女神科高校の回帰生 (Feldelt)
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第0章 設定ノ章
今さらながら影君の設定(1章)


どーも、4月の学年閉鎖で夏休みが潰れる音が聞こえるフェルデルトです。
まもなく1章が山場を迎えますが書いててやはり影君の様々な能力等諸々が
伝わりにくいと思いまして設定を今さらながら書かせていただきます。
15話時点の影君の設定ですので、15話の内容が一部ありますが仕様です。
2016/4/26/16:00に15話を投稿しますので、推測してみてください。
2章の草案は出来てますので、早ければGW開けにも2章開幕でしょうか。
では、私の厨二設定にお付き合い願います。(笑)

2016/12/27
影君の挿絵です。弟が書き直してくれました。

【挿絵表示】



凍月君の設定&経歴

 

名前 凍月 影(とうげつ えい)

年齢14歳。身長162cm、体重46kg、灰色の髪に細い青い目をしている。

髪型は00のロックオン·ストラトスを想像していただければ分かりやすいかと。

5歳の時に親を亡くし、行く宛もないところをイストワール記念学園に引き取られる。

親を亡くしたショックから第一能力‹把握演算›を発現、元からの頭脳と相まって

学園初等部に入学したときには学業序列2位と優秀。(1位はブラン)

同じ境遇であったブランの精神状態を察し、恐らく一番最初にブランの心を開いた人物。

初等部5年時にブランと共に飛び級し、ノワールに敵視される。

6年時のハイパーオリエンテーリングでは制御能力鎧装装着(アームズ·ドライブ)も発現

する前だというのに武装転送を駆使し、ノワールと渡り合う化け物じみた人間。

当時の戦闘能力序列1位でもあり、剣術A+、射撃S+という絶対評価を受けていたため、

ST資格を取得出来る条件を満たし、研修も兼ねて3年間外部の研究所で訓練していた。

その時制御能力鎧装装着(アームズ·ドライブ)と固有能力時間圧縮(ファストクロック)を発現。そうして高等部の回帰生となった。

 

この小説内のいろいろ説明

 

特殊能力について

 この世界では誰でも特殊能力を持っている。ただし、持っているだけでは発現しない。

 また、昇化することがあり、発現者が能力の本質を見抜き、使いこなすことで

 能力の質が上がり、その能力の力が上がる。

第一能力は一番発現しやすく4種類しか存在しない。

 例としては影の把握演算。昇化すると掌握演算となる。

 他の第一能力は隠密化、霧散転移、障壁があり、それぞれ

 幻影化、量子転移、斥力に昇化する。ただし、昇化しても固有、制御能力には抗えない。

制御能力は発現した第一、及び後述の固有能力を文字通り使用者に最適化、制御する。

 影の鎧装装着(アームズ·ドライブ)は戦闘特化の制御能力であり、固有も含めた

 能力とは一線かけ離れている女神化(後述)に対応したものと推測される。

 余談だが、制御能力は外付けのものが多く、その理由としては第一、及び固有

 能力が昇化したときに制御能力も使用者の中にあるのなら使用者の肉体が

 崩壊する可能性がとても高いためである。そのため、外付けの制御能力には

 使用者本人では排除できないストレスや負担を解放するシステムがあり、

 使用者の意思で3段階の解放レベルを設定できる。

固有能力はそのものそのまま使用者本人だけの能力である。

 第一能力と同様に昇化する。ただし、発現条件が厳しい上に曖昧なため、

 固有能力を発現出来る人間は全人口の1割、昇化出来るのはさらにその中の

 1%らしい。それほどまでに強力で希少な能力であるが、制限も厳しく

 状況指定や再使用までのラグなどがあり、昇化するとより威力や質が上がる

 と共にその制限も厳しくなる。影の時間圧縮(ファストクロック)では再使用まで2時間かかる。

 

女神化について(独自解釈です。)

 誰しも能力を持っていると前述したが、全人口の0.1%にも満たない女子は

 女神化と呼ばれる能力を持っており、第一、制御、固有の三能力を一元化

 した力を持っている。謎多き能力であり、完全解明には至っていないが、

 推測では遺伝子のバランスが変化することで女神化能力が使えるように

 なると思われており、実際影の行った研究所では秘密裏に女神化能力が発現

 出来るようなデザインベビーが作られているらしい。

 現在女神化出来るのはネプテューヌ、ノワール、ベール、ブランの4人

 だが、推測通り遺伝子変化によるものなら姉妹で女神化することが出来る

 であろう。でもって女神化はとてつもない戦闘能力を誇る。

 イストワール記念学園戦闘能力序列では1位が影、2位タイで4人が

 並んでいる。これはほぼ影が化け物であるからであり、6位以降は

 上の5人に傷一つ着けることも出来ぬまま破れ去る。

 

影の過去と訓練していた頃の話は3章辺りで。

垣間見える影のいろいろは何を示すでしょう。




以上、設定でした。
15話の内容をこれで推測しろって、結構酷かもしれません。すいません。
ではまた2016/4/26/16:00に会いましょう。
設定云々に関する質問や感想は感想欄にてお待ちしてます。


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レルーラとかの設定(2章)

どーも、次回を書く前に設定を書いた方がいいと思ったフェルデルトです。
一月経ってますから意外と設定が進化します。
女神化の謎にも迫る、のかな。
では、仮面の男、レルーラの設定です。


名前

レルーラ·フォン·ドゥシャ

素性不明の仮面の男。

仮面をつけている理由は額に傷があるとか顔面大火傷を負ったとか

ただ単に趣味なのかその全てが謎である。

旧校舎を壊そうとする学長代行が委託した業者、

マジック·カンパニーの執行部に所属しており、

もしかしたら影と同等、または凌駕する戦闘力を持つ。

その能力も謎だが、第一能力は斥力であると思われる。

制御、固有は誰の目にも留まったことがないため、

推察すら出来ない。発現していないかもしれない。

纏っている青い背広は影のコートと同じバラジウムチューブで

出来ており、ある程度の大きさの運動ベクトルを無効化できる。

武器は太刀の二刀流だが、一本を逆手持ちしている。

銃器は拳銃を二丁持っているが、あまり使われない。

口調は礼儀正しい上から目線ではあるが、マジックや

トリック、ジャッジなどには敬意を表してはいる。

女神候補4人の事をよく調べ上げており、トリックと

共に対女神の戦術を練る事が多い。

 

女神化の研究

1章時点では女神化は遺伝子変化による突然変異クラスのものであるとされていたが、

研究は猛スピードで進み、女神化には遺伝子の他に精神状態が関わるとされた。

極度の不安や恐怖に陥ると変身が出来なくなるというわけだ。実際に影が訓練

していた組織で作られたデザインベビーはそれを証明したため、対女神候補の

戦術作戦としてはとれるが、女神候補養成科は学業、戦闘能力、そして精神力

の3つを同時に鍛えているため、効果は出しにくい。ただ、女神候補とて人のため、

絶対的絶望やアイデンティティーの喪失には耐えきることは出来ない。その際には

他の全てを守護する女神の性質が仇となり、逆に他の全てを破壊する存在になる。

これは転化とか堕転と呼ばれているが、本質的には逆転が正しい考えである。

しかし、逆転ではイマイチインパクトに欠けるという不毛な論争が起きてる。

影は一度このようになったデザインベビーの対応をしており、どうにか暴走を抑えた。

これは精霊の反転現象と似たような物ではあるが、完全に別物になるわけではないため、

失った希望をもう一度示せば割りとどうにかなるようだ。因みにそのデザインベビーは

影が引き取ったらしく、学園近くの小さな小屋に住んでいるとかいないとか。

扱いは義妹となっているが、影は身寄りの無いところを学園に保護されたため、

義妹にするには学園の許可がいる。学長があんなことになった後、学長代行に

変わったが、その時には既に影は失踪してたため、まだ学園の許可は出ていない。




以上、2章の設定でした。
いやー、凍月君には義妹がいた。彼女もいてそれで失踪。
罪なやつです。まぁ、帰ってきますよ?
さて、設定書く時には矛盾してないかが怖いんですよね...
もしあれば指摘願います。よろしくお願いいたします。それではっ!


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凍月 明の設定+α(3章)

どーも、頭痛と課題でクタクタなフェルデルトです。
明の設定をようやく作りました。
伏線も一応あるかもです。
では、どうぞ。


凍月 明の設定

 

名前 凍月 明

影の義理の妹。13歳。年齢は1つしか違わないが、影のことをとても慕っている。

影をシスコンにした原因。影と同じ銀髪。髪型はサイドポニー(左留め)。目の色は琥珀色。

 

 

【挿絵表示】

 

 

性格は明朗快活であり、影とは真逆である。

真逆過ぎて噛み合わないとも思われてすらいるも、相性は抜群である。

 

そして明は女神化能力もある。

その正体は過去に影が訓練していた施設で作られていた女神化能力者のデザインベビー

であり、12番目の個体ということで識別名はサジットとされている。

しかし、まだ完全に力を制御出来ていないため、影に絶対に使うなと言われており、

それを1年間遵守してる。

 

因みに女神化すると容姿は橙色の髪となり、武器は多機能弓を操る。

明がつけた武器名はサジティックアロー。

このサジティックアローはシールド、ブレード、ブラスター、そしてアローの

4つのモードがあり、明はその4つを駆使することが出来るようになりたいと

思っている。

 

 

 

イストワール記念学園の反凍月派について。

 

学業、戦闘序列共に高位の影に反感を持つ者達。

ただの嫉妬感情からできた小規模なものであったが、

ブランとの関係の進展で文字通り爆発的に規模が大きくなったが、学長事変の際、

影が重傷を負ったことと休学となったことで一時期舞い上がっていた。

旧校舎事変の最後、レルーラ=影の事実露呈から活動を開始し、

レルーラにより潰されそうになった非公認部の面々も迎えいれ、

今となっては女神派に次ぐ大規模派閥となっている。

 

実際、些細な言動から女神派と反凍月派で小競り合いが起きた事もあり、

その仲裁に女神4人が駆り出されたりしたこともある。

 

発端は影のST資格取得の頃からであり、今となっては学園全体に

波及しており、中等部でも女神派、反凍月派が出来ている。

 

因みに女神派が影を支持する理由は

{あの女神4人が信頼している影を排除してはいけない}

といった理由であり、女神本位のおまけで支持されている。

 

とは言えども影にとって居心地の悪いのはこの上ないことで、

しかもルウィー寮は反凍月派の温床であるため、影は明の

いる小屋に移住した。

ブランはというとロムラムが来たことで部屋に余裕が無くなったということで

広い部屋を求めやはり明の小屋にロムラムがいる間だけ寝泊まりすることにした。

 

 

 

 

そんな影の学園生活はよからぬ方向にシフトしていくのが最早定番になり、

またいろいろ面倒に巻き込まれていくのでしょう。

 

今度は中等部、明とネプギア、ユニの転入によって女神派、反凍月派の

因縁の確執が加速していく...




ということで明の設定でした。
いやー、学園内の分裂、これ一体どーしよ。
というわけで原作が崩れていく3章の設定でした!

感想、評価、活動報告でのパロディ、企画リクエスト等、お待ちしてます。


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仙道 茜の設定(5章)

今さらですねぇ...
けどよみがえった茜はかつての彼女を軽く凌駕していた。

てなわけで設定です。


名前:仙道 茜

年齢:14歳

身長:157cm

体重:36kg

スリーサイズ:ネプテューヌくらい。

第一能力:障壁

制御能力:神姫鎧装(ヴァルキュリアアームズ)

見た目は精霊プリンセスの霊装をそのまま紅くした感じ。

武器は深紅の両手剣。そのせいで機動力は低め。

しかし、一撃が重くリーチが長い上にたまにそれを片手で扱ったりもする。

また、茜曰く本気モードでは全身に紅い粒子を纏い、その粒子は機動力増加や

障壁の能力向上や粒子を収束させて放つビームなど、GN粒子並みに汎用性がある。

(但し生成に限界がある上、ステルス機能は無い。)

その出力は、影のストレス解放システムの理性限界の出力に匹敵する。

 

固有能力:領域捕捉(エリアチェイサー)

視界範囲内にある物、人の状態がある程度わかる能力。

謳い文句は索敵、連携、自由自在。

実際、これで様々な戦いをくぐり抜けてきた。

把握演算と似てはいるが、全く別物で、把握演算は数学的に事象を

予測したり解析する能力であるのに対し、領域捕捉は視界範囲内で

あれば見える見えないや距離に関係なく対象の情報がわかる。

最も、入手できるデータはバイタルデータくらいであるが、

脳波や心拍数など、精神状態までうっすらと読めるデータは読み取れる。

つまり、茜には大抵の戦況が理解できるのだ。

 

...但し指揮官スキルはほとんどない。

 

性格:ネプテューヌと同等、またはそれ以上のボケ枠。

影の完成された閉じた性格にも対応してある程度心を開かせていることから、

誰にでも接せる人格者でもある、かもしれない。

また、コンパ程では無いものの天然キャラでもある。

気を抜くと全く話の脈絡が掴めない上に話から脱線する。

まとめると、物語の癒し枠。

 

影と同じように幼い頃に親と別れている。

その過去は影よりも悲惨。

親には虐待を受けた上に5歳の時に育児放棄→捨てられる。

その後身一つで町をさすらい物ごい同然状態に。

それでも空腹は襲い万引きを繰り返したりした。

そんなある時虚夜に出会う。

 

そして虚夜の研究所で働くことになった。

神姫鎧装はその時虚夜から戦闘訓練の際与えられたもの。

本編では今までほぼ出てきていないエグゼドライヴも持っており、

原作ゲーム的に表すならば、ゲージ1で『緋一文字·紅椿』、

ゲージ2で『緋十文字·紅桜』を放つ。

 

また、純粋に固有能力無しでの戦闘をした場合、影を軽く凌駕できる実力の持ち主。

そのせいか、研究所にいた頃についた二つ名は《深紅の閃光》。

そんな滅茶苦茶強い茜を鍛えた虚夜って何者...?

 

 

 




以上設定です。
挿絵はいつも通り弟に頼みました。今回も可愛いです。


【挿絵表示】


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第1章 学長異変の章
プロローグ


初めまして、フェルデルトです。
初回なので少し控えめにしました。
多分これから大変な事になっていくと思います。
それでは、女神科高校の回帰生、始まります。


「三年振りか。」

 

一人の少年は佇んでいた。

 

「イストワール記念学園、ただいま。」

 

そう言って彼は、微笑を浮かべながら校門をくぐっていった。

 

──それが今から30分前の話。そんなことを知るよしもなく、一人の少女が全力疾走していた。

 

「わわわ、入学式なのに遅刻しちゃうよー!」

 

いやー、我ながら積みゲー崩しにあれほどまで集中しちゃったとはねー。けどそれで入学式に遅刻するなんて嫌だよ!わたしには約束があるんだから!それに……

 

「約束を破るなんて、主人公失格だよー!」

「ねぷねぷー!!」

 

見えた、目標目の前、こんぱと校門!

 

「こんぱー!おまたせー!」

「ねぷねぷ、約束覚えてるですか?」

「もちろん!」

 

わたしとこんぱは約束通りに手を繋いで、「せーの」で門をくぐった。

 

「入学おめでとうです!ねぷねぷ!」

「入学おめでとう!こんぱ!」

 

そう言いながらひしと抱き合ったわたしたちは……なかなか感動的じゃないかなぁ?

 

「ねぷねぷ、なんで制服着てないですか?入学式ですよ?」

「あ、本当だ……」

 

感動的だった。うん。感動的だったのに、一気に現実に引き戻されたわたしだった。まぁそれでもそんなこんなで入学式もあっさり終わってわたしのテンションは一気にダウン。こんぱも「こんなはずじゃないです……」といわんばかりの顔で今わたしたちは

1年1組の教室に入ってきたところ。そろそろ担任の先生が挨拶するかな-。と、退屈そうに思ったらその先生は開口一番こう言ったんだ。

 

「皆さん、高等部進学おめでとうございます。今から大事な話をするため、心して聞くように!」

 

いやー、びっくりしたよ。入学式の流れからだと考えもつかない先生だったからね。もしかしてこれって当たりなのかな?そしたら先生はこう言ったの。

 

「えー、目玉焼きとは、半熟ですか、それとも堅焼きですか、はい!中山君!」

 

びっくりしてもう言葉も出なかったね、あぜんって感じ?指名された子も困った様子で「どっちでも良いんじゃないでしょうか。」って答える始末。わたしは半熟が好きかなーって思った矢先に先生がさっきよりもテンションを上げて「その通り!」なんて言っちゃうからもう大変。こんな担任で大丈夫かな?うん、大丈夫じゃない。問題大有りだよ。しかもその間にも語ってるし。

 

「はい、あと皆さんには回帰生の紹介をします。」

 

ねぷっ!?そっちを後回しにしてたの!?てか転校生じゃないの!?

 

「じゃあ凍月君、いらっしゃい。」

 

そうやって教室に入って来たのはなんとびっくり。灰色のクセっ毛に鋭い青い目をしているホントにゲームに出てきそうな不思議な雰囲気の男の子だった。しかも皆ざわざわしてる。

その子はこう言った。

 

「……凍月 影です。ただいま。」




文章を長くするのに苦労しました。次回は凍月君視点です。
次回、「回帰生と入学生」
ご意見、ご感想、パロって欲しいネタ(わかる限りでやってみます)など、お待ちしてます。


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回帰生と入学生

本当にごめんなさい。遅れました。
ネプテューヌリバース1に没頭し過ぎたせいです。
今日は二話投稿する予定です。


「凍月 影です。ただいま。」

 

と、言ったはいいものの、そっから先何言うかな……なんかざわざわしてるし。

 

「おい、本当に凍月だぞ。」

「そういえばいなかったよね。」

 

そういえばの範疇なのかよ。モブのクセに生意気だ……

 

「……?凍月君?自己紹介の続きはある?」

「あー、はい。……こほん、初めましての人もそうでない人も改めましておはようございます。本日よりイストワール記念学園高等部に舞い戻ってきた回帰生こと凍月 影です。得意教科は数学、苦手は現国。好物は和菓子で苦手なのはマヨネーズ。特殊能力育成科所属であり、三つ能力を持ってます。一つは把握演算。あらゆる数学的事象を瞬時に演算する能力で、残り二つは秘密です。あと、ST資格を持っています。何か質問ある人ー」

 

っとまぁ、聞いたところでいるわけ……いた。

 

「はい、じゃあそこの十字髪飾りの子。」

 

これが学園屈指と言っても過言ではないトラブルメーカー、ネプテューヌとの出会いだった。

 

 


 

 

「十字髪飾りとは失礼だなー、わたしにはちゃんとしたネプテューヌって名前があるんだよ!」

「名前がなきゃここにはいれないっての。で、そのネプテューヌ君は質問が?」

 

なんか随分不思議な言いまわしをしている人だった。

 

「うん、回帰生って何?」

 

直後、クラス中から失笑が。あ、こら!こっちは真面目に質問してるんだよ!

 

「あー、うん。回帰生っていうのはだな、ひょんなことで学園を離れていた学生が戻ってきた時に使われる呼び名だ。」

「ふーん、もういっこ質問いい?」

「他にいなければな……いないからどうぞ。」

「ST資格って何?」

 

今度は失笑は出なかったね。よかったよかった。

 

「ST資格は正確にはStudent Teacher資格といって、そのものそのまま生徒が先生の補佐として授業をする事が出来る資格だ。ちなみに俺がSTとして行くのは理数科、特殊能力育成科、あと女神候補養成科だ。それらの学科の人はまた自己紹介するよ。」

「ふーん、じゃあわたしはかんけーないか。」

 

と、思ってたんだけどさー、数時間後に間違ってる事に気づくんだよねー。

 

 


 

 

「そうだ先生、俺の席は何処ですか?」

 

十字髪飾りことネプテューヌの質問に答えた後気になって先生に聞いてみた。

 

「それなら、ちょうどネプテューヌさんの隣ですね。」

 

絵に描いたように良くできたシチュエーションじゃないか。いや、この場合は事実は小説より奇なりと言ったところか。

 

「了解です。」

 

そうして俺はネプテューヌの隣の空席に座り、先生はというと、

 

「それでは私はプリントや学生証を取ってきますね。」

 

と言って教室を出ていき、教室には喧騒が戻ってきた。

 

 


 

 

「そうだ、影。入学式ってあんな辛気くさい感じなの?」

 

わたしはずーっと気になっていた事を影にぶつけてみた。

 

「回帰生に聞くな。分かるのは、アイエフとかだろ。」

「ちょっと、何の前触れもなく呼ばないでよ!」

 

ほぼ即答の域で返事をしたのは、わたしの前の双葉リボンがかわいらしい女の子。

 

「別にいいだろ。旧知の仲だろうて。」

「まぁ、そうね。一応自己紹介するわね。私はアイエフよ。よろしく。」

「うん、よろしくー。アイエフ、ならあいちゃんだねー。」

「私はコンパっていうです。よろしくです。あいちゃんさん。」

 

って、いつの間にかこんぱいたんだ。そして当のあいちゃんはというと、

 

「あ、あいちゃん!?というか、あいちゃんさん、もおかしいわよ!」

「全くだ。けどまぁ普通のあだ名だからいいんじゃねぇの?俺の場合、情報管理の魔術師(インフォメーション·マジシャン)って呼んでたからな。」

 

「ぶっ……!?何昔の呼び名を持ってくるのよ!」

 

影があいちゃんに追い打ちをかける。そしてわたしがあいちゃんに向けてまた質問しようとしたら、

 

「ちょっとストップ。私にも何か話させなさいよ。」

「それもそうだね、いいよ、何でもどうぞー。」

「じゃあ遠慮なく。なんであんた私服なの?」

 

……うわー、そこ聞いちゃうのー、わたし主人公だからほっとけばいいやって思ってたのに……

 

「いや、主人公俺もだからね、一応。」

 

そんな心の声を聞いちゃう影も影だよね……

 

「ひひっ、人の秘密を聞き出すのは楽しいわよね。」

「ほどほどにしとけよ。」

 

悪魔だ、悪魔ちゃんがここにいる!

 

「うう、寝ぼけてたんだよぉ、あいちゃん達だってそんなことあるでしょ?」

「無いわよ。」

「……無いな。」

 

うぐっ、まさかの時間差攻撃で切り捨てられたよ。

 

「やっぱりねぷねぷ、寝坊してたんですね。だからわたしは昨日は早く寝るように言ったです。」

 

さらにこんぱが一撃。あの踏み台にされる三段攻撃が出来ちゃったよ。

 

「やれやれ。」

 

そしていかにもやれやれといわんばかりにおでこに手を当てる影。わたしのライフはもう0だよぉ……

そんなとき、ふいに声が聞こえた。

 

「会いたかった、会いたかったわよ、ネプテューヌ!」

 

それは金髪、じゃなくて黒髪ツインテの女の子からの声だった。

 




そういえばタグにブラン大好きがあるのにブランを出せてない...
4話くらいに出せればいいと思ってます。
次回、「ツインテは黒か金か赤か怪獣?」


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ツインテは黒か金か赤か怪獣?

このペースならもしかしたら三話投稿出来るかもしれません。
では、三話、ツインテは(以下略)、始まります。


どういうことだか黒髪ツインテことノワールがこのネプテューヌに因縁があるらしい。そうでもなきゃあの乙女座金髪軍人みたいな言い回しはしない。……しかし、あの優等生のノワールがなぜこんなちゃらんぽらんに?

 

「何でこんなちゃらんぽらんに用があるんだ?ノワール。」

「ねぷっ!?ちゃらんぽらんは酷くない!?」

「いいや、酷くないわよ。それより、あなた確か……」

 

アイエフがネプテューヌの異議を切り捨てたところでノワールは豪語する。

 

「理由はともかく、私はこのネプテューヌって子に用があるの。」

 

あー、大体見当ついた。

 

「プライドに傷がついたか。無駄に高ければそうもなろう。」

「はぁ?無駄には余計でしょ、無駄には!」

「プライドが高いのは否定しないんだ……えっと、どこかで会ったことあるっけ?」

「図星らしいな。大方、変身してる時に何かしらの屈辱でも……ってあれ?俺以外で変身したこいつらに抗える奴なんていないはず。ましてや卑怯な手を嫌うノワールが一方的に変身したとは考えにくい。と、するならば、まさか、四人目……?」

「「どういうこと(です)?」」

 

当の本人とコンパはわかってない。

 

「影、結構すっ飛ばしたわね。」

 

珍しくメタネタをふるアイエフ。ノワールに至っては

 

「そういうことよ、って、なに私の出番奪ってるのよ!」

「良いだろ別に、旧知の仲だろうて。」

「親しき仲にも礼儀ありよ。」

「ま、な。それより、ネプテューヌに用があるんだろ?」

「あ、そうだった。ネプテューヌ、もう簡潔に済ますわ。そろそろ行われる体育大会で決着をつけましょう。」

「決着?というかもう話終わり?」

「終わりだな。もう何考えてるかわかるや。」

 

さてはハイパーオリエンテーリングに出させるつもりだな。容赦のないことで。

 

 


 

 

そうして何日かが経った。

 

「えー、それでは体育大会の出場者の応募をとります。」

 

そう言ったのはノワール。仕切り屋の風格だな。

 

「ねぇ影、やっぱり結構飛ばしてるよね、学生証で驚くとことかさ。」

 

ネプテューヌ、ここでメタネタをふるのか?

 

「諸々の都合だ。それよりも、そろそろノワールが仕掛けるぞ。」

「え?仕掛けるって、罠?それとも爆弾?」

「またはその両方。」

「さて、大抵の競技の希望を取ったところで、目玉であるハイパーオリエンテーリングの候補は私が立候補しますが、あと二人推薦したい人がいます。」

 

言ったそばからきたか。ならばこちらも仕掛けるか。

 

「どうせネプテューヌと俺だろ、ノワールさん。」

「その通りよ。私は高等部の入学試験でネプテューヌと模擬戦をやったの。彼女の実力は私がよく知ってるわ。それに影も。三年前のオリエンテーリングで私と渡りあったわ。」

 

俺が勝ったけどな。

 

「マジで、二人ともあのノワールとまともにやりあったのか?凍月はともかくとしてネプテューヌもか。」

「さすが女神科、影君は違うけどね。」

 

クラスメートがワイワイ騒ぎ始めた。

 

「ネプテューヌ、影。出てくれるわね、ハイパーオリエンテーリング。」

「うん、もちろんオッケー!」

 

即答にも程があるだろ、全く……

 

「いいんですか、ねぷねぷ。どんな競技かわからないですよ?」

「いやー、この雰囲気は断れないって。それに、なんかもうウズウズしてきてさー、影は出ないの?」

「出るよ、出ない理由がない。」

「では、ハイパーオリエンテーリングに出場するのは私とネプテューヌと影で決定です。」

「ノワール、最初に言っておくぞ。俺は、かーなーり、強いから覚悟しろよ。」

「それは挑発かしら?」

 

ノワールの確認。俺は口角を上げて答える。

 

「あぁ、避けえぬ終焉にうちひしがれな!」

「えっとー、凍月君、キャラ変わった?」

「いいや、元からだぞ?」

 

あらぬ心配をするなネプテューヌ。俺は俺だ。

 

「いいわ、影。なら完膚なきままに返り討ちにしてあげるわ!」

「なら、集計の続きをやってくれ。」

 

俺の三年間の訓練の成果を見せてやるよ。

 

 

 

数日後、大会当日を迎えた。

 




いかがでしたでしょうか。
今回はメタネタに重点をおいてみました。
今後もネタは随所にちりばめていく予定ですので、リクエスト、感想等お待ちしています。
次回「再会と弱点」
サブタイに共通点は皆無です。


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再会と弱点

どうにか一日で三話投稿できました。フェルデルトです。
もしかしたらもう一話行けそうな気がします。
一話一話の文字数をもう少し増やすべきでしょうか。
そんな思いを抱きつつ、ついに大好きなあの子がでます。
お待たせしました。
では四話、再会と弱点、始めます!


しかし、なんでオリエンテーリングを最後に回したのかね……

状況を説明しよう。体育大会では様々な競技が行われ、巷で囁かれている予算問題などあるのかと疑いたくなる活気であり、そろそろ俺達の出るハイパーオリエンテーリングが始まろうとしている。んで、選手である俺とネプテューヌ、ノワールは待機していて、向こう側から金髪お姉さんと茶髪の美少女、この学園の大物二人が周りの喧騒に囲まれてやってきたところだ。

 

「また飛び級したか、ブラン……」

 

誰にも聞こえないように一人ごちる。

 

「ねぇねぇノワール、あの二人って……」

「金髪の方がベール、茶髪の方がブラン。あぁ見えて女神候補養成科のトップクラスの実力者。間違いなく強敵よ。」

「あらノワール。またこの会場でお会い出来て嬉しいですわ。」

 

ベールがこちらに気づいたか。なら少しフェードアウトするか。ナレーション交代。

 

 


 

 

と、いうわけで久々にわたしがナレーション入れるよー!うんうん、影もやっとわたしこそがナレーションにふさわしいと思ったのかな?

 

「ええ、私こそ。去年よりも体調は優れているようですね。今年は万全の状態でお相手願います。」

 

あ、これ影ナレーションの続きなんだ。ノワールが敬語を使ってるということはこのベールさんは先輩なのかな?

 

「えぇ、寮長が貴女を倒せたら好きなゲームを好きなだけ買ってくださるのですもの。本気で当たらせてもらいますわ。」

 

でも動機がゲーマーだった、これは私と話合いそうかな?

 

「相変わらずのゲーマーっぷりね。他にやることないの?」

 

冷ややかな突っ込みを入れるのはブラン、だったかな?

 

「そういうブランこそ、売れてない小説の在庫は減ったの?」

 

あ、ノワールがさらに冷却にかかる。

 

「……ノワール、先輩に対するその口のききかたは何?」

 

「何よ、二年前まで私と同じ学年だったくせに、それに、年齢は私の方が上よ。年下を先輩呼ばわりなんておかしいわ。」

 

えー、年齢は下だけど学年は上?複雑だなぁ……

 

「チッ、ノワールの奴……」

「わぁ、ビックリした!影、いきなり出て来ないでよー。」

 

そんな間にもノワールとブランの口論が続く。

 

「出番か……」

「えっと、影?何言ってるの?わけがわからないよ?」

「ネプテューヌ。ちょっと、黙ってろ……」

 

その影の声はいつもより低く、怖かったね。正直。

 

「去年の優勝が何よ、ルウィー寮あげて撹乱してただけじゃない。あんなので優勝といえるの?」

「ルールには違反してない、あと、作戦立案は私じゃない。」

「はっ、知らなかったと?見え透いた嘘ね。そんなの信じると?」

「その辺にしておけ、ノワール!」

 

影がノワールに静止をかける。ベールも、

 

「そうですわよ、その辺にしないとそろそろ……」

 

と制止をかけて……

 

プツッ……

 

「手遅れか……」

 

えーと、状況についていけないけど、まずわかるのは……

 

「ったく……人が聞き流していりゃ、くだらねぇことを……」

 

だよねー、けど何?これ。二重人格なのブランさん。

 

「ノワールてめぇ、今のうちに片付けてやるよ。」

 

え?まって、影もキレてる?

 

「何よ影。あなたには関係ないでしょ。」

 

「……影?」

 

あ、ブランの怒りがおさまった。

 

「三年振りに会った幼なじみを目の前でキレさせたならこうもなろう。塵に帰る覚悟は出来たか、ノワール。」

 

今度は影がガチギレだー!?聞いてないよ私!

 

「ベールさん、今度は影がキレちゃったんですけど……」

 

「もうこうなってはノワールに塵になってもらわないと止まらないと思いますわよ?ところで、貴女は……?」

「わたし、ネプテューヌ!ノワールの友達でーす!」

「……そのノワールはそろそろ消えるわよ。」

「物騒だなぁ……って、あれ?ノワール、変身してる?」

 

そう。今、影と変身したノワールが向かい合っている。

 

「でも、いくら凍月さんとはいえ今のノワールに勝てますかしら。」

「……影は強いわ。私が一番知ってる。」

 

ホントに影のこと信頼してるんだ、ブランは。

 

「さぁノワール、俺の二つ目の能力を目に焼き付けな。」

 

次の瞬間、影は左腕に着けていたデバイスを操作してこう言った。

 

「二つ目の能力、鎧装装着(アームズドライヴ)の藻屑となれ、変身!」

 

そうして、光に包まれた影は光が消えた時、鎧に包まれていた。

 

「覚悟はいいか?」

 

まって、まだオリエンテーリング始まってないよ?

 




いかがでしたでしょうか。
影君の二つ目の能力が出ました、その他設定も。
そういえば今回はあんまりネタを仕込めてない。
弱点はあった?あります。今わからなくとも露呈させます。影君の弱点。
あ、ノワールが嫌いなわけではないです。はい。極端にブランが好きなだけです。
次回、ようやく戦闘描写を書きます。
サブタイは、「感情>理性」
お楽しみに。


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感情>理性

一日に四話投稿するって、結構な記録かもしれません。
来週から忙しくなるので、いまのうちに書いておきたいと思います。
影君の怒りが火を噴きます。
では、どうぞ。


オリエンテーリング開始十分前、俺は変身した。

漆黒の鎧を身に纏い、武器を顕現する。右手には妖刀·黒影を、左手には幻刀·白影を。ノワールも武器の顕現を終えたようだ。ちなみに、鎧はガン○ムエクシアDMのような装備で、背中にはブースター兼武装コンテナが二つ。腰には妖刀と幻刀の鞘。脚部はスラスターがあり、見た目よりもスピードは出る。

 

ま、これが第一形態かな。説明はこれまでにしておいて……

 

「始めようか。ノワール。」

「そうね、あとでべそかいても知らないわよ!」

 

真っ直ぐ剣を振るってくる。

 

「着弾点を原点とすると、切っ先(-23,46,-17)、放物軌道……!」

 

剣筋を把握演算で見抜いた俺は動かず、黒影で受け流して背後に回る。が、反撃に振るった白影は虚しく空を薙いだだけだった。

 

「速くなってるか。」

「当然よ。はぁぁ!」

 

諦めずにやってくるか。が、それは油断だったろう。

 

「しかし、速い……!」

 

まさか演算が追い付かないとはね。

 

「なーんだ、一回目を防いだのは偶然だったみたいね。」

 

悔しいが、現にそうだ。演算が追い付かない以上、身体反射による回避しか選択肢はなく、そのせいで攻めあぐねている。

 

「これ、案外まずい?予想より速いじゃん。」

「無駄、無駄ァ!」

 

無駄、か。あぁ、そうだ。スラスターがあったんだった。

 

「ま、本気じゃないんだけどさ。」

 

何回目かのつばぜり合いの最中、スラスターを全開にしてノワールを押し返した。

 

「な、きゃぁぁ!」

 

そんな叫びを追撃する。瞬間、ノワールを捉えた黒影は弾かれた。

 

「させるもんですか!」

 

往生際が悪い。白影で切り結びスラスターの推力をさらに上げる。

 

「っく……やぁ!」

 

白影も弾かれた。

 

「やはり出来るようになってる……!」

 

まぁ、コンテナから四式銃剣《スラッシュバレット》を抜刀して決着かな。

 

「もう、一体どれだけ武器を持ってるのよ!」

「あとこの二つだよ。けど、三つ目の能力も使うか……オリエンテーリング本番に取っておきたかったけどね。」

 

現にもう開始まであと二分しかないから、致しかたない。

 

「そんな暇があると思わないことね!」

「1秒あれば十分だ。」

 

距離を取らせまいと突っ込んでくるノワールの足元にエネルギー弾を撃ち、砂ぼこりをあげて目眩ましをする。

 

「そんなことでっ!」

 

案の定砂ぼこりを払い突撃してくるノワール。

 

「捉えた。時間圧縮(ファストクロック)!」

 

恐らく、その場で見ていた誰もが思っただろう。何が起こったと。なぜなら、確実に影を捉えていたノワールの剣がノワールごと斬られていたからだ。()()()()()()影によって。

 

「何が、起きたの?」

 

斬られた衝撃で変身が解けたノワールがゆっくりと起き上がる。

 

「単純だ。三つ目の能力、時間圧縮(ファストクロック)の効果だよ。これを見ていた全員の感じたノワールを倒した1秒は、俺の5秒に等しい。俺自身の時間を圧縮させて行動する能力。再使用可能まで2時間かかる切り札だ。」

「そんなの、ほぼ反則じゃない!」

「喚くな。切り札は最後までとっておくもの。けどな、俺にあれを使わせたことは誇っていい。悪かったよ。甘く見ていて。」

 

本心だった。ブラン以外の女子に手を差し伸べたことなんてあったろうか。けど、何故か俺は、握手を求めていた。

 

「まだ早いわよ。影。オリエンテーリングが始まるわ。」

「だな。ま、頑張りますか。」

 

軽めに仕留めておいて良かった。もうピンピンしてやがる。

 

「それでは、ハイパーオリエンテーリングを始めます。位置について、よーい、スタート!」




戦闘描写はしんどいです。
1日四話もしんどいです。頑張りました。
次回、「岩って、なんだっけ。」
パロディ回ですよ、多分!


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岩って、なんだっけ。

日曜日に予定が入りましたので、早めに投稿させていただきます。
活動報告のパロディリクエストは引き続き募集しております。
リクエストが来てないのでほぼ持ちネタで頑張ります。
では、どうぞ。


どういうわけだか出場選手登録されてないコンパがオリエンテーリングに紛れこみ、どういうわけだか今俺はそのコンパとネプテューヌと共に行動している。

 

「ふぅ……3年振りなんだけど、強化されてるなこれ。間違いなく筋肉痛まっしぐらだよこれ。」

 

とりあえずノワールに軽くお仕置きをした直後にオリエンテーリングが開始されたため、準備運動がわりにはなったあの戦闘だが、疲労はある。一人いろいろな障害を突破していくなかで偶然ネプテューヌ達に会い、コンパの誘いでカップリング無しの3人パーティに入ったところでの一言なんだが……

 

「あら影、このぐらいで弱音を吐くのかしら?」

 

この始末。ノワールと同様変身出来るネプテューヌなのだが、この通り態度も胸も大きくなり、正直一番苦手かもしれない。

 

「弱音じゃないぼやきだ。それより、変身解いたらどうだ、疲れるだろ。あと旗下ろしとキノコ狩りだし。」

 

変身を解かせていつものちゃらんぽらんに戻さねば精神が持たん。

 

「そうですね、影さんの言うとおりにしたほうがねぷねぷのためです。ずっと変身しっぱなしで、また倒れられたら大変です。」

「それもそうね……ほふぅ、ねぇ影、3年前もこんな感じだったのー?」

 

よっしゃ、元通り。

 

「いいや、より難易度が上がってる。まぁ、この時点であと二ヶ所なら上々だろ、行くぞー」

『ちょ、ちょっと待って(くださいです)ー!』

「はいはい、待ってやるよ。」

 

やれやれとちょうど立ち止まったその時。

 

ガサガサッ……

 

「...!」

 

身構える。一応手元に黒影を転送して臨戦態勢。

 

「ねぷっ、影、イノシンさんかもよー!」

「ねぷねぷ、それを言うならイノシン酸です。」

「文面ボケをするんじゃない、イノシシだろうが!」

 

緊張感の無い奴ら。そして茂みの中から出てきたのは……

 

「あたた……道間違えちゃった、って、のわ~っ!?」

「あ、すまん。」

 

黒影の切っ先を出てきたノワールに反射的に向け、驚いたノワールはしりもちをついた。

 

「うわぁ、影、か弱い女の子に武器を振るうなんて……」

「やっぱりちょっと影さん怖いですぅ……」

「あのなぁ、どこぞのグラサン大佐みたいに三つ編みを銃で落としはしないっての。」

「その剣でノワールのツインテを落とすんでしょ!殺さない代わりに!そして後でベールとかに渡すんだよ、だってそれ妖刀でしょ!」

「機械仕掛けじゃねぇよ、ついでに紅い刀身でもない!」

「ちょっとあなたたち、一回落ち着きなさい。」

 

第一次ボケツッコミ大戦はノワールによって幕を閉ざされた。

 

「まず、どうしてあなたたちがここに?」

「キノコ狩りと旗下ろしが残ってるから。ノワールもだろ。」

「……」

 

図星。

 

「ネプテューヌ、それに影。やっぱり私達はお互いに決着を……!」

「vs俺はもう着いた。ネプテューヌ戦は知らんがな。」

「えー、なんか決着をつけるのは嫌だなー。」

 

能天気だな。まぁ嫌いじゃない。

 

「ならノワールさん、私たちと一緒に行きませんか?」

 

なんて思っていたらコンパのトンデモ提案。正気か?

 

「あのねぇ、私は決着をつけたいのよ?」

「なら、途中まででいいです。」

 

そんなトンデモ提案は、無事受け入れられたのだった。




岩まで行かなかったー、なんかごめんなさい。
次回、「キノコ時々大乱闘」
ネタも仕込みます、次回も!


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キノコ時々大乱闘

用事の合間を縫って書きました、フェルデルトです。
ようやくリクエストの一つを実行出来ました。
APOCRYPHAさん、リクエストありがとうございました。
引き続きリクエストは活動報告にてお待ちしてます。
では、キノコ時々大乱闘、お楽しみください。


「影ー、全然見つからないよー……」

「全くだらしないわねぇ、けど、見つからないのも事実ね……」

「一人10個x4で計40、あるのは6つ。こりゃ厳しい。」

 

現在、俺とネプテューヌ、コンパとノワールの四人でキノコ探し中。

 

「あったです、これで7つ目です。」

 

気休めだな、あと33個。

 

「規則性とか法則性でもあれば楽なんだが……」

「ねぷっ、こんなところにたくさん見つけたよー!」

『なんです(って)!?』

「言った側から……なるほど岩場に生えるのか。」

「ほらほらー、一気に6つ見つけたよー!」

「すごいですねぷねぷ、さすが主人公です。」

「俺もだよ、一応……っ!?」

「ねぷ?どったの、影。」

 

気のせいか、岩が動いたような。

 

「どうやら、何か感じたみたいね、影。」

「あぁ、ネプテューヌとコンパは?」

「ん?キノコの色が微妙に違うとか?」

「食べると小さくなって吹っ飛ばされやすくなるんだろ?」

「でもネプテューヌがこれ以上小さくなるかしら。」

「ちょっとノワール!それは失礼百万だよ!」

「ねぷねぷ、それを言うなら千万です。」

「やっぱ常識ずれてるな……」

「何をー、クイズミリオネプでは全問正解したんだよ!」

「どーせ全問にヒント使ったか調べたんだろ。因みに俺はあのクイズのヒント形式は非常に面白かったと思ってる。」

「それに、常識を問うクイズはネルリーグよ。」

「あばば……」

 

ネプテューヌの撃沈を確認。しかし、そんなこんなしてるうちに違和感は増していく。

 

「なぁ、あの岩、慣性の法則を無視してないか?」

 

そう。意思を持つはずのない無機物である岩が坂でもないのに動いている。

 

「いやいや、さすがにそんなわけ……」

 

ノワールもそこから先は何も言わなかった。

 

「ねぷねぷ、岩が動いてるですよー……」

 

コンパは恐れおののき、ネプテューヌははしゃぐ。

 

「事件の予感がするよ、これは!」

「事件ってレベルじゃねぇ、来るぞ!」

 

瞬間、岩の雨が降ってきた。

 

「ね、ねぷー!?」

「今日何回目だその叫びは!迎撃するぞ、変身!」

 

俺、ノワール、ネプテューヌは同時に変身して岩の迎撃を始めた。

 

「ねぷねぷ、上から来るです、気をつけるです!」

「わかったわ、こんぱ!」

 

それで上に行くか?普通。

 

「とりあえず、どうするんだこの量。」

 

ネプテューヌが迎撃し損ねた岩を俺とノワールで切り捨てる。

 

「どうするもこうするも、今は迎撃するしかないでしょ!」

 

把握演算でどの岩がどこに着弾するかは分かるけれどもいかんせん戦闘ができないコンパが邪魔だ。

 

「コンパ、下がってろ!」

「は、はいです!」

「やぁぁ!」

 

ネプテューヌが特大の岩を抑える。

 

「危ねぇ、あれはまずかった……」

 

ひとつ安堵したところに風切り音が聞こえた。

 

「まさか……!?」

 

そのまさかだった。ノワールが戦線離脱したのだ。

 

「ノワール!?どこ行くの、ノワール!」

 

あいつは速い、声が届く筈がない。

 

「ちっ、あんにゃろが!」

 

愚痴りつつ岩を斬るが……切れ味がまずい。俺の使っている黒影と白影は柄の部分に斬れ味を示す宝石があり、通常は紫色に光っているのだがもう岩を50は斬ったために黄色になっている。

 

「くっ、影、だんだん岩に囲まれてるわ。」

 

降りてきたネプテューヌの言うとおり、だんだん岩に俺たち3人は囲まれてきた。

 

「どっかの間桐さんみたいに真っ黒な力でもありゃ蹴散らせるんだが。」

「それ、私とこんぱも巻き添えよね。」

「だよねー、コンパをどうにかして逃がさにゃダメなのだが。」

「ねぷねぷ、もう囲まれるです!」

 

青く澄みきった空は岩に閉ざされ、開かずの天井となった。

 

「ドリルでもありゃ話は別なんだが、容積が狭まってきたな、こりゃ」

 

能天気なことを言ってられる状態ではないな。

 

「さすがにこれは武器がなきゃ厳しいわ。影!」

「んじゃ総員、耐ショック姿勢、撃つぞー。」

 

黒影と白影を納刀し、スラッシュバレットを持つ。

 

「ズドン。」

 

放たれたエネルギー弾は天井を貫き、俺とコンパを抱えたネプテューヌが脱出した。が、その先にいたのは鎧の巨人もとい岩の巨人であった。




いかがでしたでしょうか。
文を長くするのが苦手で、一話1500字くらいです。
読みやすいのか読みにくいのか、ご意見、ご感想、評価、
活動報告でのパロディリクエスト、等々、お待ちしております。
飢えております(笑)
あ、次回、「ホワイト·ブレット」


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ホワイト·ブレット

最近、タグの日曜更新がいい意味で守れてないフェルデルトです。
まぁ、書きたいことは後書きに書きますので、まずはホワイト·ブレット
をご覧ください。


「しかし、銃撃に切り替えても随分固い……」

 

岩の巨人に対してほぼ単身で挑んで15分。正直、疲れた。ネプテューヌはコンパを守るので精一杯、緊急時に打てと言われた赤い信号弾も応答なし。

 

「本田君、万策尽きそうだよこれ。」

「本田君って誰よ、影。」

 

ネプテューヌがツッコミに回ったか。疲れてんだよこっちは。

 

「影さん、上です!」

「疲れない無機物はよろしいことで!」

 

愚痴りつつ避け、スラッシュバレットを構える。純白のエネルギー弾を放つ。岩の巨人に着弾する。少し崩すも気がついたら元通り。これの繰り返し。

 

「はぁ、はぁ……」

 

疲労だけが溜まり、回避にキレがなくなってくる。このままじゃいずれ被弾する。ただ、ネプテューヌを前線に出すとコンパが危ない。

 

「ジリ貧かつ、劣勢か……」

 

教職員は何をしている。対応遅いよ、何やってんの!

 

「来るわ、影!」

 

はぁ、そろそろ限界。抜刀術なら心眼効果あったかな。

 

「へいへい。その腕、斬ってやらぁ!」

 

居合い斬りの要領で抜刀するも、いかんせん斬れ味は黄色。むなしく黒影は弾かれる。

 

「やっぱダメか。」

 

白影でもトライ、弾かれる。手持ちの武器はスラッシュバレット二つだけ。

 

「効かないか……!」

「影さん!後ろですぅ!」

 

コンパの悲痛な叫びが聞こえる。

 

「潮時か!?」

 

把握演算でも演算結果は回避不可。万策尽きた。直後、目の前まで迫っていた巨人の腕は側面から崩壊していった。

 

「一体何が?」

 

それを聞きたいのは俺だ。ネプテューヌ。

 

「何勝手にやられそうになってんだよ、影!」

 

聞こえたのは聞き慣れた声だった。

 

「間一髪、でしたわね。」

 

こちらも聞き慣れた声。

 

「間に合って良かったわ。さ、片付けるわよ!」

 

20分くらい孤軍奮闘させてたのはどこのどいつだ。

 

「へいへい。って、どうしてブランとベールが!?」

「赤い信号弾が見えまして、直後にノワールが来たのですわ。」

「もうすぐ2連覇だってのにてめぇが危ねぇって言うからな。」

「……悪い、助かる。」

 

自身の2連覇よりも俺のところに来てくれたか。百人力だよ。

 

「ちょっと、呼んだ私は無視?」

「いいや、後でもっかいお仕置きかな。」

「はぁ!?なんでそうなるのよ!」

「冗談。サンキュ。」

「4人とも、来るわよ!」

 

ネプテューヌが警告するが、俺ら4人は軽く避けた。何故かさっきまで感じていた疲労もなく、かなりクリアな感覚が戻った。

 

「女神候補どころか、本物の女神だよ、いつも。」

 

誰にも聞こえないような声で呟く。

 

「包囲して倒すわよ!」

「破壊して蹂躙して、殲滅してやるぜ!」

「元気が良いですわね、ブラン。何か良いことでもございまして?」

「まぁ、いいんじゃねぇの?純白の双生(ホワイトネス·デュオ)の再結成といくか?」

「お前、今の装備黒いじゃねぇか。」

 

あは、そうだった。

 

「長話はそれくらいにして、行きますわよ!」

 

ベールの合図でノワールとベールが剣と槍で巨人を牽制。

 

「くらいやがれぇ!」

 

その間にブランが巨人のうなじではなく頭部に戦斧を一撃ねじこむ。

 

「その隙間で、十分だ。」

 

その攻撃のおかげで巨人の頭部にひびが入った。あとはそのひびの中に純白のエネルギー弾を照射するだけ。岩の巨人の頭部は爆散、残りは崩壊。

 

「ふぅ、終わった、な……」

 

その後全員で変身を解いたはいいもののネプテューヌが不満そうだったのは言うまでもない話でもあり、ようやくやってきた教職員への説明はかなり面倒だった。まぁ、次のお話にて語りますか。




何個ネタを仕込んだかな...ネタが分かったら同志です。
感想、評価、活動報告にてのパロディリクエスト、その他ご意見等お待ちしてます。
次回。「証明問題はちゃんとしよう。」


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証明問題はちゃんとしよう。

今回はネタなしです。
前書きもあまり書きません。
では、どうぞ。


「目標の反応なし。殲滅完了、か。」

 

オリエンテーリングの途中で出てきた岩の巨人を倒したものの、辺りはほぼ荒野。現在6人で岩の残骸等に座っている状況。最初に言っておくと、この後が一番大変だったと思う。

 

「よいしょ、ようやく着いた、無事かお前達!」

 

教職員ご到着。

 

「えぇまぁ。それよりも、随分遅かったじゃないですか。」

 

ノワールが応対する。

 

「他の生徒の避難誘導に時間がかかってだな。が、それよりも。」

「いくら女神候補といえど教職員のいない中独断での戦闘は……」

 

あー、ヒステリックな教師がおること。

 

「お言葉を返すようですがオリエンテーリングの監視をしていた先生方は何をしておられたのですか?まさか緊急時の信号弾を見ていないわけが無いですよね。」

 

俺の言葉には沈黙。さては見ていないな。

 

「緊急時の信号が見えた際、確認しようと向かったらその地点、つまりここが崩れて来るのが遅くなったのだ。」

 

真っ当な言い分だ。

 

「ですが山頂近くにいた先生は?」

「そんなところに監視は配置されない。」

「チェックポイントの近くだというのに?」

「あぁそうだ。こちらからも質問させてもらうぞ、凍月。」

 

はぐらかして開き直るか。だるいな。

 

「会敵した時の状況ですか?」

「そうだ。あと、どうして教師に報告せず戦闘したのかもだ。」

 

「会敵状況は俺、ノワール、ネプテューヌ、コンパの四名が同時に会敵。途中ノワールは救援を呼ぶ為に戦線離脱。ブランとベールが援軍に来て無事目標を排除。戦闘理由は一般生徒に犠牲者が出てもおかしくない状況だったため、STとして女神候補4名を指揮しました。もし責任が問われるのであれば、俺の責任ですよ。全て。」

 

もはやお飾りだな。この教師共は。

 

「STだと?正規の教職員がいない中では権限は発動しない。」

「おっしゃった通りです。ですが、STは教職員が居ないなかでも唯一権限が発動出来る時があります。」

『ST自身が周囲の生徒達が危険と判断したとき、特例として教職員なしで権限を発動でき、生徒に対し指示出来る。』

 

そういうこと。

 

「……全て校則に則っているのなら、問題ない。」

 

そう言って全員身を翻す教職員集団であった。

 

「ふぅ、どうにかお咎めなし?」

 

ネプテューヌが確認する。

 

「おうよ。乗り切ったな。」

「……流石の記憶力ね、影。」

 

おや、珍しくブランが微笑んでるではないか。

 

「一度飛び急しているだけありますわね。」

「二回飛んだブランほどじゃない。」

「え?てことは影は年下なの?」

「そーだよ。ブランと同じ、14歳。」

「ねぷっ、そうだったの!?」

 

言ってなかったらわからなかったようだ。

 

「そーだよ。」

「二人ともそうは見えないから無理も無いわ。」

 

『んだとぉ!?』

 

ま、こんな感じの日常に戻ったのであった。

 




いかがですか?
ネタの無い展開を多分初めて書いたと思います。
次回、「凍月君の寮生活」
感想、評価、活動報告にてのパロディリクエスト等、お待ちしております。


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凍月君の寮生活

歌唱指導でヘトヘトなフェルデルトです。
謎のテンションで映画見ながら書きました。
駄文の可能性ありです。
では、どうぞ。


しっちゃかめっちゃかなオリエンテーリングから約2ヶ月。俺はSTとして授業をしつつ、寮でゆっくり生活していた。

 

「やっほー、来たよー、影ー!」

「ネプテューヌか。俺の部屋がよくわかったな。ブランに聞いたか。」

「いいや、皆で来たわ。」

 

アイエフの言う通り、俺のそこそこ広い部屋には女神科の四人とアイエフとコンパがいた。

 

「……ブラン以外を通す理由がないが、まぁ、来てしまったからにはもてなすのが道理か。待ってろ、クッキーが余ってたはず。」

「うふふ、相変わらずですわね、影さんは。」

「ねぇねぇブラン、影と一体どういう関係なのさ。」

「どうもこうも無いわ、ただの幼なじみよ。」

 

あらすっぱり斬られたこと、公私混同しないのはいいけどさ。

 

「そうは思えないけどなぁ。」

「じゃあ影はブランのことどう思ってるの?」

 

ノワールから返答に困る質問が来た。

 

「んー?俺の唯一無二の理解者だよ。」

 

実際、親がとっとと逝った俺は学園に引き取られて育ってきたからな、もう何歳の頃だったか忘れたけど、ブランも同じ境遇だった。まぁ、ブランの場合妹二人がほぼ生まれたばかりで家事育児を一人でこなしていって、周りより早く大人にならざるを得なかった状況を誰からも理解されないが故にストレスと疲弊がたまっていった。それを察したのが俺だったな。話をしてくれた時は泣いてたっけ。それからというもの、俺が半分父親みたいな存在になってたのかな。双子にとっても、ブランにとっても。憶測にすぎないけどな。

 

「影さん、なんで泣いてるです?」

「珍しいわね、影が涙を見せるなんて。」

 

涙、か。

 

「影、どうしたの?」

 

「気にしないでくれ、ブラン。思い出と呼べるものがあることに、ちょっと感動しただけ。それだけだから。」

「なら、いいのだけれど。」

 

心配するな。声には出せなかった。代わりに出たのは、やはり涙だった。

 

「悲しいことなんてないのに、涙だけが出るなんてな。」

「ノワールの質問が悪かったのではなくて?」

「あー、それはあるかもねー。もしやノワールは言葉だけで男子を泣かせる能力者だったりして!」

「そんな能力無いわよ!あぁもうなんで泣いてるのよ!」

「それはこっちが知りたいっての。ほら、クッキーだ。俺はちょっとだけ席を外すぞ。」

 

これが俺の限界だった。寝室に向かう。

 

「待って、影。」

 

待ってやれるほど余裕は無い。悪いな、いつだってお前の目に写る俺は……何だろう。一体俺は、何を考えているんだ?開けっ放しにしてしまっていた寝室のドアは、ブランが閉めた。

 

「ブラン、一人にさせてくれよ。」

 

けど、内心そうさせてくれるはずなんてないと思う。

 

「影、今のあなたは8年前の私と同じよ。」

「8年前?」

 

さっき思い出した時間だ。

 

「そう。あなたは私が抱えてたいろいろを察してくれた。同じように、今あなたが抱えてることもわかるわ。だから話して、あの時私がそうしたみたいに、私に。」

 

珍しい、ブランがそこそこ長い言葉を発してる。

 

「わかるなら、話さなくてもいいと思うけどな。」

「え?」

 

きょとんとした。とても可愛い。そうして俺は、ようやく言いたいことを言う。

 

「けど、一つわかったことがあるや。」

 

涙を拭いつつブランの隣に向かう。

 

「わかったこと……それは何?」

 

ちゃんと聞いてくれる。いつもそうだ。俺があの時ちゃんと聞いたように。同じように聞いてくれる。ありがとう、ブラン。

 

「俺はブランのことが大好きだってこと。」

 

素直に言った。飾り気も何もない事実だけを。それだけで十分だろ?

