石作りの海 (数取団乱闘生)
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第1話「スターダストクルセイダース その①」

2011年ケープ・カナペラルにて空条承太郎の娘空条徐倫はエンリコ・プッチとの最終決戦を迎えていた。

C-MOONには勝機を見出した徐倫たちであったが、メイド・イン・ヘブンの前では歯が立たなかった。

エルメェス・コステロにナルシソ・アナスイ、そして承太郎までもが倒れていく。一人残った徐倫はウェザー・リポートのDISCをエンポリオに託しプッチとの一騎打ちに挑む。

徐倫は敗れバラバラにされたが、その魂はエンポリオに受け継がれた……。

「はっ!」

死んだ筈の徐倫が目を覚ますとケープ・カナペラルではなく見慣れない街中に寝ていた。

「ここは…何処だ……あたしプッチと戦ってエンポリオに全てを託して……」

すると徐倫の顔に風に飛ばされてきた新聞がぶつかった。

書かれている文字は日本語でも英語でも無かったので読めなかったが、日付だけは数字なので確認が出来た。

そこには1987と書かれていた。

「せ、1987年⁉︎ まさかあたしタイムスリップして来たの⁉︎いやまさかそんな筈は…でも20年以上前の新聞がこんな綺麗な冗談で道に落ちている方があり得ない……」

全く状況が飲み込めない徐倫が辺りを徘徊していると体格の良い日本人が道端でノートを燃やしているという奇怪な現場に遭遇した。

しかも徐倫はその日本人に見覚えがあった。

「あれは…父さん……」

そう。そこでノートを燃やしていたのは徐倫の父承太郎だったのだ。

「でも何だか若い…それにあの格好は……」

承太郎は学ランを着ており顔付きからして徐倫より歳下のようである。

「あたしは本当にタイムスリップして来たんだ…だとしたら今父さんが燃やしているノートはプッチが言っていた天国への行き方を印したノート!あのノートを読んだせいで父さんはプッチにDiscを奪われることになった……」

「そこのお嬢さん、わしの孫に何かようかな?」

「えっ?」

徐倫が振り返ると老人にしてはマッチョな男がいた。

「どうしたじじい」

承太郎もそれに気付きこちらへやって来た。

「いや、このお嬢さんがおまえをずっと見ていたのでな。知り合いかと思ったんじゃが違うのか?」

「こんな女知らねェぜ。それにエジプトに知り合いがいる筈ねェだろ」

「それもそうじゃのォ、なら誰じゃ?」

承太郎と老人に疑われているのだが徐倫にはそんなことより引っかかることがあった。

(エジプト?ここはエジプトなの?)

承太郎の口からサラッと出たエジプトという言葉。どうやらここはエジプトのようである。

「おい女、おまえ誰だ。まさかDIOの手下じゃねェだろうな?」

(DIO? そういえばプッチがそんなことを…)

「おい聞いてんのか」

「えっ?あっいや、あたしはDIOとは関係ないけど……」

「なら良いんだ」

そう言うと承太郎はさっさとその場を去ろうとした。

「ちょ、ちょっと待って」

徐倫は自然と呼び止めていた。

「あ?何だ」

「アンタがさっき燃やしていたノートの内容…記憶の断片から抹殺しておきなよ」

「てめぇあのノートを知っているのか?」

今まで全く相手にしていなかった承太郎が突然食いついてきた。

「えぇ。それには天国へ行く方法とやらが書いてあったんだろう?だからそれをさっさと忘れろって言ってんのよ」

「てめぇやっぱりDIOを知ってやがんな」

「おい承太郎、どうしたんじゃ?」

何も知らない老人…ジョセフ・ジョースターは話について行けていない。

「残念だけどあたしはDIOを知らない。でもそのノートを欲していた男なら知ってる」

「欲していた男だと?」

「安心しろ。もうその必要はない」

突然第三者の声がしたかと思うといきなりソイツは承太郎の背後に現れた。

「な、何⁉︎」

DIOのノートのことに気を取られていた承太郎は一瞬判断が遅れ、その男が出したスタンドにDiscを抜き取られてしまった。

「お、おまえは…エンリコ・プッチ!」

「久しいな空条徐倫。まさかおまえもこの『時代』に来ていたとはな。だがわたしはおまえの『時代』のわたしではない」

「どういうことだ」

「コレを見れば分かるだろう」

そう言ったプッチのスタンドは承太郎から抜き取ったDiscを握っていた。

「そのスタンドはホワイトスネイク!」

「おまえの『時代』のわたしは既に天国へ近付いたと聞いている。わたしはまだだがその必要もなくなった。わたしが行かずとも彼が行けるのだから」

「な、何を…」

「今のおまえには理解出来まい。そしてこの『時代』でのわたしの目的は果たした。安心しろ、かつておまえが経験したように空条承太郎が死にかけることはない。ただその男は力を奪わせてもらっただけだ」

そう言うとプッチは黒い光と共にその場から消え去った。

「ま、待て!…くそっ逃げられた…」

徐倫が承太郎に目をやると前にDiscを奪われた時とは違い特に見た目に変わりはない。

(プッチのホワイトスネイクにDiscを奪われると確か死にかける筈なのにどうして……)

「何なんだ今の野郎は…女、てめぇ何か知っているようだったな」

「見つけたぜ承太郎!ぶっ殺してやるぜ!」

 

第1話完。

 

 

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第2話「スターダストクルセイダース その②」

「何なんだ今の野郎は…女、てめぇ何か知っているようだったな」

「見つけたぜ承太郎!ぶっ殺してやるぜ!」

するとそこへ誰かが現れた。

「ポルナレフ…身体はもう大丈夫なのか?それより今何と言ったんじゃ?」

承太郎とジョセフの仲間ジャン=ピエール・ポルナレフはDIOとの戦いで負傷し入院していた筈なのだ。

「聞こえなかったのかこのドグサレがァ!空条承太郎!てめぇをぶっ殺しに来たんだよォ!」

「ポルナレフ…どうかしちまったのか……DIOの肉の芽のように誰かに操られちまったのか」

シルバー・チャリオッツを出して臨戦態勢に入ったポルナレフに承太郎もスタープラチナを出そうした。しかし全く出てこない。

「な、何…スタープラチナが使えねェ…」

「なんじゃと⁉︎」

(まさか…プッチはスタンドだけを抜き取ったんじゃ……)

ホワイトスネイクのスタンド能力を知っている徐倫だけが状況を理解出来ていた。

プッチの狙いは承太郎のスタープラチナを封じ、何かしらの方法で操っているこのポルナレフという男に殺させようとしているのだと。

「下がってて。あたしが戦うわ」

戦えない承太郎の前に徐倫が立ちストーン・フリーを出した。

「女…おまえもスタンド使いか」

「気をつけるんじゃ!チャリオッツの動きはかなり素早いぞ!」

「おまえを殺さなきゃ承太郎を殺れないってなら相手になってやるぜ」

ポルナレフも徐倫がスタンド使いであると理解し狙いを定めた。

「おれのスタンドのスピードについて来られるのはせいぜい承太郎のスタープラチナぐれェだ。だがソイツが無くなった今、おれのスタンドを止める術はねェぜ!」

いきなりポルナレフはチャリオッツで攻撃を仕掛ける。

「は、早いっ!」

徐倫はストーン・フリーを糸上にすることで間一髪避けた。

(あのスタンド…シンプルだがかなり素早い…距離を詰められたらやられる……)

「糸のスタンドか…糸か剣に敵うかァ!」

徐倫のスタンドが糸だと分かり俄然負ける気がしないポルナレフは再度斬りかかった。

「ただ正面衝突するだけがスタンドじゃないんだよ!」

対する徐倫はスタンドの腕から糸を伸ばしチャリオッツを縛り付けた。

「こ、これは⁉︎」

「どんなに素早いスタンドでも動きを止めれば良いだけのことよ」

チャンスは今しかないと徐倫はラッシュを叩き込もうとした。しかし次の瞬間ストーン・フリーが捕らえていたのは甲冑だけだった。

「なっ…いない……」

「上だ!」

承太郎の声で上を見るとポルナレフがチャリオッツと共に飛び上がっていた。

「おれのチャリオッツを舐めんなよ女がァ!甲冑を脱ぎ捨てればばチャリオッツはさらに素早く動けるんだぜェ!」

このままでは完全に間に合わない。チャリオッツのスピードだと徐倫がストーン・フリーで構えるより前に斬りつけられてしまう。

殺られる…承太郎もジョセフもそう思っていた。

だがチャリオッツが徐倫に斬りかかることはなかった。何故なら甲冑を脱いだところでストーン・フリーの糸はチャリオッツではなくポルナレフを捕らえていたからである。

「な、何だとォ⁉︎」

「あたしはストーン・フリーを舐めんなよ!お望み通り近付いてあげるわ!」

そう言うと徐倫はストーン・フリーの糸を引き寄せてチャリオッツを引っ張った。

「おれのチャリオッツが女なんぞに負けるかァァァ!!」

ポルナレフも足を引っ張られながらもチャリオッツで斬りかかろうとした。

だが一瞬ストーン・フリーの拳の方が早く届いた。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」

ストーン・フリーのラッシュを甲冑が無い状態でモロに食らったポルナレフはぶっ飛んだ。

「大丈夫かポルナレフ⁉︎」

ジョセフが駆け寄るとポルナレフは幸い気を失っただけだった。

「じゃがこれじゃあまた病院へ逆戻りじゃのぉ」

 

一方ポルナレフと戦い満身創痍の徐倫はその場に座り込んだ。

「こんなシンプルに強いスタンド使いには久々に出会ったわ……」

「おい女、てめぇいろいろと事情を知っているようだな。話してもらおうか」

スタープラチナを奪われて状況を理解仕切れていない承太郎。

「さっきの男…エンリコ・プッチのスタンド、ホワイトスネイクにあんたのスタンドはDISCにして奪われたのよ。幸い命に別状は無いみたいだけどスタープラチナはもう使えないわ」

「奪われた…だと?」

「えぇ。プッチからDISCを取り返さない限りはスタープラチナは戻って来ない」

徐倫はプッチに殺された筈なのにタイムスリップしたことや、若い頃の承太郎に会ったことなど全てを受け入れて自分でも驚くほど冷静だった。

「プッチの目的はあたしにも分からないわ。でもDIOを倒したあんたのスタンドに脅威を感じたんじゃない?」

「そんな単純な話じゃねェぜ?」

またまた聞きなれない声が聞こえてきた。

振り返るとそこには西部劇のガンマンのような男が立っていた。

「てめぇはホル・ホース!」

「よぉ承太郎、覚えといてくれて嬉しいぜ」

 

第2話完。

 

 

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第3話「スターダストクルセイダース その③」

「そんな単純な話じゃねェぜ?」

またまた聞きなれない声が聞こえてきた。

振り返るとそこには西部劇のガンマンのような男が立っていた。

「てめぇはホル・ホース!」

「よぉ承太郎、覚えといてくれて嬉しいぜ」

そこに立っていたのはホル・ホース。承太郎たちとの戦いの末に再起不能になっていた筈である。

「てめぇ何か知ってるみてェだな」

「少なくとも承太郎、おまえよりは知ってるぜ?だが空条徐倫、おまえも状況は理解してるじゃないのか?」

「空条だと?」

そういえば名乗っていなかった徐倫。そして空条なんてそうある名字ではないので承太郎が不審に思う。

「過去の人間より未来の人間の方が何でも事情は知ってるもんだぜ」

「なっ…」

(このホル・ホースとかいうやつ…あたしが2011年から来たことを知っている…?)

そしてホル・ホースはさらに徐倫に一枚のDISCを渡した。

「これは何?」

「時間を移動出来るスタンド使いのDISCだぜ。それをおまえに渡すように『あのお方』から言われたんでおれはわざわざここに来たってわけよ。さっきのポルナレフのように操られてるだけの人間じゃあおまえらを殺すことしか考えてねェからなァ」

ホル・ホースは腕を組みながらタバコを吸っている。どうやら言った通り戦うつもりで来たわけではないらしい。

「承太郎、スタープラチナの使えねェおまえじゃ役には立たない。ここはむすm…その女に任せて手を引くんだな。そして『あのお方』が直々におまえを殺しに来るまで待っていろよ」

「『あのお方』だと?」

ホル・ホースが意味深に言う『あのお方』とは。

「おれの口から言うことは出来ねェぜ残念ながらな。口止めされてるもんでなァ。さっきも言ったが『あのお方』はいずれ承太郎、おまえを殺しに来る。その時に嫌でも分かるだろうよ」

そう言うとプッチの時と同様にホル・ホースも光に包まれて消えた。

「チッ、逃げやがったか…」

普段から感情を表に出すタイプではない承太郎だが、スタンドを奪われて何も出来ない現状に心穏やかではないだろう。

 

「おい女、さっきてめぇホル・ホースから空条徐倫と呼ばれていたな。それに未来の人間だとか…何のことだ」

「あたしの名前は空条徐倫。信じられないだろうけど2011年から来たのよ。そしてあんたの娘よ」

「娘…だと……」

「娘ェ⁉︎」

当の本人よりジョセフの方がリアクションがデカかった。

「てことはわしの曾孫か?でもその歳までわしは生きているのかのォ」

「黙ってろじじい」

呑気なジョセフに承太郎が冷たく言った。

「そして最初に来てスタンドを奪ったエンリコ・プッチはあたしの時代にいた男で、この時代で死んだDIOの友人だったらしいわ。それ以上はあたしも知らないけど…」

「DIO…まさかまだ奴の名前を聞くことになるとはな……」

「とにかくあたしはこのDISCのスタンドを使って時間を移動するわ。元の時代に戻る為にもプッチを追う為にもね」

「君一人で行くのか?」

ジョセフがそう尋ねた。だがスタンドの使えない承太郎を連れて行くわけにはいかない。

「えぇ。正直今のあんた達が来ても足手まといになるだけよ。あんたのスタープラチナはちゃんと取り返して来てあげるわ」

「………」

承太郎はそれに対して何も言わなかった。顔にも感情を出してはいない。

「わしのハーミットパープルでは足手まといになるだけと言いたいのか?」

むしろジョセフが食いついてきた。スタンドの使えない承太郎、気を失っているポルナレフとは違い現役バリバリなのだから。

「あっいや…別にそんなわけじゃないけど……」

「だったらわしを連れて行かない理由を述べて欲しいもんじゃのう」

腹が立っているというより反応に困る徐倫を見て楽しみ始めたジョセフ。

「理由って言われても……じゃあこの中でまともに戦えるのはあなただけだから残っておいて……これで良いかしら?」

「丸め込まれた気もするが仕方ないのう、それで納得するとしよう。キミがそのDISCとやらを取り戻して来てくれるのを待っているとするよ」

「あたしをからかってたのね…やれやれだわ……」

「やれやれとはさすがは娘じゃのう!承太郎と似たようなことを言うの〜」

ジョセフが承太郎の肩をボンボンと叩く。だが承太郎はノーリアクションで

「うるせーじじい」

と一言吐き捨てた。徐倫にもジョセフにも分かった。今の承太郎は相当機嫌が悪いと。

「と、とにかくあたしは行くわ。ここはよろしくね」

重い空気から一刻も早く逃げ出したかった徐倫はさっさとDISCを使い、プッチやホル・ホースと同じように身体から光を放ちその場から消えた。

「おおっ…ホントに消えた…ホル・ホースが持ってきたDISCじゃから疑っとったんじゃが……良かったのう」

「………」

承太郎は何も答えなかった。

「えっと……そうじゃ!早くポルナレフを病院を戻さんとな!操られて抜け出して来た上にボコボコにされたんじゃ、かなりの重症じゃろうからな」

「あぁ……」

承太郎は顔色一つ変えずに歩き出した。ジョセフはポルナレフをおんぶして後を追った。

 

第3話完。

 

 

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第4話「戦闘潮流 その①」

光に包まれた徐倫は気がつくと全く別の場所に立っていた。

「ここは……?」

なんとなく見覚えがあるような気がしなくもないが、感じが違う。

「もしかしてここアメリカ?ニューヨーク辺りかしら…ってことはホントにあたしは時間移動したってこと?」

「おいてめぇそこで何してんだ?」

いきなり徐倫は背後から男に声をかけられた。

「いや何って別に……」

振り返るとそこには歳が変わらないぐらいの男が立っていた。しかし見た目からしてアメリカ人ではない。ヨーロッパの方に見える。

「明らかに怪しいだろねぇちゃんよォ。見た目からしてアメリカ人だろうが、キョロキョロしながら歩いてたら怪しさ満載だぜ?」

この男は妙に頭がキレるらしくいきなりニューヨークに飛ばされて挙動不審気味だった徐倫の怪しさにすぐ気が付いた。

(なんか変な男に目をつけられちまったな……どう誤魔化すか……)

「JOJO〜何してるの?」

「ジョ…ジョジョ?」

そこへ日傘を差した一人の女がやってきた。男の知り合いのようである。

それよりも徐倫は男がJOJOと呼ばれていることが気になった。

「JOJO!もしかしてナンパしてたの⁉︎」

「んなわけねェだろスージーQ!おれたちの家の前で挙動不審な女がいたから尋問してたとこだっつーの」

男はしていないが女の方は左手の薬指に指輪をしていた。

(まさか…こいつら夫婦か?)

