空戦魔導師のリリカルなのは (fortissimo 01)
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1話

久しぶりに空戦魔導師候補生の教官を見て書きました。一応空戦魔導師はほぼ全巻あります! ではどうぞ!


ここは無限書庫……。無重力の空間でその巨大な本棚には大量の歴史の本、その他色々な資料を保管してある場所である。そんな場所の片隅に長身痩躯の黒髪のアホ毛の青年が本を読んでいた。その青年の後ろから金髪の好青年……ユーノ・スクライアが近づいてきた。

 

「ずいぶん熱心に読んでるね?」

 

「ん? ユーノか。 ただ歴史の本を読んでるだけだ。暇だから」

 

「あはは……相変わらずだね、カナタ」

 

ユーノはアホ毛の青年ーーカナタ・エイジに苦笑いを見せた。するとカナタのデバイス《グラディウス》から連絡が入った。

 

『マスター。クロノ・ハラウオンさんからメールです』

 

「クロノから? どれどれ……」

 

カナタはクロノから送られたメールに目を通す。そのクロノからのメールの内容が気になったのかユーノがカナタに聞いてきた。

 

「どうゆう内容だったの? カナタ?」

 

「んっ、ちょっと仕事の話だよ。じゃあなユーノ。これよろしく!」

 

そう言ってカナタは自分が読んだ大量の本をユーノに渡し、無限書庫の出口に向かった。当然ユーノは片付ける用に言う。

 

「ちょ! カナタ! ちゃんと片付けて「いつかなんか奢るからよ、じゃあよろしくなー」あ!…………行っちゃった」

 

しかし、カナタはユーノの言葉を遮って無限書庫を出た。ユーノは大きなため息をし、友人の読んでいた本を元の場所に戻す作業を行った。

 

「全く……。そういえばクロノから内容詳しく聞いてなかったな〜」

 

 

 

カナタは無限書庫でユーノと別れた後、メールの内容通りにクロノ・ハラオウン提督の私室に来た。カナタはノックをせずにドアを開けた。カナタが部屋に入るとそこにはクロノ・ハラオウン提督がソファーに座っていた。

 

「よく来たな、カナタ。立ち話もなんだ、そこに座ってくれ。後敬語はもういいぞ」

 

「了解」

 

カナタはソファーに座った。カナタが座ると同時にクロノが話だした。

 

「今日何故お前に来てもらったかと言うとだな……異動だ」

 

「異動? どこにだ?」

 

「『機動六課』だ」

 

「『機動六課』? 新しい部隊か?」

 

「僕と君の友人である八神はやてが作った部隊だ。この部隊は私も少しかんでいてね。同じく聖王教会のカリムもだ。はやてからは聞いてなかったか?」

 

「聞いてねぇよ。しかし子狸がねぇ〜。」

 

カナタは子狸、もとい八神はやてが部隊を作った事に内心少しびっくりした。しかし、心の奥ではいつかやるだろうなと思っていた。

 

「ちなみにこれが現在決まっている機動六課のデータだ」

 

「ふーん、どれどれ……」

 

カナタはクロノから渡されたデータに目を通す。少し経ちカナタが口を開く。

 

「この部隊……随分大物揃いじゃねぇか。よくこれで良いって言われたな?」

 

「確かに戦力が集中してるけどね……。その隊長たちにはリミッターを付けたから大丈夫だったよ」

 

「なるほどねぇ……」

 

カナタは頭を書きながらもう一回データを読み返した。『機動六課』の隊長達はどれも大物揃い。例えば『管理局の白い悪魔』と呼ばれたり、『エース・オブ・エース』と呼ばれている高町なのは一等空尉。今目の前に座っているクロノ・ハラオウン提督の義理の妹で『金の閃光』のフェイト・T・ハラオウン。そしてこの部隊を作った『歩くロストロギア』の異名を持つ八神はやてとその守護騎士達。誰がどうみても戦力が集中しまくってる。

 

「別に俺が行かなくても良くないか?」

 

「いや、お前にはこの部隊の切り札かつ、新人達の教官をしてもらう。ちなみにお前にもリミッターは掛けさせてもらうぞ」

 

「切り札はともかく、俺が教官かよ。まぁいいけど。それで? いつあっちに行けばいいんだ?」

 

「明日から行ってもらう」

 

「あ、明日!? き、急だな……おい」

 

カナタは異動する日が明日と聞いて、目が飛び出そうな程びっくりした。

 

「そんな事でよろしく頼むよ。『黒の剣聖(クロノス)』カナタ・エイジ」

 

「あ〜わかったよ。それじゃあ準備するとしますか。じゃあなクロノ。いつかなんか奢れよ」

 

「ああ、約束しよう」

 

カナタはソファーから立ち上がりクロノの私室を出た。

 

「それにしてもなのはとヴィータがいるなんてな……会うのは確か『あの日』以来だな」

 

カナタは誰もいない廊下でそう呟き、自分の部屋に向かった。

 

 

これは『裏切り者』と言われ、最強とも言われた空戦魔導師と機動六課の物語……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ありがとうございました!

ちなみにカナタはクロノとユーノと昔知り合って友達になったという設定です!


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集結! 機動六課!

カナタの口調がいまいち微妙で心配です。ではどうぞ!


「ふーん、ここが機動六課か。」

 

翌日、カナタは指定された時間通り機動六課に着いた。

 

「とりあえず中に入るか。歩くの疲れたし」

 

カナタは機動六課の中に入って行った。入ると中は新品のように清潔だった。まぁ作り建てだから当たり前か。さて、クロノから事前に機動六課の地図もらったから早く部隊長室に行くか。

 

 

しばらく歩いてカナタは部隊長室の前に着いた。

 

「入るぞ」

 

カナタは怠そうに言ってからドアを開けた。その部屋には高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやてとその守護騎士達がいた。普通の人なら少しビビってしまうがカナタはそんな事を気にせず、敬礼をした。

 

「本日付けで此処、機動六課に入隊する事になった、元特殊クロノ隊所属、カナタ・エイジ執務官だ」

 

「はい、承認します。私はこの機動六課の部隊長の八神はやてです。よろしくお願いします」

 

はやてはカナタに手を出した。カナタはそれに答え、はやての手を握った。

 

「よろしく……とまぁこんな感じでいいか? はやて」

 

「うん! ええよ。久しぶりやね! カナタ君!」

 

「おう、久しぶりだな子狸!」

 

「誰が子狸やねん!」

 

カナタとはやては真剣な顔から打って変わり笑顔になった。部屋の様子も真剣な雰囲気はなくなっていた。

 

「久しぶりだね! カナタ!」

 

「よ! フェイト。久しぶりって言っても少し前一緒に仕事しただろ?」

 

「あ、そうだった」

 

実はフェイトとカナタは互いに執務官同士なので一番この中で会ってる回数が多い。偶に一緒に任務をしたりしている。カナタとフェイトが話していると……

 

