暗殺教室 ~化け物の申し子~ (千地)
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プロローグ

お久しぶりですというか、初めましてのかたが多いと思います
まずこれです

暗殺教室 お疲れまでした!

ついこないだのジャンプでついに暗殺教室が完結しまして、感動するオチで幕を閉じました。
ということで、書こうと思い深夜のテンションで書いてしまいました。
どこまでやれるかわかりませんが、よろしくお願いします。


数年前までは、俺はいつしか彼女ができると思っていた。ごく自然な流れて彼女ができ、そして結婚というラブストーリーを築くはず……だった。

だった

 

だった

 

だった

 

現実は甘くないというのが、高校二年の春にふと思ってしまった。現実という世界は俺を飲み込み、絶望というプレゼントをくれた。

左、そして右へと視線を移せばそこには男女の二人組のヒューマンたちが発情しながらイチャイチャしている……いや、あれは多分授業のノートを見せてもらおうと女子が男子に近づいているんだろう。

ほら、男子の机にはノートが開かれているからそうに違いない。

ただ、なんでそんなに近く会話しあっているんだろうか? もうちょっと離れなさい、すげぇうらやま

じゃなく、他の人たちに迷惑でしょうか? 空気よめ。

 

机のよこにかけてあった鞄を持ち、そのまま教室からフェードアウトする。いやいやいや、もう授業もないし教室に残る意味ないでしょ? みんなどんだけ学校好きなんだよ。

廊下を歩けば馬鹿笑いなどの声が響き渡り、さらには部活動の掛け声なのか気合が入っている声も響く。

たまに思うけど、男子の『○学~、ふぁい! おぉ!』は別として、女の子の『○学ー、ファイ オー!』の方が俺は好きだ。『ファイ』が『ぱい』に聞こえ『オー』がそのまま『お』に聞こえる。

男子ならわかるだろ? わからないやつは一度聞けば、麻薬並みに聴覚が支配されるからぜひ楽しみにしてくれ。

 

俺が通っている『私立 帝凜学院』は最初は良さそうな学校だと思い、青春妄想爆発させたさ。けど、やはり学校は学校というのが分かってしまった。それほど楽しくない。友達できない。

そして、一番の理由が『彼女できない』である。

これ大事、まじ彼女できないとか人生詰んでいると思うのは俺だけではない。いいか? たしかに高校生でも彼女できるのは、ぶっちゃけいるんだよ。

けど、それができないとなれば大学生とか専門生、社会人というステップアップをふみ彼女ができる。

だが、俺は今現在進行形で彼女が欲しい。

彼女といちゃいちゃしたい、彼女とデートしたい、他にはまぁ小さな子たちには教えられないな。俺は一言彼女が欲しい。

 

今日で67回くらいこんなこと思っているが、まだ家につくのに距離がある。家に着くまでを数えているので、最高は345回。だが、この様子だとこれを超えることはまだないだろう。

あの345回は、帰り道に通る公園でクソカップルどもがイチャイチャズッコンをやっていたので、俺はそれを目撃してしまい近くにある電柱を奴らの目の前に倒し追い払ったわけだ。

人間、やればできるなと初めて思った。

 

 

 

「やめてください!」

 

「触らないで!」

 

「いいじゃねぇかよ? ここら辺は暗くなると危ないから、お兄さんたちが家まで送ってやろうといってんじゃねぇか」

 

「ほらほらそんな暴れんなって。たく、最近のガキはちょこまかと」

 

「おい! 近くにポリが来てないか見張ってろ。それ以外は目があったら脅せば助けられないだろうしよ」

 

 

 

おうおうおう、新しいイチャチャですか? なにそれ、俺も混ぜてもらいたい。俺もそれで『ちょ~、マジやめてほしいんですけど~キャハ』と言われてイチャイチャしたい。

またもあの公園を通ろうとすると、目の前にはこんな寒い時期なのに半袖の世紀末どもが三人おり、それに絡まれているのは制服からして中学の生徒である。性別は女性であることから、羨ましい。

