M.O.N隊員育成事情 (NAIADs)
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第零話「プロローグ」

他の作品と同じく駄文注意です。

それでもOKという方はどうぞ。


そう遠くない未来。

政府は人類以外の種族の情報統制を解除し、同時に他種族との交流促進を図る「他種族間交流法」を施行した。

この方により他種族との交流促進が図られ、特にトラブルもなく受け入れられていた。

しかし、「人間が他の種族を傷つけてはいけない」という条項を悪用した他種族の犯罪が相次いでいた。

これに対して設立されたのが、他種族で構成された特殊部隊MON(Monster Of a Newlow)である。

しかし、深刻な問題が新たに顕在した。

それは隊員の錬度不足と指揮官の不在である。

そこで他種族間交流法保安局は、ある人物を出向させることにした。

 

とある同人ショップ前。

休日は同人の人々で賑わう店は今は分厚いカーテンに覆われ、その前では防盾を持った警察官が壁を作っている。

駐車場にはテントが張られ、パトカーや救急車など物々しい車両が停車していた。

その中に、一台のジープが止められている。

ドアにはJPFと書かれ、所属を示す部分はN.I.Dと記されていた。

車内にいるのは、軍服を着た日本人の20代後半の男性。

少し長めの栗色のパーマが包む、軍服に似合わぬ洒脱そうな顔で煙草をふかしている。

車内に設置されている無線機が鳴り、男はマイクを取った。

『状況は?』

「まだ人質取って立てこもっとります。どっかの馬鹿が出した斥候が殺られたらしい」

『犯人は?』

「ターゲットはオーク新境地なんたらとかいう奴らが六人、武器はソ連か中国のカラシニコフ。多分中国製の可能性が高いでしょうなぁ」

『で、奴らの要求は?』

「エロ漫画の主役をなんやらかんやら…と、馬鹿みたいな要求でぃ」

『で、地元警察の対応は』

「新法律のせいで何にもやれてませんぜ。あの新法律は犯罪者の対応がなくていけねぇ」

『ちょっと待ってろ、もうすぐ到着する。陸戦隊はまだ動かすなよ』

「へいへい、待ってますぜ。大條の旦那」

男は通信機を切ると、他の隊員が駆け寄ってきた。

「大條司令はなんと?」

「おうよ、突入はもう少しお預けだとよ。ま、見物といこうやぁ」

「了解しました、百舌鳥隼人隊長」

隊員は敬礼をすると、持ち場に戻っていった。

 

この男の名は百舌鳥隼人。

日本のPMC日本平和維持軍の最精鋭部隊N.A.I.A.D艦隊に所属する陸戦隊の隊長である。

29歳のやや江戸っ子で、元自衛隊の特殊部隊に所属していた。

彼は大條とノイマンの同期でもある。

 

腕を頭の後ろで組んでシートに座ると、現場に動きがあった。

どうやら保安局が動き出したらしい。

「さて、どう動くかねぇ?」

「隊長ぉー!MOSが動き始めました!」

「あいよ、じゃ俺らも準備するかねぇ」

「了解!」

そういうと、百舌鳥はゴーグルをはめて、荷台にある武器を取った。

小さい盾が付いた銃本体に沿うように剣が折れ曲がるようについている。

これは「菊花」という、宮原進が作ったライフルと両刃の剣を組み合わせた武器だ。

「さぁて、お手並み拝見といこうか」

百舌鳥はジープを降りて、現場を眺め始めた。

 

現場ではカーテンが開き、犯人6人(?)が女子高生らしき人質を盾にしていた。

リーダー格が女の子をなめようとした瞬間…

同人ショップのガラスに弾痕が刻まれ、リーダー格のカラシニコフが粉々に吹き飛んだ。

その後も次々と犯人たちの武器が吹き飛んでいく。

「ふーん、2kmから対物ライフルで狙撃ってとこか。うちの副司令ほどじゃないが腕がいいな」

百舌鳥がつまらなそうに呟く。

そうこうしているうちに身長2m以上の鎧武者っぽいのががショップの壁を破壊して中に突入した。

「おいおい、強硬手段に出やがったぜ」

さっきの鎧武者が明けた穴から、次々と人質が出て来る。

「どうします?」

「よし、人質の元に行ってやれ」

「了解!」

陸戦隊の隊員たちは次々と人質たちのもとへ駆け寄り、保護していく。

 

現場では死んだと思っていた女性の斥候が起き上がり、二丁持ちのサブマシンガンをぶっ放して犯人二人を倒した。

「おっ、防弾ベストでもつけてたのか?しかし人質も居るのに撃つとは、とんだトリガーハッピーな嬢ちゃんだな」

斥候は後ろから来た犯人に捕らえられるも、自分の体越しに犯人を撃ち抜いて行動不能にさせた。

「おいおい、自分の体を撃ち抜きやがったぜ」

百舌鳥は驚愕した。

仲間が全員やられながらも、諦めの悪いリーダー格は人質の女子高生の顔を掴み、細い首をへし折ろうとしている。

「さてと、こっからは俺の出番だぜ」

百舌鳥は現場へ向かって駆け出していく。

命令無視に当たりそうだが、女の子の命が危ういのだ。多分大丈夫だろう。

しかし、その駆け出しはストップすることとなった。

捕らわれていた女の子が豚の鼻っ先を蹴り上げ、変身したのだ。

「おっと、向こうの隊員だったのか」

…俺の出番はなしか。

少しゆっくりめに歩いて現場に向かう。

 

現場に着くと、隊長らしい黒いスーツに身を包んだ女が拳銃を構えていた。

驚いたことに隊員は全員女性だった。

あの鎧武者と見間違えていた奴も長身の一本の角が生えた女だった。

もう一人、対物ライフルを持った単眼の女性というか女の子もいた

これが、対他種族用特殊部隊MONって奴か…。

「大人しく投降なさい。それともポークソテーになりたいかしら?」

「でまぁ、俺はN.A.I.A.Dの陸戦隊の百舌鳥だ」

出遅れた感が半端ない気がするが、菊花の銃口を構える。

「と…特務機動艦隊が出てきた!?ともかくっ!投降しなさい」

犯人のオークはプヒヒと不気味な笑い声をあげ…

「わかったブ!投降するブ!完敗ブよ!」

…投降した。

犯人は手を上げているが、へらへら笑って反省の色を見せていない。

百舌鳥は怒りを感じて握り拳をゆっくり挙げた。

「おっと。こうやって投降したからにはもう僕に暴力は振えないブ。まぁペナルティは強制送還といった所ブ~?故郷に帰るまでエスコートw…」

「ああ、暴力は振るえねぇぜ。だがな…」

そういうと、百舌鳥はゆっくりと手を下した。

その瞬間弾丸がガラスを突き破り、犯人とMON隊員たちの間に大きな穴を穿った。

「ぷ…ブギ…」

犯人はビビってヘナヘナと座り込んだ。

「当てないようにすれば問題ないのだよ。じゃ、後は任せた」

「ええ、ありがとう」

何故か部屋の空気が5度は下がった気がした。

何かぞっとした百舌鳥はそのまま店を出る。

さっさと歩く百舌鳥の後に、MONの隊員たちが出て来た。

あのサングラスをかけた女隊長(?)以外。

いや、サングラスをかけた奴はいるが、中身が違う。

その後、銃撃音とオークの悲痛な悲鳴が響いたが、百舌鳥は気にしないことにした。

 

