ふぇいと えきせんとりっく! めいど あんど ばとらー! (猫好き猫アレルギー)
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うっかり注意報

FGOのガチャで爆死しまくって、ストレス発散に作りました。
実際にサーヴァントで登場したら、ツッコミ処満載になりそうです。


 私の名前は遠坂 凜。

 ――――――魔術師よ。

 

 私は“ある儀式”に参加するため、魔術を行う。

 

 その儀式とは――――聖杯戦争。

 万物の願いをかなえる「聖杯」を奪い合う争い。

 七人の魔術師が、七騎のサーヴァント(使い魔)と契約し、覇権を競う。

 他の六組が排除された結果、最後に残った一組にのみ、聖杯を手にし、願いを叶える権利が与えられる。

 これがルール。

 

 

 そして、私はこの冬木の管理者として、いえ、遠坂の主として、必ず聖杯を手に入れる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 よし、コンディションは最高!

 時間もバッチリ!

 触媒が手に入らなったのは、残念だけど……。

 でも、呼び出して見せるわ!

 最優のサーヴァント―――セイバーを!!

 

 

 私は宝石に魔力を込めて、呪文を唱える。

 すると床に描かれた魔方陣が輝き始めた。

 

 

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

 祖には我が大師シュバインオーグ。

 降り立つ風には壁を。

 四方の門は閉じ、

 王冠より出で、

 王国に至る三叉路は循環せよ

 閉じよ(みたせ)。

 閉じよ(みたせ)。

 閉じよ(みたせ)。

 閉じよ(みたせ)。

 閉じよ(みたせ)。

 繰り返すつどに五度。

 ただ、満たされる刻を破却する

 ――――告げる。

 汝の身は我が下に、

 我が命運は汝の剣に。

 聖杯の寄るべに従い、

 この意、

 この理に従うならば応えよ

 誓いを此処に。

 我は常世総ての善と成る者、

 我は常世総ての悪を敷く者。

 汝三大の言霊を纏う七天、

 抑止の輪より来たれ、

 天秤の守り手よ―――!」

 

 

 

 

 

 

 ――――よし!手応え有り!

 間違いなく、最強のサーヴァントを召喚出来たわ!

 私はそう確信した筈だった……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――しかし、現実は非情だった……。

 まさか、まさか、ま・さ・か~~~

 あんなサーヴァントと呼び出されるとは、流石の凜も予想しなかっただろう……(合掌)

 

 

 

「……………………あれ?変ね?何で何も出てこないのよ!?」

 

 ――と、叫んだ瞬間。何か大きなモノが何かを破壊したような音がした!

 

「な、何!?」

 

 私は、音がするところにダッシュした。

 そこは普段物置き扱いしている部屋だった。

 扉を開けるとそこにいたのは……………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クックックッ!よもやこの俺を呼び出すご主人(マスター)がいるとはな!だが何も心配するな!貴様にはこの俺がついている!恋に!遊びに!勉強に!任せて安心メイドガイ推参!!」

 

 そこにいたのは、白銀色の仮面で顔の上半分を隠し、エプロンドレスのような衣装を纏った筋骨隆々の大男だった。

 

「………………は、外れ引いたぁぁぁぁぁ!!!」

 

 凜は頭を抱えて絶叫した。

 

 さあ、どうする凜!

 どうなる聖杯戦争!

 多分、いや、絶対カオスになるぞ!

 つーか、何考えてんだ!聖杯!

 何故、よりにもよってこの男を呼び出した!

 

 うっかりにも程があるぞ!

 

「クーリングオフさせてぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 いや、ムリ、諦めろ。

 

 

 

 ――――さあ、頑張れ凜。負けるな凜。明日からは愉悦な日々が始まるぞ♡

 

「始まってたまるかぁぁぁ!!」

 

「クックックッ。続く!」

 

「続くなぁぁぁ!!!」




続きを書くかは未定です。

「おや?困りましたね。私の出番が無いのは大損害ですよ?さあ、私を呼び出してくださる魔術士(マスター)はどなたでしょうか!」

コイツが出たら、更にカオスになるわ!
さて、誰が犠牲になるかな?


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混ぜるな危険!

続いちゃいました……。
割りとノリノリで作りました。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「なんでさぁぁぁ!!!!」

 

 …………えー、なんでいきなり叫び声が?と思いになったでしょう。

 それを説明するには、時を遡る必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――

 

 

 

「……はぁ。最悪だわ」

 

「クックックッ。そこのうっかりご主人! 何を頭を抱えている!」

 

「そりゃね、あんたみたいなのが召喚されたら、誰だって頭を抱えたくなるわよ…………って、誰がうっかりご主人よ!誰が!」

 

「クックックッ。反応が鈍いぞ。無駄な肉の無いご主人!」

 

「無駄な肉って、何よ!? どこを見て言ってんのよ!」

 

「無論!胸部に決まっているだろう!」

 

 凜は無言でガントを乱射した。

 

「……痛いではないか」

 

 白い煙を上げながら、仁王立ちをするメイドガイ。

 

「チッ!無傷か……」

 

(まあ、サーヴァント相手にまともに効くとは思ってなかったけど…………ん?)

 

 首をかしげつつ、ふと思う。

 

「そーいえば、あんた“メイドガイ”って言ってたけど……それがクラス名なの?」

 

「いかにも! どこからどう見てもメイドガイ以外何に見えると言うのだ!」

 

「何がいかにもよ!! 大体、あんたみたいなムキムキマッチョのメイドがどこの世界にいるってんのよ!」

 

 すると、メイドガイはやれやれと言わんばかりに肩をすくめる。

 

「全く、学のないご主人め。マジカルメイド教団には人外魔境に匹敵する生物が山のようにいる!」

 

「どんな教団よ!それは!!!」

 

 何だその人外魔境とは!?

 つーか、マジカルメイドって何!?

 色々とツッコミを入れたいけど、とりあえず一旦流す。

 

「……んで、あんた“メイド”のサーヴァントってことよね?」

 

「ん?少し違うぞ。俺はメイドはメイドでもただのメイドではない。俺は“メイドガイ”のサーヴァントだ!」

 

「だから、メイドガイって何よ!?」

 

「ふん。始めに言っただろう! 恋に! 遊びに! 勉強に! 全て任せて安心メイドガイ!」

 

「どこをどうしたら、安心して任せられるかぁぁぁぁぁ!!」

 

 凜は再びガントを乱射した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ところで、あんたの真名は?」

 

 やはり無傷だったメイドガイに対し、凜は根性入れて気を持ち直す。

 米神はヒクついていたが……。

 

「俺の名か。うむ、コガラシと呼ぶがいい!」

 

「コガラシ? そんな英霊いたかしら?」

 

 一瞬、脳裏に浮かんだのは楊枝をくわえた時代劇の登場人物だった。

 

「その男とは、全くの無関係だ! だが、安心しろご主人! この俺以上にサーヴァントに相応しいサーヴァントはいない!」

 

 サーヴァントの語源は使用人。

 確かにメイドは正しい意味で、サーヴァントだろう。

 しかし……仁王立ちで腕を組み、ふんぞり返る姿を見ると……。

 

 

「どう見ても、サーヴァント(使用人)には見えないわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっはよー! 遠坂さん!」

 

「……おはようございます。藤村先生」

 

「あれ?どうしたの? 目の下にクマが出来ているよ」

 

 それにどことなく、疲れきった表情だ。

 

「……ちょっとツッコミ疲れて……いえ、何でもありません。ちょっとした睡眠不足です」

 

「???」

 

『クックックッ。爽やかな朝にそんな顔をするとは……なんたる無様。だから、メイドガイ秘伝の超絶疲労回復スープを飲めと言っただろう!』

 

(そんな怪しげなスープ飲めるか!)

 

 慇懃無礼な声に凜は心の中で、ツッコんだ。

 ちなみにどういう訳か、メイドガイ-コガラシは霊体化出来ない。どう頑張っても目立ってしまうあのメイド服。その為、離れた処から警護を任せている。

 では、一体どうやって会話を成立させているのか?

 それは、メイドガイの固有(?)スキルの一つである“メイドガイヴォイス”を使用しているからだ。“セイレーンとて裸で逃げ出す七色の魔声”と自称する特殊な発声方法で特定の相手のみに聞こえる周波数の声を出す能力だそうだ。

 このスキルを使って、離れた処からでも会話が可能となっている。

 

 

 

 

 ここは私が通う穂群原学園。

 自主性を重んじる自由な校風を旨としている高校だ。

 そして、彼女はここの教諭である藤村大河。(タイガーではなく、タイガ。タイガーと呼ぶなここ大事)

 

「駄目よ~遠坂さん。夜更かしは美容の天敵なんだから~。今日は早めに寝なきゃ駄目よ。じゃ、元気出してね!……あ、シロー!」

 

 タッタッタッと駆け出していく藤村先生。そこには赤銅色の髪をした男の子がいた。

 

「あ、藤ねぇ」

 

「こらぁ、藤ねぇじゃないでしょ! 学校じゃ藤村先生と呼びなさい!」

 

「ああ、ゴメンゴメン。藤村先生」

 

「よし!」

 

 まるで姉弟のようにじゃれあう二人を見ていると、ちょっと癒された。

 

「おはよう衛宮君」

 

「ああ、おはよう遠坂」

 

 彼の名前は、衛宮士郎。クラスメートの一人だ。

 

『ぬぅこの小僧』

 

『何、どうしたのよ?』

 

『うむ、俺には解る。この小僧………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 根っからの御奉仕人の匂いがする! 今すぐ、メイドガイにスカウトしたいぐらいだ!!』

 

「いたいけな青少年を変態の道に巻き込むんじゃなぁぁぁいぃぃぃ!!」

 

「うぉお!? ど、どうした、遠坂!?」

 

 突然の絶叫に驚く士郎。――と、周囲の人々。

 

「あ、え、あ――――なんでもないわ」

 

 危うく猫かぶりを外すところだった。

 

『全く。ご主人のうっかりスキルには困ったものだ』

 

『誰のせいよ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――すっかり、日が落ちて辺りは闇に満ちていた。

 

 そんな中、私は校庭に出てきた。それには理由がある。

 

(この気配…………間違いないわ!)

 

 それは、他のサーヴァントの気配だった。

 他の生徒達を巻き込まないためにも、この時間まで残っていたのは最良の判断だったようだ。

 

「……いい加減、出てきたらどうかしら?」

 

「ほう。気がついていたか」

 

 私がそう言うと、目の前に蒼いサーヴァントが現れた。

 紅い槍を持っているところを見ると、どうやら“ランサー”(槍兵)のサーヴァントのようね。

 

「さてと、一応確認しておくが……嬢ちゃんはマスターでいいんだよな?」

 

「ええ、そうよ」

 

 私が答えるとランサーは野獣のような笑みを浮かべる。

 

「へぇ、そうかい。だったら、遠慮はいらねぇな!」

 

 槍を構え、攻撃体制を取るランサー。

 

(正面切って、戦うのは無理……! ここは……!)

 

「メイドガイ!!」

 

「呼んだか!ご主人!!」

 

「ふひゃ!?」

 

 呼んだ途端、コガラシは背後からぬぅっと現れた。

 

「心臓に悪い登場の仕方するんじゃないわよ!」

 

「人を呼びつけておいて、随分な言い方だな」

 

「喧しい!」

 

 コガラシに向けて、ガントを一発放つ。ノーダメージだろうけど……。

 

「な……なんだ!? てめえは!?」

 

 ランサーは、突然現れたメイド服の巨漢に思わず後退りをする。

 気持ちは痛いほど解る。

 

「クックックッ。何だだと? 見てわからぬか! どっからどう見てもれっきとしたメイドガイだ!」

 

「どっからどう見たら、解るんだそれ!」

 

 全くもってその通り。

 

「まあ、いいだろう! 貴様にはこの俺自ら世界最高の御奉仕を味会わせてやろう!!」

 

「御奉仕って、何だ! 御奉仕って!!」

 

「クックックッ! 喰らうが良い! エンジェルフォールズ精神破壊悪夢光線!」

 

「って、え、いぎゃぁぁぁぁ!!」

 

 コガラシの両目から、なんだか良く分からない光線は発射された!

 諸に浴びたランサーは、何と言うか凄まじい叫び声を上げた。

 

「~~叔父貴! やめ……! 息荒げて……! うぎゃあぁぁ!! 激辛……! 激辛マーボーはもう嫌だぁぁぁぁ!!! うがががぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「何!? 何の効果があんの!? あれ!」

 

 何だか分からないが、物凄くヤバいモノだと言うことだけ、分かった。

 

 ――――その時だった。

 

「何だ! この声は!?」

 

 校舎から誰かが出てきた。

 しまった! まだ、誰か残っていたの!?

 

「ぬぅ! 敵か! ならば、メイドガイヘアーセンスキャプチャー!!」

 

「ひゃあ!」

 

「え、え、ええ! ちょっ……! まっ……! うわぁぁぁ!」

 

 いきなり、コガラシの髪が伸びて、生き物のように動き、校舎から出た誰かを捕らえた。

 そして、そのまま振り向いたことで光線が“その誰か”に当たった。その瞬間、ランサーは正気に戻り、即座に離脱した。 ……逃げ足早いわね。

 

「ぎゃぁぁぁぁ! い、一成! なんで頬を染めて……!! ぐがぁぁ!! オ、オレにそんな趣味……!! いやだぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「クックックッ! 安心しろご主人! あと数分で精神崩壊を起こし、証拠は隠滅されるぞ!」

 

「――って、やめんかぁぁぁぁ!!」

 

 私は令呪を使い、コガラシを止めた。

 こんなことで、切り札を使うことになるなんて……トホホ。

 

 コガラシの髪を掻き分けて、中の人を確認すると……。

 

「うそ。衛宮君……なんで!?」

 

 ヤ・バ・い! 精神は大丈夫かしら!?

 私は赤い宝石を取り出し、主に精神面での治療をする。

 念入りに! 本当に念入りに!!

 無事に意識が戻ることを祈りつつ、その場を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……う、ううん。ここは?」

 

 あれ? 何でオレ、校庭で寝てたんだ?

 …………駄目だ。思い出せない。――というか、何故だろう? 物凄く、思い出しちゃいけない気がする……!

 オレはとりあえず、家に帰ることにした。

 ――ん? 何だこれ? オレの側に赤い宝石が落ちている。オレはそれを拾い上げ、ポケットに入れて、帰路についた。

 

 

 家に着いたオレは、拾った宝石を見つつ、何故、彼処で寝てたのか? 考えてみたが、やはり思い出せない。

 分かっているのは、この世のモノとは思えない悪夢を見たことぐらいだった。

 ――何故、悪夢だと判るかだって? それは、シャツの湿り気とこの謎の疲労感がそう確信しているからだ。

 

 ――ぴきっ

 

「!?」

 

 結界に反応!? 何だ!?

 すると、頭上から蒼い男が現れた。

 

「な、なんだ! お前!?」

 

「悪いなボーズ。目撃者は消すのがルールなんでな」

 

「目撃…者?」

 

 はて? 何のことだろうか?

 

「ん? あれ? お前、さっき見たこと覚えてねぇのか?」

 

「さっきって? 何を?」

 

「………………………………マジ?」

 

 蒼い男は、やっちまった~みたいな顔をする。

 

「……ワリィなボーズ。覚えてねぇなら、放っとけば良かったんだが…………俺を見ちまった以上、殺さねぇといけねぇんでな。 悪く思うなよ」

 

 ――と、言って槍を構える。つーか、何だ!それは!

 そんなの理不尽にも程があるだろうが!!

 咄嗟に手元にあったポスターの束に魔力を込め、強化し、槍の一撃を防ぐが、そのまま横に薙ぎ払われ、庭に吹き飛ばされる。

 

「くはっ!」

 

「おー意外に頑丈だな」

 

 何とか、立上がり体勢を直すが腹を蹴り飛ばされ、土倉の中に転がる。

 

「くそっ!」

 

 ここまま、何も出来ないままオレは死ぬのか!? 冗談じゃない!オレはまだ、何も成し遂げていない!

 オレは……オレは……!

 

「じゃあな。ボーズ。次はもっと良い人生を送れよ」

 

 オレは……!!!

 

 その時、眩いばかりの光が土倉の中に満ちた。

 

「な、なんだ!?」

 

 光が消え、そこにいたのは………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「呼ばれて飛び出ました。サーヴァント・バトラー。キース・ロイヤル。只今、参上でございます」

 

 そこにいたのは、ゆるいオールバックの銀髪にタキシード姿の執事だった。

 

「なんでさぁぁぁ!!!!」

 

 




感想・誤字・脱字がありましたら、遠慮なくお願いします。

次回、幸運Eの兄貴が色んな意味で大変?

「いや、今回のこれはこれで精神的にしんどかったわ!」

頑張れ兄貴。たぶん、もっとしんどくなる。

「嫌だ!バカヤロ――!!」






剣「私の出番が……」

弓「なんでさ……」


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類は…………

頑張れ兄貴。
としか、言えん。

槍「…………どうしろってんだよ」


「そうあれは……キャプテン・キースとして、大宇宙へ旅立った時でした。突如現れた巨大怪獣キノコ・ナスに襲われたところを草原の様なまっ平らな金髪碧眼の乙女をこよなく愛する神様に救われました。その神様と盃を交わし、次はどのクラスで登場させるかな? と話し合っていましたら、謎のヒロインXに『これ以上、増やすなぁぁ!!』っと妙な魔方陣に投げ入れられ、いつの間にか聖杯戦争に召喚されましたとさ。…………めでたしめでたし」

 

「「どこの昔話だっ!!」」

 

 いきなり始まった謎の回想に俺とボーズは同時にツッコんだ。

 つーか、何だコイツ?