―――が、相手は中学生。犯罪はいけないよ。まぁ、俺は関係ないからいいけどさすがにJCとか俺も範囲外なんでね。俺はどちからというとJD以上の年齢でアラサーまでが限界かな。いや、きっと俺の童貞力なら上までいけるか? ごめん、無理だわ。

 

すると、世紀末どもの一人が俺の存在に気付いた。

 

 

 

「あ? おめぇ、なに見てんだゴラァ。見せもんじゃねぇぞ!」

 

 

 

俺からだと、完全に見世物にしか見えないんだが。だって完全にこの世紀末どもを折に閉じ込めれば、猿にしか見えないだろ?

いやいやいや、なにを言っているんだ俺は? こんなことを考えるとか完全に末期だわ、だから彼女できないんだよ。よし、憶えておこう。彼女が欲しいから、予習や復習は肝心だ。

絡まれている間も、あっちでも絡まれているJCと目があってしまった。

あぁ~あ、ちょっと目から涙がでているではありませんか? たしかに俺はか弱い子もストライクゾーンに入るけど、残念だ。俺のルールだとJCは禁止なんだよ。投げることもできないね? つか、ごめんね俺が丁度いいタイミングで現れちゃって。

だってこんなタイミングなら、謎のクールな男が颯爽と現れて『その手をはなせ』を100%いってこの雑魚を倒して『大丈夫か』とか聞いちゃって助けられるんだろうけど、俺でしたご愁傷様でした。

俺はあんまし関わりたくない、こんなのと関わったら絶対彼女できない!!。これは俺の死活問題だ、だから悪いけど俺は君らを助ける義理はないよ。

先ほどから俺に文句をつけている世紀末1に向かって少しため息をもらし、そのまま公園を突っ切るように足先を早める。

 

 

 

「た、助けて下さい!!」

 

「すみません! 警察をよんでください!!? すみません!!」

 

「はは、あいつに助けを呼んでも無駄だぜお嬢さんたち。あの制服を見たら、それは誰でも納得するわな」

 

「え……」

 

「あれは近くにある帝凜っていう、超有名高校の一つでよ。問題を起こせば退学というおそれもある、それはもうある意味アホみたいな学校なんだよ。だから、こんなバカみたいなのに巻き込まれれば、あいつは身の保険を選び関わろうとしない。はは、これでもう邪魔者はいなくなったな」

 

「いやっ…!」

 

「もうすぐここいらも人通りが少なくなる。さぁ、楽しもうぜ!」

 

「た、たすけて……お願い、誰か………」

 

 

 

 

 

 

 

――――――たすけて

 

 

 

 

 

 

刹那、男たちが女の子に襲い掛かろうとした瞬間に起こった。男たちを急に覆った影が急に出来上がり、それがだんだんと近づいてくるのか影がはっきりし、しかも音がヒューと高音を頭上から聞こえる。

すると、そのままドシンと音をし地響きがした。いつのまにかあたりは土煙に覆われ、女の子たちは脳が追い付かなく、ただ唖然としている。だんだんと煙が晴れ、目の前までいた男たちは消えていた。最初はわからなかった、どこかで見たと思いよく見れば信じられないことに電柱が倒れている。しかもその下には男たちが下敷きにされており身動きが取れないでいる。

電柱の根元であったであろう場所には、先ほどまで微動だにせず静観していた男性が佇んでいた。

そして一歩一歩と近づき、男どもの目線に合わせるようにしゃがみ込んだ。

 

 

 

「どうも、帝凜学院の2年C組 『覇鐘 獅子』です。僕の夢は彼女ができることです、よろしくお願いします」

 

 

 

そう言い残し、彼は何事もなかったようにそのまま去っていった。

 

 

 

「………だ、大丈夫矢田さん? どこか怪我とかは」

 