「もしかして空き巣!いやぁぁぁ!」

ややオーバーリアクションの嫁スージーQ。徐倫は早くもイラっとしていた。

「そういえばリサリサはどうした?」

「リサリサ様ならSPWさんと一緒に勝手にやっちゃった葬式の処理をしているわ」

「えっ⁉︎ そんなのやってたのか⁉︎ だいたいおまえのせいなんだからなアレは!なのにおれたちだけ何のこのこ帰って来てんだよ!」

もはや徐倫を無視して痴話喧嘩を始めたJOJOとスージーQ。

(このスキに逃げるか…でもJOJOって呼ばれてるってことはこいつもジョースター家の人間?過去か未来か知らないけど…)

「じゃなくてまずはこの女だぜ今は。おまえ名前なんてんだ?」

ようやくJOJOが話を戻した。

「あたしは空条徐倫よ」

「ジョリーン?おまえもしかして日本人とのハーフとかか?顔はどう見てもアメリカ人っぽいもんなァ。ところでここで何してんだ?」

「単刀直入に言うわ。あんたはジョースター家の人間よね、名前は?」

「おい!質問してんのはおれだぜ?」

「良いから答えて!」

徐倫の迫力に押されたJOJOは

「ジョセフ・ジョースターだ」

と名乗った。

「ジョセフ・ジョースター?」

徐倫が驚くのも無理はない。つい先ほどじじいのジョセフ・ジョースターと出会っているのだから。

(ということはさっきよりさらに過去に来たってことか…)

「あんたまだスタンドは奪われていない?」

「あ?スタンド?何言ってんだおまえ」

「だってあんた、ハーミットパープルとかいうスタンドを持っているんじゃないの?」

「ハーミットパープル?おまえ頭パープリンなのかァ?」

(スタンドを知らないの?てことはこの歳のジョセフ・ジョースターはまだスタンドに出会っていないのね…)

「それよりてめぇおれの質問に全然答えてねェじゃあねェか!いつから立場逆転してんだ!」

「JOJO、何をやっているの」

そこへもう一人女がやってきた。

「あぁリサリサ、戻って来たのか。おれたちの家の前でこそこそしてる女がいるからちーっと尋問してやってたのよ」

(また人が増えた…)

徐倫は段々と話が面倒くさくなっていることを感じていた。

(この時代にはまだスタンドがないってことか…ならここにプッチが現れることはない。飛んでくる時代を間違えたのか)

「見つけたぜリサリサ先生!JOJO!」

また誰か来たのかとため息をつく徐倫。しかし三人の表情が変だった。まるでお化けでも出たかのように。

「お、おまえが何でここにいるんだよ……」

「知れたこと!先生!JOJO!おまえたちを殺す為だ!スタンドが使えないとはいえ『あのお方』の妨げになる人間は殺す!」

「『あのお方』?」

ここで徐倫はこの時代も敵の手が既に及んでいることが分かった。

「それよりおまえが何で生きてんだって聞いてんだ!シーザー!おまえは…ワムウとの戦いで死んだ筈だ…」

そこに立っていたのはシーザー・アントニオ・ツェペリ。この時代では既に死んでいる筈の男なのである。

「おれ話『あのお方』のおかげで地獄の底から蘇ったんだ!JOJO!おまえを殺す為にな!」

そう言ってシーザーは構えた。

「リサリサ先生、スージーQ、下がってろ。奴は本気だぜ」

対するジョセフも構えた。

「シーザー、なんでおまえが生きていておれたちに向かって来るのか知らねェが、とりあえずぶちのめして吐いてもらうぜ」

「おれを殺したワムウを倒したからって良い気になるなよJOJO!おまえごときにおれは負けん!」

ジョセフとシーザーは徐倫をほったからして戦いを始めようとしていた。

「必殺!シャボン・ランチャー!」

 

第4話完。

 

 

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第5話「戦闘潮流 その②」

「シーザー、なんでおまえが生きていておれたちに向かって来るのか知らねェが、とりあえずぶちのめして吐いてもらうぜ」

「おれを殺したワムウを倒したからって良い気になるなよJOJO!おまえごときにおれは負けん!必殺!シャボン・ランチャー!」

「おまえこそおれのこと舐め過ぎじゃねェのかシーザー!おれは柱の男四人を全員やっつけたんだぜ!」

そう言うとジョセフは懐からアメリカンクラッカーを取り出した。

「こっそり買い換えてあったんだぜ!おまえのシャボンなんざ怖かねェ!クラッカーヴォレイ!」

ジョセフはアメリカンクラッカーでシーザーのシャボン・ランチャーを全て割ってみせた。

(あいつらの能力…スタンドじゃない……だとしたらアレは一体……)

波紋を知らない徐倫はスタンド使いでもないのにいろいろとやるジョセフとシーザーの戦いを不思議に思っていた。

「どうよシーザー、おまえは次に『舐めんなよJOJO!おれはシャボン・ランチャーだけじゃねェ!』と言う!」

「舐めんなよJOJO!おれはシャボン・ランチャーだけじゃねェ!……ハッ!」

「普段のおまえはいざ知らず、操られてるだけのおまえになんざおれは負ける気がしねェぜシーザー!さっさと元に戻りやがれ!」

ジョセフがそう言うと突如シーザーを縄で縛り付けた。

「なっ…JOJO!貴様いつの間に!」

「どうやらシーザー、てめぇを操ってるやろうはおれの戦い方を熟知してねェようだなァ!」

そう言うと縄を引っ張ってシーザーを引き寄せてそのまま殴り飛ばした。

シーザーはそのまま気を失った。

「また起きたら襲ってくるかもしれねェな……」

「大丈夫よ」

そう言ったのは徐倫だった。

「どういうことだ?」

「たぶん一度気を失わせれば次に起きた時には元に戻っている筈よ。前もそうだったから」

「おまえ…何か知ってるのか」

「少しはね」

徐倫は自分の知っていることを全て説明した。

自分が2011年のアメリカから来たこと。ここへ来る前に1987年のエジプトに行ったこと。そこで既に同じ現象を目撃していること。そしてエンリコ・プッチを追ってこの時代へやって来たことも。

「言ってる意味がちんぷんかんぷんだぜ…本気で言ってるのか?」

「ジョセフ・ジョースター、あたしはあんたの50年後に会って来たわ」

「50年後⁉︎ どんなんだったんだ?いやいや、やっぱり聞きたくねェぜ!」

「うっ…ここは…何処だ?」

ジョセフが一人でバカやってる間にシーザーが目を覚ました。

「シーザー!大丈夫なの⁉︎」

リサリサが真っ先に駆け寄る。

「先生……それにJOJO……ハッ!おれはワムウに殺された筈だ!何故おれの目の前に先生とJOJOが!」

「それはおれが聞きたいぜ。シーザー、おめぇさっき『あのお方』とか何とか言ってたがそれは何なんだ?」

「なに?『あのお方』?何の話だ」

「おまえ…覚えてねェのか?」

どうやら操られてる間の記憶は全くないようである。

ジョセフたちは徐倫から詳しい話を聞くために、徐倫とスージーQをまず家に入れた。

「にしてもおまえ…本当にシーザーなのか?」

「あぁ…おれにもよく分からないが確かにシーザー・アントニオ・ツェペリだ」

「そうかい……」

そう言うとジョセフはシーザーから目をそらして天を仰いだ。そしてリサリサも顔を手で抑えている。

「どうしたJOJO?それに先生も…」

「何でもねェぜ…」

死んだ筈のシーザーが目の前にいる…ジョセフとリサリサには感情を完全に押し殺すことは出来なかった。

 

「た、大変です!」

感動ムードに包まれていた中、SPW財団の一人が血相変えて走って来た。

「どうしたんだ?そんなに慌てて…」

「ドイツ軍から極秘の連絡によれば…スイスに死んだ筈の柱の男たちが現れたと!」

「な、にゃんだとォォォォ⁉︎」

確かに柱の男は全員ジョセフが倒した筈。不老不死になったカーズも宇宙へ追いやった筈。生きていることなどあり得ない。

だがジョセフは思った。シーザーが生き返ることがあるのなら柱の男たちもあり得るのではないか…と。

ジョセフとシーザーとリサリサは急いで財団の男の案内でスイスへと飛んだ。

「あの子に何を言わずに来て良かったのか?」

「柱の男との戦いはおれたちの問題だ。それにあの女は波紋は使えねェ。波紋もなしで奴らに対抗すんのは無理だぜ」

「何故そんなことが分かるんだ?」

「おれとシーザーの戦いを見ていた時の表情を見れば分かるぜ。まぁあの女は波紋とは別の何か特別な能力は持っているようだがな」

 

ジョセフたちがスイスへ飛んだことなど知る由もない徐倫はスージーQと共に家のリビングでジョセフたちが来るのを待っていた。

「遅いわね、まだ三人で話してるの?もう」

「ちょっと見てくるわ」

怪しんだ徐倫が家の前まで行ってみると、そこにジョセフたち三人の姿はなかった。

「あれ?何処行ったの?」

かなり呑気なスージーQとは違い、何かが起こったのだということをすぐに感じ取った徐倫。

「ねぇ、あのジョセフたちが戦った敵って誰!」

 

第5話完。

 

 

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第6話「戦闘潮流 その③」

ジョセフたちはSPW財団の案内で復活した柱の男たちがいるという場所に辿り着いた。

そこはかつてシーザーとワムウが死闘を繰り広げた廃墟とかしたホテルだった。

「あそこに柱の男たちがッ!」

誰よりも気合が入っているシーザー。

「柱の男って具体的に誰が復活したんだ?」

「おそらく全員だと思われます…」

「にゃ、にゃにィィ⁉︎」

かなりのオーバーリアクションのジョセフ。その理由がシーザーには分からなかった。

柱の男全員を倒した筈のジョセフが。

「どうしたJOJO、まさかまたおれが奴らに負けるとでも思っているのか?」

「いや違うぜシーザー、ワムウはもはや問題じゃねェ。最大の問題はカーズが戻って来たってことだ」

「カーズが?」

確かに柱の男共のリーダーで警戒するのはわかるが、ワムウを問題外というほどなのか…カーズと戦いを見たことがないシーザーは分からなかった。

「カーズは赤石で究極生命体になったんだよ。太陽も克服してな」

「な、なんだと……」

「だからおそらく昼間カーズがあのホテルにいるのはワムウやエシディシの為だろう。そして奴らは必ずおれたちの下へやって来る!赤石をもう一度手に入れてワムウとエシディシも究極生命体になる為になっ!」

「じゃあJOJO、赤石は今おまえが持っているのか?」

シーザーがそう尋ねたがジョセフから反応がない。

「おいJOJO!聞いてるのか!」

「いやぁまぁそれが…カーズと一緒に岩盤で打ち上げられた後、おれは海に落ちたんだが……その時に赤石を何処かへやっちまってよ。今や海の中だ」

「なんだとォ⁉︎」

「じょ、JOJO!」

どうやらリサリサもそのことは聞かせれていなかったようである。

「だからとりあえずワムウとエシディシが究極生命体になることは絶対ないからよ、今がチャンスだぜ!」

「誤魔化すなJOJO!」

「悪いって!あっそういえばあの赤石、波紋増殖機だったみたいだぜ」

「なおさらどうするんだよ!」

思わずシーザーはジョセフの胸ぐらを掴んでいた。

「もう良いです。シーザー落ち着きなさい」

「先生……」

「過ぎてしまったことは仕方がありません。今は何より奴らを再び消滅させることが我々の使命!」

「そうそうそうだぜシーザー、まぁカーズのことはこれから考えていこうぜ」

ジョセフがそう言うとリサリサが無言に睨んだ。顔に出していないがリサリサも怒っているようだ。

「分かった分かった、もうおれ何も言わないから」

 

ジョセフとシーザーとリサリサの三人はホテルへと向かった。ジョセフとリサリサは中の構造はだいたい分かっている。

すると突然床が抜け三人はバラバラに落ちて行った。

「し、しまった!罠かっ!」

シーザーが辿り着いた先には柱の男が一人立っていた。

「おまえ…誰だ?……ハッおまえはサンタナかっ!」

シーザーの前にいたのはカーズでもワムウでもエシディシでもなくサンタナだった。

蘇っていたのは三人だけではなかったのだ。

「おまえも波紋使いか……欲を言えばJOJOを殺したかったが仕方ない。貴様で我慢してやるか」

「フッ…それはこっちのセリフだぜサンタナ!おれのワムウとカーズを殺しに来たのだ!おまえなど眼中にあるかっ!」

「太陽の届かんこの場所ならおれは負けん!」

シーザーとサンタナは共に構えた。

 

一方リサリサが落とされた場所にも柱の男が一人立っていた。

「ここは…」

「おれの相手はおまえか。欲を言えばJOJOと戦いたかったのだがな。カーズ様がそうおっしゃるのなら仕方ない」

「おまえは…ワムウ!」

そう。リサリサの前に立っていたのは柱の男の中でも戦闘の天才と言われるワムウだった。

「おれは女を殺すのは好かないがいた仕方あるまい!貴様を始末させてもらう!」

 