20分後。

現場は撤収作業が進み、警察車両はほとんどいなくなっていた。

「私は他種族間交流コーディネイターの墨須よ。よろしく」

「おお、済まねぇ。俺は百舌鳥隼人。日本警備維持軍特務第一機動艦隊陸戦隊隊長だ」

陸戦隊はいわゆる海兵隊のようなものである。

だがN.A.I.A.D艦隊唯一の陸上部隊なので、出番は比較的多い。

今回は地元警察の依頼を受けて展開していたのだが、全く意味がなかった。

「おっと、旦那方のご到着だ」

ヘリの音を聞きつけてテントの外に出る。

轟音を上げてヘリが一機着陸し、日本人とドイツ人の軍人が出てきた。

「百舌鳥、勝手に出るなって言ったろう?」

やや渋面と言った表情で大條は百舌鳥の頭を小突いた。

大條は両手持ちしたソードオフのSPAS12、ノイマンはいつものレールガンとは違う謎の巨大な武器を肩に背負っていた。

「おお、大條司令。こっちの隊員だと気付かずに少女を救出しようとしたんですわ。で、彼女らが対他種族特殊部隊M.O.Nと他種族間コーディネイターの墨須さんです」

「俺は大條透。N.A.I.A.D艦隊の司令官だ。こっちはノイマン・ジュペー」

「よろしくお願いします」

「こちらこそ、有名な指揮官とあえて光栄だわ」

スミスと大條は握手を交わした。

「ふーん、なかなかいろいろありそうな部隊だな」

「そういえば、さっきノイマン副司令何キロ先から狙撃したんですか?」

「いつも通り10kmからヘリでね。宮原さんが作っちゃったこの76mm電磁加速砲で」

ノイマンは背中にしょっている武器を見せる。

「………」

M.O.S隊員のマナコとかいう単眼の隊員が文字通り目を伏せたので、百舌鳥は少し慌てた。

「マナコとか言ったか?えっとな、10kmという数字は電磁加速砲だから可能な話だからな?50口径のスナイパーライフルで普通は最高2.5kmだから。ノンスコープで2km撃ってあの命中率はすごいんだぜ?」

「僕は最新のスコープとコンピュータで射撃を可能にしていますからね」

普通の人間であればそんな長距離狙撃はスコープと測距手が要るのだ。

 

「でも撃ってみたいぜ、そのライフル」

ゾンビーナと名乗る少女がノイマンの武器に興味を示す。

「止めとけ。多分撃ったらあんたの手は明後日まで吹っ飛んでいくぞ」

「と言うか、76mmってあいつ阿呆を通り越して馬鹿だろ」

前作った30mm電磁加速狙撃砲も馬鹿馬鹿しい代物だったが、76mmなんて現代駆逐艦の艦砲レベルのサイズなのだ。

それを示すように、二つに折り込まれた銃のパーツを両肩に背負う形となっている。

「ちなみに組み立てたら何メートルで重量は何キロあるんですか?」

「8mで40kg前後。最近は重い物も最近は慣れてきたんだよね」

当のノイマン副司令は笑っているが、相当の苦労をしているとわかる。

 

「聞きたいことがあるのだけど」

墨須が話に入ってきた。

「百舌鳥くん、貴方から見てこの子たちはどう?」

「そうですなぁ…」

百舌鳥は真剣にものを言う時や、本音が出ると江戸っ子訛りが消える。

「生ける屍の隊長、鬼人の護衛担当、単眼族の狙撃手、影人による潜入及び攪乱…。人選は良いですがね、作戦はマズイでしょうな」

躊躇いの無い百舌鳥の意見にMON隊員は肩を落とした。

「あくまで個人的な意見ですがね、今回は成功したとはいえこんなんじゃ、次も成功するとは思えませんや」

「そう…。ありがとう…」

墨須はそう言うと後ろを向いた。

「おい、帰るぞ百舌鳥。報告書が俺たちを待ってる」

「了解。じゃ、ここでおさらば」

「ではまた」

三人はテントを後にした。

「いやー、はっきり言ってやるなよ。俺もそう思ったけどな」

「旦那、仕方ないじゃあないですか。あのまま慢心させて戦場に出られる方がよっぽど怖いことでさぁ」

「まぁ生兵法は大怪我の基って言いますからねぇ」

大條とノイマン、それと百舌鳥はそれぞれヘリとジープに乗り込みインヴィンシブル基地へ帰っていった。

 

この時、三人は一切気付いていなかった。

現場のテントの中で、墨須が口角を上げて最大限の黒い笑みを浮かべ、MONの隊員達を震え上がらせていたことを…。

 

翌朝、インヴィンシブル基地の司令部。

朝ご飯を終えた百舌鳥は、大條から呼び出された。

「で、お呼び出しとは如何様ですか?大條の旦那」

「お前宛に本部から辞令だ」

百舌鳥は一枚の封筒を渡された。

中身を開いてみると、『軍事顧問として他種族間交流法保安局へ出向せよ』と書いてあった。

しかも、今日。

「はぁ!?」

百舌鳥は絶句した。

「…取り消せないんですかい?」

「理事会命令なので無理。まぁ一時的な話だし、今はこっちも暇だしなぁ」

「…あいよ、どこへでも行ってやりますよ」

「よろしくな」

百舌鳥は部屋を後にした。

「へっ、寄る意味なんてあるめぇ。そのまま帰ってやらぁ」

百舌鳥は辞令書をびりびりと破く。

そして駐車場に行くと、ジープを走らせ自宅へ向かっていった。

 

「なっ…」

百舌鳥は絶句していた。

自宅の前に、昨日会った墨須がMOSの隊員と一緒に居たのだ。

昨日会った隊員以外にも、見慣れぬ隊員が居た。

「予想はしてたけど、せっかくの軍事顧問が初日から欠席とは困った人ね…?」

墨須はにっこりとほほ笑んだ。

ただし目は笑っておらず、身体から吹き出すオーラは淀んでいる。

正直言うと、百舌鳥はその微笑に震え上がりそうになった。

「あ、そうそう。さっき決まった話なんだけど、今日からこの子たちをこの家にホームステイさせるから」

墨須が見慣れぬ隊員の方を指さした。

ラミアとハーピー族、ケンタウロスとアラクネ族、そしてマーメイドの五人である。

マーメイドは車いすに座っていた。

「そんないきなり!?住居の準備が居るんじゃぁないかい!?」

「貴方の住居はとうの昔に改造済みよ」

「何ィ!?嘘だろ…」

「じゃあ頼むわね。私ここで帰るから」 

「ちょっ…おい!」

墨須は百舌鳥が制止するのにも構わず、自分の愛車で帰っていった。

 

百舌鳥は隊員たちの方に振り向いた。

「よろしく!」

「よろしくねっ!」

「よろしくお願いする」

「よろしく…」

「よ…、よろしくお願いします…」

「おぅ、俺は百舌鳥隼人だ。今日からよろしく!」

 