 サーヴァントには、違いねぇだろうが……クラス:バトラーだと?

 …………そんなクラスあるのか?

 

 

「何をおっしゃいますか!? 犬の方。実際に私が存在しているではありませんか!?」

 

「何で心の声が聞こえてんだ! つーか、誰が犬の方だ!」

 

「もちろん、“クランの猛犬”たるクー・フーリン様のことです」

 

「……な!? てめぇ!?」

 

 何故、俺の真名を!?

 すっとぼけた面をして、意外と頭が回るのか!?

 

「ところでスカサハ様はお元気ですか?」

 

「はぁ!? 何で師匠のことを!?」

 

「ハーハッハッハッ。何を隠そう私とスカサハ様とは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ケルト式鬼ごっこ選手権で共に競い合った仲です!」

 

「どんな選手権だ! それは!」

 

 何だ!? 鬼ごっこって……!? 師匠、アンタ一体何やってんだぁぁぁ!?

 

「フッ……あれは、名勝負でした」

 

 遠い目をするな!

 

「決着が着かなかったことが心残りです」

 

「決着……って?」

 

 この場合、どっちが鬼役だったんだ?

 あまり知りたくないが、師匠と引き分けとなるとこの野郎。相当ヤバい奴か?

 

「……まぁいい。サーヴァントとして、召喚された以上貴様は敵として排除させてもらうぜ!」

 

 俺は槍を構え、臨戦態勢を取るが…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ずぅぅぅ~~…………はぁ~やれやれですね」

 

 バトラーはどこからか、座布団と湯飲みを取り出し茶を啜り始めた。

 待てコラ。

 

「うぉいぃ!! 何、茶啜ってんだ! 戦闘中だろうが!」

 

 俺の言葉にバトラーは眉を潜める。

 

「失敬な。忍者とドッチボールをする気はありませんよ」

 

「何の話だそれはーー!! つーか、何してんだ!? てめぇは!」

 

「これは面妖なことを……英国式ティータイムをご存じ無いと? 英国の英霊ともあろうお方が……」

 

「俺はアイルランドの英霊だ! 第一、何処が英国だ! どう見たら英国式に見えるんだよ!?」

 

「ハーハッハッハッ! 何をおっしゃいますか。私が飲んでいるのは紅茶ですよ? 英国式に決まっているではありませんか!」

 

「スタイルが英国じゃねぇ!!」

 

 やってらんねぇ! 何なんだコイツは!?

 この状況下で呑気に茶なんぞ啜りやがって……!

 余裕か? それとも、単なる馬鹿か?

 …………ちっ。考えても無駄だな。

 

「てめぇに付き合ってられん!」

 

 俺は槍に魔力を込める!

 

「その心臓、貰い受ける!」

 

 すると、バトラーは何故か悲嘆な表情をし……

 

「大変申し訳ありませんが、貴方の気持ちには答えられません。何故なら、私には婚約者がいるのです!」

 

 ずべらぐしゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

 

「だ・れ・がぁそんなこと言うかぁぁぁぁ!!」

 

 思わずズッコケてしまった……っ!

 つーか、なんちゅー気色の悪いこと言い出すんだこの野郎!

 

「はて? 心臓(ハート)を貰い受けるのでは?」

 

「違うわい! 命貰うってんだよ! このウルトラド阿呆!」

 

 きょとんとした顔で言ってんじゃねぇぇぇぇ!

 

「~~いいから、とっとと表に出やがれ!」

 

「やれやれ。仕方ありませんね」

 

 バトラーは渋々、土倉から出てきた。

 

「では、貴方が勝ったら新たな婚約者として認めましょう!!」

 

「いらんわ!」

 

 ぶっ殺す! マジでコイツはぶち殺す!

 

「死にやがれ! 刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)!」

 

 俺は渾身の魔力を込め、槍を放つ!

 

 ーーーーしかし、

 

 ぐにゃん

 

 バトラーに当たる瞬間、槍が逸れた…………………………

 何でだぁぁぁ!!!

 

 ここで、もしゲイ・ボルグが会話することが出来たら、こう言っていただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『こんな変態の心臓は嫌』

 

 ーーーーっと。

 

 

 

「何でだゲイ・ボルグ! 何で逸れたんだ!!」

 

 意味わかんねぇ! どうなってんだこれ!

 

「フッ!これぞ執事の人徳です!」

 

「んな訳あるかぁぁ!!」

 

 頭を抱える俺の脳裏に野太い声が響く!

 

 

 

 

 

「クックックッ! 相変わらずだな! 我が宿敵(友)キース・ロイヤル!」

 

 その声は、メイドガイ!

 俺は声がする方に目を向ける。そこには…………………………………………

 

 

 

 

 土倉の屋根の上から身を乗り出し、犬耳を身に付け、凶悪な笑みを浮かべたメイドガイがいた。

 

 

「な、なんだ!? その格好は!?」

 

 はっきり言って、不気味だ!

 

「クックックッ! これぞ“メイドガイドッグ・トランスフォーメション”! 今の俺は犬と同化! つまり、犬科の貴様を追うには最も適した姿だ!」

 

「誰が犬科だ!!」

 

 ブルータスお前もか!? どんだけ人を犬扱いすりゃ気か済むんだよ!

 

「うむ。流石ですねガイ殿。お見事です」

 

 バトラーは何かよく分からんことで、感心してやがる。

 ーーーーん?

 

「て、てめぇら知り合いか?」

 

 俺が問い掛けると、二人は顔を合わせ……

 

「キース・ロイヤルは……」

 

「ガイ殿は……」

 

「「同じ御奉仕の道を行く同志(だ)(です)!」」

 

 類は友を呼ぶのかよ!

 もう耐えられん!

 俺はここから撤退する!

 敵前逃亡と罵りたければ、罵りやがれ!

 ここにいるのはもう嫌だぁぁぁぁ!

 

 




槍「ここの作者は俺に恨みでもあんのか!?」

いや、弄りやすいので……つい

槍「ついで、人を不幸にすんな!!」

剣「出番があるだけいいじゃないですか」

弓「我々に出番はあるのか?」

………この作品に出たいの?

剣・弓「「…………いや、無理」」

さあ、次の犠牲者は誰かな?

三騎士「「「犠牲者!?」」」

お楽しみに~~!

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サーヴァントの設定 (内容一部変更しました)

メイドガイとキースのサーヴァント設定です。
某サイトの書き方を参考にしました。


【CLASS】メイドガイ

 

【マスター】遠坂 凜

 

【真名】コガラシ

 

【性別】男性

 

【身長・体重】

推定200㎝前後・?㎏(原作読む限り、0㎏)

 

【属性】

秩序・善・人外?

 

【ステータス】

筋力 A 耐久 C 敏捷 A 魔力 D 幸運 EX 宝具 EX

 

【クラス別スキル】

御奉仕の心得:EX

いかなる時でも、主人が望まなくても、御奉仕するスキル。

EXは正に最高ランクの御奉仕を提供出来る。

但し、やってる本人は真面目だが、マスターにとっては傍迷惑になるかも?

 

 

【固有スキル】

メイドガイ108のスキル:A+

色々有ります。無自覚のセクハラスキル多数あり。

 

 

【宝具】

『メイド神の祝福(Blessing in God of maid)』

ランク:EX 種別:ギャグ補正宝具 レンジ:? 

最大捕捉:1人

例え、死んでも御奉仕の心が有る限り生き返る。

蘇生制限はなく、何度でも復活可能。

但し、受けたダメージが大きいと蘇生まで時間がかかる。

 

『仮面のメイドガイ』

ランク:EX 種別:固有結界 レンジ:1~1000 

最大捕捉:1人~1000人

周囲を強制的に“仮面のメイドガイ”の世界にしてしまう固有結界。メイドガイが存在するだけで、ギャグの世界に変えてしまう。

そして、結界内にいる者は問答無用に残念属性になる。

 

【キャラ説明】

メイドが登場する作品の中で、恐らく最強の存在。年齢不詳だが、原作読む限りでは大正時代から存在が確認されている。しかも、驚くことに妻帯者だった。常時仮面を着けている為、素顔は不明。

霊体化出来ない理由としては、単に生きているから出来ないだけ。

聖杯に望みはなく、ご主人に御奉仕することのみが生き甲斐……と、書くと立派な人物みたいなんだけどね。

恋に! 遊びに! 勉強に! 任せて安心メイドガイ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【CLASS】バトラー

 

【マスター】衛宮 士郎

 

【真名】キース・ロイヤル

 

【性別】男性

 

【身長・体重】

174㎝・58㎏(某サイトでの情報です)

 

【属性】

混沌・中立・人外

 

【ステータス】

筋力 C 耐久 EX 敏捷 B 魔力 B 幸運 EX 宝具 EX

 

【クラス別スキル】

執事の技能(変態):EX

説明不要。だって、キースだからね。

 

 

【固有スキル】

魔術:C

“魔術士オーフェン”の世界では、ウィールド・ドラゴン種族の血を引いていないと使えないはずなんだけど、執事だから使えるそうだが……まあ、キースだからね。

 

忍法:C

何故、使えるのかは不明。まあ、キースだからね。

 

外洋航海術:B

“魔術士オーフェン”の世界では、すでに失われた技術。どこで覚えたんだ? まあ、キースだからね。

 

【宝具】

『人知を越えた非常識(Ridiculousness beyond human intelligence)』

ランク:EX 種別:固有結界? レンジ:1~1000 

最大捕捉:1人~1000人

キース・ロイヤルと言う存在そのもの。

さよなら常識。まあ、キースだからね。

 

【キャラ説明】

『無謀編』の不条理と言う名の代表。来歴、家族関係、能力、思想、目的の全てが謎。物理法則はどこ行ったと言わんばかりな行動。

非人間部門において堂々の一位を飾っている。まあ、キースだからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

…………混ぜるな危険な悪夢コラボ降臨。

上記の2人が知り合った経緯は、本編で説明します。

 

 




本編は次回から再スタートです。


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黒幕決定

だ、誰か、私にガチャ運を…………


「そうあれは……キャプテン・キースとして、大宇宙へ旅立った時でした。突如現れた巨大怪獣キノコ・ナスに襲われたところを草原の様なまっ平らな金髪碧眼の乙女をこよなく愛する神様に救われました。その神様と盃を交わし、次はどのクラスで登場させるかな? と話し合っていましたら、謎のヒロインXに『これ以上、増やすなぁぁ!!』っと妙な魔方陣に投げ入れられ、いつの間にか聖杯戦争に召喚されましたとさ。…………めでたしめでたし」

 

「なんで、回想再び!?」

 

 前回と全く同じ内容にオレは思わずツッコミを入れる。

 

「クックックッ。繰り返しのネタは鉄板芸だからな!」

 

 繰り返しのネタって、何だ!? 意味の分からない言葉にオレは困惑する。

 

「落ち着きなさい衛宮君。こう言う連中に何を言ったって無駄よ」

 

 遠坂……額に青筋が見えるのは気のせいか?

 しかし、まさか遠坂が現れるなんて思いもよらなかったな。

 オレはさっきの出来事を思い返していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クックックッ。久しぶりだなキース・ロイヤル!」

 

「全くです。ガイ殿。あの時以来ですね」

 

 あの時って? バトラーと会話している奴は誰なんだ?

 何でかな? あの姿を見ていると、何故か冷や汗が止まらない……!?

 

 

「そう、【岬の楼閣】と【メイド・キングダム】との第五次御奉仕大戦、『いやん、ご主人様そんな……』でお会いした以来ですから……」

 

「どー言う出会い方よ! それは!?」

 

 バトラーの訳の分からない台詞に何処からかツッコミの声がした。――って、今の声は…………。

 

「遠……坂……?」

 

 暗闇から現れたのは、クラスメートの遠坂だった。

 遠坂は何だか、微妙な顔をしている。

 

「衛宮君……無事だった? “色んな”意味で無事だった?」

 

「一応、無事だか……何だ? その念の入れようは……?」

 

「ううん。いいの。何ともないなら、いいわ(あの時のこと、覚えていないようね。忘れていた方が、幸せでしょうし……)」

 

 …………どう言うことなんだろう? 何か嫌な感じがするが…………やめよう。思い出すと何故か不幸な気がする。

 

「衛宮君。貴方はある儀式に巻き込まれてしまったのよ」

 

「儀式……?」

 

 そうと頷く遠坂。…………ある儀式って、一体?

 

「それについての説明は、お茶を入れてからしましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、説明させてもらうわね」

 

 バトラーの回想を無視して、遠坂は話を始めた…………………………。

 

「……と言うわけよ。分かったかしら?」

 

 色々すっ飛ばしたような気がしたが……オレはとりあえず頷いた。

 

「それじゃあ、行きましょうか?」

 

「行くって、何処へ?」

 

「監督役の所よ。早いところ、契約破棄をした方がいいわよ。特にこんな訳が分からない変態執事とは、縁を切った方が得策よ」

 

 変態執事…………うん、反論出来ないな。

 

「ハッハッハッ。誉めても何も出ませんよ!」

 

「一個も誉めてないわよ!」

 

 嫌みを言われても、スルーとは…………こいつのメンタルはどうなっているんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは……教会じゃないか?」

 

「そうよ。聖堂教会。ここにいる奴が監督役なのよ。そして、私にとっては兄弟子に当たる奴がいるの」

 

 オレ達は中に入る。すると、そこには1人の男が待っていた。

 

「ようこそ、聖堂教会へ。そして……初めまして、新たなる7人目のマスターよ。私は言峰 綺礼。今回の聖杯戦争の監督役を勤めている」

 

 服装からして、ここの神父のようだ。しかし、身に纏う雰囲気が只者とは思えない。この雰囲気は、そう……

 

「初めまして、黒幕殿。クラス バトラー。キース・ロイヤルと申します。以後、よろしくお願い致します」

 

 そう、黒…………はぁ?

 

「お、おい! バトラー! いきなり、何を言い出すんだ!?」

 

「クックックッ。初めましてだな神父! 俺の名はメイドガイ! うむ。確かにどう見ても黒幕だな!」

 

「アンタも何言い出すのよ!」

 

 バトラーとメイドガイの発言に言峰の米神がひくついて見える……。

 

「おやおや? 士郎様。不思議なことを仰いますね? この方はどう見たって………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 頂戴した剣で人の背中をブッスリ! と刺すような方では、ありませんか?」

 

 とんでもない事を言い出しやがった! 下手すると、名誉毀損で訴えられるぞ!

 

「クックックッ! 恐らく、人の不幸で悦び、自分の不幸でも悦ぶ性質を持っていると見える! 実に悪趣味!」

 

 こっちはこっちで、更にとんでもない事、言い出したー!

 

「相談を持ち掛けた相手を騙し討ちしたあげくの果てに大事なものを奪っていくのも得意そうですねぇ」

 

 バトラーとメイドガイはお互いに顔を合わせ、同時に神父を見る。

 

「「外道の上に性格破綻者。間違いなく、ラスボスに違い(ない)(ありません)! そう、それは正しく、(キース・ロイヤル)(私)と似た性質を持っている!」」

 

「「お前と同類扱いかぁぁぁ!!」」

 

 て言うか、いいのか!? バトラー! とんでもない言われようだぞ! お前はそれでいいのか!?

 それにメイドガイ! お前、仮にも知り合いに対してそれか!? そんな扱いなのか!? 第一、見た目的には、お前も十分変態だ!

 

「…………一緒にするな」

 

 あ、さすがに言峰もキレ気味に見える。

 そりゃそうだ。ここまで、言われたらどんな温厚な人間も怒るに決まっている

 

「………………何故です?」

 

 すっきょっとんな顔をするバトラー。自覚ないのか!?

 

「……衛宮君。悪いことは言わないわ。こいつとは縁を切った方がいいわよ」

 

 遠坂……声がマジなんだが……。

 

「衛宮?」

 

 あ、そういえば名乗ってなかったな。

 

「ああ、オレの名は衛宮 士郎だ」

 

「………………」

 

 名乗った途端、言峰は俺の顔にじっと見る。

 

「オレの顔に何かついているか?」

 

「……いや」

 

 何だ? 一体?

 

「お気をつけて下さい。士郎様、この方はどうやら………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少年趣味をお持ちのようです!」

 

「断じてない!」

 

 ………………。

 

「衛宮 士郎。何故、下がっている?」

 

「いやなんとなく」

 

「生憎、そんな趣味は持ち合わせていない」

 

 ………………。

 

「本当にないからな!」

 

 そんな力強く、言わなくても…………。

 

「クックックッ! 念を押すとは、ますます怪しい奴め!」

 

「怪しさの濃度は、アンタらの方が上よ!」

 

 全くもってその通り! しかし、出会った頃から気になっていたけど………………。

 

「「………………」」

 

「ぬぅ? 衛宮 士郎ついでに神父。何、人の顔を見ている?」

 

「「いや、別に」」

 

 やっぱり、何処かで聞き覚えがある気がする。

 どこでだろう?