「いててて…いきなり床抜けるとか無しだろ!」

ジョセフの前にも当然柱の男が一人立っていた。

「やっときたなJOJO〜!ワムウが貴様と戦いたがっていたが、貴様を殺すのはおれだぜJOJO!」

「てめぇは…エシディシ!」

ジョセフの前にいたのはエシディシだった。

「てっきりおれのところにはカーズが来ると思っていたんだがな。カーズでもワムウでもなくてめぇとはなエシディシ!」

「カーズはこの戦いを高みの見物を決め込んでいるぞ。おれが知らぬ間に赤石をちゃんと手に入れていたようでな」

「ってことはシーザーとリサリサの相手はどちらかをワムウがやってるとして…」

「残るはサンタナだ」

サンタナ…と言われて一瞬考えたジョセフだったが、すぐに思い出した。

メキシコで一番最初に出会った柱の男である。

「サンタナまで蘇っていたのか⁉︎ それで3VS3ってわけか…」

「話はこれで終わりだJOJO!今度こそおまえをグツグツのシチューにしてやるぜ!」

「チッ、まずはエシディシ!てめぇからやってやるぜ!」

すると突然とんでもない地震が起こり壁が崩れ去った。

「な、なんだァ⁉︎」

当然それはサンタナと戦っていたシーザーのところへも伝わっていた。

「ま、まさかこれはワムウの……」

 

第6話完。

 

 

またお会いしましょう



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第7話「戦闘潮流 その④」

突然とんでもない地震が起こり壁が崩れ去った。

「な、なんだァ⁉︎」

当然それはサンタナと戦っていたシーザーのところへも伝わっていた。

「ま、まさかこれはワムウの……」

ジョセフもシーザーもすぐに分かった。この破壊力はワムウの神砂嵐だと。

「ワムウと戦っているのはJOJOか先生なのか…どちらにしろ危険だ!」

「よそ見をしている場合かァーッ!!」

完全に気がそれているシーザーにサンタナは攻撃を仕掛けたが

「今おまえに構ってる暇はねェ!」

「なっ、こっこれは…」

気付かぬうちにサンタナはシーザーのシャボンにとらわれていた。

「ぐあぁぁぁぁっ!!」

当然シャボンには波紋が流れているのでサンタナの身体はみるみる溶け始めた。

 

一方ジョセフもワムウの方ばかり気になっていた。

「おいJOJO!ワムウと戦っていたあの女はもう助かるまい。だがおまえもすぐに後を追わせてやるぜェ!」

エシディシがスキだからけのジョセフに襲いかかる。

「ワムウと戦っていたのはリサリサだったのか…悪りぃがエシディシ、おまえに構っている暇はなくなったぜ」

「ほざけJOJO!」

「おまえはバカだなエシディシ、同じ手に二度引っかかるとはな」

ジョセフがそう言うとエシディシの身体に糸が縛り付けられた。

「な、何ィィィ⁉︎」

「おれに勝ちたいならもっと知能を磨くことだな!」

「ぬぉぉぉぉ!!」

エシディシも波紋を流されて身体が溶けていった。

 

ジョセフとシーザーは同じタイミングで壊れた壁からワムウのいる部屋に入った。

そこにはワムウと気絶したリサリサがいた。

「せ、先生!」

シーザーが先に駆け寄る。

「だ、大丈夫だ!怪我はない、おそらく神砂嵐を避けた風圧で壁に叩きつけられただけだ」

「やっぱりてめぇは一筋縄じゃいかねェみたいだなワムウ!」

ジョセフとシーザーはリサリサを端に寝かせると共に構えた。

「JOJOにシーザー、ここへ来たということはエシディシ様とサンタナを倒して来たということか。ならばこのワムウ、おまえたちをまとめてしとめる!」

「まさかシーザー、おまえと一緒に戦える日が来るとは思わなかったぜ」

「おれを足を引っ張るなよJOJO!」

「それはこっちのセリフだ!」

 

ジョセフとシーザーがワムウと死闘を繰り広げている頃、スージーQからSPW財団の話を聞いた徐倫は、財団の飛行船に潜り込みスイスまでやって来ていた。

「その柱の男とやらを甦らせたのは間違いなく操られた人間がこぞって言う『あのお方』の仕業…でもこの時代にはスタンド使いはいない筈……一体何の目的で…」

徐倫はそしてやたら周りに人が多い寂れた建物を発見。

「SPW財団の人間らしき奴らがたくさんいるわ…おそらくジョセフたちがあの中に柱の男共と戦いにいったのね。何とか忍び込まないと……」

 

一方ジョセフ&シーザーVSワムウの戦いは依然続いていた。

「やはりやるなJOJOにシーザー。おまえたちと再び戦えたことを誇りに思うぞ」

「何勝ったつもりでいやがるんだワムウ!周りをよく見てみろ!」

「何?これは…」

ワムウの周りには大量のシーザーのシャボンレンズが漂っていた。

「何のつもりだシーザー、ここには太陽の光は入ってこない。おまえのシャボンレンズなど何の意味も持たない」

そう言うとワムウは神砂嵐の構えを見せた。シャボンをシーザーごとすべて吹き飛ばそうとしている。

「待てよワムウ!おまえの相手はおれ一人か?」

「なっ…しまった…」

「ここよここ、ここにおれがいるのを見逃さないで欲しいのよーん」

ジョセフはいつの間にかワムウの後ろにいた。

「シーザーは劣りかッ!」

「今頃気付いても遅いぜ!波紋疾走(オーバードライブ)!!」

ジョセフは波紋を込めた拳でワムウを殴り飛ばした。

「今だシーザー!!」

「喰らえワムウ!必殺!シャボンランチャー グライディン!!」

さらに追い討ちでワムウにシーザーのシャボンランチャーが直撃。

「み…見事だJOJO…シーザー……」

ワムウはそう言い残すと波紋で溶けて消えていった。

 

すると建物がガラガラと音を立てて崩れ始めた。

「ま、まずい!神砂嵐のせいでこの地下部分が崩れ始めている!」

「チッ、さっさと脱出すんぞ!」

ジョセフとシーザーは眠っているリサリサを抱えて、ワムウの部屋にあった階段で上へと上がった。

上がった先はロビーで穴は既に塞がっていた。

「あれだけ地下はボロボロだったのにここは何ともねェな」

「ワムウの神砂嵐にも耐えられるような構造だったのか地下は…後はカーズ一人!……ハッ!」

突然シーザーが大声をあげた。

「あん?どうしたシーザー、いきなりデカイ声出しやがって」

「先生がいない!」

「なんだとォ⁉︎」

ほんのついさっきまでそこにいた筈のリサリサがいなくなっていたのだ。

「おいシーザー!ちょっと地下から連れてきたんだろうな!」

「当たり前だろ!そこに寝かせておいた筈なのに……」

「おいまさか……」

ジョセフには嫌な予感がしていた。ただ一人残っているカーズ、気絶したリサリサ。

「女ならここにいるぞJOJOにシーザー」

 

第7話完。

 

 

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第8話「戦闘潮流 その⑤」

ジョセフには嫌な予感がしていた。ただ一人残っているカーズ、気絶したリサリサ。

「女ならここにいるぞJOJOにシーザー」

「こ、この声は…カーズ!」

ジョセフとシーザーが声のする方を見るとカーズがリサリサに光の刃を突きつけて立っていた。

「てめぇカーズ!」

「究極生命体となったこのカーズ、こんなことをせずとも貴様らを殺すなど簡単だ。だができるだけ汗をかかず、危険を最小限にし!バクチをさけ!戦いの駒を一手一手動かす、それが『真の戦闘』だッーーッ!」

「くそっ…先生を人質にしておれたちをまとめて殺るつもりかッ!」

カーズは二人を見下しながらあざ笑っていた。

「妙な動きはするなよ?波紋の呼吸をしただけでもこの女の首を跳ねる!シーザー、おまえのようにこの女が生き返ることはない!おまえはただ『奴』に駒として生かされただけなのだ」

「『奴』?誰だそれは!」

カーズが柱の男以外に仲間がいるなんてことはない。だがジョセフにはシーザーが操られていた頃に心当たりがあった。

(確かシーザーも『あのお方』とか言ってやがったな…そいつがあの徐倫が追ってるって奴か)

「わたしは『奴』に忠誠など誓ってはいない。貴様らを殺した後に『奴』も殺してやるつもりだ。この究極生命体となったカーズに手出し出来るものなど存在しない!」

そう言ってカーズは高笑いをした。

「さぁJOJO、まずはおまえがシーザーを殺せ。そうすればひとまずこの女は解放してやろう。出来なければこの女を真っ先に殺す!」

「な、なんだと…」

「さぁ早くやれJOJO!早くしないとこの女の首が無くなるぞ!」

「……JOJO!おれを殺せ!」

シーザーは迷いなくそう言った。

「何言ってやがんだてめぇ!」

「おれは元々のここで死んだ身…先生の為なら死んでやる!」

「ざけんじゃあねェ!」

ジョセフはシーザーを殴り飛ばした。

「てめぇリサリサにあの苦しみをもう一度味わえってのか!死んだ奴より残された奴の方が辛いってことを知りやがれボケがッ!」

「じょ…JOJO…おまえ……」

「どうした?殺せんのか?ならこの女を殺すだけd……」

そう言いかけたカーズが何故かそこで止まった。

全くカーズの方を見ていなかったジョセフとシーザーも見てみると、カーズはまるで何かに縛り付けられているように動けなくなっていた。

「な、なんだァ⁉︎ 何が起こってやがるんだ!」

「何だ…見えん何かで縛られている……」

カーズはそのままリサリサを手放してしまい、それをジョセフがナイスキャッチした。

「これはおまえには見えないわ。いくら不死身の化け物と言ってもスタンド使いじゃないおまえにはね」

「おまえは…空条徐倫!」

そこに現れたのは徐倫だった。徐倫がストーン・フリーの糸でカーズを縛り付けていたのだ。

スタンド使いではないジョセフやシーザーやカーズには存在は全く見えない。

「おまえの倒し方はさっき外でSPW財団から聞いたわ。これしか無いってね」

「何をするつもりd……」

カーズのセリフの最後まで言わさず徐倫はストーン・フリーでラッシュを叩き込んでいた。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」

強烈なラッシュを受けたカーズは天井を突き破り天高くまで飛んで行った。

「こ、この展開は…まさか……まさかァァァ!!」

カーズの嫌な予感はスバリ的中。カーズは大気圏をぶち抜いて宇宙空間へと投げ出された。

「これは…いかん……」

カーズの身体はみるみる凍り付き、やがてまたしても動けなくなり考えるのを止めた……。

 

「流石だぜ空条徐倫。承太郎の娘なだけあるぜ」

カーズをぶっ飛ばしたホテル跡に一人の男が現れた。

「おまえは確かホル・ホース!」

「よぉ覚えておいてくれて嬉しいぜェ」

そう。現れたのはホル・ホースだった。

「そんなおまえの為に一つだけ言っておいてやるが、ここにはおまえが探してるエンリコ・プッチはいないぜ?何故だかは分かるよな?」

「えぇ、ここにはスタンド使いはいないわ。なら何故あたしはここへ来たの?」

「まぁおそらく『あのお方』はスタンド使いじゃないにしてもジョースターの血統の人間を始末するつもりだったんだろうな。それをおまえに渡したDISCのスタンドが感じ取って連れて来たんだろうよ。おれが言えるのはここまでだ。また次の時代に行くこったな」

そう言い残すとホル・ホースは再び光に包まれて消えて行った。

「チッ…また逃げられた……」

(でもプッチがいないなら早く次の時代へ行こう)

徐倫がさっさと次の時代へ行こうとすると

「ちょっと待ちな徐倫、おまえもしかしてこのまま行くつもりか?おれたちにもちゃーんと説明してもらおうか?」

ジョセフに肩を掴まれて呼び止められた。

 

第8話完。

 

 

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第9話「黄金の風 その①」

「ちょっと待ちな徐倫、おまえもしかしてこのまま行くつもりか?おれたちにもちゃーんと説明してもらおうか?」

ジョセフに肩を掴まれて呼び止められた。

「あんたたちには関係のないことよ」

徐倫はそう言ってジョセフの手をはらった。

「関係ないだとォ?こっちは既に巻き込まれてんだよ!」

「おいJOJO、その女は任せた。おれは先生をホテルまで連れて行く」

「あぁ頼んだぜ」

シーザーはリサリサを抱えてその場を後にした。

徐倫の前にはまだジョセフがイライラしている顔をして立っている。

「聞いてんのか?無視決め込んでじゃねェぞ?」

「別に無視してるわけじゃないけど…スタンド使いじゃないあんたにはどうすることも出来ないわ」

「どいつもこいつもスタンドスタンドってうるせェな。だったらどうやったらそのスタンドってのは使えるようになんだ?」

「さぁ知らないわ」

徐倫はさっさとジョセフとの会話を終わらせて次へ行こうとしていた。

「だったらおれを連れてけ」

「はぁ⁉︎」

「聞こえなかったか?おまえが行く時代とやらにおれも連れてけって言ってんだよ」

「おまえもそのつもりだったのか」

そこへシーザーが戻ってきた。

「おまえも?ってことはあんたも?」

「おれが何故生き返ったのか知る義務がある!例えそのスタンドが使えなかったとしてもな!」

「ほらほらこう言ってんだぜ?おれたち二人も連れてけや」

ジョセフはもはや脅迫気味である。

「いえ、わたしも行きます」

何とそこへリサリサもやって来た。

「せ、先生!もう大丈夫なのですか⁉︎」

「わたしは大丈夫よシーザー、それより嫌な予感がするのです」

「いや…誰一人連れて行くって言ってないんだけど……」

結局徐倫は断りきれず、ジョセフとシーザーとリサリサの三人を連れて行くことになった。

 