こうして、N.A.I.A.Dの陸戦隊隊長の百舌鳥隼人とモンスター娘隊員達の生活が始まった。

 




いかがでしたでしょうか。

3作品抱えていますので、投稿スピードは遅くなります。
第一話は気長にお待ちください。


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第一話「訓練生?留学生?」

投稿が少し遅くなりました。
では第一話をどうぞ。


百舌鳥の家はまぁまぁデカイと言っても過言ではない。

400㎡の鉄筋コンクリート製の3階建ての一軒家で、広いガレージを併設し屋上にはヘリポートが設けられており、この住宅地ではかなり目立つ。

これは百舌鳥が生活費以外余り給料を使わなかった事と、空き家だったために安く手に入ったのと、仕事上緊急招集が掛かった時に必要だと思って設けた結果である。

例えばヘリポートは、緊急招集で出撃するときに部下がヘリで百舌鳥を迎えに来るときに使用することが多い。

「うわつ…、本当に改装してあるぜ…」

家に入ってすぐ百舌鳥は驚いた。

地下階が新たに出来て広い浴場とプールが設けられ、物置同然だった3階に訓練生用の部屋が設けられている。

「ま、悪ぃ改装ではないわな」

百舌鳥はそう呟いた

 

百舌鳥の居間。

「ほい、お茶とお茶菓子だ」

百舌鳥は訓練生にお茶を出し、お茶菓子としてクッキーを出した。

自分で淹れるほどの珈琲党である百舌鳥はもちろん自分でブレンドしたブラックコーヒーである。

「ほんじゃあ自己紹介といくか。さっきも言ったが、俺は百舌鳥隼人。よろしくな」

 

「ヴァイパーです。よろしくお願いしますね」

ヴァイパーと名乗る、見た目はラミア族の少女は緑色のセミロングで、少女らしい風貌を持つ眼鏡をかけた子だ。全身の七割を構成する蛇の部分も緑色である。

外見だけの判断だが、意外と真面目そうだ。

ラミア族は毒術に長けているらしいので、衛生兵として教育するのが適任だろうか?

 

「…ジェルフォーだ、よろしく頼む。ご主人」

彼女は分類すればハーピー族のラプター種だそうだ。

ラプター種とは要を言えば猛禽類で、体躯も普通とは違いかなり発達している。

ジェルフォー(仏語で白隼の意)名前の通り、髪も羽根も白い。

無口のクールビューティーと言った感じだ。

使うとしたら斥候が妥当な線だろう。

 

「我が名はマスタング・サジタリオ・ガントレット。よろしくお願いする。我が主」

金髪をポニーテールにまとめたケンタウロス族のこの少女は、喋り方からわかる通りの武人で、(模造ではあるが)武器も所持している。

母親は「弓神」と呼ばれるほどらしく、マスタングも弓術が得意だそうだ。

基本的に教育の必要性は感じないが、メニューを組むとしたら射撃兵又は突撃兵といった所だろうか。

 

「ムリヤ・ローレライです。よろしくお願いしますね、旦那様」

人魚族のこの少女はピンク色の髪で清楚そうな見た目、纏う服はいわゆる甘ロリだ。

下半身が魚型なので、陸上では車椅子を頼りにせざるを得ない。

もし隊員として使うならば、水上・水中戦のみとなるだろう。

何故かお嬢様というか王女様のような雰囲気を感じるのだが、気のせいだろうか?

 

「あら、自己紹介がまだだったわね。ブラックウィドウ・スプーキーよ。よろしく」

アラクネ族のこの女の子は、この面子で一番大人びている。

外見上の特徴は黒いセミロングで、蜘蛛らしく目が8つあり人間のような足の他に蜘蛛のような胴体の部分に8本の足の合計10本ある。

服装は白く妖艶な最低限の個所を隠すのみの服なので、目のやりどころに困る。

 

この訓練生たちは一癖も二癖もありそうだ。

そして呼び方はどうだろうか。

マスタングの「主」はもう仕方ないとして、ムリヤの「旦那様」やジェルフォーの「ご主人」はどうなのだろうか。

スプーキーは何も言っていないが雰囲気的には「ハニー」と呼んでもおかしくない。

百舌鳥は世間体を気にする質ではないが、誤解を招きそうだ。

 

「だ…。ダーリン…」

百舌鳥は聞きなれない言葉にふと我に返った。

「す…すいません…。部屋が…」

ヴァイパーの顔がだんだん青くなっていく。

「へ?あっ!部屋の温度が低すぎたか!?」

慌てて百舌鳥はエアコンのスイッチを入れ、ヴァイパーに毛布を掛けた。

砂漠や極寒の地の環境に慣れすぎたせいか、基本部屋の温度を気にしない。

エアコンは備え付けてはあるが、冷房や暖房をつけることは滅多に無かった。

「済まないな。君が変温動物だってことを失念してた」

「いえ、いいんです…。それに…」

「それに?」

「い、いえ、何でもありません!」

ヴァイパーは顔を赤らめてそっぽを向いた。

「そうだ。長旅に疲れただろうから、今日はここでお開きにしてお風呂に入って早めに睡眠を取ったらどうだ?」

「そうですね、今日はそうさせていただきます」

彼女たちは居間を出て風呂場へ行った。

 

「ふう…」

百舌鳥は自分のソファに深く座り込む。

「しっかし、なーんか変な気がしたな。M.O.Nの訓練生というよりか普通の留学生のような気がするが…」

首を傾げつつ珈琲を飲んでいると携帯が鳴る。

自称世界一の発明家ことマッドサイエンティスト&メカニックの宮原進からだった。

「おう、宮原。なんか用か?」

『新しく着任された、百舌鳥隼人教官様に新たなお届け物でーっす。玄関までどうぞ』

「了解、すぐに向かうぜ」

百舌鳥は電話を切ると、すぐに玄関へ走っていった。

 

「お久しぶりです」

「おう、宮原」

玄関を出ると、宮原の背後にトレーラーが停車していた。

全長はトータル20mでトラクター、トレーラー共にガチガチの装甲に固められ、トラクターには連装砲塔が、トレーラー部のコンテナには左右にそれぞれ1、2、3、4と番号が振られている。

「で、その装甲トラックが届けもんか」

「いえ、このM13Rb 漁火もそうですが、本当の届け物はこっちです」

コンテナーの1と書かれた部分のボタンを押した。

すると、1と書かれた部分が開き、2m強のパワードスーツが姿を現した。

色は砂漠戦用なのか全般的にデザートピンクで、頭部や胸部はダークブラウンになっている。

「で、これは?」

「PSM-01m ジェスターです。パックを換装することによって様々な形態をとる事が出来ます」

「成程、それでジェスター(Jester:道化師の意)ってわけか。で?一般兵が運用できないからお蔵入りした代物かな?」

こいつの場合、絶対に個人に渡す=お蔵入りしたものと決まっている。

「そうですよ」

宮原はややむくれた。

「お前のことだし、トラクターにAIを積んでるんだろ」

『はい、私のことはkitとお呼びしてください』

今度のAIは割とまともな様だ。

「はいはい、じゃあ謹んで貰い受けますかね」

「ありがとうございます。じゃあ僕は帰りますね」

「じゃあな」

百舌鳥は宮原が歩いて帰っていくのを確認すると、ガレージにトレーラーを入れた。

 

