されていなかった…!

すると憑友はそのまま響を施設の方へと投げ飛ばしたのだ!

響はその攻撃に何も出来ないまま、そのまま施設の方へと吹き飛ばされた!

 

そして憑友の顔を見て、驚愕した。

先程までの深紅のようなリオレウスの身体と半分化している憑友の周りを、紫色の瘴気が纏っていたのだ!

そして口からも闇の瘴気とも呼べるような物まで呼吸と共に排出していた!

 

「■■■■■■■■■■■ー!」

 

そして、その咆哮はもはや人の声に非ず…弱肉強食の『獣』へと堕ちていた。

かつて、リオレウス達のいた世界で起きた異常事態。

それの事象と憑友の今の状態が良く似ていた。

もし、それと同じものならばおそらく、憑友の今の状態は"ウイルス"に侵されていると言っても過言では無かった。

 

そんな中、奏とクリスが響の元へと行こうとした…が、

 

ガシッ!

 

「⁉︎…ロック…義兄?」

 

「⁉︎…霊風?」

 

近くに倒れていたロックと霊風が2人の足を握っていた。

そしてその2人は顔をあげた。

其処にはもはや屍とも呼べるような『獣』のような姿へと堕ちていた!

 

「■■■■■■■■■ーーー‼︎」

 

そう言うとロックはなんとクリスの足を…

 

 

 

ガブリッ‼︎

 

「⁉︎…うわぁぁぁぁ‼︎」

 

噛み付いたのだ!余りの出来事にクリスは無防備になってしまい、そして悲鳴を上げた。

 

そして霊風はと言うともう片方の手で、奏のもう片方の足を掴んだ!

 

「しまった!」

 

そう言いながら奏は足元を掬われ、そのまま地面に倒れこむ。

そしてそのまま霊風は奏の上に覆い被さり、そのままその手で攻撃を仕掛けたのだ!奏は咄嗟にその攻撃をオディナの双剣で防ぐ。

 

「■■■■■■■■■■■ーーー‼︎」

 

「よせっ!霊風‼︎私だ!奏だ‼︎」

 

「■■■■■■■ーーー‼︎」

 

「霊風ーーーー‼︎」

 

3人の状況を見た翼。それでも己の刀をサモン達に向け、そして見やる。

 

「3人に何をした‼︎」

 

「簡単な事よ?彼等の中に眠りし『獣』を呼び起こしただけ。

もう既に他の《精魂導師》達のアブソーバーは搭載済み。

しかも、解除する事も出来ないわよ。したらその場でドカーン!だからね」

 

驚愕の真実を突きつけられた翼は刀を構えて、そして振りかざす!

だが、その攻撃はアヤカシによって封じられ、そのまま鍔迫り合いが発生する!

 

「くっ!」

 

「鈍だな…〔剣〕の分際で、俺の〔刀〕を錆にすら出来ぬとはな」

 

「何を!」

 

「かつてのお前は俺の〔刀〕を使い物にすら出来ないような威厳を見せていたのにな?」

 

「⁉︎如何言う事だ⁉︎」

 

「それ以上の質問に答える義務は…無い!」

 

そう言うとアヤカシは刀を納刀し、そして瞬時に翼の懐に忍び込んだ!

そして瞬時に抜刀して一閃した!

 

「⁉︎この構え…まさか…ぐはっ!」

 

「余所見は禁物だぜ!」

 

そうしていると、翼の背後からボーンが奇襲をかけた!

それを見たキャロルは何が起こっているのか分からない表情を浮かべていた。

そうしていると、キャロルの元にサモンが現れ、なんとサモンはキャロルに手を指し伸びた!

 

「…なんのつもりだ?」

 

「交渉よ?

キャロル・マールス・ディーンハイム。

稀代の錬金術師である貴方と、

稀代の召喚術師である私が手を組めば、

貴方の成そうとしている『万象黙示録』が完成する。

私はこの世界の事、本当は好きじゃないのよ。利害が一致するから両得でしょ?

先日の件に関してはあれは一種の演技よ。

私達『リベレーション』が敵なのか、味方なのかを撹乱する為のね。

でも、S.O.N.G.の優秀なエージェントさんのおかげでバレてしまった以上、縋る道はこの交渉のみ。

受け入れたら、傘下に加わるわ。

その代わりに、私のお願いにも聞いて欲しいのよ」

 

「…内容はなんだ?」

 

サモンは交渉を持ちかけたのだ。

そしてキャロルはサモンが何をしようとしているのかを探る為に内容を聞いた。

サモンはそれを聞くなり、キャロルに耳打ちする。余程重要な事なのだろう。

そして内容を聞いたキャロルは「…良かろう」と言って、サモンと手を結んだ。此処に同盟が成立した…最悪の同盟が!

 

「…所で、ほっといて良いのか?」

 

そうキャロルに指摘され、振り向くと其処には既に精魂導師5人により尋常じゃ無いほどのダメージを負った4人が其処にいた。

 

「別に良いのよ。私達には関係無いしね。

取り戻したければ、取り戻せば良いだけの事よ?

()()()()()()()()()()()ってね」

 

サモンの言った一言を聞いた響はふと考えた。

 

「(目には目を…歯には歯を…)」

 

それを聞いた響は再び立ち上がる。

しかしその先には憑友が翼を羽ばたかせて、そのまま特攻を仕掛けていた!

すると響はそのまま憑友の攻撃を避け、憑友は上空へと飛翔した。

そしてそれを見た響は驚くべき行動に移した!

 

「イグナイトモジュール…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…納刀」

 

そう言うと響の身体はイグナイト状態から元のガングニールの姿に戻ったのだ!

 

『⁉︎』

 

その行動に驚く一同。

すると憑友のアブソーバーから音声が流れた。

 

ー最優先対象の「イグナイト」反応消失。

『IGNITE KILLER』強制解除します。ー

 

すると憑友の身体は元の《炎魂導師》の姿へと戻り、そのまま地面へと落ちたのである!

その際に吸収されていたリオレウスとも分離した。

 

 

それを見たサモンは驚きの顔しかしなかった。

 

「何故だ⁉︎何故、『IGNITE KILLER』が強制解除した⁉︎」

 

すると響はサモンに向けて話しかけた。

 

イグナイト(この力)は、誰かを助ける為の力。

だけど、それが大事な存在を傷付けるのなら…

私はこの力は使用しない‼︎」

 

「くっ!生意気がーー‼︎」

 

そう言うとキャロルがピアノ戦をドリルに変え、そのまま竜巻を発生し、響を襲う!

だが、その攻撃は何者かの()によって相殺された!

 

「‼︎」

 

そして一同はその炎が発した方向を見た。

其処には、傷付きながらも立ち上がる我らが主人公…

 

「はぁ…はぁ…!」

 

人絆憑友が其処にいた。

 

「憑友‼︎」

 

そう言いながら、憑友の元へと駆け寄る響。それと同時に憑友が倒れそうになり、響は咄嗟に支えた。

 

「ありがとう…響。

おかげで戻ってこれた…!」

 

「憑友…!」

 

「何故だ‼︎」

 

するとサモンの怒りに満ちた声が聞こえ、サモンの方を見やる。

其処には髪をくしゃくしゃに掻き乱したサモンが其処にいた。

 

「何故だ‼︎何故だ‼︎何故だーー‼︎

何故、『MONSTER DRIVE』の呪縛から正気に戻った⁉︎」

 

サモンの問いに憑友はにやりとした顔を見せつけ、そして話した。

 

「簡単な事だ。

俺のこの闇は、対象者の闇を討ち殺す為の力。

ならば、その対象者の闇を祓えさえすれば、此方もやる事が無くなり、そのまま闇の瘴気は消えるんだよ!」

 

「ぐっ!私とした事が…!」

 

その話を聞いた奏とクリス、そして翼はそれを聞くなり、響の方を見やる。

そして響は「えへへ!」と言いながら笑顔とサムズアップを見せつけた。

全ては響の発想の転換だった!

 

響はあの時、サモンの言った一言…「目には目を、歯には歯を」と言う言葉に違和感を感じていた。

 

この言葉は報復律と呼ばれるもので、「人が誰かを傷付けた場合、その罰は同程度のものでなければならない、もしくは相当の代価を受け取ることでこれに代えることもできる」と言う意味を持っている。

だがそれは悪い方向に言い換えれば、「戦争」の火種の1つでもある。

響はそんな事の為に「ガングニール」を纏っている訳ではない。

 

この身を纏う《シンフォギア》は…

 

"誰かを助け、そして命を救う為に使う力"

 

響はそう今でも信じている。

自分が初めてシンフォギアを纏ったあの日から。

途中でその苦難に阻まれたものの、それでも…

この"想い"は変わらない…今迄も…今この瞬間も…そしてこれからも…!

 

そんな響を見たシンフォギア3人。

 

「…ふっ。立花らしいな」

「あたしも太陽(あの馬鹿)に当たりすぎたみてぇだな」

「相変わらず優しい子だよ…響ちゃんは」

 

そう言うと3人も響と同じように、イグナイトモジュールを納刀した。

 

するとロックと霊風のアブソーバーからも憑友のアブソーバー…ライドから発せられた音声が流れ、2人も元の姿に戻ったのだ!

 

「…悪りぃ。奏…俺は…」

 

霊風は如何やら意識を持って行かれていなかったようだ。

伊達に転生者(リターナー)と呼ばれる事はあった。

けれど、自分の身体が言う事を聞かずにそのまま奏に襲いかかった事に霊風としては今まで見せなかった哀しみの表情を浮かべていた。

すると奏はそんな霊風の顔に両手で押さえると…

 

 

チュッ!

 

「⁉︎」

 

「へへっ!」

 

なんとそのままキスしたのだ!

勿論、させられた霊風本人は動揺していた!

この奏…結構大胆だった!

 

「そんな哀しむ顔を見せてくれるなよ。私のマネージャーはこんな所でやられるような柔な男じゃないだろ?」

 

そう言いながら笑顔を見せつける奏。

その表情を見た霊風は、

 

「…お前には敵わんな」

 

と言いながら、奏に笑顔を見せたのであった。

 

一方、元に戻ったロックはと言うと、クリスにより無事に戻る事が出来た。

だが、ロックは自分が何をしたのか憶えてはいなかった。

その代わり、クリスを守る事が出来なかったと嘆いていた。

 

「…済まない。クリス。俺がもっとしっかりしていれば…!」

 

「んな事は関係無ぇ…。

 

…その代わりよ…

 

…私の背中…今度はちゃんと守ってくれよ…」

 

「クリス…ああ。約束しよう。

今度は必ずお前の背中を守ってみせる!」

 

…如何やら杞憂に終わったようだ。

そうすると3人はシンフォギア装者達の間に入る。

 

「サモン博士いや…サモン・クリスチャーノ!

お前の目的がなんなのかは俺には知らない!

だけど、これだけは言わせろ!」

 

そう言うと憑友は響から離れ、そして一気に懐に入った…

ボーンとアヤカシの方に。

 

「何っ⁉︎」「本命はこっちか⁉︎」

 

「うおおお!」

 

そう言うと憑友は2人の仮面を爪を立てた手で押さえるとそのまま潰すかのように手を閉じさせた!

すると2人の仮面に罅が入った!

 

「「⁉︎」」

 

「うおおお!」

 

そう言うと憑友の握撃で仮面の一部が砕けた!

そしてそのまま2人の身体に掌底を叩き込み、そして2人は一斉に後方へと吹き飛び、建物の壁にぶつかった!

何故そんな事をしたのかと考えるアンデッド=ライジン。

しかし考えられるのはただ1つ…

 

「まさか、ボーンとアヤカシの正体を⁉︎」

 

そうしていると砂煙の中からボーンとアヤカシが立ち上がる。

しかし、顔から仮面の破片がパラパラと落ちてきていた。

 

「その2人に何を吹き込んだ!

如何して…!

如何して、お前達と戦わないといけないんだ‼︎」

 

そう言いながら憑友は驚愕の言葉を発した。

 

「答えろよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

逝都‼︎馬燈‼︎」

 

『⁉︎』

 

憑友の言葉に皆は驚愕した。

そして仮面が完全に剥がれ落ち、そしてボーンとアヤカシが顔を上げた。

その顔を見た瞬間、S.O.N.G.のメンバーは驚愕した。

それは数ヶ月前に行方を眩ませた憑友,響,未来の幼馴染にして、

憑友の数少ない男友達…

 

 

 

 

 

 

ボーン=浅岡逝都と、

アヤカシ=一走馬燈が…其処にいた。




次回

ボーンとアヤカシの正体/決着…

次回、アニメ6話目のラスト!
だが、同時に新たな存在が蠢き出す…!


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♪21 ボーンとアヤカシの正体/決着…

アニメ6話目ラスト部分です!

そしてサブタイ通り、ボーンとアヤカシの正体が判明します!
…と言っても前回のラストで大きく出ちゃってますけどね…。

…では、どうぞ!


S.O.N.G.…そして現場にいた響達は驚愕の顔に満ちていた。

何故なら、自分達が相手をしていた存在…

 

《地魂導師》ボーンと《氷魂導師》アヤカシの正体が…

 

自分達の知り合い…

それに加えて、響と未来そして憑友に至っては、幼馴染にあたる存在…

 

浅岡逝都と一走馬燈が其処にいたのだ。

 

「…何時から気が付きやがった…」

 

そう言いながら、逝都=ボーンは憑友に話しかける。

そして憑友は「ついさっきな」と言って、話をした。

 

「逝都。お前の口からはこんな事を言ったよな…

()()()()、舐め過ぎなんだよ』って。

《暴君番長》…その名はお前の…逝都の異名だったからな」

 

そう言いながら、憑友は想い出に浸り始めた。

 

ーーーーーーSIDEto憑友

ー回想ー

あれはまだ俺が小学生だった頃。

周りの女の子達から声をよく掛けられて、逆に男の子達から虐めに遭う事が日常茶飯事になっていた頃だった。

その頃から俺のクラスに逝都と馬燈が転校してきたのは…

 

『さっさと歩けよ!ノロマ!』

 

『ごめんね〜。踏み台になってくれて♪』

 

『ゴミ箱ならゴミ箱らしくしやがれ!』

 

この頃の俺は、完全に負け組の虐められっ子だった。

ただ学力が高くて、女の子達から声をよく掛けられていた。ただそれだけでこの有様だ。

大人はただそれを見て見ぬ振り…特に男性の先生達は。

余程俺に恨みの矛先を向けていた事が今になっては良く分かった。

 

ある日、俺に転機が訪れた…

 

『ほらよ!此処も綺麗にしような〜!』

 

そう言いながら、俺の衣服を無理やり脱がせて、そして汚い雑巾やホウキで俺を『清掃』という名の『虐め』を受けていた。

そんな時だった…殴ったような音が聞こえてきたのは。

 

『んあ?誰だ?』

 

『誰だ?とはなんだ!

お前らよくもまあ飽きずに虐待してくれてんじゃん?』

 

そう言いながら虐めっ子のリーダーの元に2人の男の子が現れたのは…

 

『…はぁ…相変わらず懲りないな。逝都』

 

『そう言うお前こそ、『虐めなど言語道断!』とか言わなかったっけ?』

 

『一言余計だ!』

 

当時、俺と出会ったばかりの逝都と馬燈だった。

 

『雑魚掃討よろしく!』

 

『俺はお前の掃除係じゃない』

 

1対1(タイマン)やるのに、こいつら邪魔じゃん?』

そう言いながら辺りを見渡す逝都。

当時の俺は喧嘩はやめてと思った。だって、返り討ちに遭うのが当たり前なのだったから。

当時俺を虐めていた男の子達の殆どは学校内でもトップクラスの力の持ち主ばかりだったから。

 

しかし当時の逝都と馬燈はそんなのは御構い無しだった。

 

『さぁて一丁派手にやりますか…!』

 

そう言いながら指を折っていく逝都。

そう言いながら『はぁ…』と馬燈は溜め息をつきながらも、近くに置いていたチリボウキを持った。ただ、相手にブラシを向けず、棒の方を向けた。

 

『お前らにはこれで充分だしな』

 

そう言いながら棒を向ける馬燈。

2人の挑発を簡単に受けたリーダーは『やっちまえ』と言いながら、2人相手に30人の相手が襲いかかったんだ。

 

俺はこの時、終わったと思った…

 

 

 

 

 

 

〜数分後〜

 

 

 

 

 

だが、俺の思いはあっという間に杞憂に終わった。

其処には馬燈と逝都が平然と立っており、

彼等の前に30人の男の子達の山が盛られていて、その上には彼等のリーダーが泡を吹いてK.O.されていたのだから。

 

やりきった感を感じた逝都は大きく背伸びして、そしてこう発した。

 

『ん〜!相手が悪すぎたな。

俺が、()()()()だと気付いていたら、そんな事にならなかったのにな?』

 

逝都の発した言葉が、大きく印象に残った。

そう言いながら2人に手を差し伸べられたんだ。

 

『友達になってくれよ!』

 

『こんな俺達だけどな』

 

『!…此方こそ…お願いします…!』

 

それ以来、俺と逝都と馬燈。俺達3人は友達になり、そして親友になったんだ。

 

〜回想END〜

 

「…あれを気に俺に喧嘩を吹っかける輩はいなくなった。

後々聞いた話だと、逝都はこれまでに大人のヤクザ約10組分をたった1人で挑んで勝利した実力から、『暴君』の名を馳せるようになったと。

そして自分が気に入った奴を友達(ダチ)にする変わり者。

だけど、その生き様はまさに『番長』の如く。

暴君そして番長…2つの名を合わせた異名…

 

『暴君番長』…それが逝都の二つ名になったと」

 

憑友からの指摘を受けた逝都は額から汗を出しながら強敵が現れて、それでもやる気に満ちた表情を見せた。

そうしていると憑友は「馬燈。」と言って、今度は馬燈の方に目を見やる。

 

「お前の剣術は見抜きやすかった。

 

"相手の懐に入り、そして瞬時に攻撃に派生させる抜刀術"

【走馬燈流剣術】の基本の型を使っていた。

 

だが、お前の抜刀術は裏の剣術がある事を俺は知っている。

 

"陰陽を模るような動きをしながら抜刀する対人特化型剣術"

 

【陰陽抜刀術】を使用していた。

 

2つの流派を扱えるのは、『一走』の一族だけ。

それに馬燈…お前はその両方の剣術をマスターした逸材の1人。

 

最初は誰なんだと思っていた…けど、話を聞く度に…

 

声は同年代の者。男の声。

そして先の2つの剣術を巧みに扱うその太刀筋…

それらを照らし合わせた結果、馬燈。

 

お前がアヤカシだと言う事に辿り着いたと言うわけだ」

 

「…お見通しと言うわけか」

 

そう言いながら馬燈は顔を俯きながらも、その顔からは少し朗らかな顔を見せていた。

だが、問題は其処じゃない。

憑友は2人に本題に入った。

 

「如何して、俺と2人が戦わないといけないんだ‼︎

俺達は幼馴染だろ⁉︎親友だろ⁉︎なんで戦わないといけないんだ⁉︎」

 

すると馬燈と逝都は「はぁ…」と溜め息を零すと、少し間を空けて語り始めた。

 

「…お前に俺達の何が分かる…!」

 

「俺達の想いを…俺たちの気持ち…

 

お前に分かるというのか⁉︎憑友‼︎」

 

そう言うと2人はフュージョンアブソーバーとドッキングさせたアブソーバーに2枚のカードをセットし、アブソーバーを閉じ、そしてレバーを引き、そして十字に腕を構えた。

 

ーボーン!フォーム、アインハルト!&ヴィヴィオ!ー

 

ーアヤカシ!フォーム、一夏!&箒!ー

 

すると馬燈の両隣にポニーテールの少女とそして憑友の元にいた『英雄』の一夏の魂が現れ、

逝都の方ではなのはの娘であるヴィヴィオの魂と、翠のツインテールの少女の魂が現れたのだ!

 

先の火災の際に、アヤカシ=馬燈が憑友と対戦した時、憑友を打ち負かした時にカードケースからカードを奪っていた。

その中にヴィヴィオと一夏のカードも抜き取られていたのだ!

 

「"聖王と覇王。2つの力よ、今こそ1つに!"」

 

「"白き諸刃よ。紅き力と共に、駆け抜けそして、抜刀せよ!"」

 

そう言うと2人はアブソーバーが装着されている左腕を天を掲げた!

 

ーー『FUSION DRIVE』!ーー

 

ーセイクリッド・カイザー!ー

 

ー零落・絢爛!ー

 

 

「行きましょう!アインハルトさん!」

「分かりました、ヴィヴィオさん!」

 

「行くぞ!一夏!」

「ああ!行くぞ、箒!」

 

するとそれに呼応するかのように、なんと『英雄』達が声掛けをし始めたのだ!

 

するとそのまま『英雄』達は逝都と馬燈に融合して纏った!

そして現れたのは…

 

ヴィヴィオのバリアジャケットとツインテールの少女…アインハルトのバリアジャケットを合わせたかのような服装をした逝都と、

一夏のIS「白式」と、ポニーテールの少女…箒のIS「紅椿」の特徴を大きく捉えた姿を模した馬燈が其処に立っていた。

 

「相性が良いもの同士を融合させてきたか」

 

そう言いながら霊風は少し動揺していた。

 

逝都がヴィヴィオと一緒にフュージョンさせた存在…アインハルト・ストラトス。

そして馬燈が一夏と一緒にフュージョンさせた存在…篠ノ之箒。

 

この2人の『英雄』は其々の『英雄』と相性が良い『英雄』である。

 

ヴィヴィオとアインハルトは格闘技《ストライクアーツ》を通じて知り合った仲であり、親友以上の存在にして、切磋琢磨するライバル関係である。

 

一方の箒と一夏は幼馴染にして、共に同じ学園に通う者同士。

そして其々所持する機体の性能がマッチする仕様となっている。

 

故に2人の組み合わせはトップクラスとも言える程、相性が良いのだ。

この中で一番『英雄』達の事を知っている霊風が言っているのだから、間違いはない。

ロックはそんな霊風の言葉を聞いた時に直感が働き、警戒した。

「戦うか?」と霊風に問いかけたが、その答えは憑友が「待ってくれ」の一言で2人は立ち止まる。

そして憑友は衝撃の言葉を発した。

 

「…俺1人でやります」

 

「⁉︎」「なんだと⁈」

 

なんと馬燈と逝都の相手を自分1人で相対すると宣言したのだ。

その行動にロックは突っ掛かろうとするが、其れを霊風に止められただけでなく、「なら、お前の想いをぶつけてこい」と後押しまでしたのだ!

それを聞いた憑友は霊風に会釈するとそのまま2人の親友の前に立った。

 

「まさか、お前1人で俺達を相手するだと?」

 

「ああ…必ず連れ帰る!

お前達のフュージョンドライブ(その力)

…もうお前達の専売特許じゃねえ!」

 

そう言うと憑友は懐からなんと逝都達が使用していたアブソーバーに似た薄型のアブソーバー…《フュージョンアブソーバー》を取り出したのだ!

 

そしてそのまま憑友はライドアブソーバーにドッキングさせ、そして2枚のカードを取り出して、装填するとアブソーバーを閉じ、そしてレバーを引くなり、そのまま憑友は十字に腕を構えた!

 

ーライド!フォーム…ナツ!&アカネ‼︎ー

 

すると憑友の両隣にFAIRY TAILの炎の使い手・ナツと、

炎のドライバを扱う少年・アカネの魂が現れた。

 

それを見たアンデッド=ライジンは溜め息を零していた。

 

「相性すら考えないとはな」

 

「その相性の前にお前は負けるんだよ」

 

「何?」

 

すると憑友は詠唱を発した!

 

「"竜と己の焔。2つの炎よ、今1つに交われ!"」

 

そう言うと左腕を天に掲げた!

 

ー『FUSION DRIVE』!

 

イグナイト・サラマンダー!ー

 

 

すると2つの魂から爆炎が渦巻いた!

それを見たライジンは驚愕していた。

本来ならば2人は別の世界出身の『英雄』なのだから。

ナツは「アースランド・マグノリア」の出身。

それに対してアカネは「常界《テラスティア》」出身。

2人は全く別の世界の住人である。

 

そんな2人の力が憑友に融合したのだ!

そして現れたのは…

 

ナツの特徴の竜の鱗模様のマフラーと、紺のチョッキ、そしてその下にはアカネが着用していた赤と黄色のパーカー…

そして両腕にはそんなアカネのドライバ《イグナイト:リート》を装着した憑友が其処にいた…!

 

ーーーーーーSIDEtoライジン

 

⁉︎如何言う事なんだ…!

 

ナツとアカネ。

 

俺の元についてる奴の中にこの2人の事をよく知ってる奴がいるが、2人は全くと言って良い程の相性は無いに等しい筈。

 

なのに、何故彼処まで…!

 

「行くぞ…逝都、馬燈。

俺の炎は3倍増しだぞ…!」

 

そう言いながらライドは挑発の構えをしながら、指先から炎を発現、そして其処から『COME ON』と言う文字を描きながら、挑発して来た。

あの動作は相手を戦う時、ナツと呼ばれている青年が良く挑発する際に使用する悪い癖だ。

 

「ほぉ〜?お前が俺達に挑発とはね〜…!」

 

「その行為…やめておけばこんな事にならなかったのにな!」

 

そう言うとあの2人はライドに攻撃を仕掛けた。

 

だが、2人の攻撃の連続はライドに悉く受け流されていた。

いや、正確には確実にダメージが通っていた。

なのに、それを受けてまだ平然としている彼奴が異常だった!

何故、彼処まで…⁉︎

 

「ナツさんとアカネさん。

なのはさんとほむらさん。

そしてキリト師匠(せんせー)

この5人の『英雄』は俺と最も付き合いの長い『英雄』達だ。

必然的に他では成せない絆が生まれるんだよ!」

 

!つまりこういう事か…

 

彼奴は別々の世界の出身の『英雄』達に…

 

『新たな絆を誕生させた』と言うのか⁉︎

 

「行くぞ!

 

"火竜の咆哮"‼︎」

 

そう言うとライドの口から火炎放射とも呼べる程の火力を帯びたブレスを噴かせた!

それを見た逝都=ボーンは「させるか!」と言って、前に立ちそして構えた。

するとライドの放ったブレスを1つの球体状に纏め、そしてぶっ放した!

 

「"旋衝破"」

 

ボーンの元に付いてる『英雄』にして、【覇王の末裔】と称され少女…アインハルトのカウンター魔法だ。

 

そしてその隙に馬燈=アヤカシが2振りの刀で攻めて来た!

刀の銘は…雨月(あまづき)空裂(からわれ)

アヤカシの元に付いてる『英雄』…篠ノ之箒の刀である。

それに気付いたライドはボーンが放ってきた魔弾を最小限の動きで受け流した!

そして、ライドはアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・ナツ!フルドライブ!』

 

「"滅竜奥義・紅蓮爆炎刃"‼︎」

 

するとアヤカシに向けて爆炎の炎を浴びせた。それにより、アヤカシは怯むと同時に少し後退した。

だが、その隙にボーンが背後を取っていた。

 

『ボーン・アインハルト!フルドライブ!』

 

「"覇王…断・空・拳"ーーー‼︎」

 

するとそのままストレートパンチをお見舞いさせた!

これで決まっ…『ライド・アカネ!フルドライブ‼︎』た…

 

 

 

え?

 

 

 

「"ラヴァノヴァ"ーーー‼︎」

 

そう言いながらライドはそのままボーンの拳と己の拳をぶつけた!

その衝撃は此方にまでやって来ていた!

 

くっ!なんてパワーなんだ⁈

 

そう感じていたら、ライドの奴がニヤリと不敵な笑みを浮かべていた。

何故?そう思っていた…

 

ドガッ!

 

この効果音がなるまでは。

 

後ろから聞こえた音…振り返るとそこには、

 

「はぁ…はぁ…」

 

「はぁ…はぁ…キャロルちゃん…」

 

なんといつの間にかシンフォギア《ガングニール》の装者・立花響が、キャロルを倒していた!

 

まさか、ライドは俺達を向けさせる為の囮だったのか⁉︎

 

ーーーーーーNO SIDE

全ては憑友の思惑通りだった。

自分が派手に動き囮になる代わりに、響にはキャロルの相手をして欲しいと憑友が考えていたのだ。

結果は見事に成功したのだ。

 

憑友の常識を覆す行動により、サモン率いる『リベレーション』は完全に憑友の方に目を向けてしまっていた。

 

その所為でキャロルの事態に気付かなかったのであった。

 

そうこうしているとキャロルに手を差し伸べる響。だが、キャロルはそれを拒み、「呪われた旋律で誰かを救えるなどと思うなよ」と意味深な言葉を残し、そしてキャロルは歯をくいしばると同時に、そのまま倒れ、身体から緑の炎が上がったのだ!

それに気付いたロックは消化を始めようとするが、霊風が首を横に振った。「この状態だと助からねぇ」と言いながら。

その光景を見ていたサモン博士は頭の髪を自らの手で搔きむしりながら、引っ張っていた。

 

「私の…私の…私の計画が〜〜‼︎」

 

「計画?」

 

それは何なのかと憑友が言おうとしたら、アンデッドはサモンの後ろ首に手刀を当て、気絶させるなり、そのままお姫様抱っこした。

 

「これ以上は無意味だ。俺達の計画は失敗した。

だが、まだ策はある。今宵は撤退だ」

 

そう言うとアンデッドは懐から何とオートスコアラー達が使用していたテレポートジェムを取り出し、そのまま地面に投げた。

それに気付いたボーン=逝都とアヤカシ=馬燈はそのジェムから描かれた術式の上に立った。

 

「次こそはお前を倒して、お前を守る…」

 

そう馬燈が言い残すと同時にアンデッド達もテレポートしていった。

色々とアクシデントがあったにせよ…何はともあれ、一先ずは今回の騒動はS.O.N.G.の勝利に終わった。

意味深な言葉を残して。

 

ーーーーーー

その頃、キャロルのアジトでは、着々と計画が進んでいた。

 

「…遂に動き出したか」

 

そう言いながらレグルスは自分の足下にある歯車を見てそう呟く。

するとそれを中心に幕が垂れ下がってきた。

 

赤、青、黄、緑、紫、白、銀、そして金の垂れ幕が。

 

「…我々の計画を進めるぞ」

 

そう言いながら、レグルスは静かに目を開けた。

 

ーーーーーー

その頃、ライジン達が使用していたアジトでは、たった1人…セバスチャンが窓のブラインドを開けて高々く笑っていた。

 

「はははははははッ!

 

遂に…遂にこの時がやって来ましたよ!

 

もう少しだけお待ち下さいませ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"魔神王"様!」

 

 

時の流れは更なる戦いへと誘い始めたのであった…!




次回予告
新たな力を得た一同。しかし、それを扱うには鍛錬が必要だった。
そこで彼等は特訓をする事にした!
だが、裏ではキャロルのオートスコアラーが着々と計画を勧めていた!

次回

修行と水着?

次回は水着回!乞うご期待!
そして憑友の意外な弱点も判明します!

追記)…まさかの今回のお話で150話達成するとは思わなかった…。
このままだと200話以内で3期のお話終わりそう…。
…早く4期出てくれないかな〜…


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♪22 修行と水着?

と言う訳で、やって来ましたアニメ7話こと水着回!
水着姿のマリアさん…母性溢れていたように錯覚した作者。
未来ちゃんの水着もまたエロと言う名の凶器…ウン、コワイネ〜…イロンナイミデ。
因みに導師の皆は全員パーカー羽織ってます。
霊風と零はブーメラン。後は全員バラバラ(描くのが難しかったから、皆さんのご想像にお任せ)。
因みに奏さんとセレナさんはパレオです。
さて、コミカル多しの水着回…どうぞです。



ーーーーーーSIDEtoマリア

強くなりたい…

翻弄する運命にも、立ちはだかる脅威にも負けない力が欲しくて、ずっと踠いてきた…

 

「おーい、マリア〜」

 

「何をやってるデスか〜?」

 

「姉貴〜?」

 

「早くしようぜ〜?」

 

求めた強さを手に入れる為…

 

 

私は(此処)に来た!

 

ムニュッ!

 

「ひゃあ⁉︎」

 

「ほーら、ボォ〜っとしてるとやっちゃうよ〜?」

 

「せ、セレナ〜⁉︎」

 

お願いだから、「『いきなり胸を揉まないで〜⁉︎』と心の中で叫ぶでしょう」いきなり胸を揉まないで〜⁉︎…!何でっ⁉︎

 

「うふふ。マリア姉さんは読心術には弱いもんね〜?」

 

「うぅ〜…セレナ〜‼︎」

 

「あははっ!こっちこっち!」

 

「…セレナに弄られ過ぎだろ…マリア。

姉としての威厳は何処行った?」

 

そんなのは小悪魔になったセレナに無理やり置いて来させられたわよ‼︎

 

ーーーーーーNO SIDE

さて、いきなりの展開で戸惑っているであろう読者諸君。

何故こうなっているのかと言うと数日前に遡るのである…

 

 

〜〜

 

先の騒動後、エルフナインが切歌のギア『イガリマ』と調のギア『シュルシャガナ』の改修を完了させた。

その際に、未来のギア『神獣鏡(シェンショウジン)』とセレナのギア『アイギス』の改修も完了し、ギアペンダントは2人の手元に戻ってきた。

そんな中で、特に吉報と呼べる事象があった。

 

かつてのセレナのギアにして、現在はその姉・マリアに託されたギア『アガートラーム』がコンバーターを新造して復活した事だったのだ。

 

これでシンフォギア装者が此処に9人揃い、そして尚且つ全員に『イグナイト』を搭載していた。

だが、此処で疑問に生じてはいないだろうか?

 

彼等の仲間である憑友を筆頭にした『英雄の魂を導く師者』…《精魂導師》達にもパワーアップした要素が備わっている。

けれど、その力の1つがシンフォギア装者達を殺す為に作られた解除不可能のプログラム…『IGNITE KILLER』プログラムが組み込まれている事に。

それがあるのなら、『イグナイト』は使用しない若しくは組み込まない方が良いのでは無いかと思う者もいるだろう。

 

だが、その答えはNOとだけ言っておく。

 

理由は、エルフナイン曰く「《精魂導師》の皆さんにはオートスコアラーが呼び出したアルカ・ノイズの殲滅等、対多数戦でその力を発揮して欲しい。そしてオートスコアラーはシンフォギア装者達でしか倒せないプログラムが組み込まれている」との事だった。

もし搭載しなかったら、おそらくまた二の舞になるのは当然だった。

なので止む無く『イグナイト』を搭載する事になったのだ。

 

そんな中で、憑友は馬耳東風の如く、全くと言っていい程、心、此処に非ずの状態だった。無理もないだろう。

何せ、ようやく探していた親友が敵として出てきた以上、前回はアドレナリンが大量分泌していた為、そこまでとはいかなかったが、今は2人を傷つけたく無いと言う葛藤に悩まされている。

そんな中で、弦十郎は一言発した。

 

「うむ。新たな力の投入に伴い…

 

此処らで1つ特訓だな!」

 

『特訓(?)(⁈)(‼︎)』

 

それを聞いた一同。

クリスとロックと奏は嫌な顔を出し、

F.I.Sとセレナと零とエルフナインは首を傾げ、

翼は平常心のまま、未来と霊風は苦笑いをし、そして響は目を輝かせていた。

え?憑友はって?

 

「」そろりそろり…

 

ガシッ!

 

「ふがっ⁉︎」

 

「何、逃げてるのかな〜〜?憑友〜〜?」

 

ご覧の通り、逃亡を図っておりました。

尤も、それをいち早く気付いた響によって無理やり首根っこを掴まされ、ものの見事に猫みたいに捕まえられてしまいました…駄目じゃん⁈

 

「え〜〜…俺も?」

 

「もちろん!」

 

如何やら拒否権は憑友の手には有りませんでした…残念。

…でも、何でそんなに逃げようとしたのか未だに分からない一行。

その理由を知っているセレナと未来はそんな憑友に対して苦笑していたのは言うまでも無かった。

 

〜〜

そして現在、響達は修行の一環として海へとやって来て、そして冒頭のマリアのような出だしから始まったと言うわけである。

 

何でも弦十郎曰く「オートスコアラーとの再戦に向けて、強化型シンフォギアとイグナイトモジュールを使いこなす事は急務である。

近い日に筑波の異端技術研究機構にて調査の受領任務があり、その間に心身の鍛錬に励むと良い」との事。

それを2番弟子である響が快く承った。それに対して憑友は「絶対に行きたく無い!」と駄々を捏ねていたのは言うまでも無く、そのギャップを見た一同から結構笑い者にされたのは別の話。

 

そんな中で響達は海でのんびりと遊んでいるのである。

因みにこの場には響達シンフォギア装者の他に、憑友の家に現在泊まっている元ノイズのルオレと、同じく元ノイズで、霊風と同じ保護者枠として今回の特訓の面倒を見る事になった相沢さんも此処にいたのである。

だけど、相沢さんは現在、ビーチパラソルの中に避難していた。相当の暑がりなようだ。

対してルオレは調と切歌と共に砂遊びしていたのであった。

 

その頃、憑友はもう1人の保護者であり、先輩の霊風と、

ライバルのロック、陰陽兄弟、そして零に対して指示をしていたのであった。

何をしているのかは後程分かることなので、先に進んじゃおう!

 

そんな中、受領任務を遂行している緒川と藤堯、そして牧藁の3人は驚きのものを見ていた。

それは此処には残念ながら来れなかったナスターシャ博士が作り上げた光の球体(通称フォトスフィア)のデータがあったのだ。

それを受領した緒川は翼と連絡を取ったのだが、

「また後で連絡します」と連絡を切られてしまったのであった。

そんな翼の様子に緒川は何と無くだが、予想がついてしまったのは仕方の無い事である。

 

そしてそんな翼はと言うと、現在、クリスと奏と3人で変則ビーチバレーをしていた。

因みに相手はセレナとマリアとエルフナインである。

 

「翼さん、本気にしちゃってるよ…」

 

「取り敢えず肩の力を抜く為にレクリエーションのつもりだったんだけどな〜…アハハ…」

 

翼が結構ズレた方向に行っている事にビーチバレーの審判をしている響と未来は苦笑いをしていた。

そしてそんな中でも、奏はニヤニヤと翼の行動に結構茶化していたりするのであった。

 

翼さんには本当に意地悪するんですね…奏さん。

 

そうしているとエルフナインがサーブを打つが、カスってしまい、敢え無くミスをしたのてある。

 

「何でだろう」と言いながら、エルフナインは知識から得たやり方と体感した難しさの矛盾を感じていると、マリアからこう言われた。

 

「背伸びをしなくても、誰かの真似をしなくても大丈夫」

 

そう言いながら簡単なサーブのしかたをエルフナインに教えるマリア。

その時にエルフナインが「ずみ"ぃま"ぜぇん」と何とも可愛げのある声を発していたのであった。それでもマリアはこう話した。

 

「弱く振っても大丈夫。

大切なのは、()()()()()打つ事だから」

 

「はい!」

 

それを近くで見ていた零が「…自分らしく…か」とボソリと呟いていたのであった。

 

そして何やかんやでレクリエーションからいきなり特訓へと変わってしまい、現在はと言うと…

 

響と未来とルオレ以外のメンバーがビーチパラソルの下に設置したビーチチェアでぐったりと疲れていたのであった。

対して日差しを浴びている3人はまだまだ元気である。

流石、『元』陸上部と『元』融合症例と『元』ノイズ…

『元』が付くものは大抵すごいのか…ここの連中は…。

 

「気がついたら、特訓になっていた…!」

 

「何処のどいつだ⁉︎途中から燃え気になったのは…!」

 

そう言いながら調とクリスはグタグタ言っていた。実はこの2人、結構運動が苦手である。

こう言う時こそスタミナを付けて欲しい物だ。

 

「晴れて良かったですね!」

 

するとエルフナインがそんな事を言っていた。

実はこの日の前日に台風がやって来ていたのだ。

なので、一時はどうなる事かと心配していたのだが、杞憂に終わったのだ。

尚、その際に憑友がガッツポーズを出していたのだが、台風が過ぎ去ったと同時に、一気にテンションがorz状態になっていたのは此処だけの話である。

 

しかし…なぜそこまで海を嫌うのだろうか?

 

それをふと思い出した奏が近くにいたセレナに話した。

 

「なぁ?セレナ」

 

「ん?如何かしたの?奏?」

 

…因みに同い年の為、互いに呼び捨てで呼び合っている仲であります。

うん、先に言わないといけなかったね。ごめんごめん。

 

「彼奴…憑友は何で海を嫌うんだ?

山は行きたがるくせに」

 

確かに、憑友は山にいる事が最近多いのである。

この騒動が発展する前…ルオレと出会った所も山の麓だった。

しかしセレナはこう話した。

 

「憑友…山も海も嫌いなんだよ?」

 

「…え?」

 

何と、あっさり爆弾発言を投下しちゃったよ⁈セレナさん(この人)!憑友は実は山も嫌いだと⁉︎

「(じゃあ、何で?)」と思った奏の表情を見たセレナはクスクスと小さく笑いながら話し始めた。

 

「まず、山が嫌いなのは、虫が嫌いだからよ」

 

「…え?それだけ?」

 

「そ♪それだけ♪」

 

それを聞いた奏は少し引いたのであった。

まぁ、実際の所、その原因を作った元凶が憑友の実家が存在する「自然都会」をうようよしているんだけどね…。

 

「⁉︎(な、なんだ…今の悪寒は⁈)」

 

雷狼竜(ジンオウガ)さん…あんただよ…!

あんたの蟲の影響で憑友がトラウマになっているんですよ‼︎

 

 

そうしているとセレナは今度は「何故海が嫌いなのか」と話を変えてきた。

それを聞いた奏は納得していた。それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「憑友…〔半幽霊〕以前に()()()()だからね…」

 

 

 

 

 

…意外すぎる弱点であった。

主人公なのにカナヅチ…要は泳げない…【海賊王になる男】か!お前さんは⁉︎

それを聞いた奏は納得したのであった。

 

「だから、憑友は海に行きたがらなかったのか…あれ?」

 

それを聞いた奏はふと思い出していた。

それはかつての〔フロンティア事変〕の際に、未来を助ける為に響と共に憑友が水に浸水した事を思い出したのだ。

 

するとセレナ曰く…

「あの時は無我夢中で2人を守りたかったからって言う事と、あの時変身していた『英雄』…ウルトラマンの加護のおかげだって憑友が後から言ったんだよ」

との事だった。流石です!光の巨人さん!

 

そうしていると響が「所で皆さん…」と言って皆に話しかけてきた。

 

「お腹が空きません?」

 

そう…実はもうお昼時である。

お腹が空くのは当たり前である。

だが、翼曰く「此処は政府保有のビーチ」との事。

当然、他の海水浴客もいないし、それを利用して商いをする売店の類も無いのである。

当然…誰かが買い出しに行くのが必然である。

 

それを感じ取った一同は一斉に構える…ジャンケンで!

 

『買い物買い出しジャンケン…!』

 

皆が同時に出そうとし、決まろうとしたその時だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「飯出来たぞ〜‼︎」

 

 

 

『ズゴォォォォ⁉︎』

 

憑友が言った一言でシンフォギア装者全員がズッコケたのであった。

因みにルオレは真っ先に飯にありつけていたりする…現金な女の子だよ…この子…。

 

「作ってるなら、最初に言ってよ〜〜⁉︎」

 

「と言うより、何をしているのかと思っていたら!」

 

「まさか、全員で準備していたのか⁉︎」

 

上から響、セレナ、マリアがそう口にしていた。

実は憑友達《精魂導師》達は響達がレクリエーション兼特訓をしている間、昼食の準備をしていたのだ!

実は憑友が冒頭で指揮していたのは昼食準備の担当をしていたのだ。

 

…今更ながら敢えてこの場で言おう。

憑友達《精魂導師》は全員…料理が出来るのである。

特にロックと零と憑友の3人が特に美味い。

「速くしろよ!今日はB・B・Q…バーベキューだぜーー!」と霊風が言ったので、シンフォギア装者とエルフナインは直ぐ様に憑友達の元に集まり、そしてランチタイムに入ったのであった。

勿論味は「美味っ‼︎」と大絶賛していたのは言うまでも無かった。

それにしても…良く食材が有りましたね?

 

「それにしても…良く食材が有ったね?」

 

そう言いながら響は読書諸君の疑問を代表して憑友に質問した。すると憑友はこう答えた。

 

「地元の住民から要らないものや廃棄予定だったのを集めて調理しただけだよ?」

 

 

「まさかの『○円食○』⁉︎」

 

憑友の答えにツッコミを入れるセレナは決して間違ってはいないだろう。

…それにしても、良く集めたものだ…食材としてはあまりにも多い量である。これ全て廃棄する予定だったとは思えない程の量がバーベキュー用として使用されているのであるから…。

 

そして食べ終えた一同は「デザートが欲しいな〜〜」と口にしたが、肝心のデザートが得意な霊風が首を横に振った。

 

「悪いが、それに必要な食材が無いぞ」

 

そう言いながら何処から取り出したのか、霊風は己の財布を取り出して、樋口さん(=¥5000)を1枚取り出し、ヒラヒラと動かした。

 

「…まさか…」

 

霊風の行動を見た奏はそう呟く。

すると霊風はそんな奏の顔を見て、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

如何やらフラグ発生のようだ…。

 

「さっさと決めちゃいな!因みに俺達は昼食の片付けをしなくちゃいけないから参加しないぞ」

 

それを言われた一同は再びジャンケンの構えをした。

結局やらないといけないみたいですね…。

…という事で!

 

『買い物買い出しジャンケン…ポン‼︎』

 

そしてジャンケンが決まった…たった1回で。

出したのは其々、

 

調と切歌…チョキ

響,未来,セレナ,マリア,クリス,エルフナイン…グー

翼,奏…カッコいいチョキ(もとい禁じ手・ピストル)を出したのであった。

 

因みに翼と奏には言ってはいないが、これは基本的には使用してはいけない手である為、必然的に負けである。

 

そうすると響がその2人が出した手を見て笑いあげるが、

「これはカッコいいチョキだ!奏から教えて貰ったんだ!」と翼が言った。そしてその肝心の奏は「うぐ…!ついうっかり出してしまった…」と後悔しているのであった。

 

「斬撃武器が…⁉︎」

「退き並み負けたデス…」

 

調と切歌はチョキを出した事で軽いカルチャーショックに陥った。

その際にマリアから色々と言われ、そして不満を持っている翼には自分が先程までかけていたサングラスを掛けた。

 

「人気者なんだから…掛けて行きなさい♪」

 

「…母親みたいになってるぞ…マリア」

 

因みにそんな翼とマリアのやり取りの間に奏はセレナがプライベートの時に使用している度なしの眼鏡を掛けて、そしていつもの髪型を変えたのだ。

その際に、「霊風〜。頼む〜」と奏に言われ、霊風はやれやれと思いながらも奏の髪型チェンジをするのであった。

そして完成したのは、お団子に纏め、そのお団子ヘアの先からポニーテールのように結った髪を下ろしたヘアースタイルをした奏が完成した。

名付けるならシンプルに、「お団子ポニー」と言った方がしっくりくるであろう髪型に奏はヘアチェンしたのであった。

そしてそのまま四人は近くのコンビニへと向かったのであった。

 

 

 

 

買い出しが終わった翼達。翼と奏の2人は如何やら気付かれ無かったようだ。

 

「切ちゃん自分の好きな物ばっかり…!」

 

「こう言うのを役得と言うんデス!」

 

そう言いながら切歌と調の2人を見た『旧』ツヴァイウイング(2人)は笑みを浮かべていた。

 

だが、既に敵は新たな段階へと動き始めていた。

 

その証拠に、翼達はとある社の所にやって来た。

そこには壊滅に近いとも言える程無残な社しか建っていなかった。

そしてその社の周辺にはちらほらと夏場なのに氷の結晶が発生していた。

そして良く見ると、まだ時間が経ってはいなかったのだった。

ーーーーーー

一方、響達はと言うと優雅なサマーライフをエンジョイしていた。

だが、そこにエルフナインが現れて、特訓するように勧めていた。

確かに今の状態では、イグナイトの負の感情に呑み込まれてしまう。

だが、焦りは禁物なのもまた事実である。

そうしていると、海の方面から、水柱が現れると同時に、

ゴスロリ姿のオートスコアラー・ガリィと、

バレリーナ姿のオートスコアラー・シィバが現れた!

戦いが始まろうとしていた!




次回

闇への誘い

その闇は影となりて、すぐ近くに這いよる…


ーーーーーー
此処で皆様に募集を掛けたいと思います。
それは、GX編にて初登場した力にして、
『ウルトラマンオーブ』の合体変身(フュージョンアップ)をモデルにした力…

『FUSION DRIVE』の組み合わせを募集したいと思っています。
募集する際は下記の例に沿って書いて下さい。

例)①『FAIRY TAIL』ナツ&『DivineGate』アカネ

②名『イグナイト・サラマンダー』

③共通属性〔人間〕〔炎〕〔拳〕〔中の人〕

④〔炎〕の力に特化した戦士。
ナツのマフラーとベスト、アカネのパーカーとドライバ《イグナイト》を装備している。
『滅竜』の炎と、『己』の焔を併せ持っている。
但し、乗り物に搭乗している際は酔いが回って、立つことすらままならない。

⑤必殺技『イグニール・ラヴァ』
ナツの父にして炎龍王《イグニール》の力を体現化した一撃『炎龍王の撃鉄』と、【炎咎甲士】アカネの全体攻撃+〔火・炎・熱・爆〕属性の仲間の火力を上げる必殺技(アクティブスキル)『オース・ラヴァ』を併せ持った性質を誇る一撃を()()()()骨すら残らせない威力を放つ。
但し、相手が同属性又は〔水〕属性の場合、半減する欠点を持つ。


①は『FUSION DRIVE』で使用する『英雄』達(以降 素体と表記)の作品と使用するキャラを、

②は『FUSION DRIVE』にて合わさった2人の『英雄』の特徴等を冠した名前を書いて下さい。
これがアブソーバーの発生音声になります。
因みに例の場合は、
ナツの異名の『サラマンダー』と、
アカネのドライバ『イグナイト』を合わせた物です。

③は素体同士の共通点(共通属性又は共属と表記)を書いて下さい。
例の場合、
ナツとアカネは共に〔人間〕であり、〔炎〕の属性を持ち、〔拳〕で戦う戦士で、〔中の人〕が同じと言う意味での共通点です。
最低1()()は共通点を設定して下さい。

④は『FUSION DRIVE』後の姿(主に素体元の特徴とも呼べる服装や武器)と、
その姿の特徴・性質を書いて下さい。

そして⑤は、欠かす事が出来ない必殺技!
基本的には素体となった英雄の必殺技を其々使用する事ができるのが条件。
尚、この項目には2人の『英雄』が用いる技を合わせたかのような技名でお願いします。

例)ウルトラマンゼローストロングコロナー

ガルネイト・バスター
→ダイナーストロングーの()()()()()ボンバーと、
コスモスーコロナーのネイ()()()()光線

こんな感じでお願いします。

組み合わせの数は『英雄』の数以上存在していますので、お願いします。
もしかしたら本編で登場するかもしれません。

受付場所ひ活動報告『『FUSION DRIVE』組み合わせ募集中!』に記入して下さい。

締め切りは2016/8/31/23:59までです。

何卒宜しくお願い致します。

次回もお楽しみに!


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♪23 闇への誘い

待たせました最新話…マリアさんのあの暴走回です。
今回は一気に前半部分まで行きます!

それとこの投稿日にお誕生日を迎えた人が!

小日向未来役の井口裕香さんがハッピーバースデーです!

あの声…何故か分からないけれど自分では癒されるのは何でだろう〜〜?
それはともかく…!

井口裕香さん!お誕生日おめでとうございます!

さて、お話の方をどうぞ!


「ガリィ!それにシィバ⁉︎」

 

「夏の想い出作りは充分かしら?」

 

そう言い放つガリィ。流石敵役!なのだが…

 

「私はガリィお姉様達とあんな事やこんな事するだけでもう鼻からオイルが噴き出しそうです!グフェフェフェフェ!」

 

「お前はお前でその腐女子脳を如何にかしやがれ⁉︎」

 

「いやぁ〜〜ん♡ガリィお姉様!だ・い・た・ん♡」

 

「相変わらず気持ち悪いんだよ、てめぇは!」

 

…なんでだろう。シィバが加わっただけで、こんなにもイメージがガタ落ちするなんて…。

 

そうしているとクリスとロックが駆けつけ、その後を憑友達も駆けつけてきた!

 

「行くぞ!」『応!』

 

ロックの掛け声と共に、《精魂導師》達は変身する。皆を代表して、ロックが変身プロセスを、クリスは聖詠を詠った…!

 

「Killiter Ichaival tron…」

 

ーソウル!フォーム、フォーマル!

お前らの魂!俺が頂く!ー

 

(挿入歌『TRUST HEART』高垣彩陽)

すると2人は其々、弾丸と矢を放つ!

しかし、ガリィはそのまま近付く!

そして身体にヒットした…と思っていたら、なんと液状化したのだ!

 

「っ⁉︎」「何⁈」

 

そしてガリィはいつの間にか皆の後ろに現れたのだ!

その頃、シィバはいつの間にかビーチパラソルの上でバレエをしていた!

 

「さぁて、私も…本気と行こうやないか!」

 

そう言うとシィバの顔が天使のような顔から悪魔のような残酷さが醸し出す顔を出してきた!

 

そうすると、なんとシィバがビーチパラソルの上から瞬時にセレナの目の前までやってきたのだ!

 

「⁉︎」「セレナ!」

 

「貴方に決めた!」

 

そう言うとシィバは高速スピンをしながらセレナを襲った!

その攻撃を受けたセレナはそのまま地面である砂浜に倒れる。

 

「マリアさんは皆んなを!」

 

響はマリアに皆を守るように指示し、マリアはここに立ち会わせているルオレと相沢、エルフナインと未来を連れてこの場から離れる。

それを見ていたガリィは追いかけようとしたが、響と憑友の2人が通せん坊する。

 

「キャロルちゃんの命令も無く動いているの⁉︎」

 

「さぁね?」

 

そう言うとガリィはジェムを大量に放り投げ、アルカ・ノイズを呼び寄せた!

 

「ちっ…!性根が腐ってやがる!」

 

そう言うと憑友はフュージョンアブソーバーを取り出し、そしてアブソーバーにセットした!

そして憑友は『英雄』であり、拳銃の使い方を教えてくれた存在・ほむらのカードを取り出した。

すると憑友はロックに向かって叫んだ。

 

「ロック!狂三さんのカードを!」

 

「分かった!」

 

そう言うとロックはすかさずカードケースから『英雄』【時の精霊《ナイトメア》時崎狂三】のカードを取り出し、憑友に投げた!

憑友はそれを華麗にキャッチするとフュージョンアブソーバーの方にそのカードを装填し、アブソーバーを閉じすかさずレバーを引き、そして十字に構えた!

 

ーライド!フォーム、ほむら!&狂三‼︎ー

 

すると憑友の両隣に盾を持った拳銃使いの魔法少女と、

短針と長針を彷彿させるような2丁拳銃を扱うゴスロリ衣装の少女の魂が現れた!

 

「"時間を超越せし銃使い…時間を狂わせ!"」

 

そう言うと憑友は左腕を天に掲げた!

 

ー『FUSION DRIVE』!

クロック・ザフキエル!ー

 

「行くわよ…!」

「行きましょうか…!」

 

そう言うと2人は其々の拳銃を取り出し、上空に向けて一発放つとそのまま憑友の身体へと纏った!そして現れたのは…

 

ゴスロリ柄で、紫のカラーリングを施したほむらの魔法少女の時の姿をし、

左腕のアブソーバーを覆い隠すかのように盾が装着され、其々の手には長針と短針の拳銃が握り締め、

そして憑友の瞳が赤と黄色の異彩眼(オッドアイ)へと変わった。

しかも、黄色の瞳の方は良く見ると時計のような模様が描かれていた!

 

「さぁ、『時』を狂わせられる準備は出来たか?」

 

そう言うと憑友は2丁拳銃でアルカ・ノイズを一掃し始める。

するとそれを傍観していたシィバが襲い掛かる!

 

「貰った!」

 

「甘い!」

 

そう言うとなんと憑友がその場から消えたのだ!

それを見たシィバは「何⁈」と驚愕するが、突然背後から弾丸を受けたかのような痛みが襲い掛かり、後ろを見ると憑友が短針の方の銃で発射していた!

 

「いつの間に⁉︎」

 

「今の俺に『時』の概念は無い!」

 

憑友が『FUSION DRIVE』に選んだ『英雄』…暁美ほむらと時崎狂三には共通属性が幾つかあるが、その中でも特に2人が特化している性質がある。

 

 

『時間概念』

 

それが2人が最も得意としている性質である。

 

ほむらは、自分そして自分に触れた者達以外の『時』を止めたり、『遡る』ことが出来る性質を持ち…

狂三こと《ナイトメア》は『時』を越えて、過去や未来等の自分を呼び出せる事が出来ると言う性質を持つ。

 

一見すると2人とも同じでは無いように思えるが、そうでは無い。

彼等は単に『時』を扱う事に長けているだけなのである。

『時』と共に、彼女等は『人を辞めた身』…人外である。

憑友はその事を知っている…知っているからこそ、2人の力を合わせる事で『時間』そのものの概念をこの少年は壊して見せたのだ。

 

現に、シィバから攻撃を受ける前にほむらの能力を使って、自分以外の『時』を止めて、自分をシィバの背後に立ち、そして経過と共に攻撃をした。

それが今回の種明かしである。

 

 

しかし、憑友は背後からの攻撃を与えると、そのまま立ち尽くしてしまった!

それを見たアルカ・ノイズ達は一斉に憑友に襲いかかるが、それをロックが悉く弓矢や弾丸で阻止した。

 

「何をしている⁉︎早く動け!」

 

「…ちっ、やられた…!」

 

「何?」

 

ロックは憑友の言った一言に疑問を感じた。

近くには()()オートスコアラーがいて、更にアルカ・ノイズもいる。

なのに何が「やられた」のか気付かない。

そうしていると《ガングニール》を纏った響がいち早く気付いた。

 

「!…皆んなから離れてる⁉︎」

 

「何⁉︎」

 

「そう言う…事だ‼︎」

 

そう言いながら憑友はオートスコアラー2体に弾丸を撃ち抜く。

だが、撃ち抜いた瞬間、2体のオートスコアラーは水になっていた!

そう、此処に居たガリィとシィバ…2体のオートスコアラーは共に偽物…

とどのつまり、囮だったのだ!

それを見たロックは驚くと同時に1つの仮定が生まれた。

 

「!まさか目的は…⁉︎」

 

「マリアさん達の方だって事だ!」

 

それは今此処から離れている仲間…マリアとセレナ達に危険が迫っている事だった!

それを聞いた零はダッシュで追いかけた!

しかし、零=ホロウは霊風のようなスピードタイプではなく、一撃の重みに長けた攻撃力と、打たれ強い防御型。

此処に居る導師の中ではビリとも呼べる程敏捷が低い。

なので、スピードを得るには『英雄』の力が必要なのである。

 

すると、零は1枚のカードを取り出した。

其処にはゴツい身体をした赤髪の男が描かれていた。

 

「頼みます!ライダー!」

 

そう言うと零はアブソーバーにそのカードを装填、そしてレバーを引いた!

 

ーホロウ!フォーム、ライダー!ー

 

すると零の周りをその男の魂が徘徊し、そして纏った!

 

ー王の軍勢!征服王‼︎ー

 

それはかつて、弦十郎が使用していたカードにして、セイバーがかつて交えた"人の身で『王』に成った者"…

 

"征服王 イスカンダル"。

 

そしてその王の力…【征服王 ライダー】の姿を纏った零が其処にいた。

 

すると零の後ろから1匹の馬が現れた!

角があり、黒くて剛毛な馬だった。

そして馬が零の近くにやって来るなり、零はその馬が最初から嵌めていた手綱に手を伸ばし、そして勢いよく飛び乗った!

 

「行くぞ!…ブケファラス‼︎」

 

零はライダー=イスカンダルの愛馬"ブケファラス"と共に、零はマリア達の方へと向かって行った…!

 

ーーーーーー

その頃、マリア達は急いで憑友達から離れていた。だが、其処にガリィとシィバが現れたのだ!

 

「見つけたよ、ハズレ装者!」

 

「ふ〜ん。ガリィお姉様はこんなのがオキニなんですか〜。

…面倒いけど、私もあの子を殺りましょうかね…!」

 

そう言うとガリィは「さぁ…何時までも逃げ回ってないで…‼︎」と言いながら水を凍らせて刺そうとした。

それを見たマリアは直ぐさま聖詠を詠った!

 

「Seilien coffin airget-lamh tron…」

 

その隙にガリィの攻撃が決まったと思った瞬間、マリアは紙一重で躱し、すかさず左手でガリィを殴った。

そしてそのまま勢いよく転げるガリィ。

それを見たシィバは「ガリィお姉様⁉︎」と心配する。

その隙にマリアの姿は見る見ると変わった。

 

それは…新造されたギアにして、マリアの戦う力…

《アガートラーム》であった!

 

(挿入歌『銀碗・アガートラーム』日笠陽子)

 

その姿を見た未来達。マリアはみんなを守る為に戦う…!

するとセレナが《アイギス》を纏った姿で、隣に立った!

 

「置いていかないでね♪マリア姉さん」

 

「セレナ…ええ!」

 

それを見たガリィは「あの時みたいに失望させないでよね!」と言いながら、アルカ・ノイズを発生させた!

 

そう言うとマリアはアガートラームの籠手から短剣をアーチ状に動かしながら取り出す。するとそこから無数の短剣が現れ、周囲に展開して一斉に飛ばした!

 

"INFINITE†CRIME"

 

そしてセレナの方は大盾を縦半分にして、それぞれの腕に装着するなり、そのまま腕に付いた盾でノイズ達を殴っていた!

 

"BOXER ガントレット"

 

そうしながらアルカ・ノイズ達を殲滅していくカデンツァヴァナの姉妹(マリアとセレナ)

「うわぁ…私負けちゃう〜…あはは!」とガリィがそう言うと同時にマリアがガリィに攻撃を仕掛ける!

だが、ガリィは直ぐに躱すなり、マリアはガリィからカウンターを受けてしまった!

 

「あ!」

 

「マリア姉さん‼︎」

 

「貴方の相手は私なの♪」

 

「っ⁉︎ぐはっ‼︎」

 

「⁉︎セレナ!」

 

すると今度はセレナに向けて背後にいたシィバが襲いかかったのだ!

その攻撃でセレナはマリアの元へと吹き飛ばされた。

 

「ぐっ!」

 

「私を失望させないでよねって言ったのに〜」

 

「ちょっと、テンションダウンですよ〜⤵︎」

 

最早此れ迄かと思われた…その時だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ホロウ・ライダー!フルドライブ‼︎』

 

 

 

 

 

すると周りの景色が森の生えた場所から一変し、なんと一面が砂漠へと変貌した!

何事かとガリィとシィバは周りを見渡す。

それは未来達もそうだった。

するとマリアとセレナは何かの声を聞こえた。

 

「"遠征は終わらん…"」

 

その声を聞いた皆はその声がした方を振り向いた。そこにいたのは、黒く、角が生えた強靭な脚を持つ馬に乗った…

征服王の姿を纏った零が其処にいた!

 

「!零…!」

 

「"我らが胸に彼方への野心ある限り! ……勝鬨を上げよ!"」

 

すると零の後方から徐々に足音が現れた。

兵士,猛者,策士…ありとあらゆる存在が一堂にこの場に集まっていた!

 

「な、何よあの数⁈」

 

「お姉様!これはもう出し惜しみなしにやっちゃいましょうよ⁉︎さっきからテレポートすら応答不可で逃げられませ〜ん⁉︎」

 

それを聞いたガリィは舌打ちするとそのままアルカ・ノイズを再び大量に出現させた!その数…10000!

 

「我が勝鬨を前にしてこの数…戦いの血が滾る!

我と共に、我の仲間の女子2人と戦えぬ者達を守れ!征服王の軍臣達よ!」

 

『オォォォォォォーー‼︎』

 

「いざ!遥か彼方の万里まで‼︎

 

 

 

 

王の軍勢(アイオニアン・ヘタイロイ)』ーー‼︎」

 

『ウォオォォォォォ‼︎』

 

そう言うとマリアとセレナを通り過ぎ、数多の兵士達がアルカ・ノイズ目掛けて攻撃を開始し始めた!

アルカ・ノイズはそれを見て分解しようと動き出した!

まさに1つの戦がこの場で始まっていた…

それはまさに戦争そのものであった。

 

〜数分後〜

 

「嘘…でしょ…」

 

「そんな…」

 

ガリィとシィバは恐れ慄いていた。

何故なら、其処にはアルカ・ノイズが1匹残らず駆逐されていた。

対して零が呼びだした兵士達は1人も欠ける事なく存命していた。

圧倒的な差である。

 

「良くやった!征服王の忠実なる戦友達よ!」

 

そう言うと皆が一斉に武器を掲げた。

そしてそれと同時に周りの景色も直ぐに元の森林へと変わった。

 

すると零はそのまま馬から降り、馬を撫でると、馬は嬉しそうな声を出しながらそのまま透明になって消え去った。

 

「マリア!セレナ!大丈夫か!」

 

「零…」

 

「助けに来てくれて…ありがとう…!」

 

「うかうかしてられないぜ…コレは」

 

そう言うと零は愛機《ホロウシールドアックス》を振り回しそして肩に担ぐ形で構えた。

 

ホロウシールドアックス。

…その名の通り、斧と言う一撃の重みに長けた攻撃武器と、盾のように頑丈なパーツを添えた零だけの専用武器である。

 

それと同時にマリアとセレナは揃ってギアに手を添える。

 

「聞かせて貰うわよ」

 

そう言いながら不敵な笑みを浮かべるガリィ。

それに対しシィバはくるくる回りながら真剣な眼差しを向けていた。

 

「この力で決めてみせる!セレナ!」

 

「うん!」

 

そう言うと2人は同時にイグナイトを発動させた!

 

「「イグナイトモジュール、抜剣‼︎」」

 

『『Dainsleif』』

 

するとコンバーターが浮かび、そして2人に突き刺した!

 

「がはぁぁぁぁ⁉︎」

 

「…え⁉︎」

 

だが、此処で異変が起きた。

セレナのギアが()()にイグナイトを発動する事が出来たのだ。

 

本来は負の闇に呑み込まれながら激しく苦しみながら使う筈のイグナイト。

だが、セレナにはその呪いが発動しなかったのだ!

 

だが、本当の始まりは此処からだった…!

 

ーアップデート完了しましたー

 

『え?如何言う…⁉︎キャァァァァ‼︎』

 

「⁉︎如何したホロウ⁉︎

っ‼︎グァァァァァァ⁉︎」

 

「!零‼︎」

 

なんと零も苦しみながら悶え始めたのだ!

するとそんな零の元に彼のパートナーモンスターである【轟竜 ティガレックス】が現れ、彼を抑え込み始める!

だが、零の身体に触れた瞬間にレックスまでも悶え苦しみながらそのまま零の身体に入って行ってしまったのだ!

 

一体何が起こっているのかとセレナは自問自答していると、マリアと零…2人の姿を見て驚愕した。其処には…

 

かつての響の暴走と同じ状態となったマリアと、

以前の憑友達が変化した『IGNITE KILLER』状態の零が四股走行の状態でまるで獲物を見つけたかのような唸りを上げた!

 

「如何…して…⁉︎」

 

セレナには分からなかった。何故なら、零は『MONSTER DRIVE』を使っていないにも関わらず、『IGNITE KILLER』になったのだから。

 

すると2人はなんとそのまま暴走を起こした状態で其々を相手に戦い始めたのだ!

何故こんな事になってしまったのか。セレナは目の前の光景から目を逸らしたかった。だけど、身体が言う事を聞かなかった。

…正直に言おう。今のセレナの状態ではダーインスレイフ(魔剣)の呪いには勝てない…時間との勝負だった。

 

「ハズレ装者にはガッカリだけど…」

「こっちはこっちで美味しそうですわよ♪ガリィお姉様〜♪」

 

「⁉︎」

 

そうしているとガリィとシィバが自分にターゲットを変えて襲いかかった!

 

「(嫌だ…嫌だ…!

マリア姉さんが…零が…

私の大切な人がお互いを傷付けるのは…!)

 

 

 

止めてーー‼︎」

 

ドクンッ!

 

「⁉︎キャァァァァ‼︎」

 

するとセレナの身体が変化した!かつての響の暴走のような姿となりて。

それは…精神が呪いに打ち負けた証拠でもあった。

するとセレナはマリアのように暴走を始め、

マリアと零の間に割り込んでまるで大乱闘のように戦い始めたのだ。

其処にはもうセレナと言う存在では無く、獣と化した人が其処にいた。

 

「!あーあ…あんたが焦らすからこんな事に〜」

 

「うぐっ…でも、コレはコレで良いじゃないですか〜〜?いい見世物になりますし♪」

 

「見つけた!」

 

そうこうしていると憑友達が走って追いかけてきた。

粗方ノイズは殲滅したようだ。

すると皆はマリアとセレナと零の状態を見て、驚かされていた。

其処には獣と化した雌2匹と、闇堕ちを殺す竜が互いを傷つけながら闘っていたから。

 

するとロックはすかさず弓を番え、そして上空に向けて袋が入った矢を放った!

すると上空で袋が破れ、そのままその袋にあった小さな矢はそのままマリア達の上空へと降り注ぐ!

その時に3人の影に矢が命中した。

それと同時にマリア達の動きも止まったのだ!

 

"ガケヌイ・レイン"

 

すると憑友はすかさず3人のだ懐に入るなり、腹部に掌底を食らわせた。

すると3人はその衝撃の反動で強制解除された。

 

そして彼等を保護すると辺りを見渡す。

其処には2体のオートスコアラーが居なかった。

憑友は響を見やるが、響はそのまま首を横に振った。瞬間移動で消え去ってしまったらしい。

 

「勝てなかった…

私は…何に…負けたのだ…?」

 

「(俺は…本当に…強いの…か?)」

 

マリアの声と、零の心の叫びに応える者は此処には居なかった。

 

「(マリア姉さんと零…

私の前で大切な人がお互いを殺しあう…

こんなの残酷すぎるよ…)」

 

「…セレナ義姉さん…」

 

そしてセレナはそんな愛する人がお互いを傷付ける場面を見てしまったせいで、気づかぬ内に涙を流していた。

それを憑友はただセレナの名を言う以外何も言わなかった。

 

ーーーーーー

話は数分前に遡る。

クリス達がアルカ・ノイズと戦っていた頃。

翼達の方も動いていた。

境内の近くで戦闘する場面を見て慌てていたからだ。

それに気付いた翼達は急いで人々の避難をし始める。

すると翼は1人の男性に目が入りその人に避難誘導の手伝いをお願いしようと動いた。

 

「此処は危険です!子供達を避難させて、早く安全な場所へ!」

 

「冗談じゃない!如何して俺がそんな事を!」

 

「あ、てめぇ!待ちやがれ!」

 

なんとその男は1人勝手に逃げたのだ!

それに気付いた奏が追いかけてやらせようとしたが、翼に止められた。

「あの人も生きていくのに必死なんだ!」翼はそう言う風に奏に言い聞かせた。その時だった。

 

「うわぁぁぁぁ‼︎」

 

先程の男の声が聞こえてきたのは。

それを聞いた2人がその男の跡を追うと其処には先程の男の頭を掴む逝都が其処にいた!

 

「!浅岡‼︎」

 

「何してやがる⁉︎」

 

「はぁ?決まってんだよ!

 

この男に用があるんだよ!幼馴染としてな!」

 

そう言われながら、逝都は怒号を放つ。

2人はそのまま変身しようとしたが、「変身したら世間が大騒ぎするんじゃないのかな?」と逝都の口からは思いもよらない脅迫紛いの挑発を出され、迂闊に手を出せなかった。

 

「其処でこの男のリンチでも拝んでろ!

さぁ…今の今まで何処に雲隠れしていたんだ?

 

さぁ…答えろ!洸!この臆病者の大黒柱が‼︎」

 

そう言いながら一発殴ろうとしたその時だった!

洸と呼ばれた男の顔すれすれから槍が現れ、逝都はその攻撃を受け流すと、そのまま後退した。

そして洸と逝都の間に霊風が現れたのだ!

先程の槍の攻撃は霊風のものだった!

 

「逃げろ!」

 

霊風の怒りを孕んだ声を聞き、洸と呼ばれた男は一目散に消え去った。

 

「邪魔すんじゃねえ!おめぇは知ってんだろうが!彼奴が何者なのかも!転生者だから分かるんだろうが!」

 

「ああ。だが、今はその時じゃねぇんだよ!」

 

「満を時す時まで…かよ」

 

それを聞いた逝都は再び辺りを見渡す。

しかしもう其処には霊風と翼,奏以外視認する事は無かった。

 

「ちっ…此処までかよ!」そう言うと逝都は懐からなんとオートスコアラーの使用していたテレポート・ジェムを取り出し、そのまま投げ、そして術式が発生!その術式が光輝くと同時にその場から消え去った。

 

居なくなった霊風は一先ず人目を避けるように愛機の槍のグリップを回した。

すると槍の穂先が折り畳みながら棒の中に収納した。

これで周りの人からはこの武器はただの鉄パイプと言う認識になるのである。

 

すると霊風は翼達を探していたことを話し、3人は急いでビーチの方へと向かって行った。

 

「(洸…まさか…響ちゃんのお父さん…立花洸氏なのか?)」

 

「如何した?霊風?」

 

「何でもない。早く行くぞ!」

 

霊風の予想は果たしてホントかウソか。

答えは何れ出るだろう…




次回

輝きを継ぐ、君らしく

己の弱さは強さでもある…!

前回募集をしました『FUSION DRIVE』の組み合わせはまだまだ募集してますので、奮って活動報告の方にご応募下さい!
締め切りが長いようで短いのでお早めに!
次回もよろしくお願いします!


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♪24 輝きを継ぐ、君らしく(前編)

昨日、調ちゃんの声優・南條愛乃さんがハッピーバースデーだった事を知って急いで書き上げたんだけど、間に合わなかった…ショッキング…。
さて、いよいよ物語も佳境です!

『FUSION DRIVE』の組み合わせ募集もまだまだ応募中です!
ドシドシ応募して下さい!
活動報告にて待っていまーす!

それでは本編どうぞ!
…それと今更ながら前後編です。


そしてシャトーへと戻ったガリィとシィバ。

其処では皆が其々のポーズで構えていた。

 

「派手に立ち回ったな?」

 

「目的ついでにちょっと寄っただけよ」

 

「自分達だけペンダント壊せなかった事を引きづってるんだゾ!」

 

「煩い!だからあのハズレ装者から毟り取って1番になるって決めたのよ!」

 

ミカの言われた台詞に怒りをぶつけるガリィ。

この中でペンダントを破壊したのはレグルス(相手は奏),ファラ(相手は翼),レイア(相手はクリス),ジィス(相手はセレナ),ミカ(響と切歌),ジュエル(相手は調)。未来のギアはあの時襲いかかったライジンの手により壊されてしまっている。

そのため、ガリィとシィバはペンダントを破壊していなかったのだ。

尤も、シィバはペンダント破壊に興味のきょの字すら示さなかったのだが。

 

「私はそう言うのは興味すら無いもんね〜。

でも…ジィスが破壊したセレナ?って言う女に俺は興味が有るんだけどな〜〜!」

 

「…まずその人格を直してくれませんか?シィバ様」

 

「…はっ!ごめんなさい〜〜ジィスお姉様〜〜!テヘペロ♪」

 

「ああ〜〜腹立つ!」

 

実はシィバの性格は特殊だった。

 

二重人格…そう言うのが1番であった。

 

二重人格に苦悩する有名な小説の人物…ヘンリー・ジキル及びもう1つの人格・ハイドと同じ性格をこのシィバは内臓されていた。

普段は他のオートスコアラーをお姉様(レグルスのみ王様)と呼び、百合百合要素前回の腐女子へと変貌するゲスい性格なのだが、

戦闘時は好戦的な性格…いや、戦闘狂(ジャンキー)とも呼べる存在・バシィへと変貌するのである。

そして口調も俺様口調へと変わるのである。

 

 

と、そうこうしているとファラが動き出した。

これからS.O.N.G.に受領したデータをコピーする為に。

するとそんな彼女等オートスコアラーの前に1人の女性が現れた。

敢えて言おう…キャロルでは無い。

 

「ファラ・スユーフ。貴方に渡しておきたい物が有るの」

 

「?如何しましたか?サモン博士」

 

それは敵に寝返ったサモン・クリスチャーノだった。

 

「貴方、風の使い手よね?だったら、これを託すわ」

 

そう言って、ファラに6枚のカードを託した。

 

風のような渦を巻いた髪型をした軽快な服装をした少年と、

 

青混じりの白髪と黒肌の青い鎧を纏った青年と、

 

帽子を被ったウエスタン風の男と、

 

容姿がそっくりのまるで双子を連想させる少女2人。

 

そして、黒とピンクを基調とした機械を纏ったツインテールの少女のカードを手渡された。

 

「"風の加護があらん事を"」

 

「うふふ。ありがとうございます。では行って参りますね」

 

そう言うとファラは風のようにこの場から消え去った。

それを見届けたサモン。すると今度はシィバとガリィにもカードを手渡してきた。

 

「"水と氷の幻想を貴方達に"」

 

そう言いながらガリィに6枚、そしてシィバには4枚手渡された。

ガリィが所持するカードには…

 

ピンクの車に乗っている小学生の女の子と、

 

青髪でこれまた青のコーデをした傘をさしてる女性、

 

水色の服と髪をした杖を持っている青年と、

 

まるで鮫を連想させるかのような鎧一式を纏った戦士と、

 

見た目的に捉えても間違いなく王女様とも呼べる少女と、

 

そして槍を携えた癖っ毛が生えている紳士な男の6人が描かれていた。

 

対してシィバの手に渡った4人はと言うと、

 

一角獣の頭を彷彿させる弓を携えた青年と、

 

黒い車に乗り込む1人の少年と、

 

竜の背中で読書をしている少女と、

 

そしてスマホサイズの機械を手に持っている麗しい姿の少女のカードを手渡されていた。

 

「シィバ。身体の具合は如何?貴方と同じ瞬間移動(テレポート)を使う『英雄』2体を組み込ませたけれど?」

 

「バッチリグーですよ〜!

身体も軽くなった気分ですし〜!空まで飛べるようになったのは凄いですよ〜〜!」

 

そう言いながらシィバはサモンの質問に答え、そしてそのままガリィを引っ張る形てファラの後を追って消え去った…!

 

ん?…ちょっと待て⁉︎今、サモン博士は何て言った…⁉︎

 

『英雄』を…組み込ませた⁉︎

 

つまり、オートスコアラーの身体に『英雄石板』を解析して得たカードを組み込ませたのか⁉︎

 

「とは言っても、組み込ませたのはレグルス,ジュエル,シィバそしてジィスの4人だけ。

後のオートスコアラーにはそれを組み込ませる時間が無かったのは不幸だったわ。

まぁ、4人に組み込ませただけでも幸いと言う所ね」

 

そう言いながら、不敵な笑みを浮かべながら笑うサモン。

この女性は一体…何をするつもりなのだろうか?

 

ーーーーーー

 

その頃、響達は一同とある部室に集合して対策を講じていた。

主を失った人形達。だが、それでも彼等は何かを為そうとしているかのような態度。

そして自分達を倒さずに痛め付けたらそのまま撤退。

謎が謎を呼ぶ中、話は『イグナイトモジュール』そして『IGNITE KILLER』の話へと変わっていた。

体験した響達曰く、「力の『暴走』に呑み込まれると、頭の中まで真っ黒く染まってしまい、何もかも分からなくなってしまう」との事だった。

それは憑友達《精魂導師》達も同じだった。

「あの暴走を乗り越える為に必要な事が分からない限り、使用しない方が懸命」との判断が下された。

だが、霊風は疑問に感じていた…

 

「(彼奴の使用履歴からは『MONSTER DRIVE』は使用されていなかった…

じゃあ、なんで『IGNITE KILLER』が発動したんだ?)」

 

ライド達アブソーバーは自分の相棒が使用した『英雄』や『力』をこまめに記載するように設定されている為、使用した形跡を炙り出す事が出来るのである。

だが、零のアブソーバー・ホロウの使用履歴を見てみたが、

今日の昼間の戦闘中の間は専らライダー…イスカンダルの力しか使っていなかった。

つまり、『MONSTER DRIVE』は使っていなかったのだ。

なのに、『MONSTER DRIVE』の本当の力…対イグナイト特化戦闘狂プログラム…『IGNITE KILLER』(通称『IK』プログラム)が起動したのかが気になっていた。

その事をホロウに詳細を聞いたのだが、本人曰く…『いきなり過ぎたので分からない。気付いていたら、アブソーバー本体を乗っ取られて、言う事が聞かなかった』との事だった。

謎が謎を呼ぶ中で、霊風達一行は策を講じる事になった。

 

 

その頃、マリアと零の2人は傷を負いながらも、浜辺の方で腰掛けていた。

セレナはそんな2人をそっと見守りつつも、先の暴走の原因を自己流で調べる事にした。

 

「(人形に救われるとは情けない…

私が弱いばかりに魔剣の呪いに抗えないなんて…)」

 

「(いきなりの出来事で何もかもおかしくなってた。

『MONSTER DRIVE』は発動していないのに、襲いかかってきたあの禍々しさの狂気…

もしまたあの症状が起きたら…俺は今度こそマリアやセレナを傷つけかねない…!)」

 

2人の想いは揺らぎ始めていた。

それと同時にセレナもまた思いに更けていた。

 

「(私はイグナイトを受けてなんとも無かった…

だけど、その代わりにマリア姉さんが暴走を起こした。

それに、零までも『IGNITE KILLER』が発動して2人が傷付けあって…

もう私はあの2人が喧嘩する所は見たくないのに…)」

 

そんな3人。すると、彼等の前にバレーボールが転がり混んできた。

それを見た3人はボールが来た方を振り向くと、其処にはエルフナインが1人でバレーのサーブの練習をしていた。

それを見た3人はエルフナインに「一緒にやろう」と言って、エルフナインの練習に手伝ってあげる事にした。

尤も、零の場合は身体を動かしたいという我欲があるのは此処だけの話。

 

エルフナインのサーブの練習をしていた時、マリアは「色んな知識を有しているエルフナインになら分かるのでは無いのか?」と呟き、それに気付いた零とセレナもエルフナインに見やる。

するとエルフナインはこう答えた。

 

「それは…マリアさんが僕に教えてくれた事じゃ無いですか」

 

「「え?」」

 

「まさか…」

 

エルフナインの答えにセレナとマリアは目を見開き、そして零は昼間マリアが言ったあの言葉なのかと思っていたその時だった!

 

砂浜から突如として水柱が上がり、其処からガリィとシィバが現れたのだ!

 

「お待たせ、ハズレ装者!」

 

「元気にしてた?堅物女!」

 

3人は咄嗟にエルフナインを守る体勢に入る。

ガリィは「今度こそ歌ってくれるんでしょうね?」と言いながら、見下した態度を見せる。

そんな中で2人はギアペンダントを握り、そして零は懐に忍ばせていたホロウを取り出した。

 

「行くぞ、ホロウ」

 

『……』

 

「?ホロウ?」

 

零はホロウに声を掛けたが、ホロウは返事をしてくれなかった。

如何やら先の戦いにて自分が不甲斐ない所為で零を暴走させてしまい、臆病になってしまっていた。あんな暴走を引き起こすくらいなら変身させなければ良いとホロウはそう考えていたのだ。

ホロウは零の事を心配していたのだ。

大事な存在を傷つける為に自分は此処にいるのでは無いということに。

 

『(私は嫌だ。

もう貴方を傷付けるくらいなら…いっその事この端末ごと私を壊して!)』

 

ホロウは医療薬に関しては随一を誇るエキスパート。

彼女に予防出来ないワクチンは無いと自他共に認める存在なのだ。

だがそれは憑友の母・ジャンヌが活躍する前の話。

ライド達と共にアブソーバー(この身体)に移ってからは、薬物等を触れる事はめっきり無くなっていた。

だけどそれでも、人を助ける為に必要な薬を判別出来る能力は健在している…いや、それどころかますます磨きがかかっているのだ。

だが、そんな自分がウイルスに感染させられたとあらば、相当のショックが襲いかかるものなのである。

 

すると零はホロウが入っているアブソーバーを撫でた。

 

『…へ?』

 

「ありがとう。ホロウ。

でもな、人間の神秘ってのは此処からなんだぜ?

…俺はもう迷わない!

仲間を、家族を、大切な人を、相棒を…

 

誰1人として傷付けない!」

 

『零…』

ーーーーーー

その頃、砂浜とは別の地点では、ボーン=逝都が胡座をかきながら、ガリィ達と零達の戦いを観戦していた。

 

「さぁて、どんな見世物にしてくれるんだろうな?」

 

そう言いながら、ヘラヘラとしていた。

 

ゴツンッ!

 

「あ痛っ⁉︎」

 

するとそんな逝都に鉄拳ならぬ拳骨が襲いかかった!

逝都は慌ててそれを振り向くと其処には番長を彷彿させる小学生が腕に太陽を模ったどデカイ籠手でぶん殴っていた!

 

「お前、それでも番長かよ!」

 

「番長だよ!だけど、あんたとは違うんだよ!

俺の力は怒りの力!怒りで支配する『暴君番長』!

だけどあんたは『太陽番長』!

 

"炎で闇を焼き尽くし、光で誰かの心を照らす"

 

それがあんたの信念だろうが!

俺とあんたとは同じ番長だから気に入っただけだよ!ったく!」

 

「…俺は知らないからな。お前の絆が解かれても」

 

「ほっとけ」

 

それを聞いた『太陽番長』なる者はそのままカードとなって、逝都のカードケースに戻っていった。

 

「…(余計なお世話なんだよ)…」

 

ーーーーーー

話は零達の視点へと戻る。

 

『零…私…私は…!』

 

「ホロウ。お前がいなかったら、俺はもしかしたら居なかったのかもしれない…だから、俺の目の前であんな事はもう言うな。

俺は守る為に弱さを捨てたつもりだった。

だけど違う…それこそが間違いだった。

俺は弱い。おそらく他の導師達よりも一段と弱い。

だからこそ、俺は…弱い者としての力を有する!

力に溺れて、大切な存在を傷付けるくらいなら…

 

 

 

俺は力の強さを否定する!」

 

『零!』

 

「「零!」」

 

「行くぞ、マリア!セレナ!

頼むぞ!ホロウ!」

 

『ええ!』

 

如何やら、零の説得でホロウは吹っ切れたようだ!

すると3人が綺麗に並び立ち、それぞれの包帯と絆創膏を剥がしそして、セレナとマリアはギアを握り、零はホロウを左腕に装着し、カードを装填、そしてレバーを引いた!

それと同時にマリアとセレナが聖詠を詠った!

 

「protecs aigis wel raizen tron…」

「Seilien coffin airget-lamh tron…」

 

「変身!」

 

ーホロウ!フォーム、ムニキス‼︎

無に帰す魂!私が紡ぐ!ー

 

すると3人は変身を完了させた!

3人の瞳には迷いが無かった。

 

「行くぞ、ホロウ!セレナ!マリア!」

 

『ええ!』「うん!」「ああ!」

 

そう言うとガリィがアルカ・ノイズを呼び出すジェムを投げ大量のアルカ・ノイズを出現させた。

するとアルカ・ノイズ達はそのまま攻撃を仕掛けた!

 

それに対抗するかのように零,マリア,セレナの3人も動き始める!

セレナは大盾を2つに割り、そのまま斬撃を与える"guillotineスラッシュ"でノイズ達を切り裂き、マリアもアームドギア《アガートラーム・クレイドヒム》を蛇腹剣に変化させて切り裂いていく!

そして零は斧を豪快に振り回す!

だが、その遅さでノイズの一体が襲いかかろうとした!

だが、零は常に進化している…!

その証拠として、斧のグリップを90度捻った!

すると地面に埋まっていた斧からなんと長剣が現れ、そのままノイズに斬撃を加えたのだ!

 

リオレウス達【モンスターハンター】の世界にてハンターと呼ばれる存在が使用していた15の武器の1つにして、

 

『剣と盾、そして斧の2通りの戦い方を得ている武器』…

 

『チャージアックス』をモデルに改良を加えた…

零の新武器《ホロウ・アクス・カリバー》である!

だが、この武器はチャージアックスをモデルにしただけではない!

グリップを斧に納刀する事で大盾のモードに変更する事も出来る強撃/防御重視型武器へと生まれ変わったのだ!

 

するとマリアが攻撃を仕掛けていく!

だが、ガリィとシィバの攻撃がマリアを襲いかかる!

マリアは小さな短剣を3点としたバリアで防ぐが、2人の攻撃に為す術が無い。

するとマリアの前にセレナがバリア状の大盾で攻撃を防ぐ"Protectionバリア"で、そして隣には大盾(シールド)モードの斧を持った零が立つ。

しかし、2人の氷と水の攻撃に3人が凍り付いてしまう!