次に飛ばされた場所はこれまた空気の違う場所だった。

「あー?なんだァここは?全く知らねェ場所に来ちまったぞ」

「いや…待て!ここはイタリアだ」

「イタリア?」

「あぁここは恐らくイタリアのコロッセオだ」

シーザーはイタリア出身なのである。

「コロッセオ?確か前に来たなァ…あっ!カーズたちが眠っていた場所か、ここで毒の指輪を入れられたんだったな…嫌な思い出だぜ」

「時代は違うだろうけどね」

しばらく四人はその場を見渡していると

「おい何者だてめぇら!そこで何してやがる」

気がつくと銃を構えた男率いるヤバそうな男たちに囲まれていた。

「ちょっと来てもらうか」

結局四人はそのヤバそうな奴らに連れて行かれ、気がつくと牢に入れられていた。

「おい待てよ!いきなりなんだこの展開はッ!」

ジョセフが大声で叫ぶ。牢には四人以外いないのか響き渡る。

「おれてっきりイタリアの奴はシーザーみたいにキザな野郎ばっかだと思ってたのによォォ!」

「おいそれどういう意味だJOJO!」

「えっ?あぁ声に出てたな…」

「まぁ良い、だいたいイタリアにだってギャングぐらいいるさ。あの感じからしてイタリアのギャングだろうな」

ジョセフやシーザーには分からなかったが、徐倫には分かっていた。

さっき銃を突き付けて来た男がスタンド使いであることを。

「おれたちが西部劇みたいな男が言ってた奴を追って来たんだろ?こんなところに捕まっちまったら元も子もねェぜ!」

誰も何も喋らないのでジョセフが一人で叫んでいた。

「うるさいぞJOJO、そんなに騒いでも何も変わらないだろ」

「だったら何か?シーザー、おまえは黙って策でも練ってるってのか?」

「あっあぁ…」

「おいシーザー、てめぇ何も考えないな?」

「そんなわけないだろ!」

そんなジョセフとシーザーのやりとりを徐倫は完全無視で考えていた。

(あたしがこいつらの世界へ行ったらすぐにジョセフに出会った…ということはさっきのスタンド使いもジョースターの血統の人間の仲間?いづれにしても無関係ってことはない)

「あなた、何か気になることでもあるようね」

ガキばかりの中で唯一の大人リサリサが考え込む徐倫に気が付いていた。

「まだ分からないわ。でもあたしたちの目的が近いことは確かよ。このギャングの中にジョースターの血統がいる。あたしたちはプッチよりも先にそいつを見つけないといけない」

「ということはシーザーや柱の男のように敵に操られた存在もいるかもしれない…ということね」

「そんな存在がいたら危険よ。そうなったらプッチがもうこの世界に来ているということだから…」

口喧嘩をする男を無視して話を進める女二人。

「おい!何おめぇらだけで話進めてんだァ?おれにもちゃんと説明しろ!」

「だから一旦黙れJOJO!詳しい事情はその徐倫って子しか知らないんだ!おまえが出しゃばっても仕方ないだろ!」

「こいつが全然教えねェのが悪いんだろうが!」

「やれやれだわ……」

 

一方その頃徐倫たちを捕らえた銃使いの男はギャングのボスに報告に向かっていた。

「コロッセオをウロついていた変な奴らを捕まえたぜ、どうするジョルノ」

「変な奴ら?…ミスタ、そんな理由だけでわざわざ拘束してきたんですか?」

 

第9話完。

 

 

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第10話「黄金の風 その②」

「コロッセオをウロついていた変な奴らを捕まえたぜ、どうするジョルノ」

「変な奴ら?…ミスタ、そんな理由だけでわざわざ拘束してきたんですか?」

「でもあんなとこでウロウロしてるなんて普通の奴じゃねェだろ?しかも今あそこはおれたちが調べてる場所だぜ?」

そこにはこのギャング『パッショーネ』のボスジョルノ・ジョバァーナとNo.3のグイード・ミスタだった。

「ディアボロの事件の後何故か矢が消えちまったからおれたちで探してたんだからよ」

「そうですね…それでありましたか?」

「いいや全然。なんであの時誰も気付かなかったんだよ……ジョルノ!」

「どうしたんですかミスタ?」

その時ジョルノの後ろに突如男が現れた。

「誰だてめぇ!」

「おまえたちに名乗る必要はない。用があるのはおまえたちのスタンドなのだからな」

「スタンドだと!」

そう。そこにいたのはエンリコ・プッチだった。既にジョルノたちのことを嗅ぎつけてこの時代にやって来ていたのだ。

「おまえが『彼』の息子か。さすがにそこそこのスタンドを持っているようだ」

「『彼』?まさかその『彼』って…」

 

そして牢に囚われたままの徐倫たちはいかにしてここから脱獄するかを考えていた。

「なぁなぁ」

みんなに黙れと言われてしばらくだまっていたジョセフだったが、3分で喋り始めた。

「なんだJOJO、おまえは黙ると死ぬのか」

「いやいや忘れてたんだけどさ、さっきコロッセオでこんなもん拾ったんだよね」

ジョセフがそう言って取り出したのは矢の先っちょだった。

「なんだそれ?」

「いやおれも最初はただのゴミだと思ってたんだが、これ持ってたら手から何か変なイバラが出てきてよ」

「イバラ?そんなもの見えんぞ」

「あぁ?おまえシーザー目でもやられたのか?おれの手から出てるだろうが!」

またジョセフとシーザーが騒ぎ始めたので徐倫がチラリと見てみると、確かに徐倫の目にはジョセフの手からイバラが出ているのが見えた。

しかしシーザーにもリサリサにも見えている様子はない。

「それはスタンドよ。あたしも前にそれと似たようなものを触ってスタンドが身についたわ」

「これがおれのスタンドなのか⁉︎ どんなのなんだ?徐倫みたいに敵をぶっ飛ばせたりすんのか?」

「見た感じそうは見えないけど…」

ジョセフのスタンドはハーミットパープルだった。若かろうがスタンドは一人一つ。そのルールは変わらない。

「じゃあシーザー、おまえもこれに触ってみろよ。スタンドが身につくぞ」

「ホントなのか?」

疑いながらもシーザーも矢に触れた。するとジョセフとは違い徐倫と同じように背後に何かが現れた。

「な、なんだァ⁉︎ あれがシーザーのスタンドか?」

するとシーザーのスタンドの周りに大量のシャボンが。

「このスタンドはシャボンを作るスタンドなのか?」

「おまえにぴったりじゃねェかシーザー」

「あぁこのシャボンを波紋で強化すればスタンドにも攻撃が出来るんだな!」

「最後リサリサ先生、あんただせ?」

ジョセフは次にリサリサに矢を渡した。

しかしシーザーのように背後に何も現れない。

「あれ?何これ2回しか使えないの?」

だがよく見るとリサリサの手袋と靴とマフラーが変わっていた。

「えっ?手袋と靴とマフラーがスタンドなのか?」

「肉弾戦でスタンドと戦えるということね」

「ちょっと待って!おれだけ戦闘向きじゃなくね⁉︎」

シーザーとリサリサは波紋使いであることをさらにスタンドで強化したようなスタンドだったが、ジョセフのスタンドはハーミットパープルなので念写である。

「全員スタンドが見えるようになっただけで良いことよ。早くここを出るわ」

徐倫は騒ぐジョセフを無視して、ストーン・フリーでよそ見をしていた見張りから鍵を盗むと牢を開けてその見張りを殴って気絶させた。

「ここの上まで行くわよ」

「ひーホント女って怖いぜ!」

 

徐倫たちはギャングの目を欺きながらジョルノの部屋まで辿り着いた。

扉を開けるとそこにはジョルノとミスタ、そしてプッチがいた。

「プッチ!やはり来ていたのか!」

「早いな空条徐倫。だがここでのわたしの仕事は終わった。ゴールド・エクスペリエンスとセックス・ピストルズのDISCは既に奪ったのだからな。ついでに言っておこう、おまえたちの部下のパープルヘイズも既に奪ってある。故におまえたちは無力だ」

そう言うとプッチは光を放って消えた。

「くそっ!一歩遅かったかッ!」

「あいつが徐倫の追ってるエンリコ・プッチか…」

「おいおまえら、さっきの男のこと何か知ってんのか?」

完全に取り残されたジョルノとミスタ。

「えぇ。とりあえず今言えることはあんたたちはもうスタンドは使えないわ。奴からDISCを取り返すまではね」

「ジョルノ・ジョバァーナにグイード・ミスタだな。それにそっちは空条徐倫とジョセフ・ジョースターか。『あのお方』の命によりてめらを始末しに来た」

「また来たか…」

徐倫やジョセフは冷静だったが、その男をみたジョルノとミスタはかなり動揺していた。

 

第10話完。

 

 

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第11話「黄金の風 その③」

「ジョルノ・ジョバァーナにグイード・ミスタだな。それにそっちは空条徐倫とジョセフ・ジョースターか。『あのお方』の命によりてめらを始末しに来た」

「また来たか…」

徐倫やジョセフは冷静だったが、その男をみたジョルノとミスタはかなり動揺していた。

「何故…あなたがここに……」

「なんだァ?てめぇらのそのリアクションは。そこの男、もしかして死んでた奴か?」

「え、えぇ…ブローノ・ブチャラティ……奴との戦いで死んだ筈なのに」

物分かりの早いジョルノは突然やって来た徐倫たちにも普通に話した。

「だったらおまえら下がってな。スタンドさっきの神父に奪われたんだろ?だったらここはおれたちに任せときな!」

そう言うとジョセフは腕からハーミットパープルを出した。

「おいところで徐倫、このスタンドって具体的にどんな能力なんだ?もしかして樹木を操ったり出来んのか?」

「……念写よ」

「あぁ念写か……念写⁉︎」

なんだかんだで戦えるスタンドだと思っていたジョセフ。

「オーマイガーッ!…だがこのイバラのスタンドで戦う方法を思いついたぜ!ここはおれに任せてもらおう!」

ジョセフがそう言って一歩前に出た。

「良いだろう。ならまずはおまえから始末させてもらおうジョセフ・ジョースター」

「気をつけてください!ブチャラティのスタンドは近距離パワー型です!」

ジョルノはそうジョセフに忠告したが

「あ?近距離パワー型?どういうことだそれは」

スタンドのことをまだ何も知らないジョセフは射程距離のこともよく分かっていない。

「まぁ良い、勝利というのは戦う前に既に決定されている。たとえおまえのスタンドがどんなものだろうとな」

「おまえのそのスタンドじゃおれには勝てない」

ジョセフもブチャラティも互いに余裕だった。

「よほど自分のスタンドに自信があるようだな。次におまえは『おれのジッパーで拘束させてやるッ!』…と言う!」

「おれのジッパーに拘束させてやるッ!……ハッ!」

「さらにおまえはこう言う。『何故おれのスタンド能力が分かった』とな」

「何故おれのスタンド能力が分かった……ハッ!」

完全に状況はジョセフのペースだった。

「おまえのその派手な服とスタンドのデザインを見れば容易に想像はつく!おまえは戦う前から自分の能力を丸出しなのに気付かねェのか?そしておまえは既におれに負けていることに気付かない?」

「なんだと?おれのスタンドを見抜いたぐらいで勝った気でいるのか」

「スタンドを見抜いたぐらいだと?悪いがおれはおまえと戦い始めた時点で勝ちを確信してたぜ」

ジョセフがそう言うとブチャラティは突如縄で縛られた。

「こ、これは⁉︎」

「おれがスタンドなんてちゃちな能力だけに頼ると思ってんのか?スタンドはスタンドでしか倒せねェってなら、本体を叩くのが賢い戦い方ってやつだぜ!喰らえ!波紋疾走(オーバードライブ)!!」

ジョセフはそのままブチャラティを波紋で殴り飛ばした。

 

「まさかあのブチャラティをスタンドも使わずに倒すなんて…」

倒れたブチャラティを抱え起こしながらジョルノが言った。

「それで?おまえらは何者なんだ、あのコロッセオは今立ち入り禁止の筈だぜ」

ミスタの尋問に対し徐倫はことの事情を全て話した。

だがジョルノとミスタが食いついて来たのはタイムトラベルの話でもプッチの話でもなかった。

「その石!矢の先みたいな形じゃなかったか!」

「えぇ…そうだけど…」

「おまえらが拾っていたのか!どうりであの後コロッセオ中を探し回っても見つからねェ筈だ!」

「でも拾ったのが君たちで良かったかもしれない」

 

「また一足遅かったようだな」

するとそこへまたホル・ホースがやって来た。

「この時代でのプッチの目的は既に達成された。だからもう奴はこの時代は来ないぜ?」

「どうも。でもあんたは何であたしたちにそんなことを教えるの?あんたはプッチみたいに『あのお方』とやらに仕えてないっての?」

そう。徐倫には疑問だった。何故ホル・ホースがちょいちょい情報を与えるのかが。

「おれは『ある男』の指示に従っているだけだ。No.1よりNo.2が至上のおれだからな。だがおれだってつく奴は選ぶ、よりNo.1のNo.2になってこそおれは輝くってもんだ」

「『ある男』?それは『あのお方』と一緒なの?」

「さぁな。おれは直接操られた奴と会話したことはないんでな。奴らの言っている『あのお方』がどこのどいつの表しているのかは分からねェよ。それじゃあな」

そう言い残すとホル・ホースはまたしても光に包まれて消えた。

「何なんだあの野郎、だが怪しいぜ。目的が分からねェからな。それに奴の言ってる『ある男』って誰なんだ?」

「さぁまだ分からないわ。でもプッチが慕っている男なら心辺りがあるわ」

「それなら僕にも分かりましたよ」

徐倫だけでなくジョルノも気が付いていた。

「分かってたのか?だったら誰なんだよそいつは」

「プッチが言う男は一人しかいないわ」

「僕の父親と言っていましたから…」

「「DIO…」」

 

第11話完。

 

 

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第12話「ファントムブラッド その①」

「プッチが慕っている男なら心辺りがあるわ」

「それなら僕にも分かりましたよ」

徐倫だけでなくジョルノも気が付いていた。

「分かってたのか?だったら誰なんだよそいつは」

「プッチが言う男は一人しかいないわ」

「僕の父親と言っていましたから…」

「「DIO…」」

その名に聞き覚えのない者はいなかった。

ジョセフもシーザーもリサリサも。親や祖父をディオを巡る石仮面のせいで失っているのだから。

「そのディオが蘇ったってのか⁉︎」

「そうよ。でもあんたたちの思っているディオとあたしの言っているDIOは同一人物であるけど全くの別物とおもって良いわ。あなたたちの知っているディオよりも100年後の存在だから」

「吸血鬼だから100年でも生きてられるってのか……」

「船でジョナサン・ジョースターと共に死んだわけではなかったのね…」

ジョセフたちはディオはジョナサンの共に船の爆発で死んだと思っているので、DIOとして100年後に目覚めていたこと自体知らないのだ。

「そのDIOが黒幕ってのは間違いねェのか?」

「間違いないわ。プッチがあそこまで依存する相手なんて他にいないから」

「僕の父親はDIOです。そしてそのプッチという人が僕を息子だというのであれば間違いないですよ」

「ていうかあんたDIOの息子なの⁉︎」

徐倫たちはまずそこが初耳である。

「えぇ。僕は会ったことはありませんが」

「DIOに会ったことある奴なんかここにいねェよ」

「それもそうね」

ジョセフのツッコミで微妙な空気になったので、次の時代へ出発することになった。

 