その頃、百舌鳥家の大浴場では訓練生(?)5人が体を休めていた。

種族こそ違うが彼女らの体はそれなりに発達しており、ケンタウロス以外は胸の差はそれほどない。

「言っておくけど、ダーリンは誰にも盗らせないからねっ!」

ヴァイパーがフンスと誇らしげに言った。

「ふっ、ご主人の前で猫を被るなんてしたたかな蛇ね。私に勝てるわけないのに」

「何ですってぇ!?」

ジェルフォーがせせら笑い、ヴァイパーが喰ってかかる。

「…ふん、笑わせる。主を娶るのはこの我だ」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「あらあ?ハニーは私が絡め取るって相場が決まってるのよ」

「はぁ!?」

百舌鳥をめぐる女同士の争いで、風呂場は喧騒に包まれていた。

 

N.A.I.A.D陸戦隊を纏めるエリート兵、百舌鳥隼人の知らないところで水面下の攻防は始まっていた。

 

 




2日に一回のペースでの投稿を目指したい…のは山々ですが、大学も始まりますので少しペースが遅くなるかもしれません。

その点はご了承ください。


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第二話「遠いようで近いご近所さん」

ちょっと大学関係でバタバタしてたもので、投稿が遅れました。

では本編をどうぞ。


MOSの訓練生に対する訓練は順調に進んでいる。

腹筋や背筋等の基礎体力強化用の訓練は彼女らの構造上厳しいので、10kmのランニングを代替策とし、その手の教官としてコボルト族のポルトを呼んで訓練させている。

陸上を走れないムリヤには10kmの遠泳を課しており、彼女はそつなくこなしている。

格闘戦の訓練は人間の基礎的な格闘技をもとに、それぞれの体躯を生かした物を百舌鳥自ら考案し、メニューを組んでいる。

射撃訓練はM.O.Sで運用される麻酔弾用ライフルに近い5.56mmのG36Kを撃たせているが、ムリヤにはライフル弾の反動が強すぎるためMP5を撃たせた。

体の構造上銃が撃てないジェルフォー以外は皆筋はあると思う。 

 

また、基礎訓練と併用して訓練兵にそれぞれ特別訓練を教えている。

ヴァイパーにはコンバット・メディックとしての医療訓練を、ジェルフォーには偵察兵兼狙撃兵としてレーザー誘導装置のGTLDやLLDRの操作方法を教えようとしたが、ハーピー族の体の構造上無理だと分かった。

足で操作できる麻酔狙撃銃を宮原に開発して貰ったからいいものの、あれが無かったらどうなっていたことやら。

マスタングには重火器の扱い方を学ばせた。

マスタングは意外と重い物も運用できるので、M60機関銃や対戦車ミサイルや迫撃砲などの後方支援用の装備がいいのかもしれない。

ムリヤは荒っぽいことはできない(というか雰囲気的にさせられない)ので、軍用イルカの様に人命救助の方法とかを教えることにした。

スプーキーには工兵としての爆薬の扱い方やブービー・トラップなどの罠などの敷設方法を教えた。ただし、アラクネ族であるスプーキーは自前の糸を使用したトラップや捕縛の方が得意な様だ。

非殺傷での犯人捕獲を目的としたM.O.Nでは、こちらの方が重要かもしれない。

 

「あ、そういえば…」

お隣さん(つか近所に)最近会ってないな。

ご近所付き合いも兼ねて、この際挨拶に行くか…。

「よし、訓練中止。お隣さんへご挨拶に行くぞ!」

「はい!」

「了解…」

「了解した」

「はい、わかりました!」

「解っt…いえ、わたしは遠慮させてもらうわ。そんな趣味無いもの」

訓練生たちが従う中、スプーキーは手をひらひら振って断った。

「解った。じゃあお前はお留守番な」

「はいはい」

百舌鳥と訓練生達はスプーキーを残し、自宅を後にした。

 

数分後。

「来留巣主さん…くん、久しぶりだな」

「本当にお久しぶりですね、百舌鳥さん」

百舌鳥は来留主公人と握手を交わした。

“一番近い近所の人”の筈だが、ここ2か月会っていない。

別に百舌鳥の近所付き合いが悪いとか、来留主と仲が悪いという訳ではなく、百舌鳥の家が1km先の山の上にあって中々連絡が取りづらいのと、百舌鳥の仕事が多忙であったために近所の行事に参加できないという問題があった結果である。

「今回は何の用ですか?」

「ああ、新しく訓練生として他種族を迎え入れたのでな、その紹介をと思って。一人いないけど」

「あ、そうなんですか。うちも他種族の子をホームステイさせてまして」

来留主の家から他種族の少女たちが出て来る。

ラミア、ハーピー、ケンタウロス、人魚と構成は大体うちと似ていた。

「あら、ムリヤ」

「あ、メロウヌお姉様!」

「「!?」」

百舌鳥と来留主は驚愕した。

「い…今、俺の耳がおかしくなってなきゃお姉様と言ったような気がするんだが…?」

「いや、僕の耳にもちゃんと聞こえました」

戸惑う二人をよそに、姉妹二人は楽しそうに会話をしていた。

「あ、ムリヤのステイ先の方ですか。私、メロウヌ・ローレライと申します。わたくしの事はメロとお呼びください。不束な妹ですが、どうぞよろしくお願いします」

「あ、はい。こちらこそ」

メロがこちらを向き、丁寧に挨拶をしてくれた。

ムリヤといい、メロといいお嬢様というか王女様のような雰囲気がするのは気のせいなのだろうか?

気のせいだといいg…

「おお、久しいなガントレット!」

「久しぶりだなセントレア!」

深く考えようとした百舌鳥の気分を大音響の歓声が打ち消した。

大音響の主はケンタウロスのお二人。

「主殿、我が親友のセントレアだ」

「貴方がガントレットの主か。セントレア・シアヌスだ、よろしく頼む」

「……よろしく」

何と言うか、類は友を呼ぶという奴だろうか。

セントレアの威勢のよさに思わず失笑しかける百舌鳥であった。

 

他の奴らもそれぞれ来留主宅のステイ先の子と仲良くなったようだった。

「仲良くなってよかったですね」

「ああ、そうだな」

仲良くする少女たちを見てほほ笑む二人の顔は、保護者の顔になっていた。

 