それでも気合と気迫でなんとか氷を壊し、なんとか脱出するが気力を持って行かれてしまい、膝を地についてしまった。

 

「点で弱すぎる!」

 

「弱いね、弱いね〜♪ガリィお姉様が強いですよ〜♪」

 

「煽てんな⁉︎」

 

…やっぱりシィバが話に絡むとこうもコミカルになるのはやっぱりシィバの性格の所為なんだろう…。

 

そうこうしていると、マリアとセレナはギアペンダントに手を添えた。だが、ガリィが「その力…弱いあんた達が使えるとでも?」と挑発をしてきたのだ!更に傷に塩を塗るかのように、シィバはセレナに向けて「あんたはあんたでそんなお花畑みたいな考え方やめてよね〜♪」と罵声を浴びせたのだ!

 

「私はまだ…弱いまま…!」

 

「私は…」

 

するとそんな最中、零は立ち上がり、そして2人に叫んだ。

 

「さっきエルフナインが言った事を思い出せ‼︎」

 

「「‼︎」」

 

エルフナインが言った言葉…

 

 

『それは…マリアさんが僕に教えてくれた事じゃ無いですか』

 

その言葉を思い出した2人。

エルフナインの答え…それは昼時、マリアがエルフナインに言った一言だった。

 

『大事なのは自分らしくある事』

 

「マリア!お前、エルフナインにそう言ってたよな。

俺もそうだ。

自分らしく生きていこうなんて今の今まで考えて来なかった。目障りなだけだったから。だけど、今は違う!

俺は昔弱かった。実験に使わされていく仲間達を前に俺は怯える毎日だった…」

 

ーーーーーーSIDEto零

そうだ。あの時からだ。

俺が『英雄石板』の解き手として目覚める前。

その間に多くの子供達が実験に使わされていた。

役立たずな子供は奴隷として売られて、徐々に数が減っていった。

中にはもうその時点でこの世から逝ってしまった者もいるかもしれない。

そんな恐怖の毎日に俺は怯える日々を送っていた。

そんな中、セレナに出会った。

セレナに出会ったおかげで今の俺はいる。

そして『英雄』ギンジと出会った。

ギンジは俺にとって兄貴のような青年だった。

どんな事に関しても興味を湧かない態度…だけど、人一倍に仲間想いなその性格。

俺はそんなギンジに憧れを抱いていた。

 

だから、今の俺が此処にいる。

けど、それでもあの禍々しい力には抗えない…!

俺の本当の強さじゃない証拠でもある。

 

「だけど、今は違う。

俺はこの弱さにも強さがあるって、今思えた。

だから俺はこの弱さも向き合う!」

 

「…もう。零は零なんだから」

 

セレナ…

 

「…ふっ。私が言った事なのに。零に叱咤させられ、エルフナインに気付かされるなんてね」

 

マリア…

 

「弱くても自分らしくある事…それが強さ!」

 

「エルフナインちゃんは此処まで危険がある中で私達の元にやって来てくれた!それは勇気であり、同時に強さでもある!」

 

…そうだな。

そんな小さな勇者が頑張ってくれたんだ!

 

俺達も負けてられるか‼︎

 

「見ててね、エルフナイン!」

 

「君の勇気に応える歌を!」

 

「俺達の野生の魂を!」

 

そう言うとマリアとセレナはギアペンダントを握り締め、俺は詠唱を始めた!

 

「「イグナイトモジュール、抜剣!」」

 

「"己の中に眠りし『獣』よ。

今こそ此処に解放せん!"

『MONSTER DRIVE』!

ビースト・オン!ザ・イグニッション!」

 

『『Dainsleif』』

ー『MONSTER DRIVE』!ー

 

ーーーーーーNO SIDE

 

するとギアから針状のエネルギーが発現し、2人に刺さる!

それと同時に零の背後にティガレックスが現れ、レックスは零を包み込んだ!

その時だった!

 

ー『イグナイト』反応検知。

『IGNITE KILLER』プログラムスタート!ー

 

『零!』

 

「俺は…いや、俺達は!

 

「「弱いまま……この呪いに叛逆する‼︎」」」

 

するとそれに呼応して、マリアとセレナのギアは『イグナイト』を発動する事に成功した!セレナに至っては盾に恐ろしい顔を模った模様が刻まれていた!

だが、それと同時に零の身体から血が流れ、そして黒い瘴気が彼を襲い掛かった!

だが、彼の瞳は決して揺るいでなかった!

 

「俺の弱さ…それをお前なんかに渡すものかーーーーーー‼︎」

 

ーーーーーーSIDEto逝都

さて、ようやく『IGNITE KILLER』が発動したな。

幸いにも人形共にはそれを操るスイッチを用意してるから大丈夫だな。

 

「さぁて、暴れなさいよ!クソ狂竜!」

 

「!…」

 

「零‼︎」

 

成功したな。

昼間、サモン博士が最新版にアップデートさせた事で例え『MONSTER DRIVE』を使用しなくても『イグナイト』及びそれに飲み込まれる『暴走』を検知した場合、強制的に『IGNITE KILLER』を発動する様にしたしな。

俺や馬燈,そしてライジンは何も影響されない。

何故なら、俺達は《精魂導師》であって、《精魂導師》に非ず。

そのおかげで、例え『IGNITE KILLER』が発動しても、身体の言う事は聞くんだよな。

 

さて、どうなってるのやら…




後編はこの後直ぐ!


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♪24 輝きを継ぐ、君らしく(後編)

後編です!
活動報告の奴はまだまだ募集していますのでご応募待ってます!!


ーーーーーーNO SIDE

そして黒い瘴気に零は襲いかかった。

だが、零は立ち上がり、そして2人…セレナとマリアの方に歩き始める。

説得は皆無。戦わざるを得ない雰囲気。

更にそれを真近で見たいと言いながらガリィとシィバまで来て、攻撃して来ようと手を出して来た!

万事休すかと思われたその時だった。

 

ガシッ!

 

「は?」「え?」

 

ガリィとシィバは驚いていた。何故なら2人の手を…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

轟竜の手と化した零の手によって止められたから。

 

「うおおおおおおお‼︎」

 

「嘘⁈」「なんで〜⁉︎」

 

すると零はそのまま背後に振り返り、そして2人を同時に投げ飛ばしたのだ!

 

それを真近で見たマリア,セレナ,エルフナイン。

そしてそれを遠くで見ていた逝都は驚愕した。

 

そして肝心の零はマリアとセレナに向けて…

 

 

「」ビシッ!

 

右腕を上げそして右手を出し、親指を立てた…

俗に言う…サムズアップのポーズだった!

 

「!零‼︎」

 

それに気付いたセレナは零にハグをした。

零はなんとあの『IGNITE KILLER』を己の力で乗りこなしたのだ!

何が何だか意味不明なガリィとシィバと逝都。

逝都に至っては苛立ちを隠せないままテレポートジェムを足元に投げ飛ばした。

 

「こんなの聞いてないぞ‼︎」

 

と言いながら、その場を去った。

 

その頃、零達はガリィ達と相対し始めた!

ガリィはアルカ・ノイズを出現させて、襲撃をさせる!

それに対して身構えるセレナとマリア。

だけど、それを零は制する。

 

「後ろに下がって、耳を塞いでろ」

 

そう言うなり、零は手を地面につけ、大きく息を吸い込む。

それと同時に腕に生えた翼を大きく伸ばす…そして一気に!

 

「■■■■■■■■■■■■■ーー‼︎」

 

大声を発した!

その威力で、零の周りの砂塵が一気に吹き飛び、

100m先の建物の窓ガラスが一部割れてしまう程の威力を発したのだ!

だが、これはあくまで大声いや、咆哮だ。ブレスでは無い。

それなのに、それを受けたガリィとシィバは真近で聞いてしまい目を回した!

それと同時にアルカ・ノイズ達が一気に消滅したのだ!

これが【轟竜】の名を持つモンスター…ティガレックスの最大の武器の1つ…「ハイパーボイス」である!

 

すると零は腕を大きく伸ばし後ろにいる2人に「飛び乗れ!」と言うと2人は咄嗟に零の腕に足を乗せた。すると零はそのまま腕を可能な限り動かし、そして一気に2人を人形の方に投げ飛ばした!

 

そして2人は一気にガリィとシィバの懐に入りそのままアッパーを繰り出す!

吹き飛ばされた2人。そこへ追い打ちとばかりに零が2体の人形の頭を強引に掴みそして更に上へと投げ飛ばした!

その反動で地面に落下し始める零…だが、零は腕をまた大きく伸ばす。

すると今度はすれ違い様にマリアとセレナが現れ、今度は零の足を使って2人を上空へと飛ばした!

 

そしてマリアは短剣を黒く染まった銀の腕《アガートラーム・ガントレット》に刺す。すると短剣から一振りの剣に変わり、そのままブースターで一気に駆け抜ける!

セレナは逆に大盾をスピナーの形状のようにセットし、そして回転と同時に一気に駆け抜けた!

 

"SERE†NADE"

"Malia-jyu・イージス"

 

その攻撃を食らったガリィとシィバは「1番乗りなんだから〜‼︎」「私は2番手〜」と言って爆散した。

そして2人はそのまま地面に落下するが、既に地面に着地していた零にお姫様抱っこさせられる形で無事に降り立ったのである。

ガリィとシィバの戦いはマリアとセレナの勝利したのであった。

 

すると彼等の所に響達が駆けつけ、先の戦いの事を話していると憑友は何かに気付いたのか、《炎魂導師》の姿になるなり、空を徘徊した。

そして帰って来たと思っていたら、憑友の手には12枚のヒーローカードがあったのだ!

 

「!シレンに、深雪さん!

ルークさんまで‼︎

それに他にも見た事無い『英雄』達のカードまで!」

 

「まさか、ガリィ達が所持していたのか?」

 

謎が謎を呼ぶ中、一行は兎に角何事も無かったので良かったと思ったのであった。

するとそれと同時に霊風が遅れてやってきた。

だが、そこには苦虫を噛んだような顔を見せた霊風がそこにいた。

憑友は何故霊風がそんな顔をしているのか理由を聞いた。

すると霊風は答えた。

 

「ファラがデータをコピーして行きやがった」と。

つまり、ガリィ達が一騒動している時、ファラがこっそりと隠密行動をしていたのだ。

 

それにいち早く気付いた霊風が相対していたのだが、槍と剣との戦いでは五分五分で結果的に暇を弄ばれたとの事だった。

 

これにより彼方側にも情報が渡ってしまったと言うのである。

 

何はともあれ、マリアとセレナは吹っ切れ、零はメンバー初の『IGNITE KILLER』を乗りこなした逸材になったのであった。

 

 

ーーーーーー

その頃、キャロルのアジト…チフォージュ・シャトーでは先に倒されたガリィとシィバの土台上の垂れ幕に錬金術が組み込まれていた。

それを馬燈はただ刀の手入れをしながらそれを覗いていたのであった。

 

「…ちっ!」

 

そう舌打ちするなり、馬燈は刀を納め、そのままその場から離れたのであった。

 

ーーーーーー

さて、時間はあっという間に夜になり、皆は花火大会をしていた。

マリアの表情を見たF.I.S組とセレナと零は嬉しさに溢れ、翼は「充実した特訓だった」と言うと、それを後輩であるクリスと、パートナーの奏,そして同い年のロックからツッコミをされていた。

すると響が「お腹空きません⁉︎」と昼間と同じ事を言って来た。

…いや、あんた食い意地張り過ぎである。

それを聞いたエルフナインは苦笑する。

だが、その言葉に対して憑友は、

 

「誰かさんの所為で、夜の分の食材は有りませ〜ん♪」

 

「嘘⁈」

 

「お前だよ!犯人は!自覚持て!確信犯‼︎」

 

と言いながら響にグリグリの刑をする憑友。

あ、やっぱりこの子がたらふく食ってたんですね…。

 

「今回は俺達もジャンケンに参加するから」

 

そう霊風の一言でマリアの合図で全員でジャンケンする事にした。

 

『買い物買い出しジャンケン…ポン!』

 

そう言って出してきた手をよく見ると…

響がパーで、後は全員チョキである(因みに翼と奏はまたしても禁じ手のカッコいいチョキもといピストルを繰り出している。が、なんと霊風すらもピストルを出していたので、結果的にチョキ扱いになった)。

要は…響の1人負けである。

うん…流石、自称呪われている少女。

こんな時でも呪われているとは…!

 

すると響の買い物に未来と憑友が付き合うと言って、未来は響の手を握って走り始め、その後ろを憑友が追いかける事になった。

 

そして3人はコンビニに入ろうとするが響が東京ではお目見えする事が無いラインナップを揃えた自販機に夢中になっていた。

そんな響に呆れた2人。すると、

 

「あれ?君達は確か…未来ちゃんに、憑友くん?じゃなかったっけ?」

 

「え?」「ん?」

 

そう言って2人は全方に視線を戻すとそこにはやる気の無い顔をしたおじさんがいた。

するとおじさんは話を続けた。

 

「あ、ほら。いつも家の子と遊んでくれた…」

 

「!」

 

「如何したの?未来、憑…友?」

 

するとその場所に響がやってきた。

するとおじさんは響を見た瞬間に驚いていた。それは…

 

「!…響…!」

 

「⁉︎…お父…さん…!」

 

「‼︎」

 

それは響の父・立花洸だった!

そして父を見た響は数歩下がり…そして来た道を逆走して行った!

 

「「響!」」

 

響の家庭に何があったのか…

この時の憑友は知らされていなかった。

いや…知る時間が無かったのであった…

 

彼女…響の暗い過去をこの時の彼は知らなかった。




あまりの突然の出来事…
そんな中、憑友は己の意思で「想い出」を干渉し始めた!
今度のターゲットは…

次回

暗い過去

それを目にした時、憑友は…


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♪25 暗い過去

遅くなってすみません。
それとこの回の投稿日…マリア役の日笠陽子さんのハッピーバースデー!おめでとうございます!
…本当は12日にも投稿したかった。
…調役の南條愛乃さんのバースデーだったから。ごめんなさい、南條さん!

さぁ、本編の方はややこしくなっている感が否めない。
時系列的には8話前半の話になるけれど、響達の方ではほぼ原作通りの展開になっているので、その間、憑友が何をしていたのかと言う話を此処に記してます。
決して、手抜きでは無いですよ‼︎
「いや、明かに手抜きだろ⁉︎」

と言う訳で、どうぞ。


夏の風物詩…蝉の音が一段と騒ぐこの頃、

響は1人黙々と帰宅準備をしていた。

それを見ていた未来と憑友は響に話かけたが、響は「大丈夫!」と言って、そのまま今日は真っ直ぐ帰って行った。

実はこの日、響は先日再会した父・洸から「話がある」と連絡を受けており、最初は行く気すらしなかった響だったのだが、憑友と未来のお陰でなんとか話を聞くだけでもと思い、今に至るのである。

 

「…未来。御免な。俺が不甲斐ないばかりに」

 

「ううん。それは私も同じだから」

 

「…取り敢えず家に帰ろう」「うん」

 

そう言うと2人はそのまま帰宅した。

 

そして帰宅して早々、憑友は制服から私服へと早替えして、外へと出て行こうとする。

 

「憑友?」

 

「御免。俺がいない間に、彼奴の身に何があったのか知らないんだ。

だけど、その所為で響を壊したく無いんだ。

…実家に戻って見る。

あのクソ親父の事だから真実を知ってると思うしな」

 

そう言うと憑友は家を飛び出して行った。

 

ーーーーーー

そして飛び出した憑友はレウスを呼び、そのまま背中に乗り、そして実家がある「自然都会」へと足を踏み込んだ。

 

「ただいま」

 

「?おかえり。如何かしたのかい?」

 

すると案の定と言うべきか、憑友の父・玄也が玄関に現れ、出迎えてくれた。今日は学会からの招集も無く、それと同時に裏の仕事も無いようで、基本的に1人でのんびりと寛いでいたようだ。

因みに外にはSPのジルが、山のようなコブを持つ草食の竜…【尾槌竜 ドボルベルク】を相手に組手していた。

…最早何でも有りである。

 

 

「教えてくれ、親父」

 

「?」

 

すると憑友は今回家にやって来た本題を話す事にした。

 

「俺が3年前に日本を離れ、

ナツさん,アカネさん,なのはさんと出会っていた時。

日本…それも、響の身に何が起こったのかを!」

 

「…」

 

それを聞いた玄也は己の背中を憑友に見せ、「付いてきなさい」と言われ、憑友は玄也の後を追った。

 

 

 

そしてついた部屋は玄也の書斎であった。

すると玄也は書斎棚から1冊のノートを取り出し、憑友に手渡した。

 

「これは?」

 

「セレナが記憶を取り戻す前に書かせていたんだ。

これは憑友が日本を離れた直後に起きた身の回り…それも響ちゃんに関する出来事だよ」

 

「⁉︎」

 

それを聞いた憑友はノートを見始めた。

 

 

〔4月30日○曜日天候晴れ

今日から憑友は1人で日本を離れ、『英雄石板』を探しに行った。

私としては1枚さえ持って帰って、そして生きて帰ってくれた方が私としては嬉しいな。

あ、そっか。半分死んでたんだった…失敬にも程があるな、私ったら。

私はお義父さんからこのノートを渡された。

このノートの役目は何なのかと聞いたら、『このノートに憑友の幼馴染…それも、あのライブで数少ない生存者として生き残った響ちゃんの行動を書き記してくれ。

たとえどんな事があっても、絶対に踏み込んではいけないよ。

他人の家を踏み荒らすのと同じ行為になりかねないから』と言われたので、このノートを書く事にした。〕

 

〔5月21日☆曜日天候曇り

響ちゃんの周りの様子が変わり始めた。

つい先日から響ちゃんは体調も治り、リハビリを受けた事で元の私生活に影響を受けなくなった。

だけど、この頃からいつも帰る時はいつも響ちゃんの服装がボロボロになり始めていた。

学校でまさか虐めにあっているのかもしれない。

私はすぐにこの事をお義父さんに言った。

けれど、お義父さんは首を縦に振ってはくれなかった。

そうだ。最初の日に書いたあの誓約文の影響だった。

私はこの時始めて後悔した。此処まで無力だと言う事に。〕

 

〔6月15日△曜日 天候雨

今日から梅雨入りだと言っていた。

そんな雨の中でも私は響ちゃんの様子を見た。

だけど、響ちゃんは傘を差していなかった。

それどころか、5月の時よりも制服がボロボロになっていた。

そしてよく見てみると、傘は持っていた…

良かったのも束の間、その傘をよく凝らすと、その傘は骨組みが完全に折れ曲がっていた。

しかもビニール傘だからよく見えた。

そこには『死ね!』とか『税金泥棒!』とも呼べる罵声がビニール傘に入っていた。〕

 

〔7月14日□曜日天候快晴

もうすぐしたら夏休み。

だけど、帰宅していた響ちゃんの姿はもう見たく無い程にまでに怪我まで負っていた。

私はこの日決意し、響ちゃんのお家までこっそりと尾行した。幸い響ちゃんには気付かなかった。

そして私は響ちゃんのお家に付いて目を見開いた。

そこには大量の落書きや罵声入りの紙が家中に貼られ、そして書かれていた。

この時、疑惑から確信へと変わった。

響ちゃんは今、虐めにあっていると。

まだ小学生だった憑友が虐めにあっていた頃の方がまだ優しいと感じたぐらいの物だった。〕

 

〔12月24日○曜日天候雪

随分と久方ぶりにこのノートを書くわ。

軽く3ヶ月ほったらかしにしていたけれど、強いて…いや悪く言ってしまうと、響ちゃんの虐めは夏休み明けからさらにエスカレートしていた。

この日、私はお義父さんとお義母さんから許可を貰い、響ちゃんのお家に遊びに行った。

そして上がったらそこには響ちゃんとそのご家族。

そして響ちゃんと憑友の大事な幼馴染・未来ちゃんがいた。

勿論、憑友の形見であったライドさんとキリト君のカードも机の上に置かれていた。

けど、2人の気配を感じない…どうやらカードに意思が入っていないし、ライドさんも自らの手で電源をOFFっていたみたい。

そして周りを良く見て違和感を感じた。

それは響ちゃんのお父さん…洸さんがいなかった事だった。

 

この事は敢えて言わずにそのままクリスマス・イブを過ごした。

皆んなでプレゼント交換したのは良かったと思えた。〕

 

〔1月1日☆曜日天候快晴

今日から新年です!ハッピーニューイヤー!

今回は家族総出で初詣を見に行った。

勿論、響ちゃんのご家族も一緒に。

響ちゃんの着物姿は中々新鮮だったよ!

そしておみくじを引いたんだけど、私は末吉。ボチボチかな。

未来ちゃんは大吉!すごかったよ!

そんで響ちゃんはと言うと…まさかの大凶!これは呪われたレベルだ…。

そんな中で楽しい1日を過ごしていたんだ。

けど、その時に響ちゃんが疲れてしまって私に膝枕して寝てしまったの。

その時に『お父さん…お父さん…』と悲しい声で泣いていた。

やっぱり響ちゃんの身に何かがあったとしか言いようがなかった。〕

 

〔3月1日□曜日天候曇り

今日、家に突然未来ちゃんが現れた。

何なんだろうと思っていたら突然、『響を…響を助けて!』とSOSを発していた。

そして私は響ちゃんのいる場所・響ちゃん達が通っている学校からそれ程遠くない公園内は公衆トイレにやって来た。其処では多数の男たちが響ちゃん相手にレイプをしていた!

私はそれを見た瞬間にはち切れそうになり、抗議した。

しかし相手は全くお構い無し。それどころか私達にまで輪姦させるつもりでいたらしい。

だけど、その時に偶々帰国していた逝都君と馬燈君がこの様子を目の当たりにしたようで、そのまま男達をK.O.してくれた。

だけど、此処まで酷い目に合わせるなんて…

私がもっとこの事を早く知っていれば…!〕

 

〔3月31日△曜日天候晴れ

日本を離れていた憑友が今日帰って来る。約一年足らずの帰国だ。

勿論、響ちゃんにもこの事を言おうとしたんだけど、

『もう来ないで!』と門前払いを食らってしまった。

そして未来ちゃんに話を聞いてみると、

『響…学校どころか、私や逝都、馬燈以外の人を信じられなくなってしまった』と言われてしまった。

つまり、私は響ちゃんから人間不信の対象になってしまったと言う事だった。

それを聞いた私はもうこのノートには手を出さない事を誓った。

勿論、憑友にも関わらせない!

こんな事…するんじゃなかった…!

人の不幸を書き記す。こんな残酷な事は無い…無さすぎるよ!〕

 

それ以降は何も書かれておらず、ページをめくっても後に残っているのは白紙のページのみだった。

 

「…」

 

「あの日、憑友が生命を落とし、僕達の元に帰って来て、日本を離れた後、響ちゃんの周りに対する態度がガラリと変わった。

まるで小学生だった頃の憑友の再来いや、それ以上の不幸が響ちゃんに襲ったんだ」

 

「…俺は今の今まで。響の事を知らないで来たってのかよ…!」

 

そう言いながら手に持ってるノートを握力だけで握り締める憑友。

それもそうだ。自分が呑気に英雄探しをしている時に、響が此処まで傷付いていたのを今の今まで知らずに生きていたのだから。

 

「他人の家の事情に口を出す事は絶対にあってはならない事なんだ」

 

「だからって、こんな事…酷すぎだよ」

 

そう言いながら涙を零す憑友。

彼はこれまで怒り、喜び、嬉しさ、呆れ…様々な感情を出してきた。

けど、今の今まで彼は本気で涙を零す事は無かった。

あのライブの日も、フロンティアでのあの日も…

幾度も血を流し続けてきた彼だが、涙を流す事は無かった。いや、しなかった。

 

だが、今回の件で自分はどれ程愚かな存在だったのだろうかと改めされていたのであった。

そんな中、急に立ち眩みに襲われたかのような動きをし、憑友はそのまま倒れてしまった…!

 

「憑友?…⁉︎憑友‼︎」

 

憑友が倒れたその頃、S.O.N.G.ではアルカ・ノイズが検知し、響と調、そして切歌が活動にあたった。

しかし、響の精神状態の不安定の無さに終いには現場が滅茶苦茶になっていたのであった。

そして実行に移していたミカとジュエルはそのまま逃亡したのであった。

如何やら計画は終わっていたようだ。

 

ーーーーーーSIDEto馬燈

…さて、此処まで来れば問題は無いか。

 

「ありがとうだゾ」

 

「…ふん。流石は騎士ですこと」

 

「騎士じゃない。侍だ」

 

…ちっ。こっちは人形と連む気は毛頭も無いのに。

 

pipipi…!pipipi…!

 

このアラームは…

 

ピッ!

 

『済まないな、アヤカシ』

 

やっぱりか。

…だが、今はこの空気の場から逃げるチャンスだな。

 

「そっちの様子は如何なんだ?アンデッド。

憑友を監視すると言って、無断で行動しやがって」

 

『無断では無い。博士自らの依頼でな。

ライドは「自然都会」の方に赴いて、ナイスミドルな男と話し合っていたら、突然倒れた』

 

⁉︎倒れただと⁈

 

『原因は不明だ。お前達なら知ってると思って連絡した次第だ』

 

「そんな物、俺や逝都は知らないぞ!

彼奴は立ち眩みで倒れる程、柔じゃない‼︎」

 

『…そうか。済まないな』

 

「…いや、こっちこそ済まない。頭を冷やす」

 

ピッ!

 

憑友が倒れる事態…

もしかして…俺達に預けていた改造油《ドーピングオイル》の後遺症なのか⁈

それとも、何かの変化なのか⁉︎

何方にしても、今の俺達は憑友に会う権利は無い。

 

 

全てはサモン博士の償いを果たす為に!

 

ーーーーーーSIDEto憑友

これは…記憶…?

…また誰かの「想い出」を干渉しているのか。

 

…この風景…

 

…白黒の世界…嫌な空気…周りの冷たすぎる冷酷な視線…

欲に見えた人間の屑達…

 

そしてその中心に…女の子がいた。

姿を見て確信した…コレは…「響の想い出」…

いや、こんなのは「想い出」とは呼ばない。コレは…「現世の地獄」そのものだ。

 

かつての小学生の頃の俺そのものだ。

 

…声が聞え無い。

 

今までは人の「想い出」の干渉で声が聞こえて来た。

だけど、響の「想い出」は全く持って聞こえなかった。

 

恐らくコレは「想い出」では無い。寧ろ心に傷を受けた「悲しみの記憶」。…そうだよな。

 

サモン博士やキャロルの見た「想い出」はあれはその人のかけがえの無い「想い出」なんだ。

そこにあるのは、喜びや嬉しさなどの光を象徴する「正」の「想い出」。

 

だけど、響のこれは、はっきり言うと、

恐れや怒り,哀しみなどの闇を象徴する「負」そのもの。

俺が呑気に英雄探しをしている間に、響はこんな痛い目に…辛い目に遭った。

なのに、俺はそれを知ろうとすらしなかった!

 

…俺は響や未来を守ると誓った。

だけど、響を守る事なんて出来ないんだ!

俺は彼奴と共に行動してきた。

けど、もう俺は響を守る事なんて出来ないのかもしれない。

 

誰かを守る戦士になると誓ったのに…

大事な幼馴染の悲惨さを知らずに…俺は…俺は…!

 

「落ち着け、馬鹿憑友」

 

!…神様…

何で、此処に⁉︎

 

「取り敢えず、此処から離れるぞ」

 

そう言うと神様は指パッチンして、この場の空気が一変し、そして場所はあの3年前のライブ会場の悲惨な光景に変わった。

如何やら、これは神様の心情風景のようだ。

 

「…如何して俺を?」

 

「お前の事を身近で心配していた奴からSOSを受けて来てみれば、闇に呑まれ掛ける一歩手前だったぞ」

 

!…そうだったんですか。…ごめんなさい。

 

「謝る相手が違うだろ。お前さんの隣にいる奴に謝れ」

 

そう言われ、俺は横を向くと、そこには俺の腕を小さな手で必死に握っていたユルセンがいた。

 

「ユルセン…」

 

「お願いだから、憑友!俺を置いていかないでくれ!」

 

…ごめん。ユルセン。

一番身近に居たもんな。

例え、どんな事が在っても、ずっと支えていたんだった。

それを忘れていたよ。

 

「ごめんな…ユルセン」

 

そう言いながら俺はユルセンの目玉のような頭の上に手を置きそして宥めた。するとそのまま更に握り締めて俺の腕に抱きついたまま号泣してしまっていた。今回ばかりは俺が悪い。ユルセンは危うく堕ちそうになった俺を助けてくれた。今回はユルセンのお手柄だ。…ありがとう。

 

「…ふぅ。一段落したと思っているけどな?

ちょっと外が騒がしい」

 

?如何言う事なんですか?

 

「昼間、お前が倒れた直後、アルカ・ノイズが現れて、響達が殲滅した。

だが、ジュエルとミカの攻撃で重症を負った。それだけでは無い。

その影響で調と切歌が喧嘩し、其々に組みする呪怨と聖希の2人まで喧嘩して、仲が悪くなってしまった。

しかも今、そんな最悪の状態の4人の前にジュエルとミカが本気の力で倒そうとしている」

 

!…行かなくちゃ!

 

「おい待て!お前に何が出来る⁉︎

仲裁なんてそれこそ本末転倒!逆効果だ!」

 

じゃあ如何すれば良いんだよ!

 

「…ただ見守れ。それが彼奴らの先輩としての役目だろ?」

 

…分かりました。

 

「今から現実に戻す。取り敢えず今後はあんな「想い出」は見るなよ。俺の身にもなりやがれ」

 

そう言うと神様の計らいで俺はそのままユルセンと共に現世に戻る事にした。

…頑張れよ…後輩。

 

「!いや、待て!

お前は小日向未来の方に迎え!大至急だ!」

 

え?

 

ーーーーーーNO SIDE

その頃、響の怪我の具合をお見舞いに行った未来。

そのまま帰路へとつこうとした。

 

「…!」

 

だが、未来は前を向いた瞬間、立ち止まった。

そこには…

 

「ジィス…」

 

「騎士」のアルカナを持つ欠陥だらけの自動人形(オートスコアラー)…ジィス・パライスンがいた。

 

「小日向未来さん。

貴方にお話があって参りました。」




次回

欠陥だらけの自動人形

次回はオリジナル編!

未来ちゃんがジィスと…?


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♪26 欠陥だらけの自動人形

今回は未来ちゃん回。
作者…何気に未来ちゃん(この子のみ)の回を設ける事がしょっちゅうあるみたいです…。
そして短しっ‼︎


ーーーーーーSIDEto未来

私の目の前には、響やクリス、そして憑友達が戦いを繰り広げている存在…自動人形(オートスコアラー)の1人にして、私が戦った存在…ジィス・パライスンがそこにいた。

 

何故、彼女は私の所に現れたのか分からなかった。

彼女は他の人形達よりも遥かに人間的に見えた。

現に、周りの事を気遣って、私と2人きりで話せる場所は無いかと質問してきて、私は前に響と憑友と一緒に流星群を見た場所にやって来て、そこで彼女(?)とたった2人になっている。

 

「こんな時間に申し訳ありませんでした」

 

「い、いいえ…」

 

ジィスは礼儀正しい性格をしていた。

私と戦った時も、アルカ・ノイズを呼び出さず、一騎討ちで立ち向かって来たぐらいに。

まるで"騎士道精神"を体現したかのような存在だった。

それこそ、他のオートスコアラー達よりも人間的に感じた。

 

「…エルフナインは元気にしていますか?」

 

と、ジィスがそう言ってきた。

「エルフナインちゃんは元気だよ」と言い返すと、彼女の顔はにこやかにしていた。

私はエルフナインちゃんとジィスの関係を教えて欲しいって言った。

本来なら敵であるジィスはそんな質問に答える義務なんか無い。

無いんだけど…

 

「私はエルフナインとは謂わば姉妹のような者でして…」

 

ジィスはそう答え、そして頭の兜を取り外した。

そこにはエルフナインちゃんと、響が戦ったと思われるキャロルちゃんの顔つきが酷似していた。

 

「私はエルフナインの姉という感じで構いません。彼女も私の事をお姉ちゃんと呼んでいましたので」

 

そう言えばエルフナインちゃんはホムンクルスと呼ばれる一種の人造生命体。

それは何百年も生き続けてきたキャロルちゃんも同じ。

そしてこのジィスはそんな2人と顔が良く似ていた。

それに顔もエルフナインが心身共に成長したらと言う感じの顔つきだったのも頷ける。それが証拠だった。

 

「私はエルフナインとキャロル様…マスターの肉体を移し替える為の身体の1つだったのです。

ですが、乗り移り替わったキャロル(マスター)が突如倒れてしまったんです。

その原因は私と言う人格の存在でした。

 

"2つの人格の共存は最悪、その肉体をも滅ぼしかねない"

 

そこで急遽新たなホムンクルスを製造し、マスターはその肉体に移り事なきを得て、私はこのように無事に生きてます。

しかし、それを間近で見ていた他の人形達からは「お荷物」「劣化品」と罵声を受けて今日まで生きて来ました」

 

ジィスの話を聞いた私。

まるで響や憑友と同じ「虐待」を受けていたんだ。

しかも、ジィスは2人よりももっと酷かった。

「仲間」から罵声を受けたんだから。傷付くのは当然だった。

 

響や憑友の時、私は手を差し伸べようとしたけど、周りの空気に押し潰されて、何も出来なかった。

結局、2人のいじめを止めたのはいつも逝都と馬燈の2人だった。

あの2人には頭が上がらない…私の代わりに2人を助けてくれたから。

けれど、私は違う…私は2人を助けてあげれなかった。

それでも、あの2人は私を「大切な陽だまり」として一緒にいてくれた。それだけでも私は2人の側に居て欲しいって言われちゃった。

勿論、そのつもりだけどね。

 

だけど、ジィスは違う。

ジィスの周りにいた存在は居なかった。孤独だったんだ。

 

「…辛くなかったの?」

 

…!私、何て事を…⁉︎今すぐ修正しn…

 

 

 

「はい。辛くは無かったです」

 

…え?

 

「如何いう…事?」

 

するとジィスは話を続けた。

 

「私を助けてくれたのが、意外にもマスターだったからです。

マスターは私の事を大切にしてくれました。

私が傷を作れば、最優先に私の事を治療しようと動いて。

私が1人で怖気づいてしまった時は優しく微笑んで、一緒に居てくれました。

だから、私はそんなマスターの為に動いてきたのです。

それは今も同じです。

今日貴方の所に来たのは…

エルフナインが元気にしているのか。

 

私の過去を聞いて欲しかった事。

 

そして、我々自動人形(オートスコアラー)には『英雄』の力を宿したカードを所持していると言う事です」

 

「『ヒーローカード』を⁉︎」

 

つまり、オートスコアラー達は皆、『英雄』達の力を宿しているって言う事⁈

 

「正確には、私,シィバ,ジュエル,そしてレグルス…我らの王には各2枚のカードがこの身体に宿っています。

ガリィ,ミカさん,レイア様とファラ様にはそのようなスペースを設けてはいません。

 

ですが、それぞれの〔属性〕を扱う『英雄』達の力を手に入れています。

ガリィは〔水〕、シィバは〔氷〕を扱う事に長けています。故に、彼女達には〔水〕そして〔氷〕の属性に長けた『英雄』達のカードを所持していたのです。

 

…私の属性は〔光〕

…それは"希望"を与える属性。

 

しかし私は闇に屈する者。人々に希望を与えてなどいません。

謂わば私は『絶望の光』とも言える存在なのです。

ですが、それでも私を大事にしてくれるマスターの為に、私はこの身をマスターに捧げる所存であります。

 

…そろそろお暇します。

またいつか…今度は、一対一の真剣勝負をしましょう」

 

そう言うとジィスは地面に向けてテレポートジェムと呼ばれる代物を投げて、そのままテレポートした。

おそらく他の人形達の所に帰ったんだろう。

 

…私は彼女とは戦いたくない。

だって、あんなにも心優しいのに…

 

私は…如何すれば良いの…響…憑友…

 

私の問いに答えてくれる人は此処には居ない。

 

代わりに、1つの流れ星が落ちていった…

 

彼女と…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジィスと友達になれますように。




次回

不協和音

歯車が噛み合わなければ、何も出来ない…

活動報告『FUSION DRIVE』募集中‼︎

ドシドシ応募して下さい‼︎


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♪27 不協和音

遅くなりました。
何故遅くなったか?それは下記の通りです。

①スマホのアプリのログボをする。
②録り溜めしておいたアニメ・特撮を見る。or③仕事の場合はそれで完全に時間が潰れる。
④ニュース系統を見て就寝。
⑤そして①に戻る。

これの繰り返しが此処2週間少しあった自分の影響でありました。
しかも、世間は夏休みです!
忙しいったら、ありゃしない!投稿する暇すらない!
と言うより、次の話がまだ書ききれていないと言う現状!最悪の中で、物語は進みます!


憑友が急に倒れた時、調と切歌は喧嘩した。

その際は同じ任務を受けて、真っ先にやられた響か仲裁したが、

2人の喧嘩の飛び火は関係ない筈の陰陽兄弟の方にまで影響し、闇呪怨は切歌を、光聖希は調の方に徹してしまい不仲になってしまっていた。

 

その頃、残りの《シンフォギア》装者…翼,奏,マリア,セレナ,クリスの5人は汗を流すため、シャワーを浴びていた。

そうしていると話は響の今の精神状態の話に移った。

 

「やはり父親の一件だったのね」

 

「こういう時はどんな風にすればいいんだ?」

 

「どうしていいのかわからないのは私も同じだ。

一般的な家庭の在り方を知らぬまま過ごした私だからな…」

 

マリア,クリス,翼が話をしている中…

 

「………」

 

奏は黙りを決め込んでいた。

響の過去を聞いた時、それは自分の所為だと奏は思ってしまっていた。

自分があの時助けたから響は此処にいる。

だけど、響の周りを壊したのは自分じゃないのかと。

あの時、響を助けなかったら、周りの空気は何事も無く穏やかになっていたのかもしれない。

でもそれだと、響を見殺しにしていたと思う。

奏はどっちに転んでも、結果的に見れば、自分は響に地獄を見せていたのかもしれないと言う自負に囚われていた。

 

それを隣でシャワーを浴びていたセレナが話しかけてきた。

 

「まだ…根に持ってる?」

 

「…まぁ…な」

 

「響ちゃんなら心配いらないよ」

 

「え?」

 

奏の反応を聞いた他の3人も視線をセレナの方に移した。

そしてセレナはこう答えた。

 

「響ちゃんには、未来ちゃんがいる。憑友がいる。

私達が居て、零達もいる。

弦十郎さん達が居て、ライドさん達が居て、そしてキリトさんやギンジさん達『英雄』の皆さんもいる。

響ちゃんの周りには此れ程の人達がいるからきっと大丈夫だよ」

 

「…そうだな」

 

その話を聞いていたマリア達は笑みを浮かべていた。

この中で響の事を良く知っているセレナだから言える事だった。

 

 

ーーーーーー

「敵の狙いは電気経路の調査だと?」

 

その頃、一行を乗せたS.O.N.G.艦艇内では弦十郎と緒川が今回、ミカとジュエルが行った行動に驚かされていた。

 

「発電施設の破壊によって電力総量が低下した現在、政府の拠点には優先的に電力が供給されています。

ここを辿ることにより…」

 

「表からは見えない首都構造を探ることが可能となるな」

 

 

 

そんなS.O.N.G.とは裏腹に、キャロル陣営。

場所はチフォージュ・シャトー内では、ミカが床にマップのような物を投写させた。

 

「派手に引ん剝いたな…ん?」

 

「…何処へ行く」

 

そうしていると、ミカとジュエルはこのまま去ろうとしていた。

するとファラが「間もなく「思い出」のインストールが完了すると言うのに」と言いながら2人を制するが、

 

「自分の任務くらい分かってる!

きちんと遂行してやるから、好きにさせて欲しいゾ」

 

「欲深な私ですのよ?こんな貧相な場におり続ける事こそ毒ですわ」

 

そう言い、2人は去って行った。

 

その様子を見ていたレグルスは目を閉じる。

 

「…お前もか。ジィスよ」

 

「…はい」

 

するとレグルスの背後から先程未来に会ったばかりのジィスが現れた。

 

「お前が好みの"旋律"はやはりあの子だったか」

 

「あの子以外の旋律など私は聞きたくありません」

 

「…そうか。

我の言う事はもう無い。

だが、もし危険な事態に陥るのならば、即座に撤退しろ。

お前の友としての命令だ」

 

「勿体無きお言葉…感謝します」

 

そう言うとジィスは来た道の方へとそのまま歩いて行った。

 

「…辛いものだな」

 

そんなレグルスの呟きはレイアとファラには聞こえてはいなかった。

 

ーーーーーー

そんな中、調達1年生組は歩いて帰っていた。

しかし、今の調達の空気ははっきり言ってギクシャクとした物しか漂わせているとしか思えなかった。

陰陽兄弟は先程までの喧嘩よりかは大分和らいでいたけれど、それでもやはり調と切歌…2人の大切な存在の側に居合わせていた。

 

「…私に言いたい事…あるんでしょ」

 

「それは調の方だって…」

 

「私は…」

 

2人の空気を見て、兄弟達は動揺しだす。

 

すると…

 

 

トガァンッ‼︎

 

「「「「⁉︎」」」」

 

突然、近くの境内が襲撃を受けた!

それも目と鼻の先だった!

するとその攻撃の余波が、調達の方にも襲いかかった!

 

「私達を焚き付けるつもりデス!」

 

そうしながら調はふと鳥居の方を見やると、そこには奇妙なポーズをしたミカと、扇子を広げて優雅に扇ぐジュエルが妖美な笑みを浮かべながら居座っていた。

 

「足手まといと軽く見てるなら!」

 

そう言うと、調は聖詠を詠った!

それに気付いた兄弟もそれぞれ、コアとタマシイをセットして、そして懐に忍ばせていた変身カードを装填し、そしてレバーを引いた!

 

「「変身!」」

 

「Various shul shagana tron…」

 

ータマシイ!フォーム、チェイン!ー

 

ーコア!フォーム、ブラッティ!ー

 

ー天への魂、私が縛る!ー

 

ー極への魂、俺が裁く!ー

 

(挿入歌「ジェノサイドソウ・ヘブン」南條愛乃)

そして変身を完了させた一行は真っ先に攻撃を仕掛けていく!

だが、その攻撃の悉くをミカとジュエルは粉砕して行っていた。

 

その様子を観戦していた弦十郎達は現場に急行しようとした。

だが、

 

ガシィンッ!

 

「海底に巨大な人影だと!?」

 

なんとS.O.N.G.移動施設である潜水艇をレイアの『妹』(以降レイ妹)によって止められたのだった!

 

「私と妹が地味に支援してやる。だから存分に暴れろ。ミカ」

 

このままだと最悪な展開になるとそう思い、弦十郎はミサイルの準備を進めようとするが、クリスが「ロック義兄がいねぇ⁉︎」と言ってきたのだ。

 

「くっ!彼奴は何処に⁉︎」

 

 

その頃、皆から離れたロックはアブソーバーの上に【フィーネ】のカードを翳してバージョンアップさせ、更に『アドバンスフォース』のカードを【フィーネ】のカードを同時に装填し、其処から上,右,下,左,真ん中の順に動かし、そして上に掲げた。

 

ーアブソーバー・スパーク!ー

 

そしてすかさずアブソーバーとドッキングさせ、そしてすかさずアブソーバー内に描かれていた『英雄』をタッチした!

 

ーソウル!フォーム、ヒカリ!

『FULL BURST IGNITION』!ー

 

するとスパークを右腕にはめるとグリップが外れ、そしてまた接続させた!

 

すると眩い光がロックの周りを輝かせ、

そして水中では、レイ妹に向けて青い巨人が蹴りを加えた!

それに気付かなかったレイ妹は少し怯む。その隙に潜水艇は動き、拘束から解放された。

そしてそんなレイ妹を相手するのは…

 

青き身体、胸の周りに銀であしらった『スターマーク』と呼ばれる『【光の巨人】ウルトラマン』達の一族では名誉とも呼べる勲章を掲げる、

小さな剣と小さな盾を右腕に備え付けられている戦士…

 

 

【青きツルギの戦士 ウルトラマンヒカリ】に変身したロックが其処にいた!

 

「シュアッ!」

 

そう言うとロック/ヒカリは攻撃を仕掛けていく!

だが、ここは水中の中…身体が思うように動き辛い。

だが、レイ妹の方はそれが如何したと言わんばかりに水中の中なのに、まるで地上となんら変わらないくらいの動きで翻弄させていた!

 

 

それでもヒカリ扮するロックは右腕に装着された変身アイテム『ナイトブレス/ナイトブレード』から光の剣を形成させて、斬撃を与えていく!

しかし、水中戦の戦いに不慣れなロック。

今の今までは地上戦,亜空間での戦い等が多かった。

水上戦の時もあったのだが、水中戦はからっきしである。

この場合、水の中でも平然と動ける『英雄』達の力を借りれば問題無いのだが、ロックは敢えてヒカリに変身したのだ。

 

 

するとレイ妹が岩石を投げ飛ばして来た!

それを見たロックは咄嗟にある構えをとった!

 

そして岩石がぶつかりそうになる瞬間、ヒカリ扮するロックの身体が何かを纏った。

そして岩石が紙一重になった瞬間…

 

 

 

シュパンッ!

 

「⁉︎」

 

突然、岩石が斜めに真っ二つに斬られ、そのまま足元に落ちた。

そして姿を見て驚かされた。

 

それは…"勇者の鎧"と呼ばれる代物…『アーブギア』を纏ったヒカリが其処にいた。

否、この場合、ヒカリと言う名では無いに等しい。

この姿での名を皆はこう言うだろう…

 

 

【ハンターナイト ツルギ】と。

 

「シュアッ!」

 

するとロックはナイトブレスのエネルギーを開放し、両手を十字に組んで放つヒカリ及びツルギの必殺光線…

 

"ナイトシュート"

 

を放つが、レイ妹はすかさず両手を地面に叩きつけて、そのまま砂を舞い上がらせ、そのまま姿をくらませてしまった。

 

「!(…逃げられたか…!)」

 

それを見たヒカリはそのまま光に変え、潜水艇内に入ると、ロックの姿に戻っていった。

 

 

ーーーーーー

一方、切歌達がミカとジュエルを相手に戦っていた頃。

未来はただ1人、とある場所へと来ていた。

そして未来の視線の先には…

 

「来て頂いてありがとうございます。未来さん」

 

「騎士」のアルカナの力を持つ、キャロルとエルフナインと同じ「ホムンクルス」であり、自動人形(オートスコアラー)の1人…

ジィス・パライスンが其処にいた。

 

「如何しても戦わないといけないんですね…」

 

未来は言う…ジィスと戦わないといけないのかを。

その答えにジィスはただ首を縦に振った。

 

「騎士の力を持つ私です。主の要求に求めるのが、私の務め故…」

 

「…分かりました。

…行きます!」

 

「我が騎士道…とくと見よ!」

 

そう言うと未来は首に提げていたペンダントを取り出し、そして聖詠を詠った!

 

「Rei shen shou jing rei zizzl…」

 

そして未来はシンフォギア『神獣鏡』を纏った!

此方でも新たな戦いが勃発しようとしていた…!

 

 

そんな戦いを観戦する者が居ようとはこの時の未来とジィスは知る由も無い…

 

 

「…お手並み拝見と行こうか」




次回

4人で1つ

喧嘩する程、仲が良い…!

【朗報】
今作参戦作品に、

『アカメが斬る!』

『常駐戦陣ムシブギョー』

が参戦決定しました。
なので、上記作品内のバトルキャラの『FUSION DRIVE』を募集します!
募集はいよいよ1ヶ月を切ります!
8月31日!当日消印有効時間までに活動報告にご投稿お願いします!


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♪28 4人で1つ

暫く投稿出来なさそうなので、今の内に投稿します。
次の更新は最悪夏休み明けかと思います。すみません。
その間に更新する様、尽力します。

それではどうぞ!


その頃、ミカとジュエル…2体の自動人形(オートスコアラー)を相手に、調と切歌(2人のシンフォギア装者)と、闇呪怨と光聖希(兄弟の精魂導師)が相対する!

だが、その攻撃をミカとジュエルは悉く受け流す。

 

「これっぽっちぃ?

これじゃギアを強化する前のほうがマシだったゾ」

 

「私としては寧ろ弱体化したのかと錯覚してしまいましたわ」

 

「そんなこと…あるもんかデス!」

 

2体の人形からの悪口を聞いた切歌はなんとその挑発に乗ってしまう。

それを見た調が「駄目!」と忠告するが、今の切歌には調の言う事を聞こうとは思っても居らず、そのまま2人に向けて、アームドギア《イガリマ・サイス》の刃を3枚に分裂させ、ブーメランのように飛ばして左右から挟撃する"切・呪リeッTぉ"をくらわせた!

 

「どんなもんデス!」

 

それを見たジュエルはミカを心配…する所か、寧ろ扇子を顔に近づける仕草を見せた。

その扇子の先にはニヤリとした不敵な笑みを浮かべているとはつい知らず…

 

「こんなもんだゾ!」

 

すると爆煙からミカが空中に大量のカーボンロッドを生成させて、それを切歌に襲いながら降りかかる!

それを見た切歌は回避をするが、

 

 

「変形しないと無理だゾ」

 

「かわせないなら受け止めるだけデス!」

 

そう言うと切歌は受け止めようと態勢を構えた。

するとその間に、調の鋸と、光聖希の鎖と、闇呪怨の鎌の斬撃が現れ、切歌を守ったのだ!

だが、それを見た切歌はそんな3人に苛立ちを隠せなかった!

 

「なんで後先考えず庇うんデスか!」

 

「やっぱり私は…私達は足手まといと…」

 

「違うデス!調が…光聖や闇呪(えじゅ)が大好きだからデス!」

 

それを聞いた調は「え?」と驚いた。

それに対して兄弟は目を閉じた。2人は切歌の気持ちを少なからず気付いていたから。

切歌は調の事が大好きなんだと。

だから、そんな調にもう二度とフロンティアでの人騒動(あんな事)はしたく無いと言う思いにも気付いていたのだ。

 

「大好きな調だから傷だらけになることが許せなかったんデス!」

 

「じゃあ…私は…」

 

「私がそう思えるのはあの時調に庇ってもらったからデス…

 

 

 

みんなが私達を怒るのは…

 

 

私達を大切に思ってくれているからなんデス!」

 

「私達を…大切に思ってくれる…優しい人達が…」

 

それを聞いていた兄弟も調の肩に手を置いた。

 

「今までは俺達だけで生きてきた…頼れるのは(兄貴)マリアとセレナ(姉貴達)だけだった…」

 

「だけど、今は違う!頼れる人は多くなったんだ!

先輩達、『英雄』の皆、クラスメイト…俺達の側にはこれだけの優しい人達が大勢居るんだ!」

 

そうこうしていると、切歌がジュエルの支援を受けたミカの攻撃により吹き飛ばされる!

 

「なんとなくで勝てる相手じゃないゾ!」

 

「おもちゃのパーティーも飽きてしまいましたわ。

これからはサドンデスに面白く行きましょうか!」

 

そう言いながら、2人は切歌達の方へと近づく!

 

 

「マムが救ってくれたこの世界でかっこ悪いまま終わりたくない!」

 

「だったら…かっこよくなるしかないデス…」

 

「自分のした事に向き合う強さを…」

 

そう思い、調は胸のモジュールペンダントを握り締めようとしてふと立ち止まる。

もし、この力を使用すれば…

近くにいる闇呪怨と光聖希が、

憑友や零達のように、自分達の今変わろうとしているこの力…

"イグナイト"を殺すプログラム…

『IGNITE KILLER』プログラムが起動してしまうと言う事に。

だが、そんな調の手を…

 

スッ…

 

「え?」

 

調の手をそのままモジュールに持たせたのは、

調と共に行動していた戦士…

 

《光魂導師》タマシイ=光聖希だった!

 

「俺達は負けない…!

例え、この身で調達を殺すプログラムが受けようとも…

俺達はそれ以上の覚悟で、調を守る!

 

"漢には守らねばならないものがある!"

 

俺にとってそれは調!」

 

「!」

 

「お前は俺が守る!」

 

そう言いながら、光聖希は調のおでこと自分のおでこをくっつけて真近で宣言したのだ!

それを聞いた調はその光聖希の行動も相まって一気に紅く染まった。

それだけで調の顔を見て分かる通り、今の感情は恥ずかしさが全身から体現化していた。

だが、同時に嬉しさもあった。

切歌、闇呪怨、そして光聖希は…自分が大好きな存在だから。

そしてそれを聞いた切歌と闇呪怨は「「熱々〜」デス!」と呟いていたが、「兄さん達も同じだろうが⁉︎」と光聖希からの一撃に2人も一気に茹で蛸のように顔を真っ赤に染まっていた。

何気にこの4人…結局は喧嘩しても仲が良いのである。

『する』も『して』も、変わりはないのである。

そんな覚悟を聞いた調は「やろう…!切ちゃん!」と言って、切歌に手を差し伸べる。そして切歌もまた「やるデス!」と言って、その手を握り、立ち上がり、そして2人は導師の前に立って、モジュールを握った!

 

「「イグナイトモジュール、抜剣!」デス!」

 

するとモジュールは空に浮き、そのまま2人に突き刺さり、2人は悶え苦しみ始めた。

するとその反応を感知したのか…!

 

ーー『イグナイト』反応検知。

『IGNITE KILLER』プログラム、強制起動!ーー

 

 

『IGNITE KILLER』プログラムが発動し、導師である陰陽兄弟も黒く染まり始めながら、悶え苦しみ始めた!

 

「底知れず、天井知らずに高まる力!」

 

「いいですわ!いいですわ!

これこそ、デンジャーかつエクセレントに染め上げるものなのですよ〜‼︎」

 

そう言いながらミカの身体が燃え上がり、

ジュエルの身体はまるでナーガやメドゥーサを連想させる姿へと変貌し始める!

ミカの禁術決戦機能"バーニングハート・メカニクス"と、

ジュエルの禁忌決闘技能"メドゥーサ・オブ・ゴルゴン"が発動したのだ!

それと同時にジュエルは以前、シィバが零に対して使用していたリモコンを取り出し、2人に向けて送信し始めた!

 

「ごめんね切ちゃん…

闇呪…聖希…!」

 

「俺達は負けないさ!」

 

「こんな力に負けてなるかよ!」

 

「いいデスよ。それよりみんなに…」

 

「そうだ。みんなに謝らないと。

その為に…」

 

「「俺達は…こんな所で…終われない‼︎」」

 

 

「「「「強くなるんだーーーー!」」」」

 

 

するとそれに呼応したのか、突然、足元が揺れ始め、

導師の隣から2体のモンスターが現れた!

 

1匹は鋭い嘴、赤い身体にヒレのような物が生えた…

全身の至る所にマグマ…溶岩がへばり付いていた!

 

そしてもう1匹は見た目そのものは鮫同然。

だが、なぜかヒレの所に前脚が付いていた。

それだけではない…!後ろ脚にもついていた!

まるで"地を這う鮫"を連想させるような存在だった!

 

「俺に調を守る『鎧』をーーーー!」

 

「俺に切歌を助ける『戈』をーーーー!」

 

そう言いながら、2人はそのモンスターの真名を発した!

 

「ザボアザギルーーーー!」

「アグナコトルーーーー!」

 

すると2体はそれに呼応するかのように咆哮を発声し、そして2人に巻きついた!

すると2体はそのまま2人の身体に吸収される。

だが、2人の身体は今、『IGNITE KILLER』プログラムに感染されていた!

だが!2人の勢いは止まる事を知らなかった!

するとなんと2人を覆い纏っていた黒い瘴気が逆に2人に呑み込まれて行く!

それを見たジュエルとミカは驚愕した。

 

「ぞなもしっ⁉︎」

 

「あっちょんぷりけっ⁉︎」

 

そして2人の姿は…

 

"氷海のギャング"

 

"溶岩の騎士"

 

と呼んでも可笑しくないような雰囲気を醸し出す姿へと変貌した!

それと同時に調達ギア装者もイグナイトを発動に成功した!

そして4人は頷きそして攻撃を仕掛けていく!

だが、一瞬の隙を見せたにも関わらず、ミカとジュエルはすぐに正気に戻り、攻撃を受け流していく!

 

 

「最強のあたしには響かないゾ!

もっと強く激しく歌うんだゾ!」

 

「こんな程度で終わらせるなんて思わない事ね!」

 

そう言いながら、ミカはカーボンを射出しながら、ジュエルは扇子を蛇腹剣に形態変化させて、鞭のようにしなりながら攻撃を仕掛けていく!

 

「向き合うんだ…!」

 

「でないと乗り越えられない!」

 

そういうと調が小型のソーサーを大量に飛ばし、光聖希の身体から冷気が放たれ、そして氷を連想させる鎧のようなのを纏い、そのまま特攻を仕掛けた!

しかし、その攻撃をミカは伸ばした髪でソーサーを弾き潰し、

ナーガと化したジュエルがその特攻を防いだ。

そしてすかさずミカは上空に浮き上がるや、そのまま魔法陣を錬成させ、大量のカーボンを落として来た!

その攻撃を切歌は逃げながら避け、闇呪怨は諸にそのカーボンを身体で受けていた。

だが、闇呪怨の身体には傷1つ付いていなかった!

 

アグナコトル…別名【炎戈竜】

ロックのモンスター…【海竜】ラギアクルスと同じ『海竜種』に属するモンスター。

海竜種と呼ばれる所以、『海』や『水辺』等、水に関する場所をテリトリーとしている。

だが、彼…アグナコトルの生息地は違う。

彼の生息地は…火山。それも、溶岩…マグマの中を平然と泳いで行ける皮膚を持ち合わせている。

しかも、その皮膚は溶岩を身体に付着させる効果を持ち合わせている。

つまり、今の闇呪怨はその溶岩が固まり、真っ黒く染まり、如何なる攻撃をも寄せ付けない鎧を纏っているのと同義でもあったのだ!

 

 

「闇雲に逃げててもジリ貧だゾ!」

 

「まさか、これで終わりだとでも⁉︎」

 

「知ってるデス!だから…!」

 

「お前らにフルコースの締めをくれてやる!」

 

そう言うと切歌はミカが飛ばした特大カーボンに鎌を突き立て、そしてミカの攻撃を回避し、闇呪怨は地面に嘴を突き立つや、そのままドリルのように回転しながら潜行し、そしてそのままジュエルの足元を掬ったのだ!

 

「ぞなもしっ⁉︎」

 

「あっちょんぷりけっ⁉︎」

 

すると闇呪怨はナーガと化しているジュエルの尻尾を嘴で噛み付くなり、そのままジュエルをミカのいる所まで吹っ飛ばした!

そしてそのまま地面にて激突する人形2体。

それを見計らったかのように、光聖希は身体を風船のように大きく膨らませ始めたのだ!

 

ザボアザギル…別名【化け鮫】

『両生種』と呼ばれるカエル等と同じ、水中でも、陸上でも自由に動ける種族。

特にザボアザギルは見た目こそは鮫だが、

怒りし時は体内の臓器"氷結袋"を奮い立たせて、身体の上半分を冷気によって硬くする性質を持ち合わせている。その際には鼻が鋭利な刃物のような氷結晶を生み出し、そして氷の鎧を身に着ける。

それだけではなく、その冷気を外し、身体を大きくする事で、柔らかい皮膚へと変え、体内に入っている水を放出する水瓶型へと変化させる身体を持つ。今の光聖希の状態は今まさにこの状態である。

そんな光聖希は口から水を放出した!

それに当たったミカとジュエルは動きが鈍った。

だが、それだけでは無い。

なんと瞬時に足元が凍り付き、身動きする事が出来なくなっていた!

更に追い討ちとばかりに切歌が型のワイヤーで、2人の身を拘束、それと同時にワイヤーを射出した!

しかしその攻撃はミカとジュエルには当たらず素通りする。

だが、ワイヤーの先には調が巨大な円状の刃を形成し、内側に乗り高速で突進してきていた!

更にミカとジュエルは左右を見渡した。

其処には陰陽兄弟(2人の導師)が熱線こと"ラヴァ・レーザー"と、"フローズン・ブレス"を撃ち放つ準備をしていた!

 

 

「「足りない出力を掛け合わせて〜!」」

 

"『禁』忌『禁』断『禁』殺『禁』術

四面楚歌之邪輪 Zあ破刃エクLィプssSS

ーFREEZE・LAVAー"

 

4人の力を1つに合わせた最強技がミカとジュエルへと息ピッタリで攻撃、その攻撃により、ミカとジュエルは爆散した!

それにより、調と切歌、陰陽兄弟の勝利が確信した。

その直後、上空から12枚のカードが舞い落ち、光聖希と闇呪怨は協力して、これを回収したのであった。

 

そしてそれを高みの見物で観戦していた戦士…

 

《氷魂導師》アヤカシ=馬燈は苦虫を噛んだかのような態度を見せていた。

 

「ちっ。

やはり、俺達の手で止めなくてはいけないようだな!」

 

そう言いながら、この場をテレポートして去って行った。

 

その後、4人はクリスと弦十郎にこっ酷く叱られたのは言うまでも無くその際に、

 

「独断が過ぎました…」

「これからは気を付けるデス…」

「勝手な行為をしてしまいました…」

「申し訳無い気持ちと共にすみませんでした…」

 

と4人揃ってしおらしくなっていた。

4人は充分反省しており、4人はそのまま帰路へと着いて行った。

 

「(先輩が手を引かないでもいっちょ前に歩いていきやがる…私とは違うんだな…)」

 

クリスの心の中ではそう呟いていた。

そしてそれをロックはただ黙って見守っていた。

 

だが、ロックは何か異変を感じ取っていた。

 

「(さっきから感じるこの気配…一体、何が…)」

 

 

その頃、調達はしおらしくなりながらも4人で帰っていた。

 

「足手まといにならない事…それは強くなることだけじゃない。自分の行動に責任を伴わせることだったんだ」

 

「責任…自らの義に正しくあること。

でもそれを正義と言ったら調の嫌いな偽善ぽいデスか?」

 

そう言いながら切歌はその言葉の意味をスマホで検索し、意味を言った後、調に聞き返す。

調はその言葉をかつて響に言った言葉に対して、調は後悔していた。

 

「ずっと謝りたかった。薄っぺらい言葉で響さんを傷付けてしまったこと…」

 

そんな悲しみに浸る調の肩を切歌が手を置いた。

それに気付いた調は切歌に顔を向けた。

 

「ごめんなさいの勇気を出すのは調1人じゃないデスよ。

調を守るのは私の役目デス!」

 

それに呼応してか、切歌と調の隣に光聖希と闇呪怨がそれぞれ立った。

 

「俺達だって、同じだぜ!」

 

「俺達は4人で1つなんだから。

楽しい事を4人で感じて、哀しい事は4人で分ければいいんだから」

 

その言葉を聞いた調は「切ちゃん…闇呪…聖希…ありがとう…いつも…全部…本当だよ」と言った。

こうして、4人の蟠りは和らぎ、新たな絆が生まれたのであった。

 

めでたしめでた…

 

 

ドガァァァァァァンッ‼︎

 

…し?

 

「⁉︎」

 

「何デスか⁉︎」

 

突然の爆発、それを聞いた調達は辺りを見渡す。

すると光聖希が何かを見つけた!

 

「あの狼煙はなんだ⁉︎」

 

そう言いながら指を指した場所からは狼煙が上がっていた。

しかし、そこは先程自分達が戦った場所では無かった。

何かがあると思った4人は急いでその場所へと急行した!

 

 

ーーーーーー

そして急行した4人が見たのは…

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

息も絶え絶えで、立っていられるのがやっとの状態だった…《神獣鏡(シェンショウジン)》のシンフォギア装者の未来と、

 

「くっ…!」

 

エルフナインとキャロルそっくりの容姿を持つ、未来と同じ傷だらけの自動人形・ジィスと、

 

「強化した程度がこれとはな…」

 

そして、2人よりも遥かに全身に傷1つ無い実力を誇っている。

自分達のもう1つの敵『リベレーション』の1人…

《雷魂導師》アンデッド=ライジンが…

 

そこにいた。




次回

『鏡』『騎士』『雷』

『鏡』の戦姫と『騎士』の人形の前に、『雷』の導師再び…!

※今回登場した4人の合体技の名前はこう読みます。

『禁』忌『禁』断『禁』殺『禁』術(きんききんだんきんさつきんじゅつ)
四面楚歌之邪輪(しめんそかのじゃりん)
Zあ破刃エクLィプssSS(ザババ・エクリプス)
FREEZE・LAVA(フリーズ・ラーヴァ)

と読みますので、気を付けて下さい。


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♪29『鏡』『騎士』『雷』

※如何でも良い前書き
FGOやっていて、呼符10枚を今日GETしたので早速単発10連やってみたけど、5枚目までごく普通だった。
そして6回目できよひーでたので、これはもう諦めよう…そう思いました。

7回目

「サーヴァント、アーチャー。アルジュナと申します」

・・・はい?

まさかの授かりの英雄さんが来てくれました…ってすご過ぎる⁈

と言う如何でも良い前書きです。

さて、今回は未来ちゃんVSジィスVSライジンの激闘!
そしてラストで、衝撃の展開が⁉︎

それではどうぞ。


それは唐突だった…

 

ー回想ー

遡る事、数分前。

切歌達がミカとジュエルを相手に戦っていた頃…

 

「はぁっ!」

 

「くっ…!」

 

神獣鏡(シェンショウジン)を纏った未来と、

騎士甲冑姿のジィスが、其々の得物で相対していた。

だが、戦況は明らかに未来が押されていた。

 

未来は他のシンフォギア装者達よりも遥かに戦闘経験は劣っている。

初めて響が《ガングニール》を纏った時と同じ様に。

それに未来は響と付き合いが長かったのか、何気に響の「お人好し」な性格が移っていた。

ジィスとは1回戦い、1回だけ話を聞いた。

だけどそれで感じていた…ジィスは心の優しい存在だと言う事に。

全ては彼女達のマスター…キャロルの為に動いている事も。

だけど、未来はジィスとは戦いたく無いと思っていた。

以前話した時にエルフナインの事を話した時は人形とは思えない程、煌びやかな笑顔を、優しさを見せてくれていたから。

だから、自分はそんな人形ーー未来からしてみればジィスは立派な『人』ーーを倒す事など出来ないと言う事に。

 

だけど、相手は止まってくれない!

ならば、響が前に翼やクリス、調と切歌やマリアとの際にやった…「お話」をした方が、明らかに傷をつけずに解り合えると言う事を。

彼女は他の誰よりも響の事を知っている…知っているからこそ、響と同じ様な事をしているのかもしれない事を。

 

「お願い!話を聞いて!」

 

「聞いて上げたいのは山々なのですが…

 

私にも私なりのプライドがあるので!」

 

そう言いながらジィスは携えていた槍を投擲してきた。

それに気付いた未来は、小型の鏡達を1つの盾にして身を防ぐ技…

 

"矛盾"

 

を使用して、槍を跳ね返した。

しかし、そこには既にジィスが居なかった!

すると未来は何かに気付いたのか、即座に振り向く。

するとそこには剣を携えたジィスが攻撃を仕掛けようとしていた!

 

それに気付いた未来。だが、それよりも先にジィスの剣が未来の顔を…

 

 

ガシィン!

 

 

「ぐっ‼︎」

 

傷を付けようとしたが、未来が咄嗟にアームドギア《シェンショウジン・オウシャク》でなんとか防いだ。

だが、剣の衝撃により未来は後退をさせざるを得なかった。

 

「はぁぁぁぁあ!」

 

そう言うとジィスは剣を構え、そして天高く掲げ、そしてそのまま未来に向かって刺突攻撃を仕掛けた!

すると光を纏った剣からなんと龍の形の光が放たれた!

 

「きゃぁぁ!」

 

その攻撃をくらった未来はそのままダメージを受けてしまった。

そしてそんな未来に剣を差し向けるジィス。

 

「歌って下さい。貴方の旋律を。

そうすれば、私は貴方と2度と戦う事が無くなりますから…」

 

そう言い放つジィス。

だが、未来は違っていた。故に言ったのだろう…

 

 

「嫌だよ!」と。

 

 

「何故?」

 

「嫌だよ…エルフナインちゃんのお姉さんを…倒すなんて…」

 

そう言いながら涙を流し始める未来。

それを見たジィスは心を揺るがされた。

 

「(そうですか…

やはり貴方はエルフナインと同じ…優しい人なのですね。

…だけど!)」

 

するとジィスは未来に剣を振り下ろした!

その時だった。

 

 

 

バチバチバチバチ!

 

「!これは…」

 

「…雷の…音……!」

 

突然、静電気が発生した時の様な音が2人の周りから聞こえ始めた。

2人はその音が何処から発してるのであろうかと、辺りを見渡す。

だが、それらしき物は何1つ存在していなかった。

するとトテッ…トテッ…!と足音が聞こえてきたのだ。

その足音を聞いた2人はその足音が聞こえてきた方向を見た。

 

「懲りずにまた死闘という訳か…」

 

そこには杖と書物、そして魔法使いの帽子を連想する被り物を被っている存在…

 

《雷魂導師》アンデッド=ライジンが其処にいた。

 

「ならば、俺がお前達を倒す!」

 

するとライジンは1枚のカードを取り出すやそのまま左腕に装着済みのアブソーバーに装填し、レバーが引いた!

 

ーアンデッド!フォーム、チェルシー!ー

 

するとアブソーバーから飴を咥えたオレンジ髪の女性の魂が現れ、ライジンはそれを纏った!

 

ー変身自在!ナイトレイド!ー

 

するとライジンはそのまま懐から煙玉を投げた!

その煙により、2人は視界を遮られる…!

 

「未来さん。此処は共闘を持ち掛けたいのですが…」

 

「私も」

 

そう言うと2人は互いの背中を預けて、身を固める。

そして煙が晴れると其処にはライジンの姿がいなくなっていた。

 

「消えた…?」

 

「おーい、未来ちゃん!大丈夫か⁉︎」

 

すると未来を呼ぶ声がしたので、振り向くと其処にはスピリットの姿をした霊風が駆けつけた。

 

「霊風さん!」

 

「一体、何があっ…っ!オートスコアラー!」

 

何か言おうとした霊風だが、オートスコアラーであるジィスを見た瞬間に警戒をした。

しかし、それを「待って!」と未来が制する。

だが、この時、ジィスは何かを感じていた。

 

「(霊風(この男)…何かが変だ…)」

 

「…だけどよ…『未来が危ない』って、響ちゃんが言いやがったからさ…。

響ちゃんを大人しくさせるのに一苦労したんだぜ?」

 

そう言いながら霊風は未来の肩に置こうとした…刹那…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ!」

 

 

ガシィンッ!

 

「ジィス⁉︎」

 

なんとジィスが霊風に攻撃を仕掛けたのだ!

それを見た未来はジィスを睨む…ジィスがこう告げるまでは。

 

 

 

 

 

 

「貴方…霊風ではありませんね!」

 

「え?」

 

「‼︎」

 

そう言われ、未来は霊風を見た。

しかしそんな証拠は1つとして見て取れなかった。

 

しかしそんな未来にジィスが近づき、指を指した。

その指した方向に未来はその指した方向を向いた。

其処には()()()()の霊風の手だった。

 

…ん?

 

()()()()…?

 

「っ!違う!」

 

そう言いながら未来はなんと霊風を攻撃した!

すると霊風の姿が変わり、なんとオレンジのストレートヘアに変貌し、腰にお化粧箱のような形をしたボックスを携えているライジンが現れたのだ!

 

「っ!気付いたのか!」

 

「私はエルフナインを通じて他の導師や装者の事を見てきましたからね。

ガリィとミカがやられた時の《風魂導師》の身体は小麦色に染まっていました。

そう考えれば、一目瞭然ですからね」

 

そう言いながら槍を構えるジィスと、それに呼応するかの様にオウシャクを構える未来。

 

「(エルフナインちゃんと身体を共有している?)」

 

だが、未来はジィスの身体の構造に疑問を浮かべた。

そうしているとライジンは先程まで変身していた『英雄』のカードを取り出し、元の基本姿(ベーシックフォーム)に変わった。

 

「(チェルシーの利点は変装。それが読まれた今、この人の役目は終わり…)ならば!」

 

そう言うと懐から『フュージョンアブソーバー』を取り出してアブソーバーとドッキングさせ、そしてカードケースから2枚のカードを取り出し、そして其々をセット。

そして折り畳んでからレバーを引き、腕を十字に構えた!

 

ーアンデッド!フォーム、レオーネ!&カイウス!ー

 

するとライジンの右側に黄色髪のお姉さんが現れ、

左側に茶髪の少年剣士が現れた!

 

「"今こそ高鳴れ!野生の魂‼︎"」

 

そう言うと左腕を天に掲げた!

 

ー『FUSION DRIVE』!ー

 

「楽しませて貰いますか!」

 

「目覚めろ!俺の中の野生の魂‼︎」

 

するとライジンの両隣にいた2人の『英雄』の身体が見る見ると変化し、そしてなんと獣人のような姿へと変貌した!

そしてそのまま2人の魂がライジンに纏った!

 

ーデュアル・ビースト‼︎ー

 

そして姿を現したのは、

獅子の様な鬣を彷彿とした髪と、

顔立ちはそれとは真逆でまるでオオカミを連想する顔へと変貌していた!

 

レオーネ。

先程ライジンが使用していた『英雄』…【変身自在《ガイアファンデーション》 チェルシー】の仲間で…その身を獅子へと変貌させる者。

 

【百獣王化《ライオネル》 レオーネ】と言う名で知られている。

 

そしてカイウス。本名カイウス・クォールズ。

彼はその身に獣の血が流れる「レイモーン」と呼ばれる種族と人間とのハーフ。

感情の昂りで「獣人化」の力を使用する事が出来る。

 

この2人の『英雄』の共通点はまさにその「変貌」能力であった。

 

その能力を受けたライジンは文字通り…「獣人」の姿をしていた。

 

二足歩行でありながら、その威圧感は「獅子」の如く。

そしてその軽業さは「狼」の如く。

 

そうしているとライジンは一瞬でその場から消えた!

2人は辺りを探すが、それと同時に腹に痛みが襲いかかった!

 

「がはっ⁉︎」

「あぐっ⁈」

 

「遅い…」

 

あまりの速さに対処出来ない2人。

そのまま無防備にくらい続けていく…!

 

 

そして最後の鉤爪攻撃と、回し蹴りにより、ジィスと未来は同時に吹き飛ばされた。

それと同時にライジンは基本姿(ベーシック)へと強制的に戻った。

 

「(2人の力は『獣』の力。

故に制限時間を設けなければ…こっちが『獣』になり兼ねない)」

 

そう言いながら未来とジィスを見やるライジン。

だが、制限時間を設けていながらも、その力はまさに「獣」そのものであった。

だが、外見こそは無傷でも、伊達では無かった。

その結果、無意識のうちに肩で呼吸をするぐらいにまで精神力を削がれていた。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

未来は息も絶え絶えで、立っていられるのがやっと…

 

「くっ…!」

未来と同じ傷だらけの自動人形・ジィスは所持していた槍を杖にして立ち上がるのがやっとだった。

 

「強化した程度がこれとはな…」

 

ー回想ENDー

それと同時にミカとジュエルを倒したばかりの調達が現れ、そして今に至るのである。

 

「…ミカとジュエルが殺られたか。

だが、お前達は罪を作ってしまった…

この世界を破滅へと導くと言う『罪』をな!」

 

そう言うとライジンはすかさず2枚のカードを取り出すや、アブソーバーに其々交換して、レバーを引き、そして腕を十字に構えた!

 

ーアンデッド!フォーム、フェイリン&朱乃!ー

 

するとライジンの両隣に2人の女性の魂が現れた!

1人は黄色のコーデとホウキを携えた4頭身サイズの女性で、

もう1人は8頭身で黒髪、そして魅惑かつ妖麗な姿をした女性であった。

 

 

「"悪魔生み出し天からの雷轟…受けるが良い!"」

 

そう言うとライジンは左腕を天に掲げた!

 

ー『FUSION DRIVE』!F・B・D・S!ー

 

すると2人の魂から雷が発生し、そしてそのままライジンに纏った!

 

そして現れたのは、悪魔の翼を生やし、黒髪で且つ黄色のコーデをし、ホウキを携えたライジンが其処にいた。

 

「雷の裁きを受けるが良い!」

 

そう言うと天にホウキを掲げた!

すると何も無かった空が一瞬で積乱雲を発生し、其処から大量の雷を落として来たのだ!

 

それに気付いた4人はすかさず回避し、未来とジィスを回収する。

 

しかしそれでもライジンの攻撃は止むことを知らなかった!

 

そしてその内の1つが一箇所に集まった6人に襲いかかった!

絶対絶命のピンチ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…え?」

 

しかし、その電撃は自分達には襲いかかっては来なかった。

 

何事かと思っていた一行。

するとその光景に驚かされた。

 

なんと自分達に襲いかかろうとしていた雷が…

 

曲がっていたのだ。

 

 

「ぐっ…!」

 

すると何処からか聞こえてきた声に、皆はその声をした方向を見やる。

其処にいたのは…

 

 

「がっ…はっ…ぁ…!」

 

「憑友‼︎」

 

なんと憑友だった!

憑友は今、『英雄』の1人にして…

"1つの眼で戦国乱世を生きた『竜』の名を持つ武将"…

 

又の名を…"独眼竜"と呼ばれる『英雄』

 

【奥州筆頭 伊達政宗】の力を以て、

ライジンの轟雷をその身で腰に携えていた刀を掲げる事で避雷針の様に受けていたのだ!

そして轟雷の攻撃が止むなり、そのまま地に膝を付く憑友。

しかしそれでも、刀を地面に突き刺し、そして杖のようにして立ち上がる。

それはまさに「執念」が成せる業そのものであった。

 

「何故其処まで邪魔をする!

俺達の計画を!」

 

「だから…って……

 

仲間を傷つけられて、黙ってられるかよ!」

 

そう言いながら憑友は意地と根性で立ち上がり、そして地面に刺した刀を引き抜く。すると一旦腰に刀を納刀すると両手を其々の刀6本を指と指の間に挟め、そして一気に抜刀した!

 

「"WAR DANCE"‼︎」

 

6本の刀で相手を斬り倒す…その刀はまるで『竜の爪』の如く…!

故にこの剣の流派の名はこう呼ばれる…

 

 

《六爪流》と。

 

 

すると憑友は指の間に挟めた刀を器用に動かしながらライジンに突進を仕掛けた!

 

「"MAGNUM STRIKE"‼︎」

 

「何⁉︎」

 

するとその攻撃により、ライジンはそのまま後退された!

直ぐに詠唱を開始しようとするが、その隙に憑友が目前まで接近を許してしまっていた!

 

「"X-BOLT"‼︎」

 

「ぐはっ‼︎」

 

爪に見立てた刀によるX斬りがライジンにヒットした瞬間だった。

その衝撃の余波で、先程ライジンが変身していた「力」が強制解除された。

 

それでも尚、立ち上がるライジン。

 

「俺は…まだ…!」

 

「まだやる気なのか⁈」

 

「憑友!」

 

すると不意に聞こえてきた男性の声。

それを聞いた憑友はその声をした方向を見た。

其処にはなんと憑友の父である玄也がこの光景を見ていた!

 

「親父!」

 

「!…玄…也…!」

 

「‼︎」

 

するとふらついていたライジンが玄也を見た瞬間にそう呟いた!

それに気付いた憑友は警戒体勢に入るが、

 

「…黎雷?」

 

と玄也がそう呟いた事で一気に「え?」と驚かされると同時に警戒を解いてしまった。

 

「…ごめん…なさい…」

 

ライジンがそう呟くと、懐からテレポートジェムを取り出し、それを握力で潰し、そのままテレポートしていった…

 

それに気付いた憑友は変身を解き、未来達の元に行く。

幸い、怪我は軽傷なのが殆どだった。

だが、この場には既に、先程まで未来と戦っていたジィスの姿が見当たらなかった。

どうやら先の戦闘中に直ぐにこの場を去っていたのだろう。

すると憑友達の元に玄也が歩いてきた。

 

「親父。

ライジンの事…知ってるのか?」

 

憑友は玄也に問う…ライジン(あの男)が何者なのかを。

すると玄也は「憑友、よく聞きなさい」と先に述べ、そして驚くべき発言をした…!

 

「彼…君達が言っている存在・ライジンの本名は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人絆黎雷(じんさいレラ)

 

「人絆…まさか…」

 

 

 

「そう…黎雷は…私の息子で…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前の実のお兄さんだ」




次回

ライジンと憑友

『FUSION DRIVE』募集中です!
8月31日まで‼︎


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♪30 ライジンと憑友

オリジナル話で、時系列では8話目のラスト辺りです。
其々の観点から見せる2人の考え…

ちらっとだけ、ライジンに属する『英雄』達も出ます。

※今回本編に出て来てないけど、敢えて言わせろ。

マリアさん!ハッピーバースデー!


父・玄也の言い放った言葉を前に驚愕の顔色しか浮かべていない憑友。

無理もないだろう…

何せ、自分が戦っていた相手がまさかの「実兄」と言うのだから。

 

その後、未来を寮へと運ぶように調達に言った憑友は玄也と共に家に帰ってきていた。

その際、日本の反対に位置する国・アルゼンチンに海外出張していた筈の母こと人絆ジャンヌ(旧名 ジャンヌ・カデンツァヴァナ)と、我が家にてシンフォギアの研究を未だに続けているナスターシャ博士がいたのであった。

ナスターシャ博士はともかく…憑友は、ジャンヌが()()()()()に寒気を感じていた。

その場所は…

 

 

「おかえり〜♪」

 

「その前に、キッチンから早く出やがれ‼︎」

 

そうキッチンである…。

いや、普通に考えたら…「母親がキッチンにいるのは当たり前なんじゃねぇ?」と思っている人が大半だと思うだろう…

だが!この家系は違う!

 

此処のキッチンを普段占拠しているのは、ジャンヌでは無い!

 

この物語の主人公…憑友である!

 

何故なら…「ジャンヌが作った料理は一口食せば、必ず逝く」事で有名なのだ。

え?字が違う?…いいや、此れが最適なのです。

要するに、ジャンヌは料理下手なのです。はい。

 

さて、そんなジャンヌとナスターシャも加わった憑友一家。

話は先の玄也が言った「ライジンは我が家の子」説に話が変わった。

 

それはあまりにも残酷な現実を突き付ける話だった。

それは憑友がこの世に生まれるよりも5年も前に遡る。

 

 

ジャンヌと玄也。2人が出会った経緯は以前、ほんの少し教えていたが、憑友が生まれてくる前にジャンヌのお腹が膨らんでいた時期が実は一度だけあったのだ。

 

当時はふくよかになっていってると玄也は勿論、本人・ジャンヌもそう思っていた。

だが、妊婦特有の症状「悪阻」が始まったのを機に、それが「妊娠」していた事を自覚する結果へと繋がった。

そして紅葉が散り、そして寒さが肌身に染み渡る様になった時期、

ジャンヌは第一子を迎えた。

それが、人絆黎雷…後のライジン・V・エレクロニングに成る男の子だった。

ジャンヌと玄也は第一子を可愛がった。

そしてそれは黎雷の方にも着々と受け継がれていた。

だが、当時のジャンヌと玄也は今の様な莫大な富を獲得などしておらず、ごく普通の生活が出来るのがやっとの状態だった。

そんな中、ジャンヌと玄也は当時ある悩みの種を抱え込んでいた。

 

それは、『エレクロニング・クインテットワークス』という人の感覚…

 

眼を見て判断する「視覚」、

 

耳を傾け聞き分ける「聴覚」、

 

舌で味を楽しむ「味覚」、

 

鼻で匂いを嗅ぐ「嗅覚」、

 

そして手で触れる「触覚」。

 

通称「五感」を最大限に活かした人間の神秘に迫ろうとしていた大手企業からだった。

内容は…霊雷の「養子」入りの件だった。

 

勿論、この頃の2人は猛反対をした。自分達の子を他所の子に仕立てあげようなど誰が思う事かと。

しかし、相手がまさかの脅迫まがいな言動を迫られ、為すすべなくして、何も出来ずに丸められたのだ。

この時、ジャンヌのお腹には第二子がいた。

それが…憑友。この作品の主人公である。

 

そしてジャンヌは憑友を出産。

それと同時に強制的に黎雷はエレクロニング家の養子入りになった…いや、『なってしまった』と。

それ以降、音沙汰無しの状態が続いていた。

何も無いのは、元気な証拠とも言うのかもしれない。

だが、当時の世は「あの存在」がいた。

 

認定特異災害《ノイズ》と言う存在が。

 

それは黎雷が養子入りしたエレクロニング家にも被害を受けたのだ。

それにより、エレクロニング家は壊滅し、黎雷も居なくなったと。

その事実を知ったジャンヌは涙を流して、喉に何も遠さなかった日が何日も続いて、最悪の日に至っては廃人寸前までになっていたぐらいにジャンヌの容態は悪化していた。

それでも、玄也の懸命な励ましでなんとか立ち上がり、そして今の様な状態にまで戻っていたと言う。

 

玄也から黎雷が今も生きていると聞いたジャンヌは玄也の胸を借りて、涙を流していた。

「生きててくれてありがとう…

探しに行けなくてごめんなさい…」と、この場にはいない黎雷=ライジンに謝罪をするジャンヌ。

それを見た憑友は改めて考えた。

 

「(ライジン…ううん。

兄さんは、俺が必ず!)」

 

 

ーーーーーーSIDEtoライジン

『パパー!ママー!』

 

『黎雷〜♪こっちよ〜!』

 

『こっちだよ〜』

 

これは…「夢」?

…否。これは俺の「想い出」か。

それも…俺がまだ5歳の頃の「想い出」か。

 

あの頃は楽しかった…何もかも。

それに、あの頃の俺はもうすく弟か妹が産まれてくる事に喜びを味わっていたな。

 

だけど、現実はそうはいかなかった。

俺は母さんが新たに産んだ存在…弟を見た直後にエレクロニング家の養子に無理やり入れられた。

理由は全く聞かされてはいなかった。

 

だけど、俺にとっては辛い過去だった。

それは養子入りした時からも過激になった。

だが、当時において厄災と呼ばれた存在『認定特異災害《ノイズ》』の襲撃に、エレクロニング家は完全壊滅した。

その時、俺は屋敷内の一角でただノイズに殺されるのを待っていた。

俺を助ける者はいないんだと。

そしてそんな俺の前にノイズが壁をすり抜けて現れた。

この世の絶望に染まった俺。

何も出来ずに終わるんだなぁ…と思っていた。

 

だけど…ノイズは俺を襲って来なかった。

 

不思議に思った当時の俺は視線を向けた。

そこには風穴を開けられたノイズが徐々に炭化していく光景だった。

 

 

 

 

『あら?子供?』

 

 

そしてノイズが消滅すると同時にその奥にいた存在に俺は目を奪われた。

 

美しく、そして長い黒髪をポニーテールで結い、そして黒と白を基調とした学生服らしき服装をしていた。

そして何よりも目を奪われたのは…

 

 

 

 

 

 

背中から生えた『悪魔』を彷彿させる翼だった。

 

これが後に俺のパートナー『英雄』である存在…

 

【雷光の巫女 姫島朱乃】との出会いだった。

 

彼女に救われた俺は屋敷から離れ、そして屋外に脱出した。

するとそこにいたのは、ビリジアン系色のマントと帽子を被った白髪の男性ーー後にそいつは『復讐者(アヴェンジャー)』…又は『巌窟王』と呼ぶようになっていたーーと、そして当時から若かったサモン博士の2人と出会ったんだ。

 

これを機に俺の生活はガラリと変わった。

あまねくノイズ達を焼き払い、そして倒す事に。

そしてそんな最中で、俺はサモン博士の計画を聞いた。

それは、

「この世の絶望の塊が近い内に侵攻する。

その為に力を貸して欲しい」と言う事だった。

人を救う事に関しては俺はしない。何せ、俺の助けを聞かなかった輩達だ。

だが、動物達や自然は違う。彼らには意思疎通が出来ない。

出来ないからこそ、この自然を壊す輩を俺が倒すと誓ったんだ。

 

そう…だからこそ…俺は、サモン博士の計画に賛同したんだ。

 

「大丈夫?」

 

…黒き茨か。…大丈夫じゃないのが7割だな。

 

「ふん。そんなんだから、あの馬鹿チビに出遅れんだろうが」

 

…今度はお前か、雷の滅竜者。

 

「何は如何あれ。

…キャロルが目覚めたぞ」

 

…ありがとう。『復讐者(アヴェンジャー)

おかげでこちらの計画の支障を和らげられそうだ。

 

…?サモン博士?

 

「具合の方は?」

 

「十全じゃないのが手痛い。

だが、上手くやれる事には変わりは無い」

 

だが、無理は禁物だ。

サモン博士の計画の為には、十全に癒えてからだな。

 

「知っての通り、8個あった錠が既に半分も彼等の所為で開けられたわ。

此処からは本格的に私達も動くわ。

既に逝都君と馬燈君は承諾済み。残っているのは貴方だけ。

如何する?」

 

そんな事で一々問い掛けるな。

 

「答えはYESだ。異論は無い」

 

「なら、準備次第、作戦を決行するわ」

 

さぁ…始めようか…

《精魂導師》そして《シンフォギア》よ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達の最後の戦いを!




