転生して脱ヤンデレ清姫を目指そうとしたらヤンデレに狙われた。 (ヘタレ蛇)
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キャラ設定 清姫

一応出来た。修正は今後やる


憑依清姫(ヒサギ)

 

性別:女性(精神:男)

 

普通の清姫大好き、角大好き(浮気)社会人青年主人公が子供を助けようとトラックに轢かれ、目が覚めると特異点:オルレアンにて清姫になっていた。マスターに契約(お持ち帰り)され、カルデアでポンコツライフを過ごしている。一人称は表側は私、独りでは僕。

 

筋力 E(D)

耐久 E(D)

敏捷 C(A)

魔力 E

幸運 E

宝具 EX

 

・狂化(_) 憑依による霊器(肉体)からの影響していない

 

・変化(D) 借体成形とも。東洋の低級竜に変化する。足が生えている間はひたすら走るが、足が消えると、地を這いずり回り始める。憑依している主人公がどうにか変化しようと死ぬ気(?)で思い込んだ結果、発現したスキル。

 

・ストーキング(_) 憑依本体の意思無し

 

・焔色の接吻(_) 清姫がマスターに求めるもの。一度唇を重ねれば、あらゆる妨害を撥ね退け、スーパー清姫ちゃんになることも吝かではない。 だが憑依主人公が求めるのは角・清姫であるがスーパー清姫ちゃんになる訳ではない。

 

・マニアの情熱(B) 特定の物に熱狂的な情熱を持ってステータスをワンランク上げる。この憑依者の場合、角・清姫に対してのみ、変態的な情熱を持って狂化(E+)を与える。

 

・全力逃走(A) 戦線離脱、つまりは撤退をする時のみ、その場を速い速度で逃げ出す。

 

赤き料理(デバフ)(C) エリザベート・バートリー主催のハロウィンライブにて数多くの手料理(赤い劇物)を味見させられた結果、元々料理下手が更に重度が増し、料理を作る過程で赤い劇物に変わってしまう。

 

 

宝具

 

・転身火生三昧

 

ランク:EX

種別:対人宝具(自身)

レンジ:0

最大補足:1人

 

炎を吐く大蛇…即ち竜としての転身。だが憑依主人公はあまり使いこなせていない。というか宝具発動にも令呪によって発動できないでいる。つまりはポンコツなのである。

 

 

・赤い劇物

 

ランク:?

種別:対人宝具(?)

レンジ:0

最大補足:0

 

赤き料理により生み出される劇物(料理)。本人の料理スキルによりランクが変動する。これによりマスターが最初の被害者に、キャス兄貴は犠牲になった。

 

 

 

※イメージ的には可愛いポンコツ系の清姫でやろうと思いました。設定上では青年にしてますがオッサンでもいいかなと思いましたがエンディングでの内容がなかなか思い付かず青年設定にしました。だけどエンディングまで持ち込みにくい(涙)取り敢えずは気紛れに投稿しようと思います。ヤンデレから逃げられたと思う?残念だ。fgoでもっと清姫のカラミが見たい。と作者は思った。



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目覚めたら草原と鬼ごっこ

思いつきで書いてます。
全三話を予定していますが
第一話は題名と内容が合わないかもしれません。
主人公は死ぬ瞬間が無いです。


僕の名前はヒサギ。バリバリのシャカイジンの男性デス。

 

まぁ今まではだった。最後にトラックが見えた記憶はある。

 

だが目が覚めると僕は広い草原にいた。

 

雲の隙間から見える青空、風で草が靡いている。

 

太陽から延びた光りが靡いた草によって反射しキラキラと光っている。

 

清んだ空気を胸いっぱいに吸い込んだ。

 

そして草原に後ろに倒れた。草の柔らかさが心地いい。

 

 

うん、夢のようだ。

 

 

黒い髪の自分が長い青が掛かった緑の髪になっていること以外は。

その他に着なれない髪と同じ色の生地の着物に、手元に扇子、そして頭に違和感が……角だ。

 

 

うん、うん、夢だ、夢に違いない。でも一応…

 

 

何処か、川の音が…うん、行ってみよう。

 

 

うん、川の溜まりに見覚えのある顔があった。分かっている事は僕の顔じゃない。 どう見ても。

 

 

うん、なるほど、なるほど、リアルだ。

 

リアル過ぎな夢だ、こう頬をつねったら……痛い。

 

リアルだった。

 

うん……………頭の角を触りながら整理しよう。

 

サワサワサワサワサワサワサワサワサワ…ハッ!?

 

「僕、清姫に成ってるぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」

 

 

 

 

 

 

 

この後、角をサワサワしてから体育座りした。

 

その時に考えた、ならば次は行動するのみ!!

 

って偽赤セイバーの真似をしている場合じゃないや。

 

見た感じだとローマか、オルレアンの世界だろうけど

 

清姫が居るとなるとオルレアンだと思う。

 

ならば

 

「病まない清姫に、僕はなる!!」

 

折角の転生?憑依?ならストーリーにそうようにちょっとはイレギュラーやっても許されるでしょ。

 

決まればまずはマスターと合流する街に向かわないと。

 

道中ワイバーンやら骸骨、はたまた黒ジャンヌ、狂化付与サーヴァントとエンカウントするかもしれない。なら気を付けないと。

 

 

 

 

って言った後なのに

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!喰われるぅぅぅぅぅぅ!!」

 

絶賛ワイバーン'Sと追いかけっこNOWなのである。

 

何で!?何でこうなるの!?ストーリー上ならマスターに合う予定の街に向かう筈がワイバーンの群れと出会っちゃうって!?

っていうかワイバーンが緑、赤、黒で混ざって来ないでェェェェェェェ!!

 

喰われる!!足を止めたら食われて死ぬ!!それにしても走りにくい。よくこれで安珍を追えたよ、すげえ清ひ

 

 

「めェェェェッ?!」

 

考え事したら転けてしまった。膝痛ェ。

 

「ハッ!」

 

あわ、あわわわ、ワイバーンがすぐ其処に…

待て、まだ慌てる時じゃない。何のための清姫(この体)だ。そうだ、バーサーカーは全クラス対応できる高スペックなクラスなんだ。誰がどう言おうが最高にhighなスペックだ。つまり…

 

「死ねぇ!!」

 

と叫びながら扇子を振って炎をワイバーンに当てていた頃が僕にはありました。炎はなんか普通に出た。

 

 

 

「はぁ…はぁ…

 

 

 

 

 

 

助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

そして再びRun away(おにごっこ)

 

ワイバーンには効果が今一つだった。その上、ワイバーンの群れの火弾群もプラスされ難易度が上がった。

段幕が厚いよ!!砲撃主(龍)良くやってるよ!!

だから止めて!!

 

「きゃうっ!?」

 

また転んだ。しかも今度は変な声が出てしまった、恥ずかしいとかそんなのは今はどうでもいい。

 

「あ…。」

 

火の塊が此方に迫ってくる。終わった、避けれない。どうやらストーリー通りにはいかないようだ。イレギュラーな僕はどうやら狂わせる存在、というか力不足だった。どうせ死ぬんだったら…

 

「ヤンデレでもいいから清姫に膝枕して貰いたかった。」

 

自分が清姫だがこれ如何に、潔く目を瞑ろう。

 

 

 

その時

 

「失礼。」

 

そう聞こえた瞬間、胴に圧迫感と同時に浮遊感がした。

目を開けると倒れてる筈が両手足が地面から離れ、顔をあげると赤茶色の鎧を着けた長い黒髪のおじさんが目の前にいた。

 

あ、ゲオル先生じゃないですか。

 

「大丈夫ですか?」

 

「あ、はい。」

 

「それは良かった。」

 

脇に抱えられた状態で返答すると柔らかい笑顔を此方に向けた。

 

「ですが、

 

 

 

まずはこの状況を脱しましょう。」

 

そう言ってワイバーンの群れに立ち向かうその姿に、

僕は1つの憧れを感じた。

 

「かっこいい………。」

 

 

 

 

同刻の別の場所にて

 

「…………今参ります。」

 

「マスター、どちらへ。」ガシッ

 

「…離しなさい、私はあの方を迎えに行きます。令呪を使ってでも行きます。」

 

「今は砦を守るのに集中して下さい。」

 

「それは貴女達に任せます。早く行ってあの方の御身の無事を、他の殿方が寄り付く前に迎えに行かねば!!」

 

「だからといってマスター一人にして置くわけにはいかないですよ!」

 

「…令呪を持って命じます、一時の間は私に触れモガッ!?」

 

「させません!」

 

「ムー!ムー!(ベタベタと触れないで下さいまし。この体になったはなったでなかなか不便ですね。早くこの小娘を振りほどいてあの方の元に!)」

 

「ジャンヌさん、キャスターさん!そちらはお任せします。私はこのままマスターを抑えます。」

 

「…変わったお方なのですね。」

 

「やれやれ、困ったマスターだぜ。」

 

 

 




転生でも憑依より入れ替わり作品で書いたけどムズいかな。
取り合えずあと2話。
やりたい内容がその2話にある!
気が向いたらですが。

一部分直しました。


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天丼食べながらランランラン!

タイトルは大切ですよね、はい。
味わいながら読む。
ちなみに内容は薄味です。

西と東を間違えていた。
修正しました。


どうもヒサギです。

ゲオル先生に助けられワイバーンパーティーから何とか脱しました。

現在ゲオル先生に事情聴取されてます。何故に。

 

「それで貴女は竜の魔女側のサーヴァントではないと?」

 

「はい、此度の聖杯戦争でバーサーカーのクラスで現界した清姫といいます。」

 

なんか疑わしい目で見られてる。分からなくもないけど。

 

「…本当にバーサーカーですか?」

 

「はい、私はある御方を愛するがあまり狂ってしまった存在です。故にバーサーカーなのでしょう。」

 

「…いえ、そうではなく。疑って申し訳ありません、我々サーヴァントとは何か違うような感じがしたものでしたから。」

 

ギクリッ

さ、流石ゲオル先生、そこまで気付くなんて。これ以上イレギュラーが無いよう黙っておこう。

 

「そ、それで貴方のお名前は?どう見ても此度の聖杯戦争は異質、協力しあった方が宜しいかと。」

 

「ふむ、そうですね。私はゲオルギウス、ライダーのクラスで現界しました。」

 

まぁ初対面だし、自己紹介はしといた方がいいよね。後で怪しまれるのは困るから。

 

「聖ジョージ。成る程、だから竜と渡り合えるのでしたか。お陰で助かりました、有り難う御座います。」

 

「いえ、目の前で見放す訳にもいかなかっただけですよ。それと1つお聞きしても?」

 

はて、何を聞かれるんだろうか。

 

「?はい、何でしょう?」

 

「汝は竜か?」

 

「イイエ、竜チガウ、私大蛇デス。」

 

ヤバい、退治されちゃう!?

 

 

 

 

 

その後、ゲオル先生は西の方に行き、僕は東へ歩き出した。1つ気付いた事は今の清姫(僕の)姿は一番最初の再臨前の状態だと言うことである。

 

このイレギュラー要素の次点でストーリーから離れていた。このままでは殆ど足手まといに成ってしまう。

そしてその後、自分のマスターになる人にどう思われるか。

悪い方面、変換されてマナプリズムに変えられるか、他のサーヴァントの素材にされるかだ。

 

…………何とか街に着く前に再臨状態に成らなければ。

そう思い辺りを見回すが種火なんて早々あるわけがない。

 

せめてドロップするエネミーでも、ワイバーンはキツいからと探しました。

 

 

結果、僕は浅はかな考えだったと思いました。

 

「はぁ…ぁあ…ンッ…クッ…。」

 

「「「グガアアアアアアァァァ!!」」」

 

 

「助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 

今度は骸骨と狼男とRun away(おにごっこ)ナウ

 

何故にこうなるの!?群れ(モンスターハウス)のエンカウント率高くない!?

 

Eか?幸運Eランクなの!?槍で刺されて死ぬの!?

 

「うわぁ!?槍を投げ付けて来ないで!?」

 

不味い、どうすれば、清姫(この体)に何か能力は…サワサワサワサワサワサワサワサワ…あっ《変化》!

 

そうだ、初期段階で清姫が保有しているスキル、《変化》をすれば大蛇、もとい竜に成れる。これだ!

 

ええと…手の印ってどうやって組めば…って違う違う!

 

ええと、竜を思い浮かべばいいのかな、竜竜竜竜竜、変、身!とぉうっ!

 

「あ、できた。」

 

というか下半身が完全に竜だけど上半身が人形だ。顔も爬虫類肌だし。あっ爪も延びてる。

 

周りを見たら…怯えている。よし!

 

「きしゃあああああ!!」

 

よし、少し後ろに退いたぞ。そして、逃げる!!

 

「あれ?あれ?」

 

あれ、飛べない。というか飛び方が分からない。

 

「よいっしょ、よいっしょ。」

 

しかたないから地に這っていくと、ちょっとだけ前に進んだ……てか、逆に疲れる。あっ、体が元に……

 

「………………。」

 

「「「………………。」」」

 

「………よいしょっと。」

 

「「「………………。」」」

 

「…………

 

 

 

やっぱ無理ぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

「「「グガアアアアアアァァァ!!」」」

 

結論、足で走った方が速かった。

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…ぁ…ンク…。」

 

僕はどのくらい走ったのだろうか、もう足の感覚が薄れていく、息も限界に近い。

 

でも

 

「誰か助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

「「「グガアアアアアアァァァ!!」」」

 

足を止めたら狩られる!!

 

でもかなり限界、意識も何だか薄れて…

 

「あ…ウッ!!」

 

あ、やべ。躓いちゃった。

 

「…囲まれた。」

 

周りを見渡せば骸骨、狼男、1つ飛ばして、狼男。

 

自分はその円の中央に居る。段々と間合いを詰めていく。ああ、もう諦め…

 

「あら、私のファンをかき集めてくれるなんて。しかも私を囲むように、いい仕事をしたわねド田舎リス。」

 

あれ、聞き覚えがある声が…

真上から……フリフリ…って//!?

 

見えてる!見えてるよ//!?

 

「何よ、顔を赤らめてるのよ。まぁいいわ。よっと。」

 

真上、大きな黒い翼を広げ空から降りてきたのは真っ赤な髪に、角が生え、フリフリな黒白チェックのスカートドレスを着て、そこから大きな鱗の尾が延びている華奢な体の少女。

 

あ~、かなり見覚えがある。

 

「さぁ異形のファンの骸骨に狼男共!この私エリザベート・バートリーが特別にliveをしてあげるわ!私の歌を聴いて穴という穴から血飛沫をあげなさい!」

 

駄目だろ、それ。

ちょっと、マジで此処で!?

 

「それじゃまずは一曲目よ!!恋はドラクル…」

 

美声の筈なのに酔うような感覚をし始めた後、全く覚えてなかった。

 

 

 

 

 

その後、エリザベートさんに叩き起こされた。どうやら泡を吹いて寝ていたらしい。

周りを見ても狼男はひっくり返り、骸骨はその場で崩れていた。しかも骸骨の一部がひびだらけなのは気のせいだろう。

 

そしてエリザベートさんと行動し始め目的の街、ティエールにたどり着いた。

 

砦の中にはすんなり入れた。何故って?エリザベートさんが歌を披露してくれた。そしたら皆寝てしまって、気絶なんてしてないと思う…多分。

 

広場でマスターとなる人を待とうとエリザベートさんに提案したら、喧嘩になってしまった。

 

「何で見ず知らずの奴と契約を交わさなきゃならないわけ!それに私は早くカーミラの奴を殺らなきゃならないの!」

 

「カーミラさんは竜の魔女側に属してる現状で、敵対する戦力側に着く必要があります。ワイバーンの群れとサーヴァントとも戦わなきゃならないのですから。」

 

はっきり言って(超)低火力の自分が居ても意味がない。むしろ当たり前に1vs1(ワン・ワン)で相手方が持ち込んでくれるとは考えにくい。なら当初の目的の主人公側に着いた方が得策だろう。後、雑魚屑じゃない。低火力なだけだ!其処は譲らない。

 

「そもそもそんな奴、本当に来るのかしら?根拠はなんなの?」

 

「そ、それは………良妻の感?」

 

「何で疑問系なのよ。あ~も~待ってられないわ!此方から会いに行けば良いじゃない!」

 

「まだ街に着いてから5分も経っていませんよ、それにもしかしたら行き違いに合うかも」

 

「もう良い!私行くから!」

 

「ちょっ!?」

 

不味い、高火力の彼女が今此処で離れたらマスターになる人と合流後のエネミーと戦えなくなる! それに…

 

「待って!!」ガシッ!

 

「いぎっ!?」グギッ!

 

目の前にある魅力的な角を触れずに何時触るか?今でしょ!!

 

「待って下さい!もう少し!もう少しで良いですから待って下さい!」サワサワサワサワサワ……

 

「いだだだだだ!?ちょっといきなり角を掴まないで!てか捕まりながら変な触り方をしないで!」

 

あ~、この滑らかな表面に根元から伝わる温もり、この曲線を描いた形と固さを感じる。あ~、もう僕は変態でも良いと思う。変態で何が悪い!

あ、修学旅行で奈良の鹿の角を触ったら腹に頭突きを食らったのは良い思い出だ。あの時は御馳走様です!

 

「もう少し、もう少…?エリザベートさん?」

 

意識が吹っ飛んでたらエリザベートさんが凍ったように固まっていた。

 

「ねぇド田舎リス、なんか嫌な視線を感じない?」

 

エリザベートさんは額から一滴の汗が頬を伝って言った。視線?そう言えば周りからなんか刺さるくらいの視線を感じているけど特に…

 

「…!?」

 

…感じた。周りからとは違う、なんかこう…冷えたナイフに刃に触れたような。でも、それに対して何とも思わない。

 

大勢の人混みの中から自分を真っ直ぐ見る一人の黒髪の男性。フランスの服装と違う、見覚えのある服装の青年が此方に微笑みかけてくる。とても柔らかく、とても鋭い瞳で。蛇のように締め付けてくるように、包まれるかのように。

 

「…………漸くお会いできましたね。私の愛しい御方。」

 

精神的男としては、少し恐怖を感じた。

 




バトル?そりゃカットでしょ。


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合流してから本番

三話では収まらなかった。
ちょくちょくキャラが空気なのは勘弁。
次は締め!

オルタガチャ、ド外れ起こした!!
泣きたい。
白いの!あんたじゃない!