2日後、大雨明けの日。

百舌鳥は保安局へ赴き、報告書を書いていた。

教官の仕事として週一で報告書を提出しなければならないのだ。

書類を提出した後、百舌鳥は書類仕事に追われるあのMONの隊員たちと遭遇した。

彼女らの話によると、墨須が仕事を押し付けて逃げたらしい。

「はぁ…」

百舌鳥はため息を付きつつ、その仕事を20分ほどで完遂した。

「百舌鳥さんはお仕事がお早いんですね」

仕事を終えて伸びをする百舌鳥にマナコが話しかけてきた。

「ま、管理職を10年もやってるとなぁ…」

日本平和維持軍の場合、燃料と弾薬補給や整備記録や依頼の処理等、陸戦隊隊長としての書類仕事はまさに殺人的な量なのである。

それに比べてしまえばこんなレベルの書類仕事なぞどうとでもないのだった。

「あいつは安月給安月給って嘆いているけど、資金は適切だと思うぜ」

「あなたはこっちに出向して給料は下がったのではないのですか?」

「え?俺は陸戦隊隊長としての仕事もしているから給料はむしろ上がったぞ」

百舌鳥は訓練生の教官として働く傍ら、陸戦隊隊長としての仕事もこなしている。

ちなみに保安局の教官の仕事は月17万、日本平和維持軍の給料が月25万である。

確かコーディネイターの仕事が月15万の筈だ。

上司の話によると、勤務態度等の問題で墨須はいくらか引かれているとのことだ。

まぁ自業自得だろう。

平和維持軍の場合、通常の給料以外にも任務成功費でプラスαが付くので、繁忙期が終わると通帳の額が凄いことになっている。

「さてと、家へ帰りますかね」

「お疲れ様でした」

「お疲れさん。ご褒美に3日の有給申請を出しておいた。四人で休暇を楽しめ」

「はい、ありがとうございます!」

一応百舌鳥はあの4人の上司に当たるので、このようなことも可能である。

ぺこりと頭を下げるマナコを後に、保安局を出て愛車に乗り込む百舌鳥であった。

 

その日の夜。

帰り際に来留主の家に寄ると。当の本人は風邪をひいて寝込んでいた。

パンデミックの危険があるために彼女たちは近づけないと言われたらしい。

そしてそれを言った張本人で、看病という名目でサボっていた墨須は眠っていた。

「我が家秘伝の玉子酒だ、こいつは風邪にようく聞く」

「あ、ありがとうございます…」

百舌鳥が玉子酒が入ったマグカップを差し出し、来留主はそれを受け取った。

どうやらだいぶ回復していたらしい。

「すいません、迷惑かけてしまって」

「何、困ったときはお互い様だ。あ、そうだ。うちの電話番号と俺の携帯の番号を教えるから困った時はいつでも電話してくれ」

「あ、はい。ありがとうございます!」

百舌鳥は来留主にメモをサッと渡すと、さっさと家を出て行く。

こうして百舌鳥と来留主家の本格的な交流が始まるのであった。

 

そして翌朝。

百舌鳥は机に座って新聞を広げ、珈琲を飲んでいた。

まだ訓練生は目覚めておらず、小鳥の声しか聞こえない。

携帯が軽快なメロディを奏でる。墨須からの電話だ。

「あ?墨須か、何の用だ?」

『ゲホッ…、〇×△…』

「は?聞こえねぇぜ?うにゃうにゃだけじゃぁなぁ」

『ゲホッ…、風邪引いちゃったみたいで…。玉子酒を頂けると…ありがたいかなーなんて』

「ハッ、知るかよ。風邪程度自分で何とかしろ。ま、昨日のサボりの罰ってこった」

 

百舌鳥はピッと電話を切り、また新聞を読み始めた。

 

 




次からの投稿は2,3日後を予定しています。
少しお待ち下さい。


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第四話「初任務とその顛末」

ある夜、百舌鳥宅。

「お帰りなさいませ、旦那様」

「ハァ、ハァ、ハァ…」

「ゼェー、ゼェー、ゼェー…」

「よし、本日の訓練終了。お疲れさん、じゃあ風呂にすっか」

12時間近くかけた山岳訓練(ムリヤは不参加にして留守番にしたが)を終え帰ってきた訓練生達はもう息も絶え絶えと言わんばかりに息を荒げていた。

一方百舌鳥は息一つ荒げず、鳴ってきた電話を余裕で取る程であった。

「もしもし」

『あ、百舌鳥さんでしょうか?メロウヌです』

「ああ、ハイハイ。ムリヤのお姉様ですな。如何様で?」

『あの、ちょっとこっちまで来てくださいまし』

「は?」

「あの、映画監督の加瀬木とおっしゃられる方が来て…」

「ふんふん、撮影と称して怪しい行動ねぇ…。分かった、今すぐ行く」

百舌鳥は電話を切った。

「旦那様、お出かけですか?」

「ああ、ムリヤ。ちょっくら来留主の元へ行ってくるぜ、留守番頼む」

「分かりました、旦那様」

あとはムリヤに任せ、愛車に乗り込んで来留主の元へ向かう百舌鳥であった。

 

数分後、来留主宅

そっと玄関に近づき、ドアに耳を当てる。

『俺の財産…おめぇらにこれに触れる権利はねぇんだよ!』

『監督っ!…っけ!?』

「まずいな…」

ドアをピッキングして中に入った。

「卵はスーパーでセール中だよ!」

その瞬間、来留主に殴られた誰かが吹っ飛んでくる。

思わず足が出てしまい蹴り飛ばしてしまった。

「あ…ヤベッ、変なの蹴っちまった」

百舌鳥は事態に気付き、頭をかく。

「あれ?百舌鳥さん?」

「おう、犯人はどこだ?こいつ以外に」

恰好は悪いが、最悪の事態を防ぐ事が出来てよかったと安堵する百舌鳥であった。

 

数分後。

「こいつらで全員か?」

「ええ、ありがとうございます」

3人を縛り上げた百舌鳥は、来留主達と会話していた。

「墨須に連絡は取ったが、俺の上司の人脈でこいつらをテロリスト用の刑務所やシベリアに送れるぞ…。どうする?」

「いや、そこまでは流石に…」

「さて、彼女はそうは思って無いようだがねぇ…」

というより、殺気しか立っていないような気がするが…

「あ、お茶でもどうです?」

「おお、頂こうか…」

百舌鳥は来留主に促せられるままキッチンへ向かっていった。

この時、来留主達は気が付かなかった。

自称映画監督と名乗る男がこっそり脱出したことを。

これが始まりに過ぎなかったことも…。

 

翌日、午後7時。

通常訓練を終えた百舌鳥のもとに、一本の電話が掛かってきた。

「はぁ?あの自称監督からSOS?」

『ええ、MONがその倉庫に突入するんだけど、念のために貴方たちにも出てもらえるかしら?』

「了解した。30分ほどでそちらに着く」

『わかったわ』

百舌鳥は携帯電話を切った。

「よし、お前ら。仕事だ」

「「「了解!」」」

「…………わかったわ」

スプーキーの様子が変なような気がするが、百舌鳥は訓練生を現場に連れていくことにした。

 