 

「さて、衛宮 士郎。これからどうする?」

 

「どうするって……?」

 

「ここでこの変態……いや、バトラーと契約を破棄するか、それとも………契約を続行し、聖杯戦争に赴くか?」

 

 バトラーは完全に変態認定か…………。まあ、その通りなのでスルー。

 そして、オレの答えは決まっている。言峰はそんなオレの目を見て、にやりと笑う。

 

「喜べ少年。君の望みはようやく叶う」

 

 そう、オレの答えは…………。

 

「立派な執事となって、執事王になることです!」

 

 そう、執事王に……って、

 

「ちがぁぁぁう! なんでさ! なんで執事王なんだよ!」

 

「おや? 違いますか?」

 

「違うに決まっているだろう!」

 

 何を言い出すんだ! この変態執事!

 

「クックックッ! その通り! それは間違っているぞ! キース・ロイヤル! こやつは………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺と共にメイドガイとして、御奉仕するのだ!」

 

「そうそう御奉仕…………なんでさぁぁぁ!!」

 

「いい加減しろぉぉぉ!!!!!」

 

 教会内に遠坂の魔術が炸裂した。 なんで、オレまで…………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「ひどい目に合った…………」

 

 結局、ダメージを受けたのはオレだけでバトラーもメイドガイも無傷だった。

 

「うっさいわね。良いでしょ別に。大したことないんだし……」

 

 そっぽむく、遠坂。少しぐらい反省しろよ。

 

「色々と世話になったな。ありがとう遠坂」

 

「ああ、いいのよ別に。責任取りたかっただけだし……」

 

「え? 責任?」

 

 オレが聞き返すと、遠坂はハッとして…………。

 

「ううん! なんでもないわ! なんでも……」

 

 何か隠しているようだか? 聞かない方が良さそうだ。

 

「それじゃあ、サービスはこれまでよ。ここからは敵同士よ」

 

 …………敵同士。そうだ、遠坂にも遠坂の目的がある以上、オレとは…………けど、

 

「遠坂……おれは……っ!?」

 

「……っ!? なに!?」

 

 何だ!? 急に空気が重くなった!

 

 

 

 

 その時、背後から足音がした。振り向くとそこには、まるで、雪のような少女がいた。あの娘は……昼間の!?

 

 

 

 

「こんばんは、お兄ちゃん。こうして、逢うのは二度目だね」

 

 少女は優雅にお辞儀をする。

 

「初めまして、リン。私は「おや? イリヤ様では、ありませんか?」 そう、イリヤ…………え?」

 

 少女は驚いた声で顔を上げる。

 そして、信じられないと言った表情をしていた。

 

「え、え、ええ! キ、キース・ロイヤル!? どうして、貴方がここに!?」

 

 

 ………………って、知り合いなのかよ!?

 




さあ、まさか、まさかの再会!
果たして、キースとイリヤはどう言った関係なのだ!

剣「そんなことより、私の出番は!? Fateの顔である私の出番は!?」

次回に続く!

剣「無視ですか!? 作者もあの外道と同類ですか!?」


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世の中は意外と狭いもの

ああ、変態執事に関わるとどんな悲劇も喜劇になるな。
この小説、執事とメイド、どっちがメインかわかりにくいな。
まあ、どっちがメインでも犠牲者は変わらんけどね。


「お懐かしい。目を閉じれば、あの時の思い出が甦ります…………そう、イリヤ様のベッドに描かれた世界地図を!!」

 

「やめてぇぇぇぇ!! 忘れてぇぇぇ! 綺麗に忘れなさいぃぃぃい!!」

 

 多分、私の顔は真っ赤な顔をしていると思う。ベッドに描かれた世界地図…………ああ、思い出したくない! あの悪夢の日々……!

 その時、私はシロウ達の生暖かい視線を感じて、ハッとする。

 

「ないからね! ベッドで世界地図なんて、描いていないんだからね!」

 

 …………やめて、露骨に目を逸らさないでプリーズ。

 

「おい、バトラー。あの子と知り合いなのか?」

 

 シロウが目を逸らしつつ、問い掛けるとキースは如何にもって、言わんばかりに頷く。

 

「あの方の名前は、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。かつて、お世話をしました主人のご息女です」

 

 ……お世話をしました!? メーワクしか、掛けられていないわよ!?

 

「アインツベルンですって!?」

 

「知っているのか?」

 

 驚愕の表情をするリン。それもそうよね。

 

「ええ。アインツベルンと言えば、聖杯戦争の成り立ちから関わっているうちと同じ御三家の一つよ」

 

 そう、私はアインツベルン。お祖父様の命令で、聖杯を手に入れるために日本にやって来たの。

 そして、私の目的はもう一つある。それは…………。

 

「…………?」

 

 あら、いけない。つい、シロウをジッと見てしまったわ。

 そう、エミヤ シロウ。私のもう一つの目的。

 彼は私の…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イリヤ様は、衛宮切嗣様の実の娘でございます。ーーですので、士郎様の義理の姉君に当たるお方です」

 

「え? …………えええ!! 切嗣の!?」

 

 驚いているわねシロウ。

 そう、シロウは私の………………って、

 

「何、アッサリとバラしているのよ! 大体、どうして貴方がここにいるのよキース!」

 

「面倒さい伏線を引くよりは、あっさりとバラした方が楽ですからねぇ。それと今の私は士郎様の執事(サーヴァント)として、士郎様を立派な執事へと導く為にいるのです!」

 

 執事!? シロウが……!?

 …………ダメよ! シロウがあんな執事になるなんて、絶対ダメよ!!

 シロウは……シロウは………………………………

 ………………私の執事になら、いいかも?

 

「ちょっと、イリヤスフィール。今、何を、思ったの?」

 

 ハッ! そうだったわ! 私は、私を裏切った切嗣の代わりにシロウを苦しめる為に来たのよ!

 

「ん? ちょっと待てよバトラー!」

 

「おや? 何で御座いましょうか士郎様?」

 

「あの子、どう見たってオレより年下だぞ! それが何で姉になるんだ!?」

 

 …………シロウの疑問はもっともね。今の私は、どう見たって、シロウより年上には見えないわ。

 

「あーーそれはですね。シロウ様の嗜好に合わせて、合法ロリ姿をされておられるのです」

 

 そう、シロウの…………って、え? 何? シロウ、そんな嗜好があるの……っ!?

 

「オレにそんな嗜好はない!!」

 

 キースは、信じられないと言った顔をする。

 

「何故です?」

 

「当たり前だぁぁぁ!!」

 

「――と言うより、合法ロリって、何よ! 合法ロリって! 失礼な事、言わないでよね! そんな理由でこんな姿している訳じゃないんだから!」

 

 そうよ! 自分から望んでこの姿でいる訳じゃないわ!

 私には、どんなに望んでも、成長する事なんて、出来ない……!

 

「それでは、こちらはどうですか?」

 

 キースは何かを取り出した。アレは…………何?

 

「おい、バトラー。何だそれ?」

 

 見た目は、どう見たって、オモチャのハンマー(通称 ピコハン)。

 

「これは、“あるもの”と引き換えに叩いたものを大きくする魔性のアイテムです!」

 

 そんな、アイテムがあるの!? それがあれば私、大きくなれるの!?

 

「ねぇバトラー。それって、何でも大きくできるの?」

 

 あら? リンも興味があるの? …………もしかして?

 

「ご主人、無駄なことは止めておけ。それで叩いても、貴様の乳房はデカくはならん!」

 

「喧しいぃぃ!!」

 

 あ、リンの魔術(アレはガントかしら?)が変なメイド男(変態?)に炸裂した。

 

「……痛いではないか」

 

 むくっと、無傷で立ち上がる変態。割りと耐久性は高いようね。見たところ、リンのサーヴァントかしら?

 …………ん? あら? 何故かしら? 何処かで聞いたことがある声ね?

 

「五月蝿いわね! 余計なお世話よ! 第一、私は胸のサイズなんて、気にしたことないんだからね!」

 

 …………どう見ても、気にしているようだけど?

 

「…………」

 

「何よ衛宮君。何を、見て、いる、の?」

 

「い、いや、別に! なんでもない!」

 

 残像が出来るぐらい首を振るシロウ。まあ、ムリもないけど……。

 

「ついでに言っておくぞ! そのハンマーで叩いたところで肉体の成長はない!」

 

 …………え? 何?

 

「……キース、どういう事なの?」

 

「はい、イリヤ様。これで叩くと、あら不思議。巨大怪獣サイズになれるのです!」

 

 …………はぁ!?

 

「え、どう言う意味?」

 

 私が聞き返すと、キースはまるで算数が理解できない子供を見るような目で見つめてくる。なんか、イラっとするわ。

 

「仕方ありませんね。もう一度、説明します。これで叩かれたモノは、ゴ○ラサイズになれるのです!」

 

「なりたくないわよ! そんなサイズ!!」

 

「……何故です?」

 

 キョトンとしないでぇぇぇ!

 

「私がなりたいのは大人になりたいであって、怪獣になりたいわけじゃないわよ!」

 

 キースは、ハッとし、懐から大きな箱を取り出した。どーやって、そんなサイズのもの入れてたのよ!

 

「そうでしたか……イリヤ様、申し訳ありません。これはお詫びの品でございます」

 

 そう言って、箱を渡してきた。

 

「イリヤ様にピッタリの品でございます」

 

 一礼するキース。

 何かしら、これ? 私は箱を開けてみる。

 

「………………………………何よこれ?」

 

「ハーハッハッハッ! 勿論、イリヤ様にお似合いの…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……体操服でごさいます!」

 

「お詫びする気あるのーー!? 無いでしょ!! 絶対、悪いと思っていないでしょ!?」

 

 もう、頭にきた!! シロウよりも先にこいつを殺す!

 私はそう決意をし、サーヴァントを呼ぶ!

 

「来なさい! “セイバー”!!」

 

「…………心得た。マスター」

 

 




弓「ん? おい、作者。バーサーカーはどうした?」

バーサーカーは犠牲者にするには、キャラ的にイマイチ。基本的、喋らないし……。あまり、不幸にしたくない。

槍「俺ならいいのか!?」

剣「フッフッフッ! ようやく、私の出番ですね!」

さて、ヘラクレスの代わりに登場したセイバー。
一体、何セイバーか!?

剣「え? 私ではないのですか!?」

次回、まさか、まさかのサーヴァント登場だぁぁぁ!!

剣「私は!?」


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そこまでよ! 変態ども!

一応、この作品のサーヴァントは基本的すでに名前が出ているサーヴァントしか出てこない予定です。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 セイバー!? セイバーですって!?

 イリヤスフィールの声で、現れたのは灰色長髪で肌の色は黒く、胸元と背中が大きく開いた鎧に身を包んだ長身の青年だった。

 その背中には、大剣を背負っている。

 ――間違いない! セイバーのサーヴァントだわ!

 くぅ、私が引き当てたかった!

 こんな、こんな、こんな変態よりもセイバーが欲しかったぁぁぁぁぁぁ!!

 

「何、身悶えているご主人! 今は、敵と相対している時だぞ!」

 

 ハッ! そうだったわ! 今は後悔している時じゃなかったわ!

 向こうは1体、こっちは2体のサーヴァントがいる!

 数的には有利!

 私はチラッとバトラーを見る。

 ………………こいつ、戦力になるのかしら?

 どう考えても執事が戦闘するイメージが湧かない。

 

「いやはや、困りましたね。それでは、士郎様。レッツファイト」

 

「待たんかい」

 

 何、言い出すのよ! このサーヴァント!?

 

「如何なされましたか? 凛様?」

 

「如何も案山子もないわよ! アンタ、戦わないつもり!?」

 

「はて? 私は執事ですよ。執事は戦うモノではありませんよ?」

 

 いや、そうかもしんないけど!

 

「だからって、マスターに戦わせてどうすんのよ!」

 

 私の言葉にバトラーはやれやれと言った表情をする。何処と無く、ムカッとくるわね

 

「凛様。今時、戦わないサーヴァントなんぞ珍しくもありませんよ! これは、常識です!」

 

「どこの世界の常識よ!」

 

 あり得ないわ、戦わないサーヴァントなんて……!?

 

「勿論、型月界での常識です!」

 

「だから、どこの世界よ! それは!!」

 

 意味わからんわ! 大体、そんなサーヴァントいるか!?

 

「兎に角、アンタが諸悪の根源なんだから、責任取んなさいよね! 責任!」

 

「そんな……それでは、まるで私がイリヤ様を怒らせたようではありませんか!?」

 

「「「元凶はお前だぁぁぁぁ!!」」」

 

 メイドガイとセイバーを除く、全員からの同時ツッコミが炸裂した。

 

「……何故です?」

 

 うわぁ、自覚なし。いや、こいつのことだから、態とかも?

 

「セイバー! 他の連中はどうでもいいわ! 油断なく、躊躇いなく、あの変態執事を八つ裂きにしなさい!!」

 

「……了解した。マスター」

 

 くっ! 不味いわね、この変態執事はどうでもいいけど、衛宮君はどう見たって、戦えないわ!

 こうなったら、仕方がない!

 

「衛宮君! ここは引くわよ!」

 

「え! でも、遠坂……!」

 

「敵の狙いはあの変態執事なんだから、あいつを囮にして、逃げるわよ!」

 

「それは、人としていいのか!?」

 

「変態執事だからいいのよ!」

 

 あいつだって一応、サーヴァントなんだから、何とかするでしょ!

 そうこうしている内にセイバーが大剣を抜いて、構えている。

 しかし、何故か攻撃をしてこない。何かの作戦かしら?

 というより、何やら戸惑っているようね?

 

「ちょっと、どうしたのよセイバー! 何で攻撃しないの!」

 

「……いや、取り込んでいるようなので待った方が良いかな? と思ってな」

 

「待たなくていいから、攻撃なさい!」

 

「……すまない。マスター」

 

 …………どうも、生真面目なサーヴァントみたいね。

 ――というか、気を使い過ぎ。

 

「では、いくぞ」

 

 セイバーが大剣を振り翳す。刃の先には、バトラーが!

 ――しかし、当たる寸前でバトラーは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「危なぁぁぁぁぁいぃぃぃ! 士郎様ぁぁぁ!!」

 

「……え、ちょ、のわぁ!?」

 

 バトラーは衛宮君の襟元を掴み、セイバーの前に放り込んだ! …………何、やってんのよぉぉぉ!?

 

「…………っ!?」

 

 バトラーのとんでもない行動に驚くセイバーは、咄嗟に大剣を止める。はらりっと、前髪が何本か落ちるけど、とりあえず衛宮君は無事だった。……ナイスファインプレイ!

 

「な、な、な、何をするんだバトラー!」

 

「そうよキース! シロウが真っ二つになるところだったじゃない!」

 

 衛宮君は分かるけど、何で敵であるイリヤスフィールまで文句を言うのかしら? 貴女、衛宮君を殺しに来たんじゃないの?

 二人に文句を言われ、バトラーはしれっとした顔で一言。

 

「……と、このように前に飛び出すとあぶのうございますよ」

 

「「「お前が一番危険だぁぁぁ!!」」」

 

 メイドガイとセイバーを除く、全員からの同時ツッコミが再び炸裂した。

 なんて事なの!? 目の前にいるセイバーより、こいつの方がよっぽど危険じゃない!?

 

「アンタ、人としてやっていい事と悪い事の区別もつかないわけ!?」

 

「ぬぅ、キース・ロイヤルを囮にしようとしたご主人も人のことは言えん気がするが……」

 

「うぐっ! う、うっさいわね! 私はいいのよ! 私は!」

 

 ……ううっ、嫌な目線を感じる。こーなったら…………!

 

「メイドガイ! セイバーはバトラーに任せて、マスターをどうにかするわよ!」

 

「クックックッ! 良かろうご主人! 我が力、存分に思い知らせてやろう!」

 

 私の言葉にメイドガイは気合いを入れる。言ってて、何だけど何か怖い。

 

 

 キュイイィィィ

 

 

 何、何の音? これ?

 

「ホホウ。小娘のくせになかなかいい下着を着けている。材質はシルク」

 

「ひぃ!」

 

「ちょ、ちょっと! 何をしてんのよ!」

 

 いきなりとんでもないこと言い出した!

 メイドガイの発言にイリヤスフィールは青ざめているし……そりゃそうだ!

 

「うむ。年の割には未発達だな。左太股に変わった形の黒子を確認。更にスキャンを続行……」

 

 スキャンって、何ぃぃぃ!!

 

「ちょっと、メイドガイ!? 未発達って、何見てるんのよ! 未発達って!」

 

「常に観察を怠らず、常に細やかな気配りを、メイドガイたるものそれが常識よ! ククク。このメイドガイの観察力は常に全力フルスキャン!!」

 

 つ……常にって……!?

 

「冬だと思って、油断したご主人の乳房の虫刺されもかかさずチェック。それがメイドガイ・クオリティ!!」

 

「何で私まで観察してんのよ! この変態!!」

 

「身長133cm 体重34kg。スリーサイズは上から、B61.W47.H62……」

 

 止まることがないメイドガイのスキャンにイリヤスフィールは…………

 

「い、いやぁぁぁぁぁ!! 変態! 変態! 助けて、お母様! メイド服着た変態に汚されるぅぅぅ!!」

 

 ついに泣き出した。

 うん、分かる! 私だって、同じことされたら泣く! 絶対、泣く!