どうもヒサギです。

僕は現在、夜営地で夜の空を眺めています。

現在まで色々ありました。ほんと…

 

 

「色々あって正直疲れました…。」

 

いや、ホントに草臥れました。決戦前なのに。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

あの後、マスター(ぐだ男だった)の名前を聞いた時にあの場で大声で悲鳴を上げそうになってしまった。

 

『初めまして私の愛しい清姫さん、私は…()()()と呼んで下さい。』

 

同じ名前の別人だろうと思う。

でも初対面なら、まだ名乗ってないにも関わらず自分(この体)の名前を言われるのはおかしい。

 

その後の会って直ぐに仮契約を結ぶ所はまだ良かった。何故か契約方法が指切りだったのは寧ろ僕からやるべきだと思った。

 

そして一番驚くのが

 

『さて、では直ぐに近辺の敵を排除してジャンヌさん達と合流しましょう。』

 

ヒサギと名乗った青年、マスターはまるで未来予知並みに此処でエネミーと戦うという事を言ったのである。

 

自分を含めその場のサーヴァントは目を丸くした。

 

僕は思った。

もしかしたらこのマスター、転生者かもしれないと。

でも相手が相手なだけに1対1で話す勇気が無かった。

だって襲われそうな予感が凄いするもの。

 

がその後、エネミーとバトる事になった。

(その時、僕は後方支援で火の玉をぶつけていた。実際に効いていたかは自信がない。)

そしてそのままエネミーを潰し潰し進んで行くとジャンヌとゲオル先生と合流した。

この次点でマリーアントワネットは居なく、アマデウスは暫く僕達から離れた。マシュは追おうとしたがマスターがそれを制した。

そして洗礼詠唱でジークフリートの呪いを解くことに成功した。此処まではストーリーと同じだ。

 

取りあえずは一安心、が

正直、自分の中にやるせない気持ちがあった。本当に別の道は無かったのかな、という思いが頭を過った。

 

と思ったらゲオル先生が話し掛けてきた。

 

『また御会いしましたね、清姫。』

 

正直、最後の質問が強い衝撃的だったので僕自身はビクついていた。

 

『は、はいそうですね。ゲオルギウスさん。』

 

『すみません、また1つ質問があります。』

 

また?今度は何を聞かれるのだろう。

 

『汝は竜か?』

 

『イイエ、竜違ウ、私大蛇デス、なので剣を向けないで下さい!』

 

それは空気を変えるためにやってるんですよね!?

 

『何言ってのよ、ド田舎リス。貴女は竜じゃない。』

 

『エリザベートさん!?』

 

『フフ、嘘はいけないですよ、ゲオルギウスさん。特に清姫さん。令呪で嘘をつけないようにしましょうか?』

 

特に!?何で僕!?

 

『…ふっ冗談ですよ、清姫。仲間に刃は向けません。』

 

悪い冗談ですよ!

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

という事があった。はぁ~、思い返せばまともにバトルでの活躍が無い。

 

「このままじゃ合成素材かマナプリズム変換だよ…。」

 

思わず両手で頭を抱えて、しゃがんでkarisumaガードの体操…って事で現実がどうにかなるわけ無い。何とか決戦中に活躍しないと…

 

「君も気分転換かい?」

 

「ひっ!?」

 

背後から声が、マリーのゴースト!?

 

「其処まで驚かないでくれ、って僕が背後から声を掛けるのが悪いか。」

 

貴方は…

 

「えー…と、ヴォルフ()()()・アマ()()()()()・モーツァルトさん?」

 

「僕にどんな曲を作れって言うんだい?できたとしても悪魔が料理していそうな物しかできないよ。

それに僕の名前はヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトだよ。」

 

「じゃあモーさんで。」

 

「それだと別の英霊と名前が被るから、アマデウスでいいよ。」

 

そりゃ残念。

 

「隣、ちょっといいかい?」

 

「ええ、いいですよ。」

 

僕がそう答えるとアマデウスさんは僕の隣に来て空を見上げた。

 

「やっぱり何処に居ても空だけは変わらない。土地も変われば自然の音楽も変わるのに。まぁ、あの空の輪状の光が邪魔だね。」

 

自分も空を見上げる。暗闇で光る星々を遮るように空を囲むようなリング状の光が存在した。

あれこそ人理の崩壊を起こそうとしてる奴の宝具。転生者だから分かる知識。だけど…

 

「(初期段階の僕じゃ、太刀打ち処か其処まで行ける自信が無いよ。)」

 

「…思い悩む顔をしているね、お尻でも気になるのかい?」

 

最低だ。取り敢えずアマデウスさんに扇子で軽めに殴る。

 

「おっと!?暴力的だね!」

 

当たり前だろ。自分が女の子(精神が)だったら殴りかかってる。今のは八つ当たりだ。

でもまぁ…。

 

「(何時、掘られる(貞操が失う)か心配なのは当たってる。)」

 

また視線を感じてるのは嘘だと思いたい。

 

「…君もマリアの事を気にしているの?」

 

君も?…ああジャンヌさんか。ジャンヌさんとマリーさんは友達だし、気にならない訳が無いね。

けど、もしも…

 

「…君がもしゲオルギウスと共にしてても、マリアは変わらず民の人の避難をやっていたと僕は思うよ。聖女様もね。君と彼が東と西のどちら側に居ようとも、竜の魔女は西の街に向かってただろうしね。」

 

「…貴方はエスパーですか。」

 

「君からそういう音色を醸し出しそうな感じがするからね。どちらにしろあのマスターだから君が何処に居ようと来るかもしれないな。」

 

「何ですか、それ。」

 

逆に怖いんですけど。

 

「マスターに会ってから今まで見てたけど、だいぶ君に執着しているね。だから君を何かの素材にはしないと思うよ?」

 

「…聞いてたんですか。」

 

「僕は耳が良いからね。」

 

その後、アマデウスさんと他愛ない話をした。

 

 

 

 

翌朝、僕達はオルレアンへと進んだ。途中で狂化されたケモ耳系アーチャー・アタランテと遭遇し、倒して先に進んだ。

 

そしてオルレアン手前まで来た僕らの眼前に、戦場となる荒野に黒い巨竜の周りを赤・緑・黒と大量のワイバーン'sが待ち構えていた。

 

僕は少しでも役立とうと注意を惹き付ける役を買って出た。マスターからは却下されたが、マスターにはクー・フーリン(キャスター)が側に居るし、自分の力量から見てこれが良いと思ったのである。

 

が後悔した。

 

「何で何時もこんな目にぃぃぃぃぃ!」

 

惹きすぎた。大半のワイバーンに目をつけられ追い掛けられながら火玉の弾幕を避けながら逃げ回っていた。

逃げてる最中、木や岩の杭が地面から飛び出したり、鉄の処女(アイアンメイデン)が目の前に現れたりした時も〇ンハン並みのジャンピング緊急回避で避けたり、途中から聞こえたエリザベートさんの宝具(超音波)から耳を塞ぎつつ、性別不明騎士(シュバリエ・デオン)からの不思議なオーラから振り向かないよう逃げ、そして。

 

 

「はぁ、はぁ、よし、逃げ切った!」

 

右腕を上げながら荒野の地面に仰向けに倒れ込んだ。正直、超音波は無理でした。今も耳がキーーーーンって。

 

「はっ、全然戦って無かった!?」

 

結局、逃げることしかできなかった。ワイバーンやサーヴァント達は他の皆が倒してくれたらしい。

いや、もうね。

 

「この作品のタイトルを変えた方がいいよね。」

 

『転生者が清姫になって逃走劇』とかさ。だって三話続けて戦えてない。逃げてばっかだし。

 

「ちょっと、何泥だらけで寝転んでいるのよ。ほらさっさと立って。」

 

あっエリザベートさん。

 

仔イヌ(マスター)の指示で私と貴女はマスターと一緒にあの偽聖女を追う事になったわ。」

 

「え、マスターから?ジークフリートさん達からじゃなく?」

 

寧ろ、マスターからなら自分は残るべきだと、足手纏いだし、逃げてしかいないし。

 

「あの竜殺しが私を連れて行くように薦められたけど、先ず仔イヌが貴女を連れて行くって言ったのよ。随分と気に掛けられてるわね貴女。」

 

それは言わないで欲しい。複数的な意味で。

 

 

その後、黒いジャンヌを追い、オルレアンに乗り込んだ。其処でわらわら出てくるワイバーンやサーヴァント達、けど後方射撃しかできてない僕自身は1つの思いが浮上する。元々一般人である僕が戦場を前にしてよくやってると自分を誉めた。けど結果的には戦果は無く逃げ回る囮でしか無かった。城を進んでいく内に自信の無力感に嫌悪が増していった。この時、僕はマスターへの評価を忘れた。

 

そしてジル・ド・レェ(キャスター)が僕達の前に立ちはだかった。マスターから指示を聞いて僕は少し切れた。

 

「ジル…。」

 

「ジャンヌ、例え貴女でも彼女の邪魔はさせません。貴殿方はこの不肖ジル・ド・レェが御相手しましょう。」

 

「クー・フーリン、エリザベート、此処は任せます。」

 

「いえ、此処は僕っ…私とエリザベートさんがやります!マスターは黒いジャンヌさんを止めて下さい!」

 

するとマスターは驚いた顔をしたが直ぐに真剣な顔に戻した。

 

「ならばジル・ド・レェをさっさと倒して」

 

「いえ!これ以上シャドウサーヴァントを増やすのは危険です!マスター達は先に黒いジャンヌさんを優先を!その間、この方の足止めをします!」

 

僕はマスターからジル・ド・レェの方を向き、扇子を構えた。

 

「ですが貴女は」

 

「まぁいいんじゃねぇかマスター。此処はこの嬢ちゃんを立てて、俺達は黒い聖女様の所に行こうや。それに…。」

 

するとクー・フーリンはマスターに肩を回して僕に聞こえないようボソボソ言っている。何の話を…

 

「…良いでしょう。では二人に任せます。」

 

何を話して納得したのか気になるけど、まぁいいや。

 

「目の前で相談事とは、随分と余裕なのですね。ですがジャンヌ、例え貴女で在ろうと、此処から先は通しません。さぁ出でよ、海魔達よ!」

 

ジル・ド・レェの足下から浮き出てくるように召喚される海魔達、たった十数秒で通路が海魔で埋め尽くされた。さて…どうしよ。

 

「清姫、貴女の宝具は使えますか?」

 

「…変化なら、でも宝具は使ったことがないので。」

 

「ならば…令呪をもって我が愛する方(清姫)に命じます。」

 

今、聞こえたワードが別に聞こえた気がするけど…。

 

「宝具で彼の者等を焼き殺し、道を開きなさい。」

すると胸の内側から膨れ上がるように熱いものが溢れだし、自身の体も完全に竜の形に成り変わっていく。すると僕の視線はジル・ド・レェと海魔達を見下ろす位になり、背骨がなんか凄く動くし天井が近かった。竜に成れたなら…

 

「転身、火生三昧!」キリッ

 

こうキメ顔で宣言したかった。竜にキメ顔があるかどうかだけど。するとジル・ド・レェが余裕な顔で僕を見て

 

「たかが小娘一人が竜になったからと言って。」

 

と途中で聞いていたら喉の奥から膨れ上がり昇っていくような感覚が強くなってきた。

 

「私が呼び出した多くの海魔に勝てると思いで…」

 

やば、吐きそう(出そう)

 

「ブフゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」

 

取り敢えず、炎を吐くのがリバースした物が熱気に変わったような物だと覚えた。

 

 

 

 

「う…うぷ…っ。」

 

何かまだ気持ち悪い。あっ、体が戻っていく。

 

「ちょっと!こんなところで吐かないでよね!何自分の宝具で吐きそうになってんのよ?」

 

「仕方ないじゃ…ないですか…実際に使うの初めてだったんですから…うぷ。」

 

口元を抑え、目の前は業火に包まれていた。海魔も焼かれ変な異臭も漂い始める。やば、また気分が…。

 

「それで、マスター達は?」

 

「子ジカが先頭になって持ってる盾で道を開いて走り抜けていったわ。」

 

炎の中を見ると炎の中に一ヶ所だけ山になって燃えている場所があった。

 

「今度は逃げんじゃないわよ、逃げようものならギョロ目の次はあんただからね、負け蛇。」

 

「逃げようにも後ろにはワイバーンだらけですよ。それに貴女も、マスターも見捨てるつもりも御座いませんとも、何か不服ですか?エリマキトカゲ。」

 

「生意気よ、アオダイショウ。」

 

すると燃えていた山になっていた中からジル・ド・レェが無傷で出てきた。

 

「ジャンヌは行ってしまいましたか。ですが、貴女達ごときが私に勝てると思いですか?」

 

ジル・ド・レェの出てきた所から再び海魔が溢れ出てきた。

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱ御免、少し待って、うぷっ。」

 

「…もう帰りなさいよ。」



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アドリブって結構テンション任せ

今回は結構投げやり感が強くしちゃいました。
そろそろ締めようかと。
長めの文章です。
ご都合主義が強いです。
正直、まとめるに独自解釈の部分が大きく関わって来るので違和感があると思います。

あとバトルシーンはカットで。

8.6 一部変えました。


どうもヒサギです、今…

 

「待てぇ!」

 

「おのれ!しつこいですぞ!」

 

ジル・ド・レェを追いかけています。

 

_______________________

 

あの後、海魔を召喚して僕とエリザベートさんを取り囲んだ。

 

『其れでは…後は任せます!!』

 

『『あっ!逃げた!?』』

 

そしてジル・ド・レェは回れ右して走り去っていく。黒ジャンヌの所に行くと思い、僕とエリザベートさんは追い掛けるように海魔の群れを中央突破してジル・ド・レェを追い掛けた。

 

『海魔に手間取ってあんなに離されてしまいました。』

 

『ちょっと!アイドルに走らせないでよ!?』

 

『エリザベートさん!早く!後ろから海魔が!』

 

僕の後ろからエリザベートさんが、そしてその後ろから大量の海魔が来ている。あんな波に呑まれるのは嫌だ!

 

『あ~も~!!これじゃ逃げてるみたいじゃない!!』

 

エリザベートさんは途中で止まりながら後ろに体を向ける。それに気付き僕も

 

『エリザベートさん!?』

 

『あんたはあのギョロ目を足止めしなさい!私はコイツらを片付けてから行くわ!』

 

『エリザベートさん…。』

 

それ死亡フラグって奴です。

僕はそのままエリザベートさんに背中を向けて、一言を残し走り出す。

 

『貴女の音痴は忘れません。』

 

『誰が音痴よ!つか殺すな!』

 

後ろで何か聞こえたけどワカラナイしシラナイ。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

で、今現在である。どうやらジル・ド・レェは足が遅いらしい。流石清姫、敏捷Cは伊達ではない。どんどんジル・ド・レェと距離を詰めていく。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「小娘ェェェェェェェェェ!!」

 

僕は扇子を持ってない左手を握り締め後ろに引いた。

ジル・ド・レェも振り向き様に螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)を持ってない左手を引き上げる。互いの距離があと一歩の所まで狭まった。そして僕は一歩踏み込み

 

「これでも!くら」

 

 

 

 

「………。」チーン

 

ヤ無茶でした。レベル1筋力Eが筋力Dには勝てなかったよ。何で殴りかかったんだろう?思わず気持ちに熱が入ったからです、はい。殴り合いとは拳と拳で語り合う熱い展か…

 

「ちょっと!何やられてるのよ!早く起きて追うわよ!」

 

「ま、マジで少し待って…下さぃ。」

 

マジでキャスターの一発が効いた。何で受けようとしたんだろう僕…。

 

 

 

 

 

「何処に行ったのよ、あのギョロ目は。」

 

「…御免。 」

 

漸く動けるようになった僕はエリザベートさんとジル・ド・レェの後を追おうとしたが見失った事で現在探索中である。この要因は自分である事にショックを受けた。

 

「何いきなり謝ってるのよ。そんな事より早く探すわよ!そうね、ここかしら?」

 

近くにあった部屋のドアを開け中を見た。この廊下には部屋が続いていた。途中隠れるには充分であるけど…

 

「居ないわね。じゃあ、ここ!…違うわ。ほら突っ立てないであんたも探しなさいよ!」

 

そうバッタン!バッタン!開け閉めやってたら逆に気付かれて逃げられますよ。此処は静かにドアを開けて…

 

キィ~

 

「………!?」

 

あまりの光景に絶句した。

部屋の中を見て、目に入ったのは…

 

 

ジャンヌ・オルタ(壁紙)ばかりであった。

 

 

しかも女子高生の部屋と思える部屋の壁にオルタ、右の壁にオルタ、左の壁にオルタ、開けたドアにオルタ、天井にオルタ、そしてベッドにオルタグッズ。其処に…

 

「クゥー…御姉サマ…御姉サマ…ムニャ…。」

 

M百合妹系の贋作女神(ブリュンヒルデ)の姿があった。

 

「クゥー……ムにゃ?……今御姉様の気配が…」

 

バタンッ。

 

「…………。」

 

このままじゃ危ないと思い、ドアを閉め、頭に走る頭痛で眉間に指を当てる。

 

…あれ?贋作イベントってまだまだ先の筈なんだけど。

というか何で居るのか、とか、何でオルタ部屋?、だとかどうでもいいとして、何でドアの向こうが別時空なってるんだろう?