「久しぶりだね! カナタ君」

 

「お、久しぶりだな魔王様」

 

「ま、魔王!? ひどい!」

 

なのはとカナタは『あの事件』以来直接あっていない。まぁその話はまた時間があった時にしよう。

 

「あ! そういえばカナタ君にまだシグナム達を自己紹介しておらんかっなね」

 

はやてがそう言うとピンク色のポニーテールをした凛とした雰囲気の女性がカナタに近づいてきた。

 

「私はシグナムだ。主からお前の事は色々聞いている。これからもよろしく頼む」

 

「よろしく、シグナム」

 

そう言うと二人は握手をした。

 

「ところでカナタも剣を使ってるようだな? いつか剣を交えたいものだな」

 

「はは……また今度な(シグナムってもしかして戦闘狂か?)」

 

シグナムと話していると赤毛の小さい女の子がカナタに近づく。

 

「久しぶりだな、カナタ!」

 

「おお、ヴィータか。相変わらず小せーな」

 

「小さいゆうなー!! それと頭撫でんな!」

 

カナタとヴィータはなのはと同じ『あの事件』以来直接会ってない。怒ってるヴィータも久しぶりにカナタと会ったので顔が緩んでいる。だから全然怖くない。すると今度は金髪の女性が近づいて来た。

 

「初めまして、カナタ君。私はシャマルです! 主に医務室で皆の体調管理や怪我の治療をしています。カナタ君も体調を崩したり、怪我をしたりしたら私の所に来てね。私の事はシャマル先生って言ってね」

 

「サンキュなシャマル先生。俺もそうゆう系の事は一応やった事あるから大変だったら手伝うよ」

 

「本当! 助かるわ〜」

 

カナタとシャマルは改めてよろしくの意味で握手をした。シャマル先生は結構ゆるふわ系の女性だな……とカナタはシャマルと握手をしながら思った。

 

「最後は私だな……私はザフィーラだ。お前の事は主はやてから聞いている。これからもよろしく頼む、カナタ」

 

犬……正確には狼の姿をしたザフィーラはカナタに近づいた。

 

「お前喋れたんだな。こちらこそよろしくなザフィーラ」

 

カナタはザフィーラの頭を撫でた。カナタの撫で方がうまいのかザフィーラも気持ち良さそうだ。するとはやてが手を叩いた。

 

「これで全員自己紹介したなぁ? カナタ君にコードネームを教えるの忘れていたわ。カナタ君のコードネームはクロノス1や!」

 

「クロノスか。了解」

 

クロノス……多分カナタの『黒の剣聖』から取ったのだろう。

 

「さて! それじゃあ今日はカナタ君の歓迎パーティやるで〜!」

 

『おお〜!!』

 

カナタは賑やかな奴らだなっと思っていた。カナタは『あの事件』以降『裏切り者』と呼ばれていた為、あまり人と関わる事がなかった。なのでこういったパーティは久しぶりなのだ。いつの間にカナタの顔は自然と幼い子供の様な無邪気な笑顔になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日……

 

隊長達とFWメンバーを始め、機動六課の部隊員とスタッフはロビーに集まっていた。そんな中カナタはFWメンバーを観察していた。

 

(資料で見たけどやっぱりまだガキ達だな……。果たしてこいつらはどこまで行くだろうな?)

 

そんな中FWのオレンジの髪の子と目があったが目を逸らされた。俺、なんかしたか? とカナタが考えている内に全員が集まったのではやてが口を開く。

 

「機動六課課長、そしてこの本部隊舎の総部隊長、八神はやてです。平和と法の守護者、時空管理局の部隊として事件に立ち向かい、人々を守っていく事が使命であり成すべき事です。実績と実力に溢れた指揮官陣、若く可能性に溢れたFW陣、それぞれの専門技術の持ち主のメカニックやバックのスタッフ。全員が一眼となって事件に立ち向かっていける事を信じています…………と長い話をすると嫌われるんでここまでにします。以上機動六課課長及び本文隊舎の総部隊長の八神はやてでした!」

 

はやてが話終わると皆は暖かい拍手をした。その後、それぞれ解散となった。その後すぐにカナタはなのはに話かけた。

 

「なのは、FWメンバーは俺が連れてくから先に訓練場で準備しといてくんねーか?」

 

「了解! じゃあカナタ君、訓練場でね!」

 

なのはは先に訓練場に向かった。なのはが行ったのを確認した後、カナタはFWメンバーの方に向かって声をかけた。

 

「おーい、FWメンバー。俺に着いてこーい」

 

『は、はい!』

 

 

 

 

 

現在カナタとFWメンバーの4人は廊下を歩いている。そんな中FWメンバーのスバル・ナカジマとティアナ・ランスターは小さい声で話していた。

 

「ねぇ、ティアナ。この人って誰?」

 

「はぁ!? あんた知らないのこいつは……」

 

「そういえば自己紹介がまだだったか?」

 

カナタは足を止めて、後ろを向いた。

 

「俺の名前はカナタ・エイジだ。なのはと同じくお前らの教官だ。よろしくな」

 

「カナタ・エイジ? そういえばどっかで聞いた事あるような……」

 

スバルが思い出そうとしていると

 

「『裏切り者』のカナタ・エイジよ。スバル」

 

「その……お知り合いですかティアナさん?」

 

スバルはその言葉に何か思い出した様子で、キャロ・ル・ルシエとエリオ・モンディアルはきょとんと首を傾げている様子。

 

「知り合いなんてもんじゃないわよ! クロノ・ハラオウン提督の特殊部隊のエースじゃないの。『黒の剣聖』なんて称号をもらいながら、特別任務とか全然サボってるっ!」

 

「ああ! 思い出した! 確か昇進がかかったランキング戦をサボったという噂や、特務で特務でありながら任務や訓練に参加しないという噂があって、なんでも任務中に事故にあって以来、皆は臆病風に吹かれたんだって言ってた!」

 

「そうよ! それで裏切り者のあんたがなんで私達の教官な訳!? 言っとくけど私はあんたの事教官として認めないからねっ!」

 

ビシッ!っと容赦なくティアナに指を指される。本来ならあってはいけない事。エリオとキャロはカナタの事を詳しく知らないのでその様子を不思議そうに見ていた。

 

「文句は上の奴かはやてに言えよ。俺はお前らを指導する様に頼まれたんだからな。それに俺もお前らの事に興味があるからな」

 

「興味があるって! やっぱりそうゆう目で見てるんじゃないっ! 変態!」

 

「ちげーよ。ガキに興味はねーよ」

 

しれっと口にされ、ティアナはぐぬぬとカナタを喰い殺さんばかりに睨んでいる。カナタはそんな事を気にせず他のメンバーに少し気になっていた事を聞いた。

 

「そういえばお前らもうFW同士で自己紹介はしたか?」

 

「え、えっと……」

 

「名前と経験のスキルの確認はしました」

 

