遊戯王ARC−V 幻影の魔術師 (しょごりゅう)
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第1章~スタンダード次元~
プロローグ


「……」

 

遊奈(ゆうな)、緊張してるの?》

 

「まあね。相手はチャンピオンだよ?私も緊張くらいするさ」

 

そう言って少し苦笑いしながら私の相棒を見る。

 

私の名前は(さかき)遊奈(ゆうな)。この時点ですでにおかしいと気づく人もいるだろう。私は遊戯王ARC−Vの主人公である榊遊矢(ゆうや)に転生をした元OCGプレイヤー。現在は3度目(・・・)の人生を歩んでいる最中なんだ。なぜ3度目なのかと言うと、実は前世はあの遊城十代とヨハン・アンデルセンの娘に転生していたからだ。原作知っている人がいれば『まるで意味が分からんぞ!』と思われるが、それが事実だからなんとも言えない。他にも色々とあるんだけど、それはまたの機会にするね。

 

「それに今日は君のデビュー日になるんだから気合いも入れないとね☆」

 

《そこは親父さんの名誉回復ってことにしないの?まあ嬉しいけど》

 

苦笑いを浮かべながらも満更じゃなさそうな表情をする相棒にこちらも苦笑いを浮かべる

 

「榊遊勝(ゆうしょう)は確かに血の繋がりこそはあるし、家族の事も大切にしていたのは認めるよ? でも、私にとって両親はあの2人だけだよ。例え幾度となく転生を繰り返してもね」

 

《…そうだったね。すまない》

 

相棒の顔がしまったっという顔になるとすまなそうに謝ってきた。私は気にしてなんかないのになぁ…

 

「ううん。 それよりも今日は頼んだよ?相棒♪」

 

そうニッと笑うと相棒は顔を上げ、力強く頷いてくれた。

 

 

───────────────────────

 

そもそもなぜ、チャンピオンとデュエルする事になったのかは少し前の出来事のせいである。

 

その日は遊勝塾に加入希望者が見学に来ていて、私は権現坂(ごんげんざか)とデュエルをしていた。

 

「行くぞ遊矢(・・)!俺はレベル4の『超重武者ワカーO2(オニ)』と、同じくレベル4の『超重武者ジシャーQ()』にレベル2の『超重武者ホラガーE()』をチューニング!」

 

権現坂の宣言と共に、ほら貝らしき物を持った機械武者が2つの緑の環となり、『ワカーO2』と『ジシャーQ』が纏われ、やがて纏われた方の超重武者達の身体が4つずつの光の球と化す。

 

それにしても、なぜ権現坂は私を遊矢(・・)と呼んだのか疑問に思うよね?実は女である事を隠して遊矢という男になっているんだ。普段は漫画版のファントムと同じフード付きマントを羽織っているんだけど、今日は珍しく見学者がいるからマントではなく、アニメ版遊矢と同じ格好をしている。まあ、昔色々とあったんだよ。因みに遊勝塾の人達と権現坂は私の事情を知ってる。

 

《くるよ!遊奈》

 

分かってるよ。相棒。

 

「荒ぶる神よ、千の刃の咆哮と共に煌びやかな戦場に現れよ!シンクロ召喚、いざ出陣!レベル10!『超重荒神スサノ―O()』!」

 

超重荒神スサノ―O DEF3800

 

 

【超重荒神スサノ―O】

効果モンスター/シンクロ

星10 地属性 機械族 攻2400 守3800

機械族チューナー+チューナー以外の「超重武者」モンスター1体以上

このカードはルール上「超重武者」カードとしても扱う。

(1):このカードは表側守備表示のままで攻撃できる。その場合、このカードは守備力を攻撃力として扱いダメージ計算を行う。

(2):1ターンに1度、自分の墓地に魔法・罠カードが存在しない場合、相手の墓地の魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを自分フィールドにセットする。この効果でセットしたカードはフィールドから離れた場合に除外される。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

光の輪の中に一筋の光が差すと、暗色を基調とした、超重荒神が現れる。

 

ここで彼のエースの一体であるスサノーOが来るのは流石だね。でもさせない!

 

(トラップ)発動!『強制脱出装置』!対象は『スサノーO』!」

 

【強制脱出装置】

通常罠

(1):フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを持ち主の手札に戻す。

 

 

「させるか!アクションマジック『キャンディ・コート』これで自分のモンスターは魔法・罠の対象にならず、戦闘で破壊されない!」

 

「くっ!やるな」

 

「更に『スサオーO』の効果発動!遊矢、お前の墓地にある『強制脱出装置』を俺の場にセットさせてもらう」

 

自分の墓地に魔法・罠カードが無い場合という厳しい条件ながら、相手の墓地にある魔法・罠カードを1枚自分の物にする事が出来る効果も、1ターンに1度セット出来るという無茶苦茶な効果も持っている。

しかもこの効果は相手ターンでも使えるフリーチェーン、挙げ句セットしたカードはフィールドを離れると除外されるので、アクションデュエルにおいては、後になってセットしていた魔法・罠カードを発動した所為で効果が使えなくなる事も無いと、厄介極まりない。

 

アニメ効果なら魔法だけだったんだけど、こればかりは仕方ないか…

そして権現坂がセットしたカードは私が先ほど使って無効にされた『強制脱出装置』。これで、安易に召喚出来なくなった。

 

「俺はこれでターンエンド!さあ遊矢、この権現坂と1対1の本気の勝負だ!」

 

言われなくても分かってる、権現坂!

さて、観客もいるし、権現坂も普段はしないシンクロ召喚を見せたんだ、私も派手にやりますか!

 

Ladies(レディース) and(アンド) Gentleman(ジェントルメン)!!お楽しみはこれからだ!!」

 

『おお…!』

 

私の宣言に期待の籠った声が観客席から聞こえるのに答えるようにカードに手を添えた。

 

「さぁみんな、楽しんでくれよ!俺のエンタメデュエル!!俺のターン!ドロー!」

 

引いたカードは『エフェクト・ヴェーラー』。ここは…

 

「永続魔法になっている『魔導書院ラメイソン』の効果発動!墓地の『魔導書庫クレッセン』をデッキの一番下に戻し、1枚ドロー!来た!今引いた『サイクロン』を発動!権現坂の場にセットされた『強制脱出装置』を破壊するよ!」

 

「今引き『サイクロン』だと!?」

 

竜巻が強制脱出装置を破壊した。

 

よし!これで!

 

「手札から『ネクロの魔導書』発動!墓地の『魔導書士バテル』を除外し、墓地の『魔導戦士フォルス』を蘇生しこのカードを装備する!さらに除外した『バテル』のレベル分『フォルス』はレベルが上がるよ!」

 

魔導戦士フォルス ATK1500 星4→6

 

「更に『エフェクト・ヴェーラー』召喚!」

 

エフェクト・ヴェーラー ATK0

 

「チューナーと非チューナー…来るか!」

 

Here(ヒア) we(ウィー) go(ゴー)!! It's(イッツ) a() show(ショウ) time(タイム)!!レベル6になった『魔導戦士フォルス』にレベル1、『エフェクト・ヴェーラー』をチューニング!シンクロ召『な、なにこれ!?きゃぁ!?』ゆ、柚子(ゆず)!?」

 

シンクロ召喚をしようとした時、管制室にいるであろう柚子の悲鳴が聞こえて思わず振り向く。

その次の瞬間、フィールド内に爆発音が鳴り響き、表示されていたソリッドビジョン(主にアクションフィールド)にノイズが走る等、不安定な状態になる。

 

《やばいよ!遊奈!》

 

『何やってんだ柚子!?』

 

『ご、ごめんなさいお父さん!』

 

『コイツが壊れちまったらソリッドビジョンが消えちまうぞぉ!』

 

暑苦しい声が響いたかと思ったら、ソリッドビジョンが消滅、実体を持っていた事もあってその門の上に立っていた私は一瞬にして宙に放り込まれた形となり、重力に従う形で落下してしまう。

 

「うわ!?( ローザ頼む!)」

 

素早く体制を立て直して『月華竜ブラックローズ・ドラゴン』のローザを召喚する。ローザは素早く私を翼で受け止めて守ってくれた。

 

なぜ、リアル・ソリットビジョンがないのにモンスターを実体化させることが出来たのかは、私のデュエルディスクがリアル・ソリットビジョンシステムを搭載しているからだ。

まあ、ディスクを使わなくても精霊なら実体化出来るけど他人がいるから今回は避けた。

 

《遊奈大丈夫ですか?》

 

「ああ。ありがとうローザ」

 

ローザが地面に降ろして心配そうに聞いてくるので、笑いながら礼を言い、ローザの頭を撫でてあげると嬉しそうに擦り寄りカードにもどった。

 

「大丈夫か遊矢!」

権現坂が駆け寄る。

 

「俺は大丈夫だよ。権現坂も大丈夫そうだな」

 

「俺は大丈夫だ。にしても何があったんだ?」

 

「会話聞く限り故障じゃないか?はあ…」

 

思わず溜息が漏れてしまう。

 

結局この事故が原因で加入希望者は帰っちゃうし、ソリットビジョンシステムは壊れるし散々だった。

 

「おやおや?何やらお困りの様子」

 

私達の塾…遊勝塾で、私と、私の幼馴染で塾生の(ひいらぎ)柚子、柚子の父さんで遊勝塾の塾長を務めている柊修造(しゅうぞう)おじさん、そして今しがたデュエルした私の幼馴染の権現坂(のぼる)(彼は『権現坂道場』というデュエル塾の跡取りなので本当は部外者なんだけどね)の4人で今後の事を話し合っていると、其処に黄色と黒のストライプ模様のスーツに、黄色がかったレンズの眼鏡(?)を掛けたクイズ番組のMCみたいな男が現れた。

 

「ええと、どちら様で?」

 

おじさんは何処か戸惑い気味ながらも、突如入って来たその男に名前を訪ねる。

普段の暑苦しさもなりを潜めてしっかりした対応する。流石、父さんに代わって遊勝塾を守ってきただけあるね。

 

「申し遅れました。私、アクションデュエル現役チャンピオン、ストロング石島のマネージャー兼プロモーターをしております、ニコ・スマイリーと申します」

 

《ずいぶん変わった名前ですね》

 

そう言いながらデフォルメされて小さくなったローザが半透明で私の肩に現れる。

 

あれは芸名じゃないかな?

あれが本命ならビックリだ。

まあ、私の前いた世界ではキラキラネームというのが流行っていたから可能性はあるけど。

 

て、それよりも

 

「ストロング石島ですって…!?」

 

ストロング石島。

今の私の血の繋がった父親でプロデュエリスト、榊遊勝が失踪する前に、チャンピオンの座を賭けて戦う筈だったプロデュエリスト。

紫を基調としたトゲトゲヘアーにフェイスペイント、某世紀末漫画の連中が着用しそうな服装をしたデュエリストで、確かデッキはバーバリアンだったかな?

あの人ならまず勝てると言っても過言じゃ無い程度の相手だったけど、何故かその試合に出場する事無く、失踪してしまった。

それ故に、私は臆病者の子どもと言われ、母親はそのショックで亡くなってしまった。

 

まあそれは良いとして、どうしてそのストロング石島のマネージャーが私達の所に来たか、話を聞いてみないと

 

「今回此処を訪ねたのは他でもありません。LDS(レオ・デュエル・スクール)のイメージキャラクターを務めるストロング石島の、そのファン感謝デーに是非、遊矢君をお招きしたいのです。其処で遊矢君には、ストロング石島と戦って貰いたいのです!あの三年前の願いが現実のものに…!」

 

「…俺がストロング石島と……」

 

思い出すのは三年前、観客席から自分の父親への罵倒…

私にとって、榊遊勝は父親とは思えなくても、尊敬出来るデュエリストの一人だった。だからこそ、私はあの人の名誉回復という訳ではないがこの勝負を受けたい。そして何より強い奴と戦いたい。

 

「駄目だ、遊矢をそんな場所に出す訳には行かない」

 

「おじさん…!?」

 

「え、何故です!?」

 

しかし、私の思いとは裏腹におじさんは断ってしまう。

 

「あの榊遊勝の息子が登場するとなれば、お客様も大喜び!」

 

「遊矢を見世物には出来ん!」

 

なるほど、私がチャンピオンに負けて世間の笑い者になる可能性を考えて断ってくれたようだ。

でもね…

 

「おじさん。俺は受けるよ。このストロング石島の挑戦状を」

 

「遊矢!?」

 

「おじさんの思いも分かってる。でも俺は逃げ出したくないんだ!」

 

「遊矢…分かった。」

 

ジッとおじさんを見つめる。先に折れたのはおじさんの方だった。

 

「おお、ご承諾頂けますか!でしたらお礼として、L(レオ)()C(コーポレーション)社製の最新型ソリッドビジョンシステムを、無料でご提供いたしましょう!」

 

壊れてしまった遊勝塾のソリッドビジョンシステムの代わり…いえ、それのアップグレード版が無料で提供される。

一石二鳥だね。

 

私はニコの言葉を聞いて内心笑っていた。



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第1話 エンタメ決闘者!その名をファントム!

タイトル捻りないとか言わないで下さいね。
自分が一番分かってますので(白目)

皆さんは映画遊戯王見に行きましたか?私は3回見に行ってガンドラとガイヤロードとレモンゲットしました!
マハードもゲットしに行きたいと思ってます。おかげで金欠(苦笑)


にしても、ココイチのブラマジと青眼欲しかった…orz


『いよいよ、メインイベントの時間がやってまいりました!チャンピオン、ストロング石島に挑戦しますのは、あの伝説のデュエルスター・榊遊勝の1人息子、榊遊矢君であります!』

 

ニコさんの言葉に観客席からの歓声が響きわたる。

 

『このスペシャルマッチは、アクションデュエルの公式ルールに則って行われます!フィールド魔法『辺境の牙王城』発動!』

 

このイベントのMCをやっているニコさんの手に光が集まりカードが出現、それが翳されるとカードが輝き、アクションフィールドが、ソリッドビジョンシステムによって形成される。

城が中心にある森、これがこのアクションフィールドの特徴である。

 

『ご覧下さい!この本物と見誤るレベルのリアルな質感、これがレオ・コーポレーションの最新型ソリッドビジョンシステムです!』

 

ちゃっかりL・Cの宣伝をするニコさん。でもニコさんの言う通り、かなりリアルなソリットビジョンだった。それこそ、塾にあった旧型のソリットビジョンとは比べ物にならないくらいに。

これをチャンピオンとデュエルするだけでもらえるとか、さすがLDS。あれ?この場合はL・Cなのかな?

 

『おおっと!あの城の上に現れたのは、この3年間、アクションデュエルの頂点に君臨し続ける最強王者、ストロング石島だぁ!』

 

「うぉぉぉぉぉぉ!」

 

《うるさいなぁ…!燃やしてやろうか!?》

 

《うるさいのには同意します。品がなさすぎますわね》

 

落ち着け相棒。キャラ変わってるよ。一応雌なんだからローザみたいにお淑やかさというものを持とう。

 

明らかにイラっと来ている相棒達を宥めつつ自分の出番を待つ。

 

『この最強王者に挑むは、若き決闘者、榊遊矢!』

 

よし、私の出番だね!

私はエンターテイメントを意識した登場をしようと事前に準備していた仕掛けを作動させた。

 

突如、フィールドの中心である城の前の開けた場所に煙幕が起こる。

 

『なんだなんだ〜!?いきなりフィールドの中心で爆発が起こったぞ!?』

 

Ladies(レディース) and(アンド) Gentleman(ジェントルメン)!? Boys(ボーイズ) and(アンド) Girls(ガールズ)!今日はこの俺、榊遊矢のデュエルに来ていただき、ありがとうございます!どうぞ、この俺とチャンピオン、ストロング石島とのデュエルをお楽しみ下さい!」

 

「「「「うぉぉぉぉぉ!」」」」

 

よし、掴みは完璧!私の自己紹介に、観客席の人達は歓声を上げてくれた。

後は、私のデュエルを見せるだけよ!

 

『ななななんとー!まるで魔術師の様に榊遊矢君が登場しました!私もビックリです!そしてこれで、役者は揃いました!さあ、手札5枚のご用意を!』

 

私とストロング石島は、ニコさんの指示に従ってデッキからカードを5枚ドローする。

おっとそうだった

 

「ストロング石島!3年前に父さんが来なかったお詫びとして、先攻を譲ります!」

 

「譲るだと…。舐めた口を!良いだろう、プロの技でお前を躾け直してやる!」

 

正直、別に舐めている訳ではなく単純にドロー出来る後攻が好きなだけなんだけどなぁ

 

そんな私達のやり取りを見たニコさんは少し戸惑いつつも、

 

『おおっと!いきなり意外な展開になりましたが、両者気合十分の様子です!それでは始めましょう!戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!フィールド内を駆け巡る!見よ、これぞデュエルの最強進化系!アクショーン!』

 

「「デュエル!」」

 

先攻 Ishizhima LP 4000 VS 後攻 Yuna LP 4000

 

デュエルの開始宣言と共にニコさんが指を弾くと、それと共にアクションマジックがフィールド中に舞い落ちる。

さあ、チャンピオンの実力見せてもらいましょう!

 

「直ぐにとっ捕まえてやる!俺のターン!

まずは魔法カード『蛮族の狂宴LV5』を発動!」

 

【蛮族の狂宴LV5】

通常魔法

1:自分の手札・墓地から戦士族・レベル5モンスターを2体まで選んで特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、このターンそのモンスターは攻撃出来ない。

 

アニメ同様、いきなりLV系カードを使うのね。

 

「手札から戦士族・レベル5モンスター2体を、効果を無効にして特殊召喚する!現れろ、『バーバリアン1号』『2号』!」

 

バーバリアン1号 ATK1550

バーバリアン2号 ATK1800

 

やっぱり、初手の手札で蛮族の狂宴LV5と、その対象となるモンスターを2枚も引くとか凄いドロー運だよね。

まあ私が言えたわけじゃないけどさ。

 

《レベル5が2体…来るよ!遊奈》

 

相棒に頷きながらも身構える。ここはランク5のモンスターをエクシーズかな?

にしてもうちの子なんかポジションがアストラルみたいだ。

 

「そしてこの2体をリリースしてアドバンス召喚!」

 

…ふぇ?

 

「密林の奥地から巨木をなぎ倒し、現れるがいい!異界の王国に君臨する蛮族の王!『バーバリアン・キング』!」

 

バーバリアン・キング ATK3000

 

《来なかったわね》

 

「《来ないのかよ!?》」

 

っていやいや!いくら原作通りでも、そこはエクシーズでしょう!手札4枚消費して、上級モンスター1体だけとか。曲がりなりにもLDSのマスコットなんかやっているんだからエクシーズ召喚くらい出来るでしょうが!本当にチャンピオンなの?この人。

 

『出たぁ!いきなりチャンピオン、ストロング石島のエースモンスターの登場だ!』

 

しかもこのカードがエース?確かに攻撃力は私が持つ『閻魔竜(えんまりゅう)レッド・デーモン』や、ジャック兄の『レッド・デーモンズ・ドラゴン』、カイトの『銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)』と一緒だけど効果的には先行1ターン目で出す子ではない。

 

【バーバリアン・キング】

効果モンスター

星8 地属性 戦士族 攻3000 守1100

(1):1ターンに1度、このカード以外の自分フィールドの

戦士族モンスターを任意の数だけリリースして発動できる。このターン、このカードは通常の攻撃に加えて、

この効果を発動するためにリリースしたモンスターの数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃できる。

 

後攻なら『蛮族の狂宴LV5』をもう1枚使ってもう一度バーバリアン達を出してコストにして複数攻撃が出来るんだけどあれじゃあ、ただの棒立ちに変わりない。

 

「親父には逃げられちまったが、お前は逃がさん!俺はカードを1枚セットして、ターンエンドだ!」

 

Ishizhima

LP 4000

手札 0

モンスター バーバリアン・キング(攻撃表示)

魔法・罠カード 1枚

 

初手で手札0枚とか…

なんだか

 

「…哀れだな」

 

「何…!?」

 

「まるで玉座に座る哀れな道化に見えてくる。…俺の心を高鳴らせる様なデュエルをしてみせろ!チャンピオン!」

 

「おのれぇ、戯けた事を!どうせ口だけだろう!?」

 

口だけじゃないことを見せてあげるよ!このデュエルでね!

そう思い、デッキトップに手をかけると首にかけた振り子(ペンデュラム)のネックレスが光り始めた。

 

「これは!?」

 

《遊奈…目覚めの時が来たみたいだよ》

 

分かってる!かっとビングよ、私!

 

「俺のターン!シャイニングドロー!!」

 

私がカードをドローした瞬間、振り子が強く振れ、ドローしたカードと手札のカードが書き換わっていく。

そしてカードが書き換わると相棒の姿も少しだけ変わった。しかしその姿は私がまだ元OCGプレーヤーだった時と同じ姿で逆にしっくりきた。

よし、行くよ!ファントム(・・・・・)

 

Here(ヒア) we(ウィー) go(ゴー)!! It's(イッツ) a() show(ショウ) time(タイム)!!俺はペンデュラムスケールをセッティング!俺はレフトペンデュラム・ゾーンに『オッドアイズ・ディフェンダー・ドラゴン』をセット!そしてライトペンデュラム・ゾーンに『EM(エンタメイト)オッドアイズ・ユニコーン』をセッティング!」

 

RP(ライトペンデュラム)ゾーン:オッドアイズ・ディフェンダー・ドラゴン PS(ペンデュラムスケール)[1]

LP(レフトペンデュラム)ゾーン:EMオッドアイズ・ユニコーンPS [8]

 

デュエルディスクの両端にペンデュラムモンスターカード(上半分がモンスターカードとしての色、下半分が魔法カードとしての色のグラデーションとなったカード)となった2枚のカードをセットすると共に、青い光の柱が2つ出現、其処に二体のオッドアイズが昇るとそれぞれの柱に1と8の数字が刻まれた。

 

「これでレベル2から7までのモンスターを同時に召喚可能!揺れろ、運命の振り子!!永久(とわ)に続く時を刻み未来と過去を行き交え!!」

 

私の宣言と共に、青い光の柱の後ろで巨大な振り子が揺れ、その後ろに大きな穴が開くと2つの光が飛び出して来る。

 

「ペンデュラム召喚!!! 現れよ!レベル5、世にも珍しき二色の眼を持ちし不死鳥『EMオッドアイズ・ライトフェニックス』!レベル7、無限の可能性を秘めし竜『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!そして…」

 

後ろの巨大な振り子にヒビが入る。

 

「同じくレベル7、時空を(つかさど)る幻影の竜よ!今時空の狭間より現れよ!!『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』‼︎」

 

振り子が砕け散るとその中から白い鎧を着た様な青いオッドアイズが現れた。

 

EMオッドアイズ・ライトフェニックス ATK2000

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK2500

オッドアイズ・ファントム・ドラゴン ATK2500

 

私は現れた三体のモンスター達を満足げに見ていた。

それよりも、ファントムだけ登場の仕方が漫画と同じなんだね。

 

「ペンデュラム召喚だと!?なんだこの召喚方法は!?」

 

「…ペンデュラム召喚とは、セットされた二枚のペンデュラムモンスターのペンデュラムスケールの間のレベルのモンスターを同時に特殊召喚する召喚方法です」

 

「同時にだと!?インチキ効果も大概にしやがれ!!」

 

《ネタ発言してるよ。あの人》

 

まあ、気持ちは分からなくもないけどね。

でも手加減はしない!

 

「『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』で『バーバリアン・キング』を攻撃!」

 

「馬鹿か!攻撃力は俺の『バーバリアン・キング』が上!『バーバリアン・キング』で返り討ちだ!」

 

「…それはどうかな?」

 

「何…!?」

 

「俺は『EMオッドアイズ・ユニコーン』のペンデュラム効果発動!このカードは自分の『オッドアイズ』モンスターの攻撃宣言時、そのモンスター以外の自分フィールドの『EM』一体を対象にし、その攻撃モンスターの攻撃力を対象のモンスターの元々の攻撃力分アップすることが出来る!俺が選ぶのは『EMオッドアイズ・ライトフェニックス』!よって『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』の攻撃力は2000アップする!」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK2500→4500

 

「攻撃力、4500だと⁉︎なら罠カード!『聖なるバリア-ミラーフォース-』!」

 

私のモンスター達はミラフォに包まれた。

 

「ハハハ!これでお前のモンスターは全滅…何!?」

 

光が消えると私のモンスター達は結界に守られ、みんな無事だった。

 

「『オッドアイズ・ディフェンダー・ドラゴン』のペンデュラム効果。このカードはもう片方の自分のペンデュラムゾーンに『オッドアイズ』、『EM』、『魔術師』カードがある場合、自分フィールド上の『オッドアイズ』、『EM』、『魔術師』モンスターはダメージステップ終了時まで、相手の魔法、罠、モンスターの効果を受けない」

 

「な、なんだと!?ならアクションマジックも使えないという事か!?」

 

「その通り。行け!『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!『バーバリアン・キング』を攻撃!螺旋のストライクバースト!!」

 

「ぐああああ!」

 

「そして『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』の効果発動!このカードが相手モンスターと戦闘を行なう場合、相手に与える戦闘ダメージは倍になる!リアクション・フォース!」

 

shizhima

LP 4000→1000

 

「くっ」

 

石島は見つけたアクションカードを素早く取る。

 

「よし!アクションマジック!『ドレイン・バースト』発動!このカードは自分が相手により戦闘ダメージを受けた時、相手フィールドの一番攻撃力が低いモンスターを破壊し、その攻撃力分、ライフを回復する!」

 

「くっ!ライトフェニックス!」

 

shizhima

LP 1000→3000

 

ライトフェニックスが破壊されライフを回復されるが、問題ない。

 

「『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』でダイレクトアタック!夢幻のスパイラルフレイム!!」

 

「ぐぉぉぉぉぉ!!」

 

shizhima

LP 3000→500

 

「だが、俺のライフはまだ残る!」

 

「いいや!お楽しみはこれからだ!!『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』の効果発動!1ターンに1度、このカードが戦闘ダメージを与えた時、ペンデュラムゾーンにいるペンデュラムモンスターの攻撃力分のダメージを与える!」

 

RPゾーン:オッドアイズ・ディフェンダー・ドラゴン ATK1600

LPゾーン:EMオッドアイズ・ユニコーン ATK100

 

「これで、俺のワンターンキルが完成となります!皆さん、ご唱和下さい!くらえ!」

 

私は手を振り上げて、観客にフィニッシュをアピールする。

そして、振り下ろしながら、

 

「「「「幻視の力!!アトミック・フォース!!!」」」」

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

Ishizhima LP 500→-1200 LOSE

 

WINNER Yuna

 

攻撃を宣言、勝負を決めた!

そして、フィールド及びストロング石島に背を向け、観客席へと手を広げ、

 

「俺のエンタメデュエルみんな楽しんでくれたかな!?次の機会をお楽しみに!!」

 

勝利宣言をすると、POM!!という音と煙幕とともに私はフィールドから姿を消した。

 

「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」」」

 

再びの大喝采。

いつものフード付きマントの格好でその大喝采を満足げに聞くと私はその場を離れた。

 

───────────────────────

 

「すごい!遊矢が勝っちゃった!!」

 

「流石は遊矢!俺が認めたデュエリストだ!!」

 

「ありがとう♪みんな」

 

「「「うわっ!?遊矢!?」」」

 

後ろから声をかけると案の定、みんなビックリして振り返る。

 

「もう遊矢!」

 

「あはは。ごめんごめん」

 

軽く謝りながら、三人の近くに寄る。

 

「にしても、まさかあのチャンピオンにワンターンキルをするとは、おじさん鼻が高いぞ!」

 

「っ!?」

 

そう言って修造おじさんが頭を撫でようとした時、ビクっと身体が大袈裟に反応してしまう。

 

「あ…すみません…」

 

「いや…悪かった」

 

謝るが、どこか気まずい雰囲気になってしまう。

 

「…よし!帰ったら遊矢の祝勝会をしよう!」

 

すると。権現坂が空気を変えるように提案をしてきた。

 

「ああそうだな!盛大にやろう!」

 

「料理は任せて!あ、遊矢は何もしなくていいからね!」

 

その提案に乗り明るく振る舞う二人。気を使わせちゃったな…。

 

立ち止まるとそっとデッキからファントムとローザとペンデュラム・ドラゴンを取り出す。

 

これから始まるんだ。次元を超えた戦いが…

 

 

《どんな時も私達が付いてます》

 

《そうだよ遊奈!一人じゃないよ》

 

そうだったね。ありがとう。ローザ、ファントム。

 

私はカードをデッキに戻すと、少し離れてしまった柚子達を追いかけた。




早速オリカを使ったので紹介したいと思います。
それと主人公についても説明しますね。


【オッドアイズ・ファントム・ドラゴン】
ペンデュラム・効果モンスター (オリジナル効果)
星7/闇属性/ドラゴン族/攻2500/守2000
【Pスケール:青4/赤4】
(1):1ターンに1度、自分の表側表示モンスターが相手モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時に発動できる。その自分のモンスターの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで1200アップする。
【モンスター効果】
「オッドアイズ・ファントム・ドラゴン」のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):P召喚したこのカードの攻撃で相手に戦闘ダメージを与えた時に発動できる。自分のPゾーンにある、Pモンスターの攻撃力の合計分のダメージを相手に与える。


【オッドアイズ・ディフェンダー・ドラゴン】
ペンデュラム/効果モンスター
星6 闇属性 ドラゴン族 攻1600 守3000
【Pスケール:青1/赤1】
このカードはもう片方の自分のPゾーンに『オッドアイズ』『EM』『魔術師』カードがある場合、自分フィールド上の『オッドアイズ』『EM』『魔術師』モンスターはダメージステップ終了時まで、相手の魔法、罠、モンスターの効果を受けない。
【モンスター効果】
このカードがある限り、相手はこのカード以外のモンスターを攻撃する事は出来ない。
このカードが破壊された時、墓地、デッキ、エクストラから「オッドアイズ」と名のついたカード1枚を手札に加えることが出来る。


【ドレイン・バースト】
アクションマジック
このカードは自分が相手により戦闘のダメージを受けた時に発動出来る。相手フィールドの一番攻撃力が低いモンスターを破壊し、その攻撃力分、ライフを回復する。


ファントム強化し過ぎた感が…
主人公のエースだから大丈夫だよね←殴
因みにオッPはOCG効果です,


【主人公】
(さかき)遊奈(ゆうな)

使用デッキはEMオッドアイズ魔術師、魔導書。

本作の主人公でARC–Vの主人公、榊遊矢に転生した、元OCGプレーヤー。使うデッキは転生前から「魔導書」で、遊奈になるまではずっと魔導書中心の魔法使い族デッキを組んでいた。

転生する前、両親から虐待にあっていたため、男性やある年齢の女性には酷い発作を起こしていて、親というものが信じられなくなっていた。
しかし、ある事件がきっかけで十代とヨハンだけが本当の両親だと思えるようになり、発作もだいぶ治まった。

二回目の転生では、十代とヨハンの長女として生まれていて下に双子の兄妹がいた。ちなみに親の遺伝なのか、光と闇の属性を持ち、精霊も見聞き出来た。その関係なのか、5D'sの世界(時間軸的に)で遊星達と出会い、まさかのシグナーとなる。
原作と同じようにゾーンを倒した後は、アーククレイドル内のモーメントを止めるためにゾーンとともモーメントの光に入っていった。

次に目を覚ました時には、なんと自分がいた世界ではなく、ZEXALの世界だった。そして、この世界ではあってはならないのカード…「オッドアイズ・ファントム・ドラゴン」を手に持っていた。そしてその精霊のファントムと出会う。ファントムに導かれるままついて行くと遊馬達とも出会い、事情を説明すると、No.を探す手伝いをする代わりに、一緒に帰る方法を探すことになる。物語もラストに近づいてくると、自分がこの世界に来たのはドン・サウザンドの仕業であることが知る。世界や仲間を守るため、そして自分が帰るために遊馬達とドン・サウザンドに挑み、なんとか勝つことが出来たが、代償にファントムと魂の融合をして人間を捨てた。
しかし、人としての身体の方が限界が来ていたらしく、結局、元の世界に帰れないまま、そのまま息を引き取る。

遊奈に転生してからは頑なに女としての姿を隠すため漫画版のファントムのようにフード付きマントを羽織る。どうしても見せる必要がある場合は男装して榊遊矢として現れる。そして、なぜかファントムというあだ名がついた。
転生しても前の能力は受け継いでいる。
遊奈の産みの父親である遊勝は原作同様に行方不明で、母親の洋子は亡くなっている。そのため、後輩であった修造に引き取られるが、現在は塾で講師、バイトをしながら一人暮らしをしている。

精霊界では『時空の大魔女』と呼ばれている。

融合者(フュージョナー)
精霊と魂の融合をした者。
ディスク越しにカードを実体化させたり、精霊を実体化させたりする事が出来るほか、融合した精霊の力を使う事が出来る。
また、精霊を見聞きする事が出来る。


【ファントム】
オッドアイズ・ファントム・ドラゴンの精霊で性別は雌。
二回目の転生でZEXALの世界に来た時にいつの間にか現れた。性格のブレが激しい時があり、切れると男の口調で物騒な発言をして行動に移そうとするので、遊奈やローザがいつも宥める羽目になる。前世ではアストラルのように助言くらいしか出来なかったため、表だって活躍出来るようになって歓喜の舞を踊っていたとか(笑)
実は時の番人と言われる最高位の精霊らしく、自力で実体化出来るだけでなく、時渡りや時空を超える事が出来る。


【ローザ】
月華竜ブラック・ローズの精霊で性別は雌。
遊奈が元OCGプレーヤーだった時から持っていた決闘竜の一体。真面目な性格。ファントムよりもしっかりしているのでこっちが姉に見えるが、しかし、精霊として自我を持つようになったのは遊奈になってからなので、実は妹に当たる。
癒し担当。


こんなところでしょうか。
洋子さんファンの方すみません。
設定は変わっていくかもしれないですがよろしくお願いします。


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第2話 その先の可能性のひとつへ

マハードも無事ゲット。ブラマジ魔導書デッキに入れようか考え中です。
にしても、私が名推理やモンスターゲートを使うと、1枚目にモンスターカード(ヴェーラー)だったり、ヴェーラー生贄にしてヴェーラーが出てきたりするんですが…
運がないだけなのかな…(´・ω・`)


追記[2016.05.21]
ご指摘いただいたので、最後だけ少し変更いたしました。


-------------

 

「市内臨海地区において高レベルの召喚反応を検知!解析を開始します!」

 

数秒後にモニターに表示されたのは、PENDULUMの文字。

 

「っ! この召喚を使用したデュエリストは誰だ?」

 

「榊遊矢。デュエルクラスはジュニアユース、あの榊遊勝の息子です」

 

「彼について調査しろ。どんな些細な事でも私に報告するんだ」

 

「はっ」

 

(新たな召喚方法を使いこなすあの実力は間違いなくプロをも凌ぐレベルのものだ。にも関わらず彼の勝率は6割を下回っている。どういうことだ?)

 

 

───────────────────────

 

「…ところでさ。明日のことについて話したいんだけど」

 

塾で祝勝会をしていた、遊奈は頃合いになってきたところで話を切り出す。

 

「明日のこと?」

 

「うん。ほら、私が今日新しい召喚方法でチャンピオン倒しちゃったでしょ?」

 

「えーと…ペンデュラム召喚だったっけ?遊奈お姉ちゃん」

 

「あの時の遊奈ねぇは痺れるくらいカッコよかった!」

 

「そうだよアユちゃん。フトシ君もありがとね♪」

 

ジュニアコースに所属する塾生の鮎川アユと原田フトシ。二人とも素直でとてもいい子達だ。

 

二人の頭を撫でるため腕を上げると右腕に巻いてあった包帯が取れかかって赤い痣が覗いていた。

 

「遊奈。包帯が取れかかってるわよ」

 

「あっ本当だ」

 

ふたりの頭を撫でるのを止めて、包帯がプラプラしていたので全て外すと、三日月と太陽をイメージした痣が現れた。

みんなも予想がついたと思うが、この痣はシグナーの痣である。なぜか、原作と違って痣は消えなかったんだよね。

 

「不思議な痣だよね。しかも生まれつきだったんでしよ?」

 

「うん。まあ痛くないし、こうやって包帯巻いておけば隠せるし気にしなくても大丈夫だよ。それよりも話を戻すよ」

 

「あ、ごめん。で、遊奈が言いたい事は?」

 

「簡単に言えば、みんながみんな、ペンデュラム召喚に興味を持って加入希望者が大勢押しかけるかもしれないってこと」

 

「まあ、あれだけ派手にやればな」

 

「あははは…」

 

権現坂のツッコミに私は乾いた笑いしか出ない。

 

「じゃあ、それを兼ねたデモンストレーションをやるってこと?」

 

「そういうこと。でもさ、そんなに大勢来られても受け入れられないでしょ?」

 

「う…確かにな」

 

私がそう言うと修造おじさんは唸る。

いくら最新型のソリット・ビジョンになったとはいえ、結局は一台しかない。それに、講師もおじさんと私しかいないから大勢は無理がある。それに、原作で出てくるキャラ以外、塾に入れる気ないし←

 

《最後は、完璧に本音だったよね》

 

「……」

 

肩に乗っていたファントムを自然な動作かつ、無言で払い落とす。

 

《ちょっ、無言の払い落としは酷いよ!》

 

(うるさい。メタ発言しない。まだ不審者は出てこないんだから)

 

《そっち!?》

 

《(あなたも十分メタ発言してると思うんですが…)》

 

そんな二人を少し呆れながら見るローザ。

 

「遊奈?」

 

「…なんでもないよ」

 

「?」

 

怪訝そうに見る柚子に慌てて誤魔化す。いけないいけない。話がまた脱線してしまった。

 

「とりあえず、デモンストレーションが終わってから(ふるい)にかけるしかないかな?相手は柚子がやってもらってもいい?」

 

「分かったわ」

 

───────────────────────

 

 

翌日。案の定、塾には大勢の加入希望者が来ていた。

 

《うわ〜。すごいね》

 

(まさか、こんなに来るとはね…)

 

控えている場所から沢山の人が溢れた廊下を若干引きながら見る。

 

《でも、本当にいつものマントを羽織って登場するのですか?》

 

(これも演出だからね。まあ最悪、常時男装しておけば大丈夫さ)

 

〜♪

 

ディスクが鳴り、操作すると柚子が映される。科学の力ってすげー。今じゃあディスク越しにテレビ電話が出来るんだよ

 

『遊奈。そろそろ時間よ』

 

「了解、柚子」

 

ディスクの通信を切ると、デュエル場に向かった。

 

 

───────────────────────

 

「さあ、いるのは分かっているわ!現れなさい!!」

 

スーツ姿の柚子がそう言うと、フィールドにボンッと煙幕が起きる。

 

「あらら…上手く隠れたつもりだったのに、流石だね!刑事さん♪」

 

フードを被った私は白いマントを翻しながら柚子に向かって言う。

 

「現れたわねファントム!今度こそ捕まえてやるんだから覚悟しなさい!!」

 

もちろん、これは演出だよ。柚子を刑事。私を義賊(ぎぞく)に見せたエンタメデュエルのつもりだ。因みにフィールドは『摩天楼-スカイスクレイパー-』になってるよ。にしてもファントムって…。

 

「俺を捕まえたいのならデュエルで勝ってみなよ刑事さん♪」

 

「望むところよ! 戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

 

「モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!」

 

「フィールド内を駆け巡る!」

 

「見よ、これぞデュエルの最強進化系、アクショーン!」

 

「「デュエル!」」

 

先攻 Yuzu LP 4000 VS 後攻 Yuna LP 4000

 

「私のターン!手札から『独奏の第1楽章』を発動!デッキから『幻奏の音女アリア』を特殊召喚!アリアの効果発動!特殊召喚したこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの『幻奏』モンスターは効果の対象にならず、戦闘では破壊されないわ!」

 

アリアDEF 1200

 

 

【独奏の第1楽章】

通常魔法

「独奏の第1楽章」は1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分は「幻奏」モンスターしか特殊召喚できない。(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。手札・デッキからレベル4以下の「幻奏」モンスター1体を特殊召喚する。

 

 

【幻奏の音女アリア】

効果モンスター

星4 天使族 光属性 攻1600 守1200

(1):特殊召喚したこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの「幻奏」モンスターは効果の対象にならず、戦闘では破壊されない。

 

 

「そして『愚かな埋葬』発動!デッキから『幻奏の音女エレジー』を墓地に落とします。更に『死者蘇生』発動!エレジーを蘇生させるわ!エレジーの効果発動!特殊召喚されたエレジーがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの天使族モンスターの攻撃力は300アップするけど、今は二人とも守備表示だから関係ないわね。更に自分フィールドの特殊召喚された『幻奏』モンスターは効果で破壊されないわ!」

 

エレジーDEF 1200

 

 

【幻奏の音女エレジー】

効果モンスター

星5 天使族 光属性 攻2000 守1200

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの特殊召喚された「幻奏」モンスターは効果で破壊されない。

(2):特殊召喚したこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの天使族モンスターの攻撃力は300アップする。

 

 

いきなりアリア、エレジーのロック…かなりきついね。

 

「カードを一枚伏せ、ターンエンド。さあ、かかって来なさい!」

 

 

Yuzu

LP 4000

手札 1

アリア(守備表示)

エレジー(守備表示)

魔法・罠カード 1枚

 

 

「俺のターン!ドロー!Ladies(レディース) and(アンド) Gentleman(ジェントルメン)!! Boys(ボーイズ) and(アンド) Girls(ガールズ)!お楽しみはこれからだ!!今日は俺のエンタメデュエルの仲間!大事なアシスタントを紹介するよ!」

 

「アシスタント…?」

 

「現れろ!『EMユニ』!」

 

EMユニATK 800

 

「ユニの効果発動!ユニはレベル4以下の仲間のEMを手札、またはデッキから特殊召喚出来るよ!『EMコン』!」

 

ユニが投げキスをするとハートが現れ、それが割れるとコンが出てきた。

 

EMコンATK 600

 

「二人揃って可愛さ2倍‼︎Unicorn(ユニコーン)‼︎」

 

『かわいい…』

 

『ファントムナイス!』

 

等と観客(特に男性)の歓声が湧く。

その観客達に手を振るとデュエルを再開させる。

 

「さあて行くよ!俺のエンタメデュエルはここからだ!俺はコンの効果発動!フィールドのユニとコンを守備表示にして、デッキからペンデュラムモンスター1体を手札に加えるよ!」

 

ユニATK 800→DEF 1500

コンATK 600→DEF 1000

 

【EMユニ】

効果モンスター(オリジナル効果)

星4 光属性 獣戦士族 攻800 守1500

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功したターンの自分メインフェイズに1度だけ発動できる。手札又はデッキからレベル4以下の「EM」モンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する。

(2):相手ターンに、自分の墓地からこのカードと「EMユニ」以外の「EM」モンスター1体を除外して発動できる。このターン自分が受ける戦闘ダメージを1度だけ0にする。

 

 

【EMコン】

効果モンスター(漫画効果)

星3 光属性 獣戦士族 攻600 守1000

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功したターンの自分メインフェイズに1度だけ、このカード以外の自分フィールドの攻撃力1000以下の「EM」モンスター1体を対象として発動できる。自分フィールドの表側攻撃表示の、そのモンスターとこのカードを守備表示にし、デッキから、Pモンスター1体を手札に加える。

 

 

「俺が加えたのは『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』。更に手札から『ペンデュラム・コール』発動!手札を1枚捨て、『時読みの魔術師』と『星読みの魔術師』を手札に加えるよ!」

 

Yuna手札5→4

 

【ペンデュラム・コール】

通常魔法

「ペンデュラム・コール」は1ターンに1枚しか発動できず、「魔術師」PモンスターのP効果を発動したターンには発動できない。①:手札を1枚捨てて発動できる。カード名が異なる「魔術師」Pモンスター2体をデッキから手札に加える。このカードの発動後、次の相手ターン終了時まで自分のPゾーンの「魔術師」カードは効果では破壊されない。

 

 

Here(ヒア) we(ウィー) go(ゴー)!! It's(イッツ) a() show(ショウ) time(タイム)!!ペンデュラムスケールをセッティング!俺はレフトペンデュラムゾーンに『星読みの魔術師』をセット。そしてライトペンデュラムゾーンに『時読みの魔術師』をセッティング!」

 

RPゾーン:星読みの魔術師 PS[1]

LPゾーン:時読みの魔術師 PS[8]

 

 

青い光の柱が2つ出現し、其処に二体の魔術師が昇るとそれぞれの柱に1と8の数字が刻まれた。

 

「これでレベル2から7までのモンスターを同時に召喚可能!このままペンデュラム召喚って行きたいところだけど、その伏せカードが気になるから破壊させてもらうよ♪『サイクロン』発動!そのカードを破壊する!」

 

「うっ!奈落が…ペンデュラムゾーンにあるペンデュラムモンスターは魔法カード扱いになるから奈落は発動出来ない…」

 

奈落とか危ない危ない。このままペンデュラム召喚してたら1500以上のモンスター全部除外されるところだった…。

 

「さあ!みなさんお待たせしましたね。揺れろ、運命の振り子!!永久に続く時を刻み未来と過去を行き交え!!ペンデュラム召喚!現れろ俺のモンスター達よ!!」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンATK 2500

ゾンビキャリアATK 400

 

「モンスターを一気に4体も…。しかし、アリアとエレジーがいる限り、攻撃でも効果でも倒せないわ!」

 

「それはどうかな?ペンデュラム・ドラゴンのレベルを1つ下げ、墓地の『レベル・スティーラー』を蘇生するよ!」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン☆7→6

 

レベル・スティーラーATK 600

 

「いつの間に…さっきの『ペンデュラム・コール』の時ね…!」

 

「ご名答♪皆さんにペンデュラム召喚のその先、その1つの可能性をお見せしましょう!レベル6になった『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』とレベル1『レベル・スティーラー』にレベル2『ゾンビキャリア』をチューニング!」

 

☆6+☆1+☆2=☆9

 

前世の時と変わらない演出で、モンスター達が光になる。

 

「凍てつく結界が解かれし時、古の龍の裁きが下る!シンクロ召喚‼︎蘇れ最後の槍!『氷結界の龍 トリシューラ』!」

 

《ギャォォォォン!》

 

トリシューラATK 2700

 

光から氷を思わせる身体をした三頭の龍が現れる。やっぱり氷結界に封印された三体の龍の中でトリシューラが1番好きだな♪

 

「久しぶりの出番だけど、やる気十分だね!トリシューラ♪トリシューラの効果発動!この子がシンクロ召喚に成功した時、相手の手札・フィールド・墓地のカードをそれぞれ1枚まで選んで除外出来るよ!私はアリアと刑事さんの手札と墓地の『死者蘇生』を除外!デス・トライアングル・スラッシュ!! 因みにこの効果は対象を取らないからアリア、エレジーの効果は無効だよ♪」

 

「そんな!きゃあ!?」

 

Yuzu手札1→0

 

トリシューラが吠えるとアリアと柚子が持っていた最後の手札と墓地の死者蘇生が吹き飛ばされた。

 

【氷結界の龍 トリシューラ】

シンクロ/効果モンスター

星9 水属性 ドラゴン族 攻2700 守2000

チューナー+チューナー以外のモンスター2体以上

(1):このカードがS召喚に成功した時に発動できる。相手の手札・フィールド・墓地のカードをそれぞれ1枚まで選んで除外できる。

 

 

「うっ…アリア…それに、スコアが…」

 

しかも最後の1枚、スコアだったの!?本当、この子の引きの強さは怖いな…。

 

《遊奈も人の事言えないよね…》

 

「(ファントム、うるさい) これで怖いものはないね♪手札を1枚デッキの1番上に戻して墓地から『ゾンビキャリア』を蘇生する」

 

Yuna手札1→0

 

ゾンビキャリアATK400

 

「くっ!」

 

それを見た柚子はアクションカードを探すため走り出す。

 

「更にトリシューラのレベルを1つ下げて『レベル・スティーラー』を蘇生!」

 

トリシューラ☆9→8

 

レベル・スティーラーATK600

 

「レベル4『EMユニ』とレベル1『レベル・スティーラー』にレベル2『ゾンビキャリア』をチューニング!」

 

☆4+☆1+☆2=☆7

 

清廉(せいれん)なる花園に芽吹き孤高の薔薇よ。蒼き月の雫を得てここに開花せよ!『月華竜 ブラック・ローズ』!!」

 

ローザATK2400

 

光からローザが現れる。

 

「二回も連続でシンクロ召喚ですって!?」

 

「これがペンデュラム召喚の先の一つ、ペンデュラムシンクロだよ!」

 

ローザの背に飛び乗りながら言う。

 

《遊奈。私の効果を》

 

「(分かってるって♪)ローザの効果発動!特殊召喚された相手モンスターを手札に戻すよ!退華の叙事歌(ローズ・バラード)!」

 

 

【月華竜 ブラック・ローズ】

シンクロ/効果モンスター(漫画効果)

星7/光属性/ドラゴン族/攻2400/守1800

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカードが特殊召喚に成功した時、または相手フィールド上にモンスターが特殊召喚された時に発動することが出来る。1ターンに一度、相手フィールド上の特殊召喚されたモンスター1体を選択して持ち主の手札に戻す。

 

 

ローザが翼を羽ばたき花吹雪を起こすとエレジーが吹き飛ばされ柚子の手札に戻った。

 

「くっ!エレジーまで!」

 

「さて、それじゃあ行くよ刑事さん!トリシューラでダイレクトアタック!トライアングル・ブリザード・バースト!!」

 

「あった!アクションマジック『回避』!!モンスターの攻撃を無効にする‼︎」

 

「させないよ!アクションマジック『ブレイク・ヒーロー』!相手が発動した魔法、罠を無効にし、破壊する!」

 

【ブレイク・ヒーロー】

アクションマジック(オリジナルアクションカード)

相手が魔法・罠を発動した時に発動出来る。その発動を無効にし破壊する。

 

 

「そんな!? きゃあ!?」

 

Yuzu LP 4000→1300

 

「これでラストだよ!ローザでダイレクトアタック!散華の鎮魂歌(ローズ・レクイエム)!!」

 

 

Yuzu LP 1300→-1100 LOSE

 

 

WINNER Yuna

 

 

───────────────────────

 

ペンデュラム召喚のデモンストレーション(と言ってもシンクロしか出来なかったが…)が無事に終了、したんだけど、本当にペンデュラム召喚が見たかっただけなのか、或いは所々グダグダになったっぽいのが(柚子が初手で、アリア、エレジーロックをしたり、私がそんな状況で後攻ワンターンキルをしたからかな?)まずかったのか、その後、そのまま帰って行った。1人を除いて…

 

「遊矢兄ちゃん!それにみんな。これからよろしくね!」

 

「うん♪ようこそ遊勝塾へ!よろしくねタツヤ君!」

 

そう。原作でも出てきて、石島と戦う前に塾を見学していた山城タツヤ君。私のデュエルを見てファンになってくれたみたい。

 

「よろしくね!でも私達しかいない時は遊奈お姉ちゃんだよ!」

 

「え?」

 

「おいアユ!」

 

アユの爆弾にタツヤは眼を丸くし、フトシはそんなアユを咎める。

 

「フトシ君もアユちゃんも待って。タツヤ君もあまり私が女ってこと誰にも言わないって約束してくれるかな?」

 

口喧嘩になりそうだったので、慌てて2人を止めると、私は人差し指を口にあてながらタツヤ君に言う。

 

「もちろんだよ!遊奈お姉ちゃん…でいいのかな?男でも女でも遊奈お姉ちゃんは遊奈お姉ちゃんだもん!」

 

「! …ありがとう」

 

こうして、遊勝塾に新たな塾生が加わった。




ユニの効果は漫画とOCGを足して2で割った感じですかね?(1)の効果は、漫画だと強すぎるし、OCGだとランク4出せないのでこんな感じに。まあその代わりデッキからもサーチ出来るようにしてます。あれ?自重ってなんだっけ?←(殴

【時読みの魔術師】(オリジナル効果)
ペンデュラム/効果モンスター
星3 闇属性 魔法使い族 攻1200 守600
【Pスケール:青8/赤8】
①:自分のPモンスターが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時まで罠カードを発動できない。
【モンスター効果】
①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、1ターンに1度、自分のPゾーンのカードは相手の効果では破壊されない。

時読みの魔術師は全体的にデメリットをエラッタしましたw
いや、流石にフィールドにカードが無いとペンデュラムスケールに置けないのはアニメ標準のこの世界じゃあ、キツイって…

そして、やっとローザが出せたよ!やったね!
ローザの効果は漫画効果にしてますが、漫画版5D'sは、途中までしか持ってないためwikiを参照しました。なので、間違っていたら申し訳ないです。


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第3話 沢渡登場!

※今話は、あるキャラへの重大なアンチ、そして汚い表現が入っています。
そのキャラのファンの方、ご容赦ください。


「で?奪い取ればいいの?そのペンデュラムカードって奴を…」

 

「そうだ…手段は問わない。手に入れて我々に渡してくれれば、君が望むレアカードと交換しよう」

 

「了解」

 

───────────────────────

 

翌日___学校。

 

「え?用事?」

 

「ああ。だから今日は塾を休むから修造おじさんに言っておいてくれないか?」

 

「うん。それは構わないけど…珍しいね?遊矢が休むの」

 

「うーん。まあ、ちょっと…」

 

《流石に言えないよねぇ。遊奈のペンデュラムカードを狙う奴が一緒にいる柚子達を人質に取るかもしれないなんてさ》

 

ファントムが溜息を吐きながらそうボヤく。

ファントムの言う通り、原作ではペンデュラムカードを狙う奴(沢渡って名前だったかな?確かネタキャラで騒がれていた気がするけど…)が時読みと星読みのカードを奪い、さらに柚子やアユ達を人質にデュエルを挑まれてしまうはずだ。

 

正直、柚子達を巻き込みたくはない。だからこそ、今日は塾には行かずに向こうから接触するのを待つことにした。

 

《これで回避出来ればいいのですが…》

 

ちょっ!?フラグ立てないでローザ!

そんな事になったら、(相手が)どうなるか分からないから

 

「じゃあ、そういう事だから俺は行くな。また明日!」

 

「うん。また明日!」

 

───────────────────────

 

「 !! 」

 

柚子と別れて校門に来た時、何かが顔に向かってくるのを感じた私は素早く手で、その飛行物体を掴み、止める。

 

「…ダーツの矢?」

 

手を開くと吸盤がついたダーツの矢だった。

 

《しかもこれ、吸盤取ったら本物の針が出てきたよ!?》

 

《誰ですか?こんな物騒な物を人の顔に投げるなんて…》

 

私もびっくりだよ!?素直に当たらなくてよかった…。

 

ホッとしてると、同じ学校の制服を来た、優等生っぽい男子生徒が近づいてくる。

 

「ブルズ・アイにトリプルで150点!のつもりだったんだけど…ああ、すまない。ほんの挨拶のつもりだったんだ。榊遊矢君で合ってるよね?」

「あ、ああ…」

 

《挨拶のつもりならオモチャのダーツの矢でやれよ》

 

《……》

 

まあまあ、落ち着けファントム。ローザも無言で炎を吐こうとしない。

 

「俺は1組の沢渡シンゴっていうんだ!よろしく!」

 

そう言いながら沢渡に手を握られる。

 

「!?よ、よろしく…」

 

《な!?遊奈の手を離せ!》

 

《…燃やしていいかしら?》

 

頼むからこれ以上、うちの子を煽らないでくれ…沢渡さん…

手を解放されながらそう願う。

 

「テレビで観たよ。あのストロング石島とのデュエル。特にペンデュラム召喚最高だった!」

 

「あ、ありがとう」

 

「あ、ねえ!お願いがあるんだ!出会ったばかりでおこがましいとは思うけど、ペンデュラム召喚を俺や俺の親友にみせて欲しいんだ!」

 

「いいけど、その友人は?」

 

「よかった!18時にLDSのセンターコートを抑えてるんだ。そこにいるから案内するよ。しかも貸切だぜ☆」

 

流石、市会議員の息子。スゴイスゴイ

 

《 《………》 》

 

ファントムまで無言になるとかヤバイよ!

頼むからこれ以上は命の保証出来ないよ…

 

「じゃあ、早速行こうぜ!」

 

「ちょっ!?(なんで手を握るの!?)」

 

そのまま沢渡に手を引かれるままLDSへ向かった。

 

───────────────────────

 

ーSide/柚子

 

(ん?あれは遊奈?)

 

教室の窓から校門を見ると遊奈が男子生徒と話していた。

あれは1組の沢渡?確か…市会議員の息子で、LDSに通ってる生徒だったはずだ。

 

(大事な用って男だったの?でも遊奈に限ってありえないよね…)

 

改めて遊奈を見るとどこかよそよそしく感じる。少し話していると急に沢渡が遊奈の手を引いてどこかへ行ってしまった。

 

(あの方向はLDS?それに遊奈の顔あまり見えなかったけど、嫌そうに見えた…)

 

───────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

 

沢渡の案内でLDS内を歩く。

周囲を見渡してみると、様々なコースの、様々なクラス分けがされた教室がある。ふと、壁に貼られてる紙が眼に入る。LDSで受けられるコースについて書かれてるようだった。

総合コースに、融合コース、シンクロコースに、エクシーズコース…

なぜに儀式やアドバンスはないんだ?ネクロスとか帝とか強いじゃないか。

 

「にしてもシンクロに融合かぁ…(融合はやっぱり母が愛した召喚方だから好きだし、シンクロは前世でちょうど全盛期だったから思い入れがあるな…)」

 

《でも、どの召喚方法にも良さがあるよね》

 

そうだね。だからこのEMオッドアイズ魔術師デッキが好きなんだ。まだエクストラのオッドアイズや時読み、星読み以外の魔術師はいないけど、このデッキには全ての召喚方法が出来る可能性のデッキでもある。

奪われるわけにはいかない

 

《分かってるよ。任せて》

 

《ええ。少し躾が必要でしょうから…》

 

そんな頼もしい二体の龍と話していると、どうやらフィールドに着いたようだ。

其処には沢渡の親友(という名の取り巻き)が2人スタンバイしていた。

 

「彼らが君の親友?」

 

「ああ。さて…ペンデュラムモンスターをこっちに渡し「「ぎゃああああ!?」」な、どうしたお前達!?な、なんだ!このドラゴン達は!?」

 

「どうやら、うちの子達もそろそろ我慢の限界が来ていたみたいだ」

 

ディスクにセットしたファントムとローザを見せながら言う。

 

ちなみに取り巻きAはファントムのドラゴンテールを喰らい吹っ飛び、取り巻きBは『憎悪の棘』を装備したローザにつるのムチを喰らって吹っ飛んだ。

あ、死んでないからそこはうちの子偉いよね。

 

因みに『憎悪の棘』は効果が少し変わってローザでも装備可能になってる。少しスッキリしたのか、ファントムとローザは精霊に戻り、私の所に戻ってきた。まあ、それは置いておいて

 

「やっと本性を現したね。LDSの刺客め」

 

「くっ、気づいていたのか!」

 

「最初っからね。ペンデュラム召喚を見たいだけなら昨日やっていた遊勝塾のデモンストレーションを観に行ったはずだ。自分の関係先であるLDSで見たいとか、いくらなんでも怪しすぎるよ」

 

「くっ…。…ハハハ!おや?客人のようだね?」

 

「遊矢!」

 

聞き慣れた声がした方を見ると柚子が取り巻きの1人に捕まっていた。

 

「(しまった!そういえば取り巻きは3人いた!)柚子!?なんでここに!」

 

「遊矢が沢渡に連れて行かれるのを見たの!でも途中で、捕まってしまって…」

 

「柚子のせいじゃないよ」

 

申し訳なさそうに言う柚子に首を横に振って違うと伝える。

 

「さあ、形勢逆転だなぁ!渡してもらおうか?お前のペンデュラムカード。それとさっきのドラゴン達もな!」

 

ペンデュラムカードだけじゃなく、ファントム達もだって!?

 

《ふざけるなよ?誰がお前の元に行くかよ》

 

《同感です。茨で串刺しにしますよ?》

 

ローザ、怖い事言ってるけど、有言実行はしちゃダメだよ?

下手すると死んじゃうからね。

 

「渡しちゃダメよ!遊「うるせえよ」きゃっ」

 

「柚子!!…ペンデュラムカードが狙いなんだろ!?柚子や他のカードは関係ないはずだ!」

 

「そんな凄いカードは俺みたいな選ばれた奴が使うべきなんだ!お前みたいな奴なんてそんな屑カードで充分なんだよ!」

 

そう言って投げられたのは『モリンフェン』、『ハングリーバーガー』、『六武衆―ヤリザ』、『ブロックスパイダー』といった、カードの束。それを見た瞬間、何かが切れた。

 

「おい、デュエルしろよ」

 

カードを拾い集めて労わりながらケースの中に入れると沢渡に言った。

 

「はあ?お前、立場分かってる?『デュエルしろ』はぁ?誰だよあんた」

 

 

沢渡デュエルディスクから男の声が聞こえてきた。

この声は社長(赤)さんかな?

 

「はあ?手段は問わないという話だった『私はデュエルしろと言っている』 !!…チッ。分かったよ!!」

 

「…話はついたみたいだな。お前が勝てたら、望み通りペンデュラムモンスターとローザ達をやる。お前が負けたら、柚子を解放し、罰ゲームを受けてもらう」

 

「良いだろう、その話、のってやるよ!」

 

「そうそう。今回俺が使うデッキは攻撃力1000以下だ」

 

「なんだと!?舐めやがって、絶対に後悔させてやる!」

 

舐めているかどうか、それは直ぐに思い知る事になるさ。

 

───────────────────────

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

 

「モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!」

 

「フィールド内を駆け巡る!」

 

「見よ、これぞデュエルの最強進化系、アクショーン!」

 

「「デュエル!」」

 

先攻 Yuna LP 4000 VS 後攻 Shingo LP 4000

 

フィールドは、確か『ダークタウンの幽閉塔』、スラム街の様な雰囲気のフィールドで、此処はゲットした瞬間に効果を発揮し、その殆どがデメリット効果のアクショントラップカードしか配置されていないんだっけ?

初見だと絶対に引っ掛かりそうなフィールドを選ぶとか、本当に最低な奴。

まあ…私には関係ないけどね。

 

「柚子!そこで待っていてくれ!!」

 

「分かった。気をつけて!!」

 

アニメと同じく塔の上にいる柚子にそう言うと沢渡に向き合う。

 

「俺のターン。カードをセット。そして『カードカー・D(ディー)』を召喚」

 

カードカー・D ATK 800

 

「『カードカー・D』の効果発動!このカードをリリースしてデッキからカードを2枚ドローする。そしてエンドフェイズになる」

 

Yuna 手札3→5

 

ターンを終わらせると、あるアクションカードを探すために走り出す。

 

【カードカー・D】

効果モンスター

星2 地属性 機械族 攻800 守400

このカードは特殊召喚できない。このカードが召喚に成功した自分のメインフェイズ1にこのカードをリリースして発動できる。デッキからカードを2枚ドローし、このターンのエンドフェイズになる。この効果を発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない。

 

 

Yuna

LP 4000

手札 5

モンスター 0

魔法・罠カード 1

 

 

「俺のターン!ドロー!やっぱ俺ってカードに選ばれてるぅ!手札を『2番目と4番目のカードを伏せろ』…カードを2枚伏せる!」

 

さすがだね、社長さん。お見通しって訳だ。

 

「そして手札を1枚墓地に送り『クイック・ダーツ・シューター』を特殊召喚!」

 

クイック・ダーツ・シューターATK 1600

 

「更に、墓地に送った『リカバリー・ダーツ・シューター』の効果発動!このカードが手札から墓地に行った時、墓地から特殊召喚する!」

 

リカバリー・ダーツ・シューター ATK 1400

 

「更に『クイック・ダーツ・シューター』をリリースする事で効果発動!このターン、ダーツモンスターを召喚する時に必要なリリースが無くなる!この効果で、出て来い!『アルティメット・ダーツ・シューター』!!」

 

アルティメット・ダーツ・シューターATK 2400

 

「『アルティメット・ダーツ・シューター』で、ダイレクトアタックだ!」

 

リンゴーン!リンゴーン!

 

「なんだ!?」

 

「手札から『バトル・フェーダー』の効果発動!このカードを特殊召喚し、バトルフェイズを終了する!」

 

バトル・フェーダー ATK 0

 

「チッ…。エンドフェイズに、『アルティメット・ダーツ・シューター』の効果発動!このターンに効果でリリースしたダーツモンスターを蘇生する!」

 

「それにチェーンして手札から『D.D.クロウ』の効果発動!このカードを墓地に捨て、『クイック・ダーツ・シューター』を除外する」

 

「くそ!なぜ計算通りに行かない!!」

 

《悔しいでしょうねぇ》

 

《ざまぁ》

 

ファントムはいつも通りとはいえ、ローザまで性格変わってるよ。相当キレてるね…

 

 

Shingo

LP 4000

手札 1

モンスター アルティメット・ダーツ・シューター(攻撃表示)

リカバリー・ダーツ・シューター(攻撃表示)

 

魔法・罠カード 2

 

Yuna

LP 4000

手札 3

モンスター バトル・フェーダー(攻撃表示)

魔法・罠カード 1

 

 

「俺のターン!ドロー!『金華猫(きんかびょう)』を召喚!」

 

金華猫ATK 400

 

 

【金華猫】

スピリット/効果モンスター

星1 闇属性 獣族 攻400 守200

このカードは特殊召喚できない。

(1):このカードが召喚・リバースした時、自分の墓地のレベル1モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは除外される。

(2):このカードが召喚・リバースしたターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。

 

 

「スピリットモンスターだと!?しかもレベル1!あはは!使ってる奴なんて、初めて見たぜ!もしかしてお前のデッキはレベル1の屑モンスターばかりなのか?」

 

「さっきから屑屑って他に言葉を知らないのか?」

 

「何だと!」

 

「…金華猫の効果発動!このカードが召喚、反転召喚した時、墓地からレベル1モンスターを蘇生できる。『D.D.クロウ』を蘇生させる!」

 

D.D.クロウ ATK100

 

「『D.D.クロウ』と『金華猫』と『バトル・フェーダー』でオーバーレイ!三体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!」

 

ブラックホールに飲み込まれる三体のモンスター達

 

「エクシーズ召喚!現れろ、No.(ナンバーズ)54!熱き闘志の雄叫びが眠れる魂すらも震わせる!『反骨の闘士ライオンハート』!!」

 

54の数字が浮かび上がると、上部に血管が付いた心臓のような物体がブラックホールから現れ、そこから展開するとライオンの姿をした戦士が現れた。

 

ライオンハートATK 100

 

「な、No.?何なんだ!?この禍々しいモンスターは!?(しかし、攻撃力は100…見掛け倒しか!?)」

 

『No.』っと言ってもほとんど(・・・・)がOCG効果になってしまっているが、それでもこの気配は異常だといえる。

でも私にとっては頼もしい仲間だよ♪

 

「後はその邪魔な伏せカードも破壊しようか?手札から『ハーピィの羽根箒』発動!」

 

「な!?なぜお前がそんなレアカードを!」

 

大嵐が禁止になって、代わりに制限復帰した羽根箒が、沢渡の伏せカード2枚を破壊した。

この世界では沢渡が言うように需要が高い割に供給があまりないため、かなりの値がついている。

私?もちろん前世の時のカードと言いたいが、これはあの孔雀舞さんから譲り受けたカードだ。

 

《遊奈!あのアクションカードを!!》

 

柚子がいる塔を結ぶ橋の上でファントムが指を指す。

その方向を、見ると空中にAカードが浮いているのが見えた。

 

「頼みのアクションカードもあれじゃあ届かないなぁ!(取れるもんなら取ってみろ!取った途端、アクショントラップで終わりさ!)」

 

「空にアクションカードがあるなら……頼んだよ、ポッポちゃん!」

 

『クック!』

 

「なっ!?鳩!?」

 

取り出した巨大なクラッカーをPONと鳴らすと、その中から1羽の鳩が飛び立ち、空中にあるアクションカードへと向かって飛び立つ。

パタパタパタパタと強く翼を羽撃かせるその様子は可愛らしさを感じさせられる。

リアル・ソリッド・ヴィジョンのちょっとした応用で出していて、普通の鳩と比べて能力も高ければ知能も高いんだよね♪

これを考えた漫画版遊矢は本当すごいと思うよ。

 

そもそも、私のディスクがリアル・ソリット・ビジョンを搭載したり、ポッポちゃんを出したり出来るのは、私が遊星兄にこういう技術を叩き込まれたからだ。さすがメ蟹ックって言われるほどはあるよね。本当にすごかったんだ!

まあ、おかげで色々出来るから習っておいてよかったなあと今は本気で思うよ。

 

そう言っている間にポッポちゃんがアクションカードを持ってきてくれた。

 

「ポッポちゃんありがとう♪ アクショントラップ発動!『バッド・パワーショット』!このターン相手の攻撃表示のモンスターは全て攻撃力が2倍になる!!」

 

アルティメット・ダーツ・シューターATK2400→4800

リカバリー・ダーツ・シューター ATK1400→2800

 

「あははは!残念だったねぇ!とんだアクショントラップだ!ナマーズなのか何なのか知らないが、次のターンで終わりにしてあげるよ!」

 

確かに、このアクションフィールドにある、アクションカードはほとんどがアクショントラップ…つまりデメリットしかない。だけど…

 

「ライオンハートで『アルティメット・ダーツ・シューター』に攻撃!」

 

「はあ!?攻撃力が100しかないそのモンスターで攻撃するとか自滅するつもりか!?」

 

驚いてる沢渡に、ニッと笑ってやる。

 

「それはどうかな?」

 

この子に取っては逆に好都合なのさ!!

 

「ライオンハートの効果発動!ORU(オーバーレイ・ユニット)を1つ取り除き、この戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは代わりに相手が受ける」

 

ライオンハート ORU3→2

 

ライオンハートの周りを回っていた3つのユニットのうち、一つが弾けた。

 

「な、何だと!?それじゃあアルティメットの攻撃力にライオンハートの攻撃力100を引いた数字___つまり4700が俺のダメージになるだと!?」

 

「そういう事だ!喰らえ!バーニング・クロスカウンター!!」

 

「ぐぁぁぁぁぁ!!!」

 

Shingo LP 4000→-700 LOSE

 

WINNER Yuna

 

 

「ありがとう、レオン」

 

そう声をかけるとライオンハートことレオンは軽く頷いてカードに戻っていった。

 

「さて、俺が勝ったんだから柚子を解放「ふ、ふざけるなよ!あんな聞いたこともないカードを使って!卑怯だ!」…卑怯だって?君には言われたくない」

 

「うるせえ!こうなったら…「ぐほっ!」どうした!?」

 

柚子を人質に取っていた、取り除きが倒れると、後ろから水色の髪の少年…紫雲院(しうんいん)素良(そら)が現れる。

 

「ごめんね?あまりにも見苦しかったからさ。つい手が出ちゃった。君大丈夫?」

 

「う、うん。ありがとう」

 

「そ、そんなぁ」

 

「さて、形勢逆転だね」

 

そう沢渡に言うと先ほど沢渡に投げられたカードの束が入ったデッキケースを取り出し、カードを取り出した。

 

「な、何をするつもりだ!?」

 

「言っただろ?罰ゲームを受けてもらうのさ」

 

「な、何なんだよ!その眼!」

 

ああ、これから力を使うから眼の色がファントムと同じオッドアイになっているんだね。

 

まあ、沢渡にしか見えないから大丈夫かな。

さて…

 

「な、何なんだよ!?このモンスター達は!?」

 

沢渡の周りには『モリンフェン』、『ハングリーバーガー』、『六武衆―ヤリザ』、『ブロックスパイダー』などのモンスター達___今私が持っているカードのモンスター達が取り囲んでいた。

 

「…その子達は君がさっき屑といって投げ捨てたカードのモンスター達だ」

 

「こ、こっち来るな!!」

 

「柚子やその子達の痛みとデュエリストとしての恥を思い知れ!」

 

「うわあああああ!!止めてくれえええ…!!」

 

悲鳴を上げる沢渡に襲いかかるモンスター達___と言っても他の人から見たら何もないところでいきなり発狂したようにしか見えないけどね。

 

《あ〜あ。失禁しちゃったよ》

 

《本当に心も身体も汚い人ですね》

 

ファントムは呆れたように、ローザは汚い塵を見るような眼でそう言う。

保険のためその姿を持っていたスマホで撮影する。

 

《鬼だね〜》

 

酷いな。

別に何もしない限りネットに晒したりしないよ。

 

「遊矢!…きゃっ!?「見ないほうがいい」…な、何があったの?」

 

柚子を抱きしめて沢渡を見せないようにした。

観客席の方にいた柚子達は何があったのか分からないようだった。

まあ、わざと柚子達が観客席からこっちに向かってる時にやったからなんだけどね。

 

「さあ?自分が散々馬鹿にしたレベル1モンスターに負けたからじゃないかな?全く豆腐メンタルにもほどがあるね」

 

そう溜息を交えながら言う。

 

「そ、そうなの…。遊矢に何もないならいいんだけど」

 

「俺は大丈夫。それよりも柚子は大丈夫だった?」

 

「うん。彼が助けてくれたから」

 

そう言って柚子は私から離れると後ろにいた素良に視線を向ける。

 

「なんだか妬けちゃうねぇ。ごちそうさま」

 

「あはは…ごめんね。柚子を助けてくれてありがとう。俺は榊遊矢。君は?」

 

「ううん。気にしないでよ。僕は紫雲院素良。それよりも場所移動しない?ここはうるさいし、臭うから」

 

「そうだな。お礼も兼ねて何か甘い物でもご馳走するよ」

 

「わああ!ありがとう♪」

 

嬉しそうな素良と柚子を連れてフィールドを後にした。

 

 

───────────────────────

 

「至急、ペンデュラムカードを奪いに行きます」

 

「かまわない」

 

「はっ!」

 

「(なかなか面白いものを見せてもらった。No.と呼ばれる聞いたことのないエクシーズモンスターに昨日のシンクロモンスター、そして、何よりあのリアル・ソリット・ビジョンの技術力…ますます興味深い)」




若干沢渡さんのキャラが違う気がする…←殴


オリカ紹介

【クイック・ダーツ・シューター】
効果モンスター
星5 地属性 機械族 攻1600 守1600
(1)手札を1枚捨てることで、このカードは手札から特殊召喚出来る。
(2)メインフェイズに発動出来る。自分フィールド上のこのカードをリリースする。このターン、自分は『ダーツ』モンスターをリリース無しで通常召喚出来る。


【リカバリー・ダーツ・シューター】
効果モンスター
星4 地属性 機械族 攻1400 守1000
(1)このカードが手札から墓地へ行った時、墓地から特殊召喚出来る。
(2)このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分のデッキから、「ダーツ」モンスター1体を自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。


【バッド・パワーショット】
アクショントラップ
このターン、相手の攻撃表示のモンスターは全て攻撃力が2倍になる。


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第4話 弟子入り志願

不定期とは書きましたが、1ヶ月も更新出来なくてすみません!
夏風邪+スランプになってました…
その上、長い上に出来もあまりよくないです(>_<)


「という訳で、遊勝塾に加入を希望してきた、紫雲院素良君。素良君、遊勝塾へようこそ!これからよろしくね」

 

「紫雲院素良です!よろしくね!」

 

沢渡に制裁を加えた後、約束通りお礼に甘いものをご馳走しながら素良に話を聞いてみると、原作同様にLDSに加入するつもりだったが、私と沢渡のデュエルを見て私の弟子になりたいと遊勝塾への加入と私の弟子になる事を希望して来たので連れてきたのだった。

 

塾休むんじゃなかったのかって?

柚子がおじさんに遅れるって伝えていたらしいよ

 

《でも、素良ってアカデミアじゃなかった?》

 

《信用して大丈夫なんですかね?》

 

まあ、アニメでも仲間フラグ立っていたから大丈夫じゃないかな?