次回

『剣』敗れる

その身に『剣』宿りし限り、その『剣』に罅有り…


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♪30.5 とある変化

オリ展開な話。
敢えて言うならフラグ発生回。
今回は2人の『英雄』が主役です。

ヒントは…「絶望と希望」です。


それは突然やって来ていた。

 

「!……」

 

「?如何かしました?ほむらさん?」

 

現在、憑友はほむらを現界させ、そして響の検査入院の為の買い出しをしていた。直ぐにお腹が空く響の事だ。何か栄養が豊富な物を与えようと憑友が提案し、それを憑友に属する『英雄』達が賛成し、行動したのだが、此処で問題が発生していた。

 

誰が、憑友と一緒に買い出しの手伝いをするのかを。

 

滅竜魔導士が口から炎を吐けば、白い魔王様からOHANASIもとい全力全開な一撃を放ったり、銃剣槌士が4種の武器で、半人前の魔術師が固有結界を詠唱させて乱闘を抑制したり、その彼の僕にして、騎士達の王が高らかに"約束された勝利の剣"を平気で放とうとしたり、

その隙に、憤怒の罪の人が彼に属する巨乳持ちの乳を揉んでいたり、

炎のストライカーは高くジャンプしてボールを蹴っていたり、

焔の錬金術師と炎の竜人、果ては炎の精霊の力を持つ少女が獄炎を生み出そうとしていたり…etc.

兎に角、我こそはと言わんばかりに憑友と買い出しをしたいと願い出た者が多く、乱戦状態になっていたりした。

因みに憑友の剣術の師匠ことキリトはこの乱闘には参加していない。

何故なら…

 

 

「いや、此処でやるのか?アスナ」

 

「もぉ〜…キリト君の為を思ってやってるんだよ?」

 

「そうですよ〜!」

 

「ゆ、ユイまで…トホホ」

 

と、家族団欒な風景を見ています。

勿論、それを見ていた一同は全員、そのあまりにも甘すぎる空間故に左手には糖質0のブラックが添えられているのだが…

憑友は何故か芋けんぴーー俗に言う芋かりんとうの事であるーーを食べながらこの風景を見ていた。

糖尿病にかかるぞ⁉︎と思っている貴方達。

実は、憑友は体内の炎を常に燃焼させなければいけないので、常に燃焼力が高い糖質を摂取しなければならないのだ。

…尤も、本人がブラックが飲めないのが本音なのだが。

 

そんな中で、そんな混沌(と書いてカオスと読む)とした場の空気をほむらがカードリーダーに自ら通って現界し、憑友を連れ、そして今に至るのである。

因みに憑友の買い出しに興味がない輩は全員、カードケース内で大人しくしていたりする…。

 

主にやる気のなさを見せているようで実はちゃんとした指導をしている教官だったり…

一度寝たら、実の妹(言い方を変えるなら叔母)の恐怖の目覚ましじゃなければ起きない親子がいたり…。

憎しみの感情しか見せた事が無い黒髪で左腕全体を包帯に包んでいる女性がいれば、

店先に並んでいるプリンを見て、涎を垂らしているドラゴンがいたり…と、なんだかんだで憑友の周りもカオスと化していた。

 

 

「何はともあれ…ありがとうございます!ほむらさん」

 

「気にする事は無いわ。私もあの空気の居心地が悪くて、野風に当たりたい気分だっただけよ」

 

そう言いながらもほむらは俯いていた。

それは一体何なのかと、ほむら自身も気掛かりでならなかった。

 

「(こんな気持ちになるのって…嫌になるわね…

 

あの時と同じ……まさか…貴女なの…

 

 

 

 

 

 

 

まどか…」

 

「え?何か言いました?」

 

「⁉︎い、いえ何でもないわ⁉︎(まさか呟いていたなんて…)」

 

「…なら、それで良いです。

けど、これだけは約束して下さいね」

 

「?」

 

そう言うと憑友はなんとほむらの手を握ったのだ。

そして憑友はこう告げた。

 

「貴女がどんな人なのか、まだ僕は分かってはいません。

けど、何か抱え込んでいるのなら、僕にも背負わせて下さい。

僕は貴女の事、必要なのですから」

 

「‼︎…あ…ありがとう…」////

 

そう言うと憑友は「じゃあ、行きましょう!」と言って、買い出しに向けて再出発した!

そんな憑友の後ろ姿を見たほむらは憑友のハートの強さに思わずクスッと笑みを浮かべていた。

 

「本当にあの子は…まどかと同じなんだから。

…でも、それでも良いのかも知れないわね」

 

そう言いながらほむらは憑友の後を追う。

その際にほむらは空を見上げた。

 

「(待っててね、『まどか』。

貴女は私が必ず見つけるから!)」

 

 

その頃、その様子を遠くから見ていた存在が居た。

 

ピンクの髪で、桜色のラインが入った魔法少女のような姿をした少女が其処にいた。

そしてその少女の左手には、木のツルによって模された変わった弓が携えていた。

 

「…待っててね。皆んな。

 

 

『ほむらちゃん』」

 

「まどかさ〜ん!」

 

するとそんな彼女…まどかの元に2人の魔法少女が駆けつけた。

1人は彼女と同じピンクがイメージカラーで、白い雪のような髪をした少女。

もう1人は黒髪で紫の衣装をした少女だった。

そして2人は手にステッキを持っていた。

 

「ご、ごめんね⁉︎2人とも私を探しに来てくれたんだよね⁉︎」

 

「心配しました…!」

 

「さぁ!戻ろう!」

 

「うん!帰ろうか!イリヤちゃん!美遊ちゃん!」

 

そう言うと2人は彼女の手を握るとそのまま飛翔し、そしてこの場から離れ去った。

 

彼女達が何者なのかは何れ分かる時が来るだろう…




次回が前回の予告通りになります。


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♪31 『剣』敗れる

アニメ第9話前半まで一気に行きます!

※『FUSION DRIVE』新規追加作品が活動報告内『参戦タイトル』にて発表中!
どしどし応募待ってます!
〆切は8/31まで!あと3週間しかない!


ーーーーーーSIDEto馬燈

キャロルが最後の肉体に転生複写したか。

そして残っている人形共は4体。

 

レグルス(『王』)ファラ(『剣』)レイア(『コイン』)ジィス(『騎士』)の4体。

 

その内、『剣』の奴は己を『剣』と認識する歌女の所へと行ったか。

ならば、俺も行くのみだな。

俺と歌女と人形…悪く無い組み合わせだな。

 

さて、『剣の歌女』と『剣殺し』…

 

この俺の『氷結の刃』を前に、如何足掻く…!

 

ーーーーーーSIDEto逝都

馬燈の奴…充分なくらいに張り切ってやがる。

俺もそうだけどな。

さて、俺も気付けるとしようかね!

 

俺の元には熱い番長達がいるんだ。

それに今回こそはヤバイからな。

俺達に装着していたこのリストバンドとレッグサポーターを外す許可も得た事だしな。

 

負ける訳には行かないんだよ…!

 

《精魂導師》《シンフォギア》そして《自動人形(オートスコアラー)

 

お前達が邪魔をすると言うのなら、俺達は徹底的に実行に移す!

 

俺達の願いはただ1つ…全ての人々の平和を願う為に。

 

ーーーーーーNO SIDE

一方、此処は病院。

そこでは今、響が着替えをしていたのだが、相も変わらず、未来にお世話になっていた。

この2人…恋人以上(でぇきてぇる〜)である。

そんな中、着替え終わった響。

実は響は検査入院の為にまた病院に来ていた。やはり『元』融合症例だった故に、定期的過ぎる検診に響本人がトホホと呆れていた。

するとその時、響の電話から着信が入った。

着信先は洸…響の父親からだった。

しかし響はこれを拒否し、定期検診に行こうとしたが、未来に止められた。

けれど響は、「未来がいる。憑友がいる。皆んながいる。

だから、お父さんが居なくても平気へっちゃら!」と言いながら、部屋を後にした。

そしてそんな響の様子を見に来た憑友は、響が部屋を後にしていく様子を見て、何処か浮かない顔をしていた。

 

 

 

その頃、翼,奏,マリア,セレナ,霊風そして零の6人は、緒川と共にとある場所へとやって来ていた。

 

「此処が…」

 

「風鳴八紘邸。翼さんの生家です」

 

「まさかこんな形で帰るとは思わなかった」

 

そう言いながら、翼は自分の生家こと実家の門を眺める。

そもそもそのような出来事になったのには訳があった。

 

〜回想〜

 

『計測結果出ます』

 

そう言いながら友里は、モニター画面にその結果を出力させる。

其処には所々に黄色の点があり、そしてその間を結ぶ黄色の線が描かれていた。

そしてその中に一際大きく存在する点があった。

 

『電力の優先供給地点になります』

 

それを聞いた切歌は「こんなにデスか⁉︎」と驚愕していた。

 

『その中でも一際目立ってるのが…』

 

『深淵の竜宮。

異端技術に関連した危険物や未解析品を封印した絶対禁区。

秘匿レベルの高さから我々にも詳細な情報が伏せられている拠点中の拠点』

 

自動人形(オートスコアラー)がその位置を割り出していたとなると…』

 

『狙いはそこにある危険物』

 

『だったら話は簡単だ。先回りして迎え撃つだけのこと!』

 

『だが襲撃予測地点はもう一つある』

 

そう弦十郎が言うと今度は違うマップ画面が現れ、拡大した。

それを見た翼は驚きに屈していた。

何故なら其処は、弦十郎の兄にして、翼の父・風鳴八紘の在宅地だった。

するとそれを調査部を代表して緒川が説明し始めた。

 

『気になる出来事があったので調査部で独自に動いてみました。

 

報告によると事故や事件による神社や祠の損壊が頻発していまして。

いずれも明治政府の帝都構想で霊的防衛機能を備えていた龍脈…

《レイライン》のコントロールを担っていた要所になります』

 

 

それを聞いた弦十郎は敵の狙いの内にレイラインの関係が大きくある事を示唆する。

翼は「風鳴の屋敷には要石がある。狙われる道理もあるというわけか」と言った。

それは、必要な場所でもある。

分からない人の為に此処で少しうんちくを話そう。

 

〜うんちくタ〜イム!〜

 

先ず、コンパクトで扇ぎやすい物・扇子をイメージしてみるとしよう。

扇子は大きく4つのパーツに分断される。

 

1つ目は扇面。これは字の如く、扇子の大部分の事を指している。

扇ぐと風を送る扇子の重要部分だ。

 

2つ目は骨。

これは主に扇子の骨組み…竹や木、高級は物では骨格の一部を改良して作り上げる。これもまた扇子の重要な部分である。

 

3つ目は責。

扇子を止める為に必要な帯状の輪の事で、地味かもしれないが、それでも、構成していく為には必要不可欠な部分だ。

 

そして4つ目。実はこれが重要だったりする。

 

名は 要 。

 

扇を開く際に根本で止めるものでこの部位が壊れると扇子としての需用をなさなくなるため、最も重要な部分である。

 

それに因んだ言葉もある。

 

「肝心要」,「守備の要」が、それに該当するものである。

 

要石はそれと同様の存在の事で、これが破壊されると、龍脈…レイラインが最悪暴走を始める危険性があるのである。

つまり必要な存在だと言う事なのである!『要』だけにね☆

 

〜うんちくタイム終了〜!〜

 

 

そんな中で、エルフナインから「キャロルの暴走を止めて下さい」とお願いされ、この場にいる皆は頷く。

そして弦十郎がそれぞれの班に編成して、今に至る訳である。

 

〜回想END〜

 

「了解しました。…クリスさん達も間もなく深淵の竜宮に到着するそうです」

 

「こちらも伏魔殿に飲み込まれないよう気を付けたいものだ」

 

「…(何なんだ…この風の流れ…

寒気しか感じないのは…)」

 

そうしていると門が開き、一同は中に入っていった。

その様子を高い木からまじまじと見ていた2人の存在…

 

「…見せてもらうとするぞ…『剣の歌女』」

 

「」モグモグモグモグ…

 

そう言いながら喋った存在は隣にいる黒髪の少女の方に顔を向ける。

其処では少女が何気に肉をガッツリと食していた。

 

「…俺も欲しいです」

 

「…はい」

 

「ありがとうございます」

 

素直に言ったら、黒髪の少女から肉を貰った存在…いや、男は心の中で何気に歓喜していたりしていた。

 

 

そんな中、翼達は要石の存在を見やる。初めて見た要石を前に息を呑む一同。

霊風と奏は前に一度この場に来ていた為に、だいたいの予測はついていた。

そうしていると緒川が翼に告げる。

すると翼達の前にこの家の主にして翼の父・八紘が顔を出してきた。

 

「ご苦労だったな慎次。

それにS.O.N.G.に編入された君達の活躍も聞いている」

 

開口一番にそう話してくる八紘。

緒川は軽く会釈し、マリアとセレナ、そして零はオドオドしながらも何とか返事だけはした。

すると八紘は霊風と奏をみる。

 

「2人の活躍、今後とも期待している」

 

そう言うと八紘は緒川に今回の件に関する情報の開示をする事を言うと、そのまま後退ろうとした。

そんな中で奏と霊風は、

 

「…霊風」

 

「駄目だ。『今回は首を出すな』とあれ程言っただろうが」

 

「だけどよ…!」

 

そもそも今回の奏は誰よりも怒りの感情になっていた。

翼の父親なのに、あの態度に大層ご機嫌ナナメになっていたからだ。

しかし、それは共に戦った霊風もまた同じで、彼も怒りに身を任せてしまいたいと言う葛藤をしていた。

しかし何とか踏み止まっているのである。

 

「お父様!」

 

そんな中、父・八紘が去っていくと感じた翼は咄嗟に声を掛けた。

しかし、其処からなんて言えば良いのか、分からず終いになり…

「…沙汰もなく申し訳ありませんでした」

 

と、言う事ぐらいしか出来なかった。

すると八紘が驚愕の言葉を発した。

 

「お前がいなくとも風鳴の家に揺るぎはない。

勤めを果たし次第、戦場に戻るといいだろう」

 

 

その発言を聞いた奏と霊風発した先程までの発言と先の発言により、とうとう2人揃って堪忍袋の緒が切れ、怒ろうとするが…

 

「待ちなさい!貴方翼のパパさんでしょ!」

 

なんとマリアが八紘に向かって喧嘩口調をしたのだ!

それを見ていた霊風と奏は驚いて、先程までの怒りが何処かへすっ飛んでいき、

マリアの激怒した発言を聞いたセレナと零は『こんなマリア(姉さん)は見た事無い…』と両方同時に言った。

 

「だったらもっと他に…」

 

そう言いながら彼女は八紘に文句を言おうとするが、翼が「いいんだ、マリア…」と抑制させる。だが、マリアはそれでも抗議しようとするが、翼の制止により、なんとかその怒りの矛先を納めたのであった。

 

そんな時、突然風鳴邸の庭に突然歪みらしき物が発生した!

 

「「‼︎」」

 

それに気付いた霊風と緒川はそれぞれ、槍を数本と拳銃から数発撃ち放つ!

だが、その攻撃は防がれ、代わりに自動人形(オートスコアラー)の1体…ファラが現れた!

 

「野暮ね。親子水入らずを邪魔するつもりなんてなかったのに…

…と言うよりも…

 

…王様?少しは手伝ってはくれませんの?」

 

そう言いながらファラは風鳴邸の屋根を見てそう言った。

すると其処には、何やら玉座らしき物が既に備えられており、其処には奏と相対した唯一の男性型自動人形(オートスコアラー)のレグルスが、金の杯で何かを飲みながら、この庭の眺めを一望していた。

 

「くだらん事に付き合うほど、我は暇では無い。

我は其処にいる天羽奏に用があるだけの事だ。

邪魔すると言うのなら…」

 

そう言うとレグルスは立ち上がると、背後から黄金の波紋が浮き上がり、其処から無数の武器達が矛先を向けていた!

それを見たファラはレグルスに対して詫びを入れる。レグルスはそれを聞いて、武器を戻して、波紋を消し、再び玉座に座った。

そしてファラはそのまま翼達の方に身体を向ける。

 

「さて…レイラインの解放、やらせていただきますわ」

 

「やはり狙いは要石か!」

 

そう言うとファラは即座にアルカ・ノイズ用のジェムを投げた!

 

死の舞踏を貴女へ(ダンス・マカブル)

 

そう言うとアルカ・ノイズが出現した!

 

「あぁ!付き合ってやるとも!」

 

そう言うと皆を代表して、翼が聖詠を詠った!

 

「Imyuteus amenohabakiri tron…」

 

そしてそれにより、翼達シンフォギア装者はシンフォギアを纏った!

それに連なり、霊風と零も変身した。

それと同時に2人はそれにプラスして、『フュージョンアブソーバー』をドッキングさせて、2枚のカードをセットしてレバーを引き、そして十字に構えた!

 

ースピリット!フォーム、ランサー&ミドリ!ー

 

ームニキス!フォーム、マシュ&ザフィーラ!ー

 

すると霊風の両隣にランサー=クー・フーリンとミドリが現れ、

霊はシールダーのマシュと守護獣・ザフィーラが現れた!

 

「"疾風衝動よ、駆けめぐれ!"」

 

「"鉄壁の力、お願いします!"」

 

それと同時に2人は同時に左腕を天に掲げた!

 

ーー『FUSION DRIVE』!ーー

 

「任せな‼︎」

「行くよ!」

 

「戦闘、開始します!」

「行くぞ!」

 

それに反応してか、それぞれの英雄の魂達も呼応し、前者達は霊風に、後者達は零の身体に纏った!

 

ーボルグ・フォンシェン!ー

 

ー烈鋼・カルデアス!ー

 

すると霊風と零の戦闘着が変化した。

 

霊風は青タイツのようなスーツに緑のパーカーを羽織り、そして髪型がランサーだが、色はミドリと同じ翠髪になり、そして赤い槍の穂先と、銀の棍棒が1つになった武器を振り回した!

 

対して零はと言うと、髪の上から犬耳らしき物と、腰からは尻尾が生え、そして右手に十字型の大盾を持っている戦士に早変わりした!

 

スピード並びに中距離特化型の戦士と、生粋の防御型の戦士へと霊風と霊はそれぞれ変わった!

そうしていると戦闘が開始された!

それと同時に、奏は1人屋上に赴く。

其処には勿論、「王」のアルカナの力を持つ人形・レグルスがいた。

 

「此処までやって来たんだ!初めから全力で行くぜ!」

 

「ふんっ!威勢だけは認めてやる!」

 

そう言うと屋上で奏とレグルスの戦いが始まった!

そんな中、翼達はアルカ・ノイズ達を相手に奮戦する!

 

「ここは私が!」

 

「勤めを果たせ」

 

父から言われた言葉を前に少し寂しい思いをする翼。

だが、此処は生憎ながら…現状は戦場(いくさば)そのもの。

その身を『剣』として磨いた翼は敵と相対する…それが今の自分なのだから。

 

「捕まえてごらんなさい」

 

するとファラが風を生み出し、高速で翼の周りを動き出す!

翼は即座に剣から放つ衝撃波"蒼ノ一閃"を繰り出すが、その攻撃はファラの風圧により相殺される。

すると今度はクリスから『盾』と誤認された経緯がある、巨大な剣を上空から落とす"天ノ逆鱗"を繰り出す!

だが、それを見たファラは「あら?何かしら?」と言いながら、剣を突き刺した!

すると異変が起こった!

なんと剣が砕かれ始めたのだ!

 

「(剣が…砕かれていく…!)」

 

それに加え、翼のギアにまで影響を及ぼし、そして遂には翼がやられたのだ!

それを見た奏とマリアは同時に「翼!」と叫んだ。

 

「私のソードブレイカーは、

『剣』と定義されるものであれば、

硬度も強度も問わずに噛み砕く哲学兵装。

さぁいかがいたしますか?」

 

「ならこいつは如何だ!」

 

そう言うと零が盾を使って攻撃を仕掛けていく!

それと同時に、ファラの背後を霊風が槍と棍棒で攻めまくる!

 

「成る程。『盾』と『槍』で来ましたか。

ですが…」

 

そうファラが言おうとしていると、2人は何かに気付き、すかさずファラから遠ざかる。

すると、2人のいた場所に、剣や槍、斧や盾等の武具が矢の様に襲いかかったのだ!

 

「強欲な王様ですこと」

 

そして放ってきた方向を見ると、其処には玉座で暇を持て余したレグルスが欠伸を掻きながら、奏を相手に弄んでいた!

 

「少しは私の方に集中しやがれ!」

 

「強化前の方が遥かに威勢が良かったが…

今のお前では話にならん!」

 

そう言うとレグルスは黄金の波紋を呼び寄せ、其処から大量の武器を射出し、奏に集中放火させ、奏はそのまま屋根上から地面へと落ちた。

それを見たセレナが奏の元へと急ぎ、そして介抱する。

 

「くっ!強化型シンフォギアでも…」

 

「かなわないって言うのかよ…」

 

そう言いながら緒川と零がそれぞれ言う。

するとアルカ・ノイズと戦っていたマリアがファラに向けて無数の短剣を投げるが、

 

「無駄よ」

 

ファラが風の斬撃で一掃され、その攻撃をマリアは間一髪で躱す。

だが、その先には要石が点在していた!

そしてそのまま要石が衝撃と共に粉砕した!

 

「あら?アガートラームも『剣』と定義されてたかしら?」

 

「哲学兵装…概念に干渉する呪いや現象に近いのか?」

 

「ごめんなさい。貴方の歌には興味ないの。

剣ちゃんに伝えてくれる?

目が覚めたら改めて貴方の歌を聴きに伺いますと」

 

そう言うとファラは風と共に去っていった。

そしてマリアはすかさず屋上を見やる。

 

「声が出ずして、なにが歌女か。

次こそは必ず歌えよ、歌女ども!

特に、天羽奏!主の歌は特一番に張り上げてな!」

 

そう言うとレグルスは黄金の波紋を呼び寄せ、その中に己の肉体を通し、そしてその中に入ると、そのまま波紋が消えて、此処から去っていった。

 

 

そしてその様子を高い木から眺めていた男女は、

 

「如何だ?」

 

「…あの青髪少女だけ、剣の質はある。『殺し』の質が」

 

「そうか。

…さ、一旦撤退するぞ」

 

そう言うと男女はまるで忍びの様にその場から消え、同時に雨が降り始めた。

そんな中で、緒川は司令こと弦十郎に今回の任の結果を報告し始める。

 

「要石の防衛に失敗しました。申し訳ありません…」

 

「二点を同時に攻められるとは…」

 

「二点?まさか!?」

 

「あぁ。深淵の竜宮にも侵入者だ。

セキュリティが奴を補足している」

 

その頃、弦十郎達の方も災厄が降り注いでいた!

それは、今しがた弦十郎達S.O.N.G.の面々が向かウェイブ先…『深淵の竜宮』内のカメラがある物を捉えていた。

それは、自動人形の1人…『コイン』のアルカナの力を持つレイアと、そして今回の元凶…キャロルだった!

 

その映像を見たクリスは「くっ…閻魔様に土下座して蘇ったのか⁉︎」と呟いた。

 

 

そして弦十郎の指示により、クリス,ロック,陰陽兄弟,そして調と切歌が向かう事になった。




次回

怒りと涙


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♪32 怒りと涙

『独奏』が怒り、『片翼』が涙を流す…


「ここが…」

 

「深淵の竜宮?」

 

「だだっぴろいデース」

 

「ああ…」

 

そう言いながら、F.I.S組4人はそう呟く。

 

この場所は『深淵の竜宮』…S.O.N.G.にとっては用がある場所である。

この場の何処かに今回の元凶であるキャロルがいると言うのだ。

しかも護衛として、『コイン』のアルカナの力を持つレイアが付いている。

そう簡単には倒せないのが現状だ。

そんな中で、

 

「ピクニックじゃねーんだ。行くぞ」

 

クリスは後輩達を導きながら、目的地へと移動し始めた。

そんな中で、クリスの義兄であるロックは浮かない顔をしていた。

 

「(何かが引っ掛かる…

まるで、誘き寄せられたかのような…)」

 

「早く来いよ!ロック義兄!」

 

「…ああ。(その前にこいつのタメ口を調教し直さないとな)」

 

…なんとも苦労が絶えない人である。

そんな中、非戦闘であるS.O.N.G.スタッフ達は『深淵の竜宮』内のマップを取得するなり一同に弦十郎の指示を煽り、急いで捜索にあたっていた。

 

「キャロルの目的は世界の破壊。ここに収められた聖遺物、もしくはそれに類する危険物を手に入れようとしてるに違いありません」

 

そうエルフナインからの情報を聞いた弦十郎は冷静に事を当たった。

 

そんな中で、この『深淵の竜宮』内では、キャロルでも、S.O.N.G.でも気付かない存在が既にこの中に侵入していた。

だが、全ての防犯機能が完全にOFFられていた。

その事を、キャロルはおろか、S.O.N.G.の面々でも気付いていなかった。

 

 

 

その頃、ファラの攻撃を受けた翼は、夕刻頃に目を覚ました。

 

「そうか…私はファラと戦って…」

 

「(身に余る夢を捨ててなお私では届かないのか…)」と、心の中で呟く翼。此度のファラの攻撃で、かなりの精神ダメージが堪えていたのだろう。

 

「大丈夫?翼」

 

「すまない…不覚を取った」

 

すると襖越しにマリアが話しかけて来て、無事という事を翼はそう伝えるとマリアが、

 

「動けるなら来てほしい。翼のパパさんが呼んでいるわ」

 

そう言われ、翼は衣服を着用して、そして己が父・八紘の元へと移動した。

 

ーーーーーー

移動した先には奏達も既に集まっていた。

翼は奏に向けて「大丈夫?奏」と言った。

実は、先のレグルスの際に骨が1本折れたらしく、その証拠として骨がやられた部位に骨盤矯正用の装置と包帯をぐるぐる巻きにしている奏がいた。

だが、奏は「平気だって!」と大口を叩くが、

セレナが近づき、ちょんと指でその折れた箇所を指で触れると奏が急に痛み悶えたのだ。まだそのような状態では無いと言う事だ。

その証拠に、セレナから「大丈夫じゃないくせに」と小悪魔的な笑顔を見せていたのは此処だけの話で、その笑顔を見た霊風がやけに汗ダラダラと冷や汗が流れ、零は苦笑いをしていた。

 

そして皆は机上に置いてある多数の書類に目を通す。

 

「アルカ・ノイズの攻撃によって生じる赤い粒子をアーネンエルベに調査依頼していました。これはその報告書となります」

 

「アーネンエルベ…か」

 

「確か…シンフォギアの開発に関わりの深い独国政府の研究機関だって言っていたな?」

 

上から緒川,霊風,零がそう言いながら報告書類に目を通していくと、八紘が口を開けた。

 

「報告によると赤い物質はプリマ・マテリア。

万能の溶媒アルカ・ヘステによって分解還元された物質の根源要素らしい」

 

それを聞いたマリアは「物質の根源?分解による?」と言いながら、意味が分からなかったようだ。

すると緒川がその解釈をした。

 

「錬金術とは分解と解析、そこからの構築によって成り立つ異端技術の理論体系とありますが…」

 

「キャロルは世界を分解した後何を構築しようとしてるのか…」

 

「いや、そもそも。何故世界を分解しようとしているのかが問題じゃねぇのか?」

 

「それも一理だよね…」

 

そう言いながら一同はキャロルの考えに思考を費やす。

そんな中で、八紘が翼に話しかけた。

 

「翼。傷の具合は?」

 

「…はい。痛みは殺せます」

 

「ならばここを発ち然るべき施設にてこれらの情報の解析を進めるといい。お前の守るべき要石はもうないのだ」

 

そう言いながら、結局は翼の事を突き放す八紘。

それを聞いた翼は「…わかりました」とそう言うしかなかった。

だが、それに「待った」をかける者がいるのが然り。

 

「それを合理的と言うのかもしれないけど傷付いた自分の娘にかける言葉にしては冷たすぎるんじゃないかしら?」

 

マリアだった。

シンフォギア勢の中で成人である彼女が、八紘に再び抗議するが、

 

「いいんだマリア…いいんだ…」

 

それを翼に言われ、なくなく食いさがるマリア。

それを見ていた霊風達も浮かない顔しか出来なかった。

 

その後、部屋を後にした一行。

 

「あれは何だ!国家安全保障のスペシャリストかもしれんが家族のつながりをないがしろにして!」

 

勿論、マリアはご立腹である。

そして彼処では言わなかったが、奏と意外にも零が八紘の翼に対する態度に腹が立っていた。

それを見ていたセレナと、この中で冷静にいる霊風はそんな3人のご機嫌ナナメさに溜め息を零していたりしていた。

 

「すまない…だがあれが私達の在り方なんだ」

 

そう翼は言った。

だが、それでも家族をないがしろにするのは良くないのである。

家族と言う『温かさ』を知らぬまま育っていった子供が世の中には大勢とまでは行かないが、それでも少なからずいるのである。

それは勿論、読者諸君達のいる世界も。

そして彼女達が守る日常であるこの世界も同じ事である。

 

…さて、脱線してしまった様なので、話を戻そう。

そうしていると翼が襖の前に止まった。

 

「ここは子供時分の私の部屋だ。話の続きは中でしよう」

 

 

そう言いながら襖を開ける翼。

そしてその途中で、霊風は「(あれ?これ…デジャヴじゃね?)」と思っていたのだが、時既に遅し。

そしてそれを見たF.I.S組は一気に警戒をしだした!

 

「敵襲!?また人形が!」

 

「いや…その…私の不徳だ…」///

 

…如何やら部屋が散らかっていた様だ。翼だからこそである。

それを見た霊風は溜め息をしながら、額に手を当て、

それを見た奏は逆に腹を抱えながら、逆に笑っていた。

それを見た翼は顔を真っ赤にしながらあたふたしていた。

翼と付き合いが長い2人だからこそのリアクションである。

 

 

「だからって10年間そのままにしておくなんて…

幼い頃はこの部屋でお父様に流行歌を聴かせた思い出もあるのに…」

 

そう言いながら、翼は自分の手で部屋を片付け始める。

それを見たセレナは「手伝うわ」と言った。

因みにその時に奏も姉御的存在として、翼の部屋の片付けを手伝う事にした。

その際に、零が手伝うと言いながら服を畳もうとした時に、セレナから何処から取り出したのか、巨大な盾で頭にダイレクトアタックさせて、気絶させたのは此処だけの話である。やはり衣服は抵抗感があるもの。なのに、(この男)は筋金入りの鈍感である。

そんな中でマリアは翼の部屋をよく見渡し、ある事に気が付く。

 

「それにしてもこの部屋は…」

 

ふとマリアは霊風に視線が行ったのだが、霊風もまたこの部屋の事で何かに気付いていたのか、マリアに向けて首を縦に振った。

 

「昔からなの?」

 

「私が片付けられない女ってこと!?」

 

…まぁ…だいたいはそうなんだけど、そうじゃありませんよ。

 

「そうじゃない。パパさんのことだ」

 

マリアが話しかけると、翼は語り始めた。

 

「私がおじい様、現当主風鳴訃堂は老齢の域に差し掛かると跡継ぎを考えるようになった。

候補者は嫡男である父・八紘とその弟の弦十郎叔父様。

だが任命されたのは生まれたばかりの私だ」

 

その内容を聞いた皆は首を傾ける。

それは勿論、奏と霊風も同じであった。

 

「理由は聞いていない。

だが今日まで生きていると窺い知ることもある。

 

 

どうやら私にはお父様の血が流れていないらしい」

 

「何!?」

「マジかよ…」

 

それを聞いたマリアと零が驚愕した。

それは勿論、この場にいる面々もである。

 

「風鳴の血を濃く絶やさぬようおじい様がお母様の腹より産ませたのが私だ」

 

「風鳴訃堂…人の道を外れたか!」

 

それを聞いたマリアは憤慨する。

翼の話を聞いた奏も拳を握り締め、その拳から血が流れ出したのだ。

自分の相棒の経緯を知り、奏の感情は怒りに身を包まれていた。

 

「以来私はお父様に少しでも受け入れてもらいたくてこの身を人ではなく道具として、『剣』として研鑽してきたのだ。

なのにこの体たらくではますます鬼子として疎まれてしまうな…」

 

そう翼が言うと、奏が翼に近づき、そして翼の顔を向けるなり…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パシィン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

 

なんと奏のあまりの対応に周りの空気が一変したのだ。

奏が翼に対してした行為、それは…

 

ビンタだった。

 

「しっかりしろよ…翼」

 

すると今まで黙っていた奏がなんと翼に抱き付くなり、口を動かした。

 

「例え、お前がどんな存在だろうと、『翼』は『翼』だろ!

それ以上でもそれ以下でもねぇ!

それに、翼だけじゃない!『私達』だっているんだ!

前に言ったよな?翼。

 

『ポックリ逝ってしまいそうだ』って。

だから…だから…!」

 

そう言いながら涙を流し始める奏。

彼女は今日まで、友は居れど、家族は皆、ノイズにより殺された。

 

故にもう2度と、自分の身近な人が居なくなる事を誰よりも嫌っていた。

 

その中でも特に、翼だけは別格だった。

 

翼は今でこそ、此処まで凛々しい姿を見せる様になったが、

初めて出会った時は弦十郎の後ろに隠れて自分から遠ざかっていた少し臆病な性格の子だった。

故に自分から接して、仲良くなっていき、いつしか義理の姉妹の様な関係になっていた。

 

故に奏は思っていた…

「このままだと翼が先に逝ってしまうんじゃないのか…」と。

 

そうして出した答えが先の言動なのである。

それを聞いた翼は奏に抱き着き、「ありがとう…奏」と言った。

それを聞いた奏は更に泣き出したのは言うまでもない。




次回

『Beyond the BLADE』

翼VSファラ(『剣殺し』)決着…⁉︎


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♪33 『Beyond the BLADE』

サブタイ通りの話です。

その身を『剣』から『翼』へ!

そして…


「竜宮の管理システムとリンク完了しました!」

 

その頃、S.O.N.G.の面々は、『深淵の竜宮』に関する情報…管理システムとの接続が成され、キャロルに関する情報を集めていた。

 

「キャロルの狙いを絞り込めば対策を打つこともできるかも…!止めてください!」

 

そうしているとエルフナインがその管理システム内にある何かが記載されていたデータを見て、スタッフに止めてもらう様に指示する。

そしてそこに書かれてある文字を見たエルフナインは驚愕した。

 

「ヤントラ・サルヴァスパ!」

 

「なんだそれは?」

 

「あらゆる機械の起動と制御を可能にする情報集積体。キャロルが手に入れればワールドデストロイヤー…『チフォージュシャトー』は完成してしまいます!」

 

「ヤントラ・サルヴァスパの管理区域割り出しました!」

 

それを見た弦十郎はクリス達に現場に急行する様に指示を煽いだ。

キャロルの手に渡る前に…

 

その頃、風鳴邸では緊急事態が発生した!

なんと風鳴邸に再びファラとレグルスが見えたのだ!

 

「要石を破壊した今、何の目的がある!」

 

 

「私達は歌が聴きたいだけ。王は槍ちゃんの歌声に酔いしれたいだけよ」

 

「人の台詞を勝手に取るではない」

 

それを聞いた一同。

皆を代表して、セレナが聖詠を詠う…!

 

「protecs aigis wel raizen tron…」

 

そして霊風と零も精魂導師に変身するなり、再び『FUSION DRIVE』を発動した!

 

「一気に行くぞ!」

 

すると零と霊風は其々2枚のカードを取り出し、其々セットして十字に構えた!

 

ームニキス!フォーム、龍峰&ギルバート!ー

 

ースピリット!フォーム、アリーシャ&雪菜!ー

 

「"強力な盾を持ちし戦士の力を此処に!"」

 

「"聖なる槍、頼みます!"」

 

そう言うと2人は同時に天に掲げた!

 

ーー『FUSION DRIVE』!ーー

 

そして其々の英雄が、2人の身体に纏った!

 

ーレオドラ・シールド!ー

 

ー雪霞烈光閃!ー

 

 

そして2人は新たな姿へと変わった。

零は左腕に小型の盾を装備した黄色の獅子と水色の龍を思わせる装備に身を包んでいた!

そして霊風は赤混じりの黒髪をサイドポニーに結わせ、

アリーシャの戦闘時の服装を雪菜が通っている学校の制服カラーへと変色させ、

そして2人の槍である、『雪霞狼』と『フォージスピア』の矛先を持つ槍を手に持っていた!

そしてマリア,翼,零はファラを、

奏,セレナ,霊風はレグルスへと攻撃を仕掛ける!

 

だが、どの攻撃も決定打にならないでいた。

するとマリアが蛇腹剣にして攻撃する技"EMPRESS†REBELLION"で、ファラに攻撃を仕掛けるが、ファラの『剣殺し(ソードブレイカー)』により、蛇腹剣が破壊され、更にはマリア自身にまでダメージに加えて吹き飛ばされた!

 

「マリア姉さん!」

 

「マリア!っく…!この身は『剣』!斬り開くまで!」

 

「その身が『剣』であるなら哲学が凌辱しましょう」

 

そう言うとファラは風の斬撃波を翼に目掛けて攻撃を仕掛け、翼はその中へと特攻する。

しかし、

 

「(砕かれていく…剣と鍛えたこの身も…歌声も…)」

 

アームドギアは勿論の事、纏っているギアにも罅が入り、終いには己の身体にまでダメージが入っていた!

その攻撃を受け、翼は一気に退けられてしまった!

それを見た奏と霊風はすぐに翼の元へと移動するが、

 

「逃すと思ったか、我が歌女と風の子よ!」

 

すると2人の足元から突如、鎖が現れ、そのまま2人の足を絡ませ、そして2人を倒れ込ませると同時に鎖がどんどんと2人の身体を絡ませ、終いには2人を蓑虫の様に身体を不自由にしてしまった!

 

「我の心を奏でる風を与えるまで、この鎖は解けんぞ」

 

そう言いながらレグルスは指パッチンをした。

するとレグルスの後ろからなんと巨大な飛行艇が現れたのだ!

 

「まんまAUOじゃねえかよ!」

 

メタいです…霊風さん。

…まぁ、レグルスのやり方が完全に一致しているのは否めないですけどね。

 

そんな中、なんとレグルスはその2人を鎖に包ませたまま飛行艇に乗せ、そのまま上空の方へと連れて行ったのであった!

 

ーーーーーー

その頃、『深淵の竜宮』内では急変していた。

 

「あれは?」

 

「ヤントラ・サルヴァスパです」

 

なんとキャロルが既に情報集積体…『ヤントラ・サルヴァスパ』を入手していたのだ!

 

「クリスちゃん達が現着!」

 

それと同時にクリス達がキャロル達とエンカウント(遭遇)、そして戦いが開始し始めたのだ!

 

ーーーーーー

場所は再び風鳴邸に戻る。

そこでは翼が無惨な姿でやられていた。

 

「なんて無力なんだ…私は…」

 

そう嘆く翼。

このまま、翼の心は折れてしまうのだろうか…

そんな翼に声をかける者がいた。

その人物は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「歌え翼!」

 

 

なんと翼の父・八紘だった!

思いもよらない人からの声掛けに一同は驚いていた。

 

「ですが私では風鳴の道具にも…剣にも…」

 

「ならなくていい!」

 

そう言いながら翼が発した言葉を真っ向から否定する八紘。

 

「夢を見続けることを恐れるな」

 

「そうだ!翼の部屋10年間そのままじゃない!」

 

するとマリアが間に入り、先程の翼の部屋にて気付いた事を述べ始める!

 

「散らかっていても塵一つなかった!

お前との思い出を失くさぬようそのままに保たれていたのがあの部屋だ!

娘を疎んだ父親のすることではない!」

 

マリアの言う通り、あの10年前の部屋がそのままだと思っていた。

しかし、よく目を凝らして見るとそこには塵1つ被っていなかったのだ!

それは全て八紘が血が繋がってなくても、愛娘である翼の事を大事に思っていての行動だったのだ。

なんだかんだで、八紘(この人)は不器用な人なのである。

 

「いい加減に気付けバカ娘!」

 

「まさかお父様…私が夢を僅かでも追い続けられるよう風鳴の家より遠ざけてきた…?」

 

全ては自分達が受けた呪いから翼を…娘を遠ざける為に。

そんな父の真意に気付いた翼の目から涙が零れてきたのだ!

 

「それがお父様の望みならば私はもう一度夢を見てもいいのですか!?」

 

その翼の問いに八紘は首を縦に振った。

娘の夢を第一に応援してくれている人からのエールでもあった。

 

「ならば聴いてください!イグナイトモジュール抜剣ッ‼︎」

 

そう言うと翼はイグナイトを発動した!

 

「味見させていただきます」

 

ーーーーーー

その頃、『深淵の竜宮』では、キャロル陣営とS.O.N.G.陣営との熾烈な戦いが勃発していた!

クリスとロックの射撃攻撃がキャロルに襲いかかるが、キャロルは防御魔法陣でその攻撃を防いでいく。

一方、切歌と闇呪怨の鎌による攻撃をレイアに仕掛けていくが、その攻撃を躱しながらコインによる攻撃で相殺させていく!

その間にアルカ・ノイズを調の丸鋸と光聖希の鎖を連結した合体技"合技 X(クロス)式 ヨーヨーギロチン"でアルカ・ノイズを屠っていく!

その時に調は大量の丸鋸をキャロルに向けて射出するも、その攻撃もキャロルが防ぐ。

だが、キャロルがコピーした際に生じた後遺症が現れ、防御の展開が切れ、その隙にヤントラ・サルヴァスパが丸鋸で弾き飛ばされ、更には真っ二つに斬られたのだ!

 

「ヤントラ・サルヴァスパが!」

 

「その隙は見逃さねぇ!」

 

その隙を見たクリスは撃ち尽くし(全部乗せ)の攻撃"MEGA DETH QUARTET"で一斉放火させた!

 

「地味に窮地!」

 

いち早く気付いたレイアはそう言いながら、コインを大量に射撃していく!

だが、

 

カキィン!カキィン!カキィン!カキィン!……!

 

「くっ!」

 

「悪いが、そう簡単に義妹(いもうと)弾丸(たま)を落とさせはしない!」

 

なんと、ロックがレイアのコインを全て矢で相殺していた!

弓に番える時間を考えても、その高速射撃は圧巻である!

するとその中の大型ミサイルがキャロルに近づく!

 

「マスター!」

 

 

 

ーーーーーー

場所は三たび風鳴邸。

ファラと翼の激闘も佳境に入っていた。

 

「いくら出力を増した所でその存在が『剣』である以上私には毛ほどの傷も負わせることは叶わない」

 

 

ファラはそう言いながら竜巻を起こし、その間を掻い潜りながら加速させた一撃を翼に食らわせようとする…だが!

 

 

「剣に非ず!」

 

 

そう言いながら翼はそのまま"逆羅刹"をし、その剣を受け流した!

否、受け流しただけに非ず!

 

 

「ありえない…哲学の牙がなぜ!」

 

なんと、ファラの『剣殺し(ソードブレイカー)』が完全に折れたのだ!

 

「貴様はこれを『剣』と呼ぶのか!?」

 

そう言いながら翼の手には剣が2振り、そして足元の剣からはなんと火を噴かせ始めたのだ!

 

「否!これは夢に向かって羽ばたく『翼』!」

 

 

 

 

 

「貴様の哲学に翼は折れぬと心得よ!」

 

 

 

そう言いながら翼は跳躍し、そこから足の剣を1つにし、そこから大火力を生むと、両手に携えし剣からも炎を噴かせ、そこから足の運動で時計回りに高速回転しながら突進を繰り出す!

 

ファラもその攻撃を剣で受け止めようとする!

 

2人の距離が近づいた…その時だった。

 

 

 

 

ヒューーーーーーー‼︎

 

 

カチィン!

 

「何⁉︎」

 

なんと翼の剣から放たれていた炎が全て鎮火され、更には氷漬けにされてしまったのだ!

そんな中でも突進は止められない!

だが、そんな2人の間に1人の存在有りけり…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまらん『剣』だな」

 

 

ガキィン!

ガキィン!

 

「がはっ⁉︎」

 

「くっ!」

 

なんと翼とファラを同時に吹っ飛ばしたのだ!

 

「翼‼︎」

 

「誰だ⁉︎」

 

そう言いながら2人を突き飛ばした張本人は静かに立ち上がる。

そして顔を露わにした時、その顔を見たセレナは驚愕していた。

何故ならセレナはその者と会っていたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「馬燈君⁉︎」

 

 

「さぁ…『翼』と化した『剣』と『剣殺し』。

 

俺の『刀刃』を前に何処まで足掻く?」




次回

『氷結の刃』

『剣殺し』と『翼となりし剣』の前に、『氷の刀』が襲いかかる…‼︎


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♪34 『氷結の刃』

馬燈の実力が明らかとならん……⁉︎


「一走…⁉︎」

 

「アヤカシ⁉︎何故貴方が⁈」

 

翼とファラは突き飛ばした存在を見て、驚愕していた。

翼は仲間の親友、ファラは同盟を組んだ仲間によって突き飛ばされたのだから。

 

「これまでは《精魂導師》に与えた『IGNITE KILLER』で人形共を倒そうと画策したが、それを上回るイグナイトシステムで悉く敗れ、終いには『IGNITE KILLER』の力をコントロールする始末…!」

 

そう言いながら男は腰に納刀したばかりの刀に手を添え始める。

 

男の名は一走馬燈。憑友の数少ない男友達にして、幼馴染の青年だ。

今は《氷魂導師》アヤカシと言う名を持ち合わせている。

そして、『刀』を使えば右に出る者無しと言われている剣豪でもある。

そんな中、マリアは馬燈が言った台詞に疑い深い物を聞いた。

 

「待て!どう言う事だ!

あの『IGNITE KILLER』はオートスコアラーを倒す術だと言うのか⁈」

 

そう。《精魂導師》達を苦しめ続けていたあの『IGNITE KILLER』がオートスコアラーを倒せると馬燈の口からそのように聞こえたのだ。

そしてそのマリアの問いに「ああ、そうさ」と馬燈は肯定した!

 

「歌を聴く為だけに現れたんだ。それも無料(タダ)同然でな。

そんな輩には、ブレーメンのような獣の咆哮を聴くだけで充分なんだよ」

 

そう言いながら、馬燈はアブソーバーにカードをセットし、レバーを引いた。

 

ーアヤカシ!フォーム、ヤコウ!

百鬼よ凍てつけ!僕が切り裂く!ー

 

そう言うと馬燈の真上から鬼を彷彿させる角を3本も生やした剣豪の様な存在の魂が現れ、馬燈はそれを纏った!

そして纏った馬燈の姿は氷のような冷たさを連想される衣服を身につけた戦士…いや、『剣豪』そのものへと姿を変えた。

 

「俺の前に熱など微塵も感じさせはしないぞ」

 

そう言うと馬燈=アヤカシはゆっくりと腰に携えていた刀を鞘から抜刀する。

その際に、翼はなんとか立ち上がる事に成功した。

だが、その隙を馬燈(この男)は見逃す筈が無かった。

 

「"走馬燈流剣術"…」

 

そう言うと同時になんと馬燈は霊風に勝るとも劣らない俊敏力で翼の懐に侵入していた!

 

「⁉︎」

 

「"彗閃"」

 

それと同時に馬燈は直ぐに翼を素通りした。

だか、その際に翼が悲鳴を上げたのだ!

 

"彗閃"

懐に入り、目にも留まらぬ速さで一閃を仕掛ける技。

 

その攻撃を食らった翼は膝を地に伏してしまう。

だが、それでも上半身まで倒れないよう、アームドギアの剣を杖のようにしてなんとか支えた!

そんな中、馬燈は腰に携えていた鞘を取り出すなり、そのまま半回転させて鞘を振った!

するとその先には、ファラが愛剣で斬撃を与えようとしていた!

しかし、ファラの攻撃は簡単に受け止められたのである。

 

「っ⁉︎何故⁉︎」

 

「あんたのその哲学に、『鞘』と『刀』と言うカテゴリは含まれてるのか?」

 

そう言いながらファラを挑発仕掛ける馬燈。

すると案の定、ファラはその挑発に乗っかり、馬燈と熾烈な剣戟を始める!

 

しかし、どの攻撃も決定打にならなかった!

するとファラはその際に生じた疑問をぶつけた。

 

「何故、貴方の『剣』を陵辱出来ない⁉︎」

 

そう。馬燈の『剣』が、ファラの『剣殺し(ソードブレイカー)』の攻撃を食らっても、罅1つすら入っていなかったのだ!

するとそんな疑問をぶつけられた馬燈は高高く笑いあげ、そして冷徹な目付きへと変貌する。

 

「…なんと愚かな『剣殺し』だ」

 

すると馬燈は驚愕の発言を述べた。

 

「俺は今まで『剣』と呼称した覚えは微塵も無い!

これはまごう事なき『刀』だ。

 

『剣』に非ず‼︎」

 

うん…デジャヴ…。

 

「それにだ。

まだ俺には此処にいる全員と組みとる事も造作も無いぞ?」

 

その一言を聞いた皆は凝視した。

幾ら挑発とは言え、大概にも程があると言うものであった。

すると馬燈はカードケースからカードを取り出し、そしてアブソーバーに装填、レバーを引いた!

 

ーアヤカシ!フォーム、剣心!LEGEND‼︎ー

 

するとアヤカシのアブソーバーから、赤の衣と灰色の袴を履いた左頬に十字傷の跡を持つ青年剣士の魂が現れた!

それを見た一同は驚愕していた。

それは元は憑友が保管していた『伝説英雄』の力だから!

するとその魂はそのまま馬燈に纏った!

 

ー飛天御剣!抜刀の才!ー

 

そして馬燈の姿は変化した。

かつて、数多の人を斬り、革命後は人を斬る事を辞めた者…

『人斬り抜刀斎』と呼ばれた男…

 

【不殺誓いし流浪人 緋村剣心】の姿へと変身した。

 

「行くぞ」

 

そう言うと馬燈は高速移動で、瞬時にマリアの懐に入り込んでいた!

それに気付いたマリアは咄嗟にその身を防御する!

そして刀による攻撃をなんとか凌いだマリア。だが、それが仇となる事をこの瞬間の彼女は知らない…

何故なら…防いだ直後に刀を収める鞘がマリアの横腹にダメージを与えたから。

 

「っ⁉︎」

 

「"双龍閃"」

 

まさかの鞘を使った攻撃にマリアはなす術無く、文字通り、ダメージを受けてしまった。

そんな中、馬燈は何かを感じたのか、直ぐにその場から退く。

すると馬燈の立っていた場所を零が愛武器である斧で粉砕しようとしていた。

 

「ちっ!」

 

「無駄だ」

 

そう言うと馬燈は刀を納刀すると、再び刀に手を添える!

 

その隙を零は見逃さず、斧を軽々と振り回し、そして1撃を与えようとした!だが、その攻撃を馬燈は刀に手を添えたまま、回転による遠心力を利用した。零の攻撃を真半身でかわした馬燈は、そのまま回転しながら零の背後に回り込んだ。それも背中に。

 

「しまっ⁉︎」

 

「遅い」

 

そう言うと馬燈は直ぐに抜刀し、零の背後に打撲の痕を負わせた!

 

"龍巻閃"

 

その攻撃を食らった零はそのまま膝を地につけられてしまう。

そのまま馬燈は刀で連続で斬ろうとしたその時、

 

「はぁぁぁぁあ!」

 

「!」

 

セレナが咄嗟に両手に付いた双盾を1つにし、その盾の面で相手にプレッシャーと同時に攻撃をする"PRESSURE・バーバリアン"を繰り出す。

それに気付いた馬燈はそのまま横に回避し、事なきを得たが、セレナの目的は零を守る事だけで、これは成功したとも言える。

 

「この際だから、見せてやろう…

 

俺のパートナー『英雄』をな!」

 

そう言うと馬燈は剣心のカードを取り出すと、カードケースにしまい、今度は違うカードを取り出した。

 

そこには、黒いストレートヘアで、籠手と具足以外は全て服に包まれている赤い目の少女が描かれていた。

 

すると馬燈はそのカードをアブソーバーに装填し、そしてレバーを引いた!

 

ーアヤカシ!フォーム、アカメ!ー

 

するとアブソーバーから刀を左手に持ち歩いている少女の魂が現れ、そのまま馬燈の身体に纏った!

 

ー 一斬必殺!ナイトレイド!ー

 

すると馬燈の姿がまた変わった。

身体の至る所に何かのアザらしき物があり、左手には鞘ごと刀が携えていた。

 

【一斬必殺《村雨》 アカメ】の力を宿した馬燈は、直ぐに攻撃を仕掛ける。

 

「葬る」

 

そう言うとセレナに向けて連続斬りを与えていく!

それに負けじと、セレナは盾でその攻撃をすべて防いでいく。

だが、そのスレンダーの身体に似合わぬ一撃の重みにさすがのセレナも地面に膝を伏しられる状況に、痛手を食らっていた。

しかし、そんな中でもセレナの想い人である零が、馬燈による攻撃からセレナを庇う!

 

「そんな体たらくで何が出来る!」

 

「そんなもの、知った事かよ!」

 

そう言うと零は大型の斧を真っ二つに折ったのだ!

そして斧はそのまま片手斧×2の状態になり、そのまま馬燈に攻撃を仕掛けていく!

 

しかし、その攻撃も馬燈の反射神経の前には効果が無いようだ。

すると両者は直ぐに後退する。

 

そうしていると馬燈は不敵な笑みを浮かべた。

それを見た零は「何がおかしい‼︎」と言った。

すると馬燈は恐るべき言葉を口にした。

 

「流石に、パートナー『英雄』の力を以ってしても、倒し辛いな…

まぁ、尤も…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカメさんは6()()()のパートナー『英雄』だしな」

 

『⁉︎』

 

 

なんと、馬燈が使用していた『英雄』の力は、6()()()だと言ったのだ!

つまり、彼女は馬燈にとって「5本の指にすら入らないがそれでも実力を誇れる『英雄』の1人」であると告げたのだ!

つまり、逆に言い返せば…「アカメ以上で本当の意味で"5本の指に入る実力を誇る"存在がいる」と言う事になるのだ!

 

すると馬燈はカードケースからカードを取り出した。

 

「此処からは俺のパートナー『英雄』の紹介としようかね」




【一斬必殺《村雨》 アカメ】
属性〔人間〕〔刀〕〔闇〕〔毒〕

革命軍の殺し屋(ナイトレイド)と呼ばれる組織に属する少女。
彼女の愛刀『《一斬必殺》村雨』はかすっただけで、そこから呪毒が入り込み、そして死へと誘う。
使用者本人が使用すれば諸刃の剣に成る奥の手が使用する事が出来る。
馬燈の6番目のパートナー『英雄』でもある。

【不殺誓いし流浪人 緋村剣心】
属性〔人間〕〔刀〕〔光〕〔闇〕

元は『人斬り抜刀斎』として恐れ慄いた存在だが、明治に入った事で不殺を誓い、その身を守りし刀を腹と峰を逆にした刀『逆刃刀』を使用する剣豪。
彼の師から教わった剣術"飛天御剣流"で一対多を可能とした戦いを得意とする。

という訳で、作者の中で凄腕の『刀』使いに位置する2人、

『アカメが斬る!』より主人公・アカメと、
『るろうに剣心』より此方も主人公・緋村剣心さんの力を宿したカードを使わせて貰いました!

剣心さんは元は憑友達の元にいたカードですが、最初の話の時に、憑友からアヤカシ=馬燈が強奪したので、そちらに属しています。
憑友達と剣心との出会いはまた今度に。

それでは、次回!

『氷』と絆深めし『英雄』達

次回は馬燈の5本の指に入るパートナー『英雄』達が登場!
乞うご期待!


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♪35『氷』と絆深めし『英雄』達

最新話は一気に5人の『英雄』達が登場です!
真名バレバレですが、後書きにて詳しく書きますので。

それと活動報告の『FUSION DRIVE』募集の件。
残すところあと10日とちょっとと言う状況になりました。
なので、考えたら、どしどし応募して下さい。

それでは、どうぞ。


「此処からは俺のパートナー『英雄』の紹介としようかね」

 

そう言うと馬燈はアブソーバーのカードを交換し、そしてレバーを引いた!

 

ーアヤカシ!フォーム、アサシン!ー

 

すると馬燈の近くにポニーテールのように長い髪を結った剣豪の魂が現れ、そのまま馬燈に纏った!

 

ー架空の剣豪、燕返し!ー

 

すると馬燈は一瞬で先程変身した剣心と似たような格好をした紫の衣装を着た剣豪の姿に変わった。

 

ーーーーーーSIDEto零

彼奴の姿が変わった事は何となく分かってはいた。

けど、何だよあの刀…かなりの細長さじゃねえかよ。

洗濯物を干すのに便利そう…じゃないな。

あんなのだったら、鍔迫り合いで直ぐに逝ってしまいそうなくらい、細すぎる…!

 

「では参るとしよう…はぁっ!」

 

そう言うと直ぐに俺の目の前にやってきた…⁉︎

何で俺が最初なんだよ!

 

ガキィン!

 

「如何した?そんな程度か?」

 

「うるせぇ!それにそれは負け確定フラグだっつうんだよ!」

 

「然り。だが、それだからこそ!」

 

いや、だから何がだよ⁉︎

 

そう言うと鍔迫り合いから離れるなり、馬燈の奴、ドライブボタンを叩いていた!…来る!

 

『アヤカシ・アサシン!フルドライブ!』

 

「"秘剣"」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザシュッ!×3

 

 

 

…ゑ?

 

 

「零ー‼︎」

 

なんだよ…今の…斬撃…

 

3回()()()斬られた感覚は…?

 

「"燕返し"。それがこの俺がなっている『英雄』いや…『英霊』…

 

【架空の剣豪 アサシン】の『宝具』だ」

 

アサシンの…『宝具』…

 

まさか…そいつの真名は…

 

「ヒントをやるならこれに尽きる。

 

"巌流島の戦い"」

 

!…やはりか…

 

アサシンの本当の名は…『佐々木小次郎』だったか…

 

ーーーーーーSIDEtoセレナ

 

巌流島の戦い。

それは2人の男が決闘をしたと言われる伝説上の話。

1人は2本の刀で立ち向かった者。名を宮本武蔵。

そしてもう1人は細長い刀で武蔵と決闘を挑んだ男…佐々木小次郎。

 

その男の魂が馬燈君に纏っていると言うのね。

その強烈な攻撃で零が倒れてしまった…

 

「次は貴方の番だ。セレナさん」

 

そう言うと馬燈君は私の方を振り向くとアブソーバーのカードを交換して、レバーを引いた!

 

ーアヤカシ!フォーム、アスベル!ー

 

すると馬燈君の隣に赤茶色の髪で白い服を着ている腰に剣を携えている剣士の魂が現れ、それを馬燈君は纏った。

 

ー閃く刃!抜刀の騎士!ー

 

すると馬燈君の姿が先程の魂と同じ姿に変わった。

すると馬燈君が一気に私の元に潜り込んだ!

 

「"砕氷刃"!」

 

くっ!いきなり冷気を帯びたX斬り!

しかも、抜刀直後に放って来たから、防御する暇すらなかった!

 

「月夜に沈め!」

 

"'朧月夜"

 

そう言うと剣を地面に突き刺し、ぐるりと時計回りに回った!

その際に地面から衝撃が放たれて、それを諸に食らう私。

そして地面に突き刺した剣を抜くとすかさず右下いや、左下から右上に掛けての斬りつけ、更にぐるりと回ってそこから左上から右下に掛けての斬りつけを放った!

 

「"幻魔衝烈破"!」

 

しかも、その際に衝撃波が私の身体にダメージを与えていく!

 

そうしていると馬燈君はいつの間にかドライブボタンを叩いていた!

しまっ⁉︎

 

『アヤカシ・アスベル!フルドライブ!』

 

「"閃く刃は勝利の証!"」

 

そう言いながら、私の周りに駆け込むと同時に、無数の斬撃を食らっていく…!苦しい…!

 

「"白夜殲滅剣"!」

 

「セレナーー!」

 

強い…下手をすれば、憑友よりも…

 

ごめんなさい…マリア姉さん…

 

ーーーーーーNO SIDE

馬燈相手にセレナと零が続け様にやられてしまう。

しかし、それでも馬燈は息切れ1つすらしていなかった。

すると先程、馬燈に吹き飛ばされたファラが立ち上がる。

 

「まさか…『剣殺し』である私にすら殺せない『剣』があるとは…」

 

「同じ事を2度も言わせるな。

これは『剣』に非ず、『刀』也ッ!

 

『剣』は峰が無い。だが、『刀』はある。

故に俺は『刀』と『剣』を同じカテゴリに分類などしていない!」

 

 

そう言うと馬燈はすかさずカードを入れ替え、そしてレバーを引いた!

 

ーアヤカシ!フォーム、仁兵衛!ー

 

するとアブソーバーから額と鼻筋に傷跡があり、しめ縄の髪飾りで後ろに一本に縛った足元にまで届くほどの長い黒髪が特徴で、赤と白を基調とした着物と黒い袴を着た少年剣士の魂が現れ、それを馬燈は纏った!

 

ー常住戦陣!死ぬまで勝つ‼︎ー

 

そして纏った馬燈はすかさずファラに攻撃を仕掛けていく!

だが、流石のファラも只々、その身に黙って受けると言う事はしない。

現に、ファラは二刀流で馬燈の剣戟を受け流していく!

だが、いくらやれども、馬燈の『刀』に『剣』を陵辱する『剣殺し(ソードブレイカー)』の攻撃で発生する筈の罅が何1つとして入ってはいなかった!

 

「くっ!」

 

「如何した、そんな鈍で、俺の業物の刀には何も出来んぞ!」

 

そう言うと馬燈はファラの腹に蹴りを加えさせて後退させると、すかさず刀を納刀し、そして鞘ごと刀を持った。

 

「"陰陽抜刀術・一ノ型"」

 

そう言いながら陰陽を描くように刀を抜く馬燈。

その抜刀の際の動き方は…『華』があった。

 

「"氷刃・刹華斬"!」

 

そう言うと剣を勢いよく振り下ろす!

するとその刀から衝撃波が放たれた。

その際にファラは馬燈から感じた殺気に気付き、防ごうとはせずに緊急回避をする。

すると衝撃波はファラを通り過ぎ、後ろにあった壁に激突した。

 

するとなんとその壁が一瞬で凍結し、更には氷のタワーのようなものまで出来上がっていた!

 

「‼︎」

 

「"氷刃・刹華斬"。

振り下ろす事で衝撃波が放たれ、当たった物は瞬時に氷のタワーを顕現し、その中に閉じ込める。

この攻撃を前に今まで溶かす事に成功した『火』は存在せん。

強いて言うなら、太陽の力で漸くだがな」

 

まさかの炎すら消してしまう力を誇る氷を馬燈は発動したと言うのだ!

するとそれを聞いていたマリアはある事を思い出した。

 

「!それじゃあ、立花響が救助活動した直後に起きたあの結晶塔は…」

 

そう。それは、自分達がイギリスのライブ会場にて、ファラとレグルスそしてライジン=アンデッドと相対した際に、響達の方にも人形達が現れる数分前に、響が救助活動をした直後に突然、火災現場であるマンションが瞬時に凍結したと言う話を聞いた。

そしてファラが避けた事で見た氷の結晶塔…

 

そしてマリアはこう仮定した。

「先の救助活動の際に発生した火災鎮火は馬燈がやったのか?」と。

その答えに馬燈は「あぁ…そう言えば、そうだったな」となんとマリアの質問を肯定したのだ。

 

「だからとて、その様な剣では、私は倒せませんわ」

 

「だろうな」

 

「え?」

 

そう言っていると、ファラの懐に既に馬燈が抜刀の構えを取っていた!

 

「な⁉︎」

 

「"走馬燈流剣術"…"霞刃(かすみのやいば)"!」

 

そう言うと馬燈はそのまま連続斬りを繰り出す!

するとその攻撃をファラは真面に受けてしまった。

 

馬燈がした斬撃数は10回。

だが、ファラの身体には傷が11回刻まれていた!

 

「"霞刃"。

幻覚さながらの高速連撃で、斬撃回数+1の攻撃を相手に与える技だ。

これで食らった人間は刀を避ける事すら不可能なんだが…

人形だから関係無いな」

 

そう言うと馬燈は両手で刀を持ち始める!

 

「我が纏いし『英雄』の魂…今ここにお見せしよう…

 

"富嶽三十六剣"‼︎」

 

そう言うと馬燈は刀を構え、ファラに向けて斬り上げ、そしてそのまま斬り下ろした!

 

「"富嶽虎逢断ち"‼︎」

 

すると斬り下ろした刀を受けたファラの身体に異変が起きた。

ファラの身体に傷痕が…3つ出来たのだ。それも平行に。

それを受けたファラも何がなんだか分からない状態だった。

 

「…はぁぁぁぁあ!」

 

すると此処でファラがまさかの雄叫びをあげながら、二刀流を用いた刺突攻撃を馬燈に仕掛ける!

だが、馬燈は刀を持ったままその攻撃をいなし始めたのだ!

 

「"富嶽渓流捌き"。

からの…

 

"富嶽山嵐"‼︎」

 

すると捌くと同時にファラの攻撃の隙に入り、そのまま水平に薙ぎ払う。するとそこから嵐が吹き始め、そのままファラは上空へと放り出される!

その瞬間を馬燈は見逃さなかった!

 

『アヤカシ・仁兵衛!フルドライブ!』

 

「一気に仕掛ける!」

 

そう言うと馬燈も跳躍する!

その高さはファラが空中に浮遊している場所よりも遥かに高い所からだった…!

地上から測った場合、その高さは3776m…富士山の標高を跳躍一本で跳んだのだ!

 

そしてその高さから急降下と同時にファラに向けて斬り下ろした!

 

「"富嶽鉄槌割り"‼︎」

 

そしてその攻撃はファラにヒットし、そのままファラごと地面に激突する馬燈。

すると地面に激突と同時に、凄まじい衝撃が風鳴邸を中心に半径500m範囲にまで影響を及んだ!

そして中心点である風鳴邸では、予想外の出来事が起きていた。

 

なんと、邸内はまるで隕石が落ちてきたかのような巨大なクレーターが出来ていたのだ。

 

ーーーーーーSIDEtoマリア

まさか、これ程までとは…

一走馬燈…翼と同等の『剣』いや、『刀』の使い手。

刀の使い方を完全に熟知している…!

 

「…ふっ。独奏もそう感じていたとはな」

 

⁉︎まさか…心を読まれた⁉︎

 

「勘違いかもしれんが、読心でやってる訳ではない。

ただ、俺の経歴によって成せる業…まぁ、化け物じみてると言われてもその通りだとしか言えないのだがな」

 

それは、最早人の域を超えてしまっているとしか言えないじゃないの⁉︎

 

「だが、刀の使い方の中で、この『英雄()』の扱い方は比べ物にならないくらい破天荒だぞ」

 

そう言うと馬燈はカードを入れ替えて、レバーを引いた。

 

ーアヤカシ!フォーム、ユーリ!ー

 

するとアブソーバーから黒髪に黒い服、そして左手首に黄色の腕輪を付けた刀使いの魂が現れ、それを馬燈が纏った!

 

ー下町育ち!影の騎士(ダーク・ナイト)!ー

 

すると馬燈は右手に携えていた鞘から刀を引き抜くと、鞘を後ろに放り投げ、そして刀は左手で握ったまま、左肩に担いだ。

 

「この人の戦い方は荒っぽいぞ」

 

そう言うと、そのまま私に向かって攻撃を仕掛けてきた!

私はすかさず短剣を投擲する"INFINITE†CRIME"を放つが、

 

「"蒼破刃"!"蒼破追蓮"!"絶風刃"!」

 

剣から放ってき衝撃波で1つも残らずに掃討されてしまった…

だが、それでも私はすかさず短剣を蛇腹剣にして攻撃を仕掛ける"EMPRESS†REBELLION"を放つ!だが、あの男の剣の使い方に私は凝視してしまった…!

 

「"円閃牙"!"円閃襲落"!"峻円華斬"!」

 

刀をバトンのように自分の手の中で回転させているのだ!

あんな使い方をしてたら、間違いなく翼が怒るでしょうね…

「そんな使い方…『剣』に非ず!」って。

 

「何を考えていたのかは知らないが…」

 

⁉︎いつの間にか背後に⁉︎

 

「連続で喰らえ。

"三散華"!"三散華・追蓮"!"爪竜連牙斬"!」

 

くっ!残った右手で殴ってくるなんて!

しかも、最後に放った技に至っては、身体全体を動かしながら斬撃を繰り出してくるなんて‼︎

 

「"戦迅…狼破"‼︎」

 

くっ!右手から何かの衝撃波だと⁉︎

しかも、まるで狼を連想させる衝撃波だと⁈

 

「決める」

 

すると馬燈はアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『アヤカシ・ユーリ!フルドライブ!』

 

「"閃け、鮮烈なる刃!"」

 

そう言うと一走馬燈は私の周りを囲いながら、斬撃を繰り出して来た!

避けられると思っていた私は避けようとしたが、身体が言う事を聞かなかった…

 

「"無辺の闇を鋭く切り裂き…

仇なす者を微塵に砕く!"」

 

そう言いながらスピードを上げ始めた!

このスピードでは最早回避すら…出来ない‼︎

 

「決まれ…"漸毅狼影陣"‼︎」

 

ぐっ!此処まで強いなんて…!

流石の私でも膝を地に付けられてしまった。

しかも、この連続攻撃でかなりのダメージを受けてしまって、思うように身体が言う事を聞いてくれない…

寧ろ、これ以上、立つ事すら出来ないなんて…

 

 

「…マ…リア…」

 

!翼⁉︎

 

「ほぅ?まだ動けるとは…流石は防人。その身の本質はやはり『剣』であったか」

 

「今の私は…『剣』では無い‼︎

今の私は『翼』だ‼︎」

 

!…すごい…!

あそこ迄痛め付けられたのに…まだ立ち上がるなんて…‼︎

 

「ならば…俺の真のパートナー『英雄』の力を以ってして、

お前の『翼』を地に落としてくれようか!」

 

そう言うと一走馬燈は懐からカードを取り出し、そしてカードを交換して、そしてレバーを引いた!

 

ーアヤカシ!フォーム、タケル‼︎ー

 

するとアブソーバーから緑いや、どちらかと言うとサバイバルカラーの軍服らしき者を着用した刀使いの青年の魂が現れ、馬燈の身体に纏った。

 

ー真明!諸刃!掃魔刀‼︎ー

 

「これが…俺のパートナー『英雄』…

 

 

 

【鬼を切る『魔女狩り』草薙タケル】の力だ」




【暗殺者の英霊 アサシン】
属性〔英霊〕〔無〕〔刀〕
真名『佐々木小次郎』
"巌流島の戦い"にて彼の剣豪『宮本武蔵』と相対した男の名として有名な相手。
だが、この『佐々木小次郎』は『fate/staynight』に登場する存在と同一人物と言う事であり、設定上も『fate/』寄りになっている。


【抜刀騎士 アスベル】
属性〔人間〕〔異彩眼〕〔刀〕〔光〕〔闇〕〔抜刀術〕
本名『アスベル・ラント』
『テイルズオブグレイセス』の主人公である。
剣を使う存在にしては珍しく、〔抜刀術〕を使用した戦い方を得意としている。
抜刀の速さはトップクラスで、彼の力を体現化した『秘奥義』もまたその抜刀の速さを体現化させている。


【常駐戦陣 月島仁兵衛】
属性〔人間〕〔無〕〔刀〕〔呪〕〔滅『蟲』〕
常にお勤めを果たす真っ直ぐな心を持つ熱き少年剣士。
その身に合わぬ豪快な一撃はまさに富士山の如く…!
"富嶽三十六剣"と呼ばれる彼の父から教わった剣術で、常世の蟲を倒してきた。
馬燈のパートナー『英雄』で、3番目に位置する凄腕の猛者。

【贖罪の罪人 ユーリ】
属性〔人間〕〔刀〕〔闇〕
本名『ユーリ・ローウェル』
テイルズの中でも特に人気作『テイルズオブヴェスペリア』の主人公。
下町育ちで、元騎士団所属の青年だったが、腐敗した政治に身を置く騎士団に嫌気が差して退団。
その後は闇夜にて悪しき闇を葬る影の騎士として法の元にて裁けない悪を倒している。
自由気ままな性格だが、結局は面倒見の良い兄貴分。
他の『英雄』達には真似出来ない荒業を駆使する異色の剣士。
馬燈のパートナー『英雄』で、2番目に位置する。

【鬼を切る『魔女狩り』 草薙タケル】
属性〔人間〕〔機械〕〔無〕〔刀〕
『対魔導学園35試験小隊』の主人公にして、"35試験小隊ー通称・雑魚小隊ー"の隊長。
彼の世界では珍しく刀を使った戦い方を得意とする戦士。
尚、これ以上のデータは本文に記載されていない為、情報不足。
只、これだけは言える…
彼こそが、馬燈のNo.1のパートナー『英雄』だと。

次回

『魔女狩り』VS『竜滅剣』

馬燈と翼の戦いに目を逸らすな!


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♪36 『魔女狩り』VS『竜滅剣』

その男は、仲間を大事にする者だった…

凄腕で実践豊富だが、復讐に囚われていた2丁拳銃使いだろうと…

うさぎ耳の様なカチューシャを常につけてるあがり症なスナイパーだろうと…

極度の機械オタクだが、遺伝子操作で生まれた基本的にやる気の無い後方だろうと…

『極光』と言う相手を殺さない『不殺』な魔法を使う魔女だろうと…

実の妹で、鬼を体内に宿していている少女だろうと…

己の刀であり、そして共に戦ってきた相棒だろうと…

その男の刀は大事な仲間,家族,相棒の為に振るう…!

(英雄石板『鬼を切る『魔女狩り』の軌跡』より)



ーーーーーーNO SIDE

【鬼を切る『魔女狩り』 草薙タケル】の力を得た馬燈。

その威迫は他のパートナー『英雄』達を纏った馬燈とは桁外れの力を感じていた。

そんな中でも、翼は立ち上がり、そして歌を歌いながら戦い始める…!

 

(挿入歌『Byeond the BLADE〜IGNITED arrangement〜』水樹奈々)

 

そう言いながら、翼は馬燈を相手に攻撃を仕掛ける。

そんな翼の攻撃に、馬燈は真っ向から対決し始めた!

 

互いにぶつかる圧倒的な剣と刀の戦い。

その速さは最早、残像を置いていや、音すらも置いていった光速の戦いその者だった。

 

「⁉︎(目が…追いつけない…)」

 

それを見ていたマリアが感じた事はそれに尽きていた。

今迄の馬燈の攻撃よりも遥かに速い剣筋。

その攻撃を(防人)は全て受け止めて、尚且つ己自身も攻撃を仕掛けているのだ。

 

すると翼は一時後退し、そしてすかさず剣を天に向けて掲げる。

すると空から大量の光の剣が放たれた!

 

"千ノ落涙"

 

それを見た馬燈はすかさずその場に止まる…その時だ!

 

「"掃魔刀"‼︎」

 

そう馬燈が発言すると、馬燈が見ている景色が青くなる。

すると光の剣達の動きが完全に1/10にまで低速していた!

 

そしてその隙を馬燈は見逃さず自分に襲いかかってきていた剣達を全て真っ二つに切り落とした!

 

「⁉︎」

 

するとそのまま馬燈は納刀すると、また陰陽のように描きながら抜刀していく…!

 

「"陰陽抜刀術・弐ノ型"」

 

そういうと馬燈はすかさず翼の懐に入る!

それに気付いた翼はそのまま剣を水平に向けて受け身に入る。

だが、それが仇になる…

 

 

「"双刃・雪羅"‼︎」

 

そう言って、なんと刀と鞘を同時に水平斬りをしたのだ!

つまり、先の翼の行動は無意味になったのだ。

もし、翼の剣を縦に構えていれば、この攻撃は未然に防ぐ事が出来たのであろう。

 

「まだだ…!

"参ノ型…白銀・燕落とし"!」

 

そう言うと、今度は刀を1回だけ振り下ろす。

すると翼のアームドギアと両脚のブレードに罅が入ったのだ!

それに気付いた翼は驚愕した。

たった一振りで違う箇所に傷を負わせるのは到底不可能の事である。

しかし、彼は語る…

 

燕落とし(この技)は、"燕返し"を真似、そして改良に改良を重ねた応用技だ。

だが、俺の剣技がこれだけだと思うことなかれ!」

 

そう言うと再び翼に向かって斬り始める!

しかし、翼も黙ってその身を受けるようなものに非ず。

彼女は防人…人々を守る存在だ。

此処でやられる彼女では無い!

 

「はぁぁぁぁあ!」

 

翼は双剣へと変形させたアームドギアの柄を繋ぎ合わせ、炎を纏わせながら振り回し斬りかかる"風輪火斬"を放つ!

 

「"四ノ型…樹氷・角天衝"!」

 

そう言って、跳躍して翼を中心に置き4ヶ所のポイントを突く!

するとそのポイントから樹氷が現れた。それも四つ…

するとそのまま樹氷同士が結びつき、最終的には翼の周りを封じ込めた!

しかし、翼は逆に冷静に対処し、身動き封じを逆に伐採していった!

 

だが!

 

「"五ノ型…吹雪・星突閃"!」

 

そう言いながら、翼の背後から現れた馬燈。

それに気付いた翼は咄嗟に防御しようとしたが、先に左太ももを突かれ、そこへ追い打ちとばかりに、右手,左手,右ふとももを突かれてしまう!

そして次の攻撃がまさかの脳に向けての攻撃だった!

だが、翼の剣は何処にも非ず…?何処にも?

 

「ーー!」

 

脳を突こうとした馬燈は咄嗟に後退する。

すると先程までいた馬燈の場所に巨大な『盾』が現れた!

 

「『盾』だと⁈」

 

「『剣』だッ‼︎」

 

うん、デジャヴ…。

前に一度、こんな事があったね…。

 

"天ノ逆鱗"により、その攻撃をなんとか防いだ翼。だが、頭と身体以外の部位は被弾した状態。

アームドギアを持っているのが精一杯…なのだが…

 

すると翼はそのままお得意の青い斬撃"蒼ノ一閃"を繰り出すが、

馬燈はその攻撃を悉く避けた。

やはり、手が思う様に動けない程、命中精度が弱まっていた!

 

「連続だ!

"六ノ型…霙技(みぞれぎ)六面(りくづら)斬り"!」

 

そう言いながら馬燈はまず翼の身体に一太刀、更に左右からも其々一太刀、背後に一太刀、

そして上からの振り下ろしと、下からの斬り上げを真面に受けた!

 

「"七ノ型…凍刃・七連斬"!」

 

そう言うと抜刀と納刀を7回繰り返しながら、斬撃を加えた!

その都度、その攻撃を受けた翼の身体は凍り付いた!

 

「まだだ!"八ノ型…雹魔(ひょうま)・八岐の舞"!」

 

そう言うと今度は翼の周りを剣の舞の様に動きながら、8回もの斬撃を与えていく…!

 

「がはっ⁉︎」

 

「邪魔する限り、攻撃は止まん!"九ノ型"!」

 

そう言うと目にも止まらぬ速さで翼を素通りそして一閃を繰り返していく!

 

「"霰邪(あられよこしま)・九印斬"!」

 

そう言いながら、全部で9回もの素通り一閃をした馬燈。

その攻撃により、翼は完全に膝を地に伏してしまった。

 

「これまでだな…(少しは耐え抜くかと思っていたが…検討違いだったな)」

 

そう言いながら馬燈は翼の頭上に剣を構えた。

それに気付いたマリアが「翼!」と叫ぶ。

しかし、既に呼吸する事しか翼の身体は言う事を聞かなかった。

それを見ていたファラが立ち上がり、そして一閃を繰り出す!が、

 

「下らん」

 

そう言うと馬燈の刀が、ファラの身体を斬りつけた!

その衝撃によりファラは池のほとりまで吹き飛ばされた。

 

「邪魔者はそこで見ていろ。

防人・風鳴翼が此処で歌を亡くす様を!」

 

「!翼ーーーー‼︎」

 

そう言って、翼の喉元を斬りつけようとした…その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドガァァァンッ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

「!」

 

 

突然起きた爆発…!

その音を聞いた馬燈は剣を翼に斬りつける所を止めた。

その差…0.1mm以下…髪一重である。

 

「何の爆発だ?」

 

そう言いながら、馬燈は爆発が起きた方向を見ると、そこには完全に大破した『王』のアルカナを持つ人形…レグルスの所有する移動艇・アークが轟沈していた!

 

「これは…!」

 

それを見ていた馬燈はその光景に目を奪われてしまっていた。

目の前に…

 

 

ドガッ‼︎

 

「がはっ⁈」

 

「うおおーー‼︎」

 

2振りの槍を携えていた霊風(風魂導師)が殴りにかかっていた事にすら気付かずに。

 

そして馬燈はその殴り攻撃により、軽くぶっとばされ、そして、池の中にドボンッ‼︎と水しぶきを上げて落下した!

 

 

 

「仲間をこれ以上、見殺してたまるかよーーーーーー‼︎」

 

今此処に、風の魂…暴れ狂う熱風と化す!




次回

『王』と『風』と『片翼』と 〜決着〜

次回は霊風と奏がレグルスとの戦いに印籠を渡す…‼︎


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♪36.5 『王』と『風』と『片翼』と〜決着〜

VSレグルス戦です。
前回の前書きに書いたのは、『英雄石板』に記された英雄の軌跡ですが、もうお分かりですか?

答えは、馬燈のパートナー『英雄』にして、『対魔導学園35試験小隊』の主人公…草薙タケルさんでした。

では、今回は奏と霊風の活躍をお楽しみ下さい。

※何故かご都合主義になってしまった事を先にお詫びします。


さて、霊風が翼を救ったのは前回で明らかだ。

だが霊風は奏と共に、レグルスに拉致られ、彼の移動艇・アークによって、空の上にいた筈…

その間に翼は父の本音を聞き、ファラと激闘し、更には馬燈の夜襲があったりと色々あった。

その間、奏と霊風の身に何があったのかを語ろう。

それは遡る事数十分前…

 

ーーーーーー

レグルスによって鎖でぐるぐる巻きにされた奏と霊風はそのままアークに乗せられていた。

そして乗せられたと同時に、その鎖を断ち切る2人。

 

「ほぅ…"神をも縛る鎖"を悉く己の力のみで断ち切るとは…

最早、人間を捨てたとしか言いようが無いな」

 

「生憎こっちは生涯人間なんだよ…!」

 

「人間…舐めんじゃねぇ!」

 

そう言うと2人は其々の槍を構えて攻撃を仕掛けていく!

だが、レグルスの所へと進もうとするもそれを彼の黄金の波紋から射出される数多の武器達が、それを邪魔して思う様に前へ進めないでいた!

 

「この(オレ)の猛攻を止めたくば歌え!天羽奏‼︎

新たに得たその旋律で、この我を酔いしれさせてみろ!」

 

レグルスの挑発が奏に襲いかかる。

奏も内心はその挑発に乗っかって、「私に喧嘩売った事、後悔させてやるよ!」と逆挑発をしながら、イグナイトを発動させていただろう。

だが、今の奏の近くには霊風がいる…自分が愛している人が。

 

彼の変身アイテムであるアブソーバーには、『IGNITE KILLER』プログラムと言う、自分達のイグナイトモードを殺す為だけに存在するウイルスに侵食されている。

発動すると、装着者を獣にし、イグナイトモードを発生している自分達から真っ先に襲いかかる様になっている。

 

故に奏は使う事に躊躇っていた。

 

だが、そんな事を考えていた奏に声を掛ける者在りけり…!

 

「奏!歌え!自分のありったけを‼︎」

 

「霊風⁉︎」

 

そう…奏が最も愛している存在が声を掛け、そして使用する様に推してきたのだ!

それでも奏は抵抗する…

自分の目の前で「野生の暴走」とも呼べる『IGNITE KILLER(あの力)』が再び霊風に襲いかかるのを。

だが、霊風はこう言った。

 

「奏!俺はお前を信じてる!」

 

たった一言…「信じてる」

 

ただそれだけの言葉に奏の心は大きく動いた。

霊風は自分の事を「信じてる」と言った…

ならば、自分もそれに応えないといけないと。

 

故に奏はコンバーターを握った!

 

「イグナイト・モジュール…抜剣‼︎」

 

『Dainsleif』

 

そして奏のコンバーターがそのまま奏の胸上に突き刺さった!

その時だった…!

 

ーイグナイト反応検知。

『IGNITE KILLER』ACCESSー

 

「くっ!」

 

奏のイグナイトに反応したのか、霊風のアブソーバーに内蔵しているウイルスが反応したのだ!

本来ならこの時点で霊風の身体は『暴走』が起きても可笑しくはなかった。

 

だが、霊風はそれを必死に堪えていた!

 

「(こんな所で…負けるかよ…)」

 

だが、その勢いは更に増していた…!

 

その勢いは霊風の身体にも変化していた!

今迄必死に立っていた霊風の身体が、遂に膝を地に伏してしまったのだ。

 

「(此処まで…なのか…)」

 

諦めかけようとした…そんな時、

 

「霊風!」

 

突然、奏の声が聞こえた霊風は視線を奏の方に向ける。

するとそこにはいつの間にか自分の目の前に奏がおり、そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュッ…

 

 

 

 

「⁉︎」

 

なんと、奏が霊風にキスをしたのだ!

 

「へへっ。これでおあいこだぜ」

 

そう言いながらハニかむ奏。

霊風は「おあいこ」と言う言葉を聞いて、前に何かしたのか、思い出そうとしたが、如何せん、全く記憶に残っていな…

 

「フィーネがまだ敵でロックと共闘した事。

もう忘れたのかよ…!」

 

「え?…!」///

 

「へへっ!如何やら思い出してくれた様だな!」

 

そう言いながら奏の言葉を聞いた霊風はその言葉で完全に思い出し、更には顔を真っ赤に染めてしまった。

そんな霊風の顔を見た奏はしてやったりとでも言わんばかりの顔をしていた。

奏が言っていたことは、フィーネが「バラルの呪詛である月を破壊する計画」とも称された事件…通称「ルナアタック」の際の激闘の際の事だった。(詳しくは無印53話『寝返りと告白』参照)

でも、これで逆に霊風の気力は一気に回復していた。

ゲンキンですね…この男も。

 

「何時まで俺を除け者扱いするか‼︎」

 

と、此処に来て完全に蚊帳の外だったレグルスが叫ぶ。

勿論、2人は完全にレグルスの事を忘れていたのは言うまでもない。

その証拠に2人の顔は「あ、御免。忘れてた」とでも言わんばかりの顔をレグルスに向けていた。

それを見たレグルスは憤慨する!

 

「辞めだ辞めだ!今宵はこの俺の手で!

お前らをこの世から去ってしまえ‼︎」

 

そう言いながら黄金の波紋が現れ、そこから数多の武器が矛を奏と霊風に向けて今か今かと射出される事を待ち構えていた。

 

すると、そんな波紋が突如、真っ二つに斬られ、波紋が消えたのだ!

しかも、それを皮切りにその数が増え始めたのだ!

 

「⁉︎何事だ⁈」

 

突然の事態に混乱するレグルス。

すると、そんなレグルスの横を何者かが素通りした!

それに気付いたレグルスはその方向に顔を向ける!

 

そして奏と霊風の前にその存在現れたり…!

 

「■■■■■■■■■ーー‼︎」

 

それは黒い毛で身体を覆い、腕には鋭利な刃物らしき翼、

そして黒くしなる鞭のような尻尾を生やした…

赤き眼光が冴える竜…

 

【迅竜 ナルガクルガ】が現れたのだ!

 

するとナルガクルガ…ナルガは、今まさに射出されようとしていた波紋に向けて、尻尾を器用に回しながら、尻尾の先から無数の棘を投げ飛ばし、攻撃を仕掛けた!

その攻撃により、波紋は消滅し、射出を阻止する事に成功した!

 

「おのれおのれおのれーーーーーー‼︎」

 

それを見たレグルスは憤慨し、更に無数の波紋を呼び出した!

だが、ナルガはそのまま奏と霊風を庇うかのように、自分の身体の中に2人を覆うとそのまま体を丸めた!

 

「(そうだ…俺だって1人で此処までやって来たんじゃない!

俺にはもう大事な人がいるんだ…!

此処でやられる訳には…

 

いかないんだよーーーーーー‼︎」

 

そう霊風の声が心の底から叫び始める‼︎

 

するとナルガの身体が光輝き、そしてみるみると小さくなる…!

 

だが、その隙にレグルスが攻撃を仕掛けた!

 

全方位からの武器射出による集中放火が。

 

数多の武器達が一斉にアークに突き刺さる…!

中には、切歌と調のギアが元である武器、「イガリマ」や「シュルシャガナ」。

そして響が纏っているギアの元である武器「ガングニール」も突き刺さっていた。

その光景を見たレグルスは「ふん…たわいも無い」と言いきる。

しかし、それがフラグだと言う事をこの人形は知らない…

砂煙が治り、そしてその光景を見たレグルスは凝視した。

 

「何⁉︎…何処にもいないだと⁉︎」

 

そう、何処にも奏と霊風の姿がいなかったのだ!

そればかりか、2人を庇っていたナルガクルガでさえ、あの大きさなのに姿が全く無かったのだ!

それを見たレグルスは慌てて辺りを見渡す。

しかし、そんな2人と一体の姿は何処にもいない!

すると、

 

 

ザクッ!

 

「⁉︎…なん…だと…⁉︎」

 

「気付くのが…」

 

「遅えんだよ…!」

 

そう言いながらレグルスに蹴りを加える2人…天羽奏と精妖霊風。

2人は其々…イグナイトの力を得た奏と、『IGNITE KILLER』の力を取り込んだ霊風がいた!

しかも、霊風は奏に対して攻撃を行おうとはしてもいなかった!