「だ、大丈夫。ただ、ちょっと唖然としちゃって……。片岡さんは、大丈夫なの? さっきの衝撃でどこかうったりは」

 

「ううん、平気。とりあえず、警察が来る前にここを離れましょう。話はその後で」

 

「うん。………………覇鐘、さんか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ~あ、やっちゃったやっちゃった。変な自己紹介しちまったし、これからどうしよっか? うん、まずは下手すれば退学もんで、下手すれば賠償もんですわ。前回は上手くやったけど、こんかいは目撃者もいるからヤバいかもな……

どうしよう、電柱っていくらで修理できるんだろ? ガムテープとか接着剤でワンチャンいけるのでは? 

しかし、あの女の子たちの制服はどうみても椚ヶ丘中学校だよな? あそこはすごい勉強一筋、才能開花とかそんな完璧高校なのに平気かな? まぁ、とりあえず被害はあまりなさそうだしいいかな。

え? なんで心配したかってか? もしかしたらあの子たちは5年後とかになれば、俺のことを覚えてて『あの時はありがとうございます! せめてものお礼で……お付き合いしてください!』とか言われるかもしれない!

これも計算よ、計算がすべて。

さぁてと、明日のことは明日考えればいいしいつものように妄想彼女シュミレーションしながら帰るとするか。もう20分も予定よりか遅れているし。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヌルフフフ、面白いですねぇ。いるもんなんですねぇ、生まれた時から化け物というのは」

 



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一の話 暗殺開始

「え、暗殺……ですか?」

 

「あぁ、ぜひ君には我々の使命を手伝ってほしい」

 

 

 

あれから一週間の時が過ぎた。もちろん、あの事件はなかったことになった。聞けばヤンキーくずれどもが俺の名前を警察に出して理由をいったらしいのだが、どうも信じられないと言われ逆にあいつらが豚箱行きとなった。ヤンキーなら警察に頼んなよ。

俺はというと今まで通りリア充を妬み、リア充になりたいという矛盾を考えながら今日このころを過ごしている日常……で、あったのだが、これはどういう状況だ? 寝て起きたらパジャマ姿のままうす暗い空間で拘束され、さらには手には手錠をされておりまるで捕まっているみたいだ。

違うから、たしかにいつかは世界滅亡しないかなーとは思ったことあるけど、別に実行しようとしてカルト集団作ろうとか行動してないから。名前は童帝教団とかそんなの考えてないから、本当だから!!!

―――と、思っているのもつかの間に先ほどから俺に言葉を投げかけている男性が眉間にしわを寄せながら声尾を発した。

 

 

 

「先ほど言ったように、来年に地球は滅亡する」

 

「すいません、なんか滅亡とか言われてもピンともスンとも想像できないんスけど」

 

「たしかに、一般ではそういう感想が多いだろう。けど、それには原因がある」

 

 

 

この人の名前は烏間さん、というのだけは知っている。律儀であり、どことなく野生を他漂わせるような男性というのが第一人称であった。切り目であり、スーツを着ても筋肉が発達しているということはわかる。

どうやらこの人、もといこの人が所属している組織とやらが俺を拘束したらしい。軍とか政府とかいろいろ言ってるから、たぶん国だと思うんだが……。

烏間さんは数分前までは拘束したことを謝罪してくいれた。いやそれはいいよ、だってこんな理不尽なことされて怒らないやつなんていないだろ? でも、何故かこの人が頭を下げるというのは想像できるけど、絶対やらなさそう。けど、それでも頭を深く下げてくれた。うん、許してあげますよイケメンさん。

………でもさぁ

 

 

 

「その前にこの鉄格子も外せよ!? 手錠ならまだわかる、いやわかりたくないけど仕方ない! けど、俺人間だよ! 鉄格子ぐらい外したって害はないよ!」

 