まあ、万が一の時に対処出来る様にはしておくよ。

 

「そうかそうか!歓迎するよ素良君!」

 

「ありがとう!師匠!早速だけど僕とデュエルしようよ!ペンデュラム召喚見てみたい!」

 

「分かった」

 

───────────────────────

 

『最後に立っているのは貴様か…、俺か…。フィールド魔法ON!フィールド魔法『荒野の決闘タウン』!』

 

『荒野の決闘タウン』は、西部劇でよくあるような街並みが特徴のフィールドだよ。

でも…

 

「えー!!なんか地味ー!僕、こんなのきらーい!」

 

「そうだよ、おじさん。相手は子ども(素良君)なんだから、もう少し夢のあるフィールドにしてよ」

 

《相変わらず、センスないね》

 

「うっ…すまない…。なら…これでどうだ!『スウィーツ・アイランド』!」

 

フィールドが、荒れ果てた荒野から、夢のあるお菓子の島に変わった。

 

「へぇ〜!」

 

おとぎ話に出るお菓子で出来た家や池などを見て感嘆の声をもらす。

 

「うわー!!お菓子の国だ!僕、こういうの大好き!おじさんありがとう!」

 

「それじゃあ行くよ!素良君!」

 

「うん!師匠!」

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

 

「モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!」

 

「フィールド内を駆け巡る!」

 

「見よ、これぞデュエルの最強進化系、アクショーン!」

 

「「デュエル!」」

 

先攻 Sora LP 4000 VS 後攻 Yuna LP 4000

 

「僕のターン!手札から永続魔法『トイポット』発動!『トイポット』は1ターンに一度、手札を1枚捨てることで、カードをドロー出来る。それがレベル4以下のモンスターだったら手札からモンスター1体を特殊召喚出来る。それ以外なら墓地にポイッ!」

 

Sora手札4→3

 

【トイポット】

永続魔法 (オリジナル効果)

①:1ターンに1度、手札を1枚捨てて発動できる。 自分はデッキから1枚ドローし、お互い確認する。 確認したカードがレベル4以下のモンスターだった場合、手札からモンスター1体を特殊召喚できる。 違った場合、そのカードを捨てる。

②:このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「エッジインプ」モンスター1体または「ファーニマル」モンスター1体を手札に加える。

 

 

《なんか強くない?》

 

破壊された後のサーチ能力が強化されてる上にレベル4以下とはいえモンスター引いたら、手札からモンスターを特殊召喚出来るのは強いね。それにウィングの存在もあるし…

 

ギャンブル要素があるから安定性がないけど、ここはARC-Vの世界だからなあ…

 

 

「ドロー!僕が引いたのは『エッジインプ・チェーン』!手札から『ファーニマル・ドック』を特殊召喚するよ!」

 

ファーニマル・ドック ATK1700

 

Sora手札3→4→3

 

『『かわいい!』』

 

確かにファーニマルはかわいい。

だけど…

 

《ああ、なっちゃうとは誰も思わないよね…》

 

ファントムは、はしゃぐ柚子達を見て、手を合わせる。

 

話を戻すよ。

ここでファーニマル・エアーマンとも言われてるドックの登場。更にさっきのトイポットでチェーンも来てるとなるとここで加えるのは…

 

「ドックの効果発動!このカードが手札から召喚、特殊召喚されたとき、デッキから『エッジインプ』又は同名カード以外の『ファーニマル』モンスターを手札に加えるよ!僕は『ファーニマル・シープ』を加えるよ!」

 

Sora手札3→4

 

ですよね。てかドックも地味に強化されてるし…

これは絶対あのカードも握ってるな

 

「更に手札から『融合』発動!手札の『エッジインプ・チェーン』と『ファーニマル・シープ』を融合!!」

 

『融合だって?LDSにいた訳じゃないのになぜ使えるんだ?』

 

驚く修造おじさん達。

いやもっとヤバいことが…

 

「融合召喚!!現れ出ちゃえ!すべてを封じる鎖のケダモノ!『デストーイ・チェーン・シープ』!」。

 

デストーイ・チェーン・シープ ATK2000

 

『『きゃああああ!!!?』』』

 

『あ、あんなに可愛かった羊さんが…!?』

 

『こ、怖いよぉ!』

 

ちょっと、いや、かなりグロイ演出で出てきたのは鎖で身体を繋がれたような羊のモンスター__『デストーイ・チェーン・シープ』。

それを見た柚子達の方から悲鳴が上がる。

 

「墓地にいった『エッジインプ・チェーン』の効果発動!このカードが墓地にいった時、デッキから『デストーイ』カードを手札に加える。僕が加えるのは『デストーイ・マーチ』!更に墓地の『ファーニマル・ウィング』の効果発動」

 

「…『トイポット』の時か」

 

「正解!流石師匠!このカードとシープを除外してカードを1枚ドローし、『トイポット』を墓地に送り、更に1枚ドローするよ!そして『トイポット』の効果で『エッジインプ・トマホーク』を手札に加えるよ!」

 

Sora手札1→2→5

 

《融合したのに手札減るどころか戻ってるよ!?》

 

素良も少し本気って事かな?

にしてもトマホークか…厄介だね。

 

「手札から『融合回収(フュージョン・リカバリー)』発動!墓地の『融合』と『エッジインプ・チェーン』を手札に加える。更にトマホークを召喚!」

 

エッジインプ・トマホーク ATK1800

 

Sora手札5→4→6→5

 

「『トマホーク』の効果。デッキから同名カード以外の『エッジインプ』モンスターを墓地に送り、このカードを墓地に送ったカードと同名カードにするよ!僕は『エッジインプ・シザー』をデッキから墓地に送るよ。そして『融合』発動。シザー扱いのトマホークとドックを融合!!悪魔の爪よ、獰猛なる野獣の本能を束ね、新たな力と姿を見せよ!融合召喚!現れ出ちゃえ!すべてを食い潰す殺戮のケダモノ!!『デストーイ・シザー・ウルフ』!!」

 

デストーイ・シザー・ウルフ ATK2000

 

《ええ!?なんで素良がウルフ持ってんの!?》

 

まあ、可能性はあったから仕方ないよ。にしても二回目の融合の時は静かだったね。

そう思い、柚子達がいる方へ目を向けるとおじさん以外は目を閉じて身を寄せてる。

おじさん?顔が真っ青だけど柚子達をなだめてるよ。

 

《よほど怖かったんでしょうね》

 

哀れみを込めた瞳で柚子達を見るローザ。

私も内心合掌しながら素良に視線を戻す。

 

「そこまで怖がらなくてもいいのに…。僕はカードを2枚伏せターンエンド」

 

少ししょんぼりしながらターンを終了させると素良はウルフに乗り走り出した。

 

Sora

LP 4000

手札 2

デストーイ・チェーン・シープ(攻撃表示)

デストーイ・シザー・ウルフ(攻撃表示)

魔法・罠カード 2枚

 

 

「ずいぶんとやってくれたね」

 

さて、シープにウルフか…。

おそらく伏せの1枚はさっきチェーンで、サーチしたマーチかな?

 

「俺のターン!ドロー!」

 

 

ピン差ししたこのカードが来たなら行けるね!

 

「手札から『アンノウン・シンクロ』の効果発動!相手の場にモンスターがいて俺の場にモンスターがいない時、このカードを特殊召喚するよ!そして『EMドクロバット・ジョーカー』召喚!」

 

アンノウン・シンクロ ATK 0

EMドクロバット・ジョーカーATK1800

 

「『ドクロバット・ジョーカー』の効果!このカードの召喚に成功した時、デッキから同名カード以外の『EM』モンスター、『魔術師』Pモンスター、『オッドアイズ』モンスターの内、いずれか1体を手札に加える!俺が手札に加えるのは『オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン』!!」

 

『新しい『オッドアイズ』カード!?』

 

Yuna 手札4→5

 

今まで登場しなかった漫画版遊矢のオッドアイズを手札に加える。柚子達は知らなかったみたいだけど最初からあったよ?ミラージュさん

さて…

 

Here(ヒア) we(ウィー) go(ゴー)!! It's(イッツ) a() show(ショウ) time(タイム)!!俺はペンデュラムスケールをセッティング!俺はレフトペンデュラム・ゾーンに『オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン』をセット!そしてライトペンデュラム・ゾーンに『オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン』をセッティング!」

 

RPゾーン:オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン PS[1]

LPゾーン:オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン PS[8]

 

青い光の柱が2つ出現し、其処に二体の竜が昇るとそれぞれの柱に1と8の数字が刻まれた。

 

「これでレベル2から7までのモンスターを同時に召喚可能!揺れろ、運命の振り子!!永久に続く時を刻み未来と過去を行き交え!!ペンデュラム召喚!現れよ!レベル4、振り子の魔術師『EMペンデュラム・マジシャン』!レベル7、無限の可能性を秘めし竜『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!」

 

EMペンデュラム・マジシャン DEF 800

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK2500

 

「わあ!これがペンデュラム召喚!!凄いや師匠!!」

 

素良が2体のモンスターを見て目をキラキラさせて言う。

そしてペンデュラム・マジシャンの効果が発動する。

この世界では無制限だが、私が前にいた世界では制限カードにまでされる強力無比な効果が…

 

「ペンデュラム・マジシャンの効果発動!このカードが特殊召喚に成功した時、自分フィールド上のカードを2枚まで破壊し、破壊した数だけデッキから同名カード以外の『EM』モンスターを手札に加えるよ!俺は『オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン』と『オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン』を破壊し、『EMモンキーボード』と『EMリザードロー』を手札に加える!」

 

Yuna 手札1→3

 

《うわー鬼畜猿にヒト◯ゲ来たー》

 

ファントムうるさい。

前にいた世界ではクソ猿や鬼畜猿と名高いモンキーボードさんと、これも又、制限カードになっている携帯獣のヒト◯ゲにそっくりなリザードローを手札に加える。

しかし、このカード達を持っているのは私だけである以上禁止カードな訳がなく、それどころか無制限カードだったりするんだよね…

 

《本当に馬鹿げた効果だよね。こいつら…しかも、アニメ効果だし》

 

ファントムが若干引きながらそう言う。

ファントム、引く気持ちは分かる。私も最初見た時引いたし…。

でも禁止じゃない以上入れない手はないからね。

 

「続けて行くよ!スケール1のモンキーボードをレフトペンデュラムゾーンに、スケール6のリザードローをライトペンデュラムゾーンにセッティング!」

 

RPゾーン:EMモンキーボード PS[1]

LPゾーン:EMリザードロー PS[6]

 

「スケール1と6ってことはレベル2から5のモンスターをまたペンデュラム召喚するの!?」

 

「残念だけど、ペンデュラム召喚は1ターンに1度だけしか出来ないんだ」

 

「そうなの?じゃあなんでペンデュラムスケールをセットしたの?」

 

「この為さ。リザードローのペンデュラム効果発動!デッキからカードを1枚ドローし、その後、このカードをデッキに戻してシャッフルするよ!」

 

Yuna 手札1→2

 

手札が1枚増えたことと引き換えにフィールドからリザードローは消え去る。

 

しかし、このカードはOCG効果ではなくアニメ効果だ。つまり制限がないんだよね。

そしてモンキーボードがいる事で…

 

「モンキーボードのペンデュラム効果も発動するよ!1ターンに1度、デッキからレベル4以下の『EM』モンスター1体を手札に加える!リザードローを手札に加えて、もう1度ライトペンデュラムゾーンにセッティング!」

 

「ええ〜!!て事はまたリザードローの効果で1枚ドロー!?」

 

「そういうこと!もう1度リザードローのペンデュラム効果発動!1枚ドローし、その後、このカードをデッキに戻してシャッフルする!」

 

Yuna 手札2→3

 

《まだ、Em(エンタメイジ)が使えなくて良かったよね。…そう考えるしかない》

 

ファントムが遠い目をしながら言う。

そうだね…。『EMEm』は本当に強かったよ…。

まあ、Em使いの彼にとっては不服かもしれないけど…

 

《個人的には融合じゃなくて、エクシーズ特化のデッキで悔しいでしょうねぇ?って思うけど》

 

ファントム…君って本当に、会ったこともない人にまで毒を吐くよね。

相棒に若干引きながらもデュエルを再開させる

 

「更にライトペンデュラムゾーンに『時読みの魔術師』をセッティングする」

 

RPゾーン:EMモンキーボード PS[1]

LPゾーン:時読みの魔術師 PS[8]

 

「長くてごめんね!でもこれが最後!レベル4、『ドクロバット・ジョーカー』とレベル4、『ペンデュラム・マジシャン』にレベル1『アンノウン・シンクロ』をチューニング!」

 

☆4+☆4+☆1=☆9

 

「凍てつく結界が解かれし時、古の龍の裁きが下る!シンクロ召喚!!蘇れ最後の槍!『氷結界の龍 トリシューラ』!」

 

トリシューラ ATK2700

 

「シンクロ召喚!以外だね!?LDSでは教えてるって聞いた事あるけど、ここでも教えてるの?」

 

「まあね。まあ、シンクロもエクシーズも融合も、私しか教えられる人がいないから、おそらく、LDSよりもペースは遅めになっちゃうけど」

 

「…なんで、融合じゃないの?さっき融合召喚に関して特別意識してるような感じだったじゃないか…」

 

ボソッと素良がそう漏らす。

その表情は俯いていて見えないが、どこか拗ねてるように感じた。

 

「見てたの?」

 

「うん」

 

あちゃ〜。

LDSでの出来事を見られてたみたい。

 

《言われてみれば視線感じた気がするよ》

 

マジですか…。

全然気づかなかった

 

「…確かに融合は俺にとっては特別なモノだよ。でも、だからと言って他の召喚法を否定するつもりはないし、それぞれの良さがあるのも知ってる。もちろん、素良君が融合に拘りを持つのを否定するつもりもないよ」

 

「まるで君は振り子のようだね」

 

「そうだね。だけど振り子を操る俺自身は、しっかり立ってるつもりだよ!さあ、この話はおしまい!」

 

そう言ってパンっと手を鳴らして空気を変えると素良も気持ちを切り替えてくれたようだ。

 

「トリシューラの効果発動!シンクロ召喚に成功した時、相手の手札・フィールド・墓地のカードをそれぞれ1枚まで選んで除外出来るよ!」

 

「そんなぁ!対象を取らない効果!?」

 

やっぱり、伏せの1枚はマーチだったみたいだね。

 

「俺はチェーン・シープと右の手札、墓地のシザーを除外するよ!デス・トライアングル・スラッシュ!!」

 

「うわぁ!」

 

Sora手札2→1

 

トリシューラが吠えるとウルフで走る素良の後ろについていたチェーン・シープと素良の手札、墓地のシザーが吹き飛ばされる。

 

「バトル!ペンデュラム・ドラゴンでシザー・ウルフに攻撃!螺旋のストライクバースト!」

 

「罠発動!『びっくり箱』!」

 

あれ?

時読みをセットしてるのに罠発動してきた?

 

《だって、1度も時読みも、星読みもペンデュラム効果使ったことないよね?》

 

あっそうか…アニメだと素良も時読みの効果を知っていて『びっくり箱』2枚貼ってたけど、知らないんじゃあ仕方ないね。

それに効果も変わってるし

 

「時空を見定める『時読みの魔術師』よ!その緻密なる力で我を守護せよ!インバース・ギアヴィス!『時読みの魔術師』のペンデュラム効果!このカードがペンデュラムスケールにセットされていて、俺のペンデュラムモンスターが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了まで罠カードを発動出来ない!」

 

「ええ〜!なら…アクションマジック『ポッピング・キャンディ』発動!このターン、相手の魔法、罠を1枚無効にし破壊するよ!スケールにセッティングされたペンデュラムカードは永続魔法扱いなんでしょ?僕は『時読みの魔術師』を選択するよ!」

 

《ぐあああ!》

 

「くっ!」

 

光の柱に浮かぶ『時読みの魔術師』の周りに小さなキャンディが複数出現すると次々に爆発を起こし、時読みを破壊してしまった。

 

《うわぁ…時読みよ…安らかに…》

 

こらこら、勝手に殺さない。

ってやばいね!

 

「これで『びっくり箱』発動出来るよね♪ペンデュラム・ドラゴンの攻撃を無効にして、トリシューラを墓地に送り、トリシューラの攻撃力分、オッドアイズの攻撃力を下げるよ!」

 

びっくり箱からアームが飛び出す。ペンデュラム・ドラゴンはそれに驚いて攻撃を止めてしまった。

そしてアームがトリシューラを捕まえるとペンデュラム・ドラゴンに投げつけるが、ペンデュラム・ドラゴンとトリシューラの間に綿飴で出来たクッションが現れ、トリシューラを受け止める。

 

「え!?」

 

「危ない危ない。アクションマジック『コットン・キャンディー』。このターン、俺のモンスター1体は相手の魔法、罠の効果を受けない!俺が選択したのはトリシューラ。よってペンデュラム・ドラゴンの攻撃は無効になるがトリシューラを墓地へ送れないためここで処理は終わる!」

 

「いつの間に!?」

 

《ポッポ!!》

 

「あ!その鳩は!?」

 

「実はポッポちゃんを飛ばしておいたんだよ!ありがとポッポちゃん!」

 

《クルッポ!》

 

肩に止まっていたポッポちゃんが元気よく返事をすると飛び立っていく。

 

「さあ、続けようか?トリシューラで、シザー・ウルフに攻撃!トライアングル・ブリザード・バースト!!」

 

「うわあああ!?」

 

Sora LP4000→3300

 

ウルフが破壊され吹っ飛ばされるが、そこは素良君。

流石の身体能力で無事着地する。

 

「やはりデュエリストに身体能力は必須か…」

 

「え?」

 

思わずそう漏らすと素良がキョトンとした表情をする。

 

なにあの子可愛い←

じゃなくて!

 

「何でもない!ガードを1枚伏せターンエンド。行くぞペンデュラム・ドラゴン」

 

ペンデュラム・ドラゴンに跨ると走り出した。

 

Yuna

LP 4000

手札 1

ペンデュラム・ドラゴン(攻撃表示)

トリシューラ(攻撃表示)

魔法・罠カード 1枚

 

RPゾーン:EMモンキーボード PS[1]

LPゾーン:

 

Sora

LP 3300

手札 1

 

魔法・罠カード 1枚

 

 

「僕のターン、ドロー!…手札の『ファーニマル・ベアー』の効果発動。このカードを墓地に捨て、デッキから『トイポット』を1枚選び、魔法・罠ゾーンにセットする。そして『トイポット』発動!手札を1枚捨て1枚ドロー。よし!ドローしたのは『ファーニマル・オウル』!そのまま特殊召喚するよ!」

 

ファーニマル・オウル ATK1000

 

「オウルの効果発動!デッキから2枚目の『融合』を1枚手札に加える。そして墓地のウィングの効果発動!」

 

「えっ!?またウィング!?」

 

どんだけドロー運あるの!?

 

《え〜……》

 

ファントムもポカーンと口を開けて固まってる。

 

「墓地のウィングとドックを除外し1枚ドロー。そして『トイポット』を墓地に送り1枚ドローし、『トイポット』の効果でシザーを手札に加えるよ」

 

Sora手札1→4

 

「『融合』発動!手札のシザーと場のオウルを融合!悪魔の爪よ!野獣の牙よ!今、神秘の渦で一つとなりて新たな力と姿を見せよ!融合召喚!現れ出ちゃえ、すべてを切り裂く戦慄のケダモノ、『デストーイ・シザー・ベアー』!」

 

デストーイ・シザー・ベアー ATK2200

 

あれ?シザー・ベアー?

オウルで召喚出来たっけ?

 

 

【デストーイ・シザー・ベアー】

融合/効果モンスター(オリジナル効果)

星6 闇属性 悪魔族 攻2200 守1800

「エッジインプ・シザー」+「ファーニマル」モンスター

(1):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時に発動できる。そのモンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備し、そのモンスターの攻撃力分このカードの攻撃力はアップする。また、装備カードを装備したこのカードが破壊される場合、代わりにこのカードに装備された装備カード1枚を墓地へ送る

 

 

ナンカキョウカサレテル…

 

『パワー・ツール・ドラゴン』みたいに破壊耐性とアニメと同じ装備モンスターの攻撃力分アップ。

何より素材が軽くなってる点がいいね。

 

《この効果ならOCGでもハズレア呼ばわりされなかっただろうに…》

 

確かに。

 

てか、全体的に素良君強化されてる気が…

いや、仲間なら心強いんだけど、敵に回ると厄介だなぁ

 

「罠発動!『強制脱出装置』!シザー・ベアーをエクストラに戻すよ!」

 

「なら僕もアクションマジック『コットン・キャンディー』発動するよ!これで、シザー・ベアーは守られるよ!」

 

防がれたか。

でも攻撃力が低いシザー・ベアーでどうする気だろ?

 

《ポッポ!》

 

上を見るとポッポちゃんがアクションカードを咥えこちらへ飛んでくる

 

「させないよ!シザー・ベアー!」

 

《!?》

 

「ああ…!?ポッポちゃんが…!」

 

シザー・ベアーが後ろから飛んできたポッポちゃんを捕まえるとそのまま丸呑みしてしまった。

 

《うわ〜。ないわ〜》

 

《食べられるのは勘弁して欲しいですね…》

 

《出来れば僕たちを出さないで下さい。マジで》

 

うん。却下(ニッコリ)

てか、ローザはともかくファントムは大丈夫でしょう!

それよりも集中して

 

うるさい2人(?)を置いてデュエルに集中する。

 

「ごめんね師匠!このアクションカードはもらったよ!アクションマジック『パワーライズ』発動!このターン、シザー・ベアーの攻撃力は1000アップするよ!」

 

シザー・ベアー ATK2200→3200

 

くっ!近くにアクションカードが、見当たらない。

 

「ペンデュラム・ドラゴン急いでくれ!」

 

私の言葉にペンデュラム・ドラゴンはチラッと視線を送ると加速する。

 

「行くよ!シザー・ベアーでトリシューラを攻撃!パンメリング・パウ!」

 

Yuna LP4000→3500

 

「くっ!トリシューラ!」

 

シザー・ベアーの右ストレートがトリシューラにヒットし、トリシューラはジュースで出来た池に落下してしまった。

 

「そして、シザー・ベアーの効果発動!トリシューラを装備し、その攻撃力分アップするよ!」

 

ジュースの池に落ちたトリシューラをシザー・ベアーが引き上げ食べてしまった。

 

シザー・ベアー ATK3200→5900

 

うわぁ…。トリシューラは効果発動したらバニラになっちゃうんだからやめてあげてよ!

 

「まだ終わりじゃないよ。手札から『トイ・パレード』発動!」

 

 

【トイ・パレード】

通常魔法 (アニメオリジナル)

①:装備カードを装備した自分フィールドの

「トイ」モンスターまたは「トーイ」モンスターを対象として発動できる。 このターン、対象のモンスターはその装備カードの数だけ攻撃できる。

 

 

アニメと同じ流れですか!?

そうですか…

 

「このターン、シザー・ベアーはその装備カードの数だけ攻撃できるよ!」

 

『シザー・ベアーは破壊して墓地に送ればそのモンスターを装備出来る…。マズイわ!このままじゃあ、遊矢が負けちゃう!』

 

「柚子お姉ちゃんの言うとおり!シザー・ベアーでペンデュラム・ドラゴンを攻撃!パンメリンク・パウ!」

 

巨大化したシザー・ベアーが私ごとペンデュラム・ドラゴンを殴り飛ばした。

 

「うわあああ!!」

 

Yuna LP3500→100

 

そのままペンデュラム・ドラゴンと共に、池に落ちてしまう。

 

「さあフィニッシュだよ!シザー・ベアー!ペンデュラム・ドラゴンを装備して!」

 

シザー・ベアーが腕を伸ばして池に落ちたペンデュラム・ドラゴンを探す。

 

《???》

 

「どうしたの!?シザー・ベアー!」

 

しかし、しばらく探すが見つからないようだ。

 

バシャーン!!

 

「ッケホ!ッケホ!…無駄だよ」

 

咳き込みながら陸に上がるとそう言う。

 

「破壊されたペンデュラムモンスターは墓地には行かず、エクストラに行く。シザー・ベアーは墓地に行かないと装備出来ないからこれで終わりだよ」

 

「え…。…ふふふ、あははは!面白いね!そうだったんだ!残念、決められると思ったんだけどなぁ。じゃあ、カードを1枚伏せターンエンド。『パワーライズ』の効果も切れるよ(エクストラ…でも、それに何の意味があるんだ?)」

 

シザー・ベアー ATK5900→4900

 

 

Sora

LP 3300

手札 0

シザー・ベアー(攻撃表示)

 

魔法・罠カード 伏せ2枚

トリシューラ(ベアーに装備)

 

Yuna

LP 100

手札 1

 

魔法・罠カード 

 

RPゾーン:EMモンキーボード PS[1]

LPゾーン:

 

 

「…フフ。楽しい。こんな楽しいデュエルは久しぶりだよ!」

 

「師匠、状況分かってる?」

 

フィールドはPゾーンにモンキーボードだけ。LPも100。更に手札も1枚だけというかなり追い詰められてる。

 

「そんなこと分かってるさ。でも、このドローで逆転出来ると考えたらワクワクしないか?」

 

「え?」

 

「LPがある限り、デッキを信じる限り、必ずカードは答えてくれるはずさ!」

 

そう、それがあの人たちから教えてもらった1番大切なことなんだから。

 

「俺のターン!シャイニングドロー!!」

 

まだだ、まだ終わらない!

 

「『逆境の宝札』発動!相手フィールドに特殊召喚されたモンスターが存在し、自分フィールドにモンスターがいない時。デッキから2枚ドローする!」

 

Yuna 手札1→3

 

【逆境の宝札】

通常魔法 (未OCG)

相手フィールド上に特殊召喚されたモンスターが存在し、 自分フィールド上にモンスターが存在しない場合に発動できる。 自分のデッキからカードを2枚ドローする。

 

 

「更に『マジカル・ペンデュラム・ボックス』発動!デッキからカードを2枚ドローし、それがペンデュラムモンスターなら手札に加える。それ以外なら墓地へ送る。ドロー!俺が引いたのは『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』に、2体目の『時読みの魔術師』!よって手札に加えるよ!」

 

「2枚目の『時読みの魔術師』だって!?」

 

Yuna 手札2→4

 

【マジカル・ペンデュラム・ボックス】

通常魔法(アニメオリジナル)

デッキからカードを2枚ドローしてそれがPモンスター以外なら墓地へ送る。

 

 

「ライトペンデュラムゾーンのモンキーボードの効果発動!リザードローを手札に加える。リザードローをレフトペンデュラムゾーンにセッティングし、リザードローの効果発動!1枚ドローし、その後デッキに戻してシャッフルする!」

 

手札4→5→4→5

 

「そして『振り子の宝札』発動!Pゾーンにセッティングされたカードを2枚まで破壊し、破壊した数だけデッキからドローする。モンキーボードを破壊して、ドロー!」

 

手札4→5

 

「手札が一気に回復した!?」

 

Here(ヒア) we(ウィー) go(ゴー)!! It's(イッツ) a() show(ショウ) time(タイム)!!お楽しみはこれからだ!俺はペンデュラムスケールをセッティング!俺はレフトペンデュラム・ゾーンに『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』をセット!そしてライトペンデュラム・ゾーンに『時読みの魔術師』をセッティング!」

 

RPゾーン:オッドアイズ・ファントム・ドラゴン [4]

LPゾーン:時読みの魔術師 [8]

 

青い光の柱が2つ出現し、其処にファントムと時読みが昇るとそれぞれの柱に4と8の数字が刻まれた。

 

「これでレベル5から7までのモンスターを同時に召喚可能!揺れろ、運命の振り子!!永久に続く時を刻み未来と過去を行き交え!!エクストラデッキから蘇れ!俺のモンスター達よ!」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK2500

オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン ATK1200

 

「へぇー!エクストラデッキに行ったのはこのためか!でも、そのオッドアイズたちじゃあ、シザー・ベアーは倒せないよ!」

 

「焦らないでよ!ペルソナ・ドラゴンの効果発動!1ターンに1度、場のカード1枚の効果を無効にしてリセットするよ!これでシザー・ベアーの攻撃力は元通り!」

 

シザー・ベアー ATK4900→2200

 

「シザー・ベアーの攻撃力が!」

 

「行くよ!ペンデュラム・ドラゴンでシザー・ベアーを攻撃!そして、ファントムのペンデュラム効果発動!ペンデュラム・ドラゴンの攻撃力を1200アップするよ!」

 

ペンデュラム・ドラゴン ATK2500→3700

 

「攻撃力3700!」

 

「その二色の眼でとらえた全てを焼き払え!螺旋のストライクバースト!そしてペンデュラム・ドラゴンの効果!このカードが相手モンスターと戦闘を行なう場合、相手に与える戦闘ダメージは倍になる!リアクション・フォース!」

 

「うわ!」

 

Sora LP3300→300

 

「くっ!」

 

「行かせないよ!ペルソナ・ドラゴン!」

 

「な!?」

 

素良がアクションカードを拾おうと走り出すが、ペルソナ・ドラゴンが素良の前に現れ、妨害する。

 

「オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴンでダイレクトアタック!仮面の衝撃(バイト・ノット・インパクト)!!!」

 

「うわあああ!!」

 

Sora LP300→-900 LOSE

 

WINNER Yuna

 

-------------

 

久しぶりに楽しいデュエルが出来たなぁ。

 

「負けちゃったか…。行けると思ったんだけどなぁ」

 

「ガッチャ!楽しいデュエルだったよ!素良君!…今度は君と本気のデュエルが出来るといいんだけど」

 

「!」

 

最後は素良にしか聞こえないようにそう言うと、私はフィールドを出ようとする。

その前に、固まってる素良に声をかける。

 

「素良君?行かないの?」

 

「あ、うん…」

 

ぎこちなく頷く素良に、笑いかけるとフィールドを後にした。

 

その後、塾に入った素良は、師匠ではなく友だちとして接しようという話しになりお互いにタメ口と名前呼びになった。




すみません。
いろいろ弄り過ぎました。
でも後悔はしてない←殴
いや、だって…ベアーとかあのままだとアレな気がして…
それに他のエッジインプもシザーだけがサーチ豊富なのが気になりまして()


オリカ等紹介

【コットン・キャンディー】
アクション魔法
このターン、選択したモンスター1体は相手の魔法、罠の効果を受けなくなる。


【振り子の宝札】
通常魔法
自分のPゾーンにセッティングされたカードを2枚まで選択して発動する。そのカードを破壊し、破壊した枚数だけデッキからカードをドローする。


【時読みの魔術師】
ペンデュラム/効果モンスター
星3 闇属性 魔法使い族 攻1200 守600
【Pスケール:青8/赤8】
①:自分のPモンスターが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時まで罠カードを発動できない。
【モンスター効果】
①:1ターンに1度、Pゾーンのカードを対象とした魔法・罠カードの効果を無効にできる。 この効果は相手ターンでも発動できる。


時読みはOCG効果のデメリットを無くし、モンスター効果はアニメになっています。
モンキーボードはOCGのデメリットが消えてます。
ペルソナ・ドラゴンは漫画効果になります。


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第5話 エクシーズ次元。そして再会

お待たせしてすみません。
難産な上に駄文。
デュエル無しだけど長くなってしまいました()
こんなはずでは…はっ!これもドン・サウザンドの仕業か!?おのれ(以下略)


「レベル6『魔導冥士ラモール』にレベル1『エフェクト・ヴェーラー』をチューニング!」

 

ラモールが6つの光になりヴェーラーの周りで輪になる。

 

「シンクロ召喚!…っ!」

 

しかしその光は竜の形を辛うじてとっただけで直ぐに激しいノイズと何かが焼き切れた音と共に消えてしまった。

 

カードの力が強すぎてシステムがショートを起こしてしまったのだ。

 

「またダメだった…。ごめんね。ブラン(・・)…」

 

《君のせいじゃないよ。だから気にしないで》

 

男性の声が頭に直接響く。

 

『ありがと。…みんなが来る前に壊れたところ直しに行かないとね』

 

そう言うと私はデュエル場を後にした。

 

───────────────────────

 

 

「もう…。みんなお菓子が食べたいなら自分たちで行けってのよぉ」

 

「まあまあ。まだみんな小さし仕方ないよ。私も食べたかったしさ。柚子だってそうでしょ?」

 

「それはそうだけど…」

 

沢渡の事件から何日か経って、新しく素良も仲間入りした事により、なんだかんだバタバタしていた遊勝塾だったが、やっと落ち着いて来たある日の事。

素良たちがアイスを食べたいと、授業が終わったとたんに言い出したので、こうして柚子と一緒にお菓子を買いに外へ出ていた。

ちなみに制服ではなく、マント姿である。

 

「あ、遊奈あれ…」

 

「ん?あいつらは確か…」

 

柚子が指差した方を見てみると沢渡の取り巻き2人が、何やら話しながら歩いていた。

 

「沢渡さん、気合い入りまくりじゃね?」

 

「どんな手を使ってでも、榊遊矢をぶちのめすってなぁ」

 

「あの人、相当卑劣な事やりそう」

 

「ウィークポイント、徹底的に攻めるってよ」

 

「沢渡さん、しばらく正気じゃなかったからな…。それに余程あそこで失禁したのが屈辱だって事だよな、まあそれも無理ないか」

 

《全然反省してないみたいだね…》

 

《遊奈?大丈夫ですか?》

 

大丈夫…。

 

微かに震えてる手を押さえながらも答える。

 

あの画像ネットに晒してやろうかな?

と考えていると、

 

「ごめんね。遊奈、お菓子を持って先に遊勝塾に戻ってくれない?私はあの2人を追うわ」

 

「ゆ、柚子!?何を言ってるの!危険だよ!あいつらが何を仕出かすか分からない!」

 

「大丈夫よ、遊奈。何年、遊奈の幼馴染をやってきたと思っているの?あんなデュエリストの屑に、私が負ける訳無いわ。それに隠してるつもりなのかもしれないけど、あいつらが『ウィーク・ポイント徹底的に攻める』って言った時、明らかに身体が強張ってたわよ」

 

「う…。わ、私の事はともかく!。それに、デュエルとかの方面じゃなくて…!」

 

「お願い、遊奈。行かせて」

 

「柚子…」

 

《こうなった柚子は聞かないと思うよ》

 

《ええ。仕方ありませんね。私がついて行きましょう》

 

そう…だね。どの道、私がついて行っても、彼には会えないと思うし。

 

精霊の2人はアイコンタクトで頷き合う。もちろん悩んでいる遊奈にはそんな2人に気づきもしない。

 

「…分かった。でも危なくなったら直ぐ連絡して(ローザ、頼んだよ)」

 

「ええ、分かっているわ」

 

《ええ》

 

───────────────────────

 

ーSide/柚子

 

遊奈と別れた後、取り巻き2人の後をつけると、港の倉庫にたどり着く。

 

ここ?

 

耳を澄ますと確かに沢渡たちの声が微かに聞こえる。

 

間違いない。

…この前のデュエル。遊奈は、私を必死に助けてくれた。今度は私が遊奈を守る番!

 

意を決して、私は倉庫の中に入って行った。

 

《……(いますね)》

 

屋根の上にある気配を感じながらも、ローザは柚子の後を追った。

 

 

───────────────────────

 

「…遊矢!?」

 

沢渡にデュエルを挑もうとした時にいきなり乱入して、沢渡とデュエルした謎の人物。ゴーグルとマスクを外すとそこには遊矢がいた。しかし姿、髪型はいつもの遊矢ではなかった。

 

「貴様だったのか…!」

 

「沢渡さん!しっかりしてください!!」

 

「こいつヤベェ!早く逃げろ!」

 

そう言いながら沢渡たちは倉庫から逃げ去っていく。

 

「遊矢、どうしてそんな格好しているの?」

 

「…覚えてないか……」

 

「え?…な、何これ!?」

 

「《!》」

 

突然、私のブレスレットが強い光を出す。私は思わず目を瞑ってしまった。

光が収まり目を開くと、遊矢(?)はもういなくなっていた。

 

「遊矢!…遊奈!?…どうなっているの?」

 

私は分からないまま取り敢えず、倉庫を後にした。

 

───────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

「…やっぱり心配だ」

 

《どこ行くつもり?》

 

「やっぱり柚子が心配だから様子を見てくる。ローザの気配なら追えるから」

 

《…分かったよ。君も頑固なところは柚子に負けないところがあるからね。でもそれはどうするの?》

 

ファントムが私の持つお菓子の袋を指差す。

 

「あ…。いいや、これをこうして…」

 

メモ書きを袋に貼り付けて、塾の玄関でいいかな?

力を使って送った。

 

「よし。じゃあ行こう!」

 

《僕の力をそんな事に使って許されるのは君くらいだよ…》

 

ファントムがそう嘆いていたが無視してローザの気配を追った。

 

___ローザの気配を追って辿り着いたのは港の近くにある倉庫だった。

 

ローザの気配が消えた?

 

疑問に思いながらも倉庫の扉に手をかける。

 

《…ごめん》

 

ファントムがそう謝るのを聞くと、私の足元が光り出し、身体が浮遊感に襲われた。

 

───────────────────────

 

ーSide/?

 

「…こ、ここはいったい…?」

 

《ここは精霊界。私たちデュエルモンスターのカードの精霊が住む世界です》

 

「!?」

 

背後から突然、声が聞こえて来たので慌てて振り向くと、薔薇のような姿をしたドラゴンがそこにいた。

そして、そのドラゴンには見覚えがあった。

 

「お前は確か…!」

 

《覚えてましたか。こうして向かい合い、話すのは初めてですね。私は『月華竜ブラック・ローズ』の精霊。名はローザといいます》

 

「やはりそうか…。…なぜ俺をここに?」

 

《あなたに会わせたい方がいるんですよ。ですが、そのためには柳柚子が離れていなくてはならなかった》

 

「…柚子がつけていたあのブレスレットか?あれはお前の仕業じゃなかったんだな」

 

《その通りです。…来たようですね》

 

ローザに言われた方を見ると、白い鎧を着た様なドラゴンと白いフードを被った人物がいた。

 

───────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

「……ん…」

 

光りを感じて閉じていた瞳を開くと倉庫ではなく、森の中にいた。

 

「ここは、精霊の森……?どういう事?ファントム説明して」

 

後ろを振り返り、元の大きさに戻っているファントムに聞く。

 

《君に会わせたい人がいたから連れてきたんだ。大丈夫。柚子なら心配ないよ》

 

「それならいいけど…。会わせたい人?……!」

 

疑問に思いながらも周りを見渡すとローザとその近くにいる黒いマントを着た、私と同じ顔をした少年に気づく。

 

「…遊斗?」

 

「!……誰だ?なぜ俺の名を知ってる」

 

「わ、私だよ!?遊奈だよ!」

 

被っていたフードを外しながら遊斗に名乗る。

 

「!!。遊奈なのか…?」

 

「っ!」

 

堪らなくなって遊斗に駆け寄り抱きつく。

 

「遊斗!よかった無事で…!」

 

「遊奈…。大きくなったな…」

 

「お互い様にね。…!、遊斗のディスクが!?」

 

「!…エクストラからか?」

 

いきなり遊斗のディスクのエクストラデッキが光りだす。

遊斗は急いでエクストラデッキから原因のカードを取り出した。

 

そしてそのカードはZEXALの時に見た、リ・コントラクト・ユニバースの様にカードが書き換わった。

 

「『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』の効果が変わっただと!?」

 

「見せて!…っ!」

 

そこにあったのは確かにユートのエースモンスター『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』。しかしそのモンスター効果はアニメ効果ではなく、OCG効果になっていた。

 

「…いったいどういうこと?」

 

《理由は分からないけど、遊奈と遊斗が接触したからだと思う。ほら、君のオッPもOCG効果だったでしょ?》

 

確かに…

 

「OCG?どういう事だ?」

 

「…その事も含めていろいろ話さないといけないよね。あの後どうなったのか、そして私の事も…」

 

「…俺も話さないといけないな。あの後、俺がどこで何をしていたのかを…」

 

《でしたら…立ち話もあれですし、あそこの木陰で話してはどうでしょう?》

 

「そうだね。行こ?遊斗」

 

「ああ」

 

遊斗の手を引いて近くの木陰で、腰を下ろす。遊斗も座るのを確認するとローザは遊斗の隣に身体を下ろし、ファントムは私の横で身体を伏せるような体制になる。

 

「ところで、この二体のドラゴンは遊奈の精霊なのか?」

 

「うん。ローザとファントムって言うの」

 

《『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』のファントムだよ。よろしく》

 

「よろしく」

 

「じゃあ、どこから話そうか?…私が前世の記憶を持ってるって話したの覚えてる?」

 

「ああ。忘れるはずないだろ?前にも行ったはずだが、前世の記憶が有ろうとお前は俺の大切な妹である事に変わりない」

 

「っ、ありがとう…。実はね…」

 

自分が何者なのか、なにがあったのかを遊斗に話す__。

 

「…そうだったのか。それで遊奈はファントムと…」

 

「うん…。ファントムと融合した事を後悔なんてした事ない。でも、元の世界に戻れなかった…家族の元に戻れなかったのは今でも心残りだったりするんだよね…。アハハ…」

 

そう遊斗に心配かけないように無理やり笑う。ちゃんと、笑えてるかな?

 

「っ…相変わらず、馬鹿な奴だな。俺の前で無理やり笑おうとするな。家族だろう?」

 

そう言って遊斗は私の頭を撫でてくる。

 

「遊斗…ごめん」

 

「分かればいい」

 

「…続けるよ。今度はこの世界に遊奈として生まれてからの話からかな?初めは驚いたよ。まさか榊遊矢として生まれ変わるとは思わなかったから。しばらくしてからローザが精霊として目覚めたりして色々あったけど、これは遊斗も知ってると思うから省略するね。遊斗たちが行方不明になった時の話からするよ。あの時、遊斗だけじゃなく、遊吾、遊里、父さんまでも行方不明になっていたんだ」

 

「っ!やはりか…。あの時。母さんを除く全員が同じ場所にいて、遊奈以外、俺と同じ現象が起きていたように見えたから」

 

「父さんはよく分からないけど、おそらく、みんな各次元に飛ばされたんじゃないかな。遊斗はエクシーズ次元にいたんじゃない?」

 

「ああ。だが、アニメでの俺はエクシーズ次元の榊遊矢だったんだったか?」

 

「そうだよ。遊斗、遊吾、遊里は各次元の榊遊矢だった。そして、それぞれ各次元の召喚法の名前が付いていたドラゴンをエースにしていた」

 

「俺の『ダーク・リベリオン・エクシーズ(・・・・・)・ドラゴン』」

 

「うん。私の場合は『オッドアイズ・ペンデュラム(・・・・・)・ドラゴン』。遊吾は『クリアウィング・シンクロ(・・・・)・ドラゴン』。そして遊里はおそらく『フュージョン(・・・・)・ドラゴン』と付くドラゴンを持ってるはず」

 

「な!?それが本当なら遊吾と遊里は…」

 

「うん。遊吾はシンクロ次元。遊里は融合次元にいる可能性が高い。断言出来ないけれどね」

 

「実は、俺達がまだエクシーズ次元で戦っていた時に、遊吾がいたらしい」

 

「そうなの!?」

 

「だが、俺の仲間の妹を攫ったと仲間伝に聞いている…」

 

「ありえない!だって、あの遊吾だよ!?」

 

「俺だって信じたくないさ。だが、もし遊吾が融合の手先だったら?」

 

「遊里と手を組んでるって言いたいの…?」

 

「仲間が言っていたんだ。俺そっくりな奴が、仲間を…瑠璃を攫ったと…」

 

「……」

 

「…アニメでは遊吾が遊里と手を組んでいたのか?」

 

「…違う…と思う…。名前で融合の手先と勘違いされてたみたいだけど…。アニメでの遊吾も遊斗に大切な存在を奪われたと言ってたと思う…」

 

「…何か食い違いがある…と?」

 

「うん…」

 

「確か、遊奈がアニメで知っているのはアニメの序盤までだったか…?」

 

「うん。全てが原作通りになるとは思ってなかった。実際に遊斗たちが四つ子の時点で崩壊してるし…。それに、全て決めつけるのは良くないと思う。遊吾達に会って話をしてからでも遅くないと思う。何か理由があるのかもしれないし…」

 

「そうか…、それもそうだな。ところで、母さんはどうしてる?」

 

「………亡くなったよ。みんなが行方不明になって直ぐに…」

 

「!?…そうか…」

 

「相当ショックだったみたいだ。最後は私を恨んでいた。口には出さなかったけど.、眼がお前のせいだって語っていたよ」

 

《遊奈…》

 

頭を上げたファントムが心配そうに私を見てくるので大丈夫と頭を撫でてやる。

 

「…すまなかった。俺たちが遊奈を1人にしたばかりに…」

 

「遊斗たちのせいじゃない!絶対に!」

 

「遊奈…」

 

「だからそんな顔しないで、ユート兄。それに父さんも言ってたじゃい。泣きたい時は笑えって」

 

ね?っと笑いかけるとユートは苦笑いを浮かべる。

 

「そうだな。でも、本当に辛い時は、家族の前だけでも無理せず泣きたい時は泣け」

 

「うん。でも、それは遊斗もだよ?」

 

「ああ、分かってる」

 

「ほら?次は遊斗の番だよ」

 

「…その事なんだが、俺と一緒にエクシーズ次元から来た奴らがいるんだ。そいつらとあわせて話したい」

 

「?。いいけど…じゃあ戻ろうか」

 

そう言いながら立ち上がると遊斗も立ち上がりローザ達も身体を起こす。

 

《遊斗、ちょっとごめんよ》

 

カブッ!!

 

ファントムがいきなり遊斗の右腕に噛みつく。

 

「な!?」

 

「ファントム!?」

 

《…遊斗の周りだけ、時空を歪ましたんだよ。これで柚子が来てもワープしなくなる。まあ、次元転送装置等でワープも出来なくなっちゃったけど、遊奈か僕がいれば問題ない》

 

ファントムが、そう言いながら腕から口を離す。

遊斗の腕は特に変わった様子はなかったが、ファントム言う通り遊斗の周りの空間が軽く歪んでるのが見えた。

まあ、私とファントムにしか分からないけどね。

 

「初めからやるって言ってよ!?ビックリするでしょ!…ごめんね遊斗」

 

「いや。大丈夫だ」

 

「…じゃあ、目を瞑って」

 

遊斗が目を閉じるのを確認すると力を使って精霊界を後にした。

 

 

───────────────────────

 

 

さっきまでいた、倉庫前に戻って来れたのを確認すると遊斗に声をかける。

 

「もう、目を開けて大丈夫だよ」

 

「っ…戻ったのか?」

 

「うん。身体は大丈夫?体調悪くなってない?」

 

これ慣れてないと気持ち悪くなるから心配して聞いてみる。

 

「大丈夫だ。それよりもファントムとローザはずいぶん小さくなったな」

 

私の両肩にいる小さくなったローザ達を見てユートが少し驚いたように聞く。

 

「普段は小さくなってもらってるんだよ。それじゃあその人達を探そうか?どこにいるの?」

 

「ああ、連絡するから少し待っててくれ」

 

「了解」

 

私が返事をすると、遊斗は少し離れてディスクを使って電話をする。

 

《ああいう、機能は変わらないんだね》

 

「そうだね」

 

確か、他にもデュエル中に痛みを感じる機能と人をカード化出来る機能があった気がするけど、今度どうなってるのか見せてもらおうかな?

 

《遊奈。あなたのも鳴ってますよ》

 

「え?あ、柚子からだ…。もしもし柚子!無事!?」

 

『う、うん。私は無事よ。それよりも、遊奈こそ今どこにいるの?塾に戻って素良君たちに聞いたらメモ書きとお菓子の袋だけ玄関にあったって言ってたから』

 

「メモにも書いて置いたけど柚子を探してて、今港にいるよ。どうやらすれ違ったみたいだね」

 

『そうみたいね…』

 

「あ、柚子には、報告して置かないと…。遊斗が見つかった」

 

『遊斗…?あっ』

 

「その様子だと忘れてたみたいだね」

 

まあ、最後にみんなで会ったのも小さい時だし、私からも話してなかったから仕方ないかな。

 

『う…。そういえば遊奈は四つ子の兄妹だったよね。なんで忘れてたんだろ…。ごめんなさい』

 

「別に気にしなくていいよ。叔父さん達も私に気を使ってなのか全く遊斗達の事、話さなかったしね」

 

『でも、そっか…。見つかったんだね』

 

どこかスッキリした様子の柚子。おそらく、私が沢渡を傷付けたとでも思っていたんだろうね。

 

『…実は私、遊斗に助けられたの』

 

「遊斗に?」

 

『うん。でもいきなりどこかに消えちゃったから、てっきり遊奈が変装して助けてくれたのかと思った』

 

「まあ、一卵性の四つ子(男女)だからね。柚子が間違えるほど、そっくりなのは仕方ないよ」

 

《一卵性の四つ子、しかも男女って産まれるのかってレベルだよね》

 

私だって未だに信じられないよ。

龍亞と龍可の時(一卵性の男女の双子)でさえ奇跡的って言われてたからね。

 

実際、私たちが産まれた当時、病院内はすごかったらしいよ。

 

《終わったみたいですよ》

 

視線を遊斗に戻すと、遊斗がこちらの様子を伺うように見てきた。

 

「とりあえず、遊斗がいるから、このまま家に帰るね。柚子はどうする?」

 

『久しぶりの兄妹の仲に水を差すつもりはないわ。私からお父さんに伝えておくから。遊斗に助けてくれてありがとうって伝えといてくれる?』

 

「うん、了解。それじゃあまた明日」

 

通話を切ると遊斗が近づいてくる。

 

「柚子が助けてくれてありがとうって」

 

「いや、俺も別の用事があったからな」

 

用事?

ああ、この時はLDSがアカデミアと繋がってると思ってるんだったっけ?

 

「それでも、私からもお礼を言わせて。ありがとう遊斗。ところで、そっちはどうだった?」

 

「ああ。直ぐこちらに向かうそうだ」

 

「そっか。そういえば、遊斗はいつから精霊が見えるようになったの?」

 

「確か…リベリオンの名前が変わった時からか…」

 

「もしかして、前は『ダーク・リベリオン・ドラゴン』だったとか?」

 

「! ああ。その様子だと遊奈のオッドアイズもそのようだな」

 

「うん。かなり最近、『オッドアイズ・ドラゴン』が『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』になったんだよ。さっきの遊斗みたいに」

 

あの時はデッキのモンスターごと変わったけどね…

 

「…おーい!遊斗!」

 

「おいおい…」

 

声がした方を見ると茶色いフードを被った人物が2人。1人は遊斗の名を呼びながら手を振り、もう1人はどこか呆れたようにツッコんでいた。

 

「…あの馬鹿…!」

 

「アハハ…来たみたいだね?」

 

額に手を当て思わず呟く遊斗。

向こうでも苦労してたみたいだ。

 

《まあ、どこに敵がいるのかも分からない場所でアレだと頭抱えたくなるよね。…にしても聞いたことある声な気がしたけど…》

 

言われてみれば、聞いたことあるかも。

でもエクシーズ次元に知り合いはいないよ?

 

にしても、フード被った人物が三人とか怪しすぎるんだけど…

ん?私?戻る前にフード被りました。

 

《これで、遊斗まであのマスクにゴーグル姿だったら、完璧に不審者の集まりだねw いたっ!》

 

とりあえず、失礼なファントムを肩から落として黙らせる。

 

遊斗がいいのか?っと言いたげに見てくるが気にしなくていいよ。いつもの事だから。

 

そうこう言ってるうちに2人がこちらへ来た。

 

「急にお前の信号が消えたから驚いたぜ」

 

「すまない。いろいろあったんだ。そっちはどうだった?」

 

「全然。あいつがどこにいるのか全く検討つかないぜ〜。本当どこ行っちまったんだ?」

 

「地道に探していくしかねぇだろ。遊斗、お前の方はどうだったんだ?」

 

「…LDSの生徒達に接触したが、ハズレだった。あいつらはアカデミアの事も何も知らなかった」

 

「そうか。んで、そいつは?」

 

「あ、俺も気になってたんだ。誰だ?そいつ」

 

「紹介が遅れたな。俺の妹の遊奈だ」

 

「マジかよ!見つかったのか!」

 

どちらかといえば、遊斗の方が行方不明者だったんだけど、まあいいか。

 

「初めまして、いつも兄の遊斗がお世話になってます。妹の榊遊奈です」

 

一応、礼儀正しく自己紹介する。

レジスタンスの人たちとはこれから長い付き合いになると思うから、第一印象を悪くしたくはないしね。

 

《痛たた…だからいきなり肩から落とさないでよ…。僕、飛べない竜だよ?》

 

嘘おっしゃい!

それに失礼なことを言ったファントムが悪い。

少し反省しなさい。

 

《ごめんってば遊奈〜》

 

ファントムが慌てて私の前で謝ってるが無視をする。

 

《……ファントム…?》

 

「《え…?》」

 

そう声がした方を見ると背が少し低い方の少年(?)の傍に水色の幽霊の様な人物がいるのに気がつく。

 

「アストラル!?って事はもしかして遊馬…!?」

 

《やはりな》

 

「俺たちを知っていて、ファントムがいるって事は… 龍奈(ルナ)なのか?」

 

「!、そうだよ。久しぶり。また会えるなんて思わなかった…」

 

懐かしくて思わず泣きそうになりながらも、そう笑っていう。

 

「龍奈…!」

 

「!? …え、えっと…」

 

遊馬の隣にいた人物がいきなり私に詰め寄って両肩を掴む。私は状況が飲み込めずその人をマジマジと見つめると、オレンジ色の髪がフードから覗いているのに気がつく。

 

「零なの?」

 

「やっと分かったのかよ。この野郎」

 

「痛っ!」

 

そう言われてデコピンされる。

 

「仕方ないでしょ?みんなフード被っていたんだし…」

 

「…2人は遊奈と知り合いなのか?」

 

思わず額に手を当てながらそう言い訳をすると、ユートが少し驚いたように聞いてくる。

 

「うん。前世でエクシーズが主流になっていた世界にいたって言ったでしょ?そこで2人に出会ったんだよ」

 

《前世ぶりの再会ってヤツだね。にしてもよく記憶が戻ったね》

 

「思い出した時はビックリしたけどなぁ。まあ、おかげでアストラルとも再会出来たし、アカデミアが襲ってきた時に応戦することも出来たから良かったけどな!」

 

「そうだったのか」

 

「まあ、積もる話もいろいろあると思うから私たちの家に向かおうよ。遊斗」

 

「そうだな」

 

───────────────────────

 

遊斗達を連れて家に帰って来ると犬のアンと猫のコールが遊斗に突進する勢いで飛びついて、ユートが後ろにいた零を巻き込んで倒れたハプニングが起きたりしたが、リビングでエクシーズ次元で起こった事を聞いていた。

因みに遊矢として普段は男装してることも常に話している。

 

「…ねえ。その黒咲ってヤツ見つけたら1発殴っていいかな?」

 

「おい…」

 

いい笑顔でニッコリと笑いながらそう言うと真月になぜか冷や汗をかきながらツッコまれる。

 

「いやだって、いくら妹が拉致されたからって止めたカイトを(物理で)黙らせて1人で先走って行っちゃったんでしょ?カイトだって同じ気持ちだったのにさ」

 

あの兄弟は幸せに暮らせない運命なのか…

とりあえずハルト君を襲ったアカデミアの奴は私がマイクラするとして←

先ずは黒咲さんだ

 

「気持ちは分かるけど、落ち着けよ、な?」

 

「遊馬…分かった」

 

そうニッと笑う遊馬。うん。やっぱりカウンセリングの才能あるよね

 

 

「…で、三人は黒咲さんとその妹さんを探して、エクシーズ次元からこの次元に来たって事でいいのかな?」

 

「ああ…それとアカデミアとLDSの関連性についてもな」

 

《確か、赤馬零児がアカデミアを支配してる奴の息子だからだっけ?》

 

「ファントム詳しいな。その通りだぜ」

 

「もし、赤馬零児が奴にとって人質になり得る人物ならば…「それは難しいんじゃないかな」…なぜだ?」

 

遊斗の言葉を間髪入れずに否定する。

 

「私がいる事で変わる可能性はあるけど…おそらく、赤馬零児を人質にしてもアカデミアは止まらない」

 

「そうか…。確かに今日接触したLDSの生徒達は何も知らなかったしな」

 

「100%敵じゃないって言えないのがアレだけどね…。でも、そのうちあっちから接触してくると思うよ。あちらにしても誰が来たのか気になるだろうし」

 

「んじゃあ、LDSの動きを見つつ、隼と瑠璃を探すって事でOKか?」

 

真月がそうまとめると全員頷く。

 

「それじゃあこの話は終わりにしよ!ところで遊斗はともかく、遊馬達は泊まるところとか決まってるの?」

 

「いや…まだだ」

 

「なら、うちに泊まらない?部屋余ってるしさ。ね?遊斗」

 

「2人が良いなら構わない」

 

「マジか!?サンキューな!遊奈、遊斗!」

 

「しばらく世話になるぜ」

 

「うん。こちらこそ、よろしくね♪(でも、明日どうしよ…)」

 

また会えるとは思わなかった人たちと再会出来て嬉しく思う反面、私は、明日起こるであろう出来事に頭を抱えたくなったのだった。




真月と遊馬のキャラが掴めてない気ががが
真月にするかベクターにするか迷いましたが、真月に。

そして洋子さんファンの方申し訳ありません!
けして嫌いというわけではないんです…

しかも、途中アストラルとローザがログアウトしてましたね…
すみません。
↓少しだけおまけ置いておきます。

【おまけ】

「遊奈、これを返すぜ」

そう言うと1枚のカードを遊奈に渡す。

「約束だったろ」

「そうだったね。…この子は君の力になれた?」

「当たり前だろう…」

お前が消えてこのカードがどれだけ心の支えだったか…。
絶対本人には言わないがな。
遊奈の後ろで白い竜が俺を見て笑ってる気がするが無視だ。

「そっか、ならよかった。ありがとう零」

「それは俺のセリフだろ。…本当にいいのか?」

「え?」

突然話を切り替えた俺を、きょとんとした顔で見上げてくる遊奈。
こういう仕草は転生しても変わらないらしい。

「本当に俺たちと共にアカデミアを倒すのか?」

前世でも散々その身を捧げたというのに…

「ふふ…!」

「笑うなよ…」

「クスクス…なんか零、丸くなったね。遊馬先生のおかげかな?」

「うるせぇ」

バツが悪くなったのでそう吐き棄てて遊奈から視線をそらす。
心配した俺が馬鹿みたいじゃないか

「…ありがとう。でも私は大丈夫だよ?1人じゃないから」

そうカードを胸に抱いて祈るように瞳を閉じて微笑む彼女を見て、俺は不覚にもドキッとしてしまった。

それを誤魔化すように遊奈の頭をわしゃわしゃ撫でる。

「ちょ!髪が乱れるよ!」

「うるせぇ」

赤と緑の髪が乱れるのを見て少しだけ満足すると、手櫛で整えてやる。意外にサラサラした髪質だったためか直ぐに戻る。

「もう〜。なんなのさ。いきなり」

そう遊奈はむくれるが、直ぐに仕方ないなぁと苦笑いを浮かべる。

ああ、その笑顔を守りたいと思う。
俺を闇から救ってくれた遊馬と遊奈の力になりたい。
遊馬の呼ぶ声に返事をしながらそう決意するのだった。


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第6話 LDS来襲

一年以上放置してしまって忘れてしまっているとは思いますが更新。
長い為、何話かに分割しました。

お待ちいただいた方(いるとは思いませんが…)には大変遅くなってしまいすみませんでした。
それではどうぞ


「遊奈!ユートが見つかったって本当なのか!?」

 

翌日、塾に行くとさっそくおじさんから問い詰められる。

 

「う、うん。本当だよ。ちょっと今日は来れないみたいで…後日、連れてくるよ」

 

「そうか…。無事でよかった」

 

そうおじさんは、涙ぐむ。

 

そんなおじさんを見てちょっとだけ心が痛む。

ユートが来れないというのは嘘だからだ。ユート達には今日1日、家で待機するようにお願いしている。

 

『遊矢はそんな奴じゃない!!』

 

「「!!」」

 

外から男の怒鳴り声が、聞こえてくる。

 

「この声…権現坂か…?」

 

「どうしたの!?遊矢、お父さん」

 

塾の奥から柚子が駆け寄ってくる。

 

「分からない。取り敢えず、外に出てみよう」

 

外に出てみると、権現坂と男三人…沢渡の取り巻きが言い争いをしていた。

 

「いったい何の騒ぎだ!?」

 

「ああ、塾長。遊勝塾を覗く妖しき三人の男に気づき、問い詰めた所、昨夜遊矢が闇討ちしたなどとけしからんことを…」

 

「闇討ち!?」

 

「俺が?何の話だ…?」

 

思わず眉を寄せながら答える。

犯人はユートなのだが、あれは柚子を守るため、言わば正当防衛にあたる。それなのにユートが疑われるのなら自分が疑われた方がマシだ。だからユートには家に居るように言ったのだ。

 

「惚けるな!忘れたとは言わせねぇ!」

 

「俺達もその場にいてこの目で見てるんだ!」

 

「なら問うが、物的証拠はあるのか?」

 

「し、証拠はないが証人が4人…いや、5人いれば充分だろ?なあ?柚子ちゃん?」

 

「何の話?あの場には遊矢は居なかったわ」

 

そう言ってキッと取り巻き3人を睨む柚子。

柚子も察してくれたらしい。

 

「惚けるなよ!」

 

「…なら仮に俺がその沢渡襲撃の犯人だとしよう、だがそうだとしてもそれは、そっちが行って来た強盗傷害行為に対する防衛行為って事になる。実際、何日前の放課後にはLDSからの指示で俺からペンデュラムモンスターを盗もうとしたし、更に昨日の夕暮れ時に、俺に闇討ちを仕掛けようとしているのをこの耳で聞いているから、ね?柚子」

 

「ええ。私も聞いたわ」

 

「なっ!?何を証拠に」

 

「これ、その時にそっちの上層部と沢渡による通信を傍受したのと、闇討ちを仕掛けようとしているのを会話する様を録音したのが入ったメモリーなんだけど…LDSの理事長さん?」

 

「くっ…何故それを持っているのですか!?」

 

赤い髪の女性が車から降りながらそう言った。

そっちの黒を隠蔽して、こっちのグレーを突こうなんて千年早いのよ。

遊星兄に鍛えられたメカニックスキルを甘く見ないでよね!

 

《そうだそうだ!遊奈に喧嘩売るなんて千年早いんだよ!》

 

ファントムがそう言う中、おじさんは思わずといった様子でその名前を口にした。

 

「貴方はLDSの!?」

 

「はい。理事長を努めております、赤馬日美香と申します」

 

この辺り結構曖昧なんだけど、社長さんの母親が来るとは思わなかったなぁ

にしても髪型凄い目立つね。

 

《遊奈も負けてないよね》

 

うるさいよ。

緑と赤のトマト見たいな髪型が、かなり目立つからこうしてフード被ってるんじゃないか。

 

気を取り直して話しを続ける。

 

「…さて、上層部も絡んだ組織的なペンデュラムモンスターの強盗傷害未遂、逆恨みによる闇討ち、まだこの件に関して俺がグレーでも、クロだと判明しても罪に問われる可能性が低い防衛行為に対する恫喝…これが明るみに出ればLDSはどうなるか、まあ深く考えずとも分かりますよね?」

 

「我々を脅迫するつもりですか…?」

 

《先に仕掛けて来たのはそちらのはずだよ》

 

全くだよ。そっちから喧嘩売って来たんだから、こっちだって容赦しない。でも向こうも引きそうにないな…

 

「このままじゃあ話は平行線になりそうですね。一先ずは保留にして、デュエルで決着を付けましょうか?ちょうどそちらのデュエリストが何人かスタンバイしているみたいですし」

 

「良いでしょう…。貴方達、出て来なさい!」

 

VIPカーから、私と同じ位の、少年少女3人が降りてくると、双方の要求を話し合う。

 

「我々は貴方が持っているメモリーと、遊勝塾をLDSの物にする権利を要求します。」

 

「…ならこちらは、沢渡の件を不問にする事と、今回の件の賠償金として、そちらの最新式ソリッドビジョンシステムを2基と遊勝塾のリフォーム工事の費用を要求します」

 

「…良いでしょう。その要求で構いません」

 

あれ?意外とすんなり要求が通ったね。

 

《勝つつもりでいるんじゃない?でも遊奈達なら大丈夫だよ。遊奈のおかげで、柚子達も原作よりずっと強くなってるからね。でも油断せずに行こう》

 

「(そうだね)では、始めましょうか?貴方達LDSと遊勝塾をかけた決闘(デュエル)を!」

 

そう言い放つと、私はというか私達は遊勝塾内に戻って行った。

 

「遊矢、いつの間にあんなメモリーを用意してたの?」

 

「ん?沢渡に拉致された時から。ああ言う奴は、なかなかしぶといからね」

 

「そう…」

 

どこか納得したように柚子が頷くと、おじさんが話しかけて来る。

 

「遊矢、まさか今回の件…」

 

おじさんが、言おうとしてるのはユートの事だと分かったので頷いておく。

 

「そうか…。でもあいつは本当に無実なんだな?」

 

「当たり前だよ」

「分かった。なら俺も覚悟を決めよう」

 

「…男、権現坂。俺もお前たちを信じよう」

 

「ありがとう。みんな」



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第7話 VS北斗①

続けて投稿。
間違えていたらすみません。

今ではリンク召喚という新しい召喚法がでて、ルールも変わってしまいましたが、レギュレーションなどは当時と変わらない感じでやって行きたいと思います。


「三人対三人。先に二勝した方が勝ちという事でいいわね。…それでは誰から?」

 

「僕ー!」

 

「いや、俺から行く」

 

素良君ごめんね。と内心謝りつつ前へ出る。

 

「当然よね。他の2人は頼りなさそうだし。先に何としてでも一勝上げておきたいと考えれば、他に選択肢は「ちょっと!何それおばさん!?僕の力も知らないくせに!」…」

 

「いいから」

 

柚子が素良をなだめる。

 

「…だけど簡単に勝てるとは「御託はいい。さっさとそっちの相手を出してもらおうか」…志島君」

 

最初に素良、次に私が言葉を遮ると理事長は顔を歪ませるが、直ぐに戻ると後ろに控えて居た1人に声をかける。

 

「俺はLDS所属、エクシーズコースの志島北斗だ」

 

そう、前に出たのは奇抜な形状の紫髪、名前の元となったであろう北斗七星を象ったイヤリングを左耳に付けた少年、志島北斗。

 

《あいつ、確かセイクリッド使いだったはずだよ》

 

セイクリッドか…。私もよくM7さんにはお世話になったなぁ。

…ここは、魔導書で行くか。

 

「遊勝塾の榊遊矢だ。よろしく」

 

───────────────────────

 

「此処星の聖域コスモ・サンクチュアリにて、君には僕の41連勝の踏み台になって貰おう」

 

そう北斗が言うとフィールドがコスモ・サンクチュアリに変わる。

セイクリッドに相応しい舞台ではあるね。

おそらく、彼が一番得意とするアクションフィールドだろう。

でも、そんなの関係ない。いつも通り、本気のデュエルをするだけだ。

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

 

「モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!」

 

「フィールド内を駆け巡る!」

 

「見よ、これぞデュエルの最強進化系、アクショーン!」

 

「「デュエル!」」

 

先攻 Yuna LP 4000 VS 後攻 Hokuto LP 4000

 

「俺のターン。『魔導書士バテル』を守備表示で召喚」

 

魔導書士バテルDEF 400

 

 

「バテルの効果で『グリモの魔導書』を手札に加え発動。このカード以外の魔導書と名のついたカードを一枚加える。『セフィルの魔導書』を手札に加えて発動するよ!このカードはフィールド場に魔法使い族がいる時、手札の魔導書と名のついた魔法カードを相手に見せ、墓地の魔導書をコピー出来る。『魔導書院ラメイソン』を見せて墓地のグリモをコピーする。効果で『トーラの魔導書』を手札に加えるよ。更にフィールド魔法『魔導書院ラメイソン』を発動し、カードを3枚伏せターンエンド」

 

 

【魔導書院ラメイソン】

フィールド魔法

自分フィールド上または自分の墓地に魔法使い族モンスターが存在する場合、1ターンに1度、自分のスタンバイフェイズ時に発動できる。「魔導書院ラメイソン」以外の自分の墓地の「魔導書」と名のついた魔法カード1枚をデッキの一番下に戻し、デッキからカードを1枚ドローする。また、このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地の「魔導書」と名のついた魔法カードの数以下のレベルを持つ魔法使い族モンスター1体を手札・デッキから特殊召喚できる。

 

 

Yuna

LP 4000

手札 1

バテル(守備表示)

魔法・罠カード 伏せ3枚、ラメイソン

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

 

───────────────────────

 

ーSide/???

 

靴音を響かせながら遊勝塾の観覧席に行くと赤馬理事長がこちらに気づく。

 

「あら、なぜあなたがここにいるのですか?確か帰国は明日と聞いてましたが…」

 

「お久しぶりです理事長。なぜか胸騒ぎがしたので僕だけ急いで帰って来たんです」

 

すると、その場にいた人達が僕に気づき、驚いたような顔をする。

 

「あ、貴方はプロデュエリストの…!」

 

男性の言葉に微笑みながら会釈すると理事長に顔を戻す。

 

「それに僕達がいない間に面白い話も聞きましたよ?ペンデュラム召喚でしたっけ?」

 

「ええ…。ほらあそこで北斗君とデュエルしている子がペンデュラム召喚を使った榊遊矢君です」

 

あのカードは!?

理事長が示した方を見ると僕は驚いてしまう。

遊矢君の場にはこの世界にはないはずのモンスターカードがあったため…いや、違う。正確には前世で、あの子だけが使っていたカードがあったのだから…

それに聞いたことある苗字に疑問をもらす。

 

「…榊?と言うと彼は」

 

「ええ。あの榊遊勝の息子です」

 

「そうですか…(まさか…)」

 

 




謎の男とは一体誰のことでしょうか?(笑)


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第8話 VS北斗②

めちゃくちゃ長くなった()
分割してこれって…
どうしてこうなった(笑)

ともあれ、連投です。

追記
誤字多くてすみませんでした。
修正致しました。
当時のレギュレーションとは言いましたが、カードに関しては汎用性の高いカード等は例外で入れさせてくださいm(_ _)m


───────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

「(魔導書?聞いたことないカテゴリーだな…まあいい)エクシーズ、ペンデュラム召喚はどうした?やけに控えめじゃないか!ならこっちから行くぞ!僕のターン!ドロー!まずは君の場にだけモンスターが存在する事で、『セイクリッド・シェアト』を守備表示で特殊召喚!」

 

セイクリッド・シェアトDEF1600

 

サイドラと同じ効果で出てきたのはみずがめ座のδ星と同じ名前を持つ天使、セイクリッド・シェアト。

 

「続いて『セイクリッド・ポルクス』を召喚!」

 

セイクリッド・ポルクスATK1700

 

「ポルクスの効果で、僕はセイクリッドをもう1体召喚出来る!『セイクリッド・グレディ』を召喚!」

 

セイクリッド・グレディATK1600

 

「このカードの召喚に成功した時、手札から「セイクリッド」と名のついたレベル4モンスター1体を特殊召喚できる。『セイクリッド・カウスト』を特殊召喚!」

 

セイクリッド・カウストATK1800

 

 

《カウストが来たって事はあいつが来るよ!》

 

分かってる。にしてもかなり回ってるなぁ。

 

「『セイクリッド・カンスト』の効果発動!1ターンに2度、セイクリッドと名のついたモンスターのレベルを1つ変化させる。僕は1度目の効果で『セイクリッド・グレディ』のレベルを1つ上げる!」

 

カンストが矢を天に向かって放つと複数の光の矢がグレディに降り注ぎグレディのレベルを変化させた。

 

グレディ☆4→5

 

「そして、2度目の効果でカンスト自身のレベルを1つ上げる!」

 

カウストが二度目の矢を真上に放つとグレディと同じように複数の光がカウスト自身に降り注ぎレベルが変わった。

 

カンスト☆4→5

 

「僕はレベル5のカンストとグレディでオーバーレイ!星々の光よ、今大地を震わせ降臨せよ!エクシーズ召喚、ランク5!『セイクリッド・プレアデス』!」

 

セイクリッド・プレアデスATK2500

 

やはりプレアデス!

 

「プレアデスの効果発動!ORUを1つ使い、君の伏せカードを手札に戻す!」

 

プレアデスORU 2→1

 

Yuna手札1→2

 

「くっ(トーラが。ラメイソンや他のガードじゃなくて良かった)」

 

「これで、シェアトの効果を使うことが出来る。今しがた墓地へ送ったグレディを対象にシェアトの効果発動!シェアトのレベルは、グレディと同じ4になる!」

 

シェアト☆1→4

 

「更にシェアトとカウストをオーバーレイ!2体のレベル4・セイクリッドモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!満たせ星々の輝きよ!流星の如き星光、夜空を駆け抜ける!エクシーズ召喚、ランク4!『セイクリッド・オメガ』!」

 

セイクリッド・オメガATK2400

 

オメガか、厄介のが来たな。でもやる事は変わらない!

 

「行くぞ!プレアデスでバテルを攻撃!」

 

「リバースカードオープン!『月の書』!」

 

「甘い!オメガの効果発動!ORUを1つ使い、自分フィールド上の全ての「セイクリッド」と名のついたモンスターは、このターン魔法・罠カードの効果を受けない」

 

オメガORU2→1

 

 

「プレアデスを裏側守備表示にするつもりだったんだろうけど、残念だったね!」

 

「外れだよ。バテルを裏側守備表示にする!」

 

「何!?」

 

攻撃宣言をしたため、そのままプレアデスは裏側守備表示のバテルを破壊する。

 

「バテルの効果で『魔導書の神判』を手札に加える」

 

Yuna手札2→3

 

「しかし、これで君を守るモンスターはいない!オメガで、ダイレクトアタック!」

 

「手札から『速攻のかかし』の効果発動!このカードを墓地に送り、戦闘を無効にし、バトルフェイズを終了する!」

 

Yuna手札3→2

 

北斗は近くに落ちてきたアクションカードを拾う。

 

「チッ!アクションマジック!『ブルー・コメット』発動!フィールド場の魔法カード1枚を破壊し、500ポイントのダメージを与える!僕は榊遊矢!君のラメイソンを破壊する!」

 

その名の通り、青い隕石がラメイソンを破壊し、その欠けらが私を襲ってくる。

 

Yuna LP4000→3500

 

「くっ、ラメイソンの効果発動!このカードが相手によって破壊され、墓地に送られた時、自分の墓地の魔導書と名のついた魔法カードの数以下のレベルを持つ魔法使い族モンスター1体を手札・デッキから特殊召喚できる!墓地に眠る魔道書の数は3枚。デッキからレベル1『エフェクト・ヴェーラー』を特殊召喚!」

 

ヴェーラーDEF 0

 

「…オメガで、オーバーレイネットワークを再構築!眩き光もて降り注げ!エクシーズ召喚!現れろ、ランク6!『セイクリッド・トレミスM(メシエ)7』!この方法で召喚されたターンは効果を使うことが出来ない。カードを一枚伏せ、ターンエンド」

 

M7 ATK2700

 

Hokuto

LP 4000

手札 1

プレアデスORU1(攻撃表示)

M7 ORU2(攻撃表示)

魔法・罠カード 1枚

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

Yuna

LP 3500

手札 2(トーラ、神判)

ヴェーラー(守備表示)

魔法・罠カード 伏せ1枚

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

 

「俺のターン!ドロー!手札から速攻魔法『魔導書の神判』発動!」

 

「さっき手札に加えたガードか」

 

「ああ。このカードはエンドフェイズ時、発動したターンの間に使用した魔法カードの枚数までデッキから【魔導書】を手札に加える」

 

「まさか、このターンで大量に手札を使用してもエンドフェイズ時に手札が回復するというのか!?」

 

「その通り!そして『命削りの宝札』発動。手札が5枚になるようにドローする」

 

Yuna手札1→5

 

【命削りの宝札】

通常魔法 アニメ効果

自分の手札が5枚になるようにドローする。5ターン後のエンドフェイズに全ての手札を墓地に置く。

 

 

「手札が一気に増えただと!?」

 

「その代わり、5ターン後、全ての手札を捨てるようだけどね」

 

その前に決着をつける!

 

「『手札抹殺』発動。お互いに手札を全て捨て、その枚数分カードをドローする」

 

「くっ」

 

私は手札4枚捨て4枚ドローし、北斗は手札1枚捨て1枚ドローした。

 

「更に、手札から墓地に送られた事で『代償の宝札』の効果発動するよ!更に2枚ドロー!」

 

Yuna手札4→6

 

 

「さあ、皆さん拍手でお出迎い下さい!手札のアルマ、ヒュグロ、ルドラの魔導書を見せ、手札から『魔導法士ジュノン』を特殊召喚!」

 

ジュノンATK2500

 

【魔導法士ジュノン】

効果モンスター

星7 魔法使い族 光属性 攻2500 守2100

手札の「魔導書」と名のついた魔法カード3枚を相手に見せて発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。また、1ターンに1度、自分の手札・墓地の「魔導書」と名のついた魔法カード1枚をゲームから除外して発動できる。フィールド上のカード1枚を選択して破壊する。

 

『来たー!遊矢兄ちゃんの切り札の一枚!』

 

「手札から魔法カードを見せるだけで特殊召喚だと!?」

 

「正確には魔導書と名のついた魔法ガードだけどね。因みに、プレアデスの効果を使っても、また効果発動出来るからね」

 

「インチキ効果も大概にしろ!」

 

「M7使ってる君に言われたくないな。ジュノンさんの効果発動!1ターンに1度、墓地または手札の魔導書を除外して、フィールド場のカードを一枚破壊する!俺は墓地のグリモを除外し、君のプレアデスを破壊するよ!」

 

「なら、それにチェーンしてプレアデスの効果発動!最後のORUを使って君のエフェクト・ヴェーラーを手札に戻す!」

 

「させない!速攻魔法『禁じられた聖杯』発動!プレアデスの効果を無効にする!これで君のプレアデスは効果を使う事が出来ない!行け!シャイン・ジャッジメント!」

 

ジュノンさんが魔導書を開き呪文を唱えると光の玉がプレアデスを破壊した。

 

「くっ!プレアデス!」

 

「更に『アルマの魔導書』発動。除外したグリモを手札に加えて、発動。セフィルを手札に加え、発動。ルドラを見せ、グリモをコピーし、ゲーテを手札に加える。『死者蘇生』発動!墓地の『魔導冥士ラモール』を蘇生させるよ!」

 

ラモールATK2000

 

「ラモールさんの効果発動!このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、墓地の魔導書が5種類以上あるので、全て発動。チェーン処理するよ。まずばラモールさんの攻撃力が600上がる」

 

ラモールATK2000→2600

 

「更に、デッキから魔導書と名のついた魔法カードを手札に加える。ラメイソンを手札に加える。そして、デッキからレベル5以上、魔法使い族、闇属性のモンスターを特殊召喚する!俺は『ブラック・マジシャン』を特殊召喚!」

 

ブラック・マジシャンATK2500

 

「『ブラック・マジシャン』!?驚いた。まさかこんな所で伝説のレアカードを目にするなんて…!しかしいくら上級モンスターを並べたって僕のトレミスには僅かに及ばない!」

 

「それはどうかな?」

 

「何!?」

 

「お楽しみはこれからだ!ルドラの魔導書を発動!手札のラメイソンを墓地に送り、デッキから2枚ドロー。更に『魔導戦士フォルス』を召喚!」

 

フォルスATK1500

 

「フォルスの効果。墓地のグリモをデッキに戻し、フォルス自身のレベルを1つ上げ、攻撃力を500アップする」

 

フォルス☆4→5 ATK1500→2000

 

「そして『ヒュグロの魔導書』を発動!魔法使い族一体の攻撃力をこのターン1000ポイントアップする!ラモールさんの攻撃力を3600にアップする!」

 

ラモールATK2600→3600

 

「な、攻撃力3600だと!?くっ!」

 

「行くよ!ラモールさんで、トレミスを攻撃!」

 

「アクションマジック『奇跡』!自分フィールド上のモンスター1体は破壊されず、戦闘ダメージを半分にする!くっ!」

 

Hokuto LP4000→3550

 

「おのれ…40連勝中のこの僕を…ただの一度も削られた事ない僕のライフを…!」

 

「(行けると思ったのに)なら…」

 

《遊奈。僕達を》

 

! でも…

 

《お願い。私達はあなたの力になりたい》

 

…分かった。行くよ!