「あと部隊分けとコールサインもです」

 

「了解、じゃあ早速やるか」

 

「「「「………???」」」」

 

いきなりカナタがケロッと言い放つ。だが、スバル達のなんのことかわからず頭に疑問符を浮かべていた。カナタはなんでわからないんだ? と首を傾げていた。そんな中我慢できずティアナは質問した。

 

「な、何をするのよ!」

 

「決まってるだろう訓練だ」

 

「「「「ええ!!」」」」」

 

カナタの発言にFWメンバーは戸惑った。

 

「そ、そんなこと一言も言ってませんでしたよ!?」

 

スバルに言われ、カナタは心外そうに言う。

 

「ん? 言わなかったか?」

 

『言ってない!』

 

FWメンバー全員の心が一つになったのはこの時が初めてだろう。

 

「とまあそういう事だからいまから20分後訓練場に集合だ。わかったなら動いた、動いた」

 

『は、はい!』

 

FWメンバーは準備の為に走って部屋に向かった。カナタはFWメンバーが行ったのを確認し、訓練場に向かった。

 

 

 

 

 

カナタが訓練場に着くとなのはとメガネをかけた女性がいた。

 

「あ、カナタ君!」

 

「準備サンキュな、なのは。それとシャーリー」

 

「あ、カナタさん! いえいえ、これもメカニックの仕事ですから!」

 

メガネの女性の名前はシャリオ・フィニーノ。皆は呼びやすい様にシャーリーと呼んでいる。彼女は通信主任系メカニックデザイナーをやっている。なのは達と話している内にFWメンバーが走ってきた。FWメンバーはすぐさま整列した。

 

「お、時間通りだな。それじゃあ訓練を始める前にデバイスの事を話さないとな。なのは、説明頼む」

 

「うん、わかった。はい、皆これを」

 

なのははFWメンバーにそれぞれのデバイスを渡した。

 

「今返したデバイスには記録用のチップが入っているから大切に扱ってね」

 

『はい!』

 

「後はシャーリーから話を聞こうか」

 

「えーメカニックデザイナー系通信主任をしています、シャリオ・フィニーノです。皆はシャーリーって呼んでいるからあなた達も気軽にそう呼んで。皆のデバイスを改良したり調整したりもするので時々訓練を見せてもらう事になっています。何か相談とかあったら遠慮なく言ってね?」

 

『はい!』

 

「よし、それじゃあ訓練を始めるぞ」

 

「え、はい……だけど」

 

「ここでやるの?」

 

4人共ここで訓練をするのかと戸惑っている。もちろんここで訓練をするわけがない。

 

「シャーリー!」

 

「了解です!」

 

するとシャーリーは空中にディスプレイを出し、素早く打ち込む。

 

「機動六課自慢の訓練スペース、なのはさんとカナタさん完全観衆の陸戦用空間シュミレーター……ステージセット!」

 

すると海の上に複数のビルが並ぶ町が現れた。そう、ここが訓練場だ。FW陣は初めてみたのか目が釘付けだ。

 

「びっくりしてる様だが訓練はじめんぞー」

 

『は、はい!』

 

カナタ達は訓練場に移動した。

 

 

 

FW陣は地上におり、カナタとなのはのシャーリーはビルの頂上で立っていた。

 

「よし、皆聞こえるー?」

 

『はい!』

 

「聞こえてるようだな、じゃあ早速ターゲットを出すか。まずはそうだな……8体ぐらいだな、シャーリー」

 

「動作レベルC。攻撃レベルはDってところですかね?」

 

「うん、そうだね」

 

「まぁ、そんな所だな。FW陣聞いとけよ、俺たちの目的はロストロギアの管理だ。その目的の為に俺たちが戦わねーといけない相手がこいつらだ!」

 

するとFW陣の前に魔法陣が現れ、魔法陣から機械が現れた。カナタの説明をシャーリーが引き継ぐ。

「自立行動型の魔導機械。これは近づくと攻撃されるタイプだからね。攻撃は結構鋭いよ!」

 

「じゃあこれより第一回模擬戦を始めます。目的は逃走する機械の破壊または捕獲。制限時間は15分以内!」

 

『はい!』

 

「それじゃあミッション……スタート!」

 

 

 

 

4人は魔導機械、ガジェットクローンを追いかけている。その様子をカナタは冷静に分析していた。

 

「スバルとエリオが前衛だが分散しすぎだな。あれじゃあ後方のティアナとキャロがうまく動けない」

 

するとティアナがガジェットに魔力弾を放つ……がガジェットの前でそれは拡散した。4人はそれを見て動揺している。すかさずカナタが説明に入る。

 

「ガジェットクローンには少し厄介な奴があってな。さっきみたいに攻撃魔法を打ち消すAMF(アンチ・マギリンク・フィールド)ってーやつだ」

 

『このっ!』

 

ガジェットが逃げたのでスバルがウイングロードを使い、追いかける。

 

「ちなみにAMFを全開で出力されると……」

 

シャーリーが操作したガジェットからAMFが全開に放出され、ウイングロードが拡散していく。

 

『ええ!? きゃあぁ!!』

 

スバルは足場を失いビルに突っ込んだ。

 

「この様に移動魔法も困難になる。最後まで話を聞けよ? スバル」

 

『痛たた……すいません』

 

「まぁ今は皆のデバイスにちょっと工夫をして擬似的に出してるんだけどね。だけど現物からデータはとってるしかなり現物に近いよー」

 

「倒す方法は色々あるよ。素早く考えて、素早く行動して」

 

スバル達は少し考えた後、走り出した。どうやら何か作戦でも思いついた様だ。カナタはそんな様子を頭をかきながら見ていた。するとなのはがカナタの隣に立った。

 

「どう? カナタ君は」

 

「まだまだ危なっかしいな。だけどそこを徐々に改善するしかねぇーな。シャーリー、デバイスのデータは取れてるか?」

 

「はい! バッチリです。4人共優秀ですからね〜ちゃんと改良しますよ〜。レイジングハートとグラディウスも手伝いおねがいね?」

 

『わかりました』

 

『了解です』

 

そんな話をしている内に作戦は開始されていた。エリオが橋を崩して退路を防ぎ、すかさずスバルが攻撃を仕掛けた。やはり最初はAMFで攻撃は通らないがガジェットに近づき、物理攻撃を与え一体撃破した。そこからキャロと子竜のフリードはガジェットに炎を放った。それによりガジェットの行動は鈍ったのですぐにキャロが詠唱に入り、アルケミックチェーンを発動し、ガジェットを縛った。

 

「へぇ……なかなか器用だな、キャロ」

 

すると遠くからティアナが魔力弾を作る。しかし最初の魔力弾とは違う。

 

「え、魔力弾? でも効かないんじゃ……」

 

『いいえ、通用する方法はあります』

 

「うん」

 

「多重遠隔射撃……本来はAAランクの技だな」

 

「AAランク!?」

 

『シュート!!』

 

そしてティアナは魔力弾を放った。その魔力弾はAMFを通過して、ガジェット達を撃破した。

 

 

 

 

 

 

「では、訓練は以上だ。じゃ解散、お疲れさん」

 

『お、お疲れ様です……』

 

夜になったところで訓練は終わった。FW陣の顔は相当疲労が溜まっている顔だった。その後、FW陣となのは達と別れたカナタは自室に戻り、今日のデータをまとめていた。

 

 

 




ぶ、文章力が無くてすいません……。読んでくれてありがとうございました!