 

「……馬鹿。ようやく言ってくれたわね、影。」

「何だよその言いぐさは。」

「察しのいいあなたなら、気づいているはず。」

 

おやおやブランさん、いじってるだろ。

 

「気づかないね、何かあることはわかるけどさ。」

 

いじり返す。わかるけどさ、聞きたいのさ。

 

「仕方ないわね、影。一度しか言わないからちゃんと聞きなさい。」

「うーい。」

 

気づけば涙は止まってた。あれは一体何だったんだろう。

 

「私も、その、えっと、影の、ことが、その……」

 

ホントに可愛い。どうしようもないくらいに。

 

「……好きよ、影。私も。」

 




祝10話、祝告白成功。おめでとう凍月君。
ネタ無しも案外いけますね。てか後半ほとんどラブコメじゃん、
そんな作品じゃないです。多分。必要だったから入れましたが。
あ、オリジナル設定ガンガン入れました。矛盾してないですよね?
そこだけ心配です。
次回、「戦闘訓練ネプテューヌ編、のちょっと前」
感想、評価、活動報告にてのパロディリクエスト等、お待ちしてます。


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戦闘訓練ネプテューヌ編、のちょっと前

どーも、フェルデルトです。
章機能を着けてみました。あわよくば25から30話くらいで1章が終わります。
原作5巻まで書きたいのでまだまだ長丁場ですが完結まで頑張ります。
今回は、10話のネプテューヌサイドです。パロディいきますよー!




「クッキーは美味しいんだけどさ、影全く出てこないねー。」

 

たぶんもう影は部屋に入ってから10分は経ってる。

 

「あらネプ子、意外と影のこと気にしてるわね。」

「そういうわけじゃないけどさー、いきなり泣かれると気にならない?泣かせたノワールは?」

「だから泣かせてない!まぁでも、確かに気になるわね。ほとんど感情を出さない影ならなおさら。」

「まぁでもブランがついてることですし、影さんは大丈夫でしょう。」

「だと、いいんですが……」

 

うーん、一体影ってどんな人だったんだろう。

 

「ねぇねぇあいちゃん、影ってどんな人だったの?」

「え?どうしたのよネプ子。」

「いやー、なんか、こう、影の雰囲気とかさ、結構周りの子達と違うじゃん、一ヶ月を繰り返してるどっかの魔法少女みたいにさ。」

「影は少女ではないけどね。けどそうね、確かに私達とは明らかに違う雰囲気を持っているわ。」

「それは、影が天涯孤独だからよ。」

 

て、てんがい……なに?

 

「まさか、影は腕がドリルになって最終的に銀河でフリスビーするまで成長するわけわからない生命体なの!?」

「断じて否、ですわ、ネプテューヌ。影さんは小さい頃に両親を失い、この学園に引き取られたのですわ。」

「そ、そうだったの!?」

 

いやー、これは衝撃の事実。

 

「それよりもネプテューヌ、あなた月曜日に戦闘訓練あるでしょ、模擬戦だからといって相手は影なんだから、対策立てなさい。」

「えぇっ!?あと二日しかないのにどうやって!?」

「一回影と戦ったからわかるけど、影は攻撃をほぼ確実に見切れるわ。二ヶ月経ってるから確実に把握演算は強化されてる。もしかしたら掌握演算にまでグレードが上がってるかもしれない。」

「ちょっとー、それじゃあ対策立てようがないじゃん。」

「いいや、一つだけありますわ、ネプテューヌ。」

「一つだけ、です?」

「そうね、ネプ子ならできそうな戦略ね。」

 

みんなして納得してるよ、どゆこと?

 

「ねーねー、その戦略って、何さ。」

『影(さん)の予想を大きくはずれたことをすればいい(のです)わ。』

「おおー、きれいにハモったね。」

「ねぷねぷ、気にするところはそこじゃないです。」

「あー、そうだった。けど難しくない?影ってほとんど予測出来るんでしょ?」

「そう。だったら、予測通りにならないようにすれば……あー!」

「いきなりどーしたのさノワール、影来ちゃうよ。」

「そういう問題じゃないわ、ネプテューヌ。対影の作戦、多分これでいけるわ。」

「ノワール、それは、何?」

「ふっふーん、聞きたかったらちゃんと私に勝つことね。」

「ぶー、ノワールの鬼!悪魔!ぷよ使い!」

「数学で攻撃されると対応出来るのは影くらいね。」

 

なーんて冷静なあいちゃんのツッコミのあとに扉が開いてブランが出てくる。

 

「……私を忘れていないかしら。」

「おかえりー、ブラン。影は?」

「寝たわ。騒がしくすると迷惑だから、今日は帰りましょ。」

「そう、寝たなら仕方ないわね。」

「休息の時間は邪魔されたくありませんもの。」

「そうね、ネプ子、コンパ、帰るわよ。」

「はいです。」

「わかったー。ってあれ?ブラン、右肩どったの?濡れてるよ?」

「……別に、なんでもないわ。」

 

そっから先は聞けなかったなー。気になるけど。

 

とまぁそんなこんなで、月曜日になったんだよねー。なっちゃったんだよー……




いかがですか?
3つくらいが精一杯でした。どーしよ。
シリアスロードまっしぐら。というか、
ネプテューヌ主観が難しかったです。
次回「戦闘訓練ネプテューヌ編、けど後3人やる予定なし。」
感想、評価、活動報告にてのパロディリクエスト等、お待ちしてます。


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戦闘訓練ネプテューヌ編、けど後3人やる予定なし。

長めのサブタイ、でもって二話連続投稿。
一話一話が短い文字数で出来ているのが特徴です。
では、戦闘訓練(以下略)、始めます。


月曜日、6時間目。俺はSTとして女神候補養成科の授業に向かった。

 

「起立、礼、着席。」

「よーし、座学に飽きたとわーわーうるさかったネプテューヌ君の為に俺は戦闘訓練で叩きのめしてやりたいと思う。」

「では、ネプテューヌ、前に出て準備をしろ。」

 

本来の先生がネプテューヌを呼ぶ。

 

「よーし、いくよー!」

 

直後、ネプテューヌは変身して俺の前に立った。

 

「先生、武器をお願いします。」

 

俺も変身して鎧装を纏う。ただ、少し鎧をシャープな構造にし、機動力重視の装備に変更。武装コンテナ兼ブースターは据え置き。黒影と白影は両腰に。左腕にはシールドを追加。

 

「うむ、凍月、指定武器以外は使用禁止だ。」

「了解です。」

 

ブースターと黒影、白影を外す。それと同時に武器が来た。

 

「そういえばノワールと戦ったときもこんな感じだったわ。」

 

ネプテューヌは長刀タイプを選んだ。

 

「なら俺もかな。」

 

久々に一刀流だ。ハンデにしてはちょうどいいし、双剣は短かった。それに長刀タイプの武器は一本しかなかったし。

 

「両者、制限時間は10分。残りの者は戦闘を見ての感想を述べられるようにすること。勝敗条件は頭部、首、手首、胸部に直撃を与えるかである。では、始め!」

 

まず俺は距離を取る。ネプテューヌは距離を詰める。

 

「ほら甘いぞ!」

 

下から武器を持ってる右手首を狙う。

 

「やぁ!」

 

ネプテューヌは防ぐ。この時刀身はネプテューヌの方が上。

 

「そらよぉ!」

 

武器ごとネプテューヌを上に弾く。

 

「っく、まだまだ!」

 

弾かれたネプテューヌは空中で姿勢を直し、刀を降り下ろす。

 

「どこに来るかはわかるっての!」

 

こちらも武器で受けたり、避けたり。

 

ただ、ネプテューヌも負けてはいなかった。

 

「はぁ!」

「懲りない奴……!けどまぁ、ノワールと渡り合っただけあるなぁ!」

 

つばぜり合いを振り払う。

 

「当然よ。それに、昨日あいちゃんとあなたに勝つための作戦を考えたのだから!」

 

へぇ、アイエフとねぇ。こりゃまたアレ使わにゃきついパターンか?できるだけ使いたくないのだが。

 

「なら、見せてもらおうか。俺に勝つための作戦とやらを!」

「いいわ、でやぁぁぁ!」

 

空中に飛び上がりネプテューヌは上から斬りかかってくる。着弾点は俺の首元。

 

「無駄だっての……!」

 

避ける。が、ネプテューヌの振るった武器は空中で止まり、回避先へネプテューヌの空中回し蹴りが炸裂する。

 

「くっ……!よくやるよ……!」

 

間一髪、左腕で防ぐ。が、ネプテューヌはそれを見越して左足で俺の左腕を蹴り上げてバランスを崩させる。

 

「ち、把握演算の弱点に気づいたか……!」

「そこぉぉ!」

 

待ってましたといわんばかりにネプテューヌの剣は俺のがら空きの胸元を貫こうとしてる。仕方ない。

 

「……時間圧縮(ファストクロック)

「なっ!?」

 

ネプテューヌはびっくりしただろう。0.5秒もすれば届いた剣先はむなしく空を薙いだだけだったのだから。

 

「チェックメイト。」

 

そんなネプテューヌの右手首を横から一斬り。

 

「試合終了。両者、武器を返却し、変身を解くように。」

「了解。」

 

俺とネプテューヌは同時に変身を解く。

 

「影ー、一体なんなのさあれ!反則だよ、ゲームバランス崩壊だよ!」

「ゲームじゃない。それに、切り札は最後までとっておくものだろうが。ちなみに、もっかい説明すると時間圧縮(ファストクロック)はお前達の感じる1秒間に俺の時間を最大5秒まで圧縮して行動出来る能力だ。再使用まで二時間必要なんだがな。……本当は使いたくなかったんだけど。」

「さて、ネプテューヌ。席に戻れ。では感想がある者、いるか。」

 

その後ネプテューヌにいろいろ糾弾されたが、ノワールとコンパがあの岩の巨人を倒した後に出来た温泉にネプテューヌを誘って事なきを得た。ブランも行くらしい。そうなると俺は暇になる。はぁ、ひとりぼっちは慣れたもんだ。




いかがですか?
ほぼ次回の為に警告タグを設定したかなー。
ネタがスランプです。どうにかしたいです。
次回、「シリアスな女子会@温泉」
感想、評価、活動報告にてのパロディリクエスト等、お待ちしてます。
よろしくお願いします。はい。


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シリアスな女子会@温泉

土日具合を崩したフェルデルトです。皆さん、体調は大丈夫ですか?
私はようやく執筆できる具合となりました。
さて、今回は温泉回。凍月君は出ますよ?まぁ、ひとりぼっちですが。(笑)
では、第13話、始めます。


「ほー、これが温泉!まさか学校に温泉が出来るなんてねー。しかも貸し切りだよ!こんぱもあいちゃんもテンション上がんないのー?」

「むしろあんたがどうしてそこまでテンション上がるのかが謎だわ。」

「ねぷねぷ、子供みたいです。」

「もー、ベールもブランも待ってるんだし、早くいこーよー。」

 

……さっきからうるさいな……とまぁ感想はさておいて説明しよう。現在は放課後。教室の隅でネプテューヌ達がわいわいがやがやしている。ただそれだけだ。

 

「あのねぇ、まだ日も沈んでないのよ?あなたみたいにあの二人は暇じゃないの、あなたみたいに!」

 

ノワール参戦。

 

「ねぷっ、ノワール、それは酷くない!?」

 

またガヤガヤガヤガヤし始めた。

 

「頭に響くんだよ、ったく。」

「あ、影さん、ごめんなさいです。」

「いいよ別に。ネプテューヌ、少し音量下げろ。」

「え、ちょ、わたしだけ?」

 

こちとらブランに現国の教えを乞おうとして予定入れられたし、何よりも。

 

「高周波で騒がれると頭が痛くなる。」

「あーそう、なら帰れば?」

「無論そのつもりだ、アイエフ。」

 

あいつら温泉行くのか……気がかりを潰して、友人と遊ぶか。

 

 


 

 

それから数時間が経って、現在わたしはいい湯に浸かっているのだー!あったかーい!温泉サイコー!

 

「ほふぅ、いい湯ですぅ……」

「そうですわね、貸し切りにさせていただいて良かったですわ。」

「たまにはこんな感じにゆっくりするのもいいわね……」

 

ねぷ、いささかゆゆしき問題が、何あの大きな浮島6つは。

 

「…………(チラッ」

 

うん、ブランが無関心なようですんごいチラチラ見てるね、うん。

 

「あの3人は一体何を食べてるのかしら……」

 

あいちゃんも気にし始めた。ん?

 

「ねぇねぇブラン、耳に何かついてるよ?」

「……これは、通信機。」

「つ、通信機?」

『やっほー、皆の衆。安心してくださいな。今俺は友人達と麻雀してるから。っと、リーチ。』

「リーチって、相変わらず影はフリーダムね。」

「影さんも聞いておられるのであればお話ししやすいですわ、声を大にしてお話しできる内容ではないですから。」

『へぇ、大体の見当はついたけどな。あ、ロン。』

「あがったみたいね。で、その話って何よ、ベール。」

「えぇ、ブランとはもう話をしたのですが……」

 

ここからベールさんの長いお話し。話をまとめた影曰く、

 

『やっぱり、俺らは狙われてるな。』

「断言するのは早いわ、影。あくまで、可能性。」

「まぁ確かにオリエンテーリングの地図が6枚も同じなんてことはあり得ないわね。毎年かなりの種類ができるから。」

「けど、偶然にしては出来すぎてない?」

「そうですわね、疑い深くなれば周りのすべてが怪しく見えますわ。」

「それに、ここは学校ですよ?そんなことが……狙われてるなんて怖いですぅ……」

 

うーん、話よりも浮島6つに目が行くわたしとブランがいるけど事態は多分深刻。両方の意味で。

 

「影、この状況は非常に不愉快なのだけど……」

『こんなことは言われたくないだろうけど。』

 

ブランと影がなにやら会話中。まぁいわれなき差別に対する苦情というか、愚痴かな?

 

『ないことを気にやむ必要はない。むしろ無い物ねだりは不毛だ。ただ認めて、そこにアイデンティティーを見いだせばいいさ。』

 

『うわー……』

 

あいちゃんとわたしはきれいにハモる。

 

「……あなたに聞いた私が間違ってたわ。」

『だろうな。これだけは譲ることのない俺の主観的意見を交えてるからな。まぁ、ブランだけの特権だ。』

 

『うわー……』

『そんな言われようなのか。俺の偏り過ぎた意見は。あ、あ、あー……』

「麻雀でも撃沈したみたいね、影は。」

「少し、灸を据えることにするわ。」

「う、うん。その方がいいと思うよ、ブラン。」

「さて、皆さん、そろそろ上がりましょうか。」

 

翌日、影はすんごいげんなりしてたね、うん。




いかがでしたか?
R-15タグは必要なのでしょうか。あ、いるかも。
そんなこんなで13話です。
しばらくネタなし路線で行きます。原作に左右されますね。
次回、「ゲームとは戦略である。」
感想、評価、お待ちしてます。


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ゲームとは戦略である。

どーも、インフルエンザが未だ猛威を振るってる中健康らしいフェルデルトです。
もうすぐ5月ですねぇ、まだ一週間ありますか。
あ、UA1000突破ありがとうございます!
これからも精進して参ります。では、14話、始めます。


ブラン達の温泉女子会から数日。俺はブランに灸を据えられいろいろ散々だったが、どうにか生き抜くことが出来た。と、いうのは我ながら大袈裟か。いつも通り、現在状況を説明すると現在俺達、即ちいつもの7(-1)人は無駄に広いベールの部屋にいる。正直、他の男子に暗殺されそうな気がする。成績優秀だけど素行が悪いあいつとか髪の毛に触手を隠してる女子とかにも。

 

「やったー、これで5連勝!」

「のわ~!?もう一回よネプテューヌ!」

 

……そんな俺の思考回路は常にあのピンクの悪魔、もといネプテューヌに邪魔される。

 

「おやおやノワールさん、ゲームでは優等生にはなれないのかしら?」

「ムカつくわねー、ソフトが悪いのよ!こっちのパズルゲームじゃ負けないわ!」

「えー、パズルゲームはやったことないよー。」

「それはそうでしょうね。自分の得意しか極めていないですものねー。」

「ムカー!」

 

うるさい、とにかくうるさい。

 

「…………」

 

そんなことお構い無く読書に没頭する彼女、ブラン。

 

「ごめんなさいです、ベールさん、いきなり押し掛けてねぷねぷがうるさくしてしまって……」

「いえいえ、私一人では部屋の広さがかえって孤独を感じてしまいますの。いつでもきてくださいな。」

 

コンパはネプテューヌに代わって謝る始末。何であんなちゃらんぽらんなネプテューヌとコンパは仲良くなれたんだ?

 

「……あなたたちはいつまで騒いでいるつもり?」

 

そうだなブラン、結局ネプノワを放置してた。ってか、格闘ゲームやってるし。

 

「あ、ごめんブラン。あ、そうだ、今度はブランと影も一緒にやんない?」

 

何故俺も誘う。まぁやることなくてナレーションしてたからかもな。

 

「いいけど、ブランは?」

「パーティーゲームなら参戦するわ。」

「ほーい、了解だよー。」

「んじゃ、早速これで。」

「あ、影それって私がさっき。」

「ゲームは参戦すると決めて、ソフトをいち早く選び入れるか。これで7割勝敗が決まるぞ。な、ブラン。」

「そうね。ネプテューヌにはチュートリアルをやってもらうわ。」

「ねぷっ!?まさか、影、謀ったな、影ー!」

「君はいいゲーマーだが君のその一瞬の気の緩みが悪いのだよ。」

「流石影、容赦ない……」

 

そりゃ当たり前さね。

 

「むぐぐ、ならもうやけくそだー!」

 

ネプテューヌがチュートリアルを始め、俺とブランはコントローラをスタンバイ。

 

「しかし、ゲームなんて何年振りかねぇ、ま、昔取った杵柄でどうにかなるといいけど。」

「無敗神話を築いていたわね、影は。」

「む、無敗神話!?まさか、私が5年前に戦ったあの【日】ってプレイヤーは……」

「俺だよ?影をローマ字にするとEI。くっ付けて日。」

「うぅ、なんでそうあなたは私に出来ないことを平然とやってのけるのよ!」

「よーし、準備完了だよー!勝負だよー!」

「うーい。やるか。」

「そうね。容赦はしない。」

「当然よ!完膚なきままにこてんぱんにしてやるわ!」

 

そうしてあの四角いブロックが4、じゃなくて5つつながって落ちてくるパズルゲーム、ペントリスの対戦が始まった。

 

「……私の勝ち。」

 

そして数分の後に終わった。順位はというと、

 

「うぅ、なんで私がネプテューヌより下なのよ……」

 

ノワール、3位。

 

「きー、あとちょっとで勝てたんだけどなー。」

 

ネプテューヌ、2位。

 

「案外影が脆かったわね。」

 

ブラン、1位。

え、俺?ズタズタにやられましたよ。ボロ雑巾みたいに。

 

「ばたんきゅー……」

「はわっ!?影さんが全力でばたんきゅーしてるです!?」

「影の黒いコートが白化してきたわね。」

「真っ白に燃え尽きた感じかなー。それともコートが崩れるのかなー。」

「確か影さんのコートは特殊な磁場が出せるようになっていて、万が一銃弾やエネルギー弾が飛んできても運動ベクトルを無効化して落下、または無効になる代物でしたわね。」

「特殊な黒い繊維、バラジウムチューブのおかげ。」

「まさか、それが崩れると、影の中の怪獣が暴れだして町一つ大火事に巻き込んだり、車から変形するマシーンを強化したりしちゃうの!?」

「か、怪獣さんです!?」

「あのねぇネプテューヌ、そんなことあるわけないでしょ!」

「その通り、真っ白に燃え尽きてただけ。」

「……元に戻ったわね、影。」

「いやー、びっくりしたよ。あ、コートも黒に戻ってる。」

「一応ここはわたくしの部屋ですから、あと少しで救急車を呼ぶところでしたわ。」

「接続が噛み合ってない気もしなくはないが、すまん。」

「ほらネプテューヌ、怪獣なんていないわよ。」

「ちぇー」

「怪獣はなくとも、ケーキならありますわよ。」

 

そんなベールの使用人(ここ学生寮だよね?)が持ってきたケーキを頬張りつつ、そういえばアイエフの情報収集がうまくいってるのか気になった。あ、こいつらにはまだ知らせるなって言われてたんだった。

 

「……あなたはいついかなる時も思案顔ね。」

「そうか?」

「えー、そうは見えないけどなー。」

「大抵影は真顔よ。たまーに表情は見せるけど。」

「そうしてたまーに感情が爆発しますのよ。ノワールがブランを怒らせた時も。」

「あぁ、あったなそんなこと。最近は丸くなったと思う。まぁ、ブランを怒らせるような事象、人物はリストアップして防いでいるせいかもしれない。」

「……過保護よ。」

 

その一言で一気に笑いが広がる。

 

「はぁ、確かに過保護かもな。」

 

だって、ブランの怒ってるところは見たくないからな。

 

「結局さー、影とブランって付き合ってんの?」

「ねぷねぷ、それはこっそり聞く質問です。」

「でも結構気になって仕方ないわね。」

「影さん、男なら白黒はっきりつけて宣言してくださいまし。」

 

 

<以下、凍月君の長い長い思考をお届けします。>

しまった、会話のベクトルを自爆する方向に持っていってしまった!なんという失態だ、万死に値、まではしないけれどもどうする、一体どうすれば、どうすればいい?この場合は変に否定してはかえって誤解されて面倒になる。ましてやネプテューヌとベールが相手となると厳しい。幼なじみだと否定してもリストアップまでは普通じゃしないだろ。半分、いや7割ストーカーだよ。ノワールに切り返されるからこれも無理だ。それに気づかないノワールでもあるまい。かといって肯定すれば変に囃し立てられて校内拡散、めでたく俺はブランのファン共にいつ殺されてもおかしくない状況になる。いくらコートがあるからって校内では着れない上ナイフには効果がない。話題をずらすのもネプテューヌやベールに付けこまれる。逃げれば間違いなく執拗にネプテューヌが聞いてくるだろう。クラスの中で声を大にして質問しかねない。暗殺、抹殺される可能性を自ら作りたくはない。となるとこれは、うん。

<以上、長い長い思考でした。因みに、劇中ではこの間45秒です。>

 

「万策尽きたぁぁぁ!?」

「うわっ!?いきなりどうしたのさ影!」

「いきなりあなたが無礼な質問をするからよ。」

「いやー、でもこれだけは聞きたいよー。ね、ベール。」

「そうですわ、ほぼ誰にも心を開かないブランの心を開けた唯一の殿方が影さんなのですから、ブランがどう思ってるか気になりますわ。」

「貴女はいつからわたしの親族になったつもり?」

「いつからでしたっけ。」

「ともかく、ここでは退かないわよ、影!」

「はぁ、前にも説明したよな。」

「いやー、でもなんかこう、仲睦まじいっていう感じが漂っててさー。」

 

ちっ、無知が。人の心にずけずけと土足で。

 

「聞かれた方の身にもなれや。三下が。」

「ひゃうっ!?ねぷねぷ、謝るです!影さん怒ってるですぅ!」

「どーどー、ちょっと気になっただけだって。だからいつでも斬れますよって意思表示をしている右手を下げてくれないかなぁ……」

「他人の部屋に血は着けない。だけど、お前、常識わかる?」

 

もう限界。臨界、冥界。何考えてるかもわからない。

 

「確かにネプテューヌに常識があるわけはないけど……影のキレ方も何か引っ掛かるわね……」

「ねぷ!?裏切ったねノワール!」

「最初からあなたの仲間じゃないわよ!」

「お二人とも静かに。ここは逃げますわよ。」

「は、はいです!」

 

すたこらさっさ。一目散にベール達4人は部屋を出る。

 

「影、もう敵はいなくなったわ。」

「……居心地が悪い。帰る。」

 

殺気消さぬまま、ベールの部屋を出る。リーンボックス寮も出る。そこにはネプテューヌ、ベール、ノワールが変身して待ち構えていた。

 

「てめえら、性懲りもなく……!」

 

ブランも変身しようとする。

 

「俺一人でいい。むしろ動きにくい。」

 

俺も変身し鎧装を纏い、武器を持ち、女神候補3人相手に戦いを挑まれ、結果は次回。




初、3500字くらい!2000文字以上もレアケースなのにです。
UA1000越えで張り切りすぎました。はい。
あとネタ詰め込みました。次回は、はい。多分ドシリアスです。
本気でキレた凍月君の戦闘能力はいかに。
次回、「初夏の影月、散るは石榴の花也」
ネプテューヌ達は生き延びることができるか!?
感想、評価、活動報告にてのパロディリクエストなどなど、お待ちしてます。
あ、リクエスト消化しなければ。


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初夏の影月、散るは石榴の花也

どーも、フェルデルトです。予約投稿を使ってみました。
これなら隙間時間に書いたのを日曜に投稿出来ると思いましたが、
25話に半年かかるので毎週日曜投稿ではなく不定期更新です。
あ、あと今回はブランちゃん視点です。かわいいですよね。ほんと。
では、凍月君の怒りが迸る15話、どうぞ!


「ストレス排除システム、ロック1……」

 

確か……人は誰でも能力を持っていて、影の変身能力は制御を司るって聞いた。そして制御能力は負の感情を解放させるシステムがあって能力を安定させるとも言っていた。てことは、まさか……!

 

「さて、ここまで影さんが怒り心頭では仕方ありませんね。ここは力ずくで聞かせていただきますわよ!」

「けどベール、私、武器が無いわ。」

「そんなのそこらへんの木片か体術でどうにかしなさい!」

 

ったく、どうしてそんな好奇心がわくんだよ。

 

「ロック2……」

 

背筋が凍るような殺気が影から放たれている。

 

「……っ!?この殺気、尋常じゃないわ。」

「フレームが開いて、赤黒い光が……これは本気でくるわ。間違いなく。」

「出来れば避けたかったのですが……致し方ありませんわね、突撃しますわよ!」

「おいこらてめぇら!いい加減にしやがれ!」

 

私の静止ももう届かない。

 

「ロック3……ウォォオオォォ!!!」

 

影の全身を纏う鎧から禍々しい赤黒い光が解き放たれ、もう既に影の足元は焦土と化していた。

 

「これ、羅生門……!?」

「それでは属性無効化されるだけでは済みませんわ……!」

「じゃあ何よ!鬼呪装備だとでもいうの!?」

 

違う。この赤黒い光、稲妻は影のストレスだ。影の心の闇だ。私だからわかる。影は心で泣いている。また、泣いている……!

 

「おいおい、これじゃ洒落にもならねぇぞ……」

 

もう影はあの3人を消さないと止まらないのだろうか。たった一人、私が愛してる影の手を血で濡らしたくはない、のに……

 

「くそ、足が動かねぇ……私に向けられた殺気じゃねぇのに!くそっ!」

 

もう既に戦闘は始まってる。

 

「先手必勝!でやぁぁ!」

「後ろは頂きましたわ!」

 

ノワールとベールは影を同時に両面から攻撃する。

 

「嘘……っ!?」

「これはっ……!?」

 

攻撃が当たるかどうかの直前で二人は赤黒い稲妻に覆われ、次の瞬間には黒影と白影を抜いた影に稲妻ごと斬り飛ばされる。

 

「ノワール、ベール!」

 

時間差攻撃の為に飛んでいたネプテューヌにとっては一瞬だった。

 

「なっ……これは……」

 

影が斬り飛ばした二人は木に激突し既に女神化は解けている。変身していなかったら即死であったと思う。

 

「地面が、抉れてる……影、一体貴方は何者なの……?」

「...何者でもない。教えても、すぐに消えるだろ、貴様など。」

 

また稲妻が今度はネプテューヌに向けて迸る。

 

「くっ、なんて力なの……!」

「お前の遺言、聞いたぞ。」

『えっ……!?』

 

速い。いや、稲妻の中に入って移動したのか……って、感心してる場合じゃねぇ!

 

「終わりだ。」

 

稲妻を纏った黒影をネプテューヌに叩き込み、ネプテューヌは地面に落ちる。

 

「影……!もういい、やめろ影!これ以上……もうこれ以上、自分もこいつらも傷つけるのをやめろ!」

「何で止める。止める必要があるか?」

「そういう問題じゃねぇ!こんなの、私の好きな影じゃねぇ!帰ってこい!いいから、私のもとへ!」

 

なりふり構ってられない、下手すりゃこいつら3人は影に消される。それだけはなんとしても止めないと……!

 

「優しいよ、ブラン。俺はもう、優しくなんてなれない……」

「なら……意地でも私が、てめえを止めてやる!」

 

さっきまで出来なかった女神化が出来た。もう腹は括った。

 

「そうか。君も、俺の敵になるのか……」

 

ならねぇよ、なりたくねぇよ!

 

「その言葉……そっくりそのままてめえに返してやるよ!」

「くっ、うおぉぉ!」

 

向かってくる。やることも決めた。後は動くだけ……!

 

「ちぃっ!」

 

影の話だ。私に対する剣筋は微妙に甘いから避けやすい。地面と水平に避け、影が体勢を立て直すこの瞬間だ。

 

「貰ったぁ!」

 

私は一気に戦斧を振るい、影に直撃させると思わせる。

 

「くっ……!?」

 

直撃が来ない影は一瞬でも狼狽える。それで十分。

 

「歯ぁ食いしばれ影、こんなてめえは、修正してやる!」

「ぐぉふっ!?」

 

そのまま影は気絶。ひょろひょろだから肉弾戦に弱いことも私だからわかること。

 

「はぁ、はぁ……うまく、いったな……」

 

膝をつき女神化が解ける。私も、疲れたわ……

 

 


 

 

次に目が覚めた時は、同じ場所だった。不思議なことに抉れていた土は元に戻っていた。

 

「何があったのかしら。」

「……罪滅ぼし、かな。」

 

そこには、左頬がまだ少し腫れてる私の大事な人、凍月影が元通りでいた。

 

「おかえり、影。」

 

まだ疲れていて微笑みもままならなかったと思うけれど。

 

「ただいま。」

 

ちゃんと返してくれた影は、いつもの影だった。




いかがですか?
まぁ、はい。血みどろ回にしようかと思いましたが、
制服が破れていろいろ面倒になるのでやめました。
あ、あとしばらくちょっと更新出来なくなります。悪しからず。
でも感想、評価等はいつでもウェルカムです。どしどしください。
次回、「学園祭は祭りと言う名の戦場である」
乞うご期待!


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学園祭は祭りと言う名の戦場である。

どーも、課題に追われているフェルデルトです。
更新出来ないといいながら、暇になったので投稿しますw
そういえば学長異変といいながら学長が出てない。
黒幕ポジで最後に出しますか。では、16話。
凍月君の羅生門もどきから4日後のお話。どうぞ。


あれから4日。まぁ俺はあの後酷い筋肉痛と倦怠感と戦いながら後片付けをどうにかして、ちょうど起きてくれたブランに運ばれ無事寮につき、それから3日は激痛で起き上がれないという状態に陥りようやく今日無茶しながらも教室に入ることは出来た。

 

「あら影、全身筋肉痛は治ったの?」

「お前の耳はなんだ、光より速いのか?」

 

もう既にアイエフにはばれていた。

 

「いやいや、独自のつてよ。それよりも、ネプ子達に何か言うことあるでしょ。」

「無いな。正当過剰防衛だから。」

「過剰なのかい!じゃなくて、まぁいいわ。本人達も来たし。」

 

振り向けば奴らがいる。

 

「やっほー影、元気してたー?」

「バカなのあなたは!?確かに影が出力を抑えていたとはいえ危うく殺されかけた相手にその挨拶はなによ!?」

「えーと、4日前の敵は今日の強敵(とも)でしょー?」

「はぁ、とんだ世紀末ね。」

「元気がよろしいことで……」

 

まぁ、表沙汰は面倒だから気絶程度の威力に抑えてはいたけどやっぱもう少し痛め付けるべきだったかな?

 

「ねぷねぷ、ノワールさん、影さん、もうケンカは駄目ですよ?」

 

若干コンパが前屈みの説教モードに入ってるが、まぁ、この胸が目障りだこと。

 

「へいへい、正当過剰防衛ですけどねー。」

「思いっきり上の空じゃない、反省してるのかしら。」

 

視線を何もないところに飛ばしてるだけだ。気流の流れが面白くてね。

 

「って、正当なのに過剰って……自覚してるじゃない!」

「あ、そー言われれば確かにー。」

 

なんて雑談とともにチャイムが鳴る。

 

「チャイムか。確か一時限目は……」

「数え方に違和感を感じるわたしがいるよ、こんぱ……」

「確かにそうですね。一時間目は学園祭の話し合いです。」

「いよっ、待ってました!」

「こんな奴がいて大丈夫なのか?このクラス。」

「大丈夫よ、問題ないわ。多分。それよりも、頼まれていた件だけど。」

「……了解、流石アイエフだな。」

「まぁ対面までは時間かかるけどね。勘づかれてない?」

「わからん。その場しのぎでどうにか、かな。」

「頼むわ。あと、」

「言われんでもわかっとる。ネプテューヌ達の攪乱だろ。」

「敵はネプ子達を狙ってるから、切り札を無くさないためにもちょっと悪いけど囮になってもらうわ。」

「らじゃ。で、学園祭は?ノワール。」

「聞いてなかったの!?まぁいいわ。大体の骨組みくらいなら貴方なら推察出来るでしょ。」

「ま、な。で、策士ノワールさんは何をお考えかな。」

「それを今から聞くの!わかった!?」

「へいへい。」

 

そんな学園祭の話し合いは放課後も続いた。

 

「ねーねーあいちゃん。学園祭何するか一緒に考えない?」

「ごめんなさいね、ちょっと用があるからまた明日にでも頼むわ。」

「あらそう、影は?」

「興味ない。成り行きに任せる。」

「二人ともつれないわねー。ま、いいわ。じゃあまた明日。」

「うーっす。」

 

失敗した。攪乱任務の予定が……けどまぁ気取られるほどアイエフも間抜けじゃあるまい。が……探りは入れるか……

 

 


 

 

ひっさびさのナレーションだよー!この主人公オブ主人公、ネプ子さんのナレーションのお時間だよー!

 

「何ナレーション復帰ではしゃいでるのよ、で、議題は二つ。」

 

ちなみに、今わたしたちがいるところはテラス。その名もランカーズテラス!文字通り学業及び戦闘能力の校内序列5位以内しか入れないとんでもないところ!そんなとんでもないところでわたし、ノワール、ブラン、ベールが一堂に会している。こんぱは看護科の方の話し合いに出席しているよ!

 

「で、その議題ってなに?」

「まず、影に対する対処法。そしてもう一つはアイエフの動向よ。」

「どっちも人に絡んでおりますわね。」

「えー、でも影にどうやって対処しろって言うのさ。フェイントもそろそろ対策されちゃうよ?」

「そうね……何かいい案ない?」

「肉弾戦で殴る。けど、これもそろそろ対策される。」

「包囲して行動範囲を狭めるとかどうでしょう。」

「あらそれいいわね。ネプテューヌは?」

「うーん。影って仲間だよね。対策立てるのは大事だけど、見えない敵の対策を立てようよ。」

「私だってそうしたいわよ!まぁ、確かにネプテューヌの言う通りね。影がいないと色々大変だったし。」

「確かにそうですわね。昔もいろいろお世話になりましたわね、ブラン。」

「そこで私に振るのはともかく、影は必要不可欠。敵になっても、私が説得できる。で、アイエフの方は?」

「アイエフの方は……そうね、最近どうも様子がおかしいのよ。委員会とかやっているわけでもないのに放課後にはいっつも用があるって言ってすぐどこかにいっちゃうから……」

「もー、ノワール、人を疑いすぎだよー!」

「あなたは疑わなすぎなの!はぁ、気になって仕方ないのよ。」

「では、尾行という手はどうでしょう。」

「尾行?」

「それは名案だよベール!」

「その手があったわね、じゃあ明日辺り影にも声かけてみる?」

「いや、影は今全身筋肉痛で気配を消しきれないからかえって荷物。」

「ならコンパ辺りね、せめて5人は欲しいわ。」

「では、決まりですわね。」

 

あ、ナレーションを入れる場所が久々過ぎてわからなかったよ。そのせいかな、消しきれない気配をどうにか消してランカーズテラスの死角から聞き耳を立てている影に気づけなかったよ。

 

 

「はぁ、面倒なことになった。」

 




以上、16話でした。
次回、「先手だって後手に回る」
感想、評価、活動報告にてのパロディリクエスト、お待ちしてます。


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先手だって後手に回る

どーも、ノゲノラを一気見したフェルデルトです。
いやー、面白かった。じゃなくて、17話目ですね。
1章もまもなくクライマックスなので、気合い入っております。
では、第17話、お楽しみください。


アイエフが秘密裏に情報をいろいろ手に入れている。で、それを怪しんだノワールが他3人の女神候補に報告。そうしてネプテューヌのワケわからん提案で今、俺とアイエフは尾行されている。やれやれ、アイエフと共に情報の収集に回ろうと思った矢先にこれだよ。

 

「しかし影、考え過ぎよ。ネプ子らしい人なんていないし第一……」

「こうも無駄にたくさん資材と人がいては追えるものも追えない、か。いささかそうは思えんがな。」

「確かに一理あるわね。目を隠す能力か隠密能力、または気配消去能力でもない限りは無茶ね。私だって御免よ。」

「だろうな。最後のは一人にしか効かない生徒会長さんの能力だろうし、どこかの目にまつわる組織でもないし、ましてや変身したらバレる。」

 

しかし、何かひっかかる。

 

「影、こっちよ。」

「あぁ、悪い。」

 

教職員棟か。先生に情報を聞き出す程アイエフはバカじゃない。なら。

 

「何もない茂みに着くよねー。アポトキシン用意しとく?取引するんだろ?」

「そんな物騒なのはいらないわよ!まぁ、でもいいわ。向こうも来たし。」

 

全身黒づくめ、か。やっぱアポトキシン欲しいかな。

 

「そうだな。素晴らしい情報が手に入れらr……!?」

 

唐突な背後からの気配。これはネプテューヌか!

 

「この金の亡者共めー、あいちゃんに手を出すなー!」

「ね、ネプ子!?」

「いやこっちのセリフだよ!」

 

黒づくめの男の一人に飛び蹴りを浴びせようとしたネプテューヌの足首を掴み、飛び蹴りを防ぐ。

 

「ねぷっ!?ちょっと、私制服だからスカートなんだけど!?」

「で、それが何?中身を見てほしいとか?」

「違う違う!というか、その二人は危険だよ!?」

「はぁ?勉強で覚えることが多くて思考回路が灼き切れたか?」

「ちょっと、それ酷くない!?」

「いいや全然……っと、後ろだな。」

 

後ろからノワールとブランが出てくる。

 

「あの秀才二人が灼き切れた思考回路に踊らされるとは。君も踊って貰おうか!」

「え、ちょ、ま、えぇぇ!?」

「人間フリスビー、なんつって。」

 

ネプテューヌの足首を持ったまま回転し、遠心力を付けてネプテューヌを投げる。

 

「ちょ、影!目が回るぅぅぅ!?」

「観念しなさい悪とk、のわぁぁ!?」

 

ノワールにクリーンヒット。それで狼狽えないほどブランは強心臓ではない。

 

「はーい、そこまでだよー。」

 

ブランの首元に腕を回す。

 

「……っ!影、どういうこと?」

「いや、こっちが聞きたい。」

「あいちゃん……そいつらは危険だよ……離れて……」

「あんたねぇ!」

「じゅあっぐ!?」

 

わーいたそーだなー。俺が今までで一番厳しいツッコミはフォークだけどそれに匹敵したね。

 

 


 

 

「はぁ、素晴らしい。どうして初対面の二人が悪徳金融業者の回し者でそいつらと金と命を賭けてゲームをするから俺を呼んだ。という考えに行き着くんだ、非論理的ではないか。羨ましい限りだよ。」

「完全に皮肉ね、影。で、この二人は何なの?」

「アイエフに聞け、でもまずその前に、ネプテューヌよぉ……」

「はい、なんですか……」

「完全にネプテューヌがしおれているなんて珍しいですわね。」

「けど、さすがに今回はネプテューヌは悪くないわ!」

「へ?わっでぃっぢゅうせい?」

「え?だ、だから、ネプテューヌは悪くないの、今回は!」

「ほわっと!?そんなはずないのデース!?」

「影が壊れたわね……ノワール、ギルティ。」

「え、そっち気にするの!?じゃなくて、どういう意味?ノワール。」

「もう、面倒だから全部話すわ。」

 

~黒の少女説明中~

 

「なるほどねぇ……尾行、上手かったけど気取られてたよ。確証は無かったから尾行に気づいてないふりをしてたけど。」

「え、影、気づいてたの?」

「いや、知っていた。ランカーズテラスの話し合いからね。」

「つまり、全部影さんには筒抜け、と。」

「そのとーり。さーて、あとは皆様が気になってることが一つあるでしょう。それはなーに。回答権はこの話で一番出番のない子に贈呈、というわけでコンパ君、答えたまえ。」

「え、えーっと、その黒服さんたちは一体何者です?」

「そう、それ。」

「ちょっと影、私無しで話を進めるな!」

 

はいはい。こりゃ失敬。

 

「全くお堅いんだから。で、君たちは何者なのかっていうのは……アイエフから答えて貰おう。」

「はぁ、仕方ないわね。ついてきなさい、説明は歩きながらするから。」

「で、着いた先が古びた教会とな。読めないな。」

「へぇ、影でも演算不可なのがあるのね。」

「当たり前だ。俺を誰だと思ってやがる。」

「それは否定的な当たり前には使えないと思うのですが。」

「敢えて答えるなら、戦闘序列一位の凍月君!」

「復活してるわね……あ、ここ狭いから一人ずつね。」

「じゃあ、私一番ー!」

 

そうして狭い道を抜けた先は、無駄に広いホールらしき場所だった。

 

「連れて来ました。今良いですか?」

 

連れてきた?どういうことだ……?

 

「待ってましたよ。アイエフさん、皆さん、そして、凍月さん。」

 

……ティファ!?サテライトキャノン撃たせようっての!?

 

「ってか、眩しっ……日光でギリギリなのにこの輝度は厳しいっての!」

「な、何が起こってるですー!?」

 

そして、光が収まった時現れたのは……

 

「妖、精……?」

 

金色の魔法の粉は持っていなさそうな妖精がいた。

 

 




いかがでしたか?
いーすん出てきましたようやく。20話で1章終わるかなー?
次回、「性能なんていくらでもひっくり返る。」
サブタイが雑になりつつある。
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性能なんていくらでもひっくり返る。

どーも、ギルクエ回して憔悴してるフェルデルトです。
ゴールデンウィークですねぇ...今年は月金が平日なのでそんな気にはなりませんね。
で、18話です。妖精こといーすんは何を告げるでしょうか。
では、どうぞ。


「どういうこった、初対面で名前を把握されてる...けど死神とは

 思えねぇ...何者なんだ...この妖精...」

 

「警戒し過ぎよ、影。まぁ、説明はお願いします。」

 

敬語!?てことはやっぱとんでもない存在...

 

「そうですね。私は...この学園の理事長と言ったところです。初めまして、

 ですね。皆さんのことはアイエフさんからいろいろ聞いております。」

 

「り、理事長さんです!?」

 

「えーっと、いーすんが理事長なの...?」

 

「へ...ネプテューヌ、知ってるの?」

 

いーすん...?この妖精の個体識別名称、にしてはくだけてるな。

 

「え?いーすんって、何...?」

 

「ちょ、自分で言っといてそれは...」

 

「けどねぷねぷは記憶喪失でしたから...」

 

「...今もそうでしょ?」

 

「そうですわね...時折そうとは思えないですが。」

 

「ともかく、アイエフ、進めてくれ。」

 

--これじゃ話が進まねぇ...

 

「えぇ、そうね...」

 

アイエフとその妖精は顔を見合せて妖精は微笑み頷く。

 

「私は理事長の依頼でみんなを、特にネプ子と影を監視してたのよ。」

 

「「か、監視!?」」

 

「二人とも落ち着いてくださいまし。まずはあいちゃんの

 お話を最後までうかがいましょう。」

 

「ありがとベール。理由はマジェコンヌ学長がネプ子を狙っていたからで、

 それを邪魔されるかもしれない影の存在にも気づいたから、本来ネプ子

 だけだった監視を影にもしてたのよ。」

 

「よく聞いてください、皆さん。今のマジェコンヌ学長は悪しき力に

 呑み込まれ、正気の、本当の学長ではなくなっているのです。」

 

「ど、どういうこと?」

 

なるほど、そういうこと。

 

「つまり...あの岩の巨人を差し向けたのは学長だったってこと。

 校内の問題が校外にリークされたのはアイエフの仕業、でもって

 そろそろ真打ち登場、といったところか。」

 

「影、もう全部説明された私の身にもなってよ...」

 

「現に俺はアイエフが情報集めてるのは知ってたぞ。まさか監視

 されてるとは思わなかったけどな。」

 

「焦ったのよ、感づかれたって。」

 

「ぷしゅー...」

 

場違いな声を上げたのはネプテューヌ。頭から湯気が出てる。

 

「ちょ、ネプテューヌ!?大丈夫!?」

 

「...影、少し整理して。出来れば三行で。」

 

「んー...三行というのは厳しいかもだけど、

 学長が俺らを狙ってる、

 そろそろ襲撃だろう、

 対策練りなされ。

 と言ったところかな...でしょ、理事長イストワール。」

 

「はい。流石は影さんですね。あと、ネプテューヌさん、手を...」

 

「手を?えっと、こう...?」

 

ネプテューヌがイストワールに手をのばす。

 

「これは、あなたからあなたへの贈り物です。受け取ってください。」

 

直後、ネプテューヌの手に一本の刀が。

 

「うおー、なにこれかっこいい!」

 

--子供かい!

 

「すいません、お時間のようです...マジェコンヌは、ザザ、

 皆さんの...前に、ザザ、必ず現れます...ザザザ...

 どうか、彼女を...止めて、ください...ザザー...」

 

切れた...何か色々引っ掛かる...

