戦姫絶唱しないフォギアGP (ジャッジ)
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第1話「会い戦士(前編)」
「『ガンプラバトル。機動戦士ガンダムに登場するロボットたちのプラモデル(通称ガンプラ)を使って戦わせるゲームのことで、世界大会が毎年行われたり学校にも「ガンプラバトル部」が出来るほどの人気を集めている。』...か、ガンプラバトルねぇ。」
奇跡の殺戮者、錬金術士キャロルが引き起こした魔法少女事変が終わって数日が経ち
最初の2、3日は宿題に追われていたり、後輩どもの面倒みたりしてたけど、ようやくそれらが落ち着いてS.O.N.G.の方の出撃命令もないしで暇を持て余していた。
もちろん、出撃が無いのに越したことはない。けれどあんまり暇すぎてゴロゴロしてたら1日が過ぎちまった。
...ったく、何もしないで日が落ちていくのを見ると罪悪感が湧いてきやがる。
そんな時だ、あのバカがアタシの部屋に乗り込んできたのは。合鍵持ってるのは知ってるが、了解も取らずにズカズカ入ってくるとは、いよいよプライバシーの欠片も無くなってきたぜ...
コイツが言うには、お台場でガンプラバトルのイベントがあるから一緒に行こうって誘いだった。
てか、ケータイあんのになんでアタシの部屋に乗り込んできたんだ?
「どぉクリスちゃん!おもしろそうでしょ!」
コイツはキラキラした笑顔で返事を待ってる。
確かに、ガンプラバトルとやらになんの関わりの無いアタシでも人気なのは十分わかった。
けどそうかそうか、今のアタシが抱いてる感情ぶっちぎりにしてそれか。ならアタシが思ってることぜーんぶ言ってやるから覚悟しとけよ!
「そもそもアタシはガンプラってのがなんなのか知らない。ガンプラバトルも今知ったんだ、なんでいきなりそのイベントなんざに行かなきゃいけないんだっての!」
「ま、まあそうなんだけど...」
「それよりなんでケータイ使って連絡しないんだ!こんな事くらいメールとかで済ませれるだろ!文明の利器があるならそれを十分に活用しろってんだこのバカ!」
アタシは怒りに任せて持っていた雑誌を床に叩きつける。かなり大声で怒鳴ったからちょっとビビったらしく耳を塞いでた。
「ったく、そんなんでいちいちビビんなっての。んで?なんだって直接会いに来たんだ?」
「だ、だってすぐに返事聞きたかったし...それに夏休みに入ってからクリスちゃんに会えなかったし、久しぶりに会いたかったのもあるかな〜?なんちゃって。」
てへっと言ってごまかされた。ぜんっぜん可愛くねぇし、むしろさらなる怒りが湧いてきた。
それよりも...コイツ、なんでこっぱずかしい事を平気で言えるんだ?小日向は「それが響らしいところだよ」って言ってたが、こっちが恥ずかしくなるくらいの事を平気で言うか?
って今はそういう事じゃなくて、正直なところアタシはガンダムってアニメが嫌いだ。第一に戦時中ってのを舞台にしてるってのが好かない、もっとも100パーセント私情なんだけどな。
「どうかな?弓美とかがクリスちゃんも誘ってみようって言ってたんだけど...ひょっとして迷惑だった?」
「いや、そういう訳じゃないんだが...あーもう、しょうがねぇな!行きゃいいんだろ行きゃ!」
「本当!?ぃやったぁー!じゃあ明日9時に駅前でね!」
「あ、おい!」
そういうとダッシュで出て行っちまった、しかも持ってきた雑誌を置いて。アイツはほんっとにせっかちって言うか、止まる事を知らねぇって言うか...
しょうがねぇ、コイツは明日持って行ってやるか。改めて持ってみると、随分でかいし重いな。
「(そういや、他もページにゃ何が書いてあるんだ?)」
今思えば、あのバカが見せてきたガンプラバトルの説明しか見てなかった。試しにパラパラとめくってみると、新作のガンプラ情報やその作例、初心者向けのガンプラ講座、そして女の子向けのカワイイガンプラの作り方まで載ってあった。
そういや、あのバカが人助けと飯を食う以外に趣味があったとはな。ってことはこの初心者講座に書いてあることをアイツもやってるんだろう、それにしてもアイツにこんな細かい作業が出来んのか?ニッパーとかナイフ使うみたいだし。でも、アイツの手には怪我の1つも無かった。
つまり、あのバカにはこのガンプラ作りが出来るって事だな。アイツに作れてアタシに作れないわけがねぇ。
そうと決まったら話は早い。アタシもガンプラを作ろう、どうせならアイツに負けねぇ、アタシだけのカッコいいガンプラをな。
「じゃあ、ちょっくら行ってくるぜ。大丈夫だって、あんなちっさなナイフとかでケガとかしねぇから。」
仏壇のパパとママに手を合わせてからマンションを出る。幸いS.O.N.G.のシンフォギア奏者にゃ小遣いが渡される。仏壇買った時以外はほとんど使ってないから蓄えもかなりある。とりあえず、道具とガンプラを揃えるところから始めるとしよう。
へへっ、こうなったらとことんやってやる。目標はあのバカを超えるガンプラを作り事だ!