 

「…他の部屋を見ましょう。」

 

再び開けるの駄目な気がするから隣の部屋の前に立ち、ドアノブに手を掛ける。

 

キィ~

 

「…………。」

 

言葉が出ない。何故扉の向こうがごみ溜めのマンションの一室に成ってるんだろう。

 

「…なんだい、君は。」

 

はっ!意識が飛んでた!声のする方を向くと顔を斜めに切り裂いたような切り傷がある銀髪の少女がジト目で見ていた。

 

「ピザの配達の人じゃないよね、君は誰?」

 

少女は僕の首元に曲剣、確かカトラス…だっけ?それを突きつけていた。

 

「メアリー?通販のお兄さんが来ましたの?」

 

「…いやアン、通販の人でも無いと思う。でウチに何か用?」

 

奥からもう一人女性の声が聞こえた。間違いない、この二人、オガワハイムのネット海賊A&M(アン・ボニーとメアリー・リード)だ。

 

「い、いえ、部屋を間違えただけです。は…ははは。」

 

「…そう、んじゃ気を付けてね。」

 

バタンッ。

 

い、いやいや、まさか、ね。

 

キィ~

 

「ふむ、団子は良い文明、だけど月見は悪い文明。もぐもぐ…。」

 

バタンッ。

 

キィ~

 

「ノッブ、手に持ってる聖杯を返しなさい!」

 

「はっはっはっ!残念だが沖田!聖杯は我の物じゃ!」

 

「ならば実力行使です!」

 

「銃は剣より強し!名言じゃのぅ。そんな爪楊枝で我に勝てるでも?我の宝具は火縄銃(はじき)じゃ!」

 

「何て言いました?おはじき?竹筒の間違いでは?」

 

「「はははははは、てめぇぶっ殺す!!」」

 

「先手必勝じゃ!死ね沖田!」

 

「甘い!縮地!」

 

「なっ!?汚いぞ!」

 

「ふははは!勝てば良かろごふっ?!」

 

「ふははは!馬鹿めのぶ?!」

 

お分かり頂けただろうか、扉を開けたら、中で片手に聖杯を持つ信長と刀を構える沖田が聖杯を取り合っていた。互いに挑発を終えると信長は火縄銃を片手に沖田に向けた瞬間、沖田は瞬時に信長の間合いを詰めた時に吐血し、その勢いのまま信長の腹部に頭突きした。

 

そしてその勢いは信長の持っている聖杯まで行った。

 

「えっ、嘘待って沖田で動けノブゥゥゥゥゥゥゥゥ?!」

 

バタンッ。

 

「悲惨な事故現場だった…。」

 

取り敢えず見なかった事にしよう。

 

キィ~

 

「やった!」

 

「助けて~!」

 

「助けて~!」

 

「助けて~!」

 

「助けて~!」

 

「助けて~!」

 

「…………………プッツン!」

 

バタンッ。

 

「「「「「「ぎゃああああああああ!!」」」」」」

 

キィー

 

バタンッ!

 

「はぁ…はぁ…口から普通に炎が出ました。」

 

思わずキレてしまった。なんか人生ゲームやるピエール共を見ていたら、理不尽だと思うけど

やりたくてやった!反省も後悔もしていない。

 

さて、次の部屋は…

 

キィ~

 

「ねぇ伯爵、次のハロウィンの準備はどうかしら?」

 

「抜かりはない。」

 

 

「………。」シャリシャリもきゅもきゅ

 

 

「お月見イベント楽しみね、二人とも。」

 

「ああそうだね、マリー。」

 

「ええ、マリー。」

 

 

「お月見にクリスマスに…ホント忙しいったらありゃしな…コホン、楽しみですね。」

 

 

「クリスティーヌ、クリスティーヌ!」

 

「ジャンヌゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」

 

「…ar…thur…arthuraaaaaaaaa!!」

 

 

バタンッ!

 

「……………。」

 

「此処じゃ…ない!もう何処にいるのよあのギョロ目玉!!ってどうしたのよ。」

 

「エリザベートさん、僕、もう頭が痛いです。もうマスター達の居る所に行きましょう。」

 

「えっ…僕?………まぁこれだけ探しても居ないんじゃ無駄ね。さっさと仔イヌの所に行きましょう。」

 

「…はい。」

 

何で消滅済みのサーヴァントがあの部屋に?というかほぼ楽屋じゃないか!何でイベントの話をしてんの!台本とかあるの!?もう頭が……………あれ?

 

「どうしたのよ?」

 

「……いえ、違和感が。」

 

さっき部屋に違和感を感じる。おかしいところは……

ねぇ伯爵、次のハロ〉抜かりな〉シャリもきゅ〉お月見イベ〉ああ、そうだ〉ええ〉クリスティーヌ!〉ジャンヌゥゥゥゥゥ〉artheraaaaaaaaaa!!

 

あれ、ジャンヌ?

 

「まさか…。」

 

僕は後ろを振り返ると

 

「!マズイ!!」

 

「居ました!」

 

「待ちなさい!!」

 

扉からこっそり出ていこうとするジル・ド・レェを追うのでした。

 

「見失っちゃいましたね。」

 

「仔イヌの所に行きましょう。もしかしたらそっちに居るかも。」

 

 

 

「此処ね。」

 

大きな扉の前に僕達は来た。如何にも王様に謁見する部屋の雰囲気がする。中から少し物音がする。

 

「それじゃ行くわよ。」

 

エリザベートさんの後に僕は付いていった。すると中には…

 

 

「はぁ、はぁ、御姉様!未完成の御姉様も可愛らしい!大丈夫ですよ、私がリードしてあげます。」

 

「離れろ!何なんだこの変態女神は!何で召喚した覚えの無いバーサーカーに私だけ引っ付かれなきゃならない!近い!離れろ!ジル!見てないで助けなさい!」

 

「おお、ジャンヌ今お助けに…いや、これはジャンヌの試練か…。」

 

「「「……………。」」」

 

「ちょっと!何憐れみの視線をこっちに向けてんのよ!ヘドが出るんだけど、そして偽善の私は隠れてんじゃないわよ!もういい加減にしろ!気持ち悪いのよ、この変態女神が!」

 

「きゃん!やっぱり御姉様はどちらも素敵です、もっと、もっとです!」

 

「ひっ!?背後に抱き付かれた!?つか嗅ぐな!ジル!!試練とかどうでもいいから!早くこいつを何とかして!!」

 

 

 

「何よ、この状況…。」

 

「…………。(しまった!あの部屋はパンドラの箱か!!)」

 

 

黒い聖女はいきなり現れた贋作女神に困惑と拒絶、元帥はそれを引き剥がそうと手助け、マスターを含めたサーヴァント達は一種の憐れみを黒い聖女に送り、白い聖女は巻き込まれそうなのかマスターの後ろに隠れていた。

 

正直、手を出しづらい。一見好機のように見えるけど、ブリュンヒルデ自体は黒ジャンヌの味方だから戦力的に不利だ。後は、空気的に裏返す機会が無きゃ無理。と思っていた時期が僕はありました。

 

「…ウィッカーマン!!」

 

「「「え、ぎゃああああああああ!!」」」

 

「え…えええええええええ!?」

 

クーフーリンさんやっちゃったよ。流石本職ランサー、横槍の入れ方が上手い!噛ませ犬の名は伊達じゃ

 

「ふぎゅ!?」

 

「おい、蛇の嬢ちゃん。今度俺に犬とか槍の話すんだったら、炙られないように気を付けな。」

 

「ふぁ、ふぁい。」

 

言ってな…御免なさい、御願いだから顔を掴む力を抑えて下さい、もう思いません。

 

ガシッ!

 

「もういいのでは?でないと…令呪でホットドッグ食わしますよ?」

 

「!?」

 

クーフーリンさん、どんなクラスでも不憫だな。

 

「御姉様…お役に立てずに…すみません。」

 

贋作ブリュンヒルデは消滅していった。

 

「…も、もう、何なのよ、もう無理、ジル、後は頼んだ、わよ。」

 

黒いジャンヌも消滅し、其処には黄金の杯(聖杯)が残され、それをジル・ド・レェが手にする。というかジル・ド・レェも焼け焦げていた。

 

「ジル、彼女は貴女が望んだ…。」

 

「ええ、私が望む、貴女ですよ、ジャンヌ。私は貴女を蘇りを望んだが、聖杯に拒絶されました。だから創ったのです、貴女を。私は、憎きこの国を、滅ぼします。」

 

「私は、貴方を止めます。」

 

「ならば、貴女は私の敵です!私の道を、阻むな!ジャンヌダルク!!」

 

「マスター、聖杯を確認、指示を御願いします。」

 

「キャスター、ジル・ド・レェを打倒しなさい!」

 

マスターの指示を受け、僕は扇子を構えた。聖杯の魔力供給を得たジル・ド・レェとの戦いが始まった。

 

 

 

 

監督《はい、カット!!次のシーン行くよー!!》

 

「え!?」

 

 

 

 

ふと気が付くと僕は立ったまま意識が飛んでいたらしい。回りを見ると、ボロボロで床に倒れているジル・ド・レェにジャンヌが旗を置き、膝を付いて頭を支えていた。

 

「ジル、戻りましょう。私達の在るべき時代に。」

 

「ジャンヌ…地獄に堕ちるのは私だけで…。」

 

ジル・ド・レェは消滅し、聖杯が残された。

 

 

 

|『回収を確認した。レイシフトの準備はととのっているよ。』|

 

「行ってしまうのですね。」

 

「はい。」

 

「まだまだやる事が沢山ありますからね。」

 

「あら、そうなの?まぁ目的は果たしたしいいわ。じゃね仔イヌ、悪くない戦いだったわ。」

 

正直、最後どうなったか、全然分からなかった。しかも途中出てきた人誰だろう。

 

「…あんたもよ、ド田舎リス。今度会うまでにその逃げ腰とドジは治しなさいよ。じゃあね。」

 

そう言い残しエリザベートさんは消えていった。

次…か。

 

「また会いましょう。エリザベートさん。」

 

これから僕も強く………これから?

 

「あ!!」

 

これから僕はどうすんだ!?どうすればいいの!?

消えるの!?第二の人生此処で終幕!?英霊の座にいる清姫に取り込まれて自我消失!?oh,my,goooooooood!!?

 

「あれ、マスター。清姫さんが頭を抱えて踞っています。あっ、頭の角を触り始めました。」

 

「何か悩んでいますね。」

 

「ジャンヌ!」

 

「あっジル…。」

 

どうしよう、どうすればいいの!これからマスターの元で勇者パーティの仲間入りでサーヴァントライフしようと思ったら聖杯に呼ばれた清姫に乗り憑いた時点でアウトだよ!もう駄目だ、諦めよう、さよなら僕の第二の人生。

 

「大丈夫ですよ、清姫。」

 

僕の肩に誰かが手を乗せ、振り返るとマスターが目の前に居た。ちょっとびびった。

 

「まだ離れ離れにはなりませんよ。貴女はこの聖杯戦争で召喚されたサーヴァントではありません。なので聖杯による強制帰還もありません。安心して下さい。」

 

「えっ!?それどういう!うあっ?!」

 

いきなりのマスターの発言にどういう事か聞こうとしたら、マスターが僕の事を抱えだした。ってこれ!!

 

「お姫様抱っこは止めて下さい!!」

 

男同士(精神が)は嫌だ!!

 

「さぁマシュ、早く帰りますよ。ロマンさん転送を!」

 

何でそんなキラキラしてんですか!?

 

「はい、マスター。」

 

突っ込んで!ツッコミ入れて其所の後輩!!

クーフーリンさんは…。

 

「…諦めろ。」

 

見捨てられた!!

 

「二人ともありがとう。また会えると思います。私の勘、結構当たるんです。」

 

ちょっと聖女様!僕を空気にしないで!

 

 

 

「それでその娘を連れてきた、と。まぁ人理は元に戻ったし、戦力が増えるから良いけど。」

 

「でしょう?」

 

でしょう?じゃないよ。もう降ろして下さい。御願いします。

 

「それでマスター、結構そうしてますが何時までそうしてるのですか?」

 

「もう少し程。」

 

「!いい加減にして下さい!早く降ろして!!」

 

もう我慢の限界だ。これ以上このままだと顔に血が昇るわ!さっきから心臓がバクバクしてるし。

 

「…どうしてですか?何故そんな事を言うのですか…?」

 

何故もヘッタクレも無いよ。

 

「恥ずかしいんだよ!人生初めてお姫様抱っこされて羞恥心が無いわけがないじゃないですか!!」

 

「…そうですか、もう少ししてたかったですが、残念です。」

 

漸く降ろして貰い、立つ。マスターからそっぽ向いてそして腕を組んだ。

全く「もう少ししてたかったですが、」じゃないよ。男同士だってのに、もう顔を見るだけで顔が暑くなっちゃうよ…………なんで?

えっ…なんで?

あれ?

 

「取り敢えずゆっくり休んで、とその前に。清姫(彼女)の部屋をどうするか。」

 

「?博士、何か問題でも?」

 

「いや、単にサーヴァントの部屋のセッティングがまだだから、現在使用できてるのがクーフーリンだけなんだよ。」

 

「…つうことはだ。結論こいつはこの三人の誰かの部屋に留まる、という事か?」

 

ん?ん!?

 

「話が早くて助かるよ。ほらダヴィンチちゃんは部屋に入れたがらないし、僕の部屋もちょっと掃除しないとね。てことだから三人で決めて。」

 

「投げやりましたね、博士。」

 

あれ?って事は…

後ろを振り向くと。

 

「さぁ、愛しの御方(清姫)!!今夜は私の部屋に!」

 

「あ……あ………。」

 

こ、これは………貞操の危機の予感がする!!

ここは…。

 

「ね…………ね………。」

 

「ね?」

 

「ぼぼぼぼぼぼ、僕…私は倉庫か何処かで寝ますから寝具を御貸しできませんか!?」

 

隙があれば襲われる!!

 

 

 

 

 

 

「はぁ…今日も大変でした。」

 

取り敢えず寝袋を貸してもらい、空きの資料庫を借りて寝ることにした。マシュの部屋も考えたがまだ男意識が、というかプライベート関係が薄そうなクーフーリンさんの部屋が一番いいと思ったけど、また不憫な思いするだろうな。と思った。

 

「鍵も掛けた…よし寝るか。」

 

寝袋に入って、チャックを閉める。流石に角で頭全体は入らないけど、是非もないね。

 

「思えば、これから戦いの日々を過ごすのか。生前はそうは思わなかったけど。正直怖いな。」

 

目覚めて始めは頑張ろうと思った。でもすぐにワイバーンの群れに追い掛けられ、ゲオル先生に助けられ、また追い掛けられ、エリザベートさんに助けられ、町についてマスター達と合流し、後方支援ばかりだった。

ジャンヌさんとも合流して、夜にはアマデウスさんと星を見上げて話が楽しかったな。

それで総力戦ではホント逃げ回ってたな、うん。

オルレアンではジル・ド・レェを足留めできなかったし、途中意味が分からない事があったが頭が痛くなるので思い出したくない。

黒いジャンヌは…こっからはホントに思い出したくない!!

一つ言える事は…

 

「変わりすぎた、元のストーリーと…。」

 

こんなイレギュラーだらけ、でも『現実は小説より奇なり』という言葉が頭を過る。

そもそも僕はトラックに牽かれ、そして目が覚めれば清姫の体だった。この時点で奇なり、と言える。成り過ぎだけど。

何故自分は此処に居るんだろうか…。

分からない…僕はどうすれば…

何故自分はあの時、あの子供を助けたか?

助けたいと思ったから?いや反射的だったから

 

「なんて、考えても無駄か。」

 

目の前の今は目標を目指すだけだ。病まない清姫!清姫みたいに一心思いを寄せる人なんて、清姫しか居ないけど、でもこの清姫()になってるから。某カード漫画のように別人格がある訳じゃないし、なら設定上に清姫になるしかない。自分を偽る事だけど、清姫は…自分の憧れでもあるし。

 

「おやすみ~。」

 

明日から頑張ろう!

 

 

「おやすみなさい、良い眠りを…ああ食べてしまいたい。」

 

「(…何だろ、なんか視線を感じる。)」

 

これが金縛りかな。眠りにくい。

 




ハッピーエンド?バッドエンド?
そんなのない!俺たちの戦いはこれからだ!

なことは流石に避けたいです。
完全に閉めるなら愉悦を少し含めた喜劇エンドでしょ。

次はハロウィンイベの話にしようかと思っています。
時間は掛かりますが。


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僕は誘拐されました。

今回fgoのイベがムズすぎる。
途中でミッションできなくて諦めましたね、はい。
次は西遊記イベントはやりきるぞ!

で今回の話はハロウィンイベントが主体です。二回に分けます。
話の内容で違和感がある思います。



どうも、ヒサギです。僕は資料庫に留まった一晩中金縛りに合い、まともに寝れなかった。とは言え、そこまで生前あった眠いとか、疲れが取れないとかは無かった。サーヴァントが睡眠を必要としないのが分かった気がする。あるとすれば睡眠に対する満足感の有無だった。

 

睡眠についてはここまでにして、資料庫の翌日、僕は部屋を頂いた。うん、ふかふかのベッドは至高だよね。

 

さて、このカルデアに来て僕のすべき事は、マスターに一心に思うってのはマジで無理、演技でも不可、流石にキツい。だって男に好き好きI LOVE YOUなんて無理無理。だって…

 

 

僕は清姫と(つの)が大好きだ!!

 

 

どちらか一つなんてそれこそ無理、というか断る!!

清姫も大好きだし、多種多彩な角も見て、触れ、舐め…ゲフンゲフン…貫かれても良い程である。雄々しく大きく太い物、細く長くしなやかに絡み合ったような物、一つの方向に攻撃的な印象の物、広く色んな方向に延びた主張性のある物、滑らかな綺麗な物、ゴツゴツした歪な物…

浮気かどうか問われると肯定もしないし、否定もしない!

 

蛇足しちゃうな。

兎に角、マスターは転生者かもしれないから、清姫(仮?それとも借り?)にヤンデレを望んでるかもだけど、病んで男に恋愛は向けられないから。ならば、良妻を目指すしかないだろう。

まぁレベルアップも必要不可欠だし。

今はカルデアの人員も少ないし、ここは僕がやらなければ!

 

 

 

と、思っていた時期がありました。

 

「すみません、厨房係は人手が間に合っています。というかレトルト品ばかりなので。」

 

「レトルトって…。」

 

保存性で取り入れてるのかな。穴籠るつもりだったのか。

 

 

「清掃?う~ん、大体は機械でホールや通路は綺麗に成ってるし、其々の自室以外は時々手を入れてるからなー。」

 

「そうですか…。」

 

仕事が無いな。

 

 

「御免なさい、洗濯物は朝方に全部終わってしまったの。」

 

「……是非も無いね。」

 

いよいよNEET直行だろうか。

さて、マスターは…先ずはマシュに会いに行こう。

 

コンコンコン!

 

「マシュさん、マシュさん?」

 

あれ?居ないのかな。仕方ないから…マスターの所に行こう、行くかをちょっぴり躊躇しちゃう。

 

コ…コンコン!

 

「マ、マスター、いらっしゃいますか?」

 

…いない、のかな……ロマニさん所かな。

 

 

 

「ヒサギ君とマシュ?今は種火狩りに行ってるけど?」

 

…………置いてかれた!!