 

「い、いなくなったです...」

 

「そりゃこんな地下でビデオチャットなんてしたらそうもなるよ。」

 

「いや、ビデオチャットで物は渡せないわよ!」

 

「一つ分かったのは...お前ら女神候補が四人がかりで挑んで

 ギリギリの俺がかなりの危機感があるということ、即ち、」

 

「「即ち...?」」

 

ベールとブランが同時に聞いてくる。

 

「今のままじゃ勝てない。性能差も、実力差もありすぎる。」

 

「何よ影、私達が負けるとでも!?」

 

「事実を述べているだけだ。未来なんざ不確定要素の塊。

 けど、未来に事実は存在しないのなら、強くなればいい。

 俺を1vs1で勝てるようになれ。強くなったぞ。俺は。」

 

「けど影、前期祭は明日からよ!?」

 

「その通り。だからもうほぼ手はない。行き当たりばったりの

 戦闘になる。だからせめて、いかなる状況にも対応できるように

 明日からの前期祭のパトロールを我々でやろうと思う。」

 

「...名案ね。学長からの直接攻撃も防げる。」

 

「そして前期祭の治安も守られる。大賛成よ。影。」

 

「んじゃ...しばらくはこれで行こう。ベール、ゲーマー的戦術

 指揮は任せたぞ。俺は裏でアイエフと作戦練るから。」

 

「何勝手に決めてんのよ...別にいいけど。」

 

「決まり。持ち場云々とか手続きはノワール、任せていいか?」

 

「はぁ、何気面倒だけど、お安いご用よ。」

 

ニヤリ。

 

「よーし、返り討ちにしてやるよ、悪しき心の学長よ!」

 




以上、18話でした。後2か3話で1章終了です。
次回、「決戦前、早めの晩餐」
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決戦前、早めの晩餐

どーも。デアラを一気見して徹夜テンションのフェルデルトです。
ともかく19話ですね。ついに前期祭始まります。
凍月君の戦略が効を奏すのでしょうか。
ではでは、第19話、どうぞ。


「影~!ノワール!一体もう何なの!前期祭始まってもう

 5日だよ!特に成果がないなんてどーいうこと!?」

 

うるさいなぁ...確かにそーだけどさ。

 

「あのねぇ、ネプテューヌ。これでも結構先生方には好評なのよ。

 来年からは本格的に組織するって言ってたわ。」

 

「そうです。たくさんの人を助けることは大事なことです。」

 

「コンパの言う通り...ブラン、問題は?」

 

ちょうど戻ってきたブランに報告を頼む。

 

「...問題ない。ルウィー寮の近くにいた妊婦さんが急に産気づいたり

 子供が迷子になったりはしたけどね...」

 

「なるほど、ベールは?」

 

ブランの報告直後、ベールが来た。

 

「こちらも問題ありませんわ。まぁ、リーンボックス寮で犯罪紛いの行動をする

 不埒な輩が現れたので、その輩の対処はしましたわね、事なきを得ましたが。」

 

「あらそう。5日間何も無しは結構きついよ...」

 

「全員いるみたいね、待たせたわ...」

 

アイエフご登場。

 

「ちょっとあいちゃん!あと影!全く効果ないんだけど、

 何もないんだけどこの作戦!一体どういうこと!?」

 

「わたくしもその点に関してはあいちゃんに聞きたいですわ。」

 

「ノワールとコンパだけ、無駄に張り切ってるのも、なんかイタくて嫌...」

 

「まぁまぁ、落ち着いてよ。みんなのお陰で私は隠密行動が

 とりやすくて楽できてるんだから。」

 

「...なるほどなー。学長の行動を掴むためのカムフラージュ。

 名案だな。どうせ情報は掴んでいるんだろ?」

 

「もちろん。んじゃ、ホラーの館に向かうわよ。話はそこでするわ。」

 

「あいあいさー。行くぞー。」

 

--と、言ったのにも関わらずにだなぁ...

 

「なんで、なんでメイド喫茶にいるの!?しかもこの中に精霊とか

 女装した男子とかナイフ隠し持ってたり時間止められたりする人

 がいてもおかしくないよねこの人の数!」

 

「...パニクり過ぎよ、影。」

 

「えっと、じゃあこのパフェちょうだーい。」

 

「ちょ、どこがホラーなのよ。あと何勝手に注文してんのよ!」

 

「落ち着いてよノワール、まぁここは監視ポイントよ。」

 

「なるほど、監視用ね...いかにもバレにくいじゃないか。」

 

「そうね、ネプテューヌ、あなた話聞く気ある?」

 

ほんとにな。ネプテューヌはパフェを攻略中だ。

 

「だいじょぶだいじょぶ。耳は空いてるから。」

 

「耳だけでなく目も使いなさい。ほら、外見る。」

 

外には黒くて大きな建造物があった。

 

「どうみてもさっき言ってたホラーの館だな。お化け屋敷単体に

 しては無駄にだだっ広いぞ。」

 

「そう、お化け屋敷と迷路の複合アトラクションよ。定番ね。」

 

「それのどこが問題です?まさかさっきのベールさんが

 やっつけた人たちが蔓延っているです!?」

 

「そんなんだったらどんなにいいか。はい、双眼鏡。」

 

双眼鏡はベールに回る。

 

「看板の近くを見て。3,2,1、はい来た。」

 

「あれは...マジェコンヌ学長ではございませんの?」

 

「その通り。今日も時間通りね。学長は前期祭が始まってから

 毎日この時間にホラーの館に入るわ。コスプレじみた格好でね。」

 

「...アトラクションを手伝っているとか?」

 

「いや、流石にそれは無いと思うよ、ブラン。」

 

「影の言う通りよ。流石に中で何をやってるかまではわからないから、

 まぁ何か分かったら随時報告するわ。」

 

「あいちゃん!お役目ご苦労!よくやった!」

 

不意討ち。ネプテューヌが口を開いた。

 

「「は?」」

 

俺とアイエフは同時に万能な疑問詞を投げ掛ける。

 

「学長が中で何をやっているかなんて、今から私たちで突入すればいい話じゃん。」

 

「お前なぁ、狙われてる身でよくもまぁそんな楽観的な考えに行き着くよな...」

 

「楽観的じゃないよ!肌身離さず持ってるこの剣を見てよ!」

 

--光ってるな。

 

「光ってるな...で、それがどうかしたのか。」

 

「うん、私はこの剣にね、あの館へ行けー、って急かされてるような気がするんだ。」

 

「...剣に、か。繋がったぞ。作戦指示は俺が出すからちゃんと動けよ?」

 

「え、影今ので分かったの!?てか信じるの!?」

 

「気持ちは嬉しいんだけど、影。突入するのは私たち4人。

 私と、ノワールと、ベールとブラン。」

 

「はぁ!?それじゃ詰むぞ!?狂気の沙汰じゃねぇか!」

 

「じゃあ私たち3人はどうしろと!?」

 

「では、わたくしにいい案がありますわ。」

 

「俺はナポリタンを注文する。すいませーん。」

 

「では、コンパさんとあいちゃんには...」

 

「なんですか、ベールさん。」

 

「何、とても嫌な予感がする...」

 

(10分経過)

 

「まぁ、お二人ともなんて可愛らしい...」

 

「わぁ、メイド服です、一回着てみたかったんです...!」

 

にこにこしてるコンパとは裏腹に、

 

「一体全体なんで私がこんな格好を...!」

 

同じくメイド服をき着たアイエフがご立腹。

 

「似合ってるぞー、アイエフー。」(←パフェを追加注文した

 

「ぶっ...うっさい!」

 

「じゃー三人ともー、監視宜しくねー。もしもの時は頼んだよー。」

 

もしもの時...考えたくはないな...

 

「装備を万全にしておきますか。結構、危ない橋だろうし...」

 

そしてこれから30分後、学長と女神科の4人との戦闘が始まる。




以上、19話でした。
そういえば2000文字位に文字数が伸びました。
さて、遂に最終決戦ですね...一体どうなる!?
次回、「砕けるは凍てついた月(前編)」
これは、一体どういう意味!?
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砕けるは凍てついた月(前編)

第20話、前編でございます。
どーも、19話を投稿して力尽きて6時間くらい眠ってたフェルデルトです。
さーて、決戦ですよ。文字数なんて気にしなーい!頑張りまする。
では、どうぞ!


...ネプテューヌ達の突入から20分。

「状況は変化なしか。装備のゲイン計算とか済んでないけど...大丈夫かな...ブラン...」

 

せめて遠距離狙撃用のライフルくらいは準備しようか...

 

「あれから20分ねぇ...やっぱり心配?」

 

「当たり前だ。まぁ俺が心配する必要はないだろうけどな。」

 

けど、かなり時間がかかってるのも事実。

 

「君たち、少し黒板借りていい?」

 

「いいですよ?ご主人様。」

 

俺は主人じゃない、主人公だ。

 

「影、何する気?」

 

「ちょっと計算を。ね。」

 

カカカカカカカッ

 

「な、なんですかこれは!?凄い難しそうな式をすらすらと書いてるですぅ!?」

 

「しかも高速ときた...把握演算を応用して頭の中で考えた式を書き出しているの?

 一体、何の式...!?」

 

「気にするな。まぁ...これでいくかな...」

式を書く手を止め、今度は鎧装装着(アームズドライヴ)を使用して武装の組み立てに入る。

 

「ちょ、影。こんな人がいるなかでそれは...」

 

「装備完了。長距離狙撃武装、名前は、そうだな...ディレットシューターでいいや...」

 

「影さん、どこ行くです!?」

 

「狙撃ポイント。どうにも嫌な予感がするからな。勘定は皿の下だぞー。」

 

「はぁ!?待ちなさいよ!」

 

「あいちゃん、あいちゃん、影さん、10000円札置いてるですよ...?」

 

「...余計追わないといけないじゃない!」

 

そんなこんなでホラーの館から少し離れた旧校舎の屋上に到着。

 

「突入からそろそろ30分...狙うか...?」

 

屋上にうつ伏せになりディレットシューターのスコープを覗きこみ、

ホラーの館を見た時、ちょうど正面から5つの人影が爆発と共に空中に躍り出た。

 

「あれか...!」

 

すかさず倍率を拡大する。

 

「変身してるブラン達と...学長か...目ぼしい装備は右手のロッドだけ...

 しかし、左手のあのクリスタルも怪しいな...おまけにギャラリーが

 集まり始めた...狙撃は厳しいかな...」

 

戦いにくくしたうえで攻撃を仕掛ける、か、戦法としてはかなり下級だけど

効果的だな...悪しき力に蝕まれし者だね...やはり...

 

「防戦一方か...せめてギャラリーを逃がせばどうにか...!?」

 

突如、学長の持っていたクリスタルが黒い光を放ち、地面から

土の人間らしき異形のものが現れた。

 

「マドハンド、違うな...スコップで斬ればどうにか...いや、

 もともとスコップは斬撃武器じゃないな...」

 

ギャラリーの何人かが土の異形に取り込まれ増殖していき、

ようやくギャラリーがいなくなった。

 

「よし、撃てる...って言ってもなぁ、敵が多くてどうしようもないか...」

 

ブラン達が斬って斬って斬りまくっても敵の数は減らない。むしろ増えてる。

 

「ち、随分と面倒な能力...いや、あのクリスタルの効果か...」

 

ならば、あの小さい点のようなクリスタルを狙い撃つだけ。

 

「直線距離は...だいたい700m...射角調整、気温、湿度、風向速確認。

 撃ってから0.4秒後に着弾するから...相手の行動範囲を予測して...」

 

照準を少しずらす。

 

「もらった...ズドン。」

 

銃口から放たれた光は学長の左手にあったクリスタルを正確に撃ち抜いた。

 




以上、第20話でした。
影君の狙撃制度、恐るべし。但し3章に出るユニのほうが更に上です。
次回は後編、いえいえ中編です。
てなわけで次回、「砕けるは凍てついた月(中編)」
影君が戦場に舞う。


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砕けるは凍てついた月(中編)

どーも、連続投稿してしまいました。フェルデルトです。
特に前書きは無いです。では、どうぞ。


「この狙撃は、影ね...!」

 

いきなり学長、マジェコンヌの左手にあったクリスタルは影の放ったビームにより

破壊された。コピー人間も消え、いるのは私たちとマジェコンヌだけ。

 

「おのれ、何者だ、この私の邪魔をしたのは!...まぁいい。

 ならば私が直々に相手をしてやろう。光栄に思え!」

 

「ならそうさせてもらうわ...!?」

 

--足が、動かない...!?

 

「何なのこれ!」

 

「全く、動けませんわ...」

 

「ちくしょう!何がどうなっていやがる!」

 

一体全体何が...?

 

「ふはははは、ようやく効果が出たか。このグラレッカの杖の効果がな...!」

 

「グラレッカ...っく...」

 

--体中が、重い...

 

「貴様達はもう二回この杖の呪いを受けているのだよ。

 あとは時間の問題になっていたのさ。」

 

く、このままじゃやられる...!

 

 

「...お前の命もな。」

 

 

「何...!?」

 

マジェコンヌは咄嗟に飛び退き、直後に彼女が立っていた辺りの土が

ビームによりえぐれたのであった。

 

「これは...まさか...」

 

「影か...!」

 

「はいはーい。解像度が落ちてるお嬢さん方、お待たせしましたねぇ...」

 

「貴様...!何者だ...!」

 

「通りすがりの序列1位、凍月 影。覚えなくていいよ。

 異次元同位体のマジェコンヌさん。」

 

既に変身してる影の背中はとても安心感があった。

 

---------

 

「異次元同位体...だと?」

 

「あー、気にしなくていいよ。どうせ、すぐ消えるでしょ?」

 

「ほざけ...!」

 

マジェコンヌは杖を振るい俺の解像度を落とそうとする。

 

「もう手の内はばれてるよ。」

 

悠々避ける。でもって、スラッシュバレットで乱れ撃つ。

 

「ちぃ、面倒な武器を使う!」

 

「ほーら、貰った!」

 

「っく...、貴様ァ!」

 

斬りかかったスラッシュバレットは杖で防がれる。

 

「意外と頑丈、か。うおっと...!」

 

杖から放たれる衝撃波を間一髪で避けるも、

スラッシュバレットは四角いブロックと化した。

 

「あーりゃりゃ、こりゃ面倒。」

 

白影、黒影を抜刀し、不利な接近戦に移行。

 

「ふむ、向かって来るとは、面白い!」

 

「あっそ。」

 

得意の二刀流で踊るように斬りつける。杖の力を使わせる隙を与えぬように。

 

「ふむ、ではこれでどうだ...?」

 

不意にマジェコンヌが杖ではなくその手で剣撃を止めた。

更に、その瞬間に杖の力を行使。

 

「っく、仕方ねぇ!」

 

白影を離し、杖の攻撃を間一髪でかわす。が。

 

「もらったぞ!!」

 

「しまっ...っ!」

 

体勢が思いっきり崩れた。マジェコンヌの手に渡った白影が確実に俺を捉えてる。

 

「一か八か...!南無三!」

 

背中のコンテナ兼スラスターを逆噴射させて避ける。

 

しかし、当然避けきれる筈もなく。

 

「ぐあっ...にゃ、ろ...」

 

左目に白影の切っ先が当たり、切れた。

 

--それ即ち、左目を失ったのだ。

 

「影...!」

 

目を襲った痛みと出血で誰が俺を呼んだかはわからない。

 

「ふふふ、まだ行くぞ!」

 

マジェコンヌの攻勢は緩まない。寧ろ加速してる。

 

「ちくしょう...!」

 

俺はもう杖の攻撃を避け、白影に少しずつ斬られていく状態。劣勢のジリ貧である。

 

「うぐっ...」

 

斬られた目が痛んだその一瞬の隙を着かれた。

 

「終わりだ...!」

 

そうだな、終わるな、これじゃぁ...

 

「影ーーッ!!!」

 

--......っ!

 

 

「何っ...」

 

 

「危ねぇ...まぁ、どっち道めちゃくちゃ痛いんだけどね...」

 

マジェコンヌの突いた白影は俺の心臓を目掛けていたが、

またもや間一髪で回避、しかし左肩に深々と刺さった。

 

「ちぃ、悪運の強い奴だ...!」

 

「ま、お陰で杖は壊せるけどね。」

 

腰にマウントしていたディレットシューターをグラレッカの杖に向け

0距離でビームを放つ。

 

「なっ...!よくも、よくもやったな...!」

 

「そのまま返すよ...って、黒影は...?」

 

「ふん、ここだっ!」

 

なんと、マジェコンヌは杖を失った代わりに黒影を奪い、再び心臓を狙ってきた。

 

「しつこい...!」

 

俺は跳んだ。それは判断ミスだった。

 

「ではこれでどうだ!」

 

マジェコンヌの振るった黒影は俺の左膝から下を落としていった。

 

「ぐあぁぁぁぁぁ...!?」

 

万策尽きたな...斬られた衝撃で吹っ飛び、俺は意識を失った。

 

「嘘...影、影ぃぃぃ!!!!!」

 

ブランの悲痛な叫びを聞いて。

 




衝撃。影君重傷。
次回、「砕けるは凍てついた月(後編)」
感想、評価、活動報告にてのパロディリクエスト、お待ちしてます。


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砕けるは凍てついた月(後編)

どーも、ゴールデンウィークとは何ぞやと思ってるフェルデルトです。
まぁ、1週間早いゴールデンウィークみたいなのはありましたが。
では、後編、参ります。


「影、影...!」

 

杖の効果が消え、よろけながらでも私は影の所へ向かう。

後ろではベール達がマジェコンヌと死闘を演じている。

 

「死んでねぇよな...生きてるよな...影...!」

 

後で私の背中を守ってくれた3人にはお礼をしないと。

 

「着いた...っく...」

 

正視出来ない。あまりにも出血量が多いのだ。

 

「影...なんでこんなになるまで...」

 

氷の魔法を操り止血はするも、左目、左足がもう無い影は

見てて涙が出てくる...変身も解ける。

 

「影...嫌...私は、あなたを失いたくない...ねぇ、影...

 私を残して逝かないで...お願い...」

 

影の右手を握る。まだ温かい。

 

「生きてる...?なら早く病院に...」

 

「動かすな...痛むだろ...」

 

その声は紛れもなく今にも死にそうな私の大事な人の声だった。

 

----------

 

「影の黒影だけなのに、やっぱり強い...」

 

いーすんがくれた剣を振るってるのにも関わらず、流石妖刀といった

ところね...けど、負けるわけにもいかない...!

 

「はぁぁ!」

 

ノワールが高速で撹乱して、ベールが槍で隙を突き、私が追い討ちをかけている。

 

「っく、しかしまだ足りないぞ女神共!」

 

ジリ貧ね...

 

「せめて影が起きてブランがこっちに来れば...」

 

そう言った矢先。

 

ギュゥゥゥン...

 

「え...?」

 

ちょうど私の顔の真横をビームが過ぎていった。

 

 

--時は遡って数分前。

 

 

「よぉブラン...戦闘はどうした...まぁいいや...死にきれないとこだったし...」

 

「馬鹿...!あなたは死なない、私が死なせたりなんかしない...!だから弱気にならないで...」

 

--その通りだな...って、泣いてるじゃないか。

 

「泣くな、とは言えねぇな...」

 

しかし、後ろがまだ激戦か...手持ちはディレットシューターだけ。

 

「そうよ...大事な人がこんな大怪我して泣かないはずないじゃない...」

 

「だな...ブラン、少し頼んでもいいか?」

 

もう俺は死んだものと思われてるならチャンスはある。

 

「頼み...?」

 

「あぁ、右腕を支えててくれ...目標を狙い撃つから...」

 

「正気...!?こんな大怪我なのに..!?」

 

--右腕は動くしな。

 

「正気だ。あいつは今俺らは戦闘出来ないと思ってる。

 なら、その油断につけこんで撃ち抜く。」

 

「...相変わらず戦術を組むのが早いわね...いいわ。」

 

「サンキュ...」

 

ディレットシューターをマジェコンヌに向け、右腕をブランに

支えてもらい、照準を定める。

 

「なぁ、ブラン。満足か?こんな世界で。」

 

「いきなりどうしたの、死亡フラグはお断り。」

 

「フラグ関係無しに。満足かどうか。こんな大事な人が傷つくのを

 黙って見てるしかなかった世界。満足か?」

 

「そんな質問のしかたされたら...満足しないわ。もっと平和であってほしい。」

 

「平和、か...その為の俺の血なら...仕方ないか。」

 

あと少しで撃てる...まだぶれてる...

 

「肯定はしないけど否定もしないわ。あなたは私達を守ってくれた。

 今度は、私達があなたを守る番。」

 

「そう...ならさ、とっととあいつ、倒そうか...」

 

「えぇ、完膚なきままに、叩きのめす。」

 

「だから、さ...」

 

照準が合う。

 

「「狙い撃つぜぇぇぇ!!」」

 

そうしてネプテューヌの横を通った光条は見事にマジェコンヌに

直撃、一瞬の隙を作った。

 

そして。

 

「いける..!私の必殺技パート1!ネプテューンブレイク!」

 

「ぬおぉぉぉ!?」

 

ネプテューヌの今まで見たことのない剣撃がマジェコンヌを倒した。

 

「やったな...ブラン...」

 

意識が飛びそうだ...誰か、俺を呼んでる、のか...?

 

「そうね、影...じゃあ早く病院に行かないと...」

 

「そうだね...もう、泣いてないか?」

 

ロムラムの事を教えてくれたあの時みたいに。

 

「ええ。大丈夫よ。」

 

こっちを向いてブランは微笑んだ。

 

「そう...なら、いいかな...」

 

ブランの唇に俺の唇を合わせる。

 

「...!?」

 

--そら驚くよな...もう十分だよ。

 

「ありがと、ブラン...また、会おう、な...」

 

後は運に任せて、俺の意識は三途の川を通行出来るかどうかの

選定を待つだけの暗闇の中に放り込まれた。

 

 

「え、い...?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嘘、よね...影...こんなの、あんまりだろうが...!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、凍月 影は生死不明となった。




一章終幕!
まぁもう一話ありますけど。
影君、果たして生きているのでしょうか。
話続かない?やめて、そんなこと言わないで。
あ、言ってませんか。←おいコラ。
まぁ、そんなこんなで次回予告いきます。
次回、「遠い夢の祭」
影君、色々ズルいですよね。
感想、評価、活動報告にてのパロディリクエスト、お待ちしてます。


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遠い夢の祭

どーも。課題と碁の勉強に勤しんでるフェルデルトです。
影君みたいに把握演算の力があればいいんですが。
無い物ねだりしても仕方ないので1章を閉じます。
1ヶ月とちょっとですね。引き続きよろしくお願いします。
では、どうぞ。


「救急搬送から計算してももう8時間...ただの存命手術にしては長すぎない?」

 

「そんなこと言ってはいけませんわノワール。お医者様は必死なのですよ?」

 

「そーだぞノワールー。けどさー、ゲーム機が使えないのはもう無理ー...」

 

ノワールは愚痴、ネプテューヌはぐだぐだ。

けど確かにじっとすることに慣れてなければ

こんな長時間は座ってられない。

 

「あいちゃん、影さん大丈夫でしょうか...」

 

「...難しいわね。ブランの止血とコンパの応急措置で

 どうにかなるほど甘くはなかったみたいだし...

 けどコンパはよくやったわ。流石看護師の卵ね。」

 

「うぅ、でもとても怖かったです...」

 

「あんな出血量で平然と出来る方がおかしいわ。ともかく、

 夜ももう遅いからコンパとネプ子はもう帰りなさい。」

 

「えー、あいちゃんはどーすんの?」

 

「私は寝ない事は一応慣れてるし、もし教員が来たときに少しでも

 論理的に説明出来る人員が欲しいでしょ。本来その役目の影が

 あんなになってブランが、ノワールとベールもかなりのショックを

 受けてるし、あんた達二人は今日一番働いたんだからゆっくり

 休みなさい。後は私たちでやるわ。」

 

「あいちゃん...わかったです。行きますよ、ねぷねぷ。」

 

「あ、うん、じゃ、みんなー、おやすみー。」

 

「この状況でよくもおやすみなんて言えるわね...美味しいところ持ってった上に

 コロリと死にそうなクラスメート目の当たりにして...ホントに死んだら

 私がもっかい殺してやるわよ、影...!」

 

「しかし、影さんがいなくては私たちは勝てませんでしたわ。

 最悪、必要な犠牲だったと考える必要も捨てきれませんわね。」

 

--必要な、犠牲だった...?影が...?

 

「ふざけんなよベール...影が必要な犠牲だっただと!?」

 

「うっく、あくまで最悪の状況ですわ。わたくしだって影さんには

 死んでほしくありませんもの。ですから、落ち着いてくださいまし。」

 

--確かにそうだ。そうなるかもしれない。

 

私はベールの胸ぐらを掴んだ手を離した。

 

「人の命はゲームとは違うんだよ...もう、下手すりゃ影は...!」

 

その時、長く点いてた手術中のランプが消えた。

 

「やっと終わったのね、手術。」

 

「さて、吉と出るか凶と出るか...出てくるわよ。」

 

閉ざされた扉から、一人の人影が出てきた。

 

--手術の執刀医だ。

 

「先生、影は...大丈夫なんですか!?」

 

数瞬の間。

 

「あぁ、手術は無事に終わった。とんでもない精神力の

 持ち主だね、彼は。今日は遅いから、また明日来なさい。」

 

「よかった...影...ありがとう、ございま、す...」

 

バタン

 

「ちょっと、ブラン!?」

 

「ブラン、しっかりしてくださいまし!」

 

「安心して緊張がほどけたのよ。とりあえず今日は帰りましょ。」

 

 

--そして翌日。

 

昨日のドンパチ騒ぎで前期祭は中止になったが、もう既に新聞部が騒ぎの

いろはをもうものにしており、学園中の関心は凍月 影の生死の真相であった。

 

「人目を避けて病院に行くのは大変ね...」

 

「わたくし達はもう既に誰でも知ってる有名人ですから。」

 

「それにこの騒ぎでヒートアップしたでしょー、いやー、人気者はつらいなー。」

 

「何か手はないのかしら。病院に新聞部が来る前に会いたい。」

 

「仕方ないわね...一度に6人にかけるとなると結構負担かかるけど...」

 

「あいちゃん?何するです?」

 

「特殊能力を使えるのは、なにも影だけじゃないのよ。」

 

「おー、てことはあいちゃんも!」

 

「そういうこと。第一能力、隠密...!」

 

「なにも変わってませんよ?あいちゃん。」

 

「無駄口叩かない。維持するの大変だからとっとと行くわよ。」

 

「え、ちょ、待ちなさいアイエフ!」

 

病院到着。

 

「まさかほんとに誰にも見つからないなんて...」

 

「へへっ、どんなもんよ、私にかかればこのくらい、

 って言いたいけど疲れたわ、先行ってて。」

 

「わたしも、あいちゃんを見てるので先に行っててくださいです。」

 

「ありがとコンパ...ほら、とっとと行かないと見つかるわよー。」

 

「分かった。行きましょ。」

 

よく考えればアイエフがあそこにいれば感づかれると思った。

 

「面会をお願いしたいのですが、凍月 影の。」

 

「少々お待ちください。えーっと、イストワール記念学園の女神候補養成科の4名様ですね。 面会許可が出てますので、こちらの書類を書いてください。」

 

影の話だ、おそらく他は面会謝絶にしてるんだろう。

 

「こちらでよろしいですか?」

 

「はい。凍月さんの病室は314号室です。」

 

私達は面会許可証を受け取り、影のいる部屋へ向かった。

 

「312...313...314、ここね。」

 

「んじゃー、入るよー、影ー。」

 

「まずノックしなさいよ、常識でしょ!?」

 

「病院では静かにすることも、常識。」

 

コンコン、ガラガラガラ...

 

「影...起きてる...?」

 

「起きてるよー、なんかしぶとく生きてるみたいだねー。」

 

「影...死んでたらもっかい殺すとこだったわ。」

 

「とんだ迷惑だ。まぁいいよ。またお前らの顔を見れたし。」

 

「やっほー影、眼帯似合ってるねー。」

 

「そらどーも。お前らは相変わらずか...」

 

「って、影さん、切断されたはずの貴方の左脚が...」

 

「んー?義肢だよ。脚がなきゃ生きてけねぇっての。

 左腕もね。いやー。利き腕の右腕が無事でよかった。」

 

「影...よかった...無事で...」

 

「えー、また泣くのー...まぁいいや。おやすみー。」

 

「「はぁ!?」」

 

「ブランの泣き顔は見たくないって言ったろー。」

 

「言ってたっけ...」

 

「いいやまぁ...なぁお前ら、次、何すればいい...?」

 

「...?どーいうこと、影?」

 

「そら文字通りの意味だよ。」

 

「一概には言えませんが...影さんが正しいと思うことを成せばよいと思いますわ。」

 

「正しいと思うこと、か...」

 

多分この質問は影の布石だったのだろう...だって、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、影は忽然と姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

退院という扱いで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、そこには私達に宛てた手紙があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃちょっと何が正しいか探してくる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「影...お前...お前なぁ...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やがて私は知る。影はずっと私達の近くにいて、ずっと遠くにいたことを。




今度こそ1章終幕。
生きてたのに今度は失踪。手紙は一文。
なんなんだこの男は。常識的に考えると別れますよね?
こんな影君が暗躍する2章。
都合上原作ステージ2からですが始めます。
ではでは、第1章完結いたしました。
これからも精進して参りますので応援のほど、よろしくお願いいたします。
あと、感想、評価、消化しきれていないですが、活動報告でのパロディリクエスト等、

お待ちしております!どしどし送ってください!


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第2章 旧校舎事変の章
告知


どーも、2章開始しました。
ゴールデンウィークも終わり課題もそこそここなしてるフェルデルトです。
サブタイも一新します。
では、2章一話、レディ、ゴー!


影の失踪から一月。

 

特に何事もなく過ごせていた生活は脆くも崩れ去っていった。

 

「告知

 今学期末をもって老朽化した旧校舎の取り壊しが決定した。

 これに伴い、旧校舎で活動している学園非公認の同好会等は

 全て廃止し、工事期間内は旧校舎一帯を封鎖する。また、

 休学となっていた凍月 影は休学期間にしては理由が不当

 のため、明日より一週間登校がない場合退学処分とする。

                          以上」

 

「取り壊しぃ!?影が退学ぅ!?」

 

「随分とまぁ一方的じゃない。」

 

「おまけに一帯が封鎖されると基地にも行けなくなりますわ。」

 

「...影を退学になんてさせない。それに、影はよくこの旧校舎の

 同好会に参加していた。帰って来たときになくなってたら悲しむ...」

 

「決まりね。これには断固として抗わせてもらいましょう。」

 

ルルルル、ルルルル

 

「電話...番号非通知...?」

 

「あ、わたしにもー。」

 

「わたくしにも来ましたわ。」

 

「となると私にも来たわね。」

 

 

「「「「もしもし?」」」」

 

 

『よぉ、お前らー。四台同時にかけるのって意外と面倒なのね...

 で、お前らの呼吸音から察するに、一難去ってまた一難で

 おまけに俺がらみだろーな。いかんせん休学にしてたのに

 退学にするぞって脅してるんだろーよ。』

 

「まるで全部見ているような言い回しじゃない。てか、どうして一月も

 経って電話してくるのよ!」

 

『一月経ったから生存報告。ちょーっとよからぬ噂を聞いたからねー。』

 

「よからぬ噂...それは一体なんですの...?」

 

『旧校舎が壊されるって噂。図星みたいだな。』

 

「ちょっと影ー!ほんとに私たちの近くにいるでしょー!?」

 

「いないよ。俺は今港にいる。」

 

「港...?どうしてそんなところに...?」

 

「それは秘密。けど安心しろ。俺はいつでもお前らの味方で、

 いつでも側にいる。見えてないだけだ。ま、いつでも連絡は

 取れないけどな。忙しくて。んじゃ、また一月後にでも。」

 

 

プツッ、ツー、ツー...

 

 

「切れましたわ...」

 

「結局含みのある言い方して切るなんてどうかしてるわ。」

 

「けどさー、影ならもう手を打ってそうな気がしない?」

 

「...影の考えてることはいつも読み切れない。けど、電算同好会がヒントね。」

 

「ねぷ?どうしてそう言いきれるのさ。」

 

「...私だけちょっと長く話してくれたから。そこで出たのが、」

 

「電算同好会、か...」

 

「ネプテューヌさん、皆さん、影さんから話は聞いてます。どうぞこちらに。」

 

「随分といいタイミングで出てきたわね!?」

 

「すいません、驚かせてしまいましたか。」

 

「...そんなことはないわ。で、影からの話って...?」

 

「あ、はい。まずは部室にてお話します。着いてきてください。」

 

 

...一方その頃。

 

 

「そこにいたのかね、レルーラ君。」

 

レルーラと呼ばれた男は振り返った。

 

「これはこれはトリック殿、ご機嫌いかがかな?」

 

「アクククク、上々だ。ところで、やはりいささか不気味だな...お主は。」

 

「それはお互い様でしょう。しかし、例の件が発動し、女神共が動き始める。

 事は全て順調でしょう。誘い込みの餌もまきましたし、網にかけて殲滅する。

 社長やジャッジ殿の手は煩わせませんよ。」

 

「アククク、それはそれは。では期待してよいのだな、レルーラ·フォン·ドゥシャ。」

 

「もちろんですとも。トリック殿。」

 

さっきまで影がいたところで、このような異形ともいえる人物と

青い背広を纏っている仮面の男が会話をしていた。

 

 




いかがですか?
影君暗躍中。てか仮面の男って何者?
察し良ければもうバレますね。
ま、そんなこんなで2章が始まりました。
これからも応援よろしくお願いいたします。
次回「計略」
感想、評価、消化しきれていないですが、活動報告でのパロディリクエスト等、

お待ちしてます。どしどし送ってください。


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計略

いやー、課題を終わらせて満身創痍だった頃より大分調子がよくなったフェルデルトです。
最初に言って置きます。あいちゃん大活躍(?)です。
では、どうぞ。


現在時刻、2100(ふたいちまるまる)。

 

このネプテューヌさんはすこーし悪いことをして、門限を過ぎてもなお

旧校舎近くの教会の地下にある私たちの秘密基地に皆でいるのだー。

 

「さてと、旧校舎取り壊しへの反対運動、おまけに影の退学も

 取り消しにしましょう。で、どうする?」

 

「やっぱり予算がかかんなくて手っ取り早いのは演説よね。」

 

「では公認部の重役を招いてのパーティーとかどうでしょう。」

 

「他に外の世論を動かすのもあり。」

 

「それで、校舎の取り壊しに反対するとともに、影さんの方もどうにかするです。」

 

「ねぇノワール、影って学校じゃ有名人なんだよね。」

 

「そりゃそうよ。影を知らない人はこの学園では希少種より希少よ。」

 

「...金や銀や赤って比じゃない。透明になるよりもあり得ない存在。」

 

「でしたら、全校生徒には知らされる話でしょうし、影さんの方は問題ないかと。」

 

「てことはやっぱり旧校舎か...ネプ子は?なんかないの?」

 

「うーん、同好会の皆で集会とか、紹介しようよ。」

 

「意外ね、ネプテューヌがしっかりしてる意見を出すなんて。」

 

「ねぷっ、失礼だなー。あとそれよりも反対運動をするのなら、」

 

「「「「するのなら?」」」」

 

「リーダーを決めるべきだと思うのです、わたしは。」

 

「ねぷねぷ、それは、言っちゃいけない気がするですよ...」

 

「え、なんで?」

 

「なら、先生達の協力を仰げる私が。」

 

「豊富な資金力と包容力のあるわたくしが。」

 

「旧校舎の文化的価値を理解している私が。」

 

「ちょっと、そこは大魔女を華麗に倒したわたしでしょ!」

 

「あー、なるほど、コンパの言う通りね。」

 

「むむむ、こうなれば...勝負だよ!とうっ!」

 

「へぶっ!?ネプテューヌ!何するのよいきなり!」

 

「リーダー決めの枕投げだよー!あいちゃんやこんぱに

 当てても意味ないからそこらへんよろしくー!」

 

「いいわ、やってやろうじゃないの、はぁっ!」

 

ドタドタガタガタ

 

「ええい!この広さなら、えーい!」

 

「ネプテューヌてめぇ!変身は反則だろうが!」

 

「あら?いつそんなこと言ったかしら?」

 

「っく、上等だゴラァ!」

 

ドタドタガタガタドタドタガタガタ

 

「うわー、大変なことになったわね、コンパ...」

 

「はいです...もうわたしは寝たいですぅ...」

 

「そうね...あんたたちー、もうそろそろ寝たいんだけどー。」

 

「何よアイエフ、決着を最後まで見届けなさいよ!」

 

「そうよあいちゃん、私たちは譲れない戦いをしているの!」

 

「はぁ、こりゃ説得は無理k、へぶっ!?」

 

「失礼致しましたわあいちゃん、ですが、下がってくださいまし。」

 

「あのですねぇ、ベールさん...」

 

「もらったぞベール!」(ヒュオッ

 

「させませんわ!」

 

「へぶっ!?あんたたちねぇ......!!」

 

「はわっ、あいちゃんが、あいちゃんが激おこです...!」

 

「あ、あいちゃん...?」

 

「いい加減にしなさいよこのバカ女神共!」(しゅぱーん

 

「あいたっ!?」

 

「痛っ!?」

 

「あうっ!?」

 

「いだっ!?」

 

「はぁ、はぁ、とっとと寝るわよ、あと布団も直しなさい!」

 

「あれ?あいちゃん、変身解けた..」

 

「ん?あぁ、それはね...発現したのよ、私の固有能力が。」




以上、影君いないとナレーションが難しいです。
あとあいちゃんの能力が発現。さー、どんな効果でしょうか。
次回「仮面」
レルーラが女神と合間見えます。
感想、評価、活動報告にてのパロディリクエスト等、お待ちしてます。


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仮面

最近ガンプラを本気で改造しているフェルデルトです。
まぁ、時間ないんでちょっと粗いですけど。
そんなことよりも二章3話目ですね。
レルーラが女神と接触します。どう対応するのでしょうか。
では、どうぞ。


「しかし、考えたものだな。周りから固めて同好会を守る作戦として

 公認部の協力を仰ぐ。そのためのパーティーとは。いやはや、

 軍師がいるものだな。女神共にも。そう思わんかね?リンダ君。」

 

仮面の男とイストワール記念学園の制服を纏った女、あとネズミが一匹が

学園で行われているパーティー会場の裏にいる。

 

「いやー、まぁ、そうなんですけど、レルーラさん、

 あたいがこんな重要な役でいいんですか?」

 

「当然だ。むしろこの作戦は君無しでは成立しない。たった一人、女神と

 フレンドリーになればよい。あとはトリック殿と私がやる。ワレチュー君は

 ここでトリック殿を待ちたまえ。いいな?」

 

「はい!」

「はいっちゅ!」

 

「さて、始めよう。我らの作戦を...!」

 

 

----------

 

 

「学生よ、今ここで立ち上がらず、いつどこで時の声をあげるのか!

 今以外にいつ戦うのか。学生よ、立て、立つのだ!そして、後の世代

 でもこの自由が奪われる事がないよう、このようなことを断ち切る

 事が必要なのです!どうか、まだ非力な私達に力を、力を貸して

 ください!ジーク、ジ·O...」

 

ガタンッ

 

「何っ!?」

 

「おや、熱のこもった演説に氷水を注いでしまったかな?まぁ、

 一通り終わったような頃合いだと思ったのだが。」

 

「...あなたは一体何者?その仮面は何?」

 

「フフフ、知りたいかね、女神候補養成科の優等生。」

 

「っ...まさか、黒幕...?」

 

「と言ったらどう動くかね?戦闘も出来ない一般人がぎゅうぎゅう詰めに

 なっている上で変身するのかね?」

 

「いいや、私の仲間がお相手するわ、そうよね、ベール、ネプテューヌ!」

 

「わたくしとしては穏便に済ませたかったのですが...」

 

背後をとっているな。戦術の基本だろう。

 

「おや、ネプテューヌは?」

 

「いない...サボったわね仕事!」

 

「では話を戻そう。今宵私はそなたたちに警告しに来たのだよ。

 我らに仇なせば痛い目に遭うとな...」

 

「それは、脅しですわね?」

 

「脅しでもあり、警告でもあり、挑発でもある。近々、また会うことに

 なるであろうから続きはその時にでも。では、これで失礼するよ。」

 

「最後に一つ。貴方、名前は?」

 

「レルーラ·フォン·ドゥシャ。では、また。」

 

仮面の下で笑い、レルーラは闇夜に消えた。

 

 

「リンダ君、トリック殿。こちらは完了致したぞ。」

 

「アククク、こちらも済んだぞレルーラ。」

 

「いやー、ほんと緊張したっすー...」

 

「ふぅ、ようやく終わったっちゅね。」

 

「これで終わったとは、まだ始まってすらおらんぞ、のう、トリック殿。」

 

「アククク、その通り。これからである。そして終わったら」

 

「フラグを不用意に建てないでいただきたい。」

 

「おっと、これはすまないな。明日は学長代行殿と会合があったな。

 レルーラ。お前は学園に潜入してもらう。」

 

「と、トリック専務!あたいだけじゃダメなんですか!?」

 

「念には念をという社長の指示だ。」

 

「了解致しました。あとはこの女神候補は泳がせておきますか。」

 

「うむ。もう少し身長が低ければよかったのだが...」

 

三人と一匹の視線の先には倒れているネプテューヌがいる。

 

「フェイズ1、コンプリート...」

 

レルーラの仮面は常に笑っている。仮面の奥の目は何かその先を

見据えているような怪しさを感じさせるのであった。

 




さー、ネプ子さんは何されたんでしょうね。
てか、下っ端とネズミを名前で呼ぶレルーラさん、上司の鑑じゃないでしょうか。
次回は反対運動に暗雲立ち込める中レルーラが動く。アイエフも動く。そんな
回となります。あいちゃんの能力は次回分かりますよ!
はやる気持ちを抑えてしばらく課題に打ち込むと思います。
分野的には得意なのですが量が多くてですね...これに生物の細胞分
裂とかあったら詰みますよ。あ、次回予告はこの後書きに隠れてます。なん
でそんなことをしたのかは気分です。はい。完全に気分で
す。まわりくどい事が好きなんでしょうか。

感想、評価、活動報告にてのパロディリクエスト等、お待ちしてます。



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分裂

どーも、フェルデルトです。サブタイ分かりましたか?書いてますが。
今回は仮面のレルーラの計略に女神達が踊らされる羽目に。
では、どうぞ。


凍月 影の退学確定まで残り3日。

 

「えー、旧校舎の同好会の進退を決める監査官として、

 レルーラ·フォン·ドゥシャさんに来てもらった。ではレルーラさん、どうぞ。」

 

ザワザワザワザワ...

 

「なんだ、あの仮面は...」

「なんかどっかで会ったことあるような気がする...」

 

ザワザワザワザワ...

 

「ご静粛に願います、皆様。私は監査官、レルーラ·フォン·ドゥシャ。

 論理的に、及び感傷の入れる余地もなく精査させていただく。

 ただ、この自由を重んじる校風を揺るがしかねない事態のため、

 普段の精査に情状酌量を重ねていきたいと思う。

 それでは、これよりよろしく頼む。」

 

仮面の男、レルーラは生徒に向け一礼し、こう一人ごちるのであった。

 

「フェイズ2、スタート。よいな、リンダ君。」

 

仮面の下にある通信機で、部下に指示を出すのであった。

 

 

--時は変わって昼休み。

 

 

「演説は効果抜群だったわねー。朝からひっきりなしに取り巻かれてもう大変。」

 

「ふーん、お昼冷めちゃうよノワール。」

 

「う、そうね...」

 

「ベールのパーティーとブランのマスコミにお願いする案は?」

 

「こちらも問題ありませんわ。少々面倒な客は来ましたが。」

 

「大丈夫よ、問題ないわ...面倒な客?」

 

「ほら、全校集会でおりましたでしょ?あの仮面の殿方ですわ。」

 

「レルーラ·フォン·ドゥシャ...何者なの...?」

 

「ごちそーさまー、さーて、リンダと打ち合わせしてこよー。」

 

「ネプテューヌ?ちょっとあなた、今日はやけに余裕綽々ね。

 明日は夏じみてきてるなか大雪かしら?」

 

「失礼だなー、リンダがね、この学園では、旧校舎取り壊しや、

 同好会を潰そうとするような問題の他にもっと大変な問題が

 山ほどあるんだって言ってた。それをこの機会にわーっと

 叩きつけるために、今からそれを打ち合わせてくるの。」

 

「...待ちなさいネプテューヌ。それはいけない。」

 

「なんでさ。」

 

「旧校舎取り壊し反対運動以外のことをやったら、それこそ

 あの監査官の思うつぼになる。全て水の泡になるわ。」

 

「下手すれば影も強制的に退学させられる可能性がある...

 それは止めなきゃいけない...!」

 

「それにわたくしたちにも下手すれば火の粉がふりかかってきますわ。」

 

「もー!三人そろってうるさーい!」

 

「どーしたのよいきなり!?ネプテューヌ、キャラ変わってない!?」

 

「変わってないよ!!あーもういい!私は行くよ!」

 

「ちょっとネプテューヌ...!」

 

「固有、現実回帰(リアリティックリターン)...!」

 

「ねぷっ...!?」

 

「え...アイエフ...?」

 

「いつからいたのです、あいちゃん...」

 

「まぁ、ちょっと話を聞かせてもらっただけよ。で、ネプ子の様子が

 おかしかったから、あとはちょっと能力の使い時と判断したのよ。」

 

「...その能力は...?」

 

「かかっている能力、及び当人の能力を封じる能力よ。制限は

 自分には効かないこと、あとは封じられる時間は10秒だけってところね。」

 

「封じる...だとしたらあいちゃんは...」

 

「能力を無効化できる能力者。あんたたちも私の能力の対象内。

 裏切ったとしても私がいれば問題ないってところね。」

 

「じゃあまさか、ネプテューヌは...」

 

「ふむ、看破されるとは...流石女神候補科といった

 ところか。それとも、我らの策が甘かったのかな。」

 

そこに、仮面のレルーラが佇んでいた。

 

 




以上、あいちゃんの能力はどうでしたか。
コンパも能力は発現しますよ?
次回はレルーラvs女神3人。
というわけでサブタイは「斥力」
仮面の悪魔の力の片鱗が見える。

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斥力

どーも、課題を学校に置いたままだったフェルデルトです。
さて、レルーラが女神3人と戦います。
では、どうぞ。


「レルーラ·フォン·ドゥシャ...なんでここに...」

 

「それは場所を変えて話そう。ここでは人が多すぎる...」

 

「一体何をするつもりですの...?」

 

「ともかく、これでネプテューヌがおかしくなった理由がわかったわね。」

 

「...けど、何か違和感、いや、既視感を感じる...」

 

「...ブラン?」

 

「...気のせいかしら...」

 

そうして学園の生徒もあまり知らない、校舎の裏の奥の森に着いた。

 

「では話をするか、それとも刃を交えるかを選びたまえ。女神候補養成科の諸君。」

 

「その前に聞くわ。貴方は何者で、一体何しにここに来たの?

 本当の目的は何?その仮面は何のためにしてるの!?」

 

「ほう、私は監査官だ。同好会の監査をしにきた。目的は口止めされている。

 この仮面は顔の火傷を隠しているのだよ。満足かな?」

 

「...っく...!」

 

「やはり、わたくしたちの知り得てる情報だけですわ。

 学長代理と繋がっているのは確かかと。」

 

「...貴方、凍月 影って人は知ってる...?」

 

「ほう、凍月君は私のよき友だ。数日前に会ったよ。我らの動きをリークしていた

 ようだったから、始末させてもらったけどね...久々に命をすり減らす素晴らしき

 戦いを演じられたよ。殺しきれなかったがそうそう動けるような状態でもない

 だろうし、今ごろはジャッジ殿が追っている頃だろうよ...」

 

「...影と、渡り合った...殺し、きれなかった、だと...!」

 

「その動揺は、そうか。通りで彼は撤退したのか。」

 

「ともかく、これで決まりね。影の敵は私たちの敵...アクセス!」

 

「ここなら人目にもつきませんし、派手に参りましょうか...!」

 

「本当に影と渡りあえたのか、試してやる..!」

 

「フフフ、それが君たちの選択か...!」

 

レルーラは左手を女神達に向け、指を弾く。

 

「ならばまずはこの斥力を破ってみたまえ!」

 

「馬鹿にして...!」

 

ガキィン!

 

「はぁぁ!」

 

ギャィィン!

 

「でやぁぁ!」

 

ガーンッ!

 

「嘘、全然突破出来ない....」

「第一能力のはずですのに...!」

「何がどうなっていやがる!」

 

「ふむ、では終わりにしよう。」

 

「...!?」

 

レルーラの太刀片逆手二刀流が、空中の女神3人を捉える。

 

「制御能力無しで飛んでる...!?」

 

「いいや、跳躍だよ。さぁ、踊ろうか。双刃幻月斬(デュアルレンジソー)!!」

 

「「「きゃぁぁぁ!?」」」

 

レルーラは女神3人を吹き飛ばし、着地するなりこう呟くのであった。

 

「自分を偽るのは、正直大変だな...」

 

仮面を外したレルーラは、その森の奥の小屋に向かった。




以上、レルーラ戦闘回でした。
てか、小屋なんてあったの?と思う方は設定をご覧ください。
では次回、「謀略」

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謀略

どーも、土日が暇人のフェルデルトです。
今日は多分二話投稿しますね。
今回はネプテューヌ達の反対運動にレルーラの謀略が迫る。
反対運動は一体どうなる...?
ではどーぞ。



「しかし、学長代行殿。反対運動の内部分裂が失敗した以上は何か別の根回しを

 した方が良いのでは?戦意を喪失させなければ何度でも歯向かってきますよ。」

 

「...ええいレルーラ!貴様こそこれで大丈夫だと言っていたのに、

 この体たらくはなんだ、全く逆ではないか!」

 

「ほぅ、しかし運動を鈍らせはしましたよ。次の手もあります。

 故に、私の出番となるのですよ。」

 

「なに...?」

 

「反対運動の中心生徒を圧倒出来るのですよ、私は。あとは、

 理論的な口実を作っていただければ問題ないのです。」

 

「何故そんな理論的にこだわるのだ?」

 

「圧政と罵られたいのですかな?学長代行殿は。」

 

「むぐ...よいだろう...」

 

「ということだ、リンダ君。少々手荒かもだが、連中の秘密基地に潜入した

 のなら、その場所に少々細工をしたまえ。新聞部を誘導するのを忘れずにな。」

 

「はい、了解っす!」

 

「では、私は監査に戻らせていただきますよ。」

 

「うむ、よいだろう...」

 

これが、レルーラがノワール達と対峙した数時間前の出来事。

 

 

--そして...

 

現在レルーラは校舎裏にある小屋にて一人の少女と共にいた。

 

 

「お兄ちゃん!ちょっとどこ行ってたの!?って、なんでまた仮面つけてんのさ。」

 

「あのなぁ、明、俺の趣味だよ半分は。この仮面のお陰でやりたくもないことも

 できるんだし...それにだな、忙しいから帰り遅くなると言っておいたはずなのだが。」

 

「いーや、言ってない。それよりもお兄ちゃん、もう外出ていい?」

 

「仕事が片付いたらな...面倒な仕事だけど、こういう裏の仕事が

 あるからあいつらが勝てるように仕向ける事ができる...」

 

「むー、お兄ちゃんのケチ。」

 

「落ち着きたまえ我が妹よ。女神達が奴らを倒すためには私以上の力が必要。

 故にあえて彼女らの敵に回り、訓練しているのだよ。そのために社長にも

 仮面割れるまでの付き合いであると認識させて彼女らに勝たせたいのだ。」

 

「あのさ、お兄ちゃん。仮面つけてるとキャラ変わるよね、てか

 どこの完全平和主義国の王子?ゴールデンウィークは終わったよ?」

 

「さ、殺人的なツッコミだ...」

 

「あれは私は2の方が好きだなー、エレガントだし。」

 

「判断基準そこ...まぁ確かにそーだけど。」

 

「あとさ、その仮面だけど、まさかお兄ちゃん、機械化兵士とか

 言われてない?序列剥奪とかされてない?」

 

「休学中だから剥奪はされてるし、機械化兵士というか、機械義肢の人かなー。」

 

「機械義肢って...赤目の蟲を笛を使って森に帰そうとして失敗した感じ?」

 

「...なんかちょっと違う...!」

 

「そー?」

 

「そー?って、はぁ...まぁ、いいや...」

 

「お兄ちゃん?」

 

「...(いずれはあいつらにも感づかれる...けどまだ明は能力を制御しきれない上まだ

 世間知らずなところもある...まだ、この仮面と共にレルーラ·フォン·ドゥシャ

 を演じる他ないか...)」

 

「もしもしもしもし、お兄ちゃん?聞いてる、起きてる?あなたはここにいますかー?」

 

「...あ、どうした明。」

 

「それはこっちのセリフだよ!ボーッとし始めて目が金色に光れば、って、

 そういや眼帯してたね。仮面の下に眼帯ってのもどうかと思うよ、私は。」

 

「趣味。てか、眼帯の下は金色に光るのが基本でしょ。

 例外で青とか純粋に失明とかもあるけどさ。」

 

「え、失明は例外なの?どんな趣味なの、それ...」

 

「妹よ、そこで引く必要性は無いぞ。」

 

「え、無いの?」

 

「無いわ!光より速い質量を持つ物質ほど無いわ!」

 

「お兄ちゃん、その例えはちょっとどうかと思うよ...」

 

「はぁ、んじゃそろそろ反対運動潰しに行くか...」

 

「反対運動?それがお兄ちゃんの敵?」

 

「言っとくけど明の力は借りなくても大丈夫。自分の力を制御出来るように

 なってくれればそれでいいよ。」

 

「うん、わかった...」

 

「では私はまたしばらく凍月 影であることをやめ、レルーラ·フォン·ドゥシャとして

 学園を駆けるとするよ。良い子でいるのだぞ、我が妹、凍月 明。」

 

「やっぱりキャラ変わりすぎじゃない?どこかの精霊さんみたい。」

 

「義理の妹である君が言うと変な説得力があるな...では、行ってくる。」

 

「いってらっしゃい、お兄ちゃん。」




と、いうわけで、やっぱり仮面のあの人は影君でしたー。
じゃあなんで斥力が出せるの?
さぁ何故でしょう。
次回、「誤算」
戦術予報士、アイエフvsレルーラの頭脳戦...の予定。

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誤算

どーも、最近寝不足気味のフェルデルトです。
数学が楽しくてしょうがないです。はい。
そんなことよりも続きですね。では、どうぞ。


「ねぷー...あれ、知らない天井が見えるよー。」

 

「おや、気づいたかね。女神候補養成科のネプテューヌ君。」

 

「ねぷ、どうして仮面の人がここにいるのさ。まさか、わたしに

 あんなことやそんなことをするつもり!?だから両手両足縛ってるんでしょ!?」

 

「ほう、それは面白い発想だな。だが興味はない。

 これは君に対する尋問である。何をしていたかを述べよ。」

 

「え、尋問!?てか何も覚えてないよわたし!」

 

「...やはりか。トリック殿の術式は素晴らしいな。」

 

「どーいうこと?」

 

「ならいい。録音は済んだかね。ワレチュー君。」

 

「もちろんっちゅ。」

 

「あー、あのネズミ!」

 

「ではまた眠りたまえネプテューヌ君。次目覚める時には

 面白いことが待っているよ。では...」

 

「ちょ、待ってよ、えっと、影...?」

 

「レルーラだ。レルーラ·フォン·ドゥシャ。」

 

「え、じゃぁ、なんで影って...」

 

「知らぬな。では、おやすみ。」

 

指パッチンで、ネプテューヌのいた部屋を消灯させる。

 

「ふむ、まさかブランより早く看破されそうになるとはね。」

 

レルーラは港で一人また呟くのであった。

 

 

----------

 

 

「...誤算ね...まさかネプ子を回収された上に女神候補3人を相手にしてもほぼ

 効果がない斥力能力持ち、おまけに正体不明の三段構えときた...

