FGO~黒髭危機一髪!蟹杯戦争~ (ジュンチェ)
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一発目!黒髭氏の贈り物

☆設定

・男主人公
モテてる自覚は無いが、女鯖に囲まれたリア充。でも、ノリが良いので黒髭とは仲良し。バレンタインテロでまさかの糖尿予備群で発狂。それでも、清姫の愛は重い。

・エミヤ
我等が保護者。とうとう溜まりに溜まっていたギャグノリ鬱憤が炸裂する!?

・黒髭
デュフフ!最近、イベントで拙者の扱いがぞんざいな件について……『カリバーー……あぁ!?』え?ンンンンン!!!!!?ぎもぢいいぃいいいいいぃいいいいい!?!?

・ドクターロマン
あれ?僕、結構がんばってるけどさ…酷くない皆?シリアスでも、ギャグイベントでも頑張ってるのに不遇の男。最近、自称・アイドル志望に苦しめられている。

・セイバー・リリィ(宝具Lv5)
違うんですっ!わざとじゃないんです!今度は、今度はちゃんと当てますから!!カリバーー…………あぁ!?(知ってた)




「さて、止めはしたのだが……マスターは糖尿予備群とは。だから、チョコレートは危険だとあれほど…」

 

カルデアの自室……もとい、厨房に居座るのは我等がおかんサーヴァント代表エミヤ。セイバーウォーズからバレンタインまで振り回されたり、振り回したりと大変だったので久方ぶりの休憩時間に浸っていた。色々と思うところと思い通りにいかない所があったがまあ、良い。次の章なりイベントに控えて一息つこう……

 

 

 

……と、すれば誰かがやってくるのはまあ必然というわけで…

 

 

「エミヤ氏!エミヤ氏!少々、用事があるでござる!!」

 

 

しかも、よりにもよって何故コイツなのだろう。エドワード・ティーチ…通称・黒髭。彼の大海賊であるが、まあ…サーヴァントになった彼は酷いわけで。セイバー・リリィに襲いかかって股間にカリバーンされるは、バレンタインでは爆発させるつもりが爆発させられるはでイベントになると大忙し。おまけに、周辺にいると被害を被りやすいのでなるべく近寄りたくない相手。出来れば、信頼サーヴァントからギャグ枠サーヴァントに落下したくないエミヤからすれば最も絡みたくないのである…。

 

「なんだね、黒髭氏?女性ではなく、私に用事とは珍しい…」

 

ここで、警戒しつつも、邪険にあしわらないのがまずエミヤ。問題には目を逸らさず、状況を把握するのが善くも悪くも彼の性分。基本、野郎に興味が無い黒髭が男であるエミヤの所に来る時点で腹に一物あるのは間違いない。それが、下手に害があろうものなら放ってはおけない。

 

「デュフフッ!そんな、エミヤ氏、そんな警戒することはないでござるよ。今日はロマン氏も一緒でござるから安心するでござる。」

 

「そうそう、今日の黒髭氏は特に問題が無いことは僕が証明するよ。」

 

そんな身構えていたエミヤだったが、予想外に現れたロマン。一体、何の成り行きでこんな組み合わせになったのかは一瞬では理解できないが、彼はカルデアの中ではマシな部類に入るはず…少なくとも、こんな面白ギャグ地雷鯖と組むなんて異色にも程がある。一応、信頼はしているのでこちらの話を伺ってみることに。

 

「いやさ、最近は僕達さ…色々と苦労すること多かったじゃん?で、苦労人同士で静かに息抜きでもと思ってね。」

 

「黒髭氏が苦労人かはさておき、最近はとても忙しかったのは事実だな。」

 

「でしょ、でしょ!だから、是非とも君の腕を借りたいのさ。」

 

妙な引っ掛かりを感じるが、エミヤはあえてスルー。相変わらず、ジト目で警戒をおこたらないでいたが……すると、黒髭がニヤリと笑い発泡スチロールの箱を何処かはともなく取り出して蓋を勢いよく取り外した…!

 

 

 

 

「ええい、これが目に入らぬかぁぁ!エクスッ・蟹かりばーーー!」

 

 

 

 

 

「な、なにぃ!?」

 

その中身は、蟹。ただの蟹ではない……大きく、鮮やかに、逞しい…!最強のッ、最高のッ、特上のッ、甲殻種が凄まじい輝きでエミヤを圧倒するッ!

 

(おおぉ……甲殻の鮮やかさ、身の締まり具合、サイズ……見れば解る。特上の蟹!あれほどの食材、私の生きている間においても取り扱った試しが無い!?)

 

「エミヤ氏、ワシが言うのも難ですがキャラ壊れかけてますぞ。」

 

おお、いけない…黒髭にツッコミを許すとは一生の不覚。コホン、と咳払いして昂る気持ちを抑えながらわざとらしく彼は問う。

 

「…ふむ、それでこれを私にどうしろと言うのかね?」

 

「またまたぁ~!エミヤ氏、察してるんでしょう??至高の蟹にエミヤ氏とくればもう………デュフフ!」

 

「ていうか、ウズウズしてるの見えるよ?」

 

くそっ、更に見透かされるとは…。いや、もうこれは仕方ない。しかし、取り掛かる前に確認のためまだ訊かねばならないことがある。

 

「…事情は大体解った。その前に……黒髭氏、この蟹は何処で?」

 

「あ、やっぱり訊いちゃう?それ訊いちゃう…?だよね~!だってホラ、これでも悪名高き海賊・黒髭だしぃ?いや、だからって盗んだとかそういうわけじゃないですぞ。そう、あれはセイバーウォーズで……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「勝利すべき黄金の剣〈かりばー………あ!?」

 

 

……この時であった。

 

 

ズギュウウウウウウン!!!!!!!!