 

「ぬぅ。しかし、下着の洗い方がなっておらんな。…………小娘! 今すぐ、洗い直してくれるわ! 脱ぐがいい!!」

 

 いくらなんでもこれは完全にヤバい!

 

「ちょっとメイ「そこまでよ!コガラシさん!」……え?」

 

 誰よ! 人の台詞に被せてきたのわ!

 声の主を探すと、街灯の上に竹刀を持った剣道着の女の子が立っていた! 誰なの!?

 

 

 

 

「幼気な少女を毒牙にかけるなんて、例え天が許してもこの私が許さないわ!」

 

 




弓「……出てきた割には、存在感が薄いな」

剣「全くです! これなら、私が出ても問題なかったでしょう!」

剣(竜)「……すまない。影が薄くて、本当にすまない」

槍「つーか、あの竹刀を持ったねーちゃん誰だ?」




???「ふっふっふっ! 遂に私の出番ね! 道場だけだと思うなよーー!」

???「オスッ! ししょー! ……でも、ししょー、メイドガイと知り合いなんッスか?」

???「へ? 違うけど?」

???「あの人、メイドガイの事を知っているみたいッスよ?」

???「えええ!? そ、それじゃ……」


次回に続く!

誤字、脱字、感想は遠慮なくお願いいたします。


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タスケテ

や、やっと出来た。
FGOやりながらだと、なかなか、進まなかった。


 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「突然、居なくなったと思ったら……こんなところで、変態行為をしてたなんて……っ!」

 

 えーっと? 誰だ?

 突如、現れた人物に俺達は動きを止める。

 竹刀に剣道着、何かを背中に背負っているみたいだけど……よく見えないな。

 …………あの姿。何故だろう、妙に既視感が……?

 オレの脳裏に何処かの道場のイメージが、流れ込んできた。…………うん、きっと疲れているんだな。

 それにしても……

 

「…………(じーっ)」

 

「衛宮君。何処を、見て、いる、の?」

 

 ハッ。しまった! 俺はつい彼女の、その、なんというか、えーっと…………

 

「凛様。それは、仕方ありません。凛様の手のひらサイズとイリヤ様の背中と対して変わらない残念なモノと違って、あの様にぷるるーーんと揺れるたわわなおぱーいを見て、注目しない男はいません!!」

 

「誰が、手のひらサイズだぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 バトラーの発言に遠坂は怒りの表情で、魔術を放つ。しかし…………

 

「どうかなさいましたか?」

 

 ひょこっと、起き上がるバトラー。スーツには、焦げ目一つ付いていなかった。

 

「くっ! おのれぇ、無傷か……!」

 

 遠坂、口調が変だぞ。

 

「そーよ! そーよ! 誰が、背中と対して変わらないよ!! 私はリンと違って、成長前なんだから、まだ、希望があるんだからね!!」

 

「ちょっと! それじゃ、まるで私はこれ以上成長しない絶望的な言い方じゃない!?」

 

 ………………

 

「……衛宮君。その目は、何?」

 

「え!? いや、その、何でもない!!」

 

 うわぁ、遠坂。目が笑っていない……

 

「人を無視して、何、失礼な発言しているのかな!? 君達!」

 

 あ、しまった。

 よく見ると、顔は真っ赤になっていて、両腕で胸を隠している。

 

「ついでに人の胸に関して、あれこれ言わないでくれる? ーて言うか、もうこれ以上、乳ネタはいらない!」

 

 乳ネタって、過去に何が!?

 

 

 

 

 

「ホホウ。よもや、この俺を見つけ出すとは……流石、元・ご主人!」

 

 ………………へ? 今、何て?

 

「ちょっと、メイドガイ? 今、何て、言った、の?」

 

 すると、メイドガイは少し思案した表情をして…………

 

「元・ご主人だが?」

 

 元・ご主人!? 彼女が!?

 

「ん? ちょっと待ちなさいよ。それじゃ、アンタは前は彼女のサーヴァントだったってこと?」

 

「へ? サーヴァント? その人はうちのメイド何だけど?」

 

 遠坂と彼女はお互いに首を傾げる。そして……、

 

「「どういう事なの? (メイドガイ)(コガラシさん)?」」

 

 同時に問いかける。

 

「ククク。どちらも正解! 但し、今は遠坂 凛のサーヴァント! クラス メイドガイ コガラシだ!」

 

「うちとの契約は、どうなってんのよー!」

 

「ククク。安心するがいい! 元・ご主人! 今年の契約更新の手続きは済ませてある!」

 

 えーっと? 契約社員扱いなのか? あいつ?

 

「済ませてんだったら、とっとと戻ってきなさい! これ以上、人様に迷惑を掛けるま・え・に!!」

 

 安心しろよ。元・ご主人さん。もう十分迷惑被っている!

 

「クックックッ! 残念だが、それは出来ん相談だ! 今の俺には、ここにいるうっかりエフェクトのご主人を勝者にする役割があるからな!」

 

「誰が、うっかりエフェクトよ! アンタ、仮にもマスターに対して何て事いうのよ!」

 

 ……全く、尊敬する心が見えないな。

 

「そこの貴女! 悪いことは言わない! すぐにコガラシさんと契約を切らないと、地獄を見るわよ!」

 

「安心なさい……もう、既に地獄を見ているわ! しかも、類友付で!」

 

 その時、オレは見た。二人の目線が交わったとき、お互いの思いが通じたようだった……!

 

 

「「貴女も苦労したのね(ホロリ)」」

 

 

「ああ! 何と言う、美しい友情でしょうか!」

 

「ククク。実に見事!」

 

 …………何故だろう? この二人が(特にバトラーが)言うと、何となく微妙な違和感が……

 

「こう言った形の友情もあるのだな……」

 

 うんうんと頷いているがセイバー、それを感心するのはどうなんだろう?

 

「……まで」

 

 ん?

 

「……何時まで、人を無視するのよ!」

 

 あ、しまった! イリヤの事を忘れていた……!

 

「セイバー! あの変態執事だけでなく、あの変態メイドも殺しなさい!!」

 

「イリヤ様。何を怒っておられるのでしょうか? カルシウム不足ですかね?」

 

「全く……これだから、未発達な小娘はいかんな!」

 

「殺すだけじゃ、足んないわ! この世からもあの世からも消滅させなさい!!」

 

「……落ち着け。マスター」

 

 向こうのセイバー、随分と疲れた表情をしているな。――というか、こっちの二人のせいで一番、物凄く真っ当な人物に見えてしまう。

 ランサーとは、ちょっと違うけど英雄らしさが滲み出ている。

 しかし、何と言うか、何処と無く苦労人の匂いが…………?

 あ、目が合った。…………その目を見たとき、オレには分かった。セイバーが何を思ったのか……

 

 ―――君も大変だな。

 

 彼はそう言っているように見えた。

 どうやら、結構いい人っぽい。

 だが、イリヤの方は激怒したままだった。

 

「セイバー! 令呪を以て命じるわ! “宝具”を使いなさい!」

 

「……っ! 了解した。マスター」

 

 セイバーは大剣を構える。柄に埋められた青い宝玉が眩しく輝き始めた!

 

「まずい! 衛宮君! まともに食らったら、死ぬわよ!」

 

「ああ! 分かっている!」

 

「そこの貴女も! 逃げないと危険よ!」

 

 遠坂は、剣道着の彼女にも警告をする。しかし、彼女は…………

 

「コガラシさぁぁぁん!! 責任とって、何とかしなさぁぁぁぁぁいぃぃぃ!!」

 

「ククク。良かろう! 元・ご主人!」

 

 メイドガイ! お前、遠坂のサーヴァントじゃあなかったのか!?

 何で、そんなにやる気満々なんだ!

 そうこうしているうちにセイバーは、大きく大剣を振り翳す!

 

「邪悪なる竜は失墜し、世界は今落陽に至る。撃ち落とす。『幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)』!!」

 

 セイバーの大剣から、黄昏色の光が放たれた!!

 放たれた光は一直線にメイドガイとバトラーの方に向かう。

 

「おや? あぶのうございますね。では、ガイ殿バリアー!!」

 

「ぬ! ヌオゥ!?」

 

 バトラーは、メイドガイを放り投げた! ――って、またかぁぁぁ!!

 

「ちょ、ちょっと!? 何してんのよぉぉぉぉ!!!」

 

「コ、コガラシさん!?」

 

 メイドガイは諸にセイバーの攻撃を受ける!

 そのお陰か、オレ達は殆んど無傷で済んだ。

 ――つーか、バトラー! メイドガイは友達じゃなかったのか!?

 

「……ガイ殿。貴方の尊い犠牲は忘れません。ぐすん!」

 

 かつてないほどの白々し、コメント。しかも、嘘泣き付で……どっから、出したそのハンカチ。

 

「……おい」

 

「はい? 何でございましょうか? セイバー殿」

 

「貴様、人としてそんな避けかたをして、いいと思っているのか?」

 

 うん、敵だろうがセイバーの方が正論だと思う。ただ、攻撃した本人が言うと、何か微妙だ。

 

「まあ、ガイ殿ですのでノー問題です!」

 

 キラッと、歯が光る程の笑顔にその場にいた全員の心が一つになった。

 

「「「「「この人でなし!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふん。まあ、いいわ。とりあえず、変態は一人減ったわ。これで後はキースのみ!」

 

 どうやら、イリヤの怒りはまだ収まっていないようだ。

 ――というより、こっちの方が怒りの密度は高いみたいだ。

 

「そ、そんな……私のサーヴァントが……」

 

「遠坂……」

 

 肩を落とす遠坂にオレは、何も言えない。原因がバトラーだと、オレには何も言う権利がないからだ。

 

「心配いらないわよ」

 

「「へ?」」

 

 メイドガイの元・ご主人である彼女が、何故かケロっとした顔で言ってきた。

 

「ちょっと! そこの君!」

 

「な、何よ?」

 

 突然、指を差されて、イリヤは驚く。

 

「その程度で、コガラシさんをどうにか出来ると思ったの? 甘いわ!」

 

「……その程度だと? まさか、貴様は俺の宝具を食らって、奴が無事だと言いたいのか!?」

 

 彼女の発言に怒り出すセイバー。

 

「ええ。甘いわ。貴方……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 勝って兜の緒を締めろって、ことわざご存知?」

 

「……何?」

 

 

 ………………………ませ

 

 ん? 何の声だ?

 

 

 ……………りなさいませ

 

 ……おかえりなさいませ

 

 

 んんん?? 何で、複数の女性の声がするんだ?

 

 

 おかえりなさいませ

 

 その時、何処からか謎の光が差し込む。辺りを見渡すが、光源は見つからない。

 どう見ても、舞台で使うスポットライトのような光だ。

 

 いってらっしゃいませ♡

 

 いって……え?

 

 

 

「ククク。天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ! 主人を守れと俺を呼ぶ! それがこの俺メイドガイ!!」

 

 光の中から現れたのは、宝具の直撃を食らったはずのメイドガイだった。しかも、無傷。

 

「な……っ!? 俺の宝具を受けて、無傷だと!?」

 

「ほらね。コガラシさんがあのぐらいで大人しく死んでくれる訳ない!」

 

 握りこぶしを掲げて、断言する元・ご主人。何で、泣いているんだ?

 

「おかしいでしょー!! 普通、死ぬでしょ! どうなってんのあのメイド!? 何で、何で、セイバーの宝具を受けてピンピンしているのよぉぉぉぉ!?」

 

 イリヤは絶叫しながら、膝をつく。

 

「ククク。なめるな、小娘! 御奉仕の心が有る限り、俺は死なん!」

 

 御奉仕の心って、そう言うものだったのか!?

 

「全くです。我々の主人を思う気持ちはエベレストよりも高く、マリアナ海溝よりも深いものなのです!」

 

「アンタが言うと、嘘臭いわ!」

 

 ああ、オレも遠坂の意見に賛成だ。

 

「だ、だとしても、俺の一撃を全くの無傷とは……一体、どういう事だ!」

 

「ククク。確かに並のサーヴァントでなら、まともに食らえばひとたまりもあるまい! だが、そう簡単にこの俺は倒せんぞ!」

 

「くっ!」

 

「ククク。倒したくば、竜属性を付加する相棒でも連れてくるんだな!」

 

「都合よく、そんな相棒がいるわけ!? …………ん、竜属性? まさか!?」

 

 驚く遠坂に、メイドガイは凶悪な笑みを浮かべる。

 

「如何にも! 神話広しと言えど、“バルムンク”を持つ英雄は、ただ一人! “ニーベルンゲンの歌”に登場する竜殺しの英雄“ジークフリード”! それが貴様の正体だ!!」

 

 どっかの黒いセールスマンみたく、ドーンっと指を指すメイドガイ。

 ジークフリードと言えば、邪竜を殺して、その血を浴びたことにより、不死身となったって言う。

 

「そんな相手を一体、どうやって倒すんだ!?」

 

「ククク。知れたこと、奴には一ヶ所のみ血を浴びなかった部分があり、そこだけは不死身ではない! よって、奴の弱点は背中の一点! そこをつけば良いことだ!」

 

 そうか! 確か、ニーベルンゲンの歌では菩提樹の葉に遮られて、そこだけは不死身にならなかった。

 そこを狙えば……!

 

「……確かに、我が名はジークフリード。邪竜ファブニールを打ち倒せし者なり。背中を狙いたくば、狙えば良い。しかし、そう簡単に背中を見せる程、俺は甘くはない!」

 

「…………っ!」

 

 そうだった。相手は歴戦の英雄。戦いの場で敵に背中を見せるなんて、あり得ないことだ。

 

「クックックッ! 確か、背中を見せるなど戦士として、あり得ん愚行! しかし!」

 

 ん? 何をするつもりだ? ――って、何を口から出しているんだ!? あれは、何だ!?

 

「ちょっと!? メイドガイ!? 何をするつもりよ! ――うぐっ!」

 

「ま、まさか!? こ、これって!? かはっけほっ! ひゃあ!」

 

 メイドガイの口より、謎の霧? 煙? とにかく、訳の分からないもの出てきた! ぐっ! 何か意識が霞んでいく。

 

「な、なんだ!? これは!? 何かの魔術か!? ぐぁぁぁ!」

 

「い、いやぁぁ! 何か変なものが見えてくるぅぅぅぅ!!」

 

 どうやら、セイバーとイリヤにもダメージが……って、何だ!? 何か妙なモノが……! あ、あれは…………うわぁぁぁぁ!!

 

『おお! あれぞメイドガイの奥義“メイドガイデスドリーミンブレス”! ガイ殿の吐息奉仕の漢気ブレスによって相手の穴という穴から入り込む防御不能な御奉仕の技。体内を浸蝕し表層意識を昏倒させ、相手を夢の回廊へ突き落とすと言う。まさか、再びお目にかかれるとは(ホーコー)』

 

「――って、アンタ何着込んでんのよ!」

 

 何処から出したのか、バトラーはいつの間にか宇宙服の様なもの着ていた。

 

『ハーハッハッハッ。勿論、対ガイ殿防護衣で御座います。備えあれば、憂いなしですね(ホーコー)』

 

「ちゃっかり、一人だけ、助かってんじゃないわよ!――ひゃあぁ!」

 

「クックックッ! さあ、全員まとめて、御奉仕してくれよう!」

 

 ぐっ! まずい! このままじゃ、バトラーを除いて全員がメイドガイの魔の手に…………!

 オレは、ここまでなのか!?

 

「くっ! そうはいかないわ!」

 

 元・ご主人の彼女が背中に背負っていたモノを取り出す。あ、あれは………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 熊のぬいぐるみ?

 

 

「食らいなさい! コガラシさん! “オリオンズ・ストライク”!」

 

「え、おれぇぇ!? ちょ、まっ、マスターーァァ!!」

 

 彼女は某投手のトルネード投法で、そのぬいぐるみをメイドガイに向けて投げ出した。

 …………今の男の声は誰だ?

 

「グギャァォアドァク!」

 

「ヌオゥゥゥ!」

 

 この世のモノとは、思えない声が聞こえた。

 今の状況は何と言おうか、彼女が投げ飛ばした熊のぬいぐるみとメイドガイが……えーっと、あー、その……

 

『おお! 熱いディープなキッスですね!(ホーコー)』

 

 あーーうん。ぬいぐるみとキスシーン。

 小さな子供だと、微笑ましいが…………今の光景は正直言って、気持ち……悪い……

 

 ああ、もう意識が……保て……な……………………………………

 

 

 

 

「ちょ、ちょっと!? 君! 大丈夫!?」

 




剣「シロウが! シロウがぁぁぁ!!」

弓「凜……イリヤ……」

槍「つーか、味方の方が危険じゃねぇか?」

弓「と言うか、何故“彼”がいるんだ!? それに“彼女”はどうした!?」

元・ご主人「私、名前さえ名乗れなかったぁぁ!!」

ドジっ娘メイド「落ち着いて下さい! 出番が有るだけ良かったではありませんか! ……って、誰がドジっ娘メイドですか!?」

???「うふふ。ダーリン、浮気は許さないわよ」

???「あとがきがカオスになってるぞ。つーか、誰かタスケテ!」


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クオリティーは、確かに高いんだろうな……

ZEROイベントがやっと終わったー!
イスカンダル、来なかったけど……(泣)


 ◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 チュンチュン

 

 

「…………ん」

 

 

 チュンチュンチュンチュン

 

 

 雀の声がする。今、何時?