零,陰陽兄弟が成されたように、霊風もこの力をコントロールする事が出来る様になったのだ‼︎

更に敢えて言わせるなら、今の霊風の格好は、腕から刃が生えており、更に目の周りを赤い模様が描かれ、更に黒くしなやかな鋭利とも呼べる尻尾をしならせていた!

 

「馬鹿な⁉︎あれだけの猛攻をどうやって⁉︎」

 

レグルスは驚愕する。当然の事だ。

あれ程の包囲網を前に逃げられる筈など無いのだ。

しかし、霊風はそれを一蹴する。

 

「ナルガクルガの異名は知ってるか?」

 

「なに?」

 

「ナルガの別の名は【迅竜】。

此奴の速さはモンスターの中でもトップクラスに入るスピード自慢のモンスターだ。

あんな包囲網…突破せずしてなにが【迅竜】だ!」

 

ナルガクルガ…別名【迅竜】

その名の通り、その驚異的な俊敏力は他のモンスターよりも逸脱していると言っても過言では無い。

そのスピードで、レグルスの包囲網を奏を抱えながらそれを突破したのだ!

その速さはまさに『疾風迅雷』の如く!

 

「行くぞ、慢心王!武器の貯蔵の準備は充分か!」

 

そう言いながら、霊風は陸上競技でのスタート方法の一種・スタンディングスタートの構えを取りながら、左右の腕についた刃を構える。

そしてその隣では、奏がオディナの剣である"モラルタ"と"ベガルタ"を両手に持ちながら構えた!

 

そして霊風が颯爽と走ると同時に、奏も走ると同時に、歌を歌い始めた!

 

(挿入歌『サンクチュアリ"約束の空"〜IGNITEarrangement〜』高山みなみ)

 

2人の攻撃がレグルスに襲いかかる…!

だが、レグルスはその攻撃を前に再び黄金の波紋を呼び寄せ、射出する準備をする…が!

 

ザクッ!ザクッ!

 

パリィンッ!パリィンッ!

 

「⁉︎」

 

「遅すぎなんだよ…射出する時間が!」

 

なんとその波紋をナルガの力を宿した霊風の腕についていた刃翼で全て一刀両断されたのだ!

更にそこへ、双剣へと得物を変えた奏がレグルスに斬りかかる!

だが、レグルスは波紋を真横に呼び寄せ、そこから武器を取り出して、その攻撃を防いでいく!

 

そしてもう一方の手で、霊風に攻撃を仕掛けていくが、霊風の俊敏さにより狙いが定まっていなかった!

 

そうこうしていると奏が双剣を逆手に持って、霊風と同じ構えをするなり、そのまま特攻を仕掛けた!

 

"STARDUST∞SLASH"

 

しかし、レグルスが黙ってこれを受ける輩では無い。

黄金の波紋を今度は奏の周囲に張り巡らせる。

その数…約50。それが一斉に放たれたのだ!

 

だが、奏は逆に冷静だった。何故なら…

 

シュンッ…‼︎

 

パリィンッ!パリィンッ!パリィンッ!パリィンッ!…‼︎

 

その攻撃を全て双剣で捌いたのだ!

 

「なにっ⁉︎」

 

「衛宮と桐ヶ谷のあんちゃん達のお陰だな…!」

 

そう言いながら奏は感心した。

実は、奏はこの戦いを始める前に、憑友の所に赴き、士郎とキリトのカードを借りて、2人から指導を受けていたのだ。

キリトは自分がイグナイトを発動した時に使用する双剣と同じ二刀流の使い手で、射出した物をなんでも斬り落としてしまうある意味チートな存在。

そして衛宮は、レグルスが用いている戦い方と良く似た相手と相対した経緯とその対策法を教えてくれた。

最も、衛宮のやり方は己の投影魔術で複製した贋作の剣達を相手に向けて正確無比に尚且つ、針の穴をも通す程の精密射撃で射るタイプである。

故に、2人から奏は教えて貰っていた…

衛宮からは、射出するタイムラグなど、レグルスが用いた戦い方の対策を、

キリトからは、射出物を斬り裂く技術いや、最早チート同然のスキル…「スペルブラスト」を。

 

そのありえない防御の仕方にレグルスは目を見開く。

 

「これ程とは…ならば‼︎」

 

そういうとレグルスは射出している最中に、右側から波紋を呼び寄せ、そこから剣の持ち手が現れ、それを握りながら引き抜く。

するとそこに現れたのは、奇妙な模様が描かれた剣だった。

いや、剣と呼べるのかが分からなかった。

剣の様に穂先が鋭くなってはいなかった。

例えて言うなら…そう、煙突の様な構造をした剣をレグルスは握っていた。

 

それを見た霊風は凝視した。それは自分の前世の時に見たアニメに出た禁忌の剣だったから。

 

「…乖離剣…!」

 

乖離剣「エア」…それがレグルスが所持していた「剣」の名であった。

 

するとレグルスはその剣を掲げる。すると剣が螺旋を起こし始めたのだ!

 

「この一撃の前に世界が裂く事は当たり前。

ならば、この一振りで全て終わらせよう‼︎」

 

そうレグルスが言いきると、物凄い質量が検知されていく…!

その力は伊達では無い。

全てを終わらせようとするその剣の威力を前に奏は「させるかーーーーーー!」と叫びながらレグルスの元へと急行する。

だが、それを阻めるレグルスが呼び寄せた射出物達。

そんな中、奏は射出物の中にあったある物を見ると、それに呼応したのか、それを引き抜く。

引き抜いたのは…

 

 

「力を借りるぜ…「ガングニール」。

そして…「グングニル」!」

 

かつての自分のアームドギアであった槍…「ガングニール」と、

オーディンの槍としてあまりにも有名すぎる存在…「グングニル」だった。

 

すると奏は走る!

すると奏のスピードが一気に人間の身体を優に越す俊敏さを見せつけたのだ!

その速さ…『流星』の如く…‼︎

 

「くっ!我の財でこの攻撃を防ぐと言うのか!天羽奏‼︎」

 

「これが私のやり方だーーーーーー!」

 

そう言いながら、剣を振り下ろす動作を槍2つで受け止める奏!

そのまま鍔迫り合いが発生するが、レグルスはそこから蹴りを加えて、奏を吹き飛ばす!

 

そしてトドメとばかりに、その剣を勢い良く振り下ろす!

…だが…

 

 

パリィンッ!…

 

「⁉︎なん…だと…」

 

ガラスが壊れる音が戦慄する…

その音の出所は…乖離剣「エア」だった。

そして音と共にエアが完全に砕け散ったのだ…‼︎

 

何が起こったのか分からないレグルス。もしや、ガングニールとグングニルの力を合わせた奏の仕業なのかと思ったのか、レグルスは奏の方に顔を見やる。

しかし、奏も自分が何をしたのか、全く分からなかった。

ただの鍔迫り合いで剣が砕け散ること等、出来る訳がないと。

そこでふと奏はある事を思い出したのか、辺りを見渡す。

 

「(あれ…霊風は?)」

 

そう、霊風が、何処にもいなかった。

それもその筈…彼は今…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうだ?俺のマッハ・ザ・ファインプレーは!」

 

アークの玉座に鎮座していたのだから。

その光景を見たレグルスはふと違和感を感じた。

 

「?なんだ…その縞模様は…⁉︎」

 

そう、霊風の身体の紋様だった。

先程までの霊風は黒一色の無地だった。

だが今は、その黒地に白の線とも呼べるラインが何行にも並んでいて、まるでシマウマを連想させる様な模様へと変わっていた。

 

「一部のモンスターには特殊な名が付く者達がいる。異名もその一つだ。

ナルガクルガの異名は【迅竜】と呼ばれている。

他のモンスター達にも異名は存在する。

だが、そんなモンスターの中にはそれとは違う名を持つ実力を持つモンスター達が存在する…!

俺がなっているナルガクルガはもう一つの名がある。

その名は…

 

 

 

 

【白疾風】ナルガクルガ。

 

それが、今俺がなっている『MONSTER DRIVE』の力だ!」

 

そういうと玉座から立ち上がる刹那…!

 

シュンッ!

 

「⁉︎」

 

「この動きに、追いついてみやがれ!」

 

そう言いながら、霊風はレグルスの腹にパンチを繰り出した!

 

その速さ…0.001秒。

 

最早、人としての域を超えて、「化物」と呼ばれても可笑しく無い領域に彼は存在しているのも同然だった。

 

そんな霊風の腹パンをくらったレグルスは後退する。

威力こそは大した奴では無い…瓦10枚重ねても、1枚も割れないぐらいの威力しか霊風は打っていない。

だが、あの威力は瓦100枚重ねても1発で粉砕する威力を持っていた。

 

実はこれは俊敏力が意外と関係があるのである。

まぁ、話すとかなり長くなってしまうのは否めない。

(約3分。字数にして1万〜3万弱ぐらい)

ただ一つ言える事は…

 

どんなに小さな力でも、スピードに乗っかれば、それは一撃の威力となる。

 

と言う事である。

 

そうこうしていると霊風のスピードが格段に上がっていく!

更にその霊風の背中に奏がガングニールとグングニルを持ちながら、騎乗位…では無く、背中に足をつけてその動きの速さの中、乗りこなしていた!

 

「これで!」「終わりだーーーーーー!」

 

そう言いながら霊風と奏…2人の槍使いによる攻撃がレグルスの胴体を貫いた!

 

"ゲイル・ホワイト∞SHOOTING∞STAR"

 

そして胴体を貫かれたレグルスは、そのまま玉座の方へと歩み始めた…

 

「…ふぅ…はぁ…はぁ…

…見事だ。天羽奏…そして風魂導師…

…見事…だ…」

 

そう言いながら、レグルスは玉座に鎮座するとそのまま霊風の方にカードを投げつけた!

 

それを見た霊風はそれをキャッチする。

そこには『英雄』の力…『ヒーローカード』が4枚あった!

 

「あと2枚は…我の身体に…埋め込まれている…が!

この2枚には悪性がある…

故に、我の身体と共に逝かせてもらう…!」

 

それを聞いた2人は止めようとするが、レグルスはそれを拒んだ。

そして告げた…

 

「天羽奏…

汝の歌…とても清々しかったぞ…」

 

そう言うと、レグルスは機能停止と同時に、玉座諸共…自爆した。

 

 

ドガァァァ‼︎

 

 

そして王が居なくなった事で、2人が立っている浮遊艇・アークは、主を失った事で、機能を停止し、そのまま地上へと落下し始めた!

 

そんな中、奏と霊風は必死になってアークにしがみつく!

だが、ここで奏が使用していたガングニールとグングニルの槍が、所有者であるレグルスを失った事で完全消失してしまった!

2つの槍でどうにか身体をしがみつかせていた奏にとってはもはや絶対絶命のピンチに立たされていた!

 

だが、霊風が奏の手を握った!

その直後だった…霊風が目にしたのは。

 

真下は風鳴邸で、その庭では、自分達以外のメンバーとファラが、《氷魂導師》アヤカシこと馬燈が無双していた。

そして馬燈が翼の首を刎ねようとしていたのだ!

 

それを視界に捉えた霊風はそのまま奏をお姫様だっこすると、そのまま一気に地面へと急降下していく!

 

そしてナルガの柔軟な脚力のおかげでアークが落下する数秒前に地上に着地した霊風と奏。

しかし、奏は先のレグルスの戦いにて、激しく消耗してしまった。故に今の状態ではまともに戦えない。

そこで霊風は上空を見て、アークが落下する地点を予想し、

そこから離れた場所に奏を瞬時に移動させ、

そして安全な場所に奏を寝かせると、霊風はそのまま一気に風鳴邸の方へと移動する。

その速さ…『忍』の如く…!

 

そして霊風が到着したと同時に、上空からアークが墜落したのだ!

その瞬間に、霊風は『MONSTER DRIVE』こと『IGNITE KILLER』の解除をしようとするが…

 

ー『IGNITE KILLER』は強制解除されています。ー

 

と言うメッセージが既に届いていた為、霊風はそのままとある『英雄』のカードを取り出し、額に当てて呟く。

 

「"その身に宿りし熱き魂。

甲斐の虎により育てられたその手腕…

決意の表れとして掲げる六文銭。

今宵はその熱き魂を、我が肉体に宿らせ、

そして…熱血魂、燃え盛らん!"」

 

そう言うと霊風はそのカードをアブソーバーに装填、そして馬燈に向かってダッシュしながらレバーを引いた!

 

ースピリット!フォーム、幸村‼︎

天覇絶槍!六文銭‼︎ー

 

そして『英雄』を纏って現れた霊風は馬燈に開口1発、

 

「仲間をこれ以上、見殺してたまるかよーーーーーー‼︎」

 

そして話は前回のラストへと続いていくのである…




【迅竜 ナルガクルガ】
属性〔風〕〔斬〕〔竜〕〔速〕

霊風が一期後半の頃から所持していた笛から呼び出される俊敏力に長けたモンスター。
その速さは忍の如く駆け巡り、刃状の翼で一撃で獲物を葬る。
基本は黒の体毛に覆われているが、亜種は身体が緑、希少種は白銀の体毛に覆われている。
更に二つ名【白疾風】と呼ばれるナルガは、白い紋様が浮かび上がっており、その俊敏力は疾風(ゲイル)そのものと呼ばれている。


次回

Commited RED

次回は霊風無双回!

サブタイトルは霊風が纏う『英雄』に大きく関連しています。
ヒントは…『紅く燃えた、日ノ本一の生涯(ドラマ)。』
コレでピンと来れば誰かもうお分かりですよね?
では、また次回!


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♪37 『Commited RED』

その者は1人の武士だった。

幼名の頃から父と兄と共に暮らし、そして戦を生き抜く為に生まれた。

彼は後に親方様なる者に忠誠を誓い、その2振りの槍を用いて、常に戦場を一番槍として奮闘せん。

そんな者の前に現れんは生涯いや、未来永劫続く事となる若き独眼の男。

彼とは幾たびに於いても、生涯の全てを捧げる程の熱き戦いをしてきた。捧げてきた。それは相手方も同じだった。

後に親方様を失った武士。だが、それでも、
人々の魂と言う名の「こころ」を届ける為に、

ただ1人、戦地に赴く。

その威はまさに『虎』の如く…

その背中に『六文の銭』を掲げて…


(英雄石板『天覇絶槍の軌跡』より)


翼が首を斬られそうになるところへ、霊風の熱血を込めた怒りの一撃を馬燈にくらわせた!

その光景を見ていた一同は、驚きを隠せなかった。

何せ、自分達が相手でも、馬燈が悉く刀で斬り伏せたのだから。

そんな馬燈が、霊風の拳により、吹き飛ばされたのだ。驚く他無いのである。

 

「くっ!…お前は…精妖霊風!」

 

「俺の大事な仲間に刀を向けたんだ。

覚悟は出来てるだろうな…馬燈!

例え、憑友の友達(ダチ)だからって、容赦する気は毛頭も無いぞ!」

 

「情け容赦はこちらから願い下げだ!

本気で来なければ、こちらから行くまでだ!」

 

そう言うと馬燈は脚と腕を巻くし上げる。

すると手首・足首に水色のリストバンドが嵌められていた。

すると馬燈はそのままリストバンドを外していく。

 

そしてそのままリストバンドを地面に落としていく…

 

…地面にクレーターをつけながら。

 

『‼︎』

 

「…」

 

「このリストバンドは俺と馬燈の特別製でな。

1つにつき50kg…計0.2t(200kg)を付けていながら、お前達を相手に圧倒していた」

 

そのリストバンドの重さの中で、馬燈は霊風と奏,そしてレグルス以外のメンバーをたった1人で相手していたのだ!

化け物なのも大概にしろと言わんばかりに。

 

だが、霊風は逆に冷静だった。

それどころか…

 

 

「(それ…何気にフラグだぞ)」

 

と、内心そう感じている始末であった。

 

すると馬燈が先に攻撃を仕掛ける!

その速さは先程のレグルスと相対していた霊風と同等いや、それ以上の速度だった!

 

そのあまりの速さに霊風は目を追いつけていなかった。

そして馬燈はすかさず背後に入るや一閃を…

 

 

シュンッ!

 

ガキィンッ!

 

「何⁉︎」

 

「…」

 

止められてしまった。

 

馬燈の素早さでは視認する事すら出来なかった筈の霊風が、攻撃を槍で受け止めたのだ!

馬燈は「(紛れに決まってる!)」と内心呟くと、そのまままた一気に駆け巡る。

 

そしてすかさず一閃…

 

シュンッ

ガキィンッ!

 

「⁉︎」

 

なんとまた受け止められたのだ…槍で。

 

それから何度も何度も同じように霊風に向けて攻撃を仕掛ける馬燈。

だが、そのどの攻撃も霊風には悉く受け止められてしまった。

 

「(一体何故⁉︎)」と、焦りを始める馬燈。

それに気付いたのか、霊風は不敵な笑みを浮かべながら語り始める。

 

「馬燈。俺がなんで、お前の攻撃が読めるのかがわからないだろう。

至極当然だ。俺の属性は『風』だ。

 

『風』は、空気の流れが生んだ現象だ。

そして俺はそんな風の流れを、この目で視認する事が出来る。

しかも、ご丁寧に色分けまでされててな。

その風の流れを感じる事で、お前のそのスピードの乗った一閃を全て防ぐ事が出来るという訳だ」

 

「!…無茶苦茶だ…!」

 

霊風のあまりのチートさに馬燈は驚愕の顔をみせる。

 

「聞かせてやる…俺の生涯(生き様)を‼︎」

 

そう言うと霊風はなんと歌を口ずさみ始めたのだ!

 

(挿入歌『Committed RED』 T.M.revolution)

 

そう言いながら霊風は2振りの槍で、馬燈に攻撃をし始めた!

そのあまりの2槍の巧みな槍捌きの前に馬燈は攻撃から急変、一気に防御に徹しなければいけない状況にまで追い込まれてしまった!

本来、2槍を扱う者は早々いない。

どちらか片方でしか対処出来ないのである。

しかし、霊風が纏っている『英雄』…【天覇絶槍 真田幸村】は、槍はまさに自分の手足同然でもあるのだ。

 

そして霊風は長柄武器(主に両手斧や、両手棍,太刀等の両手で持つ武器の事)の中で特に槍を扱う事に長けた者。

2つの槍を扱う事が出来ないなどありえないのである。

 

すると霊風は2本の槍を連結させて馬燈に向けて一撃を放った!

 

"一本気"

 

更にそこから2本の槍に携え直すと、そこから一気に連続突きを仕掛けていく!

 

"烈火炎"

 

そしてそのまま槍を豪快に薙ぎ払いながらの回転攻撃を馬燈にお見舞いさせる!

 

"閃風"

 

「くっ!」

 

霊風の連続攻撃を前に馬燈は何も出来ずにいた。

だが、馬燈は内心驚愕していた…

 

 

「(この『英雄』は、そんな攻撃を仕掛ける様な事はしない筈なのに⁉︎)」

 

そう。それは、霊風の纏っている『英雄』がこんな戦い方をする様な事を聞かされてはいなかったからだ。

 

霊風の纏っている『英雄』…【天覇絶槍 真田幸村】は、2振りの槍を巧みに扱う武将(もののふ)の1人。

馬燈は一度、手合わせとして、霊風と対戦した事がある。

その際に霊風は幸村の力を使っていた。

 

だが、どの攻撃も、霊風が今してきた攻撃には無い物ばかりだった。

そんな馬燈の焦った顔を見た霊風は威風堂々と語りだす…

 

 

「確かに、俺の纏っている『英雄』は真田源二郎幸村の魂だ。

だが、その2槍のアクションは常に進化し続けている事を忘れては困るんだよ‼︎」

 

そう言うと馬燈に槍をぶつけ、そのまま上空へと放り投げ、

そしてそれよりも高い場所に跳躍するなり、ライ○ーキックよろしくの蹴りの一撃を馬燈にぶつけた!

 

"噴天"

 

「せいっ!はぁ!はぁっ!」

 

すると霊風が瞬時に馬燈へと近づいた!

その速さに馬燈は目を仰天させた。

 

これが、真田幸村の生涯をかけて得た技にして、『英霊』で言う所の必殺技もとい『宝具』とも言える空中アクション…

 

"天羽"

 

が発動した!

 

その風に乗る速さに馬燈は目を閉じる事すら忘れてしまっていた。

それ程までに、霊風が風と一体になっていたのだ。

 

そして霊風は馬燈の懐に入った!

 

「これで…」

 

「な⁉︎しまっ…⁉︎」

 

「終わりだーーーー‼︎」

 

そして一気に炎…いや、それでは緩すぎる。強いて言うなら…「爆炎」とも呼べる炎を纏ったアッパー攻撃を繰り出し、馬燈はそのアッパー攻撃を前になす術無く、吹き飛ばされた!

その威力は、幸村の生涯の主君にして、越後を統括し、『毘沙門』を唱えた名武将…上杉謙信の最大の好敵手…

 

【戦国覇王 武田信玄】。

その者を彷彿させる一撃…

 

"風林火山"を放った。

 

その力は信玄…甲斐の虎を継承したかの様な一撃だった!

 

'疾きこと『風』の如く'

 

'静かなること『林』の如く'

 

'侵掠すること『火』の如く'

 

'動かざること『山』の如く'

 

武田信玄が唱えた名言「風林火山」

 

その力はまさに幸村に熱き魂と共に受け継がれていた!

 

そしてその力を今度は身体を纏わせていた霊風にも与えられていたのだった。

 

そしてそのアッパーを受けた馬燈はなんとか持ち堪える。

だが、その内に霊風はドライブボタンを叩いていた!

 

『スピリット・幸村!フルドライブ‼︎』

 

「"天に吼えよ!我が2槍!

地に吼えよ!我が炎‼︎"」

 

そう言うと霊風は2本の槍で天高く舞い上がる!

その姿…不死鳥の如く!

 

そしてそのまま霊風は2本の槍で上空からの連続突きを地面に向けて放った!

そして、その連続突きが発生した場所には、真田幸村の代名詞であり、三途ノ河を越える為に必要な額…

 

六文銭が描かれていた!

 

真田幸村の生涯を体現した必殺技

 

"真田ノ六文銭"が馬燈にヒットし、

そして馬燈はその攻撃を食らったと同時に地に伏した。

 

「…くっ…!

…熱き魂を込めた男が放つ一撃は…

如何して此処まで俺の心を溶かすのだろうか…」

 

ーーーーーーSIDEto馬燈

思えば、俺と逝都が初めて出会った時もこんな感じだった。

 

相手は拳と蹴りのみ。

対して俺は木刀のみ。

 

あの時は揉め事があって、こんな事になった筈。

今となっては如何でも良い痴話喧嘩だったがな。

 

そんな中で、あいつの蹴りの一撃には感服したな。

 

あいつは拳を交える事は幾度か会ったけど、

彼奴は「大地に直接触れているこの脚が原動力」と当時はほざいていたな。

 

だが、それは結果としては最適な言葉だった。

 

彼奴の蹴りは「鬼の脚」そのもの。

その威力を前に、悪魔も聖者もなす術無しと警められていたからな。

 

彼奴…逝都のあの一撃を受けた事で、当時の俺の心を突き動かしたな。

当時の俺は文字通り、何を考えているのかよく分からない「鉄仮面」「氷の男」とも呼ばれていた。

当時は感情を露わにする事は無かったからな。

 

そんな俺の感情を豊かにしたのが、逝都だった。

其れから俺は逝都と行動する様になったな。

 

 

 

そんな中、俺と逝都が転校した学校にいたいじめられっ子な男の子。

これが後の俺達の親友(ダチ)になる男…

 

人絆憑友との出会いだった。

 

憑友は本当に弱かった。

そのあまりの弱さと、異性を魅了する何かが災いと化し、

同性から虐めに逢い、教師達は知らない振り。

そんな中でも、彼奴は懸命に生きていた。

だけど、転校して数日の内に、その行為はエスカレートし過ぎていた。

 

そしてその行為をただ見ていた逝都はついに堪忍袋の緒を切り、そして行動に移した。

その時、俺も無理やり連れて行った事を今でも鮮明に憶えている。

最も、俺ももうすぐで怒りに身を任せそうになっていたのは否めないけどな。

 

そして憑友を助けた俺達2人はそんな憑友の事をいつの間にかほっとけなくなっていた。

そして俺は…いや、俺達は憑友に言った。

「友達になってくれ」と。

その時の彼奴の笑顔は心の底から笑顔を出していたのかもしれない。

其れぐらいにまで、俺達は改めたんだ。

「憑友を虐める奴は俺達が許さない」と。

その時に、憑友の手を握ったんだが、

その手はまるでその冷たさの中にも微かに存在する暖かい魂のような物を。

 

彼奴の手を穢す訳にはいかないという思いがこの時、生み出された。

 

 

逝都の蹴り,憑友の冷たくも暖かい手。

 

そして、今俺が受けた…霊風の熱い拳。

その熱さ…「熱血」の如し。

 

俺の心を溶かしたのはこれで3人目だ。

 

そう思いながら、俺は辺りを見渡していく。

そこには、風鳴翼が、ファラと呼ばれるオートスコアラーをいつの間にか倒していた。

 

…如何やら俺は此処までの様だな。

済まない…サモン博士。

あんたの計画の成功率を低くしてしまって。

 

「…如何してこんな事を…」

 

そう言いながら、俺の視界に霊風が入り込む…

こんな事をしでかしたのか…か。

やらなければならない事があるとしか言えない。

もし、この計画が失敗すれば…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界が滅ぶから…

 

ーーーーーーNO SIDE

馬燈と霊風とのバトルの間、翼はファラと戦いそしてファラを倒す事に成功した。

その頃、クリス一行がいる「深淵の竜宮」では予想だにしない出来事が発生していた…

 

「何がどうなってやがる⁈」

 

「久方ぶりの聖遺物…

この味は甘くとろけて癖になるぅ~」

 

そう言いながら、その者はクリスが放ったミサイルを左手で押さえ、更にはそのミサイルを…喰っていた…!

その光景を見た一同は驚愕する…!

 

「嘘…」

 

「嘘なものか。僕こそが真実の人~」

 

それはかつて、マリア達と共に行動をし、そして終いにはフロンティアを起動させて、『英雄』になろうとした…

狂った科学者…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドクター・ウェルウウウウウ!!」

 

 

 

 

ドクター・ウェルが現れたのだった。

 

 

ーーーーーー

そんな最中、響は入院している時、響は携帯の着信履歴を見た。

其処には、響の父・洸からの着信が無数にあった。

けれど、どの着信履歴にも、響は一切取っていなかった。

 

「…壊れた物は元には戻らない」

 

そう呟きながら、窓から照らし出される月の光を浴びる響が其処にあった…

 

 

 

そんな響のいる病院とは別の場所。

其処はかつて、響と憑友と共にやって来た流星群を見た場所。

 

「…」

 

「…」

 

其処に「歪鏡」のシンフォギア装者・未来と、

「騎士」のオートスコアラー・ジィスが、

風が通りながら静かにその場に居合わせていた。




次回

義兄妹喧嘩

感想お待ちしています。


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♪38 義兄妹喧嘩

まずい…スランプになってきてしまった…!
その先にある。展開が書けるのに、今の話が出来上がらないとは…!
く、苦しい展開になって来てしまった…


場所『深淵の竜宮』内部

 

クリス達一行が目にしたのは、なんとフロンティア事変の際に自ら英雄として求めた狂いし科学者…ドクター・ウェルがこの場所に監禁されていた!

 

「へっへ〜ん。

旧世代のLINKERぶっ込んで、騙し騙しのギア運用と言う訳ね!」

 

「くっ!」

 

そう言いながらその場に居合わせているクリスからは苦虫を噛んだかのような顔をみせる。

ドクター・ウェルと関係を持っていたF.I.Sメンバーである調,切歌,陰陽兄弟は気味悪い顔を見せていた。

 

「優しさで出来たLINKERを作れるのは僕だけ!

そんなので戦わせられてるなんて…

不憫過ぎて笑いが止まらん‼︎」

 

「不憫に一等賞が何を言うデス…!」

 

「私の1発を止めてくれたな…!」

 

そうクリスが呟く。

その瞳の奥に有るのは、怒りだけだった。

それを見ていたロックはただ黙って見守っていた。

 

「(後輩の前でかかされた恥は、100万倍にして返してやる!)」

 

そう言いながらクリスはアームドギアを構える。

が、突然後ろにいた調と切歌(後輩2人)に制止される。

 

「待つですよ!」「ドクターを傷付けるのは…!」

 

「何言ってやがる⁉︎」

 

「だって、LINKERを作れるのは…」

 

「そうとも!僕の身に何かあれば、LINKERは永遠に…」

 

 

シュンッ!

 

ーーッ!

 

ズバッ!

 

「…⁉︎ひ、ひぃぃぃ⁉︎」

 

『⁉︎』

 

そう言いながらウェルが何かを言おうとしているとウェルの顔面に浅い傷を作らせた。そしてそのウェルの背後には1本の矢が突き刺さっていた。

それに気付いたウェルは怖気付く。

そしてその矢が放たれた先を逆探知すると其処には、ロックはが弓を構えていた。

 

「生憎、お前よりも信頼が出来て、その優しいLINKERを作れる医者はごまんといる。

それに、俺達には最も信頼できる存在が近くにいるからな…」

 

そう言いながらニヤリと不敵な笑みを浮かべるロック。

 

「…パーフェクト・ドクターが」

 

ロックはそうはっきりと言った。

 

「!…ジャンヌ・カデンツァヴァナがだと⁉︎」

 

如何やら、ウェルもその異名を持つ者の事を知っていた様だ。

 

ジャンヌ・カデンツァヴァナ。

マリアとセレナの母・ソロの姉にして、2人の義理の母。

そしてジャンヌは現在姓を変え、「人絆ジャンヌ」として、世界各地のホスピタルに引っ張りだこにして、【パーフェクト・ドクター】の名を持つ凄腕の名医でもある。

同時に、ロックやクリス,S.O.N.G.のメンバーの大事な戦友・人絆憑友の母でもある。

 

「前々から何か有るなと勘付いてはいたが、案の定と言う訳か。

ウェルの履歴を漁っていたら、ジャンヌとあんたの関係は謂わば教授と生徒と言う関係だったと言う事がな」

 

「くっ…だが、僕に出来た事を彼女が出来ないとも…「逆だな」何?」

 

「あんたの領域はもうとっくの昔に超えて、今では【神に近い医者】として崇め讃えられているからな。

LINKERの作成なんて、今まではその忙しさに手を付ける事など出来なかった。

けれど、漸く一段落済んだ今なら、レシピさえあれば、そんなもの簡単に作れる。

それ所か、更なる改良を加えて、ノーリスク・ハイリターンと言う非現実のLINKERすらも作り兼んな?」

 

「うぐっ!」

 

ロックの抗議にウェルはとうとうぐうの音も出なくなってしまい、

その話を聞いていた2人は朗らかな顔を見せていた。

そんな中で、今まで蚊帳の外にいたキャロルが行動を移した!

 

「ほっとれば、話を勝手に進めるな」

 

そう言いながら、キャロルはアルカ・ノイズが入ったジェムを投げ散らかす!

そしてアルカ・ノイズを出現させた!

 

「2人が戦えなくとも!」

 

そう言うとクリスが勝手に1人で行動し始め、すかさずアルカ・ノイズ達に攻撃し始める!

するとその弾丸の一部がウェル達の方に行き、ウェルがキャロルを盾にし、キャロルは自らの防御魔法陣でその攻撃を防いでいく。

そんな中、レイアがウェルに対しての最善行動をキャロルに述べ、

ウェルが「英雄だ!」と口を挟んでいたのは此処だけの話。

 

「だったら、英雄様にさっきよりもデカイやつ、くれてやる‼︎」

 

「!よせッ!」

 

そう言うとクリスは再びミサイルを準備し始める!

それに気付いた皆は驚愕し、代表してまさかのウェルが「この、おっちょこちょい!」とこの場の状況を再確認させる。

 

「何のつもりか知らないが、

そんな物を使えば、施設も!この僕も!

海の藻屑だぞ‼︎…(なんてね)

 

「レイア。この場地を空けてみせろ」

 

「即時、遂行」

 

そう言うとレイアは行動に移し、クリスはミサイルを戻し、攻撃を仕掛けていくが、レイアはアルカ・ノイズを盾にして、その攻撃を躱していく。

その際に、ロックはクリスを見やる。

クリスの銃撃が滅茶苦茶になっていたからだ。

 

「あの…馬鹿野郎が…!」

 

そう言いながら、ロックはあるカードを取り出すや、そのカードをアブソーバーに装填、そしてレバーを引きながらクリスに向かってダッシュし始めた。

 

ーソウル!フォーム、ティグル‼︎ー

 

するとアブソーバーから赤髪で、矢筒と弓を携えた青年の魂が現れ、ロックは纏った!

 

ー精密、弓撃、魔弾の王‼︎ー

 

そうしていると、クリスが出鱈目な動きでレイアを撃ち抜こうとしていた!

そして終いにはその照準が、調の方に…!

 

ガキィン!

 

「‼︎」

 

『‼︎』

 

間一髪の所でまさかのロックが黒く塗られていた弓でその攻撃を防いだ。

クリスは思わず「ロック義兄⁉︎」と呼ぶが、その隙になんとロックはクリスの腹を蹴り、クリスを吹き飛ばした!

なんとか態勢を立て直そうと立ち上がったクリスは抗議しようとするが、そんなクリスの足元へ矢が放たれ、更には後ろ,左右に矢が放たれ、終いにはロックが地面に手を付けると其処から矢と矢の間から水が噴水してきたのだ!

 

"水陣四方"

 

「!如何いう事だよ!」

 

「そのまんまの意味だ。

 

 

 

 

 

クリス…お前は要らない」

 

「…え?」

 

なんとまさかのロックからの切り捨てに遭うクリス。

それを聞いていた調達も「それは言い過ぎ」と言うが、そんな事はロックには関係なかった。

寧ろ、クリスに欠けている事を指摘し出した。

 

「クリス。お前、大事な後輩の前で恥をかいたと思ってるだろ。

なら、なんでその後輩に銃口を向けた‼︎」

 

「‼︎」

 

「今のお前に、こいつらの先輩面をする資格なんか…無い‼︎

現に見てみろ!敵は一目散に撤退したぞ!

お前が滅茶苦茶な事をしてくれた所為で‼︎」

 

「!」

 

それを聞いたクリスは膝を地に付け、愕然としていた。

自分があんな態度をとったばかりに、ロックからは見限られ、後輩達に銃口を向け、更には追い打ちとばかりに敵はすぐに撤退してしまったと言う事実。

そんなクリスの精神はズタボロも同然だった。

 

一方、指摘した張本人であるロックは調と切歌、そしてその近くにいた陰陽兄弟の方に赴く。

 

「調。怪我は無かったか⁉︎」

 

「あ、いえ…大丈夫です」

 

「切歌は?」

 

「こっちもピンピンデス!」

 

「兄弟は⁉︎」

 

「心配するなよ!先輩!」

 

「ご心配には及びません故」

 

「そうか」

 

そう言うとロックは皆の前に立ち、この場を後にしようとしていた!

それに気付いたクリスが「待てよ!」と止めにかかり、ロックは立ち止まる。

だが、ロックはクリスに告げた。

 

「お前に背中を預けた俺が馬鹿だった」

 

「⁉︎」

 

「…お前はS.O.N.G.の方へさっさと立ち去れ。

この任が終わるまで、お前は戦う事を禁じる。

これは、小隊長の命令と同時に、義兄としての命令だ!」

 

「!…」

 

そう言うとロックは調達を連れ、この場から立ち去る。

その時には既に"水陣四方"が解除されており、クリスはそのまま絶望したかのような顔を見せていた。

 

その様子を見ていた皆はロックに反論する。

 

「今のはあんまりデス‼︎」

 

「クリス先輩は私達の為に」

 

「その後輩達に銃口を向けた奴を先輩としてまだ崇めるつもりか。

俺にとっては、そんな先輩面を持つ奴は嫌いなんでな」

 

そう言いながら冷酷な声で対処するロック。

しかし、それでも陰陽兄弟が反論をし続ける。

 

「だからって、あんな言い方は無いんじゃ無いのかよ!

同じ兄妹なのによ!」

 

「如何して其処まで突き放すんだよ⁉︎」

 

「…お前達には関係…無いとは言えんか。

前々から言っているが、俺とクリスは義兄妹だ。

彼奴は今の今まで俺以外の奴とコミュニケーションすらしなかった。

だからこそ、俺以外の奴を守ると言う事もしなかった。

その結果がコレだ!

こんなので、人々を守る存在に彼奴はならないんだよ」

 

そう言いながらロックは1人先に前を歩く。

その時、握っていた左拳から血が流れていた事に調達は気付き、そしてあの凄い威圧感の前に何も言わなかった。

 

そんな中、クリスは涙を流していた。

自分にとってかけがえの無い義兄からの宣告にただただそれに涙を流すばかりだった。




次回

英雄に必要な素質

『フュージョンドライブ』募集は8/31までので〆切らせて貰いました。
たくさんの応募ありがとうございました!
活かせる様に頑張ります!

次回も何卒、よろしくお願い致し申します!


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♪39 英雄に必要な素質

くっ…!
やはり…スランプにかかりやがったか…!
と言うよりも、下手をすればご都合展開になり兼ん…!
なんとかして、話を持って来させないと…!


その頃、キャロル達はあの場の床に穴を作り、その中へと入り、深部の方へと逃げ込んでいた。

 

その際にキャロルは自身の肉体であるホムンクルスの身体に不具合が発生し、意識が離れていた。

しかし、それもレイアの介抱によりなんとか保つ事が出来たようだ。

 

「…!俺は…落ちていたのか…」

 

「またしても拒絶反応です。撤退の途中で意識を、

高レベルフォニックゲイナーが複数と、

伝承に記されし存在《精魂導師》が複数いた事に逸るのは理解出来ますが…」

 

「杞憂だ」

 

そう言いながら、「それよりも」と言わんばかりにキャロルは一緒に撤退したかつて《フロンティア事変》を引き起こした元凶・ウェルと話し合う。

 

「知っているぞ、Dr.ウェル。《フロンティア事変》関係者の1人。

そんなお前が何故此処に?」

 

「我が身可哀さの連中と、あの闇を牛耳る男《キングorカイザー》が、フロンティア事変の事も、僕の活躍も、寄ってたかって無かった事にしてくれた!

人権も、存在も失った僕は、人ではなく「物」!

回収したネフィリムの一部として放り込まれていたのさ!」

 

「その左腕が…」

 

「イチイバルの砲撃も腕の力で受け止めたんじゃない。

接触する瞬間にネフィリムが喰らい、それを同化。

身体の一部として精神力を制御したまでの事!」

 

「面白い。よし、付いて来い。」

 

「だったら僕を争乱の只中へと案内してくれ」

 

「争乱の只中?」

 

「英雄が立つ所さ!」

 

…やはりこの男。まだ自分を「英雄視」している様だ。

そのような者が「英雄」になれると思う方が非常な事だ。

 

「英雄」とは常に、

「誰か」を守る為に、「己の命」を落としても構わない…

「愛する者」達を守れるのならば、「全て」を敵に回しても構わない…

「己」が「己」であり続ける限り、「罪」を背負おうと構わない…

 

そんな者達が「英雄」になれる。

なのに、ウェル(この男)は…「自分」さえ良ければ、後は如何でも良いとしか考えていない。

そんな者が「英雄」になろうと考えている…

そんな輩は、絶対に「英雄」とは誰からも言われない。

例え己が英雄と称しても、他者からはその行為は英雄とは呼ばないのである。

要するに何が言いたいのかというと…

 

「代償」払わぬ奴に、「英雄」と呼ばれる資格は無いという事である。

良い例であげると、憑友達《精魂導師》の側にいる『英雄』達が良い例だろう。

 

憑友のパートナー『英雄』…キリトの場合は、

生前に「支えあう仲間」を見殺しにし、「孤独」と言う名の生き地獄を得て、「英雄」へと昇華した。

 

ロックのパートナー…アーチャーことエミヤは、

「正義の味方」と言う概念に囚われたばかりに、

「愛する者達を含めた少数」を切り捨て、「大多数」を救う救済をさせられ、挙句の果てには「世界崩壊阻止の掃除屋」として、忌み嫌われ続けてきた結果、「英雄」の上位存在「英霊」と化した。

 

 

この様に、全てとは行かないが、

「英雄」になるには、それなりの「対価」を支払わなければ「ならない」いや、「なれない」のである。

 

しかし、この男…Dr.ウェルは如何だ?

この男には、それ相応の「対価」など、持ってはいない。

あるのはただ、左腕に生きる聖遺物《ネフィリム》の一部のみ。

 

今のウェルの話し相手で交渉者であるキャロルの目的には…必要性が無い…筈だった。

キャロルがウェルに向けて握手をする迄は。

 

 

キャロルはウェルのその左腕に用が有ったのかもしれないと言う事に。

ウェルの左腕《ネフィリム》は、全てを喰らい、そして同化する性質を持つ。

そこにキャロルは目を向けたのかもしれない。

もし、その性質を利用すれば、

此処に来た目的である《ヤントラ・サルヴァスパ》 の代替が出来ると言う事に。

 

「ネフィリムの左腕の詳細は追っ手を撒きつつ、聞かせて貰おう」

 

「脱出を急がなくても良いのか?」

 

「奴等の動きは把握済み。

時間稼ぎなど造作も無い」

 

そう言いながら、キャロルとウェル,そしてレイアの3人(内1体は人形)は歩いて行った。

 

 

その頃、ロック達の方では…

 

 

ーーーーーーSIDEto切歌

 

『だからと言って、彼処まで責め立てる事は無いだろ⁈』

 

「俺は彼奴の事を思ってやった事だ!」

 

『そのやり方が良く無いと言っているのが、未だに分からぬのか‼︎』

 

「あんな周りの事を気にしないで、撃って良いモンじゃねえ!

現に、此処が深海だと言う事を忘れて、ミサイルは展開するわ、相手の撹乱にまんまと嵌まって、仲間を傷付けようとしていたんだぞ‼︎

あんたはあんたで彼奴に対して甘すぎんだよ‼︎」

 

『そう言う君に関しては逆に辛すぎだ‼︎』

 

「人の事を…他人の関係事に首を突っ込んでおきながら、良い度胸じゃないか‼︎」

 

あわわ…⁉︎不味い事になったデス⁉︎

ロック先輩と、司令が完全に揉め事を…それもクリス先輩に関する揉め事で口喧嘩を始めてしまったデス⁉︎

なんとか止めないと…⁉︎

 

「切ちゃん」

 

?…如何したデスか、調?

 

「こればっかりは、私達は手も足も出せないよ」

 

…そう…デス。

 

「気を落とすなよ。

俺達になりにクリス先輩を元気付けようぜ?」

 

「」コクッ

 

ありがとうデス。光聖。闇呪。

 

『念の為に、隔壁やパージスイッチの確認の方をお願い』

 

そう言いながら、あおいさんからデータを貰ったんデスけど…

 

「こんなにいっぺんに憶えられ無いデスよ⁉︎」

 

「じゃあ、切ちゃん。憶えるのは切ちゃんと私と光聖と闇呪の4人で1/4(4分の1)ずつにしよう?」

 

「それ賛成!」

 

「ああ、そうだな」

 

調…光聖…闇呪…!

 

『セキリュティシステムに侵入者の痕跡を発見!』

 

「…急いで憶えて、行動に移すぞ」

 

そう言いながら、私達は急いで記憶して、その座標にまで行く事にしたんです…けど…

 

「…その前に、俺は行く場所が出来たから、少し別行動を取らせてくれ。すぐに帰ってくる」

 

そう言うと、ロック先輩は影になっている部分に手を触れると、その影の中に入って行ったデス!

おぉ〜…これがロック先輩の十八番"影這い"と言う奴ですか…!

 

でも…何処に?

 

ーーーーーーNO SIDE

 

その頃、ロックに突き放されたクリスは1人…

先程まで戦闘を繰り出していた場所の近くで、体育座りで、身体を丸まっていた。

 

「…(後輩達の前で屈辱を晒されただけじゃなく、その後輩にも銃口を向けて、果てにはロック義兄に見放されて…

私は…もう…)」

 

やはり先程の騒動に影響を受けていたのか、クリスは心も身体もネガティブになっていた。

 

 

「…やはりまだ此処にいたか」

 

するとそんなクリスの元に声を掛ける者在りけり。

それを見たクリスは顔を上げる。

そこに居たのは、自分達の身の回りの事を世話してくれた、

ロック義兄のパートナー『英雄』にして、白髪で黒い肌質の、赤い外套を羽織りし『弓兵の英霊』なる存在…

 

「!…アーチャー…」

 

【無限剣製の守護者 アーチャー】がクリスの前に現れた…




次回

〜義妹思う故〜


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♪40〜義妹を思う故〜

今回はクリスちゃんとアーチャー回。


クリスが哀しみに浸っている時、彼女と、その義兄・ロックの身を守っていた存在・アーチャーが現れた。

突然の出来事に驚くクリス。

だが、アーチャーはお構い無しに、「隣に座っても宜しいだろうか?お嬢さん?」と、なんとも紳士的且つフランクに接してきた。

するとそれを聞いたクリスは首だけを縦に振る。

了承を得たアーチャーはクリスの隣に座り込み、そして話しかけた。

 

「義兄妹喧嘩とはな」

 

「…」

 

「まぁ、そう考える事でもない。寧ろこれが普通さ」

 

「普通なもんかよ…」

 

「…彼奴が彼処まで冷たくした事にか?」

 

そう言いながらアーチャーはクリスに問いかける。

クリスはその問いに対しては何も言わず、ただ首を縦に振った。

何気にロックとクリス両名は、義兄妹喧嘩をする事は極めて稀なのである。

あったとしても、やれ味付けの配合が違うだの、やれ武器の扱いが雑だのと言った軽いものばかり。

だからクリスは驚いていたのだろう…

怒りを孕んだあの殺気を帯びた義兄の眼差しに。

 

そんな2人の様子をアーチャーはカードになっても、それを見届けていた。

2人にとってアーチャー=エミヤは、オカンであり、大切な戦友であるが、それよりも"育ての父親"である感じしかしなかった。

 

「今回ばかりは両方悪いに越した事は無いがな」

 

「なっ⁉︎」

 

するとアーチャーが「両成敗だ」とも取れる発言をした。

そのアーチャーに対して納得がいかないクリス。

しかしアーチャーはその理由を語る。

 

「先ず、クリス。君の場合は…

 

①目の前の敵に集中するあまり、味方の存在を厳かにしていた事。

 

②1人でもやれると思ってしまった事。

 

③周りの環境の場に全く気づかなかったが故に、下手をすれば仲間諸共施設を破壊しようとした事。

 

そんなので、罪を償い切れると思ったら大間違いだ!」

 

「っ‼︎」

 

「人は誰しも過ちを犯す。

その状態のクリスだと、いずれは自分の目の前の存在すら守れなくなってしまう。

下手をすれば、己が愛した存在すら、この手で殺めかねない。

私としてはそんな事クリスにはして欲しくは無いし、なって欲しくも無い。

私の二の舞だけはなんとしてでもな」

 

「アーチャー…」

 

そう言いながらクリスに叱咤するアーチャー。

彼にとっては今のクリスは何処となく自分の経緯と似ていたのだろう。

そしてその未来(さき)にある結末が安易に思い浮かべたのだろう。

それがアーチャーは嫌だったのだろう。

故に彼はクリスを叱咤したのだろう。

 

「次にロックの場合は…

 

①クリスに対しての忠告の仕方が駄目。

 

②相も変わらずの義兄気取り。

 

③あそこまで突き放す言動にまで行き着かなくても良かった事。

 

彼奴も彼奴でお前の事を大事にしている気持ちは分かるが、そのやり方がいかんな」

 

「…」

 

そう言いながらアーチャーは今回のロックに対して駄目だしを愚痴る。

何方かが悪いと言う事は意外にも少ないものなのだ。

 

例えば、いじめの光景を目の当たりした事にしよう。

 

この場合は必然的に、いじめっ子が悪いと解釈する者が大半だろう。

だからと言って、それを決定付ける事は辞めた方が良い。

いじめられっ子の方も、強者の考え方としては、

「いじめられた?そんなの、お前がただ弱いだけだ。肉体的にも、精神的にもな」と言われるのがオチだろう。

それにそれを見ていた第三者と言うケースも存在する。

その場合、第三者が助けてくれるのであれば何も問題無い。

だが、もし()()()()()()()()ばかりか、ただ()()()()()()だったら?

「なんで助けてくれないんだ?」「如何して助けなかった⁈」と罵られ…罪悪感しか生まないのである。

 

つまり、何が言いたいのかと言うと…

 

何方も悪いと言う事が大半なのである。

もう一度言おう…大半が両者共に悪いのである。

 

「だが、クリス。君を守りたいと言う想いだけは本物だ。それだけは分かってくれないだろうか?」

 

「それに対する理由が…私は欲しい」

 

そう言いながらアーチャーはロックの想いを口にするが、先程喧嘩したばかりのクリスにはそれをまだ受け止めきれないでいた。

それを聞いたアーチャーは「少し懐かしい話でもするとしよう」と言いながら話し始めた…

 

それはまだ2人が、当時現命していたフィーネと出会う前の話。

かつてまだアーチャーが現界し続け、2人の面倒をしていた事の間に起こった話を…

 

ーーーーーーSIDEtoアーチャー

〜回想〜

それはもう、色々と有ったさ。

だが、その肝心な話の内容を憶えていないと言うなんとも理不尽な記憶の所為で、未だにその話がなんだったのだ?と思う様な事ばかりだった。

だが、私がどんな存在なのか。如何してこんな事をしているのか。

等と言う私自身としては如何でも良い事だけが記憶に残っていたな。

あ、いや。生前の私…まだ私が衛宮士郎としての生を受けていた頃の記憶は鮮明に憶えて置いて損は無いか。

 

…さて、勝手に私事が出て来た様なので、話を戻すとしよう。

肝心な内容の記憶は憶えていない癖に、あの出来事だけは鮮明に憶えているな…昔も今この時も。

 

それはまだロックが《水魂導師》の力を手に入れて、漸く付け焼刃だが、形になった頃だな。

その時、私も同行していた。彼の剣術や弓術は私が教え込んだと言っても過言では無い。

だが、それはあくまで基本や基礎までの話。

後の応用は全て独学でと言う事だ。

 

そんなロックが休憩して、私がロックにお手製のスポーツドリンクを渡した時に彼は口を開いた。

 

『…まだまだだな』

 

『何がだ?』

 

『俺はまだこんな所で立ち止まる様な輩じゃないと言うことさ』

 

『…ほぅ』

 

そんな事を奴は言っていたな。

全く、この時から既にロックの心理状況等嫌でも分かってくる。

『パートナー英雄』に選ばれた『英雄/英霊』達は、選んでくれた《精魂導師》の心が分かると言うのだ。正直な話、これはこれでプライベートに関与するので、止めて欲しいと思ったくらいだからな。

考えても見てみろ。パートナーの心の声が嫌でも聞こえてくるんだぞ?

『千里眼』持ちである私でも、此処まで見通せる事など不可能だ。

 

 

だが、これがあるおかげで、この時のロックの心理状況は分かった。

口ではあんな事を言っていたけれど、心の声は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『(こんなんじゃ…クリスを守ってあげられない。

クリスを光ある場所へと届けてあげられない!)』

 

『!』

 

『(その為にも、俺は彼奴を守れるぐらいにまで成長しないとな!)』

 

あまりにも単純すぎる心の声。

だからなのだろう。そんなロックの事を何気にほっとけなかったのだろうな。

 

〜回想END〜

ーーーーーーNO SIDE

 

「ロック義兄が…」

 

「あぁ。何せあいつは君の義兄だ。彼奴も君の事を大事にしているのだろうな」

 

「…」

 

「…さて、如何やら動きがあった様だな」

 

そう言いながら立ち上がるアーチャー。

それを聞いたクリスは「何がだよ?」と言いながら立ち上がる。

するとアーチャーは「考えて見ろ」と言い返す。

それを聞いたクリスは考える。

第一ここに来たのは、キャロル達がこの施設に潜入したのが原因。

ならば…その原因が何かしたと言う事だ。

 

「キャロルのやろ〜か!」

 

そう言いながらクリスは右手と左拳を打ち付ける。

するとアーチャーから「取り敢えず、GPS等は切っておけ」と意味深な言葉を口にした。

なんでだよと言いながらも、クリスはアーチャーの言う通り、GPS搭載の機種を全て切っておいた。

 

「さて、私が案内するとしよう」

 

「道、分かるのかよ?」

 

「生憎私は『弓兵の英霊《アーチャー》』なのだよ。

ちまちまと姑息な手を使う為には、地形を活かす事も頭に入れておかねばならないからな」

 

そう言いながらニヤリとした顔をみせるアーチャー。

「(あ…なんかやらかすな)」とクリスが心の中で呟いていたのは言うまでも無いし、此処だけの話である。

 

そうしながら、2人はキャロルの場所まで移動する事にした。

 




次回

決戦〜勝利の鍵はコインに有り〜


作者、『ハッカドール』と言う名のアプリを取っているのだが…
その一件に、

「アプリ『戦姫絶唱シンフォギア』2017年配信開始!」
と言う見出しを見た…



なんだとっ⁉︎(弦十郎風)

幾らなんでもいきなり過ぎて、失神までしまいました…お恥ずかしい。
でも、やり込み要素あり有りなPVを見て、早くやりたいと思った。
ただそれだけです。

それではまた次回〜!


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♪41 決戦〜勝利の鍵はコインに有り〜

今回はロックの新しい『FUSION DRIVE』が登場です。



クリスとアーチャーが移動を開始した頃、ロック達もキャロル陣営の方へと追い打ちを仕掛けようと行動していた。

だが、その場にリーダーとしての任を就いてるロックの姿が何処にも見えなかった。

 

「全く何なんデスか⁉︎」

 

「切ちゃん、落ち着いて…」

 

そんな中、切歌はなぜか膨れっ面になりながら、キャロルの元へと移動していた。

そんな切歌を宥めるのは、やはりと言っても過言では無いぐらい切歌といつも一緒にいる調だった。

そんな2人の様子を後ろから追いかけている陰陽兄弟は揃って苦笑いをしながらもキャロル陣営の方へと向かっていた。

 

「しっかし、なんであんな事言ったんだろうな?」

 

そう光聖希が言いながら、先に起きた事を思い出す。

 

 

それは、キャロル達の情報をキャッチしたS.O.N.G.の証言で、一行はその場所へと行こうとした。

だが、その時、ロックは突然の発言をしたのだ。

 

『悪いが、俺はパスする』

 

『⁉︎』

 

まさかの棄権発言に、元F.I.S組の四人は驚愕する。

「如何してデスか⁉︎」「何でだよ⁈」と言いながら、切歌と光聖希が反論に出るが、ロックは「やるべき事が出来た」と言って、そのまま影に手を伸ばすとそのまま"影這い"を用いて、その場から立ち去ってしまったのだ。

それが先に起きた事態だった。

 

そんなロックの考えに2人は何も思い浮かばなかった。

 

「あの人…何処か頭一つ飛び抜けてる分、頭のネジの一つか二つ、抜けてるのかもしれないな」

 

「いや、それは無いんじゃねぇか?…たぶん」

 

そんな事を考えながらも、4人は急いでキャロル達の元へと向かって行く…!

だが、この時までキャロルの足元すら見えてはいなかった。

 

ーーーーーー

一方、此処はS.O.N.G.の移動潜水艦内の一角である作戦指令室。

そこでは、現在ロック達が赴いている『深淵の竜宮』内のマップが前面に映像として映し出されていながら、作戦を指揮していた。

だが、対象となっているキャロル達は切歌達の追っ手を振り払い続けると言う現状に遭っていた。

 

「くっ!」

 

思う様に作戦が行かない事に苦虫を噛んだ様な顔を見せる弦十郎。

そんな最中、突然指令室の出入口の扉が開いた!

それに気付いた者達は出入口の方に目を向けると、そこには切歌達と一緒にいる筈のロックが来ていた。

 

「ロック⁉︎なぜ此処に⁈」

 

弦十郎はそう告げる。

実はこの潜水艦がある場所は現在、クリスや切歌達のいる『深淵の竜宮』よりも遠い場所の海中に停泊しているのである。

たとえ泳いだとしても、息が続かない場所にあるのだから。

だが、ロックの身体を見渡すと水滴はおろか、服も水浸しになってはいなかった。

 

「"影這い"使えば、どうにでもなる。それよりも…」

 

そう言いながら、ロックはエルフナインに顔を向ける。

 

「エルフナイン。こっちを向いてくれないか?」

 

「はい?」

 

そう言いながらロックはエルフナインを振り向かせ、

そしてエルフナインの頭を撫でた。

…撫でた⁈

 

「⁉︎…はぅ〜〜…///」

 

「やっぱり君は可愛いな」

 

「!…えへへ…///」

 

そう言いながらエルフナインの頭を撫でながらロックは口説き始めた。

「(こんな時に何をしてるんだよ…)」…と、スタッフ一同はそう思っていた。

 

 

シュトンッ…

 

「…え?…」

 

エルフナインの首裏に手刀を放つまでは。

 

突然の出来事に驚愕する一同。それもその筈だ。

いきなり撫でたと思っていたら、いきなりの不意打ち。それはそれで嫌な行為としか思えないのである。

それを受けたエルフナインはそのままロックに身を寄せるかの様にすぅ…と、倒れ込んだ。

 

「ちょっと、ロック君!幾ら何でもやりすぎよ!」

 

友里がロックに対して怒りを孕んだ声で言いかかる。

だが、ロックは「少し黙ってろ」と一蹴する。

すると大きく深呼吸し、そして目を開く。

 

「いい加減、出てきたら如何だ?

 

…キャロル・マールス・ディーンハイム」

 

『…ほう?…いつ見破った?』

 

『⁉︎』

 

ロックの言った台詞に呼応するかの様に、気絶されたエルフナインの身体からキャロルがホログラムとしてこの場に現れたのだ!

それを見た一同は驚愕した。

 

『俺が何時、毒を仕込んだと思っていたのか…』

 

「最初からだ」

 

『何?』

 

「俺は端からエルフナインの事を仲間だとは思ってはいなかったさ。故にこうして不意をかける事に成功したまでの事。

最も、お前もエルフナインと同じホムンクルスなら、一方的な感覚支配など…お前の口から言う台詞から言わせるならば…

 

造作もない。だろ?」

 

『…ふっ。そこまで気付いていながら、敢えて泳がせていたと言う事か?』

 

「残念ながら、それに非ず。

エルフナインの事は仲間だとは思っていない。これだけは誰に対しても譲るつもりも無い」

 

そのエルフナインに対しての辛口コメントに友里が

 

「!ロック君!」と反論を述べようとするが、

 

「いいから黙ってろ!婚期逃し!」

と逆に言い返され、友里は更に違う意味で堪忍袋の緒が切れた。

それを見ていた男3人は流石に血の気が真っ青に引いたとかなんとか。

…うん。流石の作者もあれは禁句だと思っていたのだが。

取り敢えずロック君…南無三。

そうしているとロックは「だがな」と付け加えながら、話を続けた。

そしてその言葉で皆は目を見開いた。

 

「俺はエルフナインの事を…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大事な『家族』として受け止めている」

 

『⁉︎』

 

 

『仲間』では無く、『家族』。

そうロックは口にしたのだ。

今の今までロックは『仲間』としてエルフナインを見てきたのでは無い。

1人の存在として…『家族』として、見守って来ていたのだ!

 

『…ふん。廃棄処分を家族扱いとはな』

 

「黙ってろ。

その内、お前の脳…矢で射抜かれるのがオチか、

その肉体が太陽の拳によって導かれるのがオチだと忠告しておくぞ」

 

『お前の忠告は無駄になるだろうがな』

 

そう言いながらキャロルのホログラムは消えた。

そしてそれと同時にエルフナインが気絶から目が覚めた。

エルフナインを気絶させたロックは「痛かっただろ。ごめんな」とエルフナインに謝っていた。

それを見た友里は先程のロックの禁句を言おうとしたのだが、こんな状況で言う事も無いと思い、今の所は保留にした。

そう…()()()()だ。

取り敢えず、今回の案件が終わればロックがどんな結末になる事など安易に想像出来てしまっていた。

そして不幸なのか、ロックは未だにその結末に気付いていなかったのは言うまでも無い。

 

そうしていると、ロックは友里に「エルフナインをお願いします」と言って、気絶から回復したばかりのエルフナインを預けるなり、影に手を触れようとしたが…「待て」と弦十郎の声に反応して、動きを止める。

 

「クリス君とは如何するつもりだ?」

 

「その答えなら、彼奴がもう実行していますよ」

 

そう言い残すなり、ロックは"影這い"で『深淵の竜宮』の方へと戻っていった。

その証拠に、竜宮内のマップに点滅している座標の端に赤い点が浮かんでいた。

 

ーーーーーー

 

それと同時刻、キャロルは会話を切ると、

 

「見つけたデス‼︎」

 

と切歌の声が聞こえた。如何やら追いついた様だ。

 

「くっ!此処まで周到とは…」

 

そう考えながら、後ずさるキャロル陣営。

だが、レイアが切歌達のいる方角とは反対の方に向けるなり、いきなりコインを撃ち放った!

 

するとコインが撃ち放った先からその数と同等の()が相殺させた!

何事かと思いながら、キャロルは後ろを振り向くと、其処には赤い外套を羽織ったクリスと、

白髪で黒肌、黒のスキンスーツを着た男が黒塗りの弓を用いて、弓を構えていた。

 

「ほぅ?私の矢を簡単に相殺するとは…」

 

「お前は派手なのが苦手な様だな?」

 

「…ふっ。生憎私は弓兵(アーチャー)だ。

遠い所からちまちまとした攻撃を与える事だけが、唯一の得意分野と言うものさ」

 

そう言いながら不敵な笑みを零すアーチャー。

 

()()()()()()()()()()

 

「丸聞こえだぞ、クリス」

 

「んな⁉︎」

 

そんなアーチャーに対して愚痴を零すクリス。

だが、アーチャーは全部聞こえていた様で、指摘されてしまった。

いやぁ〜恐るべし、地獄耳。誰に似たのやら。

 

「【あかいあくま】よりはマシだと思うがね?」

 

「誰に言ってんだ?」

 

「ナレーションにだが?」

 

『アーチャーが…まさかのメタ発言⁉︎だと(デス)⁈』

 

うわぁ〜…メタい〜…。

そして何気に聞こえちゃってる!

そして何気に空気が混沌(カオス)化してる⁈

 

「なんなのだ…この混沌とした空気は…」

 

「マスター、気を確かに」

 

そんなシンフォギア勢の場違いにも程がある空気に、キャロルは呆れ、そんな中でもレイアはキャロルの為に忠義を尽くしていた。

のだが…

 

「例え、どんな事が起きようと、僕は英雄になるんだーー!」

 

「余計に場の空気を混沌に変えるな‼︎」

 

しかし、そんな場違いの空気に煽られたのか、はたまた元々なのだろうか…ウェルまでこの誘いに乗る始末。

終いにはキャロルがツッコミすると言うあまりにもシリアスとは全くかけ離れた空気へと変わろうとしていると、ウェルの足元に矢が刺さった。

それに気付いたウェルは退こうとするが…

 

「う、動け…無い⁉︎」

 

なんとまるで矢が自分の影を射止めたかの様に、その身が全く動かす事が出来なかった。

それもその筈…その矢を飛ばした相手はクリス達よりももっと奥にいて、其処からクリス達の横を過ぎて、ウェルの足元の影を狙ったのだから。

その相手は…

 

「カオスと化す奴が何処にいるかよ…普通は」

 

そう言いながら歩みよる者…

それを見たクリス達は見開きながらその者の名を言った。

『ロックさん(義兄)‼︎』と。

 

「此処まで距離が有ったと言うのに、まさか瞬時に来るとはな?」

 

「伊達にこちとら、忍の輩から忍術教わって貰ってるんじゃ無いんでね」

 

そう言いながらロックはアーチャーに視線を向けて、頷く。

それに気付いたアーチャーも己の身体から光の粒子を散らしながら、そしてカードになるや、そのままロックの手に収められた。

 

「遠距離による矢の急襲…見せてやるよ」

 

そう言うとロックは懐ろから《フュージョンアブソーバー》を取り出し、そのまま既に装着していたアブソーバーにドッキングすると、そのままアーチャーのカードをアブソーバー本体に装填し、

そしてフュージョンアブソーバーの方には黒い弓を構えた紅髪で、緑の衣を着た青年の姿が描かれたカードを取り出して装填し、そして蓋をするかの様にセットするとそのままレバーを手の甲に向けて引き、そして十字の構えを取った!

 

ーソウル!フォーム、アーチャー!&ティグル!ー

 

するとロックの両隣にアーチャーとティグルと呼ばれた青年の魂が現れた!

 

「"人智を超えた弓捌き…見せてやる!"」

 

そう言うとそのまま左腕を掲げる!

すると2人の魂がロックへと纏った!

 

ー『FUSION DRIVE』!

 

アンリミテッド・リュミエール!ー

 

そして姿を現したのは、アーチャーが着込んでいた外套と同じだが、色彩が緑に変色した外套を羽織り、

赤と白の髪が交互になっている髪質、

そして何よりも刺々しくも、艶やかな黒塗りの弓を所持していた。

だが、肝心の矢筒が無かった。

 

「矢が無ければ、弓の価値は無いぞ?」

 

「生憎こちらには贋作者(フェイカー)がいるのでな」

 

レイアからの指摘を受けたロック。だが、そんな事はお構いなく話していると、右手をぶら下げながら詠唱した。

 

体は剣で出来ている(I am the bone of my sword.)

 

そう呟くと、右手には剣が投影され、それが徐々に捻れ捻りまくり、終いには剣の面影すら残さず、寧ろ一本の矢と言う認識に近い形へと変貌した…!

そしてロックはその矢へと変貌した剣を弓に番え、そして放った!

 

「"流星螺旋(ラーシュ・ボルク)"」

 

そう言いながら弓から矢となりし剣が射抜かれた!

それを見たレイアはすかさずその矢に向けてコインをマシンガンの様に射出する…が、その速さは衰える所か、更にスピードを上げていた!

その速さはまるで流星の様に…!

 

「っ!」

 

レイアも負けじとコインを連続射出し、そして4桁から5桁になろうとしていたコインの数で漸く相殺した。

だが、それが仇になった。

 

「良い収穫だ」

 

「…何?」

 

そうロックが言いながらレイアとの間にあるコインを見やる。

するとレイアは驚愕した。

自分が使用したコインが…動き出したのだ。

…ロックの方に。

 

「何をする気だ?」

 

「これだけのコインだ。コイントスをするには持って来いでは無いと思わないか?」

 

そう意味深な言葉をレイアに向けて言い放つロック。

するとロックは足元に近づいたレイアのコインを1枚拾い上げ、そしてそのまま宙に向けてコイントスをした。

そのままコインが高く上がっていくのを面々は見る。

だが、レイアは違った。

レイアはロックの方に目を集中していた。

何故ならその瞬間に、ロックはフュージョンアブソーバーを解除し、すかさずカードケースから2枚のカードを取り出して、そのままそれぞれのアブソーバーに装填させて、レバーを引き、十字に構えた!

 

ーソウル!フォーム、美琴!&アイゼン!ー

 

するとロックの両隣に黄髪で長身の黒服に身を纏った男と、

茶髪で、少し小麦肌の女子中学生の魂が現れた!

 

「"死神が起こす電撃のコイントス…受けてみろ!"」

 

そしてそのまま左腕を天に掲げた。それと同時に高く上がっていたコインが手の平に収まった!

 

そしてそれと同時にロックの姿は変化した。

そこには、黒服姿で、少し小麦肌の体質に変わったロックがいた。

 

ー『FUSION DRIVE』!

レールガン・ウエクスプ!ー

 

「さぁ…死神の呪いが付いた電撃を受ける覚悟は出来たか?」

 

そう言いながらコインを握りしめるロック。

 

彼が纏った英雄は其々…

 

【学園都市3位 御坂美琴】と、

【『死神』の海賊 アイゼン】のカードを使用した。

 

2人の共通点は…意外にも『コイン』だった。

 

美琴は、己の技を使用する際、必ず『コイントス』をしないと発動する事が出来ない。

アイゼンは日常時でも『コイントス』を使用する事もある。

だが、常に裏側の面しか出てこないと言うある意味呪い同然の性質を持っている。

 

そんな2人がコインを使う事にロックは閃いたのだ。

 

レイアは主に、コインを使った攻撃が得意だ。それも、コインをマシンガンの様に撃ってくる。

なら、もしその弾丸(コイン)をこっちの物にしたら如何なるのかと考えて、やってみようと画策したのが今の現状に至るのである。

 

「これだけあれば充分だな」

 

そう言いながらロックは地面に落ちてるコインを掴むなり、握りしめた。

するとロックの身体から電気が迸った!

更には足に砂鉄らしき物体がロックの足に付着し始めた!

 

そしてコインを親指の上にセットした。

 

「派手に行くぞ…!」

 

そう言いながらコイントスをした…時にレイアはすぐにロックの腕を見た瞬間に回避した。

すると1番の奥の壁が一瞬で黒焦げになってしまった!

それを見た一同は驚愕した。それもその筈だ。

先程ロックがやったのは、美琴の能力を用いた技"超電磁砲(レールガン)"を発動したのだから。

 

「っ!」

 

それに気付いたレイアはコインを連続で撃ち放つ。

だが、1発1発が重くのしかかっているかの様に感じていた。

そんな時、キャロルは何かに気付いたのか、レイアに向かって「それ以上撃つな!」と言われ、レイアは驚きながらもすぐに相殺から回避へと移行しながら回避を繰り返す。

それに気付かされたロックは舌打ちした。

 

「チッ…気付くのが速すぎ何だよ…」

 

「お前がレイアのコインが存在すれば、その分、コイントスがし放題だからな。

先のレールガンが無限に放たれるのと同じな様に」

 

「!どう言う事だよ⁉︎」

 

そう言うとキャロルはロックのからくりの正体を語り始めた。

 

「レイアのコインをこいつは集めていた。それは…

こいつが纏っている『英雄』が技を放つ際に必要な弾丸の火薬入れ…要は薬灸が必要だっただけという事だけだ。

レールガンから放たれる雷のエネルギーが弾丸の弾そのものだとすれば、コインはその弾丸を撃ち放つ為に必要な薬灸と言う訳だ」

 

「お見事。何もかもな。

だからこそ、此処には無数の薬灸が備わってるんだよ」

 

そう言うと両手をコイントスの様に構えて、コイントスを交互にし始めた!

するとそこから多数の雷の弾丸の雨が降り注ぎはじめたのだ!

 

それを捌こうと奮起しようとするレイアだが、逆にコインで相殺すれば相手の思う壺だと言う事は既に承知済みなので、コインを束ねてトンファーの形に変えて、攻撃を捌き始めるのだが、それが仇になってしまった。現に…

 

「っ⁉︎」

 

「生憎、格闘戦も得意なスタイルなんだよ!」

 

ロックに懐を入られ、アッパーを食らったのだから。

 

ーーーーーーSIDEtoロック

さて、此処までやってた内に、クリスはちゃんと調達に謝っていたから、此処からが本番だな。

だけど、彼奴…キャロルがさっき何か言っていたな。

確か…「代替の物は既に手に入れた」だったか?

代替品なんてあったか?

そんな物は何処にも存在しない筈…ん?待てよ?

確か…キャロルの奴、ウェルを見つけた後にそう言ったよな?

ヤントラ・サルヴァスパが無くなっても、代替品で賄う…

 

…まさか…!

そう思った俺は内心青ざめていた。

何故なら、ウェルがその代替品なのではと考えてしまったから。

 

ありとあらゆる聖遺物を喰らう聖遺物『ネフィリム』の力は、その力を模造する事も造作も無い。

なら、ヤントラ・サルヴァスパを喰わせれば…

ヤントラ・サルヴァスパの代替など簡単に出来上がる!

 

こうしてはいられない!

そう思った俺はすかさずドライブボタンを叩いた!

 

「悪いが、遊びは此処までだ!」

 

『ソウル・レールガン・ウエクスプ!フルドライブ!』

 

そうすると俺はすかさずコイントスをした。

そしてすかさずレイアの身体に電撃を帯びた拳を殴り続ける!

そして最後に零距離からのレールガンをぶっ放す!

 

「"電撃を帯びた死神の拳を食らえ!"

ウェイスレス・ボルテック!」

 

「ぐっ!」

 

流石に相手が機械人形な影響か、こっちの身体にまで響いてくる。

しかも、憑友や立花以下に拳を使った攻撃はしない派だからな。

だが俺にとってはこれは時間稼ぎだと思っている。

何故なら、もう既にクリス達が準備してくれたからな!

 

「これでも喰らええええ!」

 

そう言いながら、クリスが既にイグナイトモジュールを抜剣、ミサイルに乗っかりながらレイアに向かって特攻を仕掛けた!

 

ドガァァン‼︎

 

やったか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「随分と派手に暴れてるな?」

 

 

え?

ーーーーーーNO SIDE

 

突然聞こえた声。その声を前に一同は辺りを見渡す。

だが…今だにミサイルの上に乗っかっているクリスは目の前の存在に驚き、何も言えない状態になっていた。

するとそのまま何かの攻撃を受け、大きく吹き飛ばされてしまう。

それに気付いた一同はクリスの方へと寄りかかる。

そして煙が晴れるとそこには、ミサイルを指一本で受け止めている者がいた。

 

「‼︎お前は…まさか…‼︎」

 

それは…ロックとクリスにとってはまさに厄介な相手であり…

憑友の親友である…【暴君番長】の名を持つ男…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「此処からは、俺も混ぜろや…あん?」

 

 

《地魂導師》ボーン=浅岡逝都がそこにいた。




『レールガン・ウエクスプ』
【学園都市第3位 御坂美琴】と、【『死神』の海賊 アイゼン】の力を宿した『FUSION DRIVE』。
コイントスをする事で、拳に雷のエネルギーを纏わせ、そして殴りかかるインファイタータイプ。
必殺技はコイントスをすると同時に目の前の敵単体に雷を纏わせた拳を殴り、そして最後に投げたコインを掴むとと同時にまたコイントスしてレールガンをぶっ放す『ウェイスレス・ボルテック』

次回

大地の王者

地魂導師…逝都、本気を見せる…!


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♪42 大地の王者

お待たせしました。最新話です。



『王者』

 

それは、人々の上に立つ責任と、それを実行に活かせるカリスマを秘め、民衆の心を動かす者が居れば。

我が物顔で全てを蹂躙し、この世全てを独占する傲慢な者が居る。

 

『騎士達の王者』や『動物の王者達』はどちらかと言えば前者が適当である。

対して『征服の王者』や『独裁者』は何方かと言えば後者に当てはまるだろう。

 

では、この男…浅岡逝都は何方に入るのだろうか?

 

…答えは両方…入らない。

いや、正確には…半分()()入っていると言った方が適切である。

 

人の上に立つ責任、そして他者を引っ張るカリスマで悪者たちを改心させて舎弟にすれば、地の付く所は我が領土だと常に口言し、そして庭の様にウロウロする…

浅岡逝都とはそんな人物なのである。

 

 

…さて、何故いきなり浅岡逝都の事を紹介したのかと言うと…

 

 

 

 

ロック達S.O.N.G.陣営とキャロル陣営の間に逝都が割って入って来たのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…真下から。

 

「なっ⁉︎」

 

誰が言ったか…突然の乱入者が地面の真下から割って入って来た事に驚愕する両者。

対して乱入者…浅岡逝都は首を動かしながら、指をポキポキと音を出し始める。

 

「あ〜あー…疲れた。

地上から此処まで来るのに地下を使って来たから、結構きつかったなぁ…ったく…」

 

そう言いながら軽いストレッチを終える逝都こと《地魂導師》ボーン。

そんな中、逝都が言った言葉に一同は驚愕していた。

 

『地上から此処までやって来た』と言う事実に。

 

…因みに此処は()()()()()()『深淵の竜宮』。

此処の施設の周りは全て海水だ。

そんな海水周りの施設から此処の内部に侵入していたのだから。

どうやってこの全面海水に覆われている場所からどうやって穴を掘って此処まで来たのか不思議でならなかった。

だが、そんな疑問を払拭する事態が起きた。いや、出来たと言えば良いのだろうか…

 

 

ドゴォン!

 

「ヴォォォォォオオオオオ‼︎」

 

逝都が現れた穴から巨大なモンスターが現れたから。

それを見た一同は驚愕する。

 

全身が青く、リーゼントのような頭とボクサーグローブのような腕には何やら黄緑色の付着物を付けたモンスターが現れたのだから。

 

「こいつの名はブラキディオス。

その頭と腕に付いてる粘菌と共生するモンスターで、

その粘菌はいわばジェル型のダイナマイト。

その破壊力で全てを粉砕する事から【砕竜】と呼ばれている獣竜種の一体だ」

 

そう簡略しながら説明する逝都。

つまりは、逝都はこのモンスターの力を借りて此処までやって来たと言う事になるのだ。

 

「改めて名乗らせて貰いますかね…」

 

そう言いながら逝都は構えた。

 

「"揺らぎしは『地』の魂!"《地魂導師》ボーン!

大地の王者、此処に見参‼︎

さぁ…先ずは誰から俺と1対1(タイマン)を張るんだ?」

 

そう言いながら右脚を前に出す逝都。

憑友と同じ武器を持たない…己の身体で勝負する格闘タイプのボーン。

切歌達1年組はその迫力だけで窒息死しかねない程の精神ダメージを食らっていた。

そんな中、クリスが前に出た!

 

「へぇ〜?まさか先輩が相手とはね」

 

「んな事は今は関係ねぇ!なんでおめぇは私達に楯突くんだよ‼︎」

 

そう言いながらクリスはクロスボウをガトリングに変えて連射する。

だが、その2人の間に先程紹介したばかりのモンスター・ブラキディオスが前に立ちはだかり、そして逝都を守ったのだ!

 

「んな⁉︎」

 

その圧倒的な堅牢力にクリスの弾丸が傷1つ付かせなかった!

すると逝都はブラキディオスの身体に触れてそして撫でた。

 

「此奴は元々は火山地帯に生息する習性を持っていて、

生半可な甲殻だとマグマに溶けて最後は死滅するのがオチなんですよ。

だから、普段から強固な甲殻や鱗を纏ってるんですよ!」

 

そう言うと逝都は左腕に備え付けられているアブソーバーに手を翳した!

 

ー『MONSTER DRIVE』!ー

 

すると逝都を庇っていたブラキディオスの身体が粒子に変換され、そのまま逝都の身体に纏わりつき始めた。

 

「うぉぉぉおおおおおお‼︎」

 

すると逝都の身体が変化した。

そこにはブラキディオスと名乗ったモンスターと姿が似てる逝都がそこにいた。

 

「さて…ボコらせて頂くとしようかね‼︎」

 

そう言うのと同時に一気にクリスの方へと詰め寄る逝都!

その速さは、巨漢の割に素早かった!

それを見たクリスはガトリングで連発しながら後退るのだが、それを逝都は黙って受けようとは思ってはいなかった。

 

「オラァ!」

 

そう言いながら左腕でガトリングの弾丸を正確に殴った…刹那。

 

ドガァン!

 

「な⁉︎」

 

『⁈』

 

なんと殴った弾が爆発したのだ!

それを見ていた一同は驚きを隠せなかった。

 

だが、逝都は余裕そうな態度を見せていた。

 

ブラキディオスの腕と頭頂部には粘菌と呼ばれる特殊な菌が付着しており、実はその菌と共生しているのだ。

その菌は衝撃を与える事で地面に付着、そして数秒後にはその範囲内と共に爆発を起こし、そしてその菌の種を撒き散らす性質を持ち合わせている。

ブラキディオスはその菌を自分の身を脅かす敵…所謂強者を相手にする為の道具にすぎないのであるが、それでもこの粘菌は先に述べた文の為にブラキディオスに力を貸し与えているのだ。

そう言った相互理解がある事でこの様な生態を維持しているのだ。

 

さて、話が逸れてしまったので戻すのと同時に要点だけを言うと…

 

『粘菌による爆発力を活かした事で、クリスの弾丸が爆発した』と言う事である。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラァァ‼︎」

 

すると逝都はクリスの弾丸を自分が必ず被弾する弾だけに向けてパンチしていく!

それと同時に、弾丸が爆発していく…!

 

それを見たクリスは苦虫を噛みながら一旦後退する…が!

 

「おうらぁよ!」

 

そう言いながら逝都はなんとリーゼントヘアの先を地面につけるなり、そのまま振り上げた!

するとクリスに向かって地走り火炎が発生!

クリスが着地と同時に襲い掛かり、クリスはそのまま高く吹き飛ばされ、そして地面へと受け身が取れない形で落とされた。

 

「クリス‼︎「次はてめぇだよ!」なっ…うわぁ⁉︎」

 

そんなクリスを心配していたロックだが、その隙を逝都に狙われ、渾身のアッパーをくらってしまい、クリスと同様に地面に落下した。

しかし、肝心の逝都はまだやる気に満ちていた。

その証拠に「次はどいつだ?」と完全に弄んでいるのが窺えていた。

 

それを聞いた調達は攻撃しようとするが、足が何者かに掴まれてる感覚に陥ったので、振り返るとそこには既に息を荒くしたクリスとロックの2人がいた。

 

「待って…くれ…!」

 

「後輩の手を…煩わせたくねぇんだよ…此奴にだけは!」

 

そう言いながら立ち上がる2人。

そんな2人を見たのか、逝都は突然拍手を送っていた。

それに気付いた皆は逝都の方を見やる。

 

「良いねぇ〜、青春だね〜…

だけど、そんな青春…俺はいらねぇんだよ!」

 

そう言うと逝都は両腕と両脚の手首に備えていたリストバンドの様な物を取り外し、そして地面へと…

「ゴトンッ!」と言う音を出しながら、地面にめり込んだ。

 

「この俺様がなんで、【暴君番長】と呼ばれているのか…知ってるか?」

 

そんな唐突な発言に、一同は首を横に振る。

それを見た逝都は「じゃあ、教えてやろう…」と言いながら説明する。

 

「俺が【暴君番長】と呼ばれる由縁。それは…」

 

そう言うと息を吸い込み、そして息み始めた!

すると…ボォフッ!と言う音が響くと同時に、逝都の身体の一部が常人から、マッチョ以上の怪力者へと変貌し始めたのだ!

そして終いには、ゴリラすらも顔負け青ざめな筋骨隆々な肉の塊を顕現した逝都が現れたのだった。

 

「この筋肉そのものが【暴君番長】と言わしめる由縁だ」

 

そう言いながら、息みを止めた逝都は先程の荒々しい口調から一気に冷徹さが見える口調へと変わっていた。

 

「さぁ…始めるぞ」

 

そう言うとなんといきなり逝都が視界から消えてしまったのだ!

突然の出来事に驚く一同。

するとロックがいきなり壁へと身体ごとめり込まれてしまっていた!

 

そして気付くとそこには既に逝都がアイアンクローの形で、ロックの頭を今にでもリンゴの様に粉々にしようとしていた!

それだけはさせるかと、クリスが弾丸を放つ!

そして身体に命中した…だが、そのあまりの肉体の堅さに弾丸が貫通、内部に入り込まないどころか、鋼の肉体みたいにまるで装甲をしているのではないかと錯覚に陥る程、クリスの弾丸は何1つ意味を成してなどいなかったのだ!

 

「俺は巨漢で素早い。あのリストバンドは言わばセーフティベルトと同じ原理でなっている代物。

馬燈も常に身につけているが、俺は本当の姿を隠したり、力を抑制する為の物だ。

だが、俺をこの姿で出させたのは本当に素晴らしい事だ。

だから、此処であんたらのその禍々しい闇の結晶…『イグナイト』を破壊する!」

 

そう言うといきなりクリスに向かってアイアンクローをかましてくる逝都。

 

それに対してクリスはモジュールを守ろうとクロスボウをXのように交差させて防御の構えをした。が!

 

 

バキィッ‼︎

 

「⁉︎」

 

なんと逝都のアイアンクローでなんとクロスボウが使い物にならなくなってしまったのだ!

その握力は測り知れない物だった!

 

「さぁ…俺の本気…見せてやるよ…!」

 

地の叫びを宿りし王者の咆哮が、今まさに鳴り響こうとしていた。




次回

暴君番長


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♪43 暴君番長

完全にスランプだ…トホホのホ…。
最近、『鬼武者』にハマり中の作者です。
今回はまさかの逝都無双回。
そして最後に出てくる物…分かる人は…居ない方が逆に驚きだな。


逝都の肉体は一言で言うならばもはや『怪物』そのもの。

あの特撮系に出た大猿『キングコング』と同格の肉体を有しているぐらいなのだ。

そんな逝都の筋肉を使用したアイアンクローは、リンゴは勿論、スイカやダチョウの卵などをいとも容易く粉砕する程の力を有している。

それに言い忘れていたが、彼は憑友と響の師匠にして、S.O.N.G.の司令である風鳴弦十郎の元で修行をした事がある。

故にその筋骨隆々な肉体に、弦十郎直伝の中国拳法もとい人外拳法を会得した逝都はもはや怪物以上の存在だった。

 

そうするとクリスを吹き飛ばした逝都は左腕にロック達《精魂導師》が変身する際に使用するアイテム…「アブソーバー」を背中腰から取り出して、左腕に装着した!

 

「行くぜ、ボーン!」

 

『了解です。マイスター』

 

すると逝都は右腰に備え付けられたカードケースからカードを取り出した!

そこには赤いハチマキと、白い胴着を着た男が腕をクロスした様な構えを見せていた。

 

「"ストリートファイト"の…始まりだ!」

 

そう言うと逝都はそのカードをアブソーバーに装填し、レバーを引いた!

 

ーボーン!フォーム、リュウ!『LEGEND』‼︎ー

 

すると逝都のアブソーバーから筋骨隆々な男の魂が現れ、逝都はその筋肉ムキムキな肉体に宿らせた!

 

ー波動・旋風・昇竜拳‼︎ー

 

そして現れたのは、筋肉ムキムキな肉体に白い胴着と腰に黒い帯を巻きつけ、頭には赤いハチマキ、そして手には赤いハンドグローブを身につけた逝都が現れた。

逝都が変身したのは、格闘ゲーム(通称「格ゲー」)界に置いて、知らない者は居ないと言われた『伝説の格闘家』…

 

【真の格闘家 リュウ】

 

その力を逝都はその身に宿らせたのだ!

 

そうすると逝都は拳を打ち付け、そして身構える。

するといきなりスライディングを仕掛けて来た!

だが、その攻撃には2人は軽く回避する…が!

逝都はその反動を利用して、一気に距離を詰め直し、そして着地と同時に、片脚を垂直にして、回転しながらクリスに攻撃をした!

 

「"竜巻旋風脚"!」

 

「がはぁ⁉︎」

 

「クリス!」

 

その攻撃を食らったクリスは地面に倒れ込まされ、ロックが心配していると、逝都が両手を花の様な構えにして後方に向ける。

すると両手に青い何かが形成され始めた!

 

「⁉︎」

 

「"波動拳"‼︎」

 

すると両手をロックに向け、その両手の中で形成された青い球を放った!

そのスピードに流石のロックも躱す暇すら与えてくれず、まともに食らってしまった。

 

その攻撃をくらったロックはよろめいてしまう。

逝都はその隙を見逃さなかった。現に、ロックの懐に入っていた。

 

「代名詞!"昇竜拳"‼︎」

 

「がはぁぁぁ⁉︎」

 

するとそのまま身体全体を使ったアッパーを繰り出し、ロックはそのまま天井にぶつかり、そして地面に勢いよく落下した。

 

"昇竜拳"

 

それは、逝都が纏っている『英雄』リュウの代名詞にして、「格ゲー」の世界において、知らぬ者は居ないと言われる技。

それは正に「天下の宝刀」と言うべきものであった。

 

そうこうしていると、逝都はまた違うカードを取り出した。

それを見た調は「!それは…!」と言いながら驚いた。

何故なら、逝都が手にしているカード。それは…

 

「【グルメ四天王 トリコ】。

こいつの力を試させて貰うぜ!」

 

そう言いながら、逝都はアブソーバーに入れていたリュウのカードを取り出すと、今度はその【トリコ】と呼ばれたカードを装填し、レバーを引いた!

 

ーボーン!フォーム、トリコ!『『J』STAR's』‼︎ー

 

するとアブソーバーから、青髪で左目の下には爪痕が3本、

オレンジのベストを着た巨漢の男の魂が現れ、それを逝都は纏った!

 

ーナイフとフォークで、イタダキマス‼︎ー

 

そして変身した逝都は右手を手刀の様にし、左手は親指を手の内に納めて、残りの4本の指は等間隔にし、そして両手を擦り合わせた…その時だった!

 

キィンッ!キィィィンッ‼︎

 

『⁉︎』

 

何処からともなく金属音が聞こえたのだ。

それは何回も鳴り響く…逝都が腕を擦りつけている限り…。

 

「食材らしき物が無いのは仕方ないが、発動する際は必要だからな…」

 

そう言いながら、逝都は擦り合わせた手を合わせ、そしてこう言い放った。

 

 

「"この世の食材に感謝を込めて…頂きます‼︎"」

 

そう言うと逝都は右手を手刀にし、大きく掲げた。

 

「行くぜ!