 

 

 

「僕は…いらない子なんだ…グスリッ。」

 

壁の隅ってなんて居心地いだろうか。こう暗い気持ちで居ると就職に何社も受けて何百と失敗したのを思い出す。あぁ、あの時がホント懐かしい…ふふふふふふふふフフフフフフフフ負負負負負負負負負負負負負負負負…

 

「…なんか変なスイッチを押しちゃったかな。でも丁度良かった、ちょっと君の意見が欲しい事があるんだ。」

 

「腐腐腐腐腐腐腐腐腐…ふえっ?」

 

何時の間にか此れから起こるで有ろう未知の世界に旅立っていたらロマニさんから意見が欲しいと言われた。何だろうか。

 

「この手紙…どう思う?」

 

ロマニさんがカボチャがプリントされた一通の手紙を見せた。とても、可愛らしいです。

 

「手紙ですが、これが?」

 

見た感じ只の手紙みたいですが、カボチャのシールで封してある。ってまさか…

 

「ロマニさんにやっと春が…。」

 

「違う違う、僕は既婚者だし、それはヒサギ君にだよ。見た感じだとハロウィンの時期に合わせてあるんだと思うよ。」

 

それは残念ですね。ロマニさんがドロドロの渦に呑まれる妄想をしてたんですが…別に奥さんが居ることを妬んだ訳じゃないですよ…僕はリア充ですから…この体(清姫)だし、角があれば充実できるし…ええ別に。

 

それにしてもマスターにですか…

 

「誰からでしょう…。」

 

そして僕がカボチャのシールを剥がそうと指を掛け…

 

「待って!調べたら魔力の反応が…」

 

「えっ。」

 

と、ロマニさんの言葉を聞いて驚きのあまり指に力が入りシールを剥がしちゃいました。すると手紙から何かが勢いよく真上に飛び出しました。

 

「これは!?」

 

「大きい…カボチャ?」

 

それは上に上がるに連れ大きくなり、巨大な黄色いカボチャになりました。僕は驚きのあまりに只立ち尽くしていた。

 

「ちょっ!?清姫!早く其処から逃げるんだ!」

 

「はっ!?そうだ潰される!」

 

ロマニさんからの呼び掛けにフリーズ状態から立ち直った僕はカボチャの落下位置から離れようとしたが、

 

「ひっ?!」

 

落下してくる巨大なカボチャ、クルリと回って見せたカボチャの()は、真下に落ちるが故に影を増し、不気味な恐怖が全身を駆け巡った。只の円や三角、上下と横に並んだ四角の窪みでできた顔なのに、物理的な恐怖と不気味な恐怖が合わさって正気が弾けた。

 

と真下に向いたカボチャの口が開いた。此処で僕の頭にある映像が流れた、そしてある一言を口にした。

 

「あ………マミった。」

 

僕はそのまま首どころか、体ごとカボチャの口にinした。

 

 

…どうやら僕はまた死んでしまったらしい…

 

…とても呆気なかった…

 

…まさかカボチャに喰われて死ぬなんて…

 

…来世でも清姫と角LOVEでありますよ~に…

 

「何時まで寝ているのよ!起きなさい!この…ド田舎リス!」

 

ゴヂンッ!!と頭に衝撃と痛みが駆け巡った。

 

「~~~~ッ!!!?」

 

あまりの痛さに両手で頭を押さえ、起き上がった。

そして衝撃後に顔の横に転げ落ちた、この痛みの原因を僕は見た。

 

「カボチャ痛い!!カボチャ硬い!!」

 

そうカボチャだった。コロリと転がる緑色で艶のある良い大きさのカボチャだった。それを拾い上げカボチャをぶつけた張本人を見た。

 

「まさか仔イヌかと思ったら貴女なんてね。人様の手紙を勝手に見るなんて常識あるの?」

 

人の頭にカボチャをぶつける非常識な人は特徴的な外から内側に曲線を描いた角に綺麗な紅い長髪フリフリなスカートに綺麗な鱗のドラゴンテール、そして僕をド田舎リスと呼ぶ彼女は…。

 

「何をしやがりますか、このドラ娘!!」

 

1日置きで再会したドラ娘ことエリザベートさんでした。

 

「何って、何時までも寝てるから起こしてあげたんじゃない。私は寛容だから投げ付けないであげたわ。感謝しなさい蛇娘。」

 

「カボチャを頭の上に落とす時点で馬鹿じゃないですか、このエリマキトカゲ。」

 

未だに痛む頭を左手で擦り、カボチャを右腕で持った。そもそも此処は何処なんだろう。周りは何だかコウモリやらカボチャやらの飾り付けがされているし、何だか長テーブルに料理が…凄く…紅いです。

 

「もう貴女のせいで折角の料理が冷めちゃうわ、仔イヌが私の手紙を開けて、サプライズライブをしようと思ったのに。」

 

ん、手紙…そうだ、私は手紙を開けてカボチャが飛び出して喰われて、まさか…

 

エリザベートさんの姿をよく確認すると、いつもドレスではなく魔法使いの被る三角帽子にカボチャの飾りがついたオレンジと黒、紫のフリフリドレスに黄色いブーツ、よく見れば尾も逆ハートマークになり、何時ものマイクが付いた槍ではなく赤いフォークみたいな三叉槍だった。

 

思い出した、このエリザベートさんはキャスタークラス、そしてこれは…

 

「ハロウィンイベントだ…これ。」

 

どうやら歓楽監獄城チェイテに連れてこられたようだ。でもどうやって…まさかあのカボチャが?いや、あの馬鹿娘(エリザベートさん)が転移可能な魔術を手紙に込められる訳がない。という事はやっぱり…

 

「聖杯…ですか。」

 

可能性なら此方が高いでしょう。うん。

 

「まぁ良いわ、メインは仔イヌにサプライズライブだもの。料理はライブを見ながら食べて貰うわ。タマモキャット!料理を片付けて頂戴!」

 

「うむ、任されたワン!」

 

するとテーブルの下からひょこりと赤髪で黄色い狐耳と尻尾、そして両手が肉球狐足のメイド服を着た女性が現れる。

狂ってなさそうで狂ってる喋れるバーサーカーのタマモキャットだ。

 

「あ、同じクラスだからって仲間意識無いのだよ。嫌なら人参を所望する!」

 

うん、どういう意味だってばよ。

タマモキャットはせっせッと料理を持っていく。

が持っていってる料理が綺麗な程に赤かったのは気のせいだろうか。というか何処に…

 

「さぁ追加だワン!どんどん味見するべし!」

 

「もう、無理よ…。」

 

「ウクッ…狂化されるまでもなく気が狂いそうだ。」

 

タマモキャットが料理を置いていってる別のテーブルに二人の英霊(犠牲者)がいた。

テーブルに俯せになってるアサシン、マタ・ハリ

椅子の背もたれに寄りかかって上を見上げるバーサーカー、ウラド三世

 

二人からは暗闇に見える程のオーラを纏っていた。赤に侵食される地獄ですね。

 

あれ?もう一人居たような…。

 

「二人とも新しくデザート作ったから味見…あら、見覚えのある蛇娘ね。」

 

二人の後ろにある扉からアサシン、カーミラが現れる。って何で貴女も厨房に立ってるんですか。

 

「ん?何よ、その渋そうな顔は。良いじゃないの、(エリザベート)が立ってるなら私だって。味見も飽きたし。」

 

「…すみません。」

 

思わず表情に出ちゃいました。だってね、カーミラさんもエリザベートさんですから…ね。

 

「まぁいいわ。ほら二人とも味見よ、ほら貴女もよ。」

 

テーブルに置かれた皿には世界樹の種が盛られていた。しかも真っ赤だ。

 

「ええと…凄いクオリティですね、世界樹の種を再現とは。」

 

「………只の…マカロンよ…。」

 

…………………自分自身って、簡単には変わらないんですね。

飯不味の自分(エリザベート)に負けたくないから何度も挑戦して

 

するとバンッ!とカーミラさんがテーブルを勢い良く叩いた。

 

「余計な詮索はしないでさっさと食しなさい!じゃないと幻想の鉄処女(ファントム・メイデン)を食らわすわよ!!」

 

涙目ながらそう言い放った。

カーミラさん。それはある種のユーザーにとって『大好物です。』って返され、扇情感を煽る状態だが、現実にマジでアイアンメイデンは喰らいたくないので赤い世界樹の種(赤いマカロン)を一個だけ手に取る。

 

「…………。」

 

正直食べたくない、だけどカーミラさんは胸の下に腕を組み小刻みにヒールを鳴らしている。今にも宝具を発動しかねない。ウラド三世とマタ・ハリさんは…あっ、ダウンしている。

 

覚悟しないといけない。

 

「い、いただきます…。」

 

赤いマカロンを口に近付ける。手が震える、手に持つマカロンに恐怖を感じる。自分のスキルにガッツが付与できるのがあれば、と何度も思った。

 

僕はマカロンを一回、口に加え、唇に触れるザラザラ感を感じながら覚悟を決めた。

 

「………。(いざ!!)」

 

歯に力を加え、マカロンを口に…

 

「?!ーーーーーーーーー。」

 

いつの間にか僕は気絶していたようだ。




感想を御待ちしています。


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危機何髪かするとかなり薄くなる。

Fgoの第6章、難易度がかなり上がりましたね。
もうね、クラスの壁なんて軽く超えてませんか?
石がぶっ飛ぶよ。
次はこれ以上なの?
次は幾つ飛ぶんだろ。


結局、僕は気絶して再びエリザベートさんに叩き起こされてしまいました。

気付けばエリザベートさん、タマモキャットさん以外の他三人は既に居なく、其々の持ち場に戻ったそうです。

中でもカーミラさんは掃除係で文句を言っていたみたいですけど。

 

そして今……

 

「ぅ■■■■ぎゅぅ■■■■んっ……。」

 

椅子に縛られエリザベートさんの第二次愛の籠った料理(レッド・デンジャラス・クッキング)製作の味見係しています。繰り返される口の中に広がる地獄に意識が何度も飛びそうになります。というか既に何回も飛んでいます。

意識が飛ぶとタマモキャットさんが手の肉球で何度もビンタされます。一瞬の幸せな感触から首がもげそうな激痛に襲われます。

 

「貴様!キャットに黙って何時気絶していいと言った!こっちを見ろ!目を離すな!諦めるな!諦めたら其処で終了だ!頑張れ頑張れできるできる絶対にできる!ワン!」

 

何故か鬼教官のような事から熱いスポーツ選手の声掛けをされて肉球ビンタをされ続けている。何でこのタマモはこんな言葉を知ってるんだろうか。

最早エリザベートさんの激不味料理で味覚と嗅覚がもう殆ど機能しているか分からなくなってきた。

料理を口にする度に意識が飛び言葉も発声しづらくなる。

 

「■■ぉ、■■■むぃ■■■■す…。」

 

それどころかタマモキャットによる肉球ビンタで感触による幸せと衝撃で意識が薄れていく。

どんどん自分の意識が飲み込まれていく感じがする。ウラド三世が言っていた通り、気が狂いそうになるとはこういう…。

 

「■■ぅう■■■、■■■ゥァ■■■…。」

 

もう、駄目だ。

そして僕はまた再び意識を手放…

 

「…そんなメンタルで大丈夫かワン?」

 

「大丈夫です。問題ありません!…あっ。」

 

しまった!つい昔のノリに乗ってしまった!

 

「よし、では次に参るぞ!はい、あ~ん、だワン!」

 

「い、嫌ムグッ■■■■!?■ぅ■■■!!」

 

ホントに料理で内部崩壊して死んじゃうよ…………。

 

 

 

その後、僕の意識はガリガリ削られていき、最後に覚えてる料理は美味しい料理だったような気がする。

 

 

 

 

…なんか意識がボヤける。意識が途切れそうで途切れない感覚がする。体が全然動かない。ここは何処だろう?

 

「………ぅして……ここ………うん、完璧ね。」

 

エリザベートさんの声が聞こえる、何処だろ?顔を横に向けると目の前にハートの形の何かがゆらりゆらり………というよりエリザベート(キャスター)さんの尻尾(ドラゴンテール)

 

ゆらりゆらりゆらゆらり、ゆららゆらりゆらゆら……鬱陶しいですね。

 

掴みましょう。にぎりっ。

 

「ひゃっ!?誰っ!?ちょっと、ド田舎リス!何私の尻尾を掴んでるのよ!離しなさい!!」

 

鬱陶しいので掴みました。反省する気もなりません。というより力が入らないので振りほどくならどうぞ御自由に。それにしてもエリザベートさんの尻尾の鱗って初めて触れたけど…すべすべだ。ちょっとなぞってみよ、ツ~…

 

「ちょっ!?止めて!ムズムズするじゃない!今飾りで手が…」

 

一つ一つ鱗が良い形をしてて滑らかな感触がする。ちょっと癖になりそう。今度は両手でスリスリ…

 

「止め…止めて、ってば!ぅ…力が入ら…。」

 

うん、ちょっとhighになってきた。尻尾の先端のハートマークはどうだろ?顔に寄せて頬にスリスリ…

 

「うきゃっ?!…んン……ヤァ…。」

 

あー…すべすべ天国です。最高にハイって奴に…

 

「……いい加減に…。」

 

するとすべすべ尻尾(ドラゴンテール)が手元から離れて真上に…

 

「しなさいぃぃぃ!!」

 

そして僕の方に急接近…って、えっ!?

 

「クブゥッ?!」

 

一気に降り下ろされた重い一撃は無防備な僕の腹部へと直撃し、再び僕は意識が飛んだ。

 

 

 

 

「ぅう……いたっ!?…うくぅぅぅぅ………ここは?」

 

目が覚めるとお腹の激痛で踞りながら周りを見渡す。簡単な家具が置いてある真っ白な壁の部屋にカボチャやコウモリ、黒猫といったハロウィングッズの飾りがされている。つか、ここカルデアのマスターの部屋じゃん。ハロウィンイベント通りじゃん。

 

「あら、起きたかしら?それと…」

 

頭の上からエリザベートさんの声がする。天井を見るように顔を向けると、僕の見下ろすエリザベートさんと手に持つカボチャが…

 

「これはプレゼントよ!」

 

突如エリザベートさんの手から離れて急接近するカボチャが…

 

バシッ!

 

「甘い、ですね!同じ手が二度通じると思ってるんですか?」

 

落ちてくるカボチャを両手を重ねて受け止める。人間一度食らえば対処方法なんて考えるですよ。手がピリピリ痛いけど、二度なんて…

 

「あらそっ。」つんッ。

 

「ほんぎゃぁぁ!いたっ!?っぅぅぅぅぅ~!!」

 

両手でカボチャをガードして無防備な今も痛いお腹をエリザベートさんは無慈悲に突っつかれた。お腹から走る強烈な痛みに無意識に手の力を抜いてしまい、受け止めていたカボチャが額に落ちて更に痛みが走る。これは二度食らっても痛い!

 

「ふん、本来なら串刺しだけど今回は許して上げるわ。私の料理をあまりの美味しさに悶絶しながら食べてくれたから…。」

 

・・・・・いや!違うから!?

と言ったら本当に串刺しになりそうだから飲み込んでおく。

 

「…で、何でうちのマスターの部屋がハロウィンパーティになってるか訊いてもいいですか?」

 

「うん?聞きたい?それは仔イヌにサプライズライブをするからよ!1発目は貴女に邪魔されたけど、これはこれで良い趣向だわ!貴女が居ればあの仔イヌは是が非でも貴女を救いにくるわ!そして戦いの末、この部屋に入ったらサプライズ!首謀者はサーヴァント界のキャスターアイドル!そして疲れきった彼に癒しのサプライズライブを送るの!完璧ね!」

 

「はぁ…是が非でもって、いくらなんでも過剰ではないですか?」

 

「…正直仔イヌに同情するわ。」

 

「解せぬ…。」

 

まぁマスターはこのイベントを知ってると思うし、エリザベートさんが2通目を出したならいずれ此処に来るし、でも是が非でもって言うのはやっぱりオーバーですね。いくら清姫好きって言っても怒り心頭でこの部屋に突撃するわけが…

 

「もと主人、もと主人!準備はオーケイ?ハーリーハーリー!」

 

扉からタマモキャットの声が聞こえる。でもなんか、妙に急かしているような…

 

「えっ!?もう!?待って待って!よし…よし…此処もよし!」

 

「赤トカゲよ!早くするのだぞ!悪魔より恐い鬼が側に居る故、尾っぽの毛穴がピリピリするぞ。」

 

「誰が赤トカゲよ!竜でしょ!竜…悪魔より恐い鬼?」

 

ま、まさか…

 

「キャットは退散するぞ!」

 

扉の外からスタスタ…と足音が遠ざかる音が響く。そして扉がゆっくりと開いた。否、ゆっくりに見えたのかもしれない。正直、ゆっくり所か僕的には開いて欲しくなかった。

 

其処にマスターの笑顔が目に入るまでは。

 

「ぁ…。」

 

そう笑顔だ。にっこり。と微笑んだ優しそうな笑みだ。只の笑顔だ。だけど不気味だ。

ゆっくりとマスターが部屋に入る。1歩、1歩と歩み寄っていく。近付いてくる度に心が締め付けられた。例えていうなら、テストで赤点を取って親に叱られる前の状況という訳じゃない、況してや二人の上司から命令による板挟みの心境でもない。そう単純な言葉で表すなら、心を鷲掴みされてるような、そんなイメージの恐怖を思い浮かばせる。エリザベートさんは、何だか固まってる。マスターがエリザベートさんの方に向かってるのに気付いてない。扉の方にマシュがまるでマスターから目を話すように此方を見ないでいる。これは、駄目なパターンしか思い付かない。

 

「…はっ!何なの今の、ハートを射ぬかれるような、絞られるような感覚は、まさか今のは、恋!?」

 

エリザベートさん、後者は当たりだけどその結論は可笑しい。それと前方の鬼に気づいて。射線上に巻き込まれてるこっちは辛いんだけど。

 

「…相変わらずの恋愛脳ですね、ドラバカ。」

 

「ドラバカ!?」

 

マスターからのドラバカ宣言にエリザベートさんは急激に反応した。本来なら呆れ顔をするだろうがマスターは微笑み顔のままだ。うん、恐い。

 

「仔イヌの癖に生意気よ!それにサプライズなんだから準備中に入ってくるなんてタブー何だから!」

 

「あら?ならば誘拐はタブーではないのですか?人様の家(指令室)破壊(半壊)するのはタブーではないのですか?()の部屋を勝手に改装は良くないのではないですか?何度も出てきて恥ずかしくないのですか?」

 

「そ、それは、貴方へのサプライズの為であって、あ、アイドルの特権ですもの。驚いたかしら?」

 

「…ええ、驚きました。それはもう度肝を抜かれたように。」

 

「そ、そうでしょ!当たり前よね!」

 

エリザベートさん、そんな嬉しそうにしてないで気付いて!マスターがさっきよりも殺気が強くなってるから!