 

 

 チュンチュンチュンチュンチュンチュン

 

 

 んんん?? やけに雀の声が近い気がする……!?

 ガバッと、目を開けて起きるとそこにはベッドを覆うほどの雀の大群だった。

 

「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!!?」

 

「ククク。朝寝坊な御主人に爽やかな目覚めを提供する! それがこの俺メイドガイ!」

 

「アンタの仕業かぁぁぁ!! これのどこが爽やかな目覚めよーー!!」

 

「更に……!」

 

 指をパチンと鳴らす。

 すると、何処からか大量の鷲が嘴や爪で私の服を……って、何をするのぉぉぉ!?

 

「無論。汚物を回収する手間を省いてやっているに決まっているだろう!」

 

「誰が汚物よぉぉぉ!! うみゃぁぁぁぁ!!」

 

 

 バァァン!!

 

 

「女性に対して、その様なことをするなと何度言ったら、分かるんですかーー!! このお馬鹿!!」

 

「ヌオゥゥゥ!!」

 

 勢いよく扉を開け、現れたメイドさんにメイドガイは金属バットで、ぶん殴られ、吹っ飛ばされる。

 うわぁ、爽やかなどころか血生臭……

 ――って、ここはどこ?

 周囲をよく見ると、品の良い調度品や絵画が飾ってあるし、ベッドも私の家のよりも遥かに大きかった。(キングサイズよりデカイわね)

 

「えーっと、貴女は?」

 

 私はとりあえず、目の前の撲殺はスルーして、金属バットを持ったメイドさんに尋ねた。

 すると、メイドさんはアッと言った表情をして、金属バットをどこかに片付ける。

 

「失礼いたしました。お見苦しい所を申し訳ありません。私はメイドガイテイマーのフブキと申します」

 

 深々と一礼をする。

 うわぁすっごく綺麗な人…………ん? 今、なんて、言った?

 

「メイドガイ……テイマー!?」

 

「はい。このお馬鹿の直属の上司に当たります」

 

 じょ、上司ですと!? これの!? この変態の!?

 

「ええ、非常に、非常に! 残念な事ですが……」

 

 あ、表情から察した。これ以上はツッコミを入れない方が良いわね。

 

「ヌゥ。いきなり、何をするドジっ娘メイド」

 

「当然です。女性に対して、セクハラをするなと何度言ったら…………って、誰がドジっ娘メイドですか!?」

 

「ククク。無論、貴様の事だ!」

 

「訂正なさい! 私のどこがドジっ娘だと言うのですか!」

 

「ホホウ。犬猿鳥に易々と下着を奪われたのは、誰だ?」

 

「うぐっ! そ、それは……!」

 

 犬猿鳥って、桃太郎か!? て言うか、下着を……!?

 どういう状況下で、そう言うことが起こるわけ!?

 

「あ、相手が可愛いワンちゃんや天然記念物や絶滅危惧種でなければ……!」

 

 本当に何があったのかしら?

 フブキさんは、誤魔化すように咳払いをし、体裁整える。

 

「さて、遠坂 凜様。御前がお待ちで御座います。着替えが済みましたら、ご案内致します」

 

 何事もなかったような笑顔ね。

 そう言えば、このパジャマは……誰が着替えさせてくれたのかな?

 まさか……!?

 

「ご安心を着替えは私が行いました」

 

 ほっ。良かった。

 

「全く。本来なら御主人のメイドガイであるこの俺が、御奉仕しなければならなかったのだか……こやつがどうしてもと言い出してな」

 

 本当にありがとうございました!!

 私は、心の底から感謝する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「あの、ところでここは?」

 

 目が覚めると、全く見覚えがない大きなベッドに豪華な調度品というより、何なのこの大豪邸は……!?

 うちの何十、いえ、何百倍かしら?

 今、歩いている廊下の端が全く見えない。

 日本の何処に、こんなデカイ建物を建てられる土地があんのよ!

 

「ここは、大富士原家の別宅の一つで御座います」

 

「大……富士原……家? ………………大富士原家ですって!?」

 

 それって、あの大財閥、大富士原家!? 総理大臣や世界各国の首脳にも顔が利くという、あの!?

 

「な、な、何で、そんなところに!? え、え、え!? ど、ど、どう言うことなのよ!? メイドガイ!?」

 

「ククク。落ち着けうっかり御主人! この程度で動揺するとは、未熟者にも程があるぞ!」

 

「喧しい! 誰がうっかり御主人よ!」

 

 どういうことなの!? あの元・御主人の彼女やフブキさんが言うには、メイドガイもここでメイド(?)をしていたようだし……。

 そもそも、ここで働いていたヤツが何でサーヴァントとして召喚されんのよ!!

 あーもう! 頭の中がごちゃごちゃよ!

 

「……あのぅ、遠坂様。目的地に着きましたよ?」

 

 ハッ。いつの間にか、妙に豪華そうな扉の前にいた。

 ここに御前って、人が居るようね。

 フブキさんはノックをし、「失礼致します」っと言って扉を開ける。

 

 そこには………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フムム。最近のメイドさんフィギュアは過激じゃのう~」

 

「そうだよね! 特にここのギミックが精密で、いい仕事しているよね!」

 

 ぽっちゃりなおじいさん&少年がメイドのフィギュアを片手に真剣な目で語り合っていた。

 何、この光景は…………

 

「…………御前、幸助様。何をなさっていらっしゃるのですか?」

 

「あ、フブキさん! 勿論、おじいちゃんとこの最新版メイドさんフィギュアを語り合っていたところさ!」

 

 キラッと汗が光。ある意味、清清しさを感じるわね。

 

「そうそう、このクオリティーの高さが日本の職人技だよな!」

 

 何、あの熊!? ぬいぐるみ!? しゃべっている!?

 

「オリベェさんにも、分かる? この良さ!」

 

「もちの論だぜ! 心友!」

 

「わーい! 同志が増えたー!」

 

「増やすな!」

 

「あ、姉ちゃん」

 

 姉ちゃん? 彼女は、確かへんた……じゃなくて、メイドガイの元・御主人さん!

 

「あら、目が覚めた? 大丈夫だった?」

 

 こちらに気付いて、声を掛けてきた。

 

「ええ、なんとかね。目覚めは最悪だったけど……」

 

 チラッとメイドガイ睨む。

 

「ええっと…………貴女は?」

 

「あ、ごめんなさい。まだ、名乗ってなかったわね。私は富士原 なえか。よろしくね」

 

 と、言って手を差し出す。私はそれに応え、握手をする。

 

「こちらこそ、私は……」

 

「遠坂 凜さんよね? コガラシさんから、聞いたわ………………大変だったでしょ? コガラシさんとの生活」

 

「…………ええ、一日しか経ってないけど………………地獄とどっちがマシかしら?」

 

「う、それは………………甲乙つけがたいわね」

 

 お互いに握手をしながら、溜息をつく。

 

「ククク。あの程度の戦闘で溜息をつくとは、気合いが足らん御主人共め!」

 

 私と彼女は、同時にメイドガイを睨み付ける!

 

「「溜息の元凶は、お前だーーー!!」」

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「さて、どこから説明するかな?」

 

 腕を組み、思案する様な表情(?)をする熊のぬいぐるみ。何かの魔術的なアイテムかしら?

 

「よっし! とりあえず、自己紹介するか?」

 

「そうね……それが、一番かもね?」

 

 なえかさんも頷く。まあ、正直言って誰が誰だか、分からないから有り難いかな?

 

「それじゃあ、紹介するわね。コガラシさんとフブキさんは済んでいるから、まずは私のお祖父様……」

 

「うむ。儂は大富士原 全重郎。大富士原財閥の総帥をやっておる素敵なナイスガイじゃ」

 

「そ、総帥……!?」

 

 これが……!?

 

「ん? なんか、失礼な感想が聞こえたような気がするんじゃが?」

 

「いえ、なんでもありません」

 

 あっぶな~。意外と、勘が鋭いのね。

 

「そんでもって、僕は弟の幸助。よろしく~!」

 

「ええ、よろしく」

 

 うわぁ、お祖父さんそっくりね。

 

「う~~~ん」

 

「な、何?」

 

 じっと見られんのは、ちょっと困るんだけど…………

 

「君……………………ツンデレ属性だね! 猫耳メイド服が似合いそうだ!」

 

「どういう意味よ! それ!」

 

「そうよ! 失礼でしょ!」

 

 いきなり、何、言ってんのよ!

 

「ええ!? そんなことないよ! 彼女はどう見ても、ツンデレ属性だし、きっと猫耳も似合うと思うよ! 意外と魔法少女みたいなコスプレだって、似合うさ! あと、貧乳だし!」

 

 ブチ! な、ん、だ、と!

 

「誰が、貧乳よ! つーか、するかそんなコスプレ!」

 

「ええ!? でも…………」

 

 そう言って、彼は隣にいる姉を見る。――って、何と比べてんのよ!

 

「おい、コースケ。マスターと比べちゃ酷だぜ」

 

「あ、そうだよね。姉ちゃんと比べると、ほとんどが貧乳になっちゃうよね」

 

 顔を合わせて、頷き合うな! 確かに彼女のサイズは大きいけど、私は標準サイズよ!

 

「じゃ、最後は俺な。只今、富士原 なえかと契約中のラヴリーサーヴァント! アーチャーのオリオンでーす! 親しみを込めて、オリベェって、呼んでくれ!」

 

 ………………………………………………はい?

 

「今……何て?」

 

 空耳かしら? サーヴァントって、聞こえたような?

 

「ああ、彼は私のサーヴァントなのよ」

 

 …………………………………………はぁ!?

 

「サ、サ、サーヴァント!? これが!?」

 

「これって!?」

 

「そうなのよね。これ、サーヴァントなの」

 

「いや、マスターまでその言い方は……」

 

 ん? と言うことは………………

 

「貴女、魔術師なの!?」

 

「へ? 違うけど……」

 

「え、違うの!?」

 

 マスターなのに、魔術師じゃない?

 どういうことなの?

 

「それについては、俺が説明するぜ」

 

 熊のぬいぐるみ……オリオンが(真名、名乗って良いのかしら?)神妙な顔をしている。

 

 

「それは…………」

 

「それは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次回に続く!」

 

「オイ!」




剣「…………悪夢ですね」

弓「こんな奉仕は、認めん! こんなものは、ただのセクハラだ!」

槍「CCCで、てめぇがやったことはどうなんだ?」

弓「何のことだ?」

???「……ダーリン、メイドが好きなの?」

オリベェ「お前、目が怖いんだけど…………」


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星に願いを

まだ、北米大陸が終わらないよ~~(泣)


 そうあれは、1ヶ月前の夜だったわ…………。

 

 ―私立秀峰制覇学園・屋上―

 

「富士原 なえかぁぁぁぁ!! お前のたわわんに揺れる乳、揉ませてくれぇぇぇぇぇ!!」

 

「アホかぁぁぁぁぁ!!」

 

「ぐはぁ!!」

 

「「リ、リーダーーー!?」」

 

 いつものように、私の乳目当てのバカ(富士原なえか“乳”ファンクラブの乳リーダー)を木刀でブッ飛ばす。

 

「……くっ! さ、流石だ! 木刀をフルスイングすることでナイスな乳揺れ……!」

 

 ぐっ! と親指立てるな!

 相変わらず懲りてないわね! こーなったら…………っ!

 

「誰か!! 部室に置いてある真剣持ってきてーー!! この乳バカ、ブッタ斬るわ!」

 

「「待て待て! それ以上は犯罪だぞ!」」

 

 私の友人AとBがストップを掛ける。

 

「――って、誰がAとBだ!」

 

「お前! 友達を何だと思っているんだ!?」

 

 ちなみに上の台詞がA、下の台詞がB。

 

「……あのぅ、木刀で撲っている時点で既に犯罪ですよ」

 

「何を言っているのよ! フブキさん! 変態に人権はないって、全世界共通の常識よ!」

 

「それ何処の世界の常識なんでしょうかーー!?」

 

「それに日頃から、コガラシさんを撲殺しているフブキさんに言われたくないわ!」

 

「……ううっ! は、反論出来ませんね…………」

 

 ガックシと肩を落とすフブキさん。

 

「ん? ところでメイド師匠は? いつも一緒じゃないのか?」

 

 友人Aが……

 

「オイ」

 

 じゃなくて、和泉 英子が質問をしてくる。

 

「なんで、フルネーム?」

 

 まあ、一応……ついでにもう片割れは平野 美和。

 

「ついでにするな!」

 

 うっさい! ていうか、なんで二人揃って、地の文にツッコミ入れんのよ!

 

「まあ、気にすんな」

 

「――で、師匠は?」

 

「それが……今朝から見かけないのよ。 どこに行ったのかしら?」

 

 首を傾げていると、フブキさんが手を挙げる。

 

「それについては、私がご説明を」

 

「フブキさん?」

 

「彼は今とある研修の講師として、呼ばれたのです」

 

「「「とある研修?」」」

 

「はい」

 

 何故か、フブキさんは妙に暗い顔をしている。

 

「ちなみにどんな研修なの?」

 

「う……そ、それは、その、えっと……」

 

 そんなに目を剃らされると、物凄く気になるんだけど……

 

「ええっと、ご説明をしますと…………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『御奉仕スキルアップ-ポチョムキンを撮影してみよう!-失敗には、もかもかルートでお仕置きだべぇ-』 と言う研修です」

 

「「「いや、それどんな研修?」」」

 

 同時多発ツッコミ発生。

 

「私にも……よく分からない研修なのです。聞くところによると、“とある養成所”と合同で行われるそうです」

 

 とある養成所って……? どこの物好きかしら、そんな訳が分からない研修をするなんて…………

 正気の沙汰とは思えないわ……!?

 少なくとも、コガラシさんが講師の時点でかなり危険だわ! いろんな意味で!

 

「その養成所って、どんなとこなんだ?」

 

 美和の疑問にフブキさんは、んーっと頭を悩ましている。

 

「何でも、知り合いの母校の様な所と聞いております」

 

 あのコガラシさんの知り合い…………まともな人が、いたかしら?

 ちょっと、考えてみたけど……………………うん、いないわね(断言)。

 

「なえか。そんなことより、そろそろ時間のようだぞ」

 

「そうだな。都合のいいことに新月だから……絶好の観測日だ!」

 

 うんうん。今日は、冬の風物詩(?)であるオリオン座から流星群が流れる日なのよね。

 しかも、今年は月が出てないからキレイに観れるって、ニュースでやってたし。

 ここの屋上なら、遮るものはないからよく見える。

 それに…………

 

「流れ星に願いを言うと、叶うっていうし。たくさん流れたら、叶う確率をアップするわよね!」

 

「ロマンスがあるんだか、無いんだか、分かりにくいコメントだな」

 

「ちなみに何を願うんだ?」

 

 私の願い?

 

「そうね…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 源義経みたいな戦略家で、沖田総司のような天才剣士で、織田信長のような型破りな彼氏が欲しいかな~~? なーーんてね(てへ)」

 

「「そんなワケわからんもんがいるかぁぁぁぁぁ!!」」

 

「あ! イターーーい!!」

 

 てへって、した瞬間に二人にハリセンで叩かれたーー!!

 ていうか、どっから出したのよ! そのハリセン!!

 

「現実見ろ! どこの世界にそんな男がいるんだ!」

 

「大体、会ったこと無いだろ! 史実通りな奴とは、限んないだろうが!」

 

「そ、そんなことないわよ! きっと、素敵な殿方達に決まっているわ!」

 

 そう、源義経は凛々しく勇ましく、沖田総司は儚げだけど芯が強くて、織田信長は荒々しい益荒男に決まっているもん!

 

 

 

 《注意:この世界は、基本Fate設定です。勿論、上記の三名は…………》

 

 

 

「星に願ったって、叶いっこないわ!」

 

「諦めろ!」

 

「ヒドっ! それでも、友達なの!」

 

「「人のことをA.Bと表現したやつが言うな!」」

 

 ううっ、だって、星にでも頼らないと私に彼氏出来なさそうだし…………

 

「あのぅ、なえか様。そろそろですよ」

 

 フブキさんの声に私たちは、夜空に見上げる。

 すると、キラッと星が流れてきた。

 

「今がチャンス!」

 

 私は柏手を打ち、一気に願い事を言う!

 

「どうか素敵な彼氏が出来ますように! 贅沢は言いません! 戦国武将のような人と出逢えますように! もしくは、幕末志士のような人でもいいです! 神話の英雄豪傑な人と縁がありますように!」

 

「なんだソレは!!」

 

「どこが、贅沢は言わないだ!」

 

 何とでも言え! ほら、星だってこっちに向かって…………………………え?

 

「オイ! なんかこっちに落ちてくるぞ!?」

 

「まさか……!? なえかが変なこと叫んだからか!?」

 

 うっそぉぉぉ!!

 

「兎に角、避難を!」

 

 避難って、どこにーーー!!