 

「ンンンンンン!!!!!?ぎもぢいいぃいいいいいぃいいいいい!?!?」

 

セイバー・リリィに股間を爆破させられ、大空へ舞い上がった黒髭。時はセイバーウォーズ…うっかりと油断した彼はそのまま星になった後、見知らぬ海辺まで流れ星になっていた。まあ、サーヴァントなので不時着して砂浜にクレーター作ろうと(股間以外は)わりと平気なので持ち前のギャグ補正ですぐに復活した。

 

「ううむ…最近、拙者の扱いが割りと酷い気がする。」

 

焼け焦げた股間は大丈夫だろうか?このあと、小便以外で使うかは謎だが男のシンボルを失うのは女体化してるサーヴァントだけで充分だと黒髭氏の談。そして、何気なく海を見てみると……

 

『グギギギギギ…!!』

 

「は?」

 

デカイ蟹がいた。ヤドカリのようでやたらデカイ蟹。

 

「おお、知っておるでござる!ダ●ミョウザ●ミでごさるなぁ!!ザ●ミ装備本は中々、パイケットでも人気の……」

 

 

……そんな話はどうでも良い。

 

 

「ジャンヌたんかマシュたんに●ザミ装備をッ!」

 

そして、黒髭とバケガニの長きに渡る戦いが幕を開ける。太刀、太鼓のバチにギターやら砲撃等々……詳しいところは重要じゃないので割愛させていただこう。死闘の果てに黒髭は勝利を手にし、主だった蟹の縄張りを散策した所……海中よりこの蟹を見つけたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リリィ補正すごすぎで拙者、ワロタ。」

 

「うん、にわかに信じ難いのは事実だけど…まあ気にすることないんじゃないかな?」

 

「……むむ」

 

セイバー・リリィなら仕方ないと思える辺り、エミヤも自分も何かが末期が悟る。とりあえず……この蟹はあくまで黒髭の綺麗な戦利品ということで依頼してきているのなら…特に正義の味方として問題は無い。と、解釈して後々の起こることへの思考を捨てて己の欲に負けた。

その瞬間、黒髭は何処からともなくラジカセを取り出してBGMエミヤを流しはじめる……

 

「良いだろう、黒髭氏…それにドクター。不肖、アーチャー……今は弓兵としてではなく、料理人・エミヤとしてこの腕を振るおう!」

 

 

 

 

 

I am the bone of my sword.

 

……体は剣(包丁)で出来ている

 

 

「無限の剣製〈アンリミデット・ブレードワークスverクッキング〉!」

 

 

 

そして、厨房は……エミヤの固有結界の剣の丘…ではなく、厨房にかわった。ただ、全てが主が使いやすいように改装されて並ぶ料理器具は彼が生前に見てきた一流の料理人たちの道具にサーヴァントの宝具を投影して改造されたものまでズラリ。そして、正装と言わんばかりに白エプロンをする辺り、この本気さは流石の黒髭氏まで引いた…。

 

「さて…カルデアの食材の貯蔵は充分か?」

 

(ヤダァ……別にそこまで本気を出さなくても良かったのに…)

 

(結果、オーライじゃない?)

 

 

「ああ、これは固有結界の応用さ。まあ、本来の使い方ではないから限定した展開になるがね。」

 

((別にきいてない。))

 

変なスイッチが入った料理人こと所為、弓兵は蟹を手に取ると一瞬…不敵に笑うと鮮やかな手つきでこれらを解体していき、続いては冷蔵庫から野菜を取り出しては包丁(?)で刻んでいく……

 

(素晴らしいっ!これ程、胸が踊ったのはいつ以来か……!)

 

((そっとしておこう。))

 

なんかもう話しかけ辛い雰囲気だ。黒髭とロマンは兎に角……彼が調理を終えるのを待つことにした…。

 

 

 

 

しかし、これが後にカルデアを血で血を争う事件に発展するなど誰も知る由が無い。

 

 

 

 

 

〈つづく。〉

 




はい、こんなギャグに振り切った話書いたのはじめてなんでつまらなかったらゴメンネ!

エミヤはもう完全にギャグに振りきれたらこうなるんじゃないかっていう捏造でござる。そうなったのは私のせいだ……だが、私は謝らない(キリッ



感想よろしかったら下さいな♪



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二発目!BBAは駄目だね。ってコイツが言ってたでござる。


★設定

☆男主人公
糖尿寸前。只今、療養中……

☆食載のエミヤ
料理がまともにできる男鯖ってコイツくらいじゃね?
元カノの話は厳禁。

☆黒髭(股間炎上中)
拙者の装備でござるか?ガンスでござるよ。それと、リリィ氏もうやめてぇ!!拙者の股間のライフはゼロでござるぅ!

☆セイバー・リリィ(約束された股間への剣Lv5)
だ、大丈夫です!今度こそは……!カリバァーーー…あァ!?(もう、やめたげてよぉ!)

☆すまないさん
え、何?彼女?(「好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き…(ry」







「…出来た。おあがりよ!」

 

「くぅぅッ!料理もうまくて、さらっと他人のセリフもパクっちゃうエミヤ氏!」

 

「そこに、痺れるッ!憧れるッ!」

 

もうすでに、ロマンとエミヤは黒髭の毒に侵されてしまい…後で冷静になったらさぞ後悔するだろう。兎に角、出来たのは極上の蟹鍋・エミヤスペシャル。流石、無駄に固有結界まで使っただけあり、グツグツと煮詰まりながらも香る芳醇な香りはサーヴァントであっても擬似的な肉体を持つエミヤや黒髭の食欲さえ刺激する。

 

「それじゃあ、食べようか……」

 

「待った。」

 

「む?エミヤ氏?」

 

さて、食べようと提案したロマン…だが、エミヤが止めた。

 

「折角の鍋だ……もう1人くらい呼ぼうではないか。」

 

「え~……本気でごさるかぁ~?まあ、別に良いでけど。拙者、心は7つの海のように広いし~…」

 