「す、すまんがそれは上の方針で不可能だ。申し訳ない、少しだけその中に入ってくれ」

 

「ふざけんなよ!? ホモサピエンスなめんな!」

 

 

 

そう、この俺を囲んでいる鉄格子だ。どうみても俺が閉じ込められている。いや、最初は『烏間さん鉄格子の中に入る趣味あるんだー』と思ってたけど、俺が入っていたとは不覚。烏間さんはどうやら上というには、上司なのだろう。その人から俺を鉄格子に入れさせろと言われ仕方なくって感じだ。

 

 

 

「とりあえず、俺の話が終わるまで少しだけそこで静かにしててくれ」

 

「おいおいおい、俺を? なんだって? 俺を静かにだと? ははははははは!! それは無理なこった! この覇鐘 獅子さんはよぉ、地元でも一時期ブイブイ言われてたほどなんだぞ! 俺に命令したきゃ、態度ってもんがあるだろうよ!」

 

「くっ………(最近の子供はやはり嫌いだ。こんな不貞腐れては日本は終わりだ)。なんだ? 要件があればすぐこちらで応対しよう」

 

「ふっ、なら手短に話そう。俺の要件は―――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいか、静かにな」

 

 

 

さすがは政府だ。俺の要件をすぐ鵜呑みにし、完璧に応対してくれたわ。俺は政府からもらったのを勢いよくあけて、その突起した部分を口の中に入れる。そのまま頬の形態が変わるように息を吸い込み、口に含む。あぁ~、うめぇ。

目がとろけそうであったが、ここが俺の家ではないことを再確認し慎重な顔を保ち続ける。

 

 

 

「うん、ありがとう烏間さん」

 

「全く欲しいのが『ゼリージュース』とは……。これが本当に以前まで要注意人物とは、とても思えない」

 

「なにそれ初耳。俺、国に危険扱されてたの?」

 

「い、いや!? それは別にそのようなことではなく、ただやはり君の『体』はなんというか、そのあれだ! 一般人とはかけ離れているため、多少我々も君を特別視しているというわけだ」

 

 

 

信じられない事実を言われ若干気分悪くなったが、そんな様子を言われた俺を見かねて烏間さんが慣れない笑顔を俺に向けてくる。やめてくれ、俺に同情しないでくれ!

くっ、これがイケメンの余裕というやつか。

 

 

 

「それでだ、話を聞いてくれないだろうか? 君にとっては悪い話ではない。」

 

「それは内容にもよりますけど、聞く価値を測るのは俺なのでね。まぁ、意味もないつまらない内容なら………わかりますよね」

 

 

 

少しばかり強調気味に言えば、烏間さんはどことなく緊張した表情しだす。政府が俺のことを多少知っているのなら、わかっているはずだと思う。いや、わかっていなくてこんなこと言い出した俺超恥ずかしいけどさ。

今までキチンと木の椅子に座っていたが痺れを切らすように、立ち上がり鉄格子まで近づく。鉄格子に手をかけて、烏間さんにさらに近づいた。やはりイケメンか、なんか遠近法でイケメンではないと思っていたが、そんなの関係なかった。

烏丸さんはそんな俺の行動を良く思っていないのか、体の全身とは言わないが多少何が起こっても対処できるように構えだす。

 

 

 

「………いいでしょう。どうせこんな鉄格子壊して脱走しても、政府が動いてちゃあ元も子もないですしね。いやはや、めんどくさいですね国というのは」

 

「最後まで聞く、でよろしいかな」

 

「えぇ、だいたい内容はわかりますからね」

 

「ありがたい。それでは、今回君を呼び出したことの経緯から説明させてもらう」

 

 

 

烏間さんは指で音を鳴らすと、鉄格子の先の天井から巨大なモニター現れた。なにそれ、すげぇ便利じゃん。指パッチンでテレビ出すとか、どこのSF映画だよ。

ためしに俺も指パッチンしたら、上からジュースが落ちてきた。………なんか解せないが、まぁ映画鑑賞とか思えばいいのかな。

 

 

 

「君も知っての通り、今年になって世界中に衝撃を与えた事件が発生した。君は知っているかね?」

 

 

 

あぁ、アレのことだね。そうそう、アレは凄いのなんのって話だよね。全米が泣いたり、欧州が踊ったりとかそんな衝撃だったよね。うんうん、いや? え、分かるに決まっているじゃないですか皆さん。だって世界中に知れ渡っている事件ですよ?