第1話「前編」完
これにて前半戦が終了、次回はクリスが初のガンプラ作り(の予定)!
次回、戦姫絶唱しないフォギアGP第2話「会い戦士(後編)」
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第2話「会い戦士(後編)」
シンフォギアでいちばん好きな曲、正義を信じて握りしめて
シンフォギアでいちばん好きな回、Gの喪失までのカウントダウン
作者はビッキー大好きです、未来さん並みにね。
そんなことはさておいて第2話、今回のクリスちゃんはガンプラを買いにきました。
そう思って家を飛び出してガンプラを取り扱っているという家電量販店に赴いた。作るための工具はすぐに見つかったし、ガンプラが置いてあるであろう棚もそのすぐ側だった。早速買って家で作ろう。と意気込んでいた。いたけれど...
「ガンプラの種類がこんなに多いなんて、聞いてねぇぞ...」
ガンプラコーナーに着いたアタシの第一声がこれだ。壁一面見渡す限りに積まれた大量のガンプラの箱、反対側の棚にまで続いてやがる。
アタシは思わず頭を抱えてしまった。最初に作るガンプラは自分が好きなものを選ぼう。とは書いてあったが、こんなにたくさんだと見て回るだけで朝になっちまう。
しっかし、ガンプラってのは一体どんだけの種類があるんだ?よく言うガンダムってロボットもバカほど種類があるし、ライバル関係のザクってやつもため息が出るほど種類があるって、早い話がどれを選べばいいか全くわからない。試しにそこらにあったガンプラを1つとって見てみる。箱には『RG OOライザー』と書かれていた。
「ゼロゼロライザー?...これもガンダムなのか?」
「それはダブルオーライザーデス!私設武装組織ソレスタルビーインングが開発したダブルオーガンダムに支援機のオーライザーが合体した形態で、まさにガンダムを超越したガンダムデース!」
「うわあぁ!?」
振り返るとそこには見知った顔があった。背の低い金髪の少女、私やあのバカと同じS.O.N.G.に所属するシンフォギア奏者、暁切歌だった。
あまりに突然現れたから受け身も取れず、おおきな声をあげちまった。見回してみると他の客が結構コッチ見てた、変に目立っちまったじゃねぇかよ...いや、それよりもまず
「ちょ、いきなり何するデスか!」
「それはコッチのセリフだ!急に出てきてガンプラの解説する方がおかしいだろ!そもそも、なんでお前がいるんだよ!?」
「それこそこっちのセリフデス!クリス先輩もガンプラをやっていたデスか?」
やってない...とは言いづらかったから「関係ねぇだろ!」って言ってごまかした。
それにしても、まさか顔見知りに出会うとは...確かにここはリディアン女学院からそう離れちゃいない。けれど、わざわざガンプラを買いにこんな所へ来る生徒もいないと踏んでいたんだが...しかも、よりもよって
まあ、出会っちまったもんはしょうがない。アタシもばったり会っちまうかもとは思っていた。いたんだがなぁ...
待てよ、コイツがいるって事は、まさか!?
「どうしたの切ちゃん?...あ、クリス先輩。」
「あ、調!戻ってきたデスか!」
そうだ、コイツがいるって事は絶対にいるに決まってるじゃねぇか。この黒髪ツインテールのコイツは月読調、切歌とは大抵セットで過ごしている。
言い忘れていたが、両方ともアタシと同じリディアンに通う後輩だ。
「こ、これから始めようとだな...それより、お前は何やってんだよ!」
「新作のガンプラを買いに来たのデス!それにこのお店にはガンプラバトルシステムが置いてあるから、久しぶりにガンプラバトルをしに来たのデース!」
「私は切ちゃんが無駄使いしないかの見張り役。あと、切ちゃんの相手役をする為に来たの。」
新作のガンプラをねぇ、アタシには関係...あることだったな。まさかコイツらにこんな趣味があったとは、しかもやたらとガンプラに詳しそうだな。このガンプラ(ダブルオーライザーだったっけか?)についてもペラペラ話してたし、ちょっと聞いてみるか。
「なあ。お前って結構ガンダムとか...」
「もちろん、大好きデスよ!」
「そうか...じゃあガンプラについても詳しいわけか。」
やっぱりそうだコイツ、以外とこういう知識だけは豊富なんだな。それを勉強にも活かせれば、今よりもっとマシな点数を取れるんじゃないのか?
それはさて置いてだ。ちょうどいい、アタシに合ったガンプラをコイツに選んでもらおう。自分のモンくらい自分で選べって言われそうだけど、アタシはガンダムやガンプラについての知識は全く無い。だったらそれを借りない手はない、っといった感じだ。
問題はどうやってコイツに頼むかだよなぁ、先輩的に言うか?それともそれとなーく誘導していくか、このどっちかになるのは決まりきってることだ。
「あ、それなら私がクリス先輩に一番合うガンプラ選びますデスよ!」
「はぁ!?なんでそうなるんだよ!」
「こういうのは、何事も知識のある人に聞くのが一番。」
何か閃いた素振りを見せたと思ったらアタシと全く同じじゃねぇか。てか向こうから先に言われちまった...どうすんだよ、これって先輩としての威厳がガタ落ちしてるよな?なんとかして持ち直さねぇと...それにマリアから2人の後輩を任せられた以上、先輩としてしっかりしとかないと...