徐倫たちはジョルノとミスタに別れを告げ次の時代へ。

するとそこは大きな屋敷のような場所だった。

「コロッセオの次は屋敷か?」

「ここ人の家じゃないのか?こんなことしてたらまた捕まるぞおれたち」

「おいてめぇら!そこで何してんだ!」

シーザーの嫌な予感が的中し、コロッセオの時と全く同じ展開だった。

だが違うのはやって来た人間はたった一人だけだということ。

そしてさらにもう一つ違うことがあった。

それはジョセフとリサリサはその男の顔に見覚えがあったということ。

「おめぇは確か…写真で見た若い時のSPW!」

「おれのことを知ってんのか?いかにもおれはロバート・EO・スピードワゴン!」

その名を聞くとシーザーはもちろん徐倫にも覚えがあった。

「スピードワゴンって、スピードワゴン財団の確か設立者の名前よね…」

「ところで質問してるのはおれの方だぜ!おめぇらはここで何してやがんだ?」

「何って言われても…なぁ?」

ジョセフは他の三人に目をやる。自分たちもここに来たばかりなので、ここが何処で時代は何処らへんなのかも分かっていない。

「いきなり焼失した筈のジョースター邸が復活したって聞いたから来てみればおめぇらがいた。まさかおめぇらの仕業か?」

「すでにこの時代も手が及んでいるようね」

「まぁまぁ落ち着けよスピードワゴンのじいさん、おれたちは別に怪しいもんじゃねェのよ」

「誰がじいさんだ!」

「あっここじゃじいさんじゃなかったな」

仕方がないので徐倫はスピードワゴンにもことの事情を説明した。この時代の具体的な時間軸を聞くためである。

ジョナサンの死前なのか死後なのか。それも知るために。何故ならジョセフの時代よりさらに前なのでスタンドはいないが、ジョースター家の人間がいれば刺客を送ってくるからである。

「そういうことだったのか…俄かには信じがてェがそちらさんがこっちの事情を全て知っていることを見ると、どうやらそのようだぜ」

「ところでスピードワゴン、ディオはもう倒したのか?」

ジョセフが時間軸を確かめる為に尋ねた。

「あぁ…おめぇらはもう知ってるの思うがジョースターさんと相討ちになってな……」

「なら時間軸で考えるのならここへ手が回ることはない筈だけれど…」

「でもあたしたちがここへ来たってことは何か意味がある筈だわ、それにさっきこの館は焼失したって言ってたし」

出来る二人の徐倫とリサリサは状況整理をしていた。

「この屋敷が焼失したのに戻ったってのはホントなのか?」

「あぁ間違いねェ!それを調べにおれはここに来たんだからよ!」

「じゃあやっぱりここにも奴が来てるんじゃねェか」

ジョセフはそう言いながらジョースター邸のエントランスをウロウロしていた。

「ぬわッ!」

そしていきなり大声をあげた。

「なんだJOJO!相変わらずやかましい奴だ」

「違うってシーザー、これを見ろ!」

ジョセフが指差す先にあったのは腸(はらわた)を何かに食い千切られたような姿の化した人間の遺体だった。

「どうやら盗みに入って何かに襲われたようだな…」

「人間を食うってまさかゾンビの生き残りか⁉︎」

「いや、違うね。それはおれの配下の恐竜の仕業よ」

突然上から男の声がした。全員がそっちを見ると階段の上に一人の男が立っていた。

「何もんだてめぇ!」

「おれの名はディエゴ・ブランドー。『奴』の命令により貴様らを食い殺しに来た」

 

第12話完。

 

 

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第13話「ファントムブラッド その②」

「いや、違うね。それはおれの配下の恐竜の仕業よ」

突然上から男の声がした。全員がそっちを見ると階段の上に一人の男が立っていた。

「何もんだてめぇ!」

「おれの名はディエゴ・ブランドー。『奴』の命令により貴様らを食い殺しに来た」

「ディエゴ・ブランドーだと…ディオの兄弟か……」

スピードワゴンが驚くのも無理はない。見た目は若干ディオに似ており、声も瓜二つだったからである。

「まぁおまえたちにはその程度の考えが限界だろうな。もうこの時代にはジョニィ…いやジョナサンだったか。とにかくジョースターはいないってことか」

「ごほんごほん!ごほんごほん!」

ディエゴがそう言うとジョセフはワザとらしく咳払いをした。

「ここ!ここにちゃーんとおれがいるのを見逃さないで欲しいのよーん。おれの名はジョセフ・ジョースター、おまえの探してたジョナサンの孫だぜ!」

「ジョセフ・ジョースターだと?この時代にはまだいない筈だが……なるほど、おまえらのおれと同じく時空の旅をしているというわけか。空条徐倫、おまえが連れてきたのか」

「へぇーやっぱりあたしのことは知ってるのね」

空条徐倫がプッチを追いかけていることは敵側の共通認識であるようだ。

「だがここにジョースターの血統がいたとはな。この屋敷で残る波紋の一族の殺すだけのつまらない仕事にならなくて済んだ」

「みんな下がってて。ここはあたしがやるわ。奴のスタンドはかなり強力なものに間違いない、恐竜を操るなんて並のスタンドじゃない」

徐倫はスタンドの戦いに慣れていないジョセフたちを下げて自ら戦線に出た。

「おれの相手はおまえか空条徐倫、だがどうせ他の奴らは波紋使いだろうからな。おれの相手には役不足だと思っていたところだ。だが!そいつらも見逃すわけにはいかないな」

ディエゴがそう言うと窓ガラスを割って恐竜が入ってきた。

「で、出やがった!」

「そして恐竜を操るだけがおれのスタンド、スケアリー・モンスターズだと思うなよ!URYYYYYYY!!!」

ディエゴの見た目が雄叫びと共に変わっていった。ディエゴ本体も恐竜になったのだ。

「これが奴のスタンド……スケアリー・モンスターズ……」

 

ディエゴが呼んだ恐竜の数は100体ほどもいた。徐倫たちは一気にピンチに追い込まれてしまった。

「チッ、ディエゴ本体は徐倫に任せておれたちはこの恐竜共をやるしかねェってわけか」

「おれのスタンドと波紋を試す絶好の機会!」

ジョセフとシーザーとリサリサは恐竜倒しにかかった。

そして自ら恐竜になったディエゴは徐倫と戦う。

(恐竜になったこいつのパワーはおそらくあたしの糸を簡単に喰いちぎる…パワー勝負は無理か……)

徐倫が作戦を練っているとある事に気付いた。自分はジッと立っているだけなのにディエゴは距離を保ったまま全く襲ってこないことを。

(何故奴は襲ってこないの…ハッ!そうだ奴は今は恐竜!動くものしか探知出来ない!)

そう。今のディエゴは人間では恐竜そのものになっているので、目はほとんど見えず音で敵を探知している。その為全く微動だにしていないものは見えないのだ。

そこに勝算を見つけた徐倫。

その時ディエゴの耳に伝わった。徐倫が糸の結界を張り巡らせたことを。

ディエゴは全く結界を物ともせず破っていく。爪と牙と尾で。

すると背後に人がいる気配がした。ディエゴはすかさずそこを攻撃する。しかし攻撃して分かった。これは徐倫ではないことを。

「それはおまえの恐竜が殺した人間よ。オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」

ディエゴは徐倫のストーン・フリーのラッシュをモロに喰らった。恐竜とはいえカーズを宇宙までぶっ飛ばしたパワーのラッシュを喰らっては無事では済まない。

ディエゴは元の姿に戻っていた。

「く、くそ…まさかこのおれが負けるだと……あり得ない…今回は油断しただけだ……」

まさかの敗北に同様したディエゴは窓ガラスを割り破って逃走した。

「ま、待て!」

その頃ジョセフたちも襲ってきた恐竜を全滅させていた。

「へへーん、今のおれたちにかかりゃ古代の生物も大したことねェな」

「JOJO、大半倒したのはおれと先生だろう」

「しょーがねェだろ!おれのスタンドだけ明らかに戦闘向けじゃねェんだよ!てめぇは良いよなシーザー、波紋の力をスタンドに応用しやがってよォ!」

「スタンドのせいにするなスカタン!それはおまえ自身の弱さだ!」

「あーん?おまえのやんのかシーザー!」

いつものごとくジョセフとシーザーの小競り合いが始まった。

「やれやれだわ……」

 

一方ジョースター邸から逃げてきたディエゴは近くの林の中にいた。

「おまえディエゴか、確か『奴』から命を受けていた筈だろ」

「くっ…おまえか…気をつけろ……油断していると奴らの思わぬ反撃を喰らうぞ…」

「その様子では貴様…負けたのか?情けない…」

そう言うと後から来たその男はディエゴの首元に指を突っ込んで殺してしまった。

「奴らを殺すのはディエゴ、貴様ではない。このディオだ!」

 

第13話完。

 

 

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第14話「ファントムブラッド その③」

ディエゴと恐竜を退けた徐倫たち。

「ここにゃプッチもいねェってならおれたちの目的もここで終わりか?」

「そうなるわ、でもディエゴ一人なのかしら」

「気にし過ぎだぜ、さっきのイタリアだってジッパー野郎一人だったろうが」

呆気なさ過ぎる終わり方に警戒する徐倫と、割と呑気なジョセフ。

「でも毎回敵を倒すとあのホル・ホースという男が来るけど、今回はまだ来ないわ。やはりまだ敵がいるのかもしれないわ」

リサリサも警戒していた。毎回全て終わった時にやって来るホル・ホースがまだ来ていないのだから。

「確かにおれたちの世界でもイタリアでも奴は来たけどよ、ちーっとリサリサ先生も徐倫も気にし過ぎなんじゃねェか?全員DIOの部下なんだろ?複数人いるってならカーズたちみたいに手を組んでいっせいに来るぜ?普通はよ」

「でもそれはカーズたちが元々仲間だったから。同じくDIOに仕える身とはいえ元々敵対していたような存在なら手を組むとは考えにくいわ」

「まぁそうだけど…」

ジョセフも口ではリサリサには敵わないようだ。

「おれも先生の意見に賛成だ。あのディエゴという男、おれやあのブチャラティという男ように操られて忠誠を誓っているような口ぶりではなかった。ただ雇われているだけのようだったしな」

「そういやカーズもおれたちを殺した後でDIOも殺すとか言ってたか……」

「その通り!ディオを名乗るのはこのおれ一人で充分!貴様らを全員血祭りに上げた後で『奴』も殺す!」

再び声がした方を見ると、今後はスピードワゴンに見覚えがあった。

「なっ…奴は…ディオ・ブランドー!何故奴がここに……」

「ディオだと?なら奴が黒幕か?」

「多分違うわ。あの口ぶりだと『奴』は別人のようだし、恐らくあのスピードワゴンのリアクションを見るに、この時代のディオよ」

そう。そこにいたのは1987年のDIOではなく、この時代のディオであった。

「あのディエゴとかいうカスはおれが始末した。おれの作り出す世界には奴などいらん!無論おまえらも『奴』もな!支配者はこのディオ一人でなんだよ!おまえら全員ここで始末する!」

「ちょっと待ちな」

ストーン・フリーを出して戦おうとする徐倫の前に出たジョセフ。

「あなたが戦うつもりなの?」

「ディエゴとは違い奴は吸血鬼でスタンドもねェ。だったらあんたより、波紋の使えるおれの方が有利ってこと。それに恐らく戦うのは奴一人じゃねェ」

「どういうこと?」

すると今度は恐竜ではなくゾンビが続々と入ってきたのだ。

「おまえら全員アンデッドどものエサだ!骨も残さず消えるが良い!」

「だろうと思ったぜ!てめぇらゾンビなり吸血鬼なりを大量に従えるのはカーズたちで経験済みだからな!おいディオ!てめぇの相手はこのおれジョナサン・ジョースターの孫、ジョセフ・ジョースターがするぜ」

「ほーう、おまえが未来からきたジョジョの孫が。だが今のおれに波紋使いなど相手にならんわ!」

ディオはURYYYYYYYYYYYYYYY!!!と雄叫びと共に両手を合わせた。

「なんだ?奴な何をしてやがる…」

「気をつけろジョセフ!ディオは身体を凍らせて波紋を伝わらなくするぜ!」

この時代のディオの戦い方を知っているスピードワゴンがジョセフに忠告した。

「凍らせるだと?やってみやがれ!おれはハーミットパープルを使わずにてめぇを倒すと予告するぜディオ!」

「貴様ごときにこのディオが倒せるものか!」

そう言うとディオの目が光り光線のようなものを出した。

「スピードワゴンが言ってたてめぇの戦い方からして接近戦専門だろうから、その技を撃ってくることは分かっていたぜ!悪りぃがおれはその技をストレイッツォから既に経験済みなんだよ!よって破る策はある!」

ジョセフはかつてストレイッツォにやったやり方と同じやり方でディオの光線を跳ね返した。

両目なのは片方は肩に当たったが、眉間を狙った方は逆にディオの眉間を貫いていた。

「な、何ィィィィ⁉︎」

「おっとディオ、てめぇそんなことを言いながらトドメを刺すのは必ず拳の波紋だから直接殴りに来るなんて思ってんじゃあねェだろうな。悪りぃがその手には乗らねェよ!手を凍らされたくないんでな」

「き、貴様……」

「ジョセフの野郎…完全に精神面でディオを圧倒している……さすがジョースターさんの孫といったところか…」

最初は冷静だったディオだがジョセフに散々コケにされ、徐々に怒りのボルテージが上がって来ていた。

その姿はさながらかつてダイアーに波紋を流された時のようだった。

「舐めるなよ…チンケな波紋使いごときがァァ!遊びはこれまでだ!ジョセフ…今すぐおまえを惨殺処刑してやる!そして残りのカス共もな!URYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!」

「おれと戦ってシンプルにブチキレた奴は久々だぜ、エシディシもワムウもそんな奴らじゃあなかったからな。だがそんなキレた敵にゃなおさら負ける気がしねェぜ!」

 

第14話完。

 

 

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第15話「ファントムブラッド その④」

「舐めるなよ…チンケな波紋使いごときがァァ!遊びはこれまでだ!ジョセフ…今すぐおまえを惨殺処刑してやる!そして残りのカス共もな!URYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!」

「おれと戦ってシンプルにブチキレた奴は久々だぜ、エシディシもワムウもそんな奴らじゃあなかったからな。だがそんなキレた敵にゃなおさら負ける気がしねェぜ!」

そう言って構えたジョセフだったが、次の瞬間目の前からディオの姿が消えた。

「な、消えた!」

そして一瞬のうちにディオはジョセフの目の前に現れ首を掴んでいたのだ。

「じょ、JOJO!」

「しばらくそのカス共をこっちへ寄こすなよゾンビども!」

シーザーとリサリサは助けに行こうとしたが大量のゾンビがそれを邪魔していた。

「次のおまえのセリフは『今から貴様の血液とおれの体液を循環交換してやるッ!』…だ!」

「今から貴様の血液とおれの体液を循環交換してやるッ!…ハッ!」

「てめぇらのパターンをお見通しなんだよ吸血鬼!そしておまえが必ずおれの下へ来て吸血するのは読めていたからな!さらにおまえは『分かったからなんだと言うのだッ!』…という!」

「分かったからなんだと言うのだッ!…ハッ!」

「戦いの上で相手に策を読まれてる時点で負けてるっていうのを気付きやがれ!」

するとジョセフはディオにマフラーを巻いた。

「そしてリサリサ先生からくすねておいたこのマフラーは波紋をよく流すぜ!」

「ぬわぁぁぁぁ!!」

次の瞬間ディオの身体に大量の波紋が流れ溶け始めた。

「ば、バカなッ!何世紀も永遠へ行き続ける筈のこのディオが……『奴』をも超えて世界の支配者になる筈のこのディオがァァァァ!!」

ディオは断末魔の叫びをあげながら波紋の力で溶けていった。

 