 

「俺はレベル6『魔導冥士ラモール』にレベル1『エフェクト・ヴェーラー』をチューニング!月を司る竜神よ。今、暗闇を照らす光となり、降臨せよ!『ムーンライト・ドラゴン』!」

 

ムーンライトATK2800

 

満月から光が降りると蒼白い竜神が姿を現わす。どうやらシステムにも異常が見られないため、成功したみたいだ。

 

「更に、レベル7『魔導法士ジュノン』と『ブラック・マジシャン」でオーバーレイ!2人の魔術師でオーバーレイネットワークを構築!太陽を司る竜神よ!闇を晴らす光となり、降臨せよ!『サンライト・ドラゴン』!」

 

サンライトATK2800

 

ブラックホールから、眩い光とともに白い神竜が姿を現わす。その姿はムーンライトとどこか似ていた。

 

ブラン、アンジュ。久しぶりにあなた達の力を借りるよ。

 

《水臭いこと言わないで下さい》

 

《僕達は君の力でもある。君が望むならいくらでも力になるよ》

 

ありがとう。

久しぶりに見た二匹の竜を見上げながらそうお礼を言った。

 

 

───────────────────────

 

ーSide/???

 

「綺麗…」

 

誰かがそう感嘆な呟きをもらす。

 

ムーンライトとサンライト!間違いない。あの子は…

 

二匹の竜を見ながら僕は確信をしていた。

 

───────────────────────

 

ーSide/???

 

見たことがないカード軍から出て来たのは、これまた、見たことないドラゴン達だった。

 

明らかに我が社…いや、この次元に存在しないカードだ。

なぜそんなカードを彼がいや、彼女が持っているのか…

そして、彼の反応も少し気になるな

 

そう思いながら、視線を榊から彼に向けた。

 

───────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

「シンクロとエクシーズ召喚を同時にだと!?(しかもなんだ?!このモンスターは!?)」

 

「カードを2枚伏せターンエンド。このエンドフェイズ時に神判の効果で、神判以外の魔導書と名のついた魔法カードを9枚ドロー。更にこの効果で手札に加えたカードの数以下のレベルを持つ魔法使い族モンスター1体をデッキから特殊召喚するよ!再び現れよ!『魔導法士ジュノン』!」

 

手札2→0→9→6

 

ジュノンATK2500

 

 

Yuna

LP 3500

手札 6枚

ムーンライト(攻撃表示)

サンライト(攻撃表示)

ジュノン(攻撃表示)

フォルス(攻撃表示)

魔法・罠カード 伏せ3枚

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

 

Hokuto

LP 3550

手札 1

プレアデスORU1(攻撃表示)

M7 ORU2(攻撃表示)

魔法・罠カード 1枚

 

RPゾーン:

LPゾーン:




またまた謎の人物登場(白目)
まあ、予想つきますよね?(笑)

とりあえず、連投はここまでにします。
最近はVRAINSにはまってます。
遊作カッコ可愛い←((
リボ様は早く身バレしないですかね?(⌒▽⌒)


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第9話 VS北斗③

オリカ考えるの難しいです…
召喚口上とか考える方尊敬します。

久しぶりに遊戯王復帰しようかな?
でも一緒にやる人ががが…


「僕のターン!ドロー!M7の効果発動!ORUを一つ取り除き、サンライト・ドラゴンを手札…いや、エクストラに戻す!」

 

トレミスORU2→1

 

トレミスがORUを喰らうと、M7から光が放たれ、サンライトを襲うが、サンライトの周りを回るORUがバリアーを貼り、光を弾く。

 

「何!?」

 

「サンライト・ドラゴンの効果発動!X素材を持ったこのカードは魔法、罠、モンスターカードの効果を受けない!よってM7の効果は無効だよ!」

 

「なら、プレアデスの効果でムーンライト・ドラゴンをエクストラに戻す!」

 

プレアデスORU1→0

 

「罠発動!『ブレイクスルー・スキル』!プレアデスの効果を無効にするよ!」

 

「ちっ!プレアデスで、オーバーレイネットワークを再構築!エクシーズ召喚!現れろ!二体目の『セイクリッド・トレミスM7』!」

 

M7 ATK2700

 

「更に『セイクリッド・ソンブレス』を召喚!ソンブレスの効果で墓地のシェアトを除外してカウストを手札に加える。更にソンブレスの効果でカウストを召喚!」

 

セイクリッド・ソンブレスATK1550

カウストATK1800

 

「ソンブレスとカウストでオーバーレイネットワークを構築! 星光の騎士よ、鋭きその刃で侵喰する魔を突き穿て!エクシーズ召喚!聖臨せよ、『セイクリッド・ビーハイブ』!!」

 

セイクリッド・ビーハイブATK2400

 

セイクリッドの特攻隊長!

効果がダメなら純粋に戦闘破壊するつもりか!

 

「M7でフォルスを攻撃!」

 

「っ!」

 

Yuna LP3500→2800

 

「もう一体のM7でジュノンを攻撃!」

 

「くっ!」

 

Yuna LP2800→2600

 

「そしてビーハイブでサンライト・ドラゴンを攻撃!」

 

『えぇー!?攻撃力はサンライト・ドラゴンの方が上だよ!?』

 

いや違う。ビーハイブの効果は…!

 

「ビーハイブの効果発動!ORUを一つ取り除き、このターン、ビーハイブの攻撃力を1000アップさせる!これでサンライト・ドラゴンを上回った!」

 

ビーハイブORU2→1

ATK2400→3400

 

「行け!ビーハイブ!」

 

ビーハイブがサンライト・ドラゴンに攻撃をするが、くず鉄で出来たかかしがサンライト・ドラゴンとビーハイブの間に入り、攻撃を代わりに受ける

 

「何!?」

 

「俺は『くず鉄のかかし』を発動させていた。ビーハイブの攻撃を無効にし、このカードをそのままセットする」

 

「クソ!ならこちらも永続罠カード!『セイクリッド・テンペスト』発動!!」

 

《遊奈危ない!!》

 

空から流星群がこちらに向かって落ちてくる。

建物の近くにいた私は慌てて離れると建物が隕石に当たり崩壊する。

それだけじゃなく次々と隕石が降ってきた。

 

「このカードは自分フィールドにセイクリッドエクシーズモンスターが二体以上いる時に発動出来る!はーはっはっは!砕けろ!砕けろ!」

 

土煙と火の粉でフィールドが覆い尽くされる。

 

「この効果でお前のLPはターン終了時に半分になる。ターンエンドだ!!」

 

Yuna LP2600→1300

 

隕石が止むのと同時に二体の竜が飛び上がる。

サンライト・ドラゴンの背には遊奈が乗っていた。

 

「チッ。しぶとい」

 

Hokuto

LP 3550

手札 1

M7 ORU1(攻撃表示)

M7 ORU1(攻撃表示)

ビーハイブ ORU1(攻撃表示)

魔法・罠カード 0枚

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

Yuna

LP 1300

手札 6

サンライト・ドラゴン

ムーンライト・ドラゴン

魔法・罠カード 伏せ2枚(1枚はくず鉄のかかし)

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

アンジュが助けてくれなかったらちょっと危なかったかも。

ありがとうアンジュ

 

《いえいえ。それよりもあの礼儀知らずの子どもにはお説教をする必要があるみたいです。ねぇ?ブラン》

 

《そうだね。僕達の大切な遊奈を傷付けた罪を償って貰わないと》

 

《相変わらず二匹は過保護だね。でも同感》

 

アンジュから降りると、北斗に目を向ける。

 

「お楽しみはこれからだ!俺のターン!ドロー!今度はこちらの番だ!墓地の魔導書三枚を除外して、墓地から『魔導鬼士ディアール』を特殊召喚!」

 

ディアールATK2500

 

鬼の様な悪魔の様なモンスターが現れる。

 

「リバースカードオープン。『ゲーテの魔導書』発動、このカードは、魔法使い族が自分の場にいる時に発動出来る」

 

「何言ってる?お前の場に魔法使い族はいないだろ?」

 

「いるんだよねぇ、それが。墓地の魔導書三枚を除外してビーハイブを除外する!」

 

「何!?」

 

ディアールが魔導書を開き呪文を唱えるとビーハイブが異次元に飛ばされた。

 

「そいつ、その見た目で魔法使い族なのか!?」

 

「そうだよ」

 

本人も気にしてる事を言わないであげてほしいな…

心なしかディアールも少し、しょんぼりしてる感じがする。

ディアール、私はカッコイイと思うよ!だから元気出して!

 

私が励ますとディアールも何とか立ち直った様だ。

意外と繊細な子なんだよね。

 

 

「それじゃあ行くよ。ムーンライト・ドラゴンで、M7を攻撃!」

 

「ダメージステップ時、手札のオネストを墓地に捨て効果発動!攻撃対象になったM7をムーンライト・ドラゴンの攻撃力の数値分アップする!これで終わりだ!」

 

M7 ATK2700→5500

 

『『『遊矢(兄ちゃん)!』』』

 

焦る様な歓声に、ニッと笑うと高高と声を上げる

 

「貴方がオネストを握っていたのは読めてましたよ!」

 

「何!?ふん!負け惜しみを!やれ!M7!」

 

「ムーンライト・ドラゴンの効果発動!ダメージステップ時、相手のモンスターの攻撃力分アップする!この効果は相手モンスターの攻撃力が変動する場合、同じように変動する!ムーン・リフレクション!」

 

ムーンライト ATK2800→8300

 

ムーンライトがM7の光を反射して眩く輝く。まるで月が太陽の光を反射して輝く様に。

 

「攻撃力8300だと!?くっ!」

 

北斗がAカードを取りに行こうとするがディアールとアンジュが道を阻む。

 

《主人の邪魔はさせない》

 

「届け!月輪のムーンライト・イヤー!」

 

「うわぁぁ!」

 

Hokuto LP3550→750

 

「サンライト・ドラゴンでもう一体のM7を攻撃!日輪のシャイニングライト・イヤー!」

 

「ありえない…この僕が!!」

 

Hokuto LP750→650

 

「これでフィニッシュ!ディアールでダイレクトアタック!」

 

「ぐああああ!!」

 

Hokuto LP650→-1850 LOSE

 

WINNER Yuna

 

 

───────────────────────

 

ーSide/???

 

「遊矢が勝った!!」

 

「よくやったぞ!遊矢!」

 

「(これは想定外だったね…)」

 

「遊矢兄ちゃんの所に行こう!」

 

そういうと、遊勝塾のメンバーが下のフィールドに向かっていった。

 

「まさか、北斗くんが負けてしまうなんて…(でも、ますます欲しくなりましたわ)」

 

《クリクリ》

 

分かってるよクリボー。

僕達もあの子の所に行こうか

 

チラッと向こうの通路に視線を送ると、自分もフィールドに向かった。

 

 

───────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

「ガッチャ!なかなかスリリングなデュエルだったよ」

 

「この僕が負けるなんて…くっ」

 

北斗はそう悔しそうに言うとフィールドから出て行った。

 

「遊矢!怪我は無い!?」

 

北斗とすれ違うように、柚子達がこちらにやってくる。

 

「大丈夫だよ、柚子。擦り傷だから」

 

「まずは一勝だな。よくやった。遊矢!」

 

「遊矢兄ちゃん。あんな痺れるカード持っていたんだね!」

 

「うん!二匹の竜とてもカッコよかった!」

 

「ありがとうみんな」

 

《遊奈》

 

ファントムに言われてそちらに視線を向けると一人の青年がこちらに向かってくる。

柚子達もその青年に気づいた様で道を開ける

 

「君が榊遊矢君かな?」

 

「は、はい」

 

あれ?どこかで会ったことあったような…

 

「久しぶりだね。覚えてないかな?」

 

《クリクリー》

 

そう青年の傍らからクリボーの精霊が現れる。

 

!!

間違いない。この人は…

 

「お久しぶりです。まさか貴方にまた会えるとは思いもしませんでした」

 

頭を下げる。

キングオブ・デュエリスト、武藤遊戯その人に




とういうわけで、謎の男の一人は表遊戯(AIBO)でした。
分かった方いますかね?(笑)

今回出てきたオリカのドラゴン達の紹介をしますね。
正直しんどかった()


【ムーンライト・ドラゴン】
シンクロ/効果モンスター
星7 闇属性 ドラゴン族 攻2800 守2000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
(1)1ターンに一度相手モンスター1体を選択して発動出来る。ターン終了時まで、このカードは、その相手のモンスターの攻撃力分、攻撃力をアップする事が出来る。
この効果は選択した相手モンスターの攻撃力が変動する場合、同じように変動する。
この効果は相手のターンでも利用出来る。
(2)このカードが墓地に送られた時、発動出来る。墓地の「サンライト・ドラゴン」一体を特殊召喚し、このカードを下に重ねてエクシーズ素材とする。


【サンライト・ドラゴン】
エクシーズ/効果モンスター
ランク7 光属性 ドラゴン族 攻2800 守2000
レベル7モンスター×2
(1)X素材を持ったこのカードは魔法、罠、モンスターカードの効果を受けない。
(2)このカードがフィールドに表側表示で存在する限り、相手フィールドの闇属性モンスターの攻撃力は半分になる。
(3)このカードのX素材を一つ取り除き、フィールドの表側表示のモンスター1体を選択して発動出来る。そのモンスターの攻撃力は、このカードの攻撃力分アップする。この効果は相手ターンでも使用出来る。
(4)このカードが墓地に送られた時、発動出来る。墓地の「ムーンライト・ドラゴン」を特殊召喚する。



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第10話 社長登場

タイトルの通りです。


頭を下げた私に、遊戯さんは頭を上げるように言ったので顔を上げる。

 

「良かった。覚えていてくれて。また会えて嬉しいよ」

 

「遊戯さんを忘れるわけないじゃないですか!でも俺も同じ気持ちです」

 

そう微笑む遊戯さんに私も微笑み返す

 

「遊矢。知り合いなのか?」

 

「ああ、彼は武藤遊戯さん。昔色々あって知り合ったんだ」

 

「初めまして。僕は武藤遊戯。プロデュエリストしながらゲームクリエーターをしてるんだ。よろしくね」

 

そう挨拶する遊戯さんにみんな挨拶していくと、もう打ち解けたみたいで警戒を解いている。

 

《流石だね》

 

うん。

再開がこんな形なのはちょっと残念だけどね…

 

「もう一人の僕に遊矢君の事伝えたらびっくりするだろうなぁ」

 

「え!?アテムさんもいるんですか!?てか何で俺の事…」

 

「うん。遊矢君の話しを僕がよくしてたから会ってみたいって言ってたよ。今は大会に参加してたから帰ってくるのはもう少しかかるけどね」

 

アテムさんに会えるのは嬉しいけど、違うプレッシャーが…

 

「まあ、ともあれ僕はLDS側の人間だから応援くらいしか出来ないけど、頑張って」

 

「…遊戯さんは疑わないんですか?俺が沢渡に怪我させた犯人だと」

 

「君がそういう事をしない子だって知ってるからね。…それと個人的になんだけど赤馬理事長少し苦手なんだよね(ボソッ)」

 

「なるほど…」

 

気持ちは分かります。

 

───────────────────────

 

あの後、続けてデュエルが行われたが結果はアニメと同じで、一勝一敗一分けになった。

 

《柚子達も頑張ったんだけど、相手も強くなっていたね》

 

うん。デュエルの内容はアニメと違って柚子は疑う事もなく自分のデュエルが出来ていたし、単純に相手の融合の扱い方が少し上だったように見えた。権現坂も同じである。

 

これは、教えられるのが私しかいなかった弊害かな…

 

 

『三番勝負の結果は、一勝一敗一分け…。赤馬理事長、貴女は三番勝負に勝ったらこの塾を貰うっと言った。だが、結果は引き分け…今回はお引取り下さい』

 

おじさんが操作室でそう赤馬理事長に話す。

 

「何を仰いますの。これは決着をつけるためのデュエル。引き分けなどありませんわ」

 

それに対し理事長は白黒はっきり付けるまで引く気は無いみたいだ。

 

「延長戦です。お互い一勝を挙げた同士でデュエルする。よろしいわね」

 

『そんな勝手に…!』

 

「理事長。いくらなんでも…」

 

「武藤さん、なら貴方が彼の相手をしてもいいのですよ?知り合いとか一切関係無しに」

 

「っ…それは」

 

「遊戯さんありがとうございます。でも大丈夫です」

 

「遊矢君…ごめん。力になれなくて…」

 

そんな遊戯さんに首を横に振りながら答える。

 

どの道、この流れは変わらないのは予知しなくても分かっていたしね。

 

「そのデュエル…受けて立ちます!」

 

『遊矢…』

 

「大丈夫だよおじさん。どの道、はっきりさせないと面倒になる」

 

「塾長より話が分かるようでなにより。ならこちらは…」

 

「待て」

 

そう言いながら物陰から出てくる人物。

 

やっと登場か…。

 

もちろん自分の試合が終わってからだが、気づいていた。

 

「決着は私がつけよう」

 

そうフードを脱いで言い放つ。

 

「望むところだ。赤馬零児社長」

 

「ふっ…やはり気づいていたか」

 

「あんな風に見られてたら嫌でも気づくよ。社長さん?」

 

ふっと笑う赤馬零児にこちらも不敵に笑いかける。

 

「やっぱり君だったんだね。零児君」

 

「遊戯さん、貴方が榊遊矢と知り合いなのは驚きましたが、そんなのは関係ない」

 

「分かってるよ。もう僕は口出ししない」

 

そう笑って遊戯さんは一歩引いた。

 

「そういう事です。ここから先は黙って見ていただきたい。彼と私のデュエルを…」

 

 

───────────────────────

 

ーSide/柚子

 

「遊矢…」

 

「大丈夫だよ。彼なら。ほら」

 

そう遊戯さんが遊奈に指差すのを見ると遊奈は笑っていた。

いつもの作った笑みとは違って心からの笑みを見て私の不安も消える

 

「遊戯さん…そうですね」

 

───────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

《遊奈…》

 

分かってる。相手はストロング石島とは違って強敵だ。

本気で行くよ。ファントム。

 

そうニッと笑いながら社長さんに話しかける

 

「アクションフィールドはどうする?」

 

「任せる」

 

それを聞いて、私もおじさんに任せると合図を送った。

 

しばらくするとフィールドが、アスレチックサーカスに変わる。

得意なフィールドの一つにしてくれたみたいだ。

 

『うわー!サーカスだー!』

 

『遊矢は、全てのアクションフィールドに対応出来るようにはしているが、その中でも得意としてるフィールドの一つだ。塾長!男気溢れる援護射撃だ!』

 

───────────────────────

 

ーSide/修造

 

「俺が出来る事はここまでさ。後は頼んだぞ。遊奈」

 

───────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

「ありがとうおじさん。期待に応えるのがエンターテイナー。最高のデュエルを見せましょう!」

 

『戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!』

 

『モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!』

 

『フィールド内を駆け巡る!』

 

『見よ、これぞデュエルの最強進化系、アクショーン!』

 

「「デュエル!」」

 

先攻 Reigi LP 4000 VS 後攻 Yuna LP 4000

 

「私のターン。私は手札からマジックカードを三枚発動する。まずは一枚、永続魔法『地獄門の契約書』を発動。このカードは自分のターンのスタンバイフェイズ毎に、自分自身に1000ポイントのダメージを受ける」

 

「契約書…(って事はやはりDDか)」

 

『自分のターンのスタンバイフェイズ毎に…!?』

 

『1000ポイントのダメージを受けるだと!?』

 

社長の説明だけだとかなり重いデメリットに聞こえるが、その代わりに強力な効果を発揮する。

それに、ダメージなんて簡単にどうにも出来るカードは結構あるし、そういう風に組んでるはずだ。

 

「更に1ターンに一度、デッキからレベル4以下のDDと名の付くモンスター1体を手札に加えることが出来る。私は『DDケルベロス』を手札に加える」

 

『DD?』

 

Different Dimension(ディファレント・ディメンション)。異次元って意味だよ』

 

「二枚目のマジックカード。これも同じく『地獄門の契約書』を発動する」

 

《地獄門二枚とか、なんで初手で来るんだよ…》

 

これでスライム来たらダルクでもテムジンでも出せるね。

やっぱりDDDは厄介だ。

 

『これで奴の次のターンには…』

 

『2000ポイントのダメージ…!?』

 

「同じく、デッキからレベル4以下のDDと名の付くモンスター…『DDリリス』を手札に。そして三枚目に発動するカードは『魔神王の契約書』。このカードも自分のターンのスタンバイフェイズに、1000ポイントのダメージを受ける」

 

『これで3000のダメージ…!』

 

融合が来るか…

 

正直3000のダメージなんてあのデッキに関してはいちいち気にしてられない。

魔神王の契約書…DD限定の永続ミラクル・フュージョンといった感じのカードだったかな。まあ、悪魔族なら普通のミラクル・フュージョンと違って手札からも融合出来たはずだ。

 

「『魔神王の契約書』は1ターンに一度、悪魔族融合モンスターを『融合』カード無しで融合召喚出来る」

 

『はっ!?』

 

この世界では融合カードが無い融合召喚はあまり知られてない。

だから驚くのも無理がないだろう。

 

「私が融合するのは『DDケルベロス』と『DDリリス』。牙むく地獄の番犬よ!闇夜にいざなう妖婦よ!冥府に渦巻く光の中で、今ひとつとなりて新たな王を生み出さん!融合召喚!生誕せよ、『DDD烈火王テムジン』!」

 

DDD烈火王テムジン ATK2000

 

ダルクではなく、テムジンって事は、ほぼ確実にあのカードを持ってるな

 

《なんでスライムをさっきのでサーチしなかったんだろう?リリスは確か、召喚した時、墓地のDDを回収出来る効果だったよね?》

 

おそらく、この時点で持ってないんじゃないかな。警戒しとくに損はないけどね。

 

───────────────────────

 

ーSide/柚子

 

「あいつ融合使いか」

 

「でも、あのモンスターを呼び出す為にあんなリスクを!?」

 

「いや、彼に限って何か手を打ってないなんて事はないはずだよ」

 

「そうなんですか?」

 

遊戯さんは赤馬さんの方をじっと見ながらそういう。

 

「前使っていたデッキとは違うみたいだけど、おそらくね」

 

「今度はDDD…何の意味があるんだろう?」

 

「なんか…全然違う…」

 

「え?」

 

「もしかして本物…?でも…」




中途半端な切り方ですみません。

でもやっと社長出せたよ!やったね。
赤遊要素皆無ですけどね…
それでも赤遊♀小説です。きっと後半になれば増えるはず…


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第11話 DDD(ディーディーディー)

久々の更新で、長くなってしまいました。
途中で中断されるのになんでだろ…orz
そして、漫画版でユート達の公式な漢字表記が出たのでそちらに変えさせていただきました。

ユート→遊斗、ユーゴ→遊吾、ユーリ→遊里

今後は漢字表記にさせていただきます。
榊ユートっていうのも変ですしねσ(^_^;)
では本編どうぞ。


───────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

「私はカードを二枚伏せ、ターンエンド」

 

Reigi

LP 4000

手札 0

DDD烈火王テムジン(攻撃表示)

魔法・罠カード 地獄門の契約書×2

魔神王の契約書

伏せ2枚

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

「…DDD。Different (ディファレント・) Dimension (ディメンション・)Daemon(デーモン)…異世界すら支配する絶対的な王者の力か」

 

「ほう…DDDの意味に気づいたか」

 

「でも、そんなのは関係無い、今度は俺の番だ!俺のターンドロー!『EMユニ』を召喚!ユニの効果で自身以外のレベル4以下のEMモンスターを一枚、デッキ、手札から特殊召喚するよ!デッキから『EMウィップ・バイパー』を特殊召喚!出番だよ!ウィップ・バイパー!」

 

EMユニ DEF1500

EMウィップ・バイパー ATK1700

 

「ウィップ・バイパーの効果発動!1ターンに1度、フィールドの表側表示のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力・守備力をターン終了時まで入れ替える。俺はテムジンの攻守を入れ替えるよ!」

 

テムジンATK2000→1500

 

『これでウィップ・バイパーの攻撃力がテムジンを上回ったわ!』

 

「これはオマケだよ!お楽しみはこれからだ!ユニとウィップ・バイパーでオーバレイ!二体のEMでオーバレイ・ネットワークを構築!誇り高きその翼を翻し、敵を打ち砕け!エクシーズ召喚!ランク4、『鳥銃士カステル』! 」

 

鳥銃士カステル ATK2000

 

「ならば私は、罠カード『戦乙女(ヴァルキリー)の契約書』を発動する。このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分フィールドの悪魔族モンスターの攻撃力は、相手ターンの間1000アップする」

 

テムジンATK1500→2500

 

『また契約書って事は更に1000ポイントのダメージ!?』

 

「(このタイミングで戦乙女か…)カステルの効果発動!1ターンに一度、ORUを2つ取り除き、このカード以外の表側表示のカード一枚を持ち主のデッキに戻す!俺は社長の場のテムジンを選択!」

 

『テムジンは融合モンスターだからエクストラデッキに戻る!』

 

『これなら攻撃力が上でも関係ない!』

 

カステル ORU2→0

 

カステルの2つのORUが銃に補充されると銃口をテムジンに向け、発砲した。

 

テムジン ATK2500→1500

 

『やった!!』

 

「いや…まだだ」

 

煙が晴れると変わらずにテムジンが立っていた。

 

「私はAカード『緊急脱出』を発動していた。自分の場のモンスター1体はターン終了まで、魔法、罠、モンスター効果を受けず、戦闘では破壊されない」

 

「…なら手札から『RUM(ランクアップマジック)-リミテッド・バリアンズ・フォース』発動!」

 

「RUM…!?」

 

発動したRUMに警戒する社長さん。

因みにこのカードは前前世から所持していたカードである。

本物はヌメロンコードに書き換わっちゃったしね。

問題なく使えてるから大丈夫だろう。

アストラルも特に何の力も無いカードだと言ってたし、私やファントムが見たところ異常がなかったからね。

 

「このカードは、自分フィールド上のランク4のエクシーズモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターよりランクが1つ高い「CNo.」と名のついたモンスター1体を、選択した自分のモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚するよ!カステルでオーバレイ・ネットワークを再構築!混沌に包まれし死の宣告者、今こそ大いなる怒りを解放せん!! ランクアップ・カオス・エクシーズ・チェンジ!『CNo.69 紋章死神(デス・メダリオン)カオス・オブ・アームズ』!」

 

CNo.69 紋章死神カオス・オブ・アームズ ATK4000

 

ブラック・ホールから出てきたのは鮮やかな紫色をした蜘蛛のようなモンスター。

だが禍々しさは他のモンスターとは比べ物にならないくらいだった。

明らかにその禍々しさに当てられて、顔色が悪いのが何人かいる。

 

「CNo.…やはり君には聞きたい事が沢山ある」

 

「それはこっちも同じだよ。沢渡の件や他にも聞きたいことがある。だからデュエルを続けるよ。カオス・オブ・アームズでテムジンを攻撃!カオス・デス・ドゥーム!破壊は出来ないけど、ダメージは受けてもらうよ!」

 

「っ…!」

 

Reigi LP4000→1500

 

「そして、ライトペンデュラムゾーンに『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』をセット。カードを2枚伏せターンエンド。エンドフェイズ時にヴィップ・バイパーのモンスター効果は消える」

 

テムジン ATK1500→2000

 

「そしてペンデュラムゾーンにいる『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』の効果発動!エンドフェイズ時にこのカードを破壊して、デッキから攻撃力1500以下のPモンスター1体を手札に加える。『オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン』を手札に加えるよ」

 

Yuna

LP 4000

手札 2枚(一枚はミラージュ)

カオス・オブ・アームズ(攻撃表示)

魔法・罠カード 伏せ2枚

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

『遊矢兄ちゃん、どうしてあんなに慎重なんだろ?相手のスタンバイフェイズには、4000のダメージが入って勝てるのに…?』

 

 

「…やはり君はどんな戦いの場でも手加減無しみたいだな。この状況でも油断をしていない」

 

 

「どんな相手にも全力でやる。それがエンタメデュエルでもね。じゃないと相手にも失礼でしょ?」

 

『よく言うぜ!卑怯者の息子の癖に!』

 

「!、卑怯者ってあの人の事か?」

 

『そうだ!お前の親父は有名人だからな!』

 

「…あの人は卑怯者なんかじゃない。何も知らない癖に分かったように言うな!!」

 

あの日、あの時の事を思い出しながら、北斗を睨みつける。

 

「彼の言う通りだ、志島北斗。榊遊勝を侮辱するのは私が許さない」

 

えっ…

その発言に驚いて思わず社長を凝視する。

 

「…貴方はあの人を…榊遊勝を…」

 

「心から尊敬してる。彼が居なければ、今のアクションデュエルはなかったし、私自身、彼のエンタメデュエルは素晴らしいと思ってる。そして、そんな彼の子どもである君が犯人だとは少なくとも私は思っていない」

 

彼の言葉に嘘は無かった。本当にあの人の事を尊敬してるみたいだ…。

 

「そっか…。あの人の事、そう言ってくれたのは貴方が初めてだよ。でも貴方はデュエル中に止めには来ず、傍観してた。だから正直、信用出来ない」

 

「君の言い分は最もだな。気づいて駆けつければ、既に君がデュエルをしていたとはいえ、止めなかったのは事実だ。それはすまないと思っている。だが君自身に興味があっただけなんだ。榊遊勝のエンタメを継ぐ、君のデュエルに」

 

「俺に?それはペンデュラム召喚が欲しいってだけじゃないのか?」

 

「確かにペンデュラム召喚は魅力的ではあるが断じて違う。榊遊勝の後継者でありながら、彼とは違う、君自身のエンタメデュエルをする君に、私は敬意を払う 。そして、そんな君とデュエル出来ることを光栄に思っている。こんな形でデュエルする事が少し残念ではあるが…」

 

「!」

 

赤馬社長の言葉にドキッとする。

嘘を付いてる訳でもなく本心からそう思ってる事が分かったからだ。

榊遊勝の子どもだからと偏見を持たず、自分のデュエルをちゃんと理解し、褒められた事は初めてだった。

 

「そう…。貴方の気持ちは分かった。ありがとう。…さて、そろそろ種明かししてもいいんじゃないかな?社長さん」

 

ドキドキする心を誤魔化すようにそう赤馬社長に尋ねる。

 

「…ふっ。流石だな。やはり君は、今まで本当の実力を隠してたみたいだな」

 

「お互い様じゃない?」

 

「そうだな。私も本気で行かせてもらおう」

 

『何言ってんだ?あいつ。自分が発動した契約書で4000のダメージを受けて終わりなのに』

 

「契約書?そんなもの…」

 

そう社長が言うと場に出ていた4枚の契約書が破壊されていった。

 

『いったい、何が!?』

 

「契約は無効になった。私は既に罠カード『契約洗浄(リース・ロンダリング)』を発動していたのだよ。『契約洗浄』は契約書と名のつくカード全ての効果を無効にして発動し、エンドフェイズに、それらの契約書全てを破壊する」

 

「だろうね。じゃなきゃテムジンの攻撃力も、元に戻らないし、Aカードも発動出来なかった」

 

おそらく、カステルが効果を発動する時にテムジンが社長を剣に乗せて上にあげた時だろう。

 

「そして私は破壊したカードの枚数分、デッキからカードをドローする。その後、ドローした数×1000ポイントライフを回復する」

 

Reigi 手札0→4

LP1500→5500

 

《うふぇ〜。ブラック会社だぁ》

 

DDがブラック会社っていわれてる原因の一つだからね…。

アニメ効果だったら嬉しかったんだけど仕方ないね。

 

『ライフが元に戻るどころか、増えただと!?』

 

『遊矢兄ちゃん!』

 

「私のターン、ドロー!私はチューナーモンスター、『DDナイト・ハウリング』を召喚」

 

DDナイト・ハウリング ATK300

 

「それにチェーンして手札から『増殖するG』を捨てて効果発動!相手がモンスターの特殊召喚に成功する度に、デッキからカードを1枚ドローする!」

 

「…DDハウリングの効果、このカードが召喚に成功した時、墓地のDDモンスター1体を、攻撃力0にして特殊召喚する事ができる、蘇れ『DDリリス』」

 

DDリリス ATK0

 

「特殊召喚された事で1枚ドロー」

 

Yuna 手札1→2

 

《気を付けて、レベル7シンクロが来るよ!》

 

「私はレベル4の『DDリリス』にレベル3『DDナイト・ハウリング』をチューニング」

 

☆4+☆3=☆7

 

「闇を切り裂く咆哮よ、疾風の速さを得て、新たな王の産声になれ!シンクロ召喚!生誕せよ、レベル7『DDD疾風王アレクサンダー』!」

 

DDD疾風王アレクサンダー ATK2500

 

Yuna 手札2→3

 

『奴が使えるのは融合だけじゃなかったのか…!』

 

テムジンとアレクサンダー…となると、もう一度シンクロかエクシーズが来るかな…?

 

「まだ終わりではない。私は『DDD烈火王テムジン』の効果発動!このカード以外のDDDと名のつくモンスターが特殊召喚された時、墓地のDDと名のつくモンスター1体を特殊召喚する。再び蘇れ『DDリリス』!」

 

DDリリス ATK100

 

Yuna 手札3→4

 

心なしか疲れてる様に見える。

本来、蘇生する側だからなぁ彼女

 

《リリスさん過労死しない?大丈夫?》

 

ファントムがリリスを心配すると、リリスはジェスチャーで大丈夫、まだまだ頑張りますと返してきた。

健気である。

まあ、精霊が見えない人達にはただ佇んでるようにしか見えないだろうが…

 

「更に、『DDD疾風王アレクサンダー』のモンスター効果を発動!DDと名のつくモンスターが特殊召喚された時、墓地にいるDDと名のつくモンスター1体を特殊召喚出来る!蘇れ『DDケロベロス』!」

 

DDケロベロス ATK1800

 

Yuna 手札4→5

 

どうやら社長さんはこのターンで決着をつける気でいるみたいだね。

 

「私は『DDリリス』と『DDケロベロス』でオーバレイ!二体のモンスターで、オーバレイネットワークを構築!この世の全てを統べるため、今、世界の頂に降臨せよ!エクシーズ召喚!生誕せよ、ランク4『DDD怒涛王シーザー』!」

 

DDD怒涛王シーザー ATK2400

 

Yuna 手札5→6

 

『三種類の召喚をするだと!?』

 

『で、でも!攻撃力は遊矢兄ちゃんのモンスターの方が上だ!』

 

「それはどうかな。私は魔法カード『地砕き』を発動する。相手フィールドの守備力が一番低いモンスターを破壊する!」

 

カオス・オブ・アームズは、足元に地割れが起きてそのままなす術なく落ちていった。

 

《カオス・オブ・アームズサン、オタッシャデー!》

 

やはり、素直に殴ってこないか…

 

「烈火王テムジンでダイレクトアタック!」

 

「速攻魔法発動!『超カバーカーニバル』!このカードは手札、デッキ、墓地から『EMディスカバー・ヒッポ』を1体特殊召喚するよ!デッキから『EMディスカバー・ヒッポ』を特殊召喚!出番だよ!ヒッポ!」

 

《ヒッポー!》

 

EMディスカバー・ヒッポ DEF800

 

「その後、カバートークンを可能な限り特殊召喚出来るよ!」

 

カバートークン DEF 0 ×4

 

「そしてカバートークンが場にいる限り、相手はカバートークン以外を攻撃出来ない!」

 

「なら、烈火王テムジンでカバートークンを攻撃」

 

『よし!ダイレクトアタックは防げた!』

 

「続いて、疾風王アレクサンダーでカバートークンを攻撃!」

 

2体目のカバートークンが破壊される

 

「この瞬間、アレクサンダーのモンスター効果発動。1ターンに一度、このカードがバトルでモンスターを破壊した時、更にもう一体相手モンスターを破壊する」

 

3体目のカバートークンが破壊される

 

「そして怒涛王シーザーで最後のカバートークンを攻撃!そしてAマジック、『トランポリン・ダイブ』を発動。このターン、自分モンスター1体は、守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える事が出来る。そしてこのカードの対象になったモンスターが相手モンスターをバトルで破壊した時、もう一度だけ攻撃出来る。行け!シーザー!」

 

『このダメージを受けたらジャスト4000ダメージを受けて遊矢は負けるぞ!?』

 

『遊矢兄ちゃん!』

 

「墓地のユニの効果発動!墓地にあるユニと他のEMモンスターを除外して一度だけダメージを0にする!ユニとウィップ・バイパーを除外する!くっ!」

 

半透明なユニとウィップ・バイパーが攻撃の余波から私を守る。

 

「だが、相手モンスターを破壊したので、シーザーはもう一度戦闘出来る。ディスカバー・ヒッポを攻撃!」

 

「ぐっ!」

 

Yuna LP4000→2400

 

「私はカードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

Reigi

LP 5500

手札 2

DDD烈火王テムジン(攻撃表示)

DDD疾風王アレクサンダー(攻撃表示)

DDD怒涛王シーザー(攻撃表示)

魔法・罠カード 伏せ1枚

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

Yuna

LP 2000

手札 6枚(一枚はミラージュ)

 

魔法・罠カード 伏せ1枚

 

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

社長さんやはり強い…!

 

「やるね。まさかCNo.をあんな簡単に突破するとは思わなかったよ」

 

「あの状況で、直接バトルするのは愚策だと判断したまでのことだ。さて、他に君は私に何を見せてくれるのかな?」

 

「クス…期待に応えるのがエンターテイナー。その期待に応えましょう!お楽しみはこれからだ!」

 

Yuna 手札6→7

 

そうドローすると、脳裏に1体のドラゴンが雄叫びを上げるのが過った。

そして今ドローしたカード…分かった。

 

「『EMソード・フィッシュ』を召喚!」

 

EMソード・フィッシュATK600

 

「ソード・フィッシュの効果発動!このカードが召喚、特殊召喚された時、相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力・守備力は600ダウンする!」

 

テムジンATK2500→1900

アレクサンダーATK2500→1900

シーザーATK2400→1800

 

Here(ヒア) we(ウィー) go(ゴー)!! It's(イッツ) a() show(ショウ) time(タイム)!!俺はペンデュラムスケールをセッティング!俺はレフトペンデュラム・ゾーンに『オッドアイズ・ディフェンダー・ドラゴン』をセット!そしてライトペンデュラム・ゾーンに『オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン』をセッティング!」

 

RPゾーン:オッドアイズ・ディフェンダー・ドラゴン PS[1]

LPゾーン:オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン PS[8]

 

青い光の柱が2つ出現し、其処に二体の竜が昇るとそれぞれの柱に1と8の数字が刻まれた。

 

「これでレベル2から7までのモンスターを同時に召喚可能!揺れろ、運命の振り子!!永久に続く時を刻み未来と過去を行き交え!!ペンデュラム召喚!レベル2、カードを操りし魔女『EMトランプ・ガール』!レベル4、雄々しき銀色の爪を持ちし銀狼『EMシルバー・クロウ』!レベル4、振り子の魔術師『EMペンデュラム・マジシャン』!レベル7、エクストラデッキから蘇れ!『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!」

 

トランプ・ガールDEF200

シルバー・クロウATK1800

ペンデュラム・マジシャンATK1500

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンATK2500

 

「ペンデュラムモンスターは墓地には行かず、エクストラデッキに行き、ペンデュラム召喚で何度も蘇るか…なるほどな」

 

「例外として、エクシーズしちゃうと墓地に行くけどね。さて、またまたソード・フィッシュの効果を発動するよ!このカード以外のモンスターの召喚、特殊召喚に成功した時、相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力・守備力は600ダウンする!行け!ソード・フィッシュ!」

 

テムジンATK1900→1300

アレクサンダーATK1900→1300

シーザーATK1800→1200

 

《いいぞ!遊矢兄ちゃん!》

 

「更にペンデュラム・マジシャンの効果発動!このカードの特殊召喚に成功した時、自分フィールド上のカードを2枚まで破壊し、破壊した数だけデッキから同名カード以外の『EM』モンスターを手札に加えるよ!俺はソード・フィッシュを破壊して、『EMドクロバット・ジョーカー』を手札に加える!お疲れ様!ソード・フィッシュ!」

 

労うとグッドラックといった感じで墓地に行ったソード・フィッシュ。相変わらず兄貴分な感じでカッコいいよ。

 

Ladies(レディース) and(アンド) Gentleman(ジェントルメン)!! Boys(ボーイズ) and(アンド) Girls(ガールズ)!皆さまご注目下さい!これからペンデュラム召喚のその先の一つの可能性をお見せ致しましょう!!トランプ・ガールの効果発動!1ターンに1度、融合モンスターカードによって決められた、このカードを含む融合素材モンスターを自分フィールドから墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する!場のオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンとEMトランプ・ガールを融合!」

 

『何?融合とは融合カードが無ければ融合召喚出来ないのではないのか!?』

 

ネタ発言ありがとう、権現坂。

 

「二色の眼の竜よ。風を束ねし魔の使いの洗礼を受け降臨せよ!融合召喚!現れよ!『オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン』!! 」

 

オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴンATK2500

 

『新しいオッドアイズカード!?』

 

『エクシーズモンスターの次は、融合モンスターだと!?』

 

「これがペンデュラム召喚のその先の一つ…!」

 

「Yes!ボルテックス・ドラゴンの効果発動!このカードが特殊召喚に成功した時、相手フィールドの表側攻撃表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを持ち主の手札に戻す。俺はアレクサンダーを選択!」

 

「くっ」

 

ボルテックス・ドラゴンが起こした雷風にアレクサンダーが吹き飛ばされた。

 

「バトルだ!シルバー・クロウでテムジンを攻撃!そしてシルバー・クロウの効果発動!攻撃宣言時、自分フィールドの「EM」モンスターの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで300アップする!行け!シルバー・クロウ!」

 

シルバー・クロウATK1800→2100

ペンデュラム・マジシャンATK1500→1800

 

Reigi LP5500→4700

 

「続いてペンデュラム・マジシャンでシーザーを攻撃!」

 

シーザーORU2→1

 

「…っ!」

 

Reigi LP4700→4100

 

「ボルテックス・ドラゴンでダイレクトアタック!」

 

Reigi LP4100→1600

 

『ライフが逆転した!』

 

『いいぞ!遊矢!』

 

『これなら勝てる!相手が三つの召喚法を操ろうと、四つの召喚法を操る遊矢が負けるはずないわ!遊勝塾は守れる!』

 

『燃えたぞ!遊矢!やっぱりお前は遊勝塾のエースだ!!』

 

「皆様!御喝采ありがとうございます!これにて、このターンのバトルは終了でごさいます!この瞬間、シルバー・クロウのモンスター効果も終了し、シルバー・クロウ自身とペンデュラム・マジシャンの攻撃力も元に戻ります」

 

シルバー・クロウATK2100→1800

ペンデュラム・マジシャンATK1800→1500

 

『え…?』

 

「……」

 

シーザーATK2400

テムジンATK2500

 

煙が晴れると倒した筈のモンスターが現れた。

 

『嘘…』

 

『全部破壊した筈なのに…』

 

『何故だ…』

 

「シーザーの効果…だね」

 

「正解だ。怒涛王シーザーのモンスター効果はORUを1つ取り除き、このターン、バトルで破壊されたモンスターをバトルフェイズ終了時に特殊召喚する効果。本当ならアレクサンダーも蘇生するつもりだったがバウンスは対象外だ」

 

『何!?バトルで破壊されたモンスター全てを墓地から蘇らせることが出来るのか!?』

 

「もちろん、それだけの利益を得るにはリスクもある。私は次の自分のターンに、この効果によって特殊召喚したモンスターが存在する時、1体につき、1000ポイントのダメージを受ける」

 

《どうせ踏み倒すんだろ!》

 

だろうね。相手はあの赤馬社長だし、バーンで必要最低限以上のダメージを受けるとは思えないよ。それに素直に受けたらライフ0になるしね。

 

「罠カードオープン!『DDDの人事権』!このカードは、自分の手札・フィールド・墓地のDDモンスターの中から合計3枚選んで持ち主のデッキに戻し、デッキからDDモンスター2体を手札に加える。フィールドのシーザーとテムジン、墓地のナイト・ハウリング戻し、DDモンスター2枚手札に加える」

 

『これで、モンスターがいなくなったから、次のターンのダメージはチャラ…』

 

『なんでDDモンスターが対象なのに、DDDモンスターまで戻せたの?』

 

『DDDもDDが入ってるから、DDモンスターになるんだよ』

 

『だから戻せたんだね』

 

《やっぱりブラック会社だよ!DDデッキ!》

 

ファントムの叫びを横で聞きながら、さっき墓地に行った『DDDの人事権』を確認する。

 

OCG効果か…厄介だな。

後は、何を2枚手札に加えたかによるかな…?

 

「…シルバー・クロウとペンデュラム・マジシャンでオーバーレイ!2体のEMで、オーバーレイ・ネットワークを構築!誘うは死の楽園!愚者を糧とし、その美しくも妖しい花弁よ開け!エクシーズ召喚!ランク4、『フレシアの蟲惑魔(こわくま)!』」

 

フレシアの蠱惑魔 DEF2500

 

ブラックホールから現れたのはラフレシアをモチーフにした蠱惑魔__フレシアの蠱惑魔。幼いながらもその妖艶な微笑みは愚かな男だけでなく全てを惑わしそうだ。

 

「カードを1枚伏せ、ターンエンド。行くぞ!ボルテックス!フレシアさん!」

 

エンド宣言と共に、ボルテックス・ドラゴンの背にフレシアさんと乗ると空へ舞い上がる。

 

Yuna

LP 2000

手札 1枚(ドクロバット)

ボルテックス・ドラゴン(攻撃表示)

フレシアの蠱惑魔(守備表示)

 

魔法・罠カード

伏せ1枚

 

RPゾーン:ディフェンダー・ドラゴン

LPゾーン:ミラージュ・ドラゴン

 

 

Reigi

LP 1600

手札 4

 

魔法・罠カード

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

 

「見事だった。ペンデュラム召喚がどのようなものなのか、そしてその先がどのようなものなのか、確かにこの身で実感させてもらった」

 

「どうも社長さん。今度は君の番だよ」

 

ニッと笑うと社長さんも、笑みを浮かべる

 

「ああ、今度は君の番だ。私のターンドロー!私はスケール1の『DD魔導賢者ガリレイ』とスケール10の『DD魔導賢者ケプラー』でペンデュラム・スケールをセッティング!」

 

RPゾーン:DD魔導賢者ガリレイ PS[1]

LPゾーン:DD魔導賢者ケプラー PS[10]

 

社長の場に青い光の柱が2つ出現し、其処に二体の賢者が昇るとそれぞれの柱に1と10の数字が刻まれる。

 

それを見た観客(特に遊勝塾側)が衝撃を受ける。

 

『な!?あれはペンデュラムカード!?』

 

『なんで、遊矢しか持ってないカードを持ってるの!?』

 

「…なら速攻魔法発動!『ツインツイスター』!手札のAカードをコストに捨て、フィールドの魔法カードを2枚破壊する!Pゾーンにあるペンデュラムモンスターは永続魔法扱い。よって、社長のPゾーンのガリレイとケプラーを破壊するよ!」

 

『いつの間にAカードを!?』

 

『う、うまいぞ遊矢!』

 

「させない。私もAマジック『マジック・ディセーブル』発動!このカードは、相手が魔法カードを発動した時に発動出来る。そのカードの効果を無効にし、破壊する!」

 

二つの竜巻がケプラーとガリレイを襲うが、掻き消される。

 

「っ!。だけど、コストにしたAマジック『サッカー』の効果発動!このカードが手札から墓地に送られた時、デッキからカードを2枚ドローする!」

 

Yuna 手札1→3

 

『『サッカー』?って球技のサッカーの事か?』

 

「この場合のサッカーはマジック用語で失敗したように見せるテクニックの事だよ」

 

『おお、そうなのか!ありがとな!』

 

『馬鹿。何、敵にお礼してるのよ!』

 

『敵味方関係無く、礼義を通すのは当たり前だろ!』

 

「…続けていいだろうか?」

 

『『あ、はい…』』

 

《まるでコントのようだね…》

 

あはは…

でも刀堂刃君だっけ?権現坂のデュエルでも思っていたけど、彼は真面目な子だね。正直、他の2人より好感が持てるよ。

 

「すまなかった。続けよう」

 

「構わないよ。疑問を持つのはいい事だからね」

 

「ふっ…。さて、これでレベル2から9のモンスターを同時に召喚可能!我が魂を揺らす、大いなる力よ。この身に宿て、闇を引き裂く新たな光となれ!ペンデュラム召喚。実現せよ私のモンスター達よ!」

 

光から現れる三体のモンスター達。

 

「全ての王をも統べる3体の超越神!『DDD死偉王(しいおう)ヘル・アーマゲドン』!」

 

DDD死偉王ヘル・アーマゲドンATK3000×3

 

《ワーオ。レベル8のモンスターが三体も。圧巻だね》

 

アーマゲドンさん厄介なのが来たな…

フレシアさんと相性悪いじゃないか。

本当ならペンデュラム召喚した瞬間にフレシアさんの効果で奈落をコピーしたかったんだけど、あのカードは対象を取らないカードに耐性があるから、奈落や激流葬、ブラック・ホールなどは効かないんだよね。

 

ならここは…

 

「フレシアさんの効果発動!1ターンに1度、ORUを1つ取り除き、発動条件を満たしている「ホール」通常罠カードまたは「落とし穴」通常罠カード1枚をデッキから墓地へ送って発動する、この効果は、その罠カード発動時の効果と同じになるよ!俺は『狡猾な落とし穴』を墓地に送って、同じ効果になったフレシアさんの効果発動するよ!アーマゲドンさん二体には墓地に行ってもらうよ!」

 

フレシアORU2→1

 

二体のヘル・アーマゲドンの足元に穴が開き、二体があっけなく落ちて行く。

 

「…対象を取る罠カードか。なるほど、面白いモンスターだ。だが、ただの時間稼ぎに過ぎない。ヘル・アーマゲドンの効果発動。1ターンに1度、自分フィールドのモンスターが戦闘・効果で破壊された場合、そのモンスター1体を対象として発動できる。このカードの攻撃力はターン終了時まで、対象のモンスターの元々の攻撃力分アップする。私はヘル・アーマゲドンを選択」

 

ヘル・アーマゲドンATK3000→6000

 

『攻撃力6000だと!?』

 

『これを受けたら遊矢の負けよ!』

 

「ボルテックス・ドラゴンの効果h…」

 

『何ですって!?』

 

『マルコー先生が!?』

 

『零児さん!!」

 

ボルテックス・ドラゴンの効果を発動しようとした時、観客席が騒がしくなる。

 

「どうした中島。……」

 

社長さんに通信が来たようで電話に出る。

 

タイムリミットか…。思ったより早かったな。

 

赤馬社長は通話を切ると高台から降りて来た。

 

「すまない、この勝負預ける。やはり君の仕業ではなかったようだ」

 

「待ってくれ!話を聞く限り、沢渡以外にも襲われた人が出たって事じゃないのか?」

 

通り過ぎようとした赤馬社長を引き止める。

もし犯人が彼ならば止めないと…

 

「…君には関係無い事だ」

 

「っそれは…!」

 

思わず言葉に詰まる。これでは認めているのと同義だ。

そんな私の反応に気づいたのか、社長さんがポケットから何かを取り出しながらこちらに向かってくる。

 

「…これは私の名刺だ。裏にプライベート用の番号が書いてある。今直ぐは無理だが時間が出来次第、連絡をしよう」

 

「社長さん…分かった。後で連絡先送るね」

 

「ああ、今回の件は後日お詫びしよう。失礼する」

 

そう告げると赤馬社長は出ていき、すれ違いに遊戯さんがやってくるので、私もステージから降りて近づく。

 

「遊矢君お疲れ様」

 

「ありがとうございます。遊戯さんも一緒に行くんですか?」

 

「うん。だから僕も渡しておこうと思ってね。はい、僕の連絡先」

 

「ありがとうございます。…気をつけて下さいね」

 

「ありがとう。それじゃあまた」

 

遊戯さんを見送る。

いつのまにかソリッドビジョンは消えていた。

 

《…嵐のようだったね》

 

うん。

少し疲れちゃった。甘いもの食べたい気分だよ。

 

《それじゃあ帰りに何か買って帰ろう。柚子たちが待ってるよ》

 

───────────────────────

 

「遊奈、お疲れ様」

 

「うん。…ごめん、みんなを巻き込んでしまって」

 

「遊奈は悪くない。あの赤馬零児も非を認めていたしな」

 

「権現坂の言う通りだ。塾も守ったし、今日はみんな疲れただろう。後片付けは俺がやっておくから帰って休みなさい」

 

「おじさん、ありがとうございます」

 

おじさんの言葉に甘えて、先に帰らせてもらう事にし、塾を後にした。




2話分を1話に繋げてしまいました。
そのせいで文書が長くなってしまいすみませんでした。


おまけを載せておきますね

〜〜〜〜〜〜〜〜

「ただいま〜」

「お帰り遊奈。さて、今まで何をしていたのか聞こうか?」

「え…遊斗さん?何ですか?その肩の手は…?」

「気づかないと思ったのか?わざわざ家から出ないよう釘を刺しておいたくせに」

「あ、え〜と…ごめんなさい!」

「来い!説教だ」

「や〜め〜て〜!離して〜!」

《(言わんこっちゃない…。自業自得だね)》

リビングでは遊斗の怒る声と、遊奈の叫びが1時間くらい続いたとかなんとか。


〜〜〜〜〜〜〜〜


ということで、速攻でバレちゃいましたw
遊斗も遊奈の気持ちは理解してるから多分軽めで済んだと思いますよ。


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第12話 歓迎会とマネージャー

お久しぶりです。
最後に更新したのが2年前とは…いやー忘れ去られてますよね?
申し訳ありませんでした。
実は私事ではございますが、去年入籍して今年娘を産んだ身で、なれない生活でなかなか手をつけれませんでした。
最近、やっと生活も安定して来たので更新を再開していきたいと思ってます。


LDS襲撃後、私は遊斗達を遊勝塾に連れて来ていた。

 

「遊斗!心配したんだぞ!」

 

「心配かけてすまない。お元気そうで。権現坂君も」

 

「ああ、久しいな遊斗。無事で何よりだ」

 

「改めて、あの時はありがとう遊斗」

 

「気にするな。後、この2人は俺の仲間で九十九遊馬と真月零だ」

 

「俺、九十九遊馬って言うんだ!よろしくな!」

 

「真月零だ。よろしく」

 

「「「よろしくね」」」

 

 

こんな感じで遊勝塾のメンバーと遊斗達の紹介が一通り終わると歓迎会といった感じで、それぞれ準備していたお菓子や飲み物を飲み食いしていった。

 

「…じゃあ3人はエクシーズ召喚が主体のデッキ何ですか?」

 

「おう!俺たちがいた街はエクシーズが主体だったからな」

 

「まあ、中には融合を使う奴もいたけどな」

 

「そうなんだ!ねえ!遊斗兄ちゃん、私達にも今度エクシーズ召喚教えてよ!遊奈姉ちゃんみたいに」

 

「遊奈…お前、塾の教師もやっていたのか…」

 

「うん。でも遊斗がエクシーズ教えてくれるなら助かるかな。私一人だけだと教えるペースが厳しいから。それに遊斗達の方が私よりエクシーズ使い慣れてると思うし…ね?」

 

暇な時でいいからお願いできない?っと遊斗に尋ねると仕方ないなっと遊斗が笑う。

 

「お前や修造さんに塾を任せきりにしていたしな。俺でいいなら引き受けよう」

 

「ほんと!ありがと!」

 

「あのなぁ、そういう話は俺を通してくれないか?」

 

「あはは、ごめんおじさん」

 

「まあ、遊斗なら歓迎するがな?だが、まだ中学生だから給料ではなくお小遣いって形になるがそこは勘弁してくれよ」

 

「ああ、よろしく頼む」

 

 

「そういえば、ジュニアユースの方はどうなんだ?遊奈」

 

おじさんが話を切り替える。

 

「ジュニアユース?」

 

「うん。舞網チャンピオンシップって大会が年に一度あるんだけど、プロを目指すなら最初の門って感じの大会でね。小学生部門のジュニア、私達中学生以上はジュニアユース、そしてユース昇格者のみのユースの3つの部門にクラス分けされているのよ」

 

「それでその大会に出るのには公式戦で最低50戦して勝率6割しないといけないんだ」

 

「なるほどな。なあ!それって俺でも出れるかな!?」

 

「遊馬だけずるい!僕だって出たいのに!」

 

「ええ〜二人は50戦もしてないよね?あ、ちょっと待って…」

 

脇に置いてあった自分のバックからタブレットを取り出して、操作して調べる

 

「あ、やっぱり。これ見て」

 

遊馬と素良に見えるようにタブレットを差し出す。

 

「公式戦で6連勝すればいいのか?」

 

遊斗が傍から覗いてそう呟く

 

「ただ相手がいるかどうかだね。この時期だとみんな条件を満たしてる人が多いだろうし…」

 

「遊奈も後4戦なのに見つからないもんね…」

 

「言わないでよ…。みんなプロに勝ったからって断られて落ち込んでるのに〜」

 

「そうなのか?」

 

「遊斗なら分かると思うけど、あのストロング石島だよ」

 

「ストロング石島…父さんが戦おうとしていた相手か…!」

 

「うん。色々あって戦ったんだよね。つい数ヶ月前に」

 

「なるほどな」

 

「そういう事でしたら私にお任せください!」

 

「「うわぁ!?」」

 

背後から聞こえてきた声に複数人が驚きの声を上げる。

 

「…ニコさんどうしたんですか?いきなり現れて」

 

声の主であるニコ・スマイリーに半ば呆れつつ話す。

 

《よかったね〜。一応、晒は巻いていて》

 

ほんとにね…

 

「ややっ!遊矢君すみませんね。玄関が開いておりましたので奥にいるかと思いましてね。おや?遊矢君にそっくりな子と見かけない子達がいますね?」

 

「…遊矢、彼は?」

 

「彼はニコ・スマイリーさん。ストロング石島のマネジャーだよ。ニコさん、彼は遊斗、俺の四つ子の兄です。そして隣にいるのが九十九遊馬と真月零。私と兄の友人です」

 

「おお!遊勝さんの息子さんですか!今は元マネジャーですがね。実はストロング石島はあの後、修行の旅に出てしまい、私はフリーになってしまいましてね」

 

「そうだったんですか…。その…すみません」

 

「君のせいじゃないですから謝らないで下さいよ。石島もあなたとのデュエルで自分を見つめ直すと言ってました。だからこれは彼にとってよかった事だと思います。で、本題というのがですね。ジュニアユース選手権の特別枠として、遊矢君が無条件に出場出来る事になりました!」

 

「ええ!?無条件だって!?やったじゃないか遊矢!」

 

「はい!エクスビジョンとはいえ、ストロング石島に勝った遊矢君の実力を舞網市デュエル協会が認めて下さったのです!」

 

「やったね!遊矢兄ちゃん!」

 

「…確かにありがたい話ではあるけど、それお断りします」

 

「ええ!?何で?!」

 

「石島さんに悪いし、何より、デュエリストとしてちゃんと条件を満たして大会に出場したいんです!」

 

「なるほど、遊矢君の気持ちはよく分かりました。なら、1つ提案なのですが、私に遊矢君のマネージャーをやらせてはもらえないでしょうか?」

 

「俺のマネージャーですか…?でも俺の他にも、もっと将来有望な人はいますよ?」

 

寧ろマネージャーとしての仕事を、ある意味奪った私を恨むのではなく、マネジメントすると言ったニコさんに怪訝に思いながらそう返す。

 

「榊遊勝の子どもである遊矢君に、いや…あんなデュエルが出来る遊矢君だからこそ、私はあなたをマネジメントしたいのです!先程、聞こえてきましたが対戦相手を探しているんでしょう?もちろん、遊矢君のお友達にも私が対戦相手を探しましょう!…ダメでしょうか?」

 

「…分かりました。そこまで俺の事考えて下さってるなら、俺からもお願いします。ニコさん」

 

ニコさんの真剣な表情と言葉に悪意が含まれてないのが分かり、こちらが折れて手を差し出す

 

「ありがとうございます!これからあなたを精一杯マネジメントさせていただきますね!大舟に乗ったつもりで任せて下さい!」

 

私の承諾にニコさんは満面の笑みを浮かべながら差し出した手を握り返してくれた。

 

「では、遊馬君と素良君もこちら私の連絡先です。対戦相手が見つかり次第連絡させていただきますね」

 

私も含め3人に名刺を渡すと、それではと言ってニコさんは帰っていった

 

「相変わらず、嵐みたいな人だなぁ」

 

「でも、良かったじゃない。対戦相手見つかりそうで!」

 

「そうだぞ。そもそも事故りやすいデッキやら、作ったばっかのデッキの試運転で公式試合に出ていれば、勝率が6割り行かないのも当たり前だ。まあ、あの時は仕方なかったとは思うが…」

 

「うっ、それは…、権現坂道場の方々には申し訳なかったかなって思います…」

 

あの時は色々と偏見とかあったしで、魔導書を封印してたんだよね。

 

タダでさえ、あの時は榊遊勝の子どもってだけで後ろ指刺されてたし、母親は亡くなり、兄弟も父親と同じ行方不明で、それについても周りに騒ぎ立てられてたから、魔導書なんて、私しか持ってないカードを使って更に悪目立ちされるのは不本意だった。

それで、この世界にあるカードを使って色々デッキを作ったのはいいんだけど、まあ、使えるカードは高くて手が出なかったりしたため、なかなかピーキーなデッキになってしまったりしていた。

逆にストレージになんでこのカードが刺さってるんだ?って時もあったから、そのカードに合わせてデッキを組み直したりしてたから、デッキはころころ変わっていた。

 

幸いにも、権現坂道場の方々は私の事情も理解してくれて、相手になってくれたから、今でもお礼として、時々差し入れを作って持って行っている。

 

「すまないな。色々と苦労をかけたみたいだ」

 

「遊斗のせいじゃない。それに後4連勝すれば、出場資格は取れるから問題ないよ。それにしても、素良はともかく遊馬まで参加したいとは…まあ、言うと思ったけどさ」

 

「絶対面白そうじゃん!それにあいつも出るかもだしさ…(ボソッ)」

 

確かに可能性はある…か…

LC主催の大会だ。社長さんを狙って参加する可能性はある。

 

「遊馬もそう思う!?僕も楽しそうだから参加したけど、遊奈は迷惑だった?」

 

「そんな訳ないでしょ?誰だって挑戦する資格はあるはずだよ」

 

素良の肩に手を置きながらにっと笑って見せる

 

「遊奈の言う通りだ!6連勝なかなか難しいとは思うが、素良君も遊馬君も遊奈も頑張るんだぞ!さぁさぁ!景気づけにどんどん食った!」

 

修造おじさんの言葉で各々飲み食いを再開して、この日は解散した。

 




2年で色々変わりましたね

VRAINSは終わり、今はSEVENSになりましたけど、観てないんですよね…
聞いた話だと遊我君はエンジニアとか何とか…
機械に強い主人公っていいですよね。
遊星、ファントム遊矢、遊作、遊我の4人でそういう話しをして、盛り上がって欲しいものです‪w

にしても、VRAINSは一期は良かったのに、監督とかが変わったせいか二期からはちょっと残念になってしまいましたね…
打ち切りになるわ、しょごりゅうはエースから消えるわ…
遊作と了見はお気に入りのキャラだったからすごく残念です


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第13話 朝食と揺さぶられる心

デュエルは無し
今回は遊奈がある人物の心を変えようと奮闘する話です。
考察めちゃくちゃある感じになってしまったが大丈夫かな…
アニメがまだちゃんと見きれてないため矛盾点があったら修正しますm(*_ _)m


ピンポーン

 

ん?こんな朝早くから誰だろう?

朝食作りのために何時もより早く起きてると、チャイムが鳴り響く。

 

「はーい。どちら様…って素良?」

 

「おはよう、遊奈!わくわくしちゃって、早くに目が覚めちゃったから来ちゃった!」

 

「あー、遠足前のテンションってヤツかな?「ぐるるる…」…ん?」

 

「あ…//」

 

音の発生源はどうやら素良のお腹からだった

 

「もしかして、朝ご飯まだだったりする?」

 

「う、うん。…一人暮らしだし、あまり食べるの好きじゃないっていうか…甘いのは別なんだけどね」

 

やっぱりね…

最後の一言に確信を持てたので素良を誘ってみる。

 

「…素良、朝ご飯まだならうちで食べてきなよ」

 

「え?…でも…」

 

「朝ご飯はしっかり食べないとずっと調子悪いままになるよ!ほら!」

 

「うわあ!えっと、お邪魔します」

 

半場無理やり素良を家に上げると洗面台で手洗いうがいをさせた後、リビングに通す

 

「適当に座ってて。ちょっと時間かかるけど、時間は大丈夫だよね?」

 

「うん、大丈夫。わあ!猫と犬がいるんだ!」

 

「ああ、犬の方がアンで、猫がコールだよ。二匹とも人懐っこい性格だから料理出来るまで相手しててもいいよ」

 

「分かった。そういえば、遊斗達は?」

 

「遊斗達?まだ寝てるよ。今日は私が当番だから早起きしただけだよ。そのうち降りてくると思うよ」

 

そうなんだっと言うと素良はアンとコールと遊び始めた

それを見届けると途中だった朝食作りを再開する

 

 

ガチャっと20分くらい経ってからだろうか

リビングの扉が開いて遊斗が入ってくる

 

「…おはよう…って、何故素良がここにいる?」

 

「おはよう遊斗。素良ったらワクワクし過ぎて早く起きちゃったんだってさ。朝ご飯まだだって言ってたから上がってもらったんだよ」

 

「おはよう遊斗。なんかごめんね」

 

「いや…別に構わないが…おい、大丈夫なのか?(ボソッ)」

 

「大丈夫だと思うよ?それに気になることもあるし…ね」

 

最後のセリフだけ私にしか聞こえないように小声で話しかけてきたので小声で返すとため息をつかれた

 

「そうか、零の説得はお前がしろよ」

 

「えっ…ちょ…!」

 

引き留めようとするが、私の事を無視して箸とかをテーブルへ、並べ始めてしまった

 

《仕方ないね。腹括りなよ》

 

了解です…。

私、死なないかな?

 

少し気が遠くなったが、頭を切りかえて仕上げに取り掛かった。

 

遊斗が起きてから10分後くらいに零に引きずられながら遊馬も来て、素良を見た途端、零が私に詰め寄ってきたので説明+説得をして、どうにか納得をしてもらうと出来上がった朝食をテーブルに並べた。

 

「いっただきまーす!」

「「「いただきます」」」

「……いただきます」

 

遊馬の元気な挨拶で食事が始まるが、素良は箸を持つこともなくただ、料理を眺めている

 

「…素良、食べれそう?」

 

「え?あっ…えっと…」

 

「無理にとは言わないけど、スープだけでも食べてみてよ?」

 

「…いただきます!…ん!?これ、トマトなのにすごく甘くて美味しい!」

 

恐る恐る食べる素良だったが、びっくりした表情で私を見てくる

 

「そのミネストローネ、 スーパーフルーツトマトっていう甘いトマト使ってるから酸味とかあまりないでしょ?素良ってさ、甘味以外、あまり感じることが出来ないんじゃない?」

 

「「「!?」」」

「!どうしてそれを…」

 

「んー。経験…かな?私も昔、味覚障害起こしてたことあってね…」

 

まあ、私の場合、素良と違ってなんの味も感じられなくて、食べ物食べてもゴムとかスポンジ食べてる感じだったけどね。

でも、あの時は生きる為に、いつ提供されるかも分からない食べ物をなんでも食べるしかなかった

 

「三大欲求の一つである食事が美味しく食べれないのは結構来るものがあるのも知ってる…。だからちょっと素良の事が心配になってさ。知り合いに料理研究家がいて、前から相談していたんだ。お菓子やジャムなんかだと砂糖の摂りすぎで身体に悪いから、自然な甘さで料理が食べれないかなって。口に合ったなら良かった」

 

ミネストローネは具沢山だからそれだけでもお腹いっぱいになると思うし、他にも色々素良の為に作ってみた。

 

「…どうして…」

 

「ん?だって素良は私の友達だから」

 

友達を助けるのは当然のことでしょ?って素良に笑いかけると、素良は一瞬泣きそうな顔をする

 

「…よく分からないよ(ボソッ)」

 

「ん?」

 

「なんでもない!このパンも甘いの?」

 

「ああ、スイートコーンを入れたから甘く出来てるよ」

 

素良が何か言っていた気がするが聞き取れずに話をそらされてしまった。

 

パンも口に合ったみたいで、心做しか、嬉しそうに食べてる素良を見て、遊斗達も思うところがあったんだろう

特に素良にあたることなく、たわいの無い会話をしながら朝食の時間を楽しんだ

 

 

───────────────────────

 

 

ーSide/素良

 

「「じゃあいってきまーす!」」

「お邪魔しました!」

 

朝食を食べ終わり、ニコさんに指定された場所に向かう為、遊奈と遊馬と一緒に家を出る。

 

遊馬は方向が逆らしく、家の前で別れた

 

「どうだった?」

 

「うん!すごく美味しかった。野菜ってあんなに甘いんだね」

 

隣を歩いていた遊奈にそう言われ、無難に答える

正直、あんなに辛かった食事が楽しかったのは初めてだった

 

「それもそうだけど、私が聞きたいのはみんなで食べたご飯は楽しかったでしょ?」

 

「え?…まあ…」

 

ドキッとした。遊奈は僕の心を読めるのかな?

 

「…素良さえ良かったら朝食食べに通わない?みんなで食べた方が美味しいしさ。もっと、素良が食べれるように工夫したいし、友達にも結果教えたいし」

 

「それって、さっき言ってた料理研究家?」

 

「そうそう。そういう人にも美味しく健康に食べてもらう料理の研究ってなかなか難しいらしくてさ。参考にしたいんだって。ダメかな?」

 

「それは、いいけど…遊奈は負担じゃないの?普通の料理作るより手間でしょ?」

 

「そこは慣れかな?大丈夫だよ。料理するのは昔から好きだったし、それに言ったでしょ?素良の身体が心配だって」

 

遊奈の心からの言葉にどう返したら良いのか分からない。

今まで、心配なんてされた事もなかったから…

 

「…遊奈がどうしてもって言うなら行ってもいいよ」

 

「うん!頑張るね!」

 

結構、ぶっきらぼうにそう言うが、遊奈は僕の言葉に気を悪くせず嬉しそうに笑った。

 

よく分からない…。何なんだろ…?この胸がポカポカする感じ…

 

結構、自分の感情を理解出来ないまま遊奈と別れて、ニコさんが指定した場所に向かうと、なぜか柚子がいた。

 

「どうしたの?」

 

「素良にお願いがあって来たの!私に融合を教えて!」

 

「えぇ!?急にどうしたの?遊奈から教わってなかった?」

 

「基本中の基本だけで、まだ本格的には教わってないし、遊奈の負担をこれ以上増やしたくないの。それに、この前デュエルして分かったの…。私、今のままじゃ足手まといにしかならない。強くならなきゃって…だから教えてください!お願いします!」

 

土下座しそうな勢いの柚子を見て、教えてもいいのかな…?って思っていたが、結局折れてしまう。

 

「……分かった。そこまで言うならいいよ。教えてあげる」

 

「ありがとう!素良!」

 

ぱあっと笑顔になる柚子を見て、優しすぎるのが僕の欠点だよなぁと思いながら。柚子に融合について色々レクチャーしながら指定された塾に入った




アニメにあった、遊斗と素良のリアルファイトは、遊奈のおかげで代わりにみんなで朝食という感じになりました。
この後、毎日律儀に来てくれる素良に最初警戒してた遊斗、真月も遊馬と遊奈のおかげで、打ち解けていってくれる予定です笑
遊馬先生は最初っから素良の事は遊奈がそう言うなら友達だと思ってるので遊奈と一緒にカウンセリングしていきますw

因みに、遊奈が味覚障害になっていたのは1番最初の人生、親に虐待を受けていた時です。


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第14話 満腹全席!そして更なる一歩へ

新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
去年はコロナが猛威を振るい、今年に入って二度目の緊急事態宣言で大変だとは思いますが、頑張って行きましょう。

にしても、今年に入って一番びっくりしたことは、まさかのファイアウォールさんがエラッター復帰。
アニメ放送中にしてあげてよ!禁止カードから意外と早いエラッター復帰とはいえ、遅すぎるよ!
って叫んだのは私だけじゃないはず…。





ーSide/遊奈

 

 

えっと、指定された所って…あれ?