30分後。

目標の2km前で漁火を止め、訓練生を待機させた。

百舌鳥は漁火の1と書いてあるコンテナの前に立つと、コンテナが展開しジェスターが姿を現す。

ジェスターを装着すると、すぐにシステムが起動してモニターに情報が表示された。

パワードスーツはいわば人間の機能を外側から補完及び強化するものと言っていい。

逆に体の内部、つまり体を機械で改造するのがサイボーグである。

ジェスターの場合、対NBC兵器や対Gスーツを兼ねているのだ。

菊花とこの前もらった30mm狙撃電磁加速砲を携えて現場に向かう。

内部機構に存在するの人工筋肉のおかげで、8kg以上もある狙撃砲があるにも関わらず時速30kmでの走行や500m近い跳躍が可能となった。

高性能なレーダーとセンサーで周囲の状況がつぶさにわかるようになっている。

その代わり内臓バッテリーが1時間しか持たないという難点があるが。

「ジェルフォー、隊員たちの様子は?」

『…まもなく突入する』

ジェルフォーは夜目も効くので、偵察に送っている。

「よし、正規隊員のお手並み拝見」

百舌鳥は漁火に寄りかかって待機を始めた。

 

結果はさんざんと言っていいだろう。

突入組のティオニシアとゾンビーナはブービートラップに引っかかって転倒、ゾンビーナはティオニシアに押しつぶされてバラバラになり、現在ヴァイパーとスプーキーによる治療を受けている。

マナコは対象への狙撃でかすめた程度で終わった。(これは夜間にスターライトスコープなしでマズルフラッシュが酷くなるサイレンサーを付けたにしてはよく出来ている方だ)

まぁこちらも事態に気付くのが遅かったのだが…

気付いてガントレットやジェルフォーを向かわせた時には逃げられてしまっていた。

「全く…、ティオニシアとゾンビーナをJPFの基礎訓練に叩き込んでやりてぇ…」

ブービートラップにも全く警戒せずに突入するとは…。

後で探査してみると、侵入警戒用の糸や、トラップ用の糸が確認された。

ただ転ばせるだけの糸だからよかったものの、爆弾がつながっていたらと思うと冷や汗が出る。

「………………………」

さっきからスプーキーの様子がおかしい。

糸を見る目が、何か家族を思うような目になっている。

「・・・?スプーキー、どうかしたのか?」

「いえ、何でもないわ」

「ならいいが、心配事があるなら今すぐ言えよ」

「ええ…」

…同じアラクネ族と考えれば、家族若しくは友人という可能性があるな。

スプーキーには悪いが、次の作戦時にはメンバーから外そう

撤収作業をしながら、そう考える百舌鳥であった。

 

ただし、時は無情にもその時間を与えなかった。

「はぁ!?今度は来留主がさらわれたぁ?」

『ええ。多分、あの映画監督を拘束した犯人と同一犯とみて間違いないわね』

2時間後、撤収作業を終え帰ってきた矢先、墨須から連絡を受けた。

「…わかった、俺たちも出撃してみる」

『よろしく』

「よし、お前ら出動だ!」

「「「はい!!」」」

百舌鳥は訓練生たちを呼びかけ、出動準備を急いだ。

この時はもちろんスプーキーを現場から外そうと思っていたことなぞ頭から吹き飛んでしまっていた。

 

一時間も経たないうちに、警察無線を傍受したJPF所属の偵察機が古い倉庫街に存在するある廃倉庫から熱源を探知したと連絡が入った。

現場付近に到着すると、ジェルフォーを放った。

「ジェルフォー、目標は視認できるか?」

『…多分あれだと思う。視認した』

「了解、戻ってくれ」

『…了解した』

「墨須、来留主をジェルフォーが視認した」

『了解したわ。展開させる』

「こっちも展開する。キット、後は頼む」

『了解、ヴュルガー』

ヴュルガーとはドイツ語で百舌鳥のことで、彼(?)なりのジョークである。

宮原製の人工知能は妙に性格が人臭いのが多い。

「今回のような作戦はどういう装備がいいと思う?」

『PSM-01m-Gをお勧めします。2番コンテナの前にお立ち下さい』

「了解」

百舌鳥は2番コンテナの前に立った。

するとジェスターの上から新たなユニットが装着される。

変わった部分といえば、肩部が大型化した事と背部にガトリング砲の砲身が見えるぐらいだが…。

「で?陸戦にふさわしいとは到底思えないんだが」

『デフォームと言っていただければすぐにわかります』

「はぁ?で…デフォーム」

半信半疑で百舌鳥はその言葉を口にしたが、その瞬間変化が起こった。

背部のパーツが頭部に移動し、両手の部分が瞬時に足のようなパーツに変り足の部分も4足歩行に適した形態となった。

「成程、4足歩行形態に変形することで陸戦能力を高めるパーツか。使わせてもらおう」

百舌鳥は4足歩行形態のまま現場に向かった。

 

現場の倉庫に着いてみると、最初は緊迫した空気だったもののだんだん内部から笑い声が聞こえ、そしてスプーキーの表情がだんだん怖い顔になっていった。

「ちょっと行ってきてもいいかしら?」

スプーキーの声がいつも以上に低い。

「は?んな事許可出来るわk」

「黙って。これは家族の問題なの」

「お、おう…」

止めようとしたらものすごい剣幕で睨み付けられ、了承するほかはなかった。

スプーキーはスタスタと倉庫の中に入っていった。

『…ね、姉さん!?』

『え?』

『どうも、初めましてって言いたいところだけど、今はこの子と話があるから出て行ってもらえるかしら?』

『は、はい』

倉庫から来留主が出てきた。

ジェスターを解除した百舌鳥の元へ来る。

「よう、無事だったか」

「はい、で、さっきの方は?」

「えっとな、あいつはブラックウィドウ・スプーキー。この前は行かなかったがあいつも訓練生だ」

「で、何が始まるんですかね?」

「さぁな、俺も知らん」

 

『全く…、母様から音信不通だから探してくれと言われてきてみれば…。他人に悪さしてたなんてね』

『ね、姉さん。これには事情g』

『お黙りなさい、ラクネラ・アラクネラ。これはお仕置きが必要よねぇ…?』

『え…ちょっと待って…。止めて…それだけは…』

「あれ、止めなくていいんですか?」

心配そうな顔で来留主が聞いてきた。

「他種族間だし」

「家族の問題らしいから」

「「他種族間交流法的には問題なし!」」

珍しく、墨須と百舌鳥の声がハモった。

『じゃぁ行くわよ…』

『ぴぎゃぁぁぁああああああ!!』

静謐な夜空にふさわしくない悲鳴が響き渡った。

 

数分後、倉庫内。

「ステイ先の選択を誤り、その後のケアを怠ったことを」

「いや別n」

「いえ、何も言わなかったこいつも馬鹿です」

「おいおい、こいつって…」

倉庫内に居るのは攫った本人のラクネラとその姉のスプーキー、攫われた来留主とコーディネイターの墨須と百舌鳥の計5人が居た。

スプーキーがさっきからラクネラを睨み付け、妹の言葉に口をはさんでいる。

「でももうちょっと誠意g」

「……………………」

「わ、私も行くところがないので住めるような家とアラクネ族に嫌悪を抱かない家主の家が…勿論姉さんの居ないところで」

スプーキーが般若の形相になっているので、ラクネラはかなりおびえていた。

「成程、改装済みとなるとご希望に合う場所は限られますが…。一つ、ご所望に合う場所があります」

「僕のところですね」

「まぁ、そうなるだろうな」

「じゃあ妹のことをよろしく頼むわね、来留主君。でも何かあった時はいつでも言ってちょうだい。いつでも〆るから」

「ははは…」

こうして、ラクネラ・アラクネラは来留主公人の元へステイすることになった。

 