追記

編集しました!


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キャロの悩み

今回はキャロ回です! ではどうぞ!


機動六課が活動して数日……。早朝、綺麗な青い空の下、訓練場ではFWメンバーが今日も汗を流しながら訓練をしていた。

 

『こ、このっ! ちょこまかちょこまかと!』

 

艶やかなオレンジ色の髪の少女ーーティアナ・ランスターは叫ぶ。彼女の視界には三体のガジェット・クローンの姿を捉えてる。まだまだ乱雑だがそれでも彼女はびしばし動きながら魔力弾を撃ち込む。

 

『っ! キャロ後ろに来てるわよ!』

 

『えっ? くっ!』

 

『キャロ!? 大丈夫っ!?』

 

『な、なんとか大丈夫です!』

 

『了解、早速で悪いけどキャロ! 援護頼めるっ!?』

 

『は、はい! わかりました!』

 

『よし! スバル! エリオ! そっちはどう!?』

 

『私達もなんとか!』

 

『撃破できました!』

 

『了解! 中央に敵がいるから挟み撃ちにするわよ!』

 

まだまだ日が経ってないがチームワークは悪くない。最初はまだガジェットが8体だったので良かったが、現在のガジェットの数は16体。だが、彼女達は作戦を立て、まだ未熟だがよく動けている。上から見るとその動きがよくわかる。

 

「ま、こんなもんか」

 

漆黒のサーフボード〈ホウキ〉に乗った長身痩躯の少年ーーカナタ・エイジは上空からその様子を見てボソッと呟いた。ちなみに教官はなのはとカナタが交代、交代で教える。今日はカナタが教える日だ。

 

「やっぱりか……」

 

カナタは訓練場を見ながら言った。

 

 

 

 

 

「うしっ、じゃあ訓練はここまでだ」

 

『ありがとうございました!』

 

午前の訓練が終わり昼ご飯の時間になった。FWメンバーもお腹がすいてる様子だ。するとカナタが

 

「あ、キャロは残ってくれ。後はいっていいぞ」

 

「え?」

 

キャロは驚いた顔をし、他の皆は何故キャロだけを? と思い首を傾げた。するとティアナがカナタに近づいた。

 

「なんでキャロを残らせたのよ?」

 

「ん? ちょっと個人訓練だ」

 

「こ、個人訓練!? あんたそっちの趣味だったのね! この変態!」

 

ティアナは顔を赤らめながらカナタに指を指し叫んだ。

 

「だから俺はガキには興味ねーよ。ほら、帰った、帰った。」

 

「まぁまぁティアナ戻ろうよ。カナタさんは多分大丈夫だよ!」

 

「そ、そうですよ! 多分カナタさんなら大丈夫ですよ!」

 

「……わかったわよ」

 

スバルとエリオの説得のおかげでティアナが折れてくれた。カナタは心の中で二人サンキュと呟いた。するとティアナはキャロに抱きついた。

 

「キャロ、こいつが変な事したらすぐに連絡するのよ!」

 

「? わかりました?」

 

ティアナは大きく頷き、一瞬キャロに変な事したら殺す!っという意味を込めた睨みをカナタに向け、スバルとエリオと一緒に隊舎に向かった。ようやく行ったか……とカナタは三人に向けていた視線からキャロに向けた。

 

「待たせたな。そんで個人訓練の話だけど、この特訓は辛いぞ。お前にそれをやる覚悟はあるか? 苦手な事でもやる覚悟の事だぜ」

 

「…………」

 

苦手な事……キャロは沈黙する。カナタは軽く話しているようだが妙に重さがあった。例えるなら幾度もの修羅場をくぐりぬけた者のみが放つプレッシャーのようなものだ。しばらくキャロが考え……

 

「か、カナタさん!」

 

キャロは緊張しながらカナタに近づき上目遣いで見上げた。その瞳には決意をした思いが感じられる。

 

「どうしたんだよ、そんなに緊張して?」

 

「その特訓をしたら私は強くなれるんですよね?」

 

「ああ、そうだけど……それはお前の努力次第だ」

 

「な、なら私は大丈夫ですっ! どんな訓練にも耐え抜いて見せますっ!」

 

キャロの誠実さはカナタに伝わり、

 

「……わかった。どんなに過酷でもちゃんと耐え抜いてみせろよ。場所変える、じゃあ行くぞ」

 

「は、はいっ!」

 

そう言ってカナタとキャロは隊舎の方に歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

昼の時間。管理局本局の者はこの時間は弁当か食堂に食べに来るかだ。大半の物が食堂で食べにくる。食堂の飯は量が多くどれも絶品なので局員にとっては数少ない安らぎの場所だ。今日もたくさんの人がきて、食堂は賑やかだ。そんな食堂の厨房に二人が見学していた。キャロとカナタだ。

 

「あわわわっ! カナタさん! なんだか皆さん流れる様に動いてますよ!」

 

キャロの視界ではスタッフが素早い動きで働いている様子が映っていた。ある者はキッチンの調理鍋からビーフシチューをよそい、またある者がパンとサラダを用意して、そしてある者はお盆の上にそれらをセットして、カウンターにいる局員に提供している。

 

「それであのぅ……個人訓練ってもしかして」

 

「んっ、それ着てるんだから言われなくてもわかるだろ」

 

「む、ムリですっ! わ、私絶対足を引っ張りますよっっ!」

 

キャロの服はファミレスでよく見るウェイトレスの服をきていた。

 

「問題ねーよ。一度やってみて、勤まらないようだったら俺が声をかけるし」

 

ポンっとカナタはキャロの背中を押したが、

 

「あ、あのぅ……」

 

キャロは弱々しく口にする。キッチンの端っこで邪魔にならない様にしながら、一生懸命トレイを回すスタッフ達の動きを眺めるので精一杯だった。何をすればわからず、出だしから躓いた。

 

「うぅ……カナタさぁ〜〜〜んっ!」

 

情けない声を出す。役に立てないのが悔しくて、ちょっとだけ涙を流したりする。すぐにカナタが助け船を出した。

 

「もうちょい周りをよく見てみろよ」

 

「ま、周り……ですか?」

 

「そ。困った時はすこし視線をずらして、周りをよく見てみろ。お前にできることなんて限られている。スタッフの方を見て、自分がいまできることで、スタッフ達のためになることはなんだよ?」

 

「スタッフのためになること……」

 

カナタの言われるがまま、キャロは周りを見る。六人のスタッフ達が手際よく盛り付けと調理をこなし、カウンターのスタッフ達は受けた注文を素早くキッチンへ伝えている。全員に迷いはなく、とてもキャロには真似できない。しかし、やることはわかった。キャロは緊張しながらカウンターに立った。

 

「あ、あのぅ……ご、ご注文は、な、何にしますかっ!?」

 

モジモジしながら上目遣いでキャロは言った。すごく可愛い。緊張しながらも必死に頑張っている少女の様子は、人に悪影響を与えるものではなかった。腹を空かせた局員は次々注文する。キャロは必死にメモを取り、キッチンに向かう。

 

「す、すいません! ビ、ビーフシチューを……そのぉ…」

 

お、落ち着け私……!