 

ニコさんと待ち合わせしてる場所に向かうと、そこには霧隠料理スクールと書かれた看板の建物があった

 

《あれ?ここって…》

 

「待っていましたよ!遊矢君!」

 

「ニコさん!?おはようございます」

 

ファントムの言葉に被せてニコさんが元気よく挨拶して来たので挨拶を返すとそのままスクールの中に入らされる

 

フィールドに着くと2階の観客席は料理教室になっていてとてもいい香りが辺りを充満していて、ミッチーLOVEと書かれた看板が貼ってあった

 

『ご紹介致しましょう!本日の対戦相手、ミッチーこと〜茂古田未知夫(もこたみちお)君でーす!』

 

ニコさんの掛け声と煙と声援と共にオレンジ色の髪にそばかすが特徴的な少年が優雅に一礼してフィールドに入ってくる

 

「久しぶりだね。遊矢君」

 

「久しぶり。相変わらず奥様方から人気だね〜」

 

「おや?2人は知り合いだったんですか?」

 

「ええ。昔、僕が料理のことで悩んでいた時に色々と助言をくれまして…それから今でも料理の感想とか言い合える仲ですね。それより君も変わってないみたいで安心したよ。ペンデュラム召喚なんて、どこまでも僕をビックリさせるね」

 

「最高の褒め言葉だよ。今日のデュエルではもっとビックリさせてみせるから期待しててよ」

 

「遊矢兄ちゃーん!」

 

「みんな来てくれたんだ」

 

「あったりまえじゃない!」

「今日は遊矢兄ちゃんのプロになる為の第1歩なんだから」

「バッチリ勝って、痺れさせてくれよなぁ!」

 

「もちろん!」

 

未知夫と話をしているとフトシ君達小学生組が応援に来てくれてた。

よく見るとこの塾の霧隠さんと未知夫の母親もいて、目が合ったので軽くお辞儀をして返した。

 

原作とは違い、未知夫の親子関係はとても良くなっており、未知夫も完璧さを追求してくることは無くなり、霧隠塾長とは未知夫を通じで交流がある。

未知夫の父親が居ないのは原作通り、料理の仕込みの為だろう、母親がカメラを構えている。

 

因みに、今朝素良に言った料理研究家とは彼の事である。

 

 

───────────────────────

 

 

『皆様ーお待たせしました!これよりペンデュラム召喚のパイオニア、ファントムこと榊遊矢と、クッキングデュエルのプリンス、茂古田未知夫の1戦を行います!』

 

『あなたのレシピで酔わせて!』

 

『ファントム様ー!いつものように、わくわくさせてくれよー!』

 

未知夫には奥様方の声援が、私からはどうやらファンが着いていたらしく、それぞれに未知夫は手を振り、私は軽くお辞儀をして答える。

因みに服装はマントの方なんだけど、ニコさんもしかして、私の二つ名をファントムにするつもりなんだろうか…

 

《まあ、いいじゃない。僕とお揃いでさ》

 

まあ、私としても構わないからファントムがそう言うなら別にいいか

 

『それでは、霧隠塾長お願いいたします!』

 

『うぬ!料理とは、あくなし可能性の探求。そして、デュエルもまた同じ。未来ある若者二人には、我がクッキングデュエルに最も相応しいフィールドで戦って貰おう。アクションフィールドオン!フィールド魔法!アクション・キッチン発動!』

 

霧隠塾長の掛け声と共にフィールドが料理の厨房の様な姿に変わった。

 

「相変わらず、某ネズミがシェフになる映画を彷彿とさせるね」

 

「まあ、僕達が調理するのには変わらないからね。でもこれ以上はダメだよ色々と」

 

未知夫に釘を刺されてしまう。仕方ないか、D社が怖いからこれ以上はやめてデュエルに切り替える。

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

 

「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い!フィールド内を駆け巡る!」

 

「見よ、これぞデュエルの最強進化系!」

 

「「「「「アクショーン!」」」」」

 

「「デュエル!」」

 

───────────────────────

 

 

ーSide/遊馬

 

 

《遊馬》

 

「ん?どうしたんだ?アストラル」

 

一方、遊奈達と別れた後、アストラルが遊馬に話しかけてきた。

 

 

《彼…素良といったか、彼は融合次元から来たアカデミアの使者なのだろう?警戒した方がいい》

 

「遊奈が言うにはだけどな。でも、なんか憎めない感じなんだよなぁ。朝の様子見ただろ?遊奈も素良に関しては随分気にしてたみたいだし、俺も素良を見てると真月を思い出すんだよなぁ、ほっとけないっていうかさ」

 

《つまり、君は素良と真月は同類だと?…相変わらず君は誰であろうと手を差し伸べるのだな。まあ、それが君の美点ではあるが…》

 

「悪いかよ?」

 

《いや、君らしいと思っただけだ。それよりも遊馬、そろそろ急がないと不味いんじゃないのか?》

 

「え?あー!!やべぇ!遅刻しちまう!走るぞ!アストラル!」

 

デュエルディスクに表示された時間を見て慌てて走り出す。後ろからやれやれと言った感じで着いてくる相棒の気配を横に感じながらニコに言われた場所に向かった。

 

 

───────────────────────

 

 

ーSide/柚子

 

「デストーイ・シザーベアーでダイレクトアタック!」

 

「ぐわあああ!」

 

LP 0 LOST

 

WINNER Sora

 

 

「よし!僕の勝ち!」

 

「流石ね、素良!これで二連勝よ」

 

「えへへ。それよりどう?融合の仕方は分かってきた?」

 

「う、うん。融合召喚って融合のカードだけじゃなくて、そのテーマに合った専用の融合カードがあるのよね」

 

「そうそう。普通の融合カードでもいいけど、専用の融合カードなら融合するだけじゃなくて色々と追加効果あるから、専用の融合カードがあるならそっちを入れた方がお得だよ」

 

「なるほど…。幻奏の融合カードってあるのかしら?」

 

「分かんないけど、先ずは普通の融合を使って覚えた方がいいと思うよ。はい、これあげる」

 

そういうと、素良は融合のカードを私に手渡した

 

「融合のカード!いいの?」

 

「うん。余ってた奴だから柚子に上げる」

 

「ありがとう素良。私頑張るね」

 

「うん。それより今日はこれでおしまいだけど、どうする?」

 

「素良さえ時間があれば、練習に付き合って欲しいかな」

 

「分かったよ。なら遊勝塾に「あ、塾はダメ!」どうして?」

 

「その…まだ知られたくないの。ちゃんと融合を使える様になって自分が強くなった時に話したいから、素良も秘密にして欲しい」

 

「ドッキリって奴?確かに遊奈達をびっくりさせるのは楽しそうだね。分かったよ」

 

「ありがとう!素良!早速移動しましょう」

 

「あ、ちょっと!…仕方ないなぁ」

 

素良の手を掴むと塾を後にした

 

 

───────────────────────

 

 

ーSide/遊奈

 

 

Michio

LP2300

手札 0

 

RCM(ロイヤル・クックメイト)プリンス・カレー ATK300

RCM(ロイヤル・クックメイト)プリンセス・プリンATK300

RCM(ロイヤル・クックメイト)ナイト・ナポリタンATK300

RCM(ロイヤル・クックメイト)キング・ハンバーグATK300

RCM(ロイヤル・クックメイト)クイーン・オムレツATK300

 

魔法・罠カード 食罠庫、ワンダー・レシピ

 

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

Yuna

LP 200

手札 2

 

魔法・罠カード 伏せ1枚

 

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

 

「俺のターンドロー!Here(ヒア) we(ウィー) go(ゴー)!! It's(イッツ) a() show(ショウ) time(タイム)!!俺はペンデュラムスケールをセッティング!俺はレフトペンデュラム・ゾーンに『オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン』をセット!そしてライトペンデュラム・ゾーンに『オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン』をセッティング!」

 

RPゾーン:オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン PS[1]

LPゾーン:オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン PS[8]

 

青い光の柱が2つ出現し、其処に二体の竜が昇るとそれぞれの柱に1と8の数字が刻まれた。

 

「また、ペンデュラム召喚かい?だけど僕の場には5体のRCM(ロイヤル・クックメイト)がいる!出したところで破壊されて終わるだけさ!」

 

「それはどうかな?揺れろ、運命の振り子!!永久に続く時を刻み未来と過去を行き交え!!ペンデュラム召喚!エクストラデッキより現れよ!レベル4、雄々しき銀色の爪を持ちし銀狼!『EMシルバークロウ』、レベル4、ドクロの帽子がトレードマークな奇術師!『EMドクロバット・ジョーカー』!レベル4、仲間の力を見せてやれ!『EMパートナーガ』!レベル5、世にも珍しき二色の眼を持ちし不死鳥『EMオッドアイズ・ライトフェニックス』!レベル7、時空の狭間から現れよ!『オッドアイズ・ファントム ・ドラゴン』!」

 

EMシルバー・クロウ ATK1800

EMドクロバット ・ジョーカー ATK1800

EMパートナーガ ATK500

EMオッドアイズ・ライトフェニックス ATK2000

オッドアイズ・ファントム・ドラゴン ATK2500

 

「いくらエクストラデッキから来ようとも結果は同じさ!RCM5体分の効果発動!」

 

未知夫の合図で、場のRCMが私のモンスターに強制的にご飯を食べさせ始める

 

『さっきみたいにまたやられちゃう!』

 

「RCMを手札に戻すことによって1枚につき1体のモンスターを破壊する!」

 

《うぐっ!無理矢理食べさせないて!遊nもぐっ!》

 

ファントムが身体をナポリタンに拘束され、泣きながら無理矢理食べさせられてる姿に見ていられなくなり、急いで発動する。

 

「俺はオッドアイズ・ペルソナ・ドラゴンのペンデュラム効果発動!」

 

他のモンスターが破壊される中、ファントムの頭上から?マークが沢山ある四角い箱が落ちてきてファントムの上に覆いかぶさった

 

「来たよ、来た来た!これからが本当のお楽しみはこれからだ!!」

 

『おお!』

 

『何が起こるんだ!?』

 

『私、わくわくして来た!』

 

「ご覧あれ!箱に入ったのは『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』なのに摩訶不思議!!」

 

パンッと箱が弾けるとファントムのいた所にペルソナ・ドラゴンが、逆にペルソナ・ドラゴンのいたPゾーンにファントムがいた。

 

オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン ATK1200

 

《ふぅ…助かったぁ》

 

「何!?」

 

「これで対象を失った効果は無効になるよ!」

 

「でも、そのモンスターはたった攻撃力1200!そんなんで僕のLPは削りきれない!」

 

「それはどうかな!?バトル!『オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン』でダイレクトアタック!そして、この攻撃宣言時、『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』のペンデュラム効果発動!ペルソナ・ドラゴンの攻撃力を1200アップするよ!」

 

ペルソナ・ドラゴンATK1200→2400

 

「そんな馬鹿な!?…ふふ…流石だよ」

 

「行け!ペルソナ・ドラゴン!仮面の衝撃(バイト・ノット・インパクト)!!!」

 

「(僕の負けだ)」

 

Michio LP 2300→-100 LOSE

 

WINNER Yuna

 

「ごちそうさまでした!」

 

『おおー!凄かったぞー!流石ファントム様!』

 

『やったー!』

 

『これで1勝目ゲットだ!』

 

『痺れるぅ!』

 

『ファントム様ー!』

 

最後に手を合わせて決めると周りからたくさんのエールの声が湧き上がる。

 

「未知夫ちゃん!大丈夫?!」

 

「ママ…大丈夫だよ。今回は僕の負けだよ。…遊矢君!」

 

アユちゃん達がこちらへ来るのと同時に、未知夫近づいてくる

 

「今日は君の勝ちだ。けどこの負けを糧に僕は更にレシピを工夫して前に進む」

 

「だったら、俺はもっと先に進むよ」

 

「ジュニアユース選手権で会えるのを楽しみにしているよ。まあ、君なら大丈夫だとは思うけどね」

 

「ああ!あ、そうだ、この後いいかな?例のレシピについて報告あるんだけど」

 

「本当かい!ならこれからお昼も兼ねて僕の料理をご馳走するよ。君達もどうかい?」

 

「え!いいの?」

「やったー!」

「未知夫兄ちゃんありがとう!」

 

「はは!なんか、兄ちゃんって呼ばれ方照れ臭いな」

 

「いいの?」

 

「構わないよ。みんなの感想が僕の料理に更なる磨きをかけてくれるからね。それじゃあ行こうか」

 

 

未知夫の手料理をみんなでご馳走になり、料理の感想を言い合ったり、新しいレシピを貰ったりしてその日は終了した。




未知夫君の話は都合上大分カットしました。
ファンの方すみませんσ(^_^;)

アニメオリジナル系のカードは正直勘弁して欲しいのと、あまりデュエルが書けない人なんで、ちょこちょこカットが入ると思いますが、ご了承ください。


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第15話 反逆の影と虹との再会

最近、育児をしつつ、ポケモンをやって小説を書いてって感じで家に引きこもりすぎてヤバいです。

みなさん、正月太りしましたか…?
私は…ヤバいです笑
自粛中って言うのもあって、なかなか思うように行かないですが、頑張って行きましょう。


ーSide/零児

 

「これは!」

 

「今朝、スクールに差出人不明で送られて来ました」

 

「マルコとティオ…」

 

「何故、我がLDSのエースデュエリスト2人のカードが…。犯人はなんのつもりで、こんな事を…?」

 

「昨日、市内で再びエクシーズ召喚の強い召喚反応を検知しました。直後、ティオの行方が分からなくなったとの報告を受けていたのですが、まさかカードに封印されていたとは…」

 

「封印ですって!?まさか!そんな事が…では、彼らはこのカードの中で…」

 

「生きています。私もこの事例を実際に目にするのは初めて…詳しく調べて見なければ正確な事は言えませんが、おそらく」

 

「…彼らを救う方法は?」

 

「残念ながら今の我々の力では…。しかし、一つ疑問が。事件はこれまで三度起こっている。最初の被害者は沢渡シンゴ。だが、彼は封印されていない。二度目のマルコ、そして三度目のティオはこうしてカードに…。この2つの異なった事実から導きられる可能性、犯人は二人」

 

「何ですって!?「議員!お待ち下さい!!」」

 

中島の慌てたような声が扉の向こうから響くと、扉が勢いよく開き、沢渡議員とその後ろから慌てた様に中島が入ってくる

 

「いったいなんばもたもたしとるとですか!赤馬理事長!」

 

「沢渡先生!?」

 

「勝手に入られては困ります!どうかお引取りを!」

 

「うるさーい!私は理事長に用があると!」

 

「っしかし!いきなりアポも無く」

 

「政治家が後援会の会長に会いに来てなんか悪かとか!?」

 

「中島、控えろ」

 

「は、はい!」

 

とりあえず、中島を止めて場を沈めると沢渡議員が語り出す

 

「また、事件が起こったそうじゃなかですか!?」

 

「いったい、何のことでしょう?」

 

「次期市長である私の情報網を侮って貰っては困る!ちゃんと耳に入っておりますぞ!スクールの講師に続いて、今度はLDSのトップ中のエースが襲われたらしいと!」

 

「……」

 

「…本当なんですな?」

 

動揺を見せる母に沢渡議員も確信した様に尋ねる

これは、話した方が良さそうだな

 

「それは…」

 

「本当です」

 

「なら何故!手をこまねいてる!さっさと犯人を捕まえたらよかじゃなかですか!」

 

「犯人は現在調査中です」

 

「調査?いったい何の調査をする必要がある!うちの息子が明確に証言しとると!自分を襲ったのは、榊遊矢…否、榊遊奈だと!」

 

沢渡議員がそう言って懐から二枚の写真を机にたたきつけるように出した。

 

一枚は白いフードマントをつけた、通称ファントムと呼ばれている姿のあの子、もう一枚は榊遊勝に抱き上げられながら写っているまだ、女の子らしい姿をした幼い頃のあの子の写真だった。

 

「…ご子息は今もそう言っているのですか?」

 

「退院してから会っておらんが証言が変わったとは聞いとらん!故に犯人は榊遊奈に違いない!聞いた話だと学校にも男子生徒と偽って通学しているらしいじゃないか!男装趣味のある女なんぞ、何をしでかすかわかったもんじゃなかとです!そもそも理事長も納得し、自分に全て任せると言ったじゃなかか…。なのに何の手も打たずにあの女を野放しにしたまま第二、第三の事件を!もはや黙ってはおれん!舞網市の治安を守るためにも、私自ら警察を動かしこの手で榊遊奈を!」

 

「それはお待ち下さい」

 

「待てぬわ!!」

 

バンッ!

 

机がおもっいきり叩かれる音が鳴りびびく

零児が台バンをしながら立ち上がったためだった。

 

「っ!」

 

「調査中だと申し上げた。我々も手をこまねいてるばかりでは無い。レオ・コーポレーションとLDSの総力をあげて犯人を追っている」

 

「だから犯人は榊遊奈だと!」

 

「彼女は犯人では無い!」

 

「っ!…ぐぬぬ…」

 

「真犯人は必ず我々が捕まえる。それまであなたには黙って見ていただきたい」

 

「しかし!「まあまあ沢渡さん、落ち着いて下さい」誰だ!あ、あなたは…!」

 

沢渡議員がびっくりしながら入ってきた人達を見ていた。

これから会う予定だった、武藤遊戯と武藤アテムだった。

 

「御無沙汰してます。沢渡さん。それに零児、理事長も」

 

「なんか、すみませんね。連絡を貰ったとはいえ入ってきちゃって…」

 

「いえ、元々私がお二人を呼んでいたのですから構いませんよ」

 

「遊戯君にアテム君久しいですな!でも、あなた達には関係無い話…」

 

 

「そうでも無いですよ。理事長。なんでも相棒の知り合いの子を疑ってるそうじゃないか?俺達としても真犯人を探し出したいんだ」

 

「それに、さっき零児君も言っていたけど、あの子はそんな事する子じゃないよ。あの子は他人の痛みを良く知ってる子だ。なんの理由もなく暴力を振るう子じゃない。ましては彼女にとって神聖なデュエルなんかでね」

 

三人の真っ直ぐな視線に耐えれなくなったのか、沢渡議員は「捕まえられんかったら承知せんばい!」と捨て台詞を吐きながら写真を回収して帰って行った。

 

心の中でため息を吐くと零児は頭を切り替える

 

「中島、市内の警戒度を一段上げろ。このカードは明らかに我々への挑戦…どんな事態でも、対応出来るようにな」

 

「はい!」

 

「それと、このカードを分析室に回し、徹底的に調べるんだ。二人を…いや、全てのデュエリストを救う手立てを見つける為に」

 

「分かりました。失礼します!」

 

「私もこれから用があるので失礼しますわ」

 

中島に二人のカードを渡すと、中島と母は部屋を出ていった。

それを見届けると、ドカりと椅子に座って思わずため息を漏らす

 

「お疲れ様」

 

「大丈夫か?」

 

「すまない。わざわざ来ていただいたのに、こんな事になっていて…」

 

「それは構わないぜ。それよりもさっきの話本当か?犯人は二人いるって」

 

「おそらくですが、可能性は高いかと。それに近々、私は榊遊奈と話をするつもりです。彼女は犯人では無いですが、何かを隠している…。この前のデュエルでそう感じました」

 

「そうなんだ。確かにあの子は昔から一人で悩みを抱え込んでしまう子だったから、無茶をしていなければいいんだけど…」

 

「そういえば、遊戯さん達は彼女の事を知ってるみたいだが、どういう間柄なんですか?」

 

「俺は会ったこと無いから相棒の話で知ってる程度だぜ」

 

「うん。なんて言うのかな…たまたま偶然なんだけど、知り合いの子どもって言うのかな?その子に会った時に遊奈ちゃんにも会ったんだよ。ちょっと昔に色々あった子だったみたいで気にかけてはいたんだけど、僕達も色々忙しかったからやっと会えたのがこの前の事なんだよね」

 

「そうだったんですね」

 

「零児君こそどうなの?遊奈ちゃんの事知ってたみたいだけど」

 

「…昔、会ったことがあるだけですよ。彼女は忘れてしまったみたいですが…」

 

昔を思い出したのか零児の姿はどこか憂い顔をしている

 

「(零児君にとっては遊奈ちゃんは大切な人なんだね…) …零児君」

 

「…なんですか?」

 

「もし、何かがあったとしても、あの子の事を受け入れてあげてね」

 

「?。それはどういう…?」

 

遊戯さんの真剣な眼差しに戸惑いを隠せないまま問いかけるが、遊戯さんはただただ笑いかけるだけで答える気は無いようだった。

 

「…分かりました」

 

「うん。今の言葉忘れないであげてね」

 

そう言う、遊戯さんは少し悲しそうに笑っていた。

 

 

───────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

なんか、朝から懐かしい夢を見たなぁ。

と思いつつ、ニコさんに言われた場所に向かって歩いていた。

 

《懐かしい夢?》

 

前世の…龍奈だった頃の夢だよ。ヨハンお父さんがいたんだけど、なんの夢だったのか忘れちゃったな

 

《そっか。…ん?》

 

どうしたの?

 

何かに気づいたファントムが見る方向に視線を向けると、何やら騒がしかった。

 

よく見るとLDSの制服を着た三人の男に向かって、随分身長が低く小太りしたおじさんが何やら文句を言っていた。

 

あれって…もしかして沢渡議員か…?

 

情報収集がてらネットサーフィンしている時に見かけた姿に何となく似ていると思いつつ彼らの会話を聞いてみることにした。

まあ、盗み聞きってよりも、あんなに大声上げてれば嫌でも耳に入っちゃうけど

 

「お前達!次期市長の命令が聞けんのか!?私は現役の市会議員だぞ!一番偉いのは市長!市長こそ最強権力者!!」

 

《いやいや…市長より上の権力者なんていっぱいあるだろうに…》

 

「誰あれ…?」

「ほらアレ、市会議員の沢渡だって…」

「まだ、市長にもなってないのに偉そうに…」

 

あまりのうるささに、周りもザワザワし始める。

 

やっぱり、沢渡議員だったか。確か沢渡の父親だったよね?

 

面倒な事になる前にこの場を離れた方が良さそうそうだと思い、その場を離れるように走り出す。

 

「待てー!榊遊矢!!」

 

すると、何故か後ろからLDSの三人と沢渡議員も後ろを追いかけてくる

 

「え、ちょっ!?なんで、着いてくるんですか!」

 

「私の可愛い息子を襲った犯人を逃がすな!!どうせ、今までの事件もお前の仕業だろ!」

 

「ふぁ!?違いますよ!俺じゃないって!! っ!」

 

「っ!」

 

角を曲がった時、誰かとぶつかってしまった。

 

「ご、ごめんなさい!今追われてて…」

 

「遊斗?」

 

「え?遊斗は兄ですけど…」

 

ん?あれ?この黒いコートと口元を覆う赤いマフラーにサングラスをかけた、いかにも不審者の出で立ちの人はまさか…

 

「!そうか、お前が遊斗の妹の…」

 

「もしかして、黒咲隼さんですか?」

 

「何故俺の名を…」

 

「遊斗達から聞きました。ってそれよりも!」

 

後ろからバタバタと足跡が近づいて振り返ると例のLDS三人と沢渡議員が現れた。

 

「追い詰めたぞ!榊遊矢!!」

 

「LDS…ならばここは俺が相手になろう」

 

「待って!黒咲さん!LDSは敵じゃ」

 

「無いとなぜ言い切れる。現に追われていただろう。下がっていろ」

 

「…!…ならカード化だけはお願いです。しないで下さい。彼らはエクシーズ次元での出来事には無関係なはずです」

 

何を言っても今の彼には届かないと分かった今、せめて最悪の選択はしないようにお願いする。

 

「…甘いな」

 

「なんだお前は!?邪魔をするな!」

 

「来なければ、こちらから行く!」

 

「こいつ!もしかしたら!」

 

「ティオやマルコを…!」

 

「本部に連絡を」

 

「ええい!あんな奴など放っておけ!それより早く榊遊矢を!」

 

「俺は手札から『RR(レイド・ラプターズ)-バニシング・レイニダス』を召喚!」

 

RR-バニシング・レイニダスATK1300

 

RRの起点とも言える緑の機械鳥が現れる。因みに何故か最初から場に一体のバニシングさんがいたので黒咲の場には2体のレベル4がいる状態だ。

 

「このモンスターの召喚に成功した時、手札から更に『RR-バニシング・レイニダス』を特殊召喚出来る!」

 

RR-バニシング・レイニダスATK1300

 

これで、場には三体のバニシング・レイニダスが並んだ

 

「俺はレベル4のバニシング・レイニダス三体をオーバーレイ!」

 

「間違いない!」

「二人を襲ったのは!」

 

ブラックホールに飲み込まれる三体のモンスター達

 

「エクシーズ召喚!」

 

───────────────────────

 

L.C司令室

 

サイレンと共にモニターに映されたのはXYZの文字

 

「市内中心部のエリアでエクシーズ反応!エネルギー最大レベル、前回検知したものと匹敵…いえ、それ以上!」

 

 

───────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

 

視界が悪い状態で判断基準が素材だけだけど、おそらくRR-ライズ・ファルコンだろう

ソリッドビジョンじゃない、本物の強風が吹き荒れ、沢渡議員が飛ばされる

 

まずい!

 

気づかれないように、精霊の力を借りて沢渡議員が大怪我をしないように風を起こして衝撃を和らげると自力で柵に捕まってくれた。

 

しまっ!

 

ライズ・ファルコンがLDSに攻撃を加える度に風の威力が増し、沢渡議員の方に気を取られていた遊奈を襲い、勢い良く吹き飛ばされてしまう。

 

「うわあああ!」

 

ガンッ!

 

上手く受身が取れないまま、吹き飛ばされた衝撃で壁に思っいきり頭をぶつけて地面に叩きつけられる

 

《遊奈!しっかりして!》

 

油断、してたなぁ…。ごめ…ファン…トム…

 

傍でファントムの心配する声が聞こえて来たが、だんだん視界が暗くなっていき完全に意識が途切れた

 

 

───────────────────────

 

ーSide/ファントム

 

《遊奈!しっかりして!》

 

ダメだ。反応が無い。

 

よく見てみると遊奈の頭から血が流れているのを確認する。

 

まずい、頭を強く打ったのか!

 

助けを呼ぼうと辺りを見渡すが、先程いたLDSも沢渡議員も、不審者も誰もいなくなっていた。

 

僕が実体化して遊奈を抱えたとしても街がパニックになるだけだ。

それに、脳震盪の場合、無理に動かすのは良くないと聞いた事がある。

普通の人間と違って僕と魂で繋がってる為、そう簡単には死なないが、ほっとくのはまずい状態だ

 

《遊奈、ちょっと待ってて!僕が助けを呼ぶから!ローザ!》

 

《分かってます。私はこの事を遊斗達に》

 

ローザを呼ぶと彼女は直ぐに現れ、遊斗達の元へ向かってくれた。

 

 

ピシッ

 

! なんで、こんな時に時空が裂ける音が聞こえるんだ!

 

最悪な状況で思わず舌打ちをしたくなるが今は遊奈を助けるのが先だ。

 

 

不審者、後でぶっ飛ばす…!

 

そう心に誓いながら、助けを呼ぶ為にこの場から離れた。

 

 

───────────────────────

 

ーSide/???

 

「いててて…参ったぜ…どこだ?ここ?」

 

《ルビルビ?》

 

「俺は大丈夫だよ。しっかし、慌てて入った時空だったから、ここがどこだか分かんないや」

 

《そこの君!》

 

「ん?」

 

誰かに呼ばれて後ろを向くと、そこには虹色の翼を生やした白い龍の精霊がいた。

 

 

───────────────────────

 

ーSide/ファントム

 

 

遊奈を助ける為に助けを呼びにあちこち動き回ったが、そもそも、精霊を見聞き出来る人間がいないと話にならず。

気づけば、先程、時空が裂けた場所の近くにいた。

 

ん? あれは…!

 

 

後ろ姿だったが、青い髪に青いジャケット、ヒラヒラの袖という特徴的な服を着た男の人を発見した。

しかも、よく見ると彼からは強い精霊の気配と遊奈と似たような気配を感じる。

そして、彼は紫色の猫のような精霊と話していた。

 

彼がなんで、この世界に来たのか分からないが藁にもすがる思いで声をかけた

 

《そこの君!》

 

「ん?」

 

振り返った彼の顔は、自分が思った通りの人物で、思わず名前を聞く。

 

《君!ヨハン・アンデルセンだろ!?》

 

「そうだけど…なんで、俺の名前…」

 

《君の娘から聞いてる!それよりも助けて欲しい!遊奈が!君の娘の龍奈が大変なんだ!》

 

「龍奈がここにいるのか!?…分かった!案内してくれ!」

 

《ありがとう。着いてきて!》

 

死んだはずの娘の名前がファントムの言葉から出てきて、驚いた様子だったが、質問よりも動くのが先だと分かったのだろう、ファントムの後を追いかけ走ってくる

 

《僕の名はファントム。オッドアイズ・ファントム・ドラゴンの精霊だよ。今は諸事情で、オッドアイズ・ファンタズマ・ドラゴンの姿になってる》

 

「そうか、ファントム一つ質問いいか?」

 

《なんだい?》

 

「さっき、龍奈の事を遊奈って言ってたよな?」

 

《…今のあの子の名前さ。あの子は転生して榊遊奈になったんだ。詳しい話は後にして今は急ごう》

 

「…分かった」

 

ファントムの言葉に納得するように頷くヨハンを見て、二人は更にスピードを上げた。

 

 

 

《遊奈!》

 

しばらく進んでようやく遊奈の所へ着いた。

路地裏だった為、相変わらず、倒れた遊奈以外は人気がない

 

「…しっかりしろ。…頭を打ったのか?」

 

《うん。時間的に気を失ってから10分くらいだと思う》

 

「…脳震盪か?とりあえず、傷を塞ごう」

 

そう考えながら、ヨハンは力を使い遊奈の頭の傷を癒していく。

 

しばらくすると傷口は塞がり、遊奈の身体が微かに動く

 

《しっかりして!》

 

「遊奈!」

 

 

───────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

《…奈!しっ……して!》

 

「遊…!遊奈!」

 

「…ん」

 

誰かの呼ぶ声が聞こえてきて意識が浮上する

 

この声は…ファントムと誰だっけ…?

 

どこか聞いた事がある声に懐かしさを感じながら目を覚ます。

 

「遊奈!大丈夫か?」

 

「…え。私、死んじゃったのかな?だってお父さんがいるはずないもん…」

 

目の前の光景に頭が理解出来ずに思わずそう呟いてしまった。

だって、前世で私の父親だった、ヨハン・アンデルセンその人がいたのだから

 

「しっかりしろ。ちゃんと生きてるし、父さんも生きてるよ」

 

ヨハンは苦笑いを浮かべながら遊奈をゆっくり抱き起こすと、遊奈の頭を撫でてあげた

 

その感覚に、やっと現実だと理解した途端、今度はどうしようもない感情が湧き上がり、それは涙に変わっていった

 

「お父さん…」

 

「うん。俺はここにいるよ」

 

「お父さん!うえぇーん!」

 

そう言ってヨハンは遊奈を抱きしめると、遊奈は今まで泣けなかったのが嘘みたいに素直に子どもらしく大声をあげながら泣きじゃくった

 

 

「……落ち着いたか?」

 

「うん…ひっく…。ありがとう、お父さん」

 

「家族なんだから当たり前だろ?それにファントムが助けを求めてくれたんだ。お礼ならファントムにも言ってくれよ」

 

「そうだったんだ。ファントムもありがとうね。わざわざ飛んで探してくれたんでしょ?」

 

《うっ、時空が裂けるのを感じたんだ!まあ、ヨハンだったから良かったけど…》

 

オッドアイズ・ファンタズマ・ドラゴンの姿のままのファントムを見ながらそう言うと、照れてそっぽを向いていつもの姿に戻ってしまった。

 

「いったい、何があったんだ?」

 

「あっ!黒咲さん!ってもういなくなっちゃったか…」

 

ヨハンの質問に今までの事を思い出して慌てて辺りを見渡すが、誰もいなくなっていた

 

《あいつなら、遊奈が気を失った時にはいなくなってたよ。次会った時は絶対にぶっ飛ばしてやる!》

 

「黒咲?」

 

「えっとね…」

 

カクカクシカジカ今までの事を話す

 

「なるほどな。すまない。ずっと1人にしてしまって…」

 

「ううん。こっちこそごめんなさい…。勝手に人を捨てて、勝手に死んで…」

 

「遊奈がそう判断して、後悔してないんだろ?確かに、親としては普通の人としての人生を歩んで欲しかったけど、お前が決めた事なら俺も、母さんも何も言わないさ」

 

「もう、血の繋がりも無い今でも私の事、家族だと思ってくれるの?」

 

「当たり前だろ。血が繋がってなくてもお前は俺と母さんの立派な娘だ。母さんもきっと同じ事を言うと思う」

 

「ありがとう…」

 

昔と変わらない、慈愛を感じる微笑みにまた、泣きそうになるのをこらえる。

 

「にしても、父親としては娘を傷つけた奴とちゃんとお話したい所だな…」

 

ちょっと怖い顔をしてる父に、あ、黒咲さん終わったなと思ってしまった。

 

「まあ、彼も妹を「遊矢くーん!!」…あれ?ニコさん?」

 

一応、フォローを入れようとしたが、そこにニコさんが私を呼ぶ声でキャンセルする事になった。

 

うん。やっぱ、骨は拾ってあげる…

 

そう心の中で合掌しながら、ヨハンと共に立ち上がって(立ちくらみでクラっとしたが、父が支えてくれた)駆け寄ってくるニコさんに向き直った。

 

「大丈夫か?」

 

「うん。ちょっと立ちくらみしただけ…」

 

「遊矢君!こんな所で何やっているんですか!試合に遅れてしまいますよ!

 

「すみません。ちょっと体調が悪くなったみたいで、休ませていたんですよ」

 

「そうだったのですか!?わざわざすみません!遊矢君大丈夫ですかな?」

 

「あ、はい。大丈夫です。だいぶ回復したんで、試合は出来ると思います」

 

「試合?」

 

「うん。ジュニアユースっていう大会の参加権の為に、後3回公式戦でデュエルしないとなんだよ。えっと…時間は何とか大丈夫かな?」

 

時計を見ながらそう呟く

 

「へぇーそうなのか。なあ、それって俺も観ていいか?」

 

「おと…ヨハンさんが応援してくれるなら心強いな」

 

流石にお父さん呼びは変に思われちゃうか…

お父さんも流石に気づいてくれてるみたいだ。

少し悲しそうにはしていたけど

 

「なら、一緒に行きましょう。これから路面電車に乗りますよ」

 

ニコさんの言葉に頷くと駅に向かって動き出す。

 

「そういえば、自己紹介がまだでしたな。私の名前はニコ・スマイリー。榊遊矢君のマネージャーをしております」

 

「俺はヨハン・アンデルセンだ。よろしく」

 

「よろしくお願いします。ヨハンさんですか、外国の方のようですが遊矢君とはどういう…」

 

「遊矢とは昔から実の子のように可愛がっていたんですけど。仕事の関係でしばらく日本を離れていたんです。帰国したら体調が悪そうな遊矢に会ってびっくりしましたよ。未だに俺の事をもう1人の父のように思ってくれてるようで安心しました」

 

「おと…ヨハンさん、恥ずかしいからやめてよ」

 

「そうだったのです…遊矢君も両親がいなくなって心配していたのですが父のような存在がいてくれて安心しました。別に無理しなくても大丈夫ですよ」

 

「ニコさんまで…//」

 

ニコさんの無理とはお父さんを名前で呼ぶ事だと気づき、二人の顔を見ていられなくなりフードを深く被って、二人より前に出て歩く

 

 

───────────────────────

 

ーSide/ヨハン

 

 

「すみません。照れてるだけだと思うんで気にしないで下さい」

 

「分かってますよ。いやー遊矢君のあんな顔初めて見ました。多分あなただからですね」

 

「そうですかね?だといいんだけど」

 

「自信もって下さい。今の彼には貴方が唯一頼れる大人なんだと思いますから」

 

「そうですね。分かりました」

 

ニコさんの言葉に、見た目は派手だけど人を見る目はあると感じ、彼ならマネージャーとして遊奈を支えてくれるだろうと確信した

 

 

───────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

《大丈夫かい?》

 

大丈夫…。久しぶりに心をかき乱してしまった…

 

《気にすることないよ。僕としては昔の君に戻ったみたいで嬉しかったよ》

 

ファントムまでそういうこと…

 

「遊矢君大丈夫ですか?」

 

そう、ニコさんが横から声をかけてきたので少しびっくりしてしまった。

いくら電車の中に乗ったからって気を許し過ぎだ。

気を引き締め無いと…

 

「さっきからボーとして」

 

「大丈夫です。少し考え事していただけなんで」

 

「そうなんですか?ところで、遊矢君はクイズとかは得意ですか?」

 

「クイズですか?まあ、人並みだとは思いますが…」

 

今でもアストラル達と一緒にクイズ番組を見たりしてるから多分大丈夫だとは思う

昨日も今日の為にクイズ番組をある程度みて復習したし

 

「そうですか。なら大丈夫ですかね?」

 

そうニコさんがもらすと、ちょうど降りる駅に着いたらしく降りて目的の場所に向かった




という事で、無事赤遊要素とヨハン出せたよ!やったね!

まあ、赤遊ってより赤→遊に近いですけどw

本当はヨハンの話も出したかったのですが、ニコさんが邪魔して出来ませんでした笑
次の次くらいには出せるんじゃないかな?←(すっとぼけ)

おまけで、ローザサイドを載せさせてもらいます。


おまけ
───────────────────────

《いた!遊斗!それに遊馬と零もいますね!》

「ローザ?そんなに慌てて何があったんだ?」

「まあ、とりあえず落ち着けよ?ほら?深呼吸」

《…すみません。取り乱して…》

遊馬の言う通り落ち着かせると、何があったのか話す

「はあ!?隼の奴が!?」

「あいつ…遊奈まで巻き込みやがって….許さねぇ!」

「落ち着け。二人とも」

「落ち着いてなんか居られねぇだろ!お前だって自分の妹を傷つけられてんだぞ!」

「真月落ち着けって!ちゃんと遊斗を見てみろよ…あいつ、本当は、はらわた煮えくり返ってるんだ(ボソッ)」

遊馬に言われて遊斗をよく見ると微かに手が震えている
それを見てハッとした真月は冷静さを取り戻した

「すまねぇ。それより遊奈は?」

《遊奈は…。! ああ、よかった。先程意識を取り戻したみたいです。もう大丈夫ですよ》

「そうか、無事なんだな。隼がいた場所はどこだ?」

《街の中心部の方だったはずです。案内しますよ》

「遊馬はこれから試合だろ?なら俺と遊斗の2人で行くからお前はデュエルに集中しろ」

「分かった」

───────────────────────

こんな感じで遊奈達とは入れ替わりで例の路地裏に向かいます。

補足として、ローザは、ファントムを通じて遊奈が無事だと言うのは分かっていますが、ヨハンの事とかは知らないまま、遊斗達と行動します

ヨハンの事を知るのは遊奈達が帰ってきてからになる予定です。

では、ここまでありがとうございました。


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第16話 クイズデュエル!VS九庵堂栄太

書きたかったから書いたけどアニメオリカ辛い…

九庵堂栄太君のカード詳細は、分かってないところもあるので無しでお願いします。


しばらく歩くと、明晰塾にたどり着いた遊奈達。

ちょっとしたビル並みの大きさに明晰塾という大きな看板がたっていた。

 

「ここって、確か有名な進学塾だったよね?確か…政治家や学者といったあらゆる人財を育てているって」

 

「よく知ってますね!言わば人生の勝者を育成する塾ですよ!」

 

「なんか、すごいんだな。にしても、色んな塾があるんだな?全部がデュエルモンスターズって訳では無いけどさ」

 

「普通の学校もあるよ。俺が通ってるところもそうだし。逆にLDSみたいにデュエルも一緒に習える学校もあるよ」

 

「へぇー。色々違うんだなぁ」

 

「さて、着きましたよ。因みにデュエルもこの塾は力を入れてますよ。さて、ここからは分かれ道ですね。ヨハンさんはあちらの通路を真っ直ぐ行けば観客席に行けますよ」

 

「分かりました。遊奈、頑張れよ!」

 

「うん!あ、お父さんがいた時とルールも変わってるから、これ貸すね」

 

そう言ってヨハンにタブレットを渡して、軽く使い方をレクチャーする。

 

「なるほどな、了解!じゃ!」

 

ルビー、お父さんをよろしくね

 

《ルビルビ!》

 

ニコさんの案内で私はステージに、ヨハンは観客席に向かった

お父さん方向音痴だけど、ルビーがいるから大丈夫だと願いたい。

 

『知識イーズ?!』

 

『『『ナンバーワン!!』』』

 

『正解イーズ?!』

 

「オンリーワン!」

 

ステージの扉を開けると独特な掛け声が始まり、対戦相手が現れる。

これがここのやり方なのかな?

 

ステージの真ん中に向かってる途中で、観客席の方を見るとフトシ、アユ、タカシがいて、その後ろにヨハンもいた。よく見ると宝玉獣達も実体化こそしてないが精霊としてそこにいた。

 

《龍奈!じゃなかった、遊奈!久しぶり!頑張りなさいよ!》

《積もる話もあるが、ともかく頑張るんじゃよ》

《遊奈!頑張れよ!》

《俺様が応援するんだ!絶対勝てよ!》

《頑張りなさい。遊奈》

《応援してるぞ!遊奈》

《ルビルビー!》

《遊奈、私達がついてます。頑張ってください》

 

上から、アメジスト、エメラルド、コバルト、トパーズ、アンバー、サファイア、ルビー、そして、レインボー・ドラゴンのレインが、次々に声をかけてくれるので、手を振ってそれに答える

 

《聞いてた通り、賑やかなメンバーだね》

 

仲良くしてよ?家族なんだから

 

《まあ、善処するよ》

 

ステージ中央に行くと対戦相手も近づいてくる。

 

「あれ?君は確か…」

 

『我が塾の筆頭塾生にして、キング・オブ・クイズ!知識の宇宙!九庵堂栄太(きゅうあんどうえいた)!』

 

「僕の事を知っているようだね。光栄だ。ペンデュラム召喚は僕も動画で拝見したよ。よろしく」

 

「ああ、俺も昨日のクイズ番組見てたよ。今日は楽しくやろう。よろ「さて!ここで問題です!」…えぇ…いきなり何…?」

 

握手をしたらいきなりそう言われて出鼻をくじかれる。

 

「君が今言おうとした、よろしくって挨拶。フランス語だとなんと言う?」

 

「ほんといきなりだね…。そもそも、フランスではよろしくって挨拶は普通ほとんどしないはずだけど…」

 

「え…?!」

 

「うーん。あえて言うなら… Je(ジュ) suis(スイ) content( コントン) de(ドゥ) vous() rencontrer.(ヴォワ.)かな?でもこれだと、お目に掛かれて嬉しいです、だしなぁ…。もしかしてMerci(メルシィ) d’avance.(ダヴォンス.)?」

 

 

「せっ正解ー!なんだ知ってたんだね!」

 

「でもこれ、何か頼み事する時のよろしくお願いしますって意味だよ?」

  

「え!?」

 

「これは問題文が悪いかな…。これだったらまだ、フランス語で『こんにちは』はなんと言う?の方が分かりやすいよ。これだったら直ぐにBonjour(ボンジュール)って答えられ…あれ?」

 

いつの間にか、周りの空気がシーンとなっていて、思わず周りを見渡す。

九庵堂君は顔を赤らめて俯いてる。

 

あーこれはー。

 

《やっちゃいましたな》

 

《遊奈…相変わらずね》

 

ファントムの言葉にアメジストが苦笑いを浮かべながら答える

 

「(さっすが、俺の子だな)」」

 

一人親バカ思考の人がいるけど、宝玉獣達は誰もツッコまない。平常運転だからだ。

 

「ゆ、遊矢兄ちゃんかっけー!フランス語出来ちゃうんだ!」

 

「さっすが、遊矢兄!」

 

「痺れるぜぇ!」

 

「さっすが、ファントム様ー!」

 

「うっ!うるさい!うるさい!/// なら!君!苦手な物はあるの!?」

 

「えっえぇー。…特に無いけど」

 

「そんな事ないだろ!?僕も答えるからさ!」

 

「…社会?」

 

「へぇー、社会なんだ。それって世界史とかもかい?」

 

「ま、まあ…。で?そっちの苦手は?」

 

「僕の?…クックック!そんなものなーいね!!」

 

「そう…でも、フランス語は習い直したほうがいいんしゃない?会話力が足りないと思うよ」

 

「うるさい!得意分野こそあれ、僕に苦手分野など無いんだ!だって僕はパーフェクト!完璧だから!!」

 

《パーフェクトwコミュ力無いのにwパーフェクトw》

 

「まあ、間違いは誰でもあるもんね。仕方ないね」

 

「そ、そういう事だよ。事知識に関して、この九庵堂に苦手はない」

 

「そういうことさ。社会が苦手なファントム君」

 

はぁ…。ただでさえ今朝から散々な目にあっていて、ちょっとイラついてるのにこれ以上変に絡んで来るのやめて欲しいな

 

《…あ、やっぱり怒ってるんだ》

 

言っとくけど、君が怒ってるせいもあるんだからね?

 

《てへぺろ》

 

「…」

 

《ごめんなさい…》

 

ふぅ…気持ちをリセットしますか。

もう、怒ってないからファントムもデュエルに集中してよ

 

《了解です。それよりも、さっきまで怪我してたんだからあまり無茶しないでよ?》

 

分かってますよ。

 

───────────────────────

 

『お待たせしました!只今よりデュエルを開始します!先ずは明晰塾のエース!それは果てしなく膨張を続けるまさに知識の宇宙!クイズの申し子!九庵堂栄太!」

 

「知識イーズ?!」

 

『『『ナンバーワン!』』』

 

『対しますは、エンタメデュエルの後継者にして、ペンデュラムのパイオニア!ファントムこと榊遊矢!』

 

Ladies(レディース) and(アンド) Gentleman(ジェントルメン)!? Boys(ボーイズ) and(アンド) Girls(ガールズ)!今宵もこの俺、ファントムのエンタメを是非楽しんでいってくれよ!」

 

『『『ファントム様ー!』』』

 

『『『ファイト!遊矢兄ちゃん!』』』

 

『遊矢ー!頑張れよ!』

 

応援してくれる観客席の方へ手を振ってお辞儀をして答える。

観客は九庵堂が6の私が4って行ったところかな?

まあ、九庵堂の観客はほとんどが塾生みたいだけど。

 

『アクションフィールドオン!フィールド魔法!クイズフロンティア発動!知識も光!知識は愛!知識を武器に人生の成功を切り開く!ザ・サクセス・フロンティア!その名のゆかしき、明晰塾が誇る、クイズフロンティアだー!」

 

あちらこちらに数字が書かれた箱がランダムに置かれていて、よくあるクイズ番組みたいなフィールドが現れた。

 

クイズフロンティアか…確かに九庵堂君にはあってるアクションフィールドだね。

 

《ここって、クイズに正解しないとアクションカードが手に入らないんだっけ?》

 

そうそう。クイズも毎回変わるし、不正解だとダメージが入ったりするから気を引き締めて行かないとね

 

「僕が最も得意とする、知識を必要とするフィールド!即ち僕が最も輝き、最強となれるフィールドさ!」

 

『(クイズというフィールドの中で遊矢君のエンタメデュエルがどう通用するか。はてさて…)』

 

『戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!』

『モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い!フィールド内を駆け巡る!』

『見よ!』

『これぞデュエルの最強進化系!アクショーン!』

 

「「デュエル!」」

 

先攻 Kyuando LP 4000 VS 後攻 Yuna LP 4000

 

「ここで問題!このデュエル、先攻を取るのは?」

 

『『『九庵堂!!』』』

 

「正解!僕のターン、手札から『クイズーモンキー』を召喚!」

 

クイズーモンキーATK0

 

『攻撃力0のモンスター?」

 

「0とは全ての始まりであり、また、全ての集結点でもある。0とは即ち、無限の可能性!クックック…僕はカードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

『遊矢兄ちゃん!そんなのハッタリよ!』

 

「さあ!お得意のペンデュラム召喚とやら、楽しみだよ。出来れば、だけどね」

 

「俺のターン!ドロー」

 

さて…、相手は攻撃力0のモンスターを出してるって事は明らかに誘って来てるよね。

耐性のあるモンスター効果か、はたまたカウンター系の伏せカードか…

 

「俺は『EMドクロバット・ジョーカー』を召喚!」

 

ドクロバット・ジョーカー ATK1800

 

「ドクロバット・ジョーカーの効果!このカードが召喚に成功した時、デッキから同名カード以外のEMモンスター、魔術師Pモンスター、オッドアイズモンスターの内、いずれか1体を手札に加える!俺が手札に加えるのは『EMバラード』!」

 

Yuna手札5→6

 

『新しいEMだ!』

 

「俺はペンデュラムスケールをセッティングするよ!レフトペンデュラムゾーンに『EMバラード』をセット!そしてライトペンデュラムゾーンに『EMバラクーダ』をセッティング!!」

 

RPゾーン:EMバラード PS[2]

LPゾーン:EMバラクーダ PS[5]

 

青い光の柱が2つ出現し、其処に黒薔薇と白薔薇の騎士が昇るとそれぞれの柱に2と5の数字が刻まれた。

 

「これで、3から4までのモンスターを同時に召喚可能!揺れろ、運命の振り子!過去と未来を行き交え!ペンデュラム召喚!『EMハンサムライガー』!」

 

EMハンサムライガー ATK1800

 

「バトル!ハンサムライガーで、クイズーモンキーを攻撃!」

 

「クイズーモンキーの効果発動!このカードがバトルする時、相手プレイヤーはバトルフェイズ終了時、フィールドにクイズーモンスターが何体いるか答えなければならない」

 

「いきなりだね。それだけじゃないんだろ?」

 

「その通り、答えが正解の時、相手プレイヤーはLPを1000ポイントアップ出来る。不正解の時、僕はこのカードが墓地にあれば特殊召喚でき、相手フィールドのモンスター1体を破壊し、破壊したモンスターと攻撃力、守備力を同じにする。さあ!答えをどうぞ!」

 

相手の場には伏せカード1枚、考えられるのは、カウンター系でこちらのモンスターを破壊するカード、もしくは耐性を付けられるカード。または蘇生系とかかな?

クイズーモンキーの効果を考えるとするなら…

 

「…答えは1体だ。ハンサムライガー!」

 

Kyuando LP4000→2200

 

「ハンサムライガーの効果発動!このカードがモンスターを破壊した時、デッキからレベル5以上のPモンスターを1体を手札に加えるよ。俺が手札に加えるのは『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』。更にドクロバット・ジョーカーのダイレクトアタック!」

 

「それはさせないよ!Aカードゲット!」

 

九庵堂が、箱の上のAカードを取ると映像が現れる

 

『アクショントラップ発動!ウェルカム!クイズアクション!このアクションカードはダメージの回避。但しクイズに正解したらです。不正解なら回避出来ない上にLPを100ダウン』

 

「このフィールドのアクションカードは全て、クイズの正解、不正解によって発動する。全てクイズなんだよね。僕、輝くー!!」

 

「…さっさとしなよ」

 

『それでは参りましょう。ジャンルは理科の100。コップいっぱいに水が入っています。そして、その中には氷が浮かんでいます。氷が溶けた時、コップの水は溢れる?溢れない?』

 

「溢れない!」

 

『正解でーす!アクションカード、回避発動!』

 

ドクロバット・ジョーカーの攻撃を回避されてしまう。

 

「残念でした!答えは0体!クイズーモンキーの効果発動!このカードを墓地から蘇生し、お前のハンサムライガーを破壊し、破壊したハンサムライガーの攻撃力分、クイズーモンキーはアップする!」

 

クイズーモンキーATK0→1800

 

「…どの道、俺が0体と答えても結果は変わらなかったよね?」

 

「珍しく正解ー!正解、不正解は僕の意志によって決まるのだよ。僕が主導権を握る、これ正解。君が有利になる、それ不正解!なーはっはっは!」

 

ブチッ…

 

「…カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

《(あっ…遊奈が珍しくキレた…)》

 

Kyuando

LP 2200

手札 3

クイズーモンキー

魔法・罠カード 伏せ1枚

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

Yuna

LP 4000

手札 4枚(1枚はファントム)

ドクロバット・ジョーカー(攻撃表示)

魔法・罠カード 伏せ1枚 

 

RPゾーン:EMバラード

LPゾーン:EMバラクーダ

 

「僕のターン、ドロー!『フロックイズー」を召喚!」

 

フロックイズー ATK1800

 

シルクハットを被ったカエルが現れる。

 

「フロックイズーの効果発動!このカードの他にクイズーモンスターがいる場合、クイズーモンスターは戦闘では破壊されない!更にアクションカードだ!」

 

『アクショントラップ発動!ウェルカム!クイズアクション!このアクションカードは自身のモンスターの攻撃力が1000ポイントアップ。但しクイズに正解したらです。不正解ならアップ出来ない上にLPを100ダウン。それでは参りましょう。ジャンルはなぞなぞの300。問題、たぬきの宝箱には何が入ってるでしょうか?』

 

「から」

 

『正解!1000ポイント攻撃力をアップ』

 

クイズーモンキーATK1800→2800

クロックイズーATK1800→2800

 

 

「「たから」から「た」をぬけば「から」になるのさ。バトル!フロックイズーでドクロバット・ジョーカーを攻撃!」

 

「くっ!」

 

Yuna LP4000→3000

 

「さて、ここで問題です!次にダイレクトアタックを食らって、更にダメージを受けてしまう無様なデュエリスト、だーれだ!?」

 

「……罠発動!『EMリバイバル』。自分フィールドのモンスターが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。自分のデッキ、手札・墓地からEMモンスター1体を選んで特殊召喚する。デッキから来い!『EMペンデュラム・マジシャン』!」

 

EMペンデュラム・マジシャンATK1500

 

「ペンデュラム・マジシャンの効果発動!このカードが特殊召喚に成功した時、自分フィールド上のカードを2枚まで破壊し、破壊した数だけデッキから同名カード以外のEMモンスターを手札に加えるよ!俺はバラードとバラクーダを破壊して、『EMモンキーボード』と『EMリザードロー』を手札に加える!そして、破壊されたバラードとバラクーダはエクストラデッキに行くよ!」

 

「なら!クイズーモンキー!ペンデュラム・マジシャンに攻撃!」

 

「ならこっちも、アクションカードゲット!」

 

『アクショントラップ発動!ウェルカム!クイズアクション!このアクションカードは奇跡。但しクイズに正解したらです。不正解なら回避出来ない上にLPを100ダウン。それでは参りましょう。ジャンルは日本史の3000。問題、1873年豊作、凶作にかかわらず、地価の3%を地租として金銭で納税させる条例は何でしょう?』

 

「残念だったね!苦手な社会で!」

 

『うぇぇ、分かんないよ』

 

『これって高校生レベルの問題じゃないか?』

 

『え!そうなんですか!?』

 

『確かだけどな。まあ、遊矢なら大丈夫だろ』

 

『いや、いくら頭のいい遊矢兄ちゃんでもこれは…』

 

「地租改正条例」

 

『正解!アクションカード奇跡を発動します!このターンモンスターは破壊されず、ダメージも半分になります』

 

 

Yuna LP3000→2350

 

 

「な!?社会は苦手じゃなかったのか!?」

 

「別に苦手とは言ったが、出来ないとは言ってない」

 

「くっなら、このカードはクイズーモンスターがバトルダメージを与えた時に手札から特殊召喚出来る。手札から『スフィンクイズー』を特殊召喚!」

 

スフィンクイズーATK1000

 

「そして、自分フィールドにクイズーモンスターがいる時、このカードを攻撃対処には出来ない。僕はカードを1枚伏せ、謹んでターンエンド」

 

Kyuando

LP 2200

手札 2

クイズーモンキー(攻撃表示)

クロックイズー(攻撃表示)

スフィンクイズー(攻撃表示)

魔法・罠カード 伏せ2枚

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

Yuna

LP 2350

手札 6枚(ファントム、リザードロー、モンキーボード)

ペンデュラム・マジシャン(攻撃表示)

魔法・罠カード 伏せ1枚 

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

『俺のターンドロー!早速だけど俺はペンデュラムスケールをセッティングするよ!スケール1の『EMモンキーボード』をレフトペンデュラムゾーンにセット!そしてスケール6の『EMリザードロー』をライトペンデュラムゾーンにセッティング!!」

 

RPゾーン:EMモンキーボード PS[1]

LPゾーン:EMリザードロー PS[6]

 

「そして、リザードローのペンデュラム効果発動!デッキからカードを1枚ドローし、その後、このカードをデッキに戻してシャッフルするよ!」

 

Yuna 手札5→6

 

手札が1枚増えたことと引き換えにフィールドからリザードローは消え去る。

 

「更にモンキーボードのペンデュラム効果発動!1ターンに1度、デッキからレベル4以下のEMモンスター1体を手札に加える!リザードローを手札に加えて、もう1度ライトペンデュラムゾーンにセッティング!そして、リザードローのペンデュラム効果発動!もう一度カードをドローして、リザードローをデッキに戻す!」

 

Yuna 手札6→7

 

「手札が回復した!?なら僕はどんどんアクションカードを発動させるよ」

 

「そして、スケール8の『時読みの魔術師』をライトペンデュラムゾーンにセッティング!これで、レベル2から7までのモンスターを同時に召喚可能!」

 

RPゾーン:EMモンキーボード PS[1]

LPゾーン:時読みの魔術師 PS[8]

 

「揺れろ、運命の振り子!永遠に続く時を刻み過去と未来を行き交え!ペンデュラム召喚!レベル2、『EMトランプ・ガール』、レベル7、『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!そして、エクストラデッキから蘇れ!レベル3『EMバラード』、同じくレベル3『EMバラクーダ』!」

 

トランプガール ATK1500

バラード ATK500

バラクーダ ATK500

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK2500

 

「そんなもの!アクションカード発動!」

『アクション罠発動!正解すればLPを500アップ!ジャンルはなぞなぞの500。問題、負けた方が笑ってる勝負ってなに?』

 

「にらめっこ!」

 

「正解!LPを500アップ!』

 

Kyuando LP2200→2800

 

「更に発動!」

 

『アクション罠発動!ジャンルはなぞなぞの1000。問題、車道と歩道、日当たりがいいのはどちら?』

 

「歩道!」

 

『正解!LPを1000アップ!』』

 

「車道は英語でSHADOW(シャドウ)。即ち影だからだよ」

 

Kyuando LP2800→3800

 

『LPを一気に回復した!』

 

『でも、遊矢兄ちゃんも負けてない!』

 

Ladies(レディース) and(アンド) Gentleman(ジェントルメン)!! Boys(ボーイズ) and(アンド) Girls(ガールズ)!皆さまご注目下さい!これからペンデュラム召喚のその先の2つの可能性をお見せ致しましょう!!一つ目!レベル3バラードとバラクーダで、オーバーレイ!2体の薔薇騎士でオーバーレイネットワークを構築!戦場に倒れし、騎士達の魂よ!今こそ蘇り、闇を切り裂く光となれ!エクシーズ召喚!現れろ、ランク3『幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ブレイク・ソード』!」

 

ブレイク・ソードATK2000

 

遊奈の場に馬に跨ったデュラハンの騎士が現れる。

 

《あれ?このカードって遊斗のじゃなかった?》

 

欲しいって言ったら1枚交換してくれたんだよ。

 

因みに、余ってたカステルさんと交換しました。

 

「ブレイク・ソードの効果発動!1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、自分及び相手フィールドのカードを1枚ずつ対象として発動できる。そのカードを破壊する。俺は九庵堂君の右の伏せカードとモンキーボードを破壊する!」

 

ブレイク・ソード ORU2→1

 

「何!?くっ!」

 

破壊されたカードは『ですが!』。

やはり、あの時に答えを0と言っても結果は変わらなかったようだ。

 

「2つ目!俺は更にトランプ・ガールの効果発動!1ターンに1度、融合モンスターカードによって決められた、このカードを含む融合素材モンスターを自分フィールドから墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する!場の『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』と『EMトランプ・ガール』を融合!」

 

「融合のカード無しの融合だって!?」

 

「二色の眼の竜よ。風を束ねし魔の使いの洗礼を受け降臨せよ!融合召喚!現れよ!『オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン』!! 」

 

オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴンATK2500

 

「融合とエクシーズを同時に成功させるなんて聞いたことない!!」

 

「これがペンデュラム召喚の可能性の一部です!ボルテックス・ドラゴンの効果発動!このカードが特殊召喚に成功した時、相手フィールドの表側攻撃表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを持ち主の手札に戻す。俺はクロックイズーを選択!」

 

「させなっくっ!」

 

九庵堂がアクションカードを取りに行こうとするがブレイク・ソードに邪魔をされ、クロックイズーは吹き飛ばされ手札に戻っていった。

 

「最後にファントム・ドラゴンをライトペンデュラムゾーンにセット」

 

RPゾーン:オッドアイズ・ファントム・ドラゴン PS[4]

 

「なら、アクションカード発動!知識と雑学の天国、無知なる者を地獄へと導け!クイズフロンティア・エクストラステージ!」

 

?のボックスから九庵堂がアクションカードを発動すると、よくあるクイズ番組のエクストラステージの様な場所に代わり、2人は並んでトロッコに乗っていた。

 

《わお!面白いのが出たね》

 

「榊遊矢、この先お前は己の無知をとことんその身で味わう事になる!ハーハッハッハ!!」

 

「……」

 

そう言うと先に行ってしまった九庵堂を無視して来るであろう問題に備えた。

 

 

───────────────────────

 

 

全部で5問のクイズを答えて出てきた両者のライフを見てみよう

 

 

Kyuando LP→3800→4300

 

Yuna LP2350→2850

 

「くっ!お互いに全問正解か…なかなかやるじゃないか!」

 

 

「それはどうも…、さて、仕切り直して!バトル!ボルテックス・ドラゴンで、クイズーモンキー攻撃!更にファントム・ドラゴンのペンデュラム効果発動!1ターンに1度、自分の表側表示モンスターが相手モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時に発動できる。その自分のモンスターの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで1200アップする!ボルテックス・ドラゴンの攻撃力は1200アップ!」

 

ボルテックス・ドラゴンATK2500→3700

 

「クイズーモンキーの効果発動!このカードがバトルする時、相手プレイヤーはバトル開始前に、次の問題に答えなければならない!」

 

「来たね」

 

「問題!このバトルの終了時、フィールドにクイズーモンスターは何体いるか答えよ!」

 

「…答えは0だ!行け!ボルテックス・ドラゴン!クイズーモンキーを攻撃!」

 

「残念だが、それはないね。スフィンクイズーの効果発動!1ターンに1度、クイズーモンスターが攻撃された時、相手プレイヤーは次の問題に答えなくてはならない」

 

「なっ!?」

 

《スフィンクイズーも問題出すの!?》

 

「シンプル且つイージーな問題さ。今、フィールドで1番レベルが高いモンスターはどーれだ?正解なら、そのモンスターは破壊され、コントローラーはそのモンスターの攻撃力分のダメージを受ける。不正解ならば即バトル終了!」

 

「くっ…」

 

『簡単じゃん!1番レベルが高いのはレベル7のオッドアイズに決まってるじゃん!』

 

『もう…!馬鹿なんだから…』

 

『効果を聞いたろう?』

 

『オッドアイズと答えて正解してしまったら、オッドアイズが破壊されて、3700のダメージを遊矢が受けてしまうんだ』

 

『あっ!』

 

『そうなったら遊矢兄ちゃんのLPが0になっちゃう』

 

「…クイズーモンキー」

 

「そうだよね!そう答えるよね!でもざーんねん!不正解につき、バトル終了!」

 

「…ボルテックス・ドラゴンの攻撃力は元に戻る」

 

ボルテックス・ドラゴンATK3700→2500

 

「同時に、『クイズーモンキー』の問題の答えに君は0と答えた。おやおや~?バトルは終了したのに、僕のフィールドのモンスターは二体もいるぞ?と言う訳で、こちらの問題も不正解!よって、君のモンスターを1体破壊する!破壊するモンスターは『オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン』!この破壊でクイズーモンキーの攻撃力はオッドアイズと同じになる」

 

クイズーモンキーATK1800→2500

 

「さてさて、即敗北は免れたけど、この後はどうするつもりだい?」

 

「俺はカードを2枚伏せてターンエンド!」

 

Kyuando

LP 4300

手札 2

クイズーモンキー(攻撃表示)

スフィンクイズー(攻撃表示)

魔法・罠カード 伏せ1枚

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

Yuna

LP 2850

手札 1枚

幻影騎士団ブレイク・ソード(攻撃表示)

ペンデュラム・マジシャン(攻撃表情)

魔法・罠カード 伏せ3枚 

 

RPゾーン:オッドアイズ・ファントム・ドラゴン

LPゾーン:時読みの魔術師

 

確か、ここには…

 

5000というボックスを見つけるとブレイク・ソードに跨り、その場所を目指す

 

「君の手札はたった1枚…。アクションカード頼みということか…。僕のターン!『クロックイズー』を召喚!」

 

クロックイズーATK1800

 

『バトルだ!『クイズーモンキー』でブレイク・ソードを攻撃!」

 

「罠発動!『ドタキャン』!このカードは自分フィールドのモンスターを守備表示にする。そして、このターン、戦闘、効果で破壊されたEMモンスターは手札に戻る!」

 

ブレイク・ソードATK2000→DEF1000

ペンデュラム・マジシャンATK1800→DEF800

 

「ブレイク・ソードの効果発動!X召喚したこのカードが破壊された時、このカードのX素材を自分フィールドに特殊召喚する。 蘇れ!バラード!バラクーダ!この効果で特殊召喚したモンスターはレベル4になる」

 

EMバラクーダDEF1100 星3→4

EMバラードDEF1100 星3→4

 

ブレイク・ソードを踏み台にして5000のブロックの近くまで来る事が出来た。

 

「続いてバトルだ!スフィンクイズー、EMペンデュラム・マジシャンを攻撃!」

 

「俺はペンデュラム・マジシャンを手札に戻す!」

 

「クロックイズーでEMバラクーダを攻撃!」

 

「バラクーダを手札に戻す!」

 

「更にクロックイズーの効果発動!このカードが守備表示モンスターを破壊した時、もう一度攻撃出来る!クロックイズーでバラードを攻撃!」

 

「バラードも手札に戻す!」

 

「僕は手札から速攻魔法、『倍率ドン!!』を発動!このカードは、レベル4以上のクイズーモンスターが守備表示モンスターを破壊した時、ターンの終わりまで攻撃力を倍にし、もう1度攻撃可能とする!」

 

スフィンクイズーATK1000→2000

 

『このままじゃあダイレクトアタックが決まっちゃう!』

 

「『スフィンクイズー』で、榊遊矢にダイレクトアタック!」

 

「いや!まだだ!」

 

5000と書かれたボックスまでもう少し!

 

「LP5000もかかった問題に手を出すとは…藁にもすがる思いか」

 

「それ!アクション罠発動!」

 

『クイズアクション!あなたの選んだジャンルは数学の5000』

 

『5000って、さっきの3000で高校生レベルの問題だったのにどうなっちゃうの!?』

 

『問題、フェルマーの最終定理を証明せよ』

 

『『『???』』』

 

「ハッ!イージー問題!僕に取ってはね」

 

「…分かりません!」

 

『『『えぇー!?』』』

 

「回答放棄かい!僕が手を下すまでもなかったようだ。不正解によるダメージ5000のダメージで散りたまえ。アデュー!」

 

「ニッ…不正解でいいんですよ!」

 

「はあ??」

 

「罠発動!『復活のエンタメ-リボーン・フォース-』!EMが破壊されたターン、1度だけ自分が受ける効果ダメージを代わりに相手プレイヤーに与える!」

 

「はあ?!なに!?」

 

「いっけー!」

 

5000の数字が九庵堂に襲いかかる

 

「馬鹿な!!?と・も・め・あ・うしょう…」

 

Kyuando LP4300→-700 LOSE

 

WINNER Yuna

 

「このデュエルの勝者はこの私、ファントム!九庵堂栄太君!不正解!」

 

『『『信じられない!あの九庵堂君が負けるなんて!!?』』

 

「ふ、不正解を逆手に取るとはなんという…」

 

「クイズに正解する事が正解とは限らないってことさ!だって、これはクイズデュエル…デュエルだろ?」

 

「う…僕が不正解…?」

 

「ふぅ…」

 

「おめでとう!遊矢君!最後までデュエルの本文を忘れず、きっちりフィールドとカードと向き合いましたね!」

 

「デュエルはカードを通した対戦相手とのコミュニケーションである。君は我々に本来のデュエルの在り方を思い出させてくれた」

 

「あはは」

 

途中、思わず切れていたとは言えない…

 

「カードを通したコミュニケーション、か…」

 

パチパチパチ!と辺りから拍手喝采が鳴り響く。

それにならい、私は九庵堂に手を差し伸べる

 

「楽しいデュエルだったよ。でも、人を見下したり煽ったりするのはあまり良いプレイングとは言えないから程々にした方がいいと思う」

 

「…そうだね。ありがとう。君のおかげで目が覚めたよ」

 

差し伸べた手を握り返しながら九庵堂君はどこか、憑き物が取れた様な表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 




遊奈は外国語も含めて割と何でも出来ます。
苦手教科を社会と答えたのは、世界によって歴史は変わっているため1から覚えないといけないという意味で答えました。

補足で、ヨハンもレインボー・ドラゴンと魂の融合をしている為、アニメの十代みたいな存在になってます。
レインボー・ドラゴンも長い年月をかけて精霊として自我を持ち、話せるようになりました。
因みに性別は雌で、レインと名前をつけたのは遊奈だったりします。



【幻影騎士団ブレイク・ソード】
エクシーズ・効果モンスター (オリジナル効果)
ランク3/闇属性/戦士族/攻2000/守1000
レベル3モンスター×2
(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、自分及び相手フィールドのカードを1枚ずつ対象として発動できる。そのカードを破壊する。
(2):X召喚されたこのカードが破壊された場合、このカードのX素材だった自分の墓地のモンスター2体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターのレベルは1つ上がる。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は闇属性モンスターしか特殊召喚できない。



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第17話 虹龍の目途

今回から他CPも含めていきます。と言ってもほとんどヨハ十ですけどね。





「お疲れ様」

 

「お父さん!どうだった?俺のデュエル!」

 

「ああ!エクシーズ召喚に、ペンデュラム召喚凄かったぜ!今度俺ともデュエルしてくれよ?」

 

「いいよ!お互いに手加減無しだからね!」

 

「…えっと。遊矢兄ちゃん?その人は?」

 

「お父さんって…遊矢兄ちゃんの父ちゃんって遊勝さんじゃないの?」

 

「えっと…この人はヨハンさん、俺のもう一人の父親的存在の人でさ。最近まで海外にいたんだけど、今日ここに帰って来てくれたんだよ。お父さん、鮎川アユちゃん、原田フトシ君に山城タツヤ君。3人とも俺と同じ塾の子達で、生徒でもあるよ」

 

アユ達の反応にハッとした私は慌てて紹介をする

 

「ヨハン・アンデルセンだ。遊矢がいつもお世話になってます。また今度、塾の方には顔を出すつもりだからその時はよろしくな」

 

「は、はい!」

 

「それじゃあ行こうか。もう今日の試合は終わったからいろいろ話したい事あるし」

 

「そっか、久しぶりなんだもんね!じゃあ遊矢兄ちゃん!またね!」

 

「応援いつもありがとうね3人とも。気をつけて帰ってね」

 

3人を見送るとヨハンに向き直る

 

「それじゃあ行こっか。とりあえずウチくる?」

 

「いいのか?」

 

「もちろん。遊斗兄達にも紹介したいしね」

 

「そうか。なら俺も話があるから丁度いいな」

 

───────────────────────

 

帰ってくる頃にはすっかり夜になっていた。

 

「ここが今の私の家だよ」

 

「立派な一軒家じゃないか(ここに3年間も1人で暮らしていたのか…)」

 

「うん。なんせ6人家族だったからね。今は私と遊斗と居候で二人いる感じだよ。あ、後ペットの犬猫がいるかな?まあ、入ってよ」

 

《遊奈ー!!》

 

玄関を開けて中に入るとローザが実態化して飛びついてくる。大きさも大型猫サイズでだ。

 

「おわっ!?ローザ!?」

 

《もう!心配したのですよ!》

 

「えっと…ごめんね。心配かけた」

 

《本当ですよ!…今度は閃光竜を呼んでください。いいですね?》

 

「う、うん。分かった」

 

ローザの気迫に思わず頷くと満足したようにカードに戻っていった。

 

「帰ったか…おかえり。…ん?遊奈、その男は誰だ?」

 

「遊斗!おかえり。えっと、敵じゃないから安心して。みんな集まってから説明したいから先ずは上がってもいい?」

 

「ああ…。それよりもすまなかった。隼がお前に怪我をさせたと聞いた」

 

「遊斗のせいじゃないよ。私も油断してたのがいけないんだし」

 

「人を庇ったせいだろ。ローザから聞いてる、俺からも説教をしたいところだったのだが…」

 

「その様子だと見つからなかったみたいだね」

 

「ああ…」

 

リビングにいくと、機嫌の悪い真月とそれをなだめてる遊馬がいた。

 

「遊奈、身体は大丈夫か?」

 

「うん。大丈夫。彼が助けてくれたから」

 

「…誰だお前?」

 

「それも兼ねて、話したいから全員座ってくれる?」

 

全員集まりお茶を全員に渡し終えると話しが始まった。

 

「彼はヨハン。私が前世…龍奈だった時の本当の父親で、私と同じ、融合者(フュージョナー)だよ」

 

「ああ!宝玉獣使いって言ってた!!」

 

「ああ、ヨハン・アンデルセンだ。娘がいつも世話になってる。君達の事情とかは遊奈から聞いてるよ」

 

「あなたが…。俺も遊奈から聞いてます。とても尊敬出来る唯一の父親だと」

 

「遊奈…そう思ってくれてたんだな!父さん感激ー!」

 

「もう!遊斗!余計な事言わないでよ!お父さんも話しが脱線しちゃうでしょ!」

 

「「すみません」」

 

今の私は多分顔が真っ赤になっている事だろう。

 

「…コホン。で、私の4つ子の兄で、次男の遊斗」

 

「遊斗です。ヨハンさん、妹を助けていただきありがとうございます」

 

「やめてくれよ!遊斗って呼んでいいか?家族なんだから助けるのは当たり前だろ?それに、遊奈の兄妹なら俺の息子でもあるんだし、もう1人の父親と思ってくれて構わないからな?まあ、無理にとは言わないけどさ」

 

「…ありがとう。考えておく…」

 

《あれ?遊斗照れてる~?》

 

「黙れ」

 

ファントムに指摘されて、照れて焼きナス状態になってる遊斗に笑いかけながら話を続ける。

 

「私と遊斗の友達で仲間の九十九遊馬と真月零。遊馬の側にいる、青い子はアストラルだよ」

 

「よろしくお願いします!遊奈の父ちゃんとは1度会ってみたかったから嬉しいぜ!なあなあ!今度デュエルしてくれよ!」

 

「遊馬君か。もちろん!俺でいいなら何時でも相手するよ。アストラル君もよろしく」

 

《よろしく。私も貴方には興味があった》

 

「…なあ、ひとついいか?」

 

今まで黙ったままだった真月がヨハンに質問をする。

 

「なんだ?」

 

「あんたは遊奈と同じように精霊の力を使えるんだろ?だったら何で、遊奈が…龍奈が死ぬ前に迎えに来なかったんだよ!」

 

「おい!真月!」

 

「うるせえ!お前は黙ってろ!時空を超えて違う次元に行けるならなんで、こいつが死んで転生した今、現れたんだよ!こいつはずっと待っていたんだぞ!自分で帰る方法を探しながらずっと、お前達両親の事を「零!!」…!」

 

「零、お父さん達を責めないて。仕方なかったんだよ。そんな簡単な話じゃないんだ」

 

「…どういうことだ?」

 

《…この世界とは違って、普通は次元と次元を超える事はそう簡単には出来ないんだ》

 

「…そっか、君達があの後、遊奈の友達として支えてくれたんだね。俺も妻…十代も龍奈は、死んでないって信じていたんだ。でも、普通の次元を超えたやり方で君達がいた世界に来た訳ではなかったから特定も出来なかった。だから虱潰しに探すしかなかったんだ」

 

「それにいくら最高位の神の精霊とはいえ、1回移動するのにどうしてもブレイクタイムが必要だからね。うちのファントムくらいだよ。ブレイクタイムが無く移動できる精霊は」

 

「そうなのか?すげーな!」

 

《こう見えても時空を司る最高位の精霊だからね!》

 

エッヘンと胸を張るファントムに対し、遊馬はキラキラした目でそう話す。

 

「でも、この世界は普通に次元転送装置で移動できるよな?他の世界とは違うのか?」

 

「この世界の四つの次元は近いんだ。距離だけじゃなく、その性質もね。まるで元々一つだったように似ているんだ。それのおかげで、次元転送装置で移動出来るんだと思う」

 

「そうだったのか…」

 

「…話を戻すけど、ずっと探してはいたんだ。気づけば500年は経っていたよ。いつの間にかもう一人の娘と息子も俺達を残して生涯を終えていたし、しばらく休憩しようって妻と話したんだ」

 

「…すまねぇ。何も知らねぇで怒鳴っちまって…」

 

「いいんだ。遊奈の事で本気で怒ってくれる友達がいるってだけで嬉しい。ありがとな」

 

「…ふん」

 

「あ、ヨハンさん、これ真月の照れ隠しだから気にしないでくれっいてててて!!真月ギブギブ!!」

 

「…遊馬くーん?余計な事は言わなくていいんですよー??」

 

うわぁ…絞め技で首に入ってるよ…

 

「賑やかだなぁ」

 

「なんか、ごめんね?悪い子では無いから許して欲しい」

 

「構わないさ。俺としてはお前がずっと1人じゃなくて安心しているんだ」

 

「お父さん…。にしても500年も経ってたんだね。お父さん、見た目全然変わらないから気づかなかったよ」

 

「融合者になってから年を取ることがほぼ無いからなあ…」

 

ある一定まで成長すると止まるというのは両親から聞いていた。

しかし不老不死という訳ではない。

精霊にも死はある為だ。

 

全員が落ち着いた頃、話を再開させる。

 

「どうして急に次元を超えてここに来たの?さっきの話だと私を探してって訳じゃないんでしょ?」

 

「! よく分かったな。そうだよ。…実は十代が、母さんが誘拐されたんだ」

 

「…え!?」

 

「ヨハンさん、それはどういう事ですか?確か、奥さん…遊奈の母親も融合者だったんですよね?」

 

「実は俺も襲われたんだ。その隙に…な…。不意をつかれたとはいえ、俺とした事が、妻である十代を守れなかった…」

 

「お父さん…。仕方ないよ。お父さんだって狙われていたんでしょ?」

 

「ああ…このままじゃ殺られると思って咄嗟に時空を飛び込んだ先がここだったんだ」

 

「そうだったのか…」

 

「まあ、不幸中の幸いで、遊奈に再び会えたけどな」

 

「お父さん、襲ってきた奴の特徴って分かる?」

 

「…複数人だった。土煙のせいで視界が悪かったからいまいち確信がないけど、俺や母さんがいたデュエルアカデミアのブルーの制服に似てたような…」

 

「間違いない!アカデミアの連中だ!」

 

「融合次元の人達がお母さんを攫ったって事?一体何のために…?」

 

《分かりません。ですが、もしかしたら十代の正しき闇の力を持つ者の力を狙ったのかもしれません。闇の力を悪用するなら、正しき光の力を持つ者であるヨハンは邪魔な存在ですから》

 

「レイン…。お父さん、一緒にお母さんを探そう。これ以上、被害者が出ないようにアカデミアを止めないと」

 

「ああ、一緒に母さんを探そう。きっと寂しがってるはずだからな」

 

「そうだね。って事で、お父さんも仲間に入れても平気?」

 

「当たり前だろ!寧ろ心強い!なっ?2人とも」

 

「そうだな」

 

「俺達としても協力してくれるならありがたい」

 

「ところで、その白い龍ってヨハンさんと融合した精霊か?」

 

「ああ、彼女はレインボー・ドラゴンのレインだ」

 

《宝玉獣の彼等共々よろしくお願いいたします》

 

レインと共に宝玉獣達が現れて一礼するとみんなカードに戻って行った。

 

「みんな俺達の家族だ。改めてよろしくな」

 

「ああ!さっきのが宝玉獣達かぁ!カッコイイぜ!」

 

「彼らも自慢の家族だからね。そういえばローザは遊斗達と一緒にいたみたいだけど」

 

《黒咲隼を探していたのですよ》

 

「俺と真月で手分けしてな。そういえば途中で、柚子と素良にあった」

 

「二人と?素良は公式戦した後だったと思うけどなんで、柚子まで…あっ、素良に融合を習ってたのかな?」

 

「ああ、その通りだ。塾のみんなには黙っててって言われてたけどな…」

 

「そっか…。まあ、素良なら柚子にちゃんと教えられると思うから大丈夫かな?」

 

原作でも、柚子に融合を教えてくれてたみたいだから大丈夫だろう。

 

「まあ、今日のところは疲れたから話はこれくらいにして、夕飯にしないか?」

 

「そうだね。遊斗作ってくれてありがとう」

 

一通り、話しが終わると遊斗が作ってくれた夕飯を食べて、その日は早々に自室に向かった

 

 

───────────────────────

 

Prrrr…

 

自室に戻ると、デュエルディスクから電話の着信音が鳴り響く。

 

ん?こんな時間に誰だろう。

 

と思いつつ見てみるとニコさんからの電話だった。

とりあえず、胸が分からないようにダボッとした上着を羽織り電話にでる。

 

私の胸のサイズ?平均だとは思うけど、Bくらいかな?