帰り道。

百舌鳥は漁火を先に帰らせて訓練生たちと歩いて帰ることにした。

「今回はよくやってくれた。初の任務にしては上出来だったぞ」

「今回は悪かったわね、家族の問題に付き合わせちゃって」

「何、あれしきのことぐらい問題ないって」

「何なら、貴方のことをハニーって呼んでもいいわよね?」

「ちょっ…まぁいいか」

「スプーキーがいいならじゃあ私もだぁりんって呼んでもいい?」

「ヴァイパー、お前もかよ。まぁいいか」

「ふっ…」

「……くすっ」

百舌鳥達の笑いは、家に戻るまで絶えなかった。

 

一方、百舌鳥宅では…。

「旦那さまー、早く帰ってきてくださいませ~。でも…帰ってこない恋人を待つという展開も…、良いですわぁ~」

悲恋のサスペンスドラマを見つつ、悲恋妄想に浸るムリヤなのであった。

 



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第五話「訓練生についていろいろ勘違いしていた」

大学で忙しく、投稿が一か月以上遅れてしまいました。
申し訳ありませんでした。
では、少し短めの第五話をどうぞ。



ラクネラの事件が一件落着して数日後の早朝。

日本平和維持軍、インヴィンシブル基地内の司令室。

「やっと家に帰れますね…」

「百舌鳥もご苦労さんだったな」

「いやぁ、久々の任務で疲れましたわ。大條の旦那」

百舌鳥は初任務が終わった数時間後に、ベルギーで開催された首脳会談の護衛に出発しなければならなくなった。

久しぶりの仕事だったことと、テロリストへの対処のためにかなりの体力を消費した。

「そういえば、訓練生たちは大丈夫なのか?」

「はい、訓練生たちの訓練メニューは組んでおきましたし、食事は用意してありますんで。まぁ、帰ったらお世話を要求されるんでしょうがねぇ」

「何気に大変だな。教官の仕事も」

本当に急な仕事だったため数日分の彼女らの食事を作り、訓練生には訓練メニューと留守番中の注意事項を手短に伝えた。

臨時でガントレットに訓練生長を任せたが、大丈夫だったのだろうか?

「ではおいとましますわ、大條の旦那」

「おう、じゃあな」

 

 

朝9時、百舌鳥宅。

「はぁ…。ガントレット、臨時訓練生長の仕事お疲れさん」

「主殿こそ、お疲れ様です」

百舌鳥はソファーに腰かけ、珈琲で一息入れていた。

何せ家に帰るなり、ヴァイパーやジェルフォーに飛びつかれ、そして予想通り、訓練生たちにお世話を要求されたのである。

要を言えば毛づくろいとか水浴びとかだ。

百舌鳥は金は掛かるが食事や飲み物で済む人間の訓練生の方が楽だと思った。

 

「そういやぁさ、ガントレット。なんでお前さんはいつも甲冑を付けてるんだ?ここの中ぐらい外したらどうなんだ?」

なぜこのタイミングで聞いたかというと、百舌鳥は一度もガントレットの甲冑姿以外を見ていない。

ふとそんなことを思い出して聞いてみたくなったのだ。

「騎士としての誇りがある以上、甲冑は外せません」

「お前の親友は外していただろ」

彼女の親友というセントレアは、この前会った時には甲冑なんて付けていなかった。

あいつも騎士と名乗っていたはずだ。

「彼女とは種族が違いますので…」

「は?だってケンタウロスと…」

「えっとですね、一口にケンタウロスといっても色々な種類があるのです」

「ラミアにもいろんな種類が居るんですよ」

習慣の長風呂を終えたヴァイパーがいつの間にか上がってきていた。

「へ?ヴァイパー、お前もただのラミアじゃないの?」

「あ、やっぱり?」

 

一時間後。

「浅学とは言え、済まなかったなぁ…」

「いえいえ」

「分かりづらい部分ですから…」

百舌鳥はヴァイパーとガントレットに説明してもらった。

ヴァイパーは正確にはラミアではなくメリュジーヌというラミアの亜種だった。

ケツァルコアトルやドラゴニュートのようなドラゴン系の性質も混ざっているそうだ。

水蛇のような性質もあり、水辺を好むらしい。

百舌鳥は家の近くに湧水がわく泉があったのは救いだと思った。

「てか俺は一度もお前の背中の羽根を見たことがないんだが」

「羽根とは言っても滑空しかできないので普段は折り畳んでいるんです」

「それは進化した…というのか…、どうなんだろうな」

ヴァイパーは背中の羽根を展開した。

確かに立派なドラゴン系の羽根ではあるが、滑空ならまだしも飛行には向いていない小ささだった。

 

ガントレットは体格が普通のケンタウロスより発達している重量種らしい。

ケンタウロスにはさらに競走馬種という種類もいるそうだ。

百舌鳥はセントレアのような種類をライトタイプ、ガントレットのような種類をヘビータイプ、競走馬種をレースタイプと呼ぶことにした。

「成程、君はヘビータイプか」

「解ってもらったのは良いですけど、ヘビーってなんか気持ちが複雑になります…」

ガントレットは騎士とは言えどもやはり女の子。

ヘビーとか、ペザンテとか、シュヴェアーとか、ぺサドタとか、「重い」という単語は苦手なのかもしれない。

「というか、種族違うのによくセントレアと仲良くなれたなぁ」

「基本的な差はありませんから」

「しかしまぁ種別が違うだけで何が変わるんだ?」

「普通のケンタウロスは重装鎧を装着し、槍を主武装とした突撃兵です。一方我々は軽装の鎧を装着し剣で戦い、競走馬種は伝令として活躍するのです」

「しかし、ならなんでお前は剣じゃなくて長弓やクロスボウの方が得意なんだ?」

彼女はどちらかといえば格闘よりも射撃の方が得意なのだ。

とは言っても格闘も悪くはないのだが…。

「そ…それはですね、か…家庭の事情といいますか…」

「家庭の事情?」

「私とセレアは特に気にはしてないんですが、親同士はライバルみたいな感じで…」

「あー、なるほどなぁ…」

 

ガントレットの説明によれば、『槍神』と呼ばれるセントレアの母親と『弓神』と呼ばれるガントレットの母親は長年試合で優勝を争う関係だったそうだ。

総合的に言えばセントレアの母親の方が強く、ガントレットの母親は『永遠の二番手』と呼ばれている。

親同士の仲が悪くなるのは必然と言えるだろう。

 

「成程、自分の得意な弓術の方を娘に教えるのは必然という訳だな」

「そういえば、主殿は何がお得意なんですか?」

「俺か?そうだなぁ…格闘と射撃どっちかって言われると、どっちでもないんだよな。乗り物は上手く操れるが」

「そうなんですか。あ…あの、もっと主殿のk」

「ご主人、もう少し毛づくろいを…」

ガントレットが何かを言っている最中にジェルフォーが割り込んできた。

「え?まだやるのか?」

「ちょっと待ってよ、わたしだって…」

「旦那様、いい悲恋物の映画を見つけたんです!一緒に見ませんか?」

「おいおい、俺は一人なんだぜ?順番だ順番」

 

自分の事で揉める訓練生を止めつつ、何か幸せな気分になった百舌鳥であった。

 

 




今回は少し短くなってしまいました。
投稿ペースは一週間に一回のペースを目指したいのは山々なのですが、他作品との折り合いもありますので、2,3週間に一回となるかもしれません。
気長にお待ちください。


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第六話 「新たな訓練生!?」

皆さま、本当に申し訳ありませんでした!