 こりゃ影がいても中々に強敵ね...」

 

「どーすんのよ、反対運動の監査官がネプテューヌを回収してるのよ、

 これじゃお先真っ暗じゃない!」

 

「あいちゃん、どうするおつもりでして?」

 

「どうするもこうするも斥力を封じてる10秒でたたみかけてもらわないと

 ほぼ勝ち目はないわね...あと、どうしたの、ブラン。ずっとずっと考え

 こんでるわよ。何か気になる?」

 

「...レルーラ·フォン·ドゥシャに酷い規視感を感じる。こう、説明しづらい

 けど、こう、何か感じる。まるで、影のような雰囲気を...そんなはずないのに。」

 

「けど案外あるかもしれないわよ、だから仮面つけてるのかもしれないし。」

 

「それは一理ありますわね。影さんがわざわざ自分が別のところにあると

 偽って実は敵の内情を探っているとか...」

 

「ちょ、ちょっと待って3人とも。影の第一能力は把握演算よ?あいつの能力は

 斥力。能力が途中で変わることは無いし、昇化で固有能力が別物になるってことも

 ない。完全に別人よ。それが"能力なら"ね。」

 

「能力なら...一体どういうことですの、あいちゃん。」

 

「斥力フィールドは強力な磁場と電磁波で物体の運動に対してそれをある程度は

 無力化できる。それは科学よ。能力じゃない。もしもあの仮面が科学で斥力を

 使っているのなら、あの仮面が影である可能性は十二分にあるわ。」

 

「てことは、それを証明するためには...」

 

「アイエフの隠密と現実回帰(リアリティックリターン)が必須になる。」

 

「まぁ、ダメ元でやりますか。作戦は明日決行するわよ。」

 

「了解よ。」

 

この時、凍月 影退学確定まで残り2日であった。

 




以上です。いかがでしたか?
あいちゃんは頭きれますね...でもってネプテューヌとブランに若干気取られつつ
ある影ことレルーラ。次回はそんなレルーラの葛藤を描きます。
サブタイは、「葛藤」
そのままですね、はい。

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葛藤

どーも、熱から復活したフェルデルトです。
いやー、38℃が出るのは予想外でした。
では、気を取り直して続きいきます。
では、どうぞ。


凍月 影退学確定まで残り1日。

 

レルーラ·フォン·ドゥシャこと影は校舎裏の森にある小屋にいた。

 

「はぁ...根回しがうまくいくかはともかく、そろそろバレそうなんだよなぁ...

 何のために仮面つけてんだよって話になる...」

 

「お兄ちゃん、しかも退学になりそうなんでしょ?一回出ればいいのに。」

 

「...社長が中々休暇を取らせてくれない。まぁ、裏口であいつらを出し抜く

 為に電算にいる我が友に協力を仰いでるけどね。」

 

「いつの間にそんなことをしてたの?お兄ちゃん。」

 

「2章が始まったくらいにな...学長代行が怪しい動きを

 してるのは目に見えて確実だったし。」

 

「さすが把握演算...」

 

「いや、これはただの推理だぞ、妹よ。」

 

「そーなの?能力じゃないの?」

 

「乱歩さんほどじゃない。」

 

「あぁー...」

 

そんな妹を見やりながら、影は最愛の人と傷つけ合わなければいけない策を練った

浅はかな自分の決断を後悔していた。

 

「...女神を一人転化させろ...か...嫌な指令だ。」

 

「...お兄ちゃん?」

 

呟く影の目はどこか悲しそうであった。最も、眼帯をつけている左目の方しか

今は見えていない明にはわからないことだが。

 

「ブランを転化させるのが一番楽なんだが...俺はそんなことしたくない...

 てかそもそも誰にも転化してほしくないな...しかし...そうしなければ

 いけないのが現状か...明、少し手伝ってくれるか?」

 

「手伝うって...何をどうすればいいの?」

 

「俺を死んだ事にした演技をしてほしいのさ。」

 

「そんなこと...なんで?お兄ちゃんはここにいるよ?」

 

「あぁ、そうだ。だからだよ。」

 

「だからって...どういうk」

 

ルルルル、ルルルル

 

「悪いな明、仕事だ。」

 

影は仮面をつけレルーラとなり通信機をとる。

 

「私だ。」

 

『レルーラか。アクク、私だ。』

 

「トリック殿か、何用ですかな。」

 

『うむ、社長から聞いたと思うが女神を一人転化させてほしい。目星は既につけておる。』

 

「白の女神でしょう、トリック殿。必ず転化体を社長のところへ送り届けますよ。」

 

『それは頼もしいな。ただし、失敗はするなよ。』

 

「了解です。では。」(プツッ

 

...悪いなブラン。少し、俺は死人を演じるよ。

 

「では我が妹よ。行ってくる。」

 

「うん、行ってらっしゃい。」

 

 

----------

 

 

「見つけたわよ、レルーラ·フォン·ドゥシャ。」

 

「ネプテューヌを返してもらうわよ!」

 

小屋から出て47歩直進した先で女神2人に見つかるとは思わなかった。

 

「これはこれは白と黒の女神候補科の面々ではないか。君たちのお友達は

 そろそろここの保健室に移送される手筈になっている。中々明朗快活で

 あったが...とんだじゃじゃ馬と関わってしまったな。君たちは。」

 

「...どういう意味?」

 

「彼女は反対運動だけではないことまで運動にかこつけて主張しようとしたのだ。

 もっとも、我々はそれが狙いだったが君たちの仲間に妨害されたがね。」

 

「最低ね、あなたたちは。」

 

言ってくれるねー、ノワール。

 

「ではどうするのだ?女神の力のもとに我々を悪とし成敗するのか?証拠がなければ

 悪とした正当性はなくただの暴力となる。それに、証拠を見つけたとしても公とな

 る前に我々の刺客が君たちを倒そう。まだ君たちは我々に抗えない。まだ今はな。」

 

「...それはどうかしら。」

 

「ほう。なら試してみるかね。」

 

頃合いかな。明に連絡して自演しよう。

 

「いいわよ、今度は倒す!アクセス!」

 

「あの斥力ごとな!」

 

「だが少し待ってくれ。業務連絡が入った。その間に攻撃してもいいが、

 果たしてそれで君たちは満足するかな?」

 

「...いいわよ、待ってあげるわ。」

 

「賢明な判断だ。私だ。...ふむ、ほう...なるほど。

 了解した。フェイズ3に移行する。では。」

 

「連絡は終わり?ならいくわよ。」

 

剣を構える変身したノワール。

 

「失礼。別件が出来た。手合わせはまたいつか願おう。ちなみに君たちに

 一つ渡すべき情報が入ったから伝えておく。」

 

「情報?なんだそれは。」

 

「我々のことをかぎまわっていた鼠、いや、この場合は我々に張り付いていた

 (かげ)を排除したことだよ。では、確かに伝えたよ。」

 

「え...?」

 

「それって、どういう意味だよ...」

 

「文字通りの意味だよ。」

 

「なぁ、おい、それって...影のことか...?影のことなのか...?」

 

「だとしたらどうするのかな。」

 

「違う、影なのかどうかを聞いてんだよ!」

 

「ほう、ならば答えてあげよう。凍月 影は、もうこの空の続く場所にはいない。」

 

「.......っ!」

 

ガキィン!

 

「やはり突撃してくるか。ただ、キレがない。感情による攻撃は精度が落ちるぞ。」

 

「...だ、まれぇぇ!!」

 

言いたい。俺はここにいるって。今すぐ仮面を取ってブランを抱き留めたい。

けど出来ない。まだ俺はレルーラだ。ごめんなブラン。俺の為に泣いてくれてる 

のに、何もできない愚かな俺で...

 

「ふむ、ならばその怒り、悲しみ、恨み、その感情に身を委ねれば、もしや

 私を倒すこともできよう。さぁ、その感情の果てに行き着くがいい!」

 

レルーラはブランの攻撃を避けながら演説する。

 

「ブラン...まさか...あいつらの狙いは...!やめなさいブラン!それ以上感情に

 身を委ねたら...女神であることが出来なくなる!転化してしまうわ!」

 

ノワールの叫びは時既に遅く、ブランは体の中心から溢れる黒い光に呑み込まれた。

そしてレルーラは仮面の奥でこう呟く。

 

「今は我慢すればいい...いずれちゃんと元通りになる...」

 

それは仮面を着けた自分にも転化したブランにも当てはまる言葉だった。

 

「......全部...壊ス...」

 

空には水色だった髪がオレンジに、紅い目は青緑色に、白と水色のプロセッサユニットは

黒とオレンジになった、女神ホワイトハートの転化体、ロストホワイトが佇んでいる。

 

 




以上です。本調子ではない中書いてるので少し雑かもです。
マジックカンパニーの手先レルーラ。女神を一人転化させる。
...建設会社でしたよね、マジックカンパニー。少なくとも原作では。
今あるのは溢れでるDEM社感。一体何がしたいんだあいつら。
次回は別行動だったアイエフとベールが合流。レルーラと会敵しますが...?
サブタイは「転化」
ネプ子さんは今ごろ保健室かな。

感想、評価、その他疑問点などお待ちしてます。
都合上シリアスなためしばらくリクエストは締め切ります。すいません。
ギャグが書けない...(泣)


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転化

どーも、ゲームのイベントに躍起になっているフェルデルトです。
おかげで早起きするはめになりました。
朝は嫌いです。夏の朝は特に。
嘆いても仕方ないのでいきましょう。
では、どうぞ。


「遂に叶う...我々の悲願が...そして、私の計画も次の段階へ進む...

 待ちかねたぞ、待っていたぞ、素晴らしい、これが女神の転化...」

 

半分狂っているように見えるレルーラと転化したブランに対して私一人は

...悔しいけどどう考えても劣勢ね。せめてベールとアイエフが来れば...

 

「ノワール君。君も来るかね、こちら側の世界へ。」

 

レルーラは私に手の平を差しのべる。何よそれ...

 

「ふざけないで!誰があんたみたいな輩のところに行くのよ!」

 

「それは君の友人に聞いたらどうだ...もっとも、

 今は転化していて聞く耳も持たぬだろうがな...」

 

「...っ!?」

 

速い...気がついたら私の後ろにいて、振り返れば今度は上...

 

「空戦の機動力は高くとも、やはり純粋な反応は鈍い...そこが君の弱点だよ。」

 

「何をっ...」

 

「現に今君は私が武器を携えていれば間違いなく負傷しているだろう。自らの利点と

 周囲からの相対的な評価を無意識のうちに絶対評価と過信しているのだよ。」

 

「そんなことは...」

 

「無いと言い切れるかね、ただの一度も無いと。今はもういない凍月君にも

 そう言い切れる程君は哀れで愚かな自己満足者だったのかな?それならば

 まぁよいのだが、果たしてどちらかね、ノワール君。」

 

「っく...どっちでもないわよ。」

 

「ほう、面白い返答だ。どういうわけかな?」

 

「私は、自分の力の過信も、自己満足も、どっちもしない。するのは、

 悪を倒すことだけよ。だから私は、あなたを倒す!」

 

「はははは、矛盾だよそれは、まぁいい。いずれ分かる。自らに矛盾を秘めることの

 危うさと愚かさ、そして背徳と絶望をね...」

 

 

「...それは、貴方も同じではなくて?」

 

 

ガキィン!

 

 

「邪魔ヲ...スルナ...」

 

ベールの振り下ろした槍はレルーラに届く前に転化したブランに防がれる。

 

「ブラン...!?貴女、まさか転化を...!?」

 

「おや、背後を取られてしまったか...ん?」

 

「そこぉ!」

 

完全に逆方向、捉えた剣先は真っ直ぐレルーラの仮面に当たる

 

--はずだった。

 

 

「ふむ、いい判断だが...敵の情報が欠落しているな。」

 

 

レルーラは左腕を私に向けたとき、私の剣は空中で静止した。

 

「な...斥力...!?」

 

「然り。甘かったねぇ、ノワール君。」

 

「ちっ...」

 

剣を離すと武器があっちに渡ってやられる、かといってこのままでも打つ手はない。

 

--私らしくもなく弱気になったとき、

 

 

「固有、現実回帰(リアリティックリターン)!!」

 

 

「あいちゃんが、空から...!?」

 

アイエフは転化したブランとレルーラに能力を使った。

 

「......」(ドサッ

 

ブランは転化ごと変身が解けて万々歳なんだけど...

 

「ちょっとアイエフ!ちゃんと使ったんでしょうね、能力!」

 

「使ったわよ。効いてないわね、レルーラ·フォン·ドゥシャ。

 その斥力は能力じゃないのでしょう?」

 

「ほう、看破したか。すなわち君の固有は能力の無効化と見る。ふむ。

 転化体も回収出来なかったが致し方あるまい。ここは退かせてもらおう。」

 

「させると、お思いですこと?」

 

「それこそ甘いわよ、レルーラ。」

 

「ははは。どうやら君の能力は完全ではないようだね。アイエフ君。」

 

「身をもって体感すれば分かるでしょうね。」

 

「では、失礼するよ。」

 

「待ちなさっ...!?」

 

瞬間、レルーラは消えた。

 

「何、これ...」

 

「ノワール、貴女も感じまして?」

 

「えぇ、もちろんよ。」

 

「...どうやら、やっぱりあいつは...」

 

これだけはどうしようもない"規視感(デジャヴ)"が私達3人にはあった。

 

 




以上です。
次回は学長もネプテューヌも意識を取り戻して...?
大変なことになる予感がしなくもないですね。
サブタイは「勝算」
女神サイドの逆転が始まる...?


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勝算

どーも、テスト前、総体前のフェルデルトです。
やっぱり最近忙しくて投稿する暇無いです、はい。
けど二章の一番の目玉というか、盛り上がるところとか伏線も
未回収なので、書ける時に書きます。では、どうぞ。


「なぁ、明...俺そろそろ影として動くべきかな...」

 

「どーしたのお兄ちゃん、いきなりそんな深刻そうにして。」

 

「いや、なんか仮面つけてんのにバレかけてるんだよね、正体。」

 

「え、あんなにキャラ変わるのに?」

 

「...時間圧縮(ファストクロック)を使ったせいだなきっと...」

 

「固有能力を?いや、それはまずいでしょ...」

 

「だよなぁ...」

 

現在俺は学園奥の森の小屋で明と食事中。

 

そういえばマジェコンヌ学長とネプテューヌがそろそろ起きる頃だな...

 

「さてと...影の件に全く着手出来ないまま一週間経っちゃったわね...

 我ながら失態だわ...」

 

「影...ちくしょう、あの野郎...」

 

「けど進展はありましたわ。仮面の男は影さんですわね。」

 

「けどそれが何になる、間に合わねぇだろうが!」

 

昼休みにランカーズテラスにて話し合いはしてるけど...

進みはしないか...影は一体何をしているの...!

 

 

ピンポンパンポーン

 

 

「緊急ニュースだよ。前の騒動でいままで意識不明だったマジェコンヌ学長の意識が

 戻ったようだよ。なんでも、前の騒動の記憶はあって、学園関係者や特に凍月君に

 は深い謝罪の意を表しているようで、凍月君の退学は断固として認めないようで、

 学長代行にはそのことを強く言ったようだよ。いやー、学園のエース、凍月君が

 退学になることは免れたね。いやー、よかったよかった。」

 

「...影の退学はこれで問題なくなったわね...とんでもないご都合展開感を感じる

 けどね...後は旧校舎の問題だけね...」

 

 

----------

 

 

「どういうことだレルーラ!凍月 影は始末した筈であろう!何故生きておるのだ!」

 

「おや、始末しかねた筈はないのですが。まぁいいでしょう。少し手こずりましたが

 偽装工作は完了致しました。明日にでもトリック殿が次の手を打ってくださるで

 しょう。但し、今の彼女達は一筋縄でも二筋縄でも捕らえきれないでしょう。」

 

「なんだと...貴様!監査官の分際で!」

 

「今現在の会話は録音しておりますのですぞ学長代行。そなたに言っていなかっただけ

 であってね...社長から我々の計画からずれるような事をされては困るとの指示が出て

 おりましてね。諦めくださいな。」

 

「...ふんっ!だが時間がないのも事実だ。この際とっとと奴らを消せればそれでいい。」

 

「では、私は仕事に戻らせていただきますよ。」

 

「いいだろう。一応期待しておく。」

 

「期待されておきましょう...」

 

--あーあ、仮面着けるのもいい加減飽きたな...ならいっちょ危ない橋渡るか。

 

レルーラは自室で仮面を外し、背広を脱ぎ、学園の制服に着替え、そして、

 

「学園のエース、か...悪くない。」

 

左目を眼帯で覆っていること以外はまったく変わりのない凍月 影として保健室に向かった。自らが嵌めた友に会うために。

 

そしてまた、深く愛している人に影として会うために。

 




以上、これサブタイの勝算の意味伝わるのかな...
ともかく次回はネプ子さん復活&死んだ筈の影君が戻ってきた!?
この二人が関わると大抵カオスになりかねない。
サブタイは「休息」
またしばらく更新は先かもです。


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休息

どーも、総体後の振休を課題に潰されているフェルデルトです。
UA2500ありがとうございます。そろそろ三章、影君の過去と
妹達の話に入っていきたいかなー、って思ってます。
今回は影君が影として戻ってきます。果たして、一体どうなるのでしょうか。
では、どうぞ。


「う~ん、知らない天井だなぁ...ここどこだろう...」

 

確か私は仮面の男に会って、そして部屋が真っ暗になって...

で、目覚めたら面白いものが見れるって言ってたような...

 

「来ましたわよ、チカ。」

 

「ベールお姉さま!ちょうどお友達は目覚めたところですわ。」

 

むむ、このおっとりしているお嬢様気質のこの声は...!

 

「それはよかったですわ...ネプテューヌ、具合はどうでして?」

 

「ベール!いやー、もうばっちりかなー。って、なにこれ!

 点滴受けてるとか病人みたいじゃない!丸2年以上仮想空間に

 フルダイブしていたわけじゃないのにさ!」

 

「落ち着きなさいネプテューヌ。って、ネプテューヌには無理か。」

 

「...楽天的にも程があるわね。」

 

おぉ、ノワールにブランも来てる。

 

「ねぷねぷぅー!」

 

「へぶっ!?」

 

「あーあー、コンパ、一応ここ保健室だからね。それにネプ子も本調子じゃない

 からほどほどに...って、聞いちゃいないし。」

 

こんぱにあいちゃんも来てくれたけど...来てくれたけどさ。

 

「苦しいよこんぱ!ちょ、嬉しいのはわかったから、苦し、ぐるじ...」

 

「はわっ!?ねぷねぷ、大丈夫ですか、ねぷねぷー!?」

 

「言わんこっちゃない...」

 

うー、死ぬかと思った...

 

 

 

「久々に戻ってきてもこんなに騒がしいとは。元気がいいね、何かいいことあったのかな?」

 

 

 

この声はまさか...!

 

保健室にいた全員が声の主の方を向くとそこには、

失踪していたはずの影がそこにいた。

 

 

----------

 

 

「よ、ご機嫌麗しゅう皆さm...」(ゴフッ

 

「...何がご機嫌麗しゅうだコノヤロー...どれだけ心配したかと思ってる...

 お前がいなくなって、死んだって聞いて、どれだけ辛かったと思ってやがる...

 どうして今になって来たんだよ!大変だったんだぞ...お前がいなくて...

 もう少し...周りの事も考えろ、馬鹿影...」

 

痛ぇ...まぁこうなるとは思ったけど容赦無さすぎでしょ...

 

「ワーブランサンコワーイ」

 

「黙ってなさいネプテューヌ!」

 

「......」←敢えて無言でいる影

 

「...何か言えよ、影...」

 

いやいや、これは事実伝えても殴られるよこの雰囲気は!

 

「......何か言えってんだよ!」

 

ブランは俺の胸ぐらを掴む。それでいい。

 

「また泣いてる...笑ってくれよ。せっかくまた会えたのにさ。」(ガフッ

 

痛烈な左ストレートが直撃。

 

「笑えるかよ...勝手にいなくなって死んだふりまでしてそれでいてのこのこ

 帰って来るような奴を...私の笑顔はそんなに安くねぇんだよ!」

 

安くない、か...それもそうか。

 

「そうだな...そう簡単に俺以外の奴にブランの笑顔が釣り合う奴はそうそういない...」

 

「言われてみればそうかもしれませんわね...」

 

「...今のお前じゃ、釣り合うものも釣り合わないけどな。」

 

その通りだな...もう、俺にはそんな資格なんてないかもな...

 

「はは...そうかもな...」

 

「影、わざわざ死んだふりまでして戻ってきたってことは、何か情報を

 掴んだんでしょうね、まさか殴られるためだけに来たわけじゃないでしょうね。」

 

--そういえばそーだった。

 

「あるよ、情報。はいこれ。」

 

「...USBメモリ...?これに情報が?」

 

「大変だったんだぞ。情報を持ってくるの。そういうのに目がない奴に知り合いが

 いるから解析してもらえ...俺はそろそろ墓場で寝ることにするよ。」

 

「はい?どういうことよ、まさか入水とか心中とかするわけじゃないでしょうね!」

 

「やりそうなのは君のほうだよー、あいちゃん。」

 

「能力が似たようなものだからって一緒にするな!あとあんたにだけはあいちゃん

 って呼んで欲しくないわよ!!」

 

「はいはい...んじゃ、また、来るべき時にもう一度会おう...」

 

「...影...お前は一体、何者なんだよ...」

 

 

----------

 

 

「やはり俺は、あいつを見殺しにしてしまったあの時から...

 幸せになんてなれないよな...そうだろ、茜...」

 

失ったかつての友を思い出しながら、影はまた仮面を着けるのであった。




だんだん紐解かれつつある影君の過去。
その仮面の下の表情は果たしていかなるものなのであろうか。
これは3章長くなりそう...
次回はレルーラの偽装工作で再び女神サイドは窮地に。
そんな中、ノワールが起死回生の逆転案を閃く...
サブタイは「潜入」

感想、評価、その他ご意見、お待ちしてます。


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潜入

皆様大変お待たせしました、フェルデルトです。
定期テストとその後の部活の大会でてんやわんやでした。
本日無事時間が出来ましたのでようやく進みますね。
では、どうぞ。


「全く...こんなに暗いなんて...夜の学校は不気味ね...」

 

現状を説明すると、わたし、こんぱ、ベール、ブランが学長室に

潜入するためにこんな妖が出てきそうな時間に校内にいる。

 

「なんで言い出しっぺのノワールがいないんだよ、ちくしょう...」

 

ブランとわたしは変身してるけど、ブランは心なしか不機嫌に感じるわね...

 

 

-時は昼に遡る-

 

 

「やられた...!まさかこのタイミングで追撃なんて...!」

 

「ねぷ、どったのノワール。」

 

「今日のデイリーイストワールよ。私達の基地に奴らが偽装工作を...!」

 

「そんなものは情報戦の定石...しかし、不自然ね...」

 

「?、あいちゃんどーいうこと?」

 

「今日は学長代行が出張の日よ。つまり、これが虚実であることを

 証明できる時間ができたわ。ちょっとしかないけどね。」

 

「...なら、とっておきの作戦があるわ。」

 

 

-そして今に戻る-

 

 

「その結果がこれというのは、どうも腑に落ちないわね...」

 

「そろそろ着きますわよ、学長室に。」

 

「ねぷねぷ、おしゃべりはおしまいにするです。」

 

「えぇ...って、開いてる...!?」

 

 

そう、学長の部屋は"開いて"いて、それでいて中から声が聞こえた。

 

 

「ないっちゅねー、ほんとに取引の証拠なんてあるっちゅか?」

 

「うるせーなー。トリック専務やレルーラさんだって言ってるだろ?

 バカ代行は小心者だから裏切られないように取引の証拠を残すって。」

 

 

--あいつらだ。ネズミとリンダ。今すぐ踏み込まなかったのは

  こんぱがわたしの腕を掴んで首を振っていたから。

 

 

--けど、それは判断ミスだった。

 

 

「ほう、やはり現れたか女神共。」

 

「...!?レルーラか!」

 

ブランがいち早く反応するもかいくぐられ、ベールに一蹴り浴びせる。

 

「ベールさん!?」

 

こんぱが駆け寄ったときはもう既に気絶しているのだから恐ろしい威力だ。

 

「な、なんだ!?」

 

「もう嗅ぎつかれたっちゅか?」

 

「まさしくその通りだよリンダ君。とんだ失態だねぇ。

 如何にして償ってくれるのかな?」

 

「そこだっ!」(ガキィン!

 

ブランが振るった斧はレルーラの斥力で弾かれる。

 

「これだから下っ端は使い物にならんとトリック殿が言っていたのか。

 ならお前達はそこの戦闘不可組を捕らえよ。」

 

「は、はい!」

「了解っちゅ!」

 

「させない...!」

 

「バカ、ネプテューヌ!」

 

「背中ががら空きだ!緋天幻客...狂咲!」

 

気づいたときにはレルーラの痛烈な回し蹴りを浴びて窓を突き破り宙に

投げ出される。正直、変身してないと骨折もあり得たかもしれない。

 

「ネプテューヌ、無事か!?」

 

ブランが回収してくれたが、お陰で大劣勢。

さらにそれに拍車をかけるように...

 

「アクク、騒がしいと思えば女神二人にレルーラか。首尾は上々かね?」

 

「えぇ、それはもう。ではそろそろ始めますのかな?」

 

「うむ。」

 

「何を始めるんだか知らねぇが...今度こそてめぇらまとめてぶっ飛ばす...!」

 

「心意気は十分だが、状況をみてみたらどうだね?まぁよい。こちらも

 社長の指示で君たちを捕らえよとの仰せがある...リンダ君。」

 

「はいっす、指示通り戦闘不可能の二人を捕らえました!」

 

「な...こんぱ!」

 

「ねぷねぷ~、捕まっちゃったです~。」

 

「てめぇら...!」

 

「これで戦えるはずがあるまい。大人しくついてくるのだな。

 でないと...アクク、ここから先は言えぬわい。」

 

「賢明な判断を下したまえ。」

 

 

--く...これは圧倒的不利...戦ってもこんぱとベールが...なら仕方ない。

 

 

「ふーんだ。判断だかどーだか知らないけど好きにすればいーよー!」

 

わたしは変身を解いて、それこそどっかり地面に座り込んだ。




以上です。久々にしては書けたかな...?
次回はあの社長が出ます。ようやく。
変態と狂人と仮面と妖艶かつ凶暴なあの連中からネプテューヌ達は脱出できるのか!?
サブタイは「接続」
感想、評価等、お待ちしております。


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接続

どーも、つなこミュージアムというつなこ先生の原画展に行ってきて
幸せなフェルデルトです。
あとシャーロット全話一気見しました。感動した...
それより、本編ですね。では、どうぞ。


ネプテューヌ達4人は最良の判断である捕まる事を選び、

かつての秘密基地にトリックとレルーラによって連行されていった。

 

(因みにリンダとワレチューはレルーラの指示で証拠隠滅の任務中)

 

 

--そんな事態になっている頃のノワール達参謀部隊は...

 

 

「アイエフ、影から貰ったデータをちょうだい。」

 

「えぇ、けど、どうやって敵の弱点を探るの?データも相当膨大だから

 全部見るまでせめて最低3日は...」

 

「それなら問題ない。」

 

「あらケイ、遅かったじゃない。」

 

「すまないノワール、凍月君のくれたデータが膨大だと聞いたからサーバーを

 少し強化してきた。あとはデータを入れてくれ。」

 

「えっと、これ、USBなんだけど...」

 

「では、少し預かろう。これで割りと早く終わりそうだ。」

 

「あらそう...ノワール、彼は一体?」

 

「ケイはあれでも女の子よ?けど、まぁ無理もないか。余談になるけど彼女は

 とても合理的な性格で影とよく討論していて最長で7時間くらい一つのことで

 議論してたことがあったわ。ただしあの二人は学園最強の理論主義者で当時は確か...」

 

「それぐらい知ってるわよ。学園初等部の論理主義者(ロジカリスト)でしょ、

 影は本当に二つ名が多いわね...何個あるのかしら...」

 

「3つじゃないかしら。多分。」

 

「お話中失礼。準備が出来たよ。」

 

「あらそう、ならお願いするわ。ケイ。」

 

「あぁ、検索を始めよう。ディスプレイオープン。...固有、取捨精査(ゲッティングセレクト)...!」

 

「って、固有で検索...!?」

 

「そ。因みに第一は把握演算だからもうどうしようもないくらいに左脳派よ。」

 

「それはそれは...」(もう完全に私の周りは固有能力者だらけね...)

 

「検索は終了だよ。整理を手伝ってもらっていいかな?」

 

「「わかったわ。」」

 

 

ーーそしてその頃ーー

 

 

「社長、女神共を連れてきましたぞ。」

 

「うむ、さて、ゲートの開け方を教えろ、さもなくば殺す。」

 

「ね、ねぷっ!?刃物は人に向けちゃダメ!てかそれは私の剣!」

 

「まぁまぁ社長、開口一番でそれは中々喋ろうとするまい。そのことは向こうでも

 思い知らされておろう。ふむ。どうするかのぉ...」

 

「んぁ?んなもん全力で戦ってぶちのめせばいいだろうがよぉ!」

 

...コイツらなんなんだよ!仮面つけるのもいい加減飽きたよ!?

 

--けどまぁ、まだ大目に見よう。その内潰すし...

 

「皆様落ち着いて。あくまでここは交渉の場ですぞ?」

 

「...そうだな...レルーラ、自白剤は?」

 

「あるわけないでしょう、社長。仮にも学生に。」

 

「ふん、つまらんな...」

 

「では喋りたくすればよかろう、アクク。」

 

--あー、今すぐ仮面を外してぇ...

 

そう思った時だ。

 

ルルルル、ルルルル...

 

「ふむ、失礼します。もしもし...」

 

「どうしたかねレルーラ。」

 

「......どうやらこやつらは尖兵だったようですな...今度は逆に我々を

 脅しにかけにきましたよ。如何にしますかな?」

 

「......ふん、くだらん。が、面倒だ。潰せ。」

 

「了解致しました。社長。」

 

 

...これで舞台は整った...さぁ、マジックカンパニーの諸君。

 

俺の手のひらの上で踊り奏でるとしたまえ...

 




以上、いろいろすっ飛ばしているでしょう、はい。
次回はあいちゃんまたまた大活躍!の予定。
サブタイは「奪還」
今度こそ、ちゃんと帰ってきます。
感想、評価、活動報告にてのパロディリクエスト等、お待ちしてます。


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奪還

どーも、やっぱり課題が多いフェルデルトです。
そろそろ2章も大詰め!
あの娘たちが...ようやく...
では、どうぞ。


「...ふむ。人質4人に対して交渉材料は我らの不正一つ...いささか釣り合わぬな。」

 

--イストワール記念学園の校舎裏、アイエフとレルーラは対峙している。

 

互いの計画通りになるように揺さぶりをかけ、

 

「ふーん、社会的な視線や評価よりも目的ねぇ...まぁいいわ。

 あんた達の考えは大体わかるし...」

 

またその揺さぶりが虚実か真実かも見抜きながら。

 

「ふむ、ならば言ってみたまえ。我らの目的を。」

 

「へぇ...自分たちの目的を他人に語らせていいのかしら?

 録音されているのかもしれないのに?」

 

「ほう。面白い事を言う。ふむ。よかろう。人質をまず一人解放しよう。」

 

「へ...?...騙されないわよ。そこで油断させようってのが魂胆ね。」

 

「...ふふ、その洞察そのものが油断だよ。アイエフ君。」

 

「それが何っ......!?しまっ...」

 

アイエフが気がついた時には、伏兵として忍ばせていたネズミ、ワレチューが

マジックカンパニーの不正を記した書類をアイエフの手からかっさらったのだ。

 

「...周囲警戒も問題ないレベルだ。故に君は集中する。だが一瞬集中が切れた時、

 同レベルまで警戒を引き上げるには時間がかかる。ましてや背後は特に。

 約束だ。人質を一人解放しよう。」

 

レルーラはまずコンパを返した。

 

「レルーラさん、何で俺っちとコンパちゃんを引き剥がすような真似をするっちゅか!?」

 

「ほう、下っ端が上に口答えをするのかね?」

 

「ぢゅ...」

 

ネズミ撃退。

 

--さて、いい加減気づいてくれるかな?アイエフ...

 

俺たちにはさしづめ、連立不等式のごとく、共通解があるってことに。

 

「さぁ、レルーラ、茶番劇は終わりにしましょう...」

 

「ふむ?いかにして終わらせるのかね?」

 

「...こうよ。」

 

アイエフは右手を高く上げる。

そして、指を弾く。すると。

 

 

 

乾いた音と共に、マジックカンパニー組の周囲が閃光に包まれた。

「ねぷ~~!?」

捕まってるネプテューヌ達も一緒に。

 

 

「でやぁ!」

 

...パリーン...

 

閃光の中で音がこだまし、そして閃光が収まったときそこには。

 

「おや...?縄が切れてますわ...」

「ようやく伸びることができる...」

「はふぅ...やっと解放されたー...」

 

縄が切れて解放された女神科の三人と、

 

「お疲れ様、ノワール。」

「当たり前よ。これで決着がつくわね。」

「はうぅ...眩しかったですぅ...」

 

アイエフ、コンパにさっきまでいなかった変身後のノワール。

 

「何が起きた...」

「むぅ...これだから女は成長させてはいかんのだ...」

「しゃらくせぇ!正々堂々戦えってんだ!」

 

問題点大有りな人物がいるマジックカンパニー組。

 

 

そして、

 

 

地面には割れた仮面。

 

 

「レルーラさん?仮面が...」

 

「ぢゅ、大変っちゅ、割れちゃったっちゅ!」

 

「いいよ...仮面割れる迄の付き合いでしたでしょう、社長...」

 

「レルーラ...貴様...!」

 

「契約はここまで。これであなた方と俺は関わりをもたない...けどまぁ、

 潰されてくれるんだったら...関わってもいいかな...」

 

相変わらず、こいつの考えてる事を読みきることなど出来ないと思わせる

独特な喋り方はまさしく、

 

「やっぱり、影、だったのね...」

 

「おうよ。...さぁてさてさてお立ち合い...皆様お待ちかねの制裁の時間也...

 覚悟はいいかな?マジックカンパニー。」

 

「貴様ッ...!だがここにはパープルハートの剣がある...」

 

「あー。それは返して貰うわよ。大事なものみたいだし。」

 

--完全な不意討ち。やはり感情的になると視界は狭まる。

 

そんな感想を抱いている間に剣は都合良くネプテューヌの前に刺さる。

 

「お帰り、ギー、じゃないじゃない。」

 

今ギー太って言おうとした!?失望した!

 

「はぁ、代わりに決めさせてもらおう...」

 

「後でまた説教するけど、今はこっちを、ぶっ潰す!」

 

ブランの背中は暖かい。そんな背中を合わせて二人同時に決め台詞を言う。

 

「「さぁ、お前達の罪を数えろ!」」

 

...変身してから言うべきだった...

 




以上、ようやく帰ってきましたねぇ、影君。
次回はジャッジvs影+女神4人!
しばらく見ないうちに強くなったのはお互い様らしい。
サブタイは「制裁」

予告!近々パロディリクエスト夏祭りをやろうと思います!
もうシリアスなので、企画でしかネタを挟めない...(泣)
そんなこんなでしっちゃかめっちゃかな本編関係無しとは
言い切れない回に向け、リクエストお願いします。
(活動報告で言うべきだった...?)
感想、評価、その他ご意見等、お待ちしてます!


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制裁

どーも、夏休み直前のフェルデルトです。
いやー、やっぱり課題が多いのが現状です。更新はぼちぼちしていきます。
では二章最終決戦第一幕、どーぞ!


「ゲハァハハハッ!レェルーラァ!ぶちのめしてやらぁ!」

 

ったく、どーも面倒な戦闘狂だこと...

 

「あ、そ、意気込みだけは買ってやる!」

 

変身し、ジャッジのパンチをシールドで受ける。

 

「ちょいさぁ!」

 

そのシールドを細身からでる謎の怪力で蹴飛ばされ、体勢が崩れる。

 

「うあっと...これはキツイねぇ...」

 

すかさず距離をとり、ブランとベールが代わりに前に出る。

 

「でやぁ!」

 

ブランの攻撃!

 

「へ、そんなぬるい攻撃が通るかってんだ!」

 

ジャッジはひらりと身をかわした!

 

「後ろががら空きですわよ!」

 

ベールの攻撃!

 

「あ?それがどうしたァ!」

 

ジャッジはベールの槍を蹴り上げ、腹部にパンチを浴びせた。

 

「がうっ...」

 

吹っ飛ばされるベール。

 

「んだァ、つまんねぇな...この程度かよぉ!」

 

--いやいや、割りと予想外。まさかここまでとは...

 

「悪いわね、影。あのふたりは逃がしちゃったわ。」

 

「悔しい...まさかあんな固有を持ってるなんて...!」

 

ネプテューヌとノワールが合流。

 

「そうか、逃がしたか...まぁいい。こいつだけでも片付けよう...」

 

「しかし...相当な馬鹿力ですわよ...?」

 

「私でもパワー負けしそうだぜ...」

 

「...そうか、ならば...いっちょ派手にやりますか!」

 

黒影、白影を抜刀、突撃する。

 

「んあ?そらよぉ!」

 

ジャッジもそれに呼応し、ハルバードを取りだしてつばぜり合い、なのだが。

 

「はっはぁ!」

 

ジャッジはわざと隙を作るように弾かれたような動きをした。

 

「そこっ!」

 

当然、突っ込むべきところだろう。だが。

 

「なにッ...!?」

 

ジャッジは霧と化し、黒影は空を薙いだ。

 

「霧散転移かっ...!」

 

「そらよぉ!」

 

「ちぃっ!」

 

背後に回ったジャッジの攻撃をどうにか白影で受ける。

 

--だがしかし。

 

「おらよぉッ!」

 

「っく...なんつぅ怪力......」

 

どうにかして黒影白影両方で受けるも劣勢だ。

 

「あいつらはなにやってる...!」

 

「女神四人は俺の固有で場外に出て貰ってるぜぇ、まぁ正しくは俺とお前だけの

 世界にしてやったんだけどなぁ...今頃あいつらはしどろもどろしてるだろうよ!」

 

「んやろ...随分便利ですねぇジャッジ殿!」

 

左腕の義手内蔵の斥力を作動させて距離を取らせる。

 

「んあ、斥力かぁ?しゃらくせぇ!」

 

「突撃かい!なんとぉ!」

 

再びジャッジのハルバードと黒影白影が斬り結ぶが...

 

「へっ...ちょいさぁ!」

 

バキィン!!

 

「嘘、だろ...!?」

 

斬り結んでいた黒影白影が折れたのである。そのまま振り下ろされた

ハルバードをもろに受けるのは言うまでもないことで、

 

「がふぁっ...!?げ、これはピンチだねぇ...」

 

と、軽口を叩いているものの、既にジャッジは影に追撃をかける体勢であった。

 

「これは、詰んだな...」

 

そのとき、ふしぎなことがおこった。




いかがでしたか?
凍月君vsジャッジになっちゃいましたねぇ...あはは。
次回は異変に気づくいつものあの子がいつも通り状況打破をします。
サブタイは「包囲」
感想、評価等、お待ちしてます!
夏祭りのリクエストの方もどしどし送って下さい!8月中旬投稿予定です!
ではっ!


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包囲

どーも、暑くて溶けそうなフェルデルトです。
皆様、熱中症には注意してください。私はまだ大丈夫です。
とにもかくにも2章ですね。
ジャッジの固有で影君ピンチ...だったはず。
というわけで、どうぞ。


ありのまま今起こった事を話そう。それはそれはあり得ない、

しかしこの目で見たことのためにあり得ないとは言えないことだ。

 

......空が割れたのだ。

 

何を言ってるか判らんと思うが、俺も何を言ってるか判らん。

大方こう言う事象は固有能力者でもマヌーサ的能力者しか起こせない。

何かとても恐ろしいものの片鱗を味わった気分とまではいかなかったのが救いだ。

 

 

--但し、彼女曰く。

 

「だらしないわね...全く。汝、武器を捨てデジカメを持ちなさい!」

 

--訂正。片鱗を味わった。

 

 

それはジャッジとて同じだったらしく、

 

「何が起こりやがった...俺の固有が解除されただとっ...!?」

 

「みたいだねぇ、ジャッジ殿。ほれ、周りを見なされ。」

 

「んぁ?なんだってんだチクショー、囲まれてるのかよぉ!?」

 

「そゆこと。大人しく袋の鼠となって頂きましょうか...」

 

ジャッジの固有は世界隔離(ザ·ゾーン)。文字通り世界と己の周辺を隔離する。

 

--しかも範囲は常に流動する。

 

だがしかし。隔離した世界の外側の動向を知る事は出来ない上に

ある程度の物理的干渉が起こる。今回はそれが仇になって、能力を解除されたのだろう。

 

「投降したほうが身のためだよー。」

 

「へっ、投降なんざ、するわけねぇだろうがよぉ!」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ......

 

「何よ、この力...!」

 

「これは...あの時の学長と同じ...」

 

「っく、とてつもない力ですわ...」

 

「にゃろう...まだ戦うのかよ...」

 

 

--ふむ...これは制御能力か...

 

 

「大真面目に本気を出さないとなぁ...リミッター解除...」

 

「「「「最初から出しなさい!」」」」

 

--オイコラ、これは相当体力を消耗するんだっての...

 

 

«strike fome»

 

 

ジャッジが全身の二倍、横幅含めると四倍もあろうかと思われる

装甲を纏ったのに呼応し、俺は2分しか維持できない自身最強形態、

ストライクフォームを起動させる。

 

「...120秒で、ケリを着ける...」

 

スラッシュバレットを二丁持ち、構える。

 

「おい、影、120秒って、短いだろ...」

 

「しかしいかにも通常の3倍のような赤い光を纏っておりますわね。」

 

「無駄話は後よ、影、後何秒?」

 

「103秒かね...行くぞ!」

 

17秒無駄にした後俺達は装甲ジャッジに突撃する。

 

 

--端的に言うとなると、ジャッジは墓穴を掘った。

 

 

「動きがのろい!」

 

「そこっ!」

 

--しかし、相変わらずノワールは速い。

 

二人同時に斬り込み、次には

 

「頂きましたわ!」

 

と、ベールの刺突が襲いかかる。

 

「んだぁ?痛くも痒くもねぇなぁ!」

 

ジャッジはこう言うも、それは当然だ。装甲の厚いところをワザワザ

何度も何度も攻撃してるのだから。

 

それがどういう意味だろうとジャッジは想像するべきだった。

いや、しても無駄だろう。図体が大きくなれば死角が生まれる。

 

「食らいやがれぇぇぇぇ!!!」

 

そんな死角から傷を抉られれば、ジャッジの装甲もたまったものではない。

ついでにいうなればブランの本気の一撃だ。

 

「ごぐらぁ!?」

 

装甲もろともジャッジが吹き飛ばされるのは間違いのないことで。

 

「悪いけど、追撃させてもらうわ!そしてその悪意ある魂、別の次元へ返しなさい!」

 

おまけのネプテューヌの一閃。泣きっ面に蜂とはこのことか。

 

そして今回の騒乱は落ち着いた。少なくとも表向きは。

 

裏はまぁ...凍月 影という人間に対する態度が冷たくなってるのとか、

マジックカンパニーの所在などがまだ残っている。

 

 

--けどまぁ...平和ならいいっしょ。

 

 

そんなことを思いながらいつもの7人で帰っているときだ。

 

「やっと見つけた...”お姉ちゃん”!」

 

ピンク髪の美少女とその後ろに3人の計4人の一団がこっちに来る。

 

やれやれ...また新しい問題が来るとはね。

 

しかしこれが後々影にとっての救済に繋がる出会いということも、

絶望に繋がる出会いだということも、まだ影には知るよしもない。




以上、無理やり感が少々あるかもですが2章、終幕致します。
次回、ようやく3章、妹達も出ます!
でもまずは空気になりかけてるかもしれないあの子を出さないと。
女神科高校の回帰生、第3章、
「凍月騒乱の章」
感想、評価、夏祭りのパロディリクエスト等、お待ちしてます。


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第3章 凍月騒乱の章
通りすがりの妹、らしい。


どーも、ようやく夏休みのフェルデルトです。
3章、開幕致します。
では、どうぞ。


先の2章の件で色々冷遇されつつある俺の学園生活はさらに混沌を極めることになる。

 

--さて、どこから説明したものかねぇ...

 

章と章の間に俺らは学長室に呼ばれ、ブランと双子妹を除く8人が

学長室内でまぁ、ネプテューヌの妹と名乗るネプギアと言う子の

話を聞いていたのだが...カットするには忍びない話であった。

いかんせんえげつない長さであったのが仇となった。

 

「ぷしゅー......」

 

案の定ネプテューヌはオーバーヒートした。

 

「あーあー...コンパ、麦茶頂戴、クールダウンさせるから。」

 

「はいです。ねぷねぷ、これを飲むです。」

 

「ぐびぐび、ぷはー...いやー、ごめんごめん...」

 

--やれやれ...

 

「ともかく、その話がネプテューヌを探す理由ねぇ...いい話だなぁ...」

 

「え、影が感極まってる!?」

 

「無理もないですわ...ここまで健気な妹さんがようやく

 見つけた姉が記憶喪失だったと聞くと...」

 

「まさか影まで感極まるとは予想外だが...ともかく、

 しばらくはお前達で面倒を見てやれ。」

 

「了解です、学長...」

 

そうしてランカーズテラスに移動したわけだが...

 

「あのねぇ、ネプギアさん?俺の腕がどうして機械仕掛けってわかったの!?

 分解しないで!それは技術の粋を集めてるんだからさぁ!」

 

「ちょっとだけで良いですから!」(カチャカチャ

 

「あら、この子、性格変わってない?」

 

「あなたの妹ですわよ?把握しておくべきでは?」

 

「記憶喪失だからわかんないよー!」

 

「黙れ、ちょ、斥力ゲインは弄るな!ブラックボックスだから!」

 

「こうなると手がつけられなるんです。影さん、御愁傷様です...」

 

「ユニ、いや、なんでもないわ。」

 

「これは酷いなぁ...ったく...ブランはまだか...」

 

「呼んだかしら...?って、何してるの?」

 

「しらないひと、いっぱい...(ぶるぶる)」

 

「あ、でもあれ、えいおにーちゃんじゃない?」

 

「おー...来てくれたかぁ...というか全員揃ったなぁ...さて、んじゃぁ、行こうか...」

 

「行く?何処に?」

 

 

「それはだな、アイエフ...俺の"妹"のところさ。」

 

 

「あぁそう、影にも妹が...って...」

 

「「「「えぇぇぇぇ!?」」」」

 

 

--声が大きい...頭に響いた...

 

 

「ということでネプギア...戻してくれない?」

 

「え、あ、はい。分かりました...」

 

「名残惜しそうね...でもネプギア、後で頼めばいいと思うわ。」

 

「さすがにそれは勘弁してくれ...ってか、ノワールと違って

 ユニは真っ当だな...さぞかし自慢の妹だろうよ。」

 

「失礼ね、私だって真っ当よ!」

 

そんなノワールのツッコミをスルーしてる中、義手が修復された。

 

「直った直った...んじゃぁ、行こうか。凍月 影の妹のところに。」

 




以上、3章始まりました。
ネプギアの機械ネタはやりたかっただけです。はい。
次回、久々登場の明がまた一騒動起こす...?
サブタイは「真逆の兄妹」
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真逆の兄妹

どーも。夏期課題をどうにか終わらせようとしてるフェルデルトです。
まぁ、そんなこんなで3章二話目ですね。
暑さでバテてますががんばります。では、どうぞ。


というわけで校舎裏の森にある小屋に到着。

 

「明ー、帰ったぞー。」

 

「あ、お兄ちゃんお帰りー。」

 

俺以外の10人は驚いてるだろう。

 

「なぁ、明。いくらようやく許可が通って入手した制服を着れて嬉しいのはわかるが...

 何で小屋の梁を鉄棒に見立ててコウモリをしてるんだ...!」

 

「影に説明付きのツッコミをさせてるなんて...」

 

「はぁ...この流れは慣れた...はい。こいつが俺の妹。

 まぁ、義理のだけど。名前は明。凍月 明だ。」

 

「てか、お客さん連れてくるなんて初めてだね。」

 

「まぁ、な...忙しかったから...それに、こいつらには会わせておくべきだと思ってね。」

 

「なるほど...で、お兄ちゃん。孤高の月影と呼ばれていたお兄ちゃん

 が最初に心を開いた人ってのは、誰なの?」

 

「ちょ、影。まだ二つ名があったの!?」

 

「アイエフ...そこにツッコミを入れるか...?」

 

「まぁ、でも可愛らしい妹さんではありませんの...」

 

「手を出すなよ...」(ギロリ

 

「個性的な人たちだね...」

 

「まぁ、な...俺以上だよ...」

 

「けどお兄ちゃんが信用してるんだったら、私も信じるよ。」

 

「お前なぁ、少しは疑いの目を持てよ...」

 

「いいじゃん、ここは、誰も来ないし。」

 

「...まさか、影。妹をこんな小屋でほとんど一人にしてたの!?

 学校にも行かせないで...そんなのって...!」

 

「ノワールの言いたい事はわかる。だが...正式な通達もないまま

 転校生が来たら混乱するだろーが...!」

 

「てか、影。義理の妹なんだよね、ほんとの兄妹みたいにとても似てるんだけどなー。」

 

「性格は真逆だけどな...」

 

「真逆でも、お兄ちゃんは私のお兄ちゃんだよ。」

 

「えっと、えいおにーちゃんのいもうとだから...」

 

「めい、おねーちゃんだね...(にこにこ)」

 

「わ、またロムが見知らぬ人になついた...」

 

「姉としては安心するけど...」

 

「えっと、私はネプギアっていいます。よろしくね。明ちゃん。」

 

「うん、よろしくね、ネプギアちゃん。」

 

妹サイドがもうなついてるのが驚きだ...

 

「...ところでお兄ちゃん。さっきの質問まだ答えて無いよね?」

 

「心開いた云々のか?言っておくが一番最初ではあるが唯一無二だ。

 俺はそうそう、心を開いたりなんかはしない。本当の俺は...

 ブランしか知らない方がいいんだからな...」

 

「はぁ、私は知ってるけどなんなら皆に今ここで話してあげてもいいのよ?」

 

「やめてください...」

 

「そう、めったに見せないね。そんな表情は。」

 

「やっぱ分かるか?まぁ、そうだよな。」

 

「うん。だからお兄ちゃん。いつまでも、あの時の事を引きずらないで。」

 

--無茶な相談だな...