こっちにもザクザクと突き刺さってるから!

 

「…ですが!」

 

「!?ちょっ、と、何でどんどん近付いて!?まさか、駄目!ファンとの恋愛は禁止っ!?」

 

マスターはどんどん近付き、エリザベートさんは急接近するマスターに怖じ気づき後ろに下がる。そうしている内にエリザベートさんの背中が壁にぶつかり、マスターとエリザベートさんの距離が急激に縮まる。

うん、ラブコメだったら良かったなー、の展開だよね、これ。

 

「ま、待って仔イヌ!早い!早いってば、こんなこと」

 

バンッ!!

 

「ひっ!?」

 

「…何を勘違いしてるのですか?」

 

バンッ!!

 

「ひきゃっ!?」

 

頬を真っ赤に勘違いしながら恥ずかしがってる所を顔の横にマスターは壁ドン、もう反対側も壁ドンして、エリザベートさんは立って逃げ場を無くした。

 

「何故関係の無い彼女を拐う必要性は無いじゃないですか。それにあの招待の仕方は危険だと気付かなかったのですか?奇跡的にも彼女も私も無事でしたが、カルデアの指令室が半壊する程の被害で私が死んだらどうするつもりです?衝撃的なサプライズ?それで人理の修復に問題が起きたらどうするつもりでしたか?そんな事になったら責任を取れるのですか?そしたら貴女のアイドル人生は終わりですね。人理が崩壊したら貴女を応援するファンは消滅、それよりもカルデアという名のスポンサーが無くなれば終了ですね。でどうするつもりなのですか?」

 

「そ、そそれは……えっ…と…そんな、つもりは…。」

 

どうやらエリザベートさんはマスターの余りの気迫に漸く気付いてマシンガントーク並の質問、というか脅迫に圧され大量の質問の波に困惑の渦に呑まれ頭を抱えている。

 

「無かった、ですか?そんな軽い気持ちで実行しようとしてたのですか?貴女はアホなんですか?」

 

「…クビよ!クビ!クビ!クビ!クビ!クビ!きゅび!?……兎に角、貴方はプロデューサー、ク・ビ・よ!早くこの城から出ていきなさい!」

 

エリザベートさんはアホ発言にカチンっと来たのか、顔を真っ赤にしてマスターを押し退かせクビを何回も言った後、ビシッ!と擬音がなりそうなマスターへの指差しを決めた。そして壁側を向いて腕を組んで拗ねた。それに対してマスターは全然動じず微笑み顔のままだ。

 

「そうですか、それなら彼女を連れて出ていきましょう。」

 

マスターはエリザベートさんに背を向け真っ直ぐ僕の方へ歩いてくる。そのまま僕の前に止まると屈んで目線を合わせた。

 

「御待たせしました清姫、さぁ行きましょう。」

 

そしたら急に襲ってくる浮遊感、そして肩と足に暖かさを感じる。

うん、またお姫様抱っこ、うんざりします、いい加減、はい。

 

「マシュ行きますよ。」

 

「え、宜しいんですか?エリザベートさんは。」

 

「向こうから出てけと言われたのだから宜しいでしょう。それにあのような輩はほっといた方がいいと思います。」

 

「…それが良いんでしょうか。」

 

マスターはそのままエリザベートさんの方を見ずに部屋から出ようと歩き出す。マシュはエリザベートさんを気にしながらマスターの後を追う。

…正直、マシュ言うとおりだと僕も思う。これはエリザベートさんの自己満足で始めた事だ。エリザベートさん自身がそれを放棄したなら改めてそれを蒸し返すのは相手にも悪い、と僕は思う。でもエリザベートさんはこのハロウィンを楽しみ準備していた。それは子供が自分の誕生日が来るのをウキウキするような。そんな気持ちだったのに、簡単に諦めていいのだろうか?勿論これは僕のエゴだ。でもこんな後残りする終わり方で…。

僕は無意識の内にエリザベートの方を見て…

 

「……チラ…チラ…。」

 

うん、すんごい此方をチラチラ見てるよ。凄いなんか期待して待ってるよ!ってきりプンプン丸だと思ったら戻ってくるの待ってるよ!どうしよう黙ってようかな。

 

「!?……~~~~~~!」ウルリッ

 

あっ、このまま行っちゃうと思ってショック受けてるよ。

 

「まぁ!!今謝ればライブをやんない事はないわよ!?」

 

諦めないんですね。

 

「ほ、ほら!こんなことは一生に一度しか無いかもしれないわよ!もうやらないからね!やってやらないからね!?」

 

結構粘る上に貴女に関してはやらない事はあり得ないっていう事は分かります。でも後が恐いって事もあるから、しょうがないですね。

 

「あの、マスター?」

 

「…………。」

 

「あんなに必死に言ってるのですから、一曲だけ聞いていきませんか?流石に一曲聞いていけば聞かないよりかは彼女も気分良くなって後々面倒はないかと。」

 

「…………。」

 

マスターを立ち止まり無言のまま僕を見続ける。表情は真顔、その様子から『何で其処まで付き合うのか?』と質問されていると僕は思う。だって彼処まで粘ってるし、本人ホントに楽しみにしてたから、やるならやりきっちゃった方が良いでしょ。僕も正直ね、スカッとしたい訳ですよ。

 

「マスター、私も清姫さんの意見に賛成です。こうなったら本人が少しでも満足すれば良いんですし、もしもの時は止めに入れば良いと思います。」

 

「…二人が其処まで言うなら、どうなっても私は知りませんよ?」

 

そう言ってマスターは反対に向きを変えて歩き出した。エリザベートさんの前まで来て立ち止まった。てかお姫様抱っこを止めて欲しい。

 

「あ、あら仔イヌ、どうしたのかしら?私のライブを聞かずに帰るんじゃなかったのかしら?」

 

「…貴女の歌を聞くために戻ってきたですが?やっぱり自信がないのですね。」

 

「…ホント似てるわね、その蛇娘共々生意気よ。いいわ!貴方達をギャフンと言わせてあげるわ!」

 

此処で「ギャフン…。」って口で言ったら絶対に怒るから止めておこう。正直ふざけたくてしょうがない。だって現在進行形でお姫様抱っこなんて意識したくない。かなり切実。てかこのまま行くの?

 

「それじゃ一曲目!恋はドラクル_____」

 

そして目覚めた時はカルデアの自室のベッドで寝ていた。

 

 

 

 

 

「っ…結局、一曲処か最後まで止められませんでした。」

 

「うぅんっ!スッキリしたわ!」

 

視点変わりまして、どうもマシュです。言い出した此方が言うのは何ですが、かなり酷い物でした!!

さっきから耳がキーン!キーン!と鳴り続けています。

当の本人のエリザベートさんは憑き物が落ちたような、顔がツルテカと輝いています。何で本人は気付かないのでしょうか。

 

「…マスター、清姫さん、大丈夫…です…か?」

 

そんな事より二人の様子が気になり振り向くと、二人共が固まったように動かない。特に清姫さんは全身脱力してるようにマスターの腕の中です。羨ま……何でもないです。

 

「清姫さん…大丈夫です…っ!?

 

 

 

見れば分かるほどに気絶してます!」

 

白目を向いて口から泡を吹いてます。何時からそんな状態だったのでしょうか。

 

「大変です先ぱっマスター!清姫さんが気ぜっ!?

 

 

 

 

お姫様抱っこの(抱えた)まま気絶している。」

 

まさにそれは執念、そんなのを感じました。




次の予定はこの話の後日談。短いの一話
そしてローマの話を予定中。一話で納めたい。


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危機何髪…というか手遅れ

此処、カルデアの食堂の厨房でトントングツグツと音が響いています。

やあ、僕はヒサギです。

 

「ふんふふんふふ~ん♪」

 

歓楽監獄城チェイテよりエリザベートさんのサプライズライブから(気絶して)帰ってきて、気が付いたら自室のベッドで寝ていました。起きた時、まだ少し体に疲れが残っていました。あんな拷問(赤い料理)を食べさせられて胃もたれ…レベル以上なのだけれど体の疲労だけとは。いや、死ぬ思いでしたよ、かなり。

 

それは置いといてエリザベートさんは元に戻れないという事でカルデアに住む形になった。今回の事で皆に迷惑をかけたから何か感謝の気持ちを伝えようと思い、食堂の厨房を借りて深夜にて割烹着を着てシチューを作っています。

 

前に聞いた時はレトルト食品しかないと思ったのですがカルデアには屋内栽培設備があったらしく、あのレフ・ライノールが起こした爆発によりスタッフの人員が他のところに回され、仕方なく早くて旨いレトルト食品がほぼメインになっていた。だが栽培設備は動いてない訳ではなく、そうなると野菜や穀物が出来上がる。特別に使わせて貰っている代わりに品質チェックだ。要は食べられるかどうかだ。

 

「そろそろ火が通りましたね。」

 

まぁ、ある意味マスターは毒味役みたいなっちゃうけど、あの性格だから喜んで食べてしまいそうです。

あ、蛇足ですが、ここ最近、僕の一人称が変わっているような気がします。ヤンデレを除いて清姫の真似というか、清姫に成りきろうとしてる余りに変わりつつあるのかもしれない。というか、最近は焦りすぎて素が出まくっているのが結構ひやひやしてます。気を付けないと。

 

「シチューの基を投入♪」

 

最初に作っておいたシチューのルーを野菜を似た鍋に入れます。小麦粉、バター、塩胡椒、コンソメを水で固めた物を……何か忘れてるような。

いや、学校の家庭科で材料は合ってるはず、結構美味しかった記憶はあるし、社会人生活のブランクはあったけど、大丈夫でしょう。

 

「焦げないようにかき混ぜて。」

 

コンソメで味は出てるから不味いものにはならないでしょう。

 

「料理って楽しい♪」

 

 

 

 

 

…と思う自分が懐かしく感じます。

 

気が付くと両手両膝を地面に付けてました。

 

何故…

 

「何故!鍋の中が赤いんですか!?」

 

赤いというより紅いんです。ホワイトなシチューを作っていたのに白い要素が何処にもないんです!色のついた物なんてお肉と人参しか入れてないのに!?

 

いや、もしかしてこれはフェイク。ビーフシチューみたいな感じで予想の味は微妙に違うかもしれない。小皿に少し足らして。

 

「…僕の知ってるシチューと程遠い。」

 

何で酸っぱくて辛いんだろ。昔、高校の同級生と仕事の同僚でやった〇スソースの罰ゲームをやったのを思い出す。あれよりかはこれはマシ、だけど…

 

「ない、これはない。」

 

改めて床に膝を付いた。そして絶望した。

僕はこんなに料理が下手だったか?いや、カレーは一人で作れた。というかカレーしかできなかった。

その影響だろうか?いや、それだけじゃ酸っぱ辛なシチューなんてできるはずがない。

野菜が駄目だったのか?何処からどう見ても普通の野菜です。確認のため残った人参をポリッポリッ。

 

「料理しない方が美味しい、だと!」

 

再び絶望した。もはや将棋でいう「詰み」、チェスでいう「チェックメイト」の終わりの地点である。

自分は料理ベタ、その称号が自分自身で獲ようとしている。

 

「…仕方ない、自分で作ったんだから自分で処理するか。後でスタッフの方に謝らないと、えっと何か器を…。」

 

落ち込んでも仕方がない。そう思い紅いグツグツのシチューを部屋に持っていくため器を探す。がなかなか見つからない。えっと…こっちかな…。

 

 

 

 

 

 

「漸く見つけました。さて…と?…あれ?鍋が…無い…。」

 

 

 

 

 

 

視点が変わりまして、お早う御座います。マシュ・キリエライトです。現在、朝の0600です。今日も元気に先ぱ…じゃなかった。マスターを起こしに部屋に向かいます。

 

「失礼します。マスター、お早う御…座…。」

 

どうやらマスターはテーブルで寝ていたようです。側には鍋が、夜食でも取っていたのでしょうか?

 

「マスター?そんなところで寝ては風邪を引きます…マスター?」

 

何でしょう。顔が蒼白いような…。

 

「…ぁ…マシュ…ですか…?」

 

「!どうしたんですか!?」

 

見る限り危険な状態です!

 

「わ、私…は…何も…問だ、い…ありませんよ?…か、れの…精一杯の、手料理を…頂、い、た…だけで、す、から…。」

 

精一杯の手料理?彼?

 

「と、ても、刺激的で、ウッ!!」

 

いきなり口元を抑えだしました。いったい何が起きて…

 

「ウッ…ゴハッ!?」

 

「え…。」

 

マスターの口から赤い液体が…血?

 

「アッ…。」

 

バタンッ!!

 

「!?マスター!!しっかり!しっかりして下さい!ドクター!ドクター!!」

 

 

 

 

 

「で、あの紅い劇物はお前が作ったと?」

 

「…はい。」

 

場面が変わりまして、どうもヒサギです。今クーフーリンさんの部屋で正座して今現在の後悔を相談しています。

エリザベートさんも同席しています。

正直言って訳が分からないです。昨夜少し目を離しただけで失敗作の紅いシチューの鍋が無くなり、今朝マシュの悲鳴を聞いて駆けつけると、マスターが口から紅い液体が広がり床に俯せで倒れていた。そして近くのテーブルに見覚えのある鍋が。

 

ぼ、僕の料理が殺人事件の凶器になってしまった!!!

 

その後、ドクターロマニが駆け付け、幸いあの紅いのは鍋の中身で血ではなかった。胃が耐えきれず戻しただけのそうだ。意識を失ったのは何らかのショックらしい。

吐くまで不味い物を意識を失う直前まで食べていたって、マスターはどれだけお腹が減っていたのだろう。

というか鍋が何でマスターの部屋に、誰が持っていったのだろうか。流石に誰かが来たら物音で分かりますし。

…もしや…。

 

「これはカルデアに潜む暗殺者(アサシン)の仕業!?」

 

まさかのサスペンス!夜食を食べようとした料理をすり替えてマスターを毒殺!カルデア内のマスター抹殺計画…

 

「いや、流石にねぇだろ。そもそも此処にはアサシンは召喚されてねぇし、サーヴァントだって盾の嬢ちゃん含めて俺らだけ。その前にすり替わったら気づくだろ、吐くまで食わねぇよ。」

 

ですよね。いくら何でも有り得ませんよね。

 

「それにだ、マスターに手を出そうにも盾の嬢ちゃんがいるし、マスター自身が…とてつもなくおっかねぇんだよ。人を呪い絞め殺そうとする殺気を出しやがる。久々に肌がザワザワしたぜ。」

 

…嘘だろ、サーヴァントを呪い絞め(?)殺そうとするオーラ?を出す人間自体があり得ませんよ!黒魔術師ですか、マスターは!?

 

「ん~…ていうより、仔イヌは貴女の料理だから食べてたんじゃないかしら?」

 

「は?」

 

何を言ってるんですかエリザベートさん?いくらマスターでも其処までないんじゃ。

 

「いや、其れしかねぇだろ。オルレアンの時だって結構御執心だったじゃねぇか。体の限界なんて簡単に越えそうな気がするぞ。」

 

狂ってるんですか!?あのマスターは!?

 

「まぁ食べて吐いちゃうんだから、相当な物でしょうけど。」

 

貴方には言われたくないです。ドラバカ娘。

 

「…ところでよ。」

 

「…何ですか?」

 

「さっきから気になってはいたんだが、お前の横の鍋はなんだ?」

 

そう、正座している僕の隣には蓋をしてあるステンレスの鍋がある。これは一先ず確認のため(自分が飯マズか?)作った物だ。改めてやったらもう料理は楽しくなくなった。

 

「取り合えず別の物を作ってみました。」

 

「へ、へぇ、で何を作ったんだ?」

 

「乾燥物が有ったのでそれを水に戻して作った、高野豆腐の煮豆腐です。」

 

「ふーん、名前からして随分と貧相ね。で出来映えはどうかしら?」

 

僕は鍋を自分の前に出して、蓋を持った。

鍋と蓋の隙間から煮物らしい優しい香り…ではなく胡麻独特香りや強烈な刺激臭。

蓋を取ると中は一言で赤色。少し茶色のポツポツした物や緑のネギ、高野豆腐らしい白い塊が入っているが全てが赤に汚染されていた。そして液体はドロリと

 

「って、ちょっと待てぇい!!何で別の料理が出てくる!?後、俺にその劇物を見せるな!!」

 

とクーフーリンさんが煮物?(はい、どう見てもマーボー擬きですね。御免なさい。)突然騒ぎ始め顔が引きつっています。

 

「うわー何なのよ、この赤い液体。辛い匂いがするし、見た目が最悪よ。何これ、スポンジ?あと粒状のお肉が入っているわ」

 

「いえ、これは高野豆腐といって煮物系の出汁を煮込むと味がついて美味しいのですが、あとこれは乾燥挽き肉です。」

 

「何でそんな物ができる!?どんな手順したら煮物からそんな劇物になる!!」

 

そう、確かに煮物の材料でやった筈だ。途中味付けも確認した。でも数分煮立てたら、これだ。どうしてどれもこれも赤くなるんだろう。生前はこんな才能は無かったのに。何でこんなことになってしまったんだろ。

 

「いいからそんなもの棄てろ!食ったらサーヴァント(俺ら)でも腹壊すぞ!!」

 

「大丈夫です。そんなことしたら食材が勿体無いです。部屋に持ってって食べます。」

 

「いや、止めとけって!」

 

そんな事言ったって二回連続でこんな失敗してるんですよ?その所為でマスターは倒れてしまって、料理ができない事がショックです。これを食べれば何もかも忘れるかもって、ひっひっひっ……

 

「もう何か顔がヤバイぞ、死んだ目で何かを悟ってるぞ。」

 

「ちょっと気持ち悪いわね、どんだけショック受けてるのよ。」

 

あー、二人が何かを言っている。もう分からないです。

 

「では僕は部屋に戻りますね。」

 

僕は鍋を持って立ち上がる。そして扉に向かって歩き出そうとした瞬間…

 

「うあっ!」

 

どれだけ正座していたのだろう。両足が痺れ、感覚が無くなっていました。痺れて足で踏ん張ろうとしよう力が込められず、躓いたのだ。鍋で両手が塞がり、倒れそうになる反動で鍋を空中に放り投げて、自然に倒れるのを待つばかりだった。

 

「おっと!」

 

すると地面には倒れず、再び覚えのある腹部の圧迫感を感じた。一瞬でまた誰かに抱えられたと気付く。

 

「大丈夫かよ?」

 

「大丈夫で、あ。」

 

「あ。」

 

「あ?」

 

クーフーリンさんの声が聞こえる。答える為に上を向くと、クーフーリンさんの頭上に接近する蓋が外れた逆さの鍋が。

クーフーリンさんも気付いて上を見るが、目と鍋の間がもう目の前だった。

 

べチャリ!