操っていたディオこそ倒したが大量のゾンビはまだ残っている。

「この数…ディオの野郎、いったいどれだけの人間をゾンビに変えやがったんだ!」

「待ちなスピードワゴン!このゾンビ共を一網打尽にする策を思いついたぜ!」

ゾンビと戦う一行の前にディオを倒したジョセフが合流した。

「策だと?」

「あぁもう時期夜が明ける、だからこの屋敷をぶっ壊して全てのゾンビに陽の光の浴びせるんだぜ!」

「ここをぶっ壊すだぁ⁉︎」

「どうせDIOのせいで立て治った屋敷だろ?だったら壊れても良いじゃねェか」

やや強引な手だったが、この場を切り抜ける為に反対する者は誰もいなかった。

そして徐倫たちは日の出を待ち、手分けしてジョースター邸に火を放った。

燃え行く屋敷はさながらジョナサンとディオが戦った時のようだ…とスピードワゴンは思っていた。

火ぐらいでは死なないゾンビたちだったが、屋敷が灰になり陽の光が当てられると全員消滅していった。

 

「ふーなんとか切り抜けられたな。ディオがゾンビを呼んだ時は正直焦ったぜ」

「今度こそここでの戦いは終わりなの?」

「ディエゴのみならずディオは倒したんだ、今度こそ終わりだろ」

「その通りだぜ、ここにもう『奴』の手駒はいねェよ」

そこへやって来たのはホル・ホースだった。DIOからの刺客がいなくなると毎回ふらりと現れる男。

「今日は空条徐倫、きみに話が合って来たんだ。まぁ毎回そうなんだが」

「あたしに話?」

「おまえさんたちが追っているホワイトスネイクのエンリコ・プッチは、スタープラチナ、クレイジー・ダイヤモンド、ゴールド・エクスペリエンス、タスク、ソフト&ウェット…すなわちストーン・フリー意外のジョースター一族のDISCを手に入れたようだぜ?」

「なっ…もうそこまで……」

「カーズやこの時代でのディオはおまえさんたちに対するただの足止めだったわけだな。あえて波紋使いしかいない時代に行くことで誘き寄せてそこの奴らに足止めさせる…それが奴らの作戦だったわけだ」

いつも通り丁寧に説明してくれるホル・ホース。

「ずっと聞きたかったんだけど、あんたはDIOの部下なわけ?」

徐倫がかねてから思っていた疑問をぶつけた。

「おれが仕えていたDIOは1987年エジプトで空条承太郎に倒された……だからおれが仕えていたDIOはもうこの世にはいねェぜ」

「どういうこと?」

「簡単な話だ、どこかの時代の誰かがDIOを復活させたんだ。そしてそのDIOが新たな力を身につけて過去や未来に手を伸ばしジョースター一族を抹殺しようとしている…ってわけだな」

「何処かの時代の誰かってまさか……プッチ⁉︎」

「さぁな、そいつは本人に聞いてみるこった。おまえさん意外のDISCを集め終わった奴は元の時代に戻っている。だから元の2011年に戻ってみるこったな」

そう言い残すとホル・ホースはいつものごとく光の中へ消えて行った。

 

「奴の言うことを信用すんのか?」

「分からない、行くしかないわ。あたしはプッチを追ってこんなタイムトラベルをして来たんだから」

「そうかい、ならおれたちも付き合うぜ。なぁ?」

「当然!全ての元凶のDIOを叩く!」

「このまま帰るわけにもいかないしね」

「じゃあ行くわよ!」

 

第15話完。

 

 

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第16話「ストーンオーシャン その①」

ホル・ホースからプッチがDISCを集め終わったという情報を聞き、徐倫たちは元の時代…すなわち2011年のアメリカへ戻ってきた。

辿り着いた場所は州立グリーン・ドルフィン・ストリート重警備刑務所略称G.D.st刑務所の真ん前だった。

「ここが未来のアメリカか?つーかなんで刑務所なんだ?」

「あたしがここでプッチに会ったからよ」

「てことは、おまえ囚人だったのかよ!」

「えぇそうよ」

徐倫はジョセフの話を半ば聞き流していた。今はそれどころではない。近くにいる筈のプッチを探さないといけないのだ。

「あなたの探しているそのプッチという男が中にいるのなら、わたしたちを忍び込まないといけないわ」

「それは面倒ね…あたしの勘が正しければ、ここは元々あたしがいたところよりも少しだけ過去…プッチのスタンドがまだホワイトスネイクだった頃の筈。だからこの中にはこの時代のあたしがいる筈だわ」

「なるほど…鉢合わせになるのは面倒ということね」

理解が早い徐倫とリサリサがジョセフとシーザーを放ったらかしにして話を進める。

「ちょっと待て!おれたちを無視して話を進めてんじゃねェ!ちゃんと説明しやがれ!」

「………」

だが徐倫はジョセフの無視してずっとG.D.st刑務所の方を見ている。

「もしもーし!」

「うるさいぞJOJO!」

ジョセフの問いかけに唯一反応したのは同じくそこまで状況を理解仕切れていないシーザーだった。

「うっせーよシーザー!おれはおまえに聞いてねェんだよ!」

「なんだとこの野郎!」

またジョセフとシーザーとくだらない口論になったが、相変わらず徐倫とリサリサはシカトしていた。

 

「ちょっとあたしトイレに行ってくるわ、ここを見ておいて」

イタリアでプッチは目撃しているのでジョセフたちにもプッチが誰だかは分かっている。

そして徐倫がジョセフたちから離れたところで

「まさかおまえがここまで追ってくるとはな。未来の空条徐倫」

「お、おまえは!エンリコ・プッチ!」

徐倫の前にホワイトスネイクのプッチが姿を現した。

「おまえは様々な死線を潜り抜けて来たということか。G.D.st刑務所にいたおまえとは顔付きが違う」

「やっと見つけたわプッチ!」

「何故おまえはわたしを探していた?」

「えっ?」

「未来のわたしに殺された筈のおまえが1987年のエジプトに転生したのはわたしの能力ではない」

プッチの言葉に徐倫は冷静になって考えた。ホワイトスネイクのスタンドにこの事態をどうこう出来る能力などない。なら何故自分はプッチを捕まえれば良いと思っていたのかを。

「そんなの簡単よ。あたしはおまえからDISCを奪い返す為に追っていたのよ。DIOのことは未来のプッチに聞けば良いことだからな」

「わたしのDISCを?一体何故おまえが取り返す必要がある?最初に奪われたのが自分の父親だったからか?」

(こいつ…一体何を考えている……あたしの心を掻き乱すのが目的なのか……)

「1987年、エジプトでおまえの父親である空条承太郎に倒された我が友DIOを蘇らせたのはわたしだ」

「な、なんだと……」

「おまえの知っているわたし…すなわち未来のわたしは緑色の赤ちゃんとやらを産み出したらしいな。わたしはその段階でDIOを蘇らせることに成功したのだ。そして我が友は天国へ到達した!」

「まさか…そんなことになっていたなんて……」

徐倫の知る事実とは全く別物になっていた。つまりこの時代のプッチが歴史を変えてしまったのだ。

「じゃあ色んな時代で死人を蘇らせたり人間を操っているのは……」

「わたしが蘇らせたこの時代のDIOだ。そしてDIOの頼みでわたしは各時代のジョースターの血統からDISCを奪った。もちろんこの時代のおまえからは既に奪ってある。だがエジプトでわたしは今のおまえと出会った……おまえは本来この世に居てはならない異物なのだ。だがわたしはその理由を知っている」

「あたしがエジプトに転生された理由を?教えろ!」

「それはおまえのよく知るわたしに教えてもらうと良い。わたしが教えられるのはこれまでだ」

プッチはそう言うと黙ってホワイトスネイクを出した。

「さぁわたしを倒したければ倒すが良い。わたしを消したところでおまえの結末は何も変わらないのだからな」

「くっ……オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」

徐倫はプッチをストーン・フリーのラッシュを喰らわせた。

ぶっ飛ばされたプッチは血を流して動かなくなった。

「あたしの結末……もう一人のプッチが全てを知っている……」

 

徐倫はとりあえずジョセフたちのところへ戻った。

「おぅ遅かったな。何かあったのか?」

「ホワイトスネイクのプッチに会ってたわ…」

「いきなりか⁉︎ それでどうしたんだ?」

「奴からは何も情報を得られなかったわ。でも奴はもう一人いる、元々あたしの時代にいたプッチが……」

 

第16話完。

 

 

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第17話「ストーンオーシャン その②」

徐倫は2011年のアメリカでとうとうホワイトスネイクのプッチと出会った。

プッチから話を聞くと元々徐倫の時代にいたプッチが全ての事情を知っているらしい。

ということで徐倫はもう一人のプッチを探すことになった。

 

「プッチがもう一人いんのか?ったく…いろいろと面倒くせェことになってんだな」

「そのプッチに会えば全ての謎が解ける筈だわ」

「でも何処にいんのか分かるのか?」

「たぶんね…」

徐倫には心当たりがあった。絶対の確証があるわけではなかったが、メイド・イン・ヘブンのスタンドを得たプッチが向かう場所……そう。ケープ・カナペラルしかないと。

 

徐倫の勘を頼りに一行はそこへやってきた。

「よくわたしがここにいると分かったな空条徐倫」

「やっぱりここにいたか…プッチ!」

見事徐倫の読み通りプッチはそこにいた。むしろ徐倫たちが来るのを待っていたかのように。

「『彼』は今はここにはいない。ここにはわたし一人だ。空条徐倫、おまえを殺す前にことの全てを話してやろう」

徐倫が聞く前にプッチは自ら語り出した。

「わたしはおまえたちをここへ始末した後、エンポリオに一巡させる前に殺された……しかし気がつくとわたしは『彼』の前にいた。『彼』は過去のわたしが蘇らせることに成功したようだ。そしてわたしは『彼』からことの全てを聞いた」

「なんなのそれは…」

「わたしは…天国に到達した『彼』のスタンドによって再びこの世に転生されたのだ。そして空条徐倫、おまえもな」

「あたしが……」

徐倫が抱えていた謎が一つ解けた。徐倫が転生した理由は『彼』……すなわちDIOのせいだったのだ。

しかしここで新たな問題が浮かび上がる。

「だったら何でおまえだけじゃなく、あたしまで転生させたのよ」

「それはわたしが聞きたいぐらいだった…過去のわたしが1987年のエジプトでおまえを見かけたと聞いた時からな。だが今はそれは問題ではない、今わたしがおまえを殺せば良いだけの話だ」

「待って、あたしにはまだおまえに聞きたいことがあるわ」

「何だ」

「DIOの目的は何なの」

「おまえたちジョースターの血族を始末することだ!」

プッチがそう言うと徐倫たちの目の前から姿を消した。

「き、消えたぞ!」

「消えたんじゃないわ!奴は時を加速させてるのよ!」

「時を加速だと?だったら高速で移動してるってのか?」

「そんな単純な理屈じゃないわ」

徐倫は心の中では焦っていた。メイド・イン・ヘブンに対して勝機はまだ見出しせていないからである。

すると次の瞬間徐倫の身体の様々な箇所がパックリと切れて血が噴き出した。

「徐倫ー!」

「くっ……」

だがプッチは徐倫を殺してはおらず重症を負わせただけだった。

「本当は今すぐにでもおまえを始末してやりたいが、DIOにはジョースター一族は殺すなと言われているからな」

「あたしに直接トドメを刺すのは……DIOの役目ってことか……」

「そしてジョセフ・ジョースター、おまえを殺すわけにはいかない。だが残りの連中は生かしておく理由はない」

「ま、まさか…逃げるのよ二人とも!」

徐倫が叫んだ。プッチはシーザーとリサリサを殺そうとしている。

「待ちやがれプッチ!てめぇの相手はおれだぜ!」

それを察したジョセフはシーザーとリサリサの前に立った。

「良いだろう、まずはおまえから黙らせるか」

そう言うとプッチは再び時を加速させてジョセフの目の前から消えた。

「一体何処から来やがんだ…」

ジョセフはハーミットパープルを周りに張り巡らせて、襲撃に備えた。

だがプッチはハーミットパープルが感知する暇もなく通過しジョセフの左手の義手を斬り落とし、さらに身体にもパックリ斬り重症を負わせた。

「なっ…全く感知出来ねェ……奴のスタンド…とんでもねェぜ……」

ジョセフはその場に倒れた。

「これで邪魔者は片付いた。残りはおまえたち二人だけだ。すぐに楽にしてやる」

シーザーとリサリサは絶体絶命だった。二人にはプッチのメイド・イン・ヘブンを回避する方法はない。

(このままじゃ二人とも殺られる……くそっ!またあの時と同じ……)

その時徐倫の脳内にかつてこの地でプッチと戦った時のことが走馬灯のように蘇ってきていた。

プッチのメイド・イン・ヘブンでエルメェスが…アナスイが…空条承太郎が殺されたあの時のことを……。

「くそーーっ!!」

するとその時徐倫の背後にいたストーン・フリーが突然光を帯び始めた。

「な、何だアレは……」

プッチもシーザーとリサリサを始末しようとしていたがそちらを見た。

「「らせん階段」 「カブト虫」 「廃墟の街」 「イチジクのタルト」 「カブト虫」「ドロローサへの道」 「カブト虫」 「特異点」 「ジョット」 「天使(エンジェル)」「紫陽花」 「カブト虫」 「特異点」 「秘密の皇帝」…そして36人の罪人の魂……そしてストーン・フリーを捨てる!」

「な、何故おまえがその言葉を……その方法をォォォ!!」

何故だかは自分にも分からなかった。突然頭に浮かんできた言葉だった。

そして徐倫はストーン・フリーを捨てて新たな力を目覚めさせる……

 

第17話完。

 

 

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第18話「メイド・イン・ヘブン」

徐倫の背後にいたストーン・フリーが突然光を帯び始めた。

「な、何だアレは……」

「「らせん階段」 「カブト虫」 「廃墟の街」 「イチジクのタルト」 「カブト虫」「ドロローサへの道」 「カブト虫」 「特異点」 「ジョット」 「天使(エンジェル)」「紫陽花」 「カブト虫」 「特異点」 「秘密の皇帝」…そして36人の罪人の魂……そしてストーン・フリーを捨てる!」