「しょ、しょうがねぇな。そこまで言うんなら頼もうかな?」
「了解デース!この暁切歌、雪音先輩に似合った最高のガンプラを選んできますよ〜!」
「私も一緒に行ってきます。」
「おう!アタシに似合った最高にカッコいいのを頼むぜ。」
そう言うとアイツは元気そうに走っていった。
...頼むぜって言ったけど、切歌に任せて本当に大丈夫だったんだろうか?
別に信用してないわけじゃない。心配なのはアイツのセンスだ。ぶっちゃけるとアイツのセンスはなかなか独特なモンだったと思う。カッコいいのって言ったから大丈夫だとは思うんだが...不安だ。
そう言う意味でもアイツら2人で行かせてよかったかもな、実際になんか2つの箱持って揉めてるっぽいし。
そんなこんなで心配してるとアイツらが戻ってきた。箱は1つってとこはちゃんと絞って選んでくれたみたいだな。
「お待たせしましたデース!私たちが選んだのはこれデス!」
「『ガンダムグシオンリベイク』、最新作の鉄血のオルフェンズに出てくる遠距離支援を重点において作られたガンダム。加えて近接戦用追加装備のハルバードセット。」
2人が手に持っていたのは長いライフルで武装したクリーム色のアーマーを持つガンプラと武器セットだった。詳しく説明されてもあんまりピンと来ねえけどさ。とにかく、コイツらが選んでくれた中で、コレが一番アタシに似合ってるんならありがたく受け取ろうじゃねぇか。
「なるほどな、ありがたく使わせてもらうぜ。」
「おお!気に入ってくれたデスか!調の言った通りデス!」
「同じグシオンでも、先輩に似合うのはコッチだと思ってた。」
へえ、グシオンってガンダムは2種類あんのな。もう片方も気になるところだけどそれはまた今度、今はさっさと帰ってガンプラ作ることが先決だな。「あんがと」って礼を言って調からガンプラを受け取った。
改めてみるとこのガンダムはかなり細身なんだな。ガンダムもロボットなんだからゴツいイメージがあったんだけど、コイツは先入観ってヤツだったのか?
アタシがガンプラの箱に目を取られてる間に、いつの間にか切歌の横から調がスッと前に出てきてジーっとコッチを見ていた。
「なんだよ、アタシの顔に何か付いてんのか?」
「...ガンプラバトルしましょう。」
はぁ?いきなりの事で目が点になった。いやいや、急になに言ってんだコイツ。
「クリス先輩はガンプラバトルをする為にガンプラを買いに来たんでしょう?だったらバトルの練習もすべき。」
「おおー!さすが調、よく考えているデス!じゃ、先輩の相手はこの私が引き受けるデース!」
「おいおい!勝手に話を!」
「じゃあ調はクリス先輩のガンプラ作りを手伝って欲しいデース!」
任せてと言わんばかりの笑顔サムズアップで返す調。いやだから、なんでそういう事になってんだよ。アタシは自分で作って自分でバトルの訓練だってしてみせるから!けれどそんなことお構いなく話は進んでいく。しょうがない、付き合ってやるか...
って、そんなわけにはいかねぇだろ!アタシはぶんぶん首を振ってその考えを吹き飛ばす。バトルの練習まで後輩に付き合ってもらう必要はねぇし、何より製作の1から10までぜーんぶ後輩に教わりながらってのは気がひける。やっぱりここは適当な理由つけて断るべきだ。
「悪りぃ、気持ちは嬉しいんだが、今日は遠慮しとく。」
「えー!?なんでデスか?」
「自分の力で作ってみたくなったんだよ、選んでくれてありがとうな。」
そう言ってアタシはその場をあとにする。今回は断わっっちまったけど、あのバカに勝てた暁には絶対相手してやるさ。
...おっと、まだ缶スプレーとか買ってなかったな。急いで買って帰ろう、そんでもって早速ガンプラ作りだ!
第2話「会い戦士(後編完)」
さてさて、後輩たちの誘いを断って自分で作り出したクリスちゃん、果たしてビッキーよりカッコいいガンプラを作る事はできるのか?次回のクリスちゃんは初のガンプラバトル!