 

「モガッ!?…………。」

 

バタッ!

 

 

 

 

ここはマスターのマイルーム。一人の少女がベッドの側で椅子に座り、一人の少年はベッドで横たわっていた。

 

「…はっ!」

 

「マスター!大丈夫ですか?」

 

「…マシュですか。」

 

「はい、大丈夫ですか?」

 

「………大丈夫です。只…不運に会う直前、美味しい所を取られたような気がしたので。」

 

「は、はぁ。」

 

 

 



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Q.これは何だ?ー〇〇〇ー A.騒動の印

やっと投稿した。その間、エクステラやらfgoのイベントとかで忙がしかった。え、仕事?いつもだよ(泣)

今回の話は何話か続いてしまいます。もう長話しちゃおうかな。短編でやろうとしてもやりたいことあって切り捨てたくないし。

愚痴りました。ではどうぞ。


副題、全て団子にし、団子にて帰る

 

ずずず~。

 

「ふぅ…。」

 

静かな自室に、湯気が揺らめき起つ熱い御茶の啜る音が響く。そして口に入った時に広がる緑茶独特の香り、渋みと甘さを感じ、喉に流れ落ちて内側から伝わってくる熱に一息。どうもヒサギです。

 

現在自室にて御茶ノ時間(ティータイム)を楽しんでいる。やっぱり緑茶だよね~。これで茶柱が立っていたら幸福の極みなんだけど。

別に幸福が薄いという訳ではないんだよ。小さな幸福が感じられるというのが大切だと此処最近思うんだ。うん、別に此処最近事起こす毎に悲惨な目に遇うことを逃避してる訳じゃないです。はい。

 

「…今日の御茶請けは…串団子ですね。」

 

御茶の横の3本の串に刺さる○子三○弟。

 

団子。それは米粉を水で練って丸めて蒸かした物だ。確か昔に田舎の婆ちゃんに練る際に砂糖を入れると柔らかくなるとか、一度蒸かした団子を再度練って蒸かすと斑が無くなるとか言っていた…かな。

その後は御手洗やら餡子、磯辺焼きは香ばしくて好き何だよな。

 

「思い出したら食べたくなってきた。焼きましょう。」

 

とは言え、目の前の三つ串に刺さった団子を付ける醤油も巻く海苔も、況してや熱機器なんてありません。

まぁ前者がなくとも後者は可能だけど。

 

「ふぅ~。」

 

簡単な事、()()()()()()()()()()いいんだよ。オルレアン以来から炎を出すコツを覚えて火力を変えられるようになったんだよ。何時までもポンコツな僕だと思わない事だ。

団子が良い感じで焼けました。

 

「本当は網で焼いた方が良いのですが…。」

 

こればっかりは網を焼き壊れてしてしまいそうだからなぁ~。言っててもしょうがないから目の前の残り2本を焼きます。

 

 

こんがり上手く焼けました、ただ団子の頭と最後の串の部分を除くけど。

では、実食。

 

「あ~…はむっ!?あふっ!はふっはふっ…」

 

熱っ!熱々の団子を1つ口に入れ、口の中で空気を吹き入れして冷ます。

 

「ムグムグ…。」

 

丁度良く冷めたら咀嚼し団子の甘みと芳ばしい香りが口に広がり、御茶の入った湯飲みを手に取る。

 

ずずず~…

 

「…はぁ~。」

 

そして再び御茶を口に含み流し込み一溜息、これぞ幸せの絶頂。

 

この団子は僕が作ったのだ。あの赤い(レッド)事件の後、戦力強化の為にマスターがサーヴァントを召喚したのだ。そしたら何と、アーチャーのエミヤさんが御降臨なされた。ありがたや、ありがたや。

 

 

そしてエミヤさんに頼みこっそりと一通り何ができるか調べた。そしたら「こねる、炙る」の2つができる事が分かった。

炒めたり煮たりしたら何故か別の物に変わっていた。特に赤くなる。

其処はエミヤさんの教官指導で修行中である。

僕は嬉しさのあまり大量に作ったのだ。

スタッフの方も作ってた。現在、カルデアでは月見をやっているのだ。スタッフさんが団子を作り、それをカルデア内で頂くのだ。というスタッフさん作るの上手すぎる。

 

「これぞ、幸せの絶頂…。」

 

思わず口に出してしまう感動があった。食の幸福を噛み締めながら、団子が無くなった串を皿に置き、残り2本の内の1本を手に取り、口に運ぶ。

 

「はむっ!~~~~~~~!!」

 

少し冷めて丁度良い温度になった団子は口の中で幸せが転がります。何を言ってるのか僕は分かっていません。美味し過ぎます。目を閉じて頬が落ちそうで手を当ててしまう。

 

「後、1本……。」

 

感覚で串を皿に置き、残り1本を手に取る。

が串を掴めなかった。手を動かし探るが団子どころか串さえ掴めない。気になり目を開けると、団子が…ない。

 

「ムグムグ…質素であるがこんな上手い物を独り占めとは、あまり良い事ではないな。」

 

横から聞こえる如何にも吹っ飛んで星になりそうな声に引かれ横を向くと、そこには紫色の長い髪を後ろで1つに束ね、紫色の袴を着て、背中にとても長い日本刀を背負った男性が私の残り一本の団子を食べていた。そう…食べていた。

 

「佐々木さん…。」

 

「ん?何でござ」

 

「ふぅ!!」

 

何もなかったように食べているのはエミヤさんと一緒に召喚されたアサシン:佐々木小次郎。否、只の盗人NOUMINNに口から火を吹き当てる。()かぬなら、燃やしてやろう、ホトトギス(NOUMINNを)

 

「危ないで御座るよ、清姫殿。」

 

「っ、私の団子の仇です。」

 

「仇も何もそなたも食べるつもりであったのではないか?」

 

「私のだからです!食べ物の恨みです!」

 

余裕で避けたNOUMINNの手元には串だけを持っていた。あー私の団子を…。

 

「馳走になった。其にしても一人で団子を隠れ食いとは、つまみ食いで御座るか?ずず~…。」

 

「当たり前のように勝手に御茶を注いで飲んでますね。違いますよ、これは私が作った最高傑作です。だから何時食おうと勝手です。」

 

そう此れは私が作った物だ。大量に作った一部である。その他は厨房のスタッフさんに味見してもらって渡しましたし、そうこれは味見だ。

 

「だが大元の食料は此処カルデアという組織の物であろ?そもそも自室で部屋で1人で食しているとは、疚しいことがあるのでは御座らぬか~?」

 

「うぐっ、味見だから大丈夫です。疚しいことなんて無いですから!」

 

はい、ダウトです。私は団子を食べたくて自室に籠りました。皆さんが月見で団子待ちでも食べたくて食べてます、反省も後悔もしてません。

 

「ふむ、だとしてもだ。1人で茶をせずマスターやマシュ殿も誘えばよかろうに。」

 

「………だってその~…二人とも怖いんです。マスターの私を呼ぶ時に違和感を感じますし、今回の月見はマシュさんが1番楽しみにしてたんですよ。」

 

マスターの清姫loveな所は何時もの事だが、個室で二人になったら襲われそうで怖いし、隠れてつまみ食い同然に御茶をして楽しみを損なったら、マシュ、怒りそうだもん。

 

「色より食か、正に花より団子だな。しかしまぁ、哀れなものよ。ずず~…。」

 

何に対して哀れんで茶を啜っているのやら、だがこの様子だと気付いてなさそうだ。

僕はチラリと壁の端を見た。念のためにダヴィンチちゃんに作って貰って正解だった。狸の置物。

部屋が寂しいからという建前で作った狸の置物。何故か狸の表情と姿勢がモナ・リザに見えてしまうのが凄い。だけどそれはフェイク。狸のお腹には冷蔵庫に成っているのだ。只の狸の冷蔵庫を気にしている僕ではない。そう…

 

 

あのぽっこり丸いお腹の中にレア団子(夢と希望)皿一杯に乗ったお皿が入っているんだ(詰まっているんだ)!!

 

 

スタッフが離れた隙に少しギンバ…コホン頂いたのだ。冷蔵庫の温度も団子が固くならないように低冷温設定にしてある。これは最早事案。マシュにシールドバッシュされても可笑しくはない事だ。だが!

 

 

私は団子の虜になってしまったのだ。しかもこのサーヴァントの体、いくら食べても魔力に変換できる(太らない)

 

 

このNOUMINNが居なくなったら食すのだ!

 

 

「何やら思惑を働かせているのは良いが、するならあからさまに狸の置物を見ない事だ。バレバレなのだが。」

 

 

「…レア団子一個で黙ってて貰えないでしょうか。」

 

 

 

 

 

取り敢えず佐々木さんは追い出して(レア団子一個で買収して)、此処には僕しか居ません。

 

 

「よし…では。」

 

 

僕は狸の腹の脇の凹みに手をかけた。そして力を入れて引き開ける。さぁ、開けゴマ(オープンセサミ)

 

 

「……さい………待ちなさい!」

 

 

「御免なさい!御免なさい!御団子をクすねて御免な…あれ?」

 

 

僕は全力で声のした方へ何度も連続で頭を下げ土下座した。が其処には誰も居なかった。

 

 

「あれ?今マシュさんの声が…。」

 

 

だが当の本人は居ない。ビビり過ぎて幻聴を…

 

 

「待ちなさい御団子泥棒!!」

 

 

「……!!?」

 

 

またマシュさんの声で体が跳ね上がる。というか足音付きで廊下から聞こえる。幻聴ではなさそうだ。早い足音で僕の部屋に近付いてくる。

口惜しいけど此処は白状するしか内容だ。さらば愛しい方(レア団子)

 

 

僕は扉を開け、外に出た。

 

 

「マシュさん御免なさい、団子を…」

 

 

罪の告白を使用としたら、()の視界の端から接近する大きく白い何かが…。

 

 

「ふべらっ!?」

 

 

それは僕の顔を弾き飛ばす白く大きい風船、というか巨大な袋のタックルを顔半分に受け体毎吹っ飛ぶ。

 

 

「おいおい、今嬢ちゃんが吹っ飛んだぞ!?」

 

 

「それよりダーリン!逃げるわよ!」

 

 

今、二人の男女の声が聞こえた気がするが巨大な袋はどんどん遠ざかっていく。僕は起き上がり袋が行った方向を見ながら顔半分を撫でた。

 

 

「いったい何ごグアッ!?」

 

 

今度は頭に鈍痛が走る。頭から脳へ走る衝撃と痛みに意識が吹っ飛ぶ。

 

 

「あ…あああ!御免なさい!大丈夫ですか清姫さん!?」

 

 

何とか意識が踏み止まり、マシュさんの声が耳に入る。何とか頭の痛みに耐え、腕を上に伸ばしグッジョブサインを出す。

 

 

「すみません、今団子泥棒を追っていたあまり周りが見えていませんでした。私のミスです。私はこのまま団子泥棒を追うので動けるようでしたら指令室にこの事を知らせて下さい。」

 

 

マシュさんは巨大な袋が行った方向へ走っていきました。痛みが段々引いてきた僕は立ち上がり頭を擦りながら思った。

 

 

「また面倒事…ですか。」

 

 

どうせお月見イベントだろうと。それと同時に心の底で安心して溜息を吐いた。

 

 

良かったレア団子をギンバイした事がバレてない。

 

 

結局バレてないのにマシュさんのシールドバッシュを受けたけど。

 

 

 

 

僕がマスターやロマン、酒瓶を抱えたダウィンチちゃん、その他スタッフがいる指令室に向かい、マシュさんの現状を話した。マスター以外は驚愕と落胆の表情が見て取れる。

 

只マスターは違った。頭を打ったと言った辺りから僕の心配ばかりをしている。僕が気付いた時には頭を擦っていた。というかまだ擦っている。

 

 

「あのマスター…。」

 

 

「何でしょう清姫。」

 

 

「もう擦らなくて良いです。もう痛くないので。」

 

 

「そうですか…分かりました。」

 

 

漸く止めた。全く何時までやってるかと思ったよ。あのまま続けたら心地よ…違う違う、マシュさんに見られたら嫉妬するだろうに。

…その残念そうな顔は止めて欲しいよマスター。

そう思っているとマシュさんが走って戻ってきた。

 

 

「申し訳ありません、取り逃がしました。あっマスター、お早う御座います。」

 

 

「お早うマシュ、今日も元気ですね。」

 

 

「何で二人とも落ち着いているのですか…。」

 

 

マシュさんはあんなに必死だったのに、マスターに至っては落ち着き過ぎでしょ!?

 

 

「全くだよ、誰なんだ団子を盗んだのは!」

 

 

ロマニさんの盗んだという言葉に僕は庭かに体がビクッとした。けど此処は焦っちゃ駄目だ。此処は敢えて黙ってた方が良い。

 

 

「…………。」

 

 

ヤバいダウィンチちゃんがジーって見てるよ。狸冷蔵庫の件もあるから完全にレア団子を保有しているってバレてるよ!

 

 

「ジ~……。」

 

 

口で言っちゃったよ。もう遊んでるなこの人!

 

 

「……これは鯖の仕業だ。」

 

 

やっと話を切り出してくれたよ!ちょっと汗掻いちゃったよ。

 

 

「大体3分前にレイシフトしてる、しかもこれはいつか契約する紐を引っ張っていつか契約した結果を招き寄せたようだね。()()()()()は時空を歪める英霊のようだ。」

 

 

ロマニさんやマシュさんは驚愕している。ダウィンチちゃんはチラリと僕を見る。見ないで下さい、御願いします。

 

 

「しかもロマニ、これは凄い所に飛んだみたいだぞ。」

 

 

「え、どれどれ…なっ!何!?」

 

 

「どうしたんですかドクター?」

 

 

?此処は僕にも分からない。僕の記憶ではフランスの筈なんだけど。

 

 

「大変だヒサギ君!マシュ!その犯人、今観測中の特異点に飛んだぞ!」

 

 

な、何だ、と…!

 

 

「それに観測中なのに特異点にほぼ確実に行けるようになってる!再度解析調整すれば行ける筈だ!」

 

 

「ホントですかドクター!」

 

 

「…………。」

 

 

ロマニさんの言葉にマシュさんは驚いているがマスターは相変わらず冷静なのか声が聞こえない。というかそうじゃない、またイレギュラーなのか。

 

 

「場所は1世紀ヨーロッパ…古代ローマだ!」

 

 

まさかのメインストーリーとイベントの同時進行ですか!?




次回はローマへ。
団子投入も工夫しないと。


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団子は何処へ…

いよいよfgoもソロモンへ突入ですね。
今小説はなかなか進みません(すいません)
それにしても第7章は内容が深かったな~。

ソロモンはサーヴァントの絆レベルが必要って、絆あがんねー。

ゴルゴーン来てくれ来てくれ(懇願)


その頃、大袋に入った大量の団子は…

 

 

「……ローマである。」

 

 

「成る程、では我々はローマでローマをローマしてローマするべきか。」

 

 

「…ローマ…ロォォーマァァァァ!!」

 

 

「…駄目だ、理解できん。」

 

 

此処は1世紀ヨーロッパ、連合ローマの首都。その広間ではこの時代のローマ帝国を攻める為の皇帝と宮廷魔導師による話し合いが行われていた。そしてその宮廷魔術師としてこの場にいるレフ・ライノール・フラウノス、基カルデアの裏切り者、否!只の噛ませ触手は召喚したサーヴァント、主にふくよか、マント、筋肉琢磨と話し合いに頭を痛めていた。というか痛める頭はあるのだろうかwww

 

 

「喧しい!!」

 

 

触手は突如、大声で叫び上げた。一体に彼は。いや、触手は、何が感に触ったのだろうか。

 

 

「その触手呼び止めろ!名前で呼べ!」

 

 

………へ~い。

 

 

「どうしたのだ、魔術師殿。」

 

 

「…いや何でもない。」

 

 

とても見た目がふくよかなサーヴァントに心配の言葉を掛けられ、レフは溜息を吐きハットを深く被る。

 

 

「(全く、この駒をどうにかしてさっさと特異点を消滅せねばならないが、聞けばあのゴミ共は1つ目の特異点を修正した事から次はこの時代に来るだろう。時間の問題、いやそれは奴らがこの特異点に現れてからにしよう。)」

 

 

「さて、では魔術師殿。我々はこれからローマ帝国に進軍する。私はガリアを制圧し、カリギュラは現ローマ皇帝を強襲するとしよう。異論はないか?」

 

 

とふくよかなサーヴァント、基カエサルがレフに告げる。それはレフは「それで良い。」とだけ返した。

 

 

「(まぁどの道、あのゴミ共は消す。それは遅かれ早かれの問題だ。あの御方に刃向かう者は全て消すだけだ。クククッ…。)」

 

 

紳士面なレフの口元が斜め上に吊れて、何とも嫌らしい笑みを浮かべていた。きっと顔に出やすく、変態的な事を考えてるに違いない。

 

 

「(…ツッコまんぞ。)」

 

 

ショボーン(´・ω・`)

 

 

とその時。

 

 

「きゃっ!?」

 

 

「ふごべっ?!」

 

 

「「「!!」」」

 

 

何もないレフの上空から女の子?が…美女なのは間違いない。兎も角、レフの頭上から女性のヒップタックルで1hit、レフが俯せに倒れ背中に再びヒップタックルで2hit、そしてレフに頭上に巨大な袋(推定3トン近い重さを持っているのは御都合設定でbyナレーター)が落ちて3hit。

こいつは死んだな。

 

 

「痛たたぁ~、あれ?此処は何処~?」

 

 

髪も纏っているドレスも白い女性は周りを見渡す。レフと話していたサーヴァント3騎はいきなり現れた女性に警戒の表情を現す。

 

 

「おい!アルテミス!お前の下の奴っ潰れてるぞ!?」

 

 

「えっ、あっ本当だ!ダーリンどうしよう!?」

 

 

「知るか、ボケッ!!」

 

 

すると彼女に隠れていたのか、小さい熊のぬいぐるみらしき者と彼女の反応からして事故であったのだろう。3騎は何とも言えない表情をしている。これは仕方ない。

 

 

「んな訳あるかぁぁぁぁぁー!!」

 

 

「きゃっ!」

 

 

「うおぉっ!?」

 

 

女性の下敷きにされていたレフの体の一部が肉塊(触手)となり、アルテミスと呼ばれた女性と小さい熊を弾き飛ばす。アルテミスが弾き飛ばされた瞬間、巨大な袋を手放してしまった。

 

 

「おお、魔術師殿。生きていたか、そのまま死んでくれれば尚良かったのだが。」

 

 

「今度から口に気を付けろ、この糞ッ垂れ(サーヴァント)共!」

 

 

「ふむ、随分と素は辛辣なのだな。」

 

 

レフは立ち上がりふくよかなサーヴァントに罵声を浴びせる。レフは人の姿を少し残しながらも触手がうねっている。あれでエロい事をアルテミスにするんだ!