少し目線をずらすと六人の内の一人が配膳に専念しているのに気づいた。

 

「あ、あの……! ビーフシチュー一人前注文入りました!」

 

緊張した声で注文を告げ、料理が乗ったトレイを受け取るとそれをカウンターに持っていく。

へっ、よく周りを見てるじゃんか。端っこでカナタはキャロの様子を見てふっと口の端をつり上げた。キャロの役割は大雑把にいえば仲間の後方支援だ。仲間の支援をするには敵の状況、味方の状況を見る観察眼が必要だ。これを訓練の時に応用できれば問題ねーんだけど……。

するとキャロが近づいてきた。

 

「カナタさんっ! 質問いいですか?」

 

「ん、どうしたんだよ?」

 

「どうしてここの人達は、こんなにてきぱき動けるんですかっ?」

 

「さーな。でもさ、厨房スタッフの目的は料理を素早く、それも正確に提供することじゃん」

 

カナタは厨房スタッフの方を見る。

 

「目的が同じ者同士が集まって努力し続ければ、自然と結果が出るもんなんじゃねーの。こいつらだって周りをよく見ながら、自分にできることを精一杯やってるだけなんだぜ」

 

キャロはその言葉を聞いてはっと気づいた。自分はいつも目の前の事に精一杯で周りが見えていなかった。今日の訓練もティアナに指摘されなかったら撃墜されていた。

もっと……周りを見なきゃ……っ!

キャロがそう考えていると、客が落ち着いてきたので厨房のスタッフの一人がカナタに近づいてきた。

 

「カナタさん、今日のピークは無事すぎましたんで、あとは俺たちに任せてください!」

 

「うん、じゃあ後はよろしく頼むわ」

 

『お疲れ様でしたーーーっっっ!』

 

手の空いてるスタッフはカナタに向かって深々と頭を下げる。この人って何者なんだろう?っとキャロは思った。ティアナやスバルの話だと裏切り者扱いされていて、局内でも悪評が途絶えた例がない。それなのに……局員のスタッフ達からは妙に敬意を払われているようだし。

 

「ほら、好きな料理選べよキャロ」

 

「えっ! でも私そんなに手伝ってませんし……」

 

すると先ほどのスタッフがキャロの前にきた。

 

「カナタさんの教え子ならいつでも大歓迎です。なにかあったらお声をかけてください」

 

「あ! あの! ありがとうございます! じゃ、じゃあビーフシチューを……」

 

彼女のテーブルの上にはいつの間にか食欲をそそるビーフシチュー。キャロはビーフシチューを食べるとぽっぺがとろけ落ちそうになると大満足。そんな笑顔をカナタに向けながら食べた。カナタもキャロと一緒のビーフシチューを食べた。

 

本局を出た後カナタとキャロは並んで歩いている。町の中央通りなので人はかなりいる。するとカナタはキャロに手を出した。

 

「ほら、手」

 

「え……なんの手ですか!?」

 

「人込みだからさ。繋がないとはぐれちゃうかもしれないだろう?」

 

「手を……繋ぐんですか?」

 

「うーん、もしかして俺とじゃ嫌か?」

 

「い、いえ! その……教官のカナタさんと手を繋いでもいいいんですかっ!」

 

「そういうキャロをエスコートしたいんだよ」

 

「う、嬉しいです! すごくすごく嬉しいです!!」

 

キャロはカナタの手を握る。初めて握ったカナタの手は、とても温かかった。尊敬する教官の手だから、自ずと興奮してしまったんだろうと思う。しかし、それ以上に自然と心臓の音が高鳴り、キャロは恥ずかしくなって俯いた。

 

「べつにそんなに喜ばなくてもいいんだけど……」

 

「ち、ちがいます! カナタさんはすごいんですっ!」

 

キャロは興奮気味でカナタに言ったのでカナタはキャロに質問した。

 

「ふーん。俺のどんなとこすごいと思ったの?」

 

「教官さんとして、わたしたちに指導して強くしてくれたところとか……その……」

 

キャロは俯きながらゴニョゴニョと小さい声を漏らす。

 

「んっ、今なんて言ったんだよ? 小さくて聞こえなかったぞ」

 

「っ!」

 

カナタはキャロに顔を向ける。キャロの顔は紅くなっていた。キャロは正直に言った。

 

「や、優しいところですっ!」

 

「ふーん、俺ってそんな風に見えるのかよ。でも、俺ってぜんぜん優しくねーだろ。特訓とかも、かなり厳しめのラインを設定しているつもりだけどな」

 

「で、でもっ! こうして手を繋いでくれますしっ! やっぱりカナタさんはやさしいです! それにかっこいいですし!」

 

「そっか。ま、そんだけ言われたら悪い気はしねーかな」

 

キャロはカナタと並んで歩いていると幸せな気分になる。女の子の歩幅は男の子のものよりずっと狭い。しかし、この者は自分に歩幅を合わせて歩いてくれている。キャロは穢れのない瞳で、カナタの横顔を見る。こちらの視線に気づいて、前髪をくしゃくしゃに撫でてくれた。

なんだか……お兄ちゃんができたみたいです。キャロはカナタと歩きながらそう考えていた。

 

 

 

 

いつのまにか夕陽が出ている時間帯になり、カナタ達は公園についた。カナタとキャロはベンチに座る。そしてカナタがキャロに今日最後の訓練を言い渡す。

 

「キャロこれが今日最後の訓練だ。単刀直入に言う、お前は自分の本当の力をどうしたい? 使いたいのか、使いたくないのか。どうしたい?」

 

「っ! どうしてそれを……?」

 

「フェイトから聞いた」

 

「そう……ですか」

 

キャロは俯いた。キャロがその力を使わないのは理由がある。キャロが生まれた里でキャロは高い魔力を持って生まれた。しかし、ある日その力を暴走させてしまい里から追放されてしまった。その後各地を点々としていたところを時空管理局に保護され、キャロの事情を聞いたフェイトはキャロを引き取ったのだ。しばらくしてキャロが静かに口を開いた。

 