 

「贖罪なんか、しなくてもいいんだよ...」

 

「影。もう隠し事はやめて。もうあなたは一人じゃないのよ。」

 

「...ならば話そう、凍月 影の長い長い昔話を...」

 




以上、明と影の兄妹のかけあいに苦労しました。
次回は影の過去を辿る。
サブタイは「出会い·茜と影」
この出会いは影に大きな影響を与える。

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出会い·茜と影

どーも、オリンピック見ながら課題の合間に執筆しているフェルデルトです。
いやー、数学は楽しくて難しい...

今回はちゃんと本編です。
影君の昔話、過去を辿ります。


さて、どこから話したものか。

まぁ、最初からだろう...

 

「ST資格を手に入れる為に、そして俺自身の能力を開花させるために俺はある研究機関で

 訓練した。そこで出会ったのが仙道 茜だ。」

 

「あかねぇだね。けどお兄ちゃん、そこから話すんだ...」

 

「途中ははしょる。んでだ、まぁ、茜はおしゃべり好きで色々と面白い奴でね。

 その上戦闘力もあったのだが、恐ろしく天然でとても大変だった。」

 

「...天然キャラ...困っている影が目に浮かぶわ...」

 

「だろ?じゃなくて、続きだが、正直、今の俺があるのは良くも悪くも

 茜のお陰なんだ。茜のせいとも言えるが...」

 

「あかねぇ、そんなに重要だったんだ...」

 

「......」(ブラン、ムッとしている。

 

 

----------

 

 

「とーげつ君、とーげつ君。この施設は慣れた?」

 

「あぁ。心配ありがとう仙道。色々なことに没頭出来そうで居心地はいいよ。」

 

「むむ、みょーじで呼ばれるのは嫌だな。茜でいーよ。」

 

「...くだけてる。」

 

「何をー!頭が崩壊してるってー!?」

 

「そんなことは言ってない!」

 

「そーなの?」

 

「そうだよ...はぁ...茜。悪いが少しこの施設を案内してくれるか?」

 

「うん、いーよ。とーげつ君!」

 

「影でいいよ。てか、随分と子供っぽいしゃべり方だよな。」

 

「違うよ。とーげつ君が無駄に無駄に大人なの!」

 

「近い近い...まぁ、そうなのは分かってるけどさ。」

 

「ふーん。なんで?」

 

「聞いたら後悔するぞ。」

 

「じゃー聞かない。」

 

「それが賢明だ。」

 

「むー、とーげつ君、難しー言葉を使わないで会話出来ない?」

 

「もう既に完成されたかもしれない性格だからな...」

 

「んもー!そんな性格、修正してやる!」

 

「危ないなぁ、いきなり殴ってくるなよ。」

 

「へー、避けたんだ...いーね、いーよ。とーげつ君!」

 

「お前なぁ...」

 

「けど、まだ君は来たばっかりで本格的な戦闘は未経験...おまけに戦闘向きの

 能力もない...本気出せばとーげつ君、いちころだよ?」

 

「参った...早く戦えるようにならないと...」

 

「制御能力のデバイスが一個余ってるのがあるよ。ちょーっと危ないけどね。」

 

「危ない?何でだ?」

 

「作成者曰く、最狂の試作品。出力が高くて、今までの3人の装着者は

 お空に旅立っていったわ。」

 

「おいおい...んな無茶苦茶な...俺が使いこなせるわけ...」

 

「あるよ。とーげつ君」

 

「その理由は?」

 

「ないよ。でもね、君は心の芯がしっかり通っている。

 その信念さえ曲げなければ...大丈夫だよ。」

 

「...そうであるといいんだけど。」

 

「あ、そーだ。とーげつ君、この施設はね、ある特殊なこともやってるんだよ。」

 

「特殊なこと...?なんだそれは。」

 

「女神化能力の研究とその力を持つデザインベビーの制作。」

 

「デザイン、ベビー...?」

 

「とーげつ君。これは君にだけ教えるよ。デザインベビーってのはね...」

 

その時俺は、恐怖と興味が入り交じった複雑な心境になった。




以上、過去編1でした。
文章の間に改行挟むと見やすいですね。
自分の文章見て見にくかったので改良して良かったと思います。
次回は影と明の出会い。
サブタイは「出会い·影と明」
やはりこの出会いも影を変える。

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出会い·影と明

どーも、お盆でも執筆&課題のフェルデルトです。

今回は明との出会いと茜の口から語られるいろいろに若かりし影君は何を思う。

では、どうぞ。


「とーげつ君、デザインベビーっていうのはね、人工的に造られた

 女神化能力を持つ子のことだよ。」

 

「そんなことが...出来るのか?許されるのか...?」

 

「会ってみたら?まだ11番目、スコルピオと12番目のサジットは

 まだ能力が発現してないから。」

 

「...大丈夫なのか?」

 

「うん、あの子達はせーしん的な安定が必要なんだ。能力の発現にね。」

 

「俺は何をすればいい。」

 

「会ってから考えよーよ。」

 

 

----------

 

 

「茜さん。来てくれたんですか。」

 

「あかねぇやっほー!」

 

「うん、スコルピオもサジットも元気そうね。」

 

「ところで茜さん。後ろの方は、もしや彼氏ですか?」

 

「え、そーなのあかねぇ。」

 

「どーでしょー。」

 

「違う!先客がいる。先客がいるんだ...!」

 

「へぇ、この施設の研究員の中でも指折りの美少女と呼ばれる私に最初から

 全くもって表情を崩さなかったのは、それが理由か...」

 

「あかねぇ、嫉妬?」

 

「大罪ですよ。茜さん。」

 

「嫉妬されるようないわれは無い...」

 

「まぁいーよ、とーげつ君。でね。こっちの礼儀正しい子がスコルピオ。

 こっちの可愛い子がサジット。」

 

「星座の識別名か...識別名じゃなくて普通の名前をつけてやるか...」

 

「ふつーの名前?私の仙道とかの?」

 

「そうだ。何か、可哀想だ。」

 

「不思議な感想ですね...私達に可哀想なんて。」

 

「いいひと、だね。」

 

「ふーん、せーしん的安定なら...妹にしちゃえば?」

 

「「えっ!?」」

 

「ふーむ。茜、それは悪くないな...」

 

「問題はどちらを選ぶか、だ。二人は面倒見れん。」

 

「あー、なら言い出しっぺの私がスコルピオの面倒見るよ。

 そうだなぁ、よし、今から私はスコルピオのことを紅奈(くれな)

 って呼ぶよ、さー、おいで紅奈!」

 

「えー、っと。わかりました、茜さん。」

 

「茜«姉»さんだよ!」

 

「え、あ、はい、茜姉さん...」

 

「随分のってるなぁ...どうするよ。んー、俺とは真逆の性格だから

 名前も逆にしよう。そだな...«明»でどうだ?」

 

「いいよ。ところで、あなたの名前は?」

 

「あぁ、言ってなかったか。俺は影。凍月 影。」

 

「じゃあ私は凍月 明だね、よろしく、お兄ちゃん!」

 

「おう。よろしくな、明。」

 

 

----------

 

 

話が一段落ついた。

まぁ、まだ続きはあるが。

 

「それが明との出会いねぇ...でも影、そのちょくちょく出てくるその

 茜って子の話はこの学園内では聞かないわ。そんなに強力そうな

 能力を持っているならここにいてもおかしくはないのに...」

 

「ノワールさん、それはお兄ちゃんの前で言っちゃ駄目。」

 

「え、そうなの...!?」

 

「包み隠さず話すよ。そうだなぁ、次はお互いの能力の発現かな...」

 

まだまだ話すことはたくさんある。

けど、少し休もう。休まないと、な...




以上、影君の過去はまだまだダーク。密度は濃い。
紐解かれてゆく仙道 茜への影の後悔。
次回、影と明の能力が発現、そして...
サブタイは「発現·制御と女神化」

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発現·制御と女神化

どーも、最近深夜テンションがおかしいフェルデルトです。
影と明の能力が発現して、影の人生に新たな展開が訪れる。

では、どうぞ。


「んじゃ、続きいくぞ。」

 

十数分の休憩の後、俺の昔話を再開する。

 

----------

 

「まさか、このデバイスに適応し制御能力を引き出すとは...」

 

「今にも死にそうな気がするのは気のせいだよな...?」

 

「大丈夫だよ、とーげつ君。どーやらこのデバイスは君を選んだよーだよ。

 おめでとう。君は制御能力、鎧装装着(アームズドライヴ)の適合者になったよ。」

 

「そう言われても実感湧かねぇな...」

 

「けどねとーげつ君。その能力は武器を自らの意思で精製出来るんだよ。それにね、

 武器を二つまで量子格納出来るんだよ。」

 

「凄いな...」

 

「合わせて戦闘力も高いんだけど、生命維持は度外視してるんだ。」

 

「大事なところだろそこ!」

 

「いいじゃん。別に。そういえばサジット...明の能力は?」

 

「あぁ、まだだ...紅奈は?」

 

「発現したよ。変身後も赤い髪に赤い目、赤いプロセッサだった。」

 

「通常の3倍強くなってそう。」

 

「そだね。で、後は明だけだよ。能力発現がまだなのは。」

 

「そんなこと言われてもな...明には主役は遅れてやってくると言ってるが...」

 

「ふーん、とーげつ君、君、実の妹がいるのかな?」

 

「いない...大親友の妹くらいだ。」

 

「へぇ、そうなんだ。」

 

「ともかく、明のところに行くよ。」

 

「行ってらっしゃい、とーげつ君。」

 

 

----------

 

 

「明ー、戻ったぞー。」

 

「あ、お兄ちゃん!見て!変身出来たよ!」

 

「何の前触れもなく!?まぁ、おめでとう明。」

 

「えへへ、やっと皆に会えるよ。」

 

「皆に、ね...」

 

--しかし...まるで変身したブランのようなプロセッサだな。ラインの色が

  水色ではなくオレンジだが。てか、髪型は変わってないけど髪色はオレンジ

  になったのか...なんだっけ、ハロハロとかいう丸いメカをあしらった

  ...って、違う。あれは燃えるアイドルだったはずだ。

 

「お兄ちゃん...?」

 

「え、いや、何でもないよ。武器は?」

 

「それがね、弓なの。弓なんだけど、色々出来るの。」

 

「色々?例えば?」

 

「弓、銃、盾、剣の4通り...使いこなせないよ...」

 

「ほぇー...いいなぁ、そんな便利な武器...」

 

「羨ましがられるものじゃないよ...」

 

「とーげつ君!サジットは変身出来たの!?」

 

「あ、あぁ...って、どうした茜。そんな臨戦態勢で...」

 

「いや。この部屋でとてつもないエネルギー反応が観測されたから...」

 

「へぇ...」

 

--戦闘装備は...なんだろう、まるで甲冑とドレスを足して2で割ったような

  感じだな...色は鮮紅色と銀のラインで...武器は片手剣、いや、両手剣か...

 

「ともかく、これで12人全ての変身が出来たね...」

 

「なぁ茜。一体何お前は、何をしようとしてる?」

 

「...それは秘密だよとーげつ君。けど、ありがとね。」

 

「俺は何もやってないけどな。」

 

「明、ゾディアックセンターへ行って。とーげつ君はこっち。」

 

「あ、あぁ、明、ゾディアックセンターだとさ。」

 

「うん、わかった...」

 

「...さてとーげつ君。ここから先は禁忌の領域だよ。」

 

「どういうことだ?」

 

「いずれわかるよ。そして、とーげつ君。」

 

「なんだ?茜。」

 

「一つ、私のお願い聞ーてくれるかな?」

 

「...内容による。」

 

「む、じゃ、簡単に。買い物付き合ってくれない?」

 

「...は?何故俺に頼むし。」

 

「気分。」

 

「はぁ、了解だ。」

 

「え、いーの?」

 

「いーよ...」

 

「よっsy(ズガゴーン)......何事!?」

 

「振動...いや、爆発だ...!」

 

「仙道さん!ゾディアックセンターの一部が爆発しました!」

 

「そんなのは分かってる、理由は!?」

 

「サジット...サジットが転化しました...!」

 

「なんだって...!?」

 

「了解、ゾディアックシリーズは退避。戦えても、転化状態じゃ歯が立たない

 だろうからね...それと、非戦闘員もね。とーげつ君。ぶっつけ本番の運用

 だけどいい?明のために、戦ってくれる...?」

 

「茜...分かった。行こう...」

 

そうして俺たちはゾディアックセンターに向かった。




以上、過去編3話目でした。
次回で多分過去編終わりますかね。はい。
明の転化に茜と影はどう挑む。
サブタイは「転化·刃と刃」

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転化·刃と刃

どーも、暑さでバテそうなフェルデルトです。
影君の過去編おそらくラストです。
転化した明に影と茜が挑む。
では、どうぞ。


「...随分派手に崩壊してるねーおい。」

 

「とーげつ君、マイペースだね...とっとと片付けないと...」

 

「だな。ふぅ...行くか...」

 

「変身するよ。転化した明、ロストサジットと呼ぶけど、戦わないとね。」

 

「転化、ねぇ...面倒だよな...」

 

「そうだね...行こうか。」

 

「おうよ。変身...鎧装装着(アームズドライヴ)、セットアップ!」

 

「さて...行きますか、とーげつ君!」

 

「了解。武装は...銃でいいか。」

 

「とーげつ君、接近戦武装もある方がいいよ。」

 

「はいはい。まぁじゃあ、銃剣にするか。」

 

「あ、そーいうのもあるんだ。」

 

「あるよ...いくぞ。」

 

「おっけー。んじゃ、斬り込むよ。でやぁ!」

 

茜の両手剣の一斬りがゾディアックセンターの入り口を切り開き、

そのなかに二人同時に飛び込む。

 

「クリア...しかし、異常なエネルギーを肌身で感じるとは...」

 

「だね...これは滅茶苦茶だよ、やばいよ...」

 

「こっちか...」

 

銃剣を構えてエネルギー源に向かう。間違いなくこれは茜の言うように

ヤバい、とにもかくにもこれはヤバい...

 

「とーげつ君、上!」

 

「ん?ぬあっと...!」

 

上から黒いドロリとした何かが降ってきたのをかわす。

 

「茜、これは...?」

 

「...正直、ここまでとは...明は、とーげつ君の前では気丈に振る舞ってた、よね?」

 

「あぁ。それはそれはもう。」

 

「けど実際の心は荒んでいた。そんな明の心の闇だよ。これは。」

 

「こんなにあったの?話してくれよ...」

 

「嘆いても仕方ない、突っ込むよ、これは障壁みたいなものだから。」

 

「だな。んじゃ、」

 

「「せぇのぉ!!!」」

 

二人同時の斬撃で再び道を切り開き、エネルギーの中心にたどり着く。

 

「......」

 

「明...」

 

「転化状態はプロセッサはもとの色の補色になる...近未来な感じに見えるね。」

 

「軽口叩く場合じゃ無さそうだな...」

 

「翔ぶよ、とーげつ君。空戦で一気にけりをつける。」

 

「了解、大人しく、大人しくしてくれ、明!」

 

「来るよ!」

 

明の黒いエネルギーは鞭のようにしなり、ミサイルの様に追ってくる。

緩急着けて避けるも斬って斬って迎撃しても中々減らない。むしろ増える。

 

「近づけねぇ...」

 

「斬ってもだめ、撃ってもだめ、これは面倒...」

 

「とにかく、一撃入れれば...!」

 

「だね、とーげつ君、じゃあちょっと無茶しちゃうよ。」

 

「え?」

 

「突っ込むよ、やぁぁぁ!!」

 

「んな、茜!ったく!」

 

「どいたどいたぁ!サジット、これでも喰らえぇぇ!!!」

 

「......!」(エネルギーを凝縮して茜の斬撃を防ぐ

 

「げ、これは予想外...!」

 

「茜!」

 

「っく、とーげつ君!私は良いから明を止めて!」

 

「けどっ...!」

 

「いいから行って!明のために!」

 

「...っ...了解...!」

 

「こんなの...!滅多斬りに...!(防御を切り崩して周り見る)やばっ...!?」

 

茜が気づいた時、既に茜の周囲全球360°全てが黒のエネルギーで覆われていた。

 

「ちぃ、間に合えぇぇぇ!!」

 

銃剣の出力を最大にして転化した明に斬りかかったのと黒のエネルギーが茜に

襲いかかったのは同じタイミングであった。

 

「やった...のか......」

 

フラグを建てないように注意しつつ周りを見回す。

まず足元に明、そして...

 

「あ、かね...?」

 

変身装備のまま倒れて動かない茜がいた。




以上です。もう一話欲しかったかー。
茜と影の相性はともかく、転化は恐ろしい...

次回、影は施設を後にする。
サブタイは「運命·生と死」

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運命·生と死

はい、今度こそ影君の過去編ラストです。

全てを知った明と女神達は何を思う。

では、どうぞ。


「あ、かね...?おい、しっかりしろ!」

 

「あぁ、とーげつ君。えへへ、無茶し過ぎたかも。」

 

「お前なぁ、こんな状況でよくも笑ってられるな!?」

 

「そう?因みにどんな状況かはわかる?」

 

「左脇腹と右肩から流血してるような状況だ。」

 

「あ、そう...ごめんねとーげつ君。買い物行けなくて。」

 

「誘ったのはお前だろうが、ばか野郎...」

 

「酷いなとーげつ君...ただでさえ怪我人なのに...」

 

「ただでさえともいえど怪我人の領域を越えつつあるやつが言うな...!」

 

「わかっちゃう?流石だねとーげつ君...」

 

「もういい喋るな...大人しくしてろ...」

 

「無理な相談だなぁ...私は喋っていたいんだよ?君と。」

 

「...なんでだよ...茜...」

 

「だってとーげつ君、いつも話が難しいんだもん。」

 

「この状況なら簡潔にしてくれると?ふざけるな!良いから黙れ、そして死ぬな!」

 

「ふふ...とーげつ君、聞けない命令だよ...」

 

「あかっ...っ...そうかよ...」

 

「分かってくれてありがと...それにねとーげつ君。今君の腕に横たわっているのは

 個人的にはとても嬉しいんだよ?」

 

「怪我人だからだ。怪我人でもなけりゃこんなことはアイツにしかしない。」

 

「誰と聞いても分かんないし会えないよね...」

 

「茜...んあ?これは...涙...?」

 

「とーげつ君、そうだよ。それが涙だよ。」

 

「親が事故った時も流れなかったのに...何で今...」

 

「悲しいからじゃないの?そっか...私がこうなって、悲しいんだ...」

 

「悲しくない訳ねぇだろーが...!」

 

「そう思ってくれるの...とーげつ君が初めてかも...」

 

「は...?」

 

「私、捨て子なんだ...」

 

「おいおい、何言ってんだよ茜...捨て子って...」

 

「そうだよ。5歳の時かな。唐突に親に捨てられた。」

 

「...ほとんど...俺と同じ...!?」

 

「そうなんだね...とーげつ君。ありがとね、私を信じてくれて、

 私を心配してくれて...ありがとね、とーげつ君...」

 

「影でいいよ...茜...」

 

「そう、じゃあえい君...サヨナラ、だね...」

 

そう言って茜はぐったりと動かなくなった。

 

「茜...?嘘、だよな...なぁ、茜、返事しろよ、茜、茜ぇ!」

 

「仙道さん、凍月さん!無事ですか!?」

 

救助隊...戦闘部隊が今さら来た。

 

「遅ぇよ...おせぇよ...う、うぅ、うぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

「と、凍月さん...?」

 

「...明を俺の部屋へ...連れてってくれ...」

 

「分かりました。仙道さんは...?」

 

「......死んだよ...」

 

「そんな、仙道さんが...!?」

 

「しばらくこうしていたい...茜は...共倒れしてしまうような状況を打破してくれた...

 けど俺は...茜に何も出来ちゃいない...何を成しても無駄なのは分かってる...けど...!」

 

「分かりました、凍月さん。仙道さんのそばにいてあげてください...」

 

「ありがとう...うぅ、うぅ...」

 

 

----------

 

 

「...これが全ての真実だよ。」

 

「...てことはお兄ちゃん...私が、あかねぇを...この手で...?」

 

「あぁ、そうだよ。厳密には明じゃないけど。」

 

「そんな...そんな...っ...!」

 

「真実というのは残酷なものね...」

 

「明、もう昔の話だ、忘れてくれとは俺は言えない。けど、俺は明の兄だ。

 明の為なら出来ることは何がなんでもやり遂げる。だから全部話した。」

 

「てことは、影、これが明ちゃんの為になるって!?傷つけてるだけじゃない!」

 

「お姉ちゃんの言う通りです、これでは明が可愛そうです!」

 

「まぁまぁお二人とも、ここで言い争っても仕方のないことではありませんの。

 わたくしとしても、不愉快ではありますが...」

 

「うー、長いよ影...」

 

「相変わらずネプ子には処理しきれない文量ね...」

 

「ギアちゃんはどう思うですか?」

 

「どうって、言われましても...事実は不変ですし...私は半分ロムちゃんとラムちゃんの

 面倒を見ていたので聞けてないところもありますが...」

 

「すまないわね...」

 

「お兄ちゃん...私、どうすれば良いのかな...またあかねぇの時に暴走して、

 転化しちゃうのかな...私ね、記憶がないんだ...ゾディアックセンターに

 着いた後からお兄ちゃんの部屋で起きるまでの...」

 

「そういえば...私も転化したみたいだけど...その頃の記憶は無いわ...」

 

「...明、そんなことはさせない、しても俺が止める。だから明は...俺の妹でいてくれ...」

 

明を抱き締める。明を安心させるように、俺を安心させるように。

 

「...お兄ちゃん...ありがとう...」

 




いかがでしたか?
次回は女神派と反凍月派の派閥抗争が中等部で起こって...?

不穏ですねぇ、はい。

サブタイは「凍月抗争·第一幕」

感想、評価、活動報告でのパロディ、企画リクエスト等、お待ちしてます


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凍月抗争·第零幕

どーも、徹夜してますフェルデルトです。

前回の過去編で一番重要な要素が抜けていたので、零幕とさせていただきます。
予告通り行かなくてすいません。

影君の真実はまだ続きます。
過去編ではないですが。

では、どうぞ。


「あ、重要なことを言い忘れた...」

 

「影?何?重要な事って...」

 

「まぁ、固有能力の発現の話をまだしてなかったと思って。」

 

「あぁ、時間圧縮(ファストクロック)の話?」

 

「そ。時間圧縮(ファストクロック)はさっき話した話の後、

 自分に対する嫌悪感と後悔でどうしようも無くなってな...

 過去に遡る事が出来れば...そんな相対性理論に歯向かった

 利己的な願いが、気づいたら能力になっていた。まぁ、

 1秒に5秒を圧縮するだけの高速移動の能力なんだけどな。」

 

「それだけでも十分な能力なのだけどね。」

 

「すごいです、瞬間移動です!」

 

「...お前、さっきの話聞いてその感想なら永遠に黙らせたいなコノヤロー。」

 

「ちょ、すとっぷすとっぷだよ、影!流石にこんぱを殺しちゃだめだよ!」

 

「割と本気だったりするが...まぁ、面倒だからいいや...」

 

「物騒ね...でもコンパはこんな感じでしょ?」

 

「数少ない癒し枠ではありませんの。」

 

「はぁ、苦手なんだよねぇ...こういうタイプは...」

 

「はいはいストップ、影。続きがあるんじゃないの?」

 

「そうだったなアイエフ。続き...と言ってはあれだが、

 明の力の制御も出来たしな...」

 

「変身するなって、言われただけだけど...」

 

「その理由を理解したのね...」

 

「......これで本当に終わりだ。」

 

全部話した。もう話すものはない。

 

「影さん。」

 

「どーしたギア...」

 

「影さんは、心に傷があるんですね...でもそれを自分から開いて...

 痛くないんですか?私は...半分だけでも痛かったです。」

 

「凄いなぁギア...俺の心情を読めるのはそうそう居ないぜ?」

 

「...(影は気丈に振る舞ってるけど...かなり辛そうね...)」

 

「人心掌握に長けているのかしら。つくづくネプテューヌとは真逆ね。」

 

「むー、それなら影と明ちゃんだってそーでしょー。

 って言ってもわたしには実感がないんだけど...」

 

「実感が無い...だろうね...記憶喪失なら...」

 

「影さん...?」

 

「悪い、やっぱ5人にしてくれね?」

 

「え、5人?影と明ちゃんと、あと...」

 

「私とロムとラムよ。」

 

「無難な布陣ですわね。では、わたくしたちはお暇しますか。」

 

「そうね...邪魔してはいけないし...」

 

「では、これで失礼しますね。」

 

「またね、明。」

 

「うん、ユニちゃんもギアちゃんも。」

 

「ほら、ネプ子、コンパ、行くわよ。」

 

「はいです。」

 

「じゃーねー。」

 

「おう...」

 

......やっぱあいつらの前じゃ、見せられないよな...

 

「無理し過ぎよ影。明も。」

 

「やっぱり分かっちゃう?敵わないなぁ、ブランには...」

 

「何年も貴方の側にいれば分かるわよ...」

 

「流石だねブランお姉ちゃん...」

 

「......本当に...ありがとな...」

 

「貴方も大概不安定ね...その不安定さが貴方を人らしくしてくれるのだけど...」

 

...いいよ、不安定で...今は何より、ブランといたい...

 

「うぅ...辛いよ...やっぱり...」

 

「数年来溜め込んでいたのね...いいわ。ありったけ吐き出しなさい...」

 

「...うぅ、うあぁぁぁ...!!!」

 

...やっぱり俺は...ブラン無しじゃあもう生きられない...

 

 




丸々6時間かかっちゃいました。(笑)

もう少し伸ばせただろ?いえいえ、無茶です。
ともかくこれで次いけますね、はい。

次回、「凍月抗争·第一幕」

感想、評価、活動報告でのパロディ、企画リクエスト等、お待ちしてます。


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凍月抗争·第壱幕

どーも、仮眠のつもりが4時間も寝てしまってたフェルデルトです。

始まりますよー、凍月抗争。
明の設定をまだ見ていなければそちらを見てから読む事をおすすめします。

では、どうぞ。


これは、後に凍月抗争と呼ばれたイストワール記念学園のとても大きな、

そして長い歴史に深く刻まれる出来事のお話です。

 

「明...!なんでまた...!」

 

「明ちゃん!しっかりして、正気に戻って...!」

 

--なんでこんな事になったのでしょうか。

 

「明...っく、アタシも変身出来れば...!」

 

お姉ちゃん達は今日は女神候補養成科の外の授業があっていません。

私達と影さんが残っていました。そんな日に突然、いや...

 

 

--あたかも必然のように、明ちゃんは転化して、

 

 

 

 

 

 

 

--校舎を崩壊させたのです。

 

 

 

 

 

 

 

私には何で明ちゃんがという思いもあります。転化の怖さも知っているつもりでした。

 

けど、それはとんでもない間違いでした。

 

 

 

 

...皆さん、私達を助けてください。

 

 

 

 

「私は...友達として、明ちゃんを助けてあげなきゃいけなかった...」

 

----------

 

一週間前の事です。

 

明ちゃんが本校での私達のクラスに転入してきました。

 

「え、えっと、凍月 明です...」

 

「凍月って...あの...?」

「妹か...」

 

「影さんて、先生なの?ユニちゃん。」

 

「お姉ちゃんから聞いた話だけど、影さんはST資格っていう物を持ってるらしいの。

 なんでも、生徒が先生の補佐をしたり授業をしたり。」

 

「凄いなぁ...」

 

「ギアちゃんユニちゃん、席近くだね。」

 

「あ、明ちゃん。そだね。」

 

その時はこのクラスはまだ平和でした。空気が変わったのは3時間目の数学の時間です。

 

「うーい、授業するよー。」

 

「え、嘘、お兄ちゃん!?」

 

「ん?凍月さん。ここじゃ"お兄ちゃん"ではなく先生だ。」

 

「あ、うん...」

 

...正直、この教室は、影さんが入って来たことで、殺気が充満しました。

何でだろうと思って45分が過ぎました。

 

「はいじゃあこれで終わり。1次関数は重要だからなー。よく覚えておくように。では。」

 

...心なしか、影さんも逃げてるように見えて...

 

「お姉ちゃんのいう通りね...中等部も、反凍月派と女神派で別れている...」

 

「派閥争いってこと?」

 

「そう...このクラスは旧校舎事変の時にレルーラって監査官に非公認だからという

 理由で所属している部を解体され、そのレルーラが影さんだと分かると、学長が

 影さんの退学は認めないと発表していたせいでさらに余計に反凍月派が出来た...」

 

「じゃあ、明ちゃんも危ないんじゃ...」

 

「私がどーかしたの?」

 

「ううん、なんでもないよ明ちゃん。」

 

「明。出来るだけ、私達以外と会話しないで。」

 

「え、もうしちゃったよ。それに...お祝いしてくれるって、転入。」

 

「そ、そう...私達も行っていいかしら...」

 

「ユニちゃん、考えすぎだよ。けど、影さんにはちゃんと伝えるんだよ。」

 

「うん、わかってる。」

 

...そう笑いかけてくれた明ちゃんは、とても可愛らしかったです。

 

----------

 

...明ちゃんの何かが、壊れてしまった。

 

それに気づいた時はもう、遅かったんです。




以上です。

ネプギア主観の凍月抗争。
何故(なにゆえ)に明は壊れ、何故に壊すのか。

次回、「凍月抗争·第弐幕」

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凍月抗争·第弐幕

どーも、やっぱり徹夜のフェルデルトです。

凍月抗争·第弐幕。

いやはや、こういう話を書きたくてうずうずしてたんですよ。
では、どうぞ。


翌日のことです。

明ちゃんはパーティーの事を何も話しませんでした。ただ、

 

「うん、楽しかったよ。」

 

とだけの返答でした。

 

「ネプギア、調べてみたけど明をパーティーに誘ったのは女子グループみたいよ。」

 

「それが、どうかしたの?」

 

「このクラスの反凍月派集団よ。アタシ達は女神派の人たち、主に男子によって

 そんな連中の手出しはシャットアウトされてるんだけど...」

 

「か、考えすぎだよ。パーティーって、楽しいものでしょ?」

 

「...ホームパーティーなら好き放題できる。毒とか...」

 

「あり得ないよユニちゃん。」

 

「そうだといいんだけど。」

 

----------

 

影さんにその話をしたら恐らく明ちゃんを私達以外と会話させない可能性もあった。

それを明ちゃんは嫌がった。

 

だから、こんなことに...

 

「影さん...明ちゃんは...」

 

「いじめを受けていた、だろ?俺も気付けなかった。だからこうなった...」

 

けど影さんも、とても後悔していました。

 

「兄失格だなぁ...妹の危機に気付けなかったなんてさ...そいつらをまず消そう...」

 

「駄目です影さん。まずは明ちゃんを止めないと...」

 

「そうだったな...」

 

----------

 

「明、話があるんだけど。」

 

「...何?」

 

...これはもう二日前の出来事です。担当の先生が出張でいなくて、自習となった時間の

開口一番がこれです。もうすでに明ちゃんと反凍月派のトップ、名前は凪矢さんという

女の子なんですが、その目はとても冷たくて、その目を合図にクラスは反凍月派、女神派

に真っ二つに別れたんです。

 

...明ちゃんを中心にして。

 

「ねぇ明、あんたの兄、凍月 影はいろいろおかしい。学長から保護されている権力の

 七光りで序列高位なのよ?そんな兄を尊敬してどうするの?」

 

「お兄ちゃんはそんな人間じゃない。」

 

「はっ、馬鹿馬鹿しい。この反凍月派が所属している部活はあの野郎に解体させられ

 たのよ?そんなの許せる?」

 

「けどっ、それは元に戻されたじゃないですか!」

 

「部外者は黙ってろっ!」

 

「あうぅ...」

 

「言っても無駄のようね、ネプギア...」

 

「大声を出さないで、うるさいから。」

 

「あ?てめぇ...!」

 

明ちゃんの胸ぐらを凪矢さんが掴む。

 

「お兄ちゃんが言ってた。暴力に訴えるのは最終手段だって。

 もう、することは無いんだ。」

 

「っく、貴様ぁ!」

 

「がうっ...」

 

「明ちゃん!」

 

「痛い...」

 

「痛くしてるんだから当然でしょう?」

 

キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン

 

チャイムが鳴ったのでその時はこれだけで済みました。

 

けど。翌日、つまり昨日、そして今日、明ちゃんは壊れました。




以上です。

因果応報、自業自得、それは似て非なるものだと思います。

次回、「凍月抗争·第参幕」

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凍月抗争·第参幕

ヒャッハー、連続投稿@深夜だぜぃいぇい!

というほどテンションがおかしいフェルデルトです。
今日はちゃんと夜に寝ます。

では、どうぞ。




...止めるべきだった。明ちゃんを無視して。

 

それほどまでの後悔が襲いかかるほど昨日、そして今日の凪矢さんは容赦なかった。

 

影さんがその場にいたら、彼女の命は無かったでしょう。

 

それほどまで、昨日の罵倒、暴言の嵐はひどかったです。

 

そして今日に至りました。

 

----------

 

これは校舎が崩れるちょっと前の話です。

 

「...力は使わない。お兄ちゃんと約束したから。

 あなたがどれだけ私を傷つけようとも。」

 

「はっ、馬鹿にしてんの?私は武術の心得があるのよ?

 この距離ならあんたを骨折させるくらいは余裕よ。」

 

「今のうちに忠告。私を怒らせるとあなた、下手すれば死ぬよ。

 それほどまでに、私は危ないの。」

 

「は、はははっ、あはははははっ......じゃあその力でやってみなさいよ。

 私を殺してみなさいよ...!出来ないでしょう、出来ないわよねぇ...!」

 

「出来ないよ。どんなに嫌な人でも、人は人だから殺すなって。」

 

「けへへ...あれ...?じゃあ何で怒らせると私が死ぬのかしらぁ?もしかして昔

 誰か殺したぁ?人殺しなのぉ...?」

 

「......あかねぇ...」

 

「あはは、げひゃひゃ、そう...あの下郎の妹は人殺し...

 消さなきゃねぇ...こんな血は...」

 

「やっぱり暴力...どれだけやっても無駄だよ。」

 

「やってみなきゃ分からないでしょう...!」

 

明ちゃんはあくまでも自分からは一切手を出さないスタイルを貫き通して、

凪矢さんの攻撃を避けたり防御するだけでした。

 

「つまらないわねぇ...攻撃しないでいるなんて...!」

 

「あくまで最終手段だから。私にはまだ手段はあるもん。」

 

「ぬるいわねぇ...あんたは敵なの。だから...」

 

凪矢さんがフィンガースナップを鳴らして、次の瞬間、

反凍月派の人たちが明ちゃんを取り囲んだのです。

 

「明ちゃん!」

 

「ギアちゃん、大丈夫だからほっといて。」

 

「明ちゃん...」

 

「気持ちは分かるけど傍観しかできないわ。悔しいけど...」

 

「包囲して攻撃するのはセオリーだけど...弱いものいじめって言うんじゃないの?」

 

「人殺しが弱いはずないでしょう...?私達は有害な害虫を駆除するのよ!」

 

「がうっ...がふっ...」

 

「酷い...」

 

そう思った時に、変身してでも止めるべきでした。

もう、凪矢さんは明ちゃんを人とは思ってないようでした。

 

「絶対に、使わない...絶対に...」

 

「へぇ...そんなに使わないんだぁ...じゃあいいや、殴り殺してあげるわ。

 あんたがいなくなれば、きっとあの下郎も死んでくれるわよ...あは、

 それとも先にあっちを殺そうかしらぁ...人質にとれば手出しされずに

 済みそうだし...ねぇ、明。」

 

「うぐっ...最低ね...」

 

「げははっ、最低なのはあんたの兄よっ!」

 

最早集団リンチに等しいレベルです。止めようと決心して、変身しようとした瞬間でした。

 

「限界...ごめんねお兄ちゃん...」

 

「あ?遺言かしら?」

 

「...約束守れなくてごめんね...」

 

そう言って明ちゃんは変身したんです。涙を流しながら。

 

...近未来的な色合いをした、転化したプロセッサを纏って。

 

「...!?皆さん、逃げて下さい!」

 

それが精一杯でした。けど間に合う筈もなく、明ちゃんは校舎を崩壊させたのです。

 

私の合図で一目散に逃げてくれたおかげで犠牲は0ですが、

 

「何でまた明が転化してる...誰だよ...!凪矢、貴様かぁ!」

 

凪矢さんは...影さんに銃口を向けられていました。

 

「影さん!コイツはアタシがしばいておきますので、明を!」

 

「やり過ぎるなよ、とどめは俺だからな。」

 

「殺しませんよ!?」

 

「じゃあユニ、頼む。」

 

「分かりました。さぁ凪矢、たっぷり説教してあげるんだから...!」

 

「影さん!」

 

「ネプギア...変身出来たのか、じゃなくて明は?」

 

「影さんの話通り黒いエネルギーが密集してます...」

 

「...何で止められなかった...兄である俺が...畜生...」

 

「影さん...いえ、」

 

「自分たちが止めるべきだった。それでも多分凪矢のクズは続けた。そういう奴だ。」

 

「じゃあなんで...」

 

「明を育てるつもりだったが...いや、結果的には良かったのか?」

 

「影さん...?」

 

「けどやっぱり...なんで、止められなかったのか、だな...」

 

「はい...」

 

「ギア、力を貸してくれ。明を助けるために。」

 

「分かりました。影さん。」

 

こうして、最初に戻るのです。

 

 

 




以上です。

酷いですねぇ、凪矢。私は肉弾戦苦手なので徹底無視です。
ああいうのと戦うときは理攻めが効果的だと思います。論理観が破綻してなければ
という前提がつきますが。

ちなみに凪矢はこんな奴は世界に要らないなと思った仮想の人物です。
現実にいたら消し炭にしましょう。

次回、「凍月抗争·第肆幕」

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凍月抗争·第肆幕

どーも、学校始まったフェルデルトです。
いやはや、疲れる疲れる...

では、転化した明と影&ネプギアの戦闘をどうぞ。


明ちゃんの闇は大挙して私たちに襲いかかってきます。

 

「ちっ...やっぱ近づけない...」

 

「明ちゃん...!」

 

「......」

 

転化した明ちゃんが涙を流していることしか、女神化で強化された

視力でも分かりませんでした。

 

「明、なんでまた...!」

 

「明ちゃんお願い、正気に戻って!」

 

影さんの話を聞いた後だから少し怖かったりもします。だから、避けるので

精一杯。とても攻撃になんて移れません。

 

「明...アタシも、変身さえ出来れば...!」

 

「ちくしょう、これじゃらちが開かねぇ...」

 

「やっぱり、誰かが囮にならないと...」

 

「ダメだ...お前にはやらせない。やるとしても俺だ。帰ってはこれないだろうが。」

 

「だったらもっと駄目です。影さんは、絶対生きててください。」

 

「じゃあ手がねぇじゃねぇか...!俺が引き付けなきゃ...!」

 

「じゃあブランさんはどうするんですか!?ロムちゃんとラムちゃんも、

 明ちゃんだって、影さんが必要です!」

 

「......!」

 

「それに影さんは、今は固有能力も使えるんでしたよね...?」

 

「...そうか...固有能力...ネプギア、一つ案がある。」

 

「影さん...わかりました。どうすればいいですか?」

 

影さんの作戦はこうでした。

 

まず影さんが明ちゃんの闇を引き付け、明ちゃん本体が手薄になった

ところを私が攻撃。確実性を上げるために接近攻撃をします。

 

そして影さんは包囲攻撃を浴びる直前に時間圧縮(ファストクロック)で脱出。

 

大丈夫、影さんは大丈夫...

 

「んじゃ、行きますかね!」

 

作戦開始、影さんはみるみるうちに見えなくなり、闇に囲まれていきます。

 

「まだ...明ちゃんが見えるまで...」

 

「いいぞ、ネプギア、行けっ、忌まわしい記憶と共に!」

 

「はいっ!てやぁぁぁぁぁ!!!」

 

やっぱり私の攻撃の直撃と影さんへの闇の収束は同じタイミングでした。

 

明ちゃんの転化は解けました。

けど、影さんは...

 

「影、さん...?まさか、影さん...何処ですか!?」

 

「そんな...!まさか影さんが...!?」

 

「いるよバッキャロー。死んだかもしれない的雰囲気やめてくれません?

 ブランやロムラム、明を残して逝けるかよ。」

 

「あうぅ...よかった...影さん...」

 

「泣き出しそうになるんじゃないよ...ありがとな、ネプギア。」

 

そういって影さんは私の頭を撫でてくれました。

それはとっても優しかったです。ロムちゃんとラムちゃんが

羨ましくなるくらい。

 

「さって...校舎の修繕費とか算出しなきゃな...」

 

一気に現実に戻りました。が、一つ気づいたことがあります。

 

「影さん...眼帯はどうしたんですか?それに左目...見えてますよね...?」

 

「あぁ、それはねぇ、"義眼"だから。」




以上、凍月抗争編終了です。次は何が来ますかね?

ギアちゃんの存在も段々影君の中で大きくなってきます。

次回は影君の義眼の説明、そしてユニ、ロム、ラム、も含めた女神派vs反凍月派の
全面戦争勃発...!?

サブタイは「災いの前兆の予兆」

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災いの前兆の予兆

どーも、模試の結果が帰ってきたフェルデルトです。
いやー、もう少し精進せねばと思いました。はい。

校舎崩壊から数日。遂に大波乱が起きる...!?
語りはこのままギアです。

ではどうぞ。


あの出来事から数日経ちました。

 

この学校はもう、普通ではありません。

 

最早ここは、戦場です。そんな気がするんです。

 

「そんなことを俺に相談しにきたのか?ギア。」

 

「そんなことって、影さん、そんな言い方ないですよ!」

 

「冗談だ。...ふむ。だが確かに忌々しい。どーすっかなー。」

 

「影さん、ちゃんと聞いてます?カードゲームやってないで聞いてください!」

 

「わかってる...だぁぁぁぁ!?この忌々しい速攻編成どもがぁぁぁぁぁ!!!」

 

(あ、ダメだこの人...早くどうにかしないと...)

 

「粉バナナァ!?ふざゲルバナァ!?」

 

「影さん!?落ち着いて下さい!落ち着いて下さい!」

 

閑話休題。

 

「はぁ、というわけでとっても面倒な事をするか血生臭い事をするかだな...」

 

「どっちも嫌です...」

 

「俺がするんだけどね、うん。ギアは授業を受けていればいいよ。」

 

「そうですか...ところで影さん。幾つか質問があるんですがいいですか?」

 

「いいよ。何かな?」

 

「明ちゃんの転化の後の影さんは眼帯が外れてましたよね、で、左目は義眼

 だと...どうして隠してたんですか?」

 

「ふむ、この義眼は光が入ると起動して、暗くなると見えなくなる。

 夜には使えないんだけど、これはねぇ、神経と直接接続してるから

 あんまり長い時間使うと脳が焼けちゃうんだよね。だから普通は

 使わない様にしてる。」

 

「そ、そうなんですか...あと左腕と左足も義手義足ですよね...」

 

「機械仕掛けのな。」

 

「分解欲が非常に湧くんですけどいいですか?」

 

「うん、駄目。」

 

「そう、ですよね...」(しゅん)

 

「...予備の義手の分解を良しとする。」

 

「本当ですか!?」

 

「嘘と言っていじめるのもいいけど嘘じゃないよ。」

 

「やった...♪そして影さん、最後の質問です。」

 

「おおう、まだあったのかギアよ。」

 

「はい。その...影さんはどうして私の事を"ギア"って呼ぶんですか?

 影さんは高等部だから私と二つ違うのに...」

 

「あぁ、そういう質問ねぇ...それはだなぁ、ほぼ年が同じだし、それに。

 数少ない俺の心情を見抜いた人だから。」

 

「そうですか...え?年が同じ?」

 

「そ。ギア今何歳?」

 

「14です。もう誕生日来たので。」

 

「あ、じゃあ同い年だ。俺の誕生日来るまでは。」

 

「てことは一歳差だけど二歳分学年は上...ってことは飛び級ですか!?」

 

「何も驚くことでもない...ブランは二回やってるんだぜ?」

 

「に、二回もですか...!?」

 

「そ。だから気にしなくていい。今気にするべきは反凍月派の連中だ。」

 

「そうでした。けど、どうすればいいんでしょう...」

 

「明日になれば分かる。ブランたちも帰ってくるし。」

 

「わかりました。では、また明日に。」

 

「あぁ。」

 

----------

 

そして日が経ちました。

 

それは突然お昼休みの放送で流れました。

 

「あ、あー。お食事中失礼。イストワール記念学園の生徒諸君。

 凍月 影だ。過日俺の妹がとんでもない事をしでかしたのだが、

 その理由は転化現象である。さて、中等部の連中は特に聞いて

 欲しい。君たちの中には凍月という名だけで明を敵とみなした

 愚かで浅はかな判断をした者がいて、その者が転化を誘発させた。

 自ら滅びに行くようなものだ。そして俺は、憤りを感じている。

 遺憾の意を表せざるを得ない。故に、ここで学園中等部、並びに

 高等部の反凍月派と呼ばれる者たちに宣言、いや...」

 

 

 

 

 

 

 

--"宣戦布告"させてもらう...!




さー。影君が反凍月派へ宣戦布告。

その放送を聞いた高等部サイドは...!?

次回、「拮抗の終焉」

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拮抗の終焉

どーも、シャドバC帯で悪戦苦闘中のフェルデルトです。
陽光サタンなんですけどねぇ...

そんなのはともかく遂に影君が反凍月派へ宣戦布告。
どうなるでしょうねぇ...

今回は久々に高等部サイドも出ます。
では、どうぞ。


「宣戦布告...!?」

 

「...ついに影も、堪忍袋の緒がはち切れたみたいね...無理もないだろうけど...」

 

けど、このタイミング...暗に私たちに聞かせてるのかしら...

 

「しかし...そうなるとまたひとつ戦闘が起きますわね...」

 

「平和にならないのかなー。」

 

「そうです。戦いはダメです!」

 

「...そう言いたいのは私も山々だけど...けど、筋は通ってるのよね...」

 

「え、あいちゃんはまさか戦争肯定派?」

 

「そんなわけないでしょ!?けど、影はそうせざるを得ないと思ってるのは確かよ。」

 

「まずはユニとネプギアに注意を促さないと...」

 

[まぁ、しかし、いささか戦力差がありすぎることだし、何人でもかかってきていいよ。

 こちらは俺がお相手するよ。日時は96時間後。...場所は中等部校庭。では。]

 

「切れましたわね...」

 

「遂に始まっちゃうのね...影と、反凍月派の戦いが...」

 

「影...一体貴方は、何で戦うの...?」

 

----------

 

放送を終えた影さんは真っ先に小屋に帰ってきました。

 

「影さん、何で貴方は戦うんですか!?」

 

「粛清。そして憂さ晴らし。明の代わりに、奴らを消す。」

 

「まさか...例え学生でも影さんは殺すんですか!?」

 

「いいや...流石に殺しはしない...痛め付けるだけだ。」

 

「けど...それでも怪我人は...!」

 

「死人が出るよりはいい...それに、頼みたいことがある。」

 

「なんですか、私は戦いませんよ。」

 

「ヤバいと思ったら、俺を止めてほしい。これはネプテューヌ達にも伝えてほしい。」

 

「え...?どういう、ことですか?」

 

「ギア、今から95時間15分後、俺は俺でなくなる可能性がある。

 だから、そうなったら止めてほしい。この通りだ。」

 

「影さん...」

 

驚きました。影さんが、本当に誠心誠意で頭を下げるところを想像すら

できなかったからです。それが、今影さんはしている...

 

「わかりました、影さん。もし影さんが影さんでなくなったら、私、いや、

 私達が全力で影さんを止めます。」

 

「あぁ、頼むよ。」

 

そして影さんは伸びて...

 

「じゃあ、ちょっと出かけるよ。」

 

「明ちゃんを置いていくんですか!?」

 

「ここは誰の目にもつかないからね...大丈夫だよ。」

 

「そういう問題じゃなくてですね...」

 

「いいんだ。今、明は俺とも会いたくないらしいからな...

 ギアでも無理だろうよ。」

 

「そう、ですか...」

 

「んじゃ、行ってくる。宛もなく、ただただ、強くなるために...」




影君、これ以上強くなってどうするんですかねぇ。

次回、遂に影vs反凍月派の大乱闘が始まる...!

サブタイは「凍月争乱·序」

感想、評価、活動報告でのパロディ、企画リクエスト等、お待ちしてます。


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凍月争乱·序

どーも、テスト前にどうしようもない空白の時間が出来たフェルデルトです。

さっきシャドバの連敗記録を11で止めておきました。
運に見放され、もとい見捨てられているが故ですかねw

それはともかく、遂に影君が反凍月派とドンパチやり合います。

では、どうぞ。




影さんの放送から96時間後、遂に戦いは始まってしまいました。

 

私達はお姉ちゃん達と一緒に屋上からその様子を静観しています。

 

「«俺が俺で無くなったとき、お前らには全力で俺を止めてほしい»って...

 結局一番大変なのは私達じゃない...」

 

ノワールさんの言う通りです。

 

影さんを襲っている銃弾や爆弾などは全て影さんの斥力フィールドで

無効化されているのです。

 

「何時間攻撃しても影はやられないだろうな...じゃあなんで私達を呼んだんだ...」

 

「けど、斥力フィールドだっけ?あれは能力じゃないんじゃなかったっけ?」

 

「あ...そうだねお姉ちゃん、確か3時間が連続展開の限度だった気がするよ。」

 

「とはいえ、3時間も無敵状態とは...ゲーマーとしては羨ましい限りですわ。」

 

「ベールさん、これはFPSじゃありませんよ...?」

 

「あ、影が動いた。」

 

それは、影さんが影さんでなくなる予兆でした。

 

 

----------

 

 

「はぁ...結局こうなんだよなぁ...」

 

斥力フィールドの中で思う、こいつらはとんだ単細胞だ。

 

何時間攻撃しても俺は倒せない。諦めて逃げてくれればいいのに。

 

ドゥガァン...

 

頭上で爆発が起こる。ちょっと熱い。

 

ある程度の大きさのフィールドを維持しているのはこれが理由だ。

 

まぁ、プラスチック爆弾位平気で使ってくるだろうと思ったが、

 

「まさか予想通りとはねぇ...ほんとうんざり。」

 

全身の装甲、鎧装装着(アームズドライヴ)の各所もアップデート、

と言うべき強化をした。

 

背中に運命を冠する機動戦士を思わせる羽根、そして伸ばすと頭をおおう

戦闘機の機首のようなものをセットし、腰には、まだ未完成だが妖刀·混影(まざりかげ)

そしてスラッシュバレットIVが二丁。最後に左腕のシールドは耐熱ペルティエシールドと

呼んでいるが、魔力氷の技術がこんなところで活きるなんてな...

 

「長話はこれぐらいにして、んじゃま、武器だけ狙い撃ちますか。」

 

早速スラッシュバレットを召喚し、連中の武器だけを撃つ。

 

「弱いものいじめの気分だよ、ほんと。」

 

武器を失えば逃げる。抗う術がないから。

 

「最初から無理な相談だったんだよーだ。」

 

しかし...どうにも気分が悪い...ストレスは発散しているはずなのだが。

 

「この...悪魔ぁぁぁ!!」

 

モブキャラがうるさいなぁ...斥力フィールドを殴っていても無意味だというのに。

 

「悪魔でいいよ...女神をも倒す...俺は悪魔さ。」

 

そっから先は...あんまり覚えてないや。




ヤバい、久々で感覚が飛んだ...

さてはて、まだ影君優勢。当たり前ですね。

次回、とんでもない無茶苦茶な兵器が出てきて...!?
我ながらこれ、超展開ですよね。

サブタイは「凍月争乱·破」

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凍月争乱·破

どーも、フェルデルトです。
英語勉強しながら現文、そう、執筆です。

奇妙ですね、出来ないと思っているほど無駄な時間が出来て...
ま、執筆が進むのは良いことですね。

では、凍月争乱、どうぞ。


「...モビルスーツ擬き...いきなり出てきたねぇ...しかも強引に。」

 

この乱戦もどうやら終わりそうだ。切り札らしきものを投入してきたのだから。

 

「んー、魔法科に出てきそうなインペルさんだねぇ...」

 

正直、武装は軽口叩ける位のレベルだった。

 

振るってくるチェーンソーの腕やミサイルなど、造作もない。

 

が、算段が狂った。

 

「無駄に硬いんですけどこいつ...!」

 

スラッシュバレットしか今は動く武器がないため、威力不足である。

 

「ペルティエシールドもエネルギーが足りないし...」

 

説明すると、このシールドは熱を含む攻撃を防ぐ事で、中にあるペルティエ素子が魔力氷と

攻撃の熱の温度差で電圧を発生させ、それを溜めることでセットされてる簡易的なレールガン

を発射する事が出来る。のだが...