料理人として…自らの腕を振るった至高の一品は1人でも多くの人に食べて貰いたいということか。ならば、納得……

 

「では、アルトリアを……」

 

「「アルトリア駄目絶対。」」

 

否、大喰らいの元カノにご馳走する気満々だった。すぐに、却下する黒髭とロマン。

 

「エミヤ氏、いくら好きだった元カノとはいえアルトリアシリーズはあかんですぞ!?アイツら燃費悪いし、無駄に食うし!」

 

「そうだよ!僕達の食べる分が何分の一になるか!?」

 

「美味しく食べてくれるなら俺……じゃなくて、私も本望。」

 

この弓兵、だんだんオリジナルに戻ってきてやがる……とにかく、どのアルトリアシリーズもろくな奴がいない。食い意地の青に悪食の黒……果ては貴方の股間に一筋の光なんて奴までいる始末。全員、黒髭と相性が悪い…

 

「じゃあ、せめて他の人にしよう?セイバーでもさぁ。」

 

「む……」

 

じゃあ、せめてもと他のセイバーにとロマン。で、候補を考えてまると……

 

 

 

……お鍋は悪い文明

 

 

……無口な軍師

 

 

……ローマの赤セイバー(DEBU)

 

 

……おき太(吐血)

 

 

……なんだ女か((笑))

 

 

「誰だ、セイバーが最良のクラスなんて言った奴。」

 

黒髭がぼやくのも無理は無かった。アルトリアシリーズを抜いても、ろくな奴がいない。アルテラに関しては最終的に『お鍋は良い文明』とか言って、全員を血祭りにしたあと強奪していく様が見えるので勘づかれるのも危険だ。ましてや、DEBUはあの舌が危険過ぎるし残る奴等も問題ばかり……

 

「じゃあ、アーチャークラス……ロビンフッドとかは…」

 

「却下。」

 

 

 

「あ!そういえば、ジークフリート氏のアドも交換しておりましたぞ、拙者!これなら、問題はありますまい!」

 

「まあ、それなら構わないが……」

 

結局、無難なジークフリートに落ち着いた。今回はハブられなかったね!というわけで、黒髭がサーヴァント特有の脳内通信を行ってジークフリートに連絡。

 

「もしもし、ジーク氏?ああ、拙者でござる。」

 

【黒髭!?すまない……今、手が離せな……】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【……好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き嫌い好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き】

 

 

 

ーーブツンッ!!

 

「…」

 

 

……何、今の?

黒髭は最後に聴こえた女性ボイスに身震いして硬直した。

 

「どうしたの…?ジークフリートは……」

 

「え?ああ……すまないさんか。良い奴だったよ。」

 

「「?」」

 

後で墓をたててあげよう。多分、もう生きてない気がするからもう関わらないほうが無難。決して、女性に好かれてばかりが幸せ愉快とは限らないと心に刻みながら、次の候補は誰にするかを考える。

 

「さて、後は付き合いよさそうな人は誰ですかねぇ~……」

 

「アタランテはどうだ?彼女ならそれほど……」

 

「いや、彼女は海産物より林檎のイメージが……」

 

「あ、拙者知ってる!マスターが金の林檎食ってる時、あの娘、すんごい形相してるもんね!あのマスターなら頼めばくれそうな気がするのに……素直じゃないのよねぇ~。」

 

「武人気質な女性とはそういうものだ。」

 

「およ?流石、騎士王の元カレは言うことが重いですな?デュフフ!」

 

「ヤメロ。」

 

さて、アーチャークラス…比較的にまともかもしれない。AUO?知らんな。アタランテなら割りと普通な部類だから大丈夫なはず…。他は…ダビデにステラーッ!とかオリオン。うん、アタランテちゃん一本で。

 

「では、今度は私が……」

 

今度はエミヤが謎サーヴァント脳内通信……

 

【む、エミヤか?】

 

すぐに出てくれるあたり、本当に良い娘である。

 

「ああ、アタランテ。良かったら、鍋でも……」

 

【すまない、エミヤ。折角の誘いだが……】

 

 

 

 

 

 

 

 

【ダーリン、この浮気者~!また女の子にチョッカイだして!】

 

【いや、誤解だって!?ジークフリートをヤンデレから助けただけだから!】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【……察して欲しい。】

 

「……承知した。」

 

エミヤは真面目なサーヴァントほど振り回されやすいのだなと、心が痛む。アタランテははっちゃける場もこの先無いだろうから心労は溜まる一方だろう。

 

「あれ?アタランテは……?」

 

「ん?良い奴だったよ。」

 

「「?」」

 

報われない弓兵同士、いつか酒を一杯と思ったエミヤ。それはさておき、いい加減に追加のメンバーを決めなくては……

 

「さて、セイバーもアーチャーも駄目ならランサーか………武蔵か、もしくは、スカサハ……」

 

「エミヤ氏、BBAは駄目でござ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ゲイボルグ・オルタネイティブ!!】

 

 

ードスッ!!!!

 

「ひっ!?」

 

危ない……なんかこう因果率とか逆転した起動で黒髭スレスレに紅い呪槍が突きたった。思わず、嫌な汗をかかずにはいられず腰を抜かしてしまう。

「お、おお………口は災いの元。くわばら、くわばら………」

 

「流石、影の国の女王。地獄耳級の直感だね。」

 

ロマンは感心しているが、黒髭にとっては洒落にならない。せめて、鬱憤は弟子がどうにかしてくれることを願おう。

さてさて………

 

「どうしたものか?」

 

「「う~ん。」 」

 

残る4騎士はまずバーサーカーは論外。キャスターはまともな奴がいない…ライダーはまあ探せば良心的なブーティカやメドゥーサがいるが…変なオマケがついてきそうで怖い。というより、黒髭がいる時点で逃げるだろう。アサシン……ハサンorマタ・ハリ。

 

「「「Yes!O☆P☆P☆A☆I!」」」

 