「な、何故おまえがその言葉を……その方法をォォォ!!」

何故だかは自分にも分からなかった。突然頭に浮かんできた言葉だった。

光を放ったストーン・フリーが真っ二つに裂けて中からペガサスのようなスタンドが出てきた。

さながらその姿はプッチのメイド・イン・ヘブンの面影があった。

「こ、これがあたしのスタンド?」

徐倫自身にも何が起こっているのか分からなかった。

「空条徐倫…何故だ……何故貴様のスタンドで可能なのだ……それはわたしとDIOでなければ出来ない筈なのに………」

自分やDIOだけでなく徐倫までもスタンドを進化させた…その事実が信じられないプッチ。

「あれが徐倫のスタンドなのか?ストーン・フリーの面影もねェぞ……」

ジョセフも驚きで身体の痛みを忘れてしまうほどであった。

「ステアウェイ・トゥ・ヘブン…これがあたしのスタンドよプッチ!」

ステアウェイ・トゥ・ヘブン…徐倫の頭に突然浮かんできた言葉。その意味は天国への階段……いったいどんなスタンドなのかそれは徐倫自身にもまだ分からない。

「もうDIOの頼みだろうと関係ない!わたし自身の誇りにかけて空条徐倫!貴様をここで殺す!」

徐倫のステアウェイ・トゥ・ヘブンに脅威を感じたプッチは早々に殺してしまおうとメイド・イン・ヘブンで加速させて襲いかかった。

だがプッチの手刀は徐倫に片手で止められた。

「な、何ィ⁉︎ 貴様…加速した時の中で何故わたしの姿が確認出来たのだ……」

「プッチ……あたしのスタンドステアウェイ・トゥ・ヘブンは天国への階段……おまえも望み通り天国へ送ってやる。本当の天国に…」

次の瞬間徐倫の拳がプッチを捉えていた。

「待て空条徐倫…おまえはDIOと戦おうとしているだろう……だが分かっているのか!DIOを倒すということはどういうことなのかを!」

「分かっているわ。今までのDIOの行動で予想はついていた…奴の能力は『真実』を『上書き』するんだろう」

「そこまで分かっているのなら分かる筈だ!このままおまえがDIOに挑んでも結末は何も変わらないことを!」

「ど、どういうことだ?奴は何を言ってやがる!」

その戦いを傍観していたジョセフにはプッチの言葉の意味は分からなかったが

「分かってるって言っただろプッチ、あたしの運命は決まっている。おまえにここで殺されたあの時から…」

徐倫は全てを理解していた。

「何だと…おまえは彼を仮に倒せたとしても自分が死ぬということを理解しているというのか⁉︎」

「そう…DIOを倒せば奴が上書きした真実は全て元に戻る。そんなこと分かっているわ。あたしはそれでもおまえとDIOを倒す。だからここにいる」

「か、考え直せ!おまえのそのスタンドなら彼に殺されない道もある筈だ!彼の望む天国へおまえを行ける筈だ!やめろォォォ!!」

命乞いするプッチを無視し徐倫はそのまま拳を押し当てた。

するとプッチの身体は血も出さずに消え去った。まるで天国へと行ったかのように。

「あたしはもう既に死んでいるのよ。でもプッチ…おまえもDIOも既に死んだ存在。だから全員生きていてはいけないのよ……」

そして同時に徐倫は感じ取っていた。ステアウェイ・トゥ・ヘブンを使えるのはあと一回だけだと。

あと一回使えばDIOを倒せても倒せなくともこのスタンドは消える…すなわち自分も消えてしまうと。

「プッチ、おまえの言うとおりのようね。あたしじゃ天国へは行けないわ」

 

「すげえじゃねェか徐倫!まさかあんなことが出来るなんてよ?」

何も事情を知らない呑気な男ジョセフは徐倫に駆け寄り肩を叩いた。

「まだプッチを倒しただけだろ!まだDIOが残っているんだぞ!」

いつも通りジョセフにツッコミを入れるシーザー。

そんないつもの光景を見た徐倫は思う。コイツらに真実を言うことは出来ないと。

死んだ後でDIOのおかげで転生したのは自分やプッチだけではない。このシーザーも本来なら死んでいる筈の存在なのである。

すなわちDIOを倒せばシーザーもいなくなってしまう……。

「言えるわけないわ……」

「JOJOやシーザーには言えないことがあるのね。あのプッチという男が言っていた意味…あなたは理解しているようだけど」

ただ一人リサリサは徐倫が何かを隠していることを察知していた。

「あなたになら言っても良いかもしれないわ」

徐倫はリサリサにだけ真実を全て話した。DIOを倒せばシーザーが死ぬことも。

「やっぱりそうだったのね……それでもわたしたちはDIOを倒さなくてはならないわ」

そう言ったがリサリサの顔は晴れない。

「………えぇ」

残る敵はDIO一人。なのに徐倫の気分も晴れなかった。

 

第18話完。

 

 

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第19話「ザ・ワールド オーバーヘブン」

プッチを倒し全ての真実を知った徐倫は最後の敵であるDIOを倒す為に奴の居所を探そうとした。

「空条徐倫…まさかおまえがここまで来るとはな……」

しかし奴は自ら目の前に現れた。

「でぃ、DIO!おまえからここにやって来るとは…」

「あのプッチをどうやって倒したのか知らんが、これ以上ジョースターの血統を野放しにしておくわけにはいかないのでな」

「や、ヤツがDIOか……」

徐倫を始め四人は一度もDIOを見たことがない。

一行の前に現れたDIOは承太郎と戦った時の姿とは大きく異なっていた。

「わたしは『天国』に到達したのだ。おまえらなどもはや何の脅威にもならない」

天国に到達したDIOは高みから徐倫たちを見下ろしていた。

「だったら何故プッチにスタンドを奪わせたの?おまえの『真実』を『上書き』する力ならそんな必要ない筈よ」

「このDIOは二度と同じ轍は踏まん。もはやこの力ならジョースター共などカスも同然…だが!いつもジョースターはわたしの運命を狂わせてきた悪しき存在だ。ただ殺すだけでは勿体無いだろう。だからスタンドを奪い絶望したところをわたしが殺すのだ!フハハハハハハ!」

そう言うとDIOはプッチらと同じように光を放って消えた。

「ま、待て!」

そして徐倫が振り返ると何とジョセフとシーザーとリサリサの姿は無かった。

「なっ…まさか…DIOに……」

辺りを探したが三人は何処にもいなかった。

「DIOが三人を連れ去った?一体何の為に……」

「そいつは簡単だろ。おめぇさんも見てきた筈だぜ?」

そこに現れたのはホル・ホースだった。

「またおまえか、何しに来た」

「冷たいねェ。おれは敵じゃねェぜ?おれはあのDIOの配下じゃねェからな」

「前も言ってたわね。ならおまえの目的は何なの」

「全てはおれが命令していたことだ」

そこに馬に乗った男が現れた。徐倫はその顔に見覚えがあった。

「おまえは…ディエゴ・ブランドー!」

そう。やって来た男はディエゴ・ブランドーにそっくりだったのだ。

「おれは確かにディエゴ・ブランドーだ。だがおまえの知っているディエゴではない。おれは並行世界からやって来たディエゴ・ブランドーだ」

「並行世界?」

徐倫はディエゴが何を言っているのか分からなかった。

「おれはヴァレンタインという男にこの基本世界に連れてこられた。まぁそいつはあのDIOに始末されたがな。そしておれはDIOの配下だったホル・ホースを引き抜き奴の動向を探っていた。それでおまえたちがDIOと戦っているということを聞いたというわけだ」

このディエゴが言っていることが本当だという確証は徐倫には無かったが、恐竜を操っていたディエゴとはいささか雰囲気が違うことも感じ取っていた。

「話を戻すがおまえはエジプトで既に遭遇している筈だ。ジョセフ・ジョースターたちはおそらくそれと同じ目にあっている」

徐倫は確かに遭遇していた。エジプトでジャン=ピエール・ポルナレフが襲ってきたことを。

ポルナレフはシーザーや柱の男たちと違い死んでいない。死人じゃなくても操れるのだということを。

「じゃあジョセフたちは…」

「操られたのだろうな」

「くっ……」

「ところでDIOの野郎は何処にいるんですかい?」

ホル・ホースはDIOから世界ディエゴに鞍替えしていた。その為徐倫に色々と教えていたのだ。

「おれには奴を追うことは出来ない。だが空条徐倫、おまえになら出来る筈だ」

「そうか!時空を移動出来るDISCなら奴のところに行けるってわけか!」

「分かったわ。あたしは奴を追う」

 

徐倫とディエゴとホル・ホースがやって来た場所はただの道路だった。

だが車は全く走っておらず、ボロボロになったロードローラーが転がっていた。

「ここは……?」

「空条徐倫!やっと来やがったな!」

そしてそこにはジョセフとシーザーとリサリサが。三人とも身体から黒いオーラが出ている。

「やっぱり三人とも操られている……」

「これが『真実』よ!空条徐倫!おまえを殺すのはこのDIOではない、ジョースター共だァ!」

DIOがそう言うとジョセフたち三人以外にも空条承太郎、東方仗助、ジョルノ・ジョバァーナ、ジョニィ・ジョースター、東方定助が現れた。

「くっ……」

徐倫はもうストーン・フリーは使えない。そしてステアウェイ・トゥ・ヘブンは相手を天国へ送るスタンドの為、使うことは出来ない。そしてどちらにしろあと一回しか使えないのだ。

するとその時

「空条徐倫、ザコはおれが引き受ける。おまえはDIOを倒しに行け。おまえとプッチと戦いのことはホル・ホースから聞いている」

「おれもエンペラーで援護するぜ!」

世界ディエゴとホル・ホースが徐倫の前に立った。

「分かったわ。ここはあんたたちに任せる」

徐倫は二人に任せて自分はDIOの元へ。

「空条徐倫、まさかおまえにまだ仲間がいたとはな。ホル・ホースのクズめ…わたしを裏切るとは」

「やっと会えたわねDIO……おまえを倒して全てを終わらせる!」

 

第19話完。

 

 

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第20話「ステアウェイ・トゥ・ヘブン」

「空条徐倫、まさかおまえにまだ仲間がいたとはな。ホル・ホースのクズめ…わたしを裏切るとは」

「やっと会えたわねDIO……おまえを倒して全てを終わらせる!」

徐倫は自らのスタンドを出した。ストーン・フリーではなくステアウェイ・トゥ・ヘブンを。

「何だおまえのそのスタンドは…おまえのスタンドはストーン・フリーだった筈だ!」

初めてみるスタンドにDIOも驚く。ストーン・フリーのDISCは既に手中にある為、徐倫のスタンドがストーン・フリーであることは間違いない筈なのだから。

「それがプッチを倒したスタンドというわけか。ならば見せてみろ!このわたしのスタンドのエサにしてくれよう!」

「このスタンドはおまえに使う為にある!言われなくても使ってやるわ!」

 

その頃DIOに操られているジョースターと戦っていた世界ディエゴとホル・ホースはジョセフたちを三人をやっと正気に戻すことに成功した。

「な、何が起こってたんだ?」

「やっと目を覚ましたかおめぇら」

「てめぇはホル・ホース!それにディエゴ・ブランドー!」

「おれはおまえらの知っているディエゴではない。並行世界から来たディエゴだ。だが今は説明している暇ははい、とりあえず手伝え」

「手伝うたって何を?」

そう言ったジョセフだったがすぐに状況を理解した。

徐倫が一人DIOと戦っているが、その前にジョースター一族が行く手を阻んでいる。

「おれたちはこいつらの相手ってわけか」

「理解が早いな。そういうことだ」

「やってやるぜ!おれのハーミットパープルと波紋を喰らわせてやるぜ!」

 

「まさかこのDIOに歯向かってくるのが空条徐倫、まさか貴様だとは思わなかったぞ」

「だったら何?あたしの父さんだとでも思ってたわけ?」

DIOも自分のスタンドのザ・ワールド オーバーヘブンを出し、徐倫と睨み合っていた。

真実を上書きするDIOのスタンド、そして相手を天国へ送る徐倫のスタンド。

勝負は一瞬、二人のすれ違い様に終わる。

「空条承太郎…我が運命に現れた悪しき存在…そしてその娘空条徐倫……共にわたしの前から消し去ってやる!貴様らが生きていたという真実を上書きしてな!」

「それはこっちのセリフだDIO!全ての元凶はおまえなんだ、あたしが今から全てに決着をつける!この上書きされた世界を元に戻す為に!」

徐倫とDIO、互いのスタンドが交わる。

次の瞬間徐倫が血を吐いて倒れた。それを見てニヤリと笑うDIO。

だが次の瞬間、ザ・ワールド オーバーヘブンが光を放ちながら二つに裂け始めた。

「な、何ィィィィ! このDIOがァ!天国へ到達した筈のこのDIOがァァァァァ!!」

「文字通り本当の天国へ行きなDIO……」

やがてDIOは消滅し、全体が光に包まれた。DIOが上書きしていた世界が全て元に戻るのだ。

すなわち徐倫も消えてしまう。

「じょ、徐倫!」

それを唯一知っているリサリサが徐倫の名を叫ぶ。

「これがあたしの運命……それならあたしはそれに従うわ」

徐倫はそう言い残すと消えてしまった。

だがそれは同時にシーザーも消えるということだった。

何も知らないジョセフの目の前でシーザーも消えてしまった。

「なっ…おい!シーザーァァァァ!!」

最初から全てを知っていたリサリサは黙って顔を抑えていた。

やがてDIOが上書きした真実は全て無くなり、世界は元に戻った。

 

そして徐倫のスタンドによって天国へ送られたDIOは奇妙な場所に来ていた。

真っ暗闇な空間で光る階段で頂上に扉があるだけだった。

「な、何だここは……」

そしてDIOの姿も天国に到達した姿ではなく1987年の姿に戻っていた。

「やっと来たんだねDIO…ここで100年待っていたよ」

「誰だ⁉︎」

そこにいたのは何とジョナサン・ジョースターだった。

「ジョジョ!何故おまえがここにいる!おまえは既におれの身体になった筈だ!それにおまえの首だって海のもずくになった筈だ!」

「ディオ…僕は確かにあの時に死んだ……でも僕の魂は君の身体で生きていたんだ…そのイバラがその証拠さ」

「イバラ…このハーミットパープルか……スタンドは一人一体…すなわちこれはおまえのスタンド……死んだ者にはスタンドなんぞ使える筈がないということか……」

「エジプトで君が死んだ時は君の魂は救われなかった。でも今は違う、君の魂は救われたんだよディオ。共に天国へ行こう」

そう言ってジョナサンが手を伸ばす。

「おまえはこのまま死んでも良いというのか…ジョジョ!」

「もう僕らの運命は終わったんだよディオ、僕らは二人で一人…終わる時は一緒さ」

「何故おまえがおれにそんなことが言える…おれはおまえを殺した男だぞ!おれは自分を殺した承太郎も徐倫も許すことなど出来ない!今すぐにでも殺してやりたい!なのにおまえは何故なんだジョジョ!」

「君を介して見ることが出来た。エリナが救われたこともあの時エリナが助けた赤ん坊も無事に助かったことも。ジョースターの血は途絶えることはなかった。それだけでもう充分だからかな」

「ジョジョ…おまえ……」

DIOもそれ以上何も言わなかった。そしてジョナサンとDIOは天国の扉へと消えて行った。

 

第20話完。

 

 