「怖いんです、また私のせいで誰かが傷ついてしまうと考えると……」

 

落ち込むキャロにカナタは、

 

「なぁキャロ、ヒントをやるよ」

 

「? ヒント……ですか?」

 

「今のお前はその優しさが弱さにつながっている。自分の想いを貫くチカラに繋がっていない。お前の力はなんの為に存在している?」

 

キャロは深く考えた、自分は本当はこの力をどうしたいのかを。そしてキャロは決意し、その言葉をカナタに言い放った。

 

「フェイトさんや皆を護る為です……!」

 

カナタは自然と口の端がつり上がる。

なんだ、自分でちゃんとわかってんじゃん。

 

「でも……私、また暴走しちゃうかも知れません」

 

「なぁ、キャロ。強さってなんだろうな?」

 

「強さ……ですか?」

 

強さとは何か?ーーーその完全な答えを人々はまだ知らない。身体的強さ。技術的強さ。精神的強さ。何かに耐える事だって強さの1つだ。他にも強さがあるが、カナタがその中で一つ選び出すなら、心の強さを挙げるだろう。どんな強者にも本質的に屈することない、不羈の心。自分のあるがままを受け入れ何事も束縛されない自由な心。カナタは自分の力を恐れて、もがき続けている少女を導いてやりたかった。

 

「ようはお前の怖がっている力も『心の強さ』次第だ。お前の心の強さでこれからのお前は変わるんだ」

 

「心の……強さ」

 

「護りたいんだろ? お前の手で皆を。……じゃあもう一回聞くぞ。お前はその力をどうしたいんだ?」

 

「私は……」

 

もう恐れちゃだめ。大丈夫。私には……皆を護りたいって思う強さがあるから!!

 

 

 

「使いたいです!! 皆や困ってる人を護るために!」

 

決意に満ちた真っ直ぐな瞳をカナタに向けた。その瞳からは確かな強さを感じ取れた。これならもう大丈夫そうだな

 

「合格だ。また明日から頑張って行こうぜ、キャロ」

 

カナタはキャロの前髪をくしゃくしゃ撫でた。キャロはなでられて嬉しそうだった。その時の少女の顔は、

 

「はいっ!!」

 

夕陽の輝きに負けない曇りのない笑顔だった。

 

 

 

 

夕陽が照らす公園で少女は誓った。自分を助けてくれた人を……大切な仲間を……そして私の大切なお兄ちゃんみたいな教官を護りたいと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちょっと無理やり感あるな〜と書き終わって思いました。
かなりレクティ回のネタを使いました。読んでくれてありがとうございました。また微妙に編集しときます。


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初出動!

先に言います……


更新遅れてすいませんでしたー!!


「変えてください!」

 

昼の時間、機動六課の食堂でティアナ・ランスターは目の前に座っている上司の高町なのはに向かって言った。なのははティアナの方を見て苦笑いだ。同じくエリオとキャロも苦笑いでティアナを見ていた。スバルは目の前の大盛りスパゲティを夢中で食べているため聞いていない。

 

「もう我慢の限界です、どうして私達が裏切り者の彼奴から教えてもらわなきゃいけないんですか! それに教官ならなのはさんがいますし!」

 

ティアナはなのはにカナタに対して溜まっていたストレスを爆発させていた。ティアナは一通りいうと自分の目の前にある水を飲んだ。するとなのははティアナの方を向いて

 

「ティアナ、確かにカナタくんは裏切り者って呼ばれているから、信用できないかもしれない。だけどこれは覚えてて、カナタくんの教える事は間違いなくあなた達を強くしている。それだけは断言できる」

 

「……なのはさんがそう言うなら」

 

なのははティアナにありがとうと笑顔で言った。ティアナは目の前のカレーを一口頬張りながら考えていた。なぜ裏切り者のカナタ・エイジの事をそんなに信頼しているのだろう? ならなぜその信頼されている者は裏切り者と呼ばれているのだろう? とティアナの頭の中にはそんな疑問が流れていた。ティアナがそう考えているとなのはは突然立ち上がる。

 

「皆、食べ終わったらでいいから技術室に来てね」

 

『はい!』

 

 

 

 

 

「こ、これが……」

 

「私達のデバイス……ですか?」

 

「そうでーす! 設計主任は私、協力はなのはさん、フェイトさん、カナタさん、レイジングハート、グラディウス、そしてリインさん!」

 

 

スバルとティアナは目の前にある自分達の新しいデバイスを見ていた。その後ろでシャーリーは嬉しそうにスバル達のデバイスの説明をしている。

 

「ストラーダとケリュケイオンはあんまり変わってない様な……」

 

「ちがいまーーす!!」

 

エリオは自分のデバイスとキャロのデバイスを見てそう呟くとリインがエリオの頭に飛びかかった。

 

「変化なしなのは外見だけですよ!」

 

「あ、リインさん!」

 

「はいですー!」

 

「外見だけと言うのは……?」

 

とー! っとリインは飛び、エリオとキャロの目の前に浮く

 

「二人にはちゃんとしたデバイスの使用経験がなかったから、感触を確かめる為に基礎フレームと最低限の機能だけで渡してました」

 

「あ、あれで最低限!?」

 

「本当に?」

 

「はい!」

 

リインは4機のデバイスを集めて説明を始めた。

 

「それぞれの機体がキャロ、エリオ、スバル、ティアの能力合わした最高の機体です! 」

 

「この子達はまだ生まれて間もないの。いろんな人の思いがあってやっと完成したから、ただの道具と思わずに、大切に……そして全力で使ってあげてね?」

 

なのはが一通り言うとリインがそれぞれのデバイスを渡した。すると遅れてカナタが技術室に入ってきた。

 

「わりぃ、遅れた」

 

「あ、カナタくん!」

 

「カナタさん! いいタイミングですね、これから機体の説明に入るところです!」

 

「んっ……そうか」

 

カナタはすぐ近くの壁に背中を預けた。そしてシャーリーが説明にはいる。

 

「皆のデバイスにはリミッターが掛けられていてね、最初はそんなにびっくりする程のパワーはでないからとりあえずそれで扱い方を覚えてね?」

 

「そして皆が扱い方がよくなってきたら私とフェイト隊長とカナタ隊長とリインで判断してリミッターを外すから」

 

「皆いっしょにレベルアップするって感じですね」

 

シャーリー達が説明しているとティアナが何か思い出した。

 

「あ、そういえばなのはさん達もリミッターを掛けられているんですよね?」

 

「ああ、私達はデバイスだけでなく本人にもだけどね?」

 

「そ、そうなんですか!?」

 

「ここの隊長クラスは皆そうだよ。私の他にもカナタ隊長、フェイト隊長、ヴィータ副隊長、シグナム副隊長……」

 

「あとはやてちゃんですね!」

 

「うん!」

 