 

「まぁ、そんなに溜まんないねぇ...」

 

ミサイル程度ではなかなか電圧が安定せず、発射出来るほどエネルギーは

チャージされてはいない。

 

「んじゃぁ、あいつらに止めて貰おう...一気に行こうか...」

 

...ロック解除...

 

「うおぉぉぉぉお!!!!!」

 

赤黒いオーラが、影を纏った。

 

 

----------

 

 

始まってしまいました。影さんが影さんでなくなったのです。

 

「影さん...!止めないと...!」

 

「まだ待って、あのデカブツを倒してからよ。」

 

「また、あれだけ溜め込んで...自分を傷付けるだけよ...」

 

「...お姉ちゃん達の言う通りよ、ネプギア。今は待ちましょう。」

 

「うん、そうだねユニちゃん。って、それは...?」

 

見るとユニちゃんはライフルのような物を持っていたのです。

 

「あぁ、これ?これはね、影さんの武器、ディレットシューターのレプリカ。

 私に抑止力として持っておけって。」

 

「そうなんだ...(ガシャゴーン)何...!?」

 

振り返ってみると、影さんがあのロボット擬きを蹂躙し終えてました。

 

「あぁ、影さん!基盤はもう少し丁寧に扱ってください!」

 

言わずにはいられませんでした。後悔はしてません。

 

そして、また上から何か来ました。

 

 

----------

 

 

「んあ、今度はなんだ...?スカーレットリコリスか?

 ストライプ遮断は止めてほしいね...」

 

そう思ってた時期が俺にもあった。けど、今度は相手が相手だった。

 

「...漸く見つけました...凍月 影さん...!!

 

「どっかで見たことあるような...まさか...紅奈か?...」

 

そう、どこからどう見てもあれは、茜の妹、

仙道 紅奈の姿であった。




紅奈。遂に出てきましため。原作壊れました。

そんなわけで次回、「凍月争乱·急」

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凍月争乱·急

どーもです、睡眠不足、テスト前。
そんな状態のフェルデルトです。

まぁ、気にせず本編いきましょう。


「影さん...見つけました...ずっと...ずっと探してましたよ。

 お姉ちゃんを...茜お姉ちゃんを、見殺しにした...!」

 

「そうだな...見殺し、かもなぁ...」

 

「...!そんな他人事みたいに...!」

 

そう言って紅奈はリコリスの全火器を俺に一斉照射する。

 

「それは心外だなぁ...過去の罪と向き合ったんだが。」

 

「だったら...今ここで果ててください...!」

 

「そんなこと、茜が望むと思うか...!?」

 

「...思いませんよ...だって...お姉ちゃんは、もういない!」

 

紅奈の総攻撃は、ペルティエシールドのチャージを溜めるくらいまでは続いた。

 

----------

 

「影...お願いだから、これ以上自己嫌悪を重ねないで...」

 

「自己嫌悪?ブラン、それってどういうこと?」

 

「...見なさい。影を纏うオーラがだんだん黒く、禍々しく、そして大きく

 なっているわ。あれは...影の負の感情全てよ。」

 

「つまり、あれが大きいということは、影さんのマイナス面が強く出ているという

 ことになりまして?」

 

「んー、難しいことはわからないけど、これ、どーしたらいいんだろ。」

 

「やっぱり、止めに行くにしても、ちょっと気まずいよね...」

 

「影さん...どうやって止めろって言うんですか...?」

 

私は、ずっとずっと考えていました。

 

影さんがどうしてブランさんやお姉ちゃんに直接ではなく、私とユニちゃんにも

この事をお願いしたのか...

 

...まったく、わかりません。

 

「ギアちゃんユニちゃん!」

 

「ふぇ...?明ちゃん!?どうしてここに...!?」

 

「置き手紙があったの。«混影(まざりかげ)を取ってきたら、ここまで来い»って。」

 

見ると、明ちゃんの手には一本の刀がありました。

 

「あれって...お兄ちゃんと......紅奈...?」

 

「あ...!」

 

気づいた時には遅かったです。紅奈さんがこっちに気づきました。

 

「...明...漸く会えたね...嬉しいよ...これでやっと...

 お姉ちゃんの仇が討てる...!」

 

「あかねぇは!そんなことをしてほしいとは...思わないよ。」

 

「明ちゃん...?」

 

「あかねぇは誰よりも紅奈のことを大事に思っていた。名前をつけてくれた

 のもあかねぇでしょ、本当に、紅に染まることを、あかねぇは望んでいない

 はずだよ。少なくとも、私の知ってるあかねぇは。」

 

「兄妹揃って...!お姉ちゃんはもういないの!とても辛くって、とても痛くって...

 やっと苦しみから逃げられるのに...!私は...もう、耐えられないよ...!!」

 

「転化...か...明、それ渡せ。」

 

「うん...お兄ちゃん...」

 

「言わなくていい。これさえあれば十分だ。」

 

「影」

 

「なんだ、ブラン。」

 

「しばらく私を放置した報いを受けてきなさい。」

 

「おいっ...そりゃ萎える...」

 

「そして、絶対帰ってきなさい。」

 

「当然だ。」

 

...かくして、本気の影さんと転化した紅奈さんとの戦いの火蓋が、切って落とされました。

 




さー、さー、さー。

何気に転化体vs影君のタイマンはこれが初なんですよね。
一体全体どうなるやら。

次回、転化紅奈と本気の影!
戦闘描写安定するかなぁ...

不安はさておき、サブタイは「蠍の心臓、影の剣」

サブタイにネタを仕込んでしまった!

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蠍の心臓、影の剣

どーも、ようやくシャドバB0のフェルデルトです。長かった...

それはともかくとして遂に転化紅奈との一騎討ち。
果たしてどうなる...!?

では、どうぞ。


「紅奈...その姿になったのなら、俺は一切合切容赦などしない。

 全力で...止めてやるよ...!」

 

影さんは明ちゃんから貰った刀を抜きました。

 

「それは...!?」

 

その刀身は、光と闇、二つの属性が共存していたのです。

いーすんさんがいってた...二元並列属性武装(デュアルエレメントウェポン)...?

けど、実現はとても難しいって...

 

「あー、これ?気にするな。説明する余裕もないし。それよりもお前ら、とっとと

 下がってくれないか?相当邪魔になるから。」

 

「あ、はい...」

 

「さー、紅奈...やろうか、全力で...」

 

それを聞いて私達は、校舎に逃げ込みました。

 

----------

 

「でやぁぁ!」

 

混影で斬る。

 

「...ハァッ!」

 

紅奈、転化体識別名ロストスコルピオは腕のトンファーらしきもので受ける。

 

「随分と反応速いなぁ、おい...」

 

混影の三連斬も全て正確に防がれる。

 

「ハッ!」

 

逆に隙を突かれてトンファーの攻撃を受ける始末。

 

「危ねっ...ジリ貧だなぁ、ま、そうだろうとは思ってたけど...」

 

距離をとりオーラで攻撃してみる。

 

「..フン...」

 

あちらもオーラらしきもので防御する。

 

「そこっ!」

 

完全に死角。左斜め後ろ下から一気に斬りかかった、筈だった。

 

「アンタレス...」

 

いきなり紅奈のプロセッサが赤の補色である青緑からから紅く発光し、

尻尾らしきものが混影ごと俺を吹き飛ばしたのである。

 

それだけではなく、トンファー部分はまるで鋏のようになっていき、

 

「ありゃ、完全に蠍じゃないの...」

 

まさしくそこには、補色の影響で黒く染まった蠍がいた。

 

「これまた徹底的にヤバそうなのがポンポンと...これが噂のインフレってやつ?」

 

蠍は鋏を振るい、隙あらば尻尾の針で突く。

まぁ当然、毒もあるよね、うん。

 

「当たる訳にはいかんか...!」

 

展開しているオーラで攻撃してみるも、鋏に斬られて意味はない。

 

「結局こうならざるを得ないのかもね...!」

 

混影にオーラを纏わせて再び斬りかかる。

 

「...クッ...」

 

オーラのお陰で強化された一振りだが、難なく両鋏に防がれる。

 

「両腕はふさがっ...やべっ!?」

 

油断も隙もあったもんじゃない。

尻尾の針が襲いかかる。

 

「友奈ちゃんと違って俺は精霊バリアは無いっての...!」

 

避ける、バランスが崩れる。紅奈の右鋏が俺を狙ってくる。

 

「っく...結構来るねぇ...」

 

どうにかこうにか左腕のシールドで受ける。

 

「......」

 

無言で紅奈はシールドを断ちきろうとする。怖い怖い。

 

「っく、ぶち抜け、ペルティエ!」

 

シールド内蔵のレールガンが火を吹き、紅奈の体勢を大きく崩す。

 

「獲った、歯ぁ食いしb...「フンッ!!」なんやて!?」

 

体勢を崩されても混影を離さないため、逆に引き付けられて

こっちが崩されて目の前に針。

 

「しゃあない...時間圧縮(ファストクロック)...!」

 

どうにか針を避け、背後を取り、その尻尾ごと一つ技を繰り出す。

 

「今度こそ歯ぁ食いしばれ...緋天幻客...狂咲!」

 

痛烈な回し蹴りを決める。義足で蹴ってるから相当痛い筈だ。

 

「ガフッ...」

 

遂に紅奈は地に落ち、転化も変身も解けた。

 

「ふぅ、これにて一件落着...」

 

「...と、思えるのが人間の楽天的思考の成れの果てだよ。

 まさか転化したスコルピオを止めるなんてね。」

 

「何者だ...と言うのは愚問か。ゾディアックシリーズ...」

 

「そうだよ、凍月 影。ボクはリブラ。早速だけど、スコルピオは回収させてもらうよ。

 ね、エスカマリ...」

 

そうリブラが言うと、その背から天秤が顕現され、それが傾く。

 

「がうっ...!?重力...だとっ...!?」

 

「そう。そしてスコルピオの重力は軽くなり、ボクはそれを回収する。

 せいぜい潰されないようにしていなよ。」

 

そう言ってリブラは紅奈を連れて消えたのであった。俺にかかっていた重力と共に。

 

「...っく...また無茶し過ぎたか...」

 

全身痛い。エネルギーを放出し過ぎた。

 

「まぁ、でも...しばらくはゆっくり眠れそうだ。」

 

ストレスは結構発散したし。




いかがでしょうか?

現れる第三のゾディアックシリーズ、リブラ。
重力を操る力は相当厄介かもですね。

次回から4章。
え、トリックマジックはどうしたかって...?

た、多分きっとmay be、シスターズがどうかしてくれます。

ではでは、次回は第4章、神妹繚乱の章です。
サブタイは「南の島と妹達」

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第4章 神妹繚乱の章
南の島と妹達


どーも、ようやくテスト終わったフェルデルトです。

ついに四章ですねぇ、そういやもう半年経ってますね。
さて、ではでは第四章、始まります。


「いやっほー!」

 

「こらこらラムー!はしゃがない!」

 

「ラムちゃん...まって...」

 

...こんにちは、ネプギアです。

私達はイストワール記念学園の分校があるオオトリイ島に来ています。

久しぶりに来ましたが...変わってなくて良かったです。

 

「あら、皆さん、お帰りなさい。本校はどうでしたか?」

 

「あ、ミナ先生。」

 

この人が私がお姉ちゃんを見つけるまでにお世話になった先生です。

ここではカットされちゃいましたが。

 

「ふぅ、捕まえた...」

 

「つかまっちゃった...」

 

「ほふぅ...」

 

「全く...ダメですよ、人に迷惑をかけては...」

 

ミナ先生も影さんと同じ把握演算使いで、固有能力は他人の能力を封じ込める

ことができます。当人の合意が必要なようですが。

 

「って、ネプギア、明は?」

 

「あれ?もしかして...」

 

ここで経緯を説明します。

「妹達を分校に?どういうことですかマジェさん...じゃなくて学長。」

 

「あぁ、ゾディアックシリーズの能力が非常に脅威である以上は

 それに対策できるための力がいる。何故分校があんなところに

 あるか考えたことがあるか?」

 

「無いですね。一体何故に?」

 

「その答えはお前の妹にでも探ってもらえ。」

 

...という影さんと学長の会話があったみたいで...

 

「明ちゃーん?どこー?」

 

乗ってきた船に戻ってみると...

 

「大丈夫だってお兄ちゃん。お兄ちゃんがいなくてもどうにかできるし...

 それにお兄ちゃんは今病院でしょ?」

 

 

「大丈夫だって、ギアちゃんもユニちゃんもいるし...あ、ギアちゃん。」

 

案の定、影さんと電話してました。

 

「え、ギアちゃんに代わってほしい?どうするギアちゃん...」

 

「え、私!?...うん、代わるよ...」

 

 

[ギアか?]

 

「はい、いいんですか?明ちゃんと代わって。」

 

[良くはないけど...ギア、明を頼んでいいか?]

 

「え?あ、はい...」

 

[拍子抜けしたみたいな声だな。明にはありったけの忠告はしたし...

 それに、お前はどうも俺に似ているからな。信用しても大丈夫だと思う。]

 

「影さんに、似てる...?」

 

[頼りにはしてる。明を頼む。]

 

「はい。頼まれました。」

 

そうして電話は切れましたが...影さんと似てるって、どういうことだろう...

 

「ギアちゃん。確かに私も、ギアちゃんはお兄ちゃんに似てると思うよ。」

 

「具体的にはどの辺が...?」

 

「...ギアちゃんにもお兄ちゃんにも、ついでにいうとネプテューヌさんも...

 多分、凄い力の流れがあるの。身体の中に。」

 

「確かに私もお姉ちゃんも女神化はできるけど...影さんも...?」

 

 

 

----------

 

 

 

「まさか、な...」

 

(けど俺とギアは似すぎている。おもに容姿が。髪色や眼帯とかで分かりにくいだろうが...)

 

「あり得るか...天界人も節操ないこって...」

 

病室にいると思い出すんだよ...あの事故をさ...




またぶっ壊れ設定だ...大丈夫、矛盾はない。けど伏線も多分これには張ってない。

言い訳するとこの方が展開が楽だからですね。

次回、明の口からゾディアックシリーズの目的が語られる。
サブタイは「星座の野望vs妹達」

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星座の野望vs妹達

どーも、シャドバアプデ後切断負け多発のフェルデルトです。
セラフラピスは強いです。はい。

さて、今回は明が遂にゾディアックシリーズの目的を語ります。
では、どうぞ。


着いた時間が夕方だったので、私達は今寝室にいます。

もうロムちゃんとラムちゃんは寝ちゃいました。

 

「一体どういう事なんだろう...私と影さんが似てるって...見た目も

 結構違うと思うんだけどなぁ...」

 

「ねぇ、ネプギア、それもう明を連れてきてからかれこれもう二時間も

 それ言ってるわよ?そんなに気になるの?」

 

「うん、影さんのことだから何か含みというか、伏線というか...こう、

 裏がありそうな気がして...」

 

「あー、お兄ちゃんは物事を半分までしか教えないスタンスだからね...」

 

「情報戦も強いって...もう弱点ないじゃんあの人...」

 

「お兄ちゃんの弱点?たくさんあるよ?」

 

「例えば?」

 

「私とロムちゃんとラムちゃんとブランお姉ちゃん。」

 

『あぁ...そういう...』

 

「あと、お兄ちゃん曰くコンパさんとベールさんも苦手...てか天敵って

 言ってた。理由は全くわからないけど。」

 

「......明ちゃん、それって...」

 

「言わないであげましょうネプギア、影さんの弱点がわかっただけめっけもんよ。」

 

「そう、だよね...」

 

「......?」

 

...明ちゃんはきょとんとしてました。

 

 

 

--翌日。

 

トゥルルルトゥルルル...

 

「こんな朝に...一体誰ですか...」

 

[あー、悪いギア...言いそびれたことがあってさ...]

 

「時間考えて下さい...まだ朝5時ですよ...?」

 

[考え事してたら徹夜しててよ...]

 

「大丈夫なんですか、それ...」

 

[あー、大丈夫...でさ、本題なんだけど、明からゾディアックシリーズの目的を

 聞いてくれね?俺もさっぱりわからないんだよね...]

 

「...それを聞く為にこんな朝に電話を...?」

 

[そう、なるな...]

 

「...ちょっとはこっちの都合も考えてください!」

 

[悪い...んじゃ、お休み...]

 

「......目が覚めちゃった...」

 

色んな意味で目覚めが悪い朝でした。

 

「...ギアちゃん、どうしたの...?」

 

「はわっ!?明ちゃん!?」

 

「もう...何かあったの?」

 

「い、いや、影さんから電話が...」

 

「お兄ちゃんから?まっさかー。あのお兄ちゃんだよ?起こさないと

 11時まで起きない伝説を持ってるお兄ちゃんだよ?」

 

「そ、そんな伝説が...じゃなくて。明ちゃん。」

 

「なーに、ギアちゃん。」

 

「...ゾディアックシリーズの...目的って何?」

 

「...お兄ちゃんの差し金?」

 

「まぁ、そうだけど...私も知りたいから。」

 

「...いいよ。ゾディアックシリーズの目的...それはね。世界の再編。」

 

「世界の...再編...?」

 

「うん。十二体のゾディアックシリーズの力を一点に集めて世界を一度滅ぼす。

 そして...作り直す。生物から何から何まで。」

 

「そんな...でもそれって...」

 

「そう。私がいないと成り立たない。だから私はそれを聞いた時、嫌になって

 転化しちゃったの...」

 

「そう...だったんだ...(どうしよう、思ったより深刻だよ...)」

 

「ねぇ、ギアちゃん。もし、私が連中に連れ戻されて世界再編を強制的に

 起こそうとしたらその時は...お兄ちゃんをつなぎ止めて。」

 

「影さんを...?」

 

「うん。お兄ちゃんのギアちゃんと似たような強い強い力がもし、転化みたいなことに

 なったら...とても怖い...優しいお兄ちゃんが、いなくなるようで...」

 

「つなぎ止める...影さんを......わかった。」

 

「お願いするね、ギアちゃん。」

 

そんなことは起きないだろうと、いや、すぐには起きないだろうと

思っていた時期が私にもありました。

 

 

 

 

「調子はどうだイ、マジック·ザ·ハード...トリック·ザ·ハード...」

 

「...狂おしい程に上々だ。」

 

「アクク、幼女達がいるのだな、あの島に...」

 

「サジットさえ回収してくれば何も言わないよ。では、いきたまエ。」

 

「ふふ、せいぜい期待していろ...」

 

「...いいのかいカプリコーン...あんな異世界の魂に蝕まれた者共を

 サジットの回収に向かわせるなんて...」

 

「リブラ、心配しすぎだよ。少なくとも、ちょっとは楽しめるサ。」

 

「なら、いい。」




ゾディアックシリーズの目的も明らかになり...さーて、どうなるんでしょうか...

作者である私もこの先どうする的心境です。それじゃあダメなのですが。

次回、やっぱりアイツがやって来る。
サブタイは「兄と妹達」

なんで来ちゃうんでしょうか。
感想、評価等、お待ちしてます。
各種リクエストは、クリスマスとかにとっておきますね。


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兄と妹達

どーも、運動不足気味のフェルデルトです。
企画大放出を一旦お休みして、本編進めようと思います。

どこまででしったけ。
まぁ、ではどうぞ。




私達がオオトリイ島に来て一週間が経ちました。

 

「いやー、しかしいいでしょ、お姉ちゃん達と離れて暮らすのも。」

 

「そうだねユニちゃん、明ちゃんは?」

 

「うーん、今頃お兄ちゃんがどうなってるか心配だよ...」

 

「どうして?ブランさんがいるのに?」

 

「うん、病院にいたみたいだし、ブランお姉ちゃんとずっとべったりかそれとも...」

 

『それとも?』

 

「飛行形態で砂浜に突き刺さってるかの二択かな...」

 

「それって...」

 

「うん、そうなるわね...」

 

見ると、戦闘機のようなフォルムをした影さんが、砂浜に見事に、それはそれは

リバース1のお姉ちゃんのごとく、突き刺さっていました。

 

 

----------

 

 

「いやー、航空科学部のマスドライバーを拝借して飛んできたはいいけど

 まさか砂浜に刺さるなんて...うわ、ジャリジャリ...」

 

「いいからお兄ちゃん、シャワー浴びてきたら?」

 

「着替えの準備してない。」

 

「じゃあ先生にでも頼んで...」

 

「いや、完全気密の飛行形態で潜るほうが...」

 

「服濡れるから同じでしょ!?」

 

「...なんだろう、凄い人だよね、影さん。」

 

「持って来た荷物は何もなく身一つって...無茶な人よね...」

 

「そして気づいたらいなくなってる。」

 

「どうなったのかしたね。潜るかどうかは。」

 

「さぁ...」

 

後で明ちゃんに聞いたら、影さんは予備の制服を着たようです。

 

 

 

----------

 

 

「というわけで...仕切り直そう...」

 

「登場がアレだっただけにかなり滅入ってるわね...」

 

「そうだねユニちゃん...」

 

「コホン、ここに約15分前に届いたFAX文書がある。学長からのな。」

 

「それって...どういう意味ですか?」

 

「読み上げるぞ。

 『かのゾディアックシリーズの野望を打ち砕くために、ネプギア、ユニ、ロム、

   ラム、明の5名には女神化能力の体得とその強化訓練を行ってもらう。』

 とのことだ。女神化できる奴は挙手。」

 

「えっと、はい...」

 

「ギアだけか...?」

 

「いえ、凍月君。ロムちゃんとラムちゃんも出来ます。私が封じているだけで。」

 

「便利な固有能力ですね...それ...」

 

「一瞬で看破するのは流石です。貴方の固有能力も、封じなければ訓練に

 ならないとも思います。」

 

「そうですね、ミナ先生。頼みます。じゃあギアとロムとラムは俺が。ユニと明は...」

 

「ブレイブ先生にお願いしましょう。」

 

「んじゃぁ、そういうことで...」

 

「待ってください影さん!明ちゃんがここにいれば世界再編は起こりませんよ!?

 なのに対策訓練なんて...!」

 

「むしろここにいるからだ。明を守る為に俺たちは強くなる。」

 

「お兄ちゃん...私は...」

 

「変身していいぞ。もう、わかってるだろ?自分の力の在り方が何なのか。

 ...だが、今は安定させることのほうが重要だ。」

 

「うん、わかった...」

 

「んじゃぁ、今日から世界を救おっか。」




以上、影君来ちゃいました。

次回から影君と妹達との訓練です。

サブタイは「能力と妹達」

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能力と妹達

どーも、太陽嫌いのフェルデルトです。
寒くなってきて欲しいですねぇ...

まぁ、それはともかくとして、行きましょう。


「んー、こう、時間圧縮(ファストクロック)が無いと確かにあいつらには負けかねない

 のは事実なんだよねぇ...」

 

「影さん、そろそろ良いですか...?」

 

「変身、久しぶり...」

 

「おにーちゃんでもいちころよ!」

 

あー、もう変身してたのね。

 

「うーい...んじゃぁ、俺は混影だけで相手するから...来いよ。」

 

「すぅ、はぁ、行きます!」

 

かくして、ネプギア、ロム、ラムへの戦闘能力の底上げを承ったわけだが...

 

「反応遅い!俺はまだ一歩も動いて無いぞ?」

 

「っく、接近戦がダメなら...!」

 

「距離を取る...いい判断だ。」

 

「もらったわ!」

 

「えぇい!」

 

「そういう...けど...精度が甘い...」

 

混影の角度を調整するだけでロムの氷魔法をネプギアにぶつけ、

ラムの魔法は真っ二つに切る。

 

「きゃ、これが、影さんの実力...」

 

「ギアー。これは訓練だから動かないけど、実戦じゃもう二、三回は

 死んでるかもだからそこらへんも考えといてよー。」

 

「あ、はい...」

 

「んー、じゃあ割と力出すよー。一人でも10秒耐えたらそっちの勝ち。」

 

「ひ、一人でもですか...?」

 

「それくらいなら...!」

 

「かかってきなさい!」

 

「んじゃ、遠慮なく。」

 

真っ先にギアを峰打ち、その勢いそのままにラムに一撃、

ちょっと離れてたロムに一撃、計6.4秒。

その結果はまぁ、目に見えたもので、

 

「え...!?」

 

「うそ...」

 

「ほぇぇ...!?」

 

と三者三様。言っとくけど時間圧縮《ファストクロック》は使ってないよ?

 

「これが、影さんの力、ですか...!?」

 

「つよい...」

 

「むー、くやしい!」

 

「...峰打ちだぞ?その意味を理解しておけ。んじゃぁ、ちょいと休憩。」

 

「はい...」

 

 

----------

 

 

影さんの作った休憩は3時間という長い時間でした。

もちろん私とロムちゃんラムちゃんは影さんに一撃すら入れられない

ことと、さらに切られた衝撃などで、かなりヘトヘトでした。

 

けど、それを上回るくらい...

 

「うぅ、何なのあの訓練、力の体得でなんでランニングになるのよ...」

 

「しかも島を5周って...」

 

...ユニちゃんと明ちゃんはさらにヘトヘトでした。

 

結局この後も影さんに一撃も入れることが出来ないまま、

気づいたら夜になりました。

 

「全く...予想よりステータスは高いのになぁ...」

 

「影さん?ステータスって、どういうことですか?」

 

「いや、もう少し弱いかと思った。」

 

「うぅ、辛辣ですね...」

 

「けど、期待できるなぁ、多分、一週間もすれば俺に

 勝てると思うよ。5vs1でだけど。」

 

「そうなの?」

 

「かてるの...?わたしたち。」

 

「おうよ。だから努力すること。明日は1日ブレイブ先生と

 訓練してろ。俺は明日忙しいから。」

 

「...はい、わかりました。」

 

 

 

 




以上です。
影君は強いです。少なくとも作中では。

次回、「妹達の覚醒」

ところで、影君は何するんでしょうね。

感想、評価、活動報告でのパロディ、企画リクエスト等、お待ちしてます。


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妹達の覚醒

どーも、体育大会前筋肉痛のフェルデルトです。

さて、そろそろ妹達の能力が目覚めます。

では、どうぞ。


一週間経ちました。

 

「よー。お前らー。一週間相手しないうちにずいぶんと気の質が変わったじゃないか...

 大真面目に割と本気でいかないと瞬殺されそうなほどに。」

 

今日は影さんとの再戦闘の日です。

明ちゃんとユニちゃんも変身出来るようになって、今私達は5人います。

 

「さて、ルールは5vs1でお前らは俺に効果的な一撃を入れたら勝ち、

 俺はそれぞれに一撃入れたら俺の勝ち。ってことで...ギア、前回と

 違って...手加減なんかしないぞ?」

 

「わかっています。私達は...世界を守るんですから。」

 

「よく言った...んじゃ、」

 

 

『変身!』

 

 

一斉にみんな変身して、影さんとの戦いが始まりました。

 

 

----------

 

 

「やぁ!」

 

「反応遅いっつってんだろ!」

 

ギアの攻撃をいなし、

 

「そこ!」

 

「正確だが読まれるぞ!」

 

ユニの射撃を切り捨て、

 

「えい...!」

 

「もらったわ!」

 

「3秒早かったら当たってたな!」

 

ロムラムの魔法を避け、

 

「でやぁぁ!」

 

「甘い!」

 

明の斬撃は弾く。

 

「M.P.B.Lライフルモード、行くよユニちゃん!」

 

「エクスマルチブラスター、モード、エンブレス!」

 

『行っけぇ!!』

 

「挟撃...悪くない...」

 

双方の光条を避け、その先には...

 

「お兄ちゃんなら...後ろに避けるよね...!」

 

明の矢が飛んで来た。

 

「ご明察...!」

 

スラッシュバレットで相殺するが、それも陽動であることも読める。

 

『アイスコフィン!』

 

「氷の棺ってか...閉じ込めてどーするのかねぇ!」

 

氷の挟撃も回避する。

 

「待っていましたよ、影さん、この瞬間を!」

 

「んぁ、これは...まずいかな...」

 

見ると、俺の限りなく近くに、M.P.B.Lを構えたギアがいるではないか。

 

「そら倒置法も使いたいわけだ...!?」

 

「逃がさない!」

 

「貰ったよ!」

 

明の矢とユニの射撃が俺の動きを阻害する。

 

「マジっすか、うん、降参かな...」

 

まさか一瞬で俺の言いたいことを読むなんてね...

 

「降参、ですか...?」

 

「いや、そうでしょ、それ以外出来ないっしょ。」

 

「てことは、私達の勝ち、ですか...?」

 

「まぁ、そうなるね、うん。だからさ、今にも発射されそうなその

 M.P.B.Lを降ろしてくれないかなぁ...」

 

「あ、はい...」

 

瞬間、空よりどうも見覚えのある魔女とロリコンの飛来を捉えた。

 

「...やっぱストップ。全員、上見ろ。」

 

「上、ですか?」

 

「面倒な事になった...明とユニはロムラムを安全な所へ。」

 

「ど、どうしてよ影さん!」

 

「重度のロリコンがいてだな...ロムラムに指一本でも触れられるとゾディアック

 シリーズが世界再編をする前に世界が滅びかねないから。」

 

「は、はぁ...」

 

「要するに、お兄ちゃんを怒らせないため、だね。」

 

「そゆこと。悪いがギア、俺とあいつらの殲滅に協力してくれね?」

 

「分かりました、具体的にはどうすれば...?」

 

「うーん、話してる間に結構降下してきたからねぇ...150秒ここ守ってて。」

 

「はい!?2分半もですか!?」

 

時間圧縮(ファストクロック)を返して貰わなきゃだから。んじゃ、頼んだ!」

 

そうやってトリックをギアに任せ、俺は校舎に急いだ。

 

 

 




はい、トリックマジック、出てきましたよ。

オオトリイ島にて、遂に、ようやく。

次回はトリックvsギア、マジックvs影の二本立て!
サブタイは「魔女と変態vs兄と妹達」

感想、評価、活動報告でのパロディ、企画リクエスト等、お待ちしてます。


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魔女と変態vs兄と妹達

どーも、フェルデルトです。

影君と妹達の前にマジックとトリックが襲来。
果たしてどうなる...!?


「予想より降下が速い...ギア...頼んだぞ...」

 

こっちにはマジックが鎌を携えて接近している。

 

「最悪時間圧縮(ファストクロック)なしで戦うパティーンだよねこれ...」

 

校舎には近づいているがもう既にマジックの攻撃圏内でもある。

 

「しゃあない...やってやろうじゃねぇか!」

 

混影を抜刀し、マジックを見据える。

 

「レルーラか...大人しく貴様の妹を渡して貰おう...」

 

明狙い...てことはさしずめ星座の使い走りか...

 

「嫌だね。あんたみたいな悪趣味魔女に渡すほど、明はヴィジュアル系じゃない。」

 

「貴様...!」

 

「来いよ。すぐに片付けてやる。」

 

「ほざけ..!」

 

マジックの鎌と俺の混影が切り結ぶ。

 

----------

 

「2分半...けどこれじゃ、倍以上かかりそうだよ...」

 

私の前には長い舌を垂らした、いかにも異形といえる人(?)がいます。

 

「アクク、儂の相手は貴様かね、パープルハートの妹よ。残念だ。

 ロムたんラムたんをペロペロできんとは...」

 

私の心の声を聞いて頂けると嬉しいのですが、これ、影さんが

ここにいれば、ほぼ100%、瞬殺出来ませんか?影さんなら。

あ、でも、死ぬより辛い目に遭わされますね、間違いなく。

 

「...貴方のような人には...指一本、あの二人には近づけさせません!」

 

「ネプギア!加勢するわ!」

 

「ユニちゃん!?」

 

「明が言ってたわ、狙いは明だって。だったら、私達で食い止めれば良いのよ!」

 

「アクク、それは儂の固有能力を見てから言うのだな。」

 

瞬間、トリックの目が光りました。

 

「一体何の...きゃぁ!」

 

私には特に何も...いや、ありました。何故かユニちゃんが、私目掛けて撃ってきたのです。

 

「アクク、これが儂の固有能力思考掌握(ブレインジャック)じゃ。そこを

 どくのだな、パープルハートの妹よ。」

 

「っく、ユニちゃん!正気に戻って!」

 

「......」

 

「アクク、愉快愉快、さて、ロムたんラムたんはどこかなー...」

 

「っく...早く...早く来てください、影さん...!」

 

----------

 

「...そこっ!」

 

混影で一斬り。

 

「甘い...!」

 

鎌でいなされる。

 

「なーんてね。」

 

生じた隙に回し蹴り。

 

「ぐっ...貴様...」

 

「強いだろ...?大人しく果てろ!」

 

強気で攻める。奴の鎌はやはり強い。

 

「ふん、ならば見せてやる。固有、死鎌(デスサイズ)...!」

 

「そのままじゃねえか...!?」

 

なんと、奴の鎌から衝撃波が放たれている。

それだけならまだしも、さらに問題が。

 

「増えてね?鎌。」

 

そう、奴は鎌の二刀流というアンバランスな芸当をやっているのだ。

 

「やれやれ...長くなりそうだ...」

 




いかがでしたか?
二者の固有は一応原作ゲーム沿いで考えてみました。
(リバース2持ってないけど)
変なとこないですよね...?

あったらまぁ、教えて下さい。

次回、「追い込まれる妹達」

影君は平常運転です。

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追い込まれる妹達

どーも、早くも続編のインスピレーションがおりてきたフェルデルトです。
3月には完結させたい...

というわけで、行きます!


「むむむ、厳しい...接近出来ない...」

 

ソニックブームみたいな弾幕を避け、避け、また避けるの繰り返し。

 

「ええい、しゃあない...腕の一本...くれてやる!」

 

斥力フィールドを展開しながら無理やり接近する。

 

「ふん、面白い...!」

 

マジックも一気に接近してくる。チャンスは一度。

 

「やっぱり...邪魔...!」

 

眼帯を外し、より多くの情報を仕入れる。

 

「レルーラ...貰ったぞ!」

 

「じゃああげるよ!」

 

左腕の義手をパージし、一気に背後を取る。

 

「んなっ...」

 

「果てろ、何気初披露かな?エグゼドライヴ、星天乱斬(スターナイトストリーム)!」

 

混影の連斬をマジックの背に浴びせる。

 

「むぐっ...貴様...!」

 

「しぶとい...んじゃぁ、落ちろぉ!」

 

左足の義足でかかと落としを浴びせる。マジックは文字通り墜落。

 

「ふぅ、次...明のとこ...」

 

来た道を引き返す。

 

「間に合ってくれよ...」

 

---------

 

「はぁ、はぁ、っく...」

 

洗脳されたユニちゃんの射撃を避けながら、

 

「むんっ!」

 

トリックの舌の攻撃も避ける...正直、もう限界なんです...けど、

 

「私は...ここを守らなきゃ...そう約束したんです、あの人と...!」

 

手を伸ばしても、五人でじゃないとほんとにちょっとしか届かないあの人に、

私は、ここを頼まれた...

 

「ここは通しません、私が、通させません!」

 

「アクク、ならばやはり押し通るしかあるまい。」

 

「させません!」

 

トリックの移動をM.P.B.Lで牽制して、それで...

 

「......」

 

しまった、ユニちゃんの方を忘れてた...!

 

「きゃ...!」

 

ごめんなさい影さん、ここまでかもです...

 

ユニちゃんの射撃に吹き飛ばされた私は、後ろの木にぶつかって...

 

「痛た...って、あれ?変身が...」

 

「......」

 

最悪です。変身が解けて銃口を向けられているのです。

影さんの言葉を借りるなら...

 

「あはは...詰んじゃった...」

 

ユニちゃんのX.M.Bの銃口が光って、目を瞑って、私は...死ぬのかな...

 

 

 

 

 

 

 

「ギアァァァ!」

 

 

 

 

 

 

 

「う...生きて、る...?」

 

目を開けるとそこには...

 

「遅くなった...悪いな...」

 

全身の装甲が紅く光った、左腕の無い影さんがいました。

 

 

----------

 

 

「...ありがとう、ギア、ゆっくり休め。」

 

「死人みたいな扱いじゃないですか...それ...」

 

「煩い。ま、いい。とっとと終わらせるから。」

 

ストライクフォームが切れる。それは些末な事だ。

 

「洗脳されたユニとトリックか...3分だな。」

 

「アクク、レルーラ、義手のないそなたに出来るのかね?」

 

「出来る出来ないじゃねぇ、やるんだよ、今、ここでっ!」

 

まずはユニを黙らせる。武器を斬るのは忍びないからまぁ、

プロセッサが壊れない程度の威力でぶったぎる。

 

 

「がうっ...」

 

早々にフェードアウト。洗脳も解けたかな。

 

「むむ、お主はやはり一筋縄ではいかんか...」

 

「当たり前だろうが、三下ぁ!」

 

まずは腹に一蹴り。

 

「ごふぅっ!?」

 

「とっとと、朽ち、果てやがれぇぇ!!」

 

トリックの全身に切り傷を刻み込む。

 

「むぐ、ここまで動けるのか...片腕が無くとも...」

 

「おあいにくさま、特殊な訓練受けてんだよ、こっちは!」

 

さらに蹴飛ばす。海に出る。

 

「かくなる上は...!」

 

「遅い!」

 

義足にはブースターがついている。加速して、そして追い付く。

 

「浸透圧に苦しめ!」

 

トリックを斬り飛ばし、海に落とす。

 

「ぬおぉぉぉ!?傷に、傷に染みるぅぅ!?」

 

「そのまま苦しめ...終には果てろ。」

 

「ぬうぎゃぁぁ...!?」

 

そんなトリックを背に、俺はギアと明の所へ行く。

 

 

----------

 

 

「お兄ちゃーん、もう大丈夫ー?」

 

何か聞いたこともない凄いけたたましい絶叫が聞こえたから多分大丈夫だよね。

 

「明ちゃん...あそこ、誰かいるよ?」

 

「誰かしら?」

 

「むむ、あれは...ギアちゃん...!?」

 

「え...?ネプギアちゃんがどうかしたの?」

 

「倒れてるの!」

 

「え?ネプギアー!返事しなさーい!」

 

ヤバい...ギアちゃんが...!

 

『ギア(ちゃん)!』

 

「あ、おにーちゃん...」

 

「ネプギアちゃんが...」

 

「とりあえず運ぶぞ...明はユニを。ロムラムは先に先生の所へ...!」

 

「うん、わかった...」

 

「行くわよロムちゃん!」

 

「...お兄ちゃん...」

 

「無茶させ過ぎちまったか...悪い、ギア...」

 

「お兄ちゃん!今は急ご...?」

 

「...それもそうだな。」

 

私とお兄ちゃんはそれぞれギアちゃんとユニちゃんを

校舎に運んだのでした。

 

 




久々の連続投稿は疲れました。

あれ?影ギアフラグ建っちゃった?

どうなんですかねこれ、どうしましょ。

次回、平和になった筈のオオトリイ島にまた動騒が...

サブタイは「自然と妹達」

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自然と妹達

どーも、フェルデルトです。

オオトリイ島に訪れる第二の動騒。

どうなるんでしょうね。ではどうぞ。


...無茶させ過ぎた。

 

「はぁ...マジかよ...しばらく左腕無しの生活だしギアは負傷しかけてるし...

 これはマジで辛いな...」

 

「お兄ちゃん、いい加減寝たら?徹夜でギアちゃんの看病してたんでしょ?」

 

「いーの。寝なくて。考え事がはかどるから。」

 

「健康に悪いよ?」

 

「元から不健康...」

 

「そういう問題じゃないよ、全く...」

 

「そ、そういう問題じゃない。せめてもの罪滅ぼしさ。」

 

「お兄ちゃんそういうことばっかり。」

 

「...言っとけ。ほれ、授業受けてこい。」

 

「お兄ちゃんは?」

 

「頭痛い。」

 

「それ絶対徹夜のせいでしょ!?」

 

「だな、ギアの欠席連絡も入れとけよー。」

 

「はいはーい。」

 

...妹が元気なのは良いことで、先のドンパチでロムラムに被害も出てはいないのだが...

 

「何だろう、このどうも不甲斐なくもやもやする感情は...」

 

気になって本来の考え事に集中出来ないため、最愛の人(ブラン)に相談してみた。

 

『それはまぁ、いわゆる後悔というのと、貴方のシスコンがまた

 別ベクトルに働いているのどちらか、またはその両方ね。』

 

「いい得て妙だなぁ、ブラン...やっぱ相談して良かったよ...」

 

『私はむしろ相談されて浮気されてないか心配だわ。』

 

「そんなこと出来ると思う?この俺が。」

 

『皆男はそう言うわ。』

 

「酷くない!?俺はブラン無しじゃ生きられないよ!?」

 

『3年も離れていたのに?』

 

「それ昔の話...ブラン、もしやからかってる?」

 

『貴方にしては気づくのが遅かったわね。』

 

「なんでや!?」

 

『だって、久々に貴方と会話できたから...」』

 

「...それもそうだな...まだちょっとかかりそう。待っててくれ。」

 

『分かったわ、影。』

 

...心安らぐ時間をありがとう、ブラン...

 

「うぅ、ここは...知ってる天井だ...」

 

「起きたか、ギア。」

 

「あ、影さん...」

 

「...ちょっと検査するぞー。」

 

「え、ちょ、待って下さい!」

 

「寝てろ、てかケガしてないか、痛むとこないか?」

 

「大丈夫です、だからベッドから降りて下さい...!」

 

「大丈夫なのね...良かったよ...」

 

「というか...影さんこそ大丈夫なんですか?左腕無しで...」

 

言われたか。

 

「大丈夫、と言えば嘘かな...めっさ辛いよ。」

 

「...お姉ちゃんから聞きました。影さん、凄い大怪我をしたって...」

 

「左目失明、左腕負傷、左脚切断だもんな、うん。大怪我ってレベルじゃないね。」

 

「ホントに大丈夫なんですか!?そんな身体で...!」

 

「こんな身体だからだよ。おかげで文字通り人間離れしたけどな...あはは。」

 

「何で、笑えるんですか...」

 

「ん?何でかって?それはだね...ギア、俺はこの生活を楽しんでるのさ。

 痛み苦しみはあれどもね...理解してくれとは言わないよ。」

 

「......」

 

「腑に落ちない、か...いいさそれで。それで、いいのs...!?」

 

「何...この揺れは...!?」

 

「どっかで何かが爆発した...噴火...ってこたぁ、一難去ってまた一難、か...」

 

 

 

 




無理やり原作に軌道修正。

自然と名うっておいて自然成分ほぼなし。

ふむ...参った。

それはともかくとして次回、オオトリイ島存亡危機。

サブタイは「妹達の覚悟」

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妹達の覚悟

どーも、校外研修で疲れたフェルデルトです。

さー、何の前触れもない噴火でまたまた大変なことに...

では、どうぞ。


「無茶苦茶だろもう、なんでもかんでも...はぁ...」

 

安静にするべきギアも飛び起き、俺は腕がないことで動揺させないように

コートをマント代わりにし、休む予定も考え事も全てパーになった

ことを気にやむ余裕もなく職員室に向かった。

 

 

「ミナ先生、校舎に被害は!?」

 

「無いです...けどどうしていきなり...」

 

「そんなことは自然に聞いてください...ともかく、来たか、お前ら。」

 

「今度は噴火ですか...!?」

 

「どうやらそうみたいよ...」

 

「どっかーん...?」

 

「うん、どっかーん!」

 

「こらこらラムちゃん...」

 

「不謹慎だ...ったく...ともかく、まずは...ミナ先生、

 俺の時間圧縮(ファストクロック)を返してください...」

 

「あ、はい...」

 

「...コホン、噴火というものはマグマが出てくる...で、

 ここにあるPCを借りて計算してみた最悪の状態が...」

 

「...このオオトリイ島全土をマグマが覆います。」

 

 

瞬間、全員が言葉を失う。

 

 

「...ということで...どうしたい?」

 

「どうしたい...と言いますと?」

 

「普通に考えれば逃げなきゃいけない。だが、逃げる、避難する

 ということは生活を捨てることだ...そんなことは、なるたけ

 避けなければならない。避けなければならないんだ。」

 

「影さん...」

 

「故に問う。そして頼む。この状況、お前らに託す。」

 

「えぇ!?ちょ、どーいうことお兄ちゃん!」

 

「実際問題、ディレットシューターの威力や照準精度のことを

 考えると左腕が無きゃ、ね...」

 

「え、無いの?おにーちゃん...」

 

「大丈夫なの!?」

 

「大丈夫だよ...と言えば嘘かな...ま、騙し騙しってとこだ。

 そのため今回ばかりは俺もほとんど助力はできない。」

 

「ゾディアックシリーズが来た時は...?」

 

「その時は...その時考えればいい。まずは目の前の懸案だ。」

 

「...一つ、考えがあります。」

 

それは、ギアの逆転の、いや、博打の一手だった。

 

「つまり、火口に穴を開けてマグマを海に流す、と。」

 

地図を広げてギアの説明を聞く。

 

「はい、構造や、強度にもよりますが、多分これが一番わかりやすいかと

 思います。皆はどう思う...?」

 

「分かりやすいよ。ギアちゃん。」

 

「要は狙い撃てばいいのよね、お安いご用よ!」

 

「楽観的だな...地質調査してくる。」

 

「え、待って下さい凍月君、そんな危険なこと...」

 

「調べずにやるわけにもいくまい...」

 

「ですが...」

 

「俺に出来るのはこれぐらいだ。すぐ戻る。」

 

「...大丈夫ですかね...」

 

「ミナ先生、気づいてください...」

 

「何にですか、明さん。」

 

「お兄ちゃんに若干の死亡フラグが建ってることにです!」

 

「あ、...」

 

「大丈夫だよ、だって、影さんだもん。」

 

「ギアちゃん、それ、よりフラグっぽい~!」

 

 

 




影君は山へ地質調査に。妹達は川、じゃなくて校舎で作戦会議。

次回、地質調査は普通には終わらない。

サブタイは「乙女と妹達」

うーん、不穏。

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乙女と妹達

どーも、風邪ひいたフェルデルトです。

ふふ、なぁにこれしき、問題ないです。多分。

ではでは、いきましょー。


火山というものはマグマの質で見た目が全く違う。

 

今回出向いたオオトリイ島の火山はというと...

 

「フジヤマみたいな形だが...周りの石は白っぽいな...なんとかなりそーだ。」

 

「そうですか?こちらとしては、なんとかされては困りますわ。」

 

「...誰だ。」

 

振り返る。うん、やっぱりゾディアックシリーズだったね。

 

「ワタクシはヴァルゴ...乙女ですわ。」

 

「あ、そ。」

 

スラッシュバレットを向ける。

 

「おや、気が早いですわねぇ...」

 

ヴァルゴは脳波操作式小型攻撃端末(ファンネル)らしきものを展開する。

 

「げげ、この状態でそれはキツイ...」

 

「でしょう?リブラも策士ですから。」

 

「なるほどっ...!」

 

変身してファンネル射撃を避ける。

 

「ふむ、機動力は高いようですわねぇ...」

 

「うっさい、左腕があれば秒殺だっての!」

 

「では今は無理なのですね。」

 

「癪に障る...こんちくしょー!」

 

混影で何個かのファンネルを斬る。

 

「おや、わたくしも油断しましたわねぇ...」

 

「だな...んじゃ、とっととやられろ!」

 

「お断りいたしますわ。スピカ...もっといきますわ。」

 

「え、まじっすか。」

 

緊張感無いように感じるそこのあなた。

自分の周りにファンネルがざっと40あるところを想像してみよう。

きっとあなたもこう思うはずだ。

 

「あっはー、詰んだ...」

 

瞬間、俺はファンネルの弾幕の雨を避け踊るはめに遭わされるのは言うまでもない。

 

 

----------

 

 

「...ただの地質調査にしては遅すぎませんか?」

 

この私の一言が、作戦会議室(職員室ですが。)の空気を一気に重くします。

 

「何かあったと考えるのが妥当ね。明、助けいくわよ。」

 

「うん、わかったユニちゃん。」

 

「私も...」

 

行きます、とは言えず...

 

「ギアちゃんは休んでて。ロムちゃんラムちゃん、

 ギアちゃんのこと見ててね。」

 

「うん、わかった...」

 

「早く戻ってきなさいよー。」

 

見送るだけとなりました。

 

「影さん、大丈夫かなぁ...」

 

 

----------

 

 

「多すぎる...」

 

前とは違って回避でもやっとだ。

 

「お黙りなさい...!」

 

「んぁ、爆弾...!?」

 

咄嗟にシールドを...って、腕が無いんだった...

当然、爆発をもろに受ける訳で、

 

「がふっ...げ、」

 

更に滅茶苦茶な弾幕が俺を襲う。

 

「うぐっ...キツイ...けど...」

 

所々被弾してるが、勝ちの目は見えた。

 

「貰いましたわ!」

 

爆弾も降り注ぐ。これは好機だ。

 

「それ、俺の台詞...!」

 

時間圧縮(ファストクロック)で加速、一気にヴァルゴの目の前に出る。

当然、誘爆を防ぐためにヴァルゴ本体近くに弾幕はない。

すなわち、俺は止まらない。

 

「んなっ...!?」

 

「おらよ!」

 

一発蹴る。余裕があればもう少しダメージを与えられたが、

生憎今はそんな余裕は全く無かった。

 

「ファンネルの動きが鈍くなった、逃げるか...」

 

高速機動形態になり、戦線離脱する。

 

「お兄ちゃん!」

 

「明か、ヴァルゴがいる。撤退するぞ。」

 

「う、うん、わかった。」

 

「大丈夫ですか?影さん。」

 

「心配いらん、ユニ。ともかく、火山のほうをなんとかしないと...」

 

若干左足の動きが鈍いがな...

 

 

 

 




以上です。

だんだん影君が戦えない体に...妹達よ、どうする。

次回、遂に始まるマグマ流出阻止作戦。

サブタイは「火山vs妹達」

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火山vs妹達

どーも、お久しぶりです、フェルデルトです。

テスト前ですよまた。お陰で続きが遅くなってしまいました。

妹達は、自然に抗いに、影君は、星座の野望を砕かんと、戦います。


デン、デン、デン、デン、デンデン、デン、デン、デン、デン、デンデン...

 

「やっぱりこのBGMだよな。作戦会議には。」

 

「影さん、その勢いだとマグマに凝固材入れそうですね。」

 

「あればいいんだけどね。凝固材。そういうわけには行かないのが現状さ。」

 

「そうですね...それより、どうするんですか?影さんの調査だともう時間が...」

 

「そ。それにヴァルゴの妨害の可能性もある。」

 

「うわ、問題山積みね...」

 

「だよね、おまけに俺は戦闘出来るほど回復してないし。」

 

「...状況は芳しくないですね...」

 

「だな...けど、X.M.BとM.P.B.Lの出力最大で同じ位置に着弾させれば

 14発で火口に穴を開けることは出来る...まぁ、最低でも作戦時間は

 1時間は欲しいな...つまり、どうにかギアとユニにヴァルゴを一切

 近づけなければいい。」

 

「簡単に言うね、お兄ちゃん...」

 

「実際はマジ辛いよ。てなわけで、ヴァルゴは足止めは無理。」

 

「じゃあ、どうするんですか!?」

 

「あせるなギア、足止めがダメなら倒してしまえばよかろう。」

 

「あー、お兄ちゃんらしいね...」

 

「もっとも、ギアもユニも動けない以上、俺らでやるしかないのだが。」

 

「ロムちゃんとわたしはどうするの、おにーちゃん。」

 

「ロムとラムは、銃身冷却か、避難誘導だな。」

 

「うん、わかった...」

 

「よし、これで作戦会議は終わり...疑問、質問、いちゃもんある?」

 

「...影さん、これが最善なんですか?」

 

ギアが心なしか重そうに口を開く。

 

「最善、だろうな...何でだ?」

 

「影さんやユニちゃん、明ちゃんが言うように妨害してくるであろう

 ゾディアックシリーズ...ヴァルゴは、オールレンジ攻撃使いなんです

 よね...それを手負いの影さんと明ちゃんだけでなんて、無茶です。

 やっぱりもう一人くらいで対応しないと...!」

 

「もっともだな...だけど、本来の目的はマグマを海に逃がすことだ。」

 

「けど、これじゃ影さんが!」

 

「ギアちゃん、お兄ちゃんは強いよ?ヴァルゴになんかには負けない。

 まさか、お兄ちゃんがやられるとでも思ってる?お兄ちゃんのこと...