次回 第3話「悪魔降臨」
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第3話「悪魔降臨」
この春から晴れて大学生になれました〜!(パチパチ
1年生という事なので慌しくかつ部活の方も多忙になる(はず)なので更新がゆっくりになるかもしれません。
なるべく早めに投稿できるよう努力するつもりですが...今後ともよろしくお願いします。
さて本編ですが、今回のクリスちゃんはガンプラバトルをしに行きます。
普段なら夏を感じさせる日光を気持ちよく感じているのだが、今日はまるっきり逆、その眩しい日光を鬱陶しく思っていた。なんなら今すぐイチイバルで太陽を消したいくらいに。
なんでそんなに不機嫌かって?理由は簡単、ただの寝不足だ。
「ミスった、まさかガンダム如きにあんだけ時間を喰うなんて...」
昨日、家に帰ったアタシは早めに飯と風呂を済ませてからガンプラを作り始めた。確かその時点でまだ7時をくらいだったはずだ。
その後に作り出した。ニッパーでパーツを切り出し、シールを貼って墨入れ、最後につや消しのスプレーを振って完成。雑誌の作り方講座をじっくりと読みながらやったから、本体の製作時間はそんなに掛からなかった。
問題はその後だ、作り終えた快感と初めてみるガンダムに興味を持ったアタシは何を思ったのかグシオンが出る「鉄血のオルフェンズ」を見てみたいと思い、レンタルビデオ店でDVD全巻借りてきた。
さすがに全話とまではいかないが、グシオンリベイクが出てくる所までは見たが、見終わったのが午前4時、おかげさまで随分と睡眠時間が削られたわけだ。
そういう訳で、アタシは側から見れば「目つきの悪いハーフっぽいの女の子」状態でかんかん照りの中を歩いてるってわけだ。
「さてと、確かこの辺りのはずなんだが...」
重たい瞼を擦りながら辺りを見回す。が、あのバカの姿はない。昨日の夜、今日の集合場所と時間を記したメールが届いた。それによれば11時にGミューズ前公園前に集合だったはずだ。今は10時50分、あと10分になっても来ないとはアイツの頭ん中には10分前行動って文字はねぇのか?
さっきからメールが無いって事は寝坊したわけじゃなさそうだな。遅れて来る時は絶対にメールしろって言ってあるし、その点は安心していいだろ。
とにかくまだ着いてないならちょうどいい。さすがに眠気がキツイ、今のうちに少しでも寝ておこう。都会の真ん中にそんな都合よく休憩場所があるわけねぇが、ここは公園だからベンチくらいあんだろ。
探し始めて1分もしないうちに誰も座ってないベンチ木陰にあるベンチを見つけた。やっぱあった。これで一休み出来るだろう。
「あれ、きねクリ先輩?」
「あー本当だー!」
「奇遇ですわね。」
「あん?」
この変なニックネームで呼ぶ奴は...と思って振り向くとそこにいたのは安藤創世、板場弓美、そして寺島詩織の3人。コイツらはアタシの後輩であのバカとつるんでいる3人娘だ。まさかこんな所で会うとは...前言撤回、コイツらに会ったって事は休める事は無いな。
「よお、どうした?」
「弓美がどうしてもガンプラバトルのイベントに出たいって言い出しまして。ビッキーとヒナも誘って一緒に来ようって事になったんですよ。」
「何よ、アニメじゃこういうイベントで生涯のライバルに会ったりするのよ!」
「そうです!出会いは大切ですわ。」
「もう、わかったてば。」
板場と寺島に剣幕に安藤は苦笑いで返している。
なんだ、あのバカコイツらも誘ってたのか?それなら言ってくれりゃいいもんを。
...いや、そういえばあのバカが言っていたな。「弓美に誘われた。」って。なるほど、コイツらの反応から察するにアタシを誘った事をコイツらに言うのを忘れたのか。あのバカほんっとに生粋のバカなのか?
「そういえば雪音先輩はどうしてここに?」
「昨日のことなんだが、あのバカにガンプラバトルとやらのイベントに誘われたんだよ、一緒に行かないか?ってな。」
「そうだったんですか。それならビッキーも言ってくれたらよかったのに。」
「おそらく言い忘れたのでしょう、立花さんらしいですわ。ところで雪音先輩...大丈夫ですか?とても怖い顔をしていますわよ。」
寺島の労りの言葉に「大丈夫だ。」と返してアタシはすぐそこのベンチに腰掛けた。この炎天下の中、寝不足で立ってるのはそろそろ限界だ。
確かにあのバカなら連絡忘れとかしょっちゅうしそうだな。しょうがない...こればっかりは認めるしかねぇ、認めたくないけど。
さてと、ほぼ全員集合したけど肝心のあのバカが来ていない。どうせアイツのことだから寝坊したとか言ってきそうだな。アイツの幼なじみの小日向未来がいないのが何よりの証拠だ。
「んで肝心のアイツは寝坊か?これもアイツらしいっちゃらしいけどな。」
「えっともう来てるはずですけど...あ、いた!おーいビッキー!ヒナー!」
創世が手を振った先を振り返ると、Gミューズの方からあのバカと小日向がこっちに向かって走ってきていた。
「おーいみんな〜!おっはよー!」
「みんなおはよう〜」
アタシらを見つけてよほど嬉しかったのか、あのバカはブンブンと腕がちぎれそうな勢いで手を振りながら走ってくる。横じゃ小日向が小さく手を振りながらあのバカについて来た。
「いやぁ〜、今日も暑いねぇ!絶好のガンプラバトル日和だと思わない?!」
「お前さ、ガンプラバトルは屋内でやるもんだろ?雨でも風でも、例え台風でも関係ねぇだろ。」