この世界の最先端といわれる俺がね? まさか知らないとかそんなわけないでしょ? ははははははははは!!

 

 

 

「タイガー・ウッ○の浮気騒動ですよね。いやはや、あいつ世の中の男性の敵ですよ。ね? 烏間さん」

 

 

 

あいつマジうらやま……許さないですよね

 

 

 

「そんな小規模なことではなく、月のことだ」

 

 

 

モニターには月が映し出される。だが、それは去年までの本来の月はない。すでに7割ぐらいが欠けておりこれからも満月は見られなく、三日月しか見られないと言えるほど酷い損傷をしている。

噂によれば月の実験で爆弾てきなのが暴発したり、宇宙人の仕業だったりとか憶測は飛んでいるけど、ぶっちゃけ興味ないよね。

別に月があろうがなかろうが、地球にはあまり影響ないしよ。いやまて、あの有名なセリフ『月が綺麗ですね』というのが言えないではないか!

月が半壊しているのを眺めて『月が綺麗ですね』というと、それはある意味死語である。

 

 

 

「この月をやった犯人が、名乗りをあげてきたのだ」

 

「…………は? いやいやいや、烏間さんそれはどこのイギリスジョークですか? それはなにも、ありえないでしょ。まさか本当にその犯人の言動を信じちゃったんですかウケる!」

 

「冗談ではなく、私たちも確信を得ている。月をやったのは………こいつだ」

 

 

 

次にモニターに映し出されたのは、とても興味深かった。それは俺のような人間ではなく、完全に人間ではない未知の生命体が写っていた。

黄色い肌をしており、触手のようなのが何本もあった。つか、タコを巨大化したらこんなもんだよな? というのが俺の感想だ。ここまで未知となると、そんなに驚かないよな。

画像とともに、その生物の映像も同時に流れた。

 

 

 

「こいつの特徴は映像で分かる通り、速度だ。瞬間的に加速し、捕まえることもほぼ不可能。最高速度はマッハ20、そしてこの奇妙奇天烈な触手。この二つを兼ね備えている限り、我々ではとうてい手も出せないのでいる」

 

「もちろん、軍の最新兵器でもですか?」

 

「あぁ。遠距離武器、近距離武器。装甲車や空母など、当たらない限りやつは無敵だ」

 

「打つ手無しじゃないですか」

 

「そういうことだな。しかも、こいつは来年の三月に地球を滅ぼすと、世界中に宣言している」

 

 

 

マジですか、ヤバいいじゃないですか。ヤバいどころか、地球滅亡の危機……そして、俺の童貞卒業までの猶予がのこり一年。……マジかよ。

え、マジかよ!!? これはヤバい通り越して、絶望もすら通り越すレベル。地球滅亡とか、は? なにソレだよ。彼女が一生できない可能性のほうが、最悪だよ!