"フライングナイフ"‼︎」

 

そう言うと振り上げた右手を大きく振り下ろす。

するとその右手の先から無数の刃…いや、形は全てあの銀食器とも言われる物体『ナイフ』の形をした闘気が調達に襲い掛かってきた!

調はすぐにツインテール型のアームドギアから小型鋸を射出する"α式 百輪廻"で相殺していく。だが、

 

「からの〜…"フライングフォーク"‼︎」

 

その隙に逝都が左手を一気に前方に大きく伸ばした。

と今度は咲が鋭い闘気が4本、水平にしながら襲いかかる!

それに気付いた闇呪怨は、"闇ヘノ霧斬り舞"と言う技を用いて、闇の霧を噴出させて、その攻撃を仲間達に被弾させる事なく回避していく!

 

「なら、コレは如何だ‼︎」

 

そう言いながら逝都は瞬時に懐に入った…切歌の懐に。

 

「!切ちゃん!」

 

「⁉︎」

 

「"釘パンチ"‼︎」

 

そう言うと同時に、切歌はそのパンチを腹にダイレクトに決められ、後ろによろめく。

だが、それだけでは終わらない。

 

「⁉︎…がっ⁉︎…がはっ⁉︎」

 

突然、切歌が腹を抑えながら悶え苦しみ始めた。

先程放った逝都の技…【トリコ】の技"釘パンチ"の恐ろしい所は此処から始まるのだ。いや、既に始まっていた。

 

"釘パンチ"

 

『トリコ』を知っているファン。そして『JUMP』ファンにとっては知っている物かもしれないが、知らない物もいるのは確か。

この技は、「一瞬で腕の筋肉を伸縮・硬直させることで、数回のパンチを同時に打ちつける。当たると釘を打ちつけるかの如く破壊は奥へと浸透し、相手や対象を内部から破壊する。」(wiki引用)

 

とどのつまり…「数回分のパンチを一回に集約し、そしてその威力分のパンチが徐々に襲ってくる」と言う事なのである。

 

…因みに今の切歌は既に20回のパンチ分を腹で受け切っていた。

ギアを纏っているとは一介の女の子である切歌にとってはコレはもはや拷問と言っても過言では無い。

 

「20回受けても未だやれるとは…大した根性。

だが、それ…

 

 

 

あと3()0()()残っているからな」

 

「!…がはっ⁉︎…」

 

「切ちゃん‼︎」

 

逝都の宣告は最早、絶望そのもの。

それを聞いた切歌の瞳に光が消えていた。

 

さて、此処まで一直線に話し込んできたが、何故調が【トリコ】の事を知っていたのか?

それはかつて、自分達がテロ行為から生まれた地球を救う為の、そして公にでは全てのノイズの消滅という騒動が成した事変…『フロンティア事変』。

実は、その後に起きた地球の全てを掌握しようとした者が引き起こした事変…

 

 

通称『亜空伝説事変』

 

その際に、調達F.I.S.組は逝都が現在、絶賛発現中にしている人物の魂【トリコ】と会っていたからだ。それもカードでは無くご本人にだ。

それとその者の攻撃も調は頭に入れていた。

単調な動きを入れてくるかと思えば、人智を超えた技を組み込んだやり方に当時の調は驚きに満ちていた。

だが、今の調はそうじゃない。

驚きよりも…悲しみが生まれていた。

 

【トリコ】と言う者は「食べる時は、礼節を尽くす」と言う人としてあるまじき行為をする善人。

食への感謝も…戦いへの感謝にも、それは同じ事をやっていた。

 

だが、目の前にいる【トリコ】の力を纏った逝都は如何だ?

 

 

「おらおらおらぁ‼︎」

 

「がふっ⁉︎がはっ⁉︎」

 

「ぐはぁぁぁ⁉︎」

 

【トリコ】の面影すら残ってはおらず、

寧ろ…『暴君番長』状態の逝都そのものであった。

 

『英雄』達を纏う《精魂導師》達は、纏し『英雄』達の性格や癖を一部引き継いでいる。

 

例えば、憑友がナツの力を使った時、「仲間=家族」を大切にするナツの性格を引き継いでいる。

それに加えて、口癖として「燃えてきたぞ!」と発言する事もある。

 

霊風が幸村の力を使った時はその性格が一層出てきている。

現に使った時は、冷静に対処する彼にしてはあまりにも熱血で単純な攻撃や言動を多くしていたり、猪突猛進のような性格を大いに顕現させている。

 

だが、今の逝都が【トリコ】の力を使っている時は全く違っている。

英雄の性格が何1つ引き継いでいない。それどころか、全て逝都の性格が出てきているのである。

 

そんな風に調が考え込みしていると、逝都が切歌を吹き飛ばし、そのまま調と切歌が激突した。

 

「ごめんね、切ちゃん⁉︎」

 

「調こそ大丈夫デスか⁉︎」

 

「百合百合しいのはそのくらいにして、さっさとぶっ倒れろ‼︎」

 

そう言うと逝都は背中の腰に手を回し、そこから『フュージョンアブソーバー』を取り出し、アブソーバーとドッキングさせ、右腰のカードケースから2枚のカードを取り出した。

 

「これが俺のパートナー『英雄』の力だ!」

 

そう言うと逝都は2枚のカードを其々のアブソーバーに装填し、そして十字に構えた!

 

ーボーン!フォーム、家康!&牙王‼︎ー

 

すると逝都の後ろに青い学ランと赤シャツを着た少年と、黄色のパーカーを羽織った黄色の籠手を装着した青年が現れた。

 

「"絆の太陽…見せてやるよ‼︎"」

 

そう言ってアブソーバーを付けたアブソーバーを天に向けて掲げると同時にレバーを手前に向けて引いた!

 

ー『FUSION DRIVE』!

 

 

バルソレイユ・コネクション‼︎ー

 

すると2人の『英雄』の魂が逝都に纏った!

と同時に、逝都の筋肉がリストバンドを付けた状態の姿へと戻った。

 

そして現れたのは、

青の学ランと、その上に黄色のパーカーを羽織った、

太陽の刺繍入りの赤シャツを着た逝都が立っていた。

そして良く見ると、両手には籠手らしき物が嵌められていた。

すると逝都はその籠手付きの両手を拳にして、打ち付けた。

 

「"絆の番長、とくと見よ!"」

 

そう言うと逝都は先ず、調の懐へと入るとアッパーカットをぶちかまし、ラッシュをぶつけてきた。

その動きはボクサー顔負けだった。

すると、先程まで"釘パンチ"の攻撃を受け続け、ようやく解放された切歌が逝都の籠手を見て不思議がり始めた。

何故なら、先程からその籠手が光を放ち始めたから。

それを見ていると、陰陽兄弟が調を助ける為、動き出す。

だが、その間にみるみると、その籠手に宿った光が強くなり始めた。

そして3回程光輝いたと同時に逝都は地面に右の拳を叩きつけた。

 

すると地面がまるで隕石を食らったかのような衝撃を起こし、地面の鉄板諸共隆起した。それはまさに断崖が自分達に襲いかかってくるかのように。

 

"陽岩割り"

 

その攻撃をまともに食らった兄弟と調。調に至ってはその小柄な体格の所為で、2人よりも高くふき飛ばされてしまった!

それに気づいた切歌は急いで調の元へと急行し、調をお姫様抱っこの形でスライディングキャッチをした。流石、切歌!調の為なら何でもやるデスね!

 

「調、大丈夫デスか⁉︎」

 

「ありがとう、切ちゃん!」

 

そんな中、2人は逝都の方に顔を向ける。そこには逝都が拳同士を打ち付けていた。

 

「ウェポナイズ!"鉄拳 ドラゴナックル"!&"太陽拳 バルナックル"!」

 

すると逝都の籠手が突然、黄色の籠手から太陽の紋様が手の甲に刻まれている籠手と、白と赤が基調とした独特の形をした籠手を装着した!

 

すると逝都は周りを巻き込んだ怒濤のラッシュを繰り広げ始めた!

その威力の前に、今の今まで傍観していたレイアが流石に立つ事すらままならない程にまで、追い込まれていた。

 

そして逝都は右手を上に掲げた。するとその右手が光輝くと同時に巨大な拳に変わった!

 

「合技、"ハウリング・サン・クラッシャー"‼︎」

 

そう言うと同時に逝都は右手をぶちかます!

それと同時に巨大化した右手が調達に襲いかかった!

最早これまでかと思い、思わず目を瞑った…その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシィッ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……?」

 

突然聞こえた何かを受け止める音。

そして、未だに衝撃や痛みが襲ってこない現状を肌身に感じた調はゆっくりとその眼を開けて確かめた。

するとそこには、自分達の前にて仁王立ちしながら、その身いっぱいで受け止めていたロックがいた!

 

『ロックさん‼︎』

「ロック義兄‼︎」

 

「ぐっ…!」

 

間一髪で助けたロックだが、流石に身体全体で受け止めている為か、尋常じゃない程の痛みを真面に受けていた。

その痛撃で倒れ込むのも最早時間の問題だった。

 

「へぇ?まだ威勢があるなんてな…」

 

そう言いながら逝都はそのまま力で押し潰そうと動き出そうとすると突然、逝都が「ん?」と言う声を発すると同時に必殺技がキャンセルされた。

その痛みを真面に受けたロックは地面に膝を付け、倒れ込むが、何とかそれでも立ち上がる。

すると、ロックの懐から青い輝きが発し始めた。

 

「‼︎これは…」

 

そう言いながらロックは懐から青い輝きを放っていた物体…蒼い球を取り出す。よく見てみれば、その蒼い球には「α」のような文字が球の中に描かれていた。

それと同時に逝都の方も、背中腰に付いていたポーチから紅い球を取り出した。よく見てみると、此方には「Ω」が球の中に描かれていた。

 

それを見た逝都とロックは不思議がる。だが、今の逝都は何方かと言うとブレーキが壊れ、もはや歯止めすらその役目を成していない暴走列車そのものである。故に…

 

「…いいぜ。面白え…!

この力…存分に暴れさせてやらぁ‼︎」

 

そう言うと逝都はその紅い球を天に掲げた。するとそれに呼応し、何と紅い球が逝都の身体へと浸透したのだ!

そして全てが自分の体内に入ると同時に逝都が突然悶え苦しみ始めた!それと同時に、逝都が使用していた2人の『英雄』の力を宿した『FUSION DRIVE』が強制解除された。

 

そうしていると今度はロックの方に異変が起き始めた。

何とロックの方も所持していた蒼い球がロックの身体の中へと浸透し始めたのだ!

ロックは突然の事と、その浸透時に精神や肉体にダメージが襲いかかった!

 

すると2人の身体からラインが現れた!

逝都は蒼のラインが現れて、逝都の腕・背中・腰・頭頂部・腹をそのラインが駆け巡る。

それに対し、ロックは紅のラインが腕・頬・脇腹・脚にかけて駆け巡り始めたのだ!

 

それをしながら悶え苦しむ2人。

 

果たして彼らの身に何が起こっているのだろうか⁉︎

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

その頃、ロック達が『深淵の竜宮』の激闘,霊風達が『風鳴邸』の攻防の中…

かつて、響と憑友と未来の3人で鑑賞した流星群が見られたスポットにて、2人の存在…

 

「…」

 

「…」

 

最弱にして最凶の聖遺物『神獣鏡(シェンショウジン)』を纏う、響と憑友の幼馴染の小日向未来と、

『騎士』のアルカナの力を宿した《自動人形(オートスコアラー)》のジィス・パライスン。

 

今まさに2人の戦いに終止符がうたれようとしていた…!




次回

終焉のレクイエム

次回はなんと未来ちゃん回‼︎


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♪44 終焉のレクイエム

お待たせしました。最新話です。
この話を描き始めた時は丁度「戦国BASARA」の最新作が発売した時期だったので、特別ゲストも書きました。
それではお待たせ、未来ちゃん回です!


かつて、響と憑友と3人で流星群を見たその場所で…

幼馴染,戦友達の背中を見守り続け、遂には共に戦う力を手に入れた少女が、此度の騒動の敵とその敵から逃げてきた少女の姉である存在と話し合おうと考えていた。

 

「ジィスさん…」

 

「…貴方が何を言おうとも、私のこの決意だけは、止める気はありません。

私の目的が達成すれば、マスター…キャロルの目的を達成する為の糧になるのならば、本望なのですから」

 

それを聞いた未来は「何をやってももう駄目なんだ…」と小声で呟きながら言った。

正直に言うのならば、未来はこの自動人形…オートスコアラーと戦いたいとは思ってはいない。話し合いで済むのなら、それに越した事は無い。

 

だが、目の前のジィスに「話し合い」と言う選択肢は存在していない。

 

勿論、彼女も未来と同じ「話し合い」で済めばこんな苦痛を感じなくては良かったのかもしれないと思っている。現に今でも、ジィスの手は人形と言う存在でありながら手が震えていた。

 

彼女にとって小日向未来は「親しみやすい敵」と言う認識が彼女にそう感じさせた。

次第に刃を交える事でその力に多大なる覚悟を持ち合わせている事も、それに立ち向かう勇気を兼ね備えている事を実感させられていた。

だけど、それよりも「心優しい」と言う彼女の本質の方が根付いていた。それは彼女…ジィスも同じ事だった。

 

互いに守りたい者がある…

2人の本質は共に、「愛する者を守る為」の物だった。

 

未来は悔やみながらも首に下げていたギアペンダントを取り出した。

 

「…私は…貴方と戦いたくない。

戦って勝ってしまったら、私の中の何かが壊れそうで…」

 

そう言いながら涙を零す未来。

それを見たジィスは苦虫を噛むかのように視線を逸らし尚且つ何も持っていない左手を強く握り締める。

それでも彼女は、マスター…キャロルの為に動く。

 

「…行きますよ。小日向未来。私の好敵手」

 

それを聞いた未来は涙を拭き取り、そして一呼吸し、覚悟を決めたかのような目をジィスに向け、そして聖詠を詠った…!

 

「Rei shen shou jing rei zizzl…」

 

最弱にして最凶の聖遺物「神獣鏡」を纏った未来。

その光景を見たジィスは右手に最初から持っていた槍を持ち直し、左手は背中に携えていた盾を取りながら持ち構える。

 

静寂が2人の間を通る…

 

そして何処からか現れた葉っぱがヒラヒラと2人の間に入って来た。

やがてその葉っぱは徐々に高度を下ろし、そしてその地面に着く。

と同時に、金属音が鳴り響き始めた…戦いの始まりだった。

 

そこからはもう己の想いをぶつけた戦いになっていた。

未来も…ジィスも…

本当は2人共…こんな戦いなんてしたくは無かったと言う事に。

 

未来は知ってしまった…ジィスが他の人形達とは違い、「キャロルの複製体(クローン)」と言う事を。

そして、キャロルとは違い、エルフナインを大事にしていたと言う事を。

 

ジィスは知ってしまった…小日向未来は《装者》と《導師》にとっては掛け替えの無い「陽だまり」だと言うことを。

そして、己が大事にしていたエルフナインを自分と同じいや、それ以上に大事にしてくれていた事を。

 

だが、それでも2人には大切な何かをなす為に戦う。

 

「…貴方の歌…聞かせてはくれないんですね」

 

「…歌ったら…貴方ともう2度と会えなくなりそうだから」

 

「…小日向未来。貴方は本当に優しい…暖かすぎる。

それが自分の命取りと分かっていながら、それでも優しく微笑む…」

 

「響が、憑友が言ったんです。

『未来は私にとって、俺にとっての…『陽だまり』だ』って」

 

「陽だまり…言えてますね。

確かに貴方と今こうしていると心が和やかになる。何故なのでしょう?」

 

「流石にそこまでは私でも分からないなぁ…」

 

そう言いながら、戦い続けて行く2人。

2人の戦いは終わりそうにも無かった…

まるで、かつて袂を分かった存在の様な感じをこの2人から感じさせていた。

それでもジィスは「貴方の歌…聴かせて下さい」と懇願する。

その答えに未来は首を縦には振ってくれなかった。

未来はもしかしたら知っていたのかもしれない。

 

人形達が、シンフォギアの「イグナイト」の力を、その身に浴びようとしているのかもしれないと言う考えが。

 

未来はそれでもジィスに対してはどうしても戦わないといけないのかを自問自答していた。

 

そんな中でも、ジィスの攻撃を笏一つで捌いているのだから、驚きようが無い。

 

そして2人が鍔迫り合いをし、そしてそのまま後退する。

 

するとジィスは手に持っていた槍を地面に突き刺し、そして今度は剣と盾では無く、剣と刀と言う異色の二刀流で未来に向けて構える。

 

「私はキャロル…マスターが生み出したホムンクルスの一体。

その中でも特に、マスターよりも錬金術では無く武術に於いては他の人形達よりも逸脱しています。

その中でも特に、二刀流に於いては私の右に出る者は居ませんでした。

小日向未来。この意味…分かりますよね?」

 

そう言いながら、ジィスは未来に問いかける。

それに対して未来は黙りながらも首は縦に振った。

つまり、ジィスは今…本気だと言う事を。

 

すると未来に衝撃が襲いかかった。

 

何せ自分の目の前にジィスが刀で突こうとしていた!

一瞬の出来事に、未来は躱す事が出来ず、その刀の攻撃を受けてしまった。

と言っても、ただ単にギアペンダントに切っ先が触れただけなのだが…。

するとジィスはその刀を己の首に向けて…

 

 

 

ザシュッ!

 

「⁉︎」

 

なんと軽くだが、己の首を掠りながら切ったのだ。

 

「これで、貴方も歌ってくれる…」

 

そう意味深な言葉を呟くジィスは己の首から流した血が付いた刀を天に掲げた。

 

 

…だが、何も起こらない。

 

「一体何を…『未来ちゃん!聞こえる⁉︎』友里さん?」

 

すると未来の端末から友里の声が聞こえたので、咄嗟に話しかけた。

声の質を見て、何かあったのかもしれない。

しかし、あまり話せる暇は無いと思っていた未来。

しかし、ジィスは何も動かない。

終いには「出た方が良いですよ。何もしませんので」と言ってくる始末。

ジィスの言葉を鵜呑みにはしたくは無かったが、だが、嫌な予感しか感じなかった未来はその言葉に甘え、友里と話し始めた。

 

未来の嫌な予感は…この時、既に的中していた。

 

「如何かしたんですか…?」

 

『未来ちゃん以外のシンフォギア装者のバイタルが変化したと思ったら、みんな苦しみ出したの‼︎

深海にいるクリスちゃん達や、

要石の護衛に向かっている翼ちゃん達の方にも、

終いには病院にいる響ちゃんにまで影響してるの‼︎』

 

「え⁉︎」

 

突然の発言に、未来は衝撃を受けた。

自分以外のシンフォギア装者が苦しみ始めたと言う事に。

何がどうなっているのかと困惑する未来。

未来は一応、今回の策については、源十郎から聞いており、未来はその間、例え、体が不自由だろうと絶対に人助けをしかねない幼馴染である響のブレーキ役として参加していた。

だが、この話はなんだ…

 

現在、深海の施設内にいるクリスや調達。

翼の実家に行ってる翼やマリア,奏にセレナ。

そして終いには病院にいる筈の響にまで影響を受けていたのだ。

 

 

「その様子だと、私の作戦は上手くいった様ですね」

 

と、ジィスがそう告げる。

未来は「一体どう言う事⁉︎」とジィスに問いかける。

するとジィスは掲げていた刀を下ろし、そしてその刀を愛でる。

 

「この刀は、『精染刀』と言う銘を持っています。

『精神を汚染する刀』と言う由来があり、

斬りつけた物と()()()()()()()()()()()に『精神を汚染する』力を秘めた刀です。

そしてこれは、所持者の血を啜る事で、()()()()()()()()()()()()()も可能。『奇襲の毒刀(どくがたな)』と言う異名も持ち合わせています。

今回私は、小日向未来。貴方のギアペンダントを斬りつけ、そして血を捧げた事で、

ギアペンダント所持者…とどのつまり、シンフォギア装者全員に神通力程度の精神攻撃を今まさに与えています」

 

「⁉︎」

 

「そしてこの力を止める方法はただ一つ。

"精染刀の所持者を殺す事"。

つまり…私を倒さなければ、この呪いは解けませんよ」

 

「そんな…」

 

此処に来て未来は二者択一を迫られた。

 

ジィスを倒して、皆を救うか。

 

皆を見捨てて、ジィスを倒さないか。

 

 

未来としては、両方救いたいと言う「意思」がある。

だが、あまり時間が残されていなかった。

現に…

 

 

「ゲホッ!」

 

ジィスの口からタンと共に、血が噴き出し始めたから。

 

「⁉︎どうして⁉︎」

 

「…私はこの刀を使うと、刀が私を喰い始めます。

私が死ぬ時、それは呪いを受けた者達も道連れに死ぬと言う事。

貴方は私を倒さなければ、貴方の大切な人が死にますよ」

 

告げるカウントダウン。

最早、両方救う時間は一刻の猶予が無い。

だけども抗う…両方救いたいと言う「意思」の元に。

 

小日向未来はなんだかんだで、響の側に居た為か、響の人助けが移ってしまって居た。

 

未来は悩む…どうすれば良いのかを。

 

そんな未来とジィスの戦いの最中…ある物が落ちて来ていた。

 

「え?」

「ん?」

 

2人はそれを感知したのか、落ちて来ようとしていた物…黒の帽子に目を向けた。

するとその帽子はクルクルと回りながら、未来の頭上に浮いたまま立ち止まった…刹那。

 

「え⁉︎」

 

「んなっ⁉︎」

 

なんと未来がその帽子の中へと一瞬の内に吸い込まれてしまったのだ!

それを見たジィスは驚かされた。

そして未来が吸い込まれた帽子はクルクルと回りつつ、被る方を上向きにして、そのまま地面に落ちた。

 

 

ーーーーーーSIDEto未来

う、う〜……此処は一体。

 

私の周りはまるで白い空間みたいな光景が広がっていた。

辺りを見渡す私。此処は一体…

 

 

「勝手に連れて来た事、此処で詫びさせて貰うよ?お嬢ちゃん」

 

え?

突然聞こえた声に私はその声がした方向…背後を振り向いた。

そこには黄色の服を羽織っている軍配の先に穂先が付いてる武器らしき物を持った1人のお爺さんがいた。

 

「貴方は…?」

 

「なぁに。ただのしがない奇術師よ」

 

ーーーーーーNO SIDE

 

そう言いながら男は未来に向かって話しかける。

 

因みに未来は今、神獣鏡(シェンショウジン)を纏ったままだった。

しかし、未来は目の前の男を見て、自然とその人の話を聞いていた。

「じゃあ…奇術師さん?一つお話をしても良いですか?」と、未来が質問したら、男はどうぞと言わんばかりの言動を見せ、未来は男と話しかけた。

 

「貴方が、私を此処に呼んだのですよね?」

 

「如何にも」

 

「如何して?」

 

(やつがれ)はね?

お嬢ちゃんが今、相対している女子いや、カラクリに分類するのかのぉ?それと合間見えなければ、お嬢ちゃんの友が死ぬんだろう?

しかし、戦えば、せっかく縁を結べると思えた好敵手をその手で亡き者へと変えてしまう…そんな葛藤の中を、お嬢ちゃんは今、その身に宿っておるのだろう?」

 

「っ!…はい…」

 

男から今の自分の状態を言い当てられてしまった未来は俯いてしまう。

しかし男はそんな未来の頭を撫でたのだ。

 

「え?」

 

「良いか?お嬢ちゃん。

お嬢ちゃんの中にあるその「意思」は!「魂」は!

お前さんの中に今でも活気盛んに燃えてるんだ。

なら、お前さんの「想い」を、あの女子カラクリにぶつけて見ろ!

「当たって砕けろ」と言うぐらいにな」

 

「奇術師さん…はい!」

 

奇術師からの激励を受け取り、決意を固めた未来。

すると未来の身体が光輝く。

 

「そろそろ潮時かねぇ…」

 

「ありがとうございます。

あの…お名前は?」

 

「ん?…ワシはただのしがない奇術師。

名など無いに等しいがの。

ただ…小倅や倅が元気にやっているのが、心配なただの親父様さ。

…赤き2振りの若虎が、僕の小倅だがな」

 

そう言いながらウィンクして、別れを告げる男。

しかし、未来は男が最後に言った告げ口を聞いて、その男の名前をすぐに解明でき、そして男に本当の名を感謝共に言った。

 

「ありがとうございます…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…真田昌幸さん」

 

「っ!…かーかっかっかっ!

いやはや、お嬢ちゃんは見る目があるものだね〜?

 

今度は、友の為に使いなされよ?小日向未来」

 

 

 

そして未来にフラッシュが襲いかかり、気がつくと、目の前にはジィスが呆然としていた。

 

「⁉︎…帽子から、再び小日向未来が⁉︎」

 

そう言いながらジィスは目の前の行動に驚かされていた。

いきなり頭の上に帽子がやって来て、未来を吸い込み、そして帽子が被る方を上向きにして落ちたと思えば、今度は未来がその中から光と共に出てくれば誰だって驚くものである。

そんな中、ジィスは未来の瞳を見た。

そこには強い「意思」とそれを背負う為の「覚悟」を宿した未来の瞳があった。

 

「…行くよジィスさん。

これが私の「想い」の力!

イグナイトモジュール、抜剣‼︎」

 

『Dainsleif』

 

そう言うと未来はギアペンダントを展開させ、そして胸に突き刺さった!

 

「⁉︎うぐっ…!

(辛い…痛い…悲しい…哀しい…憎しい…儚い…

様々な負の感情が私の中へと入って来る…!

だけど、響は…クリスは…皆んなは、それを乗り越えていってる…

私だけなんて…もう嫌だ!

私は…もう…悲しみから…逃げない‼︎)

 

…立ち向かうんだーーーー‼︎」

 

すると未来のギアが変化した…!

そして現れたのは、紫のカラーリングを施したパーツが白く輝き、

そしてボディスーツは黒く染めた…

 

神獣鏡のイグナイトver.を纏った未来が、「理性」を保ったまま、現れたのだ!

そしてイグナイトを乗りこなす未来の顔の上下に付いてる牙の形をしたバイザーが閉じ、そして一気に勝負を仕掛けた!

 

(挿入歌「歪鏡・シェンショウジンーイグナイトver.ー(オリジナル)」井口裕香)

 

すると未来は歌いながらその歌に「想い」を乗せた攻撃をジィスに与えていく…!

突然の攻撃にジィスは防戦一方を余儀なくされた。

その表情が苦痛だと分かるぐらいに。

 

そして未来は最後に想いを乗せた一撃…"日食"を放った。

その一撃を放つのを見たジィスの顔には納得がいったかの様な少しの微笑みを浮かべ…そしてその攻撃をくらった。

 

技の反動でギアを強制解除された未来はそのおぼつかない足取りでジィスの方へと歩み寄る。

そして立ち止まり、見てみるとそこにはジィスの身体から真紅の血が流れながら身体のあちこちが傷を受けていた。

 

「ジィス…!」

 

そう言いながら、己の手で傷付けてしまったジィスを抱き寄せる未来。

そんな中、彼女…ジィスの瞳は朧気であった。…まるで焦点があってないかのように。

するとジィスは最後の力を振り絞って、未来の目から流れる涙を掬う。

 

「貴方の想い…確かに…聞き…ま…した…

ならば…私の…我が…儘…聞いて…く…れ…ます…か…?」

 

それを聞いた未来は頭を縦に振る。

そしてジィスは最後の力を振り絞って、言葉を発する…

 

 

「キャロルを…私の…妹を…救って…下さい…

貴方と…貴方の…友達で…キャロルを…救って下さい。

あの子が…成す為の力は…『世界を識る』事…

世界を…壊すと…言う事は…

彼女の生まれた地さえも…失うから…」

 

「ジィスさん…」

 

「…頼みましたよ…私の…暖かい…陽だまりの…戦友よ…」

 

そう言うとジィスの瞳に光が灯らず、黒く濁る。

それを見た未来はジィスの瞳を閉ざし、そして抱き寄せたまま、涙を流した…

 

そしてジィスが所有していた刀は所有者を失った事で皹が入り、終いには刀身全てがガラスや陶器が割れたかのような音を響かせながら、そして消え去った。あるのは唯…その刀を使用していた形跡がある刀の持ち手の所だけだった…

 

そしてその刀の消失により、シンフォギアメンバーに襲いかかっていた陣痛はバッサリと消え失せた。

 

そんな中、泣く事をやめ、そっと地面にジィスを寝かせる未来。

 

「貴方の想い…私がキャロルちゃんに伝えるから…!」

 

その瞳にはジィスから託された想いが奥底から伝わっていた。

そんな時だった。

 

ゴロロロロロ…

 

突然聞こえた雷音。

ふと未来がその音がする方を見てみると、そこには月があるのに、まるで太陽のような灼熱さを醸し出す空気と、そして先程まで絶対になかった筈の黒雲が発生していた。

その下には海が広がっていた。

 

「一体…何が起きてるの…?」

 

まるでこの世の終わりを感じさせる光景に未来は目を離せなかった。

その発生してある場所の真下には…『深淵の竜宮』がある事を。

 

ーーーーーー

その頃、『深淵の竜宮』では、ロックと逝都の戦いに終止符(クライマックス)が打たれようとしていた。

そこには、身体中から紅蓮のようなラインを発生し、巨大な爪のような形へと変化させた全身を紅く染めた逝都と、

腕がまるでヒレの様に大きくなり、透き通るを通り越して、ほぼ半透明の色へとその身を変貌させた、群青色が目立つ身体へと変えたロックが…そこにいた。




次回

始まりの海/終わりの大地

『土』と『水』が成すのは、破壊かそれとも…


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♪45 始まりの海/終わりの大地

お久です。かもめカメです。
今回は(ポケモン)ΩRαS要素有りです。
ラストはあり得ない展開です。


その日、人々は驚愕していた…

突然降りかかる嵐をも通り越した勢いのある豪雨と、

熱帯夜どころか、まるで「太陽が出ていない灼熱の夏」と言わざるを得ない程の熱波が、襲いかかっていた。

そしてその中心点てある場所は海一面しかない。

だが、その()()には施設がある。

 

『深淵の竜宮』

 

其処では今、2人の戦士が激突を繰り広げようとしていた…

 

「大地」と「海原」という…

「自然」を…「地球」と言う名の「力」を用いて…

 

ーーーーーー

 

そこはまるで地獄絵図そのものだった…

クリス達は目の前の光景に目を奪われるばかりだった。それは勿論相手方も同じだった。

 

「ぐるるるぅぅぅぅ……」

 

クリスにとってはかけがえの無い後輩の1人で、此処にはいない憑友の親友・浅岡逝都が歯軋りしながら威嚇をあげる。

だが、その姿は最早「人」と言う概念そのものを捨ててしまっていた。

後ろ全体を赤い鎧らしき物を覆い、前の方は黒みが掛かった灰色になり、脇にはトゲらしき物が突き出て、

三叉に分かれた爪と尻尾の先を生やしていた。

そして手の甲には、「Ω」を連想させる文字が見えていた…溶岩がなぞる事で。

 

「あ……がぁ……がぁぁぁぁぁ…‼︎」

 

その逝都と相対するのはS.O.N.G.の一員で、クリスの義理の兄…ロック・アイル・ユキネ。

彼の身体もまた人外へと成り果てていた。

 

身体は最早臓器すら見え透けており、群青色の後背部に、八つに枝分かれした後ろビレ。

そして極め付けは手全体が巨大な前ビレになっており、そのヒレには「α」を冠した水色の紋様が描かれていた。

 

そして何よりも、その2人がいる足場と天井にも変化が起きていた。

逝都の足元は何処から出てきたのか、溶岩が流れており、周りの破片を悉く溶かしていき、天井からは、物凄い熱気が放たれていた…!

水すら蒸気にする暇を無くすほどに。

対してロックの天井は何処から漏れ出したのであろうか、雨粒程の水が彼の周りに降り始めた…!

その影響は止む所か、更に酷くなり、終いには彼の足元をまるで海を連想させる程にまで降り始めたのだ。

 

 

そんな足元にいたクリス達は近くにあった高台へと登り、そして事の結末をただ何も出来ずに見守る事だけしか出来ずにいた…

顔の表情から逝都は言わずとも好戦的で、対してロックは未だに自分の身体の変化に馴染めず、拒絶反応を起こしていた。

 

そんな中、逝都が攻撃をし始めた!

まるで狂戦士のような雄叫びを響かせながら、ロックに格闘戦を繰り広げる…!

だが、そのどれもが格闘技の型に入ってはいないもの。

爪,牙,体,頭,尻尾を使った攻撃…それはもはや「野生」のような攻撃の仕方だった。

 

その攻撃をロックはただただ受けるしかならなかった。

それを見ていたシンフォギアの皆は逝都に攻撃を仕掛けるも、まるで溶岩のような皮質を前に攻撃が簡単に溶かされていく…!

 

そんな中、ただ1人…

 

「………」

 

クリスだけは攻撃をしていなかった。

ただ黙って目を閉じ、ガトリングもクロスボウへと変化させる。

しかし、側には敵であるレイアがコインをトンファーの形にして構える…!

 

するとレイアはそのままトンファーでクリスを攻撃する…が、

クリスはその攻撃をクロスボウで防御した…!

 

「っ⁉︎」

 

あまりの対応にレイアは目を見開く。

するとクリスは防御したまま、ロックの方に顔を向け…

 

「いい加減にしやがれーー‼︎この馬鹿兄貴ーーーー‼︎」

 

「っ…‼︎」

 

「あ?」

 

いきなり怒鳴りつけたのだ。

そのままクリスはレイアの事を無視して、ロックを叱咤し始めた!

 

「それでも私の兄貴かよ⁉︎

自分の事を考えずにいつも私の事ばかり考えて…!

私は!ロック義兄が自らの意思で考えても、何も言わねぇよ‼︎

だから…ロック義兄の力…見せてくれよ‼︎」

 

そう言いながら叱咤するクリス。その思いに応えたのか、先程まで攻撃を食らっていたロックがここに来て、頭突きで逝都を押し返した!

 

「何っ⁉︎」

 

「…ったく。…義妹に説教くらうなんざ、柄にもねぇな…」

 

そう言いながらロックはゆっくりと、だが着実に立ち始める…!

それを見た逝都は目を見開く。

そこにはボロボロになりながらも、その瞳に強い意志を宿したロックが居たから。

 

「一気にケリを付けさせてやる…!

クリスの…我が義妹が…俺の背中を押してくれたんだ…!

此処で勝って…お前を、憑友の元へと届けてやる…!」

 

そう言うと、ロックの周りから大量の水が生成され始めた…!

 

「"海の王が示す技を今この時を待って開示しよう"」

 

「へっ!そう来なくちゃ…な‼︎」

 

そう言うと逝都の前方の床が熱を帯び始めた…!

 

「"陸の鎮が示す技を今此処で顕現させよう"」

 

そう言うと2人は詠唱を始めた…!

 

「"海の王在りし所にこの技有り"」

「"陸の鎮居るし所にこの技為す"」

 

「"大いなる水の加護を得て、その技、海の王の証とならん"」

「"母なる大地の加護受けて、その技、陸の鎮の礎とならん"」

 

「"放つ技は『根源』の至れり"」

「"穿つ技は『断崖』の極まり"」

 

「「"解き放て…!"」」

 

そして最後の詠唱と共に、その技が発動した…!

 

「"こんげんのはどう"‼︎」

 

「"だんがいのつるぎ"‼︎」

 

地面から、劔と化したマグマを帯びた岩槍が、ロックを襲い、

上空から大量の水が逝都に向かって一斉に射出された!

その攻撃は同時に命中し、周りを水蒸気が立ち込める…!

 

やがてその蒸気は晴れ、そこには技の反動なのか、元の姿に戻り、傷口から血を滴り流す2人の姿があった。息は乱れていない。

 

そうしていると、逝都がにへらと笑みを浮かべ…

 

「……凄えよ…ロック…せん…ぱい…は…よ…」

 

そう言い切ると同時に、地面に倒れこんだ。

それを聞いたロックは膝を曲げて、何とか倒れようとしていくのを、所持していた弓を地面に付く事で、何とか耐え忍んでいた。

 

そんな中、クリスとオートスコアラーとの決着もいつの間にか終わっていた。結果はクリス達の勝利の様だった。

 

終わった事でロックは何とか立ち上がろうとするとクリスが近づき、肩を組んで立ち上がらせた。

「…いつも済まないな」

 

「偶には、妹に迷惑掛けても良いじゃねぇ…///」

 

「…ははは。…なら、甘えるとしようかな」

 

「お、おう…///」

 

そう言いながらこの場を後にする一行。

勿論、戦っていた逝都も陰陽兄弟の手で回収し、一行はこの場を後にしようとした…だが、艦内はそれどころでは無かった!

なんと、深淵の竜宮の内部が崩壊をし始めたのだ!

更に、レーダーにはレイアの妹なる巨体が海中を泳ぎながら接近して来ていたのだ!

本艦の方へと戻って来た一同は、その場を後にし離れようとしていると、巨体がもう目の前まで迫って来ていた!

これまでかと思われたその時だった…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビィィィーーーーーー‼︎

 

 

 

「⁉︎」

 

突如、艦と巨体の間を()()()()()()()()()()()()が発生し、2つを分断させたのだ。

 

それを見たS.O.N.G.一同は何が起きたのか分からないままだった。

そうしていると、オペレーターの藤堯が急接近してくる熱源を探知したとの報せが。

何事なのかと、画面の向こうを見た一同は驚きに満ちていた。

 

 

 

そこには、

 

「グルゥゥゥゥゥ……」

 

 

巨体とほぼ同じ高さを誇る、

 

赤のラインと、黒のボディを持つ、

 

まるで「怪獣」と言う名を体現している存在が、

 

画面の向こう側に黙りながら存在していた。




ラストの存在、分かりました?
ヒントは『現実VS虚無』です。
次回は特別篇「クリスマス」と「クリスのハッピーデイ」を投稿しますので、宜しくお願いいたします。


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♪46『怪獣の王』

約1ヶ月も待たせてしまい、申し訳ない。
と同時に今更ながらあけおめです。
今年もよろしくお願い申し上げます。
今回は前回のヒントの答えが登場します。
後、短すぎる。



クリス達S.O.N.G.一行と、自動人形・レイアの妹と呼称されている巨体に現れた黒き存在。

 

尻尾が異様に長く、所所に赤のストライプが描かれている身体模様。

ゴツゴツした皮膚に、その身体ではあまりにも不釣り合いな小さすぎる腕と手。

その身体を支える屈強な足腰、そしてまるで刺してあるかの様な歪を感じさせる巨大な背ビレの数。

 

その姿を今の今まで彼等は知らなかった。

知っていたとしても、その名前を知る者はいない。

…いや、ただ1人…『転生者(リターナー)』であり、『風魂導師』の名を持つ男…『精妖霊風』だけは知っているのかもしれない。

 

彼の名前を…『怪獣』達の中の『王』の名を。

 

そんな中、レイアの妹は邪魔された事に憤慨したのか、巨体で闖入者を駆逐しようと動き始めた!

そして来て早々、格闘戦を仕掛けた!

巨体な故、その一撃は振動を与えてくる!

しかし、そんなレイアの妹の攻撃も、黒き獣の前では蚊に刺された程度…歯が立たない。

すると、黒き獣はその小さな手でレイアの妹の拳を受け止めた!

それに驚くレイアの妹。

必死になって離そうと踠くが、ビクともしない。

すると急に黒き獣が顔面を近づけてきた。

すると背ビレが輝き始めた…紫の光を煌びやかに。

それに呼応するかの様に、黒き獣は口を大きく開けた。

すると下顎の方が2つに別れたのだ…!

 

すると口の中から背ビレと同じ紫の光が球となりて形成し始めていた!

 

艦内が呆然としていると藤堯が急に焦り始めた。

 

「黒い獣の口内から熱量反応!

この威力では、我々も吹き飛びかねません‼︎」

 

「なんだとっ⁉︎」

 

「緊急指令!今すぐ海上へと浮上して下さい!」

 

藤堯の発言を聞いた一同は一斉に急浮上させる様に動き出す!

 

そしてその海域にはレイアの妹と黒き獣しか居なくなる。

そして獣はレイアの妹の顔面に向けて…

 

 

 

 

 

 

ビィィィーーーーーー‼︎

 

 

 

紫のレーザーとも言える放射熱線を放った…

その威力は…

 

 

海上に大きな波を幾重にも発生させ、

 

空の上ではその振動で電磁波が発生し、周辺機器をもおかしくさせ、

 

大地は振動そのものがまるで地震のように襲いかかった。

 

 

 

 

 

 

そして光を放った獣は腕を離す。

目の前には顔を完全に消し去られていた巨大人形の残骸しかなかった。

 

それを見た獣はそれを見届けたかのように、深海よりも深い海溝へと歩んでいった…

 

 

ーーーーーーSIDEto憑友

 

⁉︎…なんだ…今の振動…。

 

尋常じゃない程の力を感じた…。

 

『憑友。今の振動は明らかに人が成せる業では無い!』

 

って事は…何かの仕業なのか?

でも、誰がそんな事を…

 

 

…いや。今はそう言う事で頭を悩ませる訳には行かない。

 

 

俺は真実を知る必要がある。

 

『俺』と言う存在が産まれた事で、

『あの人』が居なくなった。

 

出来る事なら…帰ってきて欲しい。

 

貴方を止めるのは、俺だ。

 

それが『弟』としての役目だから。

 

だから…

 

 

迎えに来たよ…

 

 

「…憑友…」

 

「ライジン、いや…黎雷『兄さん』」

 

貴方は僕が必ず…連れて帰る!

貴方の居場所を奪った『僕』にできる…

 

唯一の罪滅ぼしだから…!




次回

親と子/兄と弟

シリアスに出せるようにしていきたいです。


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♪47 父と娘/兄と弟

響は意を決して父と話を付ける。
そして憑友はある場所へと向かう。そこに居たのは、ライジンだった。

そしてライジンの正体を知る事となる…


街中のとある一角。

其処では検診を終え、私服姿の響と、響の父・洸が向かい合っていた。

 

「悪いな。腹減ってたんだ」

 

そう言いながら洸は響と話し合う。だが、響は自分を…家族の大事な時を一緒に過ごさなかった父に対して未だに根に持っていた。

現に父・洸の顔を響は逸らしそして俯く。

俯くと右手が有り、其処にはスマホが握られていた。

其処にはメールが記載されていた。差出人は自分の幼馴染で有り、親友である未来からだった。

其処には『へいき、へっちゃら』と響がよく口にする言葉が書かれていた。

それを見た響は横にスライドさせる。

すると今度は差出人が憑友となっているメールを見た。

其処には『響は大丈夫!きっと乗り越えられる!

その手が繋ぐ事を忘れぬ限り!』と書かれていた。

それを見た響は軽く深呼吸をし、意を決して話をし出した。

 

「あのねお父さん。本当にお母さんとやり直すつもり?」

 

響が此処にいる理由…それは父・洸が響の母にして己の妻との縁をまた元に戻したいという話だった。都合が良すぎる話である。

 

「本当だとも。お前が口添えしてくれたらお母さんも…「だったら!」」

 

そう言うと響は告げる。

 

「はじめの一歩はお父さんが踏み出して。逃げ出したのはお父さんなんだよ。帰って来るのもお父さんからじゃないと…」

 

「…そいつは嫌だな。…だって怖いだろ。

何より…俺にも、男のプライドがある」

 

そう言いきる洸。

 

「私…もう一度やり直したくて勇気を出して会いに来たんだよ…だからお父さんも勇気を出してよ!」

 

「だけどやっぱり俺一人では…」

 

「それに…憑友は今、大事な時を過ごしているんだよ…」

 

「え?」

 

突然、響が幼馴染である憑友の事を話し出した事に驚く洸。

 

「憑友ね…お兄さんが居たんだって。

でも、そのお兄さんは今、『悪』になろうとしているんだよ。

それを憑友は助けようとしてるんだよ…大事な『家族』だから!」

 

「…」

 

「…お父さんはお父さんじゃない。一度壊れた家族は元には戻らない」

 

そう言われた洸は何かを言おうとするが、思うように口に出して話す事が出来ず、ついふらっと外の方に顔を見てしまう。

其処には親子連れがおり、男の子の手には風船が握っていた。

しかし、男の子が転び、風船はそのまま空へと舞う。

その風船を見続ける洸。

だが、その時だった…!

突然、空に罅が入り、遂には割れたのだ!

そして割れた場所から何かの突起物が出現したのだ!

 

「な、なんだ⁉︎」

 

呆気にとられる洸。その後も、更に空が割れ、そして其処から巨大な建造物が都庁の上空に出現したのだ…!

 

「空が…割れる!?」

 

 

ーーーーーー

その頃、都庁上空に現れた建造物・チフォージュシャトー内では、キャロルと、彼女と行動をするDr.ウェルが何かの装置を前にして、作業をし始めていた。

その際にウェルの左腕はネフィリムの能力を発生する腕へと変貌しており、その手は装置の中に入れられていた。

 

「ワールドデストラクター、セットアップ。シャトーの全機能オートモードに固定」

 

そう言うと装置が光を発し、ウェルは装置から腕を引っ込める。

 

「どうだ!僕の左腕は‼︎

トリガーパーツなど必要としない!

僕と繋がった聖遺物は全て意のままに動くのだ!」

 

 

自動人形(オートスコアラー)によって、呪われた旋律は全て揃った。これで世界はバラバラに噛み砕かれる」

 

「あぁ?世界を噛み砕く?」

 

キャロルの言った台詞に疑惑を感じたウェル。

それに対してキャロルは首を縦に振る。

 

「父親に託された命題だ」

 

そう呟きながら瞳を閉じるキャロル。

そしてその幻想の先にはキャロルの父・イザークが炎に包まれながらキャロルに語りかける…

 

 

『キャロル…生きてもっと世界を知るんだ』

 

「わかってるって!だから世界をバラバラにするの!解剖して分解すれば万象の全てを理解できるわ!」

 

そう言いながら狂い始めそうな表情をみせるキャロル。

これはもはや異常と言う概念をも逸脱していた。

そんなキャロルを見つつ、発言を聞いたウェルはキャロルに問いかける。

 

「つまりは至高の英知。…ならばレディ。

 

その知を以て何を求める?」

 

「何もしない」

 

まさかの回答にウェルは驚き、キャロルは話を進める。

 

「父親に託された命題は世界を解き明かすこと。それ以上も以下もない」

 

「Oh…レディに夢はないのか?」

 

そう言いながらウェルは自分の思想を語り始める…!

 

「英雄とは飽くなき夢を見、誰かに夢を見せるもの!

託されたもの()()()で満足してたら

底もてっぺんも高が知れる!」

 

其の話を聞いたキャロルは…キレた。

まるで堪忍袋の緒が切れるギリギリの状態を、顔に現さずとも、雰囲気もといオーラから殺気が漂わせていた。

 

 

 

()()()、と言ったか?」

 

 

ーーーーーー

その頃、響は上空に現れた建造物・チフォージュシャトーを父である洸と共に目視していると手元のスマホから受信音が響いたのでその電話に出ると、相手はS.O.N.G.からだった。

そして電話の相手として響の師匠にしてS.O.N.G.の司令である源十郎が話し始めた。

 

 

『手短に伝えるぞ。周到に仕組まれていたキャロルの計画が最後の段階に入ったようだ』

 

その内容を聞いた響は驚きながらも話を聞き続ける…

 

『敵の攻撃でエルフナイン君が負傷。応急処置を施したが危険な状態だ』

 

『僕は平気です…だからここに居させてください…』

 

電話の向こうからエルフナインの声が聞こえた。

しかし、その音色はまるで風前の灯火の様な声だった…

それを聞いた響は悲しみが込み上がってくるが、それをグッと堪える。

 

『俺達は現在東京に急行中。装者が合流し迎撃任務に当たってもらう』

 

それを聞いた響に街の人々に避難勧告をお願いする源十郎。

人助けが趣味である彼女は、それを二つ返事で了解する。

 

「お父さん!みんなの避難を…」

「こういう映像ってどうやってテレビ局に売ればいいんだっけ」

 

響は近くにいた父・洸と共に避難誘導をお願いしようとするが、洸は上空から現れた建造物に夢中になっており、いつの間にかスマホのカメラ機能で撮影しようとしていた。

そんな父を見た響は「お父さん…」とそう言わざるを得なかった。

 

そんな際に響は空に目がいった。

その眼差しが向く空には熱風と雷鳴がぶつかりあっていた…

 

 

ーーーーーーーーーーーー

遡る事数分前。

とある場所にて2人の男が目を合わせていた。

空は濁りきった黒い雲が憚っていた…

 

森の中で有りながら、岩石が地面に食い込んでいる箇所がちらほら見られるこの場所で、2人の男は何も言わずにただ目の前の存在をそれぞれ視認する。

 

「まさか…ここで相対するとはな…人絆憑友」

 

「ライジン・V・エレクロニング。いや…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人絆黎雷。

それが本当の名前なんだよね…『兄さん』」

 

 

互いに言葉を交わす2人の男。

片やS.O.N.G.の一員にして《炎》を司る《精魂導師》。

片やリベリオンに属する者にして《雷》を操る《精魂導師》。

 

人絆憑友とライジン・V・エレクロニング。

 

2人は…兄弟だった。

 

「…俺の名は確かに黎雷だ。それに変わりは無い。

性名もまた人絆で会ってる事に変わりは無い。

けど、俺はお前の元には帰らない…!」

 

 

その一言と同時に黒雲から雷が落ちた…




次回

黒炎と白雷



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♪48 黒炎と白雷

その者、人と堕ちし天使との間の子也。

母に似た美貌を持ち、父と同じ力を持つ。

笑顔が咲き誇る大輪の花を咲かせていた家族は…

1つの事件で一気に散りゆく…

母親を殺された子は助太刀に遅かれし父を恨んだ。

そして子と父は袂を分かった。

子は瀕死になり行く中、1人の紅髪の悪魔と出会い、契約せん。

しかし、それは悪魔と堕ちし天使という悍ましい成れの果ての姿を映し出す。

しかし、その子を愛しく致す龍を宿す者有り。

その者のお陰により、父と和解せん。

子は龍を宿す者に恋を覚え、乙女とならん。

彼を守る為、己の血を受け入れた子は女子となりて、裁きの雷を悪しき者に制裁せん。

(英雄石版『雷光る悪魔と堕天の巫女の軌跡』より)


これはとある1人の男の子の物語。

 

ある所に1組の夫婦がそこにおり、夫婦は「子供が欲しい」と思っていた。

だが、2人の間に子供は中々出来ずにいた。

夫婦は共に数々の偉業を成し遂げていた。

だが、夫婦は我が子と共に歩む『家庭』が欲しかった。

そしてそれは身を結び、実り、そして産まれた。

ただ、産まれた時の天候は雷轟く大雨だった。

そこで父親は子供に名付けた。

 

『黎』明の『雷』…『黎雷』と。

 

だけど黎雷には秘密があった。

それは『電気』を操る力を持っていた事だった。

この地球上にある全ての雷の力…

静電気は勿論、高圧電流なども…果ての先には雷そのものまで彼の手で操作できるという事に。

それでも2人にとってはかけがえのない子供である。

 

順風満帆な生活を送っていた1つの家族。

だが、それは彼女が2人目を妊娠し、臨月に近づくと同時に崩壊する事になった…

 

母親である彼女と父親である彼。

そんな2人は現在、ピリピリとした環境に置かれていた。

その理由は2人が座っている場所の真反対…対面側に影響を受けていた。

当時、夫婦を我が物顔で利用していた貴族風情な輩だった。

貴族は何処から手に入れたのか、黎雷に関する情報とその他周辺の情報を提げてやって来ていたのだ。

 

2人にとってこの貴族とは関わり会いたく無い者の1つだった。

自分達を「捨て駒」若しくは「使い勝手のいい駒」だと解釈しているから…要は「道具」としか考えていなかったのだ。

 

そんな貴族は夫婦に対して「黎雷を引き取る」と申したのだ。

しかし、2人は頑なに首を縦には振らなかった。

当然だった。2人は黎雷の親である事に変わりは無いのだ。

しかし、貴族が仕掛けた多彩なる陰謀に嵌ってしまい、2人は黎雷を離してしまったのだった。

 

黎雷を引き取った貴族は我が物顔で黎雷の面倒を見つつも、黎雷の身体を酷使するぐらいの実験を繰り返した。

貴族は端からこれが目的だったのだ。

特殊な体質である彼を…まるでモルモットの様にして。

 

黎雷自身はこの時、何も知らなかった。

黎雷は特殊な存在である事は先も述べた通りなのだが。

辛い過酷な環境に置かれて、そして慣れてしまったのだろう…

数ヶ月後には黎雷はもうこの世に絶望していた…

そんなある日の事だった。

 

黎雷が今日も実験に無理やり付き合わせられていた時だった。

実験場にいたスタッフ達が慌て始めていた。

何故なら、当時…人々に脅威をもたらした災厄『特異災害』ノイズが実験場へと現れたのだ。

 

やがてノイズは人を見つけるとすぐに襲いかかり、スタッフはおろか、その日やって来た貴族とその家族達を襲い、遂には黎雷以外の全てが葬られた…

 

唯一残っていたのは黎雷だけだった…

その黎雷の所には既にノイズが周りを囲んでいた。

四面楚歌の様に。

その内の一体が黎雷に触れようとしていた。

この時、黎雷は悟った…「自分の運命は此処までなんだ…」と。

そして目を瞑り、最期を迎え入れようとした。

 

 

 

 

 

…だが、いつまでたってもノイズが触って来ない。

意識がまだある事に気づいた黎雷は目を開けた。

 

 

 

そこには、ノイズの残骸らしき灰が積み重なっており、そして目と鼻の先には2人の女性が佇んでいた。

 

「あら?子供?」

 

1人は黒の髪でどこかの学校の制服を着た黒い天使の羽と悪魔の羽を広げた女性と、

もう1人は金髪のストレートと両端にはツインテールの白衣を纏った女性が苦笑しているかの様な顔つきを見せていた。

するとその金髪の女性が黎雷に気づき、彼の元へと赴く。

 

 

「大丈夫?怪我はない?」

 

それが彼…黎雷と、女性…サモン・クリスチャーノ。そして彼のパートナー英雄との出会いだった。

黎雷はサモンに助けられた。

助けられた直後の黎雷は記憶が摩耗していた…

度重なる実験の副作用なのだろう。

 

「貴方の名前は?」

 

サモンはそう唱えるが、彼は首を横に振った…

 

NO.(ナンバー)で呼ばれてた?」

 

彼女がこの際に述べたNO.とは文字通り識別番号の事である。

アニメ等で偶に被験者達に付けられる者の事である。

 

その問いに対し、黎雷は喋ろうとしたが、今日に至るまでに言葉を発せなくしていた為、思う様に言葉が出なかった。

それを見たサモンは、「顔を縦か横に振ってね?」と優しく促す。

それを聞いた黎雷は首を縦に振った。

 

「さて、元に戻すわ。貴方はNO.…識別番号で呼ばれていたの?」

 

その問いに関してはすぐに横に振った。

先程の質問も相まって、サモンは事態を重く見ていた。

何れにしても、このままでは黎雷の人生は碌な事しか起きない事に。

それを感じたサモンは黎雷にこう述べた。

 

「私の…家族になってくれないかしら?」

 

「…⁉︎」

 

 

その時は、「何考えているんだ…」と思った黎雷。だが、彼女と暮らしていく内に、次第に心を許していたのを自覚していた。何せ自分は他人(ひと)とは違う生まれの持ち主。

そしてやがて、彼女から名前を授けられた。

 

「貴方の名前は…」

 

 

ーーーーーー

 

「ライジン・V・エレクロニング。…それはサモンが俺にくれた最初のプレゼントだった」

 

「兄さん…」

 

時は戻り現在。

黎雷の人生を聞いた憑友は悲しみに暮れていた。

 

「…俺はお前の家族に復讐しようと言う考えは持たない。

だが、俺の帰る場所は其処には無い」

 

「!それはちg「違わなく無い‼︎」⁉︎」

 

「お前が今はあの家族の子供だ。俺はもう…その家族の元には戻れない。

この地に足を突っ込んだ時点でな。

今の事象が終われば、俺は共犯者として、牢屋入り。太陽を拝む事も無い」

 

「…」

 

憑友はその話を聞きつつも、ライジン…黎雷の表情を見た。其処には拳を握り過ぎて、血が流し出されていた黎雷の苦痛の表情が映し出されていた。

それを見た憑友は…

 

「それでも…」

 

「?」

 

「俺は…兄さんを無理矢理にでも引き摺ってでも!

親父と母さんのところに連れて行く‼︎」

 

そしてほんの数分の刻が流れていたのだが、2人にはこの時間はまるで長く感じていた。

 

「…決着を付けるぞ」

 

「…」

 

その一言。たったそれだけで戦闘に入る2人。

 

黎雷はアブソーバーに雷のマークが刻まれたカードを装填し、

対する憑友は炎のマークが刻まれているカードを装填し、同時にレバーを引いた。

 

「Risingchange.」「変身!」

 

ーライド!フォーム、オレ‼︎ー

ーアンデッド!フォーム、ボルテクス‼︎ー

 

ー英雄の魂!オレに宿れ‼︎ー

ー雷の魂!我が轟く!ー

 

そして2人はそれぞれの魂を纏い、向き合う。

憑友と黎雷(ライジン)

共に同じ夫婦から育って来た者同士。ただ、出生が違うだけの義理の兄弟…

そんな2人が闘う様は…まるで…

 

 

「はぁぁぁぁ‼︎」

「うぉぉぉぉぉ‼︎」

 

兄弟喧嘩そのものだった…

 

 

2人はまず手始めにカードを装填した。

2人が装填したカードは…

 

憑友…【黒の剣士】キリト

ライジン…【黒のレギオン】黒雪姫

 

まさかの「『黒』剣」同士との戦いだった。

互いに互いの攻撃をぶつけていく。

憑友はキリトの愛剣である剣を2つで、

ライジンは腕と同化しているその二刀の剣を用いて、それぞれを攻撃する。

すると互いにアブソーバーのドライブボタンを押した。

 

『ライド・キリト!』

『アンデッド・ロータス!』

 

『『フルドライブ‼︎』』

 

 

すると互いの剣が光を放ち始める。

それと同時に2人は雄叫びと共に力を解き放つ…!

 

「スター…」

 

「連流《バースト》…」

 

「「ストリーム‼︎/撃《ストリーム》‼︎」」

 

そう言いながら互いの攻撃を相殺していく。

憑友のキリトの技の属性は『斬』

対して、ライジンの黒雪姫の技の属性は『突』

性能面でも異なる2つの技…だが共に、「スターバースト・ストリーム」と言う名を持つ技である。

 

「スターバースト・ストリーム」

それは…2本の斬撃武器を用いて放つ『16連撃』の技の名前。

【黒の剣士】ことキリトと【黒のレギオン(『ネガ・ネビュラス』リーダー)】こと黒雪姫の十八番とも呼べる技でもある。

 

互いに互いの技を打ち消し、最後の16連撃目を相殺した後、2人はすぐに後退し、次なるカードを装填した。

装填したカードは…

 

憑友…【炎の滅竜魔導士】ナツ

ライジン…【ガンダムファイター】カミキ

 

今度はまさかの『炎』の対決…ましてや己の『拳』で闘う「ファイター」タイプだった…!

 

ーライド!フォーム、ナツ!

炎で滅せ!竜滅者!ー

 

ーアンデッド!フォーム、カミキ!

次元覇王!ガンプラファイター!ー

 

 

そして2人の拳ーー正確には手の甲ーーから炎が噴出し始めた。

それを互いに打ち付け合う。

だが、ライドが変身したナツに対して〔炎〕は効果が無いに等しい。

ナツ・ドラグニルと言う男は、ありとあらゆる〔炎〕を喰らい、それを糧にし、己の火力を増加する能力を持ち合わせている。

 

「"火竜の…咆哮"‼︎」

 

「うぐっ⁉︎」

 

憑友はナツの得意技「火竜の咆哮」をライジンにぶっ放す。その攻撃を受けたライジンは軽く吹き飛ばされた。

それでも、ライジンは己の拳をぶつける…!

 

「『次元覇王流』…"聖拳突き"‼︎」

 

「ぐぼっ⁉︎」

 

その拳は憑友の胸部中心にクリーンヒットし、後ろへと退く憑友。

それでもなんとか持ち堪えて、息を整えると憑友は構える。

そして2人同時にドライブボタンを叩いた…!

 

『ライド・ナツ!』『アンデッド・カミキ!』

 

『『フルドライブ‼︎』』

 

そう言うと2人は其々の究極技で放とうとした…が。

 

「"滅竜奥義"…」

「"カミキガンプラ流"…"鳳凰覇王拳"‼︎」

 

なんとライジンの技の発動時間が速かった…!

だが…まだ、憑友は…唱えていなかった…

…技の名前を。

 

「"不知火型"…!」

 

「何⁉︎」

 

そして解き放つ…

 

滅竜奥義…

それも、彼…ナツ・ドラグニルを育てた火竜ーーイグニールーーから直に教わった技を…

憑友が解き放つ…!

 

 

 

「"紅蓮鳳凰拳"ーー‼︎‼︎」

 

 

 

そして互いの距離が拳1つの間合いで激突する両者の技…

互いに引けない…いや、引く訳には行かない。

2人にあるのはただ…それだけだった。

 

「くっ!」「ぐぬ!」

 

そう悪態を付く両者。結果はこの悪態の限り、それでも決着はついていない様だ。

 

するとまたしても2人は其々のアブソーバーにカードを装填する…!

 

ーライド!フォーム・なのは‼︎

不屈の心、エース・オブ・エース‼︎ー

ーアンデット!フォーム・アーサー‼︎

聖なる扉!ナイツ・オブ・グランド!ー

 

そう言うと2人はそれぞれまた別の姿へと変わる…

憑友は自身が5番目に出会った英雄…『白』を基調とした装いをした槍杖を携える女性…A・O・A(エース・オブ・エース)の名を持つ魔導師…高町なのはへと姿を変え、

対してライジンは、『円卓の騎士《ナイツ・オブ・グランド》』を従える『白』を基調とした仕事着を羽織り、頭に王冠を戴冠した若き騎士達の王…聖王アーサーの姿へと変わる。

 

今度は『白』がイメージカラーである2人の英雄へと姿を変えた両者。

 

すると憑友は上空へと浮上し、足元に魔法陣を形成するなり、周りに顕現したピンク色の発光体を一斉にライジンに向けて発射する!

なのはの得意とする魔法の一つ…『アクセルシュート』である。

 

だが、その攻撃もアーサー扮するライジンは肩に担いでいた銃口大剣型ドライバ《エクスカリバー》を用いて、片手で優雅に斬り落としていく…!

 

そしてライジンは憑友に銃口でもある剣先を向けて、柄に携えていたトリガーを放つ…

 

「"カルンウェナン"」

 

 

そして放たれた弾丸は途中から散弾の様に散りながら襲い掛かる。だが、それを見過ごす程、憑友は甘くない。

 

「"ディバイン…バスター"!」

 

そう言うと杖の先から砲撃を放つ憑友。

両者の力は五分五分。するとライジンはまた別のカードを取り出した。

そこには白い髪に、白い肌をした少年が、手先から雷を放つシーンが描かれていた。

 

「行くぞ…伝説よ」

 

そう言うとライジンはアブソーバーに装填されているアーサーのカードとそのカードを交換した。

 

ーアンデッド!フォーム・キルア!(LEGEND!)

念能力!雷・変化‼︎ー

 

するとライジンは小柄だが、雷を迸っている少年にして、『念能力者』の1人…キルア・ゾルディックへと姿を変えた。

このキルアは誰もが知る連載誌『週刊少年ジャンプ』に不定期ながらも今だに連載し続けている漫画『HUNTER×HUNTER』のもう1人の主人公でもある。

作品内の特殊な力『念能力』を持ち、その念能力の中の一つ『変化系』で念と呼ばれるオーラを『雷』に変化する能力を携えている。

更に電気系統が存在する場所…コンセントやスタンガン、果ては乾電池や雷など…があればそれをオーラに変換させ、糧として貯蔵する事が出来るのだ。

そんな相手に対し、憑友は…

 

「…これで行く」

 

そう言って取り出したカードをアブソーバーに装填して、レバーを引いた。

 

ーライド!フォーム、政宗‼︎

奥州筆頭!Let's Party‼︎ー

 

そして憑友は奥州筆頭の異名を持つ男にして、日ノ本一の兵と称された男・真田源次郎幸村の未来永劫の好敵手…伊達政宗の力を発現させた。

 

不覚にも現在の両者は共に、『雷』の属性だった。

 

そうしていると憑友は両腰に差した刀各3本、計6本の刀を竜の爪のように見立てながら抜刀する。政宗の本気の状態…『WAR DANCE』形態である。

だが、憑友はその状態からくるりと右足を軸に時計周りに回転した。

すると政宗の姿が青の羽織が目立っていた甲冑姿から…白の装束姿へと変貌したのだ…!しかも、背中には金の刺繍を編んだ十字架が描かれていた…!

 

「死装束は本気の証…いざ、推して参る‼︎」

 

「っ!」

 

そう言うと憑友ー政宗・白十字ーが先制攻撃を仕掛けた!

しかし、黎雷は攻略法を知っていた…!

政宗の力を宿した憑友の攻撃パターンは、憑友の親友である大地と馬燈の2人からみっちり聞いていた。

どの攻撃も、必ず抜け穴があると言う事。

そして、『WAR DANCE』形態での最大のデメリット…

 

"防御力が低下、且つガード不能"と言う欠点を。

 

 

そして憑友が攻撃する所を黎雷はキルアの念能力『神速(カンムル)』ー電気に変えたオーラを身体の末梢神経に直接流し込む事によって超人的な反射行動を可能にする能力ーを発動し、背後をとり、そしてすかさず心臓目掛けて手刀が突き刺さ…

 

 

ガキンッ!

 

「⁉︎」

 

…らなかった…

 

 

六爪竜状態の憑友が、刀を6本持ったまま()()()した事で。

 

「(何故だ⁉︎この状態ではガードする事が出来ない筈⁉︎)」

 

「今までの俺とは…違うんだよ‼︎」

 

そう言うと憑友はガードした状態からそのままはじき返した。

 

現在の憑友がなっているのは戦国BASARAの伊達政宗。だが、彼は基本的に六爪流の状態ではガードする事が出来無いどころか、防御力も低下するのである。しかし、今のはガードしたのだ。

政宗の姿は白十字ノ姿。それは死装束の証。

その本気は生半可では無い。

 

激しい雷の攻防…

片や雷のオーラを使って戦う俊敏の雷。

片や雷の闘気を纏って戦う逆鱗の雷。

 

「「うおおおおおお‼︎」」

 

兄弟喧嘩はその地から足を離れ、空へと駆け上っていった…




次回

想い〜託されしもの〜


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♪49 想い

大変お待たせしました。
この間にいろいろと世間が騒ぎました。
因みにアンケート結果を此処でもお伝えします。
結果…「盾の勇者の成り上がり」に決定しました。
詳細は活動報告にて。

そして今回からNEWアンケートを実施しています。是非お願いします。

それでは本編の方へ。
殆ど原作沿いなのでスルーしても良いけど、最後はオリジナルですので気をつけて。


響が父・洸の態度に不甲斐なさを感じていた頃、シャトー内ではウェルの言った一言が原因で揉め事が勃発していた。

 

「父親から託されたものを「なんか」とお前は切って捨てたか⁉︎」

 

「ほかしたともさ!英雄の器が小学生サイズのレディには荷が勝ちすぎる!

やはり世界に英雄は僕ひとりぼっち。二人と並ぶ者はない!」

 

そう言いながら自分自身を自画自賛するウェル。

ここへきてもやっぱりズレない英雄思考のウェル。

前にも言ったが、自らが英雄だと称する輩は碌な目にしか逢わない。

 

 

「やはり僕が英雄となって…」

 

「どうするつもりだ?」

 

そう会話しながら、キャロルの手は何かをしようとウェルに気付かせない様に注意しつつ、動かす。

 

「無論人類の為善悪を超越した僕がチフォージュ・シャトーを制御して…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グサッ!

 

 

 

突然にして響く鈍き音。それと同時に血が吹き出る。

その血は…ウェルから流れていた。

 

 

「支離にして滅裂。貴様みたいな左巻きが英雄になれるものか」

 

それはキャロルからの洗礼だった。

キャロルはダウルダブラを取り出し、その先端をウェルに刺し穿いた。

そのままウェルを錬金術で端に吹き飛ばす。

ウェルは自身の手で傷口を触れる…

 

「駄目じゃないか…楽器をそんなことに使っちゃ…」

 

「シャトーは起動し世界分解のプログラムは自立制御されている」

そういうとキャロルはダウルダブラを上に掲げる。

 

「ご苦労だったなドクター・ウェル。世界の腑分けは俺が一人で執刀しよう!」

 

「顔はやめて!」

 

そういうとキャロルは振り下ろす!

だが、悪運の賜物か、ウェルはその攻撃を受け流し、そのまま地下へと落下した。

 

「廃棄予定がいささか早まったか…」

 

そう言うキャロルだが、突然の発作に襲われる。

残りは僅かと言うサインでもある。

 

「立ち止まれるものか…計画の障害は例外なく排除するのだ…」

 

そう言うとキャロルは近くに興味深い物を見た。

そこには響と洸の2人が映し出されていた。

 

そんな中、別の場所で1人…サモン・クリスチャーノは嘆きの言葉を呟く様に話す。

 

「とうとう稼働したのね…チフォージュ・シャトー。

アレを止めないと…」

 

そう言いながらサモンは自身の手に握られたタブレットを見つめる。ライド達と同じ形状のタブレット。

サモンはそのタブレットに電源を入れた。

すると同時にタブレットから四枠のタブレットが出現した。

上、右、左、下、そして中央の五枠のタブレットにサモンはそれぞれカードを装填する。

 

『レイヴン』『峰不二子』『リク』『神代凌牙』『マスター・アジア』

 

装填したタブレットを盾の様に持ち、持ち手に付いたスイッチを押した。

するとタブレットに光が形成、そのまま5つの光が地面に降りると、そこから人間の姿へと変わった。顕現である。

現れた5人は辺りを見渡す。青年2人は全身で、女性は首だけ、高年な2人は目だけをキョロキョロと動かす。

 

「急に呼び出してしまい、申し訳ありません」

 

そうサモンは言うと、彼等は全員サモンに顔を向ける。

 

「あら?貴方が私を呼んだのかしら?」

 

「ええ」

 

女性…峰不二子の問いに答えるサモン。

続け様に凌牙が口を開く。

 

「何故、俺達を呼んだ?」

 

「おっさん、お嬢ちゃんに呼ばれるのも有りかもねー」

 

レイヴン…。折角の場の空気を壊さないで欲しいものだ。

 

「話が噛み合わなくなるので私語は慎んで下さい」

 

「しょぼーん…」

 

リクに説教をくらうレイヴン…。なんだかシュール…。

そしてその光景を見たサモンは苦笑し、他の英雄達は呆れていた。

そんな中でこの中で最高齢の漢…マスター・アジアこと東方不敗が場の空気を元に戻す。

 

「ふっ。…で、儂等を呼んだのは何故か?」

 

その問いに対し、サモンは告げた。

その話に耳を立てる英雄達。最初は乗り気では無い彼等も次第にサモンの言った言葉に何かを感じたのだろうか、冷や汗が出てきそうに感じ取れた。

そして最後まで話を聞いた皆は…

 

 

「お主の言い分。最後まで聞かせてもらった。

…小娘に説き伏せられるとは。東方不敗はまだまだ進化し続けるものという事か」

 

「貴方にそれを言われちゃったら、どうしようもないわね。

もう…」

 

「俺の力でみんなを笑顔に出来るなら…俺は貴方の力になりましょう」

 

「おっさんも、あんちゃん達に色々と厄介して来た身なのよねー。

これも一種の罪滅ぼしかね〜」

 

「…あ〜くそ!分かったよ!やれば良いんだろうが!やれば!」

 

「皆様…有難うございます。

そして…お願いします!」

 

「ええ」

「ああ!」

「…おう」

「はいはい」

「よかろう」

 

 

果たしてサモンは彼等に何を語り、そして何をお願いしたのだろうか?

 

その頃、響の方では先程の洸の態度に遂に怒り、揉め事を起こしていた。

 

「いい加減にしてよお父さん!」

 

「ほう。そいつがお前の父親か」

 

そんな最中に、キャロルがその場に現れた…空中に。

 

「響!空から人が!」

 

「終焉の手始めにお前の悲鳴を聞きたいと馴染まぬ体が急かすのでな」

 

そう言いながら響を見下ろすキャロル。彼女に隙は伺えない様だ。

響は東京都庁上空に現れた建造物に一瞬向けた後、キャロルと会話し始めた。

 

「あれはやっぱりキャロルちゃんの⁉︎」

 

「いかにも。俺の城チフォージュ・シャトー。

 

アルカ・ノイズを発展した世界をバラバラにする解剖機関でもある」

 

そう言いながらキャロルはシャトーに目を向け、また響と対面する。

 

「あの時もそう言ってたよね…」

 

響は初めてキャロルと会った時の事を述べた。

 

「あの時お前は戦えないと寝言を繰り返していたが今もそうなのか?」

 

そう言われた響は一瞬考えたけど、それでも街の人々を助ける為にギアを取り出そうとした。

…だが、問屋は卸さないと言わんばかりにキャロルが妨害を仕掛け、響の手元からギアが離れてしまった。

 

「最早ギアを纏わせるつもりは毛ほどもないのでな!」

 

そう告げるキャロル。対して響は生身のままでも源十郎から教わった格闘スタイルを貫く…だが。

 

「俺は父親から託された命題を胸に世界へと立ちはだかる!」

 

「お父さんから託された…」

 

その言葉を聞いた響に変化という名の揺らぎが起きた…

 

「誰にだってあるはずだ!」

 

「私は何も…」

「託されていない」

 

父の意思を持って前に立つキャロル。

しかし、響は父親・洸から何も託されていない事に気付かされてしまった。そしてそれをキャロルは見逃しはしない。

 

 

「何もなければ耐えられまいて!」

 

キャロルの錬金術が響を襲う…!

 

だが、洸が咄嗟に響を庇い、その攻撃は受けずに済んだ。

 

「響!おい響!」

 

そんな親子に向けてキャロルは錬金術の紋を向ける。

 

「世界の前に分解してくれる」

 

「!?…助けてくれ~!」

 

そう言いながら、娘を置いて逃げようとする洸。

それを見た響はショックを隠しきれなかった。

そしてキャロルは響に向けていた紋を洸に向けて撃ち放った。

 

「来るな!来るな!」

 

「大した男だなお前の父親は。

俺の父親は最後まで逃げなかった!」

 

そう自慢げに言うキャロル。響は更にショックを受ける。

 

「響!今のうちに逃げろ!」

 

逃げるように催促を促す洸。

しかし、そんな彼の走る先を狙われ、洸は吹き飛ぶ。

それを見た響は父である洸に向けて叫ぶ。

そして洸は辛うじて生き、そして言葉を発する。

 

「これくらい…()()()()()()()()…だ」

 

へいきへっちゃら。

それは…いつも響が言っていた台詞でもあった。

 

〜〜

『お父さん大丈夫?』

『ああ。へいきへっちゃらだ』

〜〜

 

(そうか…あれはいつもお父さんが言ってた…)

 

響がいつも言っていたこのフレーズ。

そのルーツは父・洸からの物だった。

 

「逃げたのではなかったのか?」

 

「逃げたさ。だけど…

 

 

 

 

どこまで行ってもこの子の父親であることからは逃げられないんだ!」

 

声を大にし、荒げながらもその言葉に力を乗せて語る洸。

その言葉の重みを聞いた響は少しずつだが立ち上がっていた…!

 

 

「俺は生半だったかもしれないがそれでも娘は本気で壊れた家族を元に戻そうと勇気を出して向き合ってくれた!

 

だから俺もなけなしの勇気を振り絞ると決めたんだ!」

 

その言葉を聞いた響。その瞳には意思が宿った…!

 

「響!受け取れ!」

 

そう言うと洸はなんとギアペンダントを響に向けて投げたのだ!

実は洸は逃げる振りをしつつ、キャロルの猛攻を掻い潜りながら、

響の戦う力でもあるシンフォギアのペンダントを探していたのだ!

 

そして響はそれを受け取ると、逞しくそして清らかに聖詠を詠う…!

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron」

 

その聖詠を妨害しようとキャロルが光弾を飛ばす!

 

「響!」

 

着弾と同時に爆発、そして煙が舞う…

風と共に煙が晴れてゆく…

 

「へいき、へっちゃら」

 

爆発により生じた煙の先から現れたのは…

ガングニールを纏った響がそこに立っていた。

そして響は洸に告げた。

 

「私お父さんから大切なものを受け取ったよ…

 

受け取っていたよ!」

 

(挿入歌「リトルミラクルーGrip it tightー」悠木碧)

 

「お父さんはいつだってくじけそうになる私を支えてくれた。

 

 

ずっと守ってくれていたんだ!」

 

そう言うと響はキャロルと交戦を始める。

キャロルはすかさずアルカ・ノイズを大量発生させる。

だが、今の響には託されしモノがある!

それ故に躊躇いのかけらも無く、立ち向かっていく!

そんな響を見た洸は思い返していた。

それはフロンティア事変の時の生中継の時に響がガングニールを纏った時の映像を見ていた。

そして響の纏っているガングニールを見て、確信した。

「(じゃあやっぱりあの時の女の子は響だったのか…

逃げるばかりの俺と違い何があっても踏みとどまってずっと頑張ってきたんだな…)」と。

そんな最中にキャロルの攻撃で響がダウンしてしまった。

そんな娘に対して洸がとったのはただ一つ…

 

「響!負けるな!」

 

それを聞いたキャロルはアルカ・ノイズを生み出すジェムを洸の足元近くに投擲する。

 

割れたと同時…!

響が目を覚まし、すかさずキャロルに向かって腹パンを決めた!

そして追撃を与えようとする響に対し、キャロルはバリア型の錬金術を三層構造にして形成する。…が、今の響のパワーの前では正面突破でこれを粉砕され、顔面にクリーンヒットした。

 

 

そして洸の足元近くからアルカ・ノイズが発生。

響がそれに気づき急行する…!

 

「お前も父親を力と変えるならまずはそこから引いてくれる!」

 

そう言うとキャロルから指示されたかのように、アルカ・ノイズが一斉に洸に襲い掛かる…!

絶体絶命!その時だった!

空中から数多の弾丸がアルカ・ノイズを襲い、疾風のバリアドームが洸の周りを包み込んだ!

何事かと思ったキャロルが向かうと正面から盾が…否、剣が!

更に左側斜め後ろから壁…否、こっちが盾か。

そして右側斜め後ろにはどデカイ軍配…否、斧が、

それぞれキャロルの周りを三角形を描く形で囲っていた!

その上にはそれぞれ…剣には防人()が、

盾には偶像の妹(セレナ)が、斧にはセレナの恋人()がそれぞれキャロルを上から見下していた。

そしてその隙間から見えた先には

切歌,調,陰陽兄弟,マリア,ロック,逝都,クリス,霊風,馬燈,奏の面々がビルの所に集っていた。

尤も、逝都と馬燈はズタボロでやられており、前者はロックに、後者は奏に支えられていた。

 

洸が呆然としていると車に乗って来た緒川に乗車するように催促され、洸は乗り込む。洸は上空に佇むチフォージュ・シャトーを眺めながらも響を思う。すると車の進行方向とは真逆…響達の最前線に向けて向かう存在が車の横を通過した。それを見た洸は驚かされた。

それは神獣鏡(シェンショウジン)を纏った未来が現場に駆けつけようとしていたからだ。

 

これもまた一種の想いから成せる所業である。

 

そうして未来が現場に駆けつけたと同時にキャロルが上空に佇む。

 

「もうやめようキャロルちゃん!」

響が説得しようと試みるもキャロルはもうその説得には応じないかのように告げる。

 

「本懐を遂げようとしているのだ。今更やめられるものか。思い出も何もかも焼却しても!」

 

そう言うとキャロルが竪琴であるダウルダブラに旋律を刻もうとした…その瞬間だった。

 

 

ゴロゴロゴロゴロ…

ゴロゴロゴロゴロッ!

 

『!』

 

突然聞こえて来た雷轟の音。

しかし、上空を見渡すが発生の源であふ積乱雲はおろか、暗雲とした雲すら見当たらない。

 

するとキャロルと装者&導師達の間に1つのイナズマが駆け落ちた!

激しい雷が波状となって装者&導師、キャロルに襲いかかった!

 

本来、雷は高い所に落下する性質を持つ。

それ故に、高い建造物はそれを対処する為に避雷針を設置するのが義務付けられている。

ましては此処は都会のど真ん中、高い建造物などいくらでも建っている。

逆に地面に近い場所は基本、避けるどころかほぼ落ちない。

それなのにこのイナズマは地面に堂々と落ちて来たのだ!

 

そうして落ちた衝撃により破片があちこちに飛び散り、煙が立つ。

やがて晴れてくるとそこには…

 

「…!憑友!」

 

それは響の幼馴染であり、この物語の主人公である憑友がそこに立って…

 

「…⁈待て、立花!」

 

と、翼が響を止めに入った。

何故なんですか!と抗議すると翼が憑友の足元を見ろと指を指す。

それに言われて響は指された方に目を向けるとそこに…

 

足が着いてなかった。

 

そう…憑友は浮遊していた。

しかも、よく見れば、腕や脚がダラけきっている。まるで力を入れていないかのように。

そして煙が上がった瞬間、目を疑った。

憑友が…口や鼻の穴・耳穴から煙を発しながら、焦げ付いていた。

それに顔中が傷だらけだった。

何処をどう見ようと間違いが無かった…

 

憑友が…倒されたのだ…!

 

 

「俺を本気にまでさせるとは…さすがとしか言いようが無い」

 

『‼︎』

 

その一言を聞いた皆は憑友の背後にいる奴に目を向けた。

憑友と相対していた相手は只1人しか居ない。

 

そこには、巫女服の様なカラーにコーデされた服を纏った存在。

憑友の実の兄であり、キャロルと同盟を結んだサモンの右腕。

逝都と馬燈をスカウトして彼等を導師に成長させた男…

 

 

「まさか、俺のパートナーをも出させる程、強くなるとはな」

 

雷の魂を導く師者…《雷魂導師》アンデット…

ライジン・V・エレクロニング…

本名…人絆黎雷が憑友の頭を片手で持ち上げていた。




次回

贖罪

下記のアンケートもお願いします。


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♪50 贖罪

今回はサモンによって呼び出された英雄達の話。
ご都合主義のバーゲンセールです。


雷の魂を導く師者…

《雷魂導師》アンデット…

ライジン・V・エレクロニング。

彼がこの場に現れた事で先程までの場の雰囲気がガラリと変わった。

 

ライジンは自身の左手でぶら下げている憑友を見ると、そのまま響の方に放物線を描く様に放り投げた。

それを見た響は一瞬だけ驚くやそのまま憑友を腕全体を使ってお姫様抱っこする形でキャッチに成功する。

響は憑友を心配し、駆け付けた未来も彼が生きてるのかの安否を確認する。すると若干だが、肺にあたる部分が膨らみ、そして萎んだ。それが幾重にも繰り返しているのを見ると、どうやらまだ生きてる様だ。

それを見た2人は共に安堵する。だが、それも束の間に過ぎない。

2人は共にライジンに顔を向ける。

他の装者と導師達も同様だ。

 

ボロボロになっている逝都と馬燈もライジンに顔を向ける。

それを見たライジンは察した。

 

「(戦って勝った…と言うわけでは無いな。

完全に負けた顔つきだ。顔を向けていたとしても、目を逸らしていては意味が無い)」

 

そう心の中で呟くとため息を零した。

それに気づいた2人は怖気つく。

2人はライジンがため息を吐く時は、後から酷い目に遭うとこの数ヶ月程度の短い時間で嫌と言う程味わっていたから。

 

だが、開口一番の言葉は…

 

「…死んでないならそれで僥倖」

 

「「え?」」

 

安否確認だった。

 

「お前らは、憑友(あいつ)の為を思って俺達と共に行動し、そして同じ力を手に入れた。

そして俺達の目的を恩返しと言う形で行動してきた。

その分はきっちり払った。あとはお前達の好きにしろ」

 

そう言うとライジンは2人から目を離した。

そんな最中にキャロルはダウルダブラを起動しようとした刹那…

 

ビリビリビリッ!

 

「!?」

 

キャロルの周りを電撃の籠が覆い尽くした。

 

「『cage with W(ワット)』。お前はそこで見物だ」

 

「裏切るつもりか!」

 

「博士の為にもお前が目障りなのでな」

 

そう言うとライジンはチフォージュ・シャトーに目を向けた。

 

ーーーーーー

一方、此処はチフォージュ・シャトー内部。

そこではサモンが駆け回っていた。

そしてそれは他の英雄達も同じだった。

 

そして中枢部から遠く離れたフロアでそれぞれがターゲットにしている物を見る。

するとそれを予想していたのか、アルカ・ノイズ達が一斉に現れた。

それを見た英雄達は己の得物を構える。

 

レイヴンと呼ばれた男は頭を掻きながらも変形弓を展開する。

 

「おっさんの相手をするのは高く付くわよ?」

 

そう言うとアルカ・ノイズへと接近するとそこから十手型の短剣と変形弓を使いながら華麗に舞うかのように相手を倒していく。

 

「纏まっていると痛い目見るぜ?

"降り注げ、光の雨!"驟雨の乱!」

 

そう言うとレイヴンは弓から矢を連続で放ち、最後に一本の矢を上空に向けて放つと、矢が光となりて雨となって降っている場所にいるアルカ・ノイズ達を一掃した。

だが、それでも数が多かった。

 

「うそ〜ん。おっさんの所だけ多くない⁈

こうなったら…」

 

そう言うとレイヴンは何処から取り出したのか唐草模様の風呂敷を広げ、自身を包んだ。そして出てきたのは先程「レイヴン」と呼ばれていたおっさんでは無く、騎士甲冑を身につけ、長剣を携えた1人の騎士がそこにいた。

 

「帝国騎士団長主席、シュヴァーン・オルトレイン。

…参る!」

 

そう言うとシュヴァーンと名乗った男は剣を使ってアルカ・ノイズ達を一網打尽にしていく。

 

「"吹き飛べ"〈アリーヴァデルチ〉」

 

そう言うと下からピンキーな風が発生し、ノイズを一掃する。

 

「ここらで終わりにしよう」

 

そう言うとシュヴァーンは右手を天に向けて掲げる。

すると彼の周りから光の螺旋が形成され、その光がノイズを巻き込む。

 

「"この命を、賭ける…!"

ブラスト・ハート‼︎」

 

そして発声すると同時に己の心臓を掴むと同時に周りにいる敵を全て衝撃波で倒した。

 

するとシュヴァーンは先程「おっさん」と自称していたレイヴンへと姿が変わった。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…

…おっさんには厳しいわ〜」

 

と、口調まで変えたものの、それでも周りのノイズは片付けたレイヴンであった。

 

 

 

 

一方、リクと呼ばれた青年の方にもアルカ・ノイズは発生していた。

だが、リクは至って冷静にアルカ・ノイズを得物である剣で薙ぎ倒す。だが、やはり質より量。数が多すぎる。

 

「仕方ない…」

 

そう言うとリクは懐から一本のキーホルダーを取り出した。

するとキーホルダーに光が纏い、そこから剣へと姿を変えた!

キーホルダーから剣へと変わったこの武器…総称名「キーブレード」

は彼のいた世界での戦い、そしてそれぞれの道を切り開く為の武器であり、光を見せる武器。そしてそんな武器を持つリクの武器の銘は「ウェイトゥザドーン」。意味は「夜明けへの道」。

リクは自身の武器を持ってノイズ達を一掃していく。

そして斬って斬って斬りまくり、最後の一体を倒した。

 

「これで少しは罪滅ぼしになったかな…」

 

 

 

 

一方、別の場所では…

 

「もう…女の子を付け狙うのは良くないわよ」

 

そう言いながら、峰不二子と呼ばれた女性はノイズ達を後ろにし、()()()で駆け回っていた。

 

…何故にバイクが此処にあるの?とは、誰が思った事か。

 

「それは…ひ・み・つ♡」

 

あ、そうですか…。

 

そう言うと不二子はバイクを傾け、ノイズ目掛けてマシンガンをぶっ放す。

アルカ・ノイズなので一応ダメージは通るのだが…地味な攻撃手段にしか見えないのである。

銃なので一応武器としては成立しているのだが、

なにぶん、他の英雄達が剣で斬ったり、弓矢で射たり、槍で突き刺したり、魔法や技をぶっ放す始末なのであまりド派手では無いのだ。普通に銃を使って攻撃するだけ。

まぁ、彼女自身がかの有名な大泥棒「アルセーヌ・ルパン」の孫「ルパン三世」の仲間である故、そんじゃそこらじゃ倒れはしないのである。

なんて言っていたら、あっという間にアルカ・ノイズ達は一掃していた。

 

「ふぅ〜。後はあの子達に任せましょ♪」

 

なんとも自分勝手なお人である。

けど、そんな女性に魅力を感じる輩がいるのは否めないだろう。

 

 

 

場所はまた変わり、今度は1人の青年がアルカ・ノイズと激闘を繰り広げていた。

 

「…ッ!こんな奴等がデュエルできると思うかよ‼︎」

 

そう言いながら愚痴を零すは神代凌牙と呼ばれた青年だった。

彼はカードゲームの魁と呼ばれる作品『遊戯王』のシリーズに登場するカードバトラー。作品内では総称して『決闘者(デュエリスト)』と呼ばれる人材の1人。

彼が使うのは主に「シャーク」と名のついたモンスターを筆頭に「水属性」のモンスターを主軸にしたカードの束…デッキを使用する。

 

尤も、この世界では遊戯王は世間では流行ってはいない。

それ故にカードバトルもあまり盛んではない。

 

「…まさか…」

 

そう言うとシャークはデュエルディスクと呼ばれるカードを置く為の装置にカードを装填した。

 

「俺は…って、相手が異形だと言う必要も無いか。

『ビック・ジョーズ』と『スカル・クラーケン』を召喚!」

 

そう言うとシャークの目の前で2体のモンスターが呼び出された。

此処で遊戯王を知っているものは批判をするだろう。

 

普通、遊戯王ではモンスターを召喚する事は可能だ。

だが、()()()2()()()()()()()()()()()()()()()()()()()は不可能なのである。

これはルールの基本中の基本でもある。

但し、例外として「特殊召喚」に分類する召喚はそれを除く。

そして、魔法「二重召喚(デュアルサモン)」等、一度に呼び出せるモンスターの数を増やす効果があるカード以外では基本的に1回のターンに付き、1度しか通常の召喚方法は出来ないのである。

では何故、凌牙はそれが出来たのか?