その後なのは達が何故自分達にリミッターを掛けているのか説明してくれた。簡単にまとめると部隊に保有できる魔導師ランクは限られている。なので自らリミッターを掛けてその限界の範囲に収めているとの事らしい。その後、シャーリーから各々デバイスの説明を受けていると隊舎に警報が鳴り響く。

 

『っ!』

 

「どうやらなんかあったらしいな……」

 

すると技術室のモニターからはやてとフェイトの顔が映る。

 

『こちらはやて! 実は教会側が探していたレリックらしき物を見つけた。場所は山岳エリアで対象は山岳リニアレールで移動中!』

 

『っ! 移動中って……!』

 

「まさか……!」

 

「ガジェットか?」

 

『その通りやカナタ君。ガジェットがリニア内部の制御を奪われていて、そのうえガジェットの数は少なくとも30体はいると思う。飛行タイプや未確認タイプもいる恐れもある。いきなりハードな初出動だけどなのはちゃん、フェイトちゃん、カナタ君、準備はええか?』

 

『私はいつでも!』

 

「私も」

 

「俺も大丈夫だ」

 

『うん……スバル、ティアナ、エリオ、キャロも準備は大丈夫?』

 

『はい!』

 

「ふっ……」

 

4人の姿を見てカナタは安心した。なんだ、いい顔してるじゃねぇか。

 

『いいお返事や……。よし、シフトはAー3、グリフィス君は隊舎での指揮、リインは現場観戦、なのはちゃんとフェイトちゃんとカナタ君は現場指揮!』

 

『了解!』

 

『ほんなら……機動六課FW部隊、出動!』

 

『はい!』

 

『皆は先に先行していて、私もすぐ追いつく!』

 

「了解!」

 

その後カナタ達はすぐさま現場に向かう為、ヴァイスが操縦するヘリにすぐさま乗り込む。

 

「新デバイス……ぶっつけ本番になっちゃったけど思いっきりやってみよう。 なるべく私とフェイトちゃんとカナタ君とリインがフォローにまわるから安心して!」

 

「エリオもキャロもフリードも! 一緒に頑張りましょう!」

 

『はい!』

 

【キュクルー!】

 

皆いい返事で返した。しかしその中に一人キャロは少し体を震わせていた。おそらく怖いんだろうな……しょうがねえ。カナタはキャロがいる方に向かう。

 

「キャロ」

 

「か、カナタさん」

 

「この前の訓練、覚えてるな? 今がその時じゃねーか」

 

「でも私……」

 

カナタはキャロの頭に手を置いた。

 

「なのはが言ってたろ、後ろには魔導士がいるから思いっきりやれって。だったらその言葉通り思いっきりやるしかねぇだろ」

 

「カナタさん……はいっ!」

 

キャロは決意に満ちた目でカナタは見つめた。へっ……いい目になれるじゃん。そんな様子を見てなのはとリインは安心した。すると隊舎のシャーリーから連絡が入った。

 

『空に敵ガジェット確認! その数50です!』

 

「50……っ!」

 

「それじゃあまず俺が出る、ヴァイス!」

 

「あいよ、カナタさん!」

 

入り口が空きすごい勢いの風が入ってくる。懐かしい風だ……。

 

「なのはとフェイトはFWの援護をしといてくれ」

 

「カナタ君……うん、わかった!」

 

「お前らも頑張れよ」

 

「あんたに言われなくてもやってやるわよ!」

 

「まぁまぁティアナ」

 

そんな様子を見てカナタは安心した。

 

「グラディウス! セットアップ!」

 

グラディウスを起動しカナタの服装は変わっていく。黒いコートに黒いズボン、そして右手には『黒の剣聖』の象徴である黒の魔砲剣。そしてカナタはヘリから飛んだ。

 

「さーて、やるか」

 

カナタの目線の先には大量のガジェットがいた。その数50……いやそれ以上ある。しかし、カナタはそんな事気にしていない。空を駆けるカナタに数体のガジェットが突撃してきた。

 

「わりーけど……」

 

瞬間、ガジェットの視界からカナタが消えた。そして次の瞬間数体のガジェットは黒の斬撃によって破壊された。

 

「ーーーー俺には守らなくちゃならねーもんがあるんだよ」

 

 

 

 

 

そのカナタの様子をFWメンバーはヘリから見ていた。

 

「すごい……」

 

「彼奴……あんなに強かったの?」

 

「全く見えなかった……」

 

「カナタさん……っ!」

 

各々、思っていたことを口にしていた。彼女達の目には裏切り者と呼ばれているカナタはおらず、ただ管理局のエース『黒の剣聖』の姿が映っていた。

 

「流石カナタ君だね……。よし、私達もカナタ君に負けないように頑張ろう!」

 

『はい!』

 

 

 

 

カナタはガジェットを倒しながらヘリを見ていた。するとなのはに続いてスバルとティアナがセットアップして降下し、ヘリの入り口ではキャロとエリオが手を繋いで一緒に飛んでいた。

 

「へぇー、やるなエリオ」

 

飛びかかってくるガジェットを薙ぎ払いながらカナタはニヤッと口の端を吊り上げた。さて、頑張れよお前ら。

 

 

 

 

「うおおおお!」

 

内部で戦っているスバルの拳が目の前にいるガジェットに命中する。ガジェットからの攻撃も見事にかわす。

 

「リボルバー……」

 

ガジェットの攻撃をかわしながら接近し、

 

「シュート!!」

 

ガジェットに強烈な攻撃を加える。しかし勢いのあまりスバルは外に出てしまった。このままだとリニアから落ちてしまう。

 

「うわっ!」

 

『ウイングロード』

 

するとマッハキャリバーはスバルの足元にウイングロードを貼る。そして無事スバルはリニアに着地した。

 

「マッハキャリバー……お前って実はかなりすごい?」

 

『私はあなたをより強く、より速く走らせる為に作り出されましたから』

 

「そっか……。でもマッハキャリバーはAIでも心があるんでしょう? だったら少し言いかえるよ。お前は私と一緒に走る為に生まれてきたんだよ」

 

『同じ意味に感じます』

 

「違うんだよ、色々と!」

 

スバルはもう一度内部に入る為、穴に向かって歩いた。

 

『……考えておきます』

 

「っ……よーし! 空で戦ってるカナタさんに負けないように私達もたくさんガジェットを倒すよ! マッハキャリバー!」

 

『はい』

 

 

 

 

『ティアナ! そっちはどう?』

 

「ダメです! ケーブルの破壊、効果なしです!」

 

『車両の停止は私がやります! ティアナはスバルと合流してください!』

 

「了解!」

 

念話の通信を切り、ティアナは新デバイス『クロスミラージュ』の二拳銃モードから一拳銃モードにし、スバルの元へ走る。

 

「それにしても流石最新型……。色々サポートしてくれていいわね」

 

『はい、不要でしたか?』

 

「本当はあんたみたいに優秀な子に頼りすぎるのは私的によくないんだけど……でも実戦では助かるよ」

 