ハサン先生、オパーイに敗れたり。で………

 

「誰かアド持ってるの?」

 

「「…」」

 

「持ってないの!?」

 

この始末。流石、アサシン…そう易々と個人情報を(ましてや、黒髭なんかに)流したりはしない。女スパイというだけある素晴らしいおっぱ………ミステリアスな女性だ。

 

「駄目じゃん!?どのクラスも駄目じゃん!?」

 

「お、落ち着いて黒髭氏!まだ希望はある!」

 

「しかし!はやくしなければ、こーゆー時に変な邪魔が入ってくるのだぞ!」

 

その通りである。エミヤが焦るのは決して、愉快な枠のサーヴァントは黒髭だけではないからだ。だって、ここは仮にもFGOの舞台、カルデア…マスターが召喚(ガチャ)をしまくって日々…は大袈裟だが一月あれば新顔が2~3人くらいは増える。確かに、真面目なサーヴァントがでてこないわけではない…ただカルデアでは完全に運任せ召喚なため、御愁傷様な時だってありえる。

 

そう……厨房の出入口の影に……

 

(…ど、どうしよう!?沖田さんは大変なものを見てしまいました!?)

 

残念枠の彼女…桜セイバーこと沖田の姿。いや、確かに優秀な鯖だが全力を出すと吐血することに定評がある。そして、本能寺イベでは手持ちとしてもフレンド枠としても酷使され過労死で消えそうになったとか噂も…

で、今は種火集めからの帰り道。いつものように、ジャックと出撃して宝具をぶっぱなしまくり…いつものように、吐血してフラフラになりながら帰ってきた。そろそろ、日付が変わるのでまた暫く休めるだろうと愛刀を杖がわりにゼェゼェと言いながら帰路についていれば……ふと、仄かな香りに誘われて厨房へ。すると、この奇妙な面々が居座っているのだから顔は一気に引き締まる。

 

(さて……エミヤさんとドクターはまあ良いとして。問題はあの黒髭がいるということ…きっと、何か良からぬ事を企んでいるのでは?)

 

…存在だけで信用されないとは、悲しいものである。

 

(それにしても、この胃袋を刺激する香りは……)

 

そして、沖田は気がついてしまった。彼等が何を取り囲んでいるか……

 

(あれは…!蟹!?しかも、鍋!?)

 

煌めく紅い甲殻に美しい出汁の中に浮くそれを…。沖田だって知っている…彼女の生前にもコイツは至高のご馳走だった。新撰組であった時はお目にかかることもまずない代物だったがそれが目の前に……

 

(一体、何を……じゅるっ…黒髭はするつもり……じゅるるっ…)

沖田さん…貴女は確かアルトリアシリーズではないはず。されど、口から欲望の汁が溢れてくる…。そうだ、相手はあの黒髭だ!オケアノスでは悪役だったし、ロリコンだし、髭だし、変態だし、トラブルメーカーだし…とにかく、ここで斬っちゃえば最終的に皆のためになるよネ!

 

(…そうだ!これは、大義の元!!決して、ただの人斬りではなく世のため人のため、マスターのため!!いざ、斬り捨て御免ッ!)

 

結局は欲望に負けただけだが、一瞬で厨房に躍り出た沖田は自身の必殺技の要領で素早く男3人に太刀を入れる…!

 

「げふっ!?」

「ほげっ!?」

 

「がっ!?…クソッ遅かったか……ガク…」

 

「また詰まらんものを斬ってしまった………まあ、峰打ちだけど。」

 

速さならサーヴァント内で随一を争うだろう彼女にエミヤや黒髭…ましてや、人間のロマンまでかわせるはずも無かった。白眼を剥いて卒倒する彼等を尻目に沖田は鍋を見る……

 

「さて……どうしよう…」

 

これから、どうしたものか。斬った(峰打ち)はしたは良いけど、この状況はパッと見で誤解(真実)を持たれるだろう。誰かくる前になんとかしないと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、ここら辺に師匠の槍が……って、沖田じゃねえか。なにしてんだこんな所で。」

 

「うわあァアアアアァァアアアア!?!?!?」

 

 

 

 

…その時、ふらりと現れたのは我等が槍ニキであるクー・フーリン。思いがけぬ来訪者に反射的に沖田のとった行動は速かった。

 

「死ねぇい!!」

 

「…は?グェッ!?」

 

問答いわせず、一突き。勿論、慌てた故に峰打ちではない……つまり…

 

 

「…ハッ!?ランサーが死んだ!?この人でなし!」

 

どの口が言う。こうして口封じされた彼はカルデアの冷蔵庫に押し込まれた。よし、これで暫くはバレない…

 

(うわぁ…どんどん、収拾つかない事態になってる気がする…)

 

「ま、是非も無いよネ!」

 

(うん、そうだ…きっとそうだ…!)

 

とうとう、身内まで斬ってしまった沖田。ランサーはギャグだと死ぬものだから仕方ない…カニ●ァンだってそうだったじゃないか!無理矢理、自分を納得させた彼女は辺りをキョロキョロと見回すと…

 

(一口……一口だけなら…)

 

味見用の小皿を手にとって汁をオタマでもった。ほんのちょっぴりだけなら、バレない。流石、沖田さんやり口が汚い…。そして、口に含むと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウンまああァーーーーーーい!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

沖田、サーヴァントになってはじめての最高の味を知る。

 

「ナニコレ!?ンまぁいなァァァァ!?」

 

そりゃあ、サーヴァントが作ったチョコが勝手に歩き出すくらい凄いんだから、元々料理人のエミヤが作る至高の材料を使った料理からもう昇天しそうなくらいおいしくても、キャラ崩壊するくらいおいしくても不思議ではない。

 

「これは一体…!?そうか!きっと、マスターがいつも頑張っている沖田さんのために用意してくれた概念礼装に違いない!そうだ、きっとそうだ!!何か病弱のスキルも緩和されてる気がするし…」