 

 

 

「か、かかかか烏間さんどうしよう!! 俺、一生童貞のままかも知れない!! つか、彼女ができないというのはツラすぎて死んでしまいそう!:

 

「問題はそこではないだろ! いいかね、このままでは地球が滅ぶかもしれないのだぞ! この生物を殺さない限りでは、いつになるのかも検討もつかん」

 

 

 

未知の生物は映像越しだが、先ほどから『ヌルフフフ』と笑い声を出している。しかも音量も最高先端のおかげで、とても心地よく聞こえる。

 

 

 

 

 

 

 

コロス

 

 

 

 

「君に今回呼んだのは他でもない、この生物を殺してほしいのだ。もちろん、こいつを殺しても罪に問われない。報酬は100億、勿論交渉によっては上がることもある。ただし、そのかわりと言ってはなんだが」

 

 

 

先ほどから邪魔でしょうがなかった手錠をごり押しで外し、鉄格子に手をかける。そして丁度俺が出入りできるぐらいに鉄格子を曲げる。

許すまじ、このタコ型星人が。マッハ20? それがどうした、運よく捕まえて、殴れば終わりよ。触手? そんなもん、二度と生えてこないよう潰すのみ。

俺の行動と雰囲気に烏間さんはのまれ、唾をゴクリと飲んでいる音がしだす。

 

 

 

「(資料にあったように、この子はやはり凄まじい。あのタコも化け物だが、この子も………)」

 

「早く、そのタコヤローまで案内してください。俺が殺してやります」

 

 

 

地球滅亡とかあんまし信じてなかったけど、このタコならやりかねない。烏間さんの後を追いかけて、胸に決心を抱く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヌルフフフ、今日からこのE組の転校してきた覇鐘 獅子くんです。みなさん、どうぞ仲良くしてくださいね」

 

 

 

俺はなぜか中学生になっていた。



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二の話 渚の出会い

少しばかり文句を言いたいであります。

 

 

 

「ねぇ、高校から来たってほんとう? というか、噂じゃバカ過ぎて中学からやり直しとか聞くけど、どうなの?」

 

「なぁあんた! 二年前ぐらいに、皇金中学で野球部に入ってたよな!?」

 

「あ、あの! こないだの公園でお会いしませんでしたか?」

 

「それは、今期に人気急上昇のアニメ『マジカルライダー』のバッチ。鞄に堂々とつけているとは、あなたもこちら側の人ですか」

 

 

 

クラスに転入しはや30分で質問攻めの状況にさらされている。男や女にもモテモテであるが、二つ文句を言わせてほしい。別に男に話かけられるのはいいんだが、女に関してはやはり中学生であるから、全然うれしくないのです。マイナス一点ですね。

そして、この扱いの酷さだよ。あの後に烏間さんの説明を受けても抗議し続けたが、なんと俺を中学校に転入もとい留年いう両方をとって、わざわざ怪物がいるこのクラスにぶち込まれたのだ。

行先は『椚ヶ丘中学校』。前まで通っていた俺の高校と比べれば、かなり教育に精を注いでいる名門校の一つ。スポーツや勉学でも上位に食い込む、怪物高とも言われている。

けど、内部はやはりドロドロの環境だ。一学年5クラスあるが、この俺が転入したEクラスは『エンドのE組』と言われる、いわば落ちこぼれのクラス。

 

 

 

「まさかガネさんが、このクラスに入るなんて思いもしなかったぜ。けどまぁ、よく俺の店でただ飯食ってたから何かやらかしたろ?」

 

「伝道師様! なぜ、ここに伝道師様がお出でに!?」

 

「岡島、お前なんで泣いているんだよ。知り合いかなにかか」

 

 

 

落ちこぼれだけあってかわからんが、どれもキャラが強そうな奴らがたくさんいやがる。見渡せば、俺の知り合いがチラホラいるけど……。弟子も嘆かわしいとか、いろいろ言っているけど今は無視だな無視。

まぁ、こんな大人数に囲まれる俺のカリスマ性はやはりずば抜けているな。うん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇい!!!! 俺は聖徳太子でもなければ、リンカーンでもないんだぞ! 喋るなら一人ずつで頼みますよ!」

 

 

 

我慢というのを振り切り、ついにキレてしまった。30分からいろんな奴らから質問などされたりで、頭パンクしそうなんですよガネさんは。学校でも全く経験がないほど人間に囲まれて、若干トラウマになりそうだわ!