 馬鹿にしてるの?」

 

「待て明...ギアはただ優しいだけ、心配性なだけだ...けどギア、

 俺一人のために島の人々の生活をないがしろにするのか?」

 

「それは...」

 

「出来ないよな...それでいい...それに俺はこんなところでへばれないの。

 ブランが待ってるんだ。ちゃんと帰らないと。」

 

「......わかりました。」

 

「お前が頼りだ、ギア。島を、任す。」

 

そう言って俺は、決戦の準備に向かう。

 

 

----------

 

 

影さんが部屋を出た後、私は思ったことがすぐ口からこぼれました。」

 

「影さんに、任された...私に...島を...」

 

「ネプギア、気負わない。確かに重要だけど、今は島の事だけ考えて。それに...」

 

「それに...?」

 

「ギアちゃん、お兄ちゃんのこと気にしてるでしょ。」

 

「はうっ!?」

 

痛いところを突かれました。けど何考えてるんだろう。

影さんにはブランさんがいるのに...

 

「ネプギアちゃん、かおあかいよ...?」

 

「熱でもあるの?」

 

「何でもないよ!というか、どうしてわかったの!?」

 

「そりゃもう、ね、明。」

 

「お姉ちゃんの話したとき、ギアちゃん、ちょっと悲しそうというか...

 諦めちゃってるような顔してたもん。」

 

「そ、そんなに出てた...?」

 

明ちゃんには、全てお見通しなのかなぁ...

 

「わっかりやすいわね...」

 

「うぅ、だって、影さん優しいから...」

 

「お兄ちゃんのことだから、ギアちゃんは妹として接してるんだと

 思うなぁ、ね、ロムちゃん、ラムちゃん。」

 

「うん、そうだね...」

 

やっぱり私には手の届かない存在なのかな...

 

「まぁ、頑張りなさいネプギア。」

 

「けど、まずは火山だね。」

 

そうだった...危うく頭の中が大変な方向に進むとこだった...

 

「うん、そうだねユニちゃん、明ちゃん。」

 

私達は、これから戦いに身を投じます。

 

守るべきものを、守る為に。




いかがでしたか?

影君の女子との関係をおさらいすると
彼女:ブラン
友人:アイエフ、ケイ
妹:明、ロム、ラム、(ネプギア)、(ユニ)

って感じです。

ギアには辛い環境ですねぇ、多分この作品ではギアが一番成長します。

次回、「決戦、島を託された妹達」

感想、評価、活動報告でのパロディ、企画リクエスト等、お待ちしてます。


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決戦、島を託された妹達

どーも、Gジェネジェネシスをgetしたフェルデルトです。

久々の投稿ですね...見直し疲れました。

ではでは、4章も大詰め。

マグマ流出を止められるでしょうか。


--影さんが計算したところによると、火山が噴火するまであと7時間。

 

「ネプギア、そろそろ準備よ。」

 

「うん、わかった。」

 

今は朝6時。サイレンはあと4時間後に流れて、

島民の皆さんの避難が始まります。

 

「その様子だと、眠れなかったようね。」

 

「うん...やっぱり緊張しちゃって...」

 

「しかし...どうしてこの状況でも影さんは眠れるのかしら。」

 

「あはは...明ちゃんもロムちゃんもラムちゃんもぐっすりだね。」

 

私の緊張は気づいたら無くなっていました。

 

けど、眠れなかったのも事実で、作戦時間に眠くならないか、

それがとても心配でした。

 

 

----------

 

 

午前10時。作戦開始時刻。

 

「ロム、ラム、ミナ先生。誘導お願いします。」

 

通信機で連絡する。おそらくここが一番大事だ。

 

『わかりました。影さんの方も気をつけて下さい。』

 

「言われんでも気をつけてます...ギア、ユニ。

 第一射準備。頼んだぞ。」

 

『はい!』

 

ギアとユニにも連絡する。

いい感じの返事で何より。

 

「よし...じゃあ行くか、明。」

 

「うん。行こう。お兄ちゃん。」

 

「あぁ、ヴァルゴを倒滅する。」

 

そして俺らは変身して、空に踊り出た。

 

 

----------

 

 

「ユニちゃん、準備出来た?」

 

「えぇ、エネルギーチャージ完了よ。」

 

『いっけぇ!』

 

私達の射撃は見事に火口の壁に当たって、まず少し傷をつけました。

 

「これで少し...」

 

「前進したわね...!」

 

リロードとチャージをして、第二射に備えます。

 

 

「それは困りましたわ...マスターが練った計画を無下にしてるのですから...」

 

 

「誰...!?」

 

影さんの予想通り、こっちにゾディアックシリーズが来ました。

 

「わたくしはヴァルゴと言いますわ...さて、貴女達がわたくし達を妨害

 するのなら...わたくしも妨害させていただきますわ。」

 

 

「させるかよ!」

 

 

「んなっ...!?」

 

ヴァルゴに影さんが突撃...そして一気に突き飛ばしました。

 

「悪いねヴァルゴ...お兄ちゃんたちの邪魔はさせない...

 こっから先は...一方通行だよ。」

 

変身した明ちゃんは弓を構えて、ヴァルゴを見据えていました。

 

 

----------

 

 

「全く貴方はしつこいですわね...!」

 

「煩い。そのしゃべり方は...神経が逆撫でされるんだなぁ、これが!」

 

「ほう、奇遇ですわねぇ...!スピカ!この忌々しき殿方に罰を!」

 

「かかった...明!狙い撃て!」

 

「言われなくても!」

 

明の矢は正確にヴァルゴに当たる。一瞬視界を無くせばこっちのもの。

ファンネルが出る前に...叩く!

 

「むぐっ...んなっ!?」

 

一気に近づきヴァルゴに一閃。片腕がなくともこれぐらいは出来る。

 

 

--しかし...

 

 

「ふふ、サジットもおられましたか。では本気で攻撃にまわりますわ...!」

 

予想外にヴァルゴは堅牢で、ファンネルによるオールレンジ攻撃が始まった。




以上、ヴァルゴvs凍月兄妹は次回へ。

ギアとユニは淡々と射撃。

次回、「妹達の援護」

感想、評価、活動報告でのパロディ、企画リクエスト等、お願いします。


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妹達の援護

どーも、フェルデルトです。

いやー、テストが散々な結果でしたよ。まさか600行かないなんて...

それよりもまぁ、続きですね。

では、どうぞ。



オールレンジ攻撃というものは常に面倒だ。

 

自分で使うにしてももて余したりするのだから。

 

それが敵、かつ使いこなしている相手なら...

 

「うぐっ...キツイ...」

 

ってことには誰だってなるだろう。

 

ちなみにまだかすっている程度だが...

 

「貰いましたわよ!」

 

「うぐっ...爆弾とのコンボはキツイって...明!対処できるか!?」

 

「出来ない!避けるのも出来てないもん!」

 

見たところ俺よりファンネルの量は少ないが...

把握演算無しでは辛いだろう。あっても辛いのだから。

 

「よそ見とは...余裕ですわね!」

 

「んぁ、しまった!」

 

気づいたら左脚の義足が撃ち抜かれた。ブースター用の

カートリッジがあるから誘爆する。

 

どうにかその前にパージしたが。

 

「うふふ、しかし...貴方は半身が機械なのですねぇ、つまらない。」

 

「肉体を貫く方が楽しいとでも?」

 

「えぇ、溢れる血と叫びはたまりませんわぁ...」

 

「こいつ...乙女っていうよりもナイトメア...いやそれより

 絶対間違いなく凶悪だなおい!」

 

どうにか一基ずつ墜としているけど...明の方は大丈夫かなぁ...

 

「けど、減らず口もそこまでですわ!」

 

「うぐっ...」

 

まさかの蹴り。そしてビームで動きを封じてきたところに爆弾が降ってくる。

 

通常なら即死コース。オマケに時間圧縮(ファストクロック)も某最高にハイな

あの方のスタンドほどの力は無い。

 

「げ、オワタ...」

 

 

--悪ぃ、ブラン。ここまでかも...

 

 

「「アイスサンクチュアリ!!」」

 

 

もう開けられないだろうと思った目を開けるとそこに氷壁があり、

背中をブランの、俺の妹達3人が背中を支えていた。

 

「明、ロム、ラム...ファンネルは...?」

 

「今ロムちゃんとラムちゃんが防いでるよ。私もこの二人に

 助けられてお兄ちゃんを助けられたんだから。」

 

「そうか...なんにせよ助かった...」

 

「お兄ちゃん、無茶禁止。船で待ってて。」

 

「は?じゃあどうやってヴァルゴを止める...?」

 

「それはお楽しみ。」

 

「...そうか、じゃあ頼んだ...」

 

「うん、頼まれた。」

 

そうして俺は満身創痍の身体をどうにか船へ動かした。

 

 

----------

 

 

「あとファンネルざっと15、ギアちゃん達の射撃はあと4発か...

 うん、頑張ろう、ロムちゃん、ラムちゃん。」

 

「うん、がんばる。」

 

「こてんぱんにしてやるわ!」

 

「...この島は...私達が守ってみせる!」

 

「出来ますの?サジット。力も制御できなかった貴女に!」

 

「...お兄ちゃんが言ってた。本当に大事な時に必要なのは

 理由じゃなくて信念だって。だったら私は、この信念で戦う。

 出来る出来ないじゃない。やるの。今、ここで!」

 

サジティックアローをブレードモードにする。

 

絶対に、成し遂げる。

 

 

--例え、また暴走したとしても...!

 

 

揺るがない信念を持って、私はヴァルゴに突撃した。

 

 




以上です。

次回、多分4章最終話。

サブタイは「妹達の成果」

感想、評価の方、よろしくお願いいたします。


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妹達の成果

どーも、フェルデルトです。

ちょいとろくでもないことがクラスで起きましてメンタルが逝きました。

それはともかくとして、行きましょう。




ファンネルのビームが降り注ぐ。

 

「やぁ!」

 

それをお兄ちゃん直伝の剣術で防いだり避けたりするも全く近づけない。

 

「ふふふ、サジット。貴女には勝てませんわ...」

 

「そんなの、やってみなきゃわからない...ううん、わかってる。

 私だけじゃ勝てない事くらいは!ロムちゃん、ラムちゃん!」

 

「うん、アイスコフィン!」

 

「にがなさいわよ!」

 

「無駄ですわよ。」

 

やっぱり通じない。全方位死角無しというのはやっぱり辛いよ。

こんなのとお兄ちゃんは互角クラスで戦ってたのかぁ...

 

「それでも、私は...!」

 

「無駄という言葉の意味が分からないようですわねぇ...」

 

「...くっ...!」

 

三人同時に動きを封じてくる。

 

それに爆弾も。これじゃ、お兄ちゃんと同じパターンで...

 

 

ドッカーン...

 

 

やられる、そう思う前に大轟音が響きわたった。

 

「何の音ですの...まさか、マグマを海へ...!?」

 

見ると、どうやらギアちゃん達は成功したらしい。てことは...

 

 

「明から、離れなさい!」

 

「ち、これ以上増えますと流石に不利ですわね...」

 

「逃がしません!」

 

ユニちゃんとギアちゃんが増援に来てくれた。

 

 

「いける、これで平和になる...!」

 

 

--人、これをフラグと言うんだっけ。

 

 

「兄妹揃って楽観的じゃないかなぁ、サジット。久しぶりだね。」

 

「リブラ...どうしてここに...」

 

「ヴァルゴがやられそうだからね。回収に来たのさ。」

 

「させると思ってるのかしら?」

 

「エスカマリ...ボクの重力を鉛直上向きに。ヴァルゴ、行くよ。」

 

「仕方ありませんわね...」

 

「っく、堕ちなさい!」

 

ユニちゃんがリブラを撃つ。

 

「ダメだよユニちゃん、リブラのエスカマリは...!」

 

「重力を操るのさ。」

 

ユニちゃんの放ったビームはリブラに当たることなく曲がって、

そのまま海中に吸い込まれていった。

 

「んな...!?」

 

「ふふふ、じゃあね、天界で待ってるよ、マスターと共にね...」

 

「天界...そんな...いーすんさんは大丈夫かなぁ...」

 

「ギアちゃん...?」

 

ギアちゃんの独り言を私は聞き逃さず、心に留めておきながら

私達はオオトリイ島の港に着地する。

 

 

「島の英雄の凱旋だー!」

「勇者だ、救世主だー!」

 

船にいる避難しようとしていた人々は私たちを蝶よ花よと

崇め、私たちは肝心のお兄ちゃんの容体を知る間も無く、

学園の本校に戻ることになった。

 

 

後で聞いた話だけど、お兄ちゃんは対ゾディアックシリーズ用の

追加装備を設計していたようで、ここで採れる鋼を素材にすると、

結構な量(だいたい50kg、しかもただ。島の人曰く、島を守って

くれただけでこれでも足りないそう。)の鋼の原石を持っていったらしい。

 

 

「長い戦いも終わったね...」

 

「うん、けど、まだ続く。」

 

「はぁ、早く砕いて終わらせたいわね、世界再編の野望。」

 

「それよりも、おにいちゃん、だいじょーぶかな...?」

 

「きっとおにいちゃんだから大丈夫よ!」

 

 

そんな会話をしながら、私たちは本校に戻る。

 

 

--帰ってきて早々、お兄ちゃんはブランお姉ちゃんにこっぴどく怒られてたなぁ...

 




あぁ、ついに4章終わりました。
次回から最終章5章、星座決戦の章に入ります。

まぁ、下準備等ありますが、まずは企画物を書いて行こうと思います。

5章は年明けからですかね。遂に戦いは終局へ向かう。

サブタイは「羅針盤」

感想、評価、活動報告での各種リクエスト等、お待ちしてます。


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第5章 星座決戦の章
羅針盤/始まる終幕


新年明けましておめでとうございます。

フェルデルトです。

遂に遂に第5章、星座決戦の章開幕です。

急加速する予定のこの作品、ラストステージです。

では、どうぞ。



...間もなく最後の戦いの幕が開く。この俺が開く。

 

...そして終わる。この飽くなき戦いの連鎖は。

 

「影、マジェコンヌ先生が召集をかけたわ。」

 

「そうか...行こう。敵陣に入る準備だろうから。」

 

いつものようにマジェさんが俺たちを呼ぶ。

 

次は何をすればいいのだろうか。

 

 

----------

 

 

「お前達にこれを託す。ファイナルハード号だ。」

 

そういってマジェさんは学園秘蔵のVTOL(垂直離着陸機)ある地下室に俺達を連れてきた。

 

まぁ、その機体の美しいこと。だが、一つ問題が。

 

「マジェコンヌ先生、これ、定員10人じゃないですか!」

 

そう叫んだのはアイエフ。今ここには先生含みで13人。

 

「ふむ...それは困ったな、二人置いていく訳にはいかないのか?」

 

「ベールとコンパ...と言いたいところですけど無理ですね、やはり戦力を

 欠くわけにはいきませんし...ところでギア...あれをどうみる。」

 

「どうって...整備はされてるようですけど使われた形跡はあんまり無いです。

 それに、多分ですけど真っ先に敵の矢面に立たされることになると思うと...」

 

「オーバーホールすべきだろうな。幸い素材の鋼はあるし

 少し大きくして容量上げるくらいならすぐできそうだ...」

 

「凍月、お前なぁ...」

 

「マジェさん。この際なりふり構ってられない。そうでしょう?」

 

「...好きにしろ。但し、壊すなよ。」

 

「言われなくとも。んじゃ、手分けしてオーバーホールといきますか。」

 

「って、具体的にどーすりゃいいのさー!」

 

ネプテューヌの突っ込みがこだました。

 

 

----------

 

 

「なんやかんやで、出来ましたね、オーバーホール。」

 

紆余曲折あっても難航はしなかったオーバーホールは、影さんが対星座用(こっちの方が

敵っぽく聞こえるみたいです。)の追加装備の設計図と素材を詰め込み、お姉ちゃん達や

私達の諸々の道具等も詰め込んでどうにか終わりを迎えました。

 

「だな...次は素材集めだ...」

 

「え、あれでまだなんですか?」

 

「電磁クラフトに使う電磁石が足りない...あれがないと追加装備つけても

 重くて動けないなんてことになりそうだからな...それに水晶刀身用超剛性

 硝子も足りない...けど、一ヵ所だけその二つが同時に採れる所がある。」

 

「そこに行くんですか?」

 

相変わらず影さんの思考は読めない。そんな珍しくもない素材のはずだが。

 

「あぁ、あわよくば竜鱗から面白い武器も作れそうだし...」

 

「竜鱗...?」

 

竜の鱗...?もはや何なのだろうか。何に使うのだろう。

 

「後はビームサーベル理論だけなんだがな...殺傷性のあるビーム刃を

 どう安定させるかなんだよなぁ...」

 

ビームはわかる。専門と言ってもいい。

 

「これみたいな感じですか?」

 

私は影さんに変身する前でも戦えるように取り敢えず持っていた

ビームソードを見せました。そしたら...

 

「そうそうそんな感じ...ってはいぃ!?」

 

影さんはとっても驚いて、そして次には落ち着いて...

 

「はっはー、これで追加装備三人目も出来そうだな...時間があれば全員分

 作りたかったよ。んじゃ、ちょいとここにそのビームソードの設計図

 を書いてくれないか?」

 

自分で改造したからわかってはいても、そこにはA4サイズの白紙。

 

「無茶ですよ影さん!」

 

私はそう言いつつも、ペンと定規を受け取って書き上げたのでした。




いかがでしたか?

ちなみにサブタイは88星座からとってます。

次回、影達御一行が素材採取に向かった先にもハプニングが。

サブタイは「鷲/天駆ける翼」

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鷲/天駆ける翼

どーも、フェルデルトです。

外が寒いです。心も冷たいです。
ですが、今回もほっこりする話ではありません。

そう、今回もシリアスムードです。


「発進シーケンススタンバイ、ファイナルハード号、カタパルトセット。」

 

影さんが管制官のように私たちの乗るファイナルハード号を

発進カタパルトへ誘導します。

 

「遂に、出るんですね...」

 

こぼれてくるこの思いは、多分皆同じだと思います。

 

「よし、管制制御をアイエフに譲渡する。俺は追加装備を出来るだけ作るから、

 後は俺の指示したポイントへ向かってくれ。」

 

「わかったわ、しかし、ずいぶん立派なカタパルトね。」

 

アイエフさんの言うように、目の前には進路クリアー、オールフリー、

じゃなくてオールグリーンのカタパルトがあります。

 

「頑張って作ったの。電磁石とかも使ったし。まぁ、でも

 これから行くところだともっと採れると思うよ。」

 

「で、どこに行くのかしら...って、リーンボックス州の

 密林地帯...!?先住民とかいるという噂の!?」

 

「そ、岩肌も見える地帯だと良質な電磁石と

 水晶刀身用超剛性硝子も採れる。森林浴もできるね。」

 

「はぁ、まぁいいわ、行きましょう。」

 

アイエフさんはそう言って、ファイナルハード号を発進させました。

 

--虫除けスプレーとか積んでたかなぁ...

 

 

----------

 

 

「で、到着。うーん、見渡す限りの樹海だね。警報とか鳴ってない?

 外の時間とか止まってない?バーテックスとか来てない?」

 

「星座の名前を冠しているのは同じだけど、ゾディアックシリーズより

 対処不可能じゃない、それ!」

 

今回のボケはノワールが返して来たか。ふむ、まぁいいか。

 

「どーどー、そんなに怒っても良いことないよー。

 カルシウム足りてる?煮干しでも食べちゃう?」

 

ネプテューヌがノッてきた。分かってらっしゃる。

 

「いらないわよ、というか、なんで煮干しなんか持ってるのよ!」

 

「作者がにぼっしーが好きなんだよ、修学旅行で見つけて歓喜してたんだよ!?」

 

「どーでもいいわよそんなこと!」

 

言われてみればそうだ。2期に浮かれてる場合ではなかった。

 

「お二人さんそこでストップー。これ以上騒ぐなら黙らせるよー。」

 

『発端が言うな!』

 

手厳しいね...

 

「それよりも今回は鉱石採取が主な目的。先住民とか孔明の罠には

 かかってる暇はないよ。」

 

「だから影は三ミリ浮いてるのね...空気が。」

 

ブランからも辛辣な一言という鋭利な一撃。

 

「ひっどいなぁ...あ、剛性硝子見っけ。採取採取...」

 

これを集めないと色々作れないからなぁ...

 

「影さん、電磁石もありました。」

 

「すごいよお兄ちゃん、ビリビリバリバリだよ!」

 

微笑ましい表現だこと。

 

「それぐらいあるなら十分だ。採取しといて。」

 

「わかりました。」

 

...ほんと頼りになるなぁ、ギアは。

 

--だが、それよりも問題が一つ。

 

「影さん、あれは何です...?」

 

「ん?...はぁ......」

 

コンパの声に一応反応してやりゃこれだ。問題が転がってきた。

 

「知ってるか、皆...この剛性硝子はな...ここらへんの岩盤地帯に住む、

 ドラゴンのため息の炎で生まれた天然硝子なんだぜ...?」

 

「え?じゃあ私達が使ってた剛性硝子は...」

 

「ただの強化硝子だよ...そして、おねむのドラゴンさんが目の前にいるよ。」

 

岩盤地帯に近づき過ぎたかなぁ...

 

「仕方ありません、逃げましょう。」

 

剛性硝子は採れた。電磁石もあった。ドラゴンは倒せない。

...つまりこの選択が最良。

 

「賛成。ファイナルハード号に帰還する。素材は手分けして持とう。」

 

こうして予定量より少し少なかったが、無事二つの素材は手に入れた。

 

--後は、形にするだけさ。




さぁ、強化装備は全部で3人。

誰が選ばれるのでしょうか、次回発表です。

次回のサブタイは、「六分儀/新たなる装備」

感想、評価、活動報告での各種リクエスト等、お待ちしてます。


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六分儀/新たなる装備

どーも、フェルデルトです。

最近早起き出来ません、困りました。

寒いせいですね、では、どうぞ。


ファイナルハード号の中で俺は不眠不休で追加装備をひたすら形にしている。

既に追加装備01:開発コード〈starburst〉は完成しているが...

 

「だー、02:コード〈Odin〉はともかくとするにしても、

 03:コード〈Cherudim〉が難航してるな...正直00:コード

 〈sevensword〉の方を先に完成させた方がいいかもなぁ...」

 

しかし、時間はない。ギアに書いてもらったビームソードの理論は機構が

難解な為に〈starburst〉には非搭載になった。しかし、〈Odin〉と〈sevensword〉

には必須であるために製作が遅れている。更に〈Cherudim〉に至ってはもっと

難解な機構、ヴァルゴのファンネルの無線操作型...つまりビットを搭載する。

 

「うーむ、少し寝ようか...」

 

製作している部屋は機体の倉庫の中だ。その中でも寝れないことはないが...

なんせ2徹だ。ブランや明は天界にファイナルハード号を転送する装置を

マジェさんが完成させるまでは小屋でのんびりしている。

 

「帰っても多分帰るな、寝ろ、ここにいろ、とは言われるよなぁ...」

 

だからこそ、帰りたいのはやまやまでも帰るわけにはいかないのかもしれない。

かといって腹が減ってはなんとやら...

 

「非常食として詰め込んだカロメでも食おう...そして少しハード号の

 リラックスルームで寝よう...」

 

そう思ってリラックスルームにて腹を満たし、横になる。

 

「やっぱ、2徹は無茶だったか...」

 

そして気づいたら眠っていた。

 

 

----------

 

 

「起きなさい、影。」

 

「んだよ...人が折角寝てるのに...」

 

「酷いわね...それが私に対する口の利き方かしら?」

 

しぶしぶ目を開けるとブランとその他全員。

 

「いやいやそれは違うけど......まだ8時じゃないよな?なんで全員いるんだ?」

 

「懐かしいわね...いやそうじゃなくて。」

 

「もう少し寝ていいか?」

 

「ちょっとだけよ...って、それも違うわ。」

 

「最終的には異世界で国とり合戦を...」

 

「ドリフターズ違いよ、いい加減にしなさい。」

 

年齢詐称といわれるであろうネタを数刻挟んだ後、本題に戻る。

 

「で、なんで全員集合してんのさ。」

 

「学長からの召集よ。遂に天界に殴り込みに行くわ。」

 

「成る程...そういうことね...参ったなぁ、追加装備はまだ〈starburst〉

 しか完成してないのにな...」

 

「そりゃ一人で作ろうとすれば完成しませんよ。影さん。」

 

ギアから痛烈な指摘を受ける。

 

「そうだなぁ...お前ら用の追加装備を紹介する。装着者もな。」

 

「って、ことはある程度出来てるのね。」

 

「そゆこと。んじゃ、行くぞ。まずは唯一完成している

 装備01:開発コード〈starburst〉、装着者はノワールだ。」

 

「え?私?」

 

珍しく鳩が豆鉄砲を食らった顔になったノワールを見やり、装備の趣旨を説明する。

 

「そうだ。断るならネプテューヌでもいいぞ。」

 

「やるわよ、譲るわけないじゃない!」

 

「だろうね...〈starburst〉は元々ノワールの戦闘コンセプト...

 高機動近接戦闘向けに作られている。そして何よりの特徴は

 虚刀...じゃなくて二刀流になることだ。柄まで剛性硝子で出来た

 片手剣にさらにコーティングすることで切れ味と軽さを両立したよ。」

 

「はぁ...わかったわ。二刀流に慣れればいいのね。」

 

「そゆこと。02:〈Odin〉の装着者はベールだ。装備はビームスピア。

 いつものように槍が武器だ。で、03が〈Cherudim〉。装着者はユニ。

 長距離狙撃と全方位防御を兼ね備えた装備だ。だが、相当量の情報を

 同時に処理しないといけないから補助デバイスも必要になる...

 と言うわけでそこそこ難航してるのさ。」

 

「もう慣れましたけどやっぱりわたくしの扱いがぞんざいではありませんの...?」

 

「装備を作ってやったんだ、相当な譲歩だろうよ...」

 

「相変わらず辛辣ですね...私に務まるんですか?それ。」

 

ユニはもっともな心配をしている。

 

「務まる。敢えて聞こうか。俺は、出来ない事を頼んでいるか...?」

 

「...いいえ、頼んでいません。」

 

「あぁ、お前なら出来るさ。...さて、行こうか...敵の本丸、天界へ。」

 

 

 

 




以上です。

次回、「ポンプ/なだれ込む物量」

感想、評価、活動報告での各種リクエスト等、お待ちしてます。


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ポンプ/なだれ込む物量

どーも、フェルデルトです。

最近ダルいです。インフルエンザではないようです。

皆さん、お身体にお気をつけてお過ごしください。

では、どうぞ。


「ハード号、出撃準備完了...マジェさん、転送ゲートの調子は?」

 

『問題ない、だが時間はあんまりないぞ。』

 

「了解...」

 

ハード号の中の広いリラックスルームで寝っ転がってたのを叩き起こされてから20分、

遂に俺達は天界に向かうことになった。

 

「しっかし...カタパルトのすぐ外にゲートを作るなんて、学長も凄いわね。」

 

「マジェさんは色々出来るからね...アイエフ、こっちはいいぞ。」

 

「いいぞ。って、あんたねぇ、ものの15分でハード号の中にもカタパルトをつける

 なんて...何か仕込んでたでしょ。」

 

バレたか。追加装備の息抜きに出撃カタパルトを作っていたのだよ。いーだろ別に。

 

『時間は無いと言った。とっとと行け!』

 

マジェさんから一喝くらう。怒らせてはアレだ。

 

「行くぞ、ハード号、発進!」

 

ファイナルハード号は、その翼を天界に向かうゲートへと伸ばし、

次に俺らの視界に写ったのはだな...

 

「黒い、雲ですか...?いや、まさかあれは...システム防衛用

 無人攻撃兵器、《ガーディロイド》...?」

 

ギアが遠く視界に写る雲を分析する。

 

「兵器、か...アイエフ、前進しつつ対空砲座展開。」

 

ブリッジにはアイエフと俺とギアだけしかいない。俺は次に通信機をとる。

 

「あ、あー、全艦、戦闘配備。って、これ戦艦じゃなかった...

 〈starburst〉の調整は済んだか、ノワール。」

 

『はぁ!?たった数分で終わるわけないでしょう!?』

 

大声が通信機から伝わる。耳が痛い。

 

「だろうな...ユニ、〈Cherudim〉はどうだ!?」

 

『ビットは未完成ですけど、コンバージェンスライフルは行けます!』

 

「頼もしいな。出撃カタパルト展開。俺も出る。ディレットシューターαと

 βを倉庫から取ってくれ。ギアはブリッジで砲座動かせ。アイエフ、

 接敵までどんくらいだ!?」

 

「あと240、いや、180ね。って、いつから戦艦みたくなってんの?」

 

む、そこを指摘してくるのかよ。

 

「お前ならわかるだろうに...」

 

そういって俺はブリッジを出て、変身し、シューターαとβを装備して、

リラックスルームのちょうど真上にあるカタパルトに向かう。

 

「ふぅ...あ、影さん。」

 

ユニがいた。緊張しているのか表情が硬い。

 

「行くぞー、初陣だけど、長距離迎撃で数を減らすだけだ。」

 

「はい...しかし、勤まるでしょうか...」

 

--やはり緊張か。いや、謙遜やもしれん。

 

「言ったろ、出来ない事は頼んでない。」

 

俺はそう言ってカタパルトをセットする。

 

《影さん、出撃準備よしです。大丈夫ですか?》

 

ギアのアナウンスが聞こえる。視界も開け、風を感じる。

 

「その心配はユニにしてやれ...凍月 影、出る...!」

 

電磁石の力で一気に前に進む。ハード号の前に出る。

それは一時的な事ですぐにハード号の上に着地する。

 

「ふぅ...風が凄いですね...」

 

X.M.Bとコンバージェンスライフルを構えたユニはそんな感想を述べている。

 

「アイエフ、速度を出来るだけ落としてくれ、これじゃ、落ちちまう。」

 

『注文が多いわね...ま、突っ込むよりかはいいわ。』

 

速度が落ちる。そろそろ黒い雲の集団が射程に入る。

 

「なんつー数...ま、どうにか狙い撃つとしますかね!」

 

αとβを繋げ、長距離射撃モードにする。

 

「はい!」

 

ユニも長距離用エネルギー収束砲、コンバージェンスライフルを構えた。

 

「いくぜ!」

 

二つの光条が天界の空間を薙ぎ、遠く対岸にある黒い雲を紅に染める。

 

「次、真ん中...!行けぇ!」

「狙い撃つわ!」

 

今度は雲の中心に光条を向ける。

 

 

--だが。

 

 

その光条は何かに弾かれたかのような動きを見せ、黒い雲は減らした分増える。

 

「あれは...」

 

眼帯を外し、義眼の望遠能力を最大にする。

 

 

そこには...

 

 

「両腕に大型盾...か...見た感じアレは...蟹、キャンサー...」

 

 

雲のごとき敵、ガーディロイドの集団を束ねる蟹を相手に、

俺は、俺たちはえげつない程に苦戦を強いられることになる。

 

 

遂には、中距離戦域にまで、ハード号は前進していたのであった。

 

 

俺らの行軍は、次の段階へ移行した。

 




さぁ、遂に天界編。

弾幕薄いよ、何やってんの!
と、絶対入るであろう天界編です。

追加装備を駆るユニとそこそこ平常運転の影君に蟹の名を冠する
ゾディアックシリーズ、キャンサーが立ち塞がる。

次回、「楯/迸るは双刃」

感想、評価、活動報告での各種リクエスト等、お待ちしてます。


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楯/迸るは双刃

どーも、精神オワタかもなフェルデルトです。

まぁ、長宮の方がこちらよりもどろどろしてますからね。
ある程度心が病んでないとあれですよ。

大丈夫です。
女神科はここからが本領ですから。
ではどうぞ。


「っく...もうこの距離か...案外厳しい戦いだ...特にキャンサー...

 突破しないと取り巻きの根幹を撃ち抜けねぇ...」

 

「撃っても弾かれますもんね...」

 

近接用装備は常備している混影しかない。そして、キャンサーのあの盾は

混影ではどうにも出来そうにない。正直、キツイ。

 

「やーやー、久し振りだね凍月くん!サジット元気?ここに来たって

 ことはマスターの邪魔しに来ちゃったのかな?じゃあ、ここは通さないよ!」

 

「押し通る...!」

 

シューターを再び撃つ。それと同時に前方へ加速するが...

 

「だろうね...レオ!」

 

「はぁぁ!」

 

弾いたビームを隠れ簑に新手のゾディアックシリーズ、レオが急襲してきた。

 

「ち、読んでたか...!」

 

仕方なしに応戦する。キャンサーの盾を突破したいがこいつが邪魔だ。

それに見た感じ純粋な近接戦闘向きのゾディアックシリーズだ。

 

装備は両手の甲にあるクローと足にあるカッターだけ。

つまり遠距離装備の今の俺には分が悪い...てか相性最悪だ。

 

防戦一方にクローとカッターの応酬を避け続ける。

その間にユニはコンバージェンスライフルのモードを連射に切り替え、

X.M.B.と共にガーディロイドを一人で撃ち落としている。

 

そんなときだ。通信機に凛とした声が響いた。

 

『ようやく調整終わらせたわよ、待たせた分の仕事はするわ、

 〈sterburst〉、出るわよ!』

 

振り返る余裕は無いが、蒼の粒子を煌めかせ、黒の女神とその装備が戦場に現れる。

 

「さって...どこから行きますかね!」

 

〈sterburst〉はもともとノワールの高機動戦闘向けにチューンされており、

新たにサブウイングブーストユニットと左手用の片手剣が追加されている。

つまり、ただでだえ攻撃に252振りされているであろうノワールのステータスを

底上げすることで火力増強を狙った装備である。

 

「そこからね、でやぁぁ!」

 

「わわっと...速...!?」

 

急加速でキャンサーを弾き飛ばす。無双用の装備だ。それでいい。

ついでにガーディロイドの根幹はキャンサーが一瞬でも離れたため

にユニが撃ち抜いてくれた。

 

あとは誘爆でガーディロイドは爆散していった。

つまり今の空域にはキャンサーとレオしかいない。

 

「ち、不利か...退くぞ、キャンサー!」

 

「りょ、了解...!」

 

レオとキャンサーは一気に逃げに入った。

 

「逃がすもんですか...と言いたいところだけど...ちょっと動きが

 鈍ってきたわね...ちょっと急ぎすぎたかしら...」

 

「まぁいいさ...ギア、状況終了。目的地案内再開頼む。

 ノワールとユニは装備の再調整、ってとこかな...」

 

『大丈夫です。影さん。目的地はすぐ目の前にあります。』

 

ギアの言うように目の前には白い巨塔がある。少々紫がかってるが。

 

「そうか...まずは、第一段階終了だな...」

 

戦闘に一段落ついた。そして、行軍にも一段落ついた。

 

 

----------

 

 

「へぇ...存外凍月君もやるじゃん...」

 

「すいませんマスター、ご命令にそぐわず...」

 

「いいよ、別に...けど久々に私も戦おっかなぁ...」

 

ゾディアックシリーズを束ねる少女は、不適に天界のどこかで笑った。




いかがでしたか?
遂にラスボス登場?マスターって誰?

次回、それが明らかに。
サブタイは「兎/跳ねるは病みし心」

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兎/跳ねるのは病みし心

どーも、執筆中二度データが飛んだフェルデルトです。

ラスボス登場です。さぁ、なんと読むのかお考え下さい。

では、どうぞ。


V·サー·タワー...それがこの塔の名前のようだ。

 

ガーディロイドの大群やレオとキャンサーの猛攻を退け、

どうにか無事にこの塔に着くことが出来た。

 

今俺らはこの塔の最上階と位置付けられているスカイラウンジと呼ばれている(ギア談)

全方位外が眺められる場所にいる。要するにあれだ、Zからのコクピットみたいな感じ。

カメラではないけどね、うん。

 

「はぁ、あとやることは...〈Odin〉と〈Cherudim〉の制作、

 〈sevensword〉と〈starburst〉の調整...エトセトラエトセトラ。」

 

「手伝いますよ?敵も待ってはくれないでしょうし...」

 

ーーギアの言う通りだ。敵が待ってくれるはずなどない。

 

とはいえ...それでもまだあと1日は欲しい。さすれば完成するだろう。

そんな予想は、爆発音と衝撃、そして振動によって覆されることとなる。

 

「どっかで何かが爆ぜたな...警戒態勢、何事なんだ一体...

 少しは休んだっていいじゃないの全く...」

 

俺以外女子のこの面子は全員頷く。そして、声が響いた。

 

『あ、あー、聞こえてる?とーげつ君。』

 

妙に懐かしい気持ちにさせるような抑揚の使い方だった。

 

「誰だ...」

『世界再編を推し進める新進気鋭の団体、略してSOS団の長だよ。』

「涼宮か!?」

『ざーんねーん、虚夜だよ。』

「いかにもな名前だな...あんたがラスボスか...?」

『ドラゴンをメイドにはしてないよ!』

「小林違いだ!...こほん、それよりも何用だ...」

 

『宣戦布告だよ。世界再編を受け入れない者ども全員にね。』

 

「ほう、俺らにそこまで強気に出ていいのか?」

 

敢えてーー挑発をしてみる。声だけでも、それは手練れだと俺に

推察させるにふさわしい風格ともとれる余裕が相手にはある。

果たして、どう出る...?

 

『出るよー、そっちに3人送っといたんだ、既に。

 アクエリウス、スコルピオ、そして、茜ちゃんをね。』

 

頭を殴られたかと思った。女神連中の息を呑む音が聞こえる。

 

「茜...だって...?」

 

信じられない、なぜ茜が、よりにもよって茜が、目の前で息を引き取った茜が、なぜ...

 

「嘘だッ!!」

 

明が叫ぶ。そうだ、そうとしか思えない。

だが、声の主、虚夜はこう言った。

 

『そう思うのも無理ないよね。けど、アリエスの力で生き返らせたんだよ。

 ま、ピスケスに記憶と精神をちょろりと操作してもらったから...

 昔みたいに君と笑いあえたりなんかは出来ないよ。』

 

「んだと...!?」

 

それでは軽く洗脳ではないのか。だが、洗脳ならば、能力によるものならば...

 

「お兄ちゃん、考えてること、同じだね。」

「明...そうだな...」

 

『せいぜい頑張ってねー。』

 

虚夜からの放送は終わった。

 

「...〈Odin〉をまず完成させる。ラウンダーな装備だからな...

 それで、紅奈は明に、茜は...俺が相手する。アクエリウスは、

 ネプテューヌとブランに。そして、〈Odin〉完成次第ベールに。

 とっとと完成させるぞ、ギア!」

 

「はい!」

 

二度と会えぬ友と刃を交える苦しみを背負いつつも、俺は...

 

ーーあいつ...虚夜を止める...!

 

そして、数十分後、少年は少女と邂逅するのだった。

仲間としてではなく、敵として。

 




いかがでしたか?

おめでとう、茜復活!!
いやー、影君よりも思い入れのあるキャラになっちゃいました。

近々茜の挿絵も弟に描いてもらおうと思います。

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アンドロメダ/縛られた魂

どーも、次回予告を忘れてました、フェルデルトです。

今回は茜vs影を筆頭にエトセトラエトセトラ。

では、どうぞ。


急ぎだったせいとはいえ、混影とスラッシュバレットだけの出撃になった。

既に茜と紅奈...そしてアクエリウスが視認出来る。

 

対するこちらは茜に俺、紅奈に明、アクエリウスにネプテューヌ

とブランという布陣でいく。

 

「茜は両手剣...分が悪いが仕方ない...だがまぁ、どうにかするか...

 アイエフ...準備はいいか...?」

 

通信機を介して茜を取り戻す作戦の鍵であるアイエフに連絡する。

 

『いいわよ。けどあんたも浮気するのね、これだから男は。』

「嘘だと言ってよ、あいちゃん...」

『嘘よ、少なくとも今は。』

「はいはい...頼んだぞ。」

 

また会えて嬉しいよ、茜。

喉まででかかった言葉を飲み込み、俺は臨戦態勢になる。

 

「影、無理はするなよ。」

 

ブランがそう言ってくれるのはありがたい。

 

「ブランもな...明も。」

「うん、わかってるよお兄ちゃん。」

 

「わたしは無視...?って、来るわよ!」

 

ネプテューヌの声と、アクエリウスの放ったビームにより、戦闘が始まった。

 

 

----------

 

 

「明...今度こそ引導を渡す!」

「渡せるもんなら...ねっ!」

 

私と紅奈が切り結ぶ。けど、あかねぇが生きてるのに何で、

私は紅奈と戦わないといけないのだろうとも思う。

 

「紅奈!あかねぇが生きてるのに、なんで私達が戦わなくちゃならないの!?」

「今の茜姉さんは...ただの仙道 茜であって、茜姉さんではないからよっ!」

 

紅奈の攻撃は重い、一撃一撃が重い。

サジティックアローのシールドモードでどうにか防御は出来てる。

出来てるだけであってそこから先の進展は無い。防戦一方だ。

 

「どういうこと...っ!?」

「ピスケスって言ったら、分かるでしょうね...!」

「...!?ピスケス..!?」

 

思い出したくもない。私を転化させた奴だ。

 

「だから...茜姉さんじゃない...だから...私から茜姉さんを

 奪った貴女はやっぱり許せない...!」

「紅奈...だったらお兄ちゃんが、あかねぇを取り戻してくれるよ!」

「...っ!?どういう事...?」

 

紅奈の攻撃の手が止む。だから、私は万感の思いを込めて言う。

 

「...そういうことだよ、紅奈。あかねぇは帰ってくるよ。」

 

 

----------

 

 

「ブラン!挟撃するわよ!」

「言われなくてもな!」

 

久々にナレーションが来たと思えばアクエリウスという謎の相手に

攻撃を読まれ続けて避けられ続けている始末。

 

それに、まだアクエリウスの能力は分からない。

 

「どうしろってんだよ...影は全くそれどころでもなさそうだし...」

「落ち着きましょう、ブラン。そうでなくともイライラするのは

 無理もないけど...」

 

そんな時だ。アクエリウスが両手をかめはめ波のように両手の平を

つきだした。そして、次の瞬間に魔方陣とも取れる円が出現して、

 

「なんだ...ぐあぁぁぁ!!」

 

ブランが吹き飛ばされたのだ。

何が起こったのか。それに気づく前にわたしも新手に吹き飛ばされた。

 

「っく...まさか転送が能力とはね...」

 

吹き飛ばされたブランは視界に入らない。

視界にあるのは白い近接型のゾディアックシリーズ。

 

「先の黒の女神ではないのか...まぁ、退屈させてくれるなよ...?」

 

そう、白のゾディアックシリーズは言った。

 

「望むところよ、貴女こそ、わたしを退屈させないで欲しいわね!」

「笑止!」

 

わたしはアクエリウスから白のゾディアックシリーズ、レオとの

戦いに移行した。

 

 

----------

 

 

「えー君...また会えたね。」

 

茜と再会できた。それはいい。

会話もできた。それもいい。

だが、何故敵同士なのだろうか。

 

「そだな...なぁ茜。武器を置いてくれ。」

「嫌だよ。いくらえー君でもそれは聞けないな。」

「なんでだ。」

「マスターの命だからだよ。逆らうことなんて出来ない。

 私が生き返れたのはマスターのおかげなんだから...」

 

本当に洗脳や記憶操作はされているのか疑いたくなった。

回答に全く淀みがない。

 

「ねぇ、えー君。私も、君と戦いたくはないよ。だって、

 せっかくまた会えたんだからさ。今度こそ一緒に買い物

 行きたいし、遊びたいし。だからさ...えー君。」

 

「...なんだよ、茜。」

 

「世界再編の、邪魔をしないで。というか...私と一緒にいこ、

 どーせならえー君の彼女も連れてきていいから。

 えー君だって、それでいーんじゃないの?」

 

そうか。あくまでも虚夜は自分本位で考えさせるように仕向けさせたのか。

 

...だったら、茜は縛られている。解き放たなくちゃならない。

だから答える。痛み苦しみを味わおうとも。

 

「嫌だよ茜...世界を作り変えても人は変わらない。

 誰かが誰かを支配し始めたらそれに反対して革命が起こる。

 革命の後もまた争いの火種は燻り続ける。どこでもそうさ。

 だったら、このままでいい。変えても変わらないなら、

 変えるぶんの労力が無駄さ。」

 

「それは、人がいたら、でしょ?ちょっと違うよえー君。

 マスターがやろうとしてるのは、進化のやり直し。

 どれだけ時間がかかろうとも、人をもっと自立させるっぽい。」

 

「それは...禁忌だよ。茜。」

 

「だからこそだよ。えー君。変えなゃ。」

 

「じゃあまずは...その考え方を、変える...!」

 

「残念だよ、えー君!」

 

遂に茜と俺の武器が互いに火花を散らした。

が、俺には算段がある。茜をもとに戻す算段。

 

アイエフに、洗脳を解いてもらう算段だ。

 

だから、誘導しながら一気に片付ける。茜に傷はつけない。

 

「えー君...どうしてこう、戦わないのかな?」

「怪我させたくないんでね!」

 

誘導はできた。後は隙を見て一気にV·サー·タワーに突っ込めばいい。

 

「貰ったよ、えー君!」

 

何度目かのわざとらしい油断に漸く突っ込んできた茜。

 

「そうだな...!」

 

降り下ろした両手剣を斥力で受け止め、手首を掴み一気にV·サー·タワー

に突っ込めた。後はアイエフが来ればいい。

 

が、腹部に激痛と金属のような冷たさを感じた。

そして、見慣れた赤い液体が流れ出す。

 

「ごふっ...だが...返してもらうぜ、茜をな、アイエフ!」

「分かってるわよ、怪我人はじっとしなさい!」

 

アイエフが茜に触れる。瞬間、茜に変身は解け、頭を押さえて始めた。

脳へ正しい情報が伝播されたのだろう。

 

そして俺は...止まらない赤い液体を見やり、刺さっていたのが消えたことより

茜に刺されたという事実を受け入れ、意識がとんでいった。

 




いかがですか?

次回は「カシオペヤ/悪意の象徴」(前編)です。

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カシオペヤ/悪意の象徴(前編)

どーも、遂にようやくシャドバA1に上がったフェルデルトです。
OTKエルフ何なんですかね、骸で叩き潰すしか対策が無いのはおかしいでしょうよ...

仕方ないので新弾今から期待します。
では、どうぞ。


「ゴフッ...あはは、腹貫くのは流石に予想外だなぁ、おい...」

 

陽気な声は出るものの、血の気が引いていくのがわかる。

 

「大人しくしていなさい。今コンパを呼ぶわ。」

「手遅れだっての...もう間に合わん...悔しいがな...」

 

認めたくはないがこの出血ではあと2分が限界だろうな...

 

「生きてるなら間に合うわよ。コンパならね。」

「ナニヲジョウゴニズンドコドン!」

「傷に障るわよ全く...コンパー、致命傷の怪我人が来たわよー」

 

待て待て、じっくり考えるとどうしてこいつらは冷静なんだ...?

 

「はいですあいちゃん、はわっ!?これは酷いです...」

「まさか固有か...?なんすか?君死にたもう事なかれ的感じ?」

「ちょっと違うです。致命傷だけ、完治させる能力です。」

「使いにくっ...ゴフッ...」

「喋んない...いけそう?コンパ。」

「大丈夫です。これなら治せるです。いくですよ、

 おおけがをなおすです!」

 

瞬間、怪我が治った。なんと言うことだ...

 

「治ったわね...動ける?」

「奇妙な事に全く問題ない...ただ...装備を完成させるよ。」

「そう、ならそうしなさい。」

 

----------

 

「っく...私が、パワー負けだと...!?」

 

ネプテューヌといた戦場から離れ、私は新手のゾディアックシリーズに

押さえつけられている。回りには誰も...いた。

 

「凍月君の彼女さんを捕まえて引きずり出すか...マスターも中々に

 人間の心理状況をかきむしるのが得意だなぁ...」

「ふふふ、だってその方が楽しいでしょう?私の読み通りに

 動いてくれる彼をおもてなししてあげなきゃ。」

 

リブラと...マスターと呼ばれた少女、虚夜がいた。

 

「くそっ...全く動けねぇ...」

 

「そうだね...君は動かなくていいよ...動いたら消すだけ。」

 

その目は恐ろしく冷ややかで、全く血が通ってない気すらする。

 

「てめぇが、親玉か..!」

「そだよー、凍月君の布陣も完璧に読めてる私が親玉だよー。

 アクエリウス、ファランクスちょーだい。」

「はい、マスター。」

 

誰もマークがついていないアクエリウスは転送門を開き、

虚夜に武器を渡す。

 

「多分そろそろスコルピオがサジットに説得されて寝返る頃かなー、

 茜ちゃんも予想通り丸めとられちゃったからね。」

 

「っく...全部読み通りって訳か...」

 

「じゃぁリブラ、タウラス、連れ込んでおいてね。」

 

『はい、マスター。』

 

--私はなすすべ無くして敵に捕まってしまった。

 

 

----------

 

 

「あかねぇが帰って来たみたいだよ、紅奈。」

 

お兄ちゃんから一報を受けた。戦闘はもう起きてない。

 

「本当に...?本当にそうなの...?」

「うん、アイエフさんの能力無効化は何でも無効化しちゃうから。」

 

紅奈とこんな会話をしたのはいつ以来だろうか。

あかねぇと一緒にいた頃が懐かしい。

 

「やぁサジット...元気?いや、凍月 明ちゃんと言うべきかな?」

 

懐かしんでた場合では無かったようだ。

目の前にかつてのマスター、虚夜 時雨がいる。

 

「そうだね...元気だよ。マスター...いや、虚夜 時雨...

 私はもう、貴女にそそのかれたりなんてしない。」

 

「そう、じゃぁ、仲直りしちゃった紅奈ちゃんごと...

 死んじゃってよ、私の世界の邪魔だから。」

 

そう言って虚夜は武器、ファランクスを構えた。

勝ち目はない、だからこそお兄ちゃんは呼ばない。

 

「私は...もう、力に恐れない。アルナスル!」

 

サジティックアローを構え、私は、一人虚夜に挑むのだった。




さぁ、虚夜vs明ですね。
影君間に合うのでしょうか。

次回、「カシオペヤ/悪意の象徴(後編)」

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カシオペヤ/悪意の象徴(後編)

「星の力を纏っても、すぐに終わるというのにね、

 何でこうも君は私の思い通りに動いてくれないのかな?」

 

虚夜はさっきから全く動いていない。

サジティックアローの矢やビームは全て彼女の左手にある武器、

対プロセッサユニット用多段型貫通槍、《ファランクス》によって防がれてる。

 

「だって...それが、私の意思だから!」

 

ハッタリでもなんでも、心だけは負けてはいけないと思う。

そうでないとすぐ、死んでしまいそうだから。

 

--虚夜は、そういう奴だから。

 

「そ、じゃぁ生かしても意味ないね。」

 

虚夜はそう言った。言い終わった瞬間には、私の右腕が吹っ飛んでいった。

 

「ひっ...あぁぁぁぁぁ!?」

 

一瞬の出来事だが、激痛どころではない痛みが私を襲う。

叫んで、有るべきものがない右肩を押さえる。

 

もう、終わった。虚夜への反抗は、やはり無理だった。

 

「いい声だね...ねぇスコルピオ...どう?止め刺すの譲ろうか?」

 

「え...?マス、ター...?」

 

「いいよー、もっとも、止め刺さなくても失血死だろうけど。」

 

紅奈は逡巡する。震えている。恐れている。

 

だからだろうか、数刻後、虚夜はファランクスを手に取った。

 

死を覚悟した私は、もう、目を瞑るしか無かった。

けど、生暖かい液体...さっきまで体内を流れていたであろう、

()()()血が私に降りかかって来たら、話は別だった。

 

「この程度の事で逡巡など戯けた事をするからだよスコルピオ...

 全く、世界再編のエネルギーが9割がた溜まっていなければ

 まだ利用価値もあったのに...残念だね、そうでしょサジット。」

 

...紅奈だった少女の遺体が私の横に転がる。

首から上のない、血が流れ出るだけの遺体。

 

目を背けずにはいられない。涙、いや、反吐が出そうだ。

 

「はぁ、やっぱり使い物だけ残す主義の方が効率的かもね...

 じゃあねサジット、凍月君によろしく。」

 

転化...その選択肢に気づいた時には遅く、虚夜の

ファランクスが降り下ろされた。

 

...最期に見えたのは、ここに向かってくる緋色と蒼色の輝きだった。

 

--さよなら、みんな...