「わかってないなぁクリスちゃん、こういう晴れた日にするから気持ちよ〜くできるわけだよ!」
ドヤ顔で語るコイツに若干イラッとして1発ぶん殴ってやろうかと思ったが...後輩たちが持ているから今日のところは笑って見逃すことにした。
******
なんとか全員揃ったから、早速アタシらはイベントが行われる店に移動することにした。先頭は元気よく進む板場だ、にしてもこのGミューズって建物は見事にガンダムばっかの店だな。「ガンダムカフェ」に「マ・クベの壺焼き」「ハロ焼き」「ティターンズ黒おでん」と...わけのわからん店名ばっかだが、かなり客も入ってる事だしそれなりに繁盛しているみたいだ。
けど、あのバカに誘ってもらわなきゃこんなのを一生見ずに過ごしてたんだろうな。
「どうしたのクリスちゃん、何か面白そうなのあった?」
あのバカが興味津々といった様子でこっちを覗いてきた。
「まぁ、それなりにな。」
「そう!よかった〜、今から行くところはこのショップでいちっばん大きいんだよ!」
「これよりまだデカいのがあんのかよ。」
甘いな、アタシは既にデカいガンプラショップを見てるからな。アレよりデカい店なんてそうそうあるもんじゃねぇ、あの店も結構デカい方らしいからな。見て回るのに小一時間かかりそうだったし。
時間といえば、コイツらやけに早く着いてたみたいだな。
「お前ら何時からここにいたんだ?」
「んーと、10時半くらいかな?」
「早過ぎるだろ!てか珍しいな、約束した時はいっつも遅刻ギリギリか遅刻してくるお前が今日に限ってはアタシより早く着いてる。いったいどういう風の吹き回しだ?」
「えーっと...私もそろそろみんなに迷惑かけちゃダメかなーって思って未来に早く起こして貰ったんだ!だよね未来?」
「うん。でも響、いい加減誰かに起こされなくても自分で起きれるようにならなきゃダメだよ?」
このバカはいつも通りの明るさで、いつも通りに小日向に抱きつく。ったく、仲良くすんのはいいけど、公共の場である事を忘れんなよ、あとそういうのは家でやれ。
ってそうじゃなくて、アタシが聞きたかったのはそれにしても到着が早すぎるってことだ。もっかい聞いてみるか。
「みんなー!ここだよここー!」
っと思った時には目的の場所についていた。アタシってほんと話しかけたりするタイミング悪いよな。
店の名前は...Gストアか。店に入ったアタシはまず目を見開いた。まず目につくのは店舗の広さだ、小さめのスーパー位ある店舗に、3つの壁一面にガンプラが積まれている。ワゴンの中には特価のガンプラや新作ガンプラなどで埋め尽くされていた。
「なっ...なっ...!?」
「私も最初に見た時はすごく驚いたけど、何回も来てるうちに慣れちゃったかな?」
小日向もこれを見慣れてるのかよ。いや、もしかしたらこれが普通なのかもしれない。そうだったらほんっとアタシの視野は狭かったんだな...
「これから私と弓美は受付してくるけど、クリスちゃんもどう?」
「んん?そうだなぁ〜」
我ながらわざとらしい受け答えにちょっと幻滅する、そこはちゃんと出るって言えよアタシ!ガンプラもあるしファイターの戦歴を記録するGPベースも用意してきたってさ。
「ま、まぁ見てるだけってのも暇だし、やってやってもいいんだぜ。」
「本当!?いやった〜!」
「雪音先輩も参戦とは...アニメ的に言えば思わぬ伏兵ね!」
アタシのベタな返事もだけど、それに気づかないコイツらもどうなんだよ。いろんなことで頭痛くなってくるぜ。もういいや、変な気を張らずに言うこと言ってきっちりやろう。
「っていうのは建前でな...実は、バトルやる気満々で来たんだよ。その為に色々と用意したしな。」
「そうなの?!...用意したって何を?」
ほんっとこのバカは...よくぞ聞いてくれた!こういうお約束な展開にすると、ちゃんとコイツは答えてくれる。本当にいい後輩だ。
アタシはバックの中に仕舞ってあったポーチを取り出す。これもGPベースとガンプラの両方が入る優れものだ。
「これがアタシのガンプラ!ガンダムグシオンリベイクだ!」
アタシの手に握られてるガンプラ。ガンダムグシオンリベイクを取り出す。
さてここで、アタシのガンプラについて話しておく。コイツは厄災戦時に活躍した72機のガンダムフレームの一機で、元は宇宙海賊「ブルワーズ」に運用されてたんだが、主人公側の「鉄火団」によって鹵獲、鉄火団のパイロットによって運用される事となった機体だ。最初はずんぐりむっくりの燃費の悪い機体だったが、主役機「ガンダムバルバトス」のパーツを使う事でスマートな機体へと早変わりした。
組んだ当初こそのっぺりとした顔とプラスチック特有のテカりに幻滅したが、シール貼ってスミ入れしてつや消しスプレーを振ったら、まさにアニメのグシオンリベイクそっくりになったわけだ。
「ウソッ!?クリスちゃん自分でガンプラ用意してたの?!」
「かっこいいですわ...」
「シールもきちんと貼れてるし、モールドに墨入れだけじゃなくつや消しまで...アニメ的に見なくても初心者とは思えないわ!」
「雪クリ先輩って本当にガンプラ作ったこと無いんですよね?」
「基礎がきっちり出来てる...すごい。」
全員がまじまじとリベイクを見つめている。そんなに言われてらアタシも作った甲斐があったってもんだぜ。それにしても...なんだか照れるな。ガンプラを褒められてるだけなのにアタシ自身を褒められてるような...結構くすぐったい...