 

「もしもし…ニコさん?」

 

『こんばんはー。遊矢君。夜分遅くすみません。今大丈夫でしょうか?』

 

「大丈夫ですよ。どうしたんですか?」

 

『改めて二連勝おめでとうございます!』

 

「ありがとうございます」

 

『いやー。遊矢君のデュエルはいつも私の度肝を抜かれます!流石ですね!』

 

「そんな事ないですよ。俺の力だけではないです。全ては俺の事を応援してくれる人達とカードのおかげです」

 

『確かにその通りですね。でも、あなたのデュエルが人を惹き付けてるのは確かですよ。今日もそうでしたが、日に日にファンが増えて今では遊矢君のファンクラブも出来る勢いです』

 

「そんなに…なんだか嬉しいな」

 

『ええ。胸を張ってください。私の榊遊矢プロ化計画は段取りを飛ばせるほど、貴方は君のお父さんとはまた違う、プロ意識を持ってるですから』

 

「俺はただ、真剣にデュエルもエンタメもしてるだけです。相手をちゃんとリスペクトしながらね。父のようにいくらファンを喜ばせる為だからと手を抜いたり、相手を怒らせるのは俺には合わないってだけですよ」

 

『遊矢君は父親は関係無く自分のエンタメを信じているんですね。流石です。ああ、それと、実は次の対戦相手の公式戦の日時なのですが、明後日になりまして、ですから明日はゆっくり休んでください。ここの所、ずっと試合続きでお疲れのようですから』

 

「ありがとうございます。心配かけてすみません」

 

「プロを目指すなら体調管理はしっかりしないと行けないですからね。まあ、遊矢君なら問題ないとは思いますが。ここの所、物騒な話しもありますから…」

 

「そうですね。気をつけます」

 

『では私はこれで、後で詳細をメールで送っておきますね。おやすみなさい』

 

「分かりました。おやすみなさい」

 

電話を切ると少し緊張していたらしくため息をついて力を抜く

 

《久々のオフだね。最近は学校終わったら公式戦って感じで、全然休めなかったからよかったね》

 

「そうだね…」

 

 

メールを受信した音が鳴り、メールを開く

 

「あ、遊戯さんからだ」

 

《なになにー?明日合わないかだって、ちょうどいい機会なんじゃない?》

 

「何が?」

 

《久しぶりにヨハンと一緒に会いにいってきなよ。僕もその間、レイン達と話してみたいし》

 

「うーん…それもそうだね。お父さんにこの街のこと案内したいし、聞いてみる」

 

遊戯さんに会わせたい人がいるんですけど、一緒に連れて来ても大丈夫ですか?と送ったところ、数分でOKとの返信を頂いた。

 

日時のメールのやり取りが終わるとデュエルディスクを机に戻す

 

「これでよし、ちょっと行ってくる」

 

部屋を出て、ヨハンのいる部屋に向かう、そこは元々遊勝が使っていた部屋だった。

 

コンコンとドアをノックする

 

「お父さん?起きてる?」

 

「遊奈?どうした?」

 

ガチャっとドアが開きヨハンが現れて、遊奈を部屋に招き入れる

 

「あのさ、明日って大丈夫?」

 

「特に予定はないけど」

 

「なら、会わせたい人達がいてさ。一緒に来て欲しいんだ。多分お父さんもビックリするよ」

 

「おっ、サプライズってやつか?いいぜ、楽しそうだし、遊奈とは色々話したかったしな」

 

「ありがとう。明日の10時に待ち合わせしてるから8時くらいには起きてね」

 

「了解。にしてもこの部屋、俺が使っても良かったのか?」

 

ヨハンが遊勝が取った数々のトロフィーが並んだ棚を見ながら尋ねる

 

「うん。父さんがいなくなってから掃除しかしてなかったし、それに父さんがこの部屋を使っていたって痕跡がもうあれしか残ってないんだ」

 

他の全ては母である洋子によって処分されてしまってる。

 

「…遊奈」

 

「母さんも多分、自分の心を守るので精一杯だったんだ。父さんの部屋の物を捨てたのも父さんを思い出すから、私を見なくなったのもいなくなった父さんを思い出すから…」

 

「…遊奈、もういい。今は俺がいる。忘れろとは言わない、でも、過去の人間に囚われて傷付くな。今のお前はひとりじゃない」

 

言葉を遮られ、抱きしめられる

 

「うん…。私の唯一の両親はヨハンお父さんと十代お母さんだけだよ…。大好き」

 

「ああ…俺も愛してる」

 

ヨハンから親としての愛情を久しぶりに感じ、思わず涙を流して強く抱きしめた。

 

 

 

 

 




という事で、まさかの十代さんはアカデミアに囚われてます。
因みに真月は原作のZEXALより、素直でなんだかんだ仲間思いな性格になってます。まあ、口調とかは変わらないんですけどね。


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第18話 「柚子に手を出すな(無言のハリセン)」

内容はタイトルの通りですw


翌朝になって朝食を食べると遊戯さん達に会うために、ヨハンと共に家を出る

 

ちなみに、今朝も素良が来てくれたのでヨハンを紹介しつつ、一緒に食事をしていった。

因みに素良と遊馬は今日で5戦目になるらしい。

二人共順調に勝ち進んで行ってるみたいで一先ず安心した。

 

「見てて分かったけど、この世界もなかなか技術が発展してるな」

 

「そうだね。Dホイールとか、VRビジョンでデュエルとかはないけど、その代わりにリアルソリッドビジョンが発展して、アクションデュエルが生まれたんだよ」

 

「昨日、遊奈の試合を見せてもらったけどなかなか興味深いな。モンスターと共に地を駆け宙を舞う…。デュエルでレインと共に飛んだり、宝玉獣達の連携でデュエルを有利に持っていくのも楽しそうだ」

 

「Aカードによって戦況が変わるのもアクションデュエルの醍醐味だからね。お母さんが知ったら喜ぶんだろうなぁ」

 

「そうだな。母さんと一緒にこの世界に戻って来れたら思う存分楽しもう」

 

「私、二人のアクションデュエルみたい!絶対わくわくするデュエルになると思うんだ!」

 

「ああ!その為にも早く十代を探さないとな」

 

「うん」

 

たわいの無い話をしながら、待ち合わせ場所に着く。

そこは、結構高めの個室がある店だった。

 

「ここか?」

 

「うん。地図を見ても合ってるよ。入ろっか」

 

「いらっしゃいませ。ご予約はされてますでしょうか?」

 

「榊です」

 

「榊様ですね、少々お待ちください…。ご案内させていただきますね。こちらへどうぞ」

 

案内された場所は大部屋の個室だった。

 

「あ、遊奈ちゃん時間通りだね…ってヨハン君!?」

 

「遊戯さんじゃないですか!?お久しぶりです!」

 

「久しぶり。遊奈ちゃんが言ってた会わせたい人が君だとは思わなかったよ」

 

「俺も遊戯さんとは思いませんでした。やられたぜー。流石俺の娘だな」

 

「えへへー」

 

「相棒。そろそろ紹介してくれてもいいんじゃないか?」

 

「あ、ごめん!二人共座って座って」

 

遊戯さんに促されて座敷に座る

 

「ヨハン君も遊奈ちゃんも、もう1人の僕と会うのは初めてだよね?彼はアテム。前世で名も無きファラオの魂の話をしたよね?それが彼なんだ」

 

「初めまして、今は相棒と一緒に転生して、名前も武藤アテムになってる。二人のことは相棒からよく聞いてたから、会えて嬉しいぜ」

 

「榊遊奈です!こちらこそアテムさんに会えて嬉しいです!ね?お父さん」

 

「ああ!俺はヨハン・アンデルセン。今は血の繋がりが無いけど遊奈の父親でもあります。貴方のことは遊戯さんや十代からよく聞いてました。パラドックスの件で十代と一緒にレインを取り返してもくれたみたいでありがとうございます。おかげでまた家族に会えました」

 

「ああ!君がレインボー・ドラゴンの持ち主の!十代君から聞いてたぜ。気にしないでくれ」

 

「そういえば、十代君は元気?君がいるってことは彼も来てるんでしょ?」

 

「っ十代は…」

 

「……」

 

「十代君に何かあったの…?」

 

「…実は」

 

二人に今までの事を話した

 

「…て事なんです」

 

「あの十代君が…」

 

「ごめん。そうとは知らず…」

 

「気にしないで下さい。それにお母さんは絶対無事です!」

 

「そうだな。十代君の事だ、今頃脱出の機会を窺ってるさ」

 

「…二人はこの世界の事情については知ってるかい?」

 

「4つの次元があるって事ですか?それとも…赤馬零王(あかばれお)の事ですか?」

 

「! 知ってたんだね。彼の事を…」

 

「エクシーズ次元にいた兄と友人から聞きました。赤馬零王が融合次元のアカデミアを使ってエクシーズ次元を襲い、仲間を…黒咲瑠璃を攫ったと」

 

「しかも、俺と十代を襲い、十代を攫ったのもアカデミアの可能性があるんです」

 

「それは本当かい!?」

 

「まだ、憶測ですけどね。私達はエクシーズ次元のレジスタンスと共にアカデミアに囚われた人達を救うつもりです」

 

「…そういう事なら零児君にも話した方がいい」

 

「赤馬零王の息子か…。確かこの街の最大企業の社長なんだっけか?」

 

「うん。…二人は赤馬零児の目的をご存知なんですか?」

 

「彼は自分の父…赤馬零王の目的を阻止するつもりだ。僕達も彼の手助けをするつもりだよ。実はここに戻ってきたのもその為なんだ」

 

「「……」」

 

「…実際に会って、話し合いをしてからでも遅くないんじゃないか?確かに君達にとって敵の息子を直ぐに信用しろって言うのは難しいのは分かるからな」

 

「…社長さんとは近々話をするつもりです」

 

「遊奈…」

 

「彼とデュエルした時、彼からは悪意は感じなかった。敵が同じなら協力するべきでしょ?」

 

「…そうだな。そこは遊奈に任せるよ」

 

「それじゃあ暗い話はここまでにして何か頼まない?ここの店はいろいろ美味しんだよ」

 

「再会を祝して今日は俺達の奢りだから、なんでも好きな物頼んでくれ」

 

「いいですか!ありがとうございます」

 

「ありがとうございます」

 

 

───────────────────────

 

ーSide/柚子

 

柚子は今日も素良の付き添いとして公式戦を見ていた。

素良の勝利で公式戦が終わった時には外はすっかり夕方になっていたが、いつもの修行場所である、コンテナと倉庫が沢山ある港の倉庫街に向かっていた。

 

 

「私ならもう1つ前のターンで決められたわ。相手モンスターの攻撃力は1500だし、あそこはファーニマル・ベアーじゃなくて攻撃力1600のファーニマル・ライオンを召喚して」

 

「そんなの分かってたけど、僕は柚子に融合召喚を見せたかったの。この前はちゃんと理解してないみたいだったし」

 

「融合はもう大丈夫!練習は充分やってきたんだから、後は実践で磨き上げて」

 

「おー。自信満々だね。それじゃあ見せて貰おうかな?柚子の融合召喚。僕ももう1勝負したかったんだよね」

 

「望むところよ」

 

-コツ…コツ…

 

「お?」

 

「あなたは!光津真澄(こうつますみ)!」

 

足音がする目の前を見ると、かつて遊勝塾で戦ったLDSの光津真澄がいた。

 

「今、この舞網市の中で何が起こってるのか知ってる?」

 

「何がって?」

 

「謎のデュエリストによる連続襲撃事件」

 

「連続襲撃事件!?」

 

「被害者は全てLDSの関係者。でも、彼らは真実を語らない。何故ならみんな消えてしまったから」

 

「消えたって…!」

 

「いなくなってしまったのよ。マルコ先生も…LDSのトップチームのメンバー達も…。襲われて、消えてしまったらしい。あくまでLDS内の噂だけど」

 

「!」

 

「お願い!あいつの居場所を教えて!知ってるんでしょ!」

 

「あいつって…」

 

「昨日、あなた達と一緒にいた黒い服装の男よ!」

 

「!」

 

昨日って、もしかして遊斗の事を言ってるの?!

なら尚更、遊斗は犯人な訳ないのに教える訳にはいかないわね…

 

「柚子…あの人もしかして遊斗の事言ってるの?(ボソッ)」

 

「そうみたい。でも絶対遊斗のせいじゃないわ(ボソッ)」

 

素良にアイコンタクトを送ると頷いてくれる。

 

「…あなたが捕まえなかったせいよ!」

 

「そんな…私は知らないわ!」

 

「嘘をつくな!マルコ先生が消えてしまったんだ!あんなに強くて優しかったマルコ先生が!今もどこかで苦しんでるかもしれないんだ!だから…だから一刻も早く見つけなくっちゃいけないんだ!早くあいつの場所を教えなさい!」

 

「だから、犯人については知らないって言ってるでしょ!」

 

「なら、なんで、最初の事件の場所であいつと一緒にいた!?しらばっくれると言うなら…デュエリストらしく、デュエルで聞き出して上げるわ!」

 

「LDSの融合召喚なんて大したことないよ。ちょちょいって、やつけちゃえば?」

 

「勝負を受けろって事?」

 

「うん。だってさっき柚子、練習はもういいから後は実践で磨きあげるって言ってたじゃん」

 

「…うん」

 

「何がちょちょいだ!あんた、この子が私に無様に負けたのを忘れたの!?」

 

「今の柚子はあの時とは違うから」

 

「何が違う!」

 

「LDSの融合召喚が、本当は大したことないって事がよーく分かると思うよ」

 

「っ…その言葉、私に融合召喚を教えてくれたマルコ先生の侮辱!許さない! 先にお前を叩きのめしてやる!」

 

「えー、僕とデュエル?止めといた方がいいと思うよ?余計自信無くしちゃう」

 

「うるさい!LDSこそ最強だ!それを思い出させてやる!」

 

「…お前もLDSか!」

 

「「!?」」

 

「キャッ!?」

 

謎の声が聞こえたかと思うと後ろから誰かがぶつかってきて、バランスを崩してデュエルディスクを落としてしまい、セットしていたデッキが床に散らばった

 

「LDSなら俺が相手だ」

 

「はっ…!」

 

「…!」

 

上体を起こし、ぶつかってきた相手を見ると紺色のロングコートに赤いマフラー、そして目にはサングラスという出で立ちの男だった。

 

「…っお前が、連続襲撃事件の犯人…」

 

「……さあ、来い」

 

「…っ」

 

「俺とデュエルだ!」

 

「止めろ隼!!」

 

「遊斗!?」

 

コンテナから降りてきたのはなんと遊斗だった。

そして、隼の呼ばれた男のディスクを持った腕を抑え込む

 

「これ以上、無茶なことは止めろ!」

 

「遊斗の言う通りだ。お前一人が暴走してるせいでこっちはいい迷惑なんだよ!」

 

「柚子!素良!大丈夫か!?」

 

「柚子怪我は無い?」

 

そして、後ろから零、遊馬、遊奈と知らない人が駆けつけてくれた。

 

───────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

遊戯さん達との食事会の帰りに、遊斗から黒咲隼が見つかったとの連絡を受けて、途中で合流した真月と遊馬達と共に港の倉庫街へ向かうと柚子が倒れていて、遊斗が黒咲を押さえつけていた。

 

「柚子!素良!大丈夫か!?」

 

「柚子、怪我は無い?」

 

「榊遊矢が二人!?」

 

「僕は大丈夫だよ」

 

「私も大丈夫。零君、遊馬君、それに遊矢とえっと…」

 

「ヨハンだ。あーあ、カードが散らばっちまってるな…」

 

「あ、ヨハンさん、俺も手伝います!」

 

「柚子立てる?」

 

「ありがとう」

 

ヨハンと遊馬が柚子のカードとディスクを拾い始める。

柚子に手を貸して立たせてあげる。

因みに零は遊斗と一緒に黒咲を抑えていた。

 

「あ、膝が…!」

 

「このくらい擦り傷よ。大丈夫」

 

「…」

 

もう怒った。

私だけならまだ許せたけど、柚子に怪我させたのは許せない!

 

「遊斗!真月!」

 

「やっと見つけたと思ったらお前と言うやつは!ここは俺達の戦場では無い!彼等は我々の敵では無い!」

 

「しかも、遊奈にまで怪我させたみてぇじゃねえか!しかも、お前謝りもせずにその場を去ったみたいだな?ああ!?」

 

「ここは俺の戦場だ!それに、俺は下がっていろと忠告はした。勝手に飛び出してきたのが悪い」

 

「てめぇ…遊斗の前でよくそんなこと言えたな…!」

 

「瑠璃を取り戻すにはこうするしか方法は無い!邪魔立てするなら貴様らも倒す!」

 

「襲撃犯人を見つけた!大至急来て!刃!北斗!」

 

「待って!彼が本当に犯人かどうかはまだ!」

 

「瑠璃!なぜ瑠璃がここに……逃げたのか?自力で脱出を?瑠璃!」

 

「え!?」

 

ドカッ!

 

スパーン!

 

「彼女は瑠璃では無い」

 

「柚子に近づくな、この変態」

 

世に言う、無言の腹パンを決めた遊斗と同じタイミングで、ハリセンで思いっきり頭をぶっ叩いてやった。

両方が決め手になったのか、気を失った黒咲を遊斗が担ぐ。

 

「柚子大丈夫?怖かっただろ?」

 

「だ、大丈夫…二人が守ってくれたおかげ」

 

ハリセンをしまいながら後ろを振り向いて柚子に笑いかける。

柚子も何とか笑いながらそう返してくれた。

因みにこのハリセンもリアル・ソリッドビジョンである。

 

「LDSにも連絡して!出来るだけ大勢を寄越してって!」

 

『了解!今、刃が連絡してる!』

 

『そうです!港近くの倉庫街に…!』

 

「不味いな…。どうする?遊斗」

 

「……」

 

「遊馬君、ここはいいから黒咲君をつれて3人で早く逃げるんだ」

 

「…分かりました」

 

「真澄ー!」

 

不味いな。人が集まりだした。

ファントム!4人を頼む!

 

《了解!遊斗達行くよ!》

 

「うわ!」

「「!」」

 

ファントムが力を使うと4人は輝きだし、姿が消えた

 

「「…!?」」

「……」

 

「真澄!襲撃犯は?」

 

「…消えた」

 

連絡を受けていた北斗達が着いた頃には遊斗達はいなくなっていた。

 

「おい!榊遊矢!どういう事だ!」

 

「知らない。俺は柚子が危ないって聞いたからここに来ただけだ」

 

「しらばっくれるつもりか!」

 

「…あまりこの手は使いたくなかったけど…ごめんね(ボソッ)」

 

「なにを!? っ……」

 

真澄の瞳をじっと見つめて催眠術をかける。

 

「もう一度言うけど、俺達は柚子達が危ないと聞いたからここに来ただけだ」

 

「遊矢の言う通りだ。俺と遊矢は柚子達が襲われてると聞いて来ただけだ」

 

「…そうか、済まなかった」

 

真澄は、ヨハンと遊奈の話を聞いて悔しそうに歯軋りをする

 

「…遊矢?いったい何が起こっているの…?」

 

「説明は後」

 

「はい。これ君のデッキとデュエルディスク」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「来たぞ!LDS!」

 

「すみません!犯人は今までここに!」

 

ついにLDSの人達が沢山来たようだ。

 

「なーんか面倒な事になりそう。行こう柚子、遊矢達も」

 

「ああ」

 

「うん」

 

「あ、おい!お前!」

 

「?」

 

「ジュニアユース選手権に出る為に後2勝しなきゃならねぇんだって?」

 

「…どうしてそれを…」

 

「ま?頑張ってくれよ。無理かも知れねぇけどな」

 

「無理ってどういう事だ?」

 

私の言葉を無視して、刃は去っていく。

 

はぁ…ん?

 

柚子達は先に行ったみたいでもう姿は見当たらなくなっていた。

 

当たりを見渡すと1枚、拾い忘れていたらしいカードが見つかった。

それを見てみると融合のカードだった。

 

柚子のカードか?

素良に習ってるって言ってたもんね。

おっと…

 

流石にもう離れないと不味いと判断してその場を去った。

 

「遊奈」

 

「お父さん!柚子達は?」

 

「彼女達には先に帰ってもらったよ。もう、暗くなる時間帯だしな。後日説明するって言っておいた」

 

「ありがとう。どうやらファントムはあのまま家に転送したみたいだから、このまま帰ろうか?」

 

「そうか。分かったぜ」

 

「…何も言わないの?」

 

「ん?何が?」

 

「…精霊の力を使って催眠術を使った事。気づいてたでしょ?」

 

「あの場合は仕方ないさ。遊奈の気持ちは分かってる」

 

「…うん」

 

───────────────────────

 

家に帰ると目を覚ました黒咲が遊斗、遊馬、零に正座させられて説教を受けていた。

 

「ただいま…ってあ、取り込み中だった?」

 

「おかえり、遊奈、ヨハンさん。見ての通り説教中だ」

 

《遊奈おかえりー》

 

そういうとファントムは疲れたのか私の中へ姿を消した。

 

「全く無茶しやがって…。俺も遊斗も真月も心配してたんだぞ!隼の瑠璃を助けたい気持ちも分かるけど、見境無く戦っていたらアカデミアがやってる事と変わんねーじゃねぇか!」

 

「…しかし…」

 

「少し、頭を冷やせ。赤馬零児と話がしたいなら他にも方法がある」

 

「…なに?本当か?!」

 

「ああ…」

 

三人の視線が遊奈に向く

 

「……ねぇ、もしかして私経由って事?」

 

「頼む。今のところ、赤馬零児と接点があるのはお前だけだ。本当は妹を危険な目に遭わせたくないのだが…」

 

「まあ、近々会う予定ではあったから話をするつもりではあるけどね。でも、とりあえず、1人で行ってみるよ」

 

「な!?危険すぎる!」

 

「だからこそだよ。私1人ならどうとでもなる。それに実はこの前、メールが来て1週間後に2人きりで話したいことがあるってL.Cにご招待されてるんだ」

 

「だから近々会うと言った訳か…」

 

「そういう事。だからそれまでは大人しくして欲しい」

 

「……」

 

「…返事は?」

 

「…は、はい…」

 

少し圧をかけて脅すと素直に頷いてくれた。

 

「「「「(怒らすとやっぱ怖いな…)」」」」

 

「分かればいいよ。そういえば、自己紹介はちゃんとしてなかったね。私は榊遊奈。遊斗の妹です」

 

「俺はヨハン・アンデルセン。遊奈と遊斗のもう1人の父親だ」

 

「…黒咲隼だ…」

 

まだ、正座したままだった隼に手を差し伸べると、おずおずと手を握り返してくれたのでそのまま引っ張り起こす

 

「その…遊奈でいいか?すまなかった。頭に血が上っていたとはいえ、遊斗の妹とその友人に怪我をさせてしまった…」

 

「私は構わないよ。でも柚子には、後で会った時にちゃんと謝罪してね?」

 

「分かった」

 

「じゃあ、この話は終わりにして夕飯の準備しますか!あ、隼君は先にお風呂入って来なよ。遊斗着替えとか頼んだ」

 

「了解」

 

遊奈はそう言うと台所に向かい、遊斗はお風呂の準備をし始める

 

「隼君。遊奈が君を許したから、これ以上言うつもりは無いが、次娘に手を出したら…分かるね?」

 

「は、はい…ヨハンさんすみませんでした。以後気をつけます…」

 

「《(あの、隼を素直に謝らせるとはヨハンさんはすごい(ぜー)(のだな)》」

 

心做しか、ヨハンの後ろにレインが見えるなと思った、遊馬とアストラルであった。

 

その後は、お風呂に入ったりご飯を食べながらお互いの話をして、遊奈は明日の事を考えて早々に就寝した。

 

 

 




という訳で無事に不審者を確保しました。
常に真月か遊斗が見張ってるのでこれでLDSの人達の被害が減るね!やったねた〇ちゃん!



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第19話 VS方中ミエル

今回は申し訳程度の占い要素があります。
ネットで適当に調べて書いたモノなので頭空っぽにして深く考えずにお読み下さい笑



-ワン!ワン!

 

「…朝からどうしたの?アン…」

 

いつ部屋に入ってきたのかアンの鳴き声で目を覚ます

時計を見ると目覚ましの鳴る5分前だった

 

「(仕方ない起きますか…)ふぁ…おはようアン…」

 

「ワン!」

 

挨拶すると元気よく返事を返したアンはなんとアンが乗れるくらいの大きさの玉に乗っかるとそのまま勢いよく転がりだし、ディスクが置いてある机に衝突する

 

「アン!大丈夫!?ってあああ!デッキが!」

 

私が大声を出したのにビックリしたのだろう、アンは慌てて部屋を出ていってしまった。

後に残ったのは机の上から落ちて、部屋中に散らばったデッキだけである

 

「いつの間にあんな芸当が…はあ…片付けますか…ってもうこんな時間!」

 

時計を見ると結構いい時間になっていた為、慌ててカードを集めてデッキフォルダーに入れ、着替えて部屋を出ていった。

 

───────────────────────

 

「えっと…確かニコさんの言っていた住所はここら辺…って…」

 

「もしかして、あれか?」

 

周りは普通の住宅街なのに1箇所だけ、ホラー映画とかに出てきそうな洋館が現れた

 

「あーうん。住所も合ってますね…」

 

「海野占い塾?」

 

「確か、海野占い塾って当たると評判の占い師の殆どがここの塾出身だったような…?」

 

「ゆう〜や君?」

 

「おわ!?」

 

「…ニコさん何やってるんですか…?」

 

黒いフードとカンテラを持ったニコさんが現れる

気配でいたのは分かっていたので冷静に対処すると、ニコさんは遊奈君にはドッキリ失敗でしたけどヨハンさんはいいリアクションですね…とちょっと残念そうにしていた。

 

「まあ、気を取り直して、お待ちしておりましたよ。遊矢君…、ヨハンさんも…フッフッフッフッ…」

 

あ、そのキャラは継続なんですね…

 

門をくぐり抜け、建物の中に入るとヨハンと別れデュエル会場と案内されてる薄暗い階段をニコさんを先頭に下っていく

 

「足元に気をつけてくださいね」

 

「分かってますよ」

 

なんで、ここの階段はこんなに暗いんだろうか?

 

まあ、ファントムのおかげで暗闇でも、ハッキリと見えるから問題ないんだけど

 

扉を開けるとスタジアムに続く下り階段があり、階段の直ぐ横には観客席があった。

 

「ファントム様だー!!」

「キャー!ファントム様!こっち向いてー!!」

 

そんなファンの人達に笑いかけて手を振りながら階段を下っていき、今回の相手、方中(ほうちゅん)ミエルの傍まで来るとBow(ボウ) and(アンド) scrape(スクレープ)という名のお辞儀をする

 

「大変お待たせしてしまって大変申し訳ありませんでした。(わたくし)、ファントムこと、榊遊矢と申します。今宵は楽しいデュエルをいたしましょう」

 

「あらー!いいのよ!私の名前は方中ミエル。ファントム様、こちらこそよろしくお願いしますわ!(キャー!これがミエルの運命の人!?めちゃくちゃかっこいいじゃない!!)」

 

《(なんか悪寒が…)遊奈、気をつけるんだよ?》

 

う、うん?

 

なんか滅茶苦茶熱い視線をミエルから感じるのをファントムも感じたのか警戒するように言ってくる。

うーん。ミエルちゃんってどんなキャラだったかな?

 

うろ覚えの記憶を辿るもいまいち思い出せなかった為、とりあえず、頭を切りかえる事にした。

 

───────────────────────

 

『皆様お待たせ致しましたー!これより、驚きのエンタメデュエルを観せるファントムこと榊遊矢と、占いデュエルで百発百中の方中ミエルの公式戦を行いまーす!!』

 

パチパチパチと会場が拍手に包まれる

 

『それでは海野塾長お願いします!』

 

『運命は既に定められている。しかし、時間を彷徨う人々はそれを見通す事は出来ない。占いは灯火となって人を導くモノ。それは人生の縮図においてもまた同じ…。アクションフィールドオン!フィールド魔法!フォーチュン・テラー発動!』

 

海野塾長の言葉で、スタジアムがフォーチュン・テラーへと変わる。

柱にアルカナ…タロットカードの絵柄が描かれていて、床にも魔法陣が描かれている

ここは確か、おみくじみたいなアクションカードがあったりするフィールドだったはずだ。

 

「百発百中の占いデュエルで、あなたがミエルの運命の人かどうか見定めてあげるわ」

 

「運命の人って…さっきからいった「始めるわよ!」…えぇ…」

 

「闘いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

 

「モ、モンスターと共に地を蹴り宙を舞い、フィールド内を駆け巡る!」

 

「見よ!これぞデュエルの最強進化系!」

 

『『『アクショーン!』』』

 

「「デュエル!!」」

 

「先行後攻はコイン占いで決めましょう?」

 

「コイントス?かまわないよ」

 

「表にはドラゴン、裏には悪魔。どちらが出るかをあなたが当てられたら先行か後攻か選ばせてあげる」

 

そう言って、ミエルはコイントスを行う

 

「さあ?どっち?」

 

「じゃあ、ドラゴンで」

 

「残念悪魔よ」

 

「あらら残念」

 

「…本当に残念ね。あなたは先を見通せない残念男のようね…」

 

「残念残念ってちょっと言い過ぎじゃない?それに先を見通せたところでろくなことないよ」

 

「知ったような口振りね。まあ、いいわ、先行は先を見通せる、ミエルが頂くわ!」

 

 

先行 Mieru LP 4000 VS 後攻 Yuna LP 4000

 

 

「ミエルは裏側守備表示でモンスターを1体セット」

 

裏守備って事はリバースモンスターか。有名なのはマショマロンとかゴーストリックとか、後はポット系か…

 

「ミエルはこれでターンエンド。このカードが開く時、あなたとミエルの運命が見えてくるはずよ」

 

「いや…さっきから運命とか言われてもって感じなんだけど…」

 

「いずれ分かる時が来るわ。さあ!次は先を見通せないあなたの番よ!」

 

「…俺のターン!」

 

「あなた、なにか悩みがあるのね?」

 

「そりゃ、生きてれば悩みのひとつくらいはあるさ」

 

「さっきのコイン占いで、あなたはドラゴンを選んだ。それは強い力で現状を打ち破りたいという気持ちの現れ。今のあなたは行き詰まって、次の一手が見えてない」

 

「いや…悪魔かドラゴンしか選べない状態で、誰にも当てはまる曖昧な表現で言われても、バーナム効果としか思えないよ」

 

「そう思いたければ別に構わないけど、いずれわかるわ」

 

「ドロー!…レフトペンデュラムゾーンに『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』をセットして、ターンエンド。エンドフェイズ時にオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンのペンデュラム効果発動!このカードを破壊してデッキから攻撃力1500以下のPモンスター1体を手札に加える。『EMペンデュラム・マジシャン』を手札に加えるよ」

 

 

Mieru

LP 4000

手札 4枚

裏側守備モンスター1体

魔法・罠カード

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

Yuna

LP 4000

手札 5枚(1枚はペンマジ)

 

魔法・罠カード

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

念の為、フィールドを走り出す

 

「…やっぱりね」

 

『えー!いくらペンデュラム・ドラゴンの効果でモンスターを手札に加えたって、モンスターの召喚どころか伏せカードも無しかよ!』

 

『遊矢兄ちゃんどうしちゃったの?』

 

『まさか、手札事故?』

 

「ミエルのターン!ドロー!ミエルはさっき裏守備でセットしたモンスターを反転召喚するわ!現れなさい!『占術姫(せんじゅつき)コインノーマ』」

 

占術姫コインノーマ ATK800

 

占術姫か…厄介だな。

 

「ここで、コインノーマのリバース効果発動!」

 

『リバース効果?』

 

『裏側守備モンスターが表側になった時に発動する効果さ』

 

『あ!ヨハンさん!』

 

『みんな、今日も遊矢の応援に来てくれてサンキューな。で、リバース効果を持つモンスターをリバースモンスターって言うんだ。有名なのはマショマロンとかだな』

 

『あ!マショマロンなら聞いたことある!確か遊戯兄ちゃんが使ってたよ!』

 

 

「コインノーマがリバースした時、デッキ、手札、墓地からレベル4以下のリバースモンスターを1体セット出来る!ミエルはデッキから同じくこのカードを裏守備でセット!行く宛てもなく走り回っているあなたの事をコインノーマが占ってあげるわ」

 

いや…。別に行くあてが無いわけじゃないんだけどなぁ…

 

コインノーマが持っていたコインを投げるとコインが3枚になり止まる。

 

「表、裏、裏…あなたは運命の選択を迫まれると出たわ」

 

「運命の選択…」

 

『遊矢兄ちゃんのフィールドは今空っぽ!』

 

『このままだと、ダイレクトアタックを食らっちゃう!』

 

『せめてアクションカードがあれば…』

 

「バトルよ!コインノーマで、ダイレクトアタック!」

 

-リンゴーン!リンゴーン!

 

「なに!?」

 

「手札から『バトル・フェーダー』の効果発動!このカードを特殊召喚し、バトルフェイズを終了する!」

 

バトル・フェーダー ATK 0

 

『バトル・フェーダーを握ってたか。流石だな』

 

『よかったー!』

 

『ヒヤヒヤしたぜぇ…流石遊矢兄ちゃん!』

 

『驚いたぜ!流石ファントム様!!』

 

 

「あら?どうやらいい選択を出来たみたいね。メインフェイズ2に入って私はコインノーマをリリースして手札から1枚裏守備でアドバイス召喚!」

 

「アドバイス召喚も裏守備か…」

 

占術姫でアドバイス召喚…クリスタルウンディーネかな?

 

「そうよ、このカードはあなたには分からない未来を示すカードよ!ミエルはカードを1枚伏せてターンエンドよ」

 

「俺のターン!ドロー!俺はペンデュラムスケールをセッティングするよ!レフトペンデュラムゾーンに『EMバラード』をセット!そしてライトペンデュラムゾーンに『EMバラクーダ』をセッティング!!」

 

RPゾーン:EMバラード PS[2]

LPゾーン:EMバラクーダ PS[5]

 

青い光の柱が2つ出現し、其処に黒薔薇と白薔薇の騎士が昇るとそれぞれの柱に2と5の数字が刻まれた。

 

「これで、3から4までのモンスターを同時に召喚可能!揺れろ、運命の振り子!過去と未来を行き交え!ペンデュラム召喚!『EMペンデュラム・マジシャン』!」

 

EMペンデュラム・マジシャンATK1500

 

「ペンデュラム・マジシャンの効果発動!このカードが特殊召喚された時、自分フィールド上のカードを2枚まで破壊し、破壊した数だけデッキから同名カード以外の『EM』モンスターを手札に加えるよ!俺はペンデュラムゾーンのバラードとバラクーダを破壊して、『EMドクロバット・ジョーカー』と『EMモンキーボード』を手札に加える!そして、ドクロバット・ジョーカーを召喚!」

 

EMドクロバット・ジョーカーATK1800

 

「ドクロバット・ジョーカーの効果発動!このカードが召喚に成功した時、このカード以外のEM、オッドアイズ、魔術師、Pカードを1枚手札に加える。『EMリザードロー』を手札に加えて、もう1度ペンデュラムスケールをセッティングするよ!スケール1の『EMモンキーボード』をレフトペンデュラムゾーンにセット!そしてスケール6の『EMリザードロー』をライトペンデュラムゾーンにセッティング!!」

 

RPゾーン:EMモンキーボード PS[1]

LPゾーン:EMリザードロー PS[6]

 

「そして、リザードローのペンデュラム効果発動!デッキからカードを1枚ドローし、その後、このカードをデッキに戻してシャッフルするよ!」

 

Yuna 手札2→3

 

手札が1枚増えたことと引き換えにフィールドからリザードローは消え去る。

 

「更にモンキーボードのペンデュラム効果発動!1ターンに1度、デッキからレベル4以下のEMモンスター1体を手札に加える!リザードローを手札に加えて、もう1度ライトペンデュラムゾーンにセッティング!そして、リザードローのペンデュラム効果発動!もう一度カードをドローして、リザードローをデッキに戻す!」

 

Yuna 手札3→4

 

「いくら手札補充をしたところで、止めた方がいいわよ。運の無い者が不用意に動くと必ず不吉な事が起こるわ」

 

「大きなお世話だよ!バトル・フェーダーを守備表示にして、バトル!俺はドクロバット・ジョーカーで、先にセットされた方の裏守備モンスターを攻撃!」

 

「罠カードオープン!『黒猫の睨み』」

 

罠カードから黒猫が13匹出てくると一斉に睨み出すとドクロバット・ジョーカーは足元を滑らせて転んでしまった。

 

『黒猫に睨まれたー!不吉!』

 

『しかも、13匹!』

 

「『黒猫の睨み』は自分フィールドに裏側守備表示のモンスターが2体以上いる時、相手のバトルを終了させるのよ!まあ、さっきのお返しね」

 

「くっ…なら、おっと…!」

 

立っていた足場がぐらつくと崩れ始めたので、冷静にワイヤーを使って違う足場へ移る

 

「ふぅ…」

 

「ほら言ったでしょ?不吉な事が起きるって」

 

「いや、たまたま足場が悪かっただけじゃん…」

 

「『黒猫の睨み』であんなに沢山の黒猫が出るんですもの。さぞ運が無いんでしょうね」

 

「…俺はペンデュラム・マジシャンとドクロバット・ジョーカーでオーバレイ!2体のEMでオーバレイネットワークを構築!誘うは死の楽園!愚者を糧とし、その美しくも妖しい花弁よ開け!エクシーズ召喚!ランク4、『フレシアの蟲惑魔』!」

 

フレシアの蠱惑魔 DEF2500

 

「俺はこれで、ターンエンド」

 

 

Mieru

LP 4000

手札 3

裏側守備モンスター2体

 

魔法・罠カード

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

Yuna

LP 4000

手札 4枚

バトル・フェーダー(守備表示)

フレシアの蟲惑魔(守備表示)

 

魔法・罠カード

 

RPゾーン:モンキーボード

LPゾーン:

 

 

「折角の忠告を無視して、無駄な事をするなんて…よいしょっと!」

 

そういうとミエルは場所を移動し始める。

 

罠を発動させたんだから、別に無駄なんかじゃないんだけどね

にしても、この子、運命は変わらないと思ってるのかな?

 

《占いの通りに行動してれば、そりゃあ変わるもんも変わらないさ。そうだろ?》

 

そうだね…。変わらない運命を乗り越えて私達はここにいるのだから

 

「もういい、分かったわ。やっぱりあなたは私の運命の人じゃない。跡形もなく消し去ってあげるから覚悟なさい!」

 

《また言ってるよ…》

 

「ミエルのターン!ドロー!ミエルはセットした裏側守備モンスターを反転召喚するわ!現れなさい!『占術姫アローシルフ』!」

 

占術姫アローシルフATK1000

 

『アローシルフがリバースした時、デッキ、墓地から儀式魔法を1枚手札に加える事が出来る。ミエルが手札に加えるのは儀式魔法『聖占術の儀式』。続いてアドバイス召喚した裏側守備モンスターを反転召喚!出番よ『占術姫クリスタルウンディーネ』!」

 

占術姫クリスタルウンディーネ ATK1400

 

「クリスタルウンディーネがリバースした時、デッキ、墓地から儀式モンスター1体を手札に加える事が出来る。ミエルが手札に加えるのは『聖占術姫タロットレイ』!」

 

『儀式魔法と儀式モンスターを手札に加えたって事は…!』

 

『て事は?』

 

『儀式召喚だな。儀式魔法を使ってレベルの高い儀式モンスターを召喚する気だ』

 

「クリスタルウンディーネで、あなたを占ってあげるわ。…見えたわ。大きな力があなたを暗雲に包んでいくのが…。ミエルは手札より、『聖占術の儀式』を発動!」

 

カードから複数のクリスタルが出てくると弧を描きながら地面に突き刺さるとおおきな儀式台が降ってきた

 

「来るか…!」

 

「この効果でレベル4のアローシルフとレベル5のクリスタルウンディーネをリリースし、リバースした2体のレベルの合計は9!これにより、レベル9の『聖占術姫タロットレイ』の儀式召喚を執り行う事が可能になる!」

 

リリースされたモンスターが9つの炎になって、祭壇に灯ると儀式台が光り出す

 

「全てを見通す太古の巫女よ!古の秘術にて、今!甦れ!儀式召喚!レベル9『聖占術姫タロットレイ』!」

 

聖占術姫タロットレイ ATK2700

 

「儀式モンスターか…」

 

タロットレイもなかなか厄介な効果を持っていたはずだ。

 

「ならフレシアの効果を発動!1ターンに1度、 ORUを1つ使い、発動条件を満たしている「ホール」通常罠カードまたは「落とし穴」通常罠カード1枚をデッキから墓地へ送って発動する、この効果は、その罠カード発動時の効果と同じになるよ!俺は『奈落の落とし穴』を墓地に送り、同じ効果になったフレシアの効果発動!攻撃力1500以上のモンスターが召喚された時、そのモンスターを破壊して除外する!やれ!フレシアさん!」

 

フレシアの蟲惑魔 ORU2→1

 

「させないわ。Aカード発動!『運命の糸』!コイントスを行い、表なら自分のモンスターは魔法・罠・モンスター効果の対象にならず、戦闘で破壊されない。裏なら1000ポイントのダメージを受けるわ。さあ!行きましょう!」

 

コインノーマが現れるとコインを上に投げる。

 

「…表ね。これで、『フレシアの蟲惑魔』の効果は無効になるわ!本当に運が無いわね」

 

「やるな…」

 

「バトルよ!タロットレイでフレシアの蟲惑魔を攻撃!」

 

タロットレイの攻撃で、フレシアさんは破壊される

 

「ミエルは手札から裏側守備表示でモンスター1体をセットしてターンエンド。エンドフェイズ時にタロットレイのモンスター効果発動!手札、墓地のリバースモンスター1体を選んで裏側守備表示で特殊召喚出来る。私は手札からモンスターを裏守備でセットするわ」

 

 

Mieru

LP 4000

手札 2

タロットレイ(攻撃表示)

裏側守備モンスター2体

 

魔法・罠カード

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

Yuna

LP 4000

手札 4枚

バトル・フェーダー(守備表示)

 

魔法・罠カード

 

RPゾーン:モンキーボード

LPゾーン:

 

フレシアさんがこんなにも簡単に破壊されるとは思わなかった…

でも、諦めない!まだまだこれからだ!

 

「俺のターン!ドロー!モンキーボードのペンデュラム効果発動!リザードローを手札に加えて、ライトペンデュラムゾーンにセッティング!そして、リザードローのペンデュラム効果発動!カードを1枚ドローして、リザードローをデッキに戻す!」

 

Yuna て5→6

 

「手札から『ペンデュラム・コール』発動!手札を1枚捨て、『時読みの魔術師』と『星読みの魔術師』を手札に加えるよ!」

 

『『『遊矢お兄ちゃん!』』』

 

『来るぞー!ファントム様のペンデュラム召喚!!』

 

Here(ヒア) we(ウィー) go(ゴー)!! It's(イッツ) a() show(ショウ) time(タイム)!!ペンデュラムスケールをセッティング!(わたくし)のレフトペンデュラムゾーンには既にスケール1のモンキーボードがセットされています!そしてライトペンデュラムゾーンに『時読みの魔術師』をセッティング!」

 

RPゾーン:モンキーボード PS[1]

LPゾーン:時読みの魔術師 PS[8]

 

「ペンデュラム召喚!「EMシールイール』、『EMパートナーガ』、『EMオッドアイズ・ライトフェニックス』、そして、エクストラから甦れ!『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!」

 

EMシールイール DEF100

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK2500

EMオッドアイズ・ライトフェニックス ATK2000

EMパートナーガ DEF2100

 

『大量召喚痺れるー!』

 

『これで一気に逆転よ!』

 

「不吉ね…」

 

「今度はなんですか…」

 

「分からないなら、ミエルがあなたのカードの配置から未来を読み解いてあげるわ」

 

「カードの配置から…?」

 

[フィールド】

バトル・フェーダー

EMシールイール

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン

EMオッドアイズ・ライトフェニックス

EMパートナーガ

 

 

「先ず、中央に配置されたドラゴンはとても不安な状態に置かれているのを示している。時計は運命の象徴。鳥はあなたの気持ちが高みへと向かっているのを示している。けど魚はあなたの他人との境界線が曖昧なのを示し、そして、狡猾さを蛇が示してる。つまり、ここから導き出される未来は… 相手の痛み、見えない世界の痛みを共感して、全てを自分のせいだと思いつめて破滅する。そして、あなたの未来は暗黒に包まれるわ」

 

「破滅…ね…」

 

『遊矢兄ちゃん!そんな占い信じちゃダメだ!』

 

『けど、今までの占い全部当たってたよ』

 

『ううん…それは…』

 

『痺れるくらいオカルトだぜ』

 

『三人とも遊矢なら大丈夫。あの子はまだ諦めてない』

 

「…そんな未来変えてみせる!」

 

「運命は決まっているのよ」

 

「パートナーガは召喚、特殊召喚した時、自分フィールドのモンスター1体を選択し、その攻撃力を自分フィールドのEM1体につき、300ポイントアップする!俺はオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンを選択!」

 

【EMパートナーガ】

ペンデュラム/効果モンスター (オリジナル効果)

星5 地属性 爬虫類族 攻500 守2100

【Pスケール:青3/赤3】

①:1ターンに1度、自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、自分フィールドの「EM」カードの数×300アップする。

【モンスター効果】

①:このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力は自分フィールドの「EM」モンスターの数×300アップする。

②:このカードがモンスターゾーンに表側表示で存在する限り、 このカードのレベル以下の相手フィールドのモンスターは攻撃できない。

 

 

『遊矢兄ちゃんのフィールドにはEMが3体!』

 

「攻撃力900ポイントアップだ!」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンATK2500→3400

 

「バトルだ!オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンで、タロットレイを攻撃!」

 

「タロットレイの効果発動!このカードは1ターンに1度、自分、または相手のフィールドの裏守備表示のモンスターを攻撃表示に出来る」

 

「やっぱり来ちゃうかぁ」

 

「目覚めなさい『占術姫ペタルエルフ』、『占術姫ウィジャモリガン』!」

 

占術姫ペタルエルフ ATK800

占術姫ウィジャモリガン ATK1300

 

「ペタルエルフがリバースした時、相手フィールドのモンスターを全て守備表示にする!」

 

「くっ!」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンATK3400→DEF2000

EMオッドアイズ・ライトフェニックスATK2000→DEF1000

 

「そして、相手のモンスターは表示形式を変更出来ない!」

 

「やってくれるね…」

 

「そして、ウィジャモリガンのリバース効果、このターンのエンドフェイズに相手フィールドの守備表示モンスターを全て破壊し、破壊したモンスターの数×500ダメージを相手に与えるわ」

 

『遊矢兄ちゃんの守備表示モンスターは5体だから…』

 

『って事は500×5=2500のダメージって事!?』

 

 

「ここで、タロットレイがあなたの運命を占ってあげるわ…。タロットレイの掲げるのは正位置の塔…このカードが意味するのは…」

 

「…崩壊、転落、悲劇」

 

「あら?よく知ってるじゃない。その通りよ。もうやめなさい。これ以上続けたらあなたの命に関わるわ」

 

「!」

 

『命に関わるって…』

 

『バカバカしい!デタラメ言って動揺させようとしてるだけだ!』

 

『けど、遊矢兄ちゃん今痺れるくらいピンチなんじゃあ…』

 

『ペンデュラム召喚で、呼び出したモンスターは全て守備表示にされている。しかも、ペタルエルフの効果で永続的に表示形式を変更出来ない状態だ』

 

『絶対絶命じゃない!』

 

『(遊奈…)』

 

「…シールイールとバトル・フェーダーをオーバレイ。2体のモンスターでオーバレイネットワークを構築!風評?嫌な事?ぜーんぶ聞き流しちゃえ!エクシーズ召喚!ランク1、『キキナガシ風鳥(ふうちょう)』!」

 

キキナガシ風鳥 DEF0

 

フキナガシフウチョウに似た、頭に触角のような長い飾り羽を2本もつ黒い鳥がブラックホールから出てくる

 

『えぇー!なんで、守備表示で出しちゃったの!?』

 

「まだやる気のようね。けど、大怪我したくなければ早くサレンダーしなさい!」

 

「俺はこれでターンエンドだ!」

 

「このエンドフェイズ時にウィジャモリガンのリバース効果で守備表示モンスターを全て破壊し、破壊したモンスターの数×500ポイントダメージを受けてもらうわ!」

 

Yuna LP4000→2500

 

「くっ!キキナガシ風鳥の効果、このカードはモンスターゾーンに存在する限り、他のカードの効果を受けない」

 

『なるほど。数を減らして、更にモンスター効果で、少しでもダメージを受けないようにしたのか!』

 

 

Mieru

LP 4000

手札 2

タロットレイ(攻撃表示)

ペタルエルフ(攻撃表示)

 

魔法・罠カード

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

Yuna

LP 2500

手札 2枚(1枚は星読み)

キキナガシ風鳥(守備表示)

 

魔法・罠カード

 

RPゾーン:モンキーボード

LPゾーン:時読みの魔術師

 

 

「止める気は無いのね。ミエルのターン!ドロー!ここで、タロットレイのもう1つの効果発動!このカードは1ターンに1度、自分または相手フィールドの表側表示のモンスターを裏側守備表示に変更出来る!私は自分のモンスターを選択!フルスリープ!…悪あがきはやめなさいって言ってるでしょ?」

 

「!」

 

「それがあなたの未来に何をもたらすか…Aカードで占ってあげるわ!…これは!Aマジック『ドロー・ロック』を発動!相手プレイヤーはアクションカードを1枚墓地に送るまでドロー出来ない!」

 

「ここで、ドロー封じ!?」

 

「これ以上、運命に抗うのを止めろとカードが告げてるのよ。悪い事言わないからサレンダーしなさい!」

 

「お生憎様、諦めは悪い方なんでね。それに、運命っていうのは自分で切り開いて行くモノなんだよ!見えた運命通りに行動してれば変えれるモノも変わらない!だから俺は運命よりも、自分とデッキを信じて進むんだ!」

 

ミエルに何を言われようと自分の運命は自分で切り開く。

そう改めて決心すると先程、走り回った時に見つけていた、ここから近いアクションカードを目指して走り出す。

 

「ここまで来てまだ…。こうなったら早くデュエルを終わらせなきゃ…。ミエルはカードを1枚伏せてターンエンド(このカードが発動すれば直ぐにデュエルを終わらせることが出来る。あの占い通りにならずに済むわ)」

 

「俺のターン!」

 

「ドロー・ロックの効果でドローは出来ないわよ」

 

「そんな事分かってる!キキナガシさん!」

 

守備表示にはなっているけどモンスターの力を借りるのに表示形式は関係ない。

 

このフィールドでは足場が不安定過ぎる為、ワイヤーでは無くキキナガシ風鳥の力を借りてショートカットを繰り返す

 

ちなみにこの子は、他の人だと話も聞いてくれないんだけど、私の言うことには素直に聞いて助けてくれるとてもいい子だ。

 

「もうやめなさい!これ以上デュエルを続けても何1つあなたに得なんてないのよ!諦めなさい!危険だって言ってるでしょ!」

 

バッキン!!

 

《遊奈!》

 

分かってる!でも諦めることなんて出来ない!

 

シャンデリアを支えていた鎖が外れ、上から瓦礫が降ってくるが構わず走り抜けジャンプする。

 

「キャー!!」

 

シャンデリアと瓦礫と共に煙の中へ消えた遊奈

 

『『『『!?』』』』

 

「…だから言ったのに…」

 

『よく見てみろよ?みんな!』

 

『あっ!』

 

「え!?」

 

土煙が晴れると壊れたシャンデリアの上にAカード『奇跡』を持った遊奈がポーズを決めて立っていた。

 

Ladies(レディース) and(アンド) Gentleman(ジェントルメン)!? Boys(ボーイズ) and(アンド) Girls(ガールズ)!この俺、ファントムの奇跡の脱出ショーはお楽しみいただけたでしょうか!?」

 

『やったー!遊矢兄ちゃん!』

 

「痺れるー!』

 

『さっすがーファントム様!!』

 

「…そんな…運命が変わった…?命の危機を乗り越え奇跡を掴み取ったていうの…!?」

 

『閉ざされていた未来への道を彼は今開いた』

 

「俺はAカードを1枚墓地に送って、ドロー・ロックを解除!よし!ドロー!」

 

ドローしたカードは『融合』

 

って『融合』!?

 

《ちょっと遊奈!なんで、融合を入れてるのさ!?持ってなかったよね!?》

 

いや…あっ…もしかして今朝カードをばらまいた時に柚子に返す予定の融合まで入れちゃってた!?

 

その時、1体の竜が脳裏をよぎる

 

! 分かった。

 

「さぁさぁ!皆さんご注目下さい!私の場には既にセッティングされたスケール1のEMモンキーボードとスケール8の時読みの魔術師、これでレベル2から7までのモンスターを同時に召喚可能になります!揺れろ、運命の振り子!!永久に続く時を刻み未来と過去を行き交え!!現れろ!レベル5『星読みの魔術師』!そして、エクストラから甦れ!レベル7『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!」

 

星読みの魔術師 ATK1200

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンATK2500

 

「無駄よ!タロットレイの効果発動!フルリバース!」

 

占術姫ペタルエルフ ATK800

占術姫ウィジャモリガン ATK1300

 

「ペタルエルフのリバース効果で相手フィールドのモンスターを全て守備表示にする」

 

星読みの魔術師 ATK1200→DEF2400

ペンデュラム・ドラゴン ATK2500→DEF2000

 

「破滅の運命を逃れられて良かったわね!これで心置き無く、ミエルが勝利出来るわ。ウィジャモリガンのリバース効果、このターンのエンドフェイズに相手フィールドの守備表示モンスターを全て破壊し、破壊したモンスターの数×500ダメージを相手に与えるわ。更にAカード『リアクション・アップ3』発動!このターンの効果ダメージを3倍にする」

 

『遊矢兄ちゃんの守備表示モンスターは3体だから…』

 

『って事は500×3×3=4500のダメージって事!?』

 

『いや、キキナガシ風鳥がいるから3000のダメージだ』

 

「これで分かったでしょ?このデュエル、あなたの勝利は無いのよ!」

 

「…それはどうかな?Redy(レディ)?」

 

「ふぇ!?レディ!?」

 

『こっちだこっちー!!』

 

『待ってよ遊馬って、良かった!まだ終わってない!』

 

『あれは!』

 

「俺は手札から魔法カード『融合』発動!!」

 

『融合!?』

 

『なんと!遊矢君が融合召喚!?』

 

「俺が融合するのは星読みの魔術師とオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン!神秘の力操りし者、眩き光となりて竜の(まなこ)に今宿らん!融合召喚!いでよ!秘術ふるいし魔天の竜!『ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!」

 

ルーンアイズ ・ペンデュラム・ドラゴン ATK3000

 

『…こっこれは…』

 

『攻撃力3000の融合モンスター。…けど残念だったわね!それじゃあミエルのLPは削り切れないわ!あなたの運命は変わらない!

 

「ニッ…ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴンはフィールドのP召喚されたモンスターを素材としてこのカードが融合召喚に成功したターン、このカードは相手の効果を受けません。更に融合素材にした魔法使い族のレベルによって効果が変わります!レベル5以上の場合、このカードは3回攻撃が出来るのです!」

 

「何ですって!?」

 

『星読みの魔術師のレベルは5!』

 

『って事は、3回攻撃だ!!』

 

It's(イッツ) a() show(ショウ) time(タイム)!!」

 

そう言ってルーンアイズに飛び乗ると、空中移動し始める

 

「バトルです!」

 

「はう!?///」

 

「ウィジャモリガン、ペタルエルフ、タロットレイを攻撃!さあ!クライマックスです!連撃のシャイニーバースト!」

 

「ズッキューン!!」

 

Mieru LP4000→2300→100→-200 LOSE

 

WINNER Yuna

 

 

「やったね!遊矢兄ちゃん!」

 

「遊矢、お疲れさん!良いデュエルだったぜ!」

 

「新しい融合モンスター!痺れるー!」

 

「ありがとう!」

 

「やるねー!遊矢!まだこんな手が隠されていたなんて知らなかったよ僕」

 

フトシ君達3人組とヨハンに続いて、素良、柚子、遊馬もこちらへ駆けつけて来てくれた。

 

「素良に柚子に遊馬まで!そっちの試合は終わったの?」

 

「うん!無事に2人とも6連勝達成だよ!」

 

「おお!流石だな!」

 

「遊矢…今の…」

 

「あ、そうだった。これ、勝手に使っちゃってごめんね」

 

柚子の言いたい事は直ぐに分かったため急いで融合カードを柚子に差し出す

 

「これ、返すよ」

 

「え?いいの?」

 

「もちろん。元々返す為に持っていたんだけど事故で、紛れ込んじゃってたみたいでさ。でも、おかげで助かったよ。ありがとう柚子」

 

カードを柚子に渡す

 

「そのカードと一緒に柚子は今までの自分とは違う自分になろうと頑張ってるんでしょ?このカードは柚子の所にあるべきだ」

 

「うん。ありがとう遊矢」

 

《(女の友情って奴だねぇ)》

 

「ミエルの、運命の人ーー!!」

 

「うわぁ!?」

 

「きゃっ!?遊矢!?」

 

いい雰囲気をぶち壊すようにミエルが遊奈に飛びついてきた。

不意をつかれた突撃だった為、そのままバランスを崩して倒れ込んでしまう。

 

咄嗟に女の子が怪我すると危ないと考え、ミエルが怪我をしないように倒れ込んだ

 

絵面的にはミエルに押し倒されてる状態だ

 

あっ…この状態…

 

《この!小娘!遊奈から離れろ!!》

 

「やっぱりあなたが運命の人だったのねー!さっき、ビビっと来ちゃったのー!ミエルの占いは間違ってなかったのだわ!!」

 

「……」

 

「って遊矢!顔が真っ青だよ!?」

 

「離れなさい!このバカ!」

 

「遊矢大丈夫か…?しっかりしろ」

 

慌てて柚子達がミエルを退かしてヨハンが遊奈を助け起こす

 

「はぁ…!はぁ…!」

 

「落ち着け。大丈夫だからな?俺がついてる」

 

遊奈の尋常じゃない様子にまだ残っていた観客がざわめき出すが、塾長が指示をだして誘導したおかげで会場は無事に人払いされていった。

 

「大丈夫ですかな!?」

 

「いったい何があったんですか?」

 

「私にも…えっと…どういう事かしら…?」

 

人払いし終わったのだろう。ニコさんと海野塾長もスタジアムに降りて訪ねてくる。

ミエルもヨハンに抱きついてる遊奈を見て冷静になったのだろう、そう柚子達に尋ねてくる

 

「僕も聞きたい。いったい遊矢に何があったの?」

 

「PTSDよ…」

 

「PTSDですって…!?」

 

「PTSDって…?」

 

「簡単に言えばトラウマって事らしい」

 

「多分あなたが抱きついて遊矢を押し倒したせいね…。最近は落ち着いたと思ったのに…」

 

「そんな…!私そんなつもりじゃあ…!」

 

「分かってるって。遊矢もしばらくすれば落ち着くからさ。それまではそっとしておいてくれないか?」

 

「う、うん」

 

───────────────────────

 

ヨハンの体温と心音によって、しばらくすると何とか呼吸が落ち着いてくれたものの、自然と力が抜けてヨハンに体重を預けるようにぐったりしてしまう

 

《遊奈…》

 

《……》

 

…ごめん。心配かけた。

 

心配そうにこちらの様子を伺うファントムとレインにそう伝える

 

「大丈夫か?」

 

ヨハンがそう訪ねて来るのに力無く頷く

 

「遊矢!ごめんなさい…私そんなつもりなくて…!こんな事、占いにも無かったのに…!ごめんなさい!」

 

泣きながらそうミエルが謝ってくるので、笑いかける

 

「…君のせいじゃない。ビックリ…させちゃったよね?こちらこそごめんね…」

 

「ううぅ…(どうしてあなたが謝るのよ!ミエルが悪いのに!)」

 

「とりあえず、今日はこのまま帰っても大丈夫かな?早く遊矢を休ませたい」

 

「は、はい!大丈夫ですよ!」

 

「タクシーを呼んでおいたんで乗っていってください。こちらからのせめてものの償いです」

 

「分かりました。ありがとうございます。遊矢行けるか?」

 

「うん…」

 

ヨハンと遊馬に支えられながら一足先にタクシーで家に帰った。

 

 

───────────────────────

 

ーSide/柚子

 

「素良とえっとミエルさんで、いいかしら?」

 

「うん?」

 

「何かしら…」

 

「2人とも話があるの一緒に来てくれる?」

 

「「分かった(わ)」」

 

場所を移動して人がいない場所に来ると遊奈のことを話し出す。

 

「…て事なの」

 

「…なるほどね。だから遊奈はいつも男装していたのか…」

 

「ええ。ミエルちゃん。だから、遊奈の事は諦めてちょうだい」

 

「…なるほどね、分かったわ。でも、私を変えてくれる運命の人なのには変わらないわ。私も遊奈を助けたい」

 

「ミエルちゃん…」

 

「私のせいで傷つけてしまったのは変わりないわ。ちゃんと謝って今度は友達として遊奈と関わりたいの!ダメかしら…?」

 

「…それを決めるのは私じゃないわ」

 

ミエルの真っ直ぐな目を見てこの子なら信用出来ると思った私は手を差し伸べる

 

「私も協力するわ。一緒に頑張りましょう?ミエル」

 

「! うん!こちらこそよろしく!柚子!」

 

「(なんか僕だけ置いてけぼり?まあ、いっか)」

 

ポケットに入っていた飴玉を取り出して舐めながら素良は二人を見ていた




という訳で遊奈にPTSDの発作が起こりました。
まあ、遊戯王作品の主人公にPTSDがあるのは公式なんでしかたないですね←(殴
ファントムのおかげで症状は抑えられてますが、今回のようにきっかけがあると発作が起きる時があります。


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第20話 友の覚悟

お久しぶりです。

久々に1ヶ月更新が空いてしまってすみませんでした。

久々にクリティカルモードでKH3やったら楽しくて楽しくて←
まあ、それだけではなく最近は眠気が酷くて娘が寝てる時に寝るようになってしまいまして、なかなか更新が出来なくなっていました。
まあ、産後直前みたいにずっと寝てる訳ではないんですけどね。
少しずつ更新頑張っていきたいと思ってますのでよろしくお願いします。



ーSide/遊奈

 

「んー!よし!」

 

ミエル戦から2日たった。

昨日はニコさんや、ヨハン達に休めと言われたので学校も休んで久しぶりにゆっくりする事が出来た。

まあ、私が休んだ事を知った遊勝塾のみんながお見舞いに来てくれて賑やかではあったけどね。

 

ヨハンと隼もその時にみんなに紹介+説明も出来たから丁度よかった。

 

《おはよう遊奈。大丈夫かい?》

 

「おはようファントム。大丈夫。すっかりリフレッシュ出来たよ」

 

階段を降りながら、そうファントムと話す。

 

「おはようってあれ?誰もいない…?」

 

2階が静かだったから、てっきりみんな先に起きてリビングにでもいるのかと思っていたけど誰もいない。

 

《…気配もないね》

 

「うーん。みんなで出かけたのかな?あっちはあっちで情報収集とかあるみたいだしって思ったけどアンとコールもいなくなってる」

 

お父さんか遊馬が散歩でも連れてったのかな?

 

みんないないならと、適当に朝食を食べて、遊勝塾に向かうが、そこでも誰もいない

 

うーん。ドッキリ?

 

にしては人の気配が…

 

「っ!!」

 

「わわっ!?」

 

突然感じた気配にデュエルで使う伸びるスティックをその人物の首元スレスレに当て振り返ると、それはニコさんだった

 

「ニコさん!?」

 

「いきなりなんですか!ビックリしましたよ~」

 

「いやぁ、誰もいないから、みんなに何かあったのかと…すみません」

 

慌ててスティックを下ろして仕舞う。

つい、過剰防衛をしてしまった。

 

「改めまして、おはようございます遊矢君。昨日はゆっくり出来ましたか?」

 

「おはようございます。はい、お陰様で。それよりも、みんなは何処に行ったんですか?」

 

「気になりますか?」

 

「流石に気になりますよ。心配という意味で」

 

「おっと!もうこんな時間!急がなければ遅刻してしまいます!さあ!参りましょう!」

 

「えぇ…分かりましたよ」

 

ニコさんに半分引っ張られながらついて行くとそこは権現坂道場だった。

 

「…ここに4戦目の相手が…まさか…」

 

「それは、ご自分でお確かめを」

 

権現坂道場に入ると権現坂が立っていた。

 

「待ちかねたぞ遊矢!」

 

「…やっぱりね。で?どういうことか説明を下さいませんか?」

 

「権現坂君とは何度も戦っていると思います。しかし、本気の勝負は1度もなかったはず」

 

「……」

 

「あなた方が幼なじみで親友同士である事は私も存じております。特に遊矢君達の父…榊遊勝がチャンピオン決定戦を前に突然姿を消してからはそれを嘲笑う人々から権現坂君が体を張って守り続けたと聞き、その美しい友情に私も感動致しましたが、しかし、たとえ親友同士だろうとしても勝負は別!プロを目指すなら尚更です」

 

「その通りだ遊矢。俺とお前は今まで何度も戦ってきた。時には教え合い、助け合っても来た。確かにデュエルの時は全力だったが、そこに本当の真剣勝負、お前の本気は無かった。父と兄妹の失踪と母の死、そして、あの事件で傷ついたお前を思い、俺もそれを強くは咎めなかった。しかし!そんな情けがいつしか俺自身の気持ちも弱くしていた事に気付いたのだ!」

 

「君自身を弱く…」

 

「遊勝塾対LDSの3戦目、1勝1敗で迎えた決定戦に俺は勝つことが出来なかった」

 

「けど、あの勝負は引き分けに!」

 

「勝てなかったのは俺の心の弱さ!勝負に徹しきれなかった甘さが原因。それを拭い去るには、もっと自分を追い込まねばならん!」

 

「そこで、権現坂君はなんと自分のジュニアユース選手権への出場権クリアをこの戦いにかけることにしたのです。年間勝率6割まで後1勝としたまま、他者からの対戦の申し出を受け付けず、遊矢君がここまで勝ち進めて来るのをひたすら待っていたのです」

 

「!」

 

「後1勝で出場権を得られるというのは遊矢君も同じ。即ち、この1戦に勝った者だけが大会に出られる事になるのです」

 

「権現坂…分かった。お前の覚悟確かに受け取った。俺も本気でデュエルするよ」

 

「いずれこの道場を継ぐ俺にとって、この戦いは不動のデュエルを極める為の試金石。親友だからこそ情けを捨てて全力で倒す!覚悟するがいい遊矢!」

 

「覚悟は決まったようですね遊矢君。そして、プロを目指すなら孤独にも強くならなければいけません。あなたは今まで、権現坂君だけでなく、多くの人達から守られて来ました。いつも、応援され、励まされ、それを力にして来ましたが、プロは周囲全てが敵のサポーターというアウェイであっても自分の力を発揮しなくてはならないのです。だからこそ今日はあえて、あなたの応援団は排除させてもらったのですよ」

 

「なるほど。そうでしたか」

 

そういう事なら安心して本気のデュエルが出来る

 

───────────────────────

 

ーSide/柚子

 

権現坂道場-別室

 

柚子を含め遊勝塾のメンバーと、ヨハン、遊斗、遊馬、隼とオマケでアンとコールがいた。因みにアンは遊馬が、コールは遊斗が抱っこしている。

 

「2人とも本気の真剣勝負だ。頑張れー」

 

「遊奈…」

 

「大丈夫さ。遊奈なら」

 

「ヨハンさん…はい」

 

───────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

「では!始めましょうか?権現坂師範」

 

「んん!デュエルとは魂の磨き合い。互いに切磋琢磨し、何事にも動じぬ不動の心を養う事。これこそ我が権現坂道場の目指す道。この戦いにおいても、正々堂々真正面からぶつかり合い、魂のいっそうの研磨に励んで貰いたい。いざ!アクションフィールドオン!フィールド魔法、剣の墓場発動!」

 

フィールドが大量の剣が刺さっている荒野に変わった

 

「ここって…!」

 

「そう。俺がLDSと戦った時に舞台となったフィールドと同じ」

 

「何故、このフィールドを?」

 

「今に分かる」

 

「権現坂、俺はAカードを使わないつもりだ。君との本気のデュエルにAカードは必要ない。君と同じ土俵で戦うよ!」

 

「遊矢…行くぞ!戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い!」

「フィールド内を駆け巡る!」

「見よ!」

「これぞ!」

「「デュエルの最強進化系!アクショーンデュエル!」」

 

先行 Gongenzaka LP 4000 VS 後攻 Yuna LP 4000

 

「先行は貰った!俺は手札から『超重武者(ちょうじゅうむしゃ)カケボウーC(シー)』を召喚!」

 

超重武者カケボウーC ATK500

 

「このカードが召喚に成功したターン、このカードをリリースし、超重武者を特殊召喚出来る!『超重武者ビックベンーK(ケー)』を守備表示で特殊召喚!」

 

超重武者ビックベンーK DEF3500

 

「俺はこれで、ターンエンド」

 

「俺のターン!ドロー!早速だけど、ペンデュラムスケールをセッティングするよ!レフトペンデュラムゾーンに『EMモンキーボード』をセット!そしてライトペンデュラムゾーンに『EMリザードロー』をセッティング!!」

 

 

RPゾーン:EMモンキーボード PS[1]

LPゾーン:EMリザードロー PS[6]

 

「そして、リザードローのペンデュラム効果発動!デッキからカードを1枚ドローし、その後、このカードをデッキに戻してシャッフルするよ!」

 

Yuna 手札4→5

 

「更にモンキーボードのペンデュラム効果発動!1ターンに1度、デッキからレベル4以下のEMモンスター1体を手札に加える!リザードローを手札に加えて、もう1度ライトペンデュラムゾーンにセッティング!そして、リザードローのペンデュラム効果発動!もう一度カードをドローして、リザードローをデッキに戻す!」

 

Yuna 手札5→6

 

「そしてライトペンデュラムゾーンに『EMオッドアイズ・ユニコーン』セッティング!!

 

RPゾーン:EMモンキーボード PS[1]

LPゾーン:EMオッドアイズ・ユニコーン PS[8]

 

「ペンデュラム召喚!『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』!『EMシルバー・クロウ』!』

 

ファントム・ドラゴン ATK2500

シルバークロウ ATK1800

 

「来たかペンデュラム召喚」

 

「まだだよ!フィールド魔法『天空の虹彩』発動!フィールド魔法は、アクションフィールド内では永続魔法扱いで発動出来る。効果、1ターンに1度このカード以外の自分フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊し、デッキから「オッドアイズ」カード1枚を手札に加える事が出来る!俺はモンキーボードを破壊して『EMオッドアイズ・ミノタウロス』を手札に加えて、レフトペンデュラムゾーンにセットするよ!」

 

RPゾーン:EMオッドアイズ・ミノタウロス PS[6]

LPゾーン:EMオッドアイズ・ユニコーン PS[8]

 

「バトル!ファントムで、ビックベン-Kを攻撃!この瞬間、オッドアイズ・ユニコーンのペンデュラム効果発動!このカードは自分の『オッドアイズ』モンスターの攻撃宣言時、そのモンスター以外の自分フィールドの『EM』一体を対象にし、その攻撃モンスターの攻撃力をバトルフェイズ終了時まで対象のモンスターの元々の攻撃力分アップすることが出来る!俺が選ぶのは『EMシルバークロウ』!よって『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』の攻撃力は1800アップする!」

 

ファントム・ドラゴン ATK2500→4300

 

「夢幻のスパイラルフレイム!!」

 

「俺は手札から『超重武者装留(ちょうじゅうむしゃそうる)ファイアー・アーマー』を墓地に送る事でモンスター効果発動!このターン、ビックベンーKの守備力は800ダウンし、戦闘・効果では破壊されない!」

 

ビックベンーK DEF3500→2700

 

「オッドアイズ・ミノタウロスのペンデュラム効果!自分の「EM」モンスターまたは「オッドアイズ」が守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える!破壊は無理でも貫通ダメージは受けてもらうよ!」

 

「ぐぅ…!」

 

Gongenzaka LP4000→2400

 

「そして、『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』の効果発動!1ターンに1度、このカードが戦闘ダメージを与えた時、ペンデュラムゾーンにいるペンデュラムモンスターの攻撃力分のダメージを与える!」

 

RPゾーン:EMオッドアイズ・ミノタウロス ATK1200

LPゾーン:EMオッドアイズ・ユニコーン ATK100

 

「幻視の力!アトミック・フォース!」

 

「ぐああ!」

 

Gongenzaka LP2400→1100

 

「バトル終了と共に、ファントムの攻撃力は元に戻る」

 

ファントム・ドラゴン ATK4300→2500

 

「これで俺はターンエンド」

 

「(流石だ。少しでも油断をすればこっちがやられる…!)」

 

 

Gongenzaka

LP 1100

手札 2枚

ビックベンーK(守備表示)

魔法・罠カード

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

Yuna

LP 4000

手札 2枚

ファントム・ドラゴン

シルバークロウ

魔法・罠カード

天空の虹彩

 

RPゾーン:EMオッドアイズ・ミノタウロス

LPゾーン:EMオッドアイズ・ユニコーン

 

 

『攻める遊矢君。守る権現坂君。序盤は予想通りの展開ですね』

 

『左様。相手がいくら動き回ろうと消して惑わされずに不動の構え…これぞ、我が権現坂道場の大道なる戦い。良いぞ昇!それでこそ我が道場の跡取り!ジュニアユース選手権でもその不動のデュエルを貫くがよい!』

 

「気が早すぎるぞ親父殿。まだ勝負は始まったばかり、俺もまた、全力を出し切った訳じゃない!行くぞ!俺のターン!ドロー!来たか!この男、権現坂。友を倒す為、自分に殻を破る決心をした!見てくれ親父殿!これが俺の目指す新たな不動のデュエルだ!俺はレベル1のチューナーモンスター『超重武者ツヅー()』を召喚!」

 

超重武者ツヅー3 DEF300

 

『おお!?』

 

レベル9のシンクロが来るか!