…チョコの概念礼装があるなら、鍋の概念礼装があっても良いじゃないという理論。そうなると、全ての食べ物が概念礼装になる気がするがそれこそ喜ぶのはアルトリアシリーズくらいだろう。エミヤは白眼だろうが……

 

「では、ありがたくこれは頂くとして……」

 

さてさて、随分と都合の良い解釈をしたあと鍋を持ってその場を後にしようとする沖田。しかし……

 

 

「おい、人斬り…何処へ行くつもりじゃ?」

 

「!」

 

 

…目の前に宿敵が立ち塞がる。

 

 

 

<つづく>

 





感想おまちしてるでござる。

次回予告。ワシじゃよ、ワシワシ。


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三発目!テメェは俺をらせた。


時間かかってすまない。

最後がやっつけですまない。

黒髭危機一髪、とりあえずはここで終りです。


・登場人物

☆主人公
糖尿

☆清姫
片足、ホラー枠系良妻鯖

☆黒髭
艦こ●もやってますぞ。作者はやりたくても出来ないんですがね。

☆リリィちゃん(死翔せし股間への剣 ランクEX)
なんか宝具の名前かわってるんですけどっ!?

☆残念な沖田さん
残念って!?いや、ちょっとくらい羽目をはずたって………え?いつもはずしてる?そんなぁ…

☆???
今さらだけどぐだぐだじゃの、この小説

☆???
私をBBAと言った者は何処だ?

☆???
みこーん!






「貴様は……ノッブ!?」

 

「そう、ワシじゃ!というかさっきの『是非も無いよネ!』…で気がつんかったのか?」

 

ノッブこと、現れたのは織田信長。

あ……言われて見ればランサーを殺し…ではなく、事故死したあたりでなんか変な台詞が挟まれていたことに気がつく沖田。そう、殺害ではない…

 

 

……あくまで、『事故死』である。

 

 

(解せぬ…)

 

 

虚しい空耳が……きっと気のせいだろう。

 

「ノッブ…貴女がここに何用で?」

 

「む?ああ、エミヤの厨房から小腹が空いたから魚肉ソーセージとかパクろうと思ってたらのう……中々面白いものを見れたぞ?ンン?」

 

しかも、現場を見られた。よりにもよってコイツに!沖田は考える…どうやってこの場を切り抜ける?別にノッブごとき斬り捨てた所で黒髭並に心は痛まないが……

 

「なんか今、貴様…失礼なこと考えたろ?まあ、良い…別に、ワシも鬼ではない。ここはひとつ、その蟹をよこせば今回の事は目を瞑ってもやらんことも無いぞ?」

 

「誰が!?この蟹鍋はマスターが私のために作ってくれた概念礼装です!」

 

「アホか、貴様は!?そんな汁物の礼装なんぞあってたまるか!?」

 

ノッブのツッコミは的確であるが、どうしても蟹鍋を手離したくはない沖田。しかし……

 

「さあ、どうする沖田?応じなければマスターにチクるぞぉ~?そうなれば、貴様のカルデアでの立場はあるまい!なんせ、黒髭の獲物を横取りしたのじゃ……後に待つのは貴様のU☆SU☆I☆HO☆N(R指定)がパイケットに並ぶ結末じゃろ?」

 

「ぐぬぬ……」

 

それは最悪の結末である。そんなものの存在は誇り高き英霊として、新撰組として、何より女として許されざる事態。どうする?考える沖田……ここで蟹鍋(概念礼装)を手離してノッブがただで済ましてくれるとは思えない。ならば……

 

「ノッブ……あなたに恨みは死ぬほどありますが、押し通るッ!」

 

速さが格段に上なら、あえて戦わずとも逃れられれば良い。スピードなら全セイバーの中でもトップクラスの彼女ならノッブを一瞬ですり抜けることなど造作もなかった…。そう、あくまで沖田は……

 

「…そうくると思っていたぞ。」

 

「!?」

 

ノッブは不敵に笑った。そして、沖田は鍋の中の異変に気がついた……

 

 

(蟹が……無い!?)

 

 

そう…汁と野菜のみで要が消えうせている。まさか……

 

「残念だったの。貴様の速さに蟹がついていけると思っていたのか…?モグモグ……」

 

してやったりと笑うノッブの手元…そこに、鍋の主役はおさまっていた。沖田の瞬間移動の僅かな隙でぐらいついた蟹を彼女は奪いとっていたのである。

「…貴さ……!?」

 

すぐさま奪いかえそうとした沖田だが、そこを脚を火縄銃で撃ち抜いてみせるノッブ。どんな俊足でも動きを生み出す初めは足…そして、身体を支えるのも脚。これを奪われればどうなるか?いくら、サーヴァントいえど立つことは難しい。無論、沖田でも例外ではない……

 

「……ぐ…がぁ!?」

 

「どうじゃ、立てない気分は?ここで貴様をなぶってからその鍋を頂いても構わんが、それはそれでコソ泥から漁夫の利をまんまとせしめたような後味の良くないものを残す。どうせ、かすり傷でもないのじゃろう?その脚…治るのに何秒かかる?貴様が立った瞬間…この三千世界<さんだんうち>を全力で叩き込む!」

 

そして、余裕をぶっこき過ぎて某・冒険の主人公の真似をする。完全に沖田に対する煽りでしかないのだが……

 

(ま、まずい……しかし、ノッブ…やはり、アナタも所詮はただの人間だ。)

 

あれ?

 

(後味が悪い…?笑わせてくれるッ…。その薩長のクソどもに匹敵する思考が命取りだ…。人斬りと呼ばれた沖田さんは常にシンプルな原理で行動している……勝てば良いッ!)

 

何気に沖田も血涙を流しながらもノリに参加。やっぱり、仲がなんだかんだで良いのかもしれない。

 

(そのためなら、手段や結果がごとき……どうでも良いのだッ!)