 

 

 

「そこのゆるふわ! 俺はこの化け物を殺すために選ばれた派遣社員みたいなもんだ! 断じてバカではない。短髪ボーイ! たしかに中学は皇金で野球という青春を送っていたが、ぶっちゃけモテたいから始めたわけで、今はやってない! オーバー胸囲、忘れろ! 次に水木先生! マジ今期当たりが多いよな! 村松の倅、忘れろ! 飯のことは何もなかった! 弟子よ、死ね以上!」

 

 

 

そのまま窓から外に出て、林の中へと消える。このE組だけ別校舎で授業をさせられており、なんと山でお勉強できるというまるで隔離施設みたいなところだ。けど、自然豊かで川も流れているからぶっちゃけ気に入ってはいる。

言いたいことをすべて言い終えて、丁度良い木にもたれかかり一息をつく。

空気が澄んでおり、息をするのが気持ちいい。さきほどの状況を思い出すと、俺が質問攻めにあっている間にあの化け物はニヤニヤしながらこちらを見ていた。

俺よりも体格があり、俺よりも頭が良さそうで、俺よりも異形である。そんな怪物があのクラスで先生をしているのが、今でも信じられない。なんでも、あの化け物が自分からこの学校のあのクラスで教師に立候補したらしい。

気まぐれにしては、出来過ぎである。情報を集めるのは好きだが、あそこまでバカみたいな存在だとかなり時間がかかるだろうし、政府も国家機密にしている分集めにくいだろう。下手したら国家反逆罪で、俺はお縄にされ豚箱いきだろうな。

………名前は確か『殺せんせー』と言ってたな。あのクラスのうちの一人が、そんな名前を化け物に与えたらしい。そういえば、あのクラスにもう一人『化け物のもどき』が居たけど、アレは秘密にしたほうがいいのかな。

完璧に隠しているだろうけど、首元から臭うしなおかつビンビン伝わるんだよね。まぁ、とくに俺の不利なことではないから何も言わないけどさ。

問題はどうするか。お題はあの先生の『暗殺』。こないだからどう殺すか悩んではいるが、答えがでてこない。たしかにあの時は殺せると思ったが、何分あいては俺の数倍の化け物だ。マッハ20とかもう、どうやって殺せばいいんだよ。

 

 

 

「あ、いたいた」

 

 

 

すると、変に頭の中ゴチャゴチャになっていて気づかなかったが、後ろの茂みから水色の髪の毛の子が声をかけながら出てきた。

たしか………

 

 

 

「潮田さん……だっけか? すまん、まだ名前覚えてないからさ」

 

「ううん、あってるよ。僕の名前は潮田 渚だよ。覇鐘 獅子さんでいいよね」

 

「おう、バッチシ。覇王の覇に金の童と書いて鐘、王者のプライドを持つライオンの名前を借りて獅子。立派な名前だろ?」

 

「あはは、面白いね。しかも、初っ端から授業サボるなんて、凄いね」

 

 

 

やばい、ドキドキしてきた。こんなに女の子と喋ったのは、中一のとき以来なんだけど。あの時は隣の女子に『あの、覇鐘くんだよね? 次の授業わかる?』という些細な会話を最後に俺と女の子とコンタクトは終わってしまった。

潮田さんは俺の隣によいしょと座り込んだ。しかも、女の子座りで!!! やばい、ここまで破壊力があるとは俺もまだまだ童貞の限界を超えられそうだな。

 

 

 

「急に居なくなっちゃってビックリしちゃったよ。君が居なくなったからこの時間帯自習になって、何もやることないからみんな君を探しているんだよ?」

 

「あ……あぁ、それはとんだ迷惑をかけたな。けど、俺あんまし人に声をかけられたことなくてさ、しかもあんな大人数に。動物園の猿の気持ちがよくわかるよ」

 

