DRACU-RIOT! ~随類応同のダンピール~ (俺だよ俺)
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プロローグ
プロローグ 前編


 この作品の作者はDRACU-RIOT!のプレイは一周しかしていません、それも二年前。

 そのため設定とストーリーに矛盾を生じたりしてしまうかもしれません、ご了承ください。


 痛い……気持ち悪い……

 

 謎の浮遊感に吐き気、刃物で切り刻まれているかのような激痛と炎上している家の中に居ているかのような熱さと息苦しさ。

 

 

 静まり返った無限大に広がる海、見渡す限りの綺麗で透き通るマリンブルー、とても幻想的だ、だがその幻想的な自然な海は、鼓彰浩(つづみあきひろ)の体力を少しずつ減らしていった。

 

「うぅ……ゲホッ! ゲホッ!!」

 

 口の中に侵入してきた塩水、気管に入り肺に滑り込もうとしてきた瞬間、身体が反射的に咳をした。

 すぐに水は吐き出され、いつでも落ちてしまいそうだったボンヤリとした意識はハッキリとする。

 

 

 ここは……

 

「海だ……」

 

 海、それは吸血鬼にとってそれはとても危険なもの、だが俺には影響は半分もない。

 まぁ47度ぐらいの風呂に入っている気分だが。

 

 

「くそあつい……」

 

 俺が実際に入っている風呂の温度は40度ぐらい、こんなにも熱いのは入ったことはない。

 

 

 俺……何で浮いてるんだ?

 

 

 そう思い、何気なく下を見ると、俺は白と赤の良く船にある浮き輪をしっかりと上半身を通し、腕でまたいでいた。

 

 

 腕の神経はマヒし、浮き輪を握っている感覚はなかったため、俺は何故身体を浮いているかわからなかったが、腕の神経がマヒしていた影響だということがわかった。

 

 そして自分に命がまだ残っていることがとても嬉しく、その嬉しさのあまり、深く安堵する。

 

 

 

 よくよく考えれば、海の上で生きているっということは何かしら浮く物体を持っていたということしかないんだがな、意識もはっきりとしてなかったし、しょうがない。

 

 

「……あれは……?」

 

 

 日光が水面を反射し、視界の性能を下げていた、うっすらとぼやける視界を必死に前方に向けると、そこには……

 

 

「アクア……エデン……?」

 

 うっすらとぼやける視界の前方、そこにはなんと海上都市アクアエデンが存在していた。

 

 

 

 

 海上都市(アクアエデン)――通称【歓楽都市】国民の大半が知っているであろう海に浮かぶ都市。

 未来都市モデルの巨大実験場でもあると同時に、政府によって定められた構造改革特別区域の1つ。

 空港などに用いられるメガフロートを進化させ、街として機能するまで発展した、超巨大浮遊式海洋人工島である。

 

 

 

 

 そんな……じゃあここは日本か!!

 

 あまりに衝撃的だった。

 

 

「ぐっ!!」

 

 ビリっと電流でも走ったかのように、全身が激痛により悲鳴を上げていた。

 

 やばい……

 

 

 

 上半身から大量の血液が流れ、海水に溶けていく。

 速くなんとかしないと意識が吹き飛びそうだ。

 

 

 鼓はそう悟った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 海の流れに乗って彷徨うこと小一時間、少しずつ海上都市アクアエデンの海岸に近付いていた、元気さえあれば泳いで行けば30分そこらでつけるのだが、体力がもうないし、身体だってしんどい、意識を保つのがやっとなのだ。

 

 

「うぅ……」

 

 海水の温度がとても冷たい、もうほとんど慣れているが、速くなんとかしないとこのままでは本当に死んでしまう。

 

 

 

 やばいやばい……速くなんとかしないと!!

 

 そう思いのだが、疲労や混乱で脳が上手く働かない、ただ真っ白なのだ。

 

 

 海上都市アクアエデンは砂浜はなかったはずだ、だから流れ着いても岸に上がれない。

 

 

 

「困ったな……」

 

 絶望でしかなかった、ようやくこの状況を抜け出せると思ったのに……

 

 

「……んっ?」

 

 

 厳しい日光、その焼かれた光により鼓の視界は遮られていた、流れる血と薄れている意識にを抑え、必死に耐えながら腕を目の上に置き影を作り、視界の精度を上げる。

 

             

 あれは……

 

 

 船だ!!

 

 

 気付くのは遅すぎた、海上都市アクアエデンの海岸の隅にはなんと漁船が1つあった。

 

 何故海上都市アクアエデンに漁船が一つだけあるのか疑問に思いつつ、自分の命のつなぎ目ができたことに大いに喜び、残された力を振り絞り、必死に声をあげながら船まで向かう。

 

 

「おーい!! 誰か~!!」

 

 ときたま手を振りながら大きく叫んだ。

 

 

 よかった! これで助かる! 助かるぞ俺!!

 

 

 

 

 

「んっ? なんだあれは!」

 

 

 漁船に居た1人の男性がこちらに気付いた、服装はおかしなことに漁師の格好ではなくどこかの公務員の様なスーツを着ていた。

 

 

「人だな……おい! どうする!」

 

「んあ? あぁ……ほっと……イヤ、ちょうどいい」

 

「あぁ……なるほどな」

 

 

 1人の男性は誰かと話をしている、うっすらと聞こえるが、俺はそんな悠長に聞いている余裕はない。

 

 

「助けてくれ! おーい!」

 

 俺が必死に両手を振ると、向こうからロープを投げてきた、俺はそれをとっさにつかみ、後はそのロープに身をゆだねた。

 

 

 

 

 

 

 ロープをつかみ、船のもとに引っ張られている最中、遠くのほうが何やら騒がしかった。

 

 

 なんだ? まぁいいや……

 

 俺はそんなものに興味を持たず、船の近くに着た瞬間、梯子をおろされる。

 

 

「おーいあんた! 登ってこれるか!!」

 

「はっ! はい!!」

 

 

 

 梯子をつかみ、登っていく。

 

 その最中、浮き輪が邪魔であったため、外し、船の上に投げておく。

 

「よし! もう大丈夫だぞ!」

 

 

 1人の男性に毛布にくるまれ、船室の中の椅子に座らせられる。

 

 

「ほら、あんた! これを飲め」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

 男性からマグカップに入っているコーヒーを受け取り、グイッと飲み干す。

 

 

 …………

 

 

「………」

 

 

 助かったんだ……

 

 

 俺はホッとした、命の危険から何とか逃れ、今その余韻に浸って天井を呆然と見つめる。

 

 

 

 

「おい、ほんとにいいのかよ……」

 

「まぁ、あいつらが来るまでだ、どうせ追われている最中だしな」

 

「早く来いよまったく……」

 

 

 

 ……? 何の話をしてるんだ?

 

 

 精神面と肉体面に余裕が現れ、冷静に状況を見るようになり、男性達の会話に違和感を覚える。

 1つの違和感を覚えてから、色々な疑問で溢れかえってきた。

 

 

 なんでこいつらスーツなんだよ……

 てか海上都市アクアエデンに漁師っていたっけ? あったとしてもなんて船が一つだけなんだよ……?

 

 

 もしかして……

 

 俺は確信した。

 

 

 こいつらやばいやつら……?

 



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