 

 

----------

 

 

「えー君!なんか明がヤバい!」

 

茜はそう言って、意識が戻ってすぐだというのに血相を抱えている。

当然、ギアやユニやその他整備組はポカーンとしている。

何せ、意識を失ってからまだ20分ほどしか経ってないからだ。

 

だが、その言葉は俺を動かすには十分であり、

 

「明が...!?何故分かる...!?」

「それは私の固有だからだよ!知ってるでしょ!?」

「いや、知らん。」

 

ポカーンとする茜。

 

「...ともかく、説明は後でするから明を!

 マスター...虚夜が明を襲ってる!」

 

「わかった...ギアはビームサーベルを作っててくれ。

 〈sevensword〉、出るぞ。」

 

「え、あ、はい!」

 

背中に二本の片刃剣·、腰に混影、腿にスラッシュバレットを装備する。

本来ならそれに両袖にビームサーベルを一本ずつ装備することで、

文字通り7本の剣を持つのだ。

 

「はいはいわかったから、出るよ!」

 

地の文を読んで突っ込みを入れてくるなど茜くらいのものだろう。

あ、ネプテューヌもいるか。

 

蒼色の輝きを纏わせ、俺は戦場に舞い戻る。

心の底から頼りにできる、紅の少女と共に。

 

「で、私の固有の説明だけど、えー君、知ってる?」

「知らん。だから教えてくれ。」

「うん。私の固有は領域捕捉(エリアチェイサー)。私が把握している場所

 ならば、その地点にいる人の状況がだいたいわかるの。

 明が危ないって言ったのは、ちょーど私が寝かされてる部屋の窓から

 見える範囲に、明がいたってだけだから結構範囲は広いけど...

 これがあれば、索敵、連携、自由自在!ってね。」

 

「そうだな...虚夜は?」

「視界範囲にはいないね...そろそろ窓から見える限界の距離だよ。」

 

「明...どこだ...」

 

焦り、と言えばいいだろうか。ブランやネプテューヌは大丈夫だろうが、

明はいきなりボスに遭遇したのだ、勝てるはず...

 

「えー君...見つけたよ、明と、紅奈を...」

「そうか...どこだ?」

「君は見ちゃいけない。事実だけ伝えるなら、明も紅奈も、

 もう生きてなんては無いね。」

 

茜は淡々と、淡々と事実だけを告げた。

茜の視線の先には、見るも無惨な二人の少女の亡骸。

 

片方は首がなく、もう片方は銀髪が赤黒く染まっている。

 

「嘘、だろ...明...ッ!」

「えー君!回収したところで意味は無いよ!」

「ふざけんな!虚夜の話だ、またアリエスに蘇生させる可能性だって!」

「無いよ!アリエスは...遺体のそのままの状態で生き返らせる...

 私だって...再生カプセルの中で目覚めたんだよ...?私は失血死だった

 みたいだけど、それでもまともに動けるまで2ヶ月はかかったって、

 虚夜は言ってた。私のあれでそんな時間がかかってるんだから、

 こんなの...生き返らせる筈がない...それに...私だって、女の子だよ?

 シスコンのえー君よりも、心は、ちょっとばかし弱いんだよ...」

 

茜は今にも泣き出しそうだった。

お陰で頭が冷えた。茜の嗚咽を受け止め、少々思索を巡らせた。

だけど、俺も涙が出ない筈などない。

 

二人分の苦しみの嗚咽が、ただただ、そこにこだましただけだった。

 

 

 

 




やっちまったぜ。

茜復活の代償?いえいえ、計画通りですよ。(黒笑
なんだろう、このネプテューヌシリーズにあるまじき鬱っぽい展開。

ま、まぁ救世の悲愴に比べれば、ね、うん。

次回、「祭壇/捧げしもの」

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祭壇/捧げしもの

二人分の亡骸をV·サー·タワーの麓に埋める。

 

「明、紅奈...せめて...せめて安らかに眠ってくれ...」

 

この事実は茜が戦闘終了直後に言った。

妹達は揃って泣きじゃくり、姉サイドも下唇を噛みしめていた。

 

おそらく虚夜の作戦はこうだ。

まずは3人で様子見と思わせてアクエリウスの転送能力で大量展開。

少数しか展開していなかったこちらに対して俺を茜に専念させて

一転突破を狙う算段...それがしかも茜と逆方向に持っていくことで

俺が行くまでの時間を稼ぐ。遂には...人質を、ブランを捕らえるのが

今回の虚夜の算段だろう。茜を取り戻しにくる俺の心理まで完全に読まれた。

しかもそれで怪我をして治療している間に明を倒すことでよりブランへの

注意を向けさせないようにさせた...くそっ...

 

「全部読まれた...何もかも全部...ここはあいつの手のひらの上の...

 ダンスホールだったのかよ...」

 

明と紅奈の墓の前で俺はただただ踞るしかなかった。

情けなさ過ぎる。妹を亡くし、彼女を人質に取られる。

これ以上最悪な状況は無いだろう。

 

「影さん...いーすんさんが呼んでます...」

 

ギアが呼びにきた。もちろんのこと声は震えている。

 

「悪い...ほっといてくれよ...」

 

突き放さずにはいられない。大事なものは必ずこぼれていく。

必ず失われる。気づくのが、遅すぎた。

 

「...残念ですが、放っていくわけにはいきません。」

「いーすんさん...」

 

俺は後ろから新たな声、いーすんと呼ばれている妖精、

イストワールの声を聞いた。そして、さらに俺の心は崩されていく。

 

「影さん。あなたには、やはり天界の血が流れています。」

 

このイストワールの一言と、そのあとの説明によって。

 

 

----------

 

 

昔、天界に住まうある男がいた。

その男は妻帯者であり、既に子供を授かっていた。

ある時男は下界に降りた。そこで一人女と出会った。

ほどなくして男は過ちを犯した。

下界で会った女とも子供が出来たのだ。俗に言う不倫、浮気である。

男は焦った。が、次の行動はもっと考えつかぬ物だった。

天界に戻り、二人目の子供を授かったのだ。

そして男は単身赴任という言い訳と共に、

二人の娘を妻に預け下界へ降りた。

そしてそこで生まれた子供と過ごし、5年が経ち、

事故でその男は死んだのであった。子供だけを残して。

 

「そしてその子供というのが...影さんです。」

「...だから何さ...その話の流れだと...俺は

 ネプテューヌとギアと片親が同じだって事だろ...?」

「そういう事です。」

 

「...なんだよそれ...なんでこのタイミングで話すんだよ、もっと前にか、

 もっと後に話してくれよ!なんでだよ、明がいなくなったからか!?

 ブランが今ここにいないからか!?そんな話...事実でも時期が悪い!」

 

「...確かにそうですが...今伝えなくては影さんは恐らく転化と似たような

 現象を起こしてしまうと茜さんが言ってましたので。」

 

茜が...つまり領域把握で読み取ったということだろう。

 

「負の感情の蓄積による能力の暴走...いや、能力の反転が

 天界人には起こります。特殊な血筋ですので。」

 

だからか...だから俺の鎧装装着には力を増幅させるのにストレスを消費

させるのか...茜は全部知ってたのか...?

 

--なんだろう、もう、誰も、信用出来ない。

 

俺の心の中で何かが壊れた音がした。

そして、こう言った。

 

「もう、どうにでもなっちゃえよ、こんな、

 こんな世界なんて、さ...」

 

ほんともう、どうでもいいや。




壊れちゃったよ影君...
捧げたのは命と心。

次回、「髪の毛/微かでか細い希望」

髪の毛座ってのもあるんです。
感想、評価、活動報告での各種リクエスト等、お待ちしてます。
そろそろ企画大放出二弾やろうかな...


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髪の毛/微かでか細い希望

暗い部屋の中、俺はずっと座って動かなかった。

ブランを助けに行かなきゃならないのに、体が動かない。

 

誰も信じられない。

イストワールもギアも、茜ですら、俺は今信じられない。

 

俺は、暗い部屋の中でただそこにいた。

 

「行かないんですか、ブランさんを助けに。」

 

ドアを開けてギアが入ってくる。

 

「ほっとけ...〈Odin〉と〈Cherudim〉はどうした...」

「完成しました。敵襲も無いです...多分、影さんを

 待ってるんだと思います。」

 

虚夜はやはりそういう奴だ。

 

「だったら...行かない。もう、戦いたくない...」

「助けないでいいんですか、ブランさんは...影さんの大事な人でしょう!?」

「助けるためにまた戦って...誰かが死ぬかもしれない...誰かを殺すかも

 しれない...あげくブランを助けに乗り込んだら目の前でブランを殺される

 可能性すらある...!だったら、今ここでうずくまってる方がいい...

 何も起こらないなら...その方がいい。」

 

葛藤が俺の中でのたうちまわる。ブランを助けなければいけないのに、

血と涙と喪失感、罪悪感に苛まされるのは嫌だ...

...これは、葛藤ではなく矛盾か。

 

「...貴方は誰ですか、影さんなんですか...?そんなのあり得ないです。

 影さんは...ブランさんの事になると絶対に自分を犠牲にしても

 ブランさんを大事にするのに...今の影さんは...それから逃げてる...

 そんなの...影さんじゃないですよ...!」

 

「逃げてる...か。いいじゃないか。逃げたって逃げたって...

 逃げたところで、現実はいつも目の前に佇んでいる。

 俺は逃げてるんじゃない。立ち止まってるだけだ。」

 

もう、心身共に限界なんだよ。

 

「......私の憧れだった影さんはどこいったんですか...

 私達のお兄さんだった影さんはどこいったんですか...

 ...私の好きな...私の好きな影さんはどこいったんですか!?」

 

ギアの魂の叫びが聞こえる。

けど、俺の心には到底届かない。

 

「憧れだろうと兄だろうと、好意の対象だろうと...

 俺はそんなのの対象とはかけ離れている。

 もう、俺は嫌だ。嫌なんだよ、羨望や期待や喝采とか...

 そんな形のない名誉なんて...苦痛でしかない。」

 

「-に物事を考えないで下さい。そう考えるから

 そうなるんですよ...!もっと+に考えて...」

「出来もしないことを言うな...!常に、最悪のことを考えろ。

 楽観視は...身を滅ぼす。」

 

ギアはそれでも食い下がる。

 

「影さん...なんでですか、どうして目の前の希望すら否定するんですか!」

「希望なんか...幻想に過ぎないだろ!」

 

論争が続く。

もう何分も、何分も続いている。

だが、ギアが一つの行動に出た。

 

「ギア...っ...!?」

 

いきなり、そして涙と共に、その両腕を俺の背中に回したのだ。

 

「影さん...影"お兄ちゃん"...明ちゃんに...今のお兄ちゃんを

 見せることは出来るんですか...?」

 

この一言は痛い。明は...どうしてるだろうか。

多分、明ならこういうだろう。

 

『お兄ちゃん、無茶しすぎだよ。』

 

と。そう思うとまた涙が溢れてくる。

けど、もう誰も失わずに奴を倒すことはもうできない...

だけど、もし、もしもそれならば...

 

俺が、犠牲になる。

 

...細くか細い希望が、俺に見えた。

 

 

 




これぞギア式影君の治し方。
三日月式オルガの焚き付け方も参照にしつつ。

次回「烏/光に向かう翼」

感想、評価、活動報告での各種リクエスト等、お待ちしてます。


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烏/光に向かう翼

ようやく立ち上がった。

ようやく装備を新調出来た。

 

...ようやく、ブランを助けに行ける。

 

精神的余裕がようやく出来た。

やっとだ。やっと向かえる。

 

「おかえりえー君。さぁ、行くよ。」

「茜...あぁ、行くぞ...ギア、〈sevensword〉をくれ。」

「はいっ...!」

 

鎧装装着に装備が追加される。

背中に片刃剣を二本、両袖にビームサーベルを一本ずつ、

両腿にスラッシュバレットを一本ずつ。そして、左腰に混影。

これが、〈sevensword〉。

 

「行くぞ...凍月 影、〈sevensword〉、出る...!」

 

V·サー·タワーから、黒き翼が羽ばたいた。

 

「んじゃー、アクエリウスとか来たらよろしく。

 仙道 茜、神姫鎧装、いっくよー!」

 

紅の少女もまた、空に躍り出た。

 

 

----------

 

 

「待ちくたびれたよー、いじめ倒すのも飽きてきたし、

 やっと来てくれるんだね、凍月君。」

 

虚夜の声が響く。

連れ去られてからどれだけ時間が経ったろう。

虚夜が何もしない筈もなく、私は酷く痛め付けられた。

もともと頑丈だからどうにか耐えてはいるも、影が遅いことは

到底予想がつかなかった。

 

「良かったねー、ブランちゃん。来てくれるよ、凍月君が。」

 

「今更かよ...影に何しやがった...」

 

「囚われの身だというのに威勢は削がれぬ、か...ピスケスは

 寝てるからエグい拷問も出来ないしなー。変態を呼ぶのは私が

 嫌だし。まぁ、楽しむだけ楽しませて消すのも悪くないよねー。

 腕からちょんぎって痛め付けたりとかね...あぁ、サジットと

 君は特別だよ?サジットは亡き者にして怒りと悲しみを植え付ける。

 君は生かしておかないと彼を誘い込めないからね...きゃはは。」

 

「なんだと...明を、殺しただと...!?」

 

枷と鎖が音をたてる程に私は暴れようとした。

十字架に磔状態でもそれぐらいは出来る。

 

「もっとも、凍月君が来たら...君はどうなるのか、

 私の気分次第だけどねぇ!」

 

痛烈な蹴りが私の腹に当たる。

 

「がっ...ごふっ...」

 

呼吸が出来るまでは少し時間がかかった。

 

「さて...作戦通りアクエリウスは敵陣へ出撃...

 リブラ、ヴァルゴ、せめてものおもてなしをしておいで。」

 

通信機で虚夜は指示を出した。

 

「悪ぃ影...私は何も出来ねぇ...」

 

気づいたら私は、意識を失っていた。

 

 

----------

 

 

「えー君!ヴァルゴとリブラだよ!戦ったことあるよね?」

 

茜が領域捕捉で敵を捉えた。

 

「あるよ...どっちも苦戦した。」

「あ、そう...じゃ、この剣に足を乗せて。」

「はい...?どゆこと?」

「ごちゃごちゃ言わない。時間圧縮の節約したいんでしょ?」

「何でもお見通し、か...頼む。」

 

茜の両手剣に両足を乗せる。

 

「いっけぇぇぇ!」

 

瞬間、一気に射出された。

脚に結構な衝撃が走って少し痺れたが、無茶苦茶な速度のおかげで

ヴァルゴとリブラを抜き去った。そして、敵の本丸へ突入する。

 

「きゃはは、やっと来たね凍月君。

 ようこそ。私の世界に。」

 

敵の首魁、虚夜は笑っていた。




遂に影vs虚夜。

えぇ、一回では終わりません。
ブランはちゃんと癒されるべき。

次回、「冠/頂点から見えるもの」

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冠/頂点から見えるもの

お久しぶりです、フェルデルトです。

女神科はそろそろ一年ですが...4月までに終わるのでしょうか...
終わらせて続編を...!

という訳で女神科には続編があります。
でもまずはこの話を締めなくては。

では、どうぞ。


敵陣に突っ込み、()()()()()()()()()()()()ブランを見やった時、

俺は叫ばずにはいられなかった。

 

「虚夜ぉぉぉっ!!」

 

「きゃはは、そんな叫ばなくてもいいのに...

 まぁ、気持ちはわからないでもないよ?」

 

虚夜はそう、ただただ不敵に笑っていた。

 

「まぁいい...ブランを返せ。この外道。」

「外道とは失礼だねぇ...無理もないだろうけど。

 それに、元から返す予定だよ?ほら、その混影は

 何のためにあるんだい?凍月 影。」

 

逆に挑発された。まずい、こいつはベールよりも別格の苦手意識が

頭をもたげる。つまり...ベールのゲーマー的憎めない部分とあの無駄な質量を

削減して純粋な悪意と殺意を凝縮したものがこいつだろう。

 

「人質を解放して欲しくば、自ら手にすればいい...

 ほら、その鎖を斬りなよ。」

 

言われなくともだな...

 

「じゃあそうさせてもらおうか...!」

 

混影を降り下ろす。確かに鎖は斬った。

...だが、まるで人を斬ったような感触もあった。

嫌な予感がする。混影の刀身を見ると血がついていて...

目の前にはもうほぼ下着姿で、磔にされていて、なおかつ

斬られた痛みに苦悶している、ブランの姿があった。

 

「どう、いう、ことだ...?何をした...虚夜ぉぉぉ!」

 

「私は何もしてないよ?幻影でも見てたんじゃない?

 鎖でグルグル巻きにされてる彼女をさぁ...いやー、

 本当に斬ったねぇ、キレイな傷がついてるねぇ...

 けど浅いのか。つまんないなー。」

 

「っく...死なせねぇよ、絶対!」

 

磔の足元を切断、流血しているブランを小脇に抱え、

ストライクフォームを起動、一気に外に出る。

 

「あーあ、逃げたかぁ...まぁいいや...」

 

虚夜はそれでも笑っていた。

 

----------

 

「《緋一文字·紅椿》!」

『きゃぁぁぁぁぁ!?』

 

リブラとヴァルゴを片付けた。まさかこんなに時間がかかった上に

意外とダメージを受けるとは...

 

「参ったなー、えー君をもっかいあっちに射出しないといけないのに...」

 

そう思った時だ、赤く染まったえー君が私の横を過ぎていって、

そして赤い液体が私の頬に付いた。

 

「血...まさかブランちゃんが...?」

 

嫌な予感がするけど...真っ直ぐえー君の援護に行きたいけど...

今は、まだここで背中を守んなきゃだね。

 

「すぅ、はぁ...おいで、虚夜師匠!」

 

「あ、バレた?まさか私の固有を乗り越えてくるなんてね...」

 

虚夜はやっぱり不敵に笑っている。

 

「師匠の固有能力...推測ですけど、空間に虚像を作る能力では?」

「正解、だけど不正解。正しくは空間に()()()()()虚像を

 産み出すんだよ。名前は、虚写し(ゴースト·スクリーン)。」

 

やっぱりか、だけどそうなるとめちゃくちゃ面倒じゃないか。

 

「それって、勝ち目無いじゃないですか...」

「当たり前でしょう...?でも茜ちゃん。敵意を見せないのなら、

 殺さないであげる。どーする...?折角生き返った命だよ?」

 

虚夜は凄い提案をしてきた。だとしたら...私の選択肢は一つだろう。

 

「嘘じゃないというのなら、喜んでここを通しますね。」

「物わかりが良くて良い子だね...じゃ、邪魔しないでね。」

 

虚夜はホントに、私には何もしなかった。

 

「ゴメンねえー君。けど、信じてる。君は、極限までの

 絶望を知ることでとても強くなる。

 ...でも、ブランちゃんは生きてて欲しいな。」

 

もう私には、昔みたいに虚夜の考えていることがわからなくなった。

でも、だからこそ、えー君には、それを見抜いて欲しい。

そう思って、私はV·サー·タワーへ向かった。

 




まだまだ続くシリアス。

ブランに怪我?ブランは1000%生きますよ、絶対。

次回、「琴/戦慄と恐怖のアンサンブル」

感想、評価等、お待ちしてます。


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琴/戦慄と恐怖のアンサンブル

V・サー・タワーへ戻ってきた私は、ぐったりしているえー君と、

眠っているブランちゃんを見かけた。どうやら一命は取り留めたようだ。

 

「良かった、生きてたね...あいちゃん、えー君はどうなの?」

 

えー君の手首を掴んでいるあいちゃんに状況を聞いてみた。

 

「この通りよ...こうしていないと今にも暴れだしかねないし、

 何よりも今影に暴れられたらどうしようもないもの...」

 

クールかと思われたあいちゃんも意外とえー君には甘いのかな?

ともあれ、ある程度はまだ無事なようだった。

 

「ギアちゃん達は?」

「外よ。ゾディアックシリーズと戦ってるわ。」

 

裏の方か、それはまた虚夜も考える。おおかたアクエリウスに

転送させたのだろう。戦力は足りてるだろうか...

 

「ヴァルゴとリブラは片づけたから大丈夫だろうけど...

 ピスケスがいたらまずいかも。」

「ピスケス...うお座よね、そいつの能力はそこまでまずいの?」

 

ピスケスは虚夜の考えた最強のゾディアックシリーズ。

その能力は...

 

「うん、ピスケスの能力は、精神攻撃。下手すれば、

 同士討ちとかもあるかもね。」

「そんな...!止められる?茜。」

 

そんなことをしてみろ真っ先に殺されるだろう。

みんなには悪いけど...私は生きて、やりたいことをする。

そのためには、今ここで危険な賭けには出れない。

 

「無理だね。だから信じるしかないよ...」

「っく...ねぷ子、無事でいなさいよ...!」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「ノワールさんはそっちの速いのを、ロムちゃんとラムちゃんは

 双子をお願い!ベールさんは転移門の展開を阻害してください!

 お姉ちゃんは、図体の大きいのをお願い!」

 

「ネプギア!次はどうすればいいの!?」

「ユニちゃんは、向こうの盾持ちをお願いするよ。」

「わかったわ。」

 

そして私は...目の前にいるあの異質なゾディアックシリーズを...倒す!

 

「君が私の相手...?誰でもいいけど...せめて、

 私を楽しませる心を見せてよね...!」

 

「何を...!」

 

M.P.B.L.を構えて真っすぐ向かう。

だが、目の前のゾディアックシリーズは笑って掌を

私に向けて...そして次の瞬間、頭の中に何か入ってくるような、

とてもとても気持ち悪い感覚が、私を襲いました。

 

「が、あ、がぁぁぁぁッッッっ!?」

 

「わぁ甘い...まさか想い人が腹違いの兄だったなんてねぇ...

 姉を訪ねて三千里とか...あぁ...でも、あんまり面白くないなぁ...

 じゃあいいや、壊してあげるよ、君の心をねぇ...!」

 

頭の中がめちゃくちゃになって、心の中もぐちゃぐちゃで、

そして...私の「思い出」が、全部全部壊されていく感じがして...

気持ち悪くて、それでそれで...なんだろう...

考えることも、何ももう、出来ない...

 

「ネプギアぁぁぁぁぁ!!!」

 

「邪魔しないでよねぇ...あとちょっとで完全に壊せるんだからさ。

 それに、転化させずに壊せるようになるのは大変だったんだよ?」

 

お姉ちゃんと、ゾディアックシリーズの声が聞こえる...

けど...もう、私には、どうでもいいことだと、思います...

 

「ネプギアを離しなさい!」

「いいよー、ごちそうさま。いい姉と、お兄ちゃんを持ったね...」

 

私の体が別の人のところへ移動して...それで...

 

「ネプギア、しっかり、しっかりして!」

 

揺さぶられて、ぐらぐらして...

 

「あ、あー...」

 

もう、何も、わからなくなりました。

 

 

 

 




ギアが今度は大変なことに。

次回、「ペガスス/幻想と孤独と」

感想、評価等、お待ちしてます。


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ペガスス/幻想と孤独と

ゾディアックシリーズ...

虚夜時雨の理想、世界再編の鍵を握っている12体の人造的

女神化能力保持者...

 

その力は自然に変身できるようになった少女達とほぼ同じ。

だからこそ、戦況は泥沼化し、怪我人も出るレベルとなっている。

だが、こちらは追加装備などの諸々もあり、辛勝に次ぐ辛勝を重ねた。

 

 

ブラン救出から2日。

こちらの継戦能力は低下し、ほぼ全員が満身創痍であった。

大半のゾディアックシリーズは撃退した。

残っているのはピスケス、アリエス、カプリコーンのみ。

 

戦いは...記さずとも激戦で、泥沼で血みどろで、凄まじいとわかった。

 

だからこそ、今のこのギアの状態は、変に納得している自分がいた。

 

「ネプギア、しっかりして、ネプギアってば!」

 

ネプテューヌが何度もギアを揺さぶるも、その目は虚ろで、

体にも力が入っておらず、まるで脱け殻のように揺らされていた。

 

「こうなったのも全部ピスケスって奴の仕業なんだよね、

 そうなんだよね、だったら...あいちゃんの力で打ち消せないの!?」

「無理よねぷ子。力そのものでこうなったのなら打ち消せるけど、

 力の結果でこうなったのなら無理ね。」

 

きっぱりとアイエフは否定した。

 

「っく...じゃあどうすればいいの、影!」

 

怒りとも体現出来そうな声音でネプテューヌは俺を問い詰める。

 

「...どうすれば、か...わかればもうやってる。それに...

 今俺にはそれを考える余裕もない...茜、明、ブラン、

 そしてギア...こうも俺に親しかった連中がこうなっていくと...

 俺は...俺は...!」

 

「やめましょうネプテューヌ。影もあなたと同様に傷ついてるの。

 尋常じゃない程に、ね...」

「だから何...ネプギアを諦めろっていうのノワール...わたしの妹だよ!?

 諦められるわけないよ!!」

 

諦められるわけない。そうだ。ギアは俺の妹でもあった。

けど、俺の妹は...明だ。血が繋がって無くとも妹は明だ。

 

「...............けい...........いか...」

 

『え?』

 

この場にいる全員、怪我人のブランと看病しているコンパと

疲れて寝たロムラムユニ以外の面子は口を揃えて疑問符を投げかけ、

俺はその後に訪れた静寂に向けて、吐き捨てた。

 

「生きてるだけいいじゃないか...妹が生きてるだけいいじゃないか!

 喚くな、この程度で!どれだけ辛いと思ってやがる、どれだけ苦しいのを

 我慢してきたと思う...暴走も心配もさせないように、どれだけ精神を

 削ってきたと思ってる!なんなんだなんなんだなんなんだよ、何様だよ、

 何をもってそんなこと"だけ"で騒げるんだよ...俺の痛み苦しみを何も、

 何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も......ッ...

 知らないくせに、知ろうともしなかったくせに、ただ同情と憐れみしか

 向けなかったくせに、自分がそうなったときに、それ以上のものが

 返されると思うな!世界は...そんなに甘くねぇんだよ...その事少しも

 考えないでいるような奴は...力があっても心がなきゃ...何も出来ない...

 今の、俺のように...何も...」

 

全員が静かになった。

当然だ。最大の被害者は俺なのだから。

だが、後ろから声がした。

 

「貴方にしては珍しく感情的ね...傷に障るわ。」

 

まだ寝ていなきゃいけないはずのブランが、コンパに車椅子を押されて

やってきたのだ。

 

「まだ安静にすべきだろ...なんで...」

「私は椅子に座ってるだけよ。それが安静状態ではないと?」

「けど...!」

 

傷が開いたらどうする...と言おうとしたら掌をつき出されて制された。

 

「心配しなくていいわ。貴方が心配すべきは自分自身よ。」

「ふざけんな、俺は...」

「明や私、ネプギアの件は全部自分のせいって思ってるんでしょう?

 優しすぎよ。または思い上がりね。やめなさい。貴方はそう思い

 続けられるほど、精神が頑丈ではないわ。」

 

図星だ。何もかも、やはりブランには筒抜けだった。

 

「だったらどうしろって言うんだよ...!」

「話だけなら簡単ね、虚夜を倒せばいいのだから。」

 

ホントだ、話だけなら簡単だ。

 

「頼んだわよ、影。こればかりは、貴方にしか頼めない。」

「茜もいる。こいつらもいる。だから...か。

 すぅ、はぁ...頼まれたよ、ブラン。けど、まずはギアを取り戻す。」

 

「えっ...?方法は?」

 

「イストワールに記録されているギアの存在している記憶を

 ギアの脳へ流し込む。出来るだろ?この塔の主ならば。」

 

「はい、出来ないことではありません。」

 

イストワールがどこからか現れた。神出鬼没だなぁ...

 

「ですが、そうするとネプギアさんはこうなる前の約14年分の記憶を

 全て持ってしまいます。それでは脳が持ちません。」

「じゃぁ、1年分...いや、ギアとロムラムユニが出会ったとこからでいい。」

「それでもぎりぎりですよ?最悪ネプギアさんの脳に多大なダメージが...」

「それでもいい、いーすんお願い!」

 

ネプテューヌの叫びがイストワールを動かした。

 

「では...ネプギアさんの脳に記憶をコピーします。」

 

イストワールはギアの頭の上で魔法陣を展開し、

次の瞬間、ギアは苦しみ始めた。

 

「が、あ、あぁぁぁッッッ!?」

 

聞くに耐えない叫びだ。だけど...耐えてくれ...

 

「ネプギア...お願い、頑張って...」

 

「あ、うぅぅぅぅ...おねぇ、ちゃ...あぁぁぁぁ!?」

 

脳への直接干渉...この義眼もそうだ...最初のころはえげつない程の

気持ち悪さを感じた。だから...今のギアの感覚はよくわかる...

 

「...終わりました。後は、吉と出るか、凶と出るかです。」

 

イストワールが離れると、ギアはぐらりと倒れこんだ。

すかさずネプテューヌがそれを支える。

 

「ネプギア、ネプギア、起きて、ネプギアッ!」

 

ネプテューヌが呼び掛けて、ギアは口を開いた。

 

「聞こえてるよ...お姉ちゃん...」

 

そう言って、崩れた。

 

「よかった、よかったよ、ネプギア...ありがといーすん。ほんとにありがとう!」

「発案は影さんですよ。私には到底思い付きませんでしたし。」

「うん...ありがと影...!」

 

「礼には及ばない...及ばない、さ...」

 

やばい、俺もぐらりときた。

多分...精神の限界だろうな...

 

そして、今度は俺が倒れた。




何回影君は倒れるんだろうか。

次回、「麒麟/終焉の前の退屈」

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麒麟/終焉の前の退屈

ギアの記憶は急場しのぎに過ぎないが戻せた。

ブランの傷も段々と治ってきている。

だが、俺の精神は限界をとっくに突破していて、

もはや戦いにおもむく事も出来ない無気力状態になっている。

 

4日間、ベッドから出てすらいない。

ずっとブランとロムラムと、過ごしていた。

それでも心は欠けたままだった。

 

 

「...もしかしたら...えー君はもう戦えないのかもね。」

 

 

茜は真っ正面からそんなことを言った。

それはさも当然のような気がした。

戦っても戦っても、何かが溢れていった。何かを失っていった。

結局、残っているのは後悔と苦しみと怒り...そして虚無感。

それは人の負の面を如実に表している。

それが、人の業であり性なのだな...

 

おそらく虚夜は嫌がったのだろう。

負の面に固執し、羨望や妬みを向けていて自らを変えようとしない一部の人間を。

その一部の人間を産み出している格差を。

その格差を産み出しているシステムを。

そして、そのシステムは大抵感情とリンクしている。

感情というものは厄介だ。行動するための原動力となるときもあれば、

行動をするときに枷となることもある。

 

つまり、その点では虚夜と俺は、同じ考えを持っていることになる。

だが、それだけの為に世界再編などは起こさせない。

 

無気力なら無気力なりに、今、何を成すかは考えている。

 

「戦えない、か...言ってくれたものだ...」

「影...?」

 

隣で横になっていたブランが尋ねる。

 

「決めたよ、ブラン...今までずっと考えてた。体が保たなく

 なっていることや、心がガタガタになってること、全部

 ひっくるめて、ずっとずっと...気力も削ってずっと考えてた。

 無気力なら無気力なりに、ね...」

「そう...で、その答えは...?」

 

一つ大きな呼吸を置く。

 

「虚夜を倒す。今の俺の全身全霊、魂すら賭けて、奴を止める。」

「そう......必ず帰ってきなさい。貴方に私のいない世界を想像することが

 出来ないように、私にも貴方のいない世界を想像することなんて出来ない

 のだから...だから絶対に帰ってきなさい。」

 

「...それが死亡フラグでない事を祈ってるよ...

 だけど、せめて今は...君と二人で過ごしていたいよ。」

 

「相変わらずね...いいわ、影。」

 

思えばあの日、孤独だった俺とブランが初めて会話した時から、

俺たちの運命の歯車は噛み合って、回り始めた。

だからこそ、対になる歯車を欠けさせるわけにはいかない。

絶対に帰る。そう決めた。

 

そして時が経ち、夜が明けた。

 

 

----------

 

 

「すぅ...はぁ...茜...どうして戦わない?」

 

 

一人起きて、部屋から出た先には茜がいた。

だから、聞きたい事を聞いた。

茜に限って臆病風に吹かれた訳ではない。

 

そこ、同じ赤系統だからってダディと同じとか言わない。

 

「臆病風に吹かれた私はもう戦えない...」

「そんなの俺信じられないよ!」

 

訂正、ダディだった...

 

「冗談はさておくとして、私は虚夜と取引したの。

 あいつの邪魔をしない代わりに、私を殺さないっていうね。」

 

「...そうか...命を大事にしてるんだな...」

 

そうだろう、せっかく生き返ったんだ、また散らす訳にはいくまい。

 

「別にそういう訳じゃないよ。私はやりたいことをするだけ。

 私はね...先生になりたいんだ。私のような、行き場の無くなった

 子供たちを導ける、希望のような先生に。」

 

「茜...?」

 

教員志望とは驚いた。かなりざっくばらんとしてるのに。

 

「えー君。今度こそ、買い物行こう。二人で。これだけは

 ブランちゃんにも譲れない。どーせえー君の事だもん。

 ブランちゃん待たせてるんでしょ?女の子二人待たせて、

 帰って来ないほどえー君はろくでなしじゃないよね?」

 

「そうだな...って、死亡フラグ重ねがけとか止めてくれ。」

 

マジで死ぬのは勘弁。

 

「そう...じゃ、えー君。後ろ向いて。」

「なんでだよ。」

「『帰還』って背に書くの。ほらほら。向いた向いた。」

「はいはい...」

 

しかし...背中に書かれて『帰還』と、分かるだろうか...

だが、茜からは背文字はやってこなかった。

代わりに、腕が回されてきた。

 

「あかっ...「振り向かないで...えー君...」...」

 

茜らしくもない声音は俺をその指示通りに動かした。

いやいや、しかし茜よ、戦いに向かう前ですよ俺。

 

「えー君...しばらくこのままでいい...?」

 

だがこんなことを言われては否定なんてできないよ。

 

「帰ってきてよ、えー君...ちゃんと、生きて...

 それで...笑って...そのあとを過ごせるように...」

 

茜は泣いていた。指摘するのも野暮だろうと思った。

だからしばらくこのままでいた。

 

そして、数刻が経ち、茜が離れた。

 

「さぁ、行って、えー君。私達の平和のために。」

 

「...あぁ、行ってくる。凍月 影、〈sevensword〉、出る...!」

 

七本の剣を携え、遂に、最終決戦の舞台へ足をかけた。

 

 

 

 




ようやくだー。

ようやく虚夜vs影。

次回、「ペルセウス/死闘、勇者vs悪意」

感想、評価等、お待ちしてます。



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ペルセウス/死闘、勇者vs悪意

ゆゆゆ一挙見ましたフェルデルトです。
にぼっしーといい友奈ちゃんといい風先輩といい...
かっこよすぎでしょ!
ちなみに私はにぼっしー派です。ちょろい。

...とまぁ雑談はこの辺で。
虚夜vs影君です。

では、どうぞ。


さて、ここで一つおさらいといこう。

 

正直俺は一人で虚夜をどうにかしようとしている。

そして...無茶かもしれない考えもある。

 

その結果がどうなろうと、必ず帰るという約束は果たせそうにない。

...まだ今は。今はまだ、約束を守れないのだ。

 

「外道ともろくでなしとも言ってくれ...一番辛いのは、

 ブランだろうけどな...」

 

通信機も着けず、有るのはケータイだけ。そのケータイも運悪く電池がない。

完全に孤軍奮闘状態。生きるか死ぬかも自分次第。

あぁ、ここが死に場所なのかな、と。

多少なりともそんな思いがあるあたりもう、あの塔には帰れない。

 

「退屈だったよ、影君...さぁ、始めようか。

 世界の命運を賭けた戦いをね。」

 

「...考えは同じなんだけどな...」

 

感覚で、というべきだろうか。

虚夜相手ではどう頑張っても死ぬんだろうなという思いがあった。

だからか、始めに話をすることにしたのは。

 

「同じ...?世界再編を手伝ってくれるのかい?」

「違う、人間の負の面を否定することだ。」

 

「あぁ、なるほどね。確かに同じだよ。私は人間を否定する。

 負の感情を抱き、他者に対して働きかけることもせず、

 ただただ、羨望や憎悪、嫉妬を抱くような輩をね。」

 

同じだな。それは自分自身を否定しているということも

理解している。自己矛盾だらけの存在だ。

 

「それが矛盾だと指摘しない辺り...君と私は

 本当に同じなようだ...けど、世界再編に

 手は貸してくれないみたいだね...」

 

当たり前だ。俺と考えが同じでも、お前には一つ烙印がある。

 

「あぁ、お前は...明の仇だからな。」

 

「じゃぁ...世界再編するとき、君の大事な人達だけは残してあげても

 いいよ?少し面倒になるけどね。」

 

「それでも、明は帰って来ない...!」

 

認めたくない事実を口にした。

苦しい、辛い、それでも、それは事実だ。

 

「そこまで妹に固執するんだ...しかも実の妹より義理の妹に。」

「ピスケスから聞いたか...そうだな...あんまり実感ないからだろうな。」

「実感、ねぇ...まぁ、いいや。そこまで固執する辺り、シスコンみたいだね。」

「心外だなぁおい...『みたい』は余計だ!来いよ虚夜...俺より強い

 茜の師匠なんだろ...?固有なんか捨ててかかってこい!」

 

時間圧縮を使ってない時点で説得力は無いけどな...

 

「へぇ...対等な条件で格上に挑むなんて、勇者だね...

 せいぜい、追い返すのが精一杯のレベルでない事を

 願うよ...ファランクス、力をこの手に。」

 

虚夜は自らの得物、対プロセッサユニット用多段型貫通槍を構える。

俺もまた、超剛性硝子製水晶刀身片手剣、映影(うつしかげ)を両手に構えた。

 

「さぁ、行くぜ...!」

 

かくして、後に天界救世と呼ばれる戦いの幕は上がった。

 

 

----------

 

 

「しかし...君のその力...オリジナルである私の制御能力の

 恩恵があればこそだというのにね!」

「そうかい...!」

 

虚夜の刺突を左にいなす。そしてその勢いで背後を取るも、

 

「甘いよ。」

 

槍の柄の部分で距離を取らされる。

 

「ならば...!」

 

左手の映影を背中にマウントし、腿にあるスラッシュバレットを抜刀、

牽制の意味を込めて軽めの弾幕を作る。

 

「とっさの判断が速いねぇ...眼帯だというのに...」

 

虚夜は臆さずに接近してくる。

 

「死線を経験してるんだよ、こっちは!」

 

右手の映影でつばぜり合いに持ち込む。

そしてスラッシュバレットで銃弾を三発ねじ込む。

 

が、ファランクスの向きを変えたことで銃弾を防がれただけでなく、

それについて反射的に驚いた隙を突かれつばぜり合いから弾かれる。

 

「いい動きなんだけど...私の方が一手先だね。」

 

そう言ってる最中にも弾幕を張ってみたが、華麗に

ファランクスで防がれる。

 

「ちっ...やっぱ強い...!」

 

スラッシュバレットをしまい、眼帯を外す。

再び映影の二刀流になり、義眼のシステムを起動する。

 

「へぇ...義眼か...死線をくぐり抜けてきたというのは

 あながち間違いないようだね...」

「そうだな...ここから先は...自分とも戦わなきゃなぁ...!」

 

今度はこちらから虚夜に向かう。

 

「思い切りがよくなったねぇ...」

「うっさい...!」

 

上段から右の映影で斬り、それが避けられると斬った勢いを利用して

左手の映影で回転斬りを浴びせる。

 

「危ない危ない...」

 

回転斬りはファランクスに防がれた。だが、遠心力で上がった右手を

降り下ろし、さらに逆袈裟に返して追撃する。

 

が、ここで大きな隙が出来た。そう、腹部ががら空きなのだ。

虚夜がそこを突かないはずがない。

先の攻撃を防ぎきった虚夜は真っ先にファランクスを投擲してきた。

 

「ち...!」

 

手首を返し、映影二本でどうにか直撃は防ぐも、

大きく体勢を崩したうえ、映影は二本とも吹っ飛んだ。

 

「あー、今の防げるんだ...凄いねぇ...」

 

弾かれたファランクスを回収し、佇む虚夜と、

体勢を立て直し、スラッシュバレットを構える俺。

 

やはり勝ち目等なかった。

だが、義眼の力を最大限、限界まで引き出せば...

 

「はぁ...一つ、無茶しますか...」

 

義眼のリミッターを外す。

 

「へぇ...無茶するね...」

「良いだろ別に...無茶くらい、な...!」

 

義眼が紅く光る。

 

イメージ的にはあの隻眼のヲ級みたいな感じ。

あれは青色だけどね。

 

「第二ラウンドだ...行くぜ虚夜...!」

 

 

 

 

 

 

 




という訳で戦いは続く。

次回、「一角獣/奇跡の可能性」

感想、評価等、お待ちしてます。


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一角獣/奇跡の可能性

高速で両者がすれ違う度に火花が散る。

 

火花が散る度に両者は距離をとる。

 

だが、赤い残光をたたえて突撃する凍月 影には、

残されている時間は少なくなっていた。

 

 

----------

 

 

「うぐっ...脳へフィードバックされる情報が多い...

 もう保つかわからんが...それでも...!」

 

「脳に直接とは...とんだ無茶だね...まさかあそこ

 に帰る気なんてないとはね...」

 

虚夜が核心を突くも、今の俺にはさしてほどの関係は無いように思えた。

 

「うっさい...最初から...そうだからな...!」

 

気づけば左目から血を流していた。

身体の何処かが動かなくなりそうな気もする。

けど、それでもこいつだけは倒す。

 

「へぇ...覚悟、か...」

 

虚夜もまたファランクスを構え直す。

 

...そして一瞬の間の後、再び両者はぶつかり合った。

 

「うらぁぁぁ!」

 

右のスラッシュバレットで斬りかかる。もう何度目だろうか。

 

「見切った。いくら速くとも、ねっ!」

 

虚夜のファランクスは正確にスラッシュバレットを弾き、

ついでと言わんばかりに弾かれた際に伸びた左腕に

ファランクスを突き刺す。

 

穴の空いた左腕は火花を散らす。

だが、袖口に仕込んだビームサーベルが、

虚夜の右手をとらえた。

 

そして、その直後に左腕は爆散した。

 

「っく...やってくれるね...」

 

距離を取っても右手首から先は無くなった虚夜と、

左腕が無くなった俺。未だ戦況は分からない。

 

「仕留めきれないとは...」

 

だが、両者共に満身創痍なのも事実ではあった。

 

「武器を飛ばされた上に利き手を消されるとはね...!」

 

しかし、これは対等な条件での話。

虚夜の話だ、対等にしてくれるはずなどないだろう。

 

「ま、虚像なんだけど。」

 

そう言って、深手を負わせた虚夜は消え、

本物の虚夜が目の前に現れた。

 

「やぁ...影君...今まで十分私の世界で踊ってくれたね。

 どうもありがとう。特別に、本物のこの私が相手してあげる。

 だから...とっとと消えて...?」

 

「断る......!?」

 

突撃しようとしたときには右足首から先が飛んでいた。

目にも止まらぬ速さだった。

 

「がっ...ちっ...くしょぉぉぉ!」

 

〈strike fome〉

 

「ついでに...持ってけ...理性も全部...!」

 

鎧装装着の機能を全て発動し、二分だけ、

無茶しまくって奴を倒す。

 

生き残れるかどうかは神のみぞ知る。

だから...俺の女神に問う。

 

「ブラン...俺の命...預けた...」

 

こうして、極黒のオーラから微かに見える紅い光と、

紅く光るその目は、虚夜ですら少しは動揺させたようだ。

 

「悪魔、か...それとも堕天使か...どちらにせよ私の敵...

 勝負しようか影君...今度は、固有ありでね...」

 

 

----------

 

 

この戦いの終焉は、果たして平和か、新たなる動乱か。

結局、何のための戦いか。いずれにせよ、凍月 影は、

 

 

「お前を...倒す...!」

 

 




えぇ、まだまだ続きます。

次回、「孔雀/それは鮮やかに」

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孔雀/それは鮮やかに

目にも止まらぬ速さで黒い悪魔は動く。

それを虚ろな少女は最小限の動きでいなす。

 

当然といえば当然だ。悪魔の方は片腕がないのだから。

残っている右側のビームサーベルを持って、ただ闇雲に

突撃しているようにしか見えていない。

 

「はぁ...このままずっとこうするつもりなのかなぁ...」

 

虚夜は感覚的に動いてはいけないと分かっている。

それが虚夜を退屈させているのであった。

 

「うらぁぁぁ!」

「無駄だよ。」

 

何度目かの切り結びが起きる。

が、今回は少し違った。

 

「武器が変わってる...混影ね...」

「そこぉぉ!!」

 

影は右腕の袖口に仕込んだビームサーベルを

小指と薬指に挟み、そのまま虚夜に向けて腕を振るった。

 

「んなっ...がっ!?」

 

当然、予想すらしていない一撃に虚夜は左脇腹をビームで

抉られるのであった。

更に追い討ちとして回し蹴りを同じ左脇腹に食らう。

左脚でなおかつ踵を当てる様に放った回し蹴りだが、

それで終わるはずもなく、左脚に仕込まれているブースト

カートリッジを使って、加速用のバーニアを傷口に照射したのだ。

 

「ぐあぁぁぁ!?」

 

傷に塩を塗るどころか傷に炎とはエグい...

 

そんな感想はともかくとして、影のストライクフォームも

解除され、黒いオーラも消えていた。

 

「はぁ、はぁ...どんなもんよ...ぐ...ごふっ...

 ...はは、もう保たんか...」

 

口から出る血を拭い、地に伏した虚夜を見やる。

 

「やってくれるね影君...固有無しで私に深手なんて...」

「虚夜...逃がさんぞ。」

 

時間圧縮を使って距離を詰め、混影を虚夜の右肩に刺した。

 

「うぐっ...私の虚写しの弱点に気づいていたとはね...」

「あぁ...見えなくても感覚で倒せるからな...ごふっ...

 なぁ、虚夜...お前は人の業や性を背負わずにそれを

 否定した...俺は業や性を仕方ない物として否定した...

 お前の考える、業や性の無い、愚者の存在しない世界は...

 いいよ、代わりに、俺が作ってやる...」

 

虚夜は数瞬の驚きを見せ、次には笑っていた。

 

「...何がおかしい...」

「君にそういう考えがあったなんてね...でも、具体的には

 どうするんだい...?」

 

「それはだな...」

 

遠くに見える白い塔を見やり、影は言葉を紡ぐ。

 

「あいつらを信用とか、信仰とかを一切しない愚か者を、

 この手で消し飛ばすのさ。...もっとも...この身体で

 何処まで出来るのかは謎だがな。」

 

「へぇ...私が面倒だと思った一番確実な方法を選ぶんだ...

 でも、いいのかい?そんなことをしたr「わかってる。」...」

 

「俺はまた、あいつらの敵になる。平和を望む同士として。

 ...俺と、お前のように。」

 

「ふぅん...案外憎悪にまみれてるかと思ってたのに、

 真っ当な考えを持ってるね...」

 

「矛盾だけどな...けど、人間なんてそんなもんだ。」

 

「あぁ、そう...じゃあ見せてよ、君の望んだ世界の果てを。」

 

「あぁ、あの世で、明に詫びて来てから、見せてやるよ...」

 

「ふふ、この、シスコン...」

 

袖口のビームサーベルを発振し、虚夜の胸を貫く。

そして即座に、天界を去るために虚夜の基地である黒の塔へ

向かった。当然ゾディアックシリーズはいる。

だがそのほとんどは非戦闘型だ。それに、虚夜が死んだことで

ゾディアックシリーズに組み込まれた信奉のプログラムも無くなった

事も相まって、俺は無事に下界へ降りることが出来た。

 

「お前一人で帰ってくるとはな。」

 

出迎えてくれたのはマジェさんであった。

 

「マジェさん...」

「また旧校舎の時よろしく素性を隠すつもりか?」

 

全部筒抜け、というか読まれてた。

 

「...そうですね...そうでないと、一人の意味が無いですし。」

「待ち人もいるのにか?」

 

...流石、俺を育てた人だ。全部わかってる。

 

「待たせて置きます。帰ると約束しても、それは今じゃない。

 あいつらはいずれ真の女神となる。4州は独立して国となる。

 その時にまたいずれ反乱が起こる...それを鎮めないと...」

 

「ふむ...だがいずれにせよその身体では無理だ。

 どうせ武器は自作だろう?素材も自分で集めろ。

 私からくれてやるのは義手義足だけだ。」

 

「マジェさん...ありがとうございます...」

 

「まずは身体を休めろ、とは言っても小屋には戻らないだろうな。

 ...まぁいい。病院を手配してやる。そこでしばらく休んでろ。」

 

「はい......」

 

 

--こうして、凍月 影の物語は一旦、幕を閉じる。

  残された者達の物語は、まだまだ、続く...--

 




はい、これでほぼ終わりました。

次回、「88/全ての終わり、新たな始まり」

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88/全ての終わり、新たな始まり

遂にこの日が来ました。
最終話です。

では、どうぞ。


戦闘が終わったというのに、いつまで経っても影が帰ってこない。

それは、何を示すのだろう、考えたくもない。

 

張り詰めた重い空気は、茜の言葉で瓦解した。

 

「...えー君...勝ったみたいだね...けどどうして帰ってこないのさ...」

「考えたくも無いけど...相討ちが自然よね...ちくしょう...」

 

追随するアイエフの一言が、私を貫く。

 

「......帰るよ、下界に。」

「待ってくださいまし。貴女はそれでいいんですの?」

「そーだよ、茜も影を待ってるんでしょ?それなのに...

 それなのに、帰っちゃ駄目だよ!」

 

「だって、えー君は...死ぬはず無いもん。先にこっそり帰って

 私たちを驚かそうって思ってるんだよ。そういう、悪戯を

 たまにやるような子だもん...そうでしょ、ブランちゃん。」

 

茜の問いは、私には本心が見えた。

『そう思っていないと心が保たない』と。

 

だから私は答えた。

 

「そうね、影の話よ、そうに決まってるわ。」

 

今にも泣きそうだが、悟られずに堪えている茜だっている。

それに...それではこの子達に示しもつかない。

 

「おねえちゃん、だいじょーぶ...?」

「おにいちゃんは、きっと帰ってくるわ!」

 

「ロムちゃん、ラムちゃん...そうだね、そうだよね。」

「そうよ、ネプギア。影さんだもん。」

「そうね...影は、殺しても死にそうに無いものね。」

 

「...だから、帰るよ。えー君のいる下界に。」

 

 

そうして、私達は下界に帰った。

だが、いくら探しても探しても、影が見つかる事はなかった。

気づけば、年単位で月日が経っていた。

イストワール記念学園をネプテューヌ達が卒業した日、

私達は天界に迎え入れられ、真の女神としての力を得た。

 

国を切り盛りするのは難しい。

それに信仰が力となるのだ。色々しないと国も、力も保たない。

 

だけどそんな中でも、影はずっと探していた。

そしてずっと見つかっていない。

その現実を見て、諦めかけている自分がいた。

 

だが、それに対する明確な解答を得る前に、

私達四人の女神は争う事となった。

 

原因は領土問題。そしてシェアの奪い合い。

結局、茜が言っていた虚夜の考えは、私達にも当てはまった。

人の業や性を否定しても、いずれ戻る。そして繰り返す。

...影が今の私達を見たら、どう思うだろうか。

 

きっと、こう言う。

 

『何やってんだよ、全く...』

 

と。そして時を同じくして、人の業と性を背負う者を名乗る、

審判の悪魔(ジャッジ·バエル)』という奴が現れた。

奴は女神を信仰しない者の完全粛清を謳って殺戮を始めた。

 

面倒な事が次々起こる。それでも、私は今目の前の戦いを止めるわけにはいかない。

 

結局、ロムとラム、そしてユニとネプギアが、審判の悪魔を止めに行った。

 

そこから先は、まだ分からない。

 

戦いの合間を縫い、私は影の残したあの子達を思う。

 

「恨むなら恨んでくれていいわ...黒、白...」

 

影に出会えるまで、私はまだ"親"としてあの子達に会うつもりは無い。

 

「今は、茜と一緒にいて。」

 

いずれ分かる。自身の出生も、何もかも。

 

 

--そして物語の世代は新しくなる。

  願わくは、新たな世代には、ハッピーエンドが訪れん事を。--

 

 

 

 

 




次回、無いです。最終話ですから。
えぇ、雑な終わりですね。完結なはずないですよ。

と、いうわけで。女神科高校の回帰生、続編出来ます。
タイトルは、「女神世界の新生世代」。

Re;Birth1の世界で、またひとつ動乱が生まれる。

では、どうぞお楽しみに!


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