 

 

「アルテミス…成る程、神霊が英霊の真似事か。その分、弱体化しているようだな。」

 

 

「おお!あの月の女神とは、何とも奇妙な巡り合わせか。いや、我らが神祖がおられるのだから、それにしてもクレオパトラには勝ぬが何とも見目麗しい女性か。」

 

 

「…女神ッ…が見え…る…女神!!」

 

 

「…………ローマである。」

 

 

アルテミスを知って三者三様、1人は嘲笑い、1人は感嘆、1人は崇め、1人は何とも難しい顔をしてる。

 

 

「ん、ありゃロムルスじゃねぇか!?」

 

 

「あっ、本当だ!ロムルスゥ!久しぶり!アレスは元気?」

 

 

「むぅ…叔母上。ローマは…。」

 

 

筋肉琢磨なサーヴァント、ロムルスは叔母のアルテミスへの反応に難しい顔をした。何ともマイペースな女神様なのだろう。

 

 

「皇帝陛下!どうなされました!」

 

 

と、1人の兵士が異変に気付き広間に入ってきた。兵士が来る前に人間の姿に戻ったレフは占めたと閃いた。

 

 

「そこなる女と珍獣は皇帝陛下を狙った僣称皇帝の間者である。速やかに討ち取れ!」

 

 

「!了解しました!」

 

 

神祖はロムルス、それはローマの皇帝、民全てに崇められる存在。それは信仰にもなり、深い信仰は狂気にすら値し、当の本人にすら止められない風、嵐になってしまうものだ。

レフはその信仰を利用した。ロムルス(ローマ)の為に、そしてローマ皇帝(ローマ)を護らんが為に命を捧げんとするローマ連合兵士、そしてローマ連合の民。

レフにとっても好都合な駒はない。

 

当の神祖と皇帝はそれを傍観する。彼らはレフに呼ばれたサーヴァント、だが彼らはレフ(マスター)の意思なんてどうでも良い。レフはこの特異点を滅ぼし人理崩壊を望む。だが彼らは現在の生きる人々(ローマ)を望む。これは世界の、今代のローマの試練。

この戦争で打ち負けるような軟弱なローマなら致し方無い。できるなら目の前の女神が今代のローマ皇帝側に付いてくれる事を願って。全てはローマに通ず。

 

 

 

 

 

 

アルテミスと熊のぬいぐるみ擬き、オリオンは大勢の兵士に囲まれ始めていた。現在も兵力増加中。

 

 

「おいアルテミス!早く逃げるぞ!」

 

 

「待って、ダーリン!よっこいしょ!」

 

 

「この僣称皇帝の間者め!!」

 

 

巨大袋を背中に背負ったアルテミスの真横から三人の兵士が一斉に斬りかかってきた。

 

 

「ていっ!」

 

 

「「「ぐあっ!?」」」

 

 

するとアルテミスは背負った巨大袋を振り回し、兵士を弾き返した。そしてくるくるくるくると振り回す。

 

 

「何だ、あの女!あんなデカイ袋を振り回してクベラッ!?」

 

 

「糞っ!近付けねヒゲラッ!?」

 

 

「おい、なんか近付いてくるぞ!下がれ!離れフバッ!?」

 

 

「どんだけ重い袋を振り回してるんだ、当たった奴等が大きく吹っ飛んでるぞ!?」

 

 

「止めろ~!!アルテミスッ!!目が回って~、俺が死ぬ~!」

 

 

 

「あっハハハ、楽しい~!」

 

 

このアルテミスが体を軸に大袋を振り回す様は、そのままハンマー投げだった。

 

 

「…やはり兵士だけでは仕留められないか。おいサーヴァント共、貴様等も早くアイツをふべらっ!?」

 

 

「あ、手、離しちゃった。」

 

回転する巨大袋がレフに吸い込まれるように当たった。周りの兵士、皇帝達、そして投げ飛ばした(手放した)本人でさえもポカーンとしている。

 

 

「おい!今だアルテミス!さっさと逃げるぞ!」

 

 

「えっ、でも御団子が」

 

 

「あれは置いてけ、突破するのにも邪魔になる!」

 

 

「う~ん分かったわ、ダーリン。ロムルスゥ~!御団子~月夜の時に食べてね~!」

 

 

「逃がすか!」

 

 

「えいっ!」

 

 

「ぐあっ!?」

 

 

アルテミスに迫ってきた兵士を何時の間にか手にした等身大の弓で射ぬいた。

 

 

「逃げろ逃げろ!!」

 

 

「あっ待ってダーリン!」

 

 

真っ先に出口に飛んでいく熊のぬいぐるみとそれを追いかけ、追っ手を射抜くアルテミス。

一時のつむじ風の如く皇帝達の前から去っていった。

宮廷魔術師を下敷きに置いてった巨大な袋を残して。

 

 

「糞が!!2度も喰らうか、潰れない、ように、体を少し変化させといて、良かっ……早く退けてくれ!重い!!」

 

 

今兵士が居る此処で魔柱化しては下手に警戒を与え動かし辛くなる。そう考えたレフは体の耐久だけ上げて動けずにいた。それを見た兵士達は巨大な袋を多くの人数で持ち上げようとしていた。

 

 

「………ローマ(団子)?」

 

 

 

 

 

 

 

 




主人公の方はどんな内容にしたものか。


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ガリアへ、パーティーメンツは団子組+その頃

久しぶりに投稿。
中々にネタが思い浮かないし、話の繋ぎが難しいですね~。(デジモンリンクスやりながら)

エッちゃんはうちに来ませんでした。(つまり爆死です。)トホホ(;´д`)
サーヴァントが多いとチョコも大変だ。てか清姫自重しない所が惚れる。




マスターとマシュさんがレイシフト後、現地にてネロ皇帝と合流し、ガリア進軍前にダーニングポイントでサークル設置完了して僕は一世紀ローマに降り立った。

 

「なんと!いきなり現れたではないか!ソナタ等も魔術師殿の仲間か?ん?余か?では聞けい!余は偉大なるローマ皇帝、ネロ・クラウディウスである!」

 

 

僕達が現れた瞬間、名乗り始めたよこの皇帝…。カリスマ性で目が奪われそうだ。

 

 

「清姫…?」

 

 

ビクッ、今マスターの視線がゾワリと感じた。少し気を付けないと。

あっ、僕と一緒に来た他のメンバーは

ライダー、マリー・アントワネット

セイバー、シュバリエ・デオン

アサシン、シャルル・アンリ・サンソン

ライダー、マルタ

 

…オルレアンの楽屋(仮)のメンバーだったと思う。思い出そうとすると頭が痛くなる。

でも意外、アマデウスさん居ないんですね。てっきりマリーさんとオマケゲフンッゲフンッ…一緒に来ると思ったんだけど。

 

「…彼なら今回の調査をパスしました。」

 

 

「何でも『なんか嫌な旋律を感じる、今回はパス。』と。全く、何故あんなのがマリーの友人とは…。」

 

 

「ふふっ、彼らしいでしょ?」

 

 

…とサンソン、デオン、マリーの三者の答えだった。アマデウスさん曰くの『嫌な旋律』とは一体なんの事か。体力なんてどの特異点でも必要な筈、となれば会いたくない人が………あっ(察し)もしや…。

 

 

「む、其処の娘よ。余に何かようか?」

 

 

後は…エリザベートさんですね。カルデアにハロウィンverが居るけど、此方の方が耳が死ぬのか。

 

 

「………これも因縁でしょうか。」

 

 

あっマルタさんが遠くを見つめている。そう言えばマルタさんって信仰をし始めたのって、この辺だったような…

 

 

「…たくっ、ギャラがお料理セットだから食い付いたけど、まさかローマなんて正直複雑だわ!」

 

 

ん!?ギャラ?!ギャラって言いました!?誰が払ってるのですか!?

 

 

「!…コホン、またこの地に足を踏める時が来ようとは。」

 

 

やっぱりあの部屋は楽屋…?

 

 

「取り敢えず、団子泥棒を捕まえればいいのね!」

 

 

マリーさん、当初の企画では団子が入った大袋をガラスの馬車で輸送してたと思うんですが。

 

 

僕達は途中、襲撃ありながらも何とかガリアに着いた。其処でブーティカさんとスパルタクスさんと腕試しに合い、

 

 

「ふむ、貴殿は圧政者と思いきや、素晴らしき反逆者である。」

 

 

「は、はぁどうも…。」

 

 

と、マルタさんを称賛していた。見ていて何とも言えなかった。ドラゴンライダー(圧政者)の扱いから聖女とは思えぬ拳のギャップ(反逆者)の思考で良いのだろうか。兎に角、筋肉(マッスル)だった。

 

 

その夜…

 

ほ~…ほ~…ほ~…

 

 

「クゥー……クゥー………はっ!?見張りなのに寝てた…。」

 

 

思わずうとうとしちゃった、見張りなのに。明日はガリアに進軍し、ブーティカさん達が敵兵士を抑えている間に敵将を撃つ。マスターは魔力温存の為にテントで休んでる。最初はマシュさんが見張りをしていたが流石に休んで貰おうと見張りを代わったけど、まさか寝てしまうとは。

眠気を祓うように目を擦って、気を引き締める。

流石にアサシンの気配遮断で来られると対処のしようが…

 

 

「あれ?起きたんだ。」

 

 

女性の声が聞こえ、その方を振り向いた。

ブーティカさんだ。両手には大きな布を広げている。

 

「どうしましたか、ブーティカさん。」

 

 

「うん、寝ているようだったから私の毛布を掛けてあげようかなって。」

 

 

どうやら見張りの意味がなかった。僕は顔を両手で覆い隠した。やっちまった感と恥ずかしさが感じる。

 

 

「まぁ、寝られる時に寝た方が良いよ。戦場に出るんだ、私達サーヴァントにも休息位は必要でしょ。」

 

 

そう言ってブーティカさんは僕の背中に毛布を掛けてくれる。毛布の性か優しさの性か、背中が温かい。

 

 

「それに、ほっとけないお節介焼きがもう一人いるね。」

 

「えっ。」

 

 

お節介焼き…?

その言葉の意味が分からずブーティカさんの向いてる方を向くと、近くの木に背を預け十字架の杖を抱き抱えるマルタさんがいた。

 

 

「…はぁ、見張りを代わろうかと声を掛けようかと思ったのですが、心地よそうに寝てるものですから起こすのもどうかと思いまして。」

 

 

マルタさんはそう言って、杖を持ち直して僕達に歩いてきました。

 

 

「見張りは大丈夫そうだから貴女も休んだ方が良いんじゃないかな。」

 

 

「い、いや…いいえ!私は大丈夫ですから。」

 

 

「ガッツリ居眠りこいてウッウン!…無理をしないで休んで構いませんよ。」

 

 

今、素が出ましたよねマルタさん。一瞬のスピードだけあるパンチを食らったような衝撃を喰らったような感じがした。

 

 

「まぁ昼間あんなに動き回ったんだから、そりゃ疲れちゃうよ。私達の攻撃を全部かわしたんだから。」

 

 

「は、ははは…どうも…。」

 

乾いた返事しかできない。昼間の腕試しで攻撃しようとしたら迫ってくる刃を必死に避けていただけなんだから。

 

 

「…戦力として、のどうこうは置いといて、何でこの戦いだらけの人理修復に手を貸してるのですか?」

 

 

どうして?そりゃ…

 

 

「人類滅亡の阻止…」。

 

 

「それだけですか?聞けば、貴女はオルレアンで逃げてばかりだったと。これから最も困難な戦闘になるかもしれないのに、何回、何十、何百回、殺し殺されるかもしれないのですよ?怖くは無いのですか?」

 

 

何回、何十、何百、其だけで気持ちが締め付けられ、頭が考えられなく。体が強張る。毛布で覆っている体が震えてくる。とても怖い。ホントなら前世の自分、前の生活に戻りたくなる。これが只の夢だと思いたい。

 

 

「怖いです、とても、とても。泣きたくなります。本当ならこんなの、他の人に投げ出したい。僕は…僕は…!」

 

 

でも…それでも…。

 

 

「悔しいですよ、目の前の何もない破滅が目の前に合って、それが自分にとっては高い壁で無力を嘆くだけなんて。」

 

 

もし、そんな壁で目の前の物が見えなくても、手も届かない壁でも…

 

 

「けど、こんな今の綺麗な世界が消えてしまったら、それは勿体無い。はっきり言って世界の終わりなんて僕が生きている内は見たくないです。もう死んでますけど。」

 

 

人は目の前の光があれば死にもの狂いで手を伸ばしたくなる。まるで蛾ですね。

 

 

「なら、この死人の身で、足掻くだけ足掻きます。力が無いですが、小さな事でも良い、それで人理修復の踏み台になれるなら、僕は喜んで踏み台になります。僕は…この人理修復に希望があるんですから。希望さえあれば恐怖なんて押し殺します。」

 

 

誰もを凌駕する力…それがあればきっと楽。でも僕はその力に振り回されてしまう。なら、それなら誰かを支えられる力が欲しい。

 

 

「ふむ…何とも戦場には不向き。真っ先に狙われ死にますね。だけど…。」

 

 

「その心はとても尊いよ。でも少しは自分に優しくてもいいんじゃないかな。」

 

 

マルタさんとブーティカさんは微笑んでそう言う。…………凄く恥ずかしいです!

 

 

「それでは…踏み台になるって言うなら潰されないようにするべきですね。一先ず、あの人から授かったこの杖は置きましょう。」

 

 

マルタさんはさっき背を預けていた木に十字架の杖を立て掛ける。すると此方を向き、眼光が変わる。

 

 

「甘い!!先達者として言うわ!甘過ぎよ!!そんなんじゃ誰かを支える処か、貴女の言う踏み台にすら成れないわ!心意気だけじゃ、この戦いを進んで行くのは不可能よ!」

 

 

………えっ、マルタさん?何でキャラが変わってるの?杖を置いたら何で姉御系に成ってるの?えっ、これどういう状況!?

 

 

「眠気覚ましに鍛えて上げるわ。その根性を。」

 

 

そう言って僕の着物の首襟を掴んで引き摺るマルタさん。背中に掛けていた毛布が落ち、ブーティカさんとテントから遠ざかる僕とマルタさん。全く理解できない。

 

 

「えっ、何をするって…?」

 

 

段々頭の血が下がっていくような感覚がある。嫌な予感しかしない。

 

 

「今から私と打ち合って貰うわ。貴女は避けるか殴り返すかしなさい。」

 

 

「エェェェェェェェ!ステゴロ!?ステゴロ何デ!?」

 

 

「貴女は逃げる体力は有っても真っ正面から迎え撃つ力が無いじゃない。だから貴女の根性を鍛えるわ。」

 

 

「ちょっと待ってくだっ下さい!種火では駄目なんですか!?それに見張りが!」

 

 

「種火で上がるのは霊器だけよ!貴女に足りないのは経験値。それに見張りは盗み聞きした3人がしてくれるわよ。」

 

 

「えっ…。」

 

 

テントの方を再び見ると、毛布を抱えるブーティカさんの他に3人が立っていた。

 

 

「頑張ってね~!」

 

 

「「…………。」」

 

ちょっと!ちょっと待って!お願いだから待って!!

マリーさん!その見送りの笑顔で手を振らないで!

サンソンさん!デオンさん!お願いだから目を反らさないで!

 

誰も助けは無いんですか!?お願いだからマルタさんを誰か止めて!!

 

 

「待ちたまえ!」

 

「「!」」

 

 

マルタさんの肩に誰かが手を掛ける。ぼ、僕の魂からの叫びが届いた!