もうこの小説を何か月放置していたか…。
いや全体的にそうなんですけれども。
大学で忙しかったのもあるんですが…長期的なスランプに陥ってました。
スランプ怖い、マジ怖い。

では本編をどうぞ。


あれから2週間。

 

俺は保安局のオフィスに居た。

もちろん、教官として申請書だの報告書だのといった書類を格闘するために。

机の上の書類の束が多すぎて、もう城壁みたいになってしまっている。

ひっくり返らなきゃいいが…。

 

ラクネラの一件を解決してから、俺たち訓練部隊は任務に就くことが多くなった。

いや、ただ単純にゾンビーナたちが忙しすぎて手が回らなくなっただけだ。

 

最初は俺がフォローすることも間々あった。

だが、段々ヴァイパーやジェルフォー達の連携もなってきて、あいつらだけで任務を解決することも多くなった。

まぁ、ムリアは雰囲気的に戦闘はさせられないのでオペレータとして我慢してもらったが。

 

そしてついに…。

 

「正式に貴方達の部隊はMONの第2実働部隊になったわ」

「そうか…」

ついに訓練生卒業か…。

なんか感慨深い気持ちになるな…。

もう終わりか…教官という任務も中々面白かったな。

 

「はいこれ」

墨須がぶ厚そうな封筒を、書類によって築かれた山の上に置く。

「え、何これ?」

おい…少しは…感慨に浸らせろ。

 

「で、何だ?」

「えーっと、新しい訓練生?」

「訓練生?じゃねえだろ!俺は促成栽培のアレか馬鹿野郎!」

「教官のお仕事だからね」

「だったら秘書ぐらいよこせ!銃弾以前に書類に殺されるわ!」

 

言っておくが、訓練生の教官以外にも陸戦隊の隊長としての仕事がある。

 

ただでさえ陸戦隊の書類が多いのに、こいつらは無駄な紙をさらに増やしてくる。

最近では仕事が追いつかず、陸戦隊はミハイル・イワノビッチ副隊長にまかせっきりだ。

これ以上仕事を任せれば、眼鏡をかけた大柄なロシア人の青年がキレること請け合いである。

 

「多分秘書としても役立つと思うわよ?」

「…まぁいいか。で、訓練生が来るのはいつだ?」

「今」

「え?」

「もう別室で待機してもらっているわ」

「そういうの早く言えよな!」

俺はデスクを放り出し、訓練生たちが待機しているという別室へと向かった。

 

「サラ君、サフィール君、リュア君、アンナ君、セイ君。俺が教官の百舌鳥隼人だ。君たちの入隊を歓迎する」

資料によれば、ウンディーネとサラマンダーに…、ニンフに八尺とセイレーンという編成だ。

 

サフィールのウンディーネ族が水を司り、サラのサラマンダーが火を司る精霊か。

サラマンダーはリザードマンに似た見た目だな。

ああ…火トカゲだっけ。

ウンディーネ族は何というか…言いようが無い見た目だ。

人型だけどちょっと半透明だな。

 

リュア…ニンフ族は資料を読まなくても解る。

ギリシア神話の精霊だよな…。

灰色っぽい肌とか耳がエルフに似ている以外は結構人間と近いんだなぁ。

アルセイデスとかドリュアデスとかオレイアデスとか種類が多いことも特徴だ。

音楽や舞踊を好むらしい。

え?なんでそんなに知ってるんだって?

俺の所属してるN.A.I.A.Dの名前はニンフの一種であるナイアデスの単数形だしな。

昔気になってちょいと調べたことがあったのさ。

 

セイがセイレーン…と。

2人目のギリシア神話系統であるセイレーン族はサイレンの語源だったよな(というか大体の辞書はセイレーンじゃなくてサイレンだけど)。

海神フォルキュスまたは河神アケオロスの娘で、妙なる歌声で船乗りを暗礁に引き寄せて餌食にしていたらしい。

外見的に見れば、やはり神話通りの見た目だ。

上半身が人間の女で、下半身は若干鳥っぽい。

 

アンナは八尺族…。

八尺って都市伝説あるんだ。ぜんぜん知らなかった。

しかしでかいな。確かに八尺(約240cm)の名は伊達じゃない。

何か暗そうな見た目だ…。

かなり失礼なのはわかっているが、正直言って幽霊によく居そうなタイプだよな。

 

「騎士様…」

サフィールさんよ、騎士様って何なんだ?

俺ってどっちかっていうと騎士というか武士だよな…?

 

「この人…似てる…」

リュアは比較的大人しそうな感じだ。

何に俺が似ているのか多少気になるけれども。

 

「よ…よよよ…」

アンナは…声の感じからして暗そうな雰囲気だ。

 

なんか心配な編成だな…。

いや、ここは俺が戦略を練ればいいだけの話か。

 

「よろしくお願いします~♪」

なんか挨拶がミュージカルっぽいな。

セイは歌で対象を眠らせたり、引き寄せて捕縛するという方策で使えるだろう。

非殺傷を目的とするMONには最適かもしれない。

セイは意外と自由人かもな。

 

「あー…その…なんだ…よろしくお願い…ああもう!いつもの通りでいいか?よろしくな!」

サラは武闘派な性格っぽいから戦闘要員として使うのが最適かもな。

でもすぐ突っ込みそうだな~こいつ。

ゾンビーナみたいなトリガーハッピーはなさそうだが。

サラは美少年とか言うあたりじゃなくて、ガサツな男の子って感じの性格だな。

 

まぁ2人は良いとしても…だ。

現状を考えると…サフィール、アンナ、リュアから秘書を選ぶ感じになるだろうな。

3人とも戦闘向きじゃ無さそうだし…アンナは多分オペレーターも無理そうだし。

 

「よろしくお願いしますね、騎士様」

(騎士様…騎士様騎士様騎士様…!)

「よ、よろしくお願いします!」

(まさかこんなに似ているなんて…ふふふ)

「よ…よろし…くお願い…します」

(この人…欲しい…私のものに…)

 

だが何だろう。

この3人のオーラ?雰囲気?がヤバイ気がするこの感覚は。

…まぁ気のせいだろう。

 

「んじゃまぁ、よろしくな」

俺は頭をブンブンと振って、新たな訓練生たちを家へ連れ帰ることにした。

 

数時間後、こいつらが原因でえらく面倒な事態になるのだが…

この時の俺は一切気付いていなかった。




ブラウザのモン娘が終わってしまったのは悲しい限りですね…。
結構お気に入りのゲームだったんですが…。
若干そのショックからも立ち直れてません。

次回…いつになるかはわかりませんが、早めにうpしたいと思ってますので気長にお待ちください。


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