 

「いやぁぁぁぁ!!」

 

 周囲が光に包まれた。そして………………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オイッス! アーチャーのサーヴァント! オリオン推参! 親しみを込めて、オリベェって呼んでくれ!」

 

 ………………………………クマ?

 

「しっかし、ねーちゃん! いい乳してんな! 思わず見とれて落っこちてしまったぜ!」

 

 オリベェと名乗ったクマは、私の胸の間に顔を埋めている。

 しかも、スリスリと…………

 

「~~って、何すんのよ! この変態熊!!」

 

 私はクマを掴み、そのまま柵の向こう側に投げる!

 

「あ、なえか!」

 

「ここ、屋上だぞ!」

 

 …………あ。

 

「え、え、のしぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 ドップラー効果付きで、クマは地面へと落ちていった。

 

 

 

 

 

 これが、私とオリオンの出会いだったわ…………。

 ちなみに当人が言うには、夜の散歩中に私がオリオン座に向かって叫んだことに興味を持って、覗いていたら、とある人物の肩から落っこちたそうなのよね。

 

「ーーーと言う事なのよ」

 

「そんなんで、サーヴァントが来るんかいぃぃぃ!!」

 

「クックックッ! 流石、元御主人! どこまで行っても、乳ネタから逃れられんとはな!」

 

「喧しい!!」




弓「……現実とは、残酷だな」

槍「あの三人は…………残念系だからな」

剣「史実通りとは、いきませんからね……」

裸騎「はて? どういう意味でしょうか?」

おき太「“これ”は兎も角、私は普通です!」

ノッブ「“これ”って、何じゃ! “これ”って!」

???「ダーリン……私と言うものがありながら………………今度はチョコじゃ済まさないわよ…………」

次回はサーヴァント紹介をやります。


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サーヴァントの設定 ネタバレ注意!

オリオンの設定です。



【CLASS】アーチャー

 

【マスター】富士原 なえか

 

【真名】オリオン

 

【性別】男性

 

【身長・体重】40cm・0.6kg

 

【属性】混沌・中庸・天

 

【ステータス】

筋力 E 耐久 E 敏捷 C 魔力 C 幸運 E 宝具 B

 

【クラス別スキル】

対魔力:D

一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

 

単独行動:A+

マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。A+のランクではマスターが不在でも支障なく行動可能である。

 

【固有スキル】

海神の加護:A

海神ポセイドンからの加護。海上を歩くことができる。海神の息子なのにこれだけ!? アメンボ? アメンボなの!?

 

女神の寵愛:EX

アルテミスの呪いにより、もとの姿ではなく、熊のぬいぐるみの姿で召喚される。ダーリン浮気は許さないわよ。こわっ! (別名 女神の束縛)

 

神性:C

大神ゼウスの血筋であり、海神ポセイドンの息子であるため、本来ならBランク以上。しかし、アルテミスからの呪いにより、ランクが下がっている。アルテミス恐るべし。タスケテ……。

 

獣殺し:E

地上に存在するすべての獣を狩り尽くす程の狩人の腕。本来ならAランク以上。しかし、アルテミスからの呪いにより、ランクが下がっている。

しくしく……(涙)。

 

心眼(偽):D

直感・第六感による危険回避。本来ならB-ランク以上だが、これも呪いにより、ランクが下がっている。なんでだよ……?

 

【宝具】

『オリオン座からの一撃(オリオンズ・ストライク)』

ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:? 

最大捕捉:1人

魔力を込めた棍棒の一撃。星座になった後に得た力。

ギリシャ神話でも、トップクラスの狩人。狙った獲物は外さない。必中の宝具。

 

「…………あれ? 俺、アーチャーだよね? 棍棒が宝具なの?」

 

ちなみに使用方法としては、誰か(マスター等)に投げてもらう。本人では相手に届かない。

 

「俺が矢なの!? 酷くない!?」

 

投げたら問答無用に必ず当たる。主に相手の顔面に当たる。まあ、幸運Eなので……大体、ディープなキッスになるかも?

 

「作者は鬼かぁぁぁ!」

 

 

 

 

 

 

【キャラ説明】

ギリシャ神話に登場する海神ポセイドンの息子にして、最高位の狩人。本当なら、イケメンなんだけど……熊のぬいぐるみバージョンで召喚される。

何故ならば召喚される際、アルテミスから浮気防止の為に呪いを掛けられたため。

 

「ダーリン、私が居なくても浮気は許さないわ!」

 

まあ、それも仕方ない。召喚された理由が散歩中に落っこちたと言うしょうもない理由だからだ。しかも、なえかの乳に見とれて落っこちてたらそりゃね。

ステータスはマスターが正規の魔術師でないこととアルテミスの呪いのお陰で、かなり下がっている。

単独行動が高いため、ほとんど魔力補給なしでも行動可能。

もっとも、現在の姿のせいで弓は引けないため、アーチャーなのに棍棒が宝具。というより、本人が宝具扱い。

まあ、型月の世界では珍しくない。よくあることだ。

 

本作品では、FGOとステータスやスキル、宝具名が違います。

 

 

 

 




槍「今回は、これだけか……しかしなぁ」

弓「ああ、設定が酷すぎるな」

槍「女の束縛って、恐いな」

君らが言うか?(作者)

槍・弓「「…………」」

剣「そういえば、シロウは何処へ行ったのでしょうか?」

槍「バトラーもいねぇな」

さて? 何処に行ったかな?

弓(不吉な予感がするな)


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前 表

水着イベント周回中


 生い茂る木々。聞いたこともない生き物の声。あまりの暑さで流れる汗。肌に張り付く衣服…………。

 

 そして…………

 

「イパッオー! イパッオー!」

 

 奇声を上げ、謎の仮面を被る半裸の集団…………。

 

 

「どうしてこうなったのよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、富士原さん」

 

「なえかでいいわよ」

 

「えっとそれじゃ、なえかさん。衛宮くん……私と一緒にいた男の子はどこに行ったのかしら?」

 

 私が聞くとなえかさんは、ああっと思い出したように手を打つ。

 

「彼なら一緒にいた執事さんが、『ご安心ください! 私が丁重に送り届けます!』って言ってたわよ」

 

「送り届ける……?」

 

 何かニュアンスが可笑しいような?

 

「ええ、“白い女の子”と一緒に連れていったわよ」

 

 白い……女の子!?

 

「そ…それって、まさか!?」

 

 

 ガチャ

 

 

「そのまさかだ」

 

「……え?」

 

 扉を開けて、入ってきたのは…………

 

「あ…貴方は!?」

 

 そこにいたのは、イリヤのサーヴァントであるセイバーだった。

 

「何故、貴方がここに!?」

 

「…………」

 

 何か妙に心痛な表情をしているわね。

 

「彼なら、コガラシさんの謎のセクハラ技で気絶してたからここに運んだのよ」

 

 気絶って……セイバーには、高い対魔力があったと思うだけど…………あの攻撃は魔術じゃなかったのかしら?

 ……………………まあ、変態だしね。

 

「…………すまない。世話になった」

 

 なえかに一礼をするセイバー。最初に会ったときから思ったけど……スッゴく謙虚な英霊ね。

 

「えーっと、それでセイバー? まさかと思ったけど…………バトラーが連れていったのって…………」

 

「ああ、俺のマスター。イリヤスフィールだ」

 

 やっぱりか!! 何考えてんのよ! あの変態!!

 殺しに来た奴と殺されかけた奴を一緒にしてどーすんのよ!!

 

「…………その、何て言ったら分かんないけど…………」

 

「いや、大丈夫だ。こちらこそ、気を使わせてすまないな」

 

 うわぁ、本当スッゴい謙虚。どっかの変態にも見習わせたいわ。

 私はチラッと、メイドガイを見る。

 

「ところでメイドガイのマスターよ。君に頼みが有るのだか…………」

 

「え? 私に頼み?」

 

 何かしら?

 

「ああ、実はこの辺りの地理を教えて欲しいのだか……」

 

「地理を……?」

 

「ああ、マスターを探したいのだか…………何処に居るのか見当がつかなくてな」

 

「見当がつかない?」

 

「ああ、マスターの方から呼んでくれるのなら良いのだか…………残念ながら、俺には探す術がない」

 

 それもそうね。キャスタークラスだったら、探査系の魔術を持っていても不思議じゃないけど……彼はセイバークラスだし、魔術の心得があった逸話持ちでもない。

 けど…………。

 

「……セイバー。悪いんだけど、私は貴方に協力する義理はないわよ」

 

 そう衛宮君と違い、敵である彼に力を貸す必要性はどこにもない。

 

「……確認しておくが、“遠坂 凛”は君の名か?」

 

「そう…だけど?」

 

 すると、セイバーは懐から手紙取り出した。

 その手紙には【遠坂 凛様へ】と書かれてあった。

 

「……? 何の手紙?」

 

 私はセイバーから、手紙を受け取り裏を見る。

 そこには………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【貴方の背後に這い寄る執事 キース・ロイヤルより】

 

 と、書かれてあった。

 …………うぁ、開きたくない。

 どう見ても、不幸しか呼ばなさそうな気がする。

 このまま、破り捨てたいと思ったけど…………セイバーのなんと言うか、謎の訴えがある目で見られるとね。

 私はしぶしぶ手紙を開く。

 

【拝啓 うっかりクイーンの凛様】

 

 誰がうっかりクイーンよ!

 

【“誰がうっかりクイーンよ!” と、ツッコミを入れておられると思いますが…………】

 

 何で分かるのよ……。

 

【まあ、お茶目な冗談は置いといて……】

 

 置くなよ。

 

【凛様には、大変お世話になりましたので素敵なご招待券をプレゼントさせて頂きます】

 

 プレゼント……?

 手紙を確認すると、厚みの違う紙が1枚入っていた。

 こ、これは!?

 

【風雲! キース城! ご招待券】

 

 よし、破り捨てよ。

 

【資金提供 アインツベルン家&遠坂家&大富士原家

 共同開発 JINJA】

 

 なぬ!? どう言うことよこれ!

 

【凛様並びになえか様アーンドアインツベルン家の財産の一部提供して頂き、有り難く素敵なテーマパークを建築しました。つきましては御礼を込めて、招待を致します。是非とも御参加くださいませ(笑)勿論、ぷるるーんでたわわんなオパーいで数学が残念なえか様もご一緒に】

 

「ーーって、ふっざけんなぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 何、うちの財産勝手に使ってんのよぉぉぉ!! あの変態執事~~!! 許せん!!!

 

「なえかさん!」

 

「え、な、何!?」

 

「あの変態執事にヤキを入れに行くわよ!!」

 

「はいぃ? ヤキ……!?」

 

「ヤる! 絶対、ヤる!」

 

「ヤるの意味が殺るに聞こえるのは、気のせいかしら!?」

 

 戸惑うなえかさんに私は手紙を見せる。

 そして…………

 

「この執事、一人でデkillかな!?」

 

「HAHAHAHA! 勿論DEATH☆」

 

 

 

 

「…………オリベェさん。二人の目付きが怖いよ。キャラも変わっているし」

 

「言うなコースケ。触らぬ二人に祟りなしだぜ」

 

 

「クックックッ! 流石だなご主人ズ! 共に修羅の道へと突き進むとは! 良かろう! この俺が全力でサポートしてくれるわ!」

 

「貴方が関わると、ろくなことが起こらないと思いますよ! むしろ、火に油を漱ぐようなモノです!」

 

 

 

 

 

「「首を洗って待ってろよ! 変態執事! ゴートゥーヘル!!」」

 

 

 

 

 

「………………大丈夫……なの…か?」

 

 この時のセイバーの直感は、当たっているかもしれなかった…………。




剣「シローは無事ですか!?」

槍「どう考えても無事じゃねぇ気がするぜ」

弓「人ん家の財産で何をしているんだ!?」

???「そろそろ、ストッパーの出番か……」

三騎士「誰だ!?」


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前 裏

水着イベント終了!
結局、ガチャはステゴロ聖女しか来てくれなかったよ……。


「…………ハッ! 道場!」

 

 …………夢か。内容はイマイチ覚えていないけど。

 ……あれ? ここは何処だ?

 気が付くとオレは、見知らぬ部屋にいた。

 随分と品がある部屋で壊すと、洒落にならんぐらい高そうな物が飾られている。

 

「一体、どうなっているんだ?」

 

 とりあえず、誰かいないか確認しておくかと思いシーツを捲る。

 

 

 

「……え?」

 

 捲ると何故かオレは、裸だった!?

 

「な、な、な、な、なんでさ!?」

 

 なんで!? 服は!?

 ――と、辺りを見渡すと右隣に妙な形の小さい膨らみがあった。

 シーツの隙間からは、長い銀髪らしきものが見える。

 

 ………銀髪……………まさか!?

 

 オレの脳裏に、切嗣の娘と名乗った彼女が浮かんだ。

 慌てて捲るとそこには………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イリヤ様と思いましたか? 残念、キース・ロイヤルでごさいます!」

 

「グハッ!?」

 

 そこにいたのは、バトラーことキース・ロイヤルだった。

 ――つーか、なんだその格好は!?

 顔はバトラーだったけど、首から下は明らかに少女の様な体になっていた。しかも、カツラまで被って……。

 どーなってんだよ!? キモい!

 

「御安心ください! 首から下は単にベッドの下にあるだけでございます! (キラッ!)」

 

「なんて、手の込んだことを……!?」

 

 バトラーの意味のない行動に戦慄した。

 

「フッフッフッ! 士郎様に寝起きドッキリを楽しんで頂く為に仕込みました!」

 

「いるか! そんな仕込み!」

 

 最悪な目覚めだった。傍迷惑にも程がある!

 

「と、ところでバトラー。オレのふ「シロー!!」うわぁ!」

 

 バン! と大きな音を立て、イリヤがドアを開けて入ってきた。びっくりした。

 

「シロー! 無事だっ…………えーっと、その」

 

「イリヤ……?」

 

 何で顔を赤くして、目を逸らすんだ? と、思っていたら、ふと思い出した。

 今、オレは、どんな姿をしていたのかを…………!

 

「うわぁぁぁ!!」

 

 そうだ! オレは、素っ裸であった!

 

「ふ、服――!!! オレの服はぁぁぁ!?」

 

「――では、この中から御選びくださいませ!」

 

 トウっと、言って飛び出したバトラーが提示した服は………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鳥をモチーフにしたピンクの魔法少女風の服。

 割烹着付きのお手伝いさん風の和服。

 悪の女幹部みたいな黒い装束。

 

「さあ! お好みの物を!!」

 

「着れるかぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 何で全部女物なんだ! しかも、この黒いのなんてほとんど下着みたいじゃないか!

 誰が着るんだこんな変な服!!

 百歩譲って、和服が1番まともな気がするが女物の着物なんて着たら、単なる変態じゃないか!!

 

「ちなみに私のオススメは、この黒い超露出な装束でごさいます!!」

 

「嫌がらせかぁぁぁぁ!!」

 

 よりにもよって、1番ヤバい服をチョイスしやがった!

 

「何を言いますか! これは、私のお古でございますよ!」

 

「着たのか!? これ、着たのか!?」

 

 ちょっと、想像してみた……………………………………………………………………………………………………するんじゃなかった。

 

「そもそも、何でオレ裸なんだ!」

 

「勿論、私が脱がせました」

 

「何故!?」

 

「年がら年中、同じ服では残念ですからねぇ。脱・無個性です!(キラッ)」

 

「喧しい! 兎に角、服を返せ!」

 

「残念ながら、クリーニングに出してしまったのでありません」

 

 容赦なくきっぱりと言ったバトラーに、オレは怒りを覚える。

 マジでぶっ飛ばしたくなったが、グッと堪えた。

 

「……じゃあ、せめて男物の服はないのか?」

 

「…………では、こちらはどうでしょうか?」

 

 ――と、言ってバトラーが出した服は……………………………………………………………………………………メイド服だった。

 

「だから、なんでさ!」

 

「はて? どうかなさいましたか?」

 

「どうかなさいましたか? じゃない! 何でメイド服なんだよ! 男物の服を出してくれって、頼んだだろう!」

 

 オレがそう言うと、バトラーは驚愕したような表情をして…………何故かイラッと来る。

 

「なんと!? このメイド服は、ガイ殿から譲り受けた歴とした男物の服で御座いますよ!」

 

「変態から変なもの譲り受けるなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 結局、まともな服は1着も出ないのか! 出す気ないのか!? どっちだ!?

 

「シ、シロー! 落ち着いて!」

 

「……イリヤ!」

 

「キースに何を言っても、キースだから言うだけ時間の無駄なのよ……」

 

 ……イリヤ、その諦めの境地のような目は一体?

 

「…………アインツベルンのお城にいた時だって………………………………グスン」

 

 何があった!? 過去に一体、何があったんだ!?

 

「……あんなことや……こんなことや…………」

 

 頭を抱えながら、ブツブツと何かを言っている。

 本当に何があったんだ――!!

 よく分からないが、ダークサイドに落ちていくような勢いだ。

 

「やれやれ、士郎様は我が儘で御座いますね。仕方がありません。――では、こちらはどうですか?」

 

 バトラーが最後に出してきたのは………………………………男物だった。

 まともな服あるじゃないか!