 

 

「私も共にしよう。貴殿の反逆心を私に見せたまえ!」

 

 

スパルタクス(マッスル)さんだった。僕を地に引き摺るのが再開する。

 

 

「……ははは……幸運Eは伊達じゃないや…。」

 

 

意識を遠くしたい気持ちで僕は遠ざかるテントを見つめていた。

 

 

「うん、皆良い子ばかりだよ!」

 

 

ブーティカさんがそう言った気がした。

 

・その頃のローマ連合では…。

 

ローマ連合の宮殿にあるテラスにて、ローマの神祖、ロムルスは独り月が昇る空を見上げていた。

 

 

「陛下、此方においででしたか。」

 

 

其処にシルクハットを被ったスーツ男、レフ・ライノール(触手)がロムルスの背後に近付く。

 

 

「…何用だ。」

 

 

「先程、カエサル様が御出陣なされました。私も暫くして追い掛けます。」

 

 

「そうか…。」

 

 

「……………。」

 

あれ、無視?…レフは膝を付き報告をする、それをロムルスはを背を向けたまま受け取った。

 

 

「尚、カリギュラ様が今現在行方知れずになり、単独行動をしてると思われます。」

 

 

レフが続けて報告するも全く振り向かずロムルスは月を見上げたまま、

 

「…ほぅか……。」

 

 

「…?陛下…?」

 

レフは気になり、立ち上がって前に出て、ロムルスの顔を覗く。

 

 

「もぐもぐ……美味(ローマ)である。」

 

 

団子を食っていた。

 

 

「…何食ってんだ貴様はァ!!」

 

 

レフはキレた。目の前の神祖に、皇帝サーヴァント共に。

 

 

「…何を声を荒らげる?」

 

 

「貴様こそ何、味方でもない何処ぞのサーヴァントが置いてった其れを悠長に食べているんだ!」

 

 

「…あの者は我が我が(ローマ)の父、マルスと同じ父を持つ者、我が(ローマ)の叔母上に当たる。その者が月夜で食べろと言った、だから食している。全てはローマに通ず。」

 

 

「…駄目だ、全くもって理解できん。」

 

 

レフは顔をしかめた。何故ローマなのか、それが何の意味があるのか全くもって分からなかった。溜まる鬱憤をため息と共に流し、気持ちを入れ替える。と思ったら…

 

 

「うん、この団子っていうのもっと食べたくなる。だよね先生!」

 

 

「うむ、確かに。久しく日本の菓子を食べたが、後が引いてしまう。」

 

 

「ふむ、中々に良い甘さですな。」

 

 

視界の端に先程自然に連続召喚された(湧いた)3体のサーヴァント()が食っていた。団子を。

 

 

「きぃざぁまぁらぁ~!!」

 

 

「むっ、どうされたマスター。」

 

 

「貴様らも何食っている!!」

 

 

「ロムルスに貰ったんだ。あっ此処では陛下って呼んだ方がいいのかな?」

 

 

「我が王よ、彼は我々サーヴァントが貰った経緯はどうでも良く、何故団子を食している必要があるか。という事だ。」

 

 

レオニダス二世はいきなり青筋を立てキレたレフに疑問を持ち、レフの問いにアレキサンダーは笑顔で答え、それを諸葛孔明(ウェイバー君)が補足する。レフにとってキレる対象が3人増え、感情の抑えがきいてない。

 

 

「成る程、だってこんな美味しい物があるなら食べなきゃ損だよ。それに欲しいものは手元に置きたいものだよ。」

 

 

「普段ならあまりこういうのは自主的に食べないのですが、折角ロムルス殿から頂いたので食べないのは失礼です故。」

 

 

「ぐ、ぬぬぬぬぅ~!!」

 

 

流石に上下社会。此ばかりはレフは受け入れるしかない。王から承った物を無かにはできない。寧ろ失礼に当たり、狂信的な連合兵士の、連合住民のヘイトを集めてしまうだろう。それでは人理焼却の効率が悪い。沸騰する怒りを何とか落ち着こうと月を見上げる。そう全ては月のせい、この世界のせいだと思いたかった。

 

 

「…安心するが良い、我が(ローマ)のマスターよ。現ローマ皇帝、愛しき子が奮戦せねば、ローマは其れまでだったという事。其れまでは我々は(ローマ)はマスターの思惑には従おう。」

 

 

ロムルスはまだ月を見上げてレフにそう言う。レフにとってその言葉事態が彼の心の内の何かを逆撫でする。使い魔(サーヴァント)は使い魔らしく只黙って従っていろ。レフは心の底から叫び上げたかった。

 

 

「ぐぅぬぬぬぬ…其れでは私はカエサル様の元に向かいます。失礼。」

 

 

レフは颯爽この場を離れる。そうしたいと頭の内でいっぱいだった。無意識に何時もより足取りが速い。

 

 

「待て。」

 

 

「何だ今度は」

 

「セプテム!」

 

 

「…!?」

 

 

ロムルスの呼び止めにより、レフは怒りの沸点に達して反射的に振り替えると、いきなり口に異物が入り思考が止まる。目の前にロムルスが居て、自分の口元の前にロムルスの大きな手があった。其処でレフはロムルスが自分の口に何かを入れた、と分かった。ロムルスが腕を引くと口に入った異物の中心が引っ抜かれ、レフの口の中に異物だけが残る。何を入れたとレフは思考を巡らす。口の中が甘い。そしてロムルスの手の()()()()()()()()()()()()があった。

吐き出す、という思考も本当にはあったが本能的にそれを粗食する。このサーヴァント(使い魔)は何をしている、という思いで思考事態が停止してしまっている。

 

 

「…美味いか?」

 

 

「…ふまいでふ(美味いです)。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く…奴は何がしたい」

 

「ウゥゥゥ……イスカンダルゥもぐもぐ…。」

 

 

「…!?」




「ハレルヤ!」


「アッセイ!」


「イヤァァァァァァァ!?」


次はガリア戦闘…キングクリムゾンしようかな。


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食べ物の威力は絶大

連続投稿。だけど間が空くという。清姫の道はまだ続く。


翌朝、僕達はガリアへ進軍する時が来た。

(マルタさんとスパルタクスさんの猛攻を避けていたら朝になっていた。途中からマルタさんにスパルタクスさんが殴り掛かり、バテながらも()()避けていたら、地平線の向こうから昇り始めた太陽を背景(バック)聖女と反逆者(ふたり)はクロスカウンターを決めた状態で嵐のような猛攻は止んだ。)

 

 

「フハハハハハ!やはり善き反逆だ!」

 

 

「だから、途中から主旨変わってんじゃないのよ!」

 

 

まだ二人はやり続けるのだろう、互いに力を収める気配がない。このまま続けたら、あの暴風にまた巻き込まれかねない。マルタさんに何とか説得してもらうしかない。そうと決まれば…

 

 

「あっ!?こら逃げるな!!」

 

 

僕は全力でテントへと反逆した(走った)(逃げた)。

 

 

 

 

 

進軍当日、僕達カルデア一行はネロ皇帝の下、ガリアへ行軍した。途中マルタさんからの視線が怖かった。後、マスターからの視線も怖かった。

 

 

 

取り敢えず、ガリアで行った事を纏めると、

まず会敵します。スパルタクスさんが突っ込みます。

マルタさんもタラスクを突っ込ませます。

進軍を開始します。

ブーティカさんが指揮と奮戦しながら敵将への道を開きます。

マスター達はネロ皇帝の一緒に敵将の元へ向かった。

僕ですか?僕は…

 

 

「いぃぃやぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

ゴーレム達に追われています。

 

 

何故?何故僕だけタゲつけられてるんですか!?

逆ストーキングされてるんですか!?

駄目だ死ぬぅ…。

 

 

「タラスク!」

 

 

その声の方を向くと、スピンしながら地面を抉って向かってくる愛知らぬ哀しき竜(タラスク)

 

 

「ストラァァァーイクっ?!」

 

 

衝突直前、緊急回避でタラスクの接触を避けるが背後のゴーレムの群れとタラスク(宝具)の衝突の衝撃波で僕は吹っ飛ばされる。

 

 

「ふげっ!?いたたぁ…。」

 

 

顔面着地を決めて、ゴーレムの欠片が僕に降り注がれる。思わず顔を押さえ後ろを見る。見事に粉砕だった。

 

 

 

「…大丈夫ですか?」

 

 

「あっ、はい大丈夫で…。」

 

 

手を差し伸べられたので手を取り見上げて絶句した。すぐ側に青筋を立てた姉御の顔があった。

 

 

「…あんた戦う気無かったら失せなさ…私から離れないで下さい。」

 

 

姉御の顔から聖女のような微笑みに変わったが青筋は残っていた。これには怖くて僕は一言だけ言った。

 

 

「…はい。」

 

 

「《姐さん、ガチギレだ…。》」

 

 

 

 

なんとかマルタさんの後に続いて、支援攻撃をしながらマスター達と合流しようとしました。

そして合流したのは良いですが…

 

 

「はぁぁぁぁ!」

 

 

「ぐおっ……見事だ…。」

 

 

どうやら決着が着いたようだった。敵大将が討たれたのを見て逃げ出し始めている。

 

 

「…貴方様は…まさか…。」

 

 

「良い…現皇帝よ…お前がこの戦の勝者だ…存分に誇れ。」

 

 

剣を杖に立っていた赤い服を着た男、ガイウス・ユリウス・カエサルが背中から倒れ、体の霊器が崩れ始めた。

 

 

「しかし……もう少し食べていたかったものだな…ダンゴという物を…。」

 

 

「!…今、なんて!?」

 

 

マシュさんがダンゴという言葉に機敏に反応した。僕も聞いた、ダンゴって。

 

 

「む…もしやソナタらの物だったか?すまぬことをしたな。が私が頂いたダンゴとやらは食べ尽くしてしまったのだ。」

 

 

『な、何だって!?そんなっ!?』

 

 

ロマニさんが凄い反応しました。凄い残念がっている様子が思い浮かびます。

 

 

「だが…あのお方の元には…まだ大量にある……あの美しき女神は何処かへ行ってしまったが…。」

 

 

「なんと、女神とな!?」

 

 

「……御団子腐らないでしょうか。」

 

 

女神にネロ皇帝は凄い興味津々の様子だ。あとマスター、それ言っちゃ駄目。

 

 

「ふっ…あのお方なら…それはさせまい。お前達が来るまで腐らせはしまいだろう。何故なら…あのお方だからだ!!」

 

 

神祖凄いな!?

そしてカエサルはキメ顔しながら消滅した。

 

 

 

そして僕は…

 

「はぁ……また活躍できなかった。」

 

 

ネロ皇帝の軍が凱旋の用意を手伝いながら僕はそう愚痴を溢した。もしかしたらスタメンから降ろされる(工房に売られる)かもしれない不安が脳裏に掠める。

 

 

「いえ、清姫さんにとって迷惑なのですが大群を相手して頂いているので有難いと思っています。」

 

 

「そうですよ。人の為に成そうとしているのですから、その行為事態を蔑ろにしようとする人は私達はしませんから、ね。」

 

 

マシュさんとマスターからそう言われる。その言葉は同情かもしれないけど、その中の優しさを僕は感じたのかもしれない。

 

 

「ましゅざん、まずたー!ずずっ!」

 

 

これには男だって眼から雫が垂れる、はしたなく鼻も出てきます。所詮平和主義の中で生きてきた一般ピーポーだこの野郎!

 

 

「はい、顔がぐちゃぐちゃですよ。」

 

 

「あばがとうごばいまず、まずたー。がえってあらいばず。」

 

 

マスターからハンカチを貰い、涙まみれの顔を拭く。がどんどん溢れるのは涙、涙。男(精神)なのに泣いちゃう。女の子(体)だもん。

 

 

「いえ、洗わずとも返してもらえれば、ふふふ…。」

 

 

…おかしいな~。いきなり涙が引っ込んで、ちょっと汗ばんできたぞ~。あはは熱い筈なのに背中が涼しいぞ~。取り敢えずハンカチで顔を覆うようにしよう。…マスターが怖いわけではないぞ。

 

 

「うむ、そなたはよくやっているぞ。余が認める。」

 

 

顔をあげるとネロ皇帝とブーティカさんがいました。僕は反射的に頭を下げます。

 

 

「拝礼は良い。それより清姫と言ったか?」

 

 

するとネロ皇帝は僕に話し掛けてきます。急いで顔を拭いてネロ皇帝の方を向きます。

 

 

「そうメソメソ泣くものではない!御主は可愛らしい顔をしておるのだから笑っておれ。余の命令だ。」

 

 

ネ、ネロちゃまがイケメンだと!?僕は思わずカッと見開く。言葉は一方的だが元気付ける為の言葉だ。悲しくて泣いている訳ではないのだが此処で笑わなければ失礼だろう。

 

 

「…はい!分かりました、皇帝陛下!」

 

 

取り敢えず今出せる全力の微笑みを浮かべました。

 

 

「……ドクター、今の録りましたか?」

 

 

『勿論、録ったよヒサギ君!』

 

 

「後で私に下さい。」

 

………やらなかった方が良かった。

 

 

「うむ。ところで本題だが清姫よ、凱旋後は偉大なるローマが作りしテルマエにて共に湯に浸かろうではないか!」

 

 

は!?誘われてる!?誘われてる!?逆ナンにあってるのか僕!?…あ、僕は今は清姫だった。

 

 

「では私も。」

 

 

「先輩!?」

 

 

マスターは駄目でしょ、どう考えたって!

 

 

「うむ?貴公なら良いぞ、余が赦す!」

 

 

流石皇帝陛下、イケメン綺麗な者には懐デカイ!

 

 

「あら、お風呂?私もご一緒したいわ!ねぇデオン?」

 

 

「えっ、あっはい。御供しますが…。」

 

 

「止めはしないけど、流石に混浴には抵抗を持った方がいいと思うよ。」

 

 

其処にマリー、デオン、サンソンが加わりカオスチックに…。

 

 

「はいはい、皇帝陛下。当初の目的と違うのでは?」

 

 

「おお、そうであったなブーティカ!聴けぇ!ローマの兵士よ!」

 

 

美声の如く響き渡るネロ皇帝の言葉に兵士達、そして僕達は耳を傾けた。そして何を言うのか、とこの場全員が思う事だった。

 

 

「これより我等は……女神に会いに行く!!」

 

 

原作通りというか、全身を嫌な予感が駆け巡った。

 

 

 

 

そしてブーティカさんとスパルタクスさんと別れ、ネロ皇帝に行軍し、此処は海上。

 

 

「はっはっはっ!どうだ余の舵捌きを!」

 

ネロ皇帝の船の舵が荒々しく船体が激しく揺れました。そして乗っている人達も。

 

 

「マリー!この姿勢を何時まで続ける!?揺れが激しく危ないからもう止めよう!」

 

「そう?船の上で両手を広げて立ってみたかったし楽しいわ!」

 

「王妃!お願いだからお止め下さい!支えるのもそうだがその姿勢を見ると氷山にぶつかって沈没するイメージが浮かんでしまうのです!」

 

「なんて操縦してるのですか!」

 

「先輩!清姫さんを離さないで下さい!」

 

「清姫大丈夫ですか!」

 

もうばめばびぼ~(もう駄目吐きそう)!!」

 

 

勿論、最後のは僕だ。うっぷっ。

 

 

 

 

気が付けば布が敷かれた砂浜に寝ていた。なんで僕はこんなところに?と思った時、ふと表現し難い程の美声が僕の耳に聞こえてきた。

 

 

「あら、漸く目覚めたのね。もう少し眠っていたら獣がいる森に置いていこうと思った処よ。」

 

 

僕は声のする方に誘われるように向いた。向く前に気づけば良かった。

 

 

「…ふふふ。」

 

「おや…。」

 

「あら?」

 

「ん?」

 

「おっ?」

 

 

女神2柱(ふたり)にメイド狐にアイドル龍に熊だ。これで分かるだろう。僕の毛先まで悪寒が疾走した。

特に側で微笑む紫ツインて女神(ステンノ)メイド狐猫(タマモキャット)アイドル龍(エリザベート)は悪夢でしかなかった。

 

 

 

 

 

「⬛⬛⬛っfg⬛⬛がぐも⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛~!!」

 

 

「まだまだあるぞよ?」

 

 

「どんどん食べてね!」

 

 

「ふふふ…。」

 

 

一瞬だった。気が付けば丸太にぐるぐる巻き(拘束)され、僕に劇物(エリザの料理)を突き付けるキャット、どんどん生成(料理)するエリザ、その光景を見て笑みを浮かべるステンノ()(?)。何故こうなったか頭が追い付かない。が迫る危機(料理)。僕は拒否した。あんな想いは二度と御免だ。

 

 

『ほう、食べないと?ならば貴様は人参を丸ごといける派か?口に押し込めばいいんだな。』

 

脅迫ですね、分かります。物理的に口が裂けるなんて一生味わいたくないよ。僕は意を決して迫り来る劇物を口に入れる。

 

 

『ヴ!うbgあgbらがんべfgこば⬛⬛⬛⬛⬛!!』

 

 

そして再び味わう味覚の衝撃。意識が飛びそうなのに引き戻される地獄。すぱ辛しぶ苦甘ドロパサ生臭…から認知ができない。してはいけない。あまりの衝撃にもがく。縛られて手足の指先しか動かない。だが押し寄せる劇物に恐怖と拒絶と諦めを繰り返し、言葉にできない悲鳴をあげる。

 

 

「食え!食意地のあるやつはどんどん育つ!肥えよ、己の限界を!」

 

 

「ぐぶぶぶ⬛⚫⬛⬛⬛▲▲⬛▼~!?」

 

 

キャットの言っている事が分からない。どんどん口に放り込んでいる(食ハラ)されている。

拷問としか言い様のない苦しみに僕の精神が磨耗し始めた。

口に入れば味覚の苦しみに耐え飲み込む。それを繰り返し、意識も途切れ始める。

 

 

「はぁ…はぁ……。」

 

 

額から顎にかけ汗が伝い零れる。体に力が入らず首が項を垂れる。僕はそのまま意識を手放…

 

 

「あら、もう終わりなのかしら?」

 

 

…頭上から光にも感じる()が頭に響き渡る。それは疲労した脳を更に溶かしてしまいそうな毒性(誘惑)を持っているとわかった。だが首を動かす気力はなく、されるまま細い指先に顎持ち上げられ目にする。

 

 

「もっと見たいわ、貴方が食べきる勇姿をね。」

 

 

酷いことを言っている。でもこの微笑みを見、浸透して誘うような声を聞いた瞬間、これは駄目だと思った。

 

 

「はい、女神様!!」

 

 

さっきの疲労は何処へ、元気よく女神様に応えた。

 

 

「はっ、しまった!?」

 

 

「その威勢よし!さぁさぁ食え!食え!」

 

 

「まっむご〇#%―~*ー//&∥|@ぁぁぁぁ!!」

 

 

「…ふふふ。」

 

 

「ふんふんふ~ん!」

 

気づいたときには遅く、猫狐に地獄を食わされ、女神は笑みを浮かべ、龍娘は鼻唄混じりに鍋をかき混ぜるのだった。

 

 

 

「さぁダーリン!はい、あ~ん!」

 

 

「ちょっと待て!止めてあああぁぁぁ!!」

 

 

隣で女神の手料理を熊が縛られて食べさせられていた。

 

 

 

 

 

僕は食べた、気絶しながらも食べた、全てを呑み込んだ。そして…

 

 

「やった…僕は…僕は食べきったぞ!!」

 

 

縄は解かれ、膝をつき、僕は両手を握り締め高らかに振り上げた。嬉しさのあまり涙が出てきた。僕は乗り越えたのだ。

 

 

 

「ほぅほぅ上手かった故に涙か。ならば残り一口も食せ。」

 

 

 

「あむぅ"!?………。」

 

 

 

僕は気絶した。

 

 




ヤンデレタイムまだかけないな~。


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