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最終話「石作りの海」

徐倫がDIOを倒し上書きされた真実は全て元に戻った。

ジョセフとリサリサは自分たちの時代…1939年のニューヨークに戻って来ていた。

「一体何が起こったってんだ…徐倫がDIOを倒したのは良いが、その後一体何がどうなったのかおれには分からねェ……シーザーは!徐倫は!何処行ったんだ⁉︎」

何も知らされていないジョセフは状況を理解出来ていなかった。二人ともスタンドももう使えなくなっている。

「リサリサ!あんたは何か知ってんのか!」

「……知っていたわ。徐倫から全てを聞いたのよ」

「な、なんだとォ⁉︎ なんでおれには言わなかったんだよ!」

「代わりにおれが言ってやろうか」

「お、おまえは…」

ジョセフとリサリサと前に現れたのは並行世界のディエゴだった。

「なんでおまえがここにいやがる!」

「おまえらには言ってなかったな。おれがこの基本世界へ来たのはDIOの能力ではない、ヴァレンタインという男の能力だ。もっとも奴はDIOに消されてしまったが。だからおれもたまたま流れついたこの時代から脱出する術はない。時空を移動する能力などおれにはないからな」

「そういやおまえのスタンドはあの時も見なかったよな」

ジョセフは警戒していた。世界ディエゴは確かにDIO戦では協力してくれたが、完全には信用していない。

「話を戻すがシーザーはもう二度と戻って来ないぞ」

世界ディエゴはジョセフの質問は無視して話を進めた。

「どういうことだ」

「DIOが死んだことにより上書きされた真実は全て無くなったのだ。すなわちDIOに生かされた存在である空条徐倫もシーザー・アントニオ・ツェペリも元通り死んだというわけだ」

「そ、そうだったのか……」

ここでジョセフはようやくことの全てを知った。

「全てはおれの計画通りにことが運んだというわけだ」

「計画通りだと?」

「ヴァレンタインはDIOを倒せる人材を探すために並行世界からおれを連れて来た。だがおれのスタンドではDIOを消すことは出来ない。そこでおれはホル・ホースを引き抜いてイレギュラーで転生した空条徐倫にDIOを倒させようとしたというわけだ。その為にホル・ホースとプッチと操られた人間以外の部下は全員おれが殺しておいた。まさか空条徐倫があそこまで強力なスタンドを身につけるとは思わなかったがな」

「おまえは何のためにそこまで手の込んだことをする必要があったんだ?」

ジョセフがそう尋ねると世界ディエゴは鼻で笑って懐から何かを取り出した。

それは石仮面だったのだ。

「てめぇそれは石仮面!何処でそれを!」

「今おれたちがいるこの時代でだ。そしてこれもな」

次に世界ディエゴが取り出したのはなんとエイジャの赤石だった。

「な、何ィィィィ⁉︎」

「大海原でコレを手に入れるのは苦労したぞ。だがこれで条件は整った」

「まさかてめぇ……」

ジョセフとリサリサには世界ディエゴが何をしようとしているのかはすぐに分かった。

かつてカーズが同じことをやっていたから。

「そう!おれはこれで究極生命体になる!そしておれが欲しいものを全て手に入れる!金だろうと地位だろうと権力だろうと!これさえあれば全て手に入るのだからなァ!」

「ま、待ちやがれ!」

ジョセフとリサリサが世界ディエゴを止めようとすると

「THE WORLD おれだけの時間だぜ」

世界ディエゴはTHE WORLDで時を止めた。世界ディエゴのスタンドは時を止めることが出来るのだ。

「天国に行く前のDIOはおれのスタンドを持っていたとホル・ホースが言っていたな…」

世界ディエゴは時が止まった5秒の間にジョセフとリサリサをワイヤーでぐるぐるに縛り付けた。

そしてナイフで足を刺した。

「時は動き出す」

「な、なんだァ⁉︎ いつの間に……足が刺されてやがる!」

「これでは身体が動かない…このままでは…奴が石仮面を被ってしまう……」

「そこで黙って見ているが良いぞ!おれが究極生命体となるところをな!」

動けないジョセフとリサリサを尻目に世界ディエゴは笑いながらエイジャの赤石をはめた石仮面を被った。

「フハハハハハハ!おれこそがNo.1だァ!」

石仮面は赤石と共に光を放った。そして骨真が世界ディエゴの脳を押す。

赤石をはめたことによりソレは通常の何倍もの力である。

普通の石仮面では出来ない柱の男にも有効である…だが逆を言えば柱の男であるからこそそのパワーに耐えられるというもの。

当然普通の人間には耐え難いものだった。その為世界ディエゴの脳は石仮面により粉々になってしまい究極生命体どころかただの拷問殺人道具となってしまった……。

常に世界ディエゴの計算通りに事が進んでいたが、最後の最後で計算が大きく外れてしまった。

「エイジャの赤石…なんてパワーだ……人間の頭があぁも簡単に木っ端微塵になるなんてよ……」

「やはりこのエイジャの赤石は守っていかねばならない…このようなことが起きない為にも……」

「なんか全てが丸く収まったんだろうが…おれたちは勝ったんだァーッとは言い切れねェ結末だぜ…」

 

最終話完。

 

 

今までありがとうございました。



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登場キャラクター紹介

プレイアブルキャラクター

 

空条徐倫(くうじょう じょりーん)

声 - 沢城みゆき

 

この物語の主人公。時期系列はプッチに殺された直後。

突然1987年のエジプトに転生され、そこで若かりし頃の父親に出会う。さらにそこでホワイトスネイクのエンリコ・プッチが空条承太郎のDISCを盗んだことによりタイムトラベルの旅が始まる。

以前よりかなり冷静になっており、ホル・ホースやプッチの言動から全ての元凶はDIOであると理解する。

ジョセフやシーザーは無視して、リサリサだけ信用しているような描写が多い。

メイド・イン・ヘブンのプッチ戦での絶体絶命の状況の中、無意識に天国へ行く方法をなぞりスタンドが覚醒する。

スタンド覚醒後は戦うことが出来なくなった為、プッチとDIOの二人にしかスタンドは使っていない。

最後はDIOを倒したことにより上書きされた真実は全て元通りになった為、DIOが死んだ直後に消える。

 

所持スタンド ストーン・フリー

【破壊力 - A / スピード - B / 射程距離 - 1 ~ 2m / 持続力 - A / 精密動作性 - C / 成長性 - A】

だいたいは同じだが、本編よりもパワーが上がっておりラッシュでカーズを宇宙空間まで吹っ飛ばしたほど。

ステアウェイ・トゥ・ヘブン覚醒時に消滅している。

 

所持スタンド ステアウェイ・トゥ・ヘブン

【破壊力 - なし / スピード - なし / 射程距離 - E / 持続力 - なし / 精密動作性 - なし / 成長性 - なし】

徐倫が偶然天国へ行く方法をなぞったことにより覚醒したスタンド。

スタンドが直接触れた相手文字通りどんな悪人でも天国へ送るという恐ろしい能力。

しかし使える回数に限りがあり、使いすぎると徐倫自身が死んでしまうというリスクもある。

 

 

ジョセフ・ジョースター

声 - 杉田智和

 

時期系列はカーズ戦からの生還直後。

スージーQと二人でいたところで偶然徐倫と出会う。そしてDIOの能力によって生き返ったシーザーと遭遇する。

その後生き返った柱の男との戦いではエシディシと対峙するも、これを秒殺。さらにシーザーとの共闘でワムウも撃破する。

2001年のイタリアで偶然矢を破片を発見したことからスタンド能力に目覚める。

頭脳戦の戦いっぷりは健在でブチャラティのスタンドを見る前から予想しており、それを撃破した。

しかし徐倫やリサリサと違い状況をほとんど理解していなかった。

DIO出現時に死んでいなかったのでDIOの死後も生還している。

そこで世界ディエゴの目的を知り、彼の哀れな最期を見ている。

 

所持スタンド ハーミット・パープル

【破壊力 - D / スピード - C / 射程距離 - D / 持続力 - A / 精密動作性 - D / 成長性 - E】

1987年のジョセフとほぼ同じで戦闘向けのスタンドでないことを嘆いていた。

 

 

リサリサ

声 - 田中敦子

 

時期系列はジョセフ生還直後。

SPW財団からの報告によりジョセフや生き返っていたシーザーと共に柱の男の元へ向かう。

柱の男との戦いではワムウに敗北した上にカーズに人質に取られてしまうが、徐倫に救われる。

その後旅に同行しジョセフやシーザーよりも状況判断能力に優れ、徐倫から唯一信用されている。

ジョセフが拾った矢によってスタンド能力に目覚める。

ジョセフと同様に死んでいない為、DIO死亡後も生還している。

 

所持スタンド キャットウォーク

【破壊力 - なし / スピード - なし / 射程距離 - なし / 持続力 - なし / 精密動作性 - なし / 成長性 - なし】

スタンド自体に攻撃力は全くなく、自分の手袋や靴やマフラーにまとわせることでスタンドに波紋を流すことが出来る。

 

 

シーザー・アントニオ・ツェペリ

声 - 佐藤拓也

 

時期系列はワムウに殺された後。

DIOの能力によって生き返りジョセフの前に現れる。ジョセフによって正気に戻された後は柱の男との戦いに向かう。

サンタナの戦いでは秒殺し、ジョセフと共にワムウも打ち破る。

その後は旅に同行しジョセフのツッコミ役になっている。

ジョセフが拾った矢によってスタンド能力が目覚める。

DIOが上書きした真実によって生き返った為、DIO死亡後は徐倫と同じく消えてしまった。

 

所持スタンド シンギン・マイ・ル

【破壊力 - なし / スピード - なし / 射程距離 - なし / 持続力 - なし / 精密動作性 - なし / 成長性 - なし】

リサリサと同じくスタンド自体に攻撃力は全くなく、スタンドに通じるシャボンを作り出す。それによってスタンドに波紋を流すことが出来る。

 

 

エンリコ・プッチ(ホワイトスネイク)

声 - 速水奨

 

時期系列は緑色の赤ちゃんを生み出す直前。

DIOを復活させた張本人で、その後はDIOの頼みを受けてタイムトラベルをしながらジョースター一族のスタンドをDISCにして奪っていた。

最初に奪いに行った1987年のエジプトでイレギュラーに転生していた徐倫に出会う。

その後徐倫から逃げながらDISCを集め、2011年のアメリカでついに再開する。

自分を殺しても何も変わらないということを徐倫に言った後、ストーン・フリーのラッシュを受けて死亡する。

 

所持スタンド ホワイトスネイク

【破壊力 - ? / スピード - D / 射程距離 - ? / 持続力 - A / 精密動作性 - ? / 成長性 - ?】

相手のスタンドや記憶をDISCにして奪い取る能力。

 

 

エンリコ・プッチ(メイド・イン・ヘブン)

声 - 中田譲治

 

時期系列はエンポリオに殺された後。

蘇ったDIOの能力によって転生される。その後仕事は過去の自分に任せてなりを潜めていたが、ケープカナペラルへやって来た徐倫と対峙する。

一度徐倫は殺したスタンドメイド・イン・ヘブンで徐倫を再度圧倒するが、徐倫が天国へ行く方法でスタンドを覚醒させてしまい立場が逆転する。

DIOを殺せば徐倫自身も死ぬということを伝え命乞いをするも、徐倫は全てを受け入れており天国へ送られる。

 

所持スタンド メイド・イン・ヘブン

【破壊力 - B / スピード - 無限大 / 射程距離 - C / 持続力 - A / 精密動作性 - C / 成長性 - A】

時を加速させることが出来る能力。

 

 

ホル・ホース

声 - 木内秀信

 

時期系列はボインゴと共に病院送りになった後。

徐倫の前に度々現れアドバイスと情報を与えていたが、実はDIOの配下は止めており世界ディエゴの配下となっていた。

自分が仕えた男は1987年のDIO一人だと言うが本心は不明。

DIO死亡後は元々再起不能から復活出来たのはDIOの能力なので再び再起不能となった。

 

所持スタンド エンペラー

【破壊力 - B / スピード - B / 射程距離 - B / 持続力 - C / 精密動作性 - E / 成長性 - E】

拳銃の形をしたスタンド。今作では戦う描写は無いので使用していない。

 

 

並行世界から来たディエゴ

声 - 子安武人

 

ヴァレンタインがDIOを倒す為に並行世界から連れてきた。しかしヴァレンタインには従わず逃亡。その後ヴァレンタインはDIOに始末された。

その後は自分のスタンドでDIOを倒せないと自覚し、ホル・ホースを引き抜いて手駒とし空条徐倫にDIOを倒させる作戦を立てる。

DIO戦では自ら協力することで徐倫にDIOを倒されることに成功する。

世界ディエゴ自身はヴァレンタインによって呼び出された為、DIOが死んでも元の世界に戻らずジョセフたちと共に1939年のニューヨークにやって来た。

そこでエイジャの赤石をはめた石仮面で究極生命体になろうとしたが、人間が赤石の石仮面に耐えることが出来ず脳がバラバラになって死亡する。

 

所持スタンド THE WORLD

時を5秒止められる能力。DIO戦では使用せず、ジョセフとリサリサを攻撃する際に使った。

 

 

DIO

声 - 子安武人

 

この物語のラスボス。

1987年に承太郎によって倒されるが、2011年にプッチの手によって復活する。

その後はプッチにジョースター一族のスタンドを奪うように指示した後、自分は天国へ行く方法を実行し天国へと到達する。

到達した際に覚醒したスタンドで自分の都合の良いように真実を上書きしていった。

メイド・イン・ヘブンのプッチを倒した徐倫の前に現れ、ジョセフたちやジョースター一族を洗脳し戦わせる。

だが世界ディエゴとホル・ホースの邪魔が入り、徐倫と一対一での戦いとなる。

そして徐倫のステアウェイ・トゥ・ヘブンに敗れ、天国へと送られるが

そこで自分の身体で眠っていたジョナサンの魂に出会う。

自分が殺したはずのジョナサンの言葉に心を揺るがされ、最期は共に天国へと旅立っていった。

 

所持スタンド 世界(ザ・ワールド)

【破壊力 - A / スピード - A / 射程距離 - C / 持続力 - A / 精密動作性 - B / 成長性 - B】

元々のDIOのスタンドで時を止められる能力。今作では使用していない。

 

所持スタンド ザ・ワールド オーバーヘブン

真実を上書きする能力。従来のザ・ワールドの時止めは使えない。

 

 

 

サブキャラクター

 

(スターダストクルセイダース)

空条承太郎

声 - 小野大輔

老ジョセフ・ジョースター

声 - 石塚運昇

ジャン=ピエール・ポルナレフ

声 - 小松史法

 

(戦闘潮流)

カーズ

声 - 井上和彦

ワムウ

声 - 大塚明夫

エシディシ

声 - 藤原啓治

サンタナ

声 - 乃村健次

 

(黄金の風)

ジョルノ・ジョバァーナ

声 - 浪川大輔

グイード・ミスタ

声 - 赤羽根健治

ブローノ・ブチャラティ

声 - 杉山紀彰

 

(ファントムブラッド)

ロバート・EO・スピードワゴン

声 - 上田燿司

ディオ・ブランドー

声 - 子安武人

ディエゴ・ブランドー

声 - 子安武人

 

(ステアウェイ・トゥ・ヘブン)

ジョナサン・ジョースター

声 - 興津和幸



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