 

ちなみに権現坂の親父さんが驚いているのは、権現坂が実際にシンクロ召喚を見せたことが無かったためだ。

 

本人曰く、ちゃんと出来るようになってから見せたいとの事だったので、シンクロをマスターしたということだろう。

 

「俺はレベル8のビックベンーKにレベル1のツヅー3をチューニング!動かざること炎山の如し!大岩に宿りし魂、今聳え立つ砦となれ!シンクロ召喚!出でよ、レベル9!『超重魔獣(ちょうじゅうまじゅう)キュウ-B(ビー)!』

 

超重魔獣キュウーB DEF2500

 

『なんと!?』

 

『おお!』

 

「親父さんの前で見せたって事はマスターしたんだ?シンクロを」

 

「ああ!行くぞ遊矢!ここからが本当の真剣勝負!覚悟しろ!」

 

「望むところさ!来い!権現坂!」

 

『あいやそこまで!この勝負、我が息子、昇の負けとする!』

 

「「!」」

 

『不動のデュエルとは、何事にも動じぬ心こそ寛容。勝つために他流派の技を盗んだ時点で、お前は負けていた!』

 

「親父さんそれは違う!権現坂は元々、俺からシンクロを学んでいたんだ!」

 

「ああ、盗んだのではない。教えを乞うたのだ!遊矢にシンクロの基礎を、更に上を目指すために刀堂刃殿にだ」

 

『んん!?』

 

「刀堂君か。彼を頼ったのは俺が忙しかったせい…?」

 

「ああ。何より自分が強くなるために、お前にこれ以上負担をかけさせたくなかったからな。例え敵であっても必要とあれば礼を尽くして教えを乞う。当然の事だ」

 

「権現坂…」

 

負担だなんて思っても無かったのになぁ

 

「それに、俺がシンクロ召喚を習得したのはただ勝つためでは無い!新たな不動のデュエルの自閉を開く為」

 

『新たな不動のデュエルだと…!』

 

「デュエルは日々進化するもの!不動のデュエルとて、ひとつの場所に留まっていては、時代と共に取り残されるのは必定!」

 

「その通りだね。デュエルは…人は日々進化していく。何事にも動じぬ心こそが不動のデュエルなら、それを受け継ぎつつ、新しいモノを取り込む事も必要な事だと俺も思う」

 

「全てはこの1戦を見届けてから判断してもらいたい!」

 

「俺からもお願いします」

 

『…分かった。この試合見届けよう』

 

「キュウーBの効果、自分の墓地に魔法・罠カードが存在しない場合、このカードの守備力は、相手フィールドの特殊召喚されたモンスターの数×900アップする!遊矢、お前の場には特殊召喚されたモンスターが2体、よって1800ポイントアップする!」

 

キュウーB DEF2500→4300

 

「手札から『超重武者装留マカルガエシ』をキュウーBに装備カードとして装備する!更にキュウーBは守備表示の状態で、守備力を使って攻撃出来る!バトルだ!行け!キュウーB!シルバークロウを攻撃!」

 

Yuna LP4000→1500

 

「相手の場に特殊召喚されたモンスターが減った為、キュウーBの守備力はダウンする。俺はこれでターンエンド」

 

キュウーB DEF4300→3400

 

「流石だな。こんなのを見せつけられたら俺も負けてらんないな。俺のターン!ドロー!『天空の虹彩』の効果発動!Pゾーンのユニコーンを破壊して、俺は『オッドアイズ・アドバンス・ドラゴン』を手札に加える!」

 

「新しいオッドアイズだと!」

 

「俺はファントムをリリースして、手札の『オッドアイズ・アドバンス・ドラゴン』をアドバンス召喚!」

 

オッドアイズ・アドバンス・ドラゴン ATK3000

 

「このカードはレベル5以上のモンスター1体をリリースしてアドバンス召喚できる!更に、特殊召喚されたモンスターがいなくなったことにより、キュウーBの防御力は元に戻る!」

 

キュウーB DEF3400→2500

 

「更に、アドバンス・ドラゴンの効果!このカードがアドバンス召喚に成功した時、相手フィールドのモンスター1体を選んで破壊し、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。俺はキュウーBを破壊してその攻撃力分のダメージを受けてもらうよ!」

 

「無駄だ!キュウーBに装備したマカルガエシの効果発動!このカードを装備したモンスターは、1ターンに1度だけ効果では破壊されない!」

 

「なら、バトルだ!オッドアイズ・アドバンス・ドラゴンでキュウーBを攻撃!そして、ミノタウロスのペンデュラム効果で貫通ダメージを受けてもらうよ!螺旋のアドバンスバースト!」

 

「ぐっ…!」

 

Gongenzaka LP1100→600

 

「アドバンス・ドラゴンの効果発動!このカードが戦闘でモンスターを破壊した時に発動できる。自分の手札・墓地から「オッドアイズ・アドバンス・ドラゴン」以外のレベル5以上のモンスター1体を選んで守備表示で特殊召喚する!」

 

「くっ…手札のマカラガエシの効果発動!このカードを墓地に送る事で、破壊されたモンスターを攻撃表示で蘇生出来る!甦れ!キュウーB」

 

キュウーB ATK1900

 

「俺は手札から『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』を守備表示で特殊召喚!更に魔法カード『スター・ブラスト』を発動!500の倍数のライフポイントを払って発動する。自分の手札・フィールド上のモンスター1体のレベルをこのターンのエンドフェイズ時まで、500ライフポイントにつき1つ下げる。俺はアドバンス・ドラゴンのレベルをひとつ下げる」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンDEF2000

 

Yuna LP1500→1000

 

オッドアイズ・アドバンス・ドラゴン 星8→7

 

「そして、レベル7になったオッドアイズ・アドバンス・ドラゴン とペンデュラム・ドラゴンでオーバーレイ!2体の竜でオーバーレイネットワークを構築!太陽を司る竜神よ!闇を晴らす光となり、降臨せよ!『サンライト・ドラゴン』!」

 

サンライト・ドラゴン ATK2800

 

「俺はこれでターンエンド」

 

 

Gongenzaka

LP 600

手札 0枚

キュウーB(攻撃表示)

魔法・罠カード

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

Yuna

LP 1000

手札 1枚

サンライト・ドラゴン(攻撃表示)

魔法・罠カード

天空の虹彩

 

RPゾーン:EMオッドアイズ・ミノタウロス

LPゾーン:

 

 

『これまた見事なり!ナイスリカバリーだぞ昇!』

 

「(しかし、手札はもうゼロ。このドローに全てがかかっている…!)俺のターン!ドロー!2体目のツヅー3を召喚!」

 

ツヅー3 DEF300

 

「レベル9のキュウーBにレベル1のツヅー3をチューニング!荒ぶる神よ!千の刃の咆哮と共に、砂塵渦巻く戦場に現れよ!シンクロ召喚! いざ出陣!レベル10『超重荒神(ちょうじゅうこうじん)スサノ-(オー)』!」

 

超重荒神スサノーO DEF3800

 

「スサノーOで、サンライト・ドラゴンを攻撃!クサナギソード・(ZAN)!」

 

「サンライト・ドラゴンの効果発動!ORUを一つ使い、自身の攻撃力分、攻撃力をアップする!」

 

サンライト・ドラゴン ORU2→1

ATK2800→5600

 

「何!?」

 

「迎え撃て!サンライト・ドラゴン!」

 

スサノーOが攻撃を仕掛けるが、攻撃力を上げたサンライト・ドラゴンに返り討ちにされ破壊される。

権現坂のフィールドはがら空きになった。

 

 

「くっ…俺はターンエンド…」

 

「俺のターン!ドロー!…行くよ!サンライト・ドラゴンで、権現坂にダイレクトアタック!日輪のシャイニングライト・イヤー!」

 

「グッアアア!!」

 

Gongenzaka LP600→ -5000 LOSE

 

WINNER Yuna

 

「ふぅ…」

 

「「「遊矢兄ちゃーん!」」」

 

「みんな!」

 

デュエルが終わるといつの間にかアユ達が来ており、駆け付けてきてくれた。

 

「遊矢兄ちゃん!凄かった!」

 

「アクションマジック無しなんて痺れるぜ!」

 

「見ていてくれたの?」

 

「うん!今日はニコさんに、応援しちゃダメって言われてたから」

 

「こっそり見てたんだよ」

 

「プロを目指すならアウェイの状況でも勝てなきゃダメって事だな」

 

「お父さん!」

 

「そして、お前は見事に勝った!燃えたぞ遊矢!熱血だー!」

「遊矢おめでとう!」

「さっすが遊矢だぜ!」

「やはり、そのカードはお前が持つべきだな」

「遊矢のエクシーズ召喚、凄かった。流石だな」

「…悪くはなかったな」

 

「みんなありがとう」

 

権現坂が近づいてくる

 

「ガッチャ!楽しいデュエルだったよ!権現坂!」

 

「ああ。俺もまだまだだというのがよく分かった。これを糧に己を鍛え直すさ」

 

「…後、1ヶ月はあるけど平気か?」

 

「無論。チャンスはまだある。お前とここまで死力を尽くして戦えた事を俺は誇りに思う」

 

手を差し伸ばされたので意を汲み取り握手を返した。

 

「昇!よくやったぞー!二人とも素晴らしいデュエリストだ!」

 

「(見事でした遊矢君…。やはりあなたは私が見込んだ通りのデュエリスト。あなたなら必ず榊遊勝のようなプロに…一流のスターになれる事でしょう)」

 

───────────────────────

 

ーSide/零児

 

「榊遊奈のジュニアユース選手権の出場が決まったそうです」

 

「そうか…これで、私が見込んだデュエリストは全て集まったということだ」

 

「はい」

 

「大会まで後1ヶ月…彼女に会えるのが楽しみだ」

 

 




という訳で、天空の虹彩とオッドアイズ・アドバンス・ドラゴンを出しました。

ビーストアイズ?ああ、いたねそういえば←
いや、出そうと思ったんですけど、何だかんだルーンアイズも出しずらいし、正直アドバンス・ドラゴンが出したくてビーストアイズはお留守番になりましたw

因みに原作では大会が開催される日の1週間前でしたが、それより早く物事が起きてます。
天空の虹彩は迷ったのですが、ユニコーンとかいるし変わらないかと吹っ切れました←
ビーストアイズもそのうち出すと思うんで気長にお待ちください。


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第21話 会合と和解

内容はタイトル通り。
そういえば先日やっと映画ポケモンココ観に行ってきました。
遅かったというのとコロナの影響で上映時間が朝の1回しかなくてちょっと焦りましたが無事初見の映画館で見ることが出来ました。
場所にもよるとは思いますが、今発券機でチケット買うんですね。
前売り券を買っていたのですが、聞いたらQRコードを読み取って購入する感じでした。
久しぶりの映画だったので、かなり疲れましたが行ってよかったです。



ーSide/遊奈

 

ジュニアユース選手権出場権を無事獲得したあの日から数日経ち、私はL.Cビルの目の前に来ていた。

 

《いよいよ…だね》

 

そうだね。

 

そう、今日は赤馬零児に会う日なのだ。

深呼吸して気を引き締めるとビルの中に入り、受付の女性に話しかける

 

「ようこそ。レオ・コーポレーションへ。あら?キミ迷子かしら?」

 

「…違いますよ。今日、赤馬社長とアポを取ってる榊です」

 

迷子に間違わられ、思わず苦笑いしながらも要件を話す

 

「榊遊矢様ですね。社長がお待ちです。こちらへどうぞ」

 

「あ、中島様!」

 

すると中島と呼ばれたサングラスをかけたスーツの男が横から近づいて話しかけて来た。

 

「社長のお客様だとは思わずとんだ失礼を致しました」

 

受付嬢は一礼して謝ってくるので、大丈夫ですよと話して中島さんの後に続いてエレベーターを上り社長室へ通される

 

「社長。榊遊矢殿がお見えになりました」

 

「入れ」

 

扉を潜ると、舞網シティが一望出来る窓が広がり、部屋の真ん中に社長机と椅子には赤馬零児が座っていた。

社長机の前には新しめのテーブルと座り心地が良さそうな椅子があり、そちらに座るように言われ座ると社長は向かいに座った。

少しするとお茶が運ばれてくる。

 

「久しぶりだな。この前はすまなかった」

 

「構わないよ。こうやって時間を作ってくれたんだし…ね?」

 

「そうか。それと、ジュニアユース選手権出場おめでとう」

 

「社長さん直々に祝ってくれるなんて意外だな。ありがとう」

 

「さて…世間話もここまでにして本題に入ろうか。君はどこまで知っている?そして、どこまで関わっているのかを…」

 

「…逆に聞くけど、君の父親がエクシーズ次元で何をしたのか知らない?逆に君は赤馬零王とはどういう関係なのかな?敵?それとも味方?まさか、知らないって事はないよね?」

 

「…少なくとも私はあの男を父親だと思ったことは無い。寧ろ敵だ」

 

「……」

 

零児と視線が絡まる。嘘をついてはいないようだ。

 

「…うん。信じるよ社長の言葉。君は嘘をついてない。…俺が関わっているのはエクシーズ次元の戦士に兄や友人がいるのと、俺のもう1人の母親的存在の人がアカデミアの戦士らしき者に攫われたことだけだよ」

 

「やはりエクシーズ次元から使者が来ていたか…。それに君が関わりがあり、君の大切な人が囚われていると…」

 

「うん。俺は母やエクシーズ次元の人々を救う為にアカデミアと戦うつもりだよ。このまま放っておけば、エクシーズ次元だけじゃない、ここやシンクロ次元をも巻き込んだ次元戦争になる。それだけは阻止しないといけない」

 

「君と私の目的は同じのようだな。私も赤馬零王の野望を阻止したい。だが、私の力だけではアカデミアに勝つ事は難しい。そこで、共に戦ってくれる強きデュエリストを探していたのだ」

 

「…もしかして、舞網チャンピオンシップの目的は…」

 

「ああ、アカデミアに対抗し得るデュエリストを探す為だ」

 

どうやら、赤馬社長はアニメと同じように自分の父親と敵対しているようだ。それなら安心して遊斗達のことを話せる

 

「…なら協力をした方が良さげだね。分かった、この事は遊斗達に話をしてみる」

 

「話が早くて助かる」

 

零児が手を差し伸べて来たので私も手を伸ばし握手を返した。

 

「説得出来るか分からないけど頑張るよ」

 

「ああ、よろしく頼む。ところで、君はLDSの関係者が襲われてカード化されている事件を知っているか?」

 

「あ〜……ごめん兄の知り合いの仕業です…」

 

「…説明を求めてもいいか?」

 

「ア、ハイ…」

 

黒咲のことを社長に話す

 

「…ここ最近、事件が治まっていたのはそういう事か…」

 

「ごめん。もう少し早く見つけられていたら被害を最小限に抑えられたのに…」

 

「いや、君のせいではない。それよりも、カード化された人達を元に戻さなければ…こちらで回収したカードを調査しているが未だに解決方法が無い。君の兄や友人から聞いたことはないか?」

 

「…残念だけど、兄達が言うにはあのデュエルディスクの機能は元々アカデミアのモノだったらしいよ。彼らはそれを復元したに過ぎない」

 

「そうか…」

 

「…カード化された人達を元に戻すの俺も手伝えないかな?」

 

実は遊斗達が使っていたデュエルディスクを解析してみたところ手掛かりになりそうな箇所がいくつかあった。しかし、家には最先端技術の機械がなかった為、それ以上は調べられずに断念していた。

でも、ここなら最先端技術が集結しているに違いないと思い、提案をする。

 

「君が…?」

 

「一応、これでもプログラミングとかは得意なんだよ?ほら、ポッポちゃんとか!」

 

『クック!』

 

そう言ってポッポちゃんをいつものクラッカーではなくマジックの応用で手から出して肩に止まらせる。

 

「…やはり、それはリアルソリッドビジョンを応用したモノか…。デュエル中に勘づいてはいたが見事だな」

 

「それほどでもないよ。で?ダメかな?」

 

「いや、寧ろ助かる。分析室には話を通して置こう」

 

「ありがとう。…」

 

「…どうした?」

 

「いや、社長さんと話してるとどこか懐かしい気がしただけだよ」

 

ふと、こうして話してると、どこか安心してる自分がいることに気づく、そしてそれが懐かしく感じていることにも。

思わずじっと社長の瞳を見つめてしまい、不審に思ったのか社長が聞いてくるので、出されたお茶を飲み、少し苦笑いを浮かべながらそう話す

 

「…零児」

 

「ん?」

 

「零児でいい。私も名前(・・)で、呼ばせてもらおう」

 

「あっえーと…零児?」

 

「ああ」

 

少し戸惑いながら名前を呼ぶと、普段見せない綺麗な笑顔で返事をする零児を見て顔が熱くなる

 

え?え?零児が笑った?!///

 

心臓がバクバクして半分パニックになりながらお茶を飲んで冷静になろうとする

 

「どうした?」

 

「何でもない!///」

 

不意打ちは狡い…これだからイケメンは…

 

様子がおかしいと思ったのか零児に呼ばれるだけで心臓が更にドキドキして誤魔化すようにそう言えば、零児は少し納得いってないように、そうかと言うと話を切り出す

 

「ところで、先程懐かしいと言っていたが本当に勘違いだと思うか?」

 

「…どういう事?」

 

「私は君の事を知っている。…昔から(・・・)と言えば分かるか?」

 

「!?」

 

「君が榊遊矢という男ではなく、榊遊奈という女性だと言うことを、私は昔から知っている」

 

「…知ってたんだ。でも昔から?調べたんじゃないの?」

 

まあ、戸籍自体は改ざんじゃなくてカモフラージュ程度のものだったから調べようとすれば調べられるだろう。

しかし零児の昔からという単語に疑問が浮かび問いかける。

 

「無論、調べてはいる。だが、君が女性だと言うのは知っていた」

 

記憶を辿ってみても零児と会った記憶はない。

そんなビッグイベントがあったのなら覚えているはずなのにだ。

 

「…ごめん。記憶が無いんだ。…私たち会ったことがあるの?」

 

「…ああ、何年か前にな。だが、無理に思い出さなくても構わない。ただ、私には無理に隠さなくてもいいと伝えたかっただけなんだ」

 

「…この事は?」

 

「私と私の母と中島は知っている。だが、母にはきちんと誤解を解いてあるし、中島も私の部下で最も信用出来る奴だ。この事は誰にも話すつもりは無い」

 

「そう…。君や中島さんはともかく、君の母親が心配だったけど、誤解を解いてくれたのなら、まあいいや。てか、最初っから言って欲しかったなぁ。なんか騙された気分だよ」

 

「エンタメデュエルの奇術師といわれてるファントム様を騙せたのなら光栄だ。しかし、最初から言っても変に警戒するだけだろう?」

 

「そりゃあ…まあ…」

 

「こちらもそれが原因で、君との交渉が決裂になり、最悪の場合、敵になってしまうのを避けたかっただけなんだ。気に障ったのならすまないな」

 

「いいよ謝らなくて。これでおあいこでしょ?」

 

「…そうだな」

 

茶目っ気たっぷりにウインクしながら零児にいうと、一瞬キョトンとした顔をされるが直ぐにクスクスと笑い始める。

 

零児ってそんな顔も出来るんだなって思ったら、なんだかこっちも可笑しくなってつられて笑ってしまった。

 

───────────────────────

 

ーSide/零児

 

「…社長」

 

「どうした?中島」

 

色々と話してだいぶ時間がたった頃、控えていた中島が私の耳元で話す

 

「…またか、分かった。今は来客中だから、また後日お越し下さるように伝えろ」

 

「しかし、よろしいのですか?相手は市会議員の…」

 

「構わない。来たところで同じ事を言うのは分かっているからな」

 

「…分かりました」

 

中島が、部屋を出た事により2人きりになると、零児は少し疲れたように椅子の背もたれに背を預ける

 

「大丈夫?さっき中島さんが市会議員の人が来てるって言ってたけど」

 

「ああ、すまない。…君にも話しておくべきか…。君は沢渡君を覚えているか?」

 

「ああ…前に屑カード呼ばわりして怪我をした、社長の刺客の事?」

 

「その節は済まなかった…」

 

少し棘のある言い方で言う遊奈に、相当あの時の事を怒っていると察して慌てて謝る。

 

「冗談だよ。零児も私に会いたくて必死だっただけでしょ?」

 

「い、いや!そういう訳では…!///」

 

確信を突かれてドキッとしてしまい慌てて否定をするが耳が熱い

 

「あ、えっと…これも冗談だったんだけど…///」

 

零児の照れた顔を見たせいなのか遊奈も赤面しながらそう言う。

お互いがお互いに赤面して顔を逸らす

 

「…コホン。話を戻していいか?」

 

話を戻すために咳払いをして空気を変える

 

「う、うん。で、沢渡がどうしたの?」

 

「実は沢渡君の父親が市会議員で、息子に怪我を負わせた犯人は君だと言って聞かなくてね。こちらも犯人は別にいると言って帰って頂いてるんだが、ちょこちょこアポも無しに来られているんだ」

 

「あー、だからこの前、追いかけられたのか。ごめんね。実は…」

 

遊奈に沢渡事件の真相を聞かされる

 

「なるほど、君の兄は、別に怪我をさせた訳では無いのだな」

 

「うん。柚子を守るためにデュエルしただけみたい。ダメージを実体化した訳ではないから、大袈裟に言ってるだけだと思うよ。実際に学校で見かけるけどピンピンしてるし。いちいち絡んでくるから最近は適当にあしらってるくらいだよ」

 

人選をミスったか…

 

「すまないな。私も彼がそんなに迷惑をかけているとは知らなかった」

 

「まあ、悪い奴じゃないのは分かってるよ。カードも大事にするようになったみたいだし」

 

「そうか…。!…しまったな…」

 

「どうしたの?」

 

「沢渡議員も君が女性である事を知っている」

 

「!。戸籍、改ざんすれば良かったかな…」

 

ボソッと吐かれた物騒な言葉に苦笑いをしながら、頼むからやめてくれと伝える。

 

「君に被害が及ばないようにこちらも対処しよう」

 

「頼みます…。また追いかけっこは勘弁だよ」

 

-♪

 

「すまない。ああ、私だ。……分かった」

 

電話が鳴ったため遊奈に断りを入れて出ると中島からだった。

 

「丁度今、沢渡議員が帰ったようだ。今帰ると鉢合わせする可能性があるから…先に分析室に行ってみるか?」

 

「いいの?急に来たら迷惑かからない?」

 

「問題ない。…私だ。今からそちらに優秀なプログラマーを紹介したいから向かう。…ああ、くれぐれも失礼が無いようにな」

 

分析室の方に連絡を入れて、遊奈を連れて部屋を後にした。

 

───────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

「あ…兄様…」

 

零児の後をついて行き、分析室に向かっていると少し前の方から小さい男の子が零児を見つけてそう言った。

零児が気がつくとその男の子の傍により頭を撫でてやってる

 

「零羅か。今帰ったのか?」

 

「う、うん…。ただいま兄様。…お友達…?」

 

「ああ」

 

「零児の弟さんかな?初めまして、私は榊遊奈。君の名前は?」

 

私に気づくと零児の後ろに隠れてしまったので、零児の傍に来るとフードを取ってしゃがんで、男の子と同じ視線になると怖がらせないように笑いながらゆっくり話しかける

 

「あ…赤馬、零羅…です…」

 

「そっか!零羅君って言うんだね。お兄さんの事は好き?」

 

「う、うん…!」

 

「そっか。お兄さんは優しい?」

 

「う、うん!兄様はこんな僕にも…いつも優しくしてくれてるんだ…。でも兄様の事を悪く言う人もいるんだ…あなたも…?」

 

「ううん。私も零羅君と一緒で零児の事好きだよ。確かに零児って感情が無いとか色々言われてるみたいだけど、全然そんな事ないし、私とは二歳しか歳が離れてないのに会社経営とプロデュエリストをしているのは凄いと思ってるよ!零羅君もそう思わないかい?」

 

「う、うん!兄様は凄いんだ!」

 

「じゃあそんな零羅君にお姉さんからプレゼントしよう!…ん~…は!」

 

『ポッポっ!』

 

「うわ!?」

 

両手を握り締めて力を込めてから手を離すとPONと鳴りながらポッポちゃんが現れて私の手から零羅君の手に止まると、またまたPONと音と煙が出て、消えるとポッポちゃんがネコのぬいぐるみに変わっていた。

 

「うわぁ…!」

 

「気に入ってくれたかな?」

 

「う、うん!ありがとう!…えっと…」

 

初めて手品を見たのか興奮したように目をキラキラさせながらお礼を言ってきた零羅君だったが、はっとなったのかおずおずと私に聞いてくる。

 

「零羅君が呼びやすい呼び方でいいよ。零羅君くらいの子がうちの塾にいるんだけど、その子たちは遊奈姉とか遊奈お姉ちゃんって呼んでくれるかな?」

 

「…遊奈…姉さんって呼んでいい…?」

 

「もちろんだよ!零羅君これからよろしくね」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

何とか打ち解けてくれて、まだぎこちないが、零羅君は笑って握手を返してくれた

 

「そ、それじゃあ…僕はこれで…お母様の所に行くようなので…」

 

「うん。またね!零羅君」

 

ぺこりとお辞儀をすると、零羅君はそう言って 自分の母親が居る所へ向かっていった。

それを手を振りながら見送ると零児が驚いたように話しかけて来た

 

「…すごいな。あの零羅が私以外で、しかも初めて会った人にあそこまで懐くとは…」

 

「えへへー。慣れてるんだ。小さい子の面倒はよく見てたし、それに零羅君にはどこか感情を殺してるように感じたのと、私に怯えてるんじゃなくて、全てに怯えてるんじゃないかなって思ったから、先ずは緊張を解くために零児の事を話したんだよ。零羅君は君の事が好きみたいだったから」

 

「…君はよく人を見ているのだな」

 

「不快にさせたのなら謝るよ」

 

「いや、寧ろ礼を言う。実は零羅と私は血の繋がりがないんだ」

 

「そうなの?」

 

「…零羅は紛争地帯から拾われた子なんだ。あの子はその過酷な環境で生き残るため、自分の一切の自我を封じ込めていたらしい。その為、何者にも逆らわず従順に従う人形になってしまっている。母は零羅を操り人形として引き取ったようだが、私はあの子を本当の弟のように思っている。そしてあの子の心を変えたいとも思っている。だが、私以外ではまだ心を閉ざしたままなのだ。だから、たまにで構わないから零羅と話してあげてくれないか?」

 

「私は構わないよ。零羅君可愛いし♪」

 

「ありがとう。この事は他言無用で頼む」

 

「OK」

 

「では、先に進もうか」

 

零児に促され、分析室へ向かった。

 

 

───────────────────────

 

ーSide/???

 

L.Cを追い出された沢渡議員は遊奈の写真を見ながらぶつくさ文句を言っていた。

 

「この私を差し置いて来客を優先するとはけしからん!この前襲ってきたあの男はあの女…榊遊奈の仲間に違いないというのに…!!この私を無下にするとは…「ほう…?それは興味深い話だな…」誰だ!?ぎゃあああああ!!!?」

 

一瞬のうちに影が差すと沢渡議員の悲鳴が上がった…

 

 

 



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第22話 明かされる正体

今回から小声で話してる時は文字を薄くした表現に変更しています。
※暴力シーン注意です。


ーSide/遊奈

 

あの後、分析室のチームを紹介してもらい、また後日会うことになった私は零児と別れL.Cを後にして家に向かっていた

 

沢渡議員も帰ったみたいだし、夕日も落ちてきたから暗くなる前に早く家に帰らなきゃ。

 

…ん?あれは…

 

「柚子!素良!」

 

「ん?あ、遊奈!」

 

「こんなところで会うなんて奇遇だね」

 

修行帰りの柚子と素良に気づいて声をかけると、気づいた柚子達がそう言いながら私の側まで来て一緒に歩き始めた。

 

「うん。ちょっと零児…赤馬社長に会ってたんだ」

 

「あの赤馬社長に!?酷い事されてない!?」

 

「何でまたぁ?」

 

「柚子落ち着いて。ほらこの前、迷惑かけたお詫びと私が大会に出るのが決まったからそれのお祝いの言葉を送りたかったみたい」

 

「なるほどね。でも信用して平気なの?」

 

「柚子が思ってるほど零児は悪い奴じゃないよ。だから安心して?」

 

「ならいいんだけど…」

 

少し納得がいかないような柚子に苦笑いする

 

まあ、前回会った時は結局有耶無耶になってしまったから仕方ないかな

 

「にしても名前呼びとは随分仲良くなったんだね?」

 

「そうよ!どういう事かしら?」

 

「え、えっと…実は私は覚えてないんだけど、昔零児と会ってたみたいなんだよね」

 

「社長さんと?それはまたすごいね」

 

「でもこの前会った時はそんな素振り見せてなかったじゃない。騙されてない?」

 

「そんなことないと思う。何となくだけど零児と話してて懐かしい感じがしたし、それに嘘つくメリットもないでしょ?」

 

「うーん…」

 

「まあねぇ」

 

柚子だけじゃなく素良まで…

零児の信用の無さに逆に笑えてくる

実際にファントムは絶賛大爆笑中だ

 

「ところで柚子達は…《遊奈!》…柚子!素良!走るよ!」

 

「え?ちょっと遊奈!?」

 

「う、うん!」

 

ファントムが何かに気づいたのと同時に複数の悪意と人の気配を感じ、曲がり角で柚子の手を繋ぎ2人に一言声をかけると全力で走り出す。

素良も何か気づいたのかあまり抵抗せずに一緒に走ってくれる。

 

悪意を持った人の気配を避けながら走っていた為、気づけば更に人気が無い場所にある行き止まりの空き地に来てしまった。

 

「行き止まり!(しまった!誘導されたか!)」

 

「いきなりどうし「遊矢!」」

 

「「!」」

 

素良の呼び掛けに振り返ると黒スーツにサングラスといういかにも裏世界の人間といった出で立ちの男が複数人現れ唯一の脱出経路を塞がれてしまう

 

「いきなり何なの…?」

 

「こいつらは…?」

 

「分からない…。でも2人共警戒してくれ…

 

警戒をして小声で会話をする

 

「榊遊奈だな?主がお前を所望している。大人しく我々に着いてくるなら手荒なことはしない」

 

リーダーらしき男がボイスチェンジャーを通したような声で確認してくる。

 

「何の話かな?俺は榊遊矢。遊奈なんて奴知らないな?」

 

「ククク…隠さなくてもいい。お前の身体に宿るその白き竜(・・・)こそがお前が榊遊奈だという確かな証拠だ」

 

「《!?》」

 

「?!(遊奈に宿った白き竜?なんの話しだ?)」

 

「どういう事…?」

 

ファントムが見えてるのか!?

いや、見えてるだけじゃない私の中に宿っているファントムの魂を感知したって事だ

 

《グルルル…!》

 

「いったい何者…?そのサングラスもただのサングラスじゃないみたいだし」

 

ファントムが男達に向かって威嚇をする中、焦りを隠すように笑みを浮かべながら問いかける。

少しでも時間稼ぎが出来るように…

 

「ククク…時間稼ぎのつもりか?無駄だ」

 

後ろの方にいつの間にか待機していた男から放たれた銃弾がファントムに当たるとファントムを隔離するような膜が現れ、閉じ込められてしまう

 

《!なんだ!?これ!?出せ!》

 

「ファントム!」

 

ファントムに触ろうとしてもカプセル状になった膜に電流か何かが流れているためバチッと弾かれてしまう

 

「これってオッドアイズ!?」

 

「どうなってるの??」

 

どうやら柚子達にもファントムが見えるようになっているらしい、あのカプセルが原因か?

 

そのままファントムはカプセルのせいで引っ張られ、奴の手の中に収まってしまう

 

「お前!ファントムに何をした!」

 

「怖い怖い。ただこのデュエルモンスターズの精霊を隔離しただけだぞ」

 

「隔離だって?ふざけてないでファントムを返せ!」

 

「そんなに息を荒らげるのは良くないと思うぞ?」

 

「うっ…!」

 

急に息苦しさを覚えると立っていられなくなりガクッと膝から崩れ落ちる

 

「はぁはぁ!」

 

《はぁ…はぁ…》

 

何があったのかとファントムの方を見るとカプセルの中で同じ様に息苦しそうにしていた

 

 

──────────────────────

 

ーSide/素良

 

「遊奈!」

 

「遊奈!しっかりして!貴方達、遊奈に何したの!?」

 

崩れ落ちた遊奈に柚子と共に慌てて駆け寄り男達に殺気をとばすが、男達はそんな殺気をものともせず、やれやれと呆れたように返す

 

「言わんこっちゃないな…。何も分かってなさそうなガキに説明してやろう。こいつはデュエルモンスターズに宿ると言われてる精霊さ。聞いたことくらいはあるんじゃねえか?」

 

「デュエルモンスターズの精霊…」

 

「これが…」

 

男が後ろ手で指を指す。

2人はオッドアイズ・ファントム・ドラゴンに視線を向ける。

よく見ると遊奈と同じくらい呼吸が荒くなっている。

 

「従来、カードに宿る精霊はカードを通して精霊界から空気を吸っているんだ。さて、このカプセルは精霊を隔離するモノだ。ここまで来れば察せれるんじゃないか?」

 

「…はぁ、精霊は、カードから、隔離されれば、生きて、いけない…」

 

「そんな!?」

 

「でも、何で遊奈まで息苦しそうなのさ!」

 

「さっきも言ったが、そいつの身にはこの精霊の魂が宿っているのさ。いや、正確にはこいつは精霊と魂を融合した化け物さ」

 

「精霊と魂の融合…?」

 

「遊奈が…?」

 

「っ………」

 

2人の視線が遊奈へ向けられる

 

「そうさ。だから、半身である精霊を隔離すれば、それはそいつにも影響が出る。まあ、普通の精霊と違って死ぬ事は無いだろうがな。化け物の癖に人間と仲良くなんざ反吐が出る」

 

「ふざけないで!遊奈の事何も知らない癖に!遊奈は私の大切な親友よ!」

 

「お前の言葉が真実なんだとしても、遊奈は化け物なんかじゃない..!」

 

 

僕、何でこんなに必死になっているんだろう?

何でこんなにも怒りが湧いてくるのだろうか…?

 

そんな事を心の片隅に思いながらも男を睨みつける

 

 

──────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

「ふざけないで!遊奈の事何も知らない癖に!例え人じゃなくても、遊奈は私の大切な親友よ!」

 

「お前の言葉が真実なんだとしても、遊奈は化け物なんかじゃない..!」

 

「柚子…素良…」

 

そう言って私を庇うようにデュエルディスクを構えた2人を見上げる。

 

くそっ!力が抜けていく…

 

何も出来ない状況に唇を噛み締める

 

「友情ごっこって奴か?泣けるね。それでデュエルか?無駄だ、俺の周囲にはデュエルディスクを妨害する電波が放たれている。つまりデュエルは出来ないって事さ!」

 

「なんだって!?」

 

「そんな!?」

 

「安心しな。お前達はここで死んでもらう。まあ、口封じって奴だな」

 

男達は銃の安全装置を外す音を聞いてさあっと青ざめる2人

 

2人を殺させるわけにはいかない。私のことを知っても私を見てくれた彼女達を…!

 

ファントム…!

 

《(…分かった)》

 

さすが相棒。アイコンタクトで私の考えを理解してくれる

 

──────────────────────

 

ーSide/柚子

 

あいつ、今私達を殺すって言った…?!

 

男の言葉に頭が一瞬真っ白になる

冗談ではなく本気だと嫌でも分かってしまい、身体が震えるのを必死で抑える

 

ダメ!遊奈は今動けない。なら、私と素良で何とかしないと…

 

 

「柚子、素良…」

 

「遊奈…?」

 

「どうしたの…?」

 

しゃがんだ状態で必死に考えていると後ろから声がかかり遊奈と目が合う

 

「遊奈…その眼…」

 

「綺麗…」

 

思わずそう呟いていた

遊奈の瞳はいつもの赤色では無く、紅と翠に輝いていた

 

思わず見入ってしまっていると遊奈が安心させるように笑いかけるのを見てさっきまでの恐怖が溶けていくのを感じる

 

「ありがとう…2人とも。化け物じゃなくて、私自身を見てくれて、嬉しかった…」

 

「何言ってるのよ…!当たり前でしょ…!?」

 

「そうだよ…!柚子の言う通りだよ」

 

「うん。だから2人は逃げて」

 

遊奈に背中を触れられると身体が光り出す

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

「「遊奈!?」」

 

「大丈夫。私も脱出、出来るよう頑張るから」

 

ニッとイタズラが成功したような表現を浮かべた遊奈を最後に見る。

そのまま光に飲み込まれて、少しの浮遊感を感じた後、突然光がなくなり、代わりに重量で、下に落ちておもっいきり身体を床に打ち付けてしまう

 

「「痛たた…!」」

 

「君達は…!?」

 

驚いた声がする方を見るとそこにはヨハンさんがいた

 

 

──────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

「貴様!あいつらをどこにやった!?」

 

「がはっ…!」

 

《遊奈!!》

 

腹部に鋭い衝撃が走る。先程柚子達を飛ばしたせいで限界になっていた身体は簡単に吹っ飛び、ファントムの叫び声が響く中、地面を数回転がる

 

「チッ…化け物が」

 

少しずつ意識が薄れていく中、男がそう吐き捨てる音を拾う。

 

それにひそりと笑う

 

先程、気づかれないように零児に信号を送った。

柚子達もお父さん達がいれば保護してくれるはず。

 

薄れゆく視界の中で泣きそうな相棒を見た気がした…

 




文章力が欲しい…
拙い文で申し訳ないです。


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第23話 忘却と想起

今回からR18になります。
R18といってもぬるいどころか、あえて細かく表現しないようにしてますのでご了承ください。

モブゆや♀になりますので苦手な方は注意です。


ーSide/ヨハン

 

「ん?なんだ?」

 

家で遊奈から借りたパソコンを使ってこの世界のデュエルの事を調べていた俺はふと気配を感じ椅子から立ち上がる

 

「「痛たた…!」」

 

「君達は…!?」

 

光ったと思ったら遊奈の友達である、柊柚子と紫雲院素良の2人がヨハンを見てびっくりしていた

 

「ヨハンさん!?遊奈が!遊奈が!」

 

「大変なんだよ!」

 

「落ち着け2人とも何があったんだ?」

 

柚子から慌てたように遊奈の名前が出た事と、柚子達をここに送ったのは遊奈の力だと分かった為、嫌な予感がしていたが2人を落ち着かせる。その間に騒ぎを聞き付けたのか遊斗達もこちらへ来てくれた。

しばらくして落ち着いてきたのか、何があったのか話してくれた

 

「…僕たちがいたのに何も出来なかった…。それどころか僕達だけ逃がしてくれたんだ…」

 

「ごめんなさい…」

 

「デュエルができない状態で中学生が大の大人…しかも拳銃を持っていたんだ、仕方ないさ。それよりも2人が無事で良かった」

 

落ち込む2人の頭を撫でてあげると遊斗達に向き直る

 

「遊斗、柚子ちゃん達の話を聞いて心当たりはあるか?」

 

「いや…。デュエルをしてカード化するなら兎も角、デュエル出来ない空間で殺そうとするのは奴らの動きじゃない。それに…」

 

チラっと遊斗は素良に視線を向ける。

遊斗が言いたいことは、アカデミアなら同じ仲間の素良まで襲うはず無いということだろう

 

「なら、別の次元の者の仕業か…」

 

「もしくは、この次元の者の仕業だろうな」

 

「お前は!?」

 

ヨハンの言葉に続くようにこの場には居ないはずの人物…赤馬零児が部屋に入りながらそう言う。

その後ろに遊戯さんとアテムさんも現れてリビングに入ってくる

 

「遊戯さんにアテムさん達まで…」

 

「失礼する。私の名前は赤馬零児。あなた達に話があってきた」

 

なんでいるの?ってみんながなっていると、チャイムを鳴らしても誰も出ず、玄関の鍵が空いていたから入ってきたらしい

 

「ごめんねヨハン君。零児君を止められなかったんだ…」

 

「すまないな。ああいうところはどこかの誰かを思い出すぜ…」

 

申し訳なさそうな2人にこちらも許すと、遊斗達と遊戯さん達にお互い自己紹介をしてもらう

 

「…事情は分かった。それで話っていうのは?」

 

「無論、彼女…遊奈の事だ」

 

「どうして遊奈の事を…」

 

「我々に敵対する気はない、寧ろ協力をお願いしたいのです。彼女からあなた達の事情は聞いている。今日私は彼女とお互いに協力関係になるという取引をした矢先に、私の方で彼女からの緊急信号をキャッチした」

 

「なんだと?!それは本当か!」

 

「ああ、これを見て頂こう」

 

零児がデュエルディスクを操作していくつか画像と動画を映し出す。

 

「これは、あの時の!」

 

「緊急信号の位置の近くにあった監視カメラの映像だ。見ての通り遊奈とそこにいる柊柚子と紫雲院素良がいる。そして…」

 

零児が操作して動画を再生させると柚子達が消えた後、遊奈が蹴られて吹っ飛ばされ、ぐったりした遊奈をどこかへ連れ去って映像は終了する。

 

「「遊奈…!」」

 

「「「「「「っ……」」」」」

 

悲痛な顔をするヨハン達を見ながら零児は更に襲ってきた男達を拡大させる

 

「こいつだよ!僕達を襲って、遊奈を攫ったのは!」

 

「この男はただ雇われただけに過ぎない。だが、1番彼女を攫った奴に近い存在だ。名前は餓狼」

 

「餓狼?二つ名か何かか?」

 

「ああ、本名は誰も知らないらしいが、飢えた狼の様に獲物に食らいつく様からそう言われているらしい。裏世界の何でも屋だ。恐らく周りの奴らも同類だろう」

 

「何でも屋…!」

 

「大丈夫だって!あいつらは遊奈を殺そうとせずに連れ去ったんだろ?なら絶対生かしてるはずさ」

 

「うん…」

 

何でも屋。名前の通り金さえ払えば何でもやる奴らなのだろう。

襲ってきた男達の正体を知り顔を青ざめさせる柚子に遊馬が安心させるように声をかける

 

「更に、この少し前に沢渡議員…沢渡シンゴの父親と言ったら分かるだろうか?」

 

「沢渡の?」

 

「確か前に遊奈が襲ってきたって難癖つけてきた奴だよね?」

 

「ああ、その沢渡議員が襲われて倒れていたのを発見したらしい」

 

「ええ!?」

 

「彼はLDS襲撃犯を遊奈だと疑っていて、ずっと遊奈の正体を探っていたのだ。我社にも度々遊奈を捕まえろと訴えて来ていて、今日も来ていたらしい」

 

「…まさか!」

 

「ああ、病院に運ばれた沢渡議員の話だとサングラスをかけた大男に榊遊奈について知ってる事全て話せと脅されて話してしまったらしい。もう分かるだろうが、餓狼の仕業だ」

 

「そんな…じゃあその沢渡の父親って奴から遊奈の事が漏れったってことか?!」

 

「そういえば…あいつら、主が遊奈を所望しているって言ってた。きっと遊奈の…精霊の力が目的なのかも…」

 

「!素良君それは本当か?あいつらは遊奈が精霊の力を使えることを知っていたのか?」

 

「う、うん…僕達も見たんだ。オッドアイズ・ファントム・ドラゴンの精霊が囚われたのを…」

 

「ファントムが!?…もしかして精霊狩りか…?」

 

学生時代にサファイア・ペガサスが狙われた事件を思い出しながら呟く

 

「いや…まさか奴が…?」

 

「零児君何か知っているのか?」

 

「…今から3年くらい前の話になる………」

 

零児から衝撃の事実が話される… 

 

──────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

「……」

 

頭がボーとしてガンガンする…

 

何回か瞬きを繰り返しても目の前は真っ暗のままだった。体を起き上がらせようとするも動けない事に気づく

 

どうやら、視界と口を塞がれ、両手足胴体を拘束台かなにかによって拘束され、首には何やら首輪状のモノがつけられているのを感じた

 

そうだ私、攫われて…

 

 

拘束台の他に微かだが電子音を感じる。おそらくモニターがあり、その線の電極は私の体のあちこちに張り巡らされていた

 

ゾワッと本能的にこの場所から脱出した方がいいと感じた遊奈は力を込めて拘束から逃れようとする

 

「っ!」

 

おかしい、こんな拘束くらい本気を出せば壊せるはずなのに…!

 

焦る気持ちを抑えながら違和感の正体を自覚する

 

そういえば、ファントムの気配がほとんどない…。

 

まるで深い眠りに入って沈んでしまったかのように微かな気配しか感じる事が出来ない

 

『おや?目が覚めましたか。気分はどうです?』

 

「っんー!!んー!!」

 

ふざけるな!私をどうするつもり!

 

男の声に反射的に顔を上げてそう言おうとするが口が塞がれているため言葉にはならなかった

 

「心配しなくても貴女には協力して欲しいだけですよ」

 

男のパチンという音に合わせて口の拘束具だけ外される

 

「…協力だと…?」

 

気配を感じてその方向に顔を向ける。

どうやら私を連れてくるように言ってきた親玉が部屋に入ってきたらしい

 

「ええ!3年前のあの時のように…ね?」

 

「3年前…!?何の話だ!」

 

「おや?忘れてしまったのですか!あんなにいっぱい可愛がってあげたのに!?」

 

「っ…!…ああ、」

 

頭を思いっきり掴まれて引き寄せられると視界を塞いでいた布を外され、視界いっぱいに男の顔が現れる

 

嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だイヤダイヤダ…!!

 

「忘れたとは言わせませんよ?遊奈ちゃん?」

 

ニタリと笑う男の顔を見て私は全てを思い出した…

 

──────────────────────

 

あれは3年前、私の今生の父である榊遊勝と、4つ子の兄達が行方不明になって、母が亡くなって間もない時だった。

 

あの時の周りの人たちは、私を逃げ出した臆病者の子や、家族に見捨てられた哀れな子としてただただ疎ましく、ヒソヒソと陰口や時には暴力を振るわれていた

 

大体は権現坂や柚子が私を助けてくれておじさんも、1人にはさせないように気を使ってくれていたのだが、その日はタイミング悪く、1人で家に帰る事になっていた

 

この時の私は、薄暗い夕暮れ時を1人で歩くリスクが高いのを分かっていて急いで帰っていたのを覚えている…

 

──────────────────────

 

ーSide/零児

 

 

当時私は15歳で、あの時、身代金の人質として攫われそうになっていたのを間一髪逃れて逃げていると曲がり角から誰かにぶつかりそのまま倒れ込んでしまう。

 

「す、すまない!っ…」

 

「だ、だいじょうぶ…あっ足が…!」

 

慌てて謝罪をして起き上がるが、顔を歪めて足首を抑える、どうやら足首を捻ってしまったようだった

 

「このくらい…くっ!」

 

「無理しちゃダメだよ!えっと…」

 

追われてる身で不味いと思い、無理に立ち上がろうとするが痛みが走る。

ぶつかった相手はフードで顔が分かりづらいが、小学生くらいの少女で、彼女は慌てて自分のバックから包帯を取り出すと私の足首を手早く固定してくれる。

よく見ると体のあちこちに包帯や絆創膏などが見える…どうやら良く怪我をするのかバックに応急処置が出来る程度に持ち歩いているようだ。

 

「…すまない」

 

「ううん。私も不注意だったし、おあいこって事で…はい!これでOK。でも無理は禁物だよ」

 

彼女に言われてゆっくり立ち上がってみると先程より痛みはマシになっていた。同じように立ち上がった少女をに礼を言う。

 

「ありがとう。今度お礼がしたい、私の名前は赤馬零児、君は?」

 

「私は…遊奈だよ」

 

「遊奈か…」

 

フルネームで聞きたかったがこれ以上は言いたくなさげだったのでこれ以上は聞かないことにした。恐らく怪我が多いのも訳があるのだろう

 

「クソっ!どこいった!?あのガキ!」

 

「いたぞ!」

 

「チッ!すまない!「待って!こっち!」お、おい!」

 

思ったより長居をしてしまったらしい、彼女に、一言告げてその場を去ろうとすると遊奈が私の手を引いて先行して走り出してしまう

 

仕方なく彼女について行くと抜け道(分岐点が多い)が続いている場所にたどり着く。

道なりに進んで2つ目の分岐点を右下に進み、次の曲がり道で左に進めば人通りが多い場所につけるらしい。

 

「君はどうするつもりだ?あいつらは君も見ていた。このままだと君も危ない」

 

「私なら大丈夫。君がここから逃げれるようにあいつらの気を引く」

 

「私の話を聞いていたのか!?」

 

「聞いてるよ。その足で2人で逃げるより私があいつらの気を引いて君が逃げた方が助かる確率が高い。だからこそ私が囮になる」

 

「なんでそこまで私を助けようとする。ぶつかった私が助けるなら分かるが、君にはなんの義理もないだろう」

 

「…なんでだろうね。でも人を助けるのに理由なんているのかな?」

 

「!」

 

そういう少女はちょっと困った様に眉を寄せて笑顔を浮かべていたが視線は真っ直ぐ私に向けられていた。

その言葉と真っ直ぐな瞳に彼女は本気で理由もなく人を助けられる子なんだと感じた。

初めてだった。大企業の次期社長やコネや見た目だけで近ずいてくる輩や、金目当てとしか見られた事がなかった私にとって、彼女の真っ直ぐな言葉と瞳は…

 

結局私は彼女の意を汲み、必ず助けると伝えると彼女から背を向けその場を離れ走り出した。

 

 

──────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

零児と別れた後、零児を探しているであろう人物達の前に現れ零児とは逆方向へ走り出す。

 

明らかに男達が付いてくるのを感じながら私はこの後のことを考える

 

《もう!なんでこんな事になってるのさ!いくら赤馬零児が攫われそうになっていても今は関係ないじゃないか!》

 

確かに関係ないけど目の前で怪我をして逃げられない人を見ても無視なんて出来るわけない。生憎だけど性分だよ。こればっかりは

 

《君は…ううん。君のやりたいようにすればいいさ。僕は君さえ無事ならそれで構わない》

 

何か言いたそうにするが口を噤むとそういい不貞腐れたようにそっぽを向いてしまった

 

これは後で機嫌を取らないとなと思いながら赤馬零児からだいぶ離れたところで男達に捕まる

 

 

「…ちょっと待って嬢ちゃん」

 

「お兄さん達、誰…?」

 

「えっとね。お兄さん達、この子を探しているんだ。さっき一緒に居ただろう?」

 

「あ!その子なら途中の道で別れたよ?だから分かんないや」

 

赤馬零児の写真を見せてくるので、年相応の子らしく演技をする

 

「…どこに言ったとか知らないかい?」

 

「うーん…分かんない!」

 

「………そうか。ならしょうがない」

 

咄嗟に男達の脇をすり抜けようとするも手を掴まれ、背中に衝撃が走る

 

「っ!」

 

身体の自由が聞かなくなり膝から崩れ落ちる。

何とか視線だけ向けると男の手にはスタンガンが握られていた

 

「悪く思わないでくれよ。俺たちの顔を見られたのならこうするしかないのさ。運べ」

 

いや、理不尽過ぎませんかね…

 

そう心の中で思いながらも仕方なく車に引きずられて中に入れられると目、口を塞がれ、手を縛られて車が動き出すのを感じながら意識を失った。

 

──────────────────────

 

「…っ!…ゆ…!」

 

「…っ」

 

「遊奈!無事か!?」

 

「…あれ?零児何でここに……」

 

名前を呼ばれて意識が戻った私は目の前に縛られた赤馬零児がいるのを疑問にした

 

「すまない…後一歩って所で呆気なく捕まってしまった…。君がせっかく時間を稼いでくれたのに…」

 

「ううん…。私は気にしてない。それよりもまず、ここから逃げれるよう考えないと…」

 

「そうだな。君の言う通りだ」

 

何とか身体を起き上がらせると状況を確認する。

視界と口は塞がれておらず両手を後ろ手に縛られている状態だった。零児の方を見ても同じような姿だ。

見たところ、捻った足以外は怪我もしていなさそうだった。

おそらく、人質として手荒な真似をする奴らでは無いということだろう。

しかし、奴らは私は零児と違ってなんのコネも力もないただの子どもだと思ってるはず。正直手を拘束されてるだけで済んだのが幸いか…

 

次に部屋を見渡す。コンクリートとの部屋に鍵がかかった扉が1箇所と壁際には沢山の棚や物が見える

 

どこかの倉庫だろうか?

 

《遊奈…!》

 

ファントム無事?

 

《それはこっちのセリフ!全く無茶するんだから…》

 

ごめんごめん。力を貸してほしいんだ

 

《聞かなくても、僕の力は君の力でもある。みんな喜んで君に力を貸すよ》

 

ありがとう。クーちゃん来て欲しい

 

《クリクリー!》

 

ポケットのデッキケースから『EMクリボーダー』のクーちゃんが精霊姿で現れる

 

クーちゃん、この建物の間取りと場所がどうなっているのか、相手は何人いるか見てきて欲しい。それと目的も。

一応気づかれないようにね

 

《クリクリ!》

 

元気よく返事をするとクーちゃんは扉をすり抜けて部屋を出ていった

 

「…すまない。何もかも私のせいだ。私が君を巻き込まなければ…」

 

「それ以上言ったら怒るよ。君のせいじゃないのは分かってる。それよりもあいつらの目的が気になるところだけど、君は何か知らないのかな?」

 

「君は本当に小学生か…?まあ、確かに目的か…おそらくだが、父の会社の金目当てなんだろうな」

 

「…身代金目的ってこと?」

 

「おそらくだが…それか会社自体が目的なのかもしれないな。あくまで私の想像だけの話だが…」

 

「ううん。そこまで分かってるなら尚更、私の身の安全は保証されなそうだね…」

 

「何故だ?君にも両親がいるのだろう?」

 

「居ないよ。母は先月亡くなって、父は行方不明。心配してくれる人はいるけど親戚じゃないから身代金の請求は難しいだろうね」

 

「そうか…すまない」

 

「ううん。気にしてない」

 

──────────────────────

 

ーSide/零児

 

しばらくして、ガチャガチャと音が鳴りドアの鍵が開けられると先程私達を攫った男を含め4人が現れた

 

「いい子にしていたか?赤馬零児君。君の身柄は身代金が払われるまでは丁重に饗す。まあ、ママに懇願するこったな。連れて行け」

 

「待て!その子は関係ないだろう!私が目的ならその子は帰してあげてくれないか?…ぐっ!」

 

「零児!」

 

無理やり立たされそうになりながら遊奈だけでもと、男に懇願するも腹を殴られて跪く

 

「自分の立場が分かってないようだな?まあいい、別に殺しやしねぇよ」

 

《クリクリ…》

 

「クーちゃん!」

 

クーちゃんの声がしてよく見ると後ろにいた科学者らしき男の手にカプセルがあり、その中にクリボーダーが囚われていた

 

「んん?この子はもしかして君の精霊かな?ウロチョロしていたから捕まえたのですが、君の指示かな?」

 

「……」

 

「ん?この子ども、どこかで見たことあると思ったら榊遊勝の子どもじゃないか?」

 

「榊遊勝…?まさか…」

 

「あの臆病者の娘か!wこれは運がねぇなw確か母親にも死なれて天涯孤独みたいなもんだろ?wそれなのに赤の他人助けようとしてこんな目に合うとかwバカだなw」

 

「……」

 

「いい加減にしろ!お前達に彼女を馬鹿にする資格は無い!」

 

「零児…」

 

「このガキ…調子に「やめろ。そいつに手を出すのはまずい」…チッ、まあいい、家族がいねぇなら金は望めなそうだな」

 

「それでしたら、この子は私に下さいませんか?精霊が見えるみたいですので色々価値がありそうです」

 

「構わねぇよ。だけど俺達も後で混ぜろや」

 

「壊れない程度ならいいですよ」

 

「よし、連れて行け。せいぜい楽しませてくれよ?」

 

「遊奈!」

 

「零児!」

 

私は男三人に、彼女はあの白衣を着た男に別々にされてしまった。

 

 

──────────────────────

 

 

「その後、私は身代金を要求する動画を取らされ、しばらく監禁生活が続いたが、警察のお陰で私は無事に救出された」

 

「…遊奈はどうなったの?」

 

「遊奈も私と同じタイミングで救出されたと聞いた。あの時の私は彼女が無事だと知って心底安堵していた、そして彼女に謝罪する為に彼女が入院する病院に向かった。しかし、彼女は救われてなどいなかった…!」

 

「…それって!」

 

「…遊奈が見つかって、病院に駆け付けた時には昏睡状態になっていたわ。私とお父さんと権現坂が付きっきりで看病していたの。あの時の遊奈はいつ死んでしまうのか分からないくらい弱っていて、私は怖くてお父さんに泣きついてたのをよく覚えてる…。そして目が覚めた遊奈はお父さんを見てパニック発作を起こしたわ」

 

柚子が悲痛そうな顔で零児の話に続いて当時の事を語る

 

「PDSDか…」

 

「私もその場面を見てしまったのだ。家族みたいにしていた男性にもパニックを起こす彼女を…彼女に何があったのかは想像するしかないが、あの時の男達の発言で察した私は結構彼女に会わずにその場を後にした。私を見てもきっと彼女はあの時の事件を思い出してしまうと、私から彼女に接触しない方が彼女の為だと…分かってる。ただ私は逃げ出しただけだ」

 

「赤馬のせいでは無い。俺達兄妹が!俺が遊奈の傍に居ればこんな事にならなかったかもしれない…!!」

 

「遊斗…」

 

「…それは零児君のせいじゃない。もちろん遊斗もだ。今ここで自分を責めたって遊奈はそれを望まない」

 

「はい…」

 

「分かってます。あの子は優しい…再会した彼女は私の事を覚えていなかったが、心は変わっていなかった。だからこそ、今度は私が彼女を救いたい。あの時、私を助けようとしてくれたように」

 

「そうか、君の気持ちはよく分かった。しかし、この事件は解決したんだろう?」

 

「それが…捕まった犯人は三人…。ある男…遊奈をあの時連れていった白衣の男だけは未だに捕まっていない」

 

「なんだって!?」

 

「てめぇ!この3年間何やってたんだ!?」

 

「やめろ真月!彼を攻めた所で何の解決にもならない!」

 

「言い訳にしかならないが、私も奴をずっと追っていた。しかし、相手は警察も掻い潜る相手。なかなかしっぽを見せてはくれなかった。そして今回の遊奈の拉致…関係は多いにあると考えている」

 

真月に胸ぐらを掴まれ、遊斗が止めに入る中、息が詰まるがそう答えると舌打ちをしながら真月は乱暴に零児を離した

 

「そして、この3年で私も奴の身元を洗い出した。これを見てくれ」

 

零児が操作すると、監視カメラの映像からある男の履歴書に変わる

 

「奴の名は曰理(わたり)知之(ともゆき)。3年前、我社のライバル社にて、とある研究の責任者だったらしい」

 

「この男が遊奈を…」

 

「……」

 

「…とある研究とは一体なんなんだ?」

 

「…精霊に関する研究をしていたらしい」

 

「なるほど、だからピンと来たんだな」

 

「ああ。もう既に会社は倒産し、奴は姿を晦ましてしまっている。だが目星はいくつか着いている。後は時間の問題だ」

 

「どのくらいかかる?」

 

「…遅くても1週間…いや、5日で終わらせる」

 

「俺達にも協力させてくれ!仲間が連れ去られて待ってるだけなんて出来ねぇよ!」

 

「助かる。こちらも人出が多いに越したことは無い」

 

「わ、私達も!」

 

「いや、柚子ちゃんと素良君は待機して欲しい」

 

「「でも!」」

 

「頼む。君達にしか出来ないんだ。遊奈がいつ帰ってきてもいいように待っていてくれないか?」

 

「…分かったよ」

 

「……」

 

素良と柚子は悔しそうに渋々頷く

 

「話はついたな。必ず遊奈を救出するぞ!」

 

「「「「「「「ああ!」」」」」」」

 

ヨハンの掛け声に柚子と素良以外の全員が頷く。

ヨハン達7人はこのまま零児と共にL.Cにて作戦会議。柚子と素良はL.Cに事件解決まで保護される事になった。

 

 

──────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

零児と別れた後、私はこの男に実験のモルモットにされ、更に陵辱される。この男だけじゃない、他の仲間達も加わって私の体と心がボロボロにされて行った。

 

追い詰められた時、この男は仲間を置いて私を連れて逃げ出そうとした。

だが、ファントムが姿を一瞬だけ現し、その男を引き離し私を助けてくれたお陰で私は救助隊に見つかり保護された。

 

しかしこいつらのせいで両親──十代とヨハン──によって回復していた前前世でのトラウマも蘇り、救出された後もある一定の大人と男性を見る度、その時の事を思い出しパニック発作を起こしてしまっていた。

それを見兼ねたファントムがこれ以上、私の心が傷つかないようにその時の記憶を封じたようだ。

 

全てを思い出した私は震える身体を誤魔化すようにただただ男を睨みつける

 

「はぁはぁ…」

 

「その様子だと思い出してくれたんですね!私嬉しいです!あの時は貴女を連れて行くことはできませんでしたが、代わりに確信しました!貴女がいれば私の研究は完成できると!もちろん、貴女の事は愛してますよ?貴女を迎える準備に3年かかってしまいましたが、ようやく準備が整ったので、迎えに来ました」

 

「…ふざけるな!研究の為に精霊を犠牲にするなんて許せない!それに相手の意志を無視して強要させるのは愛なんて呼ばない!私は、お前なんか愛してない…!」

 

「いけない子ですね?私の愛を理解出来ないなんて…これはお仕置が必要ですね」

 

「────っ!!?」

 

男がそう言った途端。首輪から電流が流れ出し体を駈け巡る。

その衝撃に声の無い叫びを上げた

しばらくして電流が止むと男が私にねっとりした声で囁く。

 

「オイタをしたら行けないですよ?遊奈ちゃん。でも大丈夫!私の愛が理解出来るようにこれからいっぱいアイシマスので!代わりと言っては何ですか私の研究の協力をお願いしますね?そうだ!君が来たのならこの子にも会わせないとね!」

 

「………会わしぇ…う…?」

 

電流のせいで呂律が回らず、身体もぐったりしたまま男の動向を伺う。

男はおもむろにスイッチを押すと部屋にタンクが現れる

 

「ク…ちゃん…?!」

 

タンクの中には液体が溜まっており、中には3年前、男に奪われたクリボーダーが眠っていた

 

「な、にした…!?」

 

「眠ってもらっているだけですよ。あのカプセルの中だと精霊は死んでしまいますからね。この液体は精霊にリンクしたカードを装置にセットすることによって、そのカードから精霊界の空気を取り込み、精霊を閉じ込めたまま保存が出来る代物なんです。素晴らしいでしょう?ああ、大丈夫。あなたの精霊とカードは大切に保管されてますよ。白き竜…ファントムと言ってましたっけ?あの子はちょっと特殊な方法で深い眠りに入ってもらってます。また、邪魔なんてされたくありませんからね」

 

「っ!」

 

「嗚呼…いいですねぇ、その目!ファントム…あの精霊が宿っている証拠!紅と翠のオッドアイ!ますます貴女のことが愛おしくなりました!さて、時間も惜しいですし始めましょうか?私、もう待ちきれません!」

 

はぁはぁと興奮しながら近寄ってくる男に為す術もなく、衣類を乱されていった…

 




回想シーンはちょっと納得行ってないところがあったりするんで、もしかしたら修正入るかもしれないですが、流れは変わらないと思いますので許してください。
しばらくデュエルシーンはお預けかなぁ


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第24話 始源と深遠

久々の更新。
一応、R18なので要注意。


 

いったいどれだけの時が過ぎたのだろうか?

醜悪な匂いが立ちこもっている。あれから数日経ち、今日は昼間から男の趣向でマントだけ着せられ、いつも実験で使われる広い部屋で両腕を天井から伸びる鎖で吊るされて蹂躙された。フードを被った状態で頭から顔全体にかけられた男の欲望を拭うことも出来ない私は、ただただ、吊るされたまま虚空を見つめていた。

 

鎖を嵌められている腕は、その部分が擦れて赤黒く腫れ上がり、複数の注射の痕が痣のように痛々しい。彼女の白い肌には、無数のうっ血した跡と噛み傷と擦り傷。唯一身にまとっているマントには明らかにマントの白とは違う白濁した染みが飛び散り、そして下腹部には、白くドロッとしたものが身体にこべり付き、臀部と陰部には白い欲望があふれ出ていた。あふれ出した白いものと、無理を強いられたのか鮮血が混じり、足と床を汚している。そして今は外されているが、足首は行為中、閉じられないように拘束棒で固定されていた為、新しい痣が出来ている。

 

昼は機械につながれ、この男の言う実験として、無理矢理、精霊やカードの力を限界まで引き出されたり、時には身体を切り裂かれたり、薬を投与された。そして、夜はその男の性欲を満たすために、部屋に連れ込まれ蹂躙される。

シャワーを浴びる時も、男と共に入り、そこでも襲われる。

 

心が休まる暇もなく、擦り切れていく。

この数日で前回の時に無理矢理、開発されてた事もあって、身体は遊奈の意思に反して浅ましくその男を求めるようになってしまった。

いっそう、狂ってしまいたいとも思うが、内にいるファントムがそれを許さない。

 

ふとヨハンお父さんと十代お母さんや遊斗達家族と仲間…そして何より零児を思い出した。

零児の笑い顔や色んな表情を思い出す度、まだ、諦めるのは早いと思い直すのと同時に心が悲鳴を上げる。

だってそうだろう?こんな浅ましい身体…無理矢理犯されているのに関わらず身体は歓喜するのだ。まるで発情した獣の様に…好きでもなんでもない相手に腰を振る姿を零児が見たら失望されるだろう。

 

零児に…嫌われたくないな…

 

そう思って、遊奈は自分の思いを自覚した。その途端、彼女のオッドアイからさっきとは違う涙が溢れ、喉からは殆ど音にならなかった乾いた笑みが思わず漏れる

 

「ハハハ…(今更気づいても遅いよ…)」

 

男によって身体も心も穢された。そして何より人を捨てた私なんて受け入れてくれるハズがない。

 

「そんなに気持ちよかったのですか?フフフ!私嬉しいです!」

 

そんな遊奈に男は自分の着衣を整えると、ウットリとした顔で顔を高揚させながら気持ち悪く笑う。

どうやら、遊奈が笑ったのは男との行為で嬉しかったのだと勘違いしているようだ。

実際は自嘲の笑みだったのだが、狂った男の目には写らない。

 

「ああ!そうだ!私とした事が、貴女に伝えないと行けない事を忘れていました!まあ、これも全部貴女が誘って来たのが悪いんですがね…」

 

そう言って男は徐に機械をいじろうとしたその時

 

「見つけたぞ!曰理知之!」

 

扉を壊す音が聞こえたと同時に零児、ヨハン、遊斗、遊馬、零の5人が入ってきた。

 

 

──────────────────────

 

ーSide/零児

 

 

遊奈が攫われてから4日後、予定よりも早く場所を突き止めた一同(LDSで密かに結成された特殊戦闘部隊も引連れて)は奴のアジトを攻めていた。

 

特殊戦闘部隊は数班に別れ先導し、アジト内を混乱させつつ制圧をして行き、遊戯、アテム、黒咲の三人は遊奈の居場所である実験広場に向かう途中に現れた敵の足止めの為、先に私達を行かしていた。

 

そして、遊奈がいる扉を壊して中に入ると、広場という名に恥じない広さを誇る部屋の中心には巨大な機械が柱のようにそびえ立っていた。

そして…

 

「見つけたぞ!曰理知之!」

 

その機械の前白衣を着た中年男と天井から鎖で吊るされ、マントのフードで顔は見えないが明らかに蹂躙された姿の遊奈がいた。

 

「遊奈!」

 

「ようこそ!私の研究室へ!!」

 

「……れい…じ」

 

「おやおや!久しぶりですね零児君!」

 

「曰理知之!貴様!!」

 

「何を怒っているんです?彼女と僕は愛し合っている!赤の他人である君にとやかく言われる筋合いはないはずですよ?それにしても随分と立派になって今では若社長とか…いやいや時間の流れは恐ろしい…「ご諾はいい!娘を返してもらう!」…おやおや野蛮ですね」

 

曰理のまるで世間話をするような態度にそばにいたヨハンさんが普通の人間じゃ出せないようなスピードで殴り掛かるが、どこからか現れた餓狼が曰理の首根っこを引っ張り躱される。上から思いっきり振りかぶった為、コンクリで出来た地面には軽くクレーターが出来ていた。

 

「おいおい、いきなりってのは無いだろ?どうやらお前も化け物みたいだが、人間みたいに娘の事が大事なのか?こいつは傑作だ!化け物が家族ごっこなんて、なぁ!!」

 

「っ危ない!」

 

「っ!」

 

手榴弾の様な物が投げられて爆発するが、間一髪遊奈の声のおかげで直撃を避け爆風から出るとヨハンは零児達がいる傍に着地した。

 

「ヨハンさん!大丈夫ですか!?」

 

「…かすり傷さ」

 

ヨハンさんは返事をしながら奴を睨みつける。その瞳は虹色に変わっていた。

 

「…精霊の力を解放してる彼を傷つけるなんて、ただの手榴弾じゃなさそうだな」

 

「御明答!これは人ではなく精霊を殺すことが出来る代物なんですよ!だからこんなに近くで爆発しても私達は無傷!ああ、彼女にも少しダメージが行ったみたいですが問題ないでしょう」

 

爆風のせいで覆っていたフードが後ろへ行き遊奈の顔がハッキリ見えるようになる。

 

「…見ないで」

 

フードで隠れていて見えなかった頬は赤く腫れ、そう、両目から涙を流しながら蹂躙された身体を隠すように身動ぎする姿を見て私は今までにない荒々しい感情に心を蝕まれながら、その衝動に耐える。

握りしめた両手から血が流れ出ていたが、今1番辛いのは彼女だ。

 

「遊奈、安心しろ。私はどんな君でも受け入れる。必ず曰理から君を救い出す」

 

「…っ」

 

ハッとした顔で私を見た彼女は新たな涙を流しながら軽く頷いてくれた。

 

「勝手な事を言ってくれてますがまあいいでしょう。そんなことより、こんなに早く私達の元へ来てくれるとは嬉しい限りですよ。私の世紀の大発明を見せるのにギャラリーがいないとつまらないですからね。まさか、御父様に会えるとは思っても見なかったですが」

 

「貴様にそう呼ばれる筋合いは無い!」

 

「おいおい、動くなよ?お前らはあくまでゲストだ。これ以上勝手なマネをするっていうならどうなるか分からねぇぜ?」

 

「あまり彼女を傷つけたくはないんですがねぇ」

 

「っ…」

 

餓狼がナイフを遊奈の喉元に当てる。それを見て私達は迂闊に行動が出来なくなってしまった。

 

「フフフ。ではお見せしましょう!私の最高傑作!『Origin(オリジン)』!」

 

バチバチという音とともに目の前が激しい光で真っ白に染まると次元の裂け目が出来る。光が収まると中から黒い何かが這い出てきて地面に落ちる。

 

「うっああああああああぁぁぁ!!!」

 

「っく(なんだ!?この感じ、俺のリベリオン・ドラゴンが共鳴しているのか?)」

 

黒い何か-Origin-が出てきた瞬間に遊奈と遊斗の様子が豹変する。遊奈は悲鳴をあげながら苦しみだし、遊斗は頭を抱えながら膝を着く。

 

「遊奈!?遊斗!?」

 

「遊斗!大丈夫か!?」

 

「竜の咆哮が聞こえる…この咆哮はリベリオンとオッドアイズ…?」

 

「!、奴の狙いは遊斗だ!」

 

《グオァアーーー!》

 

嫌な予感を感じたヨハンが叫ぶのと同時にOriginが竜の様な獣の様な咆哮をあげる。すると遊斗のエクストラデッキから黒いオーラのようなモノが飛び出しOriginはその顎で黒いオーラを喰らう。

 

その瞬間、遊斗と遊奈の意識は途切れ、Originは姿を変えていく

 

「遊斗!」

 

《遊馬落ち着け。気を失っただけだ》

 

「そうか…でもよ…」

 

気絶した遊斗を遊馬が支える中、そばにいたアストラルはそう言う

アストラルの言いたいことが分かった遊馬はOriginそして、曰理、餓狼を睨みつける

 

「アハハハハ!!!これがOrigin!こいつは精霊を捕食しその力を糧にしてドンドン強化される、人工精霊だ!」

 

「人工精霊…研究は既に完成していたということか…」

 

これが精霊…?なんて禍々しいのか…

 

Originはボコボコと身体の形を変えていき禍々しい黒い竜に姿を変えた。

 

《グオァアーーー!》

 

凄まじい殺気と威圧感が空間を支配する。

Originの姿はまるで『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』と『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』を融合した様な姿をしていた

 

情けない話だが身体の震えと冷や汗が止まらない、奴に睨まれただけで死ぬような感覚が背中を襲い、本能が逃げろと告げている

 

「アハハ!素晴らしい!私と遊奈の愛の結晶!さあ、Origin!その力を私に見せてください!」

 

《グルル…》

 

「な、何を…離せ!私はお前の親だぞ!うわぁぁぁ!?」

 

「「「「「なっ!?」」」」」

 

Originは喉を鳴らしながら曰理の方を向くと、足元から小さい闇の怪物というべきモノが大量に現れ彼を闇へ飲み込んでいった。

 

「冗談じゃねぇ!……うわぁぁぁ!来るな!来るなぁぁ!!?」

 

闇はどんどん広がっていき、逃げ出そうとした餓狼をも飲み込み、我々も飲み込もうと広がっていく

 

「させない!みんな頼む!」

 

ヨハンさんの声に彼のデッキが光ると5人を囲む様に7色の光が現れ、それぞれモンスターの姿に変わっていく。遊馬の傍には青い少年がそばに居た

 

そうか、これがヨハンさんの精霊達とアストラル。だが、精霊や彼が見えなかった私にすら見えるのはどういう事だ?

 

疑問が残るがヨハンさんの家族である精霊達を呼んだ理由は直ぐに分かった。

 

闇の怪物達は精霊達を恐れて囲む様にしているが近づく事が出来ないようだ

 

「ハッ!遊奈は!?」

 

Originの後ろにいる遊奈を見ると怪物達に囲まれてはいるが襲ってくる気配はなかった。

しかし、遊奈は遊斗と同じく気を失っているのか力無く鎖でぶら下がっている状態だ。このままではいつOriginが遊奈の中にいる精霊やこちらの精霊を狙って襲ってくるか分からない。

 

こちらには気を失っている遊斗もいる…。どうするか…

 

チラっと後ろにいる真月に背負われている遊斗を見る。

いつの間にか身体の震えは止まり、頭が動くようになってきた。

 

「ヨハンさん、どう見ますか?」

 

「厄介だな。今この空間は普通の世界とは隔離されてしまっている。君が精霊を見えるようになったのもそれが影響しているんだ。この化け物も昔十代から聞いていた魔物だから対処出来た。こいつらは精霊がいれば近寄ってこない。十代もハネクリボーのおかげで助かったって言っていた。しかし、問題は…」

 

「Originですね」

 

「ああ、さっき奴が喰らったのは遊斗の精霊であるリベリオンだろう。奴はリベリオンの力を喰らい姿を変えた。精霊の力を糧にするが精霊とは別のものだ。恐らく魔物と同じく闇のものだろう」

 

「…ヨハンさん、Originの気を引くことは出来ますか?」

 

「ああ。奴が精霊を捕食する理由は恐らく本能的なもの。それこそ喉の乾きを潤す為に精霊を喰らう感じでな。この中で1番高位が高い精霊を所持しているのは俺と遊奈だと思うから狙うなら俺達だろう」

 

「なら、ヨハンさんが気を引いてる間に、俺が遊奈を救出します」

 

「な!?いくら何でも危険すぎる!1人じゃ行かせらんねぇよ!」

 

「遊斗が倒れているんだ、遊馬と真月は遊斗を守ってくれ。いくらヨハンさんの精霊達が結界のようにいてくれても何が起こるか分からないからな」

 

《遊馬、ここは彼の案に乗るべきだと私は思う》

 

「…分かった」

 

「赤馬。遊奈を頼む」

 

真剣な表情で見つめてくる真月に頷くとヨハンさんの横に並ぶ。すると足元から猫のような赤い瞳の精霊が這い上がってきて肩に止まる

 

「そいつはルビー・カーバンクルのルビー。その子が君を魔物から守る。ルビー頼んだぞ」

 

「よろしく頼む」

 

《ルビルビ!》

 

まるで任せてと言ってるように胸を張って返事するルビーを見て改めて覚悟を決めるとヨハンさんと同時にしかし違う方向へ向かってルビーが先導する道を走り抜ける

 

遊奈、どうか無事でいてくれ

 

──────────────────────

 

ーSide/ヨハン

 

さて、こういうのは十代の方が得意なんだけどな…

 

《そんな事言っている場合では無いですよヨハン。アレからはどう見ても『暗黒の深遠』の気配を感じます。一筋縄にはいかないでしょう》

 

分かってる。

 

《先ずは奴の気を引いて、隙を見て奴に私の力をぶつけて、奴に喰われた精霊を引き剥がしましょう》

 

了解。行くぞレイン!

 

「こっちだOrigin!!」

 

《グルアァ!》

 

レインの力を解放してOriginを呼びながら遊奈達から離れるように走り出すとこちらの思惑通りOriginは俺に向かって闇を伸ばして襲いかかってきた

 

横にジャンプして躱すが地面にいた魔物がヨハンを捕らえようと手を伸ばしてくる

 

「危ない!」

 

「おっとっ!」

 

遊馬が咄嗟に叫ぶが、ヨハンは背中からレインの翼を出すとそれを使って宙を舞い魔物と闇を躱し続ける

 

魔物はOriginの意思で精霊を襲う事も出来るみたいだな。遊奈達は…

 

10分程時間を稼いでから、遊奈達を見ると零児君が遊奈を抱えて遊馬達に合流する所だった

 

《そろそろ問題無いでしょう。ヨハン私を》

 

闇を躱すのを止めるとヨハンに闇が命中するが闇の中から光が溢れ出し闇を祓う。

 

《グル!?》

 

「ああ、さて今度はこっちの番だ。レイン!」

 

光の膜に包まれたヨハンとヨハンの身体に寄り添うように虹色に輝く『究極宝玉() レインボー・ドラゴン』の姿のレインが口にエネルギーを溜める

 

「オーバー・ザ・レインボー!」

 

ヨハンが上げていた右手を振り下ろすとレインが光線をOriginにぶつける

 

《ギャアアアア!!》

 

光線をくらったOriginは、苦しげに叫び声をあげながら闇が光に溶けていくように姿を保てなくなり、闇の塊に変わるとその体から光が2つ飛び出し、それぞれ遊奈と遊斗のエクストラデッキに戻る

 

それを見て一旦みんなの元に戻ることにした。

 




次話も連続で投稿します。


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第25話 繋がる想い

連続投稿です。
やっと、オリジナルが終わる…


 

ーSide/遊奈

 

「う…ううん…。ここは…?」

 

気づけば真っ暗な空間だった。

周りを見渡した後、記憶を辿ってみる

 

確か…Originが現れたのは覚えてるんだけど…。もしかしてここはOriginの中なのか?