「ごめんね、みんなこんな時期に来る君のことで興味深々なんだよ。なんだって、あの先生がいるからね」

 

 

 

あの先生というと、化け物のことだろうな。潮田さんは先ほどから俺に笑顔を振りまいているから、すげぇ眩しいですよ。くそぅ、これがJCの光か!? 甘く見ていたぜ……これを克服したらさすがに犯罪者だから、ギリギリを保っているが下手すればアウトだな。

 

 

 

「そうだ、僕も一つ質問させてもらっていいかな」

 

「質問か? 別にいいけどよ……プライベートなことはやめてくれよ。俺、こう見えても政府から特別視されてるからさ」

 

 

 

危険因子としてな。

潮田さんは口元に人差し指を当てて、悩んでいる。やばす、可愛いですよはい! あざといけど、たぶん天然さんなんだろうな。

そのまま悩んでいると、何かを閃いたのか目を見開かせ笑顔になった。

 

 

 

「覇鐘さんは、殺せんせーを殺れると思う?」

 

 

 

とても純粋な質問だ。子供が親になにかしらの質問をするように、この子は当然に質問しだす。無邪気な笑顔、殺意も覇気もない純粋なことのように聞こえる。

だが、それがとても俺には気持ちいい。こんなに純粋な雰囲気を出せる人は、そうそういない。だから、俺もそれに感化されているのかもしれない。潮田 渚、いい子というのが俺の見解だ。

 

 

 

「殺せるさ、こんな風に」

 

 

 

その言葉と同時に、先ほどまでもたれかかっていた木を思い切り殴った。まるで重機が何かに突進したような音が鈍く鳴り、木は木っ端みじんになった。潮田さんも何か起こったかわからなく、ただ唖然と座り続けている。

 

 

 

「盗み聞きとは、先生としていかんだろ? な、殺せんせー」

 

「ヌルフフフ、いけませんね獅子くん。盗む聞きされたときの対処法が全くなっていませんね」

 

「冗談はやめてくれよ、先生。俺はあんたを殺そうとしただけだ。そんなの二の次なんですよ」

 

「面白い、面白いですよ。全世界探しても、木を拳で破壊できる元『高校生』は君だけでしょうね。殺せるといいですね、私を」

 

 

 

殺せんせーは独特な笑い声とともに、マッハの勢いでどこかに去っていった。逃げても、あんたの居場所はあのクラスだ。殺せるとかそんな問いかけは必要ないですよ、殺すしか結論はないんですから、そんなの無意味。

潮田さんが腰が抜けたのかペタンと座っており、声が少しだけ震えている。

手を彼女に差し伸べる。俺、今超かっこいいかも。

 

 

 

「こんなことで腰を抜かしちゃ、まだまだ中学生だな。ほら、起き上がれ潮田さん」

 

「え、う……うん。ごめん、なんか信じられない光景みちゃって、少し頭が真っ白になったよ」

 

「気にすんな。俺は化け物なのは、知ってるから。それよか、楽しみだな」

 

 

 

潮田さんはなにが? と聞いてくると、俺は先ほどの彼女のように笑顔を向ける。

太陽からくる光が俺たちを包み込む。とても気持ちいい、ここまで気持ちよくなれるのは何年ぶりだろうな。

 

 

 

「暗殺だよ。君たちとこれから一年共闘できるのがな」

 

 

 

そう言い、彼女は笑顔になった。




まとめ

殺せんせー「みなさん、聞いてください!! 先ほど獅子くんが渚くんを茂み連れ込んだのを、先生みました!」

獅子→殺せんせー
抹殺対象。さらに殺る気アップ! 

殺せんせー→獅子
同じ化け物。とてもからかいやすい

渚「ち、違うよ!! 獅子くんはなにもしてないから! たしかに、隣に座ったとき僕の足ばっかり見てたけど誤解しないで」

獅子→渚
同年代だったら好きになっていた。いやマジで

渚→獅子
かっこいい人 


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