 

それはこの世界ではモンスターという概念が存在するが、幾重にも召喚されてきた故に、召喚時の拘束が解けている事が原因である。

ほら、ノイズさんを呼び出したり、アルカ・ノイズを発生した際なんて、一体で出てくる?答えはNO。大量に出てくるよね?

これと全く原理が一緒になってしまっているのである。

なんともご都合主義な効果である。

真面目にやれと言いたくなる…。

 

「俺はレベル3のビック・ジョーズとスカル・クラーケンでオーバーレイ‼︎

2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!

エクシーズ召喚‼︎」

 

そう言うと2体のモンスターがフィールドに現れたサークルに入ると衝撃が走った。

 

「漆黒の闇より出でし赤き槍!『ブラック・レイ・ランサー』!」

 

そう言うとシャークの後方に黒い身体をした赤い槍を携えたモンスターが現れた。

それは凌牙のエースモンスターの一角、《ブラック・レイ・ランサー》だった。

するとアルカ・ノイズは凌牙に向かって攻撃する!対消滅が狙いの様だ!…だが!

 

「ブラック・レイ・ランサーの効果!

1ターンに1度、このカードのO R U(オーバーレイユニット)を1つ取り除き、

フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。

選択したモンスターの効果をエンドフェイズ時まで無効にする!

《パラライズ・ランス》!」

 

そう言うとアルカ・ノイズは対消滅ができなくなった!

それに気づいたノイズ達はたじろいだ。

凌牙は更に猛攻を加える。

 

「俺はレベル5の『イーグル・シャーク』を召喚!このカードはリリースなしでも召喚できる。

更に俺は、場に『イーグル・シャーク』が居る事でこのカードを特殊召喚できる!

来い!『パンサー・シャーク』!」

 

そう言うと凌牙は更に2体のモンスターを続けて召喚した。

すると凌牙は告げる…!

 

「レベル5の『イーグル・シャーク』と『パンサー・シャーク』をオーバーレイ!

2体のモンスターをオーバーレイネットワークに構築!

エクシーズ召喚!」

「現れよ!No.73!『激瀧神(げきろうしん)アビス・スプラッシュ』!」

 

そして現れたのはまるで海の神・ポセイドンを彷彿とさせるモンスターがその場に現れた。

それでもノイズ達が攻めてくる!

それを見た凌牙は

「ブラック・レイ・ランサーの効果!《パラライズ・ランス》!」

と告げると、前に召喚されたモンスターの効果を使い、再び彼らの特殊効果を封じた。

更に追い討ちをかける!

 

「更に俺はアビス・スプラッシュの効果を発動!

1ターンに1度、このカードのORUを1つ取り除いて発動できる。

このカードの攻撃力は、相手のエンドフェイズ時まで倍になる。

但し発動したこのカードが相手ライフに与える戦闘ダメージは半分になる。

この効果は相手ターンでも発動できる」

 

するとモンスターからオーラが驚異的に増すのを感じ、怯み始めるノイズ。

 

「俺は手札から魔法(マジック)カード『サルベージ』を発動!

墓地に存在する『攻撃力1500以下の水属性モンスター2体』を選択し、手札に加える。俺が加えるのは『イーグル・シャーク』と『スカル・クラーケン』!」

 

そう言うと先程消費されて消えたモンスターが手札に戻る。

すると凌牙は戻ってきた『イーグル・シャーク』を場に呼ぶ。

更なる追い討ちをかける!

 

「俺は2体目の『ビック・ジョーズ』を召喚し、更に『セイバー・シャーク』を召喚!セイバー・シャークはメインフェイズに魚族モンスター一体を選択する事で対象のレベルを1つ増減する効果を持つ!

更にこの効果は1ターンに2回まで使用できる!

俺が対象にするのは『イーグル・シャーク』と『ビック・ジョーズ』!

『イーグル・シャーク』をレベルを1つ減らし、

『ビック・ジョーズ』はレベルを1つ増やす!」

 

そう言うと2体のモンスターのレベルが前者は減り、後者は増えた。

そしてこの場にはレベル4のモンスターが3体揃った…!

 

「俺はレベル4の『イーグル・シャーク』『ビック・ジョーズ』『セイバー・シャーク』をオーバーレイ!

三体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!

エクシーズ召喚!

来い!俺の中の復讐の化身!『No.32 海咬龍(かいこうりゅう)シャーク・ドレイク』!」

 

そして現れたのは赤黒い体表をしたヒレを持つ悍ましいモンスター…

《No.32 海咬龍(かいこうりゅう)シャーク・ドレイク》だった。

 

「3体のモンスター達でダイレクトアタック!

《ブラック・スピア》!

《ファイナル・フォール》!

《デプス・バイト》‼︎」

 

そう言うと3体のモンスター達で周りにいたアルカ・ノイズ達は一掃され、勝利を収めた。

凌牙のモンスター達が消えたと同時に凌牙は両膝を地につけ、息切れを起こした。

いつもとは勝手が違う戦い方に身体が追いついていなかった様だ。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…

やはり、本来のデュエルとは違う為か。

…かなり疲れやがる…」

 

そう言いつつも、凌牙は左脚を引きずりながらも目的の場所へと移動を再開する。

彼の周りにはアルカ・ノイズの残骸を残して。

 

 

 

一方、別の場所ではマスター・アジアこと東方不敗がノイズを相手に素手で攻撃していた。

 

「ふっ!これ程の敵に、遅れは取らん!」

 

そう言いながら、東方不敗は四面楚歌を数多の敵で覆い尽くされた中でも素手で立ち向かう。

だが、徐々に息切れが発生していた。

東方不敗も英雄とはいえ人故に歳をとる。

その所為か、身体が徐々に悲鳴をあげていた。

 

「はぁ…はぁ…

まだ儂は負けん!かぁぁぁぁっ‼︎」

 

そう言うと東方不敗の後ろから黒いロボットが出現した。

それのロボットの内部に入る東方不敗。

それは彼自身の専用のロボ…マスターガンダムでもあった。

 

「"流派・東方不敗"は王者の風よ。

全新、系裂、天破侠乱。

見よ、東方は赤く燃えているッ!」

 

そう言うと東方不敗が乗り込んだマスターガンダムはノイズを相手に疾風怒濤の攻撃を与えていく。

 

するとそこにマスターガンダムと同サイズのアルカ・ノイズが出現した。周りには他のノイズは居ない。どうやら最後の一体の様だ。

それを見た東方不敗はそのノイズに向かって蹴りを放つ!

 

「儂を甘く見るでない!」

 

そう言うと彼はマスターガンダムを操作し、機体の掌を前面に突き出し、大きく円を描くように動かしながら梵字を出現させ、そこから気で使用者の小型の分身を多数作り出し、対象に攻撃を仕掛けた!

 

"十二王方牌大車併"

 

彼の代表技の一つだ。

そう言うと今度は遠くまで吹き飛んだノイズを彼…マスター・アジアが得意とする布を用いた攻撃方法を、布状のビームを用いて再現した技 "マスタークロス"がノイズを絡め、そのままマスターガンダムの元へと引っ張った!

 

すると怒涛の格闘攻撃がノイズを襲う!

 

「"流派・東方不敗"は王者の風!

儂の一撃…とくと見よ!」

 

そう言うと東方不敗は右手を手刀にし、ノイズ目掛けて突き刺し、そして掌底を放った!

マスターガンダムの代表技…

 

"ダークネスフィンガー"

 

その技が決まった瞬間である。

するとノイズはその威力に爆発し、四散した。

 

最後の一体を倒したマスターガンダムは姿を消し、代わりに東方不敗が現れたが、片膝を地に付けてしまう…

 

「はぁ…はぁ…まだまだ修行が足りんという事か。

じゃが、儂はまだ若僧には負けん!」

 

そういうと、傷付きながらも胸を張って一歩一歩へと前へと進んでいった。

 

 

ーーーーーー

場所は戻ってチフォージュ・シャトーを背に、霊風達がライジンと対峙していた。

 

「さて…お前達にも教えてやろう…」

 

そう言うとライジンの手からバチバチと電撃が纏わりつく!

 

「お前達に俺の電撃を受けきる覚悟はできたか?」

 

そう言うとライジンの周りには数多のカードが出現した。

そしてよく見るとそのカードのイラストに描かれている英雄達は皆…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雷を使いこなせる輩ばかりだった。

それを見た霊風は鼻で笑った。

 

 

「上等だ!相手してやるよ!」

 

そう威勢よく言うとそれに呼応したのか、未来を残した装者達と導師達が得物を構えた。

 

「俺の電撃…その目に焼き付けろ」




次回

黎明の雷

次回はライジンが雷属性を多く使うキャラへの変身回。


感想、お願いします。
今回は遊戯王のルールである『1ターンに1度のみ通常召喚が出来る』と言う項目以外は基本的にカードテキスト通りに行く様にしました。
なので、遊戯王ファンの皆様、どうか今回のご都合主義すぎる展開に目を瞑って頂ければ…って、無理デスヨネ〜…トホホ。

あ、アンケートなんですが…
ペルソナ5の項目はペルソナ5Rのも含めたかったのですが、諸事情で入れられなかった事をこの場を持ってお詫びします。
それを踏まえた上でアンケートをお願いします。


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♪51 黎明の雷

黎明
明け方。
転じて、黎明期(れいめいき)とは、ある事柄が形になる前の始まりの時期を指す。

さて、約3ヶ月ぶりの投稿です。
仕事の忙しさとスマホのゲーム弄っていた事と、録画していた奴の消化も相まって、こんな形で漸く仕上げました。
実を言うと戦闘シーンに持って行くまでの場面を作るだけで1ヶ月掛かってしまいました。
さて、この1シーズンの間にXVが放送開始と共にシンフォギア完結してしまって、未だにシンフォギアロスが響いている作者。
そろそろ、GX編終わらせないと行けませんな…
この調子だと完結までに2年以上の歳月が経つかも知れませんが。

さて、長話は本編後にして、

今回はライジン無双回!
『雷』属性の使い手達がゴロゴロ出てきます!雷だけに…!
因みにビリビリ10連発です。



まず手始めにライジンは右上に浮遊していたカードの1枚を手元にやると、そのカードをアブソーバーに装填し、グリップレバーを引いた。

 

「VOLT change」

 

ーアンデッド!フォーム、ラクサス!

雷、轟け!竜滅者!ー

 

そう言うとライジンの身体にフサフサ付きのコートが羽織られ、髪色が黄色く染まった。

それを見た霊風は目を見開いた。

それはナツやルーシィ達のかけがえの無い場所・FAIRY TAILのギルドマスターを祖父に持ち、雷の滅竜魔導士としての肩書きを持つ者…

雷神衆と呼ばれる仲間と共に戦いぬいた男…

ラクサス・ドレアー の姿をしたライジンを。

 

そうするとライジンは駆け抜ける!

その一歩一歩から迸る電撃を放ちながら…!

 

それを見た一同もまた怯むこと無くライジンを止めに入る。

…霊風を除いて。

 

霊風はこの状況で進撃するのは得策とは思えていなかった。

「(あの途轍も無い雷…あそこまで()()()染まるのか⁈)」

 

その電撃は…赤黒く染まっていた。

それを見た霊風は苦虫を噛んだかのように苦悶の表情を見せる。

赤黒く染まった雷を、前世で見た事があるから。

思い当たるのは…"獄狼竜"と呼ばれるモンスターが発した

赤黒い雷が思い浮かんだ。

だが、それは龍の属性を帯びたもので、雷の要素は一切ない。

現に、そのモンスターは雷の属性が弱点だった。

だが、ラクサスは『雷の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)』の名を持つ者。彼自身から迸る電撃の色は黄色である。

だが、霊風は知らない。

霊風の前世は2016/06/30までの記憶しか保持していない。

とどのつまり…それ以降の時代の者達のパワーアップを殆ど知らないのだ。

そしてラクサスのこの赤黒い雷はそれ以降に顕現させた力。

霊風は全く知らないのだ。

そうこうしていると、ライジンが呟く。

 

「"雷を超えた雷…血の『赩』"」

 

そう呟くとライジンはアブソーバーのボタンを叩き、懐に入った。

懐に入られた奏は見開く。しまったと…しかし、時既に遅し。

 

ーアンデッド・ラクサス!フルドライブ!ー

 

「赤黒く染まりし雷は、仲間想いし拳の証…!

雷汞(ライコウ)赩御雷(アカミカヅチ)』‼︎」

 

そう言うと奏に向かって赤黒く染まりし電撃の鉄拳が奏の腹にクリーンヒット。奏はその勢いでビルに激突、さらにその勢いでなんとビルを貫通させてしまい、奏はそのまま空へと吹き飛ばされ、自然落下でそのまま真下のビルに激突。ドンガラガッシャンと大きな音と共に貫通したビルが崩壊した。

だが、ライジンはそれでも止まらなかった。

 

「Volcharge.1」

 

そう呟くとまた違うカードを装填して、変身した。

 

 

ーアンデッド!フォーム、ギルサンダー!

聖騎士見参!雷鳴推参!ー

 

 

そう言うと今度は銀と青が似合う鎧を着た好青年系の騎士へと姿を変えた。それを見た霊風は驚愕せん。

 

「そいつは…まさか聖騎士⁈」

 

「如何にも…!」

 

そう言うと翼の懐に瞬時に入ったライジン!

翼はそれをただ見逃す訳ではなく、それを刀で鍔迫り合いをする形で攻撃を阻止する。

そして防人の刃と聖騎士の剣が金属音の数だけ…

 

ガキィンッ!

キィンッ!

シャキーンッ!

 

と、無数に鳴り響きながらぶつかり合う!

しかし、ライジンの斬撃は徐々に雷を帯び始めたのだ。

それと同時に剣を振る速度も速くなっていく。その剣の振りの速さに翼も互角から徐々に押され、終いには防戦一方になってしまった。

 

ギルサンダーの能力もとい魔力は「雷帝(サンダーボルト)

文字通り、雷に関するものを自在に操る能力であり、雷雲ですら乗り物扱いにして、それを用いて高速移動する事も出来る。

しかし、そんな彼でも()()()()()()()()()()()は原作には()()()()()である。

 

そう…それこそがライジンの先天性の能力によるものである。

ライジンは電気や雷などを統べる力を持つ。例え、絶縁物でも電撃を飛ばして焼き切る程に。

それが剣に付加されていたなら尚の事である。

金属の大半は電気を通す。磁力と言う言葉がある程だから。

その雷を帯びた剣は迅雷のようにすばやくなり、振りの速さも速くなったのだ。

 

そして防戦一方になった瞬間に翼の腹に剣を寸止めした。刹那!

 

ーアンデッド・ギルサンダー!フルドライブ!ー

 

「しまっ『雷帝の剣‼︎』ぐはぁぁ⁈」

 

そう言うと雷が迸った剣で翼を大きく薙ぎ払い、翼はその先のビルへと突っ込んだ。いや、突っ込んだどころの問題では無い。

貫通して、そのまま次のビル群をまた貫通して、3つ目のビル群で漸く止まった。

 

だが、それでもライジンは止まらない。

 

「Volcharge.2」

 

そう言うと今度はまた違うカードを取り出し、装填してカードを読み込ませた。

 

 

ーアンデッド!フォーム、忠勝!

絆ー号!戦国最強!ー

 

 

そう言うと今度は重量級の戦士の魂を宿したライジンが現れ、それを見た霊風の元に就いている英雄 幸村は驚愕した。

 

『まさか!あの戦国最強の、本田忠勝殿か⁈』

 

「⁈なんだと⁈」

 

「だからどうした!」

 

そう言いながら、クリスは銃弾をぶっ放していく。

だが、そこから弾かれる金属音が高々と鳴り響く。

 

「嘘だろ⁈」

 

「だったら!」

 

「こっちが行くデス!」

 

そう言うと今度は調と切歌の連携がライジンを襲う!

 

「遅い」

 

そう言うとなんと彼の周りからビットが現れたのだ!

 

「なんデスと⁈」

 

「そんな⁈」

 

「まだ序の口だ…!」

 

そう言うと今度はバックユニットからブースターが現れ、更に肩に砲台が設置されるではないか。

そしてそのまま空中からドガンッ!ドガンッ!と大砲の発射音と共に大砲が空から雨のように降ってくるではないか⁈

 

「こんなのくらえるか!」

 

「私達、真っ黒焦げになる!」

 

「それ以前に問答無用であの世行きデス‼︎」

 

ーアンデッド・忠勝!フルドライブ‼︎ー

 

そう言っているとライジンは忠勝の得物であるドリルの先端を施した機械槍を地面に突き立てると、バックユニットから雷神が背負ってる電電太鼓を彷彿とさせるバックユニットを展開させると、自分の周囲を雷が襲いかかる!その雷の波状攻撃にクリス・切歌・調の3人が何も言えずに朽ち果てていく…!

 

「Volcharge.3」

 

そう言うとまた違うカードを取り出し、装填と同時にリロードした。

 

 

ーアンデッド!フォーム、スパーダ!

前世は剣!現世は悪餓鬼!ー

 

 

そして現れたのは、オシャレな格好とは裏腹に両腰に刀を装備したライジンが現れ、両腰の刀を抜刀した。

 

「手始めだ。"サンダーブレード"!」

 

そう言うと天から剣の形をした雷が地面に刺さるとそこを中心に電撃が地面を迸る…!

その攻撃を受けるマリア・零・セレナの3人。

 

「生温い!"スパークウェブ"!」

 

そんな3人を更に追撃とばかりに雷の術を発動する。

3人はなんとか耐え抜くが、いつの間にか、ライジンが空へと飛翔するやそのまま自身を中心に放電を繰り出した!

"獣哮雷波(じゅうこうらいは)"と呼ばれるスパーダの技の一つにして奥義に分類される技である。

その攻撃を諸にくらった3人に追い打ちとばかりにドライブボタンを叩いた。

 

ーアンデッド・スパーダ!フルドライブ!ー

 

「"駆け抜ける事雷光の如し。

 

獣皇雷迅剣‼︎"」

 

敵陣を縦横無尽に駆け抜け、その後に落雷を発生させる必殺技が、3人に襲いかかり、3人は地面に伏してしまった。

 

奏と翼は吹き飛ばされ、クリス,切歌,調,マリア,セレナは雷にやられてしまった。

そう…この瞬間に響と未来以外のシンフォギア装者がやられてしまったのだ。

だが、ライジンは止まらなかった。

 

「Volcharge.4」

 

そう言うと別のカードを使ってまた違う姿へと変わった!

 

 

ーアンデッド!フォーム、エデン!

J(ジャンプ)'star's!〕

Ωthe聖闘士!オリオン・ブロンズ!ー

 

 

そう言うと今度は紫色の鎧を身につけたライジンが現れた。

周りから紫電が降り落ちてくる…!

 

「【オリオン座の聖闘士】エデンか…!」

 

霊風がそう呟くと同時に高速移動で、霊風に拳をぶつけるライジン。

霊風はすかさず持っていた得物で防御する。

 

「キャロルと手を組んだかと思えば、今度はキャロルを閉じ込めて…

お前らは何がしたいんだよ⁉︎」

 

「話したところで変われるものか!」

 

「変われるものもあるんだよ!」

 

そう言うと霊風はライジンを大きく突き放し、そして瞬時にカードを取り出し、それを装填して変身する。

 

「変身!」

 

 

ースピリット!フォーム、ユナ!〔J star's!〕

Ωthe聖闘士!アクイラ・ブロンズ!ー

 

 

そして変身したのは、風の力を扱い、脚力に自信がある…

エデンと共に激闘を繰り広げた若き聖闘士達の紅一点。

鷲座(アクイラ)のユナの聖鎧(クロス)をアレンジさせた霊風がそこにおり、霊風はすかさず脚でライジンに向けて蹴りを放つ。

そんな2人の競り合いに際して、ユナはエデンに話し掛ける。

 

『どうして、貴方が⁉︎』

 

『僕には僕の…彼には彼の思う事があった。

ただ、それに賛同したまでだ!』

 

と言い切るのと同時にライジンが拳をぶつけ、それに合わせて霊風もまた脚でそれを相殺する。

所々で、技を放つ両者。

 

「"ディバイントルネード"‼︎」

 

「"フォルゴーレ・ルネッサンス"!」

 

「"ストームトルネード"‼︎」

 

「"トニトルイ・サルターレ"!」

 

そうして技のぶつけ合いの中、両者は共にアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

ーアンデッド・エデン!フルドライブ!ー

ースピリット・ユナ!フルドライブ!ー

 

「「"輝け、小宇宙(コスモ)!"」」

 

アクィラスピニングプレデーション!

 

オリオンズデヴァステーション

 

そう言うと同時に2人の技が激突!

その衝撃波で周りを吹き飛ばす…!

そして砂煙が舞う…が、そこから何かが吹き飛ばされた。

それを見たロックは吹き飛ばされた方向に顔を向けると、そこには霊風が変身解除に追い込まれてビルに埋め込まれていた!

 

 

ーアンデッド!フォーム、エリオ!

疾風、迅雷!ライトニングランサー!ー

 

 

すると突然に、砂煙の中からまた違う姿へと変化したライジンがそこにいた。

 

「‼︎まだ戦えるのか⁈」

 

「Volcharge.5」

 

そう呟くとライジンは歩きながら、憑友の元へと歩み寄る。

それを黙って見ている輩など…いない!

 

「おらよ!」

 

そう言って、光聖希はいつの間にか夜天の騎士《ヴォルケンリッター》は1人 シグナムの姿に代わり、闇呪怨はロックから拝借したフェイトの姿に代わって、ライジンの前に立ちふさがる。

 

『エリオ…』

 

『エリオ。私はお前をそんな風にした憶えは無いのだが?』

 

『分かってます。けど、僕は彼と一緒に戦います。例え、シグナムさんや、フェイトさんと戦わなければいけないと分かっていたとしても!』

 

そう言うと3人の姿が消え、その姿になっている3人が動き出す!

 

シグナムの姿を借りた光聖希はSchlangeform(蛇腹剣形態)のレヴァンティンにして、ライジンに襲いかかり、対して闇呪怨もScythe Form(鎌形態)にしたバルディッシュを携えてライジンに襲いかかる!だが、そんな2人の連携攻撃をもエリオの得物・ストラーダを握るライジンの前ではその2人の攻撃など赤子と戯れているかのように遊び尽くされていた。

 

「押している…故に!」

 

そう言うと闇呪怨に視線を向けると同時にライジンはドライブボタンを叩いた!

 

ーアンデッド・エリオ!フルドライブ!ー

 

「教わった技で倒されろ!」

 

『!まさか⁉︎』

 

サンダーレイジ

 

「ぐわぁぁぁぁぁ‼︎」

 

「闇呪!」

 

 

「お前には…!」

 

そう言うと聖希の後ろに瞬時に回り込むと、すかさず蹴りを入れて、光聖希を地面に叩き落とすと、なんと上空でカードを装填し…

 

 

ーアンデッド!フォーム、サスケ!〔J(ジャンプ)'star's!〕

木の葉の忍者!うちはのシノビ!ー

 

 

また別の姿へと変わった。

そこには紫を基調とした装いを纏い、腰に剣を携えている輩がいた。

 

NARUTOに登場する忍…【うちはの忍 サスケ】の姿にライジンは変わっていた。

叩きつけられた光聖希はライジンに目を向け、そのまま蛇腹剣のリーチを使って相手の足に絡みつかせ、そのまま地面に落として見せた!

しかし、光聖希はあまり手応えを感じなかった。

その訳は先を見て驚かされた。

そこにはライジンの姿がなく、代わりに丸太があったから。

忍びの得意忍術は1つ…変わり身の術が発動していた。

 

「遅い」

 

「⁉︎」

 

なんと、いつの間にか背後に居た事に気付いた光聖希は後ろを振り向く。が、それが仇となった。

 

ーアンデッド・サスケ!フルドライブ!ー

 

そう音声が聞こえると同時に迸る雷がライジンの左手に集約されていき、そのまま光聖希の懐にそして…

 

千鳥!

 

「ぐはぁッ‼︎」

 

そのまま強烈な雷撃が光聖希の体内を駆け巡り、そして終わった時には変身解除され、口から煙が出て、地面に膝をつき、そして倒れてしまった。

 

「これで、Volcharge.6。そして7。」

 

「…ッ!」

 

「次は…Volcharge.8」

 

「ッ⁉︎」

 

「嘘⁈」

 

「まだ続くのか⁉︎」

 

そう言うと違うカードを装填、そしてまた変身した。

 

ーアンデッド!フォーム、バッツ‼︎

雷帝の龍!魔王竜!ー

 

するとそのカードを読み込んだと同時にライジンの身体がみるみる大きくなり、さらに姿までまた変わり始め…

そして終わったと同時に現したのは今の時代には存在しない…竜がそこにいた。

 

その轟き響き喚く怒号に大地が揺れた。

その咆哮を聞いた3人は耳を塞ぎこむ。

ライジンはそんな3人の中からそのままロックに向けてその巨体の拳をぶつけた!

そのままロックは建物へと吹き飛ばされた。

しかし、ロックも黙って吹き飛ばされる筈も無い…!

 

ーソウル!フォーム、ジュビア!&よしの‼︎ー

 

そう言うとロックは建物から這い出る。

と同時にライジンに視線を向ける。

そしてロックのアブソーバーにはマルチアブソーバーと、『FUSION DRIVE』時に必要なフュージョンアブソーバーがセットしており、その2つには既に2枚のカードが装填されていた。

それと同時に、2人の女性の英雄が側におり、ロックに力を与えていた。

 

「"雨よ、我に力を!"」

 

そう言うとレバーを引いた!

 

ーFUSION DRIVE!

レイニー・レディース!ー

 

そこには精霊《ハーミット》の力を宿す少女・四糸乃と、水の魔導士・ジュビアの力を宿したロックがそこにいた。

その2人の力を宿したロックの影響なのか、この曇天の中での場違いか、雨が降り始めた。そしてその雨は勢いを増し始めていた。

 

そんな中でもライジンはそのまま拳をぶつける!だが、ロックに向けた拳は空ぶってしまう。

それはロックがなんと水のように透けたから。

 

「来たれ天使…"氷結傀儡(ザドキエル)"!」

 

ロックが唱えると、彼の後ろから3mを超す右眼に眼帯を掛けたウサギが現れた!

四糸乃の天使 『氷結傀儡(ザドキエル)』である。

そしてウサギはバッツの力を宿したライジンの周りを高速で動き始める!

ライジンはそのウサギに向けて拳を振り上げる!

だが、その攻撃をさらっと躱し、驚異的なフットワークで翻弄する。

ライジンは自分の攻撃が当たらない事に苛立ちを見せる。

だが、油断大敵にして、足元注意。

ライジンはウサギでは無く、本体の方…とどのつまりロックを先にやれば消滅するのでは無いかと思い、ロックにターゲットを変え、その拳を振り下ろす…

 

 

ガシィンッ!

 

事は出来なかった。

 

「何っ⁈」

 

「"水流拘束(ウォーターロック)"。この術が発動した時点で手遅れだ」

 

そうロックが言うとライジンの拳を水で絡めるとそれを皮切りに彼の周りを水が囲い始め、終いには水球の様に相手の動きを封じた!

 

「これでもくらえ!」

 

そう言うとロックはこの雨の天候を利用して、雨を針の形にして、ライジンに一斉に襲い掛かって来た!

身動きが取れないライジン。だが、それでも辛うじてカードケースを開けるとなんと先天性能力の1つである磁力を使って別のカードをアブソーバーに装填し、

 

「(Volcharge.9!)」

 

 

そう心の中で言うと同時に雨の針が刺さると同時に、水球が破裂し、周りを水飛沫が飛び交う。

やったのかとロックはそう捉えようと思った…だが!

 

 

 

 

 

ーアンデッド!フォーム、悠!

アイアンワイルド!シスコン番長!ー

 

 

その音声と共に雷撃が飛び散る…!

そこにはまた違う姿へと変えたライジンがそこにいた!

黒の学生服に身を包み、メガネをかけた青年の魂を宿したライジン。

そして右手には雷が迸る刀が握られていた。

するとライジンは刀を左手に持ち変え、右手を天に向けた。

するとその手の上からクルクルと回りながらカードがまっすぐ落ちて来た。

 

「"我は汝 汝は我

汝、己が双眸を見開き、今こそ発せよ"」

 

そう言いきるライジン。

そしてそのままカードを右手で手に入れるや否や、

 

パリィンッ!

 

カードを割ったのだ。

…いや、そもそもカードなのにそんな音はしないのであるが。

「イザナギ‼︎」

 

そう言うとライジンの背後から黒の学ランを羽織り、手に刀ハチマキを巻いた鉄仮面の男が背後に現れた。

 

「"コンセントレイト"」

 

そう言うとライジンの背後にいた イザナギ と呼ばれた存在の周りをオーラが纏う…!

まるで力を集約するかのように。

 

ロックはそんなライジンに対して警戒心が出たのか。

自身は身を守り、

憑友を庇っている響と未来の元にザドキエルを派遣させ、

2人の身を包み守りに入った。

 

その警戒心は的中した。

 

 

「"マハジオダイン"」

 

すると イザナギ の上空に雷が雲無くして出現と同時に、周りを雷の雨が襲い掛かった!

 

その雨の威力で地面が抉られた!そしてその跡には焼き焦げが発生していた…!途轍も無い程の威力だ…!

そしてその威力はロックや響達にも襲い掛かる…!

 

響や未来に襲い掛かってきた雷はザドキエルによって守られ、3人は無事だった…が。

 

 

「ぐはぁぁぁぁぁ‼︎」

 

ザドキエルが受けたダメージはそのまま直結する形でロックにダメージを受けてしまった。

自身のダメージも相まって、ロックは片膝をついてしまう…!

 

ライジンは追撃する事も出来たはず。

だが、ライジンは待っていた…ロックが立ち上がるまで。

ロックはなんとか立ち上がるが、それでも意識が朦朧としていた。

だがロックはそれでも立ち上がる…全ては…

 

 

「(憑友は俺のライバルだ…

例え相手が何者だろうと…!

憑友を超えるのは俺だ…!)」

 

友を守る好敵手(ライバル)(こころ)だけだった。

 

「己より他者…

俺が欲していた物はそこにあったか…

だが、俺はそれを手放した。

故に俺の流儀で終わらせる…!

イザナギ!"ブレイブザッパー"!」

 

「っ!」

 

そう言うとライジンはイザナギを使役し、敵を斬り上げた!

 

そしてそれを見たライジンはアブソーバーのドライブボタンを叩いた…!

 

ーアンデッド・悠!フルドライブ!ー

 

するとライジンが落下してきたロックの懐に入るなり、横一閃を放つ!その一閃には電撃が迸っていた…!

そしてそのロックの後を追うかのように上空から イザナギ が現れ、そして…

 

十文字斬り‼︎

 

縦斬りを放った…!

 

その斬撃と雷の追加効果も影響し、ロックは何も言えず、変身を強制解除させられ、そしてそのまま地面に倒れ伏した。

それは勿論、ロックが使役していたザドキエルも消えるという事になり、ザドキエルは姿を消した。

 

 

そして目の前の光景を目の当たりにした響達は驚愕していた。

そこには自分や馬燈と逝都の5人以外が全滅している光景を。

 

「Volcharge.10(MAX)

 

そう言うとなんとライジンがカードを装填し、また変身した!

 

 

ーアンデッド!フォーム、朱乃!

雷光の巫女、ドS撫子!ー

 

 

そこには巫女服…の色合いに寄せた神主姿で、黒い天使の片翼と、悪魔の片翼を広げたライジンがそこにいた。

 

「後はお前達さえ押さえれば、全てが終わる…」

 

そう言うとライジンは響と未来の元へと歩み寄る。

未来は必死に憑友を庇い、響はそんな未来の前に立ち上がり、そしてファイティングポーズを構える。

そんな響を見てライジンは語りかける。

 

「ここから去れ、ガングニール」

 

「私の名前は立花響!

ガングニールって言う名前じゃない!」

 

「ならば問おう。立花響。

何故、退かない!

お前に俺を止める動機など何一つ無い!徳も無ければ損ばかり!

何故俺の行く末を阻む‼︎」

 

「そんなの最初から決まってる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

助けたいから‼︎

 

 

「助けたい…だと?」

 

 

「私は3年前のあのライブ会場で…

奏さんに、憑友にこの命を救われた…!

だから今度は、私が誰かの助けを求める声に手を差し伸ばす!」

 

「それはエゴだ!偽善だ!思い込みだ!

世の中にはそっとしておけと言わんばかりの奴がごまんといる!

助けを求めていないものにすら手を差し伸べるのか⁈

それでもお前は助けるというのか!「助ける‼︎」な!?」

 

「私の拳は…誰かを守り、誰かの助けを取る為の拳!

その拳に武器は必要無い‼︎

だから!私はこの拳で…助けを求める人の手を取り尽くしてみせるッ‼︎」

 

そういう響を見て、ライジンは何か心を揺さぶられた。

それでも、全ては己の目的…サモンの悲願を成す為。

 

「俺は…俺は…俺はーー‼︎」

 

そう言うとライジンは右手から雷を響に向けて撃ち放つ!

 

身構える響。そんな響に呼びかける未来。

 

2人の身が危機に陥った…刹那。

 

2人の前に『炎』が揺らめく…!

 

 

 

 

 

 

 

 

「これ以上は…」

 

「⁉︎」

 

突如聞こえた声。

それを聞いたライジンはその声をした方向に顔を向け、驚愕する。

 

そしてそれは響と未来も同じであった。

 

何故ならば…そこには…

 

 

辛うじて立っていられるだけの憑友が立ち上がっていたから…!

 

 

 

「この場所で…決着を付ける!」




今回、必殺技名の際にその技を使うキャラのイメージカラーを使って技名を発動しましたが、感想を送って下されば色々と考察できるので、良ければお願いします。
さて、今回は初のペルソナキャラを入れてみました。
何が言いたいのかと言うと、原作キャラを使用する際は原作の技の効果とかもしっかりみてそれを活かさないといけないと言う難しさがあるのです。
例えば、今回のペルソナキャラ【シスコン番長 鳴上悠】の初期ペルソナ〈イザナギ〉はどの技を使うのか把握しないといけない事も含めて難しかったです。
彼は全能力バフや全能力デバフとかは覚えない(一部だったら可能ですけど)ので、それを活かすにはどうすれば良いのか非常に悩みました。
アニメ版とかゲーム動画とか攻略サイトなどをみたりして真剣に考えるだけで軽く一週間は浪費してしまいました。
それだけ、原作のキャラもとい英雄達の軌跡は偉大だと言うことです。
オリキャラだったら、オリジナル技をバンバン使えるけど、
英雄達は原作に忠実に再現しないといけないのが欠点なので。
と、前書きも含めて長々話し込んでしまい申し訳ない。
ただの愚痴に付き合って頂き有難うございます。
お詫びとしてはなんですが、参戦確定した作品を取り上げます。
5作品です。

1 ペルソナ3・4
2 鬼滅の刃
3 俺、ツインテールになります。
4 閃乱カグラ
5 天元突破グレンラガン

以上の5作品が確定しました。
…って、1番目は今日出たばかり‼︎

その他のキャラも出せるように努力します。

次回

暁の炎

ライジンVS憑友の兄弟喧嘩…決着の刻‼︎


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♪52 暁の炎


それは…明け方を指す。
それは奇しくも黎明と同じ意味を持つ。
雷と炎の戦い…決着!


「何故だ!何故そこまで立ち上がる⁈」

 

そう言いながらライジンは驚愕する。

あれだけ痛めつけられ、瀕死になったと言うのに、憑友が立ち上がり、響と未来を守ったから。

もう既にボロボロの憑友の肉体。現に、身体のあちこちから生傷が丸見えで、上着はもはやその存在価値すら無いに等しくなっていた。

それでも憑友は立ち上がったのだ…!

驚かない方がおかしいのである。

 

「そんなもの…決まってる…!」

 

そう言うと憑友は意地と根性と気力でなんとカードを持って変身した!

 

ーライド!フォーム、オレ!

英雄の魂!俺に宿れ‼︎ー

 

「俺はあんたを…ライジンを…

 

黎雷兄さんを助けたいから!」

 

憑友の心の叫びが周りに木霊する。

ただそれだけの為に立ち上がり、変身し、自分の前に立ちはだかるのだから。

こう言う奴は好きになり易いが、同時に嫌われ易い。

 

「俺をまだ兄と言うのか‼︎

俺はお前の兄じゃ…

 

 

兄だ!

 

 

っ⁉︎」

 

「例えどんなになろうとも…

俺の兄は黎雷兄さん…あんただけだ!

否定しようが構うものか!

俺は連れて帰る!

あの地に!あの家に!あの家族の元に!

あんたを引き摺ってでも…

俺が完全に死んでも無理やり連れて帰る!」

 

そう言うと憑友の身体から炎が飛び交い、みるみるとその身の肉体を炎で治していくではないか!

その光景にライジンは驚かされた…!

 

「(それは…俺と異なる属性で全く同じ能力なのか⁉︎)」

 

属性治癒《エレメントヒール》

 

文字通り、その身に宿りし長けし属性で回復する能力。

ライジンは「雷」の属性を使う事で治癒する事ができる。

そして憑友は「炎」の属性を使う事で治癒したのだ。

 

そうすると憑友はカードを取り出してアブソーバーに装填、そして変身した!

 

「変身!」

 

ーライド!フォーム、ライラ!

湖の巫女!炎の天族!ー

 

そう言うと炎のような煌やかな朱の装いを身に纏う女性の魂を宿した憑友が現れた。

そうすると憑友は身構えた。すると、足元に魔法陣が描き出した!

 

「"我が火は舞い踊る、紅蓮の業嵐!"」

 

「っ!しまった…!」

 

「"トルネードファイア"‼︎」

 

そう言うと憑友の周りを熱風の竜巻が現れ、ライジンは吸い寄せられると同時にダメージを受け、更に上空へと身体を持って行かされた…!

その光景を見ずに憑友はそこから更に追い討ちをかけた!

 

「"我が火は集いて命運たる日に散り逝く"!」

 

「連続だと⁈」

 

「"イグニートフォトン"‼︎」

 

そう言うとライジンが降り立つと同時に憑友を中心に爆発が起き、ライジンはそのまま吹き飛んだ!

それを見た憑友はすかさず懐まで入るやすかさずドライブボタンを叩いた!

 

ーライド・ライラ!フルドライブ‼︎ー

 

すると瞬時にライジンの懐に入った…!

 

「"舞うは灼炎"!

 

焔舞煉撃波!

 

 

必殺技が発動と同時にライジンはダメージを受けるが…!

ライジンはその瞬間に立て直し、雷を撃ち放つ…!

 

しかし、憑友はその雷撃よりも速く、違うカードを装填して、そしてレバーを引いていた!

それも、フィーネの力『FULL BURST IGNITION』を装填して…!

 

ーライド!フォーム、(まこと)

『FULL BURST IGNITION』!

無関、死気感、怠惰感ー

 

そして変身した憑友はすかさず携えていた剣で雷を斬り伏せた!

そして憑友は腰に巻いていたホルスターから拳銃を取り出し…

 

カチッ

 

なんと自分の頭に銃口を向けた!

 

「何をするつもりだ⁉︎」

 

「憑友!止めて‼︎」

 

ライジンが驚き、未来が制止しようと試みるも、憑友は止まらない…!

 

「死と隣り合わせ。

でも、その先にある狭間に希望はある…!

 

 

 

 

ペルソナ‼︎」

 

そう言うと憑友はトリガーを引いた!

 

"我は汝……汝は我……

我は汝の心の海より出でし者……

幽玄の奏者〈オルフェウス〉なり"

 

そして現れたのは竪琴を背中に携え、頭以外がブリキになっている存在だった。

ライジンが悠の時に見せた〈イザナギ〉と同じ存在…ペルソナだ。

だが、このオルフェウスと呼ばれたペルソナ…

原作では雷と闇の攻撃に弱かった。

そう…言うならば弱点であった。

そしてライジンの主属性は雷。相性最悪である。

 

「そいつは(悠から聞いて分析済みだ…)雷の攻撃には苦手だ!」

 

そう言うと憑友に向けて雷を放ち、その攻撃は憑友にクリーンヒットした。

 

だが、そこにいた憑友は雷により衣服が埃を被り、それを払いのけていた。

 

「何故だ⁉︎」

 

戸惑うライジン。だが、憑友はオルフェウスに向けて指を指した。

ライジンはそれにつられオルフェウスを目視する。

そこには()()オルフェウスがいた。

 

「赤い色は強さの証にして、改訂の証。

ふざけてるけど、こいつの名称は〈オルフェウス・改〉だ。

こいつの性能で特に目立つのは…

 

『全属性耐性』」

 

「⁈全属性耐性だと⁈」

 

「とどのつまり、全ての属性に対してこいつは急所か会心の一撃以外ではダウンを取れない…!」

 

そう言うと憑友は拳銃をまた頭に付けてトリガー引いた!

発射音と共に何かが割れる音がすると憑友の背後からオルフェウス・改が現れ、そのまま

 

灼熱の炎"ラグナロク" を放った!

それを皮切りに、

凍てつく冷気"ニブルヘイム",

 

唸り狂う暴風"万物流転",

 

轟き響く雷撃"真理の雷"

 

と連続でペルソナの高威力属性魔法をライジンに撃ち放つ!

だが、ライジンは黒い天使…堕天使の翼と悪魔の翼を用いて華麗に回避しつつ、その攻撃を相殺し続ける…!

それを憑友は見逃さなかった…!

 

ーライド・理!フルドライブ!ー

 

そう言うと拳銃をまた頭に銃口を向けて、射った。

だが、その反動力は先程の比では無かった。

そして現れたのはオルフェウス・改では無く、

 

白き身体・数多の翼を広げし天使…〈ルシフェル〉と、

青黒い体・数多の腕を生やした悪魔…〈サタン〉。

 

この2つの対極せし力が爆発する…!

 

「"ミックスレイド"!…

 

 

 

 

 

 

 

ハルマゲドン

 

そう言うと同時にライジンを中心にまるで宇宙創生…ビックバンの様な大爆発が起きた。そしてその余波で周りにあった建物の窓ガラスが全て割れた!

 

その威力は途轍も無く、とあるエレベーターガールからは「容量・用法をよく守ってお使い下さい」とまさかの薬用扱いを受ける程…。

だが、その意味も今となっては充分に分かるものである。

これ程の威力を出すのだから、流石のライジンも一溜まりも…

 

ガシャンッ!

 

「…っ!はぁ…はぁ…。

なんてバカ魔法だ…!

地球にクレーター(ニキビ)を作るつもりか!」

 

なんとまさかの耐えていた⁉︎

一体どうしてなのか⁉︎

それは次の一言で全て納得する…!

 

「大丈夫か、朱乃さん」

 

『ええ。貴方がVolchargeを貯めていたおかげですわ』

 

Volcharge.

前回にてライジンが呟いていた言葉。それが重要だった…!

 

これは一種のスキルの様なもの。

効果は…

 

貯めた回数(通称 ストック)×10%だけ相手からのオーバーキルダメージを軽減する。

更に貯めた回数だけその軽減量は高くなる。

但し、自身が英雄の魂を宿していないと自動発動できず、

ストックも英雄達にならなければ加算されない。

 

とどのつまり、このスキルにより、相手からオーバーキル…要するに即死クラスの攻撃を受けてもある程度のダメージを軽減し、しかも、その回数だけ軽減できるという事である。

おまけに回数分に比例して軽減量も増加していたのだから、あれ程の高火力を防ぎきれたのだ。

しかし、回数に影響し易いのは否めない。

先程、一回使用したので、次に来る技を受けるダメージを軽減する際は軽減量が減少した状態で受けるのである。

分かりやすく表すと…

 

10回貯めた場合

 

一回受けた

→10(回数)×10(%←軽減量)=100%軽減→回数-1

 

2回受けた

→10×10→回数-1

→9×10=90→回数-1

 

という感じで貯めた分だけ軽減率と受けきれる回数を増加するが、

逆にダメージを受け続けた分だけ受けきれる回数と軽減率が低減すると言う事である。

 

 

「なんて奴だ…!」

 

ーライド!フォーム、サンジ!〔J star's!〕

海賊コック!バーニングレッグ!ー

 

「何⁈」

 

なんと自分の預かり知らぬ所でまた憑友は変身した。

そこには金髪くるくる眉の黒スーツ姿の男の魂を宿した憑友がそこにいた。

海賊王を目指す麦わらの男の仲間にして、海賊団のコック。

そして蹴りに長けたレディーファーストの騎士道精神を持つ男…

 

ヴィンスモーク・サンジ。

又の名を…【黒足】のサンジ。

『ONE PIECE』に出てくる海賊兼コックである。

 

『英雄の方は女の子だから、蹴りたくは無いんだがな』

 

と言うと幻影の様に現れ、そう呟きながらタバコを咥えて火を付けるサンジ。

確かに、相手の英雄は姫島朱乃。

種族は異なれど歴とした女性である。

騎士道精神の心得を持つサンジにとっては性別の時点で非常に相性が悪い。

彼は女性には手を出すのは禁じ手にしているのだから。

…禁じ手と言うより禁じ足になるのか?この場合…。

 

「だからと言って、手加減したら、兄さんを助けられない!

此処は我慢してもらいます」

 

そう端的に且つ冷徹に話す憑友。

それを聞いたサンジはうんざりとしながらその身を引っ込んだ。

自分の力を使って良い代わりに俺を終わらせるまで出すなと言う意思表示でもあった。

 

そう言うと憑友は凄まじい跳躍力でライジンに一気に詰め寄る!

 

ライジンはそのまま上空へと飛翔する!

 

だが、それを憑友は予期していたのか、その跳躍力でライジンの元へと跳んだ!

 

だが、それでも翼を生やしたライジンが上手…

跳躍力でさえ届かない場所へと飛翔した。

しかし、憑友はサンジに変身してても勝てる見込みがあった。それは…

 

「"空中歩行(スカイウォーク)"!」

 

そう言うとなんと空中で足を跳ね上げ、なんと空中で駆け上がるかのように空を跳んだでは無いか!

 

「何ィィィィ⁉︎」

『あらあら。逃げ場が無くなりましたね』

 

「空を跳んだーー⁉︎」

「跳んだと言うより…登って行ってるよね…?」

 

その憑友の行動に見ていたライジンと響は驚き、朱乃はおっとりしながら危機的状況を平然と言い、未来は何気にツッコミを入れた…

 

そしてその高度はライジンを超えた!

 

ーライド・サンジ!フルドライブ!ー

 

そう言うと憑友は赤く燃える…!

すると彼の足が紅く染まった…!

まるで鉄を熱して、液体にした時の色の様に。

 

悪魔風脚(ディアブルジャンブ)

 

 

一級挽き肉(プルミエール・アッシ)‼︎

 

そう言うと空中からの怒涛の連続蹴りを相手の頭上から思い切り蹴りつける…!

ライジンはそのまま腕を交差させてガードに徹した。

だが、最後の1発の蹴りがヒットし、そのまま地上へと落下し…

不時着と同時にクレーターが出来上がった!

 

だが、それでもライジンはなんとか立ち上がる…だが。

 

「ちっ!さっきの攻撃で片翼がやられた…」

『暫くは飛べませんわね』

 

そう言うとライジンは翼を閉じ、そして消した。

そうしていると空中から降りて来た憑友は別のカードを取り出した。

すると憑友の隣から小麦色の褐色肌の少女が姿を現した。

 

「次だ」

 

(あたし)の出番か?』

 

「お願いします。焔さん!」

 

『任せろ!』

 

そう言うとカードを装填し、そして変身した。

 

ーライド!フォーム、焔!

閃乱!抜忍!忍転身!ー

 

するとそこには黒い制服の上に灰色パーカーを、さらにその上に黒マントを重ね着した憑友がそこにいた。そして何よりも目を奪われたのは、背中に携えていた7本の刀が目に付いた。

1つ赤い刀鞘があり、その他の6本は黒の刀鞘に収められていた。

そうすると憑友は背中にある黒の6本を同時に抜いた!

そして構えた。その構え方は【奥州筆頭 伊達政宗】を連想させる。

 

「!そいつも筆頭と同じ流派か⁉︎」

 

「一緒にするんじゃねぇ‼︎」

 

そう憑友が言うと片手三刃の六爪流を振り回す。するとそこから紅蓮を彷彿とさせる火焔がライジンを襲った!

 

「やり方が同じ…なのに属性が違うだと⁈」

 

そう言いながら、ライジンは所持していた杖『ライトニングスタッフ』で焔に扮する憑友の連撃を耐え抜く…!

 

【紅蓮隊リーダー 焔】

『閃乱カグラ』と呼ばれるJKくノ一達の活躍を描く爆乳ハイパーバトルアニメにて登場するキャラの1人にして、主人公 飛鳥のライバル。

その攻撃方法は政宗と同じ六本の刀を使った荒々しい戦闘スタイルを得意としている。

そして彼女の得意としている属性は『炎』。

政宗にとっては好敵手(ライバル)と同じ属性にして、

変身者である憑友にとって得意な属性でもあった。

 

そう言うと憑友は様々な技でライジンを押し攻めていく!

そして斬り上げると同時に杖を上空に吹き飛ばした刹那…!

 

ーライド・焔!フルドライブ‼︎ー

 

「秘伝忍法!

 

(さきがけ)ーー‼︎

 

そう言うと憑友はライジンの周りを直線状に突撃して斬りつけ、瞬間移動して連続で繰り出した!

焔の得意な必殺技もとい秘伝忍法「魁」である。

 

その攻撃を受けたライジンの衣服はズタボロになった…!

 

「ちっ!だがまだストックはある…!」

 

そう言うとライジンは手放した杖を電磁力で即座に手元に戻すや、雷撃を飛ばしてくる!

だが、憑友はその攻撃を片手で防ぎつつ、片方の手から別のカードを取り出して、そして物陰に隠れた瞬間にまた変身した!

 

ーライド!フォーム、ベル!

ファイアボルト!ラビット・フット!ー

 

そう言うと今度は白髪で黒と銀の装備を身に付けた短剣使いの少年の魂を憑友は宿した。

 

英雄願望(アルゴノゥト) ベル・クラネル】

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の主人公。

彼の住む場所 迷宮都市「オラリオ」を活動拠点にする冒険者。

"炉の女神 ヘスティア"を主神としており、彼女の眷属(ファミリア)の1番目に属する者。

そして…『成長速度』が他の英雄達をも寄せ付け無い…!

 

「うぉぉぉ!」

 

そう言うとベルに扮した憑友は彼の愛剣であり、彼の主神の名を冠する短剣「ヘスティア・ナイフ」を用いて特攻を仕掛ける!

 

だが、それを黙って見過ごすライジンでは無い。

ライジンはスタッフを使ってサークルを描くとそこから数多の電撃が矢となりて、憑友に襲いかかった!

 

しかし、その攻撃を憑友はキリトから教わった能力の1つ 破壊(ブラスト)を用いて、自分に当たる攻撃だけを短剣で斬り落とし、避けられる攻撃はベルの俊敏性の高さも相まって、軽々と躱していく!

 

そしてライジンの懐へと入ったと同時に、ライジンも杖の先端を刃の形に雷を形成し、槍として攻撃を仕掛けるが、その攻撃をナイフで受け止め、更にはお返しとばかりにカウンターを決めていく。

その攻撃がかなり強く、そしてその攻撃がヒットする度に憑友の動きが速くなっていた…!

 

「(この速さ…成長速度が速い‼︎

この速さは異常過ぎる!)」

 

ライジンの心がそう叫ぶ。

ベルは特殊な能力もといスキルが存在する故にこのスピードが生み出されていた。

 

憧憬一途(リアリス・フレーゼ)

ベルが憧れている人を憧憬として発現させたスキル。

その効果は…成長速度の促進。

とどのつまり、成長するスピードが桁外れになる事を言う。

 

ゲームで例えると、レベルアップに必要な経験値の量が少なくなり、パワーアップし易くなるもの。

そんなのがあれば最早チートクラスにやばいのである。

他の人達よりも先に成長し、そして即戦力になる様なものなのである。

それと全く同じ能力がこのベルの憧憬一途(リアリス・フレーゼ)である。

 

そしてその成長スピードの速さに、ライジンは遂には防戦一方になってしまう。

だが、相手の隙を見せたと同時に雷撃を飛ばした!

 

「"アンペア・ウェーブ"‼︎」

 

電流を衝撃波の様に飛ばす技を放つライジン。

すると憑友は右手を前に出し、左手で右手首を掴み、固定すると

 

「"ファイアボルト"‼︎」

 

すると憑友の右手から炎が発射され、その攻撃が相殺された!

ベルの得意とする火属性の無詠唱速攻魔法

「ファイアボルト」が炸裂する!

 

「無詠唱で速攻だと⁈」

 

「すぅ〜…はぁ〜…」

 

すると憑友は深呼吸をすると、憑友の身体が淡く光り輝く…!

そして光が最大限に達した瞬間!

 

ーライド・ベル!フルドライブ‼︎ー

 

英雄願望(アルゴノゥト)

 

 

 

 

ファイアボルト‼︎

 

そう言うと右手から先程の無詠唱速攻魔法を発動した!だが、その威力や大きさは桁外れだった!

その攻撃がライジンにヒットし、ライジンは大きく吹き飛ばされた!

 

ベルのスキルの1つ『英雄願望(アルゴノゥト)

チャージを用いて次に放つ攻撃や魔法の威力を増幅させる。

俗に言う「会心の一撃」を内包したスキルである。

自らが『英雄』になろうとも英雄に憧れ続けたベルだからこそ発現したスキルである。

 

その攻撃を受けたライジン。

それと同時にキャロルを閉じ込めていた雷の檻からイナズマが途切れ途切れになってきていた。

場所は再び戦場へ。

ライジンは吹き飛ばされたものの、何とか空中で受け身を取り、そしてそのまま地面に激突するも此方も受け身で何とか最小限の被害だけで済んだ。

 

「うぉぉぉ!」

 

すると憑友がその俊敏性を活かして駆け抜けて来た!

それと同時に憑友は走りながら次のカードを装填し、レバーを引いた!

 

 

ーライド!フォーム、ろくろ!〔J star's!〕

ケガレを祓うし!陰陽師!ー

 

すると憑友の姿が黒い外套を羽織った青年の魂になり、そのまま左の拳でライジンを殴った!

 

「くっ!…だが、そんな程度で

『ぐぅ…!』

⁉︎朱乃さん⁈」

 

殴られたライジン自身には大したダメージは無かったが、宿しているパートナー英雄である朱乃が苦しみを訴えた。

 

『物理的なダメージはそこまで無いのですけど…

何故こんなに痛むの…』

「どう言う事だ…」

 

朱乃の苦しみから察するに物理的なダメージはそこまで無かった。だが、それとは別の力が朱乃を襲って今に至る。

その理由は憑友の次の行動でそれが分かる事となった…

 

 

憑友は右腰に付いてるポーチホルダーから何かを取り出した。

それは紙…いや、何か刻まれていた。

そしてそれを見た朱乃は見覚えがあった。

 

『それは…護符⁈』

「⁉︎まさか…

変身元は陰陽師か!」

 

そう言うと憑友は右腕を構え、その隣に護符を持った左手を翳す…!

 

「星装顕符!」

 

すると護符に刻まれた呪術が右腕を通過すると、憑友の右腕が変化し、悍ましい姿へと変貌を遂げた!

そしてライジンに向けてその右腕でまた殴った!

そしてそれと同時にまた変身者であるライジンは少しだけ傷が付いたが、朱乃の方が先程よりも大きなダメージを受けてしまった。

 

『間違いありませんわ。陰陽師の"祓う力"が悪魔に転生している私にも影響を受けてますわ』

「チッ!厄介事この上ない!」

 

そうライジンが呟いていると同時に憑友は行動を移す…!

 

陰陽師は

陰陽道と呼ばれる呪術又は学問を駆使し、様々な現象を検証することを専門とする学者と占い師をミックスしたような国家公務員である。

だが、それが分かりやすい方法として霊能力だとか、超能力だとかを連想する傾向へと変わったのである…

人間の娯楽物(アニメ・ゲーム・特撮)によって。

ろくろが活躍する作品は『双星の陰陽師』

マンガ作品であり、アニメ化した陰陽師の作品の1つである。

悪しきものを清め祓う力は悪魔を浄化するのにも影響してると言っても過言ではない。

そして朱乃は天より堕ちし者の力と悪魔の力双方を持つ。

故に攻撃自体にかなりのダメージを食らっていたのである。

 

そうしていると憑友は理からサンジの際に排出したフィーネのカードを再び取り出し、再装填と同時にレバーを引いた。

 

ーライド!フォーム、ろくろ!〔J star's!〕

『FULL BURST IGNITEION』!

ケガレを祓うし!陰陽師!ー

 

すると憑友は再び護符を取り出した。だが、それは赤い護符だった…!

 

「星装顕符《焔》!」

 

そう言うと護符の呪術が再び右腕を通過すると、今度は形が変化し、更に焔が噴き上げ、その右拳を地面に叩きつける!

 

「重奏陰陽術式

星方舞装(アストラルディザスター)』!」

 

そう言うと憑友は周りに散らばっていた石飛礫達を腕を使って上へ飛ばすと、護符を取り出し、それを石に向かって投げると石に呪術の加護が付与された。

そしてそのままライジンに向かって狙いを定める…!

 

「裂空魔弾!」

 

そう言うと石達が意思を持ち始めたのか、ライジンに向かって弾丸のように飛んできたのだ!

ライジンはその攻撃を杖を回転させて攻撃を防いで行く…!

 

だが、いつまで経っても止まない石の雨…

そしてふと思い出したのか、ライジンは防御の隙をつき、回避に成功すると憑友を見渡すが既に立っていた場所にはいなかった!

 

それもその筈…

 

ーライド・ろくろ!フルドライブ‼︎ー

 

『!後ろ‼︎』

 

「っ‼︎」

 

憑友は既に背後に陣取っていたのだ。

ライジンが振り向いたと同時に陰陽道を司る印の1つ。

五行印 が描かれる…!

それと同時に憑友は右腕をライジンに向けて撃ち放つ!

 

流星拳(メテオスマッシュ)‼︎

 

そう言うと右腕から極大の呪力を宿した光線を放射し、ライジンは杖を回して耐えようとするが、パワーが違い、堪らず逸らす事で何とか避けた。と同時に、晒された光線はそのままビルへと激突。

砂煙が晴れそこには激突した先が何も無いビルが出てきた。

それを目視したライジンは目を見開いた。

 

「消し去る威力だと⁈」

『!気を付けて!凄まじ過ぎる力を宿そうとしてる!』

 

そう言われ、ライジンは三たび憑友に視線を戻すと、憑友は違うカードを取り出した。そこに描かれていたのは…

 

赤い帽子に青のオーバーオールがトレードカラーのあの方だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーライド!フォーム、マリオ!〔LEGEND!〕

任天堂!配管工‼︎ー

 

 

そう言うと憑友の頭にマリオの帽子が被せられ、青のオーバーオールを着た憑友が現れた。

 

マリオ

任天堂が誇るキャラにして、ゲームキャラに於いて知らない者はいない。

まさに生きる伝説。

お姫様を助けて魔王を倒したり、カートに乗って爆走したり、お医者さんになったり、スポーツ万能なのでオリンピックにまでお邪魔したり、様々な人達を相手にバトルしたりとなんでもこなすオールラウンダー。

 

すると憑友はダッシュで近づいていく!ライジンはそれを待ったと言わんばかりに電撃を飛ばして行く!

だが、憑友は手から火の玉を放ち、それを相殺して行く!

得意技の"ファイアボール"だ!

更に最後にやってきた電撃に対しては何処から取り出していつの間にか羽織っていたマントでひらりと払うとその電撃の攻撃がライジンの方へと向きを変えたのだ…!

スーパーマントの性能は伊達では無い。

 

「っ!

自分の攻撃が自分に跳ね返るなんて…!」

 

そう感じていると、憑友はドライブボタンを叩いていた!

 

ーライド・マリオ!フルドライブ‼︎ー

 

マリオ…ファイナァァァル‼︎

 

そう言うと両手から火炎が上下左右に螺旋を描くかのように放射され、ライジンはガードするも、その攻撃には「ガード不可」の効果を持っていた。

故に大ダメージを受けてしまった。

 

だが、ここに来て憑友の方も疲弊が生じ始めた。

だが、憑友はまだ闘い続ける…

ライジンを…いや、黎雷を帰るべき場所に帰す為に。

そう言うと憑友はカードを取り出し、もはや何回やったのだろうか、再装填し、レバーを引いた。

 

 

ーライド!フォーム、ツナ!〔J star's!〕

死ぬ気の(フィアンマ)!ボンゴレ・マフィア!ー

 

 

すると憑友の頭からオレンジ色の火が燃え始め、

瞳の色が赤からオレンジに変わり、手には大きな炎を灯したグローブがはめられていた。

 

家庭教師(かてきょー)ヒットマン REBORN』の主人公にして、

ダメダメな少年・沢田綱吉。通称ダメツナ。

そんな彼が大切な仲間を守る為、その身を奮い立たせ、

死ぬ気で敵の前に立ち向かう姿…通称ハイパーツナ。

その姿に憑友はなっていた。

 

そう言うと憑友は手を下に向けるとそこからジェット噴射の様に火が噴き放ち、その反動で憑友は空を飛んだ!

 

「朱乃さん!」

『今なら行けますわ!』

 

そう言うとライジンは先程まで使え物にならなくなっていた非対称の両翼を展開して、空を飛翔する!

どうやら使えなかった翼を治癒し、そして完治させた様だ。

 

そう言うとライジンは電撃を飛ばし始める!

しかし今度は憑友がその攻撃を尽く避けまくっていく…!

 

「(ならば追尾(ホーミング)だ!)」

 

そう言うと先程と同じ攻撃を放つ。

勿論、それを避ける憑友だが、何かの気配を感じたのか振り返ると避けた筈の雷が軌道を変えて追いかけて来たのだ。

追尾機能が付いた雷…ホーミングボルトが憑友を襲う…!

が、憑友は腰に携えていた箱を取り出し、右手中指に嵌められていたツナの所持品である指輪を嵌めて、呟いた。

 

天空ライオンVer.V(レオネ・ディ・チェーリバージョンボンゴレ)

 

ナッツ。防御形態(モード・ディフェーザ)

 

I世のマント(マンテッロ・ディ・ボンゴレ・プリーモ)

ドガァァァッ!

 

そう呟き終わると同時に雷が襲い掛かった。

それを見たライジンはやったのかと思い込む。

だが、煙が払らわれるとそこにはマントを羽織った憑友がそこにいた!

 

「マントで防いだだと⁈」

『いつの間に⁉︎』

 

そういうとマントが姿を変え、憑友の左肩に小さなライオンが代わりに現れた。

 

「ガウッ!」

 

「ツナさんのアニマル匣…レオネ・ディ・チェーリ。

天空ライオンの名は伊達では無いか。

ありがとう。ナッツ」

 

「ガウッ♪」

 

そう言うとナッツは憑友の頬をすりすりと擦り寄せる。

その光景を見ていた響が「見てよ!未来!ライオンだよ!可愛いよ!あれ、お家で買おうよ〜!」と言うと未来が、

「響のお世話で手一杯です。それにあのこはツナさんにとって大切なんだよ。我慢しなさい」と一蹴され、ショボーンとしている響がいたのは此処だけの話。

 

すると憑友はナッツを匣に戻すと、手を合わし始めた。

 

「俺はライジンを…黎雷兄さんを父さんと母さんに遭わせるまで…死ねない。

ツナさんの言葉をそのまま借りて言うなら…

 

 

 

 

死んでも…死にきれねぇ!」

 

そう言うと憑友はその体勢のままライジンに向かって特攻を仕掛けた!

それを迎え撃つライジン。だが、何かを察知したのか…

 

『!避けて‼︎』

「⁉︎」

 

そう言うと瞬時にライジンは軸をずらす!が、その特攻攻撃は片翼に被弾してしまった。

特攻を仕掛けた憑友はそのまま地上へと着地した。

 

「何をしたかったんだ…あいつは」

 

そう言う中で何かの音が聞こえた。

バキィンッ!ガキィンッ!と言う音が。

まるで氷が精製されているかのように。

 

『?…⁉︎翼が!』

「何?…ッ⁈」

 

なんと先程被弾した片翼が凍り始めたのだ!

ライジンはすぐ様に雷で削ろうとするが、それを上回る速さで氷が精製されていく…!

 

「ッ⁉︎間に合わない⁈…うわっ⁈」

 

そう言うと凍り付いた片翼が重力に引き寄せられるかのようにライジンが地面へと落下し始めた!

そしてそれをやった実行犯である憑友は呟いた。

 

零地点突破・初代(ファースト)エディション

 

ツナもとい綱吉が使う代表的な技の1つ「零地点突破」が発動した。

これは原作では正の力(炎、放出)を使って戦うが、零地点を越えることにより負の力(冷気、吸収)を使えるようにする技と記されている。

要は普段使っている力のベクトルを反転させそれを表現させたのが、この技なのである。

 

そんな中、ライジンはこのまま落ちれば翼がカチ割れてしまう危険性がある事を察したのか、両手に電気を帯び始める。

 

「"NとSは引き寄せあう。

天に掲げし力をNとし、地に近しものにSを付加せん。

Nの力を高めれば、必然にSはその力により引き寄せられん"」

 

そう呪文のように唱えると、凍った方の片翼に近い手が天に掲げている手の方に引き寄せられていく!それにあわせて、身体も体勢を変えていく。そして両手が近づいた瞬間…!

 

「そして同極にせん!マグネット・ワット!」

 

そう言うと今度は天に掲げていた手が入れ替わった。

と同時に地面に激突した。

そしてなんとか立ち上がるライジン。凍った片翼の方は無事だった。

先程の一瞬までに体勢を変えた事で片翼は無事だったようだ。

そんな最中、ライジンは周辺をキョロキョロと顔を動かす。そして何か見つけたのか、数歩分歩くと同時にドライブボタンを叩いた。

 

ーライド・ツナ!フルドライブ‼︎ー

 

そう言うと左手をライジンとは真逆の方向に向けて淡いオレンジの炎を噴き出す!

 

「?…何処に向けて…⁉︎」

 

ライジンが言い切ろうとするがその先の言葉は続かない。

何故なら、もう片方の手を見つめる憑友がそこにいた。

 

「"柔の炎で制御し、剛の炎で撃ち放つ…!"」

 

そう言うと見つめていた手をライジンに向けた。

そして告げる…!

 

 

 

 

 

 

 

X(イクス)バーナー

 

そう言うと特大の紅蓮の炎がライジンを襲った!

その攻撃で、先程凍らせられた片翼が溶けたのだが、それ以上の豪炎の放熱についには左膝が地についた。

 

ーライド!フォーム、甲児!〔LEGEND!〕

スーパー!ロボット!マジンガー…Z(ゼェッート‼︎)

 

だが、憑友はまだ立ち向かう。すると今度は鋼鉄の巨人型ロボットの姿に扮した憑友が登場した。

すると憑友は右腕を大きく動かした。そして遠心力を付けて…

 

 

「こいつの十八番!

 

ロケットパンチ‼︎」

 

そう言うとなんと憑友の右腕がまるでロボットの様にポカンと外れ、右腕がそのままライジンに激突した!

それを見た者達は『腕取れた〜⁉︎』と言っていたが、霊風がもし気絶していなければ普通に思っていただろう。

さて、脱線したので戻そう。

ロケットパンチを食らったライジンはその勢いにより、地面に倒れてしまった。

それでもまだ立ち上がった…!

すると憑友が今度は口元のガスマスクから風を吹き付けてきた。

だが、この風に違和感を感じたライジンは近くにあった瓦礫を盾にする。すると盾にした瓦礫が錆び始め、終いにはボロボロになり、砂となって使い物にならなくなった!

マジンガーZの技の1つ「ルストハリケーン」の仕業だ。

 

「強酸性でも程があるッ!」

 

ライジンはそう発するも、憑友は瞬時にドライブボタンを叩いた!

 

ーライド・甲児!フルドライブ!ー

 

そう言うと憑友は手を上に掲げ、そして大きくガッツポーズを構えて叫ぶ…!

 

 

ブレスト…ファイヤァァァー!

 

 

そう言うと胸部に備わった放熱版から放射熱線が放たれ、ライジンは完全ガードの体勢でその身を受けた。

 

放熱を受けたその身は真っ赤に焼け爛れる。

だが、それを払拭して、立ち上がる。だが、ライジンが無事でも…

 

『はぁ…はぁ…』

 

パートナー英雄である朱乃の方が限界に来ていた。

 

「黎雷兄さん…もうこれ以上は」

 

「黙れ!俺は朱乃さんの願いを叶える為…サモン博士の悲願の為に此処にいる!その願いを果たすまで此処で倒れるものか!」

 

「兄さん…」

 

憑友は黎雷=ライジンから発せられる決意・覚悟・勇気を前にして目を瞑り、そしてあるカードを持って、それを装填した。

 

「変身」

 

ーライド!フォーム、リアス!

真紅の姫!ルインプリンセス!ー

 

そしてそこに現れたのは、真紅の髪をたなびかせ、悪魔の翼を生やした憑友がそこにいた。

そしてその姿を見た朱乃は目を見開いた。

それは彼女がよく知る者だから。

 

『!…リアス…?』

 

そう呟くのが聞こえたのか、憑友の近くから英雄であり、朱乃にとってもかけがえのない存在の1人・リアスが現れた。

 

『久しぶりね、朱乃』

 

『貴方が何故…?』

 

『…朱乃。本当は私は貴方とは戦いたくない。一緒に一誠を探して欲しいくらいよ』

 

『それは私も同じですわ!ですが…

私は一誠君の事もそうですが、オカ研の皆とまた逢いたいんです!』

 

『朱乃…

その気持ちは私にも分かるわ。けど、貴方の行いを目にしたら、皆が喜ぶと思うの?』

 

『私はそれでも…この人のやるべき事をする為に動いているの!』

 

『「やるべき事?」』

 

2人の会話が熾烈を極める中、朱乃の言った言葉で疑問に感じる憑友。

先程のライジンにもやるべき事があると言っていたのを憑友は思い出す。

やるべき事とは…?キャロルを止める事と関係があるのだろうか?

 

『だから、私は彼を支えると決めたのですわ!』

 

『朱乃…。分かったわ。貴方のその覚悟に偽りは無い。

ならばこそ、私は貴方を止めて見せる!

私の信頼できる女王(クイーン)にして、背中を守れる親友として!』

 

その2人の会話が事切れると、憑友は悪魔の両翼を広げ、ライジンは悪魔と堕天使の双翼を広げて上空へと飛翔し、激しい魔法戦が始まる!

 

リアス扮する憑友が全てを滅す魔弾が撃ち放てば、朱乃に扮するライジンが雷の光線でそれを相殺していく。

 

激しい攻防は空気をも揺らぐ程の爆発が起き始める。

しかし、そんな中でも2人の英雄はあれでも手加減をしているだろう。

…全ては周りの者を巻き込ませない為に。

それは彼女達が心から好きになった相手の譲れないプライドでもある故。

 

しかし、そんな攻防なせいなのか…ライジンが高速飛行をやめ、立ち尽くした。

 

それを見た憑友も立ち止まる。

 

 

「これ以上は無意味だ…だから此処で終わらせる!」

 

そう言うとライジンは全身に力を溜め込み始める!

それを見た憑友は構えるが、それをリアスが待ったを掛けた。

するとリアスは憑友に先程の戦闘で得た事を話した。

 

『朱乃はあの子と出会って更に強くなった。

あの子が朱乃を信頼しているから出来る芸当。

だけど、私と貴方はそうじゃない』

 

「(つまり、あの2人の前で敗れる?)」

 

『そうね。

でも、貴方には尤も信頼している人がいるでしょ?』

 

「キリトさん?」

 

『目には目を、歯には歯を。

パートナーならパートナーで対処すれば良いわ。

その前に軽く牽制しましょう』

 

そう言うとリアスは憑友の身体を勝手に動かしてドライブボタンを叩いた!

どうやら必殺技で相手の動きを阻害する様だ。

まぁ、憑友はリアスに身体を勝手に動かされて吃驚しているが。

 

「⁉︎」

 

ーライド・リアス!フルドライブ!ー

 

『逸らすだけで良いわ。放って!』

 

消滅の魔星(イクスティングイッシュ・スター)

 

そうすると憑友は手の先から発生させた魔弾をライジンに向けて撃ち放った!

それも相手がギリギリ避けなければいけない範囲に。

それを察知した朱乃はライジンの身体を動かそうとするが…

 

『⁉︎』

 

「何⁈」

 

なんと微動だにせずそのまま溜め行動を続行していた!

そしてその攻撃をなんと電撃で軌道を逸らしたのだ!

そして逸らされた魔弾はそのまま憑友が軌道修正を加えてそのまま上空へと飛翔するやそのまま雲以外何も無い場所で爆発した。

だが、憑友はライジンの攻撃が最大限になる前に畳み掛けた!

彼の1番のパートナーの力と共に。

 

ーライド!フォーム、キリト!

黒剣・双閃・アメイジング!ー

 

キリトに扮した憑友と、

その間に溜めが最大になったライジンは同時にドライブボタンを叩いた!

 

ーライド・キリト!フルドライブ!ー

ーアンデッド・朱乃!フルドライブ!ー

 

「迸れ…!

雷光龍‼︎

 

そう言うと東洋の龍を模した意思を持つ魔法 「雷光龍」を最大限に発動させて、憑友に向けて放った!

対して憑友もキリトの必殺技をぶつける。

二刀流の剣に光が輝き始める…!

その色は今までよりも更に青白く輝きを増す!

 

 

ジ・イクリプス‼︎

 

雷光龍の攻撃が着弾する直前にソードスキルを発動し、そしてその魔法攻撃を前に連続斬撃を放つ。

そのヒット数…27回。

彼…キリトの十八番であるスターバースト・ストリームが16 ヒット技なのに、それを上回る連撃を放つこの技は二刀流最上位剣技としても取り扱われる。

更にキリトの能力《ブラスト》の一つ

魔法破壊(スペルブラスト)と相まって、その魔法は斬りつける度に弱化し、遂には打ち消した!

 

「!何っ⁉︎」

 

『決めろ!憑友‼︎』

 

キリトの指示が飛び交う…!

 

ーライド!フォーム、オレ!

ライド・オレ!フルドライブ!ー

 

通常形態に戻ると同時にドライブボタンを叩いた憑友の腕は真っ赤に燃え盛り、そしてその両手でライジンの鳩尾に拳を付け…放つ!

 

火焔崩し・超絶ノ極‼︎

 

 

その言葉と共に炎がライジンの身体を貫通。

そしてそのままライジンは地面へと真っ逆さまに落ちそして、地面と激突。

変身時に纏っている装いの防護能力のおかげで対してダメージが無いようだ。

しかし、ライジンの装いは強制解除された。

憑友がこの戦いを制した瞬間である。

 

ライジンは上空にいる憑友に目を向けた。

実はあの時のチャージの時に残っていたvolchargeのストックを全て回して放った大技なのだが、それでもやっぱり敵わなかった様だ。

 

「負けたか…」

 

そう言いながらもなんだか朗らかな様子のライジン。

それを見ていた朱乃は『うふふ』と微笑ましく見ていた。

どうやら満足感に浸っている様だ。

そんなライジンの元に逝都と馬燈が駆け寄る。

2人は兄弟の戦闘中に飛ばされた導師や装者達を1つの場に集めていて、それが終わったと同時に激闘に決着が着いた為、落ちてきたライジンの元へとやってきたようだ。

すると2人はライジンに手を差し伸ばす。

 

「…」

 

「無事か?」

 

「立てるか?」

 

「…こんな俺でも手を取り合うんだな」

 

「まぁな!」

 

「こう言う縁とはいえ、俺達は仲間だからな」

 

「仲間…か。…確かにな」

 

そう言うとライジンは2人から差し伸ばされた手を取り…立ち上がる。

そして上空から降りてきた憑友はライジンの元へと駆け寄る。

 

「…これからは兄さんって呼ぶから」

 

「…正直まだ抵抗感があるな。

程々にしてくれ」

 

「うん!分かった!黎雷兄さん!」

 

「言った側からかよ…」

 

そんな2人の会話を仲間達は笑顔を振りまく。

それを遠目から見ていた響と未来も穏やかになっていた。

こうして無事にこの兄弟の激闘に幕が下されたのだった。

めでたしめでた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「?…そう言えば誰か忘れている様な…」

 

 

 

「………‼︎しまっ」

 

 

パキィンっ‼︎

カランコロンッ‼︎

 

『⁉︎』

 

そうだったーーー‼︎

あの子の存在を忘れてたーーー‼︎

 

 

 

 

 

「俺の存在を忘れるとは良い度胸だな?」

 

 

そう言いながら首から音を鳴らして怒りのオーラを全開に放出している存在…今回の事変の元凶…キャロルがケージをぶち壊して舞い降りたのだった!

 

ごめん!キャロル‼︎作者の俺ですら忘れてたよ‼︎

 

「お前は後で絞首刑にしてやる!」

 

ひょぇぇぇぇ‼︎

 

という訳で次回へ続く‼︎




ごめんなさい。キャロル…!
完全に忘れてました‼︎

あ、だからって、糸垂らさないで⁉︎
絞首刑だけは止めてーーー!

キリト「…自業自得だろ。
と言う訳で、次回

殲琴・ダウルダブラ

それにしても、今回の戦いで20人くらい新規が加わったな。
作者もよく考えて書いてるしな。
だけど、俺の出番がオオトリとは言え、短いのはどうかと思うぞ」

憑友「まぁまぁ…落ち着きましょう。キリトさん。
と言う訳で次回も宜しくお願いします!」

キリト「感想を送ってくれると助かるぜ」


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♪53 殲琴・ダウルダブラ

約3年ぶりの本編投稿です。
お待たせしてしまい申し訳ありませんでした。
災害やらなどの現実や、アニメなどの空想力に追いついていけず、
終いにはシンフォギア本編が終了。
おまけにやらねばならない仕事が重なり、正直言って猫の手も借りたい気分です。

さて、実は数日前に活動報告の方を書いたので、宜しければそちらの方も見てくれると助かります。
それではどうぞ。


さて、読者諸君。先の激闘では見事に憑友に軍配が上がったのだが、ライジンが敗れた事により、ある者を閉じ込めていた檻が破壊され、此処に復活を果たした事を前話で語った筈…。

そのある者とは…

 

「このオレを忘れるとは良い度胸だな?」

 

そう今回の事変の元凶であるキャロル・マールス・ディーンハイムである。

正直に言うと作者である自分ですらも忘れていたよ。

そんな中で響はキャロルに目を向けて話し始める。

 

「もうやめよう!キャロルちゃん!」

 

「本懐を遂げようとしているのだ!

今更やめられるものか。

思い出も何もかも焼却しても!」

 

そう言うとキャロルは竪琴である武装兵器「ダウルダブラ」の弦を弾いた。

 

そしてみるみると姿を幼女からグラマラスへと変貌させ、そして姿を現した。

その姿を見た馬燈は負傷しているマリアの代わりに呟く。

 

「ファウストローブ…

その輝きはまるでシンフォギアを思わせてしまいかねない…!」

 

「輝きだけではないと覚えてもらおうか!」

 

そう言うとキャロルが歌を歌い始めたのだ!

 

(挿入歌「殲琴・ダウルダブラ」CV:水瀬いのり)

 

歌唱と共に弩級の攻撃が一同に向かって襲い掛かった!

それを見た未来は皆の周りにスラスターから展開させた鏡をドーム状に形成させて、防護壁を張る!

そして形成と同時に攻撃が着弾!

その攻撃を未来は耐え抜く!

 

「未来!」

 

「今、私と響しか戦えない!だから、私は皆を守る!」

 

そう、先のライジンの戦いで、皆が大ダメージをくらい、更に先の戦いで憑友とライジンが絶賛疲弊中。まともに戦えるのが響と未来だけの2人だけだった。

しかし、それでもキャロルの攻撃は止まない!

しかも、その攻撃の威力が桁外れなのである。

 

「まるで…これは…」

 

「絶唱クラスの攻撃だと⁉︎」

 

絶唱(諸刃の剣)を負荷なく口にするのか…⁉︎」

 

「錬金術ってのは何でもありかよ…!」

 

導師の4人は呟く。

そう、キャロルの攻撃は一撃一撃が絶唱並に強いのだ!

いくら未来の神獣鏡でもこのままではいつまで持つのか時間の問題である。

 

「だったら、S2CAで!」

「皆がこんな状態でしかもお前の身体が持たない!」

 

響がS2CAを放とうとするも憑友がそれを制止させる。

この場で使おうにもまず全員が重傷を受けてしまっていて、まともに立てない。しかも、仲間の数も足りていない状況で何が出来ると言うものだろうか。

すると、キャロルの次なる攻撃が迫る…!

だが、その攻撃の先に向かって走る者あり。

そこにはドームを守ろうとする2人の姿が!

 

「!馬燈‼︎」「!逝都‼︎」

 

地魂導師・ボーン…浅岡逝都。

氷魂導師・アヤカシ…一走馬燈。

 

この2人がドームから飛び出し、そのままドームを守ろうと前に出た!

すると2人は其々、

前者は右脚を顔よりも高く掲げ、後者は鞘付きの刀を天に向け、

そして同時に振り下ろした!

するとドームの周りを岩と氷の分厚い障壁がドームを囲い、そして形成された!

 

「「双技!・双重壁‼︎」」

 

そう言うと同時にドームに向けた攻撃がその双璧に激突!

その攻撃を2人は耐え忍ぶ!

 

「うぉぉぉ!」

 

「はぁぁぁぁ!」

 

そして再び攻撃を仕掛ける前に2人はライジンと憑友に向けてカードを取り出して投げつける。

 

それを受け取った2人に対して2人は語る。

 

「俺達がこいつの攻撃を防ぐ!」

 

「正気か‼︎」

 

「この場であいつを倒すのはシンフォギアだ。その数を元に戻すには時間が必要だ!」

 

「…だからって、2人がその時間稼ぎをしなくても良いだろ⁉︎」

 

なんと自ら囮になりて、皆の回復の為の時間稼ぎをすると言ったのだ!

そんなのは認められないと憑友は叫ぶ。

だが、逝都はそんな憑友に喝を入れた!

 

「お前はな…俺達の大切な友だ。お前が居なくなってどれ程悲惨だったか。そんなのはもう二度とごめんだ!」

 

「それにお前に黙って行方不明になって、見つかったと思えば敵側になってるんだ。だから、俺達は…罪を償う!」

 

そう言いきると、2人は前に立ち、キャロルの攻撃を身を挺して皆から守っていく。

彼等の支援者であった2人。この事変において敵側になって襲った報い。

彼等なりの罰なのかもしれない。

それを聞いたライジン改め黎雷と憑友。

2人は苦虫を噛んだかのような苦悶の表情を出しつつも、仲間を回復させる為に2人から託されたカードをブースターに装填して、射出した。

 

 

そして現れたのは療法士やヒーラー・僧侶と言った回復する事に長けた面々だった。

 

「お呼びでしょうか?」

 

そう言うのは【療法士】ミント・アドネード。

テイルズオブシリーズの初代ヒロインにして、生粋の僧侶である。

そんな彼女を筆頭に、

【医療忍者】春野サクラ

【聖母の微笑み】アーシア・アルジェント

【風の癒し手】シャマル

【天空の滅竜魔導士】ウェンディ・マーベル

【麦わら海賊団 名医】トニートニー・チョッパー

【盾舜六花】井上織姫

と、色んな回復系キャラが大量に出現した。

 

「此処に居る皆の治療をお願いします!」

「こんな場所で治療しなければならない事をお許し下さい」

 

「…分かりました。その前に貴方達の側にいる者達を提示してくれませんか。中には治療行為が出来る人もいる可能性もいますから」

 

そう言うと憑友は手元にある英雄達を見せると、そこから数枚取り出され、そして残りを引っ込めると取りだされたカード達を手元に戻し、ブースターで顕現させた。

 

そして現れた英雄達はサクラの指示の下、装者達の治療に専念し始める。

曰くあと5分以内に完治までさせると言う。

それを聞いた響はこのドームを形成している未来に寄り添い、未来を手伝い、

憑友と黎雷は外で防戦に徹している2人にただ生きてと念じるばかりであった。

 

そんな中、場所は離れてS.O.N.G.本部内ではキャロルのデータを解析していた。

 

「照合完了!この波形は…」

 

 

 

 

 

「フォニックゲイン…だとぉ!?」

 

驚愕する面々。キャロルの歌にはフォニックゲインが宿っている事を知ったのだ。

さらに藤尭がキャロルの背後にある空間を割って現れた建造物・チフォージュ・シャトーの解析をして、そして完了と同時に驚愕した。

 

「まるで城塞全体が音叉のようにキャロルの歌に共振、エネルギーを増幅!」

 

 

そう言うとチフォージュ・シャトーがエネルギーを蓄積させ、そしてそのまま下に向けて放射!

そして地面に着弾と同時にそのエネルギーは地脈に沿って線を成す…!

 

「照射されたビームが地表に沿って収来しつつあります!」

 

「この軌道って、まさか…⁉︎」

 

「フォトスフィア…」

 

 

その規模のデカさに恐れを抱く面々。

するとそんな指令室にやって来た者あり。

 

「いけません!ここは…」

 

「頼む!俺はもう二度と娘の頑張りから目をそらしたくないんだ!」

 

なんと、響の父・洸が入ってきたのだ!

だが、今まで見せていた臆病な姿では無く、成長する娘を見守る父親としての面が表立っていた。

 

 

「エネルギー波、対蹠地へと収束!」

 

「屹立します!」

 

そして衛星から観測された映像を見て驚愕する。

そのエネルギーの光に呑み込まれる映像はもはや国家存亡すら危ぶまれる程の威力を成していた。

 

そんな中、その光景を目の当たりにしていた1人の男。

常に左眼にモノクルを掛け、懐中時計を引っ張り出しているその男の名はセバスチャン。

サモン博士や黎雷達の組織の縁の下の力持ちが何故こんな場所で高みの見物をしているのか不思議で仕方がなかった。

だが、セバスチャンは不敵な笑みを浮かべた。

 

「流石、世界を壊し、識ろうとするその博学意識。正に学びし者の鑑でありますね。ディーンハイム氏。

しかし、そのおかげで今、綻びの一つが壊されました。

これにより復活の時はまた一つ近づきました」

 

そう言うと懐中時計に目をやるセバスチャン。

するとその懐中時計の秒針が1秒ずつ速く動き出した。

いや、1秒どころの問題じゃない…!その秒針の速さが徐々に速くなっていくのだ!

一体、何が起ころうとしているのか…⁉︎

 

「それにしても…サモン・クリスチャーノ。あの女はまず殺さないと行けませんな。

あの女…何処で分かったのだろうか…私の計画の邪魔ばかりする…!

だが、それも最早時間の問題。

さぁ、高みの見物と参りましょうか…」

 

そう言うとセバスチャンは不敵な笑みを浮かべたままこの壮絶な場を楽しんでいた…!

 

ーーーーー

 

そんな外部とは裏腹に、チフォージュ・シャトー内のサモンは衛星カメラ越しに手に入れた外部情報を前に驚愕の色を示した。

そしてそれに呼応するかのように1人の青年がやってきた。

ニット帽とワインレッドのロングコートと腕章が目につく青年はサモンに話しかけてきた。

 

「どうした⁉︎」

 

「…チフォージュ・シャトーが稼働している…!

急いで支柱を破壊しないと、地球そのものが無くなる!」

 

そう言っているとその2人の前に警備していたアルカ・ノイズが前に立つ。

それに気づいた青年はサモンを後ろに引かせ、

青年は手元に忍ばせていた拳銃を取り出した。牽制用として使うのだろうか?しかし、アルカ・ノイズに近代兵器は使えない筈…

 

カチッ!

 

と思ったらなんと銃口を自分の頭に向けた!

そしてそのまま引き金を引いた!

 

「来い!"カストール"‼︎」

 

すると彼の側から青いオーラが形成され、黒い身体と馬に跨った存在が現れ、それと同時にアルカ・ノイズを撃退した!