 

そう推測するのは、先ず自分の身体が汚れておらず服を着ているのと、奴が現れた瞬間にまるで魂が引っ張られるような、なんとも言えない感覚が襲ったからだった。

 

「遊斗…?…っう!」

 

ふと似た気配を感じて呟くと、頭に痛みが走り蹲ってしまう。

そして、脳裏に何かが過ぎる。

 

「くっ…これは遊斗の記憶?」

 

頭が割れるような痛みに襲われながら、エクシーズ次元にいた頃の遊斗の記憶を全て見せられる。

 

平和なハートランドシティ、楽しそうにデュエルをする人々、次元は違うが友と笑い合う遊斗達…だが、突如その平和も侵略してきたアカデミアによって壊されていく。建物は破壊され瓦礫に変わっていき、人々は次々にゲーム感覚でカードにされていく。

もう、嘗ての面影は無くその場は戦場と化していた。

 

酷い…

 

遊斗の記憶を見た遊奈は涙を流していた。

 

場面は移り、生き残った人々でレジスタンスが出来上がる。そこには無論、遊斗、隼、そして柚子に似た少女-瑠璃だと思われる-も含まれてそこで遊馬達に出会ったようだ。

 

レジスタンスのメンバーは襲ってきたアカデミアを何とか撃退しながら遂に敵が使っていたデュエルディスクの機能を解析し、人をカードにする機能と1回きりだが他次元にワープする機能を手に入れる。その矢先、瑠璃がアカデミアに攫われたとの話を聞き、先行した黒咲の後を追ってここに来たようだ。

 

遊斗の記憶が終わると頭痛も収まっていく。すると今まで気づかなかったが誰かの泣き声が微かに聞こえてきた

 

…ごめ………い。…僕が君を………んだ。…僕…いな…れば…。

 

「…泣かないで」

 

何もいないはずなのに、思わず手を伸ばしそう声をかける。途切れ途切れだが自分自身を責めて泣いてる子に、もう自分を責めないで泣かないで欲しいと感じてしまう。

 

ああ…君は……

 

目の前が眩しくなっていき、気が遠くなる瞬間声の主を見た気がした……。

 

 

──────────────────────

 

 

「遊奈!気がついたか!」

 

「…零児?」

 

目を覚ますと零児が目の前にいた。

拘束されていた手は解放され零児に横抱きに下ろされていたようだ。

零児が手に持ったハンカチで汚れた顔を拭ってくれる

 

「ん…汚れちゃう…よ?」

 

「構わん。それより大丈夫ではないだろうが…具合はどうだ?」

 

「うん…大丈夫。零児達が来てくれたから…」

 

心配そうに聞いてくる零児に薄く笑う。

零児に嫌われるのが怖かったけど、そんな不安もさっき零児が言ってくれた言葉で無くなり、本当に嬉しかったのだ。その気持ちが伝わるように。

 

「遊奈、すまねぇ、俺達がもう少し早く気づいてれば…」

 

悲痛気な零に首を横に振ると零の背中にいた遊斗も目を覚ましたようだった

 

「…俺はいったい…」

 

「遊斗起きたのか!良かったぁ、二人して気を失った時はヒヤヒヤしたぜ。大丈夫か?」

 

「ああ…俺は大丈夫だ」

 

真月に下ろされながらも遊斗はしっかりした足取りで立つと、零児に支えられながら上体を起こしていた私を抱きしめてくる

 

「遊奈…無事でよかった」

 

「うん。…心配かけてごめん」

 

「いい、お前が無事ならな」

 

遊斗から離れると零から着ていたコートを渡される

 

「着とけ、無いよりマシだろ」

 

「……ありがと」

 

ほとんど裸だったのが今更になって恥ずかしくなって、立ち上がって零児達に背を向けてマントを脱ぐとコートを急いで着ると戻る。

 

そして、少し余裕が出来て周りの状況に目を向ける。

 

「これは…」

 

「ヨハンさんは闇の魔物って言っていた」

 

「なるほど、ね…お父さんは?」

 

「ヨハンさんなら…」

 

「遊奈!無事か!?」

 

零児が言おうとした瞬間、空から本人がダイブするように思いっきり抱きしめてくる

 

「く…くるしい…」

 

「ああ!悪ぃ!」

 

ヨハンは力を緩めると暖かい力が私の傷を癒していく。

 

「ありがと、お父さん。それよりOriginと…あいつらは…?」

 

「奴らはそこら中にいる魔物に呑まれたよ」

 

《あんなモノを呼び出し、闇のゲートを開いた代償です。貴女が気に病む必要はありませんよ》

 

「…うん」

 

「Originはあそこだ」

 

ヨハンが指差す方に全員が顔を向けると黒い塊が地面で蠢いていた

 

「レインの攻撃でだいぶ弱らせた。しばらくは動けないだろう。これ以上はこの空間が耐えられない、一旦脱出しよう」

 

「待って!……私にOriginの事任せてほしい」

 

「何を言ってるんだ!危険すぎる!」

 

「分かってる。でも行かないといけない」

 

Originの正体…私の感が正しければ、私以外救う事が出来ないだろう

 

「……はぁ…こういう所、俺達に似ちゃったんだなぁ」

 

「まあ、2人の娘だからね」

 

「分かった。だけど無理をしない事、危ないと思ったら直ぐに引き剥がすからな」

 

「うん。行ってきます」

 

みんなにそう告げるとゆっくりOriginに近づく。私が歩く度、魔物は私を避け道が出来ていく。

 

《グルル…》

 

「…帰ろう?ファントム(・・・・・)

 

Originの目の前に来るとそう手を伸ばしながら語りかける。

威嚇するように唸っていたOriginは闇を伸ばし飲み込もうとするが構わず話しかける。

まるで小さい子を諭すように…

 

「ファントム、もう自分を責めるのはやめてよ。私は君と一緒になったのを1度も後悔したことない。例え同じ事が起きたとしても、私は君を恨んだりしないし呪ったりもしない。もし、あの日をやり直せると言われても私は同じ選択を取るよ。これは私の意思…例え君でも否定させない」

 

いつの間にか唸り声は止んでいた。顔に手を添えるとそっと抱きしめる

 

…君がどんな考えで私を選んだのかは知らないけど、それでも私は君が必要だし大切なんだ。だからさ、帰ろう?君がいない人生なんて寂しいし、もう考えれないんだ」

 

私にとって、君はたった1人の相棒(パートナー)だから…

 

「だから…相棒は返してもらうよ」

 

遊奈から光が溢れ出し、闇が光に溶けていく。

 

《…君は本当に馬鹿だね…。そこまで分かってるのに何故僕を責めない?僕が君を巻き込んだのに…》

 

「例えそうだとしても私はこの世界に来て良かったよ。だって灰色の世界だったのが、いつの間にか色とりどりの世界に変わった。心を知った。私の事を大切に思ってくれる人も出来た、もちろんその逆も…。そして何より誰かを愛する事が出来るようになった」

 

《……理由は聞かないのかい?》

 

「今は知るべきじゃないんでしょ?なら聞かない。いつか君が話してくれるのを待つさ。巻き込んだって思うなら最後まで責任もって私を巻き込んでよ?相棒」

 

《…分かった、降参だよ。全く君には敵わないな》

 

「そもそも、自分を責める事がお門違いなんだよファントム」

 

《そう…だったね。うん、今はまだ言えないけどいつかちゃんと話すよ。だからそれまでは待ってほしい。》

 

「分かった、絶対だよ」

 

《約束は守るよ。もう迷わない、君の相棒として君の傍にいさせて欲しい》

 

「もちろんだよ。おかえりファントム」

 

ファントムが私の中に戻っていく。いつもの感覚が戻ると空間が崩壊し始める

 

「遊奈!」

 

「分かってる!」

 

急いでみんなに合流すると空間を脱出した。

 

 

──────────────────────

 

 

あれから3日たった。

どうやらあの場所を脱出した後、限界が来て倒れてしまいずっと寝込んでいたらしい。

 

目が覚めたら柚子に思いっきり抱きしめられて怒られた後、素良からもお説教を受けた。随分と心配をかけてしまったらしい。

権現坂や他の塾生達も次々にお見舞いに来てくれた。

修造おじさんも来てくれたけど、理由を聞いていたのだろう、初めは部屋には入らずに外から話しかけてきてくれた。それに申し訳なさと寂しさを感じながら入室を許可しても3年前とは違っておじさんには拒絶反応が出なくて安心した。急に頭を撫でられたりとかしなければ大丈夫だろう。おじさんもどこかほっとしたように表情を和らげていた。

みんなから体調はどうだと聞かれたが、身体の傷はヨハンのおかげでほぼ完治、心の方はまだ学校に復学は難しそうだが、大会までには何とかしたい。

 

更に数日たった後、零児が訪ねてきた。

 

「失礼する。遊奈、見舞いに来るのが遅くなってすまなかった」

 

「気にしないでよ。零児の事だから後処理をしてたんでしょ?こうして来てくれるだけで嬉しいからさ」

 

「そうか。ヨハンさんに見舞いの品を渡して置いたから、後で食べるといい」

 

「ありがとう。後で頂くね」

 

それっきり2人は沈黙する。気まずい沈黙では無く、どことなく擽ったい感じだ。

 

「あ、あのさ!あの後、何か進展はあった?」

 

「あ、ああ、そうだな…」

 

分かったことは曰理知之と餓狼は行方不明との事、奴がファントムを媒体にし生み出したモノは精霊なんかじゃなかった事、数十年前から何かに取り憑かれたかのように研究に没頭していた事、それと研究所から大量のカードが出てきたらしい、それもデュエルディスクに反応しないモノが…

 

一どれだけの精霊が犠牲になったのだろう…

 

「研究資料に関しては外に流出しないように完全に消去した。奴の部下達にも情報を吐かせた後、精霊に関する事だけを消去した。君が必要だと思うなら、私もあの日見た研究資料の記憶を消去する予定だ」

 

「…零児はその研究資料を見てどう思った?」

 

「…おぞましいと思った。人智を超えた存在に人が手を出すべきでは無いと改めて確信した。しかしその逆に、このまま全てを闇に葬ったとして犠牲になった者達の心は報われるのだろうかとも考える。研究を進めれば精霊と人間がより良い関係になる手助けが出来るのではないか、と…」

 

「そっか…零児らしいね。なら約束して、その研究資料を悪用しないって、やつと同じ道に行かないって」

 

言外にただの約束ではなく、人智を超えた存在との契約だと伝える。

それだけ精霊の事はただの人が扱うには危険すぎるからだ。

 

一でも、零児なら悪用しないって信じてる。だから託したのだ。

 

「……分かった。決闘者として、私自信に誓おう。私、赤馬零児は資料を悪用せず、やつとは違う方法で精霊と人がより良い関係になれるよう力を貸す事を」

 

「その誓、精霊を代表してこの私、榊遊奈がしかと聞き届けました。…はい!堅苦しいのはおしまい。私も協力出来ることはするから言ってよ」

 

「しかし…それは…」

 

「信用出来ない人に無理矢理されるのは嫌だけど、零児なら信じてるから…。それに、精霊と人間の架け橋になれるなら私も協力したいんだ。精霊の中には人によく思ってない子達もいるし、月日が経つにつれてその溝が深くなってきてる気がするんだ。だからさ」

 

「…分かった。その時はよろしく頼む」

 

「もちろん」

 

手を差し出されたので握り返す。

 

「ところで君の精霊…ファントムはどうだ?」

 

「…ファントムなら今はまだ眠ってる。ファントムが目覚めるまでは私も本調子には戻らないと思うけど、しばらく私の中で休んでれば回復するから安心してよ」

 

「そうか、それを聞いて安心した。……ああ、すまない。遊奈に渡したい物があったんだ」

 

「ん?」

 

そういうと零児はカードケースから1枚のカードを渡してきた。

 

「これって!」

 

《クリクリー!!!》

 

カードの絵柄を見た瞬間、そのカードから茶色い毛玉が思いっきり顔に向かってダイブしてきた為、勢いよくそのままベッドに戻る事になった。

 

でもそんなの気にならないくらい、嬉しい気持ちが溢れ出しその子を抱きしめる

 

「クーちゃん無事だったんだね。良かった…」

 

《クリー!クリー!》

 

3年前に失った時と変わらない感触に涙を流しながら、お互いに再会を喜び合う。

 

「…良かったな。2人とも」

 

落ち着いたのを見計らって零児が声をかけてくれる。それに返事を返すためにクーちゃんを抱きしめながら上体を起こす。

 

「うん。ありがとう零児。改めて助けてくれて」

 

「言ったはずだ、必ず曰理から君を救い出すと」

 

「…うん。本当に嬉しかったんだ。あの時、どんな私でも受け入れてくれるって言葉がさ。…私は普通じゃなかったし、何より私は…汚「くなんかない。君は綺麗なままだ」どうしてそんな事言えるの…?」

 

言葉尻が震える私の言葉を遮るように断言する零児に本気でよく分からなくて聞き返す。

 

「君の事が好きだからだ」

 

「…ふぇ??」

 

一瞬、零児の言葉が頭に入ってこなくてフリーズする。

訳も分からずああ…とかうーとか意味の無い言葉が口から溢れ出す

 

 

「少なくとも君の心は綺麗なままだ。それでも気になるなら、私がそれを上書きして君を幸せにしたい」

 

「…なんかプロポーズみたい…」

 

「そう捉えてもらっても構わない」

 

「!?///」

 

無意識に呟いた言葉にどこか苦笑いを含んだ零児の言葉に遂に耐えきれなくなって、クーちゃんの頭に顔を埋める。

絶対、今顔真っ赤だ。

 

「満更でもなさそうだな」

 

零児の言葉に顔を埋めながらも疑問が絶えない。零児の事は好きだし信じたい…でも、信じるのが怖い

 

「なんで?私、普通の人じゃないんだよ?」

 

「そんなの気にならないな」

 

ガバッと顔を上げで零児を睨みつける

 

「気にしてよ!それに私の身体は無理矢理犯されているのに関わらず歓喜してたんだ!まるで発情した獣の様に…好きでもなんでもない相手に腰を振るっていたんだよ!こんなに浅ましい身体になったのに…それでも同じことが言える?」

 

「言えるな。寧ろ上書きしてやりたいくらいだ」

 

「!?」

 

言葉尻が小さくなりながらも零児に全て暴露しても零児は即答するどころか、その瞳は獣のように鋭かった。それを見て思わず身体が竦むのと同じくらい心臓がドキッとする

 

「私は君だから好きになったんだ。あの日、私を助けてくれたあの時から…ずっと君を忘れたことは無かった…」

 

「零児…」

 

一もういいんじゃない?素直になりなよ。僕は君に幸せになって欲しい一

 

………そう…だね…ありがとう…

 

「…零児。私も零児の事好き。こんな私でもいいなら…」

 

「! ああ。君しかいない…」

 

そっと零児に抱きしめられる。身体が一瞬強張るが、背中を何度も撫でられていくにつれてそれも無くなっていく。

抱きしめられた衝撃で腕に抱えてたクーちゃんを離してしまったが、クーちゃんは空気を読んだのかカードに戻ったようだ。

おずおずと零児の背中に手を回して、胸に頭を乗せるように体重をゆっくりかけていくと、ドクドクと思ったより早い心臓の音が聞こえてきて、零児も同じ気持ちなんだとクスリと笑う。

 

「大丈夫か?」

 

「うん。零児は大丈夫。…信じられないや。零児と両想いなんて」

 

「それは私も同じだ。本当はこんなすぐ想いを告げるつもりは無かったのだがな…」

 

「…後悔してる?」

 

「それが残念な事に少しもしてない」

 

くつりと笑う零児を見て、彼でも冗談を言うんだなと新しい発見をして胸が暖かくなる。これが愛おしいって事なのかな?

 

いつの間にか不安は愛おしさと安心に変わっていた。

 




【おまけ】

「そういえば、よくこのカードが私のって分かったね」

「ああ、その子が教えてくれたんだ」

「え…!?」

「どうやらあの一件以来、私も精霊が見えるようになったようだな。こういう事はよくある事なのか?」

「そ、そうだったんだ。んー、私は生まれつきだったけど、零児みたいにきっかけがあって精霊が見聞き出来るようになったりって事はあったみたいだよ。お父さん達が学生の時の同級生なんかがそうだったって」

「そうなのか。なんだか不思議な感じだが、悪くはないな」

「にしても3年前から私を好きでいてくれたんだね?」

「一目惚れなんだろうな…って遊奈、もしかして記憶が!」

「うん。思い出させられたって言った方が正しいけどね…。まあ、零児と初めて会った時の事が思い出せたのは不幸中の幸いかな?」

「そうか…すまなかったな。あの後、君の見舞いにも行かなくて…」

「あの時は記憶も無くなってたし、大人や異性がダメになってたから仕方ないよ。謝らないで欲しい。変わりに今日来てくれたんだしさ」

「しかし…」

「そ、それにせっかく恋人同士になったんだからさ。過去の事で嫌な気持ちになりたくない」

「! そうだな。私も同感だ」

そう苦笑いしながら言うと零児はハッとしたようにした後、同じように苦笑いを返す。
それを見てなんだかおかしくなって笑うと零児も釣られるように笑いあった。


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第26話 開催!舞網チャンピオンシップ

やっとここまで来た…
あ、皆さんに聞きたいんですがこの作品、R18に一応してあるんですが、前まではR15で一般公開してたんですよね。
恐らくガッツリなシーンとか書かない(書けない)と思うんですよね。恐らく前の前の話の冒頭に書いたくらいしか書かないと思うんです。
それで、あれってR18に値しますかね?R15とR18の境目がいまいち分からないんですよね。
ガッツリ致してるシーンとか書いたらそりゃあR18になりますけど、そこまで書いてないので…なんで、この作品R15として出しても大丈夫か、それともその部分をカットしてR15とするか、それともこのままR18に知るべきかアンケート取りたいと思います。
御協力よろしくお願いいたします。
長々と失礼しました。本編どうぞ!


 

遊勝塾の前に隼を覗いたメンバーが集まっていた。

 

「遊奈、柚子、素良、遊馬、タツヤ、アユ、フトシ!遂にこの時が来た!我が遊勝塾の塾生全員が舞網チャンピオンシップ出場出来るとは!俺は、俺は…お前達をっ誇りに思うぞー!!って!?」

 

涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった修造おじさんが抱きついてこようとした為、一斉に半々で交わして避けるとそのままおじさんは勢い余って地面に倒れ、コントのように走ってきた自転車に轢かれる

 

「……なぜ避けるっ」

 

「お父さんテンション高すぎ…」

 

「まだ会場にも行ってないのに…」

 

恨めしそうに言うおじさんに、柚子とアユが呆れたように言う

今回ばかりは私も柚子達と同意見かな…

 

「とりあえず、落ち着いてくださいよ。普段落ち着かない遊馬君も落ち着いてるんだし」

 

「おい!一言余計だ」

 

「2人も落ち着きなよ。零も遊馬を煽るな。遊馬も零の挑発にいちいち乗らない」

 

「「…はーい」」

 

「あ、えーとすまなかったな」

 

「まあ、我が子や生徒が大きい大会に出るってなれば浮かれるのも無理ないですよ。俺も嬉しいですしね。ところで、今回の大会ってどうなってるんですか?」

 

「では改めて説明しておくぞ!舞網チャンピオンシップはジュニア、ジュニアユース、ユースの3つのクラスに別れて行われる。タツヤ、アユ、フトシはジュニアクラス」

 

「「「はい!」」」

 

「遊奈、遊馬、柚子、素良はジュニアユースクラスで出場だ!」

 

「「「「はい」」」」

 

「言うまでもないがLDSが主催する舞網チャンピオンシップには、舞網市内全てのデュエル塾だけでなく、日本中いや、世界中から出場資格を満たした者が集まってくる。我が遊勝塾のエンタメデュエルのアピールの為、何が何でも全員優勝を目指せ!今、この瞬間からお前達は共に学んだ仲間であるのと同時に互いにライバルとなるのだ!皆全力で戦え!迷うな!悔いるな!自分が学んできた事を信じて燃えろ!熱血だぁ!」

 

一人で燃えてるおじさんを、みんなスルーして車に乗り込む…のを見てその場をそっと離れた。

 

 

──────────────────────

 

MCSの会場が見える大きな橋の真ん中の柵に座ってスタジアムを見つめる。

 

ここは3年前、父達が失踪する前日に母を除く家族全員で来た場所だった。おそらく今頃みんな心配してるだろうけど、どうしても大会前にこの場所に来たかった。

 

昔の記憶が蘇る…

 

「今度のちょうせん者、ストロング石島ってすごくつよいんでしょ?」

 

「でも、親父ならいつもの様に勝ってくれるだろ?なぁ?」

 

「分かりませんよ?遊吾。父とてぜったいに勝てるデュエルなんてモノはないんですから」

 

「おい遊里!」

 

「遊吾落ち着け。遊里はかのうせいの話をしただけだ」

 

「って言って、遊斗もしんぱいなくせに」

 

「な!?そんな事は…」

 

「確かに遊奈が言うように強いが、まあ心配するな。どんなに強い相手でも父さんは精一杯頑張る。だからお前達もジュニア選手権頑張れよ」

 

「「「「うん!」」」」

 

「絶対優勝して、親父みたいな決闘者になる!」

 

「遊吾、それは少し違うな。父さんみたいじゃなくて、遊吾は遊吾らしさを大事にするんだ。これは遊奈、遊斗、遊里にも言ってるんだぞ」

 

遊吾の頭を撫でた後、遊奈、遊斗、遊里の順に頭を撫でられながらそう父は語る。

 

「分かった!俺は俺の目指す決闘者になる!」

 

「僕も負けませんよ」

 

「ああ、俺も負けるつもりは無い」

 

「みんなライバルって訳だね。私も同じだよ!」

 

川と海が合流する場所だからか潮風がマントを煽る。

それをどこか遠くで感じながら普段頭に着けているゴーグル越しに首から外したペンデュラムのネックレスを持ち上げそれを眺める。規則正しく左右に揺れるペンデュラムを見ていると頭が空っぽになり落ち着いてくる

 

「やはり、ここに居たか」

 

「遊斗…!」

 

声にハッとして後ろを見ると遊斗がやれやれと言った顔をして隣にきて柵に身体を預ける。

 

「懐かしいな。3年前、ここで父と皆で話していたな」

 

「…うん」

 

「お前がいなくなってみんな心配してる」

 

「うん。…ねぇ遊斗これから本格的に始まるんだね…」

 

「…辛いか?」

 

「お母さんを助け出したい。でもデュエルは人を傷つける物なんかじゃない。でも、それを悪用してるのなら止めなくては行けない。覚悟は出来てる。でも、他にも方法がないのかと諦めきれないんだ」

 

「俺も、遊奈と同じ気持ちだ。デュエルでみんなが笑顔になれる世界を取り戻したい。だから俺は戦うんだ」

 

「……Originに飲まれた時、遊斗の記憶を見たんだ。前世で似た世界に暮らしていたからかな…崩れていく街を、人々を見て涙が止まらなかった」

 

「…そうか」

 

「だから…辛くても、みんなが笑顔になれるよう私は戦うよ。それこそ、敵も笑顔になれるようなデュエルをしてみせるんだ!」

 

「敵も…か…遊奈らしいな」

 

「うん。遊斗と話してスッキリした。ありがとう遊斗」

 

「なら、行くぞ。主役が遅れちゃあカッコつかないからな」

 

新たな決意を胸に遊斗に手を引っ張られるようにスタジアムに向かった。

 

──────────────────────

 

 

「榊遊矢が逃げたってさ…!」

 

「ええ〜父親と同じじゃん!」

 

会場中に遊奈の悪い噂が広がっている中、柚子達を見つけたので駆け寄りながらみんなを呼ぶ。

 

「あ!いたいた!みんなー!」

 

「すまない!遅くなった!」

 

「「「遊矢お兄ちゃん!」」」

 

「遊矢…もう!急にいなくなって心配したんだからね!」

 

「そうだぜ!ヨハンさんやおじさんも心配していたからよ、後で謝れよ?」

 

「前にも言ったよな?こういう時は連絡入れろって、忘れたとは言わせねぇぞ」

 

「ごめん。ちょっと用事があってさ。それよりも、そろそろ入場でしょ?並びに行こうよ。それじゃあ零に遊斗行ってくる」

 

「ああ、頑張ってこい」

 

「はぁ…まあ、しゃーねぇから応援してやんよ」

 

「もう。遊矢ったら…」

 

「あはは、ごめんって……」

 

会場に向かうべく歩き出すが目の前の男の人に気づいて足を止めるとそいつは振り返って私を見下ろしてくる

 

「久しぶりだな。弱虫」

 

「貴方は…一体何の用?」

 

ニヤニヤと嫌な笑みを向けて来る奴は3年前、誘拐事件が起きる前に虐めてきた…名前は確か暗黒寺。権現坂の兄弟子で今は破門されたと聞いてる。

一瞬フラッシュバックしそうになるがファントムのおかげで何とか平常心を保つと、なんでもないように返す。

 

「大事な大会前だから、てっきり逃げ出したのかと思ったぜ。お前の親父みたいに」

 

「父は父だよ。関係無い」

 

まだ近くにいた遊斗達が来ようとするのを目で制しながら、嫌味をバッサリ切り捨てる

 

「チッ、お前みたいなやつがストロング石島を破ったなんて俺は認めねぇ!」

 

《あー、そういえばこいつストロング石島のファンじゃなかったっけ?3年前も、いちいちウザ絡みされてた記憶があるよ》

 

ファントムがげんなりした様子で当時のことを語ってくれる。

 

「…誰?」

 

「…さぁ?」

 

「「……」」

 

素良がタツヤに訪ねてる傍で 柚子は動揺して動けずに、遊馬も遊奈に来るなと訴えられた為、動けずにいる。

 

「なんなら今ここで、俺が叩き潰してお前が本当は腰抜けだって事を証明してやろうか?ああん?」

 

「くだらないな。そんなことしたところでなんの意味もない。決闘者なら正々堂々大会で決着つけなよ」

 

「何だと!」

 

私の言い方に頭に血が上ったのか暗黒寺に手首を掴まれ引き寄せられる。それに一瞬顔を顰めながらも、奴の目を真っ直ぐ睨みつける。

 

「っ…私は逃げも隠れもしない」

 

「そこまでだ、暗黒寺ゲン」

 

「権現坂!」

 

暗黒寺の方に手を乗せ、二人を止めたのは権現坂だった。

権現坂に止められた暗黒寺は舌打ちをしながら私の手を離す。

 

「へ!兄弟子を呼び捨てか。偉くなったもんだな権現坂」

 

「あんたはもう兄弟子ではない」

 

『まもなく入場です。選手の皆さんは各チームのプラカード前に整列して下さい』

 

「へ!俺がぶっ潰すまで精々頑張るこったな」

 

一触即発の雰囲気だったが集合の放送が流れ、興が削がれたのかそう捨て台詞を吐いて行ってしまった。

 

「はぁ…」

 

「大丈夫か?遊矢。まさかあいつとここで会うとはな」

 

「だね…。まあ大丈夫だよ。そんな事より権現坂、君も出場出来たんだね!」

 

「おう!この男、権現坂。登録締切ギリギリで勝率6割を勝ち取った」

 

「そっか良かった!権現坂」

 

手を差し出すと彼も意味を汲み取ってくれて握り返してくれる。

ライバル同士、お互いに頑張ろうと…

 

──────────────────────

 

 

『皆様ー!大変長らくお待たせしました!年に一度の決闘者達の祭典、舞網チャンピオンシップの開幕でーす!!開幕式の進行はこのニコ・スマイリーが努めさせていただきます!一それでは!選手の入場でございます!』

 

『さあー!!入場行進が始まりました!先頭は昨年、全クラス優勝という偉業を成し遂げたLDS、レオ・デュエル・スクール!毎年多くのプロ決闘者を輩出している優れた名門からは今年も最も多くの選手が出場しております!』

 

入場行進の順番待ちをしながらテレビ中継を見ていると、LDSの行進中に黒咲隼がいるのを発見する

 

「あれ?なんで隼君がLDSに??」

 

「あ!どうしてLDSに!?」

 

柚子と思わず顔を見合わせてから遊馬の方を向く

 

「あーなんか零児からの依頼だっていってたかな?」

 

「ええ…聞いてないよ」

 

あー、そういえばアニメでもこんな展開だった気がする。

 

「あの人は遊馬達の知り合いなんだよね?」

 

「ああ、まあ見た目こえーけど、根はいい奴だからさ」

 

「ここだけの話、彼がLDSに被害を与えていたのは勘違いからだったんだよ。今は誤解が解けて零児と協力する仲になってるよ」

 

「そうなの…?ならいいんだけど…」

 

柚子の耳元でこそこそ話をすると一応は納得してくれたようだ。

テレビ中継に視線を戻す。

 

『続いては武闘派決闘者達の総本山、梁山泊塾です!エースの勝鬨勇雄(かちどきいざお)君は昨年のジュニアユース準優勝者!今年こそは打倒LDSに燃えております!そしてそして!海外参加の国際チーム、ナイト・オブ・デュエルズ!』

 

次々と呼ばれていく中、遂に遊勝塾の番がまわってきた。

 

『続いてはエンタメデュエルで話題の遊勝塾です!』

 

「遊矢!みんな楽しんで行けー!」

 

「頑張れよ」

 

「ふん…」

 

「うおー!遊勝塾ファイト!!」

 

観客席から聞こえる-特におじさんの声が- 方へ手を振る。するとあっちこっちからファントムコールが聞こえて来た。それに内心驚きながらも顔には出さず笑顔で会場全体に手を振る。

 

『この遊勝塾所属の榊遊矢君は新たな召喚法、ペンデュラム召喚で話題!ファントムとの二つ名で今大会注目の1人です!!』

 

ふと、スタジアムの観覧席を見ると零児達がいた。私が見たのに気が付くと微笑んでくれる。そばにいた零羅も手を小さく振ってくれていた。

 

それに先程とは違う笑顔で零児達に返すと前に向き直った。

 

しばらくして、選手が全員並び終える

 

『えーここに集まった君達は、数多の決闘者の中から勝ち上がった精鋭達です。フェアプレイ精神で全力を尽くしたデュエルを期待します』

 

市長の挨拶に会場が拍手に包まれるとニコさんが変わる

 

『続きまして、選手宣誓を行います!選手代表はー遊勝塾、榊遊矢君!!』

 

ファッ?

 

「遊矢が選手宣誓!?」

 

えーちょっと待って聞いてな…

 

思わず固まってしまった中、あれよこれよと壇上に上がらされてしまう。

 

「遊矢君、これもエンターテイナーへの一歩、さあ、お願いします」

 

うう…腹くくるしかないかぁ。話さないといけないこともあったし、少し前倒しになっただけだ。うん

 

『… Ladies(レディース) and(アンド) Gentleman(ジェントルメン)!! Boys(ボーイズ) and(アンド) Girls(ガールズ)!これより選手宣誓!っと行きたいところですが、ここは私の話を聞いてください。私は皆さんに隠していたことがあります。私の本当の名前は榊遊奈。あの榊遊勝の娘です」

 

性別を偽っていた事を暴露すると、会場が騒然する。柚子や権現坂も驚いたように私を見ていた。

 

『私が榊遊矢として性別を偽っていたのには訳があります。先程も言ったように私の父さんは決闘者の榊遊勝です。世界最高のエンタメ決闘者です。でも、皆さんも知っての通り、3年前デュエルが始まる前に私と母だけを残して、私の兄弟と同じように失踪しました。そして、そんな母も、家族が失踪して数ヵ月後に…亡くなりました。一人残された私はみんなに逃げた決闘者の子ども、親に捨てられた子だと色々言われましたが、家族がいなくなってしまった私にも心配してくれる友や大人がいました。しかし、その更に数ヵ月後、私は誘拐されそうになっていたある子を助ける為に奮闘しましたが、呆気なく2人して攫われてしまいました。その子はお金持ちの子だったみたいで、身代金目的の誘拐だと後で知りました。ですが私には身寄りがいません。犯人達は私が榊遊勝の子どもだと知っていたようで、金にはならないと知った途端、……襲ってきました』

 

会場がシーンとなる。緊張からか、トラウマからか、ドキドキうるさい心臓を鎮めるため深呼吸すると続きを語り始める。

 

『その後、警察のおかげで救助されましたが、私はPTSDと診断されました。それから私は何とか日常生活を送れるようになりましたが、未だに世間は私には冷たく、自分を守る為には性別を偽るしかなかったのです。ですが、月日が経ち事件が解決したのかと言うとそうではありませんでした。犯人のうち一人は捕まっていなかったのです。3年後、犯人はまた私を攫いました。今度は身代金目的では無く私自身が狙いでした。時計も無く陽の光が差さない、時間の間隔が無くなる場所で私は監禁されてました。でも、私をあの地獄から助けてくれた人がいました。そして、こんな私を愛してくれました。…その人の為にも、そして何より自分のためにも、今の本当の私を、私のデュエルをしたい!もっと皆に私のデュエルを知ってもらいたいって思うようになりました。そして、私は誰かの笑顔になれるような、誰かの心に残るような、そんなデュエルが出来る最高のプロ決闘者になりたいです!自分も相手もみんなもデュエルが好きになる…そんな決闘者に、なりたいです!』

 

私の話が終わった瞬間、観覧席の方から拍手がされると堰を切ったように会場全体から拍手が響き渡る。

 

それに内心びっくりした私は顔を上げ会場を見渡してしまう。

 

《大丈夫。君を悪く言ってる奴はいないよ》

 

う、ん…何だろ…すごく安心した。

 

性別を偽っていた私の罵倒が聞こえてくるのではないかとヒヤヒヤしていたが杞憂に終わったようだった。

 

『エクセレント!榊遊矢君改めて榊遊奈さんの選手宣誓もとい決意表明でした!』

 

ニコさんの挨拶にお辞儀をすると元いた場所に戻る。

 

──────────────────────

 

ーSide/ヨハン

 

「遊奈っ…よく頑張ったなぁ…!。よく勇気を出したなぁ…!ヨハンさん、遊奈は確実に偉大なる決闘者、榊遊勝に追い付こうとしてますよ!」

 

「冗談じゃないな」

 

「え!?」

 

「あの子は遊勝さんを追ってませんよ。自分らしい最高の決闘者になろうとしてるんです」

 

「ヨハンさん…」

 

「伊達にあの子に父親と呼ばれてませんよ。それくらいの気合いがなければ、偉大な父をもったあの子は優勝なんて出来やしないですから」

 

「父も昔言ってました。父さんみたいじゃなく、俺達は俺達自信を大事にしろと」

 

「先輩がそんな事を…」

 

「ああ。遊勝さんの思いは遊奈もよく分かってるはずだ」

 

じゃなければ、あんな決意表明はしないだろうしな。

 

そう言って、どこか前よりも逞しくなった娘に若干の寂しさを覚えながらスタジアムの真ん中にいる遊奈を見つめた。

 

──────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

『では早速、1回戦の組み合わせを発表致します。選手の皆様は登録カードを各自ディスクにセットして下さーい』

 

「登録カードってこれの事か?」

 

「入場する前にもらった奴だね」

 

ニコさんの指示に従いながらカードを取り出す選手一同。

 

『登録カードは大会運営のコンピュータからの特殊な電波を受信し、皆さんの対戦相手をご案内します。もちろん勝ち進むにつれて、対戦相手も更新されていきます』

 

なるほどね。よく考えられてる

 

そう思いながらディスクにカードをセットすると、次の対戦相手は沢渡だった。

 

「ワオ!沢渡だ」

 

「私の相手は真澄!?」

 

《ワ〜コレって何の因果応報?》

 

あの社長め〜。絶対仕組んだな。

 

「…対戦日は明日みたい」

 

「私は今日の午後」

 

「俺は明日だ」

 

隣にいた権現坂も私と同じ明日のようだ。

 

「権現坂、貴方は誰と対戦するの?」

 

そう訪ねると権現坂はディスクを見せてくれる。対戦相手は暗黒寺だった。

 

これは完全にやってますな

 

「暗黒寺…」

 

「これが運命(さだめ)か…」

 

いや、多分どっかの社長のせい…

 

「俺はこの後直ぐに試合だ」

 

「私はその後」

 

「よし、それじゃあ今日はフトシ、アユ、柚子の応援だね」

 

「素良と遊馬は?」

 

「俺も明日だってさ。対戦相手は…LDSの奴みたいだな」

 

「あ、それ僕も。遊馬と同じでLDS」

 

「因みに誰?」

 

「俺は志島北斗って奴みたいだ」

 

「「「北斗!?」」」

 

「北斗君なんだ」

 

「知り合いか?」

 

「ほら、前にLDSが塾を襲撃してきた時に私が戦った相手だよ。因みに遊馬と同じでエクシーズ使い」

 

「お!マジかー!楽しみだな!」

 

「それで素良は?」

 

「……黒咲隼」

 

「ワオ」

 

「隼か…なかなか手強いと思うけど頑張れよ!」

 

「うん」

 

遊馬の励ましに曖昧な感じて頷く素良。

 

「柊柚子、貴女が私の対戦相手のようね」

 

「真澄!ええ!前までの私とは思わない事ね!」

 

権現坂とは逆の隣にいたLDSの列から真澄が柚子に話しかけてくると柚子も負けじと言い返す。

 

「俺の相手はお前のようだな」

 

「お!お前が北斗か。対戦楽しみにしてる!」

 

そのそばにいた北斗も遊馬に宣戦布告をしていった。

 

──────────────────────

 

開幕式も終わり、試合が始まる

フトシ君は無事に勝ち、次はアユの番だった。

アユの対戦相手はどうやら零羅君のようで零羅の雰囲気に近寄りずらいようだった。

 

やれやれ…ちょっと行きますか。

零羅君に声をかける為に近づく。

 

「やっほー零羅君。こんにちは」

 

「あ…!遊奈姉さん…!」

 

「うちのアユちゃんと対戦みたいだね。どっちも応援するから頑張ってね」

 

「う、うん…」

 

うーん。なんか、思い詰めてるね。

屈んで零羅君と同じ視線になると話しかける

 

「零羅君、その人形持っててくれたんだね」

 

零羅君は私がこの前あげた猫のぬいぐるみを抱えていたので話題作りとして先ずはあげてみる

 

「うん…!兄様以外で初めてもらったプレゼントだったから…」

 

「そっか、そんなに大事にしてくれるならその子も喜んでるよ」

 

「喜ぶ…?」

 

「うん。物には魂が宿るって聞いた事ない?どんな物でも、悪く扱えば悪い魂に、丁寧に扱えば良い魂が宿るんじゃないかなって私は思うんだよ」

 

「そっか、なら今まで通り大事にする…!」

 

私の言葉に顔が綻んだ零羅君に私も笑いかける

 

「やっと笑ってくれた。零羅君、デュエルは勝つ事だけが全てじゃないんだよ。もっと大事なモノがある」

 

「大事なモノ…?」

 

「そう。先ずは自分が楽しまないとね。デュエルは人を笑顔にする物だ。だから零羅君には楽しくデュエルをして欲しいな」

 

「……デュエルは楽しむ物…でも、母様は勝ちなさいって…」

 

《あの毒親しばき倒したい》

 

気持ちは分かるけど止めてくれ、一応将来お義母さんになる人なんだし…

 

「零羅君の中では難しいかもしれないね。直ぐに出来なくても良いんだよ。ただ、私の言葉を覚えて置いて欲しいんだ」

 

「…分かった」

 

零羅君はこくりと頷くともう試合の時間になる為フィールドに向かい、私はみんなの所へ戻ることにする。

 

なかなか闇が深いな…

でも可愛い義弟君だもん、地道にカウンセリングしよう。

 

《いっそう遊馬から、カウンセリングを教わったらどう?》

 

あ、それいい考えかも。教わるってよりかは相談になると思うけど

 

今後の事を考えながら、みんながいる場所に戻った私は2人を応援する事にした。

 

 

──────────────────────

 

 

結果としてアユは零羅君に負け、柚子は無事に真澄に勝つ事が出来たみたいだった。

 

明日は、権現坂、私、遊馬、素良の順番での試合になる。

気を引き締めないとなと思いつつ、明日に備えて早めに寝る事にした



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第27話 不動の心と妖仙の風

前回に引き続き、アンケートを募集してますのでよろしくお願いします。それではどうぞ


 

「うわあああ!」

 

次の日になって先にスタジアム入りをしていた私にいきなり坊主の人がぶつかって来た。

 

「いっててて…!」

 

《いきなりなんなのさ!》

 

「それは坊ちゃんのっ…!権現坂昇さんの勝負襷!」

 

「ん?これ…」

 

坊主の人が手を伸ばそうとした方を見ると横に白い襷が落ちていた

 

権現坂の…?

 

そう考えてるうちに後ろから走ってきたガラが悪い男が襷を奪って走り去っていく。

 

「あっ待て!」

 

それにハッとした私は、慌ててそいつの後を追うと先程ぶつかって来た坊主の人も一緒に走ってくる。

 

「…あいつなんで権現坂の襷を?」

 

「恐らくあいつは暗黒寺の仲間」

 

「!」

 

「奴らは勝つためならどんな卑怯な事も…!」

 

「暗黒寺…」

 

「君は昇坊ちゃんのお友達の榊さんだね?確か君もこれから試合が…」

 

「困ってる親友をほっとける程、腐った性格はしてないよ。襷は私が取り返す」

 

どんどんスタジアムから離れていって何処か森のような場所の中まで来る。

開けた場所に来て辺りを見渡すと、木々の間から権現坂の襷を奪った奴と他にも2人ガラが悪い男が現れる

 

「待ち伏せか…」

 

「くっくっく…」

 

すると隣にいた坊主は笑いながら男たちの方へ歩いていき、振り返る。

 

「バーカ!引っかかってやんのー!」

 

「俺達に付き合ってもらうぜ」

 

「お前、男なら誰でも股開くんだろ?俺達の相手もしてくれよ?」

 

「「「ギャハハハハ!!」」」

 

「おい…?なんか、反応しろよ?」

 

ひとしきり下品なことを吐きながら笑う男たちだったがなんの反応もしない遊奈に痺れを切らしたのか聞いてくる。

 

「はぁ…言っとくけど、お前達が暗黒寺の仲間って言うことは分かってたよ。1つ、お前達の情報を私は知っていた。2つ、私にぶつかって来た時。なかなかの猿芝居で途中で笑いそうになるのを堪えてたくらいだよ。3つ、そもそもな話、権現坂を坊ちゃんなんて呼ぶ塾生はいない」

 

まあ、後は私が人の感情に敏感って言うのもあるんだけどね。

 

ん?こいつらの情報?ハッキングって素晴らしいね!良い子は真似しちゃダメだよ

 

「まあでも、襷に関しては本物みたいだし…力づくでも返してもらうよ」

 

pipi…

 

柚子から電話が来る。時間を見ると権現坂の試合はもう始まってるようだ

 

「柚子か?」

 

『遊奈!』

 

「権現坂に伝えてくれ、私なら大丈夫だから心配するなって。襷は必ず取り返すからって」

 

『え!?ちょっと遊っ…』

 

柚子の言葉を最後まで聞かずに電話を切ると襲ってきた男の手を掴みその力を利用して逆に投げ飛ばす。

 

「グワッ!?」

 

「チッ!あんにゃろーやっちまえ!」

 

「「おら!」」

 

襲ってくる男達を次々と返り討ちにする。

こんなの遊星兄達より全然弱い。

 

「ぐう…」

 

「女の癖に…」

 

「強い…」

 

「ほら、君達も決闘者なら決闘者らしくデュエルで相手しなよ?」

 

「生意気な…良いだろ!4対1でデュエルを挑んだこと後悔させてやる!」

 

「「「「デュエル!」」」」

 

─────────────────────

 

ーSide/柚子

 

さっき暗黒寺が言っていた友達って遊奈の事…?

 

焦りのあまり、追い詰められる権現坂を見て観客席から前へ出ると権現坂に向かって叫ぶ

 

「権現坂!遊奈を信じて!」

 

「!」

 

「遊奈は大丈夫だから心配しないでって私に言った!必ず襷を取り返して駆けつけるからって!」

 

「遊奈が…!」

 

「遊奈はもう自分の過去を乗越えて前に進もうとしてる!もう、昔の遊奈とは違う!一人でも戦えるから!」

 

「昇よ!今こそ不動を信じよ!友を!そして自分を信じよ!」

 

「親父殿…!」

 

「ハハハハ!あいつと連絡が取れたか。意気地無しがムキになって哀れなもんだぜ!」

 

「あいつは意気地無しなんかでは無い!ただ優しいだけだ!だが、そんなあいつがそう言うなら遊奈は必ず戻ってくる!」

 

「何?」

 

「柚子の言う通りだ。もはや遊奈は3年前とは違う!」

 

「権現坂…」

 

「チッ」

 

「遊奈の決意が分かった今!俺の心はもう揺らぎはせん!俺は俺のデュエルを貫くのみ!」

 

何とか権現坂は持ち直しデュエルを進めていく。

しかし、奪われたビックベン・Kのダイレクトアタックをくらい権現坂のLPは残り僅かになる。しかし墓地のカードの効果で『バーバリアン・マッド・シャーマン」の攻撃力を0にして何とか相手ターンを耐える。

 

その衝撃で権現坂が付けていた黒帯が切れてしまった。

 

「親父殿より授かった勝負襷…だが、今の俺に必要なのはこれでは無い!(俺に必要な物…それは…)」

 

「権現坂ー!!」

 

「はっ!?」

 

遊奈の声が届いたのか権現坂が観客席の方を振り向いた。

 

─────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

暗黒寺の取り巻き達をエンタメデュエルで和解した後、襷を持ってスタジアムを駆け抜けた私はフィールドにいる権現坂を思いっきり呼ぶ

 

「権現坂ー!!」

 

私の声に気づいた権現坂はこちらを見る

 

「「「遊奈!」」」

 

「「「遊奈姉ちゃん!」」」

 

「来たか…!」

 

「待たせてごめん!受け取って!!」

 

思いっきり持っていた襷を権現坂に届くように投げる。襷は風に乗りながら無事、権現坂の手に渡る

 

「遊奈!お前からの襷、確かに受け取った!俺は信じていた。そしてお前は来た。これが俺の今の勝負襷だ!」

 

私が渡した襷をいつもの様に付けた権現坂がそう告げる。

 

そしてデュエルを再開した権現坂はタマ・Cを召喚し、効果で相手の場のビックベン・Kを素材にしてスサノ・Oをシンクロ召喚し、更にバスター・ガントレットを装備して守備力を上げたスサノ・Oで攻撃力0のマット・シャーマンを攻撃して権現坂がデュエルに勝った。

 

『ジュニアユース選手権、本日の第1試合は権現坂昇選手の勝利となりました!』

 

「必ず来ると信じていたぞ遊奈」

 

「私も権現坂が絶対勝つと信じていたよ」

 

観客席に近づいてきた権現坂に手を差し伸ばされて私も手を握り返しながら笑って答える

 

「「「遊奈姉ちゃーん!」」」

 

みんなに呼ばれて手を離して振り返るとみんなが来てくれる

 

「心配したぜぇ!どこ行ってたんだよ」

 

「ごめんごめん。次は私の番だね。権現坂に負けないように私も頑張るよ」

 

─────────────────────

 

 

『続きましては本日の第2試合!遊勝塾所属、榊遊奈 対ネオ・デュエル・スクール所属沢渡シンゴの1戦でございまーす!』

 

「「「頑張ってー!!」」」

「「「遊奈!!」」」

「しっかりなー!」

「燃えろー!熱血だー!」

「遊奈…頑張れよ」

「(さあ遊奈、この試合は夢への第1歩だ。力いっぱいやれ)」

 

「あれが噂のペンデュラム使いか…!」

「でも、ペンデュラムなんて本当は無いって言ってる人もいるわよ?」

「まあ、ストロング石島とのデュエルもインチキだったって噂もあるからな」

 

「俺達はお前が女だろうとお前のファンだー!!」

 

「「「「「ファントム様!!!ファイトー!!!」」」」」

 

フィールドへ歩いていくと様々な応援と会話がスタジアム中から聞こえてくる。それを受けながらもいつも通り堂々と遊奈は歩いて位置に着く。すると向かいから草笛を拭きながら沢渡がやってきた。

 

《なあにこれぇ》

 

うーん。キャラ作りかな?にしてはズレてるような滑ってるような…

 

《…あっ!なんか、既視感あると思ったら不満足さんとカイトだ!》

 

やめて差し上げろ

 

「カードが俺を呼んでいる…ドローしてよと呼んでいる…!天に瞬く星1つご覧デュエルの一番星!」

 

「……」

 

会場がなんとも言えない雰囲気に包まれる。

 

おい、この雰囲気どうしてくれる

 

《盛大に滑ってますな》

 

「フフフ…俺が誰か分かるか?」

 

「沢渡かな」

 

「違う!ネオ・ニュー・沢渡だ!」

 

「ああ、そう…(日本語不自由かな?)」

 

《いや、どっちかと言うと英語じゃない?》

 

衣装を脱いでドヤ顔で決めポーズをしている沢渡にちょっとみんな呆れ気味になっている。

 

「榊遊奈!お前には数々の恨みがある!」

 

「ん?」

 

「その1!ふざけた低レベルモンスターを使い、俺に敗北を味合わせた!屈辱だ!」

 

「元々、私のカードを奪おうとしてたんでしょ!それに低レベルモンスターを馬鹿にしたのが悪い!」

 

「う…その2!お前そっくりのエクシーズ使いに怪我を負わされた!屈辱だ!」

 

「遊斗兄は柚子を守ろうとしただけだ!それに怪我なんてしてないって調べはついてるんだけど?」

 

「う…って兄?」

 

「私の4つ子の兄さんだよ」

 

「聞いてないぞ!」

 

「言ってないからね」

 

「ぐう…その3!俺の尊敬するパパを襲って怪我をさせた!屈辱この上ない!」

 

「それに関しては私も被害者なんだけど。同じ犯人に攫われたし…」

 

「え…!?」

 

「寧ろ、君のパパのせいで奴に私の事バレて誘拐されたんだけど…」

 

「ぐう…!お前に受けた屈辱の数々、今こそ何百倍にもして返してやるぜ!ここに宣言する。榊遊奈、お前はこのデュエル最高の屈辱を受けて負ける」

 

『おーと!?早くも沢渡選手の勝利宣言です!』

 

「お前をこれまで勝利に導いたペンデュラム召喚、それが今日はお前を敗北へ導くだろう」

 

「言ってくれるね…。君がどんなデッキを使っても、私はいつも通りデュエルをするだけさ!」

 

『いったいこの勝負どうなるのか!では!アクションフィールドをセットしましょう!カモーン!…決定しました!アクションフィールド・オン!フィールド魔法『夕日の荒城』発動!』

 

夕焼けに染まる日本の城のフィールドに変わる

 

「行くぞ!戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

 

「モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!」

 

「「フィールド内を駆け巡る!」」

 

『見よ、これぞデュエルの最強進化系!アクショーン!』

 

「「デュエル!」」

 

 

先攻 Yuna LP 4000 VS 後攻 Shingo LP 4000

 

 

「先行は譲ってやるぜ」

 

「私のターン、手札からフィールド魔法『天空の虹彩』を発動!フィールド魔法はアクションデュエルの場合、永続魔法扱いになる。そしてライトPゾーンに『EMシルバー・クロウ』をセット!そして天空の虹彩の効果!このカード以外の自分フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊し、デッキからオッドアイズカード1枚を手札に加える!私はPゾーンのシルバー・クロウを破壊してデッキから『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』を手札に加える!更に大事なアシスタントに来てもらいましょう!現れろ!『EMユニ』!」

 

EMユニ ATK 800

 

「ユニの効果発動!ユニはレベル4以下の仲間のEMを手札、またはデッキから特殊召喚出来るよ!デッキから『EMコン』!」

 

ユニが投げキスをするとハートが現れ、それが割れるとコンが出てきた。

 

EMコンATK 600

 

「二人揃って可愛さ2倍‼︎Unicorn(ユニコーン)‼︎」

 

「くっ…(可愛いじゃないか…)」

 

『おおっと!ここで遊奈選手のアシスタントとしてUnicornが来てくれたぞ!』

 

「そしてコンの効果発動!フィールドのユニとコンを守備表示にして、デッキからペンデュラムモンスター1体を手札に加えるよ!」

 

ユニATK 800→DEF 1500

コンATK 600→DEF 1000

 

「私が手札に加えるのは『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』。そしてこのカードをライトPゾーンにセットし、カードを1枚伏せターンエンド!このエンド時、Pゾーンのペンデュラム・ドラゴンの効果発動。このカードを破壊してデッキから攻撃力1500以下のペンデュラムモンスター1枚を手札に加える。『オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン』を手札に加える」

 

 

Yuna

LP4000

手札 4(1枚はファントム、ペルソナ)

 

ユニ(守備表示)

コーン(守備表示)

 

 

魔法・罠カード 

天空の虹彩

 

「さーて、沢渡シンゴ…伝説のリベンジデュエル開幕だ。俺のターン、ドロー!俺は永続魔法『修験の妖社』を発動!このカードは妖仙獣が召喚 、特殊召喚された時、1回につき、妖仙カウンターが1つ点灯する」

 

「妖仙獣…」

 

そっか、ここから沢渡がペンデュラムを使い始めるのね

 

「そして手札から『妖仙獣 鎌壱太刀(カマイタチ)』を召喚!」

 

妖仙獣 鎌壱太刀 ATK1600

 

「鎌壱太刀の召喚に成功した時、手札から鎌壱太刀以外の妖仙獣1体を召喚出来る!こい『妖仙獣 鎌弐太刀(カマニタチ)』!」

 

妖仙獣 鎌弐太刀 ATK1800

 

「更に鎌弐太刀の召喚に成功した時、手札から鎌弐太刀以外の妖仙獣1体を召喚出来る!『妖仙獣 鎌参太刀(カマミタチ)』!」

 

妖仙獣 鎌参太刀 ATK1500

 

『な、なんと沢渡選手!3回の召喚を決めたー!』

 

「フフフ…モンスターを一気に召喚出来るのは、何もペンデュラム召喚の専売特許じゃねえぜ?」

 

「そうだね」

 

「…俺はここまで3体の妖仙獣を召喚した!修験の妖社の効果により妖仙カウンターは3つ点灯!」

 

修験の妖社 妖仙カウンター 0→3

 

妖社のロウソクに火が3つ灯る

 

─────────────────────

 

Side/観客席

 

 

「な、なんか、気味悪い…?」

 

「あのデッキ、強いかも…!」

 

「すげー!沢渡さん、いや、ネオ・ニュー・沢渡さんだ!」

 

「まさに最強だぜー!」

 

─────────────────────

 

Side/遊奈

 

「鎌壱太刀の効果発動。このカード以外の妖仙獣がフィールドにいる時、1度だけ相手フィールドのカード1枚を手札に戻す!」

 

「!」

 

「ユニに戻られてまた同じ効果使われるのも厄介だ。戻れ!コン!」

 

「あぁ!コンがぁ!」

 

「行くぞバトルだ!鎌壱太刀でユニを攻撃!」

 

「ユニ…!」

 

「これでお前を守るモンスターはいない!鎌参太刀でダイレクトアタック!」

 

「手札の『EMクリボーダー』の効果発動!相手のダイレクトアタックを受ける時、このカードを特殊召喚して攻撃対象をこのカードに移し替える。その戦闘で自分が戦闘ダメージを受ける場合、代わりにその数値分だけ自分のLPを回復するよ!頼んだクーちゃん!」

 

《クリクリー!》

 

EMクリボーダー ATK300

 

鎌参太刀の攻撃がクリボーダーを破壊するが、ダメージは光の粉に変わって遊奈に降り注ぐ

 

「クーちゃんの攻撃力と鎌参太刀の攻撃力の差は、1200!よって私のLPは1200回復するよ!ありがとうクーちゃん!」

 

Yuna LP4000→5200

 

「チッ!なら鎌弐太刀でダイレクトアタック!」

 

Aカードを取るために跳ね橋を渡ろうとするが鎌弐太刀の攻撃で橋の下に通ってる、まるで川が流れていたような溝に着地する。

 

Yuna LP5200→3400

 

「残念でした!更に鎌参太刀の効果発動!このカード以外の妖仙獣が相手にバトルダメージを与えた時、デッキから鎌参太刀以外の妖仙獣1枚を手札に加える。俺が加えるのは『妖仙獣 大幽谷響(オオヤマビコ)』。更に修験の妖社の効果発動!1ターンに1度、妖仙カウンターを3つ使い、デッキから妖仙獣1枚を手札に加える。俺が加えるのは『魔妖仙獣大刃禍是(ダイバカゼ)』。あんまりあっさり勝負が着いちゃあ面白くない。俺はカードを1枚伏せターンエンド。カマイタチ三兄弟は召喚されたターン終了と同時に手札に戻る」

 

修験の妖社 妖仙カウンター 3→1

 

Shingo

LP 4000

手札 6枚(鎌鼬三兄弟、大幽谷響、大刃禍是)

 

魔法・罠カード

修験の妖社、伏せ1枚

 

Yuna

LP 3400

手札 4枚(コン、ファントム、ペルソナ)

モンスター 

魔法・罠カード

天空の虹彩

 

妖仙獣ガン回りじゃないか。

てか、鎌参太刀の効果忘れてた!クーちゃん使うなら鎌参太刀じゃなくて鎌弐太刀だったなぁ

 

「さあ!ショーを続けようぜ!エンタメデュエリスト榊遊奈!」

 

『沢渡選手!まさに余裕を見せて榊選手を挑発!』

 

「私のターン、ドロー!Here(ヒア) we(ウィー) go(ゴー)!! It's(イッツ) a() show(ショウ) time(タイム)!!ペンデュラムスケールをセッティング!俺はレフトペンデュラムゾーンに『オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン』をセット。そしてライトペンデュラムゾーンに『EMオッドアイズ・ユニコーン』をセッティング!」

 

RPゾーン:オッドアイズ ・ペルソナ・ドラゴン PS[1]

LPゾーン:EMオッドアイズ・ユニコーン PS[8]

 

「これでレベル2から7までのモンスターを同時に召喚可能!揺れろ、運命の振り子!!永久に続く時を刻み未来と過去を行き交え!!ペンデュラム召喚!エクストラデッキから甦れ!レベル4、雄々しき銀色の爪を持ちし銀狼『EMシルバー・クロウ』!レベル7、輝く二色の眼『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!もう1度来てくれ!レベル4『EMコン』!そして同じくレベル7、時空を司る幻影の竜よ!今時空の狭間より現れよ!!『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』‼︎」

 

シルバー・クロウ ATK1800

コン DEF1000

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンATK2500

オッドアイズ・ファントム・ドラゴン ATK2500

 

『来ましたー!かのストロング石島選手をも破った榊選手のペンデュラム召喚!』

 

『これがペンデュラム召喚!』

 

『本当にあったんだ!』

 

『いいぞー!ファントム様!!』

 

さて…ペンデュラム召喚をしたものの、沢渡の手札には大幽谷響がいる。あいつはバトルした時に手札から出てきて攻撃してきたモンスターの攻撃力と同じになる。しかも破壊されたら妖仙獣をサーチする効果もあったはずだ。

 

ここは…

 

また新たなドラゴンの雄叫びが聞こえてくる

 

Ladies(レディース) and(アンド) Gentleman(ジェントルメン)!! Boys(ボーイズ) and(アンド) Girls(ガールズ)!皆さまご注目下さい!早速ですが、これからペンデュラム召喚のその先の1つの可能性をお見せ致しましょう!レベル7のペンデュラム・ドラゴンと同じくレベル7のファントム・ドラゴンでオーバーレイ!2体のオッドアイズでオーバーレイネットワークを構築!二色の眼の竜よ、蒼き激流にその身を包み、輝く氷で凍てつかせろ!エクシーズ召喚!ランク7!『オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン』!」

 

オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン ATK2800

 

『おおーと!!榊選手お得意のペンデュラムエクシーズだ!』

 

「な!?ランク7エクシーズモンスターだと!?」

 

「バトル!アブソリュート・ドラゴンでダイレクトアタック!」

 

「手札の『妖仙獣 大幽谷響』の効果!ダイレクトアタックを受ける時、手札の妖仙獣1体を墓地に送り、攻撃表示で特殊召喚出来る!」

 

Shingo 手札6→5

 

妖仙獣 大幽谷響 ATK?

 

「攻撃力不明…」

 

「大幽谷響の攻撃力はバトルする相手モンスターの元々の攻撃力と同じとなる!妖仙獣が特殊召喚された事によって妖仙カウンターが1つ点灯!」

 

修験の妖社 妖仙カウンター 0→1

 

「どうだ!相打ち覚悟で攻撃してくるか?」

 

「なら、アブソリュート・ドラゴンで大幽谷響を攻撃!」

 

「来るか!なら大幽谷響の攻撃力はアブソリュート・ドラゴンと同じ2800になる!」

 

大幽谷響 ATK?→2800

 

「アブソリュート・ドラゴンの効果発動!1ターンに1度、自分または相手のモンスターの攻撃宣言時に、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。その攻撃を無効にするよ!」

 

「なっ!?何をしてるんだ?」

 

『えぇー!なんで攻撃したんだ?!』

 

「この為さ!そして自分の手札・墓地からオッドアイズモンスター1体を選んで特殊召喚できる!甦れ!ファントム!」

 

《よっし!ただいまー!》

 

ファントム・ドラゴン ATK2500

 

「な!?ファントムが戻ってきただと!?」

 

「そして、ファントムで大幽谷響を攻撃!」

 

「馬鹿め!もうアブソリュートの効果は使えないが、大幽谷響の効果はもう1度使える!ファントムと同じ攻撃力だ!」

 

大幽谷響ATK2800→2500

 

「ユニコーンのペンデュラム効果発動!このカードは自分の『オッドアイズ』モンスターの攻撃宣言時、そのモンスター以外の自分フィールドの『EM』一体を対象にし、その攻撃モンスターの攻撃力を対象のモンスターの元々の攻撃力分アップすることが出来る!俺が選ぶのは『EMシルバー・クロウ』!よって『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』の攻撃力は1800アップする!」

 

ファントム ATK2500→4300

 

「行け!ファントム!夢幻のスパイラルフレイム!」

 

「ぐぅ…!」

 

Shingo LP4000→2200

 

「更にファントムの効果!1ターンに1度、このカードが戦闘ダメージを与えた時、ペンデュラムゾーンにいるペンデュラムモンスターの攻撃力分のダメージを与える!」

 

Shingo LP2200→900

 

「ぐあぁ!」

 

『これは効いたー!沢渡選手!合計で3100の大ダメージだ!』

 

「…大幽谷響の効果発動!このカードがバトルで破壊された時、妖仙獣1体を手札に加える事が出来る。俺は2枚目の大幽谷響を手札に加える!」

 

『な、なんとー!?せっかく倒した大幽谷響が新たに手札に加わえられたー』

 

シルバー・クロウや、コンで追撃した所で、更にカウンターを増やされるだけか…なら

 

「これでターンエンド!」

 

Shingo

LP 900

手札 5枚(鎌鼬三兄弟、大幽谷響、大刃禍是)

モンスター

 

 

魔法・罠カード

修験の妖社、伏せ1枚

 

Yuna

LP 3400

手札 1枚

モンスター 

コン(守備表示)

シルバー・クロウ(攻撃表示)

アブソリュート・ドラゴン(攻撃表示)

ファントム・ドラゴン(攻撃表示)

魔法・罠カード

天空の虹彩

 

RPゾーン:オッドアイズ ・ペルソナ・ドラゴン PS[1]

LPゾーン:EMオッドアイズ・ユニコーン PS[8]

 

 

「ここからが本番だ。沢渡シンゴ、伝説のリベンジデュエル。榊遊奈!お前はこれからペンデュラム召喚の恐ろしさを知る!」

 

「…シルバー・クロウ行くよ!」

 

沢渡の挑発には乗らず、ファントムやアブソリュートでは無く小回りが利くシルバー・クロウに跨ってAカードの位置を把握するため、走り抜ける。

 

「見るがいい!榊遊奈!俺のターン!俺は妖仙獣鎌壱太刀を召喚!鎌壱太刀の召喚により、鎌弐太刀、鎌参太刀も続けて召喚!」

 

鎌壱太刀 ATK1600

鎌弐太刀 ATK1800

鎌参太刀 ATK1500

 

「そして、修験の妖社の効果発動!3体の妖仙獣が召喚され、妖仙カウンターが3つ点灯!」

 

修験の妖社 妖仙カウンター 1→4

 

 

「そいつの効果は少々厄介だからな。鎌壱太刀の効果で、アブソリュートを手札に戻す!」

 

「アブソリュートは手札では無くエクストラデッキに行く」

 

「Aカード!『攻撃封じ』!相手の攻撃表示モンスター1体を守備表示に変える!俺はシルバー・クロウを選択!」

 

シルバー・クロウATK1800→DEF700

 

「バトルだ!先ずは鎌壱太刀、鎌参太刀でコンとシルバー・クロウを攻撃!」

 

破壊される瞬間、乗っていたクロウをから飛び降り何とか着地すると処理を行いながら動きを止めないように走る。

 

「そして、鎌弐太刀の効果発動!このカードは攻撃力を半分にしてダイレクトアタックが出来る!行け!」

 

鎌弐太刀 ATK1800→900

 

Aカードが目の前にあっても間に合わないと思った瞬間、鎌弐太刀の風が襲い吹き飛ばされる

 

Yuna LP3400→2500

 

「っ!」

 

《遊奈!》

 

間一髪駆けつけたファントムの背に着地を成功させる。

 

《怪我は無い!?》

 

「ありがとう…ファントム。助かったよ」

 

「更に鎌参太刀の効果発動!このカード以外の妖仙獣が相手にダメージを与えた事で、妖仙獣1枚を手札に加える。俺が加えるのはペンデュラムモンスター『妖仙獣 左鎌神柱(サレンシンチュウ)』!」

 

『な、なんと!沢渡選手がペンデュラムカードを!?』

 

「まあ、持ってるよね…」

 

そもそも、妖仙獣ってカテゴリーがオッドアイズEM魔術師、DDDに続くペンデュラム召喚の新テーマだったのだからっていうのは違くて、あのカードの開発に携わっていたからだ。

 

「修験の妖社の効果発動!妖仙カウンターを3つ使いデッキから妖仙獣カードを1枚手札に加える。俺はペンデュラムモンスター『妖仙獣 右鎌神柱(ウレンシンチュウ)』を手札に加える」

 

修験の妖社 妖仙カウンター 4→1

 

「来る…!」

 

確かあの組み合わせのスケールは…

 

「榊遊奈、宣言通りペンデュラム召喚がお前を敗北へ導く!俺はスケール3の妖仙獣 左鎌神柱とスケール5の右鎌神柱でPSをセッティング!」

 

RPゾーン: 妖仙獣 左鎌神柱 PS[3]

LPゾーン: 妖仙獣 右鎌神柱 PS[5]

 

 

「スケール3と5…勿体ぶらずに発動したらどうかな?」

 

「!なんでお前がその事を…!」

 

「ん?零児から聞いてない?ペンデュラムカードの開発者の1人だからだよ」

 

その言葉に沢渡だけじゃなく、会場全体が騒めきだす。

 

「っ知ってるなら隠さなくていいな!右鎌神柱の効果発動!もう片方のPゾーンに妖仙獣がいる時、PSは11に上がる!」

 

LPゾーン: 妖仙獣 右鎌神柱 PS[5]→ [11]

 

「これでレベル4から10のモンスターが同時に召喚可能!ペンデュラム召喚!烈風纏いし妖の長よ、荒ぶるその衣を解き放ち、大河を巻き上げ大地を抉れ!いでよ!『魔妖仙獣 大刃禍是』!」

 

魔妖仙獣 大刃禍是 ATK3000

 

『驚きました!沢渡選手のペンデュラム召喚です!』

 

「……どうやら、召喚は成功したみたいだね」

 

《……でも、どうするんだい?なかなか厄介だよ。特に奴は》

 

そうファントムは大刃禍是を睨みつける。

 

「修験の妖社に妖仙カウンターが1つ点灯」

 

修験の妖社 妖仙カウンター 1→2

 

─────────────────────

 

Side/観客席

 

 

『ペンデュラムって榊遊奈だけが使えるんじゃなかったの!?』

 

『今目の前で沢渡も使ったじゃん!』

 

『遊奈がペンデュラムカードの開発に携わってるってどういう事だ!?』

 

『そのまんまの意味ですよ。遊奈は今後の為に開発に協力したんです』

 

『今後の為?それはどういう…』

 

『ペンデュラム召喚はアクションデュエルにおいて象徴になる。だからこそ、遊奈は沢山の人にペンデュラム召喚をやって欲しくて協力したんです(まあ、別の目的もあるんだけど、黙っておくべきだな)』

 

 

─────────────────────

 

Side/遊奈

 

「そうだ沸け!もっと沸け!お楽しみはこれからだ!」

 

『《それ!遊奈(姉ちゃん)のセリフ!》』

 

「俺こそ選ばれた男。ネオ・ニュー・沢渡だ…!そして俺はペンデュラム召喚を出来るようになっただけじゃねぇ!その上をゆく!」

 

「その上…!」

 

「大刃禍是の効果発動!このカードが召喚、特殊召喚に成功した時、フィールドのカード2枚を選び、持ち主の手札に戻す!俺はオッドアイズ・ペルソナ・ドラゴンとEMオッドアイズ・ユニコーンを手札に戻す!」

 

「天空の虹彩の効果!このカードがある限り、私の場のPゾーンにあるEM、オッドアイズ、魔術師カードは相手の効果の対象にならない!よって大刃禍是の効果は無効だよ!」

 

「くっ…そんな効果が…!だがフィールドに大刃禍是がいることにより、永続罠『妖仙郷の目眩風』を発動!フィールドから手札に戻る妖仙獣以外のカードは全て持ち主のデッキに戻る!更に俺はLPを800払って、手札から永続魔法『妖仙大旋風』を発動!俺はターンエンド」

 

Shingo LP900→100

 

『おおっと!?沢渡選手!ここで少ないLPを更に削った!』

 

「だが、ただのターンエンドでは無い!見せてやろう、沢渡レジェンドコンボ!妖仙ロスト・トルネード!」

 

「っ!」

 

「妖仙大旋風の効果は、自分フィールドの妖仙獣1体が手札に戻る時、相手フィールドのカード1枚を手札に戻す。そして、妖仙鄉の目眩風の効果は妖仙獣以外のカードが手札に戻る時、手札では無くデッキに戻る!カマイタチ三兄弟はエンドフェイズ時に手札に戻る。これにより、妖仙大旋風の効果でお前のカード3枚を手札に戻す!先ずは厄介なフィールド魔法からだ!」

 

「くっ!」

 

「更にお前の場のPゾーンのカード2枚もデッキに戻って貰うぞ!」

 

「っ!」

 

『遊奈のフィールドのカードが次々消えていく…!』

 

『残るはファントムっ!』

 

「もちろん、そいつもご退場頂くぜ!大刃禍是の効果発動!このカードは特殊召喚したターン終了時、手札に戻る!妖仙ロスト・トルネード!」

 

《くっ…遊奈、後はお願い》

 

「分かった…」

 

沢渡のLPは残り100…

何とかしてみせるさ!

 

「どうだ?この大旋風は文字通り相手のカードを巻き上げ、舞い上がったカードは目眩風に誘われフラフラとデッキへ行っちまう!これぞ沢渡レジェンド・コンボ…妖仙ロスト・トルネードだ!!」

 

『榊遊奈のペンデュラムを封じ込めたか…』

 

『沢渡にしちゃあ上出来じゃねぇか』

 

『コンボのネーミングセンスは最悪だけどね』

 

 

「俺はネオ・ニュー・沢渡。伝説を生む男…!最後に右鎌神柱のPスケールは元に戻る」

 

LPゾーン: 妖仙獣 右鎌神柱 PS[11]→[5]

 

 

Shingo

LP 100

手札 5枚(鎌鼬三兄弟、大幽谷響、大刃禍是)

モンスター

 

魔法・罠カード

修験の妖社、妖仙大旋風、妖仙鄉の目眩風

 

RPゾーン: 妖仙獣 左鎌神柱 PS[3]

LPゾーン: 妖仙獣 右鎌神柱 PS[5]

 

 

Yuna

LP 2500

手札 1枚

モンスター 

魔法・罠カード

 

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

 

 

 

 




久しぶりのデュエルのせいで長くなってしまったので分けさせて貰います。すみません


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第28話 熱戦!エンタメデュエルショー!

アンケートまだまだ募集してますので御協力よろしくお願いします。
タイトルはそのまんま


 

『榊選手のフィールドはガラ空き!手札も1枚と、まさに絶体絶命だぁー!!』

 

「次の俺のターンでお前は終わりだ!さあ!最後にあがいて見せな!」

 

「…私のターン」

 

「お前との因縁…決着をつけるぜ!」

 

「決着?馬鹿言わないでよ!デュエルは始まったばかりさ!」

 

「何だと!?」

 

「ドロー!私はカードを2枚伏せてターンエンドだ!」

 

『え!?それだけ!?』

 

「おいおい!せっかく盛り上がってきたっていうのに、随分と地味じゃねぇか!まあ、ペンデュラム召喚を封じ込められ、手札もないんじゃあ仕方ねぇか!」

 

「カードが無いなら探してゲットするまでだよ!」

 

城に向かって走り抜ける

 

Shingo

LP 100

手札 5枚(鎌鼬三兄弟、大幽谷響、大刃禍是)

モンスター

 

魔法・罠カード

修験の妖社、妖仙大旋風、妖仙鄉の目眩風

 

RPゾーン: 妖仙獣 左鎌神柱 PS[3]

LPゾーン: 妖仙獣 右鎌神柱 PS[5]

 

 

Yuna

LP 2500

手札 0枚

モンスター 

魔法・罠カード

伏せ2枚

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

 

『まさに驚天動地!怒涛の展開とはこの事でしょう!榊選手だけが使えると噂されていたペンデュラム召喚、見事に成功させた沢渡選手!更に榊選手のペンデュラムカードを全てデッキへ封じ込めてしまったコンボ、妖仙ロスト・トルネードに手札0の榊選手はどう立ち向かうのか!?』

 

「フン…Aカードに希望を繋ぐその執念は褒めてやるぜ。だが、貴様にあるのは絶望だけだ。俺のターン!俺は手札から鎌壱太刀を召喚!鎌壱太刀の効果で鎌弐太刀を召喚!更に鎌弐太刀の効果で鎌参太刀を続けて召喚!同時に永続魔法、修験の妖社の効果発動!妖仙カウンターを3つ点灯する」

 

鎌壱太刀 ATK1600

鎌弐太刀 ATK1800

鎌参太刀 ATK1500

 

修験の妖社 妖仙カウンター 2→5

 

「お前がAカードを探している間に俺の準備は整ったぜ!さあ!決着の時だ」

 

一方、遊奈は城の中へ入ると上に続く階段を見つけ駆け上がる。もちろんAカードを探しながらだ

 

「(お前の魂胆は分かっている。フィールドに伏せたあの2枚のカードから俺の目を逸らそうとしているんだろうが、そうはいかねぇ。鎌壱太刀の効果では伏せカードを戻す事は出来ないが…) 右鎌神柱のペンデュラム効果を発動!ターン終了時までPSを11に上げる!これでレベル4から10のモンスターが同時に召喚可能!ペンデュラム召喚!烈風纏いし妖の長よ、荒ぶるその衣を解き放ち、大河を巻き上げ大地を抉れ!いでよ!『魔妖仙獣 大刃禍是』!」

 

魔妖仙獣 大刃禍是 ATK3000

 

「妖仙カウンターは1つ点灯!」

 

妖仙カウンター5→6

 

「この大刃禍是の効果は伏せカードにも有効だぜ!」

 

『遊奈のカードを根こそぎ無くすつもりか!?』

 

「大刃禍是の効果発動!フィールドのカード2枚を手札に戻す!同時に妖仙郷の目眩風の効果を発動させ、その2枚をお前のデッキへ戻し、ジ・エンドだ!残念だったな!せっかく伏せたカードも無駄に終わったようだ!」

 

「…いえ!これで良かったのです!」

 

屋根の穴から飛び出すと城の屋根に着地しながら遊奈は現れる。

 

「伏せられたこのカードがフィールドから離れた時、このターン相手フィールドのモンスター全ての名前を「ななし」にする!」

 

「なに!?」

 

鎌壱太刀→ななし

鎌弐太刀→ななし

鎌参太刀→ななし

大刃禍是→ななし

 

『なんと!沢渡選手のモンスター全ての名前が失われた!?』

 

「貴様…元々これを狙って!」

 

「YES!目眩風の効果を妖仙獣は受けない。なら名前を変えてしまえば良いのさ!」

 

「ぐ…フ…やるじゃねぇか」

 

「君のカードの効果を逆手に取らせてもらったよ」

 

「だが、ターンの終わりまでお前が無事に済むと思ったか?その前にこのデュエルを終わらせてやる!バトルだ!大刃禍是でダイレクトアタック!者共続けぇ!」

 

そういうと沢渡は大刃禍是の背に乗り、一気に城を攻めてくる。

 

『沢渡選手総攻撃!その姿はまさに城を落とすべく攻め入る荒武者の如し!』

 

「絶対に終わらせるもんか!」

 

「ジ・エンドだ!」

 

大刃禍是の嵐が遊奈のいた城を破壊し尽くし崩壊した、

 

『『『遊奈!?』』』

 

「フハハハハ!お前の負けだ!榊遊奈!」

 

《クルッポ!!》

 

『え!?』

 

『おおっと!空を飛んでいるのは榊選手のポッポちゃんだ!おや?ポッポちゃんの向かう方に誰かいるようだ!?』

 

全員がポッポちゃんを目で追う中、少し離れた場所にあった高い建物の上にいる人影の手に止まるとスポットライトが当たる。

 

そこにいた人物は先程、城ごと倒れていたかに思えた遊奈だった。

 

『あれは榊選手だー!!』

 

「馬鹿な!?確かにダイレクトアタックは決まったはず!」

 

「この私が何の考えもなしに走り回っていたと思いますか!?」

 

手に止まったポッポちゃんを放ってPOONと紙吹雪に変えながら答える

 

『ギリギリでAカードをゲットしてやがったか」

 

『どうやら、Aカードの場所を把握した上で大刃禍是の攻撃を誘っていたようだな』

 

「A魔法(マジック)『大脱出』!バトルを強制終了する!」

 

「ぐぅぅ!」

 

『凄い!まるで脱出ショーだわ!』

 

『いいぞー!!ファントム!!』

 

沸く観衆にBow(ボウ) and(アンド) scrape(スクレープ)という名のお辞儀を返す。

 

「ふざけんなー!お前が客席沸かせてんじゃねぇよ!!」

 

「なら、君も同じようにお客様を楽しませて見せなよ!」

 

「くっ!だが、最後に歓声を受けるのは俺だ…!修験の妖社の効果発動!妖仙カウンターを3つ使い、デッキから妖仙獣を1体手札に加える。俺は鎌参太刀を手札に加えターンエンド」

 

妖仙カウンター6→3

 

「さて、貴方のモンスター達にはご退場願いましょうか!?」

 

「俺のターンの終わりに妖仙獣が手札に戻らなかった時、妖仙大旋風は破壊される。そしてPゾーンの右鎌神柱のスケールは元に戻る」

 

『沢渡選手のモンスター達!妖仙郷の目眩風の効果により手札ではなくデッキへ戻ります!』

 

Shingo

LP 100

手札 3枚(鎌参太刀、大幽谷響)

モンスター

 

魔法・罠カード

修験の妖社、妖仙鄉の目眩風

 

RPゾーン: 妖仙獣 左鎌神柱 PS[3]

LPゾーン: 妖仙獣 右鎌神柱 PS[5]

 

 

Yuna

LP 2500

手札 0枚

モンスター 

魔法・罠カード

伏せ0枚

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

 

「お互いフィールドが寂しくなっちゃったね」

 

「ハッ!次の俺のターンで直ぐに賑やかにしてやるさ。お前の敗北になるメインイベントでな!」

 

「生憎、私も負けるつもりは無い!私のターン!『EMシルバー・クロウ』を召喚!」

 

EMシルバー・クロウ ATK1800

 

「バトル!シルバー・クロウでダイレクトアタック!」

 

「きやがったな!ここは引けねぇ!ダイレクトアタック宣言時、手札から妖仙獣1体を墓地に送り、大幽谷響を特殊召喚出来る!妖仙カウンター点灯!」

 

大幽谷響 ATK?