「あちゃー、それじゃクリスちゃんの為に買ってきたガンプラ、意味なくなっちゃったね〜。」
「お前...もしかしてその為に朝早く起きて?」
こくんとうなづいたのを見て、ちょっと悪いことをしちまったと思った。まさかコイツがアタシの為にガンプラを用意してるなんて夢にも思わなかった。けれど、そんだけ今日の事を楽しみにしてくれてたって事だし、それだけアタシとガンプラを作りたかった事か。
「ったく、ちゃんと連絡をとらねぇからそういう事になるんだよ。けどまぁ...一応ありがとうって言っておくぜっ!」
「クリスちゃん...よーし!ありがとうって言われたら、なんだか急に元気が出てきた!2人とも行こう!受付終わっちゃう!」
さっきまでの残念そうな顔から一変、いつも通りの元気な顔を取り戻したアイツは一直線に受付と書かれたカウンターに突っ走っていった。
あのバカ!なに1人で先走ってんだ!って叫びを噛み殺して板場と共に大急ぎでアイツを追う。
「おい待てよ!」
「響ったら元気になりすぎ!」
******
なんとか受付を済ませたアタシらは今回もイベントについて説明を受けた後、ガンプラバトルシステムとやらの前で待機しておくよう言われた。
「それじゃあもう一度、今回のイベントバトルについておさらいしますね!
今回はバトルロワイヤルルール、バトル終了時間まで生き残った人と、自分以外の全機を倒した人の勝ちで、撃墜されたり場外になった人はその場で失格になる。
最後に協力プレイと同盟を組むのは参加者の自由ってわけ。アニメ的に言えば、君は生き残る事が出来るか?って感じね!」
「どういう例えかはわからねぇが理解したぜ。それと提案なんだが、3人でチームを組まねぇか?正直言ってガンプラバトルの初心者にバトルロワイヤルはキツイ、ってのが理由なんだが。」
「オーケークリスちゃん!もっと私たちに頼っていいんだよ!」
そう言ってあのバカは目をキラキラさせてアタシを見つめてくる。もちろんアタシはガン無視を決め込むが。
いつもなら「後輩に頼るわけにもいかない」って反対するところだけど、ガンプラに関しちゃ向こうも方が先輩だ。少しばかり頼らせてもらおう。
そして受付が終了し、ついにバトルが始まろうとしている。バトルフィールドってのは六角形の箱みたいなもんだ、ここからプラフスキー粒子ってのが出てバトルフィールドを形成する...らしい。
聞く限りではおかしな話だ、そのなんちゃらスキー粒子ってのがガンプラバトルの爆発エフェクトやビームサーベルの刀身になるらしい。コイツが生まれたのは科学の進歩なのか、はたまた異世界からの技術なのか。どちらにしろ知ってるヤツに聞かなきゃわかんねぇってことだ。
『時間になりました!それでは、バトルシステムを起動します!』
『GANPLA Battle Combat mode Started up!Please set your GP base!』
システムの指示通り、アタシはGPベースをセットする。ベースのディスプレイにはこのシステムを作り上げたヤジマ商事のロゴが出たあと、ファイターとビルダー、ガンプラ名が浮かび上がる。
アタシの場合はファイターとビルダー欄には「Kurisu yukine」ガンプラ名は「Gundam gusion rebake」と出た。
『Beginning plavsky particul dispersal field 1 space!』
今回のバトルフィールドは宇宙、シンフォギア奏者として何回か宇宙にまで行ったことはある。けれど任務だったからどんな風景だったかはそんなに覚えちゃいない。
だからこうやって遊びで宇宙を見ると...めちゃくちゃキレイなんだな、宇宙ってのは...
『Please set your GANPLA!』
システム音声で我に戻ったアタシは急いでガンプラをセットする。するとシステムがグシオンを読み込んでグシオンの目が光る。同時にアタシの周りにホログラムらしきコックピットが現れて目の前に黄色い球体が現れる。確かこれがガンプラを操作するレバーだったはずだ。
『Battle start!』
『クリスちゃん、準備オーケー?』
「ったり前だ!このままレバー押して発進すりゃいいんだろ?」
『違いますよ雪音先輩!バトル始める前の一番大切な事を忘れてます!』
そうだったか?
アタシは改めて受付の人に貰った説明書を開いてみる。けど説明書に書いてあるのはここまでで、あとは発進するだけのはず。
「おいおい、他になにやりゃいいんだよ!」
『それは...ガンプラバトルの醍醐味、発進の掛け声です!』
....はぁ?
アタシは頭の中が真っ白になった。なんだよ発進の掛け声って、要らねぇだろ。
『こんな感じですよ!板場弓美、ガンダムAGE-2トライバレット!いきまーす!』
『さぁクリスちゃんも!立花響、サンシャイニングガンダム!セット、ハーモニクス!』
「あ、あぁ?!」
なんでいちいちこんなもんを?恥ずかしいだろ!けどこれがガンプラバトルのお約束なら...仕方ねぇな!