 

「最初から出せよ!」

 

「しかしこの服は、果たして士郎様に使い熟せますかね?」

 

「…………? どういう意味だ?」

 

 オレが聞き返すと、バトラーは恭しくお辞儀をしながら説明を始める。

 

「この服はとある魔術機関が造り出した魔術礼装で御座います」

 

「魔術礼装?」

 

「こちらはサーヴァントに対してのサポート用に開発されたものです。攻撃・防御・回復と揃っております」

 

「す、凄く良いものじゃないか!?」

 

「人によっては、“もうこれだけあればいいんじゃないのか?” と、言われることもあります」

 

 これだけって……? 他にもあるのか?

 

「しかし! オールマイティーとは、極めて難しいものなのです! そうそれはまるで、究極の器用貧乏なのです!」

 

「き、器用貧乏?」

 

「例えるなら、強化しか使えない未熟者な士郎様の様なもので………………おや、ピッタリな礼装でしたね」

 

「悪かったな! 強化しか使えない未熟者で!」

 

 確かにオレが使える魔術は強化ぐらいしかない。しかも、成功率は低い。

 切嗣からも正式に習った訳でもない。

 魔術師としては、半人前だ。

 

「いえいえ、士郎様は素人に毛が生えた程度の実力しかありませんよ」

 

 ぐざっ!

 

 そこまで言うか…………。

 

「真っ当な魔術師から、師事を受けた方がよろしいとおもいますよ。私からは“絶対領域マジシャン先生”をオススメいたします」

 

「誰だそれは!?」

 

 “絶対領域マジシャン先生”!? どんな魔術師だ!?

 バトラーの知り合いか!?

 だとしたら、変態の可能性が高いな。知り合いたくない!

 色々とツッコミを入れたいが何時までも素っ裸でいる訳にはいかない。とりあえず、オレはシーツに潜りながら着替えた。

 

「ところでバトラー。ここは何処なんだ?」

 

「ここですか? ここは……………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 風雲! キース城! の一部屋で御座います!」

 

「………………………………はぁ?」

 

 風雲? キース城? なんだそりゃ!?

 

「アインツベルン家アーンド遠坂家アーンド大富士原家の財産を使い、造り上げた素敵アトラクションで御座います!」

 

 ……………………ん? 今、何て、言った?

 

「…………ちょっと、キース。今、変な単語が聞こえたんだけど」

 

 ダークサイドから復活したイリヤが、ゆらりと立ち上がる。

 

「……キース。今、“どこ”の“何”を使ったって言ったのかしら?」

 

 イリヤが問いかけると、バトラーはまるで日本語が理解出来ない人を見るような目で見る。

 

「仕方がありませんねぇ。もう一度、申し上げますよ。アインツベルン家アーンド遠坂家アーンド大富士原家の財産を使い…………」

 

「人の家の財産を勝手に使うなぁぁぁ!!」

 

 イリヤは近くにあった調度品を手に取り、バトラーに向かって投げつける。スルッと避けられたが…………。

 

「やれやれ、危ないではありませんか。カルシウム不足ですか? きちんと栄養を摂らないといけませんよ。ただでさえ、発育不全な残念オパーいなのですから」

 

「うるさい! うるさい! うるさーーーい! 余計なお世話よ! 大体、非常識と理不尽の塊にアレコレ言われたくないわよ!」

 

 全くもってそこ通り。

 

「それに風雲キース城って、何よ! 一体、何を造ったのよ!」

 

「それは体験してからのお楽しみで御座います」

 

 変態が造ったものなんて、体験したくない。

 

「何を仰いますか! あの切嗣様でさえ、泣いて喜ばれました素敵アトラクションでありますよ!」

 

  …………………………はい?

 

「…………バトラー。今、何て、言った、んだ?」

 

「……士郎様、耳が遠くなりましたか? ――では、もう一度言います。あの切嗣様でさえ、泣いて喜ばれました素敵アトラクションですよ!」

 

  絶対、違うと思う! むしろ悪夢だったんじゃなかったんじゃないのか!?

 

「それじゃ、じーさんもここに来たのか?」

 

「いえ? 切嗣様はここに来たことはありませんよ」

 

「は? じーさんも体験したんじゃないのか?」

 

 オレは聞くと、バトラーは首を横に振り…………

 

「切嗣様が体験したのは、アインツベルン城に造り上げた2代目 風雲! キース城! で御座います」

 

  …………と、答え…………はい?

 

「………………2代目?」

 

「はい。ちなみにこの城は3代目に当たります」

 

  3つ目なのか、これ。

 

「…………ちょっと、待ちなさいよ」

 

「はい。どうなさいましたか?」

 

「アインツベルン城にもあるの“これ”?」

 

「はい。アハト様より依頼がありまして…………」

 

「……!? お爺様の!? 依頼!?」

 

「その通りで御座います。今より10年程前になります。前聖杯戦争が終結後にアハト様より、造るようにと言われまして……」

 

「…………聖杯戦争の後にですって!?」

 

「ええ。完成した後、切嗣様がお帰りになられまして………なかなか良い叫びっぷりで御座いました」

 

「…………切嗣が!? 嘘よ!」

 

  信じられないと言った表情のイリヤ。どう言うことだ? イリヤと切嗣が父娘なら、会いに行くのは不自然じゃないだろ?

 

「……だって……だって、切嗣は私を“裏切った”筈なのに!」

 

  …………!? う、裏切った!?

 

「会いに来る筈ない! そんなの嘘よ!」

 

  その時、オレの脳裏に切嗣の顔が過った。何処かへ行った帰りに見せた悲しげな顔を……

 

「嘘じゃない!」

 

「!」

 

「嘘じゃない! 切嗣は何度も会いに行った筈だ!」

 

「……シロー」

 

「親が自分の娘に会い……いや、迎えに行くのが嘘なものか!」

 

  オレの言葉にイリヤは動揺している。

 

「会いたかった筈だ! たった一人の娘に、何度も何度も何度も会おうとした! でも、会えなかった……!」

 

  オレはバトラーを睨み付ける。

 

「こいつが余計なことをしたばっかりに……!」

 

「……?」

 

  キョトンとした顔をするな!

 

「で、でもお爺様も切嗣が裏切ったって…………」

 

「……イリヤ。バトラーなんかに変な物造らせたじいさんと切嗣。どっちが信じら「切嗣!」……だよな」

 

  即答だった。しかも、セリフ被せてきた。

 

「…………しかし、可笑しいですね?」

 

「……バトラー。何が可笑しいんだ」

 

  首を傾げる元凶に問い掛ける。

 

「いえ、2代目は維持魔力が莫大ですので精々半年が限界なのです」

 

「「え?」」

 

「他所から補充しない限り、魔力が切れたら半日で消滅してしまうのです。残念なことに」

 

  この城、魔力で出来ているのか?

 

「お前が補充したんじゃないのか?」

 

「いえいえ、私は切嗣様が楽しまれたのを確認した後に契約期間が切れました。その為、アインツベルン城から去りましたので……」

 

「そうなのか?」

 

  切嗣は絶対楽しんでいないと思うぞ。

 

「ええ。とある方とカレーを作ってましたので……」

 

「は? カレー?」

 

「いえ、何でもありませんよ」

 

  だとすると、切嗣が死ぬまでイリヤに会えなかったのは…………。

 

「……多分、お爺様が補充していたんだわ。――――そうまでして、私と切嗣を会わせなかったのね」

 

「……イリヤ」

 

  今にも泣き出しそうなイリヤをオレは抱き締める。

 

「シ、シロー!?」

 

「イリヤ。オレがいるよ」

 

「!」

 

「切嗣の代わりには、ならないかもしれないけど……家族として、姉弟として、オレがイリヤを支えるよ」

 

「~~~~シロー」

 

  イリヤの手がオレの背中に回る。

 

「ああ! 何と感動的なシーンでしょうか!」

 

  ハンカチを出し、涙を拭くバトラー。涙、出てないぞ。

 

「それでは、家族水入らずの所ですので…………私はさらばを言わせて頂きます。無事にまたお会いしましょう!」

 

「はい?」

 

  よく見ると、バトラーの手には紐が握られていた。そして、思いっきり引っ張る。

  すると、妙な浮遊感が………………って

 

「のわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

「では、行ってらっしゃいませ~~」

 




三騎士「「「この人でなし!」」」

???「どんだけ余計なことをすれば、気がすむんだこの変態執事!」


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受付中

ハロウィンの次ぎはクリスマス……
イベントと続きなシーズンはキツイよ。


「…………ねぇ、なえかさん」

 

「……何かしら? 遠坂さん?」

 

 私と遠坂さんはお互いに乾いた笑顔をしながら、目の前にある光景を全力で見なかった事にしたかった。

 

「ここって、日本よね?」

 

「ええ。日本の冬木って、地名の筈よ」

 

 周囲からは、動物らしき鳴き声が響いてくる。

 

「ふふ……そうよね。日本よね。冬木のはずよね。……………………ふふ」

 

「アハハ」

 

 何なのかしらこれ?

 

「姉ちゃん達、そろそろ現実に戻ってきてよ」

 

「「逃避ぐらいしたくなるわ! こんなもん!」」

 

 私達が叫んだ途端、鳥が木の枝から飛び立った!

 

「ああ! あれはダルマワシ! アフリカ大陸のサバンナに生息している筈なのに!」

 

「「何で、日本にいるのよ!!」」

 

「しかも、この辺りの木。みんなアマゾンとかに生えているヤツみたいだよ!」

 

「「サバンナなのか、アマゾンなのかどっちかにしろ!」」

 

「姉ちゃん達、息ピッタリだね」

 

「「喧しい!!」」

 

「…………なえか様、遠坂様。落ち着いてください」

 

 私達はフブキさんが運転する車に乗って、地図に描かれてた通りに進むと何故か日本とは思えない所に到着した。

 なんでよ!?

 一体、どんなルートを通ればこんな魔境にたどり着くのよ!

 理解不能な状況に私と遠坂さんは頭を抱えた…………。

 

 

 

「…………お困りのようですね。なえかさん」

 

 

 

「え?」

 

 ジャングルの奥から巫女姿の女性が現れる。

 彼女は確か……

 

「カナちゃん!」

 

「カナちゃんは止めてください」

 

 そこに現れたのは、カナちゃんこと竜玉神社の魔性の巫女さんだった!

 

「どうして、貴女がここに!?」

 

「…………誰? この人?」

 

 驚愕している私に遠坂さんが、首を傾げながら聞いてくる。

 

「この人は、竜玉神社の巫女さんで……コガラシさんの友人なの」

 

「メイドガイ……の? つまり…………………………変態の類友!?」

 

「誰が変態ですか!? この罰当たり娘!」

 

「あ、え、その、すみません」

 

 申し訳なさそう頭を下げる遠坂さん。

 

「いえ、こちらこそ……つい、大声を出してしまいました」

 

 気持ちは分かるけど…………しかし、

 

「あの、カナちゃ……いえ、巫女さん。どうして貴女がこんなところに?」

 

 すると、巫女さんは丁寧にお辞儀をして…………

 

「私がここにいるのは受付係だからです」

 

「……受付係?」

 

「はい。この風雲キース城の受付を担当することになったので…………」

 

「え!? な、なんで!?」

 

「一応、共同開発者としての義理でございます」

 

「「共同……開発……者!?」」

 

 遠坂さんは招待状を取り出す。

 

 そこには…………共同開発 JINJAと言う文字が……。

 JINJA……ジンジャ……つまり、神社のことか――!

 

「あ、貴女。あの変態執事とは……どういう関係よ!?」

 

 遠坂さんが聞くと、巫女さんは頬を少し赤く染め。

 

「少し昔にちょっとした縁が出来ましたので……フフ」

 

 縁って…………あの変な縁のことなのかしら?

 でも、よく考えたらこの人はコガラシさんの知り合いな上に年齢不詳だしね。

 確か……大正時代にコガラシさんと知り合ったんだから、えーっといくつぐらいだったかな?

 

「なえかさん。余計なことは思い出さないように」

 

 うわぁ、睨んできた。まあ、女性に年齢の事でツッコミを入れるのは失礼よね。たとえ、人外でも……

 

「……ところでガイは?」

 

「え? あ、そういえば……コガラシさん何処へ行ったのかしら?」

 

 可笑しいわね。車に乗り込む前には、いた筈なのに?

 

「……まあ、ガイの事ですから何処かでこっそりと見守っているかもしれませんね」

 

 あり得る。

 

「……私のサーヴァントなのに何勝手な行動してんのよ」

 

 ガックシと肩を落とす遠坂さん。気持ちは痛いほど分かるわ。

 

「それでは、皆様。風雲キース城の受付は此方でございます」

 

 ダウンしている遠坂さんをスルーし、案内する巫女さん。なんと言うマイペース……っ!

 巫女さんが案内した所には、何の変哲もない会議室で使うような机がポツンと置いてあった。手抜きにも、程がある。

 

「参加者はこちらの用紙にサインをお願いします」

 

 机に置いてあった用紙を読む。そこに書かれてあったのは…………

 

 

『何があっても、絶対に訴えません誓約書。マジで誓います。例え、死んでも文句言いません』

 

 

「さぁ、どうぞ」

 

「「書けるか――!!」」

 

 訴える前提のアトラクションなんか、誰が参加するか!! つーか、死ぬの!? どんなアトラクションよ!

 

「おや? 書かれないのですか? 困りましたね」

 

 困るな! どう考えたって、可笑しいでしょ!

 

「では、仕方がありません。書かれない場合は此方が用意したコスチュームを着て頂く事になります」

 

「「コスチューム?」」

 

「はい。此方が遠坂さん用。此方がなえかさん用でございます」

 

 そう言って、巫女さんが出してきたのは……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 遠坂 凛用。

 猫をモチーフにした魔法少女風の赤い服。

 残念(笑)と書いてあるゼッケン付き体操服(ブルマ)。

 

 

 富士原 なえか用。

 うさぎをモチーフにした和服。

 あかいいなずまと書いてある水着。

 

 

「そして、此方はドジッ娘メイドフブキ用です」

 

 

 悪の女幹部みたいな超露出が高い黒い服。

 

 

「「誰が着るかぁぁぁ!!」」

 

「何故、私までーー!? と言うより、誰がドジッ娘メイドですか!」

 

「フブキたん! 是非、お願いします!」

 

「うわぁ! 悪フブキさんだぁ! イケる!」

 

 土下座するオリオンとぐっと親指を立てる弟。

 

「着ませんからね! 絶対に着ませんからね!」

 

 全力で首を横に降るフブキさん。

 

「そうですか……残念です。着ていただければ、特別ファインでサービスがあるのですが……」

 

「サービス?」

 

「竜玉神社特製便利アイテムでございます」

 

 便利アイテム……一体、なにかしら?

 巫女さんは懐から瓶を取り出す。

 

「こちらが便利アイテム超高性能の万能胃薬でございます。どんな危険な料理を食べてもノーダメージで済みます」

 

 危険な料理って…………

 

「はっ! つまり、それさえあれば姉ちゃんの手料理食べても大丈夫ってことだね!」

 

「どーいう意味よ! それは!」

 

「え、だって……姉ちゃんの料理で犠牲になった人がいるじゃないか!」

 

「犠牲とか、言うなァァァァ!!」

 

 全く思い出したくないもないことを思い出したじゃない!

 

「すみません巫女さん! このアイテムをこの“ドキッポロなフブキさんコレクション写真”で譲って欲しいなぁ! 今後の身の安全の為に!」

 

「幸助様!? 何ですか!? その写真!!」

 

「ちょっと、今後の身の安全ってどーいう事よ!!」

 

 幸助の取り引きに巫女さんは思案し、何かを書き出した。

 

「お告げが有りました。《そのコレクション写真十枚セットなら良し!》 とのことです」

 

「オッケー!」

 

「――と言うより、一体どんな写真なんですか――!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――受付を済ませて、私達は先に進んだ。フブキさんの犠牲は五分ぐらいは忘れない。

 

「五分で忘れないでください!」

 

「まあまあ、フブキさん。いいじゃない。あんな変な服着なくて済んだんだし……」

 

「遠坂様…………ですが、“ドキッポロな写真”が気になります。一体、何を撮られたんでしょうか? と言うより誰が撮った物なのでしょうか?」

 

 フブキさんの疑問に幸助がさらっと答える。

 

「ああ。それなら、コガラシさんがいざというとき用に撮ってたんだよ」

 

「やっばり、あのお馬鹿でしたか――!!」

 

 フブキさんは金属バッドを取り出し、叫び声を上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、私はこれで失礼させて頂きましょう。あとは、貴方に任せます」

 

「ちっ。厄介事を押し付けやがって……」

 

「おや? 仮にも親友が起こした騒動でしょう?」

 

「あの変態執事は、親友じゃねぇぇぇ!!」

 

 




変態執事「セイバー殿! お暇でしたら、こちらをどうぞ!」

剣「……何ですか? これは?」

変態執事「勿論、セイバー殿専用体操服でございます!」

“体操服ブルマ、腹ペコ(爆笑)”

剣「エクスカリバァァァァァァ!!!」


感想・誤字・脱字が有りましたら、遠慮なくお願いします。


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フラグと言うものは叩き折るもんだ!

シャシャシャン~~♪ シャシャシャン~~♪
クリスマスイベント中!