 

「げほッ(吐血)」

 

意を決した彼女は脚からではなく、吐血による血の痰をノッブの顔面へと目潰しに吐きつけた。途端、ノッブは怯んでしまう。

 

「うっ!?」

 

「かかった!!死ねいッ!」

 

その瞬間を待ってましたと斬りかかる沖田。ノッブもなんとか、銃口を沖田に向け……

 

「三千世界<さんだんうち>…!」

 

「…三段突きッ!」

 

互いの宝具がぶつかり、あった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え……何事?」

 

 

 

 

 

 

この時、復活した黒髭が遠くから眺めて戸惑いの視線を向けていたが誰も気がつくことはない…。

そして、結果は……

 

 

 

「ぐたぐだじゃ……」

 

 

ノッブが地に伏す。

 

 

「エエェエ!?いやいやいや、こんだけ無駄なノリしておいてアンタが死ぬんかい!?」

 

「ワシは小野●ではない……くぎゅ●なんじゃ…。プ●キュア5つの誓いなんじゃ。」

 

「もう性別レベルで中の人違うぅ!?あ、拙者はプ●キュアも趣味でごさいまするぞ。」

「そうか……、なんにしろ、是非も無いよネ!」

 

 

結局、何しにきたのかノッブはくぎゅ●スマイルを向けて光の粒子となり消えた。死んでないだろうけど……

残った沖田は蟹を掲げ、高らかに叫ぶ!

 

「沖田さん、大勝利ッ!私は今、恐怖を克服したッ!もうこの沖田さんを阻む者は誰もいな……」

 

…勝利。これで、概念礼装(蟹鍋)が手に入った。だが、うっかりはしゃぎすぎたのがいけなかったのかもしれない。

 

「…かふっ!?」

 

吐血。ここつまスキル病弱が発動。今までの動きの無理がたたったのか彼女の肉体は粒子へと還っていく…。まるで、最後に激しく燃え盛る蝋燭の火のように……

 

「馬鹿な!?この沖田さんが…!?この沖田さんがァァ!?!?」

 

「最初から、自分も食べたいっていえばこんなことにならなかったでござるよ。」

 

「…はは、黒髭に正論言われるとか沖田さんも潮時ですね…ぐふっ!?」

 

本当にただグダクダとふざけて退場した沖田。本当に何しにきたのだろう…とりあえず、今度あった時にはパイケットの海にノッブ諸とも沈めてやると誓った黒髭。とりあえず、蟹は取り戻したわけだが…ノッブに食いあさられて酷い有り様に。脚は2本くらい失われて、鍋から出されて好き放題されてたためか鮮度も落ちてきている…。加えて、鍋の汁も沖田やノッブが好き放題暴れた際にだいぶこぼれてしまっていた。

 

(おかしいなぁ……ただ、蟹鍋を食おうとしただけなのに………)

 

本日、黒髭は何も悪いことはしていない。ただ、蟹鍋を食べようとしただけ…なのに、次々と邪魔が入る。日頃の行いの報いにしてはあんまりな気がするが、何にせよこれ以上損失を出したくない。

 

「さて、でもどうする?この残り少ない蟹をどうすれば……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私をBBAと言った者は何処だ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒッ!?」

 

 

 

そんな願いなど聞き届けてくれる者など無く、現れたのはスカサハ。震えあがりながら、振り返ると彼女の形相からするにかなりご立腹のようで、槍を黒髭に突きつけてくる。ここで、うっかり『その通り!』なんて答えたら槍で張り付けにされるであろう。

 

「…貴様か?」

 

「いいや、メッソウモナイ……」

 

「ふむ。まあ、良い。それより馬鹿弟子が私の槍を取りに行ってから戻ってこないのだが……見てないか?」

 

「し、知らないでござるよ……」

 

彼女はどうやら、クー・フーリンを捜しているらしい。まさか、冷蔵庫に押し込まれているなんて夢にも思っていないだろう。

 

「……つまり、概ね何処ぞで油を売っているか。して、時に黒髭…貴様の手にしているそれは何だ?」

 

「げっ…」

 

そして、やはりと言うべきか気づいてしまったおっぱいタイツ師匠。やべぇ、めっちゃ鍋見てるわぁ……これ逃げたら絶対にゲイボルグ確定ですわぁ。

 

「(じー……)」

 

「いや、その…これはですね……」

 

「(じー……)」

 

「し、師匠……マジ怖いんすが。視線だけでゲイボルグされそうなんですが拙者…」

 

どうする…?沖田?ノッブ?師匠に比べたらまだマシだよ!とにかく、この場を安全に乗りきらないと……

 

「黒髭…実は、私の手には槍がある。」

 

「知ってます。」

 

「しかしだ…。うっかり(故意)手が滑ってしまうかもしれぬ。そうしたら、この槍はお前の心臓に刺さるだろう……」

 

「うっかりで心臓に刺さるわけ無……」

 

「その鍋を置いていけば、そのようなことが未然に防げるような気がするのだが……ヌシはどう思う?」

 

「どうしてどいつもただ食べたいって普通に言えないんだよ!?!?なんで、拙者殺すこと前提なの!?馬鹿なの!?死ぬの!?」

 

「…貴様がな。」

 

「アッハイ。」

 

駄目だ、迫力が違い過ぎる。というより、影の国の女王すら惑わせるエミヤの料理が凄すぎる件について…。

いやいや、まずはこのままだとゲイボルグ確定申告なので師匠に落ち着いて頂かねば…

 

「ゲイボルグorダイ?さあ、どっちが良い?」

 

「…って、どっちも死ぬしかないじゃない!?まず、落ち着いてね師匠!お腹空いてるんでしょう…!?折角の鍋なんだからもう少し人呼んで食べましょ!ねっ?ねっ?」

 

「ふむ。それもそうか……」

 