 

妖仙カウンター3→4

 

「大幽谷響の攻撃力はバトルする相手モンスターの元々の攻撃力と同じになる」

 

大幽谷響ATK?→1800

 

「シルバー・クロウの効果!攻撃宣言時、自分フィールドのEMモンスターの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで300アップする!行け!シルバー・クロウ!」

 

シルバー・クロウATK1800→2100

 

「Aカード!『バリアー』!このターン、戦闘・効果ダメージを全て無効にする!更に破壊された大幽谷響の効果で鎌壱太刀を手札に加える」

 

「バトル終了と共にシルバー・クロウの攻撃力は元に戻る!」

 

シルバー・クロウ ATK2100→1800

 

『よし!ファントムも勢い出てきた!』

 

『このままペンデュラム召喚か!?』

 

 

「私はこれでターンエンド!」

 

 

Shingo

LP 100

手札 2枚(鎌参太刀、鎌壱太刀)

モンスター

 

魔法・罠カード

修験の妖社、妖仙鄉の目眩風

 

RPゾーン: 妖仙獣 左鎌神柱 PS[3]

LPゾーン: 妖仙獣 右鎌神柱 PS[5]

 

 

Yuna

LP 2500

手札 0枚

モンスター 

シルバー・クロウ(攻撃表示)

 

魔法・罠カード

伏せ0枚

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

 

 

『え?ペンデュラム無いの?』

 

『まあ、手札0だしね』

 

 

「OK!OK!安心しなー!ペンデュラムはこの俺が見事にかつ華麗に決めてやるぜ!俺のターン!」

 

『『『ペンデュラム!ペンデュラム!』』』

 

「行くぜ!俺がセッティングしているPSは3と5!よってレベル4のモンスターが召喚可能!ペンデュラム召喚!いでよ!風来る刃、鎌壱太刀、鎌参太刀。これは1回の召喚なので修験の妖社の妖仙カウンターの点灯は1つ」

 

妖仙カウンター4→5

 

「先ずは目障りなEMから消えてもらおうぜ!鎌壱太刀の効果!自分フィールドに鎌壱太刀以外の妖仙モンスターがいる時に1度、相手モンスター1体を、持ち主の手札に戻す!消えろ!シルバークロウ!」

 

《クルッポー!!》

 

こっそり飛ばしていたポッポちゃんがタイミング良くAカードをこちらにくれたのでそのまま発動する

 

「ナイスタイミング!ポッポちゃんありがとう!A魔法『透明』このターン、自分モンスター1体は相手の効果を受けない!」

 

シルバー・クロウが文字通り透明になりカマイタチを躱す。

しかしその後ろで道が崩されてしまった。

 

「またあの鳥か!?消えんじゃねぇ!!」

 

『榊選手、何とか堪えたが退路を断たれた!?』

 

「まだ手はあるんだよ!俺は鎌壱太刀と鎌参太刀をリリースし、大刃禍是をアドバンス召喚!妖仙カウンターは1つ点灯する」

 

大刃禍是 ATK3000

 

妖仙カウンター5→6

 

『来ましたー!大刃禍是です!』

 

「フフ…そうだよね。そう来るよね…!」

 

「何笑ってんだ。状況分かってんのか?」

 

「もちろん。だけど、観客が沸いてる」

 

「ああん?」

 

「私だけじゃない、君と私のやり取りが…先の読めないショーに、観客が沸いてるんだ。私は楽しくて仕方無い。このデュエルが!」

 

「俺も楽しくて仕方ねぇよ!これだけ大観衆の前でお前をぶっ潰せるんだからな!」

 

「沢渡…そう簡単には終わらせない!まだまだショーは盛り上がる!」

 

「いーや、今がクライマックスだ!行くぞ!バトルだ!大刃禍是でシルバー・クロウを攻撃!」

 

Yuna LP2500→1300

 

「破壊されたシルバー・クロウはエクストラに行く!」

 

『ほんといい勝負!』

 

「俺は修験の妖社の効果発動。妖仙カウンターを3つ使い、妖仙獣1枚を手札に加える。鎌弐太刀を加えてターンエンドだ。アドバンス召喚した大刃禍是はフィールドに残る」

 

修験の妖社 妖仙カウンター 6→3

 

Shingo

LP 100

手札 1枚(鎌弐太刀)

モンスター

大刃禍是(攻撃表示)

 

魔法・罠カード

修験の妖社、妖仙鄉の目眩風

 

RPゾーン: 妖仙獣 左鎌神柱 PS[3]

LPゾーン: 妖仙獣 右鎌神柱 PS[5]

 

Yuna

LP 1300

手札 0枚

モンスター 

 

魔法・罠カード

伏せ0枚

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

『今度は出るか!?ファントムのペンデュラム!』

 

観衆のペンデュラムコールが鳴り響く

 

「来いよ、エンタメデュエリスト」

 

「?」

 

「沸いてるんだよ。今こそ俺達のデュエルに会場が!期待してんだよ!観客が!」

 

「沢渡…」

 

「お前のターンだ!見事答えて見せろ!」

 

「ええ…答えて見せましょう。Ladies(レディース) and(アンド) Gentleman(ジェントルメン)!? Boys(ボーイズ) and(アンド) Girls(ガールズ)!ご覧の通り、私のフィールドにはモンスターは疎か、伏せカードもありません!次のドローがこのステージの全てをかけたディスティニードローとなります!見事引き込めましたら御喝采!!」

 

会場が固唾を呑みながら私はカードを引く

 

「ドロー!…来た。只今より世にも不思議なマジックをお目にかけましょう!」

 

「!」

 

「このカードは自分フィールドにカードがなく、手札がこれ1枚の時、発動出来る!魔法カード『マジシャンズ・カード』!相手フィールドのカードと同じ枚数のカードをドローし、そのカードを公開します!現在、Mr.沢渡のフィールドにあるカードは5枚!よって私は5枚をドロー!」

 

Yuna 手札0→5

 

「私がドローしたのは『EMドラミング・コング』、『EMトランプ・ウィッチ』、『EMコール』、『オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン』、そして『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』!」

 

『ファントムをドローしたわ!』

 

『『『行っけー!遊奈姉ちゃん!』』』

 

Here(ヒア) we(ウィー) go(ゴー)!! It's(イッツ) a() show(ショウ) time(タイム)!!俺はペンデュラムスケールをセッティング!俺はレフトペンデュラム・ゾーンに『EMトランプ・ウィッチ』をセット!そしてライトペンデュラム・ゾーンに『オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン』をセッティング!」

 

RPゾーン:EMトランプ・ウィッチ PS[4]

LPゾーン:オッドアイズ・ミラージュ ・ドラゴン PS [8]

 

『来るぞー!榊選手の元祖ペンデュラム召喚!いったいどんなショーを見せてくれるのかー!!』

 

「これでレベル5から7のモンスターを同時に召喚可能!揺れろ、運命の振り子!!永久に続く時を刻み未来と過去を行き交え!!先ずは『EMドラミング・コング』!そして時空を司る幻影の竜よ!今時空の狭間より現れよ!!『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』!」

 

ドラミング・コング ATK1600

ファントム・ドラゴン ATK2500

 

『両選手共にエースモンスターを従えて今!対峙する!』

 

「さあ!決着の時だ!」

 

「ええ!バトルだ!ファントムで大刃禍是を攻撃!」

 

「は!攻撃力が足りてねぇぞ!」

 

「ドラミング・コングの効果発動!モンスター1体がバトルする時、攻撃力をバトル終了時まで600ポイントアップする!」

 

ファントム ATK2500→3100

 

「させねぇ!A魔法『籠城』!バトルダメージを0にする!更に左鎌神柱の効果!妖仙獣が破壊される時、代わりにこのカードを破壊する!」

 

『おおっと!沢渡選手!エースモンスターの破壊を防ぐだけでなくダメージも回避した!』

 

『なんかすげー興奮してきた!』

『もう俺、どっちが勝ってもいい!』

『2人共勝たせたい!』

『そうだ!2人共頑張れー!』

 

「楽しもうじゃねえか!」

 

「ええ!お楽しみはこれからだ!EMトランプ・ウィッチのP効果発動!1ターンに1度、バトル中に自分フィールドのモンスターで、融合召喚出来る!」

 

「何!?」

 

『融合召喚!?融合カードも無いのに!?』

『しかもバトルフェイズに!?』

『そんなの有り!?』

 

脳裏に過ぎる新たな竜の姿。

 

「二色の眼の竜よ!今獣の力を瞳に宿し、新たな力を生み出さん!融合召喚!いでよ!野獣の眼光りし獰猛なる竜!『ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!」

 

ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK3000

 

『同じ3000の攻撃力を持つモンスターが激突!』

 

「バトルだ!ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴンで、大刃禍是を、攻撃!」

 

沢渡も走り出し、私もビーストアイズから飛び上がる。

沢渡の目的は私と同じだろう。

 

瓦が崩れてAカードが2枚現れる

 

『2人の狙いはAカードだ!』

 

陣風と、光線がお互いのモンスターを破壊する煙の中、Aカードを互いに1枚ずつ取る。

 

「A魔法『大火筒』発動!このカードはバトルで破壊されたモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手プレイヤーに与える!」

 

発射された火の玉が私の所まで来るが、その前に弾かれて空へ舞い上がる。それは綺麗な打ち上げ花火となって夜空に咲き誇る

 

『榊選手、ダメージとなる炎を花火へと変えてしまいました!これぞ、まさにエンターテインメント!』

 

「A魔法『奇跡』でビーストアイズの破壊を無効にしたから、君の効果は無効になったのさ!」

 

「貴様ー!派手すぎだ!」

 

「ここで、ビーストアイズの効果発動!バトルでモンスターを破壊した時、融合素材にした獣族モンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える!ドラミング・コングの攻撃力は1600!さあ!フィナーレです!」

 

「ぐわあああ!!」

 

Shingo LP100→-1500 LOSE

 

WINNER Yuna

 

 

『決まりましたー!第2試合勝者は榊遊奈選手!!』

 

『『『『いーやった!』』』』

 

「ガッチャ!楽しいデュエルだったよ!沢渡」

 

「フン…」

 

尻もちを着いていた沢渡に声をかけると少し悔しそうな顔をしながら立ち上がる

 

周りからは盛大な拍手とお疲れ様のコールが響き渡る。

 

「盛り上がったね」

 

「フ…そうだな」

 

沢渡と目を合わせると一緒におじきをする。

 

「またいつでも相手になってやる」

 

「うん!楽しみにしてるね!」

 

不敵に笑う沢渡に負けじとニッと笑いながら返すと、まだ沸いている観客に向かって手を振った。

 

 

──────────────────────

 

-Side零羅

 

「沢渡のペンデュラムカードは回収しろ。分析し量産化を急げ」

 

「分かりました」

 

「……」

 

「行ってきたらどうかな…?」

 

何処か考え事をしてる兄さんに勇気を出して話を切り出す。兄さんがそういう顔する時はだいたい遊奈姉さんの事だって最近気づくようになったからだ。

 

「零羅?」

 

「遊奈姉さんの所。…直接言葉にしないと伝わらない事もあると思うから…」

 

「…そうだな。中島、少し抜ける。しばらく任せた」

 

「分かりました。休憩だと思ってゆっくりして行ってください」

 

「中島…何かあれば連絡頼む」

 

「あ、兄さん!僕からも遊奈姉さん、2回戦進出おめでとうって」

 

「分かった。伝えよう」

 

そのまま解析室から出ていく兄さんを見送る

 

「フフ…社長も零羅様も変わられましたね。榊様には感謝しているんです」

 

「うん…。遊奈姉さんと兄さんがいなければ僕はずっと怯えて流されるだけになっていたと思うんだ…でも…」

 

「…理事長ですか…。きっとあの方もいつか、分かって下さると思います」

 

「うん…」

 

兄さんと遊奈姉さんがお付き合いを始めてるのを知ってるのは僕と中島しかいないけど、いつかお母様にも認められて欲しい。

 

その為なら僕は…まだまだ怖いけど…お母様に…きっと…

 

両手に抱えたぬいぐるみをギュッとしながらそう考える。

今、小さな殻にヒビが入った瞬間だった。

 



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第29話 侵略される未来都市

軽ーく毎日投稿。
筆が乗るばどんどん書けるのになぁ(尚文才はお察し…)


 

「遊奈」

 

第二試合が終わってしばらく控え室のソファで休憩を取っていると零児に声をかけられる。立ち上がろうとするとそのままでいいと言われたので身長差もあってかなり見上げる感じになる。

 

「あれ?どうしたの?てっきり解析室にいるかと思ってたのに」

 

「ああ、先程までいたのだが、遊奈姉さんの所へ行ってきたらと零羅に言われてしまってな…遊奈お疲れ様、素晴らしいデュエルだった。それと零羅が2回戦進出おめでとうと言っていた」

 

「零羅君がそんな事を…!嬉しいな…2人共ありがとう」

 

「…ところで大丈夫だったか?」

 

「ん?あーもしかして見てた…?」

 

思い当たる節が、私の試合前にあった事だろうと納得する。

 

「まあ…最初から権現坂と同じ塾生じゃないのは何となく予想着いてたんだけど、アイツらが持っていったのが本物の権現坂の襷だったからさ……そんな睨まないでよ。これでも喧嘩とかならそこそこ強いんだよ?」

 

「…君は分かっていない。君が強いのは理解しているし、守られるだけの女性じゃないのも分かっている。私が言いたいのは何でも1人で解決しようとする事だ。君には頼りになる兄や仲間…私もいる。それとも、我々は君にとって頼りにならない、足でまといと思っているのか?」

 

零児の言葉にハッとなり顔を上げると首を横に振り否定する

 

「違う!違うんだ零児…」

 

「違わない。頼らないと言うのは足でまといと見てるのと同義だ」

 

「……ごめん。ただ、巻き込みたくなかったんだ…。遊馬達だって試合前だったし…いや…ただの言い訳だね…」

 

零児の顔を見ていられなくて俯きながら自嘲するしかない。

零児の言う通りだ。私は昔から何も変わっていない…

 

そんな自己嫌悪をしているとフード越しの頭にポンと軽い衝撃が来る。

いつの間にか見上げていた顔は自分より低い位置にある。

 

「…すまない。君を追い詰める気はなかった。ただ、分かって欲しかったんだ。頼られないと言うのは結構寂しい事なんだということを」

 

「零児…分かったよ。今度からは頼るようにする」

 

「ああ、そうしてくれ。君は1人ではないのだからな」

 

「うん…ありがとう零児。心配してくれて」

 

少し不安気な顔をしている零児に大丈夫だと言うように頭部を抱き抱えるように顔を埋めると零児の肩から力が抜けてそっと腰に腕を回される。

 

「あのさ、昨日の決意表明が終わった時、真っ先に拍手してくれたのは零児でしょ?」

 

「よく分かったな」

 

「五感は普通の人より鋭いからね。…あの時、凄い不安だったんだ。でも零児が直ぐに拍手してくれて、みんなも同じ様に拍手してくれて…、私の事を変わらず応援してくれるって言ってくれる人達もいてさ…。私、エンタメデュエルを続けてきて良かったなって…父じゃなく私自身を見てくれて嬉しかったんだ」

 

「…そうか。私は君の勇気と決意にそうしたまでだったのだがな」

 

「零児の人に流されずに自分の意見や行動が出来る所、凄く尊敬してる。そういう零児を見て勇気を貰った人も多いんじゃない?」

 

私もその1人だしとフフっと笑いながら話すと耳がうっすらと赤くなっているのが目に入る。

 

「零児?」

 

「…私も、君の相手のいい所も悪い所も認めて受け入れる所は尊敬してる」

 

「れ、零児…」

 

顔を上げた零児はおでこを私のおでこにコツンと当ててそう言って来る。至近距離で告げられドキドキしてしまう。

 

「遊奈…」

 

「……」

 

零児が言いたい事の意味を捉え、返事の代わりに眼を閉じる。

暗闇になるが恐怖はなく、胸の高鳴りだけを感じた。少しして唇に柔らかい物が触れる。

 

「…っ」

 

「……!」

 

初めて幸福を感じたキスに感じ入る暇もなく、直ぐに離れようとする熱を感じて思わず襟首のマフラーを引き寄せ、私からキスを仕掛ける。それに驚いた様な気配を感じたが直ぐに持ち直すと私のキスに答えてくれる。しばらく啄むようなキスを繰り返すと名残惜しそうに唇を離した。お互いに息が乱れている。

 

 

「っ…今日はここまでにしよう。これ以上したら自分を抑えられそうにない…」

 

「はぁ…はぁ…」

 

少し残念に思いながらもこくりと頷く。大事にしたいという零児の思いを知っていたし、次の試合の時間も迫ってきていたからだ。

 

そんな私の気持ちを汲んでくれたのか、おでこに触れるだけのキスをされる。

 

「そんな顔するな。今は難しいが大会が終われば時間を取る」

 

「うん…。そういえば零児、前私が言ったこと覚えてる?」

 

「…君が前世で観たこの世界を元にしたアニメの事か…」

 

肯定するように頷く。零児には大会前にペンデュラムカード開発も兼ねて私の前世の事を話してある。

 

「…これを」

 

「これは?」

 

とあるカードを零児に手渡す。それは今零児と共に小型化を目指しているプログラムだった。

 

「…まだ試作段階だから1回しか使えないけど…」

 

零児にしか聞こえないように用途を伝える。それに驚いた後、納得したように頷くとカードをしまう。

 

「それと第三試合の件、大丈夫?」

 

「ああ、時間と場所を制限して、時間外は会場近くのホテルを参加人数分確保している。観客には避難も兼ねてシェルターにもなってる会場に待機、その他の住民にも初めての試みとして、年に一度の大会記念と称して大会を中継するモニターを設置した各地会場に集まって貰う手筈になっている」

 

ああ…そういえば、数日後に舞網市全体で大会記念日として学校、会社全てが休みになっていたはずだ。

 

「だいぶ大掛かりになっちゃうけど大丈夫?」

 

「少し、出費が痛いが人の命には変えられないからな。大会中継を見れば最悪理由も察するだろう。それに当時の会場やシェルターは君と私が開発しているこのプログラムの大型を使えば大きな侵入は防げるだろう」

 

「うん。私も中から隼君や遊馬と共に、会場に紛れてる敵を捕らえるのを優先するよ。だから、外の敵と柚子達は零児達に任せる」

 

「ああ、任された。ではそろそろ私は戻ろう。遊奈…」

 

「今夜の事なら大丈夫。この件に関しては零児は見守って欲しい」

 

「…分かった。だが異変を感じたら直ぐに援軍を向かわせるからな」

 

「うん」

 

ため息を吐きながら渋々そういう零児に少し申し訳なく思いながらも頷き、零児と別れる

 

──────────────────────

 

第三試合が終わる。勝ったのはダブルアップチャンスとホープのコンボでトドメを指した遊馬だった。続いては第四試合、素良VS黒咲。

 

ニコさんの進行で進められる中、事件が起こる。それはアクションデュエルのフィールド魔法選択の時だった。

選ばれたのはフィールド魔法『未来都市ハートランド』。それに私を含めエクシーズ次元のメンバーが息を飲む。

 

「あの社長…後で覚えてやがれ…」

 

「『……』」

 

零が零児に向かってそう呟く。遊斗と隼はかつてのハートランドを思い出してるのかただ、前を睨みつけてる。

 

「…なあ、遊奈」

 

「ん?」

 

そんな中、隣にいた遊馬が私に内緒話するように話しかける

 

「…零児はなんであんな事したんだ?」

 

「…多分だけど、隼君の闘志を付けたかったんじゃないかな?」

 

《…随分と意地悪な事をするのだな》

 

「まあ、私もちょっと意地悪かなって思うけど、零児は隼君の実力も見たいんだと思うんだよね。それは遊馬にも言えるよ」

 

「《?》」

 

同じタイミングで首を傾げるアストラルと遊馬に懐かしく思いながらも先程の試合を振り返りながら話す

 

「さっきの遊馬と北斗君の試合でもアクションフィールドは北斗君が得意な『聖域コスモ・サンクチュアリ』だったからね。その時点で、零児は遊馬を試してるんだなって思ったよ」

 

《なるほど…。確かに一理あるな。私も味方の実力は知りたいと思う。零児と同じ立場なら似たような事をするだろうな》

 

「ふーん。そういうもん?」

 

「まあ、実力は認めてると思うよ。ただ、確認する時間が今回なかったからさ。こういう形になったんだと思うよ。味方の動きとかどんな事を考えてるか分かれば何かあった時に対処しやすくなるしさ。タッグ組んだ時に、親しい人とそうじゃない人とだとだいぶ動きが変わるでしょ?」

 

「ああ!確かにな!そういう事なら分かったぜ」

 

遊馬に分かりやすくデュエルに例えながら説明するとようやく納得したように頷いてくれた。

 

《うん…遊馬に説明する時はデュエルを絡ませれば大抵何とかなるのは相変わらずだねw》

 

ファントムの言葉に同意しながらも試合を見ると話しがだいぶ進んでいるようだった。

 

どうやら私が遊馬に説明している間に、隼君がエクシーズ次元で起こったことを簡潔に話していたようだった。そのまま試合が進む。

 

『少しは狩られる者の気持ちが分かったか?貴様達はいつも笑いながら俺の仲間達を襲い続けた。だが最早、俺達は無抵抗で倒される獲物ではない』

 

「「「「……」」」」

 

「ねぇ、遊奈…素良達が襲ったってどういう事…?」

 

零だけでなく遊斗、遊馬、ヨハンまで深刻そうな顔をして試合を見続ける雰囲気に柚子が耐えきれなくなって不安気に私に尋ねてくる

 

「…今はまだ説明が難しいかな。でも隼君が言ってきたことはこの次元とは違う場所で実際に彼らが経験した事っていうのは理解して欲しい。…この話は君にも関係がある話だから」

 

「私にも関係がある…?」

 

「うん。だから柚子、今はこの戦いを見届けて欲しい」

 

「……分かったわ」

 

柚子は不安そうな表情を浮かべながらも頷くと素良達のデュエルに集中するように前を向く。それに習い私も素良達の会話に耳を傾ける

 

───────────────────────

 

ーSide/素良

 

 

「はぁ?余裕が無い?冗談言うなよ。こんなデュエル、キャンディ舐めながらでも僕には出来る」

 

そう言いながらピンクのぺろぺろキャンディを取り出すと一気に噛じる。

 

……おかしい…いつもより美味しくない…。

 

いつも好んで食べている美味しいやつなのに、不味い…何でだ?

 

内心焦りながらも、顔はニヤッと嘲笑うのを止めない。

 

「遊びさ。本気でやる訳ないじゃん!」

 

これなら遊奈が作ってくれた料理の方が…っ!

 

 

『素良ってさ、甘味以外、あまり感じることが出来ないんじゃない?』

 

『んー。経験…かな?私も昔、味覚障害起こしてたことあってね…』

 

『三大欲求の一つである食事が美味しく食べれないのは結構来るものがあるのも知ってる…。だからちょっと素良の事が心配になってさ。知り合いに料理研究家がいて、前から相談していたんだ。お菓子やジャムなんかだと砂糖の摂りすぎで身体に悪いから、自然な甘さで料理が食べれないかなって。口に合ったなら良かった』

 

「…どうして…」

 

『ん?だって素良は私の友達だから』

 

友達を助けるのは当然のことでしょ?

 

一一っなんで!なんであの時の記憶が!遊奈の笑顔がチラつく!?

 

「…僕の仲間だってそう…みんな遊びで君達を狩ってるんだ!だって君達は、僕らにとってハンティングゲームの獲物なんだか…ら…」

 

 

『素良、デュエルは楽しいか?』

 

「何さ藪から棒に…」

 

『だってよ、お前のデュエルを見てると、なんかこう…胸がモヤッとするって言うか、辛そうにデュエルをしてる時があるからさ』

 

「!?」

 

『うん。確かに遊奈の言う通り、俺にもお前が本当に悪い奴には見えねぇわ』

 

「そ、それってどういう…」

 

『だからさ、この大会で素良と戦う事になって、俺が勝ったらさ…素良が抱えてるモノ話してくれよ』

 

一一そんでもって、ちゃんと友達になろうぜ?

 

一一五月蝿い

 

「お前の言葉が真実なんだとしても、遊奈は化け物なんかじゃない…!」

 

一一違うこんなの僕なんかじゃない!

 

『ありがとう…2人とも。化け物じゃなくて、私自身を見てくれて、嬉しかった…』

 

『うん。だから2人は逃げて』

 

『大丈夫。私も脱出、出来るよう頑張るから』

 

一一良かった。素良達が無事で

 

一一っ

 

「僕のターンドロー!!」

 

思い出を振り払う様に僕はカードを引いた

 

───────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

素良が召喚したマッド・キマイラの効果で隼君のブレイズ・ファルコンが奪われる

 

因みにマッド・キマイラの効果は以下の通り

 

【デストーイ・マッド・キマイラ】

融合/効果モンスター(オリジナル効果)

星8 闇属性 悪魔族 攻2800 守2000

「デストーイ」融合モンスター+「ファーニマル」モンスターまたは「エッジインプ」モンスター1体以上

(1):このカードが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。

(2):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時に発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。

(3):このカードの攻撃力は、元々の持ち主が相手となる自分フィールドのモンスターの数×1000アップする。

(4):モンスター3体以上を素材として融合召喚したこのカードは戦闘・効果では破壊されない。

 

あれれ?素材軽くなってるし強化されてるぞ?

 

『これで君のモンスターも僕の物になっちゃった。分かっただろう?君に僕は狩れない。狩られるのは常に君達だ!これからもずっとね!』

 

「素良…」

 

何処か無理をしてるように笑う素良を見て胸を痛める。

なんで、私と歳が1つしか変わらない素良やもっと幼い子ども達が自分の心を歪ましてまで、こんな悲しいだけのデュエルをしないと行けないのだろうか…

 

『せめて最後は自分のモンスターの手にかかって終わらせてあげるよ。ブレイズ・ファルコンのダイレクトアタックで1000ポイントのダメージを与えれば、残りLP400の君は…』

 

『笑止』

 

『何!?』

 

『俺達レジスタンスは常に最悪の事態を想定しながら戦ってきた。共に戦ってきた仲間を、敵に連れ去られる事も考えながら』

 

「!?」

 

『例え奪われたとしても俺達は決して見捨てない。仲間は必ず奪い返す!』

 

『!?』

 

そこからは早かった。伏せていた『RAM-レヴォリューション・フォース』を発動し、奪われたブレイズ・ファルコンを取り戻し、ランクアップエクシーズチェンジで『RR-レヴォリューション・ファルコン』を召喚するとその効果でキマイラを破壊し、キマイラの攻撃力の半分のダメージを受け、勝者は黒咲になった。

 

「素良!」

 

いくらリアル・ソリットビジョンだとはいえ、崩れた建物の下敷きになればひとたまりもない。

 

素良はそのまま救急車に運ばれ、病院で治療を受けている。

 

幸い、瓦礫が素良を潰す前にリアル・ソリットビジョンが消えた為、大事には至らなかったようだ。

 

しばらくして解散になる、修造おじさんとヨハンは子ども達を返す為に帰り、この場には権現坂、柚子、私だけだ。遊斗達は先に帰ったみたいだが…

 

恐らく、遊斗は素良の病室に戻ってるよね…

 

「…ねぇ遊奈。あの黒咲って奴、LDSを狙っていたのは誤解だったって言ってたよね。その誤解って何だったの?」

 

「何!?誤解だったとはいえ何故LDSを襲った奴がLDSに所属しているのだ?」

 

「……LDS…正確には零児を含むごく1部の選ばれたデュエリストと遊斗達の敵が同じだったんだよ」

 

「1部の選ばれたデュエリスト…まさか!それに遊奈も!」

 

「Yes。敵の敵は味方。遊斗達レジスタンスは零児達と協力関係になったんだ」

 

「ならどうして素良にあんな敵意を向けていたのだ?」

 

「…素良が何処から来たか二人は聞いてる?」

 

「いや…」

 

「いいえ…」

 

「…素良はこの世界とは違う別の次元から来た敵だ」

 

「違う次元…!?冗談…じゃないのよね?」

 

「素良が敵とはどういう意味だ?」

 

「…順を追って話すよ。この世界は4つの次元が重なり合うように存在しているんだ。俺達がいるこの世界がスタンダード次元と呼ばれている。そして、それぞれのエクストラを使った召喚法が各自発達した世界の為、他の3つの次元は、シンクロ召喚が発達したシンクロ次元。エクシーズが発達したエクシーズ次元。そして敵がいる、融合が発達した融合次元に別れてる。素良は融合次元から来た存在だ。そして、遊馬、零、隼君もエクシーズ次元の人間だよ」

 

「4つの次元…なら遊斗は!?」

 

「遊斗は正真正銘スタンダード出身だよ。ただ、父さんが行方不明になった時、遊斗はエクシーズ次元に飛ばされていたんだ」

 

「…それならもしかすると遊斗以外のお前の家族は他の次元にいる可能性があるというのか?」

 

「うん。おそらくだけど」

 

「なるほどな…その話が本当なら何故融合次元の連中は敵対する事になったのだ?」

 

「融合次元にあるアカデミアと呼ばれる組織が、エクシーズ次元を襲ったんだよ。文字通り侵略さ」

 

「「!?」」

 

「遊斗達は攫われた隼君の妹を探してこの次元に来た。そして私とヨハンお父さんも大切な人をアカデミアに攫われてる」

 

「黒咲の妹さん…それに遊奈とヨハンさんの大切な人…?」

 

「…ヨハンお父さんの妻で、私にとってもお母さんと言える人だよ。私に生きる希望をくれた人だ」

 

 

───────────────────────

 

ーSide/???

 

「おはようございます。…我らが覇王様」

 

「…その呼び方やめろ」

 

「えへ!すみません十代さん」

 

そういう紫の髪の少女が茶目っ気たっぷりに謝るのを見てため息を吐いて許す。いつもの事だからだ。

 

「それで?俺はいい加減この場所から出たいんだけど」

 

ヨハンも心配だし…

 

そう心の中で呟くと思い出すのは自分の最愛の夫や、昔亡くなった我が子達である

 

《僕がいるじゃないか》

 

ムスッとしたような声が内から聞こえてきて内心苦笑いを返す。

 

「ダメですよ。十代さんはプロフェッサーからこの部屋を出ちゃいけないと命令されてますから」

 

「…はぁ」

 

少女の変わらない言葉にため息を吐きながら部屋を見渡す。1人で過ごすには広いが何処か寒々しさを感じる部屋だ。実際、十代は何ヶ月もずっとこの部屋に監禁されている。

 

この部屋を訪れるのは目の前にいる自分の世話係である紫頭の少女と内緒で訪れているらしいツインテールの少女、そして俺を攫った奴らの親玉であるプロフェッサーぐらいだった。

 

自力で脱出しようともしたが、この部屋を出る事すらままならなかった。何故なら、精霊の力を封じられていたからだ。自分の半身であるユベルの声は聞こえるし元気そうだが、ユベルの力を使う事が出来ない。扉も色々と特殊で無理だった。

 

プロフェッサーやアカデミアはきな臭いが、世話係である少女ともう1人の少女は何だかんだと気に入っていて色々と話す中であった。

 

色々と朝食を並べながら話をしていると少女はこれから任務があるからと部屋を出ようとする

 

「なぁ、お前は何のためにデュエルをするんだ?」

 

「……何のためなんでしょうかね。僕も分かりません」

 

そう悲しそうな顔をしながら少女が部屋を出ていき、十代だけの時間が戻る。

 

《…ほっとけないのかい?》

 

そりゃあな。あいつの表情を見てると長女を思い出す。

似ているんだ。ただただ言われた通りに動く人形みたいだったあの子に…

それに、ユベルだって気づいてんだろ?

 

《ああ、悪趣味な事をする》

 

反吐が出る様な態度を取るユベルと同じ思いになりながらも、料理に罪はないと思い直し、とりあえずは、少女達の無事を祈ることにして少女が持って来てくれた朝食を食べる事にした。

 




前半書いてて恥ずかしくなってました。
いやぁエロかける人、ある意味尊敬します()
そしてやっと十代出せたよ。赤遊要素もいい感じに出せたので中々満足。


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第30話 アカデミアとレジスタンス

やっと30話まで来ました
長かったなぁ…


 

-Side遊奈

 

「…そうだったのね。遊奈はじゃあその人を助ける為に赤馬社長と?」

 

「うん。でも、それだけじゃない。アカデミアは時期に他の次元にも侵略戦争を仕掛けてくる。私は時空の魔女としてそれを阻止しないといけない」

 

「時空の魔女?」

 

「時空のバランスを保つモノ…それが精霊としての私とファントムの役目」

 

「「!」」

 

驚いた表情で固まる二人に苦笑いを返す。権現坂にも私の事は話してあるけど流石に受け入れ難いかな

 

「…そうか。そういう事なら男、権現坂。友の為に戦場に一緒に赴こう!」

 

「わ、私も!親友が戦場に行くなんて聞いて黙って居られないわ!」

 

「二人共…本当に分かっているの?私が行く道は本当に人の命をかけた戦だ。しかもほぼほぼ負け戦に近い。それでも来るの?」

 

二人に殺気をぶつけて脅しを賭ける。この程度で音を上げるなら到底アカデミアには勝てない。

 

「っ…俺達が力不足なのは分かっている…!だからこそ更に昇進し、友であるお前を助けたい!」

 

「…遊奈は私をいつも助けてくれた!本当は遊奈の方が辛かったはずなのに!もう親友に守られる事しか出来ない私で居たくない!」

 

「権現坂…柚子…分かった。これから大事な話をする。特に柚子、この話は君も関係あるんだ」

 

2人の覚悟を受け取り、殺気を止め、笑いかける。

 

「素良とのデュエルでも言ってたわね。話して」

 

柚子の言葉に頷く権現坂に、アカデミアのボスの話、そしてアカデミアが柚子に似た少女を捕らえてる話をする

 

「実は隼君の妹さん…瑠璃って言うんだけど、遊斗達に聞いた話だと柚子にそっくりなんだって」

 

「だからあの時、黒咲は私を瑠璃って…。でも私、遊奈みたいに双子だったりしないわよ?」

 

「まあ、世界には自分に似た顔が3人はいるって言われるくらいだし4人いても大丈夫じゃない?」

 

「4人?どういう意味だ?」

 

「…これは私の想像だから鵜呑みにはしないで欲しいんだけど、私の兄妹は各次元にいるかもって話をしたでしょ?同じ顔が4人。更に柚子にそっくりな子がエクシーズ次元にいたとなるとこれって偶然なのかなって」

 

「まさか、柚子と同じ顔の奴がそれぞれの次元にいると言うのか?」

 

「可能性の話さ。でも、確信している。アイツらの目的は柚子達だ」

 

「そ、そんな…」

 

私の言葉に顔面蒼白になる柚子を労わるように手を握る。

 

「柚子、急に言われて怖いのも確信が持てないのも理解してるよ。でも柚子には警戒していて欲しかったんだ」

 

「……うん。信じるよ遊奈の言った事。私はどうしたらいい?」

 

「先ずは力を付けることなんだけど、必ず1人にはならないで欲しい、出来れば事情を知ってる遊斗、遊馬、零、お父さんのいずれかと一緒に行動をとる事。大会中は特にだ」

 

「分かったわ。でも誰にデュエルを教われば…」

 

「同じく…」

 

「…しばらく二人うちに来る?そうすれば対戦相手も困らないだろうし、護衛にもなる」

 

「い、いいの?」

 

「うん。隼君は基本零児と一緒に行動してるみたいだからうちには帰ってこないけど、2人を泊めるくらいなら問題ないよ。事情も事情だしね。柚子の融合に関してはお父さんに頼んでみる。権現坂のシンクロは私が一番詳しいからみっちり鍛えるよ。」

 

「分かったわ」

 

「よろしく頼む」

 

話が一段落着いた所で病院内が騒がしくなる

 

『どこに行った!』

 

『向こう探します!』

 

「ん?なんの騒ぎだ?」

 

『もう外に出てしまったのかもしれん』

 

『直ぐ本社に連絡を!紫雲院素良が逃げ出したと!』

 

「「!?」」

 

やはり遊斗は素良と…

 

「……お父さんとヨハンさんも直ぐに駆けつけるって」

 

柚子が直ぐにおじさん達に連絡を取ってくれる。

 

「それじゃあみんな手分けして探そう」

 

「いや、柚子と権現坂は一応、一緒に行動を取ってほしい。私は中央公園の方に行くよ」

 

「分かった。なら、俺達はあっちの方を」

 

「分かったわ」

 

───────────────────────

 

 

中央公園に着く頃には遊斗と素良は既にデュエルを開始し、素良のシザーベアーが遊斗のダリベに破壊され、素良がぶっ飛ばされてる所だった。

 

「素良!遊斗兄も何やってんのさ!」

 

「うるさい!遊奈には関係ない!」

 

「関係あるよ!素良がアカデミアの戦士だって事も、遊斗兄達がエクシーズ次元のレジスタンスだって事も私は知っている!遊斗兄もなんで今、瀕死の素良と戦う必要があるの!?」

 

「遊奈…お前は敵である素良を心配していたな。だが、もう我慢の限界だ。遊奈、この際はっきり言う、敵に情けをかければお前が死ぬ!俺はそういう奴らを何人も見た!」

 

「情なんかじゃない。素良は確かにアカデミアの戦士だ。でも、それはそうせざる負えなかったから…心が歪んでしまったせいだ!私は素良を信じたい!」

 

「遊奈…なんで…?最初から知ってたんでしょ?なんで僕を庇うの!なんで自分の兄と敵対までして僕を信じるの!?」

 

「あの時、私を庇ってくれて守ろうとしてくれたのは君の本心だって感じたから…。だから、素良をカード化すると言うなら…私は兄さんと戦う!」

 

素良を背に庇い公園のステージにいる遊斗にディスクを構える

 

「……甘いな。そいつを今見逃してどうなる?またそいつは俺達の敵として立ちはだかるだけだ!」

 

「…なら、アカデミアの戦士全てをカード化すればいいってこと!?そんなの、憎しみが憎しみを産むだけだ!融合次元の人達だって家族が!大切な人がいる!」

 

「なら、なぜ奴らは同じ人間である俺達をゲーム感覚で襲ってきた!」

 

「分かってる!私だって許せない。だけど憎しみの連鎖は断ち切らないといけない!だから私は私のエンタメデュエルで憎しみの連鎖を断ち切って、この戦争を終わらせてみせる!」

 

「「!?」」

 

遊斗の憎しみは暗く深い、少しでも私の気持ちと覚悟が伝わるように遊斗の目を見つめ続ける

 

「…本当は人を殺したくなかった。でもそうしないと記憶を書き換えられてしまうからそうせざる負えなかった…。アカデミアに入ったのも義務付けられていたからなんだ…」

 

「!」

 

「素良…」

 

素良が俯きながらアカデミアの事を話し始める。そんな悲痛そうな素良を見て思わず名前を呼ぶ

 

「普通の学校って世間ではいわれてたのに、仲間同士で競って、時にはクラスメイトをカード化しなくてはならなかった…。アカデミアには弱者はいらないから…。そうしていくうち、甘いもの以外何も感じなくなった…。侵略するのが楽しくなっていた。そう思わないと心が壊れてしまうから……ねぇ遊奈?」

 

素良のディスクが光り始める。恐らく強制送還されるのだろう。素良と同じ目線になる様にしゃがむ

 

「こんな僕の事…信じてくれる?」

 

「当たり前だよ。素良は私の友達だもん」

 

にっこり笑う私に安心したように目を閉じると素良は光に包まれて消えてしまった。

 

「……人はそう簡単には変わらない。でも、奴は改心したんだな」

 

ステージから降りて私の傍に来た遊斗。もうデュエルディスクは構えてはなく、何処か憑き物が取れたような顔をしている。

 

「俺はしばらく忘れていたみたいだ。本来のデュエルを…。遊奈、甘くはないぞ」

 

「分かってる。お兄ちゃんは心配性だね」

 

「兄が妹を心配するのは当たり前だ」

 

「ありがと遊斗」

 

とりあえず一難去ったかなって思っていると公園内に眩い光が現れ、当たりを照らす。咄嗟に遊斗が私を庇う。

光が止むと中から白いバイクに乗った白いライダースーツの人物が現れる。

 

「な、何!?」

 

「……」

 

「いっちっち…たく!なんでこんなものが突っ立ってんだ!?」

 

白バイの男はどうやら近くにあった街灯(監視カメラ)をへし折ったらしい

 

「え…?そのバイク…まさかDホイール?」

 

「!おいお前!Dホイールを知ってるって事はここはシンクロ次元か!?」

 

「い、いや、ここはスタンダード次元の舞網だよ。私個人がDホイールを知っていただけで…」

 

「舞網!?ここは舞網市なのか!?ってあー!!」

 

「「!?」」

 

いきなり人の事指さして叫ぶって失礼過ぎない?

遊斗もびっくりしてるし…

 

「お前達、遊斗と遊奈か!?俺だよお前らの兄ちゃんの遊吾だ!」

 

そうヘルメットを取って出てきた顔は正真正銘、私達の4つ子の兄って言うか長男の遊吾だった

 

「遊吾兄!?え!?嘘!久しぶり!」

 

「久しぶりだな!遊奈!見ねぇうちにべっぴんさんになったんじゃねぇか?」

 

「も、もう!遊吾兄はいちいち親父臭いよ!」

 

「待て…落ち着け遊奈」

 

遊吾の傍に行こうとしたら遊斗に手を引かれて戻される。

 

「遊斗兄?」

 

「あ?なんだよ遊斗。久々に会ったって言うのに」

 

「遊吾に聞きたい。俺の仲間からお前が融合の手先になったと聞いた。それと、遊里と結託して柚子に似た少女…瑠璃をエクシーズ次元から攫ったと。本当か?」

 

「はあ!?なんだよそれ!てか俺の名前は遊吾だって言ったらアイツら勝手に融合融合って言いやがっただけだぞ!そもそも遊里とは会ってすらいねぇし、俺だってリンを探していたんだ!」

 

遊吾の言葉に遊斗と共にキョトンとすると2人して同じタイミングで吹き出す

 

「待って…!遊吾だからって融合って…っ!」

 

「……っ!」

 

「お前ら笑うんじゃねぇ!!てか、遊斗!お前の仲間なら修正しておけよ!」

 

夜の公園に遊吾の叫びが虚しく響く。

しばらくして落ち着くと話を整理する

 

「えっと…遊吾の事は誤解って事なんだね?」

 

「ああ!俺は攫われたリンを探していたに過ぎねぇ」

 

「遊吾すまなかった。仲間に聞いたとはいえ疑ってしまって…」

 

「兄妹なんだから気にすんな。誤解さえ解いてくれれば別に構わねぇよ」

 

「ああ、了解した」

 

何とか誤解が解けたようでとりあえず一安心だった。

 

《アニメだと遊斗も遊吾を融合って誤解してデュエルになってたもんね…》

 

兄妹だったからこそ直ぐにデュエルにならなくて済んだって感じだね。

立ち話もなんだからステージ前のベンチに座ることにする。

 

「遊吾兄が探してるリンって人、もしかして柚子にそっくりだったりする?」

 

「ん?…ああ!確かに似てんな!」

 

「攫った奴は見ていないのか?」

 

「それが分かんねぇんだ。俺が駆けつけた時にはもう…」

 

そう俯く遊吾に思考を巡らせる

 

「……柚子とそっくりさんを攫ったなんて、エクシーズ次元でも同じ事してるアカデミアが十中八九犯人だろうね」

 

「なあ、さっきからアカデミアとか何言ってんだ?」

 

本気で首を傾げる遊吾に遊斗と共に今までの事を話す。まあ、誘拐事件の話をした時に遊吾に泣きながら抱きしめられてしまい、話を一旦中止せざる負えなかったが…

 

「……遊奈、ごめんな…俺が守らないと行けなかったのに…」

 

「遊吾…謝らないでよ。遊吾だって大変だったんだから…それにもう事件も解決したからさ!ね?」

 

「俺も同じ気持ちだったから分かるが…。とりあえず落ち着けバカ兄」

 

話を再開させて全てを話し終わる

 

「…なるほどな。理解したぜ。俺も協力したい所なんだが、こいつがな…」

 

そう言って見せてきたのは『クリアウィング・シンクロ・ドラゴン』のカードだ。そして遊斗の時見たく光り出すとカードが書き変わった。

 

「は!?クリアウィングの効果が変わっただと!?」

 

「あー、遊吾もなったか」

 

「予想通りだねぇ」

 

驚いてる遊吾に似たような事があった事も話すと納得してくれた。

 

「で?そのカードがどうしたんだ?」

 

「こいつのおかげで色んな次元に来れてリンを探していたんだが、完全ランダムで、何がきっかけで何処に飛ばされるか分かんねぇんだ」

 

《…そういう事なら》

 

「うお!?ファントムか?」

 

遊吾にも精霊が見えてるらしく、カードに触ったファントムに驚いている

 

《やっほー遊吾。僕がファントムだよ。よろしくね》

 

「お、おう!って何してんだ?」

 

《ん?ちょいとこの子に話をね…OK。終わったよー。ついでに》

 

「痛!くない!?」

 

そのまま遊吾の腕に噛み付くと直ぐに私の中に消えたファントムに何をしていたのか聞くと、どうやらクリアウィングのワープ機能を調整したらしい。これで変な所に急に行ったりなんてことは無いだろうと言ってるのでそのまま二人に伝える

 

「ほぇー精霊って何でも出来んだなぁ。で?なんで俺噛み付かれたんだ?」

 

「俺の時みたいに時空を少し歪ましたんだろ。何故か柚子達が持っているブレスレットが俺達が二人以上いる場合何処かに飛ばしてしまうらしい」

 

「遊斗の言うとおり。大丈夫だよ、害はないから」

 

「そうか、急に他次元に行くのも無くなるなら安心だぜ。それなら俺も協力したい。それに、遊里がアカデミアにいるなら連れ戻さないと…」「誰を連れ戻す、ですって?」「「「!!?」」」

 

遊吾の話の途中で誰かが割り込んで来た瞬間、攻撃が飛んでくる。

 

「……無事か?」

 

「大丈夫か?」

 

「ごめん、2人とも助かったよ」

 

咄嗟にファントム、ダリべ、クリアウィングをそれぞれ召喚し、私が実体化させた事で攻撃を何とか防ぐ事が出来たが、周りの被害が尋常じゃない。公園が無惨な姿になってしまっている。

 

「いきなり誰だ!?姿を見せやがれ!」

 

煙が晴れると少し離れた場所にある公園の高い遊具の上に誰かいる

 

「おや?すみません。僕の事話していたのでつい…」

 

「「「遊里!?」」」

 

その人物は4つ子の2番目。長女、遊里だった。

 




はい。という事で前回の紫髪の少女とは遊里の事でした。

女体化ってタグは遊奈だけではなかったのですよ( ̄▽ ̄)ニヤリッ
実は最初から遊里は女体化って決めてたのでようやく出せて満足です。

地味に作中でもぼやかしていたつもりだったんですけど気付いてた人はいなさそうだなぁ。
ちなみにうちの4つ子は長男遊吾、長女遊里、次男遊斗、次女遊奈の順ですね。

この辺りは漫画版の方でもよく分からなかったのですが、遊吾が遊斗に兄貴ヅラすんじゃねえって言ってるので、もしかしたら逆なのかもですね。まあ、個人的に真ん中が1番しっかりするイメージあるのと、正義感が人一番強い遊吾はお兄ちゃんして欲しかったのでこんな感じにw


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第31話 共鳴する竜

毎日投稿忘れてた←
という事で出します


 

「これは驚きましたね。僕と同じ顔が3人もいるなんて」

 

「遊里姉?何言ってるの!私達は兄妹だよ!忘れちゃったの!?」

 

「兄妹…?何の話ですか?僕は君達のことなんて知らないですし、君に姉なんて呼ばれるのは不快です」

 

「遊…里…」

 

姉に忘れられ拒絶もされて軽くショックを受ける。

 

「冗談でも言っていい事と悪い事あるぞ!特に遊奈に対してあんなに可愛がっていたのにそんな事も忘れちまったのか!?」

 

「待て、遊吾。何だかおかしいとは思わないか…?」

 

「私もそう思う…さっき素良が言ってたよね?記憶を書き換えられてしまうからそうせざる負えなかったって…」

 

「「まさか!?」」

 

コクリと頷く。この位置からだと分かりずらいが、首元に何かあるのを感じる

 

「…お話はいい加減終わりました?」

 

「聞きたいことがある。何故お前はここに来た?何が目的だ」

 

「たまたまこっちに用事があっただけですよ。そしたら僕と同じアカデミアの戦士が強制送還されたのが分かったので、様子を見に来ただけです。まさか、自分と同じ顔3人に会うとは思ってませんでしたけど」

 

しかも4つ子の兄妹?反吐が出ると本当に嫌そうな顔をして吐き捨てる様を見て今の遊里は昔の記憶を全て無くしているのだと確信する。

 

「…遊里!俺とデュエルしろ!そして俺が勝ったらアカデミアを抜けて遊奈に謝ってもらう!」

 

「それなら俺も戦おう。姉の目を覚まさせるのも下の役目だ」

 

「ほぉ…?良いですよ。まとめて叩き潰してあげます!」

 

「遊奈、お前はどうする?」

 

…姉を助けるには戦うしかないのか?

 

《(遊奈、戦うならオッPは使っちゃダメだよ)》

 

ファントム!…分かった。

 

「…私も戦うよ。遊里を助けたい」

 

それぞれが、覚悟を決めデュエルディスク(遊吾のはDホイールから取り外しが出来るタイプ)を構え、1VS3形式でバトルが始まった。

 

───────────────────────

 

デュエルは進んでいき、遊斗はダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンをエクシーズ召喚し、遊吾はクリアウィング・シンクロ・ドラゴンをシンクロ召喚した。私はファントムに言われたのでオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンは使わず、代わりにファントムをペンデュラム召喚している。

 

「く…ははは!久々に強い相手が来てくれて嬉しい限りですよ。僕も少し本気を出しましょうか?」

 

遊里の場にあるモンスターが融合しドラゴンに変わっていく

 

「魅惑の香りで虫を誘う二輪の美しき花よ!今一つとなりて、その花弁の奥の地獄から新たな脅威を生み出せ!融合召喚!現れろ、餓えた牙持つ毒龍!レベル8!『スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン』!!」

 

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴンATK2800

 

遊里の前に毒々しい融合の名を関した竜が降り立つ。これでオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン以外のエクストラを使う召喚を関する竜が揃った事になる。

 

「「「「!?」」」」

 

身体が熱い…!一体何が…?

 

兄達に視線を向けると3人は豹変していた。

 

「遊斗!?遊吾!?遊里!?」

 

3人の目が光り、先程とは明らかに様子が変わっていた。

彼らから感じるのは凄く強い怒りと怨み。そして憎しみだった。

私の声は届いていなく。3人はただ全てを破壊すると呟く

 

「やめて!遊斗兄!遊吾兄! 全てを消滅させるなんて、そんなの2人は望んでないはずでしょ!?もうデュエルで人を傷付けたくないんでしょ!?」

 

「が…ぐ…俺はもう…誰も傷付けたくない…」

 

隣にいた遊斗は何とか正気を取り戻してくれたようだが、遊吾と遊里の暴走は止まらない

 

「スターヴ・ヴェノムの効果発動!このカードが融合召喚に成功した時、相手フィールドの特殊召喚されたモンスターの攻撃力の合計分だけこのカードの攻撃力をターン終了時までアップします!」

 

スターヴ ATK2800→10300

 

「攻撃力10300…だと…!」

 

「これが…遊里のエースモンスター…」

 

「……」

 

「先ずはさっきから五月蝿い貴女からです!バトル!スターヴ・ヴェノムで、ファントム・ドラゴンを攻撃!」

 

「!?」

 

まずい!これを食らったら…!

 

「罠発動!『シフトチェンジ』!スターヴ・ヴェノムの攻撃対象をダーク・リベリオンに変更する!」

 

スターヴ・ヴェノムから放たれた禍々しいビームがファントムから遊斗の場のダーク・リベリオンに向かう

 

「遊斗!?そんな事したら!?」

 

「……」

 

ダーク・リベリオンが破壊され遊斗のLPが0になる。

衝撃で吹っ飛ばされる遊斗に慌てて駆け寄り抱き起こす。

 

「遊斗兄!なんで…なんで私を庇ったの!?」

 

「不甲斐ない兄ですまなかったな…」

 

遊斗の持っていたダリべのカードと私のエクストラデッキが光を放ち光のドームに包まれる。でもそんな事よりも遊斗の事でいっぱいいっぱいだった私はただただ涙を流す事しか出来ずにいた。

 

「そんな事ない…っ!遊斗兄がいなかったら私は…っ」

 

「泣くな…。遊奈…デュエルで笑顔を…お前の力で…世界に…皆の未来に笑顔を…」

 

「うん。分かったよ遊斗兄…絶対この戦争を終わらせるから…!」

 

涙を拭って遊斗に精一杯笑いながら差し出されたダリべのカードを受け取ると更に眩しい光に包まれて目の前が真っ白になった…

 

───────────────────────

 

ーSide/柚子

 

権現坂と共に遊奈が向かった中央公園に行くと、突然ブレスレットが光り出す

 

「え!?これって初めて遊斗に会った時と同じ!?」

 

「な、何が起きている!?」

 

「分からないわ。でも二人に何かあったのかも…急ぎましょう!」

 

中央公園に入っていくと、その場は悲惨な状態になっていた。遊具は無惨にも破壊され、地面も抉れている。

 

「遊奈?遊斗?」

 

「いったい何があったというのだ…」

 

 

「……しっかりしろ!遊奈!」

 

小高い丘の方から少年の声が聞こえてきてそちらへ向かうと、倒れた遊奈を遊奈と似た顔の少年が抱き起こしていた。

 

「もしかして遊吾!?」

 

「お前は…もしかして柚子と権現坂か!?」

 

「遊吾、遊奈は大丈夫なのか?それにいったい何があったんだ?」

 

「それが俺も途中からよく分からねぇんだ…。気づいた時には遊斗と遊奈が光っていて…遊奈しかいなくなっていたんだ」

 

遊吾も混乱しているらしく気を失った遊奈をただただ心配そうに抱きかかえている。

 

そんな中、隼、零、遊馬、ヨハンと赤馬社長の秘書が駆けつける。どうやら監視カメラが破壊された事で赤馬社長が彼等に連絡をしたようだ。何かあると行けないため遊奈はそのまま、素良が入院していた病院へ運ばれる事になった。

 

そんな中、遊斗がいなくなった事により、遊吾に詰め寄る隼を説得したりちょっとした、いざこざがあったが、1晩開けてだいぶ落ち着いた遊吾から何があったのか、また、素良がどうなったのか赤馬社長から説明をされる。まあ、説明前に私と権現坂は追い出されそうになったが、今この世界で何が起きているのか遊奈から聞いている、私達も戦いたいと赤馬社長を説得し、無事参加を認められる。参加者の中には遊戯さんや、その兄のアテムさんも参加していて驚いた。

 

「遊里の記憶が書き換えられてるだと!?」

 

「そんな…それで兄妹を襲ったっていうの…」

 

「ああ…俺も信じられねぇが明らかに遊里の態度は演技には見えなかった…俺が気づいた時には遊里はいなくなっていて、遊奈と遊斗は光に包まれてて…光が消えたと思ったら遊斗のディスクを抱えた遊奈が倒れていたんだ…」

 

「そうか…大体は分かった。改めて確認するが、遊吾君、君はアカデミアとは接点はないのだな?」

 

「ああ!俺は3年前シンクロ次元に飛ばされてからリンが攫われるまでアカデミアの存在なんて知らなかったし、エクシーズ次元も襲ってない!俺は攫われたリンを探していただけだ!」

 

「分かった。君の言い分を信じよう。それで君は我々に協力する気はあるか?」

 

「リンがアカデミアに攫われたんなら目的は同じだ!俺も協力したい。何よりやっと故郷に帰ってこれたし、妹達が心配だからな」

 

未だに目が覚めない遊奈と行方不明の遊斗、そしてアカデミアにいる遊里を思えば長男である遊吾はかなり自分を追い詰めているのだろう。

正義感や兄弟愛が強い所は昔と変わらない遊吾だった。

 

「そうか、ならよろしく頼む」

 

「ああ、こちらこそ。…だが、妹を泣かしたら承知しないからな」

 

「……承知した」

 

最後はなんと言ったのか聞き取れなかったが、何故か空気が重くなった気がする。

 

赤馬社長は空気を戻すとMCSの真の目的や、今後の事を話して話し合いは終了する。

そして、遊奈の家に大会の間、泊まる事が決まり、遊奈の家に暮らす事になった遊吾から権現坂はシンクロを、私はヨハンさんから融合をみっちり鍛えてもらう事になった。

 

 

───────────────────────

 

ーSide/遊奈

 

「……ここは…」

 

気がつくと消毒液の匂いと薄暗いが白い天井が視界に入る。

 

ここは病院…?

あれ…確か私…遊吾と遊里に会って…

 

「そうだ!遊斗!?遊斗!?」

 

ガバっと起き上がって部屋を見渡すが遊斗の姿は当たり前だが見えない。

 

そうか…私、遊斗を吸収しちゃったんだ…

 

その事実にさあっと血の気が引くが深呼吸して冷静さを取り戻す。

 

落ち着け…遊斗が私の中にいるのなら、漫画版みたいに遊斗の意思を呼び出す事が出来るかもしれない。

 

瞑想の要領で自分の精神世界に入りファントム以外の魂を探す。

 

見つけた…!

 

かなり深い場所にいた遊斗の魂を引き上げるように精神世界から戻ってくると、半透明の遊斗の意識が覚醒する

 

《遊奈…?》

 

「やあ遊斗。気分はどう?」

 

《……何とも言えないな…どういう状況だ?》

 

何があったのか分かる範囲で遊斗に話す。

 

《なるほどな…それでファントムに話しかける要領で俺を呼び起こすことに成功したのか》

 

「うん。無事成功してよかったよ…。一生会えなくなるのかもって思っていたからさ…」

 

《遊奈…こうなったら仕方ない、俺は遊奈の中でお前をファントムと共に支える。そこで気になったことがある》

 

「漫画みたいにフォルムチェンジ出来るのかってこと?」

 

《ああ…、もし、漫画みたいにデッキも変わるなら中々戦略の幅も増えるからな》

 

何よりこの状態でもお前を守れる、そう笑う遊斗に私も笑うと色々と試してみることにした。

 

《おお!来た来た!》

 

「…成功したのか?」

 

しばらくしてフワッと意識がすると遊奈が半透明になり、遊斗がその場に立っていた。

病室にある姿見を見て完全に入れ替わっているのを確認する。

いつもの黒マントはつけていないが、ちゃんと遊斗の身体に変わっていた。

 

《やったね!次はデッキを確認しよ…」「…遊奈?起きたのか?」「……」《あ…》

 

ガラっと病室の扉を開けたのは零児だった。恐らく、仕事終わりに見舞いも兼ねてよってくれたのだろう。

 

「…遊斗?…それに何故遊奈の姿が透けている?」

 

《あわわ…ヤバいって!行方不明の遊斗が居て、その傍に入院中の私が半透明で病室に居るってどう言い訳したらいいの!?》

 

「……」

 

固まった遊斗が次の瞬間、風に包まれると遊奈が現れる。

 

「…あ、ちょっと!?遊斗!?妹置いて逃げんな!」

 

完全に奥に引っ込んだ遊斗に肩を落としているとその肩を背後から掴まれる。

 

「説明を求めていいか…?」

 

「う…ひゃい…」

 

遊斗のバカぁと涙目になりながらも遊斗と合体した事と姿が入れ替われる事を話す

 

「…にわかに信じ難いな。いくら4つ子とはいえ、ひとつになるだなんて…」

 

「ワイトもそう思います…ハイ…」

 

「とりあえず、それ以外は身体は何とも無いんだな?」

 

「うん…嫌いになった…?」

 

「今更だろう。驚いてはいるがな。そもそも、私達の関係も知っているのだろう」

 

君の兄に言われてしまったと聞いて苦笑いを返す。

 

「速攻で家のメンバーにはバレたねぇ…。まあ、お父さんも零児の事、認めてるって言ってたから大丈夫だよ」

 

「今度挨拶に行こう…」

 

「!分かった」

 

覚悟を決めたような顔で零児が言うのでそれに少し照れながら約束をする。

 

そしてしばらくして、零児が呼んだのか全員かけつけてくれて、遊斗の事を話すと驚いていたがとりあえず信じてくれた。

遊吾を宥めるのが大変だったけどね…。途中から遊斗が入れ替わって遊吾をハリセンでぶっ叩いていたよ。

MCSの状況を聞くと予選は今日で終了で、私は2日程寝込んでいたらしい。

 

「大会には出れそうか?」

 

「問題ないよ。とりあえず、遊斗には出てこないよう言ってあるから」

 

流石に大会中に人が変わったら不味いだろうとその辺は遊斗と話してある。

とりあえず、退院して家で1日安静に過ごし、大会に望むことにした。

 





という事で、遊斗と遊奈が無事(?)ドッキングして漫画版ファントムみたいに交代出来るようになりました。

いやぁ、アニメ版スターヴ・ヴェノム頭おかしいw
これはOCGじゃあ弱体化しますわな。
基本、四竜はOCG化するつもりなんですけど、こいつはどうしようか…ってなりましたw
基本、弱体化はしたくないなぁ…。相手もアニメ仕様だったりするし()
ラスボスもヤバそうな気しかない…()


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第32話 進化する反逆の牙

 

「………」

 

《………》

 

翌朝、第2試合の対戦相手をもう1度見る為に、登録カードをディスクに挿して対戦相手を見ていた。対戦相手は梁山泊塾の勝鬨勇雄である。

 

《こいつは…昨日の最後の対戦で物理的に相手をボコボコにした奴だったな》

 

「そうだね…はぁ…あんまり殴り合いとか好きじゃないんだけどなぁ…」

 

昨日、自分の部屋で安静にしながら、PCで中継を見ていた為、対戦相手のデュエルの仕方は心経てるつもりだ。

 

《俺が代わりに出たら…》「変わったらしばらく口聞かないよ」《分かった…》

 

遊斗の言葉に割り込む形で拒絶すると少しいじけたように遊斗が俯く。

 

「心配しないでよ。あんな奴に私も負けたくないからさ」

 

《ああ、だけどサポートはするからな。あんな奴、デュエリストの風上にも置けない》

 

《言っとくけど僕だっているからね》

 

「2人ともありがとう」

 

なんか、過保護者が1人増えたって感じだなぁ

 

───────────────────────

 

権現坂は無事勝利し、私の番になる。皆には無理しないように言われたが心配しないでと言ってフィールドに向かう。

 

 

『続きましては第2試合!早速登場お願い致しましょう!遊勝塾、榊遊奈!!』

 

『待ってましたー!ファントム様!!』

 

『行っけー!ファントム!!』

 

「皆さん!ありがとうございます!」

 

フィールドの待機場に着くとくるっと回って応援をくれるファン達にお辞儀と笑顔で手を振る。すると会場からキャーという複数の声が響き渡る。

 

『そして対するは、梁山泊塾、勝鬨勇雄!』

 

梁山泊塾一同の銅鑼の音に合わせて勝鬨勇雄がやってくる。

会場がシーンとなる。

 

あらあら…せっかく会場が沸いてたのに一気に白けちゃった

 

《確かに命をかけた戦いとなれば梁山伯塾のやり方は否定出来ん。だが…》

 

娯楽としてのデュエルなら話しは別さ。そうでしょ?

まあ、私は真剣勝負でも気に入らないけどね

 

『それでは、両者向かい合った所でフィールド魔法の選択です!…アクションフィールドオン!フィールド魔法『仙界竹林』発動!』

 

フィールドが竹林と岩場の地形に変わる。

このフィールドは竹林エリアに行くと視界が悪くなり、逆に岩場や道は狭く1歩間違えれば落下する。かなり上級者向けのバトルフィールドだ。

 

「昨日、君のデュエルを見せてもらったよ。でもあんな戦い方、真剣勝負だろうとエンターテインメントでも私は気に入らないな」

 

「……」

 

無言で格闘技を空撃ちして私の言葉に返す。

 

「まあ、いいか。君がそういうつもりならこっちだって考えがある」

 

ニッと笑う

 

「…戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が」

 

「モンスターと共に地を蹴り宙を舞いフィールド内を駆け巡る!」

 

「見よ、これぞデュエルの最強進化系!」

 

『アクショーン!』

 

「「デュエル!」」

 

先攻 Yuna LP 4000 VS 後攻 Kachidoki LP 4000

 

勝鬨は手をクイっとして挑発してくる。

 

《随分安い挑発だな》

 

だね。でもここはあえて乗りますか!

 

「なら、私から行くよ!先ずは来て!『EMドクロバット・ジョーカー』!」

 

EMドクロバット・ジョーカー ATK1800

 

「ドクロバット・ジョーカーの効果発動!このカードが召喚に成功した時、デッキから同名カード以外のEMモンスター、魔術師Pモンスター、オッドアイズモンスターの内、いずれか1体を手札に加える!私が手札に加えるのは『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!そして、ペンデュラム・ドラゴンをRPゾーンにセットしてターンエンド!そしてエンド時にペンデュラム・ドラゴンのP効果発動!このカードを破壊し、攻撃力1500以下のペンデュラムカードを1枚加える。私は『オッドアイズ ・ミラージュ・ドラゴン』を手札に加える。そして破壊したペンデュラムモンスターはエクストラゾーンに行くよ」

 

Yuna

LP4000

手札 5(ミラージュ)

 

ドクロバット(攻撃表示)

 

魔法・罠カード 

 

 

「ドロー。相手フィールドのみモンスターが存在する時、手札から『地翔星(ちしょうせい)ハヤテ』をリリース無しで召喚出来る」

 

地翔星ハヤテ ATK2100

 

『出ましたー!勝鬨選手いきなり上級モンスターを召喚!』

 

まあ、挑発してきた時点で後攻有利って予想はついてたけどね

 

「ハヤテの効果、このカードが召喚、特殊召喚に成功した時、手札から戦士族・光属性・レベル5モンスター1体を特殊召喚する。俺は『天融星(てんゆうせい)カイキ』を特殊召喚!」

 

天融星カイキATK1000

 

「カイキの効果、このカードが特殊召喚に成功した時、フィールド、手札のモンスターを素材にし融合召喚出来る!俺はフィールドのカイキと2枚目の『地翔星ハヤテ』を素材とする!「天にとける者よ、地を飛びし者よ、今ひとつとなって、悠久の覇者たる星と輝け!融合召喚!来い!『覇勝星(はしょうせい)イダテン』!」

 

覇勝星イダテン ATK3000

 

『なんとー!勝鬨選手が融合召喚!昨年果たせなかった優勝を勝ち取るべく、更なる進化を遂げてきたー!』

 

「イダテンの効果、このカードが融合召喚に成功した時、デッキから戦士族・レベル5モンスター1体を手札に加える。俺はハヤテを手札に加える。イダテンの更なる効果を教えといてやる。1ターンに1度、このカードの攻撃力は手札から捨てた数×200アップする。更にこのカードがこのカードのレベル以下のレベルを持つ相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に1度、発動できる。その相手モンスターの攻撃力をそのダメージ計算時のみ0にする。どうした?何故Aカードを取らない?」

 

「使うつもりがないからさ。君は勝つ事しか望まないんだろう?なら私はAカード無しで自分のデッキだけを信じて戦うよ!」

 

『おっと!?榊選手、まさかのAカードを使わない宣言だ!?いったいどうなってしまうのかー!?』

 

私のAカード縛り宣言に会場全体がざわつく。

 

「ふ…本気で動かないつもりか?なら行かせてもらうぞ!」

 

「てか、使わせるつもりないくせによく言うね」

 

勝鬨は次々とAカードを手札に加えては墓地に捨てていく

 

イダテンATK3000→3800

 

「バトル!自分はイダテンでドクロバット・ジョーカーを攻撃!イダテンの効果!このカードよりレベルが低いモンスターの攻撃力はダメージステップ時0になる!」

 

ドクロバット・ジョーカー ATK1800→0

 

Yuna LP4000→200

 

「これで終わりだ!ハヤテでダイレクトアタック!」

 

『遊奈ーー!!』

 

イダテンが遊奈を襲い、土煙が舞う

 

「所詮は影ひとつ無い明るい道をぬくぬくと歩き続けてきた者か…」

 

「勝手な事言ってくれるね?影ひとつも無い?馬鹿言わないでよ。真っ暗な道を切り開いてここまで来たんだ!」

 

「何!?まさかAカードを…」

 

「1度宣言した事を守らないようなデュエリストになったつもりは無いよ。私は手札の『EMクリボーダー』の効果を発動していたのさ。相手のダイレクトアタックを受ける時、このカードを特殊召喚して攻撃対象をこのカードに移し替える。その戦闘で自分が戦闘ダメージを受ける場合、代わりにその数値分だけ自分のLPを回復するよ!ありがとクーちゃん!」

 

《クリクリー♪》

 

Yuna LP200→2000

 

『おおっと!榊選手!EMクリボーダーの効果により危機を回避しましたー!』

 

「…俺はこれでターンエンド」

 

 

Yuna

LP 2000

手札 4枚(ミラージュ)

モンスター 

魔法・罠カード

 

RPゾーン:

LPゾーン:

 

 

Kachidoki

LP 4000

手札 3枚

モンスター

ハヤテ(攻撃表示)

イダテン(攻撃表示)

 

魔法・罠カード

 

 

「私のターンドロー!さあ!こっから反撃だよ!私はスケール1の『オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン』とスケール8の『オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン』でPSをセッティング!」

 

RPゾーン:オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン PS[1]

LPゾーン:オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン PS[8]

 

「これでレベル2から7までのモンスターを同時に召喚可能!揺れろ、運命の振り子!!永久に続く時を刻み未来と過去を行き交え!!ペンデュラム召喚!エクストラから甦れ!『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!二色の眼を持つ幻影の竜『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』!」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK2500

オッドアイズ・ファントム・ドラゴン ATK2500

 

『榊選手!ペンデュラム召喚だー!』

 

「お楽しみはこれからだ!」

 

「お楽しみ…?」

 

「ええ、だってせっかくデュエルだもん、勝ち負けなんて関係ない!私は君とのデュエルを楽しみたいし、君を笑わせてみせるよ!」

 

「くだらない。自分は勝つために来ている」

 

「なら絶対に笑わせてやる!」

 

遊斗、君の力を借りるよ!

 

《ああ!》

 

エクストラデッキが光り出す

 

「それじゃあ行くよ!レベル7のオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンとオッドアイズ・ファントム・ドラゴンでオーバーレイ!闇の帳切り裂きしは新たな力を得た反逆の牙!!エクシーズ召喚!『ダーク・アンセリオン・ドラゴン』!!」

 

ダーク・アンセリオン・ドラゴン ATK3000

 

『榊選手!ペンデュラムエクシーズにより、新たなエクシーズモンスターを召喚した!?』

 

「ふん…くだらないな。攻撃したところでイダテンの効果で0だ」

 

その言葉にニッと笑う。

 

「エクシーズモンスターはレベルを持たない。よってイダテンの効果は無効だよ!」

 

「なに!?レベルを持たないというのはレベル0では無いのか!?」

 

わー生迷言頂きました

 

「しかし、攻撃力もイダテンと変わらない。ハヤテを攻撃したところで次の俺のターンで突破出来る!」

 

「それはどうでしょう?」

 

「な、何をするつもりだ!?(何なんだ、何が始まるって言うんだ!?)」

 

「ダーク・アンセリオン・ドラゴンの効果発動!1ターンに1度、ORUを1つ使い、相手モンスターの攻撃力を半分にし、その数値分攻撃力をアップします!更にその数値分、私のLPを回復し、その効果を使ったターン、このカードは破壊されません!私はイダテンを選択!ハイ・トリーズン・ディズチャージ!」

 

「何!?」

 

アンセリオン ORU2→1

 

イダテンATK3000→1500

 

アンセリオン ATK3000→4500

 

Yuna LP2000→3500

 

「まだだよ!更に私は手札から『ペンデュラム・フュージョン』を発動!このカードはPゾーンのカードで融合召喚するよ!私はPゾーンのオッドアイズ・ペルソナ・ドラゴンとオッドアイズ・ミラージュ・ドラゴンを融合!二色の眼の竜よ。風を束ねし魔の使いの洗礼を受け降臨せよ!融合召喚!現れよ!『オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン』!! 」

 

オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴンATK2500

 

『榊選手!ペンデュラムエクシーズに続き、PゾーンにあるPカードで融合を成功させた!?』

 

「エクシーズと融合を同時に操るだと!?」

 

「オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴンの効果発動!このカードが特殊召喚に成功した時、相手フィールドの表側攻撃表示モンスター1体を持ち主の手札に戻せます!私はハヤテを選択!」

 

「な!?くっ…!」

 

勝鬨はAカードを取りに行こうとするが、ボルテックスの突風で近くのAカードもハヤトと共に巻き上がって遠くへ飛ばされる

 

「バトルだ!アンセリオン・ドラゴンでイダテンを攻撃!アブソープ・エクリプス!」

 

Kachidoki LP4000→1000

 

「続けてボルテックスでダイレクトアタック!」

 

「ぐあああ!!!」

 

Kachidoki LP1000→-1500

 

『決まりましたー!第2試合勝者は榊遊奈選手!!』

 

『やったー!』

 

『最高だったぜ!ファントム!』

 

「皆様応援ありがとうございました!次もよろしく頼みます!」

 

私の言葉に沢山の人達が返事を返してくれる中、勝鬨は師範に1例をしていた。

 

「勝鬨さん」

 

「……お前はAカードを使わなかった、それなのに何故自分は負けた!?自分はひたすら暗い闇の道だけを歩んできたというのに…!」

 

「私も少し前まではひたすらに光が見えない道を進んでいたよ。でも君と違う所は私には支えてくれる人達がいて1人じゃなかったから…。だからどんなに先が見えなくても切り開いていけるんだ」

 

勝鬨に握手を求める

 

「何のつもりだ?」

 

「デュエルをすれば分かり合える。だからこれはその第1歩」

 

「……俺はお前を認めたわけじゃねぇ。だが、お前はその道を突き進め」

 

勝鬨はそのまま帰ってしまう。

握手はしてくれなかったけど少しは彼の心を変えられたのだろうか?

 

《そう願いたいな》

 

《お疲れ様遊奈》

 

ありがとう2人とも…

ごめん遊斗、しばらくファントムと2人にしてくれる?

 

控え室に戻ると遊斗にお願いしてファントムと2人にしてもらう。

先程の騒がしさは消え静かになるとカード型ソリッドビジョンから出したお気に入りのぬいぐるみ(タオル地のすやすやメ〇モ〇)を思いっきり抱きしめる。

 

あ〜!マ・ジ・で!逆鱗にならなくてよかった!!

 

これ、殴られてたら遊斗兄怒り爆発して暴走して逆鱗様ルートでしたよね!?

 

怖いわ!いくらファントムがいても怖すぎるわ!

もしかして遊斗次第だったりします?絶対、第3試合のアカデミアとか回避不可能ルートじゃないですかヤダー!

 

ワンターンスリーキゥ、キメちゃいますか!?

 

《わー、落ち着きなよ遊奈。君が暴走してどうするよ》

 

ファントムに慰められながら、漸くぬいぐるみから顔を上げる。

 

はぁ…結局、零児次第なんだよね…ちゃんと私が渡したプログラムを使って取り逃がさないようにしてくれないと…

 

《でも遊里が援軍呼んじゃったら…》

 

……WA・SU・RA・TE・TA!!

 

結局、回避不可能ルートじゃないか!!

 

《とりあえず落ち着きなよ。僕も抵抗する。だからもし遊斗が暴走した場合は君も引き摺られないように遊斗を説得するんだ》

 

ファントム…

 

《これだけは言っておくよ、恐れちゃダメだ。恐れれば余計引き摺られる。力は拒むものでも受け入れるものでもない。それを制御し、その力に責任を持つんだ。分かったかい?》

 

そう…だったね。ありがとうファントム。ちょっと弱気になってた。

 

いつの間にか実態化したファントムが慰めるように擦り寄って来たのでぬいぐるみを戻してファントムに抱きつく。落ち着くまでしばらくファントムに甘える事にした。

 




逆鱗覚醒せずにまさかのダーク・アンセリオンさんでした。
まあ、ダリベ受け取ってたし、遊奈のままでも行けると思っていただければ…はい…

次はまあ、アニメ問題のシーンです。
次回、名誉挽回なるか!?
お楽しみに


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