『ありがとうございます』

 

「彼奴、まだ空で戦っているのよね……って何彼奴の事心配してんのよ、私は!」

 

ティアナは顔を赤くして壁を叩いた。

 

「なんか腹が立ってきた、絶対彼奴に負けるもんか! 行くよ、クロスミラージュ!」

 

『了解』

 

 

 

 

「二人共、いい動き」

 

なのははリニアの外で二人の様子を見て笑顔になった。よかった、どうやら自分が出なくても解決できそうだね。

 

「さて、フェイトちゃん達は大丈夫かな?」

 

 

 

 

 

エリオとキャロは新型ガジェットと向かい合っていた。新型……油断をしていたらこちらがすぐやられてしまう。緊張しながらもキャロ達は攻撃を仕掛ける。

 

「フリード! ブラストフレア!」

 

【キュクルル!】

 

フリードの口に火炎弾が現れ、それをガジェットに放つがガジェットはその攻撃を跳ね返した。しかし、ガジェットがキャロの方に矛先を向けている間にエリオが接近する。

 

 

「はあぁぁぁ!」

 

『ストラーダ』で攻撃するも障壁で塞がれてしまう。

 

「ぐっ! 硬い……」

 

すると槍の先端にある魔力光が剥がれていく。

 

「AMF!?」

 

「え? こんなに広範囲まで……」

 

新型のAMFはキャロの所まで届いていた。ガジェットの攻撃をエリオは足で踏ん張って止めている。キャロはその様子をただ見ることしかできなかった。

 

「あ、あの!」

 

「くっ!……大丈夫だよ!」

 

新型ガジェットはエリオにレーザーを放った。エリオはすぐさま空中で回避しガジェットの後ろに回り込んだのだが、ガジェットの触手が潜んでおりエリオを壁に叩きつけた。

 

「ぐあぁっ!」

 

「あ……」

 

ガジェットはその触手でエリオを持ち上げ、リニアから放り投げた。

 

「エリオ君……エリオ君っ!」

 

キャロとフリードはエリオを助かる為飛び降りた。

 

 

 

 

「エリオ、キャロ!」

 

フェイトはリニアの上から二人の様子を見ていたが二人がリニアから落ちたので戸惑っていた。

 

「今助けにっ!『大丈夫だ、フェイト』……か、カナタ! でもっ!」

 

『あの距離ならガジェットのAMFが効かねえはずだ』

 

「っ! それって!」

 

『ああ、彼奴の……キャロの最高のパフォーマンスができる!』

 

 

 

 

(私はフェイトさんや沢山の人に助けてもらったり、私に暖かい笑顔を向けてくれたり。だけど私は自分の力に怯えていた。だけど……)

 

《護りたいんだろう? お前の手で皆を……》

 

(カナタさんが教えてくれた! 心の強さを! だから今度は私が……)

 

 

 

「護ってみせる!!」

 

キャロはエリオの手を握りしめ、自分の方に抱きしめた。

 

『ドライブ・イグニッション』

 

『ケリュケイオン』から放たれる光が二人とフリードを包み込む。

 

「フリード、今まで辛い思いをさせてごめん」

 

キャロに抱きしめられているエリオは目を覚ましたが今の状況に顔を赤くしていた。

 

「今度はちゃんと制御するから……いくよ、竜魂召喚!!」

 

二人の足元に魔法陣が描かれる。

 

「蒼穹を走る白き閃光……我が翼となり天を駆けよ……来よ、我が竜フリードリヒ! 竜魂召喚!」

 

【グオォォォン!!!】

 

光から現れたのは大きな白い翼や尻尾をしたフリードと、フリードにまたがるキャロとエリオの姿だった。

 

「ふぅ……ん?」

 

「あ……」

 

キャロがふと視線を下げるとエリオと目があった。すぐさま二人は離れた。

 

「ご、ご、ごめんなさいっ!」

 

「こ、こちらこそ!」

 

するとリニアの方をみると新型ガジェットが外に出てきた。

 

「フリード! ブラストレイ!」

 

フリードの口にさっきの何倍のでかさの火炎弾が生成される。

 

「ファイア!」

 

火炎弾を放つが新型ガジェットの障壁により防がれてしまう。

 

「やっぱり硬い……」

 

「あの装甲は砲撃では抜きづらいよ。僕とストラーダがやるから、援護を頼むよキャロ!」

 

「うん! 我が力は聖銀の剣……若き槍騎士の刃に祝福を与えよ! たけき其の槍に祝福の光を! 行くよ、エリオくん!」

 

「うん!」

 

エリオはフリードから飛び降りガジェットに向かって飛んだ。

 

「ツインブースト! スラッシュ&ストライク!」

 

『受諾』

 

「はあぁぁぁぁ!」

 

ガジェットから出される触手をストラーダで切り裂く。そして……

 

『エクスプロージョン』

 

「一閃必中!!」

 

エリオのストラーダがガジェットを貫き、切り裂いた。

 

「やった!」

 

「エリオ〜キャロ〜!」

 

「あっ! スバルさん、ティアナさん!」

 

スバルとティアナがこちらに向かって走ってきた。エリオとキャロがスバル達の方を見てると……

 

『っ! キャロちゃん、フリード、後ろ!』

 

「えっ!?」

 

するとキャロの後ろには巨大ガジェットがいた。そしてその巨大ガジェットはキャロに触手を振り下ろす。

 

「あ……」

 

キャロは目を瞑って、心の中で助けを呼んだ。

 

(助けて…………カナタさん!)

 

 

 

 

 

「よくやったな、合格だキャロ」

 

瞬間、黒の斬撃がガジェットの触手を全て断ち切る。そしてキャロの目の前には大切なことを教えてくれた教官の姿があった。

 

『カナタさん!』

 

「あんたっ! 無事だったの?」

 

「無事に決まってるだろ。まぁそんな事よりこいつか……」

 

巨大ガジェットは新たな触手を出しカナタを攻撃する。

 

「カナタさん!」

 

「ちょっと死ぬ気!? 避けなさいよ!」

 

カナタは黒の魔砲剣の剣先をガジェットに向けた。

 

「ん? 言ってなかったか?」

 

そう口にしたあと、カナタは不敵な笑みを漏らし魔砲剣の引き金を絞った。

 

「ーーーー俺が全力を出した時から勝利は決まってるんだよ」

 

魔砲剣戦技ーー収束魔砲(ストライクブラスター)

 

カナタが放った一撃は、強大なエネルギーを持つ黒い奔流が振り下ろされた。この時、誰も気づいていなかった。カナタが使った能力があの『忌まわしき力』の一端ということを……。

 

「とっとと消えろよ。ここは魔導士(俺たち)の空だ」

 

こうして機動六課の初出動は大成功で幕を閉じた。

 

 

 

 

 




読んでくれてありがとうございます!!

少し無理やり感があるかも(汗)

ーー追記ーー

編集しました!


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