よし、納得頂けたようだ…。でも、人を呼ぶにしても師匠の人脈にロクな人がいる気がしない。唯一のマトモ枠は沖田の手にかかり、杖は知らぬ。若い頃は…イケメンだから駄目。あとは絶倫大喰らいのあの人しかいない。

駄目過ぎる師匠の人脈……かといって、黒髭にも宛てが無い。

 

 

いや、待てよ……

 

 

確かあと1人だけマシな奴がいた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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マスターの自室……

 

 

「清姫ぇぇ……良妻系鯖だというのなら、俺に味のある食事をとらせてぇ~。」

 

「駄目です、旦那様。貴方は糖尿なんですから。」

 

「嫌だぁぁ!もう味が無いお粥が三度なんてもう嫌だぁぁ!!」

 

男主人公はベッドでのたうちまわるも、清姫は言うことを聞いてくれず駄々をこねている。清姫の対処は実に旦那様を思ってとすれば実に正しいのだが……

元凶は全てバレンタイン。サーヴァントすら虫歯になるチョコなら生身の人間にだって影響が出たっておかしくない。まさか、主人公にあるまじき糖尿だとは誰も予想しなかった……

 

「あぁ、くそう。もう令呪つかっちゃおうかなぁ。1日で一区画復活するのはマシュにえっちなことするためだと思ってたけど……」

 

「ほう?旦那様、それは良いことをききました。」

 

「!?」

 

あ、やべぇ……地雷、踏んじまった。

 

「…で、マシュさんとは一体、何時からそんなご関係で?」

 

「いや、冗談だって!そんな度胸あったら、彼女くらいいるから!?」

 

「怒ってるんじゃないんですよ?ただ、私を差し置いてそれは気にくわないだけで……」

 

「滅茶苦茶、怒ってますやん!?」

 

このままだと、殺される!史実、彼女は生前に安珍なるイケメンを焼き殺したらしい…。自分もそれだけは避けたい。なんて言ったって、自分には人類史を救うという使命があるのだから。

 

「大丈夫、殺したりしませんわ。ただ、型月的伝統魔力供給するだけですわ。」

 

「え……」

 

ちょっと、お待ち下さい。それって……

 

「やめて、酷いことするつもりなんでしょう!?オルタちゃんみたいに!」

 

「うふふ……さあ、剥き剥きしましょうねっ?」

 

「ギャアアアア!?!?」

 

ヤバい、このままでは人類救済の前にこの狂戦姫は自分から服と貞操を奪ってくる。彼女はサーヴァントとはいえ事になってしまえば犯罪になる年齢に加え、マシュから白い目でみられることは間違いない…。貞操は惜しくもは無いが、加えて失うものがあまりにも多い。

 

「旦那様……私じゃ、不服ですか?知ってるんですよぉ……毎晩、ブーティカさんやジャンヌさん、それにマシュさんなど等々いけない妄想してること。」

 

「ナゼェ…はっ!?」

 

「そうです……私にはストーキングのスキルがあるんですよ。ですから、貴方のことはなんでもわかります。」

 

「盗聴機……いや、魔力ラインを経由した……」

 

「いえ、ベッドの裏に張り付いてました毎晩。」

 

「!?」

 

悲報……弱みを握られてます。しかも、知りたくない事実まで…

 

「そっ!れっ!にっ!マシュさんに毎晩共にしている(嘘は言っていない)ことをお話したら、随分と動揺しているご様子でしたが…最後に『お幸せに』と申しておりました。」

 

「しかも、最も信頼を失ってはいけない娘が手遅れ!? 何かさっきから見かけないと思ったらそういうことか!?」

 

続・悲報……マシュとの絆レベル終了のお知らせ。

 

「大丈夫です、もう失うものは清姫しかありませんわ!」

「 も う 泣 き た い 」

 

あまりにも多くを失いすぎた……。健康な身体…相棒からの信頼……

これからももっと、沢山の大事なものが失われて自分のサーヴァントたちから白い目で見られる未来が待ってると思うと辛くなる。

 

「大丈夫……清姫は貴方の側にずっとおりますわ。なにがあっても……」

 

「ああ、清姫……」

 

あれ?何か清姫の眼か紅く……それに、意識……が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マスター、こちらでございます……か…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ……

 

 

「邪魔したようだな……」

 

「黒髭はとりあえず、クールに去るぜ……」

 

 

「待って!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、師匠と黒髭の誤解を解くには暫しの時間を要した…。清姫が『チッ』と舌打ちしていたが気がつかなかったことにしよう。それから、師匠が糖尿を治してくれました。

 

「何故、はやく言わん。それくらいルーンで治るぞ?」

 

「「マジで!?」」

 

黒髭もびっくり、師匠パネェ。ルーン万能説にもうロマンはオペレーターに専念させれば良いと思う……だって、医者らしいこと全くしてないしね!

 

そのあと、皆で仲良く蟹鍋を食べて終わりましたとさ…。めでたし、めでたし……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……と、思っていたお前らの姿はお笑いだったぜ?」

 

唐突に場所は変わってオケアノス。黒髭の船の上……

船の主は曲者ふたりを縄で縛りあげてマストから吊るしていた。それは勿論……

 

「うおおわぁぁ!?!?何をするんじゃ、黒髭!?ワシが何をしたというんじゃ!」

 

「うげぇ……そろそろ下ろして…沖田さん吐きそう……おぇ…」

 

ノッブと沖田……下手人コンビ。

 

「いやいや、ワシなにもしてないじゃん!?」

 

「だまらっしゃい!テメェらのせいで余計な苦労する羽目になったんだゴラァ‼」

いや、まあ沖田が起こしてノッブが被害を甚大にしたというわけで。今回、特に何もふざけていない黒髭からしてみれば怒っても仕方ないのだが……

当の本人たちはというと……

 

「ええい、黒髭風情が!☆2鯖ごときがワシらレア鯖に勝てるとでも…!」

 

「ノッブ、それフラグ……」

 