 ――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クックックッ。全く世話のかかるご主人(マスター)め。だが、安心しろ! 天に星、地に花、人に愛。そして貴様にメイドガイ! この世に俺のある限り! 貴様の未来は薔薇色だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 進めども進めども、あたりはジャングルばっかり。

 果たして、いつ城にたどり着くのだろうか?

 我々の冒険はまだ始まったばかりだ。――どっとらい。

 

「オリベェさん。何、そのナレーション?」

 

「いやぁ、こんぐらいやっとかないと存在感無くなりそうだしな」

 

「大丈夫だよオリベェさん。少なくとも、前回から全く台詞のないセイバーさんよりは存在感あるから」

 

「まあ、それは言えてるな」

 

「……………………」

 

 おっと、なんか沈んでんなセイバーのヤツ。存在感薄いの気にしてたのか?

 

「それにしたって、一体何時になったらたどり着くのよ。いい加減、歩き疲れたわ」

 

 確かに遠坂のお嬢ちゃんの言う通りだな。いくらなんでも歩き出してかなり経ったが、建物らしきものは一切見えない。

 

「と言うより、同じ様な景色ですから……もしかしたら、同じ所をぐるぐると回っている可能性もありえます」

 

 うーん。フブキたんの言うことも一理あるなぁ。

 もしかしたら、ガチで遭難中なんじゃないか?

 ――と思い、首を傾げていると…………

 

「…………こちらで合っている」

 

「「「え?」」」

 

 ずっと沈黙していたセイバーが口を開いた!

 ちゃんと喋れたんだな。無口キャラかとばかり思ってたぜ。

 

「どーして?」

 

 マスターが不思議そうに首を傾げる。

 

「…………聞こえないか?」

 

「へ?」

 

「………………………………」

 

 顔色悪いぞ。大丈夫か?

 しかし、何が聞こえ…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ん?

 耳を澄ませば、何故か背筋が寒くなってきた。何だか分からんが、オレの勘が告げている。

 進むな危険!

 

「マスター帰ろうか」

 

「え? 何でよ」

 

「こっから先は、たぶん地獄だ」

 

「はぁ?」

 

 ワケわからんって、みてぇなツラだな。

 だが、オレはサーヴァントだ。マスターの身の安全を最優先するのは当然だ。

 危険と分かっていて、進むわけにはいかねぇ!

 

「オリオン……例え、地獄だと分かっていても進まなきゃいけない時があるわ」

 

「マスター……」

 

「と言うか、進むしかないわよ」

 

「はへ?」

 

 どういうことだ?

 

「だって、何処かでコガラシさんがいるはずだもん」

 

「…………うちのサーヴァントがどうかしたの?」

 

「ふっ。前にね。とんでもない状況下に置かれたんだけど…………あの馬鹿に退路を絶たれた事があったのよ」

 

 はい?

 

「だから、我々には前進あるのみ! 敵前逃亡は恥と知れ!」

 

 何故だろう? マスターの周囲から硝煙の香りが…………つーか、どこの戦場帰りなんだよ。

 

「兎に角、進むしかないのよ!」

 

「ああ、待ってよ姉ちゃん!」

 

 ズガズガ進むマスター。――って、ちょいまち!

 絶対、ロクなことないぞ!

 

 そして、オレ達は妙な扉を見つけた。建物はなく、文字通り扉だ。

 

「何でしょうか? これは?」

 

 裏をぐるっとまわってみるが、何もない。

 これはどう見ても…………

 

「百%ワナでしょうね」

 

 そうだ。遠坂のお嬢ちゃんの言うようにワナだろうな。

 

「とりあえず開けるわよ!」

 

 マスター! ちょっと、まってぇぇ!

 

 勢い良く扉は開いた!

 その先には………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フッフッフッ! 良く来たな! 余の黄金劇場へようこそ!」

 

「ウフフ、歓迎するわ! ブタども!」

 

 よし、帰ろう。

 

 しかし、扉は既に消滅していた。

 

 回避不能なボス戦かよ!? お願いお家に帰してぇ!

 

「…………えっと、どちら様でしょうか?」

 

「おお! なかなか見目麗しいメイドだな! 良かろう答えてやろうではないか! 此度は我が友キース・ロイヤルの頼みで、風雲キース城のイベント担当を務めることになった嫁セイバーである!」

 

「よ、嫁!?」

 

「セイバー!?」

 

「またの名をネロ・ブライド!」

 

「ネロ・ブライド!?」

 

「ウフフ! そして、私はサーヴァント界ナンバー1アイドル! 赤ランサーエリちゃんよ! (キラッ!)」

 

「エリちゃんって……」

 

「何なのかなこのカオス……」

 

 うぁ、何なんだ変なコンビがテコ入れかよ! トンでもねぇことしやがるなあの変態執事!

 

「ちょっと、待ちなさいよ!」

 

「何だ?」

 

「何よ?」

 

「貴女達、セイバーとランサーって名乗ったわね? どう言うことなの? セイバーとランサーは既に存在しているのにどうして?」

 

 遠坂のお嬢ちゃんの言う通り、聖杯戦争は各クラス一人ずつしか召喚されない。

 セイバーはここにいるし、オレはまだ会ったことないがランサーも既に召喚されている。

 普通ならそうなんだけど…………

 

「フッハッハッ! 認識不足だな! 魔術師よ!」

 

「全くよね!」

 

 困惑するオレ達に二人は声を揃えて………………

 

「「そんなもの“キース・ロイヤルだから”に決まっているから(だ)(よ)!」」

 

 意味解らんわァァァァァ!

 

「大体ね。あの変態執事に常識なんて通じないわよ」

 

「その通りだ! あやつならサーヴァントの一人や二人、簡単に呼び出せる!」

 

 どんな理屈だよ! …………遠坂のお嬢ちゃん大丈夫か? 物凄くダメージ受けて見えるんだが?

 

「どれだけ……非常識なのよ……聖杯戦争のルールは何処へ行ったのよ……」

 

 こりゃ暫くダメだな。

 

「あーつかぬことを聞くけどよ……アンタら、あの変態執事とどー言ったご関係? そっちのセイバーは友って言ってたけど?」

 

「おお! ぬいぐるみが喋るとは面妖な!」

 

 ぬいぐるみじゃないんだが……

 

「フッ。まあ良い。問われたのであれば答えてやろう。キース・ロイヤルは余が皇帝になる前に知り合ってな。なかなか、良いセンスの持ち主であった」

 

 良いセンス?

 

「余の作品を一目見て……『おお! これは神話に出てきそうな素晴らしき石像です! まるで何かが這いよるようでごさいます!』 と、褒め称えてくれてな」

 

 褒めてんのかそれ?

 

「そっちのアンタも?」

 

「ええそうよ。まだ嫁ぐ前だったけど……彼は私の歌を聴いて讃えてくれたのよ! 『なんと! まさか、伝説の申し子の如き歌声! 正しく唯一無二のGODです!』 って、言ってくれたの!」

 

 GOD……? 伝説の申し子……?

 何故だ? 何故、脳裏にゴリラとクジラが浮かんでくるんだ?

 

「そう言う訳でな。余達が風雲キース城のイベント戦だ。存分に楽しめ!」

 

 いや、何となく楽しめない気がします!

 

「さあ! あれを見よ!」

 

 そう言って、嫁セイバー…………二人いるし、めんどくさいので嫁セイバーと呼ぶ…………が指差す方向には……

 

「ルーレット?」

 

「うむ! 運命のルーレットである! あの針が指すモノがここでのチャレンジである!」

 

 チャレンジって……

 枠内を見ると、ミスコン・歌合戦・クイズ等が書かれてあった。

 

「アイドルらしいでしょ!」

 

 ランサーがない胸をえっへんと張る。

 まあ、オレが見る限り成長後は割りといいサイズになりそうだ。

 

「…………なんか言った?」

 

「いや、何も」

 

「………………いいわ。さあ、くじを引きなさい! 当たりを引いたブタが、私と対戦するチャレンジャーよ!」

 

 オレ達はランサーが、持ってきたくじを引く。

 

 結果。

 

 オレ……ハズレ。

 コースケ……ハズレ。

 フブキたん……ハズレ。

 遠坂のお嬢ちゃん……ハズレ。

 セイバー(竜)……ハズレ。

 マスター……当たり。

 

「え!? 私!?」

 

「ほほう! では、そこの見事なサイズの娘! ルーレットを回すが良い!」

 

「~~~~~仕方ないわね。こうなったら、えい!」

 

 マスターは思いっきり針を回した。

 ぐるぐると回った針が止まった先は………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 料理対決。

 

 

 

 

 

「フブキさん……結果が見えた勝負って、空しいね」

 

「幸助様、諦めるのは早いと思いますよ! もしかしたら、奇跡が起こるかもしれませんよ!」

 

「ちょっと、二人ともどう意味かな!?」

 

 ホントにどー言うことなんだ!?

 マスターの料理って、そんなに壊滅的なのか!?

 

「だって、姉ちゃんのエビフライで……」

 

「ああ~~やめて、忘れたい思い出なんだから!」

 

「忘れちゃダメだよ! 病院送りにしたことを忘れちゃダメだよ! あの人、生死をさ迷ったんだよ!」

 

 び、病院送り……!? 生死を…………!? どんなエビフライ!?

 

「ウフフ。それじゃあ、審査員を紹介するわ!」

 

 バーン! と、効果音と共に現れたのは……

 

「え、衛宮君!?」

 

 変態執事のマスター・衛宮士郎だった。

 

「えっと……遠坂? これは、一体?」

 

「衛宮君。無事だったの?」

 

「まあ、一応……」

 

 何だその曖昧な答え方は…………

 

「ウフフ。彼には料理の味審査をしてもらうわ! 勿論、公正に、依怙贔屓はなしよ!」

 

「何だか解らんが……公正にか。安心してくれよ。俺は―――――料理に関して嘘は許さない!」

 

 無駄にカッコよく言ってるけど…………多分、それは死亡フラグじゃあないか!?

 

「ふふん。それではお題を発表する! お題は『チョコレート』だ!」

 

 シーズンずれてないか?

 

「なおお題の理由は、来年の為の練習だ!」

 

「うふふ。来年も楽しみにしててよね。子ジカ!」

 

「それでは料理開始!」

 

 嫁セイバーの宣言と同時に銅鑼の音が鳴り響く。

 

 

 

「…………ところで、衛宮君。イリヤスフィールは?」

 

「すまない、気が付いたらオレ一人だったんだ………イリヤがどこにいるのかは分からない」

 

 遠坂のお嬢ちゃんはセイバー(竜)の方を見て……

 

「残念だったわね」

 

「いや……気遣いありがとう」

 

 しかし、それにしても…………

 

「ねぇフブキさん。僕、チョコレート作ったことは無いからよく分からないんだけど…………チョコレートを作る工程で、溶接とか、爆破とかってあるのかな?」

 

「…………いえ、そのような工程はありません」

 

 一体、何を作っているんだ!? さっきからあり得ない音が聞こえてくるんだが!?

 あれ食ったら、衛宮のボーヤ死ぬかもな。

 チラッと、衛宮のボーヤを見ると顔色が青くなっていた。

 ああ、やっぱしマジでヤバそうだ。

 香典が必要になるかもな。

 ん? コースケが衛宮のボーヤに何か渡して、耳打ちしてる。一体、何を渡したんだ?

 

「――では、料理終了だ!」

 

 銅鑼が鳴り響く。どうやら、終わったみたいだ。

 

「それでは、各々のチョコレートを発表せよ!」

 

「ウフフ。見なさい! 私の自信作!」

 

 満面の笑みで、出てきたチョコレートは………………………………………………………………………………タコ?

 

「どう? 可愛いでしょ!」

 

 可愛いのか!? これ!?

 まあ、見ようによっては…………うーん。

 つーか、これチョコレートか?

 

「うむ! 素晴らしいチョコレートだな! 流石は我がドル友! ――では、次は見事なサイズの娘!」

 

「見事なサイズとか言わないでよ! 私のはこれよ」

 

 そう言って、マスターが出したのは何の変哲もない一口サイズの星型のチョコレートだった。(しかも山盛りで)

 

「…………普通だな」

 

「いいでしょ! 普通で! シンプル イズ ベストよ! 問題は味なんだから!」

 

 まあ、正論だな。しかし、味か…………大丈夫なのか?

 さんざん聞いた評価を聞いた後だと…………不安だ。

 

「さあ、審査員よ! 試食の時間だ! まずは我がドル友のチョコレートからだ!」

 

「あ、ああ。分かった」

 

 ゴクリと唾を飲む音がした。それもその筈だ。どう見たって、味の予想が着かないからなこれ。

 

「あぐっもきゅもきゅもっ……!? ぐはっ!」

 

 おいぃぃぃ! 倒れたぞ! ぐはっ! て、何だ! ぐはっ!って!

 

「衛宮君!? しっかりして!」

 

「不味いです! 早く解毒を……!」

 

 解毒!? 毒物扱いなのか!?

 

「だ、大丈夫。何とか………ダイジョウブDEATH」

 

 とても、大丈夫に見えねぇよ! 顔、紫色だぞ!

 

「――では、次は見事なサイズの娘のチョコレートだ!」

 

 容赦なく、サクサク進めんなよ。

 

「じ、じゃあ。パクッ。………………………………」

 

「…………?」

 

 何故無言?

 

「…………と」

 

 と?

 

「溶けない」

 

 はい?

 

「いくら舐めても全然溶けないんだ! しかも、固すぎてむしろ痛い!」

 

 どー言う事だよ! それ! 固いって!

 

「こ、これは一体…………!? なえか様、失礼します!」

 

 フブキたんはマスターのチョコレートを一つ持ち、トンカチで叩いてみた。

 

 カキーン!

 

 …………どう聴いても、チョコレートの音じゃない。

 

 カンカン!

 

 しかも、いくら叩いてもヒビ一つ入らない。

 

「叩いた方が痛くなってきました…………」

 

 カンカンカンカンカンカンガキン!

 

 あ、トンカチにヒビが…………

 

「だ、駄目です。割れません」

 

「うむ。退くがいい麗しのメイド。――ハッ!」

 

 嫁セイバーが赤い剣を振り降ろす。

 

 ドガシャァァァン!

 

 チョコレートを置いてあったテーブルは真っ二つなったが、肝心のチョコレートは………………無傷だった。

 

「むむ……余の剣でも、砕けぬとはなんと言う強度だ!」

 

 サーヴァントの剣でも砕けないチョコレートって、ホントにチョコレートかよ!

 

「もはや、未知の物質Xだね! 流石、姉ちゃん! 食べ物から食べられない物を作り出す逆錬金術! 防犯グッズとか、売り出している企業が喜びそうだよ! あと、NA○Aとか……」

 

「未知の物質Xって、言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「この場合、どっちが勝利者なんだ?」

 

 方や食えるが毒物、方や砕けない未知の物質X…………うーん、甲乙着けがたいな…………

 

「さあ! 審査員よ! 勝利者はどちらだ!」

 

 衛宮のボーヤは、物凄く難しい顔をして…………重い口を開く。

 

「これは…………………………両者KOで」

 

「「へ?」」

 

「こっちのタコ? チョコレートは何と言うか、地獄の様な味がして、ハッキリと言って人類が理解できるレベルじゃない。――川の向こうで切嗣が真っ青な顔で、『帰りなさい!』って叫んでいたよ」

 

「………………」

 

「こっちのチョコレートは、味はチョコレート何だけど…………固すぎて、口の中が傷だらけになったよ。これは、地球上のモノでは食べれない。多分、地球外生命体ぐらいだと思う」

 

「………………」

 

 うん、確かに料理について正直なコメントだな!

 

「よって、両者引き分けで………………どうかな?」

 

「「何でよォォォォォォ!!」」

 

「それに…………」

 

「「?」」

 

「大切な気持ちがこもっていたのは、伝わったよ。特にえっと、エリちゃん? 君がオレじゃなくて、誰かの為に一生懸命に作ってくれたのはちゃんと分かったから大丈夫だよ」

 

「~~~~う、嬉しいこと言ってくれるじゃない!」

 

「うむ! 料理に必要なのは愛情! それを勝負するのは無粋であったな! 良かろう! この勝負は引き分けとする!」

 

けど、ここのチャレンジは…………?

 

「まあ、引き分けなので余達の負けだ」

 

「え、負けでいいの?」

 

「うむ! 楽しかったぞ! 楽しめたから問題なし!」

 

問題ないのか? 何だかんだでクリア扱いなのは助かるけど…………まあ、いいか。

 

「それじゃあ、せっかくだから…………勝った貴方達に私の歌をプレゼントよ!」

 

え、歌?

 

「サーヴァント界ナンバー1ヒットソング! 聴いてちょうだぁぁい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………ここで、オレ達に意識は途切れた。

 

 

 




槍「勝っても負けても罰ゲームだな」

剣「シローよく食べても胃が無事ですね」

弓(そこまで頑丈では無い筈なんだか……)

エリちゃん「はぁい! 後書きのみんなぁー! 元気?」

三騎士「え!? 何でここに!?」

エリちゃん「後書きしか出番無いから、暇でしょ! だ・か・ら……私の歌を届けに来たわよー!」

三騎士「うっそぉぉぉぉ!! ぎゃぁぁぁぁぁ!!」

彼らの意識もここで途切れた。


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