そう…彼もまた心の底に潜むもう一人の自分を実体化させる存在「ペルソナ使い」である。

【S.E.E.S初期生】 荒垣真次郎 …それが彼の名前である。

 

「っ!此処から急ぐぞ。いつまたやってくるか分からない!」

 

真次郎に言われたサモンは頷くと2人してとある場所へと向かっていった。

 

ーーーーー

 

そんな中、戦場のど真ん中では、キャロルの攻撃を逝都と馬燈の2人が身を挺して回復中の仲間達の為にその身で守っていた。

2人は中の皆の命を守る為に人柱の様にキャロルの攻撃を防いでいた。

だが、そんな2人でも服装の彼方此方がボロボロになり、片膝を地につけていた。

 

『儂が出るから、お前達は下がれ!』

 

そう投げかけるは英雄が1人…【東照権現】徳川家康。織田・豊臣と並ぶ三大名将軍の1人。

そして関ヶ原の戦において石田三成と相対し、そして天下を統べた男でもある。

そんな家康は逝都と馬燈に伝えるが、それでも2人は頑なに拒んだ。

 

「そいつは出来ねぇぜ。家康の旦那」

 

『何故だ⁉︎儂以外にも我先にとお主らを守ろうとする者もいると言うのにか⁉︎』

 

「俺達はあんたらの事は信頼しているさ…」

 

『ならばこそ!お主らの身を守ろうと言うのに…』

 

「「そんなもん、必要ねぇ(無い)‼︎」」

 

『!どうして…』

 

家康の言葉を拒む2人。その理由などただ一つ。

 

「俺達はアイツを…憑友を裏切った…!」

「あいつが弱々しかった頃は俺達が守っていた。

けど、戦う力を得た事で、あいつは俺達と肩を並べた。」

 

「それがいつのまにかそれを超えて、終いにはオレ達があいつに守られる始末。そんなの…不甲斐なさすぎるだろ…」

 

「だから、俺達はライジンやサモンの元に下ったんだ!

全ては憑友を守るためだけに…」

 

「だが、実際は俺達があいつの首を絞めている事に気づいたんだ。

だから、これは俺達が憑友にしてやれる贖罪なんだ!」

 

「「男の友情を踏みにじった俺たちの罪滅ぼしだ!」」

 

そう言うと2人は力を込めて自分達が振り絞れる最大級の攻撃で相殺させていく…!

 

「熱苦しいものだなッ‼︎」

 

キャロルが告げると、糸が無数の束になって、槍と化した!それも2本。

そしてその槍が2人の前に照準を定める…!

そしてキャロルが手を動かすと同時に、糸の槍が2人に迫る!

 

 

バリバリバリバリッ!

 

「「「⁈」」」

 

突然、聞こえた音と共に、糸の槍は燃え広がりて無くなった。

何事かと思った2人。すると後方から足音が近づく。

 

 

「お前らだけで守りきれると思っていたら、大間違いだからな…!」

 

そこにはまだ傷を受けたばかりのライジンがパートナー英雄である朱乃に担がれながら手を前に突き出していた。

先程の音は彼が雷の攻撃を放っていたのだ。

 

「ライジン⁉︎」

 

「黎雷で良い…」

 

「…まだ傷が癒えてない筈⁈」

 

「お前等を失ったら…彼奴が悲しむだけだ」

 

2人はライジンもとい黎雷から発した言葉と共に見据えた先にいた場所を見る。そこには治療を施している最中の英雄達に対して祈りを贈っている憑友がそこにいた。

すると黎雷が2人を後ろに退げ飛ばし、全ての攻撃を一手に引き受けたのだ!

飛ばされた2人が駆けつけようとすると黎雷が喝を飛ばした。

 

「これは…俺の一種の…罪滅ぼしだ。

だから、邪魔すんじゃねぇぞー‼︎」

 

そう言いながら一人で抑え込む黎雷。

それを見たキャロルは呟く。

 

「このオレの唄を聴いてまだ立ち上がるか…」

 

「悪いな…悪運だけは人一倍強いんだよ…!」

 

そう言うと黎雷の両手から雷が迸る…!

 

雷我崩伴爪(らいがほうばんそう)‼︎」

 

そしてすかさず爪に見立ててキャロルに襲いかかる!

だが、その攻撃もキャロルの攻撃には届かない…

それを確かめた黎雷は舌打ちし、再び防戦する。

 

「ちっ!」

 

「その爪でオレのファウストローブを引き裂こうとしたが無意味だったな」

 

 

だったら、これならどうだ‼︎

 

「?…何⁉︎」

 

"烈火・斬裂爪"

 

 

そう言うとキャロルの歌に呼応するかの様に威力がさらに増していく。

だが、その隙になんと背後に回り込んでいた憑友によってその攻撃は相殺され、攻撃が止んだ。

それと同時にマリア達装者の怪我も半分だが、回復した!

だが、既に打たれたエネルギーを見てキャロルは不敵を醸しだす。

 

「これが世界の分解だ‼︎」

 

「そんな事…‼︎」

 

そう高らかに宣言したキャロルに対して響が殴りに行くもその身体を、その拳を全て糸によって絡められ、身動きを全て封じられてしまったのである。

 

「お前にアームドギアが有れば届いたかもな」

 

そう言うのと同時にマリアが飛び立つ!

それを見た翼はマリアを呼びかける。

 

「マリア!」

 

「私はあの巨大装置を止める‼︎」

 

そう言って1人先行して行くマリア。

するとその後を追うかのように調と切歌,更にはセレナまでマリアと共にシャトーを目指し始めたのだ!

 

「リンカー頼りの私達だけど…」

 

「心の絆は時限式では無いのデス!」

 

「F.I.S.組の実力…皆んなに見せつけよう?マリア姉さん」

 

「…ええ!」

 

そう言うと4人はそのままシャトーを目指す。

シャトーに登った直後、上空から何かが降り立った!

 

「グワァァァァ‼︎」

 

まるでサーベルタイガーのような顔つきをした白い体をした竜がそこにいた。

寒冷地に生息し、その姿や佇まいから「氷牙竜」の異名を持つ竜…ベリオロスがマリア達の前に立ち塞がる。

 

すると、そのベリオロスの背中からなんと馬燈が降りてきて、ベリオロスをこの場から離れさせる。

 

「…どう言うつもり?」

 

「道案内も無しに行こうとしている奴等がいたからな。

それに…」

 

そう言いながらマリア達の後ろを見据える馬燈。

それに気づいたマリア達は後ろを振り返ると地上からティガレックスに乗ってきた零と、ナルガクルガに乗ってきた闇呪怨と、セルレギオスに乗ってきた光聖希の導師達もやってきた。

 

「お前らだけで行かせるかよ…ったく。

再会した後にまた離れ離れなんて…俺はもう御免だぜ」

 

零がそう口を零すと、2人も同意見だったのか、首を大きく縦に振る。

 

 

「貴方達…」

 

「急ぐぞ。この中にはサモン博士もいるからな」

 

「!サモン・クリスチャーノ…」

 

「なんであんな厄介なモノを取り付けやがったのかkwsk聞きに行くのと同時に…」

 

「この建造物をぶっ壊す!」

 

そう言うと一同はシャトーへと進入したのであった。

ーーーーー

そんな一行を見たキャロルは高らかに言う。

 

「それでもシャトーの護りは越えられまい。俺を止めようなど能わない!」

 

「やってみないと分からねぇだろうが‼︎」

 

そう言うと逝都がキャロルに向かって鉄拳を繰り出す。

その拳からデジタルのような炎が燃えていた。

それをまともに受けるキャロル。

 

「っく!」

 

「番長在る所に俺は在り!」

 

そう高らかに宣言する逝都。

逝都が使用していたのは、デジモンシリーズに登場する青年。

己の拳でデジモンと対等に殴り合う事が出来る唯一の存在。

 

【喧嘩番長】 大門大&アグモン

 

その英雄の力を宿していた。

更に、その姿は大を兄貴と呼称し、共に立ち向かっていた相棒デジモンのアグモン(セイバーズ)の究極体であるシャイングレイモンを彷彿していた。

逝都の攻撃がヒットしたのを境に、装者と導師達は連携攻撃を放つ…!

 

 

「ッ!」

 

だが、その如何なる攻撃をも寄せ付けないキャロル。

終いには全て返り討ちにあってしまった。

 

「世界を壊す…歌がある‼︎」

 

ーーーーー

その頃、マリア達は群がるアルカ・ノイズ達を殲滅しつつ、シャトー内部へと通ずる道へと侵入に成功していた。

だが、それと同時に響達のバイタルが低下しつつあった。

 

一方、その頃…マリアや馬燈達は内部にて抗争が勃発していた。

 

 

「くっ!なんて出鱈目な!」

 

その相手とは…

 

「ふっ。この程度でこの建造物を壊そうなど笑止千万‼︎」

 

「悪い事は言わないから、大人しく帰ってくんない?」

 

「悪い子はお・し・お・きよ♡」

 

「もう少しまともなのは無かったのか!」

 

「それに関しては同感なんだけど…」

 

 

 

「だだをこねないで!此処から先へは行かせないから!」

 

 

そこには 東方不敗,レイヴン,不二子,シャーク,リク,そして…

【炎髪灼眼の討ち手】と言う肩書を持ち、サモン博士にとっての右腕兼ボディーガードの役割を請け負っている少女…

 

 

シャナ

 

彼女達と相対していた。




次回

『意地』






こちらの質問にも是非お願いします。


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アイテム解説《改訂版》

『マルチアブソーバー』(以降アブソーバー表記)

憑友達《精魂導師》達の変身アイテム。

其々別のカラーリングを施したフレームを取り付けている。

 

・ライド…赤

・ソウル…蒼

・スピリット…翡翠

・ホロウ…銀

・タマシイ…白

・コア…紫

・ボーン…茶色

・アヤカシ…水色

・アンデッド…黄色

 

 

『英雄石板』

 

今作の重要アイテムで、『英雄』達の軌跡が刻まれている。

此処で紹介している『英雄』達とは、皆が知ってるアニメ・特撮・ゲームのキャラの事を指している。

但しバトル系のキャラが大半で、ほのぼの系のキャラはあまり出ない。

解析して詠唱する事で下記の『ヒーローカード』を獲得する事が出来る。

5段階のランクが有り、

白<銅<銀<金<虹の順でランクが高くなる。

ランクが高い程、ステータス自体が高く即戦力になる。

逆に低い程、成長し易く、パラメータ強化しやすい。

 

 

・『ヒーローカード』

上記の『英雄石板』を解析そして詠唱する事で、石板から現れるカードの総称名。

このカードをアブソーバーに装填し、アブソーバーに付いてるレバーを引く事で、アブソーバーに読み込ませて、そのカードに刻まれている『英雄』達の力を纏って戦う。

その際にその『英雄』達の愛用の武器を使用する事が出来る。

 

・『英雄』『英霊』

『英雄石板』に記されていた者達の総称名。

尚、『英霊』は『英雄』よりも上位互換な存在である。

 

・『LOST』

別名"失われた英雄"。

英雄達と共に行動したものの、物語の最中、もしくは果てにて死してしまった者達の総称。

ランクに関わらずフレームが灰色になっている。

導師が所持できれば戦力UPは確実だが、敵に回ると厄介な事この上ない。基本的に無所属の様な扱いである。

例)SAO…ユウキ

FAIRY TAIL…シルバー・フルバスター

ガンダムAGE…ウルフ・エニアクル etc

 

導師や装者陣営の中にもちらほらと居るには居るのだが、此処に分類される英雄達は皆、とある存在の元へと集っていくようだ。

 

 

・『Villain』

英雄達とはベクトルの時点で真逆…そう、敵役に属する者達の総称。

我を貫く輩ばかりが揃う。

戦闘力も彼等と相対した者が貸してくれない限り無双に近いくらいの力量を持つ。

例)テイルズ…ダオス,バルバトス,デュークetc

ドラゴンボール…フリーザ様,セル,ザマスetc

MARVEL…ロキ,ヴェノム,レッドスカルetc

仮面ライダー…スウォルツ,エボルト,壇正宗etc

スーパー戦隊…ドグラニオ・ヤーブン,ドン・アルマゲ,救世主のブラジラetc

 

 

『トリガードライヴ』

別名『感情の引き金』とも呼ばれている。

《精魂導師》になる為に必要な力で、その力の糧が有るからこそ、変身する事が出来る。

但し、一部例外としてライジンがそれに当てはまらない。

理由は本作のGX編にて書かれているので参照するように。

(因みにライジン曰く『心を縛る鎖』との事)

基本的には1人に1つは最低でも備わっておるが、

霊風とロックは2つ、憑友に至っては5つも所有している。

 

 

 

『四英雄』

 

『英雄』や『英霊』達よりも強い力を持つ『英雄』達…

『"光の巨人"ウルトラマン』

『"乗り物の超人"仮面ライダー』

『"チーム力No.1"スーパー戦隊』

『"伝説の戦士"プリキュア』

 

彼等の総称名である。

 

・『アドバンスフォース』

上記の『四英雄』から得た力で、其々の『四英雄』の力を使う事が出来るカードになっている。

アブソーバーに装填し、レバーを引くと自動的に左腕から離れて、所定の動作を行いそして其々の方向に持っていく事でその『英雄』達の力を使用する事が出来るアイテムが現れる。

尚、其々に変身する場合は、

 

・ウルトラマン…上

・仮面ライダー…左

・スーパー戦隊…右

・プリキュア…下

 

にアブソーバーを動かすとそれに対応したアイテムが現れ、それをドッキング。そして選択する事で初めて変身出来る。

 

・『アブソーバー・スパーク』

『アドバンスフォース』を使用したアブソーバーを上に掲げる事で現れるアイテム。

アブソーバーとドッキングさせて使用する事でスティックになる。

『四英雄』の内、『ウルトラマン』の力を全て使う事が出来る。

但し、他の『英雄』,『英霊』,残りの『四英雄』の力を使う事が出来ない。

けれど、『ウルトラマン』の技を自由に使う事が出来る。

変身する際は選択したウルトラマンの変身プロセスをする必要がある。

尚、GXまではXまでしかその力を使えないが、AXZ以降からはオーブ以降の平成ウルトラヒーローも使える。

 

例)ウルトラマンの場合…アブソーバー・スパークを右手に持ちそのまま腕を上に伸ばして、グリップに付いてるトリガーボタンを押す。

 

ティガの場合…アブソーバー・スパークを目の前に掲げ、腕をクロスさせ時計回りに動かして上に掲げてトリガーボタンを押す。

 

エックスの場合…アブソーバー・スパークのグリップ部分を180度折り曲げ、そして左手に持って右手でアブソーバーを上から押さえ込むかのように叩き、そしてそこから半透明のスパークドールズを持ち、そのままアブソーバーにローディングさせ、そして左手を上に掲げる。

 

・『アブソーバー・ドライバー』

『アドバンスフォース』入りのアブソーバーを左に動かす事で現れるアイテムで、ドッキング後は腰に装着するベルト型になる。

装着後はパネルボタンに描かれている『仮面ライダー』を選択する事で、『仮面ライダー』の力を使用する事が出来る。

変身する際は必ず「変身!」と発しなければならない。

 

尚、タイプ(又はフォルム,フォーム)チェンジは使用する事が出来るが、パワーアップ系統の変身は不可能である。

 

例)クウガの場合…マイティ,ドラゴン,ペガサス,タイタンへの形態変化は可能◎

だが、ライジングそしてアルティメットへの変身は不可✖︎

 

ゴーストの場合…「眼魂チェンジ」は使用可能だが、

「闘魂ブースト魂(一部の眼魂チェンジも含む)」「グレイトフル」「ムゲン魂」の3つの強化形態には変身出来ない。

 

GXまではゴーストムゲン魂しか無かったが、AXZ以降はエグゼイド以降の平成ライダーも使用可能になる。

 

・『アブソーバー・フォン』

『アドバンスフォース』入りのアブソーバーを右に動かす事で現れるアイテムで、ドッキング後はガラケー型の携帯に変わる。勿論、通信機器としても使用可能。

他の『四英雄』達とは違い、番号を6ケタ打ち込んで変身する。

 

最初の1桁は0or1しか受け付けない。

これには理由があり…

0は戦士、1はメカを表している為。

2〜4桁目はスーパー戦隊の登場番号順である。

例)ゴレンジャーの場合…0・0・1

ジュウオウジャーの場合…0・4・0となる。

そして最後の5.6桁目にはその戦隊メンバーの番号順を示している。

例)ゴーカイジャーの場合

ゴーカイレッド…0・1

ゴーカイブルー…0・2

ゴーカイイエロー…0・3

ゴーカイグリーン…0・4

ゴーカイピンク…0・5

ゴーカイシルバー…0・6となる。

尚、ジュウオウジャーは特殊で、

ジュウオウイーグルからゴリラへ変身する際は最後の桁を0・6に、

ジュウオウザ・ワールドは其々、

クロコダイル…0・7

ウルフ…0・8

ライノス…0・9とボタンを押してから変身する必要がある。

 

GXまではジュウオウジャー(ホエール,イーグル大解放除く)までだが、AXZ以降はジュウオウホエール以降の平成スーパー戦隊も使用可能。

 

『アブソーバー・コミューン』

『アドバンスフォース』入りのアブソーバーを下に動かす事で現れるアイテムで、ドッキング後はコンパクトの形になり、髪が伸び、女の子の声になる(但し憑友は例外で変わらない)

『四英雄』の内、『プリキュア』の力を全て使う事が出来る。

但し、他の『英雄』,『英霊』,残りの『四英雄』の力を使う事が出来ない。

 

基本的には其々のプリキュアチームを選択して、そこから変身したいプリキュアを選択する事で変身する。

他の『四英雄』とは違い、〔邪悪な闇〕を浄化するのに特化しているので、殺傷能力は基本的に無い。

但し、物理はかなり痛いとの事…(憑友談)。

 

1人で発動する技もあるが、基本的には仲間と共に放つ事が多い。

その場合は、該当するプリキュア同士が近くにいて、同時にドライブボタンを叩く事で必殺技が放たれるようになる。

 

GXまでは魔法使いプリキュアまで。

AXZからはキラキラプリキュアアラモード以降の平成プリキュアにもなれる。

 

『FULL BURST IGNITION』

G編のラストから登場したヒーローカードで、「フィーネ」のバストアップが描かれている。

【先史文明期の巫女】の力を介して、『英雄』達の中に眠る『力』を呼び起こす秘めたる性能を持っている。

変身する際はアブソーバーを翳す事でアブソーバーをパワーアップさせ、アブソーバーをスライドさせて、このカードをセットする。

発動時は『FULL BURST IGNITION』と発声する。

尚、其々のアブソーバーを翳す際は下記の名前になる。

 

・『バーニング・ライド』

・『アビス・ソウル』

・『ハリケーン・スピリット』

・『インパクト・ホロウ』

・『ホーリー・タマシイ』

・『ダークネス・コア』

・『ライジング・アンデッド』

・『グランド・ボーン』

・『ブリザード・アヤカシ』

 

使用すると一部の『英雄』達のパワーアップした姿が使える様になる。

 

例)ルドガー…骸殻

ウルトラマンガイア…スプリームヴァージョン

ナツ…モード雷炎竜

孫悟空…超サイヤ人etc

 

但し、一部のパワーアップには適用されてはいない。

 

 

伝説英雄(レジェンドヒーローズ)

『英雄』,『英霊』よりも遥かに上で、『四英雄』と互角に渡り合える実力を誇る『英雄』達の総称。

 

"認知度"…とどのつまり、その『英雄』達が有名じゃないと『伝説英雄』には認定されない。

 

例)ゲームキャラ…マリオ,ソニック,スネーク,パックマンetc

アニメ…孫悟空(DB),コンボイ(TF),アムロ・レイ(ガンダム),アイアンマン(MARVEL),アンパンマンetc

特撮…ギャバン,キカイダー,ゴジラ,ガメラetc

 

使用すると『LEGEND』と発声音が発生する。

基本的には他の英雄達と同じ様に変身するが、性能が桁外れを通り越してぶっ壊れ性能を持っているのが殆ど。

 

 

『フュージョン・アブソーバー』

アブソーバーと良く似た構造を施してるが、此方はカード一枚を入れられるギリギリのサイズにまで薄くしてある。

アブソーバーとドッキングさせる事で、下記の『FUSION DRIVE』の機能の役割を賄う。

因みにこのアブソーバーには2枚目を入れる必要がある。

 

・『FUSION DRIVE』

2枚のカードをアブソーバー本体とフュージョン・アブソーバーの方に其々一枚ずつセットし、所定の動作を踏まえて変身する強化形態。

2枚に描かれている『英雄』の力、其々を使用する事が出来る。

更に組み合わせ次第では『英雄』同士の声掛けが組み込まれている。

声掛けは主に、『英雄』同士の交友関係(関係性)に大きく比例している。

 

 

『MONSTER DRIVE』

アブソーバーにて使用する『己の野生の本能』を呼び起こす為に必要なカード。

使用して、〔モンスター〕のタグが付いてる『英雄』のカードを使用すると、モンスターの姿へと変化して、戦う。

但し、近くにIGNITEシステムが起動している場合、『IGNITEKILLERプログラム』が作動してしまう…!

 

・『IGNITEKILLERプログラム』

上記の効果が発動中に仲間がIGNITEシステムを使用してしまうと強制的にこの状態になり、自らの身体を乗っ取られてしまう…!

『IGNITION KIND』プログラムと偽名をつけられていた。

IGNITEシステムを破壊するまで、暴走は止められず、強制解除もする事が出来ない。

 

だが、そのシステムの起動が確認されない場合はこの限りでは無い。

確認後も、そのシステムを切れば、強制解除する事が可能。

そして、システムそのものにダメージを与える事で、耐性を持つようになり、IGNITEシステムと共に力を発揮する事が出来る。

 

モデルは「MH4」のゴア・マガラが起こした狂竜症が元ネタになっている。

 

 

『SYMPHONY DRIVE』

響達《シンフォギア》の力を《精魂導師》達に与えられた力。

アブソーバーには必ず『〔絶唱〕石板』によって解析そして詠唱を施して出現させたヒーローカードを使用しなければならない。

発動時、手元に其々の元の武器を手に持ち、聖詠を唄う事で纏う事が出来る。

発動後は其々のパートナー達の力へと顕現する。

尚、最初から『FULL BURST IGNITION』が搭載されている為、パワーアップ版である『IGNITE』を使用する事が出来る。

その際に、『MONSTER DRIVE』の副作用は発症しない。



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《精魂導師》技集 炎・水・風編

精魂導師達の技を紹介します。
今回は最初の3人…
憑友・ロック・霊風の3人の技です。

技紹介だけなので、短いです。


ライド 必殺技

炎で形成した剣を6本携えて、突進しつつ、相手に斬撃の嵐を与えていく。

モーションは焔の秘伝忍法「魁」と似てる。

 

超爆熱弾

右手に高火力の熱を纏い、それを相手に向けて殴る。相手に『脱水(体内の水分を減少させる状態)』を付与する。但し、水分を要としない輩にはこの状態付与は無効となる。

 

フレイムアッパー

右腕全体に炎を纏い、そのままアッパーさせる。ジャンプ高度内を浮遊している敵の場合、それらにもヒットする。相手に『火傷』を付与する事がある。

 

裏拳・烈波

両手の手の甲に炎を纏い、交互に迅速的な速さで裏拳を放つ。

 

烈火・斬裂爪

指を爪に見立て、そこに炎を纏わせて、相手に向けて引き裂く。

引き裂いた後、少し置いてから引き裂いた箇所を斬撃が襲う。

 

ラーヴァ・ラリアット

腕を溶岩のように迸りながら相手に向かってラリアットをお見舞いさせる。くらった相手の首が溶岩のように赤くなり、相手は苦しむ。

 

バーニング・アサルト・ストライク

両手両足に炎を灯して乱舞する。

 

火焔崩し

花咲ランのLBX"ミネルバ"の必殺ファンクション「焔崩し」「焔崩し・極」を見て浮かび上がり、それをアレンジさせた技。

相手の懐に入り、フックカットを与えると同時にもう片方の手から炎を吹き上げた拳をぶつける。

 

火焔崩し・極

火焔崩しの強化版。モーションはダンボール戦機の「焔崩し・極」に酷似。

 

火焔崩し・超絶

火焔崩しの強化版で、モーションは沢田綱吉の「Xバーナー」と似てる。

 

火焔崩し・超絶ノ極

火焔崩し最終強化版。自身の範囲にいる敵全てに効果が有り、真下の地面に拳をぶつける事で、全体に熱波を襲いかかる…!

その範囲…半径1km。

 

リーサル・フレイヤ・ストライク

炎で形成した剣と炎を纏った拳で乱舞する。

 

殺劇舞荒拳・爆炎

テイルズキャラの格闘乱舞技「殺劇舞荒拳」を炎を纏わせて、縦横無尽に駆け巡りながら相手に乱舞する。

 

獅吼爆炎拳

テイルズキャラの技「獅子戦吼」をアレンジさせた技。

獅子の闘気を放つ。闘気には炎の属性を帯びている。

相手を吹き飛ばす事が出来る。ゲームならコンボの締めに使うのが鉄則だろう。

 

火焔爆熱炎烈斬(バーナー・バースト・ストリーム)

キリトの代名詞である「スターバースト・ストリーム」の炎属性版。

炎を帯びた二刀流で16連撃をぶつける。

 

炎を司る『精霊』と『神』と『龍』の咆哮(イフリート・スルト・サラマンダー・ブレス)

ナツの「火竜の咆哮」のアレンジ版。

炎妖精 イフリート・炎神 スルト・火竜 サラマンダーの力であり、全ての炎をも下す灼熱の火炎放射を放つ。

 

 

ーーー

ソウル 必殺技

アクア・フォース・アロー

水で覆った弓に水で形成した矢を番えて射る。

 

バブル・バレット・ストリーム

水で覆った銃から発射される弾丸が着弾と同時に相手に泡を与える。

泡に塗れると身動きが取りづらくなる。

 

スパイラル・アロー

銃から超高圧の水流を渦潮のように螺旋を描きながら相手に向けて放射する。

 

ハイドロ・スラッシャー

水で形成した双剣で相手に向かって擦り抜けつつ、一閃する。

 

水にて模されし花弁盾(ウォーター・アイアス)

アーチャーを代表する魔術の一つ

熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』をアレンジしたもの。

相違点としては、原典が投擲などの遠距離に強いに対してこちらは剣や拳と言った近距離に対して強いメリットを持つ。

 

オーシャン・アビス・レイン

矢を上空へ放ち、雨のような針の矢で相手の周りを襲う。

しかしこの技は更に下に向けて放つ事で矢が下から奇襲してくると言う荒技をする事も出来る。その際には矢の軌道ルート全てが水路のように入り組み、そこから自由に放てる。

 

リキッド・アーマー

水を模した鎧を見に纏う。格闘系などの零距離に滅法強いが、銃弾などを対処するのは難しい。

 

ゲル・ボディ

RX バイオライダーのように身体を全てゲル化させて相手の攻撃を全て無効化する。但し、バイオライダーと違い、1度放つと1分間のクールタイムを要する必要がある。

 

ラグーン・ブレイザー

弓を地面に押しつけ、矢をそのまま下に向けて勢いよく放つ。

そして相手の真下から間欠泉が襲いかかる。

 

ポセイドン・アトランティス

大海原を顕現させ、そこから多量の海水を様々な攻撃方法で相手全体に襲いかかり、最後は大波で終わらせる。

 

影縫い

緒川氏から教わった忍者系統の技。緒川氏や翼と同様、相手の身動きを封じる。

彼の場合、矢を放つので矢の軌道先に影がある限り、そこを狙えば済む。

 

影踏み

影縫いを派生させた技。

相手の影を踏む事で相手を完全に封じるだけでは無く、シカマルのような『影真似の術』のように、影を踏んでいる間は相手の動きを操作する事も出来る。シカマルから教わった結果、影真似のように影を伸ばす事も出来る。

 

影這い

影縫いの派生技にして、ロックが自らの手で磨き上げた芸当。

影のある所に入り込み、影と影との間を行き来する事が出来る様になる。

但し、見知った者達の影の所にしか移動先が無い。

 

 

ーーー

スピリット 必殺技

《通常》

疾風舞(はやてのまい)

疾風の力を帯びた薙刀で周りの敵を乱舞し、最後に大回転で周りを吹き飛ばす。

 

竜巻棍(トルネードロッド)

竜巻の力を帯びた両手棍で相手を突いた後にそのまま敵に吸着させたロッドをぶん回し、最後はホームラン級に相手を吹き飛ばす。

 

大嵐槍(ハリケーンスピア)

槍の穂先を嵐で纏って、相手に向けて突き穿ち、相手を突き放つと同時に、ハリケーンを発生させて相手を吹き飛ばす。

 

《熱風》

ヒート・ザ・ブリューナク

熱風を帯びた槍で前方を薙ぎ払う。相手を脱水状態にする。

 

《旋嵐》

ストーム・オブ・トリアイナ

天に掲げると同時に自身の周囲に嵐を纏わせて、相手と攻撃する。

嵐に触れたら吹き飛ばされる。

 

《砂塵》

デザート・トリシューラ

砂粒を槍の穂先に付着させ、地面に突き刺す事で砂嵐を発生させて、相手を拘束する。

 

《天雷》

テンペスト・ジャベリン

天に向けて投擲すると雷を帯びた槍の雨を相手に向けて放ち続ける。

相手を『麻痺』にしやすい。

 

《吹雪》

ブリザード・ランス

槍の矛先が氷で包まれ、相手を突くことで相手に吹雪が襲いかかる。

『氷結』にする事がある。

 

《無風》

風切薙刀(かざきりなぎなた)

薙刀で一閃する。相手は納刀と同時に斬られたと認識する程、動きが鈍くなる。

 

《闇鼬》

イーヴィル・ハルバート

闇を帯びた多機能槍を用いて乱舞する。相手に能力低下をする。

 

《陽颪》

ヘブン・ザ・グングニル

槍を天に掲げると同時に光が降り注ぎ、相手に向かって照射する。

 




ビックバン・メトリア
二刀流に更に逆手持ち二刀流の計四刀流を用いて行う88連撃。


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特別編
太陽の少女の…


1日掛かりで書き上げた出来たてほやほやの話。
そもそも何故今日なのかというと、今日はあの子の誕生日だったから。

※本編のネタバレ要素が入っていますので、ご了承して読んで下さい。



「うーん…」

 

ある日の事。我らが主人公こと人絆憑友は困り果ててしまっていた。

と言うより、悩んでいた。

その理由は…

 

 

「…響の誕生日…何しよう」

 

そう…憑友と未来にとってのかけがえの無い親友もとい幼馴染にして、「太陽」の様な少女である「立花響」の誕生日が近い内にあると言う事実が!

 

そんな中、憑友は悩んでいたのだ…響の誕生日プレゼントを。

 

「如何したんだ?」

 

そんな憑友に声をかけた者在りけり。

名はキリト。本名桐ヶ谷和人。

【黒の剣士】と言う異名を持つ1.2を争う黒を主体にした装備を身に纏う凄腕の二刀流剣士にして、憑友の剣術の師匠兼パートナー『英雄』でもある。

キリトの声掛けられた憑友は「あのですね…」と言い始めながら、今の自分の状況をありのままに話した。

 

「…成る程な。

よくよく考えてみれば確かにもうそんな時期なんだよな?」

 

「まぁ、確かになんですよね…」

 

そう言いながら語り合う2人。

実の所、憑友は今まで一度も響の誕生日に誕生日プレゼントを渡した事が無いのだ。

決して忘れていたのでは無い。それだけは断じて誓えるのだ。

現に…

 

「憑友。お前…何気に響の呪われ体質受けてんじゃねぇ?」

 

「うぐっ…」

 

そうやって2人は思い返す。

 

憑友が小学生の頃は、いじめに遭っていた故か、怪我だらけでまともにお祝いするどころか、逆に見舞いに来させてしまったと言う経緯があれば、

中1の時は親の勝手過ぎる都合で無理やり連れて行かれて祝えず。

中2そして中3の時は…あのライブ会場の影響を直に受けた事で、己が〔半幽霊〕となり、彼女に会いたくても会えない状況に立たされていた。

そして昨年の時は茶化したまま石板探しと逝都と馬燈を探し続けていた所為で、完全に渡しそびれてしまっていた(しかも誕生日プレゼントはルオレを助けた際に落としてしまう)と言う失態を犯す結末。

 

…これだけ口に出すと流石に呪われ体質が引っ付いている事は否応無くに感じてしまうものなのである。

 

それ故に、響の誕生日の時を真面にお祝いしていなかったのだ。

 

だが、今年は如何だ?

キャロル等が起こした事変。総称《魔法少女事変(アルケミックカルト)》の影響で、街の復興に尽力しなければいけない事態に陥っている。

最もそれは問題視しない。自分達が戦った(散らかした)のだ。復興させる(片付ける)のは当たり前なのだ。

その甲斐もあってか、今年は邪魔が入らない!

とどのつまり…響の誕生日であるその日に祝えると言う事である!

 

そう考えただけでも憑友はガッツポーズを夢の中でもしていたのは此処だけの話。

…よっぽどお祝いしたかったんだね…。

 

「まぁ、そんな事より…プレゼントは決まったのか?」

 

「それが…」

 

そう言いながら今の自分の状況を改めて打ち明ける。

 

「…マジか…⁉︎」

 

「大マジです」

 

「orz」

 

…結論から言わせて貰おう。

全く持って用意すらしていなかった。

 

「他の女の子達から聞かなかったのか?」

 

「聞いたんですよ⁉︎1ヶ月前から!」

 

そう言いながら憑友はこれまで尋ねた存在の人達に聞いてみた。

因みに全員には「もし、好きな人に誕生日プレゼントを上げるなら何にします?」と敢えて響の名を出さずに聞いてみた。

因みに女性の『英雄/英霊』達も対象である。

 

先ず、未来の場合

「響はいつも通りに接してあげたら如何?憑友が誕生日の時に居るって思っただけでも嬉しいと思うよ?」

 

キリト(以降キ))うん、まぁ…妥当だな。…ってか、何この子⁈心の声読まれていたのか⁈

 

翼さんの場合

「好きな人にプレゼント?…私なら花を贈るかな」

 

キ)花ですか。…と言うよりも意外過ぎるのは気の所為か⁉︎

 

クリスさんの場合

「はぁ?誕生日プレゼントだぁ?

んなもん私はやる様な立場でも、貰う立場もねぇんだよ!

…強いて言うなら、あんパンと牛乳さえあれば良い…」

 

キ)お、おう…これツンデレだな。

って、何気に刑事っぽいのは気の所為だよな⁈

 

マリアさんの場合

「好きな人にプレゼント?

そうね…私としては好きな物を振る舞えたらそれで良いわ」

 

キ)いや、あんたは凄いわ…母性の塊そのものだわ。

 

セレナ義姉さんの場合

「誕生日プレゼント?心を込めた物を私はあげるかな?

それで貰った人が嬉しい顔をしてくれたら私は嬉しいなぁ」

 

キ)流石、お前の義姉さんだな!

 

「んで、それを貰った零が手を握って、プロポーズするの。

「お前の全て…俺にくれないか?」って!きゃぁ〜〜〜♡♡♡」

 

キ)…前言撤回。最後の奴さえ無ければ問題なかったんだけどな。

 

奏の場合

「誕生日プレゼント?

私はそんな風に祝ってくれた事があまり無いから言えないんだけど、その人が好きな物をあげたら如何なんだ?主に形として残る物をさ」

 

キ)お?真面な意見があったじゃねぇか。

…しかし、奏もあまり誕生日祝って無かったとはな。

 

切歌と調の場合

「ふぇ⁈好きな人からプレゼントですか⁉︎

う〜ん…何時も側に居てくれている方が一番デス‼︎」

 

「うん。私もそう思います」

 

「!調と同じデス!」

 

「うん。私達は何時も一緒だよ」

 

「調〜!」デレデレ

 

キ)リア充爆発しろ!百合カップル!

 

此処からは『英雄/英霊』達から聞いた話。

先ずは、アスナさん。

 

キ)え?

 

「大切な人が何時も身近にいてくれている方が私にとっては最高のプレゼントかな」

 

キ)…あはは…。

「あんたも人の事言えた事か!リア充英雄!」

 

…気を取り直して。

次はセイバー=アルトリアさん。

 

「誕生日…ですか。

私は『英霊』ですので、そこまで誕生日を祝う事はあまり無いのですが…

シロウと側に居るだけでも私は幸せになれます//」

 

キ)お、おう…。まさかの騎士王さんもとは。

 

ほむらさんの場合

「誕生日プレゼント⁈…

…ま、まど、まどかからくれる物なら、なんでも好きよ…///」

 

キ)此処にもいたよ⁈百合カップルが‼︎

しかも何気にテンパってるし⁉︎

 

なのはさん・ヴィヴィオさんの場合

「誕生日プレゼントね〜。今までは祝ってくれる事だけでも嬉しかったけど、今はフェイトちゃんやヴィヴィオと一緒にいてくれるだけでも最高のプレゼントかな」

 

「私も、なのはママとフェイトママと一緒て毎日が楽しいよ!」

 

「ヴィヴィオ〜〜♡」

 

「ひゃぁ⁉︎ちょっと、なのはママってば〜」///

 

キ)お、おう…。

…ってか、ブラック(コーヒー)が無性に欲しくなって来た。

 

ベルベットの場合

「誕生日プレゼント?

…私は昔は姉さんや病気しがちな弟が祝ってくれたわ。

あの日が一番の幸福だったんだけどね。

今はあんまり嬉しくも無いかな。

でも、誰かの誕生日を祝うとすれば、私は料理で振る舞うわ」

 

キ)料理で振る舞うとは…。

でも、誕生日プレゼントが料理って。

「心が籠っていればなんでもありと言う事っぽいみたい」

 

 

 

「…とまぁ、色々と質問して来たんですけどね」

 

「成る程…?ってか、話を聞いたのって、全員女性だよな?

男性の意見は?」

 

「今回は響の誕生日だって事、忘れてません?

女の子が好きな物を知るにはやはり贈る相手と同性の方に聞くのが手っ取り早いんですよ」

 

…妥当である。

 

それに気付いたキリトは「あ、そうだった…」と完全に本来の事を忘れていた。

 

ーーー誕生日・前日ーーー

 

そうこうしながらも、憑友は復興していく街中を歩いていた。

結局は、「この目で見た方が手っ取り早い」と言う結論が出ただけなのだが。

…因みに響の誕生日はこの時点で既に目の前まで迫ってきていた。

1週間?いいや、明日なのだ。

その間何をしていたのかと言うと、主に石板探しに、パトロール、復興作業の手伝い、学生としての生活etc…。

何気に忙し過ぎて、今日まで何を贈ろうか迷ってしまっていたと言う訳である。

 

「響には大切にしてくれる様な物を与えたいな…」

 

そう言いながら街をぶらぶらする憑友。

 

「…?これは…」

 

するとある物に目を向けた憑友は立ち止まり、その物に目を奪われながら、歩み寄る。

 

「これにしよう…」

 

 

ーーー誕生日・当日ーーー

そして誕生日当日。

その日も学校で学生の身分である響達はぐんだりとしていた。

とは言え、今はもう放課後。後は自由なのである。

 

だけど、流石に授業を受けた響は既にくたくたで、急いで寮へと帰宅しようと思っていたのだが…未来曰く「今日は偶には違う所から帰ってみない?」と言って来たので、響は気怠さを振り絞りながらも未来の問い掛けに「うん」と言いながら首を縦に振って頷いた。

 

そしていつもの時間よりも1時間遅めに寮へと帰宅した響と未来。

そして居間の方に向かい、ドアを開けると突然クラッカーの音が響き、響は驚いた。

 

『響!お誕生日おめでとう(デス)!』

 

「ふぇ⁉︎」

 

「今日は響のお誕生日でしょ?」

 

そう言われて、初めて響は今日は自分の誕生日だと言う事を「今日、私の誕生日だった⁉︎」となんと今になって思い出したのだ。どれほど忘れていたのやら。

それを聞いた一同も「自分の誕生日も忘れていたのか⁈」と思える様な発言を言われていたのは言うまでも無い。

それはさておき、今回の誕生日のメインが来た事で、誕生日パーティーが開催された。

因みにこの場には翼と奏,マリアとセレナにクリス,霊風や黎雷の先輩,逝都達同輩も,調に切歌達後輩達,そしてエルフナインとキャロルが一同にこの場にやって来ていた。

 

尚、弦十郎達大人の面々は「大人の事情」で此処には参加出来なかった。

その代わりと言いながら霊風と零から大人達から預かったプレゼントを響に渡した。

それを見た響はとても喜んだ。

特に師匠である弦十郎のは意外と好評だった。

…だが、誕生日プレゼントでキックバックは無いんじゃ無いのか…。

 

そうしているとクリスが「これはロック義兄からおめぇにだとよ」と言って渡して来たのは白のヘアピンだった。

なんでも「おめぇの『大事な者がいつも側にいる様に』だとよ」との事で、響は嬉しかった様だ。

しかし、そんな誕生日パーティーなのだが、肝心な存在がいなかった。

そう…憑友がこの場にはいなかったのだ。

 

「憑友は?」

 

「私も知らなくて…」

 

如何やら、彼の事を1番に知っているセレナですら知らなかった。

それもその筈である。何故なら…

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

「(胸糞悪い…)」

 

そう感じながら憑友は苛立っていた。

その訳は…

 

「おいおい兄ちゃん?人にぶつかって置いて、逃げようとは良い度胸だよな〜〜?」

 

ヤクザの輩に絡まれていた。その数…30。

ヤクザはそう言っているが、実際は真反対である。

憑友は関わりたくないから避けたのに、向こうから当たって来ていたのだ。

その所為で響の誕生日に間に合いそうに無かったのだ。

元々は響の誕生日パーティーの時に渡そうと意気込んでいた憑友なのだが、この一件で全部台無しだった。

 

「なんとか言いやがれってんだろうが‼︎」

 

そう言いながらヤクザの1人が拳を振り上げた!

するとそのままその拳を…

 

ガシッ!

 

「⁉︎」

 

受け止めた。

 

「正当防衛として…やらせて貰うぞ!」

 

ボコスカッ!

 

「ひ、ひぃ〜〜⁉︎」

「わ、わかったから!あぁ〜〜⁉︎」

「ぎゃあぁぁぁぁ⁉︎」

 

〜しばらくお待ちください〜

 

そしてヤクザを取り締まった憑友は交番まで引きずり、そしてそのまま警官にヤクザ達を渡すとそのまま響の誕生日を開いている筈の寮へと急行しようとするが…

 

「?此処で何してるんだ?憑友」

 

「⁉︎翼さん⁈」

 

なんと翼と出会ってしまったのだ!

しかもよく見てみれば、奏やマリア達シンフォギア勢と、霊風や黎雷もいた。

 

つまり…誕生日パーティーが終わったと言う事だった。

しかも時間をよく見たら午後11時30分。

此処から響の元まで最低でも30分。また間に合わなかった。

そう嘆こうとしたら、黎雷がビンタをお見舞いさせた!

 

「嘆く暇があるのなら!さっさと行きやがれ‼︎」

 

「!」

 

「お前がいないと知れた時、響ちゃん…哀しんでいた。

だから、会って渡して来い!お前自らな!」

 

「!…ありがとう。黎雷兄さん!」

 

そう言うと憑友は全速力で駆け巡った!

 

「…ふっ。兄としての自覚が出て来てな?」

 

「勘違いするな。彼奴の嘆く顔など見たくないだけだ」

 

「ふっ…ツンデレめ」

 

「殺るか?」

 

「冗談だよ…」

 

 

 

ーーーーーー

残り3分…

 

そんな時に限って、憑友は足を挫く。しかし、それでも駆け走る。

そして目と鼻の先に響と未来が住む寮が見えてきた。

しかし残りの時間はあと1分しかなかった。

しかもおまけに裏手側…玄関があるのは真反対の場所だった!

 

「こうなったら!」

 

そう言うと憑友は人外越えの跳躍で一気にジャンプした!

それはあの【唯一無二の配管工】と互角に並び立てる程の跳躍力で。

 

そして無事に着地した場所は…ベランダだった。

 

トントントントンッ!

 

「!憑友‼︎」

 

幸いにも響が近くにいた為か、直ぐに開けてくれた!

そしてそのまま出会って直ぐにこう言った。

 

「お誕生日…おめでとう」

 

「!…ありがとう」

 

そう言いながら響は憑友に抱きついた。

因みにこれの1秒後に日付は変わった。

 

「あ、ほら!誕生日プレゼント!」

 

そう言いながら憑友は響に誕生日プレゼントを渡した。

響は「開けて良い?」と言って来たが、そんなの憑友は当たり前だろと思いながら、首を振って頷いた。

そして開けてみると、そこには太陽と三日月が一つなったペンダントが入っていた。

 

「俺が『月光』で、響は『太陽』だろ?

"俺は常にお前の側にいる"って言う意味で、これをお前に」

 

「憑友…ありがとう」

 

そう言いながら響は憑友にキスをした。

その2人の光景は月の光で照らしながら、2人を包み込んだのだった。

 

 

その日から響は肌身離さず、そのペンダントを常に吊るすようになったのだった。




と言う訳で…

響ちゃん!ハッピーバースデー‼︎

これからも君の周りの人々を照らし続ける『太陽』でありますように。
by作者


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ハロウィンです!まさかのです!

一日遅れの投稿で、誕生日と同じ番外編!


10月31日

 

この日付を聞いて思い当たる者はいるだろうか?

 

…え?サブタイでモロバレ?…ご最もだ。

 

そう、この日は、子供達には楽しみの一つでしかない日…ハロウィンである!

 

そしてそれは、まだ学生である響達「シンフォギア」勢と、憑友達「精魂導師」勢も楽しみにしているのである。

それはもう、1週間前から準備をしていた程である…

だが、彼等のハロウィンは楽しむだけとはいかなかった…

 

 

ー1週間前ー

 

「ハロウィン!ハロウィン〜!」

 

そう言いながら浮かれているのは、この作品のヒロインにして、原作主人公である立花響である。

そんな彼女の後ろには微笑みつつも、半ば呆れている幼馴染兼ある意味ヒロインとも言える本妻ヤンデレこと小日向未来と、

この作品の主人公にして、〔半幽霊〕として約3年も居続けた響と未来の幼馴染の人絆憑友が溜め息を零しながら響に対して呆れていた。

 

「全く…食べ物に関するのは勿論だが、幾ら何でも浮かれすぎじゃないのか?」

 

そう呟きながら溜め息を零す憑友。

響はそんな憑友の言った事は全く聞こえていないのだが…。

 

そんな響を見た憑友はまたしても溜め息を零す…。

…もう一度だけ言っておこう。

この溜め息ばっかりついてるこの少年が、この作品の主人公…人絆憑友である。だが…今の彼にそんな威厳のあるオーラなんて一欠片すらなかったのであった。

 

そんな憑友を宥めるのは響と憑友の幼馴染で、ヤンデレ気質の良妻こと未来さんである。

そんな3人のやり取りを見ていたクラスメイトの創世と弓美と詩織の3人組は相変わらずだなぁと感じながらもそれぞれの話し方をしつつも、内心苦笑いをしていたのは言うまでも無かった。

 

「…そういえば、最近ある噂が流れてるんだけど?」

 

「ある噂?」

 

「?」

 

すると弓美がここ最近になってちらほらと流れる噂を話し始めた。

 

「なんでも、毎年この時期になると、此処の近くにある森林に子供達が入っていくんだけど…

その子供達にお菓子をあげる魔女の格好をしたおばあさんがいるお家があるのよ」

 

「魔女の格好をしたおばあさん?そしてそのおばあさんがいるお家?」

 

「うん。で、そのおばあさんは子供達にお菓子をあげるんだけど、

ハロウィンが過ぎたらおばあさんはおろか、其処に会った筈の家すらハロウィンが終わったと同時に消えちゃうんだって!

まるでアニメみたいじゃない!」

 

「でも、この時期からハロウィンまでって、たった1週間の間しか家が建って、ハロウィンが過ぎたら即無くなるなんて…」

 

「まるでSFみたいな感じだな?」

 

そう言いながら、一同は帰路へと続けたのであった。

 

 

そして翌日。

今日響と未来、憑友の3人はS.O.N.G.の方に足を運んでいた。

その訳は…

 

「アハハ!落武者で来やがった‼︎」

 

「…そう言うお前は、さしずめフランケンシュタインとか言わないだろうな⁉︎」

 

「お?大当たり〜!」

 

「はぁ…」

 

そう言いながら憑友の幼馴染兼男友達である逝都と馬燈はハロウィンの仮装をしていた。勿論、他のメンバーもそうなのだが…

 

「まさか…こうなるなんてな…」

 

「奏も…結構似合ってるな」

 

「お前等もそうじゃねぇかよ…ヴァンパイアさん?」

 

そう言いながら奏と霊風のバカップルはそれぞれ、奏が天使、霊風が吸血鬼もといヴァンパイアの格好をしていた。

そんな2人の元に足音が聞こえて来たので2人は振り向くと…

 

「……」

 

「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」」

 

『⁉︎』

 

其処には何故か甲冑を身に着けた者がおり、あまりの迫力に2人は叫ぶとプツンッと、何かが切れたような感じでそのまま2人は地面に後ろから倒れた。霊風に至っては口から泡を吹く始末。

それを見た甲冑を身に着けていた者は慌てており、そして先程の悲鳴を聞いた一同が部屋へと入って来て…

 

『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎』

 

と、今度は入って来た皆まで驚く始末。

そして最後に部屋へと入って来た憑友とS.O.N.Gの司令にして響・憑友・逝都の師匠である源十郎は甲冑を着た者に向けて溜め息を零していた。

そして源十郎はその甲冑を着ていた者を見て呟く。

 

「全く…親子揃って堅物だな…翼」

 

『え⁉︎』

 

突然の爆弾発言に驚く一同。

すると甲冑は自ら、顔まで覆っている兜を外す。

すると其処には青髪が印象の少女にして、"Δウイング"の1人。そして一行の仲間・風鳴翼が顔を出していた。

 

「す、すみません…叔父様」

 

「俺に謝るよりも、奏と霊風の奴に真っ先に誤っておけよ?おかげで失神までするとは…

いや、それよりも、霊風があそこ迄に陥るとは…」

 

そう言いながら源十郎は霊風の方を見やる。

其処には未だに口から泡を吹いてる霊風が其処にいた。

 

「霊風先輩…もしかして、落武者が苦手なんじゃ…?」

 

『(いや、此奴は元からホラーがダメな奴だ。

まだ現実味がある方がまだマシなようでな。お前を見て平気だったのはその為だろう)』

 

「(なるへそと同時に、説明どうも)」

 

…まさかの弱点が暴露された日であった。

因みに憑友の身体内にはフィーネがいるのだが、相も変わらずと言った所である。

もし彼女が現世にいたら、恐らく露出高めの魔女として君臨していただろうと憑友はそう感じていた。

その後、なんとか失神から回復した2人も加え、皆は着々とハロウィンの仮装の準備が出来つつあった。因みにどんな仮装かと言うと…

 

 

セレナ 小悪魔

奏 天使

未来 赤ずきん

切歌 死神

調 黒猫

クリス ウサギ

響 オオカミ

エルフナイン ウィルオウィスプ

キャロル ミイラ

零 悪魔

翼 鎧武者

馬燈 落武者

逝都 フランケン

霊風 ヴァンパイア

憑友 ゴースト

黎雷 魔法使い

光聖希&闇呪怨 ジャック・オー・ランタン

ロック 堕天使

緒川 何故か天狗

藤堯&友里&牧藁 ゾンビ

源十郎 魔王

 

となっているのだが…

ただ1人…マリアだけはヤバかった…両方の意味で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「如何して私はサキュバスなのよ⁉︎」

 

 

 

 

 

そう言いながら恥ずかしがるマリア。その格好はと言うと、肌が露出し過ぎと言うよりも、この時期にその格好だと寒くないのか⁉︎と言っても過言では無い格好を今のマリアがしていた。ほぼ全裸に近いのである。勿論、マリアはその格好で身体全身を使って身を固めようとする。

だが、それが逆効果だとは言うまでも無く、

 

「ブフォッ⁉︎」バタン!

 

『兄貴(零)⁉︎』

 

現に零がマリアの格好を見て鼻血を勢いよく放出した。

漫画の場面で良くある「鼻血の勢いだけで地面に倒れる」と言う描写である。

 

…と言うよりも、マリアをこの格好にさせたのは誰なのだろうか?

 

「…マリア姉さん。その服、何処から持って来たの?」

 

と、代表して我らが主人公である憑友が恐る恐る聞いて見た。

 

「…マムから」

 

「ナスターシャさん⁈」

 

『マム‼︎』

 

…oh…まさかの彼女達の母親的存在・ナスターシャ博士のおさがりだった。

…と言うよりも、博士も以前これを着ていたと言うのか⁉︎

 

「まさか…ナスターシャさんもこれを?」

 

「いいえ。マムはハロウィンの時、毎年魔女の格好をしていたから…」

 

「…うん。そっちの方がしっくりしてくるね」

 

…んじゃあ、この服…誰が着ていたんだろう?

 

ーーーーーー

一方、とある場所

 

 

「へっくしゅ!…?」

 

「如何した?ジャンヌ?」

 

「誰かが噂されていたような…気の所為だよね♪」

 

…まさか…ね?

ーーーーーー

 

そして一通りみんなの仮装が揃って来た所で、一同は休憩を始めた。

勿論OTONAの皆さんはそう言う訳にも行かず、皆よりも先に仕事へと戻った。

そして今この場には響を始めとした『シンフォギア装者』と、憑友達『精魂導師』そしてキャロルとエルフナインが其処にいた。

 

何気ない会話をしていると憑友は昨日の帰りの弓美の発言を思い出したのか、皆の前で弓美が言っていた事をありのままに話した。

 

「ふーん…魔女のおばあさんね…」

 

それに応えるかの様に響を始めとした憑友の幼馴染は頷く。

 

「…まさか怪獣だったりしてな!」

 

「それは無いのでは無いのか?」

 

冗談を言って場を和ませようとする零。

しかしその冗談ですら通じないキャロル。

だが、この話を聞いた霊風は顎に手を添えて考えていた。

 

「…あり得る話かもな」

 

『えぇ⁉︎』

 

冗談のつもりで言った零すらも驚く程、皆は霊風の発言に驚いていた。

すると霊風は転生者としての記憶からある話を始めた。

 

 

「これは俺がまだ転生する前の話なんだけど…

【かつて、毎年ハロウィンの夜に世界中のどこかで魔女のおばあさんがいるんだけど、ブラックホールのように空間を歪ませて次元を移動する事が出来る様でな。ある組織によって居場所を突き止められ、窮地に陥ったおばあさんは悍ましい姿となりて巨大化したんだ。

巨大化した魔女のおばあさんの目的は子供達をお菓子漬けにして、廃人のようにしてそれを快楽として楽しんでいたんだ。

そんな時に、1人の青年が駆けつけて、光の力宿りしアイテムを使用して、巨人となって戦ったんだ。

苦戦を強いられたんだけど、なんとかその悍ましい姿へと果てたおばあさんを倒した巨人。

そしておばあさんが掛けたお菓子を食べていた子供達は元に戻った。】

と言う話なんだけどな?

こんな風に、おばあさんの正体が実は怪獣であったと言う話を前世で聞いた事があるんだ」

 

「な、なんだか物騒デス…」

 

「でも、それは前世の話だよな?」

 

「まぁな。でもテレビであった所謂フィクションものだから、この世界では有ったりする事もあるかもしれないんだぞ?」

 

その話を聞いて一同は色々な感情が渦巻いていた。

ただ1人…

 

「…」

 

「?如何したの、兄さん?」

 

「!…何でもないよ。憑友」

 

憑友の兄にして、『雷の魔術法師』と呼ばれる者…ライジン・V・エレクロニングこと人絆黎雷だけは何かを考えていた。

 

 

ーーーーーー

それから5日経った。

S.O.N.G内では今、緊迫した空気に包まれていた。

理由はこの間までに、子供が行方不明になる事件が勃発していたのだ。

子供の数は最低20人が確認されており、未だに捜索し続けられていた。

幸いなのは、遠方からやって来た子供達が行方不明にはなっていなかった。

だが、一般人からの証言があった。

曰く…

 

「都市伝説になっている森の中に子供達が入っていたのを見た」

 

と言う唯一の手掛かりが浮上したのだ。

それを聞いた警察は一斉にその話に出て来た森に入り、捜索したが、

何も手掛かりすら見つからず、終いには更に行方不明の子供達が増える一方になっていた。

それを聞いた事務次官はS.O.N.G.に要請を下したのだった。

そして一行はペアになって、捜索した。

だが、肝心の子供達の背後すら見つからず、そしてとうとう…ハロウィンの日がやって来てしまったのであった。

 

因みに今回も森の中を捜索するのだが、今回の皆の格好は、用意していたハロウィンの仮装での姿である。

因みに友人3人組も仮装しながらハロウィンを楽しんでいるのだが…

 

「なんで、私だけ…」

 

そう言いながら創世は落ち込んでいた。

理由は勿論…ハロウィン仮装である。

その衣装がまぁ…奇抜い。

一言で言うなら、「露出高めのビースト」と言っても過言では無い。

因みにその姿を見ていた零は「あれ?どっかで?」と思い出そうとした所、カードから具現したマシュの大楯でK.O.されて頭の周りを星が回り、対して大楯で殴ったマシュの顔は耳まで真っ赤にして、恥じらっていた…如何やら創世の着ている衣装が影響してあるようだ。

…因みに弓美は好きなアニメである電光刑事バンの格好をしており、

詩織はシンデレラの格好をしているのであった。

…明らかにコスしただけだよね?弓美さん?

 

因みに落ち込んでしまっている創世には、未来と響が立ち会う事にした。

 

相も変わらずと言った空気の中、憑友はキョロキョロと辺りを見渡していた。

それに気づいた奏が話しかける。

 

「如何したんだ?」

 

「あ、奏さん。

黎雷兄さんを見かけませんでしたか?」

 

如何やら黎雷を探しているようだ。

 

「?いや、まだ今日は会って無いぞ?」

 

「そうですか。…ありがとうございます」

 

奏は見ていない事を示唆すると、憑友は頭を下げつつ、お礼を言うと今度は違う方へと探し始めに行った。

 

 

それから数時間が経った。

辺りの活気も大分大人しくなり、もうじき帰る時間になろうとしていた頃。

S.O.N.G.の面々は一度集合した…だが。

 

「あれ?憑友は⁉︎」

 

響の一言で皆が辺りを見渡す。

其処には憑友がいなかったのだ!

 

「そういえば彼奴…黎雷の事を探していた様な…まさか!」

 

「黎雷を探して、まさか魔女のおばあさんに…!」

 

不安がよぎる一行。

すると未来はふと空を見上げた。

「あれ?」と言う声を出した。それに気づいたクリスから「如何したんだよ?」と言いかけると、未来は空に浮かぶある場所に向けて指を指した。

 

「月が…」

 

「月?月が如何し…た…⁉︎」

 

クリスは未来が指を指した場所に向け、そして目を見開いた。それに気づいた皆も未来が指した場所に目を向け、そして驚愕した。

其処には…月がパンプキンの形になっていたのだから。

 

「まさか…!」

 

それに気づいた霊風はなんと森の中へと入って行ってしまったのだ!

それに気づいた一行は急いで後を追う!

友人3人組はこの場に待機する様に命じている。

もうすぐ緒川と言う頼れるお兄さんがやってくるので。

 

 

さて、霊風の後を追う一行。

途中はぐれそうになったが、なんとか霊風の姿を捉える事に成功した。

そして代表して奏が霊風に話しかけようとすると、霊風達の前に一軒の家が建っていた。

因みにこの森には何一つとして、家が建っていると言う情報はこれっぽっちも無い。

あからさまに怪しい家なのだ。

 

「まさか…彼奴ら!」

 

そう言うと霊風は急いでその家の中に入っていき、響達も慌てて後を追った!

 

家の中に入った一行が目にしたのは、意外にも隅々まで手入れされた豪邸に並ぶ風格が漂っていた!

 

「これは…一体…?」

 

「…?ねぇ、切ちゃん?」

 

「如何したデスか?調」

 

「あれ…憑友先輩じゃ?」

 

『え⁉︎』

 

そうこうしていると調がなんと憑友を発見し、皆はその方角を見ると、其処には憑友が何故か笑っていた。

皆は恐る恐るその憑友がいる部屋の方へと足を踏み入れる。

そして、霊風の合図で一斉に侵入した!

 

「大丈夫か⁉︎憑友…って、あれ?」

 

霊風はその光景を見て、素っ頓狂した。それは勿論、一緒に侵入した一同もだった。

何故なら…

 

魔女のおばあさんが、子供達と一緒に遊んでいたのだから。

 

「あれ?霊風先輩?それに響達も!如何したんですか?」

 

「いや、それよりもこれはどう言う事だ?」

 

「それは俺が説明しても言いか?」

 

そう横やりに聞こえてきた声のだが方に振り向くと、其処には憑友の兄である黎雷が立っていた。

そして黎雷は事の詳細を教え始めた。

 

 

 

それは黎雷がまだ《雷魂導師》になる前の事。

 

彼がいつもの様に、パートナー『英雄』である朱乃の指導を受け終わり、帰路につこうとした時に、彼女…魔女のおばあさんと唐突に出会ってしまったのだ。

ただ、その時は「魔女のおばあさんでは無く、魔法少女だった」と黎雷談。

なんでも彼女はかつて、この世界とは別の世界で、子供達を廃人にしようとした異次元人「ギランボ」と言う種族で、

ハロウィンの夜に出現して、食べた者に悪夢を見せるキャンディ(催眠ロリポップ)を子供たちに配り、それを食べた子供たちを巨大なパンプキンで異次元へ連れ去り夢を吸い取って廃人にしてしまうと言う存在だと言う。

だが、彼女はそんなやり方はしなかった。

現に彼女の側では行方不明になっていた子供達が魔女に扮する彼女と一緒に遊んでいるのだから。

 

「…じゃあ、なんでこんな事を?」

 

その話を聞いたマリアがそう聞き返す。すると黎雷は意外な言葉を発した。

 

「彼女は…人間の友達が欲しかっただけなんだ」

 

人間の友達。

つまり、彼女は友が欲しかったのだと。

だが、彼女にはある欠点があった。

ハロウィンの時期にしか姿が出せないと言う事だった。

 

「そんなら、そうと一言言えゃいいのによ」

 

「さっき言ったよな?あの人の声が聞こえるのは、ハロウィンの時期で、しかもハロウィンを楽しみにしている子供達だけだと。

俺は以前から交友関係が有ったから普通に入ってこれたけど、まさか憑友が此処に来る事は完全に予想外で、お前達も来るとは予想も立ててはいなかったがな」

 

「あら?黎雷。貴方のお知り合い?」

 

そんな風に話していると、先程まで子供達と遊んでいた魔女が近くに寄ってきた。

…だが、その容姿が明らかにおばあさんでは無く、1人の女性の間違いなんじゃ無いのかと間違える程の美貌を持っていた…!

 

黎雷は魔女に先程までの話を軽くだが説明すると、魔女は自己紹介した。

 

「私は異次元人ギランボと言う種族名で、名前はウイッチ。

 

黎雷から話を聞いたと思うけど、私はハロウィンの時にしかこの場所でしか現れないの。

子供達と遊ぶのが大好きなの。でも、そんな子供達の事を待っている親御さんが心配させてしまっている。そう言う自覚はあるの。

でも、私…ハロウィンが過ぎれば、また来年まで子供達とは遊ばなくなるの。

我儘なのは分かってる。けど、私…人間の友達が欲しかったの!」

 

その話を聞いた一行。

勿論、それに反応するのは人助けで勝手に動く響と、そんな響に吊られ続け終いには自分にまでその人助けの癖が付いてしまった憑友だった。

 

2人は意見を述べると、皆は納得したのか、その案を受け入れた。

それは…ウィッチと日を跨ぐまで遊び尽くすと言う事だった!

幸いにも、この洋館には様々な遊び道具があった事と、洋館の大きさが大勢で遊んでも楽しめるぐらいのスペースを確保していたのであった。

 

そして皆はハロウィンの格好をしながら、ウィッチと遊び尽くした。

 

そして…終わりの時はやってきた。

 

 

キーン…リィーン…!

 

少し変わった様な音が洋館内を響いた…如何やら時計の知らせの様だ。

 

「さぁ、皆んな!ハロウィンは終わりよ!パパやママの所に帰りましょう!」

 

それを聞いた子供達は「はぁーい!」と返事すると、そのまま魔女が既に用意した魔法陣の中へと入って行った。

ウィッチ曰く「転移先を子供達のお家に自動的に転移させる魔法陣」との事だった。

 

「今日はありがとう。お陰で良い思い出が出来たわ!」

 

「こちらこそ!良い思い出が出来ました!」

 

「こっちはちょっと複雑な気分だったけど、悪い気はしねえな!」

 

そう言いながら皆は今日一日の事を楽しめた様だ。

それを見た黎雷は今までとはうって変わって笑顔を見せていた。

そして響達も帰ろうとすると、ウィッチが「ちょっと待って!」と制止させる。

 

「なんだよ、こんな時に?」

 

「ハロウィンといえば?何かしら♪」

 

「ハロウィン?…あ!」

 

ウィッチの言った言葉に響は思い出した。

ハロウィンといえば、やはりアレが無くてな意味が無いという事を。

そして響の反応を見て、一同も如何やら思い出した様だ!

そして目を見て、そしてウィッチに向けて皆んなで言った。

 

「せーの…!」

 

『トリック・オア・トリート‼︎』

 

「まぁ♪うふふ♪

じゃあ皆んなには…お菓子をいっぱいあげちゃうわ!」

 

そう言ってウィッチは魔法陣から大量のお菓子の雨を降らせ、皆に配られた!

そしてウィッチは、「また来年も会いましょう!」と言って、光を発すると、響達は目を開いた。其処は先程の森で、もう其処にはあの家は無かった。何せ、時刻は午前0時30分。

ハロウィンはもう、終わっていたから。

 

だけど、彼等はまた来年も…ウィッチのいるこの森にまた行くだろう…

今度は、お菓子をいっぱい持って…




今回登場した異次元人ギランボは、
『ウルトラマンティガ』に出てきた存在で、彼女は人間の友達が欲しかったと言う設定にしてます。勿論、心は優しくて、ハロウィンの時期だけですが、行方不明になっていた子供達の面倒を全て1人でこなしていた母性のある魔女系異次元人さんです!
何気にウルトラ怪獣の中で、「ハロウィン」に関する怪獣・宇宙人ってのはあまりいないので、ギランボが出た時は意外だなぁと思い、この作品で出しました!後悔はない!

お話の方も頑張って進めますので、宜しくお願い申し上げます!


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陽だまりへのプレゼント

何故か趣旨が変わってしまった未来さんの誕生日編。
本当は昨日出したかったのですが、間に合わなくて申し訳ない。
そして未来さんの活躍がまさかのZERO〜。
駄作なのでさらっと読んで下さい。


ーーーーーーSIDEto憑友

 

「憑友〜〜!」

 

不意に聞こえてきた声に俺は呆れていた。

徐々に後ろから近づいて来る声の主。 俺はそのまま振り返らず、学校指定のカバンを揺らす。そして…

 

 

ポカンッ‼︎

 

「あ痛っ⁉︎」

 

「ビンゴ」

 

案の定、俺のカバンアタックを頭で受けた声の主…響が頭を抑えて蹲った。

このやり取りは最早お馴染みと言っても過言では無くなったので、こういう風に相手が来た瞬間にやられるパターンも見慣れたのだが、被害者である響はいつになっても変わらなかった。

響とは魔法少女事変(アルケミックカルト)以降、別々に暮らしている。

まぁ、響の世話は未来がなんとかしているだろう。

俺は俺で、キャロルの世話をしているので、響はいい加減、依存するのを辞めて欲しいものだ…人の事言えないのが否めないのだが。

因みにキャロルは今、S.O.N.G.に預けてる。まだ1人にするのは良くないしな。そう思っていたら…なんか物足りない様な…?

 

…?よく見てみれば、未来がいない?

 

「?未来は?」

 

「未来なら先に行ったよ。今日日直みたいだから」

 

なるへそ。それならば仕方ないか。

 

「それよりも憑友!明日どうしよう…」

 

「明日?」

 

はて?何か有ったかな…

 

「明日…未来の誕生日だよ?」

 

………っ‼︎

しまったーーーーーー‼︎」

 

「⁉︎」

 

完全に忘れてたーーーーーー‼︎

ハロウィンのあの騒動から1週間しか経っていないのに、完全に忘れてたーーーーーー‼︎

ヤバい!ヤバい!ヤバいったらヤバい‼︎

 

未来さんの黒いオーラを発しながらニコニコと笑顔を見せているのが安易に想像出来ちまう⁉︎

どうしよう〜〜‼︎

 

ーーーーーー

そうこうしている内あっという間に放課後になってしまった…

身体では一応、今回の授業の内容は覚えていた。現に書き記したノートには2P分びっしりと書かれている。

だが、頭の中では「未来にどんなプレゼントをやろう…」と言う思考しか考えていなかった。

そのおかげか、先生からは「ボォーとしていたのに、ちゃんと書いていたので、皆さん若干引いていましたよ…。

現に私も若干引いていますが…」と言われる始末。すみませんでした。

 

さて、未来に渡すプレゼント…何にしよう…

 

そうやってボォーと、上の空で見ていたら、俺の視界に白く透き通る雪色の様な髪が視界を塞いだ。

 

「何こんなとこでやってんだ?」

 

「クリス先輩…」

 

言わずもながら、短気っぽくて、ツッコミ役で、なんだかんだで後輩には優しい頼れる先輩である雪音クリス先輩が俺のこの上の空の視界に入って来た。

…物は試し…とは言わないが、敢えて言ってみようかな。

 

「実は…」

 

そう言って俺はありのままの自分の現状を話した。

それを聞いたクリスは頭を掻きながら俺との話を聞いていた。

 

「彼奴の誕生日…明日なのかよ」

 

…そう言えば先輩、未来には何気なく頭が上がらない様だ。

曰く、ルナアタックの際に、衰弱していた所を助けられたとかどうとか。

…未来さんいや、393(みくさん)。貴方もやっぱりフラグ建築士だったんですね…(メタい〜〜)

 

「…私も彼奴には借りがあるしな///」

 

そう言いながら恥ずかしつつも頭を掻く先輩。

ロック…義妹を愛している理由…何となく分かった様な気がする…

だって、こんな表情見せたら、反則だもん。

まぁ、今はそれを置いておいて、話を進めた結果、クリス先輩と一緒に未来の誕生日プレゼントを探しに行く事になった。

 

ーーーーーー

ガヤガヤガヤガヤ…!

 

夜に差し掛かる学校近くの商店街。そこは昼間と何ら変わらないくらい活気に満ち溢れている。

それもその筈、この商店街は「最新を取り入れつつ、古き物を更に活かす」と言う正に「温故知新」と言うことわざを体現化させた様な場所で、今でも老若男女に愛されている。

創業したのが確か、俺の親父の祖父ーー俺からみれば曾祖父さんーーがまだ子供だった頃だから…約100年の歳月をかけたと言う事が良く分かる。その証拠として、商店街の一部が風化している場所があったりしている。

 

そんな活気に溢れた商店街を俺はクリス先輩と一緒に明日の未来の誕生日プレゼントを買う為に探している。

 

だが、「これだっ‼︎」と思えるようなプレゼントが思い浮かばない。

クリス先輩は既にチェーンネックレスを購入している。「ロケット」と呼ばれる中に写真や絵を納めるアクセサリーの一種と一体になっているのを購入していた。

同じ物をやる事が出来ない以上、俺はクリス先輩のチェーンネックレス以外のを探さないといけない。

そんな風に考えていると、ふいに横に視線を向け…そして停止した。

 

「…?如何したんだ、憑友」

 

先行していたクリス先輩が俺の気配がしない事に気付いたのか、俺の所まで駆けて来た。

俺はそのまま視線を向けた場所に向けて指を指した。

そこには無数の「時計」が壁一面にぎっしりと詰め込まれており、全ての時計が1秒1秒…時を刻んでいた。そうだ…まんま時計屋である。だけど、その場所に俺は惹かれていた。

 

「…取り敢えず、入ってみるか」

 

「はい」

 

そういうと俺達2人はその店の中に入った。

 

「ごめん下さい」

 

「…いらっしゃい」

 

そこには初老の男性が黙々と時計修理をしていた。

 

「お、お邪魔しても?」

 

「構わんよ」

 

一応許可を貰った俺達は、取り敢えず男性の仕事を邪魔する訳にはいかないので、一言だけ断りを入れると、そのまま店の中の時計を見てみた。

そこには様々な時計が無数に張り巡らせているのだが、全部、1秒1秒…きっちりと全部が一緒になって時を刻んでいた。

それをみた俺はそのまま「凄い…」と声に出して感動に浸っていた。

 

「…それで、ご用件は?」

 

と、ふいに聞こえて来た声。

振り返ると、初老の男性がそこにいた。如何やら修理は終わった様だ。

そこで俺はその人にここまでくる経緯を粗方だが、お話した。

 

ーーーーーー

 

「…成る程。

君は明日が誕生日の幼馴染にプレゼントを贈りたい。けど、此処に来るまでに何1つ見つけられなかったと?」

 

「はい。そしたら、此処を見た時、何故か惹かれてしまって…」

 

「あはは。そうかそうか。

私の時計は人の心まで惹かれるとは…

初対面だが、君は凄い子だ。

よろしい。ちょっと待ってくれ給え」

 

そう言うと男性は俺達2人をカウンターの方にて待っている様に示唆すると、奥へと消えた。

そして1分後には何かを持ってやって来た。

そして男性は俺の手を持ち、男性が持っていた物を俺に手渡した。

 

「…懐中…時計?」

 

それは懐中時計だった。

だけど、時計とは思えない程、機械的な雰囲気を纏わせない代物だった。

けど、どこか古ぼけていた。現に鯖らしき物も付着していた。

 

「ははは。これは私の事を好きだと言ってくれた人が私にくれた代物でな。

もうその人はいつの間にかこの世を去ってしまってね。

私もそろそろその人に甘える訳にも行かなかったから、ちょうど良かったのだ。

…目を閉じて、その子の想いをその時計に向けて強く念じてみなさい」

 

「強く…」

 

そう言われて俺は目を閉じて持っている時計に未来の事を念じてみる。すると、時計がほんのりと暖かく感じる…!

 

「⁉︎これは一体…⁉︎」

 

?クリス先輩が驚いている?

俺はふと目を開けるとそこには金と銀そして銅のチェーンがあしらった懐中時計がそこにあった。

しかも、よく見てみれば、銀には若干だけ、紫色の色合いも入っている。

金の方は黄色の色合いが若干だけ入っているし、銅の方は赤の色合いも見せていた。

それを近くで見ていたクリス先輩も深々と覗き込む。やっぱり何か惹きつける奴なのかもしれない。

 

「ははは…!

その時計は"想い呼びし懐中時計"と書いて、"イマジナリーウォッチ"と呼ばれる代物だ。

大事にさせてあげてくれ。儂がこの時計屋を始める切欠を生んだ大事な時計だからな…」

 

『…⁉︎』

 

そう言われ顔を上げた時には、既にその時計屋は無かった…!

まるで最初からそこには無かったかの様に。

そうしていると、作業員のお兄さんが「君達、此処は建築作業している所だから、早く退避して!そして速く帰りなよ!」と言って来たので、クリス先輩と共に謝りつつ、退避した。

後から聞いたのだが、あの時計屋は数十年前に家主である初老の男性が部屋の中で時計に埋もれて死んだと言う奇妙な事故を起こしていた。

そこの時計屋は商店街の中でも一際賑やかな雰囲気を醸し出していた。仲の良いおしどり夫婦が二人三脚で暮らしていたんだそうだ。

だが、女性が先に逝くと、男はたった1人で時計に没頭する様になったそうだ。まるで人間から一定の動作しかしない人形に成り果ててしまったかの様に。

そしていつの間にか、男性は息を引き取っていた。まるで先に逝かせてしまった妻の後を追いかけるかの様に。

その時、彼の手には懐中時計が握られていたのだとか…。

金と銀と銅。三色の色合いが歪み合わずに程よく、彩りを見せていたのだとか。

だが、発見された時に懐中時計が埋もれてしまい、その後、見つかる事は無かったそうな…

 

そんな奇妙な出来事に遭った俺とクリス先輩。

先輩からは「この事はあたしとお前だけの秘密だ。いいな?」と言って来た。勿論、誰にも言うつもりは無い。未来や響達にも…例え親しい仲の人達でも、この話は口を堅くするつもりだ。

 

…因みに未来の誕生日は大成功したのは言うまでも無かった。

…それにしても、奇妙な出来事だったな…。



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クリスマスはお手伝い?

昨日出す予定が完全に遅れたかもめカメであります。
今回は『ディバインゲート』のキャラが登場です。


クリスマス

 

それは聖なる日にして、「イエス・キリスト」の誕生祭としても祝われてる日。

子供達は「サンタクロース」と呼ばれる存在からクリスマスプレゼントを貰える日でもある。

そんな中、S.O.N.G.のメンバーもクリスマスの準備をし、そして当日を迎えていたのだが…

 

「〜〜〜////

だぁーーーー‼︎

なんで、私がこんな格好しなきゃいけねぇんだよ⁉︎」

 

そう言いながらかなりご機嫌斜めなクリス。

因みに格好はミニスカサンタである。

そして何故か白色のサンタコスであった。

…胸元がかなり際どいのは言うまでも無いが。

 

「そう言うな、雪音。

これもまた一興と言うものだ」

 

「とか言ってるけど、翼も翼で、かなり出てるよな〜?」

 

「⁉︎////か、奏には言われたく無い‼︎」

 

「私もかよ⁉︎」

 

そう言いながら口喧嘩するクリスの先輩である翼と奏(2人)

此方もまたミニスカサンタであるが、奏の衣装がこれまた大胆過ぎて、目に毒なのである。因みに奏のは少し丈が長いが分類上はミニスカとなんら変わらない程であり、奏も白のサンタコスである。

翼は正攻法の赤のサンタコスだが、身体のラインがくっきりと際立っていたのは言うまでもない…。

そんな中、完全に蹲っている人が若干1名いるのだが…。

 

「うぅ…」

 

「しっかりして、マリア姉さん」

 

「セレナ。私、この姿で参加するなら、自殺したい気分よ…」

 

「いつものマリア姉さんに戻って⁉︎」

 

そう言いながらセレナに宥められている最年長オカンことマリア。

彼女の格好は流石にロング丈のスカートなのだが、胸元の半分が完全に露出しているので、此方もまた目に毒なのである。

あ、因みにセレナは奏と同じミニスカサンタコスで、此方は可愛らしい装いになっている。

いつもなら小悪魔的なセレナでも、今のナイーブすぎるマリア(自分の姉)の前では、かなりおどおどしていた。

 

そんな混沌とした空気の中に居合わせている残りのメンバーである響,未来,調,切歌の4人。

衣装は切歌と調はセレナと同じ色と衣装で、響と未来は普通の赤服サンタだが、どれも可愛くコーディネートされていて、皆それぞれ特有の可愛さを発揮していた。

するとシンフォギア勢のいるこの部屋にノックが入り、「どうぞ」と未来が応えるとそこにはキャロルとエルフナインが色違いのペアルックサンタコスで入って来ていた。

エルフナインは赤色でニコニコしているが、キャロルは白色で此方は完全に羞恥心に狩られていた。その証拠に耳まで真っ赤で顔を完全に俯いてしまい、まるで小動物の様に身が縮こんでいた。

その2人の後ろから茶色の色彩が少し混じった黒のロングコートを着た白髪の青年がいた。

 

「準備できたか?歌姫さん達よ?」

 

「バッチリです!()()()さん‼︎」

 

………へ?サンタさん?如何言う事?

 

 

〜遡る事、昨日〜

 

その日は国民の祝日『天皇誕生日』の為、お休みとなっていた一行。

この時、翼達年長組は海外のコンサートを終えて、一路日本に帰国して、暫しの休みを得ていた。

そんな一行はそのまま現在憑友の実家に直行し、そのままパーティーをしていた。

そんな時、突然ドアのチャイムが鳴ったので、憑友が応えると、そこには先に出てきたサンタさんが現れたのだった。

だが、最初この人が誰なのか知らなかった憑友は警戒した。

 

「…貴方は?」

 

「?アーサーから聞かなかったか?」

 

「アーサー?それって誰方の事を?『うおっ⁉︎サンタさん⁉︎』アカネさん?」

 

誰なのか分からなかった憑友だが、カードケースから具現化したアカネがその存在を知っていたのであった。

因みに声の主は櫻○ボイスだったりする…(結構ガチで)。

 

その後、皆の前に顔を出すと、霊風,零,陰陽兄弟,ロック,そして黎雷のカードケースからアカネと知り合いであるメンバーが出てきて、一斉に『サンタ⁉︎』とほぼ同じタイミングで言った。

ただ1人…

 

「随分と慕っているんだな?アーサー」

 

『お前には劣るさ、サンタクローズ』

 

「相変わらずだな?そんな身体で?」

 

『悪かったな』

 

そう言いながら愚痴を始めるアーサーとそれを見ながら結構楽しんでるサンタ。如何やら知り合いらしい。

そう思っていると、サンタは何処からともなく白い袋を取り出し、そこから王冠を取り出し、アーサーに被せてきた!

 

「少し早いが、バースデープレゼント」

 

『…ふっ。俺の事になると必ず来るんだな?』

 

「まあな」

 

バースデープレゼントと聞いた黎雷はアーサーに問うた。

 

「…アーサー。お前、何時誕生日なんだ?」

 

「明日だが?」

 

『明日(だと)(デスか)(だって)⁉︎』

 

突然すぎるカミングアウトに驚く一行。

するとサンタと呼ばれた男は「ああ、そうだった」と言って、何か思い出したのか、白い袋から何故かサンタ衣装が20着分出してきた。

 

「明日、子供達にクリスマスプレゼントを届けるんだが、はっきり言って人手が足らなくてな?」

 

『…つまり、俺の指揮者(リーダー)とその仲間に手伝ってくれと?』

 

「察しが早いし、助かるな。

んじゃ早速、着てくれ」

 

『いきなり過ぎだろ⁉︎』

 

…うん。いきなり過ぎですね。

 

〜そして現在〜

 

…と言う感じで、話が進んでいたと言う訳である。

しかし、サンタがいるとは…。

 

さて、そんなサンタとシンフォギア勢+キャロル&エルフナインは現在進行形で現在、憑友の家の居間にやって来ると、そこには赤のサンタコスを着た憑友,陰陽兄弟,逝都,馬燈の5人と、白のサンタコスを着た零,霊風,ロック,黎雷の4人は白のサンタコスを着て、待っていた。

この場に20人のサンタの格好をした導師と装者が集った!

 

「さて、後は…っと、出来たみたいだな」

 

と、サンタが何かに気付いたのか、先程入って来たドアの方を振り向く。するとドアが開きそこからトナカイの格好をした…『英雄』の皆さんがそこにいた。

 

『なんでさ…』

 

錬鉄の英雄がまさかのトナカイになった事でかつての自分の口癖を放ち、

 

『かなり恥ずかしいんだが…』

 

黒の剣士はこの格好に抵抗しており、

 

『あ、あの…こんなので良かったのでしょうか…?』

 

水竜姫は身体をもじもじしながら、結構恥ずかしがり、

 

『まさかトナカイになるなんてな〜〜‼︎』

 

太陽番長君はヘラヘラと笑い、

 

『これは流石に妹には見せられないぞ…』

 

小隊長は自身の妹に見せるのだけはと何気に気恥ずかしく、

 

『うふふ。皆さんも可愛いですわ』

 

雷光の巫女さんは姿も相まって完全に妖麗と化しており、

 

『フェレットからトナカイって、洒落になってないよ…』

 

司書長さんは自分の過去を思い出したのか、結構抵抗しており、

 

『あ、あの…これは明らかにトナカイじゃない様な気がします』

 

盾兵の後輩ちゃんの格好は完全に露出し過ぎで、目のやり場に困っていたら、

 

『……』

 

それを聖痕者がジーと胸元を見ている。…しかも、巨乳クラス全員に。

 

『結局、俺達もこうなるのかよ…』

 

『見て見て〜!可愛いでしょ‼︎』

 

『ええ。そうね』

 

『俺達もかよ…』

 

『あはは…』

 

『うん…』

 

『…で、俺もやる訳か』

 

サンタの知り合いであるアーサー達は何やかんやで、

 

()()()()()()()』←銃剣槌士

 

黒髪交じりの銀髪青年は何やらトラウマの様にブツブツ喋っていたり、

 

『ははは!まさか、儂達が『となかい』と言う動物に扮するとはな!』

↑東軍大将

 

征夷大将軍様は完全に笑っていたりしていた。

 

『子供達の為にも、頑張らないとね』

↑爽やか模倣剣技者

 

好青年君だけが唯一の救いなのかもしれない。

 

…取り敢えず…カオスだね〜〜…。

この一言に限るのであった。

ーーーーーー

そして憑友達は一路、外に出てみると、そこには緑のサンタコスをした女の子が手を振っていた。

活気のある女の子だった。ただ…

 

「お兄ちゃ〜〜ん!」

 

…と、言うまでは。

 

「お兄ちゃん?誰の?」

 

「俺だけど?」

 

『嘘⁉︎』

 

サンタの妹だと知った一行は驚いたが、アーサーが「本当だ」と証言したので、何も言い返せなかったのは言うまでも無い。

 

…その後、サンタとその妹(名前はイヴだそうだ)と一緒になって、クリスマスプレゼントをそれぞれの地区に住む子供達にプレゼントを渡して行った。

その間、危機的状況(子供が起きようとしたり、見つかりそうになったり等)が相次いだが、なんとかクリアし、そして夜明け前。

 

「んじゃ、アーサーの事、頼んだぜ」

 

「じゃ〜ね〜‼︎」

 

そう言いながら、サンタとイヴは乗って来たソリ一式に乗り、そのまま空へと消えて行った。

なんだかんだで疲れた一行は、家に入ってみると、そこにはプレゼントが山の様に置いてあった!

しかもよく見てみれば、此処にいる『英雄』全員のプレゼントが用意されていたのだ!

おそらく彼等にとっては素敵な日になったのは間違いない。

 

「あ!雪降ってるよ‼︎」

 

セレナの言った一言で皆は窓の外をみると、そこには雪が降り出し、更に太陽が昇る幻想的な光景が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「メリークリスマス。救世主さん達」




サンタクローズ。

『ディバインゲート』に登場するキャラで、アーサーの親友。
アニメにも登場しており、声優は『金色のガッシュベル』(高嶺清麿),『コードギアス』(枢木スザク),.hack/(ハセヲ)を演じた櫻井さんが担当していた。
ディバインゲートのキャラの声優が豪華過ぎるのもあれなので。
原作同様、妹のイヴも出しました。

この次は恐らくクリスちゃん回かと思われる。
できる事ならその日に投稿できる様に頑張りたいです。

では、また。


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義理でも兄妹

ラストが…


クリスは今、悩んでいた。

 

「…」

 

ショーケースに飾られているアクセサリと睨めっこしながら。

 

「何してるんですか?クリス先輩」

 

「ひゃあ⁉︎」

 

突然聞こえて来た声に普通では絶対に発しない声を出してしまったクリス。

そんなクリスの声を聞いた、声を掛けた相手…憑友もまた驚いた。

 

「なんで、おめぇがいるんだよ⁉︎」

 

「フラワーのおばちゃんの買い出しついでに今晩の買い出しですけど?」

 

「え?…あ」

 

正論を述べる憑友。その証拠に彼の左右には「それ1人で持てるのか⁈」と言うぐらいの量が両手全部に提げていた。

因みに左手はスーパー等で見かけるレジ袋で、右手はマイエコバックである。

それを見たクリスは「本当なんだな」と思った。

そんな中、憑友はクリスが見ていたショーケースを見るとそこにはクリスには不向きで、クールな印象を持つ男性が似合ったり、好みそうなアクセサリがショーケースに飾られていた。

 

「クリス先輩。何で眺めていたんですか?」

 

「…誰にも言うなよな?」

 

「話の内容次第で」

 

「そうかよ…」

 

そう言うとクリスは近くにあったベンチに腰掛け、憑友もその隣に座り込む。

そしてクリスが開口1番に言った。

 

「明日…ロック義兄の誕生日なんだ」

 

「ロックのですか?」

 

そう、明日がロックの誕生日だったのだ。

それを聞いた憑友は今のクリスの状況を解釈した。

 

「ロックの誕生日プレゼントを探していた。って言う事ですね?」

 

「うぅ…あ、あぁ…」

 

憑友の解答にクリスは顔を真っ赤にし、俯きつつも、首を縦に振った。どうやら肯定の様だ。

如何してそんな行動をしていたのか理由を聞くと、

どうやら誕生日プレゼントがまだ決まっていないらしく、

どうしたものかと迷っていた所を先程のショーケースを見て、考え込んでいた所を話しかけられたと言う事らしい。

 

「そう言う事なら口語しませんから。

それよりも、ロックが好きそうなのって、思いつきますか?」

 

「え?」

 

「手伝ってあげます」

 

「⁉︎」

 

「この前の…未来の誕生日プレゼントを探してくれたお礼もまだしてなかったし♪」

 

「…じゃあ…お言葉に甘える事にしようかな」

 

「了解!」

 

 

〜一方、その頃〜

 

「……参った…」

 

その頃、ショッピングモール内にて困り果てている青年…ロック・アイル・ユキネ。

彼は今、アクセサリショップに飾られているショーケースを前に頭を悩ませていた。

そんな彼の所に…

 

「如何したんですか?ロックさん」

 

「?…小日向?それに立花達も」

 

振り向くとそこには未来,響,詩織,弓美,創世のいつもの五人組がロックに話しかけてきていた。

 

「ロックんは何をしてたんですか?」

 

「明日、クリスの誕生日なんだ。それでな」

 

ロックからざっくりとしたその話を聞いた一同は納得した。

後、創世さん。ロックんは流石に無いかと思うんだが…。

 

「だったら、私達も探します!」

 

「立花さん⁈」

 

「…またいつものお節介かよ」

 

「お節介じゃありません‼︎人助けです‼︎」

 

一度こうなったらテコでも動かない。…を通り越して、テコですら簡単にへし折るぐらい微動だにしない響。

それを見たロックは溜め息を混じらせながらも、「お願いするぞ」と言ったので、響は返答しつつ、意気込む。

それを見た未来達もやれやれと言った感じながらも、クリスの事を慕っている後輩なのか、手伝ってくれる事になった。

 

 

そして迎えた当日!…なのだが…

 

「まさか此処でミスるとはな…」

 

そう言いながら後悔するロック。

そんな彼の今の状態はロープでちょいきつめのぐるぐる巻きに椅子と共に拘束されていた。

そんな彼の見据える先には如何にも怪しい輩が麻雀をやりながら愉悦に浸っていた。

 

「まさか、こうも簡単に【冷眼のロック】を捕らえるとはな!」

 

冷眼のロック。

それはかつて、ロックが人間同士の戦場に赴いた際に用いられた二つ名。その名の多くを知っているのはテロリスト集団関連の者達が主だと会われている。

そう…彼等はかつて、テロリストとして、世界のあちこちに武器を売っていた正に「死の商人」と呼ばれる輩達。

彼等の巧妙な罠に平和ボケしていたロックが嵌り、今こうして拘束されていた。

そんな中、一派の中の一人が話始めた。

 

「そう言えばよ?こいつを捕まえるのに役に立ったアイテム。あれは何処の品なんすか?」

 

「?」

 

唐突に聞こえてきた声に顔を俯いたまま耳だけを立てるロック。

それに気づかないテロリスト達はご丁寧にペラペラと喋り出した!