悪びれる素振りすらないので…黒髭はもうひとりの被害者を呼ぶ。

 

 

「レア鯖ならここにいるぞ…」

 

 

「「ひぃっ!?」」

 

そこにいたのはエミヤ。左手に野菜包丁……右手には肉切り包丁を……眼は暗黒に輝かせながら無心にUBWを詠唱しながらジリジリと歩み寄ってくる…。目がマジである。超怖い。

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!もうしませんからっ!どうか、おしらす裁きはそこの沖田にぃ!」

 

「はあっ!?ちょっと、自分も騒いどいてそれ何なんですかーっ!?ふざけんじゃないですよ!?」

 

「お前ら当分、メシも菓子も抜きな。」

 

「「…サーセン。」」

 

さながら、子供を叱るおかーちゃん…にしては物騒だが、自業自得である。

そんな船の甲板の上に次々と新しい客が……

 

「はーい、元祖良妻鯖と言えばこのわ・た・し!キャス狐の登場で~す!ちゅり~す、エミヤさん…今日の料理はなんでしょう?」

 

「喝采して讃えよ!ローマの華……至高の…以下略、赤セイバーこと……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……カエサルである。」

 

 

 

 

「認めんッ!」

 

「私をBBAと言った者は何処だ?」

 

これまた濃すぎる面々である。キャス狐、ローマ連合、師匠。カエサルあたりの人選は悪意を感じるが、それはまず良い。

 

「ネエェェェロォオオオオォ‼‼‼」

 

「え、ちょ、たん………がふっ⁉」

 

まず、沖田が叔父上に抱きしめられて…その拍子に吊るしていた縄が切れてまっ逆さま。そのまま、海の中へ消えた…。

 

「沖田ァ!?」

 

「む?誰かと思えば本能寺では世話になったなぁ、アーチャー?」

 

突然の悪友のログアウトに悲鳴をあげるノッブ。しかし、そこへカエサルが迫る……

 

「き、貴様は…!?太いほうのローマ!?」

 

「ふくよかだと言え!さて、ここで思いがけず借りを返せる日がくるとは……なあ?」

 

「おい、よせ!?何をするつもりじゃ!」

 

「面倒だが仕方あるまい……黄の死<クロケア・モース>!」

 

「ぎゃああああああ!?やはり、ローマは圧政なりぃぃ‼‼」

 

次いで、こちらも悪友の後を追っていく。さて、愛刀たる黄金剣をサッと振るい…恨みは晴らしたと一息ついて後にしようとしたカエサル。

 

……この時、うっかり…

 

 

 

 

 

ツルッ

 

 

「!?」

 

不自然に足許に落ちていた『優雅たれ』にバナナの皮よろしく足を滑らせ……

 

「なんとぉぉぉぉ!?!?」

 

こちらも海に頭から落ちていった。

 

「って、いやいやいやいやいやいや、なんですのコレ!?私、フツーの海鮮料理教室って聴いてたんですけど!?エミヤさん!」

 

とうとう、ツッコミをいれるキャス狐。いや、なんで今まで黙ってたし……

すると、エミヤはニコリと笑って………

 

「大丈夫だ、キャスター。だが、まず料理には良い食材が必要だろう?すでに、活きの良いエサは放ってある。心配はいらんよ。」

 

エサ………まさか、つい今しがた海の藻屑になった方々でしょうか?いや、それよりもエミヤの顔がさっきから暗黒面になりかけてる。一体、何があったのかキャス狐の知る由は無いが………

 

「エミヤさん、お気を確かに!?そんなもので釣れるのなんて海魔かよくて鮫ですよ!」

 

「何か問題でも?」

 

「あんた、人になに捌かせるつもりなんじゃい!?」

 

ごもっとも。しかし、もう目の前のエミヤは正常な思考など捨て去っている………

ほら、例えば………

 

 

「なんだっ!?カキが身体に張りついて……ぐぼぼぼぼ!?!?」

 

身体にカキをくっつけたアンデルセンが溺れかけても全く動じない。

 

「いましたっけ、アンデルセンなんて!?」

 

さっきからツッコミしかできないキャス狐。これが、エミヤの常識とツッコミ係の苦しみなのである………

 

「では、拙者は艦●れしてますんで、失礼。あとはエミヤ氏にお任せするでござる。」

 

「あんたはさらっと、他のゲームの話してんじゃねーよ!?」

そして、黒髭は自室にこもる……FGO以外の理由で。更に………

 

「では、私も釣りの洒落こむか。」

 

師匠も釣りをはじめる。針にかけるエサは凍っていた殺害済みクー・フーリン(槍)。

 

「そぉい!」

 

…ああ、本当に海に投げ込みやがった。もうこれどうやって収集つければ良いのだろう?キャス狐は溜息をつく……

 

「とりあえず、帰っても良いですか?」

 

 

 

 

 

……この始末、はてさてどうなりますことやら。

 

 

 

 

お わ り

 





次回作予告!(BGMエ●ァのあれ)

マシュ「私の出番が全くなかった気がします。まあ、良いでしょう。どうせ、黒髭氏の作品ですし……さて、こんな作品に付き合ってくださった読者さまありがとうございます。次回作も気が向いたら見て下さいね。次回『FGO~黒髭危機一髪!逆襲のオルタちゃん~(仮)』にご期待ください。さて、次回もサービス、サービス…です。サービスなんでしょう?」



本当に呼んでくださった方、ありがとうございます。次回作は気が向いたらやると思います故。そういえば、今コラボ中ですな……。ガチャしてレア鯖セイバー柄で興奮したのも束の間、来たのはモーさんでした。やっぱり、ピックアップ鯖は来ないジンクスが私にあるようです。それからの10連も見事に爆死。うん、めげてられないね!


さて、次回はええあのオルタちゃんが主役です。やったぜ、旦那!超COOLだよ!


いつやるかわかりませんけどね。では、またいつか!


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