「ゆ、雪音クリス、ガンダムグシオンリベイク!ぶっ放す!」
カタパルトに乗せられたグシオンリベイクが猛スピードでハッチを駆け抜けていく。満天の星がきらめく宇宙はもうすぐそこだ。
初のガンプラバトルと言ったな、だがあれはちょっとウソだ。
予告詐欺で出撃までとなってしまいました...非力な私を許してくれ...
さて、そんな茶番はさておき。次回こそはちゃんとバトルします!
次回第4話「宇宙に吠える」
細かい事ですが、読み方は「そらにほえる」です(汗
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第4話「宇宙に吠える」
グシオンリベイクが
まだ多くのガンプラが残っている中でグシオンはもう満身創痍だった。いやグシオンだけじゃない、あのバカのサンシャイニングも板場のトライバレットもだ。
まるで長い連戦を勝ち抜いてきたみたいな形だが、バトルが始まってまだ10分くらいしか経ってねえ。
「(それもこれも、全部あのガンプラのせいだ!)」
バトルが始まってすぐ、ビギニングを見つけてバトルをふっかけた。だけどコイツはアタシだけで手に負える相手じゃなかった、だからバカや板場の機体まで巻き込んでバトルを続けていた。
「なんだってんだよ、あのガンプラ....くっ!」
飛び込んできたビギニングガンダムをグシオンハルバートで受け止める。
受け止めた隙に板場のトライバレットのビームマシンガンを放つ。するとビギニングはシールドを外してグシオンをぶん殴った。
「シ、シールドで殴るだとぉ!?」
アタシが体勢を崩した時、ビギニングはマシンガンをかわしてビームサーベルを構えて突っ込んできた。
「ちっ、やらせるもんかよ!」
負けじとグシオンハルバートでビームサーベルを受け止める。
次の瞬間ビームサーベルが消えた。
グシオンハルバートが宙を薙いだ。そしていつの間にかビギニングはグシオンの懐の中にいた。
やられる、ヒヤッとしたモンが背中に走った。
『クリスちゃん!』
あのバカの大声が響いた。そして同時に横からサンシャイニングがこっちに来てるのも見えた。
とっさに操縦桿を引いてグシオンを後ろに下げる。
今は退く、それ以外に考えられない。グシオンをこれ以上傷つかせるわけにいかない、それに初陣で何にもできずに負けるなんてのは真っ平御免だ。
それに後ろから別の敵が来てるとわかれば相手も別の行動に出るはず。そう思っていた。
けど、ビギニングのファイターは退くとわかっていたみたいに突っ込んできた。風を超え、まるで嵐みたいなスピードだった。
「なっ...!?」
すぐにかわそうと操縦桿を握ろうとしたが、指が操縦桿を捉える事はなかった。そこにはもう黄色い操縦桿はなかった。次いで周りのモニターも全部消えていく。
グシオンが
*******
「ひゃあぁぁ....なになんなの、あのビギニング。ものすっごい強かった....」
「お疲れさま響。」
「これくらいでへばってどうすんだよ。
「そりゃそうなんだけど、ほら、ガンプラバトルって頭使うからさ〜、余計に疲れた気分だよ〜.....」
結局、全員あのビギニングにやられ、今はショップからすぐ近くのガンダムカフェとやらで休憩中だ。
今も手の力が抜けないのは、初めてのバトルで緊張してたのかもしれない。
「いやほんと。あのマニューバは全国....ううん世界レベルでも通用するくらいだった。なんであんな実力者がこんな大会に参加してたんだろ。しかもあのビギニング、見た目は無改造だけど、スミ入れとつや消しだけであそこまで性能上がるわけない、ってことは純粋なファイターとしての実力があったってこと....?」
確かにあの動きは凄かった。とっさに盾を投げるとか普通は思いつかない。つまり、よほど戦い慣れてるってことだ。きっとあのファイターもかなり長いことガンプラバトルをやっているんだろう。
「きねクリ先輩、初めてのガンプラバトルはどうでした?」
「え、そうだな....」
楽しかった...と答えるのに詰まってしまう。
だってそう言えば嘘になっちまう、アタシのせいでグシオンを堕としちまったわけだ。それに対する後悔の念は強い。
だけど....
「楽しくは....なかったかな。グシオンの初陣が負け戦だったわけだ。やっぱりアタシにゃ向いてなかったってことだよ。
けど、アタシが作ったガンプラがアタシの思い通りに動いた。負けたのは悔しい、けど宇宙を飛び回るグシオンを見れた。それで充分だ」
そう言ってグシオンを手に取る。撃墜されたけど、別にパーツが折れたり割れたりしたところもなく全くの無傷だった。
本当に無事で良かったと思う。これでパーツの一つでも壊れていたらと思うと....いや、そんなの考えたくねえな。
「ふふ、やっぱりクリスはとってもグシオンが好きなんだね」
「あったり前だ、手塩込めて作ったのはかわいいって言うだろう?」
だからこそ思ってしまう。もうちょっと操縦のテクがあればこいつをもっと活かせたかもしれない。同時に活かせれるように強くなろうと思える。
「じゃあ、改造してみたらどうですか?」
「改造だって?」
そういえば雑誌にも書いてあったな、ガンプラを自分好みに改造して君だけのガンプラを作り上げようって。でもノーマルのグシオンにすら慣れてないアタシにいきなりそういう上級テクは....