 

「それがよ?これがまた変…じゃなくて明らかに狂ってる奴でよ?

しかも、女子と来たもんだ」

 

「(女?)」

 

「狂ってる?…と言うと?」

 

「ありゃ、ヤンデレって言う概念を超えてしまっている程、狂っているんだよ。

そんな奴がアイテムをくれたんだよ。

名前は教えてくれなかったけど、コードネームは何故か教えてくれたんだぜ?」

 

「その名は?」

 

そしてその男がそのコードネームを言った。

それを聞いたロックは目を疑った。

 

「コードネーム…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………イチイバル。

 

 

そう名乗ってたな…」

 

 

イチイバル。

それはクリスが纏う「聖遺物」と同じ名前であった。

 

「(コードネーム…イチイバルだと⁈)」

 

それに驚きを隠しきれていないロック。

顔を俯いているので、テロリスト達には気づいていなかったが、尋常じゃ無い汗を掻いており、いつ気づかれるのか、緊張が走っていた。

 

「(私の出番が必要かな?)」

 

「(⁉︎)」

 

すると脳内から聞こえて来た声に、ロックは近くにある窓を見上げると、そこには赤い外套を靡かせ、黒塗りの弓を持った自分のパートナー英雄・アーチャーが佇んでいた。

それを見たロックは瞼を9回動かした。

モールス信号で、「S・O・S」と。

それを見たアーチャーは頷くと、窓に向けて矢を射った!

そのまま矢は窓を突き破る!

その窓の破砕音が聞こえたテロリスト達は何事かと慌てると、出入口のドアが物凄い勢いで吹き飛ばされ、そこから、

 

「やれやれ、こう言う時に大人を頼りやがって…」

 

『だが、満更でも無いのだろ?』

 

「ふっ。応ともよ!」

 

ロックの上司にして、「S.O.N.G.」の司令・風鳴弦十郎と、その肩にはホログラムで1頭身サイズになって、弦十郎の肩にいるフィーネが腕を鳴らしながら歩いて来ていた。

その人智を超えている存在を前に、テロリスト達はと言うと、震え上がらせていたり、中にはションベン漏らしたりと腰抜けになっていた。

 

「うちの部下を可愛がってくれたツケ。

たっぷりとその身で払わせて貰おうか!」

 

〜しばらくの間、断末魔を聞きながらお待ちください〜

 

「ぎゃぁぁぁぁ‼︎」

「ああぁぁぁぁ⁉︎」

「あべしっ⁉︎」

「たわばっ⁉︎」

『いぎゃぁぁぁぁぁ⁉︎』

 

〜数分後〜

 

自衛隊と警察の手引きにより、テロリスト達はあえなく御用となった。

しかも驚く事に、彼等には賞金首が混じっていたのだと言うから驚きようが無かった。

 

「ありがとうございます。司令」

 

「なあに。大した事はしてはいないさ。

…何か情報を持っている様だが、今はこの場所に向かえよ」

 

そう言うと弦十郎はロックに紙切れを渡すと、「仕事が残ってるんでな」と言って、退散する。

そんな中、彼の肩に居座っていたフィーネがロックの元まで来る。

 

『私から言う事は無いが、今は目の前の事を考えておけ』

 

そう言うと弦十郎の後を追うかの様にして、居なくなった。

ロックは紙切れに書かれている物を見ると、其処には地図があり、其処には赤い点が付けられていた。

 

「此処は…」

 

 

ーーーーーー

そう言いながらロックは紙切れを頼りに歩く。

そして着いた場所にはクリスが一人佇んでいた。

 

「おせぇよ」

 

「悪いな。かつてのツケが回っていたものでな」

 

そう言いながら2人の幅は狭くなっていく。

 

2人がいる場所は近くの公園だった。

 

人は2人を除いて殆ど居ない。

けれど、2人はそれだけで充分だった。

 

「…大丈夫なのか?」

 

「…大丈夫…とは、行かなかったが、おっさんやアーチャーに助けられたからな」

 

「…そっか」

 

それを境に暫し無言になる2人。

するとそんな2人に向けて声が掛かる。

 

「あ、あの時のお姉ちゃん‼︎」

 

「お兄ちゃんもいる!」

 

「?」

 

ロックとクリスは聞こえて来た声の方に向けると、其処には男の子と女の子がいた。

よく見て見ると、その子達はかつて、ロックとクリスが迷子で親御さんの所へと送り届けた兄妹だった!

すると、そんな兄妹の近くには2人の両親らしき存在がお辞儀をしていた。

ロックとクリスも軽く会釈をする。

そうしていると兄妹がクリスとロックの元へとやって来た。

 

「お姉ちゃんだ!」

「お兄ちゃん!」

 

「元気にしてたか?」

 

『うん!』

 

「まぁ、仲良くやってんなら、何も言わねぇけどな」

 

そう言いながら雑談を交わす四人。

妹の方はクリスにべったりで、まるで姉妹の様な感じになっていて、

ロックは兄の方を肩に乗せ、楽しませていた。

そんな四人の様子を見ていた兄妹の両親は微笑ましく見ていた。

そうこうしていたら、帰る時間になり、兄妹は両親と一緒に帰って行った。その際に、クリスとロックに手を振っていたのは愛嬌があった。

 

「なんだかんだで、兄妹って良いよな」

 

「そうだな…そういえば…」

 

そう言いながらロックはそそくさと着ていたコートの裏側を漁ると、其処には長方形の箱が出てきて、それをクリスの手に渡す。

 

「こんな物で良ければ、受け取ってくれるか?」

 

「これって…」

 

 

 

「お誕生日おめでとう。クリス」

 

 

 

「‼︎…あ、ありがとぅ…///」

 

「うんうん」ニコニコ

 

「あ、あのさ!」

 

「?」

 

そう言うと今度はクリスがスカートに付いてるポケットを漁ると、今度は小さな箱が握られていた。

 

「こ、これ…」

 

「⁉︎…お、俺にか?」

 

「ロック義兄以外誰がいんだよ⁉︎」

 

そう言いながらもクリスはロックに箱を手渡すクリス。

そして一言。

 

 

「ハッピー…バースデー…ロック義兄///」

 

 

「‼︎…ありがとう。クリス」

 

そう言うとロックはクリスを大胆にも自分の元へと抱き寄せて、頭を撫でた!

いきなりの行動に戸惑うクリス。だが、その表情は満更でも無かった。

 

一つの年の差と言えど、同じ誕生日の2人。

共に両親を早くに亡くし、身を寄せ合って生きてきた義理の兄妹。

だが、今この時を流れているのは間違いなく、恋人同士の熱いムード。

それを冷やしたいのか、2人の元に雪が降った。

 

「あ…雪…」

 

「クリスの家族が祝ってくれてるのかもな」

 

「ロック義兄の家族もだろ?」

 

「…そうかもな」

 

 

 

 

ーーーーーー

その後、2人が帰宅した時には何故か響達一行がいつの間にか部屋の装飾を施して、2人の帰りを待っていたかのように待ち伏せしており、その際にクリスが激怒したのは言うまでもなく、それを見ながらもなんやかんやで、楽しい一日になった2人。

 

だが、ロックは今日の昼に起こった事に疑問を浮かべていた。

 

「(コードネーム・イチイバル。

クリスの纏う『イチイバル』とは無縁だと思うけど、何者かが俺を捕らえようとしていた。

何故そんな事をしないといけないんだろうか?

…今はこのひと時を満喫しないとな)」

 

 

 

 

ーーーーーー

そんな中、彼等の住む場所から高みの見物をしている1人の少女が其処にいた。

だが、容姿があまりにも似ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…雪音クリスに。

だが…

 

 

「ケケケ…逢いたいな〜。

早くソウルに会って、私だけの物にして〜。

私と同じ奴はさっさと消えて無くなれば良いのにな〜〜」

 

その容姿とは裏腹に、髪は紅く、銀色に輝く眼。

少し焦げ茶色をした肌を持っていた彼女。

そんな彼女の元に歩み寄る者1人。

 

「行くわよ、イチイバル」

 

それは黒髪で、癖っ毛が付いた特徴を持ち、金色の眼を開眼させている少女が其処にいた。

容姿が…立花響に酷似していた。

 

「はぁ〜〜い。ガング姉様〜〜」

 

「その名で言うな」

 

そう言いながら雑談を終える2人。

そして向かった先には7人の少女達がいた。

どれも皆、シンフォギア装者達と瓜二つで、色彩が違っていた!

 

 

「私達の物語の始まりだ」

 

 

 

物語が動き出そうとしていた。

 

ーーーーーーSIDEto???

 

ー風が吹く

 

ー大地の鼓動を感じる

 

ー潮風が心地いい

 

ー空が青く、光を照らす

 

ー其処に一筋の光、降り注がん

 

ー災厄・災禍を仇なす者、此処に在り。

 

 

…さて、俺の出番だな。

 

 

…行ってきます。家族達。親友達。

 

俺は今日も元気に頑張ってくるぜ。




意味深なラストを迎えたが、取り敢えず一言。

クリスちゃん、ハッピーバースデー‼︎

この小説ではロック・アイル・ユキネも同じ誕生日にしてやったぜ!

因みに2人がそれぞれ貰ったプレゼントは、

クリス/ハートが重なってるペンダント

ロック/波模様のリング

です。

では、今度は…え?お正月⁈
ま、間に合うのだろうか⁉︎

…ではまた次回‼︎

…ひゃあ〜⁉︎イベント多すぎる〜⁉︎


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SPファイル:1 始まりは突然に

本編終わってないけど、取り敢えず更新!
今度、作者が新しく書く予定の作品のキャラ登場回。
まぁ言うなれば、スーパー戦隊/仮面ライダー/プリキュアで言う所のバトンタッチ回です。



いつもと変わらぬ日常。

そんな中…とある森では奇妙な唸り声がしていた。

 

 

ーーーそんな中ーーー

 

いつもと変わらぬ日常。

だが、響はげんなりとしていた。

理由は言わずとも分かると思うが…

 

「あぅ〜…私、呪われてるかも…」

 

「いつもの事でしょ?」

 

「つか、久しぶりに聞いたな…そのセリフ」

 

そう言いながら響と未来,そして憑友は夕焼け色に染まる空の下を歩いていた。

どうやら響がやらかしたようだ。

 

「大体、テストで赤点取るか…普通」

 

そう言いながら憑友は今回の件に関して話し出す。

実はほんの一週間前に学校にてテストもとい中間考査が催されていたのだが、いかんせん…響は俗に言うニガテ項目があまりにも多く、その結果、惨敗を喫していた。

因みに未来と憑友は共に成績優秀で、憑友は学年内でトップに君臨している秀才である。

その中で響はなんとか赤点補習を受け、今日漸く全ての項目の補習が完了した故、今日で漸く肩の荷が降りたのだ。

それ故、今の響はげんなりになっていた。

因みに響と同じ勉強がニガテだったりする後輩組はと言うとクリスとロックによる優しくもスパルタな感じの勉強会が功を奏したのか、中々の成績を収めていたりする。

 

そんな3人の頭上から何か…と言うよりカードのような形をした何かがヒラヒラと風に揺られながら落っこちてきた…

それは徐々に重力に従うかのように落ちるスピードが速くなり、最終的には…

 

コツンッ‼︎

 

「痛っ⁉︎」

 

ものの見事に響の頭目掛けてカードの角っこがクリーンヒットした。

それを見た未来は「大丈夫?」と心配しているのかどうかも疑わしいような発言をしながら響を心配させる。それに対して響は「なんか、冷たくない⁉︎」と心の声が出そうになるのをグッと我慢しながら「へいき、へっちゃら」と父譲りの言葉を以ってなんとか返事する。

それを見ていた憑友は「やれやれ」と呆れていると、響の近くに何かがあった。

それは先程響とごっつんこしたカードであった。

それを手に取った憑友はカードの図面をよく見た。

そこには真ん中に虹色の球体のようなイメージを冠するイラストが真ん中にあしらっており、周りはそれに脈打つかのような波動の模様が描かれていた。

 

「なんだ…これ?」

 

不思議に思い、カードの裏面を見た瞬間、憑友は驚愕した。

それに気づいた未来と響も憑友が以っているカードを覗き見するとそこに描かれていたイラストを見て驚いていた。

それは…

 

「なんで…?」

 

「嘘…」

 

「なんで…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響が描かれているんだ…⁉︎」

 

自分の恋人である響が、シンフォギアを纏った姿で右手を上に掲げるポーズをしたバストアップのイラストが描かれていた。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜

3人は急いでこの事を源十郎の元に赴き、話をした。

尚、クリスやロック,調・切歌・陰陽兄弟,逝都・馬燈がこの場に揃っていた。

翼達『Δウイング』は現在ライブステージの為、此処には居らず、彼女等のマネージャーである緒川・霊風・セレナ。更にSPとして零とライジンこと憑友の兄・黎雷もまた一緒に行った為、現在はこのメンバーでしかいないと言う状況になった。

そんな中で話は上の出来事へと話題を変えた。

 

「…つまり。響君の頭にこのカードがぶつかり、そしてそれが何なのかまでは分からぬと?」

 

「概ね合ってます」

 

「…それにしても、このカード…」

 

「無駄にカッコいいデス…!」

 

そう言いながら調と切歌は響が描かれているカードのイラストを見てそう呟いていた。

確かに、カードのイラストに描かれている響は性別は元より女の子なので、格好も戦う美少女の姿なのだが…ポーズが右手の拳を上に掲げたポーズをして、尚且つ今にも動き出しそうなたなびくマフラーが後押ししたのか、イラストに描かれている響は「可愛い」と言うよりも、「カッコいい」と言う印象が多く出ていた。

現に響が苦笑いを取っている中、隣に座っている未来が顔を俯いてモジモジしている。俗に言う「濡れてきた」と言うものである。

大切な幼馴染があそこまでカッコよく描かれていたのか、未来は拾った日にオカズにしていた事は此処は敢えて言わないで置かなければいけない。

そんな未来の様子を見た憑友は完全に呆れていた。そして心の声では「(響にゾッコン過ぎだろ…未来)」と言っていたのは言うまでも無い。

 

「それにしても、この『音』ってなんだ?」

 

そう言いながら光聖希は響のイラストの下に書かれていた文字を指差した。

そこには黄色のクリスタルのイラストの中に「音」と表記されていた。

それについては憑友達も調べていた。

だが、分かった事はただ1つ…これが「『英雄石板』の一種では無い」と言う事だけだった。

英雄石板には、英雄と呼ばれた者達の全体像と、英雄へと至った時に用いた風景、その者達の【肩書き】、そしてその人物の名前が描かれている。

例として、憑友のパートナー英雄であるキリトと、他の英雄であるなのは、士郎の3人をケースとして用いるとこうなる。

 

キリトの場合

全体像…キリトが英雄として呼ばれる様になった印象であるコート・オブ・ミッドナイトの衣装と、愛剣・エリシュデータ/ダークリパルサーを持ちながら、斬り掛かる場面。

 

風景…第75層〔魔王戦〕

 

肩書き…【黒の剣士】/名前…キリト

 

 

なのはの場合

全体像…隊長としての風格で、インテリジェントデバイスであるレイジングハートを所持し、尚且つそれをカード前方に向けて放とうとしている場面。

 

風景…聖王の『ゆりかご』の中枢部

 

肩書き…【A・O・A(エース・オブ・エース)】/名前…高町なのは

 

 

士郎の場合

全体像…青と白地のジャージを着ており、左顔から魔術回路が露見しており、両手には夫婦剣『干将・莫耶』が腕を交差させて持っている。

 

風景…固有結界『無限の剣製』

 

肩書き…【半人前の魔術師】/名前…衛宮士郎

 

となっているのである。

だが、今回の件にて見つけたカードには、名前こそは有ったけれど、違う点がいくつか有った。

それは以下の4つである。

 

①【肩書き】が無い

 

②人物像がバストアップまで。

 

③人物の下に漢字一文字が入っている。

 

④漢字一文字とイラストの背景が同色。

 

と言う事だけだった。

 

「もしかすると…誰かの落とし物だったりするデスか?」

 

と、切歌がそう提言するが、

 

「それだったら、なんでこの(バカ)の頭の上に来んだよ」

 

「それに、空から落ちて来たんだ。普通じゃ無理な話だ」

 

クリスが響に向けて指を指して説明し、そこに追い打ちとばかりにロックの正論によってそれは無かった事になった。

因みにクリスに指を指された響は「また私のこと、バカって言った⁉︎」と拗ねているがこの際、ほっといた方が良いだろう…いつもの事なので。

 

だが、ロックの正論は確かかもしれない。

 

空から落ちて来たと言う事は、「誰か」が空から落としたと言う事になる。

だが、もしもこのカードが大事な物なら、こんな事はしないに等しい。

飛行機やセスナ機での搭乗時は完全に窓は閉じられているし、ドアも開けられない様にロックされる。

スカイダイビングの場合は例外だが、それでも大切な荷物は基本的に離陸する前にスタッフに預けられるのが常識だ。

それに何よりも、このカードが落ちて来た場所の半径5km圏内は基本的にスカイダイビングをする場所としては悪い環境下である。

基本的にスカイダイビングは着陸地は主に広大な草原が生い茂る所を目印としているが、カードが落ちた場所の圏内にはそんな場所は存在しない。有ったとしても森がちらほらある程度で、とても着陸する場所では無い。

よって、この場合、切歌が述べた提言はロックによって悉く覆されたのである。

 

振り出しに戻されてしまった一行。そんな時、部屋のドアが開く音がしたので振り返るとそこにはキャロルとエルフナインが一緒に登場した。

 

「此処に居たか」

 

「キャロルちゃ〜ん‼︎」

 

そう言いながら響はキャロルに抱きつく。

キャロルは必死に抵抗するが、拳で戦い、拳で繋ぐ響故、こんな場所でも握力があまりにも強い為、完全にビクともしないのである。

無駄に力を使いおって…。

それを見ていた一行は逆に黙りを決めていた。

何故なら、未来さんがMIKUさんになっており、今にも嫉妬と言う名の炎がキャロルに襲いかかろうとしていた。

それを見たキャロルは怖気づくのも無理は無く、未来を見たエルフナインはキャロルから離れ、源十郎の後ろに隠れてしまっていた。

…いつもの光景である。

 

「取り敢えず…落ち着け」

 

「痛っ⁉︎」

 

そう言いながら響を止めたのは憑友であった。

此処に来ての救世主の登場にこの場の空気は一気に緩和した。

そんな憑友にキャロルは「あ、ありがとう…」と呟くが、内心は憑友に対して結構デレていたりする。…まぁこの話は何れにして。

 

「それで、2人は如何して此処に来たんだ?」

 

憑友の発言で我に返るキャロル(錬金術師ちゃん)エルフナイン(ホムンクルスちゃん)

 

「実は最近、とある森にて、奇妙な唸り声が聞こえると言う案件が来ていてな」

 

「奇妙な唸り声?」

 

…嫌な胸騒ぎがする瞬間だった。

 

 

 

ーーーーーー

その頃、とある奇妙な唸り声が出ていると言われる森に、1人の青年が歩いていた。

ブラウンのウエスタンハットと、黒混じりのブラウンのコートを羽織った青年だった。

だが、よく見てみると羽織っているのはそれだけで、中身はと言うとなんとスーツだった。しかもご丁寧にネクタイまでビシッと締まっている。

 

「此処に居るのか…

しかし、参ったな…」

 

そう言いながら青年は溜め息を零しながら、腰に装着されていたホルダーらしき物を取り出した。

そこには先程響と憑友達の間で話し合っていた響のカードと同じデザイン風に仕上げられたカード達がズラリと入っていた。

そのカード達をサラサラと見る青年。

 

「やっぱり無い…

 

 

何処にやったんだ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"響さん"のカード…」




次回

謎の唸り声を聞いた憑友一行。
そして現れたのは見た事もない生物だった!

そしてピンチになったその時に現れたのは…!

次回
SPファイル:2 巷で噂の通りすがりの風来坊


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SPファイル2:巷で噂の通りすがりの風来坊

お久ですね。
そんな訳でバトンタッチ回2話目です。


憑友達一行は現在、とある森にやって来ていた。

そこはキャロルが話していた「奇妙な唸り声をあげる森」として噂されている森だった。

外見上としては森林浴としてはうってつけの場所であるが、その奇妙な唸り声を上げる存在が居座っているのだろうか、不気味さを孕んでいた。

 

「此処が案件に出ていた森なのか?」

 

そう言いながら憑友は左腕に装着しているライドに向けて話しかける。

その画面上にはキャロルのホログラムが存在している。

 

『あぁ。此方からもお前達の現在地の座標と今回の案件の座標を照合して合致している。間違いなくこの場所だ』

 

「かなり不気味デス…」

 

そう切歌はそう言いながら、森を調べると、クリスにパーカーを掴まれて、制止させられた。

 

「無闇やたらに動くんじゃねぇ」

 

「…でも、響さんが…」

 

クリスが切歌に注意していると調が指を指した。そこには響が好奇心で動き回っていた。

それを見たクリスは「あのバカ野郎!」と言うなり、響に拳骨を食らわせたのは言うまでもない。

尚、この場には未来,エルフナイン,キャロル以外のメンバーが揃っている。

未来が何故居ないのかと言うと曰く「帰ってくる場所がある方が良いから」と言うなんとも良妻的思考をしていたりする。

 

そんなちょっとしたいつもの出来事を終えた一行はすぐに調査に向かう事にした。

ペアに分かれての調査であり、其々…

 

クリス・ロックペア

調・光聖希ペア

切歌・闇呪怨ペア

逝都・馬燈ペア

響・憑友ペア

 

の5組に分かれて調査する事になった。

 

 

ーーーーーー

皆と別れた憑友と響は森の様子をウォッチングしながら、辺りを見渡す。

しかし、肝心の「奇妙な唸り声を上げる存在」らしき物は現状では発見出来ずに居た。

 

「こんな所に居るのか?」

 

「それ、私に言う?」

 

「だろうと思ったよ…ったく…」

 

そう悪態をつきながらも懸命に探す2人。

そんな2人の元へと歩み寄る…1つの足音…

 

ガシャリ…ジャカリ…!

 

「?…響…何か聞こえたか?」

 

「え?」

 

急に聞こえた音に反応した憑友は響に問いかけるが、響は全く気づいて居ない。が、耳をよく澄ませて聴いてみると…

 

 

ガシャリ…ジャカリ…!

ガシャリ…ジャカリ…!

 

「!何か…来てる?」

 

そう響が言った瞬間に憑友は急いで響を庇いそして地面に倒れる様に伏した!

何事かと思った響が目を見開いた瞬間!

周りの木々が一斉に蹂躙されたのだ!

 

「な、何⁉︎」

 

「◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️ーーーーーー‼︎」

 

突然聞こえた声に耳を塞ぐ2人。その威力は計り知れない程。

そしてそんな中で2人は咆哮を上げた存在を見て、動きが止まった。

それは異形の存在と言っても過言では無かった。

 

見た目は青く、ゴリラの様な姿であり、頭には角にも見える髪らしき物も張っており、手の形はもはや前足の様な形をしていた。

 

「何だよ、あれ⁉︎」

 

「ノイズ…じゃ無いよね…⁉︎」

 

2人はこの世界の異形の存在であるノイズだと思っていたが、今までのケースにそんな存在は知られていない。

だが、自分達を襲って来た相手だと言う事は、少なくとも人類の味方であると言う事は成り立たない。

現に、異形の存在は2人を直視した瞬間に2人目掛けて蹂躙をし始めたぐらいだから。

 

変身や聖詠を唱おうにも尋常じゃない程の蹂躙さに変身する瞬間すら出来ない。

そんな瞬間に憑友がやらかした…足元を木の根に引っ掛かると言う醜態を。

しかも、その拍子に憑友の前を走っていた響にまでドミノ倒しの様に重ねて倒れこんでしまったのだ。

 

「完全に不幸だ〜」

 

そう言いながら憑友はめちゃくちゃにorzになっていた。

実の所、憑友には多くの『英雄』達がいるのだが…その『英雄』達の運気がメンバー中最下位であったりする。

如何してか…それは殆どの『英雄』が、文字通り『英雄/主人公/勇者』クラスが多いからである。

特に、【半人前の魔術師】衛宮士郎と、【銃剣槌士】ルドガー、【幻想殺し(イマジンブレイカー)】上条当麻。

そしてつい最近手に入った【疾風の執事】綾崎ハヤテ。

更に戦国一運が悪いと伊達政宗や真田幸村達が言っていた男【機略重鈍】黒田官兵衛をも手持ちにしている。

この5名の『英雄』を所持している憑友は、如何なる時でも全て()()へと転じてしまうのだ。

…尤も、その力が強すぎるのが後者3人なのだが。

(因みに他のメンバーにもこの5名のカードを持たせて1日過ごさせたのだが、結果が出たのは憑友のみと言ういじめ同然の様な結果を残してしまっていたのであるのだが、それは今回に関しては割愛させて貰う)

そんな憑友の嘆きに対して、一緒に倒れた響から「そんな事言ってる場合じゃないってば⁉︎」と言われ、慌てて立ち上がる2人。しかし、既に目の前までやってきた異形は腕を大きく振りかぶろうとしていた!

 

もはや、絶対絶命!

 

…その瞬間(とき)だった!

 

『レストリストホステージ!』

 

「◾︎◾︎◾︎◾︎ー⁉︎」

 

「え?」「何だ?」

 

突然、目の前の怪物の周りを白混じりのピンク色の荊が鎖のように絡まったのだ。

身動きが取れなくなった怪物は踠いてみせるが、それに呼応するかのように、荊の鎖は益々怪物の身体を食い込んでいく!

やがてその鎖が怪物の身体に食い込まれると同時に怪物はそのまま拘束された状態のまま地面に倒れ伏した。

 

突然の出来事に驚く2人。

そんな2人の元に声が掛かる…

 

「大丈夫ですか⁉︎」

 

「え?」「ん?」

 

2人が振り向くとそこにはカウボーイハットと、革製のコートを羽織った青年がそこに立っていた。

 

「貴方は?」

 

「俺は…そうですね…」

 

そう言いながら少し考える青年。

そして何か決まったのか、こう答えた。

 

 

「巷で噂の通りすがりの風来坊。

名前は『ガイ』と言います」

 




次回
ガイと行動する事になった憑友と響。
ガイの話を聞いていると先程、倒れ伏した怪物が怒り狂いながら襲いかかってきた!
そしてガイは2人の前で力を発揮する…!

次回
SPファイル3:NEWヒーロー見参!


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SPファイル:3 NEWヒーロー見参!

1ヶ月過ぎによる更新です。

さて、自分は4月1日《エイプリルフール》…半信半疑な1日を過ごしていました。何故なら…

FGOにて…

作「召喚しようっと…」

召喚!

玉藻「ミコーン!」

作「は⁉︎」

まさかの単発(呼符使用)で玉藻ちゃんGET⁉︎

そしてオタクニュースにて、

『戦姫絶唱シンフォギアAXZ
7月放映開始!』

作「⁉︎」

…とまぁ、半信半疑な1日を過ごしていました。
その翌日にまた見ると本当だったので、今は信じています。

シンフォギア4期が楽しみだーー‼︎

と言う訳でどうぞ。


あれから憑友と響はノイズとは全く異なる怪物が荊の鎖によりダウンし、そんな中で現れた『ガイ』と呼ばれる青年によって現在2人はガイと共に行動していた。

 

「さっきはありがとうございました!」

 

「いえ…俺は当たり前の事をしただけですので」

 

「あんな状況に立たされていた場合、普通なら助けに入る事はほぼ無い。

やられるか、助けを呼ぶかの方が全体の9割だしな」

 

そんな会話をしながら3人が歩む中、憑友は先程までの談笑していた雰囲気から180度切り替え、沈着した顔つきを見せた。

 

「所で、話が変わるんだが…

…あんたは一体、何者なんだ?」

 

突然の発言に驚く響。それに対して問い詰められている本人・ガイは冷静になっていた。

 

「貴方はさっきの怪物の事を知っていた。その節があった故、それに対する対処が何よりの証拠だ。

教えてくれ…貴方が何者で、あの化け物はなんなのか?

俺たちの敵なのか如何かを!」

 

「憑友…」

 

憑友の真剣な話の前に、響は少し怖じける。

そんな中、彼…ガイは語り始めた。

 

「あの怪物の総称名は『イロウス』。

瘴気と言う害厄を招く天災の一種。

だが、それを倒す事が出来るのは、神の樹と書いて『神樹』と呼ばれる大樹の影響を受けた者『星守』と、

『英雄』達の力を融合し、そしてその力を扱いきれる戦士しか倒す事が出来ないです」

 

「『英雄』の力?」

 

ガイが言った言葉に響は疑問形を発した。それを聞いた憑友は逆に右腰につけられていたホルダーから一枚のカードを取り出した。

それは自分が一番最初に出会った『英雄』…【黒の剣士】キリトのカードだった。

そんな中でも、ガイは話をし続ける。

その際に、彼は右腰に付いていたカードケースらしき物から一枚のカードを取り出した。

そこには右手を拳にして、天に向けて掲げている太陽の模様が入っているシャツを着た番長風の少年のカードを取り出していた。

それを見た憑友と響は内心、驚いていた。何故ならそのカードは…

 

「「(未門牙王のカード⁉︎)」」

 

それは自分達の仲間にして2人の幼馴染・逝都のパートナー『英雄』でもある牙王のカードだったのだ!

だが、自分達が使用しているカードとは明らかにデザインが異なっていた。

自分達が使用するカードは『英雄』達の身体全体がカードの中に写し込まれており、背景はその『英雄』が印象深い風景を映し出す。

カードの下部には名前と肩書き、属性が描かれている。

だが、この『ガイ』が取り出したカードは、全く異なっていた。

腰より上の部分しか身体がデザインしておらず、腰の下には『拳』と書かれたマークが刻まれており、お腹よりちょっとだけ上の所には名前らしき表示がされており、更に背景は太陽の様な明るいオレンジ色が描かれていた。

そのカードを見た響は何処かで見た事があるなぁ…と連想し、そして思い出したかの様に自分のポケットに忍ばせていたカードを取り出した。

そこには左手を天に向けて掲げているガングニールを纏った自分の姿が腰より上まで描かれており、尚且つ、その下部には『音』の文字が刻まれていた。

そのカードを目にしたガイは目を見開いた。

 

「そのカードは…⁉︎」

 

「ふぇ⁈」

 

そう呆気無く響の手に持っていたカードガイは掻っ攫い、そして執念深く目視する。

するといきなり「やっと見つけたーー‼︎」と声を発した。

それに関して何がなんなのか分からない2人。

それに気づいたガイは語り始めた。

 

「俺はこのカード…『ヒーローユニゾンカード』を用いて、『英雄』の力をお借りしているんです」

 

「「『ヒーローユニゾンカード』?」」

 

ガイの言ったキーワードに疑問を感じる2人は説明を請おうとしたが、ガイが咄嗟に2人の後ろに向けて殺気を飛ばしている事に気が付き、2人も背後に顔を向けるとそこには先程ピンクの荊状の鎖で苦しめられていた怪物もとい『イロウス』が先程とは異なり、更に凶暴と化して相対していた…!

 

「やるしか無いぞ!」

 

憑友の一言に響は頷くと、ガイの前に立ち、変身する…!

 

「変身!」

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron…」

 

憑友は左腕に装着したアブソーバーに自分のカード『炎魂導師』のカードを装填してレバーを引き、

響は聖詠を唄った…!

 

変身した2人は互いの拳を息のあった連携攻撃で畳み掛ける…だが、その攻撃はあまり効果が無かった。

その光景を見たガイは懐からある物を取り出した。

十字架の様な形をしたアイテムで、左右にはカードをスキャニングする為の装備らしき物が備えられていた。

 

「『英雄』の力…お借りします…!」

 

そう言うとガイはその十字架のアイテム…クロスパークを持っている左腕と右腕を交差しそして、左手を前方に向けた!

 

するとガイの周りを光が覆い尽くす…!

その光景の一部始終を見た2人は何が起こったのか、分からなかった。

その代わり、光が消えるとそこには銀色の鉄仮面らしき物を被った謎の存在が立っていた。

頭と体が「未門牙王」の服装を模し、

腕と脚、耳と首元には「響」のシンフォギアのパーツが取り付けられている戦士が現れたのだ。

 

ーフュージョンクロス!

バルソレイユガングニール‼︎ー

 

「太陽の拳で…心を繋ぎ照らす!」

 

 




次回予告
新たな戦士・フュージョンクロス。
彼の力と共に立ち向かえ!導師と戦姫よ!
次回
SPファイル:LAST まだ見ぬ先へ


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SPファイル:LAST まだ見ぬ先へ

バトンタッチ回もこれで終焉…


「太陽の拳で…心を繋ぎ照らす!」

 

そう言い放ちながらクロスは、右拳を胸の所に持ってきて、敵に向けながら構える。

その光景を目撃した2人は驚きを隠せなかった。

銀色の鉄仮面と、胸の所には十字型の青いクリスタルの様な輝きを放つものを除けば、頭に被った帽子と、身体に羽織っている学ランが「未門牙王」の物であり、

耳と各腕に関しては響のアームドギアである「ガングニール」のパーツが取り付けられていたのだ。

そんな中でも敵は悠長にしている事は無い。

それに気づいた2人が視線を戻すと、イロウスと呼ばれている怪物が拳を振り下ろしてきた!

だが、その間にクロスが入り込むなり、手を前方に翳した!

 

「"ブルー・ドラゴ・シールド"!」

 

そう言うと青い盾によりその攻撃は防がれた!

よく見て見ると、その盾には、龍の顔が浮き上がっていた。

これはクロスが変身した「未門牙王」の力。

その者の中にそれと似た様な物がある。

 

"ドラゴンシールド 青龍の盾"

能力は "(自分の場に味方がいない場合)一回だけ攻撃を防ぐ+『ゲージ』と呼ばれるエネルギーの一種を『1』チャージする"と言う物である。

 

突然の行動に驚く2人だが、クロスとイロウスはいがみ合う。

するとイロウスはもう1つの前脚で攻撃を上乗せしようと動き出した!

それに気づいた憑友はすかさず攻撃を妨害するかの様に拳をぶつける!

その甲斐もあってか、なんとか相殺に成功すると、今度は響がイロウスの懐に入ってニールキックをぶつけて、追撃を仕掛けると、その隙にクロスが連続で拳をぶつけて、更に追撃をすると、イロウスはそのまま倒れ込んだ。だが、簡単にやられてはくれなかった。

それどころか怒り状態になって周り諸共暴れ壊そうとしていた。

それに気づいた憑友はすかさずフィーネのカードを取り出し、

響は胸のコンバーターを掴む…!

 

「飛ばすぞ!フィーネ!」

『無茶はするなよ』

 

「へへっ!…行くぜ!響!」

 

「うん!」

 

 

 

「イグナイトモジュール、抜剣‼︎」

 

そう言うと響は胸のコンバーターを一回押して、そして手に持ちながら前方に掲げ、

憑友はフィーネのカードをアブソーバーに近づけると、アブソーバーが炎のフレームを象ったアブソーバー…『ライドバーニングアブソーバー』へと変化し、アブソーバーをスライドし、フィーネのカードを入れ、スライドし直す。

 

「爆炎昇華!大変身‼︎」

 

そう言いながら装備されていたレバーを手前に引いた!

 

ーライド!フォーム、オレ!

『FULL BURST IGNITION』‼︎ー

 

『Dainsleif』

 

ー英雄の魂!俺に宿れ!

灼熱炎魂!バーニング・ヴォルケーノ‼︎ー

 

そう言うと2人の身体は変化し、響はイグナイト・ガングニールに、

憑友はフィーネの力を宿した灼熱の戦士「バーニングライド」へと強化変身した!

するとクロスも2人に感化されたのか、

胸の十字型のクリスタルの前で腕を組むとそのまま腕を開く。

するとクロスの周りを光が包み、そしてその太陽の様な光が赤く変色し、そして光が晴れるとそこにはクロスが立っていた。

しかし、身体の格好がガラリと変わっていた。

先程まで牙王と響の格好を融合したかの様な格好だったのが、

今度はナツ・ドラグニルが羽織っているチョッキと竜の鱗模様のマフラーを首に巻き、腕には機械的な籠手らしき物を装着していた。

 

ーフュージョンクロス!

イグナイトサラマンダー‼︎ー

 

何処からともなく聞こえてきた音声らしき声。

そう言いながらクロスは両手を拳にし、打ち付けた。

 

「親から子へ…託されし炎と共に!」

 

そう言うとクロスはイロウスに向かって突っ込んで行く!

イロウスはそのまま憑友を吹き飛ばして、攻撃を仕掛ける。

しかし、クロスはそのままスライディングをするかの様に滑り、懐へと入るなり、右拳から籠手を介して炎を噴射させたのだ!

 

その攻撃を受けたイロウスは軽く吹き飛び、横転する。

その隙を憑友は見逃さなかった!

 

「一気に仕留める!」

 

そう言うと憑友は自らのパートナー英雄であるキリトのカードを装填し、レバーを引いた!

 

ーライド!フォーム、キリト!

黒剣、双閃、アメイジング‼︎ー

 

そしてキリトフォームへと変身した憑友は背中に背負った二刀流の剣を持ってそのままアブソーバーのドライブボタンを叩いた!

 

『ライド・キリト!フルドライブ‼︎』

 

「はぁぁぁぁぁ‼︎」

 

そう言いながらまるでジェット噴射の勢いで懐に入り込み、連続の斬撃をお見舞いさせて行く…!

 

「"スターバースト・ストリーム"‼︎」

 

キリトの代名詞たる二刀流の剣技にして奥義"スターバースト・ストリーム"をくらったイロウスはそのまま更に転がり見せると、反対側には既にクロスが腕を交差させて待機していた…!

 

「"イグニール……ラヴァ"‼︎」

 

そう言いながら交差からの両手による打撃と爆炎の攻撃を受けたイロウスは更に吹き飛ばされ、木々と衝突する。

そして倒れたと同時に響も加わり、3人が並び立った!

それと同時にクロスはまた牙王と響の姿を組み合わせた姿ーバルソレイユガングニールーへと戻った。

 

「最後は一緒にやるぞ!」

 

「うん!」

 

「ああ!」

 

そう言うと憑友はライドバーニングに戻り、そしてドライブボタンを叩いた!

 

『ライドバーニング!フルドライブ‼︎』

 

そうライドが発すると同時に3人は即席なのにも関わらず、息ピッタリで同じ動作をした!

 

「はぁぁぁぁぁ!」

 

そう言うと先ずは響が足先から全身に掛けての身体エネルギーを纏わせた右拳をイロウスに向けてめり込むかのようにくい込むと同時にアームドギアであるガングニールの籠手を最大限にフルチャージさせた強烈な衝撃波と共にイロウスを吹き飛ばす!

 

「最後は…」

 

「同時に…!」

 

そう言うとクロスは左腕を上へと掲げ、憑友は右手を地面に叩きつけた。

するとクロスの真上から巨大な拳が現れ、

憑友の右手は叩きつけた地面から炎が噴き出しながら腕全体に巻きつき、やがて獅子の顔が浮かび上がってきた。

 

「"獅吼爆炎拳"‼︎」

 

「"ギガハウリングブレイク"‼︎」

 

そう言うと2人揃って同時にイロウスに己の必殺技をお見舞いさせる!

そしてその攻撃を受けたイロウスはそのまま木にぶつかり、そして呻き声を上げて、瘴気となりて、消え去った。

 

イロウスを倒した事で2人は変身を解除する。

そしてクロスもまた光に包まれ、そして光が消えるとそこにはガイが立っていた。

クロスはガイが変身していたと言う証明でもあった。

 

「ありがとうございました。おかげで被害を最小限にまで済みました。

ここの木々達は数日の内に、新たな生命を宿して元に戻ると思います」

 

「そっか…。

ありがとうガイ。」

 

それを言うと憑友はガイに握手を求め、ガイはそれに応じた。それを見た響が「2人だけずるい!」と駄々を捏ねつつもちゃっかりとガイと握手を交わす。すると…

 

『響さ〜ん!』

『何処デスか〜⁉︎』

『返事しやがれ〜!』

 

『『憑友先輩〜!』』

『憑友〜‼︎』

 

自分達の仲間が自分達を探している事に気がつき、2人は目を合わせる。

それに気づいたガイは、手元の帽子を深く被り直した。

 

「では…」

 

そう言って立ち去ろうとするガイに憑友は「待った」と呼び止める。

 

 

 

「…"さよなら"は言わない。

"また会おう"ぜ!」

 

「…」コクリ

 

それを聞いたガイは顔を振り向かずに前を見据える。

そして羽織っていたコートを漁り始めるや、そこから十字架型のフルートを持って吹きながら彼らの前から立ち去っていった。微かな霧が発生し、すぐに晴れるとそこにはもう彼は居なくなっていた。

 

「また会えるよね?」

 

「あたり前さ。

人々を救う者は時には時空をも超えてやって来る事もあるんだからな」

 

そう言うと2人は皆の声がした方へと歩み始めたのだった。

 

新たな生命芽吹く時、それは新たな時代の幕開けを意味するのかもしれない。

 

 

 




だが、彼らの意思はまだ不滅なり…!

と言う訳で、バトンタッチ回如何でしたか?

…ここ最近の作者のプライベートがズタボロで、まともに書く暇が無いったら有りやしない…。

そんな訳で、更新は相変わらず遅くなりますのでご了承下さい。
感想欲しいよぉ…


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XDイベント 参戦英雄一覧

これは、XDイベントに英雄達が参戦したらと言う設定で描かれています。
一応、あらすじみたいなものだと思ってくれて考えてます。

尚、此処にないイベントストーリーは本編と全く同じだったと思ってくれて構いません。英雄達が出ないと言う事ですので、ご了承下さい。

※XDの大人気イベント『片翼の奏者』『双翼のシリウス』『イノセント・シスター』は本作品にて、奏とセレナが生存してしまっているので、作品として出すのが厳しくて誠に申し訳ありませんが出せません。ご了承ご理解の程、宜しくお願いします。


翳り裂く閃光

→鏡士 参戦

"2つの鏡が交わる時、響きし歌を救いし未来が此処にある。"

 

 

和装乱舞

→忍転身!

"和を用いた装い…そして、和の象徴を宿した女の子達。

胸を熱く、激しく、舞い踊れ!"

 

 

先覚の協力者

→虎と兎 出動

"先覚の大人…英雄な大人…

装者や導師を凌ぐ大人達の生き様を見よ!"

 

 

振袖ラビリンス

→鬼殺隊 合流

"新年に掛けられし呪い。

それを解けようと介する鬼となりし人を殺す者達。

哀しき兄妹と仲間達と共に迷宮を駆け抜ける…"

 

 

エキスパートメイド&これがわたしのメイド道!

→ カフェ OPEN

"メイドを目指して幾千里⁈

そんな中でも敵はやってくる!

そこで出会ったのは…動物メイドなカフェ⁈"

 

 

怪盗姉妹

→怪盗団 参上

"予告せよ、悪しき者から欲望を奪い取れ!

『SHOWTIMEだ!』"

 

※裏切りの独奏曲

"仲間を裏切るマリア。そんなマリアを見兼ねた男。

かつて、裏切りを施した男がマリアに放つ言葉とは?

そしてマリアは怪盗の力を前面に引き出す…‼︎"

 

 

戦姫海賊団

→宇宙海賊 乱入

"海賊が攻めてきた⁉︎

装者達も装い、馳せ参る!

そんな中でまさかの…宇宙海賊が手助け⁈

宇宙海賊と装者が手を合わせ、強奪(げきたい)だ!"

 

 

Beyond the Speed

→アクセラレーション!

"ハイスピードバトルが熾烈を極める中、現れたのは赤いバイク!

翼や敵をも抜き去るライダー…

彼はかの有名な…決闘者だった…!"

 

 

燃えよッ!カンフーマスター&怒りのッ!カンフー3姉妹

→ストリートファイト!

"カンフー映画の最中にまさかの強豪のやり手!

そんな最中に現れたのは…1人の格闘家だった…!

『俺より強い奴に…会いに行く‼︎』"

 

 

マジックランプドリーム

→七海の覇王 顕現

"聖遺物のランプにより砂漠に迷い込んだ一行。

そんな中、出会ったのは葉っぱ1枚だけの全裸MAN。

だけど、この男…とてつもなく強すぎた…!"

 

 

機械仕掛けの奇跡

→戦闘機人 到着

"人を助ける事に尽力する少女 響。

だけど、そんな彼女の絶対絶命に助けたのは…

人を助ける事に尽力する…1人の少女 スバルだった。

スバルの力と響の力が今…合致する!"

※ BAYONET CHARGE

"平行世界の翼とクリスと邂逅を果たす面々。

そんな彼女達と共に行動するのは…スバルの姉と妹⁈

白熱していく中、2人の過去が明らかとなる…"

 

 

アルケミック・オーダー

→内容変更&錬金術の少女達

"これは本編とは完全に異なってしまった話。

平行世界で出会ったパヴァリアの長 アダム。だけど、その言動は本編世界とは真逆だった。全ては自分が犯した贖罪を生涯かけて果たし終えるまで。

そんな彼を止めて欲しいと願う少女達。

装者達…そして錬金術師達がアダムの未来を救う…!"

 

 

夕暮れに舞う巫女

→お座り!

"神社の近くにあった古井戸から妖怪が現れ、ノイズと交わってしまい、大苦戦の面々。

そんな時に現れたのは弓を番えた巫女と、犬耳を生やした刀を所持する赤い装束の青年だった。

『お座り!』『ギャフンッ!』

 

…大丈夫だろうか…。"

 

 

銀弾の軌跡

→伝説のハンター 降臨

"吸血鬼の圧倒的戦力差に危機一髪の切歌と光聖希。

そんな2人の前に現れたのはチェーンハンマーを携えた伝説のヴァンパイアハンターだった。

彼の力がやがて光聖希に流れ込む…!

祝え、導師のパートナー英雄結成の瞬間を!"

 

 

ロストサンクチュアリ

→探検御一行様 ご案内

"未知なる聖遺物が見つかるかもしれないと考え、洞窟探検に興味を示すセレナと憑友。その勢いで連れられる皆。

そんな彼らと邂逅を果たすのはドリルの剣を携えた少年とその仲間達であった。

彼等との邂逅で探検が大冒険へと変わる…!

『俺が掘ったら、凄いぞ‼︎』"

 

 

ティアーズ・オブ・ピースメーカー

→SEED覚醒

"平行世界のバルベルテにてクリスを待っていたのは彼女の両親。

そしてキラが出会ったのは…双子の姉・カガリを始めとする自身の仲間達であった。

そんな中でクリスの両親の策を用いて悪巧みする者…

それはキラにとって因縁の宿敵…クルーゼだった。

更に、その戦時中に暗躍する1人の女の子。

厄災の『種』が芽吹く時、『運命』に抗う力がクリスに宿る…!"

 

 

太陽の三撃槍

→最高最善の時の王者 祝福

"ベアトリーチェの力により、響が暴走をしてしまう。

彼女に宿る『ガングニール』の力が3人に力を与える。

だが、それを妨害しようとする時を操る者…その名はスウォルツ。

彼の者の前になす術無く倒れる三人。そして何も出来ずに憤りを放つ憑友。

そんな時に現れたのは…最高最善の魔王になると決めた時の王者と時の王者を導く者。そして、時の救世主。

彼等の力が3人に、そして憑友に宿る!

祝え、新たなる英雄の誕生の瞬間を!"

 

 

大火を薙ぐ剣

→スパイ&スパイス

"装者のいない大人達の世界で翼と馬燈が見たのは、平行世界での緒川だった。

そしてそんな彼のために力を貸す者はスパイスを効かせた…女子高生なスパイ⁉︎

スパイス効かせたスパイと共に緒川の因縁に終止符を!

新たなるベストマッチが勝利の法則となる…!"

 

 

嘆きのドールハウス

→アリスゲーム 開幕

"皆が任務や平行世界に行ってる間、お留守番な形を取ることになった未来と黎雷。

そんな中、街の郊外に突如出現した不気味な館。

それが原因で起こる不可解な現象。

行方不明者も続出し、その中にはリディアン生徒も――。

未来は、街で起こる異常を解決するため行動する。

そんな未来に黎雷も渋々同行する。

響から受け取ったお守りを胸に、未来の戦いが始まる。

それと同時に、このドールハウスを調査しに来た1組の男女。

いや…1人の少年と1体の人形。

彼等との邂逅で黎雷に新たな力が宿る…!"

 

 

竜姫咆哮メックヴァラヌス

→天使と竜 交響

"平行世界で出会った弓美,創世,詩織の三人娘。

そんな彼女達が纏うのは…

シンフォギア,ファウストローブとも異なる第3の少女兵装。

だが、その力は異分子とされ、3人に迫害が待ち受ける。

そんな最中、空から現れたのはロボになる戦闘機。

そこから現れたのは、1人の少女…

その者はかつて…一つの国のお姫様だった。

そしてそんなお姫様を狙うナルシストと、装者と導師達を狙う悪しき男。

彼女達の因縁に装者達が巻き込まれる…!"

 

 

※本作限定完全オリジナルイベント

青春ブラットリスティ

→アサシンプログラム 開講

"此処、最近の授業にて置いてけぼりな響,切歌,調,陰陽兄弟。

憑友自身も体力に自信が無く体育での成績が怪しくなり、困り果てる一行。

そんな中、新任講師として男の先生がやって来た。ただ、この先生…やたら童顔だった。

そんな中でまさかのゴロツキと出会ってしまい、ピンチの時に現れたのはなんとその先生だったーー!

しかも、その身体能力とその技術力を見て彼等は感じた…

ーまるで…暗殺者のようだーと。

新任の先生を筆頭に先生の同級生が大活躍!

しかし、先生達が持つ力の秘密…

それは悲しい結末になってしまった物語…

先生達の過去から紡ぎだされる先生達の先生のお話。

『それでは授業を始めましょう♪』"




因みにあらすじを見て、どの作品が出るのか分かった方は首を長くしてお待ち下さい。
感想欄に書いてくれても構いません。宜しくお願いします。


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『令和編』

またもや作ったやつ。
まぁ、一応書くけどね…。

今回は皆様が出して!出すよね⁉︎出せやコラ!と脅されていた作品達が出ます。
そして今作は

ソウルことロック・アイル・ユキネが最後にて活躍するお話であります。

XV編が終わったら書こうと思っています。多分あと数年は掛かるかな…。
時間が足りない…


『輝け!シャインな社長!』

飛び上がライズ!

 

憑友が居なくなって早くて1ヵ月が経とうとしていた。

響はあの出来事以降から塞ぎがちになり、未来ですら拒絶してしまう程にまで精神面が急低下していた。

そんな中でギャラルホルンが警報を鳴らした。

響の状態を気にしつつも、翼とマリアは響と共に平行世界へ。

そこでは黄色のバッタを模した戦士が激闘を繰り広げる世界だった。

そしてその戦士が持っていた物は憑友の魂を宿したアイテムだった。

そしてそんな彼らをつけ狙うのはバッタの戦士を社会的に抹消しようとする戦士。

そしてかつて敵であった男。

バッタの戦士の想いが魂を呼び起こす…!

そしてその状況を不敵な笑みと鋭利な歯をギラつかせている者がいた…

 

 

『史上最高の輝きを放つ者達』

キラッと変身!カラッと解決!

 

バッタの戦士から憑友の魂を返還され、立ち直る勇気を見せ始める響。

しかし…未来はそうでは無かった。

未来もまた憑友の事を好いていた1人に過ぎなかった。

だが、ギャラルホルンがまた警報を鳴らしたのだ。

しかもまた違う平行世界での出来事だった…

響の代わりに今度は未来が行く事になり、クリスとセレナが同行する事に。

そこでは人々のキラキラとした輝きを守るために戦うとてつもない程のキラメキを放つヒーロー達が戦っていた。

そして彼等の元に現れたリニアを見て未来は感じた…

 

ー!…憑友なの⁉︎ー

 

そんな中でも彼等を倒し、地球を淀んだ世界にしようとする悪の組織。

そしてその組織内ではかつて共闘を繰り広げた男が何故か在籍していた…!

彼等の煌きが憑友の魂を宿したリニアに力を与える…!

そしてバッタの戦士の元に現れた不敵な笑みを放つ者がまたもやギラつかせていた。

 

『トライ・スクワット フォーエバー 』

Buddy GO!

 

内密していた男からの情報で、憑友は4つのアイテムに分割されている事が分かった一同。

先に貰い受けたリニアと合わせ、残すところあと2つ。

そんな中でギャラルホルンの反応が…!

だが、その反応が今までとは比べものにならないものだった…!

しかも都市圏にて怪獣らしき存在が確認され、二手に別れる事に。

ギャラルホルンの先の平行世界へは奏・調・切歌が行く事になった。

そこでは青い巨人と銀色の巨人が戦っていた!

手伝おうにも何も出来ない三人の前に宇宙人達が現れた!

大ピンチな状況で助けてくれたのはなんと民間警備会社の面々だった。

しかもそこにはかつて激闘を繰り広げた男の姿が。

更に奏の腕には奏自身にも身に覚えが無いブレスレットが嵌められていた。

だが、そのブレスレットは憑友の魂を宿したアイテムでもあった…

憑友に助けられて生きている奏。しかし彼女の中には彼に対する後悔の念が心の奥底にあった。

だが、その隙を青い巨人は見逃さなかった…

 

再び現れた青い巨人。だが、そこにはなんと奏の姿が!

悪戦苦闘を強いられる中、銀色の巨人とその変身者は立ち向かう…

 

ー僕(俺)たちと同じ目に遭わせられるか‼︎ー

 

その熱い魂が憑友の力を宿したブレスレットに…呼応する!

 

そして三度現れた不敵な笑みを浮かぶ男…その者の目的は一体…?

 

 

『ヒーリングっとな乙女達』

スタート!オペレーション!

 

いよいよ残す所あとひとつとなった憑友の魂。

だが、アルカ・ノイズ達が街へと出現!

だが、このアルカ・ノイズ…人を消滅せず、疫病にしていた!

しかも各都市に大量に出たので装者達全員で事の事態にあたる…が、ここに来てまさかのギャラルホルンのアラートが⁉︎

 

装者達が不在の中で立ち上がったのはなんと三人娘だった!

メックヴァラヌスのデータを完全再現したその力を持ってギャラルホルンの先へと急行する!

護衛として馬燈と逝都と黎雷が同行し、着いた先にあったのは病原菌が蔓延した世界だった…!

そこで出会ったのは可愛い見た目だけど強い女の子達だった。

更に彼女達が所持していたボトルがなんと最後の憑友の魂が宿したアイテムだった!

そんな中で彼女達の前に現れたのは現世に蘇った少女!

そんな彼女達と激闘を繰り広げる敵組織。

それに加担する者が現れた。

それは今までに登場したあの不敵な笑みを浮かぶ男だった…!

激闘に次ぐ激闘の最中、遂に不敵な男が装者達に牙を剥く!

 

 

『3時間目は奪還授業⁉︎ーシンフォニック・バトルガールー』

 

不敵な笑みを浮かべた男に、憑友の魂を宿したボトルを奪われた一同。

実力差もあった為、なす術無かったとは言え、それでも悔しみが拭えない三人娘と三人組。

そんな中、何度目となるかまたもやギャラルホルンがアラートを鳴り響かせる。

しかし現実では人々がアルカ・ノイズによって生み出された疫病に苦しみ始めていた。このままだと危うい状況の中、一緒に帰還していた者達から驚愕の一言が放つ。

 

『あのアルカ・ノイズは、不敵な笑みを浮かべた男が生み出した』

 

衝撃の事実を聞かされた一同。

そしてその男は平行世界の先にいた事を感づいた一同は、錬金術師達に現実の方を託し、アラート先へと全員で向かう。

そこでは人々を襲う怪物が暴れ回っており、それを女の子達が対峙していた。加勢した事で状況を確認する一同。

そんな中で不敵な笑みを浮かべた男はこの世界を滅亡する計画を移行する。

 

それは、世界を守る大樹を枯らせ、この世の命を自分の環境下にしようとしていた…!

 

それを阻止しようと動く一同だが、相手の力量が雲泥の差であった。

そんな時に出会ったのは時の救世主!

更に彼女達と共闘した女の子だった。

 

 

『シンフォニッククライシス』

LBCS コネクト

 

先の世界からはや数週間。全ての憑友の魂を宿したアイテムを回収した一同。

ここ最近のギャラルホルンも大人しくなりつつある中で、性懲りも無くアラートが鳴る。

ギャラルホルンに導かれて、響達がやってきたのは、完全に荒廃した世界。

そこでは世界の最適化を施そうとするメカニカルテロリストが暗躍しており、それに対抗する為に手の平ロボットの力をその身に纏って戦う女の子達が激闘を繰り広げていた。

彼女達と共に共闘する装者達。

そんな最中で、奴等を高みから見物する者。

それは今までの世界にて装者達を見物していたあの男だった。

 

その男の名はコロナ。彼は自らこう呼んだ…

 

 

 

 

 

 

ー我こそ『令和』の象徴。そして…厄災也!ー

 

 

此処で完全決着を臨むかのように今までとは比類すら出来ない程のパワーアップを施したコロナを相手に絶対絶命の装者達。

そんな中でもただ1人…ロックだけは立ち上がる。

憑友が残した魂…憑友が託してくれた想いを胸に。

 

「俺はあいつの…永遠のライバルだーーー‼︎」

 

その雄叫びが憑友の魂を呼応し、そしてロックに…憑友が認める永遠のライバルに力を授ける…!

 

英雄達よ!我らが導師に祝福を!

救世主から好敵手として認められ、英雄達の中でも数多の世代へと交代をし続けた四英雄達の力を全て凝縮し、時空を超越し、彼の者を滅ぼす…帝国の名を冠する我らが水の導師!

 

 

その名も…

 

 

精魂導師…ソウルエンパイア!

 

今、この地に爆誕した瞬間である‼︎

 

 

『令和編ーEPISODE after SOULー』完結!

 

 




何故、憑友が居ないのか。
何故、響や未来が悲しみに暮れているのか。
何故、ロックはあのような台詞を言ったのか。
その全てはXV編を投稿し終えた後に分かる事でしょう…



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次世代《ネクスト》参上編
NEXT1 人を拒みし盾


と言う訳で新章次世代(ネクスト)参上編!
そのトップバッターは

『盾の勇者の成り上がり』編

尚文と装者&導師一同の活躍をご覧あれ。

時系列はGX編終了後の7月初めです。


梅雨が明け、海から運ばれて来る潮風が感じるこの頃。

至って平和…とも言い切れず、何処かしらに事件が勃発した今日。

 

『』ぐへぇ〜

 

装者一同と導師一同は疲労感に浸っていた。と言うよりそんな空気感しか感じない。

そんな中なのに、装者の1人にして、マリアの実妹・セレナはある石板に顔を見つめていた。

それは『英雄石板』だった。

実は今回彼らが疲労感を伴っていたのはこの石板が大きく関係していたりする。

何せ、この石板に宿った英雄の力を行使するアルカ・ノイズと激闘を繰り広げたのだ。

何せ、硬い!固い!堅い!の三拍子揃っての堅牢さな程の硬度を誇っていたのだ。

翼の剣が簡単にへし折れ、響は殴ったら逆に痛がり、クリスの弾は簡単に跳ね返して、切歌の鎌と調の鋸も刃こぼれする始末。

奏の槍捌きも槍の矛先が折れ、未来の扇もぐしゃぐしゃ、マリアの籠手すら形を歪めるぐらいの硬さを誇るノイズだった。

導師も全員同じでマシュを相手に稽古していた零ですら「マシュと同等に堅いんだけど…」と言う始末。

そんな堅牢力を誇るノイズを相手に奮戦したのは意外にもセレナだった。

アイギスの装者である彼女にとっては盾の使い方をよく熟知していた為か、あっさりと攻略法を見つけるとあっという間に倒したのだ。

それもたった1人で。

そして倒れた所を憑友が回収し、ノイズは消滅し、先の激闘は終幕した。

そして一同はくたくたでソファに腰掛けるや直ぐにだらける装者一同。アイドルでもあるマリア・翼・奏ですらグロッキー状態になってしまっていた。

そんな中、セレナは近くに置いてある机に石板を乗せ、なんと直帰直後に石板解読をし始めたのだ。

 

「!?セレナ⁈平気なの⁈」

 

「うん♪みんなと特訓してるから♪憑友!手伝って!」

 

「うへぇ〜…了解〜」

 

そう言いながらセレナは懸命に石板解読をし始め、疲労困憊の憑友も補佐と言う形でセレナの解読の手伝いをする。

それを見た一同は『やっぱり凄い…』と思っていた。

すると霊風は疑問をぶつける。

 

「しかし、マシュやキャプテン・アメリカの様に、盾をメインにした英雄…他にいたか?」

 

そう自分自身に問いかける。

盾を持って戦う面々は数多に存在する。

緑衣の勇者 リンクや、記録の地平線のタンク 直継等がその典型例だろう。

だが、盾を()()()にして戦うのは意外にも数が少なく、

霊風の言った盾兵の英霊 マシュやアベンジャーズの一員 キャプテン・アメリカが今の所、彼の脳内の中で汲み取った前世の知識である。

だが、転生した神から貰った死後の情報はまだ開示していない霊風にとって、この後に起こる現象に予想もつかない事になろうとは思わないだろう…

 

「解析完了♪」「疲れた〜」

 

『速っ⁉︎』

 

とか考え込んでいるうちにあっという間に解析が完了した。

そのあまりの速さに一同が息ぴったりとシンクロしたかのように言った。

 

「さてと、どんな英雄さんの軌跡かな〜♪」

 

と言いながら石板に書かれた内容を見たセレナ。

だが、セレナは見た瞬間から徐々に先程までのニコニコスマイルが消えていき、しまいには哀しみの表情になってしまった。

そんなセレナの表情の変わり具合をみた一同は何事かのように、セレナが見た石板の解読結果を見て仰天した。装者一同も同様だ。

その内容を憑友は読み上げる。

それにはこう書かれていた。

 

『その者 ごく普通の暮らしをしていた者也

 

そして異世界にて勇者に選ばれん

 

されど与えられし力は《盾》ならん

 

盾を持つ者を迫害せしめん大半の国の民

 

その影響故、その者、人々を不信とならん

 

彼は隷奴を購入せん

 

人では無く、亜人の少女を

 

やがて多いなる災いから守る力を行使し、

 

やがてその者 最底辺から最高神へと至らん』

 

そう記されていた。

それを見た一同は驚愕していた。

 

「こんなの有りかよ…」

 

「まさか人に裏切られた英雄とは…」

 

「それ故のあの堅牢力なのかもな」

 

「あの硬さは人を拒んだが故に出来る芸当なのね」

 

クリス・翼・奏・マリアはそう言いながら、この石板に眠っている英雄に同情していた。

すると、ピカーンッ!と光が結集していき、カードが形成された。

そこには

 

【盾の勇者 尚文】

 

と、小さくて真ん中に水晶をあしらった盾を持つ緑衣の青年がイラストされたカード。それを手に取った憑友は顕現ブースターにスキャンし、皆んなが居ない方向に向けてブースターを射出した。

そして光が人間の形になり、そこからイラストに描かれていた1人の青年が現れた。

 

「…」

 

青年は顕現するやいなや辺りを見回す。

すると憑友が青年の所へとやってきて、手を差し伸べる。

 

「初めまして!俺は人絆憑友!

これから宜しくお願いします!」

 

そう言いきる憑友。だが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「断る」

 

 

 

 

 

「え?」

 

 

『え⁉︎』

 

 

なんとまさかの拒絶対応。

そう言うと青年は続けざまに発する。

 

「第一に、お前たちは俺に対して何の対価を払うんだ?」

 

「何をと言われても…」

 

「それに、俺はお前らと同じ人だが、俺はお前達と馴れ合うつもりはない。

勝手に行動させて貰う」

 

そう言うと青年は後ろを振り向き、ドアがある方へと歩みを進める。

が、そこへセレナが「待って下さい!」と言われ、青年は立ち止まる。

 

「貴方の事はこの石板で内容を見ました。

だから…「だからどうした?」え?」

 

「俺の事はその石板で内容を見たんだろ?

だったら、俺が人間不信に陥った原因があるのは百も承知だろう。

俺に対して何のメリットも無い所で居座るくらいなら俺は俺自身で勝手にする」

 

「おい、待てよ…」

 

「あ?」

 

そう言うとなんと零が拳をぶつけて来た‼︎

だが、青年は右手に着いた盾を使ってその攻撃を簡単に受け止めた。

 

「"チェンジシールド" "ドッグバイト"!」

 

そう言うとなんと盾の形が変化しただけでは無く、その盾から番犬の異形が顕現し、零の拳に絡みそして噛み付いた‼︎

 

「痛てぇ‼︎」「零!」

 

悶え苦しむ零にセレナが叫ぶ。

その瞬間、零と盾の間を斬撃が襲った。

放ったのはいつのまにか現れていたキリトだった。

盾の反撃から開放された零はうずくまり、それをセレナが宥める。

キリトは青年に剣を構える。

青年はキリトの出で立ちを見て、苛立ちを隠せなかった。

 

「いい加減にしろ!」

 

「お前に俺の何が分かる‼︎」

 

そう言うと青年はキリトに対して怒りを見せていた。

何故、そうなっているのか全く皆目検討もつかない。

もはやこの場の空気が殺伐感に溢れたその時だった。

 

 

「此処で何をしている⁉︎」

 

此処で漸くOTONAである源十郎が到着した。

どうやら司令室にまでこの事が知れ渡っていたようだ。

すると青年は源十郎の懐を掻い潜るやそのまま逃走を始めた!

それに気づいた源十郎は緒川さんを呼び出す!

 

「緒川!」

 

「心得ています!」

 

そう言うと青年の後を猛スピードで追いかける緒川さん。

流石、NINJA…速い…が。

 

「ぐはっ⁈」

 

「今の…緒川さん‼︎」

 

そう言うと翼が真っ先に行き、他の皆も後を追う。

追った先には緒川が頭を抱えていた。その先には緑色の盾を連想させるエネルギーが張っていた。

 

「彼は⁈」

 

「この先へ…」

 

どうやら逃走を許してしまったようだ。

そんな中、霊風は違和感を感じたのか、自身のカードケースを持つ。

 

「(なんか地味に軽いんだけど…)………

 

はぁ⁈」

 

『?』

 

「無い⁉︎」

 

「何がだよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レヴィアタンのカードが無えぇ‼︎」

 

『ええええええ⁉︎』

 

どうやら波乱の予感しかしないようだ。

それと同時に別の場所でも異変が起こっていた。

 

 

ーーSIDEto???ーー

…此処は…?

 

そう思いながら私はこの場所を見回しながら立ち上がります。

なんだか街の中に見えるのですが…

 

ん?なんだか目線が低いような…

 

⁉︎私…小さくなってる⁈

どう言う事なんですか⁈

 

それに…皆んなが居ない…

 

貴方に会いたいです…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

尚文様…

 

ーー

一方、此方はS.O.N.G.メンバーの1人にして影の司令とも称される女性牧藁牛乳(ミルク)の実家である牧藁牧場。

そこの一角が光を放つや藁を敷いていた場所に2枚の石板が現れていた。




人々に裏切られ、人間不信の尚文。
そんな彼の元へ1人の少女が歩み寄る。

街の路地裏でチンピラ達と遭遇した一行。
撃退した矢先に出会ったのは獣耳の女の子だった。

そして牧場から連絡を受けた一同はそこで新たな石板を手にする

次回

亜人


※感想の方、お願いします…。
活力になります。


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NEXT2 亜人

前回まで
任務から帰ってきた一同は新たな英雄 尚文を歓迎するが尚文がそれを拒絶し、なんと逃走を始めてしまった。
そんな中、街では1人の女の子が現れ、
牛乳(ミルク)の牧場にて新たな石板が現れたのだった。


一行は尚文の後を追うかのようにそれぞれが蜘蛛の子を散らすかのように散開し、尚文を捜索し始めていた。

 

其々のペアとなって尚文を捜索していく一行。

連絡係は憑友達導師一同だ。

そんな中、憑友&響ペアは街中を捜索していた。

 

「街中なんだから、あの身ぐるみは分かるもんね〜!」

 

と、呑気に言う響。

だが憑友は先程の発言をものの見事に粉砕する。

 

「言っておくけど、キリト師匠達だって普通に服着て街中でうろうろしている時あるからな?」

 

「なんデスと⁈」

 

「それ、切歌の台詞だから極力言うなよ」

 

そう言いながら2人は捜索を続ける。

が、やっぱり見つからない。

仕方ないと思った憑友は霊風の元に連絡を入れた。

困った時は転生者でもある霊風が一番に分かるからだ。

本人曰く「前世はアニメやゲームに特撮のキャラが出る奴は大半を見たからな!」と豪語する程のオタ博士でもある霊風。

現に今まで確認されてきた英雄達は霊風が前世で見たキャラ達ばかりだと言っていたくらいだから。今回も知ってるだろうと思って連絡した。

 

「もしもし霊風先輩?」

 

『如何した?』

 

「尚文って言う人物に心当たりは?」

 

そう質問したら予想だにしなかった言葉が飛び出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『知らねぇ』

 

「はい?」

 

まさかの無知発言‼︎

いや、知ってるだろと反論するが…

 

『俺は前世の日付で2016/06/30に死んだんだよ‼︎

だからそれ以降に登場したキャラは俺は知らねえんだよ‼︎

因みに死亡した原因は過労死な。此処テストに出るから』

 

「役立たず‼︎しかも最後のは全く関係ないじゃないですか‼︎」

 

と怒鳴りながら発言をするものだから周りの目が集まる。それを見た響はなんでもないですよ〜と手を動かしながらなんとか周りの目を誤魔化した。

と同時に憑友が耳を手で抑えて電話を切った。どうやら切れたようだ。

それにしてもまさかの展開。

霊風でも知らない英雄が顕現した事に2人は気が気ではない。

 

実の所、尚文が活躍するアニメ作品を作者は勿論、今この物語を読んでくれている読者諸君も分かるだろう。

 

作品名は『盾の勇者の成り上がり』。

 

某小説サイト発のファンタジーものなのだが…

実は霊風は小説をあまり見なかったのだ。

それどころか、漫画や情報雑誌などもあまり見ないのだ。

まぁ、攻略本とかはよく見ていた様なのだが…。

つまり霊風はTVに映ったキャラしか()()()()のである。

作品自体は2012/10/29に投稿開始してあったのだが、

アニメ化されたのが2019/01/09。霊風の死後にアニメ化された作品だったのだ。

 

それ故に霊風は尚文の事を知らなかったのだ。

 

「如何したものか…頼みの綱の霊風先輩がお手上げじゃ…」

 

そう言うと憑友は頭を掻く。するとそんな憑友達の所にやってくる人影有り。

 

「随分とお困りの様だね?」

 

「え?」

 

そう言われて憑友と響は声のした方に顔を向けるとそこには1人、マフラーを巻いた青年が現れた。

そして片手には本が携えていたのだが、見た事ない本だった。

怪しいと警戒しつつも、憑友は対応する。

 

「貴方は?」

 

「私はソルヴ。先導者…英雄の人達の言葉を借りるなら『ヴァンガード』と呼ばれる呼称を持つ者です」

 

「はぁ…」

 

そう憑友が呆然とし、響も首を傾げる。

すると青年は本を開いた。

 

「この本によりますと…

 

『探し人の在り処は水面が張る場所に在りけり。

青き竜の乙女と同行せん。

語り交わす為には小さき獣耳の女の子を見つけん』

 

と、書かれていますな」

 

「は、はぁ…。

でも、水面が張る場所なんて…そんな所色々あるしな…」

 

「皆んなに聞いてみようよ。

それに獣耳の女の子が居ないと話をするつもりは無さそうだし。

竜の乙女って言うと…レヴィアタンさんの事かな?」

 

無いよりはマシだと思ったのか、憑友は響と相談し、その2つを探す事にした。

 

「無いよりマシだな。ソルヴさん!ありがとう…って、居ない⁈」

 

「うぇ?…いつの間に⁈」

 

憑友がソルヴに感謝しようにもその場にはソルヴの姿は何一つ無かった。

そんな中で、ソルヴはいつの間にかビルの屋上に立っていた。そして懐から1枚のカードを取り出した。それはタロットカードだった。

 

「"運命"の正位置。チャンスですか…。

私の発言が新たな出会いを生む事になる事を願って…」

 

そう言うとソルヴと呼ばれた青年はマフラーをひらりとたなびかせるとそのマフラーが彼自身の周りを包み出し、そして終いには彼自身が消えたのであった。

果たして彼は一体何者なのだろうか?

 

 

ーーーーーー

一方、その頃。

調&切歌&陰陽兄弟達は牛乳(ミルク)副司令の実家である牧場へと足を運んでいた。

その理由は実は散開していた際、牧場近くの郊外に赴いていた4人は森の中に潜んでいるのでは無いのかと思った。理由は単純に「木を隠すなら森の中デス!」と切歌が言った事から始めた事だった。

おそらく初めて会った時に見た緑のマントを連想しての事だと思うのだろう。

まぁ、確かに物を隠すには同種の物の群がりの中に紛れ込ませる方法が最適であるとは思うので、切歌の言った事は強ち間違いでは無い。

そう思って調べたが案の定居なかったので、トホホと落ち込んでいると弦十郎から連絡が入り、牧場に行って石板を回収するように言われた4人は現在進行形で牧場にやって来たのだった。

 

「御免下さ〜い!」

「失礼しますデス!」

「「お邪魔しま〜す」」

 

「おや?ミルクの所の嬢ちゃん坊っちゃん達じゃねぇか?」

 

そう言うと1人の男性がトボトボと歩きながら切歌達の所にやってきた。

この人は此処牧藁牧場の主人であり、牛乳(ミルク)の実父・牧藁牛角(オックス)である。名前とは裏腹にひょろひょろ体型なんだが、若い頃は筋骨隆々だったそうだ。

 

「今日は何しに来たんだ?」

 

「あの実は…」

 

そう言うと調が事の状況を説明すると、牛角が「こっちに来てくれ」

と言うと先行して歩き、兄弟達も一緒に同行したのであった。

 

そう言われて付いていくと、一室に招かれ、ソファーに座って待って貰う事になった。

暫くしていると牛角が石板を持ってやって来た。

密閉容器に入れて保管していたようだ。

ただ…

 

「2枚デスと⁈」

 

「そうだな」

 

なんと石板を2枚持ってやって来たのだ。

事情を聞くと昨日の夜までは普通だったのだが、今朝のいつもの作業中に飼育員の1人が見つけたらしい。

それを見た牛角はミルクに連絡をした次第なのであった。

だが、切歌達が来る事は予想外だったらしい。

 

そんな感じで調達は石板を預かり、帰路に着く事にした。

 

「この中にどんな英雄が居るんだろうな〜♪」

 

「楽しみデス‼︎」

 

「なんだか2人が楽しそう…」

 

「俺もそう感じてる…」

 

 

ーーーーーー

一方、此処はフィーネがまだ櫻井了子として存在していた際に使用していた別荘跡地。

その近くに広がる湖…そこの桟橋に目的の人物・尚文が腰掛けていた。

 

「…ッ!」

 

そう言うと尚文は近くに備えていた石を湖に投げる。

 

ゴツンッ!

 

「あ痛ッ⁉︎」

 

「は?」

 

尚文が投げた石…その放物線上にはなんといつのまにか顕現していたレヴィアタンがそこにいた…頭を抑えて。

 

「うぅ…」

 

「…悪かった」

 

そう言いながらもレヴィアタンに手当している辺りは優しい奴の尚文。

するとレヴィアタンは疑問に感じた。

 

「あ、あの…」

 

「?」

 

「私は良いんですか?」

 

「お前…人間じゃねぇだろ」

 

「は、はい…私は竜人の種族に分類されます」

 

「人じゃないなら俺は普通に接するだけだ」

 

そう言うと手当を終えたのか尚文はレヴィアタンに対しては普通に話し始めた。

 

「俺はこの姿…勇者として異世界から選ばれた。

俺の他にも別の地球から3人が勇者に選ばれたんだが、

他の3人は剣,槍,弓と王道的武器を使えるのに対して、俺が使えるのは盾だった」

 

「じゃあ、他の武器に変える事は?」

 

「出来なかった。いや、寧ろ武器共がそれを拒んだ。

武器の姿を変える事は出来ても、そのものを使う事すら出来ない。

ましてや武器のジャンルを変える事すら不可能だった。

弓は遠距離とデバフ…状態付与が得意。

剣は近距離と属性攻撃力。

槍は中距離と効果範囲と攻撃面が強かった」

 

「じゃあ盾は…防御面が強かったんですか?」

 

「ああ。だが、その分…攻撃力は実質の0。例え堅い奴だろうと攻撃面が最低なら戦えない。

尤も回復能力が豊富だったから後にサポート面でも重宝される事になるとは思わなかったがな」

 

「回復も出来るんですか!凄いです!

私は普通に槍を使って、少しの水だけでいろんな攻撃パターンを生むんですけど…それっきりなので」

 

そう言うとレヴィアタンは槍を具現化させて、湖の湖面に矛先を付け、そして引っ張るとそこから水が吸い上げられ、水の球が出来、槍を前に突き刺すと、そこから水が激流の様に放出された。

 

「す、凄いな…」

 

「私に出来るのはこのくらいなんです。

私の友達は炎を放ったり、斧を普通に豪快にぶん回したりするのが凄いので…」

 

「そ、そうか…」

 

これには流石の尚文も驚くだろう…

「(君の方が凄いと感じているんだが…)」と心の中で言っていたのはこの際、どうでもいい。

そう言う話をしているとレヴィアタンが話を折って、別の話へと切り替えた。

 

「話の腰を折ってしまいますけど…」

 

「?…どうした?」

 

「どうして私には普通に接してくれるんですか?

もしかして女の子だから?」

 

「それは断じて違う。お前が亜人だから、俺は普通に話せるんだ」

 

「亜人だから?」

 

「まぁ、これはこの盾にも大きく関係している。

俺が戦った場所は俺を含めた四つの武器を持つ勇者達を崇める四聖教と俺の盾以外の3つの武器を持つ勇者を崇める三勇教があるんだが、その内、後者の三勇教が派閥としては当時強かった。

それ故か俺の事を認めない輩がごろごろいた。召喚先の国王すら他の3人を優遇して、俺だけ不遇させる程にな」

 

「酷いです…」

 

「そんな絶望の中で出会った奴がいる。奴隷商だ。」

 

「奴隷商⁈」

 

「俺自身では倒せない敵も奴隷に任せて倒せる。俺はそいつから1人の女の子を奴隷にした。

それはタヌキ系の亜人種だった」

 

「た、タヌキですか…」

 

そう言われてレヴィアタンはタヌキを彷彿した亜人種をイメージしたのだが、それを読み取ったのか、尚文が

「想像してるのとは一切掛け離れているからな?」

と一蹴され、気恥ずかしくなった。

 

「最初は幼女だったから役に立つのかと思った。けど、メキメキとその成長ぶりを発揮させた。

そんな最中、俺はその亜人種を解放しようとする馬鹿と決闘を申し込まれた」

 

「結果はどうなったんですか?」

 

「負けたよ」「え⁉︎」

 

「実際には相手側の横やりによる敗北だ。

流石に怒り狂ったな」

 

「許せません!」

 

「…分かるのか?」

 

「私のパートナーである霊風さんの受け売りなんですけど…

 

『男の決闘は一体一(タイマン)。そこに首を出す奴は女だろうと容赦しない』って、前に言っていました」

 

「…熱苦しい奴だな」

 

「本人は風の使い手なんですけどね。

因みに貴方と握手を交わそうとした男の子が炎の使い手ですよ?」

 

「何⁈

…って、話が脱線したな。

そんな中でアイツは…俺を見捨てなかった。

俺の奴隷でなくなったにしても、そいつは俺の元に来て俺を見捨てないと決めていた。

それ以来、俺は信頼できる仲間に漸く出会えた気がした。

それ以前までは激しい怒りで味覚不全に陥っていたが、その一件以降から味覚が戻った。

それ以来、俺は亜人に対しては普通に接する様になった」

 

「そんな話があったなんて…。

石板には書かれていなかった事ですね」

 

「何?それは本当か?」

 

「あ、はい。前半までの話はそんな感じでしたが、それっきりでしたので…」

 

「そうか…」

 

そう言いながら尚文は目を瞑る。

今までの自分の対応は保身の為だったが、この世界の人間…取り分け彼女が信頼できる仲間達なら信頼しても良いのでは無いのかと思い始めた尚文。何せレヴィアタンのあの信頼における笑顔を見れば、少なからず尚文にもその影響が出た為だ。

 

(俺…この世界の奴となら信頼できる気がする…

 

だから、お前も早く俺の元に来い…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラフタリア)

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーSIDEto???

 

…っ!

 

尚文様の声が聞こえる!

私を探して…!

 

 

「可愛い嬢ちゃん!」

 

「⁉︎」

なんでしょうか…このドス黒い感じ。

まるで尚文様の事を罵倒した者達に似た何かを感じます。

 

「俺達と遊ぼうぜ?」

 

「痛い目に遭いたく無ければ…な!」

 

私は今のこの状況を打破しようとしたのですが、剣はまともに振り回されるのがオチ。ましてやナイフすら持っていない。

どうすれば…そう思ったその時でした。

 

 

「とぉうりゃぁ!」

 

「せいやぁー!」

 

ボコスカッ!

 

「ぐはぁ⁉︎」「がばしっ⁉︎」

 

ドサドサッ!

 

「な、何事だ⁈」

 

突然、敵の一部が倒れて、私も困惑していると1組のペアが拳を構えていました。

見た目だけではまだ尚文様よりも一回り小さいので、尚文様よりも年下なんだと思いますけど、この人達から闘気らしいものが見えています。

 

「お前らロリコン?」

 

「悪い大人は鉄拳正妻です!」

 

「いや、響…せいさいの字が違う。

アスナさんから聞いたろそれ…」

 

「何故にバレた⁈」

 

「モロバレだ!

…と、どうでも良いけど。大人しくしててくれよ。大人らしく」

 

「あ?ガキが…大人にお節介かくんじゃねぇ!」

 

そう言うとなんと乱闘が!と、思ったら…

 

 

ヒュ〜ドスンッ‼︎

 

 

「ぐへぇ⁈」

 

「また大胆な登場だな…」

 

「漢ならこう言うのもありだろ?」

 

「少しは私の事も考えなさい」

 

「あ、マリアさん」

 

なんか物凄く場違いな空気感が漂っています…。

だって空から1人の男が落ちてきて、そこから1人の女性が落ちてきてお姫様抱っこされて登場してきたら、それはもう場違いすぎます。

 

そうしていると1人の男が発言しました。

 

「せ、世界の歌姫…

マリア・カデンツァヴァナ・イヴ⁈」

 

「ま、まさかご本人⁈」

 

「本人以外誰がいるのよ…」

 

「まぁいいさ。さて、暴君番長の久しぶりの腕慣らし…

一殴り…付き合えよ!」

 

「いや、そこで刑事さんの台詞をパロディにして使うんじゃないよ」

 

「何故にバレた⁈」

 

「モロバレだ!」

 

…なんでしょうか…物凄くついさっきまで言っていた台詞がまた聞こえた様な気がしたのですけど。と言うより明らかに場違いの空気しか感じません…。

そう感じていると、男達は完全に分が悪いのか、尻尾を巻いて蜘蛛の子を散らすかのように消えて行きました。

…何がしたかったのでしょうか。

 

「ところで、貴方はどうして此処に居るの?」

 

と言って来たので、顔を向けるとそこには先程の男の1人が言っていたマリア・カデンツァヴァナ・イヴが私と対話を求めていました。

同性とはいえ、先程よりも安心感があるのは何故でしょう?

母性の塊と言えばいいのでしょうか?

 

「あ、これ…」

「間違いないな」

 

「?どうしたの?」

 

「「「流石、オカン」」」

 

「誰がオカンよ‼︎それはアーチャーの領域でしょ⁈」

 

…またもや場違いの空気感…。

この人達も怪しそう…。

 

「それにしても…彼奴ら、こんな子供を何に使おうとしていたのか…」

 

「大抵の場合は○○○が目的だろうな」

 

「何でそこで隠すの⁈」

 

「普通にアウトな発言だからだ」

 

「さて、貴方はこれからどうしたいの?私達が手伝ってあげる」

 

私は…あの人に逢いたい!

 

尚文様の所へ!

 

ーーーーー

「私は…あの人に逢いたい!

尚文様の所へ!」

 

そう言うとフードを纏っていた女の子が顔を上げたと同時にフードが後ろに落ち、その顔を見た4人は驚かされた。

それは丸い形の獣耳を生やした女の子だった。

 

この女の子こそ、先程ソルヴが予言した獣耳の少女にして、

尚文が全幅の信頼に値する奴隷と言う名のかけがえのない存在…

 

 

 

 

 

【亜人の奴隷少女 ラフタリア】だった。

 

ーー

そんな中、尚文は目を瞑り、そして目を開けた。

そこにはレヴィアタンがそばにおり、ニコニコと笑顔を向けていた。

それを見た尚文は少し微笑んだ。

だが、何かの気配を感じたのか、建物の跡地を見た尚文はレヴィアタンに「ついて来い」と示唆する。

それを聞いたレヴィアタンも一緒に同行し、現在は廃屋敷と化したフィーネのアジトでもあった屋敷跡地に侵入する。

尚文は何かを感じたのか、奥へと進むと、瓦礫に目を通した。

 

「済まないが、これを退かせるか?」

 

「やってみます」

 

そう言うとレヴィアタンはマイ水筒の蓋を開け、その場に置くと少し離れ、槍を使って水筒の中の水を使って瓦礫をウォーターカッターの様に切っていく。そして切れた瓦礫は尚文が撤去するとその下から屋敷の庭に似つかわしくない木製の扉があった。それを上に上げるとそこには地下へと続く階段があり、それを見た尚文はレヴィアタンと共に其処から降りていく。

そして螺旋状の階段を降り、その先には長い通路があった。

そのまま奥へ奥へとその道を歩いていくと、空間が広がった。

 

すると2人は中央に点在している建造物に目を向けた。

それは形が何処と無くある物に似ていて、尚且つ、とても大きく…

その中に砂が少しずつ落ちていた。

 

そう…それはまさに…

 

「砂時計?…大きい」

 

「…そんな…馬鹿な…‼︎」

 

「尚文さん?」

 

そう…それは尚文が英雄に至れた由縁に関連せしモノにして…

彼にとってはこの世界では絶対に有り得ない物がそこに点在されていた。

その物の名は…

 

 

 

 

「"龍刻の砂時計"だと⁈」

 

 

そしてそれが意味する物は…

 

「龍刻の砂時計?」

 

「不味い…」

 

そう言うと尚文の視界に時間が掲載された。

それを見た尚文は驚愕した。

それを見たレヴィアタンは語りかける。

 

「何が不味いんですか?」

 

「もうすぐ来る…」

 

「?」

 

「"波"が…」

 

「波?」

 

「魔物の群れがこの世界を襲ってくる…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3日後に!」




尚文の言った衝撃発言をきっかけに対策を施す面々。
そして迎えた決戦の時!
尚文は遂に掛け替えの無い存在と再開を果たす。

だが、そんな彼等を引き裂く奴等が現れん。

次回

再会と災厄

「尚文様…漸くまた会えました!」


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