「否定なしってのは肯定ってことで!
大丈夫大丈夫、物は試しですよ!早速行ってみましょうって!」
「お、おい!引っ張んなよ!」
そうして半ば無理やり連れて行かれた。もちろん「えー!お昼は!?」って言ってるバカも一緒にだ。
*******
板場たちに連れられてやって来たのはGミューズだ。ここには無料で使える製作室がある。そこでグシオンを改造できるらしい。もちろん渋々顔で付いてきたバカには後で飯をおごるって言っておいた。
「あのなあ、アタシはガンプラバトルを始めたばっかりなんだから無改造のガンプラで慣れておく方がいいんじゃないか?」
「必ずしもそうとは限りませんよ。ちなみに先輩は今日どんなバトルをしようとしてたんですか?」
「質問に質問を返すな。んで、どんなバトルって言われてもなあ。
グシオンは狙撃型だし、アニメみたく狙撃兵って感じか」
「全然ダメですよ先輩!」
いきなりダメ出しを受けちまった。そりゃアニメでしかグシオンの動きは見れないんだから、同じような動きをするのが常識なんじゃないのか?
「いいですか、ガンプラの達人であるメイジンカワグチが言ってました。『ガンプラは自由だ!』と。
ガンダムの原作という名の壁に囚われずに自由にガンプラを作ってもバチは当たらないんですよ!」
「そ、そういうもんなのか?」
「もちろんです!きっとあのビギニングの人も同じですよ!そして、バトルスタイルに合うように改造を施す、それが真の意味でガンプラを大切にするんだと思います!」
なるほど、アタシもノイズと戦う時はイチイバルをその時に応じた形に変えて戦う。それと同じで、アタシがグシオンに合わせるんじゃない、グシオンをアタシに合わせるのか。
「じゃあ改めまして、グシオンリベイクで戦ってなんか戦いづらいな〜って思った箇所あります?」
「そうだな、けど強いて言えば....ライフルが使い辛かったな。リロード遅かったし」
「だったら武器をマシンガンとかの連射タイプのに変えましょう。ここなら改造パーツやガンプラのパーツ販売もやってますから、先輩に合ったパーツがあると思いますよ」
「ふっふーん、それならちょうどイイ物があるんだよ〜!」
そう言ってあのバカはバックの中からガンプラの箱を取り出した。
「ジャーン、ガンダムヘビーアームズ改。これなら改造パーツとしても十分じゃないかな」
「それって今日先輩にプレゼントしようとしてたガンプラ?」
「うん、クリスちゃんが使うならこれしかないって思ったの!でも今のクリスちゃんにはグシオンがあるから、だからこれを改造に役立てて!」
箱絵には2門のガトリングを構えミサイルをぶっ放してるヘビーアームズの姿があった。確かにコイツはアタシのバトルスタイルとそっくりな戦い方をしている。
「ああ、大切に使わせてもらうぜ!」
「よーし、パーツも揃ったことだし作業はじめましょっか!」
『おーっ!』
早速作業が始まった。
まずはヘビーアームズを組み立てる。1人で作ったら小一時間ほどかかるガンプラでもこれだけの大人数で組めばそれほど時間はかからなかった。次に使うパーツを決め、逆にグシオンから取り外すパーツと交換する。
「さて、次は塗装に入りますよ!」
最後に一度分解して買ってきた塗料でグシオンの色を変える。今回は赤をベースに白を差し色ーーちょうどイチイバルと同じような配色ーーに塗り替える
乾いたら塗装を剥がさないよう注意しながら組み立てつや消しのスプレーをふりかけて完成だ。
「うん!これで完成!」
「これが、新しいグシオンリベイク....」
ついにアタシの、アタシだけのオリジナルガンプラが完成した。改造した割に前のグシオンとの変更点は少ない、武器は2連装ビームガトリング、両足のミサイルポッド、そしてマシンガンサブアーム付きのバックパック。ちょいと武器を取っ替えただけの改造なんだがシルエットがまるで違う。前のグシオンは汎用機っていう見た目だったけど、こっちのグシオンは砲撃戦主体って感じだ。
「新しく生まれ変わったグシオン。だったらグシオン
「グシオンリヴァースか....」
グシオンリヴァースを手にとっていろんな角度から見てみる。
さすがアタシのガンプラだ、どんだけ見てもまったく飽きない。ああ、早くコイツを動かしてみたい。そんな時はどうすればいいかなんて答えは簡単だ。
「よっしゃ、ガンプラバトルするぞ!行くぞバカ!」
「もっちろん、行こ行こー!」
さっそくバトルの筐体に向かおうとしたその時ー
「ちょっと待つデース!」
どっかで聞いたことのある声に呼び止められたのだった。
第4話完
さて次回こそ、次回こそはちゃんとバトルします!
そして唐突なのですが次回が最終回デス。はたしてクリスちゃんはグシオンリヴァースでの初ガンプラバトルで勝利を掴めるのか!
次回、戦姫絶唱しないフォギアGP
最終話「クリスちゃん大勝利!新たなバトルへレディゴー!」
.....そこ、ネタバレ次回予告